○倉林明子君 私は、
日本共産党を代表して、
電気事業法等の一部を
改正する等の
法律案に反対する討論を行います。
本
法案は、電力システム改革の契機となった東
日本大震災と東京電力福島第一原発事故を経験した
国民が期待する改革に背を向けるものです。
反対する第一の理由は、
政府がエネルギー基本計画で、原発と石炭火力をベースロード電源とする古い発想に固執し、まるで原発事故がなかったかのように原発回帰を一体として推し進めるものだからです。
二〇三〇年度の電源構成案では、再稼働のため国が前面に立つと明記しました。
国民多数の原発依存からの脱却の願いを全く無視した、老朽原発も含めた再稼働宣言にほかなりません。
政府は、本
法案の附則第七十四条で原子力の
事業環境整備を行うとしていますが、これは、電事連が求めてきた新たな国策民営の役割分担など、原子炉メーカー、ゼネコン、メガバンクなど原発
利益共同体の強い要求に応えたものであり、容認できません。
第二は、電気、都市ガス、熱供給
事業の一体的な全面自由化によりつくり出される十兆円を超える総合的なエネルギー市場が新たな規制なき独占をもたらすからです。
総合エネルギー市場の担い手となるのは、電力、石油元売、総合商社などの巨大資本であり、寡占化により、料金の抑制どころか値上げの危険が高まりかねません。
さらに、
法案は、持ち株会社等のグループ一体経営を認める発送電の法的分離が最終ゴールだとし、一般担保付社債による資金調達を当面継続するなど、自由
競争とは名ばかりの、東電救済、電力優遇策だと言わざるを得ません。
第三は、都市ガス
事業の導管分離や自由化を急ぐ理由が全くないからです。
消費者からは、多数の中小業者が担うガス市場の寡占化による料金値上げの懸念、ガスの
漏えいなど重大事故につながるガス機器の安全が
確保されるのかと不安が示され、消費者の知らない改革との痛烈な批判の声が上がっています。長年培ってきた一体的な保安
体制を後退させるおそれを残したままの全面自由化は、消費者
利益を侵害する危険があるものです。
第四は、公共料金である電気・ガス料金について、
説明会や電源構成を含む原価情報の
開示義務が明確にされないまま、従来の公聴会などの
国民参加の
手続を廃止する問題です。消費者には料金の中身が見えにくくなり、選択肢と知る
権利を奪うものとなります。
新設される電力・ガス取引監視等
委員会は、原価情報の
公開、チェックを含む独立性の高い機関に位置付け直し、消費者を参画させるべきです。
現在、原発は一基も動いていません。しかし、
政府は、二〇三〇年度には三十基台半ばが稼働することを見込み、そのために、原発の空押さえなど、再生可能エネルギーを抑制する様々な
制度改悪を進めています。同時に、石炭火力発電所の建設ラッシュにより、石炭火力発電への依存度が高まることは明らかです。これらは地球温暖化
対策に逆行し、国際公約をほごにするもので許されません。
欧州諸国から学び、
地域が主体となった再生可能エネルギーの最大限の導入をエネルギー政策の土台に据え、発送電の完全分離と送電網の公的管理、市民、
地域共同の小規模分散・
地域経済循環型のエネルギーシステムへ向かう民主的な改革とすべきであることを強く指摘しまして、反対討論といたします。(
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