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2015-03-25 第189回国会 参議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年三月二十五日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第九号   平成二十七年三月二十五日    午前十時開議  第一 情報監視審査会委員選任     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一  一、国土開発幹線自動車道建設会議委員選挙  一、所得税法等の一部を改正する法律案趣旨   説明)  一、国務大臣の報告に関する件(平成二十七年   度地方財政計画について)  一、地方税法等の一部を改正する法律案及び地   方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨   説明)      ─────・─────
  2. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) これより会議を開きます。  日程第一 情報監視審査会委員選任  情報監視審査会委員選任は、参議院情報監視審査会規程第三条の規定により、議院の議決によることとなっております。  情報監視審査会委員石井準一君、金子原二郎君、上月良祐君、末松信介君、大野元裕君、藤本祐司君、荒木清寛君、儀間光男君を選任することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  3. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 過半数と認めます。  よって、選任することに決しました。      ─────・─────
  4. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) この際、国土開発幹線自動車道建設会議委員一名の選挙を行います。  つきましては、本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、国土開発幹線自動車道建設会議委員山本一太君を指名いたします。(拍手)      ─────・─────
  6. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) この際、日程に追加して、  所得税法等の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 御異議ないと認めます。財務大臣麻生太郎君。    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案趣旨を御説明させていただきます。  本法律案は、デフレ脱却経済再生地方創生への取組経済再生財政健全化の両立、国境を越えた取引等に係る課税国際的調和震災からの復興支援などの観点から、国税に関し、所要の施策を講じようとするものであります。  以下、その大要を申し上げさせていただきます。  第一に、デフレ脱却経済再生に向け、法人税につきましては税率引下げ並びに欠損金繰越控除制度及び受取配当等益金算入制度見直し住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置延長拡充非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等非課税措置拡充等を行うことといたしております。  第二に、地方創生に向け、地方創生に資する投資促進税制創設外国人旅行者向け消費税免税制度拡充結婚子育て資金一括贈与に係る贈与税非課税措置創設等を行うことといたしております。  第三に、経済再生財政健全化を両立するため、消費税率引上げ施行日変更等を行うことといたしております。  第四に、国境を越えた取引等に係る課税国際的調和を図るため、国境を越えた役務の提供に対する消費税課税見直し国外転出をする場合の有価証券等に係る譲渡所得等特例創設等を行うことといたしております。  第五に、震災からの復興支援するため、福島で事業を再開するための投資費用を積み立てやすくするための準備金制度創設等を行うこととしております。  このほか、財産及び債務の明細書見直し等を行うとともに、土地売買等に係る登録免許税特例等について、その適用期限延長整理合理化等を行うことといたしております。  以上、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明させていただきました次第であります。(拍手)     ─────────────
  9. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。若林健太君。    〔若林健太登壇拍手
  10. 若林健太

    若林健太君 自由民主党若林健太でございます。  自由民主党、公明党を代表し、所得税法等一部改正法案に関し、麻生財務大臣に御質問申し上げます。  まず最初に、法人税改革について伺います。  経済国際化が進む中、多くの日本企業国際社会での競争にさらされています。そうした中、税制面でも、税率引下げを行う諸外国制度との比較の中で、我が国法人実効税率を二〇%台の水準まで引き下げることが求められています。  法人税率引下げとともに、成長志向構造改革するという点が法人税改革全体としては大変重要です。コーポレートガバナンス強化政労使の連携などと相まって、企業収益力が向上すれば、継続的な賃上げにつながっていくことが期待され、まさにアベノミクスを成功させる上で重要な政策だと思います。法人税改革に関する御所見をお伺いします。  今年度の改革では、欠損金繰越控除受取配当金益金算入見直し法人事業税における外形標準課税拡大といった取組により代替財源確保しながら、法人実効税率を、平成二十七年度二・五一%、平成二十八年度三・二九%引き下げることといたしました。さらに、法人実効税率を数年で二〇%台に引き下げるために来年度以降の税制改正に向けて議論することとされており、その際、我が国の厳しい財政状況考えれば、代替財源確保課題となります。  我が国法人税制では、多くの租税特別措置が講じられており、業種別に見ると、必ずしも表面税率どおりの高い負担率になっていない業種もあります。第二段目の改革では、こうした実態もよく分析をして、改革のパッケージを検討するべきと思いますが、お考えをお伺いします。  次に、地方創生について伺います。  人と仕事首都圏に一極集中している現況は早急に是正すべきだと思います。諸外国を見渡しても、上場企業本社がこれほど首都圏に集中しているのは日本ぐらいじゃないでしょうか。出生率が全国で飛び抜けて低い首都圏に若い働き手が仕事を求めて吸い寄せられていく現状を放置していると少子化に歯止めが掛かりません。  今回、政府が、予算面だけでなくて、税制面においても地方創生に対応すると決断したことは良かったと思います。特に、法人税のような基幹税地域に差を付けるのはタブーであるとする今までの考え方、その既存の概念の抵抗の中、政治主導地方拠点強化税制創設を行ったことの意義は大きいです。その意義についてお伺いをしたいと思います。  今回の改正では、子や孫に結婚子育て資金を贈与した場合の非課税措置創設、さらに、住宅購入資金に関する贈与税非課税措置拡充が盛り込まれております。贈与税の緩和によって高齢者から子や孫の世代へと資金移転を促していくという措置は、必要とするところへ資金が流れ、活用される点で大変意義のある政策だというふうに思います。  しかし、一方、こうした政策格差固定化につながるおそれもあります。贈与税非課税について御所見をお伺いをいたします。  安倍内閣では、全ての女性が輝く社会実現を目指して、積極的な女性の登用を働きかけております。政府税制調査会でも、配偶者控除在り方などを通じて、働き方の選択について中立的な税制をどのように構築していくか、議論が行われていると聞きます。  一方、こうした課題は、まさに家族在り方、働き方に関する国民価値観にも深く関係をしております。難しい課題ですが、どのように検討していくか、お伺いをしたいと思います。  今回の税制改正法案は、デフレ脱却経済再生地方創生など、喫緊の政策課題に対応する措置を盛り込むと同時に、BEPSの取組など、グローバル化に一層取り組む中で課税適正化にも目配りした内容となっています。アベノミクスをより後押しするため大切な法案であり、速やかな審議をお願いして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 若林先生から五問頂戴しております。  まず、法人税改革についてのお尋ねがありました。  今回の法人税改革は、課税ベース拡大しつつ税率を引き下げることにより、一部の黒字企業税負担が偏っている現状を是正し、より広く負担が分かち合うという構造とするものであります。  こうした改革を通じて、稼ぐ力のある企業税負担を軽減することで、企業収益力改善に向けた投資などがより積極的になります。それにより企業体質が変わることで、継続的な賃金アップ下請企業価格転嫁円滑化といった取組にもつながるものだと期待をいたしております。  このような成長志向型の法人税改革政府が取り組んでおりますコーポレートガバナンス強化政労使会議における取組とが相まって、経済の好循環実現につながっていくものと考えております。しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  第二段階目法人税改革についてのお尋ねがありました。  今回の法人税改革におきましては、制度改正を通じた課税ベース拡大などにより、財源をしっかりと確保しつつ、税率を引き下げていくことといたしております。  第二段階目改革、すなわち二十八年度以降の税制改正におきましても、財源確保に向けて、租税特別措置見直しを含めて幅広く検討を行ってまいりたいと考えております。その際には、御指摘のように、租税特別措置などの影響によって業種ごと負担偏りが見られるとの御指摘があることも踏まえまして、引き続き、より広く負担が分かち合う構造へと改革をしていくように取り組んでまいりたいと考えております。  次に、地方拠点強化税制創設意義についてのお尋ねがありました。  地方創生への取組の一環として創設した地方拠点強化税制は、各地域における計画的、戦略的な企業誘致取組を前提として、本社機能地方移転拡充に取り組む企業を対象に、投資減税創設雇用促進税制拡充を行うことといたしております。  今後、こうした税制一つのきっかけとなって、地方企業取組が進んでいくことを期待しておるところです。  次に、贈与税非課税措置についてのお尋ねがありました。  御指摘贈与税非課税措置は、金融資産の約六割を保有する高齢者層から消費意欲の高い若年層への資産早期移転を促し、需要の安定的な拡大による経済活性化につなげていくものであり、デフレ不況からの脱却経済再生早期実現するために必要な施策考えております。  一方で、これらの措置を続けておりますと格差固定化につながりかねない面もあることから、あくまでも時限的なものにとどめており、適用期限を迎える際に必要な見直しを行うことといたしております。  最後になりましたが、働き方の選択について中立的な税制構築についてのお尋ねがあっております。  働き方の選択に対して中立的な税制構築につきましては、昨年十一月の政府税制調査会論点整理において、「家族のあり方や働き方に関する国民価値観に深く関わることから、今後、幅広く丁寧な国民的議論が必要」とされております。  今後は、政府税制調査会や与党の税制調査会において国民的議論を行いながら判断をしていくべき問題であろうと考えております。(拍手)     ─────────────
  12. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 尾立源幸君。    〔尾立源幸登壇拍手
  13. 尾立源幸

    尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸です。  会派を代表して、所得税法等改正案について質問をいたします。  まず、数字を挙げたいと思います。一千二百億九千七百八十四万円、大変大きな数字ですが、皆さん、何の数字かお分かりでしょうか。これは、試験研究費に関して租税特別措置による一企業グループへの減税額です。一つ企業グループへの減税額が一千二百億円を超えているのです。この租税特別措置問題点については、後ほど改めて指摘します。  さて、本法案の一番の大項目は法人税減税です。私たちは、今回の法人税減税は実施すべきではないと考えます。これからその理由について述べますが、政府として、それでも法人税減税が必要だという理由があるのならお聞かせください。財務大臣伺います。  私たち立場を明確にしておきますと、法人税減税そのものに反対しているわけではありません。現に、私は財務大臣政務官として、成長を促すために法人税率引下げの取りまとめに関わりました。もちろん、財源もしっかり確保しました。ただし、この法人税率引下げは二十六年度から実施したばかりで、現段階減税効果の検証がまだ十分にできていません。減税影響効果をしっかり見極める前に更なる税率引下げを行うことは、筋が通らず、企業の歓心を買うためにとにかく減税したと言われてもしようがありません。  私たちは、もうかっている企業から税金をがっぽり取れるだけ取ればよいなどとは決して考えていません。財政難の中、減税も含め、限られた財源をしっかりと効果的に使う必要があるのです。  今回の法人税減税は、二年間減税のみが先行で行われるため、二年間で四千百二十億円の歳入の欠陥を生じます。安倍政権法人税減税は今回だけではありません。思い出してください。昨年、個人の負担、すなわち復興特別所得税は残したまま、復興特別法人税だけを前倒しで廃止しており、ここで六千四百五十三億円の減税となっています。つまり、安倍政権は、一連の法人税減税で一兆円以上の減税をしようとしているのです。  そもそも、復興特別税は、復興国民みんなで成し遂げるために、財源もみんなで負担しようという理念で決めたものです。これを無視して、とにかく法人税率を引き下げて企業優遇しようという安倍政権の姿勢は正しいでしょうか。財務大臣伺います。  東日本大震災から四年が経過しました。ある報道機関調査によりますと、安倍政権復興への取組を評価する人は三割にとどまり、六割の人が評価しないと回答しています。復興特別法人税前倒し廃止に見られるように、全国民被災地に寄り添い、一緒に復興を成し遂げていくという意識が安倍政権にないことが国民に見透かされていると考えますが、財務大臣いかがお考えでしょうか。  続いて指摘したいのが、冒頭に挙げた租税特別措置、いわゆる租特の問題です。  租特は、英語ではタックスエクスペンディチャー、すなわち租税支出と言われます。租税支出という観点及び政策効果を検証するために租特適用実態を明らかにすべきと考え、私たちは、政権獲得後、いわゆる租税特別措置透明化法を成立させ、様々な租特適用実態を明らかにしました。その結果、冒頭に挙げたように、一つ企業グループに対して一千二百億円もの減税が明らかになりました。  しかし、これだけでは十分ではありません。現状では、この一千二百億円の減税を受けている企業グループが昨年や一昨年はどのぐらい減税を受けていたかという経年変化が分かりません。税を減免する租特は税による支出であり、国民の理解、納得を得ることが不可欠です。租特利用状況利用偏りを把握するために、経年変化を把握する手段として毎年固定企業コードを付けることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。財務大臣伺います。  次に、安倍政権による企業減税に加えて、自民党への企業団体献金について指摘します。  大手企業の代表である経団連は、昨年九月に、安倍政権と徹底的に手をつなぐとして、会員企業に対して自民党への企業献金の呼びかけを行うことを明らかにしました。かつて年間百億円を献金していた時代のあっせんをほうふつさせるものです。  報道では、民主党政権時代に減った総額十億円の献金を呼び戻すことが目標だと伝えられています。二〇一三年度は、自民党政治資金団体である国民政治協会への企業団体からの献金は十九億五千万円で、これに十億円を足すと二十九億五千万円、一・五倍にもなります。  安倍政権による一兆円以上の法人税減税経団連などによる企業団体献金の増加は、少なくとも時期的には関連があるように見えます。大人の論理として、いろいろと理屈による言い訳はできるかもしれませんが、その論理子供の目を見て言えるのでしょうか。一兆円を超える法人税減税を行う前に、ほかにやるべきことがあるというのが私たち立場です。  まず取り組むべきは教育への投資であり、貧困問題の解決です。  昨年、ある新聞記事が話題となりました。北九州に住む四十歳のフリーターの方が、借りた奨学金を返済できないため自己破産したというものです。  返済猶予制度減額返済制度の導入など、政府の努力は一面では認めます。しかしです。無利子奨学金については、二十七年度予算案で、増額とはいえ、百二十五億円の増額にとどまっております。  また、返せなくなった方へのフォロー体制は十分でしょうか。少なくとも先ほど例に挙げたフリーターの方はなぜ自己破産までしなければならなかったのか。三か月以上延滞している方々へのフォロー体制にもしっかりと予算を組む必要があると考えますが、財務大臣いかがお考えでしょうか。  貧困問題については、一人親家庭子供貧困問題を取り上げたいと思います。  既に皆様御存じのとおり、一人親家庭子供貧困率は五割を超えています。半数以上が百二十二万円以下の世帯収入で暮らしています。一人親家庭のお母さん、お父さんは一生懸命働いていても苦労をしています。  厚生労働省ひとり親家庭等福祉対策関係予算案では、二十七年度については二千二百五十二億円の予算案が計上されていますが、二十六年度に比べて十三億円減額されています。貧困連鎖を防ぐためにもっともっと必要な予算確保するべきと考えますが、財務大臣のお考え伺います。  母子家庭平均年間就労収入は百八十一万円です。児童扶養手当もありますが、真面目に働く一人親について、例えばヨーロッパでも活用されている勤労税額控除制度を導入し、収入の底上げをする必要があると考えますが、財務大臣見解いかがでしょうか。  生産年齢人口が減少する中、何よりも、教育や人への投資こそが真の成長戦略ではないでしょうか。企業にも、世界で活躍してもらい、活発な経済の担い手になってもらう必要がありますが、その経済を支える人が困窮していては、幾ら企業が潤い、投資をしても社会は継続的には成り立たないのです。  安倍総理は、企業世界で一番活動しやすい国を目指すとおっしゃいますが、私たちは、真面目に頑張る働く人たちが一番幸せを感じられる国にすることが大切だと考えています。今やるべきことは、法人税減税ではなく、貧困連鎖を止め、若者教育、人への投資をすることこそ真の取るべき政策だと考えますが、財務大臣いかがでしょうか。  企業減税をする一方で、貧困対策若者対策を十分に取らない安倍政権ですが、今年の四月からは、軽自動車税増税するという地方人々に対する配慮がない税制改正を実行します。  私たちは、今回の政府提出法案に対して衆議院に対案を提出しましたが、そのうちの一つ軽自動車税増税の取りやめです。私たちは、自動車関連税制については、車体課税抜本見直しなどユーザー立場に立った税制改正を主張してきました。自動車ユーザーの多くは地方に住んでおり、地方では車は日常の足です。その日常の足をしっかり守ることが地方活性化にもつながると考えているからです。  しかし、安倍政権は、車体課税を抜本的に見直さないばかりか、この四月から軽自動車税増税を実行するのです。これが地方を大切にという政権の取る政策でしょうか。法人税減税を行う一方で、地方には景気回復の波も行き渡らない中で、地方で重宝されている軽自動車税増税を行うことは、言っていることとやっていることが真逆だと言わざるを得ません。総務大臣見解をお聞かせください。  続いて、消費税について質問をいたします。  消費税逆進性を緩和する観点から、減収などのデメリットが多い複数税率ではなく、必要な方に支援がしっかりと届く消費税払戻し措置を導入すべきと考えています。複数税率にすると、減税効果は高所得者層にも及ぶため真の逆進性対策とならず、また、一部の品目について税率を軽減するため税収不足が生じ、税収確保するためにヨーロッパなどのように標準税率を高く設定しなければなりません。また、中小企業にとっては事務手続が非常に煩雑になるという問題点もあります。  そもそも、三党合意で成立した法律上は、複数税率だけでなく、給付付き税額控除についても検討すべしとなっていますが、政府における給付付き税額控除に関する検討状況はどうなっているのでしょうか。財務大臣伺います。  また、複数税率のような後世に大きな禍根を残す制度は導入すべきではないと考えますが、財務大臣見解いかがでしょうか。  最後に、外交について指摘したいと思います。  安倍総理は、就任以来積極的に外国訪問しておられ、訪問国は五十四か国・地域、延べにすると六十六か国・地域に上ります。訪問の際に総理は様々な資金援助を約束しておられ、単純集計すると、その額は二〇一三年には九千百億円、二〇一四年には一兆五千二百億円にも上ります。資金援助外交の重要なツールの一つですが、お土産をばらまくことで訪問国から相手にしてもらうのではなく、何より大切なことは、相互の信頼関係に基づいて外交を行うことだと考えます。  この資金援助相手国に問題を引き起こすこともあります。  一例を挙げると、インドネシアバタン石炭火力発電事業JBICによる融資検討されていますが、現地において多くの人々が反対をしており、インドネシア国家人権委員会土地買収をめぐって人権侵害に関する勧告を出しています。このような状況は、JBIC融資ガイドラインである社会的合意に反していませんか。  今日までインドネシア大統領が来日しておられますが、人権侵害指摘も含めて、バタン石炭火力発電事業について、現状をどのように把握し、今後どう対応するのか、JBIC所管大臣として財務大臣見解伺います。  せっかく日本の貴重なお金を使っても、ニーズに合わない支援を行うことは、何の感謝もされないばかりか、むしろ反発されてしまいます。外交お金をばらまくのが一番楽な方法ですが、簡単にお金をばらまき、未来にツケを残すのではなく、我が国のすばらしい知恵と工夫と誠意を最大限活用して世界に貢献しようではありませんか。  改めて、将来世代ツケを残さず、借金を先送りせず、限られた日本お金をより生かす形で使うべきであることを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  14. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 尾立先生から十一問頂戴いたしております。  法人税改革についてまずお尋ねがありました。  平成二十六年度税制改正では、復興特別法人税前倒し廃止により、法人実効率を引き下げましたが、こうした取組と、所得拡大促進税制拡充政労使会議における取組などが相まって、賃金アップなど、経済の好循環が生まれ始めているものと考えております。  また、平成二十七年度税制改正で取り組む法人税改革は、単なる減税ではなく、課税ベース拡大しつつ税率を引き下げることにより、一部の黒字企業税負担が偏っている現状を是正し、法人課税をより広く負担を分かち合う構造改革することを目指すものであります。  こうした改革を通じて、稼ぐ力のある企業税負担を軽減することで、企業収益力改善に向けた投資などがより積極的になり、それにより企業体質が変わることで、継続的な賃金アップ下請企業価格転嫁円滑化といった取組にもつながるものと期待をいたしております。  次に、復興特別法人税についてのお尋ねがありました。  平成二十六年度税制改正では、復興特別法人税を一年前倒しで廃止をいたしましたが、これは、企業収益の拡大賃金アップにつなげていく一つのきっかけとするとともに、企業賃金アップという形で役割を果たし、経済の好循環の流れが全国的に広がれば、被災地復興にも良い影響を及ぼすとの考え方で実施したものであります。また、平成二十四年度の決算剰余金の一部を活用して復興財源を補填しており、復興に支障を来すようなことはいたしておるわけではありません。  したがって、企業を優遇し、復興を成し遂げる意識がないとの御批判というものは当たらないと考えております。  租税特別措置適用実態調査についてのお尋ねもあっております。  この調査は、租特利用状況を明らかにして政策の企画立案に役立てていくことを目的としていることから、こうした目的に照らして、個別企業名まで公表する必要はないという整理が平成二十二年の立法当時からなされております。このため、個別の租特ごとに適用額の上位十社を示す際にも、個別企業名ではなく、毎年度ランダムに割り振ったコード番号を用いさせていただいております。  御指摘のように、企業固有のコード番号を割り当ててそれを継続的に使用していくことは、個別企業名を類推しやすくなり、企業イメージの悪化など競争上の不利益を生じさせかねないことから適当ではないと考えておるところであります。  次に、法人税改革企業団体献金の増加との関連性についてのお尋ねがあっております。  法人税改革は、デフレ不況からの脱却を目指している今、経済の好循環実現につなげていくために必要なことから実施するものであります。  企業団体献金につきましては、各企業団体が政党に対して行っているものでありまして、財務大臣としてお答えする立場にはないというのは御存じのとおりであります。  奨学金の延滞者へのフォローアップについてのお尋ねがありました。  奨学金事業は、過去の貸与者からの返還金を原資とすることにより、それにより学生などに貸与を行うものであり、一定の収入のある方にはきちんと返還をしていただくことが基本となりますのは当然です。もちろん、様々な事情により、卒業後に厳しい経済状況に置かれ、奨学金の返還が困難な方がおられるということもこれまた事実であります。  こうした方々に対応するため、平成二十四年度から、卒業後に一定の収入を得るまで返還を猶予する所得連動返還型奨学金制度を導入したり、平成二十六年度からは、経済困難を理由として返還期間を猶予する制度の年数制限を五年から十年へ延長したりするなど、真に困窮しておられる奨学金返還者に対する返済策の充実を図っているところであります。  奨学金の返還が困難な方々については、引き続ききめ細かく対応してまいりたいと考えております。  次に、ひとり親家庭等福祉対策関係予算についてのお尋ねがありました。  御指摘のひとり親家庭等福祉対策関連予算は、厚生労働省において算出した数字でありますが、十三億円減少しているという点につきましては、児童扶養手当予算が、対象児童の減少などに伴って自動的に十八億円減少することが影響しておりますことや、二十七年度に創設された生活困窮者自立支援制度のうち、子供を有する家庭の学習支援十九億円といったものがここに含まれていないことなどに御留意いただく必要があろうかと考えております。  いずれにいたしましても、一人親家庭ではきめ細かな支援が必要と認識をいたしており、様々な施策を個々の事情に応じて組み合わせ、一人親家庭の自立支援へ努めてまいりたいと考えておる次第です。  勤労税額控除の導入についてのお尋ねがありました。  御指摘の勤労税額控除につきましては、例えばフランスのように、勤労インセンティブを高めなければ、低所得者対策を行うために導入されているものと承知をいたしております。ただし、その導入に当たりましては、給付付き税額控除と同様に、所得や資産の把握の問題、執行面での対応の可能性などの課題があると承知いたしております。  いずれにいたしましても、低所得者については、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮として、与党において軽減税率などの検討が進められているところであります。  政府としては、まずは与党における検討を踏まえるべきものと考えており、引き続き与党の議論を見守ってまいりたいと考えております。  次に、法人税改革ではなく、若者教育や人への投資を行うべきとのお尋ねがありました。  今回の法人税改革は、コーポレートガバナンス強化政労使会議における取組と相まって、企業体質を変え、持続的な賃金アップなどにつなげていくことを目指すものであり、このこと自体、若者を含め、企業で働く人への投資につながるものと考えております。  また、若者教育や人への投資という観点からは、平成二十七年度予算においてもしっかりと対応を行っております。  具体的には、低所得者世帯を中心とする幼児教育における保護者負担の軽減を進めるとともに、意欲と能力のある全ての若者に大学で学ぶ機会をつくるため、奨学金制度を充実いたしております。  さらに、全ての人が希望を持てる労働環境の整備のために、非正規雇用者の正社員への転換や処遇改善に取り組む事業主への支援拡充若者の就職支援強化を実施することといたしております。  次に、給付付き税額控除検討状況についてのお尋ねがありました。  御指摘給付付き税額控除につきましては、低所得者に絞った効率的な支援が可能になるとの議論があります一方、所得や資産の把握の問題、執行面での対応の可能性などの問題があることを承知いたしております。消費税率引上げに伴う低所得者への配慮として、与党においても軽減税制度等の検討が進められているところであります。  政府といたしましては、まずは与党における検討を踏まえるべきものと考えており、引き続き与党の議論を見守ってまいりたいと考えております。  消費税の軽減税制度についてのお尋ねがありました。  消費税の軽減税制度につきましては、様々な御意見がある中、例えば、昨年、与党税制協議会が行った団体ヒアリングにおいて、痛税感を緩和するといった意見がある一方で、高所得者にも恩恵が及ぶのではないか、対象品目の合理的な線引きが困難ではないか、多額の減収が生じて社会保障財源影響するのではないか事業者の業務負担が増加するのではないかなどの懸念の声があったものと承知をいたしております。  いずれにせよ、与党において、こうした懸念も踏まえつつ平成二十七年度与党税制改正大綱に沿って議論が進められているところであり、引き続きこれを見守ってまいりたいと考えております。  最後に、国際協力銀行、JBICインドネシア融資検討している事業に関してのお尋ねがありました。  国際協力銀行におきましては、同行が定める環境社会配慮確認のためのガイドラインにのっとって融資を行うこととなっていると承知をいたしております。財務省としては、所管官庁として、国際協力銀行、JBICがこのガイドラインにのっとり、引き続き、現地住民の声を聞きつつ、適切に環境社会配慮確認を行うよう監督してまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣高市早苗君登壇拍手
  15. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 尾立議員から、軽自動車税税率引上げについてお尋ねがございました。  軽自動車が公共交通機関の不十分な地域などで生活の足として使われているという実情があることは理解しております。一方で、地方においては、道路、橋梁等の財政需要も大きいとともに、軽自動車と小型自動車について税負担の均衡を欠くのではないかといった指摘もあったところです。  平成二十六年度税制改正においては、税制抜本改革法に基づき、地方団体の要望等も踏まえて検討を行い、小型自動車との負担の均衡を図る観点等から、軽自動車税税率を引き上げることといたしました。  また、税率の引上げに当たっては、平成二十七年度以降に取得される新車を対象とするとともに、平成二十七年度税制改正においてグリーン化特例を講じることとし、ユーザー負担軽減にも配慮することとしております。  地方団体からは長年の懸案への対応に評価をいただいており、厳しい地方財政の状況の下で、予定どおりの実施について御理解をいただきたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  16. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 藤巻健史君。    〔藤巻健史君登壇拍手
  17. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 維新の党、藤巻健史です。  私は、維新の党を代表し、財務大臣質問いたします。  細かい内容は今後の財政金融委員会でお聞きするとして、本日は税に関しての大きな問題についてお聞きしたいと思います。  国の累積赤字は昨年末で千三十兆円にも積み上がっています。一月二十八日の本会議でも指摘いたしましたが、これは二十年間自民党政権税収をはるかに超える歳出を続けてきた結果です。  そもそも、大きな政府を保持したいのなら国民の高負担が必要なはずなのに、歴代自民党政権は、ばらまきを続けて国民の歓心を買い、その一方で、低い税金でも国民の歓心を買ってきました。すなわち、いいとこ取り政策を続けてきた結果がこの膨大なる借金だと思っています。千三十兆円もの借金は、十兆円ずつ返しても百年掛かる借金です。  今参議院で審議中の政府予算での歳出は九十六兆円です。したがって、借金をやめ、百年間で借金を完済するためには、今年度は約百兆円もの税収が必要になる計算です。しかし、本年度の税収予想は五十五兆円にすぎません。  安倍政権は、まずはデフレ脱却を唱えていますが、デフレ脱却さえすれば百兆円もの税収が上がるとお考えなのでしょうか。  史上最高の税収は、バブル真っ最中の一九九〇年の狂乱経済と言われた経済の下での六十・一兆円にすぎません。どういう経済シナリオで税収百兆円が確保できるのか、麻生大臣、お答えください。税収弾性値を一とすると、名目GDPが現在の四百九十兆円弱から八百九十兆円ほどに伸びなければ百兆円もの税収は達成できません。麻生大臣、税収は大丈夫でしょうか。  さらには、社会保障費は毎年一兆円ずつ歳出が増えると言われていますし、名目GDPが急伸するほど景気が良くなれば、金利は上昇し、支払金利増で歳出もうなぎ登りです。デフレを脱却消費税を一〇%に上げれば財政は盤石なのか、是非お答えいただきたいと思います。  麻生大臣がウルトラCの財政再建策を御提示くださるのならともかく、これほどの累積赤字がたまってしまった以上、一〇%への消費増税景気回復による税収増だけでは国は資金繰り倒産になってしまうと思われます。それならば異次元の歳出カットも必要となってくるはずですが、安倍政権は本年度も九十六兆円という史上最大の歳出を考えていらっしゃいます。  歳出カットと口で言うのは簡単ですが、歳出の四割をも占める社会保障費に手を付けなければ、大幅な歳出カットなど不可能です。国会議員が身を切る改革をしなくては、到底国民の皆様から社会保障費カットの理解を得ることはできません。我が党が主張する身を切る改革さえ安倍政権はやろうとしていないのです。安倍政権は歳出カットをやる気があるのでしょうか。麻生大臣、お答えください。  景気回復による増税や一〇%への消費増税だけでは財政再建は難しいと思えます。それなのに安倍政権は大幅な歳出カットさえ考えていそうもありません。  そこで、麻生大臣にお聞きいたします。大臣は、景気回復による税収増や一〇%への消費増税、それ以外の大増税をお考えになっているのではないでしょうか。それも、増税とは本来国会審議を経なくてはいけないはずなのに、それを回避した大増税考えているのではないでしょうか。  私が危惧している大増税とはインフレ税のことです。実は、インフレ税という言葉を使いましたが、実際はハイパーインフレのことで、税金の形を取っていません。ですから、国会審議も必要ないということなのです。  税金とは、それが後に国民に使われるにしても、当初は国民から国への富の移行です。実はインフレも国民から国への富の移行なのです。  釈迦に説法でしょうけれども、個人タクシーの運転手さんが一千万円借金をしたとします。今、借金の返済をするのは大変でも、タクシー初乗りが二キロメートル、極端な話で恐縮ですけれども、百万円になれば、お客さんを十人乗っければ借金の一千万円は一日で返せます。一方、汗水垂らして十年間で一千万円をためた方、すなわち債権者は大変です。タクシー十回乗ると一千万円の預金はなくなってしまうからです。借金をしている人が大助かりの一方、お金を貸している人は地獄を味わいます。その意味で、インフレとは債権者から債務者への富の移行なのです。  債権者は国民の皆さん、そして債務者とは千三十兆円もの借金をため込んだ国です。インフレとは、国民から国への富の移行という意味で、まさに税金と同じなのです。ハイパーインフレは大増税を意味します。ハイパーインフレになれば、千三十兆円もの大借金は国にとっては実質なきに等しくなります。しかし、国民生活は地獄です。消費税とは比べ物にもならないほどの逆進性も強く、経済弱者は目も当てられません。  アベノミクスの第一の矢である異次元の量的緩和とは、ハイパーインフレによる財政再建策だと私は思えてなりません。今、株価は上がり、ベアもあり、景気は上向いています。お金をじゃぶじゃぶにするのですから、予想どおりの結果です。しかし、この異次元の量的緩和の評価は事後的に評価されるべきものです。マイルドなインフレのままうまくソフトランディングができればめでたしめでたしの大成功の政策ですが、出口でつまずきハイパーインフレにでもなれば、それまでのプラスは全て相殺されるどころか、大きな禍根を残すことになってしまいます。  今年一月にヨーロッパ中央銀行が量的緩和の開始を決定したときに、ドイツは大反対しました。一九二三年に、お金をばらまいた結果、ハイパーインフレを経験したからです。アメリカの共和党も大反対しています。お金をじゃぶじゃぶにした国でハイパーインフレを回避できた国を私は聞いたことがありません。アメリカが今、出口を探っているとおっしゃるかもしれませんが、日銀にはまねできないものばかりです。まねできるとおっしゃるならば、私は、今後この点について徹底的な議論をさせていただきたいと思います。  だからこそ、ハイパーインフレを回避する出口戦略は必要なのです。政府は、それは日銀の仕事だよとおっしゃるかもしれませんが、失敗すれば国家的リスクにもさらされるのですから、政府は責任を回避できないはずです。アベノミクスで第一の矢として挙げた以上、撤退の責任も政府にあるはずです。政府は出口についてどうお考えなのか、麻生大臣、お答えください。歴史を無視し、ハイパーインフレなどあり得ないと言い切るのは余りにも無責任です。  ところで、一九八五年から八九年は狂乱経済と言われたバブル期ですが、八六年から八九年の消費者物価指数、全国、生鮮食品を除く総合は、八六年が前年比〇・八%増、八七年が〇・三%増、八八年が〇・四%増、八九年が二・四%増であり、バブル期の大半は黒田日銀総裁が目的とするCPI目標二%以下なんです。でも、経済は狂乱しました。  先週、土地の公示価格が発表になりましたが、最高地点は東京銀座の山野楽器前の一平米三千三百八十万円です。一坪一億一千万円ということです。昨年に比べて一四・二%の上昇で、バブル期の九割の価格だそうです。  一方、株価もアベノミクスのおかげで力強い上昇を続けています。昨日の日経平均は一万九千七百十三円ですが、バブル当初の一九八六年の日経平均一万八千七百一円にほぼ同じレベルまで戻ってきています。  どうもバブルの初期に似ているということで、先週の予算委員会で私は黒田日銀総裁に、株価や不動産の力強い上昇が今後とも続いた場合、量的緩和を続けるのかとお聞きいたしました。回答は、様々なリスク要因を点検しているとのことでした。  日銀がバブル再発を懸念して、消費者物価が二%に達しないにもかかわらず量的緩和をやめてしまった場合、政府資金繰りは大丈夫でしょうか。税収でどうやってカバーするのか、財務大臣、お答えください。  平成二十七年度の国の国債発行予定額は、新発国債三十七兆円、借換債百十六兆円で合計百五十三兆円です。一方、日銀は年間百十・一兆円も購入するわけで、すなわち国債発行額の七〇%をも日銀が買うのです。この量的緩和がこれは理由なのです。七割を占めている買手がいなくなれば、国債市場は大暴落、長期金利は急騰です。暴落必至の国債を買い向かう人などは考えられず、ましてや不動産や株が上昇しているときに国債に資金を割り振る人など日銀以外には考えられません。ですから、そのときは長期金利は暴騰してしまいます。  国は、何十%もの金利で新発国債を発行するわけにはいきませんから、新たな借金はできません。政府のお財布は半分が空になってしまいます。そのとき、九十六兆円の歳出に見合うお金をどこから持ってくるのでしょうか。所得税、法人税消費税の大増税ではないでしょうか。麻生大臣、お答えください。  資金繰り倒産はまずいといって、消費者物価が二%以下、土地と株の値段が上がってきたときに、日銀に相変わらず強制的に国債を買わせ……
  18. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 藤巻君、時間が超過しております。
  19. 藤巻健史

    ○藤巻健史君(続) 量的緩和を継続させれば、バブルは更に大きくなり、ハイパーインフレ必至です。まさに国会審議を経ないハイパーインフレ税という大増税です。  株や不動産価格が順調に上昇するのは日本経済にとって望ましいことですが、単に喜んでいいのでしょうか。国の資金繰り倒産を回避する策はありますか……
  20. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 藤巻君、時間が超過しております。
  21. 藤巻健史

    ○藤巻健史君(続) 財務大臣、是非お聞かせ願います。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  22. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 藤巻先生から五問頂戴いたしております。  税収を百兆円に増やして財政健全化を行おうとしているのかとのお尋ねがありましたが、政府といたしまして、財政健全化に向けて百兆円の税収確保といった考え方は取っておらず、まずは二〇二〇年度の国、地方の基礎的財政収支の黒字化目標をしっかりと堅持、本年夏までにその達成に向けて具体的な計画を策定することといたしております。  その策定に当たりましては、現内閣のこれまでの取組を更に強化し、デフレ脱却経済再生、歳出の改革、歳入の改革の三つの柱を軸に検討を進めていくことといたしており、経済再生財政健全化の両立を目指し、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  次に、デフレ不況消費税率一〇%への引上げで財政健全化実現できるかとのお尋ねがありました。  内閣府の中長期試算では、平成二十九年度四月の消費税率一〇%への引上げと、名目三%以上、実質二%以上の経済成長率を織り込んだ経済再生ケースにおいてさえ、二〇二〇年度の基礎的財政収支が九・四兆円の赤字となる姿が示されておりますのは御存じのとおりです。  したがって、デフレを脱却消費税率を一〇%に引き上げれば、それだけで財政が盤石になるとは全く考えておりません。このため、二〇二〇年度の国、地方の基礎的財政収支の黒字化目標の達成に向け、具体的な計画を策定することといたしております。  次に、歳出改革と身を切る改革についてのお尋ねがありました。  現内閣のこれまでの三か年の予算編成におきましては、生活保護の見直し、診療報酬改定、介護報酬改定などを実施する中で、社会保障を徹底的に見直すなど、歳出の重点化、効率化を進めてまいったのは御存じのとおりです。こうした取組もありまして、平成二十七年度予算は二〇一五年度の財政健全化目標を達成する予算にすることができたところであります。  今後とも、二〇二〇年度の財政健全化目標の達成に向けて、社会保障の改革を含め、聖域なく歳出全般の徹底的な重点化、効率化を図ってまいりたいと考えております。  また、議員の定数、歳費、政治活動の諸経費に関する問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であり、国会において国民の代表たる国会議員が真摯に議論を行い、国民の負託をしっかり応えてまいるべきものだと考えております。そのためには、まずは各党各会派において議論を深め、国会において合意を得る努力を行わなければならないものと考えております。  ハイパーインフレと出口戦略についてのお尋ねもありました。  御懸念のハイパーインフレーションは、戦争などを背景とした極端な物不足や財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われた状態など、極めて特殊な状況下において発生するものと考えております。現在の日本経済、財政の状況においてハイパーインフレーションが直ちに発生することは考えにくいと存じますが、仮に急速なインフレが進むような場合には、日本銀行は物価の安定を図るという目的に照らして、適切な対応を行われるものと考えております。  また、日本銀行の黒田総裁は、金融緩和からの出口について述べるのは、市場の混乱を招くおそれが高いため時期尚早であると述べられているものと承知をしております。日本銀行から出口論について何らかの方針が示される前の段階で私から出口についてお答えをするということは、市場に無用の混乱を招くというおそれがありますので、差し控えさせていただきたいと考えております。  日本銀行がCPI、消費者物価が二%に達する以前に量的緩和をやめた場合の政府資金繰りについてのお尋ねがありました。  政府としては、デフレからの脱却を確実なものとするため、日本銀行が今後とも二%の物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していかれることを期待をいたしております。また、日本銀行の黒田総裁は、金融緩和からの出口について述べるのは時期尚早であると述べられているものと承知をいたしております。  したがって、日本銀行が消費者物価が二%に達する以前に量的緩和をやめても政府資金繰りは大丈夫なのかといった仮定の御質問にお答えすることは困難であります。  政府としては、経済再生財政健全化の両立を目指すことにより、日本の財政に対する市場や国際社会の信認を引き続きしっかりと確保してまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  23. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 大門実紀史君。    〔大門実紀史君登壇拍手
  24. 大門実紀史

    ○大門実紀史君 安倍内閣経済政策税制改正の基本的な考え方について質問をいたします。  私は、昨年のこの税法の本会議質問で、アベノミクスは、大企業中小企業、富裕層と庶民の格差を広げる二極化政策であると指摘し、この上、消費税の八%への増税を実施すれば、家計と中小企業は更に疲弊し、景気はますます悪化すると警告をいたしました。  その後の推移はどうなったでしょう。実際に景気は激しく落ち込み、格差は一層拡大してしまいました。  アベノミクスの異次元緩和は、海外の投機マネーを呼び込んで円安、株高をつくり出し、特に輸出大企業と株主である富裕層を大もうけさせました。大企業の内部留保はこの一年で十三兆円増加、二百八十五兆円にも達しました。金融資産を一億円以上持つ富裕層は百万世帯を超え、この二年間で二四%も増加、この層が保有する金融資産は二百四十一兆円にもなりました。  しかも、少しでも株価に陰りが出ると、年金運用機関による株の買い増し、日本銀行の追加緩和や上場投資信託、ETFの購入などで無理にでも株価を支えようとしてきました。今や市場関係者からも、日本の株価は日銀や年金積立金など巨額の公的マネーが下支えしている官製相場だ、池の中に鯨がいるという声が上がるほどです。  公的マネーで株価を支え、大企業や富裕層をもうけさせている国など聞いたことがありません。麻生大臣は、こんなやり方を異常だと思いませんか。  一方、庶民の暮らしは円安による物価高と消費税増税で実質賃金が低下。有効求人倍率が改善したといっても低賃金の非正規雇用の求人が増えただけです。貯蓄ゼロの世帯は全世帯の三割を超え、年収二百万円以下のワーキングプアも一千百万人を超えました。生活保護世帯も増え続け、過去最高の百六十二万世帯に達しています。  企業利益が増えたといっても、中身を見れば、大企業が前年比三四%も利益を増やしている一方、中小企業は原材料費の高騰で円安倒産が続出、特に資本金一千万未満の小企業の利益は二年連続前年比マイナスとなっています。加えて、消費税の八%への増税は、中小企業、中小事業者に重くのしかかっています。  貧困格差拡大を放置して景気の回復などあり得ません。  昨年十—十二月期の実質GDPはプラスに転じましたが、中身を見ると、前期の落ち込みの反動のほか、円安によって円換算の輸出額が増加したことや公共事業支出が膨らんだことによるものであり、依然消費は落ち込んだままです。大企業など一部で賃金引上げの動きがあっても、マクロ的に見れば、実質賃金が上がり、それが消費の拡大につながって更に企業利益が伸びるという循環は確認されておりません。  にもかかわらず、政府経済の好循環が生まれていると述べてきました。賃金と消費が停滞しているのに、何を根拠にそう言われているのか。甘利大臣、説明してください。  格差の是正は今や国際的にも大きなテーマになっています。経済協力開発機構、OECDは、昨年末の報告書で、格差拡大経済成長を大幅に抑制していると述べ、格差を是正する税制改革教育への支出によって経済成長すると指摘をいたしました。  アメリカでは、貧富の格差を是正するため、最低賃金を引き上げると同時に、富裕層に増税し、その税収増を中低所得者の減税に充てる税制改革を打ち出しました。さらに、大もうけしている金融機関に課税をして、その税収分をカレッジ、単科大学の学費無料化に充てるとしています。  日本はどうでしょう。消費税増税社会保障の改悪を進める一方で、法人税と法人住民税など合わせ、二年間で一・六兆円も減税しようとしています。そのお金があれば、アメリカのように低所得者向けの施策子供貧困を解消するための対策を大きく前進させることができるのではないでしょうか。庶民の負担を増やし、特に空前の利益を上げている大企業減税するなど、世界の流れにも逆行するものではありませんか。麻生大臣の答弁を求めます。  そもそも、これ以上の法人税減税にどれだけの意味があるのでしょうか。安倍内閣は、海外から企業投資を呼び込むために、今後数年間日本法人税の実効税率を今の三四%程度からアジア並みの二〇%台に引き下げるとしています。しかし、数々の優遇措置で実質負担率は既に十数%台に下がっており、通常、国際比較で使われるGDP比で見ると、日本法人税負担は韓国、シンガポールより低く、中国と同じレベルになっております。  元々、企業の海外進出と税負担とはほとんど関係がありません。今月三日に発表された内閣府の調査では、企業が海外に生産拠点を置く第一の理由は、進出先の国の需要が旺盛、又は今後の拡大が見込まれることであり、税制など優遇措置は僅か〇・三%にすぎません。  甘利大臣、海外から投資を呼び込みたいのなら、日本の内需回復こそ重要ではありませんか。消費税増税で内需を冷え込ますなど、やることが逆さまではありませんか。  また、法人税減税を行っても賃金に回らないことは過去の例からも明らかです。麻生大臣、大企業の内部留保を積み上げるだけの減税に何の政策的意味があるんでしょうか。  政府は、消費税増税分は全て社会保障に使うと言ってきました。本当でしょうか。二〇一五年度の消費税増税分八・二兆円のうち三・四兆円は後代へのツケ回しの軽減に充てるとされております。要するに、日本の借金が増えてきたのは社会保障費が伸びてきたから、今の社会保障費も借金で賄われていると決め付けた上で、三・四兆円の増収分を社会保障に使うのではなく、一般会計の収入に入れて借金する分を減らそうというわけであります。社会保障のための借金を減らすのだから、これも社会保障に使ったことになるという理屈です。  しかし、日本の借金が膨らんだのは社会保障費の増大だけが原因ではありません。今の社会保障費も全て借金で賄っているわけではありません。そもそも社会保障費は国民の生存権に伴う費用であります。それを保障するのは政府の責任です。問われるべきは、社会保障費の増大ではなく、経済失政によって税収を減少させ、無駄遣いを繰り返し、余裕もないのに法人税や富裕層への減税を行って、野方図に借金を増やしてきた歴代自民党政権の責任ではないでしょうか。  増税分を全て社会保障に使うと言いながら、実際には政府の失政の尻拭いに使おうとしているのではありませんか。しかも、消費税の増収分を一般会計の収入に入れても、それが借金の軽減に使われるとは限りません。過去を振り返っても、公共事業費の拡大など、ほかの支出法人税減税の穴埋めに回されるのではありませんか。  消費税は、幾ら増税しても社会保障は良くならず、景気の足を引っ張るだけの税金であります。一〇%への増税はきっぱり断念すべきです。  格差是正と景気回復のためにも、応能負担の原則に沿った税制に抜本的に転換することを求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣麻生太郎登壇拍手
  25. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 大門先生から四問頂戴しております。  まず、公的マネーで株価の下支えを行っているのではないかとのお尋ねであります。  現在、日本銀行が量的・質的金融緩和の下で行っております国債等の買入れは、二%の物価安定目標の実現という金融政策上の目的で行われているものであり、株価対策を目的としたものではございません。また、年金積立ての運用は、厚生年金保険法等に基づき、専ら被保険者の利益のために行われているものと承知をいたしております。  昨年十月の基本ポートフォリオの見直しも、長期的な経済・運用環境の変化に即し分散投資を進めたものでありまして、株価対策を目的としたものではないと承知をいたしております。  法人税改革格差是正に逆行するのではないかとのお尋ねもありました。  今回の法人税改革は、単なる減税ではなく、課税ベース拡大しつつ税率を引き下げる改革を行うものでもあります。こうした改革を通じて、経済の好循環を定着させていくことと併せて、社会保障や税制を通じて格差拡大防止を図っていくことも重要な課題であると考えております。  近年の税制改正でも、税制における再分配機能の回復のため、所得税の最高税率の引上げ、また相続税の見直しなどを行ってきたところでもあります。  税制における再分配の在り方については、与党の税制改正大綱におきましても、今後とも格差固定化につながらないよう不断の見直しを行わなければならないと指摘もされており、経済社会構造変化をも踏まえながら、引き続きよく考えてまいりたいと考えております。  法人税改革政策的意味についてお尋ねがありました。  今回の法人税改革は、単なる減税ではなく、課税ベース拡大しつつ税率を引き下げることにより、一部の黒字企業税負担が偏っている現状を是正し、より広く負担が分かち合うような構造にしようとするものであります。  こうした改革を通じて、稼ぐ力のある企業税負担を軽減することで企業収益力改善に向けた投資などがより積極的になり、それにより企業体質が変わることで継続的な賃金アップ下請企業価格転嫁円滑化といった取組にもつながるものと期待をいたしております。内部留保を積み上げるだけの減税であるとは考えてはおりません。  消費税増収分の使途についてのお尋ねがありました。  消費税率の引上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するためのものであります。  消費税増収分は、社会保障の充実及び安定化のため全額社会保障財源化することといたしており、社会保障以外の使途に充てることはございません。(拍手)    〔国務大臣甘利明君登壇拍手
  26. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 二問お尋ねがありました。  まず、経済の好循環についてであります。  政権交代以来、三本の矢の政策を進めてきた結果、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準、昨年の賃上げは平均二%以上のアップと過去十五年で最高、そして企業の経常利益は過去最高水準、企業倒産件数は二十四年ぶりに年間一万件を下回るなど、確実に経済の好循環は生まれ始めています。  昨年四月の消費税率八%への引上げの影響も含め、物価の上昇に家計の所得が追い付いていないということもあり、景気回復の実感が地方に暮らす方々や中小・小規模事業者の方々にはっきりと届いていないのも事実ではありますが、先日公表されましたGDP速報では、三四半期ぶりに実質GDPが前期比プラス成長となり、また、景況感は全ての地域改善するなど景気回復の兆しも見られています。  二十日に連合から公表されました春闘の回答状況では、一人当たりの平均賃上げ率が二・四三%と、過去十五年で最高となった昨年の水準を更に上回っている勢いとなっております。  次に、海外からの投資の呼び込みについてのお尋ねであります。  海外から日本投資を呼び込むためには、御指摘の内需回復といった観点にも配慮すべきでありますが、世界で一番ビジネスがしやすい国の実現を目指し、法人税改革のほか、TPPを始めとした経済連携の推進、規制改革などに総合的に取り組むことが必要であります。  こうした中で、御指摘法人税改革につきましては、我が国の立地競争力の強化企業の競争力の向上などを通じて成長力の強化を図りつつ、政労使の連携といった取組などが相まって、投資や賃上げ、下請企業価格転嫁といった取組などにつながり、経済の好循環の後押しとなることを期待をしております。  消費税率の八%への引上げは、我が国世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡し、そして子育て支援を充実させていくために必要な措置であります。また、これまでの安倍内閣の三本の矢の取組によりまして、確実に経済の好循環は生まれ始めております。  引き続き、経済再生財政健全化の両立を目指してまいります。(拍手
  27. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  28. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) この際、日程に追加して、  平成二十七年度地方財政計画についての国務大臣の報告並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案についての提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) 御異議ないと認めます。総務大臣高市早苗君。    〔国務大臣高市早苗君登壇拍手
  30. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 平成二十七年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨について申し上げます。  まず、平成二十七年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。  本計画の策定に際しては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、地方創生に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障の充実分等を含め、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取組と歩調を合わせて歳出抑制を図ることとしております。  あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。  また、東日本大震災分については、復旧・復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等の全額を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。  以上の方針の下に、平成二十七年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ一兆九千百三億円増の八十五兆二千七百十億円、東日本大震災分については、復旧・復興事業が、前年度に比べ四百四十三億円増の二兆六十億円となっております。  次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  現下の経済情勢等を踏まえ、デフレ脱却経済再生観点から、法人税改革の一環として法人事業税の所得割の税率引下げ外形標準課税拡大等を行います。  また、経済再生財政健全化を両立するための地方消費税率引上げ施行日変更等地方創生に取り組むための地方団体に対する寄附金に係る個人住民税の寄附金税額控除の拡充、環境への負荷の少ない自動車を対象とした自動車取得税及び軽自動車税特例措置見直し等を行うこととしております。  さらに、平成二十七年度の評価替えに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整を行うほか、猶予制度見直し等の納税環境の整備、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  地方交付税の総額について、地方交付税の率の変更等を行うとともに、平成二十七年度分の通常収支に係る地方交付税の総額を十六兆七千五百四十八億円確保することとしております。  また、地方創生に要する経費の財源措置するため、当分の間の措置として、人口減少等特別対策事業費を設けるほか、普通交付税の算定に用いる単位費用の改正を行うこととしております。  さらに、平成二十七年度分の震災復興特別交付税について、新たに五千八百九十八億円確保するとともに、公営競技納付金制度延長を行うこととしております。  以上が、平成二十七年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案趣旨であります。(拍手)     ─────────────
  31. 山崎正昭

    議長山崎正昭君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。江崎孝君。    〔江崎孝君登壇拍手
  32. 江崎孝

    ○江崎孝君 民主党・新緑風会の江崎孝です。  会派を代表して、地方税法等地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方財政計画について質問いたします。  我が国は、人口減少という大きな波に襲われ、ただでさえ深刻な地域の衰退が更に加速するという危機意識の下、昨年夏、突然地方創生が叫ばれ、年末にはまち・ひと・しごと創生長期ビジョンが閣議決定されました。そして、問題の多い十五か月予算が組まれ、地方行政にとって降って湧いたようなまち・ひと・しごと創生事業への政府の過熱とも言える政策誘導が進められております。  承知のように、人口減少は突然始まったわけではありません。少子高齢社会の到来は数十年前から不安視され、一九九〇年代後半には生産年齢人口の減少が始まり、二〇〇八年には我が国人口がピークを迎えるに至っています。  しかし、時の政府は、それまでの公共投資中心の再配分構造を見直さずに、市場原理、競争主義の名の下、大店舗法の改正や規制改革による地方の公共交通の劣化などを生み、ますます地方を疲弊させたのであります。この間、政権を長期に担った自民党の責任は極めて重いと言えます。  このように考えれば、現在の危機が付け焼き刃的なまち・ひと・しごと創生事業などで解決できるものではないと断言できます。むしろ自治体消滅の危機のみをあおり、もって地方にその責任を押し付け、選挙対策的な予算ばらまき事業に自治体を追い詰める今のやり方は言語道断であり、看過できるものではありません。  まず、地方税法の改正についてお尋ねいたします。  安倍政権法人税実効税率を引き下げるという成長戦略方針の下、地方税である法人事業税の所得割が引き下げられます。黒字企業はこれで減税されますが、一方で、これでは地方税の減収となるため、その見合い分として外形標準課税の付加価値割を引き上げるとしています。増税分の内訳を見ると、現行〇・四八%の付加価値割を来年度〇・二四引き上げて〇・七二%に、二十八年度以降、更に〇・二四引き上げて、今の倍の税率の〇・九六%にするとされております。  承知のとおり、外形標準課税分は収益に関係なく課税されます。その中でも、付加価値割は法人経営の中で給与報酬を多く払っている法人ほど高くなる性質を持っております。労働集約型の法人、つまり雇用者を多く抱える法人ほど納税額が高くなるのです。この改正では、労働集約型の事業で収益率がそれほど高くない法人ほど増税になります。  その典型例が日本郵政株式会社です。日本郵政のユニバーサルサービスの展開は、まさに人が担っています。同社の試算によると、来年度は三十億円、再来年度以降は六十五億円の増税となります。  国内企業のうち、黒字はおよそ三割、その多くは大企業であり、赤字企業の多くは中小です。そして、地方企業の多くが中小企業であります。地方で収益が上がらない中でも頑張って人を多く雇っている会社ほど増税になる。これは、地方に雇用を増やすというまち・ひと・しごと創生事業の方針とは懸け離れています。中小企業が更に萎縮していくに違いありません。  このような法人税減税策は許されるものではありません。特に、地方税も巻き込んだ法人税減税のやり方は、更に地方を疲弊させることでしょう。総務大臣見解伺います。    〔議長退席、副議長着席〕  また、政府税調の議論では、課税ベース拡大のため、資本金一億円未満の中小企業にも外形標準課税制度の導入が検討されたと承知しております。今回は見送られたものの、今後引き続き検討を行うようです。資本金一億円未満へ適用対象を拡大すれば、地方中小企業の倒産、廃業は間違いなく増大をするでしょう。地方税を所管する総務大臣としての見解伺います。  続いて、平成二十七年度地方財政計画とそれをベースとした地方交付税法改正案について質問いたします。  私は、これまで事あるごとに、地方財政計画は原点に戻るべきだと主張してまいりました。それは、三位一体改革以降の地方財源確保のため、パッチワーク的な財政対策が重ねられてきたからであります。平成十九年度の頑張る地方応援プログラム、翌年度の地方再生対策、二十一年度以降の別枠加算と地域雇用対策に始まる歳出特別枠、一昨年度の地域の元気づくり事業、昨年度の地域の元気創造事業など、財務省との財源獲得折衝のために必要な方策だったのでしょう。そして今度は、待ってましたとばかりに地方創生事業となりました。  本来、地方財政計画の本旨は、地方交付税法第三条に基づいて、地方の行政について、合理的かつ妥当な水準を維持することであり、標準的行政水準の経費とこれに見合う歳入を見込んでのものであるはずです。つまり、普遍的な経費を確保するものです。財源保障のために国が場当たり的に政策をつくり、その経費に無理に当てはめる財源を積み上げるということを強めれば強めるほど、地方財政計画の本旨から逸脱します。地方自治制度そのものも揺るがしかねません。今計画は更にその色彩が強まったものと危機感を抱かざるを得ないのです。  まず、地方交付税制度の大転換とも言える法定率の改正です。これほどの大改正が秘密裏に行われたことは極めて問題だと考えます。秘密に行った理由は一体なぜか。これほど重要な改正は、地方自治体の意見も含め検討を進めるべきものであり、なぜ国と地方の協議の場の活用などを行わなかったのか、総務大臣見解伺います。  今回の見直しでは、法人税の法定率を現行の三四%から三三・一%に引き下げるとともに、所得税の法定率を三二%から三三・一%に引き上げ、たばこ税を交付税対象から外し、酒税が五〇%に引き上げられます。これにより、法定率分として約九百億円の増額が見込まれています。僅かですが、確かに増収となります。しかし、これでよしとするわけにはいきません。  一九五四年の地方交付税制度発足時から、法定率の原資に求める性質として、伸びるという伸長性と安定性にありました。これは、元自治省事務次官の石原信雄氏が新地方財政調整制度論で述べていますし、この考えはこれまで総務省内でも一貫していたはずであります。しかし、総務省は、今回の法定率改正理由を安定性の向上と充実にあるとして、伸長性には触れていません。なぜ今年あえて伸長性が省かれたのでしょうか。総務大臣、お答えください。  都市と地方の税の偏在性が問題になり、平成二十年度に、地方税である法人事業税の一部を地方法人特別税として国が召し上げ、地方法人特別譲与税として国が配分する制度創設されました。東京都などの一部団体が反対したのは記憶に新しいものです。地方自治体の課税権を否定し、新たな国税を誕生させたことには問題があります。  そもそも、地方団体は、地方財源地方間で取り合う制度をやめるべきだと主張し、地方法人特別税制度を廃止した上で、消費税引上げの抜本改革と併せて、地方税である法人住民税の一部を国税化し、代わりに安定性の高い国税の消費税地方に移すという税源交換を要求しています。地方税の偏在性を解消し、安定性の高い消費税を交付税原資とするもので、総務省も異論はないはずでした。  しかし、今回のように国税である法人税と所得税の原資配分率の取替えを安定性の向上と充実を図るためとしたのでは、将来の消費税増税時において税源交換議論ができるのでしょうか。地方が主張する税源交換の要求を総務省自らが放棄したとも取れますが、いかがですか。  更に言えば、本来交付税原資ではない地方税である法人住民税をわざわざ国税化して交付税原資を充実させておきながら、一方で国の法人税の法定率を引き下げることは矛盾しています。法人税の法定率を引き下げる必要はなかったのではないですか。あわせて総務大臣見解をお聞かせください。  法人税が持つ、景気が良くなれば税収が伸びる、つまり伸長性が高い財源であるという特性も重視すべきです。一方、雇用の低賃金化が進行し、生産年齢人口が減少するなど、むしろ所得税の伸び代の方が容易に期待できません。財務省にしてやられた感がありますが、所得税、法人税、どちらを重視するのでもなく、地方自治体の意見を聞きながら、伸長性、安定性双方の重要性を踏まえた対応をすべきではなかったのでしょうか。大臣、お答えください。  今年一月三十日の経済財政諮問会議で四人の委員連名で出された説明資料では、都市圏以外における地域経済に占める地方行政サービス、社会保障サービスの割合は、需要面で四〇%、供給面で二五%を超えており、この分野の活性化地域経済の再生に不可欠とされております。つまり、新たな産業を興すよりも、この二つの対人サービスの充実の方が即効性もあり、不可欠ということです。  だとすれば、まち・ひと・しごと創生事業地方行政と社会保障という二大公共サービスの活性化につながることが重要となりますが、どうでしょう。答えは否であります。更に地方が疲弊しかねない問題の多い事業であると指摘せざるを得ません。なぜなら、同事業に係る普通交付税の算定に、標準的な財政需要ではなく、職員数の削減率、人件費の削減率という行革算定が組み込まれているからであります。より人を減らし、より賃金を安くした自治体の方がより多く交付税をもらえるとは話になりません。  雇用削減では、人的サービスである二大公共サービスの活性化にはつながりません。地方の雇用を三十万人増やすことを目標にしているまち・ひと・しごと創生事業の方針とも全くもって矛盾します。  行革算定は、地方の縮みを加速させ、何のプラスにもなりません。すぐに中止すべきだと考えますが、総務大臣のお考えをお聞きします。  まち・ひと・しごと創生事業費の算定による政策誘導は極めて問題です。しかし、どうしても進めるのであれば、成果指標の一つである若年者や女性の就業率を正規雇用の就業率に限定するなど、良質で安定的な雇用を評価する仕組みを取り入れるぐらいの覚悟が必要だと考えますが、総務大臣見解伺います。  このような矛盾の多い算定に血道を上げるのではなく、昨年、安倍総理が施政方針演説で触れた地方の公共交通の再生のような経費にむしろ光を当てるべきであります。  今日、地方の疲弊の要因の一つが交通問題です。全国あらゆる地域で交通政策の重要性が一段と増しています。地方で普及率が高い軽自動車を増税しておきながら、一方、一昨年成立した交通政策基本法に地方自治体の責務を明記したにもかかわらず、公共交通再生経費を普通交付税として財源保障しないなどは、まさに地方いじめではないですか。総務大臣、お答えください。  以上述べてきたように、今回の税制改正法案地方財政計画は、地方の現実を無視し、国の主張を前面に押し出すものとなっております。本計画では、国の一般会計からの繰入額は確実に抑制されております。公債費の減少を始めとした地方の努力分で捻出した財源がなければ、一般財源は間違いなく減額となっていたでありましょう。そもそも、交付税総額確保地方の努力が伴うとは言語道断であります。ナショナルミニマムの財源保障の責任の所在は一体どこにあるのでしょうか。総務大臣見解伺います。  地方創生によって一時的、臨時的に地方財政が充実したかのように見えますが、今後の政府の財政再建議論など、状況次第では地方財政の大幅削減にいつでも転換できる内容になっていることこそが問題であります。  地方財政計画の本旨に立ち返り、歳出特別枠やまち・ひと・しごと創生事業費など一時的、臨時的な経費に依存することなく、地域交通を始め地方自治体に必要な普遍的な財源確保し、そこから組み立て直す作業を怠れば、地方の再生など夢物語になる、そのことを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣高市早苗君登壇拍手
  33. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 江崎議員から十一点お尋ねがございました。  まず、法人税改革外形標準課税についてのお尋ねでございます。  今般の法人税改革は、法人課税成長志向型の構造に変えていくものでありますが、地方税においては、税収の安定性の確保や応益課税強化等の観点から、かねてより地方団体から要望をいただいておりました外形標準課税拡大によって財源確保した上で法人事業税の所得割の税率を引き下げることとしたところであります。  また、外形標準課税の付加価値額は、給与の増減に対し中立的な課税標準ですが、雇用への配慮として雇用安定控除を設けております。  さらに、今回、外形標準課税拡大に際し、賃上げを促進し、経済の好循環実現を後押しするため、所得拡大促進税制を導入するとともに、いわゆる中堅企業への配慮も行うこととしております。  次に、外形標準課税の対象法人についてお尋ねがありました。  今回の外形標準課税拡大は大法人を対象として行うものであります。一方、与党税制改正大綱においては、中小法人の実態はまちまちであることから、その実態を丁寧に検証しつつ、資本金一億円以下を中小法人として一律に扱うことの妥当性について検討を行うとされております。その上で、外形標準課税の適用対象法人の在り方については、地域経済企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行うとされており、今後、こうした方針に沿って検討していくことになると考えております。  次に、法定率の見直し検討過程についてお尋ねがありました。  地方交付税の法定率については、昨年夏の概算要求において引上げを事項要求しました。その後、国と地方の協議の場において法定率を引き上げるべき旨の地方の皆様の意見を伺った上で、今回の法定率の見直しを含めた平成二十七年度の地方財政対策を決定しました。地方団体からは、長年の懸案である地方交付税の法定率の見直しを一歩進めたことは、これまで地方が求めてきたものであり評価するとの声明をいただいたところであります。  今後とも、地方の御意見をお聞きし、地方財政対策に適切に反映するよう努めてまいります。  次に、法定率の見直し趣旨についてお尋ねがありました。  地方交付税の原資については、複数の税目を組み合わせることによって収入の伸長性と安定性を確保することが重要であると考えております。  平成二十六年度税制改正において、法人住民税法人税割の一部を交付税原資化したことにより、交付税原資の中で、伸長性に富む一方で景気変動に左右されやすい法人関係税のシェアが拡大することとなりました。そのため、交付税原資の安定性を向上する観点から、今回法定率を見直し、法人関係税のシェアを引き下げ、伸長性と安定性を兼ね備えた所得税のシェアを引き上げることにより、交付税原資の伸長性と安定性のバランスに配慮することとしたものです。  次に、今回の法定率の見直しは税源交換の要求の放棄ではないかとのお尋ねがございました。  今回、法人税の法定率を引き下げることとしたのは、交付税原資の中で景気変動に左右されやすい法人関係税のシェアが拡大することを踏まえて、その原資の安定性を向上させるためであります。一方、税源交換は、法人関係税等、他の税と比較して、偏在性が小さく安定的な地方消費税の充実を図ることにより、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することを目的として検討されてきたものでございます。  このように、税源交換は、あるべき地方税制構築一つ選択肢として検討されるものであり、今回の法定率の見直しと税源交換は直接関係するものではありません。  次に、今回の法人税の法定率の引下げは法人住民税の国税化と矛盾するのではないかとのお尋ねがありました。  先ほど御説明したとおり、今回、法人税の法定率を引き下げることとしたのは、法人住民税法人税割の交付税原資化により、交付税原資の中で景気変動に左右されやすい法人関係税のシェアが拡大することを踏まえて、その原資の安定性を向上させるためでございます。  したがって、法人税の法定率の引下げは法人住民税の交付税原資化を踏まえて行うものであり、矛盾したものではございません。  次に、法定率の見直しにおいて、伸長性と安定性双方を踏まえるべきとのお尋ねがありました。  一般的に、法人関係税は税収の年度間の変動が大きく、今回の見直しは、法人関係税のシェアが拡大していることから、交付税原資の安定性を向上させるために行ったものです。見直し後も所得税と法人税の法定率は同じ三三・一%であり、この二税が交付税原資の主要税目であることに変わりはありません。  今後とも、地方団体からの御意見を伺いながら、交付税原資の伸長性と安定性のバランスを適切に確保してまいります。  次に、交付税の算定における行革努力の反映についてお尋ねがございました。  平成二十七年度の地方財政計画の歳出にまち・ひと・しごと創生事業費を計上したことを踏まえ、普通交付税の算定に当たっては、地域の元気創造事業費を継続することとし、人口を基本とした上で各地方公共団体の行革努力等を加味することとしております。  これは、各地方公共団体が行革により捻出した財源を活用して地域経済活性化取組を行っていると考えられることを踏まえたものであり、今後もこの算定を継続することで頑張る地方を息長く支援してまいりたいと考えております。  次に、若年者就業率や女性就業率の指標についてお尋ねがありました。  地域の元気創造事業費及び人口減少等特別対策事業費の算定に当たっては、若年世代女性の雇用機会の確保や、仕事と家庭が両立できる働き方の実現が重要な課題となっていることから、若年者就業率や女性就業率の指標を用いることといたしております。  その際、まずは、地方の実情を踏まえ、地方に幅広い雇用を創出する必要があることから、正規雇用に限らず、就業者数の総数を用いて就業率を算定することとしております。正規雇用の就業率に限定するということは考えておりません。  次に、公共交通政策に係る財源保障についてお尋ねがありました。  地域公共交通の支援に要する経費は、全国画一的な算定方法のみでは財政需要を捕捉できないことから、これまでも普通交付税と特別交付税を組み合わせ、地方バスや地域鉄道等に対する地方財政措置を講じてまいりました。  平成二十七年度から新たに地域公共交通再編事業に係る経費についても特別交付税措置を講じることとしており、引き続き、地域公共交通の活性化、再生に向け適切に地方公共団体支援してまいります。  最後に、地方の努力による財源確保財源保障の責任の所在について御指摘がございました。  国として、地方財政計画の策定を通じて地方団体が標準的な行政水準を確保できるよう、歳出に見合う財源を保障しております。平成二十七年度の地方財政計画において、地方団体が自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組めるよう、まち・ひと・しごと創生事業費を一兆円計上するほか、地方の努力による〇・五兆円の新規の財源も含めて、一般財源総額を一・二兆円増額したところです。これにより、地方団体地方創生に取り組みつつ安定的に財政運営を行うことができるものと考えております。(拍手)     ─────────────
  34. 輿石東

    ○副議長(輿石東君) 平木大作君。    〔平木大作君登壇拍手
  35. 平木大作

    ○平木大作君 私は、自由民主党、公明党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。  地方創生元年と銘打たれた本年、全国津々浦々にまで景気回復の実感を届け、経済の好循環を確立するためにも、各地での自発的な取組税制面から支え、促進していくことが極めて重要となります。厳しい地方財政の再建に取り組まなくてはいけないのは言うまでもありませんが、一方で、地方経済の担い手である家計や雇用を支える中小零細企業への目配りなしにアベノミクスの成就もあり得ません。  本日は、こうした観点から、平成二十七年度の税制改正及びそれに伴う諸施策について、以下四つの点にわたって政府の御見解をお伺いしたいと思います。  まず初めに、法人事業税における外形標準課税強化についてお伺いいたします。  今般の法人実効税率引下げに伴い、外形標準課税平成二十七年度、二十八年度の二段階で二倍に拡充することが示されました。  地方分権を支える安定的な財源確保課税ベース拡大検討される中、資本金一億円以下の中小企業については外形標準課税の導入が見送られるなど、厳しい経営を強いられている全国の中小企業に厚く配慮した内容となり、各地から安堵の声が聞かれています。  政府には、引き続き、今後の法人事業税在り方議論においても、各地の企業経営の実態地方経済の動向を注視し、慎重に検討を行うよう強く求めたいと思います。  今回の負担軽減措置の中でもう一つ特筆すべきは、課税強化影響を受けることとなった中堅企業への配慮です。  地域の雇用を支える中堅企業は、言わば地方経済の生命線であり、その多くが赤字経営を脱し切れていない現状を鑑みれば、過度な負担増は景気回復の流れに水を差すことになりかねません。  そこで、今回新たに、事業規模が一定以下の中堅企業については、法人事業税税負担が増える場合は増加分の半分を免除する負担軽減措置を二年間設けることとなりました。この措置で軽減対象となるのは、おおむね資本金が十億円未満、年間課税所得が十億円以下の約一万五千社余りと見られており、外形課税対象企業の実に六割強に相当します。  このきめ細やかな負担軽減措置による地方経済並びに企業経営に期待される効果について、高市総務大臣にお伺いいたします。  注目を集めていた軽自動車への車体課税については、これまで環境性能が良くても優遇する仕組みのなかった軽四輪車についても新たにグリーン化特例を導入することが決まりました。  軽四輪車は、買物や通勤に毎日使用するユーザーがおよそ七割を占めるなど、生活の足であることに加えて、公共交通が利用しづらい地方に行くほど保有率が高まるなど、唯一の足である地域も多い、言わば地方における生活必需品と呼べるものです。今回の軽減措置は、こうした地域の実情を酌んだ極めて重要な決定であり、高く評価するものです。  加えて、軽二輪車については税率引上げを一年間延期することとなりました。若年者や低所得者の移動手段として定着した軽二輪車に対する今回の軽減措置意義について、高市総務大臣の御所見をお伺いいたします。  なお、消費税率一〇%段階車体課税見直しについて、与党税制大綱では、自動車をめぐるグローバルな環境や課税のバランス、自動車に係る行政サービス等を踏まえた議論を行うとしていますが、これを政府としてどのように受け止めているのか、併せて高市大臣にお答えいただきたいと思います。  続いて、不動産取得税と、関連する住宅政策についてお伺いします。  日本の中古住宅流通量は住宅市場全体の一割強にとどまっており、およそ八割を中古住宅が占める米国や同九割の英国と比べてもいびつな市場構造となっています。こうした状況を受けて、来年度からは、中古住宅を買い取り、耐震改修などを施して販売する事業者に対して、不動産取得税を軽減する特例措置創設が決まりました。  これは、中古住宅市場の活性化に資するのみならず、増え続ける空き家対策としても有効な取組であり、政府としても更に積極的な支援をすべきと考えますが、太田国土交通大臣の御所見をお伺いいたします。  また、不動産取得税については、サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の中においても、従来の特例措置が二年間延長され、土地家屋の取得に対する軽減措置が継続されることとなりました。  本施策についても、在宅介護の受皿づくりが急がれる中、高齢者向けの住宅整備を強力に推進するものでありますが、地域的な偏りなど課題指摘されるところであり、政府の総合的な取組が必要です。併せて太田国土交通大臣の御答弁をお伺いします。  観光立国を掲げる安倍政権の諸施策により、日本を訪れる外国人観光客の数が大きく伸びています。昨年はついに一千三百万人を突破し、それに伴う旅行消費額も二兆円を超え、三年前のおよそ二・五倍にまで拡大しました。特に、昨年十月から運用を開始した消費税税制度の拡充により、免税の対象をこれまでの家電製品や衣服、かばんなどの一般物品から一気に全ての品目にまで広げたことで、都心部においては、食料品や化粧品などを買い求める外国人旅行者で小売店がにぎわう様子も見受けられるようになりました。  今般の税制改正においては、同制度拡充第二弾として、免税手続の第三者への委託を認め、商店街や物産センター等において手続の一括カウンター設置を可能にすることが予定されています。  外国語での対応や煩雑な免税手続など、個々の小売店にとって負担となる業務を一括して委任できるようになるため、小規模事業者や商店街には朗報と言えますが、免税店は現在、その七割が三大都市圏に集中しており、今回の拡充策に併せて、どれだけ地方部に免税店を増やすことができるかどうかが重要なポイントとなります。  この点に関し具体的にどのように取り組まれるのか、最後に太田国土交通大臣にお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣高市早苗君登壇拍手
  36. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 平木議員から三点お尋ねがございました。  まず、外形標準課税負担軽減措置についてでございます。  今回、外形標準課税拡大に当たり、いわゆる中堅企業への配慮が必要との要望を受けまして、外形標準課税拡大により負担増となる場合に、負担増の最大二分の一を軽減する措置を時限的に講ずることとしたところです。今回の改革は、企業収益力の向上を後押しするものでありますが、取組には一定の期間を要することもあることから、この負担軽減措置企業の業績向上への後押しとなることを期待しております。  次に、二輪車に係る軽自動車税税率引上げ時期を延期する措置意義についてお尋ねがありました。  二輪車に係る軽自動車税については、平成二十六年度税制改正において、地方団体の御要望も踏まえ、平成二十七年度から一律に税率を引き上げることとしておりました。平成二十七年度税制改正においては、この二輪車の税率の引上げの時期を一年延期することとしましたが、これは消費税率一〇%への引上げ時期の延期や軽四輪車へのグリーン化特例の導入等を踏まえ、二輪車ユーザー負担にも配慮する観点から、与党税制協議会で協議した結果に基づき講じることにしたものでございます。  最後に、車体課税見直しに係る与党大綱の受け止めについてお尋ねがありました。  平成二十七年度税制改正の過程においては、今後の我が国の自動車産業の在り方、国際的に見た自動車関係税制におけるユーザー負担状況、自動車の社会的費用と行政サービスの在り方、国、地方を通ずる財政状況など、幅広い観点から議論がなされました。これらの議論を総合的に勘案した上で与党税制改正大綱がまとめられたものと承知しており、消費税一〇%段階車体課税見直しについても、こうした点を踏まえ議論を行っていく必要があると考えております。  引き続き、地方団体関係者の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。(拍手)    〔国務大臣太田昭宏君登壇拍手
  37. 太田昭宏

    国務大臣(太田昭宏君) 中古住宅市場の活性化及びサービス付き高齢者向け住宅の整備についてお尋ねがございました。  人口減少、少子高齢化が進む中、空き家を含めて、既にある住宅を活用することは極めて重要だと考えています。中古住宅市場の活性化に向けて、具体的には、省エネ住宅に関するポイント制度などによりリフォームを推進すること、中古住宅の建物検査や性能表示の普及、定着を図ること、事業者が中古住宅を買い取ってリフォームし、それを再販売する場合の流通税の軽減などに取り組んでいます。  今後とも、税制予算融資において中古市場の活性化に積極的に取り組んでまいります。  次に、サービス付き高齢者住宅につきましては、御指摘のとおり、郊外などの地価の安い地域に立地する傾向があり、町づくりや医療、介護との連携を図る必要があると考えております。このため、コンパクトシティーの推進等の市町村の町づくりの方針に即したものに支援の重点化を図るなど、地方自治体と連携を図りつつ、サービス付き高齢者向け住宅の整備を推進してまいります。  次に、外国人旅行者向け消費税免税店の地方部への拡大についてお尋ねがございました。  外国人旅行者による旅行消費額は昨年初めて二兆円を超え、訪日外国人による観光消費が日本経済を下支えするまでとなっております。これには、消費税免税対象の拡大や全国での免税店舗数の増加に向けた取組なども大きく寄与をしています。  全国の免税店は、昨年十月一日現在、全国で九千三百六十一店となっておりますが、御指摘のとおり、全国の免税店店舗数のうち約七割が三大都市圏に所在をしています。今後、御指摘の一括カウンターの円滑な導入に向けて、地域関係者への丁寧な説明会を更に積極的に開催するなど、新制度の周知徹底に一層努めてまいります。  また、地方部への免税店の拡大のためには、外国人旅行者の消費効果地域関係者に実感してもらうことも重要であります。このため、関係省庁と連携して、外国人旅行者を引き付けて消費を拡大するための地域の名産品の磨き上げや、地域でショッピングを楽しめる買物ルートの形成などに取り組んでまいります。  以上です。(拍手)     ─────────────
  38. 輿石東

    ○副議長(輿石東君) 寺田典城君。    〔寺田典城君登壇拍手
  39. 寺田典城

    ○寺田典城君 維新の党の寺田典城であります。  私は、ただいま議題になりました法律案について、会派を代表して質問いたします。  まず、質問に先立ち、一言申し述べたいと思います。  率直に言って、今の安倍政権はどこかおかしいのではないでしょうか。  我が国は、第二次世界大戦後七十年、専守防衛の国であります。しかし、安倍政権では、憲法改正議論もせず、いつの間にか自衛の名の下に戦争ができる国にしようとしております。  エネルギー政策でいえば、原発問題があります。世界最高水準の安全基準と言いながら原発を再稼働させようとしています。ところが、使用済核燃料の処分の在り方について法的な議論もなされていません。  また、財政健全化成長戦略だけでは達成できません。歳出の削減も必要であります。  そして、日銀は国債を買い続けた結果、円安、株高にはなりましたが、国民格差はますます拡大しています。国債が大暴落した場合、どうなるのでしょうか。不安になります。  また、公共放送としてのNHKの籾井会長は、変な言動を繰り返しています。まだ辞任しておりません。残念でなりません。  独裁色を強める安倍政権に対し、自民党の議員は総理の意向をそんたくし、批判の声が聞こえてきません。連立を組む良識の党、平和の党である公明党も、安倍総理の政治姿勢にブレーキを掛けられなくなりました。このままでは日本の先行きが心配であります。  それでは、本題に入ります。  まずは、地方創生についてお伺いいたします。  平成二十七年度の地方財政計画では、まち・ひと・しごと創生事業費一兆円が計上されています。我が国は、観光立国を目指し、二〇二〇年までに二千万人の外国人観光客を誘致しようとしています。  しかし、例えば鬼怒川温泉を例に取りますと、一九九三年のピーク時には三百四十一万人だった宿泊客数が、今では二百万人程度に落ち込んでいます。観光客が減っていけば、その地域経済も雇用も縮小します。熱海など他の観光地も同じではないでしょうか。  観光客の誘致のために投資を進めた一九八〇年代は団体旅行が中心でした。しかし、外国人観光客はもちろんのこと、今では日本人も個人旅行が中心になっています。個人旅行の観光客が団体向けの広い部屋に泊まったとして、快適に過ごせるでしょうか。  時代のニーズの変化により、経営が破綻し、放棄された観光施設は、環境、景観、安全に多大な悪影響を及ぼしています。地方創生のために、こうした建物の除却処分ができるような法制度検討してはいかがでしょうか。観光地の価値が高まれば、雇用の安定、経済活性化にもつながります。石破大臣の御意見をお伺いします。  我が国は、これまで、組織、団体成長を求める傾向が強かったのではないかと思います。しかし、これからは個人の幸せを求める、そして個人のレベルを高めていく時代であります。組織重視の縦社会から個人を重視する社会に変えていくことが時代のニーズであります。  個の社会に変えていくためには、個人の能力を高めていくことが必要であります。そのためには人材育成が要になります。まち・ひと・しごと創生事業費として一兆円をばらまく余裕があるならば、人材育成にもっとお金を掛けるべきではないでしょうか。石破大臣の御見解をお伺いします。  個の能力を高める方向性として、グローバル人材の育成があります。文部科学省では、「トビタテ!留学JAPAN」の推進のために予算増額するなどしています。短期留学だけではなく、意欲と能力のある人に特徴のある大学への留学を積極的に支援していくことについて、下村文部科学大臣の御意見をお伺いします。  人材育成は、何も若者に限ったことではありません。農村地帯で農家の高齢化を心配する声も聞かれます。同じように心配なのは、サラリーマンを退職された方々です。農業者には定年がなく、体が動く限り何歳まででも生きがい農業を続けられます。しかし、サラリーマンだった人は定年退職になれば何もすることがなくなります。例えば、定年が六十五歳だとして、平均余命は二十年以上あります。こうした方々に生きがいを持っていただくことが、社会活性化、ひいては地方創生にもつながるのではないかと思います。  高齢者のエネルギーを活用するため、生涯学習の場所や社会貢献の場所を制度的につくってみてはいかがでしょうか。石破大臣の御見解をお伺いします。  厚生労働省所管の労働保険特別会計の積立金にはまだ余裕があります。これを、若者が技能と資格を身に付けるための専修学校、あるいはリタイアした人の生涯学習、生きがいづくりや社会貢献、地方創生のために活用することを検討できないでしょうか。塩崎厚生労働大臣の御見解をお伺いします。  地方創生関連して、国土交通省では、コンパクトシティーとネットワークに力を入れています。しかし、新しく建てるものについては計画どおりにできるとしても、既存の建物を取り壊したり移転したりすることはなかなかできません。周辺地域から移住を促すにしても、いろいろな制約が伴います。  今までの都市計画では成功例が少ないのです。コンパクトシティー化がうまくいくと考える根拠はどこにあるでしょうか。太田国土交通大臣にお伺いします。  次に、震災復興についてお伺いします。  平成二十七年度地方財政計画では、震災復興特別交付税五千八百九十八億円が計上されています。  比較的早く復興した地域がある一方、かさ上げ工事を行っている地区など、復興にはまだ時間が掛かる地域もあります。被災者の苦労は大変なものだと思います。  集中復興期間が終わった後の復興在り方について、様々な意見が出されています。私は、住民の自立意識を高め、コミュニティーの結束を強めるためにも、今後は、地方自治体に復興特例債を発行させて、住民参加の復興事業を行っていくべきではないか考えます。もちろん、財政力の弱い自治体に対しては償還時に特別交付税で手当てをするなどの配慮は必要であります。  町が復興したからといって住民が自立できるわけではないことについて、行政サイドも理解する必要があるのではないでしょうか。竹下復興大臣の御意見をお伺いします。  次に、エコカー減税についてお伺いします。  本年度の地方税法改正では、自動車取得税におけるエコカー減税見直しと軽自動車課税見直しが行われています。  軽4WDは、積雪寒冷山間地では安全面を含めて生活必需品です。4WDは、車重が重く、燃費が悪くなります。燃費が悪ければエコカー減税の対象から外れたり、軽減幅がより小さくなってしまいます。購入時の車両本体価格が高く、ランニングコストも余計に掛かります。その上、今回の改正でエコカー減税軽自動車税のグリーン化特例の恩恵も受けられないことになれば、更に不利益を強いられることになります。  地方創生という観点から、エコカー減税にしても、全国一律の制度をやめ、例えば積雪寒冷地に軽4WD減税をすることについて総務省に提言してみてはいかがでしょうか。石破大臣の御見解をお伺いします。  最後になりますが、先日の安倍総理の日教組のやじ発言には国民もびっくりしたと思います。  以上で私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣石破茂君登壇拍手
  40. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 寺田議員より四問の御質問を頂戴をいたしました。  まず、放棄された観光施設の除却処分についてのお尋ねであります。  御指摘のとおり、廃ホテル、旅館等の観光施設の除却等を推進することは、地域の魅力向上や地方創生に資するものであります。  議員御提案の法制度につきましては、昨年十一月に空家対策特別措置法が成立しておるところでございます。これにより、市町村は、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物全般を対象に、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある場合等におきまして、その除却等を行うことができるものと規定されております。適切な運用がなされることを期待をしておるところであります。  こうした法制度の活用も含め、各地域におきまして取り組まれる観光地域づくりを推進してまいりますことで、地域の魅力向上や雇用の安定、地域経済活性化を図ってまいります。  次に、まち・ひと・しごと創生事業と人材育成についてのお尋ねをいただきました。  総合戦略におきましても、地方創生は人が中心であるとしており、地域において地域実態に応じた取組を進めることができる人材を育成することが重要だと認識をしております。  このため、国といたしましては、平成二十六年度補正予算による地方創生交付金で、地域しごと支援事業として、地域が必要とする人材を大都市圏で掘り起こすとともに、各地方公共団体による若者人材の還流、育成、定着を図る取組支援してまいります。  また、大学や高等学校等において、地元の公共団体企業等と連携した取組強化することにより、地元産業を担う高度な専門的職業人材の育成や地元企業に就職する若者を増やすとともに、地域産業を自ら生み出す人材を創出してまいります。このため、進学時の奨学金の返済を免除する等の新たな仕組みを構築してまいります。  さらに、経済グローバル化が進む中で、海外の大学等への留学や地域における留学生交流の促進により、将来、地元企業で活躍する上で必要な国際的視点を持ったグローバルリーダー育成の取組を推進してまいります。  御指摘のまち・ひと・しごと創生事業費につきましては、地方公共団体が自主性、主体性を発揮して地方創生に取り組めるよう、平成二十七年度の地方財政計画において一兆円が計上されたものであります。この創生事業費は、地方公共団体が自らの判断で活用できる一般財源でありますので、そもそもばらまきでは全くございませんので、御批判は当たらないものと考えております。  各地方公共団体におかれましては、この創生事業費も有効に活用し、地方創生の重要な柱である人材育成に積極的にお取組をいただきたいと存じます。  高齢者のエネルギー活用についてでありますが、議員御指摘のように、高齢者の方々に生きがいを持って社会で活躍し能力を十分に発揮していただくことは、将来にわたり活力ある日本社会を維持することにつながるものであります。  昨年十二月末に閣議決定いたしました長期ビジョンにおきましても、高齢者が健康寿命を延ばし、高齢期もできる限り就労する健康長寿社会が到来するならば、高齢化問題の事態の改善につながるという展望をお示ししたところであります。  総合戦略では、生涯現役社会実現など、高齢者が活躍できる社会実現とともに、希望する高齢者が、健康時から移住し、生涯学習や社会参加など主体性を持って地域で共働していただくとともに、必要な医療、介護が継続的に提供される地域共同体、いわゆる高齢者が健康で活躍できるコミュニティーである日本版CCRC構想を推進することといたしております。  この推進のため、私の下に有識者会議を設定したところであり、高齢者の希望に沿って、社会貢献や生涯学習などが実現されるコミュニティーの在り方について検討を進め、成案を得てまいります。  4WDカーに係るエコカー減税についてでありますが、今回の地方税法改正案におきましては、自動車取得税におけるエコカー減税見直し軽自動車税におけるグリーン化特例の導入を行うこととなっていると承知しております。  これらは、いずれも環境性能に優れた車の普及を図る観点から、エネルギーの使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネ法に基づく燃費基準に対する達成度に応じて減税率を定めるものであります。  御提案のように、積雪等の地域の事情を考慮して減税措置を導入することにつきましては、この制度趣旨に鑑み、慎重に検討すべきものと考えておりますが、まず改正法案を提出しております総務省と十分に御議論を賜りたいと考えておる次第でございます。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣下村博文君登壇拍手
  41. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) 寺田議員から、地方創生を担う人材育成のうち、留学支援についてお尋ねがありました。  グローバル化した社会において、個々の能力を高め、活躍する人材を育成することは喫緊の課題であり、平成二十五年六月に閣議決定された日本再興戦略等においては、二〇二〇年までに日本人の海外留学を六万人から十二万人へ倍増させることとしています。  また、平成二十六年十二月に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略では、地域に根差したグローバルリーダー育成のため、官と民とが協力した海外留学支援制度を推進することとしております。  これらを踏まえ、文部科学省としては、民間資金を活用した「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」において地域人材コースを設け、地域振興や地域課題解決等に資する留学プログラムを支援するとともに、国費による取組として、海外の大学院での学位取得を目指す意欲の高い留学への支援や、海外でのインターンシップ参加による課題解決能力の向上等を目的とした日本の大学等が実施する質の高い留学への支援を増やすこととしております。  今後とも、グローバルな視点を持って地域課題に取り組む人材を育成し、地方創生にしっかりと取り組んでまいります。(拍手)    〔国務大臣塩崎恭久君登壇拍手
  42. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 若者の技能習得等のための労働保険特別会計の積立金の活用についてのお尋ねがございました。  若者等への支援につきましては、これまでも雇用保険法に基づく雇用保険二事業として、地域の創意工夫を生かした人手不足分野における離職者等に対する能力開発の実施、生涯現役社会実現に向けた高年齢者への支援、雇用情勢が厳しい地域での雇用創出のための事業などを実施しているところであり、これらについて今後とも取り組んでまいります。  雇用保険二事業に充てるために徴収した雇用保険料についてはこれらの事業に要する費用に充てられますが、失業等給付に充てるために徴収した雇用保険料を失業等給付以外の財源として活用することについて、保険料を負担していただいている労使の方々の御理解をいただくことは難しいと考えております。  なお、労働保険特別会計の雇用保険の積立金は、不況期にこれを財源として失業された方に失業等給付を支給するため、好況期にしっかりと積み立てておく必要があります。過去には、平成九年度に約四兆円あった積立金が急速に減少し、平成十四年度には約四千億円にまで減少したこともあり、不況期に安定的運営を確保するためには必要なものでございます。(拍手)    〔国務大臣太田昭宏君登壇拍手
  43. 太田昭宏

    国務大臣(太田昭宏君) コンパクトシティーの推進についてお尋ねがございました。  昨年、都市再生特別措置法を改正し、立地適正化計画制度創設いたしました。従来の規制的な手法のみによるのではなく、インセンティブ策を講じながら、時間を掛けて生活サービス機能や居住の立地誘導を進めていくこととしています。  さらに、先般、関係省庁によるコンパクトシティ形成支援チームを設置いたしました。省庁間の横の連携を強化し、市町村の取組を強力に支援することとしております。  コンパクトシティーの必要性については自治体でもかなり認識が広がってきています。例えば、市の約六割が都市計画のマスタープランにコンパクトシティーを位置付けているところです。また、富山市を始めとして、既に約六十の自治体が立地適正化計画の作成に向けた具体的な検討を始めています。  国交省としましては、こうした先進的な取組を行おうとする市町村に対しまして財政等の支援を行い、コンパクトシティーを推進してまいります。(拍手)    〔国務大臣竹下亘君登壇拍手
  44. 竹下亘

    国務大臣(竹下亘君) 寺田議員から、集中復興期間後の復興在り方について御質問いただきました。  集中復興期間の復旧・復興事業につきましては、特別に財源確保するとともに、その地方負担分を実質負担ゼロといたしました。これは異例中の異例の対応であります。この対応は、町全体が壊滅的な打撃を受け、また、比較的財政力が低く、膨大な復興事業を実施していく際に十分な財源がないと見込まれる被災団体が多かったことを踏まえたものでございます。  先般、三月十日の復興推進会議におきまして、総理から、集中復興期間の総括をするとともに、集中復興期間後の復興支援の枠組みについて検討するよう指示がありました。  地方負担在り方についても、その検討の中で今後議論していくことになります。その際には、先生御指摘観点や、被災団体の置かれている状況が様々であることも踏まえ、被災地の声に耳を傾けつつ、丁寧に検討をしてまいります。(拍手)     ─────────────
  45. 輿石東

    ○副議長(輿石東君) 吉良よし子君。    〔吉良よし子君登壇拍手
  46. 吉良よし子

    ○吉良よし子君 私は、日本共産党を代表して、地方財政計画外二法案関連して、総務大臣質問をいたします。  第一に、地方自治体に必要な財源確保についてです。  政府は、前年度に比べ約一・二兆円上回る一般財源総額を確保したとしています。しかし、地方交付税不交付団体の水準超経費を除くと、交付税交付団体の歳入の伸びは約七千四百億円にとどまります。加えて、社会保障費の自然増や社会保障関係制度改定に伴う歳出増を勘案すれば、更に伸びは抑えられてしまいます。これでは、地方財政の厳しい現状に照らして必要な額を適切に確保したとは言えないのではないでしょうか。答弁を求めます。  歳出特別枠について、総務省は、平時モードへの切替えはまだできないとして、地方創生や公共施設の老朽化対策の経費として付け替えることとしました。歳出特別枠は、自治体にとって特別なものでなく経常的に必要なお金です。財務省などは削減や廃止を主張していますが、医療や介護、子育て支援など、重要な役割を担う自治体が経常的に必要な財源確保なくして平時モードへの切替えなどあり得ません。三位一体改革地方から奪った地方交付税を今すぐ復元すること、地方交付税の法定率の抜本的な引上げこそ必要ではありませんか。  平成の大合併で、自治体とそこに暮らす住民へのサービスは大きく切り下げられました。例えば、長崎県南島原市では、職員数の削減に、市立保育園や幼稚園、養護老人ホームの廃止や民間移譲などが強いられました。それでも人口が減り、低い自主財源割合の下、今後の財政運営に危機感を持たざるを得ない状況とのことでした。  合併算定替えに伴う地方交付税減額分約九千五百億円の七割に当たる六千七百億円については、算定を見直して回復させるのは当然の措置です。算定見直しに当たっては、合併自治体が必要とするものを取り入れていくべきと考えますが、答弁を求めます。  第二に、外形標準課税拡大についてです。  政府は、法人事業税外形標準課税拡大を行うこととしています。外形標準課税は、賃金や資本金など事業規模に応じて課税されることから、人件費の高い中小企業や赤字企業においては、人件費などの圧縮による雇用の不安定化、ひいては地域経済を更に冷え込ませることにつながると、多くの団体から強い懸念や反対の声が上がっています。  政府は、懸念に応えるとして特例なども設けていますが、その対象となるのは賃上げ三%以上の企業などとされており、効果は限定的です。地域に元気を取り戻そうというのなら、外形標準課税拡大はやめるべきではありませんか。答弁を求めます。  第三に、公立病院についてです。  現在検討されている新公立病院改革ガイドラインは、都道府県の地域医療構想に基づき、自治体病院の経営効率化や再編などを推進させるものです。この新ガイドライン策定に合わせ、公立病院の再編・ネットワーク化を伴う整備には、病院事業債の元利償還金の四〇%について地方交付税措置するのに対し、通常の整備には二五%の措置と差を付けるとしています。  なぜこのような差を付けるのですか。現在のガイドラインにより自治体病院や診療科の統廃合が進み、地域医療体制の崩壊が指摘されているのに、更に加速させようというのですか。答弁を求めます。  さらに、政府は、公立病院の運営費に関わる地方交付税措置も、稼働病床数を基礎とするとしています。しかし、多くの自治体病院では医師や看護師の不足が常態化しています。入院治療が必要な患者であっても、体制が取れずに患者を受け入れることができないのです。  運営費を稼働病床数に変えて病院の運営費を削減するのは本末転倒ではありませんか。むしろ、医師、看護師を確保する支援にこそ力を注ぐべきではありませんか。答弁を求めます。  全国自治体病院協議会は、自治体病院の使命は、様々な地域関係機関と連携しながら住民の命と健康を守っていくことで地域の発展に貢献することとしています。しかし、この間の再編とネットワーク化で、地域から病院がなくなった、産科、小児科が足りないという状況が全国各地で起きています。そういう再編とネットワーク化の更なる促進へ地方交付税にひもを付けるやり方はやめるべきではありませんか。答弁を求めます。  第四に、取組の成果に応じて地方交付税の配分に傾斜を付ける問題についてです。  政府は、まち・ひと・しごと創生事業費を創設しますが、その内訳を見ると、三千億円を行革努力分としています。長年にわたりどの自治体も行革努力を求め続けられ、努力できる限界をもう超えています。その認識はありますか。  行革努力によって何が起きているか。退職者の後任が補充されない、あるいは、後任が非正規職員に置き換えられていた、正規職員と同等の職務に従事しているのに、一年や三年といった契約を何回も更新されながら働き続ける非正規職員が増える、一方、正規で働く職員には人員が減った分の仕事が回ってくるといったことが全国で起きています。  行革努力の名によるこれ以上の職員削減はやめるべきです。何より、地域住民にとっては皆同じ役場の職員です。正規も非正規も、職員が安心して働けるようにしてこそ地域を元気にできるのではありませんか。答弁を求めます。  まち・ひと・しごと創生事業費のもう一つは、人口減少等特別対策事業費です。この事業費は、自治体の地方創生に対する取組の成果に基づいて地方交付税の配分に傾斜を付けるものです。  総務大臣は、衆議院で、今は人口増減率などの指標の芳しくない団体取組の必要度に応じて手厚く配分すると言う一方で、いつまでも指標の芳しくないことを重視して配分することは適切ではないと答弁されました。  頑張る自治体を応援すると言いながら、結果が出なければ地方交付税を減らす、結果次第でペナルティーを科すのでは、自治体間に新たな格差が生じてしまうのではありませんか。答弁を求めます。  自治体も、こうしたやり方に異論を唱えています。昨年十一月に開催された全国都道府県知事会議で、全国知事会会長の山田啓二京都府知事は、一つ間違えば弱肉強食になってしまうんじゃないか、そして格差は広がっていくんじゃないかという懸念を実は多くの知事が持っておりますと述べています。  大臣、この声こそ重く受け止めるべきではありませんか。地方交付税の趣旨をゆがめ、政策誘導することはやめるべきです。答弁を求めます。  最後に、震災復興特別交付税について伺います。  政府は、集中復興期間が終わる二〇一六年度以降、被災自治体にも財政負担を求めることを検討しようとしています。  被災自治体にも負担を求めれば、被災自治体が独自に取り組んでいる医療や介護の負担軽減や住宅再建などの支援策にしわ寄せが行くことになります。被災自治体に自助自立を強いることは断じて認められません。今、政府検討すべきことは、震災復興特別交付税の継続と拡充ではありませんか。  以上、答弁を求め、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣高市早苗君登壇拍手
  47. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 吉良議員から十四点お尋ねがございました。  まず、一般財源総額についてお尋ねがございました。  平成二十七年度の地方財政計画においては、社会保障の充実分や自然増を含め、社会保障関係費の増加を適切に反映して所要額を計上し、それに見合う財源確保したところです。その上で、地方創生等の財源を上乗せして、全体として平成二十六年度の水準を一・二兆円上回る一般財源総額を確保いたしました。  今後とも、地方が安定的に財政運営を行うことができるよう、必要な一般財源総額を確保してまいります。  次に、歳出特別枠と地方交付税の法定率についてお尋ねがございました。  歳出特別枠については、平成二十七年度は実質的に前年度と同水準を確保したところであり、平成二十八年度以降も、一般財源総額の確保の必要性等を踏まえ、その取扱いを検討してまいります。  地方交付税の法定率については、平成二十七年度において、交付税原資の安定性の向上、充実を図るための見直しを行いましたが、なお巨額の財源不足が生じている状況です。国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えていることから、その実現は容易ではないと考えておりますが、今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保について政府部内で十分に議論をしてまいります。  次に、合併算定替えについてお尋ねがありました。  合併算定替えの特例期間終了に伴う交付税算定の見直しに当たっては、平成の合併により、市町村の姿が大きく変化したことを踏まえ、合併後の市町村の財政需要を的確に把握し、普通交付税の算定に反映することとしております。  今後も、引き続き、この方針に基づき、地方団体の御意見も伺いながら具体的な検討を進めてまいります。  次に、外形標準課税拡大についてお尋ねがありました。  外形標準課税の付加価値額は、給与の増減に対し中立的な課税標準ですが、雇用への配慮として雇用安定控除を設けております。さらに、外形標準課税拡大に際し、所得拡大促進税制を導入するとともに、いわゆる中堅企業負担増について軽減措置を講ずることとしており、雇用の安定や負担変動にも十分配慮をしております。  次に、公立病院の再編・ネットワーク化に伴う整備への財政措置の重点化についてお尋ねがありました。  公立病院の施設整備については、平成二十七年度より、通常の整備にあっては地方債の元利償還金の二五%、再編・ネットワーク化に伴う整備にあっては四〇%、地方交付税措置することとしております。これは、通常、再編等を行う場合には、医療機能の分担に伴い、新たに施設や医療機器を整備したり、既存施設を改修する等の通常の整備を上回る増加経費があることから、手厚い地方交付税措置を講じることとしているものでございます。  また、公立病院改革により、統廃合が進み、地域医療の崩壊が加速するのではないかという御指摘がございました。  公立病院改革の目指すところは、地域において必要な医療提供体制の確保を図り、その中で、公立病院が安定した経営の下で不採算医療や高度医療等を提供する重要な役割を継続的に担っていくことにございます。このために、経営の効率化や必要に応じて再編等を行うことは重要であると考えております。  次に、地方交付税の算定基礎を許可病床数から稼働病床数に変更することについてお尋ねがございました。  このような見直しを行うこととしたのは、昨年六月に成立した医療・介護総合確保推進法に基づく病床機能報告制度の中で、稼働病床数が報告対象となり把握が可能となったこと、従前より、許可病床を実態に合わせて削減した団体と未稼働病床があっても許可病床をそのままにしている団体を比べると不公平ではないかとの声が寄せられていたこと等によるものです。  次に、医師、看護師の確保に対する支援についてお尋ねがありました。  医師、看護師の確保については、医療・介護総合確保推進法に基づき、地域医療介護総合確保基金を都道府県に設置し、医療従事者の勤務環境改善に取り組む等、政府として引き続き各般の措置を総合的に講じていくこととしています。  総務省としても、当該基金の設置に要する地方負担地方交付税措置を行うなど、適切な地方財政措置を講じてまいります。  次に、公立病院の再編・ネットワーク化への誘導をやめるべきではないかとのお尋ねがありました。  繰り返しになりますが、公立病院改革の目的は、地域において必要な医療提供体制を確保することにあります。このために、地域状況に応じて公立病院の再編・ネットワーク化が必要となる場合には、適切に地方財政措置を講じることが必要であると考えております。  次に、地方公共団体の職員削減についてお尋ねがありました。  地方公共団体の職員数については、各団体において、地域の実情に応じ、自主的に適切な管理に取り組んでいくべきものと認識しております。引き続き、各団体においては、効率的で質の高い行政を実現するために、行政需要の変化に対応した適正な定員管理の推進に取り組んでいただくことが重要と考えています。地方公共団体の非常勤職員等の任用や処遇についても、制度趣旨に沿って適切に対応されるべきものと考えます。  次に、人口減少等特別対策事業費の算定についてお尋ねがありました。  人口減少等特別対策事業費については、人口を基本として算定することとし、その上で、平成二十七年度においては、各地方公共団体がこれから地方創生に取り組むことを踏まえ、取組の必要性に応じて手厚く配分することにより、現状において指標の数値が芳しくない団体の需要額を割り増すこと、また今後、地方版総合戦略に基づく取組の成果が徐々に現れてくることが想定されることから、それを反映させるべく、そのための新たな成果枠を設けて、段階的に取組の必要度から配分額をシフトすることを検討することにしております。  このように、人口減少対策に必要な財政需要を適切に算定しようとするものであり、御指摘は当たらないものと考えております。  次に、全国知事会の山田会長の御発言についてお尋ねがありました。  全国都道府県知事会議における山田会長の御発言は、地方創生効果を上げていくためにはナショナルミニマムの問題にしっかり対応していく必要があるとの御趣旨と認識をしております。このことは、人口減少等特別対策事業費の算定とは直接関係しないものと考えております。  次に、交付税の算定と政策誘導についてのお尋ねでございます。  人口減少等特別対策事業費の算定に当たっては、全国各地で取り組まれるまち・ひと・しごと創生の様々な取組について、その財政需要に関連すると考えられる指標を幅広く用いて、各団体の所要の財政需要を公平に算定に反映させることとしております。  したがって、国が地方団体の特定の政策を誘導するとの御指摘には当たらないものと考えております。  最後に、震災復興特別交付税についてお尋ねがありました。  震災復興特別交付税については、平成二十七年度までの集中復興期間中はその財源確保することとしており、まずは平成二十七年度までの復興の加速化に取り組んでいくことが必要と考えております。集中復興期間後の震災復興特別交付税の在り方については、全体の復興財源フレームの中で検討されるものと考えております。  いずれにしましても、しっかりと被災地地方公共団体のお声を伺いながら、被災地復興に真に必要な事業の実施に支障が生じないよう適切に対応してまいります。(拍手
  48. 輿石東

    ○副議長(輿石東君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会