○関口昌一君 自由
民主党の関口昌一です。
参議院
自民党を
代表して、
財政演説に対し、
質問いたします。
冒頭、シリアにおける邦人拘束事案について伺います。
今月二十日、ISILによって発出されたと見られる動画で、邦人二名の殺害が予告されました。私ども与党としても、二十一日、シリアにおける邦人拘束事案
対策本部を設け、
情報収集や
対策を
検討してまいりましたが、二十四日深夜、湯川遥菜さんが殺害されたと見られる写真がインターネット上に配信されてしまいました。御家族の御心痛は察するに余りあり、
言葉もありません。
また、昨日深夜、新たな音声付画像が公開されましたが、残る後藤健二さんの解放に向け、
政府を挙げて引き続き
全力で取り組んでいただきたいと思います。我々与党としても
全力でバックアップしてまいります。
このようなイスラム過激派をめぐっては、フランスで発生した新聞社襲撃などの連続テロ事件が全
世界に大きな衝撃を与えたばかりであります。イスラム過激派やその影響を受けた
個人、団体によるテロ攻撃は、海外だけでなく国内で発生する
可能性も
想定する必要があります。
我が国も国際的な協調の下、
世界の平和と安定のために、テロ根絶に向けた
取組を更に強化していかなければなりません。今後、国内外におけるテロ
対策をどのように強化していくお
考えか、
安倍総理に伺います。
では、
財政演説に関する
質問に移ります。
我が国の
経済財政の状況と今回の
補正予算について伺います。
まずは、
我が国の財政状況であります。
アベノミクスによる
経済の
活性化や昨年の
消費税引上げの
効果もあって、
我が国の税収は増加傾向にあります。そのため、
政府が公約としている財政健全化目標のうち、二〇一五年度にプライマリーバランスの赤字半減という目標はようやく達成のめどが付きました。しかしながら、二〇二〇年度に黒字化という次なる目標はいまだに達成の見通しが立っておらず、
我が国の財政は大丈夫だと胸を張って言える状況ではありません。
二〇二〇年といえば、東京オリンピック・パラリンピックの年であります。その先はどうなるんだろうという漠然とした不安も
国民の間にあるのではないかと
考えます。
国民が
我が国の将来に対して安心できるように、また、
世界の国々からの
我が国に対する信認が揺るがないように、二〇二〇年にプライマリーバランス黒字化という目標は何としても達成する必要があります。
安倍総理に、
我が国の財政状況に対する現状
認識と、黒字化目標の達成に向けた
決意を伺います。
次に、二〇一五年の
日本経済の見通しについて伺います。
世界の
経済情勢が大きく変動しており、先行き不透明な状況になっております。
日本経済についても、強気の見方と弱気の見方が交錯する状況であります。例えば、昨年は一段と円安が進み、一時は一ドル百二十円を超える水準となりました。円安によって、
我が国を訪れる外国人観光客は大きく増えております。また、なかなか増えなかった輸出額も、最近少しずつでありますが増えてまいりました。同時に原材料などの輸入コストも増えており、一部の業種では円安が行き過ぎではないかという声も聞かれます。
また、最近の原油安は、エネルギー輸入国である
我が国にとって良いニュースであることは間違いありませんが、
世界を見ると、原油安で利益を受ける国や
企業もあれば、不利益を受ける国や
企業もあります。余りにも急激な原油安は
世界経済にとって不安定要因となり、
我が国にとっても良い影響ばかりとは限りません。
このように様々な要因が重なり合う中で、今年の
日本経済について、特に
経済成長率、
物価の動向、賃上げの動向などについて、麻生財務大臣としてはどのような見通しを持たれているのか、伺います。
次に、今回の
補正予算の目玉である四千二百億円の
地域住民生活等緊急
支援のための
交付金について伺います。
交付金のうち二千五百億円は、プレミアム
商品券の発行や低所得者向けの
支援策など自治体が行う
地域の
消費喚起策に使われ、一千七百億円は、
地方版総合戦略の
策定など
地方創生事業の先行的
取組に使われます。特に
商品券の発行などの
消費喚起策に対しては、ばらまきではないかとの批判も予想されます。また、
経済効果に関しても、公共
事業等に比べると景気の押し上げ
効果は低いのではないかといった見方もあります。
したがって、
交付金の趣旨や
効果について
国民への丁寧な説明が求められると
考えます。本
事業の趣旨と、いわゆるばらまきとはどう違うのか、どのような
効果が見込まれるのかという点について、麻生財務大臣に伺います。
続いて、
中小企業・小規模
事業者
対策について伺います。
今回の
補正予算では、資金繰り・
事業再生の
支援、省エネルギー設備導入への補助、ものづくり・商業・サービス革新
事業など各種の
支援策が盛り込まれております。全体として、旧態依然とした
事業を続けるのではなく、より時代に合った
事業に転換していく、そうしたチャレンジを
支援する
内容になっており、評価できると思います。
ただし、こうした
支援策を直接受けることができるのは、全国の
中小企業・小規模
事業者のうち、ごくごく一部であります。全国各地に今回直接対象とならない
中小企業・小規模
事業者が何百万とあり、そこで働く
方々が何千万といるわけであります。こうした
方々がアベノミクスの恩恵を最大限に受け、さらに元気になっていくためには何が必要だと
考えるのか、宮沢経産大臣に伺います。
さて、
政府は、昨年末に、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンと、それを踏まえた五か年のまち・ひと・し
ごと総合戦略を閣議決定いたしました。いずれも、今までの
地域活性化施策にはない創造的で画期的なものにしなければならないと思います。
また、
地方交付税の法定率が見直され、所得税等の法定率が引き上げられます。これは昭和四十一年以来の画期的な改正であり、
地方の声にも応える
改革であります。赤字
地方債である臨時財政
対策債を増やすという方向ではなく、交付税の法定率を引き上げるという決断は、
政府の
地方創生に懸ける熱意を示したものと高く評価いたします。
こうしたことを踏まえ、
地方創生に関し、
質問いたします。
まず、若い
世代への
支援について伺います。
我が国の独身男女の約九割は結婚願望を持ち、希望する
子供の数も二人以上となっております。一方で、現実には未婚率が上昇し、夫婦の
子供の数は長期的に減少傾向にあります。若い人たちが結婚、出産、子育てに関する希望を
実現できない背景には、雇用の不安定さや所得が低い状況があると
指摘されております。
長期ビジョンでは、若い
世代の結婚、子育ての希望が
実現するならば、出生率は一・八程度までに改善することが見込まれるとしております。この数字は、現在の出生率一・四一からかなりの増加が必要になりますが、
我が国の将来のためには
実現しなければならない数字であると思います。
若い
世代の結婚、子育ての希望を
実現するために、そして
人口減少に歯止めを掛けるためにあらゆる政策を総動員する必要があると
考えますが、
安倍総理に
決意のほどを伺います。
次に、
地方創生における雇用の創出について伺います。
総合戦略の四つの
基本目標の
一つは、
地方における安定した雇用を創出するとなっております。そのために、
地方において毎年十万人の若い
世代の安定した雇用を生み出せる力強い
地域産業の競争力強化に取り組む、そして、二〇二〇年までに累計で三十万人の若い
世代が安心して働ける職場を生み出すとしております。
三十万人というのは、東京でいえば新宿区、中野区、埼玉県でいえば川越市の人口に匹敵する人数であります。全国でこれだけの数の安心して働ける場所、職場をつくり出すのは相当な困難が予想されます。どのように
実現していくのか、
安倍総理のお
考えを伺います。
次に、
総合戦略に盛り込まれた
地方創生特区について伺います。
やる気のある自治体を指定して先進的な
取組を
実施することは大変意義のあることだと思います。しかし、この
地方創生特区は限られた自治体が指定される
仕組みであり、千七百を超える全ての自治体にチャンスが与えられるわけではありません。
そこで、提案でありますが、
地域の実情に即した真の
地方創生を進めるためには、全ての自治体に
一つずつ、その自治体限定で現場の望む規制緩和を認めてはいかがでしょうか。もちろん必要な規制もあると思いますが、全ての自治体に独自の規制緩和を認めれば、各自治体も知恵を絞るでしょうし、
地方創生に大きな弾みが付くと
考えます。この
地方創生・一自治体一規制緩和特区についてどのように
考えるのか、石破
国務大臣に伺います。
自然災害は
国民的な関心も高い喫緊の
課題であります。被害が出る前にいかに防ぐのか、万が一被害が出てしまった場合にはいかに最小限に食い止めるのか、事前の準備が物を言います。今回の
補正予算でも
災害・危機等への
対応が柱の
一つになっております。
そこで、
災害対策について伺います。
昨年八月に、
広島市北部で大規模な
土砂災害が発生し、多くの
犠牲者を出したのは記憶に新しいところであります。また、昨年九月には、長野、岐阜両県にまたがる御嶽山が突然噴火し、山頂付近にいた五十七名の登山客が亡くなるという戦後最悪の火山
災害となってしまいました。その後も、阿蘇山、桜島など各地で火山
活動が活発になっております。
このような中で、国土交通省は、先般、
日本の人口の七四%が洪水や
土砂災害、
地震、液状化、津波のいずれかで大きな被害を受ける危険のある
地域に住んでいるとの推計をまとめました。危険
地域は国土面積の三五%を占め、
災害が起きやすい場所に人口が集中している現状が浮き彫りになったわけであります。
地球規模の気候変動や
東日本大震災以降の火山
活動の活発化など、従来よりも
自然災害のリスクは高まっております。
国土強靱化に資する
予算をしっかりと確保し、ハード、
ソフト両面の
防災・減災
対策を強力に推進すべきと
考えますが、
安倍総理に伺います。
三月十四日から十八日まで、国連
防災世界会議が仙台市で開催されます。各国首脳や国際機関
代表、各種団体など、国内外から延べ四万人以上が参加し、今後の
世界の
防災戦略が議論されます。この
会議が
震災から四年というタイミングで
被災地で開催される意義は大変大きいと思います。
我が国にとって重要な
課題である
東日本大震災からの
復興の状況を
世界に発信する貴重な機会ともなります。
第三回国連
防災世界会議に向けた
安倍総理の意気込みと、
会議に期待する成果について伺います。
最後になりますが、
さきの衆議院総
選挙において自民、公明の与党が三分の二を超える議席をいただいたことは、我々与党、そして
安倍内閣のアベノミクスを
中心とする政策が
国民の
皆様の信任を得られた結果であり、大変有り難く思います。しかしながら、我々はこの勝利に決しておごってはなりません。アベノミクスの将来への期待は、それが実績となり
国民に果実がもたらされて初めて評価されます。
今後の政策の
実現に向けては、
政府とともに、私も含め与党もしっかりと議論を重ねながら、
国民に対してより丁寧な説明をしていくことが求められると思います。参議院
自民党も
安倍総理をしっかりと支え、
全力で取り組んでまいりますこと、以上を申し上げ、私の
質問を終わりにいたします。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇、
拍手〕