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矢倉克夫君 こんにちは。公明党の
矢倉克夫です。よろしくお願いいたします。
今日は
人種差別撤廃法案審議でございます。
まず、
発議者の
先生方、また
関係者の皆様方、このような形での御努力、改めて敬意を表したいというふうに思っております。
人種差別の
撤廃、とりわけ
ヘイトスピーチに関しまして、この
ヘイトスピーチというのは今回の
法案を通じていかに重大なものであるのか、先ほど
猪口委員もおっしゃっていましたが、今後の
啓発活動というものもこれを契機にまたしっかり進めていく、その
意味では非常に今日の審議も大変に意義のあるものであるというふうに改めて私も評価させていただきたいと思っております。
私も、主に昨年よりなんですが、在日韓国・朝鮮人の特に若手の方々とよくお話をする機会を与えていただいています。三世、四世の方が多いかとは思ってはおりますが、皆様から今いただくお声というのは、先ほど
有田委員からもお話もあった、本当に夜、外を一人で歩いたりとかするのも恐ろしいぐらいの気持ちになる、殺されるというふうに思っているような方がやっぱりいらっしゃる。その気持ち、心情というのはもう察して余りあるなというところもあります。また、やはり生まれながらに日本にいらっしゃる方が多い。なのに何でこんなことを言われなけりゃいけないのかというこの悔しさみたいなのも私に非常にぶつけていただきました。本当にそういう思いをしながら生きていらっしゃる。本当に申し訳ないなと思い、
ヘイトスピーチというのは、これは断じて許してはいけない、私も改めて政治家の一人として決意をさせていただいたところであります。
ヘイトスピーチの問題は
人権の問題でも当然ございます。それとともに、やはり日本の在り方の問題でもあるというふうに私も思います。特に、マイノリティーの方々が何かおびえながら生きていかなければいけないというこの
社会そのものがやはりおかしいと。日本がどういう
社会の在り方を求められているのか、そういうような方々と共生できるような在り方、これがやはり日本の
社会の在り方であるというふうにも思っておりますし、特にこの
ヘイトスピーチの在り方というのは、
言論はやはり
言論同士ぶつかり合うものなんですけど、大勢でわあっと非常に脅威を持たせるような発言をして示威行動をしていく、対抗
言論というのは許さないような、民主主義の在り方そのものとやはり違う
表現の在り方であるというふうに私も思うところであります。それを日本はどうやって
考えていくのかという問題であります。
冒頭、まずいろいろと御紹介したいところがあり、時間をちょっと取っていただいて大変恐縮なんですが、我々もこういうような観点、公明党としても、七月二日に官邸の方、提言を提出させていただきました。私もこの提言の前文に主に関わらせていただいたんですが、簡単にポイントをまず御紹介させていただきたいと思います。
やはり、昨年八月、国連の
人種差別撤廃委員会が日本
政府に対して
勧告をしたと。我々の
意見としては、この
ヘイトスピーチというのは、
個人の
基本的
人権に対する重大な脅威であるのみならず、
差別意識や憎悪、暴力を蔓延させ、
社会の基盤をも揺るがすものであって、到底許されるものではなく、
政府を挙げて直ちにその対策を講じなければならないと。
そしてその上で、我々としては、
ヘイトスピーチ問題は単なる
表現規制の問題にとどまらず、
我が国国民のマイノリティーに対する意識、そして今後の
社会の在り方に関わる問題と捉えております。そして、仮に
ヘイトスピーチが日本
社会の根底に存在する
人種差別意識が先鋭的に表出したものであるとした場合、その背後にある
構造的
差別に対する総合的な対策を講ずる必要があり、これなくして
ヘイトスピーチ問題の根本的な解決、被害者の真の救済とはならないと
考えております。
規制に当たっての
課題を引き続き検討する一方、
政府に対して、
人種差別のない日本
社会を築くためどうすればいいか、根本的な
議論を開始することを強くお訴えをさせていただき、
我が国が
世界に冠たる
人権国家となるためにもしっかりと
政府に要望させていただいたところであります。
具体的には、総理や
法務大臣から断固たる姿勢を示すとともに、
人権教育の
強化や
啓発活動を通じて
社会全体の意識を向上させること。そして、直ちに
社会生活全般における
人種差別の実態調査を行う。また、当事者の意識や心情、プライバシー等に配慮した調査方法を研究するとともに、政治的中立性を担保する。その実態調査を踏まえた上で、
人種差別の解消に向けた
基本法の
整備を含む実効性ある
人種差別撤廃政策を
策定すること。このような
内容でございました。
菅官房長官に申入れをしたときには、官房長官からも予備費にも言及されて、即座に実態調査というところもおっしゃってくださいまして、そのまますぐにマスコミの方にも話して、翌日の新聞に出るという形でありました。私も正直その場にいてびっくりして、一緒にいた遠山座長も大変にびっくりされていた。
政府の改めての意気込みというものも私も感じさせていただいたところであります。
もう少し続けさせていただきます。
もとより、
表現の自由との問題もあるわけですが、これをもって対策を取らないという
理由にはならないというふうに改めて思っているところであります。特に、我々注視して、申入れの際にも
政府に特にお伝えをして、官房長官もしっかりとメモを書いていらっしゃったのが、やはり京都朝鮮第一初級学校事件、この上告審、この
内容がしっかりあるんだと。ここにおいて、
ヘイトスピーチというものは、これは
人種差別に当たって、
表現の自由の範疇を超えると、法の保護に値しないという司法の断罪がなされていたということは、これは大変に大きなことであると思います。まさに
ヘイトスピーチに関しては、しっかりとした
立法事実というのが司法の
判断からもあるんだということがこれは明らかになったというふうに思っているところでございます。
以上のようなことを前提にいたしまして、まず今回の
法案について御
質問をさせていただきたいというふうに思います。
法案、様々な点で大変に参考になる部分もあるかと思います。例えば、六条において国及び
地方公共団体の
責務、これを明記もされた上で、二項において他の
関係者相互間の
連携協力体制の
整備、これも書かれていらっしゃる。八条においては財政上の
措置というものもこれをしっかりと書かれている部分。また、十一条、こちらについては、やはり相互理解の促進が大事であると、多様な
文化、生活習慣等に関する適切な情報の提供、相互の交流促進、これが必要であるということ、これも非常に重要な視点であると思います。また、十二条、我々の提言にも入れさせていただいた、また
猪口委員も先ほどおっしゃっていた
啓発活動の重要性、こちらをしっかりと盛り込んでいるところ、そして、十
三条は
人権教育、これもしっかりと盛り込まれているところ、このような点、非常に斬新な観点であると思います。
そして、確認をやはりしなければいけないところは、既にもう御
指摘もある
表現の自由との
関係であります。私も、提言の中では、やはり
表現の自由、特に
ヘイトスピーチ等の規制に関しては、
表現内容の規制である、当然ですが、
憲法上の観点からは、明白かつ現在の危険という大変厳しい制約の中でのみ初めて規制が許されるというようなことになっております。
表現行為というのが民主主義の前提であること、であるからこそ、しっかりした明確な
規定でない限り、本来保護されるべき
表現というものもこれは保護されないような状態になってしまうというところがあります。
特に、今の点も重なるところもあるかもしれませんが、まず
発議者にお伺いしたいのは、とりわけ
ヘイトスピーチというものについて、不特定多数に対する
差別的
言論を規制する際に注意すべきことというのはどのような点であるのか、御
意見をいただきたいというふうに思います。