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2015-05-12 第189回国会 参議院 文教科学委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年五月十二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      堂故  茂君     衛藤 晟一君      浜野 喜史君     森本 真治君  五月十一日     辞任         補欠選任      藤井 基之君     高橋 克法君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         水落 敏栄君     理 事                 石井 浩郎君                 二之湯武史君                 神本美恵子君                 斎藤 嘉隆君     委 員                 赤池 誠章君                 衛藤 晟一君                 高橋 克法君                 橋本 聖子君                 堀内 恒夫君                 丸山 和也君                 吉田 博美君                 榛葉賀津也君                 那谷屋正義君                 森本 真治君                 秋野 公造君                 新妻 秀規君                 柴田  巧君                 田村 智子君                 松沢 成文君    国務大臣        文部科学大臣        国務大臣     下村 博文君    副大臣        文部科学大臣  丹羽 秀樹君    事務局側        常任委員会専門        員        美濃部寿彦君    政府参考人        内閣官房202        0年オリンピッ        ク・パラリンピ        ック東京大会推        進室室長代理        兼文部科学省ス        ポーツ・青少年        局長       久保 公人君        文部科学省国際        統括官      山脇 良雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日までに、浜野喜史君、堂故茂君及び藤井基之君が委員辞任され、その補欠として森本真治君、衛藤晟一君及び高橋克法君が選任されました。     ─────────────
  3. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  文部科学省設置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房2020年オリンピックパラリンピック東京大会推進室室長代理文部科学省スポーツ青少年局長久保公人君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 異議ないと認め、さよう決定します。     ─────────────
  5. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 文部科学省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 橋本聖子

    橋本聖子君 おはようございます。自民党の橋本聖子でございます。本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  まず、スポーツ庁設置ということでありますけれども、我が国スポーツ行政というのは縦割り感が大変今まで強く感じられまして、私もスポーツをやってきた人間といたしまして非常に強い危機感を持っていたところであるわけなんですが、本法律案提案理由説明にもありましたように、我が国におけるスポーツ政策については、平成二十三年に成立したスポーツ基本法に基づいて、文部科学省始め関係省庁連携してスポーツ立国の実現に向けた新たな取組が始まってきたということになるんですが、既に昨年の四月から、厚生労働省が所管している障害者スポーツ、これが文科省に一元化されて、パラリンピックへの支援強化オリンピックと同様に行っていただいているということで、大変心強く今まで思ってきたわけですが、さらに、スポーツ庁設置されるということにおいては、これからの二〇二〇年のオリンピック、そしてその後のスポーツ行政在り方、そしてスポーツというものが国にどれだけしっかりとした貢献をしていくことができるのかという将来の非常に大きな夢、希望に懸かっているのがこのスポーツ庁ではないかなというふうに思うわけですが。  まず最初に、基本的なことでありますけれども、スポーツ庁が担う役割、そして今までのスポーツ・青少年局の役割との違い、この二点についてお伺いしたいと思います。
  7. 下村博文

    国務大臣下村博文君) おはようございます。  御指摘のように、スポーツ庁におきましては、従来、文部科学省のスポーツ・青少年局で行ってきたスポーツ振興施策の更なる充実を図ることはもとより、スポーツ基本法理念も踏まえ、人事交流等を通じて幅広い関係省庁の知見も得つつ、関係省庁の司令塔的な機能を果たしていく予定にしたいと思います。これによりまして、スポーツによる健康増進地域活性化国際的地位向上などを図り、新たなスポーツ施策を総合的、一体的に推進していきたいと考えております。  スポーツ庁設置については、現在のスポーツ・青少年局では、局長審議官及び三課そして一参事官スポーツ行政を担当しておりますが、スポーツ庁では、長官、次長、審議官の下に五課二参事官を設けることとしております。定員についても、従来のスポーツ担当七十六名の体制からスポーツ庁では百二十一名の定員を確保したところでございまして、これらによりましてスポーツ行政推進体制は格段に強化されるものと考えております。
  8. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  従来のスポーツ行政在り方について各省の縦割りによる弊害も指摘されていたということがありますけれども、政府内の調整の結果、スポーツに関する施策総合的推進を行うスポーツ庁設置後においても引き続き各省庁はそれぞれの観点からスポーツに関する施策を行うようになったというふうに承知をしていますけれども、スポーツ庁スポーツ基本法理念を踏まえ、関係府省の司令塔的な機能を果たす、今大臣が答弁をしていただいたとおりなんですけれども、これはもう大変心強く思っていますが、やはり大臣の継続的な強いリーダーシップが不可欠であるというふうに思いますが、大臣の決意を改めて確認しながら、司令塔的機能の発揮のための具体策というものがどんなものなのか、お聞きしたいと思います。
  9. 下村博文

    国務大臣下村博文君) スポーツ庁におきましては、スポーツ基本法理念も踏まえ、御指摘のように関係省庁の司令塔的な機能を果たし、スポーツによる健康増進地域活性化国際的地位向上なども含めた新たなスポーツ施策を総合的、一体的に推進していきたいと考えております。  特に、近年、我が国医療費総額が年間約四十兆円にも上っている中にありまして、運動によって抑制できる医療費が全体の約七・七%もあるとの調査結果もあります。このようにスポーツ医療費を抑制できる可能性も秘めており、スポーツを通じた健康増進取組を進めることによりまして健康寿命平均寿命に限りなく近づくような社会の構築を目指していきたいと考えております。  私も今後、スポーツ庁長官に今後のスポーツ行政をリードできる適切な人材を選任するとともに、関係省庁協力を得て、スポーツ庁充実した体制で発足できるよう準備に万全を期し、またスポーツ庁設置後におきましては、スポーツ審議会関係省庁で構成するスポーツ推進会議等を活用して、スポーツ庁日本スポーツ振興をリードする司令塔的な機能を果たしていけるよう、しっかりリーダーシップを発揮してまいりたいと考えます。
  10. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  スポーツ庁長官に求められる資質というのは、やはりリーダーシップ能力マネジメント能力、そういったことが求められると思いますので、是非適切な方を登用していただきたいというふうに思います。  また、今大臣から、医療費についてといいますか、スポーツによって健康寿命をより引き延ばしていく、生涯寿命健康寿命の差が今、日本は相当離れているという、十歳から十二年ですか、そのぐらいの差があるということで、終末医療には特に医療費がかさんでいるという国だということを示していただきましたけれども、そのことについては少しまた後から、スポーツ生活習慣病ですとか、今スポーツが目指していくことの中で医療という問題についてどう私たちは取り組んでいくのかということを、オリンピック委員会、JOCとしても選手を育成する上において最終的な目標、いわゆる人材育成の面においても目標としているところですので、その点については少しまた後から改めて質問させていただきたいというふうに思っています。  諸外国ではスポーツ省というのが、庁ではなくですね、スポーツ省というのが当たり前に設置をされている国というのがありまして、当然スポーツ大臣というのがスポーツ行政を担う大変な大きな役割を果たしているという国が多いわけですけれども、諸外国ではそうですが、スポーツを所管する省庁が異なる例も、当然、外国では教育スポーツというのを離して考えている国もあるんですけれども、我が国スポーツ学校体育部活動基盤として発展してきたことを踏まえれば、文部科学省の中にスポーツ庁設置するというのは自然の流れではないかというふうに思いますけれども、改めて文科省外局スポーツ庁設置する理由というのをもう一度お聞かせいただきたいのと、もう一つは、やはり学校教育運動部活動競技スポーツ、生涯スポーツ地域スポーツ、こういった連携を今後どのように取っていくことを目指しているのか、その辺について、副大臣お願いします。
  11. 丹羽秀樹

    ○副大臣丹羽秀樹君) 内閣府ではなく文部科学省外局としてスポーツ庁設置する理由でございますが、まず、スポーツ議員連盟プロジェクトチームが昨年六月に取りまとめていただきました議論のまとめでは、我が国スポーツ学校体育運動部活動基盤として発展してきており、スポーツ施策を効果的に展開する上で学校体育行政は不可分であること、また、現在、内閣官房内閣府の事務の見直しが進められていることも踏まえまして、スポーツ庁文部科学省外局として設置することを提言していただいております。  スポーツ庁においては、省庁を横断したスポーツ施策を総合的に推進することが求められております。文部科学省が所掌する学校体育地域スポーツ振興競技力向上スポーツ施策の大きな部分を占めるとともに、スポーツを通じた健康増進等を効果的に図る上でも文部科学省が所掌する学校体育運動部活動の果たす役割が大きいというふうに考えております。これらを踏まえ、スポーツ庁文部科学省外局として設置するものとしたものであります。学校教育と一体的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  また、今後の教育を所管する文部科学省スポーツ庁設置する利点を生かしまして、やはり外局設置することでライフステージに応じたスポーツ活動推進アスリート競技力強化幼児期学齢期から全年齢的に推進できるようになることが考えられます。  具体的に、トップスポーツ学校体育地域スポーツ人材の好循環の創出、運動部活動地域スポーツ活動の中から潜在能力のある次世代のアスリートを戦略的に発掘、育成する、また、将来的に育成されたアスリート学校総合型地域スポーツクラブ等において優れたスポーツ指導者となるようなことが重要というふうに考えております。  スポーツ庁においては、学校体育スポーツ行政を一体的に担う利点を最大限生かし、年齢層ごとの特性や生涯を通じたスポーツ活動習慣づくり観点にも配慮しつつ、施策を積極的に推進していきたいと考えます。
  12. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  具体的なお話をいただいたわけなんですが、スポーツ庁設置をされることにおいて、トップアスリートへの支援というのも非常に強く推し進めていただくことになりまして、私自身がオリンピック委員会強化本部長という立場でもあるものですから、ここは、スポーツ庁設置をされ、トップアスリートを育てていくためにこういった血税をいただけるということは非常に有り難いことと同時に、もう一つは、やはりしっかりとした説明責任、ガバナンス、あるいはコンプライアンスといったものも含めてでありますけれども、それだけスポーツというものが何に価値があるのかということをしっかりと示していく必要があるとすれば、私たちスポーツ界は、スポーツ庁ができたことによってより厳しい姿勢で結果を出していくことを求められているのかなというふうにも思いますので、その点については、私どももNF総合支援センターというものもつくりました。脆弱な団体への支援もしっかりとしていくことによって、より開かれた、そして透明性のあるスポーツ業界になっていかなければいけない。これもスポーツ庁ができることによって、私たちがそういった意味においても、ただ単に選手を育て結果を出すということだけではなくて、より質の高いスポーツというものを目指していく必要があるんだというふうにも認識しておりますので、質問というよりも、その点については連携を取ってこれからもやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  その上で、今、トップアスリートを育てていくということに関して、学校部活動、そしていろいろ企業のスポーツ、それぞれプロ化をしているアマチュアスポーツというのもありまして、その点については、ジュニア時代から一貫指導をしていかなければもう世界に通用するという時代ではなくなったということもあるんですが、学校スポーツあるいは学校部活動指導者がいないことによって、やりたくてもそのスポーツをやることができない、顧問の先生がそのスポーツに携わっていないということが原因で部活動に限りがあるというようなことが実態です。  また、少子化というのも当然伴っているので、当然のことにはなるんですが、やはり諸外国のように地域クラブ的な活動ができるような柔軟性を持ってもらうために、教育委員会自治体、そしてスポーツ庁と、そういったところがしっかりと連携を取ることによってより子供たちスポーツ環境整備をしていく、それも是非目指していただきたいなというふうに思います。やはり小学生や中学生を育てていく上において、私たちが育成する指導者がそういったジュニア指導に、学校体育の中での指導にも携われるような、副大臣がおっしゃった好循環ですね、人材の好循環型、指導者の好循環型も目指してもらいたいというふうに思うんですが。  一番大事なのは、小学校、中学校のときは、より完成させないことなんですね。どうしてもそのときに力を発揮させてしまう指導をしてしまう、これは指導者にとって一番良くないことで、より伸び代を最後まで残して、そして完成させないで次の舞台に送り込んでいく、これがジュニアを育成する上において指導者として最高の能力というものになっていくんですが、そういったことをやはりやっていくために私たちスポーツ界是非教育舞台でも使っていただく、私たちがそういった人材をつくらない限りそういう活用もしていただくことができないと思いますので、その連携是非取らせていただきたいというふうに思っております。  一つ教育の面で更にお伺いをしたいのは、オリンピック、最近ですと冬季は長野オリンピック開催をさせていただいたんですが、このときに一校一国運動というのが非常に知られたといいますか、世界でも大変好評があった運動なんですけれども、一つ学校一つの国に対して徹底的に勉強をして、そして文化交流を図っていくということなんですが、是非これもまた、東京大会においてはホストシティタウン構想の検討がありますので、学校というもの、教育の場でオリンピック教育をすることによって、よりこれからの日本子供たちが、世界に向かって国際的な人材育成ということを考えても必要なことであるというふうに思っております。  外務省、農林水産省、そういったことも綿密な連携協力が必要となりますが、是非、この一国一校運動のときに食を通じた国際交流というのも図っていただきたいと思います。スポーツは何といっても人をつくるのが基本ですけれども、人をつくるのにはまずは食というもの、そして食文化をしっかりと知ることによって成り立っていくことも政策の柱ですので、その点についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  13. 久保公人

    政府参考人久保公人君) ホストシティタウン構想は、東京大会を契機に、一校一国運動など学校における活動も含めまして、大会参加国地域全国自治体との相互交流をより一層活発に行うことで我が国地域活性化やあるいは観光振興等につながるものと認識しております。  こういった観点から、相互交流を深める方法の一つといたしまして、我が国食文化について相手国の方に理解を深めていただくことは有意義なことであると考えておりまして、今後、構想具体化に当たりましては、御指摘の点も踏まえまして取組充実を図っていきたいと考えているところでございます。
  14. 橋本聖子

    橋本聖子君 是非、具体的なことをいろいろな意見を取り上げながら進めていっていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  あと、時間がもう限られていますので、これは質問ではなく、関連した教育の中でいいますと、スポーツフォー・トゥモロー、これは非常に大切なことですので、開発途上国スポーツ支援、そしてそういった子供たちへのスポーツ指導、これを二〇二〇年の招致活動では強く訴えながら招致活動してきたことがありますので、是非、このスポーツフォー・トゥモロー、フォローアップを強くお願いをしたいというふうに思います。  そして、今年の十月にスポーツ文化ワールドフォーラム、これを開催していただくわけですけれども、これも是非開催に向けた準備はもちろんですけれども、これを是非継続的に実施するような形で、大臣には是非お願いをしたいと思います。  どうしても日本の今この国の現状というのは、スポーツ国際化というのが非常に遅れている部分があるというふうに思いますのでお願いしたいと思いますが、その点について大臣の御所見を是非お願いします。
  15. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 来年、二〇一六年にリオオリンピックパラリンピック開催されますが、その直後から二〇二〇年東京大会に向けたムーブメントを是非つくっていきたいと。そのキックオフイベントとして、来年ですが、二〇一六年の秋に御指摘スポーツ文化ワールドフォーラム東京とそれから京都で開催をしたいと考えております。  その中の一つとして、御指摘スポーツフォー・トゥモロー、これは橋本先生にも大変先頭に立って御尽力いただいたわけでありますが、二〇二〇年東京大会に向けた招致のときに安倍総理世界に対して約束をしていたことの一つでありまして、百か国、一千万人の方々スポーツを通じて我が国貢献をすると。そのために、来年の秋のスポーツフォー・トゥモローについては、スポーツ文化ワールドフォーラムの中の重要な位置付け国際会議として入れることによって、できたら世界百か国のスポーツ担当大臣にも出席をしていただきながら、我が国がそれぞれの国に合わせたスポーツ貢献を一千万人の方々にどのような形でやっていくか。  そして、できたらその一回限りで終わることなく、連続して二〇二〇年に向けて、場合によっては二〇二〇年以降も開くことによって、日本スポーツ立国それから同時に文化芸術立国として、世界方々是非日本をハブとして訪れてみたいというような、これは同時に文化芸術全国津々浦々活性化することによって観光立国にもつながってくるかと思うんですが、日本経済活性化にもつながる大きなきっかけに二〇二〇年の東京オリンピックパラリンピック大会を活用する、そういう位置付けで、来年リオが終わった後からすぐスタートしていきたいというふうに考えております。
  16. 橋本聖子

    橋本聖子君 ありがとうございます。  我が国は成熟した国家として世界の平和と共生に積極的に貢献することができる、非常に質の高い貢献をすることができる国だというふうに思いますので、是非お願いをしていきたいというふうに思います。  五月六日に日本政策投資銀行の試算が出されまして、スポーツ市場のことが載っておりました。二〇二〇年には我が国スポーツ関連市場市場規模は十三兆六百七十六億円に上る見通しで、二〇一二年の実績と比べ一兆六千億円余り、率にして一四%拡大されるというふうに試算されているわけですけれども、今後、スポーツに関連したビジネスの拡大を地域活性化につなげていくか、これはこの国の経済にとっても大きな課題であるというふうに思いますし、また、今大臣も答弁していただきましたように、観光ですとかそういうものにもしっかりつなげていくためにスポーツフォー・トゥモロー大事だということも御答弁いただきましたけれども。  もう一点、私は何度かオリンピック選手団日本の団長を務めさせていただいたり、選手とともにオリンピックというものを経験してきた一人なんですけれども、非常に各国に行って残念だなというふうに思いますのは、余り知られていないかもしれませんけれども、競技によって、前半に終わってしまう競技、中盤、後半ということで、これは全部分かれるといいますか期間が限られておりますので、その選手たち前半組というのは選手村にいられないわけですね、いたくても。  IDカードの数が限られておりまして、これは選手の数によってIDカードの数が決まる、そして選手の数によって役員の数あるいは部屋の規模が決まるんです。ですから、そういう意味では強い国、人数を多く選手を輩出できる国というのはより環境がいい状況の中で選手舞台に送り込むことができるということにおいては非常に重要な選手強化ということにもつながっていくんですけど、この一枚のIDカードを何名か分で指導者ですとかが渡していかなければいけない。選手村の数に限りがあるので、選手は終わったらもう帰国せざるを得ないか、どこかに合宿に次の大会のために行かなきゃいけないかというような状況なんですね、実は。  大会直前選手村に入って、試合をしてすぐ帰されるという国や選手がいるものですから、せっかくその国に来ても、文化に触れることなく、お土産を買う時間もなく、もうそうやって帰ってしまうというのが現状なんです。  そこで、日本としてやはり新しい取組是非お願いしたいなと思うのは、IDカードを擁することができた選手、監督、あるいはいろいろなスタッフ、そういった方たちには、競技が終わったら必ずどこかで合宿するわけですから、日本国中どこに行ってもしっかりとした合宿ができますよということで、滞在費は全額ではもちろんないにしても、移動費ぐらいは国が、政策一つ地方創生にもつながっていくことですので、そういった取組是非考えていただくと、オリンピックが終わって国際競技会は必ずどこかでやるんです、でも、そういったオリンピック後に新たな地方創生のための政策として日本が打ち出すことができれば、国際大会オリンピックが終わった後に日本の国内どこかでやろうというふうな競技団体、IFが出てくると思うんです。  そういったオリンピックが終わった後のことも考えて二〇二〇年は新しい取組をしていただきたいと思いますが、大臣、どうお考えですか。
  17. 下村博文

    国務大臣下村博文君) さすがに経験、それから専門家ならではの御指摘だというふうに思います。なかなか一般的にそこまでよく分かっていない部分がありまして、御指摘については本当に考えなくちゃいけないことだと思います。  特に我が国においては、今、地方創生政府の大きな政策一つになっているわけでありますが、この二〇二〇年のオリンピックパラリンピック東京一極集中を加速させるということではなくて、日本全体を元気にし、更なる発展を目指すための大きなチャンスとして捉えることが重要であるというふうに思います。新たな日本の創造を果たすような総合的な対策をオールジャパンで推進させることによって、東京大会の効果を日本全国に波及させるべきであるというふうに思います。  我が国におきましては、日本人ならではのおもてなしの心や、あるいはクールジャパンとして世界を引き付ける文化芸術世界無形文化遺産にもなった和食、世界最高の物づくり技術など、様々な強みもあります。二〇二〇年大会では、各地域の芸術文化行事とも連携した文化プログラムを実施することなどによりまして、同時に我が国の強みも最大限アピールするチャンスだと考える必要があるのではないかと思います。  また、今御指摘がありましたが、二〇二〇年に向けて訪日外国人旅行者数を二千万人の高みを目指すと。それから、昨年六月に全閣僚を構成員とする観光立国推進閣僚会議におきましてアクション・プログラム二〇一四を決定したところであり、その中には、東京大会を機に訪日する外国人旅行者の受入れ環境整備について、多機能フリーパスの検討、それから航空による地方へのアクセスの充実、また、地方への鉄道旅行の促進等が検討事項として盛り込まれておりましたが、今御指摘の、選手の皆さんがその後も日本に滞在をしてもらって地方でいろんな合宿やあるいは大会に向けた準備、あるいは大会そのものという発想は今まで深い議論の中ではありませんでしたから、今の御提言踏まえましてしっかり検討しながら、関係府省とも連携を密にして東京大会の効果を全国的に波及させ、また選手の、特に先ほど一校一国運動というようなことも御指摘されましたが、トータル的な活性化に向けた戦略もしっかり考えていきたいと思います。
  18. 橋本聖子

    橋本聖子君 具体的にありがとうございます。オリンピックに来た観光客をどうやって地方に促すかということだけではなくて、選手本体ですね、が地方に行きやすい状況をつくってあげる、そしてその地方で合宿文化プログラムを組んでいただければ選手は非常に行きやすく、必ず行くと思いますので、それに観光客が付いていくということも考えられますから、是非全体的な構想の中で考えていただきたいと思います。  先日、ダボス会議主催の世界経済フォーラム、これ、最新の旅行・観光競争力の報告書においては、日本観光競争力、百四十一か国中九位だったということで示されましたけれども、オリンピックを通じて観光競争力を付けていけば政策投資銀行のこの試算を上回ることも可能だと思いますので、是非お願いしたいと思います。  一つ、時間がもうなくなりましたので一方的な話になりますが、先ほど生活習慣病スポーツという話させていただいたんですけれども、私たちは、生活習慣病、こういったことをスポーツの力を通じていかに医療費の削減を図ることができるか、これを最終的に私たちスポーツ界目標と今しているところであります。そして、育成した選手やコーチがそういった地域医療現場にどのように携わることができるかということも研究していく必要があるんだというふうに考えているんですけれども、やはり食事と運動を中心として生活指導を行うというのが基本だと思うんですね。スポーツ界の医療チームは、徹底した予防医療と予防医学から成り立って選手を育成していますので、病気にならない、けがをしない、これが基本オリンピック委員会であります。  そういう意味では、最近のデータですと、人口十万人当たりの透析患者数、これは日本が断トツ、十万人の中で日本は二百三十人、二位のアメリカの約二倍ということで、こういったことも食生活や運動というものを取り入れることによっていかに健康寿命を延ばすことができるか、そして医療費の削減につながっていく、これを目指していきたいと思います。  自助、共助、公助というふうにありますけれども、まずは国民一人一人が自助努力をしなければこれは達成できないんです。自助努力をするということは、やはり一人一人が健康になっていく。そうすると、スポーツ行政を担うトップであるスポーツ庁は、やはりメタボな人がいては駄目だと思うんですね。百二十一人で成り立つスポーツ庁でありますから、全てがお手本になって自助努力をして、そして自助努力をすることによって共助がより強くなり、公助というものが伴っていくというふうに思います。  メタボ率を聞きましたら、個人情報だからあげられないと言いました。でも、見ただけですぐ分かりますので、是非そこはしっかりとした人選をしていただいて、スポーツ庁こそがより率先した、健康的であるということを示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  19. 森本真治

    森本真治君 おはようございます。  民主党・新緑風会の森本真治でございます。  橋本先生の最後の質問の後で出るのが大変ちょっと恥ずかしいんですけれども、私もちょっとおなかの方が気になりながらでございますが、(発言する者あり)ありがとうございます。今日は、スポーツ庁設置の法案ということで、五十分時間いただきましたので、簡単にちょっと多岐に関連する質問をさせていただくかもしれませんが、よろしくお願いをいたします。  今回のスポーツ庁設置を機に、更に我が国スポーツの発展、また推進ということが期待をされるわけでございます。国としてスポーツをしっかりと取り組んでいくというその意味、私も実は、今はこういう体形になっておりますけれども、小学校時代は剣道をずっとやっておりまして、中高は軟式野球部だったんですが、大学は体育会で準硬式野球部ということで、一応私も少なからずスポーツ選手の若い頃は端くれであったわけでございまして、そのスポーツによって今の自分があるということも自分としても実感をしておりまして、やはり今後しっかりと国としてもこの問題、取り組んでいかなければならないというふうに思います。  先ほどの橋本先生や、この委員会には石井理事や堀内先生という一流のアスリートの方もいらっしゃいまして、本来はそういう方々に今日も質問をしたいぐらいの思いでございますけれども、今日は文科省の方に質問をさせていただくということでございますので、いつかまた先生方にも御教示いただければと思いますので楽しみに、夢を見させてもらいたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  それで、まずこのスポーツ庁でございますけれども、先ほどもありましたけれども、スポーツ基本法平成二十三年に成立をして、これは議員立法ということでございまして、本当にこの法律制定、さらにはここまでに至る間、御尽力をされた議員の先輩各位には本当に敬意を表する次第でございますが、このスポーツ基本法設置以降、私も二年前からこの国会の場ということでございますので、少し過去の経緯の確認になるかもしれませんけれども、お伺いをしたいと思います。  まず、先ほどもあったスポーツ庁、今回、文科省外局に今設置をされるということで、御答弁でも、これまで文科省はスポーツ・青少年局があって、その流れというふうにも理解をするんですけれども、ただ、今後、よりスポーツ行政政府全体として取り組んでいくという意味、また他省庁にも今も実際に関連事業というのがある、そういう中でいえば、例えば今、子ども・子育てなんかでいえば、これ今内閣府の方にあって、実際これは産みの苦しみというか、私も子ども・子育ての関係、関心があっていろいろ内閣府さんとやり取りするんですが、どうしても例えば文科省であったり厚労省さんの方がやはり専門的であるというようなことで、内閣府さんとしても苦労されているところはあろうかと思うんです。  ただ、やはりこれは産みの苦しみであって、今後、政府一体ということであるときには、例えば今回もこのスポーツ庁内閣府などの設置というようなことがやはり今後の予算の関係などといったときにでも非常に効果的というふうにも思うんですけれども、今回、先ほどもちょっと御答弁あったかもしれませんけれども、文科省外局設置されること、十分に体制が整っていくのかどうかということ、このことについてまずお伺いしたいと思います。
  20. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 近年、国民生活におけるスポーツ役割は拡大をし、多面にわたっておりまして、また、二〇二〇年東京オリンピックパラリンピック競技大会開催も決定したところであります。こういう中で、スポーツ政策におきましても、多面的にわたるスポーツ役割を一層高め、スポーツを通じて社会を発展させていくため、様々な府省に関連する施策を総合的かつ効果的に推進していくことが求められるようになりました。このような状況を踏まえまして、政府として、スポーツ基本法に掲げるスポーツ立国を実現し、スポーツ施策の総合的な推進を図るため、スポーツ庁設置することとしたということでございます。  スポーツ庁におきましては、従来から文部科学省で行ってきたスポーツ振興施策の更なる充実を図ることはもとより、スポーツ基本法理念も踏まえ、人事交流等を通じて幅広い関係省庁の知見も得つつ、関係省庁の司令塔的な機能を果たし、スポーツによる健康増進地域活性化国際的地位向上などを図り、新たなスポーツ施策を総合的、一体的に推進していきたいと考えております。  このような経緯の中で、内閣府にという話もありましたが、文科省外局としてスポーツ庁位置付けることによって、今までの政策的な継続性と、それからトータル的な司令塔的な位置付けという意味では、これは文科省外局であっても関係省庁協力を得て十二分に対応できるというふうに考えて、今回法案を出させていただいたところでございます。  同時に、今、最後、橋本先生からもお話がありましたが、我が国医療費総額、年間約四十兆円にもなっている中で、運動によって抑制できる医療費、全体の七・七%と、三兆円近くは実際は運動不足によって医療費負担になっているという状況があるわけでありますが、スポーツ予算というのは三兆円の百分の一程度であります。ですから、今後、スポーツを更に促進することによって医療費を抑制できる可能性も秘めており、スポーツを通じた健康増進取組を図ることによって、健康寿命平均寿命が十年近く開きがあるわけでありますが、これが限りなく近づくような社会構築も目指すという意味で、今の文科省外局として位置付けることによってそのようなスポーツ庁施策を実現していくことが十分可能であるということの中で法案を出させていただいているところであります。
  21. 森本真治

    森本真治君 今の御説明は、だからこそ内閣府だというようなふうに聞こえてしまいまして、にもかかわらず、これまでの経験で文科省だというところが一部ありましたけれども、今の御答弁ほとんどが、だからこそ内閣府にやるべきだというふうにも私は取ってしまったんですけれども。  ちょっと資料一を御覧ください。  その一つとして、今後のスポーツ関係予算のことでございます。じゃ、しっかりと文科省として確保ができるのかというようなところですね。ここにありますように、諸外国と比較してもスポーツ関係予算は、これは低い現状、水準にあるということで文科省もお認めになられているということでよろしいんでしょうか。
  22. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 資料一のとおりでありまして、スポーツ立国を目指して十分な予算とは言えないというふうに思います。
  23. 森本真治

    森本真治君 一方で、国の財布には限界がありますね。そういうときにどうすればいいのかということを考えるわけでございますけれども、仮に今後も文科省の予算でスポーツ振興をということに、スポーツ予算ということになってきたときには、これは当然、他の教育予算を切り詰めてスポーツ予算にするというか、パイがこれはもう決まっておりますからね、というようなことになろうかと思いますね。なかなか、じゃ、ほかの教育予算を削減するということが可能なのかどうかという問題になってきたときに、では、これ資料の二でございますけれども、今の現状の予算の中でも、これは文科省以外にも他の省庁にも関係予算というのがあります。  そうすると、じゃ今回、本当に文科省外局という中で他の省庁の予算に切り込んでいくことができるのか、見直しですとか例えば強化とかですね。それよりも、この財布を全部ひっくるめて、その中でやはり有効的な部分強化をしていくというようなことで考えたときに、まさにそういう司令塔が、司令塔的役割を果たすというふうに言われていますけれども、文科省として本当にこういう他の省庁のところまで踏み込んでいくことができるとお考えなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  24. 丹羽秀樹

    ○副大臣丹羽秀樹君) 森本先生おっしゃるように、限られたパイをどのように分けていくかということは非常に大事なことだというふうに考えております。ただ、よその省庁から文科省の予算として取るという考えではなくて、またしっかりと連携しながら予算を通じて様々なスポーツの関連施策につなげていくことも可能なのではないかというふうに考えます。  平成二十三年の六月に議員立法で衆参両議院の全会一致で成立したスポーツ基本法の附則第二条では、スポーツ庁行政の組織の在り方についての検討規定が設けられておりまして、この規定に基づきましてスポーツ庁設置について検討を進めさせていただきました。  スポーツ庁は、複数の省庁を横断したスポーツ施策を総合的に推進するが、文部科学省が所掌する学校体育地域スポーツ振興競技力の向上といったスポーツ振興スポーツ施策の大きな部分を占めるとともに、スポーツを通じた健康増進等を効果的に図る上でも、文部科学省が所掌する学校体育運動部活動の果たす役割が大きいというふうに考えております。スポーツ議員連盟プロジェクトチームが昨年六月に取りまとめられました議論のまとめにおいても様々なことが提言されておりますが、それらのことを踏まえまして、本法案ではスポーツ庁をあくまでも文部科学省外局として設置することが学校教育も含めた一体的な取組として重要なのではないかと考えております。
  25. 森本真治

    森本真治君 議員立法ですね、立法府の意思ということも今御説明があって、それを尊重されるということだろうというふうに思います。  今後のPDCAというか、先ほど、他の省との、予算を奪うのではなくて、連携をする中でしっかりと効果的に進めていきたいというお話もございました。しっかりと、あとPDCAというかチェックをしていく中で、ただ本当にそれが効果的に機能を、体制ができているのかということはやはり注視を我々もしていかなければならないと思いますし、それと、一つ、先ほど橋本先生もあったんですけれども、先ほど内閣府の外局というようなお話もしましたが、今後、これが例えばスポーツ省というような部分で本当にやっていくということがやはり私は最終的な理想型でもないのかなというふうに思います。  これ、スポーツ省の議論というのは現在までもあるのか、また今後そういうことも検討を政府としてはされていくお考えがあるのかどうか、大臣の御所見でも結構ですが、今後の最終形というようなイメージの中で例えばスポーツ省についての考え方、もし御所見をいただければお願いします。
  26. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 森本委員からもお話がありましたが、スポーツは、この資料の二もそうですけれども、かなりの多省庁にまたがる振興施策になっている部分がございます。ですから、今回は小さく産んで大きく育てるという意味で百二十二人の体制でありますが、しかし、これから本当にスポーツ立国それから国民の健康増進、トータル的な部分であれば、逆に医療費の削減にもつながるということでいえば、ただ肥大化するということじゃなくて、国民の税金をより有効的に使うことによって、スポーツ振興によってかえって行革にもつながる、あるいは歳出削減にもつながるというようなことが見えてくれば、これはスポーツ庁役割が、庁だけでなく更に省にすることによって肥大化でなくトータル的な歳出削減にもつながるし、健康増進にもつながるし、人生生き生きと最後まで天寿を全うするというコンセプトに合うような施策をすることによってスポーツ庁スポーツ省にという議論も今後出てくるかとは思いますが、まずはスポーツ庁の中でしっかりと国会あるいは国民の皆さんに理解が得られるような、成立をしたら施策をきちっとしていくことがまず求められると思います。
  27. 森本真治

    森本真治君 本当に行政の組織を変えるときというのは大変いろいろと苦労もあろうかと思います。ただ、これは議員立法、立法府の意思の中でこういうふうに生まれた体制でございますので、しっかりとこれは国会の側、我々としてもしっかりとやはり後押しをしていくようなことも必要かなということを述べさせていただきたいというふうに思います。  続きまして、二〇二〇のオリパラ、オリンピックパラリンピックとの関係ということでございますが、今度のスポーツ庁の中にもこれオリンピックパラリンピック課というのが設置をされるということで、これは時限的であるということで伺っておりますが、大臣もこの委員会の冒頭の所信においても、この東京オリンピックパラリンピック大会のレガシー創出を目指していく。実際に今、オリンピック担当大臣でもいらっしゃると思いますが。この後、この法案の次にはオリンピックパラリンピックの特別措置法というのも提案をされる、あと、ワールドカップ大会の特別措置法ということも提案をされる予定になっております。  先ほど、スポーツ庁内閣府に設置しないのかというようなことの話もさせていただきましたけれども、このオリンピックパラリンピックの対応についても非常に、この次の法案の関係と、文科省スポーツ庁との関係もなかなか分かりづらいなというふうにも思うんです。  それで、今回のこのオリンピックパラリンピック課、スポーツ庁の方と、今回、内閣これは官房ですかね、オリンピックパラリンピック推進本部が設置される。実際今、下村大臣オリンピック担当大臣であられますが、そちらの方にオリンピック担当大臣というのが今度また設置をされるということになりますね。これ、文科省スポーツ庁との関係ってどのように整理されるんですか。
  28. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 今国会に提出しております平成三十三年東京オリンピック競技大会パラリンピック競技大会の特別措置法案におきましては、内閣設置される予定の東京オリンピック競技大会パラリンピック競技大会推進本部というのを盛り込んでございますが、東京大会の円滑な準備及び運営に関する施策についての関係省庁の総合調整を所掌する予定でございます。  具体的には、在日外国人の円滑な入国手続ですとか各種インフラ整備、無線LANなどの通信環境の整備、サイバーセキュリティーの問題、感染症対策やテロ対策、オリンピックパラリンピック開催を契機とした地域活性化、海外との交流の推進ですとか、二〇二〇年のオリンピックパラリンピックを円滑に実施するための省庁横断的な課題の総合調整を行うための組織を置くわけでございます。  これに対しまして、スポーツ庁に置かれますオリンピックパラリンピック課につきましては、オリンピックパラリンピック教育推進文部科学省の所掌に属します事業の教育推進を通じまして、国内外へのオリンピックパラリンピック・ムーブメントの普及を図りますほか、東京大会に向けたスポーツ団体との調整を行う。そういう意味では、スポーツ教育関係に特化した事業をこのオリンピックパラリンピック課は行うというようなすみ分けをいたしているところでございます。
  29. 森本真治

    森本真治君 オリンピック自体の運営というか、そういう関係推進本部の方でなされて、例えば先ほど言われたオリパラムーブメント、全国に波及をさせていこうというようなことが文科省なりスポーツ庁役割ということでいいわけですね、そういう整理ですね。ということでうなずかれたんで、そういうふうに理解をさせていただきました。  もちろん大事なことでございまして、今回、政府の方もこの東京オリンピックパラリンピックをまさに東京一極集中、また、一過性のものに終わらせてはいけないんだということで、いろいろなことはこれまでも総理を始め答弁もされていらっしゃると思います、地方創生へもつなげていくというようなこともですね。だから、そういう観点は、文科省が責任を持って地方創生も含めてやるということですね。
  30. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 先ほどの答弁で一つ、特措法につきまして平成三十三年と申し上げましたが、平成三十二年の間違いでございます。訂正させていただきたいと思います。  地方創生文化スポーツを通じて地方を豊かにするというのは文科省役割でございますけれども、文部科学大臣はオリパラ担当大臣と兼ねておられまして、オリンピックを契機に日本全体を観光あるいは海外留学も含めて様々な面で向上を図るというのは、これは内閣全体の仕事でもございます。そういう意味で、これは先ほど少し申し上げましたホストシティタウン構想等を内閣官房の方で取りまとめてございまして、その辺りは総体としては内閣官房オリパラ室の方で全体を取り仕切る仕事になるんじゃないかと思っております。
  31. 森本真治

    森本真治君 ちょっとよく分かりませんでしたけれども、下村大臣は今はオリンピック担当大臣ですけれども、今度新しい大臣が担当されるということで、なかなかちょっとこの文科省スポーツ庁との整理がもうちょっとしていただかなければなりませんので、来週ですかね、次回というか、衆議院から次の法案回ってきたときには、またじっくりとこれは時間を掛けてやらなければいけないと思いますので、先輩方がしっかりやってくれると思いますので、よろしくお願いいたします。  これまでのオリンピック、いろいろ政府が今言われていることは分かるんです。今回の二〇二〇のオリンピックでどういうようなオリンピック、またオリパラムーブメントということ、まさに言うはやすく行うは難しじゃないけれども、これまでの私なんかというか多くのイメージ、オリンピックのイメージ、本当に商業化が進んでいって都市の発展に貢献していった、まさにソウル五輪であったり北京五輪であったりということがありましたね。ちょっとロンドン五輪ぐらいからイメージが変わってきたというようなことも聞いたりもしますけれども。  今回の東京オリンピックは、冒頭の所信では、前の東京オリンピックのときはそういうイメージだったけれども、今回はまた違うんだというような話もあったかもしれませんが、一つ私がその中でお願いしたいというか、このオリンピックムーブメント、やはりオリンピック、平和の祭典、二〇二〇年、被爆七十五周年、戦後七十五周年ということになります。御案内の方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの二〇二〇、広島も名のりを上げていたんですね。私も市会議員で、前の市長さんのときだったんですけれども、東京が名のりを上げる前、広島がまさに新しいオリンピックというか、原点に返ろう、平和の祭典の原点に返ろうということをまさに被爆七十五周年でやろうというようなことで、ある程度準備、予算を掛けて準備したんですけれども、断念をしたという経緯もありました。是非東京オリンピック、平和の祭典という部分、これをムーブメントとしてしっかりとアピールしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか、その辺り。
  32. 下村博文

    国務大臣下村博文君) まず、ちょっと私の方からの訂正で、先ほどスポーツ庁定員が百二十二人というふうに申し上げましたが、百二十一人でございますが、訂正させていただきたいと思います。  それから、二〇二〇年のオリンピックパラリンピック東京大会、平和の祭典、それはまさにスポーツによって世界、人類が一つになれるという最大の祭典ですから、これを活用するということは、また、今までの日本の歴史的な広島、長崎の問題もあります。しっかりとした対処をする必要があるというふうに思います。  一つ考えているのは、二回目の東京オリンピックパラリンピックですので、柔道、剣道、華道、茶道という道の精神ですね。この道の精神というのは、つまり、スポーツというのはテクニック、競い合うということを超えて、人格的にもより昇華しながら、一つの道を通じていかに人間的にも究めていくかということでありまして、戦うという姿勢から、いかに、よりそれを超えたような精神性の高い道の道、これはオリンピック憲章そのものにもうたわれていることに共通するのではないかと思います。そういうことを通じて、今、森本委員が言われた平和ということにもつながってくると思います。  そういうようなメッセージをこの二〇二〇年のオリンピックパラリンピック東京大会に向けて世界に発信していけるような、まさにそれこそが新たなレガシーの創出にもつながってくると思いますし、二回目のまた意味があるのではないかと思います。そういう次のオリンピックパラリンピックに向けた、新たなステージになるような二〇二〇年大会になるように準備をしてまいりたいと思います。
  33. 森本真治

    森本真治君 ありがとうございます。  この二〇二〇年に向けても、今後、来年以降ぐらいですかね、先ほどもあった、いろんな様々な取組もスタートをされるという中において言えば、まさに今年で被爆七十周年から七十五周年に向けても、このオリンピック、余り政治的な色が出るということも慎重にならないといけないかもしれませんけれども、やはり平和ということもしっかりと観点に入れた様々なオリンピックムーブメント、取組をしていただきたいというふうに思います。  ちょっと時間が大分進んでしまいまして、先急ぎたいと思いますけれども、続いて、選手強化支援ということでございまして、今後、トップアスリートの育成ということも非常に、これは二〇二〇に向けてもそうでしょうし、それだけに限らず、常にスポーツ選手の育成ということは非常に重要になってこようかと思います。  ちなみに、大臣トップアスリートの育成を国として進めていくこの意味、もちろん選手の皆さん個人のやはり人生というか、その人たちの自己実現を応援するということもありますけれども、国や国民にとってトップアスリートということが、世界で活躍する人材というか、どんどんと輩出されていくことの意義、何かメリットというか、お考えがありますか。
  34. 下村博文

    国務大臣下村博文君) ロンドン・オリンピックのとき、史上最高の三十八個のメダルを取って、そして選手たちが帰国をするということで、急遽、帰国する四日前に銀座でパレードするということを決めて、した結果、五十万人以上の方々が集まったと。あのときに、三・一一の後ということもありましたけれども、本当にオリンピックパラリンピックによって、メダルの獲得というのも大きな影響だったと思いますが、多くの国民に勇気と感動を与えて、自分も頑張ろうと、こういう思いを多くの国民の皆さんが思われたという意味では、オリンピックは我々の立場からすると、というか、担当大臣の立場からすると、参加することだけでなく、参加する以上は、全ての選手がベストコンディションでベスト記録が取れるような環境をつくることによって、結果的にそのことによってメダルが獲得できるような環境整備をしていくことがやっぱり必要だというふうに思います。  ロンドン・オリンピックの成功というのは、ナショナルトレーニングセンターをきちっと造ることによってよりフォローアップできたという部分がございますので、今度、第二ナショナルトレーニングセンターを更に設置して、既存の競技種目以外の選手の育成やあるいはパラリンピアンの育成等も行うことによって、オリンピックパラリンピックに参加する選手が、そういうナショナルトレーニングセンター等で十二分な本人の持っている能力を最大限に発揮するような環境をつくることによって大会へ送り出すようなことをすると。それは、個々の選手のためだけでなく、国民全体が精神的な意味で共有感を持って、勇気と感動と、そして自分も頑張ろうというそういうきっかけにもなる、そういうものがオリンピックパラリンピックでもあると思いますので、そういう場については最大限有効活用することが大切であるというふうに思います。
  35. 森本真治

    森本真治君 おっしゃられるとおりといいますか、何かオリンピックでメダルが取れた、取れないということでマスコミなどが大騒ぎをして、そういうことではなくて、本当に世界舞台でまさに日本人が他の国の皆さんと戦うという言い方がちょっといいかどうか分かりません、活躍をされる、そういう姿に我々国民は力を与えてもらう。そして、暮らしの中で悩むことや落ち込むことがあったときに、その姿を見て励ましてもらって、また次から、あしたから頑張ろうという勇気を与えてもらう、これがまさにこういうトップ選手。余りそれで選手の皆さんにプレッシャーを与えてはいけませんけれども、本当に大きなこの国力の、国民の力をやっぱり大きくしていただく、やっぱり勇気を与えていただける、非常に私はそういう皆さんだというふうにも思うんですね。  本当にそういう一時的なオリンピックの結果だけで騒ぐのではなくて、本当にその人たちが地道に何年も掛けて努力をされる、そのことについてもしっかりとこれはやっぱり国として応援をしてあげるということは、これは国民にとっても非常に意味のあることだと私自身も思うんですね。ですから、しっかりと、これまでも選手強化取組支援ということもやられていると思いますが、しっかりとやはりそこら辺りについては、今後、選手のためにも国民のためにもなるという中でお力添えをしていただければというふうに思います。  それと、あわせて、現役のこれは選手支援だけではありませんね。特に、トップアスリートというか現役選手というのは選手寿命って短い。本当に二十代でもう第二の人生、三十代でもう次の人生に行くと。ある意味、学生時代にそのピークを迎えて、オリンピックを学生時代に迎えて、引退をしたら今度社会に出るとかというような方も多いんではないかと思います。これは、やはり現役選手への支援だけではなくて、その引退後のやはりキャリアの支援といいますか、そういうこともしっかりと今後やはり配慮をしていく必要があろうかと思います。  いろんな今後お考えもあるというような事前のお話も伺っていますけれども、そのことも含めて、さらには、私自身は、例えばジュニア育成の指導者というような中でもしっかりと報酬なども、後ほど地域スポーツクラブや学校運動部の外部の指導者の話もしますけれども、やはりこれは国としてそういう辺りまでフォローしてあげる体制、地方のスポーツ協会、クラブチームの指導者として活躍してもらうときもしっかりとしたそこら辺の財政的なフォローもするべきだと思いますけれども、そういうことも含めてお考えをお伺いしたいと思います。
  36. 丹羽秀樹

    ○副大臣丹羽秀樹君) 多くのアスリート方々が引退後の就職先に不安を抱えているというデータが出ております。現役時代から計画的に準備する方々がなかなか少なくて、現役引退後のキャリアについて計画的に準備することが重要であるというふうに考えております。  文部科学省といたしまして、平成二十二年度から競技者・指導者等のスポーツキャリア形成支援事業を実施し、アスリートのキャリア形成に関する啓発活動や大学院を活用したキャリア形成のためのプログラム開発に対する支援を行ってまいりました。  今現在、平成二十七年度から新規事業といたしましてスポーツキャリアサポート戦略を実施することといたしております。この中で、アスリートのキャリア形成を一元的に支援する体制として、スポーツ団体や大学、企業、スポーツクラブ等の関係者が連携したコンソーシアムを構築し、現役中からのデュアルキャリアと引退後のキャリア形成を両面から支援するとともに、アスリート等を個別具体的に支援するアドバイザーの育成を行うことといたしております。  今後とも、アスリートがやはり安心してスポーツに取り組めるような環境整備もしていかなければならないというふうに考えております。
  37. 森本真治

    森本真治君 ありがとうございました。  いろいろ御提案なども今後させていただくようなこともあろうかと思います。また、それぞれの地域、現場というか、そういう皆さんとも私もしっかりと話を進めていく中で、そういう皆さんがしっかりと活躍ができる環境整備については政治の側も取り組んでいかなければならないというふうに思います。  ちょっと、あと残りの時間で、学校運動部、また地域スポーツクラブの課題についてお伺いをしたいと思います。  これまで我が国スポーツの発展なり国民のスポーツという部分を見たときに、やはり学校運動部が果たしてきた役割というのは非常に大きかったということは御案内のとおりでございます。一方で、例えばヨーロッパなどにおいては地域スポーツクラブですね、地域を拠点にしたスポーツクラブが住民の自主的な運営に支えられて、これはまさにコミュニティーの拠点という、町の発展の部分まで含めてその果たしてきた役割が大きかったということで、非常によく対比をされるということは御案内のとおりだろうというふうに思います。  この大きなこれまで我が国スポーツ発展に役割を果たしてきた学校運動部が、今まさに様々な転換期というか、そういうことを迎えているんではないかというようなことも昨今指摘をされるようになってきたわけでございます。そして、今回まさにこのスポーツ庁設置によって、更にこの学校運動部というのが、過熱という言い方がいいのかどうか、過熱化していくというようなことの可能性もあるのではないかというようなことも言われております。  ちょっとこれは、まずこの運動部、学校運動部活動の意義、目的というのが何なのかということと、私の問題意識として、やはりこれが今はその目的とはちょっと反して、競技力向上を目指す勝利至上主義とか、まあ学校運動部イコール競技スポーツの要素というのが大きくなっているのではないかというふうに考えるんですが、それも含めて学校運動部の目的だというふうに言われたらそれはそれなんですけれども、ちょっとその辺りの文科省のお考えをお伺いしたいと思います。
  38. 丹羽秀樹

    ○副大臣丹羽秀樹君) 委員がおっしゃるとおり、今学校運動部というのは非常に転換期を迎えているというのか、様々な議論の中で、運動部活動は、学校教育の一環として、スポーツに興味と関心を持つ同好の生徒の自主的、自発的な参加により行われているものでございます。多くの生徒の心身にわたる成長と豊かな学校生活の実現に大きな役割を果たしております。  平成二十五年に取りまとめられました運動部活動での指導ガイドラインにおいては、運動部活動の意義や効果について、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育てる、互いに競い、励まし、協力する中で友情を深める、また、学級内とは異なる人間関係の形成につながるというふうにされております。  そういった面では、この学校運動部の意義については今申し上げたとおりでございますし、委員指摘のとおり、この学校運動部活動競技力の向上に資する面もあると考えられますが、あくまでも学校教育の一環として行われるものでありまして、健全な心と身体を養い、豊かな人間性を育むためのバランスの取れた運営と指導が求められるというふうに考えております。
  39. 森本真治

    森本真治君 御説明いただきまして、もちろん、競技力の向上ジュニアの育成という観点学校運動部の意義を全て否定するわけではありませんけれども、今の御説明なんかを聞くと、やはりそういう趣旨の部分学校運動部ではない部分の、例えばスポーツクラブでありますとか、そういう部分が担うということは非常に重要なのかなというふうにも思ったりもするんですけれども、その辺りはどのようにお考えでしょうか。
  40. 丹羽秀樹

    ○副大臣丹羽秀樹君) 学校の中で、学校運動部活動で、やはりその指導においても行き過ぎた指導が行われるということは、これは十分選手強化においても注意しなきゃならないというふうに考えておりますし、この運動部活動の肝腎なことは、子供の健全な身体を培って心を育てていくという、そういった部分を大事にしていかなきゃならないというふうに考えております。
  41. 森本真治

    森本真治君 しっかりとした指導という部分が、例えば指導者の問題などで、もちろん学校運動部の中にもそういう体制ができていれば私は問題ないと思いますし、例えば野球なんかでいったときには、ある程度指導者というのはそれなりの方がいらっしゃって、学校運動部でもしっかりとそういうことができるというような体制があるのかなというふうには個人的にも思ったりもするんですけれども、全ての競技が本当に学校運動部の指導者、そのような経験やそういう能力を持っているかどうかということは非常に疑問のところもあるわけでございまして、資料でも、これは資料の五や六で付けさせていただいておりますけれども、実際に経験のある方が顧問に就いているかといったら、全てがそうではない。まさに、ちょっと言い方悪いですけれども、素人さんが指導者として、また顧問としてやらなければいけない学校運動部の現状があるということもこれは事実だというふうに思います。  それで、例えば資料の六なんか、これ日本体育協会のスポーツ指導者資格の保有状況でありますけれども、持っていないという方が例えば中学校なんかでも圧倒的なんですけれども、これ例えば教員の方にこういう指導者資格ということを取得してもらうということについては、非常にこれは慎重に検討もしなければいけないと思いますけれども、文科省としてはどのようにお考えになられますか。
  42. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 部活動学校教育の一環としてありながら今後栄えていくためには、顧問教員の指導というのは大きな要素であると思います。ただし、一方で、体育協会の調査によりますれば、今おっしゃられたように経験のない指導者も半分ぐらいいたり課題も多くて、その資質、能力向上が鍵だと思っております。  今おっしゃられたように、様々なノウハウを蓄積してもらったり、資格を取っていただくために頑張っていただくことは大変大事なことだと思っておりまして、各教育委員会関係団体におきましては、部活動指導者に対しまして技術指導の方法、安全についての研修を行ってきております。  平成二十五年度に調査いたしましたところ、全ての都道府県、指定都市教育委員会において研修が実施されまして、約三万六千人の教員が参加したところであります。また、日本体育協会におきましても、公認スポーツ指導者制度に基づきまして講習会を開催しているところでございまして、この指導資格の促進と指導体制の確立に努めておりますけれども、これを今後もっと進めていくことは大きな課題だと思っておりますし、スポーツ庁となりましてもそれは推し進めていくべき課題だと思っているところでございまして、今後、都道府県や関係団体と連携しながら推し進めていくべき施策一つではないかと思っております。
  43. 森本真治

    森本真治君 私は、子供たちのことを考えたときには、しっかりとした知識やノウハウを持った指導者の必要性は言いたいと思います。ただ、それを教員の皆さんがそういうことをしっかりと研修を受けて資格を取る必要があるのかどうかということについては、問題提起をしたいと思っておるんですね。  今、非常に教員の皆さん、長時間の勤務、この委員会でも何度も議論になっています。大変負担感が多いこの部活動指導時間、この教員の長時間勤務の中にも大きな影響を与えているというふうに思いますけれども、その実態についてはどのように認識されていますか。
  44. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 中学校等の教員を対象としましたOECDの国際教員指導環境調査によりますれば、我が国の教員は諸外国に比べ課外活動指導時間が長いという結論が出ております。負担に感じている教員がいるということについては承知いたしております。  この運動部活動の運営につきましては、学習指導要領の中におきましても、地域学校の実態に応じて、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすることと述べられているところでございます。  これを踏まえて、文部科学省では、平成二十五年度に先ほどの運動部活動での指導のガイドラインを定めますとともに、運動部活動指導の工夫・改善支援事業におきまして、外部指導者の活用などによる効果的、計画的な指導体制の構築に向けた取組支援を行っているところでもございます。  また、各学校で教員の負担だけが増すことにならないように、これからの学校教育を担う教職員やチームとしての学校在り方につきまして中央教育審議会に今諮問しておりまして、運動部活動での指導体制も含めて学校組織全体の総合力を高めるための方策について審議いただいているところでございます。
  45. 森本真治

    森本真治君 教員の負担軽減、チーム学校の話、今ありました。さらには、外部人材の活用という話もありました。外部人材の活用については、この教員の負担軽減の以前から、例えば指導者不足の中で外部の人材を活用するというようなこともあったろうというふうに思います。これは、外部人材の活用というのは決して最近の話ではないわけでございます。  これ実際に、じゃ、外部人材どうなのかというときに、資料の五にもありますけれども、外部指導者、定期的、定期的といってもこれはおおむね週一回以上ですからね、週一回かもしれませんけれども、一部当たり平均〇・三五名という実態がある。  これ、外部人材の活用を机上では言いますけど、現実問題としてどうなんですか、進んでいるんですか。これは、課題もあろうかと思うんですけれども、進んでいるという認識なのか、進んでいないのだったらどこに課題があるというふうにお考えなのか、お伺いします。
  46. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 外部指導者の活用は、文部科学省としても進めておりますので、全体として進みつつあると思います。  ただし、先生おっしゃられたように課題もございます。例えば学校教育の実情を踏まえた指導が十分できていないケースもある、あるいは外部指導者学校取組方針に対する十分な理解がないケースもある、それから、学校あるいは顧問の教員、外部指導者の間での連携がなされなくて外部指導者に任せっきりになっているようなケースもあると、そういうような課題はいろいろあるというふうに認識しておるところでございます。
  47. 森本真治

    森本真治君 いろんな課題はあろうかと思います。  ちょっとこれお願いですが、実態ですね、これそんなに難しい話じゃないと思うんです。本当は外部人材が、求めたいんだけれども例えば人材がいないとか、いるんだけれども例えば予算の問題があるとか、様々な要因があろうかと思うんですよ。この外部人材活用についての実態調査、もう少しエビデンスというかしっかりしてほしくて、そして、その後対策というのが取られようかと思うんで、ちょっと今後その調査について検討していただきたいんですけれども、ちょっと御答弁いただけますでしょうか。
  48. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 外部指導者の導入というのは大きな課題でもありますので、どういう形でできるのか、少しいろんな実態、実情聴取の方法も含め、御指摘も踏まえて、どういう形で対応できるのか検討させていただきたいと思います。
  49. 森本真治

    森本真治君 是非そのことについてはまた検討結果を教えてください。ちょっと、でも、やっぱり机上だけで話してもしようがないので、要因分析をして、そのための改善策、まさにスポーツ庁できましたから、そこのまず重要な取組としてお願いをしたいというふうに思います。  もう、ちょっと時間が余りなくなってしまいましたので、少し質問を選びますけれども、今日はもう残り少なくなったので、私の結論ということで言えば、これはちょっと勇気を持って私も今日は言わせていただきますけれども、ある意味、今後のスポーツクラブ、運動部、大きくここでやっぱり我が国在り方を見直していく、そのことの議論を始めてもいいかと思います。  その中で、私は、今のこの運動部、理想があるけれども現実がある、そういう中でいえば、大胆に、子供たちのやっぱりスポーツ環境についても地域スポーツクラブへと大きくこれから転換をしていくということも必要かなというふうに思います。実際、文科省も総合型地域スポーツクラブなどを進めようとされておりますけれども、資料をもらったら、数は増えていますよ。だけど、現状、課題も多くある中でいえば、これはやはり政策的にしっかりとした政策誘導をしていくという中において、それこそ子供たちスポーツであるとか、やはりこれからの地域づくりの観点からいったときにも、今後は、これまで複数校で連携をして大会に出るというようなこととかもやっていますけれども、やはり今後は地域に開かれた、学校から地域へという方にシフトしていくということは非常に、私は議論を是非していただきたいと思います。  そういう観点でいったときには、例えば今の、いろんな各種の大会ありますね。これについても、例えば中体連や高体連の大会なんかでも、クラブチーム、一部地域によっては参加できるというようなところもあるとも伺っていますけれども、基本的には学校運動部しか参加できないというような部分についてもしっかりと見直しということもあろうかと思います。さらには学校施設についても、これは地域スポーツクラブの皆さんへの開放といいますか、今後、例えばこのスポーツ振興の中でスポーツ施設の議論も出てこようかと思います。新設又は改修ということ、非常にこれは大きな課題です。そういう中で、一番我が国にとって充実している運動施設があるところといったら学校ですから、これはやっぱりどんどんとその学校運動施設を開放していくというようなことは非常に重要ではないかというふうに思います。  ちょっと総論的にいろいろと幾つか取り上げていったんですけれども、文科省として今後、この運動部の在り方、クラブの在り方、思い切った政策誘導を行っていく必要があろうかとは思いますけれども、ちょっと御答弁難しいかもしれませんが、最後、総括的に大臣にお伺いして終わりたいと思います。
  50. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 世界で見ると、学校教育の中で体育もやっているというのは、日本においては特別な評価と、またそれだけの実績があることも事実です。ヨーロッパ等では学校では体育は行えないで、学校が終わった後、地域スポーツクラブが受皿になっているという部分がございます。  ですから、基本的にいい部分は残すべきだと思いますが、子供の立場から見て一番ベストな、やっぱり指導者の問題等がありますから、一番ベストな状況という意味では、どちらかに変えるというよりは一番いい状況をその地域に合わせて環境づくりをすることによってスポーツが享受できる、あるいは体育がきちっとできるような、そういう環境整備をしていくことが必要ではないかと考えます。
  51. 森本真治

    森本真治君 ありがとうございました。
  52. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 おはようございます。公明党の新妻秀規です。  予定していた質問の一問目が、今、森本先生、また橋本先生によってカバーされましたので、二問目から行こうと思います。  まず、スポーツ庁が行う調整について伺います。  スポーツ庁が行う省庁間の調整については衆議院の文部科学委員会でも議論されました。そのときの御答弁によりますと、スポーツ庁関係省庁に対して積極的な基本施策を提示し、関係行政機関の事務の調整をスポーツ庁が中核となって行って、スポーツ関連施策を総合的に推進するという御答弁だったんです。抽象的で、ちょっと分かりにくいんですよね。なので、実際にどのような調整を行うのか、具体例に即して示してほしいと思います。  先ほど橋本先生も取り上げてくださった戦略的二国間スポーツ国際貢献事業、スポーツフォー・トゥモロー、資料一を御覧ください。  このスポーツフォー・トゥモローの事業では、外務省、またJICAなどと連携して事業を推進することになりまして、恐らく相手国からは指導者などの派遣の要請とか、そういうことがあると思うんです。このときスポーツ庁はどのようにして他の省庁関係機関の調整が行われると想定されているのか、この例に即して具体的に示してほしいと思います。特に、スポーツ推進会議、またスポーツ審議会がどのように関わるのか、これも併せてお示しください。
  53. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 今御指摘いただきましたスポーツフォー・トゥモローの戦略的二国間スポーツ国際貢献事業では、この配られていただいている表のように、右側にコンソーシアム、左の上の方にスポーツフォー・トゥモロー・コンソーシアムというのをつくりまして、文部科学省と外務省が中心となって、NGOあるいは国内の競技団体とも連携しながら、どういう国に日本スポーツ施設ですとか選手ですとかカリキュラムを輸出するのがベストかということを常に相談しているようなことになってございます。  その際には、この事務局は、今はこれはJSC、日本スポーツ振興センターが担っておりますけれども、情報としてはJOCあるいは外務省の在外公館からここに全て情報が入ってくると。この予算は文部科学省の予算でございますので、そういう意味でいえば、戦略的な二国間のスポーツ交流、スポーツフォー・トゥモローとしての中核的事業としてのこの事業を文科省が主体的に進めていくことができるというような状況を今構築していくわけでございます。  スポーツ庁におきましても、あるいはスポーツ庁になりますれば、もっとスポーツに関する関係行政機関の事務の調整に関する権限がスポーツ庁に付与されますので、諸外国協力要請に対しまして、より迅速かつ的確な対応をこの場でも行っていけることになりますし、主導的な役割を果たしていけることになるんじゃないかと思います。  また、この関係におきましても、スポーツ推進審議会、新たに設置しますスポーツ審議会におきましては、この大きな事業も含めたスポーツに関する施策基本的な在り方につきましての御意見を専門家から伺うことができます。その場にはもちろん関係省庁の方もオブザーバーとして入られるということになると思います。  そういう議論を踏まえて国際貢献在り方も決定していくことになると思いますし、それから、スポーツ推進会議スポーツ基本法の制定の中でつくられたわけでございまして、今まではどちらかというと情報の連絡あるいは情報の交換の場でございましたけれども、調整権限を持った文部科学省がこの推進会議推進役となりますことによりまして、このスポーツフォー・トゥモローの各事業の予算化につきましても一定の方向性を持って調整することができるという意味で、今までより一歩も二歩も進んだ体制で進めていけるんじゃないかと思っているところでございます。
  54. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 具体的な御答弁ありがとうございました。よく分かりました。  次に、スポーツを通した地方創生地域活性化について伺おうと思います。  先ほど橋本先生も御質問されましたが、今、国としても地方創生地域活性化が大きな課題となっていると思います。スポーツ庁設置を機に、地域におけるスポーツを通じた地域おこしの施策充実を図ることは非常に重要だと思います。  地域における総合型クラブ、体育協会、観光協会、こうした関係者の連携による地域スポーツコミッションの活動支援して地域におけるスポーツ活性化するとともに、スポーツ観光資源として活用した地域活性化推進するなどの取組が考えられると思います。  スポーツを通じた地域活性化取組についてどのように考えているのか、御答弁をお願いいたします。
  55. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 二〇二〇年オリンピックパラリンピック東京大会を一過性のイベントで終わらせることなく、日本再生の起爆剤としてスポーツを通じた地域活性化に取り組んでいくということは、地方創生観点からも非常に重要であると考えてございます。  文部科学省では、平成二十七年度から新たにスポーツによる地域活性化推進事業を計上いたしておりまして、スポーツを通じた健康増進取組とともに、地域スポーツ関係団体、企業、スポーツ産業、観光産業等が一体となりまして、スポーツ観光資源としたツーリズムによる地域活性化を行う組織、地域スポーツコミッションの活動に対して支援を行うことによりまして、地域におけるスポーツ活性化や、スポーツ観光資源とした地域活性化取組を積極的に支援していくこととしているところでございます。
  56. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 積極的な推進お願いしたいと思います。  次に、地方公共団体におけるスポーツ施策の総合的な推進について伺おうと思います。  スポーツ庁設置によって、国においてはこのスポーツ庁を中心としたスポーツ施策の総合的な推進が期待されますが、他方で、地方公共団体に目を転じますと、教育委員会学校体育を、首長部局においてそれ以外のスポーツ行政を管理執行する場合において、施策の総合的そして一体的、効果的な推進を図るために、やっぱり首長の部局と教育委員会連携強化を図ることが必要だと思います。そのための取組についてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。  また、改正地教行法がこの四月から施行になりまして、首長と教育委員会の意見交換の場として総合教育会議が発足をいたしました。こうした場も積極的に活用するように促すべきと考えますが、どうでしょうか。
  57. 久保公人

    政府参考人久保公人君) スポーツ庁におきましては、スポーツを通じた健康増進地域活性化国際的地位向上等に向けまして、幅広い施策関係省庁とともに連携しつつ実施することといたしております。  地域の現場におきましてこうした施策が効果的に実施されるためには、地方公共団体におきましても、スポーツ担当部局が福祉行政あるいは都市公園行政等の担当部局と幅広く連携していくことが重要と考えております。  本年四月から施行されました改正地教行法では、地方公共団体の長が当該地方公共団体の教育、学術及び文化振興に関する総合的な施策の大綱を定めるものとされますとともに、首長と教育委員会が協議、調整を行う総合教育会議を設けることとされたところでございます。スポーツも大綱の記載事項や総合教育会議の協議事項の対象に含まれますために、これらも活用して、首長と教育委員会がより一層連携したスポーツ行政を行うことを期待しているところでございます。  スポーツ庁におきましては、地方公共団体の行政担当者を対象に実施してきました会議等に、今後、教育委員会だけでなく、首長部局からも幅広く御参加いただきまして、スポーツに関する施策の総合的な推進に向けて、大綱や総合教育会議の活用も含めて、首長部局と教育委員会との間の連携を促してまいりたいと考えているところでございます。
  58. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 是非とも、地方公共団体における一体的なスポーツ行政推進のために、今おっしゃったような取組推進をしていただきたいと思います。  次に、スポーツ審議会について伺いたいと思います。  スポーツ庁設置後におきましては、政令で同庁にスポーツ審議会設置される予定となっていますけれども、現行の中央教育審議会のスポーツ・青少年分科会は廃止されるのでしょうか。また、スポーツ基本法第三十条に基づくスポーツ推進会議との関係はどのように整理されるのでしょうか。
  59. 久保公人

    政府参考人久保公人君) スポーツ庁設置に合わせまして、教育政策を審議されます中央教育審議会から独立したスポーツ審議会を政令により設置いたしますとともに、中央教育審議会スポーツ・青少年分科会を廃止する予定でございます。  スポーツ審議会におきましては、スポーツ界を始め幅広い分野から有識者に結集していただきまして、スポーツ政策に関する基本的な方針の策定などにつきまして専門的な見地から調査審議していただく予定にいたしております。  一方で、今御指摘いただきましたスポーツ基本法に基づき設置されておりますスポーツ推進会議、これはスポーツに関する関係省庁の連絡調整のために設けられているものでございまして、スポーツ基本計画やスポーツ審議会の議論を踏まえまして、スポーツ庁スポーツ施策の大きな方向性を提示したり、省庁横断的な課題に関して連絡調整を行う場として引き続き効果的に活用してまいりたいと考えているところでございます。
  60. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 それでは次に、スポーツ審議会の審議事項の偏在の是正また人選方針について伺いたいと思います。  衆議院の文部科学委員会の附帯決議第四項におきまして、このようにあります。「新設される「スポーツ審議会」においては、審議事項について、競技スポーツ分野に偏在することなく、また、学校体育等の教育上の観点にも留意するとともに、選任される委員の出身分野及び男女比に十分配慮すること。」、このようにございます。非常に重要な観点だと思います。  この審議会の審議項目が競技スポーツ分野に偏ることを防いで、そして、学校体育教育や健康、安全分野の審議が十分に行われるようにするべきだと考えますが、どのように受け止め、どのように対応されるのでしょうか。また、委員の出身分野の偏在是正、また女性登用促進の観点から、スポーツ審議会委員の人選方針を確認しておきたいと思いますが、どのように考えていらっしゃるか、御答弁をお願いします。
  61. 久保公人

    政府参考人久保公人君) スポーツ庁におきましてスポーツによる健康増進地域活性化等に向けた政策を新たに実施していくに当たりましては、スポーツ審議会における審議を十分踏まえることが重要と考えております。  そのために、スポーツ審議会の審議事項につきましては、基本法や基本計画に記載されております内容全般が対象となりますところでございまして、御指摘のように、競技スポーツ分野に偏在することなく、学校体育等の教育上の観点スポーツにおける安全確保についても十分留意していきたいと考えております。  また、スポーツ審議会委員の人選につきまして、その人選に当たりましてはスポーツ界はもとより、スポーツに携わる様々な専門家から幅広い知見が得られるよう、出身分野や委員の性別など、あらゆる観点での多様性に配慮していきたいと考えております。
  62. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 よく分かりました。  次に、スポーツ庁の職員への民間人の登用、人材育成、これについて伺おうと思います。  スポーツ庁に求められる機能といたしまして、スポーツを通じた国際的な貢献、交流に関わる一体的な政策を企画立案そして実施することなどが求められていますが、こうした政策課題の対応に必要な専門的な知識、経験を有する人材の獲得、育成が重要となると思います。  人材の確保においては、衆議院の文部科学委員会での審議でも他省庁からの優秀な人材確保については触れられています。今後においては、スポーツ政策について専門的な知識を持った民間人を積極的に登用してそのノウハウを活用することなども有効だと考えますが、職員への民間人の登用についてはどのように考えていらっしゃるのか、また人材育成についてもどうでしょうか、御答弁をお願いします。
  63. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 御指摘のように、スポーツに関する施策の総合的な推進に当たりましては、関係省庁の知見だけでなく民間からも幅広く知見を得て、関係者が協力して取り組むことが重要でありまして、今後のスポーツ庁職員の人事に当たりましては民間人の登用も含め検討してまいりたいと思います。  また、人材育成につきましては、スポーツを通じた健康増進地域活性化国際的地位向上に向けて実施する新たな施策の効果を高められるよう、関係省庁との積極的な人事交流を行い、特にスポーツ施策に意欲のある優秀な人材を出していただけるよう関係省庁協力を求めるとともに、スポーツ関係の各分野の専門家を招いた勉強会等を開催するなど職員の資質向上取組推進してまいりたいと思います。
  64. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 今おっしゃったような民間人の積極的な登用、そしてスポーツ庁内での人材育成、積極的に推進をしていただきたいと思います。  次に、特別支援学校での障害者スポーツ推進、これについて伺おうと思います。  資料の二を御覧ください。  平成二十五年度の文科省からの委託調査、健常者と障害者のスポーツ・レクリエーション活動連携推進事業の報告書によりますと、この資料二に概要を示しますように、特別支援学校においては、スポーツを通じた地域との交流及び学校での運動部活動、クラブ活動は低調であると。その一方で、特別支援学校を卒業した障害者は日常的にスポーツをする環境がなくてスポーツから離れるのが課題とされておりますが、三割の学校運動部活動、クラブ活動で卒業生が練習に参加している、こういう調査結果が出ています。これから特別支援学校が卒業生である障害者のスポーツの場として重要な役割を担う可能性が示されていると思います。  報告書では、スポーツ組織と障害者スポーツ連携によって特別支援学校スポーツ活動支援を提言をしています。二〇二〇年パラリンピックを目指した障害者スポーツ推進に非常に重要な提言だと考えますが、どのように捉えられていらっしゃるでしょうか、御答弁をお願いします。
  65. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 障害者スポーツの普及促進のために、地域における障害者スポーツの場として特別支援学校において施設の開放や指導者の派遣、人材交流を行うなどは大変重要であると考えております。このため、文部省におきまして、平成二十七年度から、各都道府県、政令指定都市におきまして、特別支援学校を含めましたスポーツ関係者と障害福祉関係者が連携・協働体制を構築して相互に一体となって障害者スポーツ推進する、地域における障害者スポーツ普及促進事業を実施することといたしております。今後、二〇二〇年オリンピックパラリンピック東京大会開催を見据えまして、特別支援学校におけるスポーツ活動の促進などによりまして、地域において障害者の方々スポーツに親しめる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
  66. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 是非とも、今おっしゃった取組推進お願いをしたいと思います。  最後に、スポーツ計画の更なる発展について、またスポーツ庁の司令塔機能強化について伺いたいと思います。  我が国スポーツ政策基本スポーツ基本計画が既に策定をされておりますが、スポーツ庁設置を機に各省庁の事業を横串で刺し、国家としてのスポーツ政策を更に推進をするために、現状基本計画を更に発展をさせてスポーツ庁の司令塔機能を発揮させるべきと思います。大臣の御所見をお願いをいたします。
  67. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 現行のスポーツ基本計画は、中教審の審議を経まして、平成二十四年三月に平成二十八年度までの五か年間の計画として策定したものであります。  スポーツ庁は、新たにスポーツに関する基本的な政策の企画立案、推進スポーツに関する関係行政機関の事務の調整に係る事務を行い、スポーツに関する司令塔的な機能を発揮することとしております。スポーツ庁設置によりまして、政府として、スポーツを通じた健康増進地域活性化国際的地位向上など多面にわたるスポーツ役割を一層高め、スポーツを通じて社会を発展させていくための施策を総合的に推進していくこととしているところであります。こうした施策の計画的な推進に向けまして、スポーツ審議会における幅広い御意見なども踏まえながらスポーツ基本計画の在り方についても検討を進めてまいりたいと思います。
  68. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 終わります。ありがとうございました。
  69. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 委員会は午後一時に再開することとし、休憩をいたします。    午前十一時四十一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、文部科学省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 柴田巧

    ○柴田巧君 維新の党の柴田巧です。  先ほどからも、午前中もいろいろ議論がありましたように、関係府省の司令塔的な役割を果たして、スポーツによる健康増進地域活性化や、そして国際的な地位の向上を図ると、そのためにスポーツ庁設置するということについては基本的に賛同するものですが、その上で、では、それによってどう具体的にこのスポーツ施策が一体的、総合的に展開をされていくのか、確認の意味も含めてお聞きをしていきたいと思います。特に競技力の向上であったり、スポーツを通じた国際貢献ということを中心にしながらお聞きをしていきたいと思いますが、この前のロンドン・オリンピックは、史上最高の三十八個だったと思いますがメダルを取りまして、多くの国民に感動を与えたところですが、記憶にまだ新しいところですけれども、これもいわゆるナショナルトレーニングセンターなどを整備をしてきたというのもありますし、やはり非常に効果的だったのは、いわゆるマルチサポート体制が整備をされてきたからなんだろうと分析をしております。  やはり世界の強豪国に競り勝ってメダルを獲得をしていくというためには、また、その競技者が最高のパフォーマンスを発揮するというためには、アスリート支援を多方面にわたって包括的にやっていく、あるいはいろんな最先端技術を用いて研究開発をいろいろ進めていくということが大事なんだろうと思います。現代においては精神論ばっかりではなくて、あるいは強化合宿ももちろん重要ですが、それに加えて、今申し上げたようなスポーツ医科学の活用をして、例えば栄養のサポートであったり、心理サポートであったり、コンディショニングのサポートであったり、あるいは動作分析、ゲーム分析などなど、こういったスポーツ医科学を十分に活用していくということが大事でしょうし、いろんな情報を活用してトップアスリートが試合に勝つための必要なサポートをしていくということが大事だと思います。  情報といえばその分野に入るんでしょうが、またスポーツインテリジェンスというのもこれからもっともっと重視をする必要があるんではないかなと思っていまして、つまり、相手選手やチームについて、あるいは試合環境、またそれらの人たちが相手チームはどういう器具を用いているのか、こういったものを徹底的に調べたり、あるいはライバル国と言われる人たち強化策を評価分析をして、今度は自分たち強化策に新たなものをつくっていくと、そういうスポーツインテリジェンスもこれから非常に重要だと思っていますが、それらも含めていろんな情報戦略も大事でしょうし、また先ほども申し上げたように、競技用具や専用のトレーニング器具、あるいは疲労回復方法等々の研究開発を進めていくということが大事だと思います。  いずれにしても、そういうトータルサポートが求められる時代になったと思いますが、このスポーツ庁というものができて、こういうマルチサポート体制、どのようにこれから充実強化をしていこうと考えているのか、お聞きをしたいと思います。
  72. 久保公人

    政府参考人久保公人君) スポーツ医科学や情報戦略等を活用しましたアスリート支援に関しましては、文部省といたしましては、メダルの獲得が期待されます競技を対象として多方面から専門的かつ高度なサポートを実施するマルチサポート事業におきまして、強化合宿競技大会でのコンディショニング、動作分析、情報収集、栄養、心理など各分野の専門スタッフによりますスポーツ医科学、情報等を活用したサポートや大学や研究機関、民間企業、競技団体等が連携協力体制を構築し、選手専用の競技用具やウエア、シューズを始め、日本選手の弱点を克服、強化するための専用トレーニング器具、コンディショニングや疲労回復方法等の研究開発を実施してきているところでございます。  今年度、平成二十七年度予算におきましては、マルチサポート事業の取組等の評価、改善を行います強化戦略アドバイザーの新たな配置や研究開発の充実等を図りますために対前年度約二・七億円増の三十一億円を計上したところでございます。  今後におきましても、引き続き、トップアスリート指導者等のニーズを踏まえまして、競技団体等と密接に連携協力してマルチサポート体制充実強化に努めてまいりたいと思っております。
  73. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございます。  せっかく我が国は最先端技術を有しているわけですから、そういったものを十二分に活用してこのマルチサポート体制をもっと充実強化をしていただきたいと思いますし、今特に御答弁ありませんでしたが、スポーツインテリジェンス、こういったこともしっかり頭の中に入れていただいて、トータルサポートできるようにもっと工夫を、努力をしていただきたいと思います。  今ほど申し上げたことと関連をするのですけれども、やはりそういう競技力の向上を図っていく上で、二〇二〇年の東京オリンピックのみならずその後もにらんで競技力の向上をさせていくためにも、いわゆるスポーツ研究のイノベーションというものが必要なんだろうと思っております。そのためにも、スポーツといろんな、今申し上げましたけれども、いろんな関連諸科学といいますか異分野の融合を図っていくということが、新たな研究領域を形成していくということが競技力の向上であったり地域や国全体の活力を生み出していくということにもなると思いますし、あわせて、そういう分野の、そういう領域の若手の研究者をやっぱり育てていくということが大事だと思いますが、こういうスポーツ研究の推進であったり若手研究者の育成、どのように努めていくか、お聞きをしたいと思います。
  74. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 二〇二〇年東京オリンピックパラリンピックあるいはそれ以降の競技力向上に向けまして、スポーツにおける独創的で革新的な研究の推進、さらに若手研究者を育成していくことは大変重要であると認識しております。  このため、文部省におきましては、スポーツと異分野の融合による独創的で革新的な研究や地域、組織の特性を最大限に生かした斬新な研究などと次世代の中核を担う優秀な若手研究者を育成する取組を一体的に行う機関を拠点として指定いたしまして、その取組支援するスポーツ研究イノベーション拠点形成事業を今年度から新たに実施することといたしておりまして、一億円を計上しているところでございます。  今後におきましては、これらの取組推進しますとともに、我が国スポーツ医科学研究の中枢機関であります国立スポーツ科学センター、JISSとも連携しながらスポーツ医科学研究の推進や若手研究者の育成に取り組んでまいりたいと思います。
  75. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、今申し上げた点、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  さて、ちょうど統一地方選挙、もうこの前で終わりましたが、今大阪は大阪でまた激しくやっておりますけれども、スポーツ世界も選挙や投票とは無関係ではなくて、先般、国際サッカー連盟、FIFAの理事選挙で、日本サッカー協会の田嶋副会長さんですかね、前回は涙をのまれたんですが、二度目の挑戦で初当選をされました。しかも、二位以下に十票以上の差を付ける大差でのトップ当選ということだったんですが。  国際競技連盟に役員がいるかどうか、我が国から、要職に就いているかどうかというのは本当に非常に大きな意味を持つと思っております。例えば成績に直結するルールの改正がそうでありますし、審判の選出等の決定にやっぱり関われるか関われないかって非常に大きいことだと思いますね。それから国際的な大会招致、そういった面で、もしいなければ様々な不利益を被るということがあるわけです。  しかし、五輪の競技国際競技連盟三十五あると聞いていますが、会長職はほとんど欧米の人たちで占められていますし、約六百近くある役員の、六百五十かな、六百五十ある役員のうち日本人は今のところ十八名しかいないということで、こういうことでは東京オリンピックに向けた競技力の強化に影響を及ぼしかねないと思っております。これまでもやはり日本人の理事などがいないところで日本人に正直不利なルール改正などが行われてきたというのはどうも否めないところだと思っておりまして、そういう意味でもこの国際競技連盟の中枢に日本人の関係者がいるのは本当に意味あることだと思っております。  特に、二〇一五年、一六年には集中的に国際競技連盟の選挙があるというふうに聞いておりますが、そこに向けてこの選挙の支援あるいはロビー活動はもとよりですが、ある意味長期的な視点に立って、そういう国際スポーツ人材というのか、この養成をしていく、育成をしていくという視点がやっぱり大事なんだろうと思います。  そのためには、若い段階から、国際交渉の能力であったりあるいは人的ネットワークであったり、あるいは日本の団体の、あるいはアジアの競技団体の経験をさせていくといったような経験も踏ませていかなきゃならぬと思いますが、いずれにしても、国際競技連盟の理事の獲得に向けてどういう支援体制を取っていくか、また、若い段階から人材養成にどのように戦略的に努めていくのか、これは大臣にお聞きをしたいと思います。
  76. 下村博文

    国務大臣下村博文君) この件の認識は、柴田委員のおっしゃるとおりであると思います。  さらに、二〇二〇年東京オリンピックパラリンピック競技大会含め、国際的な舞台日本選手が十分に力を発揮、活躍するためには、そういう視点から、つまり国際競技連盟、IF等における日本人の役員の数を増やして、そしてスポーツ界における我が国の発言力を高める。  また、国際的なルール作りについても、日本人の得意分野の競技スポーツ日本の役員が入っていない中で決定、変更されるというようなことがあってはならないわけで、過去もそういう事例がありましたから、そういう意味での国際的なルール作り、逆に積極的な参画することによって決定過程についてはしっかり主張するということが必要であると思います。  このため、二〇二〇年に向けてIF等における日本人役員を増やすことを目指して、三月に外務省を始めとする関係省庁やJOC等の関係団体が参加するスポーツ国際戦略連絡会議設置いたしました。スポーツジャパン、これについては、オールジャパンの体制でIF等の役員ポスト獲得に向けて選挙活動支援等取り組んでいきたいと考えております。  文科省としても、国際情報戦略強化事業を今年の予算の中で新たに計上いたしまして、IF等の役員ポスト獲得や国際スポーツ人材の育成支援を進めるようにしたところでもございます。具体的には、国際競技大会国際会議等の機会を活用した役員選挙活動に対する支援を行う、また、国際的なスポーツ人材を育成するための若手人材のIF等への派遣等を行うこととしております。  二〇二〇年に向けましてスポーツ界の体制強化のため官民が緊密に連携し、オールジャパン体制の中でしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  77. 柴田巧

    ○柴田巧君 これまでこの面において非常に日本は弱かったと思います。積極的に理事を送り出すべく、あの手この手でしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、それがまた日本競技力の向上にも必ずつながるものと確信をしております。  さて、改めて言うまでもなく、スポーツというのは人々の心を動かして、健康の維持や、その増進を通じて人々の生活の質を上げるというのはそのとおりでありますし、そういうスポーツによる国際貢献というのは日本人に対する親近感や信頼を醸成させていくものでもあろうかと思います。先ほどからも、午前中もスポーツフォー・トゥモローの話もありましたが、やはりスポーツ庁ができることによってもっともっと、司令塔ができるわけですから、スポーツによる国際貢献を積極的にやっぱり進める機会に是非すべきだと思っています。  例えば日本から派遣をして体育のカリキュラムを策定をしたりするお手伝いをしたり、いろんなスポーツ大会開催支援をしたり、逆にあちらから日本に来ていただいて、先ほどのスポーツ研究の話もありましたが、大学や大学院などでそういうスポーツに関わる学問を勉強していただく、あるいはいろんな研修をしてもらうということなどなどスポーツを通じた国際貢献日本はまだまだやれるところがあると思いますし、やることによって大変国際的な地位を上げることにもなると思います。  そこで、このスポーツ庁ができることによって国際貢献スポーツによる国際貢献、どのように進めて具体的にいくのか、大臣にお聞きをしたいと思います。
  78. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 御指摘のように、このスポーツフォー・トゥモローは、外務省等と協力をして、二〇二〇年まで、開発途上国を始めとする百か国一千万人以上を対象に、あらゆる世代にスポーツの価値とオリンピックパラリンピックムーブメントを広げていくことを目的、目標としております。  昨年八月には文科省と外務省が中心となりましてコンソーシアムを設立し、NGOや国内の競技団体等とも連携しつつ、オールジャパンでスポーツフォー・トゥモロープログラム推進をスタートさせました。スポーツ庁におきましても、スポーツに関する関係行政機関の事務の調整に関することが新たな所掌事務として加わるということになりますれば、既存の枠組みを生かしつつ、諸外国協力要請に対して迅速かつ的確な対応が行えるよう、外務省を始めとする関係団体との連携強化してまいりたいと思います。  キックオフイベントとして、来年、リオオリンピックパラリンピックが終わった後、秋にスポーツ文化ワールドフォーラム日本開催する、そのときのメーンの一つとしてスポーツフォー・トゥモロー国際会議を開くことによって、ここから世界百か国一千万人に更に貢献できるような、それを日本の中でしっかり発信をしてスタートしてまいりたいと思います。
  79. 柴田巧

    ○柴田巧君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、いずれにしても、先ほど冒頭に申し上げましたように、一体的、総合的に施策が展開できるように期待をしたいと思いますし、また、厳しくもまた見ていきたいと思います。  時間が来ましたので終わります。
  80. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  スポーツ庁設置により、広く国民がスポーツに親しめる環境の整備や競技スポーツの健全な発展に寄与する施策が前進していくことを期待をいたしまして、私もこの法案には賛成です。  このスポーツ庁スポーツ基本計画の実施に直接の責任を持つことになると思いますが、この基本計画の中で私が違和感を持たざるを得ないのが、二〇二〇年東京オリンピックで金メダルランキング世界三から五位を目指すとしていることなんです。  日本選手競技力向上支援トップアスリートへの直接の支援、これが重要だということは私もそう思います。しかし、当然のごとく、オリンピックは国のメダル獲得合戦ではないわけで、国が政策目標としてメダル獲得数というのを掲げれば、それは競技団体や選手への押し付け、あるいは勝利至上主義のゆがみというものをスポーツ行政にもたらしかねないのではないのかと危惧をしますが、大臣、いかがでしょうか。
  81. 下村博文

    国務大臣下村博文君) スポーツに関する施策関係団体と一体となって総合的かつ計画的に推進していくに当たりまして、施策の評価を改善サイクルに結び付けるためにも客観的な到達目標を設定することは重要であると考えます。このため、文科省平成二十四年三月に策定したスポーツ基本計画におきまして、国際競争力の向上に向けた人材の養成やスポーツ環境の整備の政策目標として、オリンピックパラリンピック競技大会それぞれの金メダル獲得ランキングについての目標を掲げたところであります。  これらの目標については、しかし文科省だけで独善的に決めたわけではなく、競技団体の意向や中教審での議論を踏まえて設定したものでありまして、競技団体や選手等の意向も十分反映されたものというふうに認識しております。
  82. 田村智子

    ○田村智子君 例えば二〇二〇ターゲットエイジ育成・強化プロジェクト、今年度からの新規施策で十三億七千万円が計上されているんです。これ、二〇二〇年に二十三歳から二十七歳になる若い年代のタレント発掘、育成、強化を掲げたもので、これ自体は競技力向上支援だと思います。しかし、予算説明の資料を見ますと、二〇二〇年東京大会で金メダル二十五から三十個、総メダル数七十から八十個を獲得するとして、日本人が本来得意とする競技種目で将来メダル獲得の可能性のある競技種目をターゲットにするということまで柱とされています。  競技団体や選手が自主的な目標としてメダルに言及すると、これはあることだと思います。国民が日本選手の活躍を期待をしてメダル獲得を是非と、こう期待するのも当然のことだと私は思います。しかし、国がメダル獲得ができるかどうかということを予算配分の指標とするようなことはスポーツの自主性を阻害しかねないし、スポーツ庁設置に向けた検討の中では、競技スポーツへの補助金や予算の配分を独立行政法人日本スポーツ振興センターが一元的に行うという案も一度は示されたわけで、これはJOCと加盟競技団体が猛反対して撤回されるという経過もあったというふうに聞いております。  ですから、競技力向上施策、補助金や予算、これはスポーツ庁競技団体との関係、これはしっかり取っていかなくてはいけないというふうに思いますので、競技団体の自主性の尊重、これどのように担保されるのか、これも大臣にお伺いしたいと思います。
  83. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 今後の選手強化につきましては、資金配分も含め、メダル獲得数の向上のためしっかりとした戦略を立てるということは、これは必要だと思います。このため、競技力向上事業におきまして、引き続きスポーツ団体と十分意思疎通を図りつつ、今年度から戦略性を持った選手強化となるようPDCAサイクルを強化することといたしました。  具体的には、文科省においてはJSCやJOC、JPC等の関係者も加わった競技力向上タスクフォースを設置し、戦略性を持った基本的な強化、配分方法の作成と事業後の全体評価等を行い、そしてこの方針に基づきましてJSC、JOC、JPC等が、それぞれ我々とも連携を図りながら、競技団体への選手強化費の配分及び事業評価等を行うということにしております。  文科省としては、今後とも、このようなスポーツ界のそれぞれの関係方々の意向をきちっと踏まえながら選手強化事業の実施に努めてまいりたいと思います。
  84. 田村智子

    ○田村智子君 これは是非スポーツ庁設置が、国がメダル獲得ばかりの旗を振るようなことにならないようにということを強く要望しておきたいというふうに思いますし、やっぱりトップアスリートへの支援というのは、午前の議論でもありましたけれども、競技に集中できる環境をいかにつくるかということとか、あるいは引退後の活躍の場や生活保障をどうするかという多面的で長期的な視野での支援策こそが求められているというふうに思います。  このことに関連して、障害者スポーツトップアスリートへの支援についても一問お聞きします。  二〇一二年、日本パラリンピアンズ協会、PAJがパラリンピック選手に行ったアンケート調査では、ほぼ毎日練習時間が取れると答えた選手は三割強にとどまり、週一日から二日という選手が一割を超えていました。やはり様々な環境整備障害者スポーツの分野で非常に立ち遅れているということが表れていると思います。  この調査の中で、選手が苦労していることを挙げる欄があるんですが、最も多い、断トツに多いのが、やはり費用が掛かるということなんですね。選手の自己負担、これは海外への遠征なども含めてだと思いますが、平均で年間百四十四万円、六割以上の選手が年間百万円以上の自己負担をしています。選手の費用負担を軽くするという施策は急務だと思います。  また、ナショナルトレーニングセンター、国立スポーツ科学センターをオリンピック強化選手と共同で利用できるようにしてほしいという要望も強く出されています。  スポーツ庁競技力向上課は、障害者スポーツトップアスリートへの支援も担当することになりますが、こうした要望に応える予算や施策、大きく拡充が図られるのでしょうか、局長
  85. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 二〇二〇年パラリンピック東京大会等に向けまして、今後、パラリンピック選手選手強化活動に対する支援を様々な方策で充実していくことは極めて重要だと思っておりまして、JPCからもいろんなニーズを聞いた上で予算措置に取り組んできているところでございます。  まず、各競技団体で行われる大会遠征や強化合宿の実施、専任コーチの設置などに必要な経費を配分します競技力向上事業につきまして、対前年度比三億円増の十一億円を計上したところでございます。さらに、パラリンピック選手等は、ナショナルトレーニングセンターや国立スポーツ科学センターの利用希望が高いという御指摘いただきました調査結果も踏まえまして、ナショナルトレーニングセンター及びJISSの共同利用に向けて、日本スポーツ振興センター、日本オリンピック委員会日本パラリンピック委員会文部科学省等を構成員といたします連絡協議会を設置しまして、共同利用の仕組みなどについて協議を進めてきております。  このほか、パラリンピック選手の集中的、継続的なトレーニングの実施を支援しますために、本年二月から、トライアル実施として初めて自転車につきまして既存施設をNTC競技強化拠点として指定いたしまして、平成二十七年度予算ではこれを十三拠点に拡充するための経費を計上しておりまして、トレーニング機器等の環境整備強化合宿、医科学サポートの実施など、拠点施設を活用した事業を本格的に実施する予定といたしております。  パラリンピック選手が自らの障害と向き合いながらひたむきに挑戦する姿は、人々に大きな夢と感動、勇気を与えるものでございます。今後も、より一層パラリンピック選手への支援に努めてまいりたいと考えております。
  86. 田村智子

    ○田村智子君 一層の予算の拡充を要望したいのと、やはり障害者スポーツトップアスリートというくくりをしっかりつくることが、私、大切だと思っていて、ナショナルトレーニングセンターも、一時期は別建てで障害者スポーツトップアスリートだけが使えるような施設という議論もあったとお聞きをしていて、ここに大変障害者のアスリートの皆さんは反発をしたわけですよね。やっぱりそうじゃない、トップアスリートとしての共同利用が必要なんだと。やっぱりここが、是非施策充実することを重ねて求めておきたいと思います。  次に、私も運動部活の問題、取り上げたいと思います。  学校体育運動系の部活動、これは学校教育の一環だけれども、文部科学省外局であるスポーツ庁が所管をすることになると。この点については、私は、今後も議論が必要だということは一言述べておきたいというふうに思うんですね。  この部活動、中学や高校の教員の多忙化や長時間勤務の大きな要因となっています。全日本教職員組合青年部が主に二十代から四十代の教職員を対象に昨年行ったアンケート調査、回答数約一千二百ですけれども、これ見ますと、土日のどちらかが仕事というのが四四・二%、土日共に校務に関わる仕事をしている、二八・八%と。自由記述には、部活動で全く休みがない、部活動の負担が余りに大きい、こういう記述が多数見られました。  部活動顧問の教員の時間外勤務というのが、これが常態化をしていて、休みも取れないという実態が広範に生じている。ところが、これは教員の熱意の問題にされてしまって、解決が事実上棚上げされているのが実態だと思います。  スポーツ庁としてこの問題にどう取り組んでいくのか、局長お願いします。
  87. 久保公人

    政府参考人久保公人君) スポーツ庁におきましても、学校体育運動部活動を担当いたしますために、今御指摘いただいたような問題についても真摯に取り組んでいくつもりでございます。  学校教育の一環として行われる運動部活動は、生徒にとってスポーツに親しむとともに学習意欲の向上、あるいは責任感、連帯感の涵養等に資する重要な場であると思っております。一方で、中学校等の教員を対象とした調査によれば、我が国の教員は諸外国に比べ課外活動指導時間が長いという結論も出ておりまして、負担に感じている教員がおられるということについても承知しております。  運動部活動の運営につきましては、学習指導要領の中でも、地域学校の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすることとされております。  これを踏まえまして、文部科学省では、平成二十五年度に運動部活動指導ガイドラインを定めますとともに、運動部活動指導の工夫・改善支援事業におきまして、外部指導者の活用などによる効果的、計画的な指導体制の構築に向けた取組支援を行ってきております。  さらに、現在、これらの学校教育を担う教職員やチームとしての学校在り方につきまして中央教育審議会に諮問して、運動部活動での指導体制も含めて学校組織全体の総合力を一層高めるための方策について審議いただいているところでございます。  スポーツ庁設置後におきましても文部科学省連携を行いまして、中央教育審議会の審議や実践的な取組の結果なども踏まえながら、外部指導者の活用など、運動部活動充実していくための取組を進めてまいりたいと考えております。
  88. 田村智子

    ○田村智子君 教員の問題だけではないんですね。休養日のない練習や試合は、肘や肩などの故障、疲れて授業に集中できないなど、生徒の成長発達にも影響を与えているのではないかと。そういう調査をしていないのかというふうにスポーツ・青少年局に聞きましたら、一九九七年、平成九年に、中学校、高校、それぞれ百校を対象とした中学生・高校生のスポーツ活動に関する調査研究協力会議の報告、これが最新だということでした。  この調査を見ると、中学校で一割近く、高校では一割を超えて、週七日部活動指導があると、これは教員が回答しています。生徒の悩みでは、疲れがたまる、中学で二八・九%、高校で三二・八%。また、スポーツ障害の経験の有無、中学三年生で二〇・八%、高校三年生で三〇・五%が経験があると回答をしています。この調査の考察としては、第一項目で活動量の問題が挙げられていて、行き過ぎた活動量は、生徒の心身に疲労を蓄積し、スポーツ障害の要因となるのみならず、その学校を卒業すればそのスポーツは行わないというバーンアウト、燃え尽きの一因ともなると考えられると、こういう指摘もされています。  この調査から二十年近くが経過していて、心身の疲労、スポーツ障害など看過できない生徒に起きている問題の解決のため、どのような取組が図られたのでしょうか、簡潔にお願いします。
  89. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 今御指摘の調査を踏まえまして、まず、平成十一年には「みんなでつくる運動部活動」を作成しまして、この中で、例えば質、量ともにバランスが良く、ゆとりのある運動部活動についての検討、あるいはオフシーズンを設けて生徒のスポーツ障害や燃え尽きを予防するなどの工夫を促してきております。さらに、二十五年に取りまとめました運動部活動での指導のガイドラインにおきましても、成長期にある生徒のスポーツ障害や事故防止、また心理面での疲労回復のため、年間を通じた計画的な指導プログラムの設定や休養日の設定について促してきているところでございます。
  90. 田村智子

    ○田村智子君 促しているというのは確かにいろんな文書の中で表れているんですね。しかし、それで解決というか、改善が進んでいるのかという、フォローアップ的なものはやられていないというのが、私もいただいた資料を見てみて、これは実態だというふうに実感いたしました。  長野県教育委員会、昨年二月、中学生期のスポーツ活動指針というのを示して、平日に一日、土日に一日の休養日を設定する、休日の練習は午前、午後にわたらないようにするなどを示し、各学校取組の実態も調査しています。沖縄県教育委員会、昨年十月、小中学校に平日の週一日を部活動の休養日とするよう求め、熊本県教育委員会運動部活動指導の手引きを今年三月に改訂して、一週間の練習日は五日以内を原則とし、土曜日、日曜日のいずれかを休みとするなどを示しています。  これらはやはり事態の深刻さを受けて踏み込んだ判断を教育委員会がされているということの表れだと思います。専門家の方からは、優秀な選手であっても十代で一種目に特化せず、広くスポーツに親しむということが身体のバランスの取れた成長をもたらすんだと、こういう指摘も行われています。  大臣に伺いたいんです。これは強豪校と言われるところも含めて、やっぱり学校での部活動選手の成長に主眼を置いて、休養日を取るなど適切な運用、これが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  91. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 確かに一生懸命やれば全てうまくなるということではなくて、やっぱりスポーツ庁設置されれば、スポーツ医科学的な観点から、また科学的な観点から、より子供にとってベストな状況はどうなのかということについてはしっかりと検証すべきだと思います。
  92. 田村智子

    ○田村智子君 私も、この間、スポーツ議員連盟の学習会など参加してきましたけれども、やっぱり川淵三郎氏は、アメリカのオリンピック選手を対象とした調査を見ると、一流選手も早期思春期までには多様なスポーツに取り組んでいる、十代後半から競技を絞り込んでいくんだ、こういうことが言われている。  私も、運動部活動での競技力の向上、これは子供や保護者の要求だというのはよく分かります。一方で、今、上手じゃないけどバレーやサッカーをやりたいという子供たちがはじき出されていないか、あるいは強豪校と言われるところで、百数十名、二百名という部員を抱えて、果たして選手一人一人が本当に運動に参加できているのか、こういった問題が多々あると思います。是非、実態調査、それから学校関係者や専門家、競技団体含めて、学校部活動在り方の協議、検討を進めていただくことを求めまして、質問を終わります。
  93. 松沢成文

    ○松沢成文君 次世代の党の松沢成文でございます。  私も昨年の委員会から、このスポーツ庁設置については早くした方がいいということで何度か質問しておりますので、法案にも賛成の立場からですが、ただ幾つか不十分な点もあるので、質問をさせていただきたいと思います。  ちょうど一年前の、昨年の四月三日に当委員会のこの一般質疑で、スポーツ庁をどういった理念でつくり上げていくのかということを私は大臣質問いたしました。その際、大臣はこうおっしゃっているんですね。文科省の中にあるスポーツ・青少年局を外局にしてスポーツ庁設置するのであればそんなに難しい話ではないが、そうではなく、スポーツ基本法理念スポーツ施策の付加価値が最大限高められるように、権限と機能を集中できるような体制にしなければならないと、こう言っているんですね。  ただ、結果として、今回上がってきた法案は、文科省外局としてスポーツ庁設置されて、ほとんどの事業もあるいは予算も、他省庁スポーツ関連の事業予算から移管はされてないんですね。この結果を見ると、私は大臣の描いていた目標からすると極めて不本意なスポーツ庁設置法案になっているんじゃないかと言わざるを得ないんですね。そこをまず大臣がどう考えるかが一点です。  それと併せて、先ほども小さく産んで大きく育てるんだとおっしゃっていました。まあ最初はこれでスタートするけれども、日本スポーツ振興に向けて、スポーツの総合的な行政推進母体としての組織にしていくために、どんな視点からこのスポーツ庁を育てて、大きく、大きくというか、サイズだけじゃないですね、中身の濃いものにしていくのか、この二点、まずお伺いしたいと思います。
  94. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 御指摘のように、私は、スポーツ庁設置に当たりまして、単に文科省のスポーツ・青少年局をそのまま庁に格上げするのではなくて、政府全体としてスポーツに関連する施策を総合的に実施できる体制を構築することが必要であると考えてまいりました。  このような考え方の下にスポーツ庁在り方を検討、調整したところ、他省庁スポーツ関連業務は、いずれも、それぞれの任務の観点からスポーツ以外の分野と一体的に行われているものであり、スポーツ部分だけを取り出して移管することはできないということから、事務の移管はしないことといたしました。  ただし、今回のスポーツ庁設置に先行して、平成二十六年四月からは、従来、厚労省が所掌しておりました障害者スポーツに関する事業のうち、パラリンピックなどのスポーツ振興観点からの事業として整理できるもの、これは文科省に移管をし、スポーツ行政の一元化を図ってきたところであります。  一方、今回、文科省の所掌事務として新たに、スポーツに関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、また、スポーツに関する関係行政機関の事務の調整を規定をし、スポーツ庁関係省庁の司令塔的な機能を果たすことができるようにいたしました。  さらに、スポーツを通じた健康増進地域活性化国際的地位向上に向けた施策スポーツ庁において推進していくことができるよう、関係省庁との連携強化し十分な体制を確保するため、七府省から計二十三名の定員スポーツ庁に再配分することといたしました。  これが小さく産んで大きく育てるということにもつながってくるかとは思いますが、このスポーツ庁というのは、スポーツ立国を目指す、そして、先ほどからも答弁しておりますが、例えば医療費の、生活習慣病七・七%、金額にすれば三兆円ぐらいはスポーツをきちっとすることによってコストダウンすることができる。しかし、実際に三兆円も要らない。その百分の一のスポーツ予算しか今まで掛かっていないわけですから、相当、百分の一とは言いませんけれども、しかし何十分の一かのスポーツ関係の予算を増額するだけでその百倍近くの成果、効果が上がるようなこと、これは一体的に取り組むことができるのではないかということを、今後、国民の皆さんに理解が得られれば、単に省庁の肥大化ではなくて、これは歳出のコストダウンにもつながってくると、こういう視点から、このスポーツ行政を総合的に実施できる体制が格段に強化できるまずスタートに立ったということでこの法案を出させていただいたという経緯がございます。  こういう視点から、国会で成立をさせていただければ、しっかりスポーツ庁がこれから国民に大きく貢献できるような体制整備に向けて更に努力してまいりたいと思います。
  95. 松沢成文

    ○松沢成文君 その方向で頑張っていただきたいと思います。  二点目に、この五輪に向けた選手強化費の配分についてお伺いしたいと思います。  本年二月に開催された文科省競技力向上タスクフォースの初会合では、一五年度以降の強化費は、文科省傘下の独立行政法人スポーツ振興センター、いわゆるJSCで一元化して管理することが決定されました。タスクフォースが選んだ有望種目の重点的な支援は戦略的強化位置付けて、この費用はJSCから直接競技団体に渡ることになります。しかし、その一方で、合宿だとか海外遠征、専任コーチの設置など基盤強化のための費用は、JSCから日本オリンピック委員会、JOCを経由して各団体に配分されるということになりました。  実は、国会の方のスポーツ議連のプロジェクトチームは、オリンピック委員会とは別の政府系組織が強化費用を配分する、イギリスなんかはそうやっているらしいんですね、イギリス方式などを参考にして、新しい独法、つまりJSCを改組して新しい独法をつくってそこから競技団体に直接配分する案をまとめていましたけれども、当然今までのやり方でやってきたJOCがこれに強く反発したわけですね。  この案は、そもそもJOC傘下の団体で助成金の不正受給だとかあるいは不適正な経理が相次いで発覚したことから、JOCの関与を弱めて文部省自らに多額の公的資金の使途について透明性説明責任を担保させようとしてこの案を作ってきたんだと思います。独法であるJSCの運営交付金の配分の話なので、その内訳はまだ公表されていませんが、強化費の総額が六十三億のうち、戦略的強化費が十二億、基盤強化費が五十一億となる見込みだと私は聞いています。  そうなると、結局は総強化費の八割もがJOCが窓口になって配分されることになり、配分時の審査などでも一定の権限がJOCに残ることになります。オリンピック委員会から独立した組織を通じて直接競技団体に配分するというイギリスなどの方式とは全く異なるものになってしまいますけれども、大臣はこの辺りを、私は改革というよりもJOCと文科省の協議の中で足して二で割ったような案になってしまっていますが、大臣はこれでよろしいんでしょうかね。いかがお考えでしょうか。
  96. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 選手強化については、今後とも国として戦略的に進めていく必要があります。同時に、競技団体における適正な経理処理を含めたコンプライアンス体制強化も大変重要であります。このため、競技力向上事業におきましてJSCに資金を一元化する、そして、これは要するに不正経理等がきちっとチェックできるような形を取ると。一方で、文科省競技力向上タスクフォースを設置し、戦略性を持った基本的な強化、配分方針の作成及び事業後の全体評価を行うことといたしました。  このJSCに資金が一元化されたということと、それから一方で、どこの競技団体が、不正はクリアできたとしても、どのような選手がいてどれぐらいこれから国際社会の中でそれぞれの競技団体が伸びていくかということは、やはりJSCではよく分からない部分があります。JOCがきちっと入ることによって、それぞれの競技団体がどのような選手の育成をしながら力を入れるかという意味では、やはりJOCの意見をきちっと尊重しながら配分をすると。つまりJOC経由で競技団体に配分される強化策、これをJSCが確認できる仕組み、こういうことをすることによって戦略性を持った選手強化になるということと、それから経理の一層の適正化にもつながるということで、足して二で割るということではなくて、トータル的なバランスの中ではやはりこのような仕組みが一番適切ではないかというふうに判断したところであります。
  97. 松沢成文

    ○松沢成文君 もう一点、このタスクフォースではこの三月に、三十個前後の金メダルを獲得することを目標にして、メダル獲得が有望な二十一競技の種別、種目を重点競技種目に設定をいたしました。この重点競技種目は、若手有望選手の数、競技力、直近の五輪二大会の成績を分析して選定し、年度ごとに見直すとのことであります。  さらに、先月の二十日には、文科省は、今年度の世界選手権など主要国際大会で各競技が目指すメダル数、入賞者数などの目標設定を取りまとめています。そこでこの目標に向けた強化計画と達成度をチェックして効果的に配分するとの方針も示しています。このほかにも、競技団体の組織運営の健全性も配分を決める際の評価対象になることも明らかにされています。  大切なことは、この配分を決める際には、先ほどのような客観的なデータを示しているわけですから、このデータをしっかりと公表して、それで配分額の決定に至る過程の透明性というのを確保しなければ、これ競技団体のみならず国民全体の理解を得ることができないと考えますが、もちろん、先ほど田村委員の主張のとおり、オリンピックはメダル獲得だけが目標であってはいけないと思います。オリンピックをやることによって様々な価値を生まなきゃいけないと思いますが、ただ、やっぱり日本開催国が活躍して、メダルも獲得して頑張っているというのが一番国民の皆さんも喜びますし、そのために選手強化は私は重要だと思うんですが、その配分の透明性がないと、また私は大きな不信感を呼ぶと思うんですが、これについては大臣いかがお考えでしょうか。
  98. 下村博文

    国務大臣下村博文君) それはおっしゃるとおりだと思います。競技団体の選手強化費の配分、これは透明性、公平性を確保するということが最も大切だと思います。  このため、文科省設置した競技力向上タスクフォースにおきまして、各競技団体の選手強化費の配分の際の審査の観点などについて公表しております。これは、例えば有望選手がどれぐらいいるのか、それから選手強化計画としてのプログラムはどの程度きちっとできているのか、あるいは成績、パフォーマンスとしてどれぐらい出そうなのか、またガバナンス体制等、組織体制がきちっとできているのかどうかと、こういう観点から、競技ごとに世界選手大会の入賞者数などの重点業績評価指標、KPIを設定し、その結果を翌年度の配分額に反映することとしておりますが、このことについても公表しております。  文科省としては、今後の議論や資料についても原則公表していくというふうなスタンスで強化費の配分額の決定、それから透明性の確保に努めてまいりたいと思います。
  99. 松沢成文

    ○松沢成文君 よろしくお願いします。そこは重要だと思います。  最後に、五輪に向けた選手育成環境の整備に関連して、小学校、中学校、高等学校における公欠の取扱いについて、昨年もお聞きしましたが、もう一度確認をしていきたいと思います。  現状では、各競技団体が主催する強化合宿に生徒が参加する際に、小中高校がいわゆる公欠扱いにするか否かの判断は各学校学校長に委ねられています。しかし、これでは地域によって不公平な取扱いとなってしまう可能性があります。  そこで、昨年三月の当委員会において、私は、日本代表やそれに準ずる関東や関西といった地域を代表するような選手であれば、各競技団体からの申請手続で公欠にする、あるいはこうした合宿学校教育活動の一環として指導要録上、出席の扱いとするようなガイドラインを整備すべきではないのかという質問をいたしました。これに対して大臣は、今後、参加形態や地域差、それから過去の事例、教育上の意義や学校教育活動との関連等を考慮しながら、学校における公欠や出席の取扱いについてどのような工夫ができるのか、改めて各都道府県教育委員会、そして競技団体、また大会組織委員会等と連携しながら検討していきたいと、このように答弁しているんですね。  あれから一年余りたっています。その検討状況は今どうなっているんでしょうか。これ、早く検討してしっかりとガイドラインなり仕組みをつくってあげないと、オリンピックにも間に合いませんし、また、今後の日本選手強化にも様々な悪影響を与えてしまうんじゃないかなと思っておりまして、検討状況をお知らせいただきたいと思います。
  100. 下村博文

    国務大臣下村博文君) 御指摘のように、学校に在籍するトップアスリート学校教育への影響等適切な配慮がなされた上で強化合宿等に参加しやすくするようにする、これは極めて重要なことだと思います。  前回そういう御指摘があった中で、文科省とJOCにおきましてその取扱いについて検討を進めております。競技団体のニーズを把握する観点から、JOCに公欠や出席の取扱いについての過去の具体的な事例や課題等について調査を依頼しているところであります。  なお、国民体育大会への中学生の参加につきましては、学校教育への影響に配慮しつつ、体力に優れ、著しく競技水準の高い者に限ること、また、国体への参加が教育上有意義であると認められることといった条件を満たした場合は出席扱いにすることが適当である旨、国から取扱いが示されているところであります。  今後、二〇二〇年東京大会に向けた代表選手が決まっていくことを見据えて、国体の整理も参考にしつつ、各都道府県教育委員会競技団体、大会組織委員会等と連携しながら更に検討を深めてまいりたいと考えております。
  101. 松沢成文

    ○松沢成文君 これ、もうある競技団体ではやっぱり不公平感がすごい出ちゃっていて、ある強化選手は、同じ中学生でも校長の理解があって、ああ、行ってこいと、公欠になると。でも、同じ公立の中学校強化選手学校が違うために、こっちの学校では様々教職員会議だとか父兄からの意見が出て、それはおかしいんじゃないか、で、校長が決断できないから、おまえ駄目だといって行けないと。こういう不公平感が出ちゃっているという現場の声もあるので、できるだけ私は、ここは公平なガイドライン、ルールみたいなものをきちっとやっぱり文科省の方で決めていくということが必要だと思いますので、是非とも検討、推進、早めていただきたいと思います。  時間ですので、終わります。
  102. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  文部科学省設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  103. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、斎藤君から発言を求められておりますので、これを許します。斎藤嘉隆君。
  104. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 私は、ただいま可決されました文部科学省設置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党、日本共産党及び次世代の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     文部科学省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たり、スポーツ基本法理念を踏まえ、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、スポーツ施策縦割り行政に陥ることなく、総合的、一体的に推進されるよう、スポーツ庁関係府省の司令塔的機能を十分に果たすこと。その際、行政改革の推進観点から、組織の肥大化につながることのないよう十分留意すること。  二、スポーツ庁が、教育を所管する文部科学省外局として設置されることに鑑み、今後のスポーツ施策競技スポーツ分野に偏ることのないよう特に留意するとともに、学校体育及び運動部活動における外部指導者の活用や教職員の負担軽減等に十分配慮すること。  三、スポーツ庁長官の登用に当たっては、その職務の重要性に鑑み、スポーツへの造詣、ガバナンス能力、情報発信力等の観点を十分考慮し、民間も含め、人材を広く各界に求めること。  四、新設されるスポーツ審議会においては、審議事項が競技スポーツ分野に偏ることのないよう配慮するとともに、学校体育等の教育上の観点にも留意しつつ、スポーツの幅広い分野について、長期的な視野に立った審議を行うこと。また、委員の選任に当たっては、国民及び関係者の声が広く反映されるよう、出身分野及び男女比等に十分配慮すること。  五、全ての人がスポーツに参加することができる真のバリアフリー社会の実現に貢献する観点から、障害に対する国民の理解を促進し、障害者の積極的な社会参加に寄与するため、障害者スポーツ環境整備推進すること。  六、各スポーツ団体の自主性を尊重し、スポーツ団体の組織運営体制在り方に関するガイドラインの策定等を通じ、ガバナンス強化透明性向上に向けた取組支援するとともに、スポーツ紛争の予防及び迅速な解決の観点から、スポーツ団体・アスリート等の仲裁・調停に関する理解増進等の取組支援すること。  七、国際競技連盟等における日本人役員の増員を図ることにより、国際スポーツ界における我が国の発言力を高め、国際的な競技大会等において日本選手が十分に力を発揮できるよう支援すること。  八、競技スポーツ推進強化のため、指導者等の資質・能力向上を図るとともに、競技者が引退後の生活に不安を感じることなく、競技力向上に邁進できるよう支援すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  105. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) ただいま斎藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  106. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 全会一致と認めます。よって、斎藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、下村文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。下村文部科学大臣
  107. 下村博文

    国務大臣下村博文君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
  108. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 水落敏栄

    委員長水落敏栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十八分散会