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2015-08-20 第189回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年八月二十日(木曜日)    午前十時十六分開会     ─────────────    委員異動  八月十八日     辞任         補欠選任      井原  巧君     堀井  巌君      酒井 庸行君     馬場 成志君  八月十九日     辞任         補欠選任      馬場 成志君     上月 良祐君  八月二十日     辞任         補欠選任      上月 良祐君     豊田 俊郎君      堀井  巌君     山下 雄平君      郡司  彰君     野田 国義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山田 俊男君     理 事                 野村 哲郎君                 山田 修路君                 徳永 エリ君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 小泉 昭男君                 古賀友一郎君                 上月 良祐君                 豊田 俊郎君                 中泉 松司君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 山下 雄平君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 野田 国義君                 柳澤 光美君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 山口那津男君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        外務副大臣    城内  実君        農林水産大臣  小泉 昭男君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       中川 郁子君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        農林水産省生産        局長       今城 健晴君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、酒井庸行君及び井原巧君が委員辞任され、その補欠として上月良祐君及び堀井巌君が選任されました。     ─────────────
  3. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 金子原二郎

    金子原二郎君 今回の農協改革の問題で、私は全中の問題についてお尋ねをしたいと思います。  お尋ねをする前に、大臣にお願いしたいことは、できるだけ大臣にお答えいただきたい。と申しますのは、ずっとこの法案を作るのには大臣は関わってきております。したがって、今後やっぱりいろんな法案を固めていく上において大臣というのは非常に大事でございますし、また私もかつて知事をしておりましたが、大体、知事答弁をすると、その内容に沿って事業はうまくいきます。ところが、部長さんたちには悪いんだけれども、答弁すると、なかなかそれが政策としてうまくいくかどうかということで、やっぱりこれは国も一緒だと思いますので、是非その点についてはお願い申し上げたいと思います。それから、できるだけ、私も内容をちゃんと言いますので、簡潔に、再質問しないように、是非よろしくお願いしたいと思っております。  全中と国との関係農林水産省関係を振り返ってみれば、私は、お互いに協力し合って持ちつ持たれつであったということは、これはもう間違いないと。いろいろな政策推進していく上において末端まで浸透させることができたというのは、これはもう全中の力が大であったというふうに思うわけでございます。そういった今まで全中がやってきたことについて私の方で質問をさせていただく、幾つ意見を述べさせていただきますので、これらについて大臣の所感をお伺いしたいと思っております。  今回の法改正において、中央会の在り方が大幅に変わる中で、現行中央会制度が廃止され、県中は連合会に、全中一般社団に移行し、法人格だけでなく事業権限も大きく変わることになります。特に、一般社団になる全中は、強い法的位置付けがなくなって、監査は分離されることから、これまでに比べ、組織運営幾つもの課題を抱えることになります。  しかし、農業政策農協運営に関して全中の果たしている役割は大きく、今まで県中はもとより、農林水産省全国連にとって極めて重要な存在になっております。農協経営の基本的な経営改善指導教育を行ってきたが、JA合併監査に関しては大きな役割を果たしてきたことはこの委員会でもよく出された話題であります。  地元の長崎では、かつて大きなJA経営問題がありました。そのとき、全国の力が大変必要でした。そして、全中全国JAグループ調整をするなどしていただいて、本当に県の負担は僅かで済み、大きな役割JAグループに果たしていただいたおかげで、今でもその農協健全経営をやっております。  また、農協も、普通の会社同様に多くの法令等にのっとり組織事業運営をしており、そうした法令会計等相談指導を仰ぐことがありました。また、役職員教育研修も行ってまいっているようです。その相談研修等対応は、農協独自の法令事業協同組合に精通した中央会を各単協は頼りにしてきたと思います。法令等は、農水省調整をしたり統一の指針を示したりして全国単協に対して徹底するようにやってまいりました。全中全国政策JAグループの方針として整理し、県中を通じて普及することでJA等現場に浸透しやすくなっているのです。  また、JA総合事業でありますが、県や全国連合会事業ごとになっています。この事業間の調整を行わないと、総合JA事業縦割りになってしまいます。こうした調整をできるのが中央会であり、現在、県連合会全国と統合し、県組織全国の支店のようになっており、余り権限がないとお伺いしております。その中で、全中は、全国段階調整をすることはますます重要になっております。  このような役割を果たしてきた全中でありますが、これに対して大臣認識をお伺いしたいと思います。
  7. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、金子先生からお話がありましたように、この中央会制度というのは昭和二十九年でございます、当時スタートしたときは単位農協経営的に困難な状況にありまして、数も単位農協一万を超えていたと、こういう状況のときに、今お話がありましたように、行政に代わって農協経営指導するということで、この農協という組織をきちっと再建していこうと、こういう目的で導入をされたというものでございます。  そして、今お話をしていただきましたように、合併の促進、それから連合会の再編と、こういうことをしっかりとやっていただいたということで、農協連合会経営基盤の強化に貢献をしてきたと、こういうふうに考えております。また、農業者農協の意思の集約、農協間の連絡調整行政との連絡、こういうものも役割を果たしてきていただいたと、こういうふうに考えておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、一万を超えておりました単位農協が七百程度に減少した、そして、幾つか一県で一つJAになるというところも出てきたと、こういうことでございます。それからもう一つは、信用事業について、JAバンク法に基づいて農林中金というものに指導権限が与えられている、こういうふうに昭和二十九年と状況は変わってきたと、こういうことでございます。  したがって、地域農協自立と自由な経済活動を促して、これを適切にサポートするという意味で、この自律的な新たな制度に移行すると、こういうふうになったわけでございまして、今おっしゃっていただいたような総合調整等は引き続きこの役割を果たしてもらわなければならないと、こういうふうに考えておるところでございます。
  8. 金子原二郎

    金子原二郎君 そこで、いろんな個々の問題等がありますので、その点についてちょっとお尋ねしますが、まず、法令相談などについては、中央会模範定款例の作成の法的権限も与えられながら法律定款解釈やその対応についての相談指導をしてまいりましたが、これは今後どうなるのか。もし行政対応するということになれば、行政負担増につながります。また、民間の経営にそこまで行政対応するのかということにもなると思います。それじゃ、行政で直接対応しない場合はJA対応するということも考えられるんですが、負担専門性の観点から限界があるのではないかと私は思います。  今後どうなるのか、大臣のお考えをお伺いいたします。
  9. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今回の農協改革におきまして都道府県中央会農協連合会に移行すると、こういうことでございますが、代表機能、それから総合調整機能監査のほか、会員である組合組合会員になって連合会ということになりますので、この組合からの要請を踏まえた組合組織事業経営に関する相談業務、これを行うことになるということでございます。  したがって、法律解釈行政庁、これ国や都道府県が行うことが基本でございますが、その仲介を含めて、そして、定款解釈等々、相談については都道府県中央会から組織変更した農協連合会が引き続き行っていただくと、こういうことになろうかと考えております。
  10. 金子原二郎

    金子原二郎君 私は、農協連合会では限界があると思うんですよ、正直言って、スタッフ的に。だから、JAグループの現在の全中一般社団になったとしても、優秀なノウハウを持った職員さん方がいらっしゃるわけですから、それをやっぱり大いに活用していくことが、今後、政策遂行の上でスムーズにいくというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。
  11. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 全中につきましては、農協経営指導を長年にわたって行っていただいて、様々なノウハウが今お話がありましたように蓄積されております。農協管理部門に関する専門的知識を有する職員も多数おられるということでございまして、山田委員長もそれをずっとやってこられたというふうに承知をしておるわけでございますが、全中組織変更した後も、こうした職員がせっかくノウハウを持っていらっしゃいますので、これを有効に活用するということは大変大事だと思っております。  全中から、今度一般社団ということに組織変更されるわけでございますが、そこで会員意見代表等業務従事をするということでございますが、それに加えて、全国監査機構、外出しで設立した監査法人において監査コンサル業務従事すると、こういうこともあろうかと、こういうふうに思っております。  それから、先生も御存じのように、都道府県中央会から全中に出向されておられる職員というのがおられます。したがって、出向元である都道府県中央会に帰任をしていただいて、この連合会において会員である組合経営相談に応ずる事業等従事をしていただくとか、それから、そこから更に地元農協に出向していただくということで管理部門内部監査部門業務従事すると、こういうこともあろうかと、こういうふうに思っております。  我々としても、今回の改正法の附則五十条一項四号でございますが、農協監査士に選任されていた方が組合に対する監査業務従事することができるよう適切に配慮すると、こういうことをしておりますが、これに併せて、専門的知識を持っていらっしゃる、ノウハウをしっかりと持っていらっしゃる職員の皆さんが引き続きそれぞれの場で活躍できるように適切に対処してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  12. 金子原二郎

    金子原二郎君 次に、政策推進などについて。  最近では、米価の下落という現場の一番の課題対応するために飼料用米推進が重要な政策となっております。この政策推進現場で徹底してやってきたのは全中であり、農林水産省も頑張ってはいますが、飼料用米積み上げという結果を出せているのは、全中JAグループ組織力活用全国現場に広く徹底できたからであると私は考えております。  この点に関してどう評価しているのか、お伺いをいたします。
  13. 今城健晴

    政府参考人今城健晴君) お答えいたします。  我が国におきましては、主食用米需要は残念ながら毎年八万トンずつ減少するということが生じております。このような中で、需要に応じた生産を進めるということから、また水田のフル活用を進めるということが重要でございますので、主食用米から需要のある飼料用米など主食用米以外への転換ということを進めてまいる、これが非常に重要な課題となっております。  このため、私ども、まず農林水産省といたしましては、飼料用米拡大に向けまして、地方ブロック県ごとに、行政生産者団体畜産団体等、幅広い関係者から成ります推進体制を整備し、関係者一体となって、飼料用米生産農家畜産農家あるいは配合飼料メーカーとのマッチング、多収品種の種子の確保、飼料用米の低コスト栽培技術、あるいは家畜への給与技術の普及などの取組推進してきております。  このような中で、御指摘のとおり、JAグループの方におかれましては、主食用米の価格の安定のために主食用米の需給の改善が不可欠との認識に立たれまして、自主的に、本年産米、二十七年産米飼料用米生産振興目標六十万トンと置きまして、中央会連合会地域農協一体となって飼料用米生産拡大積み上げ推進してきたということでございます。  このような取組の結果も受けまして、現段階、七月十五日時点での取組状況ということでございますが、対前年比で三・九万ヘクタール増の七・三万ヘクタール、これを主食用米の単収で換算しますと大体三十九万トンということになっておりまして、このように飼料用米作付けが大幅に増加した要因といたしましては、JAグループの……
  14. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 今城局長、初めての質疑でありますが、指導のことについて触れておられますので。飼料用米の意義はよく分かります。
  15. 今城健晴

    政府参考人今城健晴君) 飼料用米作付けが、済みません、大幅に増加した要因といたしましては、JAグループのこのような自主的な取組、そういう全体となって一丸と取り組むということもその大きな要因一つであるというふうに考えております。
  16. 金子原二郎

    金子原二郎君 最後だけ言ってもらえばいいんですよ。前段はもう前提の中で質問しているんですから、限られた時間でやっているんですから、これからは前段を省いてください。  そして、今まではこういった形でできたんですが、全中農協法に基づく特別な法人であったためにこうした政策推進を行うことも当然求めることができたんですが、今後は一般社団になるんですね。農水省の管轄でなくなります。全中のこうした業務政府行政には代替できないのではないかなというふうに私は思います。  全中がやらなくなると農政停滞につながることにならないのか、また、一般社団全中業務会員が決めるということになっておるんですが、政府としては、政策推進に関して今後、全中に対してどういうことを期待しているか、言うならば、従来どおり全中を最大限活用するようなことを考えているのかどうかということをお尋ねしたい。
  17. 中川郁子

    大臣政務官中川郁子君) お答えさせていただきたいというふうに思います。  今回の農協改革は、地域農協自立して自由に経済活動を行い、有利販売をして、そして所得向上につながる、このようなものでありますが、中央会については、地域農協自立と自由な経済活動を促してサポートする、そして、現在でも農水省全中行政代行的に農政推進させるという関係にはございませんで、JAグループとして、農業者所得向上に向けまして自主的に政策活用を働きかけることは当然あり得るものであるというふうに思います。今先生指摘飼料用米に関しましても、このような形で自主的に取り組んでいただいている、そしてその結果が出ているということではないかというふうに思っています。  その中で、今回組織変更した全中は、会員である組合意見代表組合相互総合調整などを行うこととなっておりまして、会員の求めに応じて、引き続きこれまで同様の役割を果たすものというふうに考えております。  したがいまして、今回の中央会制度の見直しが農政停滞につながるものではないというふうに考えているところでございます。
  18. 金子原二郎

    金子原二郎君 つながらないようにこれからも活用していくということですね。  そこで、全中にはこの監査関係を除いて大体プロパーで百人から百二十人ぐらいがいるというふうにお聞きしております。年間、大体六十億から七十億円の維持費が掛かると。その費用は今までは地方農協農林中金共済連、全農連負担してきたというふうに聞いております。  一般社団全中運営は、これまで法的裏付けのあった賦課金で賄ってきましたが、今後はどのような運営にしていくのか、お尋ねしたい。要するに、賦課金制度がなくなるわけですから、それに対してどういうふうにしてこういった経費を捻出するのか、それをお聞きしたい。
  19. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) これまでの全中運営は、今御指摘がございましたように、農協法に基づく賦課金によって運営されていたわけでございます。今回、全中一般社団法人になりますと、この農協法上の賦課金は当然なくなりますが、一方で、一般社団法人法、この中の第二十七条というところで社員からの会費の徴収というのはできるように法律上の規定がきちんとございます。したがいまして、今後も会員から会費を徴収した上で仕事をしていくと、こういうことになると考えております。  この組織変更後の全中費用、これを誰がどのように負担するか、その事業内容等に応じて全中とその会員方々とで協議をして決めていただくと、こういうことというふうに考えております。
  20. 金子原二郎

    金子原二郎君 会費といったら、なかなか一般社団会費というのは集まりにくいですよ。今までは法的裏付けがあったから賦課金という形でそれぞれが必要な金を出していたんです。会費というのは任意性になってきますから、それぞれのやっぱり付き合い方によってということになってまいります。  特に、大事なのは、農林中金、それから共済、それから全農が多くの負担をしていたわけなんですから、当然その負担をやっぱりある程度、JAグループの中で話合いということであっても、今回法改正でこういう形になったということは、そこでそれだけの人が働いているわけですから、その働いている方々を失業させるわけにはいかないわけなんですから、そこはやっぱりある程度国の方からもこういった指導ということを言っていかないと、いや、もう知りませんよというようなやり方は余りにも私は冷たいと思うんですよ。今までお互いウイン・ウイン関係でやってきたことは間違いないんですから、これは。そこはやっぱり国として考えなきゃ。これは農林水産大臣に御答弁いただきます。
  21. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今回の改正で、中央会がこれまでの会員構成員として、社員である組合意見代表する、それから社員である組合相互間の調整を行う、こういうことを主たる事業とする一般社団法人組織変更ができると、こういうふうになりましたが、組織変更後の一般社団法人において、その名称中に引き続き全国農業協同組合中央会、こういう文字を用いることができると、こういうふうにいたしました。  また、全中運営費でございますが、これは、今局長から答弁いたしましたように、社員である農協等協議した上で決定をしていくということになりますが、実は今の現行法でも、中央会定款の定めるところにより会員経費を賦課することができると、こういう規定になっております。一般社団は、御案内のように、社員定款で定めるところにより一般社団法人に対し経費を支払う義務を負うと。字面からだけ聞くとこちらの方が負うというふうになっておりますが、いずれにしても同じようにこの決定をしていただかなければならないと、こういうことでございます。  したがって、ここのところの趣旨、内容について、法律が成立をさせていただきますれば関係者に対してしっかりと丁寧に説明をしていきたいと、こういうふうに思っております。
  22. 金子原二郎

    金子原二郎君 私もいろいろ改革をやってきましたけど、やっぱり後始末はちゃんとしなきゃいけぬと思うんですよね。そこでそういったいろいろな問題が起こってこないように、これは国主導法改正をやったわけですから、やっぱりそこは国の責任で必ずやっていただくことを強く要望しておきたいと思います。  次に、准組合員事業利用規制についてお尋ねします。  今回の農協法改正案審議では、農協准組合員事業利用規制に関する議論が集中的に行われてきました。現在、全国単位農協の八割は販売購買等経済事業は赤字になっており、これを信用共済事業の黒字で補填し収支バランスを取っているわけでありますが、信用共済事業の収益は、その利用者である准組合員によって支えられているところが大であります。したがって、准組合員事業利用規制をすれば、現実的には農協経営が成り立たなくなるという不安が農協関係者の間で広がっています。  そこで、まず改正案准組合員事業利用規制を検討することとした理由についてお尋ねいたします。  また、安倍総理林大臣は、農協准組合員へのサービス主眼を置いて、正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはならないと繰り返し答弁をしておりますが、准組合員事業利用によって正組合員サービスが低下したような具体的な事例が実際にあるのか、お伺いいたします。
  23. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 准組合員関係でございます。  農協はあくまでも農業者協同組織でございますので、この正組合員であります農業者のメリットを拡大をする、これが最優先でございます。したがいまして、今先生からも御発言がございましたが、准組合員サービス主眼を置いて正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはいけないというふうに考えております。ただ、一方で、過疎化高齢化等が進展をしております農村社会において、農協が実際上地域のインフラとしての側面を持っている、これも事実でございます。  こういった状況を背景といたしまして、この准組合員利用規制についての議論がいろいろされてきたわけでございますけれども、これまで規制がなかったこともありまして、正組合員准組合員利用実態が把握できていないということもございます。それから、特に、今回の農協改革によって農業者所得向上に向けた成果がどの程度出るか、これを見極める必要もあるということで、最終的には五年間の調査を行った上でこれについては決定をするということになったわけでございます。  なお、これまで農林省の方でこの准組合員事業利用について実態調査を詳しくやってきたわけではございませんが、衆議院の農林水産委員会の参考人質疑等におきまして、出席をされた農業者の方からは、自分の地域の農協は、かつては営農指導などに相当力を入れていたけれども、もう最近は金融事業、こちらの方に軸足が置かれていると、こういう御発言ですとか、結局は金融と共済なので、兼業農家と准組合員のための農協というのが現実で、自分たちが欲しいのは専業農家と一緒にやってもらえる農協であると、こういった御発言もあったというふうに承知をしているところでございます。
  24. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、最後のところで奥原局長答弁いたしましたが、我々も地元で農家の方といろいろな会合をやりますと、先ほど参考人からお話があったような趣旨のことというのは聞くことが多いわけでございます。一方、JAの皆さんとお話をしていると、一生懸命やっているんだと、こういうことも聞くわけでございます。  したがって、あくまでこれは主観的な見方もあろうかと思いますが、やはり地域地域によっても様々な違いがあるんだろうと、こういうふうに思っておりますけれども、やはり今局長答弁いたしましたように、一条というのがございます。やはり農業者としての協同組合という原点に返って、サービスがおろそかになってはならないということは原則でございますので、地域のインフラとしての側面、こういうものを事実上持ちながらしっかりとやはり原則に立ってやっていただくと、そのことは可能であると、こういうふうに考えておるところでございまして、そういう考え方でもって、しっかりと今回の改革を通じてより農業者に評価されるというものを更に目指していこうと、こういう考えでございます。
  25. 金子原二郎

    金子原二郎君 私、正直言ってサービスが落ちたというふうには、我々の地域の農業を見ていてもそう思いません。一つのこれはそういった形でお話をしているんでしょうが、これからそこはよく調査をしていただきたいと思っております。  実はもう一つ、安倍大臣林大臣は、改正案の狙いは地域農協が自由に経済活動を行うことができるようにすることであると何度も答弁しております。規制することを前提とした准組合員事業利用調査は、農協活動の足かせとなり、政府規制を強めることとなり、農協法そのものの目的や改正の狙いと矛盾しているのではないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いします。
  26. 林芳正

    国務大臣林芳正君) このところにつきましては、私は党に戻っておりましたときにも、かなり党の方でも集中的に議論していただいたところでございます。  そのときにもいろんな意見がございましたけれども、この農協サービス、例えばガソリンスタンドにしても、これがなくなると、もうガソリンスタンドのサービスを提供するところはなくなるんだと。一番近くのガソリンスタンドまで行けば、その間にガソリンが半分ぐらいなくなっちゃうんだと、こういうような、これは徳永委員のお地元はそうかもしれませんが、そういう意見もありました。一方で、葬儀屋の例だったと思いますけれども、民業を圧迫しているという話を聞いたことがあると。  こういうこともありまして、どうも、同じ地域の同じサービスについて議論をしているのかどうかということについて非常に疑問が湧くような状況になりまして、結局、それぞれ、我々、選挙区がございますので、選挙区で主に聞いたことがどうしても意見として出てくる、こういうことでございますから、地域によって非常に様々であると。こういうことを踏まえて、先ほど局長答弁いたしましたように、今まで規制もないものですから実態も把握をしておらなかったということでございます。  したがって、規制改革会議ではもう数字も挙げて規制ということが出てきたわけですが、我々としては、やはりそうではなくて、そもそも規制をするのかしないのか、ここまできちっと調査をした上で、我々がまず実態を把握した上で、その上でするかしないかも含めて考えようではないかと、こういう結論に至りまして、その結果を踏まえて政府・与党取りまとめに至ったところでございます。  したがって、それを受けて、この五十一条三項、附則ですが、利用状況改革の実施状況について五年間調査を行った上で、検討を加えて規制の在り方について結論を得ると、こういう形にしたところでございます。
  27. 金子原二郎

    金子原二郎君 確かに、私も葬儀屋はどうかなと、地元で葬儀屋をやっているところにわざわざ農協が新しくやるという、そういった事例も見ておりますので、そこは確かに一理あるかもしれません。  次に、農協法第一条には、農協の存在や活動の意義は農業生産力の増進や農業者の経済的社会的地位の向上と明記しています。農協は、このことに大きく反しない限りは法的に認められる存在であります。この一条は、農業者の所得増大に最大限配慮をすべきとした新七条二項に優先すると私は考えております。  こうした農協法の立て付けを踏まえれば、農協の存立に係る准組合員利用規制は、農協が第一条の目的に反していないかどうかで判断されればよいと考えますが、この点について農林水産大臣のお考えをお伺いいたします。
  28. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに今先生からお話がありましたように、一条で農業者協同組織であるということを明記をしておりまして、生産力の増進、農業者の経済的社会的地位の向上を図ると、こういうふうに書いております。まさに農業者協同組織の発達を促進する、こういうことであろうと、こういうふうに思っております。  先ほど答弁させていただきましたように、この規制の在り方、准組合員の利用の規制の在り方については、五年間、事業利用状況農協改革の実施状況を調査した上で検討すると、こういうふうになっておりますので、現時点でどういう調査結果になれば規制掛けるとか掛けないと決めておるわけではございませんが、当然、この法律通していただければ、また、現行法律にも一条というものが明記をされております。したがって、どういうことになろうとも、この一条の目的に反するような規制を行うというふうには考えておらないわけでございます。  なお、農協が自己改革によりまして農業者所得向上に向けて十分な成果を上げていきまして担い手の皆さんから高い評価を更に得るようになっていくと、こういうふうになれば、准組合員利用規制が必要であると、こういう議論もおのずから小さくなっていくんではないかと。むしろそういうふうに農協改革をしっかりとやっていかなきゃならないんじゃないかと、こういうふうに考えております。
  29. 金子原二郎

    金子原二郎君 今回の改正案の目的は農業所得の増大であると承知をしておりますが、改正案に基づけば、農協は買取り販売を増やすなど一定のリスクを取りながら収益を伸ばすことが求められております。  こうしたリスクを負いつつ、准組合員事業利用規制の結果、信用共済事業の収益が悪化すれば、かえって経営を危うくする要因となります。まして、農産物の生産を下支えする営農指導事業については、従来から収益を出すことは困難であり、農協経営が悪化すれば事業の縮小を余儀なくされるおそれもあります。こうした意味で、准組合員事業利用規制は、正組合員の農業所得増大以前に組合経営を根底から揺るがす結果をもたらすと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  30. 林芳正

    国務大臣林芳正君) よく平均的な姿として言われますのは、経済事業が赤字で金融事業でこれを補填する、こういう構造だと、こういうことでございます。  経済事業の中にも、今先生おっしゃったように、営農指導もございますし、また、販売というのも資材の調達というのもあるわけでございます。こういう補填自体は、これ総合農協でございますので当然違法でないわけでございますが、やはり経済事業は、全体としてこれはもう改善しようがないというふうに諦めてしまって金融業務に注力していけばいいんだと、こういうふうになってはいけないと、こういうことでございまして、やはり先ほど来議論になっておりますように、特に担い手を中心とする農業者の皆さんからは、農産物販売、また資材の有利調達、こういうものを積極的に行う、そして、それをやれば農業所得の向上に成果が出る、こういうことでございますから、そういう声に応えていただくということが大事であろうと、こういうふうに思っておるわけでございます。したがって、やはり創意工夫で自由に経済活動を行って、農産物の有利販売、こういうものに全力を挙げていただくような環境整備をしていこうと、こういうふうに考えておるところでございます。  したがって、こうしたこととの関係利用規制の在り方についても議論をしてきたところでございますけれども、まさに、先ほど来答弁させていただいたような議論を経て、五年間の調査の上で在り方について決めていこうということでございますので、今の時点で、何か予断を持ってこういうふうにしていこうというものがあるわけではございません。
  31. 金子原二郎

    金子原二郎君 今でも、農協は委託販売だけど、できるだけ高く売ろうとしているんですよ。それは、多額で売らないと手数料収入も少ないし、農協単協でも収益を上げなきゃいろいろな事業はできないわけですから、決して私は、委託販売で、努力をして高く売っていないというふうに決め付けるのはいかがなものかと思うんですね。  特に、農協から品物を卸す場合は、ある程度一定の量がまとまっていないとそれぞれの消費地の市場にも受け取ってもらえないんですよ。したがって、荷物の集荷をしながらそれぞれの市場に出荷して、その市場の中で値段が決まっていくんですよ、時の相場によって。  だから、よっぽど契約栽培をするとかブランド品でない限りは、どんな努力をしたって日々の相場によって随分値段が違います。今、野菜が高騰しているでしょう。だから、その野菜が高騰すると逆に手数料収入多くなってくるから、農協も市場も収入が増えるんですよ。ある一定の収益を上げないとカントリーエレベーターも造れないんですよ、選果場も造れないんですよ。  だから、そういったことをみんながやっていきながら、それでもなかなか収益を上げることができない。その中で金融事業が、保険事業があって、これは当然、准組合員組合員以外含めて積極的に売り込めば、そこで思い切った、収益が上がっているからこそいろいろな事業ができるわけであって、そこはよう分かった上でやっていると僕は思っているんです、皆さん方も。  恐らくそれは、私も、ずっと知事時代に各農協にブランド品の販売事業で随分やりました。三越から人を連れてきたりしていろいろやったんです。努力はしていても限界があるんですよ。やれるところはもうやっている。今からやろうといったって、僕は難しいという感じがするんだな。  一つは、一番何が大事かというと、理事のいろいろな問題、役員問題が出ていますが、トップの組合長なんですよ、組合長の指導によって随分やっぱり単協は違います。だから、やっぱりその組合長をどういうふうにして育てていくかということを、人材を考えていかなきゃいかぬし、仮に有利販売をやりなさいと言ったって、今、職員はそういった教育を受けていない中でやれと言ったって、売り先だってどうして見付けるんですか。かえって今度は、買取りでやるということになってくると、もしかしたら相場が安くなるからと思って買取り価格を低くしますよ、そうすると結果的には安心して売ることができるんですから。委託販売だと時の相場で売ることができると、そういうのが実態なわけなんですから。そういった実態を踏まえながらやっていかないと、単なる文書でこうこうこうこうと言っても、私はそれは難しいというふうに思いますので、そこはよく考えておっていただきたい。  次に、改正案では、附則第五十一条第二項で、法施行後五年間でまず正准組合員事業の利用状況改革の実施状況を調査しながら、事業利用規制の検討を行うこととしております。政府は、利用状況調査の内容は今後検討していくとして、具体的にどのような調査項目をいつまでに設定するのか明らかにしていません。また、農協有利販売、有利調達と農業者の所得増大に取り組んでいれば准組合員利用規制に言及しないという姿勢を示していますが、これだけでは、どのような基準を持って規制するか否かを判断するか不明確であります。  やはり地域住民の生活を支えるインフラとしての農協役割は大きく、特に、私どもの地元の長崎のように離島、半島を多く抱える地域では、農協は雇用やインフラ提供において重要な機能を果たしております。こうした地域の住民は、准組合員事業利用規制の検討が行われることに対して大きな不安を抱いております。したがって、地域が必要とするインフラを提供する農協の機能は今後とも政府として尊重することを示し、不安を払拭することが重要であると考えます。  林大臣は、大臣に就任する前に党の農林水産戦略調査会の会長として農協改革議論に関わり、政府調整して最終的に改革の骨格をまとめ上げられたんです。したがって、准組合員事業利用規制議論の経緯をよく御存じで、この御存じの大臣の在任中に、法律成立後速やかに関係者の意向を十分聞いた上で、組合員事業利用状況調査の具体的な指針を示していただくことが望ましいと私は考えておりますが、大臣のお考えをお伺いします。
  32. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な御指摘をいただいたと、こういうふうに思っております。  まさに、今お話をいただいたように、党の取りまとめのときにもここについては大変大きな議論があったところでございまして、先ほど申し上げたような取りまとめになったわけでございますので、具体的にどういう調査をしていくかというのは今後の検討になってまさにいくわけでございますが、この調査結果を見ながら政府・与党で白紙から検討を進めていくということになろうかと、こういうふうに思いますので、調査自体はこの検討に資する項目を幅広く調査をしていく必要があると、こういうふうに思っております。やはり、調査についても、今後、関係者の御意見を伺いながら適切に対応していかなければいけないと思っておりますし、現場が混乱しないようにしっかりと説明をしながら進めていかなければならないと、こういうふうに思っておるところでございます。  先ほど、こういう意見があったということで、葬儀屋さんの例やガソリンスタンドの例も出しましたけれども、先ほど申し上げましたように、各地域によっていろいろ様々に違っているということでございますので、地域別にいろいろ調べてみるとか、それから、その地域地域でほかの方が同じようなサービスをどういうふうに提供していらっしゃるのかと、こういうこともやはりちゃんと見る必要があるんじゃないかなと、こういうふうに思っております。  いずれにしても、法案が成立させていただいた暁には、いろいろな御不安が払拭できるようにしっかりと趣旨、内容等説明していきたいと、こういうふうに思っております。
  33. 金子原二郎

    金子原二郎君 是非よろしくお願いします。五年間待った結果、調査の結果駄目だったといったら大変なことになりますからね。だから、やっぱり五年間調査の内容を見てとよく答弁なされているんだけど、それでは、五年後にいきなり駄目でしたとなったらそれは大混乱ですから。だから、そこはもうよくお分かりになっているでしょうから、そこをよく踏まえた上で、早く一つの方向付けを出していただくことを強く要望したいと思っております。  次に、今度は農業の成長産業化におけるJAグループ役割についてお尋ねをします。  農協改革の目的である農業の成長産業化を推進していくためには、それぞれの単位農協の努力だけではなく、全国組織を始めとするJAグループの総力を投入すべきと考えます。  信用事業全国組織である農林中金は、単位農協等のJAバンク等から約五十三兆円の資金を集めております。これを元に国内向けに約十九兆円の貸付けを行っていますが、農林水産分野の貸付けは約五百六十億円で、貸付金の一%にも満たない状況であります。貸出金以外の資金の大半は資金運用に回っています。また、平成二十六年度の連結純利益は約四千億円、利益剰余金は約一兆五千七百億円となっております。当該年度における預金利息は、聞くところによりますと、農協に対する預金利息は約三千億円、配当金が約六百七十億円で、農協系統への還元は約三千六百七十億円程度というふうになっております。  共済事業全国組織である全共済連は、共済掛金の受入れにより、平成二十六年度末において約五十四兆円の資産を保有し、うち約四十九兆円余りを有価証券として運用しています。利益一千三百億円、利益剰余金約一兆八千七百億円を有しております。当該年度における出資配当による農協系統への還元は約二百四十一億円程度になっております。組合員から集めた資金を運用して生じた利益について、もっと農家の所得向上のために還元されるべきであり、これは冒頭に申し上げました農協改革の目的、農家所得の増大にも合致すると私は考えます。  政府は、農協改革の目的である農家所得の増大に向けた農林中金、全共済連の役割についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。また、准組合員組合利用を規制するのではなく、農林中金、全共連が有する資産利益について、もっと農家の所得向上のために活用すべきと指導すべきではないかというふうに考えますが、大臣のお考えをお伺いします。
  34. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この信用事業でございますが、農林中金が運用益を預けて金利、利息として農協へ還元をしておると、こういうことでございます。  共済事業については、農協が全共連との共同元受けの下で受け入れた共済掛金がございますが、経費を除いた部分を共済部門の剰余金として計上していると、こういうふうになっておりますので、この還元をされたものは結果として農協が行う営農関連事業等に必要なコストを賄っておる、こういうことにはなっておりますが、さらに、昨年六月に与党で取りまとめをしていただきました。  やはり、単位農協経営における金融事業負担、それからリスクを極力軽くして人的資源等を経済事業にシフトできるようにすると、こういうこともこの取りまとめをしていただきましたので、JAバンク法規定されている方式がございますが、こういうものも、代理店方式と言っておりますが、活用を積極的に進めると。ただ、進めるといってもなかなか分かりませんので、手数料はこれぐらいになりますよというのを示してもらって代理店方式の選択肢を示していくと、こういうようなこと。それから、共済では、全共連と共同元受けになって、リスクは全共連が負っておりますので、単協はリスクは負っておらないわけですが、更に単位農協の事務負担を軽くするような改善策をやる、こういうことも取りまとめていただきました。  もう一つは、今先生おっしゃったように、せっかくこれだけあるんだから、余ったお金を運用するということにとどまらずに農業に貸していく、やっぱりこれをしっかりとやってもらわなければならないと、こういうふうに思っておりまして、これは借りる側のニーズを発掘していくということもあるわけでございます。新たな設備投資をするだとか、いろんなことも含めて、いろんな政策で後押しをするということももちろんあるわけでございますが、まさに本業である金融機能の発揮というものをしっかりとやっていくということも同様に目指していかなければならないと、こういうふうに思っておるところでございます。
  35. 金子原二郎

    金子原二郎君 時間が来ましたが、上月君に五分間ほどお願いして、ちょっと質問を続けさせていただきますが。  たしか今ファンドをつくっているんだけど、百億円のファンドなんですね。しかも、中金とそれから共済で五十億なんですね。それは金額的に小さいと思うんですよ。しかも利用者が少ない。それは、六次産業に限定しているからなんです。もう少し畜産を含めて幅広く、設備のそういったものにも使えるように、是非これは検討していただきたい。そして、もうちょっとパイを大きくして、やっぱりそれだけの内部留保もあるんですから、必ずそれを初期の投資の金として利用、活用するような、そういう指導も是非やっていただきたいというふうに思っております。  最後に、畜産クラスター関係は、非常にこれはもう地元で喜んでおります。それで、この予算が足らなくて今苦労しておる、みんな。来年度も恐らく相当な要望が来ると思いますので、もうこの点については、TPPも含めて、畜産事業のこれは一つの大きな課題を解決するためには、これが一番、非常に効果的だという声が出ていますので、必ず予算はどんなことがあっても要望どおり活用してもらいたい。  もう一つは、建物を造るときの単価が、値段が上がっているんですよ。この単価を見直しをしてもらわないと難しい。これはもうそうしないと、せっかくこういった予算多くても、結局受益者の負担が大きくなってくると、結果的には資金は使われないということになってきますので、是非お願いしたい。  それからもう一つは、畜産農家は減っていっています。非常に頭数が減っていって、今子牛を買うのも苦労しておる。これはもう本当に、年取った人方が離農しているんですよ。したがって、新規を育てるといっても、なかなか新規の方に、牛舎を造ったりいろんなことするのに三千万円近くの経費も掛かって、そして市場に出すまでには三年以上掛かるでしょう。その間、全く資金繰りとかその他を自分で調達してというのは、なかなか新規じゃ集まりませんよ。  私は、これを、地方農協が積極的にそういったものについて、やっぱり国の補助金と地方の補助金と、そして農協のまた貸付金と、できればさっき言ったような農林中金とか共済の金も使って、本当に使いやすいような資金をつくって、できるだけやっぱり立ち上げしやすいような形をつくってやらないと、政策だけがあったって増えませんよ、正直言って。  これはもう是非強く要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  36. 上月良祐

    上月良祐君 自由民主党の茨城県の上月良祐でございます。  私は、ふだん隣の部屋で内閣委員会におりまして、委員外議員に質問の機会をいただきましたことを心から感謝をいたしたいと思います。極力重ならないように質問をさせていただきたいと思います。  冒頭ですけれども、今年の一月から二月にかけて、党内でも大変大きな議論がございました。私も、北海道に次ぐ大農業県の代表の一人でありますので、郡司先生もいらっしゃいますけれども、党内でも、一回生ですからやや控えめに言ったつもりですけれども、言わなきゃいけないことはちゃんと言わせていただいたつもりでございます。  様々な立場や角度からいろんな御意見があったんだと思いますけれども、当時の林農林水産戦略調査会長さん、そして奥原局長さんのお力で、そして、今日、後ろに座っていらっしゃったり、あるいは役所で院内ネットを見ていらっしゃる本当に皆さんのお力で、何とかぎりぎりの案をまとめていただいた、もちろん副大臣も政務官もいらっしゃる、その三役がもう一緒に力を合わせてまとめていただいたんだと思って、感謝を申し上げております。  大変難しい問題がたくさん日本には残っているんだと思います。そういった問題にぎりぎりの答えをまとめて何とかつくっていくというのが私は大変重要だと思っておりまして、その一つであるというふうに思っております。  そして、今回の法案の分量を見たり、この質疑のやり取りを見たりして、役人もやっておりましたので、どれだけ役所が大変だったのかということは十二分に想像も付きます。そういう意味では、役所の皆さん方にも本当に心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。特に、林会長さんのそのときの迫力というんでしょうか、さばきのすごさというんでしょうか、本当にやっぱり日本を代表する政治家ってすごいんだなというふうに、見ているだけで光栄に思いましたが、今日は質問をさせていただくのも本当に光栄に存じますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  最初に、済みません、ちょっと是非聞かせていただきたいんです。これは衆議院でも参議院でもあったし、この前、長峯先生からも質問がありました。  全中がよく、何か最初の頃、今でもそんなことを言っている人いるかもしれません、全中監査権限を使って単協を抑えているんだ、その自由度を奪っているんだというようなことを随分言われていたように思います。それは本当にあったのですか、結局。  それから、そのあったのかなかったのかと併せて、今回の改革の趣旨、その原因というんでしょうか、そういったものと併せて、是非、大臣に教えていただきたいと思います。
  37. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほどの准組合員議論と併せて、今のところも大変党内の議論のときにも、また法案審議の中でも随分と議論になったところでございます。  いろいろな参考人に来ていただいていろいろなお話を聞いたり、委員もおられましたけれども、その中で、全くそういうことがゼロだったかといえば、そういうニュアンスのことを言われた方もおられたということでありますが、例えば、農業新聞のアンケートを見ても、もう大多数の方がそういうことはないと答えていらっしゃるというのも、そういうアンケートもあるわけでございます。  したがって、我々は、そういうことがあるから今回の改革をやると、こういうことではなくて、やはりしっかりとこの中央会連合会が適切にサポートしていくと。全体の環境が変わってきて、先ほど申し上げましたように、一万を超えていたものが、全中のいろんな指導のおかげで七百までになってきたと。今からは、もっと大切なことは、まさに地域の自由な経済活動、それぞれの地域農協がそれぞれの地域の特色をもっともっと生かしていけるような環境をつくるということで改革をしていこうと。  結果としてそういう取りまとめをさせていただいて、したがって、それを受けてこの法案を出しておりますので、提案理由にもこの中央会指導監査農協の活動を制約しているということを提案理由として挙げておりませんで、まさに私が申し上げたような、地域農協の自由な経済活動を適切にサポートしていくと、こういうことを提案理由にさせていただいたところでございます。  まさに、この制度発足が昭和二十九年でございますから、そのときの状況と今の状況を比べて、また、足掛け三年になりますが、農政をいろいろと、需要、マーケット・イン、それから供給強化をする、集約をしていく、中間管理機構をつくる、そして多面的機能の導入等の地域政策、これを産業政策と両輪としてやっていくと。大きな改革をやってきたところでございますので、全体の改革がそういうふうになってきた、これに合わせてメーンのプレーヤーである農協や農業委員会あるいは法人についてもそれに対応した形になってもらおうと、こういうことで法案を提案をしていると、こういうことでございます。
  38. 上月良祐

    上月良祐君 ありがとうございました。よく分かりました。当初、そういう説明は余り明確になかったんだと思うんです、議論の最初の頃は。なので、何で監査を外せば、その権限を外せば所得が上がるんだみたいなピントを外れた質問が、私もしました。なので、今の説明でよく分かりました。  私は、この問題といいますか、そのことを通じてちょっと幾つか思うことがあったんです。  一つは、やっぱり全中とかJAグループが、何かこの人たちは余り改革に熱心じゃないんだとか、何か悪いイメージをつくって、それを背景に改革を進めていこうみたいなやり方というのは、私はフェアじゃないと思うんです。  それで、日本人って、何だかそういうふうにたたかれ出すと、みんなたたく方に回るのが好きで、たたかれる方に、ちゃんと守る方に回るというのが余り、子供にはいじめをするなと言いながら、何かいじめ体質があるような気がするんです。僕、それは大嫌いなんです。なので、僕は、何かおかしなことを言われたときは、党のPTでも反論もさせていただいたつもりです。そういうふうに、まずイメージじゃなくて、特にプロフェッショナルな議論ですから、実態をきちんと踏まえた上で是非議論を進めていただきたいというのを一つ思っておりました。  それから、あったのか、なかったのか。これは、あったのかもしれない、なかったのかもしれない、所によって違うのかもしれない、その度合いも違うのかもしれないと私は思います。あってもなくても実は余り関係ないのかなとちょっと思っている面もありまして、というのは、問題は、単協が、正直、上からのプレッシャーは何か新しいことをしようとしたらあるんだと思うんですよ。それをはねのけてでもやる元気が単協にあったのかどうか。  むしろ、越前のたけふが随分話題になっていましたけれども、茨城でも北つくばという農協は同じようなことをもっと先進的にやっているところもあるんですね。それは別に、今の制度だってできたわけですよ。それは、やっぱりあつれきはいろいろあったんだと思うけれども、それをはねのけてやるパワーがあったということだと思います。それは組合長さんの力も大きいんだと思いますけれども。  なので、むしろプレッシャーを取り除くというよりは、やっぱり単協に元気になってもらうということ、まさに今回の法律の趣旨だと思うんですけど、それをやっていかなきゃいけないということ、それも感じておりました。だから、ある、ないという議論というのはどれほどの意味があるのかなというふうにも思っていたところもあります。  それからもう一つ、私が一番重要だと思っていたのは、現場のことを本当にちゃんと見てくれているんだろうかという、何というか、不安というんでしょうか、懸念というんでしょうか。こんな議論があるって、そんな声、だって現場で聞かないんですけどっていうのをすごく思ったんですね。  これは、農林水産省だけじゃないんですよ。今、実は私、全省にそういうことがあるんじゃないかと思っていて、実は国だけじゃなくて県だってひょっとしたらそうなっているんじゃないかと思って、さすがに市町村はないと思いたいですけれども。やっぱり現場から遠くなっていて、奥原局長、ここ一年出張とかでどれぐらい現場のところへ行かれたか、現場の声を直接聞かれたかというのをちょっとお聞きしてみたいような気もするぐらい。  土地とか土とか水とか天候という、最も現場に縛られるわけですよね、農業って。やっぱりそこに行ってそこの人たちと議論してもらうということを農林水産省がしないで誰がするんだという思いが、私はあるんですよ。なので、そういったことをちゃんとやっぱり、特にこれからの農業を担う後ろに座っていらっしゃるような若い世代の方々には是非ともそういうふうにやっていただきたいというふうに思っているんです。  それが、何かそういう議論が起こってもぴしゃっと反論してくれなかったのは、ひょっとしたら何か、そういうふうな風潮というんですか、そういうのがだんだん一般化してきているような、そんなのの表れじゃないかと思って大変危惧をいたしておりまして、そういう意味で現場を見るということの重要性って物すごく大事だと思うんですけど、そこを、奥原局長、どんなふうに思っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  39. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農政を進める上で、現場との意見交換も極めて大事なことだと思っております。  この一年間に私が出張をどれだけしたかということにつきましては、国会やっている間は非常に出張しづらくてあれですが、国会やっていないときは、中間管理機構の件も含めまして、各地の担い手の方々のところにいろいろお邪魔したり、あるいは機構の活動状況を見させていただいたり、いろいろなことをやっております。  こちらが行くだけではやっぱり限界もございますので、我々注意してやっておりますのは、全国各地のいろんなレベルの農家の方々に東京に来ていただいたときにお寄りいただいて意見交換するということを積み重ねております。これは、認定農業者方々もいらっしゃいますし、法人方々もいらっしゃいます。それから、青年の農業者の集まりもありますし、あるいは女性農業経営者の方々もいらっしゃいますので、これは毎月平均すると二回ぐらいは我が局でもやっているような感じでございまして、その場で、農協についてどういうふうに思っておられるか、それから農業委員会の今の状況についてどうかとか、いろんな意見交換を実はさせていただいております。  今回の法案の作成に当たりましても、そういう役所ベースの意見交換もやりましたし、政府・与党でのいろんな場でもヒアリング等もさせていただいたところでございますが、これからも現場意見をきちんと踏まえながら、現場できちんと政策が生きるように、これは十分注意をしてやっていきたいと考えております。
  40. 上月良祐

    上月良祐君 ありがとうございます。大変心強く感じます。  別に奥原局長を責めているわけでも何でもないんです。これはもう全役所の問題だと私は思っております。  それから、今、来てくださった方と意見交換をする、それは大切なんです。大切なんですけど、大変恥を忍んで言いますと、私も国の役所にもおりました、県庁にも長くおったんですが、私は極力外へ出ようと思って出ていたつもりだったんです。最後は役所を辞めて、十か月間無職で走り回っていた、選挙のときに。それで、現場に、県庁の人なんか誰もいないような、出先の担当者もいないような現場、たくさん行きました。それで、行って、最初話を聞いていて、どうも聞いていた話と違うんですよね。僕は予算査定もずっとやっていたので、総務部長、もう足掛け八年いましたから、それで副知事もやっていたからいろいろな話を聞いていたつもりだった。  ところが、現場に行くとどうも聞いていた話と違うんですよね。あれっ、何でちょっと違うのかなと。大変、何というんでしょうか、危機感あふれるというんでしょうか、もう生々しい声なんです。僕は、最初そこに行って、最初はそれが例外なのかなと思っていたんです。ところが、行くところ行くところでそういうことを何度か経験しているうちに、あっ、自分が聞いていたのが間違っていたんじゃないかと思うようになったんです。結局、役所というのはそういうものなんですよ。やっぱり何重にもフィルターを通じたきれいな情報しか上がってこないんですよ。だから、農家の方が直接来られて話をするのは大変重要なことだと思います。  しかし、やっぱり農林水産省に行って机たたいて言う人なんかなかなかいないんですよ。やっぱりホームじゃなくてアウエーの戦い、あっ、いらっしゃるのかもしれませんが、それでも役所からしてアウエーに行って、それで、何というんでしょうか、向こうの現場議論をするということは大変大切だということを是非考えて。  ただ、やっぱり内部業務もたくさん増えているんですね、情報公開であるとかコンプライアンスであるとか、たくさん内部業務が増えて、かつ定数が減っているから、定数の実質減って物すごく大きいんだと私は思うんですよ。なので、そういった意味で行革もよく考えて、本当に無駄なことはやめていくのはいいけれども、必要なところはちゃんと付けるということもやっていかないと、めり張りの利いた体にしないと、激痩せみたいになっていくとやっぱりうまくいかないので、現場の声を業界団体の代表を通じてではなくて聞くように、部下の方も含めて是非督励いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それから、大臣にちょっとお聞きしたいと思います。  先ほど金子先生からもお話がありました、日本の農業をこれまでしょってきたJAグループ、最近は系統共販率も落ちてきてはおりますが、それでも五〇%ぐらいあるわけなんです。そういった単協も含めてJAグループというものがこれからの日本の農業の中でどういう役割を果たしていく必要があるんだろうかと、その重要性、必要性、それについて大臣がどう思っているか、これを簡単にちょっと教えていただきたいと思います。
  41. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 中央会がスタートしたのは昭和二十九年と先ほど申し上げましたが、農協法自体は昭和二十二年に制定をされております。  その前の歴史も遡ると、私の長州でございますが、大先達の品川弥二郎という人が、明治維新でたくさんの同志が、今度は明治維新が起きた後、乱を起こすと、伊藤に言われて、おまえはあいつらを説得しに行けと、こういうふうに言って、説得しに行くんですが、東京に行ってしまったおまえには俺たちの気持ちが分かるのかと言われて、説得できずに帰ってきたと。そのことがずっと頭に残っていて、後年、ドイツに行ったときに、青木という人から、ドイツでは協同組合という組織があって、これを大資本と伍して闘うための法的なインフラとしてやっているんだという話を聞いて、長年の自分のテーマを見付けたということで、帰ってきて内務卿になって、最後にこの法案の成立を見るまで病床で頑張ったと、こういう話があるんですが、そこがスタートでございます。  したがって、やはり協同組合の精神というのはしっかりとそこから戦後の農協法も通じて脈々と息づいているんではないかなと私は思っておりますので、単に利潤を追求するとか、効率的にやっていくというところにとどまらない協同組合というそのもののことがあって、それがあるからこそ、一般の法人と比較していろんな優遇措置というものがあるんだろうと、こういうふうに思っておるところでございます。  したがって、今後も協同組合ということをまず踏まえた上で、先ほど一条の議論をいたしましたけれども、農業者協同組合であると、このことをもう一度原点に立ってしっかりと見直していこうということでございます。  したがって、やはり農産物を有利に販売をする。何が何でも委託をやめて全部買取り販売にするということじゃないかもしれませんが、いろんな工夫をして農家の手取りを増やすと。これは生産資材の流通も一緒でございます。いろんな方が、先ほどたけふの例を委員が出されましたけれども、リーダーシップのある組合長がやってきて、それまで農協から離れていったような農家が戻ってきたと。こういうことも読んだことがありますけれども、まさにいろんな農家の方がこういう農協の下で一緒になってやっていこうと思えるようなもの、これは多分地域地域によって同じではないと、こういうふうに思っております。それぞれの地域に合ったものを、組合員の中でしっかりと話合いをしてもらって、方向性を共有した上でしっかりと進めていくと、こういうふうにあっていただきたいし、そういう環境を整備するために我々もしっかりと努力をしていきたいと思っております。
  42. 上月良祐

    上月良祐君 ありがとうございます。今のも大変よく分かりまして、心強く感じました。  自分の経験でいいますと、三・一一が起こったときに、放射能汚染の問題がありました。あのときに補償の問題、大変、当時副知事だったんですが、山口代表にも当時本当に助けていただきまして、代表来られてますます緊張しておりますが。そういったときも、組合員だけじゃなくて、そのときは県中の皆さんが農家の皆さんを全部束ねて東電との交渉、国との交渉などもやってくださったんです。ある種のライフラインとして物すごく重要な位置付けであったということがございました。  それから、これから少子化が進んで、増田レポートなどもありますけれども、あの増田レポートというのは、これから日本の少子化が三次曲線的に落ちていく、その一番上のところなんですね。あれがもっと落ちていくときには増田レポートよりももっと大変なことが起こっていくという現実を考えたときに、さっきのガソリンスタンドとかスーパーみたいな話も含めて、そういう意味でのライフライン的機能もこれからは発揮せざるを得ないところも出てくるんだと思います。しかし、やっぱり農業のこと、農家のこと、それがまず一番重要なんだと思います。  全員一斉に走らせたら、みんなマラソン選手みたいに、オリンピック選手みたいに速く走れるわけではないんだと思うんですね。やっぱり中間集団というのはたくさんあって、そういうところをちゃんと支えないと日本の農業ってやっぱり支えられないんだと思うんですよ。  農業の所得を上げていくというふうに言ったとしても、やっぱりJAグループが抱えているような、今売上高で五〇%ですけれども、そういった人たちの平均値をぐっと上げられるかどうかというのが、どうも農水省の施策を見ると、優良事例の横展開と言うんですけれども、優良事例の点をよく見るんです。それはオリンピック選手を見ているようなものなんですよ。全部は無理ですよ、そうなればいいけれども。なので、やっぱりその平均値のところをよく考えて、押し上げていく施策というのも併せて是非やっていただきたいというふうに思っております。  JAの皆さんに頑張っていただくというときに、私、農家の方々とよくしゃべることがあるんですけれども、何というんでしょう、物すごく明るくてポジティブで、物すごく農業に未来があるなということをすごく情熱的にしゃべられる方も多いんですね。一方で、何かもうあしたにも駄目になりそうだ、本当大変だと言う方も多いんですよ。じゃ、その心理は平均値かといったらそうじゃなくて、どっちも多分心理で、二極化しているような気がどうも何かしていて、それの分水嶺が何なのかと自分なりに考えたときに、私が今感じているのは、やっぱり経営に対する意識の強さではないかというふうに思うんです。つまり、いい物を作るだけじゃなくて、よく売って、それがお客様の手元に届いて、どう食べていただくか、その笑顔までちゃんと見れているような経営の気持ちがあるかどうかというのが分かれ目じゃないかなというふうに思っているんです。  そういう意味では、JAグループ元気になってもらう、農協に今回ので役員の方と組合員によく話をしてもらって、よく経営方針をとかというふうなことは答弁で読みましたけれども、出てきますけれども、一人一人の組合員の人たちがそういうふうな意識を持ってもらわなければ、結局話合いをしたって、何というんでしょうか、要求ばっかりになっちゃっても駄目だし、やっぱり同じ気持ちでそういう話ができないといけないと思うんですね。  そういう意味で、一人一人の農家というんでしょうか、結局そういったことを捨象すればJAグループも元気にはなれないんだと思いますので、あえてもう答えは聞きませんけれども、是非その点もよろしくお願いしたいと思います。  監査のことをちょっとお聞かせいただきたいと思います。  公認会計士の監査につきまして、准組合員も増えてきたということで、正組合員との数が逆転したと。そういう意味では、コンプライアンスもあるのか、今回、監査で公認会計士の監査を入れるというようなことが必要だというような声もあったということなんですけれども、それをやった上で、今度は准組合員規制が掛かってもちょっと困るなと。それがあるから公認会計士の監査を入れたんだったとしたら、それも踏まえて准組合員の問題もやっていただきたいなと思いますが、ちょっとそれは後ろに置いておいて、監査のことをちょっとお聞きしたいんですけれども。  私、公認会計士の監査というのは、一流企業を見てもいろいろと問題が起きるところも多いと。基本的に監査をする会社から報酬をいただいているわけだから、ある意味で何というんでしょうかお得意先でもありまして、やっぱり監査の中には、全然好きな言葉じゃないんですけれども、ある意味で上から目線で厳しく言ってもらわないといけないようなことも私は中にはあるんじゃないかと思っているんです。なので、ポジティブな、オフェンシブな、何というんですか、取組というのはどんどんやっていくべきだと思いますけれども、一方で、監査というのはちゃんと慎重にやっていかなきゃいけないところが大変大きいんだと私は思っております。  そういう意味で、数字の帳尻が合っていればいいわけじゃないので、例えば、私も県にあって市町村の、国にあって県の財政とかを見る立場で見ていたこともあるんですけれども、決算が締まっていればそれでいいわけじゃもちろんなくて、やっぱり指標、健康診断だって一緒かもしれません、各種の指標が範囲内に収まっていればいいんじゃなくて、どう動いているかとか、そういうふうなベンチマークとの比較で、ここがどういうのがあるかとかというのをきちんとやっぱり監査をしてお伝えするというのが大変重要なんじゃないかと思っているんですね。  そういうのは公認会計士の監査ではできるんでしょうか。これは奥原局長にお聞きしたいです。
  43. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農協が、この法律の趣旨に即して、それから組合員の利益を大きくするように業務運営をしていただく、これは極めて重要なことだというふうに考えております。これをやっていく上でまず一番大事なのは、やっぱり事業運営に当たります理事の方々、この方々がこのことを十分自覚をしていただいて取り組んでいただく。経済環境もありますし、いろんな要素がありますが、それを踏まえた上で本当に組合員のメリットが大きくなるような事業を工夫してやっていただくということですので、この自覚が一番大事なことだというふうに思っております。今回の農協法改正では役員体制の見直しというのが入っておりますけれども、これはこの部分に資する、そういう話だということでございます。  その上で、適切な業務運営が本当に行われているかどうか、これのチェックというものも当然必要になってまいりますけれども、これにつきましては、まずは農協組織であれば監事、会社で言えば監査役ですけれども、この方々法令違反等をきちんとチェックをするということも必要ですし、最終的には組合においては総会で組合員自身が判断をする。きちんと財務諸表や何かが適正な数字で出された上で、それを踏まえた上でこの経営方針でいいのかどうか、どこをどう直していったらもっと農家にメリットが出るのかといったことをやっぱり議論していただくと、こういうチェックが一番大事なことだというふうに思っております。この総会におきまして組合員がチェックをするためには、この財務諸表は適正に作成をされているということが大前提になりますので、純粋な外部監査として公認会計士による会計監査を受けていただくということはこういう意味でも極めて重要なポイントだというふうに思っております。  恒常的に同一の第三者によるいわゆる業務監査ですとかコンサル、これを受けるようなことは一般の民間組織では行われていないわけでございますので、必要なときにそれをお願いすることは当然一般の会社でもありますけれども、恒常的に行われているわけではありませんので、まずはこの農協の監事なり、あるいは農協の総会におけるチェック機能、これをきちんと発揮するような体制を普通の会社と同様に整えていく、これが機能するようにしていくということが極めて大事なポイントであるというふうに思っております。
  44. 上月良祐

    上月良祐君 ありがとうございます。それは当然だと思うんですよ。  その上で、私、茨城県にいたときに、県の住宅供給公社が破綻したんですね。数百億円という大規模破産をして、全国で初めての破産処理をしたんです。今でも住宅公社の理事長ですよ、私。破産処理をして清算をしたけれども、登記簿上消せないから、私は今でもあの理事長になっているんですけれども、結局、議会がチェックをして、そして監査委員がチェックをして、包括外部監査がチェックをして、そうやって、もちろん職員も見ている、それでもそうなってしまうことだってあるんですね。  環境の変化もあるんだと思います。そういう中では、もちろん自分たちでチェックするというのは当然ですよ。しかし、やっぱり第三者からちゃんと言ってもらうというのは大変重要だと思うんですよ。そのときに、数字の帳尻が合っていればいいんじゃ僕は絶対ないと思っています。私が例えば市町村の財政を見ていたときも、やっぱり動きを見るんですよね。その指標の動きを見て、ちゃんと、まあ指導という言葉も好きじゃないけれども、アドバイスをしてあげなきゃいけないところもあるんだと思うんです。  僕は、そういう意味で、全中のというか監査機構のというか、これまでのいろんな膨大なノウハウがあると思うんです。そういったノウハウでやっぱりその指標の見方というのがあると思うから、単に締まっていればいいというんじゃなくて、そういう意味で質の高い監査を新しいその監査機構転じてなる公認会計士のその会社がやっていただけるように、私はその点は是非期待をいたしております。  それから、業務監査のことなんですけれども、さっきの話で業務監査の話もちょっと触れていただきました。いつも、答弁も見させていただきましたが、大体そういうふうな御答弁をされていて、確かに、一般のところでそういうものは義務付けられてはいないということなんですが、もちろんそうなんです。でも、何というんでしょうか、例えば農薬の管理、大変劇薬も扱っていらっしゃったり、そういうのがちゃんと管理されているかとか、例えば給与の考課の仕組みがあったとしても、そういうのを考課の基準に従ってちゃんと評価をしているか。  やっぱり農協が元気になるというのは、職員が、県庁だってそうです、国だってそうですよ、やっぱり頑張っている人がちゃんと頑張っているように報われなければ頑張る気もなくなっちゃいますから。それで組合員が、何というんでしょう、所得が上がる、元気になるなんということはないと思うんですよ。  そうしたら、そういった監査とかというのは、その公認会計士はしませんよ、恐らくそんなことは。給与考課はちゃんとやっていますか、人事の評価はちゃんとやっていますかなんというのは、やっていないですよ。だから、そういったものは、何というのかな、義務じゃなくて任意になっちゃったら、本当はやった方がいいんじゃないかなというところでやらなかったりしたら、やっぱり問題なんだと思うんです。  私は、特に、今回義務付けを外すと、多分二、三年、三、四年はいいですよ。しかし、ちっちゃな火種のときに、まあコンプライアンスの問題とかもあるかもしれないけれども、そういったものはやっぱり消していく。JAバンク法で関わるところはいいです。しかし、それ以外のところとかはその後だんだんだんだん悪くなっていく可能性があって、幾つかのところは全国でそういうのが問題になる可能性があるんだと思うんです。なので、これは県庁もそういった機能がないわけじゃないんだと思いますし、もちろん、中でちゃんとやっていただくというのが重要ですけれども、単協自立しているかどうかというのは奥原局長議論させていただいたことがありますが、自立していかなければいけない。しかし、さっき言ったように、県だってそういうことが起こる可能性があるわけですよ。なので、そこは慎重に、何というんでしょうか、やっぱり見ていくという姿勢が絶対になきゃいけないんだというふうに思います。  なので、そのことは是非お願いしたいと思うんですが、そういう意味で、今のお話を聞いた上で、業務監査の必要性について奥原局長の御見解を伺いたいと思います。
  45. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 従来の全中監査の一環としてのこの業務監査でどこまでが見れていたかという問題もこれはあるんだと思います。いろんな角度からの点検というのが多分あると思いますので、今先生指摘になりましたように、給与の評価ですとかいろんなこと含めて、いろんな角度からやろうと思えばやれると思いますが、そういうことをどこが本当にやるのが一番適切なのかということかなというふうに思っております。やっぱりそれぞれの経営層がきちんとその組織運営について自覚をしていただいて、自分たちの中でチェックできればそれが一番望ましいかもしれませんが、できなければ適切なタイミングで外部に頼むということも当然必要だと思います。  それから、農協の場合には、法律行政庁の監督を当然受けておりますので、単協については都道府県が当然検査にも入ります。そこでどこまで指摘できるかも、これもまたありますけれども、そういったことを複合的にやる中でこの経営の体質をきちんと健全にしていくと、こういうことかなと思っております。
  46. 上月良祐

    上月良祐君 今の答弁も分かるんですが、何というんでしょうか、まずは自分たちでちゃんとやれというのは本当よく分かります。しかし、できないときに問題が起こるわけですよ。そして、そういったときに指摘してくれるのは、耳が痛いからもう誰だって聞きたくないですよ。しかし、それを指摘してもらうというのも大変重要なことだと思います。そういったことなしに単協が元気になったり組合員の所得が上がったりするということは私はないんだと思っています。  なので、まあそこは県中の仕事かもしれません。やっぱりその単協役割をよく見た上で、是非とも、まあ義務付けはもうないのであれですけれども、適切にアドバイスがされるように、見てもらえるように、そこは当面、ある意味での経過期間でもあるわけですから、適切に御指導をお願いいたしたいというふうに、ここは本当強く要望いたしておきたいと思います。  これ、大臣、済みません、一言だけちょっと何かお答えいただけないでしょうか。
  47. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変難しいかつ大事な論点だと思っております。党でも随分議論をいたしましたが、まず会計監査で、人に迷惑を掛けるようなところまで行く前に会計監査が入って、金融の場合は特にシステミックリスクというのもありますから、それはきちっとやっていこうということで、それと業務監査関係がそれぞれどこまであるのかというのはいろいろな事例があると、こういうふうに思いますけれども、基本的には業務監査というのは一般企業でいうとコンサルで、こういうことをやっていこうとか、ここをこういうふうにするともっと良くなりますよと、こういうようなことも含めてやるわけでございます。  したがって、今おっしゃったように、移行期間といいますか、これが新しいことになって、すぐみんながそういうふうになるのかどうなのかというのは大変いろいろ議論が分かれるところであろうと、こういうふうに思いますので、まさにこの義務付けはなくなるんですけれども、この業務監査コンサルを依頼することは可能でありますし。  それから、まさに今おっしゃっていただいたように、都道府県中央会、これがやはり会員の要請を踏まえた経営相談監査ができると、こういうふうにしております。県の中央会はそれぞれの単協、先ほど言ったように一万が七百になっておりますので、かなり県の中のそれぞれの単協とは数も少なくなって近いところにおって、いろんな情報が権限としてではなくて入ってくるんだろうと、こういうふうに思っておりますので、そういうものをよく見ながら、どうもあそこは会計監査はちゃんとなっているけれどもいろんなこういう話もあるねということがあれば、一番望ましいのはその単位農協のガバナンスが利くということが望ましいわけでありますが、そうでないケースというのも当然出てきた場合のこともいろいろ考えながら、やはり県それから県中央会、我々はしっかりと目配りはしていかなければいけないと、こういうふうに思っております。
  48. 上月良祐

    上月良祐君 ありがとうございます。  新しい海外に何かを売っていく、そういうときにコンサルに聞くとかというのはもう本当に任意でやればいいと思うんですが、もうこんなことも言いたくないんですが、本当に耳の痛いことって、我々もそうですけれども、やっぱり常に聞かなきゃいけないんだと思うんです。なので、そういったことについては是非御配慮をいただきたいというふうに思います。  それから、農業者の所得増の中で、今回、活力創造プランの中でこのJA改革の話が入っているわけですけれども、JA改革をやったときのその寄与度というのはどれぐらいなんだろうなというふうに思いながらずっと議論をさせてもらってきました。それはそれで、私は、地域によっては物すごく大きな寄与度があるところもあると思います。そして、さほどの寄与度がないところもあるのかもしれないけれども、いずれにしてもJA改革はしっかりやってもらわないといけないと思いますけれども。  あわせて、何というんでしょう、何か現場のところへ行ってみると、やっぱり農機具というんですか、機械の経費は実際、いろいろ教えてもらってあれしたんですが、やっぱり統計で見ても人件費に次いで多いんですかね、労務費に次いで多いとかというのもあったりして、やっぱり耕作機械の経費というのか、それから流通に掛かる経費というんでしょうか、やっぱり農家の方の手元にちゃんとお金が行くようになってほしいなというふうに思っておりまして、農業の売上げが増えても農家の手取りが増えないんだったら余り意味がないので、そういう意味で、農機具あるいは流通に掛かる経費、コストを安くするのと高く売るのと、所得を上げるのはその二つしかありませんから。  そういう意味で、これは富山の公聴会でも見ましたけれども、随分言っていらっしゃったですね、農機具の経費のことは。そういったところを是非きちんと取り組んでいただきたいと思うんですが、こちらについては、生産局長、お願いします。
  49. 今城健晴

    政府参考人今城健晴君) 委員指摘のとおり、コストを削減するということの観点から、流通経費あるいは農業機械に掛かる経費の圧縮ということについては非常に重要な論点だと思います。  そういう観点から、農業機械コストの低減については、例えば低価格モデルの国内への普及ということですとか、耐久性、メンテナンスを向上させた機械の開発ということをメーカーとも一体となりながら推進してきているということでございます。また、流通経費につきましても、いろんな工夫の仕方があると思いますが、そういうことも含めて、なるべく生産コストの削減という一環として、業者と一体となりながら、またJAグループ一体になりながら努力していきたいというふうに考えております。
  50. 上月良祐

    上月良祐君 そこも本当にしっかりやっていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。  小泉大臣には、済みません、御要望にさせていただきたいと思います。  さっきちょっと飛ばしちゃったんですが、農協監査士さんのこれまでの活動はやっぱり大変重要な役割を果たしてきたんだと思うんですね。なので、その監査士さんの皆さん方が、これまで議論していた中では、これからのニーズ次第だみたいな感じの御答弁だったんですけれども、事務方の御答弁は、やはりこれまでの活動に対する敬意も表していただいて、これからの活躍の道というんでしょうか、そういったことをしっかり是非考えていただきたいと思います。  また、監査に関わる実質的な負担増がないようにするということに関しましては、野村先生からの御質問などもありましたので、その点につきましては是非要望させていただきたいと思います。  それから、一番聞きたかったといいますか、この話なんですけれども、今までいろんな人に聞いたんですが、余り明確な答えを言っていただける方がいなくて。  今回、JAに頑張ってもらおうということです。そして、頑張っている単協が、スターの単協幾つかあって、そういったところが非常に注目されているということなんですけど、こういう競争をやっていくと、みんながスピードを上げて走っていくようになって、どんどんどんどんスピードを上げて走っていくようになった、その競争の先は一体どんな社会になるんでしょうか、農業の関係はということなんでございます。  実は、地元の茨城は大消費地に大変近いですから、そして中山間が比較的少ないということなどもありまして、比較的そういう競争をしたときには有利なんだと思うんです。しかし、私は青森県にも行っていたし、長く鹿児島県にも行っておりました。そういう意味で、やっぱり大消費地から遠いところあるいは中山間といった条件不利地域、そういったところのことを考えると、この競争競争というのをやった先が一体どうなるのかと、当然負けるところも出てくるんだと思うんです。  それは、普通の会社だったら負けるところが出てくるというのは、倒産しちゃうのはよくないけれども、それでも世の常、経済の常なのかもしれないけれども、やっぱりJAってそれでは困るので。これまでの、何というんでしょう、信用の話については救済合併みたいな感じなんでしょうか、そういうのがあるのかもしれませんが、特に経済事業、営農指導、そういったところについては競争に敗れるところとかというのが一体どうなっていくのかと。  みんなに頑張って走っていってもらおうという施策なわけですけれども、その行き着く先というのがどんな形になって明るい未来が見えるのかということについて、これは大臣にちょっと是非教えていただきたいと思います。
  51. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今回の農協改革でどんどんと競争を激化させて淘汰をしていこうと、こういう考え方ではなくて、やはり先ほど申し上げました協同組合の本旨にのっとって、一条、すなわち農業者のための協同組織という原点に返っていこうと、こういうことでございます。  やはり国内外でディマンド、マーケット・インとよく言われますが、新しい需要を開拓していこうということで、付加価値を付けていくというのもあるわけですが、やはり全体としての、マクロとしての需要をどう増やしていくか、これを考えながらこの改革を進めていかないと、全体のパイが同じ中で競争していけば、今おっしゃったようなことが出てくる可能性もあるわけでございます。  したがって、先ほど申し上げましたこの三年に及ぶいろんな政策の中で需要というのを大変重きを置きまして、国内でも例えば介護食品の基準を作るとか薬用作物に出ていただくとか、いろんなことをやって付加価値をまず上げる、単価を上げるということがございますが、もう一つは、やはり海外の旺盛な需要、これどんどん伸びておりますので、これをどうやって取り込んでいくか、そういう意味で輸出の戦略を作って今やってきたところでございます。  したがって、こういうことを我々としてもマクロでやはり需要を掘り起こして増やしていくということを常に考えていくと。我々だけがその環境整備ということではなくて、それはそれぞれの地域農協の皆さんや全農の皆さんや、それぞれの皆さんの努力の総和がそれに結果としてつながっていく、こういう姿を目指していかなければならないと、そういうふうに考えております。
  52. 上月良祐

    上月良祐君 ありがとうございます。まさにおっしゃるとおり、そういうふうな方向で是非やっていただきたいと思います。  アメリカなんかは大規模でいいなと思ったら、そちらの話をよく知っている方からお聞きすると、大規模だからいいというわけじゃなくて、やっぱり相場の影響をその分大きく受ける。しかも、もっと大規模にしなきゃいけないんじゃないかというような、強迫観念というとおかしいですけど、そういうふうなこともあって、大規模だからいい、日本と比べたらそれは大規模だからいいのかもしれませんが、そうだからいいというわけでもないし、あと、何というんでしょうか、輸出するときも、お米の輸出なんかで、高い値段で売っているけれども、実は輸出している人はそんなに高く売れていないと、流通の難しい問題もあるとお聞きしております。  需要を増やしていくという中で、あるいはコストを減らしていくという中で、是非いろいろなことを、難しい課題が本当にたくさんあると思いますので、大臣に督励いただきまして、是非ともいい結果になるようにしていただきたいと思います。  准組合員の問題についてちょっとお聞きします。  もう相当細かく議論されておりますし、今、金子委員からもお話がありました。一点だけ確認させてください。改正法の七条二項で、農業所得の増大に最大限の配慮をと、こういうのが入りましたけれども、これは准組合員利用規制に、根拠になったりすることはありませんね。これは奥原局長、お願いします。
  53. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 七条二項の趣旨は、農協農業者協同組織ですから、この正組合員である農業者方々のメリット、農業所得を上げていくと、これが趣旨でございますので、このことと准組合員利用規制との関係は全くございません。
  54. 上月良祐

    上月良祐君 ありがとうございます。  それから、先ほど来ありましたが、やっぱり五年間の調査というのは、これはこれで丁寧にやっていただきたいんですが、やはり各単協は、その間組合員の皆様も心配なままなんですね、五年間どうなるんだろうと思いながら。そして、財源という観点では、新たな投資の財源計画も立てにくくなるわけです、その五年間の間は。したがって、営農の方、農業の方を頑張ってもらおうと思ってもなかなかうまくいかないということにもなりかねないということであります。  古賀委員の質問にもありましたけれども、第一条の関係で、やはり何というんでしょうか、准組合員から得られる財源で営農指導とかのもうからないところもまたやれるんだというようなこと、その第一条の趣旨は十分に勘案して、これは先ほども御答弁もありましたので、もうそこはあえて聞きませんけれども、この調査を是非やっていただきたいというふうに思っております。大臣がうなずいておりますのでもう質問はしませんので、よろしくお願いいたしたいと思います。  それから、認定農業者等のJAの理事、これは農業委員会についても同種なんでございますけれども、これも一応確認だけさせてください。最初に過半であれば、毎回開くときはもちろん過半でなくてよろしいんですね。奥原局長、お願いします。
  55. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今回の改正法では、農協の理事あるいは農業委員につきまして、農協につきましては過半数を認定農業者販売経営のプロにする、それから農業委員の方につきましてはその過半数を認定農業者にするという規定を置いておりますけれども、この規定はあくまでも農協の理事あるいは農業委員選任に当たってのルールということでございます。  したがって、選出された後の理事や委員の立場は認定農業者等であるか否かにかかわらず平等でありますので、毎回の農協の理事会あるいは農業委員会の総会において出席者の過半数が必ず認定農家でなければいけないということにはなりません。
  56. 上月良祐

    上月良祐君 ありがとうございます。  この例外の必要性は、僕は大分早い段階指摘したつもりでございました。省令で例外を書き切るということでございましたけれども、うまく書き切れるのか、本当に私はちょっと心配をまだいたしております。是非、地域の実態をよく見ていただいて、最後に特認条項を入れるとか工夫を是非していただきたいと思います。  今城局長、大変申し訳ありません。飼料用米の話、しっかり聞かせてもらいたいと思ったんですが、時間がなくなりましたので、是非、十年間の百十万トン、これはアクセルとブレーキ、物すごく難しいと思いますので、よくうまく現場のことを見ていただきながら、サステナビリティーに疑義が生じないようにしっかりやっていただいて、今年の概算金も大分調子は何となくいいようでございますから、是非米価の下支えをやっていただきたいと思います。  最後に一問、大臣にTPPに対する御決意だけ一言お聞きをして終わりたいと思いますが、もうその後ないので一言最後に申し上げますけれども、この法律をきっかけに、私は、JAとかJAグループの皆さんが地域の方々にとって、あるいは地域にとってかけがえのない存在だということを是非再認識してもらえるように頑張ってほしいし、見せ付けるように頑張っていただきたいと。そのことを申し上げて、最後に大臣のTPPに対する、最後大変苦しい状況かもしれませんが、そのときに五品目を守っていただけるように、そのことについての御決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
  57. 林芳正

    国務大臣林芳正君) JAのことについては、今委員がおっしゃった方向、私もそういうふうに認識しておりますので、その方向で一生懸命やっていきたいと思っております。  TPPの交渉状況は、様々な報道もあって、お地元の茨城県始め全国生産者の方々に不安の声があると、こういうふうに承知をしておりますが、まさにこの農林水産委員会での決議、これは生産者の方々意見も踏まえてしっかりと決議をされておりますので、この決議が守られたというふうに評価されるように政府一体となって全力を尽くしていきたい、この考えを変わらずにやっていきたいと思っております。
  58. 上月良祐

    上月良祐君 ありがとうございました。終わります。
  59. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  60. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、上月良祐君、堀井巌君及び郡司彰君が委員辞任され、その補欠として豊田俊郎君、山下雄平君及び野田国義君が選任されました。     ─────────────
  61. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 休憩前に引き続き、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 皆様、大変お疲れさまでございます。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  改正法案の質問に入る前に、なかなか機会がございませんので、二つだけ別の質問をさせていただきたいと思います。  まずは、七月十七日に根室沖でロシアの警備艇によって漁獲量超過の嫌疑で拿捕された北海道の十勝の広尾漁協所属の第十邦晃丸、国後島の古釜布まで連行されて、約一か月、古釜布沖でずっと停泊をさせられているわけでございますけれども、二十一歳から六十四歳まで、十一名の乗組員がずっと船の中にいるわけであります。健康状態は大丈夫なのか、あるいは心の状態は大丈夫なのか、そしてずっと待っておられる家族の皆さんのことも大変に心配であります。  現在どういう状況なのか、また日本政府としてロシア当局とどういう接触をしておられるのか、そして今後の見通しは、分かる限り御説明いただきたいと思います。
  63. 城内実

    ○副大臣(城内実君) 徳永エリ先生の御質問にお答えいたします。  先生今述べられましたとおり、七月十七日金曜日、午後六時五十分頃、第十邦晃丸は、根室沖北緯四十三度五分、東経百四十六度十五分付近におきまして、ロシアの国境警備局所属の警備艇によりましてベニザケの漁獲量超過の嫌疑で拿捕されました。その後、国後島古釜布に連行され、現在に至るまで残念ながら古釜布沖に停泊中であります。  日本政府といたしましては、こうした事態を受けまして、外交ルートを通じて、人道的観点からも、伊東船長を始めとする十一名の乗組員及び第十邦晃丸の船体の早期解放を繰り返し繰り返し申し入れてきてまいりました。それとともに、第十邦晃丸の関係者からの要望を受けまして、ロシア側と調整を行いつつ、四島交流事業等の訪問団によります薬や食料品の差し入れを計三回行ったところでございます。  ロシア側当局からは、取調べは既に終了し、まさに今日、本日、裁判が開始予定であるとの説明を受けております。また、この裁判につきましては、今後の見通しにつきまして予断することは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、日本政府としては、引き続き、人道的観点からも乗組員及び船体の早期解放がなされるようロシア側に強く働きかけていく所存でございます。  以上です。
  64. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  政府からロシア当局に働きかけをしているということですけれども、そのロシア側の反応というのはいかがなんでしょうか。
  65. 城内実

    ○副大臣(城内実君) 外交ルートでこれまで十数回にわたりまして、例えば八月十一日、原田駐ロ大使からモルグロフ・ロシア外務次官に対しまして申し入れるなど、累次にわたり申入れしておりますが、個々の内容につきましては、この場で申し上げることは外交上の関係もありますので差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにしましても、累次にわたりロシア側には強く働きかけてきておりますし、これからも続けていく所存でございます。
  66. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 船内から電話でのやり取りはできるというふうに聞いておりまして、医薬品とか食料を届けた際も、船長、乗組員の皆さんからの要望に沿ってということでありますけれども、七月の二十四日に、外務省の職員と鈴木宗男元衆議院議員それから鈴木貴子衆議院議員が邦晃丸に乗り込みまして、船長や乗組員の皆さんと直接会って話をしておりますよね。その際に、メディアに対して、鈴木元衆議院議員が、ロシアサイドから全員の取調べが終われば船長以外は釈放する、船長は裁判が終わるまでは残すという説明があったそうですけれども、取調べが終わったのなら船長以外の乗組員の皆さんは帰していただけるんだと思いますが、この点について日本政府の方から申入れはしているんでしょうか。
  67. 城内実

    ○副大臣(城内実君) その点につきまして、ちょっとどういう状況か詳細について把握しておりませんけれども、まず、船長だけ仮に残った場合は、その船を航行する状況にはとても、多分できないということもございますし、その辺についても、今後、外務省を通じて、船長及び乗組員の方々とよく相談しながら、あとまたロシア側の意向も踏まえて検討していきたいというふうに考えております。
  68. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それにしましても、持病を持っていらっしゃる方もいるということでございますので、全員そこにいる必要はないわけでありますから、帰していただけるのであれば何名かでも帰していただけるように、是非とも働きかけを続けていただきたいということをお願いしたいと思います。  それから、サケ・マスの流し網漁の禁止法案審議されているときは、安倍総理大臣からプーチン大統領に対して、電話会談という形でありますけれども、会談、働きかけがあったということでありますが、今どのレベルで申入れをしているのかというところについてもちょっと御説明いただけないでしょうか。
  69. 城内実

    ○副大臣(城内実君) この問題につきましては、サケ・マス流し網漁の問題につきましては、あらゆるレベルで、まさに安倍総理からプーチン大統領、そして現地の大使からカウンターパートのロシアの外務事務次官含めて、累次にわたりこれまであらゆるレベルで行っておるところでございます。
  70. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 乗組員の帰国に関しても、是非とも総理大臣からも働きかけをしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  林大臣にもお伺いしたいと思いますけれども、今回の件を受けて農林水産省としてはどのように対応しておられるんでしょうか。
  71. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今外務省から答弁がありましたように、残念ながらまだそういう状態が続いていると、こういうことでございます。外務省と引き続き連携して、船体の早期解放、それから人道的観点から乗組員の皆さんの早期解放、連携して対応して実現していきたいと思っております。  これまでも、ロシア水域に出漁する関係漁業者に対しては操業規則の遵守等の指導を行ってきたところでございますが、今後も引き続きまして、関係者に対して指導を行って安全操業を確保するように努めていきたいと、こういうふうに思っております。
  72. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 是非とも、林大臣からも、外務大臣あるいは総理大臣からも、一日も早い帰国に向けて働きかけをしていただくようにお願いをしていただきたいということを申し上げたいと思います。  そして、まさに十勝の広尾漁協というのは中川務官の御地元でございます、選挙区でございますので、是非とも御家族の方と接触をしていただいて励ましていただく、あるいはできる限り情報を届けていただく、その努力を、私たちもしますけれども、是非ともお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  73. 中川郁子

    大臣政務官中川郁子君) 御質問いただきましてありがとうございます。そして、御心配もいただきまして大変ありがとうございます。  私も、報道を通じてこのことを知ってすぐに広尾漁協の方に走り、そして組合長、そして組合員の皆様方に逐次説明を行っているところでございます。  薬に関しても当初から御心配がございましたので、人道的観点からお願いしたいということで、私自身も四島交流事業で北方領土の荒木専務がいらっしゃるというふうにお聞きをいたしまして、すぐさま荒木専務にお願いをしたところ、鈴木宗男先生、そして鈴木貴子先生がその船に乗っていかれるということで、直接手渡しをしていただいたということ、本当に有り難いことだなというふうに思っております。  そのお話を受けて、食料品でありますとか、それからその後、衣料品でありますとか、また先日は生鮮食料品及び清涼飲料水も「えとぴりか」に載せてお届けをしたということでありますし、毎日のようにユジノサハリンスク総領事館の館員の方が伊東船長とお話をして、家族の皆さんに対してのメッセージなどを受け取っているという旨も、私自身も外務省から聞かせていただいて、毎日のように漁協に電話をさせていただいているところでございます。  本当に、一日も早くふるさとに帰してあげたい、そして、やはり生活のこともいろいろ御心配しておられるであろうというふうに思いますので、一日も早く帰ってきていただきたい、そのように私自身も努力をしていきたいと思います。  ありがとうございます。
  74. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  漁協だけじゃなくて、女性として、奥さんとかお母様とかあるいは子供とか、心もしっかりとお支えいただきたいと、一緒に頑張りますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  城内副大臣、ありがとうございました。
  75. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 城内外務副大臣、どうぞ、結構でございます。
  76. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それでは、澁谷議官にお越しいただきましたので、TPPについてお伺いをしたいと思います。  TPPハワイ交渉会合が大筋合意できず、甘利大臣は、もう一回閣僚会合が開かれれば合意できるとおっしゃっていたわけでありますが、八月中はもう無理ですよね。そして、今日の日本農業新聞の記事にもなっていましたけれども、甘利大臣は十七日の日にテレビ出演をなさいまして、その際に、九月いっぱいにという気持ちを持ち続けなければ漂流する危険性があるというふうにおっしゃったそうでありますが、カナダや米国などの政治状況を考えても、なかなかこれ九月中にというのも難しいのではないかというふうに思いますが、九月に閣僚会合が開かれるという可能性について、現状を含めて御説明いただきたいと思います。
  77. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  ハワイの閣僚会議では、ルールの分野で実質的に収束したチャプターがかなりあったというところでございまして、現在、テキスト、いわゆる協定の案文に係る法的チェックなどの作業が事務レベルで行われているという状況でございます。  それから、未解決の課題、これはいずれも政治イシューになりますので、次の閣僚会議で解決に向けた議論を行うということになるわけでございますが、案件によっては、その前に何らかの形で事前の調整をするという必要も出てくるわけでございまして、その辺りの作業状況を踏まえて次回会合の日程が今後調整されてくるというふうに思います。  現時点でまだ具体の日程が固まっているわけではありませんけれども、九月は不可能だとか、そういう状況になっているとは認識しておりません。いずれにいたしましても、関係国と十分に調整をしていきたいというふうに思っております。
  78. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  甘利大臣から漂流する危険性があるという言葉が出るというのは、今まで余りなかったんじゃないかなというふうに思います。相当やっぱり危機感を持っておられるのかなという印象を受けました。  ちょっと心配なのは、十四日のインサイドUSトレードの記事によりますと、TPP交渉参加国の域内の経済活動の八五%を占める少なくとも六か国が協定を批准したらTPP協定が発効することを日本が提案し、その提案がコンセンサスの方向に進んでいるということでありました。日本の提案は、米国と日本を含む六か国が交渉の妥結後二年以内の協定の批准をすることが必要だとしているそうであります。また、自由貿易委員会という組織を新設して、新加盟国の加入の可否もチェックをするとしています。  日本がなぜこのような前のめりな提案をするのか、なかなか合意が難しい中で、いわゆる難航している分野に対して反対している国を外して日米を中心に進めていこうという考え方があるのかなというようなこともちょっと疑ってしまうわけでありますけれども、この十四日のインサイドUSトレードの記事、これは事実なのかどうか、背景をお伺いしたいと思います。
  79. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 御指摘の発効規定を含む、これは我々最終規定というふうに呼んでおりますけれども、三十一のチャプターのうちの一つが最終規定でございます。この最終規定は、前文とともに全体が合意されるときにセットするということを目指して調整がされているものでございます。先月も、あのハワイの会合におきましても、これは事務レベルのワーキンググループで議論がされているところでございます。  今御指摘いただいた報道では、何か日本が提案したというような書かれ方をしておりますが、どこの国かは別といたしまして、通常、この手のものは、各国の意見をある程度踏まえて、議論のたたき台を誰かがつくらなきゃいけないということで、それはそのチャプターに関する幹事的な国が整理をするということに通常なっているところでございます。  最終規定につきましても、そういう形で議論はされたということでございますけれども、各国がそれぞれまだ意見を言っておりまして、引き続き調整をするということになっております。まだ、固まっている状況ではございません。
  80. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 なかなか閣僚会議を開くことも難しいと思いますし、大筋合意は簡単にはできないのではないかというふうに思っておりますけれども、まだまだ緊張していなければいけないなという思いであります。  いずれにしても、先ほど林大臣からも、衆参の農林水産委員会の国会決議は守ったと評価されるようにというお話がありましたが、今まで報道されている数字等を見ておりますと、とてもその国会決議を守ったと評価できるような中身ではありません。そして、医薬品のデータの保護期間の問題等々も、TPPの内容をいろいろ見てみますと、一部の大企業にとっては大きなメリットになるかもしれませんけれども、多くの一般国民生活にとってはもう本当にこれは不幸を招きかねないという内容でありまして、やはりTPPには参加するべきではないなということを強く強く感じておりますので、何とかまとめようとして前のめりな行動をしないように、あくまでも慎重に慎重に対応していただきたいということを改めてお願いをさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  81. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) この委員会を含めまして様々な御意見、十分踏まえて対応しているつもりでございます。これからもそういう意味でしっかりと対応していきたいと思っております。
  82. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。澁谷議官、結構です。
  83. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 澁谷議官、御苦労さまでございました。
  84. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それでは、改正法案について御質問させていただきます。  衆議院でもそうでしたが、参議院でも先日行われました富山での地方公聴会、そして一昨日の参考人質疑、公述人や参考人の方から今回の法改正に関して懸念あるいは非常に否定的な意見が大半を占めているという状況であります。  法改正の目的である農業者の所得の向上と法案内容がどのようにリンクするのか理解できない、まずは法改正ありきで単にJAグループの弱体化を狙ったものなのではないか、あるいは、そもそも政策の策定過程に問題がある、現場の声を聞かずして最初に規制改革会議が出した案を国の政策として決めてしまったことへの不信感から始まっているという意見が次々と出されました。皆さん、改革は必要だと言うんですね。改革は必要だけれども、この改正法案については非常に問題があると言っているわけです。  そして、一昨日参考人として出席していただいた全国農協青年組織協議会の天笠会長は、法改正には次世代の農業を担う若い農業者意見が必要なんだと、なぜ青年部の意見を聞こうとしなかったのか、この改正法案については納得、理解を得られていないという御指摘がありました。  大臣がおっしゃっているように、その変化に伴って改革改正が必要なのであれば、まさにこの次世代を担う若い人たちの声というのが非常にこの改正には必要だったのではないかというふうに私は思います。恐らく、公聴会あるいは参考人質疑の公述人、参考人の方々の御意見というのは大臣の耳に届いていると思います。議事録を御覧になっているかもしれません。  こういった懸念の声、あるいは否定的な声を受けて、これを、先日の委員会で紙先生からもお話ありましたけれども、今後、農林水産省としてどう扱っていくのか。聞きっ放しで終わりというわけにいかないと思うんですが、この点について、林大臣にお伺いしたいと思います。
  85. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 八月の六日に富山県で地方公聴会が開催をされておられます。また、八月十八日には参考人質疑でいろんな方の御意見を聞いておられるわけでございます。地域農協、それから中央会の役員の方、法人経営、家族経営で農業を行っている方、多様な地域農業の関係者、また学識経験者の方から幅広い御意見があったというふうに伺っております。  この農協改革に関してですが、地方公聴会においては、農業者からは、農協事業展開のスピード感が足りず、流通、販売経費が高過ぎると思うが、今後の改革に期待をする、また、一農業者として農協改革していこうと思っており、現場の思いに近い改革にすることができるといった、今触れていただいたような改革の必要性に関する発言がありました。参考人質疑でも、政府と同じ方向を向いて農業所得の増大に全力で取り組む、こういう発言もあったということで、大変に心強く感じております。  一方で、これもお触れいただいたように、例えば、非営利規定を削るのは協同組合の否定につながるのではないか、それから、理事の選任に関して、現場が混乱しないよう、地域の事情に応じて選べるようにすべきではないかと。それから、准組合員の利用がなければ、営農指導コストが賄えず地域住民の生活にも影響が出るので、准組合員利用規制は認められないというような、こういう御意見もございまして、内容が十分伝わっておらず、我々の説明不足もあるかもしれませんが、この法案への疑問、懸念を多くの方が述べられておるということも承知をしておるところでございます。  検討過程ではいろんな方からのヒアリングをやって、そのときには、若手農業者を含む多様なヒアリングをやってまいりました。また、何度もお話をしておりますが、最終的な骨格を取りまとめたときにJAグループの皆様と、当時、私は党におりまして戦略調査会長でございましたが、夜を徹するような形で何度も時間を掛けて、ここにおられる野村先生もその一員でございましたが、一緒になって忌憚のない議論を交わした上で最終的な合意をいただいて、骨格を取りまとめたところでございます。  この衆参、特に今日の委員会質疑でもそうでございましたが、今出たような御意見を踏まえていただいて御質問していただいて、それに我々としてなるべく分かりやすく答えていくと、このことでかなりの疑問解消につなげていきたいと、こういうふうに我々も思っておりますし、また必ずしも法案の中身そのものというよりは、法案が成立させていただきますれば、その後どういうふうに運用していくのかと、こういうこともございます。  したがって、お聞きさせていただいたいろんな御意見はしっかりと御説明をするということと、それから今後の運用にもしっかり生かしていくと、こういうことを丁寧に説明をしていく、こういうことで懸念を払拭していきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  86. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 検討過程でいろんな方の話を聞いた、長い時間を掛けてヒアリングをしたということでありますけれども、だったら、参考人でいらっしゃった方々からもっと前向きな御発言があると思うんですけれども、やっぱり不安、懸念、払拭されていないということでありますし、私たちも、こうして審議をしておりますけれども、やはり不安が残ったままで、説明を幾らしていただいても、五年後一体どうなるんだろうかという不安な思いが全く消えないという状況であります。  是非とも、今後、運用という話もありましたけれども、政省令で決めていかなければいけないこともたくさんありますので、今まで以上に現場の声をしっかり受け止めていただいて大臣には御対応いただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  そして、一番やっぱり多いのは、農協事業の株式会社等への転換、准組合員利用規制の部分でありますけれども、私も何度か北海道の事情を申し上げてまいりました。交通の便が非常に悪い、あるいは一年の半分を雪に閉ざされている、そしてホワイトアウトなんて話もありますけれども、吹雪になれば車にも乗れない、電車もバスも全部止まってしまう、本当に地域に生活インフラがなかったらもう生きていけないというような状況になりますので、本当に深刻な問題なんですね。もう一つは、雇用の問題なんですよ。農協事業でもって地域の雇用が創出されているわけですよね。Aコープでパートで働くお母さんたちとか、それからホクレンのガソリンスタンドで働く若い人たちとか、こういった雇用が失われることにも大変に懸念をいたしております。  奥原局長は、こういうことを何度も申し上げますと、大丈夫ですからというふうに非常に前向きにおっしゃるんですけれども、全然大丈夫だという気持ちになれないんですね。  そこで、本当に農水省が、地域のインフラである農協業務、これにこの法改正で支障がないようにすると、大丈夫だと言うのであれば、もう審議も後半でありますから、しっかりと、どうやってこの業務に支障がないようにしていくんだということを明言していただきたいなと思うんですが、その機会を設けましたので、是非とも明言をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  87. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 株式会社化の問題でございます。  今回の法律の中では、地域農協につきましても選択肢として株式会社等に転換できるという規定を置いているわけでございます。  まず、この背景でございますけれども、農協農業者協同組織でございます。しかし、過疎化、高齢化が進行する農村社会の中で、実際上、地域のインフラとしての機能も持っている、側面を持っているというのも事実でございます。その場合に、やっぱり農協という組織形態のままではなかなか仕事が適切にできないというケースも考えられるわけでございます。農協組織形態であれば、員外利用規制法律上当然掛かりますし、それから運営につきましても正組合員だけが議決をすると、こういう仕組みになっておりますので、場合によっては、農業者でない地域住民に対して地域のインフラとしてのサービスを適切に提供していくことが難しくなるということも考えられるのではないかということでございます。  このために、今回の改正案では、農協がその選択によって、例えば生活購買やガソリンスタンドなどの事業を分割をして株式会社に組織変更できるようにするという選択肢を置いているということでございます。この選択肢を使った場合には、当然農協法上の員外利用規制は外れることになりますし、それから議決につきましても、農協であれば正組合員だけが議決をすることになりますが、分割をして会社になれば、准組合員の方も、あるいは地域住民の方もここの出資者になって議決に参加するということもできるようになります。こういったことによって、地域のインフラとしてのサービスを適切に維持、提供することを可能にするというのが今回の選択肢の趣旨でございます。  いずれにいたしましても、この株式会社への組織変更はあくまで選択肢として入れるわけでございますので、今後、各地域農協が自己改革に取り組んでいく中で組織の問題がネックになった場合に必要に応じてこの制度活用していただきたいということでございまして、これを強制する話ではございません。
  88. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今までいただいていた御答弁と何も変わらないということですね。全然不安は払拭されないんですね。  ほとんど北海道の町村は高齢化が進んでいて過疎化限界集落でありますから、本当にしっかり守っていかないと、もうその地域には住めないということになっていって、地域そのもの、町そのものが崩壊してしまうということになりますので、是非とも、今後慎重に、農協法の位置付けから外れたからもう農林水産委員会関係ない、あとは厚生労働省とかほかでやってくれとかという話ではなくて、しっかりそこは責任を持って、冷たい御対応をなさらないようによろしくお願いしたいと思います。  特に、これもこだわっておりますけれども、厚生病院、本当に病院は大変なんです。旭川とか札幌とか帯広とか、こういうところの厚生病院はそれなりに利益も上げておりますけれども、ほかの町村にあるような厚生病院はもうほとんど採算が取れないような状況ですから、だから、社会医療法人になったときに一体どうなるんだろうと。そして、病院の運営はできるような状況であっても、医師の確保が難しいんですよ。  先般申し上げましたけれども、医師を確保するのに年間のギャランティーが二千五百万とか三千万掛かるわけですよね。それは、やっぱり総合事業の中で農協だからそういうギャラを払って医師を確保できたのではないかという部分も多分にあると思いますので、立派な病院の側があっても医師がいなければ病院は成り立ちませんので、そういうところも細かく御配慮いただきまして、今後御検討していただきたいということをよろしくお願い申し上げたいと思います。  せっかくの機会ですから、前回質問させていただいたときに、北海道の単協組合長さんたち全員に私、アンケートを出させていただいて、十八単協からお答えをいただいたというお話をいたしましたけれども、その組合長さんたちの意見をちょっと申し上げたいと思います。  JA総合事業一つの拠点で複数の事業が利用できるワンストップサービス組合員や地域住民に提供している、地方によってはJAしかないという地域もあり、地域社会の暮らしを支え、地域インフラの一役を担っているんだと。まさにこのような状況や実態を無視した政策であり、地方の崩壊を招くことが懸念され、全く理解し難い。  あるいは、当地区は純農村地帯であり、高齢化が進む中、二百戸ほどの組合員が農畜産物の販売を生業にしており、その販売で成り立っている農協ですが、販売事業以外では准組合員、員外の利用も一定にあり、それらを除くと組合運営は困難な状況です。また逆に、地域住民にとっても役立つ存在となっている自負もあり、一概に法制上一律の扱いを受けることには疑問があります。  それから、准組合員利用規制は、信用事業共済事業農協から分離することを目的とするものであり、農業協同組合の解体を狙ったものと思っています。地方創生とは真逆であります。信用共済事業を切り離した専門農協で農業振興は成し得ない。  最後に、TPPによる保険、貯金等の市場開放が狙いと思われますが、営農、販売経済事業を中心とした組織構築はコスト高となり、総合事業でなければ成り立ちません。過疎地である当地域は商店も数軒で、生鮮食品を扱う店舗は当JA店舗のみで、赤字経営中で地域住民へ配達サービスをすることで高齢者を支援しているんです。貯金、共済事業等は親世代から顔見知りの中で、地域住民にとって便利で安心して利用できるJAとして存在していると認識しております。准組合員の利用制限は地域の実情を無視した内容であり、理解できませんと。非常に丁寧に皆さん書いて御回答をいただきました。  そして、奥原局長は、農協の株式会社化について繰り返し選択肢というふうにおっしゃっておりますけれども、農協から要望があって今回、できる規定が入ったわけではありませんよね。現場からそんな要望は全く上がっていないと。  この法案は財界と官邸の強い意向によりまとめられたものですから、これまでも委員からお話がありましたけれども、在日米国商工会議所の意見書にもあるように、他の競争関係にある業態から強く批判され、イコールフッティングの観点からも財界が農林中金共済連の株式会社化を狙っており、准組合員利用規制を掛けたいわけで、その結果、農協が現在担っている地域のインフラ事業も切り離されてしまうのではないかと、その可能性が非常に高いわけであります。あるいは、もしかすると、不採算分野を切り捨てたいというような狙いもあるのかもしれません。  附則第五十一条第二項において、准組合員組合事業の利用に関する規制の在り方については、五年間調査、検討を行った上で結論を得るとされています。今回の改正法の附則の五十一条第二項に、この調査の中身が書いてあります。正組合員准組合員組合事業の利用状況、そして農協改革の実施状況がこの調査の内容ということであります。  しかし、何のために調査をするのか、その調査目的が曖昧です。その結果がどうだったら、どういう判断をもってどのように決定されるのかということもよく分からないと。ここを改めて御説明いただきたいと思います。
  89. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 准組合員関係でございます。  農協はあくまで農業者協同組織でございますので、この正組合員である農業者のメリットを拡大をする、これが最優先でございます。したがって、准組合員はもちろんサービスを利用しているわけですけれども、そちらの方に主眼を置いて正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはならないというふうに考えているわけでございます。ただ一方で、先ほどから申し上げておりますように、過疎化、高齢化が進展をしている農村社会において、農協が実際上地域のインフラとしての側面を持っているのも、これも事実でございます。  こういった状況を背景としまして、政府・与党の中でこの准組合員利用規制について議論がいろいろされてきたわけでございますが、これまで規制がなかったこともありまして、正組合員准組合員利用実態が把握できていないということもございます。それから、今回の農協改革によって農業者所得向上に向けた成果がどの程度出るか、これを見極める必要もあるということから、五年間の調査を行った上で検討して結論を得るということになったわけでございます。  具体的な調査の中身につきましては今後検討することになりますけれども、この調査結果を見ながら、白紙から検討を進めていくということになりますので、検討に資する項目をある程度幅広く調査をしていくと、そういう必要があるのではないかなと思っております。  したがいまして、現時点で、調査結果がどうであれば准組合員利用規制を掛けるですとかあるいは掛けないですとか、そういった基準を決めているわけではございませんけれども、農協農業者所得向上に向けて十分な成果を出している、農業者からも評価されているという状態になった場合に、農協がそれに併せまして当該地域において不可欠な地域インフラとしての業務を行うことを妨げる、そういう理由はないのではないかなというふうに考えているところでございます。  今後の調査、検討に当たりましては、こういったことを十分踏まえて進めていく考えでございます。
  90. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 先ほど申し上げましたように、日米の財界の狙い、結果ありきでもしこの法案審議されているんだとすれば、調査を行った結果によっては准組合員利用規制が導入されるという可能性も否定はできないわけですよね。  あるいは、局長も何度かおっしゃっていましたけれども、准組合員でない地域の人たち、いわゆる員外利用ですね、これが非常に多いから、誰でも自由に事業を利用できるようにした方がいいんじゃないですかということを、ある意味耳当たりのいい話をして世論を誘導して、選択肢としてではなくて、組合組織事業を株式会社などに転換させた方がいいんじゃないかというような一定の空気をつくられてしまうと。今までもこういう手口はいっぱいあったわけで、非常にここを心配しているわけでございますけれども、こういった可能性について、お答えできないかもしれませんけれども、ちょっと伺いたいなと思います。
  91. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今回御提案している法律の中に今後どうするということを書いているわけでは全くございませんので、将来の話については何も決まっておりません。
  92. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 恐らくそうなんじゃないかと私たちは思っていますので、これからもそうならないようにしっかり見ていかなければいけないなと思っていますが。  富山県で行われた地方公聴会では、富山県農業協同組合中央会の穴田会長から、准組合員の利用がなければ、農協法の第十条、事業、この第一項に明記してある組合員のためにする農業の経営及び技術の向上に関する指導農協が一番やらなければいけない営農指導事業に関する予算的な措置が確保できなくなるのではないかと、新規事業に関する農業関連投資などは不可能になるという御懸念がありました。  また、一昨日の参考人質疑では、龍谷大学農学部の石田教授からは、改正案の第七条第二項、職能純化路線を准組合員利用規制の根拠としてはならない、附則第五十一条第二項は削除すべきであるという御意見もありました。  また、元明治大学農学部北出教授からは、正組合員准組合員など地域住民に対する事業は、二律背反ではなく相乗効果を発揮して農協活動を発展させているんだと。農協が今後目指す方向は、農を基軸とした職能的地域組合なんだというお話もありました。  そこで、改めて伺いますが、現行法の八条を書き換えて、第七条第二項が新設されたのはなぜなんでしょうか。
  93. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 現行農協法の第八条のところには、営利を目的としてその事業を行ってはならないということが書いてございます。  この趣旨は、農協は当然株式会社とは違う組織でございますので、株式会社は出資配当で利益を配るのを基本としておりますが、この株式会社のように出資配当を目的として事業を行ってはならないと、こういうことをこの八条の従来の規定は意味しているわけでございます。  この趣旨につきましては、この八条だけではなくて、これは今回改正しないで残っておりますけれども、農協法の第五十二条第二項というところにも、出資配当につきましては上限が設けられておりまして担保をされております。この出資配当の上限の制限につきましては、ほかの協同組合法制におきましても全て共通に設けられているところでございます。ここは今回の農協法改正でも特にいじっておりません。  このようなことを踏まえて、今般の農協法改正に当たっては、この出資配当の制限を定める規定改正をしないことにしておりますけれども、一方で、従来の「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という、この書き方の部分ですが、これが、そもそも利益を得てはいけない、あるいはもうけてはいけないんだと、こういった誤った解釈をされている傾向もございましたので、この規定を削除をするということにしているわけでございます。  その上で、農協が農産物の有利販売等に積極的に取り組むということを促すために、組合は、事業の実施に当たりまして、農業所得の増大に最大限の配慮をしなければいけないということ、これは新しい第七条の第二項でございます。それから、第七条の第三項で、組合は、農畜産物の販売等において、事業の的確な遂行により高い収益性を実現して、その収益で事業の成長発展を図るための投資又は事業利用分量配当に充てるよう努めなければいけないという規定を追加をしたわけでございます。  ただ、これまでと同様に、新しい第七条の第一項でも、農協准組合員を含めて組合員のために最大の奉仕をすることを目的とするということは、これまでどおり規定をしているわけでございます。  したがいまして、今回の改正案では、地域農協がその判断によって各種のサービスを総合的に提供することができるという、こういう現在の枠組みは何ら変えておりませんので、総合事業体としての機能を否定したり准組合員の利用を排除するものであるという指摘は全く当たらないというふうに考えております。
  94. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 局長、よく聞いてください。この八条を書き換えて第七条第二項を新設したことに関しても単協組合長さんからいろいろ御意見があります。  自己改革は、食と農を基軸として地域に根差した協同組合として、農業者や地域住民と一体となって持続可能な農業と豊かで暮らしやすい地域社会を実現することを目的とした取組であり、利益を目的としないとする規定を削除することは何の意味も持たない。  それから、農協法第八条に最大の奉仕と非営利の原則がうたわれていますが、協同組合の原則が根底から覆ることとなります。剰余金が出たら出資配当、さらには利用高配当、不測の事態に備えるための組合員の財産として積立金として蓄える。  それから、総会の決議事項であって、独り占めできる仕組みにはなっていません。経済的弱者が、相互扶助の原則の下、自主自立の精神で結び付いた組織のため、営利目的の組織にしたいのであれば、国が別にそのような組織をつくればいいのではないか、協同組合にそのようになれとはお門違いである。  それから、そもそも協同組合は民主的な運営管理を行う非営利の相互扶助組織です。そのために、現農協法においても利益を目的としないとする規定が設けられていると理解しています。よって、その規定を削除し、農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならないと規定することは職能組合への拍車を掛ける以外の何物でもないと考えておりますという御意見でございますが、いかがでしょうか。
  95. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) この営利を目的として事業を行ってはいけないというのは、出資配当を目的として仕事をしてはいけないという、これだけの意味でございます。これ、法律解釈としては間違いなくそういうことでございまして、この趣旨は、先ほどから申し上げておりますように、今後の農協法の中でも出資配当の上限は書かれているわけでして、この点は何も変わっていないんです。  問題は、やっぱりそれぞれの農協方々が、農産物の有利販売ですとか正組合員である農家の方々所得向上に向けてきちんとした販売努力あるいは生産資材のコストを下げる工夫をしていただきたい、もうそこがまさに狙いでございまして、それ以上のものではないんです。別に会社と同じような組織になって、もうかればいいんだというふうにしてくれということを申し上げているわけではありませんので、あくまで農業者にとってメリットが出る協同組合らしい農協であってほしいと、そういうふうになってほしいと、そういう趣旨の改正でございます。
  96. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今までもそういう努力はみんなしてきているんですよ。だから、何でみんなちゃんとそのことを分かっているのにわざわざ書き換えなきゃいけないのかということを、非常に、何かあるんじゃないか、裏にというふうにみんな思っているわけですね。分かっていることをわざわざ書き換えて更に局長からそういうふうに指摘されるというのは、もう非常に失礼だなという感じがつくづくしますよね。  それから、そもそも農協は営農・経済事業に専念せよというのは食料・農業・農村基本法に反するんではないでしょうか。  基本法第五条の農村の振興については、農業者を含めた地域住民の生活の場で農業が営まれているということにより、農業の持続的な発展の基盤たる役割を果たしていることに鑑み、農業の有する食料その他の農産物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮されるよう、農業の生産条件の整備及び生活環境の整備その他の福祉の向上により、その振興が図られなければならないとしています。  そして、農業者の努力、第九条には、農業者及び農業に関する団体は、農業及びこれに関連する活動を行うに当たっては、基本理念の実現に主体的に取り組むように努めるものとすると書かれています。農村の振興、地域の振興に農業団体、農協が主体的に取り組みなさいと法律に書かれているわけです。  それを改正案の第七条第二項では、農業以外のことはやらなくていいから営農・経済事業に専念しなさいと、農業でもうけなさいと言っているわけでありまして、この食料・農業・農村基本法との関連はどうなのか、そもそもこの基本理念を変えてしまうということになりはしないでしょうか。
  97. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 基本法との関係でございます。  食料・農業・農村基本法、この中で基本理念が書いてございますが、第二条から第五条までにこれが書いてありまして、食料の安定供給の確保、それから多面的機能の発揮、それから農業の持続的な発展、あるいは農村の振興、こういったものを基本理念として位置付けているわけでございます。それから、今も御指摘ございましたが、この基本法の第九条のところでは、農業者それから農業に関する団体は、これらの基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとするということも規定をされているわけでございます。  しかしながら、このことは、あらゆる農業に関する団体が全ての基本理念の実現に向けてひとしく活動するということを求めているわけではございません。それぞれの団体につきましては、それぞれの根拠になっている法律がございますので、それぞれの法制度の下で、目的もございますし、それから事業の範囲もございます。そういった枠組みの下で仕事をしているわけでございますので、その枠組みの下で事業を実施する場合にこの基本法に書いてある基本理念の実現を意識するよう求めているというのがこの第九条の規定だというふうに理解をしております。  農業者協同組織であります農協につきましては、今回の改革の基本的な考え方でもあります農業者所得向上に向けた活動に全力投球をすると、これによりまして農業の持続的な発展等の基本理念の実現に取り組むというのが基本であるというふうに考えております。結果的にこれが農村の振興につながる面はもちろんあるというふうに思います。  今回の改正では、このような視点から、農協の本来の役割を明確にして、農協が農産物の有利販売等に積極的に取り組むことを促すためにこの第七条第二項を新設をしたわけでございまして、これは基本法の理念に反するとは考えておりません。
  98. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 農業で幾ら利益を上げても、やっぱり農協が担ってきた事業が消滅してしまって、地域で人が暮らせなくなってしまえば、これは先ほど申し上げましたように地域がもたないということでありますから、農村の振興、地域の振興ということを考えたときに、経済的側面だけではなかなかこれ説明が付かないんじゃないかというふうに思います。  何度奥原局長の話を聞いていても、なかなかすとんとこないので、この点がすとんとこないとこの法案は通せないなというような思いがますます強まるわけでございますけれども、昨日ちょっと農水省の皆さんとお話をしたときにも、もうこの審議も後半というか最後の方に来ましたから、この問題だけは、なるほど、局長もよくそこまで考えて答弁してくださったなというような、少しでも不安が軽減されるような御答弁をしていただきたいなというような望みをお話ししたんですけれども、全然今のお話では気持ちは変わりませんということを改めてお伝えしておきたいと思います。  そして、規制改革会議のヒアリングで、北海道のホクレンへの評価が規制改革会議の委員から非常に高かったと、去年のヒアリングで、そのことを農水省の方から伺ったことがあります。何で高いのかなと、まあ高いのは分かるんですけど、その高く評価されたということが何につながるのかなと思いながら聞いていたんですが、全農やホクレンを株式会社化したら、これ、日本の企業だけではなくて外資が途端に狙ってくるんじゃないかということが非常に心配されます。  日本の多くの企業は、だってもう既に外資の手中にあるじゃないですか。日本を代表する企業と言われるところの外国人の株保有率というのはもう四〇%、五〇%を超えているわけでありまして、しかも、何か北海道の場合には、平木委員も前にお話ししていましたけれども、ニュージーランドのフォンテラだとか、そういう話もあるわけでありまして、特に全農はアジア最大の穀物商社と言っても過言ではないと思うんですね。日本の主食を扱う、米などを扱う全農が買収されるというようなことになればこれ大変な問題で、食料安全保障上も本当に深刻な問題だというふうに思っています。  TPPなどとの関係も恐らくあるんだと思いますけれども、株式会社に転換することによるそういった懸念というのは政府にはないんでしょうか。
  99. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 全農等が株式会社に組織変更する場合に、株式は現在の出資者である農協ですとか農協連合会に当然割り当てられるということになります。したがいまして、組織変更した当初は、株式会社の意思決定は株主である農協連合会によって行われるのはもう間違いございません。会社法上は一般的に株式の譲渡は可能ということになっておりますけれども、会社法上、この株式の譲渡に制限を掛けるということもできるようになっております。  そこで、今回の改正に当たりましては、今先生の御指摘もございまして、外資に支配されたらどうするということもございますので、組織変更計画、これを作って出していただくことになりますけれども、この組織変更計画の記載事項として、農林水産省令において組織変更後の株式会社が発行する株式を譲渡制限株式とすることということを決めるつもりでおりまして、こういった懸念がないようにしていきたいというふうに考えております。
  100. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 先ほど皆さんが笑われた意味は何だったんだろうと私は思うんですけれども、私はやっぱり、今の流れから、まさかということが次々と起こっていますから、やっぱりTPP、国際社会の流れも含めて、そういうことが起きないように慎重に対応しなければいけないんじゃないかというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  続いて、農業委員会についてお伺いをしたいと思います。  農業委員の選任制についてですが、六月の二十五日の衆議院の農林水産委員会の附帯決議において、「高い中立性と地域からの厚い信頼を必要とすることに鑑み、農業委員の公選制の廃止に当たっては、地域の代表性が堅持されるよう十分配慮すること。」としています。  首長の恣意的な選任を防止するということと、それから地域の代表性を担保するということですけれども、他薦である推薦と、それから自薦である募集、これ同列になっていると思いますけれども、紙先生からも農業委員の選任基準をきちんと決めるべきなのではないかというお話があって、農林水産省からは八条、九条に規定されているんだという話がありましたし、それから先日の富山の地方公聴会のときには富山県の農業会議の鍋嶋会長の方から、まずは地域での推薦ということがあるので私は安心していますというお話があったんですね。  地域で、民主的、それから透明性を持った推薦という形で農業委員を選べるのであれば選挙制よりもいいんじゃないかというようなお話もあったわけでありますけれども、私はやっぱりこの推薦というのを基本にするべきだというふうに考えます。地域の皆さんが信頼して、是非この人になってもらいたいという人じゃないと、農地は財産ですから、なかなか信頼していない人とかよく分からない人には心情的には預けられないと思うんですね。  地域から透明性を持って推薦された人たちを選任するということを基本にして、どうしても定数が推薦だけでは満たされなかったときに募集ということを行うというのであれば代表性というのも担保できるのではないかと思いますが、この点についてお伺いしたいと思います。
  101. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今回の法案では、農業委員の選出方法につきまして、公選制から市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に改めているわけでございますが、この際に、推薦、募集を行って、その推薦を受けた方、それから募集に応募した方についての情報を整理、公表するとともに、その結果を尊重しなければいけないという手続の規定まで法律の中には書いてございます。このように今回の改正案では、農業委員として適切な方を選任するための事前の手続として推薦と募集という二つの方式を並列で規定をしているところでございまして、一方が他方に優先するという関係にはなっておりません。  従来、公選制でやられておりましたけれども、実際の投票行動に至っているのは一割ということで、九割は無投票当選になっております。その場合は事実上の地域推薦という形で決まっているわけでございますけれども、従来のこの仕組みの下では女性の方ですとか青年の方々がなかなか農業委員になれなかったというのも実際のところでございまして、こういったことに十分考慮する必要があるというふうに考えております。  推薦、それから募集による候補者の方がその定数を上回った場合にどうするかという問題はございますけれども、透明、公正に適切な選任が行われるように、地域の関係者意見を聞く機会を設けるですとか適切な手続を取ることが必要であるというふうに考えております。
  102. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 女性や若い人たちの話はちょっと後ほどさせていただきますけれども、私はやっぱり推薦を優先するべきなのではないかなというふうに考えます。なかなかその基準を作るのが難しいというお話でありましたから、だったら、推薦と募集を並列にするのではなくて、透明性を持って民主的に地域が推薦をした人というのが一番しっくりくるんじゃないかなと。鍋嶋会長もそのことを恐らく言っておられたんだというふうに思っております。  第十七条第一項で、農業委員会は、農地等の利用の最適化推進に熱意と見識を有する者のうちから農地利用最適化推進委員を委嘱しなければならないとしていますけれども、熱意と見識を有するでは、これもまた具体的にどんな人なのかよく分かりません。代表質問のときにも明確な御答弁林大臣からいただけませんでしたけれども、心配しているのは、ともすると熱意が行き過ぎてしまっては困るなと思っておりまして、それこそ不動産ディベロッパーとかバブル期の地上げ屋のような人が入ってきたのでは困るなと思うので、もっと具体的に、政府はどんな人を推進委員としてイメージしているのか、御説明いただきたいと思います。
  103. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今回新設をいたします農地利用最適化推進委員でございますけれども、農地中間管理機構と連携しながら、自らの担当区域におきまして、担い手への農地利用の集積、集約化ですとか、あるいは耕作放棄地の発生防止、解消、こういった農地利用の最適化の推進に関する現場での活動、これに携わっていただくことになるわけでございます。  現場におきましてこの農地利用の最適化に向けた推進活動を行っていくためには、地域の農地の所有者の方ですとかあるいは農業者の方の信頼を得て、農地利用の調整を公正かつ円滑に実施をしていく能力が必要でございます。このため、そのような能力を有する方、これは例えばでございますけれども、例えば、信頼のある農協職員のOBの方ですとか、あるいは普及員のOBで地域から信頼をされている方、あるいは経営を次世代に譲った農業者の方ですとか、こういった能力を有する方々推進委員となることが望ましいというふうに考えているところでございまして、地域からの候補者の推薦ですとかあるいは募集によりましてこういった方々推進委員にきちんとなるように工夫をしているところでございます。  なお、推進委員につきましては、こういった推薦、公募の制度、これをやった上で農業委員会が委嘱をすると、こういう形にしておりますので、御指摘のありましたような農地転用に積極的な不動産のディベロッパーですとかあるいは地上げ屋のような方が委嘱される可能性は低いのではないかというふうに考えているところでございます。
  104. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 低いって気になりますけど、ないというふうには明言していただけないんでしょうか。
  105. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) ないことを希望しておりますけれども、これ、実際の選任はそれぞれのところで行うわけでございますので、断言という話ではないかと思います。
  106. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 改正案の第十七条第五項で、農地利用最適化推進委員の活動に当たっては、農地の中間管理機構との連携に努めなければならないとしています。今後十年間で担い手への農地利用集積を現在の五割から八割に引き上げるためには、農業委員会推進委員が一緒に農地の中間管理機構との連携を図るべきと考えますが、なぜ推進委員だけが連携に努めなければならないとしているのか。推進委員は、農業委員会が作成する農地利用の最適化に関する指針に従って活動を行うことが規定されています。  推進委員の中間管理機構との連携とは具体的にどんなことを指しているのか、また指針との関係はどうなるのか、御説明いただきたいと思います。
  107. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農業委員会と農地中間管理機構の関係でございますが、まず、農地中間管理機構は、これは機構自身が農地を借り受けて、これを担い手の方々にまとまった形で転貸をするという、こういうスキームでございます。このスキームが機能するためには、地域の農業者方々の話合いを着実に進めて、まとまった農地を機構に対して貸していただくと、こういう動きがどうしても必要でございます。  他方で、農業委員会の方は農地利用の最適化の推進をより良く果たしていくということが期待をされておりますし、今回の改正ではその観点で、許認可の判断を中心に行う農業委員とは別に、それぞれの地域において現場での調整活動をやっていただく農地利用最適化推進委員、これを新設することにしたわけでございます。このため、実際に現場で活動を行うこの推進委員の方につきまして農地中間管理機構との連携を今回規定をしているところでございます。  一方で、農業委員会と農地中間管理機構の関係でございますけれども、これにつきましては既に、農地中間管理事業推進に関する法律、これは二十五年に作っていただきましたけれども、この法律の中で、農地中間管理機構は地方公共団体等と密接な連携の下に農地中間管理事業を積極的に実施することが規定をされているところでございます。この法律の第二十三条でございますが、そういう意味で、改めて今回の法律規定する必要がないことから規定は特に設けておりません。  推進委員の方は、機構と連携をして、具体的な業務といたしましては、地域の農業者あるいは地権者の方との話合いを進めて、機構を介して担い手への農地の集積、集約化を進めるということ、あるいは、リタイアしようとする方がいらっしゃった場合あるいは耕作放棄地を持っている農家の方がいらっしゃった場合には、その農地を機構に貸すように調整をすると、こういった実務をやっていただくということになるというふうに考えております。  また、今回の改正の中では、推進委員は、農業委員会が作成する農地等の利用の最適化に関する指針に従って活動を行うということも書いてございますし、農業委員会がこの指針を決めたり、あるいは変更しようとするときには推進委員意見もちゃんと聴かなければいけないということも法律の中に書いてございまして、推進委員も全体としての農業委員会の一員でございますので、推進委員と農業委員が連携をして農地利用の最適化に向けた活動をきちんと行っていただくということを担保しているわけでございます。  このように、今回の法改正によりまして、推進委員が農業委員会の一員として農業委員一体となって活動する体制の下、中間管理機構とも連携をしながら農地利用の最適化の推進のための活動を行うことによって、機構を活用した農地の集積あるいは集約化がより加速するものというふうに考えているところでございます。
  108. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 もう少しこの点に関して聞きたいことがあるんですけど、ちょっと時間がないのでどんどん行きたいと思います。  農業委員の定数基準については政令で定めるとされていますけれども、農地利用最適化推進委員を委嘱しなければならない農業委員の定数基準と、それから推進委員を委嘱しないことができる委員の定数基準、これ、どのようになりますか。
  109. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 定数の関係でございますが、今般の農業委員会改革では、農業委員については委員会を機動的に開催できるようにするという観点で委員の数を現行の半分程度にするということ、それから、農業委員とは別に現場で農地等の利用の最適化のための活動を行う推進委員を新設をするということにしているわけでございます。  この推進委員に関しまして、現在の農業委員会一本の制度でうまくいっているところ、すなわち農地利用の集積が相当程度図られている、あるいは耕作放棄地はほとんど発生していないといった一定の基準に該当するような市町村につきましては、これは今のままでうまくいっておりますので推進委員を置かなくてもいいという規定を設けているところでございます。  こういった、推進委員を置かなくて、今のままでうまくいっているという農業委員会につきましては、これは定数を半分にしてしまうことは意味がありませんので、従来と同様に業務を行っていただく観点から、現在と同水準の員数を置けるように措置をする方向で検討しているところでございます。  いずれにいたしましても、農業委員の定数の見直しにつきましては、地域の実態も踏まえまして、農地の最適化が進むように適切に検討してまいりたいと考えております。
  110. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 確認ですけれども、北海道の場合は農地集積が進んでいるので、改正法第十七条の第一項第二号の農地利用の効率化、高度化が相当程度の農業委員会というのが非常に多いと思います。その場合、農業委員の定数ですけれども、現場からは、定数が減っては業務推進に支障を来すことになるので、現行の選挙委員の定数とそれから選任委員の定数を合わせた数、これにしてほしいという声が上がっているんですが、そうなるという方向になるということでよろしいんでしょうか。
  111. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 推進委員を置かなくていい農業委員会の基準はこれから決めることになりますので、農地利用の集積、集約化がどのくらい進んでいるか、あるいは耕作放棄地の発生がどのくらいかという、この基準を決めることになりますが、それをクリアしている、今の体制で、農業委員会一本の体制でうまく機能しているというところについては、その農業委員の数は今の数と同じでできる方向で考えております。
  112. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 そして、先ほどの話ですけれども、法改正をめぐって女性の農業委員方々が大変心配しているというふうに聞いています。公選制の廃止や農業委員を半減することによって女性の登用促進にブレーキが掛かるのではないかと。  これまで農業団体や市町村議会の推薦からなる選任委員があって、現在二千五百七十二人いる女性の農業委員の八割が選任委員でした。選挙制だったこれまでも、女性が手を挙げるというのはなかなかこれハードルが高いということでありまして、選任委員で一、二期務めた女性が選挙委員に立候補する、そして次の選任委員に新たな女性の推薦を働きかけることで女性を徐々に徐々に増やしてきたということなんですね。  公選制の廃止によって、募集はしますが、自ら手を挙げても、首長さんの女性参画に対する意識や、それから数が半減するということもあって、また男性が優先されるという懸念もあります。さらには、委員の過半が認定農業者ということも女性が委員になる可能性を狭めています。  農林水産省は女性枠の創設については慎重なようですけれども、現場では女性が入ることによって非常に会議が活性化するという話もありますし、女性の活躍というのは政府の方針でもありますから、法改正後もやはり女性や若い人が農業委員に選任されるような枠とか何か方法というのをしっかり考えた方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 中川郁子

    大臣政務官中川郁子君) 基幹的農業従事者に占める女性の割合が約四割であるのに対し、農業委員の女性の割合は七%、今先生指摘のように二千五百七十二人というふうになっております。女性の意見が十分反映されるものとはなっていないというふうに思います。  このため、昨年六月の政府・与党の取りまとめでは、女性、青年農業委員を積極的に登用するとの文言が盛り込まれたところでございます。これを踏まえまして、今般の改正法案では、市町村長が農業委員を任命するに当たっては、年齢、性別等に著しい偏りが生じないように配慮するというふうにしています。改正後の法律第八条第七項にこのように書いているわけであります。  それぞれの地域内での農業者の性別、年齢別構成を踏まえた上で、各地域で工夫をして女性や青年農業者も適切な人数を任命するようにしていただきたいというふうに考えているところでございます。あらかじめ女性や青年の定数の枠を設け、その枠だけ満たせばよいといった運用は適当ではないというふうに考えています。  この点につきましては、先日行われました地方公聴会において、公述人のお一人から、先ほどから先生がお名前を出しておられる富山県農業会議の鍋嶋会長がお話をされているというふうに聞いておりますが、ただ枠をつくって女性の方が何名要りますよというのは私は適切ではないと思うという発言があったというふうに聞いています。  農林水産省といたしましては、法案成立後、この規定の趣旨を周知徹底し、各地で、女性そして青年が推薦を受け、また公募に手を挙げられるように働きかけていきたいというふうに思います。
  114. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 先ほど女性や若い人を積極的に登用するためにも募集というのが必要なんじゃないかと局長からお話がありましたけれども、選挙制と同じで、やっぱり募集であっても女性はなかなか手が挙げづらいんだと思うんですよね、積極的には。実態はそうだと思いますよ。  なので、枠をつくって何人ということじゃないにしても、女性や若い人をどんどん登用してくださいという通達的なものを是非とも農水省から出していただきたいと。とにかく、女性や若い人が入っていく、次世代を担う若い人も必要ですから、そういう構成になるように努めていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  それから、今回の改正で、現行法規定されていた農業委員会業務意見公表、建議、諮問に対する答申などが削除されました。これはなぜなのかということと、改正法案第三十八条及び第五十三条に、関係行政機関等に対する農業委員会及び農業委員会ネットワーク機構の意見の提出を新設しています。農地等利用最適化推進施策を企画立案し、又は実施する関係行政機関に対して、農地等利用最適化推進施策の改善についての具体的な意見を提出しなければならないとしていますけれども、農地等利用最適化施策の改善についての意見とはどこまでのことを指すのかと。  意見提出の内容は、農業、農村の現場の様々な問題、関連する農業者意見等幅広いものでなければならないというように思いますけれども、政府のお考えをお聞かせいただきたい。  それから、関係行政機関はその意見を考慮しなければならないとしていますけれども、これ、考慮だけでは駄目で、しっかりとこの意見が施策に反映されなければ意見を出す意味がないと思います。  この点を併せて御説明いただきたいと思います。
  115. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農業委員会は農地に関する市町村の独立行政委員会でございますので、その主たる任務は、担い手への農地利用の集積、集約化あるいは耕作放棄地の発生防止と、こういった現場業務でございます。  これが、地域によって違いますけれども、現在必ずしも十分に機能していない側面があるということで、今回、農業委員会制度の見直しを行っているわけでございますが、こうしたことから、農業委員会あるいはネットワーク機構が、その主たる業務であります農地利用の最適化の推進業務、まさにこれに集中をして取り組むことができるようにするという観点で、今般の法案では、法的な根拠がなくても行える意見の公表ですとか建議は法令業務からは削除するということにしたわけでございます。なお、法令業務からこれを削除いたしましても、意見の公表等は当然自由に行うことができるところでございます。  それから、一方で、改正案では、農地に関する施策につきまして、やっぱりPDCAサイクルをきちんと回して、改善すべきところは改善をしてより良いものにしていきたいと、そういう思いの中で、農業委員会につきまして、必要があると認めるときは関係行政機関に対して農地利用の最適化の推進に関する施策についての具体的な改善意見を提出する義務を課すということをしておりますし、改善意見を提出された関係行政機関はその意見を考慮しなければいけないという規定も置いているところでございます。  この意見の提出でございますけれども、その趣旨からしまして、農地利用の最適化の推進に関する施策を対象にしていますので、具体的には、担い手への農地の集積、集約化ですとか、あるいは新規参入の促進、あるいは耕作放棄地の発生防止、解消、こういった課題をより良く解決するための改善意見であれば、予算ですとか税制の話も含めまして、幅広く意見をこの条項に基づいて提出をしていただくということになるものというふうに考えております。  それから、今回、従来は書いてございませんでした、これを受けた関係行政機関の方につきまして、意見を考慮しなければいけないというところまで書き加えたわけでございますけれども、実際に提出をされた意見が実態を踏まえた建設的、現実的なものであれば、当然それが施策に反映される可能性は高いものというふうに考えております。
  116. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 しっかりと現場の声を施策に反映させていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  時間がなくなりましたので、二問併せて御質問させていただきたいと思います。  農業生産法人構成員要件についてお伺いしますが、現行法では、農業生産法人構成員となる農外の出資者については、「その法人からその法人事業に係る物資の供給若しくは役務の提供を受ける者又はその法人事業の円滑化に寄与する者であつて、政令で定めるもの」と規定されています。しかし、改正案ではこの規定は削除されました。なぜ、削除したのか。  それから、農業生産法人構成員要件について、改正案では、資本の調達をしやすくするため、出資割合が二分の一未満までは誰でも出資できることになります。  農地中間管理事業推進に関する法律の五年後の見直しや、あの竹中平蔵氏の農業生産法人の要件の緩和について、海外の投資家は日本の改革の本気度を見るリトマス試験紙みたいに見ているという発言もありました。  今回の法改正は、農業生産法人に外国資本を入りやすくするためではないか、あるいは農業や農地を投資の対象にしようとしているのではないかという懸念が実は現場から非常に多く上がっています。特に、私の地元北海道は、四、五年前ですか、中国の方々に山林や水源を買われてしまったということが頻繁にメディアにも取り上げられましたけれども、大変に大きな問題になりました。法改正によって、農地の所有権を有する農業生産法人が外国資本を含めてその法人の農業経営と実質的に関係しない単なる投資の対象となることは大変に大きな問題だというふうに思っております。  出資割合二分の一未満の範囲の出資者についても法人構成員とする以上、その法人事業との関わりの要件は必要だというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  117. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 現在の農地法の規定は、農地を所有できる法人であります農業生産法人につきまして、まず、構成員になることができる者が農業関係者及びその法人事業に関連する事業を行う者、これに限定をされるとともに、関連事業者の議決権は原則として総議決権の四分の一以下と、こういう規定が今までの規定でございます。  他方で、法人が六次産業化など経営の発展を進める上で多様な主体からの資本調達を必要とすると、こういう場合も当然ございますので、その際には現行の議決権の要件はネックになっているということでございます。  また、近年は多様な企業から農業を支援したいと、そういう声が出ているのも事実でございまして、農業者と多種の企業との連携がいろんなところで進んでいるわけでございます。このため、今回の農地法の改正におきましては、この農業生産法人の要件につきまして、法人が六次産業化に取り組む際の障害を取り除くと、法人経営発展を推進をしていくと、こういう観点から議決権の要件のところを見直すことにしております。  具体的には、構成員になることができる者について限定を廃止をするとともに、農業関係者以外の議決権について二分の一未満のところまでであれば許容するという形の改正にしているわけでございます。こういった改正をいたしましても、農業関係者が議決権の過半を占めると、経営を支配するという体制は基本的に維持をされておりますので、これでやっていけるということでございます。  それからもう一つ、外国資本との関係、御指摘がございましたけれども、今申し上げましたように、議決権の過半数は引き続き農業者が保有するということになっておりますので、法人の基本的な性格は維持をされているということでございます。  それから、農地を所有できる法人でありますところについては要件がいろいろ決まっておりますが、株式会社も要件を満たせば、この農業生産法人、今度は農地所有適格法人と言っておりますけれども、これになることができますけれども、この株式会社については、農地法上株式の譲渡について制限のあるものでなければいけないと、こういう限定が掛かっております。会社法上株式の譲渡について制限のある株式会社については、株式を譲渡する際は当然株主総会の承認が必要ということになるわけでございます。  議決権の過半数を農業者が持っているわけでございますので、その意に反して法人に外国資本が流入したり、あるいは投資の対象になるようなことは基本的にないものというふうに考えております。
  118. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございました。  今日、いろいろお話を聞いてきましたけれども、やっぱりこの法改正によって今後どうなるんだろうという様々な不安はなかなか払拭されません。そして、五年間調査するとか五年後見直すとかということが随所に見られまして、じゃ五年たったら一体どうなってしまうんだろうかと。  そして、奥原局長はいろいろ御答弁をなさいますけれども、農協組合長さんたちも、あるいは農業関係者方々も、そもそもこの法改正の目的が一体どこにあるのかということはもうみんな大体分かっているわけでありまして、その目的を遂げさせてはならないとみんな思っていると。その目的が遂げられるようなことがあれば、いや、本当に笑い事じゃないんですよ、本当に、農村はどうなるのか、日本の農業はどうなるのかと。  おっしゃっていることと違って、やっぱり私たちは、今回の法改正審議の中で、どうしても明るい農業、農村の未来が見えない、本当に何か不安だらけという感じがありまして、いろいろと議論をしてまいりましたけれども、今日も一つも不安は払拭されなかったということをお伝えして、少し時間が余りましたけれども、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  119. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  今日のこれまでの議論をお伺いしていても、本当に充実してきたなという感が私はいたしております。何か新たな論点が次々と出てくるというよりは、割と最初の頃に出てきた同じ論点を再訪しながら、でも質問の角度も、まあ答弁は一部前と同じだなというものもありましたけれども、そういったものが徐々に重なってきた。これは、やっぱりこの議論を一旦経て、その後に地方公聴会をやったり参考人質疑をやったり、あるいはまた、地元JAの皆様や農業委員会の皆様、こういった方たちと改めて御議論を重ねていく中で、徐々に徐々に、当然新しい気付きですとか様々なものも得ながら、今この議論に反映させていくことができているんだろうなというふうに思っております。  その意味では私も、今日は、自分がかつて問うた問いとある意味同趣旨あるいは同じ部分を問うところもあるんですけれども、ある意味、この議論の熟成というものを経て、どういった御答弁をいただけるのかというところにも是非注目をしながらお伺いをさせていただけたらなというふうに思っております。  まず最初にお伺いしたいんですけれども、これまで、いろいろ参考人ですとかお伺いしてくる中で、徐々にこの農協法、中身について理解もできてきたよという声も聞かれたわけでありますけれども、ただ、皆さんが口をそろえておっしゃっていたのは、いずれにしても当初物すごく反発していたんだということを、これは問わず語りにおっしゃっていただいたので、ここの点はとても大事だと思うんですね。反発がある限り、どんなにこっちが一生懸命説明をしようとしても耳を塞いでしまうわけでありまして、やっぱり、何で反発が起きてきてしまったのかというところをしっかり我々としても見ていかなきゃいけないわけであります。  その中でおっしゃっていたのは、一つは、報道が大分ちょっと過熱ぎみであったと。これは何か反TPP潰しなんだとか、いわゆる政治的な文脈がすごく強調されてしまって、それに引っ張られたところもあったなということもおっしゃっていたわけですが、同時に、皆さん口をそろえておっしゃっていたのは、自分たち農業者代表じゃない規制改革会議が主導してきたあるいは始めた議論で、何で我々が改革をやらなきゃいけないんだという認識をやっぱり持っている方が非常に多かったんですね。  この点は、私は最初の質疑のときも申し上げさせていただいたんですけれども、まさに規制改革会議の影との闘いというか、いまだに残っている残像をどう払拭するのかというところがやっぱりすごく大きな課題として残っているんだろうなというふうに思うわけであります。当然、これは、規制改革会議が作ってきた案をそのまま法案にしたものではなくて、我々も与党の一員として、まさに与党内で、また与党間でしっかりと議論を積み重ねて作ってきた法案であるわけでありまして、ここについてはしっかり説明を尽くすしかないんだというふうに思っているわけです。  ただ、今、もう一点指摘させていただかなきゃいけないのは、やっぱり議論の本筋は見失っちゃいけないなということも同時に考えるわけであります。そもそも、私もまだこの委員会に籍を置いて二年ぐらいなわけでありますけれども、この農協改革というテーマ自体はもうある意味十年以上続いてきている、この農協の在り方というものをいま一度見直した方がいいんじゃないかという声、様々な意見を受けて、これまでも農協の皆さんもグループとしても地域の農協としても改革に取り組んでいらしたわけでありまして、この十何年間の取組というものを全く取り外して、何か急にこの二、三年で規制改革会議が始めたみたいなことにしてしまうと、これまでの取組とは一体何だったんだということにやっぱりなりかねないなというふうに思っておるわけであります。  そういう意味では、例えばこの直近の政府としての取組も、平成二十三年に農業協同組合、農業協同組合連合会、農業協同組合中央会及び農事組合法人向けの総合的な監督指針、これを出されて、これ随時改訂を重ねられながら、農業者の皆様とまさに政府意見交換しながら、農協改革にどう取り組んでいくのかということをずっと取り組まれてきているわけであります。  改めて、これ、一旦この認識をしっかりと出発点、またこの議論の本筋を確認するという意味でも、農協改革の出発点、そして意義について、これは是非大臣からお伺いしたいと思います。
  120. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。  農協改革は、どこから歴史を手繰り寄せるかということですが、信用共済事業の健全化という観点から、実は、懐かしい言葉でございますけれども、住専の処理というのがございました。平成八年の住専処理の後の農協信用事業改革、これは農林中金と信連を統合できるようにする、これをやりました。そして、平成十三年のペイオフ解禁に向けて、ペイオフ解禁前の農協信用事業改革、ここでJAバンク法の制定と、こういうことになるわけでございます。そして、平成十六年に農協共済事業改革と、こういうことがあったわけでございます。  一連のこういう金融関係信用共済事業法改正を行う際に、農協にとって最も重要な経済事業改革、これを促す観点から、平成十二年には農協系統の事業組織に関する検討会、こういうものが開催されまして、農協としての販売力を産地ブランドの確立、地産地消の推進等により強化をするとか、購入形態や購入量に応じた価格設定等のルールを定め、これを農業者に明示すると、こういう提言がなされているところでございます。  また、平成十五年には農協のあり方についての研究会ということが開かれまして、市場、イチバと言った方がいいのかもしれませんが、市場任せの出荷から脱却し、実需者への直接販売拡大する、全農と商系の有利な方からの仕入れ、物流拠点の集約化を行う、こういうことが実は累々提言をされてきておりまして、自己改革というものの促しをやってきたと、こういうことでございますが、法規制を行うことのできる信用共済事業と異なりまして、経済事業についてはなかなか法規制でこうやりなさいという仕組みでないものですから、この農産物の有利販売、資材価格の引下げによる農家所得の向上と、こういった面で必ずしも十分な成果が出たと言い難い状況で現在に至ってきたと、こういう背景があるわけでございます。  今回、一昨年になりましょうか、政府全体で新しい農政プランというのをまとめたときに、需要サイド、供給サイドを含めた産業政策と、そして地域政策を車の両輪にしてやっていこうという大きな全体のパッケージを決めてそれを目指していこうと、こういうことになったわけでございまして、その全体像に合わせて、プレーヤーである農協等々、農業委員会法人も入ってくるわけですが、こういうプレーヤーについてもそれに対応した改革をやっていこうと。そのときに、そのプレーヤーについては半年ぐらい議論した上で更に決めようということで、その翌年の六月に取りまとめがなされたと。その取りまとめも受ける格好で、JAの方で自己改革のプランというのがたしかその秋に出されたと思いますが、こういうものを全て受けた上で、元々六月の取りまとめに決めておりました次期通常国会に法案を提出すべく取りまとめるということで、先ほど来議論になっております、私がたまたま党に帰っておったときでございますが、今年の一月に最終的に取りまとめたと、こういうことがこの経緯だったと、こういうふうに思っております。  まさに今委員がおっしゃったように、何回も何回もいろんな経緯があったわけでございますが、やはりこの一月、二月のところの議論が非常に大きく報道をされたということもあって、実は、その前の秋のJAの自己改革のプランを発表されたときの報道と比べて、かなりこちらの方の報道が多かったと、こういうふうに印象を持っておりますので、全体像としては、JAの自己改革やその前の六月のものがあって、最後の部分だけが、特に最後の取りまとめで決まったということでございますので、全体のでき上がった形と報道を通じて現場の皆さんに与えられたイメージというのが、その辺少しずれが最初生じてしまったのかなと、こういうふうにも考えておるわけでございます。  したがって、この法案の、先ほど来申し上げておりますように、審議を通じて、また、成立させていただければ、その後にもしっかりと説明を続けていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  121. 平木大作

    ○平木大作君 不勉強なこともあって、十年ぐらいのこれまでの取組なのかなという思いで質問させていただいたんですけれども、平成八年ぐらいまで遡って今御説明いただきました。非常に勉強になりました。  やはり、これまでいろいろ試行錯誤してきて、当然、うまくいったもの、うまくいっていないものあるわけでありまして、そういったところに立脚して、どうあるべきかということを改めて今議論し直しているわけでありまして、一旦報道も落ち着いてきているということもあるかと思うんですけれども、ここはやっぱり議論の本筋に戻って、どうやったら、じゃ、前向きにこの改革に取り組んでいけるのか、JAの皆さんが地域でそれぞれの自己改革に取り組めるのか、そして、それを政府としてどう後押しできるのかと、そういう観点から、これ今後も、説明もそうなんですけれども、この後押しの部分も含めてお取り組みいただきたいというふうにお願いをしたいと思います。  次の質問、実は、先ほど徳永委員の方から質問のありました七条二項についてちょっとお伺いしたいと思っています。  実は、これも私も通告のとき申し上げたんですけれども、この七条二項に関してというのはこれまでの質疑の中にも出てきておりますし、答弁がどう変わるのかなというところに実は一番注目をしておりました。私の質問の観点というのは先ほどの徳永委員のとはちょっと違う観点になるわけでありますけれども、この七条二項でうたっている農業所得の増大、これこそある意味今回の農協改革のまさに本丸というか、一丁目一番地であるわけでありまして、これ、どこの農協の自己改革案見ても、一番最初に出てくるわけですね。この所得増大に取り組もうということがまず書いてあって、まさに、この法案のある意味目玉、一番中心のところでありまして、この事業運営原則をしっかりと明確に書いていただいた条文であるというふうに思っているわけですが。  ただ一方で、参考人の皆様、先ほども御紹介ありましたけれども、この条文ごと削除すべきみたいな意見もあると。農協を解体するための根拠条文にしようとしているんじゃないかとか、先ほどのいわゆる准組合員利用規制の根拠になるんじゃないか、こういう懸念を持っている方が一方でいらっしゃるわけでありまして、やはりこれ改めて、何度も何度も確認して恐縮なわけでありますけれども、今回の法案の中に農業所得の増大、この七条二項を規定した意味について、これ改めてお伺いしたいと思います。
  122. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農協法の一条に書いてありますように、農協農業者協同組織でございます。したがって、農協は、農業者が農産物の販売ですとか生産資材の調達などの事業を利用することでメリットを受ける、これを主目的に設立をした組織でございます。そういう意味で、農業者の職能組合ということでございます。  しかしながら、現在の農協は、これは地域によっていろいろ違うと思いますけれども、信用事業共済事業には相当力が入っている一方で、農産物の販売等の農業関連事業において、農業者、特に担い手の農業者のニーズに十分応え切れていないと、そういう側面がございますし、結果的に、農協の農産物の販売ですとか、あるいは生産資材の購入における農協の取扱いシェア、これも低下傾向にあると、これも事実でございます。  このために、今回の改正では、この農協農業者協同組織であるというところの原点に戻って、農協が農産物の有利販売等に積極的に取り組んでいただくと、このことを促すために、第七条第二項のところで、組合はその事業を行うに当たっては農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならないという規定を置いたわけでございます。まさに、これが一丁目一番地といいますか、一番大きな眼目ということになるわけですけれども、一方で、第七条の第一項のところでは、これは従来と同じように書いてあるわけですが、農協は正組合員だけではなくて、准組合員を含めて、組合員のために最大の奉仕をすることを目的とするというのはそのまま規定をしているわけでございます。  したがって、今回の改正案では、地域農協がその判断によって各種サービスを総合的に提供することができるという、こういう枠組みは何ら変えていないわけでございまして、一昨日ですか、参考人の質疑の中で、この第七条第二項が農協解体のための根拠条文であるという御指摘がございましたけれども、正直言いまして、非常に理解に苦しんでいるところでございます。
  123. 平木大作

    ○平木大作君 今、最後御答弁いただいたポイントですが、私もロジックは理解できなかったんですけれども、御心配があるということでありました。そういう意味では、法律の条文の中に全てを書き込む、全ての懸念を打ち消すような条文を書き込むということは当然できないわけでありまして、まさにその懸念を払拭するためにお伺いをしているわけであります。  明確に、そういった根拠条文として用いるつもりはないんだということ、これは重ねて御答弁いただいているわけでありますので、また、こういったところ、ある意味、この議論をこの後繰り返しても、何ら生産的でないというか、そもそも組合とはとか、そういうところからなかなか脱し切れないのかなという思いもいたします。  そういう意味では、やっぱり農業所得を増大することによって、ああ、農業継いでもいいかなと思って担い手が現れてくる、後継者が出てくる、そうやって地域も共に発展していくわけでありまして、そういったところを、是非前向きな部分を改めてしっかり強調して、また説明していただきたいと思っております。  この法案、様々な御意見いただいているわけでありますけれども、現場の理解が進んでいないという、そういう現状というのはやっぱりこれから農協の自己改革に取り組んでいく上で障害となりかねないわけですね、現場の理解。  法案審議中でありますから、政府としても、この法案通りますからといって、ペーパーを作って配って説明に歩くわけにはなかなかいかないわけでありまして、ある意味、現時点でこれだけ大部な法律でありますので、法律のいわゆる中身についてそれほど進んでいないということ、これは仕方がないところもあるかと思います。そういう意味では、成立後にしっかりと、この説明の際、どうやったら現場の皆さんに理解していただけるのかというところに意を尽くしていただく、こういう工夫が求められていくわけでありますけれども。  大事なことは、もう本当にこれも言うまでもないわけでありますけれども、中身を説明して終わりではないわけですね。これから現場の皆様はまさに自己改革に取り組んでいかれるわけでありまして、これは非常に長い時間が掛かる。五年とか十年とかそれこそ掛けて、自己改革にやっぱり取り組まなければいけないわけでありまして、やっぱりこのときに納得感がないとなかなか力が出ていかないわけであります。納得感というのは何をもって納得を得ていただくのか。一つは、やっぱりその法案について理解していただいて、そういうことか、この法案は我々の改革を後押ししてくれるんだねということを頭で理解していただくということも当然大事なわけでありますけれども、もう一歩先にやっぱり進めて、これは、納得感というのは、結局、自分たちの意見というのを、しっかりどっちを向いてある意味改革を今進めようとしているのか、政府としても今どっちの方向を向いているのか、ここにやっぱり納得感が出てくるかどうかというのが一番大きなポイントだというように思っております。  先ほども御引用ありましたけれども、参考人として一昨日来ていただきました全国農協青年組織協議会の天笠会長ですね、私たち農協青年部の声を聞いてくれということを強調されていたのが大変私印象に残っています。  要するに、いわゆる代表の皆さんが持ってくる意見というのはどちらかというと陳情書の形になっていて、法律でこれをやってくださいとか、税制のときにここを変えてくださいとか、割ともうそのまま受け入れるかどうかというところを我々としても求められることが多いわけでありますけれども、農協青年部の皆さんですとか、あるいは今後の農協を担っていかれることが期待されている女性の皆さんですとか、こういった方たちというのは、やってみたんだけれどもうまくいかなかったとか、そういう声もどんどんどんどんもっと実は農水省に聞いてほしいというやっぱり思いを我々はぶつけられたんだというふうに思っているわけです。  そういう意味では、説明を尽くすということに加えて、また農業者代表でない規制改革会議の声ばっかり聞くのではなくて、まさにこれからを担っていかれる青年層あるいは女性、こういった方たちの声をある意味定期的に聞いていく場、こういったものをやっぱり持っていくことが大事だというふうに思うわけでありますけれども、この点について政府としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  124. 中川郁子

    大臣政務官中川郁子君) 先生指摘のとおり、今回の改革の趣旨、内容農業者を始めとする皆様方に周知、そしてやはり理解をしていただくということは本当に必要だ、大変重要であるというふうに考えています。  このため、例えば、昨年六月に政府・与党の取りまとめが決定されました際にはブロック別に地域農協組合長への説明を行わせていただきましたし、本法案が成立した暁には、こうしたブロック別説明会の開催なども含めて、趣旨、内容について丁寧な説明を行っていきたいというふうに思っています。  そして、先生が今強調していただいたとおり、青年や女性により理解をしていただくというためにも、今までも様々な意見交換会を行っているところでございます。二十六年、二十七年でも随分と女性そして青年の皆様方に農林水産省にお越しをいただいて、意見交換の場を設けております。例えば、意見交換テーマはいろいろではありますけれども、女性農業者に来ていただいた二十六年二月、そして農業女子プロジェクトメンバーの方には二十六年三月、そして二十六年十一月とおいでをいただいていますし、青年農業者の会に関しましては二十六年三月、そして4Hクラブの皆様方には二十六年七月、二十七年七月と、随分たくさんおいでをいただいて、御意見をいただいているところでございます。  このような青年農業者や女性農業者意見交換、この農協改革についても、今までも議論してきたところでありますが、成立後もこうした機会を積極的につくっていただいて活用しながら、改革の趣旨、内容について皆様方に理解をしていただけるように努めていきたいと、このように思っております。
  125. 平木大作

    ○平木大作君 これまでも青年層の声、また女性の声聞いていただいているということでありましたけれども、是非とも、これまた、立場のある方たちだけじゃなくて、ある意味そういった肩書のない方たちも定期的に参加できる、そういった場、是非積極的にまた今後つくっていただきたいとお願いしたいと思います。  次、お伺いしたいのは、これも以前私がお伺いしているところにちょっと重ねて問うわけでありますけれども、准組合員事業利用実態調査について再度お伺いしたいと思います。  今後五年間にわたってこれから調査が行われるようになるわけでありますけれども、やっぱりどのような調査を進めていくのか、これは本当に大事なわけです。私が以前質問させていただいた中でも、どういう調査をするのですかという問いに対して、正組合員准組合員の利用量、そういったもののほかに、地域の中にほかにサービスを提供するような事業者がどの程度あるのかないのか、こういったことも含めてちゃんと調べていきますよという御答弁をいただきました。これ、本当に大事な点であるというふうに思っております。  もう一つ、ただ、もうちょっと、今まさに検討中だと思うんですけれども、いろいろ考えていただきたいなということを今日投げかけたいんですけれども、JAの自己改革案、プランを見させていただくと、必ず書いてあるのが、大きな章立てとして一つはやっぱり地域振興活動ということが必ず書かれているんですね。これは行政の側からすると、いや、そんなことお願いしていないよということでもしかしたらあるかもしれないわけですけれども、JAの皆さんにとってはやっぱり地域活動というのは自分たちの活動の中の中核の活動の一つなんだという意識があるわけであります。  そして、結局、そういう活動をある意味、中核活動の一つに据えているというのはどういうことかというと、農業者でなくても地域の農業の応援団として自分はこの活動関わっていきたいという地域の皆さんが准組合員として実際にいらっしゃるというやっぱり実態があるわけであります。  こういう人たちにとってみると、同じ地域の中にJAと同様のサービスを提供できる事業者がいるかどうかということはある意味余り重要なことではない。ほかのところが提供してくれるんじゃなくて、私は農業振興あるいは地域振興に農業ってやっぱり大事だという観点からJAと付き合っているんだという方がいらっしゃるわけでありまして、そういう意味でいくと、やっぱり今後の調査の中で、例えば准組合員の皆さんがJAとどういう日頃関わりを持っているのか、どういう活動に参加されているのか、こういったいわゆる量で余り測れないようなところでも結構なんですけれども、むしろ定性的なところ、こういったこと、声を拾うでも結構ですし、是非調査の中に含めていただきたいと思っております。この点について、いかがお考えでしょうか。
  126. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 准組合員関係でございますが、五年間調査をすることになっているわけでございますけれども、具体的な調査内容は今後検討することになりますが、その調査結果を見ながら、政府・与党で白紙から検討を進めていくということになりますので、検討に資する項目をある程度幅広く調査をしていく必要があるというふうに考えております。  現時点では具体的な調査項目あるいはその公表の仕方とか、こういったことは決めておりませんけれども、この調査につきましては、今後関係者の御意見を伺いながら、それから今先生から御指摘いただきましたそういった点も含めまして、幅広く検討して適切に対応していきたいというふうに考えております。
  127. 平木大作

    ○平木大作君 是非よろしくお願いいたします。  ちょっと時間が押してきましたので、一問飛ばして質問を続けさせていただきたいと思います。  公認会計士の監査への移行についてお伺いします。  この監査の在り方ですとか、あるいは費用負担についても大分皆様から御不安の声をいただきました。大事なことは、監査を受けるいわゆるJAの皆さんも不安に思っているわけですね。大分、自分たちが受ける監査が変わるということに不安を抱いていらっしゃる。同時に、会計士の皆さんあるいは監査法人の皆さんも、自分たちができるのかなというところをやっぱり不安に思っていらっしゃるわけであります。  これはもう私のいわゆる狭い範囲で知り得た話でありますけれども、大手の監査法人であれば、基本的にはいわゆる事業会社とそれから金融機関を監査する方というのは完全に分かれています。これは事業の在り方自体がそもそも全く違うので、当然、いわゆる決算書ですか、そういったものも全く作りが違う。だから、事業会社をやっている方にちょっと、いわゆる金融機関の監査ってできるって言うと、絶対に断られるわけですね。  そういう意味でいくと、今回のいわゆる総合農協監査するというのは、まさに他の事業経済事業とそして信用事業共済事業、そういったものをまとめて監査していただくということになりますので、これはやっぱり監査法人の側から見てもチャレンジングなわけであります。この両方の不安というのをやっぱりどれだけちゃんと事前に払拭していけるかどうか、ここが大事だと思っているんですが、この点について、円滑なこの移行に向けたロードマップは今からもうちゃんと検討されているのかどうか、あるいはこの費用負担ということもさんざん言われているわけでありますけれども、この点についても今どういう検討状況にあるのか、お伺いしたいと思います。
  128. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今回の農協改革におきましては、全中監査の義務付けを廃止をして、ほかの金融機関と同様に一定の規模以上の農協等につきましては公認会計士による会計監査を義務付けるということにしているわけでございます。  この公認会計士監査への移行が円滑に行われるようにするということは極めて重要なテーマだというふうに考えておりまして、このため、法律の中でも幾つかの工夫をしてございます。  まず一つは、改正法の施行後三年六か月の間をその準備のための移行期間として設定をしておりますので、すぐに移行するという話ではございません。それから、改正法の附則第五十条の第一項におきまして、公認会計士監査への円滑な移行に関して種々の配慮事項、これも法律の中に明記をしてございます。それから、附則の五十条第二項では、政府は、農林省それから金融庁その他の関係行政機関、それから日本公認会計士協会、それから全中による協議の場を設けるというのを規定しておりまして、ここで関係者協議をしながら、具体的な問題を一つ一つ解決をしながら円滑に公認会計士監査に移行させていきたいというふうに考えてございます。  まだ法律が成立をしておりませんので、この具体的な協議等始めておりませんし、ロードマップを決めているわけでもございませんけれども、法律が成立をした暁には、この協議の場を早期に立ち上げまして、そこで具体的なテーマにつきまして議論をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、公認会計士監査に移行したときの農協負担関係でございますが、これも先ほどの配慮事項の中で負担が増えないように配慮するということも書いてございます。これも協議の場を開いてそこでの議論をしながら、あるいは調査をしながら進めていくということになりますが、まずはこれまでの農協負担監査につきましてどのくらいであったのかということの確認から始まりますけれども、公認会計士の監査になったときにどのくらいの費用が掛かりそうかといったようなこともある程度見極めて、仮にその方が負担が多くなりそうであれば、それを下げるためにどういう形の手当てを打っていくか、そういうことを具体的に一つ一つ協議の場を通じて詰めていきたいというふうに考えております。
  129. 平木大作

    ○平木大作君 最後の質問になるかと思います。  私、この質疑をずっと通じて、基本的には農協の取るべきリスクとは一体何なのかということを考えながらずっと質疑をさせていただきました。まだ個人的にも結論が出ていないんですけれども、じゃ、それは在庫リスクなんだろうかとか、価格変動リスクなんだろうかとか、いろいろ考えてみるんですが、なかなかやっぱりしっくりした答えが見えてきません。  ただ、先日の地方公聴会の中でいただいた声に、私、一つヒントをいただいたなというふうに思っておりまして、それは、JAの皆さんには本当にお世話になっています、信用事業も全部JAに頼んでます、共済も全部JAですと、でも、今自分で作っているお米については四割ぐらい今お願いしているんだけれども、これからいわゆる系統を通じて出荷する量は減らしていこうと思っていますということをおっしゃっていただいた方がいました。それは、自分が要するに渡していくお金の、市場で売れば消費者の方は倍ぐらいの値段で買っているというところを、自分でやった方がいいんじゃないかと思うという率直な声だったわけですね。  結局、どのリスクがということを考えるとなかなか答え出てこないわけですけれども、自己改革の中で一つ目指すべき姿というのは、やっぱり選ばれる農協、ここに向けてどういう挑戦をしていくのかということに尽きるのかなというふうに今途中経過でありますけれども考えてきております。  そういう中において、今様々お伺いしていくと、自己改革どういう取組をするんですかと。やっぱりイの一番に出てくるのは、営農指導をしっかりもう一度原点に立ち返って頑張るんだということをおっしゃっていただきます。これはもう間違いなく農業者の皆さんが求めている事業でありますので、ここを力を更に入れていただかなければいけせんし、新しい技術がどんどん出てくる中で、まさに個々の農業者で追い付けない部分はたくさんあるわけでありますので頑張っていただきたいんですけれども、同時に、私が聞く限りにおいては、一方で市場志向ですとか、顧客志向、大臣がよく使われるマーケット・インという言葉ですね、これが何か全然聞こえてこなかったというのが正直ちょっと残念なんです。  やっぱり、農業者の皆さんというのはユーザーでありますから、JAとしてもその声を聞いていると、当然生産者の立場にずっと引っ張られると思うんですね。ただ、これからのJAというのはそれだけじゃ多分成り立たないのかなと。ある意味、選んでいただくためには、消費者の側もちゃんとつかんで、見て、やっぱりこれからの改革取り組まなければいけない。そこは、なかなか今意識としてもまだ行き切れていないところが正直あるんじゃないかなというふうに思っているわけでありまして、ここを政府としても、こういった取組、マーケット・インの取組を後押し是非していただきたいんですが、この点について最後お伺いできますでしょうか。
  130. 林芳正

    国務大臣林芳正君) やはり農産物を有利に販売するということのためには、実需者、川下にいる消費者、こういう方々のニーズにどう対応していくかと。マーケット・インとおっしゃっていただきましたが、この発想が大変大事だと思っております。  今回の農協改革も、地域農協が地域の特性を発揮しながらそういうことをやっていく、その環境を整備すると。そのことによって、まさに今委員がおっしゃったように担い手の農業者の皆さんから選ばれる農協になると、こういうことであろうと思っております。具体的にも、理事の過半数を認定農業者にするとか農産物販売のプロにする、農業所得の増大に最大限配慮する、先ほど取り上げていただいた規定ですとか、それから農業者事業利用を強制してはならないと、こういうふうな規定ぶりをしております。現に、この間ヒアリングではそういう方がいなかったということですが、全国見渡しますと、ナガイモの輸出をやっているところとか、それから大手と連携してミカンの加工品を開発するですとか、地域ブランドで、農協ぐるみで、地域ぐるみでやっているところ、いろんな例がございます。  したがって、こういう取組を、横展開をどうやってやっていくのかと、こういうことに意を用いて我々もやっていきたいと、こういうふうに思っておりまして、これまでもそういう優良事例の調査をして、またそれを発表したりして横展開を支援してきたところでございますが、農協改革を進めていく上でも、そういうことを念頭に置いてしっかりと選ばれる農協をサポートしていきたいと思っております。
  131. 平木大作

    ○平木大作君 終わります。
  132. 儀間光男

    ○儀間光男君 維新の党の儀間でございます。  質問をさせていただきますけれど、いよいよ本法案、この委員会で大詰めを迎えて、今日が最後の質問になるのかなと、大臣を迎えて。そうでもないんだそうですが、何となくそういう雰囲気があって、三十分ではありますが時間をいただきましたから、これまで質問したものとかぶさる部分もあるとは思いますが、どうぞ、確認、おさらいも含めてでありますから、よろしくお願いをしたいと思います。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕  ただいまの農協法の一部を改正する法律については、その法律の趣旨は私なりに理解をしているつもりです。ただし、理解して賛成だったか反対だったか、これは最終日を迎えぬとよく分かりません。そんなようなことで、かなりの理解はする立場になったと思います。中には同法案等の改正について、何というんですか、全く強烈な反対の考え方を持った知見者がかなりいらっしゃるんですね。  例えば、十八日の参考人質疑の中でも四名の参考人がおいででしたけれども、香川洋之助JA広島中央会の会長でさえ、聞いた途端、見た途端に農協解体だなというふうに思ったんだそうです。ところが、いや、実はこれは農家の所得を増やすための改革だよということを聞いて、何となくそうかなということで聞く耳を持つようになったと、こういう公述がありましたね。  それから、もっと強烈なのは龍谷大学の石田正昭教授ですが、この方はこうおっしゃっていました。安倍農協改革のゴールは小泉郵政改革と同じで総合事業の解体、JA事業の分社化だ。その最大の障害は、JAJAグループの司令塔たるJA全中、これを徹底的にたたき、JAJAグループを分断するというのが政府、政権側の作戦だ。TPPも、うるさい、黙らせてやるという狙いも込めての全中解体にまで一気に進んだと。正しいかどうかよく分かりませんが、激しい口調だと、こう思います。  それから、天笠さん、青年経営者でしたが、非常に積極的で、将来三名で五十ヘクタールぐらいやるんだと。水田を中心に、裏作に小麦あるいは飼料米等々を積極的にやっていくんだという頼もしい発言があったけど、この青年経営者は、こうおっしゃっていました。農業就業人口は減っても耕地は増えますと、したがって私たちの生きる道は開けるんだと。最後はそうは言いませんでしたが、そういう余韻を残して、小規模農業者の件も含めて大変心配をしながら将来を担っていきたいというふうにおっしゃっていました。  もう一つ強烈な先生がいらっしゃいます。元明治大学教授で北出俊昭先生、「安倍政権による農協「解体」の狙いと特徴」とあります。この人なんかは本当に理解しても反対の理解、私と一緒で、理解すればするほど、私はよく分からないですが、先生方は理解はするけれど反対だよと、するだけに反対だよというようなことをおっしゃっているような気がしてならないんですね。  そこで、このことは恐らく、農協関連の制度が長年培われてきたんですが、これがここへ来て改廃するということから、この制度の改廃がなされるけれども、ますます不透明でよく分からない。議論がたくさんありましたけれども、枠組みも決まっていないのがあったり、例えば准組合員の五年後の見直し、附則ですから、これ、附則はいずれ消える、本則に戻ることもなかなかないのであって、附則がたくさんあって、その部分が非常に不透明で心配が絶えない、尽きない、こういうようなことをおっしゃっていました。私もそのように思って幾つか聞いた覚えはあります。  さらには、我が国の国土の七〇%は山林から成っております。したがって、中山間地が多くて、ここの農業体系というのは地域と密着型の農業、つまり小規模で家族経営で集落経営をしているという農業が主であって、この形態は全国農業者のおおむね九〇%を占めていると言われておりますが。また、その美しい田畑あるいは里山の風景が自然な形で残されているという我が国の農業の持つ特徴、さらには自然環境の好循環も保持されていると言われ、そんな中にあって、今般の法改正は、法案の概要の趣旨を達成するための、つまり農業の成長産業化、六次産業化、海外輸出、農地集積、集約化等々の大規模農業の振興とともに、土地の中間管理機構システムとの連携を促し、同時に農業委員会法の改正で農業委員会業務を更に分業化してこれに連動させていくという認識であります。  また、これも八月四日の質問で少し触れましたけれど、一方では、我が国の伝統農業である家族農業、集落農業を高く評価する国際機関もあるわけです。知ってのとおり、国際連合では、国連は平成二十六年を国際家族農業年とする決議の中で、米国やオーストラリアの大規模農業の生産力はもう既に限界に達していると。反対に、人口の急増地域のアジアやアフリカの農業の近代化を進め、生産力を高め、同地域に圧倒的に多い小規模な家族経営に思い切った投資をしていかなければならない。つまり、世界の食料不足が叫ばれて久しいわけでありますが、この広い地域に投資をして、日本の得意とする家族農業を導入して世界の食料自給を高めていこうと、こういう狙いがあるように思います。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕  ちなみに、我が国の農業者一人当たりの面積と、EUやアメリカ、それからオーストラリア、これをちょっと比べてみたいと思うんですが、実に、これは平成十九年、二〇〇七年の資料でございますが、我が国の耕地面積はEUの九分の一、アメリカの九十九分の一、オーストラリアに至っては、一八六二年、あっ、千八百六十二分の一。年と出たのは、アメリカの南北戦争を今ぱっと思い出して年と言ってしまったんですが、あれはたしか、余談ですが、六一年から六五年だったと思うんですね。それをちょっとぱっと思い出して年と言ってしまいました。失礼しました。千八百六十二分の一。もう本当に比較するに足りないぐらいの耕地面積で、日本は狭隘である、狭小であるというふうに指摘される。  したがって、日本の耕地面積非常に小さいわけですから、生産面積小さいわけですから、生産量はもう話になりませんね。生産量が少ないのは必定であると指摘されるわけでございます。そういうことから、想像を絶するほどの耕地面積の違いで生産量は落ちるんですが、生産性は高いんですね、逆に。今度は生産性が高い。  一方、この問題について、国連の世界食料委員会の報告書には、日本は小規模農業部門の経験を世界に提供できる存在であると述べておりますね。我が国の小規模家族経営が小規模のままで、ここはいいですよね、小規模のままで近代化に成功した、生産力を高めた唯一の国である、国際機関の中でも高い評価を得ているのが我が国の家族農業経営です。特に小規模家族農業が大多数を占めるアジア、アフリカにとって、我が国の農業、総合農協の在り方が一つの参考例として役立っていけばいいなと期待をしたいと、こういうふうに締めております。  そこで聞きたいんですが、せっかく国連も我が国の家族農業、集落農業に大きな期待を寄せ、アジア、アフリカ地域に技術移転をしてほしい、あるいは総合農協のシステムを輸出してほしいという期待があるわけですから、ここは一つ、日本には海外援助のODAシステムがありますから、これは農林水産省の担当ではないんですが、関係要路と協議する中で、農林水産省のリクエストとして、こういうものをアジア、アフリカで展開してほしいというようなことを要求されてはいかがかと思いますが、お聞かせください。
  133. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な御指摘だと思っております。  実は、先週、私はベトナムと香港に出張を、国会のお許しをいただきましたので行ってまいりました。香港はフードエキスポということで、輸出の振興ということがメーンのテーマでございましたが、ベトナムは実は、まさに今委員がおっしゃっていただきましたように、日越の農業対話、ハイレベル会合というのをやりまして、今年で三度目になりますが、準備会合、そして一回目、二回目ということで、まさに委員がおっしゃっていただきましたように、アメリカやオーストラリアのような新大陸型ではなくて、限られた農地というものを有効に活用してしっかりと農家の所得につなげていくと。このことを日本のいろんな方にも参画をしていただいて、ベトナムの実は三か所を選びまして、生産のモデル地区、加工のモデル地区、そして流通、消費のモデル地区ということで、モデル地区を設定して五年を目途にこういうことをしっかり実現していこう、こういうことをやっていこうということで、我が国にとっても初の試みでございますが、これが中長期ビジョンの策定ということで端緒に乗ってきたということでございます。  ベトナムの要人とも会談をさせていただきましたが、向こうから繰り返し申されるのは、大体人口の六、七割が農家である、しかし農業のGDPに占める割合は二割にすぎないと、こういうことでございまして、この農家の所得をやはり増大をしていくということが均衡ある経済の発展にとって欠かせないと、こういう認識を強く先方も持たれておるということでございまして、そのために、アメリカでもオーストラリアでもなくて、この日本の農業のやり方をしっかりと学んでいきたいと、こういう姿勢が示されたところでございます。  このモデルを成功させることによりまして、一つの事例として、ほかの、今委員から御指摘のありましたように、東南アジアを中心とした、アジアやあるいはアフリカにも同様のモデルでいろんなやり方を共有していきたいと、こういうふうにも考えておるところでございます。
  134. 儀間光男

    ○儀間光男君 大変前向きな御答弁で、ありがとうございました。  大臣、そのことが国際社会で外交的にも日本が信頼を得て、日本の地位が高まっていくということにつながっていくと思うんですよね。それが、農林水産省業務関係から国際貢献をして外交に貢献していける、そういうことになれば本当に最高だと思うことから、どうぞ、いつまで農林水産大臣か分かりませんが、大臣の在任中にそれを目鼻付けてODAにも申し入れてください。いずれ総理になったら更に進めていただきたいと、こう思います。  次に、法律十七条事項を質問してまいりたいと思いますが、これは農業委員会、農地利用最適化推進委員の新設関連の法律です。  十七条では、推進委員を委嘱しなければならないと、農業委員会はですね、ならないとし、ただし書があって、三条第五項の定めによる市町村には委嘱しなくてもよいと、こういう定めがあるわけです。それを見ますと、後でちょっと言いますけれど別枠扱いするんですね、定めのないところとあるところ、別枠扱いしております。  そもそも、推進委員を設置した意義、目的を伺わせてください。
  135. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農業委員会の見直しの関係でございますが、現在の農業委員の機能、これは大きく二つに分けられます。一つは、農業委員会としてメンバーの方に集まっていただいて、権利移動の許可ですとか、こういったことをきちんと議論した上で結論を出していくという、これは委員会としての決定行為の部分でございます。それと、もう一つは、それぞれの農業委員の方がそれぞれの地域で活動していただいて農地の集積、集約化を図るという、大きくこの二つの仕事がございますが、この二つの仕事それぞれが的確に機能するようにしていくというのが今回の基本的な発想でございます。このため、今回の法改正では、農業委員とは別に農地利用最適化推進委員、こういうものを新設をすることにしているわけでございます。  改正後は、農業委員の方は合議体としての意思決定、こちらの方が中心ということになりますので、具体的には、農業委員会の総会ですとか部会に出席をしていただいて、出席する前に準備がいろいろあるかと思いますけれども、農地の権利移動ですとか転用の許可に当たっての意見具申、こういった中身について審議をして、最終的には議決権を行使をしていただくと、これが農業委員の主たる仕事になります。  一方で、推進委員の方は、自らの担当区域におきまして担い手への農地利用の集積、集約化、それから耕作放棄地の発生防止、解消、こういった具体的な現場の仕事をしていただくわけでして、特に農地の流動化につきましては積極的に農地の出し手の方に働きかける、こういった業務を行っていただくと、こういうことでございます。  この委員、農業委員とそれから推進委員、これ役割分担を行っていただいた上で両者が連携しながら活動することでその地域の農地利用の最適化がより良く進むようにというのが今回の改正の趣旨でございます。
  136. 儀間光男

    ○儀間光男君 私が疑問に思うのは、今の業務、わざわざ推進委員をつくって別法を仕立てて、そこへ移して、職務分掌を別にしていく必要が本当にあるのか。今のものを、それぞれ農業委員会の中の農業委員でもって、推進委員等は付けず農業委員でやって、この推進委員がやろうとする業務担っていったらいいんじゃないですか、そう思えてならないんですね。  これは、何というんでしょうか、三条五項でいう推進委員つくらなくたっていい市町村と、つくらなければならない市町村、別枠、違う枠にしてあるんですね。非常に平等感に少し不満が生ずるんじゃないかというふうな感じがするんですね。  だから、市町村によってその三条五項の適用を受ける市町村があれば、推進委員はいないんですから、農業委員がそれを恐らくカバーするのか、別の推進委員がカバーするのか分かりませんが、そういうのがあるから一つに一元化すべきじゃないのかと、その方が行政のワンストップに向く、サービス上ですね、と思えてならないんですが、それにお答えいただきたいと思います。
  137. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今回の推進委員の条項のところで、先ほど先生から御指摘ございましたように、十七条の一項のただし書というのがございます。一定の市町村につきましては推進委員を置かなくてもいいということになっておりまして、元々、農地面積等が少ないために農業委員そのものが必置になっていない地域が一つございますので、ここも置かなくていいわけですが、それともう一つは、現在の農業委員会一本の体制で農地の担い手への集積、集約化が相当進んでいる、あるいは耕作放棄地の発生がほとんどない、今の体制で成果をきちんと上げているところについては、推進委員を新たに置かないで、従来の農業委員一本の体制で今後も継続できるようにしようというのがこの十七条一項ただし書の趣旨でございます。  全国の農業委員会を見てみますと、本当に現在の体制でうまくいっているところも確かにございますけれども、多くのところではなかなかうまくいっていない。農地の集積、集約化も進みませんし、耕作放棄地がかなり増えてきていると、こういった状況がございますので、うまくいっていないところで本当にうまく仕事をしていただく、農地利用の最適化、要するに、担い手への農地の集積と、それから耕作放棄地の発生防止がきちんとできるようにするという観点で、今回は、会議体としての活動を中心にしていただく農業委員と、それから現場での活動を中心にしていただく推進委員に大きく二つに分けたと、こういうことでございます。
  138. 儀間光男

    ○儀間光男君 それはよく理解できるんですよ。分かさなくてもできたんじゃないですかと申し上げているんです。それはそれで、別に法律で決めてわざわざ分業化しなくたって、一元の中で、仮に推進委員ができたから農業委員が減るということじゃないんでしょう。例えば、じゃ、推進委員は必要としない市町村にはどなたがどう対応するんですか。
  139. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) まず人数の関係ですけれども、推進委員を置いたところにつきましては、農業委員の方の人数は基本的に従来の半分ぐらいにしていただくと。機動的に会議を開催して決定できるようにするという観点で半分ぐらいにしていただいて、その上で推進委員の方を必要な人数をきちんと置いて現場での農地流動化の活動ができるようにしていくと、これが今回の基本的な設計でございます。トータルの数としては、農業委員推進委員を合わせると、従来の農業委員一本のときに比べれば数はちょっと増えるような感じになると思いますが、それをきちんとやっていこうというのが今回の発想でございます。  考え方として、推進委員を置かずに農業委員一本の体制で人数を増やしたらいいんじゃないかという御指摘もあるかと思いますし、この委員会でも何回か御質問いただいたところですが、農業委員一本でその数を増やした場合に、合議体としての活動の方は、人数が多くなりますとなかなか集まるのが容易でなくなります。機動的に委員会を開催するのが難しくなるという側面が一つあるということ。それから、農業委員一本で、会議体にも参加して議決もしますし現場での活動もやるということになりますと、やはりなかなか負担が重くて、現場での活動の方がおろそかになってしまう可能性が高いのではないかということも考慮いたしまして、現在うまくいっていない、なかなか成果が上がっていないような農業委員会のところにつきましては推進委員を新たに置いていただく、二本立ての体制にしたいというのが今回の改正の考え方でございます。
  140. 儀間光男

    ○儀間光男君 富山へ地方公聴会で行ったとき、それから十八日の参考人質疑のときも、一本化して農業委員に自信と誇りとを持たせた方が行政はもっともっとスムースにいく、また我々との連携もうまくいくように思うと、わざわざ増やす必要があったのかなという声を多く聞きまして、ということ等もあって、だから現場の声が余り届いていない。  僕はこの委員会に来てずっと林大臣にも現場とネクタイ組の話をやったんですが、その現場とネクタイ組がなかなか意思の疎通ができていなくて、そごを起こしているというような感じがしてならないんですね。全くやっていないとは言いませんよ、やっていないとは言いませんが、時たまこういうことが起きている。  例えば今度のそれも、規制改革会議、それと農業者あるいは農業委員、つまり、現場意見が集約をされないままに法案が提案されていたのではないかと危惧をする面が往々にしてかいま聞き、かいま見たから申し上げているんですが、その辺どうなんでしょう。平木委員も少し指摘しておりますが、現場意見を、その法案、素案を作る前に聴取をするとかいう作業をやったかやらなかったか分かりませんが、現場から聞くと、いつも素案ができて、いよいよ言ったって動かない状況になったときに情報として入ってきて、あるいは相談を受けたりということであって、まさに規制改革会議、ネクタイ組が一方的にやったとは言いませんが、配慮に足りなかったんではないかというようなことなどを現場でよく聞くんですが、この辺どうなんでしょうかね。
  141. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今回の改正に至るプロセスでございますが、平成二十五年からこの農業委員会あるいは農協の問題というのは政府・与党の中でいろんな議論が始まっております。  いろんな議論の中で、これは与党の中でも、農業者の方、あるいは農協関係者、農業委員会関係者を呼んでのヒアリングも行われた上で、昨年の六月に基本的な考え方の整理が一旦行われております。この昨年六月の基本的な考え方につきましては、これは農林省の方でもかなり丁寧な説明会をブロック別に分けてやりまして周知徹底をいたしましたけれども、そのことを踏まえてそれぞれの系統組織でも自己改革をどうするかということがいろいろ検討されたということでございます。  その後、自己改革案、農協作っていただいたりいろいろいたしましたが、今年の一月から二月にかけまして、昨年六月にまとめた方向性を踏まえた上で、どういう制度の骨格にするかということをもう一回濃密に議論をする場面がやってまいりました。この際も与党では、相当農業者の方に来ていただいてヒアリングをいたしましたり、それからJAグループとの意見交換もいろんな形で行って、最後はJAグループの御理解も得た形で制度の骨格をまとめたということでございます。  それに即して法律案を作って提出をしたわけでございますので、これで十分だったかどうかという点はいろいろあるかと思いますけれども、プロセスとしては、農業者あるいは関係の団体の意見もいろいろ伺いながらここまで法律案の作成に進めてきたと、こういうことでございます。
  142. 儀間光男

    ○儀間光男君 これ以上議論しません。労を多とし、どうぞこれから余りミスマッチ、余りというかミスマッチがもう起こらぬように、これが起こるというと、せっかくの農政がなかなか目的を達するわけにいかないというようなことも生ずるわけですから、どうぞそういうふうに頑張っていただきたいと思います。  それから、例の、農協が有している総合農協の機能を分離するというやり方ですが、地域経済や地域社会のそのことは衰退を招くおそれがある、これは農業関係者農政に精通している有識者の一致した意見でありますが、これについて少し尋ねてみたいと思います。  いわゆる地域経済や地域社会の衰退を招くおそれが大きいと指摘されているのでありますが、そうなると、安倍政権の主要政策一つである、いつも言っている地方創生、これにも少なからぬ影響が出てくるものだと思います。農協が今日まで果たしてきた総合農協としての機能を地方創生の観点から考量すると、JAには総合農協の機能を維持させながら、JA自身の自己改革規制改革を着実に推進させ地方創生の一翼を担っていただくことが必要と常々指摘してまいりましたが、政府地方創生と総合農協機能とは全く別次元の問題だと捉えていらっしゃるのか、御所見をいただきたいと思います。
  143. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農林水産業・地域の活力創造プランというのを作らせていただきまして、需要サイド、供給サイドを中心として産業政策的なものをしっかりやる、そしてもう一つの柱として地域政策ということで、これを車の両輪にしてやっていこうと、こういうことにしたわけでございます。その中で、今回の農協改革というのも、地方分権、この間も委員とのやり取りの中で申し上げさせていただきましたが、今までより一層にそれぞれの地域農協がその地域の特性を生かしていくということをやれるような環境づくりをやっていこうと、こういうことでございます。  したがって、今委員が触れられましたこの総合農協ということについては、まさにそこをどうこうということではなくて、これからも総合農協としてやっていただくということは大前提の上で、その総合農協である地域農協を含めた農協がしっかりと地域の特性を生かしてやっていけるようにしていこうと、こういうことでございます。  したがって、むしろ事実上地域のインフラとして果たしている役割という議論になってまいりますと、先ほど来議論になっております准組合員問題等々が出てくるかと思いますが、それも先ほど来御答弁しておりますようにいろんな議論もございましたので、五年間しっかりと調査をやった上で規制をするかしないかも含めてやっていくと、こういうことにしたところでございます。
  144. 儀間光男

    ○儀間光男君 余り時間がないので最後の質問になるかと思いますが、残された質問は、またあるそうですから、次の機会にさせていただきたいと思います。  なぜそれを指摘するかというと、私、休みを使って、JA農協方々、いろいろ会ってきましたけれども、いわゆる地方創生基本戦略を作って、都道府県に作って、市町村に作るわけですよ。そうすると、地方JAはですね、都道府県か市町村の戦略作りに参画してほしいんですが、なかなかその積極的な取組が見えないんですね。聞いたら、なかなか、そのままオール、全部丸投げされるんじゃないかという懸念もあるとかいって、なかなか積極性に欠けているんです。そういうところをひとつ御指導をいただきますように申し上げて、質問を終わらさせていただきます。
  145. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今回、四回目の政府質疑ということになります。この間、富山県での地方公聴会とそれから参考人質疑を行いましたが、多くの疑問や不安が出されていました。特に地方公聴会後の記者会見で山田委員長が、この改正案現場の実態からずれているぞとの思いが強く出ていたというふうに感想を述べられていました。この発言の持つ意味というのは非常に重いというふうに思っていますし、私も同じ実は感想というか思いを、多分委員の方も共通の思いを持ってこられたと思います。  それで、出された疑問や意見について質問したいわけなんですけれども、今日は農業組織への企業論理の持込み、農業への企業参入という角度から少し議論をしたいと思います。  農協法改正案では、非営利規定を削除、あるいは全中監査から公認会計士監査への移行など、農協組織に企業の論理が持ち込まれ、理事も非農民化が進められています。農業委員会においても公選制から任命制に移行すると。それから、公募という形で農業委員の非農民化が進められようとしているわけです。農業生産法人についても非農家の道が更に広がります。  それで、今日、その農業生産法人について少しお聞きしたいわけです。まず、農業生産法人の役員要件についてなんですけれども、現行法では、役員の過半が農業の関連事業を含む常時従事者であることと、さらにその過半が農作業に従事することという規定になっているわけですけれども、この改正案は、農作業の従事要件を理事等又は農林水産省令で定める使用人のうち、一人以上が農作業に従事するという規定改正するわけですよね。六次産業化を推進するために、これは販売や加工に従事する役員を増やすためにそうするんだということを理由としては言われているんです。  例えば、役員が十人いたとしたら、この十人の、現行法で言うと、農作業に従事する人、つまり耕作者というのは過半の過半ということですよね。だから、過半だから、十人のうち半分が五だけど、プラス一で六と。その過半となると、六人のうちの半分だから、三プラス一で四ですよね。過半の過半といったら四人と。改正案でもって耕作者のところというのは一人になるわけですよ。しかし、この現行法で農業以外の役員というのは、実は六人、過半といったら六人なんだけど、あと四人がいるわけですよね。ですから、耕作者を四人から一人に減らさなくてもこの六次産業化に対応できるんじゃないのかと、四人はいるわけですからと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  146. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この農地を所有できる農業生産法人ですが、農業を継続的に真剣に取り組んでいくということを担保する観点で、今委員からお話がありましたように、役員等について一定の要件を設けております。六次産業化の展開については、この要件がネックとなることがあると、こういうことでございます。  今お話がありましたように、六次産業化を進めていくということになりますと、加工それから販売部門、こういうところの役員を増やそうということが出てくるわけですが、今お話をしていただきましたように、役員の四分の一程度が農作業に従事する必要があるということでございますので、役員を増員しようとしますと、同時に農作業に従事する役員の増員も行うと、こういうことになるわけでございまして、業務量が加工と販売の方が増えていくということでございますが、これに応じた適切な人員配置が行えないおそれがあるということでございます。  したがって、役員の農作業従事要件については、六次産業化を進めれば農作業のウエートそのものが下がるということも踏まえまして、役員等の一人以上が農作業に従事すればよいと、こういう見直しをするということにいたしたところでございます。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 ですから、それが、四人の人たちはどうするのという、足りなくなるという話をするんですけど、耕作者のところを一人に減らさなくてもやれるんじゃないのかと。やっぱり何で理屈としてそうなるのかがよく分からないんですよね。
  148. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 先生の今の事例ですと、十人のうち四人は農作業じゃない、販売とか加工に従事しているということですね。  さらに、この六次化を進めていくときに、例えば販売体制をもっと強化するときに役員をもっと増やさなきゃいけない、例えば今は四人でやっているところを、そこを八人にしなければいけないというようなことをどんどん考えていったときに、では、その全体の中で四分の一が農作業の方にちゃんと回った体制が確保できるのかという話にも逆になってくるわけでして、これはケースによっていろいろ違うと思います。  現行の体制の中で泳いでいけるケースはもちろんあるかもしれませんけれども、そこをかなり、加工、販売のところを大きくしていこうというときに、やっぱりこの四分の一は農作業を必ずやらなければいけないというのはネックになるケースが出てまいりますので、そこの障害はやっぱり取り除いた方がいいというのが今回の改正の考え方でございます。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 ケースによっていろいろだということで、これ分からないわけですけど、いろいろな今理屈言われたんですけれども、私はやっぱり一人に別に減らさなくたってやれるんじゃないかなというように思います。  それからもう一つ構成員の要件なんですけれども、現行法では農業者以外の者の議決権が総議決権の四分の一以下なんですけれども、今度の改正案では二分の一未満に緩和すると。つまり、農業以外の議決権が増えるということになるわけですよね。現在では、全国事業を展開している外食産業の、食品産業ですね、それからJRとか商社なんかも参入していますから、農業関係者以外の支配が強まるんじゃないかという懸念が出ているわけです。  一九六二年に、農業生産法人制度をつくった当時ですけれども、そのときの農地局長、庄野さん、この方が当時、法人組織を認める理由として、資本家的経営と申しますよりは共同経営的色彩の濃い性格のものなんだ、だから株式会社は排除しましたという答弁をされているわけですよね。  役員構成員要件をますますこれ緩和すれば、株式会社が参入をして資本家的経営色が強まって、耕作者主義というのを原点とした元々の始まりがあるんですけれども、地域に根差した農業者の共同体という農業生産法人を変節させることになるんじゃありませんか。これ、大臣奥原さんはあくまでも座っておられるということなので、農水大臣お願いします。
  150. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 座っている者は親でも使えという言葉があるかもしれませんが、御指名でございます。  六次産業化を進めていくということになりますと、やはり外部から資金を調達するということも必要になってくるという場合があるということでございますので、現在は四分の一以下に制限されている議決権を二分の一未満まで保有可能とするということでございます。そうしなくてはいけないということではなくて、そうしたいという方はぎりぎり二分の一未満までということを、資本を増強するという場合もあるということでやっていこうということでございますので、逆からいえば、法人の総議決権の過半数、これは農業者が保有するということは変わらないわけでございます。  したがって、生産法人の基本的な性格は維持をされるものと、こういうふうに考えております。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 誤解のないように言っておきたいと思うんですけど、私は、農産物の加工とか販売とか、地場の企業と農業が連携するということはあると思うんです。北海道なんかも建設業と農家の人と支え合いながら地域を構成するということがあるから、そういうことはあると。しかし一方で、農業をビジネスチャンスにしようというか、何というかな、もうけだけを、地域のことよりもそこのことを考えてチャンスにしようという動きがあるというのも事実だと。ですから、今回の改正が、農業者の共同体としての生産法人を支援することになるのか、それとも企業の農業参入を支援することになるのかというのは議論が必要だというふうに思うわけです。  そこでなんですけれども、なぜ企業は農業生産法人に参入するのか、農業の発展のためなのか、農家のために参入するのか、この点での大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  152. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平成二十一年に農地法改正をいたしまして、企業のリース方式で農業参入をするということが全面解禁をされました。したがって、このリース方式ということであれば、企業が農業生産法人として参入する必要はなくなると、こういうことでございます。  実際に参入された企業の状況を見てみますと、経営農地がリースのみであるということにもかかわらず、農業生産法人でないとリースも含めて農地を利用して農業生産を行うことができない、こういうちょっと誤解があるということがある。それからもう一つは、やっぱり農業生産法人になった方がその地域に受け入れられやすいと。みんなと一緒になってうまくやっていこうという意識がそこで現れる、それが地域に受け入れられると、こういう理由もあるようでございまして、そういう理由で、地域の農業者と一緒になって農業生産法人を設立しているケース、こういうのが多くあるところでございます。  こうした企業が出資するタイプの農業生産法人であっても、先ほど申し上げましたように、総議決権の過半が農業関係者が保有しております。したがって、もちろん農業者の意向に反した経営や農地利用が行われる懸念はないと、こういうふうに思っておりますし、そもそも、元々持っているものをそういう方に売るという行為がまず最初になければいけませんので、その時点でも、最初からそういうことが分かっているような方にそういうことはなかなかしないのではないかなと、こういうふうにも思っておるところでございます。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと聞いたこととの関係答弁になっていないかなというふうに思うんですけれども。  それで、この後にちょっと聞こうと思っていたんですけれども、日本政策金融公庫が二〇一三年に、企業の農業参入に関する調査ということで、その結果を公表しているんですね。  企業が農業参入する際に、その成功のポイントを四点ということで書いているんだけれども、その一つが農業技術、それから二つ目は農地の確保、三つ目は販路、四つ目は資金繰りということで、この四点が、参入する場合、成功させるために必要なポイントだと。さらに、企業にとって容易に解決できない課題に農地の確保の問題と農業技術の習得の問題があると。  企業は、農家を出資母体としてその農家の土地を使う農業生産方式というのは初期コストが少なくて済むというふうに言われているわけです。とりわけ、食品関連企業が農業に参入していくメリットというのは、安定した数量や品質の食材の調達の安定化を図ることができる、それから、消費者のニーズや自社での使いよさに合わせて原料の差別化を図るためなんだということが言われているわけです。  なぜ食品大手がこの農業生産法人に参入するかというと、それはやっぱり小売チェーン店同士の激しい競争があると言われているわけで、結局その企業の都合に合わせて農家を囲い込むということになっているんじゃないんでしょうか。いかがでしょう。
  154. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農家を囲い込むといいますよりも、そもそも、先ほど来申し上げておりますように、我々、産業政策としての部分で、需要をきちっと見極めて需要に応じたものを作っていくマーケット・インというのを申し上げてきておりますので、そういう形にならないとしても、やはりきちっと需要を見て、需要者がどういうものを欲しているかというものは生産者の方でも考えていくということは元々大事なことではないかと、こういうふうに思っておるところでございます。  先ほど申し上げましたように、リース方式が解禁をされておりますので、平成二十一年から約五年間で、改正前の約五倍のペースでこのリース方式による参入が起こっております。農業界、産業界、連携して前向きに推進していける状況になってきておりまして、今後は地域の農業の担い手になり得る存在だと我々も考えておりまして、特に担い手の不足する地域において、担い手として企業がリース方式で参入していただくということを期待しております。  制度上も企業が認定農業者になるということは可能でございますので、こういった意味で、しっかりと農業界、産業界が連携をしていくということを進めていきたいと思っております。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 二〇〇九年の農地法の改正で、企業はリース方式で農業に参入することが可能になったわけですよね。二〇〇九年以降農業に参入した企業数や撤退した企業数はどれぐらいあるのかということで農水省に聞きましたら、参入数は、二〇〇九年以降ですけれども、千七百十二法人だと。撤退数は百四十三法人だと。そのうち、株式会社は千六十社が参入して、九十社が撤退しているというんですね。二〇一三年のJC総研レポートによると、青森県では三十一社が参入したんだけれども十二社が撤退と、四割ですよね、撤退したというふうになっているんですけど、なぜこれだけ撤退しているのかということについてはいかがでしょうか。
  156. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ちょっと青森県の個別の数字が手元にございませんが、全国では、全体で千七百十二法人がこの平成二十一年の農地法改正後の五年間で参入をしておりまして、百四十三法人が撤退と、こういうことでございます。撤退した場合でも、まさにこれリースでございますので、リース契約を解除して、ほとんどのケースで新たな権利移転先において農地が適正に管理、利用されていると、こういうところでございまして、リース方式での良さの一つがここに出ているのではないかと、こういうふうに思っております。  リース方式での企業参入については、参入企業が農地を適正に利用していない場合はリース契約を解除して農地の原状回復を図ると、こういうふうにしておりますが、先ほど申し上げましたように、ほとんどのケース、百四十三法人につきましては農地が契約解約後適正に管理されておるという状況でございます。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 なぜ撤退したのかということについてはどうでしょう。
  158. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは個々の企業のやはり事情によるものが大きいんではないかと、こういうふうに思っておるところでございます。  したがって、我々としては、個々の企業の事情というのをつまびらかに一つずつ把握をしているわけではございませんが、やはりうまくいかなくて、あるいはいろいろ事情があって撤退されたところの農地がしっかりと新たな権利を移転されたところで適正に管理、利用されると、このことをしっかりとやっていきたいと思っておるところでございます。
  159. 紙智子

    ○紙智子君 なぜ撤退したのか、個々の事情は分からないというのはちょっと問題だと思うんですよね。やっぱり、自らその制度をつくっているわけだから、どういう理由でどうなったかということを把握してやっていかないと無責任になってしまうと思うんですよ。  それで、企業を多様な担い手というふうに位置付けてリースで参入を認めたわけですから、それを認めながら、撤退していると。こういう状況というのは、農水省が進める、今のこの担い手の農業者に農地を集積しようという方針なわけですから、これにも反するんじゃありませんか。
  160. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 個別の案件について申し上げることはいたしませんが、全体として、撤退若しくは解約ということになりましょうか、この理由としては、四〇%が他の農業を営む法人合併したとか他の農業を営む法人等への権利を譲渡するとか、こういうことになっております。また、販売先の確保が困難とか労働力の確保が困難、農業経営の不振というのが二九%で続いております。それぞれそういう理由があったのではないかというふうに思っております。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 日本生産性本部に経済成長フォーラムというのがありますよね。座長は、政府規制改革会議の議長代理で元経済財政担当大臣の大田弘子さんで、メンバーには、規制改革会議の農業ワーキンググループの座長を務めた金丸氏、それから産業競争力会議の農業分科会の主査を務めた新浪氏が参加をしています。  二〇一四年に提言を出しているんですけれども、ここでは、企業の農業参入を加速化させるためには、農業生産法人構成員要件や事業要件を今後一年から二年で撤廃すべきという提案をしているわけですよ。アベノミクスを推進してきているメンバーが提案している内容というのは、農業の発展のためというよりも、農業を囲い込んで自らのビジネスチャンスにしようとするものなんじゃないんでしょうか、いかがですか。
  162. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ちょっと御通告がなかったものですから、その生産フォーラムについてつまびらかに資料を持っておりませんが、いろんな方がいろんな立場で御意見を述べられるというのはあることだと、こういうふうに思っておりますが、それを受けて我々農林水産省としてどうするか、また政府・与党として最終的にどうするのかと、これはしっかりと議論をして、皆様方の御意見を踏まえて決めていかなければならないと、こういうふうに思っております。
  163. 紙智子

    ○紙智子君 今回の改正で、この農業生産法人という名称が農地所有適格法人に変わるんですよね。その理由は、農業生産法人でなければリース方式が活用できないという誤解があるんだと、だから誤解を受けないように農地所有適格法人という名称に変えたんだという答弁になっているんです。誤解を解消するために名称を変えるのかなという、これはちょっとよく、私も疑問なんですけれども。  二〇一四年に閣議決定をした日本再興戦略では、農業生産法人要件の緩和や農地法の見直しというのは、農地中間管理事業法の見直しに合わせて、リース方式で参入した企業の状況等を踏まえつつ検討すると。また、所有方式による企業の農業参入の自由化を検討する場合には、リース方式については事実上耕作放棄されたり産廃の置場になった場合にはリースの契約解除による原状回復という確実な担保があるんだということを踏まえて、これに匹敵する確実な原状回復法の確立を図るということを前提に検討するとしているわけですよね。  つまり、こういう条件を付けて企業にも農地の所有を認めるということなんじゃないんでしょうか。その先駆けとして言わば農業生産法人の名称を変えるということなんじゃないのかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  164. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この名称につきましては、先ほど委員からお話がありましたように、農業生産法人という特別の何か法人格が、例えば医療法人とか株式会社とか、こういうものがあるのではないかと、したがって農業生産法人でなければリースもできないんではないか、こういう誤解が見受けられまして、更なる規制緩和の要望というのも、実はこういう誤解に基づいて要請が行われているというケースもあるわけでございます。したがって、先ほど私からも申し上げましたように、平成二十一年の農地法改正前までは農業生産法人でなければリースも含めて農業生産できなかったわけでございますが、二十一年にリース方式が全面解禁されましたので、農業生産法人でなくてもリース方式での参入ができるようになったと。  こういうこともあって、いわゆる法人格ということではなくて、農地を所有できる要件を満たしている法人のことを農業生産法人というふうに農地法上呼んでいると、こういうことでございますので、この実態を踏まえて、農業生産法人という呼称をより正確に実態を表すために農地を所有できる法人という意味で農地所有適格法人ということに変更をしたということでございまして、企業の農地所有を推進するために行ったものではないということを申し上げておきたいと思います。  全体的な農地所有につきましては、先ほど委員から整理をいただいたとおりでございまして、最後におっしゃっていただいたように、二十六年の六月二十四日に決めました日本再興戦略でそういうことが記述がされておりますので、それでしっかりとやっていくということになろうかと思います。
  165. 紙智子

    ○紙智子君 多様な担い手という言い方で企業にも農地所有を認める、企業的な経営が重視されるということになると、一方で家族経営が切り捨てられることになりかねないんじゃないかと思うんですね。  そこで、改めてちょっと、農水省はこれまで企業の農地所有を認めてこなかったと、なぜ認めなかったのか、見解をお話ししてください。
  166. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、企業の農地所有につきましては、企業が農業から撤退して耕作放棄が進んであるいはその場所が産廃置場になるんではないかと、こういう農業、農村現場の懸念があるということでございます。  したがって、個人とは異なって、法律上の人格である法人の農地所有については、農業を継続的に真剣に取り組んでいただくと、これを担保しなければなりませんので、そういう意味で、先ほど来御議論いただいておりますように、役員それから議決権等について一定の要件を満たす法人、農業生産法人と呼んでおりましたが、これを改め、所有適格法人ということになるわけでございますが、これに限って認めることとしてきたところでございます。
  167. 紙智子

    ○紙智子君 今、農水省の基本的立場というのをお話いただいたわけですけれども、本当にその見解が維持できるのかなというふうに思うんです。  先ほど紹介しました経済フォーラムの提言というのは、企業の農業参入を加速するために、土地のリース方式以外に、企業の選択肢を増やすために、一般企業の農地所有を今後五年以内に実現することということを提言しているんですね。フォーラムに参加したメンバーというのは、実は今回の農協法改革推進している方々です。こうした経過を見ますと、この提言というのは人ごとじゃないんですよね。企業に農地の所有を認めるということは、私はもう絶対容認できないというふうに思います。  それで、今世界の流れというのは、企業的な経営の方向ということではなくて、やっぱり家族農業なんですよね。そして、参考人質疑の中でも家族農業への支援を求める意見というのが強く出されていました。農地法で定められた耕作者主義を守って、家族農業や家族的経営への支援こそ強化すべきではないんでしょうか、大臣
  168. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 重ねての答弁になるかもしれませんが、やはり、我々ずっと進めてまいりました農政改革というのは、産業政策の部分とそして地域政策の部分を車の両輪としてやっていこうということでございますので、家族農業でなくてはならないとか、企業でなくてはならないとか、大きくしなければならないというものではなくて、それぞれの地域やそれぞれの農業をやっていただいている主体に合わせて、言わば足し算的にいろんな方が創意工夫をできるようにしていくと。結果として強い農業とそれから美しい農山漁村が保たれると、こういうことをやっていこうということを両輪としてやってきておりますので、どちらかの方に方向を定めて進めていこうというふうには考えておらないところでございます。
  169. 紙智子

    ○紙智子君 この間いろいろ出された意見を踏まえても、本当にこれからの農政の向かう方向という上でも本当に大事な岐路になっていて、やっぱり出された意見をちゃんと尊重すべきだというふうに思います。  それで、ちょっと時間がもう僅かになって、本当は地方公聴会、参考人の皆さんの出された問題で幾つか質問する予定で通告もしていたんですけれども、残り僅かになったので、一、二問できるかできないか、ちょっと最後にお聞きしたいと思います。  地方公聴会、参考人質疑では、准組合員の問題が一つ出されていたと思います。広島の農協中央会の香川会長が、中山間地ではJAは地域で暮らす人生全てを支えるインフラそのものだと、准組合員利用の規制という問題が入ると地方の農村形態全てにおいて崩壊するんじゃないだろうかと懸念をおっしゃっていました。それから、富山でも、穴田JAの会長は、政府准組合員利用実態を五年間調査して判断するとしているけれども、仮に准組合員の利用を制限したならば、地域農業を牽引するJAの機能が大きく衰退するだけでなく、地域住民の生活に大きな影響を与えることは明らかだ、准組合員の利用制限は認められないというふうに述べて、附則五十一条の第三項は削除してほしいという要望を具体的に要求されたわけです。  これらをどのように受け止めて、そして反映させる考えがあるかどうかということをお聞きしたいと思います。
  170. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ここは何回か御議論いただいてきたところでございますが、まず一条で、農協はあくまで農業者協同組織であると、これは明記をされております。正組合員である農業者のメリットを拡大するということがまずなくてはならないということでありまして、准組合員サービス主眼が置かれて正組合員である農業者サービスがおろそかになってはならないというふうに考えております。一方で、過疎化高齢化等が進行する農村社会において、農協が事実上地域のインフラとしての側面を持っている、これも事実でございます。  したがって、先ほど来、我が党の中の御議論も御紹介をしながらお答えさせてきていただいておりますが、これまで規制がなかったということもあって利用実態が把握できていないということ、また、今回の農協改革でどういう成果が出るか、こういうものも見極めていかなければならないと、こういうことでございまして、いろいろ議論の上、五年間調査を行った上で規制の在り方について議論をするということにいたしたところでございます。  したがって、この内容を条文化をさせていただいたのが五十一条の第三項ということでございますので、この規定どおりにしっかりとやってまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  171. 紙智子

    ○紙智子君 今のお答えは結局ゼロ回答みたいな話なんですけど、やっぱりこれ、衆議院の段階からも出ているし、ずっと聞き取りをする中でも出てきている意見ですから一部の意見では決してないわけで、やっぱり一貫して出されているわけですから、ちゃんと受け止めてどうにかするということが必要だというふうに思います。  ちょっと時間になりましたので、まとめます。  それで、このほかにも、例えば農業委員会改正問題で農業委員の選任基準の問題も、前回もやっているんですけれども、含めて次回、ちょっと中途半端になりますので、次回しっかりやらせていただきたいということで、質問を終わります。  ありがとうございました。
  172. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会、山田太郎でございます。  今日は、もしかしたら対政府質疑、実質最後の本格的な質疑になるかもしれないということで、そろそろこの法案も出口を見出さなきゃいけないと、こういうことかもしれませんが……(発言する者あり)頑張れという、ほかの委員からもありますので、きっちり今日もまとめていきたいと思いますが、ただ、大枠で、やっぱり最後、本当にこの法案がいいものなのか、あるいは問題があるのか、やっぱり見直さなきゃいけないのか、そんなところをしっかりやっていきたいと思っています。  まず最初に、農協の果たす役割ということで、細かい法律論についてはいろんな委員先生方が随分議論されましたし、私も前回やりました。大枠でもうちょっと、先ほどからあったんですが、いわゆる農協役割が産業政策あるいは地域政策においてどういう役割を果たしているのかということをもう一度確認していきたい。どういう方向で今回農協改革していこうとしているのか、その部分について少し、まず最初に質疑をしていきたいと思いますが。  前回の参考人の方の意見の中でも、農協を職能組合として純化しようとしていると、もしかしたら、改革内容をよく見てみるとそういう側面は強いのかなと。要は、改革のいわゆる立て方が、農協というものがこういう問題があるとか、こういう形でもって利益を出す組織にせにゃいかぬと、こういうことを改革の中では迫っていますから、どちらかというと、地域協同組合といういわゆる地域政策の側面における役割というよりも、職能組合としての、まさに産業政策の位置付けとしての農協改革ということが非常に語られてきたのかなと。  ただ、そうなってくると、今日の質疑の中でも多くの議論割かれていたと思うんですが、組合員准組合員の問題であったりとか、まさにいろんな委員からも出ていました、地域をやっぱり農協は支えているという極めて重要な地域協同組合としての側面が非常に強いのではないか、これがそがれてしまうと、こういう議論があったかと思っております。  そこで、多分政府はいいとこ取りをして、あるときには、農協は、要は職能組合としての役割も果たさにゃいかぬ、これは農業者協同組合なんだからと言ってみたりとか、あるいはあるところでは、やっぱり地域では非常に役に立つと言ってみたりとか。ただ、残念ながら、改革というのは、もちろん竹でぱっと割ったようにどっちにということではないんでしょうけれども、そんなにいいとこ取りをやっぱりできるわけではない。私自身は今回の政府の、いい悪いはちょっとおいておいたとしても、まず政府から見解がいただきたいんですが。  あくまでも、今回の農協改革の方向性は、どちらかというと、職能組合としてしっかり原点に戻りなさい、そちらを強化するべきなんじゃないかと、こういうふうに聞こえるんですけれども、特に地方創生とかそういう中でも、そういった形で本当に農協役割として担っていけるんだろうか。その辺りを含めて、是非大臣の方から、まずスタートですので、御意見いただきたいと思います。
  173. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 本質的なお尋ねだと、こういうふうに思いますが、やはりこの一条、農協農業者協同組織であるということ、農業者が、農産物の販売生産資材の調達など、こういう事業を利用してメリットを受けると。これがやはりまずは目的として設立されたものである、こういうことで、改めて原点に回帰しなければならないと、こういうふうに考えておるところでございます。  いろいろと批判が出るのは、金融の信用共済事業に力は入りますけれども、農業者、特に担い手の農業者のニーズに十分応え切れておらないのではないかと、こういったことや、結果として農産物販売生産資材購入における取扱いのシェアも低下してきている、こういうことがあるわけでございます。  私も冗談半分で時々申し上げますが、テレビのCMを見ておりますと、まちのバンクというCMなんですね。まちのバンクのところはやってはいけないと申し上げるつもりはありませんが、テレビのCMをぽっと見て、JAまちのバンクと言われると若干違和感があるなというふうに思うわけでございまして、やはり農業者のための協同組織という農協の原点に立ち返って、農業者、中でも担い手から見て所得向上に向けて経済的活動を積極的に行える組織、これを基本的な考え方としたいと、こういうふうに考えております。
  174. 山田太郎

    山田太郎君 確かに、それはそのとおり、よく分かるんですが、一方で、地域産業としての農業を支えていると。今の大臣お話だと、どちらかというと、個々の農家に対するサポートという側面、また、そうなると、確かに原点である、農協は農業協同組合であると、いわゆる職能組織だというところがありますが、私はやはり今回の質疑、それから地域を回らせていただいて、いかに地域産業を支えているか、農業というのは個々の農家が閉じてはやっぱりできないんだなということも非常に感じたところであるわけです。  現実的には、確かに、農協がそういった意味で経済事業だけで成り立てば、それはそれでこしたことはないかもしれませんが、ただ、その地域で農業が必要なんだということで、経済事業が仮に赤字だったとしても維持しているというのも機能でありまして、そうなってくると、うまく金融と共済を組み合わせてきたということも確かに言えるんではないかなと。  考えてみれば、前回の質疑のときも少しやったんですが、地産地消ということを地域で考えれば、地域から例えば金融とか保険で集めたお金がどこかの外資に持っていかれて別に運用されるとか、東京のいわゆる都銀がどんどんその代わりに入ってきて違うところに使われるよりも、地域は地域でもって集めたお金が地域で還元されるということを考えれば、あるいはそれが農業に還元されるということを考えれば、案外うまい仕組みなんではないかなと。  そういう、もう一回、地域協同組合や地域産業としての農協の在り方というのは現実的にあるんだという、やっぱり私もどちらかというと元々会社も経営してきたり上場してきたりしたので、効率的なところを考えてスタートの入口としてはそんなところの思いが非常に強かったんですが、やはり現場に行ってくると、地域を支えているという側面が何か今回の議論の中で足りていないような、見過ごされてしまっているような感もするわけでありまして、もうちょっとその辺りも、今後、組合員准組合員の問題、それから、多分もしかしたら金融切離しということであったりとか、あるいは全国指導する中央会の在り方の見直しといったところも、そういう側面ももうちょっとバランスを持って議論をするべきなんじゃないかなというのをちょっと非常に感じましたので、これはよろしくお願いしたいと。  特に、私のような、どちらかというと個々の企業のコンサルと効率化をやってきた人間すら、何となく議論としてのちょっとバランスを欠くなということを感じたということを強く主張しておきたいと思っております。  さて、次の論点へも少し行きたいと。別に皆さんのお仲間だからというよりも、これは本当に慎重に私も考えてきまして、いろいろと議論させていただいております。  もう一つ、次の側面なんですけれども、とはいうものの、農協役割の、七条の二項の中に、農協は農業所得の増大に最大限の配慮をしなければいけないと、こううたわれているんですが、いわゆるこの農業所得というのは何のことを言っているのかといったところもちょっと大事だというふうに思っておりまして、個々の所得向上ということもあると思いますが、いわゆる産業としての農業に対する全体の所得向上というのもあるのかもしれない。  そうなってくると、盛んに議論になっております、内需は非常に限界がある、もうお米も毎年八万トンずつ消費が、需要が減っているなんという中で、一方は飼料米ということを言っていますが、一方はいわゆる輸出を拡大しなければいけない、こういうことを言っているわけであります。  ただ、輸出は、これも前回少しだけ質疑させていただきましたが、安倍政権は一兆円を目指しているというものの、実際には、要は国内生産が減っている状況の中では実は輸入に頼るということにもなりかねないわけでありまして、輸出を増やせば増やすほど実は輸入が増えてしまうということになれば、実際その輸出振興というのは国内産業に対して圧迫の何物でもないと。  非常に資料が古いものしかないということで、その辺り、どれぐらいが輸出に対して国内の農作物を使っているのかということを求めたら、現実的にそういう資料はないということと、産業関連表で十年前のものであれば、一応、輸出品ではないけれども、国内産業における食品の約三割は輸入品だということは答弁を実はいただいているわけでありまして、もしかすると、輸出品に対する加工品は安く作らないと国際競争力になりませんから、そうすると素材を輸入している可能性もあるということなので、私は、政府にその辺りの構造をしっかり調べていただかないと、政策そのものが国内のそういった農業に対する圧迫の何物でもないということにもなりかねないと思っているので、その辺り、輸出振興と、特に農協に対する期待みたいなものもあるのかもしれませんが、是非まずその辺り、考えとしてあるんであれば、あるいはこの七条の二項の農業所得のところの意味合いですよね、その辺り総合的に、これも大臣にお答えいただけないでしょうか。
  175. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 輸出の振興ということは大変大事だということを繰り返し申し上げてまいりましたけれども、今進めておりますのは、輸出をするときにやはり産地とかどこどこで作ったというものをなるべく表に出して輸出をしていこうではないかと、こういうことを申し上げているところでございます。  自動車やコンピューターと違いまして、やはり食べるものでございますので産地別の特色が出る、今GI等も受付をしておりますが、こういう特徴を出して、それが付加価値につながると、こういうことがまずございます。  更に言いますと、今海外からの観光客、大変増加をしておりますが、多分輸出をそういう形でやっていきますと、そのどこどこの何々を食べた人が、輸出したということは海外にいらっしゃる、また増えていくということでございますので、今度はそれを食べに本場にいらっしゃっていただくという意味でインバウンドにつながってくると、こういう循環を是非つくっていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。  したがって、先ほど儀間委員にお答えしたときにアメリカやオーストラリアとの対比で申し上げたところでございますが、やはり限られた農地で、これはオーストラリアとかアメリカと相対的に比べてということでございますが、そういうところでしっかりと作り込んで、いい物を作って付加価値を付けていく、それを、できればこのGIのようなもので知的財産的に保護しながら地元の特産品的なものを作っていく。できればそういう形で輸出をしていくということで、輸出の国内生産への波及ということを目指していき、それをインバウンドにもつなげていきたいと、こういうふうに思っておりまして、そのためには、今度は生産サイドで、優れた品種や高度な生産技術、こういうものをマーケット・インということでブランド化も含めてやっていただくと、こういうことも必要になってくるわけでございますので、まさに産業政策の中で需要と供給とそれを結ぶバリューチェーン、こういうふうに申し上げておるのは、そういうところがつながってきて初めて価値が出てくると、こういうふうに考えておるところでございます。  したがって、そういう全体的な政策を進めていく中で、しっかりと生産者に所得という形でマクロのいろんな政策の成果が出ていくようにしていきたいと、こういうふうに思っております。
  176. 山田太郎

    山田太郎君 今大臣の方から表示ということが大事だという話をされたので、私もそのとおりだと思うんですが、実は輸出の一兆円の一応政府の中身というのが大体決まっておるそうですが、五千億円、実は半分が加工品なんですね。  加工品、実を言うと、表示義務というのがどうなっているのか、ちょっと消費者庁に聞いてみたことがあるんですけれども、農畜産物とか水産品、いわゆる生鮮食品はJAS法によって原産地の表示が必要なんですが、加工品に関しては四品目だけ、農作物の漬物、ウナギ加工、かつお削りぶし、野菜冷凍食品で、二十二食品群のみということでありまして、実は、そうなっちゃうと、何を使っているのか分からないと。  これも昔の質疑で、思い出したんですけれども、要は、海外で日本食フェアをやったときの実は素材が結構海外物を使っていたなんという話で、結局、せっかく日本から日本食だということで輸出してみたものが実は素材としては現地産又は海外産だったということでは、もちろん食べる側が別に国内のものを絶対に食べなきゃいけないとか海外のを選ばない、こういうことではないし、そこは自由だと思いますが、ただ、表示されなければ、それが本当に日本のものかどうかということが分からないと。ただ、残念ながら、加工品、国内で加工される食品のほとんどが国内においても海外に出すものにおいてもいわゆる原産地表示されていない。こうなると、消費者も選びたくても選べないという現状があるかと思っています。  主管はもちろん消費者庁ということになるのかもしれませんが、農水省としても是非、国内食品のあるいは生産の育成というか保護というか、盛り上げていくために、この辺り働きかけて、表示に関して、海外あるいは国内で売られている特に加工品に関する見直しというんですか、そういったことは考えられないだろうかと。これも是非大臣の方に意見としていただけないでしょうか。
  177. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な御指摘で、私もかねがね広げられないかということで検討をしていただいておりまして、着実に拡大をしてきているということでございます。平成十八年からが二十食品群の加工食品、これに、二十一年度に緑茶飲料、揚げ落花生というのが加わりまして、さらに、二十五年には昆布巻きとか黒糖の加工品、こういうものが追加をされております。  こういうことをするということと、それから、義務付けはそういうことですが、自主的に、やっぱり付加価値を高めるということで、例えばコンビニのおにぎりですね、のりそのものにはいろんな産地の表示がありますが、じゃ、コンビニのおにぎりののりはどこでできたかとか、そういうふうなことはなかなか細かく義務付けというのは難しいということであっても、そういうふうに表示をした方が、消費者が選んでもらうと、こういうようなこともありますので、自主的な取組ということで、「こくさんたくさん」運動みたいなことをいろいろキャンペーンを張ってやっていっておるところでございます。したがって、この運動も併せて、しっかりと先ほどの義務付けと併せてやってまいれればと、こういうふうに思っておるところでございます。
  178. 山田太郎

    山田太郎君 この問題、消費者庁の方にお伺いすると、形があるものに対しては国産か国産じゃないかというのは消費者はこだわるけど、形がないような加工品になると原材料を一々気にしている人はいないのではないかなんと言われていますが、私は逆だというふうに思っておりまして、食の安全とか安心とかそういうことも含めて、あるいは、先ほど、大臣の方も広げる努力をしていただいているということですので、また別の角度で是非この問題は政府としてもどんどん取り組んでいっていただきたい。そうでないと、一番厄介なのは、輸出振興が結局国内の要は生産につながらないということでは最低でありますので、是非お願いしたいと思います。  さて、次に、ちょっと農地についても少し聞きたいと思いますが、まさに今回の改革がいわゆる農地の規模拡大というところを前提としていろいろ議論されているのかどうか、この辺り非常に気になるところでもあります。今回、この農協改革とは別に、農地中間管理機構というものを政府はつくって、大きな柱としてやっている。ただ、残念ながら、なかなか滑り出し、うまく必ずしもいっているわけではないねという議論がある中で、一方、今回の農業委員会の中には農地利用最適化推進委員というのを設けたということだと思っています。ちょっと法文上見ても、この推進委員というのは、じゃ、農地中間管理機構に対して、例えば土地集約だったり農地拡大というところにどこまでコミットメントしているのかといったところがよく分からないところがありまして、連携に努めなければならぬとしか書いていないんですね。  いわゆる連携とは何なのか。よくこの法律のいろんな、農業委員のところでは選任をめぐって詳細がないので現場で混乱するというふうに言って議論になってきましたが、私はこれでは農地利用最適化推進委員と中間管理機構のきちっとした具体的連携というのは図れないのではないかなと、こういうふうに思っておるんですが、今後これは省令等を含めて埋めていくのか、どういう形の具体的連携をしてどういう機能をこの推進委員に持たせていくのか、併せてお答えいただけないでしょうか。
  179. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農地の中間管理機構とこの推進委員関係でございます。  先ほどもちょっとお答えいたしましたけど、農地中間管理機構は、あくまでもこの機構自身が農地を借り受けて、これを担い手の方々にできるだけ使いやすいまとまった形で転貸をする、そういうスキームでございます。これ十年間で、現在担い手の利用面積が全体の五割でございますが、八割まで引き上げるということを目的にやっているわけですけれども、これがうまく機能するためには、これ機構自身の活動はもちろん大事なんですけれども、地域内の農業者による話合いを着実に進めて、まとまった農地を機構に貸し出していただく、これが非常に重要でございます。  他方で、農業委員会の方は、元々、農地利用の最適化の推進を果たしていく、これが使命でございますので、今回の改正もそれをより良く果たせるようにするためにどうするかという問題意識でできております。この観点で、合議体として決定することを中心とする農業委員とは別に、各地域において農地の調整活動をやっていただく農地利用最適化推進委員、これを設けることにしたわけでございます。  この推進委員の方は、機構と連携をして、具体的な仕事としては、地域の農業者の方あるいは地権者の方と話合いを進めて、機構を介した形で担い手への集積、集約化を進める、こういうことをやっていただきますし、リタイアしようとする農業者の方がいらっしゃったり、あるいは耕作放棄地を持っている方がいらっしゃればその土地を機構の方に貸していただくような調整を行うと、こういうことになるわけでございます。  したがって、農業委員会が農地利用の最適化を今回の改正でより良く果たせるようになりますので、農業委員会と機構との連携をきちんと強化をしながらこの目的を達成していきたいと、こういうことでございます。
  180. 山田太郎

    山田太郎君 今何となく御答弁いただいた感じはするんですが、要は連携を努めながらということで、より具体的にどうしていくのかな。  例えば、共同の目標を持ってこれぐらいの集約をやっていこうだとか、どうしてもこの間に市町村が入りますよね。そうなってくると、やっぱりなかなか連携というのは、きちっと制度設計で組み立てておかないときちっとワークしないのかなというところがすごく気になりまして、また、つくってはみたものの、この推進委員というのは何をやっているのかなということになりかねないと思いますので、是非その辺りは具体的に、省令レベルでいいと思うんですけれども、やっぱり国が一回制度設計しているので、現場では、ただ委員つくりましたということではなくて、機能するようにお願いしたいなというふうに思っています。そうでないと、よく分からないことになっちゃうと思っています。  もう一つ大切なことが、今回、一人当たり十ヘクタールできるのかというのをずっともうこだわって、いろんなところで聞いてはきたんですけれども、やっぱり今回の改革が規模拡大ということが一つ大きな目的なのかどうか、この辺りは非常に実は今後の農政、それから農協も含めて、それぞれの農家の、あるいは産業の所得を増やすというところには大きく抵触するというか、ポイントになるんじゃないかなというふうに思うので、ちょっとその辺りも農地という辺りで少し触れていきたいと思いますが。  これも本当に参考人の方々からも指摘されていました。日本は中山間地が事実上半分、日本の耕地の四〇%、それから総農家数の四四%ということでありまして、約半分近くが中山間地なんですね。この中山間地でもって残念ながら大規模農業ということが適しているのかと、こういった議論はあるのかと思っています。  それから、家族経営が中心ということでもありまして、これも資料をいろいろ集めてみたんですけれども、九九%が家族経営ということでありまして、認定農業者の中でも九五%が家族農業経営ということでありまして、なかなか、元々農水省さんが想定された、常雇いがいるところの法人が上位二五%が一人十ヘクタールやっているというのは、どうも日本の農業の実態には合わないんじゃないかなというのをすごく数字からも感じるところであります。  現場も、いわゆる現実解として、埼玉、それから富山、それから各参考人に関連のところも聞いてまいりました。埼玉の美里町でも、いわゆる一人十ヘクタールをやっていたのは一軒だけあったということでありまして、そんなの現実的ではないというような感じで現場を見てきた。どちらかというと中間管理機構の集約が割と進んでいるという事例でもって拝見させていただいたんですが、やっぱりその程度だと。  富山の地方公聴会でも、一人十ヘクタールは難しいという現場の声もいただいていましたし、十八日の参考人招致においても、非常に進んだところとして一人当たり十ヘクやると、十五ヘクタールを目指すということは言ってはいたものの、それはもう全体の平均としては難しいんではないかなと、こういうことを御意見として現実的にいただいたわけであります。  何でこんなことをすごくこだわっているかといいますと、今後、担い手、新規就農者を含めて本当にどれぐらいのサイズの要は農地集約をやっていくのか、その目標の立て方がやっぱり大きく違ってくる。それともう一つは、担い手が例えば三十万人で仮に五ヘクタールしか平均できないのであれば百五十万ヘクタールということになるわけでありまして、それはそれで、政策的に三百万ヘクタールできないものをどうしなきゃいけないか、今から手を打たなければいけない内容だというふうに思っています。  ただ、何となく、今のプランでは、元々三百万ヘクタールを維持するために、三十万人しか土地利用型の人がいないので、割り算をすると一人十ヘクタールやってよというふうにしか見えないわけでありまして、これを中心に、農協さんも含めて、あるいは今の農業委員会、土地集約、中間管理機構が全体で進むとおかしなことになりかねないかなということを大変やっぱり危惧しているわけです。  そういった意味で、奥原局長に聞くと、それでも一人十ヘクタールというふうにお答えになるでしょうから、私はこれは政治の問題だとも思っておりますので、大臣の方に、私、ずっとこの委員会の二つの疑問というのがありまして、本当に農協改革すべきなのかということもあったんですが、一人十ヘクタール本当にできるんですかということについては、何となくいろいろな方々に、何となくじゃないですね、きちっと聞いても具体的にノーだったということなので、ここは私、ひとつ、もう大事な政治判断なんだというふうに思うんですが、是非大臣の方から、この問題、規模の問題ですね、特に、この辺り、お答えいただけないでしょうか。
  181. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、平成三十七年に向けての見通しということでございます。したがって、こういう目標を立てて、それに向けて努力すると、こういう側面もあるんだと思いますが、現時点でいろんな方にお聞きすると、まだ今現役でやっていらっしゃる方もたくさんおられるし、農地中間管理機構も一年目やってみて、やりたいと、貸してほしいという希望者はいますけれども、出し手がなかなか足らないと、こういう状況があるわけでございます。  一方で、今委員もおっしゃったように、三十万人しか例えば確保できないとした場合に、やめていく人が出てくるからその数になってしまうわけでございまして、ということは、やめていく人の農地というのはそこに厳として存在をしていると、こういうことでございます。  したがって、なるべく今の規模のままでやっていただいて、そして、実はもう耕作放棄地になってしまって何年かたってやめてしまったと、今からそれを元に戻そうとしてもなかなか難しいというようなことにならずしてスムーズに集積、集約を進めていくということが、今、この十年先を見通した場合に今からやっていかなければならないことだろうと、こういうことではないかというふうに思っております。  日本の面積がだんだんだんだん少なくなっていくわけではありませんので、今の農地というのはきちっと続けていけば当然農地として維持ができるという規模があるわけでございますので、したがって、そういうことをしっかりとやっていくための目標という位置付けでこういう数字でありまして、何か理論的にこれがこうなるからここでこういうふうに可能だということよりも、こういう目標を立ててしっかりとそれに向けて努力をしていくと、こういうことが大事なのではないかなというふうに思っております。
  182. 山田太郎

    山田太郎君 ただ、この数字は、私は、そんな目標値ではなくて、やっぱりいろんなものの計画の根本になっているところがあると思うんですよね。毎年どれぐらいの人を増やさなきゃいけない、そうなってくるとどれぐらいの予算を使ってどれぐらいの施策を打つのか、そういったものが導き出されている根本的な考え方だと思いますので、必ずしも一人十ヘクタールを目指すんだということだけでは、目指すだけで、ほかのいわゆる目標数値、これは中間管理機構だってどれぐらい集約していくのかということでも問題あると思いますし、中山間地をどれぐらい維持するのかと、こういったことも全部数字がいろいろ変わってきてしまうと。ここはしっかり私は科学的にやるべきなんじゃないかなと。  一番現実的だと思っていますのは、いわゆる認定農業者が、前回出された平均七ヘク強だといったところが現実的なのかな。これは、いわゆる一人ではありません、一戸経営体ということで、なかなかこれまでも農水省さんは一人当たりということを統計でも取ってこなかったと。現実的に、農業なんというのは家族経営なので、余り一人当たりがどれぐらいやるとかということを意識しなかったからなのかもしれませんけど、そう考えると、やっぱり一人当たりということの捉え方よりも、経営体としてのいわゆるマネジメントというか立て方ということの方がはるかに重要なんじゃないかなと、こういうふうにも思うわけであります。  そういった意味で、じゃ、仮に一人十ヘクタールやるということになるんであれば、大規模化は大規模化で、やっぱりイニシャルでコストがすごく掛かると思うんですね。これも前回の参考人の方も言っていらっしゃいましたが、十ヘクから十五ヘクになってくると、やっぱり掛かる金額が変わってきます、途端にと。いわゆる閾値というのが多分あると思うんですよね。  じゃ、そんなイニシャルはどれぐらい掛かるということを見込んで、これは大きな、十ヘクタールを目指す前提にもなると思いますので、それは、じゃ、予算的にはどれぐらいと考えているのか。又は、そうするためのインセンティブですよね、集める側としては中間管理機構だとか推進委員というのをつくったんですが、集める、いわゆる十ヘクにするためのインセンティブ、こういうものもあるのかどうか。  やっぱりそういうことも全部含めていかないと、単に狙っている目標だということだけでは前に進まないと思っていますので、是非その辺りも教えていただけないでしょうか。
  183. 林芳正

    国務大臣林芳正君) やはり十ヘクタールということになってまいりますと、一つは機械への投資というのがございます。私もいろんなところに行ってお話を聞いておりますが、大体米ですと十から二十の間で数字はいろいろありますけれども、そのぐらいまでは一台でやれると、こういうようなことをよく聞きます。  この間、仙台に行きましたら、六十ヘクタール一台でやっておられるというところがあったので、一体どうしてやっておられるんですかと聞いたら、四回に分けて、それぞれの作業を三日か四日ずつぐらいずらしてやると全部ずれていきますので一台でできるんだと、こういうことをおっしゃっておられましたが。そういうふうな工夫の余地もあるとしても、まずはそこを一台でできるところの集積を進めていくということになると、それほど過剰な設備投資をせずにやると。  メリットとしては、まさに生産コストが下がることによって収益が上がっていくと。これはもうデータがございますので、必要があればお届けをできると思いますが。こういうことでしっかりとやっていくということと、よく言われておりますのは、水田のフル活用ということで、ブロックローテーションをやるにも、規模がある程度あった方が主食用米、餌米、加工用米と、こういうブロックローテーションもやりやすいし、コンタミネーションも起きにくいと、こういうこともございますので、そういう全般的な施策でしっかりとメリットを感じていただけるようにしっかりとやっていきたいと思っております。
  184. 山田太郎

    山田太郎君 時間になりました。  是非、今回の改革が本当に何のためなのか、地域なのか、まさに職能組織なのか。それから、土地を維持したいのか、農業者を守りたいのか、農業を守りたいのか、この辺りも本来は整理した上できちっと私は議論するべきだったんじゃないかなと。この農協改革議論が少しボタンの掛け違いだったり、不明な点が非常に多い中で進んでしまったのは残念だというふうに思っております。  ありがとうございました。
  185. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十四分散会