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2015-08-18 第189回国会 参議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年八月十八日(火曜日)    午前十時七分開会     ─────────────    委員異動  八月四日     辞任         補欠選任      長峯  誠君     馬場 成志君      吉川ゆうみ君     堀井  巌君  八月五日     辞任         補欠選任      石上 俊雄君     小川 勝也君  八月十七日     辞任         補欠選任      馬場 成志君     酒井 庸行君      堀井  巌君     井原  巧君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山田 俊男君     理 事                 野村 哲郎君                 山田 修路君                 徳永 エリ君                 紙  智子君     委 員                 井原  巧君                 金子原二郎君                 小泉 昭男君                 古賀友一郎君                 酒井 庸行君                 中泉 松司君                 舞立 昇治君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 柳澤 光美君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 山口那津男君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    参考人        広島農業協同        組合中央会会長  香川洋之助君        龍谷大学農学部        教授       石田 正昭君        全国農協青年組        織協議会会長   天笠 淳家君        元明治大学農学        部教授      北出 俊昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案  (内閣提出衆議院送付) ○派遣委員の報告     ─────────────
  2. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、長峯誠君、吉川ゆうみ君及び石上俊雄君が委員辞任され、その補欠として酒井庸行君、井原巧君及び小川勝也君が選任されました。     ─────────────
  3. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  本日は、参考人として広島農業協同組合中央会会長香川洋之助君、龍谷大学農学部教授石田正昭君、全国農協青年組織協議会会長天笠淳家君及び元明治大学農学部教授北出俊昭君に御出席いただいております。  この際、参考人皆さんに御挨拶を申し上げさせていただきます。  本当に、お忙しいところ委員会に御出席いただきまして、大変ありがとうございました。  忌憚のない御意見を賜りまして、そして我々としても対処してまいりたいと、このように思っております。本日はどうも大変ありがとうございます。  それでは、本日の議事の進め方について御説明いたします。  まず、香川参考人石田参考人天笠参考人北出参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることになっております。  また、参考人皆様の御発言は着席のままで結構でございますが、質疑者は、慣例により、起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願いします。  それでは、香川参考人からお願いいたします。香川参考人
  4. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) ただいま御指名いただきました、広島県中央会会長をしております香川でございます。本日は、このような機会を与えていただき、大変光栄に存じております。  今回お呼びいただけたのは、私が、今、JAグループ自己改革をまとめております全中総合審議会や、あるいは全国大会議案審議委員会の下での専門委員会座長を務めさせていただいているからだと思っております。したがいまして、今日はそのような立場発言をさせていただきたいと思います。  また、私は、広島県と島根県の県境にあり、高齢化過疎化が進んでおります地域にある単位農協JA広島北部組合長も務めております。農業基幹産業としている中山間地帯農協であります。本日はその立場も踏まえて発言をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、今回の農協改革であります。  今回、政府から、国の農政改革の一環として、農協事業組織について抜本的な見直しをするという方針が打ち出されました。私たちJAグループは、これまでも農家組合員組織として、時代時代の変化に対応し、政府指導をいただきながら、事業組織見直し、また改革も行ってきたと思っております。しかし、地域農業、さらには日本農業現状を見るとき、まだまだ対応が不十分で、JAグループ力量不足もあったのではないかと率直に反省をしているところでもございます。  私は、これまで四十数年間、系統組織職員として、また役員として農協事業農協運営に携わってまいりました。農協組織の使命は、地域農業の振興、すなわち農家組合員一緒になって地域農業が将来にわたり継続、発展できるよう取組をすることだということで今日まで至っているわけでありますが、全国の多くの農協JAの特に中山間地を抱えたJA組合長は、多かれ少なかれ私と同じ考えを持ってJA運営をしているのではないかと思います。  しかし、地域現状は、農業従事者高齢化担い手不足は年々深刻化しており、今日では、加えて農業国際化が進んでいる中、一段と厳しさを増してきております。これに対応できる地域農業の再構築は喫緊の課題であると思っております。  今回、政府から提起のあった農協改革は、農業を成長産業化し、自立できる足腰の強い農業を目指すため、JAグループもそれに対応するよう事業組織在り方見直しせよという内容になったと理解をしております。国内農業、また地域農業を強化していくことにつきましては私たちも全く同様であり、そのための事業組織改革は必要であるとも認識をしております。  ただ、当初、規制改革会議等から提起された農協改革の考え方につきましては、国内農業を強化するという目的は余り見えず、単に中央会制度の廃止や連合会の分離、准組合員利用規制等JA組織の解体にもつながりかねないような内容に見え、私自身もそのように受け止めてまいりました。その後、与党の先生方の御尽力によりまして、政府との話合いを続ける中で、今回の農協改革はあくまで農業者所得向上を目指すもので、JAグループ自己改革を尊重していくということが確認されたと思っております。これによりまして、私たちJAグループ自己改革最大テーマは、あるいは目標は、農業者所得増大農業生産拡大、これをいかに実現するか、そのためJAグループとして事業組織をどのように見直していくか等について検討を深めることといたしました。  私が座長を務めさせていただいております専門委員会におきましても、これらについていろいろと検討をしてまいりましたが、JAあるいは連合会役員、また青年部女性部代表者から様々な意見が出されました。検討の結果、系統組織を挙げて農業者所得増大地域活性化に向けて事業見直していこうという共通の目的は確認されましたが、ただ、具体的な取組課題は、JAの置かれている地域環境が様々でありますことから、それぞれのJAが更に地域の実情を踏まえて検討することとし、私たち専門委員会では改革の基本的な方向性を整理し、組織討議に付していこうということになったわけであります。また、この改革方向性について、本年の十月、JA全国大会、これで決議する今後三か年のJAグループ中期方針組織協議案に盛り込んでいく、そして組織討議を徹底して行うということにしているところであります。  したがいまして、本日、自己改革あるいはJA大会組織討議案等につきましては、皆様方のお手元の方にこういうパンフレットを今日お配りをさせていただいております。この資料につきまして若干説明をさせていただきたいと思っております。  まず、JA自己改革、これは基本的には政府農協改革目的と同じ、農業所得増大を最重点として取り組んでいくこととしております。農業地域も大変厳しく、今までどおりではこの状況を打破することはできません。魅力ある農業地域づくりのために所得増大農業生産拡大に集中し、挑戦をしていくということとしております。  その具体策は、先ほど言いましたように、それぞれの農協がここに掲げている組織討議案で示した内容参考に、組合員と徹底して討議し、創意工夫して独自に、それぞれ農協独自にひとつ策定していこうということになっております。ここの表紙の中に「創造的自己改革への挑戦」というのを書いてございますが、これは二十七回JA大会テーマにしております。これはこのことを意味して、とにかくそれぞれのJAでいろいろと創意工夫をしていこうではないか、組合員農家皆さん一緒になってやっていこうではないかということであります。  四ページを御覧いただきたいと思います。ちょっと飛ばすようでございますが、ここで、第二十七回JA大会で私たちJAグループの目指すことについて、この下の方に、食と農を基軸として地域に根差した協同組合確立ということを掲げております。農業者地域住民が結集し、営農生活を支える総合事業を今後とも展開し、持続可能な農業実現、二として豊かで暮らしやすい地域社会実現、これを目指しながら協同組合としての役割を発揮していこうではないかということにしております。  JA総合事業地域に果たす役割につきましては、これまでもこの参議院審議においても先生方あるいは政府も認めていただいていると聞いております。ただ、農協改革議論で、農協職能組合に純化すべきだというような意見も出てまいってきていることも確かであります。総合農協の果たしている役割がなかなか必ずしも理解されていないのではないかというように思っております。  したがいまして、現場では、今回の事業目的規定見直しさえも、職能組合純化を目指したもので、准組合員利用規制につながるのではないかというような非常に懸念をしているところでもございます。先生方におかれましても、地方における総合農協役割、十分御承知していただいているとは思いますが、今後ともJA地域に根差した協同組合として積極的に事業展開あるいは活動ができるよう御支援を賜りたいと思います。  続きまして、六ページをちょっとめくっていただきたいと思います。ここに農業者所得増大農業生産拡大について記しております。まず、JA総合力の強みを発揮した担い手経営体ニーズに応える個別対応、従来にも増してそれぞれの個別対応をひとつ強化をしていこうではないかということであります。  基本的には多様な担い手対応するわけでありますが、特に今回は地域の中核となる担い手に重点的にひとつ当たっていこうではないかというような取組をしていきたいと思っております。また、販売事業につきましても、実需者ニーズに合ったマーケットインに基づく生産販売事業方式への転換を進めていく、単なる共販というのでなく、いろんな販売手法を考えていくということにしております。さらに、付加価値増大と新たな需要拡大についても今後積極的に挑戦をしていく。  さらに、裏のページになるんですが、生産資材取扱等につきましては、やはり柔軟な価格対応、これも一律的でなく、やっぱりそれぞれ階層別に柔軟な価格対応もしていくし、また低コストを目指した生産技術確立や普及にも取り組むというようなことで整理をしています。  そして、新たな担い手の育成や担い手のレベルアップを支援をすると同時に、さらに、農協事業の中で特に今回は営農経済事業、これに人事配置など経営資源をシフトをするということとしております。  なお、私どもの広島県におきましては、既に大規模担い手等農業経営を含め、幅広い指導相談対応するために、県段階において中央会あるいは各連合会から職員を集め、広島JA営農支援センター、これを既に四月には新設し、担い手農業集団あるいは新規就農者に対して濃密な支援体制構築するということで、これは今回の大会の中でも、県段階においてもやはり連合会もそういう格好で一丸となって農協営農経済事業体制支援をするという方向付けをしているところであります。  次に、八ページの地域活性化の貢献であります。これにつきましても総合農協としてしっかりと今後とも取り組んでいきたいと思います。そのため、総合事業を通じた生活インフラ機能の発揮とJAくらし活動を通じた地域コミュニティー活性化を進め、地方創生へも積極的に参加をするということでございます。  なお、先ほど申しましたが、准組合員利用規制につきましては、今後五年間の調査を経て検討することになっておりますが、是非こうした様々なJA役割をしっかりと御理解いただき、実態に基づいた適切な判断がされるよう、強くお願いをするところであります。  次に、九ページの組合員対策でありますが、協同組合は株式会社とは違い、メンバーシップの組織であります。協同組合組織としての原点に立ち返り、組合員の参画、意思反映を強化するための取組を充実してまいります。具体的には、それぞれJAの支店など組合員と近いところを拠点をつくり、様々な協同活動を展開していこうということとしております。  また、准組合員については、農協組合員として、農業地域経済発展を共に支えるパートナーとしてしっかりと位置付け、農業に係る取組も今以上に関わっていただく。例えば、産直出荷者、どんどん准組合員にも奨励してひとつやっていただくという取組もそれぞれの農協でやっていきたい。各農協とも、組合員あるいは准組合員を問わず、単なる利用者からJAの様々な活動へ参加していただくような取組を今後強化していきたいという内容にしております。  続いて、十ページでございます。国民理解の醸成であります。  今回のJA改革をめぐり、JA事業やあるいは組織が否定されるような大変遺憾な報道が多くなされました。現場では、この一方的な報道に基づいて今回農協改革がされているんだというような見方をしている組合員もおります。私も、今回の報道内容につきましては大変不満で、一面では怒りを感じた局面もあったわけでありますが、そのような報道になった原因は、我々JAグループ自体にもあるんではないかと反省もしております。  したがって、JA組織としてしっかり伝わる情報発信ができるよう、今後あらゆる局面、媒体を使って協同組合運動の意義などについて正しい情報発信をしてまいりたいと思います。  最後に、中央会改革でありますが、これにつきましては、今後、新しい中央会ということで今組織を挙げていろいろな立場から検討をしているところであります。組織協議の結果を踏まえて具体的な新たな中央会構築をしていくこととしています。  以上、自己改革内容につきまして全国大会組織協議案により説明させていただきましたが、基本は、農協農業者がつくった組織で、また連合会中央会はその農協がつくった組織であり、その改革はやはり我々自らが行うべきだというように考えております。そのために役職員意識改革が特に重要になっておりますので、今後、JAグループ役職員意識改革を十分に進めながら、JAグループ一体となって今回の自己改革、ひいては農協改革について邁進をしてまいりたいと思います。  なお、政府におかれましては、政省令の決定など今後の法改正に伴う対応につきましては、この自己改革を後押しするものとして適切な対応を強くお願いを申し上げまして、私からの意見陳述にさせていただきます。ひとつ皆さん方よろしくお願いを申し上げます。
  5. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  次に、石田参考人お願いいたします。石田参考人
  6. 石田正昭

    参考人石田正昭君) 私は、五月二十七日の衆議院参考人質疑に呼ばれました。その冒頭、根拠のない未来志向改正案だと、こういう発言をいたしました。ここでもう一度その意味を確認させていただきたい。  まず第一に、根拠のないという意味は、これはマックス・ウェーバーの言葉を使っておるわけですけれども、普遍的存在、これは協同組合歴史的個体、これは戦後農協、この二つとも配慮ないという意味でございます。それから、未来志向という点は、戦後の総合農協在り方を大きく変える未来志向だと。もっと言えば、戦後の総合農協にとって未来のない未来志向だと、こういう意味でございます。  それを踏まえて、私は二つの点の修正を求めました。これは准組合員に関連する問題でありますが、法的安定性観点から申し上げたんですけれども、まず第一は、第一条の目的を、もって国民経済発展に寄与するという表現がございますけれども、地域農協というJAの目指すそういう観点支援する立場からすれば、もって地域発展に寄与するというふうに改めるのが適当だと、こういうふうに発言しました。  それから、第七条第二項、事業運営原則でありますけれども、これが准組合員事業利用規制根拠となるおそれがあるということで、農業所得増大への最大配慮を削除願いたいと、こう発言いたしました。十分ではございませんけれども、これまでの衆議院あるいは参議院やり取りを聞いておりましたけれども、擦れ違いというか議論が煮詰まっていないと、こういうふうに思っております。参議院においても更なる議論を求めたいと、こういうふうに思っております。  その関連で、二でございますけれども、今度の附則第五十一条第二項、いわゆる准組合員事業利用調査、この規定がございますけれども、この削除を求めたいというふうに思います。なぜならば、根拠がないというふうに思うからでございます。  以下、①からいきますと、そもそもこの本調査に係る行政庁権限、この根拠規定はどこにあるのかということでございます。  やり取りを聞いていまして、第一条にあるかのごとき答弁があったかと思いますが、仮に第一条によるものであれば、従来からも第一条があったわけでございまして、急に准組合員事業利用調査をすると言い出すのはこれまでの流れとは整合しないというふうに思っております。第七条第二項によるものだと私は思っておりますけれども、これまでの答弁を聞くと、第七条第二項はそういう意図はないと、こういうふうに答えられておりますが、じゃ、なぜこの第二項は第一項とダブっているわけですから残すのかと、こういう疑問がございます。  ちなみに、これまで、現在もそうですけれども、監督指針では、准組合員事業利用JA事業分量増大することからも望ましいと、こう書いてございます。現在、この監督指針が生きているにもかかわらず、なぜそれを調査しなきゃいけないんだというのがまず①であります。  それから②は、何の目的でやるのかと。附則第五十一条二項によりますと、規制在り方について検討を加えると、こう書いてあります。規制在り方検討をする、何をすればオーケーなんだということが分かりません。いっぱい努力、先ほど自己改革をすると、こういうふうにおっしゃっていたけど、いっぱいやって、それをいいよとも悪いよとも、どのようにでも解釈し得る、そういう立て付けになっているというふうに思っています。  それから、地域競争事業体の有無を調査するということであります。これは、地域で行う協同組合事業を全く理解していないというふうに思っています。協同組合事業組合員の求めに応じて行っているものでありまして、競争事業体があるから要らないじゃないかという議論にはならないというふうに思ってございます。  それから、根拠のない事業利用調査をする。恐らく県の検査のときに書類の提出を求められるんでしょうけれども、これを整えるのに大変な負担になるというふうに思っております。やるなら行政庁自身がやればいいという、例えばガソリンスタンドでやるんなら、利用者を聞き出して、役人がやればいいと、こういうふうに思っております。  次に、八月四日、野村議員の質問に奥原局長が答えた、中央会本則規定されていると、こういう答弁があったと思いますが、このことの妥当性も問いたいというふうに思います。  まず①は、中央会事業に対するこれは意図的かつ差別的な扱いだと考えております。と申しますのは、仮に改正法案の中で中央会本則規定があるとすれば、事業はどうだと、こういうことでございますが、今の附則の中に入っている経営相談監査代表総合調整、これは入っているとすれば、現在の十条、事業の中では全て附帯事業扱い、まま子扱いですよね、簡単に言えば、ということになります。さらに、現在の現行法では、教育、情報とか調査研究、これは現在の附則の中でもこれが消えておりますので、附則の中でも附帯事業中央会事業全てが附帯事業と、こういう位置付けでいいのかというふうに思います。  それから、②ですが、中央会名称付与附則第十八条と第二十六条による特例措置によると、こういうことになるかと思います。  都道府県中央会農業協同組合連合会であると、こういうふうな規定でございますが、農業協同組合連合会である者は農業協同組合連合会と名のらなければいけないと、こういう法律改正法案第三条第一項に書いてございますが、それを無視して、何々県中央会と、こういうふうに呼ばせる、これは特例で認めると、こういう立て付けになってございます。反対に、全国中央会でございますが、農業協同組合連合会でない者は農協とか農協連合会と名のってはならないと、こういうことでありますが、全国農協中央会と、農協という名称はいいよと、こう言っておるわけです。これも、要するに、本則ではこう書いてあるんだけど、附則特例措置として認めてやるよと、これは行政庁の余りの強い規制ではないかなと、こういうふうに思っています。  このように考えていきますと、全国中央会を一社にすると、こういうふうに言っています。都道府県中央会連合会だと、こう言っていますが、実質的に何の違いもないということであります。じゃ、なぜ全国中央会は一社にしたのかと、この辺りの意味が分かりません。これまでの政府答弁を聞いていますと、そのことの立法事実も示されていないと、こういうふうに思っています。農協事業を絞っているから一社にするんだという理由は全然立証されていないと、こういうふうに考えてございます。  最後でございますが、現場では今回の中央会改革地域農協には影響はないんだという理解が広がっているようでありますが、大変な誤解だということを申し上げておきたいと思います。これが、会計士監査導入に伴う私の懸念という、この第四の項でございます。  会計士監査を入れるんですけれど、これは、今までの答弁を聞くと、会計士監査独立性とか透明性とかという議論はあったんだけれど、これをどういう形で監査していくのかという議論が全くなされていないんじゃないかというふうに思います。  私に言わせれば、農協ルールが適用されるのか、信金、信組並み金融機関ルールが適用されるのか、そのことを全然議論していないというふうに思います。これは、附則第五十条二項、これから農水省と金融庁と公認会計士協会と全中、この四者が協議して決めると、こういうふうになっていますけど、一番重要な農林中金が入っていませんという問題がございます。会計士監査が入ってもルールは変わらない、現行どおりだというのが本来あるべきだと、そういう協議になるというふうにすべきだと私は思うんだけど、そうなるかどうかはこれはやってみなきゃ分からないと、こういうことではないかなと思います。  まず、幾つか問題はあると思いますが、監査費用が増えます。これは、附則五十条第一項の第三号で、農協の実質的な負担は増やさないようにすると、こういうふうな書き方をしています。じゃ、これは誰がどのように負担するのか。さらに、総額としては負担は増えなくても、個々の農協から見れば必ず凸凹が出てくるはずです。だから、今払っている、これは現実には都道府県中央会の賦課金として払っているわけですけれども、そのうちの幾らかというのが明示されていませんが、凸凹が必ず発生するはずだというふうに思っています。この増えたのを絶対増やさないと、こういう意味でございましょうかということでございます。  ②は減損処理の厳密化でございまして、現在の農水省が作っている監督指針では、緩やかな減損処理を許すような共用資産の扱いというのが出てございます。しかし、これがどこまで通用するのか、金融機関ルールでいくとかなり厳しくなると、こういうふうに考えております。  それから、もし金融機関ルールが適用されたら、そもそも総合農協、金融事業等ほかの事業を営んでいるわけですから、どういう監査というんですか、会計帳簿というんですか、資料というのを作っていくのかよく分かりません。仮に信用事業部門というものを独立させたような考え方でいくとすれば、他部門運用という問題が必ず出てくると思います。現行の監督指針では、他部門運用はこれも多少緩い条件が加わってございますけれども、これがどうなるのかということがあります。これは必ずしも会計士監査で指摘されるような問題ではないかも分かりませんが、当然この協議の中では議論されなければならない問題だというふうに私は理解しております。  それから、改正法案第五条、旧の六条ですけれども、事業利用分量配当は損金扱いだと、こういうふうな扱いになっている。剰余金からこの事業分量配当した場合でも税金は掛かりませんよと、こうなっておりますが、今度それはどういう扱いになるんですかと。恐らく、それは売上げから引いた形で計算しなさいと、こういうことになるんじゃないかなと思います。そうしますと、今までの利益よりその分は減るはずだと、こういうふうに考えてございます。  それから⑤は、これは直ちには問題にならないと思いますけれども、協同組合の出資金は資本か負債かという、国際会計基準というものを適用するのかどうかという問題も今後生まれてくると思います。仮に出資金は負債だということになれば資本金は減るわけでございまして、経営が脆弱だと、こういう指摘が出てくるかと思います。  以上、①、②、③、④、⑤を書きましたが、この協議の中でどういうルールで監査が行われるのか、場合によっては信用事業譲渡、准組合員事業利用規制ではない形で迫られる農協が発生するおそれがあるよということ、現実に、都道府県中央会監査をやる二百億円以下の貯金量を持つ農協は、今農水は多分これを信用事業譲渡するように県だとか県の中央会を通じて迫っている実態があるわけでございますので、この④のような方法を使いながら分離を迫る可能性があると、こういうふうに思ってございます。  いずれにいたしましても、私の立場からいえば根拠のない未来志向改正案でございますので、これを徹底、皆様方の御議論に付して問題点をえぐっていただきたいと、こんなふうに思っております。  私からは以上です。
  7. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  次に、天笠参考人お願いいたします。天笠参考人
  8. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 本日は、こうした機会をいただき感謝申し上げさせていただきたいと思います。  これからのJAグループを担うのはやはり我々若手青年部だというふうに我々としても認識しております。先日、富山の地方公聴会に続きまして、その青年部意見を今回聞いてくださるような立場をいただき、重ねて感謝申し上げます。本当にありがとうございます。  本日は、青年組織会長、そしてJAの理事としての立場として意見を述べさせていただきたいというふうに思います。  まず、私自身の経営の概況から御説明申し上げます。  私は、水稲三十二ヘク、うちWCSが十二ヘク、飼料米六ヘクということで、それから裏作として大麦、小麦を二十八ヘク栽培しております。それプラス、受託作業として、今は二十三ヘクの受託作業を年間通じて行っております。  それから、JAとしての立場として言わせていただければ、私、地元のJA太田市というところの理事も兼ね合わせてさせていただいております。昨年、米価の大きな下落がありまして、今年、農業生産額、販売額からして約三億円の米は減額ということになりました。また二月には、群馬県、本当に非常に大きな大雪が降りまして、それも重ねて今回の打撃に重なっているというふうに思います。  続きまして、全青協の概要について御説明申し上げさせていただきたいと思います。  今現在、全国で六百七十九のJAがあります。その中でこの青年部、あくまでも担い手というものを、きちんと受皿として担い手育成を一生懸命やっているというか、この組織に入っている組織が五百十ほどあります。盟友数にすると今六万七百十五名です。これ毎年千名以上の減少傾向にあります。なおかつ、これだけの人数が減ったとしても、生産量はどんどんどんどん増えていっている、それが現状だというふうに認識していただきたいというふうに思います。強いて言えば、国民の皆さんに対して安定供給を図るだけの農地を持って常日頃やっているというふうに思っていただければというふうに思います。  二年前に規制改革会議農協改革が動き出して以降、若手正組合員としてやはり一から農協を改めて見詰め直さなければならないということがありまして、組合員JA連合会、それから中央会、これは今後どうあるべきなのかということを我々として議論しました。そして、我々は今何をすべきなのかということについても重ねて協議いたしました。  今回の改革の主役というのは農協というふうに言われておりますが、いつでもやはり主役というのは、次世代を担う若い正組合員だというふうに我々は思っております。農業生産担い手であるとともにJAのオーナーたる正組合員で、かつ将来のJAの経営層、これになるべく、最も改革の影響を受けるのがやはりこの農業者だというふうに思っております。だからこそ、やはり全国青年部長等に今回この改革が起きたときに意見を聞いて、我々がこのJAグループをどうすれば自己改革に対するうまく意見を言えるのかということで、昨年の六月に皆さん、全部のJA青年部長に対して、この意見書を作るために検討させていただきました。そして、上がってきたものが、皆さん方のお手元にある我々の意見書という形になっております。  それは、十一月の段階で、それから六月の段階でももう一冊出させていただきました。それぞれのタイミングで、JAグループ自己改革の取りまとめの座長をされている香川会長にも本当にお骨折りをいただきながら特段の御配慮をいただき、我々の意見をほとんどというぐらい反映させていただくことができたというふうに思います。  我々の意見のポイントを説明させていただきたいと思います。  今回のこの自己改革のポイントについては、基本的に大きく二つです。それが全国の若手農業者から出た意見ですね。一つ目が、担い手農業者JA事業利用拡大。それから二つ目が、やはり、誰がいつまでにどこまで取り組むかということを明確にした計画設定、それから進捗管理というものが必要だろうということで、その辺に関しては若手から相当出ました。やはり、そういったことを、いつ誰がどこまで何をするのかということをきちんと明記しない限り、各JAが同じスタンスではできないだろう、そして、ある程度目標を持ってやることこそが次の時代につなぐためのいいパイプになるだろうということで、そういった大きな二つ観点に絞らさせていただきました。  具体的な事項のやはり一丁目一番地は、営農指導体制の強化、これは本法案の中にも出されておりますが、農協改革営農指導員、弱体化しているということもあります。そういった観点で、我々若手農業者もその辺については十分理解していました。だからこそ、ここに相当力を入れていただきたいと、やはり正組合員は販売や購買以上に営農指導に一番期待しているということであります。  営農指導について一番よく聞く声というのは、営農指導員の来る回数が減ってしまった、又はよく担当者が替わるといったような、体制と専門性をやはり拡充してほしいということが大きく言われております。それには、やはり今後を考えるに当たっては、信用、共済事業の協力ももちろん必要です。また、JA対応し切れない部分については、中央会それから連合会で高度な担い手サポートセンターを、体制をきちんと整えていただいて、その中で対応していただきたいという、そこまでの若手農業者観点があります。やはり、この先々の十年、二十年という長いスパンを経た中での考え方なんだろうというふうに思います。  販売事業については、品質別に部会を設置するなど、やはり正組合員生産、販売の選択肢を増やせるようにしていただきたいという若者からの意見は相当出ました。買取り販売等によってJAはリスクを取って高く売る努力をしろというお話もありますが、やはり組合員JAは一体の存在だというふうに思います。  やはり販売の責任は、JAだけでなくて、組合員もきちんと共通の責任を負わなければならない、それこそがやはり我々の目指すべき先々なのじゃないのかなというふうに認識しております。やはり高く売るには、正組合員生産それから販売で相当な負担が必要となります。JAだけに販売の責任を押し付けた議論はやはり疑問があるというふうに我々としても認識しております。  購買についてですが、生産資材が高いというような不満、それから誤解を払拭できるようにやはり努力していただきたいというふうに思います。価格を下げなくても、しっかりとなぜこの価格なのか、それからホームセンターとどう品質が違うのかということを一つ一つ丁寧に説明すれば、やはり組合員さん、利用者の方々は分かってくれる、理解してくれるというふうに思います。  そのほかの具体的な事項の一つについては、やはり担い手の声を確実に反映できるJA事業運営体制の構築、これこそが一番大事なんじゃないのかという声も非常に多く上がっております。  JAの理事になっている青年部代表というのは、JAの女性参画ということで女性理事の枠ということはある程度数字で明記されておりますが、青年部というのはそこまでのあれはなくて、やはり自分たちの度量で地域から勝ち取るということも強く言っているところもありますが、やはり経営者としての育成期間中ということもあって、その辺はまだ前のめりになれないというところもあるのではないかというふうに思いますが、やはり多様な意見を聞いてもらえるだけのことも各JAにとっては非常に重要なのではないかというふうに思います。  自己改革のときのように、やはり若い人の意見をどんどんどんどん反映してもらってガバナンスを構築してほしい、それから部員も、青年組織活動を通じてJA組織事業を勉強して適切な意見発言してもらう、それぐらいのスキルに今一生懸命担い手は育っているのかなというふうにも思います。  後ほど御説明申し上げますが、今日出させていただいたポリシーブックというのがあります。これは、本当に現場意見を全部洗い出して、それを我々全青協の方でまとめた我々の政策提言集ということになっておりますので、これ、後ほど時間があればお話しさせていただきたいというふうに思います。  先ほどまでに申し上げました青年部の声というのが、やはりこの法案の中にきちんと後押しされる部分もあると思いますが、我々の声を是非とも踏まえた法改正になるのかということが、我々、実際、農業者としてよく分かっていないところというのが実際あります。その辺のことに関しても、今後、我々も勉強はしますが、是非とも、我々が今後未来形成するに当たって、ほとんど日本のほぼ九割方が家族農業が中心です。その辺は十二分に理解していただきたいというふうに思います。  それから、若い農業者の中には、今回の法案作りまでが、進むまでの間の過程に根強い不満が本当にありました。現場は、それだけやはり不安ないし不満というものがかなり高ぶったのかなというふうにも思います。  青年部意見を聞かずに規制改革会議議論されたことというのが、やはりこの農協というところを一つ旗の下、我々一生懸命勉強しているところでもありますが、一本JAという旗の下、来ている以上は、そこになぜ我々の意見を無視して勝手に進めてしまうのかということもありましたが、その辺に関しては、やはりマスコミ報道が一番これ効いていたのかなというふうに思っております。毎日のようにいろんな報道が出ると、やはり現場は混乱するということも認識されたのかなというふうに思います。報道のこともあって、やはり現場は、この農協改革というのがTPPを推したいがための方策になっているのではないのかということは、言うまでもなく皆さん方理解されていると思いますが、そういうふうにしか理解できなかった部分というのがあるんです。自己改革を後押しする内容に法案がなっているとしても、このような経過によってやはり現場に不満だとか不安だとかが染み付いているということは、やはり簡単には法改正内容が今現在浸透していないというふうに理解していただきたいかなというふうに思います。  まずは、この現場の不満それから不安を徹底的に払拭されるような国会審議や、やはり省令の政策などにおいてJAグループやそれから現場の意向を十分に踏まえた対応お願い申し上げたいと思います。そのときには是非とも全国青年部意見を特に尊重していただいて、これが前向きに進めるようにしていただきたいというふうに思います。  法案の内容について幾つか申し上げると、まず理事の構成であります。担い手の意向を反映できるガバナンスの構築を進めるというのは、大変我々青年部としても評価しているところであります。しかしながら、やはり担い手は認定農業者ばかりではありません。現場と合っていない部分もありますので、この点はやはり省令等で十分御配慮いただければというふうに思います。  続いて、中央会のことですね。やはり大きな論点となった中央会についてですが、青年部にとっても、中央会は青年組織の育成それから普及を担ってもらっておって、やはり欠かせない組織だというふうにもう全国盟友は思っております。  また、中央会は、農業者の声を、事業連はもとよりやはり政府、国会に届ける代表、調整機能を担っているんですが、青年部中央会に関する意見ではこの機能の強化を求める声が一番多かったです。今回の法改正でこうした機能に支障を来さないのか、その辺は大変懸念しているところであります。やはり組織の変更後、全中、県中、それから農政や事業事業間の調整問題等、この活動においてJAグループはやはり先頭に立ってどんどん取り組むべきだというのは我々若手農業者の中からも出ております。  本当に、時間も押してまいりましたが、もう最後の方にですが、青年部も含めて、今般の経緯の不満などから、法案についても納得、理解が十分に得られていないというところもあります。それから、JA連合会、それから中央会が、青年農業者の期待に十分応えているという自己改革をやはりこうなったときは進めるべきではないのかと。それを法改正というものが後押しできるような状態にしていただきたい、あらゆる手を尽くして、やはり我々若手農業者が前に立てるような法改正になれるように後押しをしていただきたいというふうに思います。今後、五年後の検証のときを始め、農協改革に関してやはりこのような現場が混乱するようなことがないようにしてほしいというのが我々若手農業者意見でもあります。その意見をやはり十二分に反映できるようなことを強くお願い申し上げたいというふうに思います。  青年農業者は、次の時代、これからの農業農協を背負う世代でもありますから、やはりTPP、それから昨年の米価下落、あれ、ナラシでどうにかなるというお話もありましたが、その中でも、やはり米価がこういうふうに下がってきてしまうと非常に厳しいこともあります。これではやはりこの先、未来を想定して現場が頑張れるだけのあれがありませんので、それもしっかり後押しするような制度、政策にしていただきたいと重ね重ねお願い申し上げたいと思います。  是非、青年農業者が将来展望を描けるようにしていただくだけの力強いお言葉、それから法案を作っていただいて、私からの意見陳述とさせていただきます。  本当にありがとうございました。
  9. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  次に、北出参考人お願いいたします。北出参考人
  10. 北出俊昭

    参考人北出俊昭君) お手元に資料があると思いますけど、それに従って報告をしたいと思います。  私は、農協が、困難な非常に長い道のりだとは思いますが、協同組合の価値と原則に基づいた本来の協同組合として発展することを強く望むものです。したがいまして、今度の改正案についても、どういう立場から意見を述べるかということは、この価値と原則に基づいた対応をいかに強めるかという立場で私は意見を述べたいというように思います。もちろん、個々の情勢変化に応じた対応はあると思いますけれど、この価値と原則に基づいて何が大事なのかと、そこについて述べたいと思います。  まず第一は、農協目的についてです。  諸先生も御存じのように、今回の政府案は、現行法の営利を目的として事業を行ってはならない、これを削除して、事業での高い収益を実現して、投資又は事業利用分量配当に充てることを明記しています。また、私企業とのイコールフッティングの観点から、極めて制限的に採用されている専属利用契約や回転出資金を廃止して、それから理事構成についても、地域内外を問わず民間経営経験のある者の登用を重視しています。  こうした、そのほかも含めて一連の改定は、一般企業の論理と経営管理手法の農協への導入強化で、この措置は当然、独禁法適用除外にも絡んでくる問題だと思います。参考人に送られた資料の追補の中でもそれが明記されていることは先生御承知のとおりです。  しかし、私は、農協協同組合であり、組合員は、御存じのように、出資者、利用者、運営者なので、高い収益を上げて配当金を増額するということに関心のある組合員は見られません。  このことについて、この協同組合と企業論理との関係について、一九九五年のICA宣言はどういうことを言っているのか。協同組合も私企業が採用している様々な技術、手法を利用することができるが、私的セクターをまねることが全てだとするならば、それは悲劇であるというように述べています。これは当然です。協同組合そのものの否定につながるわけですから、当然なことを強調して、その後、協同組合の競争力と効率性はその価値と原則の適用にあるということを述べているわけです。  私は、農協組織体と同時に経営体でもあることから、当然、一定の利益確保は必要なんですが、問題は、そのためにどうするかということなんです。私はやっぱりICA宣言のこの趣旨に基づいた対応が求められているというように思います。  しかし、今回の政府案では、従来いろいろ言われていた全農の株式会社化や、信用、共済事業の分離に加えて、組合の新設分割による設立なども示されています。私は、この措置により、先ほども御意見があったような総合農協の解体だけではなく、協同組合の企業論理による改組、解体、再編が促進されることを非常に危惧するものです。現在求められているのは、そういう方向ではなくて、ICA宣言も強調しているような、協同組合の価値と原則の徹底により、自らの胎内に持っている成功の鍵について本当に創意工夫を発揮することではないかと、私はそういうように思っています。  第二番目は、農業者重視と地域課題への取組問題です。  これはいろいろ問題になっている准組合員問題とも関係することなんですけれど、これも先ほども報告がありましたように、政府が示されている政府案では、第一条の農業生産力の増進規定とは別に、新たに農業所得増大最大限に配慮することを追加されています。農協としてこれはある意味では当然なことが改めて強調されているということは、諸先生も御存じのように、農協は農民主体の組織であるべきであるという考えからだと判断されます。  しかし、私は、この農協の農民主体問題、これは我が国の協同組合の歴史と実態、それから戦後農協のやっぱり経過を踏まえて対応する必要があるように思います。  御承知のように、戦後の農協は農地改革とともに車の両輪と位置付けされて、GHQの覚書で示された非農民的勢力の支配から脱した協同組合運動を目指し、農民主体を原則として発足したことは、先生方御存じのとおりです。  しかし、それにもかかわらず、農林省が当時GHQに提出した農協法第一次案では既に、地区内に住む一般町村民も権利義務を制限された准組合員としての任意加入を明記しているわけです。これは、戦前の産業組合が農村協同組合と言われたように、農業者以外の中産以下の小商業者や小工業者なども農民と権利上の差別なく組合員とされていた歴史があったからだと思います。  したがって、ここで強調したいことは、戦後農協は農民主体が重視されて権利上区別されてはいましたが、最初から地域住民組合員として発足をしていたことであります。これは、総合経営形態とともに、我が国の農業、農村の社会的、風土的実態を反映した欧米とは異なる日本の特徴で、御承知のように、ICAモスクワ大会のレイドロウ報告でも高く評価されたことです。  しかも、近年、農業農協発足時とは根本的に変化して、兼業化、高齢化が進むと同時に、農村の混住化も深化して、農業生産以外の高齢者介護とか児童教育、あるいは災害、環境などの多様な課題が存在しています。そのため、農協地域生活インフラとしての役割を果たすことが強く期待され、准組合員も単なる利用者ではなく、農協運動の参加者、パートナーとしている農協も多くなってきています。これは、東日本大震災で農協がおにぎりの配達とかいろんなことをやったことによって特に最近強調されていることであります。しかも、こうした地域住民も含めた准組合員対策を講じている農協農業生産にも積極的に取り組んでいるわけです。いろんな、今日は全青協の会長もいらっしゃいますけれど、青年部や婦人部あるいは作物生産組織などの組合員組織を多様につくり上げて民主的な運営にも努力しているという特徴が指摘できます。  つまり、正組合員准組合員など地域住民に対する事業あるいは取組は、二律背反ではなく相乗効果を発揮して農協運動を発展させていると、これが農協をめぐる現在の状況の私は重要な特徴だと思います。こうした活動が魅力ある農村を建設して、若者の移住を促進することになるのは言うまでもありません。  それにもかかわらず、農協を専業的農業者組織として純化すれば、当然、組合員が極めて少数になるわけですね。それだけではなくて、先ほど言ったような地域住民との協同活動が弱体化されて、多様な課題が果たせなくなります。これは、やっぱり現在の農業、農村の健全な発展を阻害する危険性があると私は思っています。そういうような考え方から、私は、今後は、農協が目指す方向は、農を基軸とした職能的地域組合であるというように考えています。  第三は、非農民的支配と農業、農村改革問題です。  政府案には、企業論理だけではなく、農業、農村、農協の非農民的支配が総体的に強化される危険性が指摘できます。これは、農業委員の選挙制度廃止、あるいは市町村長による選任、農業団体などからの推薦制の廃止のほか、農業生産法人の事業役員、構成員要件の緩和などが農協理事構成の改変と一体に進められていることに示されていると思います。  戦前の産業組合、農業団体は、非農民的勢力の支配により、農民の利益が無視され経済的向上も阻まれたため、戦後の農協は農民主体を基本理念として出発したことはさっき既に述べましたが、私は、ここで言われている非農民的勢力の支配というのは、具体的には政府による権力的な支配というように換言できると思います。先生方も御承知のように、産業組合が昭和十八年に皇軍感謝決議をして農業団体法による統合農業団体となって幕を閉じ、さらに、昭和二十年になっては、勅令として公布された、示された戦時農業団令によって戦争遂行組織となったことは御承知のとおりであります。  こうした歴史を繰り返さないためにも、私は、政府農業政策と農協政策で重要なことは、協同組合の価値と原則に基づいた法的枠組みとその支援を講ずることです。これは二〇〇二年のILO勧告が言っていることで、そうした立場でこれからの対応を是非お願いをしたいと。もちろん、そのためには農協人の意識改革も不可欠なのは言うまでもありません。  第四は、中央会制度廃止と全国統一活動の重要性です。  政府案は、中央会廃止と全国監査機構を外出しする理由として単協の自主的な取組を阻害していることを強調しています。しかし、歴史的に見ますと、中央会が発足をした一九五〇年代前半は食料需給がまだまだ逼迫していたため、農協農業団体による技術指導の徹底による農業生産増大が重要な課題だったわけですね。したがって、政府としても財務処理基準令や再建整備法、整備促進法などを制定して、政府中央会が一体になって農協経営の改善に図ったわけですね。それがやっぱり農協に対する中央会指導の徹底ということになったわけですけど、それが今阻害していると言われているのは私は事実に反すると、そういうように思っています。  また、全中の全国監査機構外出し問題でも、二〇〇七年十二月開催のこの農林水産委員会で当時の若林農相は、農協監査事業に精通した中央会が行っていると強調され、中央会監査農協指導と車の両輪となり有効に機能している、及び、指導と結び付かない公認会計士監査は全中監査に置き換えることができないと、こういうことを明言されていたわけですね。しかも、これは、農協監査は非常に長い歴史があって、当然な私は意見だと思います。  もちろん、農協をめぐる情勢はその後大きく変化して、中央会農協監査にも改善すべきことはあると思いますが、私は、こうした歴史的な経過と自らの拙い体験を踏まえて、次の理由から農協の健全な発展には全国的総合指導組織が不可欠だと考えています。  第一は、農協協同組合の価値と原則に基づいた取組が重要になっていることから、そのためにも組合員が参加した全国の全農協協同活動が不可欠です。これは全国の総合指導組織があって初めて可能なことです。  第二は、農協には、事業に関連しない制度、税制問題とか、あるいは事業に関係していても協同で取り組むべき問題があります。そのほかに地域や国政に関わる政策問題があります。従来これらの課題行政庁への建議に基づき中央会主導でやってきましたが、このことについてこの条文に規制されず広く考える必要があると、これは当時の中央会発足のときの小倉さんが政府委員として言われていたことなんですけれど、こういう観点に立った政策課題への取組は非常に今重要になっています。  第三は、これも中央会発足のときの国会審議で強調されたことなんですけれど、全国、都道府県の指導組織は一体で、共に協同組合であるべきことです。これは、指導対象が農協であること、もう一つは、地域には多様な農協があるのでそれを指導するためには全国、都道府県組織は一体であることにあると思います。  以上、非常に抽象的な理屈っぽい話もいたしましたけれど、私は、現在示されている政府案については、協同組合の価値と原則及び戦後の農協の歴史から見て極めて重大な問題が指摘できると思います。協同組合として発展する方向から再検討を諸先生方に是非お願いをしたいと。  以上で私の発言を終わります。
  11. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございます。自由民主党の山田修路です。  参考人皆様には大変貴重な御意見をお伺いすることができました。ありがとうございます。  早速ですけれども、質問に入りたいと思います。まず、香川参考人にお伺いをいたします。  お話にありましたように、全中の中のJA改革専門委員会座長として、単協の在り方についてもいろいろ御議論をされてきたということでございます。また、香川さんはJA広島北部の組合長さんとして、いろいろ資料を見させていただきましたけれども、職員意識改革にも随分取り組まれてきたということでございます。  そこで、JA組合長さんとして、農業者所得増大が一つの鍵だというようなお話がありましたけれども、組合長さんとしてどのように取り組んでいかれるつもりなのかということ。それから、お話にもありましたけれども、広島県、中山間の地帯が多くて、あるいはJA広島北部では過疎化高齢化も進んでいるということなんですけれども、地域振興という意味でやはり単協が果たす役割というのも重要だと思いますけれども、単協の組合長さんとしてどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  13. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) まず、農業者所得拡大であります。それぞれの農協でどういうように取り組んでいるか、また、私どもの農協でどういうふうに取り組むかということであったのではないかと思います。  これまでも、農業者所得拡大と申しますか、農業者が、生産資材の購買あるいは販売についても、極力、他業者と比較しても、それに負けないような価格を出すとか、販売も努力するということはやってきたわけでありますが、ただ、今考えてみますと、まだまだやはり販売等についてはJAとしてやるべきことがあるのではないかというように思っております。  米等につきましては、私どもは今でもやはりある程度県域等の共同計算方式がいいとは思っておりますが、やはり、それぞれできるところについては、買取り販売、あるいは、高付加価値米といいますか、そういう農産物を作っていただく、それを有利に販売をしていくということ。また、生産資材等につきましては、いろいろな多様な農業者がおるわけでありますが、やはり大きい農業者については、それだけ一遍に量を取ってもらうということになりますと、当然のこととしてから、運賃、コスト辺りも有利になるわけでありますが、それらのことについてはもう少し細やかな対応をして、農業者にある程度やっぱり少しでも利益が残るということ。ですから、所得拡大なり農業者に利益が残るということをやっぱり考えてからやっていかなかったらいけないのではないかと思います。  ただ、この農業所得増大ということになりますと、やはり今、コスト、あるいはそういう努力をしてもなかなか、やっぱり米価でも下がるとか、あるいは今後輸入農産物がどんどん入ってくるということになりますと相対的に、農業といいますか、農産物の価格は低迷するということになりますと、努力しても努力しても所得の向上、上がらないという面がありますので、この辺につきましてはやはり国の施策としても多大な配慮をいただかなかったらいけないのではないかというように思っております。  もう一点、地域農協というか、農協の関わりでありますが、中山間地につきましては、地域が元気になるためにはやはり農業が元気にならなかったらいけないということですね。地域農業は一体のものがあります。したがいまして、今、准組合員問題辺りも提起されていますので、地域の住民を踏まえた中での事業展開をしながらやっぱり地域農業をみんなで支えていただくというような仕組みづくりがもう是非必要なのではないかというように思っております。  私ども小さい農協でありますが、そういう意味では、もちろん組合員准組合員、さらには地域の住民も巻き込んだ格好でJAに結集していただき、地域活性化あるいは農業振興も支えていただくような取組をしているところでございます。  よろしゅうございますか。
  14. 山田修路

    山田修路君 はい。ありがとうございました。  香川さん、広島の県の中央会の関係も、これ会長ですかね、今やられておりますけれども、県の中央会も今後組織見直しが必要になりますけれども、中央会が今度組織替えをするということに伴って、こういうところがちょっと要注意だとか、こういうところについて注意をしていきたいというようなことがありましたらちょっとお伺いしたいと思います。
  15. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) 今、たちまち大規模農家辺りの対応はそれぞれの個別のJAでやっておりますが、やはり個別のJAだけではなかなか対応できないということにつきましては、今年の四月から県域で、これは、信連も、共済連あるいは全農も含めた中で営農支援センターということを連合会を挙げて、もちろん中央会職員もおります、連合会を挙げてそういう大規模農家については対応していこうではないかということで、今スタッフ十一名おるわけでありますが、もう毎日のように、そういう大規模農家といいますか、これを今登録しておるのが二百ちょっとありますが、それにもう波状的に行って、いろいろと販売も、必ずしもJA事業が今までつながらなかったところについても行って、どういうような格好で今後、将来とも、その組織が生きる、農業者が生きるためにはどうしたらいいかということについては対応しております。  ただ、組織問題につきましては、今、広島県のJA、十三JAあります。これは大から小までありまして、貯金の規模からいいますと二十倍も格差があるところでございます。農産物の取扱いにつきましても本当これも一千万もないようなJAもあるわけでありますが、もう一度、やはり農業者組織として、組織の再編、これも今検討しております。組織の再編というのは、俗に言うやっぱり合併ということも視野に入れて今取り組んでいるところであります。
  16. 山田修路

    山田修路君 どうもありがとうございました。  単協そして県の中央会立場からのいろんな取組についてお話をお伺いしました。  天笠さんにお伺いしたいと思います。  天笠さんは全青協の会長としていろんな活動をされており、また米麦作地帯の大規模農家ということで、そういった農業の面でも大変活動されて、活躍されておられるんですけれども、お話をお伺いしていて、一つ、まだ法案の内容が十分に理解をされていないというようなお話がありました。  これから施行していくということになりますと、やはり十分理解してもらいながら実施していくことが必要になるんですけれども、この理解をしていただけるように今後どのようなことをしていったらいいんだろうか、これはもちろん政府なりが取り組むべきことでもあろうと思うんですけれども、農業者として、あるいは青年の組織観点から、こういうことをやったらいいんじゃないかというようなアイデアがあればひとつお伺いをしたいということです。
  17. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) やはり農業という産業は、私も先ほど言いましたけど、およそ九割が家族農業なんですね。それで中山間地守っているのが現状だと思います。この法改正によっていい方に傾くのか悪い方に傾くのか、正直、我々農業者現場、今分からないのが現状だと思うんですね。だから、先ほど私も言ったように、一人でも多くの青年農業者とできればいろんな意見交換をしていただきたいというふうに思います。  完全にこの法案こそが、百年たっても農業というものはきちんと残るよ、残せるよ、そしてきちんと守るよと言われるぐらいのものになることが一番意味合いが強いことであって、できればやはりなるべく多くの生産農家の方々と対話をすることがいいんじゃないのかなというふうに思います。  我々としても、こういう場を提供されていろんな意見を聞いていただけるだけでも感謝申し上げますが、これが実際に法案となって持続可能な農業というのがこれから百年先まで続けるような法案になっていただけることを期待しております。
  18. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございました。  対話が大事ということで、本当によく中身を理解をしてもらう、そのことが基本なんだろうというお話でございました。ありがとうございました。  もう一つ、今日は農業委員会の関係の方がおられないので、天笠さんに。  大規模農業経営をやっておられるわけですけれども、特に土地利用型ですね。そうすると、規模拡大をするとか、あるいは周りに耕作放棄地があってこれを何とかしようとか、いろんな問題点というんでしょうか、があろうかと思うんですけれども、農業委員会に対して今後こういうことを是非重点的にやってほしいとか、そういうことについて大規模米麦農家としての希望というのか期待というのか、お伺いしたいと思います。
  19. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 先ほど言われたように、農地中間管理機構というのができました。私、群馬なんですけど、群馬、非常に数字が低いです。やはり耕作放棄地と言われるところもあるんですが、そこは核家族化がどんどん進んでいって、元々おじいさん、おばあさんでやられていたところもあります。そういった方の御子息がみんな地方に分散していってしまって結局管理できないような状況にもなっています。  私としても、農地中間管理機構がもっと十二分に発揮して、私も土地利用型なんですが、まだまだ大きな面的に集約ができていないのが現状です。私もこの先を狙ってブロックローテーションとかして所得を増やしていきたいというのは当然のことながら考えておりますが、やはり基盤整備がまだまだそこまでは行っていないのも現状なのかなというふうにも思います。  それから、一つだけお願いしたかったのは、もっと農業委員さんに権限を与えてほしかったんですね。耕作放棄地に対する権限をもっと的確に与えれば、例えば空き缶のポイ捨てであるとか罰則規定であるとか、そういったものも農業委員さんが徹底的に見回ることによって地域はもっともっときれいにもなるし、耕作放棄地もなくなると思います。  それから、自然というか、中山間地に無理やり造ったようなところでは、やはりもう自然に返した方がいい農地も実際問題ありますので、その辺じっくり検証していただければというふうに私は思っております。  以上です。
  20. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございました。  続きまして、石田先生と北出参考人、両先生にお伺いをしたいと思います。  それぞれ、法的な観点あるいは協同組合の価値と原則という観点から御意見をお伺いをいたしました。大変貴重な御意見、ありがとうございました。  現在の農業、農村をめぐる状況を見ますと、そういった法的な、あるいは協同組合としての価値、原則という点からしても、なかなか憂うべき状態にあるんではないかと思います。高齢化が進み、あるいは担い手が不足している、耕作放棄地が生じている、様々な問題が生じていると思います。  先ほどお話がありました法的な観点あるいは協同組合としての価値、原則という観点から見て、単協が本来あるいは今の現状を踏まえてこういうやっぱり役割を果たしていくことが重要なんじゃないか、ちょっとその法的な側面あるいは協同組合の側面から離れる、あるいは既に御説明のあった部分に含まれていることもあろうかと思いますけれども、そういう現状を踏まえた単協の役割、あるべき活動について、何か御意見があればお伺いをしたいと思います。
  21. 石田正昭

    参考人石田正昭君) 今日はあえて申し上げませんでしたけれども、現在の農協法、これまでの農協法は職能組合かつ地域組合という枠組みで動いてきたわけです。私は、それを忠実にやってきたと、こういうふうに理解しております。  職能組合というのが、現時点でその組合の、何というんですか、経済的分化、一方では農業法人になる家族経営もございましょうし、また他方のあれでは土地持ち非農家と、こういう現実がございます。  それで、単協がやるべきことという御質問でございますが、今度の農協法改正案は、いわゆる農業法人だとか担い手層ですか、これに焦点を当てよと、こういう職能組合純化路線を言っているわけです。  しかし、戦後農協の生い立ちは、戦後自作農を守ると、こういうことでございます。この戦後自作農の中には現在の土地持ち非農家も含まれるわけです。この人たちのことを無視していいのかと。この人たちがこれまでの農協発展を支えてきたんです。全体の人たちが、簡単に言えば、今までの内部留保とかいうのもそういう人たちの積み上げの下で行われてきたわけですから、農業をやめたら、はい、あなた方、今度、農協法の役割職能組合純化路線になりましたからそれは満たせませんよということなどはできるはずがない、私はそう思っています。それを強制するというのは何事だと。  私から言わせれば、戦後の自作農を丸ごと守るというのが本来の単協の趣旨であり、今度の自己改革ではJAグループはその辺りを明確に出していると思います。そのことを理解できない農水省というのは農水省なのかと、本当にそう思います。中小企業庁に行ったらいいというふうに思います。  以上です。
  22. 北出俊昭

    参考人北出俊昭君) ある立派な農協組合長をやっていながら県の中央会会長さんがいらっしゃるわけですけれど、その方に少し前会ったら、その農協ですら協同ではなくて競争なんだと、競争が組合員の人がみんな重視をしていると、みんな協同じゃなくて競争なんですよということになっていると言われたんです。私は、その農協ですらそうだとすれば、これは全国で今言われていることがかなり隅々まで行っているというように感じたわけです。  御承知のように、戦前は、村落共同体があって、やっぱりみんな助け合う、何だかんだ言いながら助け合うというのがあったわけですね。それが崩れちゃって、それで、それに代わる新しい協同がまだできていないだけじゃなくて、非常に最近崩壊をしてきているという感じがするわけです。  したがって、私は、非常に抽象的な言い方ですけれど、どこをどうするということではなくて、農協としてやっぱり農村において非常に協同を強化をしていくという役割が一層重要になっているんじゃないかと、だから事業も様々なものもやっぱりそういう視点から取り組む必要があるんじゃないかと、そういうふうに思っています。  以上です。
  23. 山田修路

    山田修路君 どうもありがとうございました。大変貴重な御意見をお伺いさせていただきました。また法案の審議に反映をさせていきたいと思っております。  どうもありがとうございました。
  24. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党の郡司でございます。  今日は、貴重な御意見をそれぞれの方からいただき、ありがとうございました。  時間の関係で簡潔に質問を始めさせていただきたいと思います。  まず、香川参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど来から、御自分の単協も大変有数なところだというふうに聞いておりますし、全体の農協としての改革への挑戦をおまとめになられたということでございまして、大変御苦労だなというふうな感じがしております。  今回の農協法の審議全体に遡って、例えば二〇〇〇年の頃には食料・農業・農村基本法という新しい基本法が作られました。農業団体というのは、食料の安定供給、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展のほかに、農村の振興に主体的に取り組むよう努めるというような文言が入っていたわけであります。  そこで二つほどお尋ねをしたいと思いますが、今回の改正というのはこの基本法の趣旨に沿ったものだというふうに理解をされているのかどうかを簡潔にお聞きをしたいのと、あわせて、これまでいろいろな見方、評価はあろうかと思いますが、一面に例えば農政のことに関して猫の目のようだと、こういうような評価もあったことも事実だと思っております。したがって、これまでの農政を振り返ってみて、今後のことを考えて、今回の法の改正というものは、農家の方々、農協皆さん方にどういうふうに受け止められていらっしゃるのか、簡潔にお答えをいただければというふうに思っております。
  25. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) 新たな農業・農村基本法と今回の改革がどのようなつながりがあるかということだと思いますが、今回の改革も我々としたら、当初、規制改革会議が出されたときも、非常に、これにつきましては、我々自身も全く農業振興とどこまで関わりがあるかということを思っていたわけでありますが、政府等と十分話をする中でやはり農業所得増大していこうということを、我々はその方針で今自己改革をやっております。  ただ、この法案が今から検討されるわけでありますが、やっぱり純化ということになりますと、食料・農業・農村基本計画、やはり農村をどうするかということになると、若干そこら辺りが地域農業の一体の問題がありますが、農業を産業としてだけ見るということに走ることになりますと、若干そこらがどういうふうに整合性が出てくるのかということは思います。  それともう一つは、いろいろと六十年間、七十年間、農政は変わってきたわけでありますが、JAも基本的には政府あるいは今の農林水産省の施策に応じて今日まで改革すべきことは改革をしてきたというふうに思っておりますが、今回は出し方、経過が若干違っていたのではないか。  本来、もし農政が大転換するんだったら、あらかじめ、我々中央会というものがありますし、ひとつ日本の農業はこういうような方向に行くので、あなたの農協組織もこういうふうにしたらどうですかという話合いがあってしかるべきが、だまし討ちのように、突如として規制改革会議の中で、中央会は廃止、あるいは株式会社組織連合会はしなさいとか、准組合員の問題辺りがぽつんと出された。何か戸惑いを感じております。  ですから、今回はもう、一応我々は、こういう方向で国の方も行くということが決まったら、そのような格好の中で組合員農家農業振興、所得をどうするかということをやっていきますが、せっかく我々JAグループ組織をきちっとつくってやっていこうと思うんだったら、やっぱり事前に十分な話合いをしていただくようにお願いをするところであります。正直に言いまして、今回はこの導入のところで何かまだまだ不信というのは残っていることも確かであります。
  26. 郡司彰

    ○郡司彰君 次に、石田参考人にお尋ねをしたいというふうに思います。  今日は時間の制約もあっていろいろとお述べになれないこともあったんだというふうに思いますが、先年、協同組合年というのがございました。私どもも、できれば国会として、基本的な憲章でありますとか、また、更に進んでは、これまでの戦後の生い立ちの中で各省庁ごとに管理をされてまいりました協同組合というものを、基本法的なものを作るということも必要なのではないかという思いを持ってまいりましたけれども、そのことについて御意見があれば伺いたいと思います。
  27. 石田正昭

    参考人石田正昭君) 今回の農協法改正案を見て、協同組合原理、原則等をほとんど無視というのですか、答弁聞いていますと、我々の関知しない、配慮はするけどというような表現だったと思いますが、やっぱりそれは、基本的に省庁横断的な枠組みを持っていない日本の協同組合法の限界がそこに出てきているというふうに思います。韓国なんかは、今の法、それぞれの分立した協同組合法を否定するんじゃなくて、その上にブリッジを架けるような協同組合共通法みたいな、こういうものが作られております。  そういう形でこれからも、これまでも協同組合学会ではそういう取組をしていると思いますが、そういう方向を支援するような政府であるというのが本来の在り方であって、今回のは全く正反対。更に言えば、現場から見れば、農林水産省の枠内だけでも農協、漁協、森林組合と、こうございますから、この枠内のブリッジ架けるような発想がなければ、次のステップで、協同組合憲章というのはその次のステップに行くぐらいのレベルだと、こんなふうに思っています。  以上です。
  28. 郡司彰

    ○郡司彰君 重ねてお尋ねをしたいというふうに思います。  八条について言及をされておりました。私もこの八条は、結果としては分離、分割、分社、解体につながるようなおそれがあるのではないかなということをさきの質問のときにもさせていただきました。農水省は財務省の方にお任せをするんですかと、こんな質問もさせていただきましたけれども、この一連の八条の行き着く先ということについて、私からすると、農水省、何に屈服をしているのかなという感じがするんでありますけれども、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  29. 石田正昭

    参考人石田正昭君) 基本は総合農協でございますので、信用事業を営む、あるいは共済事業を営む、それで信金、信組ですか、これと同等の経営力というか、そういう社会的責任を負うんだと、こういうことだと思いますが。株式会社等々も含めてやはり、あるいはここで申し上げた会計士監査も含めて、将来的に例えばTPPというような問題でISD条項等々出てくるわけでございますけれども、そういうところで攻められないような体制づくりを急いでいると、良く言えばそういうことなんだろうなと。農水省をここまで、今議員が御質問になったことについてあえて考えればそういうことがあるのかなと、こんなふうに思います。
  30. 郡司彰

    ○郡司彰君 私どもが今口にしていることが杞憂になればそれはそれで結構なんでありますけれども、例えば大坂の夏の陣、冬の陣、外堀等が埋められまして、その次に関ケ原の合戦で結局はというような歴史も私どもは知っているわけでありまして、こういうような一連の流れ、今回で終わるのではなくて、本丸はこの次また改革という名前であり得るんだということが予測されますでしょうか。石田参考人お願いします。
  31. 石田正昭

    参考人石田正昭君) 私は一番最後に述べさせていただいたつもりでございますけれども、現実に今農水省がやっていることは、この准組合員事業利用規制を入れるとか、会計監査人、会計士監査で入れて、あんたのところじゃそれは経営できるような状況じゃありませんよとか、そういう攻め口でやっているんじゃなくて、小さい農協、こう言ったら失礼になるかも分からないけど、かつて漁協が信用事業を信漁連に事業譲渡した、そういう信用事業の非常に脆弱な協同組合ございますが、今やっていることはそういうことですよ。そこから攻めていっているということで、それが順次貯金量の高いところに上ってくるんだろうなというのは私の予測でございますし、そのためのこの法律の今回の改正になっているというふうに理解しております。  以上です。
  32. 郡司彰

    ○郡司彰君 続いて、天笠参考人にお尋ねをしたいと思います。  本当に現場の声を聞かせていただいたなというふうに思っております。ほかのところで、天笠さんのお言葉だったのかなというふうに思っておりますが、農業を見て農民を見ていないようなところがあるのではないかというようなことでございました。今回の改正は、その伝でいうと、農協を見て農民を見ていないというようなところがあるとすれば、先ほど言われたように、それぞれの心に響かない内容について、いろんなところで今回の改正についての議論が出されているということではないのかなというような感じがしております。  先ほど来から言われておりますけれども、法案の中身しっかり作ってくださいねというようなお話がございましたが、もし仲間内でお話をされている中で具体的にはこういうことが一番なんだよなというようなことがございましたらば、お聞かせいただければと思います。
  33. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) やはり法案の中のものよりも、制度、政策、その辺について現場から相当意見は出るのは多いです。やはりこの法改正というものが、先ほど私も言いましたけど、この段取りですよね、規制改革会議から言われたということに対する我々の不満が相当あるのは事実です。  だから、先ほど香川会長も言われましたけど、これやはり我々としても、今回、農協改革の前に我々としても現場からの意見は常々出しています。こういうことを現場は望んでいるんですから、これを必ず中には入れてくださいよ、そしてきちんと議論はしてくださいよという内容でやっているんであって、やはり法案の中身について、今後我々としても、今のこの文書、理事会の中でも今後見せていこうとは思いますが、更に議論は深まると思います。そうなったときに、やはり家族農業というものがきちんと地域に根差していける、そして地域のインフラに対しても最大限効果が出るような、うまみの出る法改正であってほしいと思います。  今後、人口減少もあります。そういったこともやはり頭に入れていただいて、過疎地が過疎地でなくなる、そして、どこにでも人がいるというような、昔ながらの田園風景に戻れるようなことを我々とすれば望んでおりますので、その風景を皆さん念頭に置いてもらって法改正をしていただければ、それで結構だというふうに思います。
  34. 郡司彰

    ○郡司彰君 もう一つお尋ねをしたいと思いますが、先ほどTPPという言葉が出てまいりました。このTPPが今のところは妥結には至らない、大筋合意には至らないというようなことでございますけれども、そこまでの間話し合われた内容というものは、今後私たちの国の農業、農政に深く関わってくる現実でもあろうかというふうに思っております。  したがって、このTPPのこれまで流されました情報等を基に、今後の進めていらっしゃる、自分たち、あるいは仲間内でどういう話合いがなされているんだろうか、今回の法改正を含めて、日本の農業そのものがTPPによってどういう影響を受けるというふうにお考えか、お聞かせいただければと思います。
  35. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) このTPPの問題は、もうこれを出されたときから、我々も、このポリシーブックの中にも書いてあるんですが、やはり先月の二十八日からの閣僚会合においては、我々現場農業者も相当不安が出ていました。  私も、実際現場に行ったんですが、先生方もいらっしゃってあれでしたが、その中で、現場からはこれで、非常に前のめりになっているという報道も流れていました。一切これ機密事項だと言われながらも、いろんな情報がどんどんどんどん新聞に出てきました。あの新聞によって、やはり水田農家であるとか、それから畜産、酪農、その辺については、本当に現場は混乱しています。あんなふうになってなぜ大丈夫なのかということよりも、我々からすれば、きちんと数字、数字というよりも、それがそういうふうになった場合のメリット、デメリットであるとか、そこまできちんと出していただかないと、我々としてもやはり設備投資をしながら先々の農業経営をやっているものですから、そういった意味では非常に苦しいのかなということもあります。  また、北海道の方は、幾ら酪農地帯と言われながらも、昨年一年間で百名の酪農農家が離農したということもありますが、まだやめられるところはいいんですね。ほとんどの農家さんが自転車操業になっているのが事実上だと思います。  それぐらい危機意識を持ってやっているのが現状でもありますので、その辺を十二分に理解していただいて、制度、政策、それから法改正というきちんとサイクルが回るように、それが現場に即しているような法案になるように、是非とも皆さん方には御配慮いただきたいというふうに思います。
  36. 郡司彰

    ○郡司彰君 最後に、北出参考人にお尋ねをしたいと思います。  まず一つ目は、先ほどの文書の中にも、例えばいろいろな総会でこういう発言があったとかというようなことの記載がございましたが、日本の農協というものの背負ってきた歴史というものが必ずあるわけでありますけれども、結果として今の間に落ち着いている形の中で、世界の中で評価をされている部分というのをもう少し簡潔に教えていただければなというのが一つ。  それから、これは今日のところと直接関係はないのかもしれませんけれども、これまで、富山県の公述人の方からお話を伺いました。今日も参考人皆様からお話を伺いました。これまでの審議の中でも、委員の方々も、反対だよというのと懐疑的だというのもございますけれども、概して積極的にこの法案を通していこうというような感じではないわけでありますけれども、ここは国会の与野党の議席の関係からいうと、決を採れば、採決をされる、成立をすると、こういうことになるんですね。  ここで三権分立の話をするのはおかしな話でありますけれども、このような状況の中で、行政の方に立法府が追随をするような形にもうなってしまうのかなと、この辺のところについて何か御感想があればお聞かせをいただきたいなというふうに思います。
  37. 北出俊昭

    参考人北出俊昭君) まず、第一点なんですけれど、私はやっぱりそれぞれの国にそれぞれの協同組合があるというように思っているわけです。  したがいまして、御承知のように、ヨーロッパなんかでは畜産なんかもあって、ほとんどもう多国籍化して一般の企業と同じようにやっているところもありますし、アメリカはアメリカでまた新しい協同組合はあると、それが全部ICAの会員になっているわけですね。  だから、日本の農協は、国際的に見て、先生の御質問にあるように、どこが評価されるかということに対するお答えではなくて、私は、日本は日本の農協としての特徴を協同組合としていかに発揮していくかというところに重点があるかなと。その場合に、先ほど言ったこととも関係するんですけれど、やっぱり日本は農業生産も米中心であって小規模だと。かなり変わってきていると言いながら、そういうところがあるわけですね、風土的にも。だから、それが総合農協になったり、先ほど言ったような准組合員というか地域住民も正組合員というか農民と一緒組合員にしていくというような特徴がある。だから、この特徴を世界的に見て、私は非常に日本的な特徴だと思いますけれど、これを協同組合として生かしていくということが課題じゃないかなと思っています。  それから、もう一つは、行政との関係なんですけれど、これはやっぱり歴史的に、先生も御承知のように、行政の下請じゃないかという批判が農協にもありますし、全中のやっていた農政なんかにもあるわけですよね。ここを協同組合の自主自立の考え方に従って今後どう改めていくかというのが課題であって、今のところ、行政から全く独立してやれるというのは非現実的であります。しかし、今のままでいいかというと、私はそうではないと思いますので、ちょっとお答えになるかどうか分かりませんけれど、自主自立の原則に従った対応が求められているというふうに思います。
  38. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日は貴重なお時間をいただきまして、現場農業に取り組む農業者としての視点、また、JAの中で自己改革に今取り組まれ始めている内容、また、さらには学識経験者として御研究を通じていろいろな御示唆をいただいたと思っております。心から御礼を申し上げたいと思います。  早速、私の方も質問に移らせていただきたいんですが、まず初めに香川参考人にお伺いをしたいというように思います。  先ほどもお話の中で、今の農協改革取組、そして、これは恐らく政府として、農政改革と申しますか、大きな改革を指してということで御評価いただいたんじゃないかと思うんですけれども、自立できる、足腰の強い農業をつくる、そういった取組の一環なんじゃないかということもおっしゃっていただいたわけであります。  その中で、これから具体的に地域農協改革に取り組んでいく、主役としてまさに取り組んでいくステージに入っていくわけでありますけれども、先ほどお話の中でも、いわゆる具体的な取組というのは地域ごとに課題が異なってくるので、そこで課題に即した形でやっぱりやっていくしかない。一方で、県の中央会としては大きな改革方向性、ここをサポートしていくんだというようなお話があったかというように思っております。  ここで、先ほども少し最後に言及されていたんですけれども、割といろんな地域で私も、県の中央会役割、これからやっぱり大きくなっていくなという思いの中でお話を伺うときに、必ずこの地域農協の単協のいわゆる統合の話が出てくるんですね。今お話の中でも、十三今JAがある中が、一つにまとめていくというのも一つの方向性じゃないかということがありました。  この地域課題に即すのであれば、本来は地域ごとにやっぱり分かれてやっていくのが筋なのかなとも思うわけですけれども、その中で、一方で県内で一つのJAを目指すというのも方向性としてあるんじゃないかと。ここの、恐らくどっちに振っていくのかというところ、あるいはどこで線を引くのかというところが、今後、特に中央会からの指導在り方ですとかサポートの仕方の中で、多分すごく肝になってくるんじゃないかと思うんですが、この点について詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
  39. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) JAの場合は、組織体でもありますし、また経営体でもあるわけであります。それで、これからの経営を考えたとき、やっぱりきちっとした経営基盤持っていかなかったら、何も組合員の負託に応えることができません。しかしながら、現状を見ますと、大変やっぱり農協の経営も厳しくなってきております。特にこれから地域農業JAとしてきちっと守っていくといいますか、振興していくためには、一定のボリューム、そういう経営基盤をつくり上げなかったら非常に難しいんではないかと思っております。  決して大きくなることが、やはり地域地域でそれぞれ特色を生かしたJAが存在して、それがまた連合会というような格好でなるのが理想かも分かりませんが、現下の状況から見たら、やはりある程度一定のところでの合併、合併といいますか組織を大きくするということはもう仕方がないんではないかということで、今検討をしているところであります。合併とか何かありきではなく、やっぱりそういうのを分析を十分しながらひとつやっていきたいなというふうに思っております。
  40. 平木大作

    ○平木大作君 もう一つお伺いしたいんですけれども、先ほどのお話の中で、地域農協としてもやっぱりこれからもしっかり地域振興に取り組んでいくんだというお話を御紹介もいただきました。私も大変大事な点だなというふうに思っております。  お話の中で御紹介をいただいたアクティブ・メンバーシップの取組、特にいわゆる准組合員皆さんにも自分たち農協だという意識を持っていただいて、ある意味農業支援の応援団としての活動をしていただくんだということを御紹介いただいたんですけれども、まさにこういった、法案が成立したとして、これから五年間を掛けて准組合員の利用実態を調査していくということが始まるわけですけれども、ここでやっぱりやらなきゃいけないというのは、定量的な、いわゆる信用事業は何%准組合員の方が利用していてとか、そういう数字の推移とかということよりも、むしろ今御紹介いただいたような、じゃ、准組合員皆さん地域農協とどういう関わりにあるのか、あるいは一緒になってどういうことに取り組んでいるのかという、こういう定性的なものをしっかりとやっぱり今後調査の中に入れていくということが大事かなというようにお話をお伺いして思った次第であります。  その意味で、ちょっと先ほど少しだけ触れられていましたこの准組合員のアクティブ・メンバーシップの取組ですね、具体的にちょっとどういったことを今されているのか御紹介いただけますでしょうか。
  41. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) 今、JAでは、二十六回のJA大会のときに、支店を核とした協同活動をやっていこうではないかということで三年前やったわけでありますが、今後もそれぞれの支店で、これは組合員准組合員も含めて、いろんな地域活動協同活動を展開していこうではないか。これは、食農教育を学童でやるとか、伝統文化を守るとか、地域のお祭りごと辺りも一緒になってやるというのを、支店をとにかく核にしてやっていこうではないか。そこの中に准組合員の方、これはもう地域の方もそうでありますが、ただ単にJAを利用するというだけでなく、やっぱりそれに積極的に参加していただくような仕組みをつくっていきたいなというように思っているところであります。  そういうことによってから、本当に地域と一体となった農協というものができたらなという格好ですね。今回のJA大会にもそこのところはひとつ強調して、アクティブ・メンバーシップということで整理をしてあるところであります。ですから、地域、あるいはある程度の拠点をきちっとつくって、そこの中で地域皆さん、もちろん組合員を中心としてですが、准組合員も含めた格好での協同活動を再構築していこうではないかということであります。
  42. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  続きまして、天笠参考人にお伺いをしたいというように思います。  先ほどお話いろいろお伺いして、改めて、話の端々に出てきたのが、これからもやっぱり中央会連合会役割って大きいんだというところを認識をさせていただいたかなというふうに思っております。  その中で、特に、例えば具体例として、担い手を育てるための担い手サポートセンターの整備ですとか、そういったところ、要するに地域農協だけではなかなか賄い切れないところをしっかりと中央会連合会が支えるという、地域とまさに中央会連合会との連携の部分を言及していただいたのかなというふうに思っております。  そういう意味では、これ、一方で現場の視点からいくと、何でもやってくれるとうれしいなという声もあると思うんですね。できれば中央会が全部やってくれる、連合会がやってくれるということが一方であるかと思うんですが、なかなかそこまで全部回らない。  そうすると、これからの一つのJA改革の中においてキーになるのは、恐らく、地域農協の中でここまではできるんじゃないかというところと、でも、ここ以降はやっぱり難しいので中央会連合会に手伝ってほしい、支援してほしいというところ、多分、議論の中でここからつくっていくことになるんじゃないかなと思うんですが、これについて、具体的に今現場で実際に議論されていて、地域の中ではここまでやろうと思うと、だけれども、ここから先のサポートというのはまさに連合会中央会支援が必要なんだよというところがもし具体的にありましたら、是非御紹介いただけたらと思います。
  43. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 今、米価の下落が起こっていますよね。そうなったときに、今までって、どうしても小さな農家さんだと農協さんに頼っているばっかりだったと思うんですね。  それで、一つの例に例えると、地域でそのお米が消費できる分、それから県段階として消費できる分、それからどうしても全国段階でなければその消費が賄えないという段階の、大きく三つあると思うんです。それをうまく地域実態に応じてやる意味合いがまず一つだというふうに私たちは今思っています。  それ以上に、やはり営農指導員の担い手サポートセンターですね、それがやはり、一人一人の農家のスタイルが、経営面積が大きくなっているというお話を私させていただいたと思うんですけれども、営農指導という観点よりも、正直言うと、経営指導にどうしても今走っちゃっている部分があると思うんですね。  だから、その辺に対しても、そこは連携がどうしても必要なのかなと。地域実態で分かる部分もありますけれども、それ以上に、やはり県ベースとして考えなければならない、道ベースで考えなければならない、それから日本全体としてマーケットを考えなければならないという大きく三つぐらいの観点にもなってきて、その辺の営農指導員のサポート体制に対しても次の二十七回のJA大会にはしっかり中身は盛り込んでありますので、そこはやはり我々の担い手意見というものをきちんとJAサイドも理解されているというふうに思います。  だから、各段階においての場所、場所でのパーツですよね、そこさえきちんと階段を上っていけば全部がうまく回るというふうに我々は考えて、段階的にやれることを我々としては望んで、それを専門委員会、総合審議会の方でいろいろ意見書の中にまとめてお話はさせていただいてしっかり載せていただいているので、その辺のサポート体制は大丈夫なのかなというふうに思います。
  44. 平木大作

    ○平木大作君 今、御回答の中でもあったんですけれども、営農の実際に規模が大きくなってきていると。これは事前にいただいた資料の中にもあって読ませていただきまして、この二〇〇七年から始まった品目横断的経営安定対策、これで、ある意味いや応なしに規模が広がってきたということが紹介されておりました。  今の一つの農政の方向性としては、この流れというのは恐らく続いていくのかなということを前提にしたときに、一つは、先ほど御紹介いただきましたけれども、水稲で三十二ヘクタール、裏で麦もされていて、かつ作業受託で二十三やられていると。それを、天笠さんと弟さんと従業員の方と三人ぐらいを中心にされていると。大分頑張られているなという様子が伝わってきたわけですけれども、これ実際に今の体制で、更に集まってきてしまうといったときに、どのくらいまでできそうと見ているのか。  一方で、この資料の中に同様にありましたけれども、例えば野菜みたいなものを入れて、自分たちのところで従業員も雇って、また更に規模を大きくするみたいなことも少し語られているんですけれども、具体的に御自身のビジョンとして、どのくらいの大きさまでだったらやってみたいなみたいなものもあったら、是非これ御紹介いただきたいんですが。
  45. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 恐らくこの人数、今は三人ですけれども、三人でやっていくと、大体十五ヘクタールで、もうワンセット必要なんですね、機械ってどうしても。それぐらいに設備投資って掛かるものなんですよ。一台で全部ができるといったら、そういうわけにもどうしてもいかなくて、一人が恐らく全部賄える量というのが、うち辺りである程度区画整理がされているところだと十五ヘクが限界だろうという思いがあります。実際のところ、私的に考えれば、五十ヘクまでだったら三人でできるだろうと。ただし、それは農地中間管理機構の協力によって面的集約ができてのことだと思います。そうすればいろんな多品目を交ぜながらやはりできるということもあります。  私は、今、団塊世代の方々が非常にお元気で、いろんな作物に対しても興味ある方が多いので、うちにも手伝いに入ってくれる方々も多いんですね。そういう方々がやはり働ける場所というのが一つと、あと高齢者の方々が集まれる場所を私としては今後考えたいと。お年寄りの方って、我々若手と違って、しゃべりながらでも手は動いているんですね。そういった意味でのお年寄りの活躍の場所、核家族化していて、独りでいるよりもある程度集まってくれば、それこそある程度の憩いの場ができるということは地域コミュニティーにも非常にプラスになるだろうということは考えて、私はそこまでやりたいという考え方はあるんですが、まだまだインフラ整備、土壌整備ができていない部分もあって、そこまでは行かずに私だけの中でできるような状態になっているので、後々考えるに当たっては、そこまでスタイルを伸ばしていって、地域が笑顔で元気になれるような方向には持っていきたいというふうに思います。
  46. 平木大作

    ○平木大作君 大変貴重な意見、ありがとうございます。  ちょっと時間の関係でもう一問だけお伺いしておきたいんですが、先ほどもありました、この法案のことですとかあるいは農政の大きな改革の流れの中で、我々青年部の声を聞かなくてどうするんだということを盛んにおっしゃっていただいて、実際に先ほどお配りいただいたこのポリシーブックも、本当に細かい一つ一つの課題に対して解決策も併せて議論を重ねられて具体的に提言されている、もうすばらしい取組だなと思うんですけれども、私は最終的には、青年部の声を聞けということもそうなんですけれども、青年部皆さんがやはり主体的に、より中心者となって意思決定していくということがやっぱり大事だなと。  今回の農協法の改正案の中でも、三十条の十三項の中に理事の年齢や性別に著しい偏りが生じないように配慮するということがうたわれているわけであります。この点は、実はいろんなところに御意見を伺いに行っても、そのとおりだなということを皆さんにおっしゃっていただくんですが、恐らくこれ五年前、十年前でも同様な意見だったと思うんですね。その中でなかなか、一方で例えばJAの理事に女性が少ない、若者が少ないということが現実としてあったというふうに思っております。  これからいわゆる女性や若者の登用というものを進めていくに当たって、今ちょっと障害になっていることってどういうことなのか。例えばこういう取組を具体的に各地域JAでやっていけば進むんじゃないかという、もしアドバイスをいただけたらうれしいんですが。
  47. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 私も実際は理事という立場をやっていて、青年部理事という枠もあるんですね、実際。あるんですが、私は地元から上げさせていただいております。それにはやはり地元の理解も必要ですけれども、やはり同じ、同調性を求める人間がどうしても仲間内に欲しかったというのがあって、青年部理事というのを一枠つくりました。  私は、どうしてもいろいろ変えたかった、農協を変えたい部分もありましたので、地元から手を挙げて出て、そこにはやはり、今の私の地区というか地域見てもそうですけれども、高齢者の方々多いじゃないですか。そうなったときに、やはり地域の名誉職として扱われている方々も非常に多い、それから回りばんこだというところも、昔ながらの定款が地域の中には根付いている、それが農村地帯だと思うんですよ。それはそれで非常にいいことだとは思うんですが、やはりその中でいきなり世代を超えて四十代、三十代の連中がそこの理事会に行けるなんということは非常に難しいのが現状だと思うんですね。ただ、今我々がその現場に行かなければ我々の未来はないんだよという話をよくしてあげれば、そういう方々も、やはり親子関係の中できちんと話合いをして、出てこられるチャンスなんじゃないのかなというふうにも思いますが。  是非とも、理事の定年制とかそういうのもいろいろありますけれども、うちの方の農協だと七十歳が定年制ということで全国の方と比例はしているんですが、そういった中で、地域の回りばんこでなく、農協を基軸としてやはり経営されている人間が集まることによって更に農協が良くなる。批判的な考え方をする方でも、農協にこういうことをすればいいと思うような考えがある方々が集まれば、もっともっと地域活性化していくいいチャンスなんじゃないのかなという話はよくして、今現場でもそういった話合いをして、それを広くそれぞれのJAに浸透させるような状況にはなっています。ただ、そこに若者がいない地域もありますので、その辺は御了承いただければというふうに思います。
  48. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  時間が迫ってまいりましたので、石田参考人北出参考人にも一問ずつだけお伺いしたいと思います。  お二人に共通していたのが、今回の農協法改正案の中の七条二項、農業所得増大最大限の配慮という規定、これが一つ、文言だけを見るとそんなに問題があるようには見えないわけですけれども、これがある意味農協の解体だとか総合農協としての在り方を大きく突き崩す元凶なんだというような厳しい御指摘があったんですが、この点最後に、ちょっと短時間になって恐縮なんですけれども、どういったところが問題なのか、詳しく御説明いただけますでしょうか。
  49. 石田正昭

    参考人石田正昭君) 今の御質問に直接答えたいんだけど、もっと言えば、旧八条を何で七条の一項、二項、三項で三つ書き改めなきゃいけないのか、旧八条で十分だと。その中には、農業者所得増大させるという、そういう役割だって入っているんですよ。あえてそれを三つに分ける。そして、一項では、組合員に奉仕すると。この組合員の中には、正組合員の奉仕も入っているわけです。その一項の中に農業者所得最大限努力すると入っているんですよ。それをもう一回、二項で書き出すというのは一体どういう意味ですかと。私が削除を求めているのはそこです。これ、何か使う理由があるからここに出しているんでしょうと言うしかないわけですよね。でも、今までの政府答弁ではそれを使わないような言い方をしているんだけど、これ、このままずっとやったらどうなっていくか分かりませんよ。  だから、大変私はそういう危惧を持っています。もっと言っちゃえば、旧八条で十分だというふうに理解しております。
  50. 北出俊昭

    参考人北出俊昭君) 先生のおっしゃったことに答えになるかどうか分かりませんけれど、私自身は、現在、これほどの農協改革をなぜやるのかというところがどうも本当のところ分からないんです。だから、従来、確かに問題ありましたけれど、また改革すべきところが多いんですけれど、先ほどの繰り返しになりますけれど、その改革する方向が少し私は疑問に思っているので。やっぱり改革の必要性はあると思うんですね。  ちょっとお答えになったかどうか分かりませんけど。
  51. 平木大作

    ○平木大作君 終わります。
  52. 儀間光男

    ○儀間光男君 維新の党の儀間でございます。  今日は、四名の参考人先生方、お忙しい中、御苦労さんでありました。  まずは、香川先生、お伺いしたいと思いますが、香川参考人広島県だということで、中山間地の多い地域だと理解をいたしております。そこで、お伺いしたいのは、中山間地、その前に質問の趣旨というか背景というかを言いますと、農政が転換されてきて、それで、それを補うために法律が改正あるいは作っていかなきゃならないというような必要に迫られて、さきの中間管理機構の法もできましたし、今回の法案も提出されたという前提に立って、関連させながらお伺いしたいのでありますが。  中間機構法が出て、今その法律が生きて各都道府県で活動しているわけでございますが、特に中山間地の多い広島県でこの中間機構の役割がどのように果たされているか。このことが、今度、農協改革法案の流れにもなっていると思うんですよ。それが改革されることによって、改革法がいろいろ出てきたということと照らし合わせて、今どういう状況であって、今後、その機構が広島県内でそれこそ生きていかせるものなのかどうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  53. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) 私どもの地域は、中山間地といいますか、広島県の農業は、御存じのとおり、本当、どういいますか、土地基盤が脆弱で、圃場整備をしたといってもせいぜい三十アールから五十アールということでありますので、土地を集積しても、例えば二十ヘク集積したとしても、そこの二十ヘクの中に田んぼが二十枚、三十枚あるというような格好で、なかなかそういう、土地利用型農業にしても、効率のいい農業はできるものではありません。  したがって、今は広島県の場合は特に、さっき天笠さんも言われましたように、家族農業の延長上としてから集落ぐるみの営農集団、これから営農集団を農業生産法人にするということで、とにかく地域農業を守っていこうではないか、やはり荒らしたらいけないよということで農業生産法人づくりが進められて、今二百四十ばかり県内でできてきております。これは、さっきも言いましたように、産業としての農業というよりも、とにかく集落、地域の土地を守っていくということでやっております。  そういう中で、さっき言われました中間管理機構、これも、広島県についても、これ行政主導でいろいろと、開発地辺りでちょっと今は休んでおるところ辺りを狙って、企業参入辺りへ積極的に中間管理機構でその土地を集約したということで入れるような取組もされておりますが、まだまだ地域にはこの中間管理機構で農地をきちっと移らすというようなことが積極的には行われていないんではないかというような気がしております。  したがいまして、本当に広島県の農業の実態を見ていただいたら、産業として自立するような農業経営体をどんどんつくっていくというような立場でなく、とにかく今の集落ぐるみで農地を何とか維持をしていこうではないか。だったらどうするのか、今後どうするのかということになりますと、土地利用型から極力施設野菜等のそういう集約農業を展開をしていく、その担い手をやはりつくっていくということが我々に課せられた課題であるのではないかというように思っております。
  54. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  実は、香川先生、お話の冒頭で、これは農業改革じゃなくて農業解体じゃないかというような御発言があって、ショックから始まったんですが、途中いろんなことがあって御理解いただけるようになったということで。  さらには、中山間地が多いことから地域農業は一体化していかなきゃならないと、こういう御発言でありまして、なるほどと思ったんですが、そうすると地方創生にまで範囲を広げていかなければならぬのではないのかなと思ったりするんですが、その辺いかがでしょう。
  55. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) 全く、今地方創生が言われておりますが、やはり我々の地域の中山間地については、やっぱり何とかして、さっき言いましたように、農業にしても施設型野菜辺りで少しでも活性化する、農業活性化することが地域活性化することにつながるんではないかと思いますので、やはりこれは、農業を振興することによって今の地域創生にも当然我々としたら貢献ができてくるんではないかというように思っております。
  56. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  時間の都合で、もっと進められぬところをお許しを願って。  次に、石田先生、総じて法案に対する否定的な御批判というか、そういうような印象を受けましたが、先生がお引きになった農業と経済、二〇一五年七月、八月合併号、手元に持っておりますが、ここを読ませていただき、ちょっと感ずるものがありましたから、これもちょっと聞かせていただきたいんですが、安倍農協改革のゴールは小泉郵政改革と同じ総合事業の解体、あるいはJA事業の分社化、その他多く書いてございますが、実は私もある意味その視点から物を見ているんですね。  これ、ひょっとすると、小泉改革の郵政改革の郵貯あるいは簡保で三百四十兆でしたか、記憶によると、これが解体されたような背景が何かこの農協改革の中にもあるような感じがしてならないんですね。九十兆という金があるわけですけれども、何かキーワードが同じような状況にあるのではないか。なぜかというと、在日アメリカ商工会議所の存在、これがいいとか悪いとか言いませんけれど、この意見がかなり言われていて、それが捉えてこういうことになってきたのかどうか。その辺の視点、私持つんですが、先生、何かあればお教えいただきたいと思います。
  57. 石田正昭

    参考人石田正昭君) そう言う方も多いですよね。私もそうだと思います。  ただ、それだけで捉えてはちょっとまずいのではないか。つまり、私がいつも言っていますけど、原始農協法、昭和二十二年でございますが、十二月十五日の施行、この法案を作成する過程で、戦後農協をどう設計するかという段階で、日本側は言わば総合農協を提案しているわけですけれども、GHQ側は、天然資源局という農協管轄の方ではそれを支持しておりますけれども、金融担当のGHQは信用事業分離だと、つまり信用事業経済事業の兼営はまかりならぬと、そういうところでやり合っているわけです。ですから、今、この農協法が生まれながらの問題点であるよと思います。  この思想が実はGHQだけじゃなくて、それから日本の大蔵省だけじゃなくて、農水省の中にもそう考える人がずっとおるというふうに理解しています。つまり、今度の在日米商工会議所の要求は、まあそれはそのとおりでしょうと。でも、そこで始まったわけじゃなくて、アメリカの考え方というんですか、それこそイコールフッティングと言われている部分ですね、信用事業の兼営は許さぬよというのが基本スタンスだったと思います。  しかし、北出先生もおっしゃったように、だからアメリカに従わなきゃいけないという理由は全然ないわけで、日本がこうやって発展させてここまでやってきたものは、これは日本の地域社会的な条件の中で発展してきたものであって、それで、アメリカから言われたからやらなきゃいけないという理由は私は更々ないと思います。そこで頑張るのが本来の行政庁ではないかというふうに思いますよ。  よろしいでしょうか。
  58. 儀間光男

    ○儀間光男君 全く後半そのとおりだと思っております。だからといって日本政府がそのとおりしたとはちっとも思っていませんが、どうもそういうのが、昨日今日じゃなしに、一九九〇年代、日米構造協議、その辺からアメリカの関与が入ってきて、その関与で決定して農政が変わった、あるいは他の法律が変わったと、そうは申し上げませんが、どうもその辺が気になって、何でだろうというような、気になるところでございました。ありがとうございました。  天笠先生、ちょっと伺いたいんですが、集約農業をされていて、実に、しかも活力のある農業、あるいはまた地域活動もやられていて、大変示唆に富むお話、今後の農政、明るくしていく、農家を明るくしていけるなというような期待も込めてのお話を聞かせていただきましたが、主食米をやられて、裏作に小麦をやって、あるいは飼料米もやられていると。  政府の農政を見ていると、飼料米、二〇二〇年までに百十万トンやるんだといって、二十六年度は十七万トンぐらいで、役所の話を聞くと、二〇二七年度は三十万トンぐらい行くんじゃないかというようなことですが、目標達成にはなかなか難しい。これも減反政策から、あるいはそれを見直しして、しかし、人口の減と食文化の変化によって主食米の需要がだんだん減ってくるというような状況で農政を転換しなければならない、その代わり、家畜の飼料米を多くして自給率を高めていこうという農政の方向があると思うんですが。  そこで、今日ちょっと教えていただきたいのは、この飼料作物の転換、天笠参考人のところでは今の割合が順調なのか、あるいはこれからもう少し主食米を減らして飼料米を増やしていって政府の要請に応えていこうとされているのか、その辺と、あるいは天笠さんが関係する他の農業地域農家皆さん、この辺、飼料米に対する認識というのはどういうふうにお持ちなのかを教えていただきたいと思います。
  59. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 私も実際、WCSは今三年、四年目になります。今年大きくWCSを増やしている理由も、やはり今の農業情勢見ていると、非常にこの先厳しいのかなということもありました。  急遽、今年ぎりぎりになって私、飼料米を六ヘクまで増やした理由というのは、やはり米価の下落。東北地方は間違いなくこれ、やはり天候が良過ぎるので、ある程度数字は上っていくだろうというふうには思っています。九州からのある程度の、宮崎から数字が出てきましたが、ある程度昨年より上積みということで今スタートはするんだろうというのは思いますが、やはり大きな農家になればなるほど、その金額ベースのことに対して政府の政策には乗っていこうと思っていて、私も同じ考え方でずっといました。  平成十八年の品目横断のときに、あれから私たち地域がかなり変わったのは、小麦作らなくなったというのが一つの理由でした。そこで、集落の大きな集団と言われるところが今だったらやめられるからやめようというので、そこから私もどんどんどんどん面積が増えてきたのが事実上です。そして、今、毎年大体年間で二ヘクぐらいのペースですかね、増えていっています。ただ、私でもやり切れない部分というのがあるんですね。遠くへ行ってしまえば行ってしまうほどやっぱり負担になりますし、そういった意味で、じゃ、そこで何ができるかといったら、WCSだったり飼料米だったというのが現状なんです。  だから、そこの地域も生かさなきゃならない、その地べたも、やはり先祖代々からそのおうちがもうずっと守ってきたものでもありますから、何とか今後も持続可能なように、農地は農地として利用ができるように私も何か作らなければならないということでそういったふうな作柄に変えたんですけど、実際まだ金額が見えているものに今取り組む方が我々大きな農家にすると非常にリスクが少なくていいんです。それが今現状なんです。  ただ、どうしても専用品種になれない理由というのは、受入先の事実上にあると思います。やはりコンタミリスクの問題があったりとか、果たしてこの飼料米の政策はどこまで続くのかということがあったときに、やはりカントリーを新しく建てるに当たっても非常に予算掛かるところもあると思いますが、そういったところで、うちらの方では今、食用米をやって、それで飼料米という状況にやっています。  それ以上に、私として今できるのがWCSですね、ホールクロップサイレージ、畜産関係も多いので、その辺に関しては耕畜連携をうまく取りながら、地域のものを流通コストをなるべく減らして、安い単価でお互いが最大限メリットが出るような状況をやっていく方が、私たちの農地としての今後のサイクルを考えたときに一番ベストだろうと。まして、平成三十年というところ、生産数量目標がなくなると、俄然これ農地が増えると思います。  そういったときに何が一番有効的なのかといったときに、やはりWCSを少しずつ増やしていく方が一番無難だろうというふうに思いました。そして、今年、私も地元で一応手を挙げて、コントラクターの事業、うまくその辺を入れて、農地を農地として維持させる、そして地域経済を、耕畜連携をうまく取りながら、バランスの取れたやり方をやっていこうというふうに思って今やり始めている次第でございます。
  60. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  次に、北出先生にもお伺いしたいんですが、先生もこの法案を農協の解体だというような発想からお入りになっているように思われます。  そこで、ちょっと視点は変わるんですが、先生、ICAのお話がございました。このICAが、日本農業に対する評価が第二原則、第四原則、第七原則等々で出てまいりますけれど、これはかなり高い評価があって、さらには、国連は日本の家族農業をそれこそ高く評価されて、欧米の大規模農業生産もあるいは農業生産額も含めてもうピークで頭打ちになっているので、これからアジア、アフリカの徹底した小規模の、今現在そうなんですね、家族農業に世界の資金を投資してこれを育成していく必要があると、それには日本の、家族農業で成功した今日、日本が果たす役割は大きいんだということで、国連は日本の家族農業というか小規模農業、そういう農業に国際貢献という意味で大変な期待しておるようですけれども、先生、その辺どうお考えかを教えていただければと思います。
  61. 北出俊昭

    参考人北出俊昭君) 今度の農協改革についていえば、御承知のように、ICAからは様々な懸念が表明されているのは先生御承知のとおり。それから、家族農業については、国際家族農業年があって、そこのレポートの中では、世界で一ヘクタール以下が七二%だったかな、ちょっとはっきり数字はあれですけれど、七十数%、一ヘクタール規模以下がですね。二ヘクタールになると八十数%、ちょっと数字は不正確ですが、そうなっているわけですね。  だから、私は、やっぱり日本の農業は、何か規模が小さくて生産性が低くて国際競争力に堪えないというようなことが日本農業の特徴のように言われていますけれど、国際的に見れば、規模が小さいといっても、日本の農業の経営規模はそういう意味では国際的な水準といえば水準であるし、それから、モンスーン地帯にあって、いろんな他のアジアの諸国から見れば高いやっぱり生産性を上げているわけですよね。  だから、私は、やっぱり先生おっしゃったように、今度の農協改革についても、ICAが懸念を表明していると同時に、国際家族年のレポートでは、その序文でも日本の農業政策について大規模化を図っていくことについての懸念も、ちゃんと日本の名前が入って懸念が表明されているわけですから、考え方を変えて、日本の農業農協在り方にもう一度、問題ありますけれど、それを基本にした対応が必要なんじゃないかと、そういうふうに思っています。
  62. 儀間光男

    ○儀間光男君 どうもありがとうございました。  終わります。
  63. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  参考人皆さん、今日は本当に貴重な御意見をありがとうございます。  それで、先日、富山県で地方公聴会がありまして、このときに、やはり今度の農協改革農業者所得向上のためだということが銘打たれているんですけれども、しかし、現場から出されてきた皆さんの声を聞きますと、ほとんど所得が増えると思っている人はいないということだったわけですね。それから、今度のその改革農協法の改正について、准組合員規定については、これは削除してほしいという要望も現場から出されておりました。農業委員会法の改正について、この新たな農業委員の選任基準の透明化を求めるという意見もありました。  それで、現状では、衆議院からずっと議論されてきているんですけれども、こういうものにやっぱり応えられていないというか、それでもって納得されていない、むしろ懸念が出されているというのが現状だというふうに思うんですね。  安倍首相が施政方針演説のときに、世界で一番企業が活躍しやすい国に日本をするんだというお話ですとか、四十年以上続いてきた米の減反は廃止します、民間企業が支障なく農業に参入する時代がやってくるんだ、あと戦後レジームからの脱却というようなことを言われていて、その言ってみれば線に沿って今回のことがやられているんだろうというふうに思うんです。  それで、幾つかお聞きしたいんですけれども、まず北出参考人二つちょっとお聞きしたいんですね。  一つは、富山の地方公聴会で穴田甚朗中央会会長が、過去の流れを振り返ると、農協法の枠内で変えるべきところは、改善しなきゃいけないことがあるということは、これまで絶えずそういう議論はあったと。しかしながら、今回の農協改革というのは今までのと全く違うというふうに言われていて、まずこの農協改革先にありきだという御発言があって、これ非常に印象に残ったんですね。それで、今までの農協改革と全く質を異にするという改革だという指摘について、北出参考人はどう思われるかということが一つです。  それからもう一点は、非農民的支配ということで、先ほどの最初のお話の中でありましたけれども、非農民的支配と農業、農村改革問題についてお聞きしたいんですね。  意見陳述の中で、非農民的勢力の支配は具体的には政府による権力支配と換言できますというふうに言われました。それからまた、ILO勧告の話もされたと思うんですね。政府による権限支配というのはどういうことなのか、なぜILO勧告の話をされたのかということについてお聞きをしたいと思います。
  64. 北出俊昭

    参考人北出俊昭君) まず第一点なんですけれど、私が先ほど一番最初に申し上げたのと関係するんですけど、今度の農協改革の一番重要な、従来と違う特徴は、政策の策定過程にあるように私は思います。  従来、先生方も御承知のように、農業政策、農協政策も含めて、その政策が国の政策になる場合は、農林省が主体になって、与党の農林部会とかしかるべきところと話し合った上で、農業団体の意見も聞いて政策をつくっていたと。つまり、ボトムアップ方式ですね。  しかし、今度の場合はそういう手法ではないんじゃないかと。最初に規制改革会議がありで、そこで決定された問題が、あるいは話し合われて確認された方針が、そのままと言うのはどうかと思いますけれど、国の政策として現在、法案の改正案も出されていると。したがって、トップダウン方式といいますか、そこが私は非常に大きな今度の農協改革案の特徴じゃないかと思っています。  したがって、現在、現場意見が十分くみ上げられていない、現場に即して内容が決められていないという意見は、そういうところにも私はあるんじゃないかと。だから、ここのところをどういうように今度考えていくのか、この法案の特徴として非常に大事なところじゃないかと思います。  それから、第二の非農民的支配の問題、これは非常に議論の分かれるところだと思います。やっぱり非農民といった場合に、今の現状で、先ほども出されているように、じゃ全部農民の方がいいのかという話になってきたり、あるいは農民の人以外でも経営感覚のある人がどんどんやっぱり農村のリーダーになるべきであると、私はそれはそうだと思います。非農民的の人たちの登場といいますか登用拡大というのは、そういう意味では私は多様な需要に応えていくには必要だと思います。  私は、ここであえて非農民的支配を政府による権力支配と言うのは、先ほど言った、今度の政策の策定過程がどうもボトムアップ方式じゃなくてトップダウン方式ということは、結局政府協同組合あるいは農業団体に対する介入になってきている、少なくともそういう危険性があるんじゃないかと。  先ほどお話ししたような農業団体法のときでも、そこではやっぱり、当時の井野農林大臣は、はっきりと、目標は農村、農民挙げて戦争に協力する団体をつくるんだというような意味農業団体の統合がされたことははっきりしているので、そうあっちゃいけないと、やっぱり協同組合として本来の活動をやっていくことが必要なんじゃないか、そういうように思っています。
  65. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございます。  では、次に香川参考人にお聞きしたいんですけれども、これは実は富山の穴田会長にもお聞きしたことでもあるんですけれども、香川会長も全中で自己改革案をまとめられる、そういう座長をされたということであります。昨年の十一月に自己改革案をまとめられたと、しかし、その直後に規制改革会議農業ワーキンググループの会議農協見直しに関する意見書を出して、全中監査の義務付けの廃止ですとか、准組合員規制を早期に導入するということを求めたわけです。  それで、ちょうど総選挙があって、それを前後して政府・与党でも議論が行われて、最終的には、一つは准組合員利用の規制、それからもう一つは中央会扱い、言ってみればどちらを選ぶかみたいな、こんな議論があったということも、焦点になっていたということも報道されているんですよね。  それで、二月八日ですね、このときに全中が、報道ですけれども、最終的には折れたという報道があって、はっとして読んだ記憶があるんですけれども、そのときにどういうやり取りがされていたのかということ、自己改革を、先ほど来お話あったんですけれども、尊重されたのかどうかということについて、改めてお聞きしたいと思います。
  66. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) そうですね、自己改革政府といいますか、そことの間で、今年の初め頃からどういうような交渉過程があったかということについては、恥ずかしい話、実際我々も、やっぱり全中の三役といいますか、そこで詰めてきておりますので、そこまでは我々としたらどういう過程でどうなったかというのは聞いておりません。  ただ、中央会をどうするか、あるいは准組合員をどうするかということについては、中でいろいろと検討して、我々としたらやはり従来どおり中央会農協法の中で残してもらいたいということがあったわけですが、この中央会問題につきましては、もう既に昨年の四月段階から新たな中央会にすると、昨年のですよ、というような方向性決まっておったので、まあそういう方向性に基づいてされたのではないかというように思っております。  ただ、准組合員問題につきましては突如と出てきたような感じがしますので、これは絶対我々としたら、今准組合員をどうこうすることについては、何としても我々としたら反対していこうではないかということをいろいろと討議をした経過はあります。  ですから、よく後から聞くとバーターであったのとかいうようなこともありますが、そこらのいきさつについては、本当、恥ずかしい話、私も座長をそのときしておったですが、詳しいことについては分かりません。
  67. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。  次は、石田参考人とそれから天笠参考人にお聞きします。  富山県で行われた地方公聴会のときに、非営利規定の削除というのは協同組合の否定につながるという意見ですとか、それから准組合員の利用制限は認められないので削除してほしいという意見も出されました。  この二点について、それぞれから御意見を伺いたいと思います。
  68. 石田正昭

    参考人石田正昭君) 今日もお話ししましたけど、そもそもにおいて、農協法の立て付けでは組合員というのが、十二条だったかな、あって、それは農業者あるいは非農業者というのかな、そういう人を組合員にしました。十六条でその農業者が共益権も自益権も持っている。共益権というのは議決権、投票権で、非農業者は持たないよと、こういう立て付けになっています。したがって、組合員と言った場合には正も准も込みで組合員なんです。そういう立て付けで、例えば、最大奉仕、非営利というのが第八条で言われてきて、そのとおりにやってきたんですよ、今まで。それが、この度はそこを変えようということで七条が出てきているという、事業運営原則が出てきているというふうに理解しています。  それで、じゃ、そこはどういうふうに読み込むのといったら、結局第二項にこういうこと、農業所得最大配慮しなきゃいけないという項が入ってきて、これはただ単純に農業者所得増大に取り組めばいいというふうな規定としては読めないわけですよ。何でこれを、出てくるのという、何でそこだけ強調しなきゃいけないのということですね。そこに不連続があるということですから、現場は付いていけませんよと。  しかも、先ほども申し上げましたけど、現在の監督指針でどう書いてあるかというのをお話ししますよ。  現在の監督指針では、准組合員制度は、農協農業者のみならず地域住民生活に必要な生活支援機関としての役割を果たすことが農村の活性化にとって望ましいこと、ここから次ですよ、また、農協としては、事業運営の安定化を図り、正組合員へのサービスを確保、向上する上でも、事業分量増大することが望ましいことから、地域に居住する住民等についても農協事業組合員として利用する道を開くために設けられている。実態としても、農協は、地域に居住する住民の生活に必要な物資の販売、医療、介護サービス等の提供を行うことなど地域社会において重要な役割を担っていると。これ、今、監督指針というのは、簡単に言えば行政庁、都道府県が各農協を検査するときにこれが基本の視点になっているわけですよ。これ、今も生きているんですよ。この今生きているのを完全に否定するわけですよ。現場は付いていけませんよ。  ただ、奥原さんのあれ聞いて、次にこういうふうにも書いてあるわけですよ。「このことを踏まえつつ、正組合員の減少と准組合員の増加が恒常的となり、正准比率が逆転する農協も見受けられる現状に鑑み、非農業者である准組合員の増加により、その事業運営が農業振興を進める上で正組合員の利用メリットの最大化に支障を来すことのないよう、」、よく言っていますよ、奥原さんは、正准が逆転した、これが大問題だから、その正に原点回帰するために今度は法律を作ったと言っているけれども、もう既にこれは現在の中でも言われていることですよね。  それで、その次ですよ、重要なことは。「准組合員の加入に際しては、農協制度の目的・趣旨の理解の促進に努めるとともに、正組合員准組合員との交流の促進等を図っていく必要がある。 併せて、准組合員意見をどのように事業に反映させていくのかについて工夫していく必要がある。」と、こう書いてあるわけですよ。  これならみんな納得するわけですよ。今度のメンバーシップ強化、アクティブ・メンバーシップというんですか、それをJAグループがやると。これは当然やらなきゃいけないことで、ここなら付いていけるわけですよ。これを否定しているというのが今度の法律改正じゃないですか。だから、それは現場は付いていけませんよということが私の基本になっています。  以上です。
  69. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 最初に協同組合の方ですが、私はそこまで詳しく内容については不勉強で存じ上げておりませんので、私からというか若者から思う協同組合在り方ですよね、そこについては、我々は本当に、出資者、利用者、経営者、その三位一体となっているのがこの農業協同組合だというふうに思っています。これをいかに我々がしっかりと引き継いで、それを後々の後継人たる人間にどういうふうに継承していけるのかということが一番大事だというふうに我々は常々思っています。  それから、准組合員に対してですけど、我々のやり方の准組合員に対する理解は、食と農の理解促進なんです。それは、地域農協が、食農教育というものからいろんなものを育むといった意味合いで地域がどうしても必要なんだよ、農業っていろんな多面的機能を発揮しているんだよといったことをどんどんどんどん後追いをするように、地域住民に対する理解と、それから、それがやはり子供たちに教えることによって親御さんたちも少しは食というものについて考えるようになるだろうというふうに思います。子供の食、やはり好き嫌いも随分減りますし、やはり食べ物を食べて笑顔にできるのって農家だけだと思います。  そういった意味では、私は、そこまで徹底的にやるためには、やっぱり准組合員の方は我々を本当に応援してくれる、それ以上に我々も今度は恩返しをしなければならない、それは次の代を担う小さな子供たちの命をやはり今後も長く継承できるだけのスタンスを通してやっていけるようにしてあげたいということがありますので、その辺はそういった形でやりたいと思います。  以上です。
  70. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございます。  あと二、三分ぐらい時間があるので、あとちょっと四人の方に一言ずつ話していただきたいんですけど、地方公聴会でもそれから今日のこの参考人質疑でも、改正案議論をすればするほど懸念だとか、それからやっぱり意見が出されてきていると思うんですけど、そういう状況の中で、私は、とんとんと何か知らないけど採決してもう通ったわというふうにするのはおかしいなと思うんですよ、どう考えても。やっぱりちゃんと出てきた意見をきちっと受け取ってどうするのかということが必要だと思うんですけど、その点で、やっぱりこれを受け取って政府に対してこうすべきということを是非一言ずつお願いしたいと思います。
  71. 香川洋之助

    参考人香川洋之助君) 地方公聴会、また今日の公聴会といいますか、我々が言った意見を十分に反映してもらって、政府の方にも十分に伝えるようにやっていただきたいということだけであります。
  72. 石田正昭

    参考人石田正昭君) 手短に答えたいと思いますが、簡単に言えば、これを否決するなんという、難しいと思うんですよ。したがって、私は、是非附帯意見として、七条二項を准組合員利用規制根拠規定としないということを一文入れてくださいよ。これが重要ですよ。そうしたらかなりの部分不安は除去されると思いますよ。私は皆さんにそれを期待するよ。立法府の議員の方々、あなた方が作る法律なんですから、最低限そこまできちんと入れておいてもらわないと、安心して農協運営なんかできないというのが本当じゃないでしょうか。  以上です。
  73. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 我々も自己改革の中で農業所得増大に全力で取り組むということははっきりと言っております。一方で、やはり食と農を基軸として、地域に根差した協同組合として地域活性化にも取り組んでいく、そういうことも非常に重要だということも思っております。農業者職能組合としてのやはり我々ですよね、その性格と、それから地域に開かれた地域組合としての両方を併せ持つ協同組合というのが実態なんではないのかなというふうにも思いますので、その辺十分やはり考えていただきたいというふうに思います。
  74. 北出俊昭

    参考人北出俊昭君) 富山の地方公聴会の、これは農業新聞にも載っていたわけですけれど、あれやこれや見て、現在の農協法の改正案について賛成している人は見られないんですね、少なくとも私が知る限りでは。  今までの農協改革、最近でいえば、農協のあり方研究会の報告とかあるいは経済事業在り方についての検討委員会中間報告とか、いろんな方針が出ているんですけれど、反対意見はあっても賛成意見も見られて、やっぱりこれが一つの方向じゃないかと意見が合ったわけです。だけど、今度は、現場を含めて少なくとも私の知る限りでは賛成している人は見られない。この法案は、このまま通るということは、国政の政策策定の在り方としていいのかと、そこを非常に危惧します。先生方の是非慎重審議お願いしたいということです。
  75. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  76. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎でございます。  今、紙先生のところで各参考人の方々がまとめに入っちゃったものですから、何か終わりのような雰囲気もあるんですけれども、最後少し、ちょっとマクロ的というか総合的な話で少し私の方で締めくくりの質疑ができればというふうに思っております。  確かにこの委員会、非常に異常な状態になっているなと私も思っておりまして、元々私自身農協改革すべしということで、この農林水産委員になってから逆に言うと一番厳しくやってきた実は身だったんですが、聞けば聞くほどやっぱり法律の問題点とか、やっぱり現場で受け入れられていないという、ここまで受け入れられていない改革ってあるのかなということを疑問に思っておりまして、我が党なのか私なのか、最後の採決の投票、今正直悩んでいるような状況でございまして、党議拘束もないものですから自由にこの委員会意見でやらせていただきたいと思って一生懸命質疑させていただきたいのですが。  まず、何が多分間違ってしまっているのかなということについては、農協改革とともに二つのもしかしたら農政の方向のボタンの掛け違いがあるのではないかなというのが非常に感じるところであります。  一つは、いわゆる農協協同組合地域の位置付けですよね。これが、もしかしたら、よく考えてみたら、単に農協改革ということではなくて地方創生との関係、この辺のやっぱり議論がまだ不十分なんじゃないかなと。そんな中で農協議論ばかりをやるので、何となく、それは個別に見れば農協組織上の問題があるということだとは思いますけれども、ただ、オールラウンドに見た場合の役割というのがあるんじゃないかなというのは確かにそのとおりだということで、その観点欠いたまま、農協の機能の議論ばかりしているということに少しちょっとゆがみがあるような気がしています。  二点目なんですけれども、要は規模に対する考え方というのがあって、多分農林水産省は、どちらかというと土地、特に土地利用型に関しては人数が減っていくので、何とか土地を維持するためには規模を拡大するという方向に行く。そんな中で、御指摘もありましたとおり、家族農業がやっぱり中心だった現場に対して、その辺りの方向感がずれながら、中間管理機構みたいな議論もあってなかなか現実的にうまく機能していないんじゃないかなと。  であると、やっぱり一戸当たりの、もっと規模拡大だけではなくて効率化、あとは施設型と土地利用型とのバランスを逆にどう取っていくのか。特に、中山間地、狭い中で土地規模拡大と言ったってそれは限界があるでしょうから、そういうことも総合的に考えるということで、日本型農業というんですか、どちらかというとやっぱり欧米のに倣えば、土地利用型は当然そりゃ土地が大きい方が効率的だということになると思うんですけれども、必ずしもそういういわゆる経営手法ということだけでは解決できない在り方。そこに例えば農協が、要は土地利用型であれば、やっぱり収益が非常に厳しい中で、農協だけがいわゆる米麦に関して買ったり売ったりということをサポートしてくれていると。逆に言うと、施設園芸型はどちらかというともうかりますので、余り農協にお世話にならなくても直接やれる、力も出てきているという中での農協役割が、土地利用型においても規模拡大じゃないところで一定の役割を果たしてきたんじゃないかなと。  私も改めて今回の質疑を聞いていると、済みません、最初に意見を言っちゃって申し訳ないんですけれども、感じるところがあって、そんな実は大きな政策論の中から農協の位置付けをもう一度見直していかないと、単に何がいいんだ悪いんだということだけでは済まないのかなと、こんなことで質疑していきたいと思いますが。  まず最初に、地域協同組合としての在り方ということで、これは石田参考人にお伺いするのが一番最適だと思いますが、私も、石田さんがおっしゃるとおり、職能組合というよりはもしかしたら農協というのは地域協同組合だったのかなと。たまたま地域が農村においては農業のシェアが非常に大きかったから職能組合としての色彩が強かったけど、考えてみれば、今、各地域、正直農業のポーション、非常に小さくなっている。どこの地域だったとしても、農業基幹産業であるといっても残念ながらいわゆる稼ぎ出している産業でないことは間違いがない中で、でも地域の雇用だったりとか地域を支えているということは間違いがないということもしかりでありまして、そう考えると、元々地域協同組合だったものが、農業のポーションが大きかったからこそ職能組合としての色彩も強かったものが、今元々の立て付けである確かに地域協同組合に戻ってきたんじゃないかなと。  そう考えると、信用事業も共済事業も、私もどちらかというと分離論ということを当初は言っていたんですが、とはいうものの、地域で集めたお金が中央に吸い上げられて別に使われるよりも、地産地消の観点から、地域で集められたお金は地域に還元できる方がそれはいわゆる地域活性化ということではいいわけでありますから、そういう論点だってもしかしてあるのかなと。  ただ、そうなってくると、要は地域の私的企業とのイコールフッティングだけは気を付けていかないと、逆に地域における農協はいわゆる既得権益ということになって総合的な産業の地域のバランスを崩すということだけはいけない、あくまでも地域でも競争をしながら、それでも一方で地域協同組合として成り立っていくというのが必要だと思います。  その辺り、そもそもこれ地域協同組合という形にしてしまうと、分かりにくい話をして准組とか正組とかと言っているぐらいだったら、もう地域協同組合として改組し直してやっていくという方向の方がよっぽど地域のためになるのではないかなというふうに思うんですけれども、石田参考人、その辺り、今後の在り方も含めていかがでしょうか。
  77. 石田正昭

    参考人石田正昭君) 法の在り方以前に、実態として、今度は逆に地域協同組合純化路線というのはこれまた非現実的でございます。職能組合純化路線も極端、地域協同組合純化路線も極端です。このまま職能組合かつ地域組合としてやるというのが、これまで担ってきたことだし、この方向を追求していくことが必要だと。  先生のちょっと御質問と直接重なるんですけど、農林水産省の食料・農業・農村基本法では、農村は生産の場であると同時に生活の場であると、この農村振興を図るというのが食料・農業基本法の基本項目の一つになっています。その上で、農業団体はこの農村振興を図るように努めなければならないと、こう書いてあるわけですよ。つまり、農協農業者だけの期待に応えるんじゃなくて地域の期待、インフラになっているんですよと食料・農業基本法は書いてあるわけですよ。それをやらなきゃいけないよと言いながら、他方でそれは否定しているわけでしょう、今回は。  更に言っちゃえば、今度の食料・農業基本計画、食料自給率の上昇だとか食料自給力の向上なんていうときに、農協なくして農地集積、あるいは農協なくして転作誘導とか、あるいはホールクロップサイレージでもいいですよ、こういう施策を進めていけるんですか。いけないですよ。農協を外して何ができるんですかというふうに思っています。  なので、おっしゃるような意味も私は分かりますよ。だけど、それは両方、職能組合追求も地域組合追求もこれは極端です。
  78. 山田太郎

    山田太郎君 まさに石田参考人のような多分議論が足りなかったがために、農協であれば農業のことをやるのは当然だろう、ゆえに、確かに職能組合純化路線というのは非常に今日分かりやすい議論だったと思いまして、その論点からいったら、確かに理屈上は准組合員どうなのと、全部そういうふうになっちゃっていたということが、やっぱり話として、地域でどういうふうにこの協同組合があるべきかということがまだまだ議論として足りなかったんじゃないかなという反省はしております。  さて、次でありますけれども、担い手ということで私も随分こだわってやってきているんですが、実は天笠さんたちですか、青年部の方で作られた冊子、非常にすばらしいというふうに思っておりまして、今日は、実は委員席には小泉農林副大臣も座っていらっしゃいますので、是非これ政府にも、政府見ていらっしゃるとは思うんですけれども、一個一個のいろんな問題が包み隠さずというか具体的になっておりまして、特に行政に対しても何をすればいいかということが事細かくありますので、逆にこのとおり農水省はできないものかというような質疑もしたいんでありますが、これはちょっと参考にさせていただいて今度やりたいと思いますが。  この中でも私が特に注目していますのが十九ページの後継者・新規就農者対策ということであります。大変によくまとまっておりまして、なぜ担い手が増えないのかということはもう課題は全て挙げられていると。要は、初期投資、閉鎖的な環境、農地取得の問題で新規就農者の障壁が高いですとか、農作物の価格が不安定であるということ、後継者のことに本腰を入れられていない、それから知識もかなり必要だということに対する教育の問題点、それからやっぱり都市と農地、農家との疎遠関係で農業が遠い職業と、まさにもうこれが全てだということで、大変感心をしながらこれを拝見させていただきました。  ならば、逆にどうしていかなければいけないのかということを是非お伺いしたいと思いますし、もう本当に担い手の中の担い手でありまして、私は今日お伺いしていて、こういう方がもしかしたら農協を次の世代、どんどん率いていっていただければ文句を言われるような農協にはならないのではないかというぐらい実力のほども感じたんでありますが。  とはいうものの、足下、農水省の方も作っている資料によれば、要は二万人ずつ増やさなきゃいけないものが維持もできない。そうなってくると、いわゆる耕地三百万ヘクタールを耕すということは非常に難しいということで、どうやって新規就農者を増やしていかなきゃいけないかということなんですけれども、もう現実的に、じゃ、どうすればいいのか。  幾つか打つ手は書いてあるというものの、やはりここで具体的に天笠さんの方からも、期待のホープとして、是非この辺り、今日は小泉副大臣も来ていらっしゃいますので、委員として並んでおりますから、是非聞いていただければと思っておりますので、その辺り、今後の担い手在り方というんですか、増やし方、少し知恵を貸していただけないでしょうか。
  79. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 担い手の増やし方といいますけれども、やはり機械、技術が発達しています。ある程度一人一人がやる面積も増えているというところで、でも、中にはやはり自然的なものを利用した農業というものに非常に関心を持っている方々もいます。農水省の方である程度、新規就農者を確保しながら、新規就農準備金だとかいろいろな資金は充ててやっているんですが、どうしてもやはりそこからの成功例というようなことに結び付くのが非常に難しいのかなというふうに思います。  我々が考える新しい意味合いの人づくり、仲間づくりということからすると、どうしてもそういう新しい新規就農者って年配の方々の御指導を仰ぐところが非常に多いところが実際あると思います。そういうところよりも、実際に年齢も同じぐらい、そんなに世代が離れていない方々のところへ行って新しい研修をやって、現在の農業在り方、政策、制度によっていろいろやはり変わらなきゃならないこともありますので、そういったことを先進的にやっている農家のところに行くことが一番ベストなのかなというふうに思います。  特に、三十代、四十代、経営というものがある程度安定期に入っている人間たちがどうやって二十代、三十代前半までを過ごしたかということを、やはりそういうところへ行って学んだ方が、どちらかというと、今の社会を考えたときに、やはり六十歳とか五十歳後半の方々のところへ行くよりも若い方々と一緒にやる意味合いの方が、どちらかというと、仲間づくり、それから販売先の確保、そういったものについても非常にプラスになるというふうにも私は思います。  そういったことをやはり受入先としてJAがやらなければならないことであったり、行政がやらなければならないことであったりとか、いろいろありますが、何しろ一番必要なのは地域の地主さんたち理解です。そこが一番難しいのかなと。新しい方が入ると、それなりにリスクも背負う、地域になじむまでの難しさというのがありますから、そこら辺が一番難しいのかなというのも思いますけれども、何しろ、だから若い方々のところに先進的に入ることが今最大の道しるべになるんではないのかなと、そして営農経済が潤うような地域実態になってくるのかなというふうに思います。  以上です。
  80. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、これも現場感ということで天笠さんにお伺いしたいと思っているんですけれども、今の農政、どちらかというと農地を守るというところに非常にちょっと過度に置かれているんではないかなという私は実は嫌いを持っています。やっぱり農業をしようとする担い手を含む人、それから産業としての農業というんですかね、そちらに軸足を置くべきであって、余り土地の確保であるとか地べたをうまくするとかということについてどんどん補助金を出すとか、そういうことではないような気もするんでありますが。  ただ、一方で、先ほども申し上げたように、土地利用型に関しては規模拡大というのが非常に今回大きな政策として出てきています。食料・農業・農村プランの中でも、三百万ヘクタールを三十万人で維持するために一人平均、一人ですよ、一人平均十ヘクタールという目標値が出ていますが、私はこの委員会ではさんざん、それは無理だろう、幾ら何でも無理だろうと。今日、天笠さんの方は、まあ頑張って十五ヘクはやれるよということだったんですが、それはあくまでも天笠さんのようなところなんであって、やっぱり家族経営九〇%、もしかしたら一〇%の規模化、産業化したところに関してはそういうものをもっともっと目指していくことはできるけれども、一人当たりが十ヘクタールをやっていくというのは私は現実的じゃないと思っていまして、であれば、三百万ヘクタールはもしかしたら諦めてでも、トータルな規模を縮小してでも生産性を上げるということの方が具体的なんではないか。そうしないと、大規模化すると、これは天笠さんの方からもありましたけれども、リスクも増大していく。全ての人がそんな新規就農者でもってリスクを背負えるのかというと、これはまた難しいということもあります。  それから、中山間地においても規模の拡大なんてそれは当然無理でありますし、私もこれは委員会でさんざん言っていたんですが、撤退の農村計画じゃないですけれども、もう耕す人がいない限界集落、残念ながら、ある程度自然に返していく、広葉樹の森に戻していくということもありなんじゃないかなと、こういうふうにも考えて、とにかく重要な農地をできる人でやっていく、もちろん、できる人は担い手として増やしていくと、こういう策なんでありますが、その規模に対する考え方。もちろん、ある程度規模もなければ土地利用型というのは収益も成り立たないということも事実なんですが、あるいは家族経営を中心としたということもあるんですが、規模に対する考え方をどう捉えていけばいいのか。  今の政策では、何となく一人十ヘクタールを目指すんだと、こう言っておりますが、それだけだといろんなところに矛盾が起こると私は思っていて、私も、じゃ、どうすればいいのというのに正直今答えを持っていません。でも、規模に対してどう考えていけばいいのか、逆に規模をどんどん大きくされていこうという天笠さんなら答えを持っていそうな気もしましたので、是非その辺り。それと、農協が、今回、本来やる、そういったことに対する役割みたいなものも付け加えていただければというふうに思います。
  81. 天笠淳家

    参考人天笠淳家君) 私の住んでいるところって平地なんですね。中山間地に行けば十ヘクなんてもう完全に無理です。それこそ本当に無理なところであって、やっぱり中山間地だと高原野菜とか付加価値を付けながら、地域の特色に合った農産物を作っているのが現状だと思います。  水稲も同じです。中山間地で段々田んぼがあったりとか区画整備ができないような棚田が広がるようなところなんというのは、なおさら付加価値を付けてやられていると思います。そういうところはやっぱりのり面が長かったりとかして、日本型直接支払の中で傾斜の支払というのもつくっていただいて、それは十二分に中山間地でも機能しているのかなというふうに思いますが。  それ以上に、やはり我々みたいな平地のところではうまくそういったことは進みますが、例えば都市近郊に行ったらそんなのもまた無理なことで、一人一人が、生産者個々個々が特色ある農産物作りをやっているのが地域の実態なのではないのかというふうにも思いますし、やはり作物別に考えても、それは実態と、先ほど山田先生がおっしゃったように、地域実態に合ったやり方をしなければ非常に、面積ベースで話をしても、それは絶対無理だと思います。富山とかそういう水田地帯であればある程度面積を確保することも可能でしょうけど、非常に難しいことなんじゃないのかなというふうに思います。  それからもう一点、農協がどういうふうに携わればいいかということもありましたが、それは地域実態によってそれも同じようにやはり変わるところもたくさんあると思います。私も何回も言っていますが、家族農業が基本であればあるほど、それは農協という協同組合が一生懸命采配を振ってやることが、地域を安定的に潤すだけの活力ある潤い方をするいいベースになってくるのではないのかなというふうに思います。  以上です。
  82. 山田太郎

    山田太郎君 本当は最後に各参考人にこの法案についてどう考えるか聞きたかったんですが、これはもう先ほど聞かれてしまいましたので、先ほどの紙先生のところの皆さん答えていただいたもので代えさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。以上です。
  83. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたします。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  大変それぞれお忙しい中、長時間にわたり御出席いただきました。また、貴重な御意見を賜った次第であります。委員会代表しまして御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。(拍手)  参考人の方々は御退席くださって結構でございます。本当にありがとうございました。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  84. 山田俊男

    委員長山田俊男君) それでは、速記を起こしてください。     ─────────────
  85. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 去る六日に行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。野村哲郎君。
  86. 野村哲郎

    野村哲郎君 委員派遣の御報告を申し上げます。  山田俊男委員長山田修路理事、徳永エリ理事、紙智子理事、金子原二郎委員古賀友一郎委員、中泉松司委員馬場成志委員堀井委員舞立昇治委員、郡司彰委員、柳澤光美委員、平木大作委員、儀間光男委員山田太郎委員及び私、野村哲郎の十六名は、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案の審査に資するため、去る六日、富山県に派遣され、富山市において地方公聴会を開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、質疑を行いました。  公述の要旨について申し上げます。  最初に、全国農業協同組合連合会富山県本部運営委員会会長・みな穂農業協同組合代表理事組合長の細田勝二公述人から、農協の理事は地域のリーダーであって地域で決めるべきものであり、過半数を認定農業者等にすることは現場に混乱を招くおそれがあること、全農を株式会社化した場合、独占禁止法の適用除外が受けられるか否か懸念していること等の意見が述べられました。  次に、富山県農業会議会長の鍋嶋太郎公述人からは、農業委員の選出方法を選任制に変更するに当たっては、地域推薦において透明性のある手続が行われる必要があること、農協は専業農家と兼業農家を同等に扱っているので、専業農家の思いが届かない面があること等の意見が述べられました。  次に、宇川農産の宇川純矢公述人からは、農協中央会は、農協青年部女性部の事務局機能を担うなど教育活動を行い、地域農業の将来を担う人材育成に重要な役割を果たしていること、六次産業化に魅力を感じているが、農家が取り組むには設備投資の負担が重く、農協支援が重要であること等の意見が述べられました。  最後に、富山県農業協同組合中央会会長の穴田甚朗公述人からは、准組合員事業利用が制限されれば営農指導事業の予算確保や新規事業投資も困難となり、農協事業に重大な影響を与えること、公認会計士監査の義務付けに当たっては、将来にわたって実質的な負担が増大しないことが担保されるべきであること等の意見が述べられました。  これらの公述人の意見に対し、派遣委員より、農業委員会法改正に当たって期待すること、農協法改正の必要性や背景、農業所得増大に向けて農協が取るべきリスクの中身、経済事業を補完する信用・共済事業の必要性、全農が株式会社に組織変更した場合の影響、新規就農を拡大するための方策など多岐にわたる質疑が行われました。  以上が地方公聴会の概要であります。  会議内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。  なお、地方公聴会に先立ち、南砺市において、福光農業協同組合が運営するライスコンビナートや直売所を視察するとともに、同組合及び南砺市農業委員会等の関係者と意見交換を行いました。  最後に、今回の委員派遣におきましては、公述人及び関係者の方々に多大な御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。  以上、御報告申し上げます。
  87. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  なお、地方公聴会速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散会      ─────・─────    〔参照〕    富山地方公聴会速記録  期日 平成二十七年八月六日(木曜日)  場所 富山市 ホテルグランテラス富山    派遣委員     団長 委員長      山田 俊男君        理 事      野村 哲郎君        理 事      山田 修路君        理 事      徳永 エリ君        理 事      紙  智子君                 金子原二郎君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 郡司  彰君                 柳澤 光美君                 平木 大作君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    公述人        全国農業協同組        合連合会富山県        本部運営委員会        会長        みな穂農業協同        組合代表理事組        合長       細田 勝二君        富山県農業会議        会長       鍋嶋 太郎君        宇川農産     宇川 純矢君        富山県農業協同        組合中央会会長  穴田 甚朗君     ─────────────    〔午後二時三十分開会〕
  88. 山田俊男

    ○団長(山田俊男君) ただいまから参議院農林水産委員会富山地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします農林水産委員長山田俊男でございます。よろしくお願いします。  まず、本日の地方公聴会に参加しております委員を紹介させていただきます。  私の右隣から、自由民主党の野村哲郎理事でございます。  同じく山田修路理事でございます。  同じく金子原二郎委員でございます。  同じく馬場成志委員でございます。  同じく堀井委員でございます。  同じく古賀友一郎委員でございます。  同じく舞立昇治委員でございます。  同じく中泉松司委員でございます。  次に、私の左隣から、民主党・新緑風会の徳永エリ理事でございます。  日本共産党の紙智子理事でございます。  民主党・新緑風会の郡司彰委員でございます。  同じく柳澤光美委員でございます。  公明党の平木大作委員でございます。  維新の党の儀間光男委員でございます。  日本を元気にする会・無所属会の山田太郎委員でございます。  次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。  全国農業協同組合連合会富山県本部運営委員会会長・みな穂農業協同組合代表理事組合長の細田勝二公述人でございます。  富山県農業会議会長の鍋嶋太郎公述人でございます。  宇川農産の宇川純矢公述人でございます。  富山県農業協同組合中央会会長の穴田甚朗公述人でございます。  以上の四名の方々でございます。  この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  皆様方には、御多忙のところ御出席いただきまして、大変ありがとうございます。  参議院農林水産委員会におきましては、現在、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案について審査を行っております。本日は、本案について皆様方から貴重な御意見を賜るため、当地富山市において地方公聴会を開催することとなった次第でございます。  皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の委員会審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、公述人の方々からお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。また、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。  まず、細田公述人からお願いいたします。細田公述人。
  89. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) 大変御苦労さまです。今ほど紹介いただきましたみな穂農業協同組合組合長をしております細田です。また、一方、今も紹介あったわけでありますが、全農富山県本部運営委員会会長も昨年の七月から務めさせていただいておるところであります。  今回、この法案の改革ということの中において、いろいろと、特に農林水産の皆さん方にお世話になっておりますことを本当に感謝を申し上げますし、今後とも、ひとつまた目を配って私どもを見ていただきたいなと、こう願っておるところであります。  特に、非常に暑い日が続いておるわけでありますが、北陸新幹線もできたこの富山に開催していただきましたことを本当に感謝申し上げる次第でありますし、また本日、公述人として参加させていただいたことにつきましても、私としては非常に光栄に思っておる次第であります。  時間は限られておるわけでありまして、資料もお渡ししたわけでありますが、まず、この改革の中身に入る前に、今現在私どもがどのように取り組んできたのかということをまずかいつまんで申し上げたいと思いますけれども、資料を全部読み上げておりますとこれは時間が掛かりますので、このものをかいつまんで申し上げたいと、なおかつ、後ほどまた目を通していただければ有り難いなと、こう思っておるところであります。  今まで私ども、この農協法は昭和二十二年に施行されたわけでありまして、私の誕生と同じときに、私もそのときに生まれました。そして、農協に入ったのは、昭和四十年に就職したわけでありますけれども、その間、一貫して営農指導体制の強化に力を入れてきたところであります。特にその間には、やはり元々の校区ごとにあった農協の合併、これは四十四年にやったわけでありますが、十農協を一つの農協として入善町農協になったわけでありますけれども、その後も朝日町との合併、入善町との合併、位置的に申し上げますと、分かりやすく言いますと、新潟の本当の県境になります。二つの行政またいでのみな穂農協としての今九年目に入っておるといったところであります。  この間、今までの経過の中には、二十一年には代表理事になり組合長になったわけでありますけれども、その前には、平成十五年から入善町農協の常務として務めさせていただいております。特に私は元々営農指導員として二十五年間ほど入ってから継続してやっておりましたので、どうしてもやはり農業の問題から、頭の中から離れないと。  今までの農協というのは、やはりよく先輩、先人の方々からも教えていただいたわけでありますけれども、農協法の中の基本目的でありますいわゆる農業生産力の増進、そしてまた農業者所得、社会的地位の向上、そしてまた組合員最大の奉仕をするという、そういう内容を基にして、私どもはやはり農協理念に基づいて、当時は一人一人の力では購買力、販売力、非常に弱かったと思うわけでありますけれども、それを農協になってやっぱりスケールメリットを求めて運営してきたものと、このように思うわけであります。そういった面においては、やはり非常に有り難いというように思って、地方農業のためにかなりこれは強い効果があったと、このように捉えておるところであります。また、特にこの中には、目的には、農協は営利を目的としないと、こうなっておりますので、奉仕の精神の下に立ってやはり組合員のために活動してきたというのが現状であります。  そういった理念によって、やはり相互扶助、そしてまた協同精神の下に立ってみんなで農村を支えてきたと、このように捉えておるわけであります。こういったことについての今度の農協法の改正についてはどうなるのかということについていろいろと論点が私どもあるわけでありますが、後ほどまた少し一部申し上げたいなと、こう思うわけであります。  まずもって、今まで取り組んできた内容、そこに資料として出しておりますけれども、私どもはやはり北陸地帯でありますので、米一本というような世界であります。特に、工場で作るものではありませんで、全てにおいて自然の中で年一回しか取れないと、非常に天候も毎年変わるわけでありまして、その天候に、どう自然に打ちかつかということの中で年一回の米を収穫するという実態であります。  そういう状況の中でも、やはり稲作を含む主穀作の状況では、やはり過去にはずっと、そういった組織をどうするか、やはり集落営農、そしてまた中核農家の育成、今現在かなり農地の集積という問題もありますので、私どもの管内は九千七百戸ほどの組合員がおります。そのうちでは、正組合員が五千六百六十ほどでありますので、大体の率でいきますと六〇%は正組合員というように捉えていただければというように思うわけであります。  そういった状況の中で、今現在ではもう、集落営農、そしてまた企業農業、そういった組織がもう六十ほどできまして、担い手の育成に努めて、そのように進めておるところであります。  そういった状況の中では、過去から転作が強いられておるわけでありますけれども、効率の良い転作をやるためにはどうあるべきかということについて、ブロックローテーションを行って効率の良い転作を進めてきたというのも農協主導で行ってきたところであります。また、当然、この間におきましては地力を上げるということが私どもの、やっぱり一回しか取れないものをどう品質なり収量を高めていくか、そういったことに取り組んできたわけでありますが、もう一方では、やはり安全、安心をいかに消費者に届けるかという面、そしてまた、農薬をたくさん使えば日本海の、特に富山湾の魚毒の問題も懸念していかにゃならぬということの中において、減農薬米の生産にも取り組んできたところであります。  こういった状況の中では、昨年、コシヒカリが私のところは九五%近い作付け比率であります。非常にこの辺は高いわけでありますけれども、やはり一回しか取れないという面において、できるだけ価格の高いものを作ろうというように取り組んできたというのが実態であります。そういうおかげで、生産者の力によって、昨年はコシヒカリの一等比率は九八%になりました。今年もこの好天の、余りにもちょっと暑い状況でありますけれども、維持したいなと取り組んでおるところであります。  そういった高品質な米を作ってきておる状況の中では、転作がかなり高くなってきたものを、一回しか米を取ることはできない状況の中で、転作田をどう所得に上げていくかということが私たちの狙いでもありました。そういった面で、今年は七年目に入るわけでありますが、輸出米に取り組みました。これで今年は七年目になるわけでありますが、現在、世界二十四か国ほどまでに手を広げてやっております。私のところの生産については、私のところの農協生産は、本年度の計画は四百トンを生産するということで今取り組んでおるところであります。  ただ、リスクはかなりあったわけであります。やはり輸出米においては国からの補助金はない。当然のことであります、これはWTOに抵触する問題でありますので。それでもなおかつ転作田で米を作ろう、やはり持っておる施設でフル活用していこう、そしてまた水田をフル活用していこうということの中に立って取り組んだわけでありますが、ただ、もし売れなかった場合は一粒とも国内に自給してはならないという内容のものでありますので、かなりリスクを伴って取り組んできたということであります。ますます、国の宣伝しております世界に日本食のブーム、そしてすしブームのおかげもかみ合って順調に今生産を伸ばしてきておるのが現状であります。  そういった取組をやってきまして進めておるところでありますが、特に今こういった米単作地帯で、特に米が中心型でありますので、何かほかのものをやっぱりプラスした作物を作っていかにゃならぬということにおいて取り組んだわけでありますが、十年前からプラスワン、つまり米プラス園芸作物何かという運動をしてきました。  当初は営農主体にプロジェクトをつくっていろいろ検討させたわけでありますが、あれでもない、これでもない、こういい、ああでもないということをやっておったわけでありますが、言うておっても駄目だと、やはり実践して失敗するものは間違いなくあるから取り組んでいこうということの中において、恐らくその中には幾つか取り組めるものが出てくるぞということで、十年目を迎えておるわけでありますが、おかげで桃の産地として今動き出したところであります。  なおまた、里芋、そのほかにたくさんのいろんなものを、県の指導で一億円産地というものを今運動しておるわけでありますが、私ども、やはり一つの作物で一億円も大事でありますけれども、多品目野菜産地というものもこれは大事じゃなかろうかということで今取り組んでおるところであります。  そういう状況の中で今いろいろとやっておるわけでありますが、ただ、何を作ってもそういったものはすぐに売れるものではありません。大変に苦労しました。そういった面において、六次産業化の話も来まして、私のところも先駆けて認定を受けまして、そういったプラスワンのものを加工品の中に組み入れていこうということで、加工、開発の施設等も国の助成で造って今展開しておるところであります。  なおまた、二年前にはその延長線によって、直売所でありますが、あいさい広場を造ったわけでありますけれども、今二年目に入りまして、一年間の売上げが一億七千万くらい、そのうちの農家が出したものは一億二千万くらい今来ております。  そういった面においては、間違いなく多品目が必要だということで、やはり地産地消、そういったものを絡めて今展開しておりますが、やはり昔は市場を頼りにしておったわけでありますけれども、やはりこの北陸地帯では、大阪の市場それから関東の市場、特に大阪市場だったわけでありますが、遠距離という問題でたたかれてしまいます。そういったものをいかにして解消して、自分で値段を付けれる売り方をやっていこうということで、今直売所では全て農家が値段は自分で付けています。私のところは、農協は一切それには口出しをしないということで進めておるところでありまして、今一億二千万ほどの年間の、農業者の作ったものが売れておると。  ただ、直売所は、ですから、午前中でもう品物はほとんどなくなると。午後はどうするのということでありますが、市場から入れるということは一切私どもはしない、なくなればそれで今日は終わりという形の中で今進めておりますが、やはり今の消費者というのはかなり安全、安心を求めておられるというのがはっきり分かるくらいになってきております。そういった面では有り難いなと、今後ますますそういった面を高めていこうというように考えておるところであります。  そういった状況の中では、経営の効率化ということの中においてもやっぱり一番大事なのは、農協では私どもは基本は営農指導であります。私のところの管内の中では、営農指導員を十八名今活動してもらっております。なお、この人件費はどこが面倒を見るのと。そしてまた指導事業では、約一億円を福祉事業まで含めて年間計画しております。こういったものが、いろいろ言われております准組合員利用規制という問題が入りますと、こういったもの全てにおいて農協はできなくなると。  となりますと、こういったことについても私どもは危惧するところでありますし、やはり地方の農村形態、全てにおいて崩壊するんじゃなかろうかと、こういう懸念もいたしておるところでありまして、やはり私どもは、草刈りなんかでも、地元の自然環境、農村の自然環境を守るために、正組合員のみならず准組合員も出てきて、みんなで村ぐるみでやっておると。なお、そのことによって、やはり自然環境を守る、そしてまた多面的機能も守られ、維持されておるというように理解しておるわけでありますが、員外利用規制准組合員規制になりますと、完全に生産者と消費者とは離れてしまいます。そういった内容の中では、村の形態は成り立たぬというように思います。  そういった、もう時間がないようでありますけれども、そのことによって、今農業所得増大ということが一番この目的になっておりますが、私はこの農業所得増大というのは、国レベルの産業としての所得の上げることを言っているのか、いや、私どもの思いは、やはり農業者所得増大するということが思いであります。そしてまた、農家所得が上げていくことが私どもの狙いであります。  そしてまた、そのことによって農家経済が潤ってくると、であれば、その地域地域的にも農村が潤っていると、このように思っておりますので、そんなに大変わりはしないと思いますけれども、そこら辺の捉え方がどうなのか。また、この農業所得増大というものについて、あとの法改正の中には何がそのことによって変わるのということについては全くどこにも見当たらないというふうに私は捉えておりますが、その部分はやはり政策でどのように担保していただけるのかなと、このようにも捉えておるところであります。特に米の下落の問題もありますので、今後ともひとつお力をお借りしたいなと思います。  そのほかには、理事の問題もありますので、今この過半数を認定農家にするべきでないかというようなことになっておるようでありますけれども、今現在、私どもは地区の推薦で理事を決めております。当然ながら、田んぼをつくっておる人しか推薦されません。もう一つは、認定農家ということに限らず、やはり地区のリーダーという方がおられるわけであります。その地域を引っ張る方、そういった方、それからまた精通した方もほかにはおられます。そういう方はやはりその地区で十分に決めていただくというのが、私どもの現在のやり方で妥当じゃなかろうかなと。  ただ、今後どうなるのということについては、こういった制約しなくても、どんどんどんどん農業者は、今私どもの農地集約は七一%いっております、ますます拡大するものと思っておりますので、認定農家しか農業をやっている者はいなくなるのはもう遠からずであります。黙っておっても理事はそういった方に替わっていきます。  そういったことも含めていきますと、こういったやはりきちっとした線を引かれますと、その地区で選ぶ内容は非常に混乱する。私どもの総代会では、三十年の総代会で変更せなならぬという面が出てきます。そうすると、どういうように選出する形をつくればいいのか、なかなかこの辺は整理は付きません。そういったこともやはり考えていただきたいなと思うわけであります。  それからまた、信用事業監査の問題でありますけれども、今現在私どもは外付けの監査機構でやってもらっておりますし、県の指導監査も受けております。当然ながら、監査は大事なことでありまして、別にまた監事監査、内部監査、いろんな監査方式で今やっておりますけれども、公認会計士に変更するということについては、私はちょっとそれでいいのかなと思うのは、やはり公認会計士というのは、財務諸表、決算に関わる問題でありますので、しかやらないよということになりますと、やっぱり業務監査というのは誰が面倒見るのというように思うわけであります。  いろんな話の中では、全中からかなり強い指導が来ておるということの、縛られておるというような話も出ておるようでありますけれども、私はそんなことを感じた覚えは全くありません。やはりそれは昔はありました、当然、護送船団の頃は。今は、各々単協は自由であります。その代わり自己責任というものが付いておりますから、やはり費用の掛からない現状の状況をひとつ守っていただくようにお願いしたいなと。  それから、やはり、私は全農の関係もしておるわけでありますが、いわゆる株式会社化という話も出てきておりますけれども、私がここで一番懸念するのは、やっぱり独禁法の除外の問題、これが整理付くのかどうか。やはり一人一人が弱かったからこそ、共計、そして市場に安定した供給をするという、そういうものが崩れてしまうと、今後どうするの、強い者、弱い者の農家をつくるのというような面も出てきます。十分その辺も考えていただきたいなと。  もう時間がないようでありますので、今後准組合員利用の問題も、この中では少し話したわけでありますけれども、地方の農村のインフラを含めて共有しておる正組合員准組合員、十分にパートナーとしてやっておりますので、十分その辺考えていただきたいなと。  特に、ちょっと嫌なことを言うかもしれませんが、この法改革はどこから出発したのということについては、間違いかどうか分かりませんが、私の捉え方では規制委員会から出てきたものじゃないかと思います。私は、そのメンバーを見てみますと、ほとんど経済界そしてまた市場原理主義者、そういった方で、現場を知らない方が何で私たちのこの農村を触るのかと言いたいくらいでありまして、今後、皆様方にも十分農村の実態を見て、ひとついい方向に作り上げていっていただきたいなと思うわけであります。  まだ言いたいことがあるわけでありますが、恐らくこの法案についてはもう整理付かぬと思いますので……
  90. 山田俊男

    ○団長(山田俊男君) また時間がございますので、またの機会に伺います。
  91. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) 今後、政省令辺りで弾力的、柔軟に対応できるように、そしてまた今後御指導いただけることをお願いしまして、時間が来たようでありますので、終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  92. 山田俊男

    ○団長(山田俊男君) ありがとうございました。  次に、鍋嶋公述人にお願いします。鍋嶋公述人。
  93. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) ありがとうございます。こういう機会をいただきまして、本当に有り難く思っております。  私は、富山県農業会議会長という職で今回出ております。それとは別に、有限会社ドリームファームの代表取締役会長という名前でも今回意見を述べさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  まずは、今ほど、みな穂農協の細田さんが意見を述べられました。同じ町であります。でありますので、入善町のことに関しては少し述べられましたけど、もう少し私の方から説明をしたいと思います。  まずは面積ですけれども、耕地面積が大体三千七百から三千八百ヘクタールございます。それで、その中で、今、入善町というのは土地利用型農業であります。米作り一本であります。そういう中で、転作として大豆なり、それから麦なども生産をしているわけであります。  特産品としましては、皆さん御存じだと思うんですけど、入善ジャンボ西瓜という、大きいのでは二十五キロぐらいになる大きなスイカが、今盛んに、ちょうどなっているところだと思います、収穫されていると思います。あとはチューリップ球根の生産が大変盛んなところであります。  簡単ではありますけれども、入善町については以上にさせていただきまして、当社のドリームファームの件についてなんですけれども、一枚の資料、裏表の資料がございますので、それを御覧いただければと思います。  経営面積は大体百ヘクタールぐらいを今経営しております。生産は当然米が主体でありまして、あとは、先ほども述べましたように、生産調整で大豆、それから野菜、それと、冬期間にハウスを利用してチューリップの切り花を栽培しております。  私と妻とで平成五年から始めまして、平成十四年に有限会社ドリームファームを立ち上げたわけであります。現在、十四名の従業員で今作業をしております。私らはサラリーマンでして、いわゆる脱サラ組であります。ですので、栽培とか営農に関しては無知識でありながらこういう世界に入ったものですから、農協さんには大変お世話になり、今まで栽培から、それから営農について御指導いただいたことに感謝をしておるところであります。  ただ、私らは、コンセプトとして、自分で作ったものは自分で責任を持って価格を付けて売りたいなと。今ほど組合長さんからも発言がございましたように、農家が自分で価格を付けて販売することがやはり一番最大の目標ではないかなというふうに思っています。  それでいきますと、まず、野菜の方では、近くのスーパーマーケットさん、それから農協のあいさい広場の方にもお世話になり、販売をさせていただいております。それから、切り花のチューリップについては、大手の量販店の方と契約栽培をしております。あと、重大なる米の部分なんですけれども、これについては、実は三割程度、三割弱なんですけど、農協さんにお世話を掛けて委託販売をしていただいているところです。  それ以外については直接販売をしております。その内容としては、業者の方、それから最近ではインターネットを使って販売もしておりますし、それから、東京の方に出向いて、いわゆるマルシェという形なんですけど、そこでは販売よりもPRが目的で今販売活動をしているところです。  あとは、最近の六次産業化ということでありまして、それについては、お米ではありませんけど、米を使った麺、いわゆる米粉麺でラーメンとうどんとを作っておりまして、それについて今、香港、上海、青島の方で販売を開始しました。これが将来、そういう採算に合うようになれば大変重要な部分じゃないかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。  それで、今回の法案についてなんですけれども、農協法については、私どものお付き合いについてお話をさせていただきます。  当初からの栽培方法などは、先ほど言いましたように、大変農協さんにはお世話になっております。ただ、私ら法人にしてから、その部門、部門で採算の取れないところが出てきております。それらについては、自らの力で価格を形成したいなということになっておりますので、そこで今のお付き合いを見ますと、信用事業については、ほぼ農協さんになります。特に、私らは設備投資企業であります。大変大きなお金が要るようになりますので、それについては、いわゆるスーパーL資金などというもので、日本政策金融公庫さんとのお付き合いがございますので、農協さんを中心にさせていただいておるところであります。ただ、地方銀行さんとは、それ以外の部門、先ほど言いましたように輸出とか、それから個々の販売の部門、そこについて部門別で通帳を分けながらお付き合いをさせていただいております。  あとは、共済事業はほぼ農協さんにお世話になっております。  あと、経済事業ですけれども、資材、それから農機、農薬については、その都度、私らとしても、見積りを取ったり、それからサービスの面とかをいろいろ勘案しながら決めているところであります。  営農事業ですけれども、今全農さんとタッグを組んで、私らの方にもアプローチがあるんですけれども、なかなか、私から見るとスピード感がちょっと足りないのかなというのはございます。私らは、土地利用型や野菜の分野でいろいろのメーカーさんからのいわゆる提案がございまして、それが大変興味の深いものが多くあります。例えば水田農業でしたらICTを利用した農業の仕方だとか、それから野菜でしたら日本列島をリレー栽培しながら販売をしていくという、そういうアプローチもございます。大変興味の深いものがあります。  北陸で野菜を作る、自分で自ら売ることができない、それを全国レベルでリレー販売をするという大変面白い事案もありますので、そこら辺はこれから農協さんもそういう全農さんを使った形で私らと共同でできることがあればしていきたいなというふうに思っております。  販売ですが、一番は先ほど言いましたようにお米なんですけれども、先ほど言いましたように三割弱です。これについてはこれからもっと少なくなるのではないかなというふうに思っております。なぜかといいますと、やはりお客様が購入される価格というのは、今私らが生産価格で農協さんにお渡しして販売してもらっている価格の約倍です。それで流通経費それから販売経費などを差し引いても、倍はないだろうと私は思っております。ですから、その分について、私らのいわゆる利益の部分は私らが利益を取りたいなという思いがありますので、米の販売については、私らはだんだんこれからはそういう形で農協さん以外のところの販売の部分が多くなってくるんじゃないかなというふうに思っております。  以上ですけれども、これからは農協さんとは離れていくということではなくて、これからもどんどん多くのお付き合いができるような形になってもらいたいなと思っています。なぜかといいますと、私らのお客様というのは、当然お米を買ってもらっているお客さんもおいでになりますけれども、私らは今現在大体百二十ぐらいの農家の方々から田んぼをお借りしてやっております。ですから、農家の方もお客様です。そういう形でありますので、農家の方は農協とのつながりが深い、それから地域農家の方もおいでになりますので、そこで私らはこれからは農協等を通しての関係を深くしていきたいなと思っております。  そういうことを申し上げると、問題点がいろいろあります。一番私らが思っている幾つかを申し上げますと、私らと同等に同じように農家の方、いろんないわゆる専業農家の方もあれば兼業農家の方もおいでになるわけですけれども、そこら辺が、平等な立場で基本的に考えておられますので、私らの部分の思いがなかなか届かないのもあるんじゃないかなと思います。  それから、先ほど言われましたけれども、米の販売についてもこれは委託販売であるがゆえ、なかなか農協さんの方でリスクは取れない部分、先ほど輸出についてはリスクが高いと言われました、当然です。そういう形で、米の販売全部が全部リスクを取ることは難しいでしょうけれども、これからはそういうわけにいかないのじゃないかなというふうに思っております。  あとは役員の関係なんですけれども、実は私らに、本当一部の役員の方々から私らが利用していない部分について利用を差し止めろと、そういう話も実は来ているわけなんですね。そういういわゆる古い農協の考え方がまだ一部残っている部分が私らとしてでも大変耳障りがありますので、そこら辺は払拭しながら、いわゆる農協改革自己改革の中で役員立場というものをもっともっと前の方に出していってほしいなというふうにあります。  担い手というのはこれから、今ほど組合長さんも言われました、大変多くなると思います。これ、いやが応にも担い手重視の農協になっていくんじゃないかなと思いますので、これからは当然、有利販売をする体制とか、それから資材の価格の引下げなどを全農さんとサポートしていただきながら今後やっていってほしいなというふうに思っております。  あと、中央会との関わりの方なんですけれども、実際のところ、私、農家としての付き合いというのがなかなかございません。ただ、農業会議としての中央会さんとのお付き合いというのは農業団体という形で大変深いものがございますので、そこは深くこれからも、規模拡大とかとございますけれども、そういう形でお付き合いの方をさせていただければなというふうに思います。  これまでは農協法に関してでございました。  次は、農業委員会の方でございます。  これについては、基本的には時代に沿った農業委員会になるのではないかというふうにこの改正案を期待しております。  その中で、富山県入善町の資料というのがございます。このページの一番後ろの八ページになりますけれども、そこを御覧いただければお分かりになると思うんですけれども、農業委員の数について書いてあります。富山県が農業委員の会数が十五会ありまして、人数は三百四十一名あります。入善町は十八名であります。選挙委員の方が二百四十六、入善町は十一名、そういう形でなっております。時間がございませんので、これを一読していただきたいと思います。  今度は変わりますね、今までの公選制から選任制に変わるということなんですけれども、これについては、いわゆる市町村長の選任になる前に各地区で推薦はされます。その時点で一部の方の恣意的な推薦の仕方がないように、透明性のある推薦方法にしていただければなというふうに思っております。よく市町村長の恣意的な選任は良くないということがございますけれども、私は、その以前に地域で推薦するときの選任をするわけですけれども、そのときの選任するときの仕方として恣意的な推薦の仕方のないようにしてほしいと、二度言いましたけれども、申し訳ありません、そういう形でしていただきたいなと思っております。  あとは数ですけれども、先ほど言いました農業委員、富山県は三百四十一名、これは全国一番少ない県であります。なぜであれば、これ市町村合併が進んだわけでありますけれども、そういう形で、今農水省で出ました人・農地プランの地域からの委員がほぼ今進めております。そういう形でありますので、少なくとも農業委員の数については人・農地プランの地域から一名という形に私は進めてほしいなというふうに思っております。  それから、農地利用最適化推進委員、いわゆる推進委員の方なんですけれども、これについては、まず仕事は何をするかという問題がございます。これについても大変議論のあるところなんですけれども、私の思いとすれば、人・農地プラン、それから今あります農地中間管理機構、この働きが大分これからは随分と中心的な業務が出てくると思います。その中で、いわゆる農業委員、それから推進委員の方が一体となってその中心的な業務をしていただきたいなというふうに思っております。  そうであれば、数からいっても農業委員の数と推進委員の数は同等であるべきかなというふうに思います。なぜならば、その地域において農業委員と推進委員のタッグを組むわけでして、ただ、地域によっては、人・農地プランの地域ですが、その地域によっては集落の相当数の多い地域もございますので、そういう場合は推進委員の方が複数おられる方がスムーズに事がはかどるんじゃないかなというふうに思いますので、そこら辺は考慮していただきたいなと思います。  それから、女性、青年、認定農業者の割合ですよね。これはよく言われますけれども、私自身、個人的な考えではありますけれども、これについても枠設定などという方法もあるでしょうけれども、私は、先ほど言いました、地域での選任される時点で、そこに女性の方がおいでになれば、この人であればいいなというふうな推薦の仕方があれば、そうすればいいと思います。ただ枠をつくって、女性の方が農業委員に何名要りますよというのは私は最適ではないと思いますので、それと同等、青年農業者、それから認定農業者についても、それは推薦される、人選される時点での推薦になるのではないかなと思っております。  あとは事務局体制ですけれども、今、入善町では五名の事務局員がおります。中間管理機構や許認可業務が大変これから忙しくなるわけでありますので、そこについては、ある程度の長期間、私は五年一くくりぐらいかなと思うんですけれども、それぐらいの固定化をしていただきたいなと。許認可についても大変難しい業務がありますので、その事務局員については五年くらいの係の固定化をしていただきたいなというふうに思っております。  あと、来年の四月一日からの施行でございますけれども、それまでに改選されるところがある場合は来年まで延ばしてもいいよという延長期間がございます。それについては、この国会が長引けば長引くほどだんだん難しくなりますので、それについては延長期間のことを御検討いただきたいと思います。  済みません。なかなか時間が取れなくて申し訳ありません。あと二点だけお願いいたします。  許可申請の許認可について、転用の許可ですよね。三十アール以上については農業会議意見を聴くということになっております。それ以下については、意見を聴くことができるとなっていますけれども、これからは、重要な案件であれば、三十以下についてでも農業会議を通して意見を聴取するということをこれからも進めてほしいなと思いますし、それから財源については、今、都道府県農業会議、それから全国農業会議所は知事やそれから農水大臣の指定する指定法人になります。そういう形ですので、許可法人から一般社団法人になると、なかなか県とかそれから団体さんとか市町村からの会費の納入が難しいのではないかなというふうな話も出ておりますので、そこら辺は政府、国会としても積極的に働きかけの方をよろしくお願いしたいと思います。  終わりになります。生産活動に取り組む多くの人たちの思いに沿った、将来に希望の持てる法改正お願いいたしまして、私の方からの意見とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  94. 山田俊男

    ○団長(山田俊男君) ありがとうございました。  次に、宇川公述人にお願いします。宇川公述人。
  95. 宇川純矢

    ○公述人(宇川純矢君) 皆さんこんにちは。自分は宇川農産の二代目として農業に従事しております宇川純矢と申します。今回、このような意見を述べる機会を一農家である自分に与えていただき、本当に光栄に思っております。  まず初めに、少し時間をいただき、自分の経歴と我が家の概要、経営について御説明させていただきたいと思います。  平成元年、自分が高校を卒業した年に、創業者である父が四十二のときに、自作地二・五ヘクタールから宇川農産を設立して耕作を開始しました。正直なところ、自分は農業を継ぐ気は全くなくて、専門学校を卒業した後、平成十七年までサラリーマンとして働いていましたが、父がちょっとけがをしまして作業ができないということで、会社を退社して就農するということになりました。  就農当時は三十ヘクタールという受託面積だったんですが、現在は、水稲が五十・一ヘクタール、飼料米が十二・一ヘクタール、大豆十七・七ヘクタール、ハト麦十四・四ヘクタール、野菜が〇・五ヘクタールと、延べで九十五ヘクタールの栽培を行っております。このハト麦というのが日本で生産量が日本一ということで、大変高い栽培能力を持っているということが言えると思います。この栽培面積を、七十を超える両親と自分、妹、従業員二名、繁忙期にお手伝いいただいております御近所の皆様の少数で、機械化による効率化で何とか乗り切っているというような状況であります。  平成二十一年度の実験事業補助金により多くの機械を更新、追加購入できたことで、省力化、少人数での作業が行えるということができているということをこの場をお借りしまして御礼申し上げたいと思います。  ただ、近年の農機具の高騰で、農家は本当に悲鳴を上げている状態であります。同じ六条のコンバインが米価二万円しているときに一千万円程度だったのが、今は半分の価格になっている米価が、一万円程度の米価のときに一千六百万円というとんでもない高い金額になっているということを皆さん御存じかどうか分からないんですが、本当に機械の更新すらままならないというような状況になっているということが現状としてあります。特に、この先もっと効率を上げて、TPP等々の対策として、米価を安く作るというようなことの施策として先行投資がどうしても必要になってくるんですが、それはもう全くできないような状況下ではないかなというふうに思っております。是非、農機具の価格の現状を知っていただき、適切な支援、又は廉価版のような農機具の開発等の支援等をして、現場の声を聞いていただきたいなというふうに思っております。  さて、我が家の経営で大きな転換になったのが、平成十五年にエコファーマーを取得したことです。翌年に補助金をいただきまして、個人で堆肥を収納する堆肥舎を建てさせていただきまして、堆肥散布を積極的に行うようになりました。このこともあったのか、自分の親の世代の方々は自分の土地を肥やしてくれているというふうに喜んでいただいて、農地が、本当に思う以上に、順調過ぎるぐらい預けていただけるような状態にあります。ただ、専業農家がどんどん増えて兼業農家が少なくなっていっている中で、果たしてこの先今までと同じように堆肥散布ができるか、臭いとか苦情が出るんじゃないかというような懸念はやはり持っております。  お気付きとは思いますが、我が家は、これだけの面積を預けていただきながら個人経営事業主です。法人ではありません。なぜかというと、それは、明確なメリットが感じることがなく、おやじも法人にする気が余りないということで、法人にはしておりません。  それと、我が家のJAとの関わりについてお話しさせていただきたいと思います。  報道されているように、組合員JA事業利用が絶対ということはもう全くなくて、米の販売、農薬の購入、肥料の購入はメリットに応じて自分で自由にさせていただいております。我が家は、JAライフさんの方で我が家の米としてお米を販売していただいているということもあって、その部分に関しては農協さんの方でお世話になっております。  信用事業に関しては、農協さんをメーンに利用させていただいております。これについては、農業関係業者さんはJAさんの口座を持っておられるということと、我が家の財務状況で一般の銀行さんがお金を貸してくれるのかなというちょっと疑問もありまして、本当に農協さんオンリーというような形で使わせていただいております。  共済についてもJAさんがメーンです。日頃から顔にする方々が保険の勧誘とかに来られたら、やはり安心感を持って入れたり、アフターサービス等も大変迅速で、車の事故等も起こしたときでも、県内だったらすぐ来てもらえるとかというような状況下なので大変助かっております。  最もJAさんで頼りにしているのが農機具のメンテナンス、アフターサービスです。北陸は、御存じのとおり、日照時間も短く、田植時期や稲刈りの時期に悪天候が続き、機械故障で作業が遅れると本当に致命的なことになりまして、収量の減少であったりとか品質の低下、またそれに伴って収入の減少ということで、連鎖的に本当に大変なことになっていくということで、シーズン中は自分以上にJAの機械課の皆さんには深夜を問わず働いていただいていることに本当に感謝申し上げる次第であります。  次に農業委員会についてですが、自分の父が今農業委員をしております。細かい業務内容はちょっとよく分からないんですが、自分の家の周りに、ど田舎なんですが、コンビニが六軒あります、三キロ圏内に。十キロ圏内を見渡すと、廃業したコンビニが何軒もあります。こういう状況下を見て、また空き家も目立つ中、アパート建設も驚くほどしております。こういった中で、数年後、数十年後、この建物がしっかり維持されて商売されているのかなということを、人口比率からしてみてもちょっと疑問に思うところもありまして、こういうことをしっかり、景観も含めて、農業委員会の方々が必要かどうかという判断も本当は必要なのではないかなというふうに思う次第であります。  また、企業の農業参入についてですが、今、富山県環境整備機構というところが富山県にありまして、次世代施設園芸ということでトマト栽培に参入されております。大変大きな補助金が入り、販売も順調と聞いております。  私たちは機械の補助金もなくて更新にも苦しんでいる中、これから新しく企業参入されるという方々に大変大きな補助金が入っていく姿を見たときに、自分たちはその農業予算で機械の更新もできない中、どんどんどんどん新規参入されているということに少し恐怖を感じる次第であります。是非、今までやっている農業者にもしっかりした支援をいただきたいなというふうに思っております。  もう一つ、我が家は平成二十年度より飼料米の栽培を開始しております。当時、産地づくり交付金のその他作物ということで、十アール当たり七千円の補助金、飼料米の販売価格がキロ三十円、六百キロ収穫できたとしても十アール当たり八千六百円という無謀な計画の中で、飼料米を栽培しようというふうに思いました。JAさんと市役所さんに相談し、御協力をお願いしたところ、地域振興作物ということにしていただき、プラス三万円という補助金の中で二十年度にスタートすることができました。  なぜそんな収入で飼料米を栽培したかというところですが、小矢部市青年協議会という農業で生計を立てている農業者の団体がありまして、その中で、小矢部市というのは余り農産物でこれといった、入善さんのようにジャンボ西瓜があるわけでもないという地域でありまして、何か特色のあるブランド化したものを作りたいということで、小矢部市の、県下の採卵鶏八〇%を飼育しているということもありまして、主食用米をぜいたくに給与した卵をブランド化していこうという発想の下、また、その当時たまたま穀物が高騰していたりとか、自分たち耕種農家は大豆、麦の連作障害、リンカリの高騰により肥料がすごい高かったということもあって、無謀な計画で父も大反対したんですが、一緒にやっていこうと言っていただけた諸先輩方の協力、JAさんほかいろいろの協力の下、二十年度には三軒の耕種農家、十三ヘクタールで九十五トンの飼料米栽培、経営所得安定対策により現在は二十五軒、五百六十トンまで増えております。  飼料米の栽培農家は積極的に鶏ふんの利用をし、減化学肥料、コスト削減を図り、地域循環による循環型農業を行っております。耕作農家はより良い餌を、養鶏農家はより良い堆肥をという関係を築き、焼却しなくても散布しやすい微生物の生きた完熟堆肥を提供していただくということができるようになりました。  堆肥は飼料米だけでなく、食用の圃場にも散布していて、食味向上、地力増進、自然環境の改善など、多くのメリットを感じております。是非、飼料米収穫後の鶏ふん堆肥散布に耕畜連携の取組としていただけることを強くお願いいたします。  当協議会は畜産クラスターの事業にも採択していただき、更なる卵のブランド化にもつながると感謝いたしております。また、この取組を小矢部市だけでなく富山県に広げることを目的に、合同会社ぐるる富山という会社を設立することに参加させていただきました。富山県下の飼料米のマッチングと十三年ぶりに富山県コシヒカリが特Aを取得したということを継続することをお手伝いできればということで、堆肥をブランド化するという新しい発想の下、その堆肥を販売し、ぐるぐる循環するという農業のイメージを社名としました。  富山県の循環型農業をクリエートするというコンセプトの下、飼料米を給与した畜産物のPRを積極的に行っていきたいというふうに思っております。このPRが飼料米の中で絶対的に必要だというふうに感じておりまして、畜産物が付加価値を付けて販売できなければ、畜産サイドからすればこの飼料米の使用というのは本当にデメリットでしかない、コスト高にしかつながらないということで、いかにこの畜産物を高くPRして売るかということが本当に必要になってくると思います。また、どんどんどんどん飼料米というものに着目されていて、送料とか保管料のコストの増加がすごく懸念されるところもありますので、この辺も一つの課題かなというふうに思っております。  次に、中央会さんとのつながりについてお話しさせていただきたいと思います。  自分は、平成二十四年、五年とJA富山県青壮年組織協議会の会長をさせていただいておりまして、二十四年には全国農協青年組協議会の理事も経験させていただきました。  今までの一般部員だった頃は、地域活動に参加させていただいているだけで、中央会との役割や業務は全くよく分かっていませんでした。その中央会さんが自分たちの関わりの中でどういう位置付けなのかなと考えたときに、青年部員が将来地域の総代や理事、組合長はちょっと大げさかもしれませんが、そういった人材を育成する大きな役割を持っているんではないかなというふうに思っております。また、全国農業者のつながりや意見交換の場を中央会さんがつくっていただいたということに関して、私は本当に感謝しているところであります。  現在は、支部の支部長をさせていただいて、地域農業祭で販売する白菜の栽培や公民館祭りなどで売る野菜を作ったりとか、地道な活動をさせていただいています。  また、小矢部市農業青年協議会という先ほどの会ですが、花育活動という活動も行っております。園児に花を育ててもらい、父の日や母の日にプレゼントしてもらう活動や、小矢部市のバラをプールに浮かべて楽しんでもらう、楽しさ、癒やしを感じていただいて花が好きな子供になってもらうという、将来自分の手元に、周りに花がある環境で生活していただけるようなそういう活動を一生懸命やらせていただいております。また、JAさんとは六本木農園のレストランや有楽町にあるアンテナショップ等で一緒に販売協力もさせていただいております。  世間では、多くの補助金を与えられて甘やかされ、楽な商売だと農業は思われているのかもしれませんが、現実はほとんど休みもなく、子供と年に一回海に行くのがやっとです。今日も朝より無人ヘリコプターで農薬を一生懸命まいてまいりました。ぎりぎりまで仕事をしてこの場に来ております。  最後に、六次産業化は大変魅力を感じております。しかし、自分のこの経営状態の中で、売れる保証もない加工品等に設備投資することは大変リスクを感じております。この投資が本業の栽培を圧迫する可能性もあり、自分は、これから政府の示す農業方向性とは違うかもしれませんが、一農業者として栽培に専念できる環境を願うばかりです。その上で、JAさんが六次産業化による付加価値販売、地域加工業者とのマッチング等をしていただき、必要とされる農家を目指していきたいというふうに思っております。  最後に、農協法の改正とは少し違う話もありましたが、一農業者として自分たちJAを一生懸命改革していこうというふうに考えております。現場の思いに近い改革ができるのではないかというふうに思っております。是非、皆様の慎重審議をいただいて、現場の思いの積もった農協法にしていただけたらなというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
  96. 山田俊男

    ○団長(山田俊男君) ありがとうございました。  次に、穴田公述人にお願いします。穴田公述人。
  97. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) 皆さん、ありがとうございます。  私は中央会会長の穴田甚朗と申します。昭和四十年に学校卒業と同時に、私は富山県信用農業協同組合連合会、富山県信連に勤務をいたしまして、農協が行う信用事業への支援を通して、組合員営農生活向上のため尽力をしてまいりました。その後、地元のJA事業に関わってほしいとの要請を受けまして、平成十三年にJA高岡の代表理事組合長に就任をいたしまして、十年間務めさせていただいた後、平成二十三年に富山県農協中央会会長に就任して、現在その任に当たっております。  ついでながら、昨年六月、与党・自由民主党から提言をいただいた農協農業委員会等に関する改革の推進についてに基づき、JAグループでは、真の農協改革は外からの押し付けではなく自らの意思に基づく自己改革でなければならないとの下に、その具体策検討するため、全中に総合審議会が設置されたわけでありますが、私はその総合審議会の中央会改革専門委員会座長として自己改革の取りまとめに関わってまいりました。  本日、参議院農林水産委員会富山地方公聴会の公述人として意見陳述の機会を与えていただきましたことを光栄に存じまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。  それでは、時間の関係もあります、簡単に本県のJA農業現状を申し上げたいと思っております。  富山県には、十七のJAと、県段階中央会、厚生連、全農県本部、全共連県本部の四つの組織があります。県内のJA組合員は約十四万四千名でありまして、正組合員が八万名、准組合員は六万四千名であります。本県の農業産出額は六百四十三億円。内訳は、米が四百四十六億円で約七割を占めており、次いで畜産九十億円、野菜五十五億円、果樹二十一億円であります。耕地面積は五万九千ヘクタールあるわけでありますが、そのうち九六%が水田でありまして、水田率は全国一位であります。また、農地の担い手カバー率は五三・五%にまで行っておりまして、全国七番目となっております。  それでは、農協法等の一部の改正に関する法律に関しまして、五点にわたって意見を述べさせていただきます。  まず、組合の事業運営原則の明確化についてであります。  今回の農協法改正の主要目的の一つに、組合の事業運営原則の明確化が明記されました。農協及び連合会は、その事業を行うに当たり、農業所得増大最大限の配慮をしなければならないと明記されたわけであります。今回、我々JAグループは、自己改革で再確認をしておるわけでありますが、食と農を基軸とした地域に根差した協同組合として、農業者所得増大農業生産拡大地域活性化に取り組むことを基本目標としておりまして、我々としてもこの趣旨に賛同するものであります。  しかしながら、現行法に明記してあります協同組合組織の基本理念である、営利を目的として事業を行ってはならないとの現行条文をわざわざ削除されたことに、現場とのずれ、協同組合の否定につながらないか疑念を感ずるものであります。今般改正されておりません第一条の法の目的に基づきまして、今後とも適切に協同組合の発達に促進するようお願いをするものであります。  その上で、附則第五十一条第二項に、農業協同組合などの改革の実施状況、並びにこの法律の改正後の規定の実施状況を五年後をめどに検討し、必要があると認めるときは措置を講ずると、こうされたわけでありますが、具体的に何を検討しようとしておるのか、また、何をどこまで取り組めばJA農業者所得増大に取り組んだことになるのか、ここら辺りが見えないということでありまして、そのときそのときの為政者によって恣意的にこの条項が利用されることが懸念されるわけであります。あくまでもJA協同組合組織であることを踏まえて、この点を法案審議の中で明らかにしていただきたい、このように思っております。  本県JAグループでは、園芸生産拡大に向けて、県と連携して一億円産地づくり事業に取り組んで、農業者所得増大などに積極的に取り組んできておりまして、これまでも県内JAが優良事例として政府にたくさん取り上げられております。また、担い手への集積率あるいは農地の流動化率等々、まさに全国的にも高い地位を占めておるわけでありまして、本県としましては、現在JAが進めている取組を継続することこそ農業者所得増大に資するものと確信をいたしております。  次に、理事構成の見直しであります。  今回の法改正案においては、新たに、理事の過半は認定農業者や農畜産物の販売その他の当該農業協同組合が行う事業又は法人の経営に関し実践的能力を有する者とすることが規定されております。  県内のJAの実態を調べますと、認定農業者は理事は一七%、集落営農役員なり農業法人の役員を加えますと四四%という状況でありまして、法人経営に関し実践的能力を有する者を加えますと過半数を超えるものと思考されております。現在も、理事は地域農業発展のために担い手の意向も反映して農協事業運営に取り組んでおりますけれども、もちろんこれからもこの取組を強化させていきたいと考えております。  こうした中で、JAによっては管内に認定農業者がほとんどいないことから、理事に登用不可能なJAも存在をいたしております。また、認定農業者など有資格者全てが相互扶助あるいは共存同栄を理念とする農協理事として適格かどうかの点もありまして、理事の構成見直しについては機械的に選ぶのではなくして、各JA地域の実態に合わせてJAの理事として適格な者を選べるようにしていただきたいのであります。  次に、第三点は、准組合員事業利用規制についてであります。  本県の正組合員准組合員の割合は、正組合員五六%に対しまして准組合員は四四%と、正組合員の方が多い状況にありますが、年々正組合員が減少し准組合員が増加しているのも事実であります。  一口に准組合員と言いましても、正組合員が離農して准組合員になる場合、あるいは正組合員家族や地域住民JAを利用したいからということで加入する場合など、多種多様な准組合員が存在いたします。  いずれにしましても、准組合員の利用がなければ、農協法の第十条、事業、この第一項目に明記してあります、組合員のためにする農業の経営及び技術の向上に関する指導、いわゆる農協が一番やらなきゃならぬ目的営農指導事業に関する予算的な措置もなかなか確保できなくなるのではないかと考えております。いわんや、新規事業に関する農業関連投資などは不可能になると言っても過言ではありません。  私どもJAグループは、自己改革の中で、持続可能な農業、豊かで暮らしやすい地域社会実現するため、准組合員農業地域経済発展を共に支えるパートナーとして位置付けて、JA事業運営への参画を推進することにしております。  今回、政府は、准組合員の利用実態を五年間調査して判断するとしておりますけれども、仮に准組合員の利用を制限したならば、地域農業を牽引するものであるJAの機能が大きく衰退するだけでなく、地域住民生活に大きな影響を与えることは明らかであります。したがいまして、准組合員の利用制限は私は絶対に認めることはできません。本当のところは、附則第五十一条第三項はこの参議院農林水産委員会の名の下に削除していただきたい。もしそれがかなわないなら、現場の声にしっかり耳を傾けて、現場の不安が払拭されるよう、法案審議の中で明らかにしていただきたいと思うのであります。  第四は、県中央会連合会への組織変更についてであります。  今回の農協法改正で、全中は一般社団となり、私ども県中央会連合会となることが明記されました。そして、県中央会事業としては、組織事業及び経営の相談監査代表機能、総合調整機能並びにこれらの事業に附帯する事業と明記をされたのであります。  衆議院審議においても、現行法規定してある教育、情報調査、研究は附帯する事業として実施可能とする旨の政府答弁がありましたけれども、教育は私は極めて農協にとりましては重要な事業であります。是非、その答弁内容を省令などで明記をしていただきたいと思うのであります。  次に、委員皆さんは、県中央会農協法に位置付けられておりまして、これまでと変わりがないと考えておられるかもしれませんけれども、税務上、課題が多く存在をするのであります。  例えば、新たな県中央会は、これまでどおりJA連合会からの賦課金で収益事業をほとんど行わない連合会でありながら、年度末の繰越金が発生した場合に法人税が課されることが想定されます。一般社団となる全中と違って、税務負担が発生するという矛盾が存在すると思うわけでありますが、もしそうならば、こういうことのないように税務上の措置をとっていただきたいと考えております。  最後に、JA監査についてであります。  平成三十一年九月三十日までに、全中の内部組織であるJA全国監査機構は新たな監査法人となることが明記されています。全中では、外出しする監査法人の組織、機能などについて鋭意検討中でありますが、この法案が成立して初めて、金融庁や公認会計士協会などと正式に協議に入ることになりますが、法律配慮規定である、監査を受ける組合の実質的な負担が増加することがないこととなっておるわけでありますが、監査法人移行時だけでなく、将来にわたっても確実に担保されることをお願いするものであります。  また、法定監査における農協監査士の活用につきましても将来にわたって担保されるべきでありまして、この点についてもしっかり法案審議の中で御確認をいただきたいと思っております。  結びになりました。  率直に申し上げて、衆議院審議を経た現在も、今回の農協法改正案に対する現場理解が進んでいるとは言えない状況であります。私どもは、今年の十月に三年に一度のJA全国大会を予定しておりまして、大会決議に改正案も踏まえた自己改革を盛り込むために検討を行っておりますが、一つは、やっぱり農業協同組合は総合JAである、総合農協であるとの機能を最大限発揮して農業振興に取り組むことを基本にしております。  改正法案についても、総合JAとしての機能を最大限発揮して農業振興に取り組むことが重要でありまして、総合事業准組合員の利用を否定するものではないということを、力強く分かりやすいメッセージを発出していただくことを切に要望いたしまして、発言を終わります。  ありがとうございました。
  98. 山田俊男

    ○団長(山田俊男君) 大変ありがとうございました。  以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。  これより公述人に対する質疑を行います。  質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
  99. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。自由民主党の堀井巌と申します。  四人の公述人の皆様には、貴重なお話、誠にありがとうございました。  私も、それぞれの方からの貴重なお話に思いを共有しながら、お話を聞かせていただきました。  また、本日午前中、JA福光さんの方にお邪魔をいたしましていろいろとお話をお伺いをいたしました。道中、非常に果てしなくというんでしょうか、広がる水田風景、本当に息をのむような風景が広がっておりました。私の地元は奈良県でございますが、あれだけ広々とした水田風景なかなかありませんので、今日は本当にその点でも感銘を受けました。  また、それにも増して、JA福光におかれては、地域農業の中核として集約化を進め、そして集落営農を進め、農業者の方々、地域の方々と信頼関係を構築しながら、地域の将来のために、そして地域農業の将来のために努力をしておられるということを目の当たりにいたしまして、改めて感銘を受けた次第でございます。  時間もございませんので、早速質問に入らせていただきたいと存じます。  まず、細田公述人にお伺いしたいと存じます。  細田公述人におかれても、御自身地域農協のお取組等もお話しいただきながら、特に水田地帯の富山県におきまして米を中心にずっとやってこられている。しかしながら、この日本の国内市場、米価は非常に下がっていく。そういった中でどうしていくかというときに、先ほど六次産業化、特に米の輸出ということでいろいろ苦労しながらやっておられるというお話がございました。  今後、私は、農林水産省の方も、政府の方もそうだと思いますけれども、何とかこの日本の水田フル活用ということを進めていく中では、米を例に取れば、輸出米ということをどのように広げていったらいいかというのは非常に大きなポイントになるのではないかというふうに思っておりますけれども、その辺のお取組について今後をどのように見ておられるか、またこういった点は政府の方でもしっかりとサポートしてもらいたいというお話がございましたら、お伺いしたいと存じます。
  100. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) 輸出米についての質問でありますが、今取り組んでおるのは、昨年の「クローズアップ現代」の資料にもありますように、途中でせっかくつくり上げたものはやめたくない、やはりこれからこの時代は開拓していかにゃならぬと、そういう思いの中で今進めておりますが、先ほど言いましたように、国の力もかなり大きいわけでありまして、日本食のブーム、そしてすしブームをつくり上げていただいております。そういった面でも、これからも是非進めていかにゃなというように思うわけでありますが、ただ、やはりそんなに簡単ではないという面、先ほど言いましたように、WTO抵触の問題からいろいろあります。今、そしてまた、国の方でもかなり農産物の輸出、ひとつ上げていこうということの取組が昨年からつくり上げられております。  実は、その輸出の部会が幾つもできておりますが、農水省に、私はコメ・コメ加工品の輸出部会に委員として、部員として入っております。年四回ぐらいのその会議にも出ておるわけでありますが、元々やはり日本が弱かった、産地ばらばらに日本の米を売ろうというのは、牛肉でも、農産物全てでありますけれども、ところが、海外のやり方はやっぱりその国が一本になったような売り方をしてくるという面において、やはり産地競争が余りにも強いと、日本は。  そういった面で弱いという中において、農水省の方でオールジャパン体制をつくろうということで今進めておられますので、私もその部員に入っておりますが、十分そこら辺を活用しながら今後一層拡大していきたいと、このように捉えて、本音は、四百トンに百トンプラスしたというのが実態であります。今、私ども全米輸、六農協で作っておりますけれども、今おおむね大体千三百トンほどであります。今後まだまだ拡大していきたいと。  ただ、問題は、長くなって申し訳ありませんが、ヨーロッパどこへ行きましても、今、すし、スーパー、デパートどこにでもあります。そこで握るものについては大変おいしいすしでありますが、ただ、店、スーパーなりデパートに売っているすしは全てにおいて、食べられた方おられると思うんですが、一晩冷蔵庫に置いたばりばりの状況であります。それが本当にすしかと思われるような状況でありますけれども、外国ではそれがすしだと捉えられるのは一番寂しく思うわけでありまして、関税の問題ばかりでなしに、やはりそういった、その国は、すしは冷蔵庫に六時間置かぬと販売できないよというような、非関税障壁的な問題もかなり多いわけであります。  こういったものは私ども輸出しておる者の力では到底できないわけでありまして、こういったものは国のレベルで、やっぱり非関税的な障壁を、今後あればひとつ力になってもらいたいなと、そういった面も思っておるわけでありますけれども、今は輸出しておりましても、私ども今一番狙っておるのは、初めからでありますけれども、日本の営業者、仕事の関係がかなり世界中にたくさんおられます。その一番集中したところを中心に今展開しておると、そこから出発して広げていきたいということで、今七年目に入っておるという状況であります。今後とも、また力をお借りしたいなと思うわけであります。
  101. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  次に、鍋嶋公述人にお伺いしたいと思います。  御自身農業取組についても大変興味深く聞かせていただいて、質問もしたいんですけれども、そちらの方はちょっと今日時間がございますので、農業委員会の関係について一つお伺いをしたいと思います。  先ほどの南砺市でもそうだったんですが、先ほどの御説明のように、合併の関係で南砺市さんでも元々百十七名であった農業委員の方が二十八名に激減したということで、全国でも最小の、今、農業委員、県全体でもだというふうに伺っております。これは、もうこれまでに、既に恐らく今回のひょっとしたら制度改正以上の大きな変化をこの富山県の農業委員会の方々はもう既に実践をしてこられたのではないかというふうに思っておりまして、私、全国的にもこの富山県でいろいろ苦労しながらやってこられたことというのは非常に示唆に富むのではないかというふうに思っているところでございます。  その中で、公述人の方で一言、今回の改革に期待しているという、期待というお言葉もお使いになられた。で、今まで様々なところで我々、今回の改革についての要望あるいは懸念も含めて様々に話を聞いてきたところでございますけれども、その期待という部分というのはどういったところに一つ見出しておられるのかというのについてお伺いをしたいと存じます。
  102. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) お答えいたします。  私は、よく農業会議の方で一丁目一番地の問題は選挙ですね。公選制から選任制になったということが出ました。これについては、選任制でいくんだけど、あくまで公選制に近い形のものでやってほしいということがございます。  私自身、平成十四年から農業委員になっておりますけれども、その間、選挙はございませんでした。そういうところで、全国的にも大変少ない選挙の中で、私は、公選制でなくちゃならないという部分は、私はもう当初から、これはなくてもいいんじゃないかなというふうに私は思っておりました。  そういうのも含めまして、これからは農業委員会は、皆さんが見られて風通しのいい、皆さん誰が見ても農業委員はしっかりやっているなというのが分かれば当然いい部分でありまして、それからいきますと、数のことについても、地域から一名であれば、これは当然許されるべきというか、その半数云々じゃなくて、地域から一名であれば、私は、農業委員会の中での意見なりそれから許認可についても公正が取れるんじゃないかということで、私はこれから期待される農業委員会になるのではないかなというふうに思っています。  以上です。
  103. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  次に、宇川公述人にお伺いしたいと思います。  今回、農協法等のこの改革が出てきた背景で、政府の方の説明にもいつもあるのが、やっぱり今の日本の農業、特にもう平均年齢が六十代後半になってきている、後継者についてもやっぱり真剣にこれから考えていかないといけない、あとは農業者所得をしっかりと増大していくんだという、こういう話がございます。  そんな中で、言わば青壮年農業者として農業に入ってこられて、そしてしっかり引き継がれて、また地域のリーダーとして今活躍されておられることを心から敬意を表して、お話を承った次第です。  それで、お伺いしたいのは、こういった若手の方々、若い人たちをこの農業の世界にどんどんどんどん入ってきてもらうには、どういったところでのサポートが必要なのかということについてお伺いしたいと思います。  私の地元の奈良県でこういった若い青年農業者の方と話ししますと、例えば二代目とか三代目とか、農家で生まれ育った人たちの子供たち、もっともっと支えてあげた方がいいんじゃないかとか、先ほどの例ですと、例えば農機具の例があったかもしれませんが、いろいろふだん感じておられる中で、若い人たち農業にもっと入ってきてもらおうと思ったときにはどういったサポートが大事と思われているか、お伺いをしたいと存じます。
  104. 宇川純矢

    ○公述人(宇川純矢君) 御質問ありがとうございます。  先ほども言いましたが、農機具が大変高騰しているという状況下で、最低、例えば四ヘクタールの水田農業をしようというふうに思ったときに、二千万ぐらいの投資がどうしても必要になります。これを、若手農業者、例えば高卒、専門学校卒、大卒でもいいですけれども、そのお金を用意できる人間はまずいないと思います。あと、農地を借りることも、なかなか信用がなく難しいという現状もあり、その辺をまずクリアしないことには難しいんじゃないかなと。あと、少し軌道に乗ったときに、機械の支援であったりということを最初は受けられますが、途中からそういう支援政策みたいなものがないということもあって、思い切ってお金を借りるということも難しい、けど、順調にいったからといって支援がないというような現状がやはりちょっと見受けられるんじゃないかなというふうに思います。  あと、今更ということもあるのかもしれないですが、やはり米価がしっかり確保されて、自分たちは安定した収入があって初めて美しい水田というものを維持できる、そして消費者の方に喜んでもらえる、そういうお米を作りたいなというふうに思っていますので、今の国際競争力という言葉は、決していいものを作るという意味とはちょっと受けれない、安いものを作れというふうにしか受けれない、そんな中で果たして農業に希望を持てるのかというふうなこともちょっと思うわけでありまして。  やはり、最後にいろいろ言いましたが、支持される、皆さんに買っていただけるというような、そういう農業者になりたいなというふうに思っておりますので、そういうこともやっぱり、本当に所得の安定した確保というものがないことにはつらいだけの仕事というふうに見受けられてしまいますので、是非その辺の御協力をいただけたらなというふうに思います。よろしくお願いします。
  105. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。  次に、穴田公述人にお伺いしたいと存じます。  公述人におかれましては、全中の自己改革案の御検討等で中核的な御活躍をしてこられたということで、敬意を表しております。また、私、そういった自己改革案については様々な形で勉強をさせていただきました。現場の声に即した非常に貴重な提言、数多く含まれているように私は感じているところでございます。  そこで、一点お伺いしたいんですけれども、准組合員の利用制限の問題でございますが、私は、これ五年後に見直すということになりますけれども、今後のこの地域農協が、今回の法律案地域農協がとにかく元気になってもらいたいという趣旨での改革ということでありますので、地域農協にとにかく最大発展いただくように頑張っていただくと。そうした場合に、これは構造的にどういった事業が伸びてきて、どういった事業で例えばこの営農指導を支えていくというような、地域農協がフルに頑張ったときに、構造上この正組合員准組合員というものの比率というのはどういうふうになっていくのかというところについてどのように見通しておられるのか、お伺いをしたいと存じます。
  106. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) ありがとうございます。  地方のこれからの流れを見れば、もちろん農業振興を徹底してやらなきゃならぬわけでありますが、どんどん人口が減少なってきて、いわゆる生活インフラがままならぬようになる事態になりゃせぬかと思っております。  そこで、我々JAグループとすれば、これからの将来のことを考えれば、准組合員は、単に正組合員准組合員という対比ではなしに、やっぱり准組合員地域農業とそれから地域の活力を支える一緒の仲間なんだと、そういうことで、農協はやっぱり准組合員の加入促進をしていこうということであります。  具体的にはどうするのかということなんですが、やっぱり、例えば皆さん方は、多分お考えは、准組合員農協の信用事業とか共済事業を利用したいから組合員になるんだろうということですが、今までもそういう面もあったかもしれませんが、でも、決してそうじゃなしに、やっぱり地域農業振興をするときに一緒にやろうじゃないですかと。特に、例えば地産地消という面からいけば、まず率先して准組合員地域農業振興に関わる、地域の地産地消でやる、そういうことをJAが仕向けていくと。そうすることによって、私は、准組合員農協事業に対して積極的に協力をしてくれると。特に、農業協同組合というのは加入、脱退の自由が原則でありますから、そんな、准組合員が自分のためになってくれないもので組合員になるわけないわけであります。  だから、やっぱりそういうことが、対応してくれねば自動的に組合員を脱退するわけでありますから、あえてここで准組合員の利用制限とかそういうことをするということが私はどうしても納得いかないということなんです。そういうことです。
  107. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございました。
  108. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 民主党の徳永エリでございます。  今日は、四人の公述人の皆さん、大変にお忙しいところお運びいただきまして、貴重なお話を聞かせていただきましたことに、まずは心から感謝を申し上げたいと思います。  私は、今日初めて富山県に入らせていただきました。米どころ富山ということで、途中、日に輝く田園風景を見ながら、本当に美しいなと思うと同時に、ちょっと重苦しい気持ちになりました。私の地元北海道も、昔は米の不適地と言われたんですけれども、今は米どころになりました。大変なやっぱり農協皆さん組合員皆さんの努力があったからこそ、ここまで来たんですね。  この何年間かを振り返りますと、突然の水田農政の転換、農業者戸別所得補償制度、経営所得安定対策の見直し、十アール一万五千円の米の直払いの半減、そしていずれ廃止になるわけであります。去年は大きく米価が下がりました。所得も相当下がったと思います。それから、企業参入という話が出てきたり、またTPPで米の追加輸入という話も出てきて、本当に農家皆さんは、これから一体どうなるんだろうかと、もう先の見えない不安でいっぱいだと思うんですね。  そういう中で、この農協改革農業委員会改革、そして農業生産法人の要件の緩和という話が出てきているわけでございますけれども、こういう一連の農政改革を受けて、今、現場皆さんがそれぞれどういうふうに感じていらっしゃるのか。それと、今回のこの農協法の改正、農家所得の向上を目的とすると言っていますけれども、本当の目的は一体何なのか。どう考えてもこの法改正の必要性が私は分かりません。  それぞれどう考えているか伺いたいんですが、まず、農協というお立場から細田公述人と、それから穴田公述人に続けてお伺いしたいと思います。
  109. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) 今ほど思いを聞いたわけでありますが、私も全く同じでありまして、つまり、所得増大、先ほども申し上げたわけでありますが、あとの改革的な内容とはどうリンクするのか、そしてまた、そのものに今後所得増大するような担保というのはどこに付いておるのか、全く分かりません。そういった面からしますと、何だ、単純にJAグループの弱体化を狙ったものじゃないかというのが一般の農業者の言葉であります。そういうふうに捉えておるのが実態であります。  今ほどありましたように、やはり農家はかなり大きい規模にどんどんなりつつありますし、またなっております。当然ながら、投資する前にやっぱり更新も必要なんです、先ほども話がありましたように。その前に、前が見通せない状況でどうこれから向き合っていけばいいのかというのは、かなり農家は不安を持っておるというのが実態であります。  今後、その辺を解消できるようにひとつお願いしたいなと思うところであります。
  110. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) 今の徳永先生の御質問ですが、私は、やっぱり過去のずっとの流れを振り返ってみますと、実は、この農協という組織そのものをいろんな形で変えなきゃならぬということが何遍もあったわけですね。  私の記憶するところでは、かつては、やっぱりもう単位農協連合会全国組織はちょっとやっぱり無駄があるんじゃないかと。系統を二段階にしなさいとか、とにかく今までの農協に対する政府の考え方というのは、農協法の枠の中で農協がどうやって政府の考え方あるいは農政の推進に貢献してくれるのかと、そういう枠内だったと思うんです。今回のこの農協改革というのは全くそうじゃない。  だから、今の農協法の枠内で組合員はどうすればより農業所得が増えるのかという、そういう視点から私は農協法の改正がスタートしたなら、それはやっぱり受け入れるものは受け入れるということなんですが、どうもそうじゃなしに、まず農協法の改正ありきと、ここら辺りが見えるものですから、いや、事実じゃないかもしれませんけれども、私どもの受け止め方はそうだという、そこがやっぱり一番の問題でありますから。  でも、やっぱり法律として決められた以上は、それを遵守するのが国民ですから、じゃ、そういう中の法律で私どもが思っておりますようなことをしっかりと担保してくださいよと。そういう面で、今日こうやって申し上げたわけであります。
  111. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 続いて穴田公述人にお伺いいたしますけれども、農協さんで自己改革案をまとめられたと。しかしこれ、ほとんど取り合ってもらえなかったという状況だったというふうに聞いております。私も、先日の委員会で、農協自己改革案をまとめたんだから、自己改革をしっかりしてもらえばいいじゃないかというお話をしたら、今回の法律が成立したら、その枠の中で自己改革にしっかり取り組んでもらいたいというお話だったんですが。  法律で縛られている中で自己改革といっても、なかなか皆さんたちがまとめた内容を実行するのは難しいと思うんですが、その点に関して御意見ございますでしょうか。
  112. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) おっしゃるとおりです。なかなか認めてもらえなかったということも事実だということを聞いております。  それは、なぜそうなったのかということについては、時間もありませんからそれは申し上げませんけれども、今、徳永先生がおっしゃったことについて、やっぱり一つの、自己改革自己改革といいますが、逆に聞きたいのは、じゃ、我々はここまでこの法律の改正を受け入れるのだとすれば、農業所得増大を具体的にどうやってやるのかということを政府はかっちりとやっぱり示していただく必要があると。でないと、農業所得増大のために農協法を改正したわけでありますから、じゃどうやって、こうこうこういうことをしてちゃんと農業所得増大になったじゃないかと。私は、これをしっかりと我々はやっぱり見ていかなきゃならぬ。そういうことに対して、ならなければ、言ったことが違うじゃないかということをやっぱり要請をしていかなきゃならぬ、私はそういうふうに思っております。  特に、農業というのは、規模拡大すれば農業所得が増えるとか、そういうものじゃないんです。必ず規模を拡大すれば耕作放棄地なりスプロール化になります。やっぱり多様な農業者がおって初めて農業というのは発展するし、トータルとして農業所得は私は増大すると。ですから、もちろん競争して規模を拡大するのは大事だけど、そうかといって、兼業農家あるいは高齢者農業、これも大事にしなきゃならぬのが私はこれからの日本の農業だろうと。それをやっぱりサポートをできるのは農協しかないと、協同組合である農協しかない、そういうふうな考え方は今もしっかりと持っております。
  113. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  宇川公述人にお伺いいたします。同じ質問ですけれども、この一連の農政改革をどのように受け止めておられるのかということと、それと、先ほど、宇川農産は法人になるメリットを感じないので個人事業でやっているとおっしゃっておりましたけれども、そのメリットを感じられないというところは具体的にどういうことでしょうか。
  114. 宇川純矢

    ○公述人(宇川純矢君) 御質問ありがとうございます。  メリットに関しましては、今従業員さんには厚生年金等には加入していただいているんですが、父親と自分と自分の子供と母親は国民年金で、おやじの所得の中で一括加入という形をやっております。それを厚生年金に入るということになると、また金額がとんでもなく大きくなるということがまず第一点にあります。  あと、法人の方が有利販売ができるんじゃないかとかというふうなこともありますが、うちは普通に米も順調に売れていますし、別に法人でなくてもお米の値段をたたかれるとかということも決してないですし、本当にメリットがよく分からないというふうなことで法人にはしておりません。消費税もしっかり払っておりますし、個人所得税もしっかり払っておりますので、納めるものも納めてしっかり業務やっているので特にする必要がないかなというふうに思っているだけであります。  農協改革についてですが、はっきり言って、いろいろ読ませていただきましたがよく分からないというのが現実です。特殊法人を一般社団法人にしたら何が起きるのかということも分かりませんし、自分たち中央会という形が本当に青年部の教育機関であるというふうに位置付けておりますので、その機関が変更になったとしても、このことだけはしっかりやっていただいて、いずれ地域農協の中に経営参画していく人間をしっかり育成していただいて、自分たち農業者の手で農協をしっかり支えていくというような形の改革にしていただきたいなというふうに思っております。  以上です。
  115. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 続きまして、鍋嶋公述人にお伺いいたします。  事前にいただいた資料の中に、時代にそぐわない部分は見直すべきだと農業委員会のことについておっしゃっている新聞記事を拝見させていただきました。この農業委員の時代にそぐわない部分というのは、具体的にどういうところを指摘しておられるんでしょうか。
  116. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) お答えします。  時代にそぐわないというところなんですけれども、やはり、一番最初私が言いました公選制の部分で、選挙がないですよね、当然、今までも。まあ一部あるにはあるんですけど、公職選挙法でやらなきゃならないほどの選挙はないというふうに思っています。私から見ると、それに余りにも執着し過ぎる部分が私にすれば時代にそぐわないのじゃないかなというふうなこともありますし、それから、やはり今までも全国農業会議所で主催の会長会議とかってあるんですけれども、どうしてもなかなか、地元の対象とされた方がおいでになるわけなんですけれども、なかなか実態から出てくる意見というのは私にすれば少ないんじゃないかなと思っていますので、そういうことを言いますと、やはり現場で、地に着いた農業委員会であり農業委員が地元で汗をかいて知恵を出してやっていくべきであるということでありまして、それがいわゆる時代にそぐわないという言い方、ちょっと強いかもしれませんけど、そういうふうな文面で書いたというふうにお答えいたします。  以上です。
  117. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 農業委員の数が半減するということであります。推進委員の数はどのくらいになるか分からないけれども、きっと余りバランスが取れないんじゃないかと思うんですね。大体一人百ヘクタールぐらいを担当させるということですから、農業委員は減るけれども推進委員はたくさんいるというような形になるんだと思います。  それで、政府の説明では、農業委員は許認可等の審査業務、そして推進委員現場における農地利用最適化業務ということですから、今まで農業委員は、現場に行っていろいろ話を聞いたり、説明をしたり、交渉をしたり、説得をしたりと、非常に御苦労されてきたと思うんですね。この農業委員地域から信頼をされて選ばれた農業委員の方が現場に行くということがすごく重要だったと思うんですが、合議体という形であって現場には行かない、これから推進委員現場を担当するということになって、役割分担がされるわけですよね。それと、農地の中間管理機構との連携、推進委員はすることになっていますけれども、これ、ともすると農業委員を飛び越して農地の中間管理機構と推進委員がやるということも考えられなくはないと。  この点を大変懸念しているんですけれども、北海道でも多くの農業委員の方とお話しすると、まだその辺が皆さんよく分かっておられないんですが、鍋嶋公述人はこの辺りはどのようにお考えになっておられますでしょうか。
  118. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) お答えします。  推進委員農業委員の関係であります。  私自身、あの文面を読んでも分かりません。だけど、私が思っている、イメージしている部分でいいますと、先ほど私の方から意見言いましたように、地域というものがあります。入善町の場合は三千八百ヘクタールで十地区あります。これは小学校下に分かれているわけなんですけれども、平均すると、十で割れば三百七十ヘクタールになるわけなんですけれども、そうとはいかないわけで、一か所については六百か七百ヘクタールあるものですから、そこについては二人の農業委員がいます。そういう形で、今いわゆる選挙法で選ばれた選任の方が今十一名になります。ですから、地域でいえばちょうど一地域に一人の割合になっています。  私は、推進委員の方も地域に一人と思っています。なぜかというと、先ほど先生言われましたとおり、中間管理機構の業務というのは大変、私は業務自身がよく分からないんですけれども、いわゆる地域をまとめるリーダーとしての推進委員であったり、それから人・農地プランでの地域のまとめ役のリーダーであると思います。そのときには当然農業委員会農業委員の方もそれには当然参加されるわけですので、そこでタッグを組んで二人一つとなって、いわゆる農地をどのように利用するかという部分を二人で話合いをしながらその地域をまとめていってほしいなと、そういう農業委員会組織であるべきだと私は思っていますので、法律でなかなか読めない部分あるんですけど、そういう形を私はイメージとして思っていますので、これからもそういうふうにしていただきたいなというふうに思っています。  以上です。
  119. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それから、続いて鍋嶋公述人にお伺いいたしますけれども、農業並びに農民に関する事項に関する意見公表等を条文からなくしました。そして、関係行政機関等に対する農業委員会及び農業委員会ネットワーク機構の意見提出を条文に新設しています。そして、この意見の対象内容を農地利用最適化施策の改善ということになっておりますけれども、これまでも農業委員会は、現場農業者皆さんの声を聞きながら、様々な農政へ対する農業委員皆さんの思いを、現場皆さんの思いを反映させてきたという面があると思います。  今回、この対象が農地利用最適化施策の改善というふうに指摘されていることに対してはどのようにお感じになっておられますでしょうか。あるいは、それに対しておっしゃりたいことがあったら何かお伺いしたいと思います。
  120. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) お答えします。  その意見の方なんですけれども、今までは農業委員会が、それから農業会議がいわゆる建議という形で国の方なり皆さんにその話をしていたわけなんですけど、そういう建議という名前ではなくて、いわゆる誰であろうと農業に関して意見がある場合は述べてもいいという形に私は移るのではないかなと、そういうふうに考えますので、その中身については重々御批判とかいろいろあるわけなんですけど、私は幅広い形で農業委員の方が意見を集約しながら皆さんに政策提言とかそういうことができればそれはそれでいいのかなというふうに思っています。  よろしいですか。
  121. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ただ、法律に位置付けられた建議という部分と意見というのでは随分重みが違うというように思うんですけれども、この辺りはいかがでしょうか。
  122. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) そこら辺、私は評論家ではありません、なかなかちょっと分かりづらいんですけれども、いわゆる私らが言いたい部分を引き上げてもらうのでしたら、重みはともかく、そういう形のものを政府の方が吸い上げてもらって意見が逆に返ってくることであれば私は構わないんじゃないかなというふうに思っています。  以上です。
  123. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 じゃ、もう時間もそろそろ迫ってまいりましたので、最後の質問になると思います。  先ほどから准組合員の利用制限の話も出てきておりますけれども、やはり何よりも地域のインフラを守っていくということが非常に重要だと思っています。  それで、例えば一般社団法人にする、株式会社にする、あるいは生協にする、あるいは社会医療法人にすると。これ、できる規定ということになっておりますけれども、例えば農協皆さん、あるいは地域の農民の皆さんからそういうことが必要だという声が上がっているわけではないのに今回の改正案の中にできる規定を入れたと。政府の方は選択肢だという言い方をするんですけれども、果たしてこれが選択肢なのか、いずれそうしてしまおうという思惑があるのではないかというふうに私は受け止めております。  最後に、穴田公述人とそれから細田公述人にお伺いしたいと思います。
  124. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) 私も先生と同じ思いです。  結局、選択規定であっても、将来、こうなっているのになぜやらないんだということが逆に組織に言われるおそれがあるということなんですね。でも、そこは、恐縮でありますが、先生方がきちっとやっぱりそういうガードを掛けてもらわないと、法律が決まればそれで最善の道を歩むと。  だから、私は、我々JAグループとすれば、そういうことにならないように、先ほど私言いましたが、新たに農協法の中に中央会事業として教育を入れてほしいというのは、それはやっぱり協同組合的な考え方を末端の組合員まで浸透させて、やっぱり我々はここはやるんだと、そんな株式会社にならないよというふうなことはちゃんとやるようにしないといかぬというふうなことで、教育ということを入れてほしいと言ったわけです。
  125. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) 准組合員と正組合員との、特に規制的な問題も先ほどもちょっと話したわけでありますけれども、当然ながら、やはりその集落なり農村地帯では、一緒にパートナーとして、農協が中心になって、全ての触れ合いのイベントなり、そういったものも一緒にやっているわけですよね。  例えば利用規制という問題について、例えば農協が直売所を今開設しておった場合に、やがては利用規制ということになりますと、准組合員は使うことができないんだと。そうすると、地産地消というのは本当にできるのと。安全、安心の食べ物は農村地帯の准組合員はどこから手に入れればいいのという問題もそこに入ってくるのかという心配もあります。  それからもう一つは、やはり全中が今度一般社団法人という形、農協法の中から削除されるということになると、農水の管轄ではないという、管理監督から外れると。そうすると、一般社団法人は別の管理監督の世界の中において、JAグループの統一した、そういった共有というのはどうできるのかなと、そういった心配も持っておるところであります。
  126. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 この委員会の中で、委員皆さんそれぞれにいつも発言をなさるんですが、やっぱり農業協同組合は、農家のための農業協同組合という側面と、それから地域のための農業協同組合なんだと、非常に重要なことだと思います。地域全体で農業、農村を支えていくということにとっては、やっぱり総合農協という形が最も望ましい形なんではないかと思っておりますので、これからまだ議論の時間がありますので、しっかり皆さんの思いを受け止めながら、農林水産委員会の中でいい議論をしていきたいと思います。  今日はどうもありがとうございました。
  127. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日は、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  私たちも、当然、この法案を作っているところから、現場皆様から様々な御意見をいただき、また、このいよいよ審議が始まりましてから、何度も何度もこの議論を重ねてきているわけでありますけれども、やはり委員会室の中に閉じこもって政府とだけずっと向き合っていますと、だんだんだんだんその考え方に説得されそうになるというか、そういうところがある。そういう中で、この途中でやはり一旦現場にもう一度戻って、皆様から御意見をいただいて今日も多々発見のあったところであります。改めて感謝を申し上げたいと思います。  私の方からは、まずこのJA改革在り方について、これ是非四人の公述人の方それぞれから御意見をいただきたいと思っているんですが、この議論の中によく出てくるのが、JAはもっとリスクを適切に取ってということがすごくフレーズとしてよく出てくるんですね。リスクを取れ、リスクを取れと。  そもそも一体、このJAの、農協の取るべきリスクって何なんだろうということですね。私、最近ずっと考えておりまして、またその取るべきリスクにちゃんと合った形の法改正になっているんだろうかということをやっぱり今我々は問われているんだなというふうに思っております。  今日もこの四名の皆様の御意見をお伺いして、JAの側あるいは中央会の側として今後こういう自己改革に取り組んでいくんだというお話もありましたし、またユーザーとしての御意見もありました。ユーザーとしての御意見も非常に率直ですばらしいなと思ったので、是非そこをちょっともう少し詳しくお伺いしたいなと思ったんですね。  特に、例えば先ほど、これは鍋嶋公述人のお話の中では、全農さんと一緒に仕事をしているときに、ちょっとスピード感が足りないというところを感じるというようなお話があったりですとか、あるいは宇川公述人のお話の中では、この六次産業化、夢があってやりたいんだけれども、個々の農家の経営状態って考えると、自分が設備投資やってまでそのリスクって取っていいのだろうかと。こういうところのリスクというのは、むしろ例えばJA農協の方に負担してもらうとか、より取ってもらう、そういう形の分担の在り方があるんじゃないか、こんな有意義なコメントをいろいろいただいたと思っております。  そういう意味では、この取るべきリスク、委託販売じゃなくて買取りなのかとか、あるいは今言ったような営農指導中心じゃなくて販売、販路開拓だったり六次産業化の部分により軸足を移すですとか、様々ちょっと議論が今入り乱れているところがありますので、是非これはJAの側あるいはユーザーの側、それぞれとして、こういう形のリスクの取り方というのがこれからの姿なんじゃないかと、それをお一人ずつ御意見いただけますでしょうか。
  128. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) 私の考えは、リスクを農協は同じように取れということが盛んに言われていることですが、私は先ほどの陳述の場で申し上げました。農業協同組合の基本理念は営利を目的として事業を行ってはならないということなんですね。これを削除されたわけです、今度の法律で。これは逆に、何のことはない、営利を目的にしなさいということなんです。  でも、営利というのは、これはやっぱりもう皆さん方御存じのとおり、もうかれば必ず損もあるわけなんです。だから、格好のいいことを言って、営利を目的とするんだということは、逆にリスクを取れと。ただ、リスクを取ると、誰が責任を取るんですかと。株式会社はオーナーです。でも、結局農業協同組合組合員が責任取らなきゃならぬ、そこが分かっていないと。リスクを取れ、リスクを取れと、じゃ、リスク取って結局農協は潰れるしかないんですよ。  私は、だから、極端なことを言えば、今のこの農協法の改正は、政府なりあるいは提案した官邸は、もう農協を解体するためにこういうことを言っておるのではないかと、そういうことすら思うわけであります、少し極端かもしれませんが。  だから、私は、いわゆるどんどんどんどん、あぐらをかいてお金をもうけるなんということは絶対言わないわけでありますが、やっぱり組合員のためにそれなりの利益を上げなきゃならぬかもしれぬけれども、でも、そのリスクを取ってまで農協事業をしては、結果的には組合員にしわ寄せ来ると。ここをしっかりと把握をしながらやっぱり事業展開しなきゃならない、そういうふうに思っております。
  129. 宇川純矢

    ○公述人(宇川純矢君) 自分も思うのは、そもそも農協って何であったとかといったら、共同購入、共同出荷といって、いかに安く買って高く売るかということが目的としてあって、最大の利益を農業者にもたらすということを目的としていて、そこで出た利益を預金運用したり、保険をつくったり、旅行をしたりとかというようなそういう、農業者にとって利便性を図る上でそういうものがいろいろ展開されていったというふうに自分は認識しています。  そんな中で、取ってほしいリスクというのは確かにあるんですが、農協が本当にもうける団体でなくていいんじゃないかなというふうにやっぱり理解しているんですね。  農家が一番最大限の利益を上げるためにどうするかということがリスクとしてあるのならいいんですけれども、例えば先行的に米価の値段を出して、ただ、それが思惑どおり物が売れないという状況下に陥ったときに最終的にはまた翌年の米価に直結してくるというようなことで、先物取引ではないですが、ギャンブル性が強くなるということも考えられますし、自分たちはやっぱり将来を見据えて安定的に農業を持続可能にするということが農協役割じゃないかなというふうに思いますので、法改正においても、農業者が安定して一生懸命田んぼを耕せるという、そういう環境を是非つくっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
  130. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) リスクを取ればいいという私の意見ではなくて、先ほど私の方から、特に米販売の問題で、委託販売であるがゆえリスクは取れないと言いました。これは、そのためにリスクを取りなさい、そしてリスクはあるけれどももうかるようなやり方をしてくださいという意味ではなくて、組織上といいますか形態上これは難しいのかなというふうに思います。  やはり、恐らく私らからお米を、委託販売、それをするために購入をして、購入ではありませんけれども、委託販売ですから、受け取ってもらってそれを販売するときに、当然流通経費とかいろいろ掛かります。組織が大きいがゆえに余計掛かると思います。ですから、それについては、私は、それをリスクを取って私らのを買い取ってくださいという意味ではなくて、これはもうできないのかなと。これが法改正でできるかできないかは私は分かりませんけれども、そうではなくて、農協としてのコンサルティング的なことですよね、これは当然組合員に温度差が相当あると思いますので、その温度差をうまく吸収して農協の方でコンサルティングをやってもらいたいなと。  例えば、先ほど言いました有利販売についても、農協さんの一律の販売方法ではなくて、こうすれば有利な販売ができる方法があるよと。例えば、日本じゃ駄目だったら、じゃ、外国へ持っていって売るとか、米についても、今は米余りです、コシヒカリだけ作ってたんじゃとてもやっていけない。ということは、全国農家がいろんな米を作って、どこの国の人、それからどこの人であれ、米が欲しい人に欲しいものを作る、米を作るということが大事だと思います。そうすると、リスク云々ではなくて、自分らが作ったものをどういうふうにしてその人たちへ渡せるか、そういうことを今後、農協さんの方でそういう仕組みをつくっていくのが必要じゃないかなというふうに思います。  以上です。
  131. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) そのリスクという問題については非常に難しい問題でありますけれども、やはり、農協はリスクを取ってということになりますと、買取り販売という世界を求めておるのかなという面もありますけれども。  やはりそれは、農協というのは初めから、組合員のものをまとめて代理して仕事、スケールメリットを取ろうということのやり方ですから、元々は一般的な販売と購買とは逆になっておるわけですよね。それが農協だというふうに私は理解しておりますが、そうなるとそれは農協ではないような感じにもなってきますし、その辺は難しいことだと思いますけれども、やはり全部が全部そのようにできるということは私は困難でなかろうかなというように思いますけれども。  もう一点、六次産業化の問題、困難な面が、なかなか一農家ではという話もありました。当然ながら、やはり、六次産業化、私どもも認定を受けながら今グループにもそれを取り組ませておりますが、やはり一農家、そしてまたその企業農家、集落営農によっては、それは六次産業まで全て完璧にできるという集落営農企業は少ないです。やはり、そのうちの一つか二つ、つまり生産は当然生産者でありますけれども、加工まではそこまでいってもやっぱり販売は困難とか、その辺のできないところは、現在私のところの農協ではその支援をして今つくり上げていっておるというのが実態であります。  実際において、完璧にできるというのはなかなか農家では厳しいんですよね。それもリスクが伴う問題でありますけれども、それはできないところは農協がやっぱり支援していくというやり方で私どもの農協では今取り組んでおるところであります。
  132. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  ちょっと時間が押しているようですので、もう一問だけ、今度は農業委員会改革についてお伺いしたいと思います。  これは鍋嶋公述人にお伺いしたいんですけれども、事前にいただきました全国農業新聞の記事等を拝見させていただきまして、農業委員会改革の、いろいろこれも指摘があるわけでありますけれども、その中でも、いわゆる姿が見えない、農業委員は何をやっているのかよく分からないと。実際にアンケート調査してみると、農業委員会の事務局の自己評価と市町村だとかJAだとかほかの、いわゆる外部の方との評価が大分ずれてきてしまう、ギャップが出てくるというところがあると思っています。  これ、法律の中に、じゃ、その見える化をどうするかと。どうしても議事録を作ってインターネットに載っけろみたいな話ばっかりになってしまうんですけれども、この新聞の記事を拝見しまして、例えば、それこそ日常の活動の中にのぼり旗が使われていたり、あるいは農業委員活動記録セットですか、こういう記録を残して、それでいわゆる農業委員の間でも活動情報の共有化を図っているということがちょっと紹介されているんですが、ここをいわゆるどういう取組をされているのか、最後にちょっとお伺いできますでしょうか。
  133. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) 今ほど言われましたとおり、やっております。  ただ、農業委員会としても大変反省すべきところが多々ありまして、やはり一般の農家の方々に対して、また地域の方々に対して、農業委員たる者どうであるということがなかなか浸透されていないのは今あったとおりです。それを反省しつつ、そののぼり旗だとか、それから日常の日記みたいなものを提出したりしているわけなんですけれども、なかなか進まないのが現状でして、今後、先ほど徳永先生の方からもございました人・農地プラン、それから中間管理機構、これからどんどん農家の方に入ってきます、その中で、農業委員とそれから推進委員の働きというものを十分に知らしめていくのが私らの仕事ではないかなというふうに思っています。  以上です。
  134. 平木大作

    ○平木大作君 以上で終わります。ありがとうございました。
  135. 儀間光男

    ○儀間光男君 儀間でございます。  今日は、お忙しい中、ありがとうございました。  私、沖縄出身でありまして、今日、富山のこのたわわな田んぼを見まして、感動そのものでしたよ。沖縄の稲作は、島全体の県土も小さくて、作付面積も非常に小さいんですね、大体九百ヘクタールから一千ヘクタール。それで、収量は大体三千二百トン前後しかないんですね。逆に、今度は至る所サトウキビ畑が連なって、その辺はまた皆さんが行かれると、あれススキかいと言う方もいらっしゃいますから、その辺の違いはあると思うんですが、今日は、誠にもって感動いたしました。ありがとう、皆さん。  ここで、細田参考人にまずお尋ねしたいんですが、米の輸出、このお話が出ておりました。米の輸出は言われてそう久しくもなくて、ようやく政府も海外市場へ目を転じたところなんですね。  御承知のように、昭和四十五年、一九七〇年、生産調整、いわゆる減反が始まるんでありますが、あの頃恐らく、政治やる者、あるいは官僚の中で、あるいは農協関係者の中で、生産調整ちょっと待てよ、海外の市場を見ようじゃないかということがあったならば、今の現状は違ってきたと思うんですね。ずっとそれが実績を積み上げていって、ドイツやスウェーデンみたいに、西欧みたいな、オランダみたいに、農産物の輸出額ナンバーワンになってきていたと思うんです。  それをその当時の、気付いていなかったか、気付かなかったか分かりませんが、時は流れて今米余りがあって、それでもう生産調整やめて、三十年以降はゼロベースにしますよと、補助金もね。そういう状況になっておる中で、米の輸出をやったらどうだろうという、促進したいというお話がありましたが、それについてもう少し詳しくお聞きしたいと思います。
  136. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) 当然ながら、やはり海外へ輸出するという場合には、価格のかなりの差が出てきます。当然ながら、日本で今売買しておる米の値段までは到底行きません。しかしながら輸出を選択したというのは、どれだけ今までの一俵当たり取れるのか、それから割り出したわけでありますけれども、その当時にはかなり転作が、三〇%近くありましたから、大豆も麦もやっておりましてもまだまだ所得につながらない、緑地的な所得につながらない転作もかなりありました。  やはりその段階では、私どもは、この所得の上がらない水田で何か少しでも所得になるものを見出さにゃならぬという状況の中で、新たな作物を作るということになりますと、これは大変な投資が掛かります。ただしかし、米作りについては、私どもは米主体でありますからもうプロでありますので、機械の装備も全てにおいて完備しております。新たな投資はしなくてもいいと。  しかしながら、誰もが農業者は手出してもらっては困るよ、私どもが相談を受けて指定した農家だけでやりますよと。つまり、そこではヒアリングをやるわけでありますが、その作業上、機械を人に頼まにゃならぬというような方については一切やめてくれ、全て機械の装備した人だけは作ってもいいよと。それを計算しますと幾らかのものは出てきますので、新たな投資も要らない、なら、そういった形で、そういった方だけに、多少幾らかでも今までのその緑地よりもプラスになるものがあれば、それでいこうということで取り組んだというのが始まりです。
  137. 儀間光男

    ○儀間光男君 いろいろコストの問題も大きく影響するとは思うんですが、日本の農政が海外へ目を向けてそんな長くはならないんですね。今、二〇二〇年までに一兆円の貿易高を上げようと。現在、六千二、三百億ですか、まで行って、今年はまだよく分かりませんが、手の届くところにあるんだそうですけれども、これは米だけじゃなしに、畑作あるいは畜産、水産業、林業含めてそうなんですが、そういう意味では、もっともっと僕は積極的に、農協全体を挙げて、全農を挙げて取り組む必要があるんであろうと、こういうふうに思っております。  ということは、なぜかというと、細田さんからいただいた資料の中で、米の輸出可能性はということで、宮城大学の特任教授大泉先生のお話が載っていて、非常にユニークな方なんですね。日本の米は富裕層ばかり行っていて市場占有率は非常に外国は少ないけれども、実は、米は食べているけど御飯は食べていない。したがって、精米機と炊飯器、一緒に持っていって売って、あるいは炊飯器で御飯作って、御飯として提供したらもっと市場が違ってくるであろうと。  これと似た話が、二、三年前ですが、ちょっと忘れたので、輸出業者だったと思うんですが、日本の農家からもみを集めまして、それでロサンゼルスへ渡って、もみのまま持ち出して向こうで精米して売ったら物すごく売れたんだそうですよ。この人いわく、精米船を造って、ロサンゼルスへ行く太平洋を渡る間にもみを船で精米をして向こうで売り出したら、きっといけるんじゃないかというような話もありました。  だから、私は、コストの高いのもあるんですが、安全で安心で高品質でというのが日本の農産物ですから、そういう品を替え手を替えていろんなことを発想してやってみれば、あながち捨てたものでもないんだろうと、こう思うんですが、この辺、外国の消費者に受け入れられることをもっと全農を挙げて追求していく必要があると、こう思うんですが、御所見をいただきたいですね。
  138. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) 先ほどもちょっと申し上げたわけでありますが、昨年から農水省の方で各部会立ち上げられました。これには、私はコメ・コメ加工品に入っておりますが、そのほかには、果樹、畜産物、全ての農産物、花まで入れて幾つもの部会が今動いております。そういう中で、オールジャパンでやっていこうということについて今かなり進めておられますので、そういった状況を見ながら、ひとつまたそれに乗っかっていきたい。なお、その部会にも全農も入っております。  それからまた、今、全農はクボタと手を組んで、そこで精米をしてやるというようなことも今進めております。  まず、やはり一番初めから出発した六、七年前には、やはり世界食品見本市、フランスではシアル、それからドイツではケルンでアヌーガというふうに毎年変わっておるわけでありますが、これにもう四回ほど参加しまして、そこで一番初めにやったのは、私どもの地帯にウーケ、パック御飯ありますので、それを持っていって御飯のおいしさをすしにして展示会から始めたというのが実態であります。  ただ、先ほど言いましたように、私のところの米はオーストラリアも今八十トンほど行っておりますけれども、やはりオーストラリアなんかでも、二千万人しか人口ありませんが日本人が二万人おるという状況でありますので、ただ米は、今回のTPPの関係でもオーストラリアからも要求されておるというようなことでありますけれども、水がない、農地も完備されていないということでありますからそんな恐れることないという、あそこは二十万トンしか以前には取れなかった、二千万人おるということは一人十キロ分しか年間食べなそうでありますので、そういう状況の中では二万人も日本人がおる、そういったところを主体的に出発しようよということで、例えばドイツの、ヨーロッパへ行きますとデュッセルドルフ辺りが一番の営業の拠点になっておりますので、そういうところの方から始めたり、やっております。  ただ、ヨーロッパは一キロぐらいか二キロぐらいしか買っていきません。日本の家庭を見ましても、小麦粉は一キロか五百グラムしか持たないというのと同じであります。ただ、海外の短粒種のお米、外国へ行きますとほとんど長粒種でありますけれども、今私どもがちょっと心配しているのは、イタリアの米の短粒種がすごい安い価格で出回っておるという面がありますけれども、おいしさの面ではやはり炊飯の技術的な話もあったわけでありますけれども、ただそういった御飯として食べる文化をいかに海外につくり上げていくかということが大事かなと、そういうふうにも思っております。まだまだ勉強せにゃならぬというふうに思っております。
  139. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。もっと教えていただきたいんですが、ほかの参考人先生方にも聞きたいので、ひとまずありがとうございました。  鍋嶋参考人、非常にユニークな農業をされていて、非常にキャパの広いお考えの下でやっておられるなと思うんですが、今の米の輸出に関連して、米粉を輸出されているというようなことでしたが、米粉の輸出状況は今どの程度の形で、どういう形であれを出していらっしゃるのか、それを教えていただきたいんですが。
  140. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) 米粉ですけれども、うちの場合はあくまで一農家が行っている、輸出とまでは言わないんじゃないかなという範囲なんですけれども、うちの方は米粉麺です、米粉を麺にしまして、それをラーメンとそれからうどんという形で今持っていっています。  これについては、一つはやはりそういうコンサルタント、それからJICAとか、それから、そういう輸出関係の国の機関の方にお願いをして、そこからいわゆる向こうでそういうバイヤーさんたちに紹介をしていただくという場面もありますし、それから今言われました国際見本市に私らも出店しまして、そこで得たバイヤーさんたちとの契約の中で今させていただいています。  具体的に言いますと、今、香港と上海で向こうにある百貨店、日本系の百貨店ですけれども、そこのいわゆるデパ地下で販売をしております。それについては、一回行くと大体二週間ぐらいの間いるわけなんですけれども、数量でいいますと大体一万食ぐらいの売上げが行われていますので、これが順調に、中国もやはり麺文化でありますので、そこら辺がちょうどマッチしたのかなというふうな形で今やっています。  数量的にはその程度ですので、いわゆる六千三百億が一兆円になるまでのを加担するほどではありませんけれども、今後それについては、うちの方のメーン、メーンとまでは行かないですけれども、サブメーンぐらいにはしていきたいなというふうに思っています。  以上です。
  141. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。今後、是非参画をしていただいて、米粉の輸出を鍋嶋ファームがてことなって全国に広げていただきたいなと期待を申し上げたいと思います。  それから次に、宇川さん、ちょっと聞きたいんですが、個人農家としてかなりのことをやっていらして、さすがだなということで感動しておりますが。  耕畜連携をよくやっていらして、米の問題いろいろあるんですが、主食用米から飼料用米、今、宇川さんのところではどんな比率で飼料用米取られているか、ちょっと教えていただけますか。
  142. 宇川純矢

    ○公述人(宇川純矢君) 我が家の経営で、九十五ヘクタールを経営面積としてやらせていただいているんですが、食用米が五十ヘクタール、飼料用米が十二ヘクタールというふうな形でやらせていただいております。
  143. 儀間光男

    ○儀間光男君 耕畜連携で飼料用米、僕は非常に期待をするんですが、全国的に見ると、平成三十七年、十年後に百十万トンへ持っていこうという政府方針があるんですよ。ところが今、大体十七万トン、この前聞いたら、二十七年度産が上がると三十万トンを超すだろうという話なんですね。  なぜそれに踏み切れないのか。主食用米に対するシェアは二%程度なんですよ、あれだけ一生懸命宣伝しておりながらですね。だから、主食用米から飼料用米に転作できない、あるいはそんなに積極的にやっていかない、いけないという何か隘路があってのことなのかなと思ったりするんですが、これ、宇川さん、個人も見ながら、全体を見てどういう感じですか。
  144. 宇川純矢

    ○公述人(宇川純矢君) 一番飼料米で取り組みやすいというのが鶏です。特に、もみのままやれるというすごい優位性があって、卵とか鳥肉等は本当に飼養するには大変使いやすいものじゃないかなというふうに思っております。  その面で、あともう一つ、養鶏農家さん等々は自己販売をされているというところもありまして、付加価値を付けて、餌米を食べていますよということをPRし、地域循環とか、そういう顔の見える方が作っている餌を与えているというような安心感を与えるようなPRができやすいということがあると思います。  その反面、例えば豚であるとか牛であるとかというのは、餌米を与えることによる脂肪酸の変化とかという優位性はあることはあるんですが、それを一般農家さんが有利販売につなげるための流通がなかなか難しい。要は市場に卸しておしまいというような状況下でありまして、結局、枝肉を買ってもらうのに本当に優位かということを証明できないといいますか、コストがアップするだけのネタになってしまっているのが現状じゃないかなというふうに思います。  これを何とか餌米を使ったというものを有利販売できるような仕組み等ができれば、もっともっと牛、豚等にも餌米の利用というのが進んで、PRしたりとかというネタになるんじゃないかなというふうに思います。  以上です。
  145. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  非常に可能性のある農業、あるいはその思想をお持ちのような、失礼ですが感じをしておりまして、大変期待するところですので頑張っていただきたいと思います。  それで、最後に穴田さん、お伺いしたいんですが、この農業協同組合の本来の役割営農指導と販売であると。ところが、それだけでは農家のもうなかなか所得は上がらないし、ましてや農協そのものが立ち位置が非常に危ない。それを補完しているのが信用事業であったりあるいは共済事業であったりということで今成り立っていて、金庫なんかは九十兆も持っているというような状況なんですが。  法案を見るというと、本当に、八項目ぐらい出ているんですけれど、これだけ変えていく必要が農協全体に、全農全体にそういうのがあったのかどうか、少し危惧するところですね。なぜかというと、私、疑い深いかも分かりませんが、小泉政権時代に郵政事業改革ありましたね。あれ、郵貯と簡保でしたか、三百四十兆などと言われていたんですが、あれが解体されて今日あって、この農協が僕狙われたのかなと思ったり考えたりするわけですよ。必ずしもそうとは思いませんけれど、その辺どう思っていらっしゃるか。  あるいは、日本の法体系、法文を見ていると、外国はやってはならないことをよく書くんですよ。これやっちゃ駄目ですよと。ところが、日本はやれと書くわけですね。しかも、具体的な、法文に明確性が欠けている。例えば、准組合員を排除する、五年間置いておくよと、五年間の後にやるよと、経過措置やるよと、そういうことで、その五年後が実際に皆さんの努力で准組合員の今までのような状況に置かれるのか、あるいは外されているのか、その間の努力は相当のものだと思うんですが、その辺いかがでございましょうか。
  146. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) まず最初の部分、農協貯金が九十兆円で、多分先生の方ではもう過大でないかという懸念があるんじゃないのと、それが今回の農協改革だということだと思いまして、私はそれはやっぱり一面当たっていると思います。特に、郵政の話もされましたけれども、やっぱりいろいろ聞くところによりますと、もう無理やり、農協営農指導なり販売事業をおろそかにして信用、共済に特化しているということは、決してそういうことはないんです。  多分、お手元に農水省から出た表もあると思いますが、現在二十万人の全国農協職員がおるんですが、私ちょっと資料を見ましたらね。信用事業、共済事業に担当しておる職員は多分全部で五、六万人ほどだったと思うんですが、販売、営農それから経済事業では七万人を超えていると思います。  ですから、決して、やっぱり営農指導事業もやっているんですけれども、ただ、じゃ、七万人のその営農指導事業で利益を上げるわけになかなかできぬわけですよ。特に、農協は大型の投資もします、カントリーエレベーターや何だかんだ。じゃ、そのための資金はどこから出すんですかということになると、必然的にやっぱり信用事業、共済事業でも利益を上げなきゃならぬと。その結果が九十兆円になったということなんですが、結局そういうところの攻撃で、九十兆円を少し多過ぎるということで、結果的にはここは郵政と一緒なような考え方で、だんだん解体されるのではないかと、農協の信用事業分離ということですね、これは絶対そういうことをしては駄目だと。  今言いましたように、経済事業では相当のコスト掛かって農協事業運営している。それは、やっぱり信用事業なり共済事業で、その利益でそういう営農をやっておるということですから、これは何としても一体としてやっていかなきゃならぬと。決して私は九十兆が多いとかそういうことは思いません。逆に、多いものですから、それを狙っている者がおると思いますので、そこはやっぱり協同組合としっかりと守っていかなきゃならぬ、そういうふうに思っています。  それから、おっしゃるとおり、五年後にいろいろ調査をして、何を調査をするのか分からないんですよ、准組合員の利用状況が何なのかとか。じゃ、具体的に、五年後に結論を出すときにはこうこうこういうことをやってやりますということなら分かるんですが、とにかく何をやるのかも分からぬような状況の中で、我々はやっぱり日常事業運営をしているわけであります、各JAさんは。  それから、当然、准組合員だって、もう高齢社会ですからどんどんどんどん亡くなられる方がおる、若い人がまたやっぱり新たに組合員になられるということですから、じゃ、五年間という短い期間かもしれぬけれども、その間にどんどんやっぱり組合員の体制が変わってくるわけです。そのときに、五年後に見直せ言われても、現場は五年後どうなるか分からぬから、これはもうどうすりゃいいのかということで、やっぱり事業運営に相当支障を来すと、こういうことでありますので、是非、ああいう五年後見直すなんていうことよりも、もうこれはやっぱり信用事業、共済事業も当然農協組合員として、今の地方創生も含めてインフラとして必要だと、だからこれはやらないと、こういうことをやっていただければ、しっかりとやっぱり私は農協事業運営はできるだろうと、そういうふうに思っております。
  147. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  148. 紙智子

    ○紙智子君 今日は、公述人の皆さん、ありがとうございます。貴重な御意見を伺わせていただきました。  それで、私は、衆議院でこの法案が議論されて、衆議院から参議院に今送られて、まだ決まっていない、審議の真っ最中なんですけど、もう最初から、新聞報道で見ると何かもう決まったかのような形で報道されてきたというのがあって、これは本当に良くないなというふうに思っていまして。  やっぱり改めて思うんですけれども、衆議院議論を通じても、地方公聴会二か所でやりました。山梨、それから石川でもやりました。そこでもそうだし、参考人質疑の中でもやっぱり疑問が解決されないし、相変わらず解決できない問題というのは入っているままの状態で来ていると思うんですね。  それで、安倍総理がこの間、世界で一番日本が企業が活躍しやすい国にするんだと、そして四十年以上続いてきた米の減反を廃止します、そして民間企業が活躍しやすい、農業に参入できる時代がやってくるんだという話をされてきて、今回出されてきているこの農協法や農業委員会法等の改正案というのは、そういう意味では、そういう意向に沿って出されているものなのかなというふうに思うんです。  やっぱり最初の段階で私が質問したときに、例えば中央会の廃止だとか農業会議所をなくすというそういうことというのは、政府が説明して歩いたときに、全国で説明したときに、どこからか一か所でもそういう要求が具体的に関係者から出たんですかと聞いたんですよ。そのときに、規制改革会議の、そこに参加をしていた後藤田副大臣ですかね、答弁したのは、いえ、出ていませんと。実際には関係者から一つも要望は上がっていないのに、どうしてこういうことをやろうとするのかという話をしたら、規制改革会議議論を踏まえてと、委員皆さんから出されている意見を踏まえてということだったわけで、やっぱりそこのところがもう最初からどうも違うなということを感じながら来ているんです。  ですから、本当にこれまで御苦労されて、国民の食料生産と安全、安心の食料を確保するということで現場で努力されてきた皆さんの希望に沿うような中身なのかというと、決してそうではないというふうに私自身は感じております。  それで、幾つかお聞きしたいんですけれども、まず農協法と農業委員会法についてお聞きします。  穴田会長と鍋嶋会長にお聞きしたいんですけれども、安倍総理が今回、施政方針演説の中でも、戦後以来の最大の大改革なんだということの中に今回の法律を出して改革をするというふうに言っているわけですけれども、その目的に言っているのは、一つは強い農業をつくるための改革だということと、もう一つは農家所得を増やすための改革だと言われたわけです。  ところが、この間の審議を通じても、なぜこの改革所得が増えるのかということについては、幾ら説明されても納得しないというのがこの間の議論なんですよね。実は、今日、お二人にそのことを聞こうと思ったんですけど、既にこの回答としては、そういう所得増やすと言った以上は増やす方向について国がちゃんと示しなさいよというふうに逆に言われた形になっています。  それで、私は、今、米価が去年も大暴落をした中で、やっぱり非常に深刻な打撃を受けた中で農産物の価格が低迷していて、そういうときに農協改革で例えば監査だとかいろんなことを変えることがどうやって所得に関係するのかということですとか、この改革がどうつながるのかと、目的に、というところについては、私もこの間国会で議論してきたんだけれども、結局これだけではできないというふうに変わってきたんです、答弁が。この改革だけではなくて、もっと総合的なんだと、つまり六次産業化だとか輸出だとかということでやらなきゃいけないという話に変わってきたんですけど、皆さんから見て、じゃ、その所得を増やすということでいうと、どういうふうにしたらいいかというふうに逆に思われるのかということをお聞きしたいと思います。お二人にお聞きしたいと思います。
  149. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) 先ほど私は、もう農業所得農業者所得を増やすということをよしんばこの法律が通ったら国が示すべきだと言ったのは、大変失礼な言い方しますが、できるわけないだろうと、そういう逆説的に言ったわけなんですよ。  というのは、結果的にそういう具体的なものが見えないままでこの農協法改正が独り歩きしておることが、やっぱり今先生がおっしゃったようなことと私は同じ思いなんです。でも、そういうことばかり言っておっても、これはやっぱり法治国家ですから、じゃどうするかということで、そこで、そういうものを踏まえた上で、私は、JAグループとしてやっぱり農業者所得を上げなきゃならぬということは第一義に出しているわけですよ。  じゃ具体的にどうするのと、こういうことなんですが、一つはやっぱり、地産地消とか、それから多様な品目、いわゆる自給率辺りで富山県のように米単作の割合が高いところ辺りは、米はやっぱりもう需給の関係であれだから、じゃほかの園芸品目とかあるいはそういう花卉とか、そういうところへ特化しましょうよと。でも、そういうことをやるのは農協が各組合員なり農業者に言えばいいので、それが株式会社が来てやったって駄目ですよと、そういうことを我々は言っているわけですよ。  じゃ、我々はそのためにどうするのかということで、具体的には、先ほど言いましたが、富山県でも、十五JAで二十三品目、一億円の産地づくりにしようと。例えばタマネギなんかは、今から五年ほど前にうちの方、あるJAで取り組んだんですが、今年はもう三億円を超えているわけですね。やっぱりそういうものを積み上げることによって農業者所得が増える、そういうことは我々JAがやりますよ、本当にあなた方がそう言うならやってくださいと。  それで、そういうことをきちっとやっぱりやるのは、各JAの主体性もありますけれども、全国の情勢、富山県の全体の情勢、そしてまた産地リレーということで、気候によって順番に産地でも作ればより付加価値が高いものが売れると。そういうことはやっぱり系統の力があるからこそできるんじゃないですかと。それをばらばらにしようとしているわけですから私どもは納得できないと、そういうことを言っているわけであります。  じゃ、最後に言いますが、所得は、今ほどちょっと言いましたが、そういうことで、絶対にJA農業者所得に本気で取り組みますよ。そういうことをやっぱりして、こういう今の農協法の中でも農業者所得には真剣に取り組める、またそうしなきゃならぬと、そういうような決意であることは申し上げておきたいと思います。
  150. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) 私からは、立場上、農業会議会長としてではなく、一農業法人の役員として発言させていただきます。  今ほど穴田会長からございました、農協が全力を出して農業者所得を上げる、これは大変期待するところであります。ただ、私らとして、先ほども少し述べましたけれども、米一辺倒、それもコシヒカリ一辺倒ではこれからはやっていけないというのは、これは当然見えております。  そこで、私らは、先ほどの輸出の関係もございますし、それからチューリップの切り花もやっています。一番極端に思ったのは、私はもう二十何年前からチューリップやっていたんですけれども、当初、市場で一本チューリップが百円だったんですよね。それが今、市場で三十円になればいいところです。そういう方、そういう方法を取っている切り花農家は当然、言葉は悪いですけど、淘汰されていました。現在、数字的には分かりませんけど、相当数のチューリップの切り花生産者は減っております。恐らく私らが始めたときから見ると四〇%以上は減っていると思います。  じゃ、減った中で、どんなふうにして残った人がやっているかというと、私らは契約栽培の方に向けましたし、あとの方についてはいまだ市場経由でやっていますけれども、ただ、相対だとかそれから予対だとか、いわゆる前もって契約をして市場に提出するという形を取っています。これがこれからの農業に一番必要じゃないかなと私は思っています。ですから、米についてもそういう形になると思います。  穴田会長が言われました、多様な農家があって当たり前です。多様の中のいわゆる、私から言うとちょっと申し訳ないんですけど、面積の少ない方がやっておられるところについては、農協さんがしっかりフォローされるのはこれは当然だと思うんですけれども、私らにすれば、なかなかそれだけでは対応し切れていないところがありますので、自己開発で自分で売り先を探して、それから売り方も変えてやっているわけなので、先ほど言われました、所得を向上するには農協と私らの知恵とが一番これからはやっていかなきゃならない、個人でもやっていかなきゃならない部分だと思いますので、農協改革で完全に農業所得が上がるとは思っていません。  以上です。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 もしおっしゃりたいことが追加であるのであれば。
  152. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) 今、鍋嶋公述人がおっしゃった規模の小さい多様な農業者は、規模の小さいのは農協がフォローすると、こういうことでいろいろアドバイスをいただいたわけですが、私どもは、農業者所得自己改革の中で、やっぱり規模の大きい人も一体となって、その規模の大きい人には規模の大きい人のニーズがあるでしょう、いろいろ戦略があるでしょう、そういう戦略についてもアドバイスすると。そういうことで、例えば担い手サポートセンター辺りを各県なりにきちっとつくって、そしてもう多様な農業者を全部やっぱり所得を上げるようなことをやろうということを今の自己改革の中で決めておるわけでありますから、そのことを一言申し上げておきたいと思います。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 自己改革というお話もされたんですけれども、これ、先ほど徳永さんがお聞きしたことともちょっと重なることで、私もずっと新聞報道で注目をしていました。  それで、穴田会長は、その自己改革でいうと、座長を務められて、十一月に改革案をまとめて出されたということだったわけです。  ところが、その直後に、規制改革会議農業ワーキンググループの会議農協見直しに関する意見書というのをその後に出して、それで、その全中の監査の義務付けの廃止ということや、准組合員利用の規制を早期に導入するということを求めるというふうになったと。  それで、総選挙も前後したと思うんですけれども、政府の与党の中でもずっと議論をされていたんだと思うんです。最終的に、准組合員利用の規制だとか中央会扱いが焦点になってきたということが報道されていたわけです。  それで、ちょっと言いづらいのかもしれないと思うんですけれども、そのときに、二月の八日のときのその記録で、全中が最終的に折れたという報道があったんですね。それで、それを見て、ああ、というふうに思っていたわけですけれども、どういうやり取りがあったのかなというのは新聞紙上ではちょっとよく分からなかったんですけど、ちょっと言いづらいかもしれませんけれども、率直にあえてお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  154. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) 大変言いづらいということは、先生もおっしゃったそのとおりなんですよ。  ただ、例えば折れたとか負けたとか、これは私は一部マスコミの報道だと思うんですよ。やっぱり、今おっしゃったとおりなんですが、長い間、与党の先生方と我々組織で、どうすれば地域に根差した協同組合がやれるのか、そういうもののせめぎ合いをやっていたわけですよね。  それで、やっぱり話の中で、仄聞するところにいけば、准組合員制度を取るのか、中央会の一般社団にするのか、どっちなんだと。こういうことだったということで、これも私は当事者ではありませんから定かではありません。でも、一応はそういうふうな形で決められた以上は、やっぱりそれを今から覆すことはできぬわけですから、その中でもっとやっぱりこちらが懸念していることを最大限、法律なり、あるいはその案の附則なり、何か附帯決議なり、省令なりできちっと整理してほしいと、そういう思いで私は今日のこの公述に立っておるわけであります。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。  続いて、鍋嶋公述人にもう一度お聞きしたいんですけれども、農業委員会農業会議でもあるということなのでお聞きしたいんですけれども、今回、政府としては、公選制を市町村長の任命に変えるという理由の中で、農業委員会活動が余り評価されていないんだということが一つと、もう一つは、無投票当選が多いからだと。先ほど鍋嶋公述人も言われていたんですけれども。  それで、私も、国会の質問のときにいろいろ調べたんです。それで驚いたことがあって、それは、一九五〇年代のとき、今から六十年前ですけれども、農業委員会改革案が議論されていて、それで当時も無投票当選というのが実は七割もあったんですね。だから、当時から無投票当選というのが多かったんだと。  ところが、そのときの議論の中で、与党の方から出した提案で、無投票が多いのにわざわざ選挙をやってお金も掛かる、だからもうこの際、全部任命制というか選任制にしたらいいんじゃないのかという提案が出されたんだけど、三年間にわたって延々と議論していて、最終的にその結論というのは、いや、しかしそうはいっても、地域の信頼関係だとかということも含めた、任命されるという形もあるんだけれども、やっぱり公選制という形を取ることが、農民の声を代表するという場を続けていく、そういう声を反映するということではやっぱり大事なんだというような結論が出て、当時、それで引き続きやるというふうになったという経緯を発見をして、ああ、そういうことだったのかと。  つまり、そのぐらい非常に公選制ということの意味するものというのが、いろんな考え方の人が地域にいると思うんですけど、やっぱり反対であっても賛成であってもいろんなことを議論できる場というのかな、そして、やっぱりそういう中で自分が選ばれてなるということが持っている、何というか、公的な立場で自分が対応するということの意識というのを確保していくということからもやっぱり大事だから、今まで続いてきたんじゃないのかなということを改めて思ったわけなんですよね。  当時、三年間にわたって議論して決まって、今回は法案出されてからまだ四か月なんですけれども、やっぱり余り十分に吸い上げないまま決めていくということでいいのかなということも思いますし、私も徳永さんと同じ北海道なんですけど、北海道の農業会議皆さんは、これはもう公選制の旗は絶対下ろせないという話をしているんですよ。  それで、それがあって本当に、農地をどうするかということは財産を扱うことでもあるわけで、やっぱり信頼関係がなかったらうまくいかないというか、話合いが、そういう側面もあったりするので、やっぱりそういう意識を高く持ちながらやっていくということがこれまでもいろんな問題を解決する上では重要だったんだと。ぽっとどこかから来て分からない人がいて、簡単にちゃちゃっとやってしまうとやっぱり問題を起こすし、ハレーションも起こすということでは、そういう長い間培われたものを維持していくということの大事さということを改めて思ったんですけど、こういうことについてはどうなのかなというのもちょっとお聞きしたいなというふうに思います。
  156. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) 今ほど先生から五十年前の話を聞いて、私も知らなかったわけなんですけど、確かに、選挙で選ばれたその責任において、それから農業に関する思いにおいてしっかり農業委員としてやっていかれるには、それは公選制がいいのかなと。特に、北海道の経緯があります。北海道、東北については大変今でも公選制について強い意見をお持ちの方は多いと思うんですけれども。  私、個人的に考えても、確かに五十年前はそうだったかもしれない、ただし、時代の流れの中で、集落、いわゆる地域の中で今任命されるわけなんですけど、任命に持っていくまでの推薦する人選をするときに、それは地域でするわけですから、そのときにしっかりとしたその地域意見をくみ上げる人、それから農業に関する思いのある方が推薦されるのであれば、私は公選制にこだわることはないなと。  ただ、その地域の中で一人選ぶのに、実は二人いたと。そういうときには、当然、選挙という話になるかどうかは分かりませんけど、そこでいわゆる二人のうちの一人出すわけですから、そこでのせめぎ合いはあるんでしょうけれども、ただ、お金を使うから云々ではなくて、地域で選ぶ人を推薦するという形であれば当然その代表性を担保できるんじゃないかなと思いますので、これは私の意見でありますけど、今の公選制から推薦制に対しては異議ない意見であります。よろしいですか。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 はい。ありがとうございます。  それで、時間になったので、あとちょっと宇川公述人、細田公述人にお聞きしたいと思っていたんですけど、端的にお聞きしたいのは、今回、独占禁止法の適用除外がなくなることによる問題の有無を精査して、問題がない場合には株式会社化を前向きに検討するよう促すということになっているんですけれども、今回の改正で全農が選択で株式会社に組織変更できるというふうに規定されているんだけれども、もし株式会社になった場合、影響というか、どんなふうにお考えかなというのを、一言ずつで結構です。
  158. 山田俊男

    ○団長(山田俊男君) それでは、どちらから行きますかね。宇川公述人、そして細田公述人。  時間があれなものですから、端的にいただきます。
  159. 宇川純矢

    ○公述人(宇川純矢君) 財務状況によって相手にしていただけないような状況があるんじゃないかなというふうに思います。  以上です。
  160. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) 一番懸念されるのは、私どももその独禁法の除外の問題であります。やはりこれには、どういった組織になろうと、全組合員のものをその産地から売る場合には共計というものも当然必要でありますし、みんなで固まってやろうとしたものが全て壊れるということでありますから、それは農協の理念から外れているんじゃなかろうかなと。ですから、この独禁法の除外だけは、どんなことがあっても、どういう組織になろうとやっぱり確保を考えてもらいたいと、そのように思います。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。
  162. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎でございます。  本当に今回は、公述人の方々、現場の生の声を聞かせていただきましてありがとうございます。審議に大変参考になります。  実は私の場合は、妻が魚津出身なものですから毎年のようにこの富山に来ておりますが、改めて農林水産委員として来て、しみじみと農業と富山といった辺り感じながら今日の質疑していきたいと思っています。  実は、もうこの参議院の農林水産委員の中では、私は実は元々農協改革については一番厳しい意見をずっと言ってきたということは知られておるんですが、二年半ぐらい農協改革は絶対やらなきゃいかぬということを言ってきたんですが、ただ、逆に、今回、そういう立場からの出口として、今回の農協法改正が本当に農協改革につながるのかどうか、何の目的でやっているのか私も分からなくなってしまったというのが残念ながら今回の法案の在り方なのかなというふうにも思っています。これはどういうことかと申し上げますと、どちらかというと、今回の農協法、それから今政府が出している方針は農地の拡大とか生産性向上と。多分、官邸の方は、農業を成長産業にしたい、それから輸出産業にしたいという思いが極めて強過ぎる、こういうふうに思っております。  何でこういうことを思うかというと、やっぱり霞が関や永田町でデジタルで仕事をしておりますと、私もちょっとそういう嫌いがあったんで今回こういう現場に来て反省をしているんですけれども、現場における農協役割というのは、何人かの委員の中にもありましたし、これは私も委員会の中でも述べているんですが、地域協同組合のやっぱり色彩ってすごく強いんだなということを改めて感じておりますし、最後のとりでの部分も幾つかの村落にはあるということも実際には見てきたところであります。そういう観点も入れて今回農協改革をきちっと質疑議論していかないと、改革することは大事だけれども大切なものを壊してしまうと、こういうすごく危惧を実は感じているところであります。  そういう意味で、ちょっと嫌らしいというか言いにくいんですけれども、今回、公聴会というのを、こうやって国会議員以外の人もたくさんこんなに集まってやっています。これは決して皆さん意見を聞くだけではなくて、我々国会議員もさらされているということでありますし、特に今回、今までの質疑の中で、農林水産委員会質疑が、どちらかというと今回の農協改革いろいろ問題があるなと、この法案には問題があるなということを感じている中で、最終的に自民党の先生方がどういう結論を参議院の中で出されるのかということは非常に私は責任が重いと思っておりますので、それによってこの農協法の出口がどうなるのかということがあるということをちょっと改めて感じた上で、今日質疑に入らせていただきたいというふうに思っております。  まず、私自身、じゃ農協法、今回、本来どうあるべきかということと、今回の法律がそれに即しているかということを皆さんとともに少し考えて質疑していきたいんですが、私はまず、今、政府の方は成長産業、輸出と言っても、もう日本の農業現場はそれどころじゃないと。担い手がいなくて、要は農地の維持すらできないんじゃないかと。これは政府も発表しているところでありますが、六十歳代以上から七十歳の人たちがこの十年間で四十万人ぐらい退出される、もうそうなってくると担い手が足りないので、毎年二万人ずつ増やさなければいけないと、こういう計画を出しているわけであります。ただ、残念ながら、足下は毎年一万人ぐらいしか増えていないという中で、もうこの担い手がいなければ、どんなに土地を集約しようと、輸出産業に育てようと思ったとしても現場は成り立たないと、こういうことだと思うんですよね。  そういった意味で、担い手をどういうふうに確保、維持していくのか。今日も現場皆さんの、公述人の方々からいろんな意見をいただいているんですが、改めてその辺りを各公述人の方々にお聞きしていきたいと実は思っています。  まず、細田公述人にお伺いしたいんですが、営農指導員だったということもありますので、新規就農者を増やすためにはどうしたらいいのか。今までどんなことを例えばやられてきたのか。例えば、じゃ、農協役割として、実はそういうところはこういうことであるんじゃないかと、そんな辺りがあったら教えていただけないでしょうか。
  163. 細田勝二

    ○公述人(細田勝二君) 新規就農はどういう状況でなっておるかということでありますが、なかなか過去には厳しい状況でありました。ただ、後継者という形の中では、新規就農というのは当然ながら生まれてきたわけでありますけれども、最近はなかなかそれを存続するというのは農家の中でも難しい状況であります。  特に、こんな言い方は失礼なのかもしれませんが、やはり今現在の四十歳以下の人たちは元々手伝いもしたことないという状況、それはもう農機具はそろっておるから、小さい頃から全く手伝いをしたことないと、だから農業は全くもう分からないよ、知らないよという状況でありますけれども、ただ、最近はかなり経済状況が変わって、最近は物すごく今人手が足らなくなっておりますが、このちょっと前辺りはかなり就職がないという状況でありましたので、その段階のときには今の担い手、かなり増えました。  これからはどういうふうになるかというのは、やっぱり見通しができるのかどうかということが、新規就農者が増えるのかどうなのかというのはそこで決まると思うんですよね。やはり今、五年後にはこうだとか、五年後にはまたこの辺は検討するとかって、もう全く前が見えない状況でありますから、そんな不安なところへやっぱりなかなか入ってこないというのは現実であります。やはり若者には夢を与えにゃならぬわけでありますから、もっと長期的に夢がかなえられるような政策が私は必要だなと。であれば、それなりの新規就農は増えていくものと、このように思います。
  164. 山田太郎

    山田太郎君 鍋嶋公述人にもお伺いしたいんですが、サラリーマンから農家に入ったということでありまして、いろいろ御苦労というかバリアがあったと思うんですね。同じ質問になるんですけれども、この新規就農者、どういうふうにしたら増やしていけるのか、この辺り、是非御経験も含めて教えていただければと思います。
  165. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) お答えします。  今、富山県なんですけれども、富山県で今年の四月から、今までは富山県には農業大学校というのはございませんでした。いわゆる就職するというか、そういう形の研修する場所がなかったんですけど、四月から、とやま農業未来カレッジというのが開設されまして、今十八名の若者、四十五歳以下なんですけれども、そういう若者たちが今勉強しています。  それが、今先生がおっしゃるように焼け石に水かもしれませんけど、徐々にいわゆる農業を志す人たちが増えています。それが農業法人の従業員であったり、それから、一農家のこれから担い手としてなっていく人もいるわけなんですけれども、そういうのがこれからはどんどん、富山県としても、また全国としてもだんだん増やしていくべきじゃないかなというふうに思っています。  よろしいですか。
  166. 山田太郎

    山田太郎君 ありがとうございます。  宇川公述人にもお伺いしたいんですが、先ほど宇川さんの方は、最初のお金が例えば二千万ぐらい、若手が農業をやると言っても掛かるとか、途中で、今後軌道に乗ってきたときにやっぱり資金の問題がある、こういう話もされましたし、一方で、新規参入の制度ばかりがあって、その途中の成長というものをサポートするようななかなか政策がないんじゃないか、こんなような指摘がありました。  確かに新規就農も、入っても、最初の頃はちやほやされても、その後本当の意味担い手として安定するかどうかというのは問題があると思っています。少しお話しいただいているんですけれども、その新規就農後、もうちょっと、組織的、継続的にできるようにするためにはやっぱり何が必要なのか、その辺り、いただけないでしょうか。
  167. 宇川純矢

    ○公述人(宇川純矢君) やはり、確実に言えるのは収入だというふうに思います。  決して自分も、朝から晩まで働いて、本当に熱帯になったんじゃないかと思うような、この本当に熱中症になるような天気の中、外で草を刈ったりとかというのを本当に申し訳ないような給料で従業員さんにやっていただいております。それでも彼らは農業が好きだということで、農業に従事していただいているという状況にあります。  自分たちも、このような場に呼んでいただけたりとか、マスコミ等に農業楽しいよというふうなことでいろんなPRをする手段を使ったりとか、無農薬栽培で世界一辛いトウガラシのエキスを使った虫よけ防除みたいなものをやってみたりとか、そういうことをいろいろ、農業って楽しいよというふうなPRをしているんですが、なかなかやっぱり就職先としてでも選んでいただけないというような状況下にあるのかなというのが、現状のTPPの問題であったりとか農業改革というようなことで農業者が苦しめられているような報道であったりとか風潮であったりとかイメージであったりとかというものが、もう若者に刷り込まれているというような状況にあるんじゃないかなと。  その中で、政府自体が、本当の意味で成長産業だというような明るいイメージを打ち出していただけるような、例えば月九のドラマを政府主導で作ってもらうとかやっていただければ、農業やってみたいなというふうな思いになるんじゃないかなというふうに思うので、是非よろしくお願いいたします。
  168. 山田太郎

    山田太郎君 穴田公述人にもお伺いしたいんですが、今回、中央会の事実上の解体というか、こういう改革をされるんですが、逆に、これは宇川さんからもあったのかもしれませんが、中央会というのは青年部の教育機関でもあったんだよと、こういう御発言もあったと思うんですけれども、その辺り、担い手に対することをこれまでどんなことをされてきたのか、今後改革によってその辺りはどう変わっていかざるを得ないのかどうか、危惧を含めて、担い手の発掘、教育、それからサポートと、そういう辺りから是非御発言いただけないでしょうか。
  169. 穴田甚朗

    ○公述人(穴田甚朗君) 山田先生からの私に対する質問に適切な答えにはならぬかもしれませんが、今の担い手をどうするかということについての私の思いも含めて話をさせていただきます。  まず、担い手に対して今までのJAはどうしてきたのか、それから、これからはどうしようとしているのかと、この件でありますが、率直に申しまして、担い手だからこうしよう、ああしようということについては、今までJAとしては特別やってこなかったと思います。でも、それはなぜかといいますと、やっぱり組合員組織でありますから、ちゃんと農業者がおるわけですよね、組合員の中に。ですから、当然その跡取りなりが一緒にやっぱりやっているだろう、だからその人が担い手じゃないですかと、こういうことで私は今日までやっぱりちゃんと担い手は育ってきたと思うんです。  ところが、今日、この農業の、先ほど宇川さんが言われたけど、もうどんどんどんどん所得が、それじゃやっていけないと、そういうことなものですから、結局、担い手としてやろうと思ってもなかなか育たないということが現在の事実でありまして、こういうことについては、やっぱり今後どうやって育てていくかということは、我々農協としては、やっぱり何といいましても所得がないと担い手は育ちませんよ。こういうことで、是非そういう努力を、いろいろ情報提供するなり、それから所得を上げるためにどうするかというふうに思います。  それと、私が最後に言いたいのは、何を言いたいかといいましたら、先般、今、日本の平均年齢が、男が八十歳、女が八十六歳なんです。でも、私は、担い手担い手といって、いかにも何か二十代とか三十代かもしれませんけど、やっぱり多様な農業者なら、定年期の、定年になったら農業をやるという、それも私は国の政策として進めるべきじゃないかと。そのことが、医療とかそういうことも含め、トータルとして私は社会政策には絶対必要だと、そう思います。だから、六十歳で定年で辞めても、八十なら二十年働けるわけですから。  そういうことを今後、先生方にやっぱりやっていただいて、とにかく、多様な農業者で食料自給率は三九%から五〇まで上がったと、そういう政策を発信していただければ、食料自給率を上げますよと言ったらやっぱり担い手が育つと、そういうふうに私は思っております。  以上です。
  170. 山田太郎

    山田太郎君 次は、農地等規模拡大という辺りについて少し質疑させていただきたいんですが、今、政府の方は中間管理機構等をつくって一生懸命規模を拡大しようとしています。一方で、中山間地に対する対応も、かなり大きなお金を付けて守っていくんだというふうに言っています。  私自身は、もしかしたら中間地はともかく山間地、確かに美しい棚田を守るということは大事かもしれませんけれども、人口も減っています、担い手もこういう状況でなかなか厳しい中で、撤退の戦略というのも一つあるんではないか。ある地域は、もう担い手が付かないのであれば森に返すということもタブーを破ってそろそろ議論をしていかないと、何を守って、何は諦めていくのか、そうでないと農業全体を守れないんじゃないかな、こういうふうに思っておりまして、何が何でも今の耕地を例えば面積として守る、そのために減っていく担い手に対して一人当たりの拡大をしていくんだという政策はこれからの政策ではないんじゃないかと、私は実はそんなふうに思っております。  そんな中で、ただ、現場の声というのは大事でありますから、特に現場を担っていらっしゃる鍋嶋さんと宇川さんの方に、とはいえ、経営をいろいろされていて、それでもやっぱりある程度の規模といったものは維持し、今後それをどうされていくのか、どうその規模に対して考えていけばいいのか、その辺り、当然、特に、ある程度の規模がなければ、先ほどから、もうかる商売でなければなかなか成り立たないねということも言われていたと思います。土地利用型の田んぼであれば、やっぱり規模が大きければそれは有利ではないかと、そういう議論もあったりするんだと思います。その辺り、現場の感覚、今後の方向性から見て、政策等の関係で是非御発言いただけないでしょうか。
  171. 鍋嶋太郎

    ○公述人(鍋嶋太郎君) ありがとうございます。今日は、中間管理機構についてどうしても最後話をしたいなと思っていましたので、意見をいただきましてありがとうございます。  私らは、規模拡大、よく言われます。中間管理機構はあります。現在まだまだ中間管理機構は機能されておりませんが、それ以前に入善町は今、六八・何%の集積率があります。  そういう中で、私らも規模拡大するわけなんですけれども、それはいや応なしに、今六十七歳ですか、平均の年齢が、今はそういう形になっていますけれども、三年後には七十歳になります。いや応なしに田んぼが増えてきます。今やっておられる小さな農家の方だけではなく、担い手という形でいうと、今やっている担い手の方々でさえももう後継者がいないということで、今年なんかでも私らのところに、春になってからでも十何ヘクタール、いわゆる担い手の方から受けざるを得ない状態になっています。これがこれからも続くんじゃないかなと思っています。  そこで、じゃ規模拡大したからコストが下がっていってという話になるんですけれども、中間管理機構で今是非やってもらいたいことは、田んぼは増える、面積は増える、田んぼは増えるじゃなくて、面積は増えても田んぼの数が少なくなる、そういう政策をしてほしいなと。いわゆる一枚の面積を多くして、それを私らが借りることができる政策を今、中間管理機構は旗を揚げてそういうのをやっているわけなんですけれども、まだまだそこまでいっていませんので、それができることになれば、そのための農業委員であったり推進委員なんですけれども、そこら辺を政府の方で是非実現してもらえれば、私ら農業者としてもコスト軽減につながりますし、農業委員としてでもやりがいのある仕事ではないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上です。
  172. 宇川純矢

    ○公述人(宇川純矢君) 自分のところも、毎年二ヘクから三ヘクタールという面積が順調に増え、順調といいますか、預けていただいているような環境にあります。これも、今までは機械が壊れたから作業請負というような形だったのが、もうここ数年、やはり米価の関係もあるのか、一気にもう全面委託という形になってきているのが現状じゃないかなというふうに思っています。  また、今中間管理機構というお話もあるんですが、やはり地権者さんの土地に対する思いというものが強いのか、直接私たちのところにお願いをするというような形でいまだにお話があって、農協さんを通してお話をまとめるというような状況にあります。中間管理機構の中で集約というか、土地の移動、面積をまとめるというお話もあるんですが、やはり自分たち、堆肥だったり資材というものを相当量投入しているという思いもありますので、それをいとも簡単に面積をまとめましょうという話をされても、いや、あの土地をうちが預かるのというような疑問もあったりとか、その辺はやっぱりなかなか難しい部分があるんじゃないかなという、絵に描いたようなことはなかなか実現が難しいんじゃないかなというふうに思っております。  あと、先ほど鍋嶋さんも言われたように、急激に、十ヘクとかという話が、増えたときに、とてもじゃないですけど機械が足らない、人間が足らないというような緊急事態が発生するわけですね。そういうときに、やはり機械というものが大変高価で、それをどう調達するかという、面積増えたから決してもうかる仕事ではないというような状況下の中で、戸別所得補償でお金がもらえたのもなくなるという結果の中で、本当に、面積増えるのはいいんですが、機械をどう維持するかということがこれから本当の課題になってくるんじゃないかなというふうに思っておりますので、その辺も是非議論していただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
  173. 山田俊男

    ○団長(山田俊男君) 山田太郎君、時間が来ておりますので。
  174. 山田太郎

    山田太郎君 時間になりました。  デジタルに陥らずに、しっかり、我々責任があると思います、現場の声を聞いて頑張ってやっていきたいと思います。  ありがとうございました。
  175. 山田俊男

    ○団長(山田俊男君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の皆さんには本当に御礼を申し上げる次第であります。  大変長時間にわたりまして有益な御意見をいただきまして、私もここに座っておりまして、委員全員がそうだというふうに思いますけれど、本当に有意義な御意見をお聞きできたと、こんなふうに思います。ありがとうございました。委員会代表しまして、重ねて御礼を申し上げると同時に、また、本地方公聴会のために種々お手配いただいて御尽力いただきました皆さんに御礼を申し上げる次第であります。  いずれにしましても、本日出していただきました御意見、今後の参議院農林水産委員会審議に本当にしっかり役立てていく所存であります。  以上で終わります。  本日は、どうも大変ありがとうございました。(拍手)  これにて参議院農林水産委員会富山地方公聴会を閉会いたします。    〔午後五時四十二分閉会〕