運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2015-07-30 第189回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年七月三十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  七月二十九日     辞任         補欠選任      馬場 成志君     太田 房江君      堀井  巌君     大野 泰正君      小川 勝也君     礒崎 哲史君      柳田  稔君     野田 国義君  七月三十日     辞任         補欠選任      大野 泰正君     石井 正弘君      太田 房江君     井原  巧君      礒崎 哲史君     小川 勝也君      野田 国義君     柳田  稔君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山田 俊男君     理 事                 野村 哲郎君                 山田 修路君                 徳永 エリ君                 紙  智子君     委 員                 井原  巧君                 石井 正弘君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 金子原二郎君                 小泉 昭男君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 舞立 昇治君                 礒崎 哲史君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 野田 国義君                 柳澤 光美君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 山口那津男君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        内閣府副大臣   赤澤 亮正君        内閣府副大臣   西村 康稔君        農林水産大臣  小泉 昭男君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       中川 郁子君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       高田  潔君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        新井  毅君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      松尾  勝君        外務大臣官房審        議官       伊藤 直樹君        農林水産大臣官        房統計部長    佐々木康雄君        農林水産省生産        局長       松島 浩道君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     三浦  進君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、馬場成志君堀井巌君、小川勝也君及び柳田稔君が委員辞任され、その補欠として太田房江君、大野泰正君、礒崎哲史君及び野田国義君が選任されました。     ─────────────
  3. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官高田潔君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 おはようございます。自由民主党の古賀友一郎でございます。  農協法改正案審議ということでございまして、前回から少し間が空いてしまいましたけれども、衆議院を含めたこれまでの国会審議も踏まえながら更に議論を深めていきたいと思っております。  まず、准組合員利用制限の問題についてです。これについては、前回の当委員会でも答弁がありましたように、今後五年間、事業ごと准組合員利用量地域ごと代替サービス供給状況調査するとともに、農協改革の成果も見極めた上で利用制限在り方について検討をするということで、現時点制限するかどうかは全く決まっていないということでありました。  利用制限ありきのこの形式的な議論から脱却をしてより実質的に見ていこうという転換が図られたことは、これは私は大いに評価をさせていただきますけれども、一方では、ではどういう方向に向かっていくのか、どういう状態になれば利用制限が導入されるのかという判断基準が不明確であるために、全国の関係者が大変不安に感じているところでございますので、今日はその辺りについて質問をさせていただきたいと思います。  私は、この問題についてはあくまでも農協法目的に従って考えていくべきと思っております。農協法目的は、今日お配りした資料にも載せておりますが、第一条によりますと、農業生産力増進農業者経済的社会的地位向上とされておりまして、農協の発達はあくまでもその手段としての位置付けでございます。したがいまして、准組合員が増えて、その農協の性格がどうこう言うよりも、より大きな価値観といいますか、そういう農業生産力増進でありますとかあるいは農業者経済的社会的地位向上したかどうかといった観点から判断されていくべき、そういう問題だと思っております。そうした意味から、前回の当委員会林大臣が、准組合員の人数のみを基準にして規制することにはならないと、こう答弁されたのはもっともな御見識だと思っております。  そこで、まずこの規制在り方議論に入る前に、一つ確認をしておきたいことがございます。それは、昨年六月二十四日に閣議決定されております政府規制改革実施計画についてであります。  この計画は、配付資料の二ページ目に載せておりますけれども、そこでは、准組合員事業利用について一定ルールを導入する方向検討するとなっておりまして、これは前回の当委員会での政府答弁とは明らかに違うわけでございまして、その点をはっきりさせておきたいと思うわけでございますが、私のこれは見るところ、何も決まっていないという、そのことを内容とする農協法改正案がこれは今年の四月三日に閣議決定されておりますので、その決定によってこの規制改革実施計画当該箇所は言わば上書きをされたと。したがいまして、その矛盾、抵触する部分についてはそこが変わったんだと、そういうふうに理解するのがこれは至極妥当な解釈だと、こう思うわけでありますけれども、今日は内閣府から赤澤大臣にお越しをいただいておりますので、その辺の見解をお伺いしたいと思います。
  7. 赤澤亮正

    ○副大臣赤澤亮正君) 規制改革を担当する内閣府副大臣の立場でお答えをいたします。  今の古賀委員の御質問のとおりと基本的に考えていただいてよろしいと思います。政府は、社会経済情勢に応じて様々な、その時点でベストと思う意思決定をいたします。その中で、御指摘閣議決定は一番格の高い意思決定であるというふうに理解をいたします。そして、規制改革実施計画平成二十六年六月二十四日に閣議決定されております。その時点では、委員指摘のとおり、准組合員事業利用について、正組合員事業利用との関係一定ルールを導入する方向検討するとなっておりました。  この准組合員事業利用についての政府の新たな意思決定最新のものはいつかといえば、これは、平成二十七年、今年の四月三日の農業協同組合法改正案国会提出の際の閣議決定でございまして、その中では、政府は、准組合員組合事業利用に関する規制在り方について、施行日から五年を経過する日までの間、調査を行い、検討を加えて、結論を得るものとするとなっております。その限りにおいて、委員指摘のとおり、この最新のものに書き換えられていると、それが最新政府意思であるということだと理解をしております。
  8. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  今、本当に明快に赤澤大臣から御答弁をいただきまして、私もそこは安堵をいたしました。今の答弁で、政府として、全体としての解釈ははっきりしたんだと、このように思います。  赤澤大臣答弁は以上でございますので、もしよろしければ委員長の差配にお任せいたしますけれども。
  9. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 赤澤大臣、お残りいただければそれでも結構でございますけれども、お仕事があればどうぞ御退出ください。
  10. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 それでは、具体的にこの規制在り方について質問していきたいと思うわけでございますが、まず、この問題を考える上では、そもそもどうして准組合員が増えることが問題なのかというところからやっぱり出発すべきだと、このように考えておりますが、その点、これまでの農水省答弁によりますと、准組合員へのサービスが主眼になって正組合員へのサービスがおろそかになってはいけないと、そういうことだからという御説明でございました。そうした認識は、農協法一条の目的に照らして、私も全く同感でございます。  しかし、それは裏を返しますと、正組合員へのサービスがおろそかになっていなければ問題はないということでもあると思いまして、更に申し上げれば、准組合員利用する事業をやることによって正組合員へのサービスが維持されている、あるいは更に向上をしていくということになるとすれば、これは、農協法の精神としては規制されるどころかむしろ奨励してもいいぐらいではないかと私は思うわけであります。  そこで、配付資料の三ページを御覧いただきたいと思うわけでありますけれども、農協事業の中で主に准組合員利用している事業、いろいろあると思うんですけれども、そういった事業を私なりにベン図で整理をしてみた概念図であります。  その事業の中で、採算性のある事業集合、これは青で着色している部分でありますけれども、この集合の中に、農業生産農家所得向上につながる営農指導あるいは共同販売共同購入といった事業を財政的に支えている事業集合、この黄色で着色している部分集合でありますけれども、それが完全に包含をされているということで、さらに、それぞれの集合が、この赤の集合、赤で着色した集合ですね、地域インフラとして不可欠な事業集合とそれぞれ交わっているという概念図であります。  恐らく、私の考えるところ、こういった頭の整理で当たらずとも遠からずじゃないのかなと、このように思っているわけでございますけれども、それを前提にして考えていったときに、まずこの黄色集合でありますけれども、この集合については、准組合員が主に利用している事業とはいえ、そこで得られた利益で正組合員へのサービスを支え、農業生産農家所得を支えているわけでありますから、まさに農協法の趣旨にかなっている事業と言えると思うわけであります。  したがいまして、私に言わせれば、むしろこういった事業は拡大していっていいんじゃないかというふうに思うぐらいでありますけれども、少なくとも、この黄色事業については准組合員利用制限をする必要は私はないんじゃないかと、このように考えておりますけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  11. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 現在の農協経営の平均的な姿見てみますと、経済事業部門赤字で、これを信用共済といった金融事業黒字補填をするという構造が平均的な姿になっております。この補填をすること自体が法律に触れるとかそういうことではもちろんございませんけれども、農協によりましては、この経済事業を改善することがもうできないというふうに諦めてしまって、准組合員等への金融業務注力をしている農協も見られるところでございます。  農業者の中には、これは衆議院農林水産委員会参考人質疑でもございましたけれども、農業者の中からは、担い手中心とする方からは、自分のところの農協農産物販売等を余りやってくれないで、准組合員等金融業務の方にどうしても注力が行ってしまっていると、ここを何とかしてほしいという御意見もございました。これも実態上の事実だというふうに思っております。  このために、今回の農協改革におきましては、この信用共済事業中心事業運営ではなくて、それぞれの地域農協地域の特性を生かして、創意工夫で自由に経済活動を行って、農産物有利販売などに全力を挙げられる、そういう環境整備をすることを基本的な考え方としているわけでございます。こういった問題意識との関係で、この准組合員利用規制在り方についても議論されてきたわけでございますが、先ほど赤澤大臣の方からもございましたけれども、これにつきましては五年間の調査を行った上で決定するということになっておりますので、現時点では何も決まっているわけではございません。
  12. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 なかなか答えづらそうな答弁でありましたけれども、もちろんその経済事業収支を改善していく取組、これはこれで当然頑張っていただくべき問題だと思うんですね。私もそう思います。全く異存はございません。  ただ、今議論をしているのは、その経済事業以外に収益を上げている、准組合員利用によって収益を上げている事業、この事業制限するかどうかと、これが議論なわけでありますから、まさに私はそういう観点から伺ったんですね。もちろん、その結果をどうするかというのは、それはもう五年後の調査を踏まえてということで、それは私は否定をしていないんですけれども、要するに考え方なんです。どういう考え方で取り組んでいくのかという考え方の問題でありますから、今の答弁だとちょっと何もお答えいただいていないような感じでありますので、もう一回、奥原局長、何かありませんでしょうか。
  13. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) やっぱり問題点がどこにあるかということでございますけれども、農協農協法上いろんな仕事できるようになっているわけですね。農協自身判断でいろんな事業をやってもちろんいいわけでございます。その収益が出たときに、それをほかの事業に回すことも、一つ法人ですから当然できてしまいますし、それが悪いということでもございません。  ただ、問題は、農業振興のための事業農産物販売を一生懸命やる、あるいはその生産資材を有利に調達する、このことに本当にどれだけ力を入れていただいて、農家の方々がメリットを感じられるかという、まさにそこにあるというふうに思っております。  そのときに、確かに、補填財源を得るために、例えば、信用事業共済事業准組合員の方を含めて広めていくということも当然あり得るわけですけれども、そこに力を入れる余りに結局農業の方がなかなか販売振興ができないということになっては困るという、そこが問題意識の一番根幹にあるところだと思っております。
  14. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 いや、そうなんですよ。私も、そこは全く異存はないんです。そこは頑張っていただいていいんですよ。ただ、私が言っているのは、今議論しているのは、まさにその准組合員が主に利用している事業をどうするかという議論なので、これは繰り返しになってしまいますけれども、そういうことを申し上げているわけですね。  局長は、お分かりだと思う中で、なかなか答弁しづらいんだという事情もひょっとしたらあるかもしれないけれども、要するに、さっきおっしゃったように、現状、信用事業とか共済事業で出した黒字経済事業の赤を埋めているという状況で、そこに甘んじてはいけないということを言いたいのは分かるんですね。それはそれで経済事業の赤を改善していこうというのは分かるんです。ただ、おろそかになっちゃいけないというだけの話でありますから、それはそれで、ちゃんと上がった利益をそっちの方の経済事業に回してやるというのは、これは私は、それは否定されるべきじゃなくて、むしろ奨励してもいいと思うんです、おろそかになっていなければ、本業の方が。  だから、そういうことなので、これは農家の方の実需としても、これは一昨年ですか、十二月の農水省調査によりますと、農家が最も強化してほしいと思っている農協事業は、第一位、営農指導で、第二位が販売事業、第三位が購買ということでありますから、まさにそこに資する、その財源を生み出す事業として位置付けることによって、私は、何もその黒字を出している事業をあえてそういった制約を掛けて財源を細らせる必要はないと思うんです。むしろ、そういった財源をしっかりと経済事業の方に回す、ため込むんじゃなくて、そっちの方に回してもらうということをやっぱりやっていくべきじゃないかなと、こういうふうに思っているわけですね。だから、政府においても、しっかりとそういった考えの下で調査をしていって、検討していっていただきたいなと、そういう思いであります。  その点について、もし、林大臣、今、手が挙がりましたので、お考えあれば。
  15. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な議論だと思っております。今局長から答弁いたしましたように、どういう基準でやっていくかというのは、まさに政府与党で今から調査をしながら決めていくということでございます。  党内でも随分、私、この間、党に戻っておりましたので一緒に議論をいたしましたけれども、まさに今の話は、この先生がお使いになっているところであれば、この青いところ、このところを使って、いろんななかなか青くなりにくいような、しかしやってくれという、営農やこういうものをやっていこう、大変いい話だと、こういうふうに思いますが、全体として見た場合にイコールフッティングという論点党内議論で出ておったというふうに記憶をしております。  ほかの同じことをやっている方がもしいらっしゃって、その方が株式会社として法人税やほかの税も負担しながらやっている、一方で、これは協同組合ということでございますので、いろんな比較優位があると。そういう中で、全く同じ条件のもので同じことをやっているといかがなものかと、こういう議論党内ではあったところでございますので、我々の農林水産省の中の検討では余りそういうことは出てこないかもしれませんが、先ほど規制改革会議等政府全体の議論ということになってまいりますと、こういうところが特に我々の党内議論では比較的都会の方の議論としてそういうこともあったということでございますので、そういういろんな論点をしっかりと踏まえて、党内政府与党でしっかりと調査状況も見ながら検討していきたいと、こういうふうに思っております。
  16. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  そういう観点ももちろんあると思うんですね。ただ、私が言いたいのは、今せっかく財源を生み出しているこの事業について、下手な規制を掛けて、まさしく角を矯めて牛を殺すことがないように、これを留意していただきたいんです。  次にちょっと質問を移りますけれども、今大臣が触れられましたこの青い部分ですね、ドーナツ状の青い部分です。これは、採算性はあるのに、営農指導とか共同販売共同購入には貢献できていない事業ですね。これはまさに、これこそ正組合員へのサービスをおろそかにしている事業の典型じゃないかと、青がですね。先ほど私が議論していたのは黄色部分なんです。まさに青は、これやっぱり問題をはらんでいると思うんですね。  確かにこの部分については、株式会社化考えたりあるいは准組合員利用制限したりする、そういう余地は私もあるとは思うんです。しかし、私たちはその前に、せっかく利益を上げている事業なんですから、わざわざこれを切り離したり制限するよりも、その前にこの黄色の方に取り込んでいくと。営農指導とか共同販売共同購入に貢献する事業の方に移行させる、こういう指導を行っていく方が先決ではないかと思うわけです。その点についてちょっとお考えを伺いたいと思います。
  17. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今のこの青い部分でございます。採算性のある事業ということでございますが、採算性があればその仕事をどんどん農協としてやっていくかどうかというのは、これはちょっと考えなきゃいけないところはやはりあるんじゃないかなというふうに思っております。  といいますのは、やっぱり農協としては人員もそれから資金も限られておりますから、それを一体どこに投入をしていくのかということはやっぱり一つ判断でございます。採算のある事業の方にどんどん投入してそこで収益を上げて、経済事業はそのままでその赤字補填するというやり方もそれはあるかもしれませんけれども、やっぱり一番期待されているのは、経済事業、特に農産物販売資材購買のところについて、本当に農家がメリット出るように、人的にもそれから資金的にもきちんとした対応を取ってほしいというのが担い手農業者の大きな声だというふうに我々は思っておりますので、そのこととの関係で、採算性のある事業につきましてもどこまでやるかということはやっぱり一つ判断農協としてしていただく必要はあるんじゃないかなというふうに考えております。  その上で、准組合員利用規制在り方、これにつきましてはこれから白紙で検討するわけでございますし、それから株式会社化の話もあくまでも農協における選択肢でございますので、そうやった方が農協として仕事がやりやすいという場合には考えていただくと、そういうものとして位置付けられているということでございます。
  18. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  いや、黒字を生み出すこの事業を余り熱心にやるが余りに経済事業がおろそかになれば別なんですよ。いや、それはそれで頑張ってもらうんです。収支も改善してもらうんです。でも、せっかく財源を生み出している貴重な事業を、無用な制限を掛ける必要はないんじゃないですかということなんですね。利益は上がっているわけですから、例えば人員を増やしてそこに事業を集中してやって、あっ、集中したらいけませんね、おろそかになりますからね、事業を展開していくことによって利益がまた増えるんであればそれでいいんじゃないでしょうか。地域の雇用も増えるわけですね。だから、そういった観点から考えていくべきじゃないのかなと。  要するに、この青の事業は確かに問題なんですよ。だから、それを黄色の方にどんどん取り込んでいくと。それを今後五年間掛けてやっていくというのが私は妥当なんじゃないかなと思うわけです。よろしくその辺をお願いしたいと思うんですが、次に進みたいと思います。  三つ目の問題がこの赤の着色部分ですが、これはほかに代替サービスもないということで、地域インフラとして不可欠な事業ではあるけれども採算性はないと。これが赤の斜線の部分であります、三日月状の。この部分についてなんですけれども、これは農水省も今後地域インフラとしての側面をきちんと調査をするということのようでありますけれども、そうした事業については、私も、少なくともほかの事業利益でカバーし得る限りは、農協経営に甚大な影響を及ぼすような状況でない限り、これは存続させるべく准組合員利用についても制限を掛けないようにしていくのが妥当ではないかと、このように思うんですけれども、見解をお伺いしたいと思います。
  19. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) この赤の部分でございます。地域のインフラとしての事業ということになりますが、特に農協の生活関連の事業につきまして、これが地域のインフラとしての事業かどうかというのはその地域によっても、あるいは事業によってもこれは違いがあるんだろうなというふうに思っております。  これまでも農協の経営の中でこの生活関連の事業採算が取れない、赤字であるという話が結構ございました。これにつきましては、累次の農協改革の中で行政的にもいろいろな指導をしてきておりますけれども、まずはこの収益の改善の努力をいろいろやっていただく、コストの削減を含めましていろいろな改善努力をしていただくと、これが基本でございますけれども、これをやってもなおこの赤字が解消できないという場合には、今御指摘ございましたように、ほかの収益の上がっている事業でもって補填をするというのも一つ考え方ですし、それから、この際これについては撤退をするということも、これも一つの選択肢になります。そこについては農協御自身が、特に正組合員が議決して決めるということになりますけれども、農協御自身がその事業について今後どうするかということをやっぱりきちんと判断をしていただく、こういうふうにこれまでも指導してきたところでございます。  そういう意味では、その地域の方々、特に正組合員の方々が、その事業はもう地域のインフラであって、赤字であっても続けていく必要があるというふうに御判断いただければ、当然それは赤字であっても続けていくということになるわけだというふうに思っております。  こういった、その地域のインフラとしての仕事が本当に役に立っている、なければ困る仕事が、これができなくなるようなことがないようにしなければいけないという思いは持っておりますので、今後この准組合員利用規制在り方関係調査をするときにも、そういったことがきちんと分かるような調査をきちんとしていきたいというふうに考えております。
  20. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 伺っていて、大体お気持ちは共通しているなという感じはありましたので、是非よろしくお願いしたいと思います。  それを踏まえまして今後調査を行っていくということになるわけでありますけれども、これまでの答弁では、准組合員利用実態、それから代替サービスの存在、それから農協改革への取組状況といったことを調査をするという答弁がなされておりますけれども、私は、今申し上げたようなことを判断していくためには、それ以外にも、例えば事業ごと採算性、あるいは営農指導共同販売共同購入の維持強化について財政的な貢献度がどの程度あるのかと、こういったことも私は調査をしていくべきだと思うんですけれども、これについてのお考えを。
  21. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今御指摘いただきました事業ごと採算性ですとか他事業による営農関連事業への財政的な貢献度、こういった点につきましては、現在の農協の中でも総会に報告を求めております部門別の損益の計算書、こういったものである程度把握することはできるわけでございますけれども、例えば部門の中を構成しております個別の事業採算性まではこの報告書ではなかなか分かりませんので、現状のあれではある程度できますけれども限界もあるという状況でございます。  いずれにいたしましても、この調査の内容につきましては、今後いろんな角度から検討していくことになりますので、今の御指摘も踏まえた上で、現実的な選択肢をよく考えた上で実行していきたいというふうに考えております。
  22. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。是非よろしくお願いします。  今日私は、この問題で一番問いたかったのは判断基準なんですね。冒頭申し上げたとおり、それが分からないのでやっぱり現場の不安というのは非常に大きいというふうに見ております。  もちろん、結果はその調査次第でありますから、結果をどうこう言うことはできませんけれども、こういう考えに基づいて調査をしていくんだと。こういう状態になればマルになって、こういう状態になればバツになるという。普通、調査というのは、やみくもに調べるんじゃなくてある程度判断基準を持って、それに必要な判断材料を収集するというのが調査だと思うんですね。  しかも、今回の農協改革も、この利用制限を掛けることが別に問題ではなくて、そういう方向農協を誘導することによって農家所得を増やしていくということがこれは目的なわけでありますから、そういった意味でも、判断基準を示してあげて、こういう方向農協変わっていってねというふうなアナウンスをして誘導する方が私は良いように思うんです。  それは現場の不安の解消にもつながると思うわけでありまして、そういう意味で、この調査を実施する前に、こういう考え方調査をしていくんですと。結果がどうこうじゃなくて、結果は調査次第ですから、マルになるかバツになるかは別問題ですから。そうじゃなくて、判断基準はこういうものですよというふうなことを示しながら調査をしていくというのが重要だと思うんですけれども、その点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  23. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに先ほど規制改革の方から御答弁がありましたように、今回新たな上書きをしたという考え方には、規制の導入の方向でということを規制在り方についてと、こういうふうに書き換えさせていただいたわけでございますので、まさに今お話のあったような、こういう判断基準でやるので調査をしますと、その数字に当てはまるかどうかを調査しますというのは、まさにこの在り方に含まれるところだと、こういうふうに考えております。  我々が党で議論したときも、地方での今の必要なインフラという御議論もありましたし、都市部で主にほかの民業圧迫という議論もあったので、果たして同じところを見て議論をしているのかと、こういうことがございました。今までこういうことが、規制というのがなかったものですから、この実態の数字もないということで、まず実態をそれぞれ地域に応じて、そしてその地域で類似のサービスが提供されているか否か、どういう主体によって提供されているか、こういうことも幅広くまずは調査をしなければならないと思っております。  その上で、どういうふうに規制をするのかしないのかということも含めて政府与党検討していくと、これがこの間決めたことでございますので、今の段階で我々だけで何かこういう数値基準を作って、ここに入ったらしますよ、ここに入ったらしませんよということは、まだその一歩手前のところに我々はいると、こういうふうに考えておるところでございます。
  24. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  全くちょっと見方、価値観の違う人の顔も思い浮かべながらやらなきゃいけないと、こういった事情もあるとは思います。なかなか、そこは奥歯に物が挟まるとは思いますけれども、少なくとも今私が申し上げたようなことを頭の中で、これを紙にして表に表現するというのはなかなかはばかられるんじゃないかと思いますが、そういったことを頭の中に置いて調査をしていくということは少なくともお願いしたいと思うんですね。恐らくは気持ちは伝わっていると思います。皆さんの気持ちも伝わってきます。是非その点を意識して、今後取り組んでいただきたいと思います。  次に移りたいと思います。  私は、今回のこの農協改革准組合員問題と併せてもう一つ農協株式会社化と独禁法の問題、これ非常に大きなポイントだと思っております。それは、何となれば農協の本質に関わる問題をはらんでいるからでございます。  そもそもなぜ農協をつくるかというと、これはもう林大臣も何度も答弁されておられますが、要するに弱い農家が集まって共同販売共同購入を行うことで大きな企業と渡り合うようなバーゲニングパワーを発揮するためなんだというわけで、私も全く同感であります。しかしながら、そこに株式会社化ということが入ってきて独禁法が全面適用されることで、その中核的な機能にどのような影響を及ぼすのかということが大変気掛かりというわけであります。  これまでの政府答弁によりますと、単位農協レベルの問題については、例えば生活購買であるとかガソリンスタンドのような地域インフラ的な事業株式会社化を想定しておられるようでございますので、今日は全農の株式会社化を想定してちょっとお尋ねしていきたいと思うわけでありますが。  まず私が腑に落ちていないのは、全農に対する現行の独禁法適用除外の実質的な意味についてであります。これは裏を返せば、全農が株式会社化をして独禁法を全面適用された場合に、全農は一体何を失うことになるのかという問いでもあるわけであります。  この点、奥原局長衆議院の方で、独禁法の適用除外によって、農産物を集めてまとめて販売するとか、資材をまとめて買ってくるといった共同行為が合法的にできるといった答弁をされておられますけれども、一方で、前回の当委員会では、全農が株式会社化して独禁法が全面適用されても、これまでやっている委託販売や注文に応じた仕入れといった事業は今後とも実施可能だと、このように答弁をされておられます。これは一体どういうことなのかということです。  独禁法が全面適用されてもこれまでどおりの事業ができるということは、今の適用除外に一体何の意味があるんだろうかというわけでございまして、この点について、ちょっとこれは分かりにくいので、今日は公正取引委員会にお越しいただいておりますので、この辺のちょっと解説をお願いしたいと思います。
  25. 松尾勝

    政府参考人(松尾勝君) 今お尋ねのありました、全農に対して独占禁止法の適用が除外されているその意義についてでございますが、小規模事業者でございます農業者が相互扶助を目的とした協同組合を組織いたしまして市場において有効な競争単位として競争すること、これが独占禁止法が目的とする公正かつ自由な競争秩序の維持の観点から問題ないと考えられるところでございます。  このような観点から、全農が農業協同組合法に基づいて行う共同販売事業共同購入事業といった行為につきましては、原則として独占禁止法の適用が除外されているということでございます。
  26. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 制度趣旨としてはそういうことなんですけれども、じゃ、その制度の適用を、制度を踏まえて今の全農が一体どういうメリットを受けているのか、その点について、どういうことなんでしょうか、もう一回ちょっとお伺いしたいと思います。
  27. 松尾勝

    政府参考人(松尾勝君) 適用除外があることによって全農がどのようなメリットを受けているのかという御質問でございますが、この点につきましては、先ほどからもございましたように、全農が協同組合法に基づいて行う行為につきましては、独禁法の二十二条によって、組合の行為として原則として独占禁止法の適用が除外されておるところでございます。  仮にこのような独占禁止法の適用除外制度がなかったと考えた場合でございますが、現在、全農が行っている共同販売事業、共同購買事業につきましては、これら共同事業が実施される中で商品の価格、数量、取引先等の重要な競争手段が決定されることになりますことから、独禁法違反となるか否かについて検討を行うということが必要になると考えられます。  現状におきましては適用除外が設けられてございますので、このような検討は行ってございませんが、繰り返しになりますが、独占禁止法適用除外制度がなかったとした場合には、個別具体的な事案に即して全農が行っております共同販売事業、共同購買事業が独禁法上どう位置付けられるのか、これを判断していくということになります。
  28. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 今は適用除外されているので、共同購入共同販売については判断する必要がないということですね。  そういたしますと、この共同購入共同販売とは一体じゃ何を意味しているのかということです。普通の販売、購入と違う、共同購入共同販売と普通の販売、購入を分けているその分水嶺というのは一体何でしょうか、その共同というのは何を意味しているかということです。その共同の意味をちょっとお伺いしたいと思います。
  29. 松尾勝

    政府参考人(松尾勝君) 共同経済事業のその共同という意味でございますが、これは事業者であります単協が全農という組織の中で商品の価格、数量、取引先等の重要な競争手段についてどうするかということについて決定を行いまして、それを全農という組織として一体として行っているというところで共同経済事業というふうに位置付けられるというふうに考えております。
  30. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 私の理解では、その共同というのは、横の意思の連携といいますか談合といいますか、それが共同という意味だと。それがカルテル、まさにカルテルということで、それが規制されているということだと私は理解しているんです。  実際に農協がやっているのは、そういった横の意思連携ではなくて、縦といいますか、縦の取引活動であるということだから、現実的に今農協が受けている特に恩恵というものは余りないんじゃないかというような、だからこそ奥原局長は、たとえ全面適用されても今までやっていることはできますよと、そういうふうに答弁されたんじゃないのかなと、こう思うわけです。そういう理解で、違うんでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  31. 松尾勝

    政府参考人(松尾勝君) その横のつながりということでございますが、繰り返しになるかもしれませんが、全農が適用除外になっているということの意味と申しますのは、単協を構成員とする全農があると、その中で、各単協を構成員とする全農全体として意思決定をいたしまして、一つ事業体として行動をしておると、それが適用除外となっておるということでございます。  これが株式会社化した場合ということでございますと、株式会社という組織というのは事業者団体ではございませんので、株式会社化した段階で、これまで全農が行ってきているような行為、これを行うということになりますと、それはまさに先生おっしゃっておりました横の関係ということがまた問題になってくるということでございますが、いずれにしても、横の関係があるということで、独禁法上の問題どうなるかということはケース・バイ・ケースで判断していくということになると思います。
  32. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 要するに、私は今、現行制度の問題を議論しているんですよ、株式会社化の前にね。現行制度で一体どういう恩恵を受けているのかというと、今の農協販売、購入の仕方は、別に横の意思疎通を図って販売、購入しているわけじゃないから、だから、適用除外されているとはいっても実態上のメリットとしてはそうあるはずがないと、現実としては。だから、奥原局長は別にそれが全面適用されてもそう影響ありませんよと答弁されたんじゃないかなと思うんですよ。  そういう理解でいいのかどうかをまず、現行の適用除外制度を前提にしてちょっと伺っているんです。いいですか。
  33. 松尾勝

    政府参考人(松尾勝君) 現行の適用除外制度を前提にして申し上げますと、現行の適用除外制度では、全農の中に構成事業者である単協が全農の一員として全農としての意思決定を行って、そこで全農という事業者団体としての意思決定を行っておると。そういう意味で、カルテルと同じような感じで、ある意味、意思決定を行うということは横の連携ということもあるんじゃないかというふうにも見えますが、法律の立て方といたしましては、事業者団体の行為、これが適用除外になっているということでございます。
  34. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 いずれにしても、はっきり答弁できないということがよく分かるんですよ。  ちょっともう時間もないので次の問題に移りますけれども、私の理解は、奥原局長答弁した全面適用されたとしてもそんなに影響がないというのは、まさに今、現状の適用除外でそんなに恩恵がないからだということの裏返しだと思うんですよ。そういう理解なんだけれども、それはしかし、公取としては個々具体の事例を見ながらということになってしまうというのは、立場上それは仕方がないことかも分かりませんけれども、しかし問題はそこにあるんじゃないかなと思うわけです、はっきり言えないというところにね。  仮に、じゃ、株式会社化した場合に一体どうなるのかということで、これも奥原局長答弁されているんですけれども、要するに、株式会社化した全農は、農協が出資する会社になって、農協の意向を反映するように運営する会社になるんだというわけであります。  そうした形の全農株式会社を前提とした場合に、これは奥原局長答弁でいえば、全農と農協関係は例えば商社と仕入先企業の関係と同じなんだからというような御説明だったんだけれども、私、そこに心配があるのは、果たしてそう言えるんだろうかと。全農というのはかなり特殊な株式会社じゃないのかなというわけでありまして、全農と農協関係を一体的に捉えられた場合に、実質的にはこれは農協間のカルテルではないかと、そのように評価を受けることが私は心配なんです。普通の商社とは違いますよと、全体な法的評価としては。  そこで、公取にもう一回伺いたいんですけれども、今言ったような非常に特殊な形態です、全農というのは、株式会社になった場合に。そうなった場合、株主となる農協同士の横の意思疎通さえなければ、たとえそういった全農のシステムによって全農がどんどん市場シェアを高めていくと、競争性を失わせることになるわけですけれども、そうなったとしても、農産物をまとめて販売するというこの全農の行為が独禁法違反にならないのかどうかというところ、ここを公取の考えを伺いたいんです。いかがでしょうか。
  35. 松尾勝

    政府参考人(松尾勝君) 今御質問になった点につきましては、株式会社化した全農がこれまでのような農産物を集荷してまとめて販売するといったような行為が、株式会社化した後はどう評価されるのかという御質問だというふうに御理解いたしましたが、この点につきましては、そのような行為が独占禁止法において禁止されております不当な取引制限、いわゆるカルテルに該当するかどうかという点が問題になるというふうに考えられると思います。  一般論として言えば、御指摘のような行為が不当な取引制限に該当するというためには、他の事業者と共同して、相互に事業活動を拘束し、又は遂行することという要件を満たす必要がありますが、この共同しての要件を満たすためには、事業者相互の間に意思の連絡が存在することが必要であるとされているところでございます。  したがいまして、株式会社後の全農が行う行為についても、単協相互の間に意思の連絡がないのであれば、御質問にあったような行為は不当な取引制限の要件を満たしておらず、カルテルとして独占禁止法に違反することにはならないというふうに考えられると思います。
  36. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 今結構明確に答弁されました。  資本関係とか人的関係の面から見て、全農って結構特殊な会社だと思うんですね。それでもなおかつ、横の意思疎通さえなければ、株主間、農協間の意思疎通さえなければ、これは独禁法違反に当たらないというのは非常に重要な答弁だと思います。ですから、そういったことを踏まえてこれから検討なされることになると思うんですけれども。  ただ、私は、この独禁法違反の問題というのは本当に農協の中核的な事業に影響を与える話でありますので、この点をしっかりと詰めて、はっきり、今ちょっと途中本当分かりづらい答弁があって、聞いていらっしゃる方もよく分からなかったと思うんですね。だから、その点をしっかりと整理をして、マルなのかバツなのかときちんとはっきりさせた上で全農に検討をお願いするというのがやっぱり私はそれが筋だと思うんです。全農が株式会社になりたがっているなら別ですけどね。必ずしもそうでない以上、ちゃんと政府としてそこを整理をして、こういう前提条件の下で検討してくださいと言うべきだと思うんですね。  その点を、ちょっと、林大臣にそういう姿勢で臨んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
  37. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今のところもこの原案をまとめるときに実は随分議論があったところでございまして、この全農の株式会社化というのがいろんなところで出たときも、やはり独禁法との絡みというのが問題になったわけでございます。  今の御答弁を聞いていただいても分かるように、これは実際のケースというものが出てこないと、なかなかこれがマルでこれがバツだというのを事前に示すというのが今の仕組みでは難しいと、こういうことでございますので、今はそういうおそれもないと、適用除外でございますから。ですから、そのおそれが現実になるかどうかは実際のケースがないと分からないというのが今の答弁だったと、こういうふうに思いますので、そういう状況で大事なことは、全農に選択肢が今回は法案が成立すれば付与されるということでございますので、むしろ、おそれの部分をどれぐらいリスクとして認識するのかということと、それから、どういうベネフィットがあるのかと。  株式会社にした場合は、どういう、例えば意思決定の迅速性とかいろんなことが議論になりましたけれども、そういうことをよくよく全農さん自身で検討していただいた上で、しっかりと、ベネフィットの方が上回る、こういう場合にやれるという選択肢はつくっておこうと、こういうことになったわけでございますので、そういう検討を引き続きやってもらえる中で、我々も更にいろんな情報をしっかりと提供してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  38. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。是非、その前提条件となる整理をしっかり行っていただきたいと思います。  もう時間も少なくなりましたので残り一問だと思うんですけれども、私は、今回の農協改革は単協中心主義がちょっと前面に出過ぎているのかなという感じがいたしておりまして、やっぱりバーゲニングパワーを発揮するためには、ばらばらでやるよりもまとまった方がいいわけでありまして、もちろん単独でやりたいという単協についてはどんどん自前のルートを使って高く売っていただきたいわけでありますけれども、それ以上にやっぱり私は全農に頑張っていただきたいと思っております。農水省もそれをしっかりと後押ししてほしいというふうに思っているわけでありますけれども。  そうした観点から、ちょっと前回の当委員会で気になる答弁がございました。それは買取り販売の問題についてであります。  農水省としては、リスクのない委託販売に頼り過ぎて、農協が真剣に販売活動をしていないという認識の下で、これに真剣に取り組んでもらうということ、これは私も同感なんですね。リスクを取らない売り方では、農協が期待するようなやっぱり成果は出ないと思いますし、また実際JAグループも、平成十八年から米穀の販売手数料の定額化を進めているという状況でありまして、昨年度では四割以上のJAで販売手数料が定額になっているということで、これでは農協の経営は、短期的に収入は安定するかもしれないけれども高く売ろうというインセンティブは働かないわけでございまして、ますます農家農協離れが進んで結局は農協自身も困るんじゃないかなと、このように心配をしております。  ただし、だからといってこの買取り販売がいいかというと、それはそれで、前回これは平木委員指摘されましたけれども、買いたたきの問題がございまして、この対策ないままにこれを無理やり推進していくと結局肝腎の農家にしわ寄せが行ってしまって、問題ではないかなと思うわけであります。  そこで、私がちょっと伺いたいのは、この委託販売を維持しながらも、手数料について、これまでのように一定率ではなくて、例えば標準価格と実際の売上金額の比率に応じて手数料率が高くなったり低くなったりするというようなこのシステムを推進する方が賢いんじゃないかと思うんですけれども、これについて見解をお伺いしたいと思います。
  39. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今先生からもございましたように、委託販売を買取り販売に変えればそれで全て問題が解決するというほどではないというふうに我々は思っております。  問題の本質は、それぞれの農協が自分のところの農産物をできるだけ有利に販売して農家のメリットを大きくするようにやっていただくということなわけですけれども、それとの関係で、従来は農協農産物販売の九六%が委託販売になっている、これもやりようだとは思いますけれども、その結果として、委託販売の場合、基本的には農協はリスクを負わない形になりますので、真剣な販売がなかなか行われない、結果的に農家のメリットが大して大きくなりませんので、農産物販売農協のシェアがどんどん落ちている、これが今の実態だと思っております。  そこのところをもう一回、有利販売に目を向けてきちんとやっていただくためにはどうするかということで、去年の六月の取りまとめのときから、この買取り販売を段階的に拡大するということが書いてございますが、これは、そういう意識を持って販売に取り組んでいただくという趣旨が基本だというふうに考えております。  それから、今先生が御指摘いただきましたように、確かに委託販売の中でも手数料の取り方での工夫というのは、それはあり得るんだと思います。定率でやるのと、それから定量的にやるのと、これを比べてどうかというのはもちろんございますので、高く売れたら手数料が大きくなる方が、農協としても高く売るインセンティブが働くというのは一般論として言えるかと思いますけれども、ごく最近まで、多くの農協ではこの定率的な手数料の取り方をしていたんですね。  それが、最近米価が低迷していることもありまして、定額に変わるということがありましたけれども、この定率でやっていた時代においても、どれだけ本当に真剣な販売が行われたかという問題はやっぱりあるわけでございまして、問題の本質は、この手数料の取り方、これも工夫の余地はもちろんあると思いますけれども、一番大事なのは、いかに高く売る努力を農協がやっていくか、農家の意向を踏まえた上で最大限の工夫をして高く売る、あるいは六次化を進めてもっと手取りを増やす、付加価値を増やすと、これに取り組めるかどうかが最大のポイントだというふうに考えております。
  40. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 時間となりました。終わります。  ありがとうございました。
  41. 舞立昇治

    舞立昇治君 自民党の舞立昇治でございます。早速質問に入らせていただきます。  まずは、TPPの関係からお願いいたしたいと思います。  TPP交渉につきましては、御存じのとおり、七月二十四日からハワイで首席交渉官会合が始まり、二十八日からは閣僚会合が、まさに今始まっておりますけれども、三十一日まで予定されていると。いよいよ最大の山場を迎えているところでございます。  交渉は結果が全てでございます。交渉は、最後の最後、最後の五分間が勝負とも言われております。当然、政府といたしましては、しっかりと国益を守るべく、気を引き締めて交渉していただいていることと信じておりますけれども、果たして今回が最後の閣僚会合となるのか、今日の時点ではまだ何とも言えませんが、やはり日本側からまとめたい余り当初の想定以上に譲歩する必要は全然ないと冒頭指摘しておきたいと思いますし、また、仮に大筋合意となったといたしましても、その合意案がアメリカ国内で来年の大統領選挙の政争の具となって、米国議会で通らないことも十分可能性としてはあるということも忘れてはいけないと思っております。  そこで、まず外務省にTPA法、貿易促進権限法について質問していきたいと思いますが、米国では通商交渉権限、連邦議会にございます。その交渉権限が大統領へ委任されていると。そして、大統領は交渉の合意結果を議会に報告し、承認してもらわなければなりません。その際、合意内容をパッケージとして一括審議し、迅速に承認するためにTPA法が必要となるところでございますが、前回もありましたけれども、今回のTPA法、やはり二〇〇二年TPA法とは内容が異なり、幾つかの条件が追加されている点に再度留意しておく必要があると思います。  そこで、先月末に成立いたしましたTPA法の内容につきまして、二〇〇二年TPA法とどういう点が同じでどういう点が変わったのか、詳しく明瞭に答弁をお願いいたします。また、変わった点に抵触した場合、つまり米国議会が問題視した場合、最悪どのような事態が生じる可能性があるのかについても説明をお願いしたいと思います。
  42. 伊藤直樹

    政府参考人(伊藤直樹君) お答え申し上げます。  米国の貿易促進権限法、いわゆるTPA法案についてのお尋ねでございます。  委員指摘のとおり、このTPA法案というのは、議会による迅速な審理手続というものを旨とするものでございます。二〇〇二年のTPA法、それと二〇一五年のTPA法の比較ということでございましたけれども、まさにこの迅速な審理手続の話につきまして、その否認に関しまして、いずれの法律におきましても同様の規定が設けられているところでございます。  その内容といたしましては、上下両院の一方が、大統領が議会への通知、協議を怠った又は拒否したといったこと、あるいは協定がこの法律に定めております目的、政策、優先事項及び目標を達成することに進展を見なかったということを理由といたしまして、通商協定の実施法案の審議に迅速な審理手続を適用しない旨の決議、これを手続否認決議と呼んでおりますが、こうした決議を行い、その後六十日以内に他の院がこれに同意した場合、迅速な審理手続が実施法案の審議に適用されないことになる旨の規定があると承知をしております。  今回の二〇一五年のTPA法におきましては、これに加えて新しい規定が新設をされております。それは、上院の財政委員会又は下院の歳入委員会のいずれかが、さきに申し上げた場合に該当するということで迅速な審理手続を実施法案の審議に適用しない旨の決議、手続否認決議を行い、この決議がなされた同じ院の本会議において同決議が採択された場合には、その院における実施法案の審議に迅速な審理手続が適用されないこととなると、こういう規定が新設をされたと承知をしております。  したがいまして、仮に、これは全く仮定のお話でございますけれども、以上のいずれかの規定が適用された場合には、議会が通商協定の実施法案提出から最大九十議会日以内に上下両院で採否を決しなければならないという迅速な審理手続が適用されなくなることとなります。この結果、通常の法案審理と同様、審理日数や修正について特段の制約のない手続が取られることになると、かように考えております。  以上でございます。
  43. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。  一時、TPPの合意につきまして、TPA法の成立が鍵を握り、TPA法が成立すれば一気に解決するんだといったような楽観的な報道も見られましたけれども、今御答弁いただきましたように、決してそういう状況ではなく、やはり今回のTPA法、迅速な手続を否認する条件が緩和されたことによりまして、否認された場合は九十日ルールも適用されませんし、イエス、ノー以外の対応も可能となり、最悪、非常により高いハードルの内容の修正等も迫られてくるなど、相当厳しい状況が予想されます。ここは、やはり日本として、アメリカ議会から更なる修正を求められる可能性が高いことを十分想定し、こちらとしては一歩も引かないという姿勢を再度持ち直していただきたいと思っております。むしろTPA法でアメリカ大統領は弾力的な対応が可能になったんじゃないか、譲歩するのはアメリカの方だと、毅然とした対応で臨んでいただきたいと思っております。  そこで、自民党におきましては七月二十三日、TPP交渉における国益を守り抜く会の江藤拓会長を始め幹部の先生方によりまして安倍総理へ決議を申し入れていただきました。やはり今十分な情報がない中で不安に駆られている全国の農業、畜産、酪農、漁業、林業等に従事する生産者が将来にわたって希望を持って営農に取り組むことができるよう、交渉結果を勝ち取るように訴えております。とりわけ重要五品目につきまして、衆参両院の国会決議にありますように、国益を損なう場合は脱退も辞さない覚悟で交渉に当たるよう強調しております。今回の衆参両院の国会決議は全党一致の決議であるがゆえに非常に重たいものと御認識していただきたいと思っております。  そこで、マスコミからは、一部の国を外してでも合意を優先するとか、この機会を逃すと交渉は漂流するとか、甘利担当大臣の発言等も紹介されておりますけれども、情報が少なくて我々は真意を測りかねておりますけれども、今回のハワイでの閣僚会合に当たりまして、政府といたしましてどのような大局観、基本方針で臨まれているのか、改めて伺いたいと思います。まとまるようであれば、最後に出す予定の交渉カード以上のカードを切ることもやむを得ないと考えていらっしゃるのか、はたまた最後の交渉カードでもまとまらないようであれば、交渉カードの内容いかんによりますけれども、漂流やむなしという覚悟で臨んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  44. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。  まさに現地時間ハワイで二十八日から閣僚会合が開かれておりまして、いずれの交渉参加国も最後の閣僚会議にしなければならないという強い意気込みで臨んでいるというふうに承知をいたしております。  TPP協定、合意がなされれば、これは国会で御承認いただかなければいけないものでありますので、今回のハワイの閣僚会合におきましても、衆参農林水産委員会の決議をしっかりとこれを受け止めて、国会で御承認いただけるよう、そうした内容となるよう、国益を最大限実現しつつ交渉をまとめると、そのために粘り強く交渉するという、そういう決意で交渉団、甘利大臣を筆頭に臨んでいるところでございます。
  45. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。  やはり答弁は余り変わらないようでございますけれども、非常にこの衆参国会決議を始め、もうみんなが高い関心を持って不安でいることを改めて再認識していただきたいと思います。  そこで、また続きますけれども、やはり報道ベースでは様々な情報が飛び交っておりまして、当然、牛肉・豚肉、乳製品のバターやチーズ等、これらエッジの利いた報道も見過ごせませんが、例えば日米二国間交渉における米の問題につきまして、非常に、米国産五万トン、十三年目に七万トンとか、ただし米国が要求する買取り保証には応じないとか、MA米の米国産シェアの引上げも検討だとか、様々な報道がなされておりまして、やはり昨年ありました米価の低迷に全国の米農家が苦しんでおるのは御承知のとおりでございまして、今、飼料用米の生産拡大を図るなど懸命に需給の安定に取り組んでいる最中、また民間在庫がいまだ二百万トン以上の状態が続く見込みの中、米国からの米輸入の拡大は、相当の工夫なかりせば日本の米市場への影響は遮断できないと思いますし、日本の米価に影響を与える事態になればもう生産コスト等の効率化に励んでいる米農家の努力を無に帰してしまうおそれもあるところでございます。  そこで、大臣質問させていただきたいと思いますけれども、まだ正式合意に達したわけではなく、個人的には、中途半端な合意で説明が困難になるくらいなら粘り強く交渉を継続した方がいい、漂流してもいいというふうに思っておりますけれども、農林水産省は合意に達した場合に備えて様々な対応策を検討していると推察いたします。  私は、そうした対応策は、現在進めている新農政改革、これが後退することなく現場の生産者の皆様が将来に向けて営農意欲を持てるよう、マイナスを最小限にする対策よりはむしろマイナスをプラスに変えていく、そういったような対応策でなければならないと思っております。それが基本だと思います。  今、昔に比べて一兆円以上も減少し、地方からの要望にも十分対応できていない状態の農林水産予算でございます。今後、農林水産予算の増額確保に向けてどのような姿勢で臨まれるのか、決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  46. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、舞立委員から御指摘いただいたとおりでございまして、TPPいかんにかかわらず、農林水産業を取り巻く状況は大変厳しいものがございまして、この活性化を図るためにいろんな施策を打っていかなければならないと、こういうふうに思っております。  こういう状況の下で、農林水産業・地域の活力創造プラン、これを決めさせていただきました。また、今年の春には食料・農業・農村基本計画、これも決めさせていただきまして、産業政策と地域政策を車の両輪としてこの施策を進めているところでございます。  二十八年度においてもこうした改革を実行して、やはり現場の生産者の皆様が希望を持ってやっていけるような強い農林水産業と美しい活力ある農山漁村、この実現に向けて、やはり何といっても大事なものは予算になりますので、今お話がありましたように、必要な予算をしっかりと確保できますように、八月末が概算要求の提出期限ということで決まってまいりましたので、鋭意検討をしてしっかりと確保していきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  47. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございました。強い決意表明、ありがとうございます。TPP対策が必要な場合の十分な予算、そしてそもそもの農林水産予算の増額確保に向けて、補正、当初共々よろしくお願いいたしたいと思います。  委員長、TPP関係は以上ですので、西村副大臣と外務省の方はこれで結構でございます。ありがとうございました。
  48. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 西村副大臣、伊藤審議官、どうぞ。ありがとうございました。
  49. 舞立昇治

    舞立昇治君 続きまして、農協改革につきまして質問していきたいと思います。まず、協同組合に関する認識から始めたいと思います。  今回の農協改革におきましては、やはり現場の農協関係者の皆様から、株式会社化の選択制とか、この選択制と農協法第一条の協同組合、協同組織の発達を促進することとの認識のギャップ、准組合員利用規制がどうなるのか、規制されたら経営が立ち行かなくなる、理事の選任に当たりどこまで国が介入をしてくるのか、そして監査制度はどうなっていくのか等々、いろいろやはり今不透明な点が多くて非常に不安の声が多く聞かれるところでございます。  その中で、まずは協同組合の認識でございますけれども、農水省、これまでこの組織変更につきましては、あくまでも選択であることや准組合員利用規制とは関係がないといったことを答弁されておりますけれども、やはり現場では、協同組合と理念が全く異なる株式会社化等の組織変更の選択制の導入につきましては、第一条の精神と逆行するんじゃないかと疑問を呈している声が非常に多く聞かれておりまして、やはりこうした指摘にきちんと国の考え方を明確にすべきだと考えております。  そこで、今般の株式会社化等の組織変更の選択制の導入を図る法改正と協同組合としての農協関係につきましてきちんと明確にしておかないと、やはり現場のやる気と理解、協力は得られません。組合員農業者の所得の増大を図ることはもちろんでございますが、それと一体で今後とも協同組合の発展を図ることが第一であって、株式会社化等の組織変更の選択制につきましてはあくまで団体の判断により、二次的、三次的、四次的、五次的な位置付けのものとして理解してよろしいか、見解を伺わせてください。
  50. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今回の農協改革のポイントは、まさに農協農業者の協同組織であるという協同組合の原点に返って農業者の方にきちんとメリットが出るように、そこを基本にして全体を見直そうと、こういう発想でございます。  一番大事なことは、今回の改革を契機といたしまして、農協段階におきまして、農協の役職員の方と農業者あるいは組合員の方々がきちんと話し合っていただいて、これからの農協の役員体制あるいは仕事の中身、特に農産物販売も含めてですけれども、それ以外の生活関連の仕事も含めて、どういうふうにしていくのがいいのかということをもう徹底して話し合っていただく、それに基づいて運営していただくというのが基本だというふうに考えております。  そういった中で、今回の改正案の中では、特に生活関連の仕事考えますときに、今の農協という組織形態のままでは適切にサービスを提供することがなかなか難しくなるようなケースがあるんではないかと。例えば、員外利用規制に抵触をしてしまうですとか、あるいは准組合員の方に運営権を与えた方がその事業がうまくできるんじゃないかとかいったそういう問題点が出てきたような場合に備えまして、農協が選択肢として、その部分事業を分割をして株式会社等に組織変更できると、こういった選択肢を入れているわけでございます。  こういう考え方からしますと、この株式会社等への組織変更というのは、協同組合が基本でございますので、あくまでも二次的な位置付けと、こういうことになるかというふうに思っております。
  51. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございました。二次的なものというふうに言っていただきましてありがとうございました。ということは、大臣には聞かないようにしたいと思います。済みません。  その次、単協の強化の関係でございます。やはり今、全国の都道府県、市町村では、地域の様々な意見を聞きながら、地方創生に係る地方版総合戦略の策定に向けた検討作業が進められております。とりわけ、地元の鳥取県など人口減少が進む地方の農村地帯におきましては、農業地域経済の重要な基盤の一つとなっておりまして、県や市町村にとって農協は非常に重要なパートナーでございます。  我が鳥取県のJAグループといたしましては、雇用の創出、農業者の所得向上につながる産地課題の解決や、そして産品の販売、ブランド戦略、あるいは産品の高付加価値化などの多岐にわたる取組を進めてきておりまして、地域農業地域経済に大きな役割を果たしてまいりました。最近でいいますと、鳥取、鳥取砂丘が有名でございますけれども、砂丘らっきょう、あの地理的表示保護制度の活用をさせていただきましてブランド力強化や所得向上につなげようといたしております。はたまた白ネギやブロッコリーの産地力強化、そして直売所の整備によります有利販売、そして、本当、鳥取はデザートも豊富でございまして、スイカや梨、柿、メロン等などスイーツを活用したデザートの新商品の開発など、そして株式会社ドールと協定を締結して輸出促進にも努めている、様々な活動、取組を一生懸命頑張っているところでございます。  こうした地域ごとの実情や農協の貢献を十分に評価した上で農協改革議論は進められるべきと考えておりまして、一方で、非常に日豪EPA、TPPなど、貿易交渉の進展、農業従事者の高齢化など、内外要因からも競争力強化を図っていくことは待ったなしの課題でございます。  こうしたときに、今回の農協改革はむしろ単位農協、全農、全中のつながりを分断、古賀先生も先ほど言われておりましたけれども、分断しちゃって、むしろ規模のメリットが発揮しにくくなるんじゃないかと。単位農協の自由度や稼ぐ力を上げるといいながら、逆に単位農協の孤立化、弱体化も招いてしまうんじゃないかといった心配もあるところでございます。この点、今回の農協改革論点はJA全中の組織の在り方に集中した感がございまして、本来重点的に議論すべきでございます農業者の所得の向上に対しまして、単位農協、全農は、中央会はいかなる役割を果たすべきかにつきましての議論が余りなされなかったんじゃないかなと感じております。  そこで、今回の農協改革におけます単位農協の強化を図ることと全農や経済連等の規模のメリットを発揮することとの整合性につきまして、これは相反するものじゃなくて相乗効果を狙っているものと期待、推察いたしますが、農協の正組合員であります農業者の所得の向上を図る上で、農水省といたしまして、単位農協、全農、経済連、県中央会、全国中央会に対しまして、それぞれ具体的にどのような役割を果たすべきと考えていらっしゃるんでしょうか。また、今後、これらJAグループの規模のメリットをより効果的に発揮するためには何が必要と考え、その推進に向けどのような政策や支援を考えていらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。
  52. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに今回の改革のポイントは、今お話があったように、農業者の協同組織であるという原点に立ち返ろうではないかと、こういうことでございまして、まさにこの改革の中心地域農協であると、こういうふうに思っておりまして、ここが地域の特色に応じて自由に経済活動を行って農産物有利販売をやっていく、これが農業者の所得向上につながると、やっぱりここが一番大きな目的であろうかと思っております。  何回かに分けてこのプランができて、そして骨格が昨年の六月にできて、そしてその中で今お話のあった監査の部分等を含めた全中の部分について今年の頭に集中的に議論があったということでございましたので、その部分が非常に印象が強く残っているというところもありますが、まさに一番大事なところは地域農協が皆さんと一緒になってどうやっていけるかということでございます。  農産物販売先との関係において有利に販売する、生産資材の購入先との関係において有利に調達する、それから運営コストを効率的な事業運営で削減をしていく等々しまして、所得の向上に資する活動に積極的に取り組むと、こういうことがポイントになろうかと、こういうふうに思います。  全農、経済連とのシナジー効果と、こういうことですが、まさにこれをサポートしていくということでございまして、衆議院議論でも、長い間農協組合長をやられていた加藤先生からも、また、この間、新しく八月の十一日に就任されることになります新全中の会長予定者であります奥野さんからも同じような表現がありまして、大変印象的だったのは、逆三角形なんだと、逆三角形にしていくんだと、こういうことでございました。よくピラミッド型で、トップに全中がいて、県が真ん中にあって、地域農協が下にあると、こういう図で使いますが、それが逆になって、それぞれが下にいて上を支えていく、一番上にあるのは地域農協であり、その上に農家の方がいらっしゃると、こういう趣旨だろうと思いますけれども、非常に印象深いお話をそれぞれ同じような趣旨でおっしゃっておられまして、まさにこういうことだろうと、こういうふうに思いますが、地域農協をサポートするためには、大口需要者との安定的な取引関係の構築、こういうものを全農や経済連でしっかりとやっていく。それからまた、農業や食品産業の発展に資する経済活動、こういうものを経済界と連携しながら積極的に行っていく、これも非常に大きな役割ではないかと、こういうふうに思っております。  さらに、中央会は、経営相談や監査、それからやっぱり会員の意見の代表、総合調整、こういうことをやる自律的な組織ということで役割を果たしていくということであると、こういうふうに思っております。まさに逆三角形の関係で、みんなに相談に乗ったり頼られたり、あそこに相談に行けば何か答えが見付かる、こういうような形でしっかりといい関係を更に強くしていきたいと、こういうふうに思っております。  したがって、地域農協においては、農協の役職員と担い手等の農業者の皆さんがやっぱりしっかりと話し合っていただく、全国一律にこれだというのを余り画一的に出す必要はないと、こういうふうに思っておりまして、まさにそれぞれの地域農協で徹底的な話合いをしていただいて、この方向でやっていこうじゃないかと、こういうことをやっていただく。そしてまた、連合会、中央会においても、今度は連合会、中央会の役職員と、そこに出ておられます地域農協の役職員、農業者がやはりそういう同じような話合いをやって、それぞれの役割をしっかりとこの新しい仕組みに従って推進をしていただくと。それが相まって、この目的であります農業者の所得を増やしていくと、こういうふうにつなげていくようにしっかりと推進をしてまいりたいと思っております。
  53. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。私も、逆三角形の話、参考にさせていただきました。是非、その逆三角形を全て丸く温かく包み込む農林水産省であっていただきますようによろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、理事の構成の関係でございます。時間がなくなってきましたので、ちょっと早口でお話ししますけれども。  理事の構成につきましては、もう御案内のとおりかと思いますけれども、やはり認定農業者関係が非常に問題になってくるわけでございますけれども、やはり認定農業者農業経営基盤強化促進法に基づき、農業者が五年後の経営改善目標を記載した農業経営改善計画を作成し、市町村の認定を受ける制度、こうした制度でありますので、必ずしも地域中心となる、例えば大規模経営体を含む様々な農業者を全て包括的に網羅する仕組みではございませんし、この認定農業者をもって地域農業、産地の代表であるということもちょっと言い切れないのは、これまでも議論にあったところでございます。  そこで、やはり認定農業者の限界にある程度留意しつつ運用する必要があると思っておりまして、この理事の構成につきましては、認定農業者に限定することなく、地域農業の推進力となる農業者の方など地域の実態が反映できる緩やかな解釈、弾力的な運用が必要と考えております。  この点は、やはり自民党の部会の議論でも関心が高かった事項でもございまして、最終的に、政府の方も、農水省の方も法律の方でただし書を入れていただいて、ただし地区内における認定農業者が少ない場合その他の農林水産省令で定める場合はその限りでないものとすることと明記されたところでございますが、この省令を作る際には、与党と十分すり合わせの上、了解を得ることと約束されているところでございますが、改めて地域の実態をよく調査した上で、各農協が理事を選任するに当たりまして支障がないようお願いいたしますとともに、理事の選任に責任を持つのはあくまでも各農協でございまして、各農協がそれぞれ説明責任を果たせれば私はそれでよいのじゃないかと思っておりますので、国が必要以上に口出し、介入することはないというふうに考えてよろしいか、御見解をお伺いします。
  54. 中川郁子

    大臣政務官(中川郁子君) 今回の農協改革では、地域農協担い手農業者の意向も踏まえて農業所得の増大に配慮した経済活動を積極的に行えるようにするため、農協の理事の過半数を原則として認定農業者農産物販売や経営に関し実践的な能力を有する者とすることを求める規定を置くことにしています。  しかしながら、先生がおっしゃいますとおり、地域によりましては認定農業者の数が少ないなど原則どおりの役員構成とすることが困難な事情もあることから、あくまでも原則としており、適切な例外を設けることとしているところでございます。例外を規定する農林水産省令の制定に当たりましては、実態調査を行うことなどにより、制度の趣旨を踏まえつつ現場の実態を踏まえた適切なルールとなるように十分留意してまいります。  なお、こうした法令上の基準を踏まえまして、具体的に理事を選任するのは農協であり、国が必要以上に介入することは考えていませんが、農協として理事の選任理由を組合員などに説明できるようにしていただくことは必要というふうに考えております。
  55. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。あくまで説明責任が果たせれば国としては口は出さないということを言っていただきまして、ありがとうございました。  そこで、次に、准組合員利用規制、いろいろと長々とやろうと思いましたが、古賀先生がかなり突っ込んでいただきましたので、私は簡潔にしたいと思いますが、やはりこのJA、総合事業収益によりまして、地域農業を支える営農指導事業や食農そして地産地消の教育活動など様々な重要な取組を展開していただいております。これらも地域に果たす重要な役割の一つであり、農協改革の目標でございます農業、農村の発展に資するものだと思っております。この部分赤字は、私はプライスレスなものと考えておりまして、決して市場で測れるものではないと思います。農業者の所得向上地域住民の農協への理解促進に資するものだと思います。  これらの取組、准組合員事業利用が支えている部分も大きいことから、やはり准組合員利用規制に当たっての調査では、附則に、農協改革の実施状況調査することとなっておりまして、こうした取組を強化していくことも改革の重要な要素であり、調査や評価が必要と考えております。  いずれにしましても、現場の関係者の思いに寄り添いまして、現場の理解と協力を得つつ改革を進める姿勢が重要でございますので、この准組合員事業利用規制調査検討に当たりましては、まさにこれからということだと思いますが、JAが地域に果たす多様な役割を把握できるように、各JAで地域の実態が異なりますことやそれぞれの創意工夫を尊重すべきことも踏まえつつ、適切な調査項目の設定をお願いしたいと思っております。  調査に当たっては、JAグループの意向をきちんと把握しながら、キャッチボールしながら実施していただきたいと思いますが、御見解をいただければと思います。
  56. 中川郁子

    大臣政務官(中川郁子君) 先生御指摘のとおり、改正法の附則第五十一条第二項では、准組合員組合事業利用に関する規制在り方について、正組合員及び准組合員組合事業利用状況と改革の実施状況について調査を行い、検討を加えて結論を得ることとなっております。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕  具体的な調査内容は今後検討することとなっておりますけれども、当該農協において当該事業が果たしている役割、位置付けが分かるようにする必要もあると考えておりまして、JAグループを含めた関係者の皆様方の御意見も伺いながら詰めていきたいと考えております。
  57. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。しっかり調整していただければと思います。  そこで、最後にもう一つだけ、やはりこの利用規制関係につきましては、これまでJAが有利販売、有利調達に積極的に取り組んでいれば問題にならないとか、正組合員准組合員の人数のみを基準規制を掛けることにはならない等の答弁がなされているところでございますけれども、やはり今後おのずと正組合員が減り、准組合員が増加する傾向が明らかな中で、当然、JAとしては農業者の所得増大に向けた営農経済事業の強化を重点的に図りつつも、やはり自然条件等に左右され、経営が不安定になりがちなそうした事業を支えるものといたしまして、准組合員の質的、量的拡大も一体で進めたいと考えるのは自然なことだと思います。  冒頭、私の地元のJAの取組も紹介させていただきましたが、経済事業にも熱心に取り組んでおります。このため、准組合員の数が増加することが明らかな中では、准組合員事業の質的、量的拡大を図ることをもって利用規制を掛けることには直接つながらないと考えてよろしいでしょうか。また、それと関係しますけれども、有利販売、有利調達等の経済事業営農事業の強化が図られていれば利用規制の話は出てこないと言われますけれども、元々自然と赤字になります公益的、公共的な営農事業に加えまして、経済事業におきましても自然条件、地勢、中山間地の採算性、都会に近いところと遠いところ、様々な格差の問題もございます。幾ら強化しても一定の限界があるところではございます。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕  これにつきまして、国として何か一律の基準を設け、営農経済事業の売上げがその基準以上に増加しなければ強化が図られていないとして駄目出しするといったようなものでもないと考えますが、ここは是非、大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。
  58. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農協は、もう言うまでもなく農業者の協同組織ということでございますから、正組合員である農業者のメリットを拡大すると、これが基本であるということですが、一方で、農村社会で過疎化、高齢化等が進行しますと、農協が実際上、地域のインフラとしての側面を持っていると、こういう事実もあるわけでございます。  こういう状況でいろんな議論がなされてきたわけですが、これまで規制がなかったということもあって、この利用実態、どれぐらいのことをどれぐらいのボリュームで利用がされているのか、また、地域によってどういうような性格があるのか、それからもう一つは、今回農協改革が始まりますと所得向上に向けてどういう成果が出るのか、こういうことも見極めていきたいと、こういうことでございまして、そういうことを含めて五年間調査を行った上でやる、こういうふうに在り方検討すると、こういうふうにしたところでございます。  具体的な調査内容は今後検討ということですが、政府与党で白紙から検討を進めていくということでございます。調査結果を見ながらということになりますので、ある程度幅広くこの検討に資する項目、こういうところは調査をしていく必要があろうかと、こういうふうに思っております。  したがって、先ほど古賀委員にもお答えをいたしましたが、調査結果がこういう数字であれば、またこういう結果であれば利用規制を掛ける、また掛けないと、こういう基準を今の段階で決めているわけではございません。また、正組合員である農業者のメリット向上に前向きに取り組んでいただくということはいずれにしても必要だと、こういうことであります。  また、この場合も、農業者メリットは果たしてどういう基準なのかということは、まさに今お地元の例も紹介していただきましたけれども、地域によって、またその農協によっても作物等も異なってまいりますので、まさに地域の実情を踏まえて、現場の皆さんのお話もよく聞きながら慎重に考える必要があると、こういうふうに考えております。
  59. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。丁寧な御答弁ありがとうございました。しっかり現場に根差して調査を進めていただければと思います。  最後、農業委員会関係、少ししたいと思いますけれども、まず、一つ飛ばしますけれども、一つだけ奥原局長にお願いだけ。  先日の委員会でも、やはり今回国会が延長されたということで、来年四月一日の施行時期について非常に現場では不安な声もあるところでございます。幾ら法律が、例えば来月下旬に成立、そして速やかに政省令公布ということが相まっても、やはり現場が付いてこれなければなかなか来年四月一日の円滑な施行というのは難しいと思いますので、是非ここは政省令を早期に出していくと、そしてそれとともに、きちんと現場と調整しながら、理解を得ながら進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  そして次に、この農地利用最適化推進委員関係でございますが、これも現場はいま一つ不安を感じているところでございます。これにつきまして、これまで農水省さん、農業委員は許認可等の審査業務が中心、推進委員は現場における農地利用の最適化業務に徹するといったような、分担するかのような説明が行われてきたところでございますが、そもそも、平成十六年の農業委員会法の改正で、農業委員会の業務は農地の確保、有効利用担い手の育成に重点化されているところでございます。  衆議院でも農業委員の定数を増やすよう要請する質問が出ておりますけれども、まさに今求められるのは農地の確保、有効利用を更に進めることであり、そのためにはいかに現場のマンパワーの強化を図り、活動の効率化を図っていくかが重要になってまいります。この点、農業委員会の所掌事務には明確に農地利用の最適化の推進が入っておりまして、推進委員のみが農地利用の最適化の推進を行うとはどこにも規定されていないところでございます。  そうした観点から見ますと、推進委員は受持ち区域において農地利用の最適化に特化することになりますが、農業委員の方も、許認可業務に限らず、推進委員の活動の機動力アップのため、農地利用の最適化業務についてもしっかりと推進委員と適切な役割分担し、一体的な連携を持って、しっかり責任を持って対処することが必要だと思っております。  そこで、農業委員会全体の機能を十分に発揮するため、農業委員は適切な役割分担と連携の下で推進委員と一体となって農地利用の最適化に総力を挙げて取り組むべきと考えております。そうした方向の運用をすべきと考えておりますけれども、いかがでしょうか。  また、このためには、やはり推進委員が受持ち区域を割り当てられているだけに、農業委員の選任に当たりましても連携がうまく取れるよう、地域代表の性格も十分に考慮、尊重されるべきと考えますが、いかがでしょうか。
  60. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 御指摘部分でございますけれども、お話しのように、現在の農業委員の機能でございますが、農業委員会としての決定行為、農業委員の各地域での活動の二つに分けられる、こういうことでございまして、それを踏まえてそれぞれが的確に機能するようにすることが重要だと、こういうふうに考えております。このため、今般の法改正で農業委員とは別に農地利用最適化推進委員を新設することになったわけでございます。  改正後でございますが、農業委員は合議体としての意思決定を行うこととしておりまして、具体的には、農業委員会の総会又は部会の会議出席をいたしまして、議決権を行使し、そしてまた農地の権利移動や農地転用の許可に当たって具申すべき意見等を審議すること、こういうことになるわけであります。  これに対しまして、推進委員は、自らの担当区域におきまして、担い手への農地利用の集積、集約化や耕作放棄地の発生防止、さらにはこれらの解消等の、農地等の利用の最適化の推進に関する活動、具体的には、積極的に出し手農家へ働きかける、これが活動に関わる、これに携わるわけでありまして、農業委員会が農地等の利用の最適化の推進に成果を上げていくためには、農業委員と推進委員の連携をしっかりと確保することはこれはもう当然必要でございます。  今回の改正でございますが、推進委員は、農業委員会が作成する農地等の利用の最適化に関する指針に従いまして活動すること、そして、農業委員会は、農地等の利用の最適化に関する指針を定め、また変更しようとするときには推進委員の意見を聴かなくてはならないこと、農業委員会の総会又は部会は推進委員に対しましていつでも報告を求めることができる、そして、推進委員も、その担当する区域内における農地等の利用の最適化の推進について総会又は部会の会議出席をし意見を述べることができること、こういうことにしておるわけでありまして、これらの規定によりまして農業委員と推進委員の連携は確保されている、こういうことと考えております。  ちょっと長くなりますが、この農業委員地域代表の性格についてでございますが、今回の法案では、農業委員の選任方法について、公選制から市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に改めることとしているわけでございます。これらのことを踏まえまして、このため、市町村長の選任制に変更しても、農業委員地域農業者の代表としての側面を持っておるわけでありまして、農業委員会の活動に地域の特性や地域の実情を適切に反映していくこと、これが極めて重要だと考えております。  以上でございます。
  61. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。地域代表の性格、十分に考慮していただきますようによろしくお願いいたします。  そこで、次、一番重要だと思うんですけれども、農業委員会はやはり農家の人口に匹敵する農地全筆を所管し、許認可業務や担い手の育成、農地利用の最適化等、実に様々な専門業務を行う大変なところでございます。この農業委員や推進委員の選任、委嘱に当たっては、認定農業者農業生産法人の役員のみならず、土地持ち非農家、非農家も含めて、地域振興に情熱を持つ人材の登用を積極的に進めるべきだと私は考えております。  特に、農村には、今ならまだ現役時代社会で活躍した有為な退職者の方がかなり存在しております。優れたスキルも有しております。そして、活動可能な方も多く存在しております。重要なのはやはり、本人の意欲に加え、複雑で専門的な業務にしっかりと対応可能なように、研修による能力の向上ですとか、そのあかしである資格の付与など、国や地方団体の責任で実施することだと考えております。  やはり農地利用の最適化等の業務をやるのは人でございます。まさに、この人のてこ入れをしっかりと図り、意欲と知識、スキル、信用等を兼ね備えたスーパー農業委員やスーパー推進委員をいかに多く輩出できるかが成功の鍵ではないかと思います。そのためにも、全国農業会議所や各県の農業会議に頑張っていただく必要があると思いますけれども、そうした取組を国としてどのように推進し、支援を強化していく方向なのか、お聞かせいただければと思います。
  62. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今委員からお話がありましたように、優れた人材をこの委員会に入ってもらうと、大変大事な側面であると思っておりまして、平成二十四年のアンケート調査、度々御紹介をしておりますが、農業委員会の活動を評価しているという農業者の方が三割程度にとどまっていると、こういうようなことでございまして、これも一因としては、農地利用の最適化に向けて最適な人物が、今委員がおっしゃったようなスーパーな方がなっているということが余りないということが一つの要因ではないかと、こういうふうにも考えておるところでございます。  こういうことに対応するために、一つは公選制から選任制の導入ということで、市町村議会の同意を得て市町村長が選任をするということにいたしましたが、その中で、委員の過半、これを認定農業者にする、地域農業を牽引する方が農業委員会議論もリードをしていただくような体制にしていくということと、今御指摘のあった推進委員を新設をするということにしたわけでございます。  こうして新たに選任された農業委員、それから推進委員の皆様の資質の更なる向上を図るということで、今回の法案には、全国農業会議所、それから都道府県農業会議について、農業委員会の活動をサポートするネットワーク機能として見直すと、そして、改正後の四十三条一項一号でございますが、農業委員及び推進委員に対する講習及び研修を行うということを明記をしております。  国としても、こういうネットワーク機構による講習及び研修の業務、これが適切に行われますように必要な支援を行っていきたいと、こういうふうに思っております。  こういう一連の改革によって、農業委員会がこれまで以上にその主たる使命である農地利用の最適化の推進、より良く果たしていくことができるようになるものと、こういうふうに考えておるところでございます。
  63. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。是非しっかりと積極的に取り組んでいただければと思います。  この点、やはり今回、農業委員は市町村長が選任して、推進委員農業委員が委嘱するというので、ともすると現場では農業委員と推進委員の間に上下関係が起こっちゃうんじゃないかというようなことで、非常に農業農家の方の人間関係って複雑でございますので、それをどうやってマイルドにしていくかというのは一つ問題になっているところでございまして、この点、先ほどちょっと言いましたけれども、このスーパー農業委員の方は県知事さんが例えば表彰なり資格を付与する、スーパー推進委員の方はまさに林大臣農林水産大臣が表彰して資格を認証するみたいな、そういうことにすれば推進委員の方も非常にやる気が湧いてくるんじゃないかと思っておりまして、その辺もちょっと御検討いただければと思います。  ちょっと時間がやってまいりましたので、最後の質問はお願いにとどめたいと思いますけれども、やはりこの農業委員会の活動を強化していく上に当たって、農業委員会のまさに事務局体制の強化、そして、はたまた農業委員の皆様、そして推進委員の皆様に対する十分な報酬の確保、これなかりせば、やはりその改革というのは絵に描いた餅に終わってしまうんじゃないかと思っております。  非常に、平成の大合併前と後に比べまして、こういった事務局体制ですとか、農業委員の数は非常に減ってきておる、その財源も交付税だとか交付金だとか非常に不安定な状況であるということで、是非、こういった農業委員会、非常に重要な役割を担っておりますので、この十分な予算の確保、地方交付税の確保等につきまして万全の対策を講じていただきますようお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  64. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  65. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、太田房江君、大野泰正君及び礒崎哲史君が委員辞任され、その補欠として井原巧君、石井正弘君及び小川勝也君が選任されました。     ─────────────
  66. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 休憩前に引き続き、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  67. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎でございます。  冒頭、今回、安保特の方でも質疑をする予定がございまして、順番の入替え等、各会派、委員の先生方、大変御尽力いただきまして本当にありがとうございます。改めてお礼を申し上げたいと思っております。  さて、今回、農協法一部改正ということで、農業委員会在り方、それから農地法の在り方ということも大きく議論となっているわけであります。  私は前回農協部分に関しては少し質疑させていただきましたので、今日は農地法それから農業委員会について少し質疑をしていきたいというふうに思っております。  お手元に資料の方をお配りさせていただいています。相も変わらずなんでございますけれども、担い手が足りないという危機をやはり何とか克服しなければならない、これが今回の私は農協法の改正においても最も重要な論点だというふうに実は考えております。ややもすると、農地バンクから始まり、特に農業委員会それから農地法の議論は、農地の問題というか土地確保の問題、その大規模化、これが言われるわけでありますが、どんなに土地にこだわっても規模を拡大しても、残念ながらその担い手がいなければ農業は衰退してしまうわけであります。そういった意味で、今回の計画の中で、しかも農協法という、農業の半分ぐらいも率いている農協さんの改革と併せて農業委員会それから農地法の改革もするわけですから、このことをしっかり捉えていく必要があるんじゃないかな、こういうふうに思うわけであります。  改めて、そんなところから論点入っていきたいと思うんですが、もう一回この表をしっかり見ていただきたいんですが、特に、もう一度、今日、しっかり見ていただいて質疑に入っていきたいのは、平成二十二年の現状と平成三十七年、つまり十年後ですよね、これを比べた場合に、スライドしてみますと、非常に恐ろしいと言っても過言ではないと思うんですけれども、数字の農業従事者、担い手を新たに育成しなければ本当に農業はもうやる人がいなくなってしまうと。  例えば、二十から二十九歳、例えば平成三十七年、展望ということでは十二万人にするんだと言っていますが、現状、その方々は十五から十九歳ということで、要は三千人しかいないわけであります。もちろん、これは就職すればぼんと増えてくるんでありますが。実は、その次、三十から三十九歳、十年後の農業者数は十五万人にするんだと言っていますが、現状、そのスライドしてくる、今六万人しか二十から二十九歳はいないと。そうなってくると、十一万七千人、九万人、六万人、二万人ということで増やさなければならない。これがこのまま推移していくと農業従事者は九十万人足らない。この農業従事者を増やしていくのに二万人毎年増やさなきゃいけないんだけれども、足下一万人が精いっぱいというのが残念ながら現状だということが今この農業界の置かれている私は最大の危機だと。ここに対して今回の改革がどこまで寄与するのか、このことをもう一度しっかり質疑していきたいというのが今日の主題のテーマになってきます。  まず、農地所有に関して少し話をしていきたいと思いますが、今回の改革は、御案内のとおり、農地所有、法人についても緩和をするというような内容であります。ただ、緩和をするといっても、株式の関係でいきますと、農業関係者以外の総議決数が二分の一以上でなければならないということで、簡単に言うと私はちょっとこれはまだまだ厳しいんではないか、むしろ役員の要件であるとか株式のいわゆる農業者の持つ比率というものもいっそのこと撤廃してしまうのも手ではないかと。  なぜならば、こう言うと抵抗ある方もいらっしゃるかもしれませんけれども、もはやどんな法人であったとしても農業をやっていただける方が入ってくるのであればもうウエルカムと、こういう考え方もあると思っていますし、農協さんも当然、もはや、地域協同組合として金融、共済もしておられるような現状の中でそれとのコラボレーションで何とか維持していると、こういう実態を考えれば、新たに入ってくる農業法人自身が、いわゆる資本を集めるのに当たって農業関係者の資本が半分以上なければならぬということではなかなか増やせないんではないかな、そこまで私は来ているというふうに思っております。  もちろん、農業者だけでやれる団体が日本の農業を支えていけるのであればそれにこしたことはないと思うんですが、現状の厳しい状況考えた場合に、緩和の要件はまだまだ甘いんではないかな、こういうふうに思うんですけれども、この辺り、農水大臣、いかがでしょうか。
  68. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 企業の農業参入につきましては、平成二十一年に大きな改正を委員御案内のようにやりまして、リース方式の参入が完全に自由化をされました。法改正前と比べて約五倍のペースでこの参入が進んでおります。  今、農業界と産業界と連携して前向きに推進していけるような状況になってきておりまして、ちょっと前ですとやはりいろんな懸念がございましたけれども、実際に入ってきてもらえると、うまくいっている例では、入ってきてもらってよかったということで、受け止めの方も変わってきていると、こういうこともございます。  そういう意味で、参入企業は地域農業担い手になり得る存在でございまして、農業の発展にも大きく貢献をできるということでございますから、今お話のあったように、担い手の不足する地域で企業がリース方式で参入していただくことを期待をしております。  今お尋ねの所有の方でございますが、先ほど少し申し上げましたように、懸念の方では、やはりこの二十一年農地法改正後は減ってきておると思いますけれども、それ以前からあった懸念として、撤退をしてしまう、なかなか採算が合わなくてですね、そこが所有ということになりますと、そのまま、持っておられるままということでございまして、結果として産廃の置場になってしまう、こういう懸念が農業、農村の現場にあると、こういうことでございます。  こういうことも背景にございまして、今回の御提案ということで申し上げているのは、こうした懸念のない範囲で六次産業化等の経営発展の障害を取り除く、こういう観点で農作業従事要件や役員の構成員要件、こういうものを、また出資比率を見直すことにいたしました。  更なる要件緩和ということにつきましては、六月二十四日、昨年でございますが、二十六年の六月二十四日に決めました日本再興戦略で、農地中間管理事業の推進に関する法律の五年後見直し、これ規定されておりますが、これに際して、それまでにリース方式で参入した企業の状況等を踏まえつつ検討すると、こういうふうに決められておりますので、この政府の方針の下に検討していきたいと、こういうふうに思っております。
  69. 山田太郎

    山田太郎君 株式会社になった場合に土地を所有して撤退したらどうなるのかという議論はさんざんしてきましたが、今の耕作放棄地を必ずしもつくってきたのは別に株式会社が原因だったと思えない。農家であったとしても、支え切れない方々がやはり耕作を放棄してしまったというケースもあるわけでありますから、一概に株式会社方式が悪いからリース方式にするとか、逆にリースだからといって株式会社から農地を返されたところで農家だってやっぱり困ってしまうんじゃないかなと、こうも思うわけであります。むしろ私は、そのことよりも、であれば、農地の適正利用、つまりゾーニングの強化ということを逆にすることによって、農地は農地として使うんだということをきちっと規制した方がいいんではないかと。  例えば、ゾーニングといえばヨーロッパが非常に厳しいということは御承知だと思いますが、日本の場合は特例による開発要件がやっぱり多くて骨抜きになっているんではないかというような声もあります。それから、例えば日本は、市街化区域、地域の農地が線引きされれば届出だけで転用可能になってしまって、その地域の農地は減少していく傾向にあるとか、転用許可は農業委員会の裁量の余地が非常に大きいということで転用される。あと、違反して転用されたとしても、現実的には事後に許可されることが多くて、なかなか実際に罰則になった事例は少ないと。これ農水省さんにも調べていただいたんですが、二件ほどの報告しかなかったということなわけなんですね。  そういった意味で、耕す人だとか株式会社だとかというところに対してはもうちょっと寛容に、むしろ農地を守るということであれば、その用途に関しては厳しくというか、そういうふうにする方が私は担い手は入りやすいんではないかなと、こういうふうに思うわけでありまして、是非その辺り、ゾーニングとの関係ということで大臣の方にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  70. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農地につきましては、農業振興地域の整備に関する法律というのがございまして、農業振興地域内において農用地区域を設定すると、こういうゾーニングの手法を取って規制を行っておりまして、この農用地区域内においては転用はできない、こういうことになっておりますが、このゾーニングというのは土地の利用の仕方を指定するということまででございますので、実際に耕作することを強制する、また農地の権利移転を規制する、こういう機能はそもそもゾーニングという手法にはないということでございますので、ゾーニングのみではこの耕作放棄、それから資産保有目的の権利取得を防止する、こういうことがなかなか難しいのかなと、こういうふうに思っております。
  71. 山田太郎

    山田太郎君 ならば、もう一個、アイデアなんですけれども、耕作を放棄された農地への税金優遇をやめるべきではないかと、こういう考え方もあるんですよね。今、耕作放棄地も農地の地目になっていれば、所有者は固定資産税が減免されると。これは耕していても耕していなかったとしても同じということでありまして、であれば、農地法の例えば三十二条なんかには、農業委員会利用意向調査の責務も持っているわけですから、こういうもの等をきちっと発動して、税金に対する見直しをしてもいいんじゃないかと。  もう一つ、兼業、専業というところもあると思いますが、やはり専業で農家をやっているということに対する税制の逆に優遇、税金によるインセンティブ、誘導ということをすることによって効率的に土地が担い手に回る、こういったことも考えられると思うんですけれども、いかがですか。
  72. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農地の税制というのは、やっぱり農業をやるということに着目して比較優位が、優遇をされている、こういうこともございまして、そういう意味では、我々としても耕作放棄地の解消、それから担い手への利用の集積、集約化、これは重要な課題だと思っておりますので、実は平成二十七年度税制改正でございますが、去年の年末に税制改正の議論をいたしましたときに、中間管理機構に貸し付けた農地については、固定資産税を非課税とする、それから有効活用されていない、逆に遊休農地については課税を強化すると、インセンティブとディスインセンティブを組み合わせたような、こういう要望をいたしましたが、最終的に調整が付きませんで、与党の税制大綱では、農地保有に係る課税の強化、軽減等の方策について総合的に検討すると、こういうふうに記述がされたということでございます。  今年の六月三十日に日本再興戦略の改訂二〇一五というのを閣議決定をいたしておりますが、ここにも政府としても、農地の保有に係る課税の強化、軽減等によるインセンティブ、ディスインセンティブの仕組みについて、本年度に政府全体で検討し、可能な限り早期に結論を得ると、こういうふうに書いていただきました。  したがって、今まさにこの二十八年度税制改正、今年の年末にも想定されますが、それに向けて検討をしておるところでございます。
  73. 山田太郎

    山田太郎君 まさに今大臣が言われたことを与党内でもしっかり推し進めていただいて、私はこの辺りが一つ決定打になる、こういうふうにも思っておりますから、やはり耕作していない土地はどう考えても農地ではないので、その辺りにまで優遇する必要は決してないだろう、それが結局、耕作放棄地を持っていてもそのままなおざりにされている最大の理由ではないかと、こうも思いますので、是非しっかりやっていただければと思っております。  もう一つ、どういったところが遊休農地なのか、耕しているのか、どんな地目なのか、こういうことで今農地ナビというのを今年の四月からやられているということをお伺いしております。ただ、この農地ナビ、担い手を増やすという意味においてはどういうふうに使っていけるのかなと。単に土地の管理ということをしたとしても、これが新たな担い手に対してどういうような形で例えば貸し付けられるとか、新しく農業をしたい人たちがどう活用すればいいのか、こんな辺りが是非分かればお答えいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  74. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 地域における農地集積や集約化、それから耕作放棄地の発生防止、解消、こういうものを進めるために、やはり農地の利用状況等、今お話があったように、耕作しているのかしていないのか、また耕作している場合も、どういう形態でどういうものを耕作しているのか、こういうことをデータベース化しまして、これを電子地図上に表示して、誰でも見られるようにすると、これが重要だと思っておりまして、一昨年の臨時国会で農地法の改正がありましたが、ここで農地台帳と電子地図の公表というのが義務付けられました。本年四月から、今取り上げていただいた全国農地ナビということで、インターネットによる農地情報の提供開始をいたしました。  今後、この農地ナビの更なる活用を図るために、農地中間管理機構等のシステム利用者等との協議を通じて、そのニーズを把握をした上で、どういったニーズがあるのかと、こういうことをお聞きしながら、利便性、効率性というのを更に向上をさせていくということと、それから最新の農地情報、これを速やかにこのシステムに反映できるようなものに構築をしていくと、こういうふうにしておりまして、こういうことをしていくことによって利用者にとっての利便がますます向上するように、一層の機能向上をやっていきたいと思っております。
  75. 山田太郎

    山田太郎君 私も昨日、実はこの農地ナビをいじらせていただきまして、非常に面白い、リアルな地図とそれぞれがマッピングされていて、私の親の実家の方の農地とか、なるほどこんなになっているんだなんというふうにありますので、これもっと宣伝していただいて、かなり私は、今回、農水省さん、これは頑張ったというふうに思っています。ただ、使わなければ宝の持ち腐れですし、残念ながらまだ項目が、相当調べられているのは見たんですが、項目がまだまだ不備みたいなところもあるようですので、これ育てていくというのは一つ新たないわゆる農地の展開といったところにつながるかと思っていますので、引き続き頑張っていただければというふうに思っております。  さて、農業委員会の方に少し話を移していきたいと思いますが、私、担い手をどうやってこの農業委員会が増やしていけるのか、こういった観点からも、もう一つ議論をしていきたいというふうに思っております。  今回、農業委員会の改革だけではなくて、全国農業会議所といったものを、いわゆる全国のセンターみたいな改組もするということが入っております。そういったところについても私自身実は注目しておりまして、どういう点から今回注目したかといいますと、どうやったら担い手が全国レベルで、都道府県の単なる単位、あるいは農業委員会さんのちっちゃな単位だけではなくて、いわゆる情報を提供したり集めてきたりすることができるのかなということで、ちょっと農水省さんには骨を折っていただいて、担い手を確保するための関係機関がそもそもどれぐらいあるのかということを全部洗っていただいて、じゃ、担い手確保のために何をしているのかということについても、少しジョブディスクリプションというか、この辺りを挙げていただいたんですが。  逆に、これを作っていただいてびっくりしたというか、確かに不十分だなと思いましたのは、関係各所、四つぐらいしかないと。一つは今の全国農業会議所といったところ、それから都道府県の農業会議、それから農業委員会、市町村そのものですね、こういったものしかないんですが、その中で見ても、実は認定とか支援というふうに書いてあるだけなのであって、人材の開発とか、探索とか、あるいは情報の普及とか、つまり探してきたり育てるというところに関してほとんど見当たらないんですね。これ、待ちというか、どうしても仕事が受け身のような状況になっているというふうに思っています。  何となく、今回の農業委員会等の改革が、どうしても土地にまつわる話がやっぱり主で議論されてきた私は嫌いがあると思っておりまして、この担い手を確保するといった辺りに、もうちょっとそれぞれの組織、これからお金も付け、改組していくわけですから、新たに機能を持たせていただいて、本当に先ほどの、九十万人ですよ、これを集めていくことを全力を挙げて、これは政府も国も、農業を本当に維持するためには最大の必要な試みだと何度も思っておりますので、その辺り、もうちょっと組織の改組に関して担い手を集めるというところに対して考慮したり機能を付加することはできないだろうか。この辺り、また大臣の方にお伺いしたいと思います。
  76. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この成長産業化等々やっていくために、農地の集積、集約化、これ大事ですが、まさに農地が集積されても、それをやる人がいなければ絵に描いた餅になりかねませんので、やはり新規参入者の促進等々やって、担い手の育成確保、これを進めていくことは大変大事だと思っております。  これまでも、今挙げていただきました認定農業者、新規の就農者の認定を行う市町村、それから新たに就農しようとする青年等の相談に応じるなどの活動を行う拠点である青年農業者等育成センターの確保、これを都道府県が行うと、こういうふうになっておりますが、さらに、農地を利用する場合に農業委員会があっせんを行う、それから、農地の転貸先である担い手を公募する農地中間管理機構、これ、公募に応じて、やりたいと言ってきた人というのは一種の担い手のデータバンクと、こういうことになろうかと思いますので、ここも入ってくると。そして、農業法人の設立支援や就農相談を行う県や全国レベルの会議所と、ここが連携をしながらやってきたところでございますが、今回の改正では、農業委員会について、やはり現場で新規参入が促進されて、担い手、農地の利用の集積、集約化が調整、相談活動されるように、まず農地利用最適化推進委員というのを新設をすることにいたしました。  また、県、そして全国の農業会議所についても、農業委員会の活動をサポートするネットワーク組織ということで見直しまして、指定法人に移行した上で認定農業者制度の普及啓発、まずやっぱり知っていただいて、こういう制度がありますということをやる、また法人化をしていく。  それから、認定農業者協議会というのがございますが、こういう担い手を組織化していって、声を上げてもらう、それから新規就農、就農希望者への相談、こういう担い手関連の業務、これを法律に明記して安定的に行っていこうと、こういうことにいたしました。  こういうふうにして、今回の法改正で農業委員会そのもの、またこれをサポートするネットワーク機構、こういうところの活性化を図って、より各関係機関の連携の進むことを我々としてもしっかりサポートいたしまして、担い手をしっかり確保して成果を上げていきたいと思っておるところでございます。
  77. 山田太郎

    山田太郎君 まさに担い手バンク、これこそ今必要ではないかなと。くしくも大臣の方がおっしゃられました。私もそこをこれから質問しようと思っていたんですが、農地バンクがあるんだったら、担い手の人たちの、任せたいという側もいると思うんですね、やりたいという人をどうやってマッチングをうまくやるのかといった辺りをどこかでしっかりやる。ただ、残念ながら、余り私は今回の組織改革はそういったところに踏み込んでいるようには思えないので、もっと一生懸命踏み込んでいただければというふうに思っております。  もう一つ、確かに、でも組織をいじっていくということは法律であり、国会での議論の対象なんでしょうけれども、やはり仏に魂入れずんば成り立ちませんし、だるまさんには目入れていかなければしようがないんですけれども、何が言いたいかというと、要は私、実は旭川の方に農業の現場の視察で見学させていただいたときに、こんな話があったんですね。  旭川の郊外で、北海道出身の議員がいらっしゃるので知っていらっしゃるかもしれませんけれども、結構旭川の郊外の土地が非常に水はけ等が悪くて苦しかったと。当初は、畑も大変なところでありまして、新規の就農者なんていうのは、来たら、はっきり言って村八だと。悪い土地を正直与えて、やっぱり新しい人じゃ農業はできないじゃないかと、農業を、耕作するんだったら、十年、二十年掛かるんだといって追い返していた。でも、それじゃ、もう村、町自身が終わってしまうということで、積極的に優良な農地をそういう新しい人たちに提供するといったことを含めて非常に改善してその地域が良くなった、こんなこともあったと思います。  農業がやっぱりもう一つ見えてこない。今回の議論の中でもまさに泥臭いような部分ですが、肥沃な土地というか、土地の性質というものもあると思っています。こういったものまで含めて、担い手に対しては優先的にというか、もうこれは現場の努力としか言いようがないのかもしれませんけれども、何かそういった、しっかり農業が、担い手の人たち、いきなり来ても正直言って難しいと思います。だからこそ、株式会社に一旦参加をしながら覚えていって自立するというやり方もあると思いますが、土地との関係をもうちょっと今回解いてあげないと、はっきり言って新たな担い手が、それは何万人という形でもってとてもじゃないけれども育ってくるとは思えない。ほとんど入ってくる人は、私も最近この委員会に参加させていただいたので毎年畑仕事をさせていただくけれども、奥が深いなということを改めて感じたわけでありますが、所詮私もど素人で、私が田んぼだの畑だのやったら大体枯らしちゃうと思うぐらい、やっぱり難しいんだと思うんですね。その辺りをどういうふうにできるか。  先ほどの農地バンクとそれから人材バンクを組み合わせたような、もっと積極的な研究をしっかり担い手に対して、来たとしても絶対失敗させないというんですか、せっかく来た担い手を潰さない。一万人しか増えないという中で、何人かは結局やめちゃうんだよねという議論もかつてあったと思うんですけれども、そうさせない仕組みということをどうしたらいいのかな、その辺りの研究を進めていただいて、あらゆる手段、もしかしたらお金も使ってその辺りはやるべきだと思いますが、その辺りも是非大臣の方から、これはもう答弁というよりはお考えというかコメントでも結構でございます、アイデアでもいいです、何かいただければと思いますが、いかがでしょうか。
  78. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な、本質的なお話だと、こういうふうに思います。  私も、印象的だった記憶がありますのは、初老のもう随分ベテランの農家の方とお話ししていて、自分も初心者なんだ、まだほんの五十回ぐらいしかやったことないからねと。五十年やっておられて五十回、毎年違ったことをやってチャレンジの連続であった、こういう意味だったと、こういうふうに思いますが。  やはり、今いみじくも先生がおっしゃったように、奥が大変深いし、ある作物に対して肥沃な土地がほかの作物にとっていいかどうか、これも土地によって様々であろうと。適地適作という言葉がありますが、最近、薬用作物ですね、漢方薬の原料というのは、むしろそういう普通の我々が想定するような平たんな肥沃なところよりも、傾斜がきつくて岩がちなようなところにそれでも生えてくるような薬草の方が強い、いい薬草になると、こういうお話も聞いたことがございますが。  したがって、一概にいいところを今いる人が全部確保して、新しい人がやる余地がないと、こういう白黒一律的な考え方というよりは、みんなで、民主党時代にスタートしていただいた人と農地プランというのもございますけれども、そういうものもいろいろ活用しながら、要は、私の個人的な印象でいうと足し算ではないかなと思っておりまして、誰かが入ってくれば誰かがいなくなるということであれば、これは差引きゼロということですが、いろんな方がいろんな形態で、規模の大きい人、小さい人、いろんな形態の人が入ってきてそれぞれ違ったことをやっていても、全部足していくとトータルとして農業の生産というのが活性化して、よってもって所得も増えていく、こういう形ではないのかなと、こういうふうに思っておりますので。  制度は、今御議論いただきましたけれども、基本的にはそういう考え方でもって、地域の自主性とか、そこの特色を生かした作物作りと、こういうようなものをそれぞれがやっていただくような仕組みをしっかりと推進をしていくように、制度を作っていただいた後も運用でも心掛けていきたいと、そういうふうに思っております。
  79. 山田太郎

    山田太郎君 そろそろ時間になりましたのでまとめたいと思いますが、私は、今回の様々な改革、政策が、いわゆる三百万ヘクタールというものを維持するということに論点を置けば、いつも言うんですが、一人十ヘクタールを本当にできるのかという議論になって、非常に現場は、大規模化だけを目指されて非常に負荷が掛かる、楽しんで農業をやるというよりも農業を維持するための農業ということになりかねない、こういうふうに思っております。これでは新規就農者も今までの人たちも続けられないと思っております。  タブーを犯して言わせていただければ、地方に行けばそれこそ人手不足です。本当に新規就農者が集まるかどうかなんて分からないです。そういう現実を我々は見据えた上で、もしかしたら撤退しなければいけない農地ということも本気で議論して、集約という形ですらもはや考えなければ、今までの高度成長にあった、あるいは人口が増えている時代とは違うんだ、我々自身が新しい時代に立っているということを岐路として少し議論を私は深めるべきなんじゃないかなと。  例えば、中山間地に対して、何とか維持していこう、これはこれで一つ議論かもしれません。しかし、そこに耕す人が本当にもういないとするのであれば自然に返すという考え方だってやっぱり必要でありまして、今までそんなことを言えば多分この委員会では大変なバッシングがされたのかもしれませんが、でも、現実的には、人がもう大事なんだという形にして、もうとにかく来ていただいた人は撤退しないように、どうやったら成功させられるのか、新しく来ていただいた方には楽しく続けていっていただけるのか、そういった視点に我々立って国会でも議論しなければ、この話の先には、農業は幾らどんな制度、お金をいっぱい付けても破綻しちゃうのかなと、こう思っておりますので、引き続きそういう視点でもって質疑させていただいて、政府には是非頑張っていただきたい、こういうふうに思って、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  80. 野田国義

    野田国義君 民主党の野田国義です。どうぞよろしくお願いいたします。  本当に暑い日が続いておりますけれども、またさらに、隣の棟では安保法制特があっておりまして、本当に日本の方向、大きく変わる大転換の論議があっておると言っても過言じゃなかろうかと思っております。  そしてもう一つ、先ほどのニュースでも流れておりましたけれども、TPPの行方というものが非常に、特にこの農林水産委員会においては気になるところではなかろうかと思っているところでございます。  聞くところによりますと、米それから乳製品ですか、特別枠の設定や、牛肉や豚肉の関税の大幅引下げ、重要品目と言われるものについてもどうも譲歩を重ねて前のめりな論議がなされているんではなかろうかと、私非常に危惧をしているところでございます。国会決議というものが全会一致であっておるということをしっかり我々は思い出してもらいたいと思っております。  平成二十五年三月十五日ですか、統計によりますと、GDPは三・二兆円経済効果があるということでありますけれども、農林水産物の生産額は三兆円ほど減少させるというようなデータも出ているわけでございまして、本当に農業は国の基でありまして、また今、地方創生、再生ということが高々に叫ばれておりますけれども、農業の再生こそが日本の再生、地方の再生につながると言っても過言ではなかろうかと思っているところであります。そういう状況にあります。  そうなりますと、本当に農林水産業の切捨てになりかねない。それで、今日はちょうど三人が、北海道出身、いらっしゃるんですけれども、こういった酪農、畜産関係が大きなダメージを受けるということになりますと、本当に立ち上がることができなくなっていくのではなかろうかと思っているところであります。  今回の結果をもう明日、あさってぐらいまでに出すということでございますけれども、大体どのように考えておられるのか、そしてどのように国民に説明をされるのか、そしてどのような対策をされるのかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  81. 高田潔

    政府参考人高田潔君) お答えいたします。  現地時間の二十八日から米国ハワイにおきまして開催されている閣僚会合は、TPP交渉にとって極めて重要な会合でございます。我が国も含めた交渉参加国は、最後の閣僚会合にしなければならないという強い意気込みで交渉に臨んでいるところでございます。  閣僚会合におきましては、同地での二十四日から二十七日まで開催された首席交渉官会合での進展を踏まえ、閣僚レベルで決着する必要がある論点について、二国間及び全体での会合が行われているところでございます。  TPP協定は、いずれ国会で御承認をいただかなければならないものでございます。今回のハワイ閣僚会合においても、衆参農林水産委員会決議をしっかりと受け止め、国益を最大限に実現しつつ交渉をまとめるという成果を求めて、全力で交渉に当たっているところでございます。
  82. 野田国義

    野田国義君 事務的な答弁ということでありますけれども、本当にこれから、じゃ対策をどうするのかということを考えるだけでも、恐らくあのガット・ウルグアイ・ラウンドのときで六兆百億だったですか、使ったというような状況でありまして、本当にこれから対策を講じていくということになったら、財政再建も片方ではしっかりやっていかなくちゃいけないような今大変厳しい財政状況になっております。ですから、大変なことになっていくんじゃなかろうかなと思いますし、また、地方がどんどんどんどん更に衰退をしていくということになりかねないんじゃないか。  そしてまた、先ほども話あって出ておりましたけれども、自民党内の国益を守り抜く会ですか、こちらからもそういった要望が、この間から政府に念を押されたというようなことでありますので、しっかりとした交渉を最後までお願いをしたいと思っているところであります。  それでは、ちょっと地元の話を一点させていただきたいと思います。  お茶の話なんですけれども、お茶は振興法、山田委員長の御指導をいただきながら振興法を作らせていただいたわけでありますけれども、大変地元も喜んでいただいております、改植などの支援をするようになって。  ただ、ちょっと地元を回っておりますと、今問題、ただというか、非常に今、お茶全体としては厳しい状況にあると。リーフ茶と申しますか、若い家庭のところにはそんなお茶を飲むという習慣が、急須すらないというような状況でございますので。  そういう中で、いわゆる玉露、かぶせ茶、碾茶を一括して覆い茶として表章している問題でございますが、これは二十一年から平成二十五年までですか、見ますと、これ総務省統計局の農林水産省所管の工芸農作物の全国累計統計表というところでございますけれども、いわゆる茶の部門、荒茶生産量の項目に公表されておりますけれども、ここを覆い茶という一まとめ、一区切りで書かれておるというような状況なんですね。それで、八女茶といえば御承知のとおり玉露というぐらい非常に品質のいいお茶というのがイメージ的に定着をしているところでございますが、またそうなんですけれども、そういうことに今なっておりまして、非常に地元は困っておるということなんです。  ですから、この玉露という定義は、我々こうして見ますと、わらで覆う、それから棚で、あるいは手摘みをする。そして年一回なんですね、お茶摘みするのが。そして二十日前後の直接被覆というような五つぐらいの条件がそろって、今ちょうど地理的表示保護に基づく申請もさせていただいているところであります。八女伝統本玉露ですか、そういう形でですね。こういうことになっているんですけれども、大体、この状況をまず御存じでしょうかね。そして、どう対応されているかということをお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  83. 佐々木康雄

    政府参考人佐々木康雄君) お答えいたします。  私ども農林水産省が実施しております統計調査におきまして、先生御指摘いただきましたように、覆い茶として公表している荒茶の生産量がございます。これにつきましては、平成二十年産以前の調査までは、玉露、それからかぶせ茶、そして碾茶にそれぞれ区分をして調査を実施し、それぞれの数値を公表していたところでございます。  これらの茶種の定義につきましては、業界団体であります公益社団法人日本茶業中央会が定める定義に基づきまして調査を実施しているものでありますけれども、平成二十年産の調査結果におきまして、一部の地域で、従来の栽培方法である棚施設を用いずに、茶樹を直接寒冷紗などで覆う新たな栽培方法による玉露の生産が急増したことを受けまして、これを玉露として認めるか否かで業界の中の意見が二分される事態となったという経過がございました。  こういった事態を受けまして、私どもといたしましては、二十一年産以降の調査の実施に当たりましては、関係業界において玉露等の定義が明確化されるまでの間は、暫定的に玉露、かぶせ茶及び碾茶を一括して覆い茶としてくくりまして調査を実施し、公表してきているという経緯でございます。  今後の在り方につきましては、このような関係業界の御意見の動向でありますとか、あるいは調査の効率的な実施の観点等を踏まえまして、引き続き検討してまいりたいと思っております。
  84. 野田国義

    野田国義君 いや、茶業中央会ですか、こちらは緑茶の表示基準という形で不正確又は曖昧な表示を禁止をしておるわけですよね。農林省がはっきりしないものだから、だから、はっきりとした態度というか、その辺りのところを是非とも早くお願いをしたいと。現実、まだそういったお茶が出回っているというようなことでございますので、ある意味では、何というか、特徴あるお茶、差別化をしていくことが産地の生き残りにもつながるということでございますので、しっかり要望いたしまして、この話を終わらさせていただきたいと思います。よろしくお願いしておきます。  それでは、またちょっと最初の話に戻るかと思いますが、この間、戦後七十年になるわけでありますけれども、強い農業をつくるための改革、あるいは農家の所得を増やすための改革と所信表明演説でも安倍総理は宣言をされているわけでありますけれども、衆議院でも、安保法案と同様に、二か月間この論議があってきたわけでありますけれども、どうもどんどんどんどん悪い方向に行っているのではなかろうかなと。また、この農協改革で本当に農業が強くなるのか、どうも農協がスケープゴートになって、いけにえになっているような感も、私、否めない事実なんです。  私、地方創生も地方再生もそうだと思うんですが、いわゆる失敗に学んでいかなくちゃこれいけないと思うんですね。しかしながら、何かこの農業の政策というのが、猫の目農政がまた戻ったような状況にもあるということでございますが、長年自民党が農政を担ってきたわけでありますけれども、その辺りのところをどのように今総括をされているのか、その辺りのところをちょっと大きな話として聞きたいなと思っております。
  85. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農政につきましては、これまでも、その時々の農業を取り巻く状況、変わってきておりますので、その必要な施策をその都度その都度講じてきたものと、こういうことだと思っておりますが、現在でも、農産物の価格が低下して農業所得が減るとか、それから、先ほども議題になっておりました、担い手が減る、高齢化が進展する、耕作放棄地が増加する、こういう大変厳しい状況がある、こういうことは事実であろうと、こういうふうに思っております。  その要因ということでございますが、やはり食生活が変化をしてきたと。よく引き合いに出されますのは米でございますが、ピークの昭和三十七年には日本人が一人当たり百十八キロほど米を消費しておったと。約二俵でございますが、直近の数字が五十六キロまで減ってきておると。約半分になってきているわけでございます。ライフスタイルの変化等いろいろあったということだろうと、こういうふうに思いますが、こういうふうに、例えば需要が減少する作物が出てきた場合に、それの生産を転換していく、こういうことを円滑に進めていくことができなかったと。それから、土地利用型等の水田農業などの担い手へ農地集積をするということが遅れてきたと。それから、農産物価格がなかなか上がらない中で、いろんな努力、工夫をして高付加価値化ということを実現する、これがなかなかはかばかしくなかった、こういう事情がやはりあったんだろうと、こういうふうに考えております。  したがって、こういう状況一つ一つ克服をして、我々の農業の活性化を図っていくために、やはり生産現場を強化して高付加価値化等を進めて成長産業化を図っていくという産業政策の部分と、それからもう一つは、農業、農村の持つ多面的機能の維持、発揮を図るという意味での地域政策、これを車の両輪ということでこの農政改革をやってまいったところでございます。  今後とも、これらの施策を着実に推進をして、強い農業と美しく活力ある農村と、これを実現してまいりたいと思っております。
  86. 野田国義

    野田国義君 農林水産省の言うことと逆のことを言ったところが元気になっていると、そういうような事例もたくさんあるということでありますので、本当にどうしたら強い農業になっていくかということをしっかりと実行してもらいたいと思っております。  御承知のとおり、戦後、一千六百万ですか、農業人口、それが二百万を切るような状況に減少してきておるということでありますし、また、話ずっと先ほどからも出ておりましたけれども、昨年の米価の下落ですよね、それで非常に廃業する人たちが多くなってきておるということでございまして、私、大変恐縮なんですけれども、民主党の戸別所得補償なんかやっているときには本当に農機具屋さん辺りも非常に売れるようになったと。それはなぜかというと、やっぱり中長期的な展望ができるから、農業についてですね。今、恐らく先が見えない。特にTPPで、これはもう息子たちに継がせることができなくなったと言われる方々も非常に多いわけですね。  ですから、そういう中にあって今回の農協改革が来たということなんです。改善しなくちゃいけないところはあるのかも分かりませんが、この目的ですよね、その農業、農村との発展、どういう整合性があるのか、そして、これまで中央会に対する評価をどうお考えになるのか、中央会の廃止というようなことも言われておりますが、その廃止の意味というのはどういう意味なのか、その辺りのところをお聞きしたいと思います。
  87. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) お答えいたします。  中央会制度、御案内のとおり、昭和二十九年度に導入された制度でございまして、当時農協経営が危機的状況に陥っていたことを背景とする特別なものでございます。行政に代わって農協の経営を指導することによって農協組織を再建することを目的としたわけでありまして、これまでの中央会の監査や経営改善指導によりまして合併が進んでまいったわけでありまして、農協の経営基盤の強化に成果を上げてきたところでもございます。  しかしながら、中央会の指導の結果として、中央会発足時には一万を超えていた単位農協は七百程度に減少をしておりまして、一県一JAも増加をしている現状でございまして、JAバンク法に基づき、信用事業につきましては農林中金に指導権限が与えられていること等によりまして、制度発足時とは状況が大きく変化しているわけであります。  こうした状況を踏まえまして、中央会につきましては、地域農協の自立と自由な経済活動を促し、これを適切にサポートするという観点から、自律的な新たな制度、これは連合会や一般社団法人のことを申し上げるわけでありますが、これに移行することとしたところでございます。  行政代行的に指導を行う特別認可法人が自律的な組織に変更し、全中、全国監査機構、これの監査の義務付けも廃止することで、地域農協の役員が従来以上に経営者としての責任を自覚して農業者のメリットを大きくするよう創意工夫して取り組んでいただくことを期待しているところでございます。  以上でございます。
  88. 野田国義

    野田国義君 何ら、本当に所得倍増というか、それと関係ない改革なんじゃないか、恐らく衆議院でも何度も何度も言われたことかと思いますけれども。ですから、本当に実のある改革を、せっかく改革やるなら、やっていただきたいなと要望をさせていただきたいと思います。  それで、農協もいわゆる地方再生に寄与していく。私も市長を長くやりましたので、当然農協とタッグを組んでというか、いろいろな審議委員なんかにもなっていただいたし、いろいろなことを一緒にやらせていただいたわけでありますけれども、本当に行政と農協というのは、地域おこしというか地域の活性化のためには欠かせないというような存在であるわけであります。  それにもかかわりませず、去る六月三十日ですか、政府は、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一五を閣議決定をいたしました。その農林水産業の成長産業化の項目において、地方の生活インフラの供給に関しても農協が果たす役割には全くここで言及をしていないということなんですね。  大体、政府は、地方創生に果たす農協の役割は何も期待していないからうたっていないのか、これ、ちょっとお聞きしたいんですけれども、どういうことなんでしょうか。
  89. 新井毅

    政府参考人(新井毅君) 地方創生のためには、特に農山村地域の基幹産業であります農業について、他の産業分野と連携して成長産業化を推進し、農業者の所得向上を図っていくことが重要であると、これは認識しております。  このため、御指摘の六月三十日に閣議決定いたしましたまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一五におきましては、農林水産物の輸出促進や六次産業化の推進、担い手の育成確保などの農業生産現場の強化などを推進するほか、地域におきましてブランディングをしっかり行える体制の整備、インバウンドの地方への取組を始めとしたDMOの構築などの地域の観光体制の整備、これらを推進することによって、地域農産物や食品の価値を高め、販売力を強化する取組を推進することとしているところであります。  現在、各自治体におきまして、地方版のまち・ひと・しごと総合戦略の策定作業が進められているところでございます。この際、計画段階のみならず、実行段階におきましても、産官学金労言の主体的参画をお願いしているところでございます。こうした取組を進める上で、農協の果たす役割は極めて重要であることは言うまでもなく、農協に対しましても地方版総合戦略への積極的参画をお願いしているところでございます。  一方で、基本方針に農協の文言がないということでございますけれども、地方創生の取組につきましては、地域における事業主体は地域の実情に応じて様々でありますことから、基本方針におきましては全国機関以外は原則として特定の事業主体は明記していないところでございまして、したがいまして、郵便局であるとか農協であるとか、そういった文言は明記されていないということでございます。
  90. 野田国義

    野田国義君 しっかりその辺りのところも書き込んだ方がいいんじゃなかろうかなと思っております。  地方を回っていますと、ちょっと反面、よく地域の課題として言われることが、一つは、いろいろ合併を重ねてきましたので、学校の統廃合、それから農協がどうしても撤退せざるを得ない今状況にあるということ、それから、結局金融機関、お金の出し入れとかできるのは郵便局だけが残っているというような話がよくあるわけであります。  そういった総合的な事業をJAはやっていただいているわけですので、しっかりとその辺りの地方創生という観点からも考えていく必要があるということでありますので、よろしくお願いをしたいと思っております。  それから、衆議院で民主党案を提出いたしました。その中に、地域のための農協の位置付け、農協の自主性の尊重に関する規定の新設、それから農協の政治的中立性の確保に関する規定の新設ということ、それから三点目が、地域重複農協の設立と都道府県域を超えた農協の設立が可能である旨の確認規定の新設、監査その他の組合に関する制度の在り方検討について附則の新設などを盛り込んだ案を提案させていただいたところでありますけれども、私、非常に民主党案、改めて読み直したところでありますけれども、いいんじゃないかなと思ったところでありますけれども、どうですかね。どうお考えになっているのか、お聞きしたいなと思います。(発言する者あり)
  91. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 山田委員長のコメントはまた別のところでお聞きいただければと思いますが、我々としては、衆議院農林水産委員会で、この提出者の皆さん、岸本先生、玉木先生、小山先生、福島先生も同じ答弁席に並んでいただいて、かなり時間を掛けて両案を比較しながらもいろんな審議をしていただいたところでございますが、そういう審議を経た上で衆議院農林水産委員会で否決をされたと、こういうことでございます。  民主党案は、農協地域社会で大きな役割を果たしている、今、野田先生おっしゃっていただきましたように、地域のための農協という位置付けを明確にするということが大きな特徴であったと、こういうふうに受け止めております。  我々政府としても、農協が、過疎化、高齢化、進行していく農村社会で、実際上地域のインフラとしての側面を持っている、これは事実であると考えておりますが、何度も議論になっておりますように、農産物販売生産資材の供給等において担い手の期待に応えられていないという側面がある、ここに問題があるというふうに考えております。したがって、政府案では、農協農業者の協同組織であるという原点に立ち返りまして、地域農業者と力を合わせて、農産物有利販売などに創意工夫しながら積極的に取り組むことができるようにする、これを基本的な考え方として提案をさせていただいているところでございます。
  92. 野田国義

    野田国義君 しっかりよろしくお願いをしたいと思います。  それから、ちょっといつも思いますのは、この農地中間管理機構なんですが、本当にこれから大丈夫なのかなと。この間から一年の検証があっておったところでございますけれども、地元の福岡県を見ますと、機構を通さない権利移動を含んだ農地集積面積は二千八百六十六ヘクタール増で、農地の集積目標の六九%であった。一方、機構による新規集積面積は二十三ヘクタールで、農地集積目標の一%にすぎないんですね。  これもう全然駄目で、ですから、そしてさらに、都道府県の機構の実績を順位付けし、実績を上げた都道府県に補助金などで優遇したりするといった形でてこ入れしていく方針も示されているようでございますけれども、この際、機構を通じない集積は評価しないというようなことになっていくんでしょうか。  その辺りも含めて、この中間管理機構、農地バンクの件、非常に一年目は成績も悪かったんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  93. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農地の中間管理機構の関係でございます。  中間機構につきましては、一昨年、二十五年の秋の臨時国会で法律を作っていただきまして、昨年の三月から各県で順次この機構が立ち上がって、二十六年度が初年度と、こういうことであったわけでございます。  既に全ての都道府県におきまして機構が設置をされて活動しておりますが、初年度の実績を見てみますと、二十六年度の中間管理機構の農地集積の実績でございますが、借入れの面積はトータルで約二万九千ヘクタール、それから借りた上で転貸した貸付面積が約二万四千ヘクタールでございます。北海道等ではこの借入れのほかに売買もやっておりますので、それを加えますと、借入れと買入れと合わせまして約三万六千、それから転貸と売渡しで約三万一千ヘクタールと、こういうふうになっているわけでございます。  この初年度の実績でございますけれども、平成二十二年度から二十五年度にかけましてこの担い手の農地の集積は横ばいで推移をしておりました。大体五割ぐらいのところに来ておりましたけれども、これが横ばいでおりましたが、この中間管理機構ができまして、やはりこれについて各県各市町村での関心も相当高まってきたということもございまして、全体で見て、これは機構を使わないものを含んでおります、あるいは今まで担い手でなかった方が担い手になったことによって担い手利用面積が増えたと、こういうものを含んでおりますが、全国的に見ますと、この担い手の使う面積が約六万ヘクタール増えるという状態になっております。先ほど先生が言われました二千八百六十六ヘクタールというのは福岡県におけるこの数字だと思いますけれども、こういう形で再び農地の流動化、担い手の集積に向けて動き出したことは間違いないというふうに思っております。  それから、この機構自身の実績でございますけれども、これ、当初の目標には届いて当然おりませんけれども、前身となっております各県の農地保有合理化法人、これの時代と比べますと、全体としての実績が約三倍、貸借でいいますと約十倍ということで、初年度としてはある程度の実績は出たものというふうに考えております。  ただ、これで十分という状況では全くないと思っておりますので、当初の目標を達成できるように、各都道府県でこの機構を早期に軌道に乗せて実績を大幅に拡大をする、これが急務でございます。このために、一年目の実績を見ながら、各県につきましてはいろいろな指導を行っているところでございまして、幾つかございますけれども、一つは、この機構が本当に積極的に動いて、その県内における農地の集積、集約化を進めるという組織になるように、この役員体制をもう一回見直していただくと。  それから二つ目といたしまして、大事なのは、農地の集積に向けて、それぞれの現場におきまして、農家の話合いを含めたコーディネート活動をきちんとやるということでございます。このコーディネートの活動を行う担当者、これは機構の職員であったり、あるいは委託先の市町村あるいは農協の職員の方が多いと思いますが、こういう方を含めて、現場の担当者の方の質と量を十分にしていくということ。  それから三つ目といたしまして、やっぱり農地が動くためには農家の方々の話合いというのがどうしても必要でございます。特に、地権者の方々がまとまった農地を機構に預けて、そこから担い手の方に転貸するということがきちんと合意になりませんと進みませんので、二十四年度から始めております人・農地プラン、これは毎年定期的に見直していただくということになっておりますが、これの見直しを含めて、地域の話合いを徹底していただくということ。  それから四つ目として、特に機構が、担い手農家の方々との意見交換をきちんとやっていただく、担い手のニーズに対応する形で仕事の仕方をきちんとしていただく、こういうことをお願いしているところでございます。  また、五番目といたしまして、土地改良事業、農地の整備事業とこの中間管理機構との連携も大事でございますので、そこについてもいろいろとお願いをしているところでございます。  それから、先生の方から、この機構だけを使って農地の集積、集約化を進めるのかというお話ございました。現在の法制度は、中間機構だけということになっておりません。中間機構のスキームは、農地を機構自身がまず借り受けて、これをまとまった形にした上で担い手の方に転貸をする、こういうスキームを取っておりまして、この事業のスタイルを取っておりますので、担い手の単なる集積というだけではなくて集約化、要するに分散錯圃を解消すると、これもしやすい仕組みとして構築をしたわけでございます。  一方で、従来からございます農地利用集積円滑化団体、この事業もございますけれども、こちらの方は機構とはちょっとスキームが違いまして、農地の出し手の方を代理をして、受け手になる方を探し出す、で、探してこの契約を締結すると、これが仕事でございます。こうしますと、農地の受け手がいなければ、結局成果が上がりませんし、それから、出し手、受け手の間の相対取引を中心としておりますので分散錯圃の解消にはなかなかつながらないと、こういった問題点も抱えております。  現在は、この中間管理機構とそれから円滑化団体とダブルトラックで進めている形になっておりますけれども、この機構の事業につきまして、初年度の評価をするに当たりまして、市町村ですとか、あるいは担い手農業者の方のアンケート調査も我々実施をいたしました。  市町村に聞いてみましたところ、先ほど先生からも御指摘ございましたけれども、農地の利用調整について、この機構が市町村に丸投げをしているというような御意見が六割程度ございました。それから、市町村から見て、まだこの機構事業が軌道に乗っていないというお答えも八割ございました。そういう状況でございますが、一方で、担い手の方々からは、この農地の中間管理機構、集積だけではなくて集約化にもつながる、これを本当に早く軌道に乗せてほしいという強い要請をいただいておりまして、一日も早くこれを軌道に乗せていきたいというふうに思っております。  機構は各県一つ整備をされておりますので、業務を実施する上では、機構だけではなくて、委託先であります市町村あるいは農協等と十分連携を取らなければいけません。委託先には委託のための委託料も国費助成が付いておりますので、それも活用いたしまして、関係者の総力を挙げて農地の集積、集約化を進めていきたいというふうに考えております。
  94. 野田国義

    野田国義君 ちょっと時間が大分過ぎてまいりましたけど。  ですから、ここは、私思うのは、顔が見えないとなかなか貸し手、貸さないというようなことでありますので、やっぱり行政と身近なところですね、地権者と、そういうところにできるように改善をしっかりやっていく必要があるんじゃないかなと。  それと、さっきアンケート調査のことを言われましたが、これ見ますと、何か自分には優しくAばかり付けて他人には厳しくというようなことで、こういうことじゃ話は進まないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、農業委員会でございますけれども、これもちょっと私も思い入れがありまして、いわゆる公選、ここにデータ、皆さんのお手元にも出させていただいておりますが、選挙をした、投票を行ったところが八・二%という低い数字、だから農村辺りではもう抑えに掛かっちゃうんですね、どうしても地方では。もう選挙をしないようにと私も何度か頼まれました、抑えてください、選挙がないようにというようなことで。ですから、今度市長が選任というような形になっていくわけであります、首長が。  そこで、女性の問題がここで出てきまして、そうですね、もう十数年前から女性をとにかくつくらにゃいかぬな、つくらにゃいかぬなと。ですから、今度市長推薦は女性でお願いしますというようなことで女性をつくっていったというような経緯もありますけれども、おかげでその方が、今ここに十人書いている女性委員長ですが、十人のうちの一人が八女市、私が推薦した方が委員長をしていただいているような状況でして。  だから、地方ではなかなかこの農業委員ですら女性進出というのは本当に難しかったなと今思っております。農協の理事の問題もそうでしたけれども、これを三〇%にしていかなくちゃいけないわけでありますので、しっかりとこの辺りのところも指導をお願いをしたいと思っているところでありますけれども、どうでしょうか。
  95. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 農業委員会の話でございますが、今先生の方から具体的な事実がいろいろ御説明ありましたので、我々も意を強くしているところでございますけれども、まず公選制の話につきましては、この先生のデータの中にも書かれておりますが、実際公選制を採用しているところは一割弱、昨年の統一選挙では本当に八・二%という状況でございますので、事前に立候補者が地域で調整をされて選挙を行わずに委員が選出をされていると、こういう状況にあるというふうに思っております。  その結果として、やはり意欲のある方、特に若い方ですとか女性の方で農業委員になってきちんとやりたいという方がなかなか立候補できない、こういう状況にあったということも事実だろうというふうに思っておりますので、今回は選任制に切り替えることで、しかもそのプロセスとして事前の推薦あるいは公募、こういった手続も入れて、なりたい、意欲のある方が農業委員になれる体制をきちんとつくっていくと、こういうことでございます。  特に、そのときに農業委員として女性の方を増やしていくという話でございますが、農業委員の構成を見てみますと、先生の資料にもありますように、女性の農業委員は七・二%でございます。一方で、基幹的な農業従事者の中での女性の割合というのは約四割でございますから、この比率と比べて農業委員の女性の数は圧倒的に低いと、こういう状態でございます。  このため、昨年六月の政府与党の取りまとめでは、女性あるいは青年の農業委員を積極的に登用するということが盛り込まれまして、今回の改正法案では、これを受ける形で、法律の条文として、市町村長が農業委員を任命するに当たって年齢、性別等に著しい偏りが生じないように配慮するという規定を置いているところでございます。  従来の女性農業委員の方は、実際に選挙はなかなか立候補できなくて選任の方で選ばれていたということもございますが、今回は市町村長の選任制一本にまさになるわけでございますので、女性がなりやすい状況がかなり整ってくるのかなというふうに思っております。特に、選任に当たって推薦を求め、公募を行い、その結果を公表するということにもしておりますので、農林省といたしましては、この法案が成立をした暁にはこの規定の趣旨をきちんと末端まで周知徹底をいたしまして、各地で女性の方が推薦を受けるあるいは公募に手を挙げていただくように積極的に働きかけていきたいというふうに考えております。
  96. 野田国義

    野田国義君 三割以上女性がいないともう決裁をしないと、どこかの農政部長、福岡の農政部長、石原さんのときでしたが、しっかりやられている。しかし、大分増えましたね、そういうことをおやりになったから。そういう強い意志でやっていかなくちゃいけないと思います。  それで、ちょっともう時間もありませんのであれなんですが、買物難民の問題ですね、これ農協辺りを中心に移動購買車ですか、そういうので積極的にやっていただいているところもあるんですが、なかなかこの問題がまた地域に入ると、本当にこの食料品関係、特に買えないというような地域がたくさん日本全国出てきておるということでございまして、この問題についても非常に重要だと思いますので、農水省辺り、どういう取組、御支援をお願いしたいと思いますが。
  97. 中川郁子

    大臣政務官(中川郁子君) 人口減少でありますとか商業施設が郊外に行ってしまった、そういうことが原因で小売店舗が減少しまして日常の買物に苦労する、いわゆる買物難民が増加をしています。  農林水産省といたしましては、国民に対する食料の安定供給のために、地域の消費者への食料品アクセス環境の改善が必要と考えています。このため、自治体や地域住民、食品事業者などが連携して対策を検討する協議会の開催を支援させていただいているほか、食料品アクセス問題に関するポータルサイトを開設し、先進的な取組事例や取組マニュアル、関係省庁や自治体による支援施策の紹介など、総合的かつ横断的な情報発信を行っているところでございます。全国の買物困難地域における関係者による取組の推進を支援しております。  買物難民問題につきましては企業や団体による取組も進められており、JAにつきましては、幾つかの地域で、移動購買車の展開や、企業と連携をいたしましたJA店舗の維持改善、タブレット端末を活用した宅配などの取組を展開していると承知いたしております。  農林水産省といたしましては、関係省庁とも連携いたしまして、このような民間の優良な取組を全国に発信させていただいて、食料品アクセス環境の改善の取組が広がるように推進していきたいというふうに思います。
  98. 野田国義

    野田国義君 時間も来ましたので終わらせていただきます。共に頑張りましょう。  ありがとうございました。
  99. 小川勝也

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。野田委員に引き続いて質問をさせていただきます。  質問通告に利用したペーパーを見ますと七月十六日という日付になっておりまして、何らかの理由で二週間質問入りが遅れたのではないかなというふうに思っています。  実は、同志であります堀井さんや馬場さんと一緒に特別委員会の方に行っておりますので、頭の構造を切り替えるのが若干大変な、安全保障頭になっているのを今やっとこ農業頭に戻しているところでございます。  さて、この週末及び月末から八月にかけては、大変この東京も、日本も暑いわけでありますけれども、ハワイ諸島辺りが暑くなるとマウイ島も暑くなるということで、徳永さんも民主党を代表して行くようであります。  そんな中で、世の常でありますけれども、いわゆる新聞情報というのが我々を一喜一憂させるわけであります。我々は新聞が全て正しい情報を提供しないということを知っておりますけれども、それでもまだ農家の方々は、新聞に出たらもう駄目だと思う方もおられます。そのことによって様々いわゆる投資意欲を上げたり下げたりして、このTPP交渉は、徳永委員も、あるいは紙委員もずっと言っていますけれども、罪つくりだなと、こうあえて申し上げたいというふうに思っております。  そんな中で、昨日、朝日新聞でありますけれども、バターに低関税輸入枠約六千トン、これは生乳換算で七万五千トンということになります。この情報について農林水産省としてどういう協議に対する見解をお持ちなのか、まずお伺いをしたいと思います。
  100. 林芳正

    国務大臣林芳正君) TPP交渉でございますが、この具体的な交渉の内容、これは言及ができないわけでございますが、乳製品については、主要の輸出国と言われておりますニュージーランド、米国、オーストラリア等から関税撤廃、輸入拡大、こういうことを求める圧力が極めて強い状況があると、こういうことでございます。しかしながら、乳製品は我が国農林水産物の大変重要な品目の一つであるということで、厳しい交渉を行っている、こういうふうに承知をしております。  報道は見ましたけれども、全体をパッケージで交渉しておりますので、今の段階で何か確定をしているというものはないということでございます。しっかりと決議を守ったと評価をいただけるように政府一体となって取り組んでいきたいと思っております。
  101. 小川勝也

    小川勝也君 せっかくの機会でありますので、期待する御答弁はいただけないと思いますけれども、米についても、よく七万五千トンとか十万トンとか、アメリカが九割で豪州が一割などという報道もありました。せっかくの機会ですので、この米についても大臣見解をお伺いをしておきたいと思います。
  102. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これも同じような答弁になって恐縮でございますが、この米についても、我々にとってはとても大事なものであると。五品目の中の優劣を私が余り言うわけにもいかないと思いますが、この農林水産委員会の先生方にいつも御議論いただいておりますように、我が国の、瑞穂の国という名前がありますように、いろんな意味で米は大変大事だと、こういうふうに思っておりますが、一方で、この関税、輸入拡大、こういう圧力も同様にある、こういうことでございますので、いろんな報道はございますが、これもまだ確定をしているものはないと、こういう状況でございます。しっかりと最後まで、この決議が守られたと評価をいただけるように取り組んでいきたいと思っております。
  103. 小川勝也

    小川勝也君 もう委員であれば皆さん御承知だと思いますけれども、国会承認があります。衆参の権能の違いは抜きにいたしまして、衆議院農林水産委員会、参議院の農林水産委員会でそれぞれ決議がなされています。どの交渉結果が決議に基づいたのか、反しているのか、よく総理や林大臣は、国会に評価をいただきたいと、このように答弁をされているわけであります。  当然、仮定の話ですのでまともにお答えをいただけるとは思っておりませんけれども、例えばこの米十万トン、バターの低関税輸入枠六千トン、これは国会決議を守ったことになると感想をお持ちなのか、ちょっと無理なんじゃないかなというふうに思っておられるのか。正式な御答弁は難しいと思いますので、林大臣と私は同期当選の友情のよしみがありますので、こそっとつぶやいていただければと思います。
  104. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 委員会が終わりましたらいろいろつぶやきをしたいと、こういうふうにも思いますが、それはさておきまして、ここでも何度か委員からも御質問いただいてきましたけれども、同じような答弁でございますが、この決議は立法府の意思表示ということでございますので、具体的な解釈というものを政府の立場、私の方から示すことは適当ではないと、こういうふうに思っております。我々としては、この決議が守られたと評価をいただけるように最後まで頑張っていきたいと思っております。
  105. 小川勝也

    小川勝也君 結論は出たわけじゃありませんので分かりません。ただ、私は、このバターの低関税輸入枠というふうに見たときには、米やあるいは肉についてもいろんな報道がなされますけれども、特に強い憤りを感じています。これは、様々な、TPPに、交渉に参加するのかしないのか、参加する、参加している、交渉している段階で、農林水産省は施策を先取りしている感がある。農地の中間管理法から、この農協法は、TPP対策を先取りしているのではないかというふうに言われてもしようがない法案だと思います。  そして、この法案とは関係ないけれども、バターについてはどういう状況がこの低関税輸入枠という報道の前にもたらされたかというと、言うまでもなく、バターが足りなくなって緊急輸入だと。これは、生産者の方々は死に物狂いだけれども、国民はどう考えますか。ああ、私たちの国はバターが足りないんだから低関税で輸入して当たり前だと思うじゃないですか。  そして、そのバターとかチーズとか脱脂粉乳は、生乳もそうであるかもしれませんけれども、政策としっかり密接に連携してその生産量や製造量が決まっているわけなんです。ですから、政府がTPPで、バターを輸入しなきゃならないぞ、輸入枠を増やさなきゃいけないかもしれないと思ったときに、頭のいい人はどう考えますか。バターが、チーズが余っている段階で枠を広げたら、何やっているんだと、こう言われます。しかし、ああ、バターは足りなくて輸入しているぐらいだからちょうどいいじゃないかと、こう言われます。  私は、林大臣はそんな、北海道の言葉で言うへなまずるいやり方をしないと私は信じていますけれども、農林水産省の中にずるい人いるんじゃないですか、これ。誰がこんな悪さをしたんだ。駄目だよ、こんなやり方しちゃ。バターの生産量が減って、緊急輸入して、この低関税枠をつくる。これ、事実だったら絶対許さない。どう思いますか。
  106. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この緊急輸入というのは昨年もやりましたけれども、これは、全体の需給は結局、これ衆議院でも実は岸本委員議論をしたんでございますが、一年通してみると、これ委員もよく御承知のとおりでございますが、足らないというわけではないということでございました。  しかしながら、生のものでございますので、一年間ずっと在庫にしておく、こういうことができない中で、将来なくなってしまうんではないかという懸念があると。よくちまたで聞く話ですが、じゃ、少し使う分よりも多めに買っておいてどうなったかというと、冷蔵庫に入れておく、しばらくすると古くなって使えなくなっている、こういうことが聞こえてくるわけでございまして、通常、そういうこと、それまでの量に戻してもらえればちょうど生産と見合うようにしっかりと我々はやってきていると。  これが前提にあるわけでございますので、報道はいろいろ出ておるようでございますが、この報道について一々コメントすることはいたしませんが、緊急輸入についてはそういうことで、今年については少し回数を変えるとかいろんなことをやって、消費者の皆さんから需給に対する御懸念というのを招かないようにしっかりとやっていく、これで対応していくということが基本であると思っております。
  107. 小川勝也

    小川勝也君 乳製品というのは、農作物であればその季節に、例えば春に種をまけば秋には収穫できるんです。ところが、牛乳というのは、これは機械で製造されるものでもありません。当然、お母さん牛から搾って生乳もチーズも脱脂粉乳もバターも生クリームもできるわけであります。  赤ちゃんが生まれればすぐ、いわゆる牛乳が搾れるわけではありません。御案内のとおり、乳牛の場合は、雌牛が生まれて、いわゆる酪農家の皆さんに愛情を注いで育てていただいて、そして授精をして赤ちゃんができて、そこから母乳が出るようになるわけであります。ですから、足りないからすぐ増やせというふうに言われて増やせるものではありません。  しかしながら、夏の間、今日みたいな猛暑だと、本州を含めて、母乳、乳の出具合が悪い、こういうことも含めて、頭のいい農林水産省の皆さんは大体分かるんですよね。にもかかわらず、バター不足を演出する。  それに加えて今どういうことが行われているのか。子牛が全部高いと。これは、野村先生は子牛の値段博士、毎日見ていますから。黒毛和種も高い、F1も高い、ホル雄も高い、そしてホル雌も当然高いですよね。これは、いわゆる肥育農家さんが和牛を例えば五十万円で買ってくる、六十万円で買ってくる。で、餌を食わせて幾らで売れるかというのでいうと、今、五十万円、六十万円というお値段はもう心臓が止まるくらいのお値段です。これは、実は酪農家にとっても同じです。いわゆるところの子牛が高ければ、もし自分のところで生まれた牛はそのまま自分の牛になる。けれども、ほかで生まれた雌牛を飼いたいという人もいれば、その人は飼うことは大変な状況になっています。  逆に、後で言われたら困りますので、酪農家は、じゃ、雄が生まれたときの引取り価格も高いからもうかっているじゃないか、これは認めます。そこは副収入ということで今大変いい状況になっています。  しかし、ライバルがいるんです。これは、ホルスタインのお母さんというのは大変人気がありまして、ホルスタインのお母さんはホルスタインの赤ちゃんも産むことができる、和牛とのいわゆる掛け合わせ、F1も産むことができる、そして和牛の受精卵を入れて和牛も産むことができる。今、全てが不足しているので、ある役所の人は、和牛が足りなくなるかもしれないから、どんどん和牛付けてくれと言っている。農家の皆さんも、経営を良くしたい、借金もあるかもしれない、それは和牛生まれたら、五十何万円入ってくるといったら、これ、たまったものじゃないぐらいホルスタインを生産する酪農家にとっては魅力的な数字です。  ですので、いわゆる乳量が増える体制が今非常に取りにくい状況になっています。そのことをしっかり把握していただいて、生産局ではいい制度もあります。クラスター事業。しかし、せっかく、先ほど申し上げましたように、TPPもあるし、そして、うまく、規模拡大をやってもしようがないなと思っている人が多い中、条件が合えば投資したいぞという人もいてくれます。しかし、その人たちにとっては結構使い勝手が悪いぞという意見もありました。  何とか、意欲がある人には、いわゆる酪農を、北海道のみならず国産の酪農で、生乳生産、加工乳生産がやっぱりしっかりできるように、これ重要な品目ですので、TPPがあってもなくてもしっかりやっていただきたい。  大臣のコメントをお願い申し上げます。
  108. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 我が国の酪農生産は、生乳生産量の減少、また戸数の減少、ここでも小川委員からも何度も御議論いただいたところでございますが、こういう状況に直面しておりますので、生産基盤の強化というのが喫緊の課題だと思っております。今年三月に酪肉近、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、定めましたが、ここでも生産基盤の強化、最優先の課題とさせていただいたところでございます。  今、お褒めいただいたこの畜産クラスターですが、これもやはり地域全体で畜酪の収益向上を図っていこうということで、中小規模の家族経営や規模拡大を進めた法人経営も皆さん対象にしてやっていこうということで、収益向上、新規参入促進のための施設整備、それから搾乳ロボット等で労働負担の軽減をやっていこうと、こういう機械導入の支援、こういうものをやっておるところでございますので、また御意見賜って、使い勝手を常に良くしていくようにしていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。  また、牛の話がございまして、こちらよりも向こうを向いてお話をされていたような感じもいたしましたけれども、この乳用後継牛の確保を図っていくためには、やはり性の判別技術や受精卵移植技術の活用、これが大事だと、こういうふうに思っておりますが、実施に当たって、まずは、性判別精液等を用いて優良な乳用後継牛を確保した上で、その上で、後継牛の生産に向かない乳用牛に和牛の受精卵移植を行う、これを基本としてやっていくということだと、こういうふうに思っております。  生産現場、全国各地ございますが、この畜産クラスター事業、大変にいろんな機運を盛り上げていただいておりまして、人気の事業にもなってきております。しっかりと継続的な事業実施に向けて必要な予算を確保していきたいと思っております。
  109. 小川勝也

    小川勝也君 大規模化とか効率化だけというふうに言われると、一くさり言わなきゃいけないんですけど、そこは今日はやめておきます。家族経営の人たちにもしっかり使いやすいメニューに変えていっていただきたいというふうに思います。  さて、農協法でありますけれども、いい農協と悪い農協というのは、どういうふうに概念として考えればいいのかなというふうに思います。果たして、いい農協とはどういう農協でしょうか。
  110. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 余り我々がここで一律に、これが良くて、いい悪いというのは、私は余り言いたくないなという感じがいたしますのは、やっぱり地域の特性に応じて、地域農協地域農家の皆さんによってつくられておりますから、そこの人たちがやっぱり一番いいと思うやり方でやっていただく、これが理想の姿ではないかと、こういうふうに思っておりますが、今回こういう改革に至る法案を提出するに至った議論としては、やはり農業者協同組合であるという一条の精神、これの原点に立ち返ろうということでございますので、より販売に努力をして、そして資材の調達に努力する、その結果としての所得が農家に出てきますので、所得を高くしてくれている農協がいい農協と、こういうことになろうかと思います。
  111. 小川勝也

    小川勝也君 以心伝心で思いが伝わったので、大臣からはいい答弁をいただきました。  農林水産省大臣がいい農協を決めたらおかしいんですよ、そんなの。それぞれの地域によって事情が違う。  北海道はここに三人いますけれども、中川政務官は北海道のことをよく御存じです。じゃ、北海道にとっていい農協とは、政務官、どういう農協でしょうか。
  112. 中川郁子

    大臣政務官(中川郁子君) 今大臣がお答えになったことと同じで、全国にとっていい農協は全国でも北海道であっても同じだというふうに思っておりますけれども。
  113. 小川勝也

    小川勝也君 なかなかいい答弁だと思います。  じゃ、十勝にとっていい農協というのはどういう農協ですか。
  114. 中川郁子

    大臣政務官(中川郁子君) 同じであるというふうに思います。
  115. 小川勝也

    小川勝也君 せっかく答弁の機会があるなら、私なら答えますよ。  いろんな農協があります。うちのレタスをちゃんと高い値段で売ってほしい、うちのカーネーションはこの時期に取れるので一番最高値のところに出荷してほしい、あるいは、この生産資材や農薬を、あるいは肥料をもっと安くしてほしいという、いろんな全国の生産者がいる。あるいは、そんな中で、私は、北海道十勝の生産者の特色というのはあるはずだと思いますよ。それは、レタスや、あるいはイチゴや果樹を作っている農家と主に特色は違うからです。それは、麦、バレイショ、これはバレイショはでん粉の原材料を多く作っています。大豆、ビート、乳製品、肉、そのほかにナガイモ、ニンジン、白菜、大根などいろいろな、雑豆等作っていますけれども、こういう作物を安定して作りたいと、これが僕は農協農家の方々が求める思いの幾つか、特色だと思うし、そこに今関係をするときに農協には何を期待するかというと、自分たちの生産基盤や生産意欲や希望を失わせるTPPなんかは農協の力で潰してほしいと思っているんじゃないですか。政務官、どうですか。
  116. 中川郁子

    大臣政務官(中川郁子君) 今、十勝のいろいろな産品も御紹介いただきまして、本当にありがとうございます。  私どもは二十四農協ありまして、それぞれ経営者感覚を持っておられる農協組合長さんが、組合員の皆さんと力を合わせて様々な農産品、有利販売しているというふうに思っています。TPPについても大変危惧をしておられながらも、それぞれの対策も持っておられる農協もおありになるというふうに思っています。  大変もちろん心配をしておられるというのは、先日も先生も北海道のJAの皆さんにお会いをされたというふうに思いますので、大変心配をしながら、それぞれ対策も持ちながらやっておられるように私はお見受けをしているところでございます。
  117. 小川勝也

    小川勝也君 レタスやイチゴはTPPに対して脆弱性がほとんどないですよね。今、十勝で私が紹介した品目というのはTPPに非常に弱い。だから、私たちの北海道や十勝はここに座っている皆さんと違うんですよ、私たちの思いは。  これは政務官はちゃんと言ってくれないと。私たちと同じだもん。これは、TPPが来ても、黒毛和牛は特別だから関係ないよと思っている人もいるんですよ。でも、我々のでん粉や砂糖は区別付かないんですよ。だから我々はTPP駄目だと言っているんですよ。ピザの上に載っかるチーズは同じなんですよ。だからTPP反対だって言っているんですよ。これはどうですか、政務官
  118. 中川郁子

    大臣政務官(中川郁子君) 今交渉をしている最中でもありますし、いろいろなことを申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。  やはり、重要五品目などが守られたというふうに判断していただけるように、評価していただけるように今政府一体となって努力をしているところでありますので、引き続き内閣の一員として全力を尽くしていきたいというふうに思います。  今、先ほど、私がということではなくて、農協組合長さんや農協はどういうふうに考えていると思いますかということだったので、いろいろなことは考えておられるんではないですかというつもりで申し上げました。
  119. 小川勝也

    小川勝也君 私は別にいじめの質問をしているんじゃなくて、サービス質問を今したので。だから、北海道の農業は特別ですということをやっぱり共通認識として皆さんにも分かっていただこうかと思いました。  そこで、私がここの質問に立てばいつも、山田太郎か小川勝也かというぐらい同じ話をずっとしています。それは人口減少なんです。もう御案内のとおり、後でお話ししますけれども、本州は兼業農家主体だから人口減少が緩やかで、後回しになりました。北海道は専業地帯だったので、それが物すごいスピードで人口減少、すなわち農家の経営面積を農林水産省が大きくしろと言えば、二戸が一戸になり、三戸が一戸になり、五戸が一戸になり、十戸が一戸になってその集落はなくなるんです。だからこそ、そこにある農協の支所の有り難さというのは、もうそれぞれ府県の先生方には分からないぐらい農協の本所も支所も重要なんです。  そして、今TPPを予測してやっているかやっていないかは別にして、農地の中間管理の法律から今回の一部農地法、そして農協法は、まさに担い手に農地を出しなさい、農家の面積は大きくしなきゃなりませんよというふうにやっていながら、今やる人の代わりを見付けられているのかというと、山田委員が言うとおり、全然充足していないのに、今いる人たちを追い出そうとしています。  私は恥ずかしながら、専業地帯の出身ですので、どんどん北海道の農業経営面積が大きくなっていく中で、府県の農業が大変小規模で、そして土地を、農地をばらばらに持ち合っていて、そして自分勝手な経営をしていて何と非効率だろうというふうに思っていた時期もありました。しかし、今この兼業農家というシステムがいかにふるさとを守るという意味で重要だったかということを改めて気付かされています。  その人たちは、農地を大切にし、自分がやれなければ子供のうち誰かが戻ってきてくれないかと思って期待をしつつ、なかなか貸したがらない人もいましたよ。そして、信頼できる人に貸して、その農地を守り続けました。今、農林水産省の冷たい政策は、その人たちの夢と希望を打ち砕く流れになっているんじゃないですか。  私は、この兼業農家、そして定年帰農、六十歳まで待つよりも五十七歳で早期勧奨退職で帰る人もたくさんいる、親が今までやってきたけれども今度は俺が受け継ぐ。そして、その働いている場所が都会であるとするならば戻ってきた場所には働く場所がない、そのために私たちは、六次産業で新たな加工や販売仕事をみんなでつくっていこうというふうに頑張りました。こういう形でふるさとを私たちは守っていってほしい。  この兼業農家の方々や高齢農業者や定年帰農をしようと思っている人や迎えようとしている人たちに今の政策は相当冷たいんじゃないかと思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  120. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この間もオホーツクの辺りまで出張させていただきましたけれども、今、小川委員からもお話があったように、やはりちょっと北海道とそれ以外の日本ということはかなり規模感が違うなということを改めて実感をさせていただいたところでございます。  中間管理機構のお話も今ございましたけれども、今お話をまさにしていただきましたように、元々広いということもあるんですけれども、北海道の場合は、そういう歴史の中で随分と集約化が既に進んできている、こういうことであろうかと、こういうふうに思いまして、たしか中間管理機構のデータを見ても、もう売買というものも結構お使いになっていると、これは北海道、特徴的なところではないかと思いますが。したがって、先ほどもいい農協というところで申し上げましたけれども、全国一律に、中山間地の多い例えば私の山口県のようなケースと集積化が進んでいる北海道というのを一律で論じるというのはなかなか難しいだろうと、こういうふうに思っております。  兼業農家の皆さんの担い手以外の農業者というのは、実はやはり農業以外にも仕事があるというところがポイントでございまして、それがなければ兼業にならないわけでございます。したがって、そういう農地集積を進めていく、また、もう既に進んでいるという中で、今まさにおっしゃっていただいたように六次産業化をどんどん取り組んでいただいて、直接農業に携わられていない方もこの六次産業化でいろんな役割を担っていただく、また、地域の共同活動、これは多面的機能の対象にもなっていきますが、そういうこともやっていく、それから、農業生産の継続や農地の保全と、こういうものの役割を果たしていく、いろんなことが期待をされておるわけでございます。  さらに、農業白書で田園回帰と、少し難しげな言葉を使わせていただきましたが、定年帰農やUターン、Iターン、こういうものを促進をして、農村への移住と就農、これを推進するということも大変大事ではないかと、こういうふうに思っております。  二十代、三十代の方の地方へUターン、Iターンしたいという率は十年前、二十年前に比べるとかなり上がってきていると、こういうふうなデータも出ておりますし、少し特徴的だったのは、五十代の男性も少し高くなるんでございますが、五十代の女性はそれほど高くなっていないということで、奥さんが、あなた、何ばかなこと言っているのというようなことをうちの中で言っているようなイメージが浮かんでくるわけでございますが、そういう若者の間で田園回帰ということが意識としても広まってきておりますので、これをしっかりと実現につなげていく、こういうことが大事であろうかと、こういうふうに思っております。  そういう意味でも、車の両輪といつも申し上げておりますが、コミュニティーの維持、こういうものに配慮をした施策の推進をしっかりとやっていきたいと思っております。
  121. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど山田委員質疑にもありましたとおり、人口減少と人手不足は物すごいスピードと深刻さを増しながら、これは台風のように押し寄せてきているというふうに言っても過言ではないと思います。  ですから、私たちは、農業後継者、新規就農者をしっかり確保したいと思っていますけれども、口に出すのは簡単でありますけれども、実現するのは本当に大変だと思います。ですから、先ほども内閣官房からもお見えでございました。国家全体として人口とか社会とか産業を見通して、そして、その地域の維持、いわゆるこの農業を維持するためにどれだけの人材を確保できるか、どういう形で確保できるかというのは、これは国家にとって非常に大変な仕事だと思っています。  これは誰でもできる仕事ではないと思いますので、私は、林大臣がおられるうちに、しっかりと農林水産省が農村コミュニティーは大事だということで、国土交通省や総務省や内閣官房に働きかけて、国土の総合マネジメント、その中でいわゆる食料生産、農村をしっかり守るということの重要性をしっかりイニシアチブを発揮しながらやっていただきたいと思います。  そんな中で、先ほど山田先生が言われた中でいいなと思ったのは、私も前々から言っておりました、人口が増えて増えて農地が足りないというときに、どんどん農地を開墾していきました。かつて年貢が重いぞというときに、年貢の掛からない隠し田んぼを造った先達もおりました。もう一回見直して、もう木が生えている農地もありますので、しっかり縮小した形で、どうしても守らなきゃならない農地というのを再確認、再チェックしてしっかりと農地は守るんだということにかじを切らなければ、今のままのだらだらとした流れでいうと、なし崩し的に農村崩壊になってしまうんではないかという危惧があります。  そんな中で、今いろんな新規就農者や帰農者の話もしていただきました。ちなみに、私も五十代男子でございまして、様々なパンフレットを見ますと四十代で大体切られているケースが多いので、特段の御配慮もお願いをしたいというふうに思います。  今、農業者がしっかり農村で農業に従事しようと思えば、やはり待遇の問題です。先ほど酪農の話がありましたけれども、酪農は一年三百六十五日休みのない仕事でした。それをちょっとずつちょっとずつ先輩たちの御努力で、酪農ヘルパー制度などで少しは休みが取れる仕事になりました。しかし、これからの農業は、特に若い人たちに就農していただこうとすれば、休みはないぞ、これは無理だと思います。休みがなくて募集しているのは民主党の候補者ぐらいです。あとは給料も大事です。自ら経営者となれる農業者は、先ほど山田委員からの話がありましたとおり、そんな簡単な道ではありません。しっかり研修を受けた上で、サラリーマン的な働き方がやはり待遇と給料を確保してしっかりできる世の中にしないと本当に大変なことになります。  新規就農者を大切にする、農業従事者の所得、ここについて御見解をお伺いしたいと思います。
  122. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な御指摘をいただいたと、こういうふうに思っております。  六十五歳以上が六割、四十代以下が一割と、こういう現状でございますので、先ほど山田委員からの御質問にもありましたように、世代間のアンバランスを解消していくということが大変大事だと思っておりますが、就農後五年以内にこの青年新規就農者の三割程度が実際には離農しておられる、こういう現実もあります。  やはり経済的に不安定であると、今まさに委員がおっしゃっていただいたように、所得という面が大変大事でございますので、やっぱりこの支援というのが大事になってくるだろうということで、御案内のような就農支援、百五十万円というものをやっておりますのに加えまして、やはり土日のある農業、就農から就職へと、こういうふうに言っておりますが、法人等に雇用される形での農の雇用事業、これは雇用側に百二十万円を二年等と、こういうことですが、この新規就農・経営継承総合支援事業をやっておるところでございます。  この先々週末ぐらいに地元に久しぶりに帰りまして、担い手の支援協議会という皆さんと懇談会をやりましたら、今全く同じ話で、四十五歳、もう分かると、分かるけれども、五十代、六十代もいろんな実社会での経験をしてノウハウを持って、今おっしゃっていた難しい経営というのも、まあ農業以外の経営がどれぐらい当てはまるかというのもあると思いますが、いろんな経験を持った人も帰ってくると。同じようにお金を全部出せとは言わないけれども、例えば地方税は前の年の所得で掛かってくるんだと、こういうようなことをおっしゃっておられましたので、大変参考になる御意見をいただいたなと、こういうふうに思っておりまして、原則四十五歳未満ということですが、いろんな目配りをしていけないかと考えておるところでございます。  こうした対策、これは継続的にやっていくということで、世代間のバランスの取れた農業構造をやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  123. 小川勝也

    小川勝也君 ちょっと時間がなくなりましたのですが、農業に限らず外国人研修制度というのがあります。この人たちは、いわゆる本国側や日本の受入れ側に対してたくさんのフィーを払うケースがあったり、あるいはいい受入先があったりそうでない受入先があったり、玉石混交と伺っています。とにかく外国人を安く使えるからという者が農業分野にもいることは事実であります。それは野菜でも酪農でも水産加工でもそうであります。こういうことが野放しになれば、本当に担い手になるかもしれない若き就農希望者にたくさんの給料を払うという社会にはなりません。  研修制度そのものを否定するわけではありませんけれども、しっかりと運用が果たされるように、すなわち農業分野だけはしっかり林大臣がウオッチしていただきたい、そのことを要望させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。     ─────────────
  124. 山田俊男

    委員長山田俊男君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、野田国義君が委員辞任され、その補欠として柳田稔君が選任されました。     ─────────────
  125. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  しばらく時間を置きましたけれども、本日で第二回目の質問をさせていただきます。  前回農協の改革に主に焦点を当てて質問させていただきまして、農業委員会のことについては、特に若者と女性の登用にしっかりと力を入れて取り組んでいただきたいと、こういう一問だけさせていただいて終わってしまいましたので、本日はこの農業委員会の改革、そして農地の利用ですとかあるいは所有に関する制度の変更、この点に絞ってお伺いをしていきたいというふうに思っております。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕  これまでの衆議院そしてこの参議院における農協改革、また農業委員会改革の話をいろいろ検証してまいりますと、農協改革については割とまだまだ論点が残っているというか、この先もじゃどうなっていくんだろうということが割と今議論されているわけですが、一方で、これは私の個人的な受け止めでありますけれども、農業委員会については、どちらかというと審議が始まるまでに農業委員をどうやって選任していくのかと、ここに焦点が非常に当てられて、結局これまでの選挙制から選任制へと制度は変わるわけでありますけれども、ただ、ここは、制度の移行に伴ってちゃんと地域から推薦、公募、こういったものも受け止めてやっていこうということでありまして、実態として余り変わらないんじゃないかと、こういう受け止めが現場で起きた瞬間に何となく決着済みみたいな雰囲気があるなというふうに感じています。  ただ、やっぱりこれ長年にわたって続いてきた農業委員会制度の大改革でありまして、むしろこれからの在り方ということをやっぱりしっかりとこの質疑を通じて浮き彫りにしていく、また明確にして、農業委員の皆さんあるいは関係する皆さんに全力でまた頑張っていただくということが一番大事じゃないかなというふうに思っております。  その意味で、まずこの農業委員会農業委員会法を見てみますと、第一条には、農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位向上に資すると、こういう形で位置付けがなされております。様々実は農地法ですとかいろんな法律の中にこの農業委員会の役割というのは規定されているわけでありますけれども、集約して申し上げると、それは、やはりまずは優良な農地をしっかりと確保していく、そして担い手に今農地を集積していく、さらには耕作放棄地を解消していくんだと、こういうところに大体集約されるのかなというふうに思うわけであります。  ここについて、先日、新しい食料・農業・農村基本計画とともに出てきた農地の見通しと確保、この中でも、農水省としても把握をされておりましたけれども、やっぱりこの農地の確保というのは大変なんだと。人の確保も大変だという先ほど御指摘もありましたけれども、やっぱり農地を農地として確保していくというのがどれだけ困難かということを政府としても今認識されているわけであります。今後十年間、何もしないで今のままでいったら、結局のところ三十二万ヘクタールの農地が更に失われてしまう。これを何とかしっかりと下支えして、これを農地としてまた使える部分をどれだけ維持できるかという挑戦をされていくんだと、農水省としても政府としてもこうやって打ち出されているわけであります。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕  そういう中において、改めて今回の大改革に取り組むに当たって、やはりこの農業委員会が担ってきた役割、これを政府としてどう評価されているのか。それを踏まえまして、じゃ、今何でこの大改革が必要なのか、この点について、まず大臣から御答弁いただけたらと思います。
  126. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、平木委員からお話がありましたように、農業委員会、これは農地に関する市町村の独立行政委員会でございまして、担い手への農地利用の集積、集約化、それから耕作放棄地の発生防止、解消、新規参入の促進、こういう農地利用の最適化、これを積極的に進めていくということが何よりも重要なことだと考えております。  一方、どういう評価をいただいているかと、活動状況についてのアンケート調査でございますが、平成二十四年の調査によりますと、農業者から見て、農業委員会の活動を評価しているという方が三割にとどまっていると。中身を見ますと、農地集積などの農家への働きかけが形式的である、遊休農地等の是正措置を講じない、農業委員が名誉職となっていると、こういういろんな意見が出されておりまして、なかなか高い評価をいただいていると言い難い状況にあったわけでございます。  したがって、今般の法案で、農業委員会が、主たる使命でございます農地利用の最適化、これをより良く果たしていただけるように、まずは適切な方が確実に農業委員に就任をしていただくために、公選制を市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に改めると。それから、各地域における農地利用の最適化、担い手支援を行う農地利用最適化推進委員、これを新設する。それから、県レベルの都道府県農業会議、それから全国の農業会議所、この役割を見直しまして指定法人制度に移行すると。大きく言いますと、こういう中身でこの改革をしていこう、そのことによって農業委員会地域の農地利用の最適化をより良く果たせるようにしていこうと、こういうふうに考えたところでございます。
  127. 平木大作

    ○平木大作君 今大臣からは、主に現場の皆さんに取ったアンケート調査を基にして、評価している方がまだ余り多くないという御評価を御紹介いただきました。これ、本当に農業委員会地域ごとにやっぱり活動が違うと。自分たちは頑張ってきたのに、周りと全部ならされて平均で評価されてしまうと、残念な結果だなと思われている方も多いと思うんですね。  一つ言えますのは、ただ、今の体制のままでいくと、先ほども申し上げたように、十年で三十二万ヘクタールもの農地がもう失われてしまう、そういう現実が今あるわけでありまして、そこに対して、政府としても、何としてもこれを守り抜くんだということ、そして、また同じく十年間で担い手の皆さんに農地の八割を集積するんだという大目標に向けて今政府が取り組まれているわけでありますので、そこへの強いコミットメントの中で今回の大改革取り組まれたんじゃないかなというふうに今受け止めをさせていただきました。  そうする中で、これまで以上の取組がそういう意味では求められるわけであります。ただ一方で、じゃ、農業委員会制度どうなっていくのかと、この体制にちょっと次は着目をしてお伺いをしていきたいわけでありますけれども、これはいわゆる法文の中に書いてあるわけではなくて、農業委員の定数については、これまでもさんざん議論ありましたけれども、政令の中で定めるとなっているわけですが、今のところ言われております限りにおいては、現行の大体半分ぐらいの人数になるんじゃないかと。そして、この農業委員の皆さんの報酬については、今平均すると三万円ぐらいかと言われていますけれども、これが、報酬については倍ぐらいになるんじゃないかと言われている。一方で、事務局に対しては、これは今回の改正の中でも、職員の確保や資質の向上に努めるようにということで規定をされているわけであります。  この新体制に伴って、大分、要は人数もぐっと半分になっていく、事務局は強化されるのかなという方向性は何となく伝え漏れてくるわけでありますけれども、これ一体、政府として、農業委員会の今後の活動の在り方、どういったものを期待されて、どんな変化を期待されてこういう体制の変化を行うのか、お伺いしたいと思います。
  128. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 農業委員会、極めて大事な会でございますが、先ほど大臣からも御答弁いただきましたけれども、農地に関する市町村の独立行政委員会でございます、農業委員会は。  また、主たる任務でございますけれども、担い手への農地利用の集積、集約化や、耕作放棄地の発生防止、当然、解消といった現場の実務であるわけでございまして、耕作放棄地が拡大するなど、必ずしも十分に機能が発揮していないと、こういう面があるようでございまして、今般の法改正では、農業委員の選出方法を公選制から市町村議会の同意を条件とする市町村長の選任制に改めた上で、委員会を機動的に開催できるよう、委員の数を現行の、お話ございました半分程度とするとともに、委員の過半を認定農業者とすることとし、地域農業を牽引する者が農業委員会議論をリードするような体制に改めると、この方向でございます。  委員会としての決定行為を行う農業委員会とは別に農地利用最適化推進委員を新設をし、担い手への農地利用の集積、集約化や耕作放棄地の発生防止、解消等の農地利用の最適化の推進に関する活動を行っていただくこととしているわけであります。  農業委員と推進委員につきましては、以上のような役割分担を行った上で、両者が連携して活動することが農地利用の最適化を推進していく上で重要であることから、農業委員会の総会又は部会は推進委員に対しいつでも報告を求めることができる、また推進委員も、その担当する区域内における農地等の利用の最適化の推進について総会又は部会の会議出席して意見を述べることができるといった連携措置を設けているところでございます。  また、農業委員会の事務局の職員につきましてでございますが、現在、平均的な規模の農業委員会では五人程度となっているようでございますが、その実態を見ますと、市町村内部部局と兼任している職員が半数となっている、その体制は不十分な状態にあると思うわけであります。このため、今回の改正案では、農業委員会は必要な知識及び経験を有する職員の確保及び資質の向上を図るよう努めなければならないものとしておりまして、この場合において市町村長は農業委員会に対して必要な協力をするよう努めなければならないこととしているわけであります。  以上のような農業委員の改正、農地利用最適化推進委員の新設、事務局体制の整備を行うことによりまして、農業委員会が農地中間管理機構など関係機関との連携をしながら、地域農業のあるべき姿を念頭に、これまで以上に担い手への農地集積、集約化や耕作放棄地の発生防止、解消等に重要な役割を果たすこととなることを期待しているところでございます。
  129. 平木大作

    ○平木大作君 今、農業委員会について絞ってお伺いしたつもりだったんですけれども、推進委員ですとか中間管理機構ですとか、ちょっと大きなピクチャーでお答えいただいたので、やや分かりにくいのかなという気がしたんですけれども。  やっぱり、組織の形を大きく半分にする、でも事務局の部分はしっかり強化することによってどうやって、これは規制改革会議でもよく出てきた言葉でありますけれども、機動的とか効率的な組織に変えていかなきゃいけない。具体的に、いわゆる会議の開催自体が人数が多過ぎるとやっぱりうまく開けないとか、あるいは事務局が結局いないとなかなか情報発信だったり意思決定がスムーズにいかないとか、もうちょっと踏み込んで多分御説明を現場にいただかないと、人数を半分にして、それで何か身軽になったからもっと意思決定ができるという単純なものではないなというふうにちょっと思っておりますので、その辺また是非現場の皆様に御説明を再度お願いしたいというふうに思っております。  この農業委員会としてのやはり役割として一番大事なものの一つが、農地を守っていくという中における違反転用にどう取り組んでいくのかという問題だと思っているんですが、農地法上では、農業委員会が農地の違反転用を知ったときには速やかに調査を行い、都道府県知事に報告すると、こう定めているわけであります。  本日の日経新聞にもたまたま同様のいわゆる違反転用されたものの事例の紹介が載っていまして、取締りというのはやっぱりなかなか難しいぞということが紹介を、また指摘をされておりました。  これまでのいわゆる農業委員会としての違反転用の取組というのをどう政府として評価されているのか。私としては、この評価に基づいた上で、より実効的な、しっかり対応していくためには、違反に対する監視体制をもうちょっと拡充した方がいいんじゃないか、あるいは罰則規定、こういったものもしっかりもっと強化していくべきなんじゃないかと、こう考えているんですが、この点について政府としてのお答えをお伺いしたいと思います。
  130. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) お答えいたします。  農地の違反転用に対しましては、優良農地の確保を図る観点から厳正に対応する必要がございます。このため、これまでも農業委員会による早期の発見ですとか都道府県への報告の徹底、また都道府県による違反転用された農地に係る原状回復命令等の厳正な対応等につきまして通知を発出して、是正等に係る取組の強化を図ってきたところでございます。また、平成二十一年の農地法の改正によりまして、法人の違反転用について、罰則を三百万円以下から一億円以下というふうに引き上げるといったことなど、罰則の強化も行ったところでございます。  こうした取組の結果、違反転用につきましては、これは平成二十一年の農地法等改正前の平成二十年でございますけれども、そこでは八千百九十七件ございました。これが平成二十六年には三千九百二十二件へと減少をしております。このうち、追認許可ですとか原状回復などによって是正が図られたものにつきましては平成二十六年で三千六百七十七件となっておりまして、全体の九三・八%が是正されたという状況になっております。このように、一定の成果は出ているものの十分とは言い難い状況にあるというふうに考えております。  今回の農地法改正によりまして、農業委員会が必要があると認めるときには、都道府県知事に対して原状回復等の措置の命令、その他必要な措置を講ずべきことを要請することができることとしたところでございまして、今後さらに、農業委員会や都道府県による違反転用への対応の強化を図ってまいりたいと考えております。
  131. 平木大作

    ○平木大作君 これまでの取組で違反の件数自体は半分以下になり、またその中でも是正したものが九三%ぐらいになる、一定の効果が出ているというのは大変心強いなというふうに思いました。  この違反転用については、結局その地域の農地について一番詳しい、やっぱりよく御存じの農業委員会の皆さん、これはもうその役割というのは欠かすことができないと思うんですね。ただ一方で、そこだけにやっぱり頼るということではないというふうに思っておりまして、今おっしゃっていただきましたけれども、またいわゆる罰則規定ですとか、あるいは、ほか二重三重の形でやっぱりこの違反転用についてはしっかり厳しく取り締まっていくという体制、農業委員会だけに任せておくということではない体制をしっかりとこれ支援していただきたいとお願いを申し上げます。  次の質問に移りたいんですが、先ほど来の質問にも出てまいりましたが、この農業委員会に対する批判としてよく聞かれるのが、活動が見えないという指摘であります。先ほどもちょっと引用ありましたけれども、平成二十四年に実施されました農業委員会在り方に関するアンケート調査結果、あれを見ると、基本的にはこの農業委員会の事務局の自己評価と、例えば市町村ですとかJAですとか、あるいは農業者で大分その評価が変わってしまうと。これ何なのかなと思ったときに、自己評価は甘くなりがちみたいなこともあると思うんですけれども、その活動がなかなか目に見えない、実際に活動されていてもそれが伝わっていないというところもやっぱり大きいんじゃないかと思うんですね。  今般のこの改正によりまして、運営の透明性というところは一つ大きなポイントになっております。この運営の透明性を確保するために、農業委員会の事務の実施状況についてインターネットの利用等により公表しなければならないと、こうしているわけでありますけれども、具体的にこれどのような公表の在り方を想定されているのか、御説明いただけますでしょうか。
  132. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 現行の農業委員会法におきましては、この農業委員会会議の内容、これを農業者に公開するという観点で、現在の農業委員会法の二十六条それから二十七条でございますが、会議の公開とそれから議事録の作成、縦覧、これの義務付けがなされております。ただ、これはあくまでも合議体として、会議体としてやる農業委員会の活動だけの話になってまいります。  現在の農業委員会の活動を見てみますと、この会議体としての活動以外に現場での具体的な活動というのがかなり増えておりまして、農地の集積、集約化ですとか、それから遊休農地の調査あるいはその遊休農地の解消、こういった現場での仕事というのがずっと増えておりまして、これは地域によって農業委員会の活動にもかなり差が出ているという状況でございます。この現場の活動につきましては、やはり地元の農業者の方から見てもなかなかその活動が見えにくいという側面もあるということでございまして、この農業委員会の活動全般についてその内容を公表することが必要になっております。  この観点で、平成二十一年にこれは通知を出しまして、農業委員会の活動をより良いものとするためには、活動内容の公表だけではなくて、活動内容の評価、あるいは点検、それから見直し、こういったことも必要だということで、毎年度自らの活動について目標の達成状況ですとか判断の透明性の確保等について点検、評価をする。その点検、評価の内容を踏まえて次年度の活動計画をきちんと作成してもらう。それから、こういった内容についてはきちんと公表するということを通知でもってお願いをしてきているところでございます。  今般の法律改正におきましては、従来通知で求めておりましたこれらの情報公開を法定化すると、こういう観点で規定をしておりまして、従前から義務付けられております会議の公開、それから議事録の公表、これは当然のことでありますけれども、これに加えまして、農業委員会が自らの活動を定期的に点検、評価して、その内容を公表すること、これが制度上義務付けられると、こういうことになるわけでございます。このことが改正後の農業委員会法の第三十七条のところに明記をしてあると、こういうことでございます。
  133. 平木大作

    ○平木大作君 今、いわゆる会議体としての活動の公表それから現場での活動の公表と、二つあるんだということをおっしゃっていただきました。  例えば会議体としての活動の公表という意味でいきますと、今も議事録の公開ですとかそういったところを義務付けられているわけでありますけれども、結局、この農業委員会としての透明性をちゃんと確保するという意味でいくと、どういう議論がなされてどうしてその結論に至ったのかというところがいかに見えるかであるというふうに思っております。  その意味では、やっぱり議事録って、大分作らせてみると特にその力量というか出てしまったり、どこは出したくないなとかいうところや意図が働いてしまったりということがあります。法律の中ではある程度までしか、ここまでしか書けないなってよく分かるわけですけれども、やっぱりこれ意思決定会議体としての活動についてもちゃんとそこが見えるように、また後で検証できるような形でのこれは是非指導をしていただきたいなということをお願いしたいと思います。  また、現場での活動の見える化、公表と、ここは大変難しいテーマだというふうには思っているんですけれども、先ほど山田太郎委員が、この四月から始まった全国農地ナビの公開についてちょっと触れられていたので今思い出したんですが、この農地ナビ、私も見てみまして非常に本当に詳しい情報が出ております。私もどこかに現場に行くときには事前に見ておいて、ああ、こんなところなんだなというのを見てから行くんですが、いい情報はたくさん載っているんですけれども、私はちょっともったいないなというふうに思いました。  というのは、全国一律で同じフォーマットでここまで情報が見れるというのはすごいシステムだと思うんですね。ただ一方で、これ、何というんでしょう、アンケート調査をやってイエス、ノーで返ってきたものを公表しているとか、そういうものとはちょっと違いますよね。やっぱり農業委員の方が現場で足で稼いできた情報を基につくっているにしてはアウトプットがすごく貧弱だなというふうに正直思います。  例えばこれうまく使えば、いわゆるその地域農業委員会の活動のある意味実績というか見える化に即つながるようなものってたくさんありまして、割とこの一つ一つの農地の調査項目、調査中ってなったままのものとかがすごく多いんですね。いつ調査するんだろうなとか、あるいはいわゆる所有者にコンタクトを取ってみてつながらなかったのか、行き着けなかったのか、ノーという回答をもらったのかとか、もうちょっといろいろ回答の仕方細かく、例えば公表の仕方を分けてみるだけでも大分データの使いようって変わってくるんだろうなと。  そういう意味でいくと、この農地に、この地域に興味がある方がぐっと入っていくときにはある程度参考になるんですけれども、もうちょっと広い目で、地域の農地ってどうなっているのかなとか、そういうのを見ようという、もうちょっとマクロな視点で使おうとすると途端に使い勝手が悪くなってしまう。これは、情報自体はあるわけでありますので、今後いわゆるどう集計するのかとかどう見せるのかというのはとても向上の余地があるなというふうに思いますので、是非これ検討していただきたいなとお願いをしたいと思います。  時間がなくなってまいりましたので次に移りますが、改めて、先ほども少し御紹介いただきましたが、農地利用最適化推進委員の新設、この意義を、もう何度も何度も聞かれているところなんですけれども、私はやっぱり確認したいと思います。  特に、これまでもいわゆる農業委員との役割の分担ですとか働き方というところについては何度も繰り返し説明ありましたけれども、あえてお伺いしたいのは、実際のこの働き方、業務において農地中間管理機構とのやっぱり連携というところがすごく今後は大事になるというふうに思っております。ここについて御説明いただけますでしょうか。
  134. 中川郁子

    大臣政務官(中川郁子君) 現在の農業委員の機能は、委員会としての決定行為、委員の各地域での活動の二つに分けられるというふうに思います。  それを踏まえまして、それぞれが的確に機能するようにする必要があるため、今般の法改正では、農業委員とは別に、農地利用最適化推進委員を新設することにいたしました。  今回新設する農地利用最適化推進委員は、自らの担当区域において担い手への農地の集積、集約化、耕作放棄地の発生防止、解消などのための活動を行うこととしており、具体的には、地域農業者、地権者との話合いを進め、担い手への集積、集約化を進める、リタイアしようとする農業者の農地や耕作放棄地を担い手に円滑に結び付けるなどを行うことになります。この場合、農地の公的な中間的受皿である農地中間管理機構を活用すれば、より円滑に農地利用担い手に集積、集約化していくことが可能になり、推進委員と農地中間管理機構の連携が極めて重要であるというふうに思います。  このため、今回の法改正の中でも、推進委員は機構と密接に連携する旨を明記しているところでございまして、これらにより、農地の集積、集約化がより加速するものと考えております。
  135. 平木大作

    ○平木大作君 現場で活動するという役割を担った新たに新設される農地利用最適化推進委員、どう動くのかというところが、特にやっぱり初動が大事だというふうに思っておりますし、また、初年度を終えて、いよいよ農地中間管理機構としても結果が問われる年度に今入ってきているわけでありまして、こことどう連携していくのかと。今密接な連携と御答弁いただいて、そのとおりだなとは思うんですが、ここをよりアクションに落として、しっかりこれから新任されますこの最適化推進委員の皆さんに、何をどうしたらいいのかということをやっぱり具体的にお伝えできるかどうかというのが全てだというふうに思っておりますので、この点もよろしくお願いいたします。  最後の質問になります。法人による農地所有要件の緩和について、最後お伺いしたいと思っております。  今般、長年使い慣れました農業生産法人という呼び名を改めて、農地所有適格化法人ですか、という形で改めると。それに伴いまして、この法人の要件、農業者以外の有する議決権、これを緩和しましょう、五〇%未満までだったらよしとしましょう、そして農作業従事要件も緩和すると、こういう形で、緩和緩和という形で基本的には法改正されるわけでありますけれども、その一方で、実はこの法人について、売上げの過半は農業とその関連事業とする要件、これはそのまま維持されました。この意味、このことの意義、一体どういうことなのか御説明いただけますでしょうか。
  136. 奥原正明

    政府参考人奥原正明君) 今回の農地法の改正におきましては、農地を所有できる法人の要件のところの見直しを行っております。具体的には、法人が六次産業化に取り組むときの障害を取り除くという観点で、この議決権要件、それから役員の農作業従事要件、ここのところの見直しを行っているわけでございます。  他方で、今御指摘ございました主たる事業の要件につきましては見直しを行っておりませんで、主たる事業農業、この農業の中には加工、販売等の関連事業を含んでおりますけれども、この主たる事業農業であるとの事業要件、これについては、特に企業が農業から撤退した場合に産廃置場になるのではないかと、こういった強い懸念が農業、農村の現場にございますので、今回はここにつきましては要件をそのまま存置をしております。  ただ、この事業の要件につきましては、現行制度におきましても、先ほど申し上げましたように、売上げの過半を占めることになっております農業については、狭義の農業生産だけではなくて、加工、販売などの六次産業化に関する事業も含まれております。それから、農業それから加工、販売等以外の業務につきましても、売上げの約五割のところまでは行うことができるということでございますので、副業としてその法人農業以外の事業を行うことは可能であるというふうに考えております。
  137. 平木大作

    ○平木大作君 副業を行うことができると。そのまま読めば、そんなに大したハードルじゃないなとも思うんですけれども、私も、例えば雪深い地域ですとか、余り農業、条件としては良くないなという地域にお伺いしたときに結構言われますのが、いわゆる法人化を考えたときに、やっぱりこの要件というのは結構きつくなると。お米の価格が下がってきてなかなかいわゆる農業部分での売上げがずっと右肩下がりのときに、法人化していわゆる従業員を抱えて雇用を支えなきゃというときに、雪が積もっているときにはもうほかのことをやるしかないというときに、やっぱりちゅうちょしてしまうということを何度か私もお伺いしたことがあります。  その意味では、いわゆる法人の議決権の過半数は農業者がちゃんと持つんだと、しかも農業に従事しなきゃいけないんだというところをちゃんと突き詰めれば、ある意味、ここの売上げの過半数はみたいな要件自体は余り意味がないんじゃないかということを正直思っております。この点については、また更に現場でいろいろお声をお伺いしながら政府にも届けていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  質問を以上で終わります。ありがとうございました。
  138. 儀間光男

    ○儀間光男君 皆さん、こんにちは。維新の党の儀間でございます。  ただいま議案となっています農協改革関連法案についてお尋ねをいたしますが、その前に、お許しを得て、実は私、二週間ぐらい前なんですが、地元へ行きまして、地元のJAの幹部三、四名と沖縄畜産問題で少し議論させていただいた。沖縄の食用畜産は、牛や豚やあるいは鳥や、あるいは沖縄ではヤギもそうなんですね。そういうことで、この畜産振興の話をやってまいったときに、いわゆる生産コストの大半が飼料代、つまり輸送コストも含めた飼料代が占めておって、ここを何とかしないというと県内の畜産業はなかなか伸びづらい。飼料を丸ごと外から入れますし、ほとんど自前はないというようなこと等がありましたから、タイムリーでありますので、本題に入る前に主食用米から飼料用米への作付け転換が促進をされておりますから、それについて少しく質問をさせていただきたいと思います。  政府は、戦後度々米政策を転換してまいりました。私が記憶にある中でも、昭和三十年前半、八郎潟を開拓する、そこからもう始まって、平成二十五年でしたか、安倍総理が減反政策をやめて三十年までにゼロベースにするんだという話がありましたが、あの時代からも度々農政が変わってくることを実感をしてまいりました。  そして、今回は、今年の三月に食料・農業・農村基本計画閣議決定を見て、その中で、今申し上げましたように、四十五年も続いた米の生産調整、つまり減反制度の見直しが二十五年十一月に正式決定をされております。このことは今後十年間の農業、わけても米作農業の指針を大きく示したと思っております。  それはどういうことかというと、減反農家に対して今まで交付してきた補助金を三十年度はゼロベースにするというようなこと等も含まれておって、その代わり、動物の飼料の自給力を上げるために飼料米に作付け転換してはどうだろうというようなことがなされてまいっておりまして、その背景は、今言ったことも含めまして、言われているように我が国の人口の減少や戦後の食生活、食文化、これの構造的な変化による米の消費量が毎年八万トン、言い古されてよく知ってのとおりですが、減っており、それに伴う米価の下落や未利用水田の増大などの問題が指摘をされてまいりました。  加えて、現在進行中のTPP、これにおいては、事と次第によってはかなりの量の外国産米が日本へ入ってきて、日本の米農家をますます圧迫するのではなかろうかというような心配、あるいはその可能性があるということで心配されておるところであります。私は、それも心配しながら、むしろ海外マーケットへ日本の米を運び出す、こういうチャンスをつくるべきだというふうに主張してまいりましたが、いよいよ身近に心配事が出てきたと。こういうような多くの不安要因があって、米の需要が、あるいは飼料米への作付け転換が行われてきたと、こう思っております。  この基本計画で見ますというと、平成三十七年の飼料用米生産目標は百十万トンとされております。現在の進捗状況、この百十万トン、十年間で百十万トンにまで持っていくんですが、その状況をどうなっているかを伺いたいと思います。
  139. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 委員指摘のとおり、この三月に閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画におきましては、平成三十七年度には百十万トンまでの飼料用米の生産拡大を位置付けているところでございまして、その生産の現状でございますけれども、基本計画基準年でございます平成二十五年には十一万トン、それから二十六年には十八万トンでございまして、平成二十七年、これは現在集計中でございますけれども、五月十五日段階では約三十五万トンまで拡大するのではないかということを公表させていただいているところでございます。
  140. 儀間光男

    ○儀間光男君 いやいや、だから、それはよく分かりましたが、三十七年までに百十万トンに達するようなシミュレーション等はできておるのかどうか、年度ごとのですね。実際、進捗状況として、達成の可能性は十分あると、こういうことで理解しておいていいんですか。
  141. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) その百十万トンを達成するための課題といったものにつきましては、基本計画にも明確に記載されてございますけれども、その課題の解決と併せまして、目標達成に必要な各般の措置をこれまで講じているところでございます。  具体的には、平成二十六年産から水田活用の直接支払交付金を充実しまして、数量払いの導入などインセンティブを高めるということや、それから、飼料用米に対しまして利用拡大が見込まれています多収品種、この種子について必要量を確保すると、また、飼料用米を生産するために必要な、例えば耕種側におきますカントリーエレベーターの整備でございますとか、それから畜産側におきます餌米の加工・保管施設の整備、こういったものに対する支援措置を講じているというところでございます。  今後とも、こういった施策を通じまして、また稲作農家理解を得て、この飼料用米の本作化、生産努力目標の達成を目指してまいりたいと考えているところでございます。
  142. 儀間光男

    ○儀間光男君 なぜそれを心配するかといいますと、ここに少し数字を確認しましたけれど、飼料用米の伸び率、今年集計すると三十五万トンぐらいあると言いましたけれど、この主食用米の八百四十三万トン、これに比べると十八万トンはまだまだたったの二%程度。皆さんが旗を立てて振ったかどうか分かりませんが、まだまだそこへの理解が足りていない。あるいは、今たくさんの制度を言いましたけれど、その制度の活用が届けられていないというようなことが思えてならないんですね。  レクチャーを受けたときに、これ指導したらどうだと言ったら、説明を受けました。自由主義国家ですから、首根っこを押さえて、おまえあれ作れこれ作れ言えないと、こういうような話がありましたけれど、それはそうですが、裏を返せば、じゃ、何でこんな制度をつくったんですかと言いたくなるんですね。作付け転換を促進するために、いろんな制度設計をして、制度をつくって、皆さんやってくださいねと旗は示したけれど、付いてこない。現場と皆さん方のミスマッチだったのかと、こういう話になっていくんですよ。  だから、ミスマッチさせないためには多少は旗を振らぬといけませんね、立てたまんまじゃなしに。この旗のところへ皆さん飼料米を作ってやってきてくださいよというようなことをしないというと、なかなか私はその三十七年までの百十万トン達成、厳しいと思うんですが、いま一度いかがですか。
  143. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 飼料用米の生産拡大に向けて農業者理解を得ていく、賛同を得ていくということにつきましては、実は、この平成二十七年産米につきまして、二十六年産米の価格が大変低下したという事態に対処するために、主食用米の需給の均衡を図っていくという手段の一つといたしまして、飼料用米の生産拡大を重点的に進めていこうという形で取り組んできたところでございます。  具体的には、生産者に対しまして、飼料用米に取り組む意義ですとかメリットを分かりやすく示したパンフレットを作成して配布するといったことも行っておりますし、また、この六月、七月には、重点県、米の比較的生産量が多い県の知事や副知事、またJAの組合長に、本省の管理職を派遣いたしまして、飼料用米生産への転換の重要性などを説明しまして、飼料用米生産の拡大に向けた取組を積極的に行っているというところでございます。
  144. 儀間光男

    ○儀間光男君 私、実は福岡の糸島へ行ってまいりました。ちょっと親戚筋がおって、米作っておって、その現状を把握しに行ったんですが、こう言っていましたね。  十アール当たりの販売価格が通常でいくと二、三万で推移をしていくと。ところが、国の制度でもって補助金を八万まで上げたと。それで、昨年は十万余りに上げたと。さらに、ほかの制度、新たな制度があって、例えば耕畜連携で稲わらを畜産業者に渡すことによって、売上げなどを入れるというと、十アール当たり十三万ぐらいになると。ところが、これ、そうなるというと、二、三万が十三万ぐらいになると、九〇%ぐらいは補助金収入なんですよ。それに対する不安があってなかなか踏み切れない。糸島はいい方だけど、なかなか踏み切れない。いつ中止になるか分からない。しかも、これには交付期間が決められていない。いつ中止になってまた返っていくのか、元に戻るのかよく分からないということで、九〇%に及ぶ収入を補助金に頼るというリスクが、心配があってなかなかいけないんですよと。こんな話なんですね。  それともう一つ。今まで米作農家、主食農家は、戦後この方、まあ戦前もそうでしょうけど、主食米を作ってきたという、日本の食文化を担ってきたという誇りを非常に持っている。高い誇りを持っている。そのプライドというか、誇りというか、これがなかなかそこへ渡り込んでいくような勇気が湧いてこないと、こういうような話があったんですね。  ですから、百十万トンに対して、二十六年度現在でたった二%ということの危惧はこの辺にあるんじゃないかと私は思うんですね。その辺、いかがですか。情報を得ていますか。
  145. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) まず、飼料用米に対する支援の継続性について、農家の方々に非常に不安があるということについてまずお答えいたしますと、先ほど委員からも冒頭御説明ございましたように、現在、主食用米の需要は毎年八万トンずつ減少しているという状況にございます。こういった中で、やはり主食用米の需要に応じた生産を進めるということに加えまして、その水田のフル活用を図るという観点から、主食用米から需要のある飼料用米など主食用米以外への転換を進めていくということにつきましては、これについては、短期的な政策課題というよりも、これは安定的に継続的に取り組んでいく課題であろうというふうに考えているところでございます。  こういった中で、先ほど御説明しましたが、水田におきます飼料用米の生産につきましては、直接支払交付金の充実といったことも行っておりますし、先ほどの委員からの例示もございましたが、耕畜連携ということで、畜産農家と稲作農家が連携した場合に加算するとか、また多収性品種に取り組んだ場合には加算させていただくと、そういった形で、かなり手厚い助成措置を講ずることによって、主食用米を作っても飼料用米を作っても所得において遜色がない状況にすることによって機動的に需要に応じた生産を図っていこうという考え方で進めているところでございます。  それに対する支援でございますけれども、これは、先ほども御説明しました本年三月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画におきまして、明確に飼料用米などの戦略性作物の生産拡大を位置付けるということで、その達成に向けてしっかり必要な支援を行っていくということについても計画の中で明記しているところでございます。  それから二点目の、稲作農家の方々が主食用米の生産に誇りを持っているというお話がございまして、これまで飼料用米の仕組みについては、もうここ六年、七年取り組んでおりますけれども、その中で必ずしも主食用米から飼料用米に円滑に転換が進まなかった背景といたしまして、委員指摘のような主食用米に対する特別の思いといったことがあろうかと思っています。  ただ、やはり、そういった思いはあるにしても、主食用米につきまして需要を超えた生産を行っておりますと主食用米の価格が低下してしまうということで、やっぱり農家所得に大きな影響があるということで、この点については農家の方々にしっかり主食用米の生産過剰に伴う影響ということを御理解いただいて、飼料用米への生産について理解をいただくということが必要だと思っていますし、また最近は、飼料用米を給与したことを売りにする畜産物、例えば米を給与したちょっと黄身が白っぽい卵ですとか、それから養豚でも、飼料用米を給与しましてうまみ成分の高いオレイン酸を多く含んだ豚肉などといったもの、付加価値が高い畜産物も地域によっては作られてございます。そういった非常に付加価値の高い畜産物の生産に貢献するという意味でも、稲作農家にとっては飼料用米を作る意義として位置付けていただければ有り難いと考えているところでございます。
  146. 儀間光男

    ○儀間光男君 おっしゃることは分からぬでもない、よく分かるんですが、現場の農家の皆さんが、だからといって主食米だけでなりわいができるわけでもない、そうだからといって飼料米のところにぽんと行くのも何か不安である。ちょうどそのはざまにあるんですよ、端境に。  今、安保法制やっているんですが、あそこにグレーゾーンという言葉が出るんですが、あのグレーゾーンになっているんですよね、これ。このグレーゾーンには政府しか手当てできないんですよ。そういう端境、はざまにある農家の皆さんに、いま一つ政府の方から指導に行くなりインパクトを与えてほしい。一言返事をいただきたいと思います。
  147. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変地元のお話を聞いていただいての大事な御意見を賜ったと思っておりますし、私も、地元に帰りまして、これは是非続けてくれと、こういう実際にやっていらっしゃる方からも要望もいただいた経験がございます。  まさに、グレーゾーンというお話がございましたが、我々、水田をやっておられる方が来年から全部飼料用米になってくれと、こういうことを言っているわけではないわけでございます。八百万トンの米が、主食用の米が、八万トンでございますから一%ずつ緩やかに減少していくと。これは、よく例に出します昭和三十七年から現行までに半分になったということに比べれば非常に緩やかな変化ということでありまして、主に高齢化と人口減、こういうことでございますから、ライフスタイルの変化ということではないわけでございまして、したがって、この八万トンずつ減っていく、一%ずつ減っていくところにきちっと供給の方を合わせていけば主食用の方も十分やっていける。  それから、委員がいつもおっしゃっておられる輸出も含めて、どんどんとそちらの方も元気よくやっていくと。これを合わせ技でもってやってまいりますが、ただ、どんどん増えていく、右肩上がりということではありませんので、水田が遊ばないように、餌米をやっていただくとか、あるいは酒米をやっていただくとか、汎用化の農地を整備をしていただくことをやって麦や大豆をやっていただくとか、いろんなことをやっていただいて水田がフル活用されると。これが我々の目指すべき姿でございますので、まさに今のお言葉を借りれば、グレーゾーンの白に近いか黒に近いかというのを微妙に毎年いろいろと需要を見ながら、それぞれの生産者やJAさんがそこのフル活用ビジョンというのをお作りになりますので、毎年変える必要はないかもしれませんけれども、何年かに一回ずつでも、それを見ながら所得が最大になるようにきちっとやっていくと。  そのために、我々は道具立てとしてこの八万円プラスアルファというのを用意してしっかりやってまいらなければなりませんし、非常に、一桁であったものが十八まで来まして、今年は今報告したように三十五ということですから、この勢いで行けば、倍、倍、倍で行けばもう数年で百は超えるわけでございますが、そんなことでもないでしょうけれども、餌のメーカーさんに聞きますと、二百万トンの需要はあるとか、それから牛は大体一割、豚は四割、鳥は九割と、今の技術のレベルではそういうことが言われておりますし、その活用の仕方についても生産局長から今答弁があったとおりでございまして、むしろ前向きに、これを前面に出していって、米で育った卵とか豚肉というのをブランド化して付加価値を付けていく。こういうことで推進をしていきまして、量が増えていきますと畜種側、耕種側それぞれに倉庫を置いたり、いろんな運んだりというのもスケールメリットも出てまいりますので、そういうことに対応してしっかりとやっていくと。  大事なことは、またすぐなくなってしまうんではないかと、こういうふうに生産者の方が今お話のあったように思ってしまいますと、せっかくのいろいろな努力が無駄になることもありますので、しっかりと計画に位置付けて、財務大臣も入った上で閣議決定をさせていただいたと、こういうことを私も説明をしておるところでございますので、しっかりとこの目標達成に向けて頑張ってまいりたいと思っております。
  148. 儀間光男

    ○儀間光男君 今、大臣の前向きなしっかりした心強い御答弁いただきましたからもっともっとやりたいんですが、次に進ませていただきたいと思います。  こんなに長々やったのは、沖縄のものを少し変えたいと思ってこれ引き出したんですが、沖縄では今、主食米が作付けが大体九百ヘクタールから一千ヘクタールぐらい。収穫がそれで二千五百トンから三千二百トンぐらい。  ところが、沖縄というのは、三千二百トンぐらいは主食米を作っているんですが、需要を全然賄えなくて、需要は全部県外、輸入米に頼っているんですよ。供給は大体沖縄産で三%程度であって、ほんの慰め程度にしかなっていないということで。思い切って耕畜連携で、沖縄は一期作、二期作、あるいは石垣などは三期作作りますから、これを一期作は主食米にして、二期、三期を飼料米にするというようなことで、沖縄でも切り替えてみたらどうかと。今は全然やっていないんですよね、一坪も植えていません。  ですから、稲作よりは畜産を振興するという県の方針が出ればやりやすいと思うんですが、その辺、担当者、ひとつ、県ともやりながら、沖縄での飼料米への切替え、転換を促進してほしいと思うんです。  理由は、飼料の輸送、船運賃が高くて、ただでさえ高いのに、仮に神戸から那覇へ行くというと更に船運賃は高い。鹿児島から行っても高く掛かる。ところが、シアトルのサイレージからトウモロコシを積んで東京港で降ろすのと、東京から国内線で那覇へ降ろすの、国内線の東京—那覇間が高いんですよ。だから、そういう背景を思うと、沖縄にもサイレージを置いて、直接、APLという今、船が就航していますから、週二回那覇に入るんですから、こういう船を利用して、沖縄にも飼料をアメリカから直接入れる。そうすると、この間のコストが安くなるから畜産が振興していくのではないか。その上に三千二百トンぐらいの飼料米が供給できるんだったら、かなりのものになると。  それと同時に、次に出てくるんですが、地方創生との関わりが出てくる。まち・ひと・しごとですから。サイロを造るあるいは荷役業務と、こういうものができていくんですね。  そういうことで、その辺も、今すぐやってくださいとは言いませんが、大臣、少し沖縄県辺り誰か使って、耳打ち話もさせてみたらどうでしょうか。
  149. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今日はいろいろ耳打ち話の話が先ほどから出ておりますが、まさに沖縄県、先生のお地元では主食用米の生産量が県内の需要を大きく下回っている状況と、今数字も御披露いただいたところでございます。  したがって、県内の農業者の方がどういう経営判断をされるか、どういう販売戦略をやられるかと、こういうことで、生産がしっかり行えるように、今御説明をしましたいろんな施策をしっかりと、これは耳打ちではなくてもう大っぴらに周知をしっかりとお伝えをして、是非今の御意見のように、畜産を図っていこうということであれば、畜種側からとってみてもやっぱり餌代というのが大変大きなコストになっておりますし、為替でこれが変動していくと、ハウスや灯油代と合わせて大変なこれ変動要因になっておるのは事実でございますので、そういう意味でも、餌米は水田のフル活用ということでも大変メリットのある施策でございますが、畜種側から見ても大きなコストを占める餌の安定供給という意味でも、ブランド化の手前のところでございますけれども、大変に意味のあるところでございますので、そういうところをしっかりと周知徹底をして、そういう方向に沖縄県の方が多く考えを持っていただけるように情報提供に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  150. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  私も、ただ大臣頼みじゃなしに、自らももうJA関係会ったり、農家会ったりしてやっておりますから、これは国が行って話すると、儀間のあいつはうそじゃなかったと、本気になろうかという気になると思いますから、その辺でお伝えいただきたいなと、こういうふうに思います。もっともっとやりたいんですが。  次の地方創生、これと農協、JAとの関わり、改正法との関わり等について、もう時間もないんですが、聞きたいと思います。  どのようにして地方創生と、僕はこれはずっと前から言い続けておるんですが、地方創生とは、つまり地方を創生させる、活性化させるということでありますから、本当に地方ですよ。東京の二十三区に地方はないですよ。大阪の都島や中央区に地方創生の対象物ないですよ。愛知県の名古屋市にもないですね。地方の都市の更に地方、周辺に地方創生の対象があるんですね。そこを見るというと、みんな全て農林水産業務が関わるわけですから、こことの関わり、地方創生はまち・ひと・しごとですから、こことの関わりで農林水産業がいかに地方創生と関わって、雇用を生み、人を集め、町をつくっていくかという役目があると思うんです。  その辺の期待感というか、私、農林水産省に持っておるんですけれど、その辺、少し決意のほどを聞かせていただけませんか。
  151. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 私も今、儀間先生おっしゃっていただいたように、地方の創生ということを考えますと、農林水産業が地方創生の中核になければ地方創生は絵に描いた餅に終わるんであろうと、こういうふうに思って、努力をしなければならないと思っておるところでございます。  この農林水産業・地域の活力創造プランでも、六次産業化をやるとか、海外マーケット、ここでも先生からも取り上げていただいておりますが、輸出を含めた需要の開拓、また農地集積、こういうことをやってまいったのも、まさに大きな製造業の工場を誘致して、そこで雇用が出るということはなかなかまだ私の地元でも考えにくいような世の中になってまいりましたので、その地域地域に元々あるもの、すなわち農林水産業の資源をどうやって活用して、これにどうやって付加価値をなるべく付けて高く売っていくかと。  それに併せて、昨今はインバウンドというふうによく言われておりますけれども、この農林水産物の特徴としては、これが輸出も含めて売れていきますと、お客様にとっては、一度やはり地元に行って食べてみたい、飲んでみたいと、こういうことになるわけでございまして、沖縄の例は私が言うまでもないところでございますけれども、一度は沖縄に行ってアグー豚を食ってみたいとか、そういうことが出てくるわけでございます。ここがほかの工業製品とは一味違った展開ができるんではないかと、こういうふうに思っておりまして、輸出を増やすだけではなくて、輸出をやるときに、やはりどこどこの何々と、GIもスタートいたしましたし、そういう地域の特性を出したものを展開することによって、輸出がインバウンドにつながり、今度はインバウンドがまた輸出につながると、こういった形でしっかりと地方創生をやってまいりたいと。  そういう意味では、今回の農協の改革も、いわゆる地方分権的な発想でこの農協改革をやっていこうということでございますので、農協におかれても地域の特性を十分に発揮していただけるようにしっかりと我々も取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
  152. 儀間光男

    ○儀間光男君 あと少し残しておったんですが、未練を残して次に回したいと思います。  大変いい御答弁でした。ありがとうございました。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。私も二回目の今日、質問ですけれども、農業委員会について今日は、衆議院議論が、審議がありましたけれども、そこで解決されていない問題などをお聞きをしたいと思います。  まず、公選制についてなんですけれども、この制度を維持してほしいというのが当事者である農業委員会の多数の声です。北海道の農業委員会としてまとめた組織意見では、本道の農業委員は、農業農業者の代表として、厳しい課題に主体的に対峙し、解決を進めてきた。この基礎こそが農業委員の公選制であり、地域農業者から選ばれた代表としてその信任を得ているからこそ、農地の権利調整に関与し、農地を守る視点に立った業務をこれまで進めることができたと経過を分析して、公選制の維持こそが農業委員会の業務の推進に不可欠であると訴えているわけです。  衆議院参考人質疑でも地方公聴会でも、やはり参考人からそういう訴えがあったわけです。にもかかわらず、農業委員会の公選制を今廃止しようとしていると。  七月三日の本会議で私は公選制廃止の問題をお聞きしたわけですけれども、林大臣は、平成二十四年の一月から一か月行ったアンケートを使って答弁をされました。  資料をお配りしておりますけれども、このアンケートのところですね、見ていただきたいんですけれども、このアンケートです。農業委員会事務局、市町村、JA、都道府県出先機関、それから農地保有合理化法人、それから農業者と、それぞれアンケートを取っていますけれども、大臣はその一部の結果を示して、農業委員会の活動を評価している農業者は三割にすぎない、農地集積などの農家への働きかけが形式的である、遊休農地等の是正措置を講じないなど、農業者から余り評価されていないというふうに言われたわけです。ずっと繰り返しその答弁をされているんですけれども。さらに、農業委員の四割が兼業農家であり、担い手など農業経営に真剣に取り組んでいる方が主体となっていない、つまり兼業農家が多過ぎると述べられていると。  しかし、私、このアンケートについては実はずっと疑問を持っておりました。まず、サンプル数ですけれども、この資料のように、回答数で見ますと、農業委員会調査対象数五百九十五に対して回答数四百八十一の八一%、それからJAは五百九十五に対して回答数は二百八十八の四八%、それから農業者のところは対象数千五十に対して百八十九の一八%なんですね。  これ、農業者のサンプルが余りにも少な過ぎるんじゃありませんか。いかがでしょう。
  154. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平成二十四年一月から二月に農林水産省が行いましたこのアンケート調査でございますが、今資料でお示しいただいたような中身で実施をさせていただいたわけでございます。  この農業者というところでございますが、農業委員会の主たる業務でございます農地利用の集積、集約化の受け手となる土地利用型作物の農業者、これの集まりである全国稲作経営者会議の会員を対象に実施をしたところでございます。  この全国稲作経営者会議の会員の資格でございますが、稲作経営を意欲的に行っている経営者というふうになっておりまして、その多くは大規模経営の専業農家ということでございますが、会員資格が専業に限られているというわけではないので、実際兼業農家の方も会員になっておられると聞いておるところでございます。  したがって、そういう方々を対象に調査をいたしまして、これは回答を強制するわけにいきませんので、回答を御協力いただけた方がそういう数字であると、こういうことであろうかというふうに思っております。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 つまり、稲作経営で大規模なところが多い、専業が多いと。結局、兼業農家の割合というのは、そうすると分からないわけですか。
  156. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 会員の資格は先ほど申し上げたとおりでございますが、必ずしも会員の内訳を把握をしておるわけではないということではありますが、先ほど申し上げましたように、兼業農家の方も会員になっておられる、会員資格では限定されていないということでございます。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 あと、農業者というふうにくくっているわけですけど、稲作以外の畑作や果樹や畜産農家はどういうふうに答えているんでしょうか。
  158. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、申し上げましたように、農業委員会の主たる業務が農地利用の集積、集約化の受け手となる土地利用、集積、集約化でございますので、その対象者ということで、土地利用型作物の農業者の集まりであるこの稲作経営者会議の会員を対象に実施をしたということでございます。
  159. 紙智子

    ○紙智子君 つまり、畑作や果樹や畜産だとか酪農だとか、こういう方たちについては聞いていないということなんでしょうか。
  160. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 基本的にはそういうことでございます。  なお、麦、大豆等の土地利用型作物の農業者は、裏作でやっていらっしゃる方もこの中には含まれておられると、こういうふうに思っております。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 大臣は本会議答弁で、公選制廃止の理由にこのアンケートを使ったわけです。私は、これでどうして公選制を廃止する理由になるのかということは全く理解できないんですね。  アンケートの二枚目、三枚目の、特に三枚目のところを開いてみてほしいんですけれども、内容についてもお聞きしたいと思うんです。アンケートの項目で、活動はしているけれども内容に不満があるんだと。その不満の理由に、監視活動は行っているが、遊休農地や違反転用の是正措置を講じないというのがあります。一番多いとか二番目とかとありますけれども、二番目に多いところでいうとこういう理由が書かれているわけです。  それで、そもそも遊休農地については、二十一年の農地法の改定で市町村から農業委員会に移行して間もないときなんですね。ですから、移行してすぐということですから、十分でないのはあり得る話だと。ただでさえ市町村でやっていても大変だったことを農業委員会に移したわけだけれども、すぐそれでスムーズにいくかと言ったらそんなふうに簡単にはいかないということですから、それはあり得る話と。  それから、農地の違反転用の是正措置を講じないという項目があるんですけれども、これ、農地の転用について違反是正をする権限というのは都道府県の知事なわけですよね。農業委員会は、是正措置は知事に対して要求はできるけれども、直接是正するのは知事なんですよ。だから、権限はないわけですよね、農業委員会は。それを、あたかもこれ項目を見ると農業委員会の責任のように書いているわけです。だから、受け取った方は、恐らくこれ誤解したまま回答しているんじゃないかなというふうに受け取れるんですね。誤解を与える取り方をしているのに、あたかも農業委員会に問題があるかのような誘導質問になっていると思うんです。  こういうやり方だったら政策判断を誤るんじゃありませんか。いかがでしょうか。
  162. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 是正措置を講じないと、こう書いてございますので、是正措置の前段の要請をしないと、こういうことだということですが、これ関係者の皆様でございますし、農業委員会の事務局のところを見ていただいてもそういう意見が実は出ておりますので、自分たちでこれは是正措置を講じないということを誤解しているということはなかなか考えられないと思いますが。  そこを見ていただきますと、農業委員会の事務局でも、働きかけが形式的である、監視活動を行っているが違反転用の是正措置を講じないというのも五割を超えていると、こういうことでございまして、その部分については農業者の方がむしろ低い数字にはなっている、こういうことでございます。
  163. 紙智子

    ○紙智子君 私は、このアンケートの項目、今言った項目だけじゃなくて、例えば一つ目の農地集積などの農家への働きかけが形式的とあるんだけど、形式的なのかもしれない、だけど、なぜそうなっているかという分析なんてないんですよ。  当時で言っても議論ありましたけど、農業委員会自身が、やっぱり体制が足りなくて大変だ、自分たちが経営やっているほかにパトロールしたりいろんなことをやるわけですから、それは大変なわけで、理由がもしかするとそういう体制が不足している中でだったかもしれないわけで、本来分析するのが当たり前なのに、その分析もなしに、こういうやった結果の表面上のことだけを使ってやると。  やっぱり是正できる権限を持っているのは知事だったわけで、農水省はこのアンケートを使って農業委員会の活動が農家から評価されないということを言うわけだけれども、私は、畑作や果樹や畜産酪農や幅広い農家の人の動向を聞かないで公選制を廃止する理由にはならないというふうに思うんです。しかも、稲作農家といっても全農家の意向を聞いていないと。やっぱり兼業農家もいるわけで、そこのところを聞かないで、一部だけを都合よく使っているんじゃないかというふうに思うんですね。  更にお聞きしますけれども、林農水大臣はさきの衆議院審議で、農業委員会は一九五一年に三つの委員会を統合して各市町村に設置された経緯を話されました。農地委員会、それから農業調整委員会農業改良委員会、この三つが統合したと。農業委員会の母体となっていた農地委員会農業調整委員会が選挙制を取っていたこともあって、農民の代表である農業委員の選出に当たって選挙制を採用したということを答弁をされています。また、一九五六年には、選挙制を廃止して首長の任命制とする改正法案が提出をされたんですけれども、当時の野党の反対で選挙制が維持されたという経緯を衆議院の方で紹介をされていたと思うんですね。  なぜ、どういう議論で公選制がそのとき維持されたんでしょうか。
  164. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 昭和三十一年に当時の政府は、農業委員の公選制を廃止して、市町村の任命制とする改正法案を提出をいたしましたが、野党の反対によって公選制が維持されたというふうになっております。  当時の議事録を見ますと、政府側の方は、公選制を廃止する理由について、全農業委員会のうち実際に選挙を行っている委員会が四分の一以下にとどまっている、それから、選挙の実施には多額の国費が掛かっていたと、こういう説明をしておるところでございます。これに対して野党の方からは、当時の農村社会はいまだ血縁的、地縁的なものであり、市町村長の選任制に改めますと、地域の封建的な実力者が委員として輩出されるのではないかとの反対意見があったと、こういうふうに承知をしておるところでございます。
  165. 紙智子

    ○紙智子君 農林水産省が編集した農林行政史というのがありますけれども、これ読みますと、一九五六年当時、河野農林水産大臣、それから大石政務次官からは、部落ごとに委員を選出することが農業委員会と農民の結び付きを強くする上から望ましいというふうに公選制の長所を認めて、政府はこれに従うつもりであるという答弁があるわけです。  それからまた、ここにありますけれども、「農業委員会法の解説」ということで、これ、農水省が監修しているわけですけれども、これを見ても、当時も公選制の下で実は無投票当選が七割五分に達していたと、当時もですね。それでも今まで公選制が守られてきたというのは、やっぱり公選制が不可欠だったからじゃないんでしょうかね。  当時の提案理由を見ると、農民の意思と希望を反映し得るよう農民の選挙による委員及び学識経験者たる委員をもって構成され、その職務は法令に基づく所定の事項、建議、答申に関する事項等を処理することとして、これ三年間も議論しているんですよ。三年間議論した後、当時、今度農水大臣替わっていて井出農水大臣が、ちょっと前文省略しますけれども、過去三年間非常に議論をされてまいりました団体再編成問題の一応の結論であろうかと了承いたしますというふうに答弁されています。無投票が七割五分も当時もあって、費用がかさむという与党の提案があったけれども、しかし、やっぱり最終的には、議論の末、農民の意思と希望を反映し得るようにということで公選制を残したと。  その農水省見解をなぜ変えるんでしょうか。
  166. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほどアンケートについては御議論いただいたところですが、アンケートの結果、活動を評価している農業者が三割程度であるということで、御意見を聞いてみますと、先ほどお話があったように、働きかけが形式である、是正措置に向けた活動を講じない、農業委員が名誉職となっている、こういう評価をされていると、こういうことでございまして、今回はこれを踏まえて、認定農業者という、地域農業を牽引するような適切な人物が確実に農業委員に就任するようにするために、公選制から市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制、これに改めるようにしたということでございますが、そのときに、市町村長は、事前に地域からの推薦、公募等を行う、その情報を整理それから公表もするということと、そしてさらに、その結果を尊重しなければならないと、こういうふうにやっておりますので、当時とその考え方はここで軌を一にするところがあるんではないかなと、こういうふうに思っておるところでございますが。  一方で、昭和三十一年に公選制の廃止を一度は提出した際と比較しても、当時、実際選挙を行っている委員会が四分の一しかなかったということでしたが、今十分の一まで更に減少しているということ、それから、コストの面では、選挙人名簿の作成等で選挙の実施には多大なコストが掛かっているということ、それから、当時は反対意見として、地域の封建的な実力者が委員として輩出される、こういう御意見もあったところでございますが、地縁、血縁に縛られていた当時の農村というところも民主化も十分進展してきているんではないかと、こういうところから見て選任制への移行が適切であると、こういうふうに考えておるところでございます。
  167. 紙智子

    ○紙智子君 今の答弁は、ちゃんと答弁になっていないというふうに思うんですよ。私、お聞きしたのは、なぜ当時のその判断、最終的な、三年間も議論して踏まえたその判断をなぜ変えるんですか、どういう理屈で変えるということになるんですかということで、その変える理由を聞いたわけですけれども、いかがですか。
  168. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほど申し上げましたように、当時も、政府はいろんな論点で提案をさせていただいて、いろんな議論の末に今お読みいただいた最終的な決着というのがあったということだと思いますが、その頃と比べて状況が変わってきて、先ほど申し上げました農業者の意見、それからもう一つは、認定農業者ということでやっていかれる方と、これは農協改革のときも何度も申し上げてきたところでございますが、階層分化も進んできておりまして、やはり担い手の方の意見をしっかりと反映をしていく、こういう必要性も出てきたのではないかと、こういうふうに思っておるところでございまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、選挙がないところが更に増え、またコストの面ではコストが掛かる状況も変わっておらないということで、改めて今回、政府与党で改革の見直しを決めさせていただいてこの法案提出に至ったということでございます。
  169. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱりちょっと分からないですよね。ずっと議論されて、それから以降ずっと続いてきた考え方を変えるわけですけれども、北海道の農業会議から提出されている、これ一番新しい今年の五月二十八日に出された要請書があるんですけど、この開いた一ページのところにある要求です。今現在の要求でもあるんですけれども、その要請の中身というのは、公選制は農業委員会に不可欠ですと書いてあるんですよ。それがなぜ従来の見解を変えたのか、その理由を聞きたいんですよね。ずっと今までやってきたやつを何で今変えなきゃならないのか。
  170. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 公選制が不可欠だということがどういう文脈で使われておったかというのがつまびらかに承知をしておりませんが、私どもが議論したときは、やはり地域の代表性というものは大事にしなければならないであろうと、こういうことがあったわけでございます。  したがって、地域の代表ということを残すという意味で、先ほど申し上げましたように、市町村長が事前に地域からの推薦、公募等を行って、その情報を整理、公表して、その結果を尊重すると、こういう仕組みを入れた上で、適切な方々が選任をされるための法的スキームを用意したと。先ほど、野田先生からもいろんな御指摘をいただいたところでございますが、現場ではそういういろんな声もあるところでございますので、そういう現場の声に応えて、また時代の変化というものにも対応して今回の御提案に至ったということではないかと思っております。
  171. 紙智子

    ○紙智子君 全然納得できないんですよね。だって、現場の声と言うけれど、私もあちこち回りましたけれど、現に御苦労されている農業委員の皆さんに聞くと、何でこれを廃止するんだと、続けてほしいと幾ら言っても全然聞く耳持たないという声が現場からは出てくるわけですよ。今だってそうですよ。ですから、何でそうなのかというのが本当によく分からない。  いろいろ考えますと、何で公選制を廃止するのかと。結局、戦後レジームからの脱却を掲げる安倍内閣、安倍総理が、規制改革会議を舞台にして農業委員会の見直しを推し進めてきたということなんじゃないでしょうか。規制改革会議農業ワーキンググループで林いづみ委員の方も参加しているんだけれども、こういうふうに発言していると。農業委員会というのは、元々小作農を保護する観点から独立行政委員会として選挙制度がつくられた、現在の日本は農家の平均年齢ももう七十歳近くになっている、だから構造改革のラストチャンスなんだ、ここで戦後レジームの農業委員会在り方を見直さなかったらいつ見直すのか、公選制の下で投票は一割程度じゃないか、選挙制度を取る必要性があるのかというふうに主張されている。  つまり、これ戦後レジームの組織を変えるために公選制をやめるということなんでしょうか。いかがですか。
  172. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 規制改革会議でいろんなお立場でいろんな御議論があるということは承知をしておりますが、我々としては最終的に、そこの意見もございましたけれども、いろんな意見を踏まえて政府与党で改革案の取りまとめというのをさせていただきましたが、その趣旨は先ほど御説明したとおりでございまして、その中には特に戦後レジームを改革するといったような文言はなかったというふうに記憶をしております。
  173. 紙智子

    ○紙智子君 なかったと言われますけど、でも、やっぱり総理の意向に沿って、言ってみれば農業委員会法の改正というのは総理の意向に沿っているわけですよね。いかがですか。
  174. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 我々は、政府与党で物を決定をしていくときは、ボトムアップで党で御議論いただいて案を作って、そしてやっていくということですが、総理の意向と全く違うことを内閣として決めるということはなかなか難しいことではないかというふうに思いますが、特に総理の意向が個人的にどこかでそういうふうに示されたということは私の記憶にはないところでございます。
  175. 紙智子

    ○紙智子君 でも、安倍総理がリーダーシップを取って、責任者となって規制改革会議を諮問会議として持って、そこで議論してきたものを使って出しているわけじゃないですか。閣議決定までやっているじゃないですか。やっぱり安倍総理の意向に沿った改正じゃないんですか、これは。
  176. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ですから、私が申し上げましたように、規制改革会議、経済財政諮問会議等々いろんな、規制改革会議は特に諮問会議で総理に対する諮問をするということでございますから、総理が諮問をされて、それを受け止めて、そして我々閣僚にどういった指示を出されるかと、こういう仕組みになっておるわけでございます。そういう指示を受けながら政府与党で最終的には成案を得るというのが、少なくとも我が党や連立与党を組んでおります公明党のシステムだというふうに考えております。
  177. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり安倍総理が主導して、官邸主導でやっているんですよ、これは。  公選制を廃止するのに、一つは無投票が多いという理由と、二つ目は、農家から活動が評価されていないというふうに言っているけれども、実際、無投票は今始まったわけじゃなくて、一九五〇年代も多かったわけですよ。それから、評価されていないというアンケートは、ほんの一部の農家のアンケートを政府の都合に合わせて使っていると。現場のやめてほしいという要求を聞かずに、これ全く廃止する論拠がないんですよね。はっきりしているのは、戦後レジームにつくられた制度は変えるということですよ。  もう一つ、任命制についてもお聞きします。  公選制を廃止して、市町村長が市町村議会の同意を得て任命するというふうにあります。第八条の第五項、第六項で、農業委員は認定農業者が過半数を占めること、そこには利害関係を有しない者を加えています。第九条では、任命に当たっては、農業者農業団体に候補者の推薦を求めて公募しなければならないというふうにあります。  それで、衆議院質問では、例えばそれは弁護士とか司法書士とか行政書士、農業委員会の所掌に属する事項に関して利害関係を有していない会社等の役職員などと挙げられています。果たして地方の中山間地の市町村でそういう方がいるのかどうかというのもよく分からないです。地方では弁護士さんがいない地域もあると思うんですね。  首長の意向に沿った選任はしないと断言できるでしょうか。
  178. 林芳正

    国務大臣林芳正君) いろんなケースが想定をされると、こういうふうに思いますけれども、改正後の農業委員会法第九条で、先ほど申し上げましたように、推薦、公募を行った上で、募集に応募した者や推薦を受けた者に関する情報を整理、公表して、その結果を尊重しなければならないと決めております。また、そういう推薦、募集による候補者が委員定数を下回った場合の対応については、推薦、募集期間の延長等を行うとか、それから市町村長が関係者から意見を伺うということで、きちっとした手続を行っていただくということが適当ではないかというふうに考えております。  いずれにしても、現場が混乱をしないで適切に委員の選出が行えるように、具体的なルールをよく検討してまいりたいと思っております。
  179. 紙智子

    ○紙智子君 いろんなことが考えられるわけですけど、極端な例を挙げれば、地域開発に熱心な首長さんの場合、その意向に沿った選任がなされた場合は農地転用も甘くなるかもしれないということもあるわけですよね。  六月に可決されました地方分権一括法で、農地転用に係る大臣許可権限というのがなくなりました。それで、地方自治体にそれが移譲されたわけですから、その可能性というのは大きくなってくるということです。そうなると、農業委員会としての役割は、これそういう形にゆがめてしまうと、農業委員会としての役割、機能しなくなるんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  180. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは地方分権のお話でございますが、本会議でもあるいは御答弁をしたかもしれませんが、これはあくまで地方分権であって規制緩和ではないということをそのときも申し上げたというふうに思っておりますが、まさに同じ基準で、それを運用してもらうところを一定基準を設けて、その基準に該当するところについては市町村長にもやっていただけるようにしようという地方分権でございますので、転用基準そのものが変わるということではございませんので、しっかりとその線で、今、どういう市町村にやっていただくかというところは専門家の皆様に基準を作っていただかなければならないと思って作業をしておるところでございます。
  181. 紙智子

    ○紙智子君 加えてお聞きしますけれども、逆に、公募に応じて手を挙げる人が多くて定数を超えるという場合もあるかと思います。その場合どうするのか。定数以内に収めるために、やっぱり恣意的に任命するということもあるんじゃないのかというふうに思うんですけれども、どうでしょう。
  182. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今般の法案でございますが、農業委員の選出方法について選任制に改めていくと、そして、繰り返しになりますが、推薦、募集を行って、推薦を受けた者、募集に応募した者に関する情報を整理、公表して、推薦、募集の結果を尊重しなければならないと、こういうふうに定めております。したがって、推薦及び募集による候補者が農業委員の定数を上回った場合の対応について、これも透明、公正に適切な選任が行われるように、地域関係者の意見を聞く機会を設けるなど適切な手続を取っていただくと、これが必要だというふうに考えておるところでございます。
  183. 紙智子

    ○紙智子君 国が進める農地集約に例えば異論を唱える方が任命されるということもあるんでしょうか。
  184. 林芳正

    国務大臣林芳正君) どういう方が推薦又は募集の対象になったか、また、推薦を受けた方がどういう方であるかということは全て整理、公表をされております。それを言わば市町村長さんにとっては、有権者の方がみんな見ている中でこの結果を尊重するという法文の下で選任をしていただくと、こういう格好になろうかと思います。
  185. 紙智子

    ○紙智子君 農業委員になろうとする者の情報を整理して公表するというのが第九条にありますけれども、これは当たり前のことだと思うんですね。手を挙げる人が定数よりも多い場合、あるいは少ない場合、いろいろあるわけですけれども、どう調整するかということでは、農政について多様な見解を持つ方が農業委員になれるのかというのは、これ全く不透明で定かじゃないんですね。やはりそういうことを考えると、例えば農地のいろいろ流動とかというと、農家の財産を仲介する役割なわけで、非常に大事な役割なんですけれども、そういう意味では、それをやる人が任命制で本当に堪え得るのかということもあります。やっぱり、そういうことを考えると、選挙で決めていくというのが最も合理的なことなんじゃないのかというふうに思うんです。  そこで、委員長になんですけれども、最後になりますけれども、現在の農業委員の選挙権、被選挙権、これ条文に書かれていますけれども、任命制に変えるということであれば、任命基準を本委員会に出すように要求をしておきたいと思います。
  186. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 後刻理事会できちっと相談します。
  187. 紙智子

    ○紙智子君 今ちょっと質問を通じて、何で公選制を廃止するのかというのはやっぱりやり取りしてもよく分からなかったと。はっきりしているのは、戦後レジームの体制を変えるということの流れの中で出てきていると。そして、規制改革会議を舞台に農業委員会を廃止唱える財界の代表が攻撃しているということだと。これまで農村、農業の持つ課題を現場の視点から解決していくために多くの提言を行って、政府の策定に寄与してきた重要な農業委員会の役割を事実上否定するものだということでは、本当に公選制をなくすことと、それから、やっぱり第一条の目的を変えるというところもつながっていると思いますけれども、引き続き、時間になりましたので、質問することにいたしまして、終わります。
  188. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会