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2015-07-07 第189回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年七月七日(火曜日)    午前十時六分開会     ─────────────    委員の異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      山田 太郎君     行田 邦子君  五月二十六日     辞任         補欠選任      中泉 松司君     山東 昭子君      行田 邦子君     山田 太郎君  五月二十七日     辞任         補欠選任      山東 昭子君     中泉 松司君  六月一日     辞任         補欠選任      堀井  巌君     世耕 弘成君      舞立 昇治君     鴻池 祥肇君  六月二日     辞任         補欠選任      古賀友一郎君     堀井  巌君      鴻池 祥肇君     舞立 昇治君      中泉 松司君     小坂 憲次君  六月三日     辞任         補欠選任      小坂 憲次君     中泉 松司君      世耕 弘成君     古賀友一郎君  六月十五日     辞任         補欠選任      古賀友一郎君     松山 政司君      中泉 松司君     林  芳正君      馬場 成志君     宇都 隆史君  六月十六日     辞任         補欠選任      堀井  巌君     中泉 松司君      舞立 昇治君     馬場 成志君      松山 政司君     古賀友一郎君  六月十七日     辞任         補欠選任      宇都 隆史君     舞立 昇治君      林  芳正君     堀井  巌君      柳澤 光美君     小林 正夫君  六月十八日     辞任         補欠選任      小林 正夫君     柳澤 光美君  六月三十日     辞任         補欠選任      中泉 松司君     山下 雄平君  七月一日     辞任         補欠選任      山下 雄平君     中泉 松司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山田 俊男君     理 事                 野村 哲郎君                 山田 修路君                 徳永 エリ君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 小泉 昭男君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 柳澤 光美君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 山口那津男君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        内閣府副大臣   平  将明君        内閣府副大臣   西村 康稔君        総務大臣    二之湯 智君        農林水産大臣  小泉 昭男君    大臣政務官        総務大臣政務官  あかま二郎君        外務大臣政務官  薗浦健太郎君        厚生労働大臣政        務官       橋本  岳君        農林水産大臣政        務官       佐藤 英道君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        内閣官房総合海        洋政策本部事務        局長       加藤由起夫君        消費者庁審議官  岡田 憲和君        総務省自治行政        局選挙部長    稲山 博司君        法務大臣官房審        議官       金子  修君        外務大臣官房審        議官       佐藤 達夫君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       三宅  智君        農林水産大臣官        房総括審議官   荒川  隆君        農林水産省消費        ・安全局長    小風  茂君        農林水産省食料        産業局長     櫻庭 英悦君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        水産庁長官    本川 一善君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     坂口 利彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (環太平洋パートナーシップTPP協定交  渉に関する件)  (異物混入事案における食品事業者対応に関  する件)  (遊休農地対策に関する件)  (ロシア連邦の二百海里水域における流し網漁  を禁止する法律成立への対応に関する件)  (太平洋クロマグロ資源管理に関する件)  (政治資金規正法実効性に関する件)     ─────────────
  2. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮り申し上げます。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 おはようございます。自由民主党の古賀友一郎でございます。  今日は七夕ということでございますが、これは国民の願いが通じたとでもいうんでしょうか、日本時間の一昨日、五日深夜、明治日本産業革命遺産世界文化遺産として登録されることが決定をされました。明日八日に正式登録ということでございますけれども、この慶事を国中皆で喜び合いたいと、このように思っております。この世界遺産は八県十一市にまたがる二十三の資産で構成されておりますけれども、特に私の地元長崎市に三分の一以上の八つの資産が集中をいたしておりまして、これは一長崎市民といたしましても大変うれしく思っているところでございます。  今回の世界遺産登録は韓国の問題がございまして、難産の末の登録であったというだけにその喜びもひとしおというところでありますけれども、今回の事件は外国との交渉の難しさを改めて実感する契機になったと思います。今日、質問で幾つかのテーマを取り上げますけれども、これはいずれも外交交渉にまつわるテーマでございまして、我が国は今後ますますタフな外交力を発揮していかねばならないと、そういう思いを持ちながら質問に入っていきたいと思います。  まず、日ロサケマス問題についてであります。  これまで、ロシア排他的経済水域、これはお手元資料の黄色の部分でございますけれども、この水域においては日ロ政府間協議の枠組みの下で我が国漁船操業をいたしておりまして、昨年は約三十三億円のサケマス類が水揚げをされておりますけれども、この度、ロシア連邦議会は来年一月からロシア水域での流し網漁業禁止する法案を可決し、先月二十九日にはプーチン大統領がこれに署名し、正式に法律成立をしてしまいました。  この問題については、安倍総理が直接大統領に働きかけるなど様々なレベルロシア側に訴えてきただけに、極めて残念なことでございます。これによって事実上ロシア水域でのサケマス漁ができなくなったということで、それを基幹産業としてきた北海道東部中心とする地域は大打撃を受けるということでございます。根室市によりますと、その影響は約二百五十億円にも上ると、このように試算をされているようです。  かくなる上は、これは自民党の水産部会でも決議をいたしましたが、サケマス漁業者を始め影響を被る関係者に対する対策、これを万全に講じる必要があると考えるところでございますけれども、ここはひとつ林大臣の御決意をいただきたいと思います。
  6. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ロシア水域におけるサケマス流し網漁業禁止につきましては、我が国漁業者操業を継続できるよう安倍総理からプーチン大統領に対して再三にわたって働きかけを行うなど、あらゆるレベルで強く働きかけてまいりましたが、結果的に法案成立したことは極めて残念でございます。  日本漁船によるロシア水域サケマス流し網漁業については、北海道道東地域中心地域経済の中核を担う重要な漁業一つでありますので、地元関連産業への大きな影響も懸念されるところであります。このため、昨日から担当官現地根室市、厚岸町、釧路市ですが、派遣をいたしまして、意見交換等を既に始めております。現地状況関係者の意向を把握しまして、関係府省とも連携しながら万全の対策を講じてまいりたいと、そういうふうに考えております。
  7. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。万全の対策ということでございまして、ここは地元の要望をしっかりと受け止めていただいて、この道東中心とする関係者の皆さんが望みをつなぐことができるように、政府としてもしっかりサポートをしていただきたいと思います。  次に、今回の法案成立によって、ロシア水域での操業が事実上できなくなってしまうということに加えまして、日ロサケマス協定の行方も心配されるところでございます。  この協定は、ロシア生まれサケマス日本排他的経済水域、これは資料のピンクで色が塗っておりますけれども、この部分で漁獲する場合の法的根拠となっておりまして、仮にこれが失効してしまいますと、国連海洋法条約ではサケマスのような溯河性資源、川を遡る資源でありますが、そういった資源の保存、管理はその生まれ故郷の国と協力をする必要があるということで、日本水域でありながら我が国が捕れなくなることもあり得るというようでございます。先日の本会議では、引き続き有効との認識である旨の菅官房長官の御答弁がありましたけれども、今回の法案採択の際には、協定失効を求める、そういった意見書が付されていたという経緯もあるだけに、これは心配であります。  そこで、この協定が今後どうなっていくのか、その見通しをお教えいただきたいと思います。
  8. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 御指摘のとおり、下院に提出をされました法案附属書には、その法案採択に伴って日ロ漁業協力協定失効を必要とするという記述がございました。それが失効すると、先ほど御指摘のような日本の二百海里水域での漁獲も困難になるということでございます。  ただ、四月二十一日に公表されたロシア政府公式見解では、流し網漁業禁止法案採択日ロサケマス協定の破棄のための前提条件を創出しないというふうに言われております。それから、今御指摘ありました六月二十四日の上院における審議の際に、マトビエンコ連邦院議長が、日ロサケマス協定は引き続き有効であり、破棄されない旨を述べておられます。  日ロ間では、日ロサケマス協定は引き続き有効であるとの認識でありまして、この協定に基づく我が国二百海里水域内におけるロシア系サケマス操業はこれまでと同様に継続されるというふうに認識しております。
  9. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  現段階においては、ロシア政府も、それからマトビエンコ議長さんでしたか、いずれも有効であるという認識を示しておられるようでありますけれども、元々この意見書が付いてきたということなので、その底流にはやはりそういった圧力があるのではないかと、このように心配するところでございますので、是非ともこういった点、これからもしっかりとウオッチをしていただいて、状況が悪化しないようによろしくお願いをしたいと思います。  また、私は、今回のこの事例を教訓といたしまして、ロシア水域における他の魚種、あるいはロシア以外の国の水域で今回のような事態が発生しないのかということも少し心配になります。政府におかれては、その辺の注意を是非怠らないように、しっかりとアンテナを高く張ってウオッチをして対策を考えていただきますようによろしくお願いを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  次のテーマは、TPPと食の安全、安心でございます。  このTPPについては、先日、米国議会TPA法案が可決をされたということでございまして、今月中にも基本合意がなされるのではないかというような話もありますけれども、この食の安全、安心の問題については、ISD条項との関係国民の間に根強い不信、不安感があるようであります。このISD条項は、外国企業投資先の国の措置によって損害を受けた場合に投資家がその国を訴えることができるという制度でありますけれども、これがTPPに盛り込まれることによりまして外国企業に不都合な我が国食品安全規制が撤廃に追い込まれてしまうのではないかというわけであります。  この点は、衆参の国会決議でも、「国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと。」と、これはくぎを刺しているわけでありますけれども、実際のところ一体どうなのかということで、交渉が決着する前に掘り下げて検証しておきたいと思ったのが今回の質問の動機でございます。  そこで、今日は、この問題の言わば典型事例とも言える遺伝子組換え食品に対する規制を題材に検証してみたいと、このように考えております。  まず、一般論から伺ってまいりますけれども、このISD条項というのは、投資家予見可能性を確保することによって投資家が不測の損害を被らないようにするための制度でございますので、国際的に認められた投資貿易ルールに従った規制によって仮にその投資家損害を受けたとしても、これはその訴えは認められないという理解でよいのかどうか、これは一般論として外務省にちょっとお尋ねをしたいと思います。
  10. 佐藤達夫

    政府参考人佐藤達夫君) お答えいたします。  投資協定投資章を含む経済連携協定におけるISDS条項でございますが、締約国の正当な規制目的のために、必要かつ合理的な規制を差別的でない態様で行うことを妨げるものではございません。その上で、我が国がこうした投資関連協定を締結するに当たりましては、国内法との整合性観点から、必要な場合にはその範囲で留保や例外規定を置いているところでございます。  したがいまして、国際的に認められた投資貿易ルールに従った国内規制につきましては、必要かつ合理的な規制を差別的でない態様で行っている限り、投資関連協定違反が認められるようなことは想定されないと考えております。
  11. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  差別的でなくてそして合理的な規制であれば、これは国際ルールにのっとって規制ができるということであります。だとするならば、我が国遺伝子組換え食品に対する規制が国際的に認められた、そういう合理的で差別的でない、そういうルールかどうかということが問われるというわけでございます。  それを前提に伺ってまいりますが、我が国のこの遺伝子組換え食品に対する規制としては、食品衛生法に基づく安全審査、それから食品表示法に基づく表示制度二つに分けられるところでございます。  そのうち、まず、安全審査についてでございますけれども、この食の安全に関する現行の国際的なルールとしては、これは資料の三ページに条文を載せておりますが、WTO協定一つであります衛生植物検疫措置適用に関する協定SPS協定によって規律されているところでございまして、その二条一項及び三条一項によりますと、加盟国は、人の健康を保護するために必要な衛生植物検疫措置をとる権利を有するとともに、その措置は、国際的な基準指針又は勧告がある場合には、それに基づいてとることが求められているというわけでございます。  我が国安全審査は、FAOWHOが設立をいたしましたコーデックス委員会、これは二ページにちょっと概要を載せておりますけれども、このコーデックス委員会という国際機関が定めた基準にのっとって行われているようでございますので、このSPS協定という国際ルールにのっとった規制措置であると、我が国安全審査はですね。そういう理解でよいのか、これは厚生労働省確認をしておきたいと思います。
  12. 三宅智

    政府参考人三宅智君) 我が国遺伝子組換え食品に対する安全審査基準は、議員今御指摘のとおり、国際連合食糧農業機関FAOWHO世界保健機関が設立しましたコーデックス委員会が定めた国際基準指針に基づいて設定されております。  したがいまして、我が国遺伝子組換え食品に対する安全性審査制度は、SPS協定規定に則したものであると認識しております。
  13. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。SPS協定にのっとってやっているということでございます。  それでは次に、これを踏まえて外務省確認をいたしますけれども、我が国遺伝子組換え食品に対する安全審査ISD条項に基づいて海外の投資家から訴えられても負けることはないと、こういう理解でよいでしょうか。
  14. 佐藤達夫

    政府参考人佐藤達夫君) 我が国における遺伝子組換え食品安全審査については、必要かつ合理的な規制を差別的でない態様で行っており、投資協定投資章を含む経済連携協定違反となるようなことは想定されないと考えております。
  15. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 想定されないということで、私もそう思います。今のその答弁をもって、まずは安全審査については守れるだろうというような心証を私は確信をいたしました。  次に、表示制度について伺ってまいりたいと思います。  これについては、まず、適用されるルールについて確認をしておきたいと思うわけでありますが、食の安全に関する国際ルールとしては今取り上げたSPS協定があるわけですけれども、別に、貿易障害を除去しようとするWTOルールとして貿易技術的障害に関する協定TBT協定というのがございます。  そこで、この二つ協定のいずれかあるいは両方が適用されるかどうかという点でありますけれども、このSPS協定を読みますと、資料の中ほどに、三ページに書いておきましたけれども、食品の安全に直接関係をするものが対象とされておりまして、我が国の場合は安全性審査を経て安全が確認をされたものに表示される制度でありますから、このSPS協定適用されずにTBT協定のみが適用されるという、こういう理解でよろしいでしょうか。外務省お願いします。
  16. 佐藤達夫

    政府参考人佐藤達夫君) 一般的に食品表示規制につきましては、食品の安全に直接関連する規制措置WTOSPS協定が、それ以外のものにつきましてはWTOTBT協定適用されます。この点に関しまして、TBT協定の第一・五条は、SPS協定適用される措置についてはTBT協定適用されない旨規定しておりまして、両協定適用対象となる措置観点からは相互に排他的な関係にあると言えます。  我が国遺伝子組換え食品表示義務につきましては、その主たる目的消費者商品選択のための情報提供であることを踏まえれば、TBT協定のみが適用されるものと認識してございます。
  17. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。この二つ協定排他的関係にあるのでということで、結局のところTBT協定だけが適用されるという答弁でありました。  それでは、それを踏まえまして、中身の検証に入りたいと思います。  このTBT協定の二・二条ですね、これは資料の三ページに載せておりますけれども、これによりますと、加盟国国際貿易に対する不必要な障害となる強制規格を設けてはいけないということになっておりますけれども、他方で、正当な目的の達成のために必要な貿易制限的な措置については容認をされているというわけでございます。  したがいまして、まずは我が国表示制度がこの正当な目的に該当するかどうかが問題となると思われますけれども、この点、我が国遺伝子組換え食品表示制度目的については、これは資料の四ページに国会答弁を載せておりますけれども、平成十二年三月二十八日の当委員会における金田勝年当時の農水政務次官答弁がありますが、要するところ、当該食品遺伝子組換え食品であるか否かを知りたいという国民の関心に応えるために商品選択情報を提供する制度だと、このような趣旨であるようでございますが、そういった理解でよいのかどうか。これは消費者庁の方に確認をさせていただきたいと思います。
  18. 岡田憲和

    政府参考人岡田憲和君) お答えいたします。  遺伝子組換え食品表示制度につきましては、平成十二年に当時のJAS法に基づく品質表示基準として創設されたものであり、消費者商品選択のために必要な情報として遺伝子組換え技術使用、不使用に関する情報を提供するものであるというふうに承知しておるわけでございます。  このJAS法食品表示に関する規定を引き継ぎました現行食品表示法に基づく食品表示制度におきましても、同様の考え方に基づき遺伝子組換え表示を義務付けているところでございます。
  19. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  消費者庁が考えておられるこの目的というのは商品選択のための情報提供だと、要するにそういうことであるということであります。ただ、私は、もちろんそれもメーンとしてあると思いますが、私はここに書かれざる目的として、国民健康保全というものもあると、このように思っております。  確かに、我が国に輸入、流通する遺伝子組換え食品安全性確認されたものに限られているというわけでございますけれども、それはあくまでも現在の科学的知見に基づくものであって、今後将来にわたって保証されたものでもないというわけでありますから、その限りにおいては、今後とも国民の健康に与える影響注意を払っていく必要があると思うわけであります。  この点について、厚生労働省にそうした理解でよいかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。
  20. 三宅智

    政府参考人三宅智君) 遺伝子組換え食品につきましては、品目ごと厚生労働大臣による安全性審査を受けることが義務付けられており、この審査は最新の科学的知見に基づく食品安全委員会食品健康影響評価の結果を踏まえて行っております。また、安全性審査を終えた遺伝子組換え食品についても、新たな科学的知見が生じたとき、その他必要があると認めるときは、食品安全委員会意見を聞いて再評価を行うこととしております。  厚生労働省としましては、厚生労働科学研究等により科学的知見の収集に努めており、引き続き遺伝子組換え食品安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
  21. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  これは当然のことでありますけれども、今の科学的知見に基づいたもので、今後新しい知見が出てくればという話でありまして、そのとおりだと思います。それは裏を返せば、将来どうなるか分からぬという要素も含んでいるというわけであります。  先ほど、外務省さんの答弁の中でも、商品選択のための情報提供だというのが主な目的というような表現をされまして、もちろんそのとおりなんですけれども、それ以外の書かれざる目的、その背景にあるものというものもやはりこれは制度が負っている使命ではないのかなと、このように思うわけであります。  それでは、今の消費者庁厚生労働省答弁を踏まえまして、このTBT協定の解釈を考えてみたいと思うわけでありますが、まず、我が国遺伝子組換え食品表示制度は、消費者庁の言うように、商品選択のための情報提供目的にしているということは、それを避けたいと思う消費者は避けられるようにするということを目的にしていると言えるわけでありますから、あえて遺伝子組換え食品であることを隠して販売することは詐欺的な行為であり、それを防止するのは表示制度目的と言えるとこれは思われるわけであります。  さらに、厚生労働省も先ほど答弁いただきましたけれども、これは現在の知見に基づく安全性であるということを踏まえますと、私もさっき申し上げたとおり、将来にわたる安全性というものは今後の知見次第というわけでありますから、遺伝子組換え食品商品選択によって避けることができるということは、これは少なくとも人の健康の保護に関連する制度であると、このように言えると思うわけであります。  したがって、我が国のこの表示制度というのは詐欺的な行為の防止、これはTBT協定一つの例示として挙げられているわけですが、詐欺的な行為の防止を目的とするとともに、少なくとも人の健康の保護にも関連する制度だということは、これは言えると思うわけであります。したがって、このTBT協定二・二条に言う正当な目的のための制度だと、私はこのように思っておりますけれども、この点に関するTBT協定をめぐる紛争、今私が申し上げたことを補強するような実は判断が近年相次いで出ております。  資料の四ページ以降にそれを載せているわけでございますけれども、逐一の事案の内容の説明は割愛をいたしますが、まずこの正当な目的に関する判断としては、四ページの真ん中でありますけれども、米国マグロラベリング事件における第一審判決とでも言うべきパネルという小委員会において、マグロ製品がイルカに悪影響を与える方法で捕獲されているマグロを使用しているかどうかについて間違った情報消費者に与えないようにすることは、TBT協定二・二条に列挙されている詐欺的な行為の防止に当たるという判断が示されております。また別の、これは米国COOL事件ということで、この四ページの下の方ですけれども、これにおける第二審かつ最終審判決とでも言うべき上級委員会においては、消費者に原産地の情報を与えるという目的は詐欺的行為の禁止という目的と関連しているという判断が示されております。  これらの判断からしても、我が国遺伝子組換え食品表示制度目的の正当性というものは、私はこれは補強されているというふうに、国際的にも認められていると、このように思うところであります。  そしてまた、他方、必要以上に貿易制限的であってはならないという要件もあるわけですが、これについても、これは資料の五ページに載せておりますけれども、マグロラベリング事件の上級委員会によりますと、提訴した国が提案する代替措置が提訴された国の措置と同程度にその目的を達するものであったかどうかというのがこれは判断基準であると、こういう考えが示されているわけでありまして、したがいまして、この要件をクリアするかどうかというのは実際にどのような代替措置が提案をされるかによるということで、これは実際に紛争が発生してみないと分からないというわけでありますけれども。  この遺伝子組換え食品表示制度について申し上げると、端的に遺伝子組換えであるかどうか、その有無を表示をするということ以外の方法で同程度に目的を達し得る、そういう手段があるのかどうか。もちろんその表示の水準についての議論はあるかも分かりませんけれども、少なくともこの表示が全否定されるということは私は考えにくいのではないかと、このように思っております。  以上を総合いたしますと、我が国遺伝子組換え食品表示制度TBT協定上容認される規制と、このように考えておりますけれども、この点を確認しておきたいということと、もう一つは、したがいまして、最終的な確認事項として、ISD条項によって海外投資家から訴えられてもこれは十分勝てると、こういうふうに思うわけでありますけれども、これは外務省の御見解をいただきたいと思います。
  22. 佐藤達夫

    政府参考人佐藤達夫君) お答えいたします。  一般的に食品表示義務を課すことは、TBT協定上は、正当な目的の達成に必要である以上に貿易制限的ではなく、かつ内外の差別に適用される場合に認められてございます。我が国遺伝子組換え食品表示制度についてはこうしたTBT協定規定に整合的であると考えてございます。  TBT協定を含むWTO協定ISDS条項を含む投資協定投資章を含む経済連携協定、これはそれぞれ別の協定でございます。したがいまして、本件表示制度に関してもこうした投資関連協定との整合性については別途協定の具体的規定に照らして判断することとなりますが、申し上げましたとおり、本件表示制度が正当な目的のために差別的でない態様適用されている以上、投資関連協定との関係においても違反に当たることはおおよそ想定し難いと考えてございます。
  23. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 済みません、今最後のところ、批判に値するものではないと、そういった表現でしたか、ちょっと聞き漏らしました。
  24. 佐藤達夫

    政府参考人佐藤達夫君) 違反に値するものではないと。
  25. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  このTBT協定とまず整合的であると、したがってISDも違反に当たることはなかろうという御見解でありました。私もそう思うんですよ。だから、普通に闘えばこれは恐らく負けることはないだろうと、このように思うわけであります。  非常にそういう意味では、今回外務省さんにその条約の解釈として今言った御見解を述べていただいたというのは大変いい答弁だったと思います。国民の皆さんも、これを聞いて、不安に思っていらっしゃる方、安心された方も結構いらっしゃるんじゃないかと、このように思うわけであります。是非そういう理論武装をしっかりとしていただいて、守るべきものはきちっと守っていただきたいと、このように思うわけであります。  今回このテーマを検証させてもらったのは、TPPに対する国民の不安がある中で、政府が本当に万全の備えをやっていただいているのかどうかということを心配に思ったからであります。国会決議を守りますという気合だけでは守れないわけでありまして、どういうロジックで守るのか、取りあえず今は交渉の俎上にのっていないから大丈夫ですということではなかろうと思います。訴えられたときのことを想定をして備えておくということが必要だと思います。それで守れると思えば、交渉で現状から後退しないようにするし、もし逆に危ないようであれば、それを交渉でカバーするような、そういったものが必要になるのではないかと、このように思います。  今回、遺伝子組換え食品に対する規制については、私は守れそうだという心証を持つことができました。しかし、事はこれだけではないわけでありまして、本当に国会決議を守れるのかどうか、政府は各項目について念には念を入れてしっかりと検証をしておいていただきたいと思います。  そこで、このテーマの最後、締めくくりといたしまして、今日は西村副大臣にお越しをいただいておりますので、今申し上げたことについての決意をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  26. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) お答えを申し上げます。  TPP交渉におきましては、政府一体となりまして、御指摘のありました衆参の農林水産委員会決議、これをしっかりと受け止めまして、いずれは国会で御承認いただかなければいけませんので、そういただけるような内容となるように、これは我々、粘り強く交渉に当たっているところでございます。  今日御指摘のありました決議の中には、食の安全、安心、あるいはISDSに係る項目が盛り込まれているところでございます。食の安全、安心について、TPPの今交渉しておりますSPSの章、あるいはTBTの章、これは既存のWTOSPS協定あるいはTBT協定にほぼ準拠しているものになっておりまして、食の安全、又は御指摘のありました遺伝子組換え食品表示義務などについて、我が国制度を変えるような規定は入ってございません。  御指摘のISDSにつきましても、私ども国の主権を損なうような形でISDSが導入されることがないように、またISDSの手続が濫用されることがないように、これまでしっかりと交渉に臨んでいるところでございまして、この点、昨年十一月に開催されました北京での会合で最後まとめられました貿易閣僚による首脳への報告書、この中でもこのように記載がございまして、公共の利益のための政府規制権限を維持することとそれから投資の保護基準と、これを両立させると、この旨が記載されているところでございます。  私どもとしましては、引き続き、この決議も踏まえながら、しっかりと交渉してまいりたいと思います。守るべきは守り、攻めるべきは攻めて、国益にかなう最善の道を追求していきたいというふうに思います。
  27. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  改めて副大臣の決意をいただきまして、交渉はもう本当、最終局面だということも伺ってはいるところでありますけれども、しかし、やっぱり最後の最後まで詰めをしっかりと行っていただきたいという思いでございます。今の副大臣の御決意を私、信用いたしますので、是非とも、これは各省に対しても、しっかりと作業をやらせていただくようにお願い申し上げておきたいと思います。  副大臣答弁は以上でございますので、委員長の差配にお任せいたしたいと思います。
  28. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 西村副大臣、結構でございます。
  29. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 それでは、次のテーマに移りたいと思います。次は、捕鯨問題についてお伺いをいたします。  先月、政府は、アメリカ・サンディエゴで開催されましたIWC、国際捕鯨委員会科学委員会の検討結果を発表をいたしました。これは、昨年三月、国際司法裁判所の判決で、我が国が南極海での調査捕鯨停止を命じられたところでありますけれども、それを受けまして我が国が新たに策定した新南極海鯨類科学調査計画案に対してIWC科学委員会が検討をした結果ということであります。  その報告書によりますと、我が国が行った調査捕鯨の必要性を立証するための追加作業について、その意義を認めつつも不完全だと指摘を受けておりまして、結局、日本調査捕鯨再開について正当化されないという意見と延期する理由はないという意見の両論が併記をされたということであります。  これを受けまして、政府は科学委員会の主な指摘事項について必要な作業を継続していく方針であると聞いておりまして、できる限り誠実に対応していこうという政府の姿勢も私支持いたしますけれども、一方で、このIWCの状況を見ておりますと、捕鯨反対国というのは果たして道理が通用する相手なのかどうかということも疑わしく思えてくるわけでございます。  そこで、まず伺いたいことでありますけれども、この科学委員会指摘事項に対して誠実に回答していったとして、果たして意見の一致を見ることができるのかどうかということでありますが、この辺の政府の見通しをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  30. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 我が国は、これまでもIWC科学委員会とあらゆる場を捉えて、新しい計画案について相手国、関係国の理解を得るために丁寧に説明を行ってきたところであります。  御指摘のように、先般の科学委員会におきましては、追加的な作業が必要であるといったような指摘事項を受けまして、私どもとして、国際法及び科学の観点から必要な作業、検討を誠実に継続してまいりたいと思っております。一方で、このような対応に対しても更なる指摘あるいは反対意見が出てくる可能性は決して否定できないところでございます。  いずれにしましても、私どもとして、我が国としてでき得る努力を継続し、調査計画の内容などの最終化を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  31. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  現時点においてはその宿題を一生懸命やるということに尽きるんだと思います。それはそのとおりだと思いますけれども、なかなか客観情勢は私はどうかなというふうに感じております。  そこで、もう一個伺っておきたいのがこの科学委員会での検討結果でありますけれども、これは来年九月開催が予定されておりますIWCの本委員会に報告されるというふうに思うわけでありますが、今後どういうふうに取り扱われるのかということであります。その科学委員会の報告を受けて、IWCとして我が国に拘束力のある何らかの意思決定を行うことになるんでしょうか。これ、ちょっとお伺いしたいと思います。
  32. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 今年のIWC科学委員会の検討結果につきましては、科学委員会報告書として採択をされております。その内容及びこれを受けた我が国対応につきましては、来年開催予定のIWC科学委員会及び本委員会において議論がされるということになっております。  こうした中、現時点では、来年のIWC本委員会で昨年のニュージーランド決議のような調査捕鯨の実施を制限する内容の新たな決議採択される可能性は否定できないわけでございます。こうした決議そのものには法的拘束力はありませんけれども、我が国としては、国際法と科学的根拠に基づいた調査計画案を策定すべく、引き続き国際社会の理解を得るように一層努力していきたいというふうに思っております。
  33. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 さきのニュージーランド決議のようなものはあり得るかもしれないけれども、我が国を拘束するようなものはないんだろうというような見通しでございました。  さはさりながら、当面、我が国としてはこの宿題にしっかり取り組むということは、それはそれでいいと思うんでありますけれども、ただ、それはいつまでも意見がまとまらないということも、これは十分可能性としてはあり得ますし、かといって、今おっしゃったように、何らか白黒を付けるような、そういった場面が今後あるとも思えないというわけでございまして、そうなりますと、今年度中の再開を目指している我が国としては、どこかでこれは決断をしていかなければならない、そういうことも十分あり得るんだと思います。要するところ、このIWC条約の八条一項の権利を行使するということでございますけれども、そういうこともこれは十分考えておかねばならないのだと、このように思います。  仮に我が国がその八条一項の権利を行使したということになりますと、恐らくは、反捕鯨国としては、本委員会の勧告まで調査捕鯨を再開しないようこのニュージーランド決議で要請をしているわけでありますから、抗議活動を展開するということもこれは考えられるわけでございまして、その場合、我が国としてはこのニュージーランド決議の不当性を訴えて応戦をしなければならないということになろうと思います。  ところが、このニュージーランド決議に対する我が国の現状のコメントでありますけれども、これは資料の六ページに載せておきましたけれども、締約国政府の特別許可の発給の権利を制限しようとしていると。ちょっとこれ一見して、いかにも弱いといいますか、分かりにくいといいますか、訴求力に欠けるといいますか、ちょっと弱々しい感じがするのは恐らく私だけではないのではないかと思いますけれども、私は、内外のマスコミを始めとする国際世論にこの問題、強く、そして分かりやすく、しかも簡潔に訴えることのできるような、そういう訴え方をしていかなければならないと、このように思っております。  そうした観点から、私はこのニュージーランド決議に対する政府のコメントは少しちょっと弱いんじゃないかなと、このように考えております。例えば、この決議というのは締約国に保障された権利を形骸化させようとしているんだ、そして実質的にこれは条約に反している決議ではないかと、こういうふうな訴え、毅然とした主張も私はしていっていいんだと、このように思っております。  この点について、当面は宿題に取り組むということでいいと思いますけれども、この辺のコメントをちょっとやっぱりもう少し毅然としたものに考え直していくということについて、これは政治判断でございますので、林大臣にこの辺の御見解をいただければと思います。
  34. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今御指摘のありましたこの決議ですが、特別許可発給に係る締約国の一定の裁量、これは今御指摘のあった八条ですが、これが国際捕鯨取締条約で認められております。また、昨年の三月の国際司法裁判所判決にも同様の趣旨があるわけでございますので、我々としては、この決議は国際捕鯨取締条約上の規定、また国際司法裁判所の昨年の三月の判決とは相入れない内容であると、こういうふうに認識をしておりまして、それゆえに反対票を投じさせていただいたと、こういうふうに考えておりますので、この考え方を国内外に正しく理解してもらうためにしっかりと発信をして努力を続けていきたいと思っております。
  35. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  相入れない、この表現って非常に重要だと思います。今の政府のコメントは、相入れないという雰囲気が出てこないんですね。  私は、これは今後情報戦になっていくと思っております。幾ら我が国が筋の通った説明を長々としても、結局、決議違反という分かりやすいフレーズが世界を席巻して、日本だけが悪者になって、まさに無理が通れば道理が引っ込むと、こういった事態になるのを一番懸念をいたしております。  したがって、そうならないように、相反するんだということ、これは政府としての統一見解になると思いますので、水産庁だけではなくて、農水省だけではなくて、外務省も大きく関わってくると思いますので、やはりその辺の、強く分かりやすく簡潔なメッセージを出せるように是非政府としても御努力をいただきたいと、このように思います。  残り若干ございますので、最後のテーマに移らさせていただきたいと思います。  私は、四月にも食料自給力というものをテーマ質問をいたしまして、少し積み残した部分もあったわけでありますけれども、今日は潜在的食料供給能力を顕在化させる場合の論点について質問をさせていただきたいと思います。  つまり、実際に食料難に直面した場合に、ちゃんと食料を増産して国民に供給できるような、そういう制度になっているかという検証でありますけれども、まず、生産面でありますが、この点については資料の七ページに条文載せておりますけれども、国民生活安定緊急措置法第十四条と十五条によりますと、生活関連物資等の不足で国民生活や国民経済が著しく阻害される又は阻害されるおそれがある場合には、緊急増産ということで、生産業者は主務大臣に届け出た指定物資の生産計画に沿った生産義務が課せられるということとされておりますけれども、この生産業者がどこまでの範囲を含むのか、これは非常に重要であります。  法律では、指定された物資の生産の事業を行う者とされておりますけれども、これが現に生産している人に限られているのか、あるいは耕作放棄している人のように、現に生産はしていないけれども生産する能力を有する人まで含むのか、あるいは花卉農家のように、その作物を生産したことはないけれども生産することが期待される人まで広く含んでいるのか、この辺が判然としておりません。  そこで、この指定された物資の生産の事業を行う者とはどこまでの範囲の人を含むのか、これをお伺いしたいと思います。
  36. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 大変重要なポイントだと思いますので、農林水産省といたしましては、不測の要因によりまして食料の供給に影響が及ぶおそれがある事態に的確に対応する、これが大事でございまして、事態のレベル、深刻度でございますね、これに応じまして、政府として講ずべき対策の基本的な内容、根拠法令、それとあと実施の手順等を示した緊急事態食料安全保障指針、これを関係各省と連携して平成十四年の三月、策定した経緯がございます。  同指針におきまして、特定の品目の供給が減少し、当該品目の供給を確保するために必要があるとき、国民生活安定緊急措置法、これ、緊急措置に基づきまして、緊急増産、それと生産転換を実施することとしているわけでありまして、その際、緊急措置法に基づきまして、政府対策本部において、何を緊急に増産するのか、その物資を政令で指定するとともに、主務省令で定める手続に従いまして、緊急増産すべき品目の生産数量や生産者を特定し増産数量の配分等を行うこととしている、こういうことでございまして、この緊急増産すべき生産者につきまして、御指摘部分でございますが、当該物資を現に生産している者のみならず、緊急増産の必要性に応じまして、生産する能力のある者等も含まれると、こう考えております。  実際に不測の事態が発生し、同法の発動が必要となる場合におきましては、事態の状況を踏まえ、指定された物資の生産の事業を行う者の要件等が適切に定められ、国民に対する食料供給が確保されるようしっかり対応してまいりたい、このように考えております。
  37. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。今日はおそろいのようなスーツの小泉大臣から御答弁いただきまして、ありがとうございました。  今、生産する能力等もある人まで含まれるという話でありましたけれども、ここ、私は何でこだわるかといいますと、そこをきちっと確定しておかないと、これは権利利益をかなり制約する非常に強い法律なものですから、そこが曖昧だといざというときにちょっと危ないんじゃないかというわけであります。もしその必要な部分までスコープされていないのであれば、やはりあらかじめ法律をきちんと整備しておいて、ここまでの人ですよということで決めておく必要があると思うんですね。  だから、現にそうなった場合に慌てないでいいように、その概念をしっかりやっぱり確定しておく必要があると思うんです。それによって法律の整備が必要かどうかということも決まってくると思うわけでありまして、その点について是非御検討いただいて善処していただきたいと思います。  あと一問でありますけど、残り時間が一分となってまいりましたので、大変申し訳ございません、残り一問、経産省さんについてはまたの機会に譲りたいと思います。大変申し訳ございませんでした。  ただ、私が今回、最後のテーマで言いたかったことは、できる限りのことは平時においてやっておくということが重要じゃないかなと思うわけであります。いざ事が起こったときに、泥縄的に政令を整備しましょう、法律を改正しましょうみたいなそんなことをやっている余裕は多分ないと思うんですね。これは私、今審議されている平和安全法制も同じだと思うんです。切れ目なく平時から危機に対応する、そういうことだと思いますので、是非政府においてはしっかりと御議論をいただきまして御対応いただきますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  38. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  日頃は農林水産政策に関しての質問をするわけでございますけれども、今日はあえて、新聞記事に基づいて山田参議院農林水産委員長の献金問題についてお尋ねをしたいと思います。  当選をしたときに諸先輩から、新聞記事や週刊誌をネタに質問するときはよほど気を付けるようにと、こういうアドバイスをいただきました。私は、今回、この毎日新聞の記事を見て、さらに取材に当たった記者さんに取材をし、そして事実、あるいは取材、私の類推、様々なことをきっちり分けてお尋ねをしたいと思います。  お手元に資料を配らせていただきました。当該ネタ元となりました献金の話、パーティー券の収入の話であります。四団体が六年間に三百九十四回、五億四千二百九十三万円、パーティー収入を得たということであります。山田委員長、羨ましいです。政治に携わる人はみんな羨ましいと思うんじゃないかと思います。  そして我々は、ここにいる同志と同じでございまして、政治にあるいは選挙にお金が掛かるということも知っております。そして、山田委員長も、山田委員長を支える支援者の皆さんも、法律を熟知し遵守をしているということも理解をしておるところであります。しかし、報道を目にしておられる国民の疑念というのをそのままお伺いをすると、私たちがいかにずぶずぶの業界にいるのかということをあえて理解をさせていただくわけであります。  毎日新聞のある読者は、山田さんがそんなにもうけていたのか、素直にそう取ったと言っています。しかし、私は山田委員長をよく知る友人でもございますし、一緒にワインも飲ませていただきました。もっとおいしいワインを、高いワインをごちそうしてくれればいいのに、まさに庶民的な委員長であります。やはり我々が思っていることと有権者、国民の皆さんが思っていることに乖離があるということをまず皆様にも御認識をいただきたいと思います。  山田委員長といえばJAグループの御出身であります。JAグループは、この毎日新聞によりますと、国からの補助金を受けている団体であるというふうに言われています。簡潔にお答えをいただきたいわけでありますけれども、農林水産省が把握している、国からJAグループへの補助金の概要を御説明ください。
  39. 荒川隆

    政府参考人(荒川隆君) お答え申し上げます。  今御質問ございました、私ども農林水産省からJAの全国団体に直接交付をした補助金等の額でございますけれども、全国団体で補助金を受けておりますのは全中、全農、農林中金の三団体でございますけれども、二十五年度で総額で十一億二千万円になっております。
  40. 小川勝也

    ○小川勝也君 今、農林水産省から補助金を受けた団体は、山田俊男委員長関係の団体に献金することは可能でしょうか。
  41. 荒川隆

    政府参考人(荒川隆君) 一般論で申し上げますけれども、農業協同組合も法人でございますので、法人がその活動を行う中で、一般的に各種、政治資金規正法等に抵触しない限り、寄附金等を行うことは可能だと考えております。
  42. 小川勝也

    ○小川勝也君 国から補助金を受けている団体も、団体に対する献金は可能だということなんですか。
  43. 荒川隆

    政府参考人(荒川隆君) 私どもからお答えするのが適当かどうかはあれでございますけれども、補助金を受けておる団体等につきましては、政治資金規正法等に基づきまして一定程度の規制があるというふうに認識をしておりますけれども、それは個別の補助金と寄附金等の関係について判断をされるべきだと思っております。
  44. 小川勝也

    ○小川勝也君 今日、総務省から部長にお越しをいただいておりますので、今私が問題提起をした、国から補助金を受けた団体は政治献金をしていいのかどうかについてお答えをいただきたいと思います。
  45. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) 政治資金規正法でございますが、政治資金規正法におきましては、国から一定の補助金等の交付の決定を受けた会社その他の法人は、その決定の通知を受けた日から一年間、政治活動に関する寄附をしてはならないという規定がございます。  ただ、この補助金には例外がございまして、試験研究、調査に係るもの、災害復旧に係るもの、その他性質上利益を伴わないものにつきましてはその例外ということになっておるところでございます。
  46. 小川勝也

    ○小川勝也君 記事によりますと、いろいろと取材に関係者がお答えをいただいておるんですけれども、山田委員長も御多忙な方でございます、国会もあるし、全国にも行脚をしなきゃならないというわけでございまして、本人が不在のパーティーが非常に多いということであります。  政治資金規正法が本人不在のパーティーというのをどのように規定をしておるのか、部長にお伺いをしたいと思います。
  47. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) 一般論でございますけれども、規正法上、政治資金パーティーは定義がございます。対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者又はその者以外の者の政治活動に関し支出することとされているものをいうと、これが規正法上の政治資金パーティーの定義でございます。  その収入金額等につきましては、収支報告書に記載の必要がございます。また、一のパーティーにつき同一の者から支払うことができる上限額が百五十万円以内と定められております。しかしながら、その一方で、開催場所でございますとか回数、形態、支払をする者につきましては特段の制限は設けられていないところでございまして、御質問の本人出席についても特段の要件とはされていないところでございます。
  48. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは、私が確信を持っていることではありませんけれども、取材をされた記者さんの感想であります。記載をされた場所とパーティーの開催ということを照らし合わせて、開会が不可能であると思われる日の記載があるというふうに取材した記者が言っておりました。これは私は確信はありません。  もし開催していないパーティーを記載をしたというときの法的な措置はどのようなものになりますか。
  49. あかま二郎

    大臣政務官(あかま二郎君) お答えをいたします。  政治資金パーティーが開催されていないにもかかわらず収支報告書にその旨の記載がある場合のお尋ねでございますが、総務省としては具体の事実関係を承知する立場にはないことでございますが、その上で一般論として申し上げるならば、政治資金規正法において、故意又は重大な過失により、収支報告書に虚偽の記入をした者については、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処するとされておるところでございます。
  50. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは、あえて私は山田委員長を責めるつもりはありません。これは、まずは法律が、我々の言葉で言うまさにざる法だということを証明しているんだと思うんです。  パーティーにはいろいろな決まりがあります。一企業、団体の年間献金額には上限があります。パーティー券は、一回当たり百五十万円以下と定めるだけで、回数を増やせば幾らでも資金提供が可能になります。公表基準も、五万円、献金はですね、パーティーは二十万円として匿名性が高い。すなわち、政治献金をするときには一人幾らまで誰が献金しましたかというふうに書きなさいというふうに言っているんですけれども、パーティーを何回も何回もやることにすれば書かなくていいことになります。すなわち、政治資金の透明性を意図して作られた政治資金規正法が機能していないということを、山田俊男先生を支える後援会関係者の皆さんがパーティーをたくさん開くことによって我々に提示をしたんだろうというふうに思います。このことについては後に聞きますけれども、もう一点気になることがあります。  この献金を本当は、パーティー券という形にして余りにも収支報告書にたくさんのパーティー件数を提示しなきゃならない会計責任者の立場も大変心苦しいものがあったかと思うんですけれども、それは、後で申し上げますけれども、誰から山田俊男委員長の政治を支えられているのかということを公表したくないからこうしているわけでありますけれども、そのインタビューに答えて、ついぽろっと言ったフレーズがあります。  どういうパーティーか、昼休みに弁当を食べるんだと、そして、いろんな農業に関しての話を聞いたりしたりするんだ、個人の費用負担はないと、こう新聞記事は書いてあるわけです。御丁寧にここに書いてあったのは、山田委員長と私は同じ改選期であります、一三年七月十日、我々は選挙期間中です、選挙期間中に山田俊男先生の政治パーティーが開かれて、そこに費用負担をしていない誰かが弁当を食っていると。これは我々がよく心配をする、いわゆる公職選挙法の供応に当たる可能性があるのではないかと私は心配をしているわけであります。  通告をしてありますので、総務省の見解をお伺いしたいと思います。
  51. あかま二郎

    大臣政務官(あかま二郎君) お答えいたします。  具体の事実関係を承知する立場にはございませんのでお答えを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げさせていただきます。  公職選挙法第百七十九条第二項において、まず、寄附とはというふうに定義されております。金銭、物品その他財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものというふうに規定をされております。一般的に、政治団体と企業、団体との間で債務の履行としてなされたものであれば寄附には該当しないと考えられております。この場合、当該企業、団体の役職員としての提供を受けることも同様に寄附には該当しないと考えております。  いずれにしても、具体の事例が公職選挙法に抵触するかどうかについては、個別の事案ごとに判断されるものというふうに考えております。
  52. 小川勝也

    ○小川勝也君 多分応援してくれる団体からパーティー券を買っていただいて、そこの誰か職員が来て弁当を食う、何ら不思議ないじゃないかというふうに委員長も思っておられると思う。しかし、公職選挙法を厳密に解釈するとすれば、明らかに買収になります。これは私の長年の経験と勘がそう言っております。  そして、山田委員長が農業や農村や農業者にとってどれだけ真剣に政治活動をしているかというのは、我々みんな知っています。しかし、取材した記者はこういうふうに言いました。五億円もお金を集めている、そうすると、これを見ている田舎の農家の方々は、多分山田さんはこのパーティー券を買ってくれた人のために仕事をしているんじゃないか、そして、そのことが今議論されている農協法に影響しているんじゃないか、こういうふうに一般の農家の方々や国民は思うんじゃないかと、こういうお話がありました。  私も、今日、山田委員長答弁を求められない立場でこういう質問をするのは本当につらい。委員長は今、農協改革で一番物を申したい立場なのにかかわらず、御自身の有り難くないこういう政治献金の話で自分は一言も抗弁することなくこの椅子に座っておられる。私は、友情をもって申し上げるとすれば、堂々と委員長席から降りて、自身の農業に対する思いを全国の農家の皆さんに発信できるような立場にお立ちになってから農協改革の法案に向かうべきだと思っております。  最後に、これは山田委員長のせいではなく、我々立法府がこの政治資金規正法をこんなぼろい法律のままほっておいているから、まさに国会の責任であると私は思います。そんな国会の中にあっても、今まさに御答弁をいただきました、国会を代表して政治資金をつかさどるいわゆる行政の職務に当たっておられる政務官に、この政治資金規正法の改正、今の事案を含めて我々はどういうふうな政治資金規正法改正をしなければならないのか、御示唆をいただければと思います。
  53. あかま二郎

    大臣政務官(あかま二郎君) 今委員の方からも御指摘ございましたとおり、政治活動というものについてどのように規制するか否かについては、政治資金の規制のこれについては各政党、各政治団体、政治活動の自由と密接に関連しておるものでございますので、各党会派にあって御議論いただくべきものというふうに考えております。
  54. 小川勝也

    ○小川勝也君 答弁があったかなかったか分からないような答弁でしたけれども、結局、献金をパーティーに分けたら全部隠せるということです。  林大臣、感想をお願いします。
  55. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに今総務省からお話がありましたように、これは立法府の責任だという小川委員のお言葉がありました。今私はこちらにおりますが、一方で参議院議員の一人でもございますので、一緒になって、李下に冠を正さずという言葉はございますけれども、国民から見て疑念を招かないように、常に我々襟を正しながら、あるべきルールについてはしっかりと議論すべきだと、こういうふうに考えております。
  56. 小川勝也

    ○小川勝也君 終わります。
  57. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 民主党・新緑風会の徳永エリでございます。  今日は水産について御質問させていただきます。  先ほど古賀委員からも御質問がありましたけれども、ロシア連邦の二百海里水域における流し網漁業禁止する内容の法案ロシア成立してしまいました。その結果、来年の一月一日から、日本漁船によるサケマス流し網漁での操業が、配付させていただいた資料にありますけれども、その地図の黄色い海域でできなくなるということであります。  私の地元北海道の釧路、根室、厚岸など道東地域漁業者、水産加工業に大変に大きな影響が出ます。地方創生の観点からも大変に深刻な問題でありまして、漁業者の所得が大きく減少しますし、それから雇用の場が奪われる、更なる人口減少にもつながるということで、大変に深刻な状況であります。  林大臣は談話を発表なさいましたけれども、改めて、この法案成立、どのように受け止めておられるのか、お伺いしたいと思います。
  58. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 政府としては、我が国漁業者操業を継続できるように、安倍総理からもプーチン大統領に対して再三にわたって働きかけを行うなど、あらゆるレベルで強く働きかけをしてまいったところでございますが、結果的に法案成立したことは極めて残念でございます。  日本漁船によるロシア水域サケマス流し網漁業については、北海道道東地域中心地域経済の中核を担う重要な漁業一つでありますので、地元関連産業への大きな影響、これが懸念されると、こういうふうに受け止めております。
  59. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 岸田外務大臣も談話を発表されておられます。  この法案提出の背景にはロシアの国内事情もいろいろあったと聞いていますけれども、日本政府のウクライナへの経済制裁に対する報復だという話も聞こえてきています。  外務省としては、この法案成立を受けて、外交上の問題をどのように捉え、また、岸田外務大臣の談話によりますと、日本漁業者が操業を継続できるようロシア側に累次働きかけてきたということでありますが、具体的に政府としてどのような働きかけをしてきたのか、それが十分であったのか否か、その評価について伺いたいと思います。
  60. 薗浦健太郎

    大臣政務官薗浦健太郎君) ロシア側の国内事情について政府としてまずコメントする立場にはございませんけれども、提出者、法案を提出された一人でございますマトビエンコ連邦院議長が、この法案については日本に対して向けられたものでは全くないということをまず発言をされておられます。  今大臣からもございましたように、総理を含めて、外務大臣、農水大臣から、あらゆるレベルで働きかけを行ってまいりました。  具体的にはという問いでございますのでお答え申し上げますと、まず、日ロ双方の科学者の間でサケマス類資源状態が良好であるという意見が一致していること、また、現状の規模での流し網漁が海洋生態系への直接的な脅威とはならないということも含めて、具体的にロシア側指摘をしながら働きかけを行ってまいりました。  こうした累次の働きかけにもかかわらず、法案成立は極めて残念なことでございますけれども、今先生御指摘のとおり、今後、日ロ漁業協力については、漁業者が操業を引き続きできるように対処してまいりたいと考えております。
  61. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 さらに、安倍総理プーチン大統領と電話会談をしました。法案成立を回避するように協力を求めたということですが、二十四日の夕刻に電話したときには、その約四時間後には上院でこの法案が可決されてしまいました。さらに、議会での法案成立後、プーチン大統領が署名をするかどうか、期限は十四日間あると、七月八日までと聞いておりましたが、二十九日には署名をして、法案成立してしまったわけです。  安倍総理との電話会談によって、僅かな可能性ではありましたけれども、大統領が署名をせずにロシアの議会で再審議となる可能性も私は期待をしておりました。日本漁業者に大きな影響があるということは、幾ら国内の事情だとしても、プーチン大統領理解しておられると思いますし、日本ロシアに対して多額の入漁料も払って操業しているわけであります。  それでもプーチン大統領は、期限を何日も残す中で法案成立させてしまった。これ、一般的に考えて、対ロシア外交は大丈夫なんだろうかと、安倍総理プーチン大統領関係はどうなんだろうかと疑問を持つわけでありますが、この辺りはどうなんでしょうか。
  62. 薗浦健太郎

    大臣政務官薗浦健太郎君) 先生御指摘の、今入漁料のお話いただきましたけれども、このことも含めて働きかけを行ってきております。  漁業協力というのは日ロ関係の中で非常に重要な協力分野の一つであるということは双方認識しておりますし、私どもも十分認識をしております。  総理とプーチン大統領との関係はどうなのかという日ロ関係全般についてお答えをするとするならば、我が方としては、政治対話をあらゆるレベルで継続をしながら我が国の国益に資するように引き続き日ロ外交を進めていきたいということでございまして、特にこの漁業関係におきましては、当初の法案においてはサケマス協定自体が破棄をされるというような指摘もなされたところでございますけれども、この協定が破棄される事態というのは回避されておりまして、ここの協定に基づく協力も含めて、漁業分野の協力というものにこれからも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  63. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 いずれにしても、この法案に関して外交的な働きかけはうまくいかなかったということが現実でありますので、このことをしっかりと重く受け止めていただきたいと思います。  今もお話ありましたけれども、今のところ、ロシア側日ロサケマス協定は引き続き有効であるとしているようでありますが、今後この協定への影響はあるのかないのか、外務省、水産庁それぞれにお伺いいたします。
  64. 薗浦健太郎

    大臣政務官薗浦健太郎君) 今御指摘禁止採択、この法案日ロサケマス協定破棄のための前提条件とはならないということは四月二十一日にロシア政府公式見解で表明をされておりまして、先ほど、法案提出者の一人であります連邦院議長マトビエンコ氏も、協定は引き続き有効であるというふうに発言をしております。  いずれにしても、この協定に基づく操業漁業者にとって極めて有効に機能するように引き続き協力関係を築いてまいりたいというふうに考えております。
  65. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 水産庁におきましても、日ロサケマス協定は引き続き有効であるというふうに認識しております。
  66. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 しっかりとお取組をよろしくお願い申し上げたいと思います。  先ほど古賀委員からもお話がありましたけれども、北海道道東地域根室、釧路、厚岸、この地域経済に大きな影響が出ると申し上げましたが、根室市の試算では、漁獲物の加工、流通を含め、道東地域の経済損失額は約二百五十億円以上と言われています。根室市は、ピーク時の人口約四万五千人から大きく減少しておりまして、現在は二万八千人です。根室に行くと分かりますけれども、昼間でもほとんど人が歩いていないというぐらいに非常に地域は疲弊しています。水産業とともに町もどんどん疲弊していっているという現実があって、現在、根室市の全労働者の約三分の一が水産関係者なんですね。ですから、今回のこの法案成立は大きな影響があるということを本当に重く受け止めていただきたいと思います。  この法案成立によって地域が崩壊することのないように、国が責任を持って補償も含めた対応を早急に御検討いただき、漁業関係者が意欲を失って離職するようなことがないようにしっかりと対応していただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。お願いいたします。
  67. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 昨日から担当部長北海道道東地域に派遣をいたしまして、関係者のお話をお伺いをしているところでございまして、現地状況それから関係者の皆さんの御意向、これを十分に把握するように努めておるところでございます。  まさに、この意見交換を通じて現地状況関係者の御意向を把握して、関係府省とも連携しながら万全の対策を講じてまいりたいと思っております。
  68. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 現場の声をしっかり聞いていただいて、現場の声に沿った対応お願いしたいということを重ねてお願いさせていただきたいと思います。  続いて、太平洋クロマグロについて御質問させていただきます。  六月十九日の壱岐新聞に壱岐市マグロ資源を考える会が意見広告を出しました。四月二十七日に行われた第三回の総会で、独立行政法人水産総合研究センターの宮原理事長がマグロ資源の現状と管理の方向性を説明したが、親魚資源量と子供の量、加入量は無関係である、加入量は環境要因に大きく影響される、親が減っても子供は減らないなどの水産庁の説明と、資源管理が重要と考える漁業者の訴えとの間に大きなギャップがあることが浮き彫りになりました。五月二十一日のこの委員会での、舞立委員のウェッジに掲載された東京海洋大学の勝川准教授の指摘に対する質問への水産庁本川長官の御答弁に対して、漁業者の方々は違った意見を持っておられるということです。私は、この漁業者の懸念の声に、感情論、感覚論を超えたこれが現実論なのではないかというふうに感じております。  太平洋クロマグロ資源量が減少しているということは皆さんもよく御存じだと思います。また、昨年十一月十七日、IUCN、国際自然保護連合が絶滅のおそれがある野生動物を評価したレッドリストを発表して、太平洋クロマグロを絶滅危惧Ⅱ類として掲載をいたしました。IUCNのレッドリストは、絶滅のおそれのある野生動物の国際取引を規制するワシントン条約、CITESの対象種を決める判断材料にもなるので、このままだと、状況によっては太平洋クロマグロの輸出入ができなくなるということも考えられます。IUCNのブルース・コレット・マグロ類専門家グループ部会長から発表文で、日本が主な漁場とする中西部太平洋で保護を進めなければ短期的な状況の改善は望めないとの警告もあったということであります。  TPPでも環境の分野で交渉が難航したということですし、海外の環境保護団体とかそれから動物愛護団体、こういったところのプレッシャーが大変非常に大きくなっているということもあります。  日本も、日本の水産業やそれから食文化を守っていくためには、国際社会に対して説得力のある、もう日本もこれだけのことをしているんだ、これだけの厳しい資源管理をしているんだというような取組をしっかりアピールをしていって、圧力や批判をはねのけていかなければならないというふうに私は考えております。それには、やはりそれなりの厳しい対応をしていかざるを得ません。  今日は太平洋クロマグロについて御質問をさせていただきますが、配付資料の二ページを御覧いただきたいと思います。昨年二月に世界銀行が出したレポートです。二〇三〇年までの漁業生産の予測です。日本だけがマイナス九%なんですね。オリンピック方式と言われる早捕り競争を続ける日本は、世界から問題視をされているということであります。また、下の円グラフを御覧いただきたいと思いますけれども、九割近い漁業者の方が資源の減少を実感しているということであります。  そして、資料の四ページを御覧いただきたいと思います。太平洋クロマグロの親の資源量も、歴史的最低値、一九八四年の約一・九万トンにどんどん近づいていて、二〇一二年は約二・六万トンであります。その理由を、日本の多くの国民認識は、水産大国日本は国や全ての漁業者が協力して海洋資源、水産資源管理を適切に行っているんだ、韓国や台湾など他の国が大量に魚を捕るから、だから資源が少なくなっているのではないかと、私も実はそう思っていた一人であります。  しかし、資料三ページの上の表を御覧いただきますと、国別のクロマグロの漁獲量を見ると圧倒的に日本の漁獲が多く、全体の漁獲量の約六割を占めています。クロマグロが激減している責任はこの表から見ても日本にあると言っても過言ではないというふうに思います。  そこで伺いますが、日本資源管理の現状と、これまでの日本対応はどうだったのか、水産庁としてはどう受け止めておられるのか、他国と比較すると日本の水産資源管理規制は厳しいのか甘いのか、それはなぜなのか、お伺いをさせていただきます。
  69. 本川一善

    政府参考人本川一善君) お答えに入ります前に、まず、二ページの資料でございますけれども、この資料は世銀レポートでございますけれども、いろんなシナリオについて分析をしております。ここにありますのは基本シナリオと申しまして、二〇〇〇年から二〇〇八年の漁獲実績を単純に三〇年まで延長した、そのようなシナリオでございます。  したがって、この間伸びている国については伸びておりますし、それから、日本の場合にはここのところ少し資源状況が悪くて低迷しておりましたので下がっておるといったような状況でございますが、これ以外に六つぐらいのシナリオを議論しておりまして、例えば、漁獲漁業の生産性が向上するシナリオでありますと日本が一番回復する、あるいは漁獲漁業に気候変動が影響するシナリオであればこれも日本の相当の回復が見られる、そのようないろいろなシナリオについてやっているものでございますので、その点についてまず言及をさせていただきたいと思います。  それから、太平洋クロマグロにつきましては、当然、生活史の大部分日本近海で過ごす魚でございますので、日本の漁獲量が多いのは事実でございまして、その資源管理において大きな責任を有する、そういう立場にあると認識しております。  ただ一方で、先生が先ほどお示しになった三ページの上のグラフを御覧いただきたいんですが、直近、二〇一二年、日本のところの二つの数字を足していただくと六千二百八十三トンになりますが、メキシコのところの数字を足していただきますと六千六百六十八トンになります。この二〇一二年について言えば、太平洋クロマグロ日本は四一%しか漁獲をしていないといったような形でございまして、韓国あるいはメキシコ、こういった国々が最近漁獲を伸ばしてきておる、まさにそういう国際的な資源でございます。日本からメキシコの方まで回遊をしてメキシコから帰ってくる、メキシコで巻き網で捕られるといったような性格がございます。  したがいまして、私どもとして、この太平洋クロマグロ管理につきましては、こういう国々と国際的な機関の中でどのように管理をしていくかということを科学的に議論をし、設定していく必要があるというふうに考えております。そのような中で、私どもとして、このWCPFCという中西部太平洋まぐろ類委員会、こういう場において科学的議論をし、そこで出された科学的な結論に従って管理をしていくというのが今の日本の立場でございます。  具体的に申し上げますと、このWCPFCの国際科学委員会は、近年の太平洋クロマグロの親魚量の減少というのは、漁獲がゼロ歳から二歳までの未成魚がほとんどであり、近年この未成魚の漁獲が資源に与える影響が増大したこと、また、近年未成魚の発生が少ない年が頻発し、この結果、親魚まで生き残る魚が少なかったことが主な原因との認識で一致をしておりまして、未成魚の漁獲量の削減が重要かつ緊急であるというふうに指摘をしております。  水産庁といたしましては、悪化していく太平洋クロマグロ資源を確実に回復していくため、このWCPFCへの積極的な働きかけを行って合意に努めてきたところでありまして、そういう結果を踏まえて、今年度から未成魚の漁獲を半減させる、そのような管理措置に取り組んでおるところでございまして、これを強力に推進してまいりたいと考えているところでございます。
  70. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 世銀のレポートについてお話がありましたけれども、メディアもこういったレポートを取り上げるわけですよ。今長官からお話を聞いて、ああ、そういうことかというふうに思いますが、やっぱりもっとちゃんと水産庁も、このリポートに問題があるならばきちんと指摘をするべきだと思いますよ。もう少しデータを表に出していくとか、否定するのであれば否定するようなデータをしっかり出していくということをしないと独り歩きしていくと思うんですよね。  それと、メキシコのお話がありましたけれども、日本はメキシコから輸入していますよね。漁獲量は多いかもしれませんけれども、世界で一番食べていて、一番捕っていて、一番輸入をしているのは日本なわけですよ。この現実をしっかりと受け止めなければいけないというふうに思います。  欧米と比較すると日本資源管理は十五年遅れているというお話も聞こえてきています。石破大臣も、昨年の十月に日本テレビの「ウェークアップ!ぷらす」に御出演されまして、排他的経済水域の設定など、世界、世の中が変わったのに日本の政策が余り変わらなかった、まあいいかと今に来てしまった、うまくいかなかったら、なぜだろうと考え、新しいシステムを入れる必要があったんだと、どこが政策として合わなくなったのか、早く検証しないと間に合わない、そのためには漁業はまず資源管理の在り方をもう一回見直さなければいけない、国の政策そのものを見直さないといけない部分が出てきている、その知恵は地域にあると、そうおっしゃっているんですね。また、十一月に都内で行われたJF全国代表者集会でも、漁獲量、漁獲高を回復しない限り日本の水産業の発展はない、資源管理をするにはどういうやり方が一番良いのか、どのように管理すれば漁業者の生活が安定し、所得が向上するのかを考えたい、日本が食料、エネルギーで自立を取り戻すことは世界に対して果たすべき責任だというふうにおっしゃっています。  知恵は地域にあると石破大臣はおっしゃっているわけでありまして、いわゆる科学的根拠と言われるデータで国が決める方針に対して、現場は、地域は大変な危機感を持っているわけであります。だから、壱岐市のマグロ資源を考える会、対馬市曳縄漁業連絡協議会、対馬マグロ船団は、マグロ資源の回復と持続可能な漁業の確立を目指して、産卵親魚に十分な産卵をさせることを目的に、七里ケ曽根周辺海域における産卵期、六月一日から七月三十一日の三十キロ以上の産卵親魚に限定した禁漁を三か年、これについて合意して、本年の六月一日より実施をしているわけであります。壱岐市マグロ資源を考える会の中村会長は、水産庁の進める三十キロ未満の未成魚の漁獲制限だけでは不十分であり、未成魚の漁獲量制限と並行して三十キロ以上の産卵親魚についても十分な産卵をさせることが必要だとおっしゃっております。  これは壱岐だけではないんですね。北海道でも、それから大間でも、一本釣りやはえ縄漁で捕っていた漁師さんたちが、マグロがだんだん小ぶりになってきている、大物が捕れない、数が減っているんだと危機感を覚えて、漁業者の側から規制を求める声が上がっているわけであります。  石破大臣の御発言、また水産庁の三十キロ未満の未成魚の漁獲制限だけでは不十分という地域、現場の漁業者の声に対して、改めて長官の御意見を伺いたいと思います。
  71. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 壱岐、対馬の漁業者の方々が自主的な取組をしておられるということについては、私ども心から敬意を表する次第でございます。  一方で、WCPFCの規制を超えて、巻き網の業界においても、産卵親魚について二〇一一年から二千トンに制限をする自主的な措置に取り組み、今年からは千八百トン、六月―七月で千八百トンという自主的な措置を行っている。こういう巻き網漁業者の方の自主的措置に対しても私ども敬意を払う次第でございます。  先ほど冒頭申し上げましたように、太平洋クロマグロは国際的な回遊資源でございますから、私どもとして、やはり国際的な機関の下で科学的な議論をし、その科学的な根拠に基づいて規制を掛けていく、制限をしていく、そのようなことが大事ではないかと思っております。  先ほど先生も引用されましたが、このISC、科学委員会で議論したところによりますと、親魚量が一定量以上である場合において、産卵親魚量と幼魚量の加入量には相関関係はほとんど見られない、したがって、産卵親魚量を調整するということよりも、やはり未成魚の漁獲制限をするということが有効であるということが今のWCPFCの科学委員会における見解であるということでございます。  私どもとして、そういう科学的な見解、それから国際機関での合意、こういったものを踏まえて対応していく必要があると考えております。仮に、そういう国際機関の合意なく、あるいは科学的な根拠なく対応するということになりますれば、規制の効果、これが十分に発現されないということになると思いますし、資源管理について漁業者の理解が得られなくなる、規制を受ける側の漁業者の理解が得られなくなる、あるいは管理措置が遵守されなかったり、最悪の場合、訴訟等にも発展する可能性があると、そのように認識しております。  結論から申し上げれば、やはり国際的な機関の下における科学委員会の指示、こういったものに従って管理を続けていく、こういうことが適切ではないかと考えておるところでございます。
  72. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今長官から巻き網についての言及もありました。水産庁は産卵場での規制をしない方針を示していますけれども、大中の巻き網業界は、巻き網の産卵魚群の漁獲自主規制を行っているということであります。これまで、二〇一一年から六―八月の産卵親魚の漁獲量を二千トンに、そして今年は八月の操業を自粛し、六―七月の漁獲量が一千八百トンを超えないようにするということでありまして、確かに規制は行っております。  しかし、お手元の資料の五ページを御覧いただきたいと思いますが、境港におけるクロマグロの水揚げ状況です。これ、ずっと見ていきますと、境港での巻き網による水揚げの自主規制数量を二千トンから千八百トンに強化したということでありますけれども、最近の実質的な漁獲量よりも実際にははるかに多いわけですね。これでは厳しい規制にはなっておらず、資源回復にはつながらないのではないかというふうに思いますが、この点については、水産庁は評価しておられるようですけれども、いかがでしょうか。
  73. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 先生が今引用されました五ページの表でございますが、これは境港におけるクロマグロの水揚げであります。この重さは、魚のえらとか内臓、これを外した重さがここに表れております。したがって、WCPFCにおける漁獲量規制はそういうものを外さない原魚の形で規制されますので、まず、これをえら付き腹付きに戻す必要があります。それからもう一つは、日本海のクロマグロについては、境港だけではなくてそれ以外の港でも水揚げされておりますので、そういうものも加える必要があります。  ちなみに、少し申し上げますと、二〇一一年でございますが、二〇一一年が今これ千六百五十二トンになっておりますけれども、そういう他港に揚がるものとか、あるいは腹付きえら付きにしますと千九百六トンになります。それから、二〇一四年はこれが千五百六十四トンでございますけれども、二〇一四年については千九百十八トンでございます。この千九百十八トンは、七月二十六日操業、この年は八月まで操業できましたが、七月二十六日でもう二千トンを超えそうだったので打ち止めをした数字でございます。  したがって、私どもとして、この二千トンという数字がそのような形で、腹付きなりえら付きに戻して他港に揚がっているものを含めて考えれば、二千トンというものは自主的な規制の意味があった。さらに、今回の千八百トンについても、昨年は七月二十六日打ち止めで、千九百何トン捕っておりますから、そういう意味では、全く効果がない数字であるというのは余りにも理解のない御主張ではないかなというふうに思っておるところでございます。
  74. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 二〇一五年の六月五日から、学習院大学の阪口教授という方が、太平洋クロマグロ資源回復に向けてというインタビュー記事をみなと新聞に六回掲載しているわけであります。  この阪口教授によりますと、ISCは日本海の巻き網が減少が続く親魚資源量や加入量に悪影響を及ぼしていないとは一切言っておらず、単に明示的に分析をしていないだけで、産卵魚群の漁獲を削減した場合の資源回復についても分析していないし、ISCには、産卵魚群の漁獲は資源を悪化させていないといった論文、報告書は一切ないということで、長官が否定なさったその勝川准教授の指摘を肯定するものなんですね。  一方で、六月二十五日の水産経済新聞では、カツオ、マグロの研究者の三宅博士が、科学的検証の結果、資源管理観点から見て産卵魚規制論は科学的根拠に欠けると。一般人には極めて分かりにくく難しいISCの議論だが、一対の親魚が一回に何千万粒を産卵するクロマグロの場合、産卵資源量は直接加入量は左右しないとし、幼魚への漁獲規制が最優先課題で、漁業資源に与える影響は親魚になった段階での尾数で考えるべきだと指摘しておられ、産卵親魚漁獲量は、重量では大きいが、尾数では幼魚よりはるかに小さく、資源回復上の優先度は低いとしています。  今の水産庁長官のお話もありましたけれども、正直私たちは誰が言っておられることが正しいのかよく分からないんですね。是非とも私たちに分かりやすいような科学的根拠を、データをしっかりと示していただいて、納得した説明をしていただきたいというふうに思います。  こういった勝川准教授あるいは阪口教授そして三宅博士、もうみんな意見が違うわけですけれども、このそれぞれ研究者や専門家の意見が違うことに対しては長官としてはどのように受け止めておられますか。
  75. 本川一善

    政府参考人本川一善君) いろいろな科学者の方がいろいろおっしゃるということはそれぞれ重要なことだろう、科学の発展のために重要だろうというふうに思っておりますが、ただ、冒頭私申し上げましたように、先生もおっしゃいましたが、ISCの科学委員会のデータで親魚量が一定量以上である場合には産卵親魚量と幼魚の加入量には相関関係はほとんど見られないという、この前、舞立先生の議論のときにもここでデータを御覧いただきながら御説明申し上げましたが、それが今、産卵親魚量と加入量との関係にあるデータでございまして、それに基づく限りにおいては三宅先生のおっしゃっていることが私どもとしてはやはり基本ではないかなというふうに思っております。  いずれにしましても、この件に関しまして、科学的議論は世界各国の科学者が集まってWCPFCの科学委員会で行っておりますので、その場における結論というのがまずその段階での正しい科学的な見解であると私どもは思っておりますし、それについて、ただ、時間的な経過はございますので、科学委員会がまず何を一番最初に取り組むべきかといったような優先順位を付けて取り組んでおります。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕  そういう意味で、やはり産卵親魚の問題あるいは親魚の問題よりも、そこは二〇〇二年―二〇〇四年の水準で抑えておいて、一方で、幼魚の、未成魚の、これにまず緊急に取り組むべきであるというのが今の段階であるというふうに私どもは認識しております。
  76. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ちょっともっと突っ込んでやりたいんですけれども、時間がなくなってまいりましたので。  今、水産庁は、未成魚の削減ありきということで、未成魚の五〇%削減以外は十年以内に歴史的中間値四・三万トンまで回復しないと言い切っているということでありますけれども、先ほどの阪口教授は、未成魚だけではなくて成魚の漁獲を削減した場合の分析もISCに依頼して、その上で国際的にも理解の得られる規制を実施するべきとして、沿岸の漁業者だけではなくて大中の巻き網漁業者も長期的に安定した操業を維持するためにも抜本的な規制を行うべきだというふうにおっしゃっております。  沿岸にしてもこの大中の巻き網業界にしても、規制強化するとなると心配するのは漁業者の方々の減収ということになりますが、今日は平副大臣にお忙しい中お越しいただきましたが、五月十六日に、平副大臣は「水産資源管理に地方創生あり」というシンポジウムで漁獲規制の必要性についてお話をされております。規制による漁業者の減収に対して返済型の補助金の提案をされたとお聞きしております。  平副大臣に、水産資源規制管理についての御意見、また、この返済型の補助金についてお話をいただきたいと思います。是非とも思いのたけをしっかりとお伝えいただきたいと思います。
  77. 平将明

    ○副大臣(平将明君) ありがとうございます。  このシンポジウムは私の母校の早稲田大学と民間の財団が共同で出して開催をしているシンポジウムで、呼ばれて行ってまいりました。  私は地方創生担当副大臣でありますので、一義的には資源管理は水産庁の所管になると思いますが、やはり一次産業がちゃんともうかるようにならないと地方創生はできないだろうということで、こちらの方もいろんな検討をしているということでございます。  この返済型補助金の経緯ですが、実は、私はずっとベンチャー政策に携わってまいりまして、スタートアップのところではお金を出しにくい。財政当局は出し切りのお金というのはすごい嫌がるものですから、今そのベンチャー政策の流れでは、お金を出すんだけど、それをストックオプションみたいな形にして、成功したら返してもらおうというやり方ができないかという政策の議論を進めておりまして、これは近々政策として実現できるのではないかというふうに思っております。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕  そういう流れで、今いろいろ議論がありましたけど、やっぱり資源管理は重要だという意見も一方であって、ただ、資源管理をかなり強烈に入れると、そこでやっぱり生活をしている漁業者の人、港とあと周辺の地域経済に大きな影響が及びます。一方で、海外の事例を見ると、かなり厳しい資源管理を入れて、当初は漁業をやっている方も反対をしていたんだけど、数年たって資源が回復して結果としてもうかるようになりましたという事例もそこそこあるわけでありますので、ここで重要なのは、しっかりとした、先ほど長官の話もありましたけれども、科学的データがあって、ここでは我慢するんだけど将来的には回復するという絵が描けて、その段階になって初めて、じゃ、その手前のところの漁業者の皆さんとか地域経済をどう支えるかという考え方の中で、出し切りの補助金ではなくて、将来もうかるのであればもうかった分は戻してくださいという考え方があるのではないかという個人的なアイデアを述べさせていただいたということだと思います。  今、水産庁の御説明がありましたけど、いろんな意見が出ていて、素人から見るとどっちが正しいのかよく分からないという今状況だと思いますし、現場の漁業をやっている方とかあと市場の方なんかは、やっぱり最近、魚が小さくなった、捕れなくなったという実感もあるわけですから、これは与野党対決ではなくて議論を深めていくべきだという認識を持っております。
  78. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。もうかったら返すという形になるわけですが、そのためには資源回復もしなければいけない、漁獲量も増やしていかなきゃいけないわけですから、これは水産庁もほかの省庁も含めて、地域創生という部分も含めて、全力でみんなで取り組むという体制をつくるという意味では非常に御提案はすばらしいと私は思っております。  それで、最後に委員長お願いをしたいんですけれども、サケマスの件もありますし、マグロの件もあります。捕鯨のこともあります。それからイルカの問題もあります。一度この農林水産委員会で水産の集中審議を行っていただきたい。あと、いろんな研究者の方々に参考人として来ていただいて、皆さんの意見をちゃんと聞いた上で、私たち農林水産委員も考えて、今後の水産王国日本の在り方についてしっかりとみんなで形をつくっていきたいというふうに思いますので、そのことをお願いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  79. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  80. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  もう一月以上この委員会の開催が間が空きまして、何か本当に久しぶりにここに立ったなという思いがいたします。いよいよ今週からはこの農林水産に関する調査もここ参議院が本舞台になるということでございますし、今国会の会期はもう一旦、当初の会期は終わっているわけでありますけれども、今日からまた新たに始まったという、そういう清新な気持ちでこれから質問にまた臨ませていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  これだけ期間空きました。空いている間、逆に私たちもたくさん時間をいただきましたので、いろいろ農業の現場ですとか生産者の皆様とお話しする機会もつくらせていただきました。  今日の質問は、先日お伺いをいたしました千葉県内、これは富津市を中心に活動している農業生産法人の皆様といろいろ意見交換をさせていただいたんですが、そのときにいただいた着想ですとかお声、そういったものを中心に今日はちょっと政府の考えをお伺いしていきたいというふうに思っております。  まず、この農業生産法人について御紹介させていただきたいんですが、この法人は十四名ぐらいの基本的に若手の農業者だけでつくっている生産法人でございます。実は、それぞれお一人お一人は、例えば稲作農家であったりメロンの農家であったりトマトであったり、お一人お一人がそもそも自分の家がちゃんと農業として自立している、そういう方たちが若手の方が集まって、作業受託を目的として営農集団を四年前に結成して、今は農業生産法人としていろいろ地域の課題にも取り組んでいるという、こういう方たちでございました。  この若手の方たちが結束していろいろ取り組むようになったきっかけというのが、地域の皆さんから、とにかく最近耕作放棄地が増えて、例えばそこが野生鳥獣、ハクビシンですとかそういったもののすみかになってしまって、最近農地が被害を受けるようになった、あるいは見た目も良くなくなったと、こういう声を受けて、じゃ何とか地域で育った我々で解決してみようじゃないか、こういうことで、耕作放棄地の再生ですとか、そういったものにも取り組んで今いらっしゃるということでございました。  これまでにおよそ十ヘクタール、遊休農地も再生して、今、飼料用米ですとかそういったものの耕作にも取り組んでいるということでございます。また、先日、雪害ですとか、ああいったときにも、パイプハウス、地域中がとにかく倒れてしまったので、じゃ自分たちで直そうということで、全部自力で作業受託をして直して回ったと。地域をとにかく再生したいという思いで集まっている皆様でございました。  この方たちといろいろお話をさせていただいて私も刺激を受けたんですけれども、やっぱりいろいろな特徴があるなということを改めて実感しました。まず最初に感じた特徴は、これ当たり前なんですけれども、この農業生産法人の若手の農業者の皆さんというのは、基本的に周りの、地域の農家の皆さんはもとより、市の農政課の皆さんですとかあるいはJAの皆さんと本当によく連携しているんですね。何か新しいことをやろうというたびに必ずみんなで集まって、例えば行政から何か支援をもらえないか、あるいはJAとして何か協力することはできないかということを本当に三者が集まってしっかりと議論している。  ですから、この農業生産法人が作業受託したもの、例えば集金はJAの方たちが代行して行われていたり、あるいは、全国のすしチェーン店がいわゆるお客様の刈り入れ体験イベント、こういうのの場所を探していたというのをJAの方たちが探してきて、その生産法人と結び付けている、そういう形で本当に協力関係がうまくできているということでございました。  ただ、じゃ、いよいよ本題なんですけれども、この青年農業者の皆さんに、ところで、今、課題として感じていること、何か御要望はありますかということをお伺いしましたら、実はイの一番にいただいたその御要望というのが、耕作放棄地に対する課税強化をしっかりしてくださいということを実は言われました。ちょっと私も意外な感じがしました。  これ、結局のところ、ちょうどお伺いした当日というのが、規制改革会議でまさに遊休農地に課税強化したらどうだという話があった、報道が出た、その翌日か何かでありましたので、その記事を受けてということも多分にあったと思うんですが、結局、この若手農業者の皆さんというのは、地域の課題に基本的には顔が見える範囲で一生懸命取り組んでいるわけですね。JAの皆さんですとか地域の農家の皆さんに、あそこ空いちゃっているけれども誰の持ち物かな、行ってみて、ちょっと貸してもらえないか聞いてみるわと、こういう形で一軒一軒、実はその地域の中で協力し合える範囲で遊休農地を何とか再生したいという思いで歩いているんだけれども、それには限界があるということをやっぱり基本的にこの要望の中ではおっしゃっていただいたというふうに思っております。  その意味で、この課税強化というのは、まあ劇薬的なところもありますし、当然財産権の問題ですとか、あるいは実効性としてどうなのかと。そもそもその地域にいらっしゃらない方だったりするということもあって、ちゃんと検討するんであれば慎重に検討しなければいけないところだと思うんですが、やっぱり現在、土地持ちの非農家の方が大変増えている、あるいは農地がいわゆるもう亡くなった方の名義のままで登記されたような状況で放置されていると、こういうことが実際に指摘されているわけであります。  こういうものを受けて、やはり政府としても何か、例えば遊休農地のいわゆる棚卸し、権利者が誰なのかもう一回しっかりと確認し直す作業ですとか、登記制度の在り方を再検討するですとか、そういったことを様々取り組む必要がやっぱり今あるんじゃないかなと思うんですが、この点について、今日、まず、法務省にも来ていただいておりますので、御見解をお伺いしたいと思います。
  81. 金子修

    政府参考人金子修君) 登記制度についてお答えいたします。  農地の所有者が死亡した後も長期間にわたり相続登記がされず、農地の登記上の所有者と実際の所有者が異なることになった結果、所有者の所在の把握が困難となる例が生じているというようなことは承知しております。  ただ、法務省としましては、登記は対抗要件でありまして、私的自治の観点から、登記そのものを義務付けたり強制したりすることは難しいというふうに考えております。もっとも、不動産に関する権利の公示という観点からは相続登記が速やかにされることが望ましいということから、相続登記の促進に関する記事をホームページに掲載して広報するなどの対策を講じ、登記手続を行うことの意味、それからメリットについて理解が進むよう取り組んでいるところであります。  また、本年度から、これは国土交通省が事務局になっていただいているわけですが、所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会というのが立ち上がりまして、有識者の方々に所有者を探索するノウハウの取りまとめなどの施策について総合的に検討していただいているところであります。  法務省としましても、この検討会に全面的に協力しまして、そこでの議論を踏まえて、引き続き関係省庁とも連携の上、この問題の解決に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  82. 平木大作

    ○平木大作君 この問題、義務付けがいろいろ難しいという今お答えもありましたけれども、耕作放棄地、遊休農地の再生というのはやっぱり農林水産省が先頭に立ってこれは取り組んでいただきたいと思うんですが、この点について今の角度ともし違う答弁があったらお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。
  83. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農地については、担い手への農地の集約化と並んで、今お話のあった耕作放棄地の発生防止や解消、大きな課題でございます。  市町村また農業委員会調査した客観ベースの耕作放棄地は、平成二十五年ですが、二十七・三万ヘクタール、そのうち再生利用可能なものが十三・八、再生利用が困難なものが十三・五万ヘクタールと、こういうことでございます。  再生利用可能な農地については中間管理機構も活用して耕作放棄地の解消を図ろうということで、まず所有者に対して農業委員会が利用の意向の調査を行うと。それから、所有者が意向表明どおり、していただいた上でこの表明どおりに実行しない場合には、最終的に都道府県知事の裁定によりまして農地中間管理機構が当該農地を利用する権利を取得できることになっております。また、所有者が分からない遊休農地、共有地の場合は過半の持分を有する者を確知できない場合ですが、この遊休農地については、公示手続を行うことによって、都道府県知事の裁定を経て中間管理機構が利用権を取得できるようにいたしております。  また、先ほど税制もちょっとお触れになっていただきましたけれども、平成二十七年度税制改正に際しても、中間管理機構に貸し付けた農地について固定資産税を軽減して、一方で、有効活用されていない耕作放棄地については課税を強化すると、こういう要望をセットで出させていただいたんですが、最終的には調整が付かずに、与党の税制大綱では、農地保有に係る課税の強化、軽減等の方策について総合的に検討すると、これがこの与党の税制大綱でございます。  こういう経緯、また、今御紹介いただいたように規制改革会議の答申が出ておりますので、こういうことも踏まえながら、耕作放棄地の発生防止、解消を進めて、中間管理機構を早期に軌道に乗せていくという観点からも、平成二十八年度税制改正に向けて検討をしてまいりたいと思っております。
  84. 平木大作

    ○平木大作君 これ、税制ですとか様々な面に関わってくる政策になる。しかも、省庁横断で取り組んでいただく必要がある。ただ、やはり現場の皆さん、それこそ自分たちの地域をもっともっと再生していきたいという思いが今あふれているということだけはしっかりと受け止めて、また前進していただきたいということをお願いしたいと思います。  ちょっと本論からずれるんですが、関連してお伺いしておきたいことが一点ございます。  それは、今大臣からの答弁にもありましたが、いわゆる農地の集積に関して、最近これよく報道で、農地中間管理機構の集積状況が余り思わしくなかった、今後は都道府県ごとの貸出状況に応じて予算配分を検討していくんだということが盛んに言われているわけでありますけれども、これがいわゆる中山間地域ですとか条件不利地の皆さんには、大丈夫なのか、自分の地域はという、こういうふうに大分今広がって、不安の声を私もたくさんいただいております。  この点について、それは取組が甘いからその予算配分をある意味インセンティブを付けるというのであれば当然分かるわけですけれども、その地域の実情をしっかりと踏まえた上でこれは予算配分等方針をこれから作られると思うんですが、この点、確認をさせていただけますでしょうか。
  85. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農地の中間管理機構の関係でございます。  この中間管理機構、担い手への農地の集積、集約化ですとか、それから今もございました耕作放棄地の発生防止、解消、こういった課題の解決のための一つの手法といたしまして各都道府県に整備をしたものでございます。  各都道府県の初年度、平成二十六年度の実績を見てみますと、農地の流動化に向けて動き出したことは間違いないと思っておりますけれども、今後十年間で担い手のところに全農地面積の八割を集積する、これが目標でございますので、これを達成するためには相当な努力をしていかなければいけない、こういう状況だというふうに考えております。このために、各都道府県それから各県の機構におきましては、役職員体制の整備ですとか、こういったことを始めとして、この機構事業を確実に軌道に乗せるように、従来にも増して真剣に取り組んでいただきたいというふうに考えております。  そのための一助といたしまして、この二年目ということになりますが、平成二十七年度までの実績を見た上で、平成二十八年度以降、この実績を上げた県について各般の施策について配慮する仕組みを設ける方向で検討していきたいというふうに考えておりますが、この仕組み等につきましては、関係者の御意見も伺いながら、時間を掛けて慎重に検討していくことにしております。  その際の実績でございますけれども、各県のこの農地の集積目標ですけれども、これは一律の数字になっているわけではございません。これまでの各県の状況を踏まえて設定をしておりますので、この目標につきましても、その県の中山間地が多いかどうかとか、これまでの実績がどうかと、こういったことが当然考慮されておりますので、その点はきちんと公平に判断ができる仕組みになっていると、こういうことでございます。
  86. 平木大作

    ○平木大作君 よろしくお願いします。  本論に戻りたいと思うんですけれども、先ほど申し上げました、意見交換させていただいた青年農業者の皆様、特徴の二つ目として私が非常にすばらしいなと思ったのは、いわゆる自分たちが取り組む上で利用できる制度はとにかくしっかりと利用し尽くすと。例えば、国のいろいろ補助制度ですとかあるいは支援、そういったものも活用しますし、県独自のものでいいのがあったらそれもしっかり活用すると。非常にここは柔軟にやっているなというのを感心をしました。  結局、私もいろいろ農業の現場お伺いすると、説明が分かりにくいだとか、そんな話聞いていないだとか、フォームが面倒くさいとか、こういう割と制度に関しては苦情をいただくことも多いんですけれども、その点、あえてお伺いしてみましたら即答で、こういう補助の、いわゆる国の支援策だとか補助金の制度というのは全部ネットに出ている、自分たちはとにかく隅から隅まで見て、一番自分たちにいいものを選んでいるんだから何の問題もありませんという、そういうお答えでありました。若い方たちはやっぱりすばらしいなというふうに思った次第なんですけれども。  この方たち、申し込んでみて採択に漏れたものも当然あったわけですけれども、一つ今自分たちだけで取り組まれているのが実はドローンの開発なんですね、農業におけるドローンの利用というところに今取り組まれている。これは申し上げるまでもないと思うんですけれども、基本的に農業で今ドローンをいろいろ利用しようと思っても真正面から基本的に支援してくださる制度がないという状況でありまして、だったら自分たちでやるしかないなということで今取り組まれているわけです。  メンバーの中に稲作農家の方もいらっしゃるんですけれども、なかなかやっぱりこれからコスト低減、九千六百円まで一俵当たり下げていこうという取組をしているときに、まだ見えてこない、今三十ヘクタールまで広げているんだけれども、やっぱりまだ千五百円ぐらい差があるなということをおっしゃっておりました。ここから先に進もうとしたときに、例えば直まきですとか、あるいは農薬を無人のヘリコプターでまく、そのくらいやっぱりやらなきゃいけないのかと思うわけだけれども、結局、私も以前の質問で取り上げましたが、一機千二百万円もする無人ヘリはなかなか導入できないと。だったら自分たちでドローンを改造してやるしかないということで、今市販されているドローンを町工場の中に持ち込んで、農薬を散布する機械を一緒に作りながら、何とかくっつけられないかといって試験飛行していると、こういうことでございました。こういう一つ一つの取組、これから恐らく全国で広がっていく、若しくはもっと先進的にやっているところもあるんじゃないかなと思います。  一方で、いわゆる農業での無人ヘリコプターというのはもう既に、そもそも制度がしっかりと整っていて、走り出している制度でございます。農水省のこの管轄の中で、一般社団法人農林水産航空協会がしっかりと指針を作ってガイドをしている。その中で、各都道府県には無人ヘリコプター協議会があって、それぞれ使うたびに報告を受けたりですとか、そういう仕組みがもうでき上がっているわけですね。  やはりこの無人ヘリとドローンというのは、そもそも操作の仕方から何からまるで違うわけです。プロポを使って自分でがちゃがちゃやるのと、GPS積んでいてプログラムどおりにやっぱり飛んだりしてくれるというと大分違う。しかも、そういう中において、ドローンの方というのは今現場だけが試行錯誤しているということで、大分いわゆる現場の運用ですとか試みに制度が全く今追い付いていないんじゃないかということを改めて実感をいたしました。  この点について、新しいルールの整備と同時に、ドローン利用をもっともっと農水省としても政府としても後押しするような施策も、これ推進策をどんどん作っていくべきだと思うんですが、この点、政府としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  87. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 私から現状とルール整備についてお答えしたいと思います。  今委員指摘ございましたけれども、今般の無人航空機をめぐる状況を踏まえまして、六月二日でございますけれども、第三回の小型無人機に関する関係府省庁の連絡会議が開催されております。そこで、小型無人機に関する安全・安心な運航の確保等に向けたルールの骨子、これが取りまとめられたところでございます。骨子の中では、農薬の散布あるいは森林管理における小型無人機の活用といった、利活用の形態と機器の特性を踏まえたガイドラインの策定など、取組を民間団体に促すというふうにも記載されております。  現在、農林水産分野においては、委員も御紹介ありましたけれども、水稲の農薬散布作業などに産業用の無人ヘリコプターが使われております。これにつきましては、積載重量が十キロ以上、この無人ヘリコプターに関して、農薬散布など、安全かつ適切に実施するためのガイドラインでございますけれども、無人ヘリコプター利用技術指導指針、これは局長通達でございますけれども、これを定めまして、一般社団法人の農林水産航空協会、これの協力を得まして、まず、性能などを確認した機体のみを登録するということ、それから二点目は、一定の能力を有する者のみをオペレーターとして認定する、それから三点目でございますけれども、散布作業の周囲の安全確保のための補助員を配置する、こういう安全対策に取り組んできているところでございます。  また、都道府県から、調べましたところ、報告によりますと、農林水産省が策定した先ほどのガイドライン、これの対象としていない、いわゆるドローン型の小型無人機、これは積載重量が十キロ未満ということになりますけれども、これの使用実態があったことも承知しております。  今後、こうした積載重量が小さい無人機につきましてもガイドラインの対象とする方向で、一般社団法人の農林水産航空協会と調整して、安全かつ適切な農薬散布などが行われるようにして、努めてまいりたいと考えております。
  88. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) ただいま平木委員から農業分野におけるドローン等の利用促進を図っていくための支援についてもお話がございました。  農業分野のドローンの利用につきましては、農薬などの資材の散布のほか、農作物の生育状況の把握による栽培管理の最適化等が考えられているわけであります。このために、総合科学技術・イノベーション会議が創設した国家プロジェクトである戦略的イノベーション創造プログラム、いわゆるSIPにおきまして、農業分野における効率的かつ安全な利用方法について平成二十六年度から検討を進めておりまして、将来のドローン活用に向けて農作物の生育状況等を把握する先進技術の開発を進めているところであります。  今後とも、ドローンのような先端技術を農業現場における省力化や生産性の向上に生かせるよう、引き続き技術開発に取り組んでまいりたいと思います。
  89. 平木大作

    ○平木大作君 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、最後のポイントを実はもう一問残していました。最後のポイントは、実は、この若手の農業者の皆さんの団体というのは他地域から来る新規就農者の受皿になっているということを最後申し上げたいなと思っておりました。これはまた後日の質問に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  90. 儀間光男

    ○儀間光男君 維新の党の儀間でございます。久しぶりの質問で、極めて緊張したいと思っているんですが、周辺が緊張高まるお話でありましたから、年齢に応じて心優しく行きたいと思いますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。  私も日ソ漁業協定にまつわる、それから惹起するいろんな問題、これを少し取り上げさせていただきたいと思いますが、最後は日中漁業協定までこれは運ぼうと思っておりますから、どうぞお願いしたいと思います。  ロシアは上院で二十四日に、EEZにおけるサケマス流し網漁禁止をするというような決定がなされております。これはいろいろ理由があって、理由はたくさんありますけれど、何といったって、やっぱり海洋生物資源の枯渇、これを避けたいということが大きな原因のようでありますけれど、法案が決定されて、それからプーチン大統領が二週間後に署名をして、それで施行されるという段取りであったようです。その間、二週間の間に、これに対する政府が危機感をもっと持っておられるんだったら、強烈なアタックでこの二週間のうちに少しは変えられることができなかったかどうか。しかも、その提案者であるマトビエンコさんというのはプーチン大統領の側近であるということも言われておりまして、その辺を使って強力なアタックでできなかったかどうか。  これと、もう一つは、政府も盛んにおっしゃっておりますけれど、科学的根拠がないということを日本政府ロシア側に言っているわけですね、科学的根拠がないと。これは先ほどから水産庁長官おっしゃっていましたけれども、それがないとどうも国際的にうまくいかないんだという話で理解できないわけではないんですが、このサケマス流し網漁も、日本側からすると科学的根拠がないということで原田駐ロ大使はおっしゃっておるわけです。と同時に、加えて、日本と同様にこの流し網漁禁止することにサハリンやロシア極東の漁民の人たち、政府の人たちも反対をしているわけですね。ロシアだって両論あるんです、沿岸漁業関係者は賛成で、流し網関係者は反対と。こういう三つの要素がそろえば、ロシア世論だってそんなに強硬に禁止の方向じゃなかったような気がしてなりませんが、この二週間のうちにもう少し強力にやる機会があったんじゃないかと思うんですが、その辺の実態はどうだったか、教えてください。
  91. 本川一善

    政府参考人本川一善君) まずは、科学的な根拠というお話がございました。この日ロサケマスの問題につきましても、両国で科学的な検討をする場を設けておりまして、その場では日ロの科学者間でサケマス類資源状態がおおむね良好であるとの意見で昨年十一月だったと思いますが、一致しております。それから、現状の規模の流し網漁が海洋生態系への直接的脅威にはならないということも指摘しつつ、私どもとしては働きかけを行ってきたところでございます。  再三にわたり、いろいろなところで述べられておりますが、安倍総理にも三度にわたって働きかけを行っていただいて、私どもとして外務省なりと協力してあらゆる機会を捉えて働きかけを行ってまいりましたが、残念ながら今回このような事態になったということでございます。
  92. 儀間光男

    ○儀間光男君 さらに、基本的なことをちょっと確認しておきたいと思うんですが、私は漁民に対する日頃の認識、この漁民の方々は我が国の領海、領土を実効支配する人々なんですね。そういう意味では、非常に重要なポジションの方々なんです。したがって、その我が国の漁民が国境だとかあるいはEEZでいろんな国々と漁業協定をやっている、そこへ出かけていって漁をすることは、我が国の領土と領海をも守っている、管理をしているという重要な担い手でもあると思うんですよ。  そういう意味で、長官の、あるいは大臣でもいいですが、所感をお伺いしたいと思います。
  93. 本川一善

    政府参考人本川一善君) まさに離島が典型でございますけれども、そこに日本漁業者がお住みになって、そこで操業しておられるということが、まさに領海、領土あるいは排他的経済水域を守っている、そのような非常に重要な役割を果たしているというふうに認識をしております。
  94. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。  議論を進めますが、この日ロ漁業協定が、これは一九八五年に行われた日ソ漁業協定でございますけれども、これが見直しを受けて、今、来年から禁止だと、こういうことになっております。ところが、先ほどから議論に出たように、マトビエンコ上院議員は、これは絶対に日本向けでないと、先ほども議論ありましたが、そう語ると同時に、今後も有効だ、ただし日本漁業者は海洋環境に悪影響を及ぼさない手法で操業しなければならないというような強制的な保護を言っているわけでありますが、どうも有効だと言いながらやっちゃならないということなんですが、これは対ロシアの漁民に対しても同じことでいいんですね、理解としては。
  95. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 今回のロシアの二百海里水域内における流し網漁業禁止は、日本漁業者に対しても、それからロシアの同じような流し網漁業を行っている漁業者に対しても禁止として適用になるということでございます。
  96. 儀間光男

    ○儀間光男君 これがきっかけに他の魚類に及ぼす影響心配ないとはしないと私は思うんですが、古賀委員だったかな、確認がありましたが、いま一度確認をさせてください。
  97. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 先ほど来委員が言及されております日ロ漁業協力協定、これについては、再三にわたりここでも今御論議いただきましたけれども、破棄されることはないというふうに認識をしておりますので、日本の二百海里水域におけるロシア系のサケマスを漁獲している流し網漁業については今後も継続が可能であるというふうに認識をしております。
  98. 儀間光男

    ○儀間光男君 この協定を受けて、二〇一五年の操業条件をちょっと見させていただいておりますが、我が国の二百海里内、これはカラフトマスやシロザケ等が、漁獲量が二千五十トン、昨年一千九百五十トンだったのが百トンぐらい増えておりますね。それから、機材提供が三億円などとなっておりまして、ロシア側の二百海里、ベニザケとシロザケなどですが、ここの漁獲割当てが千九百六十二トン、昨年は六千六百三十トンだと。それで、入漁料が六億、昨年は二十億と、こういうふうになっておりますが、これを協定通して見ていくと、我が国だけが入漁料とかなんとかいろんなものが出ていくんですよね。それは一体どういうことを言っているんでしょうか。
  99. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 国連海洋法条約には母川国主義というのがございまして、サケマスのような川を遡る魚類につきましては、母なる川、そこの川を管理している国に管理の権限があるということになっております。  今ここで議論になっておりますのは、ロシアの川を下って海を泳いでいるサケマスをどのように捕獲するかという議論でございまして、日本の二百海里水域ロシアの川から下りたサケマスが来て、それを捕るということでございますので、国連海洋法条約規定に基づいて、ロシアとの協力関係を築いて、そういう協力のお金もお支払いしながら漁獲をすると、このような事情になっているところでございます。
  100. 儀間光男

    ○儀間光男君 それから、一九八一年、今のより遡るんですが、ここの協定を見てみますというと、貝殻島の昆布協定があるんですね。これを見ているというと、昆布の採取料が八千七百八十四万円、機材供与が三百五十万、それから上限が四千三十二トンと、こういうふうになっておるんですが、これは、ロシアは恐らく昆布を採取する海の文化がなくて、需要がなくて採取していないように思えるんですが。  この採取料の八千万余りと採取の上限の関係ですね、上限を取り尽くして八千万なのか、あるいは上限以下であればこの採取料も変動していくのか、この辺はどうなんでしょう、固定されたものですか。
  101. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 採取量の上限を取り尽くした場合に八千七百八十四万円ということに相なっております。取れる量に従ってこの採取料については変動するというふうになっております。
  102. 儀間光男

    ○儀間光男君 確認しますが、上限を超したときに採取料が発生する、こういう今答弁だったように思いますが。もう一度確認します。
  103. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 失礼しました。  取れるのは上限までしか取れません。取った量にかかわらずこの金額になると。したがって、上限以内であればこの金額であるということでございます。
  104. 儀間光男

    ○儀間光男君 要するに、変動がないものであると、こういう認識をしたいと思います。  更にどんどん行きたいと思いますが、一九八四年、これは日ソ地先沖合漁業協定、十二月発効でございますが、これを見てもどうもよく分からぬのがいっぱいあって、ここはまた有償枠が出てきたりいろんなことをやるんですが、日ロ排他的経済水域において相互入会権を発効して相互入会をしようということの条件になっておりますけれど、これの二〇一五年の操業状況をちょっと見ますと、日本はサンマ、イカ、スケトウダラ、マダラ等々となっておって、これが相互枠で各漁獲割当て量が六万二千三百九十六トン、これは両方一緒です。一緒ですが、別に日本の枠として有償枠があって、これ二千二十六トン、有償見返り金として八千七百四十四万。  これは、ロシア側日本側のEEZへ入ってきて操業していない、そういうことで、あるいは割当てより別に捕る必要がない、生産性がないということで出てきていないのか、あるいは特別何か配慮があってロシアはそういう枠組みになっていないのか、その辺はどうなんでしょう。
  105. 本川一善

    政府参考人本川一善君) これにつきましては、お互いの相互枠で六万二千三百九十六トンをまず確保した上で、日本について言えば、更にこれよりも漁獲をしたいという希望がありますものですから、二千二十六トンの有償枠を設けて入漁料を払って漁獲をしておるものでございます。ロシアの場合には、この六万二千三百九十六トンの内輪で需要が足りるといいますか、漁獲が足りるというふうに判断をしてこのような形になっておるというふうに理解しております。
  106. 儀間光男

    ○儀間光男君 もう一つ確認しますが、これは一九九八年五月発効の北方四島周辺水域操業枠組み協定です。これは十二海里をうたっておって、いわゆる民間協議、政府間協議に分かれておって、操業の安全を確保しようということですが、これの二〇一五年を見ますと、スケトウダラ、ホッケ、タコ、二千百八十トン、ここにまた協力金というのが出ていくんですよ、二千百三十万円、材料供与費が二千百十万円。この意味も少し答えていただけますか。ほぼ似たようなものだと思う。
  107. 本川一善

    政府参考人本川一善君) この協力金は、まさにこういう相互の協力枠組みをつくるという意味での協力金でございまして、これについては固定をされているというふうになっております。
  108. 儀間光男

    ○儀間光男君 これをこうして見てまいりますというと、今度、サケマス流し網漁禁止され、北海道や青森、先ほどお話に出ましたけれど、対象漁民は大変お困りになると思うんですね。その損害額というか、それは根室漁協の計算で二百五十一億円ということも仄聞して知っておりますけれど、政府としてこういう方々への政策的支援が必要になってくると思うんですよ。それをどういうことをお考えかを明らかにしていただきたいと思います。
  109. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 先ほど来大臣からも御答弁をいただいておりますが、昨日から担当官現地に派遣をしておりまして、そこで意見交換をし、現地状況関係者の意向を十分に把握してまいりたいと思っております。その上で、関係府省と連携しながら万全の対策を講じてまいる、そのような考えで対応してまいりたいと思っております。
  110. 儀間光男

    ○儀間光男君 この際、よく現場と皆さん側がミスマッチが起きるんですが、こういうミスマッチが今回ないようにしっかりと打合せをして、必要とする政策を打っていただきたいと、こういうふうに思います。  さて、日中漁業協定、これ少し行きたいんですが、ロシア協定の中で、今度のサケマスのその条約を改変して禁止条項を設けてきました。日中漁業協定を見るというと、北緯二十七度から以南、全て東シナ海、南西海域に至る広大な海域が協定の中に入っておって、それで、中国側の操業方法が違法操業ではないかと思えるぐらい、実に、むちゃくちゃと言ったら適当かどうか分かりませんが、操業をやっている。例えば、日本では使わなくなった虎網漁業とか底引きとか、あるいは、何でしょう、もっとありましたけれども、そういうもので一網打尽で三十キロ未満の未成魚を捕っている。  そのことが、先ほどからあるように、カツオ、マグロあるいはアジ、サバの資源の枯渇、薄くなった原因だと私は思うんです。南の海で産卵して、北上しながら成長でやっていき、その途中でああいう形で捕られますと、北上するのが減っていくわけですよ、数が。それが大間のマグロが減った、四国のマガツオが減った、こういうことに私はなるんではないかと思うんですが、科学的にどう判断されているか、あるいはそう思っていないのか、思っているとすると対策はあるのか。中国と今それ見直す機会ではないか、これをきっかけに、日ロロシアの提案で変わったように、我が国が中国との間にそういうのを共通の認識として変えていくチャンスじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  111. 本川一善

    政府参考人本川一善君) 御指摘のとおり、日中の暫定水域におきましては、やはり中国側の漁船、虎網漁船でありますとか、そういう我が国にない漁業方法を使った漁船が多数出ておりまして、かつ我々が認識している以外にも非合法の登録をしていない漁船まで出ておるということで、我々としてもまさに先生と同じ問題意識を持っております。この件につきましては、毎年開かれております日中の漁業共同委員会におきまして、それぞれそういう管理の在り方について議論しているところでもありまして、今年も、恐らく来週、こういう形で日中の議論を行うということになるというふうに思っております。  それから、マグロの件でございますけれども、沖縄本島、石垣島の北部、ここでマグロの好漁場が形成されるということでございますが、この好漁場に中国の虎網船なり巻き網船が入ってきておるということはまだ確認はされておりません。したがいまして、この件につきましては、WCPFC、そういったところでの議論をきちんと踏まえながら今後とも対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  112. 儀間光男

    ○儀間光男君 今の話をもっと議論したいんですが、時間がありませんから。  大臣、ただ座っていても大変でしょうから、いわゆるユネスコの世界遺産に和食が登録されて、大臣週末に行かれるんですが、ここで出される和食の材料というか、献立材料、これ全て日本産だと思っておりますが、主食の米あるいは副食の生鮮三品、その他含めて日本のものが供給されていると思いますが、一兆円の海外貿易を目指して、これをきっかけに、ミラノへ行かれてどういう決意をされてお帰りになるか、行く前ではありますが、将来の海外マーケットの確保のきっかけとなるような意気込みを聞かせていただきたいと思います。
  113. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 国会のお許しがいただければ、ミラノ万博、大変日本館も好評を博しておりますし、日本のナショナルデーでございますので、この発信に努めてまいりたいと思っておりますが、三十五の自治体、それから二十三の団体、連携しながら、この食文化、日本食の魅力を発信してきております。  この日本館では、日本食に、発酵ですとか、うまみですとか、だし、こういう日本固有の伝統的な奥の深い知恵が活用されていることを展示をしております。日本館は、既に六月末時点、これは最新の数でございますが、約五十五万人の来場者が訪れる人気館でございまして、ミラノの万博政府代表からも、ミラノ万博でのナンバーワンになるのではと、こういうふうにお褒めもいただいておるところでございます。  今後も、たくさんの方が来ていただいて、これを体感、見ていただくことによって、日本食の魅力を発信をして、これが、今お触れいただきましたように、二〇二〇年一兆円の目標を輸出は立てておりますけれども、これにつながっていくようにしっかりとやってまいりたいと、こういうふうに思っております。
  114. 儀間光男

    ○儀間光男君 終わります。ありがとうございました。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、TPP、TPAについてお聞きします。  アメリカにおいて、この大統領貿易促進権限法案、TPA法が六月二十九日に成立をしました。私は七月三日の本会議質問しましたけれども、TPA法が米国議会で可決されると、安倍総理は、大きな前進だ、日本とアメリカのリーダーシップで早期妥結に力を尽くすと述べました。また、甘利大臣は、七月に妥結すれば十月末、十一月頭には署名ができると、前のめりの姿勢を示しています。TPA法の成立を手放しに喜んでいいのかということなんですね。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕  TPA法の条文には、主要な交渉の諸目的というところがありますけれども、その(B)で、一定の期日までに合衆国の輸出のための市場機会を減じている関税そのほかの諸負担を削減ないし撤廃する、あるいは主要な生産諸国において相当高い関税、あるいは補助金体制の下に置かれている農産物の市場開放に優先順位を置く、あるいは交渉相手国の関税を合衆国の当該産品と同じかそれより低い水準まで削減するなどが書いてあります。  この条文が持つ意味を、日本への影響ですね、分析をされているでしょうか。内閣府、澁谷さん、お願いします。
  116. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 御指摘いただいたように、アメリカ時間の二十九日にオバマ大統領の署名を得てTPA法が成立したというところでございます。今御指摘いただいた、TPA法のトレード・ネゴシエーティング・オブジェクティブスという、交渉上の目標というところに、今御指摘いただいたような文言が入っているということでございます。  二〇〇二年法にも同様の文言が入って、まあ書きぶりが微妙に変わっているところはございますけれども、これについていろいろ御評価があることは承知をしているところであります。しかしながら、二〇〇二年法の下でも、この目標にちょっとでも外れたものは全く議会が承認していないかというと、これは必ずしもそうでもないし、逆に二〇〇二年法の下でも様々なことがあったというふうに承知しているわけでございます。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕  いずれにしましても、我が国としては、いずれ国会で御承認いただけるような内容の協定として、しっかりとその交渉をした上で、合意した内容については再協議を許さないという姿勢を更に一層明確にしていくと、そういう姿勢で臨んでいきたいと思っております。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 私は、中身について分析されているんですかと聞いたんですね。日本は各国に一応国会決議を示して交渉しているということが言われました。アメリカ政府日本と同様にこのTPA法の条文を示して妥結を迫ってくる可能性があるわけで、それなのにどうしてその条文の中身の持つ意味について分析しないんでしょうか。
  118. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 例えば、アメリカの関税以下にしろという目標が二〇〇二年法の下であったわけですけれども、必ずしもそうなっていない協定が結ばれているということも確認をしているところでございます。  フロマン代表は七月の一日、朝食講演会を、これオープンにしておりますけれども、我々は議会が何を求めているかよく承知している、TPPが議会で承認されることに強い自信を持っているという発言をしているところでございます。そういう中で我々は交渉しているところでございます。  TPA法の審議、私もずっと中継を見ておりました。TPAではなくてTPPに反対だという意見も数多くあったのを私もずっと聞いておりましたが、そのTPPに反対する意見の多くは労働とか環境に関することであったように私は理解しているところでございます。安倍総理や甘利大臣が日米連携してという話を申し上げておりますが、それは関税とかそういうことではなくて、労働とか環境とか二十一世紀型の協定の中身について、ここは日米がリードしてという、全体の合意を得やすいようにという、そういう努力はしていくという趣旨で申し上げたと理解しているところでございます。
  119. 紙智子

    ○紙智子君 中身が日本にどういう影響をもたらすのかという話は全然ないわけですよね。  それで、日米協議が今週九日、十日ということで行われるわけですけれども、このTPA法が成立したことを受けて、アメリカ通商代表部の、USTRのフロマン代表は、日米協議において我々は関税の撤廃を求める以外にも関税の引下げ、輸入枠の拡大など全ての選択肢を使う、例外なく全てが交渉対象なんだというふうに語っているわけです。アメリカ政府は、そういう意味ではTPAを成立させてはっきりとした数値目標などを示して妥結を迫ってくるというふうに思うわけですけれども、大臣にお聞きしますけれども、そういう認識はおありでしょうか。
  120. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ちょっとフロマン代表がどういう発言をしたか詳細に承知をいたしておりませんが、それぞれ交渉をする当事者であろうかと、こちらは甘利大臣がそのカウンターパートということになろうと思いますが、我々は、どういうふうに相手がおっしゃろうとも、決議を守ったと評価していただけるように最後まで粘り強く交渉していく、変わらずにやってまいりたいと思っております。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 甘利大臣が当事者でやっているから余り自分は中身は知らないということは、ちょっといかがなものかなというふうに思いますよ、農水大臣として。  TPA法の基準で米国が迫ってくる中で、日本のこの重要農産品を本当に守ることができるのかということが問われてくるわけです。日本政府がやるべきことは、やはりTPPの早期妥結に力を尽くすと言う前に、TPA法が交渉に与える内容を、ちゃんと中身を分析して国民に知らせるということをやらなきゃいけないと思いますし、やっぱり前のめりになって説明責任も果たさないということではいけないと思うんですね。国の在り方を根本的に変えるTPP交渉からは、私はやっぱり、繰り返しになりますけれども、直ちに撤退すべきだということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  食の安全、安心についてお聞きしたいんです。ずっと実は気になっていて、これは過ぎ去った過去の話としてはいけないというふうに思っているものですから、質問をさせていただきます。  全国的に店舗を構えるマクドナルドの異物混入問題、これマスコミでもかなり大きく報道されました。一月でしたけれども、マクドナルドが公表した中身というのは、昨年の八月に、一つは大阪府でポテトに人の歯が混入していたと。昨年の十二月は東京都でチキンナゲットにビニールが混入していたと。それから、昨年の十二月には福島県で、ソフトクリームに混入していたプラスチック片で五歳の女の子が口の中をけがをしたと。また、今年の一月には青森県でチキンナゲットに青色のビニール片が混入していたと。立て続けに異物の混入が続いていたわけですよね。  女の子が口の中をけがしたということで、これは飲み込んでいたらもっと大変なことになっていたわけですけれども、これらのことについて、農林水産大臣、どのように思われているでしょうか。
  122. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農業や食を所管する農林水産省といたしましては、国民が安心して食生活を送るために、食品の安全確保、これは国の最も重要な責務の一つと、こういうふうに認識をしております。こういう中で、一連の食品への異物混入事案、これ連続して発生したことは、消費者食品に対する信頼を失いかねないものと考えております。食品の安全確保に関しては、食品安全委員会厚生労働省とともに政府一体となって取り組んでいるところでございまして、農林水産省では、農場から食卓までの、生産から消費にわたる安全管理を推進しているところでございます。  こういう考え方の下で、引き続き食品の安全確保に万全を期してまいりたいと思っております。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 それで、マクドナルドの異物混入が大きく社会問題になったということもあって、厚生労働省は直接マクドナルドから聞き取りを行ったと。一月の五日には、状況確認、原因究明などということで聞いていると。七日の日には、記者会見をやっていますけれども、その記者会見についての報告を受けたと。三回目には、子供がソフトクリームに混入していたプラスチックで口の中をけがしたということもあって、アイスクリーム製造機の対策の報告なども聞いたということなんですけれども、原因究明はできたんでしょうか。
  124. 橋本岳

    大臣政務官(橋本岳君) 今回、食品衛生法というものに関わることになるわけでございますけれども、この食品衛生法におきましては、食品事業者は、販売食品等に起因する食品衛生上の危害の発生を防止するため、必要な措置を適確かつ迅速に講ずるよう努めなければならないということになっております。このため、食品への異物混入等の事案が発生した場合には、事業者において、当該食品に起因する食品衛生上の危害の拡大を防止する観点から、原因究明、再発防止等の措置を行うということがまず基本になっておるわけでございます。  異物混入の原因というのは様々な要因が考えられるわけでございますけれども、マクドナルドのということで御指摘をいただきました一連の異物混入事案について、事業者が保健所等の指導の下で原因究明に取り組んだものと承知をしております。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 ですから、すごく距離があるわけですよ。事業者が基本的にはやるんだと。保健所がそれを取り組んでいるんだということで、国としてはそれについては分からないということになるわけですかね。  先日、マクドナルドで働いている方から話を聞いたわけですよ。そうすると、二十四時間営業で、常時店を開けている店舗の場合は、お客様の対応を一方でしながら、もう一方で機械の洗浄とか商品の製造などもやるわけですよ。マニュアルはあるんだけれども、限られた人数で、大変な作業量になることもあると。マニュアルどおりにできていないときもあると。アイスクリームの製造機とかシェイクの機械などの、基本はこれ毎日洗浄しなければいけないということになっているんだけれども、人手不足もあったりして、一週間に一度の洗浄にならざるを得ないときもあると。洗浄するときも、機械を分解してまた組み立てるということもあるわけで、しかも、やっている方はアルバイトが多いわけですよね。どんどん入れ替わると。  ということの中で、厚生労働省として、異物が混入した原因に労働環境などもあるというふうに思われませんか。
  126. 橋本岳

    大臣政務官(橋本岳君) 混入の原因というものはもちろん様々な要因が絡み合ってあるのだろうというふうに思っておりますし、先ほど御答弁申し上げましたように、食品衛生法上は、事業者が事案の状況を踏まえ、食品安全性を確保するために必要な取組を適確に実施をすることが重要でありまして、保健所等においては、異物混入等に関する個々の食品事業者からの相談に応ずるとともに、健康被害につながるおそれがある場合には、必要に応じて事案に即した助言、指導等を行っているというところでございます。  厚生労働省としても、自治体と連携しながら引き続き食品安全性の確保に努めてまいりたいと考えておりますし、あわせて、仮に労働基準法等労働法制に反するようなことがあれば、それはそれでまた監督署等において適切に対処すべきものであるというふうに考えております。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 原因にはいろいろありましてということなんですけど、労働問題が絡むことが多いから聞いているんです。労働問題についての環境が、周辺のその原因の中身としてつかまないんですか、そういう問題もあるということを思わないんですかね。いかがですか。
  128. 橋本岳

    大臣政務官(橋本岳君) 重ねての答弁になりますけれども、事業者において原因究明というのはされ、対策は打たれてというふうに私どもとしては報告を受けております。当然ながら、その対策の中で様々なことがあり、労働に関することもあればそれはそのように対応されているのではないかと考えております。
  129. 紙智子

    ○紙智子君 労働に関わる問題もあれば対応するというんですけど、実際に私がこの問題についていろいろ聞き取りをしましたよ、聞いたわけですよ。それで、実際にどういう対応をしているのかと、それもつかんでいないし、聞いて初めて、どういう対応をしているのかというのは聞き取って分かるという状況じゃないですか。それでいいのかなというふうに思うわけですよ。  国民の健康や安全、食の安全、安心ということに国はやっぱり責任を持っていると思うんですよ。やっぱり関わって、そういう周辺までなかなか触っていないと思うんですね、労働問題まで含めて。最初聞いたときは、労働問題については私どものところは係じゃありませんからという話ですから、ちょっとひどいんじゃないかなというふうに思うわけです。やっぱり、そういう対応自体が私は問題だし、異物混入で今回口の中をけがしているわけですよ、国民の健康や安全が本当に責任果たされるのかと。  異物混入にかかわらず、例えば食中毒とか、それから、これまで起きている事例で見ますと、やっぱり必ずいろいろ労働環境の問題や人の問題というのが関わっていることが多いわけですよね。極端な例で言えば、かつてありました中国の冷凍ギョーザの問題もありましたし、農薬が混入しているということもあったわけですけれども、ずっと背景を探っていくと、例えばその中には賃金や労働環境の悪さに不満を持って、そういう意図的な例もあったりもするわけで、やっぱり食の安全、安心に労働環境なんかも関わっているというところも含めてしっかりと見て対応するということが必要なんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  130. 橋本岳

    大臣政務官(橋本岳君) 異物混入の原因というのは、御指摘をいただきました労働の環境ということも含まれることもあり得ると思いますし、一般論として申し上げれば。また、製造工程がどうだったのか、管理状況がどうだったのか、様々な要因があろうと思います。そうしたことも含めてその事業者が責任を負うということに食品衛生法上なっているということでございまして、それも含めて御対応いただいているものと考えております。
  131. 紙智子

    ○紙智子君 だから、対応しているものと考えておりますじゃなくて、それをやっぱりちゃんと引き取って、国として、厚生労働省は自治体任せ、企業任せにしないと。もちろんやらなきゃいけない責任はあると思いますけれども、国自身が、厚生労働省自身が任せにしないで、やっぱりここに、新たに労働環境まで立ち入って対策を取らなければ解決できないんじゃないかということを申し上げたいわけですけれども、いかがですか。
  132. 橋本岳

    大臣政務官(橋本岳君) これはもう重ねての問いになりますので重ねての答弁になりますけれども、食品衛生法上その事業者が対応するということになっておりまして、もちろんその原因として労働の環境そのほか様々な問題があろうと思いますから、そこも含めて取り組んでいただいているのであろうというふうに考えておりますし、私どもといたしましても、先ほど御指摘をいただきましたけれども、その事業者からお話を伺っておりまして、その原因究明及び再発防止策の徹底を求める等の対応を行っておりますので、その中で御対応いただいているものと考えております。
  133. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱりそうであろうと思われますということで、もう何というのか、第三者的な立場に立ってしまっているわけですよ。それで本当にいいのかということです。  何か虫が入っていたとかビニールの一片が入っていたとかというところはまだ異物混入の範囲ですけれども、それ以上、例えばこの女の子が飲み込んでしまった場合は、それこそおなかの中に入って大変なことになっていたってことだってあるわけですから、そういうやっぱり命に関わるような問題も含めてしっかり携わって、その問題で解明をしていくし対策を取るということでは、是非、これ新たにちゃんと労働環境まで立ち入って把握もするし、その打開策ということも考えて出していかなきゃいけない問題だというふうに思いますよ。  その上で、最後になりますけれども、農水大臣にお聞きしたいんですけれども、今、農業の分野も六次産業化ということで、生産から製造というところも含めて、そして流通、加工というところまで含めてやっていこうというわけですから、そういう意味では、食の安全に関わることというのは、これは厚生労働の話でということだけにできないというふうに思うんですね、他人事じゃないと。  食の安全、安心を確保するためにはやっぱり国の責任というのが大きいんじゃないかと思うんですけれども、最後に大臣認識を伺いたいと思います。
  134. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 六次産業化の取組に当たっても、食の安全性、品質に関わる問題、これ発生しますと、今お話のありました消費者の健康被害、こういうことが引き起こされる可能性が生じるということにとどまらず、六次産業化商品に対する消費者の信頼が失われて、よってもって生産者の経営にも深刻な影響を及ぼすことになりかねないと、こういうことでございまして、農林水産省としては、本年の二月二十日付けでございますが、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定農林漁業者等に対して、食品の信頼の確保に関する課長通知を発出をしたところでございます。  具体的には、原材料の入荷から最終製品の出荷に至る製造工程の各段階において衛生・品質管理のなお一層の徹底が必要であること、また、金属片などの異物の混入防止を含めて食品の安全の確保のための衛生・品質管理を徹底するためには特にHACCPの導入が有効であること、衛生・品質管理に係る取組についての情報を自主的に提供していくことが消費者の信頼確保につながること等について地方農政局等を通じて周知をいたしまして、認定農林漁業者等に対し積極的な取組を促したところでございます。  これに併せて、農林水産省としては、相談窓口を明確にするなど、認定農林漁業者等の相談に積極的に応じる体制を整備をいたしまして、具体的な指導、助言を行うことを通じまして六次産業化に取り組む生産者による食品の衛生・品質管理の徹底を推進してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  135. 紙智子

    ○紙智子君 時間ですので、終わります。
  136. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎であります。  先ほど民主党の小川議員の方も取り上げました、六月十一日、毎日新聞で報道された政治資金パーティーの件、私も少し取り上げていきたいと思っています。  この問題は、特に私、別に委員長に対して感情的なものを持っているわけでも何でもないんですが、ただ、同じやっぱり参議院、特に比例のいろんな団体に支持を受けた議員はもしかしたら同じ構造を持っているのではないかというふうに思われたり、そうであったりといったところで、これは我々、実は参議院そのものがどうやって自浄していくのか、これはまさに小川議員も、ざる法だという中で、法律の問題も大きいということを指摘していました。私もそのとおりだとも思っております。  一方、次回から農協法の議論が始まります。まあ、たまたまということではあるとは思いますが、委員長、前全中の専務理事という大変な役職に就かれている方、委員長の下で議論がされる中で、こういう報道もあったということで、やはり国民に対して、開かれた国会である以上、この問題しっかり説明責任、それから取り上げざるを得ないのかなと、こんな思いで今日はこの問題について少し質疑できればというふうに思っております。  概要は、小川議員の方からもありましたが、五年間で政治家パーティーを三百九十四回開催して、JAグループ等から五億円を超える資金を集めたと、これが山田俊男議員の形になっております。  法律によるところが本件は大きいということなので、少し、今日は総務省にも来ていただいていますので、ちょっと法律確認を最初にしていきたいというふうに思っております。  まず、一般的な政治資金パーティーの制限、これは政治資金規正法のいわゆる二十二条の八ということで、事前に書面で要は告知しなければならない、こういうのがあります。一方で、選挙期間中、先ほども小川議員の方も取り上げておりましたが、政治資金パーティーの制限というのが実はありまして、公選法の二百一条の六なんですが、政談演説、看板の掲示、ビラの頒布、マイクの使用ができないと、こういうことがいろいろ条文として書かれているわけであります。  そうなってくると、この二つの条文を組み合わせますと、事前に書面で告知しなければいけない政治資金パーティーは、いわゆる選挙期間中はビラの頒布ができないということにも引っかかってきますから、結局、選挙期間中に政治資金パーティーはできないんではないかというふうに思うんですが、この辺り、総務省はいかがでしょうか。
  137. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) 公職選挙法におきまして、御指摘ございましたように、例えば参議院の選挙期間中は一定の政党その他政治活動を行う団体の政治活動が規制をされております。具体的には、公示日から選挙の当日まで、政治活動のうち、政談演説会の開催、拡声機の使用、立札、看板の類の掲示、それからビラの類の頒布等が規制されているのは御指摘のとおりでございます。  一方、書面による告知というものが政治資金規正法上、告知義務がございます。この書面とここの政治活動のビラというものがどういう関係にあるのかということになるわけでございますが、必ずしも、ビラに当たるかどうかというのは個々具体のケースによって決せられるべきものでございまして、性格は違うものではないかというふうに存じております。
  138. 山田太郎

    山田太郎君 なかなかビラと書面の違いが、違うと言われても分かりにくいんですが、またちょっとこれは別途やりたいと思います。  それから、政治資金規正法の八条の二に政治資金パーティーとは何かということを定義されているんですが、対価を徴収して行われている催物だということなんですね。対価ということをいろいろ国語辞典で調べますと、労役、財産を提供することによって得られる報酬と書いてあるわけでありますが、ということになってくると、政治資金パーティーというのは単なる食事会では駄目で、何らかの労役又は財産の提供ということがなければならぬというふうにもなると思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。
  139. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) 一般論として申し上げますと、政治資金規正法上、政治資金パーティーというものの定義がございます。  ただ、そのときの形態でございますとか場所、どのような形で行うのかというのには一定の制約等もございませんので、御指摘については、個々のケースによってその定義に当たるかどうかということが問題になってくるものではないかというふうに存じております。
  140. 山田太郎

    山田太郎君 もう一度確認したいんですが、食事会だけが行われた場合、これは政治家パーティーと呼ぶのかどうか、もう一度確認させてください。
  141. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) 先ほど申し上げましたように、政治資金パーティーというのは、その定義がございまして、収入と支出の差をその方の政治活動に使うようなものというふうに定義がされているわけでございまして、その内容等についての規制等があるわけでございませんので、御指摘のもののように、例えば食事会だけというものが、そのことだけをもって政治資金パーティーにならないといったような規定はないところでございます。
  142. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、これ公職選挙法の百九十四条に当たるんですが、参議院議員の比例代表の選挙に使える上限の公選法上の金額というのがあると思うんですが、これを教えていただけますか。
  143. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) 通告がない御質問でございましたので、確認をさせていただきます。ちょっとすぐには分かりかねます。
  144. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、これはもう小川議員の方が聞いているんですが、改めて確認で、政治資金規正法上、収支報告等にパーティー開催というふうに記載されたにもかかわらず、やはりパーティーがもし開かれていなかったということになれば、それ自身は政治資金規正法上の違反に当たるということになるのか、この辺り、もう一度明言していただきたいんですが、いかがですか。
  145. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) 政治資金のパーティーが開催されていないにもかかわらず記載がある場合のお尋ねかと存じますが、一般論として申し上げますと、規正法におきましては、故意又は重大な過失により収支報告書に虚偽の記入をした者、これにつきましては、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処すると、こういうふうに規定されているところでございます。
  146. 山田太郎

    山田太郎君 前段は。
  147. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) 先ほどの参議院選、参議院議員の限度額でございます、選挙運動費用の、五千二百万円でございます。
  148. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、これは総務省に調べていただいた結果を表にまとめたのが皆さんのお手元の方にあります。今回のお金の流れということになるかと思っております。  山田俊男議員の方は、フォーラム21、農政連、それから政党支部、山田としお後援会、各ところからいろんな寄附並びにパーティー券の購入をしていただいているようであります。  一方で、農政連に対しては、共済連、全中、それからJAビル内政治団体というのは二十以上の山田俊男議員のいろんな地域の後援会が入っているというような団体がありまして、そういうところからもそれぞれ農政連、それから山田俊男議員の後援会に対してお金が流れていると。山田としお後援会、政党支部、これは三十四支部のことでありますが、農政連、それぞれ全てJAビルの中にあるという構造でございます。  一方、政治資金パーティーの収入総額ということで、これはオレンジ色で書かせていただきましたが、山田俊男議員後援会には、これは収支報告が実際に見れる二十三年から二十五年までの三年間の合計金額になりますが、一億一千八百四十八万円、うち実はJAビルの中で開催されたものが三千五百七十二万円。政党支部、三十四支部でありますが、二千八百九十六万円、同額、全く同じ金額がJAビル内でパーティーが開催されたと。フォーラム21においては四千百五十四万円のうちJAビル内での開催が二千六百七十四万円。農政連が七千万円のうち三千六百三十万円がJAビルの中ということになります。  それぞれ、寄附それからパーティー券購入、書面で分かる限りのものをデータとして実は総務省さんに作っていただいてまとめ上げたんですが、これで相違ないかどうか、総務省さん、お願いします。
  149. 稲山博司

    政府参考人(稲山博司君) 配付の資料でございますが、自由民主党東京都参議院比例区第三十四支部、それから山田としお後援会、それから全国農業者農政運動組織連盟、フォーラム21、四つの政治団体等でございますが、これにつきまして平成二十三年分から二十五年分の収支報告書を確認いたしましたところ、それぞれの政治団体の、ここにございます政治資金パーティー収入の総額、そのうちJAビル内で開催の記載があるものの合計額、それから政治団体間の寄附の合計額、それから農政連に対する同一パーティーで同一団体からの支払額が二十万円を超えるものの合計額、この資料に金額の記載されているものでございますが、それはいずれも記載のとおりとなっているところでございます。
  150. 山田太郎

    山田太郎君 もちろん、その政治資金、いろいろ性格はあると思います。選挙で使うもの、それからあるいは政治活動として使うもの。ただ、非常に気になりますのは、参議院の比例代表の選挙期間使える金額は五千二百万円が上限だということでありまして、確かに我々国会議員、いわゆる選挙あるいは民主主義にもお金が掛かるということは、これ私も否定しないところでありますが、やはりこういうルールの枠内にあるということと、これ全体のお金の流れというんですかね、この辺りがやっぱりなかなか国民には見て分かりにくいところがあると、こういうことが今回の問題の背景にもあるのかなというふうにも思っております。  それから、もう一つ、農協、JAとの関係についても少し質疑していきたいんですが、次回から農協法の改正について議論がありますが、やはり農協は独禁法で要は守られていると、独禁法、いわゆる二十二条ですね。それから一般法人の、いわゆる法人税にもやはり二五・五から一九%という安い法人税、それから組合員向けの配当に課税がないとか、農協だけが生保、損保の兼業が可能であるとか、特に大きいのは固定資産税の免除というのはやっぱり大きいんですね。かなりそういった意味で、農協は、任意民間団体といっても、実は任意ではなくて、農協法によっていろいろ守られている、やっぱり農業を振興していく優遇特定団体であるということは間違いがないかと思っております。  そんな中で、農協自身も、これも小川議員のところで指摘されていましたが、補助金受領団体ということではありますが、私自身、そういった団体に対して、政治資金パーティーが事実上脱法行為、もちろん脱法というのは違法ではないということでありまして、でも事実上の寄附なんじゃないかというふうに取られかねない。抜け穴ではないか、これはざる法だといったところの指摘もあったかと思います。まさに政治資金規正法自身を改正するべきだというふうに思っておりますが、これは総務省の所管でもありますので、是非総務省の方の見解いただきたいんですが、いかがでしょうか。
  151. 二之湯智

    ○副大臣二之湯智君) 一般論として申し上げるならば、政治資金パーティーに係る収入については、いわゆるパーティーの会費ということで位置付けられているわけでございまして、そのパーティーの収入はあくまでも寄附とは性質が異なるものであります。  したがいまして、この政治資金の規制の在り方につきましては、各政党、各政治団体の政治活動の自由と密接に関連もしておりますから、御質問の点も含めて各党各会派において御議論いただくべき問題だと考えております。
  152. 山田太郎

    山田太郎君 先ほどの小川議員への答弁と全く同じ紙が読まれたのかなということで非常に残念で、まさに参議院自身あるいは国会自身がこの問題、党派を超えて議論する内容ではないかなとも思っております。  それから、もう一つ、今の農協の優遇ということで、これは農水大臣にもお伺いしたいと思いますが、やはり優遇されている団体から多額の寄附、政治資金パーティーによる収入を積極的に受けるべきではないんじゃないかと。特に、今回の改革があるということで次回から議論がありますが、中央会の賦課金、実は平成二十五年の実績値で六十八億八千九百万円なんですね。この一部がもしかしたら、いわゆるそういった寄附とパーティーに充てられているんじゃないかということがやっぱり国民からも疑念に思われかねない。この辺りしっかり政治として区分をして議論するべきだというふうに思いますが、農水大臣、この辺りいかがでしょうか。
  153. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今御指摘のあった賦課金若しくは補助金というお話も先ほどございましたけれども、そういうものはこの同団体を経由して他の機関に支払われたり、事業に要した実費、これを交付するものであろうと、こういうふうに考えております。  こういう補助金について申し上げれば、必要な経費として適正に交付されたものでございまして、JA全国団体に留保されてほかの用途に使用される、こういったものではないと、こういうふうに我々は認識をしております。
  154. 山田太郎

    山田太郎君 このほかにも、今回の要は内容は、フォーラム21と農政連という関係の団体の会計担当者の問題、それからそれぞれの四つの政治団体の主催の関連性、それから御本人が参加していないのではないかと、八割が出ていないというふうに、これは報道ベースでありますので、是非、本来は委員長の方から御答弁いただきたいと思っておるんですが、そんなこと。  それから、いわゆる政治資金パーティーの対価というものの在り方、それから一日に数回パーティーが本当に開かれていたというような問題、全て事前に文書で告知されたのかどうかといった内容、それ自身が選挙期間中違反に当たらないのかどうか、それから全て同じJAビルの中で開かれているというような内容、それから選挙資金の上限額、使用できる上限額、それから補助金を受ける団体からの寄附といった辺り、非常にいろんなまだまだ疑問があります。  私はなかなか、国会でも新参者ですので、国会のルールということがよく分からない部分もあるんですが、是非これ、本来委員長にきちっと釈明していただいて疑念を晴らしていただくと。次回から農協法が議論になります。私の方も、多分国民がもしこの報道に対して関心を持っている内容とすれば今言ったような項目、実は十六項目ほどあるんですが、これらに対してどこかで公式に答えていただきたいと、こういうふうにも思っておるんですけれども、この辺り、委員長、いかがでしょうか。(発言する者あり)
  155. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  156. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 速記を起こしてください。  今、理事間で協議をしていただきましたが、本日の議題である農林水産に関する調査にどうもなじまないという質問であるということと、二点目は、本委員会においてこれまで委員長答弁した記録が見当たらないということでありまして、委員長として答弁はできないという結論であります。  次の質問に移ってください。
  157. 山田太郎

    山田太郎君 ただ、前例はそうだとしても、やっぱり委員長も悔しいと思うんですね、これだけ言われて、やっぱりいろいろ弁明。それから、六月十八日の衆議院の予算委員会では、安倍総理・自民党総裁も、しっかり山田氏は説明責任を果たすべきだということを実は答弁されていたりもします。  私は、本件、参議院あるいは国会の自浄作用としてしっかり回答していただいて、どういうお考えなのか、それぞれの事実関係をどこかで、国会の仕組みの中で発表していただけないかと思いますが……(発言する者あり)はい、是非そういった形で、これは理事会に諮っていただく、ないしは是非そういう形で、あるいはもう委員長自身がどこかでお答えいただきたい、それで、きれいなしっかりした形で、疑念がない形で次回から要は農協法の改正案の議論を進めていきたいと、こういうふうに思っております。  もう一度重ねてということでありますが、委員長、いかがでしょうか。
  158. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 時間が過ぎておりますということと、それと、委員長としてのこの件についての答弁については、こうした形での記録はこれまでもございませんので、理事の皆さんの協議に従いまして進めさせていただきます。  以上です。
  159. 山田太郎

    山田太郎君 終わりにします。
  160. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時十四分散会