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2015-04-07 第189回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年四月七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      平木 大作君     秋野 公造君  四月一日     辞任         補欠選任      秋野 公造君     平木 大作君  四月七日     辞任         補欠選任      山口那津男君     矢倉 克夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山田 俊男君     理 事                 野村 哲郎君                 山田 修路君                 徳永 エリ君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 小泉 昭男君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 柳澤 光美君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        財務大臣    菅原 一秀君        農林水産大臣  小泉 昭男君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       佐藤 英道君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        財務大臣官房審        議官       松村 武人君        農林水産大臣官        房統計部長    佐々木康雄君        農林水産省消費        ・安全局長    小風  茂君        農林水産省生産        局長       松島 浩道君        農林水産省経営        局長       奥原 正明君        農林水産省農村        振興局長     三浦  進君        林野庁長官    今井  敏君        水産庁長官    本川 一善君    説明員        会計検査院事務        総局第四局長   斎藤信一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十七年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、平成二十七年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管) ○農林水産に関する調査  (食料農業農村基本計画に関する件)  (都市農業振興基本法案に関する件)     ─────────────
  2. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務大臣官房審議官松村武人君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 去る三月三十日、予算委員会から、本日一日間、平成二十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  林農林水産大臣から説明を求めます。林農林水産大臣
  5. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平成二十七年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  平成二十七年度農林水産予算総額は、関係省計上分を含めて二兆三千九十億円、その内訳は、公共事業費が六千五百九十二億円、非公共事業費が一兆六千四百九十九億円となっております。農林水産予算の編成に当たっては、農林水産業地域活力創造プランに基づき、農政改革を着実に進め、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現するための施策予算を重点的に措置したところであります。  以下、予算重点事項について御説明申し上げます。  第一は、担い手への農地集積集約化等による構造改革推進であります。  担い手への農地集積集約化を加速するため、農地中間管理機構を本格稼働させるとともに、農地の大区画化等を進めてまいります。あわせて、地元ニーズにきめ細かく対応するため、新たに畦畔除去等農地整備を機動的に実施するとともに、耕作放棄地再生利用を進めてまいります。また、多様な担い手育成確保に向け、青年就農者等給付金を給付するとともに、法人での実践研修担い手の円滑な経営継承等支援してまいります。  第二は、新たな経営所得安定対策の着実な実施であります。  飼料用米等戦略作物の本作化による水田フル活用を一層推進するため、飼料用米等の数量払い、多収性専用品種導入等への支援を引き続き実施するとともに、都道府県段階における主食用米以外の生産拡大に向けた自主的な取組支援してまいります。また、産地が自主的に行う主食用米需要に応じた業務用輸出用向け販売等支援してまいります。さらに、米など農産物の価格下落担い手等経営に及ぼす影響を緩和するため、収入減少影響緩和対策等を講じてまいります。  第三は、強い農林水産業のための基盤づくりであります。  水田の大区画化汎用化、老朽化した農業水利施設漁港施設等長寿命化耐震化対策山地災害対策等を進めてまいります。また、強い農林水産業づくりに必要な共同利用施設CLTと呼ばれる新たな木材製品製造施設整備、さらには次世代施設園芸導入加工業務用野菜への転換等支援してまいります。  第四は、畜産酪農競争力強化であります。  生産基盤脆弱化が懸念される畜産酪農競争力強化するため、畜産クラスター計画に位置付けられた地域の中心的な経営体が行う施設整備等支援してまいります。また、自給飼料生産拡大のため、新たに飼料作物の二期作、二毛作を支援するとともに、放牧や草地整備加速化してまいります。さらに、畜種ごと特性に応じた経営安定対策も着実に実施してまいります。  第五は、農林水産物・食品の高付加価値化等推進であります。  農林漁業成長産業化ファンド活用による六次産業化や医療、福祉など多様な異業種との連携を進めてまいります。また、先端ロボットなど革新的技術開発普及等により、高付加価値化を加速してまいります。  第六は、日本食食文化魅力発信輸出促進であります。  ユネスコ無形文化遺産に登録された和食の保護、継承を進めてまいります。また、国別品目別輸出戦略を着実に実行するため、米や畜産物などの品目別輸出団体育成輸出対応型施設整備等支援してまいります。あわせて、食のインフラシステム輸出国際空港近辺における輸出拠点化構想づくり支援してまいります。  第七は、生産振興対策であります。  野菜、果樹・茶、甘味資源作物等について、品目ごと特性に応じた対策を講じてまいります。  第八は、食の安全・消費者信頼確保であります。  国産農畜水産物安全性向上や家畜の伝染病発生予防等取組を進めてまいります。  第九は、人口減少社会における農山漁村活性化であります。  中山間地域等直接支払交付金に新たに超急傾斜地加算を設けるなど日本型直接支払を着実に実施してまいります。また、地域の維持、活性化に向け、地域住民が主体となった地域の将来ビジョンづくりや薪炭、山菜などの未利用資源活用支援してまいります。さらに、都市農山漁村の共生・対流、鳥獣被害防止対策等を進めてまいります。  第十は、林業成長産業化森林吸収源対策推進であります。  CLTなど新たな製品技術開発普及加速化木質バイオマス利用促進等により、新たな木材需要を創出してまいります。また、多様な担い手育成確保、施業集約化など需要に応じた国産材安定供給体制を構築してまいります。さらに、森林吸収源対策推進するため、間伐や路網整備等森林整備、保全を進めてまいります。  第十一は、水産日本の復活であります。  資源管理推進に伴う他魚種転換による経営多角化等支援するとともに、収入安定対策燃油価格高騰等対策、さらには担い手育成確保を進めてまいります。また、漁業所得向上を目指す浜の活力再生プランの策定、実行等による漁村活性化水産加工施設HACCP認定による輸出拡大を進めてまいります。さらに、新たな調査計画に基づく鯨類捕獲調査等を円滑に実施してまいります。  次に、特別会計については、食料安定供給特別会計等に所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、株式会社日本政策金融公庫株式会社農林漁業成長産業化支援機構による財政融資資金等の借入れなど、総額二千五百三十五億円となっております。  以上で、平成二十七年度農林水産予算概要説明を終わります。
  6. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 舞立昇治

    舞立昇治君 自由民主党の鳥取県選挙区の舞立でございます。本日、質問の機会を与えていただきましたことに関しまして、皆様、本当にありがとうございました。  林大臣、私からも、再登板、まずはおめでとうございます。農林水産行政のみならず、金融経済税財政、防衛問題など、広く政策通であります大臣の御就任、私も誠にうれしく思っております。大臣の御活躍をお祈りしますとともに、林大臣だけに特に林業関係者が一番喜んでいらっしゃると思いますけれども、農業水産業に関しましても引き続きよろしくお願いいたします。  本日は、持ち時間三十分ということなので、早速質問に入りたいと思います。  昨年、新農政スタート元年の重要な年でありましたが、新制度立ち上げの準備が十分でない中で米価下落の問題が相当な衝撃を地方に与えたところでございます。そこで、先月の大臣所信の中で、この大きな問題となった米価下落問題を受けて、国としての取組状況ですとか、今後の取組方針等が触れられていなかったことはちょっと残念に思っているところでございます。  そこで、米価の回復がなかなか実感できない中で、これから二十七年産米作付け準備が始まりますが、農家の皆さん、二十七年産米価がどうなるのか、中長期的に再生産可能な米作りをやっていけるのか、今不安な状況でいっぱいでございますので、それについて質問していきたいと思います。  まず最初に、米価下落問題で大きな影響を与えましたのが、やはり概算金の大幅な引下げだったと思いますが、この概算金の問題は後に回すといたしまして、直近相対取引価格、全銘柄平均価格はどの程度で、前年同時期やこれまでの水準と比べてどの程度低いか伺いますとともに、また、私の地元鳥取県におきます相対取引基準価格直近相対取引価格の差、そして各県の相対取引基準価格直近相対取引価格の差は、一俵当たり大体どの程度マイナス乖離があるのか、そしてその乖離幅というのはこれまでと同じくらいの水準なのか、又は大きいのか小さいのか、その辺についてお聞かせいただければと思います。
  8. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) お答えいたします。  まず、相対取引価格の全銘柄平均価格でございますけれども、二十六年産米の本年二月の水準は、一俵当たり一万二千四十四円でございます。前年産の同時期の価格が一万四千五百一円、また、同時期の過去五年間の平均を見ますと一万四千七百三十円となっているところでございます。したがいまして、二十六年産の二月の水準というのは、同時期の前年産に比べまして一俵当たり二千五百円低い状況、過去五年間の平均に比べまして一俵当たり二千七百円低い水準になっているということでございます。  また、鳥取の米の価格についてのお尋ねでございますけれども、鳥取コシヒカリについて見ますと、全農系統が卸などに販売する際の販売希望小売価格でございます相対取引基準価格は、一俵当たり一万三千六百六十六円となってございます。直近相対取引価格は同じく一万二千百四十六円でございますので、相対取引基準価格に比べまして一俵当たり千五百円程度低い水準となっているところでございます。  また、各県の状況は、各県の相対取引基準価格相対取引価格の差の状況というお尋ねでございますが、これは各産地、また品種ごとに様々でございまして、一番差が小さい産地では一俵当たり百円というところもございますし、大きな産地で見ますと一俵当たり二千八百円の差があるというところもある状況でございます。  最後に、相対取引基準価格相対取引価格価格差についての過去との比較ということでございますが、これも産地によりまして価格差が大きい場合、小さい場合、様々でございまして、一概に傾向を申し上げることは難しい状況にございます。
  9. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。  今の相対取引関係で一万二千円ぐらいということで、非常に厳しいという状況だと思います。よく言われるのが、全国平均生産コストが約一万六千円、一俵当たり。そして、十五ヘクタール以上の農家でも約一万一千円と。この相対取引が一万二千円ということで、手数料とか差っ引かれると手元には一万円ぐらいしか残らないと思いますので、非常に再生産可能かどうかと言われると大変厳しい状況じゃないかと思っております。  マイナス乖離幅につきましては一概に言えないということでございますが、大きいところもあるところでございまして、そこは非常に定価と実際の価格取引価格との差が大きいということは非常に苦戦しているという状況でもあると思いますので、引き続きこの問題についてはきちんと取り組んでいかないといけないと思っているところでございます。  そこで、次でございますが、昨年の深刻な米価下落問題を受けまして、これまでの間、農林水産省といたしましても予算そして非予算の両面から一定の追加対策を講じていただいていることにつきましては感謝を申し上げたいと思っておりますけれども、その追加対策の全体像の概要や今後の米価見通しについて、米農家の方々にも分かりやすいよう丁寧な説明をお願いいたします。
  10. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 先ほど御答弁申し上げましたように、二十六年産の米の価格が低下しているという状況に対処するために、緊急対策といたしまして、まず、ナラシ対策による収入減少に対する補填といったものを実施するほかに、まず米の直接支払交付金早期支払実施ということや、二点目といたしまして農林漁業セーフティネット資金の実質無利子化、さらに平成二十六年補正予算におきまして、米の生産コスト低減し、米価変動にも対応できるような稲作農業体質強化を図るための対策実施したところでございます。  今後の見通しということにつきましては、なかなか米の価格水準について需給で決まってくるということで、具体的な見通しを申し上げることは困難でございますけれども、農水省といたしましては、二十七年産の米の需給の安定を図るために以下のような措置を講じているところでございます。  まず、第一点目といたしまして、二十七年産生産数量目標の設定につきまして、二十六年産米生産数量目標よりも十四万トン少ない七百五十一万トンを設定いたしました。さらに、生産数量目標を下回る自主的取組参考値といったものも付記するということを実施してございます。  さらに、水田活用の直接支払交付金活用や、飼料用米利用や保管に必要な機械などのリース導入支援といったことで、主食用米から需要のある飼料用米などの主食用米以外への転換を進めてまいりたいと考えてございます。  それから、需要に応じた生産を進めるために、基礎的な情報の提供といったことについても、今後ともきめ細かく行ってまいりたいと考えているところでございます。
  11. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。  しっかりとやっていただきたいと思いますけれども、先ほどの説明でございました、昨年度の補正予算でございます稲作農業体質強化緊急対策事業、この二百億円につきましてでございますけれども、当初、非常に締切り期限が短くて、そして事業内容もなかなか正確に伝わらなくて現場に混乱が起きて、申請を諦めた方も少なからず存在したところでございますけれども、何とか弾力的な運用ということで締切り期限を延長していただいたということで、ある程度この補正の目的は果たせたんじゃないかと思っております。  本事業のような米の生産コスト縮減によります体質強化取組といいますのは、すぐに効果が出ていくといったようなものでもなくて、私は継続して取り組むことが重要であると思っております。一回限りで済ますのではなくて、現場意見を聞いて、より一層使い勝手を良くするなど、改良を加えながらある程度の期間継続して支援していただきたいと考えておりますが、御見解をお聞かせいただければと思っております。
  12. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生御指摘のとおりでございまして、稲作農業体質強化緊急対策、これでございますが、二十六年産米米価下落に鑑みまして、稲作農業担い手が意欲を持って二十七年産米生産コスト低減に取り組んでいただくことが重要でございますので、二十七年産米営農計画に間に合うよう緊急対策として二十六年度補正予算対応したところでございます。  稲作生産コスト低減につきましては、日本再興戦略、これは二十五年六月十四日に閣議決定をされましたけれども、今後十年間で、現状の全国平均、現在一万六千、六十キロに対してですね、これを、担い手生産コストを四割ほど低い水準、九千六百円にする目標を掲げておりまして、引き続き取り組むべき課題であると考えているところでございます。  この目標の実現に向けまして、当然しっかりと進めなくちゃいけませんので、農地中間管理機構活用によりましての農地集積を進めること、これが一点でございます。二点目には、作期の分散が可能な品種の組合せや、直播栽培の導入等省力栽培技術導入すること、これも重要でございます。三点目におきましては、安価な未利用資源を肥料に活用することや、安価な農業機械導入等生産資材費低減すること等によりましてコスト低減取組を進めているところでございますので、今後とも現場意見を聞きながら丁寧に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  13. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。小泉大臣から、引き続き取り組む課題と認識していると、大変有り難い御答弁をいただきました。ありがとうございます。  続いてでございますが、先ほど松島生産局長からの説明にちょっとなかったわけでございますけれども、今、農林水産省といたしましても、先ほどの米価下落問題の追加対策の中で、本年度当初に、新規事業といたしまして米穀周年供給需要拡大支援事業、五十億円というものを措置していただいております。  私は、これ非常に有り難いと思っておりまして、なぜかと申しますと、これまで農林水産省は、出口対策、米のですね、が緩いと入口の作付け計画が徹底せず、かえって需給が緩むという考え方から、作付け段階の規制が最も効果的という立場でそのような政策を取られてきたと思いますけれども、しかしながら、昨年の米価下落問題を通じまして、出来秋以降の必要に応じて、周年安定供給のための長期計画的な販売や、輸出用そして非主食用など他用途への販売などによる主食用米需給調整を行うことの意義や役割につきまして、あくまで産地主導取組に対する支援という形とはいえ、国として、政府として、農林水産省としてある程度認識していただいたこの事業というものは評価したいと思っております。  この本事業につきましては、やはり気象の影響などによって必要に応じて対策を講じるものという性質のものであるため、主食用米需給調整を適切に行っていくためにも、今年度だけでなく、やはりこれも二十八年度以降もしっかりと継続していく必要があると思っております。  それについての見解をまずはお聞きしたいと思いますし、この事業支援対象取組につきまして、非主食用への販売輸出用向け販売促進等とされておりますけれども、この等の中には様々な取組があると思っております。今ここで私から、こういう取組はマルですかバツですかという問いかけをして、バツと言われますと悲しいわけでございますので、取りあえず具体的な話はおいておきまして、今後、予算の執行に当たりましては、現場意見をよく聞きながら、様々な取組支援が可能となるよう弾力的な運用に努めていただきたいと考えますが、これにつきましても御見解をお聞かせいただければと思っております。
  14. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 米穀周年供給需要拡大支援事業につきまして、貴重な御指摘、本当にありがとうございます。  米の需給価格の安定を図っていくためには、当然、生産者集荷業者団体の自主的な取組により需要に応じた生産販売が行われる環境を整備することが極めて必要であると考えております。このため、平成二十七年度の予算におきまして、産地であらかじめ生産者等が積立てを行った上で、長期計画的な販売輸出用などの他用途への販売を行う場合に国が支援する当事業を五十億円講じることとしており、これらを活用して需給安定に向けた産地の自主的な取組支援することにしているわけでございます。  この事業実施当たりましては、委員指摘のとおり、現場の声によく耳を傾けながら、事業効果が上がるよう適切に対応してまいります。また、平成二十八年度以降の取扱いにつきましては、平成二十七年度の事業実施状況を見極めた上で適切に判断してまいりたいと考えております。
  15. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございました。佐藤政務官からも非常に力強いお言葉をいただきまして、まさに本当に事業効果が上がるよう、実効的な施策となりますよう、是非柔軟な対応をよろしくお願い申し上げます。  続きまして、米の安定取引に移りたいと思いますけれども、安定取引につきましては、やはり播種契約拡大透明性のある概算金価格の形成など多くの課題が存在するわけでございますが、こうした課題の解決に向けまして、農林水産省とされましては、昨年十二月から、米の集荷業者、そして卸、小売業者、そして中食外食業者といった、いわゆる米流通に係る川上、川下の取引関係者で構成される米の安定取引研究会を立ち上げられて鋭意検討を進められて、先週報告書を取りまとめていただいたと思いますけれども、この報告書内容を伺いますとともに、ここの報告書を受けまして、今後、国としてどのように対応していくのか、お聞かせいただければと思います。
  16. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 米には供給量変動に対し価格が比較的大きく変動するという性質がありまして、生産者流通業者中食外食業者にとって、その経営上、価格などの変動リスクが大きいという実態が大きいということでございます。こうしたリスクを軽減し、米の安定取引拡大するためには、播種契約複数年契約等推進していくことが重要であると考えておりました。  このために、昨年十二月に、安定取引拡大に向けて、米の集荷業者、卸、小売業者中食外食業者等から成る米の安定取引研究会を立ち上げたところでございます。これまで五回にわたって議論が行われ、三月三十日に報告書が取りまとめられたところでございます。  三点御報告させていただきたいと思います。  一点目は、米の売手、買手双方が安定取引拡大を望んでいること。二点目に、安定取引拡大を進める上で、需給動向以外の不透明な要因で価格が大幅に変動することが課題となっていること。三つ目に、この点に関連して、概算金水準は市場価格影響を与えているけれども、明確な根拠が示されず大きく変動する形で設定されており、その設定方法の透明化が図られることが望ましい。こうした御意見を頂戴したところでございます。  今後は米の流通に関わる取引関係者それぞれが報告書内容を踏まえまして適切に対応することが期待されるわけでございますが、そうした中で、私ども農林水産省としては、一点目に、報告書内容を、生産者サイドのみならず卸、小売業者、実需者等も含め広く関係者に周知をしてまいりたいと思います。二点目に、生産者と実需者等のマッチングの支援等をしっかりと講じてまいる決意でございます。
  17. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございました。関係者への適切な周知、そして関係者の間での適切なマッチングの支援ということでございますけれども、できる限り国としてもやはり米の安定取引がなされますように、現実的にきちんとワークするように適切な目配り、配慮をお願いしたいと思っております。  そこで、最後に移っていきたいと思いますけれども、今回の米価下落問題を含めまして、一連のこの農政改革につきましては、やはり米農家、その中でも特に小規模零細家族農家の方ですとか米作中心の大規模専業農家の方の中にはこれまでの米政策の累次の変更に失望や怒りを感じている方が少なからず存在しておりまして、また、将来への不安も大きく、地元では、耕作をやめて受け手もいない農地があちこちで出てきているということも伺っているところでございます。耕作をやめて農地が出るということで、じゃ、中間管理事業でやればいいじゃないかという声が出てきそうですけれども、なかなかそこでも対応できていないという情報もあるところでございます。やはり、農業を実際に営む方の意欲と創意工夫こそが農業、農村の発展の原動力になると私は確信しているところでございます。  この点やはり、まずは丹精込めて作られた農産物に敬意を払うことから始まり、林大臣もおっしゃっていますように、一度決めたからもう変えないという硬直的な対応ではなくて、状況に応じて弾力的に制度の見直しを不断に行う姿勢を持って現場農家の方々に丁寧に理解と協力を求めていく必要があると思っているところでございます。  そこで、新農政二年目を迎える中で、いまだ新農政に対する周知が現場の最前線にいる農家の方々まで広くなかなか十分に行き届いていないと私は感じておりますので、今般の米政策の改革に至る経緯や意義、必要性等について改めて現場に対しまして丁寧に説明いただきますとともに、今後どのようにして再生産可能な水田農業を維持していくのか、国民の主食に関わる、食料安保上の問題としても非常に重要な問題でございまして、中山間地域を始め、地域ごと、経営ごとに国が責任を持って水田農業の将来展望を具体的に示していくことが必要と考えておりますが、これらを含めまして、今後の国の関与や支援の在り方についてどのように考えておりますのか、最後大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。
  18. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まずは、我が国におけるこの主食用米需要日本人が米を食べなくなったと、こういうことでございますが、大体毎年八万トンずつこの需要が減少している、こういうことでございまして、来年、再来年良ければそれでいいということではなくて、五年、十年先を見通したときにもやはり持続的にこれならやっていけると、こういう構造を確立するということが大事なことであり、そういう姿を示すことによって新しい方にもどんどん入ってきていただかなければいけないと、こういうことで大きな政策の見直しということを行ってきたところでございます。  その中で、やはり需要が八万トンずつ減っていく、この需要というものに応じて生産を進める、一方で、水田というのは貴重な生産装置でもございますので、この水田のフル活用ということを一方で図らなければならない。これを両立させるために、需要のある麦、大豆、飼料用米等、こういうものの生産拡大する政策が必要であるということがまず一点であります。  それからもう一つは、経営感覚を持った農業者の皆さんの経営によって、消費者ニーズにきめ細かく対応した米の生産、これを行ってもらわなければいけませんので、そういう農業者の、今現場の方の頑張りと、こういうお言葉がありましたが、まさにその創意と工夫を最大限引き出していくような環境を整えるというのが我々の役割であろうと、こういうふうに考えておるところでございます。  具体的には、二十五年の十二月に米政策の見直しを決めまして、生産数量の目標の配分を行政によって行っておりましたが、三十年産を目途に、マーケットを見ながら農家の皆様が自らの経営判断で作物を作れるように環境整備を進めるということ、そして、主食用米から需要のある飼料用米などの主食用米以外への転換を進めて、水田をフル活用をしていただくと。よってもって食料自給率、食料自給力の向上を図っていく、こういう形にしたわけでございます。  さらに、先月、食料農業農村基本計画閣議決定していただきましたが、十年程度先まで施策の方向等を示す、こういう中で、米政策改革の着実な推進、それから飼料用米等戦略作物生産拡大、これを明確に位置付けておりますほか、生産者が所得増大等に向けて具体的にイメージを持って取り組んでいただけるように三十五の農業経営モデルというものを示しておりますが、この中で、水田作についても規模拡大経営複合化等を図る七つのモデルを提示をしておるところでございます。特に、中山間地域水田作については、集落営農の広域化による作業効率化、それから担い手の確保等を図るモデル、こういうものを提示をしておるところでございます。  今後、この基本計画、モデルを含めて説明、周知する機会を大いに増やしていくことによりまして、この経営モデルについて、まさに今、舞立委員からお話がありましたように、キャッチボール、一方的に説明するのではなくて、その説明に対して意見を出してもらって交換をしていくと、こういうことをやって、この具体化に当たっては、きめ細かいキャッチボールをしながら、地域の実情はそれぞれだと思いますので、地域の実情に応じてきめ細かく対応してまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  19. 舞立昇治

    舞立昇治君 大変丁寧な御説明ありがとうございました。  先ほど、大臣最後の方で触れていただきました、今般改定しました食料農業農村基本計画の中で、三十五の経営モデル、うち七つのモデルが水田経営に関わることだということでございます。この経営モデルにつきまして、単に作成しただけで満足せず、大臣お得意の現場との適切なキャッチボールに努めていただきまして、これからも、新農政の円滑な推進、そして水田農業の円滑な推進に努めていただきますようお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。  ありがとうございました。
  20. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。  今日は林大臣質問をさせていただきたいと思いますが、前西川大臣に一度も質問をする機会がございませんでした。したがって、前回の大臣と同じ林大臣質問するようなことになりましたけれども、国会に来てどのぐらいの大臣がいらっしゃったかというと、多分二十人を超える農林水産大臣にお会いをしていたのかなという感じがいたしますけれども、その中で二度お目にかかっている方が、中川大臣、それから若林大臣、そして林大臣と、三人目でございまして、前お二人と同じように実績を上げられるようにということで御期待を申し上げたいと思います。まず、予算関係でございますけれども、TPPについてお話をお聞かせいただきたいと思います。  予算とTPPということになると、なぜ関係があるんだということにもなるかと思いますけれども、基本計画も含めまして、TPPが今後導入をされるというようなことになると、相当基本計画そのものの見直しにも及ぶかもしれない、ついては予算についても関連をするというようなことの思いでお伺いをしたいと思いますが。  一連の流れについては御存じのことだと思います。四月の二十二、二十三の頃に閣僚会合が予定をされているという報道、それから総理の方でお伺いをして日米の首脳会談が二十八日、それから二十九日には議会で演説を行うと。この中に例えば沖縄の問題も入るやもしれませんし、場合によってはTPPということも当然俎上に上ってくるというような思いの準備をされているのではないかなというふうに思っております。  また一方で、アメリカのいろいろな動きという報道の中で、米国内でTPAをめぐってのこともあってということだろうというふうに思いますけれども、情報の開示を行うんではないかと、こういうような報道がされております。もしそのような開示が行われるということになりますと、私どもは開示をされて伝わってくる情報をTPPの情報として国内で共有をするようなことになる。しかし、全文をそのまま開示をするということはこれほとんどあり得ないというふうに思いますから、概略、概要をアメリカの方で流すということになりますと、それは必ずしも日本の立場に立った情報ということにはならないのではないかなと、こういう思いをしております。  したがって、ならば、日本国として私たち国会議員に対して相応の情報を開示をするということの方が、アメリカから出された情報をお聞きをするというよりはよほど国益にかなった流れになるのではないかというふうな思いがありまして、そのことに関しまして、TPPの情報開示について林大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思っております。
  21. 林芳正

    国務大臣林芳正君) このTPP交渉に係る情報提供につきましては、TPP政府対策本部がございまして、ここの下で政府全体で対応するということになっておりまして、これまでも交渉会合の結果等について情報提供してきたところでございます。  今お話があったように、守秘義務など様々な制約がある中で、今後ともTPP政府対策本部の下で政府全体で工夫しながらできる限りの情報提供に努めていく、こういうふうに考えておるところでございます。
  22. 郡司彰

    ○郡司彰君 努めてまいるということでありますが、現実としてはほとんど開示がされていない中で、先ほど申し上げましたように、繰り返しになりますけれども、もしアメリカでそのようなことが起こったときに、それを私どもが読むということと、日本の国が概略をまとめて出すということでは相当内容的な違いが出てくるだろうというふうに思います。そこのところもお考えの上で、これから、最後ところは国会の中の承認ということにもなるわけでありますから、しっかりとした情報の開示をお願いをしておきたいなというふうに思っております。  それから、二つ目でございますが、基本計画と今年度の予算で大きく取り上げておると思いますけれども、飼料用米についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、今年度の予算、関連を含めてどの程度の規模、どのような内容でございましょうか。
  23. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 飼料用米に関する予算の御質問でございます。  二十七年度政府予算案につきましては、水田活用の直接支払交付金というものの中に飼料用米への支援が含まれているところでございます。  具体的には、水田活用の直接支払交付金、二千七百七十億円でございますけれども、そのうち、予算の見積りといたしましては、飼料用米につきまして四百八十二億円を見込んでいるというところでございます。
  24. 郡司彰

    ○郡司彰君 基本計画の中に、例えば自給率の関係でいいますと、生産額ベース、七〇から七三へということで、その理由のところに、国内生産額への寄与が大きい牛肉、豚肉等の消費と生産がおおむね見込みに沿って推移をしていることが要因であると、こういうような記述がございます。したがって、この飼料用米というのはこれからの関係にとって大変大事なところになるというふうに思いますけれども。  また一方で、四月一日付けの、これは日農でございますけれども、集落営農法人の調査を行ったという結果がございまして、一四年度スタートをした米の生産調整見直しを始めとした農政改革の評価、所得が安定せず将来の計画が立てにくいが七割と最多だった、財政当局の予算削減圧力などを踏まえ、将来も手厚い助成が続く保証がないとの不安が背景にありそうだと。この最後のありそうだは、これは記事の書いた方の感覚でございますから、しかし一方で、現実には今回の予算に関しましても財務省の審議会では交付金の削減を要求をされたと、こういう報道もされております。  それの真意のほどというよりも、十年後に基本計画では十一万トンが百十万トン、百万トン増やすというような目標を立てております。十年後までどのような交付金、補助の体制というものがあって、できるのかということを、生産者の方々は取り組むか取り組まないかという判断も含めて大変お考えになっているというふうに思うんでありますけれども、また一方で、しかしながら、主食用は八割の農地担い手の方々が担うんですよと、そしてコストは、主食用の方は四割削減をするんですよと、そういう、いずれにしても関連がするようなものが複雑に絡み合うわけでありますから、今年の先ほど言った内容、額が十年間続くということにはならない。  しかし、その主食用米のコストの下げ具合と同等見合いでそれを上回る程度の補助あるいは交付ということが間違いなくなされるのかどうか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  25. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これはもう大臣も御経験をされた郡司先生でございますから釈迦に説法でございますが、この毎年の予算額、これは国会の審議を経て決まるということでございますので、私の独断でここで十年先の予算を申し上げることはなかなか難しいわけでございますが。  それともう一つは、今まさにおっしゃっていただいたように、将来の各地域の単収等々、なかなかこの先まで見通すということが難しいのではないかと、こういうふうには思っておりますが、一方で、まさに食料農業農村基本計画、これを閣議決定をいたしたわけでございますが、この飼料用米などの戦略作物生産拡大を位置付けて、その達成に向けて必要な支援を行うということを閣議決定ということで、これは財務大臣ももちろん入った上で内閣として決定をしたと、こういうことでございますので、この閣議決定した基本計画に基づいて、しっかりと必要な予算を確保してまいりたいというふうに私としては思っておるところでございます。
  26. 郡司彰

    ○郡司彰君 細かいことでございますから生産局長の方にお答えいただければと思いますが、体系的に数量の払いになりましたよと。五万五千円で、いろいろなものを加算をすると最大で十三万ぐらいになるんでしょうか。大体、平均収量五百三十とかというようなところを含めて、当面、ここ一、二年、どのぐらいの収量ということ、あるいは面積については、先ほど来からの話もありましたけれども、改めてお聞かせください。
  27. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) お答え申し上げます。  まず、実績が出ております平成二十五年産につきましては、生産数量が十一万五千トンと、作付面積が二万一千八百ヘクタールということでございまして、二十六年産につきましては、計画数量ということで、まず生産量が十七万九千トン、作付面積が三万三千九百ヘクタールでございますけれども、これはまだ確定的な数値が上がってきておりませんで、二十六年産の最終的な収量等につきましては、もうしばらくお待ちいただければというふうに考えているところでございます。
  28. 郡司彰

    ○郡司彰君 大変交付の幅が大きいんですよ。そして、面積、収量の予測もまだはっきりしない。そして、今年度の予算からすると、多分執行率そのものがどの程度になるかというのは予測は余りいたしませんけれども、相当乖離が出る可能性もあります。したがって、これ、私は財務省じゃありませんが、もし私が財務省だったらば、その辺も含めてもう少ししっかりしろよというような形の予算に対しての考え方というものは出されて当然だというふうに思います。  そういうことで、先ほど来からの生産者、法人の方々の不安というのは払拭をされるということにはどうも私は今のところなってない。大臣、もう少しその辺のところ生産者の方々に訴えるということについてお願いをしたいと思いますが。
  29. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに御指摘を踏まえてしっかりやりたいと、こういうふうに思っておりますし、二十七年度予算案においても、この二十七年産米生産数量目標、これが十四万トンほど減少すると、こういうことになっておりますが、この十四万トンが全部飼料用米転換したということになっても対応できるような予算計上ということになっておるところでございます。  今、生産局長からも答弁いたしましたように、二十六年産が今やっておるということですが、二十七年産は今から作付け、天候等に当然左右されるわけですが、仮に二十六年産に比べて十四万トン超えて増産した場合は、他の経費の不用額活用するなど、あらゆる手段を講じて必要な予算は確保していきたい、こういうふうに思っております。
  30. 郡司彰

    ○郡司彰君 基本計画そのものについてはまた後ほどの審議ということにもなろうかというふうに思いますので、今日は、今出ました飼料用米の流れで畜産関係予算質問をさせていただきたいなと思います。  ちょっと通告をしております順番を変えまして、今の関係がございますので、関税の推移と今後の対応ということで質問をさせていただければと思っております。  財務省からおいでをいただいているというふうに思いますけれども、まず最初に、牛肉で結構でございますが、BSE以降の関税収入の推移等について数字を示していただければと思います。
  31. 松村武人

    政府参考人松村武人君) 恐れ入ります。私ども、日豪EPAにおけます牛肉の関税収入の減少額をお問い合わせになられて、その準備をしてまいってございますが、関税収入額の現在の金額についてはただいま持ち合わせてございません。
  32. 郡司彰

    ○郡司彰君 ちょっとお願いをしていたような感じでおりました。  ならば日豪の方に移らせていただきますが、日豪EPAが発効されまして、最終年度、物によっていろいろなものがある、数量とか率とか、最終年度ということの捉え方が違うものもありますけれども、今のところ、関税の収入の減収額というものの試算はどのようになっているか、お知らせください。
  33. 松村武人

    政府参考人松村武人君) お答えいたします。  日豪EPAの実施が我が国の関税収入に及ぼす影響につきましては、今後の貿易動向や為替変動等についての予測が困難であるため正確に見積もることは困難でございますが、その上で、豪州からの輸入量が一定である等の一定の仮定の下、最新のデータを用いて機械的な試算を行いますと、牛肉に係る関税収入につきまして、発効初年度で九十億円程度、最終年度で二百三十億円程度の減収と試算されるところでございます。
  34. 郡司彰

    ○郡司彰君 牛肉を含む全体の関税の収入もお願いいたします。
  35. 松村武人

    政府参考人松村武人君) ただいまと同じ前提で機械的な試算を行いましたところ、関税収入額全体につきましては、発効初年度で百三十億円程度、最終年度で三百三十億円程度の減収と試算されるところでございます。
  36. 郡司彰

    ○郡司彰君 一応、最終年度で三百三十億ぐらい、うち牛肉でいうと二百三十億ぐらいの減収になりますよというようなことであります。  今、前提として数量が一定という仮定の下でということでございますけれども、これを、昨日数字的にはお示しをいただきましたが、これを皆さんのこの委員会でお示しをしてお配りをするということよりは答弁でということなんでありますけれども、これ、お配りをして困るようなことというのが何かあるんでしょうか。
  37. 松村武人

    政府参考人松村武人君) 特にございませんので、お出しすることはできるかと存じます。
  38. 郡司彰

    ○郡司彰君 一応、BSEの方についてもちょっと教えていただきたかったんでありますが、正確な数字を今のところ私も持っておりませんけれども、当時、BSEを含め牛肉の関税そのものは二千億を超えるような額があったというふうに思っております。その後、BSEでアメリカからの牛肉の輸入が途絶えるといいますか、なくなった段階で約一千億ぐらい減収になったと、こういうようなことがございました。  しかしながら、BSEの対策その他については、例えば関税収入のうちから緊急に二百億とか、毎年のように使っているわけでありますけれども、これまでの、ここ数年のことでも分かりましたらで結構でございますが、財務省さんの方では、収入のうち農水省関連の対策予算としてどのぐらいが出ていらっしゃるかということについてはおまとめになっていらっしゃいますでしょうか。分からなければ結構ですけど。
  39. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員の御質問は、牛肉に関する関税収入を原資といたします肉用子牛対策費の総額という御質問だと思いますけれども、直近の二十五年度で六百四十億円、二十六年度で六百億円という水準になっているところでございます。
  40. 郡司彰

    ○郡司彰君 今日、朝いただいたこの予算書でありますけれども、一般会計歳出予算各目明細書の十六ページを見ると、例えば、牛肉等関税財源国産畜産物云々必要な経費ということで五百九十七億ぐらいの数字が出ておりますけれども、こういうような形で出てくるという数字、それから先ほどの入ってくる数字、これは毎年、何というんでしょうね、ほとんどが対策費として使われていると、こういうような傾向で考えてよろしいんでしょうか。局長
  41. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 牛肉等の関税収入につきましては、肉用子牛生産安定等特別措置法という法律がございまして、当該年度の牛肉等関税収入相当額を肉用子牛等対策費として肉用牛生産の合理化などに係る施策の財源に充当するという規定がございます。  それに則しまして財源を充当しているわけでございますけれども、具体的な施策といたしましては、まず、肉用牛の繁殖農家に対しまして、子牛価格が保証基準価格を下回った場合に補給金を交付いたします肉用子牛生産者補給金制度、それから肉用牛の肥育農家に対しまして、収益性が悪化した場合に損失の一部を補填する肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊事業と言われているものでございますが、さらに、三点目といたしまして、肉用牛生産の合理化や食肉の流通の合理化のための対策、こういった施策の財源に充当させていただいているところでございます。
  42. 郡司彰

    ○郡司彰君 重ねて局長にお伺いをいたしますが、分かればで結構ですけれども、日豪EPA等が発効した以降の輸入の牛肉、豚肉等の消費の予測というものは、農水省の方では何か試算をされておりますでしょうか。
  43. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 今御指摘のありました日豪EPAの影響につきましては、私どもとしては、協定の締結によって牛肉等の関税収入の減少は見込まれるわけでありますけれども、協定内容は、豪州側より一定の柔軟性を得ることができた結果、我が国の畜産の存立及び健全な発展が図っていけるような内容になったと、そう認識をしているところでございます。  御指摘のありました本協定の締結の結果、影響に留意しつつも、生産者の皆様が引き続き意欲を持って経営を続けられるよう、構造改革生産性の向上による競争力強化推進してまいりたいと思っております。  また、予算についてでありますけれども、牛肉等の関税収入に加えて、その他の財源もしっかりと活用してきたところでありまして、今後も必要な予算は確保してまいるつもりでございます。
  44. 郡司彰

    ○郡司彰君 ちょっと別な角度からいろいろ質問させていただきますけれども、これまでの関税収入が、牛肉だけで見ても二百三十億ですかね、下がるようなことになります、予測がなります。そして、必要な対策についてはそうした関税収入から充当するようなこともやってきた。一方で、これからいろいろな、EPAその他、FTAも含めて私たちの国が市場を開放していくという流れは多分続くんだろうというふうに思っています。  その中で、先ほどの基本計画に戻りますけれども、生産額で七三になるのは、畜産生産、消費が順調に来ているのが上げた理由の要因なんですよ、これはいいんですよね。だとすると、このようなEPAで関税収入が減るということは、一定の数量、それ以上になったらばセーフガードが働くとかということも今回はありますから、一定の数量までは入るだろうという予測が付く。その中で、なおかつ国内の畜産農家その他がそれに対抗できるような施策として行っていくためには、予算的にはもしかするとかなり今よりも必要な額が増えてくるかもしれないということが考えとしては出てくるわけです。  そこのところについて、今政務官の方から、必要な額を確保していきますと。どうやって確保するんでしょうか。ほかの予算を回すということで対応するということでよろしいんでしょうか。
  45. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、先ほども全般的にお答えしたように、予算は毎年度、国会の議決も要りますが、どうやって確保するかということは、関税の収入が、今、EPAについては御説明させていただいたように、率が下がれば減少するという部分も出てきますので、その他の財源を活用して、まさに全体の中でやりくりをして必要な予算を確保していく、こういうことになろうかと、こういうふうに思っております。
  46. 郡司彰

    ○郡司彰君 ちょっと基本計画のところなどでももう少し詰めた議論もさせていただきたいなというふうに思いますが、ちょっと時間の関係で次に入りますけれども、今出ておりましたBSEその他の関係の前に、大臣にちょっとお聞きをしたいんでありますけれども、これから牛肉その他の肉をどんどん消費をしよう、生産者にも意欲を持ってもらおう、今、これから格付をする場合に、A4、5とかというような格付をしておるところが一般的なんですけれども、そうじゃないような、例えば赤身がおいしいんですよとか、牛の種類によっては違う格付というような形で消費を喚起をしようという動きもあるんでありますけれども、これまでと同様の格付はありながらも、それ以外の何か消費者にとって新たな選択をする、そのような格付評価というものをお考えをいただくということも一つの案ではないかなというふうに思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
  47. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な御指摘だと思っておりますし、私も最近年を取ったせいか、余りサシがたくさん入ったやつをたくさん、昔のように毎日焼き肉屋行ってカルビ食うという感じじゃなくなってきたなと、こう思っておりますが、一般的に消費者のニーズも脂肪交雑の多い霜降りの牛肉に限らず、今まさに先生おっしゃっていただいた脂肪交雑が比較的少ない赤身主体の肉、こちらにも関心が高まっておると。町に行きますと熟成肉といったような表示で新しいレストランも大分できているようでございまして、この間も大分へ行きましたときに、豊後牛だったと思いますが、サシの入った等級と別に、うまみの成分と言われておりますオレイン酸の含有量をメルクマールにして、これが高いやつを高いランクのものに位置付けるということを県の独自の取組としてやっておられると。これ、いただきましたけれども、大変おいしいステーキでございました。  したがって、我が省においても、先月、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、酪肉近とこう言っておりますが、これにおいても、霜降り牛肉に加えまして、適度な脂肪交雑の牛肉等の生産推進するとともに、褐毛の和種、それから日本短角種等、特色のある品種地域の飼料資源、こういうものを活用して、多様な肉用牛、牛肉の生産推進していきたいと考えておるところでございます。
  48. 郡司彰

    ○郡司彰君 この質問でこんなに丁寧な答弁をいただけると思っておりませんでした。ありがとうございました。  それから、財務省審議官につきましては私の方の質問はこれで終わっておりますので、もしよろしければ御退席いただいても結構でございます。
  49. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 松村議官、退席されて結構です。
  50. 郡司彰

    ○郡司彰君 続けて質問をさせていただきます。  このBSEの関係でありますけれども、一三年の五月の三十日、OIEの方から、無視できるリスクの国ということのステータス認定を受けたと、こういうことでございまして、もうじき二年になろうとしております。時あたかも、この四月一日から、これまでの二十四か月齢以上から四十八か月齢以上ということに死亡牛の検査が変わったというようなこともございますけれども、これまでのことの労を多としたいというふうに思います。  そして、これからBSEというのは、簡単に言えば、過去のもう病気というか過去の伝染病ということに本当になったんだろうか。もしなったとすれば、これまでの予算等変わってきてもそれはしかるべきだというふうに思いますけれども、その辺の感覚についてはどのようにお考えでしょうか。
  51. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、平成十三年九月に我が国でBSEが発生いたしました。このときには、飼料規制の清浄化、あるいは消費者向けの知識の普及でありますとか安全性のPR、あるいは牛肉価格の回復のための保管に要する支援経営対策、安定対策、こういうもので約二千億円規模の様々な対策を講じてまいりました。二〇一三年の平成二十五年五月にはOIEから無視できるBSEリスクの国に認定を受けたところでございます。しかしながら、引き続き、飼料規制の徹底、あるいは清浄化の維持強化のためのサーベイランス、こういう措置を継続する必要がございます。そのための所要額、二十七年度の予算額におきましては約七十七億円ほど計上をお願いしておるということでございます。  引き続き、BSEの発生のリスクに応じて適切なリスク管理措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  52. 郡司彰

    ○郡司彰君 取りあえず非定型のものは、これは理由もよく分からないということもありますけれども、一定の数が出るということも私はあり得るのかなという感じがしておりまして、ただし、今おっしゃっていただいたように、リスクの管理でありますとか評価でありますとかコミュニケーションというものはきちんとやっていかなくちゃいけない。  一方で、副産物の利活用ということについては、これはやはり慎重にということ、それからそれが、何というんでしょうね、逸脱をするようなことがあっては大変でありますけれども、これは今までと同じような焼却あるいは埋却とかということに加えて、何らかの利活用を図るということについては新しい検討というのはされているんでしょうか。
  53. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、危険部位、特定危険部位に関しましては焼却をするというふうにしております、除去した上で焼却する。それから、肉骨粉、出た部分について、これについて肥料であるとか餌について活用できないかということで、もちろん牛から牛ということについてはやはり厳しく規制と管理はしていく必要はございますけれども、その交差汚染しっかり管理した上で、そういう副産物、その肉骨粉についてもいろいろ検討をしておるところでございます。
  54. 郡司彰

    ○郡司彰君 果樹園の土壌等には大変効果があるというような話もされておりますし、いろいろな意味で、危険性の除去ということはもちろんでありますけれども、利活用を行うということ自体も、やはり有効活用に生かしていただければなというふうに思います。  それから、口蹄疫についてもお伺いをしたいと思いますが、今現在の世界の口蹄疫の現状というのはどのようになっておるんでありましょうか。  それから、日本に対して、ワクチンを使っている国等からは、それも含めて輸入をしてはどうなんだというような要請もずっと続いているのではないかというふうに思いますけれども、それらに対する国としての考え方というものはどのようになっているんでありましょうか。  それから、一時のときと比べて予算的にはどのような形を内容としているんでありましょうか。
  55. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 口蹄疫ですね。  中国、韓国等の近隣諸国、口蹄疫が継続的に今発生している状況でございます。また、韓国につきましては、昨年七月以降、三月の三十一日現在で累計百七十三件、牛が四件、豚が百六十九件に及んでいるわけでありまして、こうした状況を背景に、我が国におきましては、当然、水際対策ですね、これは入国者への質問実施、検疫探知犬の活用等による病原体の侵入防止措置を強化、これはもう当然しているわけでありまして、国内防疫につきましては、発生の予防、早期の発見、通報、これはもう当然でございますし、飼養衛生管理を徹底するよう累次にわたって通告を発出しているわけでありまして、これはもう当然これからも都道府県を通じて指導をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。  また、万が一の発生した場合のことにつきましても、これは当然、家畜伝染予防法に基づきまして、これも予算につきましては国が支援をすることになっております。引き続き、都道府県と緊密に連絡を取り合って適正に対応してまいりたい、このように考えております。  ワクチンのことにつきましては、現行の口蹄疫ワクチン、口蹄疫の発症の抑制に効果があるものの感染を完全に防御することはできないと、こういうことでございまして、このため、ワクチンを接種することにより、口蹄疫に感染した場合、臨床症状が見えなくなると、それとウイルスが残存しているかどうかの判断が困難になると、こういうことでございますので、口蹄疫ワクチン接種国又は地域からの生鮮牛肉等の輸入は我が国は認めておりません。  なお、口蹄疫ワクチン接種国又は地域からの牛肉等であっても、口蹄疫ウイルスを不活性化するための加熱処理、これはもう先生御案内のとおりでありますが、加熱処理が我が国が指定した施設で行われたもの、これにつきましては輸入を認めているところでございますので、これは中国とか台湾等でございますので、そういう対応をこれからもきちっとやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  56. 郡司彰

    ○郡司彰君 ありがとうございます。  時間の関係でちょっと先に進ませていただきますが、畜産関係で、ほかの例えば北海道などは全然環境が違うんだと思いますが、私どもの方で畜産をされている方は、どちらかというと中山間地で行っている方が多いわけでありまして、そこの方々のお話を聞くと、概して畜産団地に入っていらっしゃる方が結構いらっしゃる、そして、今その数がどうなっているかというと、規模はほかの方のおやめになったのを預かったりして拡大をしているけれども、戸数そのものは減少傾向にあるというようなところが一般的であるというふうに思っております。  こういうようなことで、私自身は、以前のUR対策のときの六兆円余の使い方についても、やはり一つの大きなことを行った後には、反省というか総括というか、そういうものをしっかりやった上で新しいのに取り組むのがよいのではないかなということを申し上げてまいりました。  今度の食料農業農村基本計画ところにも、いろいろなところでこれまでの主な施策の評価と課題というようなところがございます。例えば、今回のことでいいますと、農業を支える担い手など農業・農村の構造の変化のところでは、評価と課題の部分でありますけれども、平成二十二年以降の施策の見直しの中で、構造改革の対象となる担い手の姿が不明確になったことに鑑みというような文章がありまして、再度担い手の姿を明確にして施策推進していく必要があるというような記述があります。  これは、私どもからすると、この辺の議論を基本計画のところではまたしっかりやりたいんでありますけれども、長い農政の中で、やはり国が決めてきた仕組みから外れるというか、従わないというか、その方が私たちにとってはまさに農業をするために良い方法なんだという方々が、例えば生産調整、減反のときにも、多くて四割まで出てきたわけであります。したがって、幾ら生産調整の数字を決めても何ら効果がないような形で、今日まで余ったお米を処理をするために十兆円ぐらいを使ってきたと。こういうようなこともあったわけですから、例えばこの担い手関係でいえば、私は担い手に限定をするような政策をこれから進めるということに対しては余り期待はしておりません。つまり、これまでの農水省の担い手に対する施策というのは、一方でそこに政策予算を集中をしながら、一方でそれに従わない人たちに対してはペナルティーを科すことによって農政の傘からみんな外れていったという、そういうことがあったというふうに私は思っています。  したがって、家族農業も法人も全てが選択を自らする中で、穏やかに、しかし確実に構造改善というものが進むような形が私はあってしかるべきなんだろうというふうに思っておりまして、四全総と言われるものがございました。その中で、その当時の文章を見ると、国交省の全体の計画でありますけれども、特色ある農林水産業の拠点をつくっていこうというような形で、例えば畜産団地あるいは施設園芸の取組等をなされてきたというふうにも思っております。もちろんそれだけではございませんけれども、今現在、それが何か所になって、どのぐらいの予算を使って、現状はどうなっているんだということになっても、多分答えとしていただくようなことにはならないんだろうというふうに思っております。  ただ、私の実体験として、回っているところを見ると、やはり戸数が減っている、その分頭数は増えるけれども、草地に予定をしていたところも含めて、相当荒廃をしているようなところも増えてきております。荒廃をしているところを、一方では農地に再生をさせるという取組もしているけれども、もう正直言って、中山間地で始まったような畜産団地のような部分については無理だろうと。再生させるというよりも、農水省の方針の中にも、二十七万ヘクタールのうち十三万五千ぐらいずつ、再生ができるところと、もう地目の変更をしてやった方がいいというような計画もあるというふうに思いますけれども、私は、それはそれで、しかし、これまでのそのような例えば四全総というのは一つの例でありますけれども、大きな取組として既にもう一定の時間がたっているものについては、どうだったんだという総括をきちんとするということがやっぱり農水省の中では大事だなというふうに思っておりまして、これは冒頭申し上げたURのときも、きちんと総括しなさいと、これ五年ぐらいもう言って、ようやくいろんな意味での総括が出てきました。  今回のことにつきましても、基本的な計画、十年計画で作るということになれば、これまでのエポック的ないろいろな取組について、改めてでもきちんと総括をするというのを体質として持っていただきたいと思いますが、大臣にお伺いしたいと思います。
  57. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、畜産団地のお話がございました。これは、昭和三十年代以降の飼養規模の拡大、こういうことをやっていこうということで、安定供給を支えてきたということでございます。  今まさに委員がおっしゃっていただいたように、規模が拡大するですとか、それから生産基盤、しっかりとやっていくという意味で一定の成果があったんだろうと、こういうふうに思いますが、しかし、一方で、消費者のニーズの多様化というものも同時に起こっているということでございます。したがって、その畜産団地等を始めたときに想定していたことが消費の動向も含めてそのとおりになっているのかというのは、やはり不断の検証というものも必要になってくるんではないかと、こういうふうにも考えておるところでございます。  まさに最近は、PDCAというのをよく言われますけれども、こういうサイクルをきちっと回してやっていく。それから、これは農政に限りませんが、決算審査の充実と、この参議院中心にここ数年やってきたところでございますが。やはり予算を投入して政策をやった、それがどれぐらい効果があったのかということは、大事な税金でやっていくことでございますから、不断の検証というのが必要になってくると、こういうふうに思っております。  特に、今委員がお話があったように、大きな変更をした場合というのは、それなりに、毎年やるPDCAということではないかもしれませんけれども、ある程度の区切りを付けて、一体どういうことであったのか、そして、全てが予定どおりになったかどうかということもさることながら、その間に、先ほど申し上げましたように、消費の動向が変わったとかいろんな環境の変化があって、それは当初の想定とこういうところは変わっていたと、こういうところもありていに率直に評価をしていくという姿勢が大変に大事ではないかと私も考えておるところでございます。
  58. 郡司彰

    ○郡司彰君 その関連でいいますと、確かに規模は拡大をされてきている、しかし戸数は減少の一途をたどっていて、昨年はバターが作れないと、こういうような、短絡的な話をすればそういうような形になってきております。規模は、試算によれば、ヨーロッパの一般的なところよりももう規模は拡大していますと。しかし、それでみんながやめていくというのは、それでもなおかつやっていけるだけの収入に足り得ていないということでありますから、規模拡大がいいんだというようなことの発想そのものも改めるようなことが必要だろう。  例えば、私どものときに、ならばホルスタインだけではなくて、例えばチーズに合うようなブラウンスイスとかジャージーとかというものを飼って、新しいチーズの開拓をしようというようなことも取り組まさせていただいて、例えば、そのチーズを作るにも、そういう牛の育て方、どういうふうにして育てるんだとか、それから、受精をするための卵子とか精子とかというものもどういうふうにして確保するんだとかということもありましょうけれども、総じて、一定程度各地でそのような芽が出てきているんだろうというふうに思っています。  予算関係からいうと、チーズの職人を育てるための予算をつくりましょうとか、いろんなことをやってまいりましたが、今現在は大体補給金の方に組み込んでいるというような形になっております。それはそれで一つの方法かもしれませんが、やはり目的を持って、国はこういうことをきちんとやるんですよ、規模拡大だけじゃなくて、そういうような施策をきちんとやるんですよということはやっていただきたい。特に、これからそういう希望を持っている方々のために、ホル以外の牛の育て方、それから、ほかの国から持ってきて増やすような、何というんでしょうね、政策、そして、それをつくる人をつくるというような、そのようなことについては、改めて補給金だけではなくて予算化をして取り組んでいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  59. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさにこのチーズも、国産チーズの振興、食生活の多様化を背景にチーズの需要というのは伸びが見込まれておりますので大変重要だと、こういうふうに思っております。  国内におけるチーズ生産ですが、二十二年度に四万六千トンであったものが、二十五年度四万九千トンということで、大変に順調に増えております。それから、酪農家等によるチーズ工房の数も、二十二年度の百五十か所から二十五年度には二百三十四か所ということで、大変に増加をしております。  こういう取組推進のために、今お話のありました平成二十六年度からですが、加工原料乳生産者補給金の対象にチーズ向けの生乳を追加しました、補給金単価十五・五三円、二十七年度でございますが。これに加えて、まさに今御指摘がありました生産者等技術研修、それから販路拡大、商品開発、こういう取組に対する支援。それから、ブラウンスイスなど、今お話のあったホルスタイン以外の品種特性を生かした地域の特色ある製品づくりのための多様な乳用牛品種の受精卵導入、こういう取組等を支援しておるところでございます。  やはり、地域地域でいろんなものをつくっていただいて、行く行くはブリー・ド・モーですとかカマンベール・ド・ノルマンディーといったGIのようなものになって、そこの特産物ということになっていくという取組もヨーロッパであるわけでございますので、こういったことにつながるようにしっかりと支援をしていきたいと、こういうふうに思っております。  また、今年度からですが、生乳取引の弾力化をしまして、酪農家が自ら加工に取り組みやすい環境の整備を行っておるところでございます。自己処理量の上限というのがございまして、今まで一日一・五トン以下だったものを三トン以下まで引き上げると、こういうことをやるということでございます。  チーズは、冒頭申し上げましたように、大変需要も伸びておりますし、付加価値の高いものでございますので、こういった特色ある牛乳、乳製品生産、これを推進していきたいと思っております。
  60. 郡司彰

    ○郡司彰君 済みませんでした、今日は豚流行性下痢の対策あるいは鳥インフルエンザのことについてもお聞きをしようと思っておりましたけれども、時間の関係で恐縮なことをいたしました。  最後にちょっとお聞きをしたいのは、福島の被災地の関係、原発の関係で、牛や豚が放れ牛、放れ豚という状態でずっといたのが、お聞きをしましたらば、全部それは解決をしたというようなことをお聞きをしまして、大変御苦労があったと思いますし、獣医師の会員の方々も大変御協力をいただいたんだろうというふうに思っております。質問できませんでしたけれども、その取組に対して感謝を申し上げたいと思います。  終わります。
  61. 平木大作

    平木大作君 公明党の平木大作でございます。  私の方からは、本日は稲作農業体質強化についてお伺いをしたいと思います。  もう先ほど来の御質疑の中で何度も触れられております、日本再興戦略の中で掲げられました、今後十年間で米の生産コストを四割削減する、大変意欲的な目標が掲げられているわけでございます。これも御答弁にございましたが、今の全国平均の米の生産コスト、これが六十キロ当たり一万六千円、つまり四割削減ということは九千六百円を目指すということでありますので、大分、数字を見るときついなというのは正直なところだと思うんですけれども、同時に、昨今の米の取引価格考えますと、やはりここまでしっかりやり切らなければ今後の稲作農業のやっぱり発展というのはないんだと改めて実感をするわけでございます。  この大きな目標に向けて、まず、この平成二十六年度の補正予算の中で稲作農業体質強化緊急対策事業、二百億円で組まれたわけでございますが、これ、もう既に締め切られて、二度延長して締め切って、結局、申請が予算額の今四割程度にとどまってしまったということでございます。  これについて、政府として今どのように受け止めていらっしゃるのか、御答弁をお願いいたします。
  62. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 稲作農業体質強化緊急対策、これは米価変動にも対応できるような、まさに今委員がおっしゃっていただいたように、稲作農業体質強化を図るために、肥料、農薬代といった資材費の削減、こういうことをやって生産コスト低減に向けて取組を行おうとする農業者を支援するものでございます。  予算を確保するときに、主食用米作付面積の半分、七十万ヘクタールについて皆さんが申請されたということになっても万全な規模ということで二百億円を確保したところでございますが、申請額はこの予算額に対して約四割、七十八億円であったわけでございます。  四割ということで少なかったわけでございますが、しかしながら、一方で全国で三十五万ヘクタールの水田稲作生産コスト低減を図る取組が行われるということになりましたので、一定の効果を果たしているものと、こういうふうに考えておるところでございます。
  63. 平木大作

    平木大作君 今御答弁いただきました、三十五万ヘクタールから申請があって、一定の効果があったと。私もこれは本当に大事な施策であったというふうに思っております。  ただ一方で、私、今年に入りましてから、一月以降、新潟に毎月ずっと通い続けておりまして、長岡の稲作農家あるいは農業法人、歩かせていただいていろいろ今意見をお聞きしているところなんですが、お伺いすると、大抵、今日も委員の皆様にもあえて再度配らせていただきましたが、このまさに緊急対策事業の紙を、皆さん、奥から持っていらっしゃいます。持っていらしてどんなことをお伺いできるのかなと思うと、大抵、今、A、B、Cと十七のメニューが並んでいるわけですけれども、この横に鉛筆でバツと書いてあって、これは使えないというふうに正直言われることが多かったんですね。  まさにここについて、申請が思ったほどなかった、だから駄目とかいうことよりも、ここでやはり改めて見直しておかなくてはいけないのは、支援のメニューを作っていただいたときに様々、A、B、C、十七もメニューがあって、事細かにいろいろと組んでいただいていると思うわけですけれども、やはり今一番大事なことは、当初二百億円で予算組んだときの、このメニューにこのくらい来るんだろうというふうに見込んでいたものと実際に申請があったところのやっぱりギャップがあった。このギャップをやっぱりこれからの施策にどう生かすかということが本当に大事なのかなというふうに思っております。  その意味で、この支援メニュー、A、B、C、委員の皆様はもう既によくよく御存じのところだと思うんですけれども、Aのところというのは肥料、農薬などの資材費の低減、あるいは労働時間短縮の取組、それからBが直播、直まきですね、直播栽培の実施、Cが農業機械の共同利用と。こういう形で、割とコストが掛かりそうなところについて満遍なく施策は打っていただいたのかなと思うわけですが、これについて、結局、私が直接お伺いしたところもそうだったわけですけれども、報道等でもございました、要は、既に実施済みのものが多くて使いづらかった、使わなかった、こんな声も聞こえたわけですが、これについて、このメニューごとの申請状況を受けて、今後どのようないわゆる支援策また改善の処置というのが考えられるのか、この点についてお答えいただけますでしょうか。
  64. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) この度の対策について、現場の御意見も伺った上での御指摘だと思います。  確かに本事業推進の際に、現場の方々から、既にメニューの取組を実践しており、申請できないといった声があったことも事実であると思っております。取組を既に行っていても更にコストを下げる工夫をすれば支援の対象となる旨というものについてQアンドAで整理してホームページに掲載をさせていただいたり、現場におきまして丁寧に説明するなどの推進活動も行わせていただきました。  また、本事業は、二十六年産米米価下落に鑑みまして、稲作農業担い手が意欲を持って二十七年産米生産コスト低減に取り組んでいただくために、二十七年産米営農計画に間に合うよう緊急対策として二十六年度補正予算対応したものでありますけれども、今後とも、様々な事業を進めるに当たっては、今御指摘がありましたとおり、現場からの意見によく耳を傾けて事業効果的な推進にしっかりと努めてまいりたいと思います。
  65. 平木大作

    平木大作君 今回様々なお声をいただいて、この声というのが本当に大事なんだというふうに思っております。  今回、もう実施済みだったから、結局、自分がある意味申請できるメニューがなかったという方もいらっしゃれば、説明をちゃんと、QアンドA聞いて、説明を受けて、あっ大丈夫だったんだというふうに申込みをされた方もいらっしゃるんじゃないかと。これ、様々あると思うんですけれども、特に今回御批判の声を上げていただいたところに、これからのいわゆるコストを更に削減していく、農業、また経営基盤をしっかりと強くしていくためのやっぱり貴重な声が含まれているのかなというふうに思っております。  特に、まず最初に、もう実施済みだった、しかも、だから今回は申請できなかったというところ、ここについては、確実にこれは稲作農家としては、また農業法人としてはこれフロントランナーなわけですね。政府としてこういったものを取り組んでいくべきじゃないかというふうに用意した十七のメニューについて、もう既に全部やっています、今までも積極的に取り組んできましたというところでありますので、ある意味、今後さらにほかのところ、ほかの地域、ほかの農業生産法人、こういったところにコスト削減の取組を広げていく上でのやっぱりフロントランナーであり、そういったところのいわゆる生産コストがベンチマークになっていくはずでありますので、またそういったところにしっかり更なる聞き取り、追加の調査、こういったところを是非やっていただきたいなというのをまずお願いしたいと思います。  そして、こういった御不満のあるところは、是非とも、この紙だけ渡して申込みがあるかないかだけで終わるんじゃなくて、一緒になって考えるというところも含めて農水省としてもまた取り組んでいただきたい。  今回、申請がなかったところについては、単にフロントランナーだけじゃないなというのも正直思っております。私がお伺いしたのは、結局、ちょっと大変だから来てと、声を聞いてあげてと言われたところにやっぱり行っているというところもあるのかなと思うんですけれども、このメニューを見たときに、正直自分たちの今の経営のこの現状から見るとちょっと申し込めないなというような声をいただきました。  要するに、何を申し上げたいかというと、今回申込みがなかったところの一つの類型として、もう既に負債が大きい、十分に大きい。これまでの政府取組等、指針に沿ってある意味法人化に取り組んだ、大規模化に取り組んできたと。こうやってくる中で、ある意味もう、ちょっと負債の規模が大分大きくなってしまった、今更、ある意味、じゃ直播のための新たな設備投資しましょうとか機械買い換えましょうと言われても、もうなかなか借金を更にするような余裕はないんだよというようなやっぱりところがあったんじゃないかと思っております。  この点について、これから効果的なより施策打っていくためには、やっぱりこの経営実態しっかり把握していただきたいと思うんですが、まずこの点について、農業法人の例えば収支ですとかあるいは負債の状況、今政府として一体どのような形で把握をされているのか、お答えいただけますでしょうか。
  66. 佐々木康雄

    政府参考人佐々木康雄君) お答えいたします。  お尋ねのありました農業法人の経営状況についてでございますけれども、私どもで実施しております農業経営統計調査というものがございまして、これで毎年サンプル調査によりまして把握をいたしております。そして、生産する主な作物、作目に対応いたしまして営農類型別に取りまとめをし、公表しているところでございます。  現時点で最新のデータは平成二十五年でございますけれども、これで水田経営のデータを御紹介いたしますと、農業粗収益は一経営体当たり四千八百二十八万円、農業経営費は三千百五十万円、借入金は一千五百三十三万円等となっているところでございます。
  67. 平木大作

    平木大作君 私も、今一部御紹介いただきましたこの農林水産統計、今までもいただいていたんですけれども、今回質問するに当たって初めてじっくり見てみました。ここまで細かいところをしっかりある意味把握されているんだなと。  今、サンプルデータというふうにおっしゃいましたけれども、一々、例えば支出についても細かな費目まで見ていただいております。それこそ肥料費だとか修繕費だとか光熱費だとか、そういったところまでブレークダウンがある。経営の分析のところもよく見ていきますと、いわゆる資本の回転率ですとか流動比率ですとか、私が証券アナリストをやっていたときに一生懸命電卓をたたきながら計算していたような、そういった数字もたくさん出ている。これ、本当に宝の山だと思うんですね。耕地面積のこの耕地の規模ごとにある意味統計等も取っていただいておりますし、ある意味これ本当に生かさない手はないなというふうに思っております。  逆に、ここまで精緻に取っていただいていると逆に大丈夫かなと思ったりするのは、これが本当に統計のための調査になっていないかなと、そこも改めて若干感じてしまったところでありまして、この細かく一つ一つ出しているところをどう生かしていくのか。特に小規模なところについては、例えば流動負債が大きなところよりもむしろかなり大きかったり、これ運転が相当厳しいんだろうなというのが分かりますし、一つ一つ見ていくと、やはり経営規模に応じて、あるいは経営の実態に応じて必要な支援策って異なってくるというふうに思っております。  その意味で、是非これ今後の、特に米農家体質強化策に、施策にリンクさせる形で、昨年との違い等はこの表を見ても分かるわけですけれども、五年、十年ぐらいの動きを見てきた中で、最近の動向に沿った形でやっぱり施策を打っていただきたい。改めてお願いを申し上げたいと思います。  今回、一つ補正予算の中で組んでいただいたわけですが、新年度の予算平成二十七年度の予算案の中には、米の年間を通じた安定販売需要拡大に向けた産地の自主的な取組支援すると、こういうことで、新規に米穀周年供給需要拡大支援事業、五十億円で措置されているわけでございます。  まずこれ、具体的にどのような支援になるのか、お答えいただけますでしょうか。
  68. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員から御指摘がございました米穀周年供給需要拡大支援事業でございますけれども、これにつきましては、産地であらかじめ生産者などが積立てを行っていただきまして、その生産者の方々が需要に応じた生産を行ってもなお気象の影響などによりまして必要が生じた場合に、長期計画的な販売輸出用など他用途への販売を行う取組に対して国が支援するという事業でございます。  具体的にどういう行為に対して支援をするかということでございますけれども、例を挙げますと、例えば、周年安定供給のために長期的、計画的な販売取組をして、主食用米を翌年から翌々年に長期的に販売していくといった取組ですとか、また、輸出用向け販売促進取組といたしまして、主食用米輸出向けに販売する際の商品開発や販売促進等取組に対する支援ですとか、さらに、業務用向けの販売促進ということで、主食用米業務用向けに販売する際の商品開発、こういったものについても支援してまいりたいと考えてございます。  最後に申し上げますと、さらに、主食用米を非主食用米販売する場合、この場合は値引きとか価格差補填ということについては支援の対象とはしておらないところでございますけれども、こういった取組につきましても国が一定の割合で支援をしていきたいと考えているところでございます。
  69. 平木大作

    平木大作君 今お答えいただきました。やはり、このコストを低減するというところは一つ必要な施策なわけですけれども、同時に、今例えば御紹介いただいたような、海外への輸出をにらんだ形での販売力を付ける、あるいは価格変動したときにどうやって経営を安定させるか、こういったところ施策、やっていただきたいというふうに思います。  毎年八万トンずつこの需要が減少していくという中で、国内のパイを奪い合うだけでは本当に先がなくなってしまうわけでありまして、是非こういった取組、引き続き継続していただきたいということをお願いしたいと思います。  続きまして、これも先ほど質疑の中に出てきたわけでございますが、ちょうど先月末、農水省の米の安定取引研究会報告書を取りまとめました。この中で、事前契約拡大の必要性ですとか、あるいは米の概算金の透明化を求める意見と、こういったものが記載されたわけでございます。  平成三十年には生産調整をもうある意味やめるんだというところをしっかりと見据えた上で、やっぱり今から取組を進めていかなくてはいけない。  この報告書の中でも指摘をされました今後の米価の安定に向けて、例えば概算金というのはやっぱり一つ大きなポイントになるというふうに思っておりますけれども、これ、JA全農ですとかそういったところに対して何らかの働きかけを政府として行っていくのでしょうか。
  70. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 委員からお話がございました米の安定取引でございますけれども、やはり米の安定取引につきましては、やはり米政策の見直しの中に大変大きな役割を果たしているというふうに考えてございます。  播種契約や複数年契約といったことができますと、生産者作付け前に販売先や販売数量につきまして見通すことができるということで、行政による生産数量目標の配分に頼らない生産体制といったことの構築が可能になってくるのではないかと考えてございます。  先ほどこの委員会でも御議論がございましたけれども、そういった観点から、川上、川下も含めた関係者が集まっていただきまして、米の安定取引研究会を立ち上げて様々御議論いただいたわけでございますけれども、その中に、概算金水準の決め方につきまして、市場価格影響を与えているという実態がある中で、必ずしも明確な根拠が示されずに大きく変動する形で設定されていると、その設定方法の透明化が図られることが望ましいということがこの報告書の中に書かれてございます。  この研究会にはJA全農も参加しておりますし、この検討組織も安定取引拡大の必要性や解決すべき課題についても我々と関係者と十分認識は共有されているというふうに考えてございますので、JA全農につきましても今後報告書内容を踏まえて適切に対応していただけるものと考えているところでございます。
  71. 平木大作

    平木大作君 この報告書、研究会、例えばJAの皆さんも含めて関係各所、様々な角度からのやっぱり意見をしっかり受け止めて作っていただいたというふうに思っております。その意味では、本当にこの指摘、改めて、もっともじゃないか、当たり前じゃないかと思うんですけれども、しっかりこれやっていただきたい。  特に、この概算金が米の市場価格影響を与えると、これ、でも流通量の四割をそもそも概算金、いわゆるJA全農を通して決まっているわけでありますから、ある意味当たり前。ですから、ここについてしっかり透明性を確保していただく、しっかり説明していただく、これはもとより、更に言えば、いわゆるJA全農を通さない形での残りの半分以上のお米、これについてもやっぱり相対の取引、しっかりと透明性を持って、公正な価格がどういうふうに決まっていくのかというところ、このプロセスをしっかり是非農水省としてもつくっていただきたいなと、重ねてお願いを申し上げたいと思います。  最後にお伺いしたいんですけれども、先日閣議決定をされました食料農業農村基本計画、これについて、この計画そのものについては、今後また別途これは質問の機会をいただけるというふうにお伺いをしております。  今日は、そこに、この基本計画に参考資料という形で今回二つ付いてきておりまして、一つ目が農業経営等の展望についてというもの、それからもう一つが農業経営モデル及び地域戦略の例示とありました。私も読ませていただいて、本当にここ、よく精緻に作っていただいたなというふうに思いました。  まず最初の、農業経営等の展望については、まさに今取り上げました生産コストの縮減についても、先ほどの緊急対策の中にもありました直まきの取組ですとかICTの活用、衛星データを活用した生産管理、こういったものが並べられていまして、どういう方向性を持って、どういう施策を持ってコスト低減に取り組むのか書いていただいている。また、もう一つの方の、農業経営モデル及び地域戦略の例示、こちらについては、経営形態、要するに常勤の雇用が三名で臨時雇用が四名の場合はこういうのがどうだとか、そこで働いている人の姿だとか作付けのいわゆる形態、体系、それから大体このくらいの規模でやると粗収益はこのくらいでという細かい数字も含めて御提示いただいていて、これ本当に意欲作だなというふうに思っております。  やっぱり大事なのはここからかなと思っていまして、せっかく提示していただいたこの経営戦略だったりモデル、これについて、今度は生産者の皆さんにどうやって提示をして、また経営の発展につなげていくのか、ここが一番ポイントだと思うんですが、この点について、政府のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  72. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生の御指摘の部分でございますけれども、これからのモデル、それはもう本当にしっかりと目指さなきゃいけないものが幾つかあろうということだと思いますが、新たな基本計画の策定と併せまして、合理的かつ安定的な農業経営の姿や所得増大に向けた取組などを具体的に示すため、主な営農類型、地域についての三十五の農業経営のモデルを示したところでございまして、この中で、水田作につきましては、直播の導入作期の異なる品種の組合せ等でコスト低減や規模拡大を図るモデルに加えまして、野菜作や農産物加工等による経営の複合化を図るモデルなど多様な経営発展の方向を考え七つのモデルを示しておるわけでありまして、新たな食料農業農村基本計画でお示しをいたしました施策等を着実に進めていくために、現場とキャッチボールをしながら、その内容現場関係者や一般消費者に理解していただくことが極めて重要だと考えております。  このため、基本計画について、全国段階での説明会開催、本日を皮切りに順次ブロック、都道府県段階におきまして、行政担当者や農業関係者等に対する説明、周知活動を展開することといたしているわけでありまして、その際、各地域において、農業経営の発展や所得増大に向けた検討の参考となるよう、農業経営モデルについても丁寧な説明意見交換を今後とも続けてまいりたい、このように思っております。
  73. 平木大作

    平木大作君 ありがとうございます。今おっしゃっていただきました、作っていただいたこの戦略そしてモデル、これやっぱりこの紙のまま配って渡しても本当に全く機能しないのかなと思います。これはもう机の上で作ったものだろうと言われて終わってしまうと、そのとおりだと思うんですね。  一方で、じゃ、このまさに作っていただいた紙を持って政府農業法人さんですとか生産者の皆さんのところに一軒一軒回るというわけにも当然いかない。やはりこれは地方自治体、その地域農業の在り方を担っているところと連携しながらやっていただくしかないというふうに思っております。  大事なことは、これもう私が申すまでもないわけですけれども、このモデルのとおりにやりなさいということではなくて、むしろこれを議論の出発点として、じゃ、各地域に一番合った形での農業経営の在り方って何なのかということを、その地域に最適なモデルを見付けていただく、ここまでやっぱりやっていかないとなかなかその先が続かないのかなというふうに思っております。  冒頭のテーマに戻りますけれども、コスト、特に稲作のコストを四割削減、本当に本当に高いハードルでございます。物づくり、いわゆる二次産業の世界では、コストを半分にしろとか四割削減しろとか、こういう本当にハードルの高いものを今まで掲げて何とかクリアしてきたという歴史がある。ある意味それと似たようなことを今回は稲作でもやっていくわけでありますけれども、忘れてはいけないのは、日本稲作農業において、コスト削減において、非常に大きな制約要因があるということであるかなというふうに思っております。  やはり物づくりの中でコストを削減しようといったときには、すぐ、じゃ、スケールを狙いにいこうと、たくさん作ってそれで一個当たりのいわゆる生産コストを下げようというのが普通最初に来るわけでありますけれども、事お米作り稲作に関しては、たくさん作るわけにはいかない。ある意味、これから八万トンずつ年間どんどん需要が減ってくる中で、その需要もまさに見極めながら、少しずつ作る量をある意味減らしながら、でも生産コストは引き下げ続けなきゃいけないという大きな大きな制約があるということでございます。  その意味では、これよく政府から御説明をお伺いするときに、こういった取組は、いわゆる現場が自主的に取り組むものを支援するんだと。これはそのとおりだと思うわけでありますけれども、同時に、この大きな制約下において今苦闘している生産現場の皆さんを支援していくのであれば、やはり前のめりな支援が必要なんだろうと。先ほど申し上げましたように、一緒になって地域に最適な農業経営モデルを作っていく、あるいは紙を作るところに終わらなくて、また説明するところに終わるんではなくて、その実施、インプリメンテーションをどうやったら支援できるのか。  実際に、この直播みたいなものについても、こんなのはある意味農業の本道じゃないんだみたいなことをやっぱりおっしゃる方もいらっしゃるわけでありまして、そういう方たちとともにどうやってこのコスト削減に取り組んでいくのか、是非ともこういったところをより現場に近いところで寄り添った形での農業施策、期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  74. 儀間光男

    ○儀間光男君 維新の党の儀間でございます。  今日は、食料農業農村基本計画、今日議題になりました、を中心に質問をさせていただきますが、その前に、私、過去二か年間、日台漁業協定、日中漁業協定、なかんずく日中漁業協定の中で、中国漁船が南西海域やりたい放題に荒らし回って、資源の枯渇に追い込むぐらいやってきましたね、違法操業。とどのつまりはアカサンゴも捕り尽くして、なくなったので小笠原へ出没したというところからいろんな問題が生じて、そのたびに申し上げていて、この後の海底資源がどうなっているか、水産資源がどうなっているか、両海域調査をして対策をすべしということを申し上げてまいりましたが、今日、これは最終にはしませんが、次また対策考えますけれど、現在のところどうなっているか、南西海域、小笠原海域、お答えいただきます。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕
  75. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 昨年来、質問いただいている事柄でございます。現在の状況を申し上げますが、昨年の中国サンゴ船による違法操業を受けまして、補正予算で一億三千二百万円の調査費を確保していただきまして、本年三月三日から二十三日まで小笠原周辺海域において無人潜航艇を用いた海底状況調査を行っております。現在、その調査結果を取りまとめているところであります。この小笠原周辺海域での調査の結果や経験を踏まえて、沖縄周辺海域についてどのような調査が可能か検討しているところでございます。
  76. 儀間光男

    ○儀間光男君 検討って何ですか。二十七年度予算で処置をし、二十七年度で沖縄海域、南西海域、東シナ海、調査するという話じゃないんですか。
  77. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 二十六年度の補正予算で確保しました予算につきましては、今回一億三千二百万を用いて小笠原周辺海域の調査を行ったところでございます。  これによりまして、二百メートルの海底を調査する経験、あるいはその調査の結果どのような形が得られるか、そういったことも積み重ねてまいりましたので、その知見と経験を基に沖縄周辺海域でどのような調査が可能か、今後検討してまいりたいと考えておるところでございます。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕
  78. 儀間光男

    ○儀間光男君 ここに余り時間取りたくないんですが、そういうことは、予算の処置はまだめどが立っていないと、これからその調査実施するかどうか検討の段階であって、二十七年度にやりたいんだということではないんですか。これを最後の答弁にしてください。
  79. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 二十六年度の補正予算においては予算を確保して行いましたが、その経験を踏まえて、私どもの調査船あるいは各大学の船、そういったものも含めて、どのような形で調査ができるか、こういうことも含めて検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  80. 儀間光男

    ○儀間光男君 押し問答になりますからおいておいて、次は個別に会っていろいろ相談したいと思います。  さて、先ほど言いました、去る三月三十一日に閣議決定され、今日議題になっています新たな食料農業農村基本計画について読ませていただきましたが、第一は、食料農業及び農村に関する施策についての基本的な方針として、一つ目には食料農業・農村をめぐる情勢と施策の評価、二つ目には食料農業・農村に関する施策を進めるに当たっての基本的な視点。第二には、食料自給率の目標の中で、一、食料自給率と食料自給力。第三番目には、食料農業及び農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策として、一、食料の安定供給の確保と消費者の信頼の確保ということで、あと五つの項目、五番目に団体の再編整備等に関するまでの項目にわたって施策が展開するとあります。次に、第四は、食料農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項。大きく分けてこの四つの項目で成り立っております。  中身を読んで感じたことなんですが、現在、日本農業がいかに様々な課題を抱え厳しい環境にあるかがよくうかがえるような感じがいたしました。農業は、その性格上、短兵急に改善はできないものの、中長期、今、十年計画とか聞きましたけど、中長期視点からしますと、計画の実効性あるいは政策をしっかりと展開すれば、必ずや成長産業化はできると信じております。  ここまでのところを押さえて質問に入りますが、安倍内閣農業に対しては攻めの農林水産業のための農政改革を目指してまいっておりますが、これ、言い古されている統計ですけれども、農業の従事者の高齢化が進み、六〇%に及ぶ従事者が六十五歳以上の年齢という実態がありまして、この実態を見ますというと、いかに後継者、担い手育成が喫緊の課題かがよくうかがえるのであります。攻めの農林水産という目標は今の状態ではなかなか難しい、担い手のない状況で難しいということだと思いますので、今そういうことを前提に、新たに農業後継者、どういうふうにして育成しようかと。  例えば、これは従来の後継者育成等のみならず、今は生産から販売まで、つまり六次産業まで行くとすると、農家自体もマーケティングをちゃんと分かるような人材をつくっていかなければならぬ。農業法人だったら法人で教育しますから、生産からマーケットまでやる、流通やるんでしょうけど、農家が直接六次産業までやろうとするとそういうことが必要になってきますね。JAとのタイアップも含めてでありますが、こういう形の後継者の育成が必要となってまいりますが、どのように対策をしていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。
  81. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まさに、今先生がおっしゃったように、農業経営を今から発展させていくということになりますと、生産技術だけではなくて加工販売、こういった六次産業化も視野に入れて、川上だけではなくて川下まで対応できる言わば経営感覚を備えた農業経営者の育成、これが大変重要になってくると考えております。  こういう人を育てるための研修教育ということで、農業界と経済界の連携によりまして、大企業の経営者、それから先進的な農業経営者等による実践的な教育、こういう人に講師になってもらって、実際に座学をやるということも含めた農業経営者を育成するための教育活動、これはアグリフューチャージャパンなどにおいて実施しておりますが、こういうことに対して助成をしております。また、トッププロを目指す農業経営者を対象とした農業経営の発展に必要なコスト管理、人材育成、マーケティング等、こういうスキルを身に付けるための研修、こういうものに対する支援も行っておるところでございます。  また、更に広く、農業者の皆さんが今からやるということだけではなくて、今実際にやっていらっしゃる農業者の皆様が経営改善を行うためのツールということで、チェックリストを作って、生産から販売までこういうことをやっていきなさいよというチェックリストを作って、これを経営指標ということで公表いたしまして、これで自己点検を是非やっていただきたいと、こういうことも促しておるところでございます。例えば、売る、販売に関しても、複数の販路を比較検討して、一体どこが有利なのか、そういうことを検討してそれで決めているかと、こういうチェック項目。それから、資材についても、これも複数の取引先の価格を比較検討した上で調達先を決めているかと、こういう点をチェックをする仕組みをつくって自己点検をお願いしているところでございます。  こういうような施策を通じて、農業者の皆さんに経営感覚をきちっと持ってやっていただくように促してまいりたいと思っておるところでございます。
  82. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。その要素を持たないというと農業でなりわいはなかなかできていかないと。こういうようなこれからの農業の展開が容易に見えるわけですから、是非ともそういう面、リサーチも始めて徹底していただきたいと思います。  次に、この資料を通してまいりますと、我が国の農業は一体どういう形態を目指しているのか、それについてはっきりと方向が示されていないというような感がありますから聞きたいんですが、例えば、資料によりますと、農業の形態を大別すると三種類があると。第一に、食料不足に対応するための増産を主たる目標とする、つまり開発途上国型の農業、今まだ自給率をどうのこうのしているような状況。二番目には、原料穀物の過剰生産に対して輸出等で打開策を見出してきた先進国型の農業。三つ目には、高付加価値生産を目指し、生産性が高く、市場の競争原理に対応できる農業を展開するいわゆる成熟型の農業などと言われておりまして、今三種類の農業形態を申し上げましたが、それは、我が国の農業がいかなる形態の農業を目指しているかというと、なかなか読む限りにおいては判別が付かない。成熟型なのか、あるいは発展途上国型なのか、先進国型なのか。その辺よく識別が付かないんでありますが、その辺の曖昧さを少し補完する意味での御答弁をいただきたいと思います。
  83. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 我が国の国土が南北に長く、地理的条件、気象条件が異なっておりまして、適地適作という言葉がありますけれども、それぞれの地域特性に合わせて稲作ですとか畑作ですとか施設園芸ですとか果樹、酪農畜産、様々でございます。  私、鹿児島へお邪魔したときに、県別の資料というのを読みながら行きましたら、鹿児島県における農業生産額のうちの米の占める割合が六%ということで大変びっくり、改めて認識した次第でございますが、日本は広いわけでございまして、こういう多様な農業でございます。  今、先ほど先進国型、熟成型、発展途上型といろいろお話がございましたけれども、マーケット・インであるという消費者から見て、今までは発展途上国型のように、作ってどんどんどんどんたくさん供給して食事が足りるようにするという意味では、戦後の農政というのはそういう途上国型的な色彩が強かったんではないかと。  こういうふうに思っておりますが、今はむしろどうやって売っていくかということで、六次産業化による高付加価値型とか自給率の低い麦や大豆をやる、輸出促進等で需要フロンティアをやっていくと、こういうことをやっておるわけでございまして、それぞれの部分がそれぞれあるかなということで、これだと一つを特定することはなかなか難しいかなと思っておりますが、一方で、与えられた条件、先ほど地理的な要件と申し上げましたが、この世界の農業を類型する考え方に、アメリカやオーストラリアなどのもうばかでかいところでやるという、新大陸型というふうに名付けられておるようですが、こういうところが一つあると。こういうところは先ほど先生がおっしゃった輸出というところにどうしても出てくると。  こういうことですが、これに対して旧大陸型の中で比較的平均経営規模が大きなヨーロッパ型と、それから、日本や中国、韓国のような平均経営規模が今のところ一ヘクタール内外と、こういう東アジア型であると、こういう分類もあるようでございまして、まさに日本は東アジア型でございますが、目指すべき方向というのはやはりヨーロッパ型ということになるんではないかと、こういう議論でありまして、私もなるほどそうなのかなというふうに思うところもあるわけでございます。  生産現場強化して高付加価値を進めて成長産業化を図ると。先ほど来の議論にあるように産業政策という部分があるわけですが、一方で多面的機能というものがあって、地域として集落を維持していく等々の大事な役割もございますので、車やコンピューターを造るほかの産業と同じところの産業政策だけではなくて、こういった地域政策の部分というものを車の両輪としてやっていくと、ここがこのヨーロッパ型を目指すにしても忘れてはならないところではないかと、こういうふうに考えておるところでございます。
  84. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございました。全く同じ視点を私も見ているような感がいたしまして、ほっとしたというか、うんと応援したいなと、そういうような感じになりました。  確かに、大規模化し、あるいは企業化していくというと、中山間地辺りの農業などというのはそれなりに多面的機能を持っておって必要不可欠な部分でありますから、消すわけにいきません。そういうことであるとなると、途上型になったり、あるいは輸出型になったりいろいろありますけれど、そういう意味では、今しっかりと答弁をいただきましたから、期待を申し上げたいと思います。  さて、もう一つこの基本計画から見て感じたのは、農業の持続的な発展を掲げておりまして、その中に一から八項目まで掲げております。力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手育成確保等といたしまして、主たる政策の基本をここに八項目据えております。  農業を成長産業にするためには、いわゆる、冒頭申し上げましたが、後継者の育成は当然でありますから、それなりの人材育成、これは先ほど答弁いただきましたから、そのとおりでいいと思います。  さて、ここで、国内市場を含めて海外市場にも積極的に乗り込んでいかなければなりませんが、農産物の自由化や海外市場をにらんだ農業となりますというと、問われるのは、やはり生産性の向上、コストの問題等々いろんな問題が惹起するわけでございますが、さらに、国内の農業制度の整備なども含めてやっていかなければ農業経営はなかなか見直すことが難しくなってまいりますし、逆に言うと、こういう制度の整備に配慮していかなければうまくいかないというようなことになるとも思うのであります。  そんな中で、我が国農業経営体を見ているというと、これは農林業センサスの数字ですが、一番期待する販売額が極めて少ないんですね。販売ゼロ円から三百万円の販売農家が実に全体の七九%を占めているという、これを見ると、日本農業そんなに強くないな、体力がないなという感じがいたしてなりません。ついでに申し上げますというと、三千万以上五千万までは二%足りず、五千万以上はゼロと言っていいほど、一%そこそこです。  こういうことを見てみますというと、この農地の集積や規模拡大して合理化していく反面、それをやっていくとコミュニティーが失われていくというような矛盾等もいろいろ重なるのでありますが、ここで、私は、農地の中間管理、昨年スタートさせた機構が物を言ってくると思うんですが、これは、土地に対する感情というのは日本人は特別な感情を持っておって、特に沖縄なんていうのは非常に閉鎖的で、御先祖様の土地を自分の世代に売ったら墓場に行けないんだと言って、ほっておっても売らないで、あるいは貸さないでという、非常に保守的、閉鎖的な風土があるんですが、そういうことが各地にあると思いますから、その集積の問題についてはいろいろ障害があると思うんですね。  そんな中で、まだ使えるデータベースは出ていないと思うんですが、これまでやってきて、しかも、予算も昨年、当初で三百五億ですか、今年、当初予算が百九十億ですが、補正で二百入れて三百九十億ぐらい予算措置もされておりますから、その意気込みは感ずるんですが、どうですか、今の状況農家を回ってみて。データは出ていないと思うんですが、感触をいただきたいと思います。
  85. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農地の中間管理機構の関係でございます。  御案内のとおり、今後十年間で担い手ところ農地利用の割合、現状五割でございますが、これを八割まで拡大させるという、そのための手法として、一昨年、農地の中間管理機構の法律を作っていただきました。現時点では、全ての都道府県におきまして農地の中間管理機構が立ち上がって仕事を始めているところでございます。  この中間管理機構のスキームは、農地の所有者から機構自身が農地を借りまして、これをまとまった形で担い手の方に転貸をして、できるだけ集約化した、生産性の高い形で農地を使っていただくと、こういうスキームでございます。  このときに、農地を借りる受け手の方につきましては、法律上、公募をするということになっておりまして、この公募につきましては相当な数の手が挙がっているのが実態でございます。  それから、一方で、この農地の出し手の方につきましては、小さい農地がばらばらに出てきましても生産性が上がりませんので、これを地域の中でまとまった農地を話し合っていただいて出していただくということを前提にしておりますので、公募する仕組みにはなっていないという状態でございます。  各県、全ての四十七県で機構は立ち上がっておりますが、県ごとの取組は正直言いましてかなり差がございます。知事がもう先頭に立って、知事を信頼して農地を貸してほしいという形で、本当にテレビにあるいは新聞に出てきちんとPRをしていただいて進めていただいている県もありますけれども、一方で、従来の農地保有合理化法人の時代と余り仕事の仕方が変わっていないというような県も散見をされるところでございます。  農業者の高齢化が進んでおりますので、農地の潜在的な出し手、これはたくさんいるというふうに考えておりますけれども、各地域におきます農家の方の話合い、特に人・農地プランですけれども、地域で話し合っていただいて、まとまった面積を出していただく、この話合いが必ずしも全ての地域で十分進んでいるわけではないということもございますし、それから、初年度ということもございまして、この農地中間管理機構のことが農業者の末端のところまできちんと徹底されていないところもまだ見受けられるところでございます。  そういう意味で、初年度、この三月末までの数字を今各県からきちんと取るべくやっておりますので、初年度の数字を県別にきちんと分析をしまして、検証もして、どの点を改善すれば全ての県でこの農地の中間管理機構の仕事が軌道に乗っていくか、これをきちんと考えながら二年目の手だてをきちんと考えていきたいというふうに思っているところでございます。
  86. 儀間光男

    ○儀間光男君 御苦労さまです。どうぞ、大臣がいつも好きな現場組とネクタイ組がミスマッチが起こらないように、この問題についても真剣度が分かりましたから、頑張ってほしいと思います。  次に、大変気になるのがあるんですが、総理は、農業に対して法人経営体数を五万法人まで引き上げると目標を出しておりまして、農業の六次産業化を積極的に進める姿勢を示しております。大臣も一緒だと思いますが、これについてはそのとおりでいいと思うんですが、ただ、法人じゃない一般農家、こことの関わりですね、ちょっと気になるんですね。  例えば、五万法人ができて、これが全部田畑を使ってやっていくんだったらそんな問題ないんですが、企業化されますと、特に青果類の工場での栽培が可能なんですよ。礫栽培、水耕栽培、砂耕、砂の栽培、あるいは全く何も使わぬでの栽培、これ工場化していって、工場から農産物が取れるようになっていきますと、露地栽培やっている、施設栽培やっている園芸栽培などとコストが全然違ってくると思うんですよ。  そういうところは恐らく海外マーケットを狙っていっていいわけですけれど、そうなるというと、農業所得者がなかなか所得を得られない、価格で太刀打ちできないということの心配がなされてならないんですが、その辺はどうお考えか、少し所見をいただきたいなと思います。
  87. 奥原正明

    政府参考人(奥原正明君) 農業経営の法人化でございますが、これにつきましては、十年間で現在の法人の数を大体四倍ぐらいに増やして五万経営体にするという目標を掲げて取り組んでございます。  過去十年間を見ましても法人の数が二倍に増えまして、現在、一万二千から一万三千ぐらいになっているかと思いますけれども、かなり法人の数が増えてまいりました。やはり、経営規模を拡大をしながら所得も増やしてやっていくということで、現在の法人の方々の中の四分の一ぐらいの方は売上げで一億円を超えているという状態にもなっております。  この法人の方々、必ずしも工場での野菜生産のような形をやっている方ばかりでございませんので、多くの方はやっぱり農地を使いながら、そこで土地利用型のものもございますし、それから野菜、施設野菜も含めてですけれども、野菜、果樹、畜産、いろんな分野でこの法人の方々やっていただいているところでございます。  そういう意味では、この法人の方々が農地を使ってやっていく、この仕事をどんどん軌道に乗せ、コストもどんどん下げていく、先ほどの農地の中間管理機構も使いまして、まとまった面積を本当に使えるような形にしてコストを下げながらやっていくと、そういうことでございますので、工場生産のもので進めていくと、こういう話ではちょっとないというふうに思っております。
  88. 儀間光男

    ○儀間光男君 もう時間もないですから終わりますけれども、今おっしゃったのは少しのんびり過ぎませんか。企業はもうからぬとやめたりやったりするんですよ、もうかるように。  ということで、ちょっと心配で、何かたがをはめるようなことがあっていいんじゃないかと思いますが、六次産業を振興する余りに農業、農村が衰退をしていくということを招来しないかを心配しての発言でありますから、どうぞ整合性の取れるように御検討いただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  89. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日、この後出される予定にもなっていますけれども、都市農業の振興策についてまず議論をしたいと思います。  日本共産党は、二〇一〇年の五月に、住民の暮らしに欠かせない都市農業を発展させるためにということで都市農業政策を発表しております。そこでは五つ柱があるんですけれども、一つは都市農地農業の維持発展を都市づくりの重要な柱に位置付けるということ、二つ目は農地税制、これを抜本的に改めて、都市農地・緑地の減少を食い止める、三つ目は採算の取れる価格の実現、農地の基盤整備、販路の確保など農業生産拡大する条件を広げること、四つ目は生産者消費者、住民の結び付きを強めて地産地消の多面的な発展を図る、五つ目は都市の条件を生かした担い手の確保の対策強化するなどの提案を行いました。  現在、都市農業を発展させるに当たって、都市づくりの重要な柱に農業を位置付けるということや農地税制を抜本的に改めるということが非常に重要になっているというふうに思います。そこで、農地に多様なやはり役割がある、都市の中で農地を残すことの重要性や役割が増しているというふうに思うんですけれども、まず農水大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
  90. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 紙委員が今おっしゃっていただいたことは、珍しくというと語弊があるかもしれませんが、全く認識が一致しておるところでございまして、有り難いなと、こういうふうに思うことでございます。  まさに都市農業は、今おっしゃっていただいたように、新鮮な食料供給、緑や農業体験の場の提供、防災空間の確保など多様な役割を果たしておりまして、都市農業の振興や都市農地の保全、重要な課題だと認識をしております。  都市の住民の方を対象とした各種のアンケートにおいても、都市農業都市農地の保全を望む回答が多数を占めておると、こういう状況でございまして、都市農業を評価する声が高まっているということでございます。戦後間もない頃、ずっと住宅化が進んでいった状況と変わりまして、人口が減少局面に日本全体として入ってきているということもこれありで、やはり緑に囲まれたところで住みたい、こういう自然な姿が現れてきているのではないかと、こういうふうに思っております。  こうした高齢化、人口減少が進む中で、都市農地を保全して有効に活用していくということは新たな課題でございまして、国土交通省等と連携して都市農業の振興や都市農地の保全に関する施策の在り方についてしっかりと検討を行ってまいりたいと思っております。
  91. 紙智子

    ○紙智子君 農地の保全と税制の関係についても聞きたいんですけれども、固定資産税や相続税の支払のために農地の売却が進んで都市の緑が失われるという指摘があります。農林水産省都市農業都市農地に関するアンケート、今大臣お話しになりましたけれども、転用のきっかけというのがあって、そこには、首都圏では相続税の納付準備の割合が一番高くなっているわけですね。  以前、この参議院の農水委員会で都内に調査に行ったときにも話になったんですけれども、固定資産税が非常に高い、それから、農地に掛かる税金の負担の重さに耐えかねて、農地を売っていかないと成り立たないということでどんどんどんどん農地が減っているという話が聞かされました。  固定資産税の農地並み課税にするということや相続税の引下げというのは、これ、農地を保全する上では避けて通れない急がれる課題ではないかと思うんですけれども、この点でも大臣見解を求めたいと思います。
  92. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この都市農地の保全と税制は、今御指摘があったように密接な関連がありまして、都市農地の保全を図るための方策として税制の在り方を検討することは大変重要な課題だと認識をしております。  今取り上げていただいたアンケート調査でも、都市農地を転用したきっかけとして、相続税のため若しくは納付準備のためということを挙げられた農業者の方が五四%ということで、一番多いわけでございます。  都市農地に係る税制ですが、三大都市圏の特定市の市街化区域内では、生産緑地において相続人が営農を継続する場合に限って相続税の納税猶予制度が適用され、それ以外の場合は適用が認められないということなど、様々な課題農業者の皆さんを中心として指摘をされておるところでございます。  こういった土地に関する税制の在り方やその前提となっております土地利用規制については、多数の国民の利害に関わりまして、見直しに当たっての課題も多いわけでございますので、都市計画制度等を担当する国土交通省と連携をしながら、幅広い観点から検討してまいりたいと思っております。
  93. 紙智子

    ○紙智子君 是非、具体的に進むために、やっぱり踏み込んで必要な改善を図るということにしていきたいというふうに私どもも考えております。  次に、日本海北部系群のスケソウダラについてお聞きします。  漁獲枠が一万三千トンから七千四百トン、大幅に削減をされます。スケソウダラの資源が減少しているのは承知していますけれども、このTAC、漁獲可能量、これをABC、生物学的許容漁獲量と等量としているわけです。TACイコールABCではないというふうに思いますけれども、日本国内でTACがどのように設定されているのか、ちょっと端的に、余り長くならないように説明をお願いします。
  94. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) TAC、いわゆる漁獲可能量でございますが、これは法律に基づきまして、資源の動向を基礎としながら、当該魚種に係る漁業経営その他の事情を勘案して定めるということになっております。  この場合の資源の動向でございますけれども、今御指摘のあった生物学的許容漁獲量、ABCと申しますが、これを参考にしながら算出することになっております。このABCといいますのは、生物学的にこれだけ捕っても大丈夫だという漁獲量を出すものでございますけれども、目指すべき一定の管理シナリオというものに基づいて算出することにしております。  今回の北海道のスケトウダラにつきましては、三十年間掛けて資源を最低限の持続性が見込まれる水準にまで持っていく、そういうシナリオの下に作ったABC、これが七千四百トンという数字でございます。これまでABCを上回るTACもありましたけれども、やはり漁業資源を持続的に利用していく、それを確保していくためには生物学的にやはり許される漁獲量にこのTACを合わせていく、こういうことが必要ではないかということで、今後、こういうTACとABCを等量に設定するということにしてまいろうと思っておるところでございます。
  95. 紙智子

    ○紙智子君 今回の漁獲枠の設定について、沿岸漁業社会の経済上の要因に配慮したのかなというのは、ちょっと疑問が残っております。  それで、沿岸漁業者は、日本海北部系群のスケソウダラ資源においては自主的な様々な資源管理取組を進めてきたわけです。一九九〇年度をピークにして資源量が減少して、漁業経営が厳しい状況になっているわけです。水産庁に、なぜこのスケソウダラの資源が減少したのかということを聞きますと、環境の要因であったり、例えば水温が高くなったとか、スケソウダラの産卵場所が変わったとか、そういう可能性などが想定されるけれども、しかし資源の減少要因は定かでないというふうにお聞きしました。なぜ減少したのか、捕り過ぎなのか、それとも環境要因なのか、きちんとというかしっかり説明していくというのも大事だと思うんですね。今回、漁獲枠を減らすことから、水産庁として漁業構造改革総合対策事業、それから魚種転換などの支援事業などを準備しているわけです。  しかし、養殖への転換も実績があるわけではなくて、かなりこれリスクも伴うんじゃないかと。事業活用しても、補助率に上限がありますよね。そういうのもあって、新たなリスク、借金が漁業経営にのしかかることにならないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  96. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 先ほど申し上げたように、このABCにつきましても、私どもいろいろなシナリオを御提言申し上げて、漁業者の方と意見交換をしてまいりました。例えば、十年で回復する、二十年で回復する、三十年で回復する、あるいは僅かでも親魚量を増大させる、いろんなストーリー、シナリオで検討させていただいた結果、漁業者の方とも意見交換をして三十年で持っていくというところで、七千四百トンというのを設定をしたということでございます。それから、御指摘のように、こういう漁獲枠が減ってしまうということになれば、やはり沿岸の零細な漁業者の方に影響を与えるということがございます。  それからもう一つは、北海道の日本海側におきましては、非常に漁業面で困難な状況が続いておるといったような、他の地域と比べても困難な状況が続いておるというようなことがございまして、私も昨年夏には、北海道日本海側を訪れていろいろ意見交換を行いました。その結果、北海道におきましては、日本海の漁業振興基本方針というものを道庁で定められまして、いろいろな取組をなさろうとしておられます。それを受けて、漁業者の方々も、先ほど御指摘のあった漁業構造改革総合対策事業地域協議会を立ち上げて、これによって養殖への転換でありますとか魚種の転換、こういったことを進められようとしております。  私ども、そういう動き、意見交換を踏まえて、今回、もうかる漁業の中で三十五億円を新たに補正予算で確保いたしまして、まさに御懸念の点を含めて、漁業者のそういう努力を応援をしていきたい、支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 しけが非常に日本海側というのは激しいわけなんですけど、例えば養殖に転換しようというふうに思っても簡単ではないと。新たなリスクもしょうということでは、やっぱり沿岸部の漁業者というのは非常に不安を持っていて、そのことは是非、ちゃんと受け止めながらやっていただきたいと思うんです。  加えてお聞きしたいのは、東日本大震災のときに私も痛感したんですけれども、地域経済を支えるためには漁業とそれから水産業加工、流通ですね、これ一体に支援することが大事なわけです。この水産加工業などへの支援というのはあるんでしょうか。
  98. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 水産加工業への今回のスケトウダラの枠の削減の影響についてでございますが、国内生産量はスケトウダラは大体二十三万トンでございます。そのうち、平成二十五年でありますと五万六千トン、六万トン弱が輸出に向けられておりますので、残り十七万トン強、これが国内の生産量がほぼ加工に、すり身として加工に向かっているというふうに考えております。  今回のTACの削減量は、先ほど先生がおっしゃった一万三千トンから七千四百トンでございますので五千六百トンの減少でございますけれども、実績は二十五年度でありますと大体九千九百トンぐらいでございますので、実際は二千五百トンぐらいの水揚げ高の減少というふうになります。  先ほど申し上げた十七万トンの国内加工原料の中で二千五百トンの減少ということでございますので、これ以外にも、すり身原料としては輸入物も相当ございますので、そういう意味で、直ちに加工原材料としてのスケトウダラの供給が不足する状況にはないと私ども認識しております。  ただ、一方で、日本海側に立地する加工業におきましては局地的に原材料が不足すると、こういったような事態も想定されますので、今後よく状況を見ながら、加工業者の方が輸入を含む他の冷凍すり身に転換される、あるいはすり身以外の製品転換を行って新しい商品を作られる、こういったようなニーズもきちんとつかんだ上で、加工場の建設、機械導入などに必要な資金の融資もございますので、そういうものを含めて御助言申し上げてまいりたいと考えておるところでございます。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 関係者の皆さんからも話を聞くんですけれども、政府は地方創生ということも言っているんですけれども、やっぱり漁業が続けられるかどうかというのはすごく大事な、特に沿岸部は支えている人たちなわけで、不安もあるわけです。  ABCイコールTACだというふうな議論もあるんだけど、これはちょっと乱暴じゃないかというふうに思います。沿岸漁業者の経営上、経済上のやっぱりニーズに合った支援を求めておきたいと思うので、最後、この問題についての大臣の一言、お願いします。
  100. 林芳正

    国務大臣林芳正君) このスケトウダラ日本海北部系群のTAC削減は長期に低迷する資源を回復させるために行うものでございまして、中長期的にも漁業者のためにということであろうかと、こういうふうに思っておりますが、一方で、今委員がお話しなさったように、沿岸漁業者にやはり影響が出る可能性があると、こういうことでございますので、二十六年度補正で措置しました三十五億円、これは漁業構造改革総合対策事業ということでございますが、こういうものを活用しまして、例えば養殖業へ転換するですとか、未利用資源の積極的な活用をするですとか、付加価値向上などの取組をしていただくですとか、こういったことでしっかりと支援をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。  また、加工業者については今長官から答弁したとおりでございますが、さらに、現地の実態、つぶさによく精査しながら適切に対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 是非よろしくお願いします。  次に、水産資源保護法についてお聞きします。  水産資源保護法に基づいて県は漁業調整規則を定めることになっているんですけれども、これはなぜでしょうか。
  102. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 水産資源保護法に基づく具体的な規制につきましては、やはり都道府県ごとに異なる漁業とか水産資源の状況に応じて行う必要がございますし、それから状況の変化に応じて弾力的に対応していくことも必要であるということから、都道府県の漁業調整規則に委任をしております。しかしながら、こうした規制につきましては、都道府県の区域とは無関係に広く生息、回遊する水産資源を対象にしているものでありますので、法定受託事務に位置付けまして、国による全国的、広域的な視野に立った調整を行うことによってその適正な処理を確保しているところであります。  こういうことから、都道府県漁業調整規則につきましてはそれぞれの県で定めていただいているわけでありますが、農林水産大臣の認可を受けなければならないというような仕組みにしておりますし、解釈を示したり、あるいは都道府県漁業調整規則の例を示したりすることによりましてこの法定受託事務の適正な運用を確保している、そのような状況でございます。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 水産資源保護法の目的については、これ、水産資源の保護培養を図ると、かつ、その効果を将来にわたって維持することで漁業の発展に寄与するということですよね。
  104. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) その条文のとおりでございます。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 それで、これから聞こうとするところまで含めて答えてくれたものですからあれなんですけれども、今、漁業調整規則というのは法定受託事務だというふうにおっしゃいましたけれども、それはなぜですか。
  106. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 先ほど一つの事例を申し上げましたが、例えば複数の都道府県の領域をまたがって漁業が営まれているというような実態、それから都道府県の領域を越えて水産動植物は移動するという実態、それからさらには水面における都道府県の境界が必ずしも画定していない場合があるといったようなことから、これを法定受託事務というふうに位置付けまして、これに対しましては、全国的、広域的な視野に立った調整を国が行うことによってその適正な処理を確保する、このようなことで法定受託事務にしているところでございます。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 それで、県のこの漁業調整規則というのは農林水産相の許可を受けるわけですよね。つまり、農水省としては県の漁業調整規則にお墨付きを与えるということになるわけですけれども、県の漁業調整規則の運用というのは、運用は県の裁量、自主性に任されるんでしょうか。それから、知事が替わった場合、新しい知事の運用になるということでよろしいんでしょうか。
  108. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 水産資源法に基づくこの都道府県知事が規則を定める事務というものは、まさに御指摘のあるように法定受託事務でございます。その規則を定めるに当たっては農林水産大臣の認可を受けなければならないということにされておりまして、仮に知事が漁業調整規則に基づき事務を処理するに当たっては、この法律を所管する農林水産省が示す通知文とか解釈の範囲内で行っていただくことが必要であると考えております。  また、行政機関が行う処分の手続につきましては公正の確保と透明性向上というものが重要でありまして、漁業調整規則に基づく処分などの具体的な運用についても、仮に知事が替わったとしても、処分を受ける事業者間で公平性が確保されるようにしていく必要があるというふうに考えております。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 運用は県がやると、運用するということですよね。  そこで、沖縄辺野古についてお聞きします。  沖縄防衛局は、新基地建設に必要な工事が可能なのは、昨年八月に仲井眞前知事が県漁業調整規則に基づいて出した岩礁破砕許可によるものだというふうに言っているわけです。しかし、翁長知事は、コンクリートブロックの投下は許可区域外で行われていて、許可なしに岩礁破砕が行われている蓋然性が高いというふうに言っているわけです。  漁業調整規則の運用は県知事が行うと。国には本来、水産資源の保護義務があるわけですけれども、同じ国の機関である防衛省が、許可を受けている、ここは許可を受けているという主張をして、そう言って県の運用を認めないというのはこれ無理があるんじゃないかと思うんですけれども、これ大臣、いかがでしょうか。
  110. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 水産資源保護法第四条に基づく都道府県漁業調整規則に関する事務は、今長官から答弁いたしましたように法定受託事務でありますことから、これも答弁したとおり、運用に際しては農林水産省が示す通知文や解釈の範囲で行われる必要があるということでございます。このため、各都道府県から具体的な照会があった場合は、これまでも適切に助言を行ってきたところでございます。  今お尋ねの本件につきましては、既に行政不服審査法に基づく審査請求が行われておりまして、公平中立の立場にある審査庁としては本件に対する具体的なコメントは差し控えたいと、こういうふうに思っております。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 沖縄防衛局は、知事が替わっても許可は受けているというふうに強弁しているわけですよね。普天間飛行場の継続的な使用とこれに伴う危険性を除去する唯一の解決策だという理由を言って、新基地建設を強行しているわけです。  しかしながら、昨年の知事選挙を始めとして一連の選挙で、米軍基地新基地建設の中止というのはオール沖縄の民意であることが明らかになりました。  戦後、沖縄では銃剣とブルドーザーで米軍基地が造られて、沖縄県民が自ら米軍に基地を提供したことはないと。だから、普天間の危険性を除去することは当然なんだけれども、辺野古に新基地を造ることが唯一の解決策だということでは納得をしていないわけですね。漁業調整規則をめぐって見解の違いがあれば、これちゃんと話し合うことが必要なのに、話し合うどころか一方的に自らの主張を押し付けていくと。  翁長知事は、菅官房長官と先日お会いして会談をした中で、そのやり取りの中で上から目線だということもおっしゃいました。地方の民意を無視するやり方というのはやっぱりやめるべきだというふうに思うわけです。  そして、農林水産省は水産資源保護法を所管する官庁なわけです。水産資源の保護培養を図って、将来にわたって維持し、漁業の発展を図るということが農林水産省の役割であって、サンゴ礁の破壊に手を貸すのではなくて、本来、工事を止めるべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  112. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは、先ほど申し上げたとおり、沖縄の防衛局から申立てがあって、今行政不服審査法に基づいて審査請求を行っております。審査請求については、県の方に、弁明書だったと思いますが、これを出していただくようにお願いをして、この到着を待っておるところでございますので、具体的な案件について、今審査庁としてはコメントは差し控えたいと思っております。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 農水省の立場ということをさっきも言いました。やっぱり、サンゴだとか漁業の資源を守らなきゃいけないという立場で考えたときに、防衛省は違う理由で不服審査ということでやっているんだけれども、この防衛省の不服審査ということですけれども、行政不服審査法に書いてある中身というのは、行政庁の違法又は不当な処分に対し、ちょっと省略しますけれども、国民に対して広く行政庁に対する不服申立ての道を開きと、国民の権利利益の救済を図るというものでありまして、国民の権利を守るための法律なわけですよね。そういう法律を、強い権力を持つ国が地方自治体を訴えるというのは、これは法律の悪用と言わざるを得ないというふうに思うんです。  国は、県としっかり話し合ってやるべきだと。もう何か手続に入ってしまっているという状況なわけですけれども、本来、そうじゃなくて、もっと事前によくやっぱり話合いをしなきゃいけないはずじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。
  114. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 審査請求については先ほど申し上げたとおりでございますが、一般論として、この件にかかわらず、いろんなことについて話合いをするということは大変大事なことだと、こういうふうに思っておりまして、そういう観点から官房長官が知事とお会いになって話合いをされたということは大変に良かったことであると私も認識をしております。  なお、沖縄防衛局が国の機関であるので申立ての適格がないんではないかということが、この執行停止をするに当たっての沖縄県からの弁明書にもそういう主張がございましたが、一方で、沖縄県の漁業調整規則三十九条に、岩礁破砕を行うに当たって必要な許可について、国が事業者であっても特に国を除外しておらず、国は許可が必要と、こういうふうになっておりますので、したがって、国が事業者である場合も沖縄県知事の許可が必要であるということでございますから、この点において私人が事業者である場合と変わらないということで、沖縄防衛局にも申立人としての適格が認められると、こういう判断をしたところでございます。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 私も何回も法務省、総務省ともやり取りしましたけれども、法律上はそうだというふうに、私人になれるんだと、国もという言い方をするけれども、しかし、やっぱり事の経過をずっと見ていったときに、都合のいいところで私人になって、もう、権力のある国が個人と一緒というか、一業者としてそういう形でやるということ自体が非常にアンフェアというふうに言わざるを得ないということで、引き続きこの問題、話をよくするということは大事だということを言われましたけれども、まだ総理も会いに行っていませんし、以前は、橋本龍太郎総理のときは何度も現地に足を運んでよく話し合ったということも言われているわけで、今まで安倍総理は一度として沖縄に行って話もしていないということもあるわけですから、そういうことも含めて変えていただきたいということを最後に申し上げまして、質問とさせていただきます。     ─────────────
  116. 山田俊男

    委員長山田俊男君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、山口那津男君が委員辞任され、その補欠として矢倉克夫君が選任されました。     ─────────────
  117. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。  今日は、農林水産関係予算の審議ということもありますので、少し特別会計、最近、特会、私、取り上げなくなって久しくなっちゃったんですが、再び特会の、特に国有林野事業、これ前回ちょっと国有林野のところでもやらせていただいたんですけれども、杉花粉のところでもやらせていただいたんですけれども、改めてその部分と、それから食料安定供給特別会計、それと中間管理機構、少し儀間先生の方も触れていましたけれども、時間がある限りやりたいと思っております。  まず、国有林野事業の債務管理特別会計の方なんですが、少し前回もこれやったんですが、概要は、要はこれまで三公社五現業のうち四兆円使って、二兆八千億円を国債の方にと、残額の一兆二千億、実は一兆四百五十四億だったんでありますが、その間二千億円ぐらいまた借金が増えちゃって、合計一兆二千七百二十一億円が国有林野事業債務管理特別会計の方に移ったと。これを平成六十年までに三十三年ぐらい掛けて完済していこうと、こういう話なんでありますが、もう端的に言って、これが本当に実現できるのかなということを今日は少しお聞きしたいとも思っています。  これ、林野庁等を含めて資料をいただいているんですけれども、今年に関しては一応予定どおりということではあるんですが、この後、たくさん杉の木等を含めて切っていかなければならないと。大体年間二千二百四十万本から二千五百万本と。ただ、今二千万本ぐらいしか切っていないんでありますが、しかももう一つ前提として、産出量の方はともかく、いわゆるコストなんですね。立ち木の主伐のコストが今のところ大体一本当たり千三百円、立米に直しますと二千六百円だということで資料もいただいているんですが、これが十年後に立米当たり四千円になるということなんですが、これ本当かなということでありまして、理由は生産コスト低減によるということなんですね。  これだけで返せるかどうかということもありますし、このままほっておくと、実は間伐に、御案内のとおり、国有林では五百億円使っています。造林も六八%の補助を与えていて、かなり補助金としても特別な扱いをしつつ、実はもう一つ大きいのは、この一兆二千億円を放置しておきますと金利だけで毎年八十億円、ちょっと金利が上がれば百億円を超えてくるという大変な今国有事業でありまして、ある意味大変心配であります。  その辺り、まずこの特別会計ということでもあるんですけれども、事業そのものを本当にこれは実現できるのかどうか、これは林野庁長官なんでしょうか、お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  118. 今井敏

    政府参考人(今井敏君) お答え申し上げます。  今先生から御指摘がありましたとおり、林野庁の方には一兆二千八百億円の債務の返済がございますけれども、一般会計化後、平成二十五年には六十二億円、二十六年度におきましては七十六億円の返済を実施しまして、二十七年度におきましても予算案上九十二億円を計上し、おおむね試算に沿って返済が今進んでいるところでございます。  今後におきましても、国有林野事業の債務返済につきましては、林産物の収入の増加とコストの低減努力、この二つ相まちまして、引き続き着実な返済を進めていきたいと考えております。
  119. 山田太郎

    山田太郎君 今日は聞きたいのは意気込みじゃなくて、意気込みは紙に書いてありますので、本当にできるのかなと。特に、立ち木の生産コスト低減によるいわゆる主伐の価格が千三百円から一本当たり二千円ですよね。かなりな金額で高騰するという、政府はどうもGDPの計算とかいろいろ甘いというか、ポジティブケースと。ポジティブなことはいいことなのかもしれませんけれども、やっぱりこれだけこれまで国民に借金垂れ流して負債を国債という形で抱えて、今も大量のお金がある。  私は前回も言ったんですが、もし議論をするんであれば、後世に禍根を残さない、これ以上の借金を積まないためには、いっそのことこの事業自身を思いっ切り見直すべきときに来ているんではないかと、こんな問題意識も、元々は花粉の問題からスタートしたんでありますけれども、持っているわけでありますが、本当にできるのかどうか。もうちょっと具体的にできるんだというような実証、これは事前に通告もしてありますので、ないですかね。
  120. 今井敏

    政府参考人(今井敏君) お答え申し上げます。  平成二十四年三月に林政審議会に一般会計化後の国有林の債務の返済の試算を提出しております。ここにおきましては、債務返済に充てる財源といたしまして、林産物収入等の見通し、それともう一つ、林産物収入等の確保に要する経費といたしまして管理事務費、事業的経費、その見込みも出しておりますので、この目標に沿って着実に返済に努めていきたいと考えております。
  121. 山田太郎

    山田太郎君 ちょっといかにも何となく頼りない感じではあるんですが、もう一度、じゃ、これは改めて引き続きやっていきたいと思います。  次、多分、本丸というか一番大きい食料安定供給特別会計の辺りにも行きたいと思っております。予算でも二千八百億円強ということで、大変大きな特別会計、国費の方からも投入しているわけでありますけれども、お手元の方のちょっと資料を見ていただきたいと思っております。  よくこの委員会の中でも多く時間を使って議論されていますナラシとかゲタの実態というか、これが予算額と決算額でどうだったかということに関して少し資料を見ながらやっていきたいと思うんですが。  資料を見ていただくと、まさに上の方がゲタですよね。不利なものに対する補正ということを付けているということで、目算すると、それでもかなり予算額に対して決算は下回るわけでありますが。  特にナラシの方ですね。これは、実は見ていただくと、大体多くても七%ぐらいです。通常一%以下で推移しているということで、もちろん自然災害等があったかなかったかによって急変するということで、これが余り使われなかったということは結果論としては良かったといえば良かったんでありますが、ちょっと積む金額が大げさなんじゃないかなと。ずうっと統計を取っていくとそうも感じるわけでありまして、この辺りを見直すことによって適正な予算に、もうちょっとこの農水予算、ほかにも割り当てる必要はあると思っておりますので、そう考えることができないのかなと。  特にこれによって、ちょっと今日は資料としては用意していないんですが、こちらの事業のバランスシートの方を見ていますと、実は、結局千二百億円の留保金を現金としてためている実態であります。毎年、例えば二十六年度の現金、預金は四百九十二円とうまくきれいに使い切っていることになっているんですが、実際は二十六年末の残高は千二百十八億円と。平成二十七年度の現金、預貯金は二百八十円として使い切るよというふうに計上しているけれども、本当はやっぱり千二百億近くのお金が留保されるんではないかと。  そう考えると、この留保金というのが本当に必要なのか。逆に、これを維持するがために、これだけの予算額と決算額の間に差が出ているのではないかと疑いたくなるようなところでもあるんですけれども、この辺りいかがでしょうか。
  122. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 経営安定勘定の中で今、ゲタ、それからナラシについてそれぞれお話があったところでございまして、それぞれ、今まさに委員から御指摘があったような理由で担い手農業者の経営の安定のために交付金を支払うものであります。  これも少し触れていただいたように、まずゲタですが、数量払いが基本になっておりまして、豊凶変動によって大きく変動するということでございます。ナラシは価格下落幅、それから収量、こういうものによって金額が大きく変動する、こういう性格でございますので、農業者等々からはやっぱり積んでおいてもらわないと安心してやれないと、一方でこういう声がたくさん出ておるわけでございますので、このぎりぎりのところを積んで、足りる場合と足りない場合が五割、五割ということではまずいと。これは先生が今おっしゃっていただいたとおりでございます。  そういった意味で、年度によって剰余金が発生するということがある場合でございますが、発生した剰余金については特別会計法の規定に基づいて翌年度に繰り越すと、こうなっておりますが、その繰越額を勘案した上でこの一般会計からの新規繰入額を調整するということで、結果として効率的な財政資金の利用ということに努めているということでございます。
  123. 山田太郎

    山田太郎君 ただ、積むのが百倍を積む必要があるのかというところだと思っておりまして、ゼロとは言わないんですが、そこがどれぐらい最適なのかというところに関して、ちょっと後でまた戻って議論をしたいと思っています。  ちょっと時間の配分の関係上、また食糧管理勘定の方も少し行きたいと思いますが、次、お手元のまた資料を見ていただけないでしょうか。  食料安定供給特別会計普通財産(土地)一覧表というものを作っていただきまして、要は、これは何かといいますと、これまで食管法の中で持っていた倉庫、それから農政事務所が要らなくなったということで、この不動産等財産は全て今全く使っていないと、こういう代物であります。この総額が、これ売価というふうにお伺いしているので時価だと思いますが、二百二十五億円。本当はもうちょっと、一等地もあるので高いんじゃないかなという気もしますけれども、これだけたくさんあるということであります。  まず、今日は会計検査院も来ていただいていると思います。実は、会計検査院、これの指摘は過去したことがあるということなんでありますが、その後、売却は進んだのかどうか、進んでいないんだったら、まず会計検査院の方からどんな指摘をしてきたのか、その辺り、評価等を含めて教えていただけないでしょうか。
  124. 斎藤信一郎

    説明員斎藤信一郎君) お答えをいたします。  お尋ねのございました旧政府倉庫等の処分状況につきましては、平成二十五年十月に、会計検査院法第三十六条の規定により、農林水産大臣に対して意見を表示をしております。  その概要は、用途廃止された旧政府倉庫等、十一倉庫等について、処分に向けての計画の策定や処分手続が適時適切に行われていないなどしていて、倉庫業務を終了してから長期間経過しているのに処分が完了していないなどの事態が見受けられました。したがって、処分に向けての具体的かつ詳細な計画を策定するなどして、処分手続の促進を図るための必要な措置を講ずる要があるとしたものでございます。
  125. 山田太郎

    山田太郎君 これを、予定どおりにいっているのかどうか、何かそういう評価は会計検査院としてはないんですか。
  126. 斎藤信一郎

    説明員斎藤信一郎君) お答えをいたします。  会計検査院は、意見を表示した事項につきましては、その後の処置状況を検査をして、改善の処置等がとられるまで、会計検査院法に基づき当該処置状況を毎年検査報告に掲記をしてございます。  本件につきましても、その後の処置状況平成二十五年度決算検査報告に掲記をしておりまして、農林水産省は、本院の指摘に基づいて普通財産の取扱要領を改正し、旧政府倉庫等の処分に向けての具体的かつ詳細な計画を策定するなどの処置を講じていたところでございます。  会計検査院といたしましては、検査報告に掲記するなどした事項につきまして、今後ともフォローアップを行うことにより検査成果の実効性の確保に努めてまいります。
  127. 山田太郎

    山田太郎君 これは農水大臣にお伺いした方がいいのかもしれませんが、これらの会計検査院からも指摘された土地等の処分を何か進められない理由があるのか、一生懸命やっているのか。例えば、これ見ると、立川とか深川とか、私も行く時間がなかったのでグーグル何とかでちょっと見てみたら、かなりな一等地にあったりするんですけれども、売ろうと思えば売れると思うんですが、何か理由はあるんでしょうかね。
  128. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これは会計検査院の指摘を受けてから、今御評価いただいたように対応を更に進めておるところでございまして、十一件の指摘があったわけでございますが、このうち二件、深川と大江は処分が済んでおります。それから四件、横浜、新潟、茨木、福岡でございますが、これは土壌調査等を終えまして、財務局等への処分の事務委任を終了をしております。それから、さらに四件、酒田、岡山、門司、立川でございますが、これは財務局等への処分の事務委任に向けて調整中でございます。それからもう一つ、一件、これは松江でございますが、この件につきましては、法務局が仮庁舎として活用する意向を示しておりますので、未利用国有財産からは除外をしたと、こういうふうになっております。  農林水産省としては、平成二十四年当時の政府の行政改革実行本部決定、それから今御答弁のありました会計検査院の指摘を踏まえながら、引き続き、早期処分に全力を尽くしてまいりたいと思っておるところでございます。
  129. 山田太郎

    山田太郎君 進めているということなので、ちょっと推移を見守りたいと、加速化していただきたいということであります。  次は、ちょっと備蓄米の話についても、この勘定にありますので、少し議論、質疑をしていきたいと思いますが。  本年度の財政負担、備蓄米、それからMA米、それから麦の部分で、大体千九百九十二億円の財政負担ということで予算がされているようでありますが、実はこれ、非常に気になっていますのは、新たな所得安定対策に関して、水田フル活用飼料用米を作っていこうというふうに言っているんですが、実は備蓄米の出口も飼料用米でありまして、既に備蓄米はどれぐらいあるかというと、御案内だと思いますが、百万トン備蓄しているということでありまして、毎年二十万トンずつ五年間、順繰りにやっていくと。そうすると、時価でいうと六百七十億円分というんですかね、飼料用米があるわけでありまして、実際、このトン数とそれから今政府の方で一生懸命水田フル活用で進めようとするもの、実は需要自身は市場で六十万トンしか飼料用米はないということであるんですけれども、今後逆に、この備蓄米そのものが処分、処理できなくなってくるんではないかというような懸念も感じるわけであります。  一方、この備蓄米によって数字上どれぐらい損失をしているかというと、ずっと、平成二十五年度で三百五十二億円、それから平成二十四年度ですか、八百三十六億円ということで、かなり巨額のお金がこの備蓄米、これは、当然主食米を買って、大体今一俵、当時、一万四千円なのか一万二、三千円ぐらいなのかはちょっと分かりませんけれども、それを大体飼料用米で二千円程度で売っていくわけですから、当然差が出ちゃうわけですよね。それに充てていくと、そうやって損失、売れない分に関してはもちろんそのまま破棄しているんでしょうから、損失が出るということで、多くの損失が出ているわけであります。本当に備蓄米そのものが要るのかという議論にもつながってくるのでありますが、この辺りはいかがなんでしょう。これも農水大臣でしょうか、どなたか。
  130. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) 米穀の備蓄の目的なりその意味についての御質問でございますが、食糧法に基づきまして……
  131. 山田太郎

    山田太郎君 意味は分かっているので、多過ぎ、余っているんじゃないのと、意味は分かっているんですよ。
  132. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) はい。  これは、備蓄の水準は先ほど委員から御質問がございましたように百万トンでございまして、これを五年でローテーションで回していくということで、毎年、原則は二十万トン買い入れて、二十万トン売り渡すわけでございます。  その中で、先ほど委員からお話がございました二十七年度予算におきます損失予定額は千九百九十二億円、これ計上されておりますが、このうち国内米、備蓄米に係る損失につきましては八百十億円を予定しているところでございます。
  133. 山田太郎

    山田太郎君 数字は聞いていないので、分かっているので、多過ぎるんじゃないですかと。  実は、この百万トンはどうして決まったかというと、平成十三年度の需要で決まったそうでありまして、もうそれから随分たっていますねと。ほぼ管理費は一万トン当たり一億円ということでありまして、私が気になるのは、備蓄米の意味も意義も分かっているんですけれども、問題は飼料用米水田フル活用で一方で作っていく中で、備蓄米からも飼料用米が出てくると。飼料用米そのものも本当にやれるのかどうかってこの委員会でも議論がある中で、大丈夫かというようないろんな政策の整合性だと思っているんですよね。その辺り、もう一度お答えいただけますか。
  134. 松島浩道

    政府参考人松島浩道君) まず、飼料用米需要でございますけれども、これにつきましては飼料会社から、価格水準にもよりますが、まあ二百万トンはあるというお話がございます。したがいまして、先ほど申し上げました備蓄米の処分において毎年二十万トンという水準は十分飼料用米需要の範囲内というふうに考えているところでございます。
  135. 山田太郎

    山田太郎君 そうすると、どうしてこの備蓄米がこんなに捨てられていたりとか使われなかったりして損失を出しちゃったりとか、よく分からないんですよね、これ、ちょっと数字が合わないなと思っているんですけど。私は、きちっと政策として本当に今百万トン要るのかどうか、実際もう備蓄米をしなければいけない事態なのかということもきちっとした統計でもって見ていただきたいなというふうに思っております。  もう一個先に進みたいと思いますが、今度は農業共済再保険とか漁業再保険とか、それから漁業共済保険とか、また、これはまた緊急時に対応するために予備費二百十四億と積んでおるんですけれども、もちろんこれも東日本大震災みたいなものがあったりする場合ということなんですが、現実には前回のいわゆる震災においても破綻せずにきちっと維持できたということで、適正というか、割とこれでも多めなのかなということを数字としては感じているところであります。  ちょっと駆け足で見てはきたんですが、このようにこの特会、かなりいろんなところにお金がじゃばじゃばじゃばじゃば積んであって、まあ心配性な農水省というんですかね。もちろん現場に迷惑を掛けたくないということはよく分かるんですが、百倍積んでみたりとか、そんなに備蓄が必要なのかとか、いろいろやっていくと、最後は仕組みが悪いのかなというふうに私は思っておりまして、例えば民間であれば、お金というのは、現金は大事です。お金を持っているということは金利を生んじゃいますので、できるだけそれを使おうというインセンティブが働きますから、通常ネッティングとかプーリングということをやっぱりやるんですよね。  そこで、その辺りちょっと財務省にもお伺いしたいと思うんですが、一気に、こういったことを個々の特別会計勘定にばちゃばちゃお金をためさせるのではなくて、農水省なら農水省さんの大臣が直轄の一括の何らかの準備金というんですかね、予備費というか、国にも予備費三千五百億円あります。どうせだったら、国全体でもって今三千五百億円の予備費を、一兆でも二兆でもいいので、それを効率的に充てて、本当に緊急なときにいわゆる措置していくと、こういうことはできないものなんだろうかと思うんですが、まず、財務省の方、いかがですか。
  136. 菅原一秀

    ○副大臣(菅原一秀君) 金融の世界から政治の世界に入られた山田先生の御指摘、そういう見方もあるのかなと思いながら伺っておりました。  ただ、るる林大臣からもお話あった例えばこの食料安定供給特別会計、これは、食料の安定供給に関する各事業についてそれぞれ勘定を設けて、区分経理することによって各事業の経理を明確にする、そういうまず基本的な趣旨がございます。  そして、それぞれ先ほどお話あったように、ゲタ対策あるいはナラシ対策等々の経理も行っていますが、実際に、予算上、想定よりも、その年の例えば天候の変化等々を含めて様々な環境変化によって生産量が少ない場合、あるいは収入の減少幅が小さい場合には剰余金が出てくるわけですけど、それを一つにプールするという考え方も一つの考え方でありますけれども、やはり個々の勘定に置いておいて、余りあれば翌年に繰越しもできるわけでございますから、それぞれの勘定でそれぞれの事業をしっかり前に進めていく、こういう考えだと基本的には思っております。
  137. 山田太郎

    山田太郎君 財務省、最後の番人なので、財政の、何かそんなようなスタンスでは困るので、これを見て、ちょっと積み過ぎじゃないんですかというぐらいのやっぱり指摘がいただきたかったなというふうに思っております。  ちょっと時間がなくなってきたんですが、最後に農水大臣の方にも、これ、今、個別の勘定が分かると言ったんですが、私は、逆に言うと、個々の勘定を細かくして個々に予備費を積んだら、一つ一つ少しずつ多めになってしまっていって、特に農林水産のように不確定要素が強いものに対するいわゆる緊急の場合の補助というものをどんどん予算としてあてがっていけば、心配が心配を重ねて、結局、これでこういう結果なんだと思うんですよね。  本当に、財政の方が豊かであれば、別にこんなことをごちゃごちゃ言わずに、それは多めに積んでおいてというふうに思いますが、今後、安倍内閣も、景気を良くしていって金利上昇があるかもしれないという局面の中で、そうなってくると、最終的な元のお金は国債から引っ張ってくるわけでありますから、一発でいわゆる金利分というものが全く無駄になっていく可能性がある。経済のこと全般を分かる林大臣であればこの趣旨は分かっていただけると思います。  そういう意味で、私が御提案したいのは、是非、大臣の下に、本来であれば強い予備費というのをトータルで置いて、それで、逆に言うと、個々の必要経費は分かりやすく削っていって、本当に必要なときにはもういわゆる省の判断で充てていくようなシステム、こういうことが今後の国の財政にも必要だと思うし、農水省からやれるんではないかなと私は踏んでいるんですが、その辺りどうですかね。
  138. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 必要な改革は常々やっていかなければならないと思っておりますが、一方で、今の委員のおっしゃっているお話は、これ毎年使い切ってしまう政策経費であればあるいは該当する部分があろうかなというふうに聞いておりましたが、これは、その目的に対して使われなかった場合は剰余金で残って、先ほど申し上げましたように、一般会計からの繰入れもそれに基づいて調整をするということでございますので、今財務大臣からありましたように、一方で、やっぱりデュープロセスで、政策目的に応じてきちっと使われているかという意味からすれば、きちっと区切りをして、その目的の中でしっかり使って、それに該当しないものは余る、したがって剰余金のものは一般会計から新たな支出がないと。こういう仕組みにしておくのも、トータルの財政ということを考えますと大事なことではないかと。  こういうふうに思っておりますので、大事なことは、流用したりして必要なところでないところにお金が使われるということをどうやって防いでいくかと。しかし、必要なことについてはきちっとお金を手当てしておく、この両方の要請にしっかり応えていくことが大事ではないかというふうに考えております。
  139. 山田太郎

    山田太郎君 時間になりました。  一般会計に返すということの方が私は筋だと思いますので、そういう筋でも考えていただければと思います。  今日はありがとうございました。
  140. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 以上をもちまして、平成二十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  142. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 農林水産に関する調査を議題といたします。食料農業農村基本計画に関する件について、政府から説明を聴取いたします。林農林水産大臣
  143. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 新たな食料農業農村基本計画が三月三十一日に閣議決定されました。  基本計画は、食料農業・農村基本法第十五条の規定に基づき政府が策定するものであり、おおむね五年ごとに変更することとされております。  以下、その内容につきまして御説明申し上げます。  我が国の農業、農村においては、百ヘクタールを超える大規模経営の出現や海外への農林水産物・食品の輸出など、明るい展望を切り開く新たな動きが見られる一方で、農業就業者の高齢化や農地の荒廃など極めて厳しい状況に直面しております。このため、「まえがき」におきまして、関係者の発想の転換や、改革の必要性についての認識の共有が求められていることなどを述べております。  こうした認識の下、農林水産業地域活力創造プラン等で示された施策の方向等を踏まえつつ、食料農業、農村施策の改革を進め、若者たちが希望を持てる強い農業と美しく活力ある農村の創出を目指していくこととしております。  次に、第一の食料農業及び農村に関する施策についての基本的な方針におきましては、食料農業、農村をめぐる情勢と、主な施策の評価と課題施策推進するに当たっての基本的な視点を示しております。  具体的には、高齢化や人口減少、グローバル化などの観点から、情勢の変化や施策の評価と課題を整理しております。その上で、現在が施策展開に当たっての大きな転換点であるとの認識に立ち、農業構造改革や新たな需要の取り込み等を通じ、農業や食品産業の成長産業化促進する産業政策と、構造改革を後押ししつつ、農業、農村の有する多面的機能の維持、発揮を促進する地域政策を車の両輪として施策の改革を推進することとしております。  次に、第二といたしまして、食料自給率の目標を定めております。  食料自給率目標については、前基本計画の検証結果を踏まえ、計画期間内における実現可能性を重視し、平成三十七年度の目標として、供給熱量ベースで四五%、生産額ベースで七三%と設定しております。  また、我が国の食料の潜在生産能力を評価する食料自給力指標を新たに示しております。これにより、我が国の食料自給力の現状や過去からの動向についての認識を共有し、食料安全保障に関する国民的議論を深めることとしております。  次に、第三といたしまして、食料農業及び農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策を定めております。  一つ目は、食料の安定供給の確保に関する施策であります。  食品の安全確保と消費者の信頼を確保するための取組を進めるとともに、食育や国産農産物の消費拡大、和食の保護、継承等の取組推進することとしております。また、農業や食品産業が新たな需要の取り込み等を通じて健全に発展するため、六次産業化農林水産物・食品の輸出、食品産業の海外展開等の取組促進することとしております。  さらに、総合的な食料安全保障の確立を図るため、食料の安定供給に係るリスクの定期的な分析評価や、不測時の具体的な対応手順の整備等を進めることとしております。  二つ目は、農業の持続的な発展に関する施策であります。  農業経営の法人化、新規就農の促進など担い手育成確保や、女性農業者が能力を最大限に発揮できる環境の整備を進める旨を明記するとともに、経営所得安定対策を着実に推進することとしております。  また、農地中間管理機構のフル稼働による担い手への農地集積集約化と優良農地の確保、構造改革加速化に資する農業生産基盤整備等推進することとしております。  さらに、米政策改革の着実な推進飼料用米等戦略作物生産拡大とともに、畜産クラスターの構築、園芸作物の供給力の強化などに取り組むこととしております。  生産、流通現場技術革新等につきましては、現場のニーズを踏まえた研究開発と技術移転の加速化や、規模拡大、低コスト化等を可能とするため、スマート農業の実現等に向けた取組推進することとしております。  また、気候変動への対応など、農業分野の環境政策についても総合的に推進することとしております。  三つ目は、農村の振興に関する施策であります。  多面的機能支払制度等を着実に推進するとともに、集約とネットワーク化による集落機能の維持、鳥獣被害への対応強化などを推進することとしております。  また、バイオマスの利活用、再生可能エネルギーの生産利用など、多様な地域資源を積極的に活用した雇用と所得の創出を図っていくこととしております。  さらに、観光など多様な分野との連携による都市農村交流、農村への移住、定住、都市農業の振興等を図ることとしております。  四つ目は、東日本大震災からの復旧復興に関する施策であります。  地震、津波災害からの復旧復興に向け、農地農業用施設等の着実な復旧、将来を見据えた農地の大区画化等を進めるとともに、原発事故に伴う風評被害の払拭や、輸入規制の緩和、撤廃に向けた諸外国への働きかけなどに取り組むこととしております。  五つ目は、団体の再編整備等に関する施策であります。  農協、農業委員会について、その機能や役割を効果的かつ効率的に発揮するための事業、組織の見直し等を行うこととしております。  最後に、第四といたしまして、食料農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定めております。  この中で、国や自治体、農業者、消費者などの適切な役割分担の下、施策推進するとともに、農林水産業地域の活力創造本部を活用して政府一体となって施策推進することなどを明記しております。  農林水産省といたしましては、本計画に基づき、施策を着実に推進してまいりますが、その推進に当たっては、現場生産者を始めとする多くの方々の御理解と御協力が不可欠であります。このため、本計画の周知を丁寧に行い、関係者が一体となって活力ある農業、農村を実現してまいります。  山田委員長を始め委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
  144. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 以上で説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  145. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 次に、都市農業振興基本法案に関する件を議題といたします。  本件につきましては、理事会において協議いたしました結果、お手元に配付しておりますとおり、草案がまとまりました。  この際、都市農業振興基本法案の草案の趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。  我が国の都市農業は、大消費地に新鮮な農産物を供給する機能に加え、防災、良好な景観の形成及び国土、環境の保全、農作業体験及び学習の場の提供等、多様な機能を有しており、これを営む者等の努力により継続されてまいりました。  都市農業については、都市計画制度の導入以降、市街化区域が優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされていることもあって、税制措置等を通じ農地の宅地化が進んできました。しかしながら、近年では、宅地化の圧力が低下するとともに、都市農業に対する住民の意識も大きく変化しており、都市農業の機能に対する評価が高まっております。また、東日本大震災を経て、防災の観点から都市農地を保全すべきとの声も広がっております。  このように都市農業をめぐる情勢が大きく変化している中、都市農業の意義、役割を改めて見直し、適切な振興方策を確立することが喫緊の課題となっております。  本法律案は、都市農業の安定的な継続を図るとともに、都市農業の有する機能の適切かつ十分な発揮を通じて良好な都市環境の形成に資するため、都市農業の振興に関し、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定めること等により、都市農業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、基本理念として、都市農業の有する機能の適切かつ十分な発揮とこれによる都市農地の有効な活用及び適正な保全が図られるべきこと、人口減少の状況等を踏まえた良好な市街地形成における農との共存が図られるべきこと、また、都市住民を始めとする国民の都市農業の有する機能等についての理解の下に施策推進されるべきことを定めることとしております。  第二に、都市農業の振興に関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、都市農業を営む者等の努力並びに関係者相互の連携及び協力について定めることとしております。  第三に、政府は、都市農業の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、都市農業振興基本計画を定めなければならないこととしております。また、地方公共団体は、都市農業振興基本計画を基本として、当該地方公共団体における都市農業の振興に関する計画を定めるよう努めなければならないこととしております。  第四に、基本的施策として、国及び地方公共団体は、都市農業の農産物を供給する機能の向上並びに都市農業担い手育成及び確保を図るために必要な施策、的確な土地利用に関する計画の策定等のための施策都市農業のための利用が継続される土地に関する必要な税制上の措置等を講ずるものとすることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上がこの法律案の草案の趣旨及び主な内容であります。  それでは、本草案を都市農業振興基本法案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本会議における趣旨説明内容につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会