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2015-03-26 第189回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年三月二十六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十日     辞任         補欠選任      安井美沙子君     柳澤 光美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山田 俊男君     理 事                 野村 哲郎君                 山田 修路君                 徳永 エリ君                 紙  智子君     委 員                 金子原二郎君                 小泉 昭男君                 古賀友一郎君                 中泉 松司君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 舞立 昇治君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 柳澤 光美君                 柳田  稔君                 平木 大作君                 山口那津男君                 儀間 光男君                 山田 太郎君    国務大臣        農林水産大臣   林  芳正君    副大臣        厚生労働大臣  永岡 桂子君        農林水産大臣  あべ 俊子君        農林水産大臣  小泉 昭男君        環境副大臣    北村 茂男君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       佐藤 英道君        農林水産大臣政        務官       中川 郁子君        国土交通大臣政        務官      うえの賢一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        内閣官房総合海        洋政策本部事務        局長       加藤由起夫君        内閣官房日本経        済再生総合事務        局次長      田中 茂明君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        兼内閣地方創        生推進室次長   末宗 徹郎君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        兼内閣地方創        生推進室次長   新井  毅君        内閣地方分権        改革推進室次長  三宅 俊光君        消費者庁次長   川口 康裕君        外務大臣官房審        議官       佐藤 達夫君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        別所 智博君        農林水産省消費        ・安全局長    小風  茂君        農林水産省食料        産業局長     櫻庭 英悦君        農林水産省生産        局長       松島 浩道君        農林水産省農村        振興局長     三浦  進君        農林水産省農林        水産技術会議事        務局長      西郷 正道君        林野庁長官    今井  敏君        水産庁長官    本川 一善君        経済産業大臣官        房商務流通保安        審議官      寺澤 達也君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (平成二十七年度の農林水産行政基本施策に  関する件)     ─────────────
  2. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  去る二十日、安井美沙子君が委員を辞任され、その補欠として柳澤光美君が選任されました。     ─────────────
  3. 山田俊男

    委員長山田俊男君) この際、あべ農林水産大臣小泉農林水産大臣中川農林水産大臣政務官及び佐藤農林水産大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。あべ農林水産大臣
  4. あべ俊子

    ○副大臣(あべ俊子君) 引き続き、農林水産大臣を務めさせていただくことになりましたあべ俊子でございます。  林大臣をしっかりお支えいたしまして、小泉大臣、また中川政務官佐藤政務官とともに、関係者一体となって、活力ある農林水産業を実現するため、尽力をしてまいります。  委員長を始め委員各位皆様におかれましては、一層の御指導と御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
  5. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  小泉農林水産大臣
  6. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 引き続き、農林水産大臣を務めさせていただくことになりました小泉昭男でございます。  林大臣、そしてあべ副大臣中川政務官佐藤政務官と御一緒に力を合わせて、チーム一体となりまして、攻めの農業実行全力を尽くしてまいりたい、このように思っております。  山田委員長を始め委員各位には、様々な御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
  7. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  中川農林水産大臣政務官
  8. 中川郁子

    大臣政務官中川郁子君) 引き続き、農林水産大臣政務官を務めさせていただくことになりました中川郁子でございます。  まず、一部週刊誌報道がございました、この度の私の軽率な行動により、皆様方に大変不快な思いをさせたこと、心からおわびを申し上げたい、このように存じます。  今後とも、林大臣の下、あべ副大臣小泉大臣佐藤政務官とともに、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村実現に向けて、政務官としての職務に全力で取り組んでまいりたいと、このように思っているところでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  委員長を始め委員皆様方には、これからも御指導、御鞭撻をどうぞよろしくお願いを申し上げます。
  9. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  佐藤農林水産大臣政務官
  10. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 引き続き、農林水産大臣政務官を務めさせていただくことになりました佐藤英道でございます。  林大臣の下、あべ副大臣小泉大臣、そして中川政務官とともに、我が国農林水産業の発展のために引き続き全力を尽くしてまいります。  山田委員長を始め御出席委員各位の御指導を切にお願いを申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
  11. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ありがとうございました。  あべ農林水産大臣及び中川農林水産大臣政務官は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  12. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  14. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 農林水産に関する調査を議題とし、平成二十七年度の農林水産行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 山田修路

    山田修路君 自民党石川県の山田修路です。  本日は、通常国会農林水産委員会第一回目ということでございますので、基本的な事項について御質問をしたいと思います。  林大臣には、まずお帰りなさいというふうに申し上げたいと思います。昨年の九月ですか、農林水産大臣を退任されて、五か月ということでまた戻ってきていただきまして、本当にありがとうございます。農林水産行政に精通され、また大変安定感のある大臣でございますので、難しい時期の農林水産行政のかじ取りを是非よろしくお願いしたいと思います。  この五か月間、自民党でいろいろ活動されてこられたと思うんですけれども、また政府に戻って、これまでとはまたちょっと役所に対する見方とかあるいは農林水産行政に対する見方とかあるいは変わったかなとも思われますので、改めて農林水産行政に取り組む決意をお聞きしたいと思います。
  16. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 改めて、また山田委員を始め委員会皆様にはお世話になることでございます。よろしくお願いいたしたいと思います。  五か月ちょっと党に戻っておりましたが、その間も党の農林水産戦略調査会長ということで、基本的にはいろんな農林に関わる事象にはタッチをしておったというふうに思っておりますので、なるべく行政に切れ目が生じないようにしっかりと務めてまいりたいと思っております。  基本的に農政に臨むスタンスはこれ変わっていないわけでございまして、私が前におったときに農林水産業地域活力創造プランというものも作らせていただきました。これを、実行段階に入ってきておると、こういう認識で更に進めていきたいと、こういうふうに思っております。需要フロンティアの拡大、生産現場強化、そしてこれをつなぐバリューチェーン構築、この三本柱のいわゆる産業政策と、それから多面的機能の発揮を日本型直接支払等でやっていく地域政策、これを車の両輪といたしましてしっかりと今後も取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。  こういう取組を進めるためにも、必要となる法制度見直しをこれまでも行ってまいりました。中間管理機構の創設ですとか経営所得安定対策見直し等々やってまいりましたが、今国会にも今度は農協法等改正案提出することになっておるところでございます。  こういうことを実行していくときに、やはり現場とのキャッチボールと申し上げさせていただいておりますが、一度決めたことはもう決まったので変えることじゃないと、こういう姿勢ではなくて、常に政策に磨きを掛けていくと、こういうことが大変重要な姿勢ではないかと、こういうふうに思っておりますので、こういう姿勢で、これを堅持しながら施策を着実に実行に結び付けていきまして、農林水産業農山漁村活性化させ、農林水産業若者にとっても魅力のある産業に成長させるために努力を続けていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  17. 山田修路

    山田修路君 どうもありがとうございました。  今ほど産業政策地域政策は車の両輪というお話がありました。水産業漁村においてもやはり同じだと思っております。特に、水産業をめぐる情勢、非常に厳しい状況にあります。魚価安やあるいは漁業者高齢化、また船の船齢の高齢化、様々な問題があります。  一方で、漁業が発達している市町村では、多くの場合、水産加工業などが関連した産業として発達しておって、地域経済で相当大きなウエートがある。まさに産業政策地域政策がそれぞれ両輪として働かなくちゃいけないというふうな分野だと思います。  そういう意味で、現在、浜の活力再生プラン策定などを進めておられますけれども、水産業振興にどのように取り組むのかについてお伺いしたいと思います。
  18. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 山田先生水産庁長官で御尽力いただいた、もう本当に大変なお立場でございますが、今、水産業につきまして御指摘をいただきました。  現在、お話にございました全国の浜ごと創意工夫の下でございまして、この中で漁業所得向上等を目指す浜の活力再生プラン策定実行推進をしているわけであります。水産日本復活、これはもう目標をしっかりと捉えまして、生産体制強化構造改革に取り組んでいるところでもございます。  水産日本復活、これは農林水産業地域活力創造プランの中にこれも銘打ってございますが、農業林業と異なりまして、我が国はかつて世界一の水産水揚げ高を誇る大国でありました。現在でも多様な魚介類が漁獲されているわけでありまして、排他的経済水域等考えてみますと世界の第六位の豊かな周辺海域ございまして、世界でも有数の魚食文化を有していることで御案内のとおりでございます。このような我が国が元々持っている強みを生かしながら、それぞれの浜に合った浜の活力再生プランをしっかりと作ってまいりたい、このように考えております。  これに加えまして、資源管理、これを推進していきたいと。二つ目には、担い手及び漁業の体質の強化でございますね。これもしっかりとやっていきたい。三番目には、省コスト型の生産体系への移行、これも進めてまいりたいと考えております。四番目には、水産物の輸出の促進等出口戦略推進でございますね。これ、重要でございますので、構造改革にもしっかりと取り組みまして我が国水産業成長産業化を目指して、浜の活力を取り戻し、若者にも魅力ある産業となるように努めてまいりたい、このように考えております。
  19. 山田修路

    山田修路君 どうもありがとうございました。  森林林業行政についてもお伺いをしたいというふうに思います。  林業については、木質バイオマスですとかあるいはCLT、クロス・ラミネーテッド・ティンバーですか、直交集成板など新たな需要可能性がこのところ注目を集めております。一方、森林資源は四十年前の昭和五十年頃と比べると約二倍の資源量になっているということでございます。まず、木を切って木材を利用して、それから植えていく、循環利用していく、このことが非常に大事だと思います。  そこで、そういった新たな需要を掘り起こしていく、また定着させていくためにどのような問題があり、またどう対応していくのか、このことについてお伺いしたいと思います。
  20. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生指摘のとおり、戦後植えた人工林、これはもう御案内のとおり、お話ございましたけれども、もう四十九億立方メートル、物すごい量が出てくるわけでありまして、我が国において本格的な利用期を迎えているわけであります。この豊富な森林資源循環利用をすること、そして林業成長産業化を実現することがとりわけ重要な課題となっているわけであります。  このため、農林水産省といたしましては、昨年六月に改定された農林水産地域活力創造プラン、これらを踏まえまして、CLT、これ直交集成板と言われておりますけれども、新たな製品の開発普及公共建築物木造化木質バイオマス利用促進等による新たな木材需要を創出してまいりたい、こういうふうに考えております。  さらに、事業者ニーズに応じまして国産材安定供給体制構築も必要でございますから、これもしっかりと取り組んでいくつもりでございます。間伐材森林整備保全等を通じた森林の多目的機能維持向上、これらを施策の中に積極的に推進してまいりたいと考えております。  近年におきましては、木材自給率について、平成二十五年は二九%でございまして、一番低かった平成十四年、これは一八%でございましたから、比べまして一〇%、一〇ポイント向上をしたわけでありまして、また、林業従事者に占める三十五歳未満の若者の割合でございますけれども、これも平成二年の六%を底に近年は二割程度まで増加してまいりましたなど明るい兆しも見え始めているところでもございますので、今後とも林業成長産業化に向けて積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  21. 山田修路

    山田修路君 どうもありがとうございました。農林水産業振興の基本的な方針、お話をお伺いをいたしました。  その関連でいいますと、国際交渉、特にTPP交渉がこの国内農林水産業に与える影響は大変大きいものがあります。TPP交渉交渉参加の際の秘密保持契約がありますので、なかなか状況説明しにくいということはよくお伺いをしておりますけれども、やはり国民にできるだけ情報を提供していくということは大事だと思います。  そこで、まず、TPP交渉、どのような現状にあるのか、あるいはまた今後の会合予定等について澁谷審議官からお伺いしたいと思います。
  22. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) TPP状況についてお答え申し上げます。  昨年の十一月、北京で首脳声明が出されまして、終局が明確になりつつあるということであったわけでございますが、その後、昨年十二月ワシントンで、今年の一月末ニューヨークで、今回三月の九日から十五日にかけましてハワイにおきまして首席交渉官会合が開催をされ、残された課題について精力的な協議が行われたところでございます。  まずは、ルール分野でまだ課題が多く残っておりますのは、知的財産国有企業投資、法的・制度的事項などでございますが、このハワイ会合におきまして、国有企業投資につきましてはワーキンググループでの技術的な議論がかなり進んだところでございます。ただ、知的財産はまだ各国の意見の隔たりが大きい課題が残っている状況でございます。並行して、物品の関税、あるいは投資サービス自由化に関する二国間の協議も随時行われたところでございます。これもまだ多くの国同士でセンシティブな案件が残っているという状況でございます。  今後、ルール分野につきましては、ハワイでの宿題を各国が持ち帰って検討を進め、その状況を見て、交渉官レベルでの調整を続けていくことになっております。  また、二国間の交渉も、たまたま昨日ニュージーランドのグローサー大臣甘利大臣が会談を行ったところでございますが、これも鋭意行うということになっておるところでございます。  今後、十二か国の閣僚レベル会合がいつ開かれるのかとよく聞かれるわけでございますが、現実的にはその前に首席交渉官レベルでの議論がまだ必要だということでございます。具体の日程等は今申し上げましたような状況を見ながら今後判断されるということで、現時点で決まっているわけではございません。  以上でございます。
  23. 山田修路

    山田修路君 どうもありがとうございました。  TPP交渉、まだかなりの問題が残っているということのようでございます。是非我が国の国益が確保されるように、しっかり交渉をしていただきたいと思います。  このTPP交渉にとってもう一つ重要なポイントがありますけれども、それは、アメリカTPA、トレード・プロモーション・オーソリティーというんでしょうかね、貿易促進権限米国政府議会から取得できるかどうかということでございます。米国政府がこの貿易交渉の十分な権限を持たないままで日本米国交渉合意をするということとなりますと、交渉結果を米国議会が覆すというような可能性もあるということでございます。そういうことは何としても回避をすべきことでございます。  そこで、米国内におけるこのTPAの取得の状況についてお伺いしたいと思います。
  24. 佐藤達夫

    政府参考人佐藤達夫君) お答えいたします。  TPA法案貿易促進権限法案は昨年一月に米国議会提出されましたが、昨年十二月の議会期終了をもちまして同法案は廃案となり、現在開会中の議会期には現時点で新たなTPA法案提出されていないと承知しております。  米国議会における法案提出の見込みや法案審議の見通しについては政府としてお答えする立場にはないのでございますけれども、法案提出をめぐり様々な報道がなされているところ、引き続き動向を注視していく考えでございます。
  25. 山田修路

    山田修路君 今御説明がありましたように、アメリカ国内でのTPAについては状況がはっきりしていないという状況であります。是非、この辺慎重に見極めてTPP交渉にも当たっていただきたいということでございます。  それで、大臣にまた何度も確認をして申し訳ないんですけれども、再任後ということでございますので、このTPP交渉については重要五品目などの衆参国会決議がありますけれども、この決議を遵守して交渉に当たっていただくよう、再度確認をしたいと思います。
  26. 林芳正

    国務大臣林芳正君) TPP交渉におきましては、一昨年になりますが、二月の日米共同声明におきまして、全ての物品交渉の対象とされること、それから我が国農産品にはセンシティビティーがあり、最終的な結果は交渉の中で決まっていくこと、これが確認をされておるわけでございます。こういう経緯も踏まえて、衆参両院農林水産委員会におきまして重要五品目などの再生産が可能となるようそれらの品目の確保を最優先することなどが決議されたと、こういうふうに承知をしております。  改めて、農林水産大臣という重責を担うことになったわけでございますが、TPP交渉に当たっては、所信でも申し上げましたように、この決議が守られたとの評価をいただけるよう政府一体となって全力を尽くす考え、これは何ら変わっておらないところでございます。
  27. 山田修路

    山田修路君 確固たる決意をお示しいただきまして、どうもありがとうございます。  澁谷審議官佐藤審議官、一応TPP関係は終わりましたので、委員長、よければ御退室いただければと思います。
  28. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 澁谷さん、佐藤さん、御退席いただいて結構でございます。
  29. 山田修路

    山田修路君 それでは続きまして、地方創生について質問をいたします。  私の地元の石川県では、新幹線開業が三月十四日の土曜日に行われまして、金沢大変観光客でにぎわっております。東京から二時間半ということでございますので、山田委員長も富山ですので、是非また皆さんにも北陸に来ていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、この金沢のような中核的な都市の整備、これは非常に重要だと思うんですけれども、それだけではやはり不十分であります。石川県の場合でいえば、能登半島もあるし、白山山麓もあれば南加賀の方もある、こういった周辺地域活性化も重要だと思います。  その意味で、地方創生という観点から、農山漁村振興にどのように農水省として取り組むのか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
  30. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) この度は、新幹線の御開業、おめでとうございました。  委員指摘のとおり、地方創生を進めるためには、農山漁村活性化を図っていくことは極めて重要であると認識をしているところでございます。このためには、農山漁村におきまして、豊かな地域資源を活用した農林水産業振興や六次産業化等を進めることにより、地域の雇用、所得を確保するとともに、住民の生活に必要な機能サービスが維持されるよう、基幹となる集落への機能の集約と周辺集落とのネットワークの形成を図ることが重要であると考えているところでございます。  このために、私どもとしては、こうした視点に立ちながら関係府省と連携をしていまして、農山漁村活性化に向けた施策推進にしっかりと努めてまいります。
  31. 山田修路

    山田修路君 どうもありがとうございました。  今の石川県の状況は、金沢はにぎわっておりまして、それがまさに更に地方に、周辺地域に及んでいくということが大事なんですけれども、よく人口ダムという話があります。金沢などのようなところでしっかり人口の流出を抑えていくということですけれども、先ほどお話をした能登やあるいは白山山麓南加賀といったところでは、人口ダムというよりもむしろため池と私はよく言っているんですが、人口ため池、小さな拠点という言い方もありますけれども、こういったものを整備をしていくというのが非常に大事だと思っております。  この小さな拠点づくりについては地域再生法改正など準備されているというふうに思っておりますけれども、小さな拠点づくりについてどのように取り組むのか、内閣府にお伺いをしたいと思います。
  32. 新井毅

    政府参考人(新井毅君) 小さな拠点についてのお尋ねでございます。  昨年十二月二十七日に閣議決定されましたまち・ひと・しごと総合戦略におきまして、その柱の一つといたしまして、時代に合った地域をつくり安心な暮らしを守るということが掲げられておるところであります。  農村地域におきましては、御指摘のとおり、小さな拠点をつくっていくということが重要であると認識しているところでございます。具体的には、複数の集落を含みます生活圏、大体小学校区程度の広がりのものを想定しているわけでございますけれども、この生活圏におきまして、診療所、集会施設、商店、ガソリンスタンドといった生活に必須のサービスを集約することで、そこに行けば歩ける範囲で必要なものが手に入る、地域の人との交流もできる、そういった施設配置へと誘導いたしますとともに、あわせまして、拠点周辺集落をつなぐコミュニティーバスあるいはデマンド交通といったものを運行することによりまして、移動手段を維持確保することを同時に進めるということが重要だと考えておりまして、これを小さな拠点の形成といっておるわけでありますが、地方におけるこうした取組に対しまして各省の補助事業ですとか、今回補正予算で創設いたしました地方創生先行型交付金あるいは地域再生戦略交付金などによりまして支援することとしたいと考えているところでございます。  また、御指摘のとおり、小さな拠点の形成を進めやすくするための措置を盛り込みました地域再生法改正案を三月二十四日に国会提出させていただいたところでございます。速やかに御審議いただき成立させていただきたいと思っておりますが、これらによりまして地域住民参画の下で小さな拠点づくりを進めてまいりたいと考えているところでございます。
  33. 山田修路

    山田修路君 この小さな拠点づくり、極めて大事だと思います。この小さな拠点をつくっていくときに農地の転用とそれから農地保全の調和という問題が出てくると思います。そのような観点から、農振法施行規則の四条の四、二十六号の二、二十六号の二計画と呼ばれているようですけれども、市町村が条例を作って農地として守るべき区域と転用を誘導すべき区域、これをしっかり分けて整備をしていくという仕組みでございますけれども、この仕組み、大変有効な仕組みだというふうに考えております。  この実績はどうなっているのか、またこれについて農林水産省としてどのように評価しているのか、お伺いしたいと思います。
  34. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) お答えいたします。  御質問のいわゆる二十六号の二計画、これは市町村の条例に基づく地域農業振興に関する計画ということでございますが、これにつきましては、地域住民の意見も踏まえまして、対象地域を農用地として保全利用すべき区域とそれから非農業的な土地利用を予定する区域とに区分することによりまして、優良農地を確保することと併せて、農地転用需要を計画的に誘導する仕組みでございます。平成十五年の農業振興地域整備に関する法律施行規則の改正によって設けられたものでございます。制度を導入いたしましてからこれまでに三つの市、町で条例が制定されておりまして、このうち二つの町において条例に基づく計画が作成されているという状況でございます。  御指摘の小さな拠点づくりと本制度との関係につきましては、住民への生活サービス等の機能の集約に係る土地需要を、本制度の非農業的な土地利用を予定する区域、非農用地予定区域といっておりますが、この区域に誘導する形でこの制度を活用することが可能であると考えております。
  35. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございます。是非この制度も活用できる地域があれば活用していただいて、農地の保全とそれから拠点整備というものを並行して進められるようにしていただきたいというふうに思います。  地方創生の一つの方策として、農林水産業の六次産業化というのが大きな課題でございますけれども、この六次産業化を進める上で農家レストランなどの施設の整備が必要となるという場合があります。この場合の農地転用については、国家戦略特区法によりまして特例的に農家レストランを認めるということで農地転用を認めているような制度がございますけれども、是非この六次産業化を進めるという観点からも、この仕組みを全国展開するなど柔軟な取扱いを進めるようにお願いをしたいと思います。その辺の検討状況についてお伺いしたいと思います。
  36. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) お答えいたします。  農家レストランにつきましては、農業の六次産業化を推進して農家の所得や雇用の増大、農村の活性化等を図るといった観点から、地域における取組を進めていくことが重要であると考えております。  他方、農家レストランを、いわゆる農振農用地区域内に設置できる農業用施設として位置付けるということにつきましては、従来の農業用施設の考え方を拡大するものであるということから、まずは国家戦略特区において農家レストランの農用地区域内への設置が認められるように措置したところでございます。  お尋ねの全国展開につきましては、本年一月三十日に閣議決定をいたしました平成二十六年の地方からの提案等に関する対応方針、これを踏まえまして、その活用事例について可能な限り速やかに効果を検証した上で対応を検討することとしているところでございます。
  37. 山田修路

    山田修路君 これは前もお話ししたんですけれども、農業用施設ということでその転用を認めるかどうかという一つの基準があるということなんですけれども、六次産業化というふうなことを進めていくということになると、農業以外であっても自分の農家の方が所得を上げるために必要な施設はあるのでありまして、ですから、そこに余りこだわっているとやはり六次産業化の障害になりかねないということでありますので、今特例的に行っておられるということですけれども、是非ともよく検討していただいて、もう少し本当に農家の所得が上がるようなもので、うまく農業的利用と調整できるということを確保しつつ、やはり六次産業化の障害にならないような対応をお願いしたいというふうに思います。  それと、その転用の関係ですけれども、今回の国会で法律改正地方分権の観点からですね、農地転用の許可権限を農水大臣が指定した市町村に移譲することができるというようなことで今準備を進めておられるようです。この指定市町村には権限を公正かつ適切に使っていただく必要があると思うわけでございます。  そういう観点から、公正、適切な農地転用行政ができるように、この指定の基準についてはできるだけ明確な基準で、しっかりした市町村が指定されるようにすべきだと思います。これはまた法案が出てきて法案の審議の際に国会でも議論されることと思いますけれども、その点についてどう考えているのか、お聞きしたいと思います。
  38. 三浦進

    政府参考人(三浦進君) お答えいたします。  今般の地方分権改革における農林水産大臣が指定する市町村への農地転用許可権限の移譲につきましては、市町村の申出を受けて、農地転用許可制度等を基準に従って適正に運用すると認められること、それから農地転用許可制度等に係る事務処理体制が整っていると認められること、また優良農地の確保に係る適切な目標を定めていることなどの基準を満たす、農地の確保に責任を持って取り組んでいただけるような市町村を指定することを基本に考えているところでございます。  お尋ねの指定の基準についてでございますけれども、今後、学識経験者や地方公共団体関係者等から成る検討会を立ち上げまして検討することとしておりまして、できる限り具体的、明確なものとなるように検討を進めてまいりたいと考えております。
  39. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございます。この制度については、地域の中では、権限をもらえればかなり自由に転用ができるというふうに誤解をしているというんでしょうか、そういう向きもありますので、そこはしっかり、こういうちゃんとした市町村でないと指定できないということを、ルール作りをするとともに、また周知徹底もお願いをしたいというふうに思います。  地方創生関係は以上でございますので、新井次長、もしよければ御退席いただければと思います。
  40. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 新井次長、結構でございます。
  41. 山田修路

    山田修路君 続きまして、米政策関係についてお伺いをいたします。  昨年産の米の価格、これはJAからの概算金などが大きく低下をするということで、作況、在庫などの影響で米の価格が変動するのはやむを得ないといえばやむを得ないことなんですけれども、大幅に変動するということになりますと、農家の方ももちろん困りますし、それから米の実需者の方も決して望ましいことではないというふうに思います。  できるだけ安定した価格形成になるように、仕組みというんでしょうか、取引のルールというんでしょうか、そういったものをしっかり構築していく必要があると思いますけれども、農林水産省での検討の状況についてお伺いをしたいと思います。
  42. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) お答えいたします。  米の需給と価格の安定ということにつきましては、まずはその需要に応じた生産を行うということが基本だろうと考えてございますけれども、委員指摘のとおり、米につきましては、毎年作柄の変動というのがございますので、その結果といたしまして、その供給量が変動し、価格が変動するという実態がございます。委員指摘のとおり、生産者また実需者にはやはり一定の幅の中で価格や供給量が安定してほしいという思いがあるものですから、そういったものにも対応するために、播種前契約や複数年契約と、こういったものを進めて安定取引を拡大していくということが大事だろうと考えてございます。  このために、農林水産省におきましては、昨年十二月から、米流通に係ります川上、川下の取引関係者で米の安定取引研究会というものを開催していただきまして、今後、米の安定取引をどう進めていくのかということについて現在御議論いただいているというところでございます。  政府としましても、二十七年度当初予算案におきまして、そういった作柄による供給変動にも対応するという観点から、産地であらかじめ生産者が積立てを行っていただいた上で、仮に需給が緩和した場合などにおいて、産地において自主的に長期計画的な販売や輸出用などの他用途への販売を行う場合に支援するという事業も措置しているところでございます。  また、この安定取引研究会につきましては、今月末に取りまとめをいただくことになってございますので、その取りまとめ結果を踏まえて具体的にどういう対策が必要なのか検討した上で今後とも米の需給と価格の安定を進めてまいりたいと考えてございます。
  43. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございます。まさに作況の変動によって大幅な価格変動で農家の方やあるいは実需者の方ができるだけ影響を受けないようなやはりルール作りというんでしょうか、取組を是非進めていただきたいと思っております。  そういったその年その年の対応以外というんでしょうか、それの前提として、やはり中長期的に見て、先ほどお話がありましたけれども、主食用の米の消費の減退ということが続いていると。需要でいえば毎年八万トンぐらいの需要の減があるということでございますけれども、消費拡大の努力、もちろん重要でありますが、この消費拡大の努力だけではなかなか需要が大きく増えていくというのは実際には難しいんだろうというふうに思います。  このような意味で、やはり非食用の用途向け、特に飼料用米の生産を増やしていくということで水田の耕作放棄地化を防いでいくということも極めて重要だと思います。政府として飼料用米の振興をどのように進めていくのかについてお伺いしたいと思います。
  44. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) ただいま山田委員指摘のとおり、我が国におきましては主食用米の需要が毎年八万トンずつ減少している中、需要に応じた生産を進めるとともに、水田のフル活用を図るため、主食用米から需要のある飼料用米など主食用米以外への転換を進めていく必要があると考えているところでございます。  飼料用米の需要につきましては、二十七年産につきましては、畜産農家から新たに四・四万トン、飼料会社から約百万トンの需要が示されているところでございます。また、中長期的には、日本飼料工業会から、価格等の条件が整えば約二百万トンの使用が可能との発表があるなど、更なる需要が見込まれているところでございます。  このため、農林水産省としては、飼料用米などの生産拡大に向けまして、まず一点目に、水田活用の直接支払交付金を充実し、数量払いの導入などインセンティブを高めること、二点目に、利用拡大が見込まれる多収性の専用品種の種子について必要量を確保すること、三点目に、耕種側におけるカントリーエレベーターの整備や、畜産側や配合飼料工場における加工保管施設等の整備に対して支援するなどの措置を講じてきたところでございます。  引き続き、農業者の方々が安心して飼料用米などの生産に取り組むことができるよう、新たな食料・農業・農村基本計画におきましてもこの飼料用米など戦略作物の生産拡大を位置付けまして、その達成に向けてしっかりと必要な支援を行ってまいります。
  45. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございます。飼料用米の生産振興、極めて重要でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。  その中で、やはり農家の方々のお話をお聞きしますと、将来の米作り、どういうふうにやっていったらいいのか分からないとか、あるいは特に政策がどういうふうに変わっていくのか、また、飼料用米の政策いろいろやってもらっているけれどもいつまで続くんだろうかと、こういった不安の声をよくお聞きをするところであります。  もうすぐ新たな食料・農業・農村基本計画も策定をされますので、そこでまた飼料米についてもしっかりと打ち出していただけるんだと思いますけれども、こういった新しい基本計画も踏まえて、特に今後の米政策こういうふうに進んでいくんだぞということを農家の方にも分かりやすく丁寧に説明をしていくということが、やはり米の生産が適切なものに移行していく上で大事なことだと思います。  このような農家の方々への情報提供をしっかりやっていただきたいと思いますが、その方針についてお伺いをいたします。
  46. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 貴重な御指摘ありがとうございます。  米政策見直しにつきましては、これまでは行政生産数量目標の配分を行ってきたところでありますけれども、平成二十五年十二月に農林水産業地域活力創造プランを決定しまして、平成三十年産を目途に、行政による配分に頼らずとも農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるよう環境整備を進めることとしているところでございます。  今月中に新たに策定される予定の食料・農業・農村基本計画におきましても、今後十年ほど先までの施策の方向等を示す中で、米政策改革の着実な推進と飼料用米等の戦略作物の生産拡大を明確に位置付けているところでございます。  その中で、一点目として、飼料用米、麦、大豆等の戦略作物について、品目ごとの生産努力目標の確実な達成に向けて不断に点検しながら生産拡大を図ること。二点目に、中食、外食等のニーズに応じた生産と安定取引を一層推進をすること。三点目に、県産別、品種別等のきめ細かい需要・価格情報、販売進捗・在庫情報を提供するなどによりまして需要に応じた生産推進するとともに、優れた生産装置である水田をフル活用し、食料自給率、自給力の向上を図ることとしているところでございます。  今後、米政策見直しにつきましては、内容について基本計画の周知の機会も活用して丁寧な説明を行ってまいりますとともに、その具体化に向けて現場とキャッチボールしながら地域の実情に応じてきめ細かく対応してまいる決意でございます。
  47. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございます。私思うんですけれども、例えばその基本計画の周知であっても、例えば米農家向けに、米についてはこういうふうになりますよとか、あるいは基本計画だけじゃなくて、ほかの政策も併せて、そういう、何というんでしょうか、農家の方が分かりやすい形で是非その提示をするような努力をしていただきたいというふうに思います。  もう大分時間がありませんが、櫻庭局長も来ておられますので、輸出振興の話をちょっとお聞きをしたいと思います。  地方創生を図るためには、農林水産物・食品の輸出促進が極めて重要であります。政府として目標を決めながら、あるいは輸出戦略実行委員会というようなものをつくりながら進めているわけでございますが、これまでどう進んでいるのか、どう評価しているのかについてお伺いをしたいと思います。
  48. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) これまでの農産物・食品の輸出拡大についてお答え申し上げます。  今委員指摘のとおり、平成二十五年に策定しました国別、品目別の輸出戦略に基づきまして、平成三十二年に輸出額目標一兆円を掲げているところでございます。また、その達成に向けまして、昨年六月には輸出戦略実行委員会を創設して官民一体となって取り組んでいるところでございます。また、輸出戦略に当たっては、放射性物質に係る食品の輸入規制の撤廃、そういったものの働きかけについても政府を挙げて取り組んでいるところでございます。  これらの結果、水産物、加工食品を始め、牛肉、米、お茶など日本各地の代表的な食品の輸出が軒並みに増加しまして、平成二十六年合計で見ますと、基準年である平成二十四年と比べまして三六%増、過去最高の六千百十七億円と、初の六千億台に達したところでございます。  このように、これまでの輸出戦略に基づく様々な取組は着実に成果を上げてきているという具合に評価しているところでございます。
  49. 山田修路

    山田修路君 どうもありがとうございます。輸出も大変進んできているということで、これまでの御努力に対しまして敬意を表したいと思います。  特に今お話がありました、原発の事故の結果、相手国からすると、日本の農産物あるいは食品の輸入について、禁止をしたり、あるいは検査を義務付けているというようなこともあります。これはちょっともう時間がないので質問はいたしませんけれども、また次の機会にさせていただきますが、まだかなりの程度にこの規制が残っているというふうに理解をしております。これは原発事故に名を借りた非関税障壁でありまして、大変憤りを感じるというか、そういうこともございます。またこの辺についても御努力をお願いしたいと思います。この質問はまた機会があればさせていただきたいと思います。  最後に、一つだけ御要望というんでしょうか、今、農協改革あるいは農業委員会の改革が検討されております。じきにまたこの委員会でも法案提出されて検討されるということになると思いますけれども、是非法案の作成、今まさに渦中にあると思いますが、幾つかお願いをしておきたいというふうに思います。  一つは、やはり准組合員の利用規制、利用制限のことでございます。地域活性化という観点からすれば、農協の組合員でない方も農協を利用して生活をされておられる方が多数おられるわけでございます。是非その准組合員の農協の利用規制については慎重に検討していただきたいということでございます。  それと、農協の役員、理事について、認定農業者などの担い手が一定の割合を占めるようにしていきたいという考え方があります。この方向はそれで私はいいと思っておりますけれども、やはり認定農業者が少ない地域もありますので、地域の方が困らないように是非、現実的なというんですか、実態に合ったルールづくりをお願いをしたいと思います。  それから、農業委員会についても、農業委員さんのほかに農地利用最適化推進委員というような、仮称でございますが、こういった方を任命していくということになっております。その際に、やはりその認定農業者が一定の割合でなくちゃいけないとか、そういう規制も設けていこうというようなことになっておりますし、それから地域の推薦あるいは公募というような仕組みも取り入れようということなんですが、やはり選任していく過程でなかなかうまくその定数に満たない、あるいは定数を超える場合、認定農業者の数を満たせない場合、いろんなケースが出てくると思いますので、その辺について、地域の人が困らないようなルールづくりを是非お願いしたいというふうに思います。  また、農業委員さんの話を聞いておりますと、この農業委員と新しく農地利用最適化推進委員と二つに分かれますけれども、地域によってはこれまで一緒に農業委員として流動化の仕事をしてきた、それが分かれてしまうというのは非常に仕事がしづらいというふうにおっしゃっている地域の方もおられますので、一応その仕組みは仕組みとして、弾力的に地域がうまく活動できるようなルールというんでしょうか、現実に応じた運用というのも検討していただきたいと思います。  これはまた、いずれ法案が出てきた段階でこの委員会でも議論をしていただく事項だと思いますが、あらかじめお願いをいたしまして、私の今日の質問とさせていただきます。  本日はどうもありがとうございました。
  50. 中泉松司

    ○中泉松司君 おはようございます。自由民主党の中泉松司でございます。  本日は質問の機会をいただきまして、久しぶりに農林水産委員会質問をさせていただくと思います。久しぶりの質問でありまして、ここ数か月、地元に帰ってということを繰り返しているわけでありますけれども、その際に、関係の方々から様々お話を伺ってきておりますので、そういったことも踏まえて質問をさせていただければと思っております。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕  まず、冒頭、林大臣におかれましては、またこうして農林水産大臣として働いていただけるということで、心から、先ほどもお帰りなさいという言葉がありましたけれども、同じ言葉を贈らせていただければと思います。  大臣におかれましては、先ほども山田委員の方からもお話がありましたが、大臣を離れられてからも、党内では農林水産戦略調査会の会長として、非常に難しい農協改革といった様々な課題に関して差配をしていただきました。本当、その方向性を示していただいたおかげで議論が深まり、今の方向に向いているんだと思っております。先ほど山田委員からも今後の決意という話がございましたが、私からも、個人的な関心もありましてお伺いをしたいと思っております。  やはり大臣として政府の方にいらっしゃって、そしてまた、そこから離れて党の厳しい議論の中でその取りまとめに尽力をされてきた、そのいわゆる、言わば両極と言っていいのか分かりませんけれども、そういったお立場にあられて、それぞれの立場で今回の議論というものを見守ってきていただいたんだと思います。そういった中で、また再び改めて大臣として今後の農政のかじ取りを担っていくということで、そこに関してやはり、どういうふうに感じられたのか、そしてまた、そこで感じられたことを今後どういうふうに生かしていかれるおつもりなのか、そういったところに非常に個人的にも関心がございます。ということで、是非大臣の今のお考え決意を改めてお伺いできればと思います。
  51. 林芳正

    国務大臣林芳正君) まずは、個人的な関心を持っていただきまして、大変ありがとうございます。  私も、自分で計画をして行ったり来たりしているわけではないわけでございますので、大変貴重な経験をさせていただいたと、こういうふうに思っておりますが。私も二十年間ずっと活動させていただいて、まあ小川委員とはもう同期の桜でございますが、長くやっているといろんなこともあるわけでございますけれども、やはり党と政府両方の立場で、しかも今回は同じ事象について、政府の方で骨格をつくって、それを与党の方に投げてと思ったら、今度は自分がその投げたボールを受け取る方になって、それでこれを与党で受けて、いろんな議論委員にも参加していただいてやった上で、何とかまとめることができましたが、それを今度は政府に投げ返したと、こういうふうに思っておったら、その投げ返したボールをまた自分で受け取ると、こういうことで、めったにないことだろうなと、こういうふうに思っておりますが。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕  従来より思っておりましたように、やはり両方のプロセスというのが大変大事であると、議院内閣制でございますから、政府と与党がずれていくということがあってはならないわけでございますので、物事を決めていくときに、この政府と与党でしっかりと、ずれがないように、いろんなことをやっていくと。これが大事であるということはもちろんでございますが、特に現場とのキャッチボールということを私、常々申し上げておりますけれども、やはり政府でつくるものというのも当然現場の御意見というのは踏まえているわけでございますが、さらに、やっぱり与党の国会議員の先生方の御意見というのは、今まさに委員がおっしゃったように、毎週毎週地元に帰られて、生の声を、いろんな声をお聞きになって帰ってこられる。それを、自分の意見とほかの方の意見というのをその議論の場でいろいろ時には闘わせていただきながら、一番いい解はどういうことだろうねということをみんなで考えていくと。その最後の結果が決定となって出ていく、こういうことであろうと思っておりまして、そのことの重要さを改めて認識をさせていただいたわけでございます。  更に言えば、その原案というのを政府・与党で作った上で、こういう委員会の場で野党の先生方からもいろんな御指摘をいただいて、なるべく多くの皆さんにとっていいものというのをしっかりと作っていくという意味では、今度はこの国会の審議というのが大変重要な意味を持ってくると、こういうふうに思っておりまして、そのことを改めて今回は行ったり来たりして感じさせていただいたというのが実感でございます。
  52. 中泉松司

    ○中泉松司君 非常に分かりやすく御指導いただきまして、ありがとうございます。  別に私、将来政府に入りたいとかそういう話では全くありませんで、ちょっと未熟なものですから、自分でも、党内の議論とそして政府の中で、国会の中でという議論の中で自分がどこに立っているのかよく分からなくなってしまうときがございまして、そういう意味では、本当、今回のような機会というものは大臣にとっても貴重であったんでしょうけれども、今後も、今おっしゃったような経緯でここまで来たわけですが、しっかりと立ち位置を明確にされた上で、農政の発展のために御指導いただければ、御意見いただければと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  その上で、先ほど山田委員からは要望という形でお話がありましたけれども、農協改革、農業委員会改革、まあ農業改革全般と言ってもいいかもしれませんが、非常に大きな議論がなされてきております。先ほどこれも山田委員がおっしゃったように、今後、法案として出てきて、この場で審議をしていくということになろうかと思いますし、今鋭意検討中だということであると思いますが、これまでの議論も踏まえてでありますけれども、幾つか心配になるところもございます。  特に、地元に帰っておりましても、そこに関して、それぞれの項目に関する皆さんの危機感の濃淡といいますか、そういったものはあるんですけれども、全体的にやっぱり不安をお持ちになっている方が多いということでありまして、我々もその不安を払拭するためにこういう議論をしてきているんだよということを一生懸命発信していかなければいけませんが、その上で、特に心配されていることに関して幾つかお伺いをしていきたいと思っております。  初めに、准組合員の利用制限についてであります。  これは、我々党内の中でも議論を経て、様々な意見があり、そして今後の大まかな方向性としては、今後五年間、実態を調査をした上で改めて検討していくというような方向性が示されたやに伺っております。  そういう意味では、今後五年間に関してはいわゆるその実態を見ていくということでありますので、今までどおり、若しくはそういったことを意識しながら各地域で営みを、生活をされていくことになろうかと思いますので、時間をいただいたという意味では非常に有り難いことだったなと思っておりますし、その際にも当時の林戦略調査会長の差配があったおかげだというふうに思っておりますけれども、今後の見通しとして、いわゆるなぜ利用制限を掛けなければいけないかという話になったときに、よく持ち出されていたのが、正組合員と准組合員の数が逆転をしてしまったと。その数が逆転をしてしまったことによって、ちょっとこれはおかしいんじゃないかというような、何かちょっとそういうふうな切り口で入ってこられたような気がいたしております。  今後の見通し、農政全般とすれば、これはあくまで想像でありますけれども、担い手に集約をしていく、そして認定農業者を含めて地域の担い手の方々に農地も集約をしていく、効率化を図っていくということをやっていく上では、直接農業に関わる人口というのは、人口でいくと減ってくることになるんだと思います。一方で、それぞれの地域で、例えば農協さんの施設がなければ生活をできないといったところがある中で、そこを利用されていくという方々は、例えば中間管理機構に土地を預けるも含めてでありますけれども、間接的な組合員になっていく方というのはこれから増えていく傾向にあるんだと思います。  そういった意味では、単純に正組合員数が減ってきて准組合員数が増えてきた、これが今回の議論の切り口だということで、五年たってまた実態を調査した結果どうなんだろうという話をした際に、やはり正組合員がますます減っていますよね、准組合員は増えていますよねという話になってしまいますと、これはまた今回のような議論といいますか、今回のような様々な意見が出てくるまたきっかけになろうかと思っております。  そういった意味では、単純にそういう切り口ではなくて、きちんとどのようにしてその地域で准組合員制度というものが生かされているのか、そしてまた、どのような実態であるのかということを総合的に見ていく必要があると私は考えておりまして、そこに関してちょっと心配をしております。  今の段階でお答えできる範囲で結構でありますので、今後について、こういった私の思いも踏まえてお答えをいただければと思います。
  53. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生の御指摘の部分、これから法案が出てまいりましたら様々議論をいただくわけでありますが、農協ということを考えてみましても、あくまで農業者の協同組織でございますので、正組合員である農業者のメリットを拡大することが最優先、これが課題でございます。  したがいまして、准組合員へのサービスに主眼を置いて正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはならない、これはもう当然のことでございまして、一方で、御指摘の部分、過疎化、高齢化等が進行する農村社会において、農協が事実上地域の重要なインフラとしての側面を持っているのも現実、事実でございます。  こうした状況を背景といたしまして、准組合員の利用規制について当然議論がされてきました。一つ目に、これまで規制がなかったこともございまして、今お話ございましたとおり、正組合員と准組合員の利用実態が把握できていないことでございまして、二つ目には、今回の農協改革によって農業者の所得向上に向けた成果がどの程度見極めることができるか、これが必要であると思います。  そういうことから、二月に取りまとめられた法制度の骨格においては、お話が出ました、五年間の調査を行った上で慎重に決定することとされたものでございまして、また調査内容につきましては今後検討していくことになるわけでございますが、事業ごとに正組合員と准組合員の利用量がどのくらいであるか、また当該事業についてほかにサービスを提供するところがどの程度あるのか、そういったことも調査対象になっていくものと考えておりますので、また御意見賜りたいと思います。
  54. 中泉松司

    ○中泉松司君 ありがとうございます。本当に、その実態という意味ではこれからしっかりと総合的に見ていただく必要があると、ここは強く思っておりますので、是非とも前向きに進めていただければと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  また、これ、准組合員の利用制限の話とも関わる話なんですけれども、今回の議論の中で、いわゆる厚生連の取扱いに関しても様々御意見が出されました。様々といっても、厚生連というのは、これは全くない県もあるものですから、ある県とない県によって受け止め方が全然違うものだったなと思って議論を見守っておりました。  今回、これも方向性ということで示されたものでありますけれども、厚生連に関しては社会医療法人に移行することができるという、このできるという規定を設けて今方向付けをされているやに伺っております。  ただ、ここでどうしても御留意をいただきたいことがございます。特に秋田県がそうなのでありまして、私、秋田県人でありますので、これは強く伝えておきたいんでありますけれども、厚生連というのは、例えば北からいくと北海道でも十一ぐらいございますし、その下に来ると、秋田が九つあります。新潟も十一ありますし福島もあるということで、ぽつぽつとあっていくわけでありまして、ない県には全くないというのはさっき言ったとおりなんでありますけれども、それぞれの地域によって厚生連に頼っている度合いというものはかなり違いがあるんだと思います。  これ、例えば秋田県の例でありますけれども、隣の岩手県には厚生連病院はなかったと思います。その代わり県立病院がたくさんあって、それで県立病院の運営が非常に厳しい状況になって、知事が本会議場で謝ったみたいなことも今までもありましたが、片や秋田県なんかの地域においては、成人病医療センターですとかリハビリセンターなんというのが県立であるんですけれども、県立の病院というのが実質ほとんどございません。そういった中にあって、二次医療圏全ては厚生連病院に頼っているというのが現状でありまして、そんな中で、例えば老朽化をして建て替えなければいけない、そういったときには、県の方で、きっちりと担っていただいているんだということで、建て替えの費用を無償で全額貸し出したり、また様々な支援を行ったりということで、きっちり行政と連携を取りながら、公的医療機関としての大きな役割を担っていただいております。  これは多分、たまたま秋田県がその割合でいくと断トツに高いんだと思いますけれども、そういった状況にある中で、このできる方向でという話であっても、例えば員外利用規制がネックになるのであれば、これはできる規定だけでもやっぱりそういう方向に行った方がいいというような話になってしまうと、今まで行政としっかり連携を取りながらやってきたものがなかなかできなくなる。一般の医療法人みたいなことになってしまいますと、ほかの一般の医療法人との差がどういうふうに付ければいいのかということにもなってきますので、非常にそういったところで、ひいてはその地域の医療というものが崩壊することにつながるんでないかなというような危惧もございます。  そういったところもありますので、是非、これは、今回の改革といいますか、この議論の中で、良くするためにしてきた議論だと思いますので、地域の実情をしっかり踏まえた上で今後の対応というものをしていただきたいと思っておりますけれども、今後の対応、柔軟な対応を求めますが、御答弁をお願いいたします。
  55. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生指摘のとおり、秋田県は厚生連の病院が九か所あると聞いておりますけれども、先ほども申し上げましたけれども、農協は農業者の協同組織でございますので、過疎化、高齢化等が進行する農村社会において事実上地域のインフラの重要な役を担っているわけでございます。  こうした中で、厚生連につきましては、地域に必要な医療サービスを提供していく上で、員外利用でございますね、これも規制がネックになる場合もあり得るわけでございまして、必要な場合には社会医療法人に組織変更できるようにすることと今回していくところでございます。社会医療法人に組織変更するかどうかはあくまで厚生連の選択でございまして、各地域の実態を踏まえて適切に判断いただくことが重要と考えております。  また、この厚生連の関係でございますが、厚生労働省の今のお立場を聞いたところ、厚生連は社会医療法人に組織変更した場合であっても引き続き当該法人を公的医療機関として指定する方針であると、こういうふうに伺っておりますので、しっかり前向きに考えていきたいと、こういうふうに思っております。
  56. 中泉松司

    ○中泉松司君 本当、先ほど申し上げたように、これ正直言って、議員間でも意見交換なんかしても、自分の地域にないという先生であれば、さっぱりそれは分からないので、どうなっているんだみたいな話になったりするわけでありまして、片や、頼っている割合が大きい我々の地域のようなところでは非常に大きい課題になりかねない話でありまして、そこに関しては是非、いい御答弁いただきましたけれども、よろしくお願いしたいと思います。  特に、社会医療法人に移行して農協のグループから外れるとなりますと、例えば農協から出資をして運営をしているですとか、そういったところの経営基盤というのも脆弱になるかもしれませんし、先ほど申し上げたように、ほかの医療法人と同列に扱われてしまうとということは、さっき厚生労働省のという話がありましたけれども、そういうことがあってはまた非常に厳しい状況になってしまうと思いますし、別に農協グループが全体として厚生連というのはもうかるからやっているわけではなくて、地域の医療を支えるということでやっていただいているというふうに私は認識をしておりますので、是非これからも支え続けていただけるような、そういった対応をお願いしたいと思っております。  次に、農業委員の選任についてお伺いをしたいと思います。  これも今までも議論がさんざんされてきた話でありますけれども、農業委員の選任については、公選制をやめて選任制に移行するということで方向付けがされました。ただ、この選任制に移行した上で、いかにして地域の代表性というものを維持していくかということが非常に大切になってくると思います。首長さんの恣意的な選択というものがされているように見られてしまっては仕事もしっかりできないということにつながってくると思いますので、ここは、代表として、地域の代表なんだよということを確保するということが非常に重要だと思っております。  これまでも選挙が行われていなかった、ほとんどの地域で行われていなかったというのが今回のこの改革の話の一番最初のはしりにあったわけでありますけれども、行われていなかった地域では、地域からの推薦であったり公募であったりということでスムーズに選べるんだと思いますが、行われてきた地域というところで、やはりその定数よりもやりたいという人が多かったり、定数よりもやらせたいという推薦される方が多かったりした場合に、どのようにして決めていくかということは今後の課題であると思います。  ここに関して、その推薦やいわゆる公募といったことの取扱いになるんだと思いますけれども、それらの数が定数を上回った場合の基本的な考え方についてお伺いをしたいと思っています。
  57. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) これから法案提出されてから後に細部にわたっては御議論またいただくことになろうと思いますけれども。  今回の農業委員会改革に関する、昨年の六月、与党の取りまとめ及び二月に取りまとめました法制度の骨格の中身でございますけれども、農業委員の選出方法につきましては、公選制から、今御指摘ございましたように、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任に改める、そして、この際、推薦を受けた者及び募集に応じた者に関する情報を整理、公表するとともに、推薦及び募集の結果を尊重しなければならないとされているわけでありまして、推薦及び募集による候補者が農業委員の定数を上回った場合、今御指摘もございましたけれども、その候補者に関し必要な情報を公表した上で、例えばアンケート調査や意見交換会を開催するなどの手順を踏むことによりまして適切な選任が行われるようにしていく必要が極めて重要だと考えております。  また、いずれにいたしましても、法案の作成及び制度の運用に当たりましては、適切な調整が行われるようそのルールをしっかりと検討してまいりたい、このように考えております。
  58. 中泉松司

    ○中泉松司君 ありがとうございます。  この後伺う農協の例えば理事であったり農業委員の内容だったりというところでもちょっと、今すぐ伺うんですけれども、基本的に、地域の代表というものをいかにして維持していくか、先ほどアンケートだとか意見交換だとかというお答えをいただきましたが、そういった取組をしていただくことによって地域の合意形成を図っていくことが重要だと思っておりますし、そういった際には、例えば今までも農業会議所というところが、今後農業ネットワークということに内容的には移行するそうでありますが、そういったところで今まで培ってきた、蓄積されたノウハウといったものがあると思いますので、そういったところの活用も含めて、これ、今後の話でありまして言いづらいのかもしれませんけれども、前向きによろしくお願いしたいと思っております。  加えて、農協の理事、農業委員共に、内容に関して、認定農家を基本的に過半とするような方向で進められております。認定農家の方々に入っていただく、若い方に入っていただく、女性に入っていただく、販売のプロに入っていただく、そういった内容というのは非常にあるべき姿であると思いますし、正しい方向性だと思います。  今後、様々そういった方々に入っていただいて、そういった組織を活性化させていくということは非常に重要であると思いますが、それは目指すべき形であって、そこに至るまでというのはやはりなかなか難しいところもまだまだあるんだなと。先ほど山田委員の方からいわゆる地域の実情に即してというお話が要望としてありましたけれども、まさに地域のそれぞれの実情に即してやっていく必要があるのではないかなというふうに思っております。  特に、認定農家の皆さんというのはこれから地域の担い手としてその地域を引っ張っていく農業者の方々でありまして、若手の方が中心でありますが、一生懸命頑張っておられます。そういった方々が、例えば農協の理事も農業委員もと兼務できるといってそれぞれ抱え込んでしまって、実際やるべき自分の本来の農業、やりたい農業というものをおろそかになるようなことになってしまっては、これは本末転倒な話であると思っております。  そういった意味では、やはり絶対数としての認定農家がどのぐらいいるのかという話も必要でありましょうし、その中でどれだけの方が、農業委員、農協の理事といった割り振りをしていったときに、現実的にそこは構成としてどうなんだろうかということも十分踏まえて対応していただく必要があると思います。  繰り返しますが、目指している方向としては決して間違っていない、むしろ非常に正しい方向性であると思いますので、是非ともそういったことを進めていくためにハードルを乗り越えていっていただきたいと思いますが、そのためにはやはり柔軟な対応が必要になってくると思っております。地域の実情に即した、例えば例外規定を設けるですとか様々考え方はあると思いますが、そういった対応について取るべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  59. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 御指摘の部分、極めてポイントだと思っておりますが、農協、農業委員会改革に関する昨年の六月の政府・与党の取りまとめ、二月に取りまとめた法制度の骨格の中でございますが、地域農業農業所得の増大に配慮した経済活動が積極的に行われるようにするため、農協の理事の過半を原則として認定農業者や農産物の販売や経営のプロとすることを求める規定を置くという、こういうことになっております。農業委員につきましてもその過半を認定農業者とすることとしているわけでありまして、地域によっては、もう御指摘のとおりでございますが、認定農業者の数が少ない地域もございます。原則どおり役員構成や委員構成とすることが困難な事情もあると考えておりますので、あくまでも原則としておりまして、適正な例外を設けることとしているところでございます。  ちなみに、伺ったところでは、認定農業者の方が例えば農協の常勤になった場合、この場合には、常勤は極めて多忙だと、拘束される時間が極めて大きいと。農業経営にかなり影響するわけでございますから、そういう部分も踏まえまして原則としてと、こういう部分を入れていく考えでございまして、法案の作成及び制度の運用に当たりましては、実態調査を行うなど現場の実態を踏まえた適切なルールとなるように十分留意をいたしまして、特定の農業者に過度の負担を強いるようなことにならないようにしっかりと前向きに整理していきたい、こういうように思っております。
  60. 中泉松司

    ○中泉松司君 ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。  今回、農協、農業委員の改革というのが非常に注目をされまして、マスコミ等でも取り上げられる機会が多かったわけでありますけれども、実際に地元を回ってみて皆さんの反応というものを見てみると、准組合員の話というのは非常に大変な話だなということの印象でありました。加えて言うと、監査の話というのは報道ではたくさんされるけれども、農協にとっては非常に大切なことなんだろうけれども、農家の皆さんにしてみると農協の監査がどうなったからという話であって、別にそこに関しては余り興味がないのが実際のところだったと思います。それよりも、やはり農業所得向上につながる話というのをもっとしてほしいという話が率直に言われました。実際にどこにスポットを当てるかというのは我々が決められる話でもなかったりするものですから、マスコミさんの方も含めて、そういうふうなスポットを当てられたのが監査であったりそういったところであったんだと思います。  ただ、一方で、農協の方でも自己改革案ということで、生産資機材のコストをどのように下げていくかであったり、あと、輸出を今後十倍にしていくんだであったり、そういった具体的な話をしていただいたんだけれども、なかなかそういう話にスポットが当たることがなかったと。これは議論に参画をしていた私としても非常に反省をするべきところなんだと思いますけれども、今後是非、今農家の関心というのは、そういった農業所得全体の向上にどのように今回の農協改革が資するのかというところがやっぱり農家にしてのスポットであったんだと思います。  そういった意味では、林当時の戦略調査会長の下で、非常に難しい懸案を整理した上で今後に進んでいくことができるような状況が今つくられつつあるわけでありますので、今後は是非とも、そういった農業所得向上につながる農協改革、そして様々な組織の改革につなげていただけますように、これは我々も努力しなければいけませんけれども、是非とも皆さんもそういった観点から様々な問題を提起していただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  続きまして、米政策の今後について伺いたいと思っております。ちょっと時間がだんだんなくなってきましたが。  米政策の今後に関して地元、地元地元言って申し訳ないんですけれども、特に秋田県は米の産地でありまして、非常に今後の米政策に関しては関心が高うございます。そういった中にあって、今後の米政策の転換ということをお話をさせていただいてもなかなか御理解をいただけないところがありまして、しっかり現状を理解していただいて、その上でこういうことをやっていく必要があるんだというのは、農家の皆さんの理解の上で進めていく必要があると強く最近考えております。  改めて、これ本当改めてでありますけれども、この米政策生産調整の見直しの意義というものに関してお話をいただければと思います。
  61. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ありがとうございます。これは繰り返し繰り返し御説明をしなければならないと、こういうふうに思っていることでございます。  私よく申し上げておりますのは、今年、来年良ければもう後はいいんだということであればいろんなことをしなくてもいいのかもしれませんけれども、やはり五年後、十年後を考えて、きちっとやっていけるという見通しを持っていただくと。そして、そういう見通しをつくっておきませんと、後に続く若い方が、じゃ、我々も入っていこうというふうになってこないだろうと。こういう考えの下に一連の改革をやらせていただいていると、これが基本的な考え方でございますが、まさにそのベースには、これは残念ながらと言っていいと思いますけれども、我が国の食生活の変化、これ、一人当たりの主食用の米の消費量がピーク時から比べて半分になっておると。昭和三十七年が百十八キロ、これが平成二十五年では五十七キロでございます。そういうことを背景に主食用米消費量が減ってしまっていると。  先ほども山田委員から毎年八万トンという数字も挙げていただきましたけれども、こういう中で、一方で、水田というのは貴重な生産装置でもございますので、これを活用をしていく、そして主食用の米の需給は安定をさせていくと。こういう観点で、まずはやはり加工用米、飼料用米といった主食用以外のいろんなお米、需要のあるものの生産振興を図ろうと。そしてさらに、小麦や大豆など、これは、和食の基本的なものであるみそ、しょうゆというものもここからできてくるわけですが、これが実は多くを海外から輸入をしていると、こういうことについての拡大をしていくということが大事であると考えております。  したがって、農業者の創意工夫を最大限発揮をしていただくための環境を整えて、需要に応じた生産をやっていただくということを念頭に置いて、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断、こういうことで作物を作れるようにするということにするということと、それから直接支払交付金、水田活用の交付金ですが、これを活用しまして主食用米以外のものに転換を進めていくということによって水田をフル活用すると。このときに、言い方に気を付けなければいけませんのは、農家それぞれでやっていただくし、集落でも、小規模の場合は皆さんで一緒になって考えていただくと、これでもいいわけでございますので、いろんな規模によってそこはやっていただく単位も変わってくるということも併せて御説明をしなければならないと思いますが、そういうことをやっていくことによって、食料自給率や、新たに今度出しました食料自給力、こういうものの向上を併せて図っていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。  そうはいっても、来年から、じゃ、やりましょうと、一年一作でございますから、そういうわけにもまいりませんので、平成三十年産を目標に据えて、そのときに、行政による生産数量目標の配分に頼らなくても、国が策定する需給見通しを踏まえて生産者、集荷業者・団体、中心となって円滑に需要に応じた生産が行われるような状況になるように毎年毎年きちっと歩を進めていこうと、こういう状況にあるということでございます。
  62. 中泉松司

    ○中泉松司君 ありがとうございます。基本的には、どうしてこういうふうな方向の見直しをしなければいけないのかということを言ったときには、やっぱりどうしても需給バランスということが出てくるんだと思います。  先ほど来お話があるとおり、年間八万トンペースで米の消費が減ってきていると。いわゆる米の消費が減ってきていて、需要が少なくなってきていて供給を抑えていかなければいけないと。それは、農家に負担が掛からないようにして供給を抑えていかなければいけないわけでありますけれども、その供給を抑える話をしたときに、極めて一般的な農家さんの受け止めとすると、食生活が変わったですとかそういった中にあって、日本人が米を食べなくなったと。ラーメンを食べたり、パスタを食べたり、ピザを食べたり、パンを食べたり、米を食べなくなったから需要が減っているんだと。だから、その需要が減ってきているんだから、その需要を拡大していけば供給も取れるじゃないかという話をされる方がいるんです、たくさん。  先ほど林大臣からお話がありましたとおり、昭和三十七、八年頃というのは、日本人は年間百十八キロ、二俵ぐらいのお米を食べていたと。現在何キロというと、五十七キロ、一俵食べていないということでありますので、それだけの消費が減っているということになります。  ただ、ここで個人的に思わなければいけないと思うのは、昭和三十七、八年頃、なぜ日本人がそんなにお米を食べていたかというと、やはりその頃は団塊の世代を中心とした若い方々がたくさんいらっしゃって、その方々が一生懸命部活動を頑張ったり、あしたに頑張ろうということで、お代わりお代わりといって、すごく活力ある時代であったんでないかなというふうに思います。  ただ、今、その子供たちがどんどんどんどん数が減ってきて、そしてお年寄りの数がどんどん増えていくと。お年寄りの数がどんどん増えてきた際に、お年寄りに、じゃ二杯、三杯お代わりしてもらって米の消費ですよなんといったら、それでもう体悪くしてしまいますから、やっぱりそういうことはこれから現実的にはできないと。やっぱりそういう意味考えていったときに、消費が減ってくるというのはある程度仕方ないことだと思いますので、それを踏まえてやっぱり需要と供給ということを考えていかなければいけないんだと思います。  そういったことも、現実、こういうふうな状況が変わってきているんだよということを踏まえて、やっぱりその需要と供給のバランスを取っていく。そして、その上で、供給のバランスを取る上ではやっぱり供給を抑えていく、いかにその農家の負担を強いないで、農家の所得に影響させないで、そして更に向上させる方向にして主食用米の作付けを抑えていくということになるんだと思います。  先ほど、今後の飼料用米の話ということでは山田先生からお話がありましたので、そこははしょりますけれども、そういったことを言ったときに、やはり水田フル活用の中では水田を使って米を作れる。そういう意味考えると、農家の負担等を考えても、非常に飼料用米等というような米を作れるものというのはやはり魅力的なものなんだと思います。  そういった中にあって、飼料用米というものをどんどん拡大していかなければいけないというのが、これが今の現実の大きな課題であると思いますが、今までも質問等で聞いておりますけれども、なかなか農家さんに飼料用米というものを作るということをイメージしていただくという面では、順調にいっているかといえば、そんなに順調にいっていないというのが現状なのではないかなというふうに思います。それこそ、牛や豚に食べさせるお米をなぜ我々が作らなきゃいけないというような率直な御意見をいただく場合もありますし、やっぱりいかにして日本の畜産を我々の米農家も支えているんだということをイメージしていただくか、そういったことが重要になってくると思いますし、また実需者とのマッチングというものをしっかりしていく必要があると思います。  そこで、伺いたいんですけれども、飼料用米を活用する上では、ブランド化を進めるですとか、例えば米を使った牛ですとか、米を使った豚ですとか、地元の米を使った鶏ですよとか、そういったような、いわゆる様々マッチングしていった上でブランド化を図っていくという、そういった考え方も必要であると思うんですが。  一方で、これ、一般的な話として、鶏なんかだと五〇%ぐらい配合、交ぜることができるけれども、牛なんかは一割程度しか交ぜることができないんだよとか、そういった話をたくさん伺います。やはり品質に関わるものでもあると思いますので、なかなかそれを、一度に米をたくさん使ってくださいというのはそんな簡単な話でないのはよく分かるんでありますけれども、一方で、最近はそういった研究もされてきて、例えば牛なんかで五〇%以上の飼料用米を使ってもA5ランクのすばらしい肉ができるみたいな、そういったところもだんだん確立されつつあるというふうに伺っております。そういった取組を進める。例えば鶏なんかでも米を与え過ぎると卵が白くなるですとか、何かそういった、逆にデメリットがあるような言われ方をしている場合もあるんですが、例えばその白い卵というものを逆に、これは別に悪いものじゃないんだよと、米粉、米を使っているからこういうものなんだよということで、地元の米を使った白い鶏とかって、別にブランド化なんというのはやろうと思えばできると思うんです。  そこは御理解を一般の消費者の方々にもいただきながら進めていく必要があると思っておりまして、そういった飼料用米の全体としての拡大も必要だけれども、活用する割合の拡大みたいなこともこれから進めていく必要があると思うんですが、そこに関して、現在の取組等ありましたら、お伺いしたいと思います。
  63. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、飼料用米の生産につきましては、生産面での取組ということに加えまして、その出口をどうしていくのかということが大きな課題であろうというふうに思っています。  その中で、一つは、畜種ごとに飼料用米をどの程度食べるかというのは様々でございます。今お話がございました牛につきましては、草食性でかつ反すう動物ということもございまして、多量に与えますと胃の中の酸性度が上がって病気になってしまうという問題もあるということも伺っております。他方で、今お話があった鶏につきましては、これは砂肝があるものですから、もみのまま与えても十分吸収していただけると、そういった特色もございますので、そういったことを踏まえて、どの程度の需要があるのかということをよく把握していく必要があると考えてございます。  それから、もう一つの論点といたしまして、単に輸入トウモロコシの代替ということではなくて、餌米を与えることによって付加価値を向上していくということが、様々な取組が行われてございます。今委員からお話がございました鶏卵、鶏に飼料用米を与えまして黄身の色が白っぽい卵を産ませると。これは、実際に幾つかの地域で養鶏農家がやっておりまして、例えば卵の用途としてケーキとかいうものがございますけれども、そのケーキが、通常そのまま使いますと黄色い生地になりますけれども、これがすごく白い生地になって差別化ができると、そういった例もございます。また、豚では、飼料用米を与えますと、オレイン酸という、通常、脂身の中でリノール酸が多いんですけれども、オレイン酸が多くなることによってうまみが増すということで、通常の豚肉よりも何割か高い価格で飼料用米を給与した豚肉が取引されているという例もございます。  こういった様々な地域の取組なども各地で広げていただきまして、出口対策もしっかりやって、その結果として飼料用米が拡大されるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
  64. 中泉松司

    ○中泉松司君 済みません、時間がなくなってきましたので、まず優先して、秋田県出身の櫻庭局長いらっしゃいますので、輸出増への取組についてお伺いをしたいと思います。  先ほど山田委員の方からも輸出増の取組ありましたけれども、輸出増の取組に関してはもちろん、六千七百億円規模の今のものを一兆円規模まで押し上げていくんだと、高い目標を設定していただいて、特にここは林大臣も、以前から、いわゆる今までの取組ではなくて、しっかりときちんとやっていくんだということで、かなり思い入れを強くやっていただいているのではないかなという印象を持っております。  純粋に輸出増の取組を進めていくということは必要でありますけれども、当然でありますが、今ユネスコで注目されております和食文化、和食というものとのセットでのパッケージとしての輸出をしていくということが不可欠であると思います。そこに関しての取組と今後の展望についてお伺いをしたいと思います。
  65. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 委員指摘のとおりでございまして、例えばイタリアでは、イタリアンという料理が、世界中に結構好きな人がいらっしゃいまして、そのイタリアンを売り出すために、イタリアの食文化を、例えばパスタ、オリーブオイル、チーズ、ワイン、セットで輸出しているということで、これも日本は見習わなきゃいけないことだと思っております。  一昨年のユネスコの無形文化遺産登録、それから二〇二〇年の東京オリンピックと、日本世界から注目されておりますので、この機運を捉えて、御指摘のとおり、日本食、食文化の魅力の海外発信を強化してまいりたいと思っております。  特に現在、外国人に日本食の良さを理解してもらうためには、まず一点目は、総理や大臣の海外出張の機会に合わせまして、外務省、経済産業省、国税庁等と連携しまして、各国日本食、食文化の魅力発信をトップでセールスを行っていただいている。それから二つ目は、和食の基本となるだし、おだしの取り方とか、あるいは衛生管理の仕方、こういったものを現地の料理人に教える講習会を開く、あるいは海外の料理学校で日本食のコースを開いていただく。最後には、海外の主要都市で調理の実演会を開いて、現地の消費者の方々に直接お伝えするということを取り組んでいるところでございます。  またさらに、五月一日からミラノで食と農業をテーマとした万国博覧会が開催されますので、我が国農林水産物のすばらしさを発信する絶好の機会と思っておりますので、日本館で官民一体となって食と農に関する多様な展示を行うこととしております。  今後も日本食文化の普及、宣伝に努めまして更なる輸出拡大につなげたいと思っておりますので、御指導のほどよろしくお願いいたします。
  66. 中泉松司

    ○中泉松司君 ありがとうございます。  日本酒、和食の中でやっぱり日本酒というのは物すごく可能性を秘めているものなんじゃないかなと私は考えておりまして、秋田県も酒どころ、酒蔵さんが三十以上ありまして、多くの日本酒、すばらしい日本酒を造っております。そういった意味では、秋田から出ていく上では、県外に出していく上でも、また国外に出ていく上でも、秋田県にとって一番の魅力という、一番世界に近いところにあるのが日本酒なのかなと勝手に思っておりまして、非常にこれは、秋田に限らずでありますけれども、日本酒というものをどのようにして売り出していくかということが重要になってくると思っております。  日本酒というのは輸出が今百十五億円ぐらいだったかと思います。片や一方で、フランスのワインなんか、フランスワインだけで多分日本円にして一兆円規模、近いぐらいの取引がされていると。イタリアのワインなんか足してしまうと、本当、桁がもう簡単に二つ違うというような世界だと思います。これ、どのようにしてブランドとして守りながら売り出していくかということが非常に重要だと思います。  例えば、酒米だって、秋田県には秋田酒こまちという新しい品種があるんですが、山田錦であったり、愛山、雄町、龍の落とし子なんて、もう酒米というのはたくさん種類がありますし、また産地のいわゆる作っている地域というのもあると思いますし、酒蔵というそのものもあると思います。そういったものをブランドとして守りながら、模造品とか出ないようにしながら、きっちりとして魅力を発信し売っていくということを考えたときには、やはりかなり戦略的なものを持ちながら進めていく必要があると思っております。  そういった面で、是非これは世界に自信を持って発信していただきたいものだと思っておるんですが、それに関する取組に関してお伺いしたいと思います。
  67. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 委員指摘のとおり、日本酒の製造業者は全国で約千五百ございますが、その多くは地域に密着している中小企業ということでございます。しかしながら、日本酒造組合を始め、チームとなって海外に一生懸命若い後継ぎが売り込んでいるという状況にございます。  政府といたしましては、例えば外務省が在外公館でいろいろなレセプションございます、そのときの乾杯とか、必ず日本酒を今出すという形で外務省も取り組んでいてもらっておりますし、あるいは海外のレストラン、これは一番重要でございますけれども、現地の料理にもマッチした日本酒ですよという形で、ソムリエの皆さんからも発信してもらうという形で取り組んでいるところでございます。  したがいまして、和食との相性がいいのは当然でございますけれども、現地の料理にも好まれる。それからもう一つは、日本酒は非常に鮮度が大切でございますので、そのフレッシュさをどんどん持っていきまして、日本のコールドチェーンとかそういった輸送体系を武器にして進めてまいりたいと思っております。その際、日本の各農山漁村の自然のすばらしさ、四季の移ろい、こういったものもPR材料として進めていきたいと思っております。
  68. 中泉松司

    ○中泉松司君 是非頑張っていただきたいと思います。  百十五億って、フランスワインなんかに比べると非常に桁が違うというだけでありまして、百十五億というのも大したものだなとは思うんですが、でも金額的にはまだまだ潜在能力を秘めていると思います。いわゆる金額的に低いからこそ、これはもうどんどん伸ばしていくという伸び代がある部分もあるんだと思いますので、是非ともそういったところへ御留意をいただきながら進めていただきたいと思います。  時間が参りまして、最後に龍角散、ゴホンといえば龍角散というのがありますけれども、龍角散のCMというのは見た方もいらっしゃるかもしれませんが、秋田県の知事が殿様役で出ております。これは何かといいますと、龍角散というのは実は秋田県の佐竹藩というところで生まれた薬でありまして、今の秋田県知事は佐竹さんという方で、その流れをくんでいる方です。それで調子に乗ってCMに出たりして困ったんですが。  薬用作物、今海外、中国に特に八割ぐらい依存をしているということでありまして、これを振興させようということで秋田県も非常に力を入れて取り組んでいるところでありますが、これ秋田県に限らず、各県多分たくさん課題があります。そういったところも含めてお伺いをしたかったんですが、時間が参りましたので、次回、機会をいただいたときにでもお伺いできればと思っておりますので、よろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  69. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 山田俊男

    委員長山田俊男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、平成二十七年度の農林水産行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 皆様お疲れさまでございます。民主党の徳永エリでございます。  私からも、林大臣、お帰りなさい。  ゴールデンウイークが終わった後には、私の地元北海道や、それから地域に大きな影響のある法案提出されて、本格的な審議が始まります。是非とも林大臣には、優しいお気持ちで、現場の声をしっかり受け止めて、思いを政策に反映させていただきたいと、そのことを心からお願い申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。  さて、今日は、この農林水産委員会冒頭、副大臣そして政務官から御発言がございました。また、中川政務官からは謝罪がございました。  十九日、農林水産大臣の所信表明があった際には、副大臣政務官もそろっておられましたので、恐らく何らかの発言があるものだと思っておりました。しかし、あったのは大臣の所信表明だけでありました。三月十日、衆議院の農林水産委員会では、この委員会の冒頭、三役から発言がありました。そして、中川政務官からも丁寧な謝罪がございました。私から、十九日の委員会が終わった後に、なぜ二役から御発言がなかったのかと指摘をさせていただきました。これ、指摘がなかったら今日の御発言はなかったんでしょうか。中川政務官からの謝罪がなかったんでしょうか。私、これ、衆議院ではあって参議院ではないというのは参議院軽視ではないかと思いますが、この点、いかがお考えでしょうか。  ましてや、中川政務官、衆議院の農林水産委員会では、週刊誌報道について、また、国会への要請があったのにもかかわらず体調不良で入院しておられたこと、この点についても謝罪がありました。参議院では一言もなく、ただ座っておられた。参議院では謝罪の必要がないとお考えだったんでしょうか。  また、今日は大変に明るい表情で、お元気で発言をされておりましたけれども、いつ退院したんだろう、体調は元に戻ったんだろうか、あるいは政務官としての公務にはしっかりともう全面的に復帰なさったんだろうかと、そういう声もいろんなところから聞かれております。  報告も含めて、今私がお伺いした点についてお答えいただきたいと思います。
  72. 中川郁子

    大臣政務官中川郁子君) 徳永エリ委員、お尋ねをいただきましてありがとうございました。  大臣所信聴取のときに謝罪すべきという御指摘でございましたけれども、私といたしましては、三月十九日木曜日の参議院農林水産委員会における大臣所信聴取時に機会が与えられましたならば、御挨拶とともに皆様方に謝罪を申し上げるつもりでおりました。しかしながら、発言の機会がございませんでしたので、謝罪をするという機会がなかったわけでございますけれども、本日謝罪の機会をいただきましたことに心から感謝をしているところでございます。  また、病院にいつ入院したか、いつ退院したかということをお尋ねいただきまして、御心配いただきましたこと、本当にありがとうございます。  三月五日木曜日に二週間の安静、加療を要するという診断を受けまして入院をいたしました。翌日の六日金曜日に、病院を転院をしたという形の中で入院をさせていただいておりました。そして、今お尋ねのいつ退院をしたかということでありますけれども、三月二十日の金曜日に退院をいたしました。そして、三月二十三日の月曜日から公務に復帰をいたしたところでございます。ありがとうございます。
  73. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 もうすっかりお元気になられて、全面的に公務に復帰なさったということでよろしいんでしょうか。
  74. 中川郁子

    大臣政務官中川郁子君) 体調を整えつつ、今まで休んだ分を挽回するように頑張っているところでございます。大変ありがとうございます。
  75. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 一月八日の日に中川政務官の御地元、帯広市内のホテルで新年交礼会が開かれましたね。その際に、中川政務官は、応援いただいた十勝の有権者に恥ずかしくない仕事をするとおっしゃいました。また、国会農林水産行政にとって大きな山場を迎えている、しっかり丁寧をモットーに取り組むともおっしゃいました。  中川政務官は女性議員であられますし、それから、十勝だけではなくて、やっぱり北海道の国会議員として、ましてや政務官でありますから、それも北海道にとっては非常に重要な農林水産行政であります。オール北海道で大変に期待をしております。ですから、これから様々、北海道にとって厳しい課題をこの国会の中で審議していくわけでございますけれども、中川政務官の役割は大変に大きいと思っております。北海道の声の代弁者としても大変に重要な方だと思っておりますので、この一月八日の新年会でおっしゃったように、十勝の皆さんにだけではなく、北海道の皆さんにとって恥ずかしくない仕事をしっかりしていただきたいと思いますが、改めてその決意をお伺いしたいと思います。
  76. 中川郁子

    大臣政務官中川郁子君) 御指摘いただきました点に十分注意をして、しっかり頑張ってまいりたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  77. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 先ほど政務官から、前回の委員会のときには機会が与えられなかったというお話がありましたけれども、これすごく重要な問題だと思うんですね。  最近、前農林水産大臣の政治と金の問題、あるいはスキャンダル、それから失言、今回のことについても、やっぱり衆議院であったことが参議院ではないというのは非常に重要な問題だと思います。あとは、例えば質問取りに来ていただいたときに、答弁者はその方では困るんですよね、この方にしていただけませんかとか、その質問だけは今回やめていただけませんかとか、大臣にはそのこと聞かないでくださいというような話が最近ありまして、ちょっと国会の中も、それから農林水産省も、ちょっと緊張感に欠けているんじゃないかなという気持ちがいたします。  しっかりと身を引き締めて、政府としては、この国会の様々な課題、あるいは様々な問題に取り組んでいただきたいと思いますけれども、これはどなたに御答弁をいただいたらよろしいんでしょうか。
  78. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今いろいろな御指摘をいただいたところでございますので、私が先頭に立って、政務三役、それから事務方共々しっかりと気を引き締めて、今委員がおっしゃられましたように、大事な懸案をいろいろ抱えたところでございますので、しっかりといろんな課題の解決に当たっていきたい。また、現場とのキャッチボールということを申し上げましたけれども、そういう意味でも、現場との信頼関係というのは大変大事でございますので、今の御指摘もしっかり受け止めて、気を引き締めてやってまいりたいと思っておるところでございます。
  79. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 中川政務官はもう退席なさって結構でございます。
  80. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 中川政務官は御退席いただいて結構です。
  81. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 それでは質問に入らせていただきたいと思います。  沖縄県の翁長知事は、今週の月曜日、名護市辺野古沿岸部で沖縄県防衛局が進める全作業の停止を指示いたしました。県が岩礁破砕を許可した区域外で沖縄防衛局がアンカーとして投入したコンクリートブロックが申請外の行為に当たり、また、そのトンブロックはサンゴ礁を破壊している、岩礁破砕行為の蓋然性が高い状況があり、県が申請したその調査のための制限区域内への立入りも米軍に不許可にされたことなどがその理由ということであります。そして、七日以内に沖縄防衛局から作業停止報告がない場合には、翁長知事は、海底の岩石の採掘や土砂採取等の岩礁破砕に関する許可の取消しに踏み込む決意を明らかにいたしました。  それに対して、沖縄防衛局は二十四日、この翁長知事の停止指示を不服として、取消しを求める審査請求書と、指示の執行停止を求める申立書を林大臣提出したと、沖縄県の地元紙でも、それから全国紙でも一面の記事にもなりました。  沖縄県の漁場内の岩礁破砕等の許可は、沖縄県漁業調整規則の上位法の水産資源保護法に基づくために、所管する農林水産省に沖縄防衛局が審査請求をしたということでありますが、それを受けて、これまでの農林水産省の御対応、それから今後どのような手続をして裁決というところに至っていくのか、御説明をいただきたいと思います。
  82. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 今御質問にありましたように、三月二十三日に沖縄県知事が出されました指示を不服として、三月二十四日に沖縄防衛局長から農林水産大臣に対して行政不服審査法に基づく審査請求と指示の執行停止の申立てがなされております。  このため、農林水産省では、行政不服審査法に基づいて、三月二十四日に処分庁である沖縄県に対しまして、一つは、審査請求に関する弁明書を三月二十四日から三十日以内に提出してほしいということ、それからもう一つは、沖縄防衛局の執行停止の申立てに対する意見書を三月二十七日までに提出する、こういうことを求めたところであります。  今後は、沖縄防衛局及び沖縄県から提出された書面の内容を十分検討し、執行停止をするか否かの決定及び審査請求の裁決を行うこととなっております。
  83. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 私も実は二月の十五、十六と辺野古に行ってまいりました。船に乗ってオイルフェンスのすぐ近くまで行って、海底に沈んでいるトンブロックを目視してまいりました。十五トンとか四十五トンとか数字が書いてありまして、聞くところによると八十か所ぐらいに設置してあるということでありまして、潜ることはありませんでしたけれども、潜水をして写真を撮ったものを見せていただきましたら、明らかにそのトンブロックの重みでもってサンゴ礁が潰れているんですね。  これからこの裁決に至るまでの間に、恐らく沖縄防衛局から資料や写真が出てくる、あるいは沖縄県の方からも同じように資料や写真が出てきて、それを恐らく精査していくといいますか吟味していくということになるんだと思いますけれども、是非とも、できれば所管する農林水産省としても独自に調査をしていただく、あるいは資料等を入手していただく、あるいは県民の方の意見も聞いていただく、そういうことをしていただくということは難しいんでしょうか。
  84. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 私どもも、防衛局の方から写真を提出をしていただいておりますし、沖縄県からも弁明をいただくことになっておりますので、そういうものを精査しながら慎重に検討してまいりたいと考えております。
  85. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 これ、裁決といいますか、結果を出す期限というのは決まっているんでしょうか。
  86. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 審査請求につきましては、法律上、裁決の期限というのは定められておりません。一方、執行停止につきましては、速やかに執行停止するかどうかを決定しなければならないというふうにされております。  いつまでにという期限を定めるものではありませんけれども、執行停止につきましては、先ほど委員お話の中にもありましたように、沖縄県知事の指示にある七日以内という期限がありますので、こういうことも念頭に置きながら請求内容等を十分検討し、法令の規定に基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。
  87. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 菅官房長官がおっしゃるような、翁長知事の指示は違法性が重大かつ明白で無効だと、これ断定するのは大変に大きな問題だと思うんですね。本当に丁寧に、期限がないということですから、しっかりと資料やそれから写真等々を精査していただきたいということを改めてお願いをしたいと思います。  林大臣が県の指示を無効であると判断して取消しを求めれば、県は工事の差止め訴訟に踏み切るかもしれません。これは国にとっても沖縄県にとっても大変に不幸なことだと思います。林大臣にとっては大変にこの判断、裁決というのは重たいものになると思いますので、繰り返しになりますけれども、くれぐれも丁寧に丁寧にしっかりと民意を受け止めながら進めていただきたい。やっぱり翁長知事の声はオール沖縄、県民の声だということをしっかりと御理解いただきながら対応していただきたいと思いますが、なかなかこの段階で大臣からコメントというのは難しいかもしれませんけれども、一言いただけますでしょうか。お願い申し上げます。
  88. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 農林水産省、今水産庁長官から説明いたしましたように、本件の審査庁ということになります。したがって、地方自治法に基づきましてこの件も行政不服審査法の規定に基づくと、こういうふうになってございますので、沖縄防衛局及び沖縄県から提出された書面の内容を十分に検討しまして適切に対応してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  89. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。  さて、続いてTPPについてお伺いしたいと思います。  二十二日に札幌で、TPPから命と暮らしを守ろう、北海道緊急大集会が行われました。このところ、JAが中心になってTPP反対をずっとしてきたので、その制裁として農協改革をやられたんだなんといううわさが北海道中を駆け巡りまして、オール北海道でこの四年半ずっとTPP反対運動をしてきたのが、ちょっと運動が下火になっていた感があったんですね。  ところが、この二十二日の集会は、千五百人入る札幌の市民ホールで行われたんですけれども、あふれんばかりの人が集まりました。そして、何としてでも命と暮らしを守るためにはTPPを阻止していこうという思いを確認をさせていただきました。そこには、農林水産業関係団体、消費者協会、医師会、経済連合会、まさにオール北海道で構成されたTPP問題を考える道民会議、それからTPP考える市民の会の皆さんが主催して行われました。そこには、国会議員の出席者は、民主党の佐々木隆博衆議院議員と私、そして共産党の紙智子議員の三人でありました。  また、この集会の前には、北海道農民連盟の皆さんと、それから民主党でも大街頭演説会をやりまして、TPPの問題点を訴えたわけでありますけれども、そこでは小川勝也参議院議員もマイクを握っていただきまして、民主党としては久しぶりにといいますか、随分たくさんの方が足を止めて真剣に最後まで私たちの訴えを聞いていただきまして、大きな拍手が沸いて頑張れと声援の声まで飛ぶぐらい、やはり北海道にとってはこのTPP農業だけの問題ではないと、道民の暮らし、国民の暮らし、命にまで関わる問題だということが大分浸透してきたんだなということを改めて感じました。  お手元に、そのときの決議があります。お配りさせていただきました。恐らく林農林水産大臣にもこの決議は既に届いていると思いますけれども、今のTPP反対集会の状況等ちょっと説明させていただいた部分と、それとこの決議を見ていただいて、大臣から改めて、北海道がいかにTPP交渉参加に対して懸念をしているかということが伝わるんじゃないかと思いますが、一言いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  90. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 以前より、特にこの委員会では徳永先生、小川先生、また、前のときには自民党、公明党の先生方にも北海道の方がいらっしゃって、この委員会もオール北海道というような感じでございましたけれども。  そのときに先生方から教えていただいたのは、単に一次産業農林水産業ということだけではなくて、それを加工する、販売していく、まさに今六次産業と我々が推進しようとしているようなことをもう既に北海道ではかなりやっていただいているという意味で、単に一次産業にとどまらない大きな関心事になっておられるということを地元の御事情としてお話をいただいたところでございまして、そういう意味でも、この集会にお集まりになられた皆さんのお気持ちというのもそういう文脈でしっかりと理解をしなければいけないと、こういうふうに思っておるところでございます。  TPP交渉に当たっては、まさにこの委員会を含めて、衆参農林水産委員会決議をしていただいておりますので、繰り返しになりますが、この決議は守られたという評価をしっかりいただけるように政府一体となって全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  91. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 北海道は、環境もそれから気候も、大変にいいという部分もありますけれども、厳しいというところもありまして、そういう中で特に一次産業の方々が一生懸命頑張ってきた。  ほかの産業もそうですけれども、例えばエネルギー改革においても、石炭から石油に転換していったり、それから酪農の部分でいえばパイロットファームとか、それから食糧増産計画の中で規模拡大を強いられて小規模農家がどんどん淘汰されていったりとか、あるいは、農業用水が足りなくてダムを造るために農村がすっぽりダムの底に沈んでしまったりとか、そういう国策に翻弄されてきた歴史があるわけですね。そういう中で、人口がどんどん減っていったり雇用がなくなったりして地域が疲弊してしまったと。木材自由化もそうですよね。  そういうことを経験しているものですから、またTPPやあるいは農政改革でもって北海道の努力が台なしになってしまってはということで、何とも言えない不安感が今北海道全部に広がっているのが現状であります。そういった道民の不安な気持ちというのをしっかりと受け止めていただきたいというふうに思います。  三月九日から十五日までTPPハワイ会合が行われまして、政府からは結果概要のペーパーが出されました。拝見させていただきましたけれども、何のことかさっぱりいつものごとく分からないんですね。ハワイ会合で進展したことは何なのか、またいまだに難航しているのはどの分野なのか、そして農産物の関税の問題は相変わらず数字が飛び交っているという状態なのか、この辺りについてお伺いしたいと思います。
  92. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) お答え申し上げます。  午前中の山田先生の答弁でも御説明いたしましたが、ハワイ首席交渉官会合首席交渉官会合に加えまして、知的財産投資国有企業などのワーキンググループ、作業部会も併せて開催をされたところでございます。  これまで難航していたと言われておりました国有企業、それから投資分野については、かなりそのワーキングレベルで進展を見たところでございます。ほかにもあのテキストが大分整理されてきたという分野が幾つもあったわけでございますが、知的財産に関しましては、まだまだ各国の間の隔たりが非常に大きい、そういう課題がたくさん残っているという状況でございます。  並行して、関税の交渉、それから市場アクセスは関税だけではなくて投資サービス自由化交渉もしているわけでございますが、これも並行して行われたわけでございます。  終盤と言われるわけですけれども、この関税の交渉、それから投資サービス自由化交渉、それから知的財産など特に難航しているルール分野、これは各国とも皆それぞれの分野で攻めと守りを持っているわけでございまして、全体をパッケージとして捉えているところがございます。したがいまして、例えば知的財産分野においてなかなかその意見を取り下げない。それはどうも関税の分野で、関税の交渉で自分たちが取りたいものが取れていないからなんだということを言う交渉官もいるわけでございます。  関税の交渉、それから投資サービス自由化交渉、それから難航している知的財産などのルール交渉、いずれもこれまでに比べれば大詰めではあるんですけれども、一つ一つを見ると非常に難しい問題が残っているという状況でございます。関税の交渉もそういう意味で全体、パッケージとして捉えているということもございまして、まだまだハードルが高い、こういう状況でございます。
  93. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 そして、安倍総理の訪米が決まりました。四月二十六日から五月三日まで、日米の首脳会談は四月二十八日ということで聞いておりますが、これまで甘利大臣は、まずは日米首脳会談を行う際には、最大案件以外は解決のめどがしっかりと立っていることが必要だとおっしゃっております。ということは、今後、総理の訪米までに首席交渉官会合又は閣僚会合が開かれるということになると思いますが、今後のスケジュールはどうなっているか、お伺いしたいと思います。
  94. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) まず、全体の流れとして、十二か国全体の首席交渉官会合あるいはその閣僚会合と日米の事務レベルの協議閣僚レベル協議と、こういうのがあるわけでございますが、まず、十二か国全体の会合につきましては、先ほどのハワイ会合でのたくさん宿題が残っているわけでございまして、まず各国それを国内で十分こなした上で、その宿題をこなした上で、ワーキングレベルでそれらの確認をしながら、首席レベルの調整をいつ頃行うかということをこれから判断していくということになろうかと思います。  また、アメリカ議会におけるTPA議論、この動向についても我が国始め各国が皆注視をしているところでございまして、そうしたことも含めて、今後のスケジュールについてはこれから判断されていくということになろうかと思います。  それとは別に、日米の協議でございますが、日米の協議ハワイ会合中に大江首席交渉官代理とアメリカのベッター首席農業交渉官との間の事務レベル協議が行われたほか、今週、ワシントンDCで、森大使が自動車貿易に関する並行交渉の事務レベル協議を行っているところでございます。甘利大臣とUSTRのフロマン代表との閣僚レベル協議をいつ行うかということにつきましては、もう少しこの事務レベルの協議を続けてから調整されることになると思われます。  また、安倍総理の訪米でございますけれども、その訪米される際のことも含めて、日米をいつまでにまとめようという、こういう期限を切って交渉をしているわけではございませんので、日米間には事実として大変難しい厳しい課題が残されているところでございます。日米の合意はタイミングというよりは交渉の内容で決まっていくものだというふうに認識しているところでございます。
  95. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今、澁谷審議官からTPAについてもお話がありました。甘利大臣は、TPAが全く見通しが立たない中で日米を決着させるというのは非常にハードルが高いとおっしゃっておられましたけれども、このTPA法案に関して、総理訪米までに何か進展があるというような、そんな情報はあるんでしょうか。何か進展ということは聞いておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  96. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) TPA法案については、午前中、外務省も答弁いたしましたが、他国のことだというのが公式答弁なのかと思いますが、実際、私ども現地の外交ベースで関係者の話を聞くなどしていろいろと情報収集をしております。私自身も毎日、複数のアメリカのメディア、目を通しているところでございます。  いずれのルートでも楽観的な見通しもあれば悲観的な見通しもあるという状況でございますが、共通しておりますのは、来週からアメリカ議会、イースターの休会に入るということでございまして、それが開けるのが四月十三日ということだそうでございます。四月十三日以降、できるだけ早く法案提出ができるようにということを目指して、今、共和党、民主党両党の関係者で精力的に調整が続けられているというふうに私ども承知しているところでございます。
  97. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 TPA法案のその見通しがまだ付かない中で、ある意味リスクを負ってでも日米で決着させるという可能性はあるんでしょうか。
  98. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) まず、先ほど申しましたように、日米はそもそも非常に難しい課題が残っておりますので、TPA法案のいかんに関わらず、このまず難しい問題を解決するというのはそう容易ではないというのがまず第一でございます。  第二に、アメリカ国内においても、TPA法案成立がTPPに先行するべきであると、こういう議論が行われているということもございまして、アメリカ自身も今後どういう交渉の対応を示していくのかということを我々はウオッチしていかなきゃいけないということでございます。
  99. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 オバマ大統領にTPAの成立を急ぐように働きかけるというお話もございましたけれども、日本政府として、例えば、米国議会の例えば共和党の議員とか、それから強く反対している民主党の与党議員とか、そういったところにこの成立に向けて働きかけるというような努力はしておられるんでしょうか。
  100. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) 日本政府が公式の場でそういう働きかけなり、あるいは交渉の場でTPAをまず取れというようなことをアメリカに対して言いますと、それはアメリカ交渉相手でございますので、じゃTPAが取れたら日本はもっと譲るんだなと、こう言われるのが強く想定されるわけでございますので、私ども交渉の場とか正式な場では、これはアメリカ国内の問題であるということとしているわけでございますが、ただ関係者、いろんなところに取材をして、この問題、非常に注意深くウオッチしているのは事実でございます。
  101. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 公式な場というのは私も分かりますけれども、いろんな形でTPAがないままにもしまとめるというようなことになれば、米国議会から再交渉を求められるというようなリスクもありますので、しっかりとそこは政府としても仕事をしていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。  私どもが心配しているのは、やはり農業分野でございますけれども、今年に入ってから新聞で報道された日本が一定程度譲歩するとされた数字であります。牛肉に関する関税、協定発効から十五年目以降に九%になるように段階的に下げていく。あるいは豚肉の差額関税制度は維持するも、一キロ四百八十二円から十数年掛けて五十円前後まで下げていく。それから乳製品は、TPPの参加国ごとに特別枠を設けて一定量低関税、あるいは無税で輸入することを検討していると。それから、米はMA米の枠の外で米国産米を五万トン輸入することを検討していると。こういうことが一気に流れまして、大変に心配をしていたんですけれども、これに関して甘利大臣も、議論の中でいろいろな数字が出てきているとおっしゃっています。  もし仮にこのような数字で確定したとしたら、これは相当に厳しい数字だと思いますけれども、この点に関してどうお考えになるか。それと、もしこのような数字だとしたら、どう考えても国会決議との整合性、あるいは、最近おっしゃるような守れたと評価されるというようなことにはならないと思いますけれども、林大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  102. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今、澁谷内閣審議官から答弁いたしましたように、TPP交渉、数々の会合を経て進展をしているということはこれは事実であろうかと、こういうふうに思いますが、これも何回か申し上げたことがあるかもしれませんが、全体がパッケージでございますので、全部決まるまでは何も決まっていないということでございます。したがって、いまだ確定しているというものはないわけでございますので、そういう仮定で、もしこうだったらという質問にはなかなかお答えすることは難しいということでございます。
  103. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 整合性とか国会決議が守れたと評価されるようにという、ここをなかなか私たちは理解しづらいところがありまして、どういうことをおっしゃっておられるのかということをもうちょっと突っ込んで御答弁いただけないでしょうか。
  104. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これはまさに、決議というのは立法府でお決めになっておられます。アメリカは今TPA議論になっておりましたが、日本の場合は、仕組みとして、政府交渉して妥結をしたものが今度は批准という手続で国会にかかると、こういうことでございますので、したがってその批准をされる立法府の意思表示というのがこの決議であると、こういうふうに考えておるところでございますので、最終的に批准をされなければ交渉妥結してもこれはただの紙切れになってしまいますので、しっかりと批准をしていただけるようにするという意味で、この決議が守られたという評価をいただけるように力を尽くして交渉をしていくということだと思います。
  105. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 日豪EPAの決議も、とてもその決議が守られたとは思っていませんけれども、批准をしてしまったわけですよね。批准をしてしまったらあの決議は守られたということに結果なるんでしょうか。
  106. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これはまさに、立法府で決議を作られて、そしてまた批准の手続も立法府においてされたということでございますので、立法府における判断と、こういうことだと思いますので、その批准と決議関係について行政の我々の方から何かコメントするということではないんではないかというふうに考えております。
  107. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 判断したという感覚が余り日豪EPAの決議に関してもないので、TPP決議に関してはそういうことがないように、もっとしっかりと議論をしていきたいというふうに思っております。  それから、これ二〇一一年か、ニュージーランドの外交貿易省の公式サイトで発表されたTPPの秘密保持書簡の内容というものなんですけれども、この中に、全ての交渉参加国は交渉テキスト、政府提案、説明資料、交渉内容に関連した電子メール、その他交渉内容に係る情報は参加国がその公表に同意しない限り秘密扱いで提供され、秘密保持に同意すること。交渉文書の提供を受けるのは、政府関係者、それから政府以外の人間であっても政府が行う国内協議に参加し交渉文書の情報を検討し知らされる必要のある者に限られるというふうになっているんですけれども、これ政府が行う国内協議という部分では、読みようによっては国会議員も知らされる必要があるんではないかというふうに思いますが、この点に関してはいかがでしょうか。
  108. 澁谷和久

    政府参考人澁谷和久君) そのニュージーランドのひな形というものが実際のものかどうかというのはお答えを差し控えさせていただくということになっておりますので、そこは御容赦いただきたいんですが、いずれにしても、ほかの国の運用を含めてどういうことになっているのかということを、私どもいろいろ十二か国の間で話合いはずっとしているところでございます。  特にアメリカでは、このTPPに限らず、通商交渉のいわゆる交渉の資料というものは連邦議員には閲覧をさせているということをよく言われているわけでございますが、どうもTPPに関しては、さすがのアメリカも厳しい運用をしていたようでございます。最近になって様々な連邦議員がUSTRに公開書簡を送っておりまして、それを私も見ていますと、皆大変不満をお持ちのようでございます。実際に閲覧室に行って見ると、それはその不満を持っている議員が書簡で言っていることでございますけれども、閲覧できるのは相当程度に編集された内容の文書であるということが書かれているものでございます。  現在、USTRもそうした声を受けていろいろとまた検討をされているようでありますけれども、いろいろとアメリカにも聞いてみますと、非常にアメリカも悩みながら検討しているということだそうでございます。  いずれにしても、我が国としては、様々な制約がある中で、今まで以上に何とか工夫しながら、できる限りの情報提供に努めていきたいと考えております。
  109. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 審議官から、できる限りの情報提供に努めたいというお言葉をいただきました。やっぱり秘密主義ではあってもいろいろ工夫をして、本当に内容によっては命に関わるような分野もあるようでありますので、情報提供の努力を引き続きお願い申し上げたいと思います。  それでは、澁谷審議官、結構です。
  110. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 澁谷内閣審議官、結構です。
  111. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 次に、調査捕鯨についてお伺いしたいと思います。  林大臣の御地元山口県は、古くから水産県として栄えてきました。江戸時代、長州藩は漁業を積極的に奨励し、特に藩の有力な財源として捕鯨に力を入れてまいりました。現在も下関市が調査捕鯨の基地となっています。  大臣は所信の中で、国際司法裁判所の判決を踏まえ、新たな調査計画に基づく鯨類捕獲調査を実施し、商業捕鯨の再開を目指していくとおっしゃっています。私は、これは大臣の強い思いでありまして、商業捕鯨再開への宣言と受け止めております。  改めて、大臣のこの調査捕鯨、それから商業捕鯨再開への思いと今後の取組についてお伺いしたいと思います。
  112. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 御質問をいただきましてありがとうございました。  下関は大洋ホエールズという球団があったぐらいでございまして、今は新しい水族館になりましたけれども、私が小学校の頃は別のところに水族館があって、ちょっと小高い山の上に鯨の格好をした建物が海に向かって建っていて、その中が水族館になっていると。また、鯨を食べさせるお店もたくさんあって、我々も給食では竜田揚げなんかを楽しんでいたわけでございまして、そういう環境で育ったわけでございますが。  この捕鯨というのは、そういう思いを持った人がたくさん国内にいらっしゃるということを私も強く思いながら、しっかりと政府として進めていかなければならないと思っておりまして、昨年三月の国際司法裁判所の判決、今御質問をしていただきましたが、この指摘を踏まえた上で、関係府省連携の下で、国際法や科学的根拠、こういうものに基づいて、鯨類資源管理に不可欠な科学的情報を収集するための鯨類捕獲調査、これを実施することによって商業捕鯨の再開、これにつなげていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。  南極海の鯨類捕獲調査については、この国際司法裁判所の判決を踏まえて、新たな調査計画案を昨年十一月に、IWC、国際捕鯨委員会の科学委員会提出をしております。南極海における鯨類捕獲調査を二〇一五年度から実施すべく、そのための取組をしっかりと進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  113. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 幾つかの課題があると思っております。  まずは、調査体制の整備政府の方針を受けて、日本鯨類研究所の科学者を中心として、南極海での新しい調査計画案、NEWREP―Aを策定しました。調査期間は十二年間です。捕鯨調査は、クロミンククジラだけで三百三十三頭、科学委員会での議論を経て今年の冬から実施される予定でありますけれども、調査の結果を分析し活用する鯨類研究所の調査研究体制が極めて弱体化しています。  その原因は、現在の調査予算、事業経費を調査副産物の販売収入で賄うという仕組みにあります。また、シーシェパードの妨害などによる副産物収入の減少にあります。そのために日本鯨類研究所は経営破綻状態に陥って、コストカットのために調査研究に関わる職員を半減させ、現在では職員が僅かに十三名という状況であります。また、処遇面でも約二〇%の賃金カットが続いておりまして、これでは後継の科学者が鯨研に入ってきません。逆に、外に出ていってしまうことが懸念されます。現在の職員の平均年齢は四十五歳です。NEWREP―Aは十二年間計画ですから、人を育てて安定的そして継続的な調査の実施を担保していかなければなりません。  また、水産庁によるもうかる漁業方式での捕鯨グループへの経営不振対策、KKPでは、収益を上げることのできない研究調査部門の体制整備は対象外となっています。調査事業に関する経費は全て国の予算に計上し、調査副産物の販売経費は国庫に組み入れる仕組みをつくるべきだというふうに考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  114. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 御指摘のように、鯨類調査につきましては、鯨肉の販売収入により調査経費を賄うということを中心にしまして、これまでもその継続的な実施に必要な経費を国が支援をしてきているというところでございます。  具体的には、妨害活動への対応のほか、鯨類資源の目視調査あるいは国内流通鯨肉のDNA調査の経費に対して国が支援してきておりまして、二十五年で比較しますれば、二十五年四月から二十六年三月、二十五年度の予算、十七億の国費を投入しておりますが、この、少し重なりがございますが、鯨年度で二十五年十月から二十六年九月の副産物の販売収入は十八億八千万と。十七億の予算に対しまして販売収入の十八億八千万ということでございまして、かなりの国費を投入させていただいておるということでございます。  それから、先ほど御指摘のあったKKP、いわゆる鯨類捕獲調査改革推進事業でございますけれども、これにつきましては三年度に分けて実施をするということでございまして、これまで四十五億、五十億、これから四十八億ぐらいの経費を投入して実施をしていきたいと考えております。  いずれにしましても、今後の調査の在り方につきましては、現在実施中のこのKKPの実施状況あるいは新しい調査計画の内容などを踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
  115. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 大変に厳しい現状をお話しさせていただきましたので、皆さんもよく御存じだと思いますけれども、しっかり現状を受け止めながら更なる検討を進めていただきたいというふうに思います。  それから、今もお話にありましたが、シーシェパードの妨害対策について伺います。  実効性のある妨害対策を講じていただきたいというふうに思います。妨害対策の基本的な在り方や具体的にどのように阻止するかを定めて、妨害対策に従事する民間船舶への支援や、海上保安庁の職員や船舶の派遣を行う必要があります。また、外国政府への協力の要請、それから反捕鯨団体関係者の入国管理を強化する必要もあるかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  116. 加藤由起夫

    政府参考人加藤由起夫君) お答え申し上げます。  反捕鯨団体による鯨類調査への妨害活動につきましては、先生おっしゃいましたように、水産庁の監視船の派遣とか海上保安官の警乗、関係国への働きかけ等々の安全対策、これを、これまでも私ども関係省庁連携して、政府一体となって実施してまいってきているところでございます。  これから、二十七年度以降の南極海におきます鯨類調査につきましても、その安全かつ円滑な実施のため、これまでの安全対策の検証を踏まえまして効果的な対策を講じることが必要だというふうに思っております。  具体的な安全対策につきましては、新たな調査計画の内容に合わせまして、関係省庁連携の下、今後、作成、実施して、鯨類調査に係る船舶乗組員の安全に万全を期してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  117. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 この鯨を食べるというのは我が国の伝統的な食習慣や食文化であるわけですけれども、若い世代の人はまだ鯨を一度も食べたことがないという方がいるんですね。そこで、この商業捕鯨再開に向けては、やはりその国内的な理解というのをしっかりと深めていかなければいけないというふうに思っています。そのためには、副産物の流通ですとか、それからイベント、あるいはパンフレットを作って啓蒙活動をしていくということが非常に必要だと思います。  これ、予算がない中で鯨研に任せるというのも大変に厳しい状況にあると思いますので、この点も、経費も含めて政府がもっと取り組む必要があるんではないかと思いますが、この点に関してもお伺いいたします。
  118. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 徳永議員御指摘のとおり、鯨は我が国の重要な食文化の一つでございます。農林水産省としても、鯨食及び鯨文化の普及を図るために、当省の消費者の部屋や子ども霞が関見学デー等の機会を捉えて幅広い世代に対して広報活動を行ってきたところでございます。また、捕鯨関係団体と連携しまして、若い世代へ鯨の食文化の普及を図るために、学校給食への販売や居酒屋などへの販路拡大等にも取り組んできたところでございます。  また、お話のありました地方自治体等におきましても、鯨の食文化の普及を図るため、下関くじらフェスティバル、それから東京巣鴨のくじら祭りといったイベントを開催してきており、農林水産省としてもこうした取組について支援を行ってきているところでございます。また、このほか、平成二十七年度からは鯨関連文化等の情報発信に関わる予算を新たに計上させていただきました。  これらの取組を通じて、鯨食及び鯨文化の普及の強化に取り組んでまいりたいと思います。
  119. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 国外へのアピール、そして国内でのアピールや、それからこの食文化をしっかり守っていく取組、是非とも商業捕鯨再開に向けてしっかりと対応していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  時間がなくなりましたので、先ほど自民党委員先生からもお話がありましたけれども、米の消費の話でありますけれども、毎年八万トンずつ消費が減っているということでありまして、米農家の方々は、なかなか米価が上がりそうな見通しが立たない、あるいは米が余っているという状況の中で、やっぱりその消費がどんどんどんどん減っていくことを大変に懸念しておられるんですね。  私もこの委員会で何度か御提案をさせていただいたり、お話もさせていただきましたけれども、やはり米の消費拡大運動というのをしっかりしていかなければいけないと思うんです。過去の農林水産省の取組を見てみますと、めざましごはんとか、それから家族で夕ごはんとか、米拡大のための取組、キャンペーンというのを過去に真剣にやっておられた時期があって、その頃はポスターを作ったり、パンフレットを作ったり、テレビコマーシャルなんかも流しておられて米の消費拡大運動に取り組んでおられたんですけれども、そういった意味では、今やっぱりそういうPRが足りないんじゃないかなという感じがすごくするんですね。  今日、お手元に配らせていただいた資料の二枚目ですけれども、農林水産省の方は知っていました。おにぎらずというのが最近インターネットを中心にちょっと流行になっておりまして、これが若い人たちから大変に評価されているんですね。イタリアンやそれからフレンチの若手のシェフの方々がこのおにぎらずのレシピ本を作ったりもしまして、それもなかなか人気があるようなんですけれども、これ、御覧のように、握る必要がないと。そして、握る必要がないので具材が何でもいいんですね。それこそ、ハンバーグであろうがソーセージであろうがフライであろうが何でもよくて、のりの上に御飯を置いて、その上に具材を置いて、また御飯をのっけて、のりで蓋をしてしまって切ればいいという感じで、もうお弁当にしてもすごく見た目もきれいですし、手も汚れないし簡単にできるということで、非常に今流行になっているというものなんですけれども、このチャンスに私は乗っかった方がいいなと思うんですね。やっぱり若い人はそういうブームに乗りやすいですし、それから簡単に作れておいしく食べられるということですから、是非とも農林水産省でもこのおにぎらずのPRに取り組んでいただきたいなというふうに思います。  それから、この委員会でもお願いをいたしましたけれども、やはり中食、外食での使用量が大変に減っているということで、たしか二年ぐらい前、四十万トンぐらい減っているというお話もありましたけれども、この中食、外食で米を使ってもらうという部分に関しては農林水産省として今何か取組をしておられるのか、この辺も併せてお伺いしたいと思います。
  120. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 最初、委員からおにぎらずのお話がございまして、最近このおにぎらずが大変評判で、書店でレシピ本が並んでいたり、それから、おにぎらずを作る調理器具ができたりとか、また、おにぎらず専用ののりが販売されているということでブームになっているというふうに承知してございます。  前回の臨時国会のときのこの委員会でも委員からいろいろ御提案がございましたけれども、こういった新しい商品、特にこのおにぎらずというのは、やはり消費者の方、家庭において手間の掛かる料理がなかなか難しくなっているという状況の中で大変有望な食べ方だと思っていますので、こういったことも含めてしっかり消費拡大に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  121. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 今お話がありました中食、外食向けの米の需要量は、全体需要量の約三分の一を占めるまでに至りました。二十四年産米は価格が高い水準で推移したことから、米の使用量を減らす動きが見られたわけでありますけれども、その後、米の価格が下がったところで米の使用量が増えたといった声もあったんですけれども、米以外の食材の価格上昇などから、こうした動きは一部にとどまってしまったという声も聞いているところであります。  中食、外食向けの米の需要拡大のためには、事業者の求める米を安定的に供給できる体制を整備することが極めて重要であると考えております。このため、農林水産省としては、一点目は、中食、外食事業者と産地のマッチング、関係者の連携による産地づくり、二つ目に、いわゆるブランド米とは異なる品質や価格での供給が求められる業務用米の生産コスト低減技術の実証、こうしたことに対してしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。
  122. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 主食米の需要が減っているから飼料用米を作れという話もありますけれども、やはり今、本当においしいお米を作っているわけですから、やっぱりおいしいお米をしっかり食べていただくということが、消費者にとってもうれしいことですし、農家の皆さんは特に有り難い、うれしいことだと思いますので、是非ともこの消費拡大をするということを真剣に取り組んでいただきたいということをお願いいたしまして、時間になりましたので私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  123. 小川勝也

    ○小川勝也君 林大臣、お帰りなさい。  おにぎらずのように新しい話題もあるようですけれども、また同じ話をしたいというふうに思います。人口減少社会で、今政府が行っている農業政策が農村にどういう変化をもたらすかという話であります。  先ほど徳永委員から北海道の特殊性の話もありました。私は、たまたま北海道選挙区の選出の議員であります。北海道はほかの四十六都府県とは違う成り立ちでございまして、本州のニーズによって発展をし、人口を増やしてきた、そんな町であります。石炭、北の守り、木材、食料、水産物、こういうものを本州として北海道から得るという目的で鉄道を整備し、そして輸送体系を整備して発展をしてきました。  私も林大臣と同期でありますので四回選挙をやらせていただいておりますので、すなわち、いつもいつも選挙区を回り続けられればいいわけでありますが、御無沙汰の地域が多いわけですが、せめて六年に一回だけはしっかり地域の皆さんの声を聞こうということで回らせていただいております。すなわち、六年に一回ずつ定点観測をし、それを四回してきたというふうに言えるかと思います。  人口減少が著しい。この委員会でも私の出身の町を例に取ってお話をさせていただいたケースも多々ありました。私の生まれた町の最盛期の人口は一万二千八百人、私が小学校入ったときは八千六百人で、今、三千七百人です。これが北海道の町村部の大部分、大多数の町の共通認識であります。一番多いときには小学校が十三校、当然今は一校。こういう自治体が非常に多い、佐藤政務官も御承知のとおりであります。これは、何がそうさせたかといいますと、先ほど申し上げましたような石炭とか森林産業が衰退したということでありますが、一義的には、農家の経営面積が増えて農家戸数が減少したからであります。  今、政府が進めている農業政策は、農地の中間管理機構から担い手に農地を集める。このことがもたらす将来的な予測は、私にとっては非常に悲観的であります。大臣がどこまで私と同じ共通認識を持っていただいているか分かりませんけれども、少しは御理解をいただけるんだと思います。  先祖伝来の土地を守り続ける、これが今までの、例えば兼業農家地帯の皆さんの一つのポリシーでありました。ですから、何とかほかの仕事と相まって農地を守っていく。すなわち、その経営面積は大きくないわけでありますので、効率が悪いというふうに今は片付けられています。そして、農業者の人口が減っていく、高齢化が進んでいく、そして小さな経営面積で効率が良くないという名の下に、今、農政の改革が進められていくわけであります。  例えば、なぜ農業経営者の平均年齢が高いのか。それは、例えば定年退職をしてから専業に変わる。退職金ももらってきたので、もう年金ももらうのであくせくしてたくさんの農業収入を得る必要がないという方々が農業経営者の主体になっていました。ですから、収入も少ないし、経営面積も多くないし、効率が悪い、こういった農業が府県の地域を支えてきたのが事実だろうというふうに思います。  そのことと相まって、この地域には長男がやはり家を守らなきゃならないという風習があるだろうから、そこにしっかりとした農業後継者がこの地域に残る。そのことを当て込んでいわゆる企業とか工場が立地をし、その地域のコミュニティーや産業を支えてくる。これが私は府県のある種の姿だったろうというふうに思います。自分の親がやっていた農地があるから五十七歳で早期勧奨退職で田舎に戻ろうか、あるいは会社を早く辞めて専業になろうか、こういう方々がおるわけであります。逆に、今、おじいさん、おばあさんが田舎にいて、お孫さんがその農地を当てにして帰るという、そういったケースもちらほら出てきているようであります。  しかし、今、農地の中間管理機構から進めている農業、農地の改革は、その地域の農地を担い手に集めるということでありますので、戻る場所が分かりにくくなる、戻る確率が低くなる、戻っても独自の経営がしにくくなるということが言えるわけであります。そのことが与える農地の影響と、そしてもう一つの心配は圧倒的な人手不足であります。  私ばっかりしゃべって申し訳ありませんけれども、北海道が農地面積を増やしてきた理由は、北海道型の集約化した高度に機械化された、そして、平たんな農地や扱いやすい農地が固まっていたということに起因をしているわけであります。  ですから、今後、府県の農地が農地の中間管理以降どのように集約をしておられるのかはまた別の機会にしっかりとただしますけれども、このままの流れでいきますと、いわゆる近い将来に農業地帯を支える担い手が足りなくなるのではないかと思っているわけであります。  現在までのところ、これから将来、農業地帯における農業人口の減少、人口の減少、地域コミュニティーの崩壊、人手不足、今のところ大臣はどのような御認識をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  124. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 小川委員は同期でございまして、同じように四回選挙をやってきたと。私のところは山口県で、小選挙区四つ分でございますから、多分委員の地元と比較するともう本当に何分の一しかないところで、大体一年に一回ずつぐらいは、ある意味で定点観測という意味では行けているところだと思いますが。  私の本当の育ったところの下関でも、私が行きました小学校は、私がおったときは六クラス、一学年ございまして、私は六年五組だったんでございますが。上の子が同じ小学校に行きまして、そのときはもう三組までしかなくて、今、それが二組から一組になっていくと、こういうような状況を聞いて、そろそろ近くの小学校と一つにしなければいけないかなと、こういうようなことを聞いておりますので、どこも少子高齢化という影響が既に出ているなと、こういうふうに感じておるわけでございます。十三校から一校というと、更にそれがかなりの度合いで進んでいる、こういうことだろうと、こういうふうに思いますけれども。  一方で、地方創生議論でよくお聞きするのは、北海道の中で見ますと、札幌に人が集まっていくと。道の中で考えますと、札幌と札幌以外でそういう人口の流れができていると、こういうことも聞くわけでございますので、北海道全体として考えた場合は札幌にとどまっていただくのかということもあろうかと思いますが、さらに、地域別にいけば、札幌に行かずに地元でどうやってしっかりとコミュニティーを維持していただくか、こういうこともあろうかと、こういうふうに思っておりまして、やはり北海道のみならず地方に発展を図っていくためには、やはり農林水産業、これ大変大事でございますので、まさにこの成長産業とすると。  そして、六次産業化などを進めて地域資源を活用していくということで所得向上するということになるわけですが、今の集約と担い手の関係で大変興味深いお話を聞かせていただいたと思っておりますのは、一方で、更に集約が進むと人が要らなくなるという側面と、北海道のように既にかなり集約が進んでおりますと今度はそこに人が足りなくなるという両面あるということで、非常に難しい問題ですが、まさにそのミスマッチをどういうふうに解消していくのかということをその地域地域、それからやっていることの種類ですね、これに合わせてきめ細かく対応していくということが必要ではないかと、こういうふうに思っております。  畜産であれば、畜産クラスターなどを活用して、ヘルパーとかそういうことを活用するということもあろうかと思いますし、耕種型であれば、担い手に集約をした後、地域の皆さんがやはり多面的機能の維持のための活動、水路の泥上げとか、そういう活動はしていただく、あるいは農家レストラン等、直売所等で引き続き勤務をしていただく、こういうこともあろうかと、こういうふうに思いますし、そういうことをいわゆる多面的機能支払で応援していくと。いろんなやり方があろうかと、こういうふうに思いますので、きめ細かくそういう対応をしていくということが必要ではないかと考えております。
  125. 小川勝也

    ○小川勝也君 人手不足が深刻で、北海道の例ですけれども、特にバスの運転手さん、トラックの運転手さん、それから介護従事者、これは前々からです。それから、今、中国からを含めてたくさんの観光客の方がお見えでございまして、その方々が昼食を食べるレストランで働いていただく方ももう足りないと、こういうような状況であります。今、これから日本が向かっていく社会というのは人口減少社会ですので、全ての分野が人手不足になります。農村地帯も私は同じことになるんだと思います。  今大臣に申し上げたのは、北海道はかなり機械化をして、なるべく人手が要らない農業に特化しているから成り立っているんです。府県の所得というのは、いわゆる野菜等付加価値の高い仕事によっているということであれば、そこに必ずマンパワーが必要になってくるわけであります。それを、どこまでその推計を行政でできるかどうかは私は分かりませんけれども、農家にも農業地帯にも人手不足が来る、安易に外国人労働者が必要だという話ももう聞かれているわけでありますけれども、それが全ての解決策ではありませんので、見越していただければというふうに思います。  私の一つの今日の提案は、農業大学、あるいは大学の農学部もあります、農業高校もあります。しかし、昨今、農業高校あるいは高校の農業科を出た方々の農業就業率は必ずしも高くないというふうに伺っている中で、特に、ほかの分野で働いたけれども、あるいは高校は普通科だったけれどもいわゆる農業を目指したいという人たちが実学として農業を学べる場所がどれだけ整備されているのかという点に着目をいたしました。自分で職業観を持って、職業を考えてから学ぶということになりますと、私は、そこに就業する率が極めて高いのではないかというふうに着目をするわけであります。  これは、いろんな討議をして、学校は文科省の管轄だというふうに答弁をされる農水省の方もおられますけれども、一つ、大臣の片隅に、農業従事者を育てるスクールがこの国に重要になってくるのではないかという点、御指摘をさせていただき、御感想があればお伺いしたいと思います。
  126. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変大事な御指摘をいただいたと、こういうふうに思っております。  集約化が進んで人が省力化できるところと、まさに冒頭御指摘があったように、近郊型の野菜などで人がたくさん要るところと、こういうところがあるということでございますが、いわゆる土地利用型のところで約三十万人、それから土地利用型以外の野菜や果樹や畜産等で基幹的農業従事者五十万人、それから雇用者十万人ということで、特に野菜は二十七万人の主業とそれから常雇いで四万人ということ、最低限これぐらい必要だと。これ足し上げて九十万人なので、四十五年働いていただくということで、二万人ずつは新規就農していただきたいと、こういうことを目標を立てておるわけでございます。  まさに、若い方に入っていただかなきゃいけないというのはもう釈迦に説法ですが、今百六十八万人いらっしゃる基幹的な農業従事者の中で六十五歳以上は六割でございます。四十代以下が一割でございます。したがって、やはり持続可能性という意味では、世代間のバランスを取るということが今御指摘のとおり大変大事でございまして、青年就農給付金、これ平成二十四年度から四十五歳未満の方を対象に始めまして、準備型と経営開始型、二種類で始め、さらに就職という意味で、緑の雇用事業ということで、法人に就職をしていただく方にもこれを支援していこうと、こういうことでございます。これはもちろん土地利用型に限らず、野菜、果樹にも対象を広げておるわけでございます。  まさに、大学の農学部それから農業高校、こういう方々、ここの卒業生の就農率が低いという問題があって、これはこれでいろいろと文科省と一緒になって我々この政策を進めていかなければいけないと、こういうふうに思っておりますが、一方で、北海道や府県の農業大学校というのがこれは別にございまして、ここは実は就農率が五割を超えておると、こういう状況でございます。元々やりたいという人が入っておられるということがあろうかと思いますが、まさにこういうところで農業者の育成をしっかり行っていくということが大事であろうかと、こういうふうに思います。  そういう意味で、一般社団法人アグリフューチャージャパン等で、こういう各地にございます農業大学校等の教育を強化するために、学生、それから各地の大学校で教えている指導者向けにセミナーを開催しておるところで、御支援をしておるところでございます。  今後とも、こうした対策を継続的に実施して、新規就農者の確保、定着に努めることによりまして、人口減少社会の中でもこうした安定した農業生産ができる構造にしていきたいと思います。  私、さっき農の雇用事業のことをちょっと緑の雇用事業と間違えて言いましたが、農の雇用事業でございますので、よろしくお願いいたします。
  127. 小川勝也

    ○小川勝也君 いずれにしても、農村コミュニティーが人口を減少させることは間違いないわけでありますけれども、一つは、減少あるいは地域が音を立てて崩れるのをどう防いでいくのかということと、最終的なランディングの在り方も一緒に地域の皆さんと考えていく必要があるのではないかというふうに思っているところです。  そんな中で、特に地域の元気ということを考えますと、考えられる道筋はそんなにたくさんないわけでありまして、かつては企業立地、企業誘致などということもいろいろ盛んに言われたわけでありますけれども、最近それを言う地域の自治体の首長さん方はほとんどいません。ですから、第一次産業を大事にするということ、そしてそこに付加価値と雇用を生み出すために六次産業化、これは林大臣もしっかり取り組んでいただいているものと確信をするわけであります。そして、何といっても、私たちの国に、自然と活用できるのは森林資源でありますので、森林にしっかりとした雇用を生み出す、これが大事だろうというふうに思っています。  たまたま日曜日に、ふだんはほとんど見ないんですけれども、「日曜討論」という番組を見ましたら、我が同僚、次世代の党の松沢成文議員がちょうど発言をする場面でありました。何を突然言い出したかといいますと、みんな花粉症で苦しんでいる、その花粉症で苦しむ原因である杉を切ってしまえばいい、杉を切ってしまって、その木をCLTで建物を建てれば一挙両得じゃないかと、こう言うわけであります。一遍に切ることは不可能だし、そのことによって花粉症がなくなるわけがないので、まあ話は半分に聞いておりますけれども、半分は我々と同じ思いであります。  六十年で伐期を迎えるとすれば、人工林のうち六十分の一は切っていいわけでありますので、私はまだその六十分の一の伐採体制ができていないというふうに思っています。  林大臣から西川大臣になって、また林大臣になりました。西川大臣にも、前、林大臣確認をしたことも実はこの委員会確認をさせていただいたわけです。これは何かといいますと、日本とヨーロッパ諸国とのいわゆるタイムラグ、日本は三十年代、四十年代に一回伐期を迎えて、その後、大変苦しい時期を過ごしました。当時の自民党政権の政策を批判するつもりは毛頭ありませんでしたけれども、いわゆる間伐の補助金でずっとしのいでもらったんです。今やっと伐期を迎えたんで、さあ切りましょうといっても様々なファンダメンタルズが整っていないと切れないわけであります。  ですから、路網をしっかり整備をし、大きな機械が入れるようにして、その機械を操るオペレーターがしっかりする。そして、山をプランニングするフォレスターがいて、そしてそれが合理的に集材されて、きっちりと加工されて流通に乗っかっていく。そして、ハウスメーカー等のユーザーがそれを使う。そして、いわゆる川下でいうと、今日の日本農業新聞にも出ておりました、公共建築物木材を使いましょう、なかなかうまくいっていないので何とかしようという議題でありました。それから、先ほど、午前中にも御質問山田先生からもいただいたCLTも、数々の実験を繰り返していただいたりして前に進んでいます。  すなわち、やらなきゃいけないこととやる方向性はしっかり決まっていると、あるいは私と大臣が同じ認識を持っているんだと思います。これがなかなか思いどおりにいかないのは、加速的に進まないのはどの部分が原因だとお考えなのか、大臣の御認識をお伺いをしたいと思います。
  128. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今委員がおっしゃっていただいたことは、前回のときもここで議論していて、そのとおりでございますということで、進めていく課題として認識は共有されていると、こういうふうに今でも思っておりますが、それぞれに課題があって、どの部分だけがすごく難しくて、どの部分はもうどんどん順調にいっているんだけどということでもなくて、それぞれのところにいろんな課題があるのではないかなと、こういうふうに考えておるところでございます。  やはり、川上から川下へとよく言いますけれども、いろいろな現場によってまた様々違いもあるとは思いますけれども、川上から川下にそれぞれのところがあって、ただ、木材利用ポイントをやってみてよく分かりましたけれども、やっぱり需要が出てきますと、この引っ張る力によって川上が動いてくると。川上からやっても結局最後の需要のところがありませんとなかなか難しいので、やはりこの需要のところを引っ張りながら、うまくそれと合わせる形でこの川上をやっていくということが大事なのではないかなと、こういうふうに思っておるところでございます。
  129. 小川勝也

    ○小川勝也君 私もこれ長年取り組んでまいりまして、特にハウスメーカーの皆さんは、ロットと納期がそろえば是非使いたいと、こう言っているわけであります。  それから、先ほども申し上げた路網や搬出の合理的な改良についても、一朝一夕にいくわけではありませんので、十分に計画を立てて進めていっていただくといいと思いますが、私はやはり一番問題なのは流通だろうというふうに思います。やはり、合理的な製材システムあるいはプレカットシステムをどうつくり上げるかが大事な点であります。  そして、政策的に光を当てられる分野、あるいは公的資金を使える分野とそうでない分野がありますけれども、ここの製材あるいはプレカット、そのシステムをつくり上げるところには、いわゆる地場の木材産業には若干力が足りない部分もありますので、やはりここは国が後押しすべき分野だと思います。ここを一押ししていただければ、いわゆる川上も川下も、何か動いているぞということであれば少しのインセンティブで大きく歯車が回っていくような予感もあるわけでございます。その点について、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  130. 今井敏

    政府参考人(今井敏君) お答えします。  林業成長産業化ということが今言われておりますけれども、それを実現するためには、新たな木材需要の創出ということと、それに対応しまして、国産材の安定供給の体制をバランスよくつくっていくということが非常に重要かと思っております。  そうした考え方に立ちまして、現在、農林水産省といたしましては、ハウスメーカー等の最終実需者に対しまして、国産材需要拡大、そうしたことを促す取組をするとともに、それに対しまして、木材加工施設の整備などを通じまして、製材業者あるいはプレカット工場等から安定的に最終実需者が求めるような同一規格の製品を供給するようなそういう体制をつくっていくことが特に求められていると考えておりまして、現在、林野庁の支援の中におきましても、製材工場のラインの整備ですとか、プレカットの施設の整備ですとか、そういうものも加速化対策等の中でメニューに加えているところでございます。  いずれにいたしましても、大臣が先ほど申し上げましたように、川上から川下に至る総合的な対策を講じていくという視点が非常に重要だと思いますので、そうした視点に立って今後とも需要に的確に対応した国産材の供給体制の構築ということを進めてまいりたいと思います。
  131. 小川勝也

    ○小川勝也君 今長官から大変うれしいキーワードがありました。日本のいわゆる木質の建築というのは実は注文住宅からスタートしておりますので、俺はこの木をこのように切ってほしいというところからわがままな使い方が出発点でした。アメリカのいわゆるところの郊外店に行きますと、家を建てるキットが売っているという話があります。それはもうプラモデルの部材のようにもう建てる材料が決まっているということでありまして、カナダから日本に来るツーバイーフォーのプレカットもまさにそうであります。  ですから、いわゆる実需者が使いやすい形で切って置いておかないと売れないわけで、今そこは意識革命の途上にあるんだろうというふうに思います。使いやすい部材を供給していただくことによって国産材がしっかり市場に供給されるように御助力をお願いをしたいというふうに思います。  最後に、これもまた今日の日本農業新聞に出ていた話題であります。ジビエ、自由民主党の中に議連ができていろんな議論をしているようであります。私は、つい最近、昨日の朝日新聞ですか、地方創生の中での補助金の使い方でいろんな使い方があって、長野県の小諸市では駆除した鹿を利用したペットフード、これは実は別な観点で、現代農業という雑誌の中で、大分県のいわゆるハンター、女性の方ですけれども、ペットフードを自分で加工して売っているという話が載っていました。  私は北海道の出身でありますので、北海道では駆除しなけりゃならないエゾシカがたくさんいるわけでありまして、あるいは広い大地でありますけれども、工夫すればロットがそろうわけであります。ですから、鹿肉を食べるといってもおいしい部分しか人様は食べませんので、それ以外はペットフードに利用がいろいろ可能でありますので、農林水産省がペットフード加工工場を造るわけにはいかないけれども、いろんな知見をお届けいただくことは可能だろうというふうに思っております。  何とかこの鹿を、おいしいところはジビエとして人が食べて、それ以外のところはペットフードとして流通すれば駆除も拍車が掛かるんではないかという私のアイデアでありますけれども、お手伝いをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
  132. 佐藤英道

    大臣政務官佐藤英道君) 有害鳥獣の捕獲を推進するためには、捕獲した鳥獣を食肉などとして利活用することが重要と認識しているわけでありますけれども、ただいま小川委員が御指摘がございましたとおり、食肉利用のみならず、ペットフードや動物園の飼育動物の餌など様々な用途への利活用を推進することも確かに必要であると思います。  このため、農林水産省としては、鳥獣被害防止総合対策交付金を活用いたしまして、捕獲鳥獣の処理加工施設の整備を支援するなどの取組を推進しておりまして、これまでも食肉利用にとどまらず、北海道と兵庫県におきましてはこの交付金を活用してペットフードの製造等にも取り組んでいるところでございます。  今後とも、御指摘ございましたとおり、こうした捕獲鳥獣を地域資源と捉えまして、その肉の利活用を推進することを通じて、有害野生鳥獣の捕獲対策を是非強化してまいりたいと思います。
  133. 小川勝也

    ○小川勝也君 いい答弁をありがとうございました。  まだまだ鳥獣を捕獲あるいは駆除しなきゃならないという点があります。それからハンターさんが足りないという話もあります。それから撃った後運ぶのも大変です。それから北海道は、たくさん駆除したといっても、大変面積が広いのでどういう集め方が合理的か、多くの課題があろうかと思いますけれども、これは佐藤政務官に宿題としてプレゼントいたしますので、きっちり答えを出していただくようにお願いをいたします。  以上です。
  134. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  まずは、私の方からも、林大臣、再びの御登場、御歓迎申し上げたいというふうに思っております。ただ、今日はちょっと質問の内容がやや厳しめな内容になりそうでございまして、和やかな雰囲気もここまで、是非お許しいただきたいということをまず冒頭申し上げておきたいと思っております。  私の方からは、本日お伺いしたいのは、商品先物取引の不招請勧誘につきましてでございます。  本年一月二十三日付けの官報におきまして、これは経済産業省令、そして農林水産省令において、二〇一一年より商品先物取引法で原則禁止とされてまいりました不招請勧誘、これについて今回例外規定を設けて規制緩和をすることが決まりました。不招請勧誘という言い方をしますとちょっと小難しい言い方になりますけれども、要するに事前の同意なくしては基本的に先物取引の勧誘は行ってはいけませんよという原則、この原則をやや緩めて例外規定を今回作ったと、その原則を変更したということでございます。  本件については、昨年からずっと様々な場所で議論もありまして、日弁連ですとか消費者団体、こういったところからも、これで本当に大丈夫なのかと、いわゆる消費者の保護がきちんとできるんですかという意見表明がされてきたわけでございます。私個人といたしましても、どうしてこれほど大事な問題を国会のこの場で議論せずに、一片の省令で変えてしまうんだという思いがございます。しかし今日は、これまで日弁連ですとかそういったところからよく表明をされてまいりましたいわゆる法的な観点から、今回の省令改正是非を問うということよりは、デリバティブ取引の実務者の観点から見て、これ果たして実効的な消費者保護の対策がきちんと取られているのかどうか、この点を今回は質疑の中で明らかにしたいなというふうに思っております。  そこで、まず最初にお伺いしたいわけですが、二〇一一年より原則禁止とされてきた不招請勧誘、なぜこのタイミングで規制緩和を行うのか、またその経緯と意義についてお伺いしたいと思います。
  135. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 御指摘の商品先物取引の関係でございますけれども、FXですね、これは外国為替証拠金取引ということでございますが、ほかの魅力的な金融商品の登場などに加えまして、商品先物取引業者に対する累次の規制強化もあったこともございまして、取引量が大幅に減少し、産業インフラとしての機能が維持できなくなることが懸念されているということでございます。このため、市場活性化のための取組の一つとして、平成二十五年六月十四日に閣議決定されました規制改革実施計画におきまして、勧誘等における禁止事項について、顧客保護に留意しつつ市場活性化の観点から検討を行うとされたところでございます。  今般の不招請勧誘禁止規制の見直しにつきましては、この閣議決定を受けて行ったものでございまして、顧客の保護に配慮しつつ、商品先物市場の活性化が期待できていくと考えております。
  136. 平木大作

    ○平木大作君 今、この取引量が大幅に減ってきて社会的なインフラとしての今存続のときにあるというような御答弁だったかなと思うんですね。  ただ、これ間違ってはいけないのは、いわゆる社会的なインフラをつくるために、ある意味、罪のない消費者の犠牲の上にこのインフラを築くということがあっては当然ならないわけでございまして、私もちょっと今回懸念をしておりますのは、かつて私も在籍した金融機関がデリバティブの不正取引で大変な社会から御指摘をいただいたことがございました。私もいわゆるデリバティブの専門家でありましたので、当時、この取引において損失を被ったという個人の顧客の家を毎日毎日訪ねて歩きまして、営業担当者がどういう資料を使って説明したのか、どんな形でいわゆる取引が行われたのか、どんな組合せの取引があったのか、こういったものを歩いて調査をいたしました。これ十件や二十件の数ではありません。また、こうやって足を棒にして皆さん調査員の方たちが集めてきたもの、最終的に百件、二百件のベースで、これはどこに非があるのかということを一つ一つ見ていったと、そういう経験がございます。東京地裁において、銀行を代表して、個人がデリバティブ取引をやったときの影響ですとかその効果について証言台に立ってお話をさせていただいたこともございます。  その観点からいって、今回のこの農水省によりますと重層的な委託者保護の取組をしたということでありますけれども、とてもじゃないですけれども不十分な取組なんじゃないかということをまず御指摘させていただきたい。ちょっと具体的にこれ中身見ていきたいというふうに思っております。  まず最初に、この重層的な保護の取組の中の最初というのがいわゆる勧誘対象を入口の段階で絞り込みますという話であります。これ、不招請勧誘が認められる基準として、所得の構成ですとか年収、金融資産、こういったものによって絞り込みを掛けていますということなんですが、その意義って一体どういうものなんでしょうか。また、どのようにして実効性を担保するのか、御説明いただきたいと思います。
  137. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生現場で、シティバンクの中で大変御苦労されて、担当として汗をかかれたということを伺っておりますが、商品先物取引、これは金融商品の先物取引と同様にハイリスク・ハイリターン、これを象徴するような取引でございまして、その損失によりまして、今回の改正により認められている勧誘を受けた顧客の生活に支障が生じることがないようにすることが最重要であります。それはもう先生指摘のとおりでございまして、これは消費者保護のためでございますからね。  このため、今回の省令改正では、そのリスクに見合った年収や金融資産を有することを取引契約が可能となる条件とするとともに、投資に上限額を、年収や金融資産の合計額の三分の一以下とすることを定めまして、これらの要件が守られることを担保するために、年収や金融資産を確認するに当たっては、顧客自らが年収及び金融資産額を記載する申告書面にその条件を満たすか否か確認することとともに、商品先物取引業者が違反した場合には、その取引は顧客ではなく業者の計算においてしたものとみなすこととしております。これは損は業者持ちという、こういう考え方でございまして、あわせて、商品先物取引業者に対する重点的な検査などを行い、適切な監督に努めていくこととしているところでございます。  以上でございます。
  138. 平木大作

    ○平木大作君 いわゆる持っている資産ですとか収入に応じて規制を掛けるというのは理屈としては分かるんです。分かるんですけれども、これそもそも、ある程度以上の年収がある方とか金融資産を多く持っている方を対象にした、いわゆる富裕層ビジネスということについて分かっていない人がルールを作るとこうなるなという典型なんです、実は。富裕層ビジネスというのは、簡単に言うと、いわゆるお客様のウォレットサイズをよく知れというふうに必ず言われます。お客様がどのくらいの年収があって、金融資産はどういう配分で、何を幾ら持っているのかということをつかむことで適切なサービスが提供できるですとか、リスク管理に役に立つと、こう言われます。  ただ、これがすごく念押しをされるのはなぜかというと、はっきり言えば、いわゆる富裕層の方たち、特に年収ですとか資産が多ければ多いほどそれを知ることが本当に難しいからなんです。実際に、明らかにしてくれと、書いてくれと言われて書く人を私は見たことほとんどありません。ここが本当に大きなジレンマでありまして、まさにこのことが分からないで、自ら書かせるから大丈夫なんですというのがそもそもおかしいと思っています。  富裕層じゃないですけれども、私も例えば二十代で初めてクレジットカードのいわゆる発行しようとしてもらったときに、自分の年収をしっかり正確に書いたかというと、適当に丸めてやっぱり書きます。何でこんなことを教えなきゃいけないんだという思いで書いたりする。銀行に行って、こういうことを例えば金融機関に行って聞かれる。私もこういう、まさにお客様から聞き出すフォームを作ったりしたことありますけれども、書いてくださらないわけですね。ほかの金融機関に幾ら持っていますかっていって、何でおまえに教えなきゃいけないんだってやっぱり言われてしまう。お金を借りようとしている人ですらやっぱりそういう反応なんです。こういう人たちに対して自己申告でやればいいんだなんていうのはそもそもおかしい。  現場の金融機関で、じゃ何をやっているかというと、ある程度の幅を持って、これはアンケートですという形で、例えば丸をしてもらったりしているわけです。年収が八百万円から千二百万円ですかとか千二百万円から二千万円ですか、近いところに丸をしてくださいとかということをやってぎりぎりやっている。  でも、こうやって幅を持って金融資産の例えば額だとか年収を測ったとすると、さっきおっしゃったいわゆる後段で、取引の上限額定めるときに幅があったんじゃやっぱり役に立たないわけです。やっぱり、そもそもの入口の絞り方自体が私は間違っているというふうに思っております。  更に言うと、これ少なく申告する人ばっかりだったらいいわけですけれども、見えを張って年収五百万円しかないんだけれども千五百万円ってやっぱり申告しちゃう人もいるわけです。だから自己申告によってやっぱり歯止めを掛けましたというのは、私はそもそも機能しないというふうに思っておるんですね。  結局、この年収だとか持っている金融資産で、もし本気で顧客保護をやろうと思ったら、やっぱりエビデンスを取ることなんです。しっかりと源泉徴収を取る、あるいは確定申告の控えを取るということをやらなかったら、そもそもこれは保護の策として全く機能しないなというふうに、これまず御指摘させていただきたいと思います。  そして、先ほど小泉大臣の御答弁の中にも少しありました。この自分で書かせるから大丈夫だというところが、これやっぱり実際に書かせるフォームを使っている例えば金融機関とか先物業者というのはあるんです、あるんですけれども、書いていただけないからどうするかというと、結局こんなの書けないよと言われたときに、まあちょっとこれは書類上のもう形式ですからと、埋めないとちょっと取引できませんので、取りあえず二千て書いてくださいとか、自分で書いていただかないと困るんですみたいなことをやって、ある意味やっぱり記入させたりということが実際に横行してしまう。  やっぱり、ここって本当に一つ大きなポイントだと思っているんです。この自書させるということによって、取引後、契約後にこの取引の妥当性を争われた際に、これ本当に顧客にとって不利益にならないんでしょうか。改めて御答弁お願いいたします。
  139. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) まず初めに、今先生がおっしゃった最初の点でございますけれども、しっかりとまた経済産業省と相談をさせていただきたいと思います。  今回の改正省令では、顧客が年収や金融資産を自書した場合におきましても、商品先物取引業者が顧客に対し、事実と異なる年収あるいは金融資産を申告するよう誘導した場合、あるいは業者が事実と異なる内容であることを知っていた場合、そういった場合につきましては不招請勧誘禁止規則違反となり、許可の取消し等の行政処分の対象となります。  また、先ほど副大臣から御答弁したとおり、商品先物取引業者が違反した場合には、取引は顧客ではなく業者の計算においてしたものとみなされるということから、顧客に不利益が生ずることはないものと考えております。  あわせて、こうした事態が生じないよう商品先物取引業者に対する重点的な検査などを行い、適切な監督に努めていくこととしております。
  140. 平木大作

    ○平木大作君 今の御答弁は本当に大事なポイントであるというふうに思っております。  これ、実際に事後的にやっぱり取引の妥当性が争われるときというのは、言った言わなかった、説明したしなかったということが必ず浮かび上がります。そのときに、最終的に残っているのが、顧客が自書した数字だったり、分かりましたということが残ってしまうと、かえってこういうルールを導入したことによってやっぱり顧客は不利益を被るわけでございまして、今御答弁いただいた点というのは、本当にこれ事業者の皆さんに徹底していただきたい。重ねてお願いを申し上げます。  次の質問ですが、次なる関門として、いわゆる設定されているのが理解度確認による勧誘対象の絞り込みであります。  これについて、まず取引者が商品先物取引を行うに当たって、そもそも理解しなくてはいけないリスク等、これは一体具体的に何なのか、またどのようにして確認をするのか、御答弁をお願いいたします。
  141. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 商品先物取引を行うに当たりまして、顧客が特に理解すべきリスクとは、一つ目は、商品先物取引というものは金融商品の先物取引と同様にハイリスク・ハイリターンの取引であるということ、二つ目は、短期間で大きなリターンがある一方で、短期間で顧客が入金した証拠金額以上の損失が発生する可能性がある、そういった取引であるということであると考えております。  今回の改正によりまして、ハイリスク取引の未経験者につきましても不招請勧誘が行えるようになりますけれども、その条件といたしましては、顧客が商品先物取引にはこれらのリスクがあることについて理解していることを具体的な値動きの事例に基づくテスト形式によって確認することを義務付けているところでございます。  具体的には、契約を締結するまでの間に、顧客に対する勧誘を行った外務員、営業している外務員ではなく、その商品先物取引業者の管理部門においてテストの送付、回収、採点等を行うこととしております。その際、満点を取らなければ契約を締結できないこととすることで顧客自身がリスクについて十分に理解していることを確認するということとしております。
  142. 平木大作

    ○平木大作君 今御答弁いただいて、私、一つは、確認しなきゃいけないリスクというものがちょっとざっくりし過ぎているんじゃないかというような印象を今持ちました。要するに、例えばハイリスク・ハイリターンと、そうだと思うんですけれども、例えば、じゃ、何のリスクをそもそも認識しているかいないかということをやっぱり分けて御理解いただくということをしなきゃいけないと思っているんです。  例えば、マーケットリスクと一言に言っても、その中には、いわゆる価格変動リスクもあれば、これ関係ないように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、金利変動リスクというのもあります。スポット価格は動いていなくても、デリバティブの価格は金利が変動すれば変わります。また流動性リスク、特に商品先物については流動性が今非常に危惧されているわけでありまして、ここら辺で損切りしたいというところにオーダーを入れておいても、付かない、成立しないという可能性もあるわけであります。こういうこと一つ一つについて、しっかりと具体的な事例を通して理解していただくということがまず必要だと思っています。  私も、理解度を確認するのにテストを使う、テスト形式を使うというのはやっぱり大事だと思っているんですね。ただ一方で、その内容が正直言って不十分なのかなというふうに思っております。  今日、これ、後で触れたいというふうに思いますけれども、委員皆様にもお配りしました。商品先物取引協会が作成をしました商品先物取引に関する説明及び確認書の素案というものでございます。  これ、中は、詳細は後日また各自御覧いただきたいと思うんですけれども、後ろに確かに穴埋め形式になって数字入れるようになっているんです。でも、これは取引のリスクを確認するんじゃなくて、これはっきり言うと、あえて言えば、先物取引というのは買ってから売るだけじゃなくて売りを建ててから買い戻すというのもありですよということさえ分かっていれば、あとこれ電卓を使って四則演算ができますかということの確認にしかなっていません。これを百点満点取ってリスクを確認したというのはそもそもおかしい話だと思っています。  その上で、ちょっとこの中身に入る前に次の質問に行きたいんですけれども、ハイリスク取引経験者、これについてはこの理解度確認をそもそも行わないという今回整理をされていると思うんですが、その理由がそもそも何なのかということと、ハイリスク取引経験者というその定義、また確認方法を共にお示しいただけますでしょうか。
  143. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) ハイリスク取引経験者とは、今回の省令改正後の商品先物取引法施行規則第百二条の二第一号に規定しているとおりでございまして、一つ目は商品先物取引を行っている者、二つ目は金融商品の店頭デリバティブ取引を行っている者、三点目は有価証券の信用取引を行っている者、四点目は金融商品の市場デリバティブ取引を行っている者ということで規定されております。  これらの取引を行っている者は、これまでの取引を通じ、取引にリスクがあることについて理解があると考えられます。このため、理解度確認を要件としなくても、商品先物取引業者が勧誘に先立ってハイリスク取引経験者でなければ契約できない旨を説明した上で、ハイリスク取引経験者であることを顧客自らが申告する書面により確認することで足りると考えたところであります。  なお、商品先物取引業者がハイリスク経験者でないことを知っていた場合、そういった場合など、手続に違反があれば、ハイリスク経験者が行う取引は業者が行った取引とみなされ、顧客に損失が生じないようにしておるところでございます。
  144. 平木大作

    ○平木大作君 基本的には、この取引経験というのは、顧客のリスク理解度のいわゆる参考情報の一つでしか私はないというように思っています。実際に私がお会いした、これだけの損失を抱えました、困りましたとおっしゃっている方々のほとんどは、まともにその商品のリスクを理解していませんでした。  ある意味、これ、今言ったような、このお配りしたような三枚ぐらいの紙で確認できるんであれば、何でこのステップを飛ばすんだということをそもそも思っております。  また、FX取引ですとかあるいは株の先物取引、こういったものと商品先物取引とは当然違う部分があります、流動性ですとかそういったところですね。当然違うところがありますから、そこについて改めて理解を促す、あるいは確認を行うということが大事なことじゃないかなというようなことを御指摘させていただきたいと思います。  続きまして、先ほどお配りしたこの三枚物の説明及び確認書ですね、これちょっと見ていただきたいんですけれども、この商品先物取引に関する説明及び確認書、これにおいて、価格変動リスクを金とトウモロコシの価格を用いて、そして、それぞれ二〇〇九年五月七日、二〇一一年一月四日以降の日時のデータの変動をもってこれを説明しているんですけれども、これ、理由は一体何でしょうか。また、素案の内容をテスト方式で確認することで、これもちょっと重ねて確認になりますけれども、前述のリスクをこれで理解したことになるんでしょうか、御答弁をお願いいたします。
  145. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) この理解度確認テストは、より具体的な事例に即して問題自体を柔軟に見直すことができるような観点から、自主規制団体でございます日本商品先物取引協会、いわゆる日商協において作成することとしているところでございます。  御指摘の商品先物取引に関する説明及び確認書の素案につきましては、顧客にとってのリスクを分かりやすく伝えるため、日商協において、工業品と農産品の代表的な商品である金とトウモロコシについて、現行の価格変動幅の制度が導入された時点以降の取引で、一日の間に最も価格が変動している具体的な事例に基づきまして作成されたものと承知しております。  御指摘の素案はあくまでも一例でございまして、今後その内容、様式につきましてはより的確にリスクの理解度合いを確認できるものとするよう柔軟に対応していきたいと思っております。    〔委員長退席、理事野村哲郎君着席〕
  146. 平木大作

    ○平木大作君 今リスクを分かりやすくということでありましたけれども、私から見ると、これ逆にある意味、この事例というのは顧客の損失に関する認識ですとかイメージをミスリードするような形になっているというふうに思えてなりません。  まず、ちょっとこれ内容に入る前に簡単に指摘させていただきますが、一ページ目のところのローマ数字のⅠで、商品先物取引において相場が短期間に大きく変動することによって損失を被る可能性がありますというふうに始まっています。実際に大きな四角の中で、以下では短期間に相場が大きく変動するケースを疑似体験していただきますということで、その後計算が続くわけです。その結論が次のページの下の四角の中に書いてあるんですね。何て書いてあるかというと、商品先物取引は、ちょっと真ん中飛ばすと、商品市場における相場の変動幅が小さくても、大きな額の利益又は損失が生じることがあるハイリスク・ハイリターンな取引ですとなっています。  いわゆる大きな値動きがあったところの計算をさせておいて、結論で確認することが、相場の変動幅が小さくてもレバレッジが利いているから損が出すことがありますよと言っている。これ、明らかに二つの全く別個なリスクを混ぜこぜにして話しちゃっているんです。リスクはやっぱり別々に話さなきゃいけない。もしこれがいわゆる価格の変動が大きいということをちゃんとリスクとして理解していただくんであれば、それを確認しなきゃいけない。今度は、先物取引なんだからこれはレバレッジが利いていますよ、だから小さいのでやっても証拠金超えますよということを別にやらなかったらこれ意味ないわけでありまして、これ全然最初にうたっていることと確認している内容がまず違う。    〔理事野村哲郎君退席、委員長着席〕  ただ、今日お訴えしたいのはここではなくて、実際にこれ、さっき申しました代表的な銘柄として金とかトウモロコシを取ったということでありますけれども、代表的なものを例示するというのは正しいと思うんです。ただ、結局これ幾つの銘柄が上場されているのかということを考えたら、やっぱりより値動きが荒いもの、ヒストリカルボラティリティーが高いものですとか、そういったほかのものがあるということを当然断った上で使わなかったらやっぱりミスリードになる。  また、これもちょっとおかしいと思うわけですけれども、全てにおいて前日の値段よりも六%下がりましたよとか七%上がりましたよと一日の変動だけで一生懸命説明している。でも、これ、一番長いのでいくと半年とかという契約、決済まで期限がある取引なんですね。だったら、そのリスクを説明するのに一日の幅で説明しちゃまずいんです。一週間とか一か月とか、いわゆる契約が残る中でどれだけ動くのかというところも含めて、併せてやらなきゃやっぱりおかしい。一日でポジション取った、翌日手じまったということをやりたがっているのはやっぱり先物業者なんですよ、これ。当然取引するごとに同じ証拠金使って手数料取れるわけですから、こういう形でいわゆる取引を紹介してしまうと、これは業者がやりたい回転売買をいわゆるミスリードしているということにならないですか。  その意味で、これ一つ一つ内容を見ていただくと、本当にこんな営業資料、営業資料じゃなくて、これは説明資料及び確認資料なんですけれども、こんなものを使って説明されたんじゃたまったものじゃない。どれだけの方が多く誤認して取引に入っていってしまうのかなということを本当に強く懸念をいたします。  重ねて申し上げますけれども、これ本当にこういう確認書の中で確認しなきゃいけないのは、使った事例、これというのはある過去の一時点における特定の取引であって、あなたがこれから取り組む取引の損失の上限を保証するようなものでは当然ないし、これ以上の、銘柄の選び方だとか取引の仕方によってこれ以上大きく損失を出す可能性があります、そのことを理解しましたかということを確認しなきゃ意味ないんです。  この点も含め、もう一回内容をしっかり一から見直していただきたい、強く求めたいと思います。  時間がだんだん迫ってきてまいりました。  結局、商品先物取引を行うに当たって、やっぱりこれ、ほかのデリバティブ取引と比べてもちょっと特殊な部分があるわけですね。この部分にしっかりと沿った形で確認をしなければ消費者保護にならないと思っています。  何が一番特徴的かというと、これは取引の意思決定において営業担当者から提供される情報に依存する度合いが圧倒的に高いんです、ほかのデリバティブ取引よりも。これ考えてみれば分かるんですけれども、いわゆるドル・円の為替相場、これであれば、あるいは日経平均先物、日経平均、こういったものであれば、別に関心がない方でも毎日ニュースを見ていると勝手に入ってくる。ですから、今ドル・円は百二十円をまた割っちゃったなとか日経平均は二万円に近づきそうだなということが、関心がない人でも大体分かっている。何年ぶりぐらいなんだなとかということも勝手にニュースが言ってくれる。でも、今この場にいらっしゃる皆さんで、今の小豆の相場が幾らかとかプラチナが幾らかみたいなことがぱっと即答できる人がいたらやっぱり驚きなわけです。常にそこに自分で情報を取りに行って調べていることがない限り、やっぱり答えようがない。  ですから、例えばですよ、これ、取引についてしっかり理解したかどうかを管理部門の方がさっきもチェックするんだ、営業担当者じゃないんだということでおっしゃっていただくのであれば、こういうところ、つまり、例えば今日の、今の小豆のスポットレート、これを調べるにはどうやって調べますかと。いわゆる先物事業者のホームページとかじゃなくて、ちゃんと取引所のデータだったりブルームバーグやロイターのデータで、この画面を見に行けば大丈夫ですということを目の前でやらせて、今幾らですと答えさせる。例えばこういう形で、取引の実態に即した形での確認をもっとしていただきたい。強く強くお願いをしたいというふうに思っております。  最後に、今ちょっと私が一方的にしゃべってしまったところもありますけれども、今日の議論を受けて、農林水産省、また今日、経産省からも御出席いただいています、また消費者庁からも来ていただいていますので、一言ずつコメントをいただけますでしょうか。
  147. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変細かいところまで今御指摘をいただきまして、特に最後の統一フォーマットですか、まだまだ今委員の御指摘のように改善していく余地があるんではないかという印象を私も持たせていただいたところでございます。  今回、全般的な見直しの中で、今消費者庁も呼んでいただいておるということでございますが、当時、森消費者担当大臣でございました。森大臣から申入れを受けて、経産省と農水省一緒になって消費者庁と十分協議をするということにいたしまして、そしてパブコメをかけたわけでございます。パブコメかけたのも多分御存じだと思いますけれども、かなりパブコメを反映して、いろんなところを今御説明いただいたようなところにしてきたというところでございます。年収や資産要件、理解度、それから熟慮期間というところも設定をする、それから、みなし、業者の計算においてしたものとみなすと、こういったこと等々、重層的なあらゆる段階において措置を講じた上で顧客の範囲を絞り込んだと、こういうことでございます。  我々としては、経済産業省とともに、改正省令の施行に向けて、さらに商品先物取引業者の外務員に対する研修等々、今御指摘のあったことも含めて入念に準備を行ってまいりたいと、こういうふうに思っておりますし、施行後も、今度は監督官庁という立場になりますので、しっかりと重点的な立入検査を行ったりして、適切な監督を行うということはもちろんですが、悪質な業者については許可の取消しなどの措置をとることによって、しっかりと顧客保護への配慮と、それから、冒頭、副大臣からも答弁いたしました商品先物市場の活性化の両立にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
  148. 寺澤達也

    政府参考人(寺澤達也君) お答えします。  もう今、林大臣から御答弁いただいたとおりでございます。共管省でございます経済産業省としても、委託者保護に万全を期すべくしっかり準備し、しっかり執行に努めていきたいと、かように考えている次第でございます。  一点だけ補足しますと、いろんな研修とか検査に加えまして、事業者においてはきちっとしたコンプライアンス、内部統制の体制を構築というのはしっかりやってもらおうという考えで取り組んでまいります。
  149. 川口康裕

    政府参考人(川口康裕君) お答え申し上げます。  昨年四月のパブリックコメントの案自体につきましては消費者庁も大変懸念を持っていたところでございますが、その後、三省庁で協議を行いまして、消費者庁といたしましては、顧客保護に留意がなされている内容かどうかということで意見を述べてきたところでございます。協議が調いまして、それに基づいて本年一月二十三日に省令改正がなされたものと承知しております。  消費者庁におきましては、この施行後の状況について経産、農水省より報告をいただくということをお約束いただいているところでございまして、運用状況につき、経産、農水省連携してフォローいたしまして、問題が生じないように注視してまいりたいと考えております。  また、先生の本日の御指摘も踏まえまして、消費者庁としても、国民生活センターと連携し、取引の際にはリスクについて十分な理解が必要であるなど、被害の未然防止の観点からの努力、私どもとしてもしていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  150. 平木大作

    ○平木大作君 時間が参りましたので終わりますが、これ六月一日からの施行かと思います。時間がなくなってきてまいりましたので、今日指摘させていただいた点等を踏まえて、是非とも、これ本当に、消費者保護をしっかり三省庁とも連携して取り組んでいただきたいことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  151. 儀間光男

    ○儀間光男君 維新の党の儀間でございます。  質問をする前に、林大臣、御自分の意思とは違ったんですが、出戻り、おめでとうございます。でも、大臣お話の中で、ボールを作って投げてみたら自分が受けて、それを投げ返してみたらまた自分が受けてと、これは実にいい例えであって、大臣の知見の深さを文学的な面から感じた次第であります。  まず、質問に入る前に、昨日、今日とリアルタイムで沖縄の辺野古の問題が飛び込んでまいりまして、しかも、海底作業の停止を県知事が指示したわけですが、これを不服審査請求として、しかも、それの指示の効力停止をも求める申立書が農林水産大臣宛てに出されたということで、実は、恥ずかしながら、農林水産省にこれが回るとは思いませんでした。もう既に着いていると思うんですが、今受け取って、どの段階の手続の段階にあるかをちょっとお答えいただきたいと思います。
  152. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 今御指摘があった沖縄県辺野古沿岸における岩礁破砕許可に関しまして、三月二十三日に沖縄県知事が出された指示、これを不服として、三月二十四日に沖縄防衛局長から農林水産大臣に対し行政不服審査法に基づく審査請求とその処分の執行停止の申立てがなされております。  この岩礁破砕の許可は農林水産省が所管する水産資源保護法第四条第二項第五号の規定を根拠とする沖縄県の漁業調整規則に基づく規制でありまして、地方自治法第二条第九項第一号の規定に基づく法定受託事務として沖縄県知事が事務を行っているものであります。このため、本件の審査請求と執行停止の申立てに関する行政不服審査の審査庁と申しますが、これは農林水産省になるということであります。  こういうものが出た場合には、弁明をしていただくということを求め、あるいは意見を聞くといったようなことが必要になりますので、沖縄防衛局及び沖縄県から提出された書面を踏まえて、私どもの方から、三月二十四日に沖縄県に対しまして、沖縄防衛局の審査請求に対する弁明書を三月二十四日から三十日以内に提出をすること、それから、沖縄防衛局の執行停止の申立てに対する意見書を三月二十七日、今週の金曜日までに提出することを求めているところでございます。  こういうものを踏まえて、私どもとして書面の内容を十分検討して、執行停止をするかどうか、それから審査請求の裁決、こういうことを行うことに手続を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  153. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  なぜ私がこういうことを聞いたかというと、この件で林大臣の言質を取ろうなどと、あるいは答弁を求めようなどとは思っていません。所感は後でいただきたいと、こう思うんですが。  実はこれは環境破壊に関係することだから環境省かなと思ったりしてたかをくくっておったんですが、自分の無知さにあきれ返ったんですが、私が知らなかったのは勉強不足ゆえに知らなかったんですが、実は一般国民や沖縄の一般県民からすると、そういう環境省ということにも思いが行かなかったと思うんですね。官邸とあるいは防衛、外務との直接やり取りだと思っていたはずだのに、こういう思わぬ農林省だったと。これは一般県民、国民からすると、教えられたことのない、また、習う機会もなかったということから、全く知らなかったということで何名かから電話をいただいたんですが、事ほどさように、そういうことでありますから、先のある大臣であってみれば、こういうことに余り傷つかないようにしっかりひとつ対応していただきたい。  なぜそう言うかというと、農水省のその公平さ、中立性をもう既に疑う新聞論調や学者や評論家の論調が出ているわけですね。何もしないうちからそういう論調出るわけですから、内閣内において県側に有利な判定が出るはずがないなどといって、これが一般社会に浸透しやすい状況にありますから、どうぞ、そういう意味でもしっかりと身辺を締めていただいて、そういう疑義が出ないように、もちろん出るはずないと思うんですが、人は何とでも言いますし、人の口には戸を立てられませんから、そういうことのないようにひとつやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  154. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この水産資源保護法という法律は、一条で「この法律は、水産資源の保護培養を図り、且つ、その効果を将来にわたつて維持することにより、漁業の発展に寄与することを目的とする。」、こう書いてございまして、その四条の二項の五に「水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止」と、ここでいわゆるこの岩礁破砕ということにつながってくると、こういうようなことでございます。したがって、先ほど水産庁長官から答弁いたしましたように、農林水産省がこの本件の行政不服の審査庁と、こういうことになるわけでございます。  したがって、今委員からも御指摘がありましたように、この法律の規定に基づいて、沖縄防衛局、それから沖縄県から提出された書面の内容を十分に検討して、法の趣旨にのっとって適切に対応してまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  155. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  今朝の本土各新聞あるいは地方の新聞を見ると、読売新聞以外は皆、沖縄の問いに答えよ、これは朝日でありましたが、政府は沖縄県を追い詰めるなとか政府はごり押しをやめよとか、あるいは読売は逆で、冷静さを欠く知事の停止指示とか、また、これは社説です、京都新聞は政府は亀裂を深めるな、東京新聞、県に従い作業停止を、あるいは熊本日日新聞は安倍首相は知事と対話を、作業停止の政治決断を、北海道新聞。みんなこういう論調でありますから、うっかりすると変なところに走ったり、事実が誤認されて走ったりする可能性はなきにしもあらずと、ないとはいたしませんから、それで注意を喚起をしたところです。老婆心でありましたが、ありがとうございました。  さて、今日は農林水産業が、国の言う、いわゆる安倍総理の政策の言う経済成長戦略との関わり、あるいはもう一つの政策である地方創生との関わり、こういうものについて少しくお尋ねをしていきたいと思います。  成長戦略は、全ての産業を一くくりにするいわゆる政策であります。その中にあって、農林水産業がその成長戦略に乗っかっていける、いわゆる産品は何なのかということを聞いてみたいと思うのであります。  政府は、食と農林漁業の再生のための基本的な考え方として四つの考え方を示して、戦略としております。農林漁業成長産業であるとか、人材の確保であるとか、土地の利用型農業の規模拡大であるとか、あるいはセーフティーネット等々、多面的な機能を維持する四つの項目をもって戦略とし、さらには七つに及ぶ項目をもってその政策を示しております。新規就農の増加と規模拡大への加速、あるいは六次産業化、消費者とのきずな、輸出戦略。  特に今日、輸出戦略に重点を置いて聞いていきたいと思いますが、こういう七つの戦略を示しておりますが、いずれもやはり進めるにはめり張りの利いた政策展開をしないといけないと思うんです。ということで伺いますが、農林水産業がどの業種を、どの産品をもって柱として成長戦略に乗っけていこうとしておるのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  156. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 今委員から御指摘いただきましたように、成長戦略の中でも、農林水産業、これの潜在力を最大限に引き出して、しっかりと貢献をしていきたいと思っておるところでございます。  我々の農林水産業地域活力創造プランの中にも、産業として強くする産業政策的部分と、それから農村、山村、漁村多面的機能を発揮するための地域政策、これは車の両輪でなくてはいけないよと、こういうことを書いて取り組んでいこうということにしておりますので、大ざっぱに言いますと、成長戦略の中のこの産業政策的部分を色濃く出して、後ほど御質問いただくであろう地方創生の方は更に地域政策という部分が加わってくると、こういうふうに考えておるところでございます。  産業政策の中で特に意を用いましたのは、今御指摘のあった輸出も含めて、売る方でございまして、需要フロンティアの拡大というのは、今まで作る方、どうやってきちっと作って食料の需要を満たしていくかということを戦後やってきたわけでございますが、先ほど午前中の御質疑にもいただいたように、人口減少、高齢化に伴って消費が飽和してくる中で、どうやって付加価値を付けて売っていくかと、こういうことをしっかりと考えていこうと。さらには、六次産業化ということをやることによって生産者の取り分を増やしていこうと、こういうことが成長戦略につながっていくのではないかと、こういうふうに思っております。  したがって、品目的に、例えば米だけであるとか牛肉だけであるとかということではなくて、適地適作という言葉がございますように、また、儀間先生からも沖縄のいろんなものをここの場でも紹介をいただいておりますように、その地域に合ったもの、特産物、そして観光等々と結び付けて、どうやってその地域所得に結び付けていくかという意味では、全ての農林水産物が対象になり得るものと、こういうふうに思っておるところでございまして、その地域の独自の取組をいかに農政として応援をしていくかと、こういうことがこの成長戦略の肝であると、こういうふうに考えておるところでございます。
  157. 儀間光男

    ○儀間光男君 今、全生産物を対象とすると、当たり前の話だと思いますが、それでは各論としてなかなか進みませんから、北海道から沖縄の与那国あるいは波照間まで生産行き渡っている米について、ひとつ統一テーマとしてここで議論させていただきたいと思うんですが。  日本の戦後農業、いや、戦前から伝統的にそうでありましょう、農政は、割と米偏重なと言われてもいいぐらい米一辺倒の農政が展開されてきたと思うんですね。ちょっとお叱りを受けるかもしれません、実はそうじゃないよとおっしゃるかもしれませんが。ざっくり大ざっぱに言ってそう捉えて間違いないと思うんです。  そこで、この米政策でございますが、これも二年前から、国政に来るようになってから林大臣といろいろやらさせていただきましたけれども、国内需要国内需要だけを賄う時代から、主食用米ですよ、あと餌米はまた別に話したいんですが、時代から、主食用米をもっともっと作って、国民の消費する、今八百万トンぐらい、切ったかも分かりませんが、それを一〇〇%自給する能力を持ちながら、更にその上を生産をして海外マーケットへ持っていくというようなことまでしないと、米農家の成長は私は成長したと言えないし、あるいは政策で言う成長戦略に乗れたということも言えないと思うんですが、その辺の御見解をいただきたいと思います。
  158. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 委員指摘のとおり、米の需要につきましては、国内需要、毎年八万トンずつ減少するという中で、米の新たな需要を創出するという観点から輸出市場というのは大変重要な出口だろうというふうに思ってございます。  そういった観点で、現在、農林水産物全体で平成三十二年に向けて一兆円の目標ということで取り組んでいるところでございますけれども、その中で米は重要な産品の一つとして六百億円の目標を掲げて輸出促進に取り組んでいるというところでございます。  米の輸出につきましては、平成二十六年の、いわゆる粒の輸出でございますけれども、四千五百十六トンという実績を得まして、対前年で四〇%を超える伸びになってございます。ただ、しかしながら、日本産米につきましてはやはり価格面でなかなか諸外国の米に勝てないということでございまして、なかなか輸出先のマーケットで許容される価格差には限界があると、そういう課題もあるのではないかなというふうに思っているところでございます。  そういった課題も克服するために、他の品目も同様でございますけれども、オールジャパンで米の輸出に取り組んでいこうということで、昨年十一月には米の輸出協議会というのを立ち上げまして、様々な戦略を策定し、その一環としまして、例えば日本産米の統一ロゴマークなどを作って日本産米の品質の高さといったものをアピールしながら更なる輸出拡大に取り組んでまいりたいと考えてございます。  さらに、米の粒以外にも、今日も委員会で御議論ございましたけれども、日本酒ですとか、それからあとお米のお菓子、米菓、こういったものの輸出も併せて全体として米の輸出拡大を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  159. 儀間光男

    ○儀間光男君 今、海外マーケットで我が国の米の価格は高いというようなことでなかなか売りづらい側面もあるんだというような言い方でございましたが、そもそも何で高いんでしょうね。
  160. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 我が国のお米が高いという理由に様々な事情があると思いますが、まず土地利用型農業の作物というのは、やっぱり生産規模によって相当生産コストの差がございます。大規模で生産すれば様々な固定経費が縮減されるということもございまして、そういう観点で、例えば米の大生産国でございますアメリカですとか豪州と比べまして、現在我が国の米の価格差は大体四倍から五倍になっているということでございます。なかなか、日本の国土の狭小という制約条件がある中で、米の生産性を拡大して価格を下げていくところについては一定の限界があるということはやむを得ないのではないかなというふうに考えているところでございます。
  161. 儀間光男

    ○儀間光男君 様々なファクターがあることは承知をしておりますが、ここに農政が関わっていかなければならぬと思うんですね。米の生産コスト、いろんなユニットプライスがあって、それがまとまって非常にコスト高になっているということでありますが、そのコストの中のユニット段階でチェックをしていく。農薬はどうなんだ、農業肥料はどうなんだ、化学肥料はどうなんだと、あるいは農業用機材はどうなのか、あるいは労働力はどうなっているんだというような全てのユニットプライスを総合したコストを下げていく。そこに農政が大きく関わっていかなければならないと思うんですね。そこに私は必要な税金も使うべきだと思うんです。  そして、そもそも高価な米というよりは、日本の米というのは実においしくて、ずっと言い続けるんですが、おいしくて安全で安心で、更に技術がいいですから、海外の取引において契約栽培や計画栽培が利くはずなんですね。そういうものが合わさっていくと、私は、多少高くてもいけるし、またコストダウンもできて、そんな今おっしゃった四倍の価格差などというようなことにならないと思いますよ。三つのAを使ってください。安全、安心、安定、安価、四つですよ。高い米を持って出ようとするからであって、いい米を安く提供できるんだったら売れるに決まっているんですよ、海外市場で。中国産、アメリカ産等は話にならないというふうに思うんです。  平木委員も一緒でしたけど、昨年、ODAでカンボジア、モルディブへ寄らせていただきました。カンボジアへ行ってびっくりしたんですが、日本の進出商社イオンの鷲澤社長を始めお会いしたんですが、カンボジアの米の政策を、あるいは米の生産を見ていると、本来、三期作できるところですが、カンボジアの国民性で、農家の農民たちは、米は家族で食べる分でいいから、一回作って、あとは田んぼをほったらかすんですよ。で、どうしているかというと、隣のタイやベトナムに出かけていって出稼ぎでやると。したがって、米は必要なのになくて、海外から入れているんですよ。需要はあるけれど、農家は自分たちが家族で食べる分だけ作ったら作らないというんですね。そういうところを日本の商社辺りもちゃんと行ってやっているんですから、日本の米が流通しないはずはない。その辺を、今六百億ですか、米のシェアを占めるというんですが、もっともっと私はやっていいと思います。  それからもう一つは、米の内需というか国内需要、これは例えば米粉にして菓子を作ったり、あるいは餌米に転換していくわけですが、餌米の餌として供給される分、外国からの餌は減ると思うんですが、この部分が伸びるんであって、日本国内のマーケットの全体の需要というのはそんなに伸びていかないんですよ。それでは生産調整しかできないですね。生産調整をやるものじゃないと思いますから、生産をどんどんやって収穫して、つまり高生産、高収入、高収益ですよ。この三つをベースに乗せぬというと、他の分野と同じような経済の力を出すというところに行き届きませんから。  そういうことを、国内需要も入れながら、まだまだ上へ持っていける、八百万トンとするなら一千万トンぐらいを作ってもらおうじゃないかと。その後、二百万トンはじゃ餌米に変えよう、米粉に変えていこう、別の使用をしようということにすれば私いいと思うんです。そうすると一千二百万トン作ったって、昭和三十年代、四十年代の消費量を作ったって、努力すればやっていけないこともないと思うんですね。  だから、そういう未知の領域というんじゃなしに、今も大臣がおっしゃったように、あるいはまた答弁したように、大体アクションプログラム決めてあるんですから、それに果敢にチャレンジして、米をもっともっと伸ばすというようなことをやってほしいと思うんですが。  どうですか、戦略として。米が成長戦略に乗るには、内需の供給はもとよりですが、私風に言うと、一方的にしゃべって済みません、言うと、八百万トン生産できて供給できるけれど、一〇〇%自給できるけれど、政策的に七割、八割ぐらいの供給にしておいて、残りは外へ出すとか、別へ出すとか、使用していくというような政策だって戦略上あっていいと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
  162. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 大変興味深い御提案をいただいたと思っておりますが、先ほどの別の方の御質問でもあったように、一方で、需給のバランスを取りながら政策を進めていきませんと、米価が下落をして農家の所得が減るという、そういう問題もございますので、もう米は諦めるということでは決してなくて、今先生がおっしゃっていただいたようなこともいろいろと、輸出それから国内需要、それから転作、いろんなことを考えながら、どうやってコストを下げて、そして売れる値段を、需給のバランスを取りながら、下がらないように、上げていく努力をすると、こういうことをやることによって所得を上げていくかと、これを常に考えてまいらなければならないと思っております。  マクロでいいますと、八百万トンが一%、八万トンずつ減っていくという状況でございますが、これとても、米食のいろんな普及の振興を内需で図るということで、何とか変えていく努力はしなければなりませんし、それから、まさに農地中間管理機構等で集積を図ることによってコストを下げていくという努力はしていこうという方向になっているわけでございます。  先ほど米の値段の比較がございましたが、今、国産が二〇一三年産で大体キロ当たり二百三十九円、これに対してアメリカが六十四円、中国産が四十九円、ベトナム産が四十六円、五倍から四倍と、こういうところでございますので、この価格差をどうやって、価格差自体を縮めていくか、また品質等で価格差を乗り越える努力をしていくかと、こういったことを多角的に考えていくということが大変大事であると、こういうふうに思っております。  米の場合は、種類が、我々が食べておるものは短中粒種でございますが、世界で大きく流通しておりますのが長粒種ということで、その違いというのもあるわけでございますので、こういった諸々の状況をいろんな努力でもってどうやって克服するかということを不断の努力として続けていく必要があると、こういうふうに考えておるところでございます。
  163. 儀間光男

    ○儀間光男君 もっともっとお話ししたいんですが、時間が足りませんから、シリーズ物でまた次やることにいたしまして、ちょっと地方創生農林水産業の関わりを尋ねてみたいと思います。  地方創生、そもそもその根幹となるものは何ですか。端的にお答えください、時間ありませんから。
  164. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 時間も迫っておりますので、私の方で。  特に地方創生というのは、今まち・ひと・しごと本部という名前ございましたが、政府では石破大臣の下で政府横断的にやっておられるところでございまして、これを農山漁村について、地方に行きますと農山漁村が多いわけでございますから、我々としては、地域の特性に応じて、先ほど冒頭に申し上げましたように、地域に合ったものをやっていくと。  先ほど小川委員だったかもしれませんが、何か企業を誘致するということに頼り切りではなくて、その地域にある資源を生かして、そしてこの資源をどうやって六次産業化等所得に結び付けていくのかと、こういったことをそれぞれの地域に合った形で考えていくと。  先ほど輸出のお話もいただきましたけれども、輸出を振興することによって、その先にインバウンドという形で、輸出をした先のお客様が今度はその作ったところに食べに来てもらえる、飲みに来てもらえる、こういうところまでつなげていくことによっていろんな地方創生というのを進めていかなければならないと思っておりまして、そういう意味では、農林水産省が本当に中心的な部分を占める地方の創生というのをしっかりと取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  165. 儀間光男

    ○儀間光男君 ありがとうございます。  全く同感でありまして、地方創生地方はほとんど農林水産業なんですね。地方といえば農林水産に決まっているんです。都市近郊農業があって、都市近郊農業は、大体、生産緑地を確保する、あるいは緑地を農作物でもって確保するというような制度でありまして、地方といえば農林水産業なんです。  したがって、地方創生をやるには地方に人をとどめぬといけませんね。地方に人をとどめるには、やはり税源の移譲と、統治機能というか権限の移譲、これを徹底してやっていかなければ地方に戻らないと思うんですね。地方に戻らなければ創生は効くはずがないんでありまして、したがって、その本気度を本当は石破大臣辺りに聞きたかったんですが、この地方への権限移譲を徹底してやっていく本気度を伺いたいんですが、誰か関係者いますか。お願いします。
  166. 末宗徹郎

    政府参考人(末宗徹郎君) お答えいたします。  地方創生、国の総合戦略におきましても、地方分権改革というのは重要な柱として位置付けをしております。今般、地方版総合戦略を作っていただくに当たりましても、地方公共団体が自主性、自立性、主体性を発揮して作っていただくということが大事ですので、今委員が御指摘されたような意味での権限あるいは財源が十分にあるということが大事な観点だと考えております。  その意味では、今回、国から地方への権限移譲につきまして、第五次一括法案を今国会提出したところでありまして、今後とも、熱意ある地方を応援する観点から、地方の提案を受け止めまして、改革を着実、強力に進めてまいりたいと考えております。また、税財源関係につきましても、国と地方の役割分担を踏まえながら地方税の充実を図っていくことが重要であると考えております。
  167. 儀間光男

    ○儀間光男君 そうしないというと、今まで地方創生、いろんな内閣でやってきましたよ、田中内閣始めね。内閣が替わると、それはポシャってしまって継続しないですから、皆ばらまき状態であって、地方が創生されてこなかった。その原因が今日なんですね。  したがって、地方に財源も権限も人もやる、まち・ひと・しごとというんですから、全部をやらないと創生は不能だと思いますから、その辺ひとつしっかりとお願い申し上げて、時間になりましたから終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  168. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  林農水大臣、二度目の御就任ということで、皆さんからもお話がありましたけれども、私は、非常にこの期、重い責任を負わなければならない大臣だと思いますので、是非心して取り組んでいただきたいというように思います。  それで、所信に対するまず質問ですけれども、まず最初に、これ大事な問題ですので、政治とお金の問題についてお聞きをしたいと思います。  今、国会では政治とお金が問題になっています。企業・団体献金が政治腐敗の温床にならないか、献金で政治がゆがめられないかなど、疑惑があれば全容解明と説明責任が求められます。  農林水産行政をめぐっても、西川前大臣が辞任をされました。西川前大臣は辞任に当たって、私が幾ら説明しても分からない人には分からないと、内閣に迷惑を掛けてはいけないということで辞表を提出したと言われました。大臣は、これで本当に説明責任が果たされたと思われるかどうか。  そして、西川前大臣は、最後まで謝罪はされませんでしたが、政治と金に関わることで疑念が持たれたということになれば、政治家は説明責任を果たすべきだというふうに思うんですが、これについての大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
  169. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 西川前大臣の御発言、今御指摘のあったところでございますが、そのことについては報道を通じて承知をしておりますけれども、西川前大臣は閣僚を辞任されて一議員の立場に戻られたということでございます。私からは、一議員の説明責任についてはコメントをする立場にはないということでございます。
  170. 紙智子

    ○紙智子君 もう少し答えていただきたかったんですけれども。  林大臣の資金管理団体である林芳正を支える会の政治資金収支報告書を拝見いたしました。二〇一三年の政治資金パーティーの収入額は八千百二十一万円、大臣になって一気に増えています。大臣規範は、開催自粛、国民の疑念を招かないよう大規模なものの開催は自粛するとなっていますから、これは規範に反しているんじゃないかと思います。  そこでお聞きしたいのは、二〇一三年十月十七日に都市センターホテルで開催されたパーティーについてです。パーティー購入者の中に地元の山口県下関市の住吉工業と住吉運輸という名前があります。それぞれ百万円、合計二百万円購入されていますけれども、林大臣は、二月二十三日に大臣に就任された二日後に、二月二十五日に政治資金収支報告書の住吉運輸代表者の氏名を訂正されました。これはなぜでしょうか。
  171. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この御指摘のあったところは、住吉工業さんと住吉運輸さん、それぞれからパーティー券の購入をいただいているわけでございますが、記載に間違いがございました。代表者の名前が住吉運輸の方は誤っておりましたので、そのことが、たしかこれは衆議院の委員会か予算委員会での玉木委員からの御質問で、改めてチェックしたところ間違っておりましたので、これを訂正させていただいたということでございます。
  172. 紙智子

    ○紙智子君 さらに、お聞きしますけれども、住吉運輸は住吉工業から分離して設立しているグループ会社です。帝国データバンクの情報では、住吉運輸の所在地というのは住吉工業の社内、住所は同じです。住吉工業の社長は住吉運輸の取締役で、一方、住吉運輸の社長というのは住吉工業の取締役など、役員も重なっています。  グループ会社でパーティー券の購入額は二百万円になるわけですけれども、政治資金規正法第二十二条の八は、同一の者から百五十万円を超えて政治資金パーティーの対価の支払を受けてはならないと定めています。この規定に反するのではないでしょうか。
  173. 林芳正

    国務大臣林芳正君) この報告書に記載がございますように、住所は一緒のところにございますが、これは工業と運輸は全くの別会社で別法人でございますので、今の御指摘のその同一の者には当たらないものと、こういうふうに理解をしております。
  174. 紙智子

    ○紙智子君 法律上、別法人と言い切れるかどうかということの定義については、これは定まってはいないというふうに思うんですね。しかしながら、同一者からの多額収入による政経癒着を防ぐ規正法の趣旨に反するという指摘というのは、これは多くの識者からあります。ですから、問題はないというふうに言い切れるかどうかと、それはちょっとできないんじゃないかというふうに思います。  続いて、林大臣が代表をしています山口県の参議院選挙区第二支部の収支報告書も見させていただきました。  二〇一三年の六月三日には、住吉運輸から百万円、同じ日に住吉工業から百万円の政治献金をもらっています。つまり、林大臣側は、二〇一三年にこのグループ会社から合わせて四百万円の資金を受けています。なぜ四百万円なのかという疑問ももちろんありますけれども。  そこでお聞きしたいのは、二月に大臣に就任された三日後に、二月二十六日ですけれども、住吉工業からの献金の百万円を削除する訂正がされているわけです。なぜこれは訂正されたのか。受け取った百万円をどうされたのかということについてお聞きします。
  175. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これも誤りが見付かった同じときにということでございまして、献金でいただいていた会社から、今度はパーティーをすることになりましたので、このパーティーの方に、このパーティー券の購入ということでいただいておりますので、ちょっと今、御通告をいただいていなかったものですから、その部分は手元に資料がございませんが、たしか私の記憶によりますと、献金はなかったのでそういう修正をさせていただいたと、こういうことだと思います。
  176. 紙智子

    ○紙智子君 ということは、実際にはお金はもらっていなかったのに書いたということでしょうか。
  177. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 改めてきちっと整理をして御説明したいと思いますが、私の今の記憶でございますと、この献金は、なかったものを、パーティー券の収入を間違えて献金として処理をしていたものを訂正したと、こういうことだったというふうに記憶をしております。
  178. 紙智子

    ○紙智子君 政治資金規正法の報告書というのは、やっぱりそのときそのときで厳密に書いて出すわけですけど、ということは、架空の記載をしたということになるというふうに思うんですよね。  それで、まだちゃんと調べてという話もあるので、是非委員長に申し上げたいんですけれども、山口県の参議院選挙区の第二支部の収支報告書一式を本委員会提出するように求めたいと思います。
  179. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 後ほど理事会で協議します。
  180. 紙智子

    ○紙智子君 林大臣は、一つのグループ会社から一年間に四百万円もの資金の提供を受けています。住吉工業は二〇一二年度には下関港海岸護岸工事をやっていますね。二〇一四年度は同工事に、舗装工事など、中国地方整備局の発注の工事を合計で一億六千五百万円受注しています。これで見ますと、この間ずっと問題になってきていますけれども、税金の還流と見られても仕方がないんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣はそのように思われませんか。
  181. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 政治資金規正法上どういう整理になっておるか、今手元に資料がございませんのでつまびらかにいたしませんが、いわゆる公共事業の場合は、この工事という役務を提供することに対する対価という、こういう位置付けが一般的に行われているものと、こういうふうに思っておりますので、一連の補助金ということとはまた性格を異にするのではないかというふうに記憶をしております。
  182. 紙智子

    ○紙智子君 なぜですか。どういうことですか、もう一度ちょっと説明してください。
  183. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これも後ほど正式に整理をしたいと思いますが、いわゆる問題になっておりました補助金というところでございますけれども、これは除く規定がございまして、研究開発や、また災害、防災であったと思いますが、それから、その他性質上利益を伴わないものと、こういうふうな整理がなされておるところでございます。  一方、公共事業の場合は、公共事業という仕事を発注していただいて、その仕事をする、公共事業をするということが対価として、国と若しくは地方公共団体の間で契約関係になって、その役務を果たすことに対する対価と、こういうことではないかと私は思っておりますので、いわゆるその補助金の規定に当たる、補助金のところに書いてあるようなものとはそもそも性質が違うのではないかと、こういう理解をしておるところでございます。
  184. 紙智子

    ○紙智子君 補助金に当たるかどうかというところについては、これは厳密に見なければならないと思います。
  185. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほども申し上げましたように、寄附はございませんでしたので訂正してゼロにしたということでございますので、御指摘の住吉工業・運輸からはパーティー券の購入をいただいているということでございます。
  186. 紙智子

    ○紙智子君 それは先ほどのことに対してですね。今お答えになった問題については、補助金の扱いなのかどうかということは厳密に見なければならないと思います。  いずれにしても、疑惑を持たれないように、やっぱり企業、団体の献金というのはこれ速やかに禁止するべきだと、そのことを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。  基本計画案、この間出されておりますけれども、についてこれから質問をしたいと思います。  それで、食料自給率の目標というのは、二〇一〇年の基本計画ではどう書いてあるかというと、四方を海に囲まれた島々から構成される狭い国土条件の下で、一億二千万人を超える国民を養う必要がある我が国においては、国民に対する国家の最も基本的な責務として、食料の安定供給を将来にわたって確保しなければならないとして、我が国の持てる資源を全て投入したときに初めて可能となる高い目標として、二〇一〇年のときですね、これ五〇%を掲げています。  それで、今回の基本計画案ですけれども、前基本計画の検証結果を踏まえて、実現可能性を考慮して設定するとして、十年後の食料自給率目標を四五%というふうにしています。  国産を志向し、割高でも国産品を選ぶという国民が増えているわけです。食料自給率目標を引き下げれば国内生産を重視する政府姿勢が後退したイメージを与えることになるのじゃないかと思いますけれども、この点、大臣いかがでしょうか。
  187. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 平成十二年、それから平成十七年に策定をそれぞれされました食料・農業・農村基本計画におきます食料自給率目標は、計画期間内の実現可能性を考慮しまして、カロリーベースで四五%に設定をされておったところでございます。  一方で、その後の平成二十二年の三月に策定された現行の基本計画における食料自給率目標は、今まさに委員が御指摘いただいたように、我が国の持てる資源を全て投入したときに初めて可能となる高い目標ということで、平成二十年度に四一%であったカロリーベースの食料自給率、これを平成三十二年度に五〇%まで引き上げることとして設定されたものでございます。  しかしながら、その後の食料自給率目標の進捗状況を見ますと、消費面では米などの消費量が予測を下回るとともに生産面では小麦等の生産量が伸び悩みまして、平成二十五年度におきましては三九%にとどまっております。  このため、新たな基本計画における食料自給率目標につきましては、食料・農業・農村政策議会におきまして、現行基本計画の検証結果を踏まえて、品目別に現実に見合った需要量を想定すること、それから、生産量は需要面に加えて現実的な生産条件に見合ったものとすることと、こういう整理がなされたところでございます。  農林水産省としても、こうした議論を踏まえまして、カロリーベースの食料自給率、現状の三九%から四五%に引き上げるとの案を審議会に提示いたしまして、去る三月二十四日に原案のとおり定めることが適当である旨の答申をいただきました。平成十二年、平成十七年の目標に戻したと、こういうふうに言えるんではないかと思っております。  新たな食料自給率目標、これは計画期間内における実現可能性、これを重視して設定をするものであり、今の三九から四五に上げていくという方向性は今までと変わっておらないというふうに理解をしておりまして、今後、こうした趣旨を国民の各位にしっかりと理解していただくように努めてまいりたいと思っております。
  188. 紙智子

    ○紙智子君 今長く答えていただいたんですが、基本計画案では、前基本計画の検証結果を踏まえてとあります。食料自給率は、この間、四〇%で推移をして、二〇〇八年に四一%だったわけですけれども、二〇〇九年度は四〇%に下がり、二〇一〇年以降は三年間連続して三九%だったわけです。これなぜ、端的にというか、なぜ上げることができなかったんでしょうか。
  189. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 食料自給率目標は、今申し上げましたように、食料・農業・農村基本法に基づきまして基本計画においてその向上を図ることを旨として定めると、こういうふうになっておりまして、この達成に向けた取組を進めてきたところでございますが、カロリーベースの食料自給率、今御指摘あったように、平成十二年計画の策定以降、約四〇%と横ばいでございます。総供給熱量、これが分母になるわけですが、これが減少傾向にあるわけですから、ここだけ見ると有利であるわけでございますが、そういう中でやはり米の消費減に伴って引き続き生産量が減少したということがあるわけでございます。  また、この生産額ベースの食料自給率平成十年度の七〇から平成二十五年度の六五%に下落をしておりまして、これは米の生産量の減少に加えて、加工・業務用野菜における輸入シェアの高まり等によって野菜の国内生産量が減少したことが影響しておるわけでございます。  したがって、この新しい目標、先ほど申し上げましたように、実現可能性というものを重視して、米の消費量について過去の需要トレンド、これを踏まえて消費減少を見込むと、それから加工・業務用野菜の生産基盤の強化を織り込んで食料自給率目標を設定をしたということでございます。
  190. 紙智子

    ○紙智子君 今の説明聞いても、なぜ上げられなかったのかというのがちょっとよく分からないんですね。  それで、その食料自給率を上げられなかった中に、例えば小麦、大豆の生産なんかも含まれると思うんですが、前回の基本計画では小麦、大豆を戦略作物というふうに決めていたと思うんですが、その決めた理由についてどういうことだったか、お答えください。
  191. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 委員から、二十二年基本計画で小麦、大豆につきまして、これを重視して大幅な生産増を見込んだということについての背景ということだろうと思います。  これにつきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、二十二年の食料・農業・農村基本計画におきます食料自給率目標は、我が国の持てる資源を全て投入したときに初めて可能となる高い目標として設定されたわけでございます。この実現のためにやはりカロリーベースの食料自給率への寄与が大きい……
  192. 紙智子

    ○紙智子君 戦略作物に決めた理由。
  193. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) ですから、そのカロリーベースの食料自給率への寄与が大きい小麦、大豆につきましてはそれぞれ、例えば小麦につきましては二毛作によりその作付けを飛躍的に拡大すると、大豆につきましては作付けられていない水田や有効利用が図られていない畑地を有効に活用すると、こういうことで意欲的な生産目標を設定したところでございます。
  194. 紙智子

    ○紙智子君 前回の基本計画で、食料自給率向上に向けて生産面では二毛作により小麦の作付けを飛躍的に拡大すると、米粉用米、飼料用米、大豆等の作付けを大幅拡大をして、技術開発とその普及を通じて単収、品質の向上推進する必要があるというふうになっていたわけですよね。その点で、小麦と大豆がどうなったのかと。  二〇〇八年度の国内生産量と前回の基本計画で示した二〇二〇年度の目標と、加えて二〇一三年度の国内生産量、二〇〇八年度から二〇一三年度の輸入量について説明お願いします。
  195. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 小麦につきましての計画目標と、それから実績でございます。  まず二十二年計画におきましては、平成三十二年度に四十万ヘクタール、それから百八十万トンを目標に設定してございます。しかしながら、実際にこの実績を見ますと、平成二十五年度で見ますと、二十一万ヘクタール、それから生産量が八十一万トンになっているという実態にございます。
  196. 紙智子

    ○紙智子君 それは小麦ですよね。大豆は。
  197. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 大変失礼いたしました。  大豆につきましては、二十二年計画で三十二年度の目標面積が三十万ヘクタール、生産量が六十万トンを目標にいたしました。実績としまして、直近の平成二十五年度が作付面積が十三万ヘクタール、生産量が二十万トンでございます。
  198. 紙智子

    ○紙智子君 作付面積は聞かなかったんですけど。それで、輸入量がどうなったかということも併せてお願いします。小麦、大豆、それぞれ。
  199. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) まず輸入量の実績でございますが、小麦につきましては、平成二十年度が五百十九万トン、平成二十五年度が五百七十四万トンでございます。  続きまして大豆でございます。平成二十年度の輸入量は三百七十一万トン、平成二十五年度の輸入量は二百七十六万トンとなってございます。
  200. 紙智子

    ○紙智子君 何かちょっと数字が、聞いていたのと違う数字を言われたんですけれどもね。要するに、小麦は、二〇〇八年のとき八十八万トンから二〇一三年度になると八十一万トンまで減ったと。大豆は、同年度で、二十六万トンから二十万トンに減ったわけですよね。だから、生産量は増えるんじゃなくて後退したわけです。その一方で、小麦の輸入量は増えていると。政府は、国内生産が増えれば輸入は減ると。つまり、置き換えていくんだというやり取りがありました、当時。  そこでお聞きしますけれども、なぜ国内生産量が減ったんでしょうか。これ、大臣、お答えになりますか。
  201. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 小麦の国内生産量については、今局長から答弁があったとおりでございますが、八十八万トンから八十一万トンと、七万トン減少しておるわけでございます。  食料・農業・農村審議会の企画部会の検証で明らかでございますように、天候不順による不作に加えまして、水田での排水性の向上等の取組が不十分であったということがその要因として分析をされておるところでございます。
  202. 紙智子

    ○紙智子君 前回の基本計画で、克服すべき課題というのがありました。その中で、小麦というのは二毛作の普及と作業効率や排水性の向上を掲げていました。大豆も作業効率や排水性の向上を掲げていた。ところが、二〇〇八年度よりも少しでも生産量が伸びるかといったら、そうではなくて、伸びず後退したわけです。だから、なぜ後退したのかと。小麦は海外の生産量の変動が大きいし、大豆は遺伝子組換えでない大豆の調達が難しくなりつつあると。国内生産量を増やすということは、これは自給率を高める上でも消費者の要望に応える上でも非常に重要なわけです。  今回の基本計画案で、小麦については二〇一三年度の生産量八十一万トンを今度九十一万トンに増やすと書いてあります。それから、大豆については、二十万トンを三十二万トンに増やすと。控えめではあるけれども、生産量を増やす計画になっているということですよね。これ、本当に増やせるのかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  203. 林芳正

    国務大臣林芳正君) これはしっかり取り組んでいきたいと、こういうふうに思います。  小麦は八十一万トンを九十五万トンに、それから大豆は二十万トンを三十二万トンに、それぞれ設定をしてやっていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。  水田活用の直接支払交付金、これが支援としてあるわけでございますが、これに加えて、地域条件に適応した収量性や加工適性に優れた新品種、これをやはり開発、導入をする。それから、先ほどもあったように、水田の排水性向上という課題がございますので、圃場の暗渠整備、それから弾丸暗渠、それから大豆の畝立て栽培等の排水対策ということをしっかりとやっていく。また、連作障害を回避するための、ほかの作物と組み合わせた輪作体系の確立と。こういった取組を進めていきますことによって、小麦、大豆の生産性を向上させ、その本作化、推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  204. 紙智子

    ○紙智子君 農林水産省は食料自給率を上げますというふうに今まで何度も言ってきています。それは誰も異論がないと思うわけですね。しかし、現実的には、戦略を決めて上げていくんだというふうに言うわけだけれども、実際上はできてこなかった。  農業者に対して意欲ある担い手とかやる気ある担い手と、よく意欲とやる気ということを強調されるんですけれども、私は、やっぱり農業者に言う前に農水省の姿勢が問われているというふうに思うんですね。どうして上げられなかったのかということは今まで何度も聞いているんですけれども、本当にその分析がよく分からないわけです。  それで、本当に掘り下げて、例えば輸入との関係ってどうなのかとか、あるいは価格制度の問題ってどうなのかとか、そういうなかなか上げることができなかった要因についてしっかりとやっぱり掘り下げて、それにかみ合った政策を出さなければ、結局、目標としては五〇%から四五%に下げたけれども、結局またそれ以上下がっていくというようなことになりかねないということを思うわけです。  ですから、そのことを考えますと、やっぱりちゃんとした分析とそれにかみ合った対応策を出すべきだということを最後に申し上げまして、今回質問を終わらせていただきたいと思います。また続いて、いろいろな形でやっていきたいと思います。  終わります。
  205. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。  今日は、予算委員会との掛け持ちで中座いたしまして大変申し訳ございませんでした。それから、林農林水産大臣、お帰りなさいませ。  実は、今日は少し花粉症の話についてやりたいと思っておりまして、実は昨日、山田委員長ともこの件はいろんなところでお話をさせていただいた経緯でございますけれども、そんな経緯もあるものですから、今日は大臣の方にもその流れで少しやりたいなと思っています。  今回の大臣の所信表明演説を見させていただいたんですけど、一点大変残念なのは、花粉症対策について書かれておりませんでした。私が最初この委員会へ入ったときに、花粉症を是非一緒にやりましょうということで盛り上がったと思うんですが、まさかお忘れではないでしょうねと。実は、あのときに奥様も花粉症で大変だと。私の妻も花粉症でございまして、実は私の事務所は私以外全員花粉症でございまして、国民の中でも経済的には一兆円から二兆円のマイナスなんじゃないかと、こんな試算もあるような花粉症であります。  林野行政、いわゆる国民の敵にならないように、この花粉症対策問題きちっとやるべきだと思って、今日は少しその辺りを触れていきたいんですが、お手元の方に今日は資料を配らせていただいております。(資料提示)  写真と、実は今日、まさにその花粉症をまき散らす杉、ちなみに、しっかりこれは密封されておりますので安心でございます。最初に回していただきたいと思うので、少花粉杉の方、これも私、実は、この資料にございますが、森林総合研究所の育苗センターの方も行ってまいりましていただいたもの、それから前回大臣の方からもいろいろ教えていただいた、カビ菌を付けると雄しべの方が死滅して花粉が飛ばなくなるというものもしっかり現場見させていただきました。それから、CLT材を研究している国交省の建築研究所というところもまずは出かけて、それぞれ見てきましたので、こんなのをちょっと皆さん眺めながら今日は少し質疑やっていきたいというふうに思っております。  さて、ちょっと順番を変えまして、花粉症の発生源である杉への補助金ということから入っていきたいと思っております。  皆様御存じだと思いますが、林業ですね、林業の造林は六八%もの多くの補助が出ております。これはほかの補助金に比べてもはるかに多い補助率だということで、逆にそれだけ国が力を入れているということでもあるのかもしれません。  ただ、私が一つ申し上げたいのは、これまでいわゆる人工林が非常に増えて杉の山が増えたのでありますが、本来我が国の森の在り方は自然林、広葉樹の国だった。それが五〇年代、六〇年代、高度成長期とともにどんどん切っていった。使ったのは広葉樹でありまして、まきとか、薪炭ですね、それからパルプに使っていったと。  私は、実は、そこで少し欲を出しちゃったのかなと。つまり、一方で建材のために海外から木を買っていたので、じゃ、杉でも植えましょうかということで、将来金になるかもしれないと思って植えてみて、今やっと回収の段に至ったら、なかなかそれは売れない、それから杉は花粉をまき散らすということで不人気なわけでありまして、これまた行政としては何とかしなければいけないと。しかも、その間に国有林野事業使っちゃったお金は、三公社五現業、覚えていらっしゃると思いますけれども、四兆円ものいわゆる負債を抱えてしまったというようなこともあるわけであります。  そんな中で、まず杉への補助金、これ以上本当にやっていくのかどうかということは、実は、ふと考えてみたら疑問に思いまして、いろんな計算をさせていただきました。どういうことかといいいますと、今杉は何本ぐらいあるのかなということで、推計ですけれども、これ、農林水産省さんとけんけんがくがくやりながら、大体一ヘクタール当たり千本で四十四億本、一ヘクタール当たり千五百本取れるとすると五十億本あるという計算になるわけであります。年間、今どれぐらい杉を切って使われているかというと、一千五百万本ぐらいだということなわけでありますから、何と、一千五百万本で最低限四十四億本を推定としますと、二百九十年分もの杉があるということでありまして、ある意味で持ち過ぎというか、天然林を切り過ぎてしまって、造林したのはいいんだけれども、杉ばかり植えちゃって、密林にもなって、こんな花粉まき散らしているんじゃないかなと、こんな問題意識を持っているわけであります。  そういった意味で、例えば、これは大胆な政策転換になるかもしれませんが、六八%のいわゆる補助を出して、これ以上今杉を植える必要は実はあるのかなと。まず、杉はどんどん切っていくということについてはアグリーなんでありますけれども、これ以上積極的にそこに補助を、高いしかも比率を出して植えていくのは、本当に、もしかしたら将来に対して負の遺産を残すことになりかねないんじゃないか。この辺り、大臣の方からまず御所見いただけないでしょうか。
  206. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 先ほども小川委員からも、「日曜討論」でございましたか、そこでの様子についても触れられて、また御質問あったところでございますが、杉は我が国固有の樹種でございまして、成長に優れること、それから造林技術が確立をしているということから、古くから森林所有者等によって選択されてきた主要な造林樹種の一つでございます。また、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止、生物多様性の保全と、いわゆる森林の有する多面的機能の発揮の観点からも重要な樹種であると、こういうふうに考えてございます。  農林水産省では、森林所有者等が行う杉を含めた様々な樹種の植栽に関しまして、森林整備事業により、今御指摘のありました、国と都道府県合わせて実質約七割の補助を措置しております。  杉が花粉の発生源になっている点に関しては、先ほど冒頭に、所信表明に入っていなかったということでございますが、これは入っているかいないかにかかわらず、しっかりとこの対策はやっていきたいと思っておるところでございます。少花粉杉等の花粉症対策苗木、今日は何か持ってきていただいたということですが、こういう植え替え、それから杉伐採後の広葉樹の導入など、花粉発生源対策の推進を通じて多様な森林整備、これはしっかりと進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  207. 山田太郎

    山田太郎君 今日は環境副大臣にも来ていただいております。どちらかというと、農林水産省生産者側に立つ傾向もあるかと思いますので、国民の健康、環境保全という観点からいったとき、この花粉症の発生源に対する対応、例えば環境省なんかはどのように考えて対処されているんでしょうか。
  208. 北村茂男

    ○副大臣(北村茂男君) 環境省における花粉症対策の取組でありますが、花粉の飛散に関する国民への情報提供等の観点から花粉症の対策に取り組んでいるというのが我が省の対応策でございます。  具体的には、杉、ヒノキ花粉の総飛散量や飛散開始時期等の予測、また花粉観測システム、通称はなこさんと言っているんですが、を用いたリアルタイムの飛散情報の提供、また、これらの情報を用いて適切な対応を促すため、花粉症への対処法などを分かりやすく解説する花粉症環境保健マニュアルの発行等の取組を進めているところでありまして、今後とも関係府省と連携をして積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。
  209. 山田太郎

    山田太郎君 私は、何も杉を、何というんですかね、無造作に簡単に全部切って替えてしまえということよりも、やっぱり広葉樹というのをもう一回見直すべきなんじゃないかなと、こんなふうに思っているわけですね。今大臣の方から治山治水という観点からもお話あったんですが、広葉樹、十分に大きく根を張りますので、そういう意味ではいわゆる挿し木でもって、なかなか弱い、縦に生える杉よりも、広葉樹優れているんじゃないかなという論点もあるかと思っています。  あと、もう一つ大切なことは、これ実は鳥獣被害にもつながるんじゃないかなという考え方も持っております。考えてみれば、広葉樹、ドングリができますし、芽もあって、いわゆる鳥獣たちはこれを食べるわけであります。もしかしたら、これは多分原因はなかなか難しい、因果関係は難しいのかもしれませんが、これだけ人工林で針葉樹になって、それで針葉樹の場合はきちっと増植し、かつ間伐もやり、道路も建てりゃ、それは動物も里山に出てくるでしょう。  それで、私、もう一方でどれぐらい鳥獣がこれによって処分されているか調べてみたんですが、改めて、なかなか農林水産委員会では鳥獣は対策ということで敵視される面もあるんですが、別の観点から少し見てみますと、イノシシが四十二万頭、鹿が四十六万頭、何とお猿さんが二・五万頭殺されているということで、かわいそうといっちゃかわいそうで、彼ら元々野生でございましたのでというところもあるわけであります。鳥獣被害は年間で二百億円、これに対する国の対策費は百十億円ということでありまして、関連三百億円以上の金も掛かっていると。  その原因は、もしかしたら広葉樹のまさにトトロが住む森を壊してしまった我々人間にも原因があるんではないか。そう考えると、やっぱり天然に戻す。広葉樹は家具としては非常に高級な素材でありますし、針葉樹よりも高く売れるということもありますので、是非そういうふうに広葉樹を積極的に考えていくということを少し農水省としては捉えられないのかどうか。その辺りも、大臣、御所見いただけないでしょうか。
  210. 林芳正

    国務大臣林芳正君) ドングリと鳥獣被害の関係についてはちょっと初めて今お聞きして、なるほどそういうことがあるのかなと、今初めて聞きましたので少しこれは研究の余地があろうかと、こういうふうに思いますが、私が聞いた話では、足りなくなった原因は何かは別として、一度農作物に来た動物は、大変においしくて養分もたくさんあるものですから、もうその元がドングリがあろうがなかろうが一度味をしめてもらったものは元に戻れないんだというお話も一方で聞いたことがございまして、まるで人類史における弥生時代になってしまったのかなと、こういうようなことを考えたことがございますが。  それはさておきまして、今、杉人工林資源の多くが利用段階に達しております。したがって、伐採、再造林によって循環利用のサイクルを確立するということで多面的機能の発揮はもちろんですが、林業成長産業化を通じて山村等の振興、これを図っていくことが大事であると思っておりますが、この伐採後でございますけれども、花粉発生源対策の観点から、今後とも林業経営が可能な場所については少花粉杉等の花粉症対策苗木による植え替え、これを積極的に進めるという一方で、条件不利地等においては広葉樹の導入等も進めていかなければならないと、こういうふうに考えておるところでございます。
  211. 山田太郎

    山田太郎君 私も実はそう思って、まさに写真、それから回して見ていただいたこの少花粉杉とか無花粉杉、期待して行ったわけでありますが、考えてみれば、実は千五百万本切っているうち、大体二百万本ぐらいしか今できていない。研究所によれば、これを全部切り替えちゃった場合に種の全体の保存としてもつのかどうか、いろんな疑問もあってなかなかそこまで踏み込めない。それ以上に、やっぱり予算も実は少花粉杉、無花粉杉については一億円ぐらいしか予算もないものですから、これではなかなか増えないということ。  もっと言っちゃうと、先ほど申し上げたように、推計ではありますが四十四億本の杉をこの調子で切っても二、三百年掛かっちゃうということでは、確かに二、三百年後の子孫のためにやるというのも大事なんですが、これはもうこれ以上杉を植えるというよりも広葉樹交ぜていく、できれば広葉樹を積極的に植えていくということの方が、その部分は現実的。ただ、大事なことは、少花粉杉、無花粉杉をつくってもこの花粉病の対策にはなりませんので、やっぱり確かにお金も掛けてつくっちゃった杉の林ですから、これは切って使っていくということは確かにそのとおりなんじゃないかなと。  ただ、そうなってくると、この委員会でもさんざん議論になりましたが、CLTを使っていくという話になりまして、写真も見ていただきたいんですが、CLTも、しっかり独立行政法人の建築研究所というのに行ってまいったんですが、行ってちょっと残念だったという話を少ししなければいけないのは、まだ三階建てまでしかできないということなんですね。これをやっぱり十階までやらないとツーバイフォーには勝てない。こういうことがありますので、基準とそれから研究を急がなければならない。海外で十階建ての建物ができて、基礎材としてできているんだから日本はいいじゃないかと言ったらば、日本日本の基準や環境の問題があるということで、どうも国交省さんの方は、言い方は悪いんですけど、のんびりと研究をされているのかなと。  ちょっとこの写真を見ていただきたいんですが、下二つなんですけれども、いろんな実験をされておりまして、ある圧力を掛けたらどれぐらいで破損するのかなんというのが下の真ん中の写真ですし、もう一つCLT材の最大の問題は火事に弱いというところだということが分かってきまして、縦型の火に対して柱が十センチも残らないとそのまま崩れ落ちてしまいますので、結局、断熱石こうボードを入れないともたないということになってくると。そうすると木の風合いができないので、じゃ何でCLTなんだということにもなりかねないということで、いろんな問題がやっぱり現場にあって、そう簡単に、CLTにすればいわゆる杉がどんどん使われて日本の建築材が使われるというものでもないんだなということを改めて感じたというか、知ったところであります。  とはいうものの、杉、何とか使わにゃいかぬということではありますが、こういった現状を踏まえて、もう一度、どうすればいいのかなという辺り、大臣の方に御所見をいただけないでしょうかね。
  212. 林芳正

    国務大臣林芳正君) いろんなところに行っていただいて、特に委員におかれましては、花粉症であられるにもかかわらず、杉の近くまで……
  213. 山田太郎

    山田太郎君 僕は違います。うちの家内です。
  214. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 奥様が花粉症だということですね。ありがとうございます。  CLTは、まさにこの林業成長産業化にとっては大変に大事でございまして、今御指摘いただいたように、ヨーロッパにおいても中高層の建築物の構造材で使われております。国交省においても、今年二月ですが、五階建ての実寸大のCLTの建築物を使った振動実験を行っていただくなど、中高層建築物への利用に向けた取組が進められております。  平成二十八年度早期にCLTの一般的な建築基準の策定に向けて、昨年の十一月に国交省との間で共同でロードマップを公表しておりまして、ここでCLTの強度等に関するデータ収集、施工ノウハウの蓄積のための実証的な建築事例の積み重ね、国産材CLT生産ラインの整備等を計画的かつ総合的に推進しておりまして、国交省と緊密に連携をして、今まさに利用期を迎えているということでございますので、国産材をしっかりと使っていきたいと、こういうふうに思っております。
  215. 山田太郎

    山田太郎君 これには国交省サイドのCLTに関する研究それから許認可の加速化ということが必要になってくると思いますが、今日、国交副大臣、来ていただいていますよね。是非、その辺り、いかがでしょうか。
  216. うえの賢一郎

    大臣政務官うえの賢一郎君) 精力的に研究所の方も御視察をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。  今、林大臣の方からお話のあったこと、そのとおりでございますが、私どもといたしましては、平成二十五年度から三か年計画で地震あるいは火災に対する安全性を検証する実験等を行っております。平成二十八年度の早期を目途に、今具体的な建築基準の策定を行うこととしておりまして、この結果、CLTを利用して中層の建築物が通常の建築確認により建てられるようにしてまいりたいと思います。  当面は三階から四階ということが視野に入っておりますが、将来的には五階から七階まで程度を視野に入れて、今後とも精力的な研究開発というものを進めてまいりたいと思います。  委員指摘のとおり、我が国は豊富な森林資源を有しているわけでございまして、このCLTの利活用というのが大変それに対しても有効だと考えておりますので、精力的な研究あるいは基準の策定等に取り組んでまいりたいと考えております。
  217. 山田太郎

    山田太郎君 国交省におかれては、要は十階を目指していかないと、いわゆるSPFですよね、松とかモミのツーバイフォー材に勝てないので、本当にCLTをやろうということであれば、これは農水省さん、国交省さんセットになって是非お願いしたいと思います。  さて、花粉病撲滅というか対策は、実は花粉が飛散しないということと、花粉症そのものを治していくということもありまして、これも前回大臣に教えていただいた花粉症を緩和する米、これは農水省の方でも農業生物資源研究所で作られていて、実際できているということなんであります。写真は右上、済みません、私も写り込んじゃっているんですけれども、こんな感じで、見たからに普通の米であります。もらってこようと思ったら、まだ治験等が駄目だということで、一切出せないということでもらってこれなかったんですけれども。  これ、ただ、実際にやっていこうとしますと、厚労省さん側の問題というのが出てきます。これは薬として捉えられれば治験が必要で、もう治験に入っちゃうと多分十年間で百億以上のお金が掛かると。できれば機能性食品で出せないかなということなんでありますが、ただ、遺伝子組換え等、もちろん薬の、中は組み換えていますので、そういった論点なんかもあります。でも、ここまで深刻な問題になっているんであれば、せっかく農水省の研究所でやっているものですから、厚労省の方も見に行っていただいて、私は機能性食品で一日も早くこういったものを出していただけないものかなと、こんなふうに思っておりますが。  治験をするにせよ、機能性食品で出すにせよ、厚労省の方が重要なポイントになりますので、この辺り、厚労副大臣、いかがでしょうか。
  218. 永岡桂子

    ○副大臣(永岡桂子君) 先生から厚生労働省におけます花粉症対策、この御質問をいただいたと思っております。  厚生労働省は、花粉症対策につきましてはアレルギー対策の一環といたしまして対応を行っているところでございます。平成二十三年の八月に厚生科学審議会の疾病対策部会、これはリウマチ・アレルギー対策委員会におきまして取りまとめられた報告書に基づき対策を講じているところでございます。  具体的に申し上げますと、医療の提供などの確保、そして情報提供、相談体制の確保、研究開発などの推進を柱といたしまして、診察ガイドラインの普及でありますとか、都道府県などの保健福祉医療関係者に対する研修会の開催、花粉症の病態解明、また治療法の研究開発などを行っております。  また、昨年、平成二十六年六月には、アレルギー疾患対策の基本法が成立したところでございまして、厚生労働省では今年十二月の法律の施行に向けまして、農林水産省などの関係省庁との連携の上で、この法律に基づく基本方針の作成など法律の施行準備を進めているところでございます。
  219. 山田太郎

    山田太郎君 いずれにしても、加速化してください。この春を過ぎちゃうとまた一年忘れちゃうようなことでもありますが、もう本当に多くの国民の人たちは悩んでいるところだと思いますので、お願いしたいなというふうに思っています。  さて、この杉というか、その背景にある国有林野事業についてもちょっと触れていきたいと思っております。  先ほど冒頭に少しお話しましたが、御案内のとおり、国有林野事業、頑張ってやってみたものの、大変な赤字をつくってしまいまして、四兆円。平成十年に改革がありまして、二・八兆円は国が一般会計の方で引き取ると、つまり国債となって将来の借金に組み込まれちゃったわけでありますが、今でも何とか平成六十年までに杉を切って返していこうと、こういう計画があるそうでございまして、一・二兆のまだ借金が国有林野事業の方にどうしても残っているということであります。  平成十年のときに一・二兆円だったんですが、さらにまた平成十六年のこの間に二千三百億円が借金で増えちゃいまして、また、平成二十五年に債務特会の方に継承されるということをここの委員会でも議論したということは皆さん御記憶にあるところかなと思っております。  私は、いろいろ過去やった、いい悪いと言っていてももう仕方がないので、今後未来に向けてこの林野事業をどうしていくのかというのはこの委員会にとっても極めて重要なことだと思っておりますが、何が問題かというと、まだ今年度においても、例えば八十億円もの金利を生んじゃうんですね、いわゆる一・二兆円もの借金がたまっておりますので。そういった意味で、本当にこれそのまま放置していていいのかなと。  実は、杉のやっぱり林野事業って、残念ながらもうからないといえばもうからない。数字をいろいろ集めてきたんですが、大体、杉は一本〇・五立米というふうに考えますと、千五百円程度が山元の価格だということなんでありますが、実はそれを工務店まで運ぶのに、伐採運賃、平たん地で三千百五十円、製材が一立米当たり一万円、工務店までの運搬が二千円ということで、一万五千円。一本十倍のお金が途中で掛かっちゃう。これは傾斜地になっちゃうともっと掛かって二万円以上だということでありまして、これ以外、御案内のとおり、国有林を維持するために、毎年国有林の部分だけで五百億円ぐらいのいわゆる間伐のお金も掛けているということでありまして、足していくと、実は借金の金利ばかりではなくて、まだまだ残念ながら赤字をずっと垂れ流している状態にあるということであります。  そんな中で、これは林大臣にお伺いしたいんですけれども、本当に平成六十年までにこんな状況で返済できる見込みがあるのかどうか。ないのであれば、私はもう一気に処理してしまって、林野事業は新たな段階に入った方がいいんじゃないかなというのが一点と、毎年、金利がすごい安いんですけれども、八十億円、もしかしたら金利が上がればもっと百億円に近づいていくようなこの林野事業、このまま本当に支え続けていくべきなのかどうか、この辺りもお話しいただけないでしょうか。
  220. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 現在の債務返済スキームでございますが、今委員からも御指摘があったように、平成十年に抜本的改革ということで、債務の更なる増加を防止しようということで、累積債務の利子支払分を一般会計で負担することにしたほか、国有林の森林整備等が事業収入の動向に左右されることなく計画的に行えるように、森林整備事業予算等一般会計で措置することといたしました。  国有林野の管理経営に当たっては、今お話がありましたように、国民負担の下に運営しているということを十二分に自覚して、一方でこの国有林野の有する公益的機能というものがあるわけですから、これを十全に発揮させるというのがそもそも大事なことだと思いますので、そのための森林整備等万全を期すということと債務返済を着実に進めるということで責任を果たしてまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  221. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、国有林野事業の中身についてまたこれいろいろ調べてみたんですが、当初は「WOOD JOB!」なんて言って、私も大変に関心もあってちょっとプラスな側面も見ていたんですけれども、実は、ここの国有林野事業に関わる職員の数は八百八十五名なんですが、人件費九十億と。単純に割り算すると、きこりの年収は一千万円ということなんですね。本当に、民間のレベルのきこりはどれぐらいのお金なのかということを調べてみましたら、皆さんの給料は三百万から四百万行かないということでございまして、倍以上の給料が民間と公務員との間で開きがあると。これも何か非常にゆがんでいるなというふうに思っておりまして、何か国有林野事業を守るべくして守っているんではないかなと。  当初の林大臣お話にあった、一度決めたことは変えぬということではないという大変力強い林大臣ですから、私は、この林野事業が国民のための事業になるために、この辺り、いっそのこと一年ぐらい掛けてきちっと見直して、花粉も出さないようにして、回っていくような事業に、あるいは、私自身は、いっそのこともう国有林野事業はこの段で処理していくと、林大臣だからこそこの段でできるんじゃないかなというふうにも思っておりますので、その辺り、大臣いかがでしょうか。
  222. 林芳正

    国務大臣林芳正君) 常に節減できる経費はしていくという姿勢で臨んでいきたいと思いますが、平成十年に至る経緯を見ますと、平成九年に林政審議会というところで報告書が出てございますが、まず昭和三十年代に森林の成長量を上回る伐採、これを長期間にわたって実行しておったときがありまして、このときは一時的に黒字になっておりまして、実はそのときの黒字を一般会計に繰入れをしているということがございました。  昭和三十年代の事業規模の拡大によって増大した国有林の要員規模が、この後、伐採量が減少しますので、これに見合った適正な規模に本当は縮小すべきだったんですが、これができなかったということ、そして、四十年代半ば以降は、貿易の自由化、円高基調で今度は外材が入ってくるということに加えて、環境保全への要請に配慮して抑制的に伐採したと、これで収入が減っちゃったと、こういうことでいろいろなことが重なったということから、借金が膨らむと利払いが膨らんだと、こういうことがございます。  職員数も、実は昭和三十九年に八万九千人いらっしゃったわけですが、平成九年の時点で一万五千人ということになっています。昭和五十七年には四百七十四億円だったものが、平成九年には千七百九十二億円と、これは利払い費でございますが。それから、この売上げの杉の丸太ですが、立米当たり三万九千円だったものが、昭和五十五年ですが、平成九年、二万一千円ということでございます。  したがって、いろんなことが絡んで平成十年ございましたので、そこで一回大きな改革をやってここに至っておりますので、そのときの精神を忘れずにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  223. 山田太郎

    山田太郎君 日本の森は七十兆円ぐらいの資産価値があるとよく言われます。これが気付いてみたら負の遺産だったということにならないように、是非行政も、林野事業をしっかり我々も一緒に議論してやらせていただければと思っています。  本日はどうもありがとうございました。
  224. 山田俊男

    委員長山田俊男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十一分散会