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2015-06-02 第189回国会 参議院 内閣委員会、財政金融委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    内閣委員会     委員長         大島九州男君     理 事                 石井 準一君                 上月 良祐君                 藤本 祐司君                 山下 芳生君     委 員                 上野 通子君                 岡田 直樹君                 岡田  広君                 岸  宏一君                 山東 昭子君                 堀井  巌君                 松下 新平君                 山崎  力君                 相原久美子君                 芝  博一君                 那谷屋正義君                 若松 謙維君                 井上 義行君                 江口 克彦君                 山本 太郎君    財政金融委員会     委員長         古川 俊治君     理 事                 愛知 治郎君                 若林 健太君                 大久保 勉君                 西田 実仁君     委 員                 石田 昌宏君                 大家 敏志君                 伊達 忠一君                 塚田 一郎君                 長峯  誠君                 西田 昌司君                 森 まさこ君                 山本 一太君                 礒崎 哲史君                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 風間 直樹君                 前川 清成君                 竹谷とし子君                 川田 龍平君                 藤巻 健史君                 大門実紀史君                 中山 恭子君                 中西 健治君    国務大臣        国務大臣     山口 俊一君    大臣政務官        財務大臣政務官  大家 敏志君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       向井 治紀君        内閣大臣官房        政府広報室長   別府 充彦君        特定個人情報保        護委員会事務局        長        其田 真理君        金融庁総務企画        局総括審議官   三井 秀範君        金融庁監督局長  森  信親君        消費者庁審議官  服部 高明君        総務大臣官房審        議官       時澤  忠君        総務省総合通信        基盤局電気通信        事業部長     吉田 眞人君        財務省主税局長  佐藤 慎一君        国税庁課税部長  藤田 博一君        厚生労働大臣官        房年金管理審議        官        樽見 英樹君        厚生労働大臣官        房審議官     福本 浩樹君        厚生労働大臣官        房審議官     吉田  学君        厚生労働省政策        統括官      今別府敏雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○個人情報保護に関する法律及び行政手続にお  ける特定個人を識別するための番号利用等  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────    〔内閣委員長大島九州男委員長席に着く〕
  2. 大島九州男

    委員長大島九州男君) これより内閣委員会財政金融委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  個人情報保護に関する法律及び行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料により御了承願い、その聴取は省略いたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 大久保勉

    大久保勉君 民主党の大久保勉です。  本日は連合審査ということで、特に最初はマイナンバーに関して質問したいと思います。  昨日、個人情報漏れ、それも政府機関より流出しました。この問題に関して質問したいと思いますが、報道によりますと、日本年金機構から百二十五万件の個人情報が出たということです。そのうち五十五万件に関してはパスワードがなかった、いわゆる内規違反ということです。  厚生労働省質問したいんですが、職員教育というのはしっかりやっていたのかということです。どんなにすばらしいシステムがあったとしても、教育がなされていなかったら全く意味がありません。ちゃんとした教育はしていたのか、このことに関して質問します。
  4. 樽見英樹

    政府参考人樽見英樹君) お答え申し上げます。  この度の個人情報流出ということにつきまして、日本年金機構で起きてしまったということで、私ども監督官庁としても、まずおわびを申し上げなきゃいかぬというふうに思っております。  今回のことについて、日本年金機構職員に対して送付されたウイルスメール機構職員が開封してしまったことによって不正アクセスが行われて、日本年金機構LANシステムに保存されていた個人情報流出したということでございます。  職員への教育ということで、私どもとしても、機構の方で今確認をしていただいていますが、一応の職員への教育あるいは研修、通知といったものについてはやっていたと思いますけれども、結果的に不十分だったということだろうと思いますので、その辺について今調査をしているところでございますが、そういう状況精査をしまして、再発防止ということに万全を尽くしていきたいというふうに考えているところでございます。
  5. 大久保勉

    大久保勉君 私は今回は人災だと思っておりますからその観点から質問しますが、特に極めて重要な問題、個人情報としましては、五万二千件の個人情報、これは年金番号名前住所誕生日、いわゆる四点セットになっています。これが外部流出したということです。  この五万二千件、ちゃんとパスワードは掛かっていたか、イエスかノーで言ってください。
  6. 樽見英樹

    政府参考人樽見英樹君) 事実をお答え申し上げますが、パスワードは設定されておりませんでした。
  7. 大久保勉

    大久保勉君 五万二千件が誰でも見れる可能性がある状態流出したということです。これは極めて大きいことです。今日、個人情報保護制度に関する議論をしますが、まず基本的なことを国がやっていないということなんです。ここに関しては大変大きな問題だと思います。  あとは、ウイルスメールを開いたということなんですが、もう一つ、そのウイルスが入ってきて、いろんなデータ外部流出する、百二十五万件ということですから相当大きいファイルが外に流出したと思うんです。通常でしたら、一定以上のファイル外部流出する、データ流出する場合には、何らかの形でストップが掛かるはずですが、そういった施策はなされていたんですか。
  8. 樽見英樹

    政府参考人樽見英樹君) 結果的に出てしまっておるということでございますが、ちょっとその辺についても現在精査をしているところでございます。
  9. 大久保勉

    大久保勉君 精査はいつまでに行われますか。
  10. 樽見英樹

    政府参考人樽見英樹君) 恐縮でございますが、いつまでにということをはっきりと申し上げられませんが、できるだけ早くと、そういう気持ちは全く私どもとしても共有しておりまして、年金機構に対して、それから私どもとしても、できるだけ早く真相を究明したいというふうに考えて取り組んでおります。
  11. 大久保勉

    大久保勉君 山口大臣の方に質問したいんですが、大臣、よろしいでしょうか。  ここで明らかになったのは、いわゆる五万二千件のデータパスワードなしに流出したと。具体的には、名前住所誕生日です。こういった実態があるということです。恐らく、たしか大臣ナショナルサイバーセキュリティセンターも統括されておりますから、結局どんないい通達を出したとしても末端では全く守られていないと、こういった実態に関して、さらに、先ほど申し上げましたが、いろんなデータ外部流出すると、その実態に関して、いつまでに精査できるか分からないと、こういう状況であります。かなりずさんであると思うんです。  このことに関して大臣としてどう思っているか、御所見を聞きたいと思います。
  12. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) ただいま御指摘の、この日本年金機構におきまして、いわゆるサイバー攻撃で百二十五万件に及ぶ個人情報流出をしたと。しかも、お話がありましたように、うち五万幾らパスワードもなかったというふうな話で、もう極めて遺憾であると思っております。  これ、日本年金機構を所管をしております厚生労働省、これが中心になって、様々な可能性を考慮しながら、情報流出実態把握、これをもう徹底して行っていただくとともに、政府としても、個人情報保護というふうな観点からも、流出した皆様方に御迷惑を掛けないように万全の対応、問題の検証及び再発防止に取り組んでいきたい。  また、新たなサイバーセキュリティ戦略の策定に向けた実は作業を進めておるさなかでの今回の事案でありますので、これ大変重く受け止めまして、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター、ここにおきまして、厚生労働省年金機構が行う調査支援をするために、情報セキュリティ緊急支援チーム、これを派遣をいたしました。原因究明調査チームを設置をして客観的、専門的立場から原因究明実施をいたしたい。これは基本法に基づきまして、厚生労働大臣に対して本事案に関する資料提供、これを求めました。  同時に、調査結果を踏まえて勧告を行うというふうなことも検討いたしておりますが、杉田官房長官の下にサイバーセキュリティ推進対策会議、これも開催をいたしまして、システム点検個人情報適正管理を指示をいたしておるところでございまして、引き続いて、政府全体としてサイバーセキュリティー対策に万全を尽くしていきたいと思っておりますが、御指摘のとおり、かなり人的な部分があるのではないかということで、重ねて申し上げますが、大変遺憾に思っておるところでございます。
  13. 大久保勉

    大久保勉君 大臣の方から話がありましたが、もう少し厳密に言いますと、百二十五万件の情報流出しています。そのうちパスワードがないのは五十五万件です。さらに、最も重要な情報であります四点の情報漏れたものに関してパスワードが掛かっていないということです。これ深刻に受け止めてほしいです。  さらに、杉田官房長官の下で審議会を行うというのはもう何度も何度も本会議若しくは予算委員会で聞きましたが、機能していないんじゃないですか。結局、内閣官房の方で決めたとしても、実質的な権限は各役所の方にあるということです。  例えば、厚生労働省審議会個人情報保護に関して評価をしています。評価は五段階評価で下から二番目、Cにとどまっています。結局は、教育もなされていない、組織的に問題があるというのは分かっているんですが、誰も実施していないということです。民間企業でしたら、やはり内閣官房の方で強制的に検査をして、予算付けをして、場合によっては担当者が自覚がなかったら首にして、強力な権限で変えていくと。こういったことをしないと、恐らくはサイバーの世界ではちゃんとした防備ができないんじゃないかと思います。このことに関してもう少し踏み込んだ答弁を求めたいと思います。  特にナショナルサイバーセキュリティセンター予算権限、人、この辺りに関してはもっと抜本的に増やしていく必要があると思いますが、いかがでしょう。
  14. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 御指摘のとおりであろうと思います。  ある意味では、今回、イロハのイの話だという印象を受けておるわけですが、実はNISCにおいても、先般来、いわゆるペネトレーションテスト、各府省に関していろいろとやらせていただいておりますが、まだ独法等々に関しては対策ができておらなかったというふうなこともあるわけでありますが、そのためにも、御指摘いただきましたように、やはり優秀な人材をいかに集めるかと、非常に大事な話でございますので、また、このシステムを動かしていくための予算も、実はかつては補正予算等でいただきながらやってきたということはあるんですが、しっかりと来年度予算に向けて、私どもも全力で予算獲得あるいは優秀な人材の確保に向けて努力をしていきたいと思います。
  15. 大久保勉

    大久保勉君 そこはしっかりやってほしいと思います。  今日は連合審査ということで次に参りたいと思いますが、金融庁質問したいと思います。  今回の法案改正に関しましては、マイナンバー銀行口座付番するということです。日本金融界で問題になっていますのは、マネロン対策が不十分じゃないかと海外から強い批判があります。本人確認がうまくなされていないということです。  今回のマイナンバー銀行口座への付番は、マネーロンダリング対策上私は大きな効果があると思いますが、金融庁はどういうふうな御意見ですか、質問します。
  16. 三井秀範

    政府参考人三井秀範君) お答え申し上げます。  現行マイナンバー法及び今回の改正法案におきましては、マイナンバーマネーロンダリングなどの犯罪対策犯罪捜査などに利用することは認められておりませんので、あくまで仮定お話ということになりますが、一般論として申し上げますと、マイナンバーを用いた名寄せの効率化、あるいは口座特定といった面で一定効果が期待できると、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、マイナンバー制度利用範囲の拡大につきましては、マネーロンダリング対策での活用の点も含めまして、今後もマイナンバー制度施行状況あるいは国民の声などを含めて総合的に検討をされるべき課題、問題であるとされておるところでございまして、当庁といたしましても、関係省庁における検討に十分に協力してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  17. 大久保勉

    大久保勉君 三井さんの答弁、いつも長い割には肝腎なところが踏み込みが足りないと思います。どうして仮定質問なんですか。マネーロンダリング、脱税というのはマイナンバーに関係あるんじゃないですか。だから、しっかりと金融庁の方はその点も考えてほしいと思います。  今回は、残念なことは、付番に関しましては強制じゃありません、任意ということです。これが私は問題だと思います。本来でしたら強制にすべきだったのになされていないと。この点に関して申し上げたいと思いますが、今回、銀行で新しく口座を開く場合にマイナンバーの提示を求められます。マイナンバーを出したくないということも可能ですが、銀行としてはそのときどういう対応をするのかということです。たしか全銀協と話をして、その場合だったら、いわゆる個別の銀行判断はさせずに、いわゆる口座をもうしなくてもいいと、こういったことを内々話をしているんじゃないかといううわさもあります。私はそれは厳に慎むべきだと思います。  個別の金融機関がやはりしっかりとマネロン対策をするんだったら、マイナンバーを提示されなかったら銀行口座は開くべきじゃないと。経営判断で行うべきです。そういった余地は残っているのか、そのことに対して金融庁質問します。
  18. 三井秀範

    政府参考人三井秀範君) お答え申し上げます。  マイナンバー告知を受けた場合に、預金者情報マイナンバーによって検索できる状態管理しなければならないと、このように法律上定められている、この案では定められているということでございます。  他方、先生御指摘のとおり、告知義務は今回は定められておりませんので、あくまで口座開設に応じないということについては個別の事情を踏まえた金融機関経営判断に委ねられているという御指摘のとおりでございます。
  19. 大久保勉

    大久保勉君 確認しますが、マイナンバーを提示しなかった、だから銀行経営判断として口座は開設しないということでいいんですよね。それは推奨してくれますか、逆に。
  20. 三井秀範

    政府参考人三井秀範君) あくまで個別事情を総合勘案して、銀行としての経営判断として行われるべきものであると考えております。
  21. 大久保勉

    大久保勉君 じゃ、もしマイナンバーを提示しなくて銀行口座開設に応じる、この金融機関は、金融庁としてはマネーロンダリング対策が甘い金融機関と認定しますか。
  22. 三井秀範

    政府参考人三井秀範君) あくまで、マネーロンダリング対策、あるいは疑わしい取引をしているかどうかというのは、取引をめぐる諸事情を総合的に勘案して判断されるべきものでありますので、マイナンバーを提示しないことをもってのみをして不適切だというふうに金融庁が一律に判断するというのは必ずしもこの法律趣旨に沿ってはいないと思いますが、いずれにしろ総合判断をする必要があろうかと思います。
  23. 大久保勉

    大久保勉君 この法律にはのっとっていないですが、金融行政として、世界的にマネロンに対してはしっかりとチェックしろということですから、金融庁は独自の判断をすべきだと思います。ここに関しては、今後、財金委員会でしっかりと議論したいと思います。  次に、証券決済であります保振、証券保有機構というのがあります。こちらに関してマイナンバーを使用すべき、若しくはマイナンバーを使うことによって相当業務上の効率が上がってくると思いますが、この点に関して質問したいと思います。
  24. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  現行マイナンバー法におきましては、証券会社株式等発行者税務署長に提出する法定調書に記載するために必要な顧客株主等マイナンバーにつきまして、証券会社において取得の上、証券保管振替機構において管理、保管し、現に法定調書の記載が必要になったときに、証券保管振替機構から証券会社株式等発行者マイナンバーを提供できるように手当てしているところでございます。  他方証券会社証券保管振替機構において、顧客マイナンバー法定調書に記載する目的以外で利用することが禁じられていることから、証券業界中心に、法令に基づく証券分野での業務にも利用できるようにしてほしいとの要望があることは承知しております。  今後、制度運用実態等も踏まえながら、証券分野でのマイナンバーの公的な利活用についても検討してまいりたいと考えております。
  25. 大久保勉

    大久保勉君 ここは是非前向きにお願いしたいと思います。証券口座というのは、税金の支払等がありますから、全てマイナンバー付番されると聞いております。ですから、それを使った決済に関しても当然使うことが可能になるべきだと思います。検討をよろしくお願いしたいと思います。  次に、総務省に対して質問したいんですが、先日、私の代表質問におきまして、マイナポータルの二〇一七年七月の同時実施に関して非常に懸念があるんじゃないかという質問に対して、高市総務大臣は、地方自治体システム整備等を行うに当たっての必要な情報提供財政的支援などに取り組んでおりますということで、しっかりやりますということなんです。  しっかりやるといっても、実際予算を付けるだけではなかなか難しくて、先ほどの厚生労働省の問題もありますが、ちゃんとしたITが分かるような人材を入れ込んでいく等、いろんな支援が必要です。さらに、具体的な予算措置に関してももっと細かい施策を決めていく必要がありますから、まずこれに関して質問したいと思います。  例えば、平成二十七年の財政措置幾ら財政措置をしたのか。また、総務省職員は何人地方自治体の方に派遣しているか。このマイナポータルのために何人派遣しているのか。来年度以降もっと増やす可能性があるか。この点に関して質問したいと思います。
  26. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お答え申し上げます。  平成二十九年七月から開始されます国と地方の間での情報連携の開始に向けまして、各地方団体におかれましては、現在、住民基本台帳ネットワークシステムあるいは税務システム等システム改修準備を進めているところでございます。この関係システム整備に当たりまして、総務省といたしましては、システムエンジニアリング等IT専門家を雇用して改修等実施する経費について、国庫補助により地方公共団体の取組を支援しております。平成二十七年度は約百二十一億円を措置、二十六年度分と合わせますと総額約八百四十一億円となるものでございます。  この地方公共団体システム整備につきまして、総務省職員を派遣しているということはございませんけれども、円滑なシステム改修が行えるように、総務省といたしまして、国や地方公共団体担当職員情報共有を図るサイトがございます。このサイトに、よくある技術的な問合せに対する回答あるいは地方優良事例の紹介を行っておりますし、また、サポートデスクというのを開設しておりまして、地方公共団体システム整備に係る技術的な問合せ対応いたしているところでございます。  さらに、四十七都道府県に出向きまして、全市町村参加説明会を開催するなど行っておりまして、引き続き、地方公共団体一つ一つに行き渡るきめ細やかな支援に努めてまいり、二十九年七月からの情報連携実施に向けて万全を期してまいりたいと考えております。
  27. 大久保勉

    大久保勉君 是非その点は頑張って実施してほしいと思います。  マイナンバーに関して、もし情報漏れがあるとしたら、若しくはサイバー攻撃がなされるとしましたら、恐らく地方自治体とか、一番脆弱性があるところに攻撃が掛かる可能性がありますから、そこを万全に対策していくという必要があると思います。今回のプロジェクト日本において最大のITプロジェクトだと思いますから、念には念を入れて準備、そして教育をしてほしいと思います。  続きまして、個人情報保護法関連に関して質問したいと思います。  これもさきの代表質問に関して答弁をいただいたものなんですが、実は一つ、おやっと思ったものがありました。今回の個人情報保護法対象というのは個人情報であって、例えば企業所属員情報を持っています、それを匿名加工データとして、企業がどういうことを考えているのかとか、若しくは、例えば政党がどういうことを考えているのかと、こういったことに関しては保護対象外ということなんです。  ここは大きな問題を生み出すのかなということで、例示をしましょうか、例えば全国大学入試模擬試験があるとします、全国一律の。高校が全部そこに応募したと。その中の一人一人の成績に関しては当然個人情報として出せないと。ところが、この業者か若しくはその業者から委託を受けた会社の方が、匿名加工情報にしたいということでそれを使っていわゆる正規分布、若しくは各都道府県成績を公表すると、ここまでも可能なんですが、更に深読みしましたら、高校別成績平均点正規分布、各科目の点数まで明らかにできます。これは匿名加工情報です。これに対して何らこの個人情報保護法では防止できないということです。  ここに関して、山口担当大臣の方に質問したいと思います。
  28. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) お答えをさせていただきます。  御指摘のこの匿名加工情報でありますが、これはもう御案内のとおりで、特定個人を識別をすることができずに、作成に用いた個人情報を復元することができないように加工したものでありまして、一定の条件、これは委員会規則に基づく適正な加工等々でありますが、その下に、本人の同意なく自由な情報の流通、利活用を認めるということによってデータ利活用が促進をされる、これを期待をしておるところでありますが。  個人情報保護法にありましては、個人の権利利益を保護することをこれ法律の目的のところにも書き込んでおるとおりでありまして、その個人が所属する法人等、今の御指摘では例えば高等学校ですかね、の権利利益を保護することまでを求めるものではないというふうなことでございまして、今御指摘のような事例におきまして、匿名加工情報として提供する場合には特定個人を識別をすることができませんので、作成に用いた個人情報を復元できないように加工されるなどの法律上の義務が適切に履行されておりましたら特段の問題はないというふうに考えておりますが。  ただ、生徒数が極端に少なくて、例えばその高校で三人とか四人とか、しかも一般的にあの子はこのぐらいの成績かなということが知れ渡っておるような場合などは、これは個人特定をできる可能性がありますので、高校名を削除するとか、委員会規則に従って加工していただくということになろうかと思います。
  29. 大久保勉

    大久保勉君 これは相当大問題だと思います。  つまり、高校別のランキングが簡単に出てきますし、高校でどのくらいの、個別の、個別というか平均どのくらい、偏差値はどのくらいで、どの程度分散があるかも全部分かります。それをこの法律では禁じることができないということです。たしか私の記憶では、静岡の知事さんがこういったものを勝手に出そうとしたら大問題になっていますが、この法律は、いわゆる個人特定できなかったら、同意を得なくても簡単に外に、学校単位だったら出すことができるということです。これは文科委員会とかでも是非議論すべき問題です。これは学校の関連ですが、恐らく個別の会社若しくは個別の団体で様々な機微にわたる情報に関して外部に出てくる可能性がありますから、ここはしっかりと今後議論していくべきだと私は指摘したいと思います。  次に、個人情報の定義に関して質問したいと思います。  例えば、ネット検索履歴、ウエブ閲覧履歴、位置情報などの行動情報も入るかどうかに関して質問したいと思います。それだけだったら入らないんだったら、どのような要件が入ったら個人情報として個人情報保護対象になるか質問します。
  30. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  委員御指摘のウエブ検索、閲覧の履歴や位置情報等の個人の行動に関する情報につきましては、情報に含まれる内容の詳細さ、特異さ、あるいは蓄積度の度合いによっては特定個人を識別できる場合もあるものの、基本的には個人情報に該当しないものと考えております。  ただし、個人の行動に関する情報個人情報に該当しない場合であっても、これを取り扱う事業者が氏名や顔写真その他の情報を保有しており、これと容易照合性が認められる場合や、今回の法案でお示しした個人識別符号とともに一つデータセットとして保有されている場合であれば、これらも個人情報に該当することとなると考えております。
  31. 大久保勉

    大久保勉君 関連して、例えばネット検索等に関して、例えばグーグル検索とかありますが、この契約を見ましたら、利用規約があります。利用するときには全て利用規約にのっとります。その法律というのは日本法ではなくてカリフォルニア州法、裁判所もカリフォルニアです。こういった状況で、例えばグーグルが把握した個人情報はどうやって守られるかということに関して質問したいと思います。さらには、携帯電話でしたらアンドロイド、そこで位置情報も全部チェックされています。これに関して日本法が及ぶかということです。  このことに関してはさきの代表質問で、ネット検索やSNS等の海外事業者に対し、日本個人から取得した個人情報の利用目的の特定とか安全管理措置を義務付けるという山口大臣答弁がありました。つまり、しっかりと守るように義務付けていますと。これは七十五条に規定されております。ところが、実際にそうかということで質問したいと思います。  外国において当該個人情報又は当該個人情報も用いて作成した匿名加工情報を取り扱う場合についても、法律では適用するということになっていますが、実際に強制力はあるかということです、罰則はあるかということです。実際に罰則をしようとしましても、いわゆる法体系は日本法ではないと。そこに対して質問したいと思います。
  32. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) ただいまの御質問、御指摘は域外適用に関するものであろうと思いますが、これは、外国事業者であっても、日本の居住者に対して販売やサービスを提供して、それに伴って個人情報を取得をした場合には、個人情報を取得した後に課される義務規定全般、これを適用するというふうなことにしておるわけでございます。  この規定はもう御案内のとおりで、近年の企業活動とか物流のグローバル化に伴います日本と海外との電子商取引の増加等々に鑑みまして、日本の居住者の権利利益の保護、これを図る観点から、外国事業者に対しても日本として適切な個人情報の取扱いを求める必要性があるというふうなことで設けたものでございますが、この規定によりまして、日本法の適用を受ける外国事業者が義務に違反をした場合、これは個人情報保護委員会が指導、助言、あるいは勧告を行えるというふうなことにしておりますが、もうこれ委員も御案内のとおりで、立入検査とか命令等の強制的な権限の行使、これは外国の主権侵害の問題も生じるというふうなことからできません。したがって、罰則の適用もないというふうなことでありますが、ただ、指導とか勧告で改善が図られずに更なる強制力を行使をする必要性、これが生じた場合には、今回の改正によって、外国の執行当局に情報提供を行いまして執行の協力を求める旨の措置をしておるというふうなことでございまして、これによって何とか実効性を担保していきたいというふうに考えておるところでございます。
  33. 大久保勉

    大久保勉君 整理しますと、立入検査とか命令はできないと、でも指導、助言はできるんじゃないかということなんですが、指導とか助言をするためには、その企業がどういった個人情報を持っているのか、それを調査、把握する必要がありますね。個人情報保護委員会でそういったことができる組織になっているのか、人材がいるのか。  例えば、グーグルという会社個人情報をどのようにして収集し、自分たちの個人情報をどういう形で使っているのか、これはほかのSNSでもしかりです。こういったことを知るためには相当の人材若しくは予算が必要ですね。こういったことに関してはちゃんと新しくつくる個人情報保護委員会にそういった人材外部登用するということは考えているんですか。予算措置もするんですか。質問します。
  34. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) ただいま御指摘いただきましたように、指導、助言等できるわけでありますが、勧告まではできるわけでありますが、今回、法案で新設をされますこの個人情報保護委員会、これは個人情報取扱事業者に対する報告徴収、立入検査、指導、助言、勧告及び命令の権限が付与されておるわけでありまして、ですから、国内のネット検索とかSNS、電子商取引等の事業者におけるウエブ閲覧履歴とか購買履歴等を含む個人情報の取扱い、これにつきましては、これらの権限に基づきまして調査、監督を行うことができるというふうなことでありますが、当然、そういう中で事前の段階での調査ということもあり得るわけですね、御指摘のどういうふうな格好で個人情報を取得をしておるのか等々に関して。ただ、そのためにも、御指摘いただきましたように、やはりこの個人情報保護委員会、これがしっかりとした機能を果たしていかなきゃいけない。  そのためにも、やはり人員、とりわけ予算に裏付けをされた人員を確保する必要があるというふうなことで、そのためにも今回、予算要求もさせていただくわけでありますが、委員とか、あるいはとりわけ恐らく事務局的なものが非常に大事になってくるのであろうと思っておりますが、これに関してはしっかりと予算を取って体制を充実強化させていくというふうなことに尽きるんだろうと思っております。
  35. 大久保勉

    大久保勉君 ITの分野では、一番最初に議論しましたが、年金機構の話もありますが、法律とか制度だけでは不十分です。実際にITが分かるような人若しくは教育をしていく、そういったことが必要ですから、実務的なことでしっかりと大臣のリーダーシップを発揮して、中身をつくっていく必要があるということを指摘したいと思います。  次の問題は、日本日本人若しくは日本企業相手で仕事をしていると、でも、インターネット空間でしたら相手企業が外国企業であって法律も外国というのがもう普通になっています。そこに対して、何とか日本個人情報保護が有効な状況にする必要があると思うんです。  ですから、日本人と取引をするんでしたら利用規則も日本法を準拠法とすると、こういうことを各企業と、外国企業と粘り強く交渉していく必要があると思うんです。こういったことを是非、個人情報保護委員会で行うのか、若しくは別の部署で行うか、そういったことをやってほしいと思いますが、山口大臣の御所見を伺いたいと思います。
  36. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) これは大変難しい問題でもございまして、実は私も大臣就任前に、検索ですね、検索エンジンが、もうヤフーが開発をやめたものですから、グーグルが圧倒的独占状態に入ったわけです。それによって得られる個人情報もあるでしょうし、そういった意味で独禁法上の問題はないのか等々もやってみたわけでありますが、注視をするということで公取委も終わっておるわけですけれども、やはりそういった点、しっかりと我々としても注視をしていく必要があるんだろうと思いますが。  ただいま御質問の各種サービスに関する利用規約等の準拠法、これでありますが、これ私人間の契約等の法律行為でありますので、米国法と定めるかどうかというふうな問題と、日本個人情報保護法の規律が外国事業者にも及ぶかどうかというふうな域外適用の問題、これは準拠法をどうするかということに関しては別の話であろうと思っておりますが、この契約の準拠法につきましても、これは国際的にも当事者自治の観点から当事者間の合意に基づいてどの国の法律を準拠法にするか定めることができるというふうにされておりますので、日本法律、これを基準法とするよう政府が事業者に働きかけるというのは非常に難しいであろうと思っております。  ただ一方、我が国の個人情報保護法に基づいて日本の居住者の法的権利を保護するというふうな観点につきましては、米国法を準拠法とする合意がなされておるかどうかにかかわらず、外国事業者に対して我が国の個人情報保護法を適用するということは今回の改正によって可能になるというふうに思っております。これによって個人情報保護委員会が外国事業者に対して適切な指導等を行って、必要に応じて外国の執行当局に協力を依頼をするというふうなことで、権利利益の保護を何とか守っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  37. 大久保勉

    大久保勉君 結局は、立入検査とか命令とかが担保されていないということですよね。  例えばグーグルの規約を読みますと、本規約又は本サービスに起因する、関連するいかなる紛争に関してもアメリカ合衆国カリフォルニア州の法律が適用されると。で、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ郡の裁判所で裁判を行うと。普通の日本個人がアメリカに行って裁判することはまずできないですよね。ですから、その点もしっかり考えて、日本個人情報をどういう形で守っていくかという観点は、極めて大臣が決断すべき重い判断だと思うんです。  ここは、七十五条ということである程度は一歩踏み込んでいますが、更にもう一歩踏み込んで、日本人の個人情報日本政府がしっかり守っていくと、こういう決意が欲しいと思います。もし何か決意があったら一言お願いします。
  38. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) おっしゃるとおりなんですが、先ほど申し上げましたように、非常に難しい課題でございます。ただ、例えば中国がグーグルの検索エンジン、グーグルの検索を利用するに当たって、いろんな条件を付けて相当もめたと、あるいはEUも独特の考え方を持っておられるというふうなことで、民民間の話ではありますけれども、国として、政府として、個人情報をしっかり守るためにどういう方法があるか、今後しっかり検討して対応していきたいと思います。
  39. 大久保勉

    大久保勉君 今日は消費者庁に来てもらっております。法律的には十分に七十五条では守られないということです。でしたら、日本個人個人が防衛しないといけないという観点から質問したいと思います。いわゆるITリテラシーの問題です。  しっかりと自分たちで自分たちの個人情報は守っていくと、そのためには総務省であったり若しくは消費者庁の方でしっかりと一般の人に対して教育をすると、そういった政策が必要だと思いますが、まず消費者庁に質問しますが、具体的にどういったことをやろうとしているのか、若しくは今後どういうことが必要か、そのことに関して質問したいと思います。
  40. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 簡潔にお願いいたします。
  41. 服部高明

    政府参考人(服部高明君) はい。  消費者のIT活用能力、非常に重要であると私ども認識しております。このため、消費者教育におきまして情報とメディアを重点領域の一つとしまして、幼児期から高齢期までのライフステージごとの学習目標を示した消費者教育の体系マップ、これの活用を図っているところでございます。この一環としまして、消費者庁ホームページにおきまして消費者教育ポータルサイトを設置しまして、地方公共団体等が作成したリーフレットなどの資料を掲載し、個人情報管理を含め、メディアリテラシーについての啓発に努めているところでございます。  こうした取組を更に進めてまいりたいと思っております。
  42. 大久保勉

    大久保勉君 終わります。
  43. 川田龍平

    ○川田龍平君 よろしくお願いします。維新の党の川田龍平です。  まず、マイナンバーの医療分野における利用範囲の拡大について伺います。  私は、特定健康診査情報などの医療情報は、絶対にほかの人には漏れてはいけない高度な個人情報だと思います。このマイナンバーとのひも付けは慎重に行うべきと考えますが、まだ施行もされていない段階からなぜ利用範囲の拡大を行うのでしょうか。
  44. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 確かに慎重に取り扱うべき情報なんだろうと思いますが、お尋ねのなぜ今回ということでありますが、今回の改正法におきまして、医療保険者における特定健診情報管理マイナンバーを利用できるようにすることとか、あるいは市町村間での予防接種履歴の引継ぎに情報提供ネットワークシステム、これを利用できるようにすることにつきましては、これらの事務が従来からマイナンバー利用範囲とされておる社会保障、税、災害対策、この分野に係る行政事務でございますので、利用事務等に追加をすることで事務の正確性を確保するなどに資することから、関係者との調整を行った上で国会にお諮りをしたものでございます。
  45. 川田龍平

    ○川田龍平君 先週の二十九日の金曜日に産業競争力会議において、医学研究や医療連携に利用するために受診歴や服薬歴など更なる医療情報マイナンバーと連動させるとの政府決定があったとの報道がありました。  法案の審議中に更なる法改正が必要となる利活用を決定するというのは国会軽視も甚だしいと思いますが、いかがでしょうか。
  46. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) ただいまのお話でございますが、これは厚生労働省の研究会におきましては、医療等の分野で何らかの番号活用した情報連携の仕組みが必要というふうな中間まとめをやったということは私も承知をしておりますし、先般の産業競争力会議、私も出席をしておりました。その中で、医療等分野の情報利用につきましては、関係者の理解を得るべく調整が行われておるというふうなお話もございまして、このマイナンバー制度の基盤の活用も視野に入れながら適切な制度設計が早期にまとまるということが望ましいんだろうと思いますが、先般の産業競争力会議、あくまでその競争力会議の中に厚生労働省として取りまとめたこの中間まとめを発表したということで、産業競争力会議としては了解という、了承ということでありますが、政府としてこの方針を決定をしたということではございません。
  47. 川田龍平

    ○川田龍平君 厚労省もいかがですか。
  48. 今別府敏雄

    政府参考人(今別府敏雄君) お答え申し上げます。  今大臣から御答弁をいただきましたように、先般の産業競争力会議では、これは昨年、研究会を開催をいたしまして十二月に中間報告を取りまとめましたので、その結果を踏まえて御報告をさせていただいたというものでございます。  引き続き、関係者と丁寧に調整をして進めてまいりたいというふうに考えております。
  49. 川田龍平

    ○川田龍平君 この中間取りまとめでは、マイナンバーとは別に見える番号を発行するのはコストが掛かる、見えない番号、電磁的な符号の方が、安全性を確保しつつ、二重投資を避ける観点から望ましいということにもなっております。  百二十五万件もの個人の年金情報サイバー攻撃によって外部流出したことが昨日発覚いたしましたが、日本年金機構職員が電子メールの添付ファイルを開封したのがきっかけという大変、余りにもお粗末な管理体制です。しかも、一件あった後にまたあったということですので、マイナンバーと連動させるとか一元管理などということはまだ何も決まっていないということでよろしいでしょうか、厚生省。
  50. 今別府敏雄

    政府参考人(今別府敏雄君) マイナンバーと今の年金のシステム自体は別のものでございますので、そのための日本年金機構におけるマイナンバーの取扱いには影響は生じない、そもそも基幹システムマイナンバーシステム自体は現在問題となっているネットワークとは切り離された環境にございますので、特段の影響は生じないというふうに考えております。
  51. 川田龍平

    ○川田龍平君 一元管理や連動したものにならないということでよろしいでしょうか。
  52. 今別府敏雄

    政府参考人(今別府敏雄君) お見込みのとおりでございます。
  53. 川田龍平

    ○川田龍平君 是非、今後慎重に検討していただきたいと思います。  自治体による予防接種履歴に関する情報連携には本人同意が不要という古い取決めで決まっておりまして、現在のように個人情報が簡単にネットで拡散をしてしまい、永遠に削除できない時代の決め事ではありません。この慎重な取扱いをするべきで、本人同意を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
  54. 福本浩樹

    政府参考人(福本浩樹君) お答えいたします。  予防接種でございますけれども、これは、予防接種の実施は御案内のとおり市町村の事務でございまして、その一環として対象者へ予防接種の勧奨をするということになっています。予防接種は、接種対象者の年齢あるいは月齢に応じたスケジュールによって、あるいは定められた回数接種するということが求められております。そのため、市町村が適正に接種を行うに際しまして、新たに転入してきた方々の転居前の予防接種記録を把握するということは必要なことでございます。  このような事務の性質から、現在も予防接種記録については御本人の同意なく市町村が他の市町村に提供できるということにしておりますけれども、今後、予防接種の対象者に対して、接種履歴の提供に関し理解を深めていただくという観点からは、予防接種の実施の際の予診票等におきまして、予防接種履歴を他市町村に提供することなどについて十分説明を行うなど、制度の周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  55. 川田龍平

    ○川田龍平君 是非慎重に、よろしくお願いします。  ちょっと通告の関係で、次は時間の関係で飛ばしますが、特定健康診査情報には服薬歴、既往歴だけでなく血液検査や心電図などの検査情報、検査結果も含まれます。これらは個人情報保護法改正における要配慮個人情報に含まれるんでしょうか。
  56. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  要配慮個人情報の中に病歴等というのがございます。その病歴というのを文字どおりいきますと、病気に罹患した経歴を示すもので、お尋ねの特定の病歴を示した部分が該当し、既往歴は通常、病歴に該当すると思います。これに対し、身長、体重、血圧等の身体情報、あるいは病気を察知させる情報、例えば血液検査の結果、レントゲン写真等は文字どおりは病歴に含まれず、服薬歴、血液検査や心電図の検査結果も病歴そのものには該当しないと考えますが、要配慮個人情報につきましては、法律で定めるもののほか、これらと同様の性質を有するものを更に政令で定めることとしております。  このため、病歴には該当しないものの、服薬歴、血液検査の結果等につきましても、病歴に準じる性質を有する場合もあると考えられることから、国会における御審議やこれらの情報に対する国民の意識等を踏まえ、政令の策定段階において適切に検討してまいりたいと考えております。
  57. 川田龍平

    ○川田龍平君 この服薬歴については、HIVの薬などは、この薬を飲むこと自体隠している人もたくさんいるわけです。含めるべきだと私は考えます。  今回、なぜ病歴のうち特定健康診査情報に含まれる病歴のみマイナンバーとひも付けすることを認めたのでしょうか。
  58. 吉田学

    政府参考人吉田学君) お答えいたします。  御指摘の病歴につきまして、特定健診におきましては生活習慣病に関する既往歴に限って把握するものでございまして、これは法律に基づいて特定保健指導を実施する上で必要なものとして認められてございます。  この既往歴を含みます特定健診情報、現在でも個人の同意を前提として医療保険者間で情報の受渡しができる仕組みでございますけれども、これまで、具体的な実施手順が明確になっていないとか、保険者ごとの被保険者番号で保険者が情報管理しているので受け渡す情報の検索が容易でないなどの課題がございました。このため、今般の医療保険制度改革の中で情報の受渡しの方法を明確化するとともに、あわせて、保険者間での情報の受渡しが円滑に行われるよう、保険者がマイナンバーを使って特定健診情報等の情報管理できるように、今回改正案に御提案したところでございます。
  59. 川田龍平

    ○川田龍平君 この取り扱う情報ではなく、取り扱う者によってマイナンバーへのひも付けの是非を決めているということで、同じ病歴に該当する情報について、なぜ健康保険組合なら安全で、医療機関なら安全ではないと言えるのでしょうか。どちらも民間ではないでしょうか。  この問題については、もう時間がありませんので、終わりに、このマイナンバー制度の開始前からこの利用範囲の拡大について議論するのはおかしいと考えます。まずは施行してから、様子を見て、慎重に検討すべきと考えます。  最後に、マイナンバー制度周知の広報について伺います。  十月施行に向けて連日テレビでコマーシャル流されていますが、一方で、肝炎検査を呼びかける政府広報はほとんど見かけません。この六月で基本合意から四年、B型肝炎の被害者四十三万人の検診率は全く上がっていません。それぞれ幾ら広報予算を掛けているんでしょうか。
  60. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 簡潔にお願いします。
  61. 別府充彦

    政府参考人別府充彦君) お答えいたします。  政府広報の予算につきましては、あらかじめ特定の広報に幾らということで決まっておるわけではございませんが、実績として申し上げます。  マイナンバーに関する政府広報につきましては、本年十月からということで、三月から六月にかけましてテレビCM、新聞、雑誌広告、折り込み広告、これはやっぱり世論調査の、非常に、三割ぐらいしか知らないということがございましたので、これで全体約十五億四千万掛かっております。  それに対しまして、肝炎の対策につきましては、先ほどお話があった二十四年一月の特別措置法の施行とか、あるいはC型肝炎の請求期限が来るとか、そういったことを踏まえまして、二十三年十二月、二十四年八月、二十六年一月、二十四年七月、累次行ってきておりまして、それぞれ全国の新聞に広告を掲載しておりまして、その要した経費は約五千万円でございます。
  62. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございます。  もっと慎重にやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  63. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  昨日あれだけの事件が起きて、普通ならばこの委員会も、私の質問の前にもう審議がストップして、今頃散会しているのが普通じゃないかというふうな大事件が起きたわけですよね。にもかかわらず、まだ審議続いておりますので質問はしますけれども、昨日の事態は大変重く受け止めるべきではないかなと、一旦この法案の審議も考えるべき事態ではないかなというふうに思います。  我が党は、かねてからこのマイナンバー法案に対して、個人情報流出によるプライバシーの侵害と、今言われています、それが悪用されるというおそれがあることを指摘して、それを最大の理由として反対をしてきたわけであります。昨日発覚した年金情報流出事件は、まさに我が党の指摘が現実化してしまったということだと思います。  要するに、いろいろありましたけれども年金機構情報管理のずさんさもあるんですけれども、要するにどんなセキュリティーシステムを構築しても、サイバー攻撃との戦いは続いて、絶対安全ということはあり得ないわけですね。それがはっきりしたんだというふうに思います。しかも、今回の改正では預貯金口座までナンバーを付けると。これが流出するということになれば、年金情報どころではない、大変な被害を生むということになるわけであります。  山口大臣にお聞きしたいんですけれども、まあ立場の違いはあると思います、いろんな。ただ、この事態を受けて、少なくとも事実関係、原因、あるいは少なくとも対応策がはっきりするまでは、一旦この法案は取り下げて、なおかつ十月からの番号通知、来年一月からの利用開始というのは、少なくともそれは中止すべき、それぐらいの事態が起きたのではないかと思いますが、いかがですか。
  64. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) お話しのとおり、ゆゆしき事態であろうと認識しておりますが、ただ、これまでにいろいろ伝わってくる情報からしますと、かなり人災に近いのかなというふうな感じもしておりますし。  もう一点、これ是非とも答弁させていただきたかったんですが、一般論ではありますけれども、今回のマイナンバーシステム、これに関しては、この情報提供ネットワークシステム、これと各機関の職員のメールシステムというのは実はつながっておりません。また、日本年金機構とか地方公共団体におきましては、業務システムとは別のシステムにおいてマイナンバー管理をするというふうなことから、業務システム、いわゆる、例えば年金機構業務システムとこのネットワークシステムとの間には強固なファイアウオール設けるというふうなことにしておりまして、仮に今回のように業務システムから情報漏えいがあったとしても、マイナンバーの漏えいはしっかりと防止ができるというふうなものでございますし、また、この情報提供ネットワークシステムを通じた情報の授受、これには実は、マイナンバーではなくて機関別の暗号化処理をされた連携符号、符号を用いることから、機関を超えて不正に情報を引き出すことはできないというふうな仕組みになっておりまして、また、アクセス権限、これは人的問題にもなるわけですが、これも厳格に管理をするということでありまして、今回の事例とは若干違うのではないかなというふうに思っております。  ただ、この年金機構と連携をするということについては、もう少ししっかり調査をして、原因究明を図った上で判断をするということになろうかと思います。
  65. 大門実紀史

    大門実紀史君 今おっしゃったようなことが原因だったらば、そんなにすぐ原因が分かっているんだったら、なぜ対策を取れなかったのかということですよね。何よりも、サイバー攻撃ということをまだよく御理解されていないんじゃないかと、その恐ろしさをですね。だから、この預貯金口座にまでナンバーを振るというのはやめた方がいいと、今やめた方がいいということを申し上げているわけでありまして、それでも進めるというのは大変無責任な姿勢だということを指摘しておきたいと思います。連合審査なので、意見だけ申し上げておきたいと思いますけれども。  そもそも今回の改正で預貯金口座マイナンバーを付ける目的は、税務調査で預貯金情報効率的に利用できるようにするためとしております。しかし、このことそのものが重大なプライバシー侵害の危険性をはらむものであります。なるほど、先ほどもありましたけれども、悪質な納税者、これに対する調査効率的になって摘発が進むと。それはもうやってもらいたいと、結構なことだと思います。ただし、調査にはいろいろありまして、そういう大口、悪質な脱税犯を調査する、査察が入るような強制調査と、一般の事業者たちが何年かに一遍受ける任意調査、何か悪いことをやったから行くんじゃなくて、何年かに一遍訪問するというふうな任意調査もあるわけですね。  その任意調査に関しては、そういう調査でありますので、国税庁も御本人たちの仕事や商売の邪魔にならないようにと、しかも本人の同意を得て進めるというふうに慎重になっているわけですよね。慎重にやらなければならないとなっています。ですから、その任意調査の方の話なんですけれども。  ところが、税務署は、ノルマ主義といいますか、とにかく任意調査であっても、入ったら少しでも修正申告させて数字を上げたいというようなことがありまして、どんどんちょっとやり過ぎの調査、不当な調査が横行しているものだから、国税庁もこういうことをやっちゃいけないという通達を何度も出してきているという経過があるわけであります。  そういう下で、今回の預貯金口座にナンバーを振る話なんですけれども、預貯金情報はもうプライバシーそのものでありますけれども、ですから、脱税もしていないのに、何も隠していないのに、そもそも税務署員にのぞかれることそのものが何なのかと一般の人は思うような話なんですね。  だから、国税庁通達でも、預貯金口座にナンバーを振る前の話ですけれども金融機関への反面調査といって、本人に聞くんじゃなくて、取引先とか金融機関とかを勝手に税務署が調査するのを反面調査というんですけれども、この反面調査金融機関に対する反面調査は慎重に行うべしというふうになっていると思いますが、国税庁、いかがですか。
  66. 藤田博一

    政府参考人藤田博一君) お答えいたします。  納税者の所得、税額等を適正に把握するためには収入や経費の内容を確認する必要がありまして、その確認に当たっては、納税者本人に対する調査に加えまして、取引先等に対する反面調査についても法令上認められているところでございます。国税当局といたしましては、法令に定められた調査手続を遵守し、適正かつ公平な課税の実現を図る観点から、事務運営指針において、取引先等に対する反面調査実施に当たっては、その必要性を十分検討した上で実施するということとしているところであります。  いずれにいたしましても、反面調査については、今後とも個々の事実関係に即して、その必要性を適切に判断した上で実施してまいりたいと存じます。
  67. 大門実紀史

    大門実紀史君 資料も用意いたしましたけれども、反面調査というのは客観的に見てやむを得ないと認められる場合に限って行うということと、金融機関の場合は、金融機関そのものが守秘義務を負っております。ですから、税務署に言われたら何でもはいはいと出す必要はないということで、金融機関が税務署に対して協力を拒むということもできるわけです、今の段階ですね。なおかつ税務署も、現場でしゃかりきになって、いろいろやり過ぎがあってはいけないということで、金融機関に税務署員が行って反面調査やるときは税務署長のあかしを持っていくという、そこまで決められているわけであります。  したがって、金融機関に対する反面調査というのは今でも割と、一応そう簡単にはできないことになっておりますけれども、ただし、さっき申し上げたように、現場ではどんどんどんどんそういうことをやっちゃってトラブルが起きて、私のところにも相談が来て、国税庁からただしてもらうというのが、もう国税庁御存じのとおり、この間何度もあるわけですね。  そういう中で、今回の法案なんですけれども、時間の関係で資料の二つ目にありますところは、何が言いたいか、もう結論だけ申し上げますが、今回のこの預貯金口座マイナンバーを付けるということについては、付けてその情報を提供してもらうということについては、いわゆる悪質な納税者の強制調査だけでなく、任意調査でもできるということに今回の法案の内容ではなるわけであります。何年かに一遍、普通に働いている方々のところにぽんと税務署が行く調査でも情報の提供はできると、求められるということになるわけであります。  問題は、今回、マイナンバー法の第六条でありまして、第六条が一番下に書いてありますけれども、事業者の努力、これは言ってみれば金融機関の話でありますけれども金融機関は、国及び地方公共団体がこのマイナンバーの利用に関し実施する施策、つまり税務調査もそうですけれども、に協力するよう努めるということが書かれております。事業者の協力義務が書かれておりますね。したがって、今回、預貯金口座マイナンバー付番されますと、今までの任意調査、反面調査に加えて、この努力義務が加わるわけであります。  仮にも、今まででしたら金融機関がその情報は出せませんと断ることができましたけれども、このマイナンバーとの関係でいきますと、努力義務が加わってしまうと。こうなると、今でさえ金融機関はなかなか断りづらいわけですけれども、このマイナンバー、そして努力義務が加わることによって、より税務署の身勝手な調査が横行するんではないかというふうに懸念されますが、これは法案との関係でいきますと、山口大臣、いかがお考えですか。
  68. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 今回の法改正によりまして、多くの事業者が、例えば源泉徴収票の作成とかあるいは厚生年金の被保険者資格の取得に関する届出など、様々な事務において個人番号を利用するというふうなことになりまして、番号制度の重要な担い手になるわけでございます。  そういったことから、マイナンバー法第六条、御指摘のこの規定によりまして、国又は地方公共団体実施をする個人番号及び法人番号の利用に関する施策に協力をするように努力規定が置かれたものでございます。この規定は、マイナンバー制度の導入に伴って新たな事務を担うことになる事業者に御協力をいただく、これを要請するものでありまして、税務調査に応答する義務に影響を与えるものではないというふうなことでございます。
  69. 大門実紀史

    大門実紀史君 建前はそういうことで、そうしてもらいたいと思いますが、国税庁に聞きますけれど、今でさえいろんな通達で抑制的にやりなさいとなっているものが、そうならない実態が、そうしていない実態があるわけですけれど、この協力義務を盾に更に個人情報の提供を無理強いする、金融機関にするということは国税庁としてないと、山口大臣言われたように、そういうことはないんだということを断言できるでしょうか。
  70. 藤田博一

    政府参考人藤田博一君) 先ほども御説明いたしましたように、国税庁におきましては、納税者の所得、税額等を適正に把握するために、銀行ですとか取引先ですとかに反面調査という形で確かめるということがあるわけでございますけれども、当局といたしましては、法令に定められた調査手続を遵守して適正かつ公平な課税の実現を図る観点から、事務運営指針等において必要性を十分検討した上で反面調査等を実施することとなっておりますので、このマイナンバー法施行後もそのことは変わらないというふうに考えております。
  71. 大門実紀史

    大門実紀史君 一応、今の国税庁の答弁を現場にも徹底していただきたいということだけ申し上げておきます。また問題があれば、国税庁と相談をしたいと思います。  とにかく、今回の預貯金口座マイナンバーを振るというのは、税務署側からの話でありまして、納税者側からの話ではありません。しかも、真面目に働いている方々の話ではありません。むしろ、今は納税者の権利擁護とか金融機関の守秘義務とか、こういうことが議論されるべきでありまして、中小企業団体からも納税者権利憲章の制定というのが強く求められて、院内集会も開かれているときであります。そういうことと、冒頭申し上げた、預貯金口座にナンバーを振って、それが今回のような事件になったらもう大変な被害になるということも含めて、この法案は本当に今考え直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  72. 江口克彦

    ○江口克彦君 次世代の党の江口克彦でございます。  先週の二十六日及び二十八日の審議におきましては、マイナンバー制度を着実に導入し、国民の皆様に安心、安全に利用していただく、さらには、利活用を進める観点から、認知症の方々への対応、あるいはまた中小企業への支援個人番号カードの将来像などを質問をさせていただきました。今回は、マイナンバー制度の海外における先行事例やまた課題、さらに、国民の懸念となっているであろうシステムに関して質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、海外において番号制度を取り入れている国は何か国ぐらいあるのか、主にどのような国があるのか、我が国のマイナンバー制度を導入するに当たりまして参考にした国はあるのかどうか、お教えいただきたいと思います。
  73. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  この手の番号制度につきましては、ほとんどの先進国で入っているというふうに認識しております。正確な何か国というのはちょっと、どういう番号までカウントするかによって変わってくると思いますが、基本的にはほとんど全ての先進国で入っているというふうに認識しております。  その中で、番号利用のモデルといたしましては、例えば、税は納税者番号、年金は年金番号のように、行政サービスごとに固有の識別番号を利用するモデル、あるいは一つの識別番号を全ての機関で共通して利用するモデル、それから、例えば社会保障と税の分野で一つ番号、その他の行政分野では別の番号というように、サービス分野ごとに共通の識別番号を利用するモデルなどが採用されているものと承知しております。  私ども検討している中で、マイナンバー制度につきましては、一番最後に申し上げましたような、サービス分野ごとの番号という形で取りあえずはマイナンバーをスタートしていくということだと思っております。  そういう中で、例えば先進国の中でもいろんな問題が既に起こっておりまして、アメリカなどにおきましてはソーシャル・セキュリティー・ナンバーを主に使っておりますが、これはソーシャル・セキュリティー・ナンバーをつくる際に利用制限を掛けておりませんので、いろんな分野で利用されたということもございます。また、番号のみにより本人確認が行われるケースがあったことから、他人の番号を悪用し、成り済ましによる年金などの社会保障給付を不正に受給するなどの事例があったと承知しておりますので、今回のマイナンバー制度におきましては、本人確認番号だけではなくて別の本人確認措置において厳格に行うこととしているところでございます。
  74. 江口克彦

    ○江口克彦君 いやいや、私が質問しているのは、どこか参考にした国があるのか、あるいはまたそれは一国なのか複数国なのか、それをお尋ねしているんです。
  75. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  最も近いという形でいきますと、オーストリアのいわゆるセクトラルモデルと称します分野ごとに共通のような番号を使うというスタイルでございます。それから、一つの識別番号を全ての機関で共通して利用しているエストニア、スウェーデン、韓国等のものにつきましてはやはりちょっと日本では無理だろうということで、そういう意味では、一番近いのはオーストリアかなと考えておるところでございます。
  76. 江口克彦

    ○江口克彦君 結果的には、結果的に近いということでしょうけど、私が何回もお尋ねしているのは、参考にした国というものがあるのかと。  それと、先ほどほとんどの国ということを言われましたけど、ほとんどの国って、具体的な数字というのは、国というのは数えていないんですか。先進国はほとんどだといっても、先進国の中でも採用していないところがありますね。途中で取りやめた国もありますよね。ですから、そういう具体的な数字というものをやっぱりつかんでおられると思いますし、つかんでおられないとおかしいと思うんですけど、どうなんですか。
  77. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  例えばイギリスなんかは、番号そのものは使いましたが、カードなんかは途中で、カードを使う段階でカードを使わなくなったというような、そういうようなこともございまして、あるいはドイツなんかでは租税だけで番号を使っていると。  そして、その番号制度というのは、どこまで本人確認をして本人を特定しているかでかなり違っておりますので、そういう意味で、日本のようなもの、要するに、どういうカウントの仕方という形ではあれしておりませんが、基本的にはかなりの国を調べまして、それらについて研究したつもりでございます。
  78. 江口克彦

    ○江口克彦君 ということは、このマイナンバー制度というのは、我が国のマイナンバー制度というのは我が国独特のシステムというか、そういうものを構築しているということですか。
  79. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 御指摘のとおりでございます。
  80. 江口克彦

    ○江口克彦君 じゃ、独特のものということであるとするならば、日本マイナンバー制度の独特の点はどの点にあるんですか。
  81. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  番号そのものを書く際には見える番号としてマイナンバーを使っておりますが、情報機関間で情報を連携する場合には、いわゆる識別符号という形で別の符号を使って連携をしていると。  そういう意味では、税、社会保障の分野で、見える番号としては一つでございますけれどもIT活用する分野で情報を連携をする場合には複数の番号を使っていると、この辺は独特なのではないかと考えております。
  82. 江口克彦

    ○江口克彦君 たったそれだけですか。
  83. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  あと、情報をやり取りするという点におきましては、一億人規模で情報のバックオフィスとの連携というのは多分初めてではないかと思います。
  84. 江口克彦

    ○江口克彦君 先ほど、アメリカで様々な問題、幾つかの問題が起こっているということを挙げられましたけれども、いや、先進国ほとんどの国でこういうことを取り入れているということは、当然、それぞれの国で様々な問題というか、起こっているんだと思いますね。  そういうふうな様々に起こっている問題というものをやはり参考にしなければならないと思うんですね。そういう問題というものを参考にして、そういうようなことが日本マイナンバー制度では起こらないようにというような対策を立てないといけないというふうに思うのでありますけれども。  どこもやっている、ここもやっているということでありますけれどもマイナンバー制度を取り入れるに当たってもっともっと研究をしていくというか、これを徹底的に、これは大変な大きな問題だと思うんですね、マイナンバー制度というのは。これは、私、まあある意味では必要悪だと思っているんですよ、マイナンバー制度というのはですね。やっぱり縦割り行政を是正していくためには、こういうマイナンバー制度、一元化していくということも、これもやむを得ないと思うんです。  ただ、技術の進歩は時に人間に最大の不幸をもたらすという、そういうこともあるわけでありますから。これはこれで取り入れるのはいいと思いますよね。だけれども、それだけに、その対策というか対応というものは十分に取り入れていかなければならないというふうに思うんですね。  これ、今、日本年金機構の問題が出てきていますけれども、しかし、このマイナンバー制度を取り入れたら、今回のようなそれは起こらないと。しかし、想定外のことを想定するというのが、これマイナンバー制度で必要じゃないかというふうに思うんですね。  ですから、そういうようなことを考えると、この二重三重のチェック体制というものを取っていかなければならないのではないだろうか。もしそういうサイバーテロみたいなものがあったとしても、それを阻止できるような体制が取られている、それを破られてもまたその次にそれを阻止するシステムが構築しているというようなことをやっぱり考えておかなければいけないと思うんですけれども、そういう二重三重のチェック体制というか、あるいはまた防御体制というものが考えられているのかどうか、お教えいただきたいと思います。
  85. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  まさに先生御指摘のとおりだと思っておりまして、まずITを使う以上、そういうふうな危険性が皆無ということはあり得ないということを肝に銘じた上で、まずIT化に対応したセキュリティー対策を最低限やる必要がある、その上で、さらに、マイナンバーを導入することによってリスクが増大しないように、二重三重という対策が必要だというふうに考えております。  そのために、まず、情報提供ネットワークシステムの構築に当たりましては、通常の業務システムとは論理的に切り離された形で構築するとともに、その中のやり取りにつきましても別の符号を使う、あるいは暗号化も当然でございます。それから、災害等があった場合に、サーバーがダウンした場合にも予備のサーバーに自動的に切り替わるようになっておりますし、バックアップにつきましても、日本国内の異なる大陸プレートで異なる電力会社の管内に設置するというふうなことをしているところでございます。
  86. 江口克彦

    ○江口克彦君 ということで、いろいろ努力されておられるのは分かりますけれども、それを信じたいと、そういう体制を取っておられるというのは信じたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、想定外のことが起こる、幾ら二重三重チェックしていても起こる可能性というのはあるわけですよね、出てくるわけですよ。  そのときに、被害者という存在が出てくるわけですよね。管理、いかにきっちりやっていても被害者というものが出てくる。今度の日本年金機構でも、私は、被害を受ける人の救済というものがこれは必要になってくるだろうと思いますけれども、今回の今日の質疑とは違いますので、その点については申しませんけれども。  このマイナンバー制度で被害を受けた場合に、例えば金額的だとかあるいはまた精神的な面だとか、いろんな面で被害を受けたときの救済という観点まで考えておられるのかどうか。そういう救済の方法というもののそういうマニュアルとかリストとか、そういう書類とか、そういうものがあるんでしょうか。
  87. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  個人情報流出につきましては、既に過去に民間等あるいはいろんな例がございまして、要するに被害をどのように想定するかというのは極めて難しい問題となっております。  ベネッセの事案なんかでも一定のものを配ったとかそういうのはございますが、マイナンバーにつきましては、そういう意味では、基本的にはそういうふうな情報漏えい等がないようにすべきということはありますが、その漏えいした場合にいかに、何といいますか、被害を最小限に抑えるか、またその被害につきましてはどういうふうに算定するかというのも今後検討課題だと思っております。
  88. 江口克彦

    ○江口克彦君 奇妙な話をするようですけど、日本の場合は往々にして、失敗をしたときあるいはまた事故が起こったときのそういう想定しないんですよね。  例えば戦争でも、捕虜になったときにどういうふうに対応しなければならないのかというのを教えていなかったという、それと同じように、このマイナンバー制度というものも、いい、いいということだけではなくて、一方で、やっぱり、もしも問題が起こったときにはこうするんだ、被害者に対してこういうふうな救済をするんだというようなことは、今から立てておかれた方がいいかというふうに思うということで、これはお答えはいいですけど、ということであります。  時間が時間ですので、マイナンバーに接続する中間サーバーは地方自治体中心になるんでしょうか。
  89. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 中間サーバーにつきましては地方公共団体が設置することになりますが、個々に整備するのではなくて集約を図りまして、全国二か所に集約をしてクラウドで共同利用するという形を想定しているところでございます。
  90. 江口克彦

    ○江口克彦君 集約して二か所ということでありますけれども、そうなった場合に、ナンバーの流出が起きた場合の対策の方が、私は制度そのものよりも重要になってくるのではないだろうかというふうに思うんです。  こうした面でのセキュリティーの確保について、具体的な指針というか、今後具体的なそういった指針を明示されるのかどうか、それはどのようにお考えになっておられるのか。
  91. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 時間ですので、簡潔にお願いします。
  92. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 中間サーバー等につきましては、現在、例えば専用回線で結ぶでありますとかアクセス制限を掛けるとか、そういったことを既に地方団体にも示しておりますが、総務省といたしまして、更に技術的基準を定めることといたしております。その技術的基準の中で、行政専用のネットワークの活用でありますとか、暗号化でありますとか、ファイアウオールの設置などに加えまして、責任体制、教育体制、それから緊急時の体制、入退室の管理などのそういった執務環境面でのセキュリティー対策の確保も含めて定めることといたしております。
  93. 江口克彦

    ○江口克彦君 事故を前提に、是非、このマイナンバー制度を再考、また十分にお考えをいただきたいと思います。  終わります。
  94. 中西健治

    ○中西健治君 無所属クラブの中西健治です。よろしくお願いします。  今回の個人情報保護法マイナンバー法の審議をしている最中に日本年金機構個人情報漏えい問題が生じましたので、これはちょっと素通りするわけにはいきませんので、幾つかまずお聞きしたいと思うんですが。  まず、大臣の御認識を伺いたいと思いますが、大臣、これまでの今日の答弁で、事例は違うんだ、人災の要素があるんだと、あちらの特殊性を語っていらっしゃったかなというふうに思いますが、ただ、国民からすると、政府政府であります、公的機関は公的機関であります。個人情報マイナンバー活用に当たって、これまでも漠たる不安ということは言われていましたけれども、今回の問題を受けて、国民の不安は高まったという認識でよろしいでしょうか。
  95. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 先ほども答弁申し上げましたように、かなりシステムは違ってきています。しかも、標的型メールというのは、これ、相当お互い注意喚起をしてきた中で、しかもこれまでのように訳の分からないところから来るんじゃなくて、何かいかにも公的なところを名のってみたり知り合いを名のってみたりするわけですね。そこら辺をしっかりできておらなかったというのは非常に残念でなりませんし、しかもパスワードさえ設定をしておらなかったのが相当数ある。もう本当に初歩の初歩の話なんだろうと思いますが、しかし、こういうことを受けて国民の皆さん方が御不安に感じられるというのもこれは当然あるんだろうと思います。  そこら辺、しっかりと私どもとしても今回の件の調査等を踏まえて広報啓発に努めていきたいと思いますし、もし万々が一、今回漏れ個人情報によって国民の皆さん方が被害を受けないように、これもしっかり対応していく必要があるんだろうと思います。
  96. 中西健治

    ○中西健治君 初歩の初歩ができていなかったからこそ国民の皆さんの不安は大きく増大している、そういう御認識でいいかということについて端的にお伺いしたいと思います。
  97. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) そういうことになろうかと思います。ですから、今回と同じようなことがもしこのマイナンバーのネットワークで起こっても、今回のような漏えいはあり得ないシステムになっておるということだけはお訴え続けなきゃいかぬなと思っております。
  98. 中西健治

    ○中西健治君 今回、人災の側面が強いということであります。そういう部分があるだろうと私も思いますが。  ちょっとこの日本年金機構職員の問題について厚労省にお伺いしたいと思うんですが、今日は厚労省年金管理の審議官にお越しいただいております。これ、年金徴収をマイナンバーを使ってどうして上げていくのかという質問をしたいがために来ていただいているわけですけれども、今回の問題、これ昨日公表されたわけでありますけれども、先週の五月二十八日の木曜日の時点で、もうインターネットのサイトには、ウイルスに感染したという、年金機構職員でなければ知らないようなこと、これが、私が見ただけでも少なくとも二つの掲示板で書かれておりました。  こうしたことを職員が漏らしてしまっているということでありますけれども、こうした事実、把握されていたでしょうか。
  99. 樽見英樹

    政府参考人樽見英樹君) 私としては、今初めて伺って承知をした次第でございます。
  100. 中西健治

    ○中西健治君 管理責任を行っているのは厚労省じゃありませんか。こうした大きな事件が起きて、そしてその情報収集というのをやっていくわけでありますが、本当に今日のこの時点まで、こうした書き込みが先週の木曜日の時点で行われていたというのを御存じなかったということでしょうか。
  101. 樽見英樹

    政府参考人樽見英樹君) 私としては承知をしておりませんでした。
  102. 中西健治

    ○中西健治君 これはゆゆしきことかなというふうに私は思います。というのは、五月二十八日の時点で、この書き込みを見ると、ウイルスに感染したと書かれているだけではなくて、この日本年金機構の中で全職員に対してパスワードを変更しろと、こんなようなことが行われたということでありますが、その事実も全て外に出ているということですから、当然、そこから何らかのことがあったということ、ゆゆしきことが起こっているということがもう先週の時点では推測されているという状況になっております。それが厚労省の上の方が御存じないということ自体が、これは大変大きな問題を含んでいるのではないかというふうに思います。  これは今後またやっていかなきゃいけないことだと思いますが、じゃ、一点、厚労省の、事実は知らなかったということでありますが、このような行為が行われていたとすればそれは大変ゆゆしき重大な問題ではないかと思いますが、その認識をお伺いしたいと思います。
  103. 樽見英樹

    政府参考人樽見英樹君) パスワードの変更ということをやっていたということについては、これは当然私としても承知をしていたところでございます。ただ、それに基づいてそういう書き込みがなされているということについては、大変問題であるというふうに思っております。
  104. 中西健治

    ○中西健治君 大変問題だと思いますので、是非これは省内でも調査をしていただきたいと思います。  それでは、先ほど申し上げましたが、本題のことについてお伺いしたいと思いますけれども、昨年の予算委員会で、私、厚生年金保険における保険料の徴収漏れについて、国税庁のデータを使っていけば徴収漏れというのはより早く解消できるのではないかというようなことについて御提言申し上げたところ、集中期間五年間掛けてやっていくということをおっしゃられましたけれども、今どのような状況になっているか、教えていただきたいと思います。
  105. 樽見英樹

    政府参考人樽見英樹君) お答え申し上げます。  厚生年金の適用促進対策について、法務省の法人登記簿情報と厚生年金の適用事業所との突き合わせをして不一致となった事業所に対して平成二十六年度から五年間で集中的に加入指導に取り組むと、そういうふうにしていたということでございまして、それについてそのときの大臣答弁であったというふうに承知をしてございます。  一方、法人登記簿との突き合わせということについて、厚生年金が適用とならない休業中の会社みたいなものも法人登記簿に載っているわけでございます。そういうことで、より効率的に適用調査を行うためには、並行して国税庁と協議をしていた結果、平成二十六年の十二月、昨年の十二月から、国税庁から法人の源泉徴収義務者の情報を提供いただくということになったわけでございます。その結果、この方がより効率的に調査を行えるということで、その国税庁の源泉徴収義務者情報との突き合わせというものを行うということにしたわけでございます。  このように方法が途中で変わってきておりますので、現時点でどれだけという数字がお示しできるという状態にございません。申し訳ございませんが、元々、二十六年度から五年間で行うというふうにしていた加入指導等につきましては、二十七年度からの三年間で行うというふうにしまして、最後の期間については一年間前倒しで取り組むと、そういったような形で集中的に取り組むということで進めているところでございます。
  106. 中西健治

    ○中西健治君 大家政務官にもお越しいただいておりますけれども、私はこれまでも、こうした省庁にまたがるデータの突合などは、やはりシステムが違ったりして時間も費用も掛かるというようなことからなかなか進みにくいということを指摘してまいりました。  ですので、やはりここは究極的には歳入庁をつくって、そしてデータを一元的に管理していくということをやっていけば、この年金の徴収漏れというのは解消できるということなんじゃないかと思っていますが、それについて財務省の考え方をお伺いしたいと思います。
  107. 大家敏志

    大臣政務官大家敏志君) お答えさせていただきます。  先生かねてから御指摘のいわゆる歳入庁構想でありますけれども、一昨年の八月、二十五年の八月に取りまとめられた論点整理において示されたとおりでありまして、組織を統合して歳入庁を創設したら、年金保険料の徴収率が上がるかということよりは、むしろ問題点の方が大きいというふうに考えています。また、もう一点御指摘のコスト削減につながるんではないかということでありますけれども、これも、それよりもむしろ多大な時間と経費が掛かるというふうに考えています。  ただ、先生が御指摘のように、省庁をまたぐ情報提供であったり共有ということをやる場合に費用対効果をきちんと考えるという点については、もっとも、先生の御指摘のとおりだと思っております。  国税庁から年金機構への法人情報の提供につきましても、これは守秘義務をきちんと勘案した上で提供すべき情報の範囲を検討した上で実施するものでありますが、今後も情報提供に際しては、その必要性や費用を勘案し、適切に対応してまいりたいと考えております。
  108. 中西健治

    ○中西健治君 ありがとうございました。  質問は以上です。どうもありがとうございました。
  109. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎と申します。  日本年金機構から百二十五万件の年金情報流出したと、この委員会でも何人もの先生方がもうお触れになったことですけれども、触れさせてください。  この流出、今分かっている時点で百二十五万件。でも、これ、今分かっている時点ですから、増える可能性もあるということですよね。今後増える可能性ありと。  今回の件、サイバーテロだ、サイバーアタックだなどなど大げさに言われますけれども、実を言うと、それ以下、それ以前のお話だと思います。添付ファイルウイルスチェックってやっていないのと、送信元がはっきりしない場合は添付ファイル開かないというのは常識でしょうと。これ、一般の方皆さんやられていることですよね。普通の方々が普通にやっていることをやっていない、パスワードの設定もやっていないと。  これ、セキュリティーレベルの低さ、危機管理能力の低さからいって、マイナンバーなんてやめてくれと思っている人たち、この国に生きる多くの人々が、すごくたくさんの人たちが感じたというのが率直な感想じゃないかなと思う今日この頃なんですけれども、そんなこと言っている間にもう一分過ぎてしまいました。時間が今日は限られております。是非、簡潔明瞭な答弁をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。  今回の税番号制度によって、財務省は、富裕層の資産と資産性所得を、いずれは富裕層の皆さんの海外での資産と資産性所得等も含めて本気で捕捉していく方針であるということでよろしいですか。
  110. 藤田博一

    政府参考人藤田博一君) お答えいたします。  番号制度の導入によりまして、申告書、法定調書等の税務関係書類に番号が記載されるわけですが、株式等の譲渡の対価等の支払調書などの法定調書の名寄せや申告書との突合がより効率的かつ正確に行えるようになりまして、所得把握の正確性が向上し、適正、公平な課税につながるものと考えております。  国税当局といたしましては、新たに導入される番号を利用しながら、引き続き、法定調書を含め、あらゆる機会を通じて課税上有効な資料情報の収集に努め、適正、公平な課税の実現に向け、所得、資産の把握に努めてまいりたいと存じます。
  111. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  先ほどお話ししたようなこと、それらを捕捉するためには、このマイナンバーというのは国税にとって喉から手が出るほど欲しい制度なんですかね。これが導入されれば画期的に徴税率が変わるものなんでしょうか。
  112. 藤田博一

    政府参考人藤田博一君) 先ほど申しましたように、番号が記載されることで、突合ですとか名寄せですとか、そういう作業が効率的に行われるわけでございますけれども、ただ、もちろん、消費者に対して販売等が行われた場合、その消費者を反面調査として網羅的に徹底的に調べるということはなかなか困難なところがございますので、ですから、番号が導入されたからといって、完全にいろんなことが全て分かるというわけではございません。  ただ、今までと比べまして、いろんな、先ほど申しました申告書、調書等の突合が効率的にできるようになりますので、より適正、公平な課税につながるものというふうに考えております。
  113. 山本太郎

    山本太郎君 今のお話からいうと、マイナンバー、これが実施されたとしても、なかなかそれ難しいだろうということを表現されていましたよね。その難しいという点は、やはりこれ強制されていないという部分が大きいんじゃないですかね。どう思われますか。
  114. 藤田博一

    政府参考人藤田博一君) 国税庁、法令の執行を任務としておりますので、マイナンバー強制されているかされていないかについてコメントをする立場にございませんので、答弁は控えさせていただきます。
  115. 山本太郎

    山本太郎君 でも、やはり国税としては、適正な税金というものを徴収していかなきゃいけないという中で、マイナンバーというものが入ればもっと広がるし、もっとはっきりとした数字が分かるということなのであれば、これ強制されていなかったら意味ないよなとかというふうに思わないんですか。
  116. 藤田博一

    政府参考人藤田博一君) 申し訳ございません。もちろん、いろんな資料情報がより充実している方が、我々、適正、公平な課税を実現するという任務でございますので、それはよろしかろうと思いますけれどもマイナンバー制度、預金等の強制の有無についてちょっとコメントすることは差し控えさせていただきます。
  117. 山本太郎

    山本太郎君 なるほど。今のままのマイナンバーであれば余り国税的にはそんなうれしくもないし、まあちょっと便利になるかなぐらいかなというような雰囲気が、勝手に解釈してしまいましたけれども。  続いて質問します。  私は、税番号制度によって富裕層の皆さんの資産と資産性所得を捕捉して、資産性所得は分離課税ではなく総合課税とすべきだと思います。財務省、いかがお考えですか。
  118. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。  所得税でございますが、基本的には、原則として総合課税ということで、全ての所得を集めまして累進課税というのが基本でございますが、金融所得のような一種の資産性所得というものの特殊性に鑑みまして、今先生がおっしゃいましたような形での分離課税ということを取ってございます。  そこには三つほど状況がございます。一つは、金融商品が非常に多様化している中で、一般投資家にとって簡素で分かりやすい税制であるということ。それから、多様な商品がいっぱいありますので、課税方式というのをできるだけ統一した方がいいというふうな話。それから、グローバル化が進んでおりまして、言わばクロスボーダーの取引が大変増えているということになりますと、この金融性の所得というのは、いわゆる足が速いとよく言いますけれども、非常に動きが速いものですから、言わば一種のキャピタルフライトといいますか、要するに逃げていきやすいという性質とか様々なものがあるところで、最も適切な課税方式を考えるという場合に、総合課税よりも分離課税の方が望ましいんだろうということで今の方式を取ってございます。  ただ、その場合にどういう税率を掛けるかということがポイントでございまして、二十五年度の税制改正によりまして行ったことですが、平成二十五年十二月までは上場株式の配当、譲渡益に対しましては一〇%の課税でございましたけれども、二十六年一月からは二〇%の本則税率を掛けるということで、税率を引き上げるということも併せて行っているところでございます。
  119. 山本太郎

    山本太郎君 今、三つぐらいの条件を考えてみたら、総合課税ではなく分離課税でやっていった方がいいよというようなお話になったと。  ということは、一度は試算してみたということですか。その分離課税にされているものを総合課税でやってみて、税収を見てみたときに、計算してみたらやっぱり分離課税の方が税収としては多いよなという決断になったということなんですかね。ごめんなさい、これ通告していないんですけど。
  120. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) 試算ということではなくて、結局、今申し上げました、金融商品が非常に多様化している中で、例えば五百万円の収入の方、それから例えば五千万の収入の方、その方が例えば同じ配当を得たという場合に、それぞれ掛かる税率が違ってくるわけです。そうしますと、商品は一つですが買う人の所得によって税率が変わってくるというのが本当にいいんだろうかというふうな現実がございます。  非常にシンプルな金融市場であればよかったんでしょうが、最近のやはり非常に高度化している中で、やはり課税が簡素で分かりやすくという観点も重要だということで、政策的にそちらの方を選んでいるということでございます。
  121. 山本太郎

    山本太郎君 なるほど。人によっては税率が低くなったり高くなったりということを考えてみたら、これはそうじゃない方がいいだろうということなんですけれども、試算ぐらいしてもいいと思うんですけどね。  今から二十五年前、消費税導入直後の一九九〇年度の税収は六十・一兆円、今より八・四兆円も多かった。そのときの所得税収は二十六兆円、今年度の所得税収の見込みは十六・四兆円ですから、現在よりも十兆円も多かった。一九九〇年度の法人税収は十八・四兆円、今年度の法人税収の見込みは十一兆円ですから、現在よりも七・四兆円多かった。所得税と法人税合わせて、一九九〇年度の方が現在よりも十七・四兆円も税収が多かった。消費税の増税は、所得税と法人税の減税の穴埋めのためだったということがもう歴然としていると思うんですよね。所得税と法人税の減税、これやり過ぎていると思うんですよ。  一九九〇年度の法人税の実効税率、去年度の実効税率、今年度の実効税率、来年度の実効税率、それぞれどうなっているかということをお聞きしようと思ったんですけど、また話長くなったら一分しかないので、僕から言いたいと思います。  九〇年度は四九・九八%、昨年度は三四・六二%、今年度が三二・一一%、二十八年度が三一・三三%、とにかく、これ、所得税は資産性所得を総合課税として、法人税は少なくとも租税特別措置を全面的に見直し、さらに、企業の海外からの所得、配当や投資収益等も正しく反映して、実際の法人税負担率と実効税率を同程度にすることが必要だと思います。  財務省、既に一九九〇年度と比較すると、法人実効税率、一八・六五%も引き下げられていますよね。租税特別措置など特例は廃止して課税ベースを拡大することが重要だと思います。短めにお答えいただけますか。ありがとうございます。
  122. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 簡潔に。
  123. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) 課税ベースを広げながら税率を引き下げるというこの方向で今回も法人税改革をしておりますので、その方向で進めたいと思っております。
  124. 山本太郎

    山本太郎君 質問を終わります。
  125. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午前十一時四十五分散会