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2015-05-26 第189回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年五月二十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      山崎  力君     吉川ゆうみ君  五月二十一日     辞任         補欠選任      吉川ゆうみ君     山崎  力君  五月二十五日     辞任         補欠選任      山東 昭子君     酒井 庸行君      世耕 弘成君     渡邉 美樹君  五月二十六日     辞任         補欠選任      酒井 庸行君     中泉 松司君      渡邉 美樹君     阿達 雅志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大島九州男君     理 事                 石井 準一君                 上月 良祐君                 藤本 祐司君                 山下 芳生君     委 員                 阿達 雅志君                 上野 通子君                 岡田 直樹君                 岡田  広君                 岸  宏一君                 酒井 庸行君                 中泉 松司君                 松下 新平君                 山崎  力君                 渡邉 美樹君                 相原久美子君                 芝  博一君                 蓮   舫君                 若松 謙維君                 井上 義行君                 江口 克彦君                 山本 太郎君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    山谷えり子君        国務大臣     山口 俊一君    副大臣        内閣府副大臣   平  将明君        内閣府副大臣   西村 康稔君        総務大臣    二之湯 智君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        松本 洋平君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       向井 治紀君        内閣消費者委        員会事務局長   黒木 理恵君        警察庁交通局長  鈴木 基久君        警察庁警備局長  高橋 清孝君        特定個人情報保        護委員会事務局        長        其田 真理君        総務大臣官房審        議官       時澤  忠君        文部科学大臣官        房総括審議官   徳久 治彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○個人情報保護に関する法律及び行政手続にお  ける特定個人を識別するための番号利用等  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 大島九州男

    委員長大島九州男君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、世耕弘成君及び山東昭子君が委員辞任され、その補欠として渡邉美樹君及び酒井庸行君が選任されました。     ─────────────
  3. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  個人情報保護に関する法律及び行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 個人情報保護に関する法律及び行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山口国務大臣
  6. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 個人情報保護に関する法律及び行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  個人情報保護を図りつつ、近年の飛躍的な情報通信技術の進展に対応したパーソナルデータ及び個人番号の適正かつ効果的な活用を積極的に推進することにより、活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するために、個人情報範囲を明確にするとともに、個人情報を加工することにより安全な形で利活用できるようにする匿名加工情報取扱いについての規律を定め、これら個人情報等取扱いに関し監督を行う個人情報保護委員会設置をするほか、預金等に係る債権の額の把握に関する事務個人番号利用事務に追加をする等、個人情報等に係る制度について所要の改正を行う必要があります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、個人情報範囲を明確にするため、特定個人の身体の一部の特徴を変換をした符号個人発行される書類に記載をされた符号等のうち政令で定めるものが含まれるものを個人情報に位置付けることとしております。  第二に、本人に対する不当な差別又は偏見が生じないように人種、信条、社会的身分病歴等が含まれる個人情報取扱いについての規定整備をすることとしております。  第三に、安心、安全なパーソナルデータ利活用を推進するため、特定個人を識別することができないように個人情報を加工し、かつ、その個人情報を復元できないようにしたものを匿名加工情報と定義し、その加工方法を定めるとともに、その取扱いについての規定整備をすることとしております。  第四に、近年深刻化している個人情報漏えい事案への対応として、個人情報第三者提供を受ける際に取得経緯等確認及び記録作成等を義務付けるとともに、不正な利益を図る目的により個人情報データベース等提供をした際の罰則を整備をすることとしております。  第五に、個人情報の適正な取扱いを確保すべく、その取扱いを行う事業者等を一元的に監視、監督する体制整備をするために、行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律を根拠とする特定個人情報保護委員会を改組して個人情報保護委員会設置をすることとし、その組織や所掌事務等についての規定整備をすることとしております。  第六に、企業活動グローバル化に伴う個人情報の適正かつ円滑な流通を確保するため、外国にある第三者個人データ提供する場合についての規定整備をするとともに、外国事業者等が、国内にある者に対する物品又は役務の提供関連をして取得した個人情報を、外国において取り扱う場合についての規定整備をすることとしております。  第七に、個人番号利活用を推進するため、預金保険機構における預金等に係る債権額把握に関する事務健康保険組合が行う特定健康診査に関する事務等における個人番号利用など、個人番号利用範囲を拡充するとともに、地方公共団体個人番号を独自に利用する場合における情報提供ネットワークシステム利用した情報連携等について、所要規定整備をすることとしております。  以上のほか、所要規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案趣旨でございます。
  7. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 松下新平

    松下新平君 おはようございます。自由民主党松下新平です。  ただいま議題となりました法案につきまして、随時質問をさせていただきたいと思います。  私は、自由民主党IT戦略特命委員会平井たく委員長の下で、私は自民党の総務部会長として、昨年の九月からこのマイナンバー制度について議論を重ねてまいりました。衆議院を通過して、今、今日から実質参議院審議が始まるわけですけれども、どうぞ国民に対して正確な理解を、そして丁寧な説明を心掛けていきたいというふうに思います。  私、今日は総務省関係を中心に質疑をさせていただきたいと思います。最後に山口大臣からこの質疑を踏まえた御決意をいただければ有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。  このマイナンバー制度をめぐる国の議論は、一九六八年、今から四十六年前に遡るそうであります。各省庁統一個人コード連絡研究会議という会議の場でマイナンバーの計画が持ち出されたそうですが、当時は、国民背番号制である、又は国民監視社会になると言われて、頓挫した経緯があったそうです。その後、相当年月が過ぎまして、一九九七年、今から十八年前ですけれども、基礎年金番号導入いたしましたが、これも大量の名寄せや不備が発覚いたしまして、その後、御案内の年金記録問題となりました。国民が支払った年金保険を受け取れる権利を守れなかったという点におきましては、国民の信頼を著しく損なうことになりました。  マイナンバーは、元来、国民権利を守る制度です。自分自分であることを証明するニーズは常にあります。東日本大震災におきましても、残念ながら、罹災証明発行する際に成り済ましがありました。情報が守られるかという不安があると指摘される方がいらっしゃいますが、この発想に問題があります。具体的に例えますと、マイナンバー名前と一緒です。名前は当然公開しておりますが、名前が漏れたからといって直ちに問題が生じることではありません。ひも付けされる情報限定されます。税と社会保障国民権利だけです。  まだまだ勘違いされているこのマイナンバー制度ですが、民間活用で広がるのは、マイナンバーカードに当たる公的個人認証の鍵、これによってインターネットバンキングなどで不正な成り済ましが起きなくなります。国費で秘密の鍵を一億二千七百万人に配るという壮大なプロジェクトで、これはどの先進国にもなされていない、初めてのチャレンジになります。  東京オリンピックパラリンピックに向けて様々なインフラの投資がなされていきますが、二〇二〇年以降、この東京オリンピックパラリンピック以降に花開く社会資本投資はこのマイナンバー制度だというふうに考えております。成長戦略であり、財政再建であり、さらには医療費適正化につながります。このマイナンバー制度は、日本先進国で完全に優位に立つチャンスを内包しております。  本日は、総務省から二之湯大臣、お出ましいただきましてありがとうございます。早速、基本的な質問をさせていただきたいと思います。  住基ネット、これまで様々な紆余曲折がございましたけれども、このマイナンバー制度住基ネット基盤として構築されるわけですけれども、その基である住基ネット、この総括が必要だと考えております。  この運用につきまして、またどのように運用状況を評価されるかについて御質問いたします。
  9. 二之湯智

    ○副大臣二之湯智君) 平成十四年の八月以来、住民基本台帳ネットワークシステムは、外部からの侵入などの重大な事故もなく安定的に稼働をいたしております。これは、個人情報保護セキュリティー確保のための措置を十分に講じているためと認識をしております。  具体的には、以下の措置を講じております。  まず、住民票コードを含む本人確認情報提供を行う行政機関範囲利用目的限定、また外部からの侵入防止のためのファイアウオールによる通信制御専用回線利用情報暗号化、さらにまた内部の不正利用防止のための生体認証暗証番号による操作者限定、コンピューターの使用記録の保存、守秘義務違反に対する刑罰を非常に重くしたことです。そして、全市町村におけるチェックリストによる自己点検外部監査法人によるシステム運営監査などであります。
  10. 松下新平

    松下新平君 この住基ネット総括ということでお伺いしましたけれども、反省すべきは反省をした上で、マイナンバー制度をしっかり取り組んでいただきたいと思います。  十月にいよいよ国民への付番開始されるわけです。もう五か月後に迫りました。これまでも自治体に対していろいろ説明会等なされていると思いますが、もう五か月ですから、円滑な導入に向けた地方公共団体における準備状況総務省取組についてお伺いしたいと思います。
  11. 二之湯智

    ○副大臣二之湯智君) いよいよ本年十月から付番が始まるなど順次施行が予定されているマイナンバー制度の円滑な導入に向けて、各地方公共団体においては、関係システム、いわゆる既存住基システム税務システム又は社会保障関係システム等でございますけれども、の整備改修等準備が着実に進められております。  総務省といたしましては、関係システム整備個人番号カード発行に要する経費等について、国庫補助により地方公共団体取組を支援することといたしております。また、マイナンバー制度導入に当たって不可欠であるシステム整備等については、地方公共団体理解と協力を得ながら進めることが非常に重要であることから、国や地方公共団体担当職員情報共有を図るためのサイト、デジタルPMOや四十七都道府県での現地説明会開催等を通じ、地方公共団体に適切な情報提供を行っているところであります。  引き続き、関係省庁及び地方公共団体との連携を図りながら、制度の円滑な導入に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
  12. 松下新平

    松下新平君 地方公共団体からもこうした方がより分かりやすい説明になるとか、こういった手続の方がより簡素になるとか、そういった提案がなされておりますので、それも十分生かしていただきたいというふうに思います。  引き続きまして、衆議院審議でも一番の課題でありましたけれども、このPRですね、普及啓発に関して質問したいと思います。  特に、窓口である地方公共団体との連携、これが非常に大事になってくると思うんですけれども、この国民認知度を高めるために、制度意義メリット、これについての国民への普及啓発活動、これについてお伺いしたいと思います。
  13. 二之湯智

    ○副大臣二之湯智君) マイナンバー制度は、本年十月から個人番号の通知、そして来年一月からの番号利用開始されることとなっておりまして、御指摘のとおり、制度趣旨意義国民に十分に御理解いただくことが重要であると考えております。  このため、政府といたしましては、昨年の十月に内閣府に国民向けコールセンター設置したほか、ホームページでの情報発信やポスターの作成そして掲示、さらにまた、本年三月からテレビコマーシャル新聞広告等により広報を行うなど、多様なメディアによって普及啓発を実施しているところであります。地方公共団体にも、これらの媒体を活用することなどにより、マイナンバー制度周知広報の実施を依頼しているところであります。  総務省といたしましても、住民に最も身近なサービスを行う地方公共団体と十分に連携し、マイナンバー制度についての住民向け広報を積極的に行い、国民への周知啓発に努めてまいりたいと考えております。
  14. 松下新平

    松下新平君 辛口のマスコミのまだまだ周知が足りないということも指摘がありますけれども、これからですからね。また、日本国民はスタートのときにはやはり皆さん準備をされると思いますので、きちんと周知活動をお願いしたいというふうに思います。  続きまして、このマイナンバー制度、一月から発行されます個人番号カードでございますが、この普及につきましてもこれからしっかり準備しておかないといけないと思うんですが、それについての取組をお願いします。
  15. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お答えいたします。  個人番号カードは、券面に個人番号が記載されまして、就職、子育て、年金受給等番号利用時における本人確認利用されますほか、写真付きの公的な身分証明書として幅広く利用可能となるものでございます。また、個人番号カードにはICチップが搭載されておりまして、そのICチップ空き領域住基カードのときには市町村だけが使えたものでございますが、個人番号カードにつきましては都道府県、国の行政機関等においても利用可能となるものでございます。また、公的個人認証サービスによります電子証明書につきまして、これが標準的に搭載されておりまして、さらに、新たに総務大臣が認定する民間事業者利用可能となるものでございます。これらのことから、住民基本台帳カード活用の場面がより増大をいたしまして、生活に欠かせないカードになるというふうに考えております。  このため、その交付手数料カード交付手数料無料にいたしたいと思っております。さらに、多くの方がカード取得しやすい環境をつくることが大切でございますので、例えばカード取得につきまして、交付のときに来庁していただく方法、あるいは申請のときに役所に来ていただく方法、あるいは勤務先企業等で一括による申請、こういった多様な交付方法を実現いたしまして、個人カード普及を図ってまいりたいと考えております。
  16. 松下新平

    松下新平君 このカード無料で、希望されたらどなたでも発行されるということですので、是非活用を促していきたいというふうに思います。  続きまして、コンビニ交付普及についてお伺いしたいと思います。  住民票写し等コンビニ交付住民にとって利便性の高いサービスでございます。参加市区町村増加傾向にあると承知しておりますが、この個人番号カード発行を機にコンビニ交付の一層の普及を図っていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  17. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) コンビニ交付でございますが、住民利便性の向上、行政コストの削減を実現するなど、住民市町村双方メリットを感じていただけるサービスでありまして、総務省としてもこれまで説明会を行うなど普及を図っておりまして、平成二十二年二月の開始以来、参加団体増加傾向にございます。また、個人番号カードによりますコンビニ交付サービス導入経費につきましては、自治体クラウドの推進に資するものといたしまして特別交付税措置を行うことといたしております。  さらに、平成二十八年一月から交付開始されます個人番号カードを用いて行う場合には、これまでのカードICチップ空き領域活用する方法に加えまして、標準搭載されます公的個人認証サービスを採用し、要するに導入しやすくなるということがございますので、これを契機にコンビニ交付サービス導入する市区町村が更に増える、増大するというふうに見込んでおります。  総務省といたしましても、引き続き普及を図っていくため、市町村に対しまして必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
  18. 松下新平

    松下新平君 この普及には、お話がありましたとおり、双方メリットが重要でありますので、そちらの方もPRをよろしくお願いしたいというふうに思います。  続きまして、民間サービス、この普及についてお伺いしたいんですけれども、個人番号カードに搭載される電子証明書活用した公的個人認証サービスにつきましては、オンラインバンキングオンラインショッピングなどの民間サービスでの利用も可能な制度となっておりますが、民間サービスへの普及拡大に向けた取組についてお伺いします。
  19. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 個人番号カード利用ができます公的個人認証サービスにつきましては、番号法の制定に合わせまして、新たに総務大臣が認定する民間事業者利用可能としたところでございまして、これらの民間事業者提供する様々なオンライン等サービスにおける本人確認活用いただけることとなるものでございます。  総務省では、民間事業者公的個人認証サービス利用するに当たってのシステム要件、あるいはセキュリティー基準策定作業を現在進めているところでございまして、あわせまして、公的個人認証サービス活用が見込まれる幅広い分野の事業者団体等への説明会を行っておりまして、こういった説明会を通じまして、サービスの積極的な活用を現在お願いしているところでございます。  民間事業者に幅広く御活用いただけるように、できるだけ早く民間事業者向けのガイドラインの公表を行いたいと考えておりますし、また、引き続き事業団体等への積極的な情報提供を進めていきたいと考えているところでございます。
  20. 松下新平

    松下新平君 ありがとうございます。  続きまして、総務省で進められています自治体中間サーバーの現在の開発状況についてお伺いしたいんですが、平成二十九年七月から国と地方公共団体等の間での情報提携開始に向けて総務省で進められているこれらの開発状況についてお伺いしたいと思います。
  21. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) マイナンバーシステム開発につきましては、関係府省それぞれが全体スケジュールに沿って計画的に準備を進めているところでございます。  各行政機関等が保有する個人情報連携ができるように、データ形式を共通のものにそろえた上で保存しておくための自治体中間サーバーがございますが、総務省ではそのソフトウエアの開発を現在実施しておりまして、開発状況につきましては、現在、二十七年、今年の七月末の完成に向けて最終的な確認テストを行っている段階でございます。  地方公共団体に対しましては、自治体中間サーバー地方公共団体住民基本台帳システム地方税システム等既存システムを接続することとなりますので、その接続するための技術仕様をお示ししておりまして、地方公共団体ではこれに基づいて現在システム整備等を進めておられるところでございます。  また、自治体中間サーバーハードウエアにつきましては、各地方団体において個別に整備するのではなく、全国二か所の拠点に集約して整備することとしておりまして、今年度中に完了すべく、現在、地方公共団体情報システム機構において整備を進めている段階でございます。  今後、平成二十八年一月から地方公共団体内でのシステム連携テスト、それから七月には国と地方公共団体を合わせた総合運用テストを予定しておりまして、二十九年七月からの国と地方公共団体間での情報連携が実施できるよう、現在いろんな作業を行っているところでございまして、引き続き、地方公共団体とも情報提供等の支援を行うなど万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
  22. 松下新平

    松下新平君 続きまして、情報提供ネットワークシステムについてお伺いします。  情報連携に当たりましては、中核的なシステムとなりますこの情報提供ネットワークシステム、現在、内閣官房開発が進められていますが、来年度からは総務省に移管されると聞いております。移管に向けた総務省準備状況をお伺いいたします。
  23. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 情報提供ネットワークシステムでございますが、これは各行政機関等が保有いたします国民個人情報情報連携基盤となります中核的なシステムでございまして、その円滑かつ安定的な運用が極めて重要でございます。このため、総務省といたしましては、マイナンバー関連法案審議段階から体制整備して、受入れに向けた準備を進めているところでございます。  具体的には、情報提供ネットワークシステム構築主体であります内閣官房システム開発に係る会議等への参加はもちろんでございますが、その運用に係る諸課題の整理、検討、あるいはシステム監視やバックアップ作業などの運用体制、あるいは拠点の整備などに係る検討を現在実施しているところでございます。また、今年からでございますが、システムに接続する関係機関の間での連絡体制整備など、運用に当たって遵守すべきルールを策定するために関係府省が参画する会議を開催いたしまして、連携協力を密にして検討を進めているところでございます。  平成二十九年一月からの情報ネットワークシステム運用開始がされるわけでございますので、総務省といたしましては、引き続き、円滑かつ安定的な運用に必要な人員体制、あるいは運用拠点の整備を含めまして、必要な準備を進めていきたいと考えております。
  24. 松下新平

    松下新平君 本日は総務省関係ということで、二之湯大臣、そして時澤審議官に御答弁をいただきました。これまでも、随時、自治体連携を取りながら進めていただいておりますけれども、さらに、もう五か月に迫っておりますので、着実な、そしてまた、住基ネットの反省を踏まえて取り組んでいただきたいというふうに考えております。  それでは、山口大臣、お待たせいたしました。今日は総務省関係に絞っての質疑でしたけれども、この質疑を踏まえて、山口大臣の御決意をお願いしたいと思います。
  25. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 先ほど来、このマイナンバー制度地方公共団体連携といいますか関係といいますか、いろいろ御議論も拝聴させていただきました。  このマイナンバー制度、これを円滑に導入をしてしっかりと運用していくに当たっては、やはり地方公共団体の協力が不可欠であるというふうなことも改めて感じ入ったところでございますが、また、このマイナンバー制度、この利便性住民の皆さん方に実感をしていただいて、制度を定着、発展をさせていくというふうな観点からも、この個人番号カードとか、マイナポータル、これを積極的に是非とも利活用をしていただくことが重要であろうと考えておるところでございます。  先ほど来の御議論にもありましたように、地方公共団体とはしっかりと連携をして、引き続き、制度の円滑な導入、あるいは定着、さらには利活用の拡大に向けて取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  26. 松下新平

    松下新平君 ありがとうございます。  冒頭に申し上げましたけれども、いろんな指標が出ておりますが、これ、オリパラ以降の成長戦略として大変期待できる分野でもありますし、長年日本が苦しんでまいりました財政再建、コストの縮減によって、このマイナンバー制度をうまく活用することによって財政再建にも大きな手だてとなると思いますし、また、医療費の拡大の抑制、適正化についても、このマイナンバー制度を広く活用することによって実現していくというふうに確信しております。  先進国では、このマイナンバー制度、完全に活用しているところはまだないわけであります。様々な問題があることは承知しておりますけれども、是非利活用の方に重きを置いて、もちろん個人情報、守るべきところは守っての話ですけれども、このことを成し遂げることによって、先進国の中でも優位に立つチャンスでもありますから、是非推し進めていただきたいというふうに思います。  本日は、予定しておりました質問に対して的確な答弁をいただきましたので、ちょっと早いんですけれども、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 相原久美子

    相原久美子君 民主党の相原久美子でございます。今日はよろしくお願いいたします。  質問の大半が個人情報保護に関わるものですから、先にマイナンバー法、ちょっとこの法案名も長いのでマイナンバー法と略させていただきますけれども、マイナンバー法の改正についてお伺いしたいと思います。  まず、準備状況についてお伺いしたいと思うのですが、内閣府が一月に行った世論調査では、マイナンバー制度について内容まで知っていた人は約三割、マイナンバー情報不正利用に懸念を持っている人は約三割との結果になっております。民間団体が一月に企業を対象に行った調査では、システム対応を完了したと回答した企業は約二割にとどまっています。  円滑な運用開始に向けて、国民の不安の払拭、そして民間企業、特に中小企業の対策支援についてどのような措置を講ずるおつもりか。また、個人情報自治体間で提供し合うシステムの構築が四か月遅れと報道がなされておりますけれども、制度運用に影響がないのかどうか、お伺いしたいと思います。
  28. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  マイナンバー制度につきましては、本年十月からの番号通知、来年一月からの番号利用ということになるわけでございますが、先生御指摘のとおり、必ずしも民間への認知度は十分とは言えない状況であることは十分理解しております。  三月にかなり政府広報を使いまして、テレビ、それから新聞等で広報いたしました結果、少しは数字は上がったかとは思っておりますが、まさにその中小企業、零細事業者を中心に今度やっていく必要があるだろうということで、現在、日本商工会議所等と連携しながら、全国で、ブロック単位ではございますけれども、説明会等を開いているところでございます。また、零細企業者につきましては、税理士あるいは社労士等との連携も必要と思っておりまして、これらにつきましても協力をお願いして、説明会を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、情報システム整備につきましては、元々十分余裕を見て準備、スケジュールを組んでいたところではございますが、先ほども総務省の答弁にございましたように、中間サーバーにおきまして三か月から四か月の遅れが生じてはおりますが、その間に地方が参考とすべき手法等は示すなどして遅れに影響が出ないようにした結果、情報連携ネットワークシステムにつきましては通常どおり、予定どおり進むものと考えております。  これらのマイナンバー準備に関しましては、政府を挙げまして遺漏のないようにしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 相原久美子

    相原久美子君 本改正によりまして利用拡大が進むわけですけれども、その実効性の確保ですとかプライバシー保護についてちょっとお聞きしたいと思います。  まず、当初は番号付番されたカードが届きますよね。そして、その後、申請によってIDカードになるとお伺いしております。今回の番号国民全部に、全員に付くわけですね。そうすると、このIDカード、乳幼児も含めて写真入りということですけれども、なかなか乳幼児がこのIDカードを必要とするかどうかと、そういう機会があるのかどうか分かりませんけれども、そもそもこのIDカード、更新というのはあるのでしょうか。それから、乳幼児については単独の写真入りなのか、国民にとってIDカード取得するメリットは何なんでしょうか。
  30. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 個人番号カードにつきまして、まず、乳幼児、未成年者等の取扱いでございまして、まず、有効期限につきましては番号法総務省令で定められておりまして、二十歳以上の方につきましては発行の日から十回目の誕生日までとしております。二十歳未満の方につきましては、容姿の変動が大きいということもありまして、パスポートの取扱いと同様といたしまして、顔写真を考慮して五回目の誕生日までということにいたしております。  また、個人番号カードに表示される顔写真につきましては、同じく番号法総務省令におきまして、申請前六か月以内に撮影した無帽、正面、無背景のものとする旨が定められております。  顔写真のより詳細な規格につきましては、今後、市区町村からの委任を受けて個人番号カードの申込処理等を行います地方公共団体情報システム機構において定めることになりますが、この乳幼児の取扱いにつきましては、パスポートの例もございますので、そういったものも参考に定めることになるというふうに考えております。  個人番号カードにつきましては、番号利用の際の本人確認にも使えますし、さらに一般的な身分証明書等としての活用も想定されているところでございまして、広く活用していただきたく、普及に努めてまいりたいと考えているものでございます。
  31. 相原久美子

    相原久美子君 パスポートの場合、ちょっと確認いたしますけれども、乳幼児をだっこしてということになると、そのだっこしている人は写さないということになるんですかね。
  32. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お答えいたします。  パスポートの場合でございますが、乳幼児は、白い布に寝かせて撮る方法、あるいは白い布をかぶって乳幼児を抱いて撮るというような方法が許容されていると認識しておりまして、そういったことを参考に定めてまいりたいと考えております。
  33. 相原久美子

    相原久美子君 個人情報保護法及びマイナンバー法の改正のいずれもが国民のプライバシーに関わってきます。  そこで、先ほど来、これは経済成長の一端になるのだというようなお話もありますけれども、成長戦略の効率化等々を優先しまして国民の不安というものをやはり払拭しないままにというのは、どうしてもデメリットが大きくなってしまうと思うので、しっかりとそこは周知徹底、そして利活用範囲、そういうものを徹底していただければなと思います。  そこで、そもそも、このマイナンバー法の審議のときに甘利大臣は、今後、民間利用ということも、その必要性が出てきたときには、三年後でありますけれども、三年間の知見の下に、この分野に関しては利用せよという議論も出てくるかと思います、それは、この三年後に、三年間の知見を集めて議論したいと思いますと答弁されていました。また、附則にも施行後三年と付されていたわけですけれども、今回前倒しとなりましたのはなぜなのでしょうか。
  34. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  今回追加するマイナンバー利用事務、例えば具体的に申し上げますと、健診事務でありますとか予防接種、それから預金でございますが、これらにつきましては、従来からの利用範囲であります社会保障、税、災害対策の分野に係る行政事務でございまして、利用事務に追加することで正確性の確保等に資することから、関係者との調整を行った上で国会にお諮りしたものでございます。今回の利用事務は、そういう意味では、行政によって利用する中の税、社会保障、災害等の範囲内なのかなというふうに考えているところでございます。  なお、社会保障、税、災害対策以外の幅広い行政事務でのマイナンバー利用、民間でのマイナンバー利用に広げることにつきましては、マイナンバー法附則第六条一項の検討規定に沿って三年後、施行後三年で見直すというふうな形で進められるものでございまして、今回との、改正とのそごは生じないというふうに考えております。
  35. 相原久美子

    相原久美子君 次に、特定健診、いわゆるメタボ健診に関する事務についてお伺いしたいと思います。  医療情報は要配慮個人情報に該当する可能性が高い。その取扱いにはより慎重な配慮が求められますけれども、今回の利用範囲の拡大に当たって、データが要配慮個人情報を含まれるということなんでしょうか。また、今、向井審議官からお話あったように、行政の範囲内において行政利用で前倒ししたということですけれども、将来的にカルテですとかレセプト管理への利用を拡大する議論も出てくるのではないかと思うのですが、医療関係者ですとか医療利用者の声をしっかりと受けなければならないんだと思うんですけれども、そこについてはいかがでしょうか。
  36. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  まず、機微情報でございますけれども、これはいわゆる身体情報ということで、そういうふうな切り口でございます。一方で、カルテ情報なんかは当然当たると思いますが、今回の特定健診に当たる情報にもそれらに当たるものも含まれ得ると考えております。  そういう中で、今回の健診情報につきましては、まず取扱者が保険者でございまして、いわゆる公的な機関であると。保険者から保険者に移動させる事務を、現行どおり同意が必要であると。ただ、管理に当たってマイナンバーを使って確実性を期したいということでございます。  それからさらに、マイナンバー法によりまして、マイナンバーの付きました情報につきましては、通常の個人情報ではなかなか、今回、この法律の改正案の中に、不正に漏らした場合等に罰則を置いておりますけれども、マイナンバー法の場合、マイナンバー付きの情報につきましては単に故意で漏えいしただけで罰則が掛かるような部分もございまして、そういう意味では通常の個人情報よりははるかに厳しい罰則等が付いてございまして、そういう意味では重い規制が掛かっているということだろうと考えております。  それで、将来、さらに、御質問のございましたいわゆるカルテ情報等につきましては厚労省等で検討が行われております。IT政策の観点からも私どもも検討しておるところでございます。これらの検討に当たりましては、医療関係者、これもいろんな意見ございます。医師会の方はできるだけマイナンバーでないような番号を使えというふうな御意見もあれば、研究者等はもう早くマイナンバーを入れてくれというふうな御意見もありますが、これらについては医療現場に混乱を来さぬように、かつ、何が一番ソリューションとして安全かつコストが掛からないかということを勘案しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  37. 相原久美子

    相原久美子君 いずれにしましても、国民にとって利になるのかどうかという観点を忘れないでいただければと思います。  次に、個人情報保護に関する部分について入ってまいりたいと思います。  まず、個人情報の定義についてでございますけれども、昨年の十二月の法律案の骨子では個人情報の定義の拡充が示され、例示としまして携帯電話番号、このようなものが示されました。これは政府パーソナルデータ検討会の議論を受けたものなんですが、今回提案された改正案では、個人の身体の一部特徴を変換した番号符号等のうち、政令の定めるものという範囲になりましたね。  なぜ十二月の骨子の内容からこのように変更されたのか、お伺いしたいと思います。
  38. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 御指摘の昨年の十二月の骨子案におきましては、携帯電話番号を例示していたところでございますが、まず、この例示したものにつきましては、いわゆる個人識別符号という形で、それ単体で個人情報になるものというふうなものでございます。  骨子案では、個人情報を明確化するための類型としての個人識別符号につきましては法律のレベルにおいて規定し、これらの類型にどのような情報が該当するかについては、情報通信技術の急速な進展等に柔軟に対応できるよう政令で定めるという枠組みを示したものでございます。その中の附属資料に例示が書いてございますが、極めて、何といいますか、限界線上の例示を書くことによって、より議論を深めたいという意図もございます。その時点では、これらを政令で定めることまでは決定していたものではございません。  その後、骨子案を基に様々な御議論ございました。もういろんな方から御意見もございました。そういう中で条文化していく中で、まさに消費者とか民間企業の様々な方からの御意見を踏まえまして、携帯電話番号につきましては、様々な契約形態あるいは運用実態があることから、現時点においては、一概に個人情報に該当するとは言えないとの判断に至っているものでございますが、ただ、当然こういうものは、技術の進歩あるいは社会の流れ、国際情勢との調和というのは必要でございますので、随時見直せるものだというふうに考えてございます。
  39. 相原久美子

    相原久美子君 個人情報範囲というのは、国際的なやっぱり基準と一致することが必要なんだろうと思うのですけれども、五月八日の衆議院内閣委員会で、政府は、今お話しになりましたように、携帯番号については、現時点において、単体で一概に個人情報となる個人識別符号に該当するとは言えないというような答弁がございまして、クレジットカード番号、メールアドレスについても、現時点では一概に個人識別符号に該当するとは言えないという答弁でしたね。さらに、携帯番号の通信端末IDは個人識別符号に該当しないということにしているようですけれども、マスコミ報道などを見ますと、EUも米国も端末識別情報保護対象とする方向を打ち出しているというような報道ですとか、EUでは端末IDについて個人を識別し得る場合は保護対象であると、このような報道がなされていました。  また、三月十七日には日EU規制協力に関する共同文書が取りまとめられていましたけれども、この中で個人情報保護にも触れていられました。仮に個人情報の定義や範囲日本とEUで違いがある場合、EUから十分性の認識を受けることに支障はないのでしょうか。
  40. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  EUにおきましては、一九九五年に定めましたEUデータ保護指令、この指令というのはEU各国にこれに基づいて法律を作るようなものを要請するというものでございまして、この指令そのものが法規範を持つものではございません。それに基づきますと、個人データ取扱いに関する助言を行う機関として二十九条作業部会、これは各国にそういう立法を助言する機関でございます。その同機関の個人データ範囲においての意見書によれば、携帯電話番号と端末IDはいずれもEUデータ保護指令が定める個人データに該当するとされております。  一方で、現在さらにEUではこの保護指令を法律化する、強制的に法律化するような動きもございまして、その中にも入ってございますが、これは結構難航しておりまして、ここ二、三年議論がなされていると。  アメリカも、御指摘のとおり、そういう草案は出ておりますけれども、まだ議会での議論にも入っていないという状態になってございます。  これらの状況をよく見ていく必要が今後あるんだろうなということは十分認識をしておりますが、他方、EUの十分性の取得に関しましては、これまで公表されている資料等から推測されるEUが日本が不十分としている点につきましては、独立した第三者機関がないということ、それから機微情報に関する規定がないということ、それから小規模取扱事業者について例外扱いをしているということ、それから越境データ移転についての制限がないということ、それから管理請求権の明確化がされていないということ、このおおむね五つが挙げられているというふうに考えておりまして、これらの点につきましては今般の法改正において必要な対応を取っているところでございます。
  41. 相原久美子

    相原久美子君 EUからの十分性は今回の改正で一定程度クリアできるということのようですけれども、一方では、EUでの議論も、それからアメリカでの議論も端末ID等々についての議論は進んでいるようですから、日本も遅れることなく対応をしていっていただければなと思います。  次に、個人識別符号ですとか要配慮個人情報については政令で具体化するが、個人識別符号となり得る情報は広範になって、それだけでは個人情報に該当がしないとしても、組合せによっては個人特定することもあり得るのではないかという指摘があります。どのように政令で個人識別符号範囲を明確にしていく予定なのでしょうか。
  42. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  今回の個人情報の改正におきましても、改正前からございます、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定個人を識別することができるものにつきましては個人情報として引き続き保護されます。  一方で、個人識別符号は、これは単体のみということでございますので、仮にこれに、個人識別符号に当たらないからといって必ずしも個人情報にならないということではなくて、むしろ、例えば携帯端末ですとかそれらのものにつきましては、他の情報と照合することにより個人を識別する能力はやっぱり高いものだと当然考えられるというふうに思います。  そういう意味で、これらのそういうものにつきましても、これまでどおり、容易に照合することにより個人を識別することがなるものにつきましては当然個人情報に含まれると。一方で、これ単体のみで確実に個人情報だと言えるものにつきましては政令でこれこれこういうものというものを具体的に書いていくというふうになろうかと考えております。
  43. 相原久美子

    相原久美子君 法改正の目的の一つはグレーゾーンの解消にありますが、技術の発展に伴いまして多様なデータが発生してくると思います。技術革新のスピードに対してどのように政令でグレーゾーンの解消を進めていくのか。民間のデータ活用団体からは、端末IDについては民間の認定個人情報保護団体で対応して、そして個人情報保護委員会が監督するのが現実的であるという意見もありますけれども、その意味では、民間の認定個人情報保護団体と、そして行政にある個人情報保護委員会との役割分担についてお伺いしたいと思います。
  44. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 御指摘のとおりで、今回の法案におきましては、個人識別符号、これを新たに政令で定めて、いわゆるグレーゾーンを解消していこうというふうなことにしておりますが、この情報通信分野、これも御指摘いただきましたが、これ著しい変化というか、変化がまさに著しい世界でございますので、今後の技術やサービスの動向に応じて、新たに取扱いを検討しなくてはならない状況が生じるということが当然想定をされます。  このため、このような状況にも迅速に対応できますように、政令あるいは規則と、そして民間の自主的なガイドラインとの適切な連携が必要であろうと考えておりまして、今お話がございました認定個人情報保護団体による自主的な取組の重要性というのはもうますます高まるというふうに認識をいたしております。  このような観点から、業界ごとの特性を踏まえた民間の自主的なガイドラインに個別具体的な対応を委ねるというふうなことにしておりまして、これらのガイドラインにつきまして、そして個人情報保護委員会への届出、公表を行うというふうなことで、当然この個人情報保護委員会がしっかりと監督をするというふうなことによって、消費者の皆さん方の不安が払拭をされるということが期待をされるわけでございます。  一方で、認定団体が存在しない事業分野、あるいは認定団体に属していない事業者との関係、これもあるわけですが、この関係におきましても、消費者の皆様方の不安に対応していくということは大変重要な課題でございますので、このため、個人情報保護委員会におきましては、消費者からの苦情とかあるいは御相談の処理に万全を期していきたいと考えておりますし、認定団体が存在をしていない事業分野等に特有の情報等がある場合、やはりQアンドAのようなものをしっかりと作成をして、適切に対応していきたいと思っております。
  45. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  様々な業界のヒアリングも行わせていただいたのですけれども、認定保護団体、ここの部分についてしっかりとここで対応していくという御意見もございました。もちろん、そこでまた頑張っていただかなきゃならないと思うんですが、恐らく、こういう団体がないというところが一番問題なんだろうと思います。その意味では、保護委員会の役割というのは重要になってまいります。是非、連携をしっかりと付けていただければと思います。  本法案では、個人情報保護委員会規則で定める基準に従い、個人を識別することができないよう加工し、復元することができないようにしたものを匿名加工情報と言っております。  昨年十二月に示されました内閣官房IT総合戦略本部パーソナルデータに関する検討会の技術検討ワーキンググループ報告、ここの中では、いかなる個人情報に対しても、識別非特定情報や非識別非特定情報となるように加工できる汎用的な方法は存在しない、第三者提供を念頭に一定の匿名化措置を行っても、必ず識別性又は特定性をなくさせるわけではなく、またそうした匿名化の措置に対して一般的な水準をつくることもできないと指摘されています。要は、匿名という形で加工しても、それが本当に十分性があるというふうにはなかなか言えないのだというある意味の指摘もあるんだと思います。この指摘によりますと、個人情報保護委員会規則で加工基準を一律に定めるというのは難しいのではないかと思います。  実効性確保のために、事業実態や技術レベルを踏まえて事業分野に対応した加工基準を定めることが想定されますけれども、その際、どのように事業者の予見可能性を十分として識別行為の禁止ですとか安全管理措置等について実効性確保のための措置を講ずるのか、お伺いしたいと思います。
  46. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、まさにこれは一律にはなかなか決められないものでございます。一方で、基本的な部分は一律に定められる部分もあると思いますので、それらにつきましては個人情報保護委員会で定めた上で、個々の業界に係る分につきましては先ほどの認定個人情報保護団体等活用してやはり定める必要がございますし、ない分野におきましてもよく実態を踏まえて作成していく必要があるのではないかというふうに考えております。  これらの加工情報の基準を定めた上でこれらの実効性を上げるためには、まずどのような加工情報があるかということを、まず実態を個人情報保護委員会がよく見ること、それから、国民生活センターとも連携して消費者からの苦情に敏感に反応することが必要なのではないかというふうに考えております。
  47. 相原久美子

    相原久美子君 後ほど聞こうと思ったんですが、国民生活センターとの連携というのも、消費者側の代表として相当の課題が蓄積されておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  また、当初、匿名加工に当たりまして事業者個人情報保護委員会への届出を求めるとされておりましたけれども、本改正案で項目の公表へと緩和されました。確かに、事業者委員会の負担を考えますと現実的な選択かもしれないのですが、情報保護、いわゆる国民情報保護、そして優良事業者の育成の観点からも、罰則の強化、そして課徴金制度などを導入すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  48. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  罰則というのは、今回、不正に流出した場合に罰則を作りましたけれども、一般的な罰則というのは、諸外国とのバランスを見ても、通常の個人情報保護法は、余り罰則というよりは、むしろ諸外国では課徴金で対応されている例が結構ございます。課徴金というのも当然検討対象にはしたところでございますけれども、現時点ではまだ時期尚早かなというふうな考え方の下に今回は御提案しておらないところでございますけれども、この法律の附則に三年ごとに見直すというふうな話がございます。三年ごとに見直す際には、今回、所管が個人情報保護委員会に移りますので、まさに、やっぱり三年ごとというのは結構短うございますので、個人情報保護委員会ができましたら、次の改正に備えた検討も開始するというのも必要なのではないかというふうに考えております。
  49. 相原久美子

    相原久美子君 違反事案とか何かが出てきたことによる、そういう知見等々によっての恐らく見直しということにもなろうかと思いますけれども、そこも、諸外国がこれだけ課徴金制度で対応しているということであるのであれば、まあゼロということではないのかなと思いますので、是非その辺についても注視をお願いしたいと思います。  匿名加工情報第三者への提供につきましては、提供後に識別行為が行われることがないかという懸念、国民にとってはあります。個人情報保護委員会提供事業者に対しどのように監督する予定なのでしょうか。通常の第三者提供の場合は第二十三条で規定がありますけれども、同様に匿名加工情報も、作成目的情報項目、提供先への本人への通知、又は本人が容易に知り得る状況に置くべきではないかと考えます。仮に、流通した匿名加工情報について本人が識別された場合、本人へ通知する等の仕組みが必要なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  50. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  匿名個人情報にかかわらず、通常、法律で一般的に想定しているのは、多分個人本人から聞いて取得したというのを元々原始取得は想定しているということでございますけれども、現在のIT社会におきましては、個人から聞かなくても、いろんな情報を加工することによって個人特定できてしまうというふうなことは十分起こり得ることだろうと。  そういう意味で、もちろん特定禁止なので特定しちゃいけないんですが、特定禁止、特定してはいけないので、できないので、法律上は当然それを特定したときはすぐ廃棄していただくというのが法律上の義務になるというふうに思いますが、先生の御疑問の、一般論で言うと、そういう場合はやっぱり原始取得に当たりますので、当然本人に知らすなり、あるいはオプトアウトするなりということは必要になってくるのではないかと思います。
  51. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  私もこの質問をするに当たりまして少し学習してきたんですが、学習すればするほど分からなくなりました。一般の国民にとってはそれほど本当に理解がなかなかし難い、危険性ですとかそういうものもなかなか予知しにくいというところがありますので、どういう形で現行法があって、どう改正されていくのかと、今、更問いのように質問させていただきました。申し訳ございません。  あと、利用目的制限の緩和についてお伺いします。  本改正案では、本人の同意がなくてもデータの利活用を可能とする枠組みの導入が消費者側の意見を踏まえて見送られました。しかし、第十五条の二項において、変更前の目的と相当の関連性を有するからこの「相当」の部分を削除することで利用目的制限が緩和されたとされています。衆議院通過後の報道では、同意なく使える範囲が大きく広がるのではないかという懸念が指摘されていました。  何がどのように緩和されることになるのか、そして、際限なく広がるものではないのだというところを国民の皆さんに分かりやすくお示しいただければと思います。
  52. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  現行法上、利用目的を変更する場合には、「変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。」と規定されているところでございます。  今回、この「相当」という文言を落とすわけでございますが、現行法の運用に当たりましては、「相当の関連性」という文言についてかなり厳格な解釈運用がなされているところでございます。  一方で、情報通信技術の飛躍的な進展によりまして、ビッグデータの収集、分析が可能となる中、事業者の中には、取得した個人情報を当初想定できなかった新事業、新サービス活用したいとのニーズもあるものの、こういう解釈のために事業者利用をちゅうちょしているものもかなりあるというふうに聞いてございます。  このため、今回の改正は、「相当」の部分を削除し、事業者が機動的に目的変更することを解釈運用上可能とするものでございますが、変更できる利用目的範囲については本人が通常予期し得る限度内であることを想定してございます。  例えば、電力会社が顧客に省エネを促す目的で家庭内の機器ごとの電気使用状況を収集し、その使用量を分析して顧客に提示しているような、そういうサービスがございますが、このような情報を用いて、例えば家電制御技術の研究開発やこの顧客の安否確認サービスを行うぐらいは許容範囲かなというふうに考えているところでございます。
  53. 相原久美子

    相原久美子君 衆議院でもそういう例示を出していただきました。本当に様々な例示が出てくるだろうと思います。しっかりとそこの部分も注視していただきたいと思います。  個人情報保護強化、開示請求についてお伺いしたいと思います。  本改正では、第三者提供に係る記録作成義務及び確認、いわゆるトレーサビリティーの確保ですとか、不正な利益を図る目的による個人情報データベース提供罪の新設、本人同意を得ない個人データ第三者提供への関与、いわゆるオプトアウト規定の見直しなど、個人情報保護強化についての改正も含まれております。  名簿の不正流出対策がいかに実効性あるものとなるかが課題ですが、本人同意を得ない第三者提供については、本人に選択の機会を与えるため、オプトアウトの前置期間を、いわゆる商品でいうとクーリングオフですかね、そういうようなものを設けて、その間は第三者提供を禁止して本人への通知を義務付けるべきではないかと思うのですが、これに関してはいかがでしょう。
  54. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 現行法におきましても、事業者がオプトアウト手続を用いる場合は、本人第三者への個人データ提供の停止を求めることができるよう、一定の事項をあらかじめ本人に通知し、又は容易に知る状態に置かなければならないと規定しているところでございますが、御指摘のとおり、現保護法の運用におきましては、オプトアウト手続を用いていることを本人が十分認知しているとは言い難い事例、例えば、ホームページに掲載いたしましても、どの事業者が何をやっているかというのを一々見るわけにいかぬし、非常に困難でございますので、こういう問題があることから、今回、届出制というのを導入したわけでございます。  したがいまして、こういう、これまで解釈に委ねておりました通知又は容易に知る状態の具体的な方法をまず委員会規則で定めるということが一つございます。それから、オプトアウト手続に係ります本人通知事項を届出制といたしまして、届出事項を委員会が一覧性をもって公表すると、そこを見ればどういうことが行われているのか分かるというのが大事であろうと思っております。  委員指摘の前置、あらかじめというのの具体的な期間の設定につきましては、業界ごとの特性も踏まえつつ、例えば認定個人情報保護団体の個人情報保護指針での対応等も含めまして、今回の措置の実効性を確保できるように適切に対応してまいりたいと考えております。
  55. 相原久美子

    相原久美子君 また、本改正案では、現行法で認められている開示等の求めを改正しまして、請求権を明確化することになりましたが、当該本人が識別される個人のデータですね、これに加えて、第三者提供に係る記録、先ほど指摘いたしましたが、第三者提供に係る記録作成義務等々が課されるわけですから、こういうものについての記録等についても開示を求めるということはできるのでしょうか。
  56. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  請求権につきましては、これまで行政側から書かれていたものを、個人の側から書き直して請求権があることを明確化したというものでございますが、これらにつきましては、この請求権の範囲内につきましては、当該本人が識別される保有個人データということでございますので、その内容は、当該本人の氏名、住所、購買履歴等の個人情報になるということで、今回の第三者提供に係る記録というのは入らないということでございます。  それで、第三者提供記録に関しましては種々議論があったところでございますし、衆議院審議におきましても種々の、いろんな角度からの御議論がございました。そういう中で、事業者に過度の負担を与えないというふうな面もあり、記録を全ての個人個人データごとにどこに渡したかということを記録するまではなかなか求めるのは難しいのかなというふうに考えられます。例えば、こういうふうな種類の個人データをこういうところに渡したと、その中身を全て記録するというのはなかなか難しいこともあろうかと思います。また、いわゆる営業秘密に属するような場合もあり得るのかということで、今回はそういう請求権の中身に移転記録を含まなかったということでございますけれども、今後の更に実施状況を見つつ、どういうことが起こり得るのかというのはやっぱりよく十分に注視していく必要があるというふうに考えております。
  57. 相原久美子

    相原久美子君 事業者負担が重くなるのでということもあるということですけれども、しかしながら、やはり情報も、出した側というか、我々国民側ですね、にとっては、やはりここも、どういう状況になっているのか分からないということになると不安ですから、開示請求くらいには応じていただけるような方向へ是非進めていただければなと思います。  個人情報保護委員会についてお伺いしたいと思います。  本改正によりまして、第三者機関として、マイナンバー制度第三者機関である特定個人情報保護委員会、現在あるものですね、これを改組して個人情報保護委員会が新設されるということです。来年一月の委員会発足と同時にマイナンバー運用開始され、その後、本法案の成立後二年以内とされているこの施行準備ですとか、マイナンバーでは、再来年一月の国のネットワーク、七月の自治体のネットワークの運用準備に対応する、そして情報通信技術の進歩、国際情勢の変化、そういうものに対応するということで、相当委員会の部分は重責を担うことになろうかと思います。  そこで、委員会が有効に機能するためには、委員ですとか事務局において、事業者や消費者双方を代表する者など、技術の進歩にしっかりと対応していける人材、そして国民の側に立つ保護の観点をしっかりと捉える人材、こういうものが必要だと思われます。  民間人材の登用と専門的知識、実態に即応できる体制とするために必要な定員の配置、それから予算等々についてどのようにお考えか。そしてまた、新たに専門委員が置かれるということですけれども、専門委員の役割とどのような人材の登用を想定していらっしゃるのか。特に、消費者側からは、そこにきちっと入っていきたいけれどもなかなか人材を出すことが難しいというようなことも言われております。その考慮を求める声に対してどうお考えでしょうか。
  58. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  個人情報保護委員会につきましては、御指摘のとおり、様々な分野を代表する人材の確保に努め、保護利活用のバランスの取れた十分な体制整備することが重要と認識しております。  まず、委員長及び委員につきましては、法律上、どのような専門分野の方を任用するかが定められておりまして、消費者の保護に関して十分な知識と経験を有する者や民間企業の実務に関して十分な知識と経験を有する者も含まれております。  また、専門委員につきましては、分かりやすく申しますと、例えば医療情報なんかにつきましては医療の専門家とか、そういう分野分野によって専門委員を置くということが一番考えられるんではないかというふうに思います。そういうふうな専門委員活用することによって、幅広い分野への対応、的確な対応も必要だろうと思っております。  また、特に事務体制の人員、予算等も重要でございます。なかなか、こういう新しい組織をつくるときの人員の確保というのは極めて大変だということもございまして、私どもも毎年毎年、特定個人情報保護委員会も含めまして予算で努力しているところでございます。来年度、まさにその個人情報保護委員会、予算、定員につきまして、あるいは非常勤につきましても民間からの登用、例えば非常勤の採用とか常勤の採用も、民間からの登用も含めまして努力してまいりたいと思っております。  また、消費者団体の方からの登用というのもあろうかと思いますが、なかなか、そういうまさに消費者団体で活動されている方というのは、もう主婦もやられていてというふうな方がおられると思いますので、なかなかその方を直接というのは難しいかもしれませんけれども、例えばその関連をしている専門家とか、そういう方を登用していくという手もあろうかと思います。そういうのも工夫してまいりたいというふうに考えております。
  59. 相原久美子

    相原久美子君 是非本当に、それぞれの立場のそれぞれの御意見があるかと思いますので、網羅した形で、ひとしくというところを是非視野に置いていただければと思います。  個人情報保護委員会規則は、匿名加工情報の加工基準を定めるなど、その内容は事業者、消費者双方に直接影響を与えるものになります。事業実態や技術進歩を踏まえたものとするため、その策定や見直しに当たり、当事者参加の意見が反映される仕組みが必要と考えます。  もちろん保護委員会の中にも、今おっしゃっていただいたように、かなりの専門分野の方たちも想定しているようですけれども、しっかりとここに関しては周辺の理解が得られるように努力をお願いしたいと思っております。  次に、認定個人情報保護団体、そして個人情報保護指針についてお伺いしたいと思います。  認定個人情報保護団体が個人情報保護指針を作成するに当たり、民間主導による自主規制ルールを導入し、消費者の意見を代表する者、その他の関係者の意見を聴くことが努力義務とされています。いわゆるマルチステークホルダープロセス、これを用いた作成を指すものと考えますけれども、消費者側の専門的人材はまだまだ少なくて、実効性の確保への影響が心配されます。  認定団体において自主的な取組による指針作成運用が適切に機能しない場合、委員会はどのような措置を講ずるのでしょうか。当該の過程を経ることなく作成された指針が提出された場合どのような対応を図るのか、お伺いしたいと思いますし、実効性の確保には、同時に、先ほどの保護委員会のところでも指摘しましたように、消費者側の専門人材育成が不可欠と考えますけれども、その支援をどのように考えていらっしゃるか。先ほど国センの話もございました。そういうところの連携についても、もし思いがあればお伝えいただければと思います。
  60. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  今回の法案では、認定個人情報保護団体が個人情報保護指針を定める際には、消費者の意見を代表する者その他関係者の意見を聴くように努めることとしているところでございます。その趣旨は、まさに先生御指摘の、事業者、消費者等の意見を聴いて自主ルールを策定するマルチステークホルダープロセスの考え方を取り入れることで、指針の内容が公平で適切なものになること等を目指すものでございます。  当然のことながら、これは努力義務ではございますけれども、そういうふうなプロセスを踏まえて内容が公平なものになることが当然必要となってまいりますし、そのようなものでないと指針の意味も成さないというふうに考えておりますので、そういうふうなものでない場合につきましては、適切に個人情報保護委員会が指導に入るというふうなことが考えられるのではないかと思います。  いずれにしましても、やはりそのプロセスそのものをできるだけ取っていただけるように、というか、基本的には取っていただくように個人情報保護委員会が指導していくというのが重要なのではないかなというふうに思います。  そのような中で、御指摘の、そんなに消費者の専門家はなかなかあれですよと、大変だというのは御指摘のとおりだと思います。私どもも、今回の法案作成に当たりまして、消費者団体の方と随分お話しする機会もございましたし、たくさんの御意見を伺いました。そういう中で、ごく限られた方が獅子奮迅の働きをしているというのはまさに実態であろうと思います。これらにつきましても、やはりそういう方々の御意見を踏まえて、できるだけそういうふうな活動に参加される方が増えるような広報等も必要なのではないかと、そういうのも個人情報保護委員会の役割なのではないかというふうに考えております。
  61. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  個人情報保護委員会の役割の中にそういう視点を是非入れていっていただければと思うんですね。我々も消費者側です。自分情報がどのように伝わっていくのか、どのように利用されていくのか。実際には、今日、私、質問するに当たりまして勉強しましたけれども、はっきり言ってどんどんどんどん分からなくなります。これが恐らく実態だろうと思います。  その意味では、これから個人情報保護委員会の役割というのは、国民の皆さんに、要するに、自分情報、これがどういう価値があって、そしてどういう使われ方するのがベストなのか、それは消費者側にも言えることですけれども、事業者側にもしっかりとやはり指導していただかなければ国民の不安というのは払拭されないと思いますし、ある意味、利活用が進まない、それから悪用という形になりかねないと思いますので、保護委員会、大変な状況になろうかと思いますけれども、しっかりと対応をお願いできればと思います。  そして、小規模取扱事業者への対応についてもお伺いしたいと思います。  本改正によりまして、これまで規制対象外の取り扱う個人情報が五千人以下の小規模事業者も新たに規制対象となります。中小零細企業や個人商店にはホームページさえ有していない事業者も多いわけです。周辺の私たちが接する個人商店、その中に実際に個人情報はあるけれども、それをどのように使うかすらも恐らく分かっていない方たちもいらっしゃる、そういう中小零細企業や個人商店にしっかりとやはり対応をしていっていただかなければならない、大規模事業者との一律の対応を求めるというのは過度な負担を強いることにもなります。今回、小規模事業者を規制対象とした理由と、政令や委員会規則を検討するに当たり、中小零細企業に対する負担軽減や支援策等の措置と実効性の確保をどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。
  62. 平将明

    ○副大臣(平将明君) 御指摘のとおり、現行法では、取り扱う個人情報の数が五千件を超えない者は個人情報取扱事業者から除外をしておりましたけれども、今回の法案ではそれが対象になるということですから、町の八百屋さん、魚屋さんも入ってくるということでございます。  なぜこれを入れたのかといった御質問ありましたが、先ほどEUの十分性の議論もありましたが、EUの十分性の中で、やっぱり小規模を全くカバーしていないじゃないかという指摘もされております。今後、世界的にこういった個人情報取扱いをする際にはこれは避けて通れないんだと思います。  一方で、大量のデータを扱う大企業と町のそういう小規模事業者を同じに扱うというのは、これも非現実的でありますので、改正法の附則においても、個人情報保護委員会が、事業者等が講ずるべき措置に関する指針、いわゆるガイドラインでありますけれども、それを策定するに当たっては、特に小規模事業者の事業活動が円滑に行われるよう配慮するものと規定をしております。  具体的には、例えば、安全管理措置義務に関する規定を定める際には、事業規模や個人情報利用形態に応じた適切な運営となるよう小規模の事業者においてとるべき措置の具体例を示すなど、明確で分かりやすいものにすることを想定をしております。例えば、町のおそば屋さんが配達先の名前と住所と電話番号を持っているとすれば、ホームページはないということになろうかと思いますが、そういった際は、紙の顧客名簿しかないということであれば鍵の掛かる引き出しに管理をしていただければ足りるというようなことにもなりますので、そういった具体例を分かりやすく示していきたいというふうに思います。  このように、指針の内容や位置付けについては、周知徹底をしっかりと政府全体で図ってまいりたいと思います。また、小規模事業者における法の実効性も併せて確保していきたいと思っております。
  63. 相原久美子

    相原久美子君 小規模零細企業の取り扱う個人情報って、私、どういうのがあるんだろうって実は考えたんですね。今、例題の中でお魚屋さんとかなんとかっておっしゃっていましたけど、実は私たち、結構個人情報を出しているんですね。薬局に、小さくてもカルテを持っていって薬をもらうとか、そういうことを考えていくと本当に、クリーニング屋さん等々でも結構あるなとか、そういう意味では、さりとて、恐らく五千人以下の規模を扱うような事業者の方たち、ましてそこが地方へ行くと、もうどんどんお年寄りの方でやっているというような状況があろうかと思うんです。そういうところにやはり今回の法改正によってどういう義務が課せられるのか、そういうところをしっかりと周知していかなければならないんだと思うんですね。  そこをやはり、先ほどのマイナンバーもそうですけれども、なかなか今こういう議論になっていても、ほとんど多くの国民の皆さんは分からないという状況に置かれて、はい、スタートしましたと言われて、そしてそこに対応されるということは難しいかと思います。ガイドラインの必要性というのは私も十分に、本当に必要だなと思っております。是非そこをしっかりと進めていただければと思います。  そして、なおかつ、これ事業者側からもそうですし、消費者側からも恐らく保護委員会等々に照会が来るのだろうと思います。しっかりと、いわゆる行政的な対応ではなくて、分からなくて聞くわけですから、是非そこは、その立場に立って指導をいただければと思います。  ちょっと最後の質問になろうかと思います。  官保有の個人情報取扱いについてちょっとお伺いしたいと思います。  官保有の個人情報、現在、国の機関ですとか地方公共団体、それから独立行政法人、地方独立法人は個人情報取扱事業者からは除外されているということのようです。行政機関ですとか独立行政法人における個人情報は、行政機関個人情報保護法及び独立行政法人個人情報保護法によるところとされているようでして、これ、個人情報保護委員会の監督は直接には及ばないのでしょうか。  ちょっとそこを確認したいのと、行政や独立行政法人の保有するパーソナルデータについても、その利活用について民と同様の基盤に共有化して、個人情報保護委員会行政機関も指導監督できるように統一的に行うべきではないか。それは、先に指導監督の範囲なのかどうかをお伺いした上でお伺いしたいと思います。
  64. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  個人情報保護法は、先生御指摘のとおり、行政機関、それから独立行政法人、それから地方自治体は外されておりまして、それらは別途、別の法規制になってございます。自治体につきましては条例で定めることになってございます。  したがいまして、今回の個人情報保護委員会が、国あるいは独立行政法人、地方の個人情報につきましては指導範囲外というふうになりますが、マイナンバー付きの個人情報特定個人情報につきましては、特定個人情報保護委員会として権限が及ぶことになります。  さらに、じゃ、その公的な保有の個人情報活用すべきではないかという御質問に対してでございますが、公的なものの持っている個人情報というのは、極めて行政的な、例えば警察とかあるいは税とか、そういうふうな情報がある一方で、病院でありますとか、地方自治体ですと交通機関でありますとか、ほぼ民と同様の情報もあると。それらを区別しつつどういうふうに規定していくかというのを現在総務省で検討しているところでございます。できる限り早くそういう検討をまとめまして、速やかに国会にお諮りしたいというふうに考えてございます。
  65. 相原久美子

    相原久美子君 恐らく、災害ですとか、それから様々な社会的弱者の方たちにしっかりと対応していくという面でも、今後、そういうような議論、行政が持っている情報等々も活用するという話になってくるんだろうと思います。  この先の議論になろうかと思いますけれども、いずれにしましても、やはり国民のために利便性がどのように良くなるのか、そしてなおかつ事業活動も活発化できるような、そんな取組をお願いしたいと思いまして質問をさせていただきました。今後、大変かと思いますけど、周知徹底をしっかりと図っていただくようお願いしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  66. 若松謙維

    ○若松謙維君 公明党の若松謙維です。  この個人情報保護法といわゆるマイナンバー法について質問させていただきますが、まず、今日は個人情報保護法改正を中心にお尋ねさせていただきます。  あわせて、この法案ですけど、本年の五月二十日に衆議院内閣委員会で附帯決議が付されておりますので、参議院ですからしっかりとこの附帯決議の中身について、本法案における重要な論点、留意すべき点、非常に多く盛り込まれておりますので、この附帯決議に沿って質問をしていきたいと思います。  その前に、先ほど平副大臣が、説明がちょっと違うのかなと思って、これは局長でもいいんですけど、確認なんですが、先ほど相原委員が、例えば町のおそば屋さん等のいわゆる顧客データ、台帳みたいないわゆる電子化されていないのも管理しなければいけないというようなことをおっしゃいましたが、あくまでもこの法律の対象の個人情報というのは電磁的記録なので、紙データはその対象にならないと、そういう理解でいいわけですよね。
  67. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 個人情報保護法の個人情報データ、これは紙でも電磁的媒体でも両方含むというふうに考えられております。
  68. 若松謙維

    ○若松謙維君 分かりました。ということで、そういった町の方々の、個人事業者ですか、しっかりそういう個人情報は百件でも管理しなければいけないというところを徹底しなければいけないという、大変ですね、やっぱり、改めて実感いたしました。  その上で質問をさせていただきますが、個人情報の定義の明確化、済みません、思い付きの質問でもう一つなんですが、私たち政治家は、御存じのように、いわゆる支持者の名簿がありますね。大体国会議員ですと五千件ってすぐなんです。前はいわゆる政治とか除外事項あったわけですけど、この制度は変わっていないですね。
  69. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) そこの部分は改正されておりません。
  70. 若松謙維

    ○若松謙維君 ということで、先生方、この点は安心してください。  それで、また質問に戻りますが、個人情報の定義の明確化という観点について、これ二条なんですけれども、この個人情報の定義につきましては、これは衆議院でもいろいろ議論されました。  まず、消費者及び事業者に対して分かりやすく明確に示されるべきものであると、こういうことでありますが、やはり先ほどの衆議院内閣委員会の附帯決議では、個人情報の定義を政令で定めるに当たっては、消費者及び事業者等から広く丁寧な意見の聴取に努め、保護対象を可能な限り明確化する等の措置を講じるということであります。これについて、ちょっと政府、どのように今後やろうとしているのか、見解をお伺いいたします。
  71. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  今回の法案でございますけれども、情報通信技術の進展を踏まえまして、事業者パーソナルデータ利活用する上で個人情報取扱いに萎縮することのないよう、新たに個人識別符号という類型を定めて法律保護対象を明確化するものでございます。  これらにつきましては、社会実態を踏まえた上で具体的に政令で定めるということが必要であろうかと思っております。その際には、やはり一番必要なことは、政府のやり方としてパブリックコメントとかいろいろあるんですが、やはり事業者の方、消費者の方とじかにヒアリングして意見を交わし合うということがまず大事であろうかと。  今回のマイナンバーのガイドラインを作るに当たりましても、そのようなプロセスを多数経て作ったものでございますが、今回のそういう個人情報保護法の政令で定める、あるいはガイドラインを定める場合にも、そういうことを丁寧に丁寧にやっていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  72. 若松謙維

    ○若松謙維君 ちょっとそれに関連して、先ほどこれも相原委員から、携帯電話番号については個人情報ではないというようなお話をされて、これもたしか平成二十六年十二月十九日のパーソナルデータに関する検討会ですか、議論されているんですが、それでは、じゃ、例えば旅券番号、運転免許証番号、これはどういう扱いになるんですか。
  73. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 旅券番号、運転免許証番号につきましては、公的な機関が発行した個人特定する番号でございますので、個人識別符号に入ると考えております。
  74. 若松謙維

    ○若松謙維君 そうすると、じゃ、先ほどの携帯電話はまだ個人情報ではないけれども、今後の社会実態に応じていわゆる個人情報になり得るという、そういう認識ですか。
  75. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) まず、携帯電話番号につきましては、法人携帯あるいはプリペイド等もございます。また、比較的容易に番号を変更しようと思えばできる、そういうふうなものでございますので、それらの実態を踏まえると一概には当たるとは言えないということでございますけれども、一方で、個人特定する能力の高いような情報であることには間違いないだろうと思います。  そういう意味で、照合して個人情報になるという点におきましては、当然のことながら、そういうふうなものが含まれている情報につきましてはその可能性が高いと。さらに、先ほども申しましたように、社会情勢の変化及び国際的な情勢の変化、これにやっぱり敏感に対応する必要もあるというふうに考えております。
  76. 若松謙維

    ○若松謙維君 分かりました。  改めて、じゃ、もし分かればなんですが、この携帯電話番号、海外でいわゆる私たちが議論している個人情報に定義しているという国ってあるんですか。
  77. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 先ほど申し上げましたが、EUでは保護指令を出して、保護指令の中に当たるということを保護指令に基づいた機関が意見として出しているというのがございます。ただ、それは法規範ではない。ただ、それに基づいて法律を作っておりますので、EUの中には具体的にそこまで書いているところはないでしょうけれども、裁判例では、具体的な裁判例では当たるというふうな裁判例もあるようではございます。ただ、明確に入る入らないというふうな法律があるかどうかについては承知してございません。
  78. 若松謙維

    ○若松謙維君 分かりました。じゃ、ちょっとこの件はまた注視して、これからも議論していきたいと思っております。  次に、九項ですか、いわゆる匿名加工情報、これにつきましても、本法案個人情報利活用を促進する観点から特定個人を識別することができないようにする、個人情報を加工したいわゆる匿名加工情報の規律が設けられておりますが、先ほどの衆議院の附帯決議では、この匿名加工情報につきまして、個人情報保護委員会規則で基準を定めるに当たっては、効果的な利活用に配慮するとありますが、これ、具体的に今後どういうふうにしていくか、お尋ねいたします。
  79. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  今回の法案におきまして新たに類型化します匿名加工情報につきましては、個人情報を加工して特定個人を識別することができないようにするものでございますけれども、加工の程度と加工後の情報の有用性というのは一般的にはトレードオフの関係にあるんではないかと考えております。  したがいまして、個人情報保護委員会が基準を定めるに当たりましては、本人権利利益を適切に保護しつつ、情報の有用性に配慮する観点から、活用が期待されます民間事業者のニーズを把握しつつ具体的な検討を進めるということとしてございます。  また、基準に定められた加工方法により実際にどのような加工を具体的に行うかにつきましては、対象になるサービス等の特性、取扱個人情報匿名加工情報の内容に応じまして、事業の実態を踏まえた個人情報保護指針等の自主的なルールに委ねることとしておるところでございます。  このように、個人情報保護委員会の定める基準と民間企業の自主的なルールによる適切な対応がなされることにより、実効的な利活用がなされることを期待しております。
  80. 若松謙維

    ○若松謙維君 だんだんまた言葉のやり取りが抽象的になってきまして。  そうすると、具体的に、さっきトレードオフという言い方ありましたけど、じゃ、今後この匿名加工情報、これが、個人情報に対して匿名加工情報の対象が広がれば広がるほど、どうなんですか、利活用というのはやりやすくなる、それともかえって情報が分からなくなって活用できなくなる、そこら辺の折り合いというんですか、どういうふうにまとめていくんですか。
  81. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  一般的には、端的に氏名を外すというのがありますが、氏名を外しただけでは住所地等で特定できてしまうと。じゃ、氏名も住所も外すという場合に、じゃ、住所をどのように外すかといいますと、東京都辺りですと区単位でも十分な人口がおられますけど、一方で、地方に行きますと字とかで特定されてしまうというふうな場合もあり得るだろうというのを、そういうのを具体的に考えながら、徐々に、何といいますか、識別しているものを抽象化していくというふうな作業が必要でございます。  そういう中で、一般論としましては、氏名を外すから始まりまして、例えば年齢だと、五歳刻みにする、十歳刻みにする、情報の量によって違うと思います。それから、住所につきましては、例えば市町村単位にするとか、人口幾ら以上の単位にするとか、そういうふうな加工の仕方。それからあと、よく言われますのは、特異な行動をするパターンについては、その特異な行動だけで分かってしまうということもありますので、そういう場合は、そういう特異な行動だけを外すというふうな加工の仕方もあるようでございます。  そういうふうなことを組み合わせる必要がございますので、それらにつきましては、なかなか全ての、何といいますか、情報につきまして、一般的に通用する方法というのはなかなか難しいので、個々の具体的なものに即して基準を定めていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  82. 若松謙維

    ○若松謙維君 これも分かればでいいんですが、今ちょっと質問やり取りしながら思い付きで怒られますけれども、Suicaありますね。Suicaは大体国民の方はほとんど持っていらっしゃいます。あれは個人名入れるんでしたっけ。入れないですよね。何も入れないんですね。じゃ、これはSuicaのデータですから何千万人といると思う、これは個人情報になるんですか。
  83. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  Suicaの場合は、全く無記名の誰かが分からないようなやつと、それから記名式のクレジットカードもひっついたやつと、両方ございます。したがいまして、記名式の場合には当然個人情報に当たり得る可能性が十分あると思いますが、無記名のものについてはむしろ個人情報に当たらないことが多いんではないかと考えられます。
  84. 若松謙維

    ○若松謙維君 そうすると、記名式、特に定期とか、そういうのは必ず記名ですよね。ということで、そのデータは個人なんですけれども、これを利活用する場合には先ほどの加工が必要だということですね。そこがどこまでやるかというのが、じゃ、字まで入れるのかどうかという、そういう話になると思うんですけれども、という理解でよろしいわけですね。
  85. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) まさにそういう個人の入ったデータにつきまして、個人名を外すだけではなくて、どこまで抽象化すれば識別できないかということを議論するということになろうかと思います。
  86. 若松謙維

    ○若松謙維君 何か少しずつ分かってきたような気がします。  じゃ、更にちょっと質問しますと、例えば個人の、記名式の個人の方、当然、ビッグデータでこの方の定期以外のいろんな行くところも恐らくデータとしてあると思うんですね。そうすると、特定した方のこの方の行動というのはもう全部ある意味で分かるわけですよね。だけれども、そういうデータというのは、先ほど言ったように、それはやっぱり個人データで、ビッグデータの活用の際には何が問題で何が課題なのかと、ちょっとまとめてくれますか。
  87. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  まず、そういう、例えばどこの駅の降りた方が例えば改札口こちらから出て、その人の住所はこの辺にありますというふうなデータを、個人であれば当然個人データ名前も書いてあって住所地も特定あれば個人データですけれども、一方で、利活用する場合、例えばマーケティングに利活用する場合には、例えば東出口の方には割と年輩の方が多数行かれますとか、一方で、こっちに学校があれば、こっちの別の出口からはどちらかというと年齢層が低い方が出られますみたいなデータを使うと、例えばコンビニにどういう商品を置くのかというのは変わってまいります。そういうふうな、何といいますか、例えば商店街開発ですとか、そういうふうなものの有用性に使えるんではないかとああいう乗降データは期待されているところございます。  そこをどこまで加工するか。だから、まさにどこまで抽象化すればいいのかという話でございますけれども、まさに個人特定されるようなことがないということがまず原則だろうと。したがって、住所、氏名は外すんだとは思いますけれども、じゃ、それも、だから人口にもよるとは思いますけれども、例えば何々町何丁目ぐらいでかなりの人口がおられれば特定される可能性はほぼないというふうに考えられればそこまで抽象化するというふうな形になって、そういう人間がどれぐらいのボリュームでいるのかみたいな話をデータとして活用していくんではないかというふうに考えます。
  88. 若松謙維

    ○若松謙維君 もっと少し分かってきたと思います。  じゃ、これも引き続き、是非、居酒屋戦略、今後のためにどうするか、渡邉委員とちょっと顔を見ながら考えたんですけれども、もう次の質問に移りますので……(発言する者あり)ええ、残念ながら。  じゃ、次は、国境を越えた個人情報の移転という二十四条についてお尋ねをいたします。  この法案ですけれども、国境を越えた個人情報第三者提供に関しまして、そのルールを明確化するために新たな規定が設けられているということですが、これを受けまして、先ほどの衆議院の附帯決議では、海外における個人情報保護を図りつつ、国境を越えた個人情報の移転を不当に阻害しないよう必要な措置を講ずることとされていると。これについて政府はどのように対応しているのか、お答えください。
  89. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 我が国の企業活動グローバル化あるいは情報通信技術普及に伴いまして、個人情報の海外のやり取りが増加しているといいますか、ほとんど海外ではもうしょっちゅうやられているような状況になっております。  こういうことを踏まえまして、今回の法案におきまして外国第三者に対して個人情報提供する場合のルールを整備することとしたものでございます。そのルールの一つといたしまして、外国第三者への個人データ提供に当たり、提供先の第三者が我が国の個人情報取扱事業者と同様の措置を講ずる体制個人情報保護委員会が定める基準に基づいて整備していれば、国内と同様に個人データ提供することを可能としております。  具体的には、よくありますのは、外国にデータセンターがあって、それにデータを委託するというふうなことがよく起こっておりますけれども、これらの場合にもちゃんと国内と同様の安全管理措置等を契約で定めておればそれはオーケーであるというふうなことだろうというふうに考えられます。これ、こういうふうな基準を個人情報保護委員会で作っていくというふうになろうかと思っております。
  90. 若松謙維

    ○若松謙維君 先ほどのデータ委託ですか、契約ですけど、実際は企業です、日本の企業が海外にデータ委託する場合に、実際、そこら辺の、その契約のない今現在は適正にされていると思っていますか。ちょっと、どうぞ。
  91. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 通常、よく企業が海外にデータ委託なんかする場合のデータ委託契約なんかは、基本的にはそういうふうな情報が入っているというふうに認識しております。
  92. 若松謙維

    ○若松謙維君 分かりました。  じゃ、次に質問移りますが、最後に、マイナンバー利活用で運転免許証と健康保険証聞きますので、ちょっと心の準備しておいてください。  次に、この個人情報保護法に戻りまして、名簿事業者への対応ということで、この本法案におきましては、名簿事業者への対応の一環として個人情報のトレーサビリティーを確保するための記録作成等の義務や、個人情報を不正に持ち出し、第三者提供して利益を得る行為に対する新たな罰則規定が新設されているということでありますが、この一連の対応につきまして、先ほどの衆議院の附帯決議では、記録作成等の義務に関し、事業者に過度な負担とならないよう十分に配慮するとともに、悪質な事業者への対応については一般の事業者に過度な負担とならないよう実態調査を行った上で、有効な措置を講じるとありますが、これに対して政府は今どのように対応しているか、お答え願います。
  93. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 今回の法案では、個人情報のトレーサビリティーを確保する観点から、第三者提供に係ります記録作成等第三者提供を受ける際の確認等を個人情報取扱事業者の義務として新たに導入したところとしておりまして、これはいわゆる名簿事業者への対応を意識したものでございます。  記録作成が必要となる場合における具体的な記録作成方法、記載事項につきましては個人情報保護委員会規則で定めることとしておりますが、衆議院審議の際にもこれが中小企業者に過度な負担を与えるものではないかという御質問が多数ございまして、この附帯決議になったものと認識してございます。  この附帯決議において指摘されているとおり、事業者への負担が過度なものとならないよう最大限配慮することが必要と考えております。  また、悪質な事業者への対応に関する指摘は、いわゆる詐欺等の犯罪に利用される悪質な名簿を取り扱う事業者への規制、そのための実態調査を想定したものと考えられます。  これらにつきましては、附帯決議においても指摘されているとおり、その方法によっては適切に事業を行っている者まで過度な規制が掛かってしまうおそれがあるため、今後この法案に基づく措置の実施による効果等も踏まえた上で関係省庁と検討してまいりたいというふうに考えております。
  94. 若松謙維

    ○若松謙維君 先ほどのその実態調査、これは、じゃ、今後、個人情報保護委員会がやると、そういう理解でよろしいんですか。
  95. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 御指摘のとおりでございます。
  96. 若松謙維

    ○若松謙維君 じゃ、先ほどの、これは個人的な関心なんですが、今、私の国会のパスポートありますけど、健康保険証、あと運転免許証、両方あります。これ、大体持っていらっしゃると思いますので、一つにしてほしいんですけど、その際に、どういうふうな手続がされるのか、あと、そういうことを考えていらっしゃるのかも含めてお願いします。
  97. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  個人番号カード、できるだけ多数の国民の方々に持っていただきたいと思っておりまして、無料にしているところでございますけれども、一方で、公的なカードというのはもう既に多数出ておりますので、それをできるだけ少なくしていく方向で、個人番号カードにできるだけ一元化する方向で検討してまいりたいというところで、現在検討対象になっておりますものは、例えば国家公務員の身分証明書ですとか公的な身分証明書、それからあと健康保険証等が検討対象となっているところでございます。  これらにつきましては、健康保険証なんかにつきましては、これは個人番号カード自体が強制的に国民全員にお配りするものではないものですから、直ちに入れ替わるということはなかなか難しいものというふうに考えておりますが、徐々に個人番号カードにも保険証の機能が入っていくように、例えば当初は両方持つことも考えられます。個人番号カードを持っていけば保険証の機能にもなる、その中でだんだん個人番号カード普及とともに保険証の方を廃止していって一元化していくというのがある考え方かなというふうに思います。  御指摘の免許証につきましても当然検討すべき事柄だとは思っております。ただ、免許証の取扱い等につきまして、まだ具体的に政府でこういう方針が決まったものではございません。
  98. 若松謙維

    ○若松謙維君 マイナンバーというか、マイナンバーカードですか、この利活用は、じゃ、今後先ほどの個人情報保護委員会、これがいろいろな国民の民意を吸い取って対象を広げていくと、そういう理解でいいんですか。
  99. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 個人情報保護法は、所掌は個人情報保護委員会でございます。一方で、このマイナンバー法につきましては内閣府と総務省の共管という形になってございますので、内閣府、総務省、それに調整機能のございます内閣官房のIT室におきまして、利活用等について検討していくというふうになろうかと思っております。
  100. 若松謙維

    ○若松謙維君 そうしますと、また個人的な質問で恐縮ですが、運転免許証、いつ頃マイナンバーカードに統合されるでしょうか。
  101. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 具体的には現在政府で決定されたものについては言及されてございません。
  102. 若松謙維

    ○若松謙維君 分かりました。またいろんなところで要望してまいりたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  103. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  104. 大島九州男

    委員長大島九州男君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、渡邉美樹君及び酒井庸行君が委員辞任され、その補欠として阿達雅志君及び中泉松司君が選任されました。     ─────────────
  105. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 休憩前に引き続き、個人情報保護に関する法律及び行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  今日は、個人情報保護法改正案について質問します。  今回の改正で要配慮個人情報規定が設けられました。そこで、山口大臣に、まず要配慮個人情報とは何か、なぜこの規定整備されたのか、御説明いただけますでしょうか。
  107. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) この要配慮個人情報につきましては、人種、信条あるいは病歴等事業者が正当な理由なく取り扱うことによって差別とか偏見が生ずるおそれがあるために、特に慎重な取扱いが求められる個人情報を類型化をいたしまして、特別の規律を設けるものであります。  この点、要配慮個人情報の類型は、差別や偏見等の原因になるものを憲法の規定とかあるいはその他外国法律等を踏まえて限定的に規定をいたしたものでありまして、お尋ねのこのような規律を設ける意義というのは、本人の同意を得ない取得を原則として禁止をして、かつ、あらかじめ本人の同意を得ずに行う第三者提供の対象から除外をする規律を設けることによりまして、本人の意図しないところで当該本人に関する要配慮個人情報取得をされること、及びそれに基づいて本人が差別的取扱いを受けることを防止をする必要があるというふうなことであります。  また、日本におきまして要配慮個人情報に関する特別の規律が法律上設けられていないことによって、日本個人情報保護制度が十分な水準にあると認定されずに、EUから日本個人情報を移転をすることが制限をされております。そうしたことから、個人権利利益を保護しつつ、国際的にも整合性の取れた規律とするために、要配慮個人情報の規律を設けるというふうなことにしたものでございます。
  108. 山下芳生

    ○山下芳生君 今、その定義と、なぜそういうことを設けたのか、また取得に際して、あるいは第三者への提供に際しても本人同意を義務付けるということにした意味についても御答弁があったと思います。  私は、これらの改正の根底には憲法上の要請があると思います。憲法は国民に保障する基本的人権を列記しております。憲法十四条、法の下の平等、何人も人種、信条、性別などによって差別されない。あるいは十九条、思想、良心の自由。あるいは二十条、信教の自由などであります。  今回の要配慮個人情報規定の根底には、こうした憲法に明記された基本的人権の保障があると考えますが、大臣の認識を伺いたいと思います。
  109. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、今回の法案におきまして、要配慮個人情報につきましては、EUの十分性認定、これも念頭に置きながら、国際的な整合性の観点から規定を設けるというふうなことにしたものでありますが、その規定の内容を検討するに当たりましては、諸外国の法令などとともに我が国の憲法第十四条、ただいま御紹介がありましたが、この規定も参考にさせていただいたものであります。
  110. 山下芳生

    ○山下芳生君 その基本的人権の中で、私、とりわけ思想、良心の自由というのは、個人の内面的、精神的活動の自由、すなわち内心の自由の中でも最も根本的なものだと考えます。これ、大臣、ちょっと通告していなかったんですが、これは私が勝手に言っているんじゃなくて、東京大学の芦部信喜先生はその著書「憲法」の中でそう指摘をされております。ちょっと一部紹介いたします。  諸外国の憲法においては、信仰の自由や表現の自由とは別に、特に思想の自由を保障する例はほとんど見当たらない。それは、内心の自由が絶対的なものと考えられていたこと、また思想の自由が表現の自由と密接に結び付いているために、表現の自由を保障すれば十分であると考えられていたことに基づく。しかし、我が国では、明治憲法下において、治安維持法の運用に見られるように、特定の思想を反国家的なものとして弾圧するという内心の自由そのものが侵害される事例が少なくなかった。日本国憲法が精神的自由に関する諸規定の冒頭において思想、良心の自由を特に保障した意義はそこにあると。芦部信喜先生、「憲法」からの一節であります。  このように、思想、良心の自由というのは、個人の内面的、精神的活動の自由、すなわち、内心の自由の中でも最も根本的なものだとの指摘について、大臣の御認識、いかがでしょうか。
  111. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 私もこれまで議員活動をしてくる中で、自由民主党の中でもいろんな議論をしながら、御案内のとおり、党の決定に従わなかった等々、いろいろございます。  確かに、内心の自由というのは非常に大事なところであろうと思いますし、これはもう当然、思想、信条の自由、これともつながってくる話でございます。やはり最大限尊重されるものであろうと思っております。
  112. 山下芳生

    ○山下芳生君 大事な御答弁だったと思います。  今回の要配慮個人情報規定の新設の根底には、今議論させていただいたような憲法上の要請があると理解いたします。  そこで、今回改正されようとしている個人情報保護法は、民間の事業者を対象としたものであります。ただ、私は、国の行政機関あるいは地方公共団体など公的機関が個人情報を扱う際には、民間事業者と同等、あるいは、公的機関ですから、それ以上に今回の要配慮個人情報規定設置の精神を踏まえることが期待されると考えますが、山口大臣の御認識、いかがでしょうか。
  113. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 現行法におきましても、いわゆるそうした公的機関が持つ個人情報というものに対する取扱いは、別途、地方公共団体においては条例等々で定められておるわけでありまして、一般の個人、いわゆる民間の個人情報とはやはり質を異にするものであろうというふうなことでありますが、ただ、今回の法改正を受けて、今後、地方公共団体においても恐らく条例の改正等々様々な動きがある。そういう中で、しっかりと情報提供したり御相談をしたりしながら遺漏のなきようにやっていただきたいし、政府あるいは独法等々に関しましても、この法律の施行までにできるだけ共通なものに持っていきたいと考えております。
  114. 山下芳生

    ○山下芳生君 できるだけ共通なものに持っていきたい、すなわち、要配慮個人情報の扱いについても、公的機関はできるだけ共通の認識で扱っていただきたいというのが大臣の御見解だと理解いたします。  そこで、山谷国家公安委員長に伺います。  岐阜大垣警察署市民監視事件と呼ばれる事件があります。資料配付した朝日新聞、二〇一四年七月二十四日、これは名古屋本社版ですけれども、一面、それから二枚目の社会面に詳しく紹介されておりますが、この一面の方を少しかいつまんで読み上げて紹介したいと思います。  岐阜県大垣市での風力発電施設建設をめぐり、同県警大垣署が事業者の中部電力子会社シーテックに、反対住民の過去の活動や関係のない市民運動家、法律事務所の実名を挙げ、連携を警戒するよう助言した上、学歴又は病歴、年齢など計六人の個人情報を漏らしていた。朝日新聞が入手した同社の内部文書で分かったとありまして、ちょっと下の引用になりますが、シーテックは十六基の風力発電施設の建設を計画した。上鍛冶屋地区、四十六戸の住民がお住まいですが、この地区では、建設に伴う土砂崩れや低周波による健康被害などを懸念し、測量に伴う同社の立入り反対を決議された。朝日新聞が入手したのは、同社風力発電部の地域対応グループが大垣署警備課長らとの協議内容をまとめた議事録で、二〇一三年八月七日、一四年二月四日、五月二十六日、六月三十日の四回分だということですが、私は住民の皆さんからこのコピーの原文を入手しております。非常に克明に議事録としてシーテック社が大垣署とのやり取りを記録したものであります。  最初の一三年八月七日付けによると、中部電岐阜支店から大垣署が事業概要の情報を必要としていると連絡があり、同グループ長らが署を訪れた。大垣署の方から働きかけがあったということであります。そのことも書いてあります。  記事の下の方に、反対住民で上鍛冶屋地区の自治会長の、ここでは実名を避けてAさんとしておきますが、六十五歳は、自らの活動を明らかにし、取材に、税金で住民監視し、企業に情報を漏らすのかと怒った。こうありますが、山谷大臣、岐阜県警大垣署と中部電力の子会社シーテックがこの風力発電施設建設をめぐって情報交換していたことは事実でしょうか。
  115. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) お尋ねの件でございますけれども、大垣署の警察官が関係会社の担当者と会っていたという報告を受けております。
  116. 山下芳生

    ○山下芳生君 事実だということを確認いたしました。  またちょっとその新聞の一面を見ていただきたいんですけれども、この大垣署とシーテックとの情報交換には重大な問題が幾つも含まれていると言わねばなりません。まず、個人情報本人同意なしに勝手に集められていたということであります。しかも、集められた情報は先ほど議論した要配慮個人情報そのものであります。  この記事の一面の左肩の方に、大垣署とシーテックの主なやり取り、私が入手しておりますシーテック作成の議事録からの抜粋が載っております。  一三年八月七日、七月末に岐阜県大垣市内で風力発電について学ぶ勉強会があったことをお互いに確認。その上で大垣署の方から、勉強会の主催者であるA氏やB氏が、これはもう実名で書かれてあるわけですね、が風力発電にかかわらず、自然に手を入れる行為自体に反対する人物であることを御存じか。さらには、両氏は活発に自然破壊反対や希少動物保護の運動にも参画し、法律事務所、これはG事務所とします、ともつながりを持っている。また、自然破壊につながることに敏感に反対するC氏、女性の名前ですが、という人物が市内にいるが、御存じか。六十歳を過ぎているが、東京大学を中退しており、頭もいいし、しゃべりも上手であるから、このような人物とつながると厄介になると思われる。大々的な市民運動へと展開すると、御社の事業も進まない。平穏な大垣市を維持したいので協力をお願いするというやり取りであります。  これは明らかに、それぞれの個人がどういう信条を持って活動されているのかということを個々に、これは本人は全く知らなかったと、本人同意なしに入手をしているということになりますが、山谷国家公安委員長、このような個人情報本人同意なしに警察が勝手に取得するということは許されるんでしょうか。
  117. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 警察は、公共の安全と秩序の維持という警察の責務を果たすために、警察法や各都道府県個人情報保護条例の規定にのっとり適正に取り扱っているものと報告を受けているところでございます。
  118. 山下芳生

    ○山下芳生君 公共の安全のためにという言葉がありましたけれども、こういう住民の至極当然な自分たちの住環境を守りたいという思いからの勉強会などがなぜ公共の安全のための監視の対象になるのか全く理解できませんが、続いて、一四年二月四日のところを見ていただいたら、B氏が法律事務所Gの後援会役員になった。風力発電事業に関して相談に行った気配がある。五月二十六日、A氏は法律事務所Gの事務局長と強くつながっており、現在、事務局長は病気のため入院中であるので、すぐに次の行動に移りにくいと考えられる。これ、事務局長さんの病気だという情報も入手されているわけであります。  これ明らかに、先ほど山口大臣から御答弁のあった要配慮個人情報、信条、かつ、これは病歴等に当たる内容がこのように入手されているわけですが、山谷大臣、こういう情報がなぜ公共の安全、秩序維持になるんでしょうか。
  119. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 警察における情報収集につきましては、公共の安全と秩序の維持という警察の責務を果たすために、警察法や各都道府県個人情報保護条例等にのっとり適正に情報収集を行っているものと承知をしているところでございます。
  120. 山下芳生

    ○山下芳生君 答えがないんです。なぜこういう住民の皆さんの活動が、公共の安全、秩序の維持のために個人情報が入手されなければならないというふうな対象になるんでしょうかという質問なんですが。
  121. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 警察が行う個々の情報活動、情報収集活動については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、詳細はお答えを差し控えたいところでございますが、今後とも、適正に警察活動が推進されるように指導してまいりたいと考えております。
  122. 山下芳生

    ○山下芳生君 まあ何を聞いてもそういう答弁しか返ってこないのかもしれませんが、続けたいと思います。  とにかく、本人同意なしにこういう非常に思想や信条あるいは病歴に関わる情報が集められていたというだけではなくて、もう一つ重大な問題は、その本人同意なしに取得した情報本人同意なしに第三者提供されていたというのもこの事件の非常に重大な問題の一つだと。しかも、一民間企業であります。相手は、シーテック社というのは中部電力の子会社、風力発電の事業をやろうとしている一企業でありますが、この一企業にわざわざ大垣署の署員が働きかけて、先ほど紹介したような情報提供すると。  これは、もう収集もあってはならないことだと思いますが、第三者、しかも一民間事業者に対する本人同意なしの提供、これは、山谷大臣、警察がこんなことを行っていたと、許されるとお考えですか。
  123. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 本件につきましては、大垣署の警察官が公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環として事業者の担当者と会っていたものと承知しておりますが、警察法と各都道府県個人情報保護条例の規定にのっとり適正に取り扱っているものと報告を受けているところでございます。
  124. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう何でもありということになっちゃうんですよ、こういうことが適正なんて言われるとね。  警察法に何とあるか。第二条、警察の責務とあります。警察は、犯罪の予防、捜査、その他公共の安全と秩序の維持に当たる。その責務の遂行に当たっては、不偏不党かつ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならないと、こう明記されております。  山谷大臣、この警察法第二条、憲法に保障される個人権利、自由の干渉にわたるようなことがあってはならない、権力の濫用があってはならない。これどう考えても、今の住民の皆さんのやっている活動というのは、極めて平穏に、また、何といいますか、勉強会ですよ、これは。そして、自分たちの地域は特別に土砂崩れの危険があるということも考えて、心配して勉強会をやって、まず、一方的な立入りの測量がやられようとしたということもあったようですので、立ち入らないでほしいということを決議されたわけですね。全くもう当たり前の住民の皆さんの行いがこのように監視されている、で、第三者情報提供されていると。  これは明らかに警察法二条、憲法に保障された個人権利、自由の干渉にわたる法令無視、権限の濫用だと私は思いますが、山谷大臣、権限の濫用にこの具体例が当たらないと山谷大臣はお考えなんですか。
  125. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 今、山下委員がお読みになりました警察法のところでございますが、責務の遂行に当たっては、不偏不党かつ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならないというのはそのとおりでございます。  本件につきましては、警察法と各都道府県個人情報保護条例の規定にのっとり適正に扱われているものと報告を受けているところでございます。
  126. 山下芳生

    ○山下芳生君 山谷委員長は大垣署とシーテック社が協議した、情報交換したという事実は認めました。その中身について、私はシーテック社の議事録も入手して、ほぼこれはそのまま朝日新聞には報道されております。  このような行いが、私は、普通に考えて、平穏な市民の活動であって、これを公共の安全とか治安の維持ということで監視する方がこれは職権の濫用だというのが当たり前だと思いますが、山谷大臣、そう思わないんですか。
  127. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) シーテック作成に係る議事録なるものについては、県警の方は、報道等によりその概要を承知しておりますが、県警が作成した文書ではなく、評価する立場にないということでございます。今回の件は権限の濫用には当たらないというふうに報告を受けているところでございます。
  128. 山下芳生

    ○山下芳生君 非常に浅い答弁だと言わざるを得ません。なぜなら、この議事録については県警は関知しないと言いながら濫用には当たらないと言うのは、これはどう考えても根拠がないじゃないですか。大垣署がそう言っているからそうだというだけであって、私は、国家公安委員長というやはり警察の全体を、国民の立場から、憲法の立場から、警察法の立場から管理するというのが国家公安委員長の責任ですよ。その立場に立ったら、具体的に私は住民の意見も直接聞きました。これはあってはならないことが起こっているとお怒りですよ。そのことを、大垣署あるいは岐阜県警が適正に対処していると言っているからそうだと言うだけだったら、国家公安委員長の責任を果たしたとは私は言えないと思います。  先ほど御答弁があった岐阜県警も、被害者の住民の皆さんが、当然のことながら、自分たちの情報がどのように集められてどのように入手されたのか、岐阜県個人情報保護審査会に開示請求を行いました。ところが、岐阜県公安委員会がこの個人情報保護審査会に提出した非開示理由説明というものがあるんですが、ここには何と書いてありますか。
  129. 高橋清孝

    政府参考人(高橋清孝君) お尋ねの情報公開請求でありますけれども、請求者本人に関する個人情報の開示を求めるものであったというふうに承知しております。これに対して岐阜県警察では、当該開示請求に係る個人情報が存在しているか否かを開示することにより、警察が特定個人に係る情報を収集しているか否かが明らかとなり、警察の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第十五条の二に該当するものとして非開示としたものと承知しております。
  130. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう一回聞きますけれども、ここに紹介したような住民の皆さんの活動が、なぜ犯罪の予防、鎮圧、捜査等に支障を及ぼすおそれなどと言われなければならないのか。なぜこのような平穏な暮らしを守りたいと願って地域の住民の皆さんが勉強会をしたり声を上げていくという活動が犯罪に当たるのか、説明してください。
  131. 高橋清孝

    政府参考人(高橋清孝君) その活動が犯罪に当たるということを判断したわけではなくて、今申し上げましたけれども、情報公開請求された内容が、特定個人が警察の情報収集活動の対象とされているかということにつきましては、これを明らかにしますと、警察の情報収集活動の方針でありますとか関心事項、それから対象等に関する情報が含まれておりまして、これを明らかにすることによって公共の安全と秩序の維持等に支障を及ぼすというおそれがあるために非開示としたということでございます。
  132. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう全く闇の中ですよね。警察は、何をやっても警察であれば公共の安全、秩序の維持という名の下に許されるということを今答えたと思いますよ。しかし、そんなことで一般の国民の皆さん、住民の皆さんは納得できるはずがない。  二枚目に普通の市民の皆さんの声が載っております。上段真ん中辺りですけれども、このBさんというのはこの地域の御住職なんですよ。警察は物すごい反対運動になるんじゃないかと勝手に心配している、こっちがびっくりしちゃうよとおっしゃっています。それから、一番下のところですけれども、Aさんというのは養鶏業を営んでおられる方で、自治会の会長になられるわけですが、地域の問題を真面目に考えようとしているだけなのに、なぜ税金を使ってまでして監視され、情報も漏らされるのか。ごく普通の、特別なことをやっているわけじゃない、暴力団とも全く関係ないですよ。  そのことは次の法律事務所の弁護士さんが言っています。私たちは暴力団扱いですか。どんな情報を警察が集めているのか情報公開を要求したいといって要求したら、さっきの答弁なんですよ。公開することによって警察のやり方が明らかになるからできませんといって。  じゃ、もう何をやったって、それでベールに包んでしまう、闇に隠してしまうということじゃないですか。せっかく個人情報保護法を改正して、こういう個人の思想、信条あるいは病歴等に関わる配慮が極めて必要な情報については特別の本人同意というものを設けようとしているのに、そこからも警察だけは治外法権になっちゃっている。今までもそうでしたけれども、これからもそんなことをしていいのかというふうに言わざるを得ません。  私は、山谷大臣、これ国家公安委員長として、少なくとも、うのみ、丸のみにするんじゃなくて、これだけのことが起こって、これだけの大きな社会問題にも今なっているわけですから、きちっと直接情報を、情報というか、ちゃんと当たって、私は、岐阜県警大垣署にこの住民の皆さんに謝罪をさせる、そしてもう二度とこういう本人の同意のない、全く警察の本来の業務と関係のない情報の収集や第三者への提供はやめさせるよう強く指導すべきだと思いますが、いかがですか。
  133. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 権限の濫用はあってはなりませんけれども、本件においては、警察法や各都道府県個人情報保護条例等にのっとって、適正に情報取扱い、また活動がなされていると考えております。
  134. 山下芳生

    ○山下芳生君 県の公安委員会、警察も問題ですけれども、そのことに丸のみ、うのみして、何もされない残念ながら姿勢を示された山谷国家公安委員長の姿勢も極めて問われるというふうに思います。  警察による憲法違反の個人情報の収集、第三者への提供、それから市民の静穏な運動の敵視、監視、これ直ちに中止すべきことを強く求めたいと思いますし、マイナンバー制度がこういう監視社会を一層助長することになるのかならないのか、引き続きただしていきたいと思います。  終わります。
  135. 井上義行

    ○井上義行君 日本を元気にする会の井上義行でございます。  まず、個人情報保護関係を聞いてまいりたいと思いますが、例えば、大臣、よくPTAとか保護者の名簿というのがあるわけですね。例えば、ここの委員の方がみんな保護者だとして、大臣が先生だとすると、この中だけで使おうということで名簿ができたと。その名簿はこの個人情報保護法に該当するのかしないのか、まずお伺いしたいと思います。
  136. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) まず、現行法からしますと、御指摘の町内会の名簿とかあるいは同窓会、学校、いわゆる構成員の間の情報共有等を目的として名簿を作成をして配付をするというふうなことは、現行法上は、名簿上の個人情報が五千を超えるものである場合にはいわゆる個人情報取扱事業所に該当するというふうなことでありますが、今回の改正法によりまして、これが実は取り払われます。  当時、御案内だと思うんですが、これ現行法施行されて、いろいろと当時も周知徹底はさせていただいたんですが、いわゆる誤解というか過剰反応というか、私も経験しましたが、町内会の役員名簿がなくなりました。あと、学校の緊急時の通報システムがあったんですが、これもなくなりました。これ、ちょっと違いますよと言って私、実はわざわざ説明に行ったわけですが、そういったことがあったことは事実でございます。  しかし、今回はその五千というのを取っ払いましたので、ただ、この理由は、これ個人情報の不適切な取扱いによって個人権利利益が侵害をされるという危険性は、これは取り扱う個人情報、この数によって実は何ら異なることがない、たとえ少ない数であっても個人権利利益が大きく侵害される場合があるというふうなことと、あと諸外国ですね、とりわけ例のEUの認定の問題等々これありで、規律の対象からこれ小規模であるからといって除外されておる例は諸外国にもありません。  そういったことから除外をしたわけでありますが、しかし、さっき申し上げましたように、誤解とか過剰反応等々がないように、改正後におきましても、自治会等において名簿の作成、配付、これは本人それぞれの同意を得ながら、これまでどおりですよとかいろんな形で周知徹底を進めていかなければいけないだろうというふうに思っております。
  137. 井上義行

    ○井上義行君 そうしますと、確認ですけれども、今までは五人とか十人で連絡網を回すので、お互いに住所と電話番号を書いてこの中だけで共有しましょうねといったものは、今までは適用外だったんだけれども、今度からは適用になるということになるんでしょうかね。  そうしますと、私もPTAをやっていましたので、コミュニケーションというか、もう本当に隣の人、あるいはクラスのお父さん、お母さんに連絡を取るにしても、これ本当に、よっぽどじゃないけど難しくなりますよね、現実には。やはりこうしたことを、コミュニケーションの欠けていると言われている社会の中で、どこをやはりしっかり考えていかなきゃいけないかということを是非頭の中に入れておきながら運用をしていただきたいというふうに思っております。  そこで、今度は個人番号カードマイナンバーの方をちょっと質問をしたいんですが、これ、個人番号カード普及のために、当面、国が全額費用を負担し、無料交付する提言があるけれども、この当面というのは大体どのぐらいを考えているんでしょうか。また、交付に係る費用というのは年間どのぐらいというふうに考えているんでしょうか。総務省、お願いします。
  138. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お答え申し上げます。  個人番号カードにつきましては、今年度、平成二十七年度予算、そして平成二十八年度国庫債務負担行為におきまして、無料交付を前提とした予算措置を講じているところでございます。  無料交付の期間につきましては、今年度以降の個人番号カード交付申請状況発行状況を踏まえまして、今後の予算編成過程で議論していくこととなることとなっておりますが、私どもといたしましては、多くの方に個人番号カード取得していただきたいと考えておりますので、そのような姿勢で臨んでまいりたいと考えております。  個人番号カード交付に係る年間費用でございますが、カード交付枚数にもよりますので一概には申し上げられませんけれども、例えば今年度予算につきましては一千万枚の個人番号カード発行を前提といたしておりまして、個人番号カードの製造に要する経費として百七十五億五千万、そして市町村の窓口における交付事務に要する補助として四十億の予算措置を講じているところでございます。
  139. 井上義行

    ○井上義行君 こうした多額のお金が掛かるものですから、やはりこうしたカードの有効についてしっかり点検をしていただきたいというふうに思っております。  そこで、この当面というところで、私もやはりこうしたマイナンバーというのはこれからのIT社会にとっては非常に不可欠だというふうに思っておりますので、例えば、お金を払ったらそういう便利なものが使えるとか、お金を払わなければそれが使えないとか、そういうような不平等が起きないように、是非当分の間は国がしっかりそのことを踏まえて普及に努めるということで、非常に大きなお金ですけれども、やはりそこはきちんと国民側が便利に感じられるようなシステムを使いながら国の負担をしていただきたいというふうに思っております。  そこで、この個人番号カードの更新というのは、成人は十年、子供は五年ということになるんですが、昔、免許証の更新を忘れたとかいって免許証が無効になるとか、あるいは最近ではそれが是正されて、もうすぐ更新になりますよということで更新をするようになったわけですね。だけど、以前は交通安全協会に入らないとその通知が来ないということで、その更新が、忘れてしまったという人もいるんですけれども、やはりこうしたマイナンバーカードが、十年たって、あるいは五年たったときに更新をついつい忘れてしまう人もたくさんいるんではないかというふうに思うんですが、そのときの、例えば通知をするのか、あるいは通知をしないのか、あるいは別にその手だてがあるのか、その辺の手続の仕方というのはどういう形になるでしょうか。
  140. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 御指摘ありましたように、個人番号カードの有効期限でございますが、二十歳以上の方については発行の日から十回目の誕生日まで、二十歳未満の方につきましては発行の日から五回目の誕生日までということで、これにつきましてはカードの有効期限が満了する日が券面に記載されてございます。また、電子証明書の有効期限は、署名用電子証明書利用者証明電子証明書共に発行の日から五年、五回目までの誕生日となっておりまして、個人番号カード交付時にカードの券面に電子証明書の有効期限が満了する日を、本人又はカード交付する市町村職員によって記載していただくことになっております。  議員御指摘のとおり、個人番号カード電子証明書をスムーズに更新していただくためには、やはり本人にその有効期限を十分に認識していただくことが重要でございます。現行の住民基本台帳カードにつきましては、有効期限満了が近くなった方に対して事前に通知を行っている市町村もございます。これはそれぞれの市町村の判断でございますので、そういった市町村もございますので、個人番号カードにつきましては、そういった取扱いも踏まえて、円滑な更新のための方策についてきちんと検討していきたいと思っております。
  141. 井上義行

    ○井上義行君 だから、私の方が申し上げたのは、例えば、免許証も以前は交通安全協会に入らないとそれが来なかったんですね。だけど、いや、それはおかしいじゃないかということで、いわゆる誕生日の二か月前ぐらいだったですかね、来るようになって、その間に更新をするということになったんですね。  これから健康保険と一緒になるということでございますので、例えば健康保険というのは毎年来るわけですね。来て、古いのを返すということになっていますよね。このマイナンバーというのは五年、成人は十年ですから、十年後、いついつ期限だと本当に覚えている人も、それはちゃんときちんと毎回毎回見ていればもうすぐ期限が切れるということは分かるんですが、こうしたことを、期限が来るということをやはり国としてもしっかり何らかの通知をしたり、あるいは広報に努めるということを、是非いま一度答弁をお願いいたします。
  142. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 有効期限を認識していただいて、是非とも更新をしていただくことが大事だと思っておりますので、広報に努めることはもちろんでございますが、本人に対する通知、これも十分に私どもとしても検討していきたいと思っております。
  143. 井上義行

    ○井上義行君 それで、この法案をよく見ていくと、どうしても多分発想が、国の行政機関がどう活用するかということから出発しているような感じがするんですね。  若松議員も先ほど申し上げましたけれども、私も幾つも、免許証だ、保険証だとか、身分証明書だとか、いろんなカードがあって、やっぱり一つにした方が便利なわけですね。そうすると、やはり国民側の視点が少しちょっと足らないのかなと。むしろ、その情報事業者が使う、その情報行政機関が使うという視点が非常に多くて、いわゆる我々がこのマイカードを使ってこういうふうにしたい、こういうふうに活用するということが少し欠けているというふうに思いますけれども、西村副大臣、いかがでしょうか。
  144. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 大変大事な御指摘をいただいたと思います。  まず、マイナンバー制度導入、定着に当たって、成り済まし犯罪対策、こうしたものの観点から、マイナンバー提供を行う際などに正確な本人確認を行うと、安全性を確保するということが何より大事なわけでありまして、まずはマイナンバー制度全体の信頼性を高めて、理解を深めていくというところに今の時点では力点を置いているわけですけれども、マイナンバー法に基づいて、マイナンバーを有する者であれば誰でもこのカード取得できて、そして対面とオンラインの両方で本人確認ができ、かつ本人マイナンバーであることを証明できるようにするわけでありますけれども、顔写真付きで、公的個人認証を搭載して、かつ本人マイナンバーを記載したその個人番号カードというものを導入するわけでございます。  この個人番号カード一枚で対面での本人確認はできるわけですし、マイナンバー確認もできるわけですけれども、オンライン上もいわゆるマイナポータルを活用して様々な行政手続ができるようになりますし、それから、今後、民間のオンラインサービスへのログインも可能となりますので、官民のオンラインサービスをシームレスにアクセスできるようにもなります。  それから、個人番号カードにはICチップが付いているわけです。そこの空き領域がありますので、そこを使って各種施設の利用カードとすることもできるようになります。当面は、自治体が条例で図書館のカードとか、こういったものに使うことを想定しておりますけれども、いずれにしても、この個人番号カードへの各種機能の集約化も可能となっておりますので、一定の手続を経て、そうしたことが利用可能となります。  こうした個人番号カード利用価値というか特徴を生かしながら、利用者視点で使い勝手のいいものとなるように普及させてまいりたいと思いますし、こういう利用価値を、御指摘のとおり、しっかりと丁寧に説明しながら、理解が深まっていくようにしていきたいというふうに考えております。
  145. 井上義行

    ○井上義行君 このマイナンバーがどんどんどんどんいろんな情報が入ることによって我々自身が使いやすくなる、こういうことに是非尽力をしていただきたいというふうに思っております。  そこで、これはマイナンバーの世論調査によりますと、この個人カードの追加される便利だと思う機能は何ですかという中に、健康保険証、そして年金手帳、そして運転免許証、印鑑登録証、そして介護保険証ということがあります。私は、できるだけこうした情報を入れた方が、私としては、個人としては使いやすいというふうに思うものですから、その有効活用をしてもらいたいというふうに思います。  ただ、この情報を是非入れたくないという人もいると思いますね。だから、それはそれぞれその個人によって違うと思いますが、例えば、私は毎日朝立ちをやっているんですけれども、その朝立ちをしているといろんな人が通るんですね。中には、五歳の少女が定期を落としてしまって、どうしようといって、毎日立っているおじさんに、私にですね、助けを求めてきたり、あるいは障害者で、いつも入っているポケットに定期がなくてパニクって、どうしたらいいということを私に来る場合も多々あります。そのときに、私、こうしたマイナンバーがあると連絡ができるんですね。  例えば、私も毎日毎日、朝会っているので、多分向こう側も、毎日会っているおじさんですから何とかしてくれるだろうという形で来るんですが、その人の電話番号も知らないし、それから名前も分からないんですね。でも、マイナンバーがあれば、例えばどこに連絡すれば、その人の自宅とかあるいは働いている場所とかということが特定できるんですね。  私、本当に特定するまで結構時間が掛かったんですね。だけど、何回も何回も会う人がいるので、何とかそれをたどっていったら、たまたまあの子供さんじゃないかなということで連絡が付くようになったんですが、やはりそうしたことを考えると、マイナンバーの中に例えば障害者手帳のこうした情報も視野に入っているのか、それとも、先ほど来議論があった病歴とかそういうことについてはやはり極力入れないという観点から考えていないのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思いますが、大臣、お願いいたします。
  146. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) ただいま御指摘ございましたこの障害者手帳の機能、これを個人番号カードに一元化をさせるというふうなことでありますが、確かに病人とかあるいは救助者双方にとって非常に利便性の向上につながる話であるというふうに思います。  これは、障害者手帳に記載をされる障害等級などの情報につきまして、例えば公的個人認証などの機能を活用してクラウド上で収集、管理するという方法などがあろうかと思いますが、この個人番号カードにある意味リンク付けをすることによって、緊急時、障害者手帳を携帯をしていない場合でも、個人番号カードを用いて安全、安心に適切な対応が講ずることができるというふうに考えておりまして、今後の検討課題として、健康医療情報等の御議論も厚生労働省の方でやっていただいておるようでありますので、そういった状況も見ながら検討を進めていきたいと思います。
  147. 井上義行

    ○井上義行君 自分から率先してこの情報を入れてもらいたいという本人、あるいは家族とか、そういう人たちはその情報を入れられるように是非していただきたいと思いますし、先ほど来話のあった健康保険のその中に、私は、自分が希望した情報は是非入れてもらいたいんですね。  例えば、身長だとか体重だとか、私なんかは、血液型、あるいはアレルギーがあるのかないのか、自分が持っているものをその情報として入れておいてほしいんですね。そうすれば、例えばどこかに歩いて、急に事故に遭遇することもあるかもしれない。うちの父親も後ろから来たバイクにひかれて植物状態になりました。でも、そこから血液を調べて、そしていろんな検査をして、そして手術に臨むわけですね。だけど、そういう情報が入っていれば、それを前提として治療をすることができる。  例えば、自分が急に病気になったときも、自分が伝えられないときでも、そのマイナンバーによって情報が、自分の口からじゃなくて、自分情報として医者に伝えることができるんじゃないかと、そのことによって命を救うこともできるというふうに思っていますので、是非こうした、厚労省と協議を進めていくんだと思いますけれども、やはり将来の課題として、確かに先ほど来話のあった病気等の個人情報というものもあります。ただ一方で、私のように、逆にこうした病気を入れてほしいという声もあると思うんですね。  やはりこうしたことを私は希望に応じて入れられるようなことを、何も行政機関が使うためだけに情報を集めるんではなくて、自分がこの情報によって救ってもらいたいとか、あるいはこれを救うことができるとか、そういうことを是非やるためにも、私は一歩進んで、申出があればこうした病気等を入れていく、情報を、是非していただきたいと思いますが、山口大臣、いかがでしょうか。
  148. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 実は私も井上先生と同じでございまして、いろいろ入れてほしいなとか思うんですが、これは、どんどん進化を続けるこの情報化社会の中にありましては、個人が自己の個人情報、これを自らのコントロールの下にしっかりと積極的に利活用できる、これは、この環境整備の支援を図っていくということは大変大事なことなんだろうと思っております。  しかし、これも御指摘ございました医療情報などのまさにプライバシー性の高い個人情報、これを個人番号カードICチップに格納するということは、情報の変更とかあるいは追記等、運用面でも実は課題もございます。そうしたことから、公的個人認証、これらの機能を活用して、さっきも申し上げましたけれども、クラウド上で収集、管理をするという方法も含めて広範な検討が必要であろうと思っております。  いずれにしても、機微な情報を取り扱うというようなことでありますので、利便性の向上のみならず、個人のプライバシー等、十分配慮をしながら検討を進めてまいります。
  149. 井上義行

    ○井上義行君 終わります。
  150. 江口克彦

    ○江口克彦君 次世代の江口克彦でございます。  マイナンバーについて、山口担当大臣にお伺いをしたいと思います。  内閣府が一月に実施した世論調査では、制度の内容まで知っていたのは僅か二八%にすぎないと。今回の法改正案は制度の施行前に提出されたものでありますけれども、この委員会でも先ほどから度々指摘されておりますが、法改正の前に、まずは国民への周知を十分に図る必要があるのではないだろうかと。全ての国民関係する制度であることに鑑みれば、高齢者や未成年者なども含めた国民全体への更なる周知広報を図っていくべきではないか。それから、国民理解を深めるための方策というようなものを考えておられると思うんですけれども、このことについて、最初に大臣にお伺いをしたいと思います。
  151. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) もう御指摘のとおりでございます。  このマイナンバー制度、もう全ての住民あるいは全ての事業者関係をする制度でございます。今年三月には、一般の方に制度周知をしていただけるようなテレビコマーシャルとかあるいは新聞広告なども活用した集中的な広報を実施をいたしました。事業者に対しましては、様々な経済団体等連携をしながら、民間事業者向け説明会を実はずっと開催をしてきております。  今後も制度の円滑な導入に向けまして、未成年というか若い皆さん方もおいでなものですから、分かりやすい資料とか、あるいは様々なメディアの活用を図りながら、厚生労働省あるいは文科省とも連携をしながら、しっかりと、もう高齢の方から未成年の方までこうした情報が行き渡るように、更なる周知広報にはしっかりと努めてまいりたい。  そして、ある意味、十月一日からはいわゆる番号が通知をされるわけでありますので、そこら辺も契機にしながら、ともかく施行までにしっかりと周知徹底を進めていきたいと思います。
  152. 江口克彦

    ○江口克彦君 今のお話ですと、周知徹底に努力しているし、これからも周知徹底をしていくということでありますが、具体的にどういうふうな方法周知徹底をしているのか、お分かりになればお話をいただきたい。どうぞ。
  153. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  三月の集中広報期間におきましては、テレビ、ラジオ、それから新聞、新聞広告、それから新聞の折り込み等もあるし、それから雑誌、これらにマイナンバーにつきまして説明させていただきました。これによってかなり認知度は上がったとは思っております。  それから、経済団体でいきますと経団連等の経済団体、それから中小企業で申しますと商工会議所等の中小企業団体との連携したような資料作りでございますとかあるいは説明会、これらをやっているところでございます。さらに零細な方につきましては、税理士それから社労士等の連携も必要となってまいると思っておりまして、これらにつきましても現在連携を図っているところでございます。  いずれにいたしましても、ありとあらゆる手段を使って広報するんだろうと思っております。これらのテレビ、ラジオ等を活用した広報につきましては、この後、七月、八月につきましても集中的に行ってまいりたいというふうに考えております。
  154. 江口克彦

    ○江口克彦君 今のお話ですと、かなり認知度が高まったと思うと言われましたけど、一月は二八%でしたね。もう大分たっておるわけですけど、現時点においては何%ぐらい認知度が高まったと思われているんですか。
  155. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  マイナンバーというもの自体を知っているという方はさすがに最近は六、七割になっておりますが、内容まで知っておられるという方はやっぱり三割から四割だというふうに考えております。
  156. 江口克彦

    ○江口克彦君 マイナンバーを知っているのは六〇、七〇というのはよく分かります。それはもっと知っているかもしれません。しかし、問題は内容だと思うんですよ。内容を国民に知らしめないといけないと思うんですけれども、それが三割ぐらいだといったら間に合わないんじゃないですか。
  157. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) この三割を高くする努力というのは極めて重要であると認識しております。十月のマイナンバーの通知までに、もうできるだけそれを一〇〇%に上げるように努力してまいりたいと考えております。
  158. 江口克彦

    ○江口克彦君 だから、その一〇〇%まで近づけるということ、私もマイナンバー制度というのは重要だと思っているんですね。だけど、それを一〇〇%まで近づける近づける、具体的なお話がないんです。どういうやり方で一〇〇%に近づけようとしているのか、どういうスケジュールなのか、その内容を聞きたいんですけどね。やっているやっているというのは分かっているんですよ。
  159. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  七月以降、特にテレビそれからラジオのスポット広告、それから新聞、それから折り込み等は引き続きやってまいりたいと思っております。それからあと各種団体の説明会、それからあと文科省、厚労省とも連携いたしました、文科省ですと学校、厚労省ですと高齢者施設あるいは障害者等の福祉関係の施設等と連携を取りながら、これらにつきましても周知広報を図っていきたいというふうに思っております。
  160. 江口克彦

    ○江口克彦君 これについては、やっぱりマイナンバーというのは慎重に、かつ重要なテーマだと思いますし課題だと思いますので、その辺は国民の皆さん方に徹底的に分かるように、これは一つ、例はともかく、是非はともかくといたしまして、大阪都構想でいろいろと橋下さんがああいう説明をしました。それが良かったか悪かったかは別にして、やっぱりそれぐらいの、担当の責任者としてはあれぐらいのやっぱり各都道府県も含めて全国でパネルを通してでもそういう活動をしなきゃならないほどこのマイナンバー制度というか、これはやっぱりもっと国民の方々に理解してもらうために真剣に考えないと、一つの流れの中でマイナンバーは実施していくという程度では、これはもう大いなる誤解を生み出しますよ。その辺だけは是非この国民周知ということで徹底的に努力を更に一段と強めていただきたいということです。  それから、障害者や認知症の方ですね、未成年の方もそうですけれども、こういった方々に対して十分配慮した制度設計とすることも当然考えられているというふうには思うんです。マイナンバーですから、数字ですから一人一人が覚えるということになる。こういう方々に対してどのような的確な対応をなされようとしているのか、お考えをお教えをいただきたいというふうに思います。
  161. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  まず、個人番号カードでございますが、病気あるいは身体の障害など、やむを得ない理由がある場合には代理人に対して交付することが可能というふうな制度設計となってございます。また、点字の導入、音声コードによる案内を実施することなどについて、現在、総務省において検討が進められているところでございます。  そのほか、個人番号利用事務実施者に対しますマイナンバー提供、あるいはマイナンバーに関わります個人情報の開示請求などの手続におきましても代理人が行うことができるようになっております。この代理人も、法定代理人だけではなくて任意代理人がなれるようになっておりまして、例えば高齢者の施設ですと、例えばその施設の信頼できる方に代理していただくとか、そういうふうなことが考えられるというふうに考えてございます。  それから、画面設計に当たりましても、情報弱者にも配慮しまして、誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインの考え方を取り入れるとともに、代理人によりますマイナポータルへのアクセスを可能とするなどの対応も必要と考えているところでございます。
  162. 江口克彦

    ○江口克彦君 今ちょっと信頼される施設の方に代理人をということを言われましたけど、信頼されるというのはどういう内容なんですか。どういう条件があったら信頼されるということになるんですか。
  163. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  任意代理人につきましては本人の任意で代理人が選べるということでございますけれども、その場合に、本人が信頼される方、あるいは周りの家族の方が信頼される方というふうなことが考えられるのではないかと思っています。
  164. 江口克彦

    ○江口克彦君 いやいや、ちょっと待ってくださいよ。認知症の方ですよ、そういう方の場合とか、先ほど申し上げましたように、いわゆる障害者という方々ですね、意識のある方はいいですけど、それ以外の方もいっぱいおいでになる。それを施設の信頼される方に任せるというのは、何か条件がないと駄目なんじゃないですか。それだけでいいんですか、信頼されるという。本人が信頼すると言ったら、それで許可するんですか、認めるんですか。
  165. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  認知症の場合、成人後見人制度というのは法的にはございまして、その制度利用されている方は、当然、後見人が法定代理としてなると思います。  そうでない場合、多数あると思うんですが、その場合ですと、通常、家族ないしお子様とか、そういう家族の方が法定代理人になるか、あるいは法定代理の方を決めていただくようなことに現実問題としてはなっていくのかなというふうには思いますが、いずれにいたしましても、任意代理をするにいたしましては、代理権の授与とかそういうのをはっきりさせていく必要がございますので、その辺の手続等も明確化していきたいと考えております。
  166. 江口克彦

    ○江口克彦君 是非その辺は明確にしておかないと、家族だから信頼できる時代じゃないですよね。でしょう。ましてや施設だから、施設の人がだから信頼できるということもないんですよ。「家族という病」という今本が出ていますよね、ベストセラーになっていますけれども、お読みになったかどうか知りませんけれども。  だけど、別に家族を疑えとか施設の方を疑えということじゃないですけれども、そういう信頼とか、あるいはまた頼りになるとか信じられるとかという、この場合には、そういう抽象的な言葉で──全部入っているんですよ、これ、カードの中に。例えば認知症の方だと、認知症になる前に個人で、さっきの質問じゃないですけれども、あれも入れてくれ、これも入れてくれ、これも入れてあれも入れてくれといって膨大なデータが入っているというものを、これは極めて曖昧模糊とした、信頼という言葉は、私は言葉で飯を食ってきた人間ですから、これは極めて曖昧なんですよ。信頼というのは信頼できない言葉なんですよ。  例えば、青いという言葉は、私が青いと言われたときに、私の青と、それから、内閣官房、あなたの考える青とは違うわけですよ。信頼という言葉もそうなんですよ。信頼という言葉は信頼できない言葉なんですよ。お分かりになるでしょう。  それを用いて信頼できる方にカードを、番号を預けるとか、これは大変なことだと思うんで、その辺は、私、繰り返し申し上げますけれども、マイナンバー制度というのは必要だと思うし重要だと思う、思うからこそ、その辺のことをしっかり押さえておかないと問題が起こりますよ、大変な事件が起こりますよということを今から申し上げておきたいというふうに思うということです。  それから、続けて、マイナンバー制度は、複数の機関に存在する個人情報確認を行うための基盤でもありますよね。また、社会保障や税に関わる各種行政事務の効率化が図られるということは、私はメリットとして考えられると思うんですが、それは主として行政側のメリットということになるわけですよ、行政側の。国民の間でマイナンバー制度認知度が低いのは、国民生活にどのようなメリットが具体的にあるのかということが十分説明されていないからじゃないだろうかというふうに思うんですね。  行政側としてはこういうメリットがありますよ、こういうことができます、こういうようなことで非常にスピードアップできますよというのは、それは行政側ですよね。だけれども、国民にどういうメリットがあるのかということが、そういう具体的な説明がないから、なかなか、一生懸命テレビ、テレビなんて、あれ、放映料払っているんでしょう、税金でということになるわけですよね。  そういうことをやってもやっても国民の方々が理解しにくいというのは、国民にとってのメリットが強調されていないというか、分からないというか、私も見たことありますけど、あれじゃちょっと無理ですわ。私が代わりにプロデュースしましょうか。  いずれにしても、国民にもっとメリットがあるというようなことをやっぱり国民に訴えていくことが必要ではないかというふうに思うんですが、要するに、行政側のメリットばっかり言ったってしようがないと思うんですが、どうでしょうか。
  167. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) もう全くおっしゃるとおりだと思います。それで、国民側のメリットといたしまして、ミクロのメリットとマクロのメリットがあろうかと思っております。  ミクロのメリット、ミクロというか個々人のメリットといたしましては、まず、情報ネットワークシステム活用しました機関間の情報連携によりまして、従来、給付等の申請時に必要とされていた所得証明とかあるいは住民票とか、そういうのを持ってこいというふうなのは普通よくありますが、そういうのが一つなくなるというのがございます。  それからもう一つ、マイナポータルを通じまして行政機関から国民へのきめ細かなお知らせサービス提供され、官民のオンライン手続がシームレスにつながっていくと。これは、民間とかで更に公的個人認証なんかを使って連携していくことでいろんなサービスは広がると思っております。これは、もうまさにどうやって民間と公的個人認証を通じて連携していくかという問題にも関わってまいりますけれども、これらにつきましては、できるだけそういうふうな利便性の高いものをつくってまいりたいというふうに思っております。  さらに、マクロのメリットといたしましては、所得把握の正確性が向上していくことは多分間違いないと思いますので、それによって社会保障等の負担、それから給付の公平性が保たれるのではないかと。さらに、行政の効率化も行われますので、行政の効率化が行われますと、その下がったコストによって何らかのまた新たなサービスが充実できるというふうなのもマクロのメリットではないかというふうに考えております。
  168. 江口克彦

    ○江口克彦君 今メリットがあるということを御説明されました。今傍聴されている方々、お分かりになりましたか。分からないですよ。そんな説明の仕方で、それは御本人は分かっておられるかもしれませんけど、国民の皆さんは分からないですよ。私だって、今お話あった大体三分の一は分からないですよ。  いつもそうですけれども、官僚の方々が答弁されるときに、もう大体二分の一から三分の一は分からないことをたらたらたらと言われるんですよ。是非、それはそれでいいですけれども、国民の皆さんに分かっていただこうと思うんだったら、もっと平易な言葉で、せっかくこの傍聴しておられる方が、これ、三百人もいませんね、二十人ぐらいおいでになるわけですよ。この方々にせめて分かるような言葉遣いなり説明の仕方を是非工夫して、国民の方々に周知するという努力はまだこれからされると思いますので、是非お願いをしたいということであります。  それから、制度導入に向けて、先ほどもありましたけど、市町村準備状況が非常に心配されます。市町村自体も間に合うだろうかというようなことを、自分のところの市は間に合うだろうかとか、そういうことをおっしゃったりしているところもあるわけで、そういう意味では、本格的に稼働するまでに大きな、大きなというか、多分大きな混乱が生ずる可能性もやっぱりあるのではないかと思うんですけれども、今年十月以降、これを実施するということでございますけれども、大丈夫ですか、自信はおありなんですか、その根拠は何なんですか、お教えいただきたいと思います。
  169. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) まさに、十月五日施行日でございます、十月五日現在の住民票所在地にマイナンバーが送られるということになるわけでございます。  現在まさに、いわゆる広報活動とは別に、そういう事務手続、それから情報ネットワーク、それらの整備総務省とともに地方団体連携いたしましてやっておるところでございます。一部、予定より遅れた部分もございますが、全体といたしましては、各地方団体共に情報を共有するそういうプラットホームをつくりまして、地方公共団体との情報共有はリアルタイムでやっているつもりでございます。  そういう中におきまして、現時点におきましては、十分、十月五日の施行に対応できるものと考えております。
  170. 江口克彦

    ○江口克彦君 十月までに施行されるということ、確実に施行されるということを信じましょう、一応ね、信じますけれども。  次に、民間事業者においても、源泉徴収票の作成、年金、健康保険、雇用保険に関する届出など、事務負担が生じることが周知されていないのではないだろうかというふうに思うんですね。  先ほども指摘されましたけれども、特に中小企業はマイナンバー制度への対応が進んでいないと言われているんですけれども、中小企業に対して制度の十分な周知準備に対する支援がなされているのか。先ほど、日本商工会議所だとか労務士の方々とかにちゃんと説明しているんだというふうにお話がありましたけど、どんな説明されているんですか。ちょっと教えてください。
  171. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 税理士会は、かなり前から何度か税理士会の中での説明会にお伺いして説明をしているところでございます。ただ、税理士会に出てこられる方というのはやっぱり税理士の中でももちろん一部であることは承知しておりまして、末端の税理士の方が全てよく理解されているとは、現時点ではまだ思っておりません。  あと、そういう中小企業団体ですと、中小企業団体のまさに商工会議所とかで勉強会には説明させていただいております。ただ、それがまだ中小企業の全ての方というよりは、はるかに少ない数だろうと思っております。  今回、経済産業省の方で中小企業団体にかなり広範な範囲で勉強会を開催していただくことになりましたので、これがかなり効果があるものが期待できると思っております。
  172. 江口克彦

    ○江口克彦君 またそれについては具体的に別の機会に御説明いただければ大変有り難いと思います。  時間がありませんし、飛び飛びに行って最後で、警察庁の方に御質問させていただきます。  内閣府の世論調査では、個人番号カードに追加されると便利だと思う機能として、運転免許証が三九%ということで三番目に多いということを先ほどからずっと繰り返されておりますけれども、運転免許証と個人番号カードの一体化について警察庁では当然のことながら検討されていると思いますが、それともう一つは、いつからそれが組み込まれるのか、御質問をさせていただきます。
  173. 鈴木基久

    政府参考人(鈴木基久君) 運転免許証と個人番号カードの一体化についてのお尋ねでございますが、運転免許証は、運転免許を受けようとする者が適性、技能、学科試験に合格し、自動車の運転について必要な能力が有すると認められた際に交付される証明書でございます。他方、個人番号カードについては、住民登録をしている者を対象に交付されていることとなるものと承知しておりまして、これに運転免許証を一体化させた場合、外見的に運転免許を所有しているかどうかの判断を難しくさせることとなるものと思料しております。  また、そもそも道路交通法上、自動車を運転する際には運転免許証の携帯が義務付けられるとともに、免許の取消し又は効力の停止といった処分の際には、被処分者は運転免許証を返納あるいは提出しなければならないこととされておるところでございます。このため、個人番号カードに運転免許証を一体化させた場合、免許の取消し等の処分を受けた者は、運転免許証とともに個人番号カードをも同時に失うこととなり、日常生活に支障を来すおそれがあるほか、改めて個人番号カード交付申請するなど不要な負担を強いることにもなろうかと存じております。また、処分をされた方自身においても、電子データでの確認のみでは外形的に免許の有無等の判別が難しくなりまして、誤って無免許運転を誘発させることにもなりかねないとも思料いたします。  加えまして、現在、各国の運転免許証の規格を国際的に統一しようとする動きもある中で……
  174. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
  175. 鈴木基久

    政府参考人(鈴木基久君) 分かりました。  我が国がこのような世界的な国際標準化の流れに乗り遅れるおそれもございます。  以上のことから、警察庁としては、運転免許証と個人番号カードの一体化については慎重にならざるを得ないところでございます。
  176. 江口克彦

    ○江口克彦君 どうもありがとうございました。
  177. 山本太郎

    ○山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎です。  個人情報保護に関する法律及び行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律の一部を改正する法律案、長いですね、について質問したいと思います。  私たち生活の党と山本太郎となかまたち、私は共同代表であるとともに政策審議会の会長もやらせていただいているんですけれども、私たちは今回のこの法案には反対です。その決定が揺らいでしまうぐらいの説得力のある答弁、期待したいと思います。  今日は一回目の質問でありますので、個人情報保護法改正案について質問したいと思います。  山口大臣、私は、個人情報保護、プライバシーの権利は、明文化されてはいないけれども、日本国憲法で保障された基本的人権であると思います。大臣のお考え、いかがでしょうか。
  178. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) ただいま御指摘のプライバシー権、この概念につきましては、憲法その他の法令に明文の規定があるものではありません。お話しのとおりです。その内容、範囲及び法的性格について様々あるものというふうなことで承知をいたしております。  また、学説上、これを情報のコントロールというふうな側面から捉えたいわゆる自己情報コントロール権、これも同様に定まった概念ではなくて、いずれも憲法上確立された権利とはされておらないものというふうに認識をいたしております。  なお、この個人情報保護法は、第一条で、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人権利利益を保護する、これを目的としつつ、第三条で、個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきとこの基本理念を定めているところでありますので、このプライバシーの保護も念頭に置いたものというふうなことになっておると思います。
  179. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  今大臣も言われました、学説上でも自己の情報をコントロールする権利だと。そして、消費者委員会から二十六年の九月に出された今後検討すべき課題についてという意見の中にも、自己の個人情報については自らがコントロールできる原則であるべきであるというようなことも書かれています。それだけじゃなく、過去にも請求権も有するとの判例も出ていたこともあると。個人情報保護法が制定されていること自体、プライバシー権が私たちに与えられた基本的権利の一つだと言えると思います。  山口大臣個人情報保護法の目的個人権利利益の保護、すなわち個人情報保護、プライバシーの権利保護目的である、今回の改正の主眼もそれが目的であるということでよろしいですか。
  180. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) これは、今回の法案におきましては、このパーソナルデータ利活用も、これも推進をする観点から、御案内のとおり、匿名加工情報に関する新たな制度導入しています。それと個人情報利用目的の変更の範囲の緩和の措置も講じておるわけでありますが、同時に、今お話しのように、この保護の観点からも、要配慮個人情報の類型化及びその取扱いに係る規律の導入、さらにはオプトアウト手続による個人データ第三者提供に係る届出を今回は義務付けをしたと。そして、例えばこれまでは五千件以下の個人情報を取り扱う者を事業者としては除外をしていましたが、今回はそれも削除、削除といいますか、五千件という条件を外して全ての者が対象になるというふうなことで、いわゆる個人権利利益を守るための個人情報保護するという観点からも強化の措置をとったし、同時に様々な状況の変化の中でやはり利活用へもきちんと交通整理をしながら道を開くというふうなものであろうと思います。
  181. 山本太郎

    ○山本太郎君 分かりました。  まず第一条、目的から入りたいと思います。現行法では、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人権利利益を保護することを目的とする。」となっていますが、改正案では、「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人権利利益を保護することを目的とする。」という条文になりました。個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものだということですよね。  衆議院内閣委員会で自民党の平井たくや議員が、今般の個人情報保護法の改正の主眼は、データ利活用社会を推進していくというものでありますと主張されています。  山口大臣、改正の主眼、利活用の推進なんでしょうか。先ほどの繰り返しになるかもしれませんけれども、今のこの平井議員の主張というものはかなりもう利活用中心なんだと、それが主眼なんだというようなふうに取れてしまうんですけれども、もう一度大臣確認させていただいてよろしいでしょうか。
  182. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 先ほども若干御答弁をさせていただきましたが、これは個人情報の有用性に配慮しつつ、個人権利利益を保護するため、個人情報のまさに適正な取扱いの確保を図るというふうなことで想定をしておるわけでありまして、ですから、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人権利利益を保護するためとのこの規定ぶり、これに照らしますと、個人情報保護を前提としながら、利活用の推進もバランスよく図っていくということが必要であろうというふうなことで今回の個人情報保護法の改正に至ったわけであります。
  183. 山本太郎

    ○山本太郎君 昨日、省庁のレク、説明を受けたときに、今回の改正の契機は事業者、経済界からの個人情報利活用の推進の要請だったということを聞いたんですけれども、そのとおりなんでしょうか。
  184. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) これはいわゆる、まさにこれ、十年前に個人情報保護法が作成をされたわけです、現行法が。当時、私も自民党の中で個人情報保護法のPTの幹事役をしておりまして、あの当時に例えばフランスで議論されておりましたのがプライバシー権ですね。これは大層個人的に興味を持ったのが、当時、ミッテラン大統領が奥さん以外にお友達がおいでだというふうなことで、そういったことを報道する場合でも本人の了解を得ないと駄目だみたいなことを一時期検討したことがあります。そういったこともいろいろ検討しながらこしらえたわけでありますが、しかし当時、過剰反応というか誤解もあって様々な混乱も生じました。そして、この十年間の間にやはり情報、とりわけ情報通信社会の大きな進展という中で、特にもう先生も御案内のとおり、今やはりビッグデータをいかにうまく分析、利活用できるか、これは非常に各国勝負の分かれ目になるような大事な問題でもございます。  そうした様々な状況の変化を踏まえて、やはり個人情報の取り方あるいは在り方等々の変化を踏まえ、やはり利用したいんだけれどもひょっとしたら駄目なのかなとか、まさにグレーゾーンがかなり多く出てきました。これらをしっかりと交通整理をして、整理をすることによって守るべきものは守りながら、しかし、しっかりと活用すべきところは活用して、まさに社会の発展、経済の発展に資するということで今回の法律の改正に至ったと理解をいたしておりまして、必ずしも産業界の要請に沿ったという話ではないと理解をしております。
  185. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  もう随分前から議論があって、そのPTから大臣はもう参加されていた、世界の実例とかもいろいろ見てきたんだよということをお話しいただいたと思うんです。決して産業界の圧力なんかではないというようなお話もいただいたと思うんです。  でも、実際にそのような提言といいますか意見が出されていると。新経済連盟、これは三木谷さんが代表されているんですかね、そこから個人情報の定義として携帯番号等の例示は不要だというようなお話が出てきている、意見として、要望として出ているんだと。個人の識別符号というのを付けていくのに対して電話番号は除外しろよというような、簡単に言うとそのような要望、意見が出てきているということなんですよね。携帯電話番号など必ずしも単体で特定識別可能ではないので不適切である、削除すべきですというようなかなり踏み込んだというか、はっきりとした意見がこのような経済団体からも出されている状況というのは確かにあるということです。  自民党の平井たくや議員は衆議院内閣委員会で、今回新設される個人情報保護委員会について、個人情報保護委員会個人情報利活用を推進する役割も果たすべきである、委員の人選も非常に重要であり、個人情報保護利活用のバランスの取れた人選とすべきであることから、特に民間企業における個人情報利活用の実態に精通した者を積極的に任用すべきと考えますと主張しています。この平井たくや議員の質問に対し山口大臣は、個人情報取扱いにつきましては、その保護利活用をバランス良く推進するということが重要だと認識をいたしておりますと答弁をされました。  このまま聞いちゃったらすうっと流れちゃいそうになるんですけれども、何かこの、何といいますか、この個人情報というものの原理原則というものに立ち戻ると何かおかしくないかな、この質疑と答弁というふうに考えちゃうんですよね。本来、個人情報保護というものと利活用というものは相入れないものじゃないですかね。個人情報利活用を喜ぶ国民なんてほぼいませんよね。多くの人々は望んでいないということなんですよ。  利活用が進んで、じゃ、一般庶民はどういうことが起こるかと。迷惑なダイレクトメールがたくさん届くかもしれない、自分個人情報が出ていっているわけだから。それだけじゃなく、勧誘電話もたくさん掛かってくるかもしれない。それだけじゃなく、いろんな詐欺に巻き込まれる危険性もあるかもしれない。  この利活用という部分に関して一般庶民が受ける恩恵は一体何なんだということだと思うんですよね。これを望んでいるのは、個人情報で金もうけを広げたい企業と利害関係者というところに集中するんじゃないかなと思っちゃうんですよ。何より、利活用にはプライバシー侵害のおそれが大いにあるからこそ第三者委員会を立ち上げるわけですよね。  民間企業における個人情報利活用の実態に精通した者を委員に積極的に任用したらどうなりますかね。個人情報利活用を推進する役割を持った委員会が誕生すればどうなってしまいますかね。個人情報の行き過ぎた利活用に対してブレーキを利かせることができる専門家が多く任用されないのであれば、この委員会って何かつくる意味あるのかなと思っちゃうんですよ。  山口大臣は、個人情報保護委員会委員長及び委員、そして専門委員の人選を通じて、個人情報保護委員会全体として個人情報保護利活用のバランスの取れた体制を構築してまいりたいと答弁されていました。私は、まあおっしゃりたいことは分かるんですけれども、やはりそうではなく、法律目的のとおり、適正かつ効果的な活用に配慮しつつ、個人権利利益を保護するための人選に力を注いでいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  186. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 一律に個人情報、これの利活用というのは全て悪だという、あるいはプライバシー侵害だということに私はならないんだろうと思うんですね。  さっきちょっと申し上げましたように、先般の現行法の個人情報保護法、やはりこれを、まあ誤解でしょう、恐らく誤解が大半だったんだろうと思うんですが、やっぱりせっかく学校が休みのとき、何かあったときに通知をする名簿が出せなくなったとか、あるいは町内会の役員さんの名簿も出なくなったとか、いろんなことがあって不便を被りましたし、どだいこれ、個人情報というものの利活用がなければ宅急便も届きません。そうしたやはり人間の知恵としていかにうまく個人権利利益を侵害しない形で個人情報を有用活用していくということも、一方において私は大事な話なんだろうと思っておりますが。  お尋ねの個人情報保護委員会、これも御答弁申し上げましたように、しっかりバランスに配慮していきたい。当然、ですから、消費者を代表する、消費者行政あるいは消費者の思いをよく分かっておる方にも入っていただきたいと思っていますし、あるいはこうした個人情報に関する専門家といいますか、しっかりした見識をお持ちの方、あるいはまた様々な事業を通じて個人情報の新たな利活用の現状等々をしっかり知っておられる方等々、そういった様々な方々に入っていただいて、バランスの取れた人選の中で、個人情報保護委員会の中でお互いに意見を闘い合わせて、あるいは知見を御披瀝いただいて、そしてバランスの取れたまさに個人情報保護委員会の運営というか、その後の政令あるいは規則、ガイドライン等々の、あるいはその後の周知啓発等々に当たっていただきたいと考えております。
  187. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございました。  大臣の今の御答弁の中で、個人情報がなければ宅急便も届かないよということをお話しされたと思うんですけれども、それってどういうことなのか教えていただいていいですか。ごめんなさい、勉強不足で。
  188. 山口俊一

    国務大臣山口俊一君) 例えば民間の宅配業者にしても、我々の個人情報把握をしておるからこそその場所等々に持っていくことができるわけでありますので、そこら辺、一切個人情報は出さないというふうなことになってしまいますと、例えば戸籍といいますか、市役所、役場に行けば当然住民票等々があるわけですが、これはもう見ることができませんし、そういった事業所、事業者というものもやはりそういった個人情報というのを、例えばあれですね、電話帳もあるでしょうし、いろんな形での情報を収集、個人情報を収集しない限り、なかなか十全の御商売はできないんだろうということでございます。
  189. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  宅急便の話が出たので宅急便のことをお聞きしたんですけれども、少なくとも利用者が望んでその事業者に頼んで、荷物を運んでいただいた時点でもうその話は終わるわけですね、仕事は。その宅急便業者がよそにその名簿を売ったりとかしているわけじゃないですものね。だから、なかなかちょっと宅急便ではイメージが湧かないなという感想を率直に持ったんですけれども、次にお聞きしたいと思います。  法案の第二条二項の個人情報としての個人識別符号について質問いたします。  マイナンバー、運転免許証番号、旅券番号基礎年金番号、保険証番号などは個人識別符号に該当すると。携帯電話番号、クレジットカード番号、メールアドレス及びサービス提供のための会員IDについては、様々な契約形態や運用実態があることから、現時点では一概に個人識別符号に該当するとは言えないということです。  政令で個人識別符号規定されない場合は、携帯電話番号、クレジットカード番号、メールアドレス、アカウントなどの会員制IDは個人識別符号ではない、すなわち個人情報ではないよということでしょうか。
  190. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  個人識別符号はその単体のみで個人情報となるものでございますが、一方で、他の情報と容易に照合できる、他の情報と照合することによりまして個人が識別できるものにつきましては個人情報となります。  通常、それらの、特に携帯電話番号等の番号の入った情報、それはほかの情報も当然入っているわけでございますが、それらの場合は識別性が高くなる可能性が高いというふうに言えるのではないかと考えております。
  191. 山本太郎

    ○山本太郎君 なるほど、その情報単体で個人が識別できるものをそう呼ぶ、個人識別符号と呼ぶと、それに該当するものだというお話でしたよね。ありがとうございます。  携帯電話番号は当然、個人情報個人識別符号そのものではないでしょうか。電話すれば相手出ますしね。電話して相手つかまって、そこから詐欺が始まるということもあるわけですよね、おれおれ言うて。どう考えたって個人が直接結び付くものですよね。単体としてこれ個人と識別できるものですよね。  携帯電話番号がなぜ個人識別符号に該当しないのか、明確に説明ください。
  192. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  携帯電話番号の場合は、まず、契約形態が法人契約であったり個人契約であったり、あるいはプリペイドの場合はなかなか個人が識別できないという問題がございます。  さらに、到達性という点では、先生御指摘のとおり、電話を掛ければ到達するという意味で高いのでございますが、一方で、携帯電話番号というのは変更可能でございますし、変更された場合には後ほど別の人がその番号を使うということになりますので、完全に一対一では対応していないということもございます。  これらの実態を踏まえながら、あるいは諸外国の実態等を踏まえて、このような、何といいますか、個人識別符号に該当するかどうかを判断していく必要があると思いますが、これは現時点のものでございまして、当然、社会情勢の変化、あるいは諸外国の情勢の変化によっては柔軟に対応していく必要があると考えております。
  193. 山本太郎

    ○山本太郎君 じゃ、法人契約とかプリペイド以外のものであれば、これ、携帯電話番号個人識別符号に該当するんじゃないかなと思うんですよ。  電話番号をころころ変える人がいると言うけれども、ころころ変える人の方が数少ないですよ。電話番号が変わるということは何かあったのかなとかという心配につながりますから。だから、電話番号がずっと同じ番号を持ち続けているということは信用にもつながるというような感覚は若い人でも持っていますよ。  そういう意味で、だからそれには当てはまらないんだということ自体がおかしいと思うんです。だから、法人契約であったりプリペイド以外の携帯電話番号というのは個人識別符号に該当するんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょう。
  194. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 番号そのもので法人契約かプリペイドかというのはまず区別できないというのが一つございます。その中で、仮に区別できたとして、個人のものだけを集めたものを、それを個人情報の識別符号になるかどうかにつきましても、一つはやっぱり不変性の問題がございます。  それから、何といいますか、一対一の対応という点では、共同利用の場合もありますし、逆に個人が何台も持っておられる場合もあるだろうと思います。そして、社会通念上、携帯電話番号を変えることがというのもございますが、一方で本人が希望すれば直ちに変えられるものでもございます。  したがいまして、そういうふうな契約形態等の状況を全部考え併せますと、今現在の時点では、携帯電話番号だけで個人識別符号というのを一概には言えないのではないかというふうに考えているところでございまして、これらはもう随時検討していくものだというふうに思っております。
  195. 山本太郎

    ○山本太郎君 ごめんなさい、これはあったかどうか分からないんですけど、携帯の端末に付いているIDということに関しても同じような考えですか。
  196. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 携帯端末IDとか、あるいはいろんな機器にID付いてございますが、これらは基本的には機器に振られたいわゆるIDでございまして、まさに携帯電話番号よりも更にそういう点では該当性が少ないのかなと。特に、携帯を変えることは結構二年ごととか三年ごとに変える方が多いと思いますので、そういう意味では更に該当性はやや緩いのかなという気がしております。
  197. 山本太郎

    ○山本太郎君 これ、位置情報って分かっちゃうんじゃないですか、携帯電話。携帯電話で位置情報分かりますよね。国もそれやろうとしていますよね。これ、位置情報分かっちゃったりとかしたら、これはプライバシーの侵害になりませんか。番号だけで直接つながるだけじゃなくて、どこにいるかも確定することができるかもしれない。  例えば、今日、渋谷でセールがありますよ、じゃ、渋谷で乗り降りしているような人たちを例えばグループ化して、そこに対してここでセールやっていますというようなお知らせもできるようになるかもしれない。利活用ってそういうことですよね。利活用ってそういうことじゃないですか。一部じゃないですか、それも、例えば。というふうになっていくと、これ、プライバシーという部分でかなり狭まっていくんじゃないですかね。本人がどこにいるのかも特定されてしまい、そして電話をすれば直接つながってしまう。  携帯電話というものは、今、現代の私たちにとってプライバシーというものを象徴するものの一つだと思うんですよね。それに対して今、個人の識別符号というものにはされないということ自体がちょっとおかしいなと思うんですけどね。  次に参ります。  クレジットカード番号……(発言する者あり)何かありますか。済みません、ありがとうございます。委員長、お願いします。
  198. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) まさにそういうふうに、今現在、位置情報につきましては本人が選択できるというのもございますし、今おっしゃられたようなサービスは現時点ではできないと思いますが、将来的にそういうふうなものができるようになってきたら、それは当然、個人識別符号に該当性が高くなるものだと思います。そういうサービス利用形態とか、そういうのを見ながら判断すべきものだと考えます。
  199. 山本太郎

    ○山本太郎君 言いたかったのは、今、現代の人々にとって携帯電話というものは物すごく身近で、先ほど言われましたように、どこにいるかも分かる、それは自分でオン、オフできるかもしれないけれども、通話という部分でもプライバシーの象徴としてのものがここに該当していないということ自体がちょっとおかしいなと思うわけですよ。  次の質問へ行きます。  クレジットカード番号、これどうして個人識別符号に該当しないのか、明確にお願いします。
  200. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) お答えいたします。  委員指摘のクレジットカードにつきましても、契約形態が様々ございます。特にクレジットカード番号につきましては、カード取扱事業者個人契約と法人契約が区別できないというところもございます。それから、クレジットカードにつきましては、クレジットカードを管理する法律におきまして、一応個人情報と当たらないことを前提に様々なクレジットカード会社に対する規制措置を講じているところでございますので、現時点では当たらないのかなというふうに考えているところでございます。
  201. 山本太郎

    ○山本太郎君 クレジットカード番号が分かったところで何もできないよというお話なんですかね。サインもあるし、PINナンバーもあるだろうしということだったら別に、でも、かといってクレジットカード番号をさらしたい人なんて誰もいないですよね。自分のプロフィールの横にクレジットカード番号を一緒に入れる人いないでしょう。隠されるべきものなんですよね、これって。余り言いたくないというか、何か巻き込まれるおそれがあるんじゃないかと。確かに、このクレジットカードによる被害とかも増えてきているわけです、あるわけですよね、ある一定数は。  メールアドレス、これも個人識別符号に該当しないんですか。
  202. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) 個人のメールアドレスにつきましても、プロバイダーとの契約によるもの、あるいはフリーメール、独自のドメインを有する会社等の組織から与えられるもの等、様々な利用形態あると思いますし、変更も比較的容易でございますから、一概には個人識別符号には入らないというふうに考えております。
  203. 山本太郎

    ○山本太郎君 インターネットを利用するときのSNSとか、そういうアカウントとかというものに関しても、これは識別符号には該当しない。
  204. 向井治紀

    政府参考人向井治紀君) そういう事業者のアカウント等につきましても、基本的には同様の考え方だと思っております。もちろん、契約形態等によって今後検討する余地は十分にあるかとは思います。
  205. 山本太郎

    ○山本太郎君 ありがとうございます。  携帯電話にしても、キャッシュカードにしても、そしてこのSNSのアカウントにしても、メールアドレスにしても、これ、それを手に入れるためには個人情報、裏にあるんですよね。メールアドレスなんかであれば、少しの個人情報でそれを手に入れることができるかもしれないけれども、ほとんどが口座とつながっていたりとか、個人情報が山盛りその後ろにあるわけでしょう。ここで何かがあった場合に、取り返しが付かないからそういうことを表に出されたくないし、そういうものを利活用余りしてほしくないという人たちの意見の方が多いと思うんですよ。どうしてこれを個人識別符号に該当してくれないのか。だって、そこが一番商売やりたいところだからということですよね。その利活用につなげるといったら、電話だったりメールだったりというところが閉ざされちゃったら意味ないじゃないかということだと思うんですけれども、続いての質問行きたいと思います。  名簿屋対策について質問いたします。  去年九月九日、内閣府の消費者委員会が、いわゆる名簿屋等に関する今後検討すべき課題についての意見と題する文書を公表いたしました。その初めの部分には、自己の個人情報については、自らがコントロールできることが原則であるべきである。自己の個人情報のコントロールを確保するためには、第一に、個人情報取扱事業者個人情報を保有する際には、本人の同意を得ているか又は同意を得ている状態に準ずる状態にあることとあります。第二に、本人の意に沿わない個人情報の保有に対し、本人からの利用の停止又は消去ができるようにすること。第三に、前述の第一、第二の規律が実効的に行われるよう、個人データの流通に係るトレーサビリティーを確保し、個人データをどの事業者がどのような経緯で保有しているかを本人把握できるようにすることが必要である。これらの条件が満たされていることにより、個人情報が架空請求や詐欺的投資勧誘等の犯罪行為に悪用されることへの懸念といった消費者の不安感が払拭されるとともに、個人情報の悪用による被害の発生、拡大が防止されることにもつながると考える。以上に鑑みると、現行法には緩やかに解釈運用され過ぎている面があると考えられると書いてありました。  消費者委員会にお伺いします。  この第一の個人情報取扱事業者個人情報を保有する際には、本人の同意を得ているか又は同意を得ている状態に準ずる状態にあることについて、現行法で緩やかに解釈運用され過ぎているのはどういう点か、またそれをどのように改めるべきか、説明ください。
  206. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 黒木消費者委員会事務局長、簡潔にお願いいたします。
  207. 黒木理恵

    政府参考人(黒木理恵君) はい。  お答え申し上げます。  御指摘の部分でございますけれども、現行法の下では、事業者本人の求めに応じて個人データ第三者提供を停止する旨等のオプトアウト手続をホームページ等に掲載すれば本人が容易に知り得る状態に置いていると解されておりまして、そのような現実においては、本人が十分認知していない状態のまま第三者提供がなされているのではないかということでございます。  この点につきまして、意見においては、「本人の同意なしに個人データ提供を行う側の事業者のみならず、その個人データの受領者にも第三者機関への届出義務を課し、届出を受けた第三者機関が届け出られた事項を公表することを制度化すべきである。」というふうに述べております。
  208. 山本太郎

    ○山本太郎君 ネットでオプトアウトは可能だという部分に関して解釈運用され過ぎている、たったそれだけですか。され過ぎているという表現になりますかね、それって。もっとほかにもあるんじゃないですか。そうでもない。
  209. 黒木理恵

    政府参考人(黒木理恵君) お答え申し上げます。  ここで想定していたのは、事業者のホームページ等にお届けいただければ対応しますということが書いてあるだけということですと、個人の消費者はそのホームページにたどり着くことも難しいし、あるいはそれを見付けることも難しい。どのホームページにそのような記載があるかということも分からないことが多いので、実際には形骸化しているのではないかという考え方だったというふうに理解しております。
  210. 山本太郎

    ○山本太郎君 済みません、もう時間がないのでここまでなんですけれども、またもう一回、長いこと聞けそうなので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  211. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  212. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  個人情報保護に関する法律及び行政手続における特定個人を識別するための番号利用等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 大島九州男

    委員長大島九州男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十一分散会