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2015-06-10 第189回国会 参議院 地方・消費者問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月十日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二十三日     辞任         補欠選任      安井美沙子君     西村まさみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         西田 昌司君     理 事                 太田 房江君                 岡田 直樹君                 藤川 政人君                 江崎  孝君                 森本 真治君                佐々木さやか君     委 員                 青木 一彦君                 江島  潔君                 尾辻 秀久君                 島田 三郎君                 滝沢  求君                 松下 新平君                 三木  亨君                 森屋  宏君                 山田 修路君                 若林 健太君                 金子 洋一君                 斎藤 嘉隆君                 西村まさみ君                 野田 国義君                 藤末 健三君                 横山 信一君                 寺田 典城君                 大門実紀史君                 松田 公太君                 和田 政宗君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君                 平野 達男君    国務大臣        国務大臣     石破  茂君    副大臣        内閣府副大臣   平  将明君        厚生労働大臣  永岡 桂子君        農林水産大臣  あべ 俊子君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        小泉進次郎君        総務大臣政務官  あかま二郎君        総務大臣政務官  長谷川 岳君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        小野  哲君    政府参考人        内閣官房情報通        信技術IT)        総合戦略室次長  二宮 清治君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        新井  毅君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        木下 賢志君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        井野 靖久君        内閣地方分権        改革推進室次長  満田  誉君        内閣地方創生        推進室長     内田  要君        内閣地方創生        推進室次長    若井 英二君        消費者庁審議官  服部 高明君        総務大臣官房審        議官       時澤  忠君        総務大臣官房審        議官       青木 信之君        厚生労働大臣官        房総括審議官   宮野 甚一君        厚生労働大臣官        房審議官     中山 峰孝君        厚生労働大臣官        房審議官     谷内  繁君        厚生労働大臣官        房審議官     苧谷 秀信君        厚生労働省政策        統括官      今別府敏雄君        農林水産大臣官        房生産振興審議        官        鈴木 良典君        農林水産省農林        水産政策研究所        次長       岩瀬 忠篤君        経済産業大臣官        房審議官     石川 正樹君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       木村 陽一君        中小企業庁事業        環境部長     佐藤 悦緒君        国土交通省総合        政策局公共交通        政策部長     藤井 直樹君        国土交通省鉄道        局次長      篠原 康弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地域自主性及び自立性を高めるための改革の  推進を図るための関係法律整備に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○地域再生法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 西田昌司

    委員長西田昌司君) ただいまから地方・消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十三日、安井美沙子君が委員を辞任され、その補欠として西村まさみ君が選任されました。     ─────────────
  3. 西田昌司

    委員長西田昌司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣地方創生推進室長内田要君外二十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西田昌司

    委員長西田昌司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 西田昌司

    委員長西田昌司君) 地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。石破国務大臣
  6. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  まず、地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  地方分権改革は、地域が自らの発想創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマであります。  本法案は、平成二十六年から新たに導入しました地方分権改革に関する提案募集方式に基づく地方公共団体提案等を踏まえ、本年一月に閣議決定した対応方針に基づき、地方公共団体への事務権限移譲義務付け枠付け見直し等を行うものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、住民に身近な行政地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするため、農地転用権限移譲を始めとして、国から地方公共団体又は都道府県から指定都市等への事務権限移譲等を行うこととし、関係法律改正を行うこととしております。  第二に、地方が自らの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務付け枠付け見直し等を行うこととし、関係法律改正を行うこととしております。  このほか、施行期日及びこの法律施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定整備を行うこととしております。  次に、地域再生法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  我が国は、二〇〇八年をピークとして人口減少局面に入っております。また、東京一極集中地方からの人口流出が急速に進行する中で、地方においては、人口減少地域経済縮小を呼び、地域経済縮小人口減少を加速させるという負のスパイラルに陥るリスクが高くなっております。このため、人口減少を克服し、地方創生を成し遂げることが喫緊の課題となっております。  こうした課題を解決し、地方において、仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立するとともに、町の活力を取り戻し、人口減少経済縮小の悪循環を断ち切るための政策パッケージとして、政府は、昨年末に、まちひと・しごと創生総合戦略を閣議決定したところであります。  この法律案は、同戦略を踏まえ、各種生活サービス機能提供を維持するコンパクトビレッジ、いわゆる小さな拠点形成することにより中山間地域等における持続可能な地域づくり推進するとともに、地方への本社機能移転を含む企業地方拠点強化を行うことにより地方での安定した良質な雇用を確保するために提出するものであります。  次に、この法律案要旨を御説明いたします。  認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置として、次の措置を追加することとしております。  第一に、地方活力向上地域特定業務施設整備計画作成並びにこれに基づく独立行政法人中小企業基盤整備機構による債務保証及び認定事業者に対する課税の特例等を追加することとしております。  第二に、地域再生土地利用計画作成並びにこれに基づく農地等転用等許可及び開発許可特例等を追加することとしております。  第三に、自家用有償旅客運送者による貨物の運送特例を追加することとしております。  第四に、農村地域工業等導入促進法に基づき整備された工場用地等のうち遊休工場用地等において同法に規定する工業等以外の産業を導入可能とする特例を追加することとしております。  また、地域再生の担い手となる地域再生推進法人として指定できる法人の範囲を拡大することといたしております。  このほか、所要の規定整備を行うこととしております。  以上が、地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  十分御審議の上、速やかに成立いたしますよう、お願いを申し上げます。  以上であります。
  7. 西田昌司

    委員長西田昌司君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 太田房江

    太田房江君 自由民主党の太田房江でございます。  本日は質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。  地域再生法改正案中心質問をさせていただきますけれども、去る五月十七日に行われましたいわゆる大阪都構想についても最初に触れさせていただきたいと思います。  この住民投票、御承知のとおり、僅差ではありますけれども否決をされました。通常は、いちびりという言葉もございますけれども、変化を好む大阪人気質、これが勝つんですけれども、今回のいわゆる都構想に対しましては、都にはなれないということに加えまして、大阪市という政令指定都市がなくなって五つの特別区が設置をされるということについて、政令市の潤沢な財源が大きく削減されることになるということに大阪府民市民皆様方が気付いていただきまして、市民への行政サービスの低下が起こるんではないか、あるいは関西経済牽引役としての力が、大阪市の力が更に弱まるのではないか、こういうような不安が大阪市民の中に募った結果が今回の否決ということにつながったというふうに考えております。  大阪市の経済力につきましては、お手元に資料一として提示をさせていただいておりますけれども、特にリーマン・ショック、二〇〇七年辺りからのデフレ脱却力が他の政令指定都市に比べて極めて弱いということが分かります。もちろん、二〇〇一年から八年間、私も大阪府知事の職にあったわけでございますから責任の一端がないとは申せませんけれども、この七年間、制度論大阪都という制度論に偏り過ぎた議論が行われまして、中身の政策、特に地域活性化大阪を活性化していくというような実質的な政策が講じられてこなかったということも大きいと私は考えております。  資料一は政令指定都市の一人当たり所得を二〇〇一年を一〇〇として推移を見たものでございますけれども、全国主要都市の中で回復力が最も弱いのが大阪市。最近は外国人旅行客の増加によりましてホテルの稼働率が高まり、あるいは百貨店の売上げが増えるなど、良い兆候もございますけれども、内発的な回復力という意味では、この図がトレンドを表しているというふうに思います。  主力であった家電産業が現在の円安下にあっても十分には回復をしていない、そして主要な製薬メーカーなどが本社研究所東京や神奈川県に移転をしたということなど、中核となる産業あるいは企業の維持、成長が図れなかったということが私は大きな原因だと思います。  今回の地域再生法改正案に盛り込まれております地方拠点強化税制でも、高質な雇用の場として期待をされております本社機能移転先として、税制上の優遇措置を受ける対象地域から、名古屋市の一部とともに大阪市全域、関西主要都市の一部が除外されました。  産業集積の現状から見てやむを得ない、大阪はまだまだ恵まれている、名古屋もだと、こういうことかもしれませんけれども、資料二にありますとおり、この数十年間、大阪東京集中の、一極集中の影響を最も受けてきたと言っても過言ではないんです。資料二を見ていただきますと、はっきりと東高西低あるいは東京一極集中のすさまじさということが分かるわけでございます。  本社移転の実績を掲げたものが資料三でございます。これは大阪府における本社転入転出企業推移というものをたどったものでございますが、御覧いただいて分かりますとおり、二〇〇二年から二〇一一年の間、ずうっと転出超過が続いておりまして、この間の十年間で千百五十四社の本社転出超過大阪府ではあったということでございます。  こういうことから考えまして、また、いざというときのリダンダンシーを確保するという観点からも、地方拠点強化税制は、本来、東京圏から本社を移す全ての地域大阪名古屋も含めて対象とすべきではないでしょうか。  地域再生法改正案には、附則第三条に検討規定が設けられております。今後、東京一極集中の是正が余りスピード感を持って進まないというようなことであれば、地方拠点強化税制対象除外地域を見直す必要も出てくるのではないかと考えますが、石破大臣、いかがお考えでございましょうか。
  9. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 答えから申し上げますと、委員指摘のとおりであります。本法案附則第三条に基づきまして、本法施行後の状況を三年間見るということになっております。すなわち、政府は、この法律施行後三年以内に、認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置適用状況その他の新法の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということになっておりまして、施行後の状況を三年間きちんと見まして、これは虚心坦懐に判断をすべきものだと考えております。  これ、何を支援するかは党でもいろいろ御議論をいただきました。政府の中でもあったところでございますが、例えて申し上げますと、可住地面積を分母とし事業所数を分子とする、いわゆる事業所密度というものを出してみますと、東京二十三区が八・九、関東圏政令市は二・四、関西圏政令市は四・三ということですが、大阪市に限りますとこの事業所密度は九・四ということでありまして、東京二十三区よりも事業所密度が高いということに相なります。全国平均は〇・四六、ちなみに鳥取県は〇・三と、こういうことになるわけであります。こうしますと、やはり大阪の場合にかなり集積密度は高いなということでございまして、こういうような形に対応させていただいております。  大阪方々関西圏地盤沈下ということをよくおっしゃるわけでありますが、では、皆様方、何で本社東京移転しましたか、移転しなければならない必然的な理由がありましたか、それからまた大阪へ戻るという選択肢はございませんかということを私は関西経済圏方々にお尋ねをすることがよくございます。やはり、大阪へ戻ろう、関西へ戻ろう、そういうような動きが最近少しずつ見え始めたと思っておりまして、大阪のことに通暁せられた太田委員のまたいろんな御知見を承りながら、虚心坦懐に政策を遂行してまいりたいと考えます。
  10. 太田房江

    太田房江君 大臣、誠に答弁ありがとうございます。  大阪事業所密度というのが高くなりますのはどうしても中小企業が多いということによるところもあるかと存じますので、これからの推移を見て、この附則第三条、検討規定活用についてお考えいただければ幸いでございます。  それから、私は、東京一極集中に歯止めを掛けるという意味から申し上げますと、若者にも魅力のある地方中枢中核都市というものを中心とした新たな集積構造というものを構築する必要があって、こういう考え方を、今後の地方創生施策を積み上げていく中で、是非具体的に施策を講じていっていただきたいと、こう考えている者の一人でございます。  増田論文、いわゆる「壊死する地方都市」の中でも、地方圏が踏みとどまるためのアンカーを打ち込む役割を果たすのは全国に六十一ほどある地方中核拠点都市であるというふうに明記をしてありまして、ここに大学ですとか研究開発機能、あるいは高度な医療サービス、対事業所サービスなどの高次都市機能集積していく必要があるのではないかと、こういうふうに考えます。  こういう重層的な都市ダム群、これとその周りを取り囲みます地方圏域、これ後ほど申し上げます連携中枢都市圏という考え方とつながってまいりますけれども、こういうものの形成などによって、東京からの人口流入、いわゆるUIJターンを受け止めていく一次的な受皿にしていくべきではないかというふうに考えるわけです。  一方、総務省の方では、第三十次地方制度調査会からの答申を踏まえられまして、昨年地方自治法改正され、大都市制度見直しと新たな広域連携仕組み整備が図られております。  大都市制度見直しに基づく総合制度ということにつきましては、先ほど申し上げましたいわゆる大阪都構想否決をされた大阪市において、現在この適用の是非が議論されておるところでございます。  一方で、新たな広域連携仕組みの方でございますけれども、これは、地方中枢拠点都市中心とした一定圏域内で幾つかの自治体が連携協約というものを結んで、圏域全体を見据えた町づくりですとかあるいは役割分担というものを可能にするものでございます。中枢拠点都市都市機能高次都市機能というものを共有しながら、一定圏域がコンパクトにまとまって様々な政策効果を上げていくためには有効な制度ではないかと、こういうふうに私は考えております。  まず、総務省にお伺いをいたしますけれども、この制度が、地方圏において地方中枢拠点都市中心にどのように活用をされることを期待してこの制度をつくられたか、お伺いしたいと存じます。
  11. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お答え申し上げます。  現在私ども進めておりますのが連携中枢都市圏構想でございまして、これは相当規模と中核性を備える圏域中心都市近隣市町村連携をし、人口減少社会におきましても一定圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点形成しようとするものでございまして、この連携を行うに際しまして、昨年改正をいたしました地方自治法連携協約仕組み活用していただくというものでございます。  この連携中枢拠点都市圏におきましては、連携中枢都市となります圏域中心都市のみならず、近隣市町村住民方々が引き続き現在の居住地生活をし続けることができるように、圏域全体の地域経済を活性化して利便性向上させていくことを主眼にしておるところでございます。  そのため、連携協約の締結を通じまして、産学金官共同研究でありますとか新製品開発支援でありますとか六次産業化支援、こういった圏域全体の経済成長牽引という役割を果たしていただきたいというふうに考えております。また、高度医療提供体制充実でありますとか高等教育研究開発環境整備、こういった高次都市機能集積強化というところにも期待をしているところでございます。さらに、地域医療確保のための病院輪番制充実でありますとか地域公共交通ネットワーク形成、こういった圏域全体の生活関連機能サービス向上という役割もございますので、そういった施策地方公共団体に積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えているところでございます。
  12. 太田房江

    太田房江君 私、先ほど申し上げました地方中枢拠点都市都市機能向上という意味では、この連携中枢都市圏考え方、大変近いと考えておりますけれども、そしてまた既に多くの地域が名のりを上げておられるようです。  ただ、ここで問題なのは、枠組みはつくれるんですけれども、中の政策実効性をどうやって上げていくかと、こういうことだと思います。連携協約でいろいろなことを結んでも、当然、総務省のみならず他省庁の様々な協力、連携が必要になってくるわけですから、そこら辺のところを、私は、まちひと・しごと創生本部がうまくつないでいっていただければ有り難いなと、こういう思いを一方で持っております。  全国知事会からも、地域間連携による高い効果が見込める新たな新型交付金というような要望も出されているようでございます。  今申し上げましたように、なかなか難しいこの省庁間の連携というものを、こういった新型交付金というようなことを介して、あるいはまちひと・しごと創生本部石破大臣のリーダーシップを介してうまくこの連携中枢都市圏というような制度が動いていくということが望まれると思いますけれども、まちひと・しごと創生本部の方では、こういった総務省の提示された新たな仕組みとの連携、特に今度お考えになっていると言われております新型交付金の中でこういった制度をどのように組み込んでいくかというようなことについて、お考えをお伺いしたいと存じます。
  13. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この新型交付金というのは、総理からもその創設というものを御指示をいただいているところであります。これは、財源論から入りますと、どこからお金を持ってくるんだというお話になって、損したとか得したとか、非常につまらないお話になるわけであります。  委員指摘のように、各省がいろんな補助金を持っております。また、地方交付税という制度もございますが、それぞれの省庁が持っている補助金だけではできないのだと。結果平等といいますか、それを志向するがところ交付税でも駄目だと。補助金交付税ではできない、そういう分野があるはずで、そこに新型交付金というのは使われなければならない。例えばCCRCを地方が入れたいと思った場合にどうなるか、DMOをやりたいと思ったときにどうなるかというときにこの新型交付金をどう使うかという、そういうコンセプトづくりが一番大事だと思っておりまして、もちろん額は多いにこしたことはありませんが、何のために必要なのだということをきちんと論証することから始めたいと思って今議論をしておるところでございます。  そこにおいて重要なのは、委員指摘のように、地域間連携というものをどのように図っていくか、あるいは官民共同というものをどのようにやっていくか。地域間連携のための補助金なんというのは余り聞いたこともありませんし、官民連携のための補助金というのも余り聞いたことがないわけで、そこにおいて、地域創意工夫が使える自由な交付金というもの、設計の余地があるだろうと思っております。  連携中枢都市というものを考えたときに、連携中枢都市だから新型交付金というふうにすぐ論理的につながるわけではありませんが、連携中枢都市の取組において新型交付金が生きる余地というか、そういうような場面はたくさんあろうというふうに思っております。例えば、姫路を中心とする連携中枢都市、あるいは倉敷を中心といたします連携中枢都市、それぞれの地域において、こういうことに新型交付金は使えるはずだというようなお知恵もいただきながら、あるいは当委員会では地方行政に通暁せられた方々が多いので、こういうようなコンセプトでどうだというような御提案をいただきながら、私どもとして有効な制度設計を行ってまいりたいと考えております。
  14. 太田房江

    太田房江君 大臣、ありがとうございます。大いに期待をさせていただきたいと考えております。  次に、ちょっとこの地域再生法改正案とは少し外れるんですけれども、コンパクトビレッジに関係をしてまいりますので、他省庁法律ではございますけれども、中小企業需要創生法改正案についてちょっとお伺いをさせていただきたいと存じます。  地方創生にとって大変大事なこと、これは、先ほど来出ております本社機能を戻すこともそうですし、それから新しい産業を、六次産業を含めて育てていくことということもそうですけれども、私は、最も大事なことは、古くから地域を支えてきた地元事業者をしっかり支えていくことではないかと、こういうふうに考えております。地域を支える中小・小規模事業者が持続的に町を支えていけるように、国も地方も真剣に取り組むべき時期ではないかと、このように思います。  皆様の御記憶にも新しいと思いますけれども、私はこの事例を、ガソリンスタンドを例に少しお話しさせていただきたいと思います。  あの東日本大震災の際に、地元のガソリンスタンド、これ、もちろん被災をしていたんですけれども、にもかかわらず、緊急車両等への燃料供給に走り回りまして、被災地における重要なエネルギー供給拠点として大変頑張ってくださいました。昨年のエネルギー基本計画にも、石油はエネルギー供給の最後のとりでというふうに明記をされておりますけれども、この背景にあるのは、こういった地元SS、地場ガソリンスタンドの活躍あっての話でございます。  そして、震災を契機にいたしまして、こういう実例を一つ踏まえまして、全国地方公共団体が災害時に石油供給を機動的に行う災害協定を締結するというケースが増加をいたしておりますが、その災害のときに機動的に動き回ろうとしている地元のガソリンスタンド、これは皆さん御承知だと思いますけれども、今、一日に四軒のペースで減少を続けております。大変、これ、いざというときにどうなるのかと、こういう感じがいたしております。  私は、以前から全国のガソリンスタンドを、特に地元でずっと頑張ってきたガソリンスタンドを廃業から救うために官公需の活用ということを提案しまして、機会あるごとに発言をさせていただいてまいりました。災害協定を結んでいる地元の中小石油販売業者が、災害時のみならず平時においても安定した経営環境を維持するためには、自治体や国の燃料調達、すなわち官公需の受注機会をそういった地元のガソリンスタンドに対して確保をしていく、増大させていくという努力が不可欠かと思います。  このためには、平時から国や地方公共団体が災害協定を締結した組合と随意契約を行って、優先的に燃料調達をそういうガソリンスタンドから図っていく、あるいは、地場のガソリンスタンドが受注しやすいように分離分割発注を可能とするなどを現在の法律の枠内で可能とする方法はないかと、こういうふうに考えてまいりましたけれども、今回経済産業省の方で検討をされておられます改正官公需法に基づく基本方針に、今申し上げたような地元ガソリンスタンドに官公需を優先的に割り当てていくという考え方を盛り込めないかというふうに考えます。  これについては経産省にずっとお願いをしてまいりましたけれども、現在の検討状況についてお伺いをさせていただきます。
  15. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 自治体と災害協定を締結した石油組合に属する中小石油販売業者は、災害時に消防や自治体が所有する車両への優先供給や上下水道等の重要施設に対し燃料の供給を行うなど、地域における石油製品の安定供給に非常に重要な役割を担っているものと認識しております。  このため、現行の官公需法に基づく国等の契約の基本方針では、災害時の継続的な供給体制を協定等を通じて構築しようとする際には、必要に応じ、官公需適格組合を含む地域中小企業・小規模事業者の積極的な活用に努めることとしております。  それで、加えまして、委員の御質問にございましたように、非常にこの自治体と災害協定を締結した石油組合に属する中小石油販売業者の重要性、私どもも承知しておりますので、石油の供給網の強靱化の観点から、今申し上げましたような災害協定を締結した地域の中小石油販売業者への配慮措置、何らかの明記をしたいと政府内で検討しているところでございます。  また、地域の中小小売販売業者にとってより身近な存在である、これも御指摘いただきましたが、地方公共団体においても基本方針に沿った調達が行われることが極めて重要であります。このため、基本方針策定後間もなく、全ての都道府県及び市町村等、合計約千八百の自治体に対して、大臣名の文書により基本方針に沿った調達を求めることにしたいと存じております。また、各都道府県に関しましては説明会を開催させていただきたいというふうに思っております。  こうした取組により、官公需における地域の中小石油販売業者の受注機会を平時から適切に確保してまいりたいというふうに考えております。
  16. 太田房江

    太田房江君 御丁寧に検討していただきまして、大変ありがとうございます。  ただ、この質問の中でも申し上げましたけれども、この場合の肝は、随意契約、分離分割発注ということでございますので、この点について更に御検討をいただき、国の基本方針に明記をしていただきますように改めてお願いをしておきたいと思います。  私、なぜここでこのような質問を申し上げたかと申しますと、地産地消という考え方、これは地方創生にとって大変大事な考え方ではないかと思ったからでございます。地域雇用増大、これは本社を介すことによってももちろん可能でございますし、また、新しい産業を育てることによっても可能ではございますが、今頑張っている企業を守り立てることによってまずは基盤となる雇用をしっかり支えていく、こういう地産地消の考え方を是非とも地方創生の基本的な考え方の一つに据えていただきたいと、こういう思いで今の質問をさせていただきました。  あと五分残っておりますけれども、私、最後に要望だけ申し上げておきたいと思います。  先ほど申し上げました地方中枢中核都市都市機能強化ということに関連して、今まで決算委員会等の質問の中で首都機能の一部移転ということについて少し指摘があったと思います。  これは、出ては消え、出ては消える議論なのでございますけれども、私は大阪で知事をやっておりますときに、中小企業庁は大阪にあるべきという議論をさせていただきました。これはちょっと手前みそではございますけれども、でもよく考えてみますと、中小企業庁のほかにも、例えば文化庁であるとか、あるいは観光庁であるとか、余り全部言うと問題かもしれませんけれども、林野庁であるとか、いろいろございますよね、特許庁もそうだと思います。こういう省庁というのは現場に近いところにあってこそ機能の充実を図れる、あるいは情報が集約できるということだと思いますし、また、全国の人から見ても、東京に行かずに大阪で、京都で、名古屋で、北海道で、様々な仕事がこなせるという地方創生の大変いい機会にもなってくると思います。  まあ一朝一夕にいかないことは大変よく分かっておりますけれども、こういった首都機能の一部移転についても引き続き検討をしていただき、これから、地方の方から提案等もできるような仕組みがあるようでございますので、この点について石破大臣のリーダーシップをよろしくお願い申し上げます。
  17. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 済みません、ありがとうございました。いい機会ですので、せっかく御質問というか御提案をいただきました。  今私どもの方で、全、東京都を除きます四十六道府県にお願いをしておりますのは、これは国会でも御議論いただきましたが、国の機関というのはこんなものがありますというリストを全部の道府県にお配りをいたしております。それを道府県が御覧になって、例えば京都が、うちはやはり文化庁は京都だよねとか、中小企業庁は大阪だよねとか、何々は長野だよねとか、何々は島根だよねとか、何でもいいんですけど、それぞれの県がやはりこれは我が県に来た方が東京にあるよりもよほど効果を発現できるということを御提案くださいというお願いをいたしております。やはりそこを御覧になって、それぞれの地域が、これがあった方がより地域の活性化につながるというような御提案をいただき、それを受けた私どもは、駄目ですよということを言うのではなくて、どうすればできるかということを一緒に考えるということが必要なんだと思っております。  これは、もうお互いにそういうような関係をつくることによって、是非とも委員御提案のような、企業さんに地方へ行ってくれと言って、じゃ、中央官庁はどうなんだよと言われて、何にもありません、これでは済まぬだろうと思っております。ですので、是非とも地方におきまして、先生方それぞれの御地元がおありかと思います、どういうふうな取組になっているかということをお尋ねをいただき、更にこの動きを加速させていただければ大変幸甚に存じます。
  18. 太田房江

    太田房江君 誠に力強い答弁、ありがとうございます。それぞれの委員も力強く感じ、地元に帰ってどの省庁を引っ張ろうかと、こういうことで皆さんで頑張りましょう。  どうもありがとうございました。
  19. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末健三でございます。  先ほど、自民党の経済産業省の先輩であり元大阪府知事太田房江委員から大阪中心とした御質問をいただきましたので、私はちょっとマクロ的な議論をさせていただきたいと思います。  ただ、今日は地域再生議論でございますので、余りユニバーサルサービスの話は申し上げない予定でございましたけれど、先ほど太田委員からガソリンスタンドの話がございました。  実際に、私、全国比例区でございますので、地域を回りますと、市町村でもガソリンスタンドがないところがどんどん増えているんですね。実際にお父さん、お母さんとお話ししていますと、もう七十歳超えた方が、ガソリンを入れるのに四十分ぐらい運転してガソリンスタンドに行っているという、そういう状況を実際に聞かせていただき、この地域というのはどうなるんだろうということを考えさせていただきましたし、また、電力の自由化が始まり、これから送電会社が責任を持つと言いますけれど、送電のコストってすごい差があります。山奥に電線ずっと張って山間部まで張るのと、町中でちょっと張るのでは全然違うんですね、コスト、皆さん御存じのとおり。  恐らく、自由競争した場合に、町の中の人たちが配電コストの内容を知り、自分たちの三十倍、四十倍のコストを負担している人と料金が同じなのでいいのかというような議論が私は絶対起きてくるのではないかと、電力の恐らくユニバーサルサービスはまずいんじゃないかと。  あと、同じように通信の問題、あと金融の問題、あと輸送の問題。やはり地域に行きますと、もうバスが運営できないという話になっている。お父さん、お母さんも車の運転できない、移動ができないという話もよく聞きますので、そこら辺、今回、コンパクトシティー化ということでおっしゃっていますけれど、本当にそれだけで解決できるかということについては、是非大臣、ユニバーサルサービス、きちんと議論して準備していただきたいと思います。  それは何かと申しますと、例えば、先ほどガソリンスタンドの話が出ましたけど、ガソリンスタンドであれば資源エネルギー庁の燃料部ですよ、電力だったら電力基盤課ですよ、交通だったら国交省ですよと。あとまた、例えば金融であったら、金融庁じゃないんですよね、これ、総務省なんですよ。総務省の郵政が金融のユニバーサルサービスに責任持っているという状況で、各省庁ばらばらにこのユニバーサルサービスの議論が行われていまして、統一された考え方がないんですね。  これは、この業界に義務を課すからいいでしょう、ここについては例えば特別会計で支援金を出しているからいいでしょうと。いろんな様々な考え方があって統合されていませんので、是非、大臣におかれましては、やはり中心の部署、部隊があって、それぞれの考え方をまとめて指揮していただかなければ、各役所が自分たちの考え方でばらばらにやる、そうすると哲学がありませんから、いや、こっちの方はこうなっているけどこっちはこうですよと、恐らくまだら模様になる可能性が非常に高いなということがありますので、これはちょっと質問というよりも提言でございますけれども、ちょっと大臣、よろしいですか、突然あれですけど、お願いします。
  20. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 要は、その役所の理屈ではなくて、そこに住んでいる人にとってどうなんだということを第一に考えないと、これはとても地方はもたぬねということだと思っております。それは、言葉を換えて言えばワンストップ化ということなのかもしれません。  今、私どもで取り組んでおりますのは、例えば、昨日は佐賀県をやったのですが、霞が関のコンシェルジュ制度というのをつくっていまして、それはもう、これは経産省に行ったら断られちゃいました、それでもう泣いて帰りましたではどうにもならないので、それじゃこれ、農水ならできないか、国交と組み合わせたらどうなるのかということで、とにかく使う側の立場に立って、どうすれば早くて便利なのかということを第一に考えないと駄目だと思っています。  委員指摘のように、統一した哲学というのはないのですけれど、そこにおける統一した哲学というのは、やはりユーザーフレンドリーというのでしょうか、そこの人々にとって早くて使いやすいかどうか、煩瑣でないかどうか、本当に暮らしがどれだけ良くなったかということを常に心掛けて、ワンストップ化あるいは重複の排除ということをやっていかねばならないと思っております。
  21. 藤末健三

    ○藤末健三君 ワンストップ化もそうでございますけれども、ユニバーサルサービスということのやっぱり基本的な考え方を、是非大臣、構築していただきたいと思います。  あるところ、例えば金融とか郵便サービスについては郵政会社が責任持ってくださいという形で投げていると。例えば、ガソリンスタンドについてはもう基本的に自由ですから、補助金出してやろうという話になっているんですよ。交通については地方自治体が独自に頑張りましょうという話になって、交付金で少しぐらいサポートしましょうかねという話になってございますし、電力については完全に自由化して、送電会社が責任持つと言いますけど、私は多分難しいと思っています、これは、海外の事例見ていると。まあこれ、ちょっと委員会が違うから余り深くは申し上げませんけれど。そういう形でございまして、やはりユニバーサルサービス、少なくともそこに住まわれる方々がきちんと同じような生活インフラの供給を受けれるようなこと、それは誰が責任持ってどういう手段で確保するのかということについては、是非大臣主導で議論していただき、それを今もう始めておかないと、恐らく整理だけでもしていただかないと、各役所もばらばらに走っていますから、是非ちょっと整理をいただきたいと思います。  そこで、地域の経済の話にちょっと話を戻させていただきたいんですけれど、私、地域の経済につきましては大きく三つ議論させていただきたいと思っています。  まずは、大きく地域の経済を活性化する枠組みは何かというのが一つ。そして、二つ目にございますのは、特に私は、介護とか医療といった福祉のサービスが地域を活性化するというのは、大きなインパクトが、即効性が高くインパクトが大きいということをお話しさせていただきたい。そして最後に、エネルギーの地産地消ですが、電事法が改正され、私は、地域においてエネルギーをつくり、そして使い、そして雇用を生むということが可能となると思います。  ただ、今の状況ですと、結局自由競争ですよということですので、恐らく、何が起きるかというと、大きな資本を持って技術力を持ったところがどんどんどんどん頑張ると。じゃ、どこに立地するかというと、恐らく海浜部とかに立地すると思うんですよ、このままいきますと。そうすると、地域って何ぞやという話になる。恐らく、バイオマスなんかは石炭火力に比べたらやっぱり価格的には倍ぐらいのコスト差がありますから、なかなか太刀打ちできないと思います。ただ、それでもやはり地域が、地産地消で地元にあるバイオマスを利用するとかいうこと、あとは水力を利用するということを進めなければ地域の経済は活性化しない。その三点を今日お話しさせていただきたいと思います。  今日この地域再生法及び一括の規制緩和の法律でございますけれど、私は、特にこの地域再生法を読まさせていただきますと、やはり余りにも供給者サイドに寄り過ぎではないかなという感じがしています。なぜかと申しますと、例えば、工業団地をどうすればいいかとか、まあ何かいろいろメニューございますけれど、全部サプライサイド、供給者がどう活動しやすくするかという議論で終わっている気がするんですね、正直申し上げて。私は、経済政策は、供給者サイドの政策も必要だと思いますけれど、やはり需要者サイドの政策にしていただく必要があるのではないかと思います。  なぜそういうことを申し上げるかというと、役所の人たちは、需要者とサプライサイド、供給者がいるじゃないですか、みんなサプライサイドの人たちとは会うんですよ。私、役人させていただきましたから、もう供給側の人とはいろいろな話をする、協会もありますと。じゃ、一方で、消費者サイドの人たちと会って話をしているかというと、ずっとほとんどがデスクに縛り付いている、霞が関にいて、真夜中まで働いているわけですよ。  じゃ、実際に、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんがどういう暮らしをされていて何で困っているかって、なぜ消費ができないかって、恐らく月額十万円以下で暮らされている方はいっぱいいますよ、はっきり言って。体感できていないです、それが、何に困られているかって。そういう中で、私はやはり、まあこれはこれで必要だと思いますけれど、是非、需要サイドの考え方をやっていただきたいと。  この需要サイドにつきましてはいろんなことがございますけれど、特に私は、介護という問題を、あと医療の問題を取り上げさせていただきたいと思います。お手元に資料をちょっと配らさせていただいておりますけれど、これ、二枚目をちょっと御覧になっていただきたいんですが、これは二〇〇四年でちょっと古いデータでございますけれど、医療経済研究機構が作ったデータをちょっと私の方で加工させていただいたものでございます。  これ何かと申しますと、ある予算を、例えば公的な予算を使ったときにどれだけの雇用誘発が起こるかということを比較したものなんですね。どういうことかというと、例えば一千万円の予算を使います。そうすると、介護でいくと八割近く、七割から八割近くが人件費なんですよ。ですから、介護というのはほとんどが人件費に落ちる。ですから、そういう施設費とかいろんな日常で使うものがございますけれど、多くが、介護は人件費になります。  例えば、住宅建築と書いてございますけれど、住宅建築などを見ますとどうなっているかというと、十九位と書いてございますけれど、例えば、住宅建築ですと、材料費、あとは機械を使うお金とかで、大体人件費が二割から三割という状況でございまして、例えば材木だったら海外から輸入してくる材木とかで使うわけでございますので、国内経済的にはどうかということがございます。当然、不動産、金融というものについては人件費の割合がもう著しく低くなっているということです。  ですから、私は、是非検討いただきたいのは、介護の、あとまた医療も十五位とございますけど、介護に類するサービス業、これは予算を付ければそれだけ人件費にすぐ反映できる。そして、特に介護士の方の数を調べていただきたいんですけれど、地方ほど人口割合高くなっています、今、明確に。ですから、介護士の給料を上げることによって需要サイドを活性化できるというふうに考えますけれども、その点、石破大臣、いかがでしょうか。
  22. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは委員と見解を全く一にいたすところでございます。  国が定めました、閣議決定いたしております総合戦略におきましては、若い世代の結婚、出産、子育ての御希望をかなえなければいけないと、このような観点から、若い世代の経済的安定というのを柱に据えて、若者、派遣労働者も含めた非正規雇用労働者の安定雇用の実現ということをうたっておるわけでございます。  介護が別に不安定雇用だと申し上げているわけではございません、全般のことを申し上げているのですが、やはり一万二千円月額引き上げるということをうたっておるわけでございます。介護報酬を引き下げておきながら何だという御議論もありましたが、そこはそういうような仕組みになってはおらないのですけれども、何にしても、今まで地方を支えていたのは、公共事業に伴う建設業と企業誘致による、そこに雇用があったと思います。それがかなり医療と介護にシフトをしているのですが、その賃金が低いということは極めて問題であるというふうに考えております。離職率も高いです。これではどうにもなりません。  医療、介護に従事される方々に安定的な雇用と、建設業、製造業と同じくらいまで行くかどうか、ここは努力の仕方ですが、収入というものを上げるということは、地方創生にとって極めて重要な課題でございます。
  23. 藤末健三

    ○藤末健三君 今、たしか介護の国の予算が大体二兆二千億円なんですよ、大臣。これを、簡単な試算なんですけれども、一兆円プラスするだけで介護士の方々の給料が百万、大体、単純計算すると上がります、全部お金がそこまで行くとすると。大体二百五十万ぐらいの年収の平均の給与の中で、恐らく百万プラスするとすさまじい効果だと思うんですね。私、公共事業で例えば補正で三兆円とかなんとか上げますけれど、コンスタントに介護の方々の給与を上げるということは即効性が非常に大きいと思いますし、恐らく多くの方々は、僕は少子化対策にも役立つと思うんですよ。  大臣、多分御存じのとおり、この少子化という問題、三十代の男性を見ますと、年収が三百万円以下の方々の既婚率ってもう一〇%切っちゃっているんですね。じゃ、一方で、三十代の男性で六百万円以上の収入がある方々の既婚率を見ると、それはもう四〇%近い。最終的に結婚できる人の率もはるかに高い。既婚率でいくともう四倍違うんですよ、大体。それは何かというと、やはり、僕が実際に会った若い方々はおっしゃいます。二百五十万の介護士の方です。やっぱり結婚できないとおっしゃっていたんですよ、奥さんと家族を養うだけの自信がないと。  ですから、私は、やはり介護士の方々の給与を上げることは地域を活性化することにまずつながる。即効性は高いと思います。給与が上がりますから、恐らく消費される。と同時に、少子化の議論をされていますけれど、私は女性が社会進出することもプラスになるとは思いますけど、それよりもやはり結婚できない若者を結婚していただくことが大事だと。なぜかといいますと、結婚された方々は平均二人お子さんおられるんですよ。じゃ、何で一・四とかになっちゃうかというと、結婚されないから。じゃ、なぜ結婚できないかというと、収入が少ないからなんですよね。家族を養えるかという話になっちゃうから。  ですから、是非大臣大臣のおられるうちに、介護で経済活性化ということをばんと打ち出してされたらどえらい評価されると思いますけれども、いかがですか、これ。
  24. 石破茂

    国務大臣石破茂君) また、厚労省とも委員は濃密な議論をしておられるかと思いますが、三百万の壁というのがあることは、これは事実だと私は思っております、数字がそう出ておりますので。三百万を切るとがたんと下がるというのは、確かにそのとおりであります。  今私どもの中で議論しておりますのは、それを上げていかねばならない。いわゆる団塊ジュニアの世代のときにリーマン・ショックがぶつかりましたもので、それはかなりアクシデント的なところがあるんですが、そのときにもっと別の政策が打てなかっただろうかという反省は私自身は持っておるところでございます。そういう繰り言を言っても仕方がありませんので、そういう若い方々にもっと所得を上げていかねばならないということは一緒でございます。  そこにおいて、じゃ、熊本においてこれぐらいの暮らしをしようと思ったらば東京では一体幾ら必要なんだろうねと。例えば、熊本で月に四十万円ぐらいあればこういう暮らしができますと、そうすると、それと同じ暮らしをしようと思ったら東京じゃ幾ら掛かるでしょうということを考えると、やっぱり、熊本で四十万で暮らせるものが東京だと百万とか、そういう話が出てくるわけでございます。  ですから、地域において出生率を上げる、地域における、地方における若い方々雇用と所得を上げるという点にも私ども留意をしながら、若い方々の所得、そして生活水準、地域差にもよく配慮をしながら、委員の御指摘を踏まえて更に努力をしなければならぬと思っております。
  25. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いします。  恐らく、何というか、役人がいっぱい作文したやつがあるじゃないですか、もう小さい政策をちょこちょこ集めて。集めても余りみんな感動しないですよ。希望が生まれません、はっきり言って。いや、本当に。それは、是非ちょっと、みんなが、ああ、これは変わるんじゃないかというぐらいの大胆な発想を出していただきたいし。  特に介護の話をちょっと続けさせていただきますけれども、これは日本創成会議といういろいろ地域の問題とかをやっているところが出したレポートを見ますと、これから団塊の世代の方々が年齢を増されるにつれて、東京、神奈川、埼玉、千葉辺りの首都圏で二〇二五年に介護が、その需要がもう百七十二万人増えて介護のサービスが圧倒的に足りないんじゃないかというデータが出ています。恐らくこれは正しいと思うんですね。人間の人口構造というのはそんなに簡単に変わりませんから、変わらないんではないかと。  何を申し上げたいかというと、恐らく首都圏に高齢者がどんどんどんどんあふれるような状況になる。彼らが提案しているのは、そういう方々地域に戻っていただいてはどうですかということを提案しているんですよ。ただ、これ多分できないです。できない。  なぜできないかというと、介護保険料、四十歳から六十五未満の人たちは基本的に国が、中央がプールする介護保険料になっていますけれども、ですから、ある意味、均一です。ところが、六十五歳以上の方々地域によってまだらなんですね。これは多分余り知られていないかもしれませんけれども、一号保険という、六十五歳以上の方々が介護保険料を払うのを一号保険といいますけれども、この六期、最新の保険料の市町村別の月額基準額を見ますと、何と一番低いのが鹿児島県の三島村というところで二千八百円、一番高いのが奈良県の天川村という、天の川と書いて天川村というところがございますが、八千六百八十六円ということでございますので、何と三倍近く違うんですよ、三倍近く。どういうことかというと、わざわざ、東京では若者の人たちがいっぱいいますよと、実際に首都圏は低いです、概して。若い方々がいて保険料が安いところから高いところには絶対移らないと思います、私は。簡単な原理でございますけれども。  ですから、もし将来、これは十年後の予測になっていますけれども、じゃ、十年後に、今の団塊の方々が介護を受けられるようになると、そのときに首都圏では介護のサービスが足りませんと、じゃ、地域に移っていただかなきゃいけないけれども、地域に移っていただくことによって、ますます高い介護保険料、六十五歳以上の一号の介護保険料が上がってしまうような、そういう構造に僕はなっていると思うんですよ。ですから、是非、構造を見直していただきたいと思いますし。  また同時に、私、ちょっと個人的な提案なんですけれども、ふるさと納税制度、これは非常にいいんではないかと思っていまして、後で御質問しますけれども、ふるさと納税制度のように、ふるさと介護保険料制度みたいなのをつくってはどうかなと私は思います。  何かというと、私の両親は今、尾辻先生の地元である鹿児島なんですね。はっきり言って介護保険料はやっぱり相当払っています、かわいそうに。いや、本当に、聞いたらびっくりしますもの。それを見て思うのは、私は、やはり地域に介護保険料を納めたいですよ。ところが、今全体でプールされて入っているじゃないですか。ですから、私は、例えば、もう高くなってもいいから、自分の両親が世話になっている市町村に介護保険料を納めたいという制度を設計してもいいんじゃないかなと、そろそろ。多分、私、いると思います、そういう人たちは。それによって介護保険料を下げて、負担を下げて、高齢者の方々が、六十五歳以上の方々が安心して介護を受けれる地域に行っていただくということをやっていかないと、この格差があると、恐らく介護保険料が安いところにみんな移住するぐらいのことやりますよ、これ。今は三倍ですけど、それが四、五倍になっちゃえば。  それで本当に幸せかどうかという話もあるし、その地域が多分疲弊しますよね、恐らく。ということについて思うんですけど、その介護の保険料の格差、この是正策について、ちょっと役所の方で誰かお答えいただければ、お願いします。
  26. 苧谷秀信

    政府参考人苧谷秀信君) お答え申し上げます。  今、介護のふるさと納付の話がございましたけれども、もう先生御存じのとおりでございますけれども、各市町村ごとに異なる金額で賦課徴収されます高齢者、六十五歳以上の方の保険料とは異なりまして、いわゆる第二号被保険者、四十歳から六十四歳までの現役世代の介護保険料は、個々人が加入する……
  27. 西田昌司

    委員長西田昌司君) 簡潔にお願いします。
  28. 苧谷秀信

    政府参考人苧谷秀信君) はい。
  29. 藤末健三

    ○藤末健三君 基本制度は分かっていますから。
  30. 苧谷秀信

    政府参考人苧谷秀信君) はい。分かりました。  そういうことで、ただ、全国プールで徴収することによって、それをまた分配するので、非常に各市町村にとっては安定した財源になってございます。それをそれぞれの方の希望に応じて分配いたしますと、当該市町村に格差がまた生じますので収入が不安定になるということもございまして、そういう格差とか、あるいは介護保険財政基盤の不安定化につながりかねないということを踏まえますと、ちょっとそのふるさと納税と同様にするというのは難しいかなというふうに考えてございます。
  31. 藤末健三

    ○藤末健三君 格差が増しますよとおっしゃっているんですけど、だったら全部全国プールにすればいいじゃないですか。どうですか。なぜ六十五歳以上の人たちだけが格差が三倍あって、四十五から六十五未満の人たちは全国プールで格差がないかと。全く合理性がない、はっきり言って。だったら税金でやるべきですよ、正直申し上げて。  ということでございまして、大臣、よろしいですか、何を言いたいかというと、役所の人たちは今の枠組みしか語れないんですよ、結論からいうと。だったら、是非、地方創生という意味で介護、これ絶対、雇用を生むし、経済を生みます。厚労省の方々は、絶対、地域経済雇用、俺たちの責任じゃないものね、地域経済は経済産業省頑張ればいいんだよね、雇用は厚労省頑張ればいいんだよねと、まあ同じ役所かもしれませんけれど、そこは。という形で、やはり恐らくビューロクラティックな分断があって、地方を再生するという意味では恐らく最適な設計はできていないと思う、僕は、さっきのユニバーサルサービスと一緒で。  是非、やることは何かというと、この役所のいろんなやつを貼り合わせるのではなくて、役所に変えさせてくださいよ。役所がばらばらにやったやつに横串刺す。役所がここしか見ていませんよと、高齢者の方々の介護サービスという面しか見ていませんよだけじゃなくて、雇用を見てくださいね、地域経済もちゃんとやるようにしてくださいね、平等にしてくれと、ちゃんと、二十年後も。ということが言えるのは恐らく大臣の指揮しかないと思いますので、そこは是非よろしくお願いしたいと思います。  このふるさと納税のような介護を、これ地域選んでやるというのは、僕、いいと思いますよ。私は、本当に。私は特に払っていますから、親と。やっぱり親の面倒を見てくださる地域には貢献したいです、私、正直申し上げて。それだけは取りあえず申し上げておきたいし、それによって地域経済が私は活性化できるということが、小さいかもしれませんけど、できると思います。  それで、ちょっとマクロ的な地域経済の活性化の議論させていただきますと、ちょっと配りました資料の一ページ目でございます。これは何かと申しますと、大和総研の熊谷チーフエコノミストが作られた資料をちょっと私が作り直したものでございます。  これは何かというと、縦軸が生産性ということになります。ですから、何かというと、上に行くほど生産性が高い、一人当たりの収入が上がるような形になっていると。右軸は何かと申しますと、波及効果です。例えば輸送用機器というのが一番右端にございますけど、そこは自動車で、自動車は売上げが立てば立つほどほかの産業に波及していく。まあ部品産業いろんな産業ありますから、ほかに波及力があると、そういう仕組みになっております。  じゃ、何を言いたいかと申しますと、この円の大きさ、これは雇用の数なんですね、実は。見ていただきますと分かりますように、サービスというのは、このピンク色の丸がございますけど、ここが基本的に医療、福祉、先ほど申した介護を中心とする医療、福祉、あと教育といったようなサービス分野の丸でございます。どれだけ雇用が大きいかということ。また、雇用が大きいということで大事なことは、生産性が低いんです、非常に。ですから、ここを上に上げていくということができなければ、恐らく地方経済はなかなかいかないんじゃないかと。ですから、是非ともこの部分を上に上げていくという、生産性を上げる。  生産性を上げるというのはそんな難しくないです。簡単に言うと、給料を増やせば生産性は上がっちゃうんです、これ計算上、いや、本当に。ですから、介護士の方々の給料を上げれば、上がった分だけ生産性は計算上上がっちゃうんですよ、効率化しなくても。それが基本でございますので、是非この赤い丸の部分を上に上げていくということ。  そして、もう一つ申し上げますと、右の部分の輸送機器、電機、化学というのがございますけれど、ここは国際的に戦っているところ、ですから、ここはもう稼げるところなんですね。まさしくそうなんですね、稼げる部分でございますので、ここの稼げる部分をどうやって強化していくか。  特に、地方にその稼ぐ部分、今工場はどんどんどんどんなくなったじゃないですか。具体名を言うとあれですけれど、やっぱり工場が抜けた町はシャッター街になるんですよ。アーケードはがらがらです、工場一個なくなれば。なぜかというと、工場は波及効果が大きいからなんですね。自動車の工場が海外に行きましたと、その町はほとんどもうなくなっています、基本的に、機能が。なぜかというと、自動車産業、電機産業もそうですけれど、経済波及効果が大きいので、その工場が抜けただけで経済が丸ごと、木だけじゃなくて根っこごと抜けちゃうような形になるんですよね。  それをもう一回戻す、若しくは新しい木を育てるということがまさしく地域経済にとっては必要なことだと思いますが、大臣、もしよろしければ、いいですか。
  32. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いろんな御指摘ありがとうございます。なるほどねと思いながら聞いておりました。  介護の部分はまだいろんな発展の余地があるというか改善の余地があるというか、確かに、介護で稼ぐ力というと、これは一体何だろうねという気がいたします。さはさりながら、それでは給料をそのまま上げていけばそれでいいかというと、そういう話にもならぬのだろうと。  委員の方がはるかによく御存じですが、例えば介護に従事する方々、いろんな訪問介護等々に従事される方の一日というのを見ると、八割が移動であるということになっておるはずでございます。そうすると、そこのところをどうやったらば、さらに、ここで効率という言葉を余り使いたくないんですが、サービスの質を維持しながら、そこを何か工夫の余地はないだろうか等々、いろんなことがまだ介護の部分は考えられるだろうと思っております。  地方における労働生産性というのは、大体日本全体の労働生産性がアメリカあるいは欧州に比べて極めて低いと。一番高いところから一番低い県までは約二倍から三倍の差があるはずでございます。それをきちんと明らかにし、それぞれの地域における労働生産性をいかに上げることができるかということは、地方における今人手不足ということが、ある意味での追い風だと思っています。人が余っているときはそんな話をするとえらいことになりますが、今、実際に人が足りないのは地方でございますので、そこにおいて労働生産性を上げ、委員がおっしゃるところの給料を上げていくということをやりませんと、この地方創生あるいは人口減少という問題は将来的にもめどが立たないと考えております。
  33. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  それで、おっしゃるとおりだと思うんですよ。生産性の議論が非常に重要でございまして、大臣おっしゃるように、私も実際に地域に伺いますと、移動時間が非常に長いと。そうすると、移動時間に対してもやはりお金を払ってもらわなきゃ割に合いませんねという話がありまして、それってまさしくユニバーサルサービスの議論と一緒なんですよね。ですから、離れているお父さん、お母さんに対してどうやってサービスさせていただくか、この移動時間をどうするか。そこはやっぱり一つの基本的な考え方がなければ、なかなか場当たり的にはできないと思います。  同時に、先ほど生産性の話が出ましたので、私申し上げたいと思いますのは、地方で私はすごいいろんなチャンスがあるかなと思っておる一つに、新しいイノベーションを起こすという意味で、私は健康分野、ヘルスケア分野というのは非常に重要じゃないかと思っています。  例えば、私の知り合いは、四国の高知の方で今そのヘルスケア関係、水、きれいな水を飲むと健康になるというやつありますけれど、それを土佐の高知の本当に田舎に工場をずっと持ち続けているんですよ。それで維持していると、ずっと。なぜかというと、海外で作れないからなんですね、これは。そういう地域を支えるような新しい芽、恐らく私はヘルスケアだと思うんです、それは。  特保という、何かビールも特保が出ちゃったというので私はちょっとびっくりしているんですけれど、特保は食品に対して特定の要素が入っていたら出しちゃうんですよ。それはコカ・コーラであれ、ビールであれ、脂肪の吸収を少なくするような要素が入っていれば出しますよというルールになっている。で、ビールも出しちゃったと。おかしいんじゃないかと正直思いますけど、ただ、突っ込んで言いますと、食品だけじゃなくて、健康機器や健康サービスにも認定制度をつくってはどうかと思うんですね。  それは何かというと、今ちまたでいろんな宣伝がある。何か、おなかに着けたら痩せますよとか、いろんなことを言っていますよ。いや、本当に。ただ、それが実際に効いているかというと、クエスチョン。だから、そういうものをきちんと認定できるような制度をつくり、ヘルスケア産業をきちんと伸ばすということを、これは消費者庁がやる話かどうか分かりませんけれども、やってほしいし、ちなみに二〇〇四年の、これは経済産業省が出された資料だと思いますけれども、健康増進とかの産業が大体六兆円ぐらいですよという話がございます。また、介護サービスなどで六兆円、六兆五千億とかいう話がございまして、やはり、この健康医療サービスのきちんと全体像を捉えてそれを伸ばしていく、それで地域に新しい産業をつくるということを考えていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。これは経済産業省にお願いします。
  34. 石川正樹

    政府参考人(石川正樹君) ただいま御指摘の健康サービスの品質認証でございますが、おっしゃるとおり、消費者の方などに安心して使っていただく上で非常に重要だと思っております。  経済産業省といたしましては、関係省庁連携いたしまして、一昨年に、こういった健康サービスの中でも特に効果的、効果期待されています運動サービスについての品質評価をしっかりするための基本的な枠組みの整理をさせていただいて、公表させていただいております。これに基づきまして民間団体が、例えば生活習慣病の予防プログラムなどに役立つ運動サービスとか、そういったようなものの認定の制度をつくっておりまして、今まで、まだ十二件でございますけれども、認定を行っておりますが、今後これが増えていく予定ではございます。  こういったような健康サービスなどの認定が広がるように私ども是非取り組んでまいりたいと思っております。
  35. 藤末健三

    ○藤末健三君 あと、機器なんかも是非、日本発の機器を出していただきたいなと思っていまして、やはり我が国の作っている様々な機器は精密でございますので、海外のものが意外と入れないんですね、聞いていると。やっぱりメード・イン・ジャパンの方に行ってしまう、を買う傾向がありますので、そういうことをやっていただきたいと思いますし、是非、将来的な健康ヘルスケアビジネス、非常に大きな成長分野でございますので、経産省のみならず、地域産業を伸ばすという観点からもやっていただきたいと思います。  一つの提案は何かというと、ある地域、例えば世帯数が少ない地域である健康サービスを導入してどれだけ効果があるかを計測するとか、今健保組合単位でそういう取組をされているのはもう存じ上げていますので、地域でやっていただく。その地域がどれだけ健康になったかということでその地域発の健康なサービスを全国展開するとか、様々なチャンスがあるのではないかと思っていまして、私は、地域の高齢化ということについては、逆にそれをチャンスに変えていくような政策を是非検討いただきたいと思っております。  介護とかの問題につきましてはこれで終わらさせていただきますけれども、是非大臣におかれましては、本当に私、全総といって、全国国土総合開発計画というのが昔あったんですよ。あれはやはり日本を公共事業に偏重させたんじゃないかというふうには言われますけれども、やはり、あの時代にあの計画を立てて日本の交通網であり様々なインフラを整えていったというのは、すさまじく大きな僕は成果があったと思うんですね。  今私たちの国に必要なことは、恐らく公共事業による地域活性化計画ではなく、先ほど申し上げましたように、サービス、介護であり、医療であり、教育であり、移動であり、金融であって、いろんなサービスを国土全体でどうしていくかという恐らく新しい国土計画を設計する段階に来ていると思います。  ハードウエアの国土計画ではなく、国民が受け取るサービスをどう提供していくかということを是非つくっていただきたいですね、本当に。恐らくそれがなければ、何か小さな、やっぱり有効で何か勝とうとかいうような感じの法律じゃなくて、もっと大きく国家の在り方、例えば十年後の人口構造分かっているわけですから、先ほど申し上げたように。二十年後も分かっている。そういう中で、国土はどういうふうにあって、どこに人が住んでいただき、そして、どういうサービスを得ていただき、安心して暮らしていただけるか、安心して働いていただけるかということをもう設計する段階に来ていると思いますので、それはちょっと是非申し上げさせていただきたいと思います。  その中におきまして、ふるさと納税という話をちょっとさせていただきたいと思いますけれども、ふるさと納税につきましてはいろんなお話が出ました。実際にちょっとやり過ぎじゃないかという話はございますけれども、私は、ふるさと納税を実際に行っている現場を見てきまして思いましたのは、やはり自分のふるさとに対する貢献ということをしていただくこと、そしてまた、地域の産物をきちんとほかの地域に売り出すとともに、すごい宣伝になっているんですよね、それが、地域の産物の。  私は、やはり地域の経済効果というのは、このふるさと納税、お金が入るだけじゃなくて、地域の産品をきちんと出すことによって地域の活性化をするということにつながっていると思うんですけれども、そういう具体的にいい事例を地方自治体の方にもっと広げていただきたいと思います。  私が実際にお会いした市長さんは、市長さんはと言うとあれですけれども、何かやりたくないとおっしゃっているんですよ。やりたくないって何ですかということですけれども、なぜやりたくないか分かるんですよ。知らないんですよ、その効果を。何か税制がゆがむから入れたくないとか言っていますけれども。ただ、あなたね、地元の産品をきちんと売り出すんですよ、それでどれだけの雇用が生まれますかという話なんですよね。  ですから、それは恐らく、失礼ですけれども、ふるさと納税を所管している方々の啓蒙が薄いんじゃないかなと思うんですけど、その点、いかがでございますか。よろしくお願いします。
  36. 青木信之

    政府参考人青木信之君) お答えを申し上げます。  ふるさと納税制度につきましては、平成二十七年度の税制改正におきまして、控除限度額の引上げ、また確定申告なしにふるさと納税のメリットを受けることができるワンストップ特例制度、こうした拡充もしました。  是非これは、地方創生を進めていくためにもこの制度活用いただきたい、そういう観点から、私ども、地方団体に様々な場で制度の拡充の内容について説明させていただくとともに、ポスターも作り配布をし、また、お話にもございました、地方団体の取組を紹介するために総務省にふるさと納税ポータルサイトを開設して、地方団体の取組を積極的に広報をしてきてまいっております。  お話しの、ふるさと納税していただいた場合に地元産品を返礼品として活用すること、これも地場産業なり地域のPRという観点から大変意義があると思っておりますが、ただ、この返礼品の送付が過熱をしているという点につきましては、地方側からも節度ある運用がなされることが求められるという認識が示されているところでもございまして、まずは地方団体側で良識ある判断の下に制度の趣旨に沿って運用を進めていただきたいという考え方に立ちまして、四月一日付けで大臣から通知をさせていただいております。  今後とも、ふるさと納税制度の健全な発展、また積極的に活用されるよう促してまいりたいと考えております。
  37. 藤末健三

    ○藤末健三君 お願いがありまして、私が知っている範囲では、各市長さんがどれだけ効果を理解しているかというのは、ちょっとクエスチョンだと思うんですよ。たしか、自治体ごとのふるさと納税の金額はばあっと出されているじゃないですか、どれだけあったかと。実際にどういう地元に経済効果があったとか雇用効果があったところまで調べておられないですよね、多分。私、それ見たことないんですよ。たしかないと思います。  そういう、きちんと市長さんたちに、首長さんたちに導入を理解してもらわなければ、いつも総務省さんはそうなんですよ。各自治体が判断してやりますよとおっしゃっているじゃないですか、私たち知りませんとおっしゃいますけれども、きちんとした情報を提供できなければ、していただかなければ、恐らく判断付かないと思いますよ。  私は、こうやってこっちサイドでやっていますから、作る方を一緒にさせていただきますから、どういう効果があってどうだということはマクロ的には分かりますけれども、恐らく、市長さんと話していると、隣の市がやっているかやっていないかですよ、極論すると。で、税収はあそこはいっぱい増えましたねという話になっちゃうじゃないですか。  違って、税収はどれだけ増えていって、地域の産物はどれだけ売れて、どれだけの経済効果があったぐらいのことは共有してほしいですよ、恐らく。いかがですか、やっていただくとうれしいんですけれども。
  38. 青木信之

    政府参考人青木信之君) ふるさと納税を活用した寄附、増えてきてまいっていると思います。平成二十六年度、二十五年の数字になりますけれども、百四十一億の寄附がございますが、そういう寄附に伴いまして、地域とそれから都市との交流が深まった、あるいは雇用も増えたというような報告も聞いております。  ただ、先ほど申し上げましたように、いただいた寄附に対して返礼品ということの話に関しては、やはりしっかり節度がある運用が求められるという点についても併せて御理解をいただく必要があると思いまして、私ども、そうした点も含めて、地方団体側と膝を交えて話をしているところでございます。
  39. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣、いかがですか、この会話、このすれ違い。いや、だから、まさしく彼は自分のテリトリーで一生懸命おっしゃっているから、僕は文句言いませんよ。それは、官僚の人たちは自分の与えられた場所でおっしゃるのが務めだから。だから、雇用関係ないんですよ、これ。私は税制だけですもんって。御理解いただけます、これ。じゃ、大臣、せっかく、はい。
  40. 石破茂

    国務大臣石破茂君) というようなやり取りを役所の中でもやっているわけでありまして、官僚出身の委員がおっしゃると極めて説得力のある話だと思ったりしておるわけであります。  ふるさと納税について申し上げれば、確かにおっしゃいますように、金額だけが出てきて、どういうような雇用が創出されたか等々が余り私も聞いたことがございません。もちろん、総務省所管のことですから、総務省ともよく御相談をしながらやっていきますが、ふるさと納税、正しく言えば寄附金でございますけれど、これはやはり地域によってえらく差が出てくるんですね。やりたくないというところはあるんですけれども、そこはいろんな創意工夫をすることによって税収が増えるわけです。他人のふんどしで何だと、そっちに納税があれば今住んでいるところは減るじゃないかというような御議論もありますが、そこはまた交付税措置が出てくるわけでございます。  ですから、結果平等を志向しますがところ交付税ではなく、そしてまた決まり切ったパターンの、それが悪いとは言いません、補助金ではなく、地域創意工夫が生きるという意味で、この寄附金というのは非常に意味があるものだと思っておりまして、それが活用できるかできないかは、まさしくそこの自治体の能力に懸かっているんだと思っております。  ですから、そこはもうたくさん納税があった、雇用が増えたということは、それはそれでいいのであって、もちろん、何ですか、金の手裏剣を返しちゃいけないとかいろんな話はあるんでしょうけれども、華美にならないようにというのは、それは当たり前の話であって、やはり創意工夫を最大限に伸ばす、そしてまた、そこにおいて自治体の経営能力が問われるということはもっとシビアに見てしかるべきものだと思います。
  41. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。  また、総務省におかれましても、是非、雇用とかそういう、首長さんが、ああ、これやらなきゃいかぬなと思うことをちょっと挙げていただきたいし、あと、やり過ぎについては、私も逆にガイドラインを早めに出していただくべきだったと思いますよ、それ。自治体さんに任せるという話じゃなくて。そこはもういいですけれど、とにかく、是非、大臣のイニシアティブで、各役所は自分の持っている目的が違うので、地域の経済、雇用というところに軸をずっと合わせるという作業を是非やっていただきたいと思いますし、またロングレンジで、全総みたいなイメージを持って是非設計を進めていただきたいと思います。  それで、エネルギーの話をさせていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたけど、バイオマスなどが今進んでいますし、同時にいろんな取組がありまして、私、自然エネルギー促進議員連盟という超党派の議員連盟の事務局長をさせていただいていますので、新しい小型の発電システムなんかの開発なんかも見させていただいています。  例えば、農地の上に半分だけ掛けて、何というか、碁盤の目みたいに半分だけに掛けて下に光が行くようにして、光が弱くても育つ作物を植えると、収穫高はもう逆に上がるぐらいになっている。かつ、発電もできるようなものを作っていたり、あとは小型の、何というんですかね、煙突形の風力発電機とかも開発している企業もございまして、そういうものを地域に導入することによって地域の活性化が図れるというふうに考えるんですが、その点、いかがでしょうか。
  42. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 御指摘のとおり、再生可能エネルギーは、地方創生の観点で非常に親和性のあるものだろうというふうに思っております。  御指摘の、例えば小規模な風力発電ですとかあるいは水力発電、こういったものにつきましては、まず、例えば固定価格買取り制度で高い買取り価格を確保するとか、あるいは様々な予算措置を通じまして、例えば小さい落差でも効率的に発電できるような水車の開発でございますとか、あるいは小型風力についての部品の標準化でコストダウンをしていくといったような技術開発等を進めております。  また、地域で再生可能エネルギー事業をやるということになりますと、やはり情報でございますとか人材、こういったものも非常に必要でございますので、各種施策をワンストップで提供できるような窓口の設置でございますとか、あるいはガイドブックの策定、あるいはスキル標準、人材がどんなスキルを持っていなきゃいけないかというそういう標準化を進めたり、様々な取組を今現在進めておるところでございます。
  43. 藤末健三

    ○藤末健三君 ちょっと、農水省の方は頑張ってください。これで結構です、はい。頑張っていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。  石破大臣、これもまた同じことなんですよ。地域エネルギーをつくりますという話があるじゃないですか。それで、一つお伝えしたいのは、地方公共団体が自分たちで発電所を持っているんですね、実は。余り知られていませんけど、これ。主に水力が多いです。なぜかというと、電力が普及したときに、地域の例えば中山間地なんかにはなかなか電力行かなかった。それで、自治体が自ら乗り出して電力をつくり、それがずっとまだ残っているんですよ。そういうものに対してもやはり、何というか、先ほど申し上げた電力のユニバーサルサービスという観点が必要じゃないかと思いますし。  また同時に、いろんな地域の特性がございますので、地域で地産地消を強力に進めることによって、その地域の特性に合った新しい発電の技術が僕は生まれると思います。実際に今バイオマスなんかを見学してきますと、ほとんどがドイツとかから持ってきているんですよ。例えば畜産なんかでのバイオマス、ふん尿の処理をしてバイオマスをつくっているんですけれども、結局、ドイツの牛、あと草とか日本と違うので、やっぱりある程度壊れやすいし、使えなくなるんですね。例えばバイオチップもそうで、向こうの材質とこっちの材質は違うから、こっち用のやつをつくれば、また新しい技術が開発できるんですね。ただ、それがまだできていないんですよ。  ですから、やはりそれは国が音頭を取って、地域雇用をつくるために地産地消のエネルギーシステムをつくると。恐らく、それは価格的には競争力ないですよ、正直言って。これから自由化されて何が増えるかというと、間違いなく石炭が増えるはずなんですよ、このままいくと。この資源が安い状況で、バイオマスであり、太陽光であり、風力が戦うということはなかなかできない。  その中において、やはり政策の意思によって地域雇用をつくるという、それを是非やっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  44. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 群馬県の上野村というのがございまして、そこは、まさしく委員指摘のように、ドイツからシステムを入れて稼働するべく準備をいたしておりました。これは最初ですから、日本にまだそういうシステムないので、バイオマスは、それも一番最初がドイツのものって、それは当然のことで、ドイツの技術者も来てやっておりました。ただ、これを日本に合ったように変えていかねばならない。  そして、コストはまだ下がるはずです。もちろん石炭との競争はできませんが、やはりもっと下げる余地はないかということは、FITの在り方とも整合させなければいけませんが、まだ下がる余地はあるだろうということ。  そしてまた、サブシステムとして、やはりエネルギーというものをどれだけ自分の国でつくっていくかということは雇用と併せて考えていかねばならないことで、円が高いと言ったら国が潰れると言って騒ぎ、円が安いと言っては国が潰れると言って騒ぎというのは、やはりエネルギーとか食料とか、国家が生きていく上に必要なものを外国に依存するということは余りいいことだと思っておりません。決してメーンのシステムにはなりませんが、サブシステムとしてそういうものを地方雇用と併せて動かしていく必要がございます。
  45. 藤末健三

    ○藤末健三君 私、実は帯広でそのドイツのシステム見てきたんですよ。何が起きているかというと、やっぱり壊れやすい、正直言って、いろんなものが違いますから。かつ、修理にやたら時間が掛かるんですよ、向こうからやってくるから。地元の人が何をおっしゃったかというと、きちんとある程度の数が売れるということが分かれば俺たちつくれると言うんですよ、実は。ただ、幾ら売れるか分からないから怖くて手出せないと。  だから、政府がある程度の支援をして、FITだけじゃないですよ、僕はFITは不十分だと思っていますから、FITだけじゃなくて、ある程度こういう形で、これだけのマスは、日本のきちんとしたものができれば、マーケットあるよということを示したらやりますよ、日本の企業は。ですから、是非地域を再生するために、それで帯広に、固有名詞出したらまずいと思いますけど、帯広に一つそういうバイオマスの会社ができれば、それだけでまた雇用も生まれますし、また、日本と同じような草の性質を持ったところであれば、それ輸出できますからね、恐らく。  それは風力も同じです。風力もやはりヨーロッパの風と日本の風違いますから、日本の風の中で実験することによって新しい仕組みができて、それがまたどこかの国でやれますし、あと台風がある地域でしたら東南アジアに出せるんですね。ヨーロッパのやつは東南アジアで使えないんですよ、実は、台風が来ないから。  というようなこともございますので、是非地域で新しいイノベーション、エネルギーのイノベーションを起こすという観点をやっていただきたいと思います。  ちょっと幾つか質問ができなかったところがございますが、総括しますと、やはり介護の問題とかヘルスケアの問題は、是非大臣中心となって長いレンジでやっていただきたいと思いますし、経産省におかれましても、総務省、ちょっと御質問しませんでしたけど、是非ICTを使ったヘルスケアを地域でやっぱり育てていただきたいと思います。  また、エネルギーにつきましても、今、多分、木村部長もお忙しいと思いますけれども、やっぱり地域の経済を活性化するための在り方みたいなことも是非考えていただき、それを大臣の下に統合していただき、大臣は、やはりいろんな項目の中から長期なレンジをつくっていただく、その長期なレンジができれば恐らく起業家が動くと思うんですね。みんな先が見えないから動かないんですよ。じゃ、これが例えば投資したらこれだけのものがなるだろうということが明確に示されれば新しいイノベーションは必ず起きますので、そのことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  46. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  公明党では、活気ある温かな地域づくり推進本部というのがございまして、そこでは人に焦点を当てた五分野に重点を置くような提案をしております。すなわち、地域仕事支援、二つ目には都市農村交流、そして三つ目には奨学金を活用した大学生などの地方定着の促進、そして四つ目に子育て世代包括支援センターの整備、そして五つ目が中山間地域などでの小さな拠点形成、いわゆるコンパクトビレッジでございます。  このコンパクトビレッジに関して言いますと、これは、いわゆる地域再生拠点とその周辺にある各集落を結んで小さな拠点というふうに考えているというふうに私は捉えておりますが、その各集落を結ぶのに交通のネットワークが重要になってまいりますが、ここの部分については、地域再生法案では持続可能な公共交通網の形成を計画に記載できるようになっております。  しかし、実際、この交通のネットワークというのは、具体的に申し上げれば、これはコミュニティーバスとかデマンドバスとかということになるんですが、この運行というのは、うまくいっているところもございますけれども、なかなか厳しいという現状が多いというふうにも捉えております。  そういう意味で、この持続可能な公共交通網の形成のために国として今後どのような支援を考えているのか、これは国交省に伺いたいと思います。
  47. 藤井直樹

    政府参考人(藤井直樹君) お答えいたします。  地域再生拠点形成を通じまして、地域活力を維持し地方創生を図っていくに当たりましては、委員指摘のとおり、持続可能な公共交通網の形成、大変大きな役割を果たすものと考えております。  このことを踏まえまして、国土交通省におきましては、昨年、地域公共交通活性化再生法を改正をしていただきまして、これによりまして、地方公共団体が先頭に立って地域公共交通に関する計画を作成し面的に地域公共交通ネットワークの再構築を図る、こういった仕組みを新たに設けたところでございます。  これらの計画の中に、デマンド交通あるいはコミュニティーバスの導入、先ほど委員の御指摘のような、小さな拠点と周辺の集落をきちんと結べるような、そういった交通手段、先ほど申し上げたような多様な交通モードを組み合わせつつ地域の足を確保する、こういった取組を各自治体それぞれの状況に合わせて創意工夫の下に計画が作成されることを期待しております。  私ども国土交通省としましては、このような取組につきまして、地域公共交通維持確保改善事業という補助制度を設けまして、その補助制度に基づきしっかりした助成を行う、さらには、人材、ノウハウを含めたしっかりした支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  48. 横山信一

    ○横山信一君 地域創意工夫に基づいてという言葉がございましたが、これは大事なことなんですけれども、大事なことではあるんですが、その地域に、例えばもうバス会社が撤退してしまってなくなっているなんということはたくさんあるわけですし、そうすると、タクシー会社を使うとかいろんな工夫はあるにせよ、やはり非常に苦しいという現状があるわけでありますから、苦しいという現状のところからやはり見ていっていただきたいということをお願いしたいと思います。  この小さな拠点づくりのパンフレットには、皆さんの疑問に答えますというのがあって、そこの一番最初に出てくるのが、何と書いてあるかというと、小さな拠点づくりを進める上で様々な意見を調整する人材が必要だと、こういう疑問が提示をされております。もうごもっともでございまして、これは非常に多い質問だというふうに思うんですが、それに対して何と答えているかというと、地域おこし協力隊の制度活用するとか、大学などの研究機関や民間コンサルタントなどに調整役として参画してもらうことなどが考えられます、こう書いてあるわけですね。  私、現状ではこれがベストアンサーだと私も思うわけでございますが、しかし、やはりその専門人材の確保というのが非常に重要だと思います。この専門人材というのは、じゃ、すぐに出てくるかというと、今後、この小さな拠点も、形成数なんかもKPIに入ってくれば、そういう能力のある人というのはある意味奪い合いみたいなことにもなりかねないということを考えると、小さな拠点はできたけれども、それを実際に運営するにはなかなか難しいですねなんという場面が出てこないとも限らないと。そういう意味では、今後のコーディネーターの養成というのをどのように考えているのか、大臣に伺います。
  49. 石破茂

    国務大臣石破茂君) コーディネーターとかファシリテーターというのは結構いるんです。実は結構全国にいる、私も知らなかったんですけれども。何とか伝道師とか、いろんな名称はありますが。あるいは地域おこし協力隊とか、そういうものが、もちろんこれからも育成をしていかねばなりませんが、今でもたくさんいるんだけど、それをどうやって活用するかというところにまだ相当工夫の余地はあるなというふうに思っております。  高度人材をいかにして地方の方に還流させるかということにつきましては、ここのマッチングをどうするかということが極めて重要で、じゃ、俺行きたいんだけど、どこへ行けばいいの、ここにはこんな人材が必要ですよというのをうまくマッチングがなされていないという感じを持っておりまして、そのマッチングもしなきゃいかぬだろう。ファシリテーター、コーディネーターというものが全国に点在をしているのだけれども、それをどう活用するかということには私ども更に工夫の余地があると思っておりまして、ここはかなり早急にこういうふうにして活用するという方針を出させていただきたいと思いますし、委員からまた御教示をいただきたいと思うところでございます。  かなりそういう人材はいる、その活用の仕方の問題だと思います。小さな拠点をつくる場合に地域の積み上げというのが大事で、役場がこのようにしますよって、そういうことになるわけはないのであって、地域地域のいろんな声をボトムアップ型で吸い上げた形でやっていかないと、小さな拠点というのは絶対失敗すると思っております。そこにおいてやはりコーディネーター、ファシリテーターというものをどのように活用するかということは、国交省ともあるいは農水省ともよく連携をしながら、その地域地域においていいコーディネートがなされるということを心掛けていかねばならないと考えております。
  50. 横山信一

    ○横山信一君 コーディネーター、ファシリテーターはいっぱいいるんだというお話でございますが、今大臣お話の中にもありましたけれども、どのように活用するかなんだという、そういう御指摘がございましたが、いわゆるこういう方たちというのは、まあちょっと捉え方がいろいろあろうかと思いますが、役所からすると使いづらい人たちかなというふうにも思うわけですね。そういう意味では、大臣がよくおっしゃられるように、よそ者、若者、ばか者という、これが大事なんだと、地方創生には大事なんだというふうにお話をされるわけですが、いわゆる、ある意味使いづらいと思われる人たちをどのように活躍できるような仕組み考えておられるのか、これも大臣に伺いたいと思うんですが。
  51. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これ、昔から言われている話で、地域を活性化するのはよそ者である、若者である、卓抜、卓越した発想をする「ばか者」であると、こういうふうに言われるわけでございます。それを受け入れる側にもたしなみが必要で、行く側にもたしなみが必要で、俺が東京から行って教えてやるぜみたいな人は大体忌避されることになっております。  やはり行く側もどうやったらば地域に溶け込めるかというのは大事なことで、村祭りには参加しませんとか、地域の活動には参加しません、私は東京から来た、非常に卓越した知識を持っておってなどと言う人はそれはなかなか難しいんだろうと思っております。受け入れる側もどうやって受け入れるかということは大事で、やはりよそから来た人、若い人、そして卓抜、卓越した発想をする人を受け入れていかねばならないんだよねと、いろんなことがあってもそこはある程度、何でしょう、寛容の精神という言葉がいいのかどうか知りませんが、そういうような形で受け入れていかねばならないということだと思っております。  国におきましては、プロフェッショナル人材事業等々、これが経営人材のマッチングでございますが、そういうようなものもやってまいります。そして、人材の育成も進めてまいります。そのほかいろいろなことをやってまいるわけでございますが、いずれにいたしましても、二十八年度から総合戦略が本格的な実行段階に入るわけで、どのように人材を使うかということは先進事例をよく学びながらやってまいりたいと思います。  私は週末ごとにあちらこちらに行っているんですが、やはり島根県隠岐諸島にあります海士町というのは随分と多くのよその人を受け入れる。それによって、あそこは、もう公共事業はこれ以上伸びないのである、どんどん削減されるのである、交付税もどんどん減るのであると。では、どうするかということで、そこの地域方々と外から来た方が一緒になって、岩ガキというものを冷凍にして全国展開をする、あるいは隠岐牛というものを全国展開する、あるいは島前高校はもう廃校寸前であったものが一学年二クラスになる等々は、外部の人材を入れることによって、公共事業が減っても交付税が減っても町は活性化するという一つの例だと思っております。  そういう優良事例というものをきちんと多く広く展開をしていくということも私どもの責務だと考えております。
  52. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  まちひと・しごと創生本部総合戦略には、地方への新しい人の流れをつくるとして、東京圏からの地方転出を二〇二〇年までに四万人増やすということが掲げられております。その有力な施策の一つが日本版CCRCの普及ということになっております。  この構想検討は有識者会議によって進められておりまして、このCCRCという、コンテニューイング・ケア・リタイアメント・コミュニティーという略なんですけれども、大都市地域の高齢者が自らの希望に基づいて地方に移り住み、地域社会の中で健康でアクティブな生活を送る、そして医療、介護が必要なときには継続してケアを受けることができる地域づくりを目指すと、こうなっているわけですが、この有識者会議は今年の夏までにこのCCRCについての中間報告をまとめるということになっているそうでございます。  そこで、現時点での地方創生における日本版CCRC構想の意義をどのように考えておられるのか、伺います。
  53. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 藤末委員との議論の中でもございましたが、これから先、東京の高齢化は恐らく人類が経験したことのない規模とスピードで進むということでございます。  地方は高齢化のピークを越えつつありますので、医療、介護には若干の余裕が生ずる地域が出てまいります。そうすると、何も東京にお住まいの方々を強制的に地方へ移すなどということはできるわけもございませんので、そのようなことを考えているわけではございませんが、御希望の方、すなわち、第二の人生は地方で送りたい、地方でまた自分の存在感を更に発現したい、あるいは地方で学びたい等々、東京にお住まいの五十代の男性の五割は地方に行ってもいいというふうにお思いだ、あるいは行きたいと思っておられる。その中のどれかだけかでも地方に行っていただくために、いろんな施策考えねばならない。  そこの意義は、まず、要介護になる前から地方に行くということが一つ。そして、サービスの純然たる受け手から、自分がその地域においていろんな活動をするという、そういう出し手になっていくということが必要だろう。そして、閉じた空間ではなくて、そこに若い方々、あるいは壮年の方々、あるいは大学等々、そういうものとコミュニティーをつくるということが大事なことだろうと思っております。  これから先まだ議論を詰めていかねばなりませんのは、そうは言うがと、東京で手に入れた夢のマイホーム、これどうしましょうねということがございましょう、あるいは要介護になったときにその介護の費用をどうするか、あるいは医療費をどうするか。住所地特例の問題とも関連をいたしまして、幾つかまだ乗り越えていかねばならない課題がございますので、更なる検討を進めてまいりたいと思っておりますし、御教示を賜りたいと存じます。
  54. 横山信一

    ○横山信一君 このCCRCについては、内閣官房が昨年、東京在住者への意向調査を行いました。また、今年には自治体への調査も行っているということでございますが、これらの結果はどのようなものであったのか、伺います。
  55. 木下賢志

    政府参考人(木下賢志君) 委員指摘のCCRCの関連の調査でございます。  まず、昨年の八月に東京在住者に対しまして地方移住の意向調査したものがございます。この結果、今大臣答弁ございましたように、東京在住者のうち五十代男性の半数以上、また五十代女性、六十代の三割が地方への移住を意向を示しております。  また、今年三月から四月にかけまして各都道府県市区町村を対象に各地域でそのCCRCに関する意向調査を実施したところでございますが、特に日本版CCRCに関連する取組を推進したいという意向をお持ちの地方自治体は二百二団体存在しているというところが把握できたところでございます。
  56. 横山信一

    ○横山信一君 ちょっと質問の順番を入れ替えまして、通告の順番をちょっと入れ替えますが。  今、五十代男性の半分以上が移住の希望があってと、女性が三〇%というお話がございましたが、三割という話がございましたが、裏返して言うと、女性の七割は移住に反対していると、五十代女性だと、そういうことでございます。  このCCRC、特定の年齢に偏ることなく、幅広い年齢層を対象にしようとしているというふうに聞いておりますけれども、やはりそうであれば中高年女性の意向というのが非常に大事だというふうに考えるわけですが、男の場合は退職まではやっぱり会社社会の中にいるわけですし、でも、女性の場合はかなり地域社会の中にどっぷりとネットワークをつくって生活をしているわけでありまして、男の生活環境と女の生活環境というのはかなり違っていると。  そういう意味では、退職した男性が、退職したら第二の人生、晴耕雨読でと憧れるのかもしれませんが、それを奥さんに話した場合、じゃ、一人で行ったらという、そういうことになるわけでありまして、そういう意味では、中高年女性の奥様たちをどうするのかということが非常に私は大事だというふうに思っております。  この中高年女性が移住したいと思えるような具体例の提供こそがこのCCRCの成功の可否を握るんだというふうに思っておりまして、そういう意味では、同じようなこととはちょっと違うんですが、女性という視点でいくと、農林水産省がやった農業女子プロジェクトというのがありますが、これは私非常に面白い取組だと思っていたんですが、これは現役の女性たちがどうしたら農業に興味を持ってもらえるのかという様々な取組をしたんですが、その中の一つに、軽トラが白しかないのはおかしいという話があって、結局このダイハツの、あっ、メーカー出しちゃいましたけれども、この白の軽トラが全部で八色の軽トラに生まれ変わったという。要するに、女性が農作業をしたいと思える環境というのは、やはり男の視点からだけでは絶対分からないわけでありまして、そういう意味では、女性移住プロジェクトみたいなのを立ち上げて取り組んではどうかというふうにも思うわけでありますけれども、中高年の女性の心をくすぐる取組、これを大臣にお伺いしたいと思います。
  57. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それが分かれば私もまた違う人生があるかもしれないと思ったりするわけでありますが。  委員指摘のように、農業女子プロジェクトというのは、もう本当にピンクの軽トラとか真っ赤な軽トラとかやっぱりそういうものが売れるわけですね。あるいは、女性の方がいろいろな、例えば手洗いをお使いになるときに、本当にきれいで、もちろん快適でそこでお化粧もできるような、そういうのがあると、農業をやり、それが終わったらお化粧して町に出てということもあるわけで、やっぱり女性の気持ちになって考えなければ、あなた一人で行ったらということになるわけでございます。男性の五割は地方に行きたいと、でも女性は三割だと。二割のお父さんは一人で行きなさいと言われて結構悲しいなと、こういうことになるわけでございまして、そこをどう埋めるかは女性の方々に聞かないと分からない話だと思っております。  私ども、このCCRCを進めるに当たりまして、もちろん多くの女性の方の御意見は聞いておりますが、これを更に女性に特化した形で、どうすれば女性が移住しやすくなるだろうか、委員のお言葉を借りれば、中高年の女性の心をくすぐるようなものって何だろうかということは私どもとして、少なくとも私として指示をして、きちんとしたプロジェクトを立ち上げたいと考えております。
  58. 横山信一

    ○横山信一君 是非お願いしたいと思います。  新型交付金のこともちょっと触れておきたいんですけれども、日本版CCRCも新型交付金の支援対象にということも考えておられるようでありますが、CCRCに係る支援メニューというのは各省庁たくさんあるわけでありまして、しかし創生本部として、いわゆる従来の縦割り事業を超えた取組支援が必要だというふうに明記もされておりますけれども、創生本部がCCRCを牽引するためには具体的にどのような仕組み、この新型交付金を含めて、考えておられるのか、大臣に伺います。
  59. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、新型交付金、先ほどの議論の中で申し上げましたが、CCRCというものがまだ設計段階ではございます。ですけれども、ここにおいて必要なのは、恐らく国の補助金を使って地方のいろいろな遊休地にそういう村を忽然と出現させるということではなくて、そこにあるいろんな既存の施設、あるいは事業者の皆様方との連携を図りながらコミュニティーをつくっていくということになるだろうと思います。ですから、今はまだそういう補助金があるわけじゃない、あるとすればサ高住ですが、そういうものではないのだ、あるいは結果平等を志向します交付税で後を見るのだということではない。それぞれの事業者との連携あるいは地域間の連携、これは都道府県を越える場合もございますが、その場合に、補助金もない、交付税で後から見てもらったのではどうにもならぬ、そういうような地域間連携あるいは官民連携というために新型交付金活用するということが今のところ私どもが考えているものでございます。  また、コミュニティーというのを考えましたときに、これは長野県のある町でそういうような取組を今御検討中でございますが、中心市街地にいろんな今空き地あるいは空き家がございます。それを活用した形でという場合には、これはまさしく自由に使える形のお金がなければいろんな調整はできないと考えておりまして、CCRCをつくります場合に、この新型交付金活用の場面は相当に多いと思っておるところでございます。
  60. 横山信一

    ○横山信一君 新型交付金の使い道がこのCCRCにはあるというお話でございますので、是非実現できるように努力していただきたいと思います。  もうちょっとこのCCRCの具体的な中身についてこれから伺ってまいります。  今までにこのCCRCという概念はなかったわけでありますから、我が国には、そういう意味では、この新しい概念を中高年層に理解してもらわなければなりません。そういう意味では、今身近にあるサ高住と、サ高住のような高齢者施設の延長上というふうに捉えられるかもしれませんが、そうではないと、このCCRCがですね、従来の高齢者施設とどのように違っているのかを伺います。
  61. 木下賢志

    政府参考人(木下賢志君) 今回の日本版のCCRC構想でございますが、次の三つの点でこれまでの高齢者施設等と違っているのではないかと思っております。  一つ目が居住の契機でございます。従来の高齢者施設などでは要介護になってからやむなく入所あるいは入居というものが多かったわけでありますが、日本版CCRC構想におきましては、健康な段階から希望に応じて移住をして、アクティブに高齢期の生活を営む、できる限り健康長寿を目指していくということを基本として考えてございます。  また、高齢者の生活についてでございますが、従来の施設ですと、あくまでもサービスの受け手というような受け身的な存在と考えられる傾向が強かったわけでございますけれども、今回の日本版CCRC構想におきましては、地域仕事ですとか社会活動、あるいは生涯学習などの活動に積極的に参画をするというような主体的な存在として位置付けられるのではないかと考えております。  また、地域との関係についてでございますけれども、従来の施設ですと、どうしても施設あるいは住居の中で完結をして、地域社会、子供あるいは若者との交流というのは限られて閉ざされた関係でございましたけれども、今回の構想におきましては、地域社会に溶け込んで、地元の住民ですとか子供たちあるいは若者たち等多世代との交流、共働するオープン型の居住が基本となるのではないかと思っております。  今後、こうした点も含めて有識者会議において更に詰めまして、移住希望者に対します情報提供あるいは事前相談、マッチングなど、あるいは一定期間のお試し居住、二地域居住など、入居を判断できる仕組みなどにつきまして検討を進めて、具体的な成案を得てまいりたいと考えてございます。
  62. 横山信一

    ○横山信一君 先ほどの地方創生におけるCCRCの意義について大臣から御答弁いただきましたが、その中にはやはり東京圏、急速な高齢問題が急務だということがございましたけれども、そういう意味では、首都直下なんかもやはり重要な問題ではないかと私は思っておりまして、必ず発生するわけですから、そういう意味では東京から早く移住した方がいいですよということも必要かなというふうにも思っております。  では、具体的に、そのCCRCに入居する人たちって具体的にどういう人たちなのかということで、最後にこれをお聞きしておきたいんですが、実際に現役をリタイアする、また年金生活者も多くが含まれるということを考えると、実際その受け取る年金額ってどれぐらいを想定していらっしゃるのか、またCCRCの対象者というのはどういう人たちを考えておられるのか、最後に伺います。
  63. 西田昌司

    委員長西田昌司君) 木下次長、簡潔に。
  64. 木下賢志

    政府参考人(木下賢志君) はい。  今回のCCRC構想といいますのは高齢者の希望を実現するための構想で、特に健康でアクティブな生活を送りたいという多くの高齢者の希望が実現されるように、広がりとなった構想となる必要があると思っております。  そういう意味では、有識者会議におきましては、厚生年金のモデル受給者、あるいはその所得、資産の状況に応じても議論をしておりますけれども、できる限り多くの高齢者の希望を実現する観点から、一般的な退職者、例えば厚生年金でいいますとモデル年金は二十一万八千円でございますが、そういった方々がまずは入居できる費用モデルを基本としながらも、より低廉なモデル、それから富裕層も想定した多様なバリエーションも可能となるような検討を進め、成案を得ていきたいと思っております。  なお、やはり都会よりも地方の方が物価ですとか人件費は安うございますので、そういう意味では、食費、居住費等の生活コストが少なくて済む上に、健康なときには地域における支え手として生きがいを持って活躍いただくことも想定しておりまして、そうした観点も考慮して、できるだけ富裕層に限定されることなく、幅広い層がこうしたプランに参画できるような仕組みづくりについて検討してまいりたいと考えてございます。
  65. 横山信一

    ○横山信一君 終わります。
  66. 寺田典城

    ○寺田典城君 寺田でございます。よろしくお願いします。  先ほど自民党の太田議員さんだとか藤末さんからエネルギーの話とかガソリンスタンドの話とか出ておりまして、思い出したのは、何を思い出したかというと、三月十一日、一一年のですね、燃料がなくて、病院から介護施設からそれこそ火葬場まで、もう大変な事態が起きたということですね。特に東日本側は、それで日本海側にバックアップ体制が取れて一週間とか十日ぐらいで何とかなったんですが。  今、通告していないんですけれども、これ関心持ったのは、ガソリンスタンドが六万軒から三万軒ぐらいになって、ますます省エネタイプの自動車も出てくるし、皆さん省エネになるでしょうから、スタンドの数も減っていくと思うんですよ。これは競争の社会だから、これは経済の社会だから、それをどうやってバックアップするかという問題になると思うんですが。  今、よく関心持っているのは、ホルムズ海峡が機雷が投棄されたらどうなるんだ、存立危機事態だという、そういう話も出ているんですが、私は、ああいう大震災の方が生活直面では存立危機事態であったなと思うんです、率直に言って。備蓄、例えば二百日とか日本の国はなされていますけれども、それよりも生活、実際は届かないんですから。  それで、今は、何というんですか、ある面では、ある程度備蓄したら支援策だとかこうだとかあるんですが、やはりもう少し地方創生とかそういうことも含めて、石破大臣は全体的な調整役も担っていますから、そういう存立危機、エネルギーの存立危機の、家庭内でというか一般的生活面での、それをこの次、来週聞きますので、どうなっているか、ひとつ調べて、今、それから石破大臣考えひとつ聞かせてください。
  67. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 済みません、御質問の趣旨を取り違えたらお許しをいただきたいと存じます。  やはりエネルギーということを考えましたときに、先ほど藤末委員との議論で申し上げましたが、サブシステムとして、それは再生可能エネルギー、これは地熱を含みますが、そういうもののウエートを上げていかなければならないし、それは地方が負うべき責任であろうと思っております。  もう一つは、やはり備蓄というものをきちんと持っておかねばなりませんが、同時に、備蓄の恐ろしいところは、それが外からの攻撃に対してどれだけの抗堪性を持つかということでございまして、そこも併せて備蓄をどれだけ持つのかということだと思っております。  ですから、存立事態にどういうことになるか、どういう場合が存立事態になるか、私がお答えするものでは全くございませんが、そういうものを組み合わせていきながら、どういう場合にそういうようなことなのか、つまり新三要件にございますような事態に逢着をするのかということは、時の政府として、もちろん議会制民主主義の下で、文民統制の下で適切に決められるべきものだと承知をいたしております。
  68. 寺田典城

    ○寺田典城君 ホルムズ海峡で石油が閉鎖された場合は存立危機事態だというんですけれども、現実的には、私は生活が、国内でデリバリーができなくなれば存立危機事態じゃないのかなと、私はそういう意味で聞きましたので、ひとつよろしくお願いしたいんですが。  それで、第五次分権一括法なんですが、募集方式ということで、地方から提案されたものについて特別認めるというやり方ですね。私、議員になって五年、今年の七月で五年になりますけれども、この省益の在り方、それから権限の放せない各省庁の在り方というのは、もう日本の国、倒産させるんじゃないかなと思っているんですよ、率直に言って。  私たちは、二〇〇五年、平成十七年に町村合併しましたけど、平成十六年には条例を改正して各町村に権限移譲しているんですよ。まあ当時は秋田県は静岡県に次いで二番目だったんですけど、今はどうなっているか分からないですけれども。現在でも、県では条例として施行、というのは二千三十九あるんですけれども、そのうちの千五百三十二は権限移譲しているんですね。そして、大体、七、八割が各町村が権限移譲されたもので行政をしているんです。ですから、それをやれなければどうするのというから、できなければそのときは県がサポートすると、人員も出します、サポートもしていきますと。だから、人口三千人ぐらいの中で一〇〇%それを受け入れているところもあるんです。たった三千人、東成瀬村だとかって、教育で一番トップ取っている方なんか、取っているんですよ。首都から一番遠いところが一番あるようなんですが。  それで、やはり国は、何というんですか、提案方式じゃなくて、要するに国しかできない、国でなければ許可できない事務以外は地方に全て移譲すべきだと思うんです。それは国の役人が手伝えばいいんですから、そういうふうにしてやったらということで。その辺を大臣はどう考えていますか。
  69. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員のおっしゃることはどういうことなのか、ようやく理解できました。つまり、全部基本的に地方へ渡してしまえということですね。逆に申し上げれば、国が持っていなければならないものは何であり、それはなぜなのかということを指し示した上で、それ以外はみんな地方に渡した方がいいと、こういう御指摘だと理解をいたしました。  私ども今考えておりますのは、それと議論が擦れ違いになって恐縮なのですが、何を地方に移すべきなのか。これ、規制緩和ではございません、農地転用もそうでございますが、権限を移す場合には、地域に近い方がより実態に即しているだろう、そうであるがゆえに地方の方からの御提案をお待ちをして、できません、なぜならばではなくて、どうすればできるのかというのをこちらの方からきちんとお答えをするという形でやってきているものでございます。  ですので、ポジとネガとをひっくり返したという言い方はできませんが、委員のお考えとは少しというかかなり違いがあるのだろうと思っております。ですので、これから先また委員とも議論させていただくことがたくさんあると思います。原則、地方に移した方がいい、国の方が残したものがいいとすればこれとこれとこれなのだということについて更に具体的な御教示をいただいて、私どもの方も考えてまいりたいと思っております。  このやり方、何も国の方が権限を手放したくないとかそういうようなことで申し上げているのではございません。やはり地方に沿った権限の移譲というものは地方のニーズに沿うべきだというふうに考えてこのようなやり方を取り、地方六団体からも評価はいただいておるところでございますが、さらに委員の御高見を賜りながら、私どもも検討を進めてまいりたいと存じます。
  70. 寺田典城

    ○寺田典城君 今農地転用とかが例として一つ出たんですが、やはり、生活に密着するようなこと、だから、揺り籠から墓場までほとんどがみんな国が握っているんですよ。幼稚園、保育園どうやってつくるんですか、どの規模ですか、介護施設どうですかと、そこまでなんですよ、全部。学校教育だってそうでしょう、義務教育負担金はどうなんだと。それから、例えば、国に、地方財政の規則の中では、国の施設には、例えば県が寄附講座を持ったり施設を寄附できないとかという。いや、今それは条例変えましたよ。  だけれども、いずれにしましても、揺り籠から墓場まで権限を持っているということだけは事実なんです。だから、そこ辺りを分類したら、もっと自治体行政がスムーズに効率的に、それから競争の社会、全部、ですから、国が、北海道から九州までみんな同じシステムだからこうなっちゃうんですよ。北海道とそれから九州と農業政策が同じかというと違うんですよ。だから、その辺をやはり変えていかなければならないときに来ているんだなというのは、よく私思います。  だから、そういう点では、地方創生というのだったら、そのことを考えずに地方創生は私はできないと思うんです。例えば、先ほど海士町の話が出ました。物すごく頑張っていると思います。なりわいを先につくった、それから人材づくりやったということだと思うんですが。ただ、あれですよ、交付税一人当たり百万円もらっているんですよ。そうすると、百万円というと、全部一人当たり百万円というと、日本の国、何ぼ出さなきゃならないかというと、百二十兆円出さなきゃならない。今、十六兆円とか二十兆円ぐらいで済んでいる交付税がそうなんですね、臨時財政対策債入れてですよ。だから、そういうこと、それだからやっていけるのかということになるんですよ。  だから、そういう点では、もう少し地方自治体に考えさせる、それから仕事を、自分たちが行動すると。今、私、あの当時、小泉さんの改革がいいとか悪いとかというんじゃなくて、あのとおり分権は進んで、二〇一〇年には道州制になるだろうというところまで考えておったのが、今ははっきり言って地方六団体、要望団体になっちゃったんです。だから、その辺をひとつよく考えていただきたいなと思います。  それで、次に移りますが、コンパクトビレッジですね。  やはり、六月三日の本会議では、大臣は、皆様の意向を踏まえて市町村の取組を国としても支援するという答弁なさっています。だけれども、拠点となる地域に施設を造る、拠点に、その地域に施設を集約するやり方というのは無理があるんじゃないかと。  コンパクトビレッジというのは、成功するというか、うまくいくという根拠は何なのか。もう十年もしますと、また一割とか二割も人も少なくなっていきますし、それから、ほかの店がみんな駄目になってしまう可能性もあるし、果たしてそれを望むのかというあれもありますから、それは選択なんでしょうけれども。  それと、私は、一九九三年頃ですか、第五全総の当時、地方の首長ということで呼ばれて、参考人みたいな形なんだけど、あの当時、過疎法みたいなものとかやめた方がいいと、今みたいな過疎法ですよ。いわゆる物をつくる、ということは、橋造る、道路造る、それから公民館造ってやるからここに住みなさいとかという、そういうことはやめた方がいい、もう別の考え方した方がいいという話をしたら、その当時のある局長が飛んできて、それで選挙できるのかという話までされたことがあるんです。  まだ日本の国というのは、物づくりとか、つくるという発想しかないんですよ。その辺をもう少し、コンパクトビレッジどのように考えているか、大臣考え聞きたいんですが。
  71. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは委員指摘のように、国が上から押し付けるものではございません。コンパクトビレッジを構想するに当たりまして、全国のいろんな事例というものも私ども謙虚に学びたいと思っております。  例えば、秋田の由利本荘というところがございます。私も何度か行ったことがございますが、そこに鳥海町という、鳥海山の麓でしょうか、ここは道の駅を活用した形でいろんなものを集約し、あるいはコミュニティーバスみたいなものを走らせるという、これも国が押し付けたものでも何でもない、道の駅は元々そんなに国が企画をつくるものでもございませんので。やはり、この由利本荘みたいな成功例、地域創意工夫によりいろんなものを集約する、あるいは道の駅を使っていろんな人を呼び込む、そしてまたそこをキーとしていろいろなネットワークを張って集落とのコミュニケーションを維持する、ネットワークを張るというような、そういうような実例に学びながらやってまいりたいと思っております。  私は、コンパクトビレッジの発想が絶対に失敗するとは全く思っておりませんで、その地域地域の実例に謙虚に学び、誤っている点は改善していかねばならないと考えておりますが、基本的な考え方は今のところ変更のつもりはございません。
  72. 寺田典城

    ○寺田典城君 時間ですから。  道の駅とかというのは、もう田舎の方、地方に行くとたくさんありますよ、そういう拠点づくりは。もう済んじゃってるんですよ。それからまた人口が一割、二割と減っていくんですから、それをあえてつくるということ自体がどうなのかということなんです。  以上です。
  73. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。  私は、地方の賃金問題について質問をいたします。  地方に人材を集めるとかあるいは地方に生まれて地方仕事をしていくという上で、都市地方の賃金格差を是正していくということは大変重要ではないかと思います。その点で、最低賃金の問題を取り上げますけれども、資料を配付しておりますが、日本は、都道府県別、地域別の最低賃金になっておりまして、地域、都道府県によって格差があります。東京都では八百八十八円、これは前年比十九円引き上げたわけですね。石破大臣の地元鳥取県では六百七十七円です。前年比十三円しか引き上げておりません。鳥取と東京を比べると二百十一円も差額があるわけですけれども、なぜこんなに格差があるのか、石破大臣、御存じでしょうか。
  74. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この最低賃金というものは、働く方々生活費や賃金、企業の賃金支払能力を総合的に勘案し、地方最低賃金審議会で実情に応じて定められるというふうに承知をいたしておるところでございます。そこにおいていろんな議論の上でこういう形になっておるわけでございますが、これは、よく子細に見ますと、例えば鳥取と東京を比べましたときにそれだけ賃金に差があると、それではもう地方の方は物価が安いからよいではないかという話になりますが、賃金の格差ほど物価に格差があるわけではないということもございますので、私も所管外で余り物を申し上げるわけではございませんが、地方最低賃金審議会でいろんな議論がなされると思いますが、そこにどのようなファクターを入れて議論をされるかということにつきましてはまた担当にお尋ねをいただきたいと存じます。
  75. 大門実紀史

    大門実紀史君 なぜこの格差があるかなんですけれども、とにかく格差がありますと、同じ仕事するならばもう都市部に出ていって仕事しようということになるわけですから、人口が都市部に流出をいたします。集中いたします。で、地域はますます過疎化が進むということで、賃金問題というのは実は、この過疎化の問題、都市集中の問題では大変大きなファクターなわけであります。  一般的に、地方生活費が安い、物価が安いだろうと、こう思いがちなんですけれども、実は余り最近はそうでもありませんで、大型店が進出したり流通が発達しておりますので、例えば地方の駅前の食堂入って何とか定食食べると分かるんですけれども、こんな高いのか、東京と変わらないじゃないかと。東京よりも、東京は競争がありますから、競争のない分高かったりするわけですよね。したがって、思うほど物価が安いわけではありません。  実は、そういうことを調べた方がいらっしゃいまして、仏教大学の金澤教授という方が、これは二十五歳単身者の最低生活費と、最低賃金ですから最低生計費というものを物差しにするわけですけれども、それを調べられたら、もちろん地方東京との違いとかあるわけです。例えば東京は、交通機関が発達しておりますから、住居費は高いですけど交通費は安いと、地方は、住居費は安いけれども、車使わなきゃいけないから交通費が高くなるという、そういう地域によっての特殊性はあるんですけれども、基本的に人が生活する最低の生計費というものを試算されました。  それによりますと、大体どの地方もそれほど、最低生計費という点では、人が生活していく最低の生計費という形ではそれほど違いがないということで、ちなみに、大体どの地方も、税、社会保険料込みですけれども、月額二十三万、年収二百七十万円と、これが大体、全国共通最低生計費だということを調査されて明らかになっております。これはあくまでも最低生計費であって、その地域の基本賃金の平均ではありません。ありませんが、最低生計費ですけど、そういうのが出ております。  これは鳥取の調査がありませんから、例えば比べますと、岩手県の北上市、これは最低生計費は二百七十三万四千円、月百五十時間で時給換算しますと千五百十九円。例えば埼玉のさいたま市は、最低生計費が二百八十万五千円で、これを時給換算すると千五百五十九円ということで、ほとんど差がありません。ところが、この最低賃金の表を見てもらうと、今申し上げた岩手は六百七十八円、埼玉は八百二円という大きな差があるわけですね。  これ一体どうしてこういう差が生まれるのかと。これはちょっと厚労省、説明してくれますか。
  76. 谷内繁

    政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。  最低賃金法では、一定地域ごとに地方審議会の調査審議を求めまして、その意見を聴いた上で地域別最低賃金の決定をしなければならないとされておりまして、働く方の生計費や賃金、企業の賃金支払能力の地域差などの実情を考慮いたしまして、都道府県ごとに最低賃金を定めているところでございます。  例年、地方最低賃金審議会におきまして、都道府県別に最低賃金の改定額を夏に審議されることになっておりますけれども、その前に当たりまして、中央最低賃金審議会におきまして、都道府県を四つのランクに分けまして改定の目安を示しているところでございます。この目安につきましては、昭和五十二年十二月の答申におきまして、できるだけ全国的に整合性のある決定が行われるようにという趣旨から目安が示されているところでございます。  地方最低賃金審議会は、この目安を参考として、地域の実情を踏まえまして毎年の改定額を決定しているところでございます。
  77. 大門実紀史

    大門実紀史君 あれこれ言われましたけど、実はそうじゃないんですね。決め方がおかしいんですよ、今の最低賃金の。  もうここは厚生労働委員会でもありませんし、その制度論は別のところ議論したいと思いますけど、指摘だけしておきますと、一つは、今申し上げた中で、最低賃金を考慮する要素の一つに事業者の支払能力というのを入れているんですね。これ、何か当たり前のことのように思いますけれど、世界で事業者の支払能力というものを最低賃金を考えるときの項目に入れているのは日本だけであります。日本だけです。もちろんほかの国も、経済状況とか雇用状況というのは勘案するとなっていますけれども、事業者の支払能力というような言葉をぽんと入れているのは日本だけです。したがって、最低賃金を決める審議会の中で、使用者の代表の方が一円でも上げたくないと、こう頑張るわけですね。それで足を引っ張ってしまうと。何かもう現実的にそんなことで決まっているのが日本の実情であります。  もう一つ、この地域別最低賃金という形を取っているのも世界ではまれです。世界はもう全国一律の最低賃金制がほとんどであります。今、この弊害がやっぱり出てきているのかなと思うんですけれども、やっぱり、地域別というと何か実情を反映しているような感じがいたしますけれど、これは逆に地域格差を固定したり、あるいは拡大をしてしまうと。今、実は自治体なんかも、前は最低賃金が低い、賃金が低いことによって企業を呼び込めると、呼び込もうというようなことを、呼び込めるんじゃないかと思っていた地方の自治体も、今は逆だと。人が出ていってしまう、賃金を上げてもらいたいと、最低賃金を上げてもらいたいというふうに変わってきているわけですね。長年やってきた地域別最低賃金というのも、今考え直す時期に来ているわけであります。  それと、なぜ全国一律なのかというと、もう発想が違いまして、最低賃金というのは貧困と格差をなくすための底上げする制度なんだと、だから全国一律なんだというのが世界の考え方なんですね。ところが、日本は、個別的実情、中小企業の支払能力、こういうところに非常に力点を置いたものですからそういう制度がずっと続いてきて、今やそれが悪循環をもたらしていると。つまり、賃金が上がりませんから人が出ていく、人が出ていきますと仕事がなくなる、仕事がなくなるとまた人が出ていくと、こういう悪循環をもたらして、先ほど言いました地方自治体も、最低賃金は上げてもらう方向で考えてほしいというふうに変わってきているわけですね。まだそういうことも気が付かないで同じことを繰り返しているのが今の厚生労働省の最低賃金のやり方であります。  そういう制度論厚生労働委員会とか予算委員会でやりますけれど、是非、石破大臣にお考えいただきたいのは、この最低賃金を上げるということは、地方の活性化、人材確保、非常に重要なことだと私思っておりまして、予算委員会等で安倍総理に、中小企業に大胆な支援しながら最低賃金を大幅に上げると、アメリカとかフランスでは経済対策とやって大成功して、内需拡大成功したので、アメリカは引き続きまたやろうというふうになっておりますけれど、そういう外国ではもう発想の転換をして、賃金上げることが経済が良くなって中小企業も良くなるんだということでやっているわけですね。そういう発想の転換しながらやっていくことが必要だということで、提案したら、実際、安倍総理は、検討させてくれということで、実際に厚労省の方が私の部屋まで来られて、あと、日本再興戦略の中に、中小企業を支援しながら最低賃金も上げるというのを書かれて、実際に大臣審議会へ出ていって引上げしてくれということまで努力をされているんですね。  上がったことは上がったんですけれど、ただ、私たちが言っているような規模のものではなくて、民主党政権よりは上げましたとか、何かそういう感ばっかりなんですよね。それでは駄目で、やっぱりもっと思い切ったことをやらないと、地方の賃金の問題も解決しないと思うんですよね。  そういう点では、地方をどうするかという点で考えても、最低賃金を引き上げると、制度はすぐいじれなくても、やっぱり地方から上げていくということに是非石破大臣としても取り組んでいただきたいというふうに思うんですけれど、いかがでしょうか。
  78. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 我が党におきましても、それはよく検討しなければなりません。  じゃ、例えばバスというのはもう駄目な産業だと、こういうふうに言われますが、そうではないだろうと。福島県やあるいは茨城県、あるいは岩手県でバスを運営しているホールディング会社、ここはもうどんどん賃金上げてきたわけですね。  やはり、日本がずっと経済が低迷してきた、その間、ヨーロッパと比べてもアメリカに比べても一貫して給料が下がってきた。アメリカもヨーロッパもリーマン・ショックは受けたはずなんですが、ずっと給料を上げてきているわけで、やはり給料を下げ続ける、あるいは下請にいろいろな負担を強いるということが、一つ一つの企業の行動原理としては正しくても、それを全部足すと、恐らく物すごい合成の誤謬が起こって日本経済がこういうことになったという解説もございます。私もかなりうなずくところは多いのですが、そこは転換をしていかねばいけないのだろう。  委員指摘のように、制度をすぐに変えるわけにはいかないけれど、賃金の違いと物価の相違というのに乖離があることはこれは間違いない事実でありますので、その辺りが実感と随分違うんだと思っております。地方における給与を上げていく、それはもうできないことではないし、企業の努力というものは、そこに人手不足の今だからこそ賃金を上げる余地があるだろうと思っておりまして、そこは、委員の御指摘も踏まえながら、我が党としてもきちんと議論をして、地方雇用者、特に若い雇用者、若い労働者も含めて、高齢者の方々もそうですが、賃金を上げていくということは地方創生のために必要不可欠なことだと承知をいたしております。
  79. 松田公太

    ○松田公太君 日本を元気にする会・無所属会の松田公太でございます。  十五分しかありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事岡田直樹君着席〕  地域再生法の小さな拠点、いわゆるコンパクトビレッジの形成についてお尋ねいたします。  これに関しましては、地方創生先行型交付金として千七百億円、地域再生戦略交付金として百二十億円、合計で千八百二十億円もの予算が組まれているわけです。  政府としましては、この予算をどのくらい、そのうちの幾らぐらいを使って、幾つの例えばコンパクトビレッジ、これを形成しようとお考えなのでしょうか。また、それらのコンパクトビレッジの人口の合計というものはどのくらいになる予定でしょうか。
  80. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今の時点で確定的に幾つということを申し上げることは難しいです。したがいまして、お金が幾らということを申し上げられませんが、大体イメージとしてお考えをいただきたいのは、小さな拠点対象となります可能性が高い過疎地域における集落数は六万四千と考えております。集落生活圏内の平均集落数が約十四というふうに考えてまいりますと、集落生活圏としては四千六百、ニアリーイコール五千というふうに考えておるところでございます。  市町村アンケートを取ってみますと、中心・基幹集落の強化を予定している市町村は四%でございますので、これまでの市町村の意識では二百程度の取組の数の可能性というふうに考えておりますが、数としては大体五千というものを考えておるところでございます。  これは昭和の大合併以前の町村というものを大体考えておるところでございますが、昭和二十八年十月に町村合併促進法が施行されましたときに、市町村数は九千八百六十八でございました。昭和三十一年には四千六百六十八になっておりまして、大体こういう数をイメージをしておるところでございます。  金額につきましては、今確定的なことは申し上げられません。
  81. 松田公太

    ○松田公太君 まだ細かいことは決まっていないということなんでしょうが、そういうことが決まらずにやはり大枠の予算だけが先行して決まってしまうというやり方は、私は財政難の中ちょっとあり得ないのかなというふうに考えているわけですけれども。    〔理事岡田直樹君退席、委員長着席〕  レクを受けた際なんですが、モデル集落として、例えば九百人ぐらいの地域に十億円ぐらいつぎ込むと、そういう話もあろうかというふうに聞いておりますが、大体そういうところもあるという考えでよろしいでしょうか。
  82. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ここは幾らでもお金を掛ければいいというお話ではないと思っております。  まず、そこにおいて、コンパクトビレッジの発想は、今までるる申し上げてきましたように、先ほど昭和の大合併前の町村ということを申し上げました。そこを考えたときに、やはり旧村の役場があって、そこにいろいろな機能が集約をされる。それは、集約をすることによって効率化ということではなくて、高齢化が進んでおりますので、歩いていろいろな用事が済むということを中核概念といたしております。そこからデマンド交通によっていろんな地域をネットワークで張るということを考えておりまして、その集約にどれぐらい掛かるか。いきなり新しいぴかぴかのものを造るということではなくて、例えば廃校、休校になった学校の校舎をどう使うか、あるいは公共施設をどのように活用するか等々で、それは少ない費用でそういうようなコンパクトビレッジを実現するということは私は可能であるし、志向していくべきものだと考えております。  ですから、今の、九百人の集落に十億円とおっしゃいましたでしょうか、そういうことを今考えておるわけではございません。
  83. 松田公太

    ○松田公太君 それでは、この法案形成するコンパクトビレッジというもの、大体どのくらいの期間、地域拠点として機能するということを考えて進められるのでしょうか。それとも永続的なものとしてこれはやるんだということなんでしょうか。
  84. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、そこへ住みたいという御希望がある方がある限りは、これは永続させねばならないものだと思っております。憲法論を振り回すことは危ないのですが、そこにおいては、やはり居住の自由というものは基本的人権の一部を成す概念だと考えておりまして、その地域に住みたいという方があり、そしてそこにおいて小さな拠点を構成し、そしてそれをネットワークでいろんな集落と結ぶことによって、その集落に住みたいという方がおられる限りはこれは永続性を持つものでなければならないし、そうでなければ意味がないものでございます。
  85. 松田公太

    ○松田公太君 今年四月に内閣府の地方創生推進室から出されました取組事例集、これを拝見させていただいたんですけれども、その中には、例えば北海道奈井江町の小売店やコミュニティースペースをつくりましょうとか、秋田県のお互いさまスーパーをつくりましょうとか、神奈川県の山北町の、これもスーパーとかコンビニやカフェ、こういったものをつくりましょうという話が並んでいるんですね。スーパーやコンビニ、カフェというと、何か私もビジネスチャンスがあるのかなと思って一瞬ぴくっとしてしまうんですけれども、ただ、こちらを考えますと、残念ながら人口減少に対するやはり対症療法的なものにすぎないんだなと。単なるこれは過疎化の一時対策にすぎないんだろうというやっぱり印象を受けてしまうんです。  この本法案の大本の概要で示されていますのは、例えば、地域再生拠点形成し、生活サービスを提供するとか、農林水産業を振興するとか、集落と地域再生拠点を結ぶネットワークを確保するとか、また生活サービスを提供する担い手を確保するとか、一体的な取組でありまして、コンパクトビレッジというネーミングよりも、むしろビレッジサービスと呼んだ方がいいのかなというふうに思っているんですね。  ただ、取りあえずやろうとしていることは分かるんです。ただ、繰り返しですけれども、この取組事例集で実際に紹介されているようなスーパーとか小売の出店、こういうものではやはり地方再生ができるとは到底思えないんですね。  そこで、大臣にお尋ねしたいんですけれども、こういった取組事例にあるようなやり方で、当該地域に例えばよそから人が集まってきたりとか、産業雇用が創出されたりとか、本当に地域の活性化が達成される、そういうようなものになるとお思いでしょうか。
  86. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それだけでできるとはもちろん考えておりません。ただ、優良事例というか、そういうような事例集をお配りをしたのは、やはりそういうものもありますよということにお気付きをいただきたいという含意に基づくものでございます。  例えば、島根県だったと思いますが、旧吉田村というのがあって、それはなかなか気合の入った地方みたいなところでございますけれども、そこにおいて、それではと、おいしいお米を作る、そしてそこにおいて本当に非常においしい卵を作る、それで卵かけ御飯というのは、これ一気に有名になったお話でございますが、その地域地域においてやはりそこでしかないものというものを見出していただくということがなければ、その地域のにぎわいというのは生まれないと思っております。  ただ、そういうところにおいて、今まで企業誘致と公共事業によってほかの持っている潜在的な可能性というものが引き出されてこなかった部分があるのではないだろうか。コンパクトビレッジの取組というのは、それは、これから先、高齢化が進んでいく中にあって、でも、どうしてもそこの村に住みたいんだという方々のいろんな御希望をかなえるという、そういう現状維持的な側面と、いろんな新しいものを見出していくという、そういうような側面と、両方やっていかなければ、それは地域を維持することも活力を維持することも難しいということは事実でございます。
  87. 松田公太

    ○松田公太君 その新しいものをやっていかなくちゃいけない、ある意味、ベンチャーみたいなものを立ち上げていく、そういう話になろうかと思いますけれども、このようなやはり中山間地域の話になりますと、私思い出すのは、二年前に欧州視察に行かせていただいたんですけれども、そのときに訪問したドイツのユーンデ村なんですね。  大臣も今うなずかれていらっしゃいますので、もうお聞きになったことがあろうかと思いますけれども、村の人口が約千人、そして面積の半分が農地、そして三分の一が森林と、そういう小さな小さな村なんですけれども、そのようなどこにでもあるような村が、当時はもう人口がどんどん減ってしまって衰退する一方だったと。しかし、その村の近くにあった大学、近くといっても何十キロと離れているんですけれども、そこと手を組んで、自給自足でエネルギーをつくろうと、こういう話が出てきたわけです。  ただ、当時の、二〇〇〇年に制定されたドイツの再生エネルギー法では買取り価格、FITが非常に低かったということがあって、採算なかなか取れないんじゃないかなという話があったそうなんですけれども、それに対して、国や州政府に交渉して、約三分の一の建設費を出してもらったということなんですね。それによってでき上がったバイオガスのコジェネ、また木質ボイラー、そして各民家にお湯を引き込むような温水供給網、こういったものを整備しまして、結果的に村で使う以上の電力また温水をつくり出すことができるようになりまして、年間約一億円もの収入を得ることができるようになったと。平均しても、村民たちは、大体油を冬の間たくさん使うわけですけれども、それも使わなくてよくなったということで、温水の分が減ったということで、平均十万円ぐらいずつ家計も助かったということなんです。  このプロジェクトが非常にいいなと思ったのは、やはりそうやってお金を生み出すということだけじゃなくて、実際、村民の人たちの仕事雇用にもつながっていったわけですね。ですから、例えば酪農の方が出される家畜のふん尿、これをベースとしてバイオガスができるわけですし、また、冬の足りない間は森林の間伐を行ってその樹木を使う、若しくは残滓、農家の方々が作られたもので残滓となって残ってしまったものをまたエネルギーとして使うということで、非常に村としてそういうエコノミーが回って、運送業の方もこれ関わってくるわけですから、非常に村としては大成功だったと。  私も当時、村長であったりとか村民の方々、若しくは大学の教授の方々お話をしたんですが、これはすばらしいサクセスストーリーだなというふうに思ったんです。もちろん、これが全部の村に、日本でアプライできるとは思っていませんけれども、やはりこのような、ある意味ビジョンを持った、長期的な夢のあるようなこういうプロジェクト、例えばこういった山間地域方々、各地域によって違うんでしょうけれども、平均年齢が七十歳、六十五歳ということかもしれませんが、そういった方々にとっても、一緒に何か立ち上がってつくろうやというふうに思えるような施策、これをどんどんつくり上げるべきじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか、石破大臣
  88. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私、そのドイツの村は、実際に行ったことはございませんが、いろんな文献で拝見をしたことはございます。  やはりそこは、再生可能エネルギーでもまだコストを下げる余地は相当にあるのではないかと考えておりますし、たとえコストが高くてもそこはサブシステムとして、やはりエネルギー需給というものは決して原子力だけに頼るものではあるまいということだと思っております。それが地方が果たすべき責任であり、私ども日本国が世界に対して果たすべき責任だと思っております。  委員お話を聞きながら、私がふっと思いましたのは、よくこの例を出して恐縮ですが、鹿児島県鹿屋市の柳谷集落というのがございます。そこはもう集落としてどうしようもないなと言われてきたのが、二十年ぐらい掛けて集落できちんと稼げる村になったと。そこの自治公民館長さんがおっしゃっておられたのは、補助金とかそういうものには一切頼っては駄目だというお話をしておられました。そして、鹿児島大学とコラボすることにより土着菌という菌をつくり、農産物の生産にも、あるいはふん尿対策にもそれを有効に活用して、サツマイモを作り、芋焼酎を造り、そして今はトウガラシを作って韓国に輸出をしていると。韓国の方に言わせれば、中国産のトウガラシの五倍の値段がしても、この韓国のキムチの味はここのトウガラシでなければ出せないということで、五倍の値段がしても取引をするというお話だそうでございます。  そういうような例というものをいろんな地域地域が学ぶ、そういうような活用の余地はたくさんあるのだと思っておりまして、それは日本だけに限るものではございません。
  89. 松田公太

    ○松田公太君 もう時間になりますので終わりにさせていただきますが、先ほど補助金と言いましたユーンデ村、別に補助金をあげろということではなくて、こういうコンパクトシティー構想で、先ほども申し上げましたように、例えば九百人の村に例えば十億とか使うのであれば、このユーンデ村のコジェネのシステムというのは大体五億円か六億円ぐらいでたしかできたというふうに思うんです。  ですから、そういった前向きな、永続的に、サステーナブルになるようなものを考えて、私はそちらにお金を向ける方がいいのではないかなと。やっぱり全国五千か所の山間地域の村、これを全部救うということは私は難しい、無理だと思うんですよね。ですから、そういう観点で是非お考えいただきたいと、このように思っている次第でございます。  以上で終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
  90. 和田政宗

    ○和田政宗君 次世代の党の和田政宗です。  先ほど石破大臣からポジネガ転換というフレーズが出ましたけれども、これは安全保障政策におきましても、ポジティブリストでずっとやっていましたら抑止力これ高まりませんので、ネガティブリストにして、これだけはできない、そのほかは使うかどうかは分からないけれどもできるようにすると、こういったネガティブリストに私は変えていかなくてはならないというふうに思いますし、これは地方分権においても私はそうなんであろうというふうに思っております。  外交、防衛、教育の基本方針など、国がこれは絶対にやりますということ以外は地方に落としていく。これが、私は、国の力を弱めるのではなくて、かえって、国が本来やるべきものというものは何なのかということをしっかりと考えてやることによりまして国の力を強めることになっていくというふうに思いますので、これについては次回以降、聞いていきたいというふうに思います。  今日は、地域再生の観点から幾つか質問をしていきたいというふうに思います。  まず初めに、被災地の復興、地域再生、これは何としても成し遂げなくてはなりませんけれども、今年、国勢調査が行われます。市町村に対する地方交付税の交付に当たっては人口が計算式に入っていますが、被災地の市町村では、震災による人口減により地方交付税が震災前に比べて数億円単位で減ることが見込まれるところもあります。市町村にとっては死活問題であり、国として何らかの対処が必要であると考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。
  91. あかま二郎

    大臣政務官(あかま二郎君) 委員御案内のとおり、普通交付税の算定基礎となる人口については、平成二十八年度の交付税算定からは、今般の平成二十七年度の国勢調査、これを用いるというふうになっております。  現在においても、人口の急減する自治体、地方においては、全国人口減少の団体の平均値、これを上回る分というものについては急減補正という形でそれを適用をし、また経過、これを見るという形になっております。  委員がおっしゃりました被災地ということに限って申し上げますならば、例として、過去の三宅島の噴火、これがいい例になるんだろうと思っておりますけれども、三宅島の場合、全島避難指示によって、平成十二年の国勢調査人口がゼロとなりました。平成七年国勢調査人口をベースに一定数の人口が存在するものとして平成十三年度から五か年については交付税を算定をいたしました。また、避難指示が解除された後の平成十七年、この国勢調査人口は激減をいたしました。五年間掛けて平成十七年国勢調査人口に段階的に移行するいわゆる激変緩和措置、これを講じたところでございます。そして、平成十八年度から二十二年度までの交付税を算定をいたしたところでございます。  こういった特例措置についても、今般の東日本大震災の被災自治体、同じように思いというものはありますので、行政運営の状況、また今後の国勢調査の結果、これらを踏まえながら、特例措置、これを参考にしてまいりたい、そう思っております。  なお、いずれにせよ、行政サービスというものが、どの地域、いずれの地方にあっても、一定水準以上が確保できるように、行政運営がしっかり確保できるようにすること、これにしっかりと注力してまいりたいと思っております。
  92. 和田政宗

    ○和田政宗君 何とぞ善処をお願いいたします。  次に、地方の農水産物の輸出促進の観点から、台湾による日本食品の輸入規制強化について聞きます。  先月、台湾の一方的な措置が行われたわけでございますけれども、その後、政府としてどのように対応を行っているか、答弁を願います。
  93. あべ俊子

    ○副大臣(あべ俊子君) 委員にお答えいたします。  台湾におきまして、平成二十三年三月の東京電力福島第一原子力発電所の事故の後、五県、福島、茨城、群馬、栃木、千葉、この全ての食品を輸入停止しているところでございます。それに加えまして、今年五月十五日、委員が御質問がございました輸入規制が強化されたところでございます。  台湾側の措置に関しまして、科学的根拠に基づいていない一方的なものでございまして、五月十五日に輸入規制強化が実施された際には、内閣官房長官、農林水産大臣、外務大臣及び復興大臣が、それぞれ記者会見におきまして極めて遺憾である旨を表明したところでございます。  これまでも、台湾との間では、双方の民間窓口機関、日本側では公益財団法人の交流協会でございますが、また台湾側では亜東関係協会でございますが、この間でこの協議が行われているところでございまして、農林水産省といたしましても、職員が関係省庁の職員とともに専門的な観点から参加しているところでございますが、引き続き、関連省庁連携をしながら、台湾側に対しまして科学的根拠に基づいた輸入規制の撤廃、緩和を強く求めてまいりたいと思っております。  現時点におきましては、WTOへ提訴の方針を決定していることではございませんが、台湾側に対し輸入規制の撤廃、緩和を強く申入れをしながら、具体的進展が見られない場合にはWTOへの持込みを含め、しかるべき対応を検討してまいります。
  94. 和田政宗

    ○和田政宗君 国としてはやるべき対処というのはやられているんだなというふうには認識をいたしましたけれども、やはりそれでも動いていないというのが現状であるというふうに思います。  台湾とは国交がないというようなことで、政府のいわゆる要人、閣僚ですとか政務三役が行くというのはなかなか現政権の考え方ではできないというふうに私は認識をしておりますので、ただ、これはもう官僚の方のレベルではなくて、やはり政治家が行って私はやるべきだというふうに思っておりますので、例えば特使の派遣ですとか、そういったものをやはり検討していただければというふうに思っております。  次に、漁業に関連して技能実習生制度についてお聞きしたいというふうに思います。  現在、漁業における技能実習生の待遇は、海上労働の特殊性からほかの産業とは異なる労働条件になっておりますけれども、今後、業種にかかわらず一律の基準が定められることになりますと、実質的に漁業における技能実習を行うことが不可能になるのではという懸念が漁業関係者から上がっております。  漁業の特殊性を考慮して基準を定めるべきと考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。
  95. 中山峰孝

    政府参考人(中山峰孝君) お答え申し上げます。  技能実習制度につきましては、残念ながら、不正行為、法令違反が多いことがありまして、国内外から大変厳しい批判を受けております。これを踏まえまして、国際貢献という制度趣旨を徹底いたしまして、なおかつ管理監督体制を強化することを図るための法律、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案を国会に今提出しております。この法案におきまして、実習生が適正に技能を修得できるように環境を確保するということが規定で設けてございます。具体的にどうするかということに関しましては、この法案が成立した場合に省令で規定することになっております。  さて、問題の漁業分野でございますけれども、漁業分野に関しましても、適正な技能修得の環境が確保されていくよう、法務省、それから水産庁などの関係省と連携して適切に対応していく所存でございます。
  96. 和田政宗

    ○和田政宗君 繰り返しになりますが、これ、漁業の現場というのは特殊なところもありますので、そういったところへの御配慮をお願いしたいというふうに思います。  今日は、地域再生地域振興というところで各産業についてお聞きしておりますが、農業、これを地方の農業の振興の観点からお聞きしたいというふうに思いますが、米は減反の廃止ですとかTPPの導入などにより競争にさらされることが想定をされておりまして、どのように消費をしてもらうか、消費を増やすかということが大きな課題であるというふうに思います。  そこで、こういった提案をしたいんですけれども、例えば、世界各国の食料難の地域に何らかの枠組みで米を輸出するのと併せて、電気釜を付けたりですとか、電気がないところは釜になるとは思うんですけれども、それを輸出するなどの工夫ができないかというふうに思っております。  これ、直接補助金を付けてやるというふうになりますと世界の貿易のルールからは逸脱しますのでなかなかそれはできないというふうに思うんですが、例えば、民間同士でうまく組んでもらえれば、米農家も電機メーカーも、そして部品メーカーも地方の金属加工業も一体的に潤うというような形になります。そして、将来的に世界のそうした食料難の地域の所得が上がったときに日本の米のファンになってくれるので、消費も増えるのではないかというふうに思います。  政府としてどのように考えていますか、お答えください。
  97. 鈴木良典

    政府参考人(鈴木良典君) お答えをいたします。  食料難の地域への食糧援助につきましては、政府米を活用し、被援助国や国際機関からの要請を踏まえ、国際ルールとの整合性や財政負担にも留意をし、関係省庁との連携を図りつつ実施をしているところでございます。  一方、商業輸出に関しましては、海外での輸出の促進のためのPRのイベントの際に、米だけでなく、日本の炊飯器や水を利用して、御飯の炊き方等も含めて海外の消費者にPRするような取組も行っておりまして、今後とも、効果的なPRの方法も検討しながら輸出の拡大に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  98. 和田政宗

    ○和田政宗君 もう少しちょっと踏み込んでお答えをいただければというふうに思いましたけれども、これはやはり、農水省さんを始めとして、各省庁まさに一体となって日本の米を売るということをやっていただければというふうに思いますので、これも地方創生の観点からもしっかりとした御検討をお願いしたいというふうに思います。  次に、東京一極集中を打破するための首都機能の一部移転、国の行政機能の地方への移転について聞きたいというふうに思います。  先ほど太田委員からこのお話がありましたけれども、私は、一部移転というようなことからもう少し進んで、分都というような考え方が取れないかというふうに思っております。すなわち、国の行政機能の地方への一部移転、これを幾つかを集めて移転できないかというものであります。  例えば、仙台ですと、これは南海トラフの巨大地震が発生するプレートとは別のプレートに乗っているということ、南海トラフの巨大地震や首都直下地震の際にも影響は少ないと考えられるなど、あらかじめ国の行政機能の幾つかを移転しておきますと、いざというときに国のバックアップ機能を果たさせることは防災上も有効であるということとともに、何よりも東京一極集中の解消と地域振興につながるというふうに思っております。  仙台は一例でありますけれども、このような観点から、あらかじめ地方都市に国の行政機能の幾つかを移転させまして、東京一極集中の打破、いざというときのバックアップ機能を持たせることについて検討すべきだと考えますが、石破大臣のお考え、いかがでしょうか。
  99. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この首都機能移転につきましては、一貫して国会が主導で検討が行われてきたところであります。平成十六年十二月に、政党間両院協議会というのがあり、座長とりまとめがなされたと。政府としては、国会での議論が進むことがまず第一であり、国会等の移転に関する法律というのは国土交通省、旧国土庁の所管になっておりますと。ここまでだったらもう、何だ、その答弁はと、こういう話になるわけですね。  これは、私どもが今、先ほど太田議員との議論でもいたしました。これは、それぞれの地方が、例えば京都なら文化庁だよね、あるいは大阪だと中小企業庁だよねとか、そういう地域地域が、我がところにそれが来た方がより有効に効果が発現されるということをおっしゃっていただき、それに国がお応えするという形であって、少し委員とは問題意識が違うということはよく認識をいたしております。  首都機能のバックアップといいますのか、首都直下型地震は間違いなく来るわけで、それに対して本当にどうなのということは、やはり国会でも突き詰めた御議論をいただき、私ども政府としてもそれにきちんとお応えをしなきゃいかぬのだろうと思っております。ですから、例えば宮城なら宮城で、国のいろんな危機管理を担っておるセクションがいっぱいございますが、それでは、その観点から宮城にこういうものはどうだろうかという御提案もあってもいいのかなという気はするのですけれども、委員と問題意識が私ども擦れ違っていることをよく認識した上で答弁を申し上げております。  それから、私ども政府としても、それは国会の責任でしょう、以上、ということにならないようにしなければいけないと考えております。
  100. 和田政宗

    ○和田政宗君 終わります。
  101. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。本日もよろしくお願い申し上げます。  まず、石破大臣の方にお尋ねをさせていただきたいと思います。  今回の地方再生法の改正案におきましても、東京二十三区に集中している企業本社機能地方移転していこうじゃないかということで、様々な枠組みが整備をされております。  まず、どうして東京にここまで集中したのかということをしっかり原因を究明していらっしゃるのかどうか、教えていただけますでしょうか。
  102. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはもうそれぞれの企業にそれぞれの御事情がおありで、一概に申し上げることはできないのですが、私どもとして考えている東京本社集中している理由は、一つは国際化が最も進んでいるのでいろんな情報が入りますねと。あるいは中央官庁が大体集中していますので、やはり官庁とのお話をするにおいては東京が便利ですよねということがございますでしょう。あるいは市場として、マーケットとして東京が一番大きいということもございます。  一般論としてはそういう話ですが、じゃ、何が何でも東京になければならないのかといえば、それは違うんではありませんかと。これだけ交通が発達し、ICTが進みという世の中において本当にそうですかということは国が強制できることではございませんが、企業企業で本当に突き詰めてお考えをいただきたいものだと私は思っております。
  103. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  ですから、今のような大臣の御答弁の内容を各企業がまず理解することから始めなければ、これは机上の空論で終わってしまう法案だと私は考えております。だから、しっかりとこれからの世の中の在り方というビジョンを打ち出していただく。まずそこに向かって歩み始めるんだ、そのビジョンがなかなか今見えづらい。これからどんどんどんどん地方分権の世の中というものが進んでいく。  しかし、私もそうでございますけれども、地方から上京して大学で、東京で勉強しようと、何かそこが誇らしく思った世代でございます。ですから、東京に出ていくことが誇らしいのではなく、地方地方で人材もしっかり育成をしながらそこに定着し、そして、その後にその地方産業を生かしながらいかにそれこそ地域の創生を行っていくか、それこそ誇らしいことなんだということで、若者の皆様方にも教育をしていただきたいですし、先ほどから議論もあっているように、首都機能の移転の問題であったり、各省庁の官庁の皆様方がどのように移転をしていくのか、これも是非国が主導して行っていただきたいと思っております。  先ほどの答弁にございました手挙げ方式でまずやっていくよというのではなく、まず国がある程度のサジェスチョンというものを行った上で地方の提案というものを受け入れていくということが政府機能の移転についても必要かと思いますが、御意見いただけますでしょうか。
  104. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 国がイニシアティブを取るということは大事だと思います。あわせて、やはり地方の方がこういうことがあった方がいいね、権限の移譲もそうですし、あるいは政府機関の移転もそうですし、やはり地方からの発意がないよね、だからニーズがないよね、これで議論はおしまいだということで今まで終わってきたような気がするのですね。そこはやはり、両々相まってという便利な言葉を使うのはいけませんが、そういうふうにあるべきだと思います。  もう一つは、私は、例えば政府あるいは与党が経団連に行き、経済同友会に行き、日商に行き、お願いですから給料を上げてくださいといって歩きましたのは何となく不思議な光景だなと思わないではありません。それはやはり企業さんが自発的に給料を上げるということがあるべきだと思っているのですが、地方移転にしてもそうで、これから先、東京一極集中がこれ以上進むと国全体としてこれは非常に良くないと思います。そして、地方にこれから先ずっと人口減少が続くのも良くないと思います。  それは、企業というものと日本の国というものが別個に存在するわけではございませんで、日本の国あっての企業だと私は思っております。それぞれの企業企業が何をしていただけるのか、国家のために何をしていただけるのか。それは国のために犠牲を払えとかそんなことを言っているのではなくて、地方移転をしていくということが企業にとっても良いことではないだろうか。  そこの溜池にありますコマツの事業本社と小松市にありますコマツの事業所、同じコマツでも、婚姻率と出生率掛け合わせれば五倍違うわけでございます。ですから、地方移転するというメリットを考えた上でもなお東京に残っているのだということであれば、それはなぜなのかを企業さんに御説明をいただきたいということを私はお願いをいたしておりまして、それは是非民間と国と協働してやるべきものだと考えております。
  105. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  石破大臣のアイデアマンというような一面を私先ほどから見せていただいておりますけれども、それをしっかりと企業にも説明、そして国民の皆様方にもこれが理解していただく努力というものは果たしていかなければならないと考えております。  その一面といたしまして、先日、本会議に石破大臣御答弁いただきましたことで、私、とっても心配なことがございますので、今日は永岡副大臣にもいらしていただきまして、医療の側面について、介護の側面についても議論をさせていただきたいと考えております。  国として、地域における企業、そして人材育成を促進する施策を取り組むためにも、その移住する方や御家族にとって重要となる教育、医療、介護などの生活環境というものを整備すること、これを自治体において進めていただくことが大切ではないかという御意見であったかと思います。  しかし、一方におきまして、皆様方にも資料としてお配りさせていただきましたけれども、さきの常会におきまして地域医療構想というものを立てる。これは、県が主導で、地域、特に都道府県で、ここにございますように、様々な医療機関、今機能が見えにくいものを整備をし、そして、その人口の構成そして疾病構成によってどの病床がどれだけ必要なのかというものを算出した上で九百四億円という大きな基金を国が積みましたので、それを都道府県に配り、適正化を図ってもらう、大変大きな構想を今厚労省は始めたところでございます。  このような構想が行われている中で、実際に首都から様々、東京から様々な企業地方移転し、そして人口が移動していく。こういうことが既に、構想の中として、この地域医療構想の中に入れていただくようにお願いされているんでしょうか。でなければ、このままであれば、私どもが今、算出を社人研が多分しているんだと思いますけれども、これから先、見えていくような人口構成の在り方と、これから我々が目指していくべき人口構成の在り方と、これ大きなギャップが生じてしまうと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  106. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 当然、そこは乖離が生じないように自治体において御配慮いただかなければなりません。ここは、人口動態がこの後どうなるかというのは一番難しい予測なのでございますけれども、そこは余り荒唐無稽なことを言われても困りますが、これぐらい増えるべきだ、それは可能だというような、どちらかというと堅めの見積りが必要だと思いますけれども、これから人口動態がどのように変わっていくのかに合わせて医療・介護体制はつくっていきませんと、そこに乖離が生ずるとその地域のいろいろな設計そのものが瓦解すると思っております。  私どもと厚労省とよく連携をし、自治体ともよく連携をしながら、そこはそごのないようにしていかなければなりません。
  107. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、永岡副大臣、そのような今構想になっておられるんでしょうか。その現実的なところお話しいただけますでしょうか。
  108. 永岡桂子

    ○副大臣(永岡桂子君) 薬師寺委員にお答えいたします。  地域医療構想での必要な病床数というのは、都道府県間での整合性が確保される必要がございます。先ほど先生おっしゃいました社人研、これが取りまとめた日本の地域別将来推計人口におけます二〇二五年の地域別、性別、そして年齢階級別の人口を用いて推計することになっております。これが全国統一ということになります。  しかしながら、委員おっしゃいますように、二〇二五年に至るまでの間には、先ほどの人口、地方版の総合戦略ですとか、あとは社会的な要因などがありまして、特段の人口移動などが生じることが見込まれる場合には、見込まれそうでございますけれども、そうした状況には、その状況を踏まえまして再度、設計、推計などを行うなどの適切な対応を検討しなければいけないということになろうかと思います。
  109. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  ですから、社人研の予測を破ることがこの委員会の目的だと私は考えております。まず、そこから話を始めていかなければしっかりとした戦略的な計画にはならないんですね。  例えばの話ですけれども、私も子供がおりますけれども、じゃ、子供がいるときに小児科がそこにないといったら、そこに移転をしてこないですよね。じゃ、あなた単身赴任で行ってきなさい、それで終わります。学校が近くになかったら、やっぱりちょっとこれは私たちが移転をするよりも、二、三年だったらあなた行きなさいよ、一人でという話にもつながってくるんじゃないかと、私自身の体験から申し上げますとやっぱりそういうふうに思ってしまいます。  ということは、大臣がおっしゃったように、医療、介護、そして教育といったものをいかに戦略的にそこで整備をし、そして人を集めるための工夫を地域で行っていくか、これは大切な問題だと私考えております。  実は、国土交通省の国土交通政策研究所というところが子育てに適した居住環境に関する研究というものを行っています。ここの結論から申しますと、居住の環境の要素群で見ると、二十三区に居住していらっしゃる方々は保育、教育、医療というものが重要だというふうに考えていらっしゃる、市部、市町村そして政令市というものにお住まいの方は緑であったり町並みであったり安全・安心というように、重要視するような要素というのが二十三区にお住まいの方と地域にお住まいの方、違うんだという結論も出ているんですね。  ですから、二十三区内にお住まいの方を地方に移住させるのであれば、まず保育、教育、医療、この三つは外せないということは、これから統廃合されていくであろう小中学校のようなものも残さなきゃ、戦略的に残さなきゃいけない地域もあるかもしれない。今回、地域医療構想の中で集約されてしまうようなところ戦略的に残さなければならない。小児科だったり産婦人科がない地域には、若い女性はもちろんのこと、子育て世代の皆様方も移住していただけないんじゃないか、そういう危惧も併せて、今回様々な施策というものを私は取るべきだと考えておりますので、是非そこは連携を厚労省の方とお願いをしていきたい、若しくは文科省ともお願いしたいと思います。  さらに、もう一点、医療という意味ではなく介護という意味においても、今回大変大きな動きがさきの常会でございました。いわゆる地域包括ケアシステムというものでございます。地域ケア会議の中で、中学校単位を一つの町として医療、介護を充実させ、そこで一つ完結できるようなシステムをつくろうじゃないかという構想でございます。  このような地域包括ケアのシステムも、先ほどから議論になっております日本版のCCRCの問題であったり、これから人口が様々移住したことによって、今考えているのと、また将来あるべき姿というものを考える、ちょっとここも違った姿になっていくんではないかと思いますけど、大臣、御意見ございますでしょうか。
  110. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員指摘の論点はそのとおりでございます。ですから、高齢者の方々がまだ要介護になる前から第二の人生は地方でということがあってもいい。志を果たしていつの日にか帰らんではなくて、志を果たしに帰ろうよでもいいし、いわゆるキャッチアップ型のモデルというものは変えていかなければならないのだと思っています。  大体、アメリカでやがていつかはニューヨークに行きたいぞとか、ドイツでいつかはベルリンで一旗揚げるぞという人は余りいないんだそうで、その地域地域でやっぱり人生というものがきちんと実現するということなので、そういうキャッチアップ型からは脱していかねばならないということは根底意識としてあるわけですが、そうすると、そういう人が地方に移ったときに、そういう方々はまだ要介護じゃありませんから、支え手としてそこにおいて当面の間、寄与することになるだろう。じゃ、その方が高齢になったらどうするのという問題を考えなければいけません。  そして、東京から地方に移住するというのがいつまでも続くはずはないのであって、どこかで一つのフラットな点を迎えるんだろうと思っています。そうすると、東京の場合には、移りたいという男性の方が五十代の五割、あなた勝手に行きなさいよという女性の方が二割、三割は一緒に行ってもいいわねと、こういう話になるわけですが、そういうようなことだと、その方々の何割が移っていくことによってどうなるのだろうかという設計はきちんとしませんと、地域包括ケアシステムがそごを来すことになりかねないという問題意識は持っております。  御指摘を踏まえて、厚労省ともよく連携しながら、地域包括ケアシステムがワークするようにしていきたいと考えております。
  111. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 時間が参りましたので、最後お願いに代えさせていただきます。  副大臣、今の大臣のお言葉あったように、これからあるべき姿というものをしっかりと頭に入れた上で、地域包括ケアも、そして地域医療構想というものも立てていただきますようお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  112. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律案についてお聞きをいたします。  法案では、二から四ヘクタールの農地転用に係る国の協議を廃止するとともに、四ヘクタールを超える農地転用に係る権限について、当分の間、農林水産大臣との協議を付した上で都道府県知事に移譲することにしております。  地方からの要望を受けて法案化したもので、より地域に近くなるという面はあるかもしれませんが、他方、一方でどんどん農地を転用できるということで、農地が守れるのかという意見も出ております。このような懸念にどう答えますでしょうか。
  113. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは何度か申し上げておりますが、規制緩和を行うものではございません。権限移譲を行うものでございます。  地方においていろいろな企業を誘致したい、そのためには農地転用が必要だ、しかしながらそれは四ヘクタールを超えている、国との協議ということをやっている間に時間が徒過をして企業が進出できなかったというような例が幾多ございます。そうしますと、その権限を都道府県知事、場合によってはそれ以下の自治体に落とすことによって時間の短縮というものを図ることができると思いますが、それを野方図に農地転用を認めるということを意味するものでは全くございません。  ただ、国の関与というものをある程度残しておきませんと、それは自給力とか自給率とかいうものが瓦解するおそれがございますので、全く国の関与を外すものではございませんが、農地の総量確保あるいは自治体のスキルの造成、そういうものを図っていきながら、農地が壊廃が進まないように、それは今回の法改正におきまして最も留意した点の一つでございます。
  114. 福島みずほ

    福島みずほ君 地域再生法の一部を改正する法律案についてお聞きをいたします。  そもそも地域再生制度は、地方が行う自主的かつ自立的な取組を国が支援するといういわゆるボトムアップ型の施策でした。しかし、増田レポートに端を発した安倍政権による地方創生は、これは、例えば地方公共団体においては、国の長期ビジョンと総合戦略を勘案して、地域特性を踏まえた地方人口ビジョンと地方総合戦略を策定するというふうになっております。既にコンサルに丸投げといった事態も指摘をされております。  こうした中、国の総合戦略において、地方公共団体作成する地域再生計画に企業などの地方拠点強化に係る事業を盛り込むことが規定をされました。言わば旧来型の企業誘致に頼る地方創生の手法でもあります。  大臣は、地域を非常に、全国回ってボトムアップでやろうとしているというのも非常に見えるんですが、しかし、例えば里山などの地域資源を生かした地域の自主的、自立的な取組を支援するというスキームが事実上骨抜きになってしまったんじゃないか、国主導による地方創生ではないか、このことにどう答えられるでしょうか。
  115. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いろんな御指摘は謙虚に承りながら、正すべきは正していかねばならないと思っております。  ただ、私ずっと申し上げていることですが、その地域のことはその地域でないと分からないので、都城のことは都城でないと分からないであろうと、あるいは出雲のことは出雲でないと分からないだろう。それは、やはり地域でいろいろな総合的な計画を、五年を目途として来年の三月三十一日までに作ってくださいということを法律内容として盛り込み、昨年暮れ成立をさせていただいたところでございます。そこにおいて、国が押し付けとかそういうことはできるはずもございませんし、国がこのような形でやれと言ってそういうことになるわけでもございません。  その地域における産業界であり、あるいは学問に携わる方であり、あるいは労働問題に携わる方であり、あるいは金融に携わる方であり、そういう方々が御議論をいただき、PDCAをワークさせ、KPIを設定するということにおいて、そこにおいて国が何かを押し付けるということには論理的にもならないものだと考えております。
  116. 福島みずほ

    福島みずほ君 東京一極集中是正と言いながら、一方で東京など大都市圏を国家戦略特区に指定しております。私は、国家戦略特区というのは新自由主義のものだと思っておりまして、規制緩和が入っております。私は地方出身ですから、地方はやっぱり社会民主主義的な価値観で、ボトムアップで共生社会とやらなければ生きていけない、新自由主義で地方は滅びると実は思っております。  その意味で、国家戦略特区の考え方地方創生、一方で東京を国家戦略特区に指定しながら地方創生と言うことは、これは矛盾しませんか。
  117. 若井英二

    政府参考人(若井英二君) お答え申し上げます。  今、こういった地方創生の関係と特区との関係ということについてのお尋ねでございます。  特に、この地域再生法改正法におきます地方拠点強化施策につきましては、東京二十三区に集中をしております本社機能について、これを全国に分散をしていこうと、このように考えておりまして、こういったことを通じまして地方に安定した良質な雇用をつくっていこうと、こういう考え方でございます。  他方、国家戦略特区というものにつきましては、国際競争力を強化すべき産業、業種というものにつきまして、やはり国の既に集積のございます東京でありますとか大阪名古屋、こういったところが国際的な経済活動の拠点となって日本の経済の成長のエンジンとなると、こういった形で全体を引っ張っていくということでございますから、これは対象としております業種ですとか考え方それぞれに整理をして行っているものでございまして、当然に整合的に進めておるものでございます。
  118. 福島みずほ

    福島みずほ君 ただ、国家戦略特区で労働法制の規制緩和をしたり、今度の法案の中に、例えば国家戦略特区で外国から家事労働者を導入するということなど、一方で労働法制を規制緩和するという面があると思うんですね。一方で、ある意味新自由主義的な手法を物すごく取りながら、一方で、地方創生は私も社会民主主義的な価値観でなければやっていけないと思っているんですが、これは明確に矛盾ではないか。東京から新自由主義で、それで全国展開、東京から発信していくことと哲学が矛盾しているのではないかというふうに思っております。  次に、二〇一二年改正法で、コミュニティー再生のノウハウを蓄積したNPOや社会福祉法人対象地域再生推進法人制度が創設をされました。二〇一四年改正法で、営利を目的としない法人が削除をされました。今回の法改正で再度文言を復活されております。二転三転しているのはなぜでしょうか。一貫していないのではないですか。
  119. 内田要

    政府参考人内田要君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、平成二十六年の、昨年の臨時国会でございますが、改正におきまして、まちづくり会社など、町づくりの担い手として活動している例が大変有用だということで、営利法人を一部追加いたしました。その際、非営利法人を削除したのではございませんで、まちづくり法人として活動実績のあるNPO法人、一般社団、一般財団ということで非営利法人を整理させていただいたわけでございます。  それで、今般の改正でございますが、小さな拠点形成に、例えば高齢者福祉施設を営む社会福祉法人でございますとか、あるいは農業に携わる農協というのが地域生活サービスの担い手ということで大変有用である、重要であるという実態を踏まえまして、改めて範囲の見直しをさせていただいたところでございます。  以上でございます。
  120. 福島みずほ

    福島みずほ君 消費者の権利という観点から、パーソナルデータ、ビッグデータ、マイナンバーなどについてお聞きをいたします。  匿名加工情報についてとりわけお聞きをいたします。匿名加工情報とは、「特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものをいう。」とされております。匿名加工情報の第三者提供に関する内閣官房、消費者庁の見解はどうでしょうか。
  121. 二宮清治

    政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、個人情報保護法上、個人情報は特定の個人を識別することができるということが要件の一つになっておるところでございます。今回の法案におきます匿名加工情報は、個人情報を特定の個人を識別することができないように加工し、かつ元の個人情報を復元することができないようにしたものでございます。したがいまして、個人情報には該当しないものでございます。  今回の法案におきましては、消費者保護にも配慮をいたしまして、データの利活用による新事業、新サービスの創出を促進するという観点から、新たに匿名加工情報を定義をいたしまして、委員会規則に基づく適正な加工とか、加工に関する情報等の安全管理措置などの一定の条件の下におきまして、本人の同意なく第三者に提供できるようにするものでございます。  消費者保護にも配慮しながら、自由な情報の流通、利活用が促進されることを期待をしているところでございます。
  122. 服部高明

    政府参考人(服部高明君) お答えさせていただきます。  匿名加工情報は、個人情報を誰に関する情報であるか分からないように加工し、本人の権利利益の侵害のおそれを低減したものと承知しており、その前提において消費者の権利利益を害するものではないと考えております。  また、改正法案では匿名加工情報の作成方法や安全管理措置の基準等が個人情報保護委員会規則で定められることになっているところ、消費者庁としては、匿名加工情報に係る制度設計が消費者の理解を得られるものとなり、消費者の安心、信頼を損なわないよう運用されることが重要であると認識しております。  法改正後は、新設される個人情報保護委員会が個人情報保護法を所管することとなりますが、消費者庁としても、同委員会連携しつつ、消費者の利益の擁護及び増進を図るべく必要な取組を行ってまいりたいと考えております。
  123. 福島みずほ

    福島みずほ君 消費者の立場からすれば、自分のデータをビッグデータにしてそれを売買するということは予想していないと思うんですよ。そんなこと頼んでいないし、そんなこと同意していないよというのが消費者の立場ではないでしょうか。  JR東日本と日立製作所の連携による四千三百万枚のSuica情報売買問題に関して、国土交通省はどのような注意、指導を行っているでしょうか。
  124. 篠原康弘

    政府参考人(篠原康弘君) お答え申し上げます。  御指摘平成二十五年六月のJR東日本の事案でございますが、JR東日本によりますと、Suicaの旅客流動に関するデータの中で、氏名、連絡先、Suica番号等を削除して、個人が特定できないような加工をした上で日立製作所に提供したということでございましたが、国土交通省といたしましては、利用者の不安を惹起するおそれのあるデータの提供につきましては個人のプライバシーに配慮して慎重かつ丁寧な対応を行うことが望ましい旨の指摘を行ってございます。
  125. 福島みずほ

    福島みずほ君 このSuica情報売買は、現行法において、適法なんでしょうか違法なんでしょうか。
  126. 二宮清治

    政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。  事案の発生当時、Suicaに関するデータにつきましては、氏名、連絡先、Suica番号等を除くことなどによりまして、個人が特定できないよう加工した上で日立製作所の方に提供されたものだというふうに承知をしているところでございます。  個人情報保護法上、個人情報とは、特定の個人を識別することができるものをいい、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含むというふうに規定をしているところでございます。  他の情報と容易に照合できるかどうかにつきましては、当該情報にアクセスできる者の範囲、アクセス制限の技術的な措置等を踏まえて総合判断をする必要がございまして、御指摘の事案につきましては直ちに違法性があるとまでは言えないということで、このような事案につきまして、JR東日本を始め、グレーゾーンとして対応が困難という意見があるところでございます。  したがいまして、現在、匿名加工情報という新たな類型を設けることといたしまして、法改正案を国会で御審議をいただいているところでございます。
  127. 福島みずほ

    福島みずほ君 個人情報保護法の今回の改正案にも、大きく匿名加工情報についてできるというふうにやっているんですね。これは消費者の権利という観点から極めて問題ではないか。  例えば、Suicaの情報は、池袋駅に夜六時に降りた人が二十代、三十代、四十代、男女別でどうで、どこから来ているかというのが全部分かるわけですよね。こういう情報って物すごくビジネスチャンスになるので、そういうことはSuicaを購入するときには考えていないが、自分の情報があらゆるビジネスに使われると、自分の承諾なくして、そんなことを、申し込んだときに同意なんかしていないよというのは多いと思うんですね。極めて匿名加工情報をビジネスに利用することは問題ではないか。  マイナンバーにおいても、一つ、年金のだだ漏れ問題もそうですが、一つは今回医療情報も入っています。今回マイナンバーの中に特定健診とそれから予防接種が入っているんですね。でも、特定健診も予防接種も自分では持っているんですよ、その情報を。何でそれがマイナンバーに乗っかっていくのか、それが漏れたらどうなるのか。
  128. 西田昌司

    委員長西田昌司君) 福島みずほ君、時間が来ていますので、おまとめください。
  129. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい、分かりました。  漏れたらどうなるのかという問題と、それからそれがビッグデータとしてなると、今後それが特定健診でも心電図や血液や全部入りますので、今後医療情報に広がるとそれがビジネスに使われる、それから個人のデータが漏れると大変なことになる、その二つが極めて問題だと思います。またこの点については厚生労働委員会などでも質問させてください。  以上で終わります。
  130. 平野達男

    ○平野達男君 平野達男でございます。  今回の地域再生法の一部を改正する法律案に関連して、まず何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。  小さな拠点形成ということで、概念的には、考え方としては分かります。分かりますが、この今回の地域再生計画の認定でありますとか様々な施設整備計画というのは、これは私が農水省にいたときにやっていた農村総合整備モデル事業とかミニ総パとか、全く基本的には考え方は同じなんですね。今回また箱物かという感じは正直言ってします。そこは、あとは地域が自分で判断するでしょうから、計画が上がってきて認定するということで、するかどうかというのはこれからの作業になると思いますが。  先ほど松田委員質問された点は、非常に私大事だと思います。これ一体、何地区やるのかという話なんですね。これ先に百地区当初採択して、その次の年にまた百地区、そしてまた百地区。そうすると、単年度事業で終わりませんから、これ、すだれと言いまして、どんどんどんどん増えていくんです。増えていって、予算がどんどんどんどん増やさないと計画どおりの事業ができないんですね。ここを事務方としてはちゃんとチェックしておかないと、こういう法律でこういう計画を作るのはいいんだけれども、もしこういうもの、事業がいいとなったら、俺のところもやりたい、俺のところもやりたいと、そこに国会議員がまた入るから、これは結構大変なことになりかねないかもしれない。あるいは、全然、これ財政負担が伴うから嫌ですと言うかもしれません。ただ、私は前者の方を心配するんで、この今回の全体の枠組みの中で何地区やりますかということ、それから、その後をどうするかということについてはきちっとこれシミュレーションをしておくことをこれは元農村整備事業の担当者の経験者としてサジェストをちょっとさせていただきます。  その上で、私はこれは多分モデル的にやるんだろうとは思いますが、最終的には、こういった交付金とかなんとかといっても、基本的には補助金です。今、私は、自治体が最終的に求めているのは、地域再生法というのを計画を作りましたですね。計画を実現するためにどういう形の補助金を求めるか、新たな交付金を今検討されているともお聞きしました。一括交付金、民主党のときにつくりまして、あれ私、制度設計私がやったんですけれども、考え方は良かったと思います。ところが、各省の影響力を遮断する努力をちょっと怠ったがために、配分を、各県の自治体の意向を、配分するときにどんどんどんどん中央省庁が干渉しちゃったものですから、そんなに中央省庁から言われるならやめたみたいな話になっちゃって、結果的に効果はうまく発現できなかった。それから、復興では効果促進事業ということで、またこれ別なちょっと交付金をつくっています。これも、ただ、使いづらいと言われています。  いろんなことを、それを踏まえた上で是非制度設計やられたらいいと思うんですが、私は最終的には、計画が一つありますから、どうせやるんならば特別交付税みたいな形での交付金の枠を設定して、あとはその交付金をどのように配分するかは、これはかなり議論があると思いますが、これを五年なら五年、十年なら十年やると宣言して、この中で将来の人口減少社会に備えた準備をやってくださいとやった方が、私は自治体にとっては本当にいいと思います。どうせこれは自治体が自分で考えるしかない面がたくさんありますから。ただ、そのときに、こういうせっかくの枠組みを用意したんで、あとは補助金の特別交付の枠、繰り返しになりますけれども、交付金という形じゃなく、一般の補助金という名前を変えた交付金じゃなくて、本当の地方交付税交付金、嫌ならば創生交付金と考えて、配分枠の方法をこれから十分検討した上でもう渡してしまう、その代わりそれは何に使ってもいいというふうな形にした方がずっと親切ではないかと思うんですが、ここに対しての石破大臣の御感想というか、御意見をちょっと伺っておきたいというふうに思います。
  131. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生、多岐にわたって論点を御提示いただきまして誠にありがとうございました。  これは、ハードを一生懸命やろうというかつての、私も随分とこういうのもやりましたが、整備事業というようなものを考えているわけではございません。むしろソフトというものを重視をしながら、農村総合整備モデル事業というのとは違う観点でやってまいりたいと思っております。  もちろん、地域地域において農業の生産性を上げる、コストを下げる、それによって地域を創生するという観点が入った場合にはこういうものもございましょうが、むしろハードでどんどんやりますというようなことを企図しているものではございませんということがまずございまして、その次に、じゃ、補助金でどうだ、交付税でどうだということを考えたときに、補助金でございますと、その地域地域にぴったり合ったものとは限らない。どちらかというと、自治体としてはできるだけ大きなもの、補助率の高いもの、自己負担の低いものというものに傾斜しやすくて、それがどのような効果を発現したかについては、どうも残骸というか墓標というか、そういうものが全国にたくさんありますねという反省を持っております。  一方におきまして、交付税という形になりますと、それがどうしても結果平等を志向するものになりますので、努力がその分評価されるかというと、決してそうではない面を交付税は持っておるという一面がございます。もちろん、地方の固有の財源でございますから、国があれこれと申し上げる筋合いではございませんが、むしろ、私といたしましては、その地域において定められた目標というものを設定をし、それに向けて努力をする、あるいはそこにおいて検証というものがきちんと行われる、それを前提として自由に使える交付金というものを設定するというやり方を今回は取ってみたいと思っております。もちろん補助金がなくなるわけではございません。交付税制度は残ります。しかしながら、その隘路といいますか、そこの隙間というものを埋めるような形の新しい交付金の設計を今行っておるところでございます。
  132. 平野達男

    ○平野達男君 農村総合整備モデル事業をつくったときは、まだまだ農村の社会資本整備が遅れているということで、整備しましょうということでやりました。今回はやっぱり拠点ということで、概念は違うというのはそのとおりだと思います。ただ、こういうハード物となりますと、どっかでやりますと、別の町の方では、何でおらほの方でやらねえんだみたいな話になりかねないということも、ちょっと頭の中に置いてやっていただくことが大事じゃないかということであります。  それから、次の質問に移りますけれども、今日、介護の問題とか、あるいは地域包括ケアの問題だとか、これからの人口減少社会に合わせて地域の高齢化率が非常に上がっていくという中で、やはり当然のことながら介護ということも大きなテーマになると思うんですが、その介護に行く前に、まだ元気な高齢者ということについてちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。  このことは予算委員会でも石破大臣質問をさせていただきましたけれども、私は、本当に高齢者の方々の生きがいというものをどうやってつくっていくかといったら、中山間地域はやっぱり農業なんですね。いまだにやっぱり中山間地域の農業を支えているのは、今この時点でやっているのは六十歳、六十五歳以上、あるいは場合によったら七十歳超えています。  この間、私が中山間地域を歩いていたら、平野さんにどうしても話聞きたいことがあるからこっちへ来てくれと言って、二十分ぐらいずっと立ち話で、延々とその方が、私はこの地域で農業に対してどれだけ貢献してきたか、自分で今スコップを持って畦畔の整備していましたけどね。別れ際、何歳ですかと聞いたら、八十六歳と言われたんですね。まあこれは、この方はかなり元気な方ですから特異な例なのかもしれませんが、いずれにせよ、高齢者の方が頑張っている。  ところが、今の米作り農政一つ取ってみれば、例えば減反政策から国は撤退します、もう全部自由にお任せしますと。結果として、今過剰米も抱えていますから、米価が非常に下がっているのは御承知のとおりです。今の農政は、今の特に米作りに関して見ますと、米を作れる人が作ってくれればいいという方向にやっぱり転換しているようにしか見えないんですよね。  その一方で、高齢者の方々が、割合がどんどん増えていく。今高齢化率が全国平均で二五%とか二六%といっていますが、中山間地域ではもう三〇%、三五%になっている。これはまた四割ぐらいになるかもしれないです。その方が元気でまだ意欲を持っているという状況で、どういう形でそこで過ごしていただくかということであれば、意欲を持っている高齢者に対してはどんどん仕事をしていただきましょうということが、実はこの地域創生のここ十年、二十年間の中の一つの課題になるはずなんですよね。その観点がちょっとないというのが、今の実態とちょっと違っているんじゃないかなということです。特に、私は、農業政策で今農水省がやろうという政策と今実際に中山間地域で起こっているという状況の中では、やっぱりそごがあると思います。  ここは、石破大臣の現場感覚で、本当に今の農政という進め方と、今、現実問題としては、地域創生、地域再生をやろうとしている、そしてその中で、高齢者の割合が増えていくという状況の中でどういう農業政策を取っていけばいいかということは是非再検討をしていただきたいと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  133. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この点はもう随分前から委員とも議論をしてまいりました。  私、農業は経験の産業でございますから、高齢者の方々がその豊かな経験を基にいいものを作っていただけるということの価値は決して否定をいたしません。それはほかの産業と違うところだと思っております。  ですから、農業における高齢者の果たすべき役割というものは、決して、高まることはあれ、低くなることはないということは事実でございますが、基幹的農業従事者の平均年齢というのはとにかくもうずっと十年ごとにスライドしていて、今が六十七歳ぐらいだと思います。十年前は五十七歳で、二十年前は四十七歳でという話ですから、このまま延ばせば、あと十年たつと七十七歳になり、二十年たつと八十七歳になりというようなことで、人間は不老不死ではありませんから、どこかでぱたっといなくなるということがこのままいけば起こるわけで、高齢者の方々に農業をお願いするというのはこれから先もやっていかねばならないことだと思います。環境の整備もしなきゃいけません。  ですけれど、二反であれ三反であれ初期投資に七百万円ぐらい掛かるものを、じゃ、その高齢者の方々の後継ぎたる方々がやろうとするだろうか、それだけの投資をしてやるだろうか、そしてまた、先祖伝来というか農地解放以来というか、そういうような土地についてのそれだけの愛着を持つであろうか。あるいは、大体連担しておりますから、自分が田んぼを粗末にするとみんなに迷惑を掛けるというような意識をその世代の方々もお持ちになるだろうかというと、それは違うのではないかという感じを私は持っております。  高齢者の方々に活躍していただくということと併せて、それがどうして次の世代に受け継がれるかということは、所有と経営の分離も念頭に置きながら、新しい設計が必要だと私は考えております。
  134. 平野達男

    ○平野達男君 このことについては前の予算委員会でも若干申し上げたことなんですが、大体そういう中山間地域の農家というのは後継者がいない人が多いんですよ。例えば、和牛の繁殖農家でも岩手県なんかでは家族農家でやっている方が多くて、今、子牛価格が非常に高いから、やめようと思ったんだけど今はまだ繁殖をやっている農家がいるんですが、その農家も大体後継者がいないんです。いないんですけれども、大事なことは、これから団塊の世代もまた六十五歳以上に入ってきますけれども、まだ農業をやりたいと思っている人が結構いるということなんです。その人たちに対する視点を忘れてはいけないということだと思うんです。  ところが、今の農業政策というのは、先ほど言ったようにしか私の目から見ても映らない。誰かが作った、要するに、七百万トンなら七百万の米の需要がありますから、それは誰が作ってもいいです、作れる人が作ってくださいでは、多分中山間地域はもたないんだろうと思うんですね。そこに多分補助金を付けるというのもなかなか難しいと思うんですけど、少なくともどういうメッセージを送っていくかと。  この地域再生の中では、この高齢者と、それからもう一つ、今日は時間がないから触れませんが、基幹的農業従事者のもう半分近くは女性なんですね。だから、女性の役割というのをどのように位置付けるかということも、是非、これからの地域再生の中で、計画を作っていく中では、是非議論を積極的にこちらから出すことをやっていただくことをお願い申し上げまして、時間になりましたので、私の質問を終わります。
  135. 西田昌司

    委員長西田昌司君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十四分散会