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2015-03-04 第189回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年三月四日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 順三君     理 事                 高橋 克法君                 中西 祐介君                 松山 政司君                 西村まさみ君                 安井美沙子君                 杉  久武君     委 員                 赤石 清美君                 石井 準一君                 大家 敏志君                 大沼みずほ君                 木村 義雄君                 島村  大君                 伊達 忠一君                 藤川 政人君                 丸川 珠代君                 水落 敏栄君                 石橋 通宏君                 小川 敏夫君                 津田弥太郎君                 長浜 博行君                 藤末 健三君                 石川 博崇君                 小野 次郎君                 辰巳孝太郎君                 山田 太郎君                 中野 正志君                 又市 征治君                 谷  亮子君                 荒井 広幸君    参考人        慶應義塾大学名        誉教授        公益財団法人世        界平和研究所特        任研究顧問        ODA大綱見直        しに関する有識        者懇談会座長   薬師寺泰蔵君        立教大学大学院        21世紀社会デザ        イン研究科教授        特定営利活動        法人難民を助け        る会理事長    長 有紀枝君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査  (開発協力大綱の下での我が国ODA等の在り  方に関する件)     ─────────────
  2. 山本順三

    委員長山本順三君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会慶應義塾大学名誉教授公益財団法人世界平和研究所特任研究顧問ODA大綱見直しに関する有識者懇談会座長薬師寺泰蔵君及び立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授特定営利活動法人難民を助ける会理事長長有紀枝君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本順三

    委員長山本順三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 山本順三

    委員長山本順三君) 政府開発援助等に関する調査のうち、開発協力大綱の下での我が国ODA等の在り方に関する件を議題とし、参考人方々から御意見を伺います。  この際、参考人方々一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席賜りまして、誠にありがとうございました。  皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず、薬師寺参考人及び長参考人からお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず薬師寺参考人にお願いいたします。薬師寺参考人
  5. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) ありがとうございました。  私のレジュメがお配りしてあると思いますので、それに沿ってお話をしたいと思います。  二〇〇三年から二〇〇九年まで、国会同意人事をいただきまして、総合科学技術会議常勤議員を六年務めさせていただきました。その間に科学技術外交というプログラムを二〇〇八年に作りました。  科学技術外交というのは、ODAお金とそれから科学技術プログラム科学技術振興費お金を使いまして、開発途上国に対して日本科学者開発途上国科学者が対等の位置付けでプロジェクトをやるというプログラムでございます。現在まで八十七プロジェクトが走って終わっております。四十一か国、アジア、それからアフリカ、中南米を含めて、そういうプログラムを作り上げました。  それで、今委員長から御紹介ありましたように、ODA大綱見直しということで座長を務めさせていただきました。その中で、ODAというのは、全然、科学技術外交プログラムを作りました関係で知らないわけではなかったんですけど、初めてそういう分野に国際政治学者として座長を務めさせていただきました。  三月から六月まで、昨年、大体三か月にわたりまして非常に綿密な議論をいたしまして、有識者懇談会報告書岸田外務大臣に提出したわけでございます。資料の中に入っております。  この我々の報告書ベースにして、全く同じではありませんけれども、新しい新大綱は名前を開発協力大綱というふうにしまして、我々の中でもそういう議論をして、そして有識者懇談会の重要な提言を十分に反映しているというふうに思います。そして、新たな時代にふさわしい政策文書であるというふうに私は思っております。  開発協力目的というのはこの中で非常に明確になっておりまして、やはりそれは国際社会への貢献でございます。そして、国際社会への貢献国益につながるということでございます。  国益議論は様々な議論をマスコミでいただいておりますけれども、これは先生方御存じのように、憲法前文にこういう文章があります。これは、ODAに関する基本的な考え方がありますので簡単に読まさせていただきますけれども、平和を愛する諸国民の、いわゆる信義といいますけれども、グッドウイルに、ベースにして、我々日本は国の存立を得て、そしてそれを維持するということができると。ですから、国際社会における諸国民グッドウイルによって我々は存立をしているんだと、そういうことでございます。そして、平和を維持し、専制と隷従、それから圧迫と偏狭を地上からなくすという高い理想の中で、我々日本は名誉ある地位を占めたいと思う。これがODAの基本的な考えでございます。  それは、ですから、我々の存立というようなものが、やはり国民ベースになっている日本国にとっての非常に重要なインタレストだと、こういう意味国益という言葉を使っております。そういう議論を我々の中でやりました。  開発協力理念というのはきちんと明確化する必要があります。我が国イギリス連邦が行っていたコロンボ・プランに参画して、そしてそれから六十年、ちょうど昨年でございますが還暦に当たって、そしてその中で、先生方御存じのように、一九七八年の衆議院外務委員会議決と、それから八一年の衆議院外務委員会議決、それから最初のODAをつくりました宮澤内閣の第一回の一九九二年のODAの中にもきちんと書いております。それは、環境開発を両立させること、それから、軍事的用途及び国際紛争に使ってはいけないということでございます。そして、平和の安定を我々は目指すのであると、それから、いわゆるミサイルとか大量殺りく兵器を造っている国々にはODAは絶対に出さない。これがいわゆる四原則ということでございまして、その四原則はきちんと守るということでございます。  そして、やはり協働、今までは上から援助をするという考え方が強うございましたけれども、やはりこの我々の議論の中できちんと議論したのは、協働、共に働いていくんだと、そういうような、科学技術外交でも対等という言葉を使いましたけれども、その対等という議論が非常に重要だというふうに思います。  それから、人間安全保障。これは、やはり憲法前文に書いていますように、ティラニーとか圧制とか、そういうものに虐げられている人々を我々は助けていくんだと。こういう議論として、我々は、国際社会議論をしている中で、いわゆるそういう人たちを、失われて外されている人たちをインクルードする包摂性、それからもう一つ環境でございますから環境と、発展ですからサステナビリティー、持続可能性、それからレジリエンス、やはり経済的、それから災害、洪水、そういうようなものに対して我々はきちんとした対応をしていく、この三つ考え方を出しました。  そして、質の高い成長というのは、この三つ議論包摂性、いわゆる持続可能性強靱性、それが入っているのが質の高い、いわゆる漠然とした質の高い成長ではございません、そういう質の高い成長を、ポスト二〇一五の国連の中の議論でもやっているように、我々も同じような考え方をして、そしていわゆる人間安全保障というようなものをきちんとやっていく。それが普遍的な価値の共有、平和な安全な社会構築、それが日本の、やはり我々のインタレストということでございます。ですから、漠然とした国益という議論をしているわけではなくて、きちんとその議論をロジックに展開をしてまいりました。  そして、このODAというのは、先生方是非予算を増やしていただきたいんですけれども、限られている。そのために、ODAというのは、基本的な必要条件ですけれども、それで十分条件ではない。ですから、触媒論を使いまして、触媒論議論して、いろいろな民間資金世界の中にある、それからNGOとかCSOとか社会的なことをやっている方々とか、長さんのように難民のことをやっている人たち、そういう人たちパートナーシップをつくらなければいけない、基本的、それで十分条件に近づいていくと、こういう議論でございます。  民間資金それから官民連携自治体、いわゆる日本自治体も入っていただきたい、それから中小企業を含めた経済界人々も入っていただきたい。そういう点で触媒論という議論展開をいたしました。触媒論というのは、妙な言葉でございますが、結局パートナーシップを使わなければODAというのは十分条件に近づいていかない、こういうことでございます。  それから、いろいろな、先ほどの憲法前文にありましたように、虐げられている人の中には女性人たちが非常に多い、そういう人たちをきちんとやっぱりインクルードしていくというような議論をいたしました。  最後に、ODAは、一九九七年でしょうか、九二年ですか、ODAピラミッドのように増えてきて、そしてピラミッドのように下がってきて、そして今あるわけでございます。七〇年の国連議論をされたいわゆるグロース・ナショナル・インカムに対して〇・七%、まだ日本は〇・二%でございます。先生たち、よろしくどうぞお願いします。これはいわゆる世界に対する日本存立と繁栄とそれから国際社会に対する貢献でございますので、是非とも予算を増やしていただきたいというふうに思います。  ちょっと陳情になりましたけれども、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  6. 山本順三

    委員長山本順三君) ありがとうございました。  次に、長参考人にお願いいたします。長参考人
  7. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 長でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。  参議院の先生方は、長い期間にわたりましてじっくりと政策に向き合う先生方であるというふうに承知しております。そういう先生方の前でこのような機会をNGO市民社会としていただけましたことをまず心より御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。  初めに、私が理事長を務めております難民を助ける会のお話からさせていただきたいと思います。  こちらは、一九七九年、今から三十六年前にできた組織ですが、先生方とも御縁の深い憲政の父とも言われております尾崎咢堂尾崎行雄の三女であります相馬雪香がつくった組織です。そのとき相馬が口にしていたのが、日本善意伝統世界に広めていこうと。そう言うと何かすごく難しく聞こえるのですが、善意伝統というのは、一言で言ってしまいますと、困ったときはお互いさまという発想を身近な人だけではなくて、見ず知らずの方々難民方々にも広げていこうと。さらには、尾崎咢堂が、自分が政治家であった時代日本が第二次世界大戦に突き進んでしまった当時の環境への痛烈な反省から、日本世界の孤児にしてはいけないと、日本世界から孤立させてはいけないと、そういう信念からつくった組織でございます。何を今更というふうに思われるかもしれませんが、今の時代だからこそ、またこの開発協力大綱や私たちの国の国際協力を考える上で大きな示唆があるのではないかと思い、冒頭に紹介をさせていただきました。  今般の開発協力大綱、新大綱と呼ばせていただきますが、こちらの大綱について薬師寺先生有識者座長となり進めてこられたものでございますけれども、私たちも大変大きく共感するものであります。  まず、順番に参りますが、今回の見直しの背景や現状認識、こちらは新大綱前文に書かれてございますが、共感しております。  また、理念、こちらも高く評価し、賛同しているものです。特に、開発協力目的基本方針につきまして、それから人間安全保障考え方が、私たちの国の開発協力の根本にある指導理念として、様々な課題ですとか主体援助をする主体とか、重要な概念を束ねる接着剤といいますかハブのような役割をしている、そういうものとして人間安全保障が捉えられていて、非常に良い形で発展していると感じました。  具体的には、多様化複雑化、あるいは広範化した課題領域、こちらのレジュメにも書きましたが、貧困開発気候変動人道支援復興支援平和構築、全部は読み上げませんが、こういった様々な領域、でもどれ一つも欠くことができないものです。また、多様な主体政府、JICA、国際機関はもとより、民間企業、地方自治体NGO市民社会組織、そして大学研究機関、そして最後国民一人一人まで言及されているというものです。  また、さらには重要な概念がたくさん展開されています。薬師寺先生からもお話がありましたが、包摂性。このODA大綱の中に、私は、一人ひとりというのがこれ検索しますと四回出てくるんですが、一人ひとりという言葉が非常に多く出ていることにも感銘を受けました。対話と協働、さらには相手国の、こちらが勝手にやるのではなくて、これは日本ODA日本国際協力強みだと存じますが、相手国自主性、意思や固有性の尊重をして質の高い成長をすると、こういった点を高く評価したいと思います。  また、重点課題を見ていきますが、こちらも、貧困層への支援、絶対的貧困の撲滅あるいは脆弱な状況に置かれた人々支援というものを質の高い成長より前に置かれていること、この位置も含めて積極的に評価したいと思います。  また、こちらも薬師寺先生から御指摘ございましたが、単なる成長戦略ではなくて、誰一人取り残されないという意味で包摂的というふうな表現がありましたが、本当に誰一人取り残されないということを新大綱が意識的に書かれているというのは非常に重要なことだと思います。また、紛争や政治的不安定さの要因の一つに、貧困についても言及がございます。そして、切れ目のない支援包括性、こちらも非常に重要なことが明記されているかと思います。  また、地域別方針では、ASEAN諸国への支援において、経済成長のみならず、人命を守る防災ですとか災害対処能力、こちらに重点を置いていることも非常に重要な点と存じます。また、アフリカといいますと、近年目覚ましい経済発展が語られておりまして、そちらにもちろん言及する一方で、依然として紛争が頻発していて深刻な開発課題が山積していると、こういう実態も述べてくださったことを本当に評価したいと思います。  次に、新大綱実施ですが、こちらについては、評価とともに多くの課題と強い懸念も抱いておりますことをお伝え申し上げたいと思います。  まず、戦略性強化におきまして、日本ODA戦略性強化をうたいながら、他方で、先ほども申し上げましたが、開発途上国自身開発政策開発計画を踏まえるといった点を、これは日本ODA強みと思いまして高く評価いたします。  また、同時に、ここまで評価点を申し上げたのですが、軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避という点では、これまで事実上禁じてきた他国の軍への直接支援を、民生目的災害救助など非軍事的目的開発協力において、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討するとしたことにつきましては、大きな疑問とともに危惧を抱くものです。特にこの実質的意義というのがよく分からないというような感じを受けました。  私自身難民を助ける会の活動を通じまして、失礼な言い方かもしれませんが、私だけではなくてNGO人間の多くが紛争地、戦争中の国々に行った経緯がございます。軍隊というものがどういうものかというのもこの目で見てまいりました。そこで思いますのが、特に途上国の軍、もちろん国連PKOに最大の兵員を出しているのがインドであったりバングラデシュであったりパキスタンであったりするわけですが、同時に、途上国の軍が国内においては治安の維持装置として働いたり、あるいは、この大綱の中で支援をしていこうとしていく少数者方たちや先住民の方へのまさに圧制のための道具に使われているような場合もあり、そういった途上国の軍というのは規律文民統制の点で私たちの国の自衛隊とは大きく異なるものです。  私自身、年に何回か自衛隊方々NGO活動とはとか人道支援とかをお話し申し上げますが、そこでいつも感じますのは、自衛隊方たちの志の高さであったり規律の高さです。そういう方たちだけを見ていますと、世界中の軍隊がそうというふうに誤解される方があるかもしれませんが、例えば、昨年、発生から二十年を数えましたルワンダのジェノサイドにおいては、国軍がそういった圧制といいますかジェノサイド、虐殺をしたこともあるわけです。ですので、途上国の軍、実質的な意義ということはありながら、また、災害救助と限定しながらも、ここの部分については非常に注意が必要ではないかということを申し上げたいと思います。  それから、開発協力適正性確保のために女性社会的弱者として位置付けられるのではなくて、開発の担い手と位置付けられたことを大変高く評価したいと思います。  他方で、今回女性という言葉が非常にたくさん出て、言葉といいますか、出てきておりまして、それはそれでとても良いことだと思うのですが、女性が十二回、実は数えたんですけれども出てきておりまして、女性を重視する余りに、ほかのこの大綱に出てきている様々な社会的弱者方たちへの配慮がゼロサムにならない形で女性支援というのを是非進めていただきたいと思います。女性だけではなくて、こういった社会的弱者方々が中心になるような支援を続けていただきたいと思っております。  また、今回開発協力適正性確保のための原則で、私たち開発協力関係者安全配慮が明記されました。明記されたこと自体は非常に高く評価したいと存じますが、ただし実践面では不確実な要素が大変多いのではないかと思います。  また、実施体制、こちらは官民連携強化自治体との連携国際機関や他のドナー、新興国とともに、市民社会との連携強化がうたわれたことは大変すばらしいと存じます。そして、実施基盤強化において、対国民総所得、GNI比ODAの量を〇・七%とする国際的目標を念頭としつつも、我が国の極めて厳しい財政状況も十分踏まえつつ、基盤強化のための必要な努力を行うというのは、何かとても極めて弱い書きぶりなのではないかというふうに感じました。  まとめまして、今後の課題でございます。  僣越ではございますが、こういったODA大綱を拝見して、また日々国際協力に携わる中で、今日の国際情勢をめぐる認識、あるいは新大綱でうたわれているODA理念と現実の実施体制との落差、格差、これが余りにも不均衡な状況にあるのではないかと存じます。  こちらも既に薬師寺先生が御指摘されたことを繰り返すような形になりますが、今のODA現状、今年度五千七百八十億円ですが、これをどのように考えたらよろしいのでしょうか。一般会計予算の〇・五%、一%にも満たないと。こちらは、日本ODAの対GNI比では〇・一七%で、DAC加盟の二十八か国中では第二十位です。また、NGO支援連携強化をうたいつつも、NGO予算はその少ないODA予算の中の一%でございます。  ODA予算は減らされてもNGO向け予算は減らなくていいですねということをよくおっしゃっていただくのですけれども、確かにそのとおりではあるのですが、そもそもがこのような低い水準でございますので、何も私は国際協力だけをどうぞ推進してくださいですとか、あるいはNGO支援だけをしてくださいと申し上げているわけではなくて、国益に準じた日本政府ならではODAをしつつも、それ以外の部分もバランスの取れた形で重視していただきたいということを申し上げたいと思います。  さらには、外務省定数についても申し上げたいと思います。  私は別に外務省の回し者ではなくて、日々私たち国際協力を行う中で外務省助成金などもいただいておりまして、その際に、やはり人数の制限から、もちろん定数以外の方たち、臨時の方たちが、大勢優秀な方たちがいるのも存じ上げておりますが、とはいえ、そういった物理的な人数の不足などから、せっかくあるスキームが滞ったり、そういった経験などもしております。そういったことから、やはり外務省定数、これを情報発信ですとか情報収集とか情報分析、これは当然、安全関係も含みます。また、助成スキームの運用に多大な影響があるという意味で、こちらも是非御検討いただきたいと思います。  附属の資料を付けましたが、私も改めてこれを見てびっくりしてしまったのですが、外務省の職員の方の定員というのは国土交通省北海道開発局とほとんど変わらないと。あるいは財務省と比べるのはよくないかも、十二分の一、あるいは厚生労働省の五・五分の一、国土交通省自体と比べますと十分の一でしかないと。この人数日本国益をどういうふうに担うといいますか、ちょっと僣越ながらそういった御指摘もさせていただきたいと思います。  また、あと四点ほど急ぎ申し上げます。  真の意味での人道支援の拡充、これも重要かと思います。人道支援というのは、真の意味敵味方の区別なく、困難な状況にある方たち一人一人を支援することです。この原則を改めて申し上げたいと思います。また、国益に沿った戦略的支援ということであるならば、市民社会、私たち市民社会をより生かした援助多様化、こちらによって、狭義の国益を度外視した、あるいは目先の国益を度外視した活動から得られる広義の国益というのが必ずやあるというふうに私たちは信じております。また、人間安全保障という日本の宝物とも言えるこの概念ODA理念にとどめずに、外交や内政においても、東日本大震災被災地支援においても指導理念になればすばらしいと思います。  今後も、新大綱にうたわれたとおり、日本強みを生かした質の高い、きめの細かい一人一人に届く支援を私たちNGOも心掛けたいと思いますし、先生方からの御支援もお願いする次第です。  早口で大変失礼いたしました。ありがとうございます。
  8. 山本順三

    委員長山本順三君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  参考人に対する質疑を行う際は、御起立の上、御発言ください。  参考人方々の御答弁につきましては着席のままで結構でございます。  また、各委員発言時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 島村大

    ○島村大君 自由民主党の島村大でございます。  本日は、薬師寺先生、長先生、大変有意義お話を本当にありがとうございました。  開発協力大綱の下での我が国ODA等の在り方に関しまして、トップバッターですので、まずは大きなことから伺わせていただきたいと思います。  まず、長参考人にお伺いさせていただきたいと思います。  この度のテロ組織ISILが邦人二人を拘束、殺害した事件は、誠に言語道断で許し難い暴挙でありました。日本国民は、この事件を通じて、テロ問題や開発の問題はまさに地球規模の課題であり、我が国の平和や繁栄とも無関係ではないということを痛感しました。我が国は、人間安全保障として難民支援を中心に国際社会におけるテロへの対応に貢献しております。しかしながら、ユニセフ等の最前線で活動していることもあり、余り知られていないと思われております。  そこで、新大綱では、積極的平和主義の考え方も踏まえ、これまでより積極的な貢献が期待されると考えられますが、我が国難民支援に関する現状課題、すなわち、これまで足りなかったこと、これからすべきことについて、難民支援の現場にお詳しい長参考人に御認識を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
  10. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) ありがとうございます。島村先生、お答えいたします。  難民支援について御質問をいただきました。  既に日本には緒方貞子先生という難民支援の象徴となる方がおられて、緒方先生の時代には日本からの支援もUNHCRに大変多く出ていたと思うのですが、やはり今大分減っていることが大きな課題ではないかと思います。  難民支援、二通りあると思いますが、国際機関を通じての支援、それからJICAですとか私たちNGOを通じての支援、こちら双方をやって初めて良い支援ができるのではないかと思うのですが、今は、それぞれに額が下がり過ぎて、両方にとって、なかなか本来できるべきことができなくなっているというのが最大の課題ではないかと存じます。
  11. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございました。  それでは次に、新大綱の中身、特徴について薬師寺参考人にお伺いしたいと思います。  今日の開発課題に的確に対応するために、新大綱では質の高い成長など新しい概念が取り入れられていますが、この新大綱の大きな方向性としては、従来のODA大綱と大きく変わるところはなく、それを更に深化させたものだと理解させていただいております。  ただ、国民にどう変わったか、良くなったのかというところの部分があると思います。見直された点について改めて御説明いただければと思います。また、国際情勢や周りの変化など、見直すことになった背景についても再度お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  12. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 島村先生、ありがとうございます。  一番大きな変化は、先ほど長先生もおっしゃったように、一人一人もう絶対に失わない。すなわち、開発のところで人間安全保障を見たときに、中進国でも、割と経済が行っているところでも、その中に絶対的に忘れられた人たちがたくさんいるわけですよ。それを、今回のODAといいますか我々の考え方は、それはインクルードしないと我々貫徹しない、そういうような思想がまず第一点でございます。  それから、一番いろいろなところで言われております軍の民生的な仕事に関して、我々は慎重に認可しなければいけないけれども、それを開放したということです。私は、個人的には、一九九一年にドイツにおりましたけれども、そのときに緒方貞子先生がUNHCRにおりました。それで、コソボと、それからそのときに緒方先生は軍用機で軍用飛行場に降り立って、そして、あの小さい体で防弾チョッキを着て、兵士に守られながら二百人の難民の交渉に当たられたわけですね。それはやっぱり自分の原点だというふうに思います。  ですから、軍用にやるということは絶対にありません。それは、基本的にはきちんと担保しています。だけれども、民生用にやられるときには、そういうような緒方先生の、いわゆるセルビアの難民を支えるように、やっぱり軍の民生的な人を支える、守るというようなことを、それを我々は慎重に議論をして、限定的にそういうようなものを開放していこうと。それは、ですから一方では、軍事的なことは、大量殺りく兵器とかそういう武器には絶対にならない、それはもう全然変わっていません。  ですから、非常に例外的にそういうような民生的なものをインクルードするためには、やっぱりそういうようなところの人たちの協力を得ないと駄目だと、こういうことでございます。
  13. 島村大

    ○島村大君 ありがとうございました。  時間も押していますので、最後にもう一点だけ、この新大綱を踏まえた日本の目指すべきODAについて両参考人にお伺いしたいと思います。  新大綱では、ODAの戦略的活用が一つの特徴となっていると認識しております。日本特有の技術や我が国の経験や知識に基づく支援は他国ではまねができず、誇るべき財産であると、これらを国益につなげる取組が非常に重要だと考えています。この日本強みを生かした協力とはどのようなものだとお考えでしょうか。  また、この際、我が国が目指す人間安全保障を実現する上でも、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現を支援する取組が重要だと考えます。このグローバルヘルスへの貢献日本経済成長の実現を結び付けることは可能でしょうか。今後、我が国の保健医療分野の支援に関する現状課題について、時間もあれなんですけど、簡潔にお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  14. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) グローバルヘルスだけ申し上げたいと思います。  我々のODA大綱の中にも入っておりますように、ずっとこれまでも入っておりますけれども、グローバルヘルスという問題がやはり重要な問題として我々は認識しています。ですから、それはいろいろな分野で協力をしないと、エボラの話もありますし、それからフルーツバットというか、それが宿主の、エボラの菌を運んでいるとか、そういう動物学の人たちとの連携とか、そういう多様ないわゆる現象に関して我々は思想を一つにして、インクルーシブしてやっぱり人間安全保障を助けるんだと、こういうふうに考えるのが一番いいことだと思います。
  15. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) ありがとうございます。一言で申し上げます。  日本NGOなどが強みとしております現地の一人一人の方に寄り添う地道な支援というので、こちらはJICAの方々も同じ方向で目指していらっしゃると思います。そういったものをこれからも続けていくことがやはり大事だと思っております。
  16. 島村大

    ○島村大君 あと一分ありますので、再度ちょっとお聞きしたいんですけれども、このグローバルヘルスへの日本貢献日本経済成長、これを結び付けることが、先生は、どうでしょうか、できるとお考えでしょうか。そこをちょっとお願いします。
  17. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 先生も御存じのように、今AMEDという日本版のNIH、いわゆる医療組織が動いています。その中でのグローバルヘルスという考えだと思います。ですから、非常にそういう点では日本の科学技術の進歩、医科学の進歩、それからそれが経済的にいわゆる重要な日本の中での広がり、そういうものがアウトリーチとしてグローバルヘルスの場所に行くと、こういうことだというふうに思います。
  18. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。  本日は、薬師寺先生、長先生、講演をありがとうございました。  私は、一つお二人に御質問申し上げたいのは、今回のこの政府開発援助大綱ODA大綱から開発協力大綱と名前が変わったのは非常に大きなステップだと思います。そしてまた、私は、この人間安全保障という言葉概念がこの大きな柱になったことも非常に喜ばしいと思っております。私は人間安全保障議員連盟のメンバーでございまして、ずっとこれの活動をさせていただいております。  私は、お二人に御質問申し上げたいのは、この人間安全保障という概念、ちょっと御説明申し上げますと、一九九四年に国連開発計画の年次報告書に初めて出て、それを受けて一九九六年、日本外交政策の中に初めて言葉が登場し、その後に人間安全保障基金をつくるなど、我が国の非常に大きな柱として実績を積んできております。  その中で、二〇〇五年には世界サミット成果の文書の中に、各首脳は、全ての人々が自由にかつ尊厳を持って貧困と絶望から解き放たれて生きる権利を強調し、そして全ての個人が、特に脆弱な人々が全ての権利を享受し、人間としての潜在力を十分に発展させるために平等な機会を持ち、恐怖からの自由、欠乏からの自由を得る権利を有していることを認めるということが書かれてございます。  ここで、やはり人間安全保障は、恐怖からの自由、そして欠乏からの自由、そして尊厳を持って生きるという自由がある、この三つがあるということが書かれておりまして、そして二〇一二年の九月には、これは国連の総会でございますが、国連の総会の決議において人間安全保障に関する決議が採択されるという段階に来て、国際的にもこの人間安全保障、一人一人の人間が平和にいることによって戦争をなくしていくという概念が国際的にも認められているという状況になっているわけでございます。  それで、お二人の先生にお聞きしたいんですが、特に薬師寺先生は先ほどの御説明において憲法前文を引かれて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我らの平和を保持しようと決意しという部分を引かれて、この開発協力大綱という形で御説明いただきましたが、私は同時に、憲法前文にある、全世界国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有するという部分がございます。  私が先ほども御説明申し上げましたように、この人間安全保障概念は、その恐怖からの自由、欠乏からの自由、そして尊厳を持って生きる自由というものがございますので、私は憲法前文とこの人間安全保障関係をもっと強調した方がいいのではないかということをずっと思っておりますので、お二人の先生にこれについてお聞きしたいということが一つ。  そして、もう一つは、これはもう長先生が説明いただきましたけれど、私は、開発協力大綱にも書いていただき、そして外交のみならず国内の納税者の皆様にも、我が国外交人間安全保障を基盤にするんです。海外にも私は知らしめる必要があると思います。それはなぜかと申しますと、ISILなんかのようなことが起き、日本が武力による平和をつくろうとしているのではないかという懸念がもう既に世界で生まれ始めている。その中で、私たちはやはり人間安全保障をずっと続けた国家である、平和国家であるということをもう一度海外に訴えなきゃいけないのではないかと。そして、国内の国民の皆様にもそのことを知っていただくことが必要ではないかと思っています。それはなぜかと申しますと、我々の憲法前文に基づく理念であるからということが基本じゃないかと思っています。そういう中で、憲法との関係、そして日本の国内外での柱にしていく、政策の柱にする。  それと、もう一つ大事なことは、二〇一六年、ポストミレニアムゴールが始まりますけれど、今国際会議でいろんな議論が起きている。そして、来年は我が国でサミットがあるんですよね。その中において私たち人間安全保障を打ち出す、国際的に打ち出す非常に大きなチャンスだと思うんですけれども、その点についてお二人の先生がどのようにお考えかということを教えていただきたいと思います。お願いします。
  19. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 先生がおっしゃられるように、憲法前文のところの、やっぱりそのところは我々もちゃんときちんと書き入れました。  それで、人間安全保障、それはやはり二〇〇〇年に入ったときに、コフィー・アナン事務総長の下で新しいミレニアムゴールが決まりました。その中に、飢餓というようなものは中国の成長で大体なくなったんですけど、まだまだいわゆる虐げられている人々にやっぱりきちんと対応していないので、それがポスト二〇一五で今年からずっと始まる国連議論だと、先生のおっしゃるとおりでございます。  日本はこういうODA大綱の中に入れましたので、そういう中で、日本は、やはり国連の中にいてもそういうような、いわゆる虐げられた人々をどうやって日本協働してやるのかという、いわゆるよすがができたというふうに理解しています。
  20. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 藤末先生、御質問どうもありがとうございます。  人間安全保障につきまして本当に大事な部分を全て押さえていただきまして、特に恐怖からの自由、欠乏からの自由だけではなく尊厳ということにもお触れいただきましたこと、とてもすばらしいと存じます。先生がお話しされたように、憲法前文にございます。日本は、その意味でも、人間安全保障という概念を推し進める最も適した国ではないかというふうに思っております。  先生がおっしゃられたこと、本当に私も共感するのですが、世界に向けて日本が平和国家であるということを示していくというのは、どんなに口で言っても、私たち、現場でいつも思うことは、何か約束しても、約束だけだと全然信じてもらえなくて、行って初めて、物を届けて、それを繰り返して繰り返して初めてできる人間関係、そういったものがあるということを非常に強く意識しております。  その意味で、日本が平和国家であるということを多くの方々に知っていただくためには、今回の新大綱にあるような国際協力を本当に地道に行動で示していくしかないと思いまして、また元に戻ってしまうのですが、そのために開発協力予算というのがもう少し増えていくことがそれに直結するのではないかと思っております。
  21. 藤末健三

    ○藤末健三君 時間も限られていますので、薬師寺先生是非ちょっとお聞きしたいことが一点ございまして、これは長先生からも御指摘がありましたけれど、この非軍事的協力というところでございますが、私はもう何回も読ませていただき説明を伺っています。理解しているんですが、ただ、マスコミを見ていますと、非軍事的協力だけれど、どんどんどんどんなし崩しになっていくんではないかという議論がございます。  例えば、長先生も御指摘がありましたように、民生目的災害救助等非軍事目的開発協力において、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討するということで、やはりその個別具体的なものは何か、そして実質的意義は何かということが不明である、だから危ないんではないかという議論が数多く見られます。その点について、私はもういろいろ説明いただいている身ですが、先生、是非ここで御説明いただければと思いますので、よろしくお願いします。
  22. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 先生、いろんなところでそういうような御心配があるのは承知しています。我々は、ロジックとしては非常にはっきりとして、先生と同じように、しているんですけれども、そういう人たちに丁寧に説明するということがないんですね。ですから、これからそういうような議論が起こったときに、いろいろなアフリカの軍の病院なんかで、産婦人科のあれを前の、先生御存じのように、実際にそれにODAを使ったと、そういうケースがいろいろあります。そして、そういうようなものを丁寧に、枠組みにはめて考えるんではなくて、いろいろな場合の、ほかの国のケースもどういうふうになっているかと、こういうのを比較しながら、やっぱり国民の税金を使っているわけですので、きちんと説明しなければいけないというふうに思います。
  23. 藤末健三

    ○藤末健三君 最後に、質問じゃないんですが、この委員会の同僚議員に申し上げたいことが一つございまして、来年の二〇一六年から始まります新しい国際的な開発の目標をつくる状況になりますので、是非我々ODA委員会もそのことをターゲットにまた議論を深めていただければと思いますので、その提案を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  どうも、両先生、ありがとうございました。
  24. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  本日は、薬師寺先生、長先生、貴重なお時間をいただき御説明いただきまして、大変にありがとうございます。  今、藤末先生との質問にも重複するところがございますが、私も、報道等を見ていますと、やはり軍事転用されるんではないかという、その懸念というものはまだまだ強いものがあるんではないかというように考えているところであります。  私自身も、災害援助や復興など、軍が果たしている非軍事的目的での軍の役割というものはやはり非常に重要でありまして、その必要性については大切な部分であるとは思いますが、やはりこれが軍事転用されないという、されていないということを、これをどう透明化していって、国民に対して、また世界に対して説明をしていくのかということが非常に大切であると思います。  これ、転用ということですので、実際に援助をする入口だけではなくて、それが結果として転用されずに有効に活用されているというその入口だけではなく、やっぱり継続的な面でその透明化というものは図っていかなければならないと思いますが、この点についてどのような具体的な方策が考えられるかについて、両参考人にお伺いしたいと思います。
  25. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) ありがとうございます。  過去にそういうような、アフリカの軍の病院だとか、あるいはいわゆるアフガニスタンの空港の問題だとか、難民のためにであるとか、個々のケースはたくさんあるわけですね。そういうようなものをきちんと整理をして、国民の前に説明責任、つまりそういう議論国民のサイドでは起こってきているわけですから、そういうのに丁寧にケースを、ほかの国も含めてケースを集めて、そしてそれを整理をして、そして常にそういうようなことを不断の中でやらなければやっぱり国民に対して申し訳ないと、こういうふうに思います。  実際問題、ケースがたくさんあれば分かるわけですけど、まず最初に民生用のことに限ると、丁寧に、それは実際にそういうようなルールを決めなきゃいけないんじゃないかとかいろいろな議論がありますけど、ルールを決めても守られないケースがたくさんあるわけですね。ですから、そういう点で、最初に包摂性ということをきちんと言って、そして、防災に関してもやはり軍の民生用の仕事があるわけですから、そういうケースみたいなものを各国別にいろいろきちんと押さえて、いわゆるグローサリーで、その中できちんとした整理をこれからしていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。
  26. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 杉先生、御質問どうもありがとうございます。  軍事転用につきましては、私も大きく懸念するところでございます。こういった国際協力世界で、NGOを問わず国連機関も軍事組織とどのように関係を築いていくか、大きな課題としてずっと議論してまいりました。  大きく分けまして、自然災害紛争地を分けて、やはり自然災害では大規模な支援活動で軍事組織が力を発揮することも多いわけですが、紛争地で大地震が起きるというようなことも当然あるわけで、実際の運用は本当に難しいものであると感じております。  本当に一つ一つ、ケース・バイ・ケースで国民に情報を開示していただきながら進めていくしかないのではないかと思います。
  27. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  あと、続けて、今回の開発協力大綱の中で明記されたのが、やはり国益の確保に貢献をするということが今回の大綱の中で明記をされました。やはり、そういった意味では、開発を実際進めていく中で最終的にどのように国益貢献をしていったのかというところについては、PDCA、しっかりサイクルを回しながらやはり検証していかなきゃいけないというように思います。  なかなかこの辺り、どういうふうに効果測定をしていくのかということは非常に難しい面ではあると思いますが、このやっぱりPDCAや又はKPI、どういうふうに目標設定をしていって効果を見ていくのか、この辺りについて具体的な何かアイデア等がございましたら、両参考人に伺いたいと思います。
  28. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 特に妙案はないんですけれども、やっぱり文章の中に国益という書き方がやや稚拙に書いているんですよ。だから、そういうようなものはもっとロジックに書けばよかったのに、とんとん国益と書いているんで、何か真面目に考えているのかと、こういうふうに批判があるわけですけれども。私なんかは新大綱の側に立っているんですけれども、やや、文章の中に何で三つもあるのかと、こういうふうになりますよね。一発でやるとか、すごくパンチが効いていいんですね。  国益というのは、国民、つまりある特殊な国のための益ではなくて、我々が、長先生なんか難民で活躍されているとか、そういうような中にODA大綱政策文書があるんだと。そういうことをやっぱり丁寧に、いわゆる国民に向けて、税金をもらってODAという予算ができているわけですから、やっぱりこれからはそういう方向で、専門家だけの議論ではなくて、いろいろなところで、一応パブリックコメントとかいろいろな説明はやりましたけど、これからは本当に国民がいろいろ疑念を持ったときに、我々はきちんとこういうふうに国益を考えているんだと。つまり、国民の益なんですよ。それは憲法前文の中に、先生おっしゃっているように、そういうようなのが書いてあるわけですから、ある特殊な国のことを書いているんじゃなくて、我々の益だというふうに、タックスペイヤーの益だということもきちんと説明をしなければいけないんだというように思います。
  29. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 続けてお答え申し上げます。  国益の確保への貢献ということでございますけれども、私は、一言で申すならば、やはり多様性の確保だというふうに思っております。特に、戦略性ということで、多様性の確保だと思っております。  と申しますのが、日本国益はこれ、なのでこの部分というふうに一つだけ、狭い国益だけで推し進めた場合、それが駄目になったとき、もう日本国益は大きく損なわれてしまうと。こういう御時世ですので、どんなことが起きるか分からないからこそ、政府のいわゆる狭義の国益も重要、民間企業方たちが出ていくのも重要、学術的な交流、研究者同士のものも重要、そして何より市民社会同士のものが非常に重要なんだと思います。  政府の二国間のものが万一いろんな政治的関係で駄目になったとしても、そういった幅広い多様性のある援助をしていれば、一つが駄目になってもほかで十分カバーできる、それこそ私は戦略的な支援ではないかというふうに思っております。
  30. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  時間も迫ってまいりましたので、最後に長先生に御質問させていただきます。  先ほど来、やっぱり人間安全保障、これが今回大綱の中で明記されたということは非常にすばらしい点であるという形で質疑も続いておりますが、先生の著書を拝見させていただく中で、国家が人間安全保障を述べることについて一部異論もあるという中で、今回大綱の中で人間安全保障を推進していくということをしっかり明記をしたということに対して評価をされておりますが、やはり国家が今回、国としてしっかり書いたことについての意義を改めて確認させていただきたいと思います。
  31. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) お答えいたします。ありがとうございます。  そもそも、私たちのような市民社会NGOにとっては、人間安全保障というのは当然というような意識がございまして、それを本来、国家そのものの安全保障を唱えてきた国や国連が言ったことが本当に重要だと思います。それが表れておりますのは、やはり一人ひとりというような言葉ですとか包摂性というのが今大綱に非常に多く含まれたというのは、まさにその人間安全保障の本質を理解した上で発信してくださったものというふうに思っております。  ありがとうございます。
  32. 杉久武

    ○杉久武君 以上で終わります。
  33. 小野次郎

    ○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。薬師寺さん、長さん、今日はどうもありがとうございます。  お話を伺っていましたら、こういう場に来ていただいたということで何か新大綱の側に立った御説明だったような気がして、本当は多分もっといろいろ心配されていることがあるのではないかと、だんだん同僚議員の質問に対するお答えの中でそういう感じがしてきたわけですが。  ずばり私のお伺いしたいのは、現政権は積極的平和主義というのを掲げています。現政権になってから、いろんな見直しをするたびにその色がすごく出てきている、まあある意味では出過ぎているような気がしているわけです。例えば武器輸出三原則についても、今までのようなラインからある一部で踏み出しているような気がします。もっと言えば、原発輸出なんかも大胆にやってしまっている。集団的自衛権の行使容認の話は御案内のとおりだと思います。  そういう文脈の中でこのODA大綱見直しを考えたときに、同僚議員からも質問出ていましたけれども、日本安全保障のために本当に損得考えて得になるやつをやるんだみたいなラインが出てき過ぎているような気がするんでありますが、私は、ODAというのは、何か思い込みだったのか、人道支援が最もメーンというか、でなきゃいけないと思っていたのに、いつの間にか、この新大綱を見ると日本安全保障に資する経済協力するんだみたいになっているんですが、その点について両参考人認識をお伺いしたいと思います。  特にテクニカルなことを聞いているんじゃなくて、僕は、軍事的なアンバランスを、日本の協力によって何かそのバランスを保つような協力をするのがODAではないんだと私は思うんですね。もっと別の次元の人道的なもの、あるいはその軍事バランスに直結しない経済協力を目指すべきだと思うんですが、この新大綱からは、どうもそうじゃなくて、軍事的なアンバランスをこの経済という手段を使って、経済協力という手段を使って、非軍事的にではあるんだけれどもバランスを保つために使うんだと言っているように見えるんですが、両参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  34. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 先生、もし先生がそういうふうにおっしゃるんだったら、我々の説明責任がやっぱりきちんと対応していないんだというふうに思います。  我々は、世界貧困とか、例えば島嶼国で脆弱な国がいる、そういう中を日本ODAを使って救っていこうと、そのシステムはどういうものかと、こういうような議論をしているわけです。それで、国家安全保障戦略みたいな中をやはり我々はきちんと見ているわけですけれども、その中にODAのことがきちんと書かれているわけですね。それで、その武器三原則とかそういう話は一切書いていない。少なくとも、私がそのいわゆる専門家のエキスパートコミッティーで報告書を出したときにはそういうことは一切書いていません。  僕はそういう世界はよく知っていますけれども、このODAというのは、人間安全保障と簡単に言いますけれども、世界には、忘れられている脆弱な国も経済成長するだけが目的ではないんだと、経済成長している国にもすごく貧しい人たちが虐げられていると、その人たちをこれから助けるんだという理論武装を、我々のいわゆるエキスパートコミッティーの報告書を書いて、それをベースに今度の大綱ができたと。  ですから、先生、開発協力大綱です。開発協力ですから、我々は協力して向こうに行くんだと、自分のためにやっているんではないんだと、それが、向こうに行ってやることが日本国益国民のための益になるんだと、こういう議論です。
  35. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 小野先生、御質問ありがとうございます。お答え申し上げます。  現政権の色というお話がございましたが、私たち市民社会は、その時々の政治がどうあれ、常に一貫して同じメッセージを発信し続けてきたと思います。それは常に、国際協力の現場で地元の人々、まさに地元の方々人間安全保障の視点から、その方たちにとって何が一番必要なのかと、その視点から私たちNGO活動をしておりますので、そうするともう視点はぶれようがなく、その観点から私自身も今日お話し申し上げましたし、また、たくさんのNGOが今般の新大綱にいろいろな意見を申しているところです。  日本安全保障、私たち日本安全保障という言葉そのものを使いませんが、私たちが現場で続けてきた地元の方々に寄り添ったきめの細かい対等な視点から行う支援というものが、広い意味での国益に資するもの、日本安全保障に資するものというのを強く信じております。
  36. 小野次郎

    ○小野次郎君 私の方が全然知識も浅いものですから大変恐縮なんですが、私は、ODAというのはある意味日本の戦後においては平和のための保険みたいなものかなと思っていたんですね。だから、何であんな日本と余り関係良くない国にODAをあげるんだとか、何であんな政権の支援みたいになっちゃうところに経済協力するんだとかいう声が常にあったけれども、でもそれが日本という平和主義の国にとってはある種の保険なんであって、まあ恨まれちゃいかぬし、喜ばれたいし、いろんな国になるべくひとしく、ひとしくというか、このODAを使って、日本に対して間接的に圧力というか緊張というか脅威が高まらないようにしていたという機能はあると思うんです。  だから、本当の理想はグローバルに見た人道的なものだと思いますけれども、日本との関係でいうならば、むしろ保険みたいなもので、ちょっと日本にとってそんなにすぐ役立つのみたいな国であっても、そことの関係においてやっぱり日本に対する脅威が高まらないように、むしろ下がるようにしていた面があると思うんですが、そういう機能はやっぱりこれからも期待できるんじゃないんでしょうか。
  37. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 先生、そういうようなことが国民に対する我々のその答えだというふうに思います、結果として。でも、最初にそれを言ってしまうと終わりじゃないかと、こういう感じになりますね。  我々は、やっぱりもっとNGO方々とみんな議論をしたりとか、JICAの諸君なんかというみんな苦労してやっている人たちを見ると、やっぱり先生、それは助けていかないと、それが日本ODAのコミットメントなんですよ。だから、それが結果的には保険になっている、それが国益ですと、こういう議論だというふうに思います。
  38. 小野次郎

    ○小野次郎君 話題を変えますが、もう一つは、この現政権は、どうもこのODA日本経済発展とか国際展開の手段に使おうとしているんじゃないかという視点なんです。  これもまた、長い間、例えば日本ODAを出すと、だけど気が付いたら日本企業がその仕事をもらっているというような関係がずっと出てきて、それは良くないことだということで、ボンドといったかな、とにかくそれを切ろうと……(発言する者あり)タイドか、それを切ろうとしてきたわけですけれども、何か今回の新大綱を見ると、やっぱりまた日本の国際展開にいささかでも有利になるように使いましょうみたいなことを書いてあるように読めるんですが、そういう心配はありませんか。長参考人、お願いいたします。
  39. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) お答え申し上げます。  先ほどの御質問にもかぶってしまうのですけれども、日本経済発展のため、あるいは平和のための保険という支援もある程度はあっても仕方ないのかなと、仕方ないといいますか必要かなということは思っております。ですが、問題なのは、それをそれだけに、それが主になってしまうということが大きな問題で、それ以外の市民社会支援というのをより大きくしていかなければと思っています。  それで、先ほど平和のための保険、掛金と、大変先生いいことをおっしゃってくださいまして、今、二十七年度のODA予算五千四百二十二億円というのが一体何に該当するんだろうと。資料でお出ししたのですけれども、北九州市の平成二十六年度の当初予算であったり浜松市の予算とほとんど変わらないんですね。これをどう見るかなんですが、平和のための掛金、保険としても余りに掛金少な過ぎるんではないかというふうに、これでは平和の保険にならないんではないかというふうに思っております。
  40. 小野次郎

    ○小野次郎君 伺ったのはその二つ目の方で、日本の経済、国際展開の手段にODAを使うというようにこの新大綱は読めるんですけど、その点についての見解をお伺いしたいということです。
  41. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 失礼いたしました。お答えいたします。  以前、ある先生とお話をしたときに、ODAというのは海外でやる公共事業なんじゃないのかというふうにおっしゃられた先生がおられまして、まさにそういう側面のあるものもこれまでなかったとは言えないと思います。これからもそういうものが全くゼロにはできないのだと思います。  問題は、それをゼロにすることなのではなくて、それの比率を下げるような、それ以外の支援を増やしていくことが本当に重要なのではないかと思っております。
  42. 小野次郎

    ○小野次郎君 終わります。
  43. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。  薬師寺先生、長先生、貴重な御意見ありがとうございました。  私は、二〇〇一年に、当時コソボ紛争というのがあったときに、コソボで暮らす高校生十人を日本に招聘するプロジェクトを行いまして、生まれてからほとんど平和というのを知らない人たちだったので、平和というのがどんなものかということをいろいろ日本を回って、そういう活動をしておりました。  彼らは、大阪という地名は知らないんですけれども、広島という地名を知っているわけなんですね。それはなぜかというと、やはり原爆を落とされた都市だということで、日本のイメージというのを彼らなりに持っておりまして、つまり、戦後、原爆を落とされたああいうところから復興した町だと、自分たち日本のように復興したいというふうに言って帰っていったわけなんですね。  ただ、私が一つ驚いたのは、その二〇〇一年の九月の十一日にちょうど彼らが滞在していたわけなんですが、九・一一のあのアメリカの映像を一緒に見たわけなんですが、しかし、彼らはそれに対して、アメリカは当然の報いじゃないかという見方をしていたことに非常に驚いたんですね。ですから、そこでも、やはりNATOなどの空爆の影響ということで憎しみの連鎖などが彼らの心の中にもあったんじゃないかなというふうに思っております。  そこでなんですが、やはり今回の大綱の中で、軍事協力に傾斜するんじゃないかという懸念が先ほどから委員の中からもいろいろありましたし、実際にそれがどのように軍事協力へ転化されていくのかという追跡も本当にできるのかというような懸念も出されていると思います。  そこで、長参考人にお聞きしたいんですけれども、やはりそういう、いわゆる軍事とは切り離したNGOであるとかODA活動というのを日本はやってきたわけで、やはり日本なりのその面での強みというのが、他国とは違うODANGO活動ですね、強みというのが恐らくあるんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺を是非、長参考人の経験とかというところからお話しいただければと思います。
  44. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 御質問ありがとうございます。辰巳先生、お答え申し上げます。  先ほどコソボのお話がありましたが、私自身、コソボ、特にNATOの空爆のときに、あのとき私もベオグラードにいてトマホークのミサイルが飛んでいくのを下から見ました。そういうときに、私たち日本NGOが現場でどのように捉えられていたかといいますと、あのときNATOに参加していない国、当時、あの旧ユーゴスラビアという国に支援をしている国の大半がNATO加盟国でありましたので、そこに加盟していない日本支援というのが軍事的にも政治的にも宗教的にもあらゆる意味で中立というふうに見られておりまして、私たちは日の丸を掲げて活動しておりました。日の丸が安全や安心や中立の象徴であったわけでございます。  ですが、先生御心配のような軍事協力に傾斜していくと、その日の丸、私たちが安全や安心や中立、まさに日本ブランドだったと思うのですが、それがブランドとして通じなくなってしまうということに非常な懸念を持っております。  日本といいますのは、やはりこういった国際協力をする国々大半、今新興国が出てきておりますけれども、やはり伝統的には欧米、キリスト教の国々が中心で、そういった中で日本という国が持つ役割というのは非常に大きいと思いますし、私たちはその良さを消してはいけないというふうに強く思っております。
  45. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございました。  二つ目は、お二人にお聞きしたいんですけれども、今回の新大綱発展途上国への民間資金の流入が公的資金を大きくしのいでいるということがあります。  いわゆる民間資金が増えているということで、様々、ウイン・ウインの関係をつくっていくことが必要であるとか、国際益というものが国益につながっていくんではないかという議論がされていると思うんですが、ただ、民間資金というのが本当に開発のために資するように使われているということがほとんどだと思いますが、しかし同時に、開発をされていくということは負の側面、例えば逆に格差を広げてしまう場合があるじゃないかとか、あとは富が公平に分配されているのかどうかとか、その辺をやはり検証していく必要があるんじゃないかなというふうにも同時に私思っているんですけれども、このことについてお二人の御意見をお伺いできればと思います。
  46. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 先生、やはり今実際に民間資金がその二倍から三倍ぐらいに回っていると。そのためではないとは思うんですけれども、やっぱり国連議論も、我々の議論も、そのためにインクルーシブに、疎外されている人たちがいると、それが我々の言う卒業国に対する非常にコミットメントということだというふうに思います。ですから、いわゆるパラオとかいろいろな島、フィリピンの洪水なんか御覧になったように、中にやっぱり富の格差が物すごくある。だから、我々は包摂性と言っているわけですよ、包摂性。それを担保しない限りいわゆる物もやっぱりきちんと行かない、それはODAできちんとやっていこうというのが我々の新しい大綱考え方です。
  47. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 辰巳先生、お答えいたします。  先生御指摘開発の負の側面、格差、本当におっしゃるとおりでございまして、私たちも非常に意識しているのですが、先ほど、人間安全保障の視点というのを常に持つことがこういったものの是正というのにつながるのではないかと思います。言うはやすし行うは難しでなかなか実践は難しいのですが、でも少なくともそういう視点を持つことが大事ではないかと思っています。  それから、民間資金につきましては、様々な民間企業が今途上国活動しておりまして、本当に社会企業的な事業ですとか、フェアトレードですとか、そういう企業を私たち自身がどんどん応援していくことも重要ではないかというふうに考えております。
  48. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございました。  最後に長参考人にお聞きしたいんですが、ODAの中でNGOによる支援が大体一%ぐらいしかないので不十分じゃないかというお話がありましたが、仮にこれが倍、三倍に増えた場合、NGOへの支援が、どのような変化、どのような活動の幅が広がっていくだろうかとお考えでしょうか。是非、思いのたけを語っていただければと思います。
  49. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) うれしい御質問をありがとうございます。  まず、NGOで働く方々の職員数が増えると思います。その職員というのは、そもそも国際協力に関心がある方たちだけではなくて、協力隊経験者はもちろんのこと、一般の企業にいる方たち、そういった方たちの人材がより多くNGOに来ることになり、できる事業がより広がっていくと思います。  また、今ニーズはありつつも本当に資金不足から手が届かないような、薬師寺先生が忘れられた飢饉のことも先ほど言及されましたが、そういったところにもより良く入れるようになるのではないかと思います。  ありがとうございます。
  50. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございました。  以上です。
  51. 山田太郎

    ○山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎でございます。我々は日本を元気にするということですから、世界も元気にしたいと思って今日は質疑させていただければと思っています。  実は、私も世界五十か国ぐらいこれまで回ってきまして、前職は、議員になる前は日本の技術を海外に出す仕事もしていました。アジア、ASEANが多かったんですけれども、そんな意味で、現場を津々浦々していますと、JICAですとか国際協力隊の方と一緒にそういうことをするケースもあったので、現場の話を今日少し質疑できればと思っております。  その前に、私もずっとこのODA委員会の中で問題視してきていますのは、この投資というか、お金に対する自立とか出口戦略です。  両参考人是非お伺いしたい点がそれぞれあるんですが、今はこの十年間で、実際には有償資金で焦げ付いてしまって債務免除したのが九千億円、一兆円弱あるというような実態の中で、本当にこのお金が、例えば有効に使われ、自立あるいは出口としてどれだけの効果があったのか、その検証もやっぱりしていかなければいけない。出しっ放しでは依存体質にもなりかねませんし、やっぱり援助ですから、最終的には自立、自活して卒業国になってもらうというのが目標だと思っております。  そんな中で、今回、大綱の中でそういった、より効果のところを、これは検証になるのか、あるいは卒業国に対する考え方なのか、どんなふうに捉えられたのか、まず薬師寺さんにお伺いしたいと思っています。  長さんにはその関係で、いわゆる出口、自立のところでの運用面において、私は実はODAは少し問題があるというふうに思っておりまして、まさに今おっしゃられたとおり、このODA途上国にとっての公共事業なんじゃないかということがありましたが、私も実は去年、キルギス、タジキスタンにも実はこの委員会の派遣で行きまして、学校の設備の上限に一千万円しか使えないとか、割とハード面に対してはお金が出やすいんだけれども、ソフト面については事実上出にくいような実態がある中で、果たして、まさに自立、自活というのがこのお金によってできるのか。あるいは、運用とか保守等に関してはほとんどお金が出ない、幅広く配りましょうと。  私は、どっちかというと、一個に集中してモデルケースをつくり上げて、それを横展開する方が最終的な自立、自活で効果あるんじゃないかなと思って、そんなことを、現場感としては長さんが御存じだと思いますので、それぞれ、この援助の出口というんですかね、自立、自活に関しての御意見、コメントをいただければと思います。
  52. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) ありがとうございます。  先生、私、もう八年ぐらいになるんですけれども、科学技術の技術を向こうの対等でやる場合に一番大事にしているのは、ソーシャルインプリメンテーションをきちんとやらないとお金は出さない。ですから、相手国に対してきちんとした、いわゆる彼らがそれで自立するような中でやるようなプロジェクトしか認可をしないと、こういうふうに言っています。  僕はODAというのは、そういう点では、日本は基本的にグラントインエードというか、貸与ではなくて、やっぱりきちんと向こう側の責任を持ってやると。それは誤解を招いたりする場合があるわけですけど、向こうの自立性みたいなものの努力がないと、お金は、技術も含めて安全も含めて、それはできないんですよ。だから、先生言われたように出口をきちんとね。やっぱり、ただ単に日本企業がもうかるとかそんなことじゃなくて、相手が富をきちんとつくっていかないとそれはいけない。  だから、我々は、いわゆる貧困を解くには、包摂性環境依存性と、環境に優しいやり方と、やっぱりスランプを起こさせないようにきちんとしたレジリエンスを、やっぱりそういうようなこれからの支援を、出口戦略を考えなきゃいけないというふうに僕も思います。
  53. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 山田先生、御質問ありがとうございます。  私、現場にいたNGO人間として感じますのが、やはり日本と多くの途上国では時間の流れ方が全然違うということです。そもそも時計持っていらっしゃらない方たちなんかが非常に多くて、大体待ち合わせなどでも、それだけでも非常に苦労するわけですが。そのときに、先生もおっしゃいました出口、自立というのは本当に非常に重要で、私たちも常にそれを考えているのですが、それに考えるタイムスパンが違い過ぎると。  実際、こういうことがございました。私たち外務省やJICAからお金をいただいておりますが、やはり三年間で最後まで、自立発展までということで、お金が一定の期間で切れるんですね。でも、現地では、特にそれは障害者の施設なのですけれども、とても三年で自立できるはずはなく、私たちが基礎固めを日本政府お金、皆様の税金でやり、いよいよこれからと、事業としてはこれから、でももう当初のお約束の期間は切れてしまったと。何が起きたかと申しますと、結局、その現地の方たちは別の国のお金を取ってきたんですね。結局、日本お金を使って土台をつくったのに、そこから先の花開くところは全部ほかの国の手柄のように持っていかれてしまって非常に口惜しい思いをしたことがございます。  ですので、出口戦略、非常に重要なのですが、そのときの時間の流れというのが日本の物差しでは測れないということも同時に私たち認識していなければいけないのではないかというふうに考えております。
  54. 山田太郎

    ○山田太郎君 もう一つ、今回の大綱の変更で、いいにつけ悪いにつけやっぱり注目されているのは、まさに他軍への直接支援民生目的にといったところはやっぱり注目されているところだと思います。  私も、まさにおっしゃられましたが、日の丸ブランドというのは赤十字の旗に近いぐらい、私も海外で危ないところを結構回っていたんですけれども、日本人であるということで非常に仕事はやりやすかったところもあるんですが、これからは、先ほど小野議員の方からもありましたが、やっぱり問題意識として、ODAまでこういったところに巻き込まれていくのかなというのは非常に残念で、もしかしたら、ならぬのですけれども。  そこで、ちょっと前提としてお聞きしたいんですが、これはもしかしたら薬師寺参考人の方が実際の座長としてやられてきたのでお詳しいのかもしれませんが、今、大綱の中で改めて明記したいわゆる実質的意義に着目し、まさに民生目的であれば軍に対する支援というのをしなければならぬのか、あるいは、今までだって現実的には現場でされていたんではないか、あえてここでこの議論を立てる必要があるのかないのかということまで含めて、少しそこはきちっと今回の大綱の前提としておきたいなと思っておりますので、まず、なぜそういったものがこの審議会の中でも議論されるに至ったのか、事実というか、その辺を是非薬師寺参考人にお伺いしたいのと。  もう一本、ごめんなさい、長参考人には、時間があればなんですけれども、現場でこのことを明記する必要は現実的にあるのかどうか、そこも逆にあると思っております。私も実は軍に守られながら危ない地域に行ったケースがあるので、必ずしも、ハトポッポのようなことも、現場じゃ軍なんか関係ないよとも言っていられないのは分かるんですけれども、本当にあえてこれを今回挙げる必要があったのかどうか、現場からの御意見もいただきたいと思います。
  55. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 衆議院の外務委員会できちんと議論されているように、前の二〇〇三年の大綱も全く同じでございますけれども、つまり軍というのは戦闘的なもの、いわゆるミサイルとか武器を買ったりする、そういうことは軍はやると思いますよ。そういうようなものには絶対に金を出さないというのはもうしっかり。だけど、民生的なものというのはいろいろな場合があるので、割とそういうようなものが、ですから個別ケースで、例えば今までも軍に渡さないという確約を得たりとか、もしそれが、破った場合にはさっとODAを切らなきゃいけないわけですね。ですから、そういうような対応で、でも、やっぱり先生、虐げられている人がいるわけですよ。そういう人たちが、土木の道路を造ったら橋を架けなければ支えられないわけですよ。僕は政治学ですので、相手国のガバナンスとルール・オブ・ローが欠落しているわけですよ。我々が行ってやるわけにはいかないわけですよ。そうすると、彼らにやっぱりきちんとやってくれというようなことでそういうような議論をしたわけです。  以上です。
  56. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) お答えいたします。  先生御指摘の文章につきましては、私たち市民社会NGOは一貫して削除をしていただきたいということを申し上げておりました。やはり、私たち強みというのはそういったところとは関係なく活動することだというふうに思っておりますし、この部分には戸惑いがございます。
  57. 山本順三

    委員長山本順三君) 時間です。
  58. 山田太郎

    ○山田太郎君 これで終わりにいたします。ありがとうございました。
  59. 中野正志

    ○中野正志君 次世代の党の中野正志と申します。  政府開発援助大綱として示されていた私たちの国の外交方針が、今回、開発協力大綱と名称を変更されました。その背景として、外務省国際情勢多様化複雑化、そして広範化を挙げていますけれども、参考人のお立場から、そのような国際情勢の変化に対して我が国ができる貢献の在り方として、援助から協力にシフトしていくための国内的環境、今日もいろいろな議論あります、後で申し上げますけれども、すなわち国民の皆さんの理解、それから自衛隊の活用、あるいは民間との協力体制などに必要な法整備、あるいは環境などが十分整っているのかという認識をお持ちですかどうかお聞かせをいただきたいと思いますし、問題点そして留意点などがあれば是非そのことも御指摘賜りたいと思います。いかがでしょうか。
  60. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 二〇〇三年のODA大綱の期間にも、いろいろな軍の病院の産科の支援だとか、いろいろな軍が使っている軍民の飛行場みたいなものに対して支援をする、その場合民のことをやっていく。それは、今までそういう流れがなかったわけですね。  それで、私は皆さんと議論をしたときに、どういうふうに担保するかというのは、これからきちんと、これまでも相手の国に対して軍事転用、戦闘とかそういうようなものに使わないという確約を得て、それでまだ実績的にそれを破ったのはない。ですから、そういう中で、やはり日本がいわゆる国際貢献をして、国際社会に対して我々は外交と同じように国際協力外交をして、そして日本という国がきちんと世界に対して責任を果たしているんだと、今までは日本の経済がそれほど伸びていないときから始めましたものですから、どうしてもそういうような、保険だとか、いわゆる経済的なパイを広げるんだとかあったんですけど、これからは先生、日本も国際国家としてやっぱりきちんと議論をして、そしてそういうような貢献をすべきだというふうに、そういう時期が来たと、そのケースがたくさんあるものですからね。ですから、私は基本的にそういうような考えでいわゆる議論をリードしたわけです。
  61. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 御質問ありがとうございます。  お答え、何度も同じことになってしまうのですが、私たち日本市民社会ができる支援というのは、今までどおり現地に密着した地道な支援をし続けていくことだというふうに強く思っております。  余り軍事転用云々、そういうことを申しますときに、NGO人たちは何も知らない夢見る夢子さんの集まりと思われるかもしれませんが、私たち紛争地に多くの日本NGOが実際に行っております。どういうことが起きているのかもこの目で見てまいっております。その上で、日本ODAにできる最大のことは、今までどおり地道に一人一人の方に寄り添う支援を続けていくことではないかというふうに思っております。
  62. 中野正志

    ○中野正志君 先ほど来の議論で、ODAが安易に軍事に転用できるかのごとく議論がありました。誤解されると困りますので、私は違う視点からあえて申し上げますけれども。  国民の皆さんの非常に素朴な疑問で、あの中国に対して日本が今日まで三兆数千億円の無償、有償のODAを続けてきた。何で中国にやる、これが数年前の議論がありまして、たしかあの当時、町村外務大臣のときに、もう中国は立派にしかるべく国になられた、もうやめた、それでも一部続いておるんでありますけれども。ほかの例えばアジアであれアフリカの一部であれ、私たち日本の国がODAでいろいろ国づくりに協力いたしました国は、ちゃんと道路であれ橋であれ、日本の国旗を作り、ちゃんと書いてあって、感謝の気持ちを表していただいているんですね。ところが、中国に行って、高速道路であれ、あるいは北京の空港であれ、そんなの見たことない。感謝の言葉なんというのは、失礼ですが、聞いたことありますか。私なんかも聞いたことない。中国に行ってすらそうなんですよ。  私は、そういう形の中で、日本の国内でODAが簡単に軍事に転用できるような議論は少なくとも国会でなんかするものじゃないと、率直にそう思っておりますが、私の見解に薬師寺参考人のお考えを聞きたいと思いますし、中国に対するODAは、どう結果的に御評価、プラスであれマイナスであれいいんでありますけれども、お聞かせいただけませんでしょうか。
  63. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 先生の基本的なお考えは非常に私も共有するところがあります。  中国に関しては、今や経済成長をしていますけれども、やっぱり飢餓の問題がすごくあって、それでそのほかの国も飢餓を撲滅すると、そういう中で行われて、今現在は非常に少なくなっていますけれども、基本的にPM二・五とか環境問題、環境技術の移転とか、そういうふうに使うように、ある程度きちんとしたいわゆる目的を持って支援をしていると、こういうふうに理解をしています。
  64. 中野正志

    ○中野正志君 ありがとうございます。  薬師寺参考人、今回の私はこの新しい大綱について、大変大きな評価をさせていただいております。どうぞこれからも、やっぱり人間安全保障、これを追求することで私たち日本は新たなリーダーシップも発揮することができると、そういう視点の中で、大綱を出して終わりではありませんので、これからもいろいろ御指導いただきたいと思います。  終わります。
  65. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は、両先生、お忙しい中、どうも貴重な御意見、ありがとうございました。八人目ぐらいになってまいりますと大体ダブってくるんでありますが、少し整理を含めてお伺いをしておきたいと思うんです。  先ほどは、薬師寺先生、大変な大綱見直し座長を務められて御苦労いただいたお話でありましたが、先生がお話しになったことと外務省が発表しておる文書とは何かえらい乖離があるような気がしてならないんですよね。  例えば、この政府開発援助大綱見直し、この見直しの背景なんていうのがあって、一番目にODAに求められる役割の多様化とあって、いきなり国家安全保障戦略、そして二つ目に日本再興戦略と、こんな格好が出てくる。そして、国益という話が出てくるものですから、先ほど小野先生がおっしゃったように、私も同じような認識を持ってしまうんですけれども。  先ほどから先生がおっしゃっている話をお聞きすれば、少なくとも日本からのこれまでの六十年にわたる人道支援、そういうものの成果が上がっていく結果として、日本の平和であるとか繁栄であるとかという、そうした国益というか国民益というか、そういう側面、効果が出てくることは、私たちも否定はしないし、それは誠に結構だということなんですが、やはり何といってもODAは、先生が冒頭御説明いただいたように、憲法前文のあそこに書かれている、やはり我々の崇高な理念といいますか、そういうものなり、あるいは二〇〇〇年の国連ミレニアム宣言、こうした中身がしっかりとやっぱり基礎でなきゃならぬ、こういう観点が大事にされておかなきゃならぬのだろうと思うんです。  そういう思いでいきますと、ちょっとやっぱりこの国益だとかが前へ出過ぎる、誤解を生じてしまうという、先生方の説明というよりも、政府が何か勝手にこういうのを前へ出すものだから、どうも先生方がおっしゃっていることとちょっと食い違いが出てきているように感じるわけですが、いずれにしてもODAの基本は、少なくとも国連ミレニアム宣言などというものが、もう何としても基礎でなきゃならぬということは間違いない事実なんだと思いますが、その点の御確認と。  もう一つは、先ほど来から出ておりますが、何といっても非軍事の人道支援ということが基礎ということなわけですから、としますと、その実質的意義に着目して個別的に軍などに対する援助というものも検討するという、入っているものについて言うならば、先ほどおっしゃっていただきましたが、具体的な事例を点検をして、検証をして、これは駄目よ、これはこれならばいいと。例えば、さっきもおっしゃったように、病院とかそういうものなどというのはあるんですけれども、しかしそれが軍事転用されていく危険性もなしとはしないという問題がありますから、それはかなり具体的に検証がされるべきであろうと、こう思うんですが、以上、二点についてお伺いしたいと思います。
  66. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 私は、いろいろな外務省国際協力局と連携して科学技術に関する外交プログラムを作りましたので、敵ではありません、味方ですけれども。ただ、文章の書き方の問題。それは学者として文章をどう書くかというのがあって、やっぱり外務省も役人の集まりですから、やっぱりきちんとした、何というんですかね、数式モデルみたいに作るわけですよ、先生御存じのように。そうすると、どうしても文章が稚拙になってしまう、それだけの話で、批判をしているわけではないわけですね。  でも、先生がおっしゃったように、何というんでしょうね、そろそろ日本もきちんとした国際的な議論の中に入ってODA大綱を、きちんと政策文書を書いて、そして日本のこれまでのいわゆるODA外交開発援助支援外交というようなものを少しきちんとしたリッチなものにしていこうと、そういうんで、国際的なポスト二〇一五のミレニアムゴールみたいなものと、それで包摂性とか、いわゆるサステーナビリティーだとか、そういう議論をきちんと初めてやったわけですね、今回のODA。それがどうしてもまだ堅い部分がありますので、それはやっぱり、一応パブリックコメントなんかも全部やりましたので、そういう中でまあ一応はでき上がったと。そういうことが、やっぱりいろいろな先生方の御批判も受けながら少しずつ肉を付けていかなきゃいけないと、こういうふうに思いますね。
  67. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  それじゃ、長先生にお伺いをいたしますが、難民を助ける会理事長としても大変御活躍、敬意を表したいと思います。先生の論文を幾つか拝読をさせていただきまして、多くの点で共感をいたしました。とりわけ国家を相対化する人間安全保障という視点というのは、これからの安全保障途上国支援の在り方としては大変重要な御指摘だろうと、こんなふうに思います。  そこで、今、同じようなことをお聞きするんですが、決定された開発協力大綱基本方針では人間安全保障の推進が明記されて、これが日本開発協力の根本にある指導理念とされている、この点は歓迎したいと思うんですが、どうもこのODA大綱を見直す背景として、外務省からの資料によると、国家安全保障戦略あるいは日本再興戦略のためにODAを活用するんだというふうに、こういうふうにうたわれている。これが全部駄目とは言いません。国家安全保障戦略だとか再興戦略が全てが駄目とは言いませんけれども、そのために何かやっているような、日本経済の再建のためにODAをやっているみたいな、こういう記述というのは大変に問題だという気がいたしますし、今回の閣議決定が余りにも国益であるとか国家が前面に出ているような気がするんですが、この点について長先生のお受け止めはどうでしょうか。
  68. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 又市先生、ありがとうございます。お答え申し上げます。  国家安全保障戦略、そういったことが前面に出過ぎていると、おっしゃるとおりだと思うのですが、それを薄めないと本当の国益というのは実現できないというふうに私たちは思っています。じゃ、その本当の国益を実現するには国家の安全保障戦略は重要、それをなしにしろと私たち申しているわけではなくて、それはそれで大変重要だと存じます。それと同時に、市民社会による支援、あるいは国際機関による支援も同様に重視していただきたいということを繰り返し申し上げたいと思います。
  69. 又市征治

    ○又市征治君 もう一点、長先生にお伺いします。  先生、この移民の受入れに関連して、二つの人間安全保障が対立する場合があるというのを講演でお述べになっていることがあるんですが、ちょっと私はそれを離れて、移民の問題じゃないんですけれども、日本難民の受入れ問題、これについて先日、決算委員会でも総理に質問をいたしました。一言で言うならば、シリアなどに非軍事難民支援問題、せんだって二億ドル支援するということが出されたわけであります。この問題も必要だと思います、私も。しかし、日本自身難民に対してもう少し柔軟に対応をして受け入れてもよいのではないかというのが私のそのときの質問の趣旨なわけであります。  シリアから、それこそ何件も何件も難民の申請が来ているわけですが、一件も受入れをしていないわけですね。これは、国連高等弁務官からも日本は厳し過ぎるということも指摘を何度も受けているわけですが、依然としてこれをカットしている。  いろんな難しい問題もあるんだろうと思いますけれども、実際の支援行動というのは現地の国際組織に任せて、それは二億ドル出せばいいと、こんな格好になって、難民は自国には受け入れないというのでは、これは本当の意味支援ということになるのかどうか、大変問題ではないかという、私はそういう認識で質問をしているわけですが、この点について先生の御見解を伺っておきたいと思います。
  70. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 又市先生、引き続きありがとうございます。  難民の受入れなのですけれども、この問題というのは、やはり政府だけではなくて、実際に受け入れるのは私たち国民一人一人がそれだけの準備があるかどうかというのと非常にリンクしているのだと思います。受入れが厳しいということの一つは、日本国民といいますか、そちらの状況をそんたくしてという部分もあるのではないかと思います。  やはり難民の受入れ、海外への国際協力と同じように、本当に日本社会そのものを開いていかないといけないと思う一方で、難民方々が一番いいのは、やはり自分の国に帰れること、それができないときには、せめて近く、隣の国などにいて、なるべく近い環境にいることだと思いますので、まあ遠く離れた日本で受け入れるのも非常に重要なのですが、同時に、難民支援と、それから難民の方が一日も早く元の生活に戻れるような支援を引き続きしていく必要があるのではないかと存じます。
  71. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。終わります。
  72. 谷亮子

    ○谷亮子君 谷亮子です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。  本年二〇一五年二月十日に閣議決定されたばかりの開発協力大綱の下で、我が国ODA等の在り方についての質疑ということでございまして、大変御多忙のところ、本日開催の特別委員会に御出席していただきました薬師寺参考人、そして長参考人に心よりお礼を申し上げたいと存じます。ありがとうございます。  初めに、薬師寺参考人に御教示いただきたいと思っております。  私は、今日は保健医療分野に関する日本の国際貢献についてお伺いさせていただきたいと思います。  開発途上国現状というものを見てみますと、開発途上国に住む人々の多くは、先進国であれば日常的に受けられる基礎的な保健医療サービスを受けることができないという現状も報告されております。また、衛生環境などが整備されていないために、感染症や栄養不足等によりまして年間六百九十万人以上の五歳未満の子供が命を奪われてしまっているという現状、そしてさらには、産婦人科医や助産師など専門技能を持つ者による緊急産科医療が受けられないなどの理由により年間二十八万人以上の妊産婦が命を奪われてしまっているという現状等々、深刻な状況がこれまで報告をされてきております。  このような問題を解決するという観点から、二〇〇〇年以降は、国際社会は、ミレニアム開発目標の保健関連の目標、この中では、乳幼児死亡率の削減、そして妊産婦の健康改善、さらにはエイズ、マラリア等の疾病の蔓延の防止等の達成に取り組んでまいりましたけれども、その達成期限というのが本年二〇一五年となる中、低所得国を中心にその進捗が遅れ、達成が難しいのではないかという報告もされております。このような現状を踏まえた上で、やはりODAが果たす役目、役割というのは大変重要であると私は考えております。  そこで、薬師寺参考人座長を務められました、また、その中でも議論をリードされてこられました有識者懇談会報告書では、先ほど他の委員の中でもお話ございましたが、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ等、また、課題解決先進国としての我が国の経験と知見を世界に共有していくことは我が国の基本姿勢であるとともに責務でもあるとされていらっしゃいますけれども、今後の保健医療分野における我が国の国際貢献の拡充に向けた取組についてどのようにお考えでいらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  73. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 私の個人的な考えですけれども、先生おっしゃったような、いわゆる乳幼児の死亡率が非常に問題なわけですね。それで、例えばインドネシアなんかもそういう、一般的に何をやるかというと、病院をつくればいいんじゃないかと、こういう議論をするわけですよ、どこも。だけれども、助産婦のいわゆるそういう人たちを派遣する組織だとか、もちろん病院も必要なんですけれども、そういう議論が細かいですね、救っていくんだという相手の、やっぱり子供たち、赤ちゃんたちがたくさん死んでいるわけですね。それがいわゆる中進国といいますか、卒業国なんかにも多いわけですよ。  ですから、そういう点で、いわゆるインクルーシブネスの中に大人だけではなくてやっぱり子供たちも赤ちゃんもいるんだということが我々の安全保障に関するインクルーシブネスの考え方で、国連も、ミレニアムではエイズとかああいうようなものがまだ続くわけですけれども、やっぱりそういう妊産婦とかマラリアだとか、そういうマラリアが全部終わっている国と終わっていない国があるし、エボラみたいなんかが始まっている国もある。  だから、そういう点で、やっぱりそういうグローバルヘルスの分野というのは、ODA大綱にも書いていますけれども、ますます重要になってきていると、こういうふうに思います。
  74. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございます。  やはり日本の保健医療ですとか、さらには医療技術、そしてさらには医療器具といったものはやはり世界有数の優れた技術があるというふうに世界からも評価されていますので、何とかやはりそういったことで貢献していかなければならないなというふうに私も感じているところでございます。  続きまして、長参考人に御教示いただきたいと思います。  長参考人におかれましては、長年難民を助ける会に勤務されまして、その間、最前線の現場で国際協力の推進に力を尽くしてこられまして、現在は難民を助ける会の理事長として様々に活躍、また推進に力を尽くされていらっしゃいます。  そこで、長参考人理事長を務めていらっしゃいます難民を助ける会は、全ての障害のある方々社会に平等に参加できるということを目指すとの目標に基づき、社会のサービスの行き届かない国、地域で障害のある方々の経済的又は精神的、社会的自立を支援すること等を活動重点に据え、アフガニスタンでの理学療法クリニックの運営支援、そしてさらにはタジキスタンやラオスでのリハビリテーションの施設への支援、さらにはカンボジア等での車椅子の製造と配付支援、ミャンマーでの職業訓練校の運営や障害のある児童のこれは里親プログラム等の多様な支援活動実施されていらっしゃいます。  このように、これまでの活動経験を踏まえた上で、こうした極めて有意義支援活動を更に充実させていく上で、今後もっとこうしたい、こういったことに取り組んでいきたいという等のお考えがございましたら、是非お聞かせいただきたいと思います。
  75. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 谷先生、どうもありがとうございます。  今お話しくださいましたように、私ども、障害のある方たちへの支援というのを非常に重視しております。その理由の一つは、やはり何といっても私たち、国や国連機関と比べますとお財布が小さいものですから、その小さなお財布でも確実に支援が行き届くようにということで、障害者の方たちに特に絞った支援などをしております。  とはいえ、常に財政難でございまして、日本の皆様は自然災害が海外で起きたときには非常に賛同してくださって御寄附たくさん寄せてくださいまして、政府助成金だけではなくて皆様の御寄附で成り立っているのですが、こういった障害のある方たち支援であったり、また紛争地支援になると御寄附がなかなか集まらないというのが現状でございます。  そういった、日本の皆様にその部分を御理解いただいた上で障害のある方たちへの支援をしていきたいと思うのですが、先ほど一つ目の御質問で、乳幼児の死亡率ですとか妊産婦、大変、先生、数字を挙げておっしゃってくださいました。そういうところへの支援をもっともっとしていかないと、今、安全保障という言葉が今日何度も出てきておりますが、まさにそういうところの支援が手薄になると、そこにテロが巣くうんだと思います。本当に私たちが考える安全保障は、そういう見過ごされがちな方たちのところへの今までどおりの日本強みを生かした支援官民両方でしていくことで、テロが起きないような社会といいますか、それが巣くわないような社会への貢献も同時にしていきたいというふうに思っております。  ありがとうございます。
  76. 谷亮子

    ○谷亮子君 ありがとうございます。  やはり人間安全保障というのが非常に重要であるということを私自身も感じております。  そして、もう一点、長参考人にお伺いさせていただきたいと思います。  難民を助ける会では、これまで様々な支援対象国においてスポーツ用品の供与や運動専門指導員によるスポーツ指導、さらには障害者スポーツ振興のようなスポーツに関わる支援というものを非常に広く実施されていらっしゃいます。また、薬師寺参考人座長を務められました有識者懇談会報告書の中でも、質の高い成長を通じて貧困の削減を目指すとして、スポーツは人間としてのバランスの取れた成長の実現という観点から質の高い成長の一要素との記載がなされておりました。  そこで、国際社会で責任ある地位を占める我が国がスポーツを通じて国際貢献、また国際支援を果たしていくことについてどのようにお考えでいらっしゃるのか、最後にお聞かせいただきたいと思います。
  77. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 引き続きまして御質問ありがとうございます。  私たち、スポーツの中でも、特に今先生がおっしゃってくださったような障害のある方たちへのスポーツ支援というのを念頭に置いてやっております。その良いところは、障害のある方たち自身がスポーツを通じてもう一度自信を取り戻していくということももちろんなのですが、やはり皆様、地元での差別やそういったことに非常に苦しんでいる方たちが多くおられます。そういう方たちに職業訓練をしていただいて御自分で稼げるようになるということで周りの理解を得るというのももちろんなんですが、スポーツで活躍することによってもそういった差別や偏見の根を取り除けることに貢献できるのではないかと思いますので、日本のますますそういう部分での支援というのがよいのではないかと思っております。
  78. 山本順三

    委員長山本順三君) 谷亮子君、時間が来ております。
  79. 谷亮子

    ○谷亮子君 貴重な御意見ありがとうございました。  終わります。
  80. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 どうも今日はお疲れさまです。  最後になりました。どうぞよろしくお願いしたいと思います。  早稲田大学のエジプト考古学をやっておられる吉村作治先生、何度か現地で賊に襲われて危険な目に遭ったそうでございます。そのときに、おまえたちは何だということであって、日本だと、この発掘調査している早稲田だと。ああ、それならおまえたちは俺たちのためにやっているんだということで理解されて難を免れたというのがあって、その後、荷物を運ぶにしても発掘をするにしても、日の丸と早稲田大学の旗を立てておられるそうなんですね。これが、安全に身を守る相互理解のシンボル、平和の旗になっているわけです。  今、従来の日本へのイメージというのが変質してきているんではないかという私は心配をするんです。それは過剰な心配になってくれればいいわけですけれども、客観的に言えば、あした衆議院で国民投票法を、十八歳でやるということを含めて、この法律あした出てまいります。憲法改正の手続が法制化として進んできております。そして、自衛権に関わる御案内のとおり様々な議論が今起きて、安全保障法制を、これを作っていくと、こういうことにもなっている。同時に、衝撃的でしたけれども、これだけ我々は平和を愛している国民、国でありますが、ISによって邦人の皆さんが殺害されたわけです。また、中国、韓国との歴史問題を含め、領土問題を含めて緊張関係もあると。  世界中は、ひとつ大きく日本を注目しているんだと思います。総理の七十年談話もありましょう。アメリカに行っての共同の宣言があるのかもしれません。非常に大きく私はやっぱり日本のイメージというものが少しずつ海外の方々に変質して受け止められてきているんじゃないかと。これは我々一人一人の行動も含めてそういう形で伝わっているんじゃないかなと。言葉を換えさせていただけば、誤解を受けているんじゃないのかなという心配なんですね。その意味において、今回非常に私はタイミングが悪いと思っているんです。国益を前面に出している。  そしてもう一つは、他国軍への支援を、災害援助など非軍事目的の場合はその実体的意義に着目し個別的、具体的に検討すると、こう言って、これが薬師寺先生も関わられて、これは大きなところですよと、こうおっしゃっている。国益の確保を始め、それらを明記しますが、同時に、積極的平和主義をきちんとしてODAをより戦略的に活用するということと、先ほど来からありますように、ODA軍事的用途紛争助長に使わないと、原則をこれも維持しているということなんですが、こういう状況の中で正しく捉えられているかという意味においては、非常にODAまで軍に加担するのかという私は誤った理解というのが浸透してしまうんじゃないかという危険を持っているんです。  よって、草の根の皆さん方の、テロや反政府軍等々の武力に巻き込まれるおそれを私は感じるんですが、この点、そうならないようにきちんとした説明を日本政府はしていくべきだと思うんです。身をもってそれをまた示していくには時間が掛かります。  じゃ、当面取れる対策は何かというと、いわゆる先ほど来から先生方からも、実質的意義ですね。これは軍事的転用がされないようにきっちりケース、ケースを見てやっていくんだと、それはセネガルの軍の病院の例もあるんだと、こういう御説明なんですが、果たしてそれだけで、我々立法府として、はい、そうですよと言うわけにはいかないんですね。というのは、政府のこれは裁量的余地が大きくて、ある意味では抜け道にもなりかねないというおそれを抱いている人も世界中にいないとは言えないんですよ。  私は、そういう立場を取らないつもりではいますが、そこに説明が行き届かないと、邦人が非常に危険な状況に立たせられるし、日本ODA日本の国柄が誤って取られてしまうという大変な、当面の国益より百年の国害を私は与えてしまうことになるんじゃないかというふうに思いますので、薬師寺先生、長先生に順番に、軍事目的と受け止められない、そういう余地を残すためには、外交上も大変な難しさをそうなると持ちますから、やはり軍事転用を防ぐための運用基準というのはどうしたらいいとお考えか。運用基準というのが作れるのかどうか、それを国会がチェックできるようにするという意味で、政府に裁量を残さないという意味ですよ。二つ目は、軍事転用をしていくという、追跡調査をやらないといけないと思うんですよ、これ。こういうものを作った方が私はいいと思うんです。  運用基準というのは果たしてできるのかどうか、そして追跡調査をしていくということは必要だと思いますが、いかがでしょうか。この二点、薬師寺先生、長先生にお尋ねしたいと思います。
  81. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) 大変難しい御質問です。  我々は、国際社会が、それぞれの国々が同じような議論をやはりしているわけですね。それで、その中に、国際社会に入ることによって日本の安全と繁栄があるわけですので、そうすると、国際社会、特に国連議論、いろいろな議論と一緒にしながら我々は言っていく必要があると思いますね。日本の中だけで閉じられている世界ではないのでね。でも、日本の中でやっぱり説明をしなければいけないというふうに思います。  私は、個人的には、運用の基準だとか、軍事転用のおそれがないような何かルールを決めなきゃいけないかとか、そういうようなものの前に、やはりこういう議論をきちんと皆さんが理解をしていただいて、そして、うまく今までは個別にやってきたわけですから、私の個人的な感じとしては、ルールを決めちゃうともうそれで動かなくなってしまう可能性がある。だから、そういう点では、私は、やや、ルールを決めたりとか運用の基準を決めたりするのはもう少し待った方が、国際的な議論国連の中の議論も含めて議論をするべきではないかというふうに思います。
  82. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 ありがとうございます。
  83. 長有紀枝

    参考人長有紀枝君) 荒井先生、お答え申し上げます。  私も、運用基準ですとか追跡調査というのは非常に重要だと思う一方で、果たしてどうそれができるんだろうと、答えを持っていない状況です。他方で、私たちNGOとしましては、やはりこの点に関しての徹底した情報公開というものを求めていきたいというふうに思っています。何が起きているのかを私たちが見守れるような状況であってほしいというふうに願っております。短いですが。
  84. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 両先生の御指摘、私も分かります。まず、我々も理解しなくちゃならないし、国民の皆さんも、拠出する側としてですね、その気持ちが形になっていくわけですから、みんなの理解が必要だと。  同時に、我々だけがそう国内でも意見が分かれると、世界中に発信されるのは分かれた議論で、ネガティブなのが多くなるんですよ。そのネガティブなものが周知徹底、悪い意味でされていくと、日本というのはすごく誤解を受ける。そうすると、その誤解を受ける、時間たって、ああ、そうじゃないんだなと思ってもらえるまでの実績の積み重ねの前に、ちょうどいわゆる、何というんですか、谷間が訪れてくるという私は心配もいたすものですから、少なくともある種の、どういう意味でそれをODAとして、もちろん向こうから出てくる話ではございますけれども、きちんとそれを取捨選択して、軍事転用がないようにすると。  その取捨選択、そして中身の確認、そういうことの中で、相手国を信頼するということももちろん重要なことでありますけれども、ここに一つの何かの、一定の、薬師寺先生おっしゃる、ルールという話になるといかがなものかということはあるかもしれませんが、ここの一つのやっぱりガイドラインというのは必要なのかなと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  85. 山本順三

    委員長山本順三君) 薬師寺参考人、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
  86. 薬師寺泰蔵

    参考人薬師寺泰蔵君) はい、すぐ終わります。  国会ですごく議論されていますので、もし軍事転用があったらもう全て駄目になってしまいます。だから、それは個別具体的にきちんと担保して、されないような、いわゆる個別的にまずやっていかないと、やっぱり重要な問題ですので、そういうことだというふうに思います。  以上です。
  87. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 終わります。
  88. 山本順三

    委員長山本順三君) 以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  この際、参考人方々一言御挨拶を申し上げます。  本日は、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二分散会