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2015-09-10 第189回国会 参議院 財政金融委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年九月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  八月四日     辞任         補欠選任      石井 正弘君     長峯  誠君      大野 泰正君     森 まさこ君      太田 房江君     山本 一太君      柘植 芳文君     石田 昌宏君      藤田 幸久君     大塚 耕平君  八月五日     辞任         補欠選任      渡邉 美樹君     塚田 一郎君      礒崎 哲史君     江田 五月君  八月六日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     溝手 顕正君      江田 五月君     礒崎 哲史君  八月七日     辞任         補欠選任      溝手 顕正君     石田 昌宏君  八月十一日     辞任         補欠選任      長峯  誠君     赤石 清美君      尾立 源幸君     白  眞勲君  八月十二日     辞任         補欠選任      赤石 清美君     長峯  誠君      白  眞勲君     尾立 源幸君  八月二十四日     辞任         補欠選任      長峯  誠君     山東 昭子君  八月二十五日     辞任         補欠選任      山東 昭子君     長峯  誠君  八月二十六日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     宇都 隆史君      礒崎 哲史君     北澤 俊美君  八月二十七日     辞任         補欠選任      宇都 隆史君     石田 昌宏君      長峯  誠君     木村 義雄君      北澤 俊美君     礒崎 哲史君  八月二十八日     辞任         補欠選任      木村 義雄君     長峯  誠君  九月十日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     那谷屋正義君      前川 清成君     足立 信也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         古川 俊治君     理 事                 愛知 治郎君                 若林 健太君                 大久保 勉君                 西田 実仁君                 藤巻 健史君     委 員                 石田 昌宏君                 大家 敏志君                 伊達 忠一君                 塚田 一郎君                 長峯  誠君                 西田 昌司君                 森 まさこ君                 山本 一太君                 足立 信也君                 礒崎 哲史君                 大塚 耕平君                 風間 直樹君                 那谷屋正義君                 竹谷とし子君                 大門実紀史君                 中山 恭子君                 中西 健治君                 平野 達男君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        内閣府副大臣   赤澤 亮正君        財務大臣    宮下 一郎君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        越智 隆雄君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      井野 靖久君        内閣大臣官房        審議官      籠宮 信雄君        金融庁総務企画        局長       池田 唯一君        金融庁監督局長  遠藤 俊英君        金融庁証券取引        等監視委員会事        務局長      佐々木清隆君        財務大臣官房総        括審議官     太田  充君        財務省主税局長  佐藤 慎一君        財務省理財局長  迫田 英典君        財務省国際局長  門間 大吉君    参考人        日本証券業協会        副会長      森本  学君        日本銀行総裁   黒田 東彦君        日本銀行国際局        長        長井 滋人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (金融機能再生のための緊急措置に関する法  律第五条の規定に基づく破綻金融機関処理の  ために講じた措置内容等に関する報告に関す  る件)  (G20財務大臣中央銀行総裁会議に関する件  )  (中国経済現状先行きに関する件)  (量的・質的金融緩和に関する件)  (マイナンバーを用いた消費税負担軽減策に  関する件)  (東芝の会計処理に係る問題に関する件)     ─────────────
  2. 古川俊治

    委員長古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八月二十八日までに、藤田幸久君、柘植芳文君、石井正弘君、大野泰正君、太田房江君及び渡邉美樹君が委員辞任され、その補欠として大塚耕平君、石田昌宏君、長峯誠君、森まさこ君、山本一太君及び塚田一郎君が選任されました。  また、本日、前川清成君及び尾立源幸君が委員辞任され、その補欠として足立信也君及び那谷屋正義君が選任されました。     ─────────────
  3. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣大臣官房審議官井野靖久君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本証券業協会会長森本学君、日本銀行総裁黒田東彦君及び国際局長長井滋人君出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査議題といたします。  まず、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づく破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告に関する件について、政府から説明を聴取いたします。麻生内閣特命担当大臣
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 本年六月二十六日に、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告書を国会に提出いたしております。  報告対象期間は、平成二十六年十月一日以降平成二十七年三月三十一日までであります。  本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、その概要を御説明させていただきます。  初めに、管理を命ずる処分状況につきまして申し上げます。  今回の報告対象期間中に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分は行われておりません。  なお、平成二十四年九月十日に解散した日本振興銀行に関し、預金保険機構において、預金保険で保護される範囲を超える部分預金について概算払を受けた預金者に対する第二回精算払等が開始をされております。  次に、預金保険機構による主な資金援助等実施状況及び政府保証付借入れ等残高につきまして御説明申し上げます。  破綻金融機関からの救済金融機関への事業譲渡等に際し、預金保険機構から救済金融機関等に交付される金銭の贈与に係る資金援助は、今回の報告対象期間中に日本振興銀行清算法人である日本振興清算に対する増額等が生じたことにより五百十八億円の増額となり、これまでの累計で十九兆四百三十五億円となっております。  預金保険機構による破綻金融機関からの資産の買取りは、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で六兆五千百九十二億円となっております。  また、預金保険機構政府保証付借入れ等残高は、平成二十七年三月三十一日現在、各勘定合計で二兆二千四百七十四億円となっております。  ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関処理等に関しては、これまでも適時適切に所要の措置を講じることに努めてきたところであります。  金融庁といたしましては、今後とも、日本金融システムの一層の安定確保に向けて、万全を期してまいる所存でございます。  御審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。  以上です。
  9. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 大久保勉

    大久保勉君 民主党の大久保勉です。  先週末、G20がありまして、まずこれに関して質問したいと思います。  報道によりますと、総理大臣を経験されましたベテランの麻生大臣は非常に存在感があったように見受けられます。やはりG20の中で日本がしっかりと発言すべきところは発言するという点では非常に評価できると思います。  そこで質問したいんですが、中国経済現状世界経済に与える影響、これが今回のG20の最も重要な議題だと思います。そこで、麻生大臣に質問したいのは、このG20でどのような主張をされているのか、特に中国に関して発言された点に関してお尋ねしたいと思います。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 中国経済現状は、本年の四―六月におけます実質GDP成長率は前年度比七・〇%増と言っておられますので、言っておられますというのは、この国の数字が確実なものとはなかなか言い難いという御批判がよく出ますからそう申し上げております。鉱工業生産伸びが鈍化しているほか、固定資産の投資は弱い伸びになっている等々、中国景気は緩やかに減速をしていると思っております。  世界経済につきましては、緩やかに回復しつつありますが、引き続き下方リスクというものが明らかに存在をしておると思っておりますので、米国金融政策正常化に向けた動き影響もありましょうし、今述べた中国経済成長減速、また、その中国成長減速アジア新興国など周辺国に与える影響等々につきまして十分留意しつつ、その動向をよく注視していくことが基本的に日本としての対応の一番肝腎なところかと思っております。
  12. 大久保勉

    大久保勉君 中国経済に関しましては、GDP七%を死守するという話もありますが、よく見られております指数李克強指数というのがありまして、電力の伸び鉄道貨物及び銀行融資、こういった指標に関しましては、十数%あったのが、直近ではもう三%を割ってきているということで、かなり厳しい状況だと思います。こういった問題意識に立って議論されていると思います。  特に日本は、一九八〇年代のバブルそして崩壊、そのときの経験もありますから、そのときに不良債権問題が発生するとか、いろんなことに関して知見がありますから、是非今後とも主導的なことを述べてもらいたいと思います。  次に、じゃ、今回の中国経済の低迷が、若しくは株価下落がどのような形で世界経済に波及するか、これが大きい論点だと思います。例えば、一九九七年のアジア通貨危機程度危機につながるのか、若しくはリーマン・ショック程度危機につながるのか、もしそうでしたら様々な手当てをする必要があると思います。私は、そこまではないと思いますが、もしこういった危機があった場合に危機対応という議論というのは極めて重要だと思います。  そこで、非常に技術的な話なんですが、ASEANプラス3の枠組みチェンマイイニシアチブというのがございます。これは日本がかなり主導的に行ってきていると思いますが、まず財務省国際局長に質問したいのは、具体的に日本はどういうことを行ってきたかに関して財務省にお尋ねしたいと思います。
  13. 門間大吉

    政府参考人門間大吉君) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、日本アジアにおける地域金融協力におきましてこれまで主導的な役割を果たしてきたと考えております。  具体的には、金融危機への対応という観点から、ASEAN日中韓、いわゆるASEANプラス3の枠組みにおきまして、金融危機地域的な連鎖と拡大を防ぐため、短期のドル資金各国が融通し合いますチェンマイイニシアチブ、総額二千四百億ドルでございますが、これを推進しております。  また、インドネシアフィリピンシンガポール等の国々と二国間の通貨スワップを提携しまして、域内のセーフティーネットの強化に貢献しております。また、こうした取組に加えまして、例えばインドネシアにおきましては、国際金融市場に混乱が生じ、政府市場から財政資金調達に困難を来した場合に備えまして、世界銀行アジア開発銀行とともにJBICがクレジットラインを設定する、そのような取組も行っております。
  14. 大久保勉

    大久保勉君 この点に関しましては、日本銀行も中曽副総裁を始め国際局の皆さんがいろんな交渉をしていると思います。特に日本企業海外で展開しております、アジアで展開しておりまして、そのファイナンスをメガバンク等日本銀行が付けております。その場合に現地通貨がなかなか調達できないと、これは極めて重要だと思います。特に、アジア通貨危機等が起こった場合は、現地通貨が足りなくなって非常に生産、流通に影響する、こういった観点から、しっかりと日本銀行が支援していると思いますが、JGB担保現地通貨貸しに関して現状を教えてもらいたいと思います。
  15. 長井滋人

    参考人長井滋人君) お答えいたします。  今委員が御指摘のとおり、日本銀行は、我が国金融機関日本国債あるいは円貨現金、これを担保といたしまして現地中央銀行から資金供給を受けられるいわゆるクロスボーダー担保取決め、これを推進してきております。  このスキームによりまして、日本国債等担保といたしました現地通貨建て資金繰りバックストップとなることによりまして、海外に進出します邦銀あるいはその取引先我が国企業資金繰り安心感を与える効果があると思っております。また、そのことを通じまして、当該国地域金融市場の安定、こちらにも寄与する効果が期待できると考えております。  こういった趣旨に鑑みまして、この取決めにつきましては既にタイとシンガポールとの間で締結をしておりまして、インドネシアフィリピンとは基本合意に至っております。
  16. 大久保勉

    大久保勉君 さらにインドであったり、若しくは中国、オーストラリア、さらにはトルコ、こういったところでも是非交渉するようにということでお願いしたいと思います。  続きまして、黒田日銀総裁に関して質問したいと思います。  総裁は、八月二十六日、ニューヨーク講演で、景気物価基調日本銀行見通したとおりに推移しており、二%物価目標は量的・質的金融緩和で達成されると考えられるということを述べられました。  目標というのは二〇一六年度前半までに二%達成するということでありますが、現段階でも同じお考えですか。
  17. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御承知のとおり、金融市場は、中国株価下落などを背景にいたしましてかなり振れが大きい状況が続いております。ただ、世界経済自体は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国中心に緩やかに回復しておりまして、先行き先進国中心に緩やかな回復が続くというふうに見ております。また、我が国経済につきましても緩やかな回復が続いており、企業収益既往最高水準となるなど、ファンダメンタルズはしっかりとしていると思います。  ただ、原油価格下落を通じまして、現在、足下生鮮食品を除く消費者物価の前年比はゼロ%程度で推移しているわけでございますが、物価基調は着実に高まっておりまして、今後も高まっていくというふうに見ております。こうした下で、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、物価安定の目標である二%に向けて上昇率を高めていくと考えております。  二%に達する時期につきましては二〇一六年度前半頃になると予想しておりますけれども原油価格動向によって多少前後する可能性はございます。
  18. 大久保勉

    大久保勉君 一歩踏み込まれた発言だと思いますが。これまでは、原油価格上昇していく、ですから二〇一六年前半には二%達成できると。今度は、前後するということは、前に行くことはありませんから後ろに行くということだと思います。  資料の一を御覧ください。  総裁はいつも、石油価格上昇するということで、具体的な理由としましては、こちら、資料の(2)、下の方、WTI先物カーブ等を使いまして、将来の市場予想というのはだんだん上がっているということです。点線は二〇一五年三月三十一日。実際にこの委員会で、例えば藤巻委員とかと議論されたときの答弁です。それに比べて、九月二日、半年たった段階、どうなっているかといったら、平行的に原油価格が下がっているという状況です。  さらには、有力な金融機関であります米国シティグループは、需給バランスは年内を通して一段と供給過剰に向かう見通しであると。実際に、予想としては、二〇〇八年に付けた一バレル三十二・四ドルまで下落すると。この理由としましては、イラン制裁の解除であったり中国等景気減速、非常に真っ当な理由で、恐らくかなり原油価格が下がってくるという可能性もあります。  そこで、先ほど総裁は、原油価格が上がらなかった場合は二〇一六年前半から前後する、後ずさりをすると。ということは、この答弁から推測すると、もう二〇一六年前半じゃなくて二〇一六年度中か二〇一七年の前半と、そういうふうに言われた方が、次の委員会等もありますから楽だと思います。是非、更に踏み込んだ、確認のための答弁をお願いします。
  19. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 原油価格動向につきましては、私どもも注視しているわけでありますし、私どもだけでなくIMF、OECD等国際機関、さらには各国中央銀行物価に対する影響等を踏まえまして注視しておるわけでございます。  原油価格動向は、委員も御承知のとおり、需要供給両面でいろいろな要因がありまして変動するわけでございますが、私どもといたしましては、これはまた多くの中央銀行もそうですが、独自の石油価格見通しを立てるというよりも、御指摘のような市場先物価格参考にして石油価格についての一定の前提を置いて見通しを立てているわけであります。日本銀行の場合は、原油価格ドバイ指標前提にいたしまして、足下ドバイ指標先物動きで延ばして、今後そういうふうになっていくであろうという前提の下で経済あるいは金融、さらには物価見通しを立てているわけでございます。  したがいまして、委員指摘のとおり、石油価格がまた更に下がっていけば、それは日本のみならずほかの国の物価上昇率にもマイナス影響を与え得ると思いますし、他方、そうでなく上がっていけば、またプラス影響を与えると。  ただ、日本のような石油輸入国としては、経済の実態には石油価格が下がるとプラス影響が与えられて、上昇するとマイナスということで、より見方が複雑になっておりますけれども、基本的な考え方は、先ほど申し上げたとおり、独自の石油価格見通しを立てているのではなくて、先物価格数字参考にして石油価格前提を置いて、経済物価見通しを立てております。したがいまして、石油価格動向によって物価見通しが変動してくるということは避けられないということでございます。
  20. 大久保勉

    大久保勉君 非常に長い答弁でありますが、今インフレがゼロ%であると。どうして二%になるのかと。それは、これまでの聞いた説明は、原油価格上昇する、これまでは下がってきてこれから上昇に転じるから物価も上がるんだという話でありました。さらには、その前提が壊れた場合には、期間が二〇一六年前半から前後するという話がありましたから。  これだけは言えますね。原油価格がこれまでの日銀予想よりも上昇しなかった、若しくは下落するといった場合には、二〇一六年前半にはもう二%は達成しないと。これだけ確認します。
  21. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおりでありまして、原油価格動向によって二%に達する時期が前後する可能性はございます。
  22. 大久保勉

    大久保勉君 分かりました。  恐らく遅れると私は理解しますし、もうはっきり言っておかないと、オオカミ少年が三回目、四回目、オオカミ少年になりましたら誰も信用しません。今重要なことは黒田総裁の信認でありますから、もう原油価格前提が壊れたら状況も変わると言っておいた方がいいです。財政金融委員会は半年後も議論されますから、半年後にしっかりと検証したいと思います。  国内の景気は強いという部分もありましたが、果たしてそうかということに関して質問したいと思います。  今週、四―六期のGDP改定値が出ました。マイナス一・二%であります。恐らく、七月―九月のGDPの数値に極めて注目されております。二期連続マイナスとなりましたら定義上は景気後退リセッションです。ということは、日本経済リセッションで非常に厳しい状況になると。こういう状況を回避するために、次の金融政策が必要じゃないかと思います。  そこで、今、世界経済で起こっていることは、G20の議題のとおり、中国経済がかなり厳しくなってきた、世界的に株が下がってきた、特に新興国においては株も下がるし通貨も下がると、こういう状況でありますから、景気がどんどん良くなる可能性は私は少ないと思います。  ですから、まず、七―九期のGDPマイナスになった場合は景気後退局面になるから、それに対して心配しているのか心配していないのか、もし心配しているのだったら何らかの手当てを打つ必要があると考えているか、ここに関して質問をしたいと思います。黒田総裁
  23. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 足下の七―九月の景気動向につきましては、様々な指標が出ておりますが、ややまちまちでありまして、なかなかGDP動向を今の時点予測することは難しいと思いますけれども、御承知のように、一―三月期がプラス四・五、四―六月期がマイナス一・二とやや大きく振れておりますけれども、今の時点での多くの予想、民間その他の予想を見ますと、七―九月は若干プラスになるという予測のようでございます。ただ、これはまだ予測でありましてはっきりいたしませんが、毎月毎月の各種の統計を見る限りプラスになる可能性は高いというふうに見ております。
  24. 大久保勉

    大久保勉君 続きまして、日銀金融政策の限界若しくは副作用に関して議論したいと思います。  資料の二を御覧ください。  日銀金融政策、特にバズーカ2によって国債を年間八十兆円買う、ETFは三兆円買うと。ここに関して、同じ政策をずっと続けた場合には、国債市場に対して相当、需給の関係から国債市場が干上がってしまうと、こういった副作用が指摘されております。恐らく、オリンピックが行われる状況まで今の政策を続けた場合には、金融機関の方は国債をある程度担保として使わないといけませんから、もう国債が流通しないと。ですから、事実上今の政策は継続できないと。  また、ETFに関しては年間三兆円。今、日本銀行は約十兆円の株式を所有しております。三兆円の現株及び七兆円はETFという形で株を買っています。じゃ、これを更に買い続けることができるのか。もし国債の場合でしたらずっと期限まで持ちましたら償還がありますが、ETFは償還がありませんからいつか売却をしないといけないと、こういう情勢であります。  黒田総裁は、金融緩和にはいろんな手があるということで言われておりますから、そこに対して理論的な話をしたいと思います。  来週、政策決定会合がありますから、そういった具体的な話ではなくて、日銀はどういった政策を取り得るのか。例えば、アジア通貨危機が再来した場合に何か手当てをしないといけませんが、もうこれ以上国債を買い増しができないとか株を買えないといった場合は、金融市場並びに経済に対して不安感が出てきます。そこで何ができるか。恐らくは金利を上げ下げする、今回の場合は下げるということだと思います。  資料二といいますのは、当委員会でもよく議論されておりますが、マネタリーベースと当座預金残高の関係です。ここ数年間でマネタリーベースが増えるとともに、平行移動しまして当座預金残高が急激に増えていると。ここの付利金利はどのくらいかということで資料を作ってもらいました。二〇〇八年が十四億円だったのが倍々ゲームで増えておりまして、二〇一一年が二百三十八億、二〇一三年が八百三十六億、そして二〇一四年が一千五百十三億と、こういった状況です。  この付利金利を下げるべきじゃないかといった議論がありましたが、当面は政策としては下げることはしませんということなんですが、これを金融システムという観点から見ましたら、一千五百十三億、日銀がいわゆる地方銀行とか若しくは銀行に対してミルク補填、補助金を渡しているんじゃないかと、こういった議論があります。だから、この金利は下げることができないという指摘がありますが、金融政策上はこの付利金利をゼロにする若しくはマイナスにすることも可能だと思います。  そこで質問したいのは、もし付利金利をマイナスないしゼロにした場合、どういった問題があるか、整理をしたいと思います。黒田総裁、御所見を伺いたいと思います。
  25. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御案内のとおり、日本銀行は、量的・質的金融緩和の下で、マネタリーベースが年間約八十兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行っております。日銀当座預金への付利は、こうした大量のマネタリーベースを円滑に供給することに資するものであるというふうに考えております。その下で、マネタリーベースの積み上げと国債買入れは着実に進んでおります。  付利金利の引下げあるいは撤廃などについては検討をいたしておりません。
  26. 大久保勉

    大久保勉君 金融政策としては検討しないかもしれませんが、理論的な話をしています。もし付利金利をマイナスにした場合は何が起こりますか。これは、ECBではマイナスの金利も出ています。ですから、政策として実行することを検討するのではなくて、理論的な話として御所見を聞きたいと思います。
  27. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、付利金利の引下げは検討しておりませんが、その上で、量的・質的金融緩和金融機関の経営に与える影響について申し上げますと、イールドカーブ全体にわたって金利低下を促しておりますので、そのことだけ取りますと、貸出し利ざやの縮小を通じて金融機関の収益にマイナス影響を及ぼし得るわけであります。  他方、金融緩和の効果が発揮されて経済の好循環が持続していけば、貸出し増加による資金利益の改善などプラス効果が生ずることから、金融機関の収益向上にもつながっていくというふうに考えております。  御指摘の付利金利の引下げは検討しておりませんが、ECBが確かに引き下げて今マイナスにしていることは事実でありまして、それが金融機関の収益にどのような影響を与えるかということは、今申し上げたように、量的・質的金融緩和を通じてイールドカーブ全体を引き下げたときと同様なことであろうと。それだけを取りますと収益にマイナスですけれども、そういったイールドカーブ全体の引下げを通じて経済の好循環が持続していけば、金融機関の収益にとってもプラスになっていくであろうというふうに考えております。
  28. 大久保勉

    大久保勉君 金融機関のために日銀金融政策があるわけじゃないと、日本経済のためであると、もちろん金融機関の経営も重要であると。実際、今、日銀金融政策によって、総資金利ざやマイナス金融機関が多数、地銀で六行、信金、信組で三十機関等出ています。こういった問題もありますが、それがあるから付利金利をマイナスにできないと言うのでしたら、それは私はおかしいと思います。  やはり、日本経済のためにどういうふうにするかと。そこに関して質問したいのは、マイナス例えば一%の付利にした場合に何が、どういう問題が発生するか。これは、日本経済にとって問題が発生しますか。
  29. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、金融機関に対する影響については申し上げたとおりであります。  日本経済全体にとっては、先ほど申し上げた量的・質的金融緩和を通じてイールドカーブ全体を引き下げているということと同様な効果影響であろうと思いますが、ただ、欧州の場合あるいは米国の場合、日本の場合と比較してみますと、御承知のように、米国はQE1、2、3とやってきてテーパリングが終わったと、金利の正常化をしようかというところまで来ているわけですし、欧州の場合は付利金利をマイナスにしましたが、それだけでは効果が十分でないということで、QE、量的緩和を今年から始めております。  日本銀行の場合は、量的・質的金融緩和を二〇一三年の四月から始めておりまして、付利金利はマイナスにしていないという状況でありますが、それぞれの経済金融情勢に従って適切な金融政策を取るということに尽きると思いますが、私どもは、現時点で量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しておるし、今後とも二%の物価安定目標を安定的に達成できるようになるまで持続する必要があるというふうに考えております。
  30. 大久保勉

    大久保勉君 最後に、もう少し厳密な議論をしますが、付利金利をマイナスにする、で、イールドカーブがフラットニングするというのは間違いです。つまり、当座金利というのは短期金利です。ですから、日銀はそのときに例えば付利金利をゼロないしマイナスにし、国債の買入れ量を八十兆円から場合によっては四十兆円にする、若しくは、少し売ったら国債の金利は相当上がります。ですから、短期金利はもうゼロ%ないしマイナス、六か月以下は。ところが、五年、十年の金利は二%、三%に持っていくことができますし、そのことを通じまして、少なくとも金融機関が重要でしたら金融機関の利ざやは上がります。  様々なことをもっと工夫しましていろんな金融政策を打たないと、今、私から見ましたら日銀はもう政策的には行き詰まってしまって何もできなくなっているという状況ですから、もっと柔軟に考えてほしいということで、是非、最後に黒田総裁の御意見を聞きたいと思います。
  31. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど来申し上げましたとおり、金融政策につきましてはその時々の金融経済情勢に応じて最も適切な対応をするということに尽きると思います。  ちなみに、欧州において付利金利をマイナスにしたわけですけれども、その趣旨は、イールドカーブを立てるということではなくて、やはり長期金利を含めた全体の金利を下げて景気の刺激あるいは物価の安定をもたらそうとしたことだと思います。その後、量的緩和というものを始めたわけであります。  日本銀行の場合は、現在の量的・質的金融緩和によって所期の効果を上げていると思いますし、まだ二%の物価安定目標の達成に向けて道半ばでありますので、現在の政策を引き続き続けてまいりたいと。ただ、その際、様々の影響というものを考慮する必要がございますので、委員の御指摘の点も含めて十分金融政策については検討していきたいと思っております。
  32. 大久保勉

    大久保勉君 今日の委員会では様々な論客の先生方がいらっしゃいますから、もうこの議論に関してはここで終わりまして、日銀に関しては最後の質問なんですが、邦銀の外貨の運用、調達の問題に関して議論したいと思います。  資料三を御覧ください、ちょっと見づらいんですが。  日本企業海外に進出することによって、さらには日本企業が大型のMアンドA、海外企業を買収することによって、いわゆる外貨資金調達のニーズが日本企業にございます。そこにメガバンク等が貸出しを伸ばしていると。ただ一方、メガバンク、大手金融機関に関しては預金がありませんので、どうしても調達は短期で転がす、場合によっては市場から転がしておりますが、資産サイドの方は長期でコミットしていると。アジア通貨危機等の流動性危機が起きた場合には大変な状況が発生すると、こういった問題があります。これは日銀考査等で相当チェックされていると思います。  そこで、最後の質問といいますのは、これは要請ですが、万々が一、アジア通貨危機等の流動性危機が発生した場合には、しっかりと、日銀が持っているドルの資産、約五兆円以上のドル資産がありますから、それを緊急融資として使う用意がある、さらに、それで足りなかった場合は、恐らくは大きな危機ですから、連銀と日銀通貨スワップ等も締結されて、ドル資金をしっかりと日銀から日本金融機関に対して渡すということで万全を期していると、こういったことを確認したいと思います。
  33. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御指摘のとおり、大手行の外貨調達が市場性資金のウエートが高い構造となっておりまして、こうした下で、大手行自身が顧客性預金の増加あるいは中長期の円投の積み増しといった安定的な外貨調達基盤の確保に努めておりまして、また、一定期間調達が困難になっても資金不足をカバーできる流動性準備を確保しております。日本銀行は、以前から、大手行のこうした自助努力が重要であるという認識の下で、御指摘のとおり考査その他を通じてこうした取組を強く促してきております。  その上ででございますが、委員指摘のとおり、過去においても、市場ストレスのときに、特に二〇〇八年以降の国際的な金融危機の場合にはドル資金供給オペを導入いたしましたし、その後、ドル以外の主要通貨についても同様な資金供給オペの仕組みを整備してきております。  また、万一我が国金融機関が外貨資金決済に支障を生じて自助努力では対応できないといったケースにおいては、金融システム安定確保のため緊急やむを得ないと判断される場合に、日本銀行の保有する外貨によって、金融機関に対し外貨流動性の供給を実施していくということにしております。
  34. 大久保勉

    大久保勉君 これで日本銀行に対する質問を終わりたいと思いますが、日本銀行関係者に関しては、委員長の了承がございましたら退席しても構いません。
  35. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 日銀の関係者の皆様、お帰りください。
  36. 大久保勉

    大久保勉君 では、次に行きたいと思います。  次の項目としましては、最近の新規公開株市場動向に関して質問したいと思います。  二つ主な理由がありまして、余り財政金融委員会では向かないかもしれませんが、週刊誌の記事がありまして、自民党の議員であった武藤貴也さんが議員枠ということで未公開株を使ってお金を集めようとしたと、四千百万。こういったものがありますし、さらには、恐らく本日は、今日の日経新聞によりますと郵政三社の株の上場承認及び目論見書の公表があるということで、今日から十一月四日に向けて新規公開株の募集をするということであります。  こういった前提で、ここは予算委員会じゃありませんから、金融という観点から未公開株市場に関して議論したいと思います。  どうして国会議員枠といったらみんな注目するのかということで、この辺り、麻生大臣の方にまず質問したいのは、たしか武藤議員といいますのは麻生大臣会長を務められております為公会の会員であったという理解でよろしいでしょうか。また、麻生大臣に対しては何かこの件に関して相談があって、で、辞めさせたということでよろしいでしょうか。
  37. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 武藤貴也本人が為公会に所属していたかという御質問に関しましては、そのとおりであります。  それから、離党届の提出がありましたので、これを党が八月の十九日に受理をしておられますが、私どもの派閥に対しましても退会届が同時に出されておりました。また、二十六日でしたか、記者会見をしておりますが、これは私ども政府として所感を申し上げるような話ではないと存じますが、その上で、あえて私の方から申し上げさせていただければ、派閥に所属しておりました折には、私に対して武藤自身は、何も隠すことはありませんので全ては法廷で明らかにさせてもらいたいという話だったので、結構、堂々と法廷できちんとされたらよろしいんじゃないですかという話がありましたので、今後とも本人としてはしかるべき説明を法廷の場でされるものだと理解しております。
  38. 大久保勉

    大久保勉君 会派の会長である麻生さんに質問したいんですが。  いろんな事例は私は分かりません。ただし、自民党を離党するだけで十分であると考えますか。むしろ議員辞職に値するんじゃないかと私は思いますし、それに関する質問をしたいと思います。
  39. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもう政府として、一議員の進退というものにつきましては、これは、何というのか、政府として立法府に対して進退をどうすべきというのは適切だとは考えたこともありませんし、あえて申し上げれば、派閥の長として申し上げさせていただいても、一議員の進退についてとやかく申し上げることではないと、そう思っております。
  40. 大久保勉

    大久保勉君 この程度にしましょう。  金融の議論をしたいと思いますが、そこで、金融に関しましては、例えば、金融担当大臣としまして、未公開株配分に関して議員枠がもしあったとしたら、これはどう思われますか。適切か適切じゃないか、若しくはどういった問題が発生するか。
  41. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 質問の御趣旨がよく分からないんですが、この未公開株に関して何かあったらどうするか、どういう具合に対応するかということを聞いておられるんですか。
  42. 大久保勉

    大久保勉君 国会議員が優先的にもらえるような配分があったとしたら、それは社会的にどう思われますか。
  43. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国会議員に特別な枠があるという話は聞いたことがありませんので、私どもとしては、ちょっとそういう仮定の質問に関しては少々お答えいたしかねます。
  44. 大久保勉

    大久保勉君 資料の四を御覧ください。  実際にこれから、実際、国会議員枠というのはあり得ないと思いますし、あってはいけないと思っています。それを確認したかったんですが、どうしてかということで議論したいと思います。  こちらは、今回話題に上っておりましたエイチ・エス証券が主幹事として引き受けましたCRI・ミドルウェアの新規公開の状況です。  証券会社のホームページからもらったのが②、新規公開株の取扱実績ということで、上場の日、例えばCRI・ミドルウェアは、二〇一四年十一月二十七日、公募価格が二千四百円で、初値が一万三千五百、騰落率というのは四六二%上がったと。例えば百万円投資した場合には四百六十二万円の利益があったと、こういったものです。この証券会社が扱っている新規公開に関しては全てプラスですから、新株を譲り受けたら確実に利益が上がると、こういうものです。  例えば、CRI・ミドルウェアに関しては、一単元百株単位で売買されておりますから、もし百株二十四万円の購入をした場合には、初値の段階で一万三千五百円、二千四百円と一万三千五百円、この差から百単元を計算しますと百十万円の利益があると。二十四万で百十万円の利益があると。株をもらってすぐに売った場合の理論値です。もし、武藤議員の関係者が四千万円のお金をもらって、それで全額購入したとしましたら、単純計算で一億八千五百万の利益が上がると。ですから、こういったことはあり得るかということです。  これは極めて珍しいケースかどうかということに関して説明しますと、実は、資料の六を御覧ください。これは金融庁よりいただいた資料であります。過去三年半、平成二十四年一月から八月末まで、全銘柄が二百三十三銘柄の新規公開株がございました。  それで、公募価格に対して初値は幾らであったかということです。下落したものに関しては約一〇%程度です。残り九割は上昇しております。では、どのぐらい上昇しているかといいましたら、平均値ということで八六・八%、一〇〇で買ったものが平均的には一八六ということですから、百万円投資したら百八十六万円になって、すぐに売ったら八十六万円もうかると。これが現段階の新規公開株式市場です。  ですから、目ざとい人は、是非この株を譲ってくれよと、議員特権で譲ってくれよと、こういうことを言って詐欺を働くケースがあるから、やはり金融担当大臣としてはこういったことに関しては厳正に市場をチェックしていかないといけないと思います。  さらに、資料の五を見てください。今回のCRI・ミドルウェアに関しては、二千四百円で公募したんですが、初値が先ほどの一万三千五百円で、そしたらすぐに下がっています。どうしてかといったら、もらったらすぐに売った人がいたということで、利益を上げたと。どんどん売りがあったということは、この証券会社、八割、エイチ・エス証券は株を販売していますが、多くの投資家は買ってすぐに売ったと、短期売買の投資家であったということで、議論としては、こういった短期売買目的の投資家に対して優先的に配分されたということに関してどう考えるかと、こういったことを考えて、いわゆる新規公開市場の健全性に対して是非議論をしたいと思います。  こういった状況に関して、まず麻生大臣の感想を聞きたいと思います。これまでで感想がありましたら、何でも結構です。
  45. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 極めて漠然としておりますので、何でもしゃべれるという話のような御質問ですけれども、今のお話の中で、平成二十四年から二十七年の八月までの三年間で見ますと八割強の銘柄で上昇、平均八六%の値上がりになっているという資料を根拠に今の話をつくられているんだと思いますが、平成二十一年から二十三年のその前の三年間というものの資料もお持ちでしょう。お持ちだと思いますよ。それが幾らかといえば、五割ぐらいの銘柄で上昇して平均二六%の値上がりということになっておりますので、今の言われたものの数字とは半分、三分の一以下という数字になっているので、この種の話は上がったときの話もありますけど下がったときの話もあります。昨日は一千三百四十三円上がっておりますけど、その前の日は幾ら下がったかというようなもので、常に上がり下がりあるものだと、私どもはそう思っております。
  46. 大久保勉

    大久保勉君 そちらの答弁は、次の政府参考人に対する答弁書をそのまま読まれていると思います。  二点目に関しまして、つまり、過去三年半は八七%だけど、もっと新規公開の市場が悪いときは二十数%しか上がっていないんじゃないか、こういった議論もありますが、やはり特権がもしあるとしたら、マーケットがいいときに今下さいということです。マーケットが悪いんだったら要りませんよと、こういったことで、つまり、欲しいときに優先的に株をもらえること、もらうことに関して議論しておりますから、過去三年半というのは適切だと思います。  ここに関して申し上げたいのは、つまり証券会社がどういう形でこの株を配分しているかと。今の状況でしたら、確実に上がる可能性が高いんだったら希望者が殺到すると。その場合に一番公平な方法は、例えば抽せんして公平に渡せばいいというふうになると思いますが、実際今行われておりますのは、証券業協会の規則で一割抽せんでいい、残り九割は証券会社が自分たちの裁量でもって恣意的に渡せばいいということです。この九割の恣意的に渡せばいいというのは、場合によっては利益供与に当たらないのか、若しくは、何かの商品で損失が発生したと、損失補填として扱われる可能性があるから、もっとこのプロセスに関しては透明化が必要じゃないかと、こういったことを議論したいと思っています。  ここに関して、恐らくはもう局長の方が適切な答弁をされると思いますから、担当局長答弁してください。
  47. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) 委員指摘のとおり、金融商品取引法におきましては、金融商品取引契約につき顧客に対し特別の利益を提供する行為でありますとか、有価証券売買取引等につき当該有価証券等について生じた顧客の損失を補填するため財産上の利益を提供する行為が禁止されているところでございます。  まさに、具体の事実に基づいて議論されるということでございますけれども、こういった禁止行為が個別具体の事実に該当するかどうか、禁止行為として該当するかどうかということに関しては、その実態に即して実質的に判断する必要があると考えておりますので、こういった事実が利益供与でありますとか損失補填に該当するということに関しては、確たることは申し上げられないというふうに理解しております。
  48. 大久保勉

    大久保勉君 今日は、証券業協会の森本会長に来てもらっております。  やはり、新株に関して、どういう形で配分するかというのは極めて重要なことだと思います。平成十七年の段階で議論をされて大きな方針がなされていると思います。時間の関係で、端的に、どういったことが決まっているのかに関して答弁をお願いします。
  49. 森本学

    参考人森本学君) お答えいたします。  先生の御質問は、現在の一部抽せん制の導入がなぜ行われたかということかと思います。  平成十七年に政府からの検討の要請がございまして、日証協におきまして新規公開株の配分に関するワーキングを開催いたしました。ここでの議論では、新規公開株の配分は、基本的には新規公開株のリスクが分かる投資家あるいは長期安定保有してくれる投資家を中心に配分すべきであるという意見がまず出されたところであります。抽せんによりまして無作為に配分した場合、そうした投資家の属性を考慮することができないという点があるわけでございます。一方で、個人投資家向けの配分に関しましては、各個人があまねく平等に参加できる方策も当時求められておりましたことから、現在の一部抽せん制度が導入されたところでございます。  なお、抽せんの割合につきましては、各社が基本方針によって定めるところでございますが、日証協の規則では、少なくとも一〇%以上を抽せんに付すという形になっております。
  50. 大久保勉

    大久保勉君 今日は、さらに、発行体としての責任者にも来てもらっております。  迫田理財局長に質問したいんですが、恐らく、六ページを御覧ください、資料六、多くのケースで初値というのが低くて値上がりするものが多かったと。その結果、物をもらった投資家は利益が上がった、特に個人投資家がその恩恵を得た、場合によっては利益補填まがいのことが行われていると。じゃ、発行体としてはどう考えるかといったら、そもそも公募価格が低かったんじゃないか、もう少し高くしてくれよと、こういうことをしっかりと証券会社に言うべきじゃないかと思います。  恐らく、今後、日本郵政三社の売出しがありますが、それに関連して質問したいんですが、公募価格に対して大変高い初値を付けた場合、新規上場株式の売出し会社の責任はどう感じるかということです。もっと高い公募価格で株式を売り出したとしましたら、恐らく、郵政三社の株といいますのは復興財源の原資になりますから、国民にとっては更にプラスであると。ですから、なるべく高い公募価格にすべきと、こういうことでしっかりと新規公開を成功させるべきと考えますが、そこに対する御所見を聞きたいと思います。
  51. 迫田英典

    政府参考人(迫田英典君) お答えをいたします。  日本郵政株式の売却の具体的なお話はまだできる段階ではございませんけれども日本郵政株式の売出し価格につきましては、これは昨年六月の財政制度等審議会の答申にもあるとおり、いわゆるブックビルディングを通じて広範な投資家からの需要積み上げを行いまして、その結果に基づいて適正に決定をするということで考えているわけでございます。  実際の売出し価格あるいは上場後の株価、これは投資家の需要動向あるいは市場状況等によっても影響を受けるものでございますけれども、いずれにしても、日本郵政株式は大変貴重な国民共有の財産でございますので、適正な価格での売却がきちっと進められるようにしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
  52. 大久保勉

    大久保勉君 では、もう少し突っ込んだ話をしたいと思いますが、資料五のケースで、CRI・ミドルウェアに関しては、二千四百円のものが約五倍近くの初値になって、それから急激に下げたと、いわゆる短期の投資家中心に売られていたということです。公募価格が非常に低かったと。  もちろん、これはマーケットが違います。こちらの方はたしかマザーズとか新興市場でありますし、また、ICTの企業ですからなかなかバリュエーションが難しいという部分がありますが、日本郵政グループに関しては、なるべく高い価格で売る努力をする必要があります。また、短期売買の投資家には配分しないと、こういったことを証券会社に指導すべきだと考えますが、このことに関して質問したいと思います。  例えば、誰に販売するかというのは証券会社の裁量であります。今日の日経新聞でしたら、九割は個人に配分すると。それはいいんですが、先ほどの日証協の話でしたら、そのうち一割抽せんにすればいい、残りの九割は証券会社が恣意的に裁量でもって配分できると。じゃ、もしその投資家が個人かつ短期売買目的の投資家中心でしたら、恐らく株式は急激に下がる可能性があります。  こういったことを防ぐためにどういう手があるかという観点で質問したいんですが、今回の日本郵政株に関しては、連続して数回あると思います。一回目が十一月の四日払込みですが、その結果を追跡調査をし、もしある証券会社が短期売買目的の投資家にしか売っていない、若しくはそれが中心であった、その結果、かなり株価が下がると、こういったことが発覚したら、もう次の募集のときにはそういった証券会社を外すぞと、そういったことでしっかりと指導した方がいいんじゃないかと思いますが、その点に関して質問したいと思います。
  53. 迫田英典

    政府参考人(迫田英典君) 幾つかお答えをしたいと思いますけれども、まず、私どもが非常に今回の売出しについて重きを置いておりますのは、これは法改正のときの附帯決議、参議院総務委員会の附帯決議というのがございまして、「可能な限り株式が特定の個人・法人へ集中することなく、広く国民が所有できるよう努めること。」という附帯決議があるわけでございまして、これをまず一つ念頭に置いてきちっとやっていきたいというふうに思っているわけでございます。  それから、委員言及されました先ほど来の日証協の規則で、個人投資家については一〇%以上を抽せんにより配分する旨定められている、これもそのとおりでございまして、こうしたルールに則することはもちろんでございますけれども、特定の顧客に偏らないような適切な配分ということも併せて是非主幹事証券会社に要請をしてまいりたいと思っております。  それから、長期保有の問題でございますけれども、今委員指摘のとおり、私どもも思いは共有をいたしておりまして、できる限り長期に保有いただけるような機関投資家なり個人の投資家に購入いただきたいというふうなことでございまして、その点についても、販売戦略ということになろうかと思いますけれども、証券会社に要請をしてまいりたいと思うわけでございます。  最後、委員が例示としておっしゃった点でございますけれども、主幹事証券会社の選定ということは、一般論で申し上げますと、過去の民営化案件あるいは日本株式案件における主幹事の実績、あるいは日本郵政株式に関しての調査分析の内容といったようなものを勘案して選定をしているわけでございますが、その中で、委員指摘のような観点からのアプローチで、主幹事証券会社の選定から排除するといった方法が適当かどうかということについては、よくよく慎重に検討する必要があると考えておりますけれども、いずれにいたしましても、長期保有を促すことができるような、そういうきちっとしたオペレーションというものを考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
  54. 大久保勉

    大久保勉君 最後の点を確認したいんですが、慎重にすべきとおっしゃった点に関して、つまり、一回目の募集に関して短期の投資家中心に販売したところに関しては二回目は外すということに関して慎重にということは、一回目どういう売り方をしたとしても関係ないということですか。
  55. 迫田英典

    政府参考人(迫田英典君) お答えをいたします。  申し上げた趣旨は、主幹事証券会社の選定ということに関しましては、当然、もし第二回目がある場合には、その段階でいろんな観点から考えていくというふうなことが必要であるということを申し上げた、そういう趣旨でございます。
  56. 大久保勉

    大久保勉君 是非共有してもらいたいのは、つまり、国民の財産であります日本郵政株の売却に当たりましては、それが公正に売出しをされるべきであります。万々が一こういった株式を通じまして誰かに不当な利益が支払われるということに関しては是非回避すべきだと思いますし、もちろん、これは相場のこともありますからなかなか予見できない部分がありますが、慎重にその辺りは注意して行ってほしいということです。理財局長
  57. 迫田英典

    政府参考人(迫田英典君) 重ねてのお答えになりますけれども、郵政の株式は国民共有の貴重な財産でもありますし、あえてもう一言加えれば復興財源にもなるわけでございますので、いろんな批判を招くことのないような適正な価格での売却等をしっかり検討してまいりたいと思っております。
  58. 大久保勉

    大久保勉君 次に、短期売買をした投資家がどの程度いるのかということで、これは金融庁に質問したいと思いますが、資料の五で、CRI・ミドルウェアに関して短期に売りが出たということでしたら、じゃ、もし、エイチ・エス証券のお客さんでこの株を配分したところが一か月以上持っていた割合というのはどのくらいでしょうか、質問します。
  59. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) 委員御質問の件でございますけれども、個別の証券会社の顧客の投資動向に関する情報でございまして、こういったことに関しましては、民間証券会社の競争上の地位にも影響を与えるものでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  60. 大久保勉

    大久保勉君 それは予想しておりましたが、そこで、遠藤さん自身、つまり金融庁自身はその割合に関しては承知しているか。つまり、国会の場で公表する必要はありませんが、証券会社の監督として、いわゆる短期売買を推奨するような配分に関してはいかがなものかと思いますから、検査として、若しくは証券会社の調査、監督としてはしっかりと知るべきであると思いますが、そのことはされているかということです。
  61. 遠藤俊英

    政府参考人(遠藤俊英君) まさに、中長期的に投資家がこういった新規公開株を持つということは非常に重要な観点だと思いますので、一般的に検査監督あるいは日本証券業協会、自主規制機関の監査の対象ということで、こういった観点に関しても検証するということになろうかと思います。
  62. 大久保勉

    大久保勉君 それに関連しまして、今度は森本日本証券業協会会長に質問したいと思いますが、平成十七年の新規公開株の顧客への配分のあり方に関するワーキング・グループの報告書があります。もう十年たちましたから、そろそろもう一度ワーキンググループを立ち上げまして、現状状況調査、そしてあり得べき方向性の確認等を行ったらどうかと思いますが、この点に関して御所見を聞きたいと思います。
  63. 森本学

    参考人森本学君) お答えいたします。  現時点におきまして新規公開株の配分ルールを見直すという予定は特段ございませんが、ただ、新規公開株の問題につきましては、これまでも様々な指摘があり、制度の見直しが行われてきたところでございます。先生御指摘の配分ルールにつきましても、私どもといたしましては、その実態を踏まえまして、必要があれば今後とも見直しを行っていきたいと考えております。  なお、仮に見直しを行う場合には、行政当局と密接に連携していく必要があるものと考えております。
  64. 大久保勉

    大久保勉君 時間が参りましたのでこれで終了しますが、しっかりと行ってもらいたいと思います。
  65. 若林健太

    ○若林健太君 自由民主党の若林健太でございます。  今日は麻生大臣と宮下副大臣に、先頃行われましたG20の結果、そしてまたその中で議論された、主に今、日本とアメリカ、ヨーロッパ等については景気回復軌道に乗っているけれども、どうも中国の様子がおかしいということでございます。その点についてお話を伺ってまいりたいと思います。  先週、トルコのアンカラで開催されましたG20では、中国経済に関する議論に多くの時間が割かれたというふうに聞いています。共同声明では、金融市場の安定に向けて、通貨の競争的な切下げを回避する方針を明示するとともに、米国の利上げなどを念頭に、金融政策そのほかの主要な政策決定を行うに当たり、各国の波及を踏まえて注意深く測定し、明確にコミュニケーションを行うことを促す内容になっていますが、現場では実際にどのような議論が主に行われたのか。総理も経験され、麻生大臣、このG20ではまさに主導をされていたと、こう伺っていますが、どんなメッセージを発信されたか、お伺いしたいと思います。
  66. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) このG20が二〇〇八年に始まって、首脳会議財務大臣会議が始まったのはその後からだと思いますので、この三、四年の話、もうちょいか、四、五年の間だと思いますが、この間に、少なくともG20財務大臣中央銀行総裁会議の場で中国経済が話題になったことは過去に例がありません。皆おかしいと思っても、しゃべっていなかったからだと思います。  しかし、状態は、御存じのように、上海のマーケットに端を発して一連の騒ぎになっておりますので、この騒ぎを何も黙って発言しなかったらG20の存在意義が問われるのじゃないのかという話で、話をあらかじめしておりましたので、行く前からこの話はしますと私は東京でも申し上げましたので、多分、中国には間違いなくこの話は抜けている話だと思いますけれども、抜けてもらわないと困りますので、抜けるような場で、記者会見の場でしゃべっておりますので、その話が向こうに抜けて、当然用意をしていたと思っております。  少なくとも、この為替市場で変動が極めて高いという中で、これは影響が大きいということに関する自覚を持っておいてもらわないと、自国の話だけではないので、他国にも波及効果がありますので、こういった評価をしてリスクに対処するということが我々としては極めて大きいということで、私どもとしては、引き続き、この中国経済に限りませんけれども、きちんと対応していこうではないかというのが合意であります。  また、主に主要な政策決定を各国が行うに当たっては、負の波及効果というものもこれは最小化してもらわないと困るのであって、不確実性を緩和して透明性を向上させるということなんだと思いますので、少なくとも、明確に市場とのコミュニケーションはしっかりやってもらいたいと。ある日、突然にぽんと言われても波及効果がでかいということをよくよく考えておいてもらいたいということでも一致しております。  私の方からは、中国経済及び上海の株式市場に端を発する最近の金融市場の大幅な変動、動き等々につきましては、中国当局の注意深い政策運営と市場とのコミュニケーションが求められていると。二つ目。市場の変動は、これは中国が本来取り組むべき、自分で取り組むべき構造的問題なんだというもの、鏡で映されたみたいなものなんだから、中国がそうした課題の解決に取り組むということが重要なんだということを指摘しておりますし、事実、楼継偉は財政部長をしておりますけれども、これとも、去年、いや今年でしたか、日中財務対話で、来年G20は中国でやるけど何課題にするんだ、何を課題にやるのという話で、この構造改革という問題を、自分でこれをやりたいという話だったものだから、予定より早くしただけだ、さっさとやるべしという話だけはしてあります。
  67. 若林健太

    ○若林健太君 本年八月の我が国の月例経済報告でも中国経済に関して記述がされておりまして、景気は緩やかに減速していると。先行きについては、各種政策効果があって、安定的な成長は維持されると思われるけれども、不動産価格や金融市場動向等によっては景気が下振れするリスクがあるというふうに評価をしています。  中国経済現状見通し、また減速していく場合に我が国経済に与える影響について、宮下副大臣に伺いたいと思います。
  68. 宮下一郎

    ○副大臣(宮下一郎君) 先ほど麻生大臣からもコメントがございましたけれども、本年四月から六月期におけます中国実質GDP成長率は、発表ベースの数字でも前年同期比七%増という水準で緩やかに減少、鉱工業生産伸びも鈍化しておりますし、固定資産投資も数字上弱い伸びとなっているということで、トータルで考えて、やはり中国景気は緩やかに減速しているものと認識しております。  中国は、中長期的に健全な発展に向けて、やはり過剰設備、過剰信用、こうした問題に対応して、投資主導から消費主導へ構造改革を図ることがやはり重要だというふうに我が国としても考えております。  一方、御指摘のように、日本経済に与える影響というのもしっかり見ていかなきゃいけない。特に、日本中国経済規模がそれぞれ中国は二位、日本が三位という大国同士でありますし、その世界経済に与える影響も非常に大きいものでありますし、また、日本から見ても、貿易でいいますと、輸出でいいますと、中国向け輸出というのはアメリカに次いで二位、それから、輸入の面では中国からの輸出が日本にとって第一位と、まさに密接に連携をしているということです。資本取引でも、日本から中国向けの直接投資残高はアメリカ向けに次いで第二位と、こういうことでありまして、まさに中国日本にとって重要な相手国だというのが紛れもない事実だと思います。  両国の経済関係、非常に密接でございますので、中国経済動向及び市場動きにつきましては、引き続き予断を持たないで注視してまいりたいというふうに考えております。
  69. 若林健太

    ○若林健太君 上海の株式市場では、六月中旬から三か月で時価総額四割落ちたということで、不安の連鎖から世界同時株安というような状況になりました。  今、麻生大臣からも宮下副大臣からもお話しいただいたように、中国の構造改革が必要だと、このことについて麻生大臣が明確に今回のG20で指摘をされたわけですが、これに対して中国側からはどんな反応があったか、大臣からお伺いしたいと思います。
  70. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、各国が何を言ったかということは、後で誰々がこう言ったということは言わないルールになっておりますので、これなかなか申し上げにくいんですが。  今から申し上げることは、この六月中旬以降、今年のです、それまで株式市場で蓄積していたバブルの調整がなされ、バーストという言葉を使ったと記憶しますけれども、一応、訳では調整と品よく直されていますので、調整がなされ、彼はこのとき英語でしゃべっていますから、その中でバーストという言葉を三回使ったと記憶しますが、私の記憶違いかもしれない、そのぐらいしゃべっています。その中で、世界の金融資本市場影響を与えた、二つ、過剰設備を抱えているので今後五年は痛みを伴う経済の構造調整期間に当たるとの趣旨の発言があったと、会議終了後、中国当局が発表しております。これは私が言ったんじゃなくて、中国当局が言った話を御報告申し上げております。  以上です。
  71. 若林健太

    ○若林健太君 今回の世界同時株安を招いた原因である人民元の切下げについては、算定方法の変更だとする意見と、また意図的な通貨切下げで国内経済対策を行ったのではないかという意見があるわけでありますが、そもそも基準値によって為替管理をするという制度そのものへの問題があるというふうに思うんですが、この点に関してG20では話題にならなかったんでしょうか。その構造上の問題と指摘した中にそういった問題も含まれるのかどうか、大臣に伺いたいと思います。
  72. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほども申し上げましたように、詳しい議論の内容について御紹介をすることは差し控えたいと存じますが、会議後に発出されております声明、声明が出ておりますので、においては、我々は、根底にあるファンダメンタルズを反映するためには、より市場で決定される為替レートシステムと為替の柔軟性に移行して、そして、為替レートの継続したファンダメンタルズからの乖離というものを避けるとのコミットメントを我々としては再確認する。再確認するというのは、中国もそれにサインしているということです。我々は、通貨の競争的な切下げを回避し、あらゆる形態の保護主義に対抗すると記されております。  いずれにいたしましても、この中国の為替制度に関しては、これは市場で決まるというマーケットメカニズムというもののシステムへの移行を引き続き進めていくということが、中国のいわゆるマクロ経済というのか、中国のマクロ経済の安定にとって極めて重要だと思いますので、間違いなく、我々も、オイルショックの後、少なくとも輸出経済から国内のものに切り替えていき、あの頃の輸出のシェアがGDPの三〇%、四〇%あったものから、今GDPに占めます輸出の比率は一五%以下だと思いますので、それまで切り替えていくにはかなりな苦労をして我々は構造改革をやってきたわけなんで、そういった意味では、引き続き中国の、痛みを伴ってもこれやり続けられるかどうか、その履行を、動向を注視してまいりたいと思っております。
  73. 若林健太

    ○若林健太君 今、中国政府は、金融市場での人民元の存在感を高めるために、ドルや円やユーロと並ぶ国際通貨として新たにこの人民元をSDRの構成通貨に採用するよう、そういう働きかけをしているというふうに伺っております。  しかし、今回改めて認識させられた中国管理された為替制度で果たしてどうかと、こういうふうに思いますが、今大臣からお話をいただきましたように、完全な変動相場制度に向けて中国政府に対してやっぱり促していくということも必要なのではないかと思いますが、その点について宮下副大臣に伺いたいと思います。
  74. 宮下一郎

    ○副大臣(宮下一郎君) 今大臣からもお話がございましたように、中国の為替制度に関しましては、やはり市場で決まる相場システムへの移行を引き続き進めていくと、これは中国のマクロ経済にとって、その安定にとって重要だと、こういう認識を我々持っております。  そういう意味で、今回のG20においても、各国を含めて、中国を含む各国がコミットメントを確認した、コミットメントの内容としては、やはりより市場で決定される為替レートシステムと為替の柔軟性に移行する、こういう方向だというのをみんなで確認し合ったというのが今回のG20の意義なのではないかと思います。  先ほども申し上げましたように、日本にとっても、日本中国経済関係非常に密接でありますので、中国経済動向については、為替制度の在り方を含めて、予断を持たないで引き続き政府としても注視をしてまいりたいと考えております。
  75. 若林健太

    ○若林健太君 中国の株式市場というのは八割が個人投資家、こういうことになっていまして、元々、どんと株価が落ちたというんですけれども、その直前というのは物すごい勢いで上がっているんですね。実際の経済動向とは少し懸け離れた形で株価が乱高下する状況にある。ここも株式市場の中、株式市場そのものについて構造改革が求められるのではないか。海外の例えば投資家など長期保有を主体としたような、そうした落ち着いた投資環境というのも必要ではないかと思います。  今、様々な投資に対する規制があるようですが、そういった規制緩和についての働きかけというのも日本として必要だと思いますが、その点について、大臣に最後お伺いしたいと思います。
  76. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは資本取引の自由化という話をしておられるんだと思うんですけれども、これは経済を持続的に、政府が意図的に後ろから操縦するんじゃなくて、持続的な経済成長をということをやっていこうというのであれば、これは資本取引の自由化というのは多分大きな要素の一つになるんだと思いますので、今、上海で自由貿易特区でしたか、なんかいうのをやろうとしておられたり、いろいろ上海と香港とでたしか証券取引所の間で相互取引を開始するんだと言っておられたり、やられるかどうか知りませんよ、といったいろいろ取組をしておられますので、徐々にではありますけど、資本取引の自由化が進みつつあるんだと思っておりますので、日本としても、これは外国人の機関投資家へ対して投資機会を拡大するということに関しましては、中国における資本の自由化というものは、これは重要な課題だというように私らもそう思いますので、二〇一一年でしたか、日中両国の金融市場の発展に向けて相互協力の強化というのを、私どもとしてはこの話をしておりますので、日中当局間でもこれまで議論してきたところなんですが。  これは、自由化は中国自身の話ですから自分で決めてもらわぬといかぬところなので、これはかなりの経済に対する自信とかいろんなものがないと、なかなか我々も、かつてやろうやろうと言って日本だってできなかったわけですから、そういった意味では、適切な取組というものをやっていくためにはいろいろステップを踏まないかぬというところは経験のあるところでもありますので、御質問があれば、いろいろ要請があればそういったものには応えていきたいとは思っております。
  77. 若林健太

    ○若林健太君 終わります。ありがとうございました。
  78. 西田実仁

    西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  今の若林先生の御質問と重なるんですけれども、今回のG20、財務大臣中央銀行総裁会議を終えての議論をさせていただきたいと思います。  今回のG20におきましては、今日の世界経済にとって最大の課題であります中国経済及び人民元切下げと米国の利上げということに絞られたと思います。議論の結果は声明文に明記されています。第一に通貨の競争的な切下げの回避、第二に金融政策の決定に当たり注意深く測定し明確なコミュニケーションを行う、第三に必要に応じ新たなリスクに対処する、そして第四に成長戦略を実施するという四点であろうかと思います。米国の利上げにはそれほど踏み込まずに、専ら人民元切下げと中国経済運営に対する議論、これに終始したんではないかというふうに見受けられます。  会議の席上で、先ほど来お話ありました中国の楼財務大臣でありますが、人民元の修正は一度限りで、累積した元安の圧力は解消をされた、今後五年間は中国経済にとって構造調整の痛みの時期である、苦難の過程になるだろうと、こういう発言をされたと、こう伝えられております。  仮にこの過剰設備、過剰債務等の構造問題の解決に五年を要するということであれば、常識的に考えて、今後五年間は不況色が強まるわけでありまして、景気回復予想されるアメリカや日本など先進国との比較から、人民元の一段の調整は避けられないのではないかというふうに私は見ているわけであります。  中国経済の最大の構造問題は、もうこれまでも議論されてきたように、過剰な設備と過剰な融資ということであります。特に国有企業の再編が課題でありまして、既に、国有資産監督管理委員会という、大型国有企業管理するところでありますけれども、ここが上場国有企業の再編加速に向けて様々な規制緩和も発表しているところでございます。  過剰融資につきましては、やはりこれは地方政府に問題があると指摘されてございます。株式バブルの崩壊について、これは、上海はようやく正常な水準に戻っているのではないかと私は思っておりますが、深センはまだ割高ですが、全体的には収まってきている。住宅バブルも北京や上海では顕著でありますけれども、全国にそれが広がる、バブルの崩壊が広がるということにはなっていないのではないかと思います。当然、昨年の八月以降、アメリカの出口戦略による利上げを見込んでの人民元の対ドル実効レートの上昇によりまして輸出は減少しております。製造業の生産調整は広がり、一方で国際商品価格の下落効果中国経済にも出ているというふうに思われます。  製造業は確かに苦しいんですけれども、今や中国経済の約五割は第三次産業に既になってございまして、その第三次産業の成長率は八・四%あります。依然として八%台の成長が第三次産業では続いているということであります。賃金も上昇しておりまして、一人当たりの可処分所得は四―六で前年同期比八・一%増、消費も七・六%増と、消費は堅調であります。したがって、製造業は苦しいんですけれども、第三次産業の成長、またサービス業、消費は堅調と、こういう姿かなと私は見ているわけであります。  そこで、まず中国経済についてどう見るかという御質問ですけれども、人民元高で製造業を中心景気が失速し、過剰設備、過剰債務問題という構造問題が露出している。そして、その結果、成長率の低下は不可避であろうというふうに思います。経済を、しかし全体を見ると、今指摘させていただいたように、意外と粘り腰ではないかという印象もありますけれども大臣としてはどのように見ておられますでしょうか。
  79. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 急激に拡大してきた経済がその方向転換を迫られるときというのは、過去、我々は、いわゆる朝鮮事変の後からの高度経済成長、十六、十七年続けてオイルショックまで、オイルショックから構造改革をして猛烈な勢いで切り替えていった一回目。それでまた、一九八五年のプラザ合意以降二百四十円だった円が百二十円に暴騰したときに構造改革というのを迫られたとか、過去、これまで何回となくそういったような経験を持っている国ですけれども、あちらの場合はそういうことが、これは多分初めてのことですから、そういった意味では多分、どうやって調整していいか全然分かっていないと思いますよ。話聞いていても、全然言ってくることが、今はそんな段階じゃないという話を率直にしますから。そういう率直にしてくるまでにはなってきているとは思います。    〔委員長退席、理事若林健太君着席〕  ついこの間までは全くというのが、やおら寄ってきてはいろいろ話をするぐらいになってきていますから。特に通訳がいないときには二人きりになるとよく話をするようになったことは確かだと思いますが、きついんだと思いますね。  そういった意味では、何をすればいいのかというところが一番肝腎なところだと思いますので、今言われましたように、やっぱり過剰設備というのが、やっぱり鉄の生産量が八億トンなんて言われると、それは本当かどうかは知りませんよ、八億トンなんて言われると、ちょっとさすがに驚くような数字でもありますし、また、人口がこれで、去年から人口減になって、一人っ子政策の結果人口減に今からはなっていくわけですから、これは高齢化が今から始まるということにもなるんだと思いますが、そういった意味では、社会保障制度の構築というのがまだでき上がる前にそれになってくるというのは、これはちょっと中国としては結構しんどいんじゃないかなと思いますので、そういったものを含めて、もう一個、よくうわさに出るシャドーバンキングの話とかPM二・五の話とか、これはいずれも社会的に解決せないかぬ大問題を抱えておるということが経済にどういう影響を与えるかというのは、これはちょっと十三億人というのは、こちらの十倍もある人口の下での話ですので、なかなか私どもとしては絵がよく見えてきていないところではありますけれども、ちょっと正直、彼らの立場に立ちますとえらいしんどい作業をやらざるを得ないだろうなというのは、私どもとして実感として分かります。
  80. 西田実仁

    西田実仁君 日本の対中輸出比率というのは一八%、中国輸出比率が一〇%以上の、世界の中で日本を除く国々への日本の輸出は三一・五%なんです。つまり、対中輸出の直接、間接の依存度という、日本経済にとっての依存度というのは実は五〇%なんですね、この一八と三一を足しますと。日本の輸出の半分は中国経済影響を受けると言ってもよろしいかと思います。  そういう意味で、こうした中国経済のリスク、日本経済にとってですね、それをどう見て、どう対策を打っていくのかということも考える必要があろうと思います。  一つは、私が考えるには、やはりTPPの加速ということは市場、貿易自体を拡大していくという意味で大事でしょう。また同時に、内需という意味では、この成長戦略に対する支援というのは是非ともより加速していかなきゃいけないだろうと、こう思うわけですけれども日本経済にとって中国リスクをどう見ておられるのか、お聞きしたいと思います。    〔理事若林健太君退席、委員長着席〕
  81. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、今私ども基本的には、先ほど大久保先生の御意見でしたが、四―六のところの話が出ていましたけれどもGDPマイナス成長になっておるということになりますけれども、しかし、同じ時期に、これは企業の収益の方からいきますと史上最高の経常利益をたたき出しているということになりまして、二十兆でしたかの経常利益をたたき出しているということですから、雇用と所得環境の改善が続いておりますので、そういった意味では緩やかな景気回復基調が我々としては続いていることは間違いないと、そう思っておりますのですが。  今言われましたように、貿易といいますと、貿易の相手国として一番ですから、かつてアメリカ、今中国ということになっておりますので、輸出相手国の第二位中国、輸入国の第一位が今中国日本との関係なんですが、非常に密接なものがありますので、是非これは、中国の中の経済が投資によってわあわあ外に出していくというのから中に切り替えていく、いわゆる消費、中国人自身の消費。日本に来て爆買いするんだったら、中国で自分で買えと。同じものを売っておるんだから、そっちで買えばいいじゃないですか、日本に来て買うことないですよと。何で日本に来て買うのかといえば、そちらの方が税金が高いからでしょうがというような話をして、ええっという話をするから、いや、同じ商品をそちらの方で買わずに日本で買うというのはどういうことですかと。同じ資生堂のこの化粧品、同じものじゃないですかという話をすると、書きますものね。  それはちょっと、かなりいろんな状況というものを見ますと、やっぱり構造改革というのが理解をしていくというのは、これ頭のいい、上の人にだけ分かっても、それを末端までずっと浸透させていくというのは、これは西田先生、かなり時間が掛かるものだとある程度思っておかないかぬとは思います。  少なくとも急激にということではなくて、確実に消費財やら何やらの輸入が減ってくることは確かなんだとは思っておりますし、こちらに輸出という面においてもいろいろ影響が出てくるんだと思いますが、基本的に我々は末端消費財を輸出しているのではなくて資本財を輸出しておりますので、向こうから消費財、こっちが資本財ですから、形はかなり違うとは思っておりますけれども、いずれにしてもそういったのはお互いによくよく話し合っていってやっていかないかぬところかなと思っております。
  82. 西田実仁

    西田実仁君 人民元の話ですが、中国はもう既に世界一の貿易大国であります。その元の動向世界経済に大きな影響を与えることは言うまでもありません。先ほど来話しました基準値制度を、不透明であるのでこれ改めていくと。そして、資本取引の自由化と人民元のオフショア市場とオンショア市場の乖離を解消すると同時に人民元を市場実勢化する、いわゆる人民元の改革が必要であるということであります。  金利の自由化は既に完全自由化に近づいておりますが、外資依存の中国にとって資本取引の自由化を一挙に進めることはリスクが高いと思います。一定の期間を定めて資本取引の自由化を進めながら、人民元の市場実勢化を実現する必要があります。それには、人民元の急激な変化を避け、経済の実態に合わせながら、均衡レートにソフトランディングさせていく国際協調が必要ではないかと思います。  具体的には、中国は、貿易で米国に次ぎ第二位の日本と三位の韓国との間で、為替安定のための通貨協議の場を開設し、相互に情報交換を密にしながら均衡レートへの誘導を図るべきではないかと私は思っております。既に中央銀行総裁間では日中韓において定期協議が行われております。アジア通貨の安定を目的とした通貨当局の協議も必要になってきているのではないかと思いますけれども、最後に大臣にお聞きして終わりたいと思います。
  83. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 西田先生、これはアジア、元に限りませんけれども、人民元に関する話だけではございませんけれども、一九九七年のアジア通貨危機のあのときの経験を踏まえて、ASEAN十か国と日中韓三か国の参加しておりますASEANプラス3の財務大臣中央銀行総裁会議というのが、二年後ですから、九九年以来、定期的に開催をされております。  それで、財務省としても、この会議の発足以来、主導的な役割を果たしてきているんですが、金融危機地域的な連鎖と拡大というのを防ぐということを考えないと、短期のドル資金というのが各国から出たり入ったりするのを、これ融通、ぼっと引き上げられたときには、キャピタルフライト、それが起きたときには、きちんとそういったものに融通する、いわゆるチェンマイイニシアチブというものを整備させていただいたり、また、その地域で、よく分かっていない人もいっぱいおられますから、そういったところに関しては、その地域のあれを分析しているんですよという、AMROという、これは日本が今所長をしていますけれども、そういったところのAMRO、ASEANプラス3のマクロのリサーチオフィスというものをつくっております。  また、域内の貯蓄を投資に結び付けるアジアの債券市場の育成というものもやらねばならぬということをいろいろ取組を行ってきたところなんですが、この日中韓の三か国におきましても、いろいろ新聞だと日中韓全然話ができていないような話ですが、こういったことはきちんとやっておりますので、そういった話で、アジア通貨安定のためのでも、最近でも二〇一五年の五月にこれをやらせていただいておりますので、いろんな会議を通して、お互いさま、こういったものは共通の利益に結び付きますので、きちんとした連絡を取り合って、いわゆる突発的に何か起きるということによって大きなショックが起きないようなという対応に努めてまいりたいと思っております。
  84. 西田実仁

    西田実仁君 終わります。
  85. 藤巻健史

    藤巻健史君 維新の党の藤巻です。よろしくお願いいたします。  先ほどの大久保議員の質問に対して、黒田日銀総裁は、消費者物価指数は二〇一六年度前半に達成されるだろうとおっしゃったわけです。ところが、七月二十二日に内閣府が発表した中長期の経済財政に関する試算、これは非常に重要な試算ですよね。二〇二〇年に、経済再生ケースであっても、プライマリーバランスを黒字にするためには六・三兆円足りないということが分かって騒いだ試算ですから、それなりに重要な試算だと思うんですけれども、この試算においても、これ二〇一五年、配付したこの表を見ていただけば分かるんですけれども、二〇一五年であっても消費者物価は〇・六、二〇一六年で消費者物価は一・六となっているんですよ。  日銀は二%と言っているにもかかわらず、内閣府は一・六%、再生ケースであろうとベースラインケースであろうと同じ数字をしているんですけれども、ということは、内閣府は日銀の言うことを信用していないと、こういう話なんでしょうか。内閣府、お答えください。
  86. 籠宮信雄

    政府参考人籠宮信雄君) お答えいたします。  御指摘内閣府の中長期試算でございますけれども、これは七月二十二日の諮問会議に提出しておりますが、あわせて、平成二十七年度の年央試算という試算も提出しておりまして、こちらが主に二〇一五年、二〇一六年度の短期の経済見通しをカバーしております。両者は整合的なものとなっておりますけれども、これらの試算におきましては、御指摘のように、平成二十八年度、二〇一六年度の消費者物価上昇率、これ消費者物価の総合ベースでございますけれども、一・六%と見込んでおります。  また、日本銀行さんの方では、七月十五日に展望レポートの中間評価を公表されておりまして、こちらでは、消費者物価のコアベースで二〇一六年度については一・九%という見通しをお示しになっていると承知しております。  日本銀行さんの見通しは、一定の前提の下で各政策委員予想を集計したものということと伺っております。例えば、原油価格前提につきまして、内閣府の年央試算では見通し期間の間で一定の値で横ばいとなるという前提を置いておりますけれども日本銀行さんの見通しでは、見通し期間の終盤にかけて緩やかに上昇していくと想定されているように、若干前提条件などで相違があるところはございます。  ただ、こうした前提の違いを考慮いたしますと、内閣府の私どもの試算と日銀さんの予想につきましては、基本的に需給の引き締まり等を反映して物価は緩やかに上昇していくという点において認識の相違はないと考えております。  いずれにしても、政府といたしましては、日本銀行には経済物価情勢を踏まえて二%の物価安定目標の実現に向けて着実に取り組まれることを期待しております。
  87. 藤巻健史

    藤巻健史君 分かりました。  何はともあれ、日銀内閣府の消費者物価指数予想はほぼ一致しているというふうにまずおっしゃったわけですね。  じゃ、次にお伺いしますけれども、次に日銀総裁にお聞きいたします。  その前に、先ほどのやっぱり大久保議員へのマイナス金利政策について回答が、私聞いていますと四苦八苦しているなと思ったんですけれども、これ日銀マイナス金利政策なんてもう取れないですよ、正直言って、考えようとも。マイナス金利政策というのは当座預金にペナルティーを掛けるわけですから、当座預金をミニマイズさせる政策でして、量的緩和というのは当座預金残高をマキシマイズさせる政策ですから、百八十度方向違うんですよね。アクセルを踏みながらブレーキ踏むわけにいかないんですよ。ですから、量的緩和というルビコン川を渡った以上、私はマイナス金利政策はできないというふうに思っています。  私は、二十年来マイナス金利政策がいいというふうに主張していたら、当初は藤巻は頭がおかしくなったというふうに言われたものですけれども、最近ECBがやってくださったので、マイナス金利政策というのもあるんだなというふうに認識していただいたようなんですけれども、これはもうマイナス金利政策は取れないという認識の下にいた方がいいと私は思っています。これは単にコメントなんですけれども。  質問に入りますけれども日銀内閣府の予想は同じだということなんですが、中長期の経済財政に関する試算で、そうすると内閣府は経済再生ケースで二〇一七年に三・一%、それから二〇一八年に二・〇%という、それから後コンスタントに消費者物価指数は二・〇であると、こう予想しているわけです。  ということは、何を意味するかというと、日銀目標としている消費者物価指数は二〇一七年度には間違いなく達成するということなんですが、そこで、日銀総裁にはっきりとお聞きしたいんですが、目標とする二・〇%消費者物価指数が達成したときに、量的緩和は確実にやめるわけですね。それ、お聞きしたいと思います。
  88. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 量的・質的金融緩和は、二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続するということを、二〇一三年四月に導入して以来、繰り返し申し上げております。したがいまして、先行き金融政策運営は、こうした考え方に基づいて判断していくということになります。
  89. 藤巻健史

    藤巻健史君 ということは、経済再生ケースでいえば、二〇一七年には異次元の量的緩和はやめるというふうにお聞きいたしました。  そこでお聞きしたいんですけれども、今、今年は日銀というのはかなりの国債を買っているわけです。今年、国債、新発債とロールオーバー債、借換債百五十二・六兆円発行されるわけですけれども日銀はそのうちの七割、百十兆円も買っているわけですよ。確かに引受けではないかもしれません、サッカーでいえば直接フリーキックじゃないかもしれないけれども、間接フリーキックで、要するに、市場に売って、市場から日銀がすぐに買っているということで、間接的ではありますけれども、一年間に発行される国債の七割を日銀が買っているわけです。消費者物価指数二%達成した、七割買っていた日銀が手を引くということだと思うんですけれども、そのときに国債のマーケットはどうなってしまうか。  これ、経済再生ケース、実質GDP二%、名目三%、非常に強い経済になっていきますから、当然ファンダメンタルズもいい、普通だったら国債金利、長期金利は上がりますよ。かつ、需給でいっても、今七割買っている人が買うのをやめたらばどんなマーケットでも値段がクラッシュします。長期金利急騰するわけです。  ファンダメンタルズが良くて、需給がこんなに崩れて、ああ、長期金利は上がるなと思って見ますと、二〇一七年一・九%、二〇一八年二・七%、二〇一九年三・四%と内閣予想しているわけですよ。私、点が何かないはず、一九%、二七%、三四%かと思ったら違って、一・九、二・七、三・四なんですよね。こんなことがあり得るんですか。  私は長い間マーケットにおりました。経験からしてこんなことはあり得ないと思うんですが、それでも内閣府はこの計算で長期金利をこういうふうに予想するのでしょうか、お答えください。
  90. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) お答えいたします。  中長期の経済財政に関する試算でございますけれども、一定の仮定に基づきまして、内閣府のマクロ計量モデルにより行いました試算結果でございますけれども、同モデルにおきましては、名目長期金利は、中長期的には、細かい点を捨象いたしますと、潜在成長率や期待インフレ率に連動をしつつリスクプレミアムが加わるという形で定式化を行っているところでございます。  そこで、期待インフレ率やリスクプレミアムが問題となるわけですけれども、実際には、今後とも、その時々の経済物価情勢等を踏まえつつ、適切な金融政策財政政策等が行われることによりまして、期待インフレ率やリスクプレミアムが極端に高くなるような事態にはならないというふうに考えているところでございます。したがいまして、そのような状況下におきましては、試算でお示ししているような名目長期金利の推移は一つの妥当な姿であると考えているところでございます。  ただし、名目長期金利の動向は、その時々の経済物価情勢ですとか金融政策の在り方、また市場参加者の先行きの見方等々によりまして様々な影響を受けることがありますので、試算値につきましては相当な幅を持って見る必要があるというふうにも考えているところでございます。
  91. 藤巻健史

    藤巻健史君 相当な幅があると考えれば、一・九%が一九%ぐらいまで行くという可能性があるということは十分考えておいた方がよろしいんじゃないかと思うんですけれども。まさに机上の計算でしかない、机上の学問でしかない、実務を知らないなと私は思うんですけれども。  一九九八年十二月に資金運用部ショックというのがあったんですが、私、マーケットにいましたけれども、あのときはなぜ資金運用部ショックというのがあったか。宮澤喜一財務大臣が、資金運用部はもう国債買いませんよという話おっしゃったから、それによって一か月で長期金利は〇・六から二・四まで跳ね上がったんですよ。それは、だって、大量の国債を買っている資金運用部がいなくなっちゃう、大変だ、需給大崩れだといって長期金利跳ね上がったんですけれども。  あのとき資金運用部はどのくらい買っていたか。あの年、国債発行高七十六・四兆円で、資金運用部が買っていたのは十五・二兆円なんです。約二〇%ですよ。二〇%を買っていた人がいなくなるというだけでマーケットは大崩れしたんですよ。今度、七〇%を買っている人がいなくなっちゃうんですからね、マーケットから。どうなるんでしょうね。宮澤喜一財務大臣、資金運用部ショックでマーケットが大変だということを感じて、すぐ資金運用部買入れ再開しましたよ。だから、また戻ったんですけれども、金利はね。  もう一つ、あのときは、マーケット、我々は、資金運用部いなくなった、でも、代わりに日銀が買ってくれるだろう、ひょっとすると、引受け、財政法五条まで改正するんじゃないかと、そこまで極端に考えた人もいますよ。若しくは、今、日銀がやっているように、買いオペを大量に増やして何とかマーケットを抑えてくれるだろうと思った。だから、あの程度の金利上昇で終わったわけですよ。  今、ラストリゾート、最後のとりでであると。当時は最後のとりでに日銀があると思っていたら、その日銀が今は買っているんです、七割も。いなくなっちゃったらどうなるんですか、このマーケット。私は、長期金利が暴騰して、それこそ日本危機が来ちゃうんじゃないか、銀行危機も来ちゃうんじゃないかと。そのときに対する対応はできているのか。  今、消費者物価指数が二%に行かない、皆さんそればっかり心配していますけど、行っちゃったらどうなるのと。今、黒田日銀総裁は、もう買わない、量的緩和はやめる、国債買いオペやらない、七〇%国債分買わないと。誰が買うんですか。どんなマーケットでおいても、七〇%を買っている人がいなくなったらほかの人は買わないですよ、こんなもの。ましてや、経済再生ケース、景気いいんですから。  それに対する対応というのは、どうなんでしょうか、これはなかなか誰に聞いていいのか分からないので、少なくとも金融機関は大丈夫か、金融庁にお聞きしたいと、金融大臣にお聞きしたいと思います。
  92. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のあった話で、いろいろ前提がくっついてはいますけれども地域銀行が大丈夫だろうかという話が多分そこに行き着いているんだと思いますが、これは、金利が上昇した場合は、当然のことですけれども、自己資本というものの影響度合いというのはどうなるかというのが一番把握しておかないかぬ大事なところなんだと思いますが、あらかじめ具体的な対策というものを策定していくなど、これは有価証券というものの中の運用体制というものに対してどういうリスクが出てくるかという、リスク管理体制を極めて高いものにしておかないかぬことはもうはっきりしているとは思いますけれども。  少なくとも、金利の上昇というのは、当然のこととして債券価格の下落ということになるということが一番の問題だと言っておられるんだと思いますが、銀行などに財務マイナスを与えるということはこれははっきりしていますけれども、これは、ただしタイムラグはありますけれども、長期的に時間を掛ければ利ざやが今度は逆に上がっていきますから、そちらの貸出金利やら何やらのところへ、そういったプラス影響も与えるという点もあらかじめある程度計算しないと、マイナスの面だけ強調すると必要以上に不安感を与えることになりかねぬという感じはいたしますけれども
  93. 藤巻健史

    藤巻健史君 消費者物価指数二%に達したときにどうなるかということに対するシミュレーションがなされていないような気がしないでもないんですが。  最後の質問として、内閣府のもう一つのケース、ベースラインケースだと、これ逆に言いますと、一回だけ消費者物価指数が二〇一七年に二・五%で、その後一・二%なんですよ。二%また割れちゃうんですけど、このとき黒田日銀総裁は量的緩和を再開するんでしょうか。再開すると、これを未来永劫にやっていったらハイパーインフレへまっしぐらだと思っちゃうんですが、いかがでしょうか。最後の質問です。
  94. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 金融政策運営につきましては、その時々の経済物価情勢の先行き見通しを踏まえて二%の物価安定の目標を安定的に持続するよう適切に運営していくということでありまして、仮定の試算値を基に判断を申し上げることはできないわけでございます。
  95. 藤巻健史

    藤巻健史君 ありがとうございました。  でも、ただ、一・二%というのは仮定じゃなくて内閣府の予想だと思いますけど。  終わります。
  96. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。  今朝の朝刊を含めてこの二、三日話題になっているのが、消費税を一〇%に引き上げたときの負担軽減策ということでございます。そんなに心配だったら増税やめた方がいいんじゃないかと私は思うんですけれども、特に話題になっているのが、財務省の新しい提案の消費税還付方式ということでございます。  ただ、そもそもこれは与党と財務省の協議中の話といいますか、これからのことも含めてなので、本来ならまとまった段階で私たちが、野党が意見を言わせてもらうという流れは十分承知をしております。ところが、もうこれだけマスコミが、全新聞社が全部資料を入手していると。恐らく与党の議員さんから流れているんだと思いますし、しかも、そのマスコミの取材に与党議員がまた答えているというようなことでかなり広がっている話でありますし、麻生大臣も記者会見で、中身は話す段階ではないとおっしゃりながらいろいろお答えになっているというようなこともあります。ただ、だからといって、中身を今日明らかにしろとか、そういう質問をするつもりはございません。  ただ、この間明らかになっている麻生大臣の記者会見とか、昨日もレクで財務省の考えを聞いたら、一つだけ、マイナンバー制度との関係、これは大臣も記者会見でお答えになっていますし、昨日のレクでもマイナンバー制度とこの消費税の還付については財務省としては一つの案として検討していると。与党に何を出すかとか、それは別の話で、財務省の考え方として検討しているということでありますので、財務省と与党の協議の中身というよりも、財務省が今お持ちの考え方について絞って質問したい、つまりマイナンバー制度と税の還付、マイナンバー制度を税の還付に使うという考え方について絞って、その点だけ質問したいと思いますけれども。  ちなみに、マイナンバーはこの財政金融委員会内閣委員会で連合審査もやったわけですね。そのときには一切この税の還付に使う発想なんてどこからも出てきておりませんから、そういうことをもし財務省がお考えなら、やっぱりどこかで議論の俎上にのせるべきだった、今頃何を言っているのかという、質問した、議論した私たちとしては思うところはあるわけです。その点も含めて基本的な考え方を聞きたいと思いますけれども。  まず、一般論ですけど、基本的な原則ですけど、税の還付とは何かなんですけれどもね。主税局長にお聞きしますが、税の還付というのは、やっぱり税法の趣旨からいって公平性が一番大事であって、簡単に言いますと、その還付を受ける権利がある人は誰でも申告ができると。紙に書いて資料を付けて税務署に出せば申告ができる。受け取るのも誰でも受け取れると。つまり、銀行口座が、口座振り込みが今は主流ですけど、例えば口座を持っていない人にも郵便局とか金融機関に行けば受け取れると。つまり、誰でも申告できて誰でも受け取れるという、税の公平性が確保されていると思うんですよね。まず、それが還付の、当たり前のことを聞いているわけですけれども、原則ではないかと思うんですけど、税法上の公平性からいってですね。その点、まず、いかがお考えですか。
  97. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。  先生おっしゃいますように、還付というのは基本的にそういうことでございまして、例えば所得税法等々例を取りますと、そこに、どういう方が納税義務者であり、どういう所得があって、どういう計算するということが書かれてございます。それに合わせまして、申告納税制度ということでございますので申告をいたします。そのときに、いろんな書類とかそういうものはちゃんと証拠書類として残しながら申告をすると。その中で、ある方が、納税額が出る方はプラスとして納税でございますが、マイナスの場合には還付ということになります。したがいまして、その行為、そういう行為があって還付されるというのが基本設計でございます。  それから、おっしゃいましたように、どういう形で受け取るかというのは、様々な、今は高度化社会でございますから、便利な振り込みとかいろんなことはあるんだろうと思いますけれども、基本的にはいろんな手段が選べるという形でありますけれども、この方法でないといけないということではなくて、開かれている必要があるということは当然のことだと思っております。
  98. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうですよね。当たり前のことなんですけれども。  ところが、このマイナンバー制度を活用して税の還付を行うというのは、よくマイナンバー制度を御存じないとは思いませんけれど、マイナンバー制度というのはもうさんざん議論があったとおり任意の制度であります。カードの取得も、自ら申請して、任意の取得であります。したがって、このマイナンバー制度を使って税の還付をする、消費税であれ何であれですね。ということは、これはマイナンバーを使用して、今言われているのは、それでポイントをカウントして、しかも、まだできておりませんけど、マイナポータルといって、自分で自分のマイナンバー使ったいろんな社会保障とかの状況を見られる制度が普及したら、自分でパソコンで見られるというのをこれからつくろうという話なんですけれども、それに自分でログインして申請をしてというような、マイナンバー制度を使う方だけに消費税であれ何であれ税の還付をするというのは、先ほどの税の公平性からいってこれ問題があるんじゃないでしょうか。いかがですか。
  99. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) 今のお尋ねが、今私どもが与党の要請を受けて一つの試案を検討しているということの中身ということであれば、しばし、後刻……(発言する者あり)一般論として申し上げると、機会は開かれている必要があるということはおっしゃるとおりでございます。  それから、マイナンバーカードを使ってそういう納税の中にそれを活用していくということも、マイナンバーカード法の中にも一応還付とか納税事務に使うことは許容されておりますので、それを活用することは恐らく問題はないんだろうと思います。ただ、そこが、その使い方があまねく開かれているという形にどう制度設計するか、そのカードの趣旨に合うかどうかということは当然検討しなければならぬということだと思います。  この話とはちょっと別に、一般論として申し上げたときには、繰り返しますけれどもマイナンバーカード法の中には税の中に様々使うことは容認されておりますので、それをどういう形で使うかということを今度は税のサイドから見たときの公平性ということをよく担保しながら考えていくということになろうかと思います。
  100. 大門実紀史

    大門実紀史君 局長、もっとちゃんと勉強してください。マイナンバー法に書かれている税に関する使い方というのは、そうじゃありません。こういう、個人それぞれに返すとか、個人それぞれが申告するとかじゃなくて、それはあくまで源泉徴収をやるときに使うわけですから、そのときに関わるいろんなことに使っていこうと。もうちょっと拡張して何かできないかとか、例えば商売だって使えるわけですよね、今後。それは、その企業のビジネス戦略として、その企業マイナンバーを使ってくれたらこうしますというような個別の戦略であって、こういう国民全体に関わることに使うようなことで想定されておりませんので、そこはちゃんと、あそこに書いてある税に関してとかいうことは、勉強をもっとされてからこういう提案をすべきだと思います。  もう一つ、大臣の記者会見の会議録ですかね、概要をお配りいたしましたけれど、麻生さんにしてはちょっと乱暴だなと私は思ったんですけれど、クレジットカードを持ち歩くこととマイナンバーカードを持ち歩くことは同じだとおっしゃっていますけれど、全然違うんですよね。クレジットカードは持ち歩かなくても現金で物を買えます。でも、今言ったのはマイナンバーでなきゃ駄目だ、マイナンバー通知じゃなきゃ駄目だという仕組みなんですよね。だから、これはクレジットカードを持ち歩くこととは違います。クレジットカードを持ち歩かなくたって現金を持っていたら現金で買物できますけれどもマイナンバーを持ち歩かないとポイントを付けてくれないということで。  しかも、そのマイナンバー、だからマイナンバー、ちょっと更に乱暴なお話をされていますけれど、マイナンバーカードを持っていない人は減税されなくたって仕方がないみたいな、減税されないということだというふうに、まだいろんなことは詳細検討されていないんでしょうけれども、表現されておりますけれど、これはちょっと違うんではないかと、今言った趣旨からですね。  マイナンバー制度というのは任意の制度であり、どれだけ普及化するかも分からないというようなものを今持ってきて、それを持っていない方が悪いみたいな、こう捉えたような記者会見の言葉になっておりますけれど、これは違うんじゃないかと思いますが、麻生さん、いかがですか。
  101. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私の申し上げたのは、様々なカードというのが広く、今は皆さん何枚もカードを持っておられますので、消費者の間にかなりカードというものは広く普及しているんじゃないんですかという話を最初に申し上げたと記憶をいたします。  いずれにいたしましても、今は軽減税率という話が、消費税というものが上がった場合において、低所得者層に対して軽減税率というお話が出てきて、これに伴って、それでやると、今度はその軽減税率を認めるためには、いわゆるこの商品は軽減税率の対象、これは商品じゃない、いろいろなものでやるのが大変、それから、それを書き出すインボイスをやる業者もこれまた大変、えらい面倒な話になるという話で、これを克服する方法はないのかというお話を与党の税調からいただいた我々財務省が、この話を今、目下検討して、例えばこういう案でというのが申し上げたかった、今回出させていただいた経緯であります。  今、カードのお話が出ました。例えばカードが、そのときはたまたま忘れていたけれども物を買ったときには、そのレシートだけをもらっておいて、後で、二枚なり三枚ためておいたら、今度カードを持っているときに持っていったらそれを一緒にポイントとしてためられるというようにすればいいだけですから、そういったようにしておけばいいんだと思います。  まだ内容をお答えする段階にはないんだと思っておりますけれども、まだ今から数か月ありますので、その中で内容をいろいろ御検討いただくということになろうかと存じます。
  102. 大門実紀史

    大門実紀史君 まだまだ問題があると思うんですよね。与党の皆さんが協議されるということなので、参考までに聞いてもらえればというふうに思いますけれど。  これは、中小業者の事務負担とか経費負担が生じますマイナンバーの読み取り機、購入しなきゃいけないと。それの維持経費も掛かりますよね、事務負担も掛かりますよね。読み取り機を持っている人と持っていない事業者、お客さんは当然ポイントをためたいから読み取り機を持っている事業者から物を買うということになりますよね。そういう格差が生まれますし、今日の新聞を見ていたら、びっくりしたんですけど、財務省、本当にそんなことを思っているのかということがありますけど、小規模事業者七十五万社にポイントカード、マイナンバーの読み取り機を配る、七十五万社ですか、数百億円掛けても配ると。  これは、おそば屋さんの出前なんかはどうなるかですよね。出前届けてお金をもらうときに読み取り機を持っていないと、持ってこいよ、ポイント付かないじゃないかと。だから、そうなると読み取りの端末機が必要になりますよね。こんなことまで想定されているのかとか、ピザの宅配もそうですけれども。しかも、そんなに何百億も掛けるのかと、何百億で済まないんじゃないかと思いますけれど。  あとは、そのポイントを蓄積するセンターを新たに造ると。これが何千億掛かるというふうに言われていますけれど、そんなことを、いろんなことをやって、結局、このポイントカード普及しなかったら、ポイントカードじゃない、個人番号カードですよね、マイナンバーが普及しなかったらどうなるのかと。全部無駄金になりますよね。だから、何かちょっと最初の発想が間違っていて、それをやるためにいろいろやろうとするからこんな荒唐無稽な話になってきているんじゃないかというふうに思いますし。  もう一点は、二〇一七年四月から消費税が一〇%ですけれど、この前の連合審査でも議論いたしましたけど、総務省はこのマイナンバーカード、個人番号カードの普及をどう見ているかというと、この二〇一七年四月までにはやっと一千五百万枚、しかもこれ予算ですから、本当にそこまでいくのかと。今、住民基本台帳カードも、普及率からいくともう一割いかないですよね。この個人番号カード、マイナンバーカードがそんなにいくのかというのがありますが、いっても一千五百万枚、つまり国民の十分の一ですよね。そうすると、四月から始まって、ポイントを付ける人はたった、全部普及したって十分の一の人しかポイントをカウントしないと。  だから、そういう点から考えると、ちょっと相当無理な案を、無理を通そうと思うからいろんなことがどんどんどんどん広がって、お金は掛けなきゃいけないというようなことになっているんじゃないかと思うわけですね。だから、もう本当にこの案は、よく分からないですけど、多分IQの高い財務省の方が机の上で作ったんだと思いますけど、余りにも世間を知らない案ではないかと思いますので、与党の皆さんは、こんなもの何だというふうな意見が今相当出ているみたいなので、こんなことをやるぐらいなら本当に消費税増税中止した方がいい、その方が話が早いということを申し上げて、参考にしていただいて、私の質問を終わります。
  103. 中山恭子

    ○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。  今日は、G20の話が相当出ておりますが、私からも、アンカラで開催された今回のG20、財務大臣中央銀行総裁会議に関して、特に中国経済に関してお尋ねしたいと思っております。  まず最初に、一般に、中国政府の発表する経済統計は信用できないと言われております。また、今朝、今日の委員会で、大臣からも、四―六月期七%増の数値も確実とは言い難いとのお話もありました。財務省としては、こういった中国経済の統計に対してどのような注意を払っていらっしゃるのでしょうか。
  104. 太田充

    政府参考人太田充君) お答えを申し上げます。  財務省といたしましては、中国経済情勢につきまして、GDPを始めとする中国政府が発表する様々な経済統計だけではございませんで、中国メディアによる製造業の購買担当者指数、PMIと呼ばれているものですが、それや、あるいは自動車工業協会による自動車販売数など、各種の民間統計についても注視をして見ております。さらに、いわゆる李克強指数というような指数から見る方法とか、あるいはIMFなどの国際機関によるレポートなど、中国経済につきましては様々な見方、情報があるというふうに考えております。  私どもといたしましては、こうした状況を収集をしまして、引き続き、総合的に中国経済を的確に把握したいというふうに考えております。
  105. 中山恭子

    ○中山恭子君 当該国が発表する数字をそのまま信用できない形であるということは、その経済を判断する上で大変厄介なことであろうと考えておりますが、是非いろいろな統計を合わせて実態に近い数字を把握していただきたいと思っております。  麻生大臣が、今回の同時株安などの市場経済の変動は中国の構造的問題が映し出されたものであると御指摘されたという報道がございます。まさに的を射た、非常に重要な御指摘であったと考えておりますが、この構造的改革を中国に迫っていくというか、中国にやってもらうということ、過去の景気対策、過剰投資の整理とかですね。先ほどもお答えがありましたけれども、人口減少に応じた社会保障制度の見直しというか構築といったことを中国指摘をして進めてもらうということ、これは大変なことであろうと実感されたということでもございますが、私も一党独裁の国が自由経済を取り入れて進めていく、共存させていく難しさというのは非常に大きなものであろうと考えております。  ただ、中国にとっても必要な事柄であろうと思いますし、難しいかじ取りを中国に進めるに当たって、麻生大臣国際機関などをリードして進めていただきたいと期待しておりますが、今後どのようなことで進めることができるとお考えでしょうか。
  106. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 初めての経験であることだけは確かだと思いますので、初めての経験ですから、やり方も極めてドラスチックといえばドラスチック、乱暴といえば乱暴なんだと思いますが、いきなり各銀行に今おまえが持っている株をあしたから売るなと。日本でそれやったらどんなことになるかといったら、いいたたかれるネタになるだけで、ばからしくてやっておられませんというか、多分なるんですよ。ところが、そこはできちゃうわけですね。  そうなると何を信用していいか、ちょっとまた、そんなことをやられるとということになりますし、数字の上で、私ら元セメント屋に言わせると、セメントの生産量が一割七分ぐらい伸び、鉄が二割ぐらい伸びたので、ほう、えらいよく伸びているなと思って見ていたら、電力消費量が減っていましたから、ほうと思って、おたくどんな発明したんです、鉄をこれだけ造って電力がこれだけ下げられるというのは、よほど我々に知られない発明品が出たに違いないから是非教えてくれと言って、翌年から電力の消費量の発表だけはなくなりましたから。何となく分かりやすいですよね。  私らはそういうところだと思っていますから、そういうものだと思って、これまでも、数字というのは。そのうち李克強指数というのが出始めて、いわゆる外から見てごまかせない数字のものだけを三種類集めて、例えば鉄道輸送量とか融資額とか電力消費量とかああいうのを、全部外からチェックできるものだけ調べたやつの指標を見たときに、先ほど大久保先生の言われた二・五だったかな、二・五でしたかね、あれはたしか。一・八とかいろいろ数字が出たので、さすがにおったまげて、こんなかよと思ったんですが、そういう数字が、これはフィナンシャル・タイムズにも出ましたし各外国の会社の方のメディアも出ましたので。  こういったものでやりますと、やっぱりどこが問題なんだというと、やっぱり地方から上がってくる数字が、みんな任せてあるところの数字が上がってくるんですけれども、大体、十三億人いる国のGDPが翌月全部出てくるなんというのは、日本だって二か月半掛かるのに、あの国は一月で出てくるんですよ。どこにそんなコンピューターが発達しているのよと言って、いつやったんだよと、いつも調子こいて、からかっていましたけれども、今度は本当に深刻に、いや、とてもじゃないということが分かったんだと言っていましたから、やっぱり現実になりつつあるんだと思いますけれども。  要するに、やっぱりこの種の話は、楼継偉とか周小川とか、あの辺の数字に明るい経済の分かっている、昔でいえば朱鎔基とか王岐山とか。朱鎔基という、御存じのように、江沢民になったときに経済を担当した朱鎔基のところの下にいたのが周小川であり楼継偉ですから。朱鎔基の後の二人が出てきて、この二人みたいな分かっている人たちと中にいる何億人かの人たちとは、経済とか物に関する数字、また、いわゆる原理、原論、そういったようなものに知識の差がかなりあると私らはそう思いますので、対話するときも、英語ができる、だから出てきたからといったって、それは全然経済分かってなきゃ通じませんから。そういった意味では、これは中山先生、かなり時間が掛かると思って、これは絶対時間掛かるだろうと言って、五年と言ったんですけれども。  そういった意味では、私どもは、これはかなり影響がこっちに直接出てくることを考えてやっておかないとならぬし、いろんなものを、公害がどんどん偏西風に乗っかって、私ら九州なんかもろに影響を受けますので、そういったところの話やら何やら含めて考えないかぬことがいっぱいあると思っておりますので、私らは、ここへの対応というのに関しては、これは金融だけに限らず経済全体にわたりまして私どもとしてはこれは考えないかぬところだと思って、どこから手を付けていいかというのが物すごく難しいところだと思っております。
  107. 中山恭子

    ○中山恭子君 大変御苦労のあることだとは思いますけれども、やはり中国経済の実態が、バブルのはじけたことを認めたとか、又は財政相が五年間又は十年くらい掛かるというようなことを発言していらっしゃるということであれば、日本経済に対しても非常に大きな影響があると考えた方がよろしいかと思っております。  ただ、中尾アジ銀総裁が少し中国に対して、中国財政は他の国に比べて健全である、それも財政赤字がGDPの一・八%、一四年で。一三年よりも改善している、それから国有企業の改革や社会保障制度の充実といった措置をとることで成長を維持できるというようなことをおっしゃっていらっしゃいます。  中国経済はまだキャッチアップの過程にあるというようなことを述べていらっしゃるわけですけれども麻生大臣は、この中国動き経済動向について、アジ銀総裁がおっしゃっているような、まだこれから成長できるという、又は財政赤字も小さいんだというようなことについてはどのように評価していらっしゃるんでしょうか。
  108. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、アジ銀総裁の言われた話の細目を残念ながらよく、詳しく存じ上げていないんで、答弁が少しずれているかもしれませんけれども、いわゆる中国として伸びなければならないということは、余地があるというのは確かだと思っております。  二〇〇八年に、当時、胡錦濤という方が通貨の話を首脳会議のときに聞かれましたので、ドルを売ってユーロに替えろという話をサルコジに言われたけどどう思うかと言われたので、何を言っているか意味が分かっておるんですかと、おたくとうちが世界で一番ドルを持っている国、その国が自国で一番持っている資産を売ってユーロに替える、何考えているんですかと。  これ、大体あの国は、中山先生御存じのように、朗読の時間みたいにお互いに書いた文章を、あらかじめ決めてあるものをお互いに、朗読の時間みたいな会話ですから、そのとき以外に、それが終わった後に出ましたので、みんな見てもざわざわざわざわしていたから全く予定外に出たんだと思いましたので、当時はリーマンが終わったすぐ後でしたので。  で、これから中国経済はどうなると。これは不況になるぞと言ったら、不況、どうしてと。いや、どうしてって、おたくはアメリカに輸出しているんだから、アメリカに輸出できなくなる分だけそれは不況になるんじゃないと。どうすればいいと。さすがにそうなってくると、俺、おたくの経済顧問やっているんじゃないんだという話をそのときもしましたけれども、そのままちゃんと訳せよと言って、その上で、たしかあのときは、先ほどの中尾総裁の御意見と同じで、国内のインフラ等々極めて未発達、未整備ですから、そういったものに内需拡大の方向に金を使うのがしかるべきだと言って、四兆元というのを一挙に出してくる。一挙に四兆元出してくるところがすごいところなんですけれども、ぼんと出てきて今のいわゆる土地のバブル、不動産バブルというのは起こすことになったんですけれども。  そういったところは、言っている、言ったことは間違っていないと思いますけど、それを調整しながら少しずつ少しずつやるというような、資本主義経済とか成熟した先進国ではどこでもやる、そういう調整とか少しずつやるとかいうことができないので、決めたらどおんと一斉にやる、例外なしなんというようなやり方をするとどういうことになるかという例だと思いますので、私はかなりな時間が掛からないと、そういったものが成熟化していくのに猛烈な時間が掛かる、私らが想像している以上に時間が掛かるだろうなと思っております。
  109. 中山恭子

    ○中山恭子君 中国経済は、そのものがしっかりしてほしいと思いますが、それに対して日本経済自体をしっかり守っていくということも必要だと考えておりまして、日本政府として相当規模の補正を組むとか、せっかくデフレから脱却しかかっているのがだらだらだらだらと後戻りしかねないような状況でございますので、中国経済顧問を日本からたくさん出していただきたいとも思いますし、日本経済そのものをしっかり支えていただきたいと考えておりますが、その点に関して、日本経済を支えていく上で補正を組むことに対して一言お願いできればと。
  110. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) あちらの方から補正だ補正だなんと言って、あらかじめミーティングがしてあったのかどうか存じませんけれども、御意見が。  今、経済状況というのは、まだ補正とかそういう話までとても行っておりませんけれども、今やっと概算が終わったところぐらいな話ですので、今から経済というのはどうなっていくかというのを見極めないかぬところですけれども、大事なことは、やっぱりデフレ不況が問題なので、デフレよりデフレ不況が問題なんですから、デフレでも好況というのは一九一〇年代やっていますから、そういった意味ではデフレ不況が問題だと思いますので、私どもは、このデフレ不況に逆戻りさせないためにはという点が一番大事なのであって、経済成長財政のバランス、いわゆる基礎的財政収支のバランスを目先の目標にしていますけれども、これと経済成長というのをきちんと両立させるというところが一番難しいかじ取りだと思って、今後ともその点に留意してやってまいりたいと考えております。
  111. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございました。
  112. 中西健治

    ○中西健治君 無所属の中西健治です。  まず、東芝の不正経理問題について取り上げたいと思います。  これまで数々の粉飾決算というのはありましたけれども、その多くが業績不振で倒産の危機に瀕した会社がやむにやまれず粉飾に手を染めた、従業員を路頭に迷わすわけにはいかない、こうしたものが多かったのではないかと思います。そうしたものについては、いや、不正はいけないと思いますけれども日本の組織人の在り方としては若干同情したい、こんな部分もあるんじゃないかと思いますが、今回の東芝のケースは、第三者委員会も言っているように、歴代トップ同士の個人的なあつれきと自己保身が主因とされていまして、情状酌量の余地がないのではないかというふうに思っております。ロシアのことわざですけれども、魚は頭から腐る、こうしたことわざがあります。まさに組織の頭が腐ってしまったのではないかというふうに思います。  この案件では、この事案では、やはり課徴金ということを言われていますけれども、経営トップの責任を厳しく問うべきではないかというふうに思っておりますけれども麻生大臣の現時点での所見をお伺いしたいと思います。
  113. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもう個別事案に関わる話なのでコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、これは一般に言われます金融商品取引法に基づいて、いわゆる法令に違反している、それに該当するんだということであるのが疑われる場合においては、これはもう証券取引監視委員会でこれはきちんとやられる、当然のことだと思いますが、厳正な調査が行われるということになるんだと思いますので、それを見ませんと、私、今の段階でこれに対するコメントを申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  114. 中西健治

    ○中西健治君 証券取引等監視委員会調査中ということでありますので、まだ予断を持っては言えないということだろうというふうに思いますけれども、これまで長銀ですとかカネボウですとか、これは刑事事件まで発展しております。今回の事案についても、申し上げたとおり、情状酌量の余地がないのではないかと私自身は思っていますので、やはり厳正な対処ということを是非していただきたいと思います。  前回、この件に関連して、一般論ですけれども、相談役や顧問の存在に関して質問をさせていただきました。そのときに大臣の方からは、取締役でもない人の発言権が大きいことは問題だとしながらも、うまく使っている会社もある、一概に不適切とは言い難いと、このような答弁をいただきました。ただ、物事には限度というものがあるんじゃないかと思います。  資料を一枚用意させていただきましたけれども、これは東芝の現状、これまでの姿ということなんですが、これは相談役が記者会見で認めているということでありますのでそのとおりだと思いますが、東芝には相談役と常勤の顧問が十七名います。そして、全員が社長よりも年配のOBということであります。取締役の数は社外も含めて十六名ですから、顧問、相談役の方が多かったということであります。八十までこの職責を果たそう、相談役としてやるんだと、こんなことも決まっているということでありますが、この年功序列の気風が残る日本の社会においてこれがどのような意味を持つかは想像するに難くないと思いますが、この姿について、大臣、どのようにお考えになりますか。
  115. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはよくよくある話で、どこでもそうですけれども、表に出てこなくて役職もなくて人事権だけ持っているという人は偉いんですよね。いるでしょう。大人の話としてこういうのをしないと、定期的な、決まった、しゃくし定規の話をしたって全然現実に合いませんから。大きな組織はみんなそういったものは少なからず、これは世界中、結構大なり小なりあるものだとは思ってはいますけれども。  少なくとも、株主から負託された責任というのは取締役ということになりますので、そういった意味では、それの責任というものはきちんとしないといかぬのじゃないかというところが、我々、いわゆるコーポレートガバナンスというものを入れようとしたときに、結構反対が多かったところの一つは東芝でしたということを、あのときを思い出しますけれども。やっぱり、ほうと思いましたよ、あのときに、今これが出たときに。  だから、そういった意味では、企業価値の向上につながっていくことになっていくんだと思いますので、こういったものはきちんとしておくというのは大事なことだと思いますので、一概にこれを悪いとは言いませんし、極めてこういった方々のいるおかげで常務間同士のあつれきやら何やらうまくその人が解消してくれているとか、そういった例はいっぱいありますので、一概に全て駄目だと言うつもりはありませんけれども。  いずれにしても、責任は誰かと言われれば、これは取締役で、はっきりしておりますので、そういった意味では、責任体制のところだけはきちんとしておかないかぬ、参考にするのはいいけれどもというところは明確にしておかないかぬなという感じはします。
  116. 中西健治

    ○中西健治君 東芝がコーポレートガバナンス・コードの導入に反対していた、抵抗していたというのは初めて知りました。  こうした相談役や顧問の存在について、全て駄目ではないと。それはそうなんだろうと思うんですが、問題は、公開されていないということなんじゃないかと思います。会社によっては陰の取締役会、こんなような存在にもなっているにもかかわらず、有価証券報告書には一切開示がされておりません。  コーポレートガバナンス・コードの基本原則三で定めているのは、ガバナンスに係る情報等に相当するものは開示しなきゃいけないということなわけですから、こうした影響力のある相談役そして顧問の存在というのは開示を促していくべきなんじゃないでしょうか。
  117. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、東芝が抵抗したというように取られましたけれども政府に出向しておられる東芝からの方が反対しておられたというのが正確であって、東芝が全社を挙げてコーポレートガバナンスに反対をしたなんて話、大体こういうのは全部マスコミというのはそうやって作りたがるものですから、あの人たちは。だから、そういう話にされちゃうと、これは東芝としては甚だ冗談じゃないということになりますので、ちょっとそこのところはきちんと整理をさせておいていただきます。東芝から出てきておられた政府委員の方の一人が、この問題に関して当時やりましたので、記憶があるところです。  それから、今のお話ですけれども、有価証券報告書やら、それに基づきます、何というか、会社用語で言えば事業報告書ですかね、事業報告書等々では、これは取締役の氏名やら何やら、全部略歴などの開示がこれ義務付けてあるんだと思いますが、その際に、今、開示内容を明確に定義する必要があるということで、会社法に根拠のある取締役というものも、また監査役なども対象として開示を行っている。もうこれは法律でそう決まっておりますからそうなんですが。  今ありました、御指摘のあっております相談役とか顧問とか、ほかに常任顧問とかいろんな表現がありますけれども、そういった、企業によりその名称というのは実に様々な名称がくっついておりますので、そういったので直ちに開示制度の対象にするということにはなかなか、呼称から何から言われると、この呼称だけ変えればいいとかいうことになりますので、なかなかそこのところには困難な面があるかなという感じはいたします。
  118. 中西健治

    ○中西健治君 実質的に経営に影響のあることなわけですから、やはりそうしたものについては開示を指導していくということは是非していただきたいと思います。  そして、この開示もそうなんですが、この東芝に関して言うと、今週の月曜日のプレスリリースで私はまた驚きました。というのは、今回、取締役会の役員の数、これは十六名から十一名に減らすということなんですが、退任される取締役及び執行役計四名がまた顧問になるということなんです。だから、十七名がひょっとして二十一名になるのかもしれないですけど、開示がされていないので分かりません。  こうしたような不祥事を、民間の会社です、民間の会社ですが、不祥事を起こして、それで甘い幕引きをしようとしていることについて、金融庁としてはこれでいいとお考えになるかどうか、お伺いしたいと思います。
  119. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは重ねて申し上げますけど、個別の会社の話であって、これによって一番どう反応されるかというのは、間違いなく株主が一番それに対して発言権を有しておられる方なんだと思いますので、私はその東芝の株というのを持っておりませんし、私自身もそれに対する発言権というのは、これは私の立場としては極めて控えておかねばならぬところだと思っております。
  120. 中西健治

    ○中西健治君 まあそうかもしれませんが、取締役の数は減らしても顧問の数が増えるなんということでは、これじゃちょっといけないんじゃないかなという意見は申し述べさせていただきます。  続きまして、日本郵政の上場について、一、二、ちょっとお伺いしたいと思います。  まだ新聞報道だけですけれども、上場の承認、正式な承認は今日の多分午後、この財金が終わった頃になるんだろうというふうに思いますので、詳細はお聞きするつもりはありません。PBRがどうだとか、そうしたことについては私も意見ありますけれども、これも申し述べていますけれども、これについては申し上げるつもりはありませんが、これ大事な復興財源とされています。  四兆円程度は復興財源に充てられるということがこれは決まっているということでありますが、今の言われている想定の売出し価格、これで計算しますと、日本郵政の株、三分の二までしか、何回か分けて、売却しないわけですから、この三分の二計算すると四兆円をぎりぎり超えるぐらいという形になってしまっています。このまま売出し価格がひょっとして下がったり、二次の売出し、三次の売出しで下がったりということになると四兆円が守れない、確保できないということになりますが、そうはならない、四兆円は必ず復興財源は確保するんだと、こういうことだということでいいか、お願いします。
  121. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、財務省としてはなるべく高く買っていただいて、結果としてそれが復興財源に回ることによって税金をその分だけ使わなくてよくなるということになりますので、そういった意味では、復興財源の財源としては極めて大きな要素、占める位置にあります。  売出し価格等々、予定価格、これは今から証券会社やら何やら何十社入ってこれいろいろやっていかれるんでしょうし、昨日だったらいきなり千三百四十三円も上がっていますから、その前の日やっていたらもうちょっと下がっていたかもしらぬし、前の日は四百三十三円下がっていますから、もうちょっと、最近のこの一、二週間の株というのは乱高下の度合いが物すごく激しいので、ちょっと何ともこの種の時期にはいかがなものかという意見もあるぐらいでしたから、そういった意味では、いわゆるローンチに関しましては現時点での企業価値というものを踏まえて設定することにしておるんですけれども、基本的には、私どもとしては、日本経済というのは今後とも上がってまいりますから、それに伴って、買った方々が、かつて政府の株を高値で買って、後はずうっと下がったということによって、政府がいかにも詐欺まがいに売り飛ばしたんじゃないかと言われた時期がありましたから、そういったことも考えますと、ある程度、額というものをどの程度に設定せねばいかぬのかというのは、これはちょっと私どものあれではありませんけれども市場できちんと決まるにしても、四兆円だけは私どもとしては断固獲得していかねばならぬと思っております。
  122. 中西健治

    ○中西健治君 復興財源を断固確保するという決意をいただいたと思います。  最後に一点お聞きしたいんですけれども、これ、日本郵政の上場、非常に会社にとっては重要なことだと思います。で、西室社長なんですけれども、私の高校の大先輩でもありますので尊敬しているわけなんですが、西室社長、ちょっといろんなことに首を突っ込み過ぎているんじゃないかというふうに思うんです。これだけ大事なときに東芝の役員人事に介入していることを言ってはばからないわけでありますし、あと、七十年の談話、あれの有識者会議の議長もお務めになられていて、それはちょっと手を広げ過ぎているんじゃないかと私は思うんです。  財務大臣は、今、日本郵政の株主、単独の株主でいらっしゃいますから、財務大臣から西室社長に、社業に専念してくれと、上場に専念してくれと言っていただくわけにはいかないでしょうか。
  123. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 言い方の問題だとは存じますけれども、お気持ちだけはうまく伝わるように努力をいたしたいと存じます。
  124. 中西健治

    ○中西健治君 是非よろしくお願いいたします。  質問を終わります。ありがとうございました。
  125. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時四十一分散会