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2015-08-04 第189回国会 参議院 財政金融委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年八月四日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     尾立 源幸君  六月十七日     辞任         補欠選任      長峯  誠君     中曽根弘文君  六月十八日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     長峯  誠君  六月二十九日     辞任         補欠選任      藤巻 健史君     室井 邦彦君  六月三十日     辞任         補欠選任      室井 邦彦君     藤巻 健史君  七月二日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     世耕 弘成君      長峯  誠君     上野 通子君  七月三日     辞任         補欠選任      上野 通子君     長峯  誠君      世耕 弘成君     石田 昌宏君  七月十三日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     白  眞勲君  七月十四日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     尾立 源幸君  七月二十九日     辞任         補欠選任      礒崎 哲史君     小川 勝也君  七月三十日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     礒崎 哲史君  八月三日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     柘植 芳文君      長峯  誠君     石井 正弘君      森 まさこ君     大野 泰正君      山本 一太君     太田 房江君      大塚 耕平君     藤田 幸久君  八月四日     辞任         補欠選任      塚田 一郎君     渡邉 美樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         古川 俊治君     理 事                 愛知 治郎君                 若林 健太君                 大久保 勉君                 西田 実仁君                 藤巻 健史君     委 員                 石井 正弘君                 大家 敏志君                 大野 泰正君                 太田 房江君                 伊達 忠一君                 柘植 芳文君                 西田 昌司君                 渡邉 美樹君                 礒崎 哲史君                 尾立 源幸君                 風間 直樹君                 藤田 幸久君                 前川 清成君                 竹谷とし子君                 大門実紀史君                 中山 恭子君                 中西 健治君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        法務副大臣    葉梨 康弘君        財務大臣    宮下 一郎君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        越智 隆雄君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      井野 靖久君        金融庁総務企画        局長       池田 唯一君        復興庁統括官   吉田 光市君        法務大臣官房審        議官       金子  修君        財務大臣官房総        括審議官     太田  充君        財務省国際局長  門間 大吉君    参考人        日本銀行総裁  岩田規久男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (金融機能再生のための緊急措置に関する法  律第五条の規定に基づく破綻金融機関処理の  ために講じた措置内容等に関する報告に関す  る件)  (東芝会計処理に係る問題に関する件)  (量的・質的金融緩和に関する件)  (国等による終戦時の未払債務に関する件)  (株式会社東日本大震災事業者再生支援機構に  関する件)  (金融機関国債保有に関する件)  (日中財務対話に関する件)  (社会保障関係費の見直しに関する件)     ─────────────
  2. 古川俊治

    委員長古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、蓮舫君石田昌宏君、長峯誠君、森まさこ君、山本一太君及び大塚耕平君が委員辞任され、その補欠として尾立源幸君、柘植芳文君、石井正弘君、大野泰正君、太田房江君及び藤田幸久君が選任されました。     ─────────────
  3. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事藤巻健史君を指名いたします。     ─────────────
  5. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣大臣官房審議官井野靖久君外五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁岩田規久男君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査を議題といたします。  まず、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づく破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告に関する件について、政府から説明を聴取いたします。麻生内閣特命担当大臣
  10. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昨年十二月十六日に、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告書を国会に提出いたしております。  報告対象期間は、平成二十六年四月一日以降平成二十六年九月三十日までであります。  本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、その概要を御説明させていただきます。  初めに、管理を命ずる処分状況につきまして申し上げます。  今回の報告対象期間中に、金融整理管財人による業務及び財産管理を命ずる処分は行われておりません。  なお、平成二十四年九月十日に解散した日本振興銀行に関し、再生計画に基づき、同行の債権者に対して、中間弁済が開始されております。  次に、預金保険機構による主な資金援助等実施状況及び政府保証付借入れ等残高につきまして御説明申し上げます。  破綻金融機関からの救済金融機関への事業譲渡等に際し、預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助は、今回の報告対象期間中に破綻金融機関清算結了時の残余財産の発生に伴う返還等が生じたことにより一億円の減額となり、これまでの累計で十八兆九千九百十七億円となっております。  預金保険機構による破綻金融機関からの資産の買取りは、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で六兆五千百九十二億円となっております。  また、預金保険機構政府保証付借入れ等残高は、平成二十六年九月三十日現在、各勘定合計で二兆四千六百七十二億円となっております。  ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関処理等に関しては、これまでも適時適切に所要の措置を講じることに努めてきたところであります。  金融庁といたしましては、今後とも、日本金融システムの一層の安定確保に向けて、万全を期してまいる所存であります。  御審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。  以上です。
  11. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 西田昌司

    西田昌司君 自民党西田昌司でございます。  私は、昨今非常に世間を騒がせております東芝の巨額な粉飾事件、これについて今日は、ちょっと時間限られていますが、大臣始め金融庁に質問したいと思うんです。  まず、麻生金融担当大臣にお伺いしますが、今回の東芝巨額粉飾事件、一応、第三者委員会からの調査報告も出ましたけれども、これ、どういう事案だというふうに金融庁としては考えておられるんでしょうか。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今回のケースは、これは経営者モラルの欠如というのが一番大きなところだと思いますが、低い収益性見せかけで大きくごまかしていたというところで、極めて次元の低い話で、その結果、市場に対して正確な情報が開示されていないということによって市場信頼性を失わせしめたというところは誠に遺憾なところだと思っておりますので、市場に対して正確な情報が開示されるよう今後とも適切に促してまいるというのが正しいんでしょうか、だと思います。
  14. 西田昌司

    西田昌司君 経営者モラルが一番問題だと私も思うんですね。しかし同時に、経営者のそういうモラルをどういうふうにしてきちんと担保できるかというので、公認会計士監査というのもありますし、そもそも内部統制上場企業というのは、取締役会も含め、やっぱりきちんと内部統制ができるというのが大前提で上場させているわけなんですよね。ですから、その根底が覆される、日本証券市場そのもの信頼性をなくしてしまう非常にゆゆしき事態事件だと私は思っているんです。  それで、それについて質問するんですが、実はこの第三者委員会というのが調査報告を出しているんですね。私も、要約版ではありますが、これ一応全部読んだんですね。読みますと、本当に笑ってしまうんですね、これは。  といいますのは、そもそも第三者委員会というのは、第三者なんですけれども、頼んでいるのは東芝ですからね。東芝が自らの依頼を受けて、第三者東芝外の人ですけれども、その調査報告していると。  しかも、この報告は、要するに、私先ほど言いましたように、もう片っ方で、監査の仕組みを担保する公認会計士監査監査法人監査については一切言及していないというか、それは我々は言及しません、東芝内部の話ですと。しかも、東芝内部の話なんだけれども、それも言われていることだけでやっているわけなんですよね。本当にこれで全部出ているのかということなんですよ。  特に、この粉飾の一番の原因は、大臣もおっしゃいましたけれども経営者モラル見せかけの利益を上げると、こうおっしゃっているんですが、そういうことを含めて、ここには、歴代社長チャレンジだと、もうちょっとチャレンジでやってみろという形でやったと言っているんですけど、そんなチャレンジはどこでもやっていますよ、はっきり言いまして。どの企業でも、部門別会議したら、どうなっているんだと、こう言うのに決まっているんですね。しかし、それで不正をしますかといえば、普通はしないと思うんですよね。しかし、それがあっさりそれでやったという、そんな結論で納得できるのかというのは思うんですよね。  だから、そういう会社側第三者委員会説明大臣は納得されますか。その辺をまず素朴な疑問としてお伺いしたいと思うんです。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、まずは東芝に対して、市場に対して正確な情報が提示をされていかないと、これは東芝自体だけに限らず、他社も迷惑、他の上場企業がみんな迷惑を被ることになりますので、そういった意味で、金融商品取引上の法令違反というのが疑われている場合には、証券取引等監視委員会において厳正な処置が行われるのはこれは当然のことなんであって、それこそが証券取引委員会仕事ですから、したがいまして、まずはそこのところが厳正な調査が行われないと、これ、だから、それもしないでいきなりこちらからというのは、それは筋が違いますので。
  16. 西田昌司

    西田昌司君 そうだと思います。ですから、取りあえず会社側から説明というか修正をして、あと会計士がまた監査して出した後、今おっしゃったように証券監視委員会が中身をもう一度チェックしていくということになるんだろうと思いますけれども、そういうことをする上でも、結局はやっぱり、じゃ会計士監査が今回もどうなるのかという話なんですよ。  そこで、事務方の方にこれはお尋ねしますが、そもそもこの問題は監査法人側にも問題があると思うんですね、当然の話ですけれども大臣もうなずいておられますけれどもね。もちろん、不正を隠すつもりでやったから見抜けなかったんだと、こういう話を会計士協会とか当の監査法人が、監査に携わった方はそういう説明をされる方もおられるんですよ。  しかし、やっぱり、私はそもそもそれを見抜くのが監査法人仕事じゃないのと、それができなければ多額の報酬をもらってやっているのはおかしいと思うんですけれどもね。世間一般のそういう素朴な疑問だと思いますけれども、どういうようにお感じになっていますか。
  17. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 御指摘のとおり、監査法人の行います監査証明企業財務情報信頼性確保のために極めて重要な役割を担っているものでありまして、投資家などから信頼されるように公正に業務を執行することが求められていると考えます。  加えて、個別事案監査内容についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと考えますが、一般に、会計基準などにおきましては、会計監査人職業的専門家としての懐疑心を持って監査を行わなければならないとされているところでございます。不正による重要な虚偽表示が行われる可能性に常に留意し、入手した監査証拠の評価に際しては、不正による重要な虚偽表示を示唆する状況を見逃すことがないように、職業的懐疑心をしっかりと保持、発揮して監査を実施することが求められているというふうに考えております。
  18. 西田昌司

    西田昌司君 もうひとつよく分からないんですけどね。とにかく、もう少し監査法人がしてほしいんですけれども。  それで、池田局長、これ読まれましたか、調査報告書は、第三者委員会の。読まれましたよね。そうすると、私、どうしてもこれちょっと分からないところがあるんですね。これを読んでいますと、監査法人妥当性調査の目的としていない。先ほど言いましたように、それはそういうことなんですけれどもね。そこでまた、組織的にごまかされれば、会計監査人がそれを覆せるような証拠を入手することは多くの場合極めて困難であると。それもそうだと思いますけど、それをわざわざここに書いていただいて、要するに悪いのは東芝だと。もちろん悪いのは東芝なんですよ、間違いなく。監査法人は悪くないとも言わんばかりの書き方なんですよね、ここに書いてあるこの第三者委員会報告書は。  そして、その中で、一方で、米国子会社との間の取引で、日本円にして、一億七百万米ドルですから百二、三十億円ですよね。もうちょっと大きいか、百四十億円ぐらいになりますかね。その無修正虚偽表示を認めるということで、要するに、それ、そのままオーケーしているんですよね、監査法人側が。  それで、これ百何十億円という金額の虚偽表示会計監査人の方から是認されているというのは、ちょっと私、常識では分からないんですが、金融庁、こういうことは認められる処理なんですか。
  19. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 御指摘第三者委員会報告では、「監査の過程で未修正虚偽表示が発見されても、当該未修正虚偽表示重要性がなければ、必ずしも財務諸表修正する必要はない。」というふうに記述をされております。  確かに、一般に、会計監査は一定の重要性基準の下で実施されるということは第三者委員会報告書の記述するとおりであると考えますけれども、個別の監査への具体的な当てはめにつきましては事案ごとに判断されるべきでありまして、現時点においてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  20. 西田昌司

    西田昌司君 こういうことも含めて、結局、もう一度修正された決算書が、財務諸表が出てきて、それを証券監視委員会等がもう一度しっかりチェックをしていただいてやらないとコメントできないんでしょうけれども、しかし、常識的に考えて、百何十億円というのがそのまま認められるというのは私はちょっと分からないんです。  それ以上に私が非常におかしいなと思うのは、要するに、こちらのこの第三者委員会、これが、言いましたように、今、東芝依頼によって第三者委員会がこの調査報告書を出したわけです。その中で言っているのは、悪いのは経営者歴代三代の経営者チャレンジだというので余りにもプレッシャーを与えたのでなったんだという話で、要するに東芝側幕引きをしているわけですよ、これは。そして、その監査をした監査法人については、これは我々の調査対象ではありませんし、隠してたって分からないものなんですよという言い訳を監査法人に対して認めてあげるような形の報告を出していると。  これずっと読んでいますと、要するに、東芝側が、第三者委員会なんだけれども東芝依頼によってそういう幕引きをしようというふうに考えているとしか思えないので、これはもう一度求めても答弁しようがないと思いますが、しっかりとその後の証券監視委員会等チェックをしてもらわなければいけないと思っています。  そこで、そのときに、私は、この公認会計士協会、ここに非常に不信感を抱いています、はっきり言いまして。といいますのは、いや、この委員会の中にも会計士先生が何人もおられるんです。皆立派な先生であります。私が尊敬している先生方ばかりであります。問題は、ただ、それぞれの会計士先生は優秀なんですけれども、組織として会計士協会なりそれから監査法人が機能しているかどうかとは別な話なんですよ。  私が問題にしているのは、まず一番は新日本監査法人という監査法人の問題ではありますけれども、ちょっとそれは今回は置いておきます。会計士協会業界団体としての会計士協会の問題なんですけれども、私はこの問題を自民党の党の部会でも、何度もこれどうなっているのと問題意識を持って質問をしているんですが、一切それに対してまともな返答がなかったんですね。要するに、隠されれば監査のしようがないですよという旨の返答があったわけなんですね。  私は、それも事実だと思いますよ。しかし、それなら、隠されたらできないんだったら、この監査をちゃんとするためには、例えば隠したらもっと罰金、罰則を増やすとか、例えばそういう提案を会計士からすべきなんですよ。会計士協会は全くそういうことを言わない。隠されたら仕方ないですと、こういうことを言っているんですよ。これは無責任なんですね。会計士協会側から、今日に至るまで一切そういうことを、私が一生懸命説明を求めているのに言ってきていないんですよ。おかしいと思うんですよね。  会計士協会金融庁としても、公認会計士協会監査法人に対して、そういう無責任な返答をしているようでは、あなた方、職業倫理が問われると、ちょっとやっぱり指導すべきじゃないですか。
  21. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 繰り返しになりますけれども監査法人の行う監査証明は、企業財務情報信頼性確保のために極めて重要な問題であると考えております。  そうした中で、日本公認会計士協会は、公認会計士法上、公認会計士の品位を維持し、監査証明業務改善進歩を図るため、会員の指導監督をするという役割が求められているところでございまして、その適切な役割発揮がきちんと行われていくよう求めてまいりたいというふうに考えております。
  22. 西田昌司

    西田昌司君 それができていないから、私、問題意識で言っているんですね。  だから、本当に、この問題は、全部個別の調査はしっかりやらなきゃいけませんよ。しかし、全体論として、大臣、やっぱりこの業界会計士協会監査の仕方、これは法改正しなければならないんだったら法改正も検討すべきだし、それからもっと言えば、同じような会社、もっとたくさんあるんじゃないかと思うんですね。  大臣、こういうような事態を踏まえて、金融庁としてもう少し大きな問題として考えなきゃならないんではないでしょうか。大臣にもう一度御所見をお伺いしたいと思うんです。
  23. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今回のこの東芝ケースに関して言わせていただければ、これは経営者モラルが欠如したと、これはもうはっきりしているんだと思っておりますが、しかし本件が日本上場企業に共通しているかといえば、それはちょっと言い過ぎでしょう。まともな企業がいっぱいありますから、全部が全部東芝と言われたら、それはちょっと話の筋が違うと思いますね、それは。  しかし、そうじゃない、いいかげんな企業もたくさんあるだろうかもしれぬという御指摘は正しいですよ。それは間違いなく、俺のところはばれないでよかったなと思っているところもあるかもしれませんからね。それは分かりませんよ、そんなものは、正直なことを言って。  したがって、形だけのガバナンス体制というのにはこれは極めて問題があるのであって、最初このコーポレートガバナンスというのをやるとかスチュワードシップ・コードを入れるというときには反対した企業だって結構ありますから、私どものところにも。  だから、そういった意味では、実効的にガバナンスは機能させていくということで、かつそれは持続的に行かぬと意味がありませんので、そういった意味では企業の価値の向上につながっていくということがこのコーポレートガバナンスの大事なところだと、私どもはそう思っておりますので、いずれにしても、こういったのは他山の石だと、きちんと取組を加速していくことが重要であろうと、私どもはそう思っております。
  24. 西田昌司

    西田昌司君 もう時間が来たので終わりますが、要するに、この問題はもう少し実態が分からないと後できないんですけれども実態が究明された後、もう一度やっぱり本委員会でもしっかり議論をさせていただきたいと、そのことを要望させていただきたいと思います。     ─────────────
  25. 古川俊治

    委員長古川俊治君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、塚田一郎君が委員辞任され、その補欠として渡邉美樹君が選任されました。     ─────────────
  26. 尾立源幸

    尾立源幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の尾立でございます。  引き続き、東芝問題を議論させていただきたいと思います。  第三者委員会報告書が提出されたということで、その結果、経営者主導によって今回の問題が起きたということが指摘をされて歴代社長三人が辞任するということになっておりますが、この問題で何だか一件落着したような雰囲気があるんですけれども、決してそうではないということは西田委員と同感であります。  とりわけ、今回の第三者委員会報告は、損益計算書、PLを中心に検証されておりまして、まだまだBS、貸借対照表の方の調査というのはなされておりません。とりわけ、東芝は、二〇〇六年に原子炉プラントメーカーをある意味相場の二倍で買ったというふうに言われていまして、こののれん代の償却なども原子力ビジネスがこうなった状況で本当にどうなのかと、評価がもう一度されるべきでしょうし、そうなれば評価損だとか、さらには繰延税金資産などバランスシート上の大きな資産として認識されているものが損益に直結しかねないという、まだまだ大きな根もありますので、これはもう少し待たなきゃいけないと思っています。  そんな中、まずメディアで当初、不適切会計とこれ伝えられたり、その後、不正会計と言われたりしておりますし、いまだに不適切会計というふうにメディアは呼んでいるところもありますが、この辺りの用語はどういう使い分けになっているんでしょうか、まずお答えいただきたいと思います。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 報道とか、また第三者委員会調査報告書で御指摘のような様々な表現が使われているということは承知をいたしております。  いずれにしても、今回のケースというものは、低い収益性にもかかわらず高く見せかけて、経営者モラルということになるんだと思いますが、極めて低次元の事案でして、その結果、市場に対して正確な情報が開示されていないということが一番問題なんだと私どもはそう思っておりますので、担当者の公認会計知識の欠如とか、違法性の認識がなかったとかいろいろあるんですけれども、全体として不正ではなく不適切という表現とされておったというように思っております。  しかし、果たしてそれが正しいのか。公認会計士はほとんど分かっていなかったのか、本当に分かっていなかったのかどうかは今の段階で申し上げる段階にはございません。
  28. 尾立源幸

    尾立源幸君 そうですね。この第三者委員会報告書でも余りまだ監査人の責任等については触れられていません。そういう意味で、これは監査法人自身も、しっかり自分たちで、なぜこういうことの結果に至ったのかという、私も検証しなきゃいけないと思っておりますが、少なくとも、ただ、この報道は、今の不適切か不正かと言われると、やはり意図があるかないかというところできっちり切り分けておりますので、今回の案件は、もう第三者委員会報告書が出た後は、不正、意図があるということになっていますので、メディアの皆さんもしっかり冷静にこれは不正と、いわゆる粉飾だと言うべきだと私は思っております。何かすごくメディアも非常に気を遣っているなというような……(発言する者あり)大スポンサーという声もありますが、本当にそういうことで日本の公開の市場が守られるのかということをしっかり私も申し上げたいと思います。  とりわけ、今回、東芝の前社長は経済財政諮問会議の委員どもされていますし、また様々な委員のメンバーにもなっていらっしゃいます。国としても、こういう方を委員に任命するときは何か宣誓書を取られているんですかね。ただこちらが単純に指名するだけで、受けますということで、その他、宣誓書のようなものはメンバーになるときは取られるんですかね。この辺りはちょっと質問通告ないんですけど、分かりますか。
  29. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御本人の確認はしたという記憶はありますけれども、宣誓書を取ったというところまで、調査して御返事申し上げます。
  30. 尾立源幸

    尾立源幸君 分かりました。  それで、今回も様々な、カネボウだとかオリンパス等々事件があって、日本でも米国のようなSOX法というものを導入をして、経営者財務諸表作成の責任に確認書を取るような制度ができております。この宣誓書を当然今回も出しておるわけですが、宣誓書を出しながらこういうことをやっていたというのはとんでもない話であります。  それで、何でこういうことが起こるのかということをまず一つ皆さんと共有したいんですが、やり得を許してしまうようなこっちの体制になっていないかというのが一つ私の疑問としてあって、ずっとこれはこの委員会で、経営者の責任というものは大きいんだよと。AIJという事件もありました、ああいったこともありまして、とにかく経済事犯のやはり国民に及ぼす影響というのはすごい大きいので、もっとこれは罰則を強化して、やったら損だと思わせないと経営者はやってしまう人もいると私は思っております。  そういう意味で、まず、今回の事案について、経営者会社双方についてどのような罰則があるのか、また、東芝の場合、経営者の報酬は会社業績連動型と、こういうふうに聞いておりますけれども、どのような仕組みになっておったのか、お聞かせください。
  31. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一般に有価証券取引報告書の虚偽記載ということですけれども経営者などの提出者個人に対しては十年以下の懲役又は一千万円以下の罰金、またこれらの両方が科せられると。一方、法人に対しては七億円以下の罰金が科せられるということになっております。このように、経済犯罪に対する刑事罰としては最も重い水準の法定刑が制定をされてはおります。  刑事罰の水準につきましては、違反行為の性質、また他の法令の刑事罰とのバランスなども勘案して決められているものだと承知をいたしております。
  32. 尾立源幸

    尾立源幸君 今言葉で説明していただいたんですが、私の配付資料の二ページ目に、行政罰ですか、有価証券報告書虚偽記載における課徴金、罰則の日米比較というのを作らせていただきました。  今、麻生大臣からは罰則の方のお答えがあったのかと思いますが、法人ですと、こういう虚偽記載を、宣誓書がありながら、確認書がありながらやった場合、米国の場合は二千五百万ドル以下の罰金、今百二十円でしますと実は三十億円なんです。それに比べて、日本は七億円以下、四分の一以下ですよね。  また、今回、罰則は個人にもあります、何か、ある社長さんは奥さんにもう早くもマンションを、何というかな、贈与しているとかいうような報道も出ておりましたけれども、資産を隠しているような行為があるやに聞いておりますが、個人はどうかというと、懲役二十年、アメリカの場合、罰金五百万ドル、これ六億円なんです。それに比べて、日本は十年以下の懲役又は一千万円以下ということで、懲役でいえば二分の一、金額でいえば六十分の一という恐ろしいほど経営者に優しい、こういう罰則になっております。  こういう意味で、やはり襟を正す意味でも、間違っていない、意図的でない人には何の影響もないわけですから、やはりここは、何というんですか、国内法最高の限度額というふうにおっしゃっておりますけれども、やっぱり世界標準から見ると全然足りないなというのが私の感想であります。麻生大臣、いかがでしょうか。
  33. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは給与の比較はされていないと思うんですが、アメリカの場合の方の給料は幾らですかね。こちらの方の給与というものと比較をしていただかないと、これは給与なしでただただ罰則のところだけ言われても、実際払えますかね。私は、そこらのところも勘案して言わないと一方的な話になりかねぬと思いますので、うかつには言えぬところだと思っております。
  34. 尾立源幸

    尾立源幸君 まず、それと、最初に業績連動の報酬の考え方がちょっと説明されていなかったんですけど、分かりますか、大臣
  35. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 第三者委員会調査報告書で、例えば東芝の執行役に対する報酬の一部は期末業績に応じて支払われることになっていると記載されているということは承知をいたしております。
  36. 尾立源幸

    尾立源幸君 それだけですかね。業績連動の仕組みなどは全然情報としては分からないということでしょうか。
  37. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 東芝のことに関して詳しく、個別の会社内容の細かいところまで、何%から何%まで、知っているわけではございません。
  38. 尾立源幸

    尾立源幸君 分かりました。  もう一点、報酬のことが違うんだというふうにおっしゃっていますが、課徴金の算定方法も実は違っております。非常にアメリカの方はいろんな多段階に分けておる。一方、日本では六百万円又は時価総額の十万分の六ということで、これはどっちがいいかというのはちょっと分かりませんけれども、こういう考え方であります。  ただ、私申し上げたいのは、いずれにしても、今も日本経営者の中でも相当高額な報酬をもらっている人がいます。そんな中で、一千万というのはこれは甚だ、何億という人はもう多々おられます、一千万というのは、これは今の時代、大したお金じゃないなと私は思っているんですが、上場企業で多くの人は相当おられると思います。それでも、こんなものかなとおっしゃるんでしょうか。
  39. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはアメリカの企業の場合と単純に比較はできないと思いますが、借金の個人保証なんかをしておられるところはアメリカにはありませんものね。日本の場合は、これは個人保証しておられる方も多いんじゃないでしょうか。そこらの点はどうやって考えられるかというのをちょっとお考えにならぬと、一概には、個人の点だけ千万円と言われても、そう簡単にはなかなかいかないんじゃないかなと思いますが。  いずれにしても、千万円と言われたら、それは安いと思うか高いと思うかという感覚で聞かれると、ちょっといろいろ意見が分かれるところだとは存じます。
  40. 尾立源幸

    尾立源幸君 いや、個人で営む会社の場合は個人保証というのはよく分かるんですが、上場会社でそんなに個人保証しているんですかね。
  41. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ついこの間まで、東芝の社長になると、ウン兆円の個人保証のところに一応判こを押させられたとよく聞かされましたから、昔はそうだったんじゃないでしょうか。
  42. 尾立源幸

    尾立源幸君 またこの点は後で資料をいただければと思います。  それともう一点、経営者の責任ということがある一方、先ほど来指摘されております会計士の責任というのも私もやっぱりあると思います。今回まだ調査結果は出ておりませんけれども、ここは第三者委員会もさることながら、自分たちでやっぱり監査法人もしっかり検証をすべきだと思っております。  その上で、ただ、監査の限界というものはあるということを前提にお話しいたしますと、今回第三者委員会調査で、二か月掛けて百人のスタッフを投入して再調査を行って、約千五百億円の水増しを見付けたと。当然、これ内部通報があった上で、大体この辺だということが分かった上でこれはやっておるわけなんですけれども、本来、監査法人がそういう内部通報があったらこういうことができたんでしょうけれども、なかなか監査法人にはなぜか来ていない、まあ来ているのかは分かりません、これは分かりませんが、やっていないということであります。  取りあえず、監査法人の限界ということについてまず申し上げておきたいと思います。これは一般論ですので、別に監査法人を擁護するとか非難するとかはありません。こういうふうな考え方だということを是非御理解をいただきたいと思います。  まず、監査法人には経営判断の権限や財務諸表の作成責任はありませんと。当然ながら、これらは企業のすることで、監査法人は助言や相談、指導をするという立場であると。また、警察や検察と違って捜査権も持っていません。つまり、経営者がきっちりと説明責任を果たすという意識を持っていて、それに協力するのが監査法人だと言えるということであります。  そこで大事なことは、経営者がはなから不正をするつもりだった場合は、捜査権のない監査法人が見抜くのは非常に難しい場合もあるということは、是非委員の皆さんに御理解をいただきたいと思います。そういう意味で、非常に今回も大量の人を投入して、入れ込んでこの調査報告書を出しております。  そこで、ちょっと日米比較をもう一度出させていただきたいと思います。一ページ目、おめくりいただけますでしょうか。  これは日米の監査報酬の比較表であります。ちょうど最近、この二〇一三年分が出ました。アメリカと日本企業数、調査の対象の企業数ですね、アメリカが五千四百九十六社、日本が二千四百三十三社。平均すると、監査報酬は、アメリカの場合二億二千万円、日本の場合は六千万円。だから、四分の一か三分の一ぐらいの費用であるということですし、また、中央値を見ると七千五百万と三千三百万、半分以下ということであります。  そういう意味で、今企業には全体では三百何兆円の内部留保があると言われております。私は、経営者がしっかり自分の責任を果たしたということを証明するためには、もっとしっかり充実した監査をやってもらうべきだと思っております。その上で見抜けなかったというならまた別の話になりますが、少なくともしっかり出すものも出さないで見ろというのも、これは私は筋が違うと思っています。  この辺りの監査時間、監査報酬の充実ということについての御見解を、金融庁、お聞かせください。
  43. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはいろいろな考え方があるんだと思いますけれども、先ほど言われたような話を前提としたら、幾ら金払ったって意味ないってことですからね。先ほどの御説明の話を聞いていると、限界がある、限界があると言われたら、幾ら金払ったって限界があるんじゃという話になりますので。その言い方はちょっと気を付けられぬと、監査法人の能力が大したことないんだということを言われちゃうと、出す方もいかがなものかということになりますから、これは両方の話で、よくよく言い方はちょっと気を付けておかないといかぬところかなと思いますが。  いずれにしても、この監査報酬というのは、いわゆる監査法人監査を受ける側の会社との間の個別の契約ということに定められることになるんだと思いますが、その上で監査上のリスクを踏まえた監査計画というのが策定されて、それに沿って適切な監査時間というのが確保されて監査の報酬が定められていくことが重要なんだと考えていますが。  監査時間の確保に向けては、これまでも様々な施策が講じられてきたんだと聞いておりますけれども、今後ともこの状況というのはよくよく考えておかないと、日本の場合は税理士が非常に重きをなしていて、公認会計士よりは税理士の方に重きを置くという傾向が長い間続いていますので、そういった意味では、外から見たいわゆるストックというもので物を考える、フローではなくてストックで物を考える時代に少しずつなりつつあるという今の状況に合わせて、公認会計士というものの重要性というのはよりよく理解をされてしかるべきなんだと思っていますけれども会計士はもう限度があるんだ、限度があるんだと言われちゃうと、なかなか、限度があればちょっとねという感じになるんだという感じはしますけれども
  44. 尾立源幸

    尾立源幸君 限界があるというのは、やっぱり経営者がはなからだましてやろうということを組織的にやる場合というのはなかなか難しいということです。それは、さっき言った捜査権や調査権というのが一定限度までしかありません。そういうことで、検察や国税やそういった方々のようにどこまでも、何というか、追及していくということはできないという意味であります。  だから、限界の捉え方がちょっと違うのかもしれませんけれども、なかなかそこは麻生大臣に御理解いただけないかもしれませんけれども、ある一定のやっぱり前提条件の下で監査はやられているということであります。(発言する者あり)いや、かばうんじゃなくて、しっかりそこは理解をした上でこの監査人を活用、利用するということが大事だということであります。  そこで、最後になりますが、東芝内部統制についても少しお話をしたいと思います。  東芝は、いち早く委員会設置会社に移行するなど、本当にガバナンス体制を強化するというイメージをすごく高めてこられた会社であります。それだけに、今回の件が発生したのは誠に残念だということでありますが、結局、今回その内部統制がこれまた利いていなかったということになろうかと思います。一義的には内部統制でしっかりこういう不正はまず見抜いて直していただかなきゃいけないわけなんですけれども、この内部統制の問題で、形だけつくって実効性がないということにならないようにしないといけないと思います。  この件について、今後、形だけにならないために、法務省、金融庁、どうすればいいのか、改めて御見解をお聞かせください。
  45. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) お答えをいたします。  御案内のように、まさに御指摘のとおり、東芝は指名委員会等設置会社として、私ども所管しています会社法上、指名委員会等設置会社監査委員会、指名委員会、そして報酬委員会という社外取締役が過半数を構成する三つの委員会経営者に対して監督機能を発揮することが期待されております。ただ、私どもとしても、今回、このような内部統制の問題があったということはやはり残念であるというふうに感じております。  平成二十六年に会社法が改正になりまして、社外取締役の機能を更に強化するというような改正も行われております。私どもとしても、その趣旨を是非とも徹底をしていくということを今後ともやっていかなきゃいけないなということを感じておる次第でございます。
  46. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 尾立先生の御指摘のとおり、形だけのガバナンスの体制の整備というのはこれは余り意味がないということだと思いますので、実効的にガバナンスを施行というか、機能させるということが重要なんだと思いますので、一般的に申し上げさせていただければ、取締役会等において内部統制というものを適正に構築するとか運用するということが強く求められるということなので、これは各企業において一番肝腎なところはここかなと思っております。
  47. 尾立源幸

    尾立源幸君 なかなかこれが機能していなかったということなんでしょう。是非、こういう新しい制度をどんどん入れていくのはもちろんいいんですが、しっかり機能するかどうかも、これは引き続き我々も、また今後の調査が続くでしょうから、この点も議論をしていきたいと思っております。  最後に、改めて今回の事件というのは、本当に国のレピュテーションリスク、本当に評判を落とす大変な経済事件でありまして、こういうことが起こらないように我々としてもしっかりまた金融庁や法務省とも連携しながら頑張っていきたいと思いますし、また決算書も八月末ぐらいだというように聞いておりますので、その出方も見ながら、引き続き私も議論をすることを申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  48. 風間直樹

    ○風間直樹君 今日は、最初に、配付資料の一枚目に日銀が保有する利付国債の残高等という最新の資料を付けました。本年の七月十七日時点のものでありまして、本日の議事録の末尾に添付をすることによって国民の参考に供したいというふうに思います。  さて、今日は、前回に続いて日銀の岩田副総裁に質問をいたします。  前回、六月十六日、私の質疑の際に副総裁は、超過準備への付利上昇で逆ざやが生じることがあり、その場合には自己資本が減少するので剰余金を積み増していると答弁されました。この答弁の背景にある認識、現在の日銀の金融政策が持つリスクとして何を想定していらっしゃるのか、全て列挙していただきたいと思います。
  49. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 量的・質的金融緩和の下で資産を大量に買い入れておりますので、先行き日本銀行の期間収益や自己資本に影響を及ぼすということが考えられます。
  50. 風間直樹

    ○風間直樹君 ちょっと聞こえにくいので、マイクに近づけてください。
  51. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) はい。  日本銀行の期間収益や自己資本に影響が生じるケースとしては、まず第一に、買い入れたETFやJ―REITの価格が下落して時価が簿価を下回る場合であります。第二は、出口に当たって多額の超過準備を保有しておりますので、金利水準を上げていく際に、保有国債の利回りが超過準備に対する付利金利を下回って逆ざやになる場合が考えられます。  以上です。
  52. 風間直樹

    ○風間直樹君 最近、マーケットの関心は専らアメリカがいつから金利を引き上げ始めるかということなわけですが、早ければ九月というふうに言われています。バンク・オブ・イングランドの場合は、八月中にも利上げを開始するという話も出ているわけです。  この内外金利差の拡大、今後起きてくるかと思われていますが、副総裁はこの点のリスクの認識はどのように考えていらっしゃいますか。
  53. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) その点に関しては、特別リスクを感じてはおりません。
  54. 風間直樹

    ○風間直樹君 本当ですか。本当に今の御答弁でいいんですか。ちょっと私はびっくりする答弁だったんですが、もう一度確認します。
  55. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 内外金利の格差、例えば米国と日本との場合、それは一つは円安要因にはなります。ですが、それをもう既に織り込んでいると、既にそれはもう円安にならないという、そういう点で必ずしも金利差が起こってから起こるというわけでもないという、その可能性はちょっと事前には、市場がどこまで織り込んでいるかによって違いますので、それはちょっと私からは分かりかねます。
  56. 風間直樹

    ○風間直樹君 アメリカの金利の今後の引上げを現在日本のマーケットは既に織り込んでいるので、それは既に現在の為替水準に反映されているはずだと、こういう御答弁でした。  FEDが見込んでいるのは、二〇一七年でFFレートが三%程度、一八年には四%程度という水準であります。市場参加者は、十年物の米国債が一七年で四%、一八年には五%程度というような水準を見込んでいると言われています。つまり、日米の金利差が近々これだけ拡大していくということですね。要するに、日銀の異次元緩和をめぐる環境というのがこれから劇的に変わってくると。  さて、そうすると、現在一ドルが百二十四円前後で推移していますけれども、岩田副総裁のお考えでは、今後アメリカが金利水準を引き上げていっても現在の為替水準はほとんど変わらないだろうと、これでよろしいんですか。
  57. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 先ほど申し上げましたのは、市場が織り込んでいる場合にはそれほど大きな変動はないということですが、そうでない場合には必ずしもそうではないということをお答えいたしました。ですから、今織り込んでいるから絶対もう変わらないんだというふうには申し上げたわけではありません。  それから、アメリカが上がってくる場合だけでなく、日本の場合にも経済、金利状況はこれから変わってくる状況もありますので、日米金利差が将来どのぐらいなるかということはちょっと事前に予想することはなかなか難しいという状況です。
  58. 風間直樹

    ○風間直樹君 もう一度確認しますが、そうすると、岩田さんは、今後アメリカの金利水準が上がっていった場合も、円・ドルの為替相場が円安に相当振れていくことは考えにくいとおっしゃるんですね。
  59. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 為替は金利差にも影響されるということで今、先ほどから申し上げているわけですが、それ以外にもいろいろインフレ率、予想インフレ率とかその他の予想であるとか、リスクプレミアムに影響する要素とか、いろいろな要因がありますので、為替の予想をすることはなかなか難しい状況です。  いずれにしても、為替は経済や金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいということで考えております。
  60. 風間直樹

    ○風間直樹君 この一連の答弁はかなり驚くべき答弁でありまして、日銀の副総裁という方がこういう認識で果たしてマーケットは大丈夫なの、安心できるのかなと、正直不安に思っております。  そうすると、岩田さんは、アメリカの金利水準が今後上がっていく中で円安に振れていく可能性というのは、今の御答弁だとそれほど高くないと、どうも深刻には捉えていらっしゃらないようですから、今後日銀が金利を引き上げて円の防衛をする必要性というのは余り感じていらっしゃらないわけですね。
  61. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 日本の今やっている金融政策は、物価安定、二%の物価安定を達成するということを目的にやっておりますので、為替とか、そういうことを中心にやっているんじゃなくて、物価安定ということを通じて経済を良くするという、そういう前提で金融政策を運営しております。
  62. 風間直樹

    ○風間直樹君 いやあ、驚きの連続です、今日の答弁も。  そうすると、日銀の今の目標に照らせば、為替水準がどう動くか、それに伴って日銀が我が国の金利水準をどのように変更していくか、これは現在のところ余り眼中にないわけですね。
  63. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 繰り返しますけれども、日銀の金融政策は今物価安定目標を達成するためにやっているということであります。そして、その物価安定二%というのは、一つの経済ファンダメンタルズであります。そのファンダメンタルズの一つの要素でありますので、そのファンダメンタルズの要素に基づいて為替相場が付いてくるということには問題はないというふうに思っております。
  64. 風間直樹

    ○風間直樹君 金利水準が日米で開いてくるということは、これ常識的に円安ドル高の方向に今後ますます行くと。そうすると、当然、輸入物価が上がってきますから、ガソリンの価格も上がるほか、そうすると様々な国内の消費、生産を圧迫することになります。物価全体が上がっていく。  そうなると、当然、中央銀行としては、この物価の好ましくない上昇、これ賃金の上昇が伴えばいいですよ、そうでない好ましくない上昇を、金利水準を引き上げて円安を抑えようとするのが、これあまねくどこの国でも当然の金融政策かと思いますが、こういうルートは想定していらっしゃらないんですか。
  65. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 各国とも金融政策というのは国内の物価安定のためにやっていると、アメリカの場合はもう一つ雇用の安定がありますけれども、基本はそれでありまして、為替レートはその下で結局市場で決まるという考え方でありまして、これはG7やG20でも共通の認識だと理解しております。
  66. 風間直樹

    ○風間直樹君 私は、岩田さんという方はもう少し金融政策について見識のある学者でいらっしゃるかと思っていたんですが、今日の答弁を聞いてその認識を改めることにいたしました。これは、あなたが副総裁の下で日銀の金融政策を今後も取り続けるのであれば、我が国の経済が今後非常に大変な影響を被る可能性があると言わざるを得ない、そのことをまず表明しておきます。  次に、日銀のETFの購入でありますけれども、先日、私は、あるマーケット関係者と話をしていまして非常に驚くような話を聞いたんですけれども、その関係者いわく、日銀、現在、ETFを一回当たり大体三百三十億円程度でしょうか、買っているけれども、これは実はマーケットを通していないというのが関係者の大方の見方だと。場外で買っていると。これは事実でしょうか。
  67. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) ETFの買入れにつきましては、信託銀行を通じて買入れをいたしております。  この信託銀行を具体的に申しますと、当日の取引所における売買高加重平均価格で証券会社から、買っておると。この取引所で決まっている売買高加重平均価格というのは一つの市場の価格でありますので、決してマーケット以外から買っているというふうには思っておりません。
  68. 風間直樹

    ○風間直樹君 マーケットを通して買っているということですね。  一方で、いずれこのETFを日銀が売却するタイミングが近い将来来るわけですけれども、これ、一回の売却でどれぐらいの金額を売るかは分かりませんけれども、今購入しているのが大体三百億円単位ですから、そうすると百億円単位になるんだろうというふうに考えています。  これは逆に、大きな株価、相場の下げ圧力になるのではないかと思うんですけれども、御認識、いかがでしょうか。
  69. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) ETFを今後どういうふうにしていくかということに関しては、今決めておるわけでありませんので、言わば出口に相当する話でありますので、そのお話をするのは時期尚早だというふうに思っております。
  70. 風間直樹

    ○風間直樹君 時期尚早と。一方で、内部ではこれは議論されていらっしゃるんですか。
  71. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 内部では幾つかのシミュレーション、この場合はどうか、この場合はどうか、この場合は金利水準はどういうふうに移動する、移行するだろうかとか、そういうシミュレーションは幾つかしております。検討しております。
  72. 風間直樹

    ○風間直樹君 そのシミュレーションの結果、岩田副総裁は、こうしたシミュレーションに基づけば心配ない、問題ないと、こういう認識でいらっしゃいますか。
  73. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) そのシミュレーションに基づけばいろいろあって、こういう場合にはこうであって、一番心配のない経路だというような経路が幾つか出てくるわけでありますが、もう一つ、この問題は市場とのコミュニケーションが非常に大事だということでありまして、したがって、コミュニケーション上、非常に慎重にしないと市場がかえって誤解するとか、あるいはオーバーリアクトするということがありますので、コミュニケーションはこれは注意していかなきゃいけないというふうに思っております。
  74. 風間直樹

    ○風間直樹君 このコミュニケーションは相当至難の業だと私は思います。  当初、日銀がETF購入を始めたときには、マーケットは非常に反応しました。最近では、このサプライズも効果が薄れてきたのか、さほどマーケットの反応が以前に比べると大きくないように思います。  一方で、日銀という大きなアクターがマーケットで今度は大きな規模の売りを出していくとなると、これどんなコミュニケーションをしようにも、その売りのインパクトというのは和らげるのは非常に難しいと思いますが、その点については何かお考えはありますか。
  75. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) いずれにしても、具体案をここで語ることはちょっと、コミュニケーションの在り方も含めて時期尚早だと思いますが、いずれにしても、市場の安定を最大限配慮しながら実施するという気持ちでおります。
  76. 風間直樹

    ○風間直樹君 次の質問ですが、六月十二日に日本記者クラブで安保法制に関する緊急会見というのがありまして、これ、山崎拓さん、それから藤井裕久さん、亀井静香さん、それから武村正義さん、この四方だったんですが、私、その場に聞きに行ったんですね。そのとき実は、報道はほとんどされていませんけれども、藤井裕久元財務大臣から非常に驚くべき発言がありました。  それは、この日銀の金融緩和については、アメリカが肩代わりを求めている、軍事も経済も日本がばらまきをしろという趣旨の要請を日本に対してしていると、こういう発言でありました。異なる場所でも同様の発言を藤井さんはされていらっしゃいます。  このように米国当局から金融緩和をするよう要請があるのは事実でしょうか。
  77. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 日本銀行金融政策はあくまでも政策委員会の責任と判断に基づいて行っておりますので、アメリカ当局から金融政策の実施に関して具体的な要請があったという事実はありません。
  78. 風間直樹

    ○風間直樹君 分かりました。  ただ、藤井さんも大蔵省出身、元財務大臣ですから、その御発言は看過するわけにはいかないというふうに思います。  さて次に、配付資料の二枚目なんですけれども、私、今年の八月号、ちょうど今まだ発売中の月刊の文芸春秋を見ておりまして、ここに日銀OBの翁邦雄さんの論文がございました。「黒田日銀総裁、あなたは間違っている」というタイトルの論文です。これを読んでいてそうだったのかと思いましたのは、岩田副総裁が就任前に、前任の総裁、副総裁を非常に厳しく批判されているという事実があるわけです。  例えば、この配付資料、論文の二枚目のページに傍線を引きましたが、このように書いていらっしゃいます。「金融政策の枠組みを変えると同時に、これまで、とんでもない「日銀理論」を振り回して、デフレを誘導する政策を続け、国民を塗炭の苦しみに追いやってきた日銀の総裁・副総裁および審議委員を解任し、責任を取らせるべきである。」と。これは二〇一二年の「Voice」の七月号、岩田規久男さんの「日銀・白川総裁を解任せよ」という論文であります。  この論文に代表されるように、岩田さんは、日銀法改正によって二、三%程度のインフレ目標を一年半から二年程度で達成するよう日銀に義務付けると同時に、白川総裁体制下の総裁、副総裁及び審議委員を解任し責任を取らせるべきと幾つもの場でおっしゃっています、書いていらっしゃいます。  このことについて、現在あなたは、就任以来二年半がたとうとしている今、御自身が公約されたことをまだ達成できていません。前任の白川総裁あるいは副総裁以下の方々に対して今のあなたから何かおっしゃることはありますか。
  79. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) その論文を書いた頃はずっとデフレがもう何十年も続いておりまして、私が一番心を痛めたのは、私は大学で教えておりましたので、学生が非常に、就職氷河期といった言葉に代表されるように、就職難に非常にあえいでいたのを目の当たりにしたわけです。もう面接を何十回受けても受からないというような状況でありました。そのような状況で、非常に失業率も高く、有効求人倍率も一を割っていたわけでありますので、そういうようなことはやはり金融政策によって解決できるんだというふうに思っておりました。  そういう気持ちで、そうでないと、現役の世代がそういう就職難にいたのでは、生産する能力が日本経済になくなりますので、結局財政も年金ももたなくなるという、そういうことで、私、絶望的な気持ちに実はなっていた、それが強いそういう批判になってしまったということであります。  私は以前から、デフレ脱却のために金融政策によって人々のデフレ予想をインフレ予想に転換することが重要だと言ってきたわけでありまして、量的・質的金融緩和もこの考えに沿ってデフレマインドを大転換するということを主眼にやってきているわけであります。そのために、物価二%にコミットメントした上で、これほど大規模な金融緩和をせざるを得ないということであります。  実際に、量的緩和導入後の日本経済の動きを見ると、需給ギャップは改善し、失業率も低下し、企業収益は今過去最高の水準に達しておりまして、多くの企業で二年続きでベースアップを含む賃金も上げておるし、あるいは企業の価格設定行動を見ても付加価値を高めつつ販売価格を引き上げる動きがありまして、デフレマインドの転換は着実に進んでいると。  そういう状況ですので、今後も量的金融緩和を着実に進めて、少し遅れています、達成の遅れています二%物価目標をできるだけ早く実現するというのが私に与えられた責務だと今は考えております。
  80. 風間直樹

    ○風間直樹君 あなたの公約である物価目標二%は今日現在まだ達成されていません。あなたが過去に書いた論文に基づけば、今、あなたは日銀の副総裁を罷免されていなければいけません。現在の心境で、あなたが過去書かれたことについて、日銀の前任、白川総裁以下、副総裁、皆さんに謝罪するお気持ちはありますか。
  81. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) それはちょっとコメントを差し控えさせていただきますが、要するに、私が副総裁に就任した際には、目標が達成できない場合にまず果たすべきは説明責任だということを申し上げました。したがって、その説明責任が達成できないという、例えば、今、実際、物価の基調がデフレに向かっているかどうか、この金融政策が間違っているかどうかということでありますが、そういうことに関して説明責任ができない場合に、いろいろな責任の取り方があるけれども、最終的には辞任であろうということを申し上げたので、これは政治家であれ誰であれ、説明責任が取れなかった場合には最終的には辞任ということは、これはどこでも当然のことだというふうな感じで申し上げたわけであります。
  82. 風間直樹

    ○風間直樹君 終わります。
  83. 藤田幸久

    藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。  久しぶりに財政金融委員会に参りましたが、十五分でございますので、麻生大臣、簡潔な答弁をお願い申し上げます。  昨年以来、私が質問主意書等で取り上げております特定未払債務の件であります。資料をお配りしておりますけれども、戦後処理でやり残した大きな課題でございますけれども、ここで言う特定未払債務とは、戦前戦中に発生し、国等の支払義務が確定している債務について、その支払が行われないまま放置されているものという観点から質問させていただきます。  今まで質問主意書を提出をし、本年三月の予算委員会でも質疑を行いました。その結果、資料にございますけど、この①と②の、例えば郵便貯金・簡易生命保険管理機構の保管分が四十七億円、日本銀行の保管分が四百十七億円などの未払債務が存在していることが明らかです。一方、財務省の保管分に関しては約百八万件の未払債務の存在が明らかでございますが、総額については回答が困難であるということでございますが、であるならば、その百八万件の現金とかあるいは国債等の種類別の内訳はどうなっているのか、まずお伺いをしたいと思います。
  84. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いわゆる旧未払債務ということの御質問なんだと思いますが、これは、終戦に際し引揚者等から寄託されております寄託物が約百八万件ということでありますが、その内訳は、旧日本銀行券等が約三万件、国債等が約二十二万件、預貯金証書、現金預かり証、生命保険証書、その他の証書類等で約八十三万件というようになっておるのが実態であります。
  85. 藤田幸久

    藤田幸久君 外地から引き揚げてこられた方々というものがあるわけですけれども、例えば、昨年問合せが年間が一千人前後、それから返還物件数も五百件近くに減少しておると。それから、払戻し実績というのが平成二十二年から二十五年まで七十七件、約二十万円というような話も聞いております。これは先ほどの郵便貯金・簡易生命保険等四十七億円に対してでございますけれども、照会数に関しては千人程度と。ですから、特定未払債務は大体四百億円前後程度とも推測されるわけですが、言わば休眠状態といいますか塩漬け状態にあるわけで、これは内容が必ずしも確定をされていないといいますか、はっきりしていないと。  先ほど来申しましたように、郵便貯金・簡易生命保険機構あるいは日本銀行の方では把握をされているのに対して、財務省についてはまだそこまで調査が行われていないわけですから、まずできるところから調査を行っていただくべきだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  86. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) お尋ねの終戦直後までに生じた未払になっております国の債務、いわゆる未払債務についてと理解しますが、財務省が所管する未払債務につきましては、終戦に際しまして引揚者から寄託された寄託物のほかに、外国債が約六千万円、旧連合国総司令部、いわゆるGHQでありますが、GHQから引き渡された旧日本銀行券約八百万円、旧臨時軍事費特別会計におきます閉鎖機関、いわゆる外資金庫及び横浜正金銀行からの借入金が四百十四億二千万円ございます。このほかにも総務省が所管いたしております軍事郵便貯金約二十二億円、ほかに外地郵便貯金約二十五億円等があるということになっております。  お尋ねの、いろんな活用というようなことを言われましたけれども、その意味は、これらの未払債務というものは、求められればこれは履行されるべきものでありまして、何らかの活用できるというものではないのではないかと思っておりますが、いずれにしても、この未払債務に見合いの活用可能な資産というものを有しているわけではございません。  なお、そもそも債権者や所有者が不明の方が極めて多いということもありまして、旧臨時軍事費特別会計が閉鎖機関から借りた債務の処理を進めるために当たっては、閉鎖機関の有します他の債権債務の処理も必要になりますが、その中には旧外地に関するものも含まれておりますために、処理が極めて難しくなっていると理解をいたしております。  したがいまして、本件につきましては、これはちょっと容易に解決できる問題ではないというように理解をいたしております。
  87. 藤田幸久

    藤田幸久君 それは次の質問の答えでございます。今の答弁は私がこれから質問しようと思っていた質問に対する答弁でございまして、つまり活用の部分はですね。  それで、重要なことは、前回予算委員会大臣は、所有者が判明すればというお話、答弁されているんです。ということは、先ほど申しましたように、そもそも照会する方も少なくなってきて、実際に返還される方も少なくなってきていると。それは、おじいさんが、おじさんがということでたまたま見付かって照会をした数がそうでございますので、戦後七十年でございますけれども、これが五年、十年たっちゃいますと照会する方もいないと。ということは、利用者が判明しないと未来永劫これ塩漬けになってしまうと。  私は、それは決して、政治の不作為といいますか、行政の不作為といいますか、そのまま本来は放置されずに支払義務が確定している債務については国としてやっぱり確認をすべきではないかと。これからますますそういう照会をする方、つまり所有者が判明されないまま放っておいていいんですかということなんです。  それに関して、財務省に関しては、調査が不十分でございますから、ほかは確定しているところがあるわけですから、まず調査をすべきじゃないかということをまずお聞きしているわけです。
  88. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほど申し上げましたように、この調査が外地であってみたり、いろいろな方々が、申し込んでこられた方々でないと、これはなかなか判別の仕方が極めて難しいというのは当然でありまして、私どものところに申し込んでこられた方々に関してはきちんと対応させていただいております。  今後、これがなくなっていくんじゃないかと。当然です。なくなってまいります。もっと減ります。言ってこられる方の数も減ると思います。このお金を、今後、じゃ、そのままずっと眠った金になって休眠預金とか休眠資金とかということになりかねないという御指摘のことだと思いますが、それも十分に考えられると思いますが、その点についてどうするかというのは、これは財務省の一存で決められるような話ではないと思っております。
  89. 藤田幸久

    藤田幸久君 先ほど、臨時軍事費特別会計の話、質問したのでお答えになりましたが、これは、河野太郎衆議院議員が以前質問されて、それでその決算処理については対応したと思っています。  それから、大久保勉議員がいわゆる戦後処理に関して財務諸表的な観点の処理がなされていないということを質問されておられますけれども、私も、そういういろいろな方法、角度からやはり調査をして把握をすると。その上で、実は台湾の方々には、一九九五年から二〇〇〇年にかけて百二十八億円、実際に支払われているんですね。ですから、私は、政治的に判断をすれば、そういう調査をした上で支払をしていくということも可能だろうと思うんです。  そのための詳細な内訳、それからいわゆる財務諸表的な対応、それから特別会計がそのままになってきたというような問題点もありますから、そういう点も含めて、単に物理的に大変なので放っておくでは済まされないのではないかという観点から、是非、大物財務大臣ですから、政治的な大所高所からのもう少し踏み込んだ対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  90. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、きちんとした証書、書類等々の提出がない限りはなかなか簡単には、どなたさんの御紹介ですからといって、それに対する証明もないのに出すというのは、これはなかなか難しいというのは当然であって、あのフィリピンのときも、御記憶かと思いますけれども、きちんとした書類等々が付随しておりましたのであれはそれなりの対応ができたというように聞いております。
  91. 藤田幸久

    藤田幸久君 いわゆる寄託したものに関してはそういう対応が必要だろうと思うんですが、寄託したもの以外のものも含めていろいろまだあるんだろうと思っています。それは実際に職員を派遣したりして一件一件見たりするのは大変かと思いますけれども、ただ、大変だからといって放っておくべきものではないという意味で申し上げているんですけれども。  そのフィリピンの例の場合は、そういう確認作業の一つの角度でございますけれども、ほかのやっぱり確認の仕方というものもあるんだろうと思いますが、その辺も含めて、どういうものに対してどういう確認の仕方が物理的にやろうと思えば可能なのか、その辺も含めて調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  92. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) あのときの記憶ですけれども、確認できるものとできないものとがあの段階では既にかなりはっきりしていたと記憶しております。フィリピンに限らず、台湾の方がもっと書類はしっかり残っていたと記憶をしますけれども、あのときに随分いろいろ話が出ていたと思いますけれども、対応できるものに関しましてはその段階できちっと対応させていただいたというように記憶をしております。
  93. 藤田幸久

    藤田幸久君 では、その記憶も含めて、それから実際に対応できるものとできないものも含めた確認を含めて、是非もう一度確認をしていただきたい。  それから、二〇〇〇年以降、つまり台湾に関する支払が行われた後、政府の中で、関係する省庁の中で確定債務に関して政府内で議論をしたということはないというふうに質問主意書等で聞いておりますけれども、ということは、やはり、ほかの省庁も含めて様々な確認作業も含めた調査を是非行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  94. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 検討はさせていただきます。やる、やれない、改めて検討させていただくとしかお答えのしようがありません、この段階では。
  95. 藤田幸久

    藤田幸久君 たまたま柘植先生いらっしゃいますけれども、実際に郵便関係は、いわゆる独法になった後、ちゃんと管理機構が把握をしているんです。九州の郵便局でというふうにしているんですね。だから、そういう方法も含めて、全体的に私は必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。  十五分ですから、あと時間が限られていますので、もう一問、財政健全化計画について御質問いたします。  六月三十日に、政府は経済財政運営と改革の基本方針二〇一五を閣議決定いたしました。二〇二〇年までの基礎的財政収支の黒字化等の達成に向けた改革工程等を定めたわけです。二〇一六年から一八年度までの三年間を集中改革期間、二〇一八年度の基礎的財政収支赤字をマイナス一%程度を目安と書いています、目安を設けたと。国の一般歳出の水準については、安倍内閣の三年間における一般歳出の実質的な増加の基調を継続するという目安ということになっているんです。  この六月三十日の閣議決定に基づいて、内閣府は七月二十二日に中長期の経済財政に関する試算を表したと。これも二〇二〇年度における国と地方のプライマリーバランスが、国がマイナス六・二兆円、地方がマイナス四兆円と。ですから、黒字化は達成できない将来像となっています。二〇一八年度の基礎的財政収支もマイナス一・七%。ですから、これも財政健全化計画の目安、マイナス一%も達成できないということです。  そこで、御質問ですが、民主党政権の場合にはいわゆる歳出の大枠を定めて歳出規模に上限を設けたわけですが、今回は目安ということを設けているだけにすぎないわけですね。これではなかなか財政健全化目標の達成は難しいのではないかと。それから、このやり方ですけれども、閣議決定ではなくて、自民党さんが野党時代に主張していたように、拘束力の高い、例えば財政健全化法といったような立法化が必要ではないかと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  96. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 財政健全化に係ります実効性を確保する方法の話ですけれども、法制化を含めましてこれは議論のあるところです。  現政権におきましては、これは法制化せずとも、歳出改革などをしっかり進めて、平成二十七年度予算では基礎的財政収支の赤字半減目標を達成すると。最初の頃は全く達成すると言った人はいなかったんですけれども、これは実際に達成するということが、ほぼその目安が付きつつあるという状況になっていると思っております。  法制化といった形式面をどうするかというよりも、これは引き続き政府として定めた目標をしっかりコミットして責任を持って現実化していくということが重要なのであって、私どもとしては、その目標をきっちり押さえて、今後とも対応してまいりたいと考えております。
  97. 藤田幸久

    藤田幸久君 とはいっても、それは努力目標ということですから、結果が出ない場合にはやっぱり法律でやった方がいいということになると思いますけれども。  それで、もう一つ、経済見通しに関してですけれども、この政府の経済成長率は高い経済成長率を前提とした財政健全化を描いているようですけれども、やはりその経済成長率自身は慎重な率を前提に進めるべきではないかと思いますが、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  98. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、内閣府の中長期試算におきます経済再生ケース等々、いろいろなケースがありますので、その中で中長期的に名目三%以上、実質二%以上の経済成長を実現するとのシナリオを試算にして行っておりますが、こうした前提が楽観的であるという御指摘なんだと思いますけれども政府としては、アベノミクスと言われるいわゆる三本の矢というものを総動員して、これデフレ不況からの脱却を目指しているところであります。  経済再生ケースの実現を全力で図ることを前提とするに当たっては、これは今の安倍政権では当然の方針と考えておりまして、実際、安倍内閣になってからこの三年弱の間に、少なくとも、企業の経常利益見ましても、賃金の引上げ見ましても、失業率見ましても、有効求人倍率見ましても、これはいずれも極めて高い水準になっているということは事実であります。財政面におきましても、国、地方の基礎的財政収支というのは二〇一二年の二十六・三兆円の赤字から三年後の二〇一五年では十五・四兆円へと約十一兆円赤字は改善をいたしておるというのも事実であります。したがいまして、デフレ脱却、経済再生財政健全化というのは双方とも大きく前進したのがこの二年半の実績だと思っております。  いずれにいたしましても、重要なのは経済再生財政健全化の両立というのに向けて骨太の方針二〇一五というものを具体化していくことなんだろうと思っておりますので、この三本の柱の改革を一体として推進して、これまでのいわゆる取組を継続、深化させてまいりたいと思っております。
  99. 藤田幸久

    藤田幸久君 過去二年ではなくて、今後の見通しだということが重要だということを申し上げまして、時間ですので質問を終わります。  ありがとうございました。
  100. 西田実仁

    西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  今日は、東日本大震災事業者再生支援機構の取組につきましてお伺いしたいと思います。  この機構につきましては、平成二十四年の三月に業務を開始をいたしました。私ども、野党時代にこの機構法を提出し、当時与党の民主党政権でも御理解いただいて取組が始まったわけでございますけれども、まず復興庁に、これまでの支援実績について、また今後の取組につきましてもお話をいただきたいと思います。
  101. 吉田光市

    政府参考人(吉田光市君) 東日本大震災事業者再生支援機構の支援実績についてでございます。  平成二十四年二月の設立から本年六月末までに合計で六百二件の支援決定を行っているところでございます。具体的には、債権買取りが五百七十二件、債務免除が三百九十二件、新規融資への保証が百九十二件となってございます。このほか、支援決定に向けまして具体的な協議を行っているもの、また最終調整を行っているものが百五十六件となっているところでございます。  今後とも、引き続き、各地域において事業の再生を図ろうとする事業者を積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
  102. 西田実仁

    西田実仁君 今後の取組の課題ということについても併せてお聞きしたいと思います。  この機構法では、施行後三年以内に必要な措置を講ずるというふうになっておりまして、様々な施行の状況について検討を加えていただいたと思います。  その上で、今後の課題として、特に支援決定期限はあと二年ではないかと思いますけれども、どういう課題が業務運営に関してあるのか、それについてお聞きしたいと思います。
  103. 吉田光市

    政府参考人(吉田光市君) 支援機構についてでございますけれども、法施行後三年のフォローアップということで、いろいろ金融機関からも課題等について御意見等を伺ってきているところでございます。  機構の取組について全般的に前向きな評価をいただいているかなというふうに思っておりますけれども、具体的な課題と更なる課題といたしましては、地域金融機関ともう少し早い段階から支援対象先に関する情報を共有するですとか、また支援決定後のフォローアップに関しまして、これも地域金融機関と連携をより一層強化するですとか、また支援機構のネットワークを生かしたそれぞれの企業の本業の支援を行うといったような御指摘をいただいたところでございます。  これらに対応いたしまして、地域金融機関との情報の共有の強化等を通じた新規支援案件の開拓、特に福島県におきましては、福島特設班といったようなものを設けまして、集中的な支援を行うことですとか、また産業振興等に関します復興庁の施策と連携をしながら本業支援を行っていく、こういった取組を更に今後強化していきたいと考えているところでございます。  今後も、引き続き、地域金融機関との間で十分な協議、調整を行いながら、被災事業者の再生支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。
  104. 西田実仁

    西田実仁君 こうした機構の取組全般につきまして麻生大臣にお聞きしたいと思いますが、今後の災害金融の一つのモデルとして今回の機構がどういう役割を果たしているのか。特に、地域完結型の事業再生ということについて、いろんなノウハウが地域金融機関にも習得されつつあるんだろうと思いますし、また小さな会社の事業再生についても、従来はなかなか難しいと言われておりましたけれども、こうした小さな会社での債権放棄による事業再生ということについても、それができるという確信も地域の金融機関に生まれつつあるのではないかというふうに思います。  この機構の取組全般について、特に金融機関がどう評価し、今後の災害金融のモデルとしてどのように生かしていけるのか、これについて大臣にお聞きしたいと思います。
  105. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この東日本大震災の事業者再生支援機構におきまして、これは、今復興庁から答弁があっておりましたけれども、被災をいたしております中小、特に零細小企業者に対しまして債権の買取り、また債務の免除等々の支援を行っておりまして、復興支援に重要な役割を果たしているというように私どもとしては認識をしております。また、機構においては、今後引き続いて、地域の金融機関と連携したいわゆる被災事業者への支援というものを期待をいたしております。  また、金融庁として、金融機関に対して、これは二重債務というのを抱えて、ローンの返済中にいきなり家がなくなった等々、二重債務ということになりますので、二重債務を抱えます被災者の債務の整理の支援とか、それから、新たに創業するとか起業するとか、そういった事業の再開などをするに当たって、これ、被災地によりまして、非常に場所等々、状況等々によってえらい状況が違いますので、一律に被災者といってもなかなか状況が違いますので、そういったのを細かく把握して、これは、特に信用金庫等々地元の銀行できちっと長い、その状況のよく分かっているところという人たちと機構との間の活用を、両方ともよく連携をしながら、結構な時間をいただきましたので、この時間の間、それなりにノウハウというか、いろんなものが現場で分かっている人ほど結構積み上がってきているというように理解をしておりますので、解決策の提案とか実行支援を行えるように、私どもとしても金融機関に促してまいりたいと、そのように考えております。
  106. 西田実仁

    西田実仁君 この被災地の事業者の方々の再生を応援するということは、まさに仕事をつくって、暮らしとか生活を再建していくということに直結する話で、大変重要な役割を機構は果たしておられると思いますので、引き続き、御苦労も多いと思いますけれども、頑張っていただければと思います。  次に、ちょっとやや細かいというか専門的な話ですけれども、民法の改正法案と中小企業金融について、金融実務の面からお聞きしたいと思います。  国会に民法改正案が既に提出をされております。この民法改正案の前提である法制審議会において議論されましたけれども、今回の法改正には盛り込まれなかった将来債権の譲渡についてお聞きしたいと思います。  具体的には、賃貸不動産に関しまして、賃料債権の譲渡をした後にその不動産を購入した者が出てきた場合に、賃料債権は賃料債権の譲渡を受けた者に帰属するのか、それとも不動産を購入した者に帰属するのかという問題、抜け殻不動産ということであると思います。  なぜこうなるかと申しますと、不動産登記簿には賃料債権の譲渡についての記載はありません。賃料債権を譲渡した上で不動産を売却するという悪意を持った売主がいた場合、不動産を購入した者がだまされるという事態が発生する可能性があるという問題であります。  賃料債権の譲渡がなされた物件について、銀行が抵当権の設定を受けた場合、銀行の抵当権が賃料債権の譲渡に負けてしまうとなれば、銀行としては思ったような物件価値の把握ができなくなるわけであります。登記簿に記載がありませんので、銀行がだまされるという可能性が出てきます。  取引実務といたしましては、この賃料債権と不動産の所有権や抵当権を別々に処分するという事例はほとんどありませんけれども、しかし、今回、法制審でこうした議論が実際ありましたので、例えば実際に賃料債権を譲渡した後に抵当権を設定して詐欺的に金融を受けようとする者が出てきはしないか。抜け殻不動産のようなものですね。もしそういう者が出てきたとすれば、銀行としてはやはり保守的にならざるを得ませんので、賃貸不動産を担保とする案件について審査が厳格化されてしまう、あるいは借入人側の手間が増える。銀行から確認書を出せとか、あるいは賃借人から判こをもらってこいというようなことがありはしないか、そもそも信用度の低い者に与信ができなくなってしまうのではないかというようなことも懸念をされるわけであります。  そこで、今日は法務省の方にお見えいただいておりますが、まず法制審でのこの議論の紹介と、実際の中小企業金融への影響についての問題意識をお聞きしたいと思います。
  107. 金子修

    政府参考人(金子修君) お答えいたします。  今回提出させていただいております民法改正法案におきましては、将来債権を譲渡することが可能であると、この趣旨の規定は設けております。  この規定の検討に当たりまして、法制審議会においては、どの範囲の債権について将来債権の譲渡の効力が及ぶのかということにつきまして詳細な規定を設けることも検討されました。そして、その際には、委員指摘のように、将来発生する不動産の賃料債権の譲渡が一律に可能となると、不動産を譲り受けた新たな所有者が賃料債権を取得することができないということになりかねず、不動産を担保とする融資に支障が生ずるおそれがあるとして、不動産の賃料債権に関しては何らかの特別なルールを設けることが必要ではないかと、こういう御指摘が法制審議会の中でもございました。  しかし、このような特別のルールの創設は、不動産の賃料債権の譲渡以外に賃料債権の差押えについても必要ではないかという問題、あるいは不動産の賃料債権以外の債権の譲渡についても同様の措置が必要となるのではないかというような問題がございます。また、賃料債権の譲渡を過剰に制約することによる弊害が懸念される上に、賃料債権の譲渡といいましても様々な事案があるということからしますと、その効力の範囲を制限するとしても要件を一律に設定することができるのかという問題もございました。さらに、現実的には、将来発生する不動産の賃料債権の譲渡は現在も許容されているわけでございますが、それにもかかわらずこれに伴うトラブルが生じているということはなく、抽象的な懸念にすぎないのではないかという御指摘もございました。  このような議論を踏まえまして、民法改正法案におきましては、将来債権譲渡の効力の及ぶ範囲に関しては規定を設けず、将来債権の譲渡自体が可能であることを確認的に規定することにとどめ、仮にこの点が問題となる事案が生じた場合には、これまでと同様、個々の事情に基づきその効力の範囲を解釈論によって決するということとしたものでございます。  したがって、民法改正法案が施行することによって中小企業金融の円滑が阻害されることにはならないというふうに認識しておりますけれども、民法のルールが取引実務に与える影響につきましては今後も引き続き注視してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  108. 西田実仁

    西田実仁君 この賃貸不動産の抵当取引というのは中小企業金融の大きな柱の一つになっているわけでありますので、そうしたことに弊害が出ないよう注意深く金融当局としてもしっかりその議論の推移と、また実態を見ていく必要があるのではないかと思いますけれども、最後に大臣にコメントをいただきたいと思います。
  109. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) そのとおりだと思っております。
  110. 西田実仁

    西田実仁君 終わります。
  111. 藤巻健史

    藤巻健史君 維新の党の藤巻です。  最初にちょっとコメントですけど、今日のこの質疑、非常に興味深く聞いておりましたんですが、黒田日銀総裁にいつも異次元の量的緩和からの出口を聞きますと時期尚早というふうにしかお答えにならないんですけれども、今日の風間委員の質問に対して岩田副総裁が、まさに超過準備に対する付利しか方法がない、若しくはそれがメーンであるかのような御回答をされていましたので、消費者物価指数が二%になった後は、これは日本金融、コントロールが利くのかなという思いをいたしました。日銀がウルトラCの出口戦略を持っているかと思ったんですけれども、それはないということが今日判明したというのが私の感想でございます。  二番目、もう一つ、これはコメントであり、もし大臣の方からコメントがまたいただければ幸いなんですけれども、ただこれは質問通告しておりませんので、いただかなくても結構です。  今日、東芝の問題がかなり出てきたのでそれについての感想なんですけれども、これ個別企業の問題でして、国会のチェックというのも必要なんですけれども、どこまで政治が突っ込んでいくのかな、過熱してはいけないのかなと私は思いました。やはり、この問題で一番突っ込むべき人というのは株主でございまして、損をした株主であって、その株主が株主訴訟をできるような環境がもしないのであるならば、それを整備していくというのが政治の役目なのかなというふうに一つは感じた次第です。  もう一つ、公認会計士協会金融庁の管轄下である、監督官庁が金融庁だからということで今日なんかはお話が出たと思うんですが、ちょっと私、気になりましたのは、では、弁護士の監督官庁はどこかと。私は知りませんが、法務省か何かだと思うんですけれども、そのときに法務省が弁護士協会のいろんな細かいところまで立ち入っていくのか、プロの集団に対してどこまで政治が立ち入っていくのかなというのを、今日審議を聞いていて思いました。  それについてコメントがあればコメントしていただくし、なければないままで結構なんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  112. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 余り当たり前過ぎて特にコメントを申し上げることもないんだと思いますが、私ども証券取引委員会がきちんとこれは対応すべき、まずは第一義的にはそうだと思っております。
  113. 藤巻健史

    藤巻健史君 それでは質問通告してあるものに行きたいと思うんですけれども、黒田日銀総裁がオフレコでしゃべったのにかかわらずマスコミが嗅ぎ付けて載っけてしまってかなり大きいニュースになった、あのバーゼル銀行監督委員会での銀行の国債保有規制の話、これは進展があったかどうかということをまずお聞きしたいと思います。  また、もう一つ、最近、満期所有目的の国債の金利リスクに対して資本積み増しをしなくてはいけないんではないか、検討しているという話を聞いておりますけれども、この話はどうなっているかという点を一つお聞きしたいと思います。  もし資本積み増しを要求されていれば、ということは資本積み増しを要求されるようなことがあれば、大量の国債売りが始まりまして国債を大量保有している中小金融機関が大変なことになろうかと思うんですけれども、今どういう話になっているか。こういう話というのはサプライズになってしまうと大変なことになってしまいますので、今どういう状況になっているかということをお教えいただければと思います。
  114. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まず最初に、お尋ねの国債に係る銀行規制上の取扱いということになろうかと思いますが、バーゼル銀行監督委員会におきまして、これは予断を持たず、注意深く包括的に時間を掛けて議論するということ、これが合意であります。国際交渉に関する事項でもありますので、進捗状況についてコメントすることは差し控えたいと存じますが、何らかの見直しを行うかどうかを含めて今の段階では何ら決まっておるものはありません。    〔委員長退席、理事若林健太君着席〕  それから、今二つ目のあれでしたけれども、バーゼル銀行監督委員会、いわゆるバーゼル委員会より銀行勘定に係りますいろんなことに対して協議文書等々が公表されております。その中において、議論の結果、今回の市中協議文書の中で、金利リスクを計測し自己資本比率の計算に反映させる案と、銀行の枠組みに基づく監督対応を明確化、透明化した案の両論併記ということになっておりまして、日本の銀行が資本の積み増しを迫られるような方向が固まっているわけではございません。  また、その後、バーゼル委員会としては、市中からのコメントを九月まで受け付けた後、必要な見直しを行うという予定にしておるというふうに聞いておりますので、日本としては引き続きこうした国際的な議論に積極的に参加してまいりたいと考えております。
  115. 藤巻健史

    藤巻健史君 二案のうちの最初の案になるとかなりダメージが大きいかなと思いますので、その辺は金融庁も十分に気を付けていただければというふうに思います。  次に内閣府にお聞きしたいんですけれども、六月三十日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針、これで中長期的に実質GDPが二%、そして名目GDP成長率が三%ということになっていますけれども、ということは、これはGDPデフレーターが一%ということになるわけですね。  一方、日銀は消費者物価指数、CPI二%を目標としているわけで、整合的に考えるためには、GDPデフレーターとCPIとの差は一%である、インフレになっても一%であるというふうに認識していいのかどうか、その辺ちょっとお聞きしたいんですが。
  116. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) お答え申し上げます。  御指摘の経済財政運営と改革の基本方針二〇一五におきましては、実質、名目GDPの成長率につきまして、二%程度、三%程度を上回るとしているところでございまして、それぞれ上方への幅を持ったものとしているところでございます。このため、名目成長率と実質成長率の差でありますGDPデフレーターの上昇率につきましては、必ずしも一%であることを念頭に置いているわけではございません。    〔理事若林健太君退席、委員長着席〕  したがいまして、想定されますGDPデフレーター上昇率と消費者物価上昇率の乖離につきましても、必ずしも一%ポイントということではなく、ある程度の幅があり得るものというふうに御理解いただきたいと考えております。
  117. 藤巻健史

    藤巻健史君 必ずしも一%ではないけれども大体一%というふうに理解いたしました。  次に、さらに内閣府にお聞きしたいんですけれども、実質GDP成長率二%というふうに仮定を持っていらっしゃいますけれども日本の潜在成長率というのは大体今一%と言われています。ちょっと今ひょっと思い出したので正確じゃないんですけれども、IMFが去年言っていたのは〇・五から一%だったと思うんですよ。  実際のところ、労働力というのは、当然今は落ちていますからマイナス〇・五ぐらいと考えて、生産性の方がプラス一・五と考えて、これ、プラス一・五というのはアメリカの二倍ぐらいの生産性の改善ということになりますけれども、生産性向上ということになりますけれども、それを合わせてやっと一%なんです。そういう潜在成長率が一%で中長期的に二%というのは達成可能なんでしょうか。
  118. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) お答え申し上げます。  日本経済の成長率を強化していくためには、アベノミクスの第三の矢である成長戦略を着実に実行していくことが必要であると考えております。  例えば、女性、若者、高齢者などの労働参加率を高めること、それから、人材力を強化するとともにイノベーションを促進していくこと等によって生産性を飛躍的に高めていくことなどが重要でございます。  それから、稼ぐ力の強化が企業収益の改善につながり、改善した企業収益が賃上げや投資に結び付き、それが更なる消費や投資の拡大に結び付いていくという経済の好循環の拡大を確かなものとしていくことも重要でございます。  こうした取組を通じまして、中長期的に実質GDP成長率二%程度を上回る経済成長の実現を目指してまいりたいと考えております。
  119. 藤巻健史

    藤巻健史君 今のお話を聞いていますと、アベノミクスの第三の矢でアメリカの二倍に相当する生産性を確保できる、それほどのすばらしい第三の矢が出てくるというふうに理解いたしました。  次の質問は、今お聞きしましたように、中長期的には実質GDP二%、そしてGDPデフレーターおおよそ一%ということになりますと、消費者物価指数、CPIは二%。要するに、実質成長率二%、CPI二%のときに名目金利、十年債の金利というのはどのくらいになるのか、どのように想定しているのか、お聞きしたいと思います。
  120. 井野靖久

    政府参考人井野靖久君) 長期金利につきましては、経済状況を始めといたしまして様々な要因により影響を受けるものと考えております。御指摘のような実質成長率、CPI上昇率の下でどの程度になるかを一概に申し上げることはできないと考えております。  ただし、一般的には、経済成長率や物価上昇率が高まれば長期金利の上昇要因となるものと考えております。
  121. 藤巻健史

    藤巻健史君 実は、内閣府がこの前出した、これ、名目長期金利という、先ほどの資料の中に、二〇一六年一・四、二〇一七、一・九、二〇一八、二・七、二〇一九、三・四%。これは、現状〇・四というのを見ると、これ十年金利だと思うんですけれども内閣府はこれを想定しているとは思うんですが、本当に実質GDPが二%で消費者物価指数、CPIが二%になったときにこんな低いところで長期金利がとどまるのかな。特に、金利が上がってくれば明らかにクレジットリスクが上がってきて、名目金利というのは実質金利プラス期待インフレ率プラスクレジットリスクですから、そこが急騰してきてかなり長期金利が上がってしまうんですと私は思うんですけれども。  それで、金融大臣にお聞きしたいんですが、金融庁、二〇一三事業年度に地銀の国債保有リスクを集中点検しましたので、かなり資料は整っていると思うんですけれども、このような長期金利の状況になったとき、金融機関は果たして大丈夫なのかと。これ、もし金融機関、ダメージを受けますと、燃ゆる火の火中に死んじゃうと不死鳥のように立ち上がれなくなっちゃうと思うんですけれども、これ大丈夫なのかどうか、金融大臣にお聞きしたいと思います。
  122. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 地方というか地域の銀行におきましては、有価証券関係利益の割合は上昇しております。はっきり上昇傾向にありますので、有価証券の運用が銀行経営に及ぼす影響というのはかなり増加してきておるのはこの二年半はっきりしていると思っております。  このため、市場部門におきます人材の確保とか育成を含めまして、運用体制とかリスク管理体制の高度化というものが逆に育成がまだでき上がっていないのではないかと、そこらのところはもう少し、今までと銀行の方も稼ぎ方が変わってきているんじゃないかということを真剣に考えないかぬと。それに伴いまして、人材もそれに合わせていくことが大事なことになってきていると思っております。  したがいまして、金融庁といたしましては、金利の動向というものもこれは十分に注意をしつつ、変動へ対応するためには銀行等に有価証券運用に関する適切なリスク管理体制というものを求めてまいりたいというように考えておりまして、いろいろな形で今後とも、そういった要望というものもありますので、それに対して人を派遣するなりいろんな形で応えてまいりたいと考えております。
  123. 藤巻健史

    藤巻健史君 バーゼル委員会の規制、それから長期金利が上がってくるということを踏まえて、是非、金融庁にはきちんと中小金融機関のアセット・ライアビリティー・マネジメントを監督していただきたいと思います。  本当ですと、質問通告にないんですが、こういうふうに長期金利が上がってきたときに、日銀の健全性、そして国の財政の健全性をお聞きしたいんですけれども、時間がございませんので、次回とさせていただきたいと思います。  これで終わります。
  124. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  今日は中国経済の問題を少し質問させていただきます。  今までもよく、中国、東アジアの経済の問題を質問させていただきましたけれども、今は特に、安保法制の関係で特別委員会で殊更中国の脅威論が盛んに宣伝されております。先週も聞いておりましたら、もう戦争前夜のような、中国がミサイルを撃つ準備をしているというようなことまでテレビの前で流されて、一体どうなっているのかというように思いましたけれども、確かに今、中国と日本、中国と東南アジアの国々で領土や領海の問題があるのは事実でございます。  尖閣問題などは、我が党も最初に、いち早く見解を明らかにして日本の領土だということを示して、また、いろんな中国の一方的な行動については、直接中国政府に我が党から抗議をするということもやってまいりました。南シナ海の問題も批判的な見解を明らかにしてきましたけれども、だからといって、すぐ戦争だ、すぐもう攻撃してくるんだと、ちょっと極端な議論が安保法制、私たちは戦争法案と呼んでいますけれど、それを通したいがためにですかね、そういう議論が横行しておりますので、元々は安保法制というのは中東が第一の目的地だったと思うんですけれども、ホルムズが余り説得力なくなったということで、急に日本近隣、で、中国の脅威というふうになっているのかも分かりませんが、余りにためにする議論が大変多いので、私は、もちろん尖閣とか南シナ海の問題はありますけれど、もっと日中関係どうなっているか、経済も文化もトータルで捉えた上で尖閣の問題、南シナ海をどう考えるかという、冷静な総合的な議論が必要だというふうに思うわけであります。  そういう点で、時々取り上げる日中の経済関係の連携というのは大変重要だと思っておりまして、あした実は特別委員会で質問するのでちょっと新たな資料を調べておりますと、若干御紹介しますと、どれだけの経済的に相互依存度が高まっているかというと、今、アメリカとの関係は五十六兆円ですね、年間、アメリカと貿易、投資、いろんなことを含めて。貿易でいえば、輸出と輸入の総額です。これ、差し引きしちゃうと全体像が見えないので、依存度というときはトータルをいたします。投資所得についても、支払と受取の両方をトータルいたします。そういう国際収支の依存度でいくと、アメリカとの関係は五十六兆円で、中国とはもう三十五兆円の関係になっていると。貿易では、中国が三十兆円、アメリカが二十四兆円ですから、貿易だけで見ると中国と日本の方が相互依存度は高まっている、そういう状況であります。  そういうことをトータルに捉えることが大変大事だと私は思っていまして、その上で安保の議論もしないと、見誤るというか、分かってやっていらっしゃるのか分かりませんけれど、と思います。  そういう点で、この六月の日中財務対話、大変私は重要なことであるし、こういうものをもっとクローズアップしていただきたいなと思う点で質問するわけですけれども、ただ、お配りした資料に書いてあるとおり、開かれたのが三年二か月ぶりということであります。これは、なぜ三年二か月ぶり、ブランクがあったのか、なぜ今回再開のきっかけになったのか、また何が話し合われたのか、簡潔に、参考人の方からで結構ですから、説明をしてください。
  125. 門間大吉

    政府参考人(門間大吉君) 日中財務対話は、二〇〇五年六月の日中財務大臣会合におきまして、財務金融問題に関する日中の協力関係を更に促進することを目的に、日中財務省間の協力を強化することに合意したことを受けて開催されているものであります。二〇〇六年三月に第一回対話が開催されて以降、これまで五回開催されており、世界経済や地域経済、日中マクロ経済及び財政上の諸課題等について意見交換を行う貴重な機会となっております。  今般開かれました日中財務対話に関しましては、昨年十一月十五日に、これはオーストラリアで開かれましたG20の財務大臣会合の機会に行われました日中財務大臣会談で、日中財務対話の開催に向けた事務的な調整を開始することに合意をいたしました。その後、本年四月の二度目の日中首脳会談の開催による日中関係の地合いの更なる改善もありまして、本年六月の対話が開催が実現したものと考えております。
  126. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  麻生大臣にお聞きしますけれども、やっと再開されてよかったと思うんですけれども、この財務対話、今度、経済対話の方も今準備をされているということで、あそこはいろんな省庁が入る大きな枠組みですけれど、再開されていけばいいなというふうに思っておりますけれど、大きな意味で、この日中関係、これからどういうふうに発展していけばいいのかと。  私は、ずっと自民党の政策といいますか、基本的なスタンスを見ておりますと、日中関係のやっぱり経済発展はずっと大事にしてこられて、福田内閣麻生内閣もそうでしたし、その後、尖閣問題がちょっと起きて、今ブランクがありますけれども、また再開がされると。そうなりますと、また発展していく方向だと思いますし、二階総務会長が、三千人ですかね、引き連れて交流もされているということで、基本的に大事にされていると思うんですけれど、ちょっと今、さっき言ったあらぬ議論が横行しているので大変残念に思っているんですけど、基本的に麻生財務大臣としては、この中国との、これからどういうふうにお考えか、所見を聞かせてもらえればと思います。
  127. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 中国にとってやっぱり今一番きつくなりつつあるのは、多分急激に経済が発展したことによって、かつて日本で起きたような公害含めまして、いろいろな意味でのPM二・五とかいうのに限らず、水、黄河に水がありませんから、揚子江にも、水が非常に激減してきて、伏流水までなくなってきているという事態は、これはゆゆしき事態だと思っております。  水は、やっぱり工業化、近代化していく上にとって水の供給は絶対。それが一番危ないかなという感じになってきている事態は、これはちょっと正直に申し上げて、急激に経済発展したツケが、我々もかつて経験したああいったことになりつつあるところが一番問題なので、我々は最低限、そのことに関しては大分知見、先見、いろいろな意味での技術等々がありますので。  かつて私の北九州でいえば、公害としては、大家先生のところはほとんどヘドロしかないようなところに生まれ育ったんだと思いますけれども、七色の煙とか言われて、八幡の煙突なんというのはひどいものでしたよ、選挙区だから言うわけじゃないけど。  それが今は全く、キスが釣れる、ボラが釣れるという話ですから。それだけ変われるんですよという話を、あんたらもう少し真面目に聞かぬですかという話を外務大臣のときにしたことが二度ほどありますけど、全く聞く耳はありませんでしたな、全くなかったね。技術も提供しますよ、ただで差し上げますよと。やらないもの。サスペンションプレヒーターまで付けて、あっ、サスペンションプレヒーターは通じませんな。セメントの集じん機でごみを吸い出すんですよ、そういうのを付けましたよ。動かさない。だって、電気代が掛かるからって動かさない。あなた、それはごみが、灰が全部風下に流れるでしょう、そうなったらえらいことになりますよと言ったら、二年したらみんな山に帰るから関係ない、言下に言い切られたから、ああもうこれは全然価値観が違うなと思ったので、それ以来、この種の話はせぬことにして大分になるんですけど。  そのうちに、こっちは総理大臣になって、リーマン・ショックが来ましたので、リーマン・ショックのときにいろいろ話を聞かれたときに、当時は今と状況が違いますので、ドルを売れ、ユーロを買えと公式の場で言ったんですよ。その話を私の方に個別にされましたから、経済が、いわゆる経済学部出身でもないから経済学は全く分かっておられないのは十分知っています、しかし、幾ら何でもこれは常識を欠けるでしょうがと。アメリカのドルを一番持っているのはおたくですよ、その次はうちですよと。それを売って自分の資産を下げるって、何を考えているんですか、もう話のほかですと。誰が言ったんですと言ったら黙っているから、ああ、フランスのサルコジが言ったんでしょう、分かりますよ、手口はよく分かりますと。私どもはそれをやる気は、同じようなことを言われましたけど、うちはする気はありませんと、そう答えて、終わった後、非常に感謝はされましたよ、売らずに助かったから。今頃、ユーロでも買っていたらえらいことになっていただろうと思いますけれども、それは助かった。  そういった意味では、お互いに利害関係は一致するところがありますので、そういったところは、大門先生、結構話は率直に話せば通じるところがあるんですけれども、何たって、間にはとにかく新聞は入ってくるわ、何は入ってくるわ、いろんなその他のものがいっぱい入ってくるから、話がもうすとんといかないんですよ。そこが話を非常に難しくさせて、これまでの経緯やら何やらがあってゆがめてきたんだと思いますが、今回、少なくとも楼継偉、楼継偉というのは財務大臣に替わった人ですけれども、これなんかは普通に話を率直にすれば結構通じるところに来ているので、私どもはAIIBには入らないという話も、私は率直に面と向かって理由も全部説明して、うちは入ることはないという話をしても、別に、だからといってどうのという、ごちゃごちゃになるようなことはない。そういう信頼関係ができ上がるのにはやっぱり時間が掛かるかなとは思っております。
  128. 大門実紀史

    大門実紀史君 貴重な話、ありがとうございました。  何といいますか、アメリカなんかは日本よりも、アメリカは戦略経済対話というのをやっているんですね。非常にしたたかな対話でございまして、経済と付きますけれども司令塔は国務省でございまして、経済の問題といいながら、要するに軍事の防衛上も、緊張関係がありますよね、確かに緊迫していますよね、米中だって。ところが、絶対衝突しないように、余計な衝突がないように、その中でいかにお互い利益を図るかというふうな割とハイレベルな対話をやっているわけですね。日本はやっぱりそういうところまで行っていただきたいなと。余計な衝突を今あおっちゃっていますけど、そうじゃなくて、相互発展していくというところで考えないといけないんではないかなというふうに思いますので、是非、経済面、財務面で努力を引き続きしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  129. 中山恭子

    ○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。  今日は、六月三十日に出されました経済財政運営と改革の基本方針二〇一五を中心に御質問したいと思っております。  今回も資料を三枚配付いたしました。もう見慣れた図でございますけれども平成二十七年度一般会計予算、この中でやはり一番目立つのが社会保障費用でございますので、今日は社会保障の在り方について、それを中心にしてお伺いしたいと思っております。  社会保障費三十一兆五千億円、一般会計予算の三二・七%と。三月三十一日の委員会麻生大臣から、さきの戦争のときの軍事費が三一%であった、それに比べてもこの額は巨大な額と言えるというお話がございました。二十七年度の一般会計予算では国債費が二四・三%を占めておりますが、これを除きました基礎的財政収支対象経費の内訳で見ますと、この社会保障費は何と四三・三%を占めるという巨大な額になっております。  二枚目の紙でございますが、これも以前お渡ししたことがございます。社会保障関係費の増加と税収の減少、二十五年前、平成二年度では、このときは赤字国債、特例国債発行から脱却した年度でございますが、このときの社会保障費は十一・六兆円、全体のパーセンテージも一七・五%でした。それが二十七年度予算では、社会保障費が三十一・五兆円まで、全体の三二・七%を占める巨額な額に膨張しております。その下の歳入のところ、二十七年度の歳入の特例公債、これが三十・九兆円でございますから、社会保障はほとんど全て特例公債、借金で賄われているということがよく見える表でございます。  また、三枚目の紙でございますけれども、これは平成二十八年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針についての表でございまして、これ三枚とも財務省作成のペーパーで、非常に分かりやすい表でございますが、この表を見ましても、年金、医療等というところは財務省などから、その関係者からほとんどカットされないままに来ている予算であると言ってよろしいかと思っております。さらに、聖域を設けることなく施策、制度の抜本的見直しを行うとは書かれておりますけれども、なかなかこの年金、医療等については手が入らないまま、野方図に膨大な額になってきているということをこの表からも見えるかと思っております。  ただ、今回、高齢化等に伴う増加額が〇・六七兆円ということでございますが、平成二十七年度、今年度の自然増というのが〇・八兆円でございまして、それに比べると削減努力がなされているなというようには言えるかと思います。こういった努力を何十年、三十年、四十年続けてきていれば、これほど膨大な社会保障費にはならなかったのではないかと考えております。  今回のこの基本方針二〇一五で、社会保障費の抑制策として幾つか例示があります。こういった今回の二〇一五について麻生大臣はいかがお考えなのか、伺いたいと思ったところでございます。  五月二十一日の財政金融委員会におきまして、この問題に関して麻生大臣から、社会保障費については本年六月末、このことでございますが、財政健全化計画において具体的でかつ実効性のあるものを示す必要があると考えておりますというお答えをいただいております。今回のこの基本方針二〇一五、社会保障費についてどのようにお考えでいらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。
  130. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のありましたところでやはり一番問題なのは、これは何といっても社会保障関係費です。もう間違いなくこれが一番大きな要素なんですが、経済再生やこれまでの改革の成果と合わせて、社会保障関係費の実質的な増加というものは、これは人口の高齢化に伴いまして増加分が、自然増があります分というのが約一・五兆円、三年間でということになっておりますので、経済・物価動向等を踏まえて、その基調というものを三年間、二〇一八年まで継続していくことを目安にしているという、いわゆる複数年度の枠組みがこれで定めさせていただいております。  また、この中で、いろいろ努力をせないかぬところなんですが、例えばよく言われますジェネリックの使用の促進とか、また医療提供体制の改革といった具体的な改革メニューというのも、これは各地方でいろいろ、こうしたらとかいう努力が各自治体から出てきたりなんかしておるのも踏まえまして、これを実現していくために工程の改革などを検討していくことになろうと思っております。  また、これの中に合わせまして、各年度の具体的な予算額につきましては、これは来年度の概算要求基準において、こうした経済財政運営と改革の基本方針二〇一五のいわゆる方針を踏まえまして、年金、医療に係ります経費については合理化、効率化に最大限取り組みます。  その結果、来年度予算に反映させることといたしておりますので、予算編成というものは、こういった基本方針二〇一五というものを踏まえて私どもとしては来年度の予算をきちんとやっていかねばならぬと思っておりますが、中長期的には私どもは二〇二〇年までに基礎的財政収支をゼロというところを目指しておりますので、それが一番目先、目先というか、その手前の二〇一八年までにというのを一応踏まえて、私どもとしてはこういった自然増というもので避け難いものもある中にあってどれだけそれをきちんとできるか。また、それに合わせて、抑えるだけじゃなくて経済も成長させない限りは、これは縮小だけで、縮小均衡させるわけにはまいりませんので、私どもとしては財政と経済と両立というものを目指して取り組んでいかねばならぬと思っております。
  131. 中山恭子

    ○中山恭子君 お答えいただきまして、ありがとうございます。やはり具体的な数字、具体的な期間を定めていかに抑えていくのかということが非常に重要になってくると考えております。  また、今の状況では、多分、中福祉と言えるかと思いますが、それであれば、やはり中負担ということも今後検討していく必要があろうかと考えております。この社会保障費を全て税で賄うのか、又は他の形を考えることも必要であろうと思いますので、担当はもちろん、その在り方を考えるのは厚労省かもしれませんが、やはり財政当局としても、抜本的な制度改革の在り方を麻生大臣の下でしっかりつくってリードしていただけたらと考えております。  抜本的改革について何かお考えがありましたら、是非お答えいただきたいと思います。
  132. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 財政がこれだけ厳しくなってきたこともあり、また少子高齢化が急激に進んでいること等々もこれありで、随分意識が変わられてきたんだと思っておりますが、高齢者の方々に偏っているとよく言われます福祉の在り方も、これはいわゆる子育て世代にその分がもっと傾斜配分されてしかるべきではないかというような意見は十年前は全く聞かれませんでしたけれども、今はそういったことが言われるような時代になりつつあると思っております。  いいことだとは思っておるんですが、そういった中にあってやっぱり、健康で年を取るのと病気でずっと年を取る話とか、終末医療の話とかジェネリックの話とか、もういろんな話が今一斉に真剣に検討されるような時代になったというのは、みんなが真剣にこの問題を考えられるようになりつつあるということはいいことだと、私どもはそう思っておりますので、是非そういった御意見というのは、厚生労働省とか私たち財務省だけではなくて、いろんな意味で、もっと予防とかいろんなことを考えると、私どもとしては、一日歩いて病院に来てもらいさえすれば、ここに来る患者の三分の一になりますと、ある医者の言ったせりふですけれども。それではうちはもうからなくなるということですかとそのお医者さんに聞いたら、ああ、そうですと。しかし、もう急患の方に回す医者が足らぬということになっていますので、是非普通の人は歩いてきてもらいたいんですけどねという話をすると。歩くとどうなるんですと言ったら、歩くとあなた健康になるんですよと言われたから、ああ、そうと。私、それが境に歩くようになり始めたんですけれども。以来十五年、おかげで病院に行ったことはありませんから、それなりに効果はあったんじゃないかなと思ってはいるんですけれども。  少なくとも、みんなでそういったことをやっていかないと、とてもじゃないけど、今のまんまで皆保険で中福祉で中負担でというのがなかなか現実問題としてできにくくなりつつある。それは、少子高齢化という現実を踏まえていきますと、なかなか現実は厳しい。それに対応していかにやっていくかというのは、これは知恵を絞らないかぬ大事なところだと思います。
  133. 中山恭子

    ○中山恭子君 政府全体、また私たち全員が考えていかなければいけない問題がもう目の前にあると言えると思います。また、平均寿命がまた伸びたということでございますので、おっしゃられるとおり、定年制などはもう廃止して、元気でみんなで働くという社会をつくっていく必要があろうかと思っております。  その話になると切りがなく、たくさんありますけれども、今日もう一点。  この基本方針二〇一五の中で、今私ども、文化のプラットホーム、世界のあらゆる文化が日本の中で交流する場をつくっていこうという方針を出して動いているところでございます。今回の経済財政運営と改革の基本方針二〇一五の中には、文化芸術の振興に関する基本的な方針というのが既に出ておりまして、第四次基本方針なんですが、その方針の中には国際交流等の推進というものが掲げられております。ただ、今回のこの財政に関する基本方針二〇一五の中では、文化芸術活動に対する効果的な支援ですとか日本遺産などの魅力ある日本文化の発信とかいう項目は挙がっておりますんですが、元々の基本方針、それを踏まえてとなっているんですが、その基本方針の中に含まれております国際文化交流の推進というのがこの中には入っておりません。  ある意味では、実は、大臣がさきのこの委員会で、この問題についてはまず理解を得ることが必要だろうという御指摘をいただきました。まさに今回、このグループ、財政関係の方々には、まだ国際的な文化交流を日本でやっていくということについての認識がなかったのかなと大変残念に思っているところでございますけれども、将来、国際的な文化交流が日本の地方各地で行われる、日本はそういった事柄を行う場を提供するという意味では非常に文化が豊かで良い国だと思っておりますので、時間が来てしまいましたが、是非、財務当局の方々にもこの問題を理解していただきたいと思っております。  一言いただいてよろしいでしょうか、この点について。
  134. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 文化というものの中で、どうもお役所とか御年配の方は、文化というと、やれ歌舞伎だ、能だ、狂言だという話をよくするんですけど、大体、歌舞伎だ、能だ、狂言だ、聞いて分かる人はほとんどいませんから、失礼ですけれども。それが、外人に向かって分かれと言ったって、分かるわけありませんよ、そんなもの。そんなもの期待しない方がいいです。  そんなものじゃなくて、例えば、ちょっと極端な例で恐縮ですけれども、極端な例が分かりやすいと思いますので、石破何とか大臣の、地方創生担当大臣のところに、鳥取県ですけど、境港という町がありますが、行かれた方はほとんどないと思うんですが、あそこに今、何で人がやたら行くのかと。境港に行くんですよ。何で行くんですかといったら、水木しげるロードなんですよ。知っていますか、ゲゲゲの鬼太郎。この人が生まれたところがあそこなんですよ。したがって、そこに水木しげるロードというのをつくったんですよ。商店街ですよ。そこに年間三百万人行くんですよ。少なくとも仙台でもそれくらいの知恵を出したらどうだ、いろいろ漫画家いるんだからさ。そういったのをやって大成功しているわけですよね、これ。何のあれもありませんよ。名前付けただけ、それだけでえらい人が来ているわけです。ほかにも鷲宮神社、ちょっと例を挙げればいろいろありますけど。  そういったのは、ひとえにこれは、はやっている文化を使ったので、これは国内だけの、水木しげるはインターナショナルじゃありませんから、ゲゲゲの鬼太郎は。よりインターナショナルなものを、それをやるともっと別のものが出てくるんじゃないかとつくづく思いますので、それが観光として物すごい金を生んでいるということになることは確かですから、私どもは、こういった文化というものは何となく、全然よその話じゃなくて経済に非常に深く関わり合ってきているというのは、今回、観光でやっぱり三百万も四百万も一挙に増えていくというのは、あの人たちが落としているお金を見てもやっぱりすごい経済効果があるということを理解しないとなかなかこれからの話はいかないし、雇用の面におきましても大きい問題だと思っております。
  135. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございました。
  136. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  137. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を起こしてください。
  138. 中西健治

    ○中西健治君 無所属クラブの中西健治です。  私も東芝の不正経理問題をまず取り上げたいと思います。西田先生尾立先生の方でも取り上げましたので、なるべく重ならない範囲で質問をまずしていきたいと思います。  第三者委員会報告書、三百ページにわたるという報告書でありますけれども、その中に、先ほど尾立先生からありましたけれども、言葉としては不適切な会計処理という言葉は使われていますけれども粉飾決算ですとか不適正という言葉が使われていない。言わば、ちょっと間違ったかな、違法性はないんだよと、こういうようなレポートになっているということなんじゃないかと思います。そして、このチャレンジを指示したとされる田中社長も記者会見で、いや、直接的な指示をした認識はございません、こんなことを言っていて、報告書内容を実質的には否定する、そんなようなことになっております。  この第三者委員会、メンバーを見てみても、第三者委員会が立ち上がる二日前まで東芝の顧問弁護士だった人が、その弁護士契約は解除してこちらの第三者委員会のメンバーになっている、こんなようなこともあって、第三者委員会のこの報告書、これに対する評価というのもやはりちょっと手ぬるいんじゃないか、お手盛りなんじゃないかというものがあるんじゃないかと思いますが、大臣にこの第三者委員会報告書についての評価をお伺いしたいと思います。
  139. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今回のケースというのは、これは経営者モラルが欠如していたとか、低い収益性見せかけで大きくしたとか、まあはっきり言って次元の低い話なんですけれども、それは赤字なら分からぬこともないけれども、黒字を更に大きく見せようとした話だと思っていますので、正確な情報が開示されなかったというところが、先ほど公認会計士の話も出ていましたけれども情報が開示されていないというところが一番問題なんだと、私はそう思っております。したがいまして、これは市場に対して正確な情報が開示されるように適切に促してまいりたいと、私どもとしては基本的にそう思っております。  先ほど、そういえば、尾立先生の話であった中で、東芝の個人保証の件、これは今の社長になってからはないということだそうです。済みません、これは間違いなく石坂さんの時代とか、前の土光さんの時代に、社長になった途端に、おまえ、俺の保証金は幾らだか知っているかと言われて、あれ一生忘れぬのですけど、ああ、うかつに社長になんかになっちゃいかぬなと思った記憶がすごいあるので。今はそういうことはないということです。今の東芝の社長については訂正します。
  140. 中西健治

    ○中西健治君 適切に促していく、情報開示を適切に促していくということですので、それは是非進めていただかないといけないというふうに思いますけれども、この東芝ケースでは、歴代の社長三人が相談役ということになっておりました。相談役ですとか顧問ですとか、こういった人たちというのは、取締役会には入っていないんだけれども会社の内部では隠然たる勢力を持っている、影響力を持っているということが多々あるんではないかと思います。  この相談役ですとか顧問という存在、これは金融庁が進めようとしているコーポレートガバナンス企業統治の上でどういう障害になるのか、どういう存在として考えているのか、ここら辺、お考えをお聞きしたいと思います。
  141. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 偉くないけど人事権を持っている人ぐらい偉い人いませんから。意味分かりますよね。組織におられた方なら誰でも分かる。自民党でも似たようなことがあるかもしれませんから。そういった意味においては、これはえらい問題なんですよ。  だから、私どもにとりまして、これは、株主から経営を負託されたという立場の取締役とそうじゃない人の立場で、その立場の人の方が発言権がでかいというのは、やっぱりコーポレートガバナンス上としては、これは機能を発揮する上におきましては多々問題があるということ。ただ、うまく使っておられるところというのは非常にありまして、そういった、まああの相談役に言われたらもうしゃあないなと言って、みんな何となく、社外のもめ事なんか、あの人が出てこられたらまあしようがないから、黙って、これまでお世話になりましたとお礼を言っていくという。利用の方法がいろいろあろうかと思いますので、一概にこれは不適切と言うつもりは私どもはありませんけれども。  いずれにしても、実効的なガバナンスというのをきちんと上げるようにしておかないと、これは株価とかそういったものに非常に影響しますので、会社の資産というようなものにも直につながっていきますので、この点は扱い方というのは猛烈に注意しておかないかぬものなんであって、昔とはこれは猛烈に変わってきていることの一つかなと思っております。
  142. 中西健治

    ○中西健治君 独立社外取締役、こうした立場の人が非常に重要になるんじゃないかというふうに思います。  先ほども議論がありましたけれども、この報告書においては、監査法人がどういう役割を果たしていたのかということについては余り触れられていないということでありますけれども、本当に見抜けないのかどうかということについて、ちょっと資料を用意させていただいたので、御覧いただきたいと思うんです。  これは東芝のPC部門の月別の売上高と営業利益の推移なんです。これ、二つグラフがありますけれども、同じものなんですが、一つは少し期間が長いところを取っている、下の方は二〇一一年から、直近のところを取っているということなんですが、この青い線が売上高、そして赤い線がこれが営業利益ということなんですが、これ見てお分かりのとおり、というか、これはかなり一目瞭然なんですけれども、二〇〇八年三月ぐらいから非常に利益の振れが激しくなっているんです。これを細かく見てみると、毎四半期ごと、四半期の末に利益がどんと上がって、そしてその次の月にどんと下がるということをずっと繰り返していて、そのうち、見てください、この下のグラフ、青い線を赤い線が突き抜ける。要するに、売上高を営業利益が超えちゃう、こうしたことが何年にもわたって四半期末に行われてきたということなんです。  この報告書の中にもこれは数字として書かれているんですが、これを見て監査法人は、こうしたことが行われていたのに監査法人は見抜けないのかどうか、こうしたことについてはやはりちょっと疑問があるんです。  先ほど尾立委員の方から、やはり監査法人というのは限界があるということだということではありましたけれども、かなりこれは明白なケースなんじゃないかなというふうに思うわけでありますけれども麻生大臣、このグラフを見た感想を教えていただきたいと思います。
  143. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはやっぱり、一番私ら商売やった経験からいって異常なのは、売上高を利益が超えているというこの下の紙が一番ふざけているんですよ、これ。これがやっぱり、この程度なら俺でも監査人ができるかなとか思わないでもないぐらいなんですけれども。ちょっと正直、これは普通じゃありませんな、どう考えても。ちょっと極端過ぎるという感じが実感です。
  144. 中西健治

    ○中西健治君 これをどうして見抜けないのかということなんですが、やはり東芝というのは巨大企業であって、そして監査法人というのもその企業に雇われているわけですし、元々の財務諸表というのは会社側が作るということもあって、なかなか監査法人としては見抜きにくいということもあるのかもしれません。しかしということなんじゃないかと思います。  そこで、これは金融庁にお伺いしたいと思いますけれども、これまでも、例えばエンロンの事件ですとかワールドコムの事件、こうした不正会計があったときには、監査法人を任期制にする、ローテーション制にするという、五年なら五年、七年なら七年、これは欧州ではもう採用されていると思います、こうしたことの議論というのが出てくるんですけれども、こうしたことについて今金融庁はどのようにお考えになっていらっしゃるか、金融庁の御意見をお伺いしたいと思います。
  145. 池田唯一

    政府参考人池田唯一君) 監査法人のローテーションにつきましては、我が国でも以前、あれはカネボウの事件などがありましたときに、その導入の是非について様々な議論があったと記憶しております。  その際の議論では、監査法人が交代することによってまた新しい視点でのチェックができるんではないかという意見がある一方、その企業に対する監査人の知見が一旦途切れるということで、監査法人のそういうチェックが難しくなるのではないかという指摘や、また企業サイドでも、そういう監査法人が交代することによって、それに伴うコストが増加する等の議論があって、なお多々論ずべき論点があるということであったと承知をしております。
  146. 中西健治

    ○中西健治君 カネボウのときの議論は確かにそういう議論であったろうというふうに思います。ただ、それからまたこうした事件も起こってきているということでありますから、やはり再度考えていくべき話なんじゃないかというふうに思います。  東芝から監査法人に払われていた報酬というのは十一億円ということでありますから、やはり監査法人からすると大変なお得意様ということになりますので、なかなか言えないことも出てきてしまうのかもしれないということなんじゃないかと思います。  今回、証券取引等監視委員会は行政処分として東芝に課徴金を課すよう金融庁に勧告する方針であると、このように報じられておりますけれども、これだけ大きな企業が長年にわたって不正を行っていたということでありまして、市場に対する影響というのも非常に大きいということだと思います。  これは課徴金で済まされる話ではないんじゃないかなというふうに思いますけれども、こちらについて、麻生大臣、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いできますでしょうか。
  147. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御質問の案件ですけれども、まず、これは基本的には証券取引監視委員会において判断をされるべき事柄なんで、ちょっとコメントは差し控えさせていただきたいと思うんですが。  法令違反に該当する事実があるというように疑われる場合には、これは厳正な調査というものが行われるものだと承知しておりますので、まだ今の段階で、この紙だけでちょっとそれは無理がありますので、ちょっと私どもとしては今の段階でコメントは差し控えさせていただきます。
  148. 中西健治

    ○中西健治君 今後、真相の解明を待って厳正な対処をしていただきたいというふうに思います。  質問の方を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  149. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時三十四分散会