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2015-05-14 第189回国会 参議院 財政金融委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年五月十四日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      石上 俊雄君     尾立 源幸君  五月十三日     辞任         補欠選任      舞立 昇治君     宮沢 洋一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         古川 俊治君     理 事                 愛知 治郎君                 若林 健太君                 大久保 勉君                 西田 実仁君                 藤巻 健史君     委 員                 石田 昌宏君                 大家 敏志君                 伊達 忠一君                 塚田 一郎君                 長峯  誠君                 西田 昌司君                 森 まさこ君                 山本 一太君                 礒崎 哲史君                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 風間 直樹君                 前川 清成君                 竹谷とし子君                 大門実紀史君                 中山 恭子君                 中西 健治君                 平野 達男君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        財務大臣    宮下 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        内閣公益認定        等委員会事務局        長        岩田 一彦君        金融庁総務企画        局長       池田 唯一君        金融庁証券取引        等監視委員会事        務局長      大森 泰人君        総務省情報流通        行政局郵政行政        部長       武田 博之君        財務省主税局長  佐藤 慎一君        財務省国際局長  浅川 雅嗣君        国税庁次長    佐川 宣寿君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    藤井 康弘君    説明員        会計検査院事務        総局次長     田代 政司君    参考人        日本銀行総裁  岩田規久男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (税制等に関する件)     ─────────────
  2. 古川俊治

    委員長古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、石上俊雄君及び舞立昇治君が委員辞任され、その補欠として尾立源幸君及び宮沢洋一君が選任されました。     ─────────────
  3. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣公益認定等委員会事務局長岩田一彦君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁岩田規久男君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、税制等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 西田昌司

    西田昌司君 自民党西田でございます。  今日は、今、自民党の中でも財政再建特命委員会というのが毎週ありまして、昨日もありまして、私はそのインナーのメンバーの一人でもあるんですけれども、その中で訳の分からぬ議論があるんですね。  といいますのは、昨日もちょっとその中間取りまとめが出ていましたけれども、要するに、財政再建しなきゃならない、それはそうなんですが、そのためにはどうするかというと、収入を取るか、それから歳出を減らすかという話に当然なってくるんですけれども、結局、どうもこういう財政再建論になると、歳出を減らしていく、歳出改革をしなければならない。もちろんしなければならないところもたくさんあるんですよ。あるんですが、まず、これ、麻生大臣にお聞きしたいんですが、今日、いわゆる財政が悪くなった、財政赤字がどんどん大きくなってきた、この財政が悪化した根本的な原因はそもそも何なのかと。税収不足なのか、支払が、予算がたくさんたくさん使い過ぎたのか、このどちらだとお思いですか。
  9. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはなかなか一概には言えないところだと思いますが、一番大きな理由は資産のデフレーションによる不況です。これにとどめを刺していますよ、一言で言えば。もうそれで座ってもいいぐらいですけれども、それではちょっとあれでしょうから。  正確に言って、平成二年度、これが特例公債の発行から脱却できた年が平成二年ということになりますので、今日まで、二十七年度予算ベースで約二十五年間というものの決算あるいは予算を比較して、国債の残高の増加要因を足し合わせていきますと、歳出要因というのはプラスの三百五十八兆、その多くは社会保障関係費増加で二百三十兆です。それから、地方交付税増加、これは八十一兆ということになろうかと思いますので、それで大体今申し上げた数字になります。  また、歳入面要因でいくと、百四十六兆というものは、これは景気の悪化、また減税等々の税収の落ち込みで百九十九兆円下がっておりますので、したがって、これは税負担を上げてこなかったから財政が悪化したかとかいうのはそれなりに、委員の言われたいことだと思いますけれども、一方で、そうした中で歳出増加を許してきたことも無視できぬという感じは我々としては反省しておかないかぬところだと思いますので、今後、負担の将来世代に先送りしているという現状はいかがなものかというので、やっぱり経済再生財政健全化、この両立をやらないかぬということだと存じます。
  10. 西田昌司

    西田昌司君 そう大臣はおっしゃるんですけれども、もちろん減税した、景気が悪くなった、これも大きな原因なんですけれども、そもそもこの赤字国債をどんどん出した原因は、いわゆる社会保障費の話がどんどん増えてきているからで間違いないんですね。それで、何でそうなったかというと、そもそも、平成元年消費税入れたときに何で消費税入れたのかと。それは、これから社会保障費が増大するの分かっていますから、そのための安定財源としてこれは入れられたんですよね。  ところが、もう片方で変な議論がありまして、そのときに税制中立だと言ったわけですよ。つまり、本当は負担を上げないと社会保障費賄えませんということを財務省、大蔵省が当時分かっていましたからその仕組みをつくったのに、片方、入れるときは小さく産んで大きく育てようと思ったんでしょうね。だから、そのとき、要するに直間比率、これを改善するんだという話と一緒にしちゃって税制中立だと。だから、消費税で増やした分は法人税所得税で減らしているんですよ。  入れたときはそれでもいいですよ。しかし、よく考えれば、その後増えていくのは分かっているんですから、予算が。じゃ、そちらの方の対応をしたのかといえば、消費税はなかなか三%から五%に上げるのも大変でしたけれども、そもそも、法人税所得税をどんどんどんどん減税しちゃうわけですよ。だから、初めから予算が要るのが分かっていて税制改革しているのに、どんどん減税先行して、そのためになったんじゃないんですか。  だから、まさにここは、麻生大臣を責めるんじゃないんですけれども、あの当時の政治家もそうだし、財務省判断がちょっとこれはまずかったんじゃないのか。というか、これは政治判断だと思いますよ、財務省は本当は上げたかったんですから。ところが、上げずに、まず無駄な経費を削減しましょうという話にすり替えられちゃったと。だから、それが今日の私はこの財政赤字どんどん膨らませてきた一番の原因だと思いますが、その辺だけちょっと確認したいんですが。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今言われたように、あの当時の話は、これは直間比率の見直しとか、最近余り聞かれない言葉も当時はいっぱいありまして、そういった関係から、これは税体系全体につながっております。税負担の公平を図るということから、いわゆる歳入構造安定化を図りますとか、所得税とか法人税だと景気による影響が大きいからとか、いろんなこともありましたので、そういったことになっていったことは確かだと思いますので。  やっぱりそういった中で、傍ら税制中立という、何であの言葉をあの時期に入れられたのかは、私が見ていて、ある日突然に出てきた言葉でしたので非常に不思議に思っていた記憶がありますけれども、いずれにしても、持続可能な状態というようなものをしないといかぬということでははっきりしておりますので、今後ともこの問題は、収入増を図ると同時に歳出というものをきちんと抑えていく、片方だけではとてもできませんから両方やらないかぬということになるんだと存じます。
  12. 西田昌司

    西田昌司君 歳出をチェックするというのは、常にこれはやらなきゃならないことですから、当然、歳出改革とかいうのは常にあるんですよ、それは。もう要らなくなったことはやめたらいいし、あるんですけれども、しかし、それでも、もうはっきりしているのは、これからもこの社会保障費はどんどん増えるんですよ。増えていくし、そのための必要な予算は当然必要になってくると。  それを見てみると、要するに社会保障の給付の程度はどんなものかというと、日本は国際的に見ても中福祉をやっているわけですよね。ところが、国民負担はどうかというと、もう圧倒的に低負担なんですよ。これはもう、財政再建特命委員会でもそういう資料に書いているんですね。  ところが、その後の結論が笑ってしまうんですね、私は。要するに、中福祉で低負担だと、だからこそ、今こそ社会保障歳出改革をしなければならないと書いているわけですね。どう結論がなるのかなと。つまり、じゃないでしょうと。中福祉やっていたら中負担が当然必要なわけですよね。低負担だったら低福祉でいいのかという話になるけれども、日本のような先進国でそれはあり得ない話ですからね。  そうすると、歳出改革は当然不断の努力をやらなきゃならないけれども、今やらなきゃならないのは、私は、国民負担をいかにして求めていくかと。しかも、それは国民のために求めているわけですからね。国民福祉のためにもらって渡すんですから、別に増税して、国が、役人が取り上げて使うんじゃないんですよ。だからそこの説明は、やっぱりこれは財務省としてもしっかりそういう説明をしていってもらわないと大きな誤解を呼んでしまうと思うので、まずそこだけ、私と同意されるかどうかということをお聞きしたいと思います。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 低福祉負担アメリカ、高福祉高負担ヨーロッパ、特に北欧ということになろうかと存じますが、あそこで二一、二%かな。アメリカで今、まあ州によって違いますので、アメリカは五から八、いろいろ違いますが。  日本の場合は、その点は、これを最初にやり始めたときから記憶がありますが、日本は中福祉負担でいこうというのであれば、これは負担の部分が、どう考えても、国際的に見ても低負担である現状ならば、中に上げるのであればその分だけは中負担をお願いせざるを得ぬという結論を、大議論の末そこに到達した上でこの話はスタートさせていただいたと記憶をしますので、そういった意味でいきますと、私どもは、今の状況の中において、今後とも少子高齢化という状況を踏まえれば、長期的にはまず、政府統計で余り当たらない統計いっぱいありますけれども、この人口推計だけはほぼ当たる推計一つですから、そういった意味では、これはまず避け難いというのを前提にして考えておかないと国家経営としては極めて難しいと、はっきりしていると思います。
  14. 西田昌司

    西田昌司君 だから、大臣と私も同じ意見なんです、結論は、だから中福祉負担じゃなきゃならないと。これを税制含めて考えていかなきゃならないんですけれども。  ただ、もう片方の視点がありまして、それは今どういう状況かというと、経済がまだ完全にデフレから脱却したとは言えない、やっぱりまだまだ健全な状態になっていないわけですよね。ですから、そのために経済を良くしていくと。そのためには、私は、アベノミクスでやっておられたように、金融と、それから財政出動、それから民間投資をやっていくと、これは大事なことだと思うんですね。だから、上げるタイミングとか税目どうするかとか、それはこれから議論しなければならないところだとは思っています。  ただ、結論は、やっぱり中福祉負担の形を国民説明して、これは国民を守るためにやらなきゃならないし、日本が極めて低い負担でやっているというのは、それが財政を悪くしているんですから。ここは野党の先生方もうなずいて、前川先生もいただいているので、やっぱりこれはしっかり国会がそういう議論をしなければならないと思うんです。  そこで、私は、消費税もそうなんですけれども、今日ちょっと考えなきゃならないのは、消費税が一〇%になるのは決まっていますけれども、じゃ、その後消費税をまた一〇%以上に上げていくのかとかいう議論ももちろん必要ですけれども、もう片方で、一番負担が低いのは何かといったら、やっぱり企業だと思うんですよ。  しかも、特に企業部門で三百兆円の内部留保があるとか、しかも企業がこれだけ金融緩和をしてもお金を使って投資もしないと。つまり、企業部門お金がどんどんたまっている仕組みですね。かつては、企業部門お金が足りませんでしたからどんどん借入れもしてくれる、そしてお金を動かして雇用もしてくれると。経済のポンプ、エンジンになっていたわけですけれども、企業部門海外投資にどんどん転換することも含めて、国内で循環させる仕組みをつくってこれていないんですよね。  だから、そう思うと、私は企業部門にもう少し課税をして、そして、特に一番問題は東京に一極集中してしまっていると。東京に一極集中するのは一番効率がいいからなんですね、企業にとりましては。企業論理というのは一番効率のいいところに投資しちゃいますから、多少地代はあっても東京に行っちゃうと。そこで、その効率論理でやらないようにするためにも、企業から税金を取って、その税金の分で社会インフラをもっと整備するわけですよ。東京にいなくても、地方で十分東京にいるのと同じだけの仕事ができますよと。そのためには、交通網ネットワークやいろんな情報ネットワークも含め、社会インフラの整備が必要ですよね。その社会インフラ税的な形で企業部門から取って地方を整備していけば、企業が今度はそれぞれの各地域会社をまたつくってくれると。また、税制も含めて、東京よりも地方の方が安いということも必要だと思いますけれども。  そうすると、東京から地方に行って、地方雇用をして、地方雇用をしてくれると、そこの従業員の方々も東京よりももっと子育てがしやすいですから、少子化にも歯止めが止まってくる。それから何よりも、東京にどんどん企業を置いておくと、間違いなく大きな津波や地震が今世紀中には来ますから、来たときにまた大きな被害を受けてしまうので、それを食い止めるということも含めて、そういうトータルな税制国づくり、そのための負担企業部門から求めて、それを各地域に配分していくと、そういうことが大事じゃないかなと思うんですけれども、麻生大臣、いかがお考えでしょうか。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 東京に一極集中し過ぎている、少なくとも一億二千七百万の人口首都圏等々に一千三百万、約一〇%を超えるのが集中している。しかも、この国は、国土面積が極めて限られた国に一億二千万、人口密度が極めて高い国家ですから、そういった意味では、日本の場合は集中している分だけ、もしという、平野先生の話ではありませんけれども、例えば直下型地震等々の場合の被害は想像を絶するものがあるということから、これを分散という話は、これはもう昔から言われている話で、集中はいかがなものかと言われながら、皆さんはみんな東京にお見えになると。  言っているやつがみんな来ておるわけですから、新聞記者なんかは全部地方へ行けやといって僕はいつも言うんですけれども、永田町とか霞が関に要らないよと、あなたらは、もうちょっと地方へ行ったらどうと、行きませんな。地方からのニュースは上がってきませんから、上がり情報下がり情報という言葉がありますけれども、上がり情報は来ません。何でですというところの根幹的な話をしないと、これはなかなか難しい。これが一点です。  それから、企業の場合は、昔に比べて、やれインターネットだファクスだ、何だかんだいろんなものが発達しましたので、地方にいながら情報を取れるというのははっきりしていて、和歌山県の島精機なんというところが、世界のレースは全部あそこでやっておるわけですから、それはもう間違いなく、クリスチャン・ディオールであろうと何であろうと、みんな大阪に降りて、近鉄に乗っかって天王寺まで行って、あれからまた電車に乗って、南海電鉄でずっと下って、白浜、田辺まで、本社に行くまでに、あなた、日本に着いてからの方が長いぐらいのところへみんな行っておるわけですから。それでもあそこにみんな行かざるを得ないぐらい、きちんとした商売をしている会社もあります。  でも、そういったところよりやっぱりみんな東京というのは、僕は、企業の持っている便利性だけの話かねというのに関しては甚だ疑問があって、西田先生京都だからでしょうけれども、日本人というのは基本的に、筑豊よりは京都の方がみやびているんですよ。飯塚より博多の方がみやびているんですよ。みやびたところが好きなんですよ。ひなびたところは嫌い。僕はこれが日本人の一番の本だと思っていますから。僕は、中央に集中するという話は、何かみんな分かったような、学者がいろんなことを言っているけれども、本当かねと僕はいつもそう思いながら、言っている本人たちはほとんど東京に住んでいますから、僕は余り信じぬのですけれども。
  16. 西田昌司

    西田昌司君 確かに、おっしゃるところもあると思うんですね。みやびたところが好き、ひなびたところより。しかし、かつてはそのみやびたところもそれぞれの地域でやっぱりあって、お城もありましたし、なかなかのものがあったんですけれども、やっぱりそこをもう一度再構築していく。これは税制だけではもちろんできませんけれども、国を挙げてやっぱりそういう方策を、税も含めて是非考えていただきたいと思います。  今日は、もう一つ、ちょっと違う問題で質問させていただきたいんですけれども、これは消費税の話なんですね。消費税がこれから一〇%になると。そのときに軽減税率を要求されるところもあるんですけれども、私は、本来、日本所得税のいわゆる課税最低限がかなり高いですよね。だから、税金を払っていない人がたくさんいるわけですよ。それから考えると、消費税が一〇%になりましても、もちろん低所得者負担が大きいのは事実ですけれども、やはり全体で社会を支えるための、そういう共通の税金だと考えると、私は、そもそも課税最低限が高過ぎるということも含め、そのままの方がいいと思うんです。  ただ、そのときに、これからまた一〇%以上に上がってくる可能性もあるんですけれども、軽減税率を含めやっていったときに、インボイスというのが必ず出てくるわけですよ。  税務当局によると、彼らはとにかく、要するにインボイスヨーロッパでは全部やっていて、インボイスがないと仕入れ税額控除できない、間接税仕組みとしてはインボイス方式の方が正しいんだと、こういうふうに思っているわけなんですね。制度としては、確かに理屈はそうなんですよね。しかし、実際問題、インボイスをやるとしまして、そうしたらどういうことが起きるのかというと、結局は、インボイスで集めたやつを、これを集計して、この集計したやつを税額控除しているんですけれども、この集計が正しいかどうかという問題なんですよ、これ。  今、日本帳簿方式ですよね。帳簿方式でやっているのも同じように集計しているんですが、ただ、そのときに、いわゆる免税業者仕入れ税額控除の中に入っているんじゃないのかという可能性ももちろんあります。それも含めて、それが正しいかどうかというのを確認するのは何がどうできるのかといえば、調査以外ないんですね。ところが、その調査がそもそも日本では非常にしていないんですね。  今日ちょっと資料をお配りしたはずなんですけれども、この表を見ていただいたら分かるんですけれども、調査が、今、個人なんかは一%、法人で三%という数字ですよね。物すごくこれ低いんです。何で低いのかというと、結局、どんどんどんどん減ってきているでしょう。これ、減ってきているのは何かというと、法人の数が増えてきているということだけじゃなくて、消費税も入れました、それから調査適正手続を要求されていますと、手間が物すごくどんどんどんどん増えるわけですよね。手間が増えて実調率がどんどん減っているわけですよ。  こんな状態のままでしたら、インボイス導入するとか云々以前に、その申告が正しいかどうかということを確認できないじゃないですか、そもそも。この状態実調率の低さ、まず、ここを大臣、どういうふうにお考えですか、これは。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 実調率の推移の話が書いてありますけれども、これは、基本的にこういった形で実調率というのは激減しております。これはもう間違いない。それはもう、そういったことは、環境を見ましても、更に難しくなっておりますのは、いわゆるICTの発達というものと国際的な取引等々というものがどんどん増えてきて、税金を徴収する事務が猛烈に複雑化していて、十年、十五年ぐらい前の税務能力ではとてもじゃないが今の対応はなかなか難しいということになってきておりまして、実調率がどんどん減ってきているというのはもう間違いない事実だと思っておりますので、こういった意味では、定員も削減を思い切りしておりますので、そういったところからいきますと、こういった実態というものは、もう間違いなく、おっしゃるように御指摘のとおりだと思います。
  18. 西田昌司

    西田昌司君 そうすると、大臣は、要するに、税金取って、それから予算をいろいろやっていって、そのときにある種、この予算歳出改革を含めて絞らなきゃならないですから、自分のところの国税の職員の数を増やすというのは、何かお手盛りじゃないかという形でやりにくいんでしょうけれども、私は、はっきり言いまして、これは少な過ぎるんですよ、税務署の職員の数が。  だから、せめて一〇%ぐらいの実調率法人でいうとですね、あるぐらいにしなければならないし、これから増やした分、当然人件費掛かりますけれども、実調率増やすと税収増えますからね、これは。間違いなく人件費以上の税収が上がってくるわけですから、これはそろばん勘定も合うわけですから、是非これはもう要望しておきます。  それで、今日はもうちょっと事務的な話で事務方に質問するのは、要するに、インボイスの話もう一遍やりますが、インボイスをいまだにこれはやっぱり考えておられると思うんですよ。ただ、さっき私言ったように、そもそもインボイスをやっちゃうと免税業者が排除されちゃうわけですね。そのことによる損失、それから、インボイスをやることによる、インボイスの計算するのは物すごい事務負担が掛かるんです。これ誰がやるかといったら、納税者に物すごく掛かるわけですよ。物すごく手間を掛けてやって、そこの理論上の正しさを確保する以前に、そもそも実調率を上げる方が話が早いんですよ、話が早い。  そして、取引免税業者を排除するということを考えると、インボイスの損失というのは結構大きいんですよね。そう考えると、インボイスじゃなくて、今言っているような課税環境の方を整備してやっていく方がいいんじゃないかと思うんだけれども、その辺のちょっと検討を、事務的に事務方はどういうふうに考えられておられるのか。
  19. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。  現在、消費税についての軽減税制の御議論をいただいておりますし、様々な業界からのヒアリングなどをいただいている中で、軽減税率ということは複数税率になるということになりますので、そのときに仕入れ税額控除が適正に行われるという制度的担保はやっぱり要るんだろうというときに、やはり今までの制度的な、歴史的な知恵として、インボイス制度ということでいわゆる益税問題などはある程度排除されていくということがございますので、やはり、もしもそういうことであれば、そういう制度というものを考えていく、制度的な整備として考えていくということが重要だと思います。もちろん、それを執行上チェックをしていくということもまた併せて必要だということに相なります。  いずれにしましても、一方でまた、先生がおっしゃいますように、インボイスということになった場合には制度的な立て付けが完全に変わります。現在は帳簿方式というより請求書等保存方式と呼んでおりますけれども、その方式であれば単一税率で処理ができておりますので免税事業者の問題というのは生じておりませんけれども、仮にインボイスを入れる、言わば欧州型ということになりますと、免税事業者はインボイスを発行できませんので、課税事業者のみの発行ということは、逆に言えばその部分、免税事業者が排除されるという懸念も出てくるという辺り、これもまた一つの問題だろうと思います。制度を設計するときにその辺の功罪をどう考えるかということはちょっとこれから詰めていただく必要があろうかと思っておりまして、与党の方でも御議論いただければと思っているまさに最中でございます。
  20. 西田昌司

    西田昌司君 ですから、そもそも、それで私が言いたいのは、インボイスというのは元々コンピューターがない時代にできているんですよね。コンピューターがない時代ですから、要は、発行されたインボイスを集めて、電卓たたいたのか、そろばんが向こうはないですから、やったのかどうか知りませんけれども、要するに、集計表にまとめてやっていくという形なんですね。ところが、今はもう完全にコンピューター化されていますから、書類があれば、そういう集め方をしなくても帳簿上で集計もできちゃうと。  ただ、そのときに、インボイスを発行している業者かどうかというのがこの益税問題でなるんですけれども、それも含めて、要するに、いろんな誤差といいましょうか、なってくるんです。だから、益税になっても、結局のところは、本当は正しく申告していたらその分は課税されてくるんですから、また別の法人税なり所得税なりに。全部がもちろん入ってこないとしましても、かなり吸収できちゃうわけですよね。  要するに、この問題は、制度全体をどういうふうに不公正のないように担保していくかと。その公正さを担保する仕組みインボイスだけではなくて、私が言いたいのは、インボイスに掛かる経費よりも国税職員を増やす経費の方がよっぽど安くて税収上がるんですよ。じゃ、どっちをやるべきかと。考えなくても分かるんですね。  だから、主税局の方に、私、局長に言いたいのは、理論上の話じゃなくて、要するに実行するのにどうかという、そういう議論をしなくちゃならないと思うんですよね。ところが、それは逆に言うと苦手なんですよね、なかなか。非常に頭が精巧にできていますから、そっちの仕組みの方ばかり行っちゃうわけです。だから、これこそまさに政治家の仕事だと思うんですよね。  この議論を聞いておられて、財務大臣、どういうふうに思われますか。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) インボイスというのの面倒くささはヨーロッパに旅行された方なら誰でも御存じで、ちょっと買物したら、お釣りと包装よりインボイスの書き込みと手間、待っている時間の方がよほど長いし、そのため人は増やさないかぬし、こっちは待ち時間は消費されるしというので、今、日本に入ってきたのは、やっているやり方というのは、別なやり方を今外国人観光客に向けて、今のところ評判がいいんですが。あれはまたあれでいろいろ、輸出するといって逃げているやつも結構いるでしょうから、それの損害なんというのは結構大きいんだとは、まだ正確なそこの数字がつかめているわけではありませんが、スタートしたばかりですけれども、そういうのが当然出てくることも覚悟せないかぬ。  元々、インボイスが出てきた理由は、いわゆる軽減税率という話からこの話が出ておりますので、この軽減税率の話とインボイスの話は、これは密接に関係しているところですから、少なくともそういった意味では、今後、これをコンピューター化する等々、やり方をいろいろもうちょっと工夫してみなきゃいかぬところだとは思いますので、今後とも、この問題につきましては、手口と言うと品がないですな、やり方を検討してみないといかぬだろうと思っております。
  22. 西田昌司

    西田昌司君 是非御検討いただいて、神学論争に持っていきたくないんですね、我々もう。  だから、インボイスがなければできないと、そういう形じゃなくて、要するに、今おっしゃったように、外国人旅行者に対するああいう免税の話もそうですけれども、それがちゃんと機能しているか担保する仕組みが何かと。インボイスだけが担保する仕組みではないんです。そもそも調査の仕方とかシステム全体を考えていかなきゃならないので、是非そういう議論にしていただきたいし、そのために我々も、与党ですから税調の中でもやっていきたいと思います。  ちょっと時間が余っていますけれども、私の質問をこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  23. 大久保勉

    ○大久保勉君 民主党の大久保勉です。  今日は二十分という短い時間ですから、もう早速話を始めたいと思いますが、本日はBEPSに対する議論をしたいと思います。  手元に、「金融財政事情」二〇一四年十一月二十四日の寄稿記事があります。実際書いていますのは、OECD租税委員会議長浅川雅嗣さんです。財務省国際局長ということで、非常に誇らしいことは、国際局長がOECDの税に関する議長をしているということです。こういったことをしっかりと認識して、しっかりこの委員会でも支えていきたいと思って、質問したいと思います。  この寄稿文に関しまして、非常に分かりやすくて何度も読み返しているんですが、それに関連してまず質問したいのは、電子商取引に関する提言を行ったと。従来の法人課税ルールでは、海外の企業が自国で経済活動を行う場合には、支店、事務所、工場といった恒久的施設、PEの存在が前提とされているために、それがない電子商取引の場合には適正な課税が確保できなかったと、いわゆる法人税が掛からないということです。  資料一を御覧ください。  例えば電子商取引ということで、何とかドットコム、固有の名称は言いませんが、海外にあります会社の方から実際の本を買った場合どうなるかということです。  実は、昨年の秋に、電子配信、電子書籍の配信若しくは音楽のダウンロードに関しまして、日本法人だったら消費税が掛かるけど例えば海外のアマゾン・ドット・コムとかから買った場合には消費税が掛からない、不公平じゃないかということで議員立法を提出しまして、政府の方もこの思いが伝わりまして、平成二十七年度改正に盛り込まれまして内外の格差がなくなりました。これはいいことです。  今度は、実際の物に対する部分にも不公正が残っているということで、今回の質問をしたいと思います。  念のために質問しますが、日本の国内のコンピューターから海外のサーバー向けに書籍を注文する、その本というのは日本語の日本の書籍である、この巨大倉庫に関しては例えばA社の日本にある倉庫であると、こういったことをやった場合、もし利益がこの取引で年間一億円もうかった場合に法人税課税されますか、質問します。
  24. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) 一般論として、仮に今委員がおっしゃられたような、外国企業取引先から、日本取引先から物品を仕入れまして、それを日本の倉庫で保管をしまして、その倉庫が恒久的施設に該当しない場合には、その外国企業が仕入れた物品の日本での販売に係る利益に対しましては日本法人税課税されないこととなっております。
  25. 大久保勉

    ○大久保勉君 ここで問題なのは、決して書籍だけじゃないですね。最近は、例えばディスカウントの量販店で家電とかいろんなものが、家具とかがあります。そこで内容を見てスマホで注文すると、何とかドットコムに。その場合に、日本の販売店で買った場合はちゃんと法人税を払っていますが、何とかドットコムは日本税金を払っていないと、こういった問題がありますから、これは極めて大きい問題です。電子商取引が相当増えていきますから、どんどんこういった税の空洞化が出てきます。普通に日本国内で商売していると思ったら、実は空洞化が行っていると。場合によっては、元々日本にあった会社が海外の企業を買収して、あえてサーバーを海外に持ち込んで合法的に節税すると。こういった現象に対して早急に対策を練る必要があると。こういった問題点でBEPSの議論が出てきていると思います。  BEPSに関しましては、早急にこういった倉庫に関してはいわゆるPEということで国内企業と認定しようということですが、じゃ、日本の法体系でこれが具体化するのは何年程度掛かるかに関して質問したいと思います。まずはOECDで議論が締結する、そして租税条約が締結されると。それまでにどの程度時間が掛かりますか、質問します。
  26. 浅川雅嗣

    政府参考人(浅川雅嗣君) お答え申し上げます。  委員全く御指摘のとおりでございまして、恒久的施設の認定の問題でございます。商品の引渡しのみを目的とした商品を保管する例えば倉庫というものがございますが、これは、従来のOECDのモデル条約上はPE、恒久的施設の例外ということにされているものですから、巨大な倉庫があっても、それが必ずしも恒久的施設というふうに認定されないというおそれは今現にございます。これはBEPSの議論で非常に問題視をしているところでございまして、もちろん、企業の予見可能性でありますとか、あるいはこれを変更した場合に、逆に企業が相手国、進出先で課税を受けるリスクが高まるというようなことも含めて総合的に勘案しているわけでございます。  この点に関しまして、OECDは今年中に結論を出すということなものですから最終的な御報告はまださせていただいていないんですが、今のところの方向は、例えば商品の引渡しのみを目的とした商品を保管する倉庫でありましても、その法人の事業遂行において機能的に必須の部分を構成するという場合には恒久的施設として認定していいんじゃないかというふうなこと、したがいまして例外条項から除外するという方向での議論が進んでいるわけでございます。  これが決着しますと、これが恐らくOECDのモデル条約の改定ということになって、OECDからモデル条約の改定がなされ、それに従って各国の租税条約を変えることによってそれが治癒されていくということなものですから、具体的に各国のモデル条約の改定が起こるのは来年以降のことだろうと思っております。
  27. 大久保勉

    ○大久保勉君 来年以降は分かりますが、具体的にいつ実現するかと。恐らくは二年とか三年という話じゃないと思うんですよね。だから、その間は税の空洞化が行っているから早急に対策を取るべきだと思います。  仮に巨大倉庫がPE認定されたとしましても、次にタックスアドバイザーは何をするかといったら、じゃ、巨大倉庫をクロネコヤマトとかどこかの宅配業者にお願いして配送までしてしまえば、それも一社ではなくて数社使った場合にはPEではないということも考えられますから、イタチごっこですよね。ですから、通常の国内取引がいつの間にか税が空洞化していますから、そこに対してしっかりと認識しないといけないと思います。  これは日本だけの問題ではありませんで、イギリスにおきましては、個社を申し上げますが、スターバックスはイギリスで税金を払っていないんじゃないかと、税制だけではなかなかできないということで国会で議論されて、その結果、不買運動になりました。で、日本国内で税金を払うと、こういった議論もあります。  ですから、麻生財務大臣に答弁をお願いしたいんですが、やはりこういった問題をどうするかということです。ここに関しては、税制で措置をするということも必要でありますし、場合によっては財務省が前向きに、例えばマル適マークといって、同じインターネットの業者であっても、日本税金を払っているところに関しては何かマークを作って一般の消費者が分かるようにして、何とか日本国内で税金を払う業者を優遇するような、例えばマル麻生マークでもいいですよ、何か作って、そういったキャンペーンを張るということに関しては、財務大臣、いかがでしょう。
  28. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一昨年の五月に行われましたG7の蔵相・中央銀行総裁会議で、このふざけた話を取り締まらないでじっとしているのは中央銀行の責任ではない、各国の蔵相、財務大臣の責任なんじゃないのか、だから財務大臣だけ聞いてもらいたい、おかしいじゃないか、この話はといって例を挙げて、以後この話が表向きになったんですが、正式にOECDがこれを検討しますということになるまでも結構いろいろありましたけれども、これ利害がいろいろ出てくるところですが、害のある国の方が数は多い。しかし、これ現実、自分の国でもこれをやっているのがどれぐらいいるのかを捕捉はできていない等々いろんなことがありまして、これは結構スタートするまでにも一年少々掛かりましたけれども、結果としてOECDがこれをやるということを決めて、たまたま日本がこれの委員長をしておりますので、これをリードするのは日本ということになって、結果として今日まで、一応素案ができたりなんかするところまで来ておりますが、それが実際問題、施行されるまでの期間には時間が掛かりますので、その時間が掛かるまでの間の話として今みたいなことを考えるのはどうかという御意見でしょうけれども、これはなかなか各国いろいろ意見が出てくるところだと思いますが、それをやるといった場合は、これは非関税障壁だとかなんとか、また別の話になるのが私どもとしては少々恐れるところで、こっちにまた人を取られますので、そういった意味では、私どもとしては、とにかく、まずはこのBEPSの話をさっさと事を進めていきたいなというのが正直なところですけれども、今言われた点は、一つの要点としては考えておいてもおかしくはない話だと思います。
  29. 大久保勉

    ○大久保勉君 是非、引き続きこの分野に関しては日本がリーダーシップを取る、財務大臣がしっかりと責任を取って実現するということでお願いしたいと思います。  続きまして、この論文の中にはもう一つ大きい論点がありますが、これはなかなか新聞等が報道されていなくて、微妙なのかなということかもしれませんが、当局は、自国の金融機関から非居住者の口座情報の、国内法令に基づいて報告され、各非居住者の居住する国の税務当局と年一回交換し合うことをすると。いわゆる共通報告基準ということで、要するに、日本人が海外に口座を持っていたら、その国の銀行がその国の当局に報告すると、そうしたらそれが国税庁に出てくると、こういったことです。ですから、いわゆる租税回避が一網打尽になる可能性がありますし、私は非常にいい制度だと思います。  その中で、浅川局長は具体的な検討をしているということなんですが、さらに、こうした中、我が国も必要な法令の整備を行った上で、この自動的情報交換の多国間ネットワークに参加し、実際に情報交換を速やかに開始することが期待されているということです。  具体的にどういうふうな法令整備を行うかと。今、マイナンバー法の改正があって、銀行口座に付番するとか、そういった議論もありますから、そういったものと連動しているのか、していないのか、さらにはほかの法令を考えているのか、そこに対して質問したいと思います。
  30. 浅川雅嗣

    政府参考人(浅川雅嗣君) お答え申し上げます。  拙稿を読んでいただきまして、ありがとうございます。  今のお話ですが、自動的情報交換に関しましては、二十七年度税制改正におきまして、OECDのいわゆる共通報告基準に基づきまして法令が整備させていただいたというところでございます。  このOECD共通報告基準は、今委員おっしゃいましたように、日本にとっての非居住者の口座情報について、日本の国税庁に対して日本金融機関から報告を求めるというのが日本の国内法令ですから、日本の法令の整備によって日本のマイナンバー、これは日本の納税者に付番されるものですから、それが活用されることは基本的には想定されていないということなんですが、その逆の場合ですね。今おっしゃいました海外の国税当局から日本の居住者の海外における口座情報が年に一回国税庁に自動的に提供される。このときには、当該国にとって非居住者であります日本の居住者のマイナンバーが当該国の金融機関を通じて我が国の当局に報告されることになるというふうに承知しております。
  31. 大久保勉

    ○大久保勉君 マイナンバーでもって報告されることになるということですから、これは非常に実務的には相当効率が上がってくると思いますし、そういった側面もあるということが理解できました。  続きまして、時間もありませんので次に参りますが、資料の二を御覧ください。  話は変わりますが、最近、国内の新規公開市場の方で起こっていることに関して質問したいと思います。  実はこれは、東証並びに日本取引所自主規制法人が日証協に対して書簡を出しています。極めて異例なものなんですが、内容的には、中ほどに、大変残念なことに、最近、新規公開会社の経営者による不適切な取引など、新規公開に対する株主、投資家の信頼を損ないかねない事例が散見されていますと。これに対する対策です。  具体的にどういうことが起こっているかといったら、資料の三を御覧ください。こちらは、新規上場案件で上場半年以内に業績を下方修正したところの具体的なリストです。  まず、東証並びに取引所自主規制法人の書簡に関して質問したいです。  実は、ここに佐藤理事長をお呼びしようと思いましたら、急遽ということで今回は来れないということで、池田局長の方が代わりに説明をしていただけるということで、次回、佐藤理事長、元金融庁長官ですからもう答弁も慣れていらっしゃいますから、是非この委員会に来て趣旨を説明していただきたいと思いますが、委員長の方にお願いしたいと思います。
  32. 古川俊治

    委員長古川俊治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  33. 大久保勉

    ○大久保勉君 それでは、池田局長の方、こちらの書簡の趣旨に関して説明をお願いします。
  34. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘がありましたように、最近の新規公開につきましては、いっときの低迷状態を脱してその件数が増加するなど回復傾向にある一方で、株主、投資家の信頼を損ないかねない事例が散見されているという指摘もあるところであります。そのような状況を踏まえまして、日本取引所グループでは、御指摘の文書を発出するとともに、それを公表しているところでございます。  この中では、日本取引所グループは、新規公開の品質の向上を図り、株主、投資者の信頼を確保し、もって証券市場の機能の健全な発揮を促していくという観点から、まず、取引所において経営者の不適正な取引等について上場審査を強化するとともに、上場申請会社の経営者等に対して啓発セミナーを実施することなどを掲げております。  また、上場直後に業績予想の大幅な修正が行われるケースが生じているということへの対応としまして、上場時に公表される業績予想について、その前提条件や根拠についての適切な開示を要請する、また、仮に業績予想の修正開示が行われた場合については、それらに関する特に丁寧な説明を要求すると。  あわせて、御指摘のありましたように、日本取引所グループは、日本証券業協会及び日本公認会計士協会を通じて、引受証券会社や監査法人に対しまして取引所の対応を周知し協力を要請するとともに、それぞれの協会に対して新規公開の品質確保に向けた適切な対応を要請すると、そうした内容の御指摘の文書を公表したということでございます。
  35. 大久保勉

    ○大久保勉君 はっきり申し上げまして、よく分かりません。やはり当事者の方にもう少し詳しい説明を願いたいと思います。  資料の三に関して、金融庁からいただいた資料です。こちらに関して金融庁の方で説明をし、実は、一番下の二十番とか若しくは十五番とか、東証一部に上場して、そして半年以内に下方修正で、上場価格に比べて大きく下がっています。ですから、投資家は何を信じて投資をしたらいいかということで、私は疑問に思います。  まず、この資料説明金融庁に求め、そして、証券等監視委員会の大森事務局長出席されておりますので、証券等取引委員会はこういったことに関して全く関心がないのか、もう少し私はしっかりとするべきだと考えます。特に、経営者自身は業績の下方修正をするということを知っています。その前に株を売って、その後発表して、そういったこともあり得るんじゃないかと思いますから、この点に関して答弁を願いたいと思います。
  36. 池田唯一

    政府参考人(池田唯一君) 御指摘のリストにつきましては、大久保議員からの資料要求を受けまして、東京証券取引所の方で抽出、作成をしたリストでございます。  こちらでは、最近三年間の新規上場案件で上場後半年以内に業績予想を下方修正した銘柄、二十銘柄について、その詳細について整理をされているものでございます。ここでは、該当の会社名、それから上場している市場、それから主幹事証券会社名、それから業績予想の修正日、それから時価総額につきまして、新規上場時の時価総額と業績予想修正後の四半期末における時価総額、両者の比率等を整理させていただいたものでございます。
  37. 大森泰人

    政府参考人(大森泰人君) 新規公開の引受審査におきまして金商法違反が疑われる場合には、当然、検査においてしっかり検証してまいりたいと存じます。
  38. 大久保勉

    ○大久保勉君 時間が参りますので、この続きは次回若しくは次々回の委員会で質問したいと思います。  これで終わります。
  39. 風間直樹

    ○風間直樹君 よろしくお願いします。  今日は、最初に日銀の岩田総裁日本金融政策についてお尋ねをいたします。その後、会計検査院の天下り問題について質疑をいたします。  まず、日銀ですが、日米の金融政策、現在取っている金融政策の違いについて質疑をしたいと思います。  我々、日常、新聞を読んだりニュースを聞いていますと、日本アメリカも、そしてヨーロッパも量的緩和という似たような金融政策を同様に取っていると、こういう報道を目の当たりにするわけですが、一口に量的緩和と報道では言っていますけれども、その実態は実は非常に大きく違うんじゃないかというのが今日の質疑の眼目であります。その点を岩田さんにお尋ねをしながら確認をしていきたいと思います。  さきの前川委員質疑の際に拝見しておりまして、非常に岩田さんの答弁が長いと。大学の講義はそれでも結構なんですが、国会の質疑はそれぞれの委員の持ち時間がございますので、できれば一問当たりの御答弁を二分以内をめどにまとめていただければ有り難いと思います。  今日の質疑を第一弾として、今後もこの質疑を続けてやりたいと思います。  まず最初の質問ですが、日銀の現在の金融政策、この目的は何でしょうか。また、そのために取っている手段は何でしょうか。
  40. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 日本銀行の目的は、日本銀行法の二条に書いてありますが、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するということを理念として金融政策を運営しております。現在は、物価の安定の目標を、消費者物価の前年比上昇率二%ということになっております。そのための政策として量的・質的金融緩和と言っているので、要するに、量と質と両面で金融政策を行っているという点が特色であります。  量としましては、もう政策金利はほぼゼロになっておりますので、量としてはマネタリーベースを大幅に増やすということであります。そのための主たる手段が長期国債を大量に買っていくということであります。  もう一つは質の面で、今までの例えば二〇〇〇年代の量的緩和と違う点は質の面であります。これは、買い入れる国債の平均残存期間を延長して、現在は七年から十年ぐらいになっておりますが、それからETF、J―REIT、これは前の白川総裁の時代にも買いましたが、それをもう少し増加したということであります。  この量、マネタリーベースという量と、そのマネタリーベースを増やす手段として買う資産が長期国債であったりリスク性のある資産であったりという質の両面でやることによって、例えば国債の金利のタームプレミアムといって、長めのものはリスクプレミアムが大きいので、それを引き下げると、日銀が買うことによって。それによって短期から長期にかけての名目金利を全て押し下げるという、これはイールドカーブのフラット化といいますが、それと同時に、デフレマインドを転換して人々を緩やかなインフレマインドに変えていくと。それによって、実質金利を下げていくということによって設備投資などの民間需要を喚起するという手段を取っております。
  41. 風間直樹

    ○風間直樹君 今の御答弁を私なりに理解をすると、目的は、簡単に言えば期待インフレ率の押し上げによる物価の上昇と。手段としては、おっしゃったように、長期国債と日銀当座預金残高の増加によるマネタリーベースの飛躍的な拡大と言っていいんでしょうか、ということだと思います。  同様に、アメリカの連邦準備制度、FEDの金融政策、現下の目的は何であり、またそのための手段は何だというふうに岩田さんは御認識をされていますでしょうか。
  42. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) FRBの目的は、連邦準備法で、雇用の最大化、物価の安定、適正な長期金利という目標であると考えております。  それを実現するために、FRBは、政策金利の調整及び、ほぼやはり政策金利がゼロになりましたので、各種長期の、特に長期の国債やMBSといった長期のやっぱり資産をバックにした債券、それを買っているということであります。
  43. 風間直樹

    ○風間直樹君 先ほどの日銀の目的と手段の御説明に比べるとちょっと声が小さくなられたようでありますけれども、実は、日銀の今の金融政策の実態とFEDの実態、その中身についてのマスコミの報道、それから岩田さんを始めとする学界の皆さんの理解と解釈、これが随分その実像とずれがあるんじゃないかというのが私の認識であります。  どういうことかというと、日銀は今、超過準備、日銀当座預金の残高の増加というものを日銀の目標に掲げて、それを黒田総裁が会見の中で天下に公にされて、そして金融政策を進めている。一方で、FEDはそうはしていません。FEDが言っていることは、あくまでも長期金利水準を押し下げることによって景気を下支えすることが彼らの目的だというふうに言っているわけであります。したがって、日銀との大きな違いは、この超過準備、当座預金残高の増加を目標に掲げているか否かという点、これが大きいと私は理解をしています。  この点についての岩田さんの御理解をちょっと確認をさせていただきたいんですが、お手元の配付資料の一枚目を御覧ください。  これは、二〇一二年の経済研究所年報という冊子に岩田さんが書かれた論文であります。その中で特に私の目を引いた部分に傍線を引っ張りました。ここにありますように、岩田さんはこう書いておられます。リーマン・ショック後、FRBはデフレでないにもかかわらず、デフレを絶対に阻止するために、マネタリーベースなどの流動性を大量に供給した。一方、そのFRBの金融政策を見ている日銀、これは二〇一〇年頃から一二年頃の日銀のことを指していらっしゃるわけですが、デフレが続いているにもかかわらず、マネタリーベースなどの流動性の供給量をほとんど増やそうとしなかった。この日銀の行動は、FRBなどの世界標準の金融政策の理論と大きく懸け離れた日銀理論の存在を知らなければ理解できない行動である、こうはっきり書いていらっしゃる。  ただ、これ、二〇〇〇年以降の日銀の取ってきた金融政策と二〇〇八年リーマン・ショック以降のFEDが取ってきた彼らの金融政策の実情を見ていると、本当にそうなのかなという疑問を感じるわけです。例えば、バーナンキ議長以下、二〇〇八年当時のFRBの幹部はこう言っています。〇一年から〇六年の日銀による量的緩和アプローチには効果がないと言明している、後ほど詳しく申し上げますが。岩田さんの認識と全く違うんですね。  ですから、私は素朴な疑問を抱きました。もしかしたら、世界標準の金融政策理論と大きく懸け離れていると御自身がおっしゃっているそれは、実は岩田さん御自身の認識じゃないのかと。これからそのことを簡潔に述べたいと思います。  二〇〇〇年以降の日米の金融政策、簡単に振り返ってみたいんですが、まず、二〇〇一年から二〇〇六年まで日銀の政策は、もうこれは言うまでもなく、量的緩和、事実上のゼロ金利の下で日銀の当座預金残高の拡大を図ったと。現在の比ではありませんが、それでも当時にしては思い切った拡大を図った。でも、マネタリーサプライは伸びなかった、物価も上がらなかった。それを見ていたFED、リーマン・ショックの後、二〇〇八年からどういう金融政策を取ったのか。  私の手元に当時の、二〇〇八年十二月のFOMCの議事録があるんですが、そこからベン・バーナンキの発言、FOMCでの発言を引用したいと思います。  日本のアプローチ、量的緩和アプローチは、つまり〇一年から〇六年に取った日銀のアプローチは、中央銀行のバランスシートの負債側、特に準備預金やマネタリーベースの量に焦点を当てたものだ。その理論は、銀行に安いコストの資金を大量に配ることで、彼らが貸出しを増やし、それが広範囲にマネーサプライを増加させ、物価を押し上げ、資産価格を刺激し、経済を刺激するというものであると。バーナンキが言うとおりであります。続けて彼はこう言っています。量的緩和政策に関する私の評決は極めてネガティブだ。私には大きな効果が見えなかった。それゆえ我々は、FEDですね、量的緩和策とは異なる政策を議論したいと。  つまり、岩田さんが先ほどのこの配付資料で書いていらっしゃるのとは全く異なって、日銀の例を踏まえて、我々アメリカ金融政策当局は、ゼロ金利制約の下ではマネタリーベースを幾ら増やしてもマネーサプライは伸びないんだと、物価は上がらないと判断したんだと、こう言っている。この判断によって彼らがアメリカ金融当局として目標に掲げたのは、物価の上昇ではなくて長期金利の水準の押し下げによる景気の下支え。つまり、配付資料の傍線引っ張りましたこの①、岩田さんはデフレを絶対に阻止するためにと書いていらっしゃいますが、それでは十分ではない、長期金利水準の押し下げによる景気の下支えをするために、その手段として国債と住宅ローン担保証券の買入れを選択したと。同時に、ここが大事ですが、彼らは超過準備の増加は目標にしていないわけであります。  このバーナンキの発言の後で、ドナルド・コーン副議長、そして現在の議長でありますイエレン各氏がバーナンキ氏と同じ認識を示しています。つまり、彼らは、日銀によるマネタリーベースの量に焦点を当てる政策には残念ながら効果が見えなかった、それゆえアメリカは量的緩和策とは異なる政策を議論したいと、こうまで言っているわけですね。  この岩田さんの文章に戻るわけですけれども、このようなアメリカ側の議論考えると、その後の日銀、二〇一〇年から二〇一二年にかけての日銀がマネタリーベースなどの流動性の供給量をほとんど増やそうとしなかったと、こう岩田さんは指摘されているんですけれども、それは当然じゃないのかというふうに思うわけであります。岩田さん、この点はどんなふうにお考えでしょうか。
  44. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 今委員がおっしゃった、引用されたバーナンキの発言要旨、私、全く賛成であります。  つまり、二〇〇一年から二〇〇〇年代の六年までですか、の量的緩和というのはなぜ効かなかったかということですが、ある程度効いたという実は実証研究もあるんですけれども、デフレ脱却に十分でなかったというのはバーナンキの言うとおりでありまして、それはどういうことかといいますと、量としてのマネタリーベースというのを増やす、その手段ですね、手段が量的緩和の時代は短期の国債を買うんですね。それが中心なんです。  短期の国債はもうデフレの中ではほぼゼロになっていますので、日銀がゼロの短期国債を買って、その代金としてゼロ金利の日銀当座預金を金融機関に渡すわけですが、この行為はほとんど同じ資産の交換にすぎないために何ら経済に影響を与えないということです。そこをバーナンキは言っているわけなんです。  そこで、バーナンキは、もう既に短期国債とか短期の金利はほぼゼロになっている、しかしまだ長期金利はゼロじゃないわけですね。その場合には、長期の国債とかMBSのような、もう三十年物でありますとか、そういうものを買うことによって長期金利を引き下げる余地がまだあるんだという考え方です。ですから、我々も、バーナンキがやっているように長期国債を中心に買っているわけであります。  そこが量的緩和と今の量的・質的緩和の違いでありまして、この量的・質的緩和は、マネタリーベースもこのぐらい増やすよと言っておりますが、同じように、バーナンキがやったように、そういう長期の国債、そういった日銀当座預金とはリスク性が違う、リスクのもっと大きい、そういう資産を大量に買っているという点では、バーナンキがやったいわゆる政策と全く同じであります。我々の政策も、先ほど申しましたように、長期金利はやっぱり引下げ効果があるので引き下げるわけですね。  もう一つ、バーナンキはインフレを目標にしていないと言っていますが、二%のインフレ目標は、彼はもうインフレターゲット論者で昔から言っているので、それを目指しているわけです。  それでは、二〇〇八年のリーマン・ショック後、アメリカで何が起こったかと申しますと、実は、アメリカでも、今、ちょっと正確ではないかもしれませんが、ほぼ九か月ぐらい物価はマイナスで、いわゆる物価の下落が実は続いたんです。したがって、デフレリスクを感じていたわけです。  ですから、バーナンキがこれを始めたときに講演で、デフレは今絶対阻止するんだとやっぱり言っております。そのためにあれほど大きなやっぱり量的緩和をしているわけなんですね。量的緩和の仕方というのが長期国債だと言って、彼らはバランスシートの方の長期国債を強調する、その結果としてマネタリーベースが増えるんだという考え方です。ですから、マネタリーベースを増やす手段というのは非常にデフレ脱却に必要だということも同じであります。  それからもう一つ、バーナンキはマネタリーベースをしたり、こういうバランスシートを拡大してもインフレにならないと言っているじゃないかと言っていますが、それはどういうことかというと、実際に、二〇〇八年にはデフレの危険があったわけですね、マイナスに、実は九か月ぐらい物価上昇率は低下していますから。  その中で、やっぱり予想インフレ率、BEIなんかで見る予想インフレ率はアメリカでもやっぱり下がっているんです、今まで二%で安定していたのが。それを覆して予想インフレ率も上げ、物価を上げたのは、やはり最初の量的緩和だと思います。量的緩和というかバランスシートの拡大による量的緩和ですね。それによって、じゃ、いつまでもバランスシートをしてもどんどん物価が上がるかというと、そうじゃなくて、それは二%で予想インフレ率は安定し、物価も安定してくるということですので、日本銀行が今やっている政策はバーナンキがやっている政策とほぼ同じだとお考えください。  したがって、そのようにバーナンキは量的・質的緩和を評価しています。
  45. 風間直樹

    ○風間直樹君 こういう答弁を、これ大学の講義では通用するんでしょう、学生さんたちも従順で素直ですから。国会ではこういう答弁を詭弁と言います。  バーナンキはそんなこと言っていませんよ、議事録見ると、先生。ドナルド・コーンもそんなこと言っていませんよ。量的緩和アプローチには効果がない、だから我々は異なる政策を議論すると言っている。  先生は、それを御自身の論文の中であえて詳細に触れられず、つまり、この超過準備の点に触れられていない。このような文章を配付資料のように書かれることによって、その後、一三年の三月、副総裁に就任をされて、日銀の当座預金残高をその三月当月から飛躍的に拡大させていく、これをバーナンキ、肯定しているんですか、こんな政策を。それは先生、今おっしゃった御答弁と全く事実違いますよ。時間がないので、答弁結構です。  委員会でも繰り返し各委員から指摘が出ていますが、異次元緩和の出口ではこの超過準備への付利を引き上げるしか、そう誘導するしか手段がないだろうと。当然、日銀の利払い費はかさむわけであります。  この日銀の利払い費なんですけれども、現在の日銀が保有する国債の加重平均の利回り、これは何%でしょうか。
  46. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 平成二十六年度の上半期ですが、国債の平均利回りは〇・四七三%です。
  47. 風間直樹

    ○風間直樹君 岩田さん、その数字は確かですか、〇・四七三。──分かりました。  そうすると、当座預金の付利が〇・四七三を超えると日銀にとって逆ざやが働いていくと、こういう理解でいいかと思います。つまり、そのときから我が国のこの金融の出口というのは非常な困難を極めることになるんですけれども。  岩田さん、今日は時間がありませんので、おっしゃりたいことはあるかもしれませんが、また引き続きやらせていただきます。ただ、今日、私、強調しておきたいのは、この超過準備を飛躍的に増やしていくことの是非、これを日米の金融当局間でどのような意見の相違があるのか、大きな相違があると私は思います。その点は今日強調しておきたい。  岩田さんにもう一点お伺いしたいんですけれども、この出口の議論、よくこの場に黒田総裁がお見えになっていろんな質問が出ますと、時期尚早という言葉を使われます。私は、もう逆に出口の議論を始めていないというのは遅きに失していると思いますけれども、日銀の金融政策決定会合では、委員の皆さんによって出口の議論はされているのでしょうか。
  48. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 政策決定会合の内容というのは議事要旨でまとめられて、それ以上私が言うことはできないという建前になっておりますので、そこはお答えできません。
  49. 風間直樹

    ○風間直樹君 この議事要旨を見ますと、ほとんど言及がないんです。だから、私は今日お尋ねをしました。  日銀の幹部の中で、政策決定会合でこの出口の議論というのはまともにされていないんじゃないかということを私の疑問として今日は強調しておきたい。つまり、今、日本の論壇の中で盛んに議論をされている、現下の日銀の金融政策で本当に大丈夫なのかという懸念が肝腎の政策決定会合の場でどれだけ議論をされ、そして出口に向けた方策が検討されているのか、このことは甚だ不安であります。  続けてこの質疑をやらせていただきます。今日はこれで結構でございます。御退席いただいて構いません。
  50. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 副総裁、退席してください。結構です。
  51. 風間直樹

    ○風間直樹君 続いて、会計検査院のOBによる天下りの問題を取り上げたいと思います。この質疑は昨年の決算委員会、そして今年の四月の決算委員会に続いて三度目となります。  案外知られておりませんが、会計検査院のOBが退職後に毎年十人程度再就職をされています。検査院によりますと、これらは全て再就職者個人の努力によるもので、検査院のあっせんは一切ないとされています。配付資料の三ページ目と四ページ目が、平成十五年から平成二十六年までのこの再就職者の数であります。  前回まで私が行った質疑を踏まえて、何が起きているかということを簡潔に申しますと、まず、会計検査院のOBの再就職、私は天下りと呼んでおりますが、これに際しては、何と指定ポストと見られるケースが幾つもあります。配付資料の五ページ目でありますが、そこに書いてありますように、株式会社シー・アイ・シーに平成二十一年から二十六年までの間、二件、つまり二人ですね、それからヤマダ電機のグループ会社に五件、学校法人愛国学園に三件、それから公益財団法人日本財団に二件と。検査院は否定するんですが、これは常識的に見てOBの指定ポストだろうというふうに私は感じています。  次の、配付資料の六ページ目なんですが、これは、御覧のように、同じ方の名前が並んでいまして、その方が再就職した先の企業名が出ています。これは、複数ポストへの同一人物による天下りというケースです。この方の場合は、平成二十四年の三月末に検査院を退職して、同年の七月に天下りをしていると。世間常識で考えると、一人の方が退職に際して、自分の足でハローワークを回ってみたり、それまでの知己を頼って再就職先のポストを確保すると。頑張った結果、五社にあなた来てくれと言われたので、掛け持ちでいいかと聞いたら構わぬと、こういうことだから五社に再就職をしたというのが検査院の説明によるこの事例でありますが、そんなことが果たしてあるんだろうかという話であります。  それから、この天下りの話は去年の決算委員会で初めて質疑をしたわけですが、一年たって、今年の四月に同じく決算委員会でこの問題を取り上げましたところ、去年と違っていたのは、いわゆるキャリアの方の天下りが今年は減ったという事実でありました。配付資料の四枚目でありますけれども、この四ページ目の資料には、左側に上級甲採用職員数、まあキャリア、右側に乙と中級、初級の数字が出ていますが、この一番下、平成二十六年を御覧いただくと、キャリアの方の再就職が減ったという事実が見て取れると思います。  ところが、配付資料の七ページ目、これは政府から公表されている最新の退職者の再就職に関する報告なんですが、この検査院OBの再就職先を見ると一つの事実に気付くわけであります。それは、退職後、政府に再就職するケースが見られるということであります。これ、民間企業でもない、法人でもない、独法でもない政府に再就職をするというのはどういうことなのかなと疑問に思いました。  そこで、検査院にお尋ねをしますが、検査院OBのうち退職後五年以内に中央省庁に再就職した人の人数は、平成二十一年から平成二十六年まで何人でしょうか。
  52. 田代政司

    説明員(田代政司君) お答え申し上げます。  国家公務員の再就職状況につきましては、国家公務員法第百六条の二十四等に基づきまして、管理職職員、すなわち課長・企画官相当職以上でありますけれども、これらの者が離職後二年以内に再就職した場合等において、その再就職情報について当該職員は届出等を行うということになっております。  会計検査院におきましては、元職員の再就職状況についてはこの制度に基づきまして届出等により把握しているところでありまして、これにより把握している範囲におきましては、平成二十一年から二十六年までの間に会計検査院の元職員であって国の行政機関に再就職した者は合計八名となっているところでございます。
  53. 風間直樹

    ○風間直樹君 分かりました。合計八名ということです。  会計検査院法は、検査院の内閣からの独立を定めているわけですが、この八名に代表される中央省庁への再就職は検査院があっせんしたものでしょうか。
  54. 田代政司

    説明員(田代政司君) お答え申し上げます。  会計検査院におきましては、改正国家公務員法が平成二十年十二月三十一日に施行されたわけでありますが、それ以降、職員の営利企業等への再就職のあっせんは一切行っていないところでありまして、本人と再就職先との合意によって再就職したものと承知しているところでございます。
  55. 風間直樹

    ○風間直樹君 私が委員会の場でこういう質問をしますと、検査院があっせんしたんですかと聞くと、今のような御答弁が毎回繰り返し返ってくるわけでありますけれども、さすがに同一人物が五つも天下っていたり、あるいは複数の方が何回にも分けて行く会社あるいは法人が同じところであったりという事例を見ていると、今の御答弁はちょっと本当かなと思わざるを得ないわけであります。  この検査院OBの中央省庁への再就職に当たってですが、採用側の基準というのは何でしょうか。また、根拠法がありましたらそれも併せて教えてください。
  56. 岩田一彦

    政府参考人岩田一彦君) 委員御指摘の中央省庁へのということでございますけれども、内閣府とございます。内閣府の場合は、私、属しております内閣府の公益認定委員会事務局にこの三名、採用してございます。  公益認定委員会事務局で採用してございますのは、公益認定法が作成されまして、旧主務官庁、つまり各省庁から離れた内閣府にこの委員会を置いて公平に中立的に事務をするということでございます。  公益認定委員会事務局におきましては、厳しい定員事情の下、事務の遂行をするに当たって必要な体制を構築するために、政策参与等の設置に関する訓令、内閣府訓令でございますが、に基づきまして、非常勤の国家公務員として政策企画調査官等を採用してございます。その中には、公認会計士や税理士の資格を有する者のほかに、国家公務員の退職者も含まれてございます。  事務局におきましては、公益認定法に基づいて委員会に属された審査、監督権限に基づきまして、公益認定等の申請に対する審査や公益法人の監督に当たって、事業計画や財務諸表等の審査、確認を行ってございます。  政策企画調査官は、常勤の国家公務員、職員でございます審査監督官の指示の下でその専門的な知識を生かしていただいて、補佐、サポートあるいは前さばきのような業務をしていただいてございます。  その採用に当たりましては、これらの必要な知識、特に必要な財務、会計等の専門知識あるいはその実務能力を有している者を全て公募によりまして選考しておりまして、その基準はホームページ等で明確にしてございます募集要領で示しているところでございます。その結果として、検査院を退職された方も含まれているということでございます。
  57. 風間直樹

    ○風間直樹君 先ほども言いましたように、検査院法では検査院の内閣からの独立を定めていると。  じゃ、なぜそう定めているかということを考えてみると、検査院という立場は、これ、中央省庁を始め独立行政法人等に会計検査を行うわけでありますから、検査を行う側の刀がさびてしまっては、当然、税金の使途が公正かどうかという適正な検査ができないと。この中央省庁を始めとする関係機関と、そして会計検査院の間に、間違ってもそうした癒着が起きることによって国民の血税の使途をゆがめることがないように、このように定めているわけであります。しかし、現状では、この検査院の独立というものに、今指摘をしたように実態面で大きな疑問符が付いているということだと思います。  私は、検査院の内閣からの独立が保たれているのかどうか極めて疑問でありますが、麻生大臣、今の質疑をお聞きいただきましたけれども、この点どんなふうにお感じでございましょうか。
  58. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、会計検査院というのは、会計検査院法に基づきまして内閣府から独立したいわゆる地位にあります機関ですから、これは厳正かつ公正にやる、当たり前の話だと思っておりますので、再就職につきましても極めて適切に行われているんだと、私はそう思っておりますし、国家公務員法のこれは多分再就職のあっせん禁止というのに多分のっとって行われているんだと思っておりますので。  会計検査院の職員の能力というのは、在職中に培われたものが必要とされているからということになっているんだと、私はそう思っておりますので、税務署に勤めていた人が独立して税理士になって会社に雇われているのがみんな怪しいかという話になっちゃうと、これは話が非常に込み入ったことになりますので、私は、そういったような話と同じような話で、勤めた先には今度勤めた先の倫理、きちんとしてやっていただけるものだというのはこれは当然のことだと思いますので、厳正な検査というのは当然のこととして、会計検査院は先輩がいようといまいときちんとやるということになる、むしろいる方が厳しくやられる可能性が高いかなと、私はそんな感じがしますけれども。
  59. 風間直樹

    ○風間直樹君 私も、去年この質疑を始めるときには大臣と同じ考えを持っていて、実は、非常に淡々と決算委員会ではこの質疑をやりました。  ところが、調べているうちに、今日この場で配付資料でお知らせした事実に気付いたわけでありまして、同一人物が五つも同時に再就職をしている、あるいは同じ会社に複数の人物が再就職をすると。果たしてこれ、厳正中立に行われていると言えるのかなというのが私が現在抱いている疑問であります。  今日は三回目でありましたけれども、この質疑は毎年淡々と、繰り返し検査院に対して行っていきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  60. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 維新の党の藤巻です。  今年度は所得税の最高税率が上がりまして、所得税と住民税合わせたのが五五%になりましたけれども、昨年度までは所得税と住民税合わせて最高税率五〇%だったと思います。それは、千八百万円以上で五〇%に達したと思うんですけれども、ちょっと他国と比べたいので、アメリカでは千八百万円の年収の人は所得税地方個人所得税合わせて何%になるのか、為替は百二十円でお答えいただきたいのが一つと、もう一つアメリカ、特にニューヨークの例でいえば、所得税地方個人所得税、合算したものの最高税率は幾らか、そしてそれは幾らからその最高税率が適用されるか、お教えください。
  61. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。  アメリカのケースでございます。課税所得一千八百万円、ドル建てで十五万ドルというふうにさせていただきますと、それに適用されます限界税率は、単身者につきまして、連邦所得税で二八%、ニューヨークの州の所得税で六・六五%、それからニューヨークの市の所得税で三・六五というパーセントでございまして、合わせまして三八・三ということでございます。  もう一つのお尋ねでございます。アメリカのニューヨーク州の場合の最高税率のお尋ねでございます。最高税率が適用されますブラケットにつきまして申し上げますと、連邦所得税につきましては、課税所得が四十一万三千二百ドル、約四千九百五十八万円超の部分につきましては三九・六%、ニューヨークの州の所得税につきましては、課税所得百四万六千三百五十ドル、日本円で約一億二千五百五十六万円になりますが、それを超える部分に対しまして八・八二%、ニューヨークの市の所得税につきましては、課税所得五十万ドル、約六千万円超の部分に対しまして約三・八八%となっておりますので、合わせますと、課税所得百四万六千三百五十ドル、約一億二千五百五十六万円超の部分につきまして約五二・三%の最高税率が適用されると、こういう数字になってございます。
  62. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 最初の数字というのは単身者という数字だったので、きっと既婚者はもうちょっと低いのかなと私は思うんですが、意外と私が思っていたよりは高く取られているなと思ったんですが。  これをお聞きした理由というのは、私、米国の銀行におりましたから、見ていると非常に羨ましいんですよね。何が羨ましいかというと、みんな一生懸命働いてたくさん稼いで早くリタイアしてしまう。リタイアして自分の好きな人生を送る。慈善事業をやったり、それから農業に行ってワインを作る人もいますし、農業をやったり、それから若しくは趣味に生きる人もいるということで、かなり一生懸命働いて早くリタイアするのが彼らの理想に思えました。  それがゆえに、私の同僚が、我々のプレジデンツ、複数形ですけれども、は四十六歳だと言ったこともよく覚えているんですが、これは、クリントンが大統領に立ったときが四十六歳、そしてうちの社長、これ、会長が一番偉いのでナンバーツーですけど、それも四十六歳ということで、四十六歳が指導層に上がってくるわけですね、年取った人はみんなリタイアしてしまいますので。これ、なぜそういうのができるかというと、基本的には累進税率が、累進の仕方が非常に緩やかで、短く稼いで、うわっと稼げてリタイアできるわけです。  ところが、日本の場合には、やっぱり累進課税がきつくて、これはもう人生細く長く生きないと、働かないと生活代が十分稼げないということではないかなというふうに私は思っているんですけれども、ということは、累進課税が、余りにも累進がきついと人生の選択肢は一つになってしまう、太く短く生きるという人生ができなくなってしまうんではないかと思うんですが、それを財務大臣どういうふうに思うか、お聞きしたいと思います。  特に、今週の決算委員会で甘利大臣が配偶者控除についてどなたかに聞かれたときにお答えになったのが、やっぱり国がどういう生き方を選択させるのは間違いだと、なるべくいろんな人生をやらなくてはいけない、そのときにやっぱり税制はそういうことも考えなくちゃいけないというふうに御回答されたんですけれども、そういう面でいうと、細く長く生きるだけの税制というのは私はまずいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。財務大臣、お答えください。
  63. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、藤巻先生、人間の考え方ですから。例えば相撲取り見てください。あれぐらい太く短くやっている人たちもそういません。何か全部、サラリーマンしか見ておられぬのじゃないかなと思って、今の話聞いていて私はそう思いましたけど。あれだけ糖尿が言われている中に、あれだけ日本飯をばんばん食って、ほぼ糖尿は間違いない、平均寿命は五十幾つとかいうんでしょう、何か、僕は正確な数字は知りませんけど。そういう数字で太く短く生きておられる方も世の中には現存しておられますから。  そういった意味では、今の話は、何か太く短く生きられる選択がないかのごとく聞こえますけど、そういう選択をしておられる日本人の方もいらっしゃるというのは事実だと思っております。  それから、税金の話で累進の話が出ましたけど、累進の話が高いのはもう間違いないと、私もそれはそう思いますが。ただ、考え方であって、日本の場合は若くして辞められないじゃないかという話ですけれども、仕事に対する考え方の根本が違うんだと思いますね。アメリカにおられたんだから旧約聖書を読まれたと思いますけれども、旧約聖書の中で見た場合、働くということは罰ですから。神がアダムに対し労働は罰として与えていますからね。したがって、考え方の根本が違うんですよ。だから、仕事を辞めたときには出所祝いと同じでみんな盛大に祝うわけですよ。違いますかね。  それに比べて、日本はどんな出世した人でも会社を辞めていくときはとぼとぼと会社を去るんじゃないですか。僕はおやじを見ていてつくづくそう思いましたよ。この人、いいかげんに辞めたらどうかねと思いながらも、仕事はこっちに渡しておきながらも別の仕事をちゃんと、何かしなくちゃいかぬという恐怖観念でもあるのかいなと思うぐらいずっと働くことをしましたから、考え方が違うんだと、私はそう思いますので。私は、これ税率だけにそれを求めるのはいかがなものかと。  ただ、私は、税率が偏った形で累進税率が高いということに関しては、昔は八十何%でしたから、累進課税が八八とか八九とか行っていましたし、一時は九〇ぐらい昭和二十年代ぐらいはあったと思いますので、それに比べれば今は随分安くなったとは思いますけど、それでもまだ高いことは確かだと、私もそう思います。
  64. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 まあ結論のところで同じなので、麻生節の議論は必要はありませんけれども。  次に、この前の財政金融委員会のときにもリスクマネーの導入ということが結構話題になって、政投銀のときにリスクマネーの導入ということも話題になっていましたけれども、リスクマネーというのは、所詮はやっぱり直接金融で賄うものであって、間接金融、銀行の場合には元本保証ですから、それでリスクを取れというのは無理なので、やっぱり直接金融で、損したらしようがない、だけどもうかったら一緒に大もうけさせてねというお金じゃなくちゃいけないと思うんですね。  そういう意味でもいうと、やっぱりベンチャー企業経営者というのは極めて重要だと思うんですが、というのは、銀行というのはやっぱり既存の大企業にしか基本的には融資しませんから、それだけだったらば、昔に栄え日本を支えていた石炭産業とかアパレル産業のみで、産業の新陳代謝が起きないわけです。ということで、ベンチャーみたいな方に頑張っていただいて次世代の新しい日本の産業を育てていただかないと日本の就職というか雇用は保てないということで、ベンチャー企業経営者というのは極めて重要な人的資源だと思うんですが。  そこで、ちょっとお聞きしたいんですけれども、今回、また相続税がちょっと最高税率が上がりまして、相続財産が六億円を超えると最高税率五五%が適用されるわけですね。一億円を超えると四〇%が適用されるわけですけれども。  今年から、四千万円以上になると所得税プラス住民税が五五%になると思うんですけれども、将来の日本企業をつくってくれる優秀なる人的資源であるベンチャー企業のオーナーが年収四千万円を超えましたと。数年するときっと相続財産は一億円超すと思うんですけれども、その人たち、そこに達しちゃったら働く意欲があるのか、若しくは六億円まで達しちゃったら働く意欲があるのかと。  なぜかというと、四千万円を超すと、まず所得税で五五%取られちゃうわけです。死ぬと、今度は相続税で五五%取られちゃうわけですね、六億円以上ためていると。ということは、百万円ためたって、四五%しか所得税を払ったら残らなくて、それから四五%しか相続税払うと残らないというと、二十万円しかないんですよ、残りが。百万円稼いで二十万円しか残らなかったら、六億円ためたベンチャー企業の人、もう働く意欲きっとないですよ。それから、一億円ためたら残りが三十三万円ですよ。  ということで、両方とも累進が厳しいと。片方だけフラットならいいですよ、フラット税制で、例えば相続税はフラットで所得税はそれなりに累進だったらいいかもしれないですけれども、それが両方とも物すごい累進になると、まず、百万円働いてそれが二十万円になったら普通は働かないです。それから、ベンチャーは、例えば逆に百万円損すると百万円損しちゃいますから、もうかって二十万円、損して百万円だったら、もうそこで辞めちゃいますよね。この優秀なる人材がそこで仕事を辞めるというのはかなり日本の将来にとってもダメージじゃないかと。  特に、そういうことで、アメリカなんかは日本よりも、所得税は、先ほどお聞きしましたけれども、低い累進かもしれないです。かつ、相続税は十二億円まで無税なわけです。ということで、向こうのベンチャーの経営者というのは幾らでも働こうという気があるかもしれない。日本企業は、ちょっともうかったらもう辞めたくなる、モチベーションが働かない。というような仕組みで、日本の活力を極めて、ちょっと合成の誤謬なのかもしれませんけれども、そういうような仕組み日本の国力を極めて弱める仕組みじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。  特に、今、各国で相続税をなくしている、若しくは多くの国がどんどん軽減化に走っているというのは、私はそこだと思うんですね。二重課税を防止するというところだと思うんですが、日本だけが重税化しているということについて、ちょっとその辺についてのコメントをお聞きしたいと思います。財務大臣、お願いします。
  65. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 時代とともに随分変わっていると思いますけどね、それと人の性格にもよるんだと思いますけれども。  松下幸之助、関係あると思いますけれども、この方は、全くの初代からのし上げて、相続税、またあの頃払っておられた税金は、九〇%これは取られました、あの方は。それでも働き続けましたから、この人は。じゃ、あの人は何か異常者ですか。藤巻さんの論理からいくとそういうことになるんだけど、あの時代はみんな働いていますよ、同じような条件で。ソニーの盛田さんやら何やら、みんな同じような話をしておられましたが、それでも働いていた。今の人はそれの半分以下の税金でも働く気がないというのは、時代ですか、それとも人間性ですか、そこのところは教育のおかげですか。これは極めて根源的な話をしておられるのでありますので、ちょっとお答えの仕方がなかなか難しいというのが一点です。  二つ目は、死んだら税金取るという、今までずっと税金は納めてきたんですよ。納めた税金で残った金に、死んだらまた税金取るという、そっちの方がよほどおかしくはないですかと。どうしてそちらの方の論点に行かないんですかね。僕はそちらの方が不思議に思いますよ、話を時々伺いますけれども。僕はそちらの方がより常識的な話だと思いますが。何となく、死んだだけで税金取るという話ですから、私は、ちょっとそちらの方にもかなり累進が掛かっていると。それで格差が、何というか、固定されるとかなんとかかんとかいう話を、どこかのフランス人の書いた若い本をえらい有り難そうに千五百円も出して買っている人がいっぱいおられて、二十一世紀の共産主義かと言いたくなるような本でしたと、私はぺらぺらとしか見ませんでしたけれども、そう思いながらあの本を読んだ、読んだというか見た記憶しかないんですけれども。  そういったところだけをやたら取り上げてわんわん言われるという風潮が出てくると、役所側としては、何となくこれは対応せないかぬというような意見の人もまたなきにしもあらずですから、私どもとしては、そういったようなことは、基本的に労働意欲をそぐというようなことにはなるべくならないような税制というのは長期的に、また大局的に考えてしかるべきものだと思っております。
  66. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 大臣のおっしゃった後半部分は私は全くアグリーでございまして、質問の趣旨もそれと同じで、相続税はなくてもいいんじゃないかという方の議論なんですけれども。実際、ピケティに関しても、私は雑誌に「ピケティにもの申す」という雑文を書きましたくらいで。  一番いけないのはやっぱり二重課税だと思うんですよね。死んだらなぜ取るかというのも、それもやっぱり二重課税だからいけないということであって、二重課税じゃないのならばまあそれは取ってもいいのかなと私は思います。でも、二重課税だからこそやっぱり相続税はおかしいんじゃないかなというふうに考えています。  それから法人税の下げも、確かに他国との競争という非常に大きい問題もありますし、もう一つは、やっぱりあれも二重課税なんですね。あれは、やっぱり人間から最終的には所得税でもらうし、そこで法人税所得税を両方払うのはおかしいんじゃないかということで、やはり二重課税というのは日本税制考え意味ではやっぱりきちんと考え直さなくちゃいけないんじゃないかなと私は思っています。だから、繰り返しますけれども、後半部分の大臣のおっしゃっていることは、極めて私は同意いたします。  次に、次回で続きをちょっとお聞きしますけれども、最初にお聞きしておきたいんですけれども、税金のブラケット五%と一〇%に入る納税者数は全納税者数の何%か。それからもう一つ、高い方の税金のブラケット三三%と四〇%に入る納税者は全納税者の何%か。そして、まとめて最初にお聞きしますけれども、三三%のブラケットと四〇%のブラケットの税率を一%上げると一%当たりどのくらいの増収があるのか、国として。若しくはもう一つ、逆に言うと、五%のブラケットと一〇%のブラケットの税率を一%上げると所得税増収が一%当たりどのくらいあるのかということをお聞きしたいと思います。  先ほど西田委員の方から質問がありまして、まさに税収を上げなくちゃいけないというのは私は全く同感なんですけれども、消費税を上げるか若しくは所得税を上げるかというときに、所得税を上げるとどこを上げなくちゃいけないかということ、最高税率を上げればいいのか、高所得者から取れば税収が十分賄えるのか、それともやはりかなり低いところ、今までほとんど払っていなかった、世界的に見て、払っていなかったところの人たちから取らないと所得税収は上がらないのか、その辺の観点から今の質問をさせていただきましたので、佐藤局長、お願いいたします。
  67. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) 数字、申し上げたいと思います。  所得税につきまして、限界税率五%、一〇%、三三%、四〇%に当たる納税者のパーセントと、こういうお尋ねでございました。  総合課税の適用を受けますのが四千九百万人程度ということでございます。それをベースにいたしまして、まず、限界税率五%となる納税者は二千九百万人程度で全体の約六〇%程度、限界税率一〇%となりますのは一千百万人程度で全体の二〇%でございますので、この一〇%以下ということになりますと、四千万人で全体の八〇%というふうになります。他方、高いところでございますが、限界税率三三%というところにつきましては五十万人程度で全体の一%、それから限界税率四〇%、今回四五になりましたので、そこまで含めて申し上げますと、四〇%超のところは三十万人程度で全体の〇・六%程度という形で納税者数の割合を報告申し上げます。  続きまして、税率を一%ずつ引き上げた場合の増収額というお尋ねでございます。  まず、五%の限界税率、一〇%、三三%、四〇%、それぞれの税率をそれぞれ一%上げた場合の増収額というお尋ねかと思います。機械的に計算をいたしましたところ、現行の五%の税率を一%引き上げますと増収額は六千七百億円、一〇%の税率を一%引き上げますと一千七百億円の増収、それから三三%の税率におきまして一%引き上げるということであれば五百億円程度、四〇%の税率を一%引き上げた場合、四五%の税率も合わせて一%といたしますと約四百億円程度という数字でございます。
  68. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 分かりました。  これ以降は次回にしたいと思いますけれども、西田議員のおっしゃったように、課税最低限を引き下げるということは極めて重要かな、所得税を上げたい場合には、というふうに思います。  以上です。
  69. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 古川俊治

    委員長古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査のうち、税制等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 西田実仁

    西田実仁君 引き続きよろしくお願いいたします。  私の方からは、中小企業にとって使い勝手のよい研究開発税制ということの問題意識から質問をさせていただきたいと思います。  平成二十七年度の税制改正におきましては、企業の技術研究費に税優遇を認めるいわゆる研究開発税制がこれは拡充をされております。実際に私も携わらせていただきましたけれども、総額型でありますとかオープンイノベーション型でありますとか、様々拡充をされております。  しかしながら、つい先日ですか、二月に公表されましたけれども、中小企業庁が委託調査をいたしました平成二十六年度中小企業技術基盤強化税制及び中小企業等の試験研究費に係る特例措置という調査がありましたけれども、この調査の中身を見ますと、それをまとめたものが今日お配りを皆様にさせていただいている研究開発税制の利用状況という表になるわけでありますが。  これを見ますと、この調査によりますと、我々、与党の時代も野党の時代も、二十三年度からでありますから共に表にしておるわけでありますが、どの政権であったとしてもということなんですが、このアンケート調査によると、研究開発税制を拡充をしているんだけれども、それによる影響はないと答えた企業は中小企業の八割に上っているということです。また、研究開発費を計上しているが制度は利用しない、研究開発をやっていないんじゃなくて、やっているんだけれども研究開発税制は利用しないという中小企業が七割に上っているという調査結果でございました。  そもそも、研究開発税制は昭和四十二年度に創設をされております。目的は技術革新。これまで幾度にもわたってというか、もうほとんど毎年のように様々拡充をされてきたわけでありますけれども、今お配りをした平成二十三年度から二十七年度だけを取ってみても、その実績、また見込みも入っておりますが、中小企業にとってこの研究開発税制、我々は良かれと思って様々拡充をしてきたわけでありますけれども、なかなか利用されていないと。それはなぜなのかという観点から今日は質問をさせていただきたいというふうに思います。  この表を見ていただきますと、もう一目瞭然です。研究開発税制を利用した中小企業は三割にもうずっと満たないと。拡充はしてきておりますけれども満たない。一方、利用していないという企業は、常にこの六年間見ても六割を超えているという状況であります。  そして、利用していないのはなぜかという理由も併せて調査を中小企業庁行っておりますが、最大の理由は税法上の試験研究費がないというのが五割前後あるわけですね。そして、当然、税額控除でありますので、法人税を納めていないとメリットがないわけでありますから、使えないという意味でいいますと、当年度の利益がなかった、あるいは繰越欠損金があった。これ、調査では別々の項目になっているんですけれども、足し合わせたものでありまして、つまり、利益がないということが利用していない理由になっているんですけれども、最大の理由は税法上の試験研究費が存在していないということであるという結果であります。  この数字、単年度だけではなくて並べたのは、ほとんど変わっていないというところを強調したかったからなんです。いろいろ拡充をしておりますけれども、利用している人もしていない人の割合もほとんど変わらず、また、その利用しない理由もほとんどそのパーセンテージが変わらないという意味でここに引用させていただいているわけでございますが。  こうした研究開発税制というのは毎年テーマになり、税制改正の検討項目として議論をしてきているわけでありますが、にもかかわらず、中小企業にとってなかなか使い勝手の良い研究開発税制になっていない、こういう結果が出ているわけですが、この受け止めを大臣にお聞きしたいと思います。
  72. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 西田先生の使われているのは、これは中小企業におきます試験研究税制の利用実態等に関するアンケート調査、多分これの数字を引用しておられるんだと存じますが、この中で、やっぱり調査の対象企業そのものに研究開発自体を行っていない企業がある、まずそれがあります。また、赤字であったり繰越欠損金を抱えているので、法人税というものは払っていないので研究開発減税の対象にならないという企業もこれは含まれているんだと思っておりますので、そういたしますと、この調査結果だけをもって研究開発税制というのが中小企業に使い勝手が悪いということは一概には言い切れないのではないかということだと思っております。  他方、財務省が行っております租税特別措置法の適用実態調査によりますと、研究開発税制につきましては、中小企業の利用が約八千件を超えておりまして、大企業の利用者数を大きく上回っており、中小企業の方々にも御利用をいただいているんだと思っております。  ちなみに、大法人、資本金一億円以上のものが平成二十五年度で、全部で一万二千件のうち大法人が四千二百三十二件で三三%、中小法人、一億円の資本金以下で八千四百七十一件で六六%という数字が上がっておりますので、こういった数字ではありますけど、いずれにしても、知らなかったとかいろいろ御意見もあろうかと思いますので、こういった研究開発税制においては税額控除率の上乗せを今でも行っておりますけれども、その他の税制におきましても中小企業には様々な優遇税制をやっていて、法人税の軽減なども、御存じのように、大企業のあれが八から一〇でありますけど、中小企業はたしか一二ぐらいになっていると思いますので、いろんな形で税制を優遇したりしておりますけれども、いろいろ新しいものが出てくるというのは、今申し上げた、こういった八千件を超えておりますというものの中から出てくるというのは極めて大きいので、私どもとしては、こういったものに目をきちんと向けていきたいと、そういうように考えております。
  73. 西田実仁

    西田実仁君 今、大臣に受け止めをお述べいただきました。一つは、八千件という租特の適用実態調査数字を挙げられましたけれども、中小法人というのは二百五十万社あるわけで、そのうちの八千件ということですので、六七%ですか、適用調査では利用しているということですけれども、全体の母集団がそもそも大法人は二万社、中小法人は二百五十万社と、その比率からしてどれだけ使われているかという観点から私は述べさせていただきました。  実際に、これは財務省にお聞きしたいんですけれども、この調査によれば、中小企業の半数以上は研究開発費を計上しているんですね。しているんですけれども、ここに表にしたように、六割以上の中小企業は研究開発税制を利用していないんですよ。その最大の理由は、繰り返しですが、税法上の試験研究費が存在していない、研究開発はやっているんだけれども税法で言うところの試験研究費が存在していないから、このようにその理由を中小企業は述べているわけです。  そこで、会計上の研究開発費と税法上の試験研究費、どこがどう違うのか、具体的にお述べいただきたいと思います。
  74. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。  会計上の研究開発費は、会計基準がございまして、そこに規定がされてございます。正しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探求という話と、新しい製品、サービス、生産方法についての計画若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として研究の成果等を具体化することという、そういうものに係る費用というふうに定義されているところでございます。  一方、税制におきましては、基本的に、これは会計上の費用でございますので、税務上は、これは当然損金に落ちます。その上で、産業や技術を生み出すような研究開発税制を制度設計をするということで、そういうところに重点的に支援するために税額控除の仕組みを設けているわけですが、こうした政策税制としての性格を踏まえて研究開発税制の対象となる研究開発費の範囲というものを決めていくということになります。  恐らく、会計上の費用と研究開発税制における費用と、立て付けというか思想が違うということで、範囲は一致するものではないというのが現状でございます。  具体的に申し上げますと、研究開発税制によります試験研究費というものにつきましては法令で定めがございまして、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究に要する費用であると、こういうふうな書き方になっておりまして、政令以下の規定によりまして、試験研究を行うために要する原材料費、人件費、諸経費、それから委託の場合の委託費というふうなものが列挙されているという形になってございます。  この両者、会計上の費用と税制上の費用の相違というのは個別具体的になかなか比べにくいところがございますけれども、例えば研究分野に着目いたしますと、研究開発税制の対象となる試験研究費につきましては、基本的に工学的、自然科学的な基礎研究や応用研究等を対象にしているということですが、会計上の研究開発費は、こうした分野以外の例えば人文・社会科学関係の研究は含まれているということで、そこにこの二つの制度の差があるということでございます。
  75. 西田実仁

    西田実仁君 まさに今分かりやすく御説明いただきましたけれども、そこが問題ではないかというふうに私は思っているわけですね。  例えば、具体的に分かりやすく言うと、製造方法の開発は税務上は対象になります。しかし、会計上は対象外と。他方、サービスの開発というのは、会計上は対象になるんですけれども、税務上はこの税額控除の対象にはならないと。これが今仕分をされているわけであります。  ここで、この研究開発税制、そもそも何のためなのかというと、広く言うとやはりイノベーションをいかにして後押ししていくのかということだろうというふうに思います。そういうふうに考えたときに、これは是非大臣の御所見を承りたいと思いますが、いいものを作って、いわゆる製造方法の開発ですね、そういういいものを作れば売れるといういわゆるプロダクト・アウトの時代から、もう随分マーケット・インしなきゃならないというふうに言われて久しいわけですね。ですから、いいものを作るという製造方法の開発のみならず、加えてマーケット・インという、マーケットにいかにインしていくのか、消費者に購入していただけるのかということが大事になってきております。  基礎研究だけが大事なのではなくて、それをいかにして売っていくのか、マーケットに訴求力のある製品やサービスを生み出していくのかということが求められてきております。製造業と非製造業、サービス業の垣根もどんどんなくなってきていると。そういうイノベーションの在り方が大きく変わってきているときに、この研究開発税制考え方で、このままでいいのかどうかという、そういう問題意識であります。  例えば、マーケットに訴えるという意味でいえば、漫画とかこういうのも当然訴求力が非常に強い。しかし、この漫画家の人件費というのは、先ほどの解釈でいえば研究開発税制の対象にはならないと。それをすべきだと直接的に申し上げているわけじゃありませんけれども、例えばの例でありますけれども、自然科学あるいは工学系の研究開発だけではなくて、新しいサービスを開発するとかマーケットに訴えるデザインを考案するとか、こういうソフト的な投資も促していくということが今後必要になってくるのではないか、それこそが真のイノベーションになるのではないかというふうに思うわけですね。  ですから、従来から考えてきた研究開発税制、そういう考え方はもちろん大事です。しかし、これからの新しい時代に、真のイノベーション税制という新しいくくりでそれを促していくという発想もこれからは必要になってくるのではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  76. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、何というのかしら、広く経済全体に恩恵を及ぼすものとして産業の中に出てくる技術開発、その中にはいわゆるハード、二次産業的なものもあれば三次産業みたいなものもありますし、いわゆるマーケットリサーチの中でいえば、POSを開発した、POSだけが対象になるけれども、あのアイデアを考えた、POSを最初に考えたのは誰だというところがもっと大事なところだと思いますけれども、あれを技術的に可能にしたのはITの進歩のおかげだと思いますが。  そういったようなもので見ますと、投資リスクが高いというのでなかなかこっちには投資が行われないといったものに対して、研究開発税制によって支援を行っているというのがこれまでの基本的な考え方なんだと思いますが、質の高い研究開発というものに投資していくというのが、今後やっていくということがこれは大変重要だと思っておりますのと同時に、研究開発の対象というものを幅広いものにしていく、二次に限らず三次のものを含めてというのは、産業や技術を生み出すような研究開発支援をするという、未来のいわゆる日本の技術、日本の産業の未来というものを考えていく上においてはなかなか難しい。難しいというのは、一緒になるという部分が別々にスタートしてきておりますので、それを一緒にやっていかねばならぬという発想に、要するに、アイデアを、接点をつなげていかないかぬということになってくるんだと思いますので、少々時間が要る考え方だとは思いますけれども、研究開発というと、何となくその言葉の響きから、もっと別の言葉をつくるか何かしないと、この話はなかなか難しいかなとは存じます。
  77. 西田実仁

    西田実仁君 まさに、そういう意味で、研究開発税制という言い方は、これまではそれで良かったかもしれませんが、これからは、例えばイノベーション税制とか、そういう言い方にして、工学系も、デザインの考案といったようなマーケット、あるいは人文・社会科学系というんでしょうか、サービスというんでしょうか、そういうことも一緒くたにしてイノベーションをどうやって後押ししていくのかという、この発想の源を変えて税制全体を考えなければならないというふうに思いますけれども、その点は大臣に共有いただけると。じゃ、局長、どうぞ。
  78. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) 今の先生の御指摘の点、大変、日本国、将来を考えたときに重要だという視点からの問題提起だと思いまして、それは重要だと思います。したがって、そういう視点から、研究開発税制につきましても、累次いろんな工夫をして、充実をしてきたということかと思います。  ただ、一方で、この税額控除という制度は、ある意味では補助金ではございます。したがいまして、せっかく一定の費用を、言わば税金を控除するという形で投入するということであれば、政策効果がやはり問われるんだろうというふうに思います。漫然たる研究開発と広く呼ぶものではなくて、やはり質の高い、よりこれから日本が向かっていくべき、そういう方向性に合ったような投資というものはどういう形で後押しするかという視点が重要だろうと思います。  現在ある試験研究費の範囲というものがそれで十分足りているのかどうかという問題提起かと思います。ここは、やはり時代も動いていきますから考えていかなきゃならぬと思いますけれども、ただ単に、一方でまた、一般的な研究に関わっているので全て入るというのも、これもまたちょっと行き過ぎという面もあるので、その辺はよくバランスを取った議論が要るのかなというふうに思っているところでございます。
  79. 西田実仁

    西田実仁君 まさに今、質の高い研究開発という話がありました。質の高いという、その質の高い研究開発には、これまでのような工学系や自然科学系のみならず、新しいサービスの開発、あるいは組織の改善ももしかしたら含まれるかもしれません。  こうした、放っておくと過小投資に陥るリスクを回避するための研究開発税制だと思いますけれども、どういう投資を促すことが将来の日本にとって大事なのか、真のイノベーションとは何なのかというところに立ち返ると思いますが、そうしたことからすると、この質の高い研究開発には、当然のごとく、新しいサービスの開発やデザインの考案というのも入ってくるんじゃないかと思いますけれども、そこは考え方として同意いただけるでしょうか。
  80. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) 考え方としては、より質の高い研究開発に重点化していくというのが方向性だと思います。  今先生が御指摘されたお話が実態的により質の高いものかどうかというのは、ちょっと何を前提としてお話しするかによって答えが変わってまいりますけれども、その部分が例えばそれなりの効果があるというふうなことになれば、それは対象にし得るとは思いますけれども、そこは十分また研究をしていかなければならないと思っております。  いずれにしても、この話は、先ほど申しましたように、税額控除という形で一種の補助金でもございますので、それ自身がやっぱり効果的に使われなければならない、ばらまきになってはいけないという視点も十分踏まえて、その辺の議論を深めていく必要があろうかと思っております。
  81. 西田実仁

    西田実仁君 まさに議論を深めなきゃならないと思いますね。  ばらまきをしようという、何でも対象にしようといった話をしているわけではなくて、真のイノベーションとは何なのか、日本にとってどういうイノベーションが必要なのかというときに、これまでの発想の延長だけでこの研究開発税制考えていてはもう立ち行かなくなっているのではないかという問題意識、ここは共有いただいているというふうに思います。  その上で、もうちょっと細かい話で、中小企業にとってということで申し上げますと、この研究開発税制における試験研究費、試験研究のために要する費用という、これが、いわゆる専ら要件というのが非常に障害になっているということが言われて久しいわけでございます。租特の施行令第二十七条の四に、この試験研究を行うために要する原材料費、人件費及び経費とされている中の人件費は、専門的知識をもって当該試験研究の業務に専ら従事する者に係るものに限ると、こういうふうに政令で定められているわけですね。  しかし、これは、中小企業はもうとにかく人的な余裕がありません。大企業のように何とか研究所とか何とか研究員という人が専属でいるわけではありません。しかし、研究開発はやっている、試験研究も行っている。そういう限られた経営資源の中で中小企業は試験研究に取り組まざるを得ないわけであります。ありていに言えば、試験研究に専ら従事するというよりも、試験研究もやりながら他の業務にも関わるという、兼務をするというのがごく普通の形になってくるわけであります。  しかし、先ほどの、冒頭の調査によれば、税法上の試験研究費が不存在であるというふうに答えた中小企業が多い最大の理由は、最大と言えるかどうか分かりませんが、強い理由は、この税法上の専ら要件というものがなかなかクリアできないのではないか、ですから、せっかく研究開発は行っているんだけれども研究開発税制が利用できないのではないかというように私は思っているわけでございます。  この点に関しましては、既に、平成十五年になりますけれども、中小企業庁から国税庁に対しまして照会がなされております。それはあるんですけれども、しかし、先ほど、平成二十三年から二十七年までの数字で見たように、緩和されたかのように、私もその照会文書は、国税庁の文書も読みましたけれども、かといって改善されているというか、中小企業がもっと使っているようになっているわけではないわけでありますので、依然として専属的に研究開発に従事する人しか税額控除の対象にはなっていないという、この専ら要件の壁ということはやはり抜本的に考え直していかないと、真の意味でのイノベーションは何かという大変難しい議論、一方でありながら、実際に研究開発、試験研究に携わっている中小企業税制を利用できないという結果につながっているのではないかなと、このように思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  82. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  今、専ら要件の話はもう先生のおっしゃったとおりでございまして、平成十五年に中企庁と国税庁との間で、運用上、まさにプロジェクトの全期間にわたり試験研究に従事する者に限らず、専門知識をもって自らが担当する設計、開発などの試験研究業務に専属的に従事するなどの一定の条件を満たす者につきましては適用を認めているところでございます。  ただ、先生が今おっしゃいましたように、それにもかかわらず増えていないのではないかというお話もありますが、中企庁が我々国税庁に出してきたそのレターの中に、こういうものが研究開発になるのかどうかというのが分からなくて見送るケースがあるのではないかといったような中企庁の指摘もありますので、多分それは周知広報の問題も若干あろうかというふうに考えております。  我々、ホームページに載っけているところで公表しているところでございますが、もちろん、中企庁もあるいは独法の中小基盤整備機構もホームページ、マガジン等で広報しておりますが、引き続き、我々、中企庁とも連携をいたしまして、例えば各地域の商工会議所を通じるなど、更に一層の周知広報に努めてまいりたいというふうに考えております。
  83. 西田実仁

    西田実仁君 そういうことじゃないと思いますね。  要は、専ら要件なので、専ら要件をクリアするためには何時間どうのこうのという、そういう何かサポートが中小企業はないと、大企業のようにもう外形的に専ら要件をクリアできるところと中小企業は違うわけでありますので、単に周知徹底を図ればこれが利用されるようになるということであれば、もっと前から利用率上がっているというふうに私は思います。どうぞ、じゃ局長
  84. 佐藤慎一

    政府参考人(佐藤慎一君) 研究開発税制が本当に真に意味ある形で使われるためという御指摘でございますので、その点は全く同じ問題意識でございます。  ただ、一方で、税制上の支援でございますので、やはりそれは的確に効果が出るような形にならないといけないということだろうと思います。人件費は、かなりそこはシンボリックな部分がございまして、専ら要件を付けていますのは、まさに研究開発に従事しているということそのものの人的な力が研究開発に影響してくるということに相なるということで、専らということを付けているわけでございます。ただ、専らといっても全員がそうでないといけないというわけにはいかないので、いろんな形で、若干の解釈の中で幅を持った運用をしているというのが実態でございます。  これ、専らを外すということになりますと、社員だったら誰でもいいという話になりますので、言わば経理の方までオーケーというふうになってしまうということになると、本当にそれは研究開発のための人件費と言えるのかという問題も出てくるんだろうと思います。ですから、何がしかの規律というか線引きが要るのではないかということで専らということを引かせていただいているということでございます。  ちなみに、海外の制度と比較をいたしましても、人件費がこれだけ広く認められているのは恐らく日本であろうというふうに思います。ほかの国は、そこはかなり厳しくて、限定的にそこは考えているように思います。そうした点も御配慮賜われればというふうに思っております。
  85. 西田実仁

    西田実仁君 そういう事実はあるのかもしれませんけれども、要は、真のイノベーションをやろうとしている中小企業に使いやすくするためにどういう環境を整える必要があるのかということで、専ら要件を何か外して、のべつ幕なしに全て使えればいいということを議論しているわけではないんですね。ただ、専ら要件のその専らを証明することが中小企業にとっては大変だということなんですよ。それをどうやってサポートするかという、総合的に考えなきゃいけないというふうに思っております。  残った時間、短いんですが、国税通則法の話で若干確認をしたいと思います。  平成二十七年度税制改正で国税通則法が改正されまして、再調査の制限の対象となる調査の見直しがなされてございます。再調査規定の前提となる調査は実地の調査に限定をするというふうに改正をされました。逆に言いますと、実地の調査以外の調査については、たとえ新たな情報がなくても何度でも調査ができるというふうに見直されたわけでございます。  そこで、何度でも再調査が可能となる実地調査以外の調査というのは具体的にどのような問題の事例を想定しているのか。また、そうした再調査を掛ける場合の手続はどのようにしていかれるのか、あるいはいるのか、これを残った時間で説明いただいて、終わります。
  86. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  まず、実地の調査はどういう調査かというお話でございまして、実地の調査は納税者の事業所等に臨場して質問検査を行うものでございまして、この場合、納税者の事業所におきまして様々な書類を確認しながら、全体の申告内容について調査するというのが一般的でございます。  一方、実地調査以外の調査でございますけれども、これは、提出された申告書に客観的あるいは限定的な誤りがある場合など、来署依頼を行いまして、判明している誤りに限りまして確認を行うといった簡易な形で調査を行っているところでございます。  したがいまして、具体的に申し上げますと、例えば提出された申告書におきまして医療費控除に誤りがあるといった場合につきましては、例えば納税者の延滞税の負担なども考慮して、その点についてその時点で行政指導を行いまして、これにより見直しを行った納税者につきましては新たに得られた情報がなくても後に調査が行えることになります。  他方で、この行政指導により見直しを行わなかった納税者につきましては、実地の調査以外の調査、先ほどのような簡易な調査で是正を行うことになりますが、これにつきましては新たに得られた情報が入手されるまで調査が行えなかったところでございます。  したがいまして、今回の改正におきまして、こうした実務上の問題点が解消されるということになったわけでございます。
  87. 西田実仁

    西田実仁君 終わります。
  88. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。  今日はお酒の話を取り上げたいと思いますけれども、昨年の通常国会で請願が採択されました。この財政金融委員会で請願が採択されるというのは本当にまれなことでありまして、平成に入ってたった四種類しか採択されておりません。その一つが、お手元に今配っていただいておりますけれども、健全な飲酒環境の整備に関する請願ということであります。  紹介会派書いてありますけれど、ちょっと後で気が付いたんですけれど、みんなの党がこのときどうなっていたのか分かりませんけれど、一応全会派ということで、後で中西さんから言ってもらえればいいんですが、とにかく全会一致という形で財政金融委員会では採択されたという、画期的なというか珍しい請願であります。  どういう請願かということは、改めて簡単に言いますと、要するに、国の規制緩和策で、規制緩和の議論は古くからあったわけですけれども、実際に手を着けたのは小泉内閣の規制緩和路線であります。それで、お酒の販売店が規制緩和によって急増しまして、その後、過度な競争になって今度は減少するというふうな混乱をしてきたわけですけれども、その中で、古くから地域に根差して頑張ってこられた、ある意味ではいろんな地域社会の重要な役割も担ってきていただいた町の酒屋さんが激減すると。過度な価格競争に急激に巻き込まれて、転廃業、倒産、自殺、失踪などのことが起きて、今もそれは続いております。  また、未成年の飲酒とか飲酒運転とかあるいはアルコール依存症とかの問題も社会問題になってくるということがあって、これは単に酒屋さんだけの問題じゃなくて、お酒をめぐる環境がかなり悪くなってきているということがあって、そういうことがあってこの請願が出てきたわけですが、大本にあるお酒の酒販制度を改善して、そのことによって健全な飲酒環境にも資するというふうな請願でありまして、いろいろ書いてありますけれども、一番大事なのは、最初の、大きいのは、特殊性を有する酒類の危険な価格競争は収束させるべきであると。何も全部競争をやめろという話じゃなくて、お酒というのはやっぱり特殊な商品でありますので、依存症を招くとか青少年のこともありますので、そういうものについて過度のいろいろ危険とも言われるような競争はやめるべきであるということが主な柱の請願であります。小売酒販組合が行う公益活動とか、あるいは中小零細酒販店を狙い撃ちにした規制緩和はやめてほしいというようなことがありますが、一番大きいのは、全体に影響するのは一番目かと思います。  この請願を私たちは全会一致で採択したわけでありますので、必要な施策を進める責任というのは全会派にある、なおかつ財務省、国税庁にもあるということであります。それが請願の意味でありますけれども。  まず、国税当局に聞きますけれど、国税庁はこの請願の前に、公正な取引のための指針に基づいていろいろ取組をされてきたのは承知しておりますけれども、取組をされてきたけれども、この請願が出てきて採択されたわけですね。そうすると、この請願に基づいて新たな取組といいますか、一層前に進めるような取組がされるべきでありますけれども、そういうことは国税庁として検討されているんでしょうか。
  89. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  まず、今先生おっしゃいましたように、国税庁では、公正な取引のための指針に基づきまして取引状況の実態調査を実施しておりまして、指針に即していない取引が認められたものに対して改善指導を行っているところでございます。  その改善指導を行った酒類販売場のうち、引き続き改善状況の確認が必要な酒類販売場等に対しましてはフォローアップ調査というものを実施しまして、改善状況の確認と更なる改善指導を行っているところでございます。  公表してございますが、平成二十五年度におきましては、百八十五場に対しましてフォローアップ調査を実施しまして……
  90. 大門実紀史

    大門実紀史君 聞いていない。そんなこと聞いていない。
  91. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) かしこまりました。  いずれにしても、一定の効果はあるというふうに我々思っておりますが、引き続きどういうことをやるかということの御質問でございますが、現行の指導、そういう意味では、今申し上げましたように一定の効果はあるというふうに、今の指導にもあると我々考えております。  したがいまして、引き続き、市場に大きな影響を与える取引を行っている酒類業者を重点的に調査をする、あるいは今も申し上げましたフォローアップもやる、さらに、独禁法規定に違反する事実があるというふうに思料したときには公取に報告して適当な措置をとるべきことを求めるということで、引き続き、効果的な改善指導に努めて、公正な酒類の取引環境の整備にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  92. 大門実紀史

    大門実紀史君 そういう取組をされてきたけれども事態が止まらないのでこの請願が出てきたということなんですね。したがって、この請願採択を踏まえて次に何かやるということは、当局としては何も考えていないということですよね、今のお話だと。引き続き今までどおりやるわけでしょう。  それで、それではまずいんじゃないかということで自民党の皆さんが、この趣旨に基づいて、異常な安売り、これには歯止めを掛けなきゃいけないというふうなことを盛り込んだ酒税法などの改正案を、議員立法ですかね、今国会に提出されるということでありまして、その努力に大変敬意を表したいと思いますし、不当な安売りはしてはならないという基準を決めて、それに違反したら行政処分をやるということで、実効性のある法案だと思いますので、いい法案だというふうに思っております。  ただ、一部マスコミが、何かこれは消費者が困るとか、お酒全体がいかにも値上がりするような報道をしておりますけれど、これは大変な誤解でありまして、そんな価格統制をしようというふうなことではなくて、異常な過度のものは取り締まろうということでありますので、野放しじゃなくて、何でも市場原理じゃなくて、ルールに沿ってもらおうというのは当たり前のことだというふうに思います。だから、我が党としても、出されたら協力させていただきたいとは思っております。  その前に、まず現状はどうなっているかということなんですけれども、なぜ今の国税庁の取組では不当な安売りが防げないのかということなんですが、今、佐川さんがちょっと説明を始められましたけれど、簡単に言うと、二枚目以降の資料に国税庁が今取り組んでいることが書かれているわけであります。この枠の方でいきますと、左側に公正な取引というのはこういうものだと、合理的な価格を設定しなさい、公正な取引条件を設定しなさいと、こういうものがあって、それがどうなっているかということが右側の欄で、調査をいたしますと、あるいは酒税保全措置といいまして、余りにもひどい場合は措置をとりますと、事態解消の必要最小限の措置をとりますとか公取に報告をしますとかというのが今の取組なわけですね。  ところが、これでは、四枚目ですね、実際にどうかというと、国税庁が調査したら、一般調査の実施状況というのがありますけれども、千三百五十二件、ほんの一部の調査ではありますけれど、千三百五十二の売場を調査したら、ルールに沿っていないのが千三百五十、ほとんどルールに沿っていないと。しかも、その中で仕入価格を下回る価格での販売、認められたのは四百二十もあるということなんですね。  例えば、量販店のやり方なんですけれども、例えばビールならビールですね。一ケース幾らということで、物すごい安い値段で広告を打つわけですね。それそのものでは利益は出ないんですね、量販店も。それで利益は考えていないんです。いわゆるおとり商品といいまして、それでお客さんを呼び寄せて、ほかの物を買ってもらって、そこで利益を出そうというやり方なんですよね。  市場競争ですから、市場経済ですからいろんなやり方があると思うんですけれども、いろんなことがあると思うんですけれど、少なくとも、さっきからありましたが、お酒というのは特殊な商品でありますよね。このお酒をそういうおとり商品に使うということそのものについて国税庁はどういう見解を持っておられますか。
  93. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  多種類の商品を取り扱っている事業者が、今先生がおっしゃいましたように、顧客誘引のために一部の商品を供給に要する費用を下回るような低価格で販売するということは、一般的な商品においてはあり得る販売方法であるというふうに考えられます。  ただ、酒類につきましては、国の重要な財政物資であるとともに、致酔性、依存性を有する社会的に配慮を要する商品という特殊性に鑑みまして、酒類をそのような販売方法で販売することは適切ではないというふうに考えてございます。
  94. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうですよね。いろんな商売の仕方があって、一般的な商品までとやかく言うつもりはありませんけれども、このお酒をおとり商品に使うというのはいろんな意味からまずいということだというふうに思うんですよね。  ところが、実際には、先日、私、京都の山科の酒屋さんの話を聞いたり東京の知り合いの酒屋さんの話も聞きましたけれど、量販店はいつもおとり商品があると、毎日あると。手を替え品を替え、毎回おとり商品を置いているということなんですよね。この近辺でいえば有楽町に電器量販店ありますけれども、あそこもお酒を扱っていますけれど、ちょっとのぞいてみましたけれど、ビール一ケースすごい値段で置いていますよね。あれもやっぱりおとり商品で、来てもらってほかの物を買ってもらう、あるいは電気製品も買ってもらうということのおとり商品だと思うんですけれど、もう日常茶飯事でおとり商品にされているわけです、お酒が。  先ほどの国税庁の取組では、いろいろやっているとはおっしゃいますけれども、必要とあれば措置をしてきたと言いますけれど、なぜこれなくならないんですか。おとり商品、これだけまずいということをずっと言ってきて、全国で今日もこのときもあちこちの店舗でやられていると。なぜなくならないんですか、国税庁の今の取組で。
  95. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) 大変大きな市場、お酒も含めて大変大きな消費市場の中で様々な商品、販売形態があって、いろんな流通が行われていると思うんですが、そういう中でいろんな競争が行われているというのは事実だと思っております。  そういう事実の中で、我々、酒類に着目しまして、先ほど申し上げたような特殊性に鑑みまして、様々な調査を行い、指導を行っているところでございますし、まさにこの独禁法、厳しい処罰規定もございますけれども、独禁法に違反するようなことがあるんじゃないかと思料した場合にはまさに公取に報告しているというところでございまして、一生懸命やっておりますけれども、なぜなくならないかといえば、更に努力をしていきたいというふうに思います。
  96. 大門実紀史

    大門実紀史君 今の指針は、措置といっても、指導といっても口頭指導だけなんですね、たまに文書を出しますけれども。で、罰則はないんですよね。だから、もう平気でいろいろなことをやっているわけですよね。いろいろ品を替えてやっているわけですよね。それではもう防げないということで、先ほど自民党の中で議員立法としてもう手を打とうということになってきているわけで、私は、本来だったら議員立法じゃなくて国税庁が今の段階を踏まえて自ら法改正を提案すべき、そういう中身だというふうに思うわけですよね。  もう一つは、議員立法が出てくるということなので、それをみんなで通したいというふうに思いますけれども、考えていただきたいのは、以降はもう麻生大臣にお伺いいたしますけれど、町の酒屋さんというのは一体何だろうというふうに思うわけですけれども、大変、公益活動、社会貢献活動をたくさんやっていらっしゃいます。未成年の飲酒防止とか飲酒運転撲滅キャンペーンもやっておられますし、防犯とか地域の見回り活動とか、あるいは、私なんかが子供の頃、京都で、京都は地蔵盆という子供のお祭りがありますけれど、ああいうときに世話役をやってもらうのは近所の酒屋さんとかですね。そういういろんな意味地域の中心になって、政治的には自民党支持が多いですけれども、そういう層なわけですよね。  もう一つ言えば、前にも申し上げましたけれど、私の本家は造り酒屋なんですけれども、大阪で大門酒造といいますけれども。例えばうちですと、地酒なんですけれど、利休梅という銘柄でやっているんですね。こういう地酒の世界は、大抵、うちだったら、関西の町の酒屋さんが大門酒造おいしいよ、利休梅おいしいよということで、お客さんに口コミで伝えてくれるということで地酒の世界はもってきたと。つまり、日本酒文化を、地酒の文化を、テレビでコマーシャルしているお酒って大抵おいしくないですよね、地酒の文化を支えてきてくれたのがこの町の酒屋さんでもあるわけでありまして、いろんな意味で大変重要な存在だと思うんですね。  ただ、今更、昔の世界に戻せとは言いません。山科で私が酒屋さんに聞いたら、その酒屋さんは利き酒の日本酒のソムリエだということで、お客さんにも利き酒してもらってやるような、そういう存在を担いたいとおっしゃっているんですけれど、昔のような世界に戻せということではなくて、これからの町の酒屋さんの、自分たちで考えてもらって、知恵も出してもらって、新しいこれから発展していく町の酒屋さんの姿も模索すべきだと思うんですよね。  そういう点でいくと、こういう市場原理主義で、野放しの資本主義でただ潰していいのかというふうに思うわけでありまして、そういう価格の面もちゃんとしなければいけませんけれど、やっぱり国税庁として、財務省として、この町の酒屋さんの新しい役割を支援するという意味も含めて、これは大きな意味で位置付けて支援をしていってあげてほしいなというふうに思うんですけれども、最後に財務大臣のお考えを聞きたいと思います。
  97. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 我々当選した頃、大体酒屋は三千二百軒ぐらいありましたかね、造り酒屋。今、ばたばた潰れてかなりの数が減ったと思うんですね。  それで、あれは大分前になりますけれども、昔は、御存じのように、一級酒、二級酒、特級酒というのがあったんですが、今はないんですよ。みんな酒飲まない人たちばかりでしょうから、この辺は。こういったものに関して、あの種のことを覚えている世代というのは少ないと思うんですが、地酒はほとんど二級酒だったんですけれども、いわゆる越乃寒梅という売り方のうまい会社がありまして、うまいまずいは別にして、少なくともえらい高くしたんですよ。新潟の酒ですよ。カザマがどれくらいもうけたか知りませんけど。それは別にして、もうけたんですよ、ここの会社は。しかし、これは二級酒だった、二級酒だったんですよ。これはどうして二級酒でといったら、それは二級酒でもうまければ売れたんですよ。この人は頭が良くて、結果的にそういう売り方にして、税金は、一級酒、特級酒並みにもかかわらず二級酒だと申請して、二級酒の税金しか払わないようにしたんです。しかし、うまいから二級酒でもみんな買ったんですよ。営業としては僕はうまいやり方だと思って、僕はその現場まで行ったことありますから、その話を聞いて。  それで、僕は何をやっていましたか、当時、忘れましたけど、とにかく税金は一級、二級というのをやめようということを大蔵省に言って、当時随分もめましたけど、一級、二級をやめました。なぜなら、金持ちの酒ですと、官官接待もない大蔵省の役人はそう言うんですよ。しかし、今、実際問題、金持ちは糖尿病になるといっていわゆる麦焼酎だ、芋焼酎を飲み、金持ちじゃないやつが酒飲んでいるわけですから。おかしいじゃないですか、何でそんないいかげんな理屈で話しているんだといって、これが一番効きまして、一週間でこれは法律が変わったと、大蔵省が変えたんですよ。だから、こういう説得力がある話を持っていかないから酒屋は駄目なんですよといって、当時ぼろかすに言い合ったことがあるんですが。  結果として、今、日本酒というものはフランス料理にも、日本食がこれだけ増えてきた折に、フランス料理、普通に飲めば間違いなくまずくなりますから、飲んで飯が酸っぱく感じない人はよほどおかしい人なんであって、日本飯をフランスワインで飲めば必ず酸っぱく感じますから、そういったときは日本酒の方が必ず合うようにできておるわけですから。これだけは、あなたら当たり前じゃないかといって、フランス人が今どんどんワインの代わりに日本酒を外国で飲むようになってきて、結果として、日本酒というのはまた今勢いを盛り返してきて、日本酒のソムリエというものがすごく値打ちが出てきているという流れがあるということを知っている国会議員なんてほとんどいません、そのようなことは。それが今、町の声というのはそういうものですよ、それが実態ですから。  ですから、そういったような声を考えますと、僕は、今言われたように、町の酒屋さんでこういったもので本当に分かっている、例えば東京なら鈴傳商店なんという酒屋が四谷にありますけれども、あの鈴傳商店へでも行って、酒の話でも、講釈でも一回聞かれるとそこそこ理解していただけるんだと思う。立派に町の酒屋として地元に、新宿であの人たちがいなかったらお祭りできませんから、あそこは。あの人たちが全部仕切ってやっているというのがありますので、私は、正直申し上げて、今言われたように、町の酒屋の値打ちというのは、大量のあれを売るのとは全然別の意味で私はすごく大事なものだと、私もそう思って、こういったものが残れるような形に考えるべきものだと。賛成です。
  98. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  99. 中山恭子

    ○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。  五月五日から九日まで、ウズベキスタン共和国を次世代の党の使節団として訪問いたしました。今日、資料としてウズベキスタンの位置図、それからウズベキスタンの地図をお手元に配付しております。  アジモフ第一副首相兼財務大臣等政府要人と意見交換を行いました。アジモフ第一副首相から、両国の一層の関係強化のため安倍総理のウズベキスタン訪問を強く要請されました。また、アジモフ第一副首相からは、ADB総会出席のためにバクーを訪問しました際に麻生副総理と歓談したということをおっしゃいまして、麻生大臣にくれぐれもよろしくお伝えくださいとのことでございましたので、この場をお借りしてお伝えいたします。  中央アジアの地図を見ていただきますと分かりますが、中国の西側の国境、長い国境と接している五つの国でございます。一九九一年にソ連邦から独立し、建国に励んでいるところでございます。中でもウズベキスタンは、堅実な経済政策を取り、着実に成長を遂げ、安定した社会をつくっております。  ウズベキスタンの面積は日本の一・二倍、人口は約三千万人、中央アジア全体で約六千四百八十万人ですので、ほぼ半数、中央アジアの半数がウズベキスタン国民でございます。古く長い歴史のあるシルクロードのオアシスの国でございまして、農耕民族です。地下資源が非常に豊富でございまして、周期律表にある物質は全てあると言われております。国民性も日本人とよく似ており、温厚、真面目、親切で、極めて親しみやすい人々が住んでおります。親日的で、日本の技術に憧れを持ち、また、戦後の日本人抑留者の業績を高く評価して、日本に対し尊敬の念を抱いてくれております。  この抑留者の件でございますけれども、終戦後、シベリアに抑留されたものの、若者たちがこちらに強制的に連行され、重労働に従事させられました。いつ日本に帰れるか分からない中、良いもの、例えば建造物、今政府が使っている庁舎などもほとんどが日本の人々が建てたものでございますし、非常に美しい劇場、水力発電所、道路、鉄道、運河などをこの日本の若者たちが陰ひなたなく働き、良いものを造りました。ウズベキスタンの人々はそのことに対して今でも大変感謝をし、それが日本に対する尊敬に変わっているということでございます。  これまでにも日本はこの地域に資金援助を行ってきておりますけれども、この中央アジア五か国は地政学的にも極めて重要でございまして、今後とも資金や技術支援、さらには人的支援や知的支援の充実を図ることが肝要であると考えております。麻生副総理のこの中央アジアに対する御所見をお伺いできればと思っております。
  100. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ウズベキスタン、キルギスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、こうずっと、いわゆるスタンと、国という意味ですけれども、付いている国の名前が幾つかあるので、今のウズベキスタンを中心に五か国ですけれども、この中で、五千年の歴史があって、少なくとも昔からきちっとしたものが残っている国はこの国だけです。サマルカンド、タシケント等々、例の三蔵法師に出てくるあの時代から残っている国というものはもうこの国だけだと思いますので、そういった意味で、歴史的にも極めて古いもので、我々も多くのものを輸入してきたという経緯が昔はあったんだと、そういうように理解をしております。  何となく、行かれたことのない国で、ラクダでも走っているんじゃないかと思っている方がいっぱいおられるので何人か連れていったことがありますけれども、地下鉄が三本、自転車は一台も走っていませんな、オートバイもない。少なくとも、私の近くにあります博多よりははるかに先進的だなと思った記憶がありますので、皆さんの選挙区よりはるかに進んでいると、私は正直言ってそう思いましたよ、本当に。ここは俺の考えているところと全然違ったというのが正直な実感だったんですが。  ここは、一九九一年、独立この方カリモフという人が大統領をしているんですけれども、この人の哲学がしっかりしているから今日まであの国は栄えてきたんだと思いますが、これを徹底して日本財務省が応援して、いわゆるIMFとぶつかったときも、財務省は徹底してウズベキスタン側に立って支援してきた結果、ウズベキスタンという国は国家として繁栄すると同時に、IMFからのいろいろなあれを全部はねつけて、結果として今のウズベキスタンがありますので、非常に感謝をされているのが日本だと思っております。  カリモフという人は、基本的に、初めて私が行った閣僚だということで、大統領とも会うことになったのがもう十何年前ですけれども、子供のときに日本人捕虜収容所に毎週末母親に連れていかれた、ヤギの乳を届けに行った、母親が私に言ったせりふは毎回一つとして違ったことはない、同じことしか言わなかった、せがれ御覧、あの日本人の兵隊さんを、ロシアの兵隊さんが見ていなくても働く、おまえも大きくなったら人が見ていなくてでも働くような人間になれ、おかげで俺は今日大統領になれたと。臭いせりふと思ったね、これは、正直。だけど、一緒に行った財界の人はほぼ泣いていない人はいなかったぐらい、やっぱり私が一番若造だったせいもありますけれども、周りの方は。  日本人の墓地にどれくらい行かれたことがあるか知りませんけど、多分、私が行った中で最もきれいにしてあります。ここが一番丁寧に扱ってくれているんだと思って感謝もしておりますが、以後、日本はずっとこの国と仲よくし続けて今日まで来ているんだと思いますが。  やっぱり中央アジアというところに、今、安倍総理の訪問で残っているのはこの中央アジアだと思いますので、これは是非行っていただきたいなと、私どももそう思っておるところですが、いずれにしても、この国の値打ちというのは、それはトルクメニスタンにしてもカザフスタンにしても、持っておる資源もすさまじいものがありますし、ロシアの金のほとんどはウズベキスタンから出ていたわけですから。やっぱり飛行機を自分で造れる国というようなイメージというのを多分ウズベキスタンという国に関して持っている人はほとんどおられぬと思うので、是非そういった意味では、ウズベキスタンというものはこれらの国の中の中心として私どもはもっと関係を深めてしかるべきと、私自身はそう思っております。
  101. 中山恭子

    ○中山恭子君 大変ありがとうございます。  非常に重要な国々でございますので、また、カリモフ大統領が三月末の選挙で大統領に再選というか四選されたということでございました。私ども、又はヨーロッパの国から見ると、それだけ長い期間、一人の大統領がいることは良くないのではないかという意見もよく聞かれますけれども、私自身は、独立した後、大統領がころころ替わった場合には、その国は非常に不安定な社会になると考えておりまして、的確な判断をなさる方がリーダーとしていることの方が安定した社会を築けるのだなということをこの地域に行くと実感するところでございます。  これからもどうぞ、これらの地域日本にとっても重要な地域でございますので御配慮いただきたいと考えております。ありがとうございました。  さて、前回も取り上げたことでございますけれども、資料も配付いたしました。一九九〇年度と二〇一五年度における国の一般会計歳入歳出の比較の非常に分かりやすい表を作ってくださっております。財務省資料でございます。  この表を見ますと、社会保障費が一九九〇年度の十一・六兆円から二〇一五年度は三十一・五兆円と約三倍に増加しております。その一方、一般政策遂行に係る歳出は一九九〇年度の二十五・一兆円から今年度二十五・八兆円とほぼ同額でございます。また、この図を見ますと、社会保障費特例公債費がほぼ同額でございまして、社会保障費特例公債で賄っていると言っても過言ではないと考えております。  この図を見ますと、どう考えましても、社会保障制度の抜本的な改革を行わない限り、財政再建はおろか、社会の変化に対応する、今いろんな激動の社会と言ってもいいわけでございますが、この社会の変化に対応する政策、時代の要請に応える政策を取ることは無理な状況であるということがよく分かります。今後、高齢化が一層進展することは確実で、このまま社会保障費増加を放置した場合には、社会保障仕組み自体が維持できなくなるおそれがございます。  先日の委員会麻生大臣がおっしゃられましたように、国家予算の三二%というのは、さきの戦争のときの軍事費三一%とほぼ同額の巨大な額でございます。国家財政の根幹を揺るがすまでに膨張したこの社会保障費について財務省はどのように対応しようと考えていらっしゃるのか、触らない、触ってはならない費用であると考えていらっしゃるのか、社会保障制度の抜本的改革については受け身でよいと考えているのか。  三月三十一日の本委員会で、麻生大臣からは、財政審分科会で議論してもらい、今年夏までに目標を作り上げたいとの御答弁がありましたが、財務省自身がどのように対応しているのかをお示しいただきたいと考えております。
  102. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、この図で分かりやすく描いてございますが、これは、一般会計の予算を見ますと、九十六兆円のうち社会保障関係費が三十一・五兆円、約三分の一というのを占めます一方、歳入面で見ましても、三分の一以上を国債に依存しておるということは、社会保障はもう将来世代へ負担を先送りしていると言われてもこれはやむを得ぬ、明らかであろうと思っております。  したがいまして、社会保障制度というものの受益と負担の均衡ということで、今朝でしたか、西田先生からの御質問にあっておりましたように、これは、いわゆる均衡の取れた中福祉なら中負担というものに早急に改革していくということでやらない限りは、社会保障という国民皆保険を含めた制度自体が立ち行かなくなるということはもうはっきりしているんだということは思っております。  こうした中で、これまで約三か年の予算編成におきまして生活保護等々を含めて見直しということで、これは、平成二十五年度から二十七年度でマイナスの約六・五%、それから診療報酬改定、薬価等々を含めて一・三六%の引下げというのを、診療報酬本体に戻さずそういったものをやらせていただくということをさせていただき、介護報酬改定ということで、平成二十七年度の予算で二・二七%のマイナスということなどを、処遇改善というものを行っておりますけれども。  こうした中で、社会保障を含めてこれを徹底的に見直すということをしませんと、これは何となく、税収が伸びたらとか景気が良くなったらこういったものは改善できるだろうというような、何か夢みたいなことを言っている人がいっぱいいますけれども、それは伸ばさないかぬですよ、絶対に。ただただ縮めて縮めてどんどんどんどんなんというのでは、それは国民は、それこそ働く意欲が、先ほどの藤巻先生の話じゃないけど、働く意欲がなくなると。  何か税金払いたくないために言っているように話は聞こえますけど、それはもちろんそういう面もあるでしょうよ、それは人間だから。それはそうかもしれぬが、しかし、間違いなく、そういった意欲をそぐというのだけはいかがなものかと思いますので、私どもとしては、伸ばすものは伸ばすということで、少なくともこれまでの間、伸ばしながらも私どもとしては、公共事業というものはほとんど変わらず、ここに出ていますように、ほとんど変わらないままで景気、公共事業がこれだけ良くなってきたんですから、ちゃんと内容を、同じ額でも内容が違ってくると随分違ったものになるというのははっきりしていると思いますので。  そういった意味では、本年六月頃に決定されます財政健全化計画というものにおきましても、これまでのとおり、いわゆる財政再建経済成長というのを両方きちんと組み合わせていかないと、片方だけでどうにかなるという種類の話ではない。そんな事態では全くありませんので、私どもはきちんとしたものをやらないと、デフレというものが、これは非常に強くこういった結果を落ち込ませることになっておりますので、まずはデフレの脱却からスタートさせていただいて、今、かれこれ三年目になりましたけれども、少しずつその方向に歩み出しつつあるというところだと思っておりますので、引き続きこの努力を続けていきたいと思っております。
  103. 中山恭子

    ○中山恭子君 社会保障制度の抜本改革、期待しておりますし、やはり財務省が自ら自身の問題として取り上げて取り扱っていただくということが必要になっていると考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。  また、この社会保障制度自体の抜本的改革、もちろん必要でございますが、それだけではやはり無理があろうと考えておりまして、日本社会全体のシステム、社会の在り方そのものも変えていく必要があると考えています。  例えばですけれども、官民共に定年制を廃止するということも一案であろうと考えております。働く意欲と能力がある人は働き続けることができる職場環境をつくるということによって、これも年金の支給年齢を遅らせるということの効果も出てくると考えております。  日本国家公務員の場合、この定年制が導入されましたのは昭和六十年のことでございまして、それまでは定年制はなかったと聞いております。  また、米国では、四十歳以上の労働者に対する年齢を理由とした就職差別は連邦法によって禁じられております。午前中にもありましたけれども、アメリカ、ある意味では非常にはっきりした階級社会でございますので、労働者について定年制がないということが決められております。労働者本人の希望による退職や能力的な理由による解雇でない限り生涯にわたって働き続けることができる、企業側が例えば応募者に年齢や生年月日を尋ねるということすら法律で禁じられているということでございました。  定年制を廃止して、その環境整備をすることというのも是非御検討をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  104. 宮下一郎

    ○副大臣(宮下一郎君) 直接、定年制の廃止についてここで申し述べるのはちょっと控えさせていただきたいと思いますが、考え方として、先生がおっしゃるように、社会仕組み改革していくということは大事だと思いますし、その中で、特に高齢者の皆さんが働き続けられる環境を整えるというのはとても大切なことだと思います。  ちなみに、長野県は高齢者の就業率が全国一高いというふうに言われておりまして、野菜作りとか、生涯現役でやっていらっしゃる方も多いんですね。そういった方ほど健康長寿で、お元気でいらっしゃいます。  そういうことで、女性も含めてですけれども、働く意欲、能力のある方にはばりばり働いていただく、そうした制度的枠組みをしっかりつくっていくことによって労働力人口の減少にも対応できますし、そこでばりばり活躍いただいて納税までしていただければ、また社会保障を支える財源にもなるというようなことで、先生のおっしゃる方向は誠に正しいと思います。そういった視点を忘れずに改革に取り組んでいきたいと考えております。
  105. 中山恭子

    ○中山恭子君 多分、その時々の社会の情勢によって、昭和六十年の頃にはやはり定年制が必要だったんだと思いますけれども、現段階ではもう廃止してよろしいのではなかろうかと考えておりますので、是非御検討をいただきたいと思っております。  ありがとうございました。
  106. 中西健治

    ○中西健治君 無所属クラブの中西健治です。  私もお酒の問題を取り上げたいと思います。自民党の先生や大門先生には恐縮ですけれども、別の方向からというか逆の方向から、まあ逆とは言いませんけれども、別の方向から質問をするということになります。  町の酒屋さんについて大門委員がおっしゃられたこと、麻生大臣がおっしゃられたこと、本当に正しいというふうに思います。私も幾つも、しょっちゅう行っている町の酒屋さんというのがありまして、そこに行くのは、やはり個性的だから行くということであります。ここの日本酒はおいしいよ、大門酒造の日本酒はおいしいよということを教えてもらったり、やはり今はいろんなところにネットワークがあって、いろんな全国各地から店の主人がお酒を集めてくる、それをおいしいという教えもしてもらうということで足しげく通うということになります。  ウイスキーなどについてもそういうのがあります。古川委員長にも、あと公明党の西田先生にもお話ししたことがあるんですが、埼玉県選出でいらっしゃいますから、埼玉県の秩父に、ウイスキーでイチローというシングルモルトの小さな蒸留所があるんですが、そこのウイスキーも大変おいしいんです。それもやはり町の酒屋さんに教えてもらって飲んだということなんですが、そうした町の酒屋さん、すごく大事だと思います。  しかし、町の酒屋さんに私はビールや発泡酒を買いに行きたいとは思わないということなんです。量販店に行くと、置いてあるものというのはもう金太郎あめです。同じようなものばかり置いてあって、日本酒だって同じようなものしかありませんし、焼酎も同じようなものしかありません。けれども、ビールや発泡酒を買うんだったら量販店でいいじゃないかと私は思っているし、そう思っていらっしゃる方は多いんじゃないかなというふうに思うんです。ビールや発泡酒だったら安ければいいじゃないですかと私は思うんです。  ですので、そこの部分も含めて、まあそこの部分が主眼になるのかもしれませんが、安く売ることを規制するということはいかがなものかというふうに私自身は思っているということであります。ですので、今回のこの安売り規制が、掛かるかどうか分かりません、分かりませんけれども、それについて、少し背景などについて質問をしていきたいというふうに思います。  今回の規制強化をするとすれば、その背景としてよく言われるのが、安売りをすると酒税の円滑な徴収が阻害されるおそれが出てくると、こういうことをよく言われます。言われるというか、こういう報道がされています。  しかし、これ、ぱっと直感的にはよく分からないんです。安売りをするとどうして徴税ができないのかというのがよく分からないというのは、これは庫出税ですから、製造元が払うという税金でありますし免許制も取っているわけでありますので、そこのロジック、理屈がよく分からないわけですけど、その理屈をまず教えていただきたいと思います。
  107. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいましたように、酒税の納税義務者は酒類製造業者でございます。したがいまして、製造場から移出する段階で課税をされますので、その酒税は酒類の価格に織り込まれて卸売業者、小売業者というふうに転嫁されて最終的に消費者に負担をお願いするという、こういう間接的な、典型的な仕組みになっているわけでございます。  それで、国税庁としては、その製造業者に限らず、卸売業者、小売業者がそれぞれに健全に発展していって、そういうことで初めて転嫁していく酒税を確保していくということによって公正な取引が必要であるというふうに考えているところでございます。  ただ、いずれにしましても、今現在、酒税そのものにつきましては、様々な要因によって販売量が減っているところでございますけれども、何か、ただいま現在、製造段階での課税の徴収に大きな障害が起きているということではございません。
  108. 中西健治

    ○中西健治君 そうすると、背景として、円滑な徴収が阻害されるということは、それは当たっていないということでよろしいということでしょうか、現状として。
  109. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) そもそも、酒税の保全及び酒類業組合に関する法律にございますように、酒税保全のための条文がございますが、この条文の中には、酒類の販売の競争が正常の程度を超えて行われていることにより、酒類取引の円滑な運行が阻害され、製造業又は販売業の経営が不健全となる、又はなるおそれがある場合ということを危惧している、こういう条文になってございますので、ただいま現在に、製造から出ている、出荷段階での酒税についての徴収に何か大きな不具合が起きているということではございません。
  110. 中西健治

    ○中西健治君 今のお話ですと、小売店が安売りによって倒産する、そうなってくると、卸売店、製造元の経営不振ということになって税収も徴収できなくなるかもしれないと、こんなような理論、ロジックのように聞こえますけれども、これって、風が吹けばおけ屋がもうかるというか、その逆ですね、風が吹かないからおけ屋がもうからないという、そんなようなロジックにも聞こえるわけでありますが、おっしゃられたとおり、これ、酒類の販売量ですとかが今減ってきているのは、やはり人口構成による部分というのが非常に大きいというふうに国税庁としては見ているということでよろしいでしょうか。
  111. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) 酒税が落ちている原因、そもそも販売数量も落ちているわけでございますが、様々な原因があると思っております。  成人人口も減少し始めてございます、それから成人人口に占める高齢者の割合も増えてきてございます、それから飲酒習慣のある方々が減少してきてございます、さらに一人当たりの飲酒量も減ってございますなどなど、様々な要因によって酒の販売の量が減ってきていて、課税額が減っているということだろうと思っております。
  112. 中西健治

    ○中西健治君 財務大臣にお伺いしたいと思いますが、今の説明で、やはり販売の数が減ってきているということが酒税が減っている大きな原因であろうということだと思いますけれども、これは安売りを規制するということになると、販売が全体として総量が減っていくということにもなりかねないということだと思います。  それから、財政の観点からいうと、やはり販売に関する規制を強めるということは、プラスにならないどころかマイナスになり得ることがある、十分あるということなんじゃないかと思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。
  113. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 酒に限りませんけれども、大体、物を売るのを規制すればその分だけ減る、当たり前の話であって、別に酒に限った話とは思いませんが、確かだと、そう思います。  今、酒税というのは、一兆四千億円ぐらいの税収入が庫出税の形で入ってきておるので、今言われましたように、消費と直接そこでというあれとは違いますので、全然状況が違うと思っておりますので。ただ、これは、かつて白物と言われた電気製品を量販店が結果的に価格を決めて、まあ逆に力を持ったもので、結果として白物を造っている業界の方が採算が行かなくなってどんどん負けることになっていった、現実問題として。それと同じように、酒も同じような形で、これは十分そういうことになり得るのではないかというようなことは考えないかぬところだと思っておりますし。  また、我々としても酒屋の人によく言うんですけれども、これ、酒屋がちゃんと努力をして、どこでしょうね、いい例。福井の水野の酒、いわゆる我々一般で言えば黒龍とか二左衛門とか、ああいう酒を造っているところですけれども、ここはフランスのロブションと組んで大きなパーティーをやって、ロブション自身が日本に来て、出された酒は四種類、いずれも水野の酒というのをやっているんですが、これは、日本じゃ何となく訳の分かった人が少ないものですから余り評判になりませんでしたが、これはもうパリでは物すごい話になって、これはワインが潰れると。なぜなら、日本酒でロブションを食った方が味の切れがいい。酒はきちっと前の味を消しますので、そういった意味で切れがいいという騒ぎになって、水野は輸出が始まっております。これは結構な騒ぎなんだと思いますので、是非そういった話では、これはえらいことになるんじゃないかなという感じはしますけどね、とは思って見ているんですけれども。  いずれにしても、こういったような話というのは、どこが問題点かと言われると、中西先生、よくよく詰めておかないと、消費者にいいと言った結果、その後ろにいる製造業者が全部潰れるということになりかねぬというところも、我々いろんなことを考えてやらぬと政治家は務まりませんので、是非いろんなことを考えて、総合的に考えないかぬところだと思っております。
  114. 中西健治

    ○中西健治君 私も総合的に考えて、町の酒屋さんのこととか、あと、量販店で売っているものは主たるものが違うんだから、町の酒屋さんも生き残る道は、嗜好品ですから、個性的な色を出すことによって生き残る道はあるんじゃないかなというふうに思っているということでありますが。  資料の一、まさに大門先生がお出しになったものと同じものを私も今日は出していますけれども、酒類に関する公正な取引のための指針、ガイドラインというのを国税庁が出しています。これは、国税庁だけじゃなくて、公正取引委員会も酒類についての合理的な価格についての指針というものを出していますけれども、違いがあります。国税庁の方は仕入価格プラス販管費プラス利潤というふうになっていますが、公正取引委員会の方はこの利潤というのを含めないで合理的な価格というふうに言っているわけです。  目的が違うからそこの部分が入る入らないということはあるんだろうというふうに思いますけれども、国税庁が利潤というものを合理的な価格の中に入れている以上は、この利潤についても何が合理的なのかということについて基準を持っているんじゃないかと思いますが、それはどういう基準なのでしょうか。
  115. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  酒類に関する公正な取引のための指針のところで、今先生がおっしゃいましたように、公正な取引条件、合理的な価格の設定というところがございます。一般的に、商行為であります以上、一定の利潤を加えた価格設定が合理的であるというふうに考えておりまして、そういう意味では、この国税庁の指針におきましても、価格につきましては、仕入価格あるいは販売費等を含む総販売原価に利潤を加えたものが合理的であるというふうに考えております。  ただ、利潤を、どういう基準かという御質問でございますけれども、独禁法とは違いますが、我々、この調査をして指導するという基準におきましては、合理的な価格設定は総販売原価プラス利潤というふうに申し上げておりますけれども、指導の基準としては、この総販売原価を下回る商品取引があったときにつきまして指導を行っているところでございます。
  116. 中西健治

    ○中西健治君 そうすると、利潤については、ゼロ以上であれば幾らに設定しようがそれは販売するところの自由だろうと、こういうことなんだと思いますが、先ほども話があったおとり商品ですけれども、営業戦略の一環として短期間に限り安く目玉商品として売るというものについて、このおとり商品という場合には、利潤がなくて、マイナスになって初めておとり商品だという認識なんでしょうか。
  117. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) おとり商品という単語もございますけれども、いずれにしても、顧客誘引のために一部の商品を供給に要する費用を下回るような低価格で販売するというようなものにつきましては、このお酒の財政物資あるいは社会的に配慮を要する商品という特殊性に鑑みて、そういう販売方法につきましては不適切であるというふうに考えて指導を行っているところでございます。
  118. 中西健治

    ○中西健治君 今、ちょっとそこがはっきりしていないんですが、供給に要するお金ではなくて仕入れに係る価格を下回るということですか。利潤は五円でも何円でもあればいいんだけれども、なくなったら初めておとり商品になるんですか。それとも、おとり商品はゼロであってもおとり商品なんですか。
  119. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) 調査において指導の対象となっている商品の価格のお話だと思いますけれども、我々が指導の対象としておりますのは、仕入価格に販売費とか一般管理費とか足したところのいわゆる総販売原価、供給に要する全ての費用ということを基準にしてございます。
  120. 中西健治

    ○中西健治君 資料二枚目というのを御覧いただきたいと思いますけれども、総販売原価を下回る価格で販売しているというところがどれぐらいあるのかという国税庁の調査。これで、平成十年度以降は、調査したところのうち九〇%以上、もう直近では九八・五%とか九七・六%とかが総販売原価を下回る価格で販売していると、こういうふうになっているわけですが、百のうち九十八の店でこういうことが行われているということは、そもそも基準がおかしいんじゃないかと、時代に即していないんじゃないかというふうにも思いたくもなるんですが、私が国税庁さんと話したところによりますと、このような調査結果に至った理由として、一度でも総販売原価を下回る販売を行ったらこういうことで認定されるということなんです。  公正取引委員会が不当廉売というので認定する要件というのは、継続的にということなんです。これ、一度でも低い価格でやったらこうした総販売原価を下回る価格だというふうに認定するんだったら、こういう結果が出るのはある程度当たり前なんじゃないかと思うんですが、継続的にというのにデータを修正したらいいんじゃないですか。
  121. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  まず、高い比率で、調査の後、総販売原価を下回っているんではないかというお話ですが、これは、当然、事務量の限界もございますので、別に全ての販売場を調査しているわけでもございません。それなりの情報を持って我々調査に入っているものでございますから、そういう意味では、総販売原価を下回るという基準でも高い比率になっているという要素もございます。  それから、公取との関係でございますが、独占禁止法におきましては、今先生がおっしゃいましたように、不当廉売の要件三つございまして、我々の総販売原価を下回るというよりも更に厳しくて、供給に要する費用を著しく下回る対価で、先生おっしゃいましたように、継続して供給し、さらに他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合ということが独禁法上の不当廉売の基準になっておりまして、その場合には違反行為に対して排除措置命令あるいは罰金といった厳しい処分が行われているところでございます。  我々のこの指導でございますが、基本的には自主的に守っていただきたいということで調査、指導をしているところでございまして、そのために、独禁法の基準、いわゆる不当廉売の基準になる前の段階での基準で、先生おっしゃったように一回限りでも指導をしているわけでございますけれども、そういう段階で指導を行って、さらに、必要があればフォローアップ調査という再度調査を行い、さらにそういう調査の中で独禁法に違反していると思料されるときには公取に報告をすると、こういう関係になってございます。
  122. 中西健治

    ○中西健治君 こうした九十何%というデータが示されていること自体が今の酒税法改正議論につながっている部分もあるんじゃないかと思うんです。ですので、一度だけじゃなくて継続的にやっていると、そちらの方がより問題なんだろうと思いますけれども、そうした割合がどれぐらいあるのかというのはやはり併せて出していくべきなんじゃないかと私は思うということであります。  財務大臣にお伺いしたいと思います。  こうした指針、ガイドラインの背景にあるのが昭和二十八年に作られた法律、それが酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律というものなんですが、この法律は、第一条で「酒税が国税収入のうちにおいて占める地位にかんがみ、」ということで特別な指針が設けられているわけですが、昭和二十八年当時というのは、国税において酒税が占める割合というのが二割近くありました。もう明治まで遡れば三割五分、三十数%を酒税が占めていたという時代もありました。それに比較しますと、今は二%から三%というところまでその割合というのは低下しているわけです。  そうすると、この酒税の占める地位というのは大きく変わっているということでありますから、こうした変化がある中で、やはり同じような特別な指針を設けて厳しくやっていくのではなくて、やはり自由な販売というのを認めていく方向なんじゃないかと思いますが、財務大臣の御所感をお伺いしたいと思います。
  123. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) おっしゃるとおり、昭和二十八年のときに一七・九%ですけど、額は大分違いますからね。今は二・七%ですけれども、財政規模が大きくなってきておりますので、その意味では、ちょっと差し引いて計算していただかないかぬところだと思いますが。  他方、いわゆる税収規模で見ますと、一・四兆円というのは結構大きな規模でもありますので、そういった意味においては、国家財政の中に大きな比重を占めておるというのも事実だと思っておりますので、したがいまして、こういった財政物資であるとともに、嗜好性が強いとか依存性が進むとかいった特殊性もありますけれども、とにかく自由な競争の下に行われるというのは、これは日本においては当然なんですが、私どもとしては、先ほども言われましたように、やっぱりバランスが一番大事なところで、合理的な価格設定というのがなされるようにしておかないと、何となく、ちょっと酒の強いところがざあっとということになりかねないという感じもしますので、そういった意味では、販売店の方が強くなり過ぎても、また酒屋の方が強くなり過ぎても、そこのところはなかなか難しいところだなと思っておりますので。  合理的な価格設定と、これは言うはやすしだけど、どの辺が合理的なんだと言われるとなかなか難しいところだとは思っておりますけれども、いずれにしても、きちんとした対応をしていかねばならぬと思っております。
  124. 中西健治

    ○中西健治君 どうもありがとうございます。  時間の関係金融庁さんには今日はちょっと質問できませんでしたけれども、また次回にでもよろしくお願いします。  どうもありがとうございました。
  125. 平野達男

    平野達男君 平野達男でございます。  今日は、財政金融委員会で扱うべきテーマとはちょっと違うテーマについて質問をしたいと思います。麻生大臣始め財政金融委員会のメンバーさんの皆さんにはちょっと御容赦を願いたいというふうに思います。二十分間ちょっとお付き合いを願いたいと思います。  障害者の団体がございまして、これはリウマチでありますとか膠原病でありますとか、あるいは知的障害者でありますとか、様々な障害を持つ方々の団体がございまして、その団体が全国障害者団体定期刊行物協会というのをつくっております。その一環として、東北にも東北障害者団体定期刊行物協会というのがございまして、その支部がたまたま岩手県の北上市にあるということもありまして、私は、震災復興でちょっと中断しましたけど、ずっと交流を続けてきています。  この方々は、移動とコミュニケーションに非常に不自由を持っていますから、その一方で、ふだんの自分の生活とか自分の考え方をいろんな方とコミュニケーションを図りたいという希望を、私たちがふだん生活しているだけではちょっと分からないぐらいの強い要望を持っています。一生懸命になって自分で文章を書いて、そして、それを小さな刊行物にして、できるだけ会員に配るということを年に何回かやっておるわけです。そうやって同じ病気の方々の思いとか何かというものをコミュニケーションを図りながら勇気付けを行うということですね。  そのときに、会員に配付するんですけれども、頒価が十円とか五円です。そうやっても結局お金が返ってこない場合が多いです、会費そのものがそんなに入ってきませんから。  じゃ、なぜそれができるかというと、今の制度で温かい制度がありまして、心身障がい者用低料第三種郵便物制度というのがあるわけです。これは資料一で見ていただきたいんですが、第三種郵便というのがありまして、これはもう定期刊行物ですから皆さん方御承知のとおりなんですが、その中の一つに、(2)に心身障がい者用低料第三種郵便物というのがありまして、この中の低料第三種郵便物の心身障害者団体の発行する定期刊行物ということで、下に書いてございますが、通常五十グラム以内については六十二円なんですが、これを八円、十五円という本当に安い料金で使えるということで、この定期刊行物協会の皆さん方はこの制度を非常に大事にしています。一度これを廃止するという動きがあったときに、団結してこれを何とか継続してもらいたいということでやってこれが継続になったという経過もあるということは皆さん方御承知のとおりでありますが。  今、これがまたちょっとある事件をきっかけに見直しが進められていると。それが、その事件というのが、心身障害者団体が起こした事件ではなくて、全く関係のない方が起こした事件でもって、この心身障害者団体が今まで使っている制度がちょっと変えられようとしているということに対して非常に危機感を持っているということであります。  それで、この事件ということについて、どういう事件が起こったのかということについて、これは厚生労働省からちょっと説明していただけますか。資料三ページ目をちょっと見ていただきたいと思いますけれども。
  126. 藤井康弘

    政府参考人(藤井康弘君) お答え申し上げます。  先生御指摘の事件、平成二十一年の四月でございましたが、自称障害者団体白山会等が、これは障害者団体に適用されます、先生先ほど御紹介いただきました郵便料金の割引制度、いわゆる心身障がい者用低料第三種郵便物制度でございますが、これを悪用したとしてこの白山会会長らが逮捕されまして、その後、郵便法違反の有罪が確定をしております。  当時、厚生労働省におきましては、全国的な組織団体である心身障害者団体に対しまして、心身障害者の福祉を図ることを目的として発行される定期刊行物についての、この心身障がい者用低料第三種郵便物制度の適用を受けるために必要な証明書の発行を行っておりました。この事件では、この証明書の制度が悪用されたというふうにされておりまして、会長が逮捕されました自称障害者団体白山会が、前身の凜の会という名称の団体であった当時の制度適用のために日本郵政公社、現在の郵便事業会社でございますが、これに提出をした厚生労働省発行の障害者団体証明書が偽造だった疑いがあるということが判明をいたしまして、その後、証明書の発行に関わったといたしまして当時の担当課長及び担当係長が虚偽有印公文書作成などの容疑で逮捕されたものでございます。その後、平成二十二年九月に当時の担当課長は無罪、平成二十四年二月に当時の担当係長は有罪の判決が確定をしております。
  127. 平野達男

    平野達男君 制度が、非常に郵便料金が安いものですから、これを障害者団体とは全く関係のない障害者団体をかたった団体が悪用して、それに偽造書を、これは厚生労働省の役人が作って、事実上これは協力した形になっていますね、事件としては。  それは、この問題の中で重要なのは、障害者団体は何もこれに関わっていないんですよ。関わっていないにもかかわらず、一つの結果として、今ほどお話がありましたけれども、厚生労働省がやっていた障害者団体の認定を厚労省がやめてしまうんですね。なぜやめてしまうのかと。事故再発の防止という意味ではそれは分かりますけれども、障害者団体にとってみれば、厚労省さんが私たちの障害者団体ということについていろんなことを、認定要件についてきちっと審査してもらっています、見ていますということでの、一つの国と要するに障害者団体の何か接点みたいな思いがやっぱりあったようですよ。これを、障害者団体が全く何もしていないで、全く別な団体が悪用して、それを役人がしっかり審査しなかったということで、障害者団体の方まで何か悪いものをしたような形の中で捉えるという雰囲気が出ているということについては、これは部長、よく頭に入れて、これからこの団体と接するときは、これは障害者団体が悪いんじゃなくて厚労省の要するに不備といいますか、これは対応が非常に悪かったんです、ここから出てきたことですということで、せめてやっぱり頭下げないと。障害者団体が何もしていないのに何でこんな措置を受けるんですかというような捉え方をしているということだけはきちっと頭に置いておいて、次に対応するときは対応していただきたいと思います。  今回の措置はそれだけじゃないんですね。心身障がい者用低料第三種郵便の運用についても今見直しが行われようとしている。これが今どういう方向で検討されているのか。これは総務省でしょうか。ちょっと簡単でいいですから、説明していただけますか。
  128. 武田博之

    政府参考人(武田博之君) お答えいたします。  経緯を申し上げますと、現行の第三種郵便物、これは郵便法に規定をされておりまして、国民文化の普及向上に貢献すると認められる定期刊行物の郵送料を安くして、購読者の負担軽減を図ることにより、その入手を容易にし、もって社会、文化の発達に資するという趣旨で設けられたものでございます。  先ほどお話がございました不正利用事件を受けましてどうするかということでございますけれども、特にそのときに問題になりましたのは、その要件といたしまして、有償発売八割以上、広告掲載五割以下というところが、これは法律であまねく発売というふうに明確になっておりますので、そういう基準でもって長年、昭和四十一年から運用しているところでございます。  特に、障害者団体の方々からは、有償発売、この八割以上が厳しいのでないかと、こういった御意見、御要望もございまして、そういったことを受けまして、関係者、四者協と申しますが、その間でいろいろ議論を重ねまして、いろいろ提案もさせてもらったという、そういう経緯がございます。
  129. 平野達男

    平野達男君 今、ちょっと聞いていて分かりづらかったと思いますけれども、心身障がい者用低料第三種郵便物にやっぱり要件が付いていまして、それは、今言いましたように、発行部数に占める発売部数の割合が八割以上であること、だから有料であるということですね、それからあと、一回の発行部数が五百部以上であるとか様々な要件付いています。要件付いていますが、この事件が発覚するまでは、こういうことについては厳格な運用をしていなかったんですね。これは、ある意味では政治判断というか、心身障害者に対する国の配慮だったんですよ。  ところが、さっきも申し上げましたけれども、全く関係のない団体が出てきてこういう不正行為をやって、しかも、これは役人の不祥事ですよ。ここから運用を厳しくするという方向になっちゃっているんです。これは、身障者定期刊行物協会に対する国の今までの、どちらかというと暗黙のといいますか、人によったら、それはルーズじゃないかということかもしれませんけれども、これを厳格に運用したら低料金の制度を運用できないんですよ。利用できないんです。だから、この問題を今厳格にするということで、郵便会社ですか、今これ全部チェックし始めています。  それで、一方、それに対して、今、これに代わるものとして、今ちょっと説明がありませんでしたけれども、第四種郵便ということで、これなら大丈夫ということで出すんですが、今度はこれ広告掲載ができないという。今まで広告掲載は自由だったんですけれどね。このことは、事実としては小さいことなんですけれども、この定期刊行物協会の方々にとっては大変大きな出来事のようですよ。今、ボランティアの方々が支えていますし、お金も集まらない中で何とかこれを維持したいということですから。  役人の皆さんがやることは、そういう不祥事があったときに、きちっと厳格にするなら厳格にしてもいいですよ。厳格にするなら、今までの制度を運用できるような形での、運用の仕方が継続できるような制度の見直しをやってくださいよ。そうでなければ、これは郵便事業会社部長がすごいことを言ったなと思いましたけれども、いいことを言ったなと思ったのは、心身障がい者用低料第三種郵便物についての要件については、あの事件があってから全部チェックしていますと言いました。例えば八割以上であること、五百部以上であること、全部チェックしたら、多分これを満足するものはほとんどないと思います。  だけど、チェックはしていますけど、心身障害者の団体についての取消しはしていませんと言うんです。これは、政治的な判断じゃないですけれども、郵便事業者の部長がこういう判断を私の前ではっきり言ったんですよ。やっぱりある意味では、温かさとは言いませんが、今までの制度の中で運用してこれを守りたいという。これを継続したからといってどこにも迷惑掛かるわけじゃないですよ。こういうものを、運用してきたものをきっちり守るという姿勢が郵便事業者にあって何で国にないんだという話ですよ。  しかも、これ第四ページ目の、新第四種郵便物への広告の掲載についてということで、平成二十六年三月十九日、総務省郵便課がこんなペーパーを出しています。これをぱっと見て私が思ったのは、最初、これ内部文書だと思ったんですよ。だって、この中には、二項に、障害者向け制度が法制局で認められない可能性があるなんて。ところが、こんな文書を障害者団体向けに出しているんですよね。こういうところもやっぱり配慮が足りないよね、本当に。何もこれは難しいことを言っていませんよ。だから、方向性を、制度を守るとかということも分かるんだけれども、今までやってきたことを継続させるためにはどうすればいいかという方向で是非考えてもらいたいと思います。  本当は、このことを今日は政務を呼んで聞きたかったんですけれども、質問の内容が事務的な問題になるから、政務にもちょっと上げて、これからまだ四者会談続きますから、そういう方向で検討するということを、ちょっと今日の段階で、部長の段階でどこまで決意表明できるか分かりませんけれども、お二方に、最後に一言ちょっと聞いておきたいと思います。
  130. 武田博之

    政府参考人(武田博之君) 済みません、先ほど先生御指摘の文書でございますが、それまで四者協で口頭でもいろいろとかなり密にコミュニケーションを取らせていただきまして、そこで説明していたものを文書にしたためるとこういう硬いちょっと表現になってしまったという経緯でございます。  ただ、四者協におきましては、非常にこれまでもかなり継続して議論をしておりますし、是非その制度の、何せ法律で規定されている点もございますので、それをないがしろにするわけではございませんが、ただ、先ほど、日本郵便の運用レベルではそういう弾力的な運用をしているということも踏まえまして、今後、引き続き四者協の場で継続的に協議を重ねてまいりまして、制度の適正な運用が図られるように配慮して進めてまいりたいと考えております。  よろしくお願いいたします。
  131. 藤井康弘

    政府参考人(藤井康弘君) 厚生労働省におきましても、四者協議の中でこれまでもしっかりと協議をしてきたつもりでございますけれども、これからも障害者団体の御意見、御要望にしっかり耳を傾けながら、この障害者郵便制度の御趣旨に従いまして、先生冒頭おっしゃっていただきましたような障害者の社会参加の推進という観点から、適切に協力をしてまいりたいと考えております。
  132. 平野達男

    平野達男君 いずれ、冒頭で申しましたけれども、この団体の方々、皆さん集まって同じことを言っていましたけれども、本当にこの制度を大事にしたいというか、思っていますよね。だから、そのことをよく念頭に置いて、そして、繰り返しになりますけれども、今までやっていたものを守るという方向での制度の見直しをやるならやると、あるいは制度の見直しをしないなら運用をやるということでやってもらいたいということを重ね重ねちょっとお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  133. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十八分散会