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2015-03-24 第189回国会 参議院 財政金融委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年三月二十四日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十四日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     白  眞勲君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         古川 俊治君     理 事                 愛知 治郎君                 若林 健太君                 大久保 勉君                 藤巻 健史君     委 員                 石田 昌宏君                 大家 敏志君                 伊達 忠一君                 長峯  誠君                 西田 昌司君                 森 まさこ君                 山本 一太君                 礒崎 哲史君                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 白  眞勲君                 前川 清成君                 竹谷とし子君                 大門実紀史君                 中山 恭子君                 中西 健治君                 平野 達男君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        内閣府副大臣   赤澤 亮正君        内閣府副大臣   西村 康稔君        財務大臣    宮下 一郎君        農林水産大臣  小泉 昭男君        経済産業大臣  山際大志郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      福井 仁史君        総務大臣官房審        議官       青木 信之君        財務省主税局長  佐藤 慎一君        財務省関税局長  宮内  豊君        厚生労働大臣官        房審議官     成田 昌稔君        厚生労働省政策        統括官      今別府敏雄君        経済産業大臣官        房審議官     平井 裕秀君    参考人        日本銀行総裁   黒田 東彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (財政政策等基本施策及び金融行政に関する  件)     ─────────────
  2. 古川俊治

    委員長古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣大臣官房審議官福井仁史君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁黒田東彦君出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等基本施策及び金融行政に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 石田昌宏

    石田昌宏君 自由民主党の石田昌宏でございます。  本日は、二点、税関の問題と、あと投資の促進について質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  まずは、危険ドラッグに関連して、税関の話なんですけれども、私は看護師ですけれども、以前、精神科の病院で働いておりまして、入院患者さんの中には薬物の乱用を繰り返していく中で慢性的な中毒症状を示す方が多々いらっしゃいました。実際、もう薬物は停止しているんですけれども、幻覚、幻聴が止まらなくなったりですとか、認知症状があるですとか、人格荒廃と言ったらあれかもしれませんけれども、本当に人格障害が起きてしまったりですとか、もう体も本当にぼろぼろになってしまうんですね。こういった状況の方がいます。正直言って、治って退院するというようなめどはなかなか付かずに、現実的には、最後生活保護状況になって、ある意味、一生に近い形で入院を続けるという状況の方がたくさんいます。  医療費の負担も相当掛かるもので、こういったような状況患者さんを二度と出してはいけないと思っておりますが、最近、危険ドラッグが話題になりまして、また新たにそのような患者さんを生み出す可能性が出てきたわけですね。  私もいろんな医療現場をこれまで歩いてまいりましたけれども、何年前でしょうかね、三、四年前だと思うんですけれども現場の方で、最近新しい薬物が出ていると、危険ドラッグ、これは今までの麻薬と違って、ある意味社会を崩すかもしれないという声を何度か聞いていました。  議員になりましてから、この問題に関しては集中的に関わるように努力もしていますけれども、確かにそうで、気軽さ、手軽さというのがあって、ドラッグ検挙者のうちの七九・二%が初犯という形で、これを入口にしてこれからどんどん麻薬にはまっていくといった方も多いようです。  ただ、幸いにしてまだ初期段階で、この危険ドラッグは今のところ、ちょっと全部が全部か分かりませんけれども、私の聞いた範囲では慢性中毒症状に至る人はまだ出ていません。まだ初期です。ですから、まだ、対応をしっかりしたら先ほどの荒廃したような状況になる患者さんは生まれないとは思います。逆に、今しっかりと手を打っておかなければどうなるか分からないという状況ですから、最後のチャンスだと思っています。  そういった点につきまして、国も幸いにして関心を非常に示していて、昨年ですか、薬事法改正して作られた医薬品医療機器法が施行されて、危険ドラッグの業者に対しての監視指導対象拡大がありました。また、今国会でも、ここの委員会で、関税法改正の中で、輸入してはならない貨物の中に危険ドラッグを追加するということが議論される予定になっています。  そこで、まずお伺いしたいんですけれども、これまで危険ドラッグ対策を随分やってきましたが、この対策によって危険ドラッグに関連する状況がどう改善してきたのか、具体的にお示しいただきたいというふうに思います。
  8. 成田昌稔

    政府参考人成田昌稔君) 昨年十二月に医薬品医療機器法改正法が施行されたことで、検査命令対象拡大や、従来、店舗ごとであった販売停止命令の効果を広域化し、商品を告示することで、全国的に規制を及ぼすことなどの実効性のある取締りが可能となったところでございます。  危険ドラッグ販売店舗につきましては、麻薬取締部を中心に取締りを強化した結果、昨年三月末には全国で二百十五あった危険ドラッグ販売店舗は、改正法施行後の今年二月末現在、五店舗となっており、ほぼ壊滅状態というふうになっております。また、インターネット販売サイトにつきましては、プロバイダー等に対する削除要請により、国内外のサイトの八割以上を閉鎖又は販売停止に追い込んでおります。  今後とも、関係省庁と連携いたしまして、店舗新規の開店や再開が起こらないよう監視を継続するとともに、危険ドラッグインターネット販売デリバリー対策国内流入阻止のための水際対策に力を一層入れていきたいと考えているところでございます。
  9. 石田昌宏

    石田昌宏君 ありがとうございます。  非常に劇的に状況が改善してきたんじゃないかなという感じ数字をありがとうございます。よかったと思いますが、ネットなど見ていると、例えば麻薬などは摘発が急に大きな量であったりすると末端価格がぱあんと上がったりとかするんですけれども危険ドラッグはまだその価格の変化は余り起きていないんですね。ひょっとすると何か違うことが、漏れていることがあるかもしれませんので、これからも監視の方をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  いずれにせよ、この危険ドラッグ対策水際が大事だと思います。実際には危険ドラッグ税関方々がもうブロックしているから、今この状況で済んでいるのかもしれません。ですから、今後もしっかりとこの対策が大事だと思いますけれども、二十六年度の予算危険ドラッグ対策として税関職員が四十五名増員行われました。そして、二十七年度の予算では五十五人の純増が認められて、定員数で八千八百四十六名となるということだそうです。大幅な増員だと思いますので、関係者努力、非常に有り難いと思いますし、感謝申し上げたいと思います。  ただ、じゃ、これでいいのかというと必ずしもそうじゃなくて、これからも不断の努力が必要だと思うんですけれども、実際、ただ定員を増やすだけではなくて、聞くところによると、こういう麻薬とか危険ドラッグなどを水際でしっかりと発見すること自体はかなり、何というのか、職人芸みたいなところがあるみたいで、また相当過酷な、自分を律していかなければならないような労務態度ども必要だそうですけれども、それについてちょっと詳しくどんなものかをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  10. 宮内豊

    政府参考人宮内豊君) 税関水際取締りにおきましては、様々な貨物国内輸入されてくる中で、まず第一に密輸リスクが高い貨物を見極めることが必要です。このために検査の要否を迅速に判断するということが求められてくるわけですが、税関職員は、貨物仕出し国、品名あるいは形状等から過去の摘発事例に関する情報をあらかじめ頭の中に入れておかなきゃいけない、そして検査の要否を判断していくということが求められます。  また次には、その検査を行うときに、密輸を発見しようとするときの話でございますが、近年、スーツケースの二重工作ですとか、体内への隠匿ですとか、石材の内部に隠匿するとか、その密輸の手口というのは大変悪質、巧妙化しております。ささいな不審点も見逃すことのないよう集中力を持続させることが必要でございます。  次に、隠匿された不正薬物を発見した後の話になりますが、貨物の差押えも必要になる場合がある、それから運び屋に対する調書の作成ということも必要になる、さらに検察官への告発を行うなど極めて専門性の高い業務を迅速に処理しなければなりません。時には警察と一緒に、コントロールドデリバリーといいますが、いわゆる泳がせ捜査を行うことによりまして密輸者摘発を行おうとする場合がございます。この場合には、嫌疑者に気付かれることなく、かつ嫌疑者を見逃すことのないように、長期間にわたり、数か月に及ぶこともあります、二十四時間体制での張り込みを続けなければならないということもあります。  このように、犯則調査におきましては緊張感を持続して業務を遂行しなければならないということもございます。現在、摘発件数、昨年三百九十件ございました。犯則調査に係る業務も増加し、重要性も増しているところです。さらに、外国人旅行者、直近二年で約六割も増えまして、平成二十六年で千三百四十万人となるなど、業務量が増加しております。近年では空港の二十四時間化も進んでおりまして、税関においても二十四時間三百六十五日体制でのシフト勤務あるいは応援体制を取っているところでございます。  薬物以外にも知的財産侵害物品等にも対応していかなければならないということで、この点でも専門知識の習得が不可欠ということでございます。
  11. 石田昌宏

    石田昌宏君 ありがとうございます。  今聞くだけでもかなり大変だと思いますし、また、それができるようになるために相当訓練も要るんじゃないかなというふうに思います。人材育成という点も大事だと思うんですけれども、例えば、そういうふうなかなり勘に近いところもあるとすると、相当先輩の背中を見て学ぶだとか、そういう厳しい現場にいるというようなことも重要だと思います。また、かなり単調な、ずっと観察するような仕事ですから、モチベーションを維持するのもとても大変だと思います。  また、話聞くところによると、例えば、新人を増員していきなり何人も同時に配属されるとなかなか面倒を見切れないとか、逆に雰囲気崩れちゃうとか、そういった職場風土の問題もあるというふうに聞いていますけれども、この点、人材育成をどうしているかということを分かりやすく教えていただけたら有り難いと思います。
  12. 宮内豊

    政府参考人宮内豊君) まず、税関の最大の財産人材であるというふうに考えております。変化する環境に我々の方も変化して、つまり、成長して対応していくことが重要であるという観点で人材育成することが極めて大事だと思ってございます。  このため、まず第一には、関税関係法令とか通達などの基礎的な知識をしっかり身に付けてもらうというところから始まりまして、さらに具体的な検査調査の在り方など実践的な能力を底上げしていく、さらには高度な専門知識を有する職員育成する、こうしたことが重要であると思っております。このため、柏にございます税関研修所というところで、新規採用職員に対する採用研修ですとか、係長、課長補佐課長役職段階別研修を実施するとともに、取締り技法及び情報分析等専門研修を実施しております。  さらに、今お話もございましたが、実務のノウハウを習得していくということも重要でございます。したがいまして、税関現場において先輩職員から後輩職員に対するOJTにも力を入れまして、人材育成に努めているところでございます。  今後とも、職員の技能、知識の向上を図るため、各種研修OJTの一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
  13. 石田昌宏

    石田昌宏君 かなり大変だなと思いました。やっぱり教育環境職場環境というのをしっかりと維持してつくっていくだけのことをしっかりとやっていただきたいというふうに思います。  とすると、増員は非常に重要なんですけれども、単なる定数の増員で良かったなと思うんじゃなくて、どう配置するかとか、計画的に、今後まだいろいろと仕事増えてきますから、オリンピックとかいろいろとありますので、今後何年間かしっかりと計画的な増員をやっていくことが大事ではないかなと思いますけれども、その計画というのはあるんですか。
  14. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 訪日外国人の数というのは、御存じのように、十年前が六百万人ぐらいだったんですが、今は一千三百万人ぐらいまでどんと増えてきておりますので、この十年間でこれだけ倍以上増えるということになってきております。  今のドラッグに関係しますけれども、申告されてくる輸入物件というものの数も、千五、六百万件だったものが今は二千三百万件まで輸入が増えていますので、当然のこととして、その中には薬物以外にもテロの爆薬やら何やらも当然考えられますので、そういった意味で、緊急にこれは増員しないととてもいかぬということで、先ほど局長の方から申し上げましたように、緊急増員で四十五人を緊急増員させていただいて、改めて平成二十七年度の定員査定プラス五十五人ということで百人の純増を確保しておりますが、これは、財務省で百人この種のあれが増員いたしましたことは、関空ができたときに三桁の増員をやった以来ですから、それ以来初めてこういった増員をさせていただくというほどやっぱり切実感があります。  加えて、地方で国際化というかインターナショナル空港になりつつありますので、そこにというような話になりますと、なかなかこれは人も足りませんし、設備もこれは、犬が訓練してにおいとかいうのもありましょうし、TDSTDSというのはトレース・ディテクション・システム、爆発物検査何とかとかいう長い名前機械があるんですけれども、そういったものとかパスポートリーダーとか、そういったような機械というものも設置しなくちゃいかぬということになってきておりますので、いろんな意味で、私どもとしてはこういったことをやらせていただくと同時に、航空会社に対してPNR出せ、パッセンジャー、お客の名前のレコードを出せと、PNRを出せと。これによって、大体名前を見たら、これは石田、危ねえなと大体分かるようになっておりますので、そういったようなもので、情報事前入手とか分析というのも併せて協力をしてくださいというお願いをさせていただいて、税関整備体制をきっちりしていくのにいい意味で有効にと思っていろいろお願いもさせていただいたりして、結構この点は、日本の場合は治安の良さというのが非常に大きな売りの先進国家でもありますので、そこのところをきちんとさせてまいりたいと考えております。
  15. 石田昌宏

    石田昌宏君 是非、今後も、もう必要なことは分かっていますから、着実な計画的な増員をしっかりして今の税関体制を維持していただきたいというふうに思います。  それでは、ちょっと時間ですので次の質問に入りたいと思うんですけれども潜在成長率の表を今資料で配ったと思います。これ、日銀のデータを基にして、今、日本潜在成長率の推移などを見てきたグラフです。今、本当に経済状況を良くして、年に二%の物価上昇をしなければならないと思います。と同時に、やはりプライマリーバランスを、この夏にも議論がありますけれども、二〇二〇年には達成するということは財政上しなければならないことで、これを同時に達成することが重要なんですけれども、そのためには日本経済成長していただかないといけないわけですが、この潜在成長率、この潜在成長率っていろんな出し方があって、計算的にも、実は今の潜在成長率が計算上一年後とかに反映されてしまうとか、いろんな課題もあるんですけれども、ただ、大体これはおおむね日本のこれからの未来を見るには重要なデータであるかなとは思っています。  これ見ると、二〇一四年までですけれども、一%を切るぐらいで、最近は〇・六だとかそういった数字が出ていて、かなり厳しいんですけれども、これをやっぱり上げていくにはどうするかということをみんなで議論をしなければならないと思います。  この潜在成長率を分解しているのがこのグラフなんですけれども、TFP、資本ストック就業者数労働時間というふうに書いています。まずは、その中で特に労働について考えてみたいんですけれども、緑と白の部分ですね、この緑と白の部分は、もう最近の、この十年近くは一貫してというか、十年どころかもっとですね、一貫してマイナス状況になっています。これはいい面で取ると、労働時間の短縮ですとか、そういった面があるのかもしれませんが、やはり就業人口減少だとかそういう構造的な問題があって、なかなかここをもっとプラスにして成長率を上げていくというのは難しいのかもしれないんだけれども、でも、何とかプラス若しくは少ないマイナスで維持できるような政策は必要だと思います。  そこで、まず大臣にお伺いしたいんですけれども、この労働投入に関連して、ここを何とか増やしていくためにはどのようなことをやったらいいというふうにお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。
  16. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、少子高齢化が当分の間継続することは避け難いと、そう思っております。  基本的に、今一億二千七百万と言われているこの人口をどれぐらいまで減で止め切るかというのが今から一番大事なところで、一億は切りたくないと、一億切らないで止めねばならぬと。何となく、一億以下になるとという感じは多くの方がお持ちのようですけれども。  この労働投入を確保していくということは不可欠なんですが、いわゆる労働力人口減少に対応するために、今女性社会進出とかいろいろな形で法律もできたり、今国会再提出されておりますものがあってみたり、女性チャレンジ応援プランでしたっけね、何かいろんなのも出てきているんだと思いますが、先生のところでいえば、介護の福祉の国家資格に関するものを対象者として新たな在留資格を創設するとか、また国家戦略特区における外国人とか、家事支援人材の受入れ等々といった外国人の活用とか、いろいろ今一斉に言われていますけれども、忘れちゃいかぬのは、やっぱり高齢者で元気な人で、失礼ですけど働く以外に才能がないみたいな日本人っていっぱいいますでしょう。  地元にもおられると思いますよ、働く以外に趣味がないみたいな方。趣味仕事ですという、そういう真面目な、僕はおちょくっているんじゃなくて、真面目にそういう人はいらっしゃいますから、そういう方は、働く力、元気があるんだけど、定年という名前でいきなりぽっと切られている、五十八だか六十と、まあ会社によって違うんでしょうけど。現実問題はその方たちはもうぴんしゃん元気な人がいっぱいいるわけですから、そういった方々がいわゆる社会に参画できる、この会社で終わったけれどもというので、現実問題は非正規労働が増えた増えたとわんわん言っている人もいますけれども定年になってそのまま会社が有用だから全部登用しているのは、大体みんなそれは非正規で対応していますから。その方たちはそのまま残られるという方もいらっしゃいますが、それでも、定年で辞められた方とか事情で辞められた方、実はいっぱいいらっしゃいます。  そういった方をうまく参加させるということを考えた方が、少なくとも政府の方からいいますと、税金を納める側ともらう側とでは行って来いで倍違ってきますので、そういった意味では、自ら稼ぐことで財政に貢献していただくことにもなりますので、私どもとしてはそういったものをもっとより積極的にいろいろ考えるべきだと思いますし、事実、民間回って見ていますと、結構利益を出している企業というのは高齢者をうまく使っておられる企業がすごく多いように、私どもから見てもそう見えますので、是非そういった面も広く研究してしかるべきだと存じます。
  17. 石田昌宏

    石田昌宏君 非常に心強い発言、ありがとうございます。私も全くそう思います。前々回ですか、質問をさせていただいたときもやったんですけど、やはり高齢者って何だろうなともう一遍考え直すことをやっていかないと、そこから取り組まないとなかなかこの日本成長というのは難しいんじゃないかなというふうに思っています。  特に、定年は全くやっぱり考え直すべきで、今の生き方は、だんだんだんだん上がっていって、六十なり六十五ですとんと落ちてしまうような、人生しかもその後かなり長いわけですけれども、まだまだ力はあると思います。  私は医療現場ですから、看護師をやっていると、看護師はもう七十ぐらいまでは今平気で働かなきゃならないような状況になっていますし、医師などはもう死ぬまで働いているんじゃないかと思うような状況で、また、できる人はできるし、仕事の仕方さえ工夫すればできるんだと思いますから、多分新しいモデルは、定年というのを置かないで、徐々に上がるけど下がっていくような、この下がり方人生をどうするかということを、これは政治の問題だと思いますけれども、真剣に検討していきたいというふうに思います。是非先導していただいたら有り難いと思いますし、新しい社会というのはそういう社会であるべきだと思います。  次は、今度は資本のオレンジ色の部分についてちょっと議論していきたいんですけれども、この資本ストックは、一九八〇年代、九〇年代は非常に成長率に貢献していたんですけれども、徐々に減ってきて、最近ではむしろマイナスの方向に行っています。ここを増やすことは非常に重要で、なかなか難しいとはいえ、ここの議論をやっぱりすべきだと思うんですけれども、資本投入をもっと増やしていくためには、私は決断というのが要ると思うんです。企業であれば、持っているお金を設備投資に使うためにはやはりそれなりの決断が必要ですし、物を借り入れて使うというのも大事だと思いますし、企業、投資家であれば、どの会社に投資するかというのは大決断でありますし、もちろん個人だって、貯金よりも株を買うとか大決断であって、この決断をしっかりとサポートするような努力をしていかないと、増やせ増やせといっても簡単ではないと思うんですけれども。  それに関しては、私はやはり、よく期待を持たせることが大事だと、投資ではこう言うんですけど、期待というか、私は言葉を換えて、未来への確信というふうに前回も使ったんですけれども、そういった意味をちょっと捉えているんですが、例えば二〇二〇年というのは分かりやすくて、東京パラリンピック・オリンピックがあります。恐らくそれまでには景気が上がっていくだろうというような見込みができますから、比較的今は投資しやすい時期にあるんです。それはなぜかというと、目標が分かっている、具体的な出来事が分かっているし、具体的なゴールも分かっているし、成功した経験も持っているしというものだと思います。ですから、確信を持ちやすいわけですけれども、いつもそれがあるわけじゃないので、それをどうやって確信を持てるかとか、安心して投資できるんだよという空気をどうやってつくっていくかは大事だと思うんですが。  財政金融委員会では、去年は、その点に関してはスチュワードシップ・コードとそれからコーポレートガバナンスの話で取り組んできたと思います。私も去年この点について麻生大臣質問をしたんですけれども、この取組はいいんですけど、形ばかりの評価になってはいけない、実質をちゃんと変えなきゃいけないというお話を大臣はされましたけれども、それから一年たちました。実際、この問題について具体的に、この考え方は浸透し始めたと思うんですけれども、じゃ、何がどう変わってきたのかというのをまず具体的にお示ししていただきたいというふうに思います。
  18. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この間に、数字的にはおととしの九月、これ年に一遍しか出ませんので、内部留保の数字というのは。おととしの九月、企業の内部留保は三百四兆円、それが去年の九月で三百二十八兆円になっております。簡単に言えば、企業は得た利益を設備投資若しくは賃金若しくは配当等々、労働分配率を上げるということではなくて内部留保した。月割り二兆ですよ、二兆の内部留保。それで、さらに税金まけろというんだから、まけて何するんだと、まけてもらってそれをためるだけですかと、おかしいでしょうがというんで随分やり合いましたけれども、結果として、企業の中で物を言う株主、また社外重役等々を会社の中に入れてもらうということで、ほとんど大きな会社は社外重役を入れる。  それから、コーポレートガバナンスとかスチュワードシップ・コードでいきますと、大きな機関投資家で百六十社ぐらいの会社がそういったものに登録をされておられますし、いろんな形で中から物を言う株主が増えてきたせいもあるし、日本の中で円安が定着してきて少なくとも日本の収支がいろいろな意味で変わってきたりしたせいもあるんだと思いますが、日本国内での投資、設備投資を四〇%まで増やしますとキヤノンが言い、いろんな会社が新聞で毎日出てくるような形になりつつありますので、大分、石田先生、変わってきたとは思いますけど、やっぱり十五年、二十年デフレやって、金さえじいっと持っといたら物が下がっていったんですから、何もしないでじいっとしていたやつのが一番安全だったんですよ。  そういう時代を長くやると、そんな簡単に、何というの、頭の中がこうなっているのが変わっていくというのは少々時間が掛かるんだとは思いますが、それでもやっぱり円安のおかげもこれありで随分変わってきたとは思いますけれども、形としては、今少なくとも私企業の気持ちが、今年のベースアップを見るまでもなく、配当やらそういったものにもいろいろな形で出つつあるというところで、まだまだこれからで、この後、後半からもっとはっきりした数字が上がってくると思っております。
  19. 石田昌宏

    石田昌宏君 ありがとうございます。  変わった気配は確かにあるとは思いますからもっともっと強化していきたいんですけれども、ここで一点、実は、昨年の八月まとめられた持続的成長への競争力とインセンティブ、企業と投資家の望ましい関係構築というこのプロジェクトの報告書で、いわゆる伊藤レポートとかというふうにいうんですけれども、そのレポートが出されています。  ちょっとこのレポートの説明を経産省の参考人の方にしてもらいたいと思ったんですけど、時間がないのでちょっとそこは省略させていただいて申し訳ありませんが、このレポート、いろんなことを言っているんですけれども、何かというと、スチュワードシップ・コードだとかそういったものはどちらかというと投資家と企業の経営者の関係にかなり近いものがありますけれども、それだけじゃ駄目だと。例えば、ROEなどありますけど、まあ投資家はそれを参考にして投資する場合が多いですから、企業はROEを高めろと経営者は言うわけですね。ただ、経営者は、外部に対してはそれを言うにしても、実は中に対しては、職員に対してROEという言葉は使わないわけで、そこが職員に、社員に言っていることと投資家に言っていることが違うんじゃないかというのをダブルスタンダードというふうにレポートでは言っているわけでして、そこも一貫性を持たせて、もっと社員自体にも企業全体の価値を高め、そして投資を促すようなモチベーションを上げましょうといったようなことがここには書かれています。  だから、例えばROEを上げろと言うんじゃなくて、むしろ売上げの粗利を上げよとか、それから、例えば在庫を減らせとかというふうに社員に対して言うときに、ただ在庫を減らせじゃなくて、これは売上高、資産回転率を上げることによってROEが上がるんだから在庫を減らしなさいといったような表現をしっかりとやっていくといったことなどが書かれているわけです。  これを読んでいて、去年、私、財政金融委員会でシミュレーションという話をさせていただいたんですけれども、それをちょっと思い出したわけなんですけれども、これは投資に対する評価を現場からシミュレーション、具体的にこのぐらいのことを、一定の幅を決めて、可能性を決めて、この確率ぐらいで成功する可能性が高いとか、これを成功するためには何をどう変えなければならない、そのための成功率は何%だとか、そういう数値で表す手法があるわけですけれども、こういった数値を分かりやすく表してもらうことによって、経営者は、自分がやった、決断しようとしている行為がリスクが高いのか低いのかというのを判断しやすくなるし、投資家もそれを、同じものを見れば、この会社のやろうとしていることはリスクが高いことをやろうとしているのだ、じゃ、引こうかなとか、いや、安心だから投資しようかなとか、そういったものが分かるための手法があるわけで、こういったことについてのお話をさせていただきました。  要は、何を言いたいかというと、そういったものに通じているのは、最終的には経営者が社員や投資家に対してもっと投資していいんだよということをしっかりとしたビジョンを持って示す姿勢こそが大事で、経営者がその姿勢を示すためには、経営者自身がしっかりと未来への確信を持てるかどうかということが大事だと思うんです。  そういったモチベーションをしっかりと高めるための経営の仕方というものについて伊藤レポートはある程度触れているようなところがあるんですね。確かに、スチュワードシップ・コードですとか、とても重要なんですけれども、最終的には投資するというのは人の決断ですから、その決断を促すための仕組みを、もう企業が勝手にやればいいよじゃなくて、国としてもちゃんと環境をつくっていくということが重要だというふうに考えています。  こういったことについて、こういう点にお詳しい大臣のお考えを聞かせていただきたいというふうに思っております。
  20. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、石田先生、やっぱり企業の中において、人心収らんとかいろんな表現があるんでしょうけれども、そういったものをやっていく上に立って分かりやすく説明してやらないと、なかなか、ただこれをやっておけと、昔の体育会じゃないんだからそんな簡単にうまくいきませんから、きちんと図解して説明するという手間暇掛けないと今は若い人は付いてきませんよという話と同じ話なんですけれども、それをやった結果、こういうことになりますよと、それは結果として会社のイメージがこうなって、その結果、売上高が上がって利益が増えて、その分が配当若しくは労働分配率が上がることになりますという話までずっと分解してやる手間というのは、これは昔はそんなに手間掛けなくてもやれたんですけれども、今はインターネットという便利なものが出てきたおかげで、結構、社員に向かって社長が直接インターネットで、LINEでつないだりしているところもありますし、いろんな形で随分昔よりは分かりやすくなりつつあるのかなと思いましたけれども。  同時に、それ説明できる才能のない人というのは難しいんですよ、これ。全然説明できない人はいっぱいいらっしゃいますから、御年配の方なんかはそれは無理。だったら、それはもう堂々と社員と直接語るというのでなければ、分断して十人ごと一組できちんとやっていったらどうですかとか、これは昔からよくある話ではありますけれども。  今後、時代とともにそういった手間暇を掛けるというところも今までとは少し違って必要になってきているかなと私も思いますので、今後ともこの点に関しては、これは経営者自身の話なんだと思いますが、国としても、うちは今後こういうような政策転換して、経済ナンバーワン、プライオリティーは一番高いんですよということを言うことによって、あっ、日本はこの内閣としてはこっちの方向に行っているんだな、これなら投資しても大丈夫だなと思わせるような政策というものが、分かりやすく伝えるといった、我々政治の立場でいえばそういうことかなと思いますけれども。  今、安倍内閣になってかれこれ三年目になりますけれども、少なくとも経済ということでこういうのをやらせてきていただいた結果が御理解いただきつつあるのかなというところで、まだまだだと思いますけれども、途中経過がそういうところかなと思ってはおります。
  21. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 石田昌宏君、質疑終了時間が参りましたので、質疑をおまとめください。
  22. 石田昌宏

    石田昌宏君 はい、分かりました。  今の方向を是非、国としても進めていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  23. 前川清成

    ○前川清成君 民主党の前川清成でございます。  私が財政金融委員会質問をさせていただく以上は、まずはサラ金の話をさせていただかないとと思いまして、そのことを申し上げたいんですが。  二〇〇六年に法改正がありまして、出資法上の上限金利が二九・二%から二〇%にまで引き下げられましたけれども、この前後を通して、自己破産件数、多重債務者数等、いわゆる多重債務被害にどのような変化があったか、お答えいただけますでしょうか。
  24. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この闇金、闇金ってまあ闇金融ね、闇金融の実態を把握することについてはちょっと少々困難な面もあるんですが、これは警察庁調べによる典型的な闇金融、これは闇金融もいろいろ種類ありますのはもうしっかり御存じのところだと思いますので、典型的な闇金融事犯で、簡単に言えば無登録、高金利というような事犯の摘発件数というのは、平成十九年に四百四十七件であったところが平成二十六年には百五十一件にまで減少しております。そして、この検挙人員につきましては二百五十八人というのが、今これ、私どもが警察庁からもらっている資料がこういうことになろうかと存じます。
  25. 前川清成

    ○前川清成君 その闇の部分はそうなんですけれども、まず私の方から時間の都合もあるので指摘させていただきますが、多重債務者の数、これは金融庁の方でサラ金五件以上から借入残高のある者を多重債務者と言っていますが、十九年三月末時点で百七十一万人だったものが二十三年三月時点で七十万件、自己破産の件数が、平成十五年時点で二十四万二千三百五十七件だったのが、直近では、平成二十六年では七万二千九百十三件という具合に、確実に多重債務被害に苦しむ人たちは減っていると思います。  その一方で、今大臣お答えいただいたんですが、サラ金の金利を下げろという議論をしていたときにそのサラ金派の人たちから出た意見が、金利を下げると闇金が増えると、貧乏人に金を貸す人がいなくなるから闇金が増えるという意見がありました。私は、それはおかしいん違うのと、闇金というのは犯罪なんだから、犯罪を取り締まったらしまいやないかと、こう思っていたわけです。  その点について、今大臣から御指摘をいただきましたけれども、これも警察白書の数字ですが、闇金の被害者数、これが平成十五年では三十二万一千八百四十一人、これは平成二十一年と平成二十二年の警察白書からの引用ですが、平成十五年ではおよそ三十二万人だったものが平成二十二年では七万六千五百七十五人に減っていると。こんなわけで、サラ金派の人たちが危惧されていた状況というのは起こっていないということを指摘をさせていただきたいと思います。  とはいえ、平成二十六年時点で自己破産件数が七万二千九百十三件です。この数字が、まあそれは当時に比べれば随分下がっているわけですが、昭和五十七年当時のいわゆるサラ金破産当時でも年間二万件、平成四年のいわゆるカード破産当時でも年間四万件でしたので、まだまだ高水準であって、サラ金の金利を元へ戻そうというふうな客観的情勢にないということだけ是非大臣に御認識を賜ればと、こういうふうに思います。  その上で、先日の所信の中で大臣は、金融機関に対しては、担保や保証に必要以上に依存することなく、企業の事業性を評価した融資等に一層積極的に取り組むことなどを促してまいりますと、こういうふうにおっしゃっています。この部分について、具体的に何を更に一層積極的に取り組まれるのか、お答えいただきたいと思います。
  26. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは昔から、御存じのように、前川先生、日本の場合は、今と違って金がない時代に、戦争から、金がない時代に、金を、前川、俺に貸せといって会社をやるか、前川、俺に投資しろといって金を借りるか。金借りるということにおいては同じなんですけれども、投資と貸しじゃもう全く意味が違うというのは、もう金融お詳しいので、これが全然分かっていない人も世の中いっぱいいらっしゃいますので、物すごく難しい。だから、日本の場合は、借入金でも金利さえ払えばずっと会社続けられますから、投資だとそうはいかない、ここが一番の違いなんですけれども。  金融機関においても、やっぱり担保とか保証に必要以上に依存し過ぎていて、加えてそこは土地だったんですね、今までは。土地は黙っておけば上がっていったものですから、貸した金は土地さえ押さえておきさえすれば間違いなく、土地が上がったところで売って、それで担保というのができる時代がずっと続いていたんだと思いますけれども、今は正直言って時代が違うと。それが、考えて、少なくとも個人保証、他人への個人保証、こういったようなものに依存し過ぎると、それは間違いなく、それは貸付金を取り返せることはできるかもしらぬが、少なくとも経済を発展させるとかということには全然マイナスにしかならぬと。  したがって、俺が金融庁長官になった以上は、少なくとも金融処分庁なんて名前なんというのはどう考えても認められぬと、金融育成庁とか名前が呼ばれるようにしてみせろということを言って、責任は取るからじゃんじゃんということを言い始めたんですから。三十年も銀行業務やったらそれはなかなかもう、何回もやりましたよ。  正直申し上げて、随分信用金庫とか地方の第二地銀とか、そういうところの方がむしろ直接小さな業者と直結しておられますので、そこらの方の方の意識を変えてもらわないとどうにもなりませんので、うちが差し込んできて、おまえ、これ担保不足やないかとかなんとか言うことは、むちゃくちゃなことを言うことはないと、そういうことでもしあったら直接言ってきてくれと。そうじゃなくて、むしろ金融を、積極的なことをしてもらわない限りは地方の経済は動かないんだから、それを動かしてもらわない限りはどうにもならぬでしょうがという話をさせていただいて、これはもうはっきりみんなの前で何回も、紙での通達も出しましたし、何を言ってもなかなか、今度は、頭取は聞いてくるけど、下にそれを下ろしているか、ちゃんと現場課長まで下ろしたかという話を、そこまで詰めないとなかなか事は動いていかないというのが現実だと思いますが、二年たちましたので少し、この間の全体会議を聞いていましても、随分どなりつけられましたので大分変わりましたとは言っている人もいましたし。ただ、それは俺の前で言っているだけなのかもしれませんから、ちょっといま一つ、そのところはもうちょっと調査して教えていただくとこっちも助かります。
  27. 前川清成

    ○前川清成君 大臣、今の御答弁の中で、大臣金融担当大臣でいらっしゃいますので、金融庁長官ではいらっしゃいませんので。  要するに、これまでが、抵当権であるとか第三者保証であるとかあるいは本人保証に過度に依存してきたと、リスクを取らないのに金利というリターンだけを得ていた、その金利というリターンを得る以上はリスクを取れと、こういう指導だろうと思います。その点、今朝の毎日新聞で細溝長官もインタビューに答えておられて、私も全面的に賛同であります。  ちなみに、第三者保証を禁止したのは平成二十二年のガイドラインでして、私どもの政権当時、第三者保証が平成二十二年、本人保証については、昨年、金融庁と中小企業庁とのガイドラインで、取らなくてもいいような場合についての区分けをしていただきました。  私もこの流れというのは大賛成なんですが、その上で、今回公表されました民法債権法の改正要綱の中で、今まで金融庁が中心になってやってきたのは保証の守備範囲を狭めていくと、つまりは、第三者保証は駄目ですよ、本人保証も限りましょうと、こういうことになっているんですが、民法改正要綱によると、第三者保証だって構わない、本人保証だってもちろん構わないと、ただし公正証書を作りなさいよということだけなんですね。せっかくこれまで保証の守備範囲を限定して、それぞれ中小零細企業者の方々がリスクに挑戦できるような金融システムをつくろうとしているにもかかわらず、民法改正で後戻りしてしまったら何にもならないのではないかと、こういうふうに考えています。  麻生大臣は副総理でいらっしゃいまして、安倍内閣政策全般にわたって指導的な立場にいらっしゃいますので、この民法との関係についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  28. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 金融庁としては、経営者以外の第三者のいわゆる連帯保証、個人の連帯保証というのは求めないということを原則とする融資慣行の確立というものを図るために、これは、これまで監督指針において、原則として経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めない旨明記をいたしておるところです。  他方、今言われましたように、本年二月に法制審議会が取りまとめた民法改正要綱におきましても、経営者以外の第三者の保証に関して契約の効力が生じる場合を制限することを内容とする案が示されていることを承知をいたしております。  金融庁としては、この民法改正に向けた動向も踏まえながら、金融機関に対して、原則として経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めない取組を引き続き促してまいりたいと考えております。
  29. 前川清成

    ○前川清成君 若干かみ合っていないと思いますが、要綱を見る限りでは、公正証書を作ればいいと、こういうことになっておりますので、是非、保証の適用範囲、守備範囲を狭めるような方向で御努力を賜ればというふうに思います。  その上で、昨年、日本版ISA、いわゆるNISAがスタートをいたしました。去年の末までに八百三十三万口座が開設をされたと、去年の六月時点でNISAを通じての投資総額は一兆五千六百億円と、相当な数字がNISAを通して投資に回っているわけですが、とはいえ、個人金融資産が一千六百兆円と言われている中でまだまだ一兆五千億円ですから、使われていないNISA口座もたくさんあるというふうに聞いています。  貯蓄から投資へという流れ、これからも推進していかなければならないと思っているんですが、その上で、なぜこれまで日本人は投資ではなくて貯蓄が好きだったのか。これは結局のところ、皆さん、投資をすると、例えば豊田商事とか、投資をすると損をしてしまうと、こういうふうに怖がっておられる。だから、先ほど石田委員からもありましたけれども、安心して投資できるような環境をつくり出していくことがむしろ政治の役割だと私も考えていますが、大臣、いかがでしょうか。
  30. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、まず個人金融資産の話ですけれども、前川先生、一千六百九十になりました。現預金がそのうち八百九十兆。どう考えても異常ですな。五三%、四%が現預金ということですから、これだけ金融資産のものを現預金に偏っている国民は先進国の中で多分日本だけ。  じゃ、なぜそうなったかといえば、多分、先生言われるように、株屋といったら詐欺師の一歩手前じゃないかというぐらいに思われた時代がありましたから、株屋に勤めるなんというのはどこに行くんだなんと言われた時代で、我々の時代はそういう時代でしたから、学生のときに。  したがって、随分それから比べれば、金融の中でも、中も変わってきて、証券とか株式とかいろんなものが随分形の変わったものになりつつあるんだとは思いますが、今でもやっぱり投資信託というようなものは絶対だと思ったらそうでもなかったとか、この株は絶対だと思ったらどんと下がったとか。事実、一九八九年十二月末、三万八千九百円付けていた株が一時期六千円、七千円まで落ちましたから、それは動産という名の資産が四分の一、五分の一におっこちたということを意味しますから、それは痛手は結構まだ、戻ったといったって一万八千円、その株売らずに持っていたとしても、今一万八千、九千円の時代ですから、まだ二万円ぐらい下がっているという計算になりますので、そういった意味では、これなかなか意識として戻ってくるまでには少々時間を要するものかなとも思いますし、同時に、長いこと日本人というのは、そういったものは、やっぱり現金の方が信用できると、事実、円もずっと上がってきましたから特にそういうことになっていったのかなという感じはしますね。そうある日突然にぽんとその意識が変わるというのはちょっと余り期待できぬかなと思っています。
  31. 前川清成

    ○前川清成君 先ほど大臣の御答弁の中で、詐欺師の一歩手前というお話がありましたけれども、それにほぼ近いのが私は先物取引業者だったのではないかと思います。  麻生大臣が総理でいらっしゃった頃に商品先物取引法というのを改正していただいて、いわゆる不招請勧誘、飛び込み営業は禁止すると、こういうふうにしていただきました。ところが、今年、法律は変わっていないにもかかわらず、法律は国会で決めて我々も議論しますが、法律は変わっていないにもかかわらず、農水省と経産省の省令を変えることによってこの不招請勧誘がほぼ骨抜きになりました。  今日、農水、経産の副大臣に来ていただいていますが、なぜ骨抜きにしてしまったんでしょうか。
  32. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 今回の不招請勧誘規制の見直しについては、一昨年、平成二十五年六月に閣議決定されました規制改革実施計画において、勧誘等における禁止事項について、「顧客保護に留意しつつ市場活性化の観点から検討を行う。」とされたものを受けて行われたものでございます。  この閣議決定については、平成十六年の商品先物取引法改正で導入された再勧誘の禁止などの累次の規制強化の影響等により国内取引高が平成十五年度をピークに約四分の一に減少しており、市場活性化が大きな課題となっていること。他方、国内取引所取引に関する苦情相談件数は平成十六年のピーク時に比べ約九七%減少しましたが、このうち約九四%は不招請勧誘規制の導入前の平成二十二年までに減少といった背景を受けて行われたものと承知してございます。  この閣議決定に基づいて、顧客保護に留意しつつ市場活性化の観点から商品先物取引法施行規則の改正を行い、本年一月二十三日に公布したところでございます。
  33. 前川清成

    ○前川清成君 その取引がピークの四分の一になったというのは、商品先物取引市場の需要がその程度、社会における役割がその程度であって、農水省、経産省から協会に天下りが行っていますけれども、その天下り先を守るためにわざと市場を大きくする必要はないと思います。  それで、山際副大臣、お聞きしますが、先ほど麻生大臣は、株価が半分になった、四分の一になったとおっしゃっていましたが、先物取引ではどの程度の損が生じるんですか。
  34. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  35. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を起こしてください。
  36. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 今確認しましたところ、個人でこの取引をやっている場合には数十万円から数千万円の損害になるということでございます。
  37. 前川清成

    ○前川清成君 さらっと数千万円の損害と言われたら困るんですけど、ポイントは、要は、超優良企業であるトヨタの株を買っても、株価が下がれば損します、しかしゼロにはならないんですよ、トヨタが倒産しない限り。  しかし、商品先物取引法の二百十四条の対象になっている先物取引というのは、初期の投資額を超えた損害が発生するデリバティブ取引なんですよ。だから、一千万円余裕のあるお金があるから先物取引しました、じゃ、一千万円すって損じゃないんです、終わりじゃないんですよ。更に損害が生じるわけですよ。それを、たかだか数千万の損だからで目つぶるんですか。今のお答えはどういう意味ですか。
  38. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 私は、たかだかという言葉は使った覚えはございません。事実として、数千万円の損が出るということを事実として申し上げた次第でございます。
  39. 前川清成

    ○前川清成君 それじゃ、今度の改正後の規則の第三号が、六十五歳未満の方で、年金生活者でなくて、かつ年収八百万円以上等々の要件があれば不招請勧誘の禁止を外しています。年金生活者じゃなくて、八百万円の年収があって、六十五歳未満であれば、どうして先物取引のリスクを回避できるんですか。
  40. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 今委員がおっしゃったような条件というのは、不招請勧誘をしてはいけないという条件から外すということでございまして、それだけをもってそのリスクを全部なくす、外すという話では当然ございません。入口の部分で、この条件を満たしていない方々は不招請勧誘はできませんということを決めてあるものであって、そこからもちろん累次、何段階にもわたる説明等々を行った上で、それで取引を始めるという、その入口の部分の条件になっておりますので、それだけで、この条件だけで全てのリスクがなくなるということではございません。
  41. 前川清成

    ○前川清成君 副大臣、よくお勉強していただきたいんですが、あらゆる金融商品を販売するに当たって、説明するのは当たり前、しなかったら説明義務違反になるわけです。一定の年齢の方々に、あるいは年収等に照らして、不適当な方々に販売することは、これは適合性原則違反になるわけです。御存じですよね。  その上で、じゃ、聞き方変えますが、商品先物取引法の二百十四条の九号の最後の括弧書きは、委託者等の保護に欠け、又は取引の公正を害するおそれのない行為に限ってだけ主務省令で適用除外することができると、こうなっています。では、年金生活者ではなくて、六十五歳未満で、年収八百万円以上であれば、何ゆえ、副大臣のおっしゃるところの数千万円の損害が出る先物取引は、委託者保護に欠けない行為と言えるんでしょうか。
  42. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  43. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を起こしてください。
  44. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 委員の御質問に直接答えることになるかどうかは分かりませんが、六十五歳という年齢、年限を設けたことにつきましては、六十五歳までというのがおおむね社会人として現役で働いている年限だということであって、その現役で働いている年限に、その年限に到達するまでの人に関しては、当然社会で生きていく上での理解、様々な理解ができるだろうということでこの年限になっているという御説明でございます。
  45. 前川清成

    ○前川清成君 副大臣、今のは答えてもらっていないんです。今お答えになったのは適合性原則です。適合性原則を知っているとおっしゃいましたよ。
  46. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  47. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を起こしてください。
  48. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 失礼いたしました。  適合性原則というものも確認、今いたしましたけれども、それに加えて、今回この年齢、その人の資産等々の更に上乗せした条件というものを加えたということでございます。
  49. 前川清成

    ○前川清成君 いや、加えていないんですって。じゃ、まあ時間もあるから言いますけど、いいですか、これまでの施行規則の百二条の二の一号は、これまで継続的に先物取引をしていた人、それは分かっているだろうということで除外対象にしたんですよ。でも、じゃ、今度は、今までやったこともない人、先物取引をやったこともない人を引っかけにいくわけですよ。これでまかり通るのかという話。  じゃ、副大臣、今まで先物取引の被害者は、全て六十五歳以上だったんですか、年収八百万円以下の方々だったんですか。違うでしょう。六十五歳未満の方々でも年収八百万円以上の方々でも先物取引の被害に遭ってきたんですよ。それにもかかわらず、商品先物取引法の二百十四条の九号の括弧書きの中の、委託者の保護に欠けるおそれがないというふうに無理やり当てはめてしまうことは、これは委任立法の範囲を逸脱していると私は思いますが、いかがですか。
  50. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、もちろん、商品先物取引ですからリスクがあるということは当然でございますけれども、その商品先物取引を行う上において、先ほど申し上げたように、年が重ねられるうちに様々な状況が変化してきたことを受けて、もう少しこの商品先物取引を活性化させるべきではないかという御意見も当然出てきているわけでございます。  それがあったから、先ほど申し上げたように、閣議決定をいたしまして、二十五年六月に閣議決定をしたものを受けて今回の見直しに結び付けてきたわけでございまして、そういう意味からは、当然リスクがあるということは踏まえた上で、しかし経済を活性化させるということの一方としてこの規制の改革を行っているということでございます。
  51. 前川清成

    ○前川清成君 経済を活性化させるって、無辜の民からなけなしのお金を召し上げて、それは経済の活性とは言わないんですよ。  それと、時間がないし、副大臣、当然御存じだと思ってあえて指摘しなかったけれども平成二十五年の閣議決定、閣議決定とおっしゃるが、それは政府の消費者委員会も反対だと言っているんですよ。各地の消費者センターも反対だ、日弁連も反対だ、今まで消費者被害に携わってきた人たちはみんな反対だ、反対だ、反対だと言っているんですよ。その二十五年の閣議決定は何ら根拠にならないんです。  その上であえて申し上げたいと思います。今回の省令三号を設けたことは、私は取引法の二百十四条九号の括弧書きの委任の範囲を超えていると思います。しかも、今回は不作為ではなくて作為です。あえて新しい禁止除外を作ったわけです。作為なんです。今副大臣はここで質問を受けていますから、こういう法改正がされているということは認識しています。これが施行されて損害が発生したならば、恐らく訴訟が起こります。その場合には、副大臣、あなたも被告になると思いますよ。賠償義務も覚悟した上ですよね。
  52. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  53. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を起こしてください。
  54. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) もちろん、先ほどから申し上げているように、先物取引に限りませんけれども、当然これ金融の関係の話でリスクがゼロということはないわけですね。その中で、どこまでリスクを取るのかというところで、我々は経済成長させるという観点から、少し、言ってみればリスクを取れるような形にしておこうということで、先ほど閣議決定は効果がないという話がございましたけど、平成二十五年に閣議決定をさせていただいて今回のこの改正という形になったわけでございます。  そこで、誰が一体どのように責任を取るかという話ですけれども、もちろんそれは一義的には、リスクをきちんと理解した上で投資をする、あるいはお金を使う方にリスクを負ってもらうということになるのかもしれません。それ以外に、顧客への説明、勧誘を適切に行わなかった、もし仮に行わなかったという事業者については当然それは行政処分の対象になりますし、また様々なルール、厳しいルールを決めていく中で、不適切な勧誘を行った顧客の取引をこれは事業者の計算によるものとみなすという、経済的な不利益を事業者に課するというような仕組みも今回はつくります。ですから、事業者が言ってみればこの損失を受けるということもあるということでございます。
  55. 前川清成

    ○前川清成君 もう一度よく勉強しておいてください。説明義務違反の問題と、適合性原則の問題と、それと不招請勧誘という制度をつくった趣旨と守備範囲とごちゃごちゃにしておられます。  その上で、山際副大臣に聞きますが、日本商品先物取引協会には十七人の役員がいらっしゃいます。この中で専務理事はお一人ですが、杉田さんとおっしゃる方です。この方がどういう方なのかは御存じですか。御存じなければ御存じないで結構です。
  56. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 経済産業省のOBだというふうには承知しております。
  57. 前川清成

    ○前川清成君 元経済産業大臣房審議官の杉田定大さんですかね、こういう方です。  小泉先生、せっかく来ていただいて一つもお尋ねしないと、後でつらいですので一つお聞きしておきます。  この十七人の会長、副会長の中で一人だけ常勤の副会長がいるんです。会長も非常勤、一人だけ常勤の副会長がいます。守田猛さん、この方がどういう方か御存じでしょうか、小泉副大臣
  58. 小泉昭男

    ○副大臣(小泉昭男君) 農林水産省のOBということでございます。
  59. 前川清成

    ○前川清成君 元近畿中国森林管理局の局長だった方です。  今、世間は、この先物取引に対する不招請勧誘の解禁、骨抜きについてどう見ているか。やっぱり経産、農水省は自分たちの天下り先が守りたいんだなと、こういうふうに見ています。あるいは、先ほどの訴訟リスクのことも……
  60. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 質疑終了時刻が参りましたので、質疑をおまとめください。
  61. 前川清成

    ○前川清成君 訴訟リスクもあると思います。  そのことも十分考えて、まだ施行されていないと思いますので、今ならまだ間に合います。これこそ政治の決断ですので、御検討をいただきたいと思います。  以上です。     ─────────────
  62. 古川俊治

    委員長古川俊治君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、風間直樹君が委員を辞任され、その補欠として白眞勲君が選任されました。     ─────────────
  63. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  今の前川委員のやり取りを聞いておりまして、二、三発言をさせていただきたくなりましたので、付言をさせていただきます。  本当は小泉副大臣も山際副大臣もおいでになられたらよかったと思うんですが、この場にですね、聞いていただけたらよかったと思うんですが、我々も経済は当然成長させたいと思っていますから、成長戦略が大事だと、ここはもう共有をしております。規制緩和とあえて言わずに規制改革というふうに言わせていただきますが、やはり成長の障害になっている規制は見直し、成長の障害になっていなかったり、あるいは社会的な必要性があるから施行されている規制ないしは施行しなければならない規制はちゃんと維持、拡充していく、まあ当たり前の話ですよね。  だから、是非、副総理のお立場で小泉さんにも山際さんにもお伝えいただきたいんですけれども、結局、先物取引が活発化しないのは顧客が足りないからだという発想で勧誘対象先を拡大するために不招請勧誘を緩めていくというのは、これはもう本末転倒でありまして、それは前の安倍政権のときに総合取引所構想を取り上げられて、私もそれは適切だと思っていたから、その後の、安倍さんの後ですから福田さんか麻生政権かもしれませんが、だんだんフェードアウトしてしまった総合取引所構想を私たちのときに、私が規制改革担当副大臣をさせていただいていたときに、やっぱりこの総合取引所構想はやらなくちゃいけないと。そのためには、経産省や農水省が、まさしく今、前川さんがおっしゃったような理由で、囲い込んでいる商品取引も含めて、言わば総合取引所にしていかなくてはいけないという流れをまたつくったわけですよね。  そのことについては、今また与党の皆さんの中でも双方の意見があると思いますけれども、先物取引を活発化させたいと思えば、それは、今申し上げました商品取引の関係省庁の囲い込みや天下り先確保の動きを封じて、そして取引そのものが本当の意味で活発化するための制度やインフラや新たな規制を考えていくということであって、今のお話聞いていると、何かまた十年前に戻っちゃったなという感じがいたします。  あわせて、今日、前川委員質問で私も勉強させていただきましたが、ちょっと驚きですね。六十五歳未満で年収が八百万円以上ある方なら不招請勧誘やっていいと、経産省、農水省がこういう政省令の見直しをやっているというのは驚きであります。  大変勉強させていただきましたので、私も経産省、農水省にはこの後しっかり意見を言いたいと思いますが、この件に関して、麻生大臣、副総理として、規制改革、成長戦略が今のようなことで本当にうまくいくのかどうかという視点から一言御意見をお伺いしたいと思います。
  64. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 規制は緩和すれば全てうまくいくとも限りませんし、規制を厳しくしないとうまくいかないものもありますので、これは一概によく規制緩和、規制緩和と書いてあるのは物を知らない人が書いているんだと、私は常々そう思っております。  それから、先物相場で言わせていただければ、少なくとも、七代将軍吉宗ですから一七〇〇年だと思いますけれども、もう一七〇〇年には堂島には米の先物取引がありますからね。だから、先物取引の歴史としては長いものがあったんだと思いますよ、日本の場合は。日本は才能がないとかなんとか偉そうなことを言っているのがこの間いたけど、アメリカのCBOT、いわゆるシカゴ・マーカンタイル、あれができたのは千八百四十何年ですから、あれより百年も前から日本は先物相場をやって、当時で何を相場の対象にしていたかというと、お米だそうですけれども、一日で取引高二百万石という文書が残っていますけれども、二百万石の米を大阪だけでできるはずがありませんから、その他のところにも売っておった。通信手段は何でやっていたんだと調べてみれば、全部手旗です。手旗で岡山まで十分で行く、京都まで七分で行くなんということをやっているというのが歴史の本に書いてありますけれども、やっぱりそういった才能がないわけではなかったんだと思います。こういったものも一つの指標にはなるんだと、私はそう思っておりますけれども。  いずれにしても、こういったようなものよりは、大多数の方々は米を作りというようなものをやっていた、農業にいそしんで飯を食っているのがこの瑞穂の国、当時、人口三千二百万とか三千三百万とか言われていますけれども、その時代はそれで食べていた人がほとんどですから、先物をやっていた人でちゃんとなりわいを立てていた人なんというのは本当にパーセント以下ぐらいの数しかなかったはずだと思いますので、そういったところに多くのものが入ってくるということを期待するというのがそもそも何となく間違っておられるんじゃないかなという感じはしますけどね。
  65. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、江戸時代の話からひもといていただいてありがとうございます。  プロが先物取引をビジネス上の必要性からおやりになるのは、それはもうとやかく我々が言うことじゃないですが、あくまで個人の話をさせていただいておりますが、いずれにしても、この後、私も若干金融政策のことは触れますが、この後、他会派の藤巻さんや大門さんもまた金融のことを聞かれると思いますが、アベノミクスの一番目と二番目の矢はこれは対症療法にすぎなくて、まあ時間稼ぎですよ、これは。三番目が一番大事なんだけれども、この三番目に関して、本質からずれた先祖返りするような取組を今の事例で分かるようにやっているようでは、これは成功する確率は極めて低いと言わざるを得ないです。  先般、二月二日の予算委員会でも指摘をさせていただきましたが、例えば独禁法の独占の適用除外ですね、十五の法律で二十以上の分野がそうなっている。これも、私、最初の内閣府副大臣のときに途中から公正取引委員会の担当もさせていただいたので、これの見直しをやろうということで、一番最初に取りかかろうとしたのが農協ですよ。別に農協が悪いと申し上げているわけではなくて、金融から物販から冠婚葬祭から旅行代理店まで全てのことができる事業体が地域独占が認められていて、これがやはり独禁法の適用除外になっているということは、まあ当時は必要だったかもしれないけれども、今やどうなんだろうかということで見直しに取りかかろうとしたわけでありますが、今の与党の皆さんは違う観点から農協改革も取り組んでおられますが、独占禁止法の適用除外の話も含めて、規制改革の本質と方向性を見間違うと、アベノミクスの一番大事な部分であり、野党も決して内容によっては反対ではない成長戦略の部分で失敗する可能性が高いということを申し上げさせていただきますので、麻生副総理におかれてはしっかり御対応いただければ幸いであります。  あわせて、もう一つ、前川委員麻生大臣のやり取りをお伺いしていて聞きたくなってしまった点がありまして、それは、日本金融資産の五割近くは預貯金だというやり取りをしておられましたね。それはそのとおりなんです。だからこそ貯蓄から投資云々というこの議論は、まあ実は、どうでしょう、十年とか十五年前であれば適切だったと思いますが、異次元緩和をここまでやっている現下の状況では、果たしてそういうロジックが本当に通用するのかというのもちょっとお伺いしたいんですが。  つまり、その現預金の五〇%の大半は、これは金融機関経由で国債が購入対象になっているわけですよ。現預金の比率が五割から四割に下がるということは、その一〇%分は、金融機関は例えば国債を手放すなりなんなりをしないと預金者に返せない、預金者に返せなければ預金者は株の投資もできないと、こういうことになっていますのでね。  果たして、現預金の比率が今後いい意味で低下するという形で金融の資産の構造が変わっていったときに、日本の国債は誰が買うんでしょうか。
  66. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いろんな状況が、それは大塚先生も御存じのように考えられると思いますけれども、そういったようなものが投資に回る、投資に回るということはそれなりに経済成長する、経済成長するということは当然そこに資金の需要が起きますからそちらに回す、それが回り回って税金に戻ってきますので、そういった意味では、国債を売らなくても税収が増えるという面で随分買われるということだと存じます。
  67. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 委員長、ちょっと一瞬速記止めていただいていいですか。
  68. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  69. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 速記を起こしてください。
  70. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 済みません、御答弁中にちょっとこちらでやり取りしておりましたが、いずれにしても経済情勢と経済構造が大きく変わっておりますので、今御指摘させていただいたような点にも御留意いただきながら運営をしていただければと思います。  さて、所信を先般拝聴したわけでありますが、二点ほど、まず事実関係と御認識を確認したいと思います。  いただいた所信の二ページ目で、実は、「民需主導の持続的な経済成長を実現するためにも、また、日本銀行が現在取り組んでいる金融緩和を円滑に進める上でも、」というくだりで大臣は、私の記憶では、ここを金融緩和と言わずに金融政策とおっしゃったんですよ。それは単なる読み間違いなのか、やはり金融緩和を円滑に進めると言うよりも、ここは金融政策を円滑に進めるというふうに言った方がいいという御判断でその場で表現を変えられたのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  71. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 記憶にありません。
  72. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうであれば、これは委員部かあるいは議事課かにお願いをしておきますが、金融政策というふうにお読みになりましたので、もし訂正されるならちゃんと訂正手続を取ってほしいですが、いや、私は何か意味があるのかなと思ってお伺いしたんです。  やはり、先般ここで日銀報告について黒田総裁ともやり取りさせていただきましたが、さすがに去年の十月三十一日のあの異次元緩和第二弾及びそれ以降の対応には、ちょっと私も最近大いなる疑問を持っております。委員の皆様方にも御報告申し上げますが、あの場で十月三十一日の異次元緩和の第二弾をやる以上は、あのことによって大いに円安が進んだんですけれども、更に。その円安というのはメリットもデメリットもあるので、デメリット部分も勘案して、やはり中央銀行たるもの、あれだけの政策変更、追加措置をしようとするならば、日本経済にとってのメリットとデメリットを定量的に把握をした上でやっているんですよねというふうにお伺いをし、資料要求をしたところ、そういう資料は作っていないという回答が正式にありました。  そういう中で、今のような緩和政策を続けること、あるいは中央銀行のそういうやり方には大いに私は疑問を感じておりますが、もちろん金融政策の中身についてここでいろいろおっしゃられないのはよく分かりますけれども、しかし、中央銀行の金融政策と連携して今アベノミクスはやっておられるわけですので、中央銀行が検討が不十分であると、金融政策の結果、デメリットの方が大きくなるわけですよ。こういう問題意識から先般のやり取りは今御紹介しましたので、日銀の在り方についてもし御所見があれば副総理としてお伺いをいたします。
  73. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、もう日銀におられたので御存じなんだと思いますけれども、我々は、少なくとも事金融のことに関しまして、日銀の金融政策、いろんな意味での政策に関して私どもたちが直接口を差し挟むと、こういったことをしろとかするなとかいうようなことを直接言うことはない。我々はよくお目にかかる機会もありますし、いろんな形でよく話をさせていただく機会がありますので、そういったときにいろいろな話をさせていただいて、自然とお互いの話ができるような関係を作り上げるように我々は努力していると思っておりますけれども。  いずれにいたしましても、円安というのはいい面もあれば、円高の方がいい場合もある。もうこれは経済というのは常にそういうものだと思っておりますので、今の状況に関して、いわゆるファンダメンタルズに沿って円が高くなったり安くなったり、ゆっくりだけど確実というのにしないと、急に上がったり下がったりするほど一般が迷惑するものはありませんので、そういったものの調整というものも十分に踏まえながら対応していただくように我々は期待をいたしております。
  74. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 是非、日銀総裁とはしっかり意思疎通を図っていただきたいんですが、中央銀行というものは、やはり今回のような実験的な政策に取り組んでいる中で、より定量的に自分たち分析をするなりの努力を怠って、何か鳩首会議で集まって、ううんとうなってみて、最後は、どっちかといえば緩和した方がいいなとか、どっちかといえば現状維持がいいなとか、こういう牧歌的な対応をしているようでは、また日本経済、気が付いたら大きな問題を抱えることになりかねないと思っております。私は、前回のバブルの発生、崩壊の過程はまさしく金融政策現場の一職員として働いておりましたが、私の印象では、今の株式市場の状況は八六年から八七年の雰囲気と物すごく似てきたなというふうに感じております。  そのことを申し上げるとともに、中央銀行及び中央銀行総裁たるもの、どこかの放送局の会長のように、政府が右と言っているものを左と言えないみたいな、そういう発想で、政府がこういう方向の経済政策をやろうとしているから、自分たちのやろうとしていることのデメリットは分かっているけれども、ここは頬かむりをして付いていくんだ的な中央銀行は百害あって一利なしだというふうに思っておりますので、そのことも含めて、今後適切な御対応を麻生副総理・財務大臣にはお願いをしたいと思います。  その上で、所信についてもう一か所お伺いしたいんですが、その同じページに、平成二十九年四月に消費税率の一〇%への引上げを確実に実施いたしますと、そうおっしゃった上で、そうした状況をつくり出すという決意の下、経済運営に万全を期してまいりますとおっしゃったんですが、その消費税引上げは二〇一七年四月はもう必達、変更はないというふうに私は思っていたんですけれども、そうした状況をつくり出すという決意の下、経済運営に万全を期してまいりますと……(発言する者あり)失礼しました。年号のところは後で訂正させていただきますが、平成二十九年四月に一〇%へ引き上げるのはもう変更なしと思っていたんですが、まだ変更する場合もあり得るという理解でいいですか。    〔委員長退席、理事若林健太君着席〕
  75. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 我々は、基本的には、平成二十九年四月まで約十八か月間延期をさせていただいております背景は、少なくとも消費税三%上がったことによって日本の消費者の消費マインドが下がった、したがって、このままの状況で更に二%上げるということは経済全体に与える影響が大きく、デフレ不況からの脱却を目指す我々にとっても余りいいことではない。したがって、一年六か月間延ばさせていただいてこの日にちに延ばさせていただいたんですが、少なくとも私どもの考えておりますのは、その一年六か月を延ばしている間、約三年弱ありますが、それまでの間に、我々は、あと二%ぐらい払っても、良くなったわねと言われるような経済を、景気を上げていくというのが我々に今与えられている使命だと、私どもはそう思っております。  したがいまして、私どもは、よほどのことがない限り、よほどのこととは何か、かつてのような大震災とか、何でしょうね、まあリーマンなんてちょっと起こりそうもありませんけれども、そういったような、今回延期をさせていただいたような程度の理由ではなくて、きちっとしたよほどの大事件でもない限りは予定どおり実行させていただくと、そういうつもりにいたしております。
  76. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 よほどのことがどういうことかというのは別にして、そうすると、一〇〇%実施するというわけではないという理解でいいですね。
  77. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私どもは、経済というのは生き物だと、大塚さん、僕は思っているんですよ。そうじゃないと思っている人もいっぱい世の中にいらっしゃいますけれども、商売をやってきましたので経済は生き物だと思っています。したがいまして、何が起きるか分からぬものだと思って商売してきましたので、少なくとも私どもは、こういったものに全て一〇〇%なんてものはない、そう思ってはおりますよ。  しかし、今のこの段階で私の立場から言わせていただければ、これをきちっと実行せしめるように経済をいかにやっていくかと、景気をいかに対策していくかというのが全てだと思っております。
  78. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 よく大臣のお考えは理解できました。  さて、今日は残された時間でアジアインフラ投資銀行、AIIBについてちょっとお伺いしたいと思いますが、この動きはここのところ急に報道されるようになってきておりますけれども、AIIBに関して日本は参加をする意思が多少なりともあるんでしょうか。    〔理事若林健太君退席、委員長着席〕
  79. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この話は昨年のG20の前後ぐらいから我々のところにいろいろ耳に入ってくるようになった話だと記憶をしますけれども、今この種の話で、アジアにおいてインフラストラクチャーの絶対量が不足しておるということに関しましては、これはひとしく皆認めているところであります。それに対して世界銀行、IMF、アジア開発銀行等々のいわゆる持っております資金量を上回る資金需要があるということも事実なんだと思いますけれども、現実問題として、資金需要があっても、その金を借りてきちっと約定どおりに返せるだけのものができるか、あるかという話はこれは全然別問題でありまして、お金を融資する立場に立てば、その金が返済できるような計画に基づいて金は融資されるべきものだと思っております。  このアジア・インフラストラクチャー・インベストメント・バンクですか、AIIBに関して言わせていただければ、このAIIBは、じゃ、その融資をするプロジェクト、融資をする相手国、融資をする額等々は誰が決めるんですかと。誰が決めるんですか、すると、理事会はないと。じゃ、誰が決めるんですって言ったら、中国の総裁がお一人でお決めになると。ほう、ああ、そうですか、そんな有能な方がおたくにいらっしゃるんですかと、それが最初の会話です。  それから何回もお見えになりましたので、何回となくその話をして、質問に答えてくださいと。これはどこにつくられるんですかと。北京ですか、どこにつくられるんですと。誰がやられるんです、そのリストだけ見せてくださいと、それから規約も見せてくださいと。それがない限りは我々は、少なくともアジア開発銀行等々を通して金を貸してある先に、後から追っかけでむちゃくちゃな感じの融資が入ってきて、このおかげで取りっぱぐれたといったら、こっちの今まで貸してある分の返済が滞るのなら割食うのはこっちだから、俺たち、そんな人良くないですよと。だから、失礼ですけれども、その話は私どもとしては乗れないと。だから、これを見せてくださいということを今言っているのは、日本とアメリカははっきりそう申し上げていると思いますが、今のところ、三月三十一日までに出せと言うから、三月三十一日までに出すのはそちらの方の、私らの出した答えを出すのが先ですということを申し上げております。
  80. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、これは事実確認ですが、中国からAIIBにできたら参加してくれという要請なり打診があったということでいいですねということが一点と、アメリカからは参加するな、ないしはしない方がいいというサジェスチョンをもらっているかどうか、事実関係について教えてください。
  81. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まず最初に、アメリカとはこの話をしたことは何回もありますけど、常識的に考えればそうですから、別に要請も何もありません。そうだよなと、それで終わりです。  それから、向こうから正式に私に向かって何々大臣、最近誰が大臣かよく分からないんですけれども、楼継偉が来たことは、直接来たことはありませんので、私どものところの財務官とか国際局長のところのレベルでの話合いというものが間接的、直接的にあっていることは、この一、二か月、事実であります。
  82. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 中国からの要請があったんですか。
  83. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今私の申し上げましたのは、最初の部分がルー、ルーというのはアメリカの財務長官からの話で、お互いに話をしたのがジェイコブ・ルーの話で、後半の部分でいろいろ私に直接ではなく財務官、国際局長等々に間接的に等々、いろいろ直接的にもこの話に参加の要請があったのは中国からであります。
  84. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 かつてのニクソン大統領の頃のように、日本の頭越しに、はたと気が付いたらアメリカはAIIBに参加するという意思表示をするというリスクは全くないと考えておいてよろしいですね。
  85. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この種の話は、アメリカの場合ころっと変わるのはよくある話ですから驚くことはありませんけれども、別にそういうことが起きても、私どもとしては、この条件が満たされないままでいくというのは、それはとても危ない橋を渡ることになろうかと思いますので、正直言って、私の立場としては、誰が、いつ、何を、融資の対象国をというようなことがきちっとルール化されていない前に参加するとかいうような形で、AOA、アーティクルズ・オブ・アグリーメントというような、AOAをサインするというようなつもりはありません。
  86. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 金融機関のガバナンスあるいは国際金融機関の健全性という観点からいえば、もう今大臣のおっしゃったとおりで何の異論もありませんが、この問題はそういう判断基準だけで動いているわけではないということはもう皆さんそれぞれ御理解なさっているはずであります。  中国は二〇〇〇年にWTOに参加をして、共産主義国家がなぜWTOに参加するのかというのは驚きでありましたけれども、軒先を貸して母屋を取られるような状況に西側諸国は経済的にはなっているわけでありまして、二〇一〇年には日本は中国にGDPを抜かれて、中国は世界二位の経済の規模の国になり、そして二〇一五年には言わばブレトンウッズ体制の国際金融ネットワークの一角を崩しにかかっているという文脈から理解するべきであって、そういう中で日本は適切に対処していかないと、気が付いたら一人取り残されていたということにならないようにしっかり御対応いただきたいということを申し上げておきます。  実は、この後、参考人でいらっしゃる日銀の黒田総裁はADBの総裁もやっておられたんですが、ADBも、一九六六年につくったのはいいんですけれども、円の国際化に果たして本当に寄与したのかどうか、ADBの功罪についてもいずれはきっちり議論をしなくてはならないというふうに思っておりますけれども、今度のAIIBはレンミンビーの国際化ということも明確にそのターゲットに入れているわけでありまして、これは中国の国家戦略上どういう問題かという観点から日本はどう対処していくのかということを、今後もこの委員会議論をさせていただきたいというふうに思います。  最後になりますけれども、総務省においでいただいていますので、自動車税制について一点だけお伺いをいたします。  これ与党の税制改正大綱なので、総務省にこれを直接お伺いするわけではないんですが、与党の皆さんの大綱には、車体課税は消費税率一〇%段階の見直しについて、平成二十八年度以後の税制改正において具体的な結論を得るというふうになっておりますが、総務省として、消費税が一〇%になるときには車体課税は廃止するという方向で考えているかどうかということと、自動車のその他の税金も含めて、結局、ネット、増税になるような対応は考えていないかどうかという点について、現時点での総務省の見解をお伺いします。
  87. 青木信之

    政府参考人(青木信之君) お答え申し上げます。  自動車税制につきましては、平成二十四年八月に成立をいたしました税制抜本改革法第七条を基本として、平成二十五年度から平成二十七年度の与党税制改正大綱を踏まえて検討していくことになるものと考えております。  自動車取得税につきましては、与党の平成二十七年度税制改正過程において、消費税率一〇%段階で廃止することを再確認をした上で、消費税率一〇%段階の車体課税の見直しについて、これまでの税制改正大綱に沿って平成二十八年度以後の税制改正において具体的な結論を得ると、こういうふうにされたところでございます。  平成二十六年度の与党税制改正大綱におきましては、消費税率一〇%段階において、平成二十五年度の与党税制大綱を踏まえ、自動車取得税のグリーン化機能を維持強化する環境性能課税を自動車税の取得時の課税として実施する、この環境性能課税の税収規模は、平均使用年数を考慮した期間において、ほかに確保した安定的な財源と合わせて地方財政へは影響を及ぼさない規模を確保すると、こうされているところでございます。  こうした考えに基づきまして……
  88. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 答弁は簡潔にお願いします。
  89. 青木信之

    政府参考人(青木信之君) はい。  平成二十六年度、二十七年度の改正、また環境性能課税が導入される二十八年度以後の税制改正による車体課税の見直しにつきましては、中期的には税収中立を基本に検討されるものと考えておりますが、平成二十六年度の改正におきまして軽四輪等の税率引上げが新車から行うということにされたことなどから、当面は減税先行になるものというふうに考えております。
  90. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 終わります。
  91. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 維新の党の藤巻です。よろしくお願いいたします。  まず、質問の前に、先ほど前川委員の方から先物市場、先物についてお話があったので、金融界に長くいた者として一つコメントをしておきたいなと思っているんですが。  先物市場ってやっぱり国民の皆さんに非常に危ないものだとかそういうイメージがあるかと思うんですが、現物市場と先物市場、現物市場というのは皆さんが取引している市場ですけれども、現物市場と先物市場の違いというのは、決済日が今日かそれとも将来かだけの違いなんですね。要するに、株の取引、まあ三日後決済、決済というのはお金と現物、その株とを交換することを決済日といいますけれども、三日後にしても、まあそれを今日と考えれば、その今日決済をするのが普通の皆さんが考えている取引。先物取引というのは決済日が将来にある取引、その差しかないわけです。決済日がいつかという差しかないわけですね。  ただ、決済日が先にあるということだけで、一つは売りが簡単にできるということと、もう一つはレバレッジが効く、要するにてこの原理が効く、証拠金という小さい金額で大きいリスクが取れるというこの二つの特徴が出てきているということだけであって、ですから、先物市場が悪いというイメージだけは絶対に持ってほしくないですし、財務省、それから経産省としても、そういう前提で市場をつくっていただくというのは間違いだと思います。その辺だけは十分気を付けていただきたいと思います。  まさに国債市場にしろ、株の市場、株はどうかな、為替の市場、為替の市場はフォワードマーケットといいますけれども、そちらの方がよっぽど大きいんですね。フォワードマーケット、為替のフォワードマーケットをやりますと、直物市場に当然同じ取引が出てくるので、直物の方が大きいように見えても先物市場の方が実際は大きいという認識で、先物市場即悪者という考えは是非払拭していただきたいなというふうに思っております。これはコメントです。  質問に入りますけれども、先日の予算委員会で私は黒田日銀総裁に、出口、金利を上げる方法がありますかというふうにお聞きいたしました。これは、アメリカのFRBがやっているように、日銀にある民間金融機関の当座預金に付ける利息を上げていくという方法によってしか金利を上げるという方法は今だとないですね。ただ、アメリカのように、FRBがやっているように日銀はそれはできないですね。なぜならば、日銀が買っている資産というのは非常に低い利回りなので、その収入がすごく低い。そのときに、日銀の負債サイドにお金を、支払金利をたくさん払っていたら、日銀は損の垂れ流しになって債務超過になってしまう可能性がある。日銀がもし債務超過になるということになれば、もう日本経済はめちゃくちゃですし、円は暴落するし、長期金利は暴騰ということで、そういう利上げの方法はありますかということをお聞きしたんですが、黒田日銀総裁は明確には答えてくださいませんでした。  今日はそれを突いてもいいんですけれども、それ以前に、利上げをする前にはそもそもテーパリングを行わなくちゃいけないわけですね。要するに、国債とか債券を買い続けながら、すなわちお金を垂れ流しながら、天からばらまきながら利上げをするなんて、これは相矛盾するようなことはできませんから、まず、利上げをする前、それやってくださるか、やれるかどうかというお答えがなかったので、その前の前提についてお聞きします。  まず、日銀は、テーパリング、今国債を年間八十兆保有高を増やす、長期国債を増やすということをおっしゃっていますが、それをいつかやめることができるんですかという質問をまずはさせていただきたいと思います。黒田日銀総裁、お答えください。
  92. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 量的・質的金融緩和の出口に当たって御指摘のようなテーパリングというのが一つの手法であることはそのとおりでありまして、米国が昨年からテーパリングを始めて昨年それを終了して、バランスシートが今フラットになっているわけであります。そうした下で、御指摘のように、短期金利をいつから上げるかということが大きな焦点になっているということでございます。  米国と同じような形で出口を探っていくかどうかというのは、やはり経済とか金融、あるいは市場の状況がその際にどうなっているかということによるので、一概には申し上げられませんけれども、そういったことも一つの手法として十分あり得るし、そういう事態になったときには当然検討されると思いますけれども、現時点でまだ二%の物価安定目標の達成に向けて量的・質的金融緩和を継続しているわけでございまして、そういった出口、あるいはその際のテーパリング等について具体的に申し上げるのはやはり時期尚早であろうというふうに思います。
  93. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 私は出口を聞いているわけじゃなくて、テーパリングはできますかできませんか、イエス・オア・ノーを聞いているんですけれども、いかがでしょう。
  94. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 何度も申し上げますが、どのようにして出口、あるいはその前の、今御指摘のようなテーパリングというようなことをするかというようなことについては、今の段階で具体的に申し上げることは適当でないと思いますが、テーパリングも含めて様々なオプションがあって、それは必要なものは当然行いますし、できるというふうに考えております。
  95. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 何度も申し上げますけれども、私はできるかできないかということだけ聞いておりますからね。もしテーパリングができないのであるならば、日本銀行は未来永劫に国債を買い続ける、要するにお金を垂れ流し続けますから、これは当然物すごいバブルになるし、物すごいハイパーインフレになってしまうと思うんですが、答えは、今テーパリングができるっておっしゃってくれなかったら、未来永劫に買い続けるということですよ、日銀は。もうハイパーインフレ必至ですよ、間違いなく。できないとお答えになりますか。できるかできないかをまずお聞きしたいんですけれども
  96. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど既にお答えしたとおり、テーパリングも含めていろいろなオプションは全てできると思いますけれども、どういう手段をどういう手順でやっていくかというのは、まさに経済金融情勢を踏まえて、その時点で適切に判断していくということでございます。
  97. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 今、黒田日銀総裁は、テーパリングは間違いなくできるとおっしゃいましたけれども、できるという、それは今買っているのが事実なんですから、どこかでやめなくちゃいけない。やめなければハイパーインフレ間違いないんですから、どこかでできるというお答えをしないと大変なことになると思うんですが、何はともあれ、黒田日銀総裁はできるとおっしゃったんですね。  じゃ、できるならば、次に財務大臣にお聞きしたいんですが、できたとするならば、じゃ、我々の給料、公務員の方の給料、地方交付税、誰がお金を供給してくれるのか。要するに、今、日本政府のお財布は半分しか、六割ぐらいしか税収がないわけです、税収プラス税外収入。あとは、今ほとんど全部が日銀から借りているわけです。テーパリングをするということは、日銀はもうお金を貸してくれないということですね。  来年度、平成二十七年度予算、三十七兆円の新発国債に百十六兆円の借換債、百五十三兆円中、日銀は百十兆円も買うんですよ。その最大の買手、すなわち政府に対するお金の貸し手が、もう貸さないよ、いずれはやめちゃうよとおっしゃっているんですけれども、そうした場合に財務省は誰からお金を借りるのか、政府財政破綻をしなくて済むのか、お答えいただければと思います。
  98. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これ知っていて聞いておられるんだろうと思いますけれども、この種の話というのは、ある日、日銀黒田総裁があしたからトタにやめますなんていうことはないんです。当たり前でしょう。そういう当たり前のことを真面目に聞かれると何か別に裏があるのかと思って一生懸命真剣に考えますけれども、トタにやめられるなんということは、アメリカが、じゃ、テーパリングをやったときにトタにやりましたか、イエレンが。ちゃんと手順を踏んでやってきたのと同じように、日本銀行もテーパリングをされるということになるんならば、そういった手順を踏んで、いろんな意味での、騒動なり騒ぎなりが起きないような配慮をしながらやっていく、中央銀行の総裁としては当然だと思います。
  99. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 FRBは確かにテーパリングできましたよ。これは前にもちょっと申し上げたかもしれませんけれども、二つの条件があって、一つは、アメリカというのは財政状況が急速に良くなっている。すなわち、新発国債、要するに財政が赤字になっていないから新しい国債出てこないんですよ。だから、別にFRBが買わなくたって大丈夫という話になります。日本の場合は、財政赤字が、それはプライマリーバランス二〇二〇年に黒字になったとしても、国債費そのときで四十三兆円ですよ、赤字はどんどん膨れ上がっていっちゃうわけですから、その膨れ上がってくる国債を誰かが買ってくれない限り日本財政破綻なんですからね。それを誰がやってくれるかということをお聞きしているわけで、要するにアメリカというのは財政状況が良くなっているということが一つ。  それから二番目に、ドルというのは基軸通貨ですから、別にFRBが買ってくれなくても日本政府が買っていますよ。それは、基軸通貨で、外貨準備として買っています。中国政府も買います。だから、FRB以外にほかに買手がいるからアメリカはテーパリングができたわけです。  日本はその二つの条件を全く満たしていないんですけれども外国人は四・何%しか買っていないわけですよね、日本国債。誰も買わない。日銀という最後のとりでが国にお金を貸してくれなくなった、テーパリングを完了してお金を貸してくれなくなったら誰がお金を貸してくれるか。それは、もう普通のマーケットだったらば、最大の七割も買っている人がいなくなったらどうするかということは普通は考えていますけれども、そういうことを考えていらっしゃるのかということをお聞きしているんですが。
  100. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これも知っていて聞いておられるんだと存じますけれども、少なくとも、この種の話は信用の問題ですから、普通GDPの二〇〇%を超えるような話になれば金利は上がらなきゃおかしいですよね、どうして下がるんですかね。アメリカより安いんですよ、金利は。アメリカは三・何%、日本の場合は〇・四%、三%というのは信用力の問題だと思っておりますが。したがいまして、日本の場合はそういったときになっても必ず買う人がおられるということだろうと思っております。
  101. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 金利が下がるのはどうしてだといつも大臣はお聞きになりますけれども、金利が下がっているのは当たり前の話で、日銀様々なんですよ。日銀がいなくなったら、もう今頃金利何十%ですよ、きっと。これは当たり前の話で、誰かが、買手がいるから値段が上がるんで、買手いなくなったらどさっと下がりますよ。これは長期金利上がるに決まっているじゃないですか。  要するに、日銀のおかげで今長期金利は低く抑えられているんです。日銀がいなくなったらどうなっちゃうかと私は聞いているんですけれども
  102. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 度々申し上げますけれども、ある日突然に黒田東彦がいなくなっちゃうということはないんで、あなたの聞いておられるのはそういう話にしか聞こえませんよ。常識的な話をしましょう。
  103. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 私は極めて常識的なことを話しているつもりなんですが、じゃ、次に行きます。  次は、また黒田日銀総裁にお聞きしますけれども、私が現役の頃、二〇〇〇年前ですけれども、二〇〇〇年以前は日銀というのは長期国債を買っていませんでした。成長通貨として、要するに回収する必要のないお金に関しては長期国債を買っていましたけれども、ほとんど買っていなかった、それ以外は買っていなかった。ところが、今、日銀は八十兆円、年間八十兆円増やすほどに長期国債を買うと言っていらっしゃるんですが、なぜ昔は長期国債を買っていなかったのか、その理由を御推測ください。
  104. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御指摘のとおり、日本銀行は、二〇〇一年三月に量的緩和政策を導入するまでは、それまでは銀行券発行残高の伸びにほぼ見合うように長期国債の買入れを行ってまいりました。これは、当時は、二〇〇一年までは短期金利の調節によって金融政策を行ってきたわけでありまして、そうした下では、日本銀行のバランスシートの大きさは基本的に銀行券発行残高といわゆる銀行の所要準備額によって規定されるために、銀行券の伸びに対応して長期国債を保有するということで、日本銀行のバランスシートの規模や構成を調整してきたわけであります。  その後、量的緩和、包括緩和、そして現在の量的・質的金融緩和という中で、日本銀行の金融政策の中身が変わってきて、現時点でいいますと、長期国債の大幅な買入れによって言わば短期金利はもう既にゼロに近いところにずっと来ていますので、そうした長期国債の大幅な買入れによってイールドカーブ全体の金利低下を促すという観点から行っているわけで、これは御案内のとおり、FRBや、あるいは最近始めましたECBのいわゆる量的緩和と全く同じでございます。
  105. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 ちょっと余計な話ですけど、イールドカーブを今非常にフラット化させていますけれども、これは一九七〇年のアメリカのFRBの金融政策と全く真逆の政策で、私はこれは間違いだと思いますが、今日はそういう質問もしていないんで、これしませんけれども。  資産規模、まさにバランスシートをコントロールしてきたということなんですが、これ、日銀はそのバランスシートを元の水準、すなわち昔の金融政策をするための規模にするために何年ぐらい掛かるか教えていただきたいんですが。  というのは、アメリカはやっぱり十年から十五年掛かるという説が出始めていますね。昨年の六月二十三日の日経新聞に記事が出ていますけれども、アメリカは平時まで圧縮に十年掛かる。これ、極めて大変なんですよね。あと十年掛かってやっと昔の金融政策に戻れるという話なんですよ。日銀は三十年国債、四十年国債まで買っていますよね。十年国債なんかもうむちゃくちゃに買っているわけで、これはFRB以上にバランスシートの規模を戻すというのは大変なことになると思うんです。すなわち、昔の金融政策に戻すにはかなりの長い年月が必要だと思う。非常にフランジブルなというか、危ない金融政策に頼れないような時期が長く続いちゃうんだと思うんですが、どのくらい掛かるのかということをお聞きしたいんです。  というのは、ここに、その六月二十三日の日経新聞、またこう書いてあるんですね。金融史が専門のファーガソン・米ハーバード大教授は最近の講演で、一九〇〇年以降、主な中銀の資産はGDPのほぼ一〇から二〇%だった、今、日銀六五ぐらいですよ、もうすぐ七〇ですからね、と指摘した。主要中銀の比率が軒並み二〇%を超す今回の局面は異例だ。日銀は六五%ですからね。ファーガソン氏の分析では一九五〇年から八〇年は中銀の肥大化がインフレと深く関わっていたと、こう書いてあるわけです。  二〇%ぐらいでインフレの、非常に中銀がバランスシートを大きくすることによってインフレが加速してしまったと書いてあるわけですね。今、日銀は六五%、もうすぐ七〇%、更に増えていくわけです。大丈夫ですか、インフレ。
  106. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほども申し上げましたとおり、量的・質的金融緩和の出口に当たっては、金利水準の調整とともに、拡大した日本銀行のバランスシートの扱いといったことが課題になることは御指摘のとおりであります。  ただ、その際の具体的な方法、手段、あるいは時間的な要素等々、やはり、先行きの経済物価情勢あるいは市場の状況によって変わり得るものですので、現時点で具体的にお話しするということはやはり適当でないというふうに思っております。  なお、FRBも三十年等のかなり長い国債を購入していることは事実でありまして、現時点では、購入した国債の平均残存期間は日本銀行よりもFRBの方がやや長いように聞いております。
  107. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 今日は議事録ができているはずですから、将来的にどういう政策黒田日銀総裁が取ってくるのかと非常に興味を持って将来的に見てみたいと思いますが、あと二分しかないので、実は麻生大臣とハイパーインフレについてちょっと、いつもおっしゃるので議論したかったんですが、回答を聞いて終わっちゃいそうなのでこれは次回に回しておいて、最後黒田日銀総裁にお聞きしたいんですけれども、今、国債のボラティリティーが低くなるということで、三月二十日の日経新聞に、日銀が国債市場の流動性低下を検証したレポートを出したという日経新聞がありました。それと同時に、流動性が低下していると同時に、国債市場で日銀が鯨みたいに大きい存在になってしまったので、低位安定しちゃって、先ほど財務大臣がおっしゃったように、金利が低位安定してボラティリティーが極めて低くなっているわけですね。  これは、ボラティリティーが低くなるということは、ちょっと専門的になりますけど、何かが起こったときに、VaRショックという、売りが売りを呼ぶというリスクが極めて高くなるわけです、VaRショックという、まあ黒田さん御存じだと思いますけど。それについてどう責任を取るのか、どういうふうにお考えになるのか、黒田日銀総裁、お答えいただければと思います。
  108. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) このボラティリティーが低下しているというのは、実は米国あるいは英国等、非伝統的な金融緩和というものを進めていた国でも同様なことが起こっていたわけでありますが、ボラティリティーが低下すること自体は、それによって足下のリスクというのは低下しているわけですので、金利の低下とともに経済活動を活発にさせる要素でもあるわけです。  ただ一方で、御指摘のように、非常に低いボラティリティーというのがいつまでも続くかどうかというのはこれはまた別の問題でありまして、そういった意味で、市場の流動性あるいは市場の機能というものには私ども常に注目をしておりまして、国債市場の動きを丹念に点検するだけではなく、市場関係者と密接な意見交換を行いながら、金融政策金融調節の手段について工夫を重ねて市場の安定に努めているわけでございます。  これまでのところ、国債市場の流動性が大きく低下しているというふうには認識しておりませんが、いずれにいたしましても、御指摘のようにかなり大量な国債を市場で購入しておりますので、市場の動向については引き続き注意深く点検して安定に努めてまいりたいと思っております。
  109. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 最後の御回答はかなり満足のいく回答だったんですけれども、何はともあれ、VaRショックの可能性については……
  110. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 終了時間が参りましたので、おまとめください。
  111. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 はい。  VaRショックの可能性については十分今後とも考慮していただければと思います。  どうもありがとうございました。
  112. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  私もずっと日銀の量的緩和はおかしいと、黒田さんの前からですね、ずっとやってきましたし、量的緩和をやるべきじゃないということと、もう出口がないというのもさんざん、前は一人でやってきましたけど、今は藤巻さんいらっしゃいますので、もう大分楽になったなと思っているんですけど。  今日は、国債じゃないもう一つの出口のない話をしたいというふうに思いますけれども。  日銀の異次元金融緩和は、国債だけじゃなくて、目玉になっているのが、上場株式投資信託、いわゆるETFですね、あと上場不動産投資信託、J—REITですよね。実はこれもかなりのインパクトを与えておりまして、これは金融緩和政策で、この前の十月末の追加緩和で購入額が三倍か、するんですかね、ETFはですね、年間一兆から三兆円と、J—REITは年間三百億から九百億と拡大されて、現在残高聞いてみたら、日銀のETF持っておられるのは四・三兆円と、J—REITは千九百億円ですかね、これから増えるんだと思いますけれども。  まず確認したいんですけれども、世界の中央銀行で、ETFとかJ—REITとか、金融緩和のためにこういうリスク資産を購入している中央銀行ってあるんでしょうか。
  113. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) それぞれの中央銀行によって違った資産買入れプログラムをやっておりまして、イングランド銀行はたしかほとんど全て長期国債ということだと思いますが、御承知のように、FRBは、いわゆるアセット・バックト・セキュリティーと申しますか、そういったものも買いましたし、それからECBは最近、国債の量的緩和を始めましたけど、それ以前はカバードボンドとかアセット・バックト・セキュリティーとか、言わば民間の、そういう意味では国債よりもずっとリスクの高い、リスクのある資産の買入れも行っておりました。ただ、ETFのようなものはほかの国は余りやっていないのではないかと思います。
  114. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうですね、ETFはやっていませんね。  今月の十一日に株式市場で今までにない動きがあったわけですけれども、三月十一日の前日にアメリカの株価が下がったにもかかわらず、ほとんどないことなんですけれども、日経平均が反発して上がると。このときに市場関係者が言ったのは、もう今や日本の株価というのは年金積立金とか日銀の追加緩和、そしてETF購入、こういう巨額の公的マネーが下支えしていると、ちょっともうおかしくなっているというのが、私が言うんじゃなくて、市場関係者がですね。当時の新聞にもいっぱい出ましたけれど、いわゆる官製相場になっていると。お上がつくっている相場になっていると。池の中に大きな鯨がいるというような表現まで使って、おかしな状況になっているということがその後も言われていますけれども。  この日銀のマネーが、こういう市場の、通常ならば民間の経済の動向でいろいろ、もちろん投機マネーもありますけれど、動くのが、この公的なマネーで価格形成がゆがんでいると、ゆがんできているという認識は日銀はお持ちでしょうか。
  115. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、他の中央銀行も国債だけでなくその他のリスク資産等も買入れも行っておりますけれども、その趣旨は、やはり市場金利を引き下げていく、特に短期金利はもうほとんどゼロにみんななっておりますので、中長期の金利を引き下げていくということとともに、各種のリスクプレミアムの縮小を促すという観点から様々な資産の購入をしているというふうに思いますので、私どもも、何か株価の操縦というか、株価を押し上げていくといったようなことをもくろんでいるということではなくて、市場におけるリスクプレミアムの圧縮を通じて市場全体がより活性化していくということを期待しているわけであります。  なお、ETFにしても、あるいはJ—REITにしても、その購入の規模は極めて小規模でありまして、国債の場合のような非常に大規模な買入れのプログラムとはやや異なっているというふうに思います。
  116. 大門実紀史

    大門実紀史君 日銀がどういう目的でやられているというのは今まで出されているところで分かっているんですけど、私が申し上げているのは、日銀の意図じゃなくて、結果的に何を招いているかということで、この前、大塚耕平さんが予算委員会で集団的自衛権のときにいい話をされたんですけれども、大事なことは、こちらがどう思っているかじゃなくて相手がどう思うかなんですよね。日銀がやっていることを市場がどう思っているかなんですよ。  つまり、年金基金も含めてですけれども、それだけの巨額な公的マネーが入ると、この相場は下がらないであろうと、下がらないから買うと、買えば上がると、こういうことに今なっているわけですね。何も、全部買い占めているとか、そういう意味じゃないですよ。公的マネーというのはそういう影響力を及ぼすということをやはりきちっと把握されないと、本当にこれが市場経済かと言われるようなことになってくるのではないかと思うんですよね。  もう一つは、そうなりますと、幾ら日銀はこういう目的でやっていますと言いながら、実際そうやって株価を、いろいろ影響力を与えていると売るに売れなくなってくる、ETFも国債と同じように。売ればほかの人もお金を引き揚げる、売ってしまうということがあって、これも国債と同じようなことがあるわけですけれども、売るに売れない。日銀がETFとかこういうものを買い足しますと売るに売れなくなるんじゃないかと思うんですよね。これも一つの出口がないんじゃないかと私は思いますけれど、いかがですか。
  117. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、まず規模感から申し上げますと、J—REITにつきましては、全体として十兆円ぐらいの下で日本銀行は千九百億円ぐらい買い入れているわけでございます。  それから、ETFは株があればすぐ組成できますので、株式市場、東証一部だけ取りましても五百兆円を超えるわけですが、その中で日銀がETFを通じて買っておりますのが四兆円強ということでありまして、規模的には非常に大きなというものではありません。それから、これによって株価が押し上げられているとか、そういうものではないと思っております。  なお、GPIFその他の年金基金等のポートフォリオの関係につきましては、これは私どもと全く別の世界で、それぞれの恐らく年金基金等の適切なポートフォリオを選択しておられる中で起こっているのであろうと。だから、私どもは直接関与しておりません。
  118. 大門実紀史

    大門実紀史君 今はETFの話をしていますけれども、もちろん、もう議論あったのでやらないわけですけれど、追加緩和ですね、これそのものがやっぱり株式市場に大きな影響を与えたわけですよね。その上でのETFという意味でございますので、全体として日銀マネーが影響を与えているのではないかということをさっきからお聞きしているわけで、ETFだけが株価を上げたと言っているということじゃないんですよね。そういうふうに理解していただきたいと思いますが。  それで、もう一つはJ—REITなんですよね。金額でいえば一千九百億で、ただ、これから増やしていくというような方向が出ていますよね。これはどういう影響を与えているかなんですけれども、今、大体の日本の不動産市場がどうなっているか。これは、専門家や関係者からももう過熱ぎみになっているという話が出てきておりますよね。実際、いろいろデータ見ても、不動産売買取引の全体金額ですけれども、二〇一三年、二〇一四年は、例のリーマン・ショック前の二〇〇七年の史上最高の取引額五兆五千億円に近づいてきております。あのときも、不動産投資ファンドを含めて、J—REITを含めて、私募ファンドを含めて非常に過熱してきたわけですよね。それで破裂しちゃったということで、たくさんこの委員会でも私、J—REIT問題を取り上げましたけれども、不動産会社、ディベロッパーが次々倒産をするというようなことも起きたわけであります。その状況に今非常に似てきておりまして、特に、海外マネーも含めて利回り求めてREITの方に流れてきております。  NAVという指標が、御存じかも分かりませんが、あるんですけれども、これは投資信託の保有資産価値に対して市場の時価総額が何倍かを示すというのがありまして、それを見ますと、日本はもう一・六倍で、過去最高水準に迫りつつあります。つまり、割高にもうなっているのに、過熱になっているのに更に資金が流れ込んでいるというのが今の状況であります。  この流れを日銀がつくったとまでは言いませんけれども、この流れにお墨付きを与えて、本来ならばちょっと冷めてもらわなきゃいけない、過熱を冷却しなきゃいけないのに、日本銀行がこのときにJ—REITを買い足しするというふうになると、これはこの過熱の流れを後押ししてしまうんじゃないか、あるいは後押しもうしているんじゃないかと思いますが、その辺の認識はいかがですか。
  119. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 日本銀行がこの量的・質的金融緩和を進める際には、経済・物価見通しに加えて、毎回の金融政策決定会合において上下双方向の様々なリスク要因を点検しておりまして、それを展望レポートその他で公表いたしております。そうした枠組みの下で土地を含めた資産価格の動向について検討しておりますけれども、現時点で資産市場あるいは金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観測されていないというふうに思っております。  なお、地価あるいは不動産に対する融資等その他の状況もよく見ておりますけれども、例えば地価について見ますと、二〇一五年一月一日時点の公示地価を見ましても、三大都市圏において前年比若干のプラスが続いていると。一方で、地方圏ではマイナス幅が若干縮小するということで、改善の動きが続いていることは事実ですけれども、不動産市場が過熱しているという状況ではないと、特にリーマン・ショック前の二〇〇六年、七年、八年といった状況とはかなり違っているというふうに思います。
  120. 大門実紀史

    大門実紀史君 地価の話されましたけれど、私が言っているのは、九〇年代のあのバブルと同じになっているとは言っていないんですよね。ああいうバブルじゃないんですよね、その後の世界的なバブルというのは。やっぱり不動産証券、証券のバブルなんですよね、証券のバブルなんですね。それはどうして認識がそんなに違うのかなと思いますけれど。  じゃ、さっき言いましたけれど、NAVありますよね、NAVの数字が一・六倍と、これはどう見られるんですか。何も起きていないんですか。
  121. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 不動産市況の動向については、これは展望レポートでもうかなり、半年に一回詳しく、失礼、展望レポートだけでなくていわゆる金融システムレポートにおいてもかなり詳しく示しておりまして、地価の動きあるいは不動産融資の動き、それも単にマクロ的なデータだけでなくて、かなりミクロ的なデータも示しておりまして、そういったものの動きは、委員が御懸念されるように、私どもとしても非常に注視をしております。  そうした中で、全体として今不動産市場が過熱しているという状況にはないと思っております。不動産に対する融資は伸びておりますけれども、これも前回の、例えば二〇〇六年から八年にかけてのような不動産に対する融資が非常に大きく伸びているということではなくて、金融機関の企業全体に対する融資の伸びとほぼ平仄を合わせたような形で伸びているわけでして、大幅な伸びという感じではございません。
  122. 大門実紀史

    大門実紀史君 何でそんなに、客観的な数字で申し上げているのに認識がそんなに違うのか分かりませんけれど。  少なくとも、私募ファンドの組成はこのJ—REITに牽引されて増えておりますので、そんな冷静に思っていていいのかなと、ちょっとこちらから心配になってくるわけですけれども、ちゃんともう一度認識を再検討してもらいたいなと思いますけれど。  私、この点でいくと、やっぱりリーマン・ショックの前の状況で一番心配なのは金融機関がどうなっていくかということで、あのときも同じように、地銀なんかがそうでしたけれど、証券投資にかなりはまり込んで穴を空けたりしましたですよね。今も、調べてみますと、地方銀行、信用金庫といったところで不動産投資への傾斜がかなり強まっておりまして、これ、私どもじゃなくて民間シンクタンクの調査では、やっぱり私募REIT、私募の、私募集のREITが急拡大しておりまして、九千億近くになると。そのうち地銀が一千六百億の投資をしているというデータが出ておりますし、一つの信金で、個別の名前は出しませんけれど、百億という単位の私募REITに投資するところも出てきております。  これは過去の苦い経験があるわけでありまして、金融庁としては多分ウオッチングされているのかなと思いますけれど、不動産への傾斜を強めているということについてやっぱり危惧を持った方がいいかなと思っているんですね。  その点でいきますと、二〇〇八年の同じような状況が明るみになったときに、金融庁は、あのときは大手行でしたけれども、このREITへの融資の実態調査をされたことがありました。大手十一行にヒアリングされて、ノンリコースローンがどれぐらいかと、不動産向けのですね。そうしたら、二〇〇八年三月末で一・七兆円になったと、拡大傾向にあるというふうな調査をされたことがあります。  こういった調査もやられたわけだから、やっぱり今、特に地域金融機関にどうなっているかということをヒアリングなり何らかのウオッチングをされたらどうかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  123. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 地域銀行について、これ全体ですけれども、REITの保有残高を見てみますと、一昨年の二十四年三月末三千億、それが昨年の二十六年九月、約一年半ですけれども、これで約三倍弱の八千億。三千が八千というところが一年半で増加しておるのは事実です。  ただ、大門先生、地域銀行の総資産の中に占めますREITの比率というのはこれ〇・二%ぐらいなものでありますから、保有、持っております有価証券の全体の中に占める比率を見ましても〇・八ぐらいの比率にとどまっていますので、そのリスクとしては二〇〇八年のときほど大きいというものではないと、少なくとも今の段階で、これ、先どうなるか分かりませんけれども。  いずれにしても、我々としては、このREITへの投資等々含めまして、有価証券のいわゆる何というの、運用に、地銀が行うに当たりましては、その運用体制とかリスクの管理体制等々につきましては適切にきちんとモニタリングしていかねばならぬと、我々もそう思っております。
  124. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。
  125. 中山恭子

    ○中山恭子君 次世代の党、中山恭子でございます。  今日は、公文書館についてお伺いいたします。財務省が直接関与する案件ではないかもしれませんが、財務大臣は国有財産を所管していらっしゃいますし、副総理でもいらっしゃいますので、よろしくお願い申し上げます。  国立公文書館は、歴史公文書等の適切な保存や利用に資することを目的とした施設でございます。日本の場合、現在、北の丸公園の中にあります。麻生大臣は先日、ジョン・F・ケネディ、その生涯と遺産展の開会レセプションに御出席くださり、御挨拶いただきましたそうで、大変ありがとうございます。皆様のお手元にもそのパンフレットはお配りしてございます。  大臣は、あの国立公文書館にいらしてどのような御感想をお持ちになりましたでしょうか。
  126. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 明治の初め頃、岩倉使節団が出たときに、二年ほど、大久保とか伊藤とかみんな一緒にくっついていって、出ていって帰ってきた中で、博物館、美術館、図書館等々、皆ヨーロッパで見て回って、すげえということだったんですが、公文書館はみんな忘れたんですな、多分、あれ資料を見ても書いていませんから。だから、こういうものがあることすら知らなかったぐらい多分無知だったんだと、私はあの公文書館に携わるようになってからそう思っています。私の個人的な見解ですけれども、事実、訪問した跡がないから。  したがって、図書館とかいうものをえらく立派なものを、上野の美術館にしても何にしても皆造っていったんですが、この公文書館だけは全く手が抜けたのが長いことつながってきましたので、かなりみすぼらしい、他の先進国の中ではぬきんでて小さな、シャビー、シャビーってまあみすぼらしいものになっているのが事実であって、あそこの方、これをやっておりました場所でも、これ国立というような感じのところで、何回も伺ったことがありますので、そんなものだと思っておりますので。  これはしかるべくきちんとしたものにしないと、これから後どんどんどんどん資料は劣化してまいりますし、日本のように湿度が高い高温多湿の国においては更にこの保存が難しいということになってまいりますので、そういった意味ではいわゆるデジタル化するとかいろんな今方法も随分進んでおりますので、こういったものを、きちんとしたものを残しておかないと後世えらいことになると思いますので、これはもうなるべく早い時期にきちんとされるべきものだと、私自身はそう思っております。
  127. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。  大臣おっしゃるとおり、日本の国立公文書館といいますのは、他の欧米諸国の国立公文書館と比較しますと、今日皆様のお手元にアメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、フランス、韓国の国立公文書館の写真等をお配りしてあります。これは、国立公文書館が作成した資料でございます。この中に、例えばイギリスですとかイタリアですかね、女性の写真が出てきますが、これは稲田現政調会長でございます。  そういった形で、他の欧米の国立公文書館に比べて日本の国立公文書館、一ページ目に置いてありますけれども、これは施設、機能のいずれの面でも、大臣おっしゃいますとおり、著しく見劣りするものでございます。欧米諸国と比較してみますと、主要国の公文書館は建物が立派というだけではなくて、職員の数、所蔵量、所蔵量といいますのは書架の延長の数字でございますが、そういったものが著しく劣っております。  例えば、アメリカと比べますと、日本職員数は四十七人、アメリカは二千七百二十人。所蔵量は、日本が五十九キロメートルですが、アメリカは千四百キロメートル。職員数でいえばアメリカは日本の五十八倍、所蔵量はアメリカの場合、日本の五十九キロに対しまして約二十四倍、桁違いの量でございます。  ただ、この数字から分かるかと思いますが、日本の国立公文書館の職員数、所蔵量が少ない、小さいというだけではなくて、一人当たりが扱う量は、日本職員が扱っておりますのは諸外国のほぼ倍の扱い量になっております。  例えば、フランスもすばらしいものを持っておりまして、職員数は五百七十人、日本の十二倍、所蔵量は三百八十キロメートルで日本の六・四倍になります。この場合も、やはり一人当たりの扱い量は日本職員が倍扱っているという数字が見て取れます。日本の公文書館が欧米諸国に比べていかに貧弱であるかお分かりいただけるかと思います。  特に、これに加えて、諸外国の公文書館の展示機能といいますのは見事でございまして、それぞれの国がその国の成り立ち、伝統、文化、国の理念などについて非常に誇らしげに展示しております。  ワシントンDCにあります米国の国立公文書館では、入口を入りますと真っ正面に独立宣言の書が展示されておりまして、ああ、一七七六年、この国が国家として産声を上げたんだなといったことが非常に強く印象付けられます。映像資料やタッチパネルなども整備されておりまして、ここでは誰でもが米国にある米国のいろんな事柄について情報を引き出すことができます。例えば、パウエル国務長官と打ち込みますと、その父親の代にジャマイカから移民してきた、その移民の子としてハーレムに生まれたというようなことがすっと出てまいります。余談ですけれども日本の個人情報はちょっと異常かなと、そういうことを引きながら感じたことが思い出されます。  日本の国立公文書館は、本格的な展示機能を有しておりません。あのジョン・F・ケネディの展示会にしましても、小さな場所を使って何とか展示しているというような状況でございますが、本来であれば、国立公文書館であれば、その国の成り立ち、これはいろんな意見があるところでもございますが、日本でしたら日本国というものができたとき、例えば大宝律令などの展示からその広い展示会場に展示してもらいたいと、私は個人的にはそのように考えているところでございます。今のいろんな会合では、民主主義国家の明治憲法から展示するという考え方が中心のようでございますが、この点につきましては、私は、日本国ということを考えますと、やはり大宝律令又はそれ以前の資料なども展示してほしいと考えているところでございます。  二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが開催されるときには、日本国の成り立ちや日本のすばらしい伝統文化などを示すことのできる新しい国立公文書館が完成していてほしいものだと考えております。新たな国立公文書館を建設することは喫緊の課題であると考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  128. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはもう御存じのように、現在、内閣府の何とか会議、国立公文書館の機能・施設の在り方に関する調査検討会議、ここで今検討されているというのは知っておりますのですが、その機能また施設の在り方等々につきまして議論がなされております。もうこれ結構長いことやられておりますので、主に福田内閣、もっと前かな、これずっとこの話が続いていると私も記憶をいたします。  いずれにいたしましても、今、時代が変わっておりますので、是非、例えば九州国立博物館というのが福岡の太宰府というところにありますけれども、少なくとも上野の博物館を上回る動員力。一番新しいにもかかわらず、博物館で一番観客動員力が高いのは九州国立博物館。なぜって、それは行ったら分かるという見せ方なんですよ。そういう見せ方になっております。  例えば、上野の動物園よりは、北海道の何とかで、(発言する者あり)旭山動物園、あれ潰れるという前の年に行ったんですけれども、翌年行ったら潰れていないからどうしたと言ったら、若いやつに任せたらいきなり生き返ったという話でしょう、あれ。経営なんか役人にやらせたらろくなことないという最たる例だと僕はいつも言い続けていたんですけれども、一番若い人がやったら突如として、ペンギンに触れるとか、もう物すごいことになったわけですよ。世界中からあそこへ人が来ますから。  だから、この国立公文書館もこれ是非、今の時代というのはもう圧倒的にビジュアルというか、目に訴えるものというのは、こんな小さなものが画面にいっぱい出てくるようなものは、もうデジタルになったり、もう多分4Kになったり8Kになったりするんでしょうから、そういった時代のことになって、そのものが全部出てくるようなやり方になるので、どうせやるんだったらきちんとそういった日本のものが残るような形で、ただ今あるものを単なるお役人の発想でちょっと大きくすればいいなんて発想じゃなくて、きちんと見えるような形にされるようなことを考えられた方が説得力がおできになるのではないかと。  金はどうする、財務省が保証するんだろうなと言う前に、ちょっとまずきちんとしたものをおつくりになられるということの方が大事なので、今検討会議やっておられると伺っておりますので、昨年ぐらいから、結構これ、場所やら何やらいろいろ検討されておられると伺っております。
  129. 中山恭子

    ○中山恭子君 すばらしいお考えをお示しいただきましてありがとうございます。  新たな公文書館を建設するということについては、大臣おっしゃるとおり、以前からいろんなところで議論されておりますし、また今具体化されるときにはやはり建設用地が非常に重要な意味を持ってまいります。  世界に誇る国民本位の新たな国立公文書館の建設を実現する議員連盟というものがございまして、この議員連盟は、去る三月十八日に、安倍総理、町村衆議院議長、山崎参議院議長に対して、議運委員会に公文書館小委員会を設置して、この小委員会において国会周辺の新国立公文書館用地について今国会会期中を目途に結論を得ることというようなことを要請しております。  その候補地の一つとして考えられていますのは、国会前庭北地区附属と呼ばれる土地でございまして、国会図書館の隣にあります、今バスの停留場などになっている土地、幾つかある中で、私、個人的にはあの土地がいいんだがなと考えているところでございますけれども、この土地が最適だと考えられるんですが。(発言する者あり)では、地図もお示しした方がよかったかもしれませんが、憲政記念館の前で国会図書館の隣の土地でございます。(発言する者あり)はい、そこの辺りなんですけれども。  ここは国会の方へも近いですし、それから皇居側にも近いということで最適な土地であると考えられるところでございますけれども、この土地は昭和三十六年五月二十五日の議院運営委員会におきまして将来図書館の増築用に振り向ける旨決定されております。ただ、この建設用地として最適なものですから、この辺りで、議運の中に小委員会を設けてこの土地についての新しい決定をしてもらいたいというところでございます。  衆議院所有の土地でございますので、財務省が直接関与するということではないかもしれませんけれども、是非大臣のサポートも得たいと思っておりまして、この点について御感想、御所見をお伺いできれば有り難いことでございます。
  130. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今の時点において、今国立公文書館の建設予定地はまだ決まっていないということだけは承知しておりますけれども、今お話しにあっておりました、この場所を、ここに小さな地図がございましたので場所は分かりましたけれども、これは仮に建設予定地が決定をされたと、ここに決定するんだという、先ほどの両院議長と総理との間でそういった話になりますと、これは当然のこととして国有、国有財産法か、国有財産法に基づく手続を得まして、私どもの方で、円滑に進むように、これは財務省としても適切に対応せねばならぬということだと存じます。
  131. 中山恭子

    ○中山恭子君 ここに欧米並みの国立公文書館ができるということになれば、日本という国をここで示すことができますし、また子供たちがここへ遠足にでも来て、日本の成り立ちとか日本の今の在り方ということを学ぶこともできるということでございますので、是非、国会の先生方も御協力いただき、財務省の御協力もいただいて、ここに将来の新しい国立公文書館を建設してほしいと考えているところでございます。もし御感想があればですが、なければこれで質問を今日は終わらせていただきます。
  132. 中西健治

    ○中西健治君 中西健治です。  所信に対する質疑ですので、できれば財政政策及び金融政策双方についてお伺いしていきたいというふうに思っております。  まず、財政についてでありますけれども、二〇二〇年度のプライマリーバランスの見通しについてということをまずお聞きしたいと思うんですが、現在、二〇二〇年度のプライマリーバランスの数字について、赤字額については、政府からは二通りの数値が示されている。二通りというのは、二つの箇所から示されているというふうに私は認識しております。  一つは、内閣府が作成しています内閣府の計量モデルに基づく中長期の経済財政に関する試算ということであります。これによりますと、経済再生ケースで、国、地方の財政の姿として九・四兆円の赤字、そして国単体であれば九・一兆円の赤字という姿が示されているということであります。そしてもう一つが、これは財務省の方が作成している後年度影響試算と。これによりますと、同じ三%の経済成長のケースで、国のプライマリーバランスの赤字が八・〇兆円、八兆円ちょうどの赤字という姿が示されている。  内閣府の方は九・一兆円と言っていて、そして財務省の方は八・〇というふうに言っているわけでありますが、内閣府と財務省で異なる見通しが示されているわけでありますが、現時点で政府が公式に見通しとして持っているのはどちらなんでしょうか。
  133. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一言で申し上げれば、内閣府の方です。
  134. 中西健治

    ○中西健治君 内閣府の九・一及び国、地方で九・四というのが公式のものだという確認をしていただきましたけれども、それでは、この財務省の出している八・〇というものの位置付けというものは何なんでしょうか。
  135. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これも財務省としての公式なものであることは間違いございません。  これ財務省としての公式見解なんですけれども、積算方法が違うというだけの話で、何というの、成長率が三%というある程度前提は同じになっておりますけれども、積算方法が違うという以外にさしたる意味があるわけではございません。
  136. 中西健治

    ○中西健治君 積算方法が違うということですけれども、片方、財務省が出しているのは税収の弾性値というものを使って、一・一というものを掛けて出しているという、機械的に当てはめて出しているということだと認識しています。そして、内閣府の方はもう少し複雑なモデルを用いているということなんだろうと思いますが、やはり数値が違って出てくると。この単純な財務省の数値を出す意味は余りないんじゃないかと思うんですが、そこら辺いかがですか。
  137. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはやっぱり一つ一つ積み上げていくという、積み上げをやっていくというにはそれなりの意味があると、私どもはそう思っておりますので、何というの、計数的に計量モデルを回してこういっていくのというのと、積み上げてやっていっている形だとこうなる。これはどっちがきちっとした答えがあるかというのは、何年かたたないと答えは出てまいりませんけれども、いずれにしても、積算というか積み上げ方式はそれなりの意味があろうと考えております。
  138. 中西健治

    ○中西健治君 ユーザーの立場からすると、国民の立場からすると、二つの数値、しかも数年後の予想額について二つ政府から、今公式なものというお話でしたけれども、公式なものが二つ出ていると、しかも一兆円以上懸け離れているということはやはり理解しにくいんじゃないかなというふうに私は思うというところであります。  この財政健全化に向けた新たな計画と、取組というのは夏までに策定するというふうに承っておりますけれども、この夏までに定める財政健全化計画の具体的な中身、これはそのときにお話になるんでしょうけれども、その出発点となる数字数字については、計数についてはこれは内閣府の試算を用いるということでしょうか。
  139. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) そのとおりです。
  140. 中西健治

    ○中西健治君 となりますと、二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化への不足額、経済再生ケースでは九・四兆円ということでありますけれども、この九・四兆円は動かない、これが出発点になるということでよろしいでしょうか。
  141. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、今、私どもとしては、税収の伸び等々いろいろな期待するものがございますし、GDPの伸びもありますし、いろいろなものが動いておりますので、九・四兆円がフィックスされたというわけではありませんけれども、それを必ず下回ってゼロにせねばならぬというのが我々が与えられておる、五年間でやらねばならぬ大事な目標だと思っておりますので、その九・四兆円をいかに、分母、分子共に、分母も大きくし、分子を小さくしてバランスさせるというところまできちんとやらねばならぬと思っております。
  142. 中西健治

    ○中西健治君 いや、バランスさせなきゃいけないということは、そしてその方策について話されるんだと思いますけれども、出発点としてのこの九・四兆円が動くのか動かないのかということについてお伺いしています。
  143. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 出発点として九・四兆円でスタートさせます。
  144. 中西健治

    ○中西健治君 そうしますと、再生ケースにおいては九・四兆円が七月の議論の出発点になるということだということで、それより小さな金額になったり、ほかのモデルを用いたりと、そういうこともないということだというふうに理解いたしました。  来年度の予算が今審議されているところでありますが、二〇一五年度プライマリーバランス対GDP比赤字半減目標を達成できる見込みであるということを財務大臣も所信でおっしゃっておられました。  このマイナス三・三%、達成する見込みだということですけれども、金額的に言うとどれぐらいの差異を持って、どれぐらいの余裕を持って達成可能と現時点で見積もっておられるのか、その金額と、そして主要な算出根拠について教えていただきたいと思います。
  145. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 算出根拠から。内閣府の中長期試算によりますと、平成二十七年度、いわゆる二〇一五年度の国、地方の基礎的財政収支、いわゆる通称プライマリーバランスは十六・四兆円の赤字とされているものと承知をいたしております。一方、中長期試算におきましては、二〇一五年度の名目GDPは五百四・九兆円とされておりましたので、これに二〇一五年の赤字半減目標であります国、地方の基礎的財政収支対GDP比三・三%を掛け合わせますと、目標値は十六・七兆円ということになろうと存じます。したがいまして、中長期試算におけます二〇一五年度の赤字額十六・四兆円は、ただいま試算してお示しを申し上げました十六・七兆円より〇・三兆円、約三千億円ぐらい僅かに達成しているということになるのではないかと思っております。
  146. 中西健治

    ○中西健治君 私も同じような試算をさせていただいておりまして、三千億をちょっと下回るぐらい、二千何百億か三千億近くぐらいでしか余裕はないということだろうというふうに思います。ですので、今後何かがあれば、またこれは達成しづらくなっていくということなんだろうというふうに考えております。  続きまして、この財政の健全化について、総理も財務大臣も答弁されていたんじゃないかと思いますが、法律を作るつもりはないと、現時点で財政健全化法、こうした法律化するつもりはないということですけれども、そうしましたら、実効性はどのように担保されるおつもりでしょうか。
  147. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはいろいろ意見の分かれるところなんだとは存じますけれども財政健全化法の実効性を確保する方法について、これはいろいろ意見も正直申し上げて出たところではあります。しかし、法制化しないでも、平成二十七年度の予算では、今の予算では基礎的財政収支の赤字半減目標というものはきちっと達成をできるところまで来ました。  したがいまして、今の政府といたしましては、この目標というものにきちんと責任を持って実現をしていくということが重要なんだろうと、私どもはそう思って、こうした観点から、昨年十二月二十七日の諮問会議において、甘利大臣の方から、財政健全化計画の進捗状況を毎年度レビューし、必要な対応を行う、計画の中間時点では評価を行い、歳出、歳入の追加措置をとることを含め、二〇二〇年度の財政健全化に向けた仕組みをあらかじめ計画に組み込むとの提言もなされているところであります。  今後、我々としては、これらを踏まえまして財政諮問会議等々において検討を進めていくことになろうと存じますが、私といたしましても、財政健全化計画というものは実効性があるものとすることが大事であろうと思っておりますので、単に絵に描いた餅ではなくてきちんと達成する、これが一番大事なところだと思っております。
  148. 中西健治

    ○中西健治君 ありがとうございます。  そうしましたら、金融行政についてもお伺いしていきたいと思いますけれども、先ほど大門委員の方からお話もありましたけれども、不動産関係のところで聞いていきたいと思います。不動産関係というか住宅ローンについてお伺いしたいと思いますが、従来、住宅ローンは金融機関にとって安全で収益性の高い貸出しとされてきたわけでありますが、最近は貸出し競争の激化によって収益性が損なわれてきているというふうにも言われております。  住宅ローン金利の引下げ競争が過熱しているのではないかとして、金融庁が一月から、金融機関、地域金融機関の調査に乗り出したという報道がされていますけれども、その事実関係及びこの住宅ローン金利競争過熱に関する認識をお伺いしたいと思います。
  149. 赤澤亮正

    ○副大臣赤澤亮正君) 委員の御質問、事実関係でございますので私から回答させていただきたいと思います。  住宅ローンに関しては、取引が長期に及ぶといった商品性などを踏まえて、金融機関自身において適切なリスク管理や収益管理を行っていくことが重要であるというふうに考えております。こうした観点から、平成二十六年の金融モニタリング基本方針において、金融機関における住宅ローンなどの個別商品などに係る投融資状況やリスク管理について検証を行うことと定めております。この金融モニタリング基本方針に従って、主要行及び一部の地域銀行向けにアンケート調査を実施しているというのが事実でございまして、委員御指摘のとおり、ちょっと報道なども、日経で二月の三日ですか、されたりしておりますが、そういうアンケート調査を実施しているということについては事実でございます。
  150. 中西健治

    ○中西健治君 今お答えいただきましたけれども、続きまして、それに絡んでなんですけれども、フラット35という商品、皆様もお聞きになったことあるかと思います。昔は住宅金融公庫、これ、そういう名前のところが出していまして、今は住宅金融支援機構というところが出しております。フラット35、三十五年間固定金利で借りられる長期の住宅ローンということでありますが、今ちょっと資料で皆さんにお配りをさせていただいているんですが、このフラット35というのは、銀行などの金融機関が取扱いをしていますけれども、そして融資を出すわけですが、それを全て住宅金融支援機構が買い取って、さらに、この住宅金融支援機構は証券化を行ってモーゲージ担保証券の形で機関投資家に販売すると、こうした仕組みになっているわけであります。  そして、このフラット35については、今回の補正予算でも政府の方から利子補給が行われていて、〇・六%金利の引下げというものが行われております。金利の引下げ、実際にローンを借りる人にとって〇・六%下がるからいいじゃないか、こういうふうに思われがちなわけですけれども、この図を見ていただければと思いますが、結局この〇・六%の利子補給は、モーゲージ担保証券の形で証券化された後、機関投資家にそのまま流れていくというものであります。そのために千百億円の補正予算が組まれていると、こうしたことであります。  まず、私はこの住宅ローン市場の過熱ということについてお伺いしたいと思いますけれども、これフラット35の金利が更にこの利子補給によって〇・六%も引き下げられているんです。本来であれば一・四七%のものが〇・八七%で初めの五年間若しくは初めの十年間借りられるということになっていますが、これやっているおかげで政府主導でこの住宅ローンの金利引下げ競争へ拍車掛けているんじゃないですか。
  151. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) かつてサブプライムローンなる怪しげな商品が出たときに同じようなことを感じたんですが、今回、これで同じようなように思ったかといえば、正直今回はそう思ったわけではありません。  この貸出金利を具体的にどのように設定するかと、もうこれは言わずもがなな話ですけれども、各金融機関が自らの経営判断によってこれは決められるべきものなんだというのは当然だと思っています。したがいまして、更なる金利引下げによる貸出し競争が起きるかどうかということにつきましては、これはちょっと確たることが申し上げられるわけではありません。  いずれにしましても、金融庁としては、金融機関に対しますヒアリングなどをこれからやっていくんですが、貸出金利の低下が収益性に与える影響とか、またリスク管理の状況を的確に把握して適切な監督を行ってまいりたいと思いますが、基本的にはやっぱり住宅投資が起きるということが景気をいろんな意味で引っ張る大きな要素にもなりますので、そこのところも配慮しておかねばならぬという難しいバランスのところだと思っております。
  152. 中西健治

    ○中西健治君 今、史上最低金利を市中の金利は更新をしています。この長期の固定住宅ローンというのも民間の銀行も出せる商品であります。それが史上最低金利を更新している中で、政府が、〇・六%、千百億円も使ってこの金利を引き下げるということは、やはりこの貸出し競争に対してかなりの影響を与えるんじゃないかなというのが一点。  それからもう一つ、これはお聞きしたいと思いますが、今、地方銀行などに対し、地域銀行などに対してアンケート調査を行っている中で、リスク管理の手法ということも、リスク管理をどうしているんですかということも聞いているということでありましたが、このフラット35は、金融機関が融資の取扱いはしますけれども、自分の腹は痛まないわけですね。結局これは売りますから、自分の腹は痛まない。ということで、延滞とかちゃんと審査が行われないで、延滞率とかが高くなっているんじゃないかということを、実は会計検査院が住宅支援機構に対して指摘をしております。  そして、この住宅支援機構はそれに対して、そうした金融機関、延滞率が高くなっている金融機関に対しては手数料を下げますよというようなことは言っているわけでありますが、金融庁として、こうしたモラルハザード的な、審査が行われない、こうした金融機関あるやに伺っていますが、そうしたところに対してどうした行政を、金融監督を行っていくんでしょうか。
  153. 赤澤亮正

    ○副大臣赤澤亮正君) まず冒頭、先ほどお答えしたところがちょっと分かりづらかったかもしれないので、一点補足で、今回のアンケート調査、やっているのは事実でありますが、特に金利に焦点を当てたというものではなくて、私どもとしては、モニタリングの基本方針に従って住宅ローンのリスク管理全般に関して実施しているという認識を持っております。  それを申し上げた上で、今の御質問でございますが、会計検査院による住宅金融支援機構に対する検査において、モラルハザードにより金融機関が十分な融資審査を行わなくなる事態を招かないよう、同機構において十分な融資審査を行うよう金融機関に働きかけを行うべきといった指摘が行われていることは承知をしてございます。  住宅ローンの融資は、借り手の返済計画の合理性などを慎重に審査した上で実行されることが重要でありますので、今事務年度の金融モニタリング基本方針においても、金融機関における住宅ローンなどの個別商品などに係る投資状況やリスク管理について検証を行うことを定めております。  金融庁としては、金融機関の与信審査の状況について、引き続きヒアリングなどを通じて適切に監督を行ってまいる所存でございます。
  154. 中西健治

    ○中西健治君 麻生大臣は、サブプライム問題のような類似なものが起きるとは感じていないということをおっしゃいましたけれども、私は、会計検査院は、平成二十一年度の、数年前の制度拡充のときに、この制度拡充によって不良債権が多数発生しているということを言っています。  今は金利は低いですが、今後景気が悪くなってきたときに、金利が上がってくると今借りている人は借換えとかもしにくくなります。その中で、初めに低い金利で借りていて、途中から金利が上がるということになりますね、利子補給をされていないところから、五年後か、十年後か。そのときに景気が悪いというようなことになった場合にはやはり日本版サブプライムローンの問題の震源地になりかねない、そうした懸念を私は持っておりますけれども、そうした認識が全くないのか、それだけ最後にお聞きしたいと思います。
  155. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 米国のサブプライムローンが始まった頃、二〇〇〇年の初め頃でしたかね、あれ。あの頃、当初の数年間は金利だけでいいというルールで、後は元金を含めた支払額が急増する、それからもう一個は、必ず値上がりするという前提に立って、借換えを見込んで金利を極端に抑えた商品だったと記憶をしますので、当時、余り、何というんだろうね、信用力がない人たちの間にえらく受けた商品で、特にあの頃は住宅の税金が三軒まではただでしたかな、あの頃はたしか、そういった記憶があるんですけれども、急に信用力の低い方々に大量に貸した中で住宅価格の上昇がストップしたものですから、デフォルトという、破綻がやたら生じたというのが二〇〇六年、七年ぐらいから住宅公庫が飛んでみたりいろいろしましたので、そういった記憶があるんですけれども。  この日本の住宅ローンの場合は、少なくとも住宅価格の値上がりを前提とした商品ではありませんし、またアメリカみたいに借り手の計画性が、無計画とは言わぬけれども、余り、かなりいいかげんな計画と違って結構慎重に、日本金融機関のことですから、いろいろ言ったって慎重に必ずやりますから、そういった意味では、かなりの審査の上実行されるものだと、私どもはそう思っております。  したがって……
  156. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
  157. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) はい。  サブプライムローンみたいなあの騒ぎが、サブプライムローンの話、リーマン・ブラザーズのバンクラプシー、破産みたいなことが起きるということを考えているわけではありませんが、いずれにいたしましても、リスク管理というのはきちんとよく見ておかねばならぬものだと思っております。
  158. 中西健治

    ○中西健治君 ありがとうございました。
  159. 平野達男

    ○平野達男君 あと二十分間、よろしくお願いいたします。  先ほど、中西委員が私がお聞きしたいと思っていた部分の冒頭部分をほとんど聞きましたので、質問がかなり楽になりました。  今日は、内閣府の中長期試算に基づきまして、これから財政再建どうやって進めるのかということについて若干のちょっと議論をさせていただきたいというふうに思います。  経済再生シナリオとベースラインシナリオという二つのシナリオを用意しているんでありますけれども経済再生シナリオでいきますと、名目成長率は二〇一六年から二〇二三年度平均で名目三・六%。まあ、平均で名目三・六%です。実質二・一%の成長率ということになります。  二〇一六年から二〇二三年度平均で名目三・六%ですから、これがこのまま実行されますと、二〇二三年度は、これざっと計算しますと、GDPは名目で三割伸びなくちゃなりません。それから、実質でいきますと大体二割ぐらいのGDPが伸びるという計算になるはずです。  それで、資料の二ページ目をちょっと見ていただきたいと思います。これは名目のGDPと実質のGDPの過去の推移です。高度経済成長は年率十数%とか二〇%近いぐらいの伸びで推移するんですけれども、最近の伸び率は大体一%とか二%とかという、そういう状況です。バブルのときにちょっと伸びましたね。これから、これが、先ほど言いましたように、二〇一六年から二〇二三年度まで名目で三・六%伸びるということは、今大体五百兆ぐらいですから、五百兆というか四百九十兆ぐらいですかね、仮に五百兆だとしますと、八年間で六百五十兆にぽんと伸びちゃうんです。そんな図が想定できるかという話なんですね。  それで、西村副大臣にお伺いしますけれども、これは試算は試算としてあるわけでありますけれども、現実の皮膚感覚として、これから名目三・六%、実質二・一、それで、先ほど言いましたけれども、GDPは三割ぐらい膨れます。こんなの過去にない話です。強烈なインフレでも起きれば話は別ですけれども、インフレ起こさないということを言っていますから。そういうのが現実感覚として受け入れられるかどうかというのを率直にひとつ感想として、これはちょっとお聞かせいただきたいと思いますけれども
  160. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、私ども経済再生ケースで中長期的な経済成長率、実質二%以上、名目三%以上という姿をお示しをしておりまして、これはそう簡単でないことも十分に承知した上で望ましい成長の姿を示そうと、これを目指そうということで、私ども、この実質二%、名目三%以上の成長率を目指して経済政策にしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。  もう御案内のとおり、既に三本の矢の、異次元の金融緩和と言われる日銀の大胆な金融緩和、それから機動的な成長に向けての財政政策、そして今、三本目の矢である成長戦略、規制改革等を含めてこれをしっかりと実現することによってこの二%、三%という数字を実現すべく努力をしていきたいというふうに思っております。
  161. 平野達男

    ○平野達男君 目標だから、まあそういうことだということでは理解するんですけれども、いざ財政再建という話になりますと話が違ってきますね。これに基づいて財政再建をするということになりますと、三・六%、二・一%というのはどれだけの確実性があるんだろうかという話になると思います。  先ほど中西委員が九・四兆がスタートですかと聞いたら、そうだというふうに答えられました。まあそれはそういうことなんですけれども、これは極めて楽観的なシナリオの下で財政再建をするということを宣言しておるわけです。しかも、大変なことは、極めて楽観的なシナリオというふうに私は今評価してしまいましたけれども、しかも、なおかつ国、地方のプライマリーバランスはマイナス九・四兆円ということで、九・四兆円を更に別の政策でもって埋めなくちゃならない。しかし、埋めなくちゃならないんですが、繰り返しますけれども、元に戻りますけれども、その前提となる九・四兆円というのが、この名目三・六、実質二・一、これは一つの目標で前提にするということが果たして正しいのかどうか。  ここにはもう一つ、ベースラインケースというのがあります。本気で本当に、考え方としてですよ、財政再建をするというのであれば、本来なら経済再生ケースではやりませんよね、どうなるか分からないんだもの。しかも、二〇二〇年には黒字化を達成するというふうに言っていますから。本当に黒字化を達成するのであれば経済再生ケースよりは少しもっと低いラインで考えなくちゃならないというのが、これは保守的に見るか、いわゆる楽観的か、これはもう麻生大臣、釈迦に説法なんですけれども、そういう話になってくるんだろうと思います。  そこで、今その考え方は、これから夏に向かっていろいろ議論されると思うんですけれども、果たして本当にそれでいいのか。それでもって、絵に描いた財政再建はしないということだったんですけれども、実際的にはかなり厳しい話なんですが、この前提で進んだ瞬間に、まあ私自身はこれは財政再建の基礎にはちょっと厳しいのではないかなという印象をかなり持ってしまうのでありますけれども、今の段階で財務大臣はどのように思われるでしょうか。
  162. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平野先生、言われるまでもなく、これはもう極めて厳しいのははっきりしています。それはもう、ただ、ちょっと五年前も、二〇一五年は半分なんてできっこないとみんな言っていたんだから。ところが、できた。だから、その意味では、余り悲観的な予測だけするわけではないんですが、極めて厳しいことになるのは確かでして、金利が御存じのように経済成長に伴って上昇していくということになりますので、国債費のいわゆる歳出の中に占める割合というものが継続的に増加をしていくということになって、二〇二〇年度においては、二〇一五年度の二四%から、この試算でいきますと三一%ぐらいになるという計算で、三割程度に上がるという試算が示されているものだと理解をしております。  したがいまして、このような予算の姿が現実に成り立つのかというところが一番御心配の点なんだと思いますが、財政事情によって左右されますので直接言及することは控えたいと存じますが、ただ、いずれにしろ、現在の財政構造というものを前提にすれば、金利の上昇によって予算がより硬直化してくるということはもうはっきりこの形で示されていると思っております。  したがいまして、この試算結果に照らして考えれば、これまでも度々申し上げておりますように、国債の利払費を除いたいわゆるプライマリーバランス、基礎的財政収支というものに頼っているのではなくて、これを黒字化すればそれでよかったというのでは駄目なんであって、財政健全化目標におきましても二〇二〇年度のプライマリーバランスがゼロと、まだ金利だけはまた増えていくということですから、そういった意味では、債務残高対GDP比を安定的に引き下げるということを考えていくのが二〇二〇年度の次の目標にならねばならぬと思っておりますので、いわゆる分母になりますGDPを増やす、そして財政収支というか、利払い等々になります財政収支の分という分子の部分は抑えていくという努力を引き続き、これは社会保障やら何やらいろんなものを含めまして、これは猛烈な勢いで歳出等々についても考えねばならぬという厳しいものになっていると、私どもそう理解します。
  163. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ二〇二〇年にプライマリーバランスは一応黒字化をするということで、国会でも何回も答弁されておりますし、今の政府の方針でありますから、いずれその前提をどうするかというのは、私も引き続きまたよく議論をさせていただきたいと思いますが。  それで、今、麻生大臣もおっしゃいましたけれども、この中長期の経済財政に対する試算というのを、これよくよく見ますと、さっと見ちゃうと、試算だからいいやというふうに通り過ぎてしまいますけれども、例えば、これ、今このまま過ぎたら、先ほど、一般歳出に占める割合が、今大体二割ぐらいなんですけれども経済再生ケースでも、これでいくと三割を超えるような状況になってきます。しかも、今の予算でいきますと、いわゆる国債費と地方交付税とそれから社会保障費が一般歳出に占める割合というのは今七割ちょっとぐらいです。この試算でいきますと、九割ぐらいになる状況も、これ試算でさっと出てきちゃうんですね。  私も実は西村副大臣のポストにおったときに、こんな試算をぽんと出して、この評価をしなくていいのかと盛んに議論したんです。試算だから、数字だからこれ世の中に出しておいて、どういう状況になるんだということに対しての評価を内閣府としてあるいは財務省としてやっぱりしなくちゃならないんじゃないか。例えば、一般会計の予算の中で、社会保障費と国債費と地方交付税九割で、通常のほかの公共事業費とか農業費の補助金とか一般経費は一割なんという国家予算というのは一体どういう予算だろうか。  だから、そうならないように、まずはプライマリーバランスを二〇二〇年に黒字化するということの一環で、それ黒字化すればこの数字はまた変わってきますからね。そういう意味で、この、何というんでしたか、経済財政に関する試算というのは、やっぱりもっともっと使っていかなくちゃならないんじゃないかと思うんです。これ、質問ちょっと予告しておりませんけれども。これは大議論になりまして、これ数字出して終わりじゃないだろうと。今の状況になってみたら、五年後、七年後というような財政にはどうなるんだということに対しての、これは政府としてどういくかという難しさはありますが、これは是非、西村副大臣も検討していただきたいと思います。  私、議論で結局論破できなくて、もごもごもごっとなってしまったところがあるんですが、この数字はかなり深刻なことを言っています。国債発行残高も一千兆を超えてしまう。それで、対GDP比の比率というのが先ほどありましたけれども、本当に対GDP比の比率だけで見ていいのか。  国債の償還率は、あれは六十年償還ですから、国債発行残高が九百兆だとすれば、十五兆以上の国債を発行している限り、国債残高はどんどんどんどん増えていきます。残高が増え続けるということは、今金利が物すごい低いですけれども、金利が上がったときの国債費の跳ね上がりというのは物すごく大きいということですから、どれだけの規模になったときに財政にどれだけ影響が出てくるかというのは、今までに経験していない多分危険域に入っているんだろうと思います。  そういったこともあるんだけれども、試算としてはさらっと出てきてしまって、何となくこの数字だけ見ますと、二〇二三年度まではこう行きますよというから、見方によっては、ああ財政はこのまま行くんだというふうにも取れてしまうような試算にも見えるということなので、長々と申し上げましたけれども、是非そういうことは内部でちょっと検討をしていただきたいと思いますけれども、ちょっと御見解をお伺いします。
  164. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 平野委員から御指摘をいただきまして、まさに今、夏に向けて、経済再生と財政健全化の計画を策定すべく作業を進めているところでございまして、今御指摘のありましたプライマリーバランスを黒字化するということと、あわせて、国の財政あるいは地方の財政が持続可能なものとなっていくように、そのこともしっかり頭に置いて、その検証もしながら、夏の策定に向けての作業の中でそうした点も考慮しながら考えていきたいというふうに思います。
  165. 平野達男

    ○平野達男君 繰り返しになりますけれども財政再建はもう三つしか、算術の世界ですから手段ないはずなんですね。三つというか、大きく分ければ二つだと思いますけれども。一つは、税収をどうやって伸ばすか。税収を伸ばすためには更に二つあって、税収構造を変えると。まあ逆に言えば増税するということだと思いますけれども。それと、もう一つは経済発展をして、税収弾性値をどう取るか分かりませんが、それで税収を上げるといういわゆる歳入面での改革ですね。それからもう一つは、もう当たり前の話なんですけれども、歳出改革ということになります。  そうすると、今言った中で、一つは、もう税の増税というのはどうも、一〇%も延長しましたし、二〇二〇年までに更に増税というのはこれはなかなか言いにくいんだろうなというのは直感で分かります。それからもう一つは、経済成長率はかなり、先ほど言ったように、もし再生シナリオでいくのであれば、これはかなり議論はあると思います。まあこれは、これから国会でもいろいろ議論することになると思いますが。  ただ、たった一つ確実にできることがあるわけです。それは歳出改革です。先ほど中西委員が法律作らないんですかというふうに言いましたけれども、本当に財政再建をするのであれば、目標設定をしてやれる可能性があるというのは歳出改革だと思います。この歳出改革について言えば、一般行政経費をどうするのか、あるいは社会保障費をどうするのかといったことが議論になってくると思いますけれども、この歳出改革についてどういうふうに進めようとしているのかということについて、もやっとした返事でも何でも結構でございますから、今の段階ではこれからの検討材料ですから、こうこうこうというふうには言えないと思いますけれども、どうですか。
  166. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘がありましたように、中長期の試算では、名目で三%以上、実質で二%以上というのの経済成長率を想定した経済再生ケースにおきましても、二〇二〇年度の基礎的財政収支が九・四兆円、GDPで一・六%と赤字になる姿が示されておりますのはもう御指摘のあったとおりです。  したがって、我々のやりますこの財政健全化計画に当たりましては、これは歳出の改革、歳入の改革、そして当然のこととして、経済再生のみならずデフレ脱却と、この三つの柱を軸にして、これは当然のこととして検討していくことになるんですが、歳出改革が重要であることはもう言うまでもありません。九十兆円の中に比率はもうほぼ社会保障関係で三十兆とか、三十兆と簡単に言いますけど、あの第二次世界大戦のときの軍事費がほぼ三〇%ぐらいですから、それはすごい比率が大きいということですよ。  だから、そういった意味でいきますと、歳出全般にわたってこれは徹底的な見直しを行っていくということは必要で、これは引き続き社会保障は言うに及ばず、いろいろな意味で歳出の徹底的な合理化というものを、重点化をしていかねばならぬ。それをもって、今のところのお答えは、それ以上はなかなかちょっと申し上げることはいたしかねます。
  167. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ歳出の見直しというのは、目標さえ設定して、かつてかんぬきを、でない、何を掛けるって言いましたっけ、たがをはめると言いましたか、まあ三十兆枠とかというそういうことをやったこともありますけれども、何らかの方法でたがをはめるみたいなことは検討されてもいいのではないかと思います。  しかし、その一方で、昨日予算委員会で言いましたけれども、釜石のラグビーのワールドカップでは支援していただかなくちゃなりませんし、地方では非常に補助金も少ないということもございまして、両面にらみながらのやっぱり歳出改革の話をさせていただくことになるということを申し上げまして、ちょっと時間が余りましたけれども、私の質問を終わらせていただきます。
  168. 古川俊治

    委員長古川俊治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会