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2015-05-13 第189回国会 参議院 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年五月十三日(水曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      礒崎 哲史君     野田 国義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         鴻池 祥肇君     理 事                 大野 泰正君                 舞立 昇治君                 森 まさこ君                 尾立 源幸君                 平木 大作君                 藤巻 健史君                 辰巳孝太郎君     委 員                 金子原二郎君                 関口 昌一君                 鶴保 庸介君                 西田 昌司君                 宮本 周司君                 山田 俊男君                 山本 順三君                 吉川ゆうみ君                 石上 俊雄君                 江崎  孝君                 野田 国義君                 広田  一君                 安井美沙子君                 魚住裕一郎君                 中山 恭子君                 中西 健治君                 吉田 忠智君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        財務大臣    菅原 一秀君    事務局側        第二特別調査室        長        山内 一宏君    政府参考人        内閣府政策統括        官        前川  守君        内閣府政策統括        官        羽深 成樹君        内閣府政策統括        官        田和  宏君        財務大臣官房総        括審議官     迫田 英典君        財務大臣官房審        議官       星野 次彦君        財務省主計局次        長        岡本 薫明君    参考人        日本銀行総裁   黒田 東彦君        日本銀行理事   雨宮 正佳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関  する調査  (「デフレからの脱却財政再建在り方など  経済状況について」のうち、経済再生財政  再建在り方デフレからの脱却金融政策の  在り方及び財政再建への取組)について)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ただいまから国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、礒崎哲史君が委員を辞任され、その補欠として野田国義君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査を議題といたします。  本日は、「デフレからの脱却財政再建在り方など経済状況について」のうち、「経済再生財政再建在り方」に関し、デフレからの脱却金融政策在り方及び財政再建への取組について、政府及び日本銀行から説明を聴取した後、質疑を行います。  本日の議事の進め方でございますが、内閣府、財務省及び日本銀行からそれぞれ十五分程度説明を聴取した後、午後四時頃までをめどに質疑を行いたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、初めに内閣府から、我が国経済政策現状課題について説明を聴取いたします。西村内閣府副大臣
  4. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) 内閣府で経済政策を担当しております西村でございます。  我が国経済政策現状課題につきまして御説明をさせていただきたいと思います。お手元資料、横紙で内閣府の文字があります資料を見ていただきながら御説明をしたいと思います。  初めに、日本経済について、経済の好循環に向けた進捗状況から御説明申し上げます。  お手元資料ページ目を御覧ください。  安倍内閣では、長引くデフレからの早期脱却経済再生を図るため、大胆な金融政策、機動的な財政政策民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を一体として強力に推進してまいりました。こうした政策の下、日本経済には、消費等には弱さが見られておりますが、確実に経済の好循環が生まれ始めております。  各分野動向について、まず企業部門動向から御説明させていただきます。  左上左下でありますけれども、企業収益は大企業中心改善が続く見込みであり、全体としても二〇一四年度、一五年度共に増益が見込まれております。企業業況判断右側上、下でありますけれども、引き続き高水準にあり、中小企業については、右下でありますが、仕入価格下落など、収益環境改善が見られております。  二ページ目、御覧ください。  企業部門には、以上申し上げたとおり、改善が見られておりますが、他方、設備投資につきましては、左上、おおむね横ばいにとどまっております。設備投資の伸び悩みは先進国全体の課題でもございます。右上の資料にも出ております。先月、四月ですね、公表されたIMFのレポートでは、世界的な潜在成長率低下成長期待低下をもたらし、設備投資の伸び悩みにつながっている可能性が指摘されております。  企業から見た我が国期待成長率右下でありますけれども、これもリーマン・ショック後の二〇一一年頃からほぼ変わっておらず、潜在成長率引上げに向けた取組が重要だと考えております。  三ページ目、雇用所得環境につきましては改善傾向にあります。  働く人全体の所得を合計した総雇用者所得左上でありますが、雇用者数、一人当たり賃金共増加傾向にある中で底堅い動きとなっております。左下、非正規雇用者比率は、足下二か月連続で前年同月差が減少に転じております。右上、有効求人倍率上昇傾向にあり、雇用情勢改善が確認できます。また、右下、今年の春闘賃金引上げは、過去十五年で最高だった昨年の水準を更に上回る勢いとなっております。  四ページ目、個人消費につきましては、今申し上げた雇用所得環境改善背景として消費者マインドは持ち直し、消費実態も底堅い動きを示してはおりますが、いまだ改善には至っておりません。左上左下グラフでございます。  なお、今後、原油価格下落の恩恵が電気代ガス代等の値下げを通じ広がっていくことが期待をされております。右上、右下資料でございます。このほか、中小企業地方賃上げ動きが波及していく中で個人消費が回復していくことが期待されます。  五ページ目、デフレに関連した指標動きについて御説明申し上げます。  安倍内閣では、十五年以上にわたって日本を苦しめてきましたデフレからの脱却を図っておりますが、現在、景気の緩やかな回復基調が続く中でデフレ脱却に向けて前進をしてきております。  デフレに関連した指標動向を見ますと、消費者物価左上グラフでありますけれども、いわゆるコアコアは二〇一三年十月より前年比プラスに転じております、左上ですね。景気の緩やかな回復基調背景に、GDPデフレーター名目賃金、これは左下でありますが、これも改善傾向にあります。そして、右下予想物価上昇率も安定的に推移をしております。  今後とも、デフレからの脱却を図るとともに、経済再生財政健全化両立実現するため、経済の好循環を拡大させてまいります。  続きまして、六ページ目、昨年閣議決定をいたしました緊急経済対策について御説明申し上げます。  本経済対策は、経済の脆弱な部分に的を絞り、かつスピード感を持って対応を行うということで、経済の好循環を確かなものとするとともに、地方にアベノミクスの成果を広く行き渡らせることを目的としております。その柱は三つございます。一つが、生活者事業者への支援二つ目地方活性化三つ目、災害、危機等への対応でございます。本対策規模は、国費三・五兆円程度予算措置による経済効果として実質GDP比おおむね〇・七%程度と見込まれております。  七ページ目、地域住民生活等緊急支援のための交付金取組状況実施状況について御説明申し上げます。  まず、地域消費喚起生活支援型の交付金についてでありますが、この交付金は、自治体プレミアム付き商品券発行に対する助成などにより地方消費喚起を図るものでございます。本年三月三十一日までに、予算額二千五百億円の九九・三%に当たる二千四百八十三億円を四十七都道府県千七百三十五市区町村に対し交付決定済みであり、その内訳は、プレミアム付商品券が一千五百八十九億円、ふるさと名物商品旅行券が六百十五億円となっております。  次に、八ページ目でございますが、地方創生先行型の交付金についてでございます。この交付金は、まち・ひと・しごと創生に向けた地域の実情に応じた取組支援を図るものでございます。本年三月三十一日までに、予算額一千四百億円の九六%に当たる一千三百四十四億円を四十七都道府県一千七百二十八市区町村に対し交付決定済みとなっております。  引き続き、国、地方において本対策を迅速かつ着実に実行することにより、景気回復の実感を全国津々浦々に届けてまいります。  九ページ目、政労使会議について御説明申し上げます。  昨年十二月のこの政労使会議におきまして、(1)の①にありますとおり、政府環境整備の下、経済界賃上げに向けた最大限の努力を図るとともに、取引企業の仕入価格上昇等を踏まえた価格転嫁支援協力に総合的に取り組むこと等について合意しました。  また、春闘の序盤の結果が出た機会を捉え、夏に向けて本格化する中小企業賃上げ環境整備をもう一歩進めるため、先月、四月の会議では、価格転嫁策サービス業生産性向上等を決定いたしました。  経団連は、(2)の①にありますとおり、価格転嫁を含めて適正な取引価格が形成されるよう、全国各地会員企業に直接呼びかけることにいたしました。政府は、②にありますとおり、産業界に対して下請取引ガイドラインに沿った取引を行うよう徹底して要請してまいります。また、本年度上半期に、約五百社の大企業に対し集中的な立入検査を実施することにいたしております。  次に、サービス業生産性向上につきましてでありますが、九ページの一番下のところでありますけれども、小売、飲食、宿泊、介護、道路貨物運送等分野において、経団連事業者団体協力をして課題解決を図る活動を展開してまいります。  続いて、最後でありますけれども、十ページ目でございます。経済再生両立する財政健全化計画について御説明申し上げます。  安倍内閣としては、二〇二〇年度の財政健全化目標を堅持し、その目標達成に向けて経済再生両立する財政健全化計画を本年夏までに策定することといたしております。  二月十二日の経済財政諮問会議におきまして、安倍総理から、まずは民間議員中心論点整理を進めるよう御指示がありました。  これまでの諮問会議での主な議論をそこに紹介をしてございますが、例えば、経済再生財政健全化両立が必要である。あるいは、二〇二〇年度までの基礎的財政収支黒字化は国全体として取り組まなければならない。また、今後、人口急減、超高齢化等が深刻化する中で、経済再生財政面構造改革が不十分となれば、歳出肥大化が際限なく続き財源確保が一段と難しくなることが見込まれる、早急の対応が必要であると、こういった点。また、国、地方公共関連サービス産業化民間との連携を進めて、歳出効率化と併せて経済活性化を推進する。それから、国民一人一人、企業自治体等意識行動変化を促す仕組みを構築し、効率的かつ質の向上した公共サービス実現することが重要である。一番下の行でありますが、計画実行進捗状況をレビューし、中間段階達成状況を評価すべきと、こういった議論がなされてまいりました。  こうした議論を踏まえまして、昨日の経済財政諮問会議におきまして、民間議員よりは、まずは総論について論点整理を御報告いただいたところでございます。  今回の計画策定当たりましては、歳出削減ありきではなく、国民企業等意識行動変化を促すことや公共関連サービス産業化の視点など、国民生活経済再生との両立といった観点からの取組が重要であると考えております。今後、経済財政諮問会議におきまして、計画策定に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。  私からの説明は以上でございます。
  5. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  次に、財務省から、我が国財政現状課題について説明を聴取いたします。菅原財務大臣
  6. 菅原一秀

    ○副大臣菅原一秀君) 財務大臣菅原一秀でございます。  本日は、我が国財政現状課題について御説明を申し上げます。  お手元に十三ページにわたる資料をお配りをさせていただいております。  二枚おめくりをいただきまして、二ページでございますが、平成二十七年度一般会計予算歳出額は約九十六・三兆円となっております。  このうち、社会保障関係費が約三十一・五兆円と全体の三分の一を占めております。これに地方交付税交付金等公共事業など、その他の政策的経費を合計したものが基礎的財政収支対象経費となっておりまして、約七十二・九兆円となっております。全体の約四分の三を占める状況となっております。一方、残りの約二十三・五兆円は国債費、すなわち債務償還利払い等に充てられておりまして、これが全体の約四分の一を占める状況となっております。  一方、歳入内訳は、租税及び印紙収入、すなわち税収が五十四・五兆円、公債金が三十六・九兆円となっております。税収につきましては、所得税が約十六・四兆円、法人税が約十一・〇兆円、消費税が約十七・一兆円と、これら三つ税収全体の約八割を占めております。また、公債金につきましては、特例公債が約三十・九兆円、建設公債が約六・〇兆円となっております。  次に、三ページを御覧いただきたいと存じます。  このページでは、公債発行額等推移を示しております。  我が国財政は、平成二年度に特例公債発行から一時的に脱却することができましたが、その後の金融危機や震災による景気の低迷、高齢化による社会保障増加等もありまして、財政は大幅に悪化をしてまいりました。平成十年代は公債発行額が多くの年で三十兆円を超え、平成二十年代には公債発行額が四十兆円を超える財政運営が続いたわけでございます。こうした中、平成二十七年度予算では、公債金の額を平成二十一年度当初予算以来の三十兆円台とすることができました。  次に、四ページお開きをいただきたいと思います。  公債残高推移を示しておりますが、先ほども申し上げましたように、これまで多額の公債発行を続けてきた結果、我が国公債残高は年々増加の一途をたどっております。平成二十七年度末の公債残高は八百七兆円程度となる見込みでありまして、国民一人当たり約六百三十八万円に相当します。これは平成二十七年度の一般会計税収の約十五年分に相当しておりまして、将来世代に大きな負担を残す形となっております。  次に、五ページお開きをいただきたいと存じます。  この五ページでは、財政収支債務残高国際比較を示しております。  ここではG7諸国との比較を行っておりますが、財政収支で見ても債務残高で見ても、日本G7中最悪の水準となっております。このように、国際的に見ても日本財政は極めて厳しい状況にあると言えます。  次のページ、六ページでございますが、この六ページにおきましては、一九九〇年度、先ほど申し上げた平成二年度の当初予算と、二〇一五年度、今年度、平成二十七年度予算歳入歳出比較をしたものであります。この二十五年で、歳入におきましては赤字公債が約三十一兆円増加する一方、歳出面では社会保障関係費が約二十兆円、国債費が約九兆円、それぞれ増加をしております。  次に、七ページでございます。  七ページは、OECD諸国政府支出の対GDP比、すなわち政府規模比較をしたものであります。  日本は、一九九五年には政府の総支出で見ると下から三番目でありましたが、二〇一一年には約六・一%増加し、下から八番目となっております。その内訳でございますが、社会保障支出が、一九九五年には下から二番目であったものが二〇一一年には約一〇・六%増加し、上から十番目となる一方、社会保障以外の支出につきましては、一九九五年には下から七番目であったものが二〇一一年には約三・三%減り、最低水準となっております。  次に、八ページを御覧いただきたいと存じます。  このページでは、社会保障支出国民負担率関係をプロットしたものが書いてあります。  先ほど申し上げましたとおり、社会保障支出OECD諸国の中で見ましても中位程度にある一方、国民負担率は低水準となっておりまして、言わば中福祉負担状況になっております。日本においては、中福祉を賄うために必要な財源を確保できておらず、赤字公債を通じ将来世代負担が先送りされている状況にあると言えます。  二枚おめくりをいただきまして、十ページを御覧いただきたいと存じます。  財政健全化に向けた取組について御説明を申し上げます。  このページは、我が国財政健全化目標を整理したものでありまして、我が国財政健全化目標として、一つ目、二〇一五年度までに国、地方基礎的財政収支赤字GDP比を二〇一〇年度に比べて半減する。二つ目として、二〇二〇年度までに国、地方基礎的財政収支黒字化する。そして三番目に、その後、債務残高GDP比を安定的に引き下げる、このように掲げております。  次に、十一ページを御覧いただきたいと存じます。  我が国財政健全化目標は、国、地方基礎的財政収支対象とするものでありますが、基礎的財政収支財政収支を分かりやすく示すため、国の予算について、それぞれの概念を整理したものが十一ページでございます。  まず、基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスとは、その時点で必要とされる政策的経費をその時点税収等でどれだけ賄えているかを示す指標であります。平成二十七年度予算は、この政策的経費、すなわち基礎的財政収支対象経費が約七十二・九兆円でございますので、税収等との差額約十三・四兆円が基礎的財政収支赤字分となっております。  次に、財政収支の方は、利払い費も含めた概念でございまして、平成二十七年度予算では、財政収支は二十三・六兆円の赤字となっております。  次に、十二ページお開きをいただきたいと存じます。  これは、内閣府の中長期試算の概要を整理したものでありまして、安倍内閣におきましては、経済成長に加え、歳出歳入両面からの取組によって着実に財政健全化を進めてまいりました。歳入面では、強い経済実現を目指した取組を進めることによりまして、税収増加させるとともに、社会保障の充実、安定化のために、昨年四月に消費税率を八%に引き上げました。また、歳出面では、社会保障自然増を含め、歳出全般にわたり聖域なく徹底した見直しを行ってまいりました。  こうした取組によりまして、二〇一五年度の国、地方プライマリーバランスの対GDP比は三・三%の赤字となっておりまして、二〇一五年度の財政健全化目標達成が見込めるところとなっております。  なお、二〇二〇年度の基礎的財政収支黒字化目標につきましても、しっかりとその目標を堅持し、その達成に向けて、本年夏までに具体的な計画策定をすることとなっております。  最後、十三ページでございますが、今申し上げた財政健全化計画策定に向けまして、デフレ脱却経済再生歳出改革歳入改革三つを柱として、これを軸に検討を進めていくこととしておりまして、経済再生財政健全化両立を目指し、しっかりと取り組んでまいります。  以上、財政現状課題について御説明をさせていただきました。  安倍内閣におけるこれまでの取組がより実を結び、日本経済及び日本国民が希望と自信を取り戻しつつあると確信をいたしております。しかし、経済再生、そして財政健全化もこれからが正念場でありまして、引き続き全力で取り組んでまいりますので、先生方の御理解と御指導をよろしくお願いを申し上げまして、私からの説明を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  7. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  次に、日本銀行から、我が国金融政策現状課題について説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁
  8. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 本日は、参議院国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会において、日本銀行金融政策について御説明する機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  御案内のとおり、日本銀行は、長年続いたデフレから脱却するため、二〇一三年四月に量的・質的金融緩和導入しました。それから二年余りがたちましたが、この間、我が国経済物価情勢は大きく改善しました。  以下では、量的・質的金融緩和のこれまでの効果と先行きの経済物価の見通しについて御説明させていただきます。  まず、お配りいたしました資料の表紙をめくっていただいて、一ページ目の図表一を御覧ください。  量的・質的金融緩和は、二%の物価安定の目標を二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期実現するという強く明確なコミットメントをした上で、それを裏打ちするために大規模長期国債の買入れを含む異次元の金融緩和を行う政策であります。  量的・質的金融緩和では幾つかの波及メカニズムを想定しておりますけれども、その主たるメカニズムは、実質金利低下を通じて効果を発揮するものです。すなわち、大規模長期国債の買入れによりイールドカーブ全体に下押し圧力を加えることで名目金利を引き下げます。同時に、二%の物価安定の目標実現に強く明確にコミットすることで人々デフレマインドを転換し、予想物価上昇率を引き上げます。この二つの組合せによって、予想物価上昇率を勘案した金利であるいわゆる実質金利を引き下げることができるわけであります。  実質金利低下しますと、様々な民間需要が刺激されて、経済が好転することが期待されます。その結果、財・サービス労働市場需給バランス改善し、現実の物価上昇率が高まります。実際に物価上昇率の高まりを経験すると、人々予想物価上昇率は更に高まるというふうに考えられます。量的・質的金融緩和では、こうした好循環の下で、経済の好転を伴いながら二%の物価安定の目標に向けて物価上昇率が高まっていく姿を想定しております。  実際に、量的・質的金融緩和導入以降の経済物価動きを見ますと、この政策は今申し上げた効果を発揮しております。  まず、この一ページの下の左側のグラフを見ていただきますと、名目金利、これは十年物国債利回りですけれども、量的・質的金融緩和導入前と比べて低下しております。また、予想物価上昇率については、このところ、原油価格下落の影響から実際の物価上昇率が縮小する中でも、昨年の十月の量的・質的金融緩和拡大効果もあって、この下の右側グラフで見ていただくように、やや長い目で見れば全体として上昇しております。実際に名目金利低下する一方、予想物価上昇率は高まっていますので、実質金利は大きく低下しているというふうに考えられます。  このように、量的・質的金融緩和によって実質金利低下する下で、我が国経済金融情勢には前向きな変化が現れております。  めくっていただいて、二ページの図表二を御覧ください。  まず、金融市場の動きを見ますと、(1)のグラフにありますとおり、人々経済物価情勢への見通しが改善したことを反映して、株価は六割程度上昇しております。また、為替相場については、金融政策はそれを直接の目的としているわけではありませんが、金融緩和を進める中でドル・円レートは三割程度の円安となり、かつての過度な円高水準は修正されました。  実体経済面を見ますと、右の(2)ですが、企業部門では企業収益が過去最高水準まで改善しておりまして、実質金利低下を始めとする緩和的な金融環境も後押しとなって、設備投資は緩やかな増加基調にあります。  また、家計部門では、(3)のグラフが示すとおり、失業率は三%台半ばまで低下するなど労働需給が引き締まる中で、賃金は緩やかに増加しています。先ほどのお話にもありましたとおり、この春の賃金交渉では、多くの企業で昨年を上回るベースアップを含めた賃上げ実現する見通しです。この結果、右の(4)のグラフが示すとおり、賃金に雇用者数を掛けた雇用者所得は緩やかに増加しており、個人消費は底堅い動きとなっています。  このように、量的・質的金融緩和を進める下で、我が国経済は、企業、家計の両部門で所得から支出へという前向きな動きを伴いながら緩やかな回復基調にあります。  次に、物価面を見ますと、消費者物価、除く生鮮食品の前年比は、(5)のグラフにありますとおり、量的・質的金融緩和直前にはマイナス〇・五%と水面下にありましたが、昨年四月にはプラス一・五%まで上昇しました。もっとも、その後は前年比上昇幅が縮小し、直近三月は消費税率引上げを除いたベースで見てプラス〇・二%となっています。  この物価上昇率低下の主因は、昨年夏場以降の急激な原油価格下落です。右の(6)のグラフが示しているとおり、こうした原油価格下落による物価上昇率低下は、実は我が国だけでなく世界的に見られている現象であります。実際、消費者物価総合の前年比は、米国、英国、ユーロ圏などでゼロないし小幅のマイナスとなっております。  もっとも、物価情勢を判断する上で重要な物価の基調は着実に改善しております。この点、物価の基調を規定するのは、経済全体の需給バランス人々予想物価上昇率であります。先ほど御説明したとおり、量的・質的金融緩和導入以降、需給バランス改善し、予想物価上昇率は上昇してきています。また、企業の賃金、価格設定行動にも変化が見られております。  したがって、消費者物価の前年比は、これまでの原油価格下落の影響から当面ゼロ%程度推移すると見られますが、先行き、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、二%の物価安定の目標に向けてその伸び率を高めていくと考えられます。  以上、御説明いたしましたとおり、量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しており、その下で我が国経済物価情勢は着実に改善しているというふうに思います。  それでは最後に、三ページの図表三を御覧ください。  日本銀行が先月三十日に公表いたしました展望レポートに沿って、先行き三年間の我が国経済物価の見通しについて御説明をいたします。  まず、先行きの実質GDP成長率については、家計、企業の両部門で所得から支出への前向きな循環メカニズムが働き続ける中で、二〇一五年度から一六年度にかけて潜在成長率を上回る成長を続けると予想しております。その後、二〇一七年度にかけては、二〇一七年四月に予定されている消費税率引上げ前の駆け込み需要とその反動などの影響を受けるとともに、景気循環的な動きを反映して減速いたしますが、プラス成長を維持すると見ております。  具体的には、この真ん中の表の青いシャドーを掛けた数字を御覧になっていただけますとおり、政策委員の見通しの中央値で見ますと、二〇一五年度はプラス二・〇%、二〇一六年度はプラス一・五%、二〇一七年度はプラス〇・二%であります。  また、消費者物価の見通しについては、先ほど申し上げたとおり、当面はゼロ%程度推移すると見られますが、物価の基調が着実に高まり、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、物価安定の目標である二%に向けて上昇率を高めていくと考えております。二%程度に達する時期については、原油価格動向によって左右されますが、原油価格現状程度水準から緩やかに上昇していくとの前提に立ちますと、二〇一六年度前半頃になるというふうに予想しております。その後は、次第にこれを安定的に持続する成長経路へと移行していくと見ております。  具体的に政策委員物価見通しの中央値で申し上げますと、この赤いシャドーをしたところでありまして、二〇一五年度はプラス〇・八%、二〇一六年度はプラス二・〇%、二〇一七年度はプラス一・九%です。  以上御説明いたしましたとおり、量的・質的金融緩和は所期の効果を着実に発揮しております。したがって、今後とも二%の物価安定の目標実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続していく方針であります。その際、経済物価情勢について、上下双方向のリスク要因を点検し、二%の早期実現に必要であればちゅうちょなく必要な調整を行うという考え方にも変わりはありません。  御清聴ありがとうございました。
  9. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  以上で政府及び日本銀行からの説明聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理をしてまいりたいと存じます。  質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願いをいたします。  質疑及び答弁は着席のまま行い、質疑の際はその都度答弁者の明示をしていただきますようお願いを申し上げます。  なお、できるだけ多くの委員から御発言の機会が得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  舞立昇治君。
  10. 舞立昇治

    舞立昇治君 済みません。自民党鳥取県選挙区の舞立でございます。  本日はお忙しい中、西村大臣菅原大臣、そして黒田総裁、御出席本当にありがとうございました。事務方におかれましても、本当にありがとうございます。  最初ということで、まず、最初私あれこれしゃべりますけれども、質問でお聞きしたい方といたしましては、西村大臣菅原大臣、政治家としてお聞きしたいということだけ頭に入れておいていただければと思います。  最初に、本調査会デフレ脱却財政再建に関する調査会ということで、デフレ脱却の方につきましては、黒田総裁の非常に英断といいますかリーダーシップで異次元の金融緩和、非常に私といたしましては成功していると思いますし、昨年の原油安の影響がなければひょっとするともう今頃二%目標達成できていたんじゃないかなと思うところでもあり、それは結果的に日本経済にプラスの要素で働いておりますので、ラッキーな要素で今来ていると思いますし、足下の物価上昇の基調ですとか景気状況等を考えれば、先月出された展望レポートの見通しというものは私はおおむね妥当だと思っておりまして、引き続き、いろいろと声はあると思いますけれども、しっかり頑張っていただきたいなと思っておりまして。  一点、黒田総裁の方に要望だけといいますか、しておきたいと思いますのは、今後やっぱり財政再建が本格化してくるという中で、来年前半頃に二%達成するだろうと、その後も堅調に行くだろうというようなことで、やはりいずれかの時点から出口対策みたいなものを検討していって、金利も徐々に引き上げるといったようなこととかいろんな対策検討されてくると思いますけれども、やはり財政再建に当たっては、マクロ経済、金融、財政、三者一体で考える必要があると思いまして、その辺の金利引上げ関係も非常に財政に大きな影響を与えてくると思いますので、その辺は慎重にまた御検討いただきたいなと思っているところでございます。  その上ででございますけれども、今、二〇一二年の安倍政権の誕生によりまして、アベノミクスで何とかデフレ脱却、そして経済再生、もう一回成長軌道にということで取り組んでおりまして、順調に私としては来ていると思います。その中で、やはり二〇二五年問題、団塊の世代の方たちが全員七十五歳以上になると、そこからまた一層社会保障費の増嵩だとか財政が厳しくなるといったようなことが予想される中で、今二〇一五年ですから、あと十年、この十年の経済そして財政、そして金融政策というものをまた失敗しちゃうと、またそれで経済が失速しちゃうと、もうなかなか立ち上がれる余力がなくなってくるんじゃないかということで、よほどこの十年間の政策というものは非常に重要だと思っております。  それで、デフレ脱却の方向性が見えてきた中で、いよいよこの夏に二〇二〇年のプライマリーバランス黒字化を柱とします財政再建計画を作られるというようなことで、今いろんなマスコミ報道とか出ておりますけれども、今日、余り財政健全化計画の具体的な中身が示されていないのでううんと思いましたですけれども。これから本格的に作り上げていく中で、やっぱり先ほども言ったときに、私も財政やっているときにいつもたしなめられていたんですけれども、財政原理主義に陥っていては駄目だと、やはり経済と金融、三者三様で考えないといけないということを非常に学んできたところでございます。  そうした中で、これまでの調査会の中では、今日の資料にもございますけれども、やはりもう今、日本は非常に小さな政府になって、もう非常に歳出削減の余地が小さくなってきていると、社会保障は膨れる一方だけれども、その他の経費はもうOECDでGDP比で最低の水準になってきているというようなことで、またそれで歳出削減ばっかり考えていたら、非常に国民生活経済が駄目になっても非常に厳しいでしょうと。西村大臣歳出削減ありきではなくといったようなこともおっしゃっていただきましたけれども。  やはり、今回、財務省最後資料にも、①、②、③の三つの柱というものが書いてありますけれども、今のところ歳出改革のいろんな提案はなされておりますし、歳入改革として、いろいろと消費税関係ですとか、はたまた私はもう少し租税特別措置は見直してもいいんじゃないかというふうに思っているんですけれども、やはり歳入改革のうちの税外収入の部分の視点が非常に希薄じゃないかと、不十分じゃないかと思っていまして。  例えば、今、地方公共団体向けに財政融資資金の貸付けがなされておりまして、二十五年度の決算でいうと、地方団体から返ってくる額が約五兆、そして地方団体に貸し付ける額が約四兆と、差額一兆は財政にプラスの効果なわけでございまして、例えばこの財政融資について、もう地方地方公共団体金融機構だとか市場公募をもっともっと増やしてもらって、政府からの、国からの財政融資は縮めていくと。それによって返ってくる額と貸す額の差額を数兆円程度にしてそれをまた財政健全化に充てるだとか、いろんな工夫があると思うんです。国は貸付金、有価証券で二百五十兆、資産もあると。その辺の税外収入。  はたまた外為特会の二十二兆の積立て、そして雇用保険がもう数兆以上の今積み上がっているお金、それをしっかりとこの二〇二〇年それなり、また二〇三〇年に向けて、十年、二十年、三十年、毎年数兆円使うとか、そういったような筋道を立てて財政調整基金みたいなのをつくって、歳出削減で限界なところ、税収増で限界なところを充てていく、その辺の視点も非常に私は重要だと思っておるんですけれども、そういった視点に関するやはり両副大臣の御見解というものをお聞かせいただければ。  先日の財務省出身の高橋嘉悦大学教授の話によりますと、その税以外の歳入増、本気でやるかどうかは財務大臣次第だというような話をされていました。その財務大臣に近い副大臣、そして経済財政政策担当されている内閣府の西村大臣、お二人に是非とも私はそういう視点を重視してこの夏の財政健全化計画策定に当たっていっていただきたいなと思っておるんですけれども、その辺の御見解をいただければと思います。
  11. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) 大変貴重な御指摘をいただきましてありがとうございます。  私の方からは、財政再建財政健全化をするに当たって歳入をまず増やしていくということが何より大事だというふうに思っております。  今の二〇二〇年、まだ九・四兆円分のプライマリーバランスのマイナスがありますけれども、これも前提としております歳入は実質二%、名目三%の成長を前提とした歳入でありますけれども、収入でありますけれども、着実にまずこれを、歳入を確保していくと。できることならば少しでも上振れをするように、これは成長戦略をしっかり実行して、規制改革なり様々な成長戦略、これを着実に実行することによって歳入をしっかりまず確保したいというふうに考えております。  さらに、歳出面での抑制でありますけれども、やみくもに歳出をカットする、歳出削減するというのは、これはむしろマイナスになる面もありますので、ここはよく注意をしなきゃいけないと思っておりますけれども、しかし、やっぱり効率化をしていく面はありますので、例えば地方公共団体において、もうよく委員も御案内のとおり、PPP、PFIと言われるような民間のノウハウを活用していく。これは、上下水道であったり空港であったり、今様々なコンセッション事業もやろうとしておりますけれども、これをより活用して効率よく運営をしてもらうと。このことは、行政のコストが下がると同時に、民間企業がそこに参入をするわけでありますので、民間企業の方でまたいろんな事業が生まれてくるということでありますから、その意味で、ある意味で公的部門の産業化によって一石二鳥にもなるということであります。こういった施策を実行していくこと。  それから、社会保障面でも、当然、御指摘のように高齢化が進みますので社会保障費は増えていくわけでありますけれども、そこを何とか効率化できないかということで、例えばジェネリック医薬品の使用をもう少し増やしていくとか、あるいは、都道府県ごとに相当医療費の差がありますので、これを、少し多い都道府県について、マイナンバーの制度なんかも使いながらより効率化をしてもらいつつ、病床数についてもいろいろ改革をしながらこれをならしていく、多いところの県を少し標準的なところに抑えていくというふうなことも含めて、様々なそうしたことに対するインセンティブなり改革を行いながら歳出面での効率化を図っていくということ。  それから、今申し上げたマイナンバーというものが入りますので、行政もこれで相当効率化ができるようになってくると思います。将来は、マイナンバーで本人確認がしっかりできるようになれば、住民票のようなものが場合によってはもう不要になってくるというふうなこともありますし、様々な行政のコスト、手続が簡素化されていくということでありますので、そういった面での効率化、それによって歳出面の抑制が図られていくということでありますので、そういったことを通じて経済構造を成長していく構造に変えていく。  それから、財政歳出の構造も改革をしていくということを通じて二〇二〇年のプライマリーバランス黒字化に向けて努力をしていくということだと思いますが、今申し上げているのは一例でありますけれども、こういった点を経済財政諮問会議で今議論を重ねておりまして、夏の財政健全化計画に間に合うようにしっかりと議論を深めてまいりたいというふうに考えております。
  12. 菅原一秀

    ○副大臣菅原一秀君) 舞立先生から、大変総合的かつ総括的な重要な御指摘をいただいたと受け止めております。  その上で、今、西村大臣からもるる、デフレ脱却、そしてそのための金融政策、いわゆる三本の矢を放ちながら、そしてそれを確実に前に進めていく、マクロ経済財政再建、そして金融政策、これを全てしっかり前に進めていくという御指摘、大変重要だと思っておりますが、お話ありました財投の合理化、これにつきましては、委員もよく御案内のとおり、財投を地方等に投ずるということは、一定の役割を果たすものの、言ってみれば借金として残る現実、また歳入というものがしっかり見込めるということはよく注視をしていかなければいけないですが、いずれにしても、その辺りをしっかり留意をしながら進めていくことが大事だと思いますし。  また、財政健全化につきましては、この夏に、経済財政諮問会議、ここにおける徹底した議論の上で、そこで建議によって私どもしっかり計画を皆様にお示しをする、そういうふうな意識を持っておりますが、成長ベースで約九・四兆円赤字ということがございます。これについても、社会保障公共事業、あるいは公務員の給与等々含めて総合的な議論が今後されるものと思っておりまして、大変厳しい状況の中にあっても歳出削減、そしてまた同時に、経済再生でお話あった税外収入、これがきちっと今まで以上に確保できますように努めていきたい、このように思っております。  以上です。
  13. 舞立昇治

    舞立昇治君 長くなって済みませんでした。  経済再生を第一に、現実的な財政健全化計画を作っていただきますようお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
  14. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 次に、石上俊雄君。
  15. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 民主党・新緑風会の石上俊雄でございます。  西村大臣菅原大臣、あと黒田総裁、本当にありがとうございました。  ちょっと時間がないので早速質問に入りたいというふうに思いますが、まず菅原大臣に御質問させていただきたいと思います。  要は負債の件なんですけど、先ほど御説明の中で、資料の五ページですかね、世界的な比較国際比較ですね、GDP比で大変深刻な状態にあると。計算すると二三三・八%ぐらいになるんですが。  三月の下旬のテレビ朝日の「朝まで生テレビ!」に高橋洋一先生が出てられて、そこの中で日本の借金大したことないんですよという発言があったんです。四月の十五日にこの調査会に来られたので御質問をさせていただいたら、確かに大したことないと、成長すれば。要は貸借対照表を見れば一目瞭然だというお話をされたんです。  財務省の皆さんからちょっといただいて計算をさせていただいたら、確かに計算すると日本は一〇二%、アメリカが九六%になるんですね、資産と負債の差額をこうやると。なので、同じぐらいのレベルなんです。となると、先ほど御説明をいただいた国際比較的にも大変深刻な状況にあるというのは、ううん、どうなのかなというのがまず一つと。  さらにはもう一つ、昨年の十二月の暮れですね、日経新聞にコロンビア大学のデビッド・ワインシュタイン先生が投稿されたやつなんですが、要は、貸借対照表というかバランスシートの中に日銀も組み入れれば、さらにそのGDP比が八〇%ぐらいになるというんだということです。そうすると、ああ、大した問題じゃないんじゃないかなというふうに思うんですね、素人的に。  こういう考え方は合っているのかどうか、日銀をバランスシートに入れるということは、これ合理的なのかという、この二点について教えていただけますでしょうか。
  16. 菅原一秀

    ○副大臣菅原一秀君) 先般の高橋洋一さんのお話は聞いておりませんが、今、石上先生からお話の中でそのような発言があったということを受け止め、今思いますると、もうこれよく御案内のとおり、日米、国、連邦、その計上の仕方が異なるわけでございます。したがって、日本において、例えば国の資産、政府保有資産といっても、例えば道路とか河川あるいは国立公園、こういったものも全部含まれておりまして、そうした資産が約百四十六兆円ございます。これが対GDP比で三割を占める状況にございます。一方、アメリカなどは連邦制でございますから、国としてと、それから州あるいは市等々によってまた資産の計上が異なっておりますので、一概に比較できないという現状がございます。  そうした中で、日本とアメリカというこの両国の有形固定資産の規模を見ますと、日本は大体百七十八兆円、今申し上げたようにGDP比でいうと三七%、アメリカは八千七百八十三億ドルで、対GDP比僅か五%となっております。  しかし、こうした違いがあるにもかかわらず、この両国の資産と負債、この対GDP比だけを単純に比較をいたしますと、お話あったように、日本の借金は大したことないというふうな発言になるんでしょうけれども、今申し上げたようなこの違いを考えれば、冷静に考えるとそうした指摘は適切ではないと私どもは考えております。  また、一般的に各国のストックベースで財政状況を見ますと、評価する指標としては、国だけでなく地方等の社会保障基金なども含めたいわゆる純債務残高、SNAベースにおきますとこれが使用されるわけですけれども、こうした基準で分析をしたOECDのいわゆるエコノミック・アウトルックによりますと、先ほど説明申し上げたとおり、二〇一五年の純債務残高GDP比は、我が国が一四六・八%であるのに対してアメリカは八五・九%となっておりまして、言ってみれば、日本先進国の中で極めて厳しい最悪の水準にあると、こういうような状況であります。  また、二つ目の、日銀総裁おりますけれども、この日銀の保有国債等々、あるいはバランスシートにそれを含めた、こういう考え方につきましては、もう御案内のとおり、日銀は政府から独立をして金融政策を進めているわけでありますので、その金融政策を決めているにもかかわらず、政府は日銀がとわに国債を保有し続けるということを念頭に置いておりまして結果的には財政ファイナンスを狙っているのではないかというような、そういうロジックをおっしゃっているわけなんですが、そういうそしりは、今もお話あったように、仮に日銀の保有資産も含めればそういうことになるんでしょうけれども、これは全く違う話でありまして、日本財政状況は今申し上げたとおり大変厳しい最悪水準になっておりますので、本調査会でもその辺りは御共有いただけるというふうに考えておりまして、政府としましては、巨額の公的債務が累積する中で、日本に対する市場や国際社会からの信認を確保するためにしっかりとした財政健全化、これに取り組んでいきたい、このように考えております。
  17. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございます。  それでは、続きまして、黒田総裁に御質問させていただきたいんですが、出口戦略の話なんですけれども、この二年間で、出口戦略の話になると時期尚早という答弁が、事務所で調べさせていただいたら二十五回の委員会で五十一回答弁されているというのが分かったんですが、いわゆる出口といったらこれ金融緩和をやめるという、私、素人なのであれですけれども、やめるという。  いつになるのとかって別に構わないんですけれども、出口になったときに、要は今まで買い込んだ国債を売るんですか、そのまま持っているんですかということですよね。要は、売っちゃうと国債の価格が下がって、金利が上がって、利払いのものが八兆から十兆あるのがもっと膨らんじゃうので、これ本末転倒になるのでずっと持っている方がいいんじゃないのという意見があるんですけれども、その辺についてちょっとお教えいただけると助かります。
  18. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 委員御指摘のこの量的・質的金融緩和からの出口につきましては、基本的に、この金利水準をどう調整するかという話と、御指摘のように、長期国債を含めて拡大した日本銀行のバランスシートの扱いをどうするかという課題があるということはそのとおりであります。  そのために、出口というときにどのような具体的な手段があり得るかということは、もちろん様々なことが考えられますけれども、実際にどのような手段を用いるかとか、あるいはどのような順序で出口を進めるかというのは、やはりその時々の経済物価情勢あるいは市場の状況などによって変わり得るものですので、今の段階で例えば購入した長期国債についてどうするのかということを具体的に申し上げるのはやはり時期尚早ではないかと。  米国が既にテーパリングを終わって、いつから金利を上げるかという状況になっておりますので、米国の出口の状況等も参考にはなると思いますけれども、やはり経済あるいは財政、金融等の状況が違いますので、御指摘のような点も含めて、その時点で最も適切な手段、最も適切な順序で出口を進めてまいりたいと。そして、その場合に、経済や金融に予期せぬような影響が、余計な影響が出るというようなことは当然避けなければならないというふうに思っております。
  19. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございます。  最後西村大臣にお聞きしたいんですが、やっぱり財政再建には経済成長が必要なんですが、それと密接な関係があるのがやっぱりTPPじゃないかと思うんですね。  やっぱり交渉状況とかというのが知れると思ってうれしく思ったんですが、何となく、撤回されてしまったということがあったので、その辺、何で撤回されちゃったのかなというのを教えていただけると助かります。
  20. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) 五月四日のワシントンDCでの私の発言のことだと思いますけれども、私自身は、何とか情報提供、情報開示をできないものかということで、常々、国会でも何度も御指摘をいただいておりますし、訪米中のセミナーでもそんなテーマで議論もございましたので、その情報開示を何かできないかと、工夫ができないかということを強く思っていたところでございます。  その際、引き続き今後どのような情報提供ができるかということで何か検討したいという、そういう趣旨で申し上げたつもりだったんですけれども、何かアメリカと同様なやり方で開示するというような方針を固めたとか、そういう報道がなされたものですから、そのことに私自身驚きまして、記者会見を開いて、そうした誤解を与えたような、あるいは混乱をさせてしまったことについておわびを申し上げつつ撤回をさせていただいたところでございます。  米国と日本では制度が違います。そもそも、この十二か国の間では外部にその状況を漏らさないということで保秘の契約がありまして、その信頼関係の下で交渉を進めております。  アメリカはアメリカで、議員に対して外部に漏らせば罰則まであるという中で情報開示を行ってきているようでありますけれども、各国共にそれぞれの制度に応じて悩みながら対応してきているという中で、日本としてもできるだけ情報開示はすべきだという気持ちは持っておりますので、日本の制度、制約の中で、今後更にどういう工夫ができるか、これについては是非考えていきたいと思いますし、TPPも、御指摘のとおり、最終局面を迎える中で、これが合意が達成することが、妥結ができれば日本経済にとっては大いにプラスであるというふうに思いますので、成長戦略の中の一つの大きなテーマ、柱であるというふうに認識をいたしております。
  21. 石上俊雄

    ○石上俊雄君 ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。  終わります。
  22. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 平木大作君。
  23. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日は、政府また日銀を代表して御説明いただきまして、ありがとうございました。  今るる御説明いただいたんですけれども、これ、今日のお話も、それからこれまでの政府、日銀からの御説明をお伺いしていても、幾つかあるかと思うんですが、一つ大きな点として、デフレからの脱却ということはもとよりとして、財政再建を当然目指す上でも、この経済の好循環をしっかりとつくって維持していくこと、これが不可欠であるということは一貫してこれ御説明されてきたのかなと、これは政府、日銀に共通した立場なのかなというふうに理解をしております。  この今後も景気の好循環をつくっていく、また維持していくということをしていく上で、私は、避けて通れないのは、昨年四月に行われました消費増税が実際に経済に与えた影響というものをしっかり総括することなしにやっぱりこの先を見通していくというのはなかなか難しいのかなというふうに思っております。  事実として、この消費税を三%上げたということが、恐らく政府、日銀あるいは民間のエコノミストも含めて想定していたものをはるかに超えるような個人消費の落ち込みを中心とした経済活動の停滞があったわけでありまして、まずちょっとこういった点から今日御質問させていただきたいと思っております。  最初の質問ですけれども、これ内閣府、デフレギャップの解消についてお伺いしたいと思っております。  先ほどの御説明資料の中でも、五ページでございました。二〇一三年ですね、このアベノミクスの取組でようやくこのGDPギャップが解消に向かったと、どうにかこのギャップがなくなるというところまで見えた段階で、一気に今マイナスの二・三%まで落ちてきてしまっているわけでございます。  こういった事態を受けて、年初、政府としても三・五兆円規模緊急経済対策、これ先ほど内容を少し御説明いただきましたけれども、実施されたわけですけれども、この効果について、今後これ、特に四月以降を中心にこれから徐々に徐々に実施されてくるものが主体だと思っているわけですが、これがしっかりとデフレギャップの解消につながるような効果を持ってくるものであるのかどうか、どういうふうな形で効果が現れてくると見込んでいるのか、まずこの点について御説明をお伺いしたいと思います。
  24. 前川守

    政府参考人(前川守君) 長引くデフレから脱却するため三本の矢の政策を進めてきた結果、確実に経済の好循環が生まれ始めております。しかしながら、先ほど先生から御指摘ありましたとおり、昨年四月の消費税率八%への引上げの影響も含め、個人消費の弱さや地方ごとの景気回復のばらつきが見られたことも事実でございます。これは消費税率引上げの影響も含めでございまして、例えば個人消費につきましては、昨年夏の天候不順といった要因もございました。いずれにせよ、消費を喚起し、地方活性化を促す緊急経済対策を昨年十二月二十七日に閣議決定したところでございます。  その対策効果と申しますか進捗状況でございますけれども、内閣府が実施しました進捗状況調査によりますと、三月末までに、すなわち昨年年度末までに、件数ベースでございますけれども、国が実施する事業の約六割、地方公共団体を経由して実施する事業の約四割が契約開始段階に至っておりまして、全体として順調に執行されているというふうに言えると思います。  また、この緊急経済対策の重点施策であります地域住民生活等緊急支援のための交付金でございますが、先ほどの副大臣から御説明申し上げた資料の七ページ、八ページ目に具体的な数字は出ておりますけれども、年度内に予算額のうち消費喚起生活支援型については九九%、地方創生先行型については九六%を交付決定済みでございます。すなわち、交付金がもう各自治体に行っておるということでございますので、引き続き、この緊急経済対策効果が十分現れるよう、私どもとして努力してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  25. 平木大作

    ○平木大作君 同じ観点から、昨年の消費増税についてという観点から今度は日銀に、ちょっと黒田総裁にお伺いしていきたいんですけれども、この物価安定目標、これ当初二年で二%と掲げられて、結局ちょっとその目標達成が困難になって、今日の説明の中にもございましたけれども、大体来年度の前半のうちに達成するんじゃないかということで今表明をいただきました。  これまで、異次元の金融緩和金融政策というものを打ち出されて、これによってインフレ率を高め、また期待インフレ率、予想インフレ率を上昇させてきたと。黒田総裁の私は手腕は大変高く評価しているんですけれども、忘れてはいけないのは、これ、世間の方がどれだけこの金融政策の中身について理解しているのかということはさておいて、やはり人々期待形成に働きかけて、それが実体経済上の消費行動ですとかあるいは設備投資、こういったものを実際に動かし始めてきていたと。先ほども少し総裁の方から経路という形で御説明いただきましたけれども、この経路を前提にすれば、これ、今後も引き続きこの目標実現に向けて金融政策を打っていく上では、やはりこれ、日銀が言うんだったら大丈夫だなというものが必要だと思うんですね。  その意味で、今回この達成時期が遅れてしまったというのは、要するに必要な政策を取っているんだけれども、例えば昨年四月のこの消費増税の効果といったものをちょっと見誤ってしまった、やっぱりこういったところがあったんじゃないかと思います。先ほどの御説明の中で、昨年後半からのいわゆる原油価格下落については大分言及あったと思っているんですけれども、この消費税の影響ってどういうものだったか、ここについて、改めてこれ是非黒田総裁から御説明をお伺いしたいと思います。
  26. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 委員御指摘のとおり、昨年四月に消費税率が三%引き上げられたわけですが、その前の駆け込み、そしてその後の反動、そして消費税率引上げという形で税負担が増えたわけですので、それによる実質所得の減少といったものがやや予想を超えた大きさであったということは認めざるを得ないと思います。そうしたこともありまして、日本銀行政策委員の見通しの中央値も、消費税引上げ後、若干下方修正になっております。そういった意味で、経済に想定されていた以上の影響を与えたということは事実だと思います。  ただ、この消費税の影響も、経済に対する影響自体は、四―六月、七―九月とマイナス成長続きましたが、御承知のように、十―十二月は一・五%の成長というふうにプラスの成長に戻っておりますし、それから物価に対する影響は、これは三月まで続きますが、四月からは基本的には影響は剥げ落ちてくるということでもありますので、経済あるいは物価に対する影響がやや予想を上回っていたということは御指摘のとおりだと思いますが、経済については、先ほど申し上げたように、もう既に駆け込みの反動の影響は収束しつつありますし、その結果として成長率もプラスに戻っていると。物価については、四月以降に影響が剥げ落ちていくということであると思いますので、基本的には量的・質的金融緩和導入時に想定していたような方向で、所得から支出への企業、家計の前向きの循環というのは続いていると思いますけれども、御指摘のようなことは確かにあったわけでして、特に物価については、先ほど御指摘のとおり、原油価格のことをかなり申し上げました。  これも実は政策委員の見通しの中央値を示した下で、原油価格下落による二〇一五年度の消費者物価に対する影響がマイナス〇・七%から〇・八%ポイントあったということも指摘しておりまして、原油価格の方はこれはまだ少し続くということでありますので、物価上昇率が二%に達する時期というのは、従来申し上げていた二〇一五年度を中心とする期間からやや後ずれして二〇一六年度前半頃というふうに政策委員会の見通しも修正したわけでございます。
  27. 平木大作

    ○平木大作君 これ、経済の先行きですとか物価ですとか、いわゆる外部要因も含めて完璧にやっぱり予想するというのはもう本当に不可能な話だと思っております。  ただ、先ほど申し上げましたけれども、大事なことは、これまでの金融政策がこれだけ効いてきた、効果があったということは、強く明確なコミットメントが日銀から発せられてきたから、大きく金融政策が変わったということがやっぱり一番大きかったと思っておりまして、そういう意味で考えますと、これまで以上に、これは是非黒田総裁の口からもっともっと世間に今の見通し、例えば修正するんであれば修正するということで御説明を分かりやすくまたしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  申し訳ありません。財務省にも質問を用意していたんですが、時間が参りましたので、ここで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  28. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 次に、藤巻健史君。
  29. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 維新の党、藤巻です。  まず、菅原財務大臣に一問、そして黒田日銀総裁に二問お聞きして、それでも時間があったらまた続けたいと思います。  まず、菅原財務大臣にですが、いただいた資料一般会計予算、今年度のですね、歳出の中に占める社会保障費が三二・七%ということで、その数字を基に対GDP比等の分析をされていますけれども、ちょっとミスリーディングじゃないかと思うんですね。  というのは、地方交付税のうちの二五%は民生費という一種の社会保障費ですし、国債費の中にも同じ割合で過去の社会保障費の負担分があるわけですから、そういうことを考えると、社会保障費というのは全体予算の中の約四〇%を占める。さっきおっしゃった数字よりもはるかに大きい数字であって、もし財政再建を果たすためであるならば、やはり非常に大きな、抜本的な社会保障費の改革をしないと財政再建は図れないんじゃないかなと思いますが、いかがでしょう。これが副大臣──これちょっと後で、先に質問だけさせてください。  黒田日銀総裁に対する質問ですけれども、まず一番目は、景気回復メカニズムをチャートでお示しいただきましたし、いつも消費者物価指数二%を目標としておっしゃっているんですが、一九八五年から一九九〇年のバブルのことを考えていただきたいんですが、あのときの、ちょっと急に思ったので数字持ってこなかった、うろ覚えなんですけれども、十年金利ってたしか三%とか四%あったと思うんですね。それに対して、消費者物価指数は最初の四年間はほとんど一%以下、〇・三とか〇・八%でしたので、そういうことを考えますと、あのときの実質金利というのは三%とかそこらだったと思うんですよ。それにもかかわらず経済は狂乱したわけで、別に実質金利を下げなくても経済は狂乱するのではないかと思うんですが、いかがでしょうかということですね。  逆に言いますと、あのときなぜ経済が狂乱したかというと、消費者物価指数は極めて低かった、一%以下だったにもかかわらず株と不動産の価格が上昇した。これは経済的には誰も、認められているロジックではありませんけれども、期待インフレ率の代わりに不動産価格若しくは株の上昇率、あの頃は例えば毎年一〇%とか二〇%上がっていたと思うんですけれども、それを当てはめると、三%の名目金利引く二〇%の土地上昇率イコールマイナス一七%で、だから経済が狂乱したと言えるかと思うんですね。その考え方についてはどうか、お聞きしたいと思います。  ということは何かというと、消費者物価指数二%に固着しているときに土地と株の値段が上がっちゃって経済が狂乱して、それで引締めがまた遅れてハイパーインフレになるんじゃないかという心配はいかがかというのが二問目の質問です。  三問目の質問ですけれども、これはちょっと短期的なんですが、この一、二週間、世界的に金利が急上昇していますですね。ドイツはたしか〇・一%、〇・〇七五ぐらいから、今〇・六七とか〇・七ぐらい、ちょっと昨日チェックしていませんけれども、〇・七%だったと思いますし、アメリカの十年債も、今二・四%ぐらいまで、二・三五ぐらいまで、一・七%弱からそこら辺までこの二週間ぐらいぐっと上がってきたんですけれども、全世界で金利が上昇しているときに日銀が長期金利を抑え切れるのか、そういう自信があるのか。もし日銀が長期金利を抑え切れなければ、国の財政も極めて危険な状況にありますし、日銀自身も、これほど国債買っていますから、それは時価会計ではないとはいえかなり厳しい状況になると思いますけれども、抑え切れるのかどうか。それをお聞きしたいと思います。  また、逆に言うと、抑え切れるとなると、金利差がかなり開いてきてドル高がかなり進んでしまうのではないかと思いますけれども、その辺は大丈夫なのか。この辺についてお聞きしたいと思います。  以上です。
  30. 菅原一秀

    ○副大臣菅原一秀君) 社会保障費三十一・五兆、これが過去の累積があるのではないか等々のお話ございました。  これは、この二ページ、御案内のとおり、二十七年度一般会計予算でありまして、社会保障費、先生も御案内のとおり、年金、医療、介護、少子化対策等々、福祉等々入っているいわゆる国費部分の、国が出す部分の支出であります。年間百十五兆円と言われる社会保障給付、年金、医療、介護、こうしたものへの給付は国費分と地方分と保険料、あるいは窓口負担等々、医療なんかはそうですけれども、こうしたことになっておりますので、これは二十七年度一般会計予算の単年度の状況を示しておりますから、過去の累積はここには含まれておりませんので、このことを御理解をいただければと思う次第であります。  その点は以上でございます。
  31. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御質問の最初の点でありますけれども、常に申し上げておりますとおり、日本銀行としては、この十五年続きのデフレ、これを何としてでも是正する、脱却するということが最大の課題であるというふうに認識をいたしておりまして、ただ、当然金融緩和がもたらすいろいろな影響については十分目配りしていく必要があるということはそのとおりでありまして、二%の物価安定の目標実現に向けて量的・質的金融緩和を継続していくことが何よりも重要であると考えておりますけれども、その際にも、経済物価見通しに加えまして、金融システムへの影響等々、上下双方向の様々なリスク要因を点検をし、展望レポートでも公表しておりますし、金融システムレポートでも公表しているわけでございます。  御指摘の資産価格動向につきましても点検しておりますけれども、現時点では、資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示す動きは観察されていないと思いますが、御指摘の点も含めて、十分今後ともリスク要因は点検をしてまいりたいというふうに思っております。  それから金利の点ですが、御指摘のように、最近ドイツの金利がかなり急騰しているわけですが、これにつきましては、市場の金利動きの分析でありますので定説があるわけではないと思いますが、ヨーロッパの方を含めて多くの方は、一つには、昨年の終わり頃からドイツの長期金利が急速に低下をしてきて極端な低水準に、日本よりもずっと低いところまで行っていたわけですけれども、行き過ぎた金利低下の巻き戻しという面があるのではないかという意見が強いようであります。  それからもう一つは、ユーロ圏ではデフレ懸念というのがかなり高まっていたわけですが、今年に入りまして、量的緩和を開始したこと等もありまして、ややデフレ懸念も後退しつつあるということで金利に若干の影響が出てきたのではないかというような意見もあるようではあります。  翻って、日本の場合も含めてでございますけれども、名目の長期金利というのは御案内のとおり様々な要因で決まってくるわけですが、大きく分けますと、やはり先行きの経済物価情勢に関する見通し、これが一つあり、さらには国債とか社債とか、そういったものを保有することに伴うリスクプレミアムというものが加わって金利が形成されているというふうに思います。  日本銀行は、量的・質的金融緩和の下で巨額の国債買入れを行って、リスクプレミアムの縮小を通じて金利低下圧力を及ぼしているわけでありますが、当然のことながら、金利は国際的な影響というものも当然あるわけでありまして、そういったことも含めて十分注視してまいりたいと思いますが、これまでのところ、先ほど、冒頭の御説明で申し上げたとおり、量的・質的金融緩和の下で長期金利低下し、低いところで推移しておりまして、経済に対してプラスの影響を及ぼしているというふうに考えております。
  32. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 余り時間がなくなったので簡単な御回答で結構ですけれども、今、今年度で百五十三兆円の国債発行に対して日銀が百十兆円買っているわけで、だからこそ金利が低いと思うんですが、七〇%もの国債を買っている日銀がいなくなったときの影響というのは極めて大きいと思うんですね。  一九九八年の資金運用部ショック、二〇%を買っていた資金運用部が買わなくなったということだけであれだけの大きい金利上昇があったわけですから、日銀が購入をやめたときのショックというのはいかほどにというふうに考えているのか、そのときでも日本財政というか長期金利は大丈夫だと思っているのかどうか、簡単にお答えください。黒田日銀総裁、お願いいたします。黒田日銀総裁にお願いしたいと思います。
  33. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 財政状況につきましては当然財務省の方からお答えがあると思いますが、金利につきましては、先ほど申し上げたとおりでありまして、量的・質的金融緩和の下で大量の長期国債を購入して、その結果として長期金利低下し、今、低位で推移しているということであります。  出口の問題につきましては、先ほど申し上げたように、金利水準、そして拡大した日本銀行のバランスシートをどうするかという点等々、具体的なイメージを持って出口について申し上げるのはやはり時期尚早であろうというふうに考えております。  先ほど申し上げたように、金利は、経済物価見通し、それからリスクプレミアムなどで形成されているわけですから、そうした中で、経済物価情勢改善していく、あるいは更に改善していく見通しということになってくれば、金利が自然に上がっていくというのはある意味では自然だとは思いますけれども、私どもとしては、二%の物価安定目標達成し、これを安定的に持続できるようになるまで量的・質的金融緩和を継続する所存でありますので、金融市場に不測の影響が出るようなことのないように、引き続き、オペのやり方にしても金融政策の運営一般についても十分注意してまいりたいというふうに思っております。
  34. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 ありがとうございました。  終わります。
  35. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 続いて、辰巳孝太郎君。
  36. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。  デフレ脱却のためには、やはり賃金の上昇と個人消費、これが上向きになるということがもう何より大事だというのは論をまたないと思うんですね。二〇一三年の骨太方針の中でも、今後、物価の上昇が想定される中で、賃金や家計の所得増加しなければ、景気回復の原動力となっている消費の拡大は息切れしと、こういう言及があるわけでございます。  先ほど、個人消費が想定外で伸びていないという話もありましたけれども、にもかかわらず緩やかな回復の基調にあると、こう言っているわけですね。雇用者所得が上がっていると、こういう話があるんですが、あくまで名目賃金の話であります。実質賃金というのは二十三か月連続で減少をしていると。  一方で、収入と個人消費はどうかというので、日銀のアンケート、生活意識に関するアンケートというのがあります。私、これ見て改めてびっくりしたんですが、収入について、一年後を現在と比べると増えると答えた人は八・七%。九一%の人が変わらない若しくは減ると答えているわけですね。これは収入です。同じ調査で、支出についてどうかと。一年後を現在と比べると増やすと答えた人は、支出、五%にすぎないと。五三%の人が減らすと回答しているわけですね。この減らすと回答した人は、昨年の九月からこれ連続でもうずっと増え続けているわけであります。変えないと答えている人は四一%と、こういうことなんですね。つまり、一年後も、収入については九割の人が増えないと感じていて、五割の人が支出を減らそうと考えているということであります。  これを黒田日銀総裁に、なぜこういう数値、アンケートの結果が出ているのかということを、どう分析されているのかということをまずお聞かせください。
  37. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほども申し上げましたとおり、消費税率引上げの影響が少なくとも十二か月は物価に効いてまいります。  西村大臣の話にもございましたとおり、名目雇用者所得増加している下で、消費税率引上げの影響を入れた消費者物価デフレートしますと、おっしゃるとおり、ずっと実質賃金、実質雇用者所得もマイナスだったと思いますが、その消費税率引上げ消費者物価に対する影響というのは、十二か月で基本的に剥落をいたします。  それから、そもそもこの消費税率引上げというのは、これは政府でお決めになったことでありますけれども、社会保障の持続可能性を確保し、また様々な部門で社会保障の充実を図るというために必要なものとして増税、国民の税負担を増やしたわけですので、その影響で実質所得が減るというのは、これはまさにそのとおりであります。  ただ、二つ申し上げますと、一つは、今回の春闘その他を見ましても、また雇用増加を見ましても、いずれにせよ名目雇用者所得は引き続き増加し続けると。そうした中で消費税率引上げ消費者物価に対する影響は剥落していくということですので、実質賃金、実質雇用者所得も今後増加していくことは間違いないというふうに思います。  また、先ほどの日銀の調査につきまして、詳細ということであれば、また別途御説明したいと思います。
  38. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 いわゆる消費税物価に対する影響というのは十二月たてば剥落していくと。これはいわゆる前年と比べてそうなるということだと思うんですけれども、しかし、消費税負担というのは、これは別に前年と比べてどうということではなくて、結局、昨年の四月の増税でこれは増えたわけですよ。国民生活にとっては苦しくなったというのはこれ非常に大事なことでありまして、消費税が下がらない限りこの負担というのは増えていくということをしっかり見ておく必要があるのと。  あとは、賃金についてなんですけれども、やっぱりしっかり見ておかなければならないのは、名目は上がっていると、しかし従業員五人から二十九人の本当に零細、小企業、ここではまだ賃金下がっているんですよ、下がっているんです。確かに、大企業、輸出大企業とか金融とか保険業とか、あとはゼネコン、ここは上がっていますが、こういう小企業のところではずっと下がっているわけですね。  これはなぜかと分析しますと、やっぱり一つは非正規雇用労働者が多いということですよ、割合が多い。正社員が少ないということですね。もう一つは、小売業やサービス業が多いために、この消費税増税の反動減の影響を受けやすいというところ。  ですから、先ほど消費税増税については日銀総裁も財政再建のためというようなことをおっしゃっていますけれども、しかし、日本経済の、先ほどの二十九人以下の従業員というのは、これは全労働者に占める四九%ですから、半分ですから、ここに一番大きい影響を与えている消費税が上げられたということをしっかり見ておく必要があると思うんですね。  黒田総裁は、この消費税についても何度か言及をされております。昨年の十月には、予定された一〇%への増税先送りについて、財政の信認が失われると対応が極めて困難になると、こういうこともおっしゃっているわけですね。私は、この消費税を上げないと財政の信認が失われるということ自体、財政再建のためには消費税を上げるしかないという思考停止の表れだと思うんですね。同じ税金でも、所得税法人税もあるわけですよ。消費税に頼らない財政再建というのも私はあると思っているんですけれども、黒田総裁は、消費税以外の財政再建というのはあり得ないと考えるのか、どうなんですか。
  39. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 私、従来から申し上げておるわけですけれども、財政再建財政の持続可能性を確保していくということは、財政にとって重要であるというだけでなくて、日本経済にとっても不可欠のことであると思っております。また、金融政策にも財政状況というのは間接的に影響をしてまいりますので、そういった観点から財政再建の重要性ということは申し上げておるわけであります。これは日本だけでなくて、欧米の中央銀行総裁も常に主張をしているところであります。  その一方で、どういった方法で財政再建をするかと、歳入の確保あるいは歳出の抑制といった中身につきましては、これはあくまでも政府、国会において議論し決定されることでありまして、私はその税制改正の中身についてどうこう申し上げる立場にはございません。  一昨年の時点で、昨年の四月に三%の消費税率を上げるかどうかという議論で、経済財政諮問会議において外部の識者をたしか六十名ほどお呼びしていろいろお話を伺ったわけですけれども、そのときにある方から私に向けて、消費税を上げたときのリスクと上げないときのリスクはいかんと、どうかというふうに聞かれましたので、あの時点政府は三%消費税を上げるということによって財政再建を進めるということを考えておられましたので、逆に言うと、三%引き上げないということになりますと財政再建にかなりの影響は出るという状況でありましたので、やったときのリスク、それが景気に何らかの影響を与えたときにはいろいろな対応ができるとしても、やらなかったときに直ちにJGBクライシスが来るとは言えないと思いますけれども、その可能性、確率は低くても、もしそういうことが起こってしまうと財政政策でも金融政策でも対応ができないと、難しいということになるというリスクがありますということを申し上げたわけでございます。
  40. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 私は、今回、政府が今、法人税の減税ということでやるということになっていますが、逆に内部留保はこの一年で十三兆円、大企業ですけれども、増えておりますから、それで税源は減るわけですから、そのことについてもちょっと黒田総裁に、逆に法人税収が減ってしまうことについてのリスクはどう考えるのかを聞きたいと思います。
  41. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 何度も申し上げますけれども、私から税制改正の中身あるいは税制改革の在り方について具体的に今申し上げることは差し控えさせていただきますが、法人税率の引下げについて私が承知している限りでは、政府は課税ベースの拡大等によって恒久的な財源を確保して法人税率を引き下げると、それも数年掛けて二〇%台まで実効税率を引き下げるという方針を示しておられるというふうに承知しております。  ただ、その是非等について私から何か申し上げることは差し控えたいと思います。
  42. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 終わります。ありがとうございます。
  43. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 次に、中山恭子君。
  44. 中山恭子

    ○中山恭子君 ありがとうございます。次世代の党の中山恭子でございます。  今日、お三方、御出席、御参加くださいまして、ありがとうございます。  まず、黒田総裁、日銀について感想を述べさせていただきます。  平成二十五年三月に黒田総裁が御就任になり、四月に量的・質的金融緩和を開始してから二年が経過いたしました。黒田総裁により力強く進められた異次元の金融緩和により、円高の修正、株式市場の復調、雇用改善企業業績の改善等、日本経済再生に大きな効果が出たと考えております。黒田総裁によって、それまでどんよりとした曇りの中でありました日本経済が、日本全体が、まあ強いて言えば今日のお天気のように大変明るくなり、若葉ももえ出してきている、大変希望が持てるようになったと実感しておりまして、改めて感謝申し上げます。  ただ、そうですね、日銀の金融政策だけで経済情勢が全てコントロールできるわけではございませんで、今足りてないのは、金融政策というよりは財政政策の方が足りていないという感じを持っております。  黒田総裁におかれましては、さらに、四月十九日にミネソタ・エコノミック・クラブでの講演で、アメリカの人々だけでなく、全世界に対して日本経済の信頼を高めるという発信をなさってくださったと、この点も高く評価しております。日本経済政策について海外に対し理路整然と説得できるという方は少ないわけでございまして、その点でも、黒田総裁の海外発信に対しては、これは日本にとって非常に重要なことであると考えております。今後とも、海外へ向け積極的に発信、発言していただきたいと思っておりまして、それによって日本経済への信頼を高めていただくということを強く望んでおります。  国会での御説明も、私、財政金融委員会などでも大変丁寧に対応していただいておりますが、総裁の最も重要な仕事は、今後の対応を見誤らずに進めていただくこと、そのために十分御自身の時間を掛けていただきたいと思っておりますし、また、世界に対して日本経済日本金融政策を積極的に発信していただくことであると考えております。  そう考えますと、国会対応につきましては、日銀はこれまでも一体となって動いていらしているわけでございまして、つまり、副総裁や理事の方々で対応できるものは対応していただくということでもよろしいのではないかと個人的に考えております。この点、委員の皆様の意見はいろいろあろうかと思いますが、その点、日銀総裁の本来の仕事により集中していくことについて私どもも配慮すべきではないかということを考えております。  ということで、今日は、黒田総裁へは感謝の気持ちを述べるだけにとどめまして、済みません、質問を省かせていただきます。  西村内閣府副大臣にお越しいただきまして、お伺いいたします。  西村大臣の中で、今後の経済動向につきまして、そうですね、これからの日本経済又は日本での予測の最も確実なものというのは、高齢化及び人口減少の進展であるということはもちろん申し上げるまでもないことでございまして、今日の御説明の中でも、十ページに、今後、人口急減、超高齢化等が深刻化する中で、経済再生財政面での構造改革を十分に進めていくことができなければ、歳出肥大化が際限なく続き財源確保は一段と難しくなることが見込まれる、早急な対応が必要であると御指摘なさっていらっしゃいます。  今後の経済政策策定において、人口減少、高齢化の問題をどのように考慮していらっしゃるのか、具体的にはどのようなことをお考えなのか、お聞かせいただければと思います。
  45. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) 人口減少、高齢化経済財政に与える影響、非常に大きなものがあると認識をいたしております。昨年、経済財政諮問会議の下に設置をされました「選択する未来」委員会でまさにこの問題も取り上げて議論をしたところでありますけれども、人口が減少し、高齢化が進展をするということで、例えば社会保障の担い手が減っていくわけでありますので、若者が減っていくわけでありますので、高齢者を支える現役世代一人当たり負担が増大をするということもありますし、経済規模が全体として縮小するということで、縮小のスパイラルに陥るということもあり得ます。  そうしたことを通じて我が国の持続的、安定的な成長が困難になるというような御指摘もいただいているところでありますので、何とかこの人口減少に歯止めを掛けていくということと併せて、働き方を柔軟にしていく、柔軟な働き方も実現をしていくことによって、これまで就職、職に就くのが難しかった女性とか若者とか、あるいは高齢の方とか、こういった方々が短い時間でもあるいはフレキシブルにも職に就けるというようなことを通じて労働参加率を高めていくと、これは労働力の減少を補っていくことになるわけでありますので、そういったことを実行していくこと。  あるいは、人口が減る中で、やはり一人一人の生産性を高めていくということも大事でありますので、IT投資であるとか研究開発投資、こういったものを拡充することによって付加価値を生み出していく、創造していく力を強化をしていくということも大事だと思います。  あわせて、多様な人材育成とか規制改革によって新たないろんな革新的なアイデアや技術が生まれてくるということも促しながら、できることならば生産性を飛躍的に上げていく、そういったことも政策的に是非後押しをしていきたいというふうに思っております。  国内のマーケットは縮小していくわけで、単純には縮小していくわけでありますので、むしろ海外、もちろん国内の内需も喚起をしていくわけでありますけれども、あわせて、世界で最も成長すると言われるアジア太平洋の地域における国際マーケット、この成長力も取り込んでいくと、こういった施策も展開をしていくことが大事だというふうに考えております。  こういったことを総合的に、しかもスピードを持ってやらないと、あっという間に高齢化、人口減少は来ますので、これをまさに、改革の集中期間ともいうべき二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを一つの節目としながら、この数年間でまさに着実に実行していくということを進めてまいりたいというふうに思っております。
  46. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本の人口が一億人が適正なのか、極端に言えば八千万人くらいが適正なのか、判断は非常に難しいと思いますけれども、いずれにしましても、人口が減少することが所与の条件ということであれば、それ用への政策転換というものが非常に重要になってくると考えております。  ただ、これまでの歴史を見ますと、人口減少時代というものが必ずしも暗い時代であるということではないと言えるかと思っておりまして、例えば江戸時代には、吉宗の頃が三千二百万人、そこから後、急激に人口が減るわけでございますが、この人口減少の期間に歌舞伎とか浮世絵とか蘭学等の江戸文化が勃興しています。  また、十四世紀のヨーロッパでは、ペストとか飢饉でヨーロッパの人口が一気に七千四百万人から五千万人台に減少するわけでございますが、このときにも農業技術が非常に改良されたり、そのことによって農業人口の人々に富が渡り、それが例えば都市に流れて、フィレンツェの繁栄、ルネサンスを生み出したというようなことがございまして、芸術、羅針盤、火薬など、目覚ましい発展があるわけでございまして、それを考えて、先ほど副大臣が一人一人の生産性を高めていくということもございましたが、それぞれの生活の質の向上ですとか最先端技術にもっと力を入れるとか、あらゆる政策を、これまでと違う政策を、それこそ異次元の政策を取らないといけない時期に来ているかと思いまして、その点、今後の動き政策、かじ取りの中で御考慮いただけたら有り難いと思っておりますが、いかがでしょうか。
  47. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) 大変貴重な御意見を賜ったと思っております。  御指摘のように、人口が増えるから必ず成長すると、大いに成長するというわけでもありませんし、人口が減るから成長しないというわけでもありませんので、人口減少をこれを何とか歯止めを掛けて、私どもは、できることなら一億人程度を維持できるような出生率に回復させたいという政策、方向性を打ち出しておりますけれども、その中で、まさに一人一人の生産性、人口は今からは減るわけでありますけれども、二千万人ぐらいは減るとしても、その中で生産性を高めながら一人一人の、生産性が高まれば当然賃金も上がってくるということ、収入も上がってくるということでありますので、一人一人が豊かな生活になれるように、是非ともそういう方向性でやりたいと思っております。  その中で、御指摘のありました新たな技術開発とか、あるいは海外のマーケットを取り込むとか、これ繰り返しになりますけれども、そういった点も含めて、それから新しいイノベーションの中でITの技術とか、そういったものを含めて生産性が上がっていく、付加価値を高めていくということをしっかりと実現をしてまいりたいと思いますので、日銀に負けずに異次元の成長戦略をしっかりと実現をできるように、御指摘いただいたことをしっかりと受け止めて頑張ってまいりたいと思います。
  48. 中山恭子

    ○中山恭子君 済みません。財務省の方にも質問したかったんですが、時間が来ておりまして、いずれどこかで御質問させていただけたらと思っております。
  49. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 続いて、中西健治君。
  50. 中西健治

    ○中西健治君 無所属クラブの中西健治です。  今日はお三方、御説明いただきまして本当にありがとうございます。  中山先生とちょっと逆のアプローチで、黒田総裁、お出ましいただきましたので、西村大臣菅原大臣には大変申し訳ないんですが、十分という時間を考えますと、どうしても黒田総裁に聞きたいことが幾つかございますので、それで時間の方は尽きてしまうということになるかと思います。黒田総裁、よろしくお願いします。  まずお聞きしたいのが、四月三十日に展望レポートで物価安定目標の時期に関して重要な変更が行われたということだと思います。これについても御説明いただきましたが、二〇一六年度前半に物価安定目標達成するということに変わったということなんですが、この四月三十日の前に、まるっきり同じことを四月十九日のミネソタで黒田総裁はおっしゃられたんじゃないかなと思います。アーリー・フィスカル・イヤー・ツー・サウザンド・シックスティーンという言葉を使われ、英語で講演を行われたということだと思うんですが。  それについて、四日後の参議院の財政金融委員会で質問させていただきました。アーリー・フィスカル・イヤー・ツー・サウザンド・シックスティーンって何なのということをお聞きしたところ、これから政策委員会のメンバーが議論するところであり、今出ている展望レポートの範囲を超える発言はできないと、そうおっしゃられた上で、個人的には先ほど申し上げたような意見を持っているということをおっしゃられたわけですけれども、個人的とおっしゃられた二〇一六年度前半というのが、数日後にどんぴしゃの形で展望レポートに出てきたということでありますけれども。  展望レポート、百ページ近い大部のものでありますので、遅くともミネソタで四月十九日に講演をされた段階でその中身というのは決まっていて、そして政策決定会合、政策委員会で追認を行った、承認を行ったというふうに考えるように、というかそういうふうに思えてならないのですけれども、そうではないのか、そうなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  51. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 四月三十日の金融政策決定会合以前は、消費者物価の先行きについて、原油価格動向によって多少前後する可能性はあるものの、二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いというふうに見ておりました。  委員今御指摘になりましたミネソタでの発言も、会場からの質問に答える形で同様の内容を英語で分かりやすくお答えしたわけであります。つまり、二〇一五年度を中心とするということなので、二〇一五年度あるいは二〇一六年度の初めというか、アーリー・フィスカル・トゥエンティー・シックスティーンということも申し上げたんですが、それは二〇一五年度を中心とする期間ということを英語で分かりやすく御説明したということでありまして、その時点で、金融政策決定会合あるいは展望レポートで示されていたことを超えて発言したわけではございません。  そこで、四月三十日の金融政策決定会合では、これは半年に一回の展望レポートの検討の会合でありまして、当然のことながら、それまでに入手いたしました金融経済情勢についての情報を政策委員全員で点検をして、特に今回は二〇一七年度ということまで含めた、二〇一七年度までの経済物価の見通しを新しい展望レポートとして取りまとめたわけであります。その際、二%程度に達する時期は、原油価格動向によって左右されるが、現状程度水準から緩やかに上昇していくとの前提に立てば、消費者物価の前年比に対するエネルギー価格下落の影響がおおむねゼロとなる二〇一六年度前半頃になるというのが政策委員会の大半の方の御意見でありました。
  52. 中西健治

    ○中西健治君 ありがとうございます。そちらはそちらで理解いたしました。  続きまして、今の現状に関する認識ということをお伺いしたいと思うんですが、三月の完全失業率は三・四%でありました。総裁は、構造的失業率水準にあるということをおっしゃられているかと思いますけれども、これはもう完全雇用状態が達成されているということをおっしゃられているのかどうかということと。  それから、総裁そして日銀は、需給ギャップについてはほぼゼロ近辺であるということをおっしゃられています。内閣府は、先ほどの御説明でマイナス二・三%残っているということでありますけれども、そこは算定の方法が違うんだろうということだと思いますけれども、需給ギャップはゼロとなっているということですと、そして完全雇用達成されているという状況であると、金融政策の所期の目的というのはほぼほぼもう達成されているということなのかどうかという、その認識についてお伺いしたいと思います。
  53. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御指摘のとおり、完全失業率が三・四%ということで、私どもの計算しております構造的失業率三%台半ばというところに達しておりますので、そういった意味では完全雇用水準に来ていると言っていいと思いますけれども、ただ、経済学的にはその完全雇用がいかなるものかというのはいろいろ議論がありますので、私どもはあくまでも構造的失業率という言い方をしております。  それから、二番目の需給ギャップにつきましても、西村大臣が提出された資料にありますように、内閣府の計算と私ども日銀の計算とちょっと方法が違いまして、内閣府は、ある意味でいうと理論的に非常に洗練された潜在成長率と、つまり潜在GDPと現実のGDPのギャップという形で計算されるわけですけれども、私どもはより簡便なというか、ただその代わり、毎月毎月の失業率とか設備の稼働率を直接的に入れて計算していると。それによると、需給ギャップは中長期的な平均であるところのゼロに達していると。そういう意味では、アメリカなどでよく言うスラックというんでしょうか、経済スラックがほぼなくなりつつあると言っていいと思います。  ただ、失業率の場合も、それから需給ギャップの場合もそうですけれども、構造的失業率以下になってはいけないということではなくて、あくまでも景気循環の平均的な水準ですので、景気がどんどん良くなっているときには構造的失業率以下になることも十分あり得ますし、それから需給ギャップの計算上も、マイナスがゼロになってプラスになっても別におかしくないわけです。  ただ、そのプラスの状況が、大幅なプラスが何年も続くということはあり得ないわけでして、そういった意味では一定の経済回復基調を支える状況になってきていることは事実ですけれども、他方で二%の物価目標への道筋はまだ道半ばでありまして、エネルギー価格下落の影響から、先ほど申し上げたように、消費税率引上げの直接的な影響を除いたベースで見るとゼロ%程度でありますので、やはりこうした状況を踏まえますと、今後も二%の物価安定の目標実現を目指して量的・質的金融緩和を着実に推進していくと、実施していくということが必要であろうと思います。ただ、その場合にも、常に様々な上下双方向のリスクというものは十分点検してまいりたいと思っております。
  54. 中西健治

    ○中西健治君 二%のインフレターゲットを掲げ続けるということはもう大変重要なことだというふうに思いますけれども、期限が迫っているから追加的な緩和を追い込まれてやらなきゃいけないという考え方を取るのはいかがなものかというふうに思うわけであります。  この期限が迫っているからということについて強い認識を持っていらっしゃるのか、それとも、やはり物価がただ上昇すればいいというわけでもないというふうにお考えになっていらっしゃるのか、そこのところをお伺いしたいと思います。
  55. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) この点は極めて重要なポイントでありまして、二〇一三年の一月に政府日本銀行で共同声明を出しておりますけれども、そこの中におきまして、日本銀行は二%の物価安定の目標をできるだけ早期実現するということをコミットしているわけです。その場合のできるだけ早期にというのも、たしか英語では、アズ・スーン・アズ・ポッシブルではなくて、アット・ジ・アーリエスト・ポッシブル・タイムとかデートとか、そういうことになっていまして、かなり明確な早期というものを設定して日本銀行はコミットしたわけであります。  それを踏まえまして、四月になりまして量的・質的金融緩和導入する際に、できるだけ早期といっても、一年なのか二年なのか三年なのか全く念頭にないということですと、どの程度の、量的・質的金融緩和はどのようなものをすればいいかということも決まりませんから、やはり二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に二%の物価安定の目標実現するということで量的・質的金融緩和が開始され、昨年の十月末にはこれも拡大したわけですけれども、私ども、別に何か一定のきっちりした日にちに迫られて云々ということではありませんが、しかし、できるだけ早期にというのが、アズ・スーン・アズ・ポッシブルというような悠長なものではなくて、かなり明確な早期実現するということにコミットしておりますし、量的・質的金融緩和も二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期実現するということで始めていますので、このコミットメントはやはり引き続き重要であろうというふうに考えております。
  56. 中西健治

    ○中西健治君 どうもありがとうございました。  質問を終わらせていただきます。
  57. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 続いて、吉田忠智君。
  58. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党の吉田忠智でございます。西村大臣菅原大臣黒田総裁、分かりやすい説明をありがとうございました。  まず、黒田総裁に何点か質問させていただきます。  これは先ほども御議論がありましたけれども、二年で二%という物価安定の目標につきまして黒田総裁から説明がありましたように、展望レポートで二〇一六年度の前半ということで先送りをされたわけでございます。原油安の影響と言われるわけでありますが、先ほど黒田総裁も消費税増税の影響も認められました。やはりこの消費税増税の影響による需要の落ち込みが良い物価上昇を妨げているというふうに、そのことは明らかだと思いますが、その点についての見解をまず伺いたいと思います。
  59. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) まず、消費税の三%引上げ、この趣旨あるいは目的等については政府が明確にしておられますとおりでありまして、そういう目的、趣旨を離れて消費税の増税がいいかどうかという議論は、私は余り意味がないと思います。したがいまして、社会保障の充実あるいは社会保障の維持、そういったこととの関係政府がそういう考えを持たれて、国会で法律を成立させて、それを実施されているというふうに理解をいたしております。  そうした上で、これは所得税であっても消費税であっても、何でも増税ですから、これは家計の所得にそれだけ取りますとマイナスの影響が出るということは間違いないわけですね。ただ、他方で、社会保障の充実あるいは持続可能性の確保といった面で、中長期的に見ると家計から見てもプラスの面もあるわけです。したがって、そこはやはり両方見ていかなければならないと思いますが、確かに昨年の四月に税率が上がった後、消費がかなり大きく落ち込んだと。そして、四―六月のマイナスだけでなくて、七―九月も若干ですけれどもマイナスになってしまったということは、消費税増税の短期的な影響は多くの人が予想したよりも大きかったということは事実だと思います。  ただ、何回も申しますが、消費税増税の経済成長に対する影響は、二四半期で基本的には収束し、十―十二月は一・五%成長になっているということ、それから、物価に対する影響も、対前年比ですので、十二か月たつと完全に剥落してしまうということでありますので、両面から消費税の影響という、ネガティブなマイナスの影響というのは消えつつあるというふうに思っております。
  60. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございます。  次に、国債の格付についてお伺いをします。  昨年十二月の格付会社ムーディーズに続きまして、フィッチが四月二十七日に日本国債の格付を引き下げました。民間会社による格付でありますから、そのことについて一喜一憂するのがいかがなものかという御議論もある一方で、それなりに対外的な影響もあるわけでございます。  黒田総裁は、財務官を務められておられました二〇〇二年当時、格付会社による国債格下げについて、客観的な基準を欠いていると指摘する意見も提出されているわけであります。  今回の国債の格下げについてどのような影響が考えられるのか、その点についてお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  61. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 二点申し上げますが、まず第一点、確かに私が財務官をしておりますときに、欧米の格付会社が日本国債の格付を下げるということに対して、いろいろな問題点を指摘し、再考を促したことは事実であります。それは、財務省ですから、国債発行主体ですから、自分の発行する債券についての格付を下げられたときに、その内容について不満というか不服というか、意見があるというときに申し上げるのは別に差し支えないと思います。  ただ、おっしゃるとおり、民間の格付会社の判断について一々、政府、国債の発行の事務を行っている財務省が何かやらなければならないということでもないかもしれません。ただ、そういった状況の下で私が行ったことであります。  第二点は、今回フィッチが格下げをしたわけですし、他の格付機関も既に下げたところもありますし、そういった判断そのものについて私からコメントすることは差し控えたいと思いますが、やはり財政に関する一般論としては、国全体として財政運営に対する信認をしっかり確保することはやはり重要だろうと。  これはもうあくまでも政府、国会の責任において行われるものであるというふうに認識しておりますけれども、先ほど申し上げたように、国債にしても、いろいろな債券の金利というのは、経済物価の見通しにも影響されますけれども、リスクプレミアムにも影響されますので、その面から、国として財政運営の信認をしっかり確保して、国債のリスクプレミアムが拡大しないようにするということは極めて重要であろうというふうに思っております。
  62. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございます。  日銀としては、黒田総裁になられて前例のない異次元の金融緩和をされて、物価引上げ目標も二%に設定されておられまして、率直に申し上げて、昨年の衆議院選挙でも、アベノミクス総体については批判をしましたけれども、金融政策についてはなかなか批判をしづらいというんですかね、そういう状況でございました。  最大皆さん心配されておられるのは出口のことだと思いますし、先ほど来御議論ありましたように、総裁から今日何回聞いても同じお答えしかないだろうと思うんですけれども、一方で二〇一七年の四月にはもう消費税が一〇%に上げるというのは決め打ちされているわけでありますね。  二〇一七年までの見通しについては示されているんですけれども、中長期的に日銀としてどういう形でコミットメントをこれからされていかれるのか、そのお考えをお聞かせいただきたい。
  63. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 冒頭御説明申し上げたとおり、また委員も御指摘のとおり、展望レポートでは二〇一五年度、一六年度、一七年度の消費者物価指数の動向についての見通しを示しているわけですが、二〇一五年度はプラス〇・八ですけれども、二〇一六年度はプラス二・〇、二〇一七年度はプラス一・九ということですので、ある意味でいうと二年続いておおむね二%の物価安定目標の近傍で推移するという見通しになっておるわけであります。  二%の物価安定の目標というものに二〇一三年の一月に日本銀行として明確にコミットした際にも日本銀行としての考え方を申し上げていたと思いますけれども、これは毎年毎年ぴったり二%の消費者物価の上昇率を維持するということではもちろんなくて、景気循環を通じて二%前後で推移すると、平均的に二%程度物価上昇率達成するということでありまして、ですから、これは二%になったからもうあとは何もしなくていいというんじゃなくて、引き続き二%程度推移するように、つまり、どんどん上に上がって本格的なインフレにもならないし、どんどん下がってまたデフレに戻ってしまうということにもならないというような適切な金融政策を運営する必要があると。ただそれは、そういった安定的な状況になったときの金融政策というのは現在のような異次元の金融緩和とは当然違ったものになっていると思います。
  64. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 ありがとうございました。  これはもう時間の関係で質問しませんけれども、西村大臣、TPPの情報開示、私は非常に思い切った発言をされたと。でも、どこからか圧力が掛かったんじゃないかなと推測をするわけでありますけれども、いずれにしても、アメリカの議員は見れるわけですよね、一定の制約の下で。だから、それはできるだけ早くやっぱり何らかの形で、一定の制約があることはもうやむを得ませんけれども、情報開示しなければなかなかやっぱり収まらないと思いますし、是非努力をいただきたいということを要望しまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  65. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 以上で各会派代表しての一巡目の質疑は終了いたしました。  他に質疑のある方は挙手を願います。  山田俊男君。
  66. 山田俊男

    ○山田俊男君 自民党の山田俊男であります。本日は大変ありがとうございます。  デフレ調査会といいますか、デフレ脱却財政再建調査会ですから、これもう二回やってきたんですけれども、大変難しくて、今日ようやく分かる言葉で議論できる調査会になったかと、こんなふうに思っているところでありまして。  私は黒田総裁のみにちょっとお尋ねしたいなということでありまして、総裁は、今もずっとお話ありますが、金融政策経済は安定した成長になっているということでおっしゃっていただいているわけでありまして、内閣西村大臣からは、成長しているけれども弱さが見られると、そこで地方対策、それから消費拡大対策等を講ずるということで進めているよというお話がありました。菅原財務大臣からは、財政収支の、何といいますか、OECD諸国との比較におきまして、これはもう債務残高も一番悪いし、それから財政収支についても大変悪いという数字見せていただいた上で、財政支出GDP比で半減、それから黒字化していきますよということ、さらにはそれを引き下げたいと、こんなお話がまあまああったわけであります。そこで、これらがどんなふうに関連しているのかということが大変大事なことだというふうに思いますし、これらの政策がきちっと成果が出てくるということが求められるわけですね。  ところで、確かに、御案内のとおり、輸出企業中心に史上最高の収益だというような新聞報道が出ているわけですから、それはそれでいいわけですが、企業の内部留保も史上最高水準だというふうに報道されております。それがそのうちに国民の生活等々に波及してくることを本当に期待するわけでありますが、しかし、これからが本番なんですが、国土に張り付いて生活しているといいますか、そういう第一次産業にとりまして、とりわけ例えば農業者にとりまして、今起こっていることは、米価は四十年来最低の価格になっているんです、今。これは過剰の原因があるとかいろいろあるかもしれませんが、国が食管制度を改正しまして、そして自由に価格形成ができるという水準になって二十年たつんですが、二十年の中でも一番低い価格水準でもあるわけであります。  経営安定対策が講じられておりまして、一定の経営安定対策もあるんですが、対象が少数に限定されていると、今の段階では、ということもありますから、先ほどお話ありましたが、若葉の中で、まあまあいいんですが、田植をしている農業者は大変な心配をしているわけなんですよね。  その一方で、政策はどういう方向かと、これは西村大臣のところの関係かもしれませんが、政策の方向はどうかというと、岩盤規制を撤廃してあとは自由な競争を進めると、企業の農業参入を更に進めますと、成長産業化を進めますという政策になっているわけですよ。  どうも私は、金融、財政成長戦略というマクロ政策だけでは、この政策だけでは、我が国の国土に制約されたといいますか、そのことばっかりを強調するわけじゃないんですけれど、制約された社会構造を直ちにはやっぱり克服できないわけですよね、相当な努力はやっていますけれど。とすると、こういう社会構造に制約された第一次産業の従事者であったり、それから人口減の中で構造的に過疎化している地方に張り付いている商店や家内工業的な中小商店は、これはやっぱり今大変な苦労があるというふうに見ています。売上げや所得向上はなかなか容易じゃないというのもあるのも事実でありまして。  金融政策で成果を出しておられる黒田総裁でございまして、これらの一次産業への政策はどうあるべきか。これは私の守備範囲じゃないよというふうにおっしゃったらこれはもう元も子もないわけでありますが、しかし、もうちょっと待ってもらいたいと、もう少し待ってもらえば効果は出てきますよというふうにおっしゃれば、おっしゃったでこれは一つの大きい力になるわけですが、やはりここの部分は構造改革みたいなものをどんなふうに進めていくかということに焦点を当てた政策がやっぱり必要になるんじゃないかということじゃないかなんといって期待しているわけでありますけれど、私見でもよろしゅうございますので、どうぞ御意見をお聞きしたいなと思いました。  よろしくお願いします。
  67. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 日本銀行金融政策自体につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、企業収益あるいは雇用、賃金の増加といったものを伴いながら、いわゆる好循環の中で物価上昇率が徐々に高まっていくということを目指しておりまして、今後、景気が緩やかな回復を続けて日本経済が全体として更に好転していけば、プラスの影響が地方も、さらには農業も含めた様々なセクターに及んでいくのではないかというふうにやや楽観的に思っておりますが。  農業自体の問題につきましては、日本銀行と全然、総裁という立場ではなくて、かつて八年ほどアジア開発銀行の総裁というのをやっておりまして、アジアの新興国、途上国の開発の支援ということをやっておりました。  そこで非常に、つくづく思いましたのは、農業というのは、やはりおっしゃるように、土地に縛られるというか、土地の制約というものを非常に大きく受けると。それから、もう一つ重要なのは水でございまして、アジアで水の大体七五%から八〇%は農業に使われているわけです。これが最近の状況の下で各地で水の不足というのが起こっておりまして、これもまた農業に大きな影響を与えると。  さらには、もう一つ重要なポイントとして、農業の経営主体というか、農業のやり方というかですね、そういったこともかなり影響を与えまして、それから土地、水、それだけに制約されるというのではなくて、やはり経営形態、経営の仕方、どのようにマーケットを開拓していくか、あるいは技術革新によってイノベーションしていくかということも含めて、農業に対する影響というのは相当あるということは事実であります。  ですから、確かに土地の制約、土地に縛り付けられているということは事実でございますけれども、その下でも、やや楽観的かもしれませんが、よく言われる六次産業化等々の飛躍する可能性というものはやはりあるのではないかというふうに思っております。これは日本銀行総裁としてではございません。
  68. 山田俊男

    ○山田俊男君 どうもありがとうございました。
  69. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 尾立源幸君。
  70. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立でございます。  政府及び参考人の皆様には、本当に貴重な御説明、ありがとうございました。  また、とりわけ会長の御配慮で、御努力で、黒田日銀総裁もまげてこの調査会に御出席いただいたことに心から感謝を申し上げたいと思います。  それで、財政健全化に向けてまず質問させていただきたいんですが、調査会としても当然問題意識持っておりますし、それぞれ各党、特にとりわけ我が党も財政健全化に向けた法案をできるだけ早く用意をして国会に提出していきたいというようなことも考えております。そういった意味で、まず財政健全化に関して質問を菅原大臣にさせていただきたいんです。  まず、資料の十二ページで、経済再生ケースと、ベースラインケースでも最大十六・四兆の赤字と、最小で九・四兆円ということが、これ御説明をいただきました。これをいかにゼロに持っていくかということなんでしょうけれども、次のページに、十三ページに、黒ポツの三つ目に、定量的な試算を基に計画のフレームを検討すると、そして堅めの成長率を前提としてプライマリーバランス黒字化と、必要となる必要額を、試算を出発点として云々と書いてあるんですけれども、その最後の方に、デフレ脱却経済再生効果として、成長戦略効果やそれによる交易条件の改善等を適切に反映すると、こういうふうに書いてありますが、これというのは、今のプライマリーバランスが、前のページで、最小で九・四、最大十六・四というふうに示されていますが、これにこの成長戦略効果というのが何か影響を及ぼすと、さらにこれが、いい効果なんでしょうから赤字幅が縮小するということをおっしゃりたいのかどうか、その点をちょっと確認させてください。
  71. 菅原一秀

    ○副大臣菅原一秀君) 今、尾立先生御指摘のとおり、二つケースを示しております。  いわゆる経済再生ケースでいきますと、実質で二%、成長率が、名目で三%。一方、ベースラインケース、これは何もやらないということではなくて、一定の経済政策成長戦略を施した上で自然体で見た場合、これはマイナス十六・四兆ということでありまして、開きが七兆円ございます。  今御指摘ありました一番最後ページの、デフレから脱却をし、強い経済を目指し、所得税法人税がしっかり自然増で上がってくる構造にし、かつまたその前提としては成長戦略、特に第三の矢をしっかり放ち、そのためのいわゆる規制改革等々を進める、岩盤規制にも穴を空けていく、そうしたことを進めながら総合的に自然増収が図られる流れをつくっていくことが極めて大事でありまして、したがって成長率が、この経済再生でいいますと今申し上げたとおりの率でありまして、ベースラインケースにおいてはもうちょっと低めで提示をしておりますので、その移行期における、移行期といいましょうか、九・四兆足りない、あるいは十六・四兆足りない、そこをいかに縮めていくかというのがこれからの成長戦略だというふうに認識をいたしております。
  72. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 いや、端的に言うと、九・四兆が更に小さくなるのか、十六・四兆が更に小さくなるのか、そのことを聞いているんです。
  73. 菅原一秀

    ○副大臣菅原一秀君) これは二つ指標を示しているわけでありまして、十六・四兆というのはかなり社会保障あるいは公共事業、その他もろもろの歳出削減をしていかなければいけない。一方で、成長戦略によってGDP実質成長率、名目にしても三パー若しくは二パーという成長率が見込めれば九・四兆で抑えられる、また九・四兆を削減をするという歳出削減をしていくということでありまして、今それ以上、九・四よりも更に縮めるというのは今のところは提示はしておりません。
  74. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ありがとうございます。この幅の中でということですね。はい、ありがとうございます。  それでは、せっかくですので西村大臣にも。様々な歳出削減努力、例えば社会保障の中でジェネリック医薬品を使う等々のお話もございましたけれども、もっと大きな意味で、やっぱりこの九・四なり十六・四を歳入歳出のベストミックスで解消していかなきゃいけないという我々大きな政治家としての課題があると思うんですね。  そういう中で、特にヨーロッパの財政再建を見ますと、社会構造違いますが、歳出を七改革して歳入で三というような、これアレシナの黄金律というんですかね、そういうのがあるんですけれども、そういったことは念頭に今後御提示されるお気持ちはあるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  75. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) 歳出削減先にありきと、削減幅をこれだけにするというようなやり方は現在のところ考えておりません。つまり、九・四兆を削減するに当たって、その何割かをもうあらかじめその数字を設定して何兆円カットするというようなやり方は考えておりません。むしろ、先ほど申し上げたような公的部門の産業化とか、インセンティブを与えることによってジェネリックが増えるとか、各県のばらつきのある医療費を適正なところに抑えていくとか、そういったインセンティブ改革、これを行うことによって、今積み上げなども含めて行っておりますので、結果的にそのような形になるようにインセンティブを与える改革をしていくというような方法を現在考えております。  それからあわせて、収入の方も、今お話もありましたけれども、成長戦略からデフレ脱却ということをすることによって着実に、実質二%、名目三%の成長をすることによって着実に歳入も増やしていくということも併せて考えて、もちろんデフレ脱却期、景気回復期が、税収が更に上振れすることもあり得るかもしれませんけれども、そこは堅めに見積もりつつ、結果としてこの九・四兆をしっかり削減できるようなその枠組みを今考えているところでございます。
  76. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ただ、九・四というのは成長が織り込まれた形で算定されているということなんで、単純に増税がなければ歳入はゼロということになるんですけれども、今のお話ですと。九・四を全部歳出で改革をしていくというようなお話に聞こえるんですが、そうじゃないですか。
  77. 西村康稔

    ○副大臣西村康稔君) もちろん、歳入の増と歳出の抑制、当然、高齢化に伴って社会保障費は伸びていくんですけれども、それもできる限り効率化をすることによって伸びを抑えつつ、つまり歳入歳出の削減、結果的には伸びを抑えるということは削減になりますけれども、それと併せて九・四兆を実現していく、そういう絵姿を描こうとしております。
  78. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 何か増税がゼロでもできるようなお話なんですけれども、ここはやっぱり九・四というのはそのミックスでなされるんじゃないんですかね。
  79. 菅原一秀

    ○副大臣菅原一秀君) 成長戦略による歳入拡大は当然なんですが、二〇一七年四月には八から一〇%への消費税、これはお約束をしておりますから、ただ、それ以上ということについては触れておりません。  したがって、この二〇二〇年、プライマリーバランス黒字化という目標をしっかり堅持をしながらも、今申し上げた九・四兆をいかに削減するか、その中には歳出歳入で一〇%への消費税は含まれております。
  80. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 それじゃ、黒田日銀総裁に最後の質問をさせていただきたいと思います。  異次元のQQEということで、これ、いつかは必ず異次元じゃなくなるわけですね、それを目標にやらなきゃいけないわけで。今このQQEの評価というのは、まだ私は早いと思っております。やはり、今コース料理を食べていて、メーンディッシュなのか何か分かりませんが、デザートも食べて、デザートがまずいかも分からないし、請求書を見たら、どひゃっと、めっちゃ高い請求書が届くかも分からないという意味で、まだ私はこの評価は全体的には難しいと思っておりますが。  そういう中で、これもこの調査会でずっと議論をしてきておるんですけれども、藤巻委員からもありましたが、長期金利が今後上昇する中で、日銀が抱えている国債、秋口には三百五十兆ぐらいになるんでしょうか、このまま順調にいけばですね。そうすると、仮に一%の長期金利が上昇した場合には、あっという間に日銀の純資産、三・五兆ぐらいなんでしょうか、これを吹っ飛ばすぐらいのインパクトのある評価損が出てしまうということが、どの委員からも共通認識として、参考人からお話はありました。  ただ、その評価損や日銀の純資産が欠損になることについて、心配しなくてもいいんだという人と、いや、それは大変なことなんだという人の二通りのグループがありました。私は心配をする方なんですけれども、心配しない立場の方は、評価損が出てもずっと持ち続ければ最後は額面で返ってくるから問題ない、その間のファイナンスは財務省が責任を持ってやればいいんだと、こんな話なんですけれども、黒田総裁はその考えにくみされますか、されませんか。
  81. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 日本銀行では、国債の評価方法につきましてはいわゆる償却原価法というものを採用しておりますので、長期金利が上昇したとしても評価損失が計上されることはありません。仄聞するところによりますとFRBも同様のようでありまして、中央銀行の場合は、民間企業とか銀行と違って、金融政策の過程で取得した国債について時価評価をする必要はないというのがどうも通例のようでございます。  それはそれとして、量的・質的金融緩和日本銀行の収益に及ぼす影響というのはございまして、バランスシートが拡大している過程では、買入れ資産からの収益が増加するために収益が押し上げられるわけであります。他方で、いわゆる出口の局面では収益は押し下げられるという方向になります。もっとも、この出口の際に実際に収益がどうなるかというのは、どのような手段をどのような順序で行うかという進め方に加えまして、その時々の金融情勢その他によっても影響が出ますので、具体的に現時点で申し上げることはできませんけれども、いずれにせよ、各国とも同様でありますけれども、量的・質的金融緩和のようないわゆる量的緩和というものを実施しますと、従来よりも収益の振れが大きくなるという傾向があります。  そういった点から、日本銀行としても、財務の健全性を確保するという観点から、法定の五%を超える準備金の積立てによって自己資本の充実を図ってきているということでございます。
  82. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 時間が来ておりますので終わります。ありがとうございました。
  83. 鴻池祥肇

    会長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようでありますので、本日の調査はこの程度にとどめたいと思います。  これにて散会いたします。    午後三時三十六分散会