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2015-05-14 第189回国会 参議院 国土交通委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年五月十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      和田 政宗君     浜田 和幸君  五月十三日     辞任         補欠選任      前田 武志君     森本 真治君      浜田 和幸君     和田 政宗君  五月十四日     辞任         補欠選任      太田 房江君     吉川ゆうみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         広田  一君     理 事                 江島  潔君                 森屋  宏君                 田城  郁君                 増子 輝彦君                 河野 義博君     委 員                 青木 一彦君                 大野 泰正君                 太田 房江君                北川イッセイ君                 酒井 庸行君                 中原 八一君                 野上浩太郎君                 山下 雄平君                 吉川ゆうみ君                 脇  雅史君                 渡辺 猛之君                 金子 洋一君                 田中 直紀君                 森本 真治君                 山本 博司君                 室井 邦彦君                 辰巳孝太郎君                 山口 和之君                 和田 政宗君                 吉田 忠智君    国務大臣        国土交通大臣   太田 昭宏君    副大臣        復興大臣    長島 忠美君        厚生労働大臣  永岡 桂子君        国土交通大臣 北川イッセイ君        国土交通大臣  西村 明宏君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       青木 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 利幸君    政府参考人        復興庁統括官   菱田  一君        復興庁統括官   熊谷  敬君        厚生労働大臣官        房審議官     谷内  繁君        林野庁国有林野        部長       黒川 正美君        国土交通省総合        政策局長     瀧口 敬二君        国土交通省水管        理・国土保全局        長        池内 幸司君        国土交通省道路        局長       深澤 淳志君        国土交通省住宅        局長       橋本 公博君        国土交通省鉄道        局長       藤田 耕三君        国土交通省港湾        局長       大脇  崇君        国土交通省航空        局長       田村明比古君        観光庁長官    久保 成人君        気象庁長官    西出 則武君        運輸安全委員会        事務局長     岸本 邦夫君        防衛大臣官房審        議官       笠原 俊彦君    参考人        東洋ゴム工業株        式会社代表取締        役社長      山本 卓司君        東洋ゴム工業株        式会社取締役常        務執行役員    伊藤 和行君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (東洋ゴム工業による免震材料不正事案に関  する件)  (観光立国推進に関する件)  (航空機の安全運航に関する件)  (鉄道安全対策に関する件)  (住宅確保配慮者の居住の安定確保に関する  件) ○地域公共交通活性化及び再生に関する法律及  び独立行政法人鉄道建設運輸施設整備支援機  構法の一部を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 広田一

    委員長広田一君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、前田武志君が委員辞任され、その補欠として森本真治君が選任をされました。     ─────────────
  3. 広田一

    委員長広田一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、復興庁統括官菱田一君外十四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 広田一

    委員長広田一君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 広田一

    委員長広田一君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会東洋ゴム工業株式会社代表取締役社長山本卓司君及び東洋ゴム工業株式会社取締役常務執行役員伊藤和行君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 広田一

    委員長広田一君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  7. 広田一

    委員長広田一君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 森屋宏

    森屋宏君 皆さん、おはようございます。本日、大変御苦労さまでございます。自由民主党、森屋宏でございます。  それでは、早速質問に入らさせていただきたいと思います。  本日は、東洋ゴム工業免震ゴム性能偽装問題ということで、山本社長さんお見えになっておいでになります。まず、このことについてお尋ねを申し上げたいというふうに思います。  今回の問題につきましては、既に衆議院の方でも集中審議という形で質疑が行われているわけでありますけれども、元々の東洋ゴムさんのこの免震ゴムというのは、大臣認定、認可を得た極めて公的な製品の位置付けがされているものでありますし、また使用されている建物が、多くの不特定多数の皆さん方がお集まりになるような病院でありますとか、あるいは役所でありますとか、そうしたところで使われているというふうな点を鑑みましても、今回の問題は極めて重大な問題である、言ってみれば悪質性が高いというふうに言っても過言ではないというふうに思っております。  今、この国土交通委員会におきましても、私たち時代の大きな変革の中で公共事業の在り方というふうなことを日頃議論を進めているわけであります。今まで多くを公共が担ってきた分野を、民間活力活用という意味でも、あるいは技術力活用という意味からも、できるところは民間皆さん方に担っていただこうというふうなところを日頃議論をさせていただいているわけであります。  持論をちょっとお話しさせていただきますと、私は多くの分野民間皆さん方に委ねるというのは若干異論があります。私は、公共がしっかりやっぱり担っていくべきところは人員を配置し、予算を確保し、公共がやるべきである。しかしながら、最先端技術でありますとか、今回の東洋ゴムさんがやられているようなそういう技術につきましては、民間に委ねるべきところもあってもいいんじゃないかというふうに思っている一人ではあります。  しかし、今回の東洋ゴムさんのように、ある意味では、一般の社会皆さん方評価が、民間イコール不確実であるというふうな評価を受けてしまうということは、私たちにとっても、民間活力の導入ということを推進する意味からも大変ダメージの大きな今回の貴社の問題であるというふうに思っております。  そこで、今回の問題はそういう意味で、東洋ゴム工業という一社の企業の問題にとどまらず、多方面に及ぼす影響というのは非常に大きなものがあるというふうに私は思っているわけでありますけれども山本社長さんの御認識をお伺いをしたいというふうに思います。
  9. 山本卓司

    参考人山本卓司君) おはようございます。  まずは、今回の弊社免震ゴムの不祥事により、対象となった建築物使用者様、所有者様、施主様、施工会社様、設計事務所様、国、国土交通省様、国民の皆様に多大な御心配と御迷惑をお掛けしておりますことを深くおわび申し上げます。申し訳ございません。また、ただいま御指摘がありましたように、民間イコール不確実というところまで広がってしまうことに関しても、大変申し訳なく思っております。  そもそも今回の免震ゴム問題は、弊社内において守って当たり前のルールが守られなかったことに問題がございまして、私どもとして行わなければならないことは幾つかございますが、その中で最も重要なことが次の二点と考えております。  まず最初に、品質管理の厳格な徹底により、生産工程品質管理の見える化と製品性能品質の見える化により、今回のような不正が行われる機会を潰していくこと。それから二番目に、企業倫理技術者倫理を徹底的に教育し、企業風土、体質を根本からたたき直すという、この二点に注力してまいりたいというふうに考えております。  弊社の固有の問題がかかる大きな視点での問題とみなされ、多方面に御心配をお掛けすることになることは大変申し訳ない気持ちでございます。  以上でございます。
  10. 森屋宏

    森屋宏君 ありがとうございました。  専門的なことは私は分野外でございまして、お話しすることはできません。今後とも真摯に取組をしていただきたいというふうに思います。
  11. 広田一

    委員長広田一君) それでは、山本参考人、そして伊藤参考人におかれましては、御退室をいただいて結構でございます。
  12. 森屋宏

    森屋宏君 今の東洋ゴムさんの問題を捉えて全てを語るということは、私はこれはいけないなというふうに思いますけれども、この国土交通委員会におきまして、昨年来、いろいろな分野機会を持ってお話をさせていただいていますけれども、私は、我が国において、特にこの公共事業を担うような人材について、人材力公共もあるいは民間も非常に落ちているんじゃないかなというふうな危惧をしている一人であります。  何度もこれはお話をさせていただいておりますけれども、私も県会議員を四期させていただいて、その時代はどういう時代であったかといいますと、二〇〇〇年の地方分権一括法行政改革大綱、こういうことを含めて、現場の人たちを、地方の公務員を削減をしてきた。これはどういう削減の仕方をしてきたかといいますと、もう既に働いている皆さん方をリストラすることは公的な場面ではできませんので、新規の職員の皆さん方削減をしてきたわけであります。それも、それぞれの地方公共団体において、各分野に配分を、仕事の中身というものを精査した中で人員削減をしていければ、新規の採用を抑制していければよかったわけですけれども、一律に削減をしてきた姿というものを十年以上にわたって見てまいりました。  二〇〇五年には国が新地方行革指針というものを立てて、全国一律、純減として五年間で四・六%の目標を挙げたわけでありますけれども、現実的には、五年をたってみますと、都道府県では五・三%の削減政令指定都市にとっては九・四%の削減、市町村は八・六%というふうに、国の目標を大きく上回る削減達成をしたわけであります。  その中で、私は多くの意味で、技術力というか、一般的にはもうちょっと大きな意味人間力人材力というものが本当に継承されずに落ちてしまった、これが今日、いろんな意味行政におきましても民間におきましてもいろいろな問題を今提起しているんじゃないかなというふうに思います。改めて、このことをやっぱり私たちは、地方の実情というものを常に見詰めながらいろいろな議論を進めていかなければいけないというふうに思います。  今回のこのような重大な事案が起きますと、どうしても国はある意味での事務手続のあるいは検査の厳格化というふうなことを図り、ひいては、それが地方においてはまたいろいろな部署において仕事量が増えるということも起きかねないというふうに危惧しているところであります。是非、そうしたことにもならないように配慮をいただきたいというふうに思います。  人材力が落ちているというふうなことも含めて、実は前回、次の質問させていただきますけれども予算審査の折に大臣に対しまして質問をする予定のものができませんでしたので、改めて今日、このところをさせていただきたいと思います。  国、地方施策整合性を図ってほしいというふうなことで、国は、まち・ひと・しごと創生というふうなことで地方の自立的な地方人口ビジョンでありますとか総合政策を二十七年度中に立てなさいよというふうなことを言っているわけであります。今盛んに、いろいろな国の提示するビッグデータ等を駆使して地方ではそれぞれのアイデアを図っている、計画を立てられているというふうに思っています。  そういう意味で、国土交通に関する地方施策という意味では、昨年来、太田大臣が明確にコンパクトプラスネットワークというふうに、我が国の目指すべき姿、国土像あるいは地方のそれぞれの姿というものをお話をしていただいているところであります。先月行われました地方統一選挙において、幾つかの選挙区に入って応援演説させていただきました。候補の皆さん方が、選挙の中の訴えの中で、コンパクトとかネットワークということをもう既におっしゃるんですね。これだけ大臣発信力というのは非常に効果もあるし、国民に対する、あるいは地方に対する要するに影響力は大きいなというふうに私は思っております。  そんな中で、国の示しているこの進むべき道というもの、方向性というものと、あるいは今回、今年それぞれの地方公共団体において作ろうとしている計画あるいは戦略との整合性というのをやっぱりどういうふうに図っていくのか、あるいは国がどういうふうにリードしていくのかというところを是非大臣にお聞きをしたいというふうに思います。
  13. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 昨年の七月でありましたが、国土グランドデザイン二〇五〇ということで、対流促進型国土形成ということを発表させていただきました。多くの方の議論をいただいた上での発表でありますけれども地方創生ということもありまして、これから非常に大事なことを提起したんだと思っています。  同時にまた、人口減少、そして高齢社会がやってくる。災害は常に身近なところで大変巨大災害が迫ってきている。大都市部におきましては世界都市間競争が激化をしてきている。様々な状況の中で、これから日本はどうやってそれぞれの地方、そして大都市も含めて、我が町をどうするかということを考えるというのが今の段階だというふうに思っています。  国としては、これに基づきまして、国土形成計画社会資本整備重点計画交通政策基本計画といった長期計画の策定や見直しを進めているところでありまして、この基本的な考えを受けて、それでは各地方ではどうやって、一律に全部これで事足りるというと全く違って、我が町はどのようにこうした考え方の下で生き抜いていくのかと、取捨選択もしながらやっていくということが大事だというふうに思っています。  それぞれの町がどういうふうに生き抜いていくかというときに、私たちは、対流促進型国土ということで、一つの市だけでなくて隣の市と、あるいは道路網を造って、三遠南信というような豊橋と浜松と飯田と、あるいは山梨東京ということや、あるいは神奈川を、そして静岡をどう結んでいくのかというような、そこの高次都市連合というようなそういうことはしっかり考えていきなさいということを、今度は県の方に、あるいは県をまたいで発信をするということが大事なことで、それぞれの市がどういう工夫をしたらいいのかというだけではとどまらないということだと私は思っています。  この基本的な考え方の下で、各市がどのように戦略を立てて、そしてコンパクトプラスネットワーク交通バス、そうしたものをどうしていったらいいのか、まちづくりをどうするのか、そして、人口減少の、合併したところも多いものですから、一つの固まりがあるというところに小さな拠点というのをどのようにつくっていったらいいのか、その中で、小さな拠点一つとして道の駅というようなことをどう使っていったらいいのか、様々なことをよく連携を取ってやっていきたいと思います。  考え方というものを全体として投げていったという上で、それぞれの各都市がどう生き残るかというところの考え方に我々としては応援をしっかりして、知恵袋にもなっていくということで、今努力をしているところでございます。
  14. 森屋宏

    森屋宏君 ありがとうございました。  今、大臣がおっしゃいましたように、それから、大臣は常日頃大変お忙しい中にもかかわらず全国いろんなところを訪問されて、視察をされるとともに御自分の考え方というのを発信をされていると、是非そのことを続けていただきまして、先ほどお話しになりました国土形成計画あるいは社会資本整備重点計画というものはこれから表に出ていくわけであります。是非発信力を常に高めながら、継続しながら、地方との整合性を図って仕事を進めていただきたいというふうに思います。  また、私たちも、国会議員の一人として、そうした考え方というものを地域皆さん方に伝えていく役割というものを果たしていきたいというふうに思います。  それでは次に、今日は人材ということで、先ほどお話ししましたように、人材力人間力が低下している、落ちているというふうな私の考え方の中で、観光について、ちょっと視点を変えてお話をさせていただきたいというふうに思います。  この分野御存じのとおりに、予想をはるかに超えた形の中で外国人観光客皆さんが多く来ていただいているようでございます。昨年は、御存じのとおりに、その前年度三〇%を超える、一千三百万人という大きな目標達成を、目標といいますか、大きなところを達成をしたというようでございます。今年になりまして、お聞きするところによりますと、政府観光局推計ということであるようでございますけれども、一月—三月推計において、前年度比四三・七%の伸び、そして約四百十三万人の方がおいでをいただいたというふうなことであります。  これを計算していきますと、昨年が一千三百万人、このペースでいくと今年はどれくらいになるのかなというふうな想像をいたすわけでありますけれども、今、国としてこのような状況をどのように評価をされているのか、あるいは、これから、年統計でありますから、十二月まで大体どのくらい行くような予測を立てていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。
  15. 久保成人

    政府参考人久保成人君) ただいま委員指摘をいただきましたとおり、日本を訪れる外国人旅行者数、昨年、御指摘のとおり、前年比二九・四%増、約三〇%増で千三百四十一万人。今年は、二〇一五年でございますが、一月から三月、三か月間で昨年の同期比の、これも御指摘いただきました四三・七%増の四百十三万人となっております。  これを私どもとしてはどういう分析をしているかということでありますけれども、昨年来の基本的な円安に加えまして、ビザの大幅緩和あるいは消費税免税制度の拡充といった政府全体で取り組んでまいりました施策、また東京オリンピック・パラリンピックが日本決定したということは非常に国際的注目度を高めたというふうに分析しています。また、富岡製糸場世界文化遺産の登録もこれまた大きな注目度を得ているというふうに考えています。そういう中で、私ども日本のセールスポイントに絞ったいわゆる訪日プロモーションをやってきたことも効果があったというふうに考えております。  本年の訪日外国人旅行者数年計でどの程度になるかという見込みなんですけれども、現下の状況では、まだ現時点では一年を通じた具体的な数字を申し上げるのはなかなか難しい状況ではございますが、今後、各種統計データ、あるいは海外各種現地情報等をしっかり目配りをいたしまして、その上で、私ども専門家の意見も今聴取しておりますけれども、それを分析して、しっかりと対応を取れるような分析をしていきたいというふうに考えているところであります。
  16. 森屋宏

    森屋宏君 ありがとうございました。  まだ四か月間が過ぎたところでありますので、今のような久保長官お話のとおりだというふうに思います。しかしながら、予想を超える数の皆さん方が来ていることは事実であろうなというふうに思います。  私のところの山梨お話をさせていただくと大変恐縮でありますけれども山梨県は、前回お話をさせていただきましたけれども、一昨年、平成二十五年には四十九万人の外国人皆さん方おいでをいただきました。これは、私、県会議員を最初やっている頃、観光統計というのは各県ばらばらでしたから、統一した基準がありませんでしたので、かなり大きな風呂敷広げたような統計山梨で県会なんかでもいつも話ししていましたけれども、それじゃ駄目だというふうなことで、いつのときからか、平成の十九年ぐらいですかね、全国統計を、一律の統計を国が取っていただけるようになって、これは宿泊者ということですから、実数だというふうに思います。  二十五年には四十九万人のお客さんが来ていたんですけれども、実は昨年の一年間では九十四万人のお客様が来た、約倍のお客様が来たということで、これは伸び率日本一という評価をいただきました。僅か三年前を遡りますと、平成二十三年には二十五万人、昨年が九十四万人ということで、これ、三年遡りますと、二十三年には二十五万人だったんです。ですから、僅か三年余りの間に四倍になったということで、実は大変多くの皆さん方が今おいでをいただいておりまして、ある意味では、私の個人的な感覚では、鉄道系を含めてかなりパニックになっているなと。  そういう意味で、予想以上にやっぱり観光客外国人のインバウンドの皆さん方おいでになるという中で、日本インバウンド観光にとって、ここ今、正念どきだなというふうに思っているんですね。どんどんどんどんおいでになっていただくのはいいけれども、やっぱりどういうふうなお迎え方をするのか。あるいは、この所管でいいましたらインフラ整備でありますとか、あるいは私のところは、どうしても鉄道観光というのはやっぱり進化をしていきますから、初期のときは観光バスを使った団体旅行というのが増えてきますけれども、ある意味では、私のところの富士五湖地方というのはちょっと次を行っていまして、もう既に外国人皆さん方は、観光バスも使って団体おいでになる皆さん方おいでになりますけれども、むしろ電車を使って個人的な旅行をされるという方が非常に増えています。先週のゴールデンウイークも、成田エクスプレスが週末二本入っていますけれども、ほぼこれ満員だったというふうに思います。そういうことで、最先端を行っている観光地かなというふうに思っているわけですけれども。  そういう意味で、いろいろな課題を、急激に目標値を超える、予想を超える数が来ているだけに、いろいろな課題を私たちに投げかけていただいているんじゃないかなというふうに思います。  そこで、大臣に、今のインバウンド観光に対する考え方、これは明らかにこうした地方活性化という意味では我が国にとっては大きなチャンスでありますし、産業としての伸び代の一番ある分野であることは確かだというふうに思っていますし、私も期待感を大きなものを持っています。そういう意味で、大臣、このインバウンド観光に対する考え方をお聞きしたいと思います。  それから、国交省関係で所管ということになると、いろいろ手を掛けていかないといけない分野はありとあらゆる分野があるというふうに思います。大臣として、優先して取り組むべきところはどこであるかというふうなことをお考えになっているか、お聞きをしたいというふうに思います。
  17. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 長官からもありましたけれども、昨年千三百四十一万人が、今年は更に一月から見ますと三〇%、四〇%増ということからいきますと、千五百万人をはるかに超えるというようなことになると思います。  観光は、観光立国ということも一つ大事なことで、全体的な、昨日も、経常収支ということに大変大きく寄与して四年ぶりにこれが増加したと、この中での観光インバウンドの果たした役割は大きいということが今記事になっています。同時に、地方創生と、地方が元気になるということでも観光は大きく寄与しているんだというふうに思います。  一方で、こうしたことの中で、急に増えたものですからいろんな問題が出てきて、その動向というものをしっかり受けて対応を急がなくちゃならぬと、こういうふうに思っています。  二〇二〇年二千万人と、こういうふうに言って、目標と言って、私も去年のお正月頃は二千万人の高みを目指すとか、瞬間風速でいいから二千万人と、こう言っていましたが、もう今年からは高みとか瞬間風速ということは一切言わないで、むしろ二〇二〇年オリンピックに合わせて二千万人ではないと。もっと前にそういうことが来ると、空港容量、地方空港そして首都圏の空港、こうしたことの容量をどういうふうに拡大をしていくのか。そこへの道路のアクセスというものを、成田なら成田で圏央道が、いよいよ来年の今頃はもうずっと山梨の方から行って圏央道を通って成田に一気に行けるというようになるんですけれども、そうしたことの道路網整備ということや、あるいは空港の整備ということ。  そして、その中で、この間も対馬に私視察に行ってまいりましたが、韓国から来た人たちがみんなCIQでどっとたまっているんですね。韓国から対馬に一時間弱で来るのに、CIQで一時間以上掛かるとなると、これはもう元気がなくなるということもありますから、全国いろんなところでCIQ体制の拡充、あるいは拠点のところでのWiFiの対応、そして多言語対応の一層の拡充、そして、ホテルとかいろんなところが足りないという状況にもありますから、そこでの宿泊施設あるいは貸切りバス、こうしたことの確保、こうした様々な課題というものを前倒ししてやらなくてはいけないと、このように思っているところです。  二〇二〇年二千万人の実現ということがあって、官民一体となって努力をして最大のおもてなしというのができるということで、リピーターが増えるということは外交関係にも、国と国との関係にも大きく影響を与えるというふうに思っておりまして、今観光はそういう点でリードしていると思いますが、そこに伴ういろんな問題、そして、この間の日中韓三大臣会合では、お互いに交流をしっかりしていこうということと同時に、そこで来ている生活習慣の違いということで、例えばトイレならトイレの使い方、トイレットペーパーが水に流しても溶けないというような、中国にはそういうことが結構あるようでありますが、そういうことも含めてしっかりした対応をしていかなくてはいけないと、このように思っているところでございます。
  18. 森屋宏

    森屋宏君 ありがとうございました。  大臣おっしゃっていただきましたように、予想をはるかに超える数の皆さんおいでになっていただいていると思います。単純計算をいたしますと、四〇%アップということになると、推計をしても、推測をしても一千七百万とか八百万人というふうな数が来るわけでありまして、本当の意味で、私たち日本観光政策にとって正念場であるなというふうに思います。  昨年実績を見ましても、昨年のインバウンドの一番来ていただいた皆さん方は台湾の皆さん方でありますけれども、二百万人を超える皆さん方おいでになった。でも、この人たちは初めての人というんではなくて、台湾の皆さん方は既に二回も三回も来ていただいている。それも、首都圏ばかりじゃなく、関西圏だけじゃなくて、地方まで行っていただいているんですね。やっぱりこれが真の観光の在り方だというふうに思います。  これから百年、二百年と続いていく我が国インバウンド観光、在り方というものを今後も議論をさせていただいて、そして何よりも、今日の私のテーマにさせていただきましたけれども、やっぱりそうした対応する人材をいかに育てていくのかということも今後大きな問題になっていくんじゃないかなというふうに思います。これからもこうした問題について議論をさせていただきたいと思います。  本日はありがとうございました。
  19. 大野泰正

    ○大野泰正君 おはようございます。自由民主党の大野泰正です。どうぞ本日はよろしくお願いいたします。  私は、先ほど森屋先生からも多少聞いていただきましたが、何より安全ということを基本にして今日の質問を進めさせていただきたいと思っています。  昨日も東北で地震がありました。また、ネパールでも余震で亡くなった方もいらっしゃいます。本当に改めてお悔やみを申し上げますとともに、私たちは、今を生きている中でほとんどの人たちが、東日本、また阪神大震災という大きな自然災害、目の当たりにしているはずです。そして、そういう防災、減災、これからみんなでやっていこうという意識の中で、今、東洋ゴムにおいてはこのような生命を軽視したような問題が起こっているわけです。私は、やっぱりこのことに対しては、社会的責任だけでなく、人間として本当にどうお考えなのかなということを感じざるを得ません。  また、今回の検証はあくまでも、建築基準法において国民の生命、財産を守るための最低基準である震度六強から七程度の地震に対して倒壊しないという耐震性の証明であると私は理解しています。今回問題になっている東洋ゴム製品に求められている免震性とは意味が違うこと、そして、求められた性能もレベルに達していないことは既に明らかになっています。  今回の問題では、先ほどもお話がありましたが、公共施設を含め防災拠点などとして役割が求められている重要な建物も多く含まれており、震災時の使用継続や早期の機能復旧を目的として免震構造が採用されていたはずであります。あくまでも、今回の検証レベルではない、より高い性能を求めたからこそ採用されたものであります。  この点を踏まえて、まずは、国土交通省として今回の事案の対象となった建物所有者皆さんの思いに対してどのように対応していくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  20. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 今回のような不正事案が発覚したことは、いろんな意味で極めて遺憾であると、許し難いことだと思っています。  また、先生御指摘のように、震度六強から七という、ここは確保されるということを早く調べてということで、そこは確保されるということが分かったわけなんですが、このそもそも免震ということを使ったということは、手術をしていた、それが地震が起きた、それでも開腹した手術も継続できるとか、あるいは電源が喪失しないとか、あるいはコンサート等で使っていても、そこでコンサートが極端に言えば続くことができるとか、あるいは防災庁舎ということで、ほかが大変な状況になってもそこだけは拠点として大丈夫だという、プラスを相当考えた上で免震ということが大事であるということで、今回多くの方々が建物の免震化ということの中で東洋ゴム工業のものを使ったということだと思います。  そうした気持ちを完全に裏切るということに私はなっているということだと思っておりまして、私が申し上げているのは、そうした反省だけという以上に、直ちに免震の材料の交換というものをしっかりとするように、そしてもう一つは、原因究明、再発防止ということについて全力を挙げて、もう何か隠そうなんということのないように、もう二度と、東洋ゴム工業は社長が今いらっしゃって、その前で私があえて申し上げたいと思いますが、耐火の問題で数年前に大臣認定のことについて裏切ったということが、二度あることは、二度とあってはならないと、こう言っているんですが、二度あったんですから、ということについて重大な反省をして、国民の気持ちを踏みにじることのないようにということを強く思っているところでございます。
  21. 大野泰正

    ○大野泰正君 ありがとうございます。  まさに、三度目はもう本当に許し難い、犯罪だと私は思います。絶対にもう一度ないようにしっかりやっていただきたい、そんな思いであります。  しかしながら、五月八日の衆議院の国土交通委員会で、東洋ゴム工業伊藤常務取締役からのお答えというのは、免震材料の交換に要する期間として、一基当たり平均一・五日として、約三千基を交換するとなると延べ四千五百日となり、五班が同時に施工したとしても九百日、三年弱の期間が掛かるといった答弁がありました。はっきり言って、このような機械的な乱暴な数字を答弁されるということは、所有者の不安をあおるものであり、何の誠意も努力も感じられるものではありません。  私は、ボトルネックになりそうなことを一つ一つ解決し、また促進していくことが肝要と考えます。交換に向けた建築主などの関係間の合意形成、そして交換用免震材料の確保、施工者、とりわけジャッキを用いて交換工事を行う専門工事者の確保等がまず大きな課題であり、一つ一つ丁寧に対応すべきです。一日も早く完了するという姿勢が会社側にない中で、申し訳ありませんが、とても東洋ゴムに任せておいてはいつ工事が完了するか分かりません。  国土交通省として、免震装置の交換、改修についても、具体的にどのように支援して国民の安心、安全に応えていくのか、お答えいただきたいと思います。
  22. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) お答え申し上げます。  免震材料の交換は、東洋ゴム工業が責任を持って、所有者、施工者、設計者等と調整の上、速やかに実施することが大原則でございます。その上で、建物所有者や建築主の速やかな安全、安心の確保のため、国土交通省としても必要な支援を行っていくところでございます。  具体的には、所有者等が中立の立場の建築、法律の専門家に相談できる体制を整備をする。交換用免震材料を確保すべく、免震材料を製造する他社や、関係する施工者、専門工事業者等に協力を依頼する。交換工事中の安全性確保や交換前の建築物の仮使用の円滑化に向けて、それぞれガイドラインを発出する。特に、当初五十五棟のうち、早期の完成に向けて交換の緊急性が高い工事中の七棟につきましては、私ども国土交通省が直接入って主導的に進めるべくプロジェクトチームを立ち上げて関係者間の調整を既に行っておるところでございます。  例えば、ジャッキアップをする事業者さん、大手三社いらっしゃいます。東洋ゴムさんは八日の日に五チームとおっしゃいましたけれども、私どもが聞いた限りでは、今の手持ちの工事を除いても十五チーム以上ちゃんと確保できるとか、あるいは免震材料の確保につきましても、ブリヂストンさんは、直接私どもが御依頼を申し上げたら、それはもう全面的に協力をいたしますという回答もいただいております。  こういうことを我々もやりながら、一刻も早く交換、改修が行われるように努めていきたいと考えております。
  23. 大野泰正

    ○大野泰正君 ありがとうございました。  今改めて数字を聞いて、じゃ、さっきのはというか、衆議院のときの答弁というのは何だったんだろうなということを感じるわけですが。  今の御答弁を聞かれた上で、責任の重さを改めてかみしめていただいて、東洋ゴム工業さんからお答えをいただきたいと思いますが、免震装置の交換に向けた取組状況と、今日まで繰り返されてきた隠蔽体質の改善等を含め、今後の決意とともに、交換終了までの期間の見込みについて、改めて伺わせていただきたいと思います。
  24. 山本卓司

    参考人山本卓司君) まず、免震装置の手配のことから御説明させていただきます。  G〇・三九という高減衰型の免震装置につきましては、私ども以外にブリヂストン様だけが生産されておりますので、これにつきましてはブリヂストン様に全面的に御協力をお願いし、既に手配が始まり、動き始めているところでございます。また、すべりや天然といいますものは、同業他社さん、複数の製造業者様が生産しておられますので、これの委託、代替生産につきましても相談を始めさせていただいております。  また、弊社としては、認定を再取得ということでございますが、これはまだ、私ども自身の整理といいますか、原因究明、品質保証体制、検査工程等の最終確認が済んだ後の話でございますので、目標としてはスケジュールを持っておりますが、これはまだ、国土交通省様とも相談しながら、順次そろえていくという状況でございます。  先週末、伊藤より三年弱というスケジュール感をお伝えしてしまい、大変御心配をお掛けしてしまいましたが、先週末御報告した工数確保につきましては、今現在確実に確保できている工数で計算したものでございまして、先ほど国土交通省様からも御紹介がありましたように、この交換に関しましては、専門業者様が行われる場合、あるいは建物を建てられたゼネコン様が御自身で行われる場合、それからゼネコン様がその下請に発注して交換作業を行う場合、いろいろなケースがございまして、これをそれぞれに対して工数確保のお願い、御相談をしておりまして、できるだけ期間短縮して、できれば二年以内に終了できるような工数確保をできるまでゼネコン様にお願いと御相談をさせていただきたいというふうに現在協議をしておるところでございます。  また、今回御迷惑をお掛けしております建築物所有者様、使用者様、施主様、建築会社様に一日でも早く安心して建物を御利用いただけるよう、最後の一棟まで私どもの最優先事項として取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうか関係の皆様には引き続き御協力をお願いしたいというふうに考えております。  以上です。
  25. 大野泰正

    ○大野泰正君 ありがとうございました。  二年以内というようなお話でありますが、あしたにでも全て完了していなきゃいけない話なんです。もうちょっと本当に会社として真剣に取り組んでいただきたい。もう一度申し上げておきたいと思います。  そして、元々隠蔽体質、先ほどもお話がありました、本当に体質改善していただかないと、このような事態、何も変わりませんし、皆さんが出している文書というのは、本当に責任を感じているのかなと思うような文章がたくさんあります。そういう点もよく心して、もう一度考えて、国民全体に迷惑を掛けていることを御理解いただきたいと思います。  それでは次に、ただいま申し上げましたが、今回の不正事案というのは、下手をすれば、本当、我が国が誇る免震技術への信用はもとより、日本企業が今日まで積み重ねてきた安全、安心の技術力、信頼性を著しく損なってしまったことにもなると思います。  国として、日本技術力、信頼性の回復のため、今回のような不正事案に対し、再発防止に向けた大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  26. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 物づくりで発展してきた我が国にとりまして、私もいろんな自動車の会社であるとか、あるいは通信関係の会社であるとか、いろんな方ともこの一か月ぐらいで話を聞きました。もう考えられない話だと、品質管理というのは生命線だと。技術開発というところに営業で得た利益を全部我が社はつぎ込んで、研究開発にそれを使っているということに没頭している、品質をどう管理するかでチェック体制も社内でやり、それなしにはとてもじゃないけど世界の中に輸出なんかできないですよという、そういう声でございました。  物づくりということの中では、再度そのことをしっかり確認してスタートを切っていかなくてはいけないというふうに思っておりますが、今回の東洋ゴム工業の件につきましては、そこに不安を与えるというような、信頼感を損なうと、世界から見てそういうことになりかねないことでありますので、そういう点では、原因究明、それに再発防止ということについて、今第三者委員会にも入っていただいているわけでありますけれども、そこできちっと結論を出すということが信頼を回復することになると、このように思っておりまして、国交省としてもそこに今力を注いでいるところでございます。
  27. 大野泰正

    ○大野泰正君 ありがとうございました。  それでは、東洋ゴムさん、どうぞ御退席いただいて結構であります。
  28. 広田一

    委員長広田一君) それでは、山本参考人伊藤参考人におかれましては、御退室いただいて結構でございます。
  29. 大野泰正

    ○大野泰正君 本当に、今大臣の決意を聞いて少し安心した思いではありますが、どうか今後ともよろしくお願いしたいと思います。  それでは、続いて、先日、徳島空港において発生した重大事案についてお伺いさせていただきたいと思います。  これは現在調査中ではありますが、日々運航が続いている中、今回の事案では、着陸時に滑走路上に工事車両がいなければ元々起こることがなかった事案であります。今回の立入りの原因となった灯火の交換工事が本当に緊急性があったものなのか、原因の検証がされているようですが、航空局の指針では、滑走路上での作業に緊急性があり、どうしても運用時間内に必要であれば、一時的に滑走路を閉鎖して作業するようになっています。また、緊急性のないものについては、運用時間外に行うように求めています。実際の運用がこのようにされていれば、今回の事案は初めから発生しなかったわけです。  では、なぜ今回このような事案が起こったのかという中で、幾つかの要因が浮かんできます。それは、徳島空港はいわゆる共同空港であり、管制業務は当時も今も海上自衛隊が担当しています。自衛隊の指針がどのようになっているかは機密事項もあり詳しくは伺うことができませんでしたが、航空局の指針とは明らかに違う運用であったことは事実だと思います。  防衛省として、国を守るための緊急時以外、平時の運用については二度とこのようなことが起こらないよう、今回を大変重要な機会と捉えて、国交省、防衛省の関係者で、今回の件に対する検証、対策だけではなく、空港の運用、管制全体について共同で共通の指針を作ることが重要だと思います。まずは、何よりその指針が作成されるまでは、平常時において、さきに述べました航空局の指針で運用されるように今すぐ徹底すべきと思いますが、この二点について、国交省、防衛省双方に見解を伺います。
  30. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) お答えいたします。  国土交通省では、航空法に基づきまして、制限区域内工事実施指針など、空港の運用、それから管制に関する各種の指針を策定しておりまして、民間航空の安全な輸送の確保に万全を期しております。  既に管制に関する指針につきましては、国土交通省が作成した管制業務処理規程に基づきまして、防衛省においても同様の指針を策定しているというふうに確認をしております。さらに、共同飛行場においても、民間航空の安全を確保する観点から、空港運用に関する防衛省指針と国土交通省の指針とで異なる点、あるいはその理由について確認、調整し、必要であれば共通の指針策定に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  31. 笠原俊彦

    政府参考人(笠原俊彦君) お答えさせていただきます。  防衛省・自衛隊といたしましても、今回の件を受けまして、空港の運用、管制全体について共通の指針で運用すべきとの御指摘については、大変重要な問題提起であると考えております。  現在、防衛省が行っております管制の要領につきましては、国土交通省の管制方式基準を準用して同様の基準で実施をしております。一方、今回問題となりました作業の要領等につきましては、防衛省としての基準を定めてはいなかったところでございます。そのため、今後、国土交通省とも密接に調整をしながら、国土交通省の指針等を参考にし、防衛省においても同様のものを策定することを検討していきたいと考えております。  今後、このような事案が発生しないよう、速やかに再発防止策、安全対策を講じ、飛行の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。  また、現時点における再発防止策でございますが、現在、徳島飛行場におきましては、国土交通省の指針と同様に、緊急性がない作業については運用時間外に作業するように対策を講じているところでございます。
  32. 大野泰正

    ○大野泰正君 ありがとうございます。  ただ、本当にあと一瞬発見が遅くなっていれば大変重大な事故につながっていました。これ、機密事項といいますか、防衛省との問題もあります。是非大臣にお考えをお聞かせいただいて、御指導いただきたいと思います。
  33. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 大変この事案は残念であり、重大な事態だと認識をしておりまして、今航空局長また防衛省から話がありましたように、何といっても民間航空の安全運航の観点については国交省が責任を持っているわけですから、国交省では、先生御指摘のとおり、滑走路等で工事を実施する場合に、飛行機が離発着しないよう閉鎖手続を得ることによって航空機の運航の安全確保と工事の安全管理に万全を期しているという状況でありますが、今後、徳島空港を始めとして、共用の空港におきましても国土交通省と同様の対応を取ることができないか、しっかり調整をしていきたい、万全を期したいと、このように思っております。
  34. 大野泰正

    ○大野泰正君 どうもありがとうございます。よろしくお願いをいたします。  それでは、本当はちょっと火山のこともお聞きしたかったのですが、大変恐縮ですが、何とか、箱根山ほか、いろいろ今ちょっと火山の方がにぎわしくなってきています。しっかりとした対応を取っていただくことを要請して、ちょっと質問は控えさせていただきます。  それでは最後の質問になると思いますが、観光立国における緊急時の対応について伺っていきたいと思います。  先ほども、既に二千万というのはもう目の前にある数字であるというような大臣のお言葉もありました。まさに二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックという大チャンスを生かして、訪日外国人をもう既に二千万、三千万と増加させようと国を挙げて取り組んでいるところでありますが、この急激な増加に対し、ハード、ソフトの整備が追い付いていないのが現状であることは皆さん御存じのとおりであります。先ほどもお話に出たCIQの問題、外国語ガイドの問題、地方空港をいかにして活用していくかなど、様々なことがあります。  しかしながら、そこで一つ考えておかなきゃいけないのは、訪日外国人が増加することによって間違いなく起こるということは、外国人が国内で様々なアクシデントに巻き込まれる事案、また逆に加害者となる事案、さらにけがや病気への対処など、安全、安心の中で最も重要な命に関わる事例が増加することが予想されます。  今日までの訪日外国人の大半は旅行社を通じた旅行やある程度の収入がある層であり、保険等にもコストを割ける旅客も多かったと思いますが、これからはもう少し収入の少ない層の人にも訪日していただかなくてはなりません。また、ネット等により旅行社を通さないフリーの旅行が増えることも間違いありません。そして、リピーターの増加は、今まで訪ねることのなかった市町村を訪れる、先ほども森屋先生からありましたが、本当に山梨でも隅々まで行かれるようになると思います。そういう方が増加してくる中で、本当に日本全国様々なところで訪日外国人がアクシデントに巻き込まれる事案等が発生する可能性が高くなるわけです。  多くの人が日本全国どこでも安心して旅をしていただくためにも、アクシデントに対する安全、安心のシステムの確立も観光立国を目指す我が国にとって何より重要であります。  今日までは、旅行者が独自に旅行会社のコンシェルジュサービス等を使って医療施設の紹介や通訳による付添いなどをされていると聞いていますが、先ほど申し上げた状況が増える中で、国として、対自治体、また対個人に対して、緊急時のワンストップの多言語コンシェルジュサービスのような窓口の開設等も念頭に、各自治体、医療機関との連携等、早急に整備すべきと思います。このことは、現場の首長さん始め多くの関係者からも大変不安の声をいただいておることも付け足しておきます。  また、訪日外国人の医療費の未払問題などは既に社会問題化ともなっておりまして、医療機関は人道的にもこれは受け入れざるを得ませんが、安心して受け入れていくためにも、何かしら国家としての裏付けも必要になってくるのではないでしょうか。  様々な行政機関が関わる問題ですので、観光庁を始め観光行政の中心である国交省が中心的安心、安全のシステム構築の先導的役割を果たし、日本のおもてなしの心を伝えていくことで、初めて訪れた外国人の方々にもリピーターになっていただくことが、二千万ならず、三千万、四千万という目標達成するための重大なファクターであると考えます。  観光立国として将来の日本を支える産業として足場を固めていくためにも、訪日外国人に対する安心、安全の日本を構築していただきたいと思います。大臣の御所見を伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  35. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 箱根のことにつきましても、外国の方がロープウエーまで来まして、動けない、えっという、そうした光景がございました。  また、外国人の方に聞きますと、それぞれの鉄道の乗換えごとに違うもので、切符をどうするかみたいなことになっているので、全国動く場合でも、SuicaならSuica、そうしたことが全部共同で使えるようにというような、そういうことも極めて大事だというようなことが浮き彫りになっています。  そのうちのもう一つに、先生が今御指摘の病気になったりとか、けがをしたとか、お子さんを連れてきたんだけれども何か急に引き付けを起こしたとか、いろんなそういうことについて、もうどうしたらいいのか分からないというようなことがあると思います。もっと言えば、長期間滞在するというような、これから仕事で、東京やいろんなところにそうした仕事で来るという場合に、近くに外国の方をちゃんと受け入れてくれるという病院があるまちづくりということもまた大事なことだというように思っています。  よく、事故や不慮のけが、病気に巻き込まれた際に、安全、安心を確保するための対策に関係省庁が連携して、これ、それぞれ分かれますものですから、取り組んでいるところでありまして、外国人旅行者が医療費の不安なく治療が受けられるように、出発国において日本式のキャッシュレスとなる旅行保険に加入していただくというようなことも含めて、また病院の紹介や通訳サポートということの体制を整えるということが大事だというふうに思っています。  そのほかにも、医療機関の整備とか、あるいは消防、警察においての緊急通報の外国語対応というような様々なことが大事でありまして、先生御指摘のそうした医療関係等を含めてしっかりとした対応ができるように関係省庁ともよく連携を取りたいと、このように思っています。
  36. 大野泰正

    ○大野泰正君 ありがとうございました。  終わります。
  37. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 民主党の増子輝彦でございます。  今日は、本来であれば、集中審議という形の中で、東洋ゴム工業における免震材料不正事案について審議をするところでありますが、昨今、非常に安全が脅かされる天災、人災関係の事案が多いものですから、当委員会は一般質疑という形になっておりますけれども、私は、今日は東洋ゴム関係について集中して質問をさせていただきたいと思っております。  先ほどもこの件につきましては太田国交大臣から、極めて遺憾であり、許し難きことであると、二度あることはということで言い直しましたが、ひょっとしたら二度あることは三度あるのかなと大変私は憂慮しているわけであります。それほど企業責任、社会責任というのは、私は東洋ゴムにとっては大きいものがあると思います。  まず冒頭に、今日は山本社長伊藤常務においでいただいておりますけれども山本社長に、今回の不正事案についての社会企業責任をどのような形で感じているのか、お尋ねしたいと思います。
  38. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 今回、私どもの不祥事により、国の技術的な信用さえも揺るがし、多くの関係者を巻き込み、社会に不安、不信を招いたことは重大な問題であると受け止めております。企業として、全部門、全社員がこのことを真摯に受け止めるとともに、多くの方々をお煩わさせしている現況を何よりも早く打開していかねばならないというふうに考えております。  また、経営の緩み、会社としての風土の問題というような御指摘も受けておりまして、問題としては品質管理上の問題もございまして、このシステムの徹底を図らねばならない、それとともに、倫理教育、技術者倫理教育や企業風土あるいは体質の変革に取り組まなければならないというふうに考えております。
  39. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 東洋ゴムさんは、平成十九年、二〇〇七年だと思いますが、十一月五日に、これも先ほど話が出ておりましたとおり、断熱関係についてのやはり不正があり、この認定が取り消されたという事案があります。一度こういう事案を起こしているにもかかわらず再びこのような実は事案が発生したということ、一体、会社体質として、企業倫理としてどのような形でこれまで改善されてきたのか。私は非常にこれ疑わざるを得ない、企業の体質が全く変わっていないんではないかと。これだけのことを二度にわたって起こすということは、企業そのものの体質が極めて問題があるんではないだろうかというふうに思っております。  当時、山本社長はどのような立場で平成十九年のこの認定取消しのときにはおられて、そのときどのように感じ取られたのか。そして、そのときからこの会社の体質がどのように具体的に改善されたかについて端的にお答えをいただきたいと思います。
  40. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 当時、私はタイヤ技術本部のタイヤ技術第一部という、乗用車やライトトラックの商品開発をする部門の部門長をしておりました。当時はとんでもないことが起こってしまったというふうに受け止めておりまして、その再発防止の一環として、全社員に対するコンプライアンス教育であったり技術倫理教育などが行われ、私自身もそれを受講しておりました。当時は、もう一度一から出直そうという雰囲気ではあったと考えております。  それから、当時行いましたことといたしましては、緊急対策、恒久対策、社長直轄の品質監査室を設け品質総点検ということを行っております。しかし、残念ながら、その点検の段階において規格値と出荷成績表を突き合わせて確認するということを全拠点においてやっておりましたが、データ測定の作業のフローがどうなっていたかまでは踏み込んだ確認になっておらず、今回の問題を発見できておりません。  いろいろなテーマを取り組んでまいりましたが、深掘りをして徹底的に実施することができなかったことについては大変反省しております。ただ、コンプライアンス教育につきましては、私どもとしては非常に取り組んできたかなというふうには考えております。緊急の教育が七千名、階層教育一千八百名、職種別一千名、コンプライアンス千八百名、コンプライアンス推進者研修一千八百名、テーマ別セミナー二千名、e—ラーニング四千名、行動基準ハンドブックといいまして、私どもで作った行動基準ハンドブックの読み合わせ約二万二千名というのを二〇〇七年以来やってきておりまして、そのことでコンプライアンスに対する意識は醸成しておらなければならなかったんですが、まだまだ足りないということで、これらの教育につきましてももう一度きちんと見直して、やり方含めて考え直していきたいというふうに考えております。
  41. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 山本社長、大変残念ですが、社長の今のお話はむなしく聞こえますね。本当にコンプライアンスを含めて再発防止を徹底してやったということの状況の中で、なぜこういうことが再び起きるんでしょうか。今言ったことは本当にむなしく聞こえますね。  当時、タイヤ部門の責任者であったということ、東洋ゴムさんにおかれましては、この免震材料分野は会社の中ではそれほど大きい分野ではありませんよね。そういう大きな分野でないからこそ、ある意味ではそこまで徹底した再発防止やコンプライアンスが行き届かなかったのかなというふうに思わざるを得ませんし、また、今現に、平成十九年のあの不正事案のときに、過ぎて今、社長という最高経営責任者におられるんですよ。何か責任を感じませんか。ただ言葉で長々と、こういうことをやってきた、こういう思いを持ったと言いながら、これ、生命に関わることに直結しているんですよ。  実は、御社が社外調査委員会をつくられましたよね。その中に、規範遵守意識の著しい鈍磨ということがあります。免震積層ゴムのような地震被害を小さくするための技術は、災害時において建物の居住者又は利用者のかけがえのない生命、身体及び財産の安全を守るものとして極めて重視されているのであって、その性能に不備があった場合には、建物の居住者又は利用者の生命等に関わる取り返しの付かない結果を招き得ると。したがって、その技術を取り扱う者には高い規範遵守意識が求められるが、本件の問題行為に関与していた者の規範遵守意識は著しく鈍磨し、求められる程度の規範遵守意識から懸け離れていたということが実は書かれているんですね。生命に関わる問題です。  たまさかですよ、今回検証した結果、震度五強から七までの間での影響はなかったと言うけれども、もしこれが一棟でもそういうことが影響として出て、万が一生命に何か大きな支障が出たとき、その責任は、今ここで議論している以上はるかに、あなたの会社社長としての、経営責任者としての責任はもっともっと重い。あなたは、ひょっとしたら刑事責任に問われて大変な状況になっているかもしれない。社員の皆さん七千人が一生懸命隅々では頑張っていても、会社の体質がそういうものであるならば、幾ら言葉で、形の上でコンプライアンスをしっかりやる、再発防止をやる、様々なことをやると言ってもむなしく聞こえるんです。  業界の中で若干私も知り合いがいます。それぞれの方に聞いて、御社の企業体質というものをどういうものかということを私なりにお伺いをした。これ、私の言葉ではありません。業界関係者の皆さん東洋ゴムさんは安ければいいんだと、大臣認定というものを盾に取って、安ければいいんだということで売り込んでいく、そういう体質の会社なんですよという声が二、三聞こえました。私は本当にそんなものなのかなと、御社は。特にこの免震、もちろん車のタイヤにしても、みんな人の命が関わっているものなんですね。そういう状況の中で今回のような不祥事が二度起きたということ、本当に残念でなりません。  社長、東洋ゴムの体質について、あなたは最高責任者として今後どのように改善をして、この体質が一体変わっていくのか。きっと言葉で言うだけの努力では私はあり得ないと思っています。ここについての、もう一度お伺いしますが、社会的責任としてあなたの経営責任を、その責任の所在を今後どのように取るのか。衆議院の委員会では、この社外調査チームの結果が出た後しかるべき進退を考える的な発言があったとお聞きいたしております。全てトップに立つ者、責任の所在を明確にしなければいけないわけです。そういう意味での山本社長の責任の所在、今後どのような責任を取るのか、ここでお尋ねをしたいと思います。
  42. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 今回、外部の法律事務所にお願いいたしましたのは、私ども経営陣自身の所作につきましてもきちんと調査していただくために外部にお願いしております。  今現在、まだその調査が完了しておりませんので、大変申し訳ございませんが、私どもの責任につきましてはその最終調査報告書を精査の上、判断してまいりたいというふうに考えております。
  43. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 社長、少なくとも何らかの責任は取られるんでしょう、調査結果がまとまって。社員の皆さんだって一生懸命頑張ってやってきたことが、この一つ不正事案で、二度目の不正事案です、企業としての対外的な信用は完全に失墜をしたわけですよね。これからどのような形の中で東洋ゴムが本当に再建をしていくのか、それはしかるべき責任者が、私は、しかるべき責任を取っただけではできないかもしれませんが、やはり社会的責任、けじめというのは極めて重要だと思っています。  もう一度お尋ねします。しかるべき時期には明確な社会的責任、すなわち社長という立場を退くお考えはお持ちですか。
  44. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 申し訳ございません。本日、具体的なお答えをすることはできません。最終報告書を受け取った後、精査いたしまして判断させていただきたいと思っております。
  45. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 私は、しっかりと社長の社会的責任を取っていただくということを改めてお願いをすると同時に、一日も早く社員の皆さんが新たな気持ちで東洋ゴム製品は安心だ、安全だというような体制につくり直していただくことを御要望したいと思っています。  そこで、若干、中間報告で出ているこの報告書に基づいてもう少しいろいろとこの事案についてお聞きをしたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  まず、二〇一四年の五月二十七日、実はこの事案が明らかになるまで約十年間、極めてこの問題が放置をされていたという事実もあるわけです。明らかになったのが十年後の二〇一三年ですが、いわゆるこの事案が大きく表に出て、そして社外調査チームにいろいろなことをお願いをしている中で大変こんなことがあるんだなと不思議に思ったことが幾つかありますので、そのことについてお伺いをしたいと思います。  二〇一四年の五月二十七日に、この報告書によれば、初めて今の会長さん、当時の社長さんがこの事案の報告を受けたということが記載をされているわけであります。このことについて、当時、山本社長はこの事案についてこの時点では知らなかったんですか。現会長は知っている、報告を受けたけれども、この時点で山本社長は報告を全く受けていなかったし、十年以上もこういう状態が起きていたということについても全く知らなかったのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  46. 山本卓司

    参考人山本卓司君) この五月二十七日の時点では私は全く存じ上げません。報告は受けておりません。
  47. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 そうしますと、次に、この報告書によりますと、山本社長が参加をした会議、二〇一四年の八月十三日、この席で山本社長が初めてこの報告を受けたというふうに記載されております。間違いありませんね。
  48. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 会議という場で報告があったのはこの場でございます。  ただ、七月下旬から八月初旬頃にG氏より簡単な説明はあったのでございますが、これは極めて曖昧で理解できないので、きちんと報告してほしいと、それが八月十三日でございました。ただ、この八月十三日の報告につきましても、認定に関し疑いのあるものがあるといいますが、説明は極めて不十分でございまして、もっときちんと調査、説明するようにという指示をいたしました。  それから、調査をもっとするために、同じ事業本部の異なるビジネスユニットの技術本部長をこの調査に参画させることを伊藤氏と相談して決めております。
  49. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 私がこれからお聞きすることを既にお答えいただきましたね。  いずれにしても、この八月十三日に社長が参加した席で正式にお聞きをしたと。それ以前にはあやふやな話は聞いていたということの事実関係で間違いありませんね。今のようなことを話をされたということであります。  九月十二日に初めてR法律事務所にこの対応を相談されたというふうに記載されております。これ、先ほど冒頭に、平成十九年の不正事案のことがございまして、社内の徹底した原因究明やあるいはコンプライアンスを徹底するとか、再発防止等をやるということをおっしゃっておりましたし、当然そのようなことが行われたはずなんでしょうけれども、しかし、それにしては余りにも、社長も、当時の専務の、今会長と社長になっているお二方がここまで知らなかったというのも私はちょっと解せないんですが。  いずれにしても、初めてこのR法律事務所に対応を相談したけれども、実際にこの法律事務所ではなくて、二〇一五年の二月二日に実は別な弁護士事務所、具体的に名前が出ている小林弁護士先生に相談をしたということになっていますが、この間は何をされていたのでしょうか。この法律事務所に、最初に相談をしたところの法律事務所ではなくて違う法律事務所にこのことが改めて相談をし直したという、この関係はどういう意味でこういう状況になっていたのか、簡単にお答えください。
  50. 山本卓司

    参考人山本卓司君) この問題に関しまして、しっかりと調査することが必要であると考えまして調査をしておったのですが、認定制度、それから製品の性能検査方法、現有のデータの信頼性、出荷済みあるいは出荷予定製品の性能基準の妥当性などを検証しておりました。しかし、今思えば、専門的な知識や人材が足りなかったことから事実の究明が進まず、出荷停止や認定取下げに至るまで多大の時間を要しております。大変申し訳なく思っております。  二月二日に参りましたのは、一月三十日に大臣認定基準に満たないということがはっきりしたということで、二月二日にこの小林弁護士さんとの相談に至っております。
  51. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 この期間は非常に私はもったいない時間だったと思いますね。約四か月半、もう少し徹底した原因究明なり社内調査が行われてもよかったのかなと思っています。  そこで、もう一つ大事な問題は次にあるんですね。二〇一四年の九月十六日、これは実は重大な会議だったはずなんです。山本社長は午前中の会議には出たけど午後は出られなかったと。午前中の会議で決められたことが、なぜか午後で撤回されてしまったと。これ、どういうことなんですか。午前の会議で、社長が出席の上で、R法律事務所への相談内容、間近な出荷物件の概要、公表時の課題等々様々なことがあり、上記の報告を受けて、出荷停止の準備をすること、国土交通省へ本件の疑いを一報するということを決めた。ところが、午後になぜこれが撤回されたんでしょうか。これ、極めて重要なことだと思うんですね。これは何か、社内でこういったこと、社長や現会長が抜きの中でこういうことが決定されているということは、会社の体質としてやっぱり隠蔽しようということが行われたんではないんでしょうか。  場合によっては、もっと悪く考えれば、大臣認定を受けるときには正しいものを出したけれども、その後は大量に出荷するためにすり替えて製品を出したんではないかというふうに疑われている部分もあるんですが、この会議でなぜこのような形で撤回されたんでしょう。教えてください。
  52. 山本卓司

    参考人山本卓司君) まず、私、当時は専務でございました。それで、午前は今御指摘のとおりの結論に至ったのですが、午後にそのデータの解釈について午前と違う見解が報告されております。  その見解とは、〇・〇一五ヘルツという実機の試験周波数であり、これが実測値として信頼性が高く、この数値を用いることが許容されると、この許容されると解釈したところが結果的には間違った解釈であったのですが、このことと大小の試験機の差異を解消する補正を行えば性能評価基準に適合するという報告がその午後になされまして、適合するのであればということで撤回というふうに至ったというふうに後日私は聞いております。  この間違った解釈の間違った報告によって適合するという報告されたことが、このような午後の結論に至ったということでございます。
  53. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 ここはすごく大事なんですよ、企業体質として。こんなことがまかり通る会社なんですか。そして、社長と会長と、今の会長と今の山本社長出席の二〇一五年の一月三十日に、これは大臣認定の性能評価基準には適合しないということが改めて確認をされているということ、これ、そうですよね。こんなことは当然分かっていたんでしょう。それを強引に撤回をしてそのまま出荷をするということ、出荷を継続するということ。  大臣、こんな体質の企業に、命を守るための免震材料の、この免震ゴムの採用なんていうのはあり得ないんです。ここは、社長、大変な責任ですよ。先ほど来言葉を濁していますが、これ万が一のことがあったときには、社長、ここで文章を読んで答弁しているだけのようなことにはいかないんですよ。このことを含めてもう一度しっかりと責任を感じていただきたい。  時間がなくなりましたので、ここからちょっと大臣の方に質問を変えさせていただきます。ここは同席してくださいね。しっかり大臣の答弁も聞いてくださいね。  大臣、先ほど来大臣も、極めて遺憾であり許し難いことだと、命に関わることだと。二度の不祥事、こういう体質の東洋ゴムに対して、本当にこのままでいいのかという疑念を抱かざるを得ません。冒頭にも、森屋理事からの質問にも大臣の見解はお聞きしましたが、改めて、大臣、まだまだ本当は時間があれば細かい矛盾した点をいっぱい指摘をしたいんですが、限られた時間の中ですからこれ以上質問はできませんけれども、改めて、この東洋ゴムに対する、二度目のこの不正に対してどのような見解をお持ちになって、またどのような責任をこの会社に負わせるのか含めて、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  54. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) まさに、この事案の発生は極めて遺憾で許し難いと私は思っています。  そして、発覚の直後から、二月に我々はそれを聞いたわけでありますけれども、これも曖昧な感じでありましたものですから、直ちに徹底した調査を行ってということを厳しくやりまして、それで結論として三月十三日にこうした不正があったということを分かりました。  まず私は、この建物は一体安全なのかどうかということを急げということを言って、我々も当然絡んだわけでありますけれども、構造計算もさせていただいて、そして三月の終わりまでに、五十五棟というところについては震度六強から七というところについて安全であるということの保持をされているということについて確認をし、そしてそのほかの案件についても調査をさせてきたところであります。  これを利用したところの全貌を解明するということに徹底的に力を入れろということをまず初期段階で私はやってきましたが、現段階におきましては、この免震装置の交換、改修、これ一つ、これを責任を持ってやるようにということ、そしてもう一つは、原因究明、再発防止ということを、何か社長を始めとして、会社を守ろうとするようなことではなくて、全部丸裸になって事実を調査をし、そしてその調査にも協力をして原因究明、再発防止を行うという、この免震装置の交換、改修と、そして原因究明、再発防止ということを徹底してやるということについて、強い姿勢でこの東洋ゴム工業については臨んできているところでございます。  あわせて、国交省の第三者委員会においても、原因究明、再発防止ということについては検討するということにしておりまして、現在、その検討中でございます。
  55. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 やはりここは大臣、徹底して、原因究明はもちろんのこと、再発防止ももちろんのことであります。しかし、やはり企業としての社会的責任は非常に大きいものがあると思いますので、ここは、今後の対応については、大臣、しかるべき対応を私是非していただきたいと思っています。  と同時に、最後に、やはり大臣認定というものの在り方について、私は見直すということも場合によっては考えていかざるを得ないのではないだろうかと。やはり、大臣認定という、第三者機関にそれを書類を出して認定をしてもらうということだけで本当にいいのだろうか。審査をするときには正しいものを出した形にして、途中ですり替えるという行為が行われてきたのではないかと私は疑念を持っているんです。あるいは、ほかの大臣認定についても同じようなことがありはしないのかなと大変心配をいたしております。  いずれにしても、大臣認定というお墨付きの中で企業は一生懸命売り込んでいくわけです。大臣認定があるから当社は安いんですよ、安全なんですよと。価格競争という厳しい現状もあることも私も承知しておりますが、大臣認定というお墨付きだけで生命が脅かされるということがあってはならない。大臣認定というもの、この免震材料も含めて、何か今後見直しということ、あるいは改善ということについてのお考えはございませんか。
  56. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) この大臣認定制度は、今回の事案に即しまして第三者委員会議論を始めているところでありますが、そこの議論を踏まえてではありますけれども、私としては大臣認定制度の見直しを行うことが必要であると、このように思っています。  住宅関係だけでも大臣認定が実は五千ぐらいございます。全部実地検査をしてというようなことは現実にはできないことであろうというふうに思いますし、先ほども、過重なそうしたことを国家が全部やらせるというようなことではなかなか難しいねという現場感覚からの発言もいただきました。  しかし、一つは、命に関わる、安全に関わることというのは、五千の中でも特にこれは厳しくやらなくちゃならないという、差異を付けるということが大事だろうと。そして、もう一つは、不良の製品を作った場合は、先ほども申し上げましたが、品質が悪いものを、同じ例えばタイヤならタイヤが不良であったということが市場に出ますと、市場の中から退出を余儀なくされると。しかし、今回のように、地震が起きて、大きな地震がなければ効果があったかどうか分からないというようなもので市場からの退出というものがないというものについては、市場の検証がない場合はまた検証ということについて、私たち大臣認定の在り方というものもより厳しいチェックが必要であろうと。もう一つは、過去に不正を行った企業ということについては、これはチェック体制をほかの企業とは同様には考えないで、チェックを厳しくするということが必要であろうと。  この三つで、具体的にはどうするかということはこれから第三者委員会の意見も聞くんですが、そうした方向で考えている上に、評価機関の方からもお話を聞きましたが、実地のという、書類だけではない実地のチェックということも必要だと思っているということを評価機関自体が言っておりますので、そうしたことも加えてチェック体制を強化するということを事例に即してやっていきたいと、このように考えているところでございます。
  57. 増子輝彦

    ○増子輝彦君 大臣、ありがとうございました。大臣認定の見直しということを明快にお答えをいただきました。  やはり、住宅関係だけで五千近くある。それ以外の構造物も含めたら大変な数になるわけです。大変数は多くても、やはり生命に関わる問題、安全に関わる問題、極めて重要な課題でございますから、是非それに即して、できるだけ早急にその体制を整えていただきたいと思います。  山本社長、会社としてしっかりと再建を果たすために、血のにじむような、それこそ不退転の決意という言葉だけではなくて、必死になって会社再建のために、それは生命、財産あるいは安全ということについて、あなた方は人の命を預かっているということを忘れないで、今後とも企業として頑張ってください。  終わります。
  58. 田城郁

    田城郁君 こんにちは。民主党・新緑風会の田城郁です。  まずは、東洋ゴム工業免震ゴムの性能偽装問題についてお尋ねをいたします。重複するところもございますが、東洋ゴムの幹部の皆さん、しっかりとお願いいたします。  この度明らかになりました大臣認定不適合品の販売及び大臣認定の不正取得は、ユーザーにとって国の認定制度並びに我が国の免震技術の信頼性を損なう行為であると考えます。  まず、社内体制について東洋ゴム工業株式会社の山本社長にお尋ねをいたします。  本年三月十三日に取り消された大臣認定三件は、平成十八年、十九年、二十三年に取得されたものでありましたが、認定の申請の際の社内手続において経営側はどのような関与をされたのでしょうか。また、申請内容について、実質的にA氏一人が担当しているとされているような社内体制は認識をされていたのでしょうか。まずこの点をお願いいたします。
  59. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) 状況だけまず御説明させていただきたいと思います。  A氏に関しましては、試験、それからまとめを主にやり取りしておりました。しかしながら、体制としては開発メンバーとして三名程度、その他、品質保証、生産がおりましたので、全く一人に頼っていたという状況ではございませんでしたことを御説明いたしたいと思います。
  60. 田城郁

    田城郁君 社長、お答えください。  この不正問題について社長に情報が入った時期は、当時の社長については、社外調査チームによる中間報告書によれば、二〇一四年の二月と、山本社長については同年の七月下旬から八月初めであったとのことでありますけれども、本年二月に至るまで出荷を停止しなかったことはなぜでしょうか。結果として被害が拡大したことについての経営者としての責任を認識をされているのでしょうか、お答えください。
  61. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 当初、極めて曖昧な説明がございまして、しっかりと調査することが必要であると判断し調査を行いましたが、認定制度、製品の性能検査方法、現有のデータの信頼性、出荷済みあるいは出荷予定品の性能基準の妥当性などを検証いたしましたが、専門的な知識や人材が足りなかったことから事実の究明が進まず、出荷停止や認定取下げに至るまで多大の時間を要しまして、大変申し訳なく、反省しております。  経営者としての、被害が拡大してしまった経営者としての責任につきましては、最終調査報告書の記載内容を検討の上、判断させていただきたいと考えております。
  62. 田城郁

    田城郁君 進退の話ではなく、現時点でどういう責任を感じているのかをお聞きしています。
  63. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 現時点で私たちが最もやらなければならないことは、この対象物件の対応を一日でも早く進めていくことであるというふうに考えております。
  64. 田城郁

    田城郁君 今後は厳しく再発防止に取り組んでいただくということは大前提でありますが、その後にしかるべき責任を取っていただければと思います。  それでは、太田国交大臣にお尋ねをいたします。  平成十九年に発覚した防耐火部材の偽装事件を受けて、大臣認定の前提となる指定性能評価機関における再発防止策として、メーカーによる試験体のすり替えが行えないようにすること、市場からの無作為抽出によるサンプル試験を実施することなどの対策が取られたと承知をしております。しかし、こうした対策が取られたのは防耐火に関する認定のみで、制度全体の見直しにはつながらなかったということが今回の免震偽装が起きた一因ではないかとも考えます。南海トラフ地震の発生も懸念される中、国民が免震装置の性能を疑ってしまうような状況では、安全、安心への投資が進みません。  大臣は、大臣認定制度の見直しについて、安全に直結する製品かどうか、そして、過去に不正を行った企業かどうか等によりチェックの程度を変えるべきだと考えていると答弁をされております。今回の事例のように、現実に市場に提供された製品品質の判定が困難なものについての認定制度の在り方についてどのような問題があると認識をしておられるのでしょうか。また、安全に直結する製品や過去に不正を行った企業に対して例えばどのような対策を取ることが有効と考えられるか、現時点での御見解をお伺いをいたします。
  65. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 大臣認定制度の見直しをするということで議論を始めているということについては先ほど増子先生に報告をし、そして、安全に直結する製品かどうかということと過去に不正を行った企業かどうかということに加えて、先ほど私の方から、市場で製品がチェックされないということについては、そうしたものについてはしっかりしたチェック体制を取るという方向だということの大きなチェックの程度の考え方について、中身は具体的にこれから第三者委員会なんかも含めてやっていきたいというふうに思っていますが、性能評価機関から、ISO9001、これ品質マネジメントシステムでありますけれども活用して、製品の製造、検査や品質管理システムのチェックを強化するということも加えて指摘をしているところでありますものですから、それらも含めて検討を今させていただいているというところでございます。
  66. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  ネパールのマグニチュード七・三の余震、あるいは昨日は岩手県で震度五強の地震が発生しております。首都直下も心配をされております。監督官庁として一日も早く国民の不安を払拭し、信頼回復に努めていただきたいと、そのように思います。よろしくお願いします。  御退室、どうぞ。
  67. 広田一

    委員長広田一君) それでは、山本参考人伊藤参考人におかれましては、御退室をしていただいて結構でございます。
  68. 田城郁

    田城郁君 次に、近年相次ぐ鉄道事故に対する大臣の御所見をお伺いをいたします。  先月二十五日、乗客、乗務員百七名の方々の尊い命を奪ったJR西日本の福知山線事故から十年の節目を迎え、犠牲者の御冥福を祈る追悼慰霊式が兵庫県尼崎市で行われました。犠牲者の方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、最愛の人を失われた御遺族の皆様に、深い悲しみ、御心痛に思いを致し、御冥福をお祈りをいたします。いまだ事故の後遺症に苦しむ被害者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。  このような悲劇を二度と繰り返さないためにもしっかりと鉄道の安全確保ということで質問いたしますが、未曽有の大惨事となった福知山線事故を受けて鉄道事業法の改正が行われるなど、鉄道事業の安全管理体制の確立を図ってきたところでありますが、しかし、その後も、平成二十三年より続くJR北海道の一連の事故や、昨年二月のJR川崎駅構内における京浜東北線の工事作業用車両との衝突横転事故、先日の山手線での支柱倒壊事故、さらにはゴールデンウイーク初日には多くの乗客の皆様に影響を与えた東北新幹線の架線切断事故など、重大な事故が相次いでおります。  私は、国土交通委員会において、事故の背景には、過度の効率化、外注化という問題があると申し上げてまいりました。私は、必ずしも外注化という手法そのものを否定しているわけではありませんが、外注化を通じたグループ会社化と現場の安全第一の体制づくりのバランスが取れていない、孫請、ひ孫請等の工事会社の多重構造による効率性の追求イコール利益優先に偏り過ぎているのではないかと危惧を抱いております。  グループ企業化がすぐに技術力低下に結び付くとは必ずしも言い切れませんが、しかし、グループ全体の安全性確立への価値観の統一による作業手順や、作業前の確認が的確に行われているのでしょうか。工程の管理など多重化された工事体制で正常に機能させることは容易なことではありません。かえって一つの組織の方が徹底しやすい場合もあります。安全性の確保と効率化を同時に達成しなければならない企業の目的に対して、どこまで外注化し、どこまで本体にとどめておくべきかの適切な判断ができていないのではないかと思わざるを得ません。営利優先、つまりコスト削減のためのグループ会社化に偏り過ぎていないか、問題提起をあえていたします。  このベストミックスが崩れた状態、いつも言いますが、要するに組織の分断が人の分散イコール技術の分散を生み、結果として継承されない技術や技能はやがて消滅をしていき、危険な事故を生み出す要因になってはいないかと指摘をしているのです。  また、JR東日本の本体、グループ会社双方の現場労働者に技術の蓄積のでき得る体制が脆弱で、全体を見通せる力のある人材が育っていないのではないかと思われる現在の教育訓練システムや、技術の身に付かない期間での転勤の在り方など、人事システムにも問題があるのではないかと思われます。  ここで、国鉄分割・民営化時にJR東日本の副社長あるいは会長を歴任された、初代JAXAの理事長であった山之内秀一郎さんの二〇〇八年の著作で、JRはなぜ変われたのかという本の中から、一部内容を紹介させていただきます。  JR東日本は安易に他の企業技術に頼るのではなく、鉄道にとって大切な先端的で中核的な技術のノウハウは社内で保持すべきではないか、これこそが、これからの技術企業としての最大の財産になるはずだ、最近私はこれを技術のインソーシング化と呼ぶようにしていると記され、鉄道会社としてのJRは技術、技能を重んじるべきであると言い残しております。  山之内秀一郎さんは、技術系職場の3Kをなくすための機械化、外注化こそ肯定しておりますけれども、それとて、下請企業体質から専門家集団に成長できるか、あるいは高度なデータを持つJR東日本と一体となって仕事ができるかに懸かっていると指摘をしており、大前提はJR東の専門分野と保守専門企業との連携を密にした体制ができるかどうかということを言っております。  しかし、この間の事故の背景を見てみると、親会社と子会社の典型的な主従関係、希薄な連携体制が浮き彫りになっているのではないでしょうか。安全哲学の確立、統一や技術、技能の継承できない本体と外注会社、マネジメントのできない鉄道会社を山之内氏は望んでいないはずです。  私は、JR東日本本体の保守管理の技術系の職場にこそ、外注化のようなアウトソーシングとは真逆の意味を持つ一定の技術のインソーシング化が鉄道事業の安全確保を図る上で必要不可欠な基礎、基盤になると考えております。  そこで、私は、近年相次ぐ鉄道事故について、その背景に本体の技術力、技能力をそいでしまっているのは過度の効率化、外注化があるのではないかと考えますが、太田大臣の御所見をお伺いいたします。
  69. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) JR東自体の中のことについては、詳細を私は十分承知をしているわけではありません。しかし、JR北海道の案件を見ましても、そしてJR東の前にあった事故を見ましても、外注化ということについてはどう考えるかということをしっかりしておかなくてはいけないという思いを持っています。  田城先生からも、外注全体をこれはやめろというわけではなくて、過度の外注化が問題だという指摘がありますが、私はそのとおりだと思います。  何を過度かということになれば、何よりも本社の中に技術が継承されて保持をされていくということが極めて大事で、全部任せてしまっているという、それでまたチェックもできないような本社であってはこれはならないというふうに思います。技術がその本社の中に継承され、そして同時に、外注先も一緒になってこの訓練等が行われているという体制を保持して、そして、我が社に関連するものは安全ということについて最も技術的にも練り上げられた組織なのだという、そこの一本線が外注先においても通っていかなければならないというふうに思っています。  そういう点では、どう組み合わせるかということでありますが、安全ということについて技術的に一本の線が現場で働く人まで通っていくという、そうしたこと、そして本社内に技術がしっかりと継承されていくということが私は大事なことだというふうに思っているところであります。こうした観点から、鉄道関係の会社に対してもしっかり監督指導をしたいと、このように考えています。
  70. 田城郁

    田城郁君 次に、技術継承に加えて技能継承の必要性ということで御所見を伺いたいと思います。  これまで私は、鉄道事業の安全を確立するためには技術継承を円滑に行うことが重要であると申し上げてきましたが、今日は、技術継承に加えて必要な概念として、あるいは克服すべき課題として、技能継承の重要性を訴えたいと思います。  まず、技術継承というのは、技術をマニュアル化し、文書や映像あるいは机上での学習によって引き継ぐことができるものと言えます。一方で、技能継承は、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、すなわちOJTによって生産現場等において先輩の背中を見て技術を身に付けること、更に言えば技術を盗むこと、数々の体験における失敗や成功から学ぶこと、もちろん教育訓練も含めて、長年の経験が重層的に積み重なり蓄積され、初めて体に備わる能力だと言えると思います。鉄道事業の運行、そして保守や工事に係る技術は、机の上で身に付けることばかりではなく、むしろ現場で体にたたき込むものの方が数多くあります。  したがって、鉄道事業においては、技術継承に加えてこの技能継承という概念が大変重要なものとなってきます。そして、この技能継承という概念がJRのマネジメントにおいて希薄であるがゆえに、業務の質を向上させる生きた教育訓練あるいはOJTに十分なコストが掛けられていないのではないかと感じるわけです。  一例を挙げますと、新人の運転士は少なくとも半年間、担当の指導操縦者と呼ばれる先輩運転士と訓練中のみならず寝食も共にして、国家試験に合格したその後も、指導員という役割の方の見極めと呼ばれる判断がない限り一人で運転することはできないという体制になっています。この体制が技術系にも必要なのではないか。また、JR東日本本体とグループ会社において安全哲学の確立が十分に行われていないのではないか。したがって、インシデントの大部分が必須の作業手順や必要な作業間合いなどの一連の確認作業の不徹底が原因の多くの部分を占めているのではないかと思えてなりません。  ここで再び山之内氏の著作の一部内容を紹介しますと、山之内氏はこの本の中で、間違っても企業が人事部門、財務部門中心の権力構造になってはならない、こうした部門からは本質的に企業の原点である新しい事業や技術の構想は生まれてこないからである、これも国鉄の崩壊の過程で学んだ貴重な教訓なのである、こうした企業の原点を忘れないことがこれからのJR東日本の将来を左右すると考えていると警鐘を鳴らした上で、JR東日本の経営が安定するとともに、国鉄の持っていた官僚的で傲慢な体質という負のDNAが再び企業内に芽を出しつつあると危惧の念を表しております。  山之内氏の指摘しているように、技術、技能の重要性が軽視されがちな企業体質がまさに現出しているのではないかと私は強い危機感を抱いております。実際に私がJR東の社員であった頃、現場に出るのが怖い、あるいは現場に出て作業をする中で技術を身に付けたいという声を特に施設、電気など技術系職場の社員からよく耳にいたしました。止まっている列車の現場に急行し、原因を特定し、対策を打ち、動かせる自信がないんです、だから現場に行くのが怖いんですということです。私が退職して何年もたっていますから、その状況は克服されていると思いたいのですが、JR東日本の連続した事故を見ると、残念ながらそのような現場の声は受け入れられていないように思われます。  この技術に加えて技能継承という考え方、そして鉄道事業における技能継承の重要性について、太田大臣の御所見をお伺いをいたします。
  71. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) JR東自体について、私は田城先生よりもその実態については掌握をしているわけではありませんけれども、今の技術ということの上に、現場力といいますか、感覚を研ぎ澄ますという点で技能というものが大事であって、技術と技能の両方の継承が大事であるという指摘は私は重要であろうというふうに思います。  去年の二月、雪の降った日でありましたが、JR東の技術訓練センターに行く機会がありまして、現場で枕木を直すんだとかいろんな作業をしているという状況も見させていただきました。ここには下請の方も入ってやっていたわけでありますけれども、社内にそうした技術力そして技能という両面にわたって蓄積があって、それが伝承されるというような企業であるということは、どの鉄道会社においても私は大事なことだというふうに認識をしております。
  72. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  次に、責任追及から原因究明への安全哲学について御所見をお伺いいたします。  事故の芽を摘むためには、技能、技術継承を円滑に行うことに加えて、事故の予兆となるミスや失敗を隠さずに言えるような職場環境を整える必要があります。そのためには、個人への責任追及よりも原因究明が重視される企業風土をつくらなければならないと私は考えております。  しかし、そのような安全哲学がJR全体に浸透していない理由の一つに、限られた工期の中で多くの工事をこなさなければならないことが挙げられます。これも私がJRで働いていたとき現場の技術の方よりよく耳にした話ですが、保守、工事の業務は終電から始発までの限られた時間内に行わなければならないことが多く、工事を進める中で何か事故の予兆となる要因を発見したとしても、工事の中断による全体の工程の遅れ、そしてそれに伴う責任追及を恐れて、そうした予兆を上司に報告しづらい状況があるということです。  この克服のためには、事故に至った経緯、小さなミスや失敗を共有化し、社員全体で教訓化することで、自分と同時に他の社員にも二度と同じミスや事故を起こさせないというメカニズムを組織全体につくる必要があると思います。しかし、ふだんと違うことがあったら何でも報告するというルールを守ってヒューマンエラーやささいなミスを報告すると反対に処分を受けてしまうというような状況がある企業風土では、社員の真実を報告し事故防止につなげるべきという気持ちと、真実を報告するとマイナスの評価を受けてしまうという恐怖感とのはざまで葛藤し、場合によっては報告しないという隠蔽体質が蔓延をしてしまいます。これでは真の原因究明はできません。  自己保身という人間の自己保存本能を内面から克服して、何でも言い出せる企業風土、言い出すことが評価される、事故を未然に防ぐ努力をした社員として評価されるようなシステムを確立することが少なくとも多くの人命を預かる鉄道事業者にとっては必要だと、必須だと考えております。  大臣の御所見をお伺いいたします。
  73. 藤田耕三

    政府参考人(藤田耕三君) 事故を未然に防止するためには、御指摘のとおり、担当者から責任者に報告をする、その報告についてのルールを明確に定めまして、それに基づいて、ふだんと異なるような事象があれば積極的に報告し、まずは社内で共有されるということが大変大事だと思っております。  鉄道事業者におきましては、そういった事故の芽となるいわゆるヒヤリ・ハット情報につきまして積極的な報告を促すために、例えばその報告をマイナス評価の対象から除外するといった取組、あるいは事故を未然に防止するための改善につながる提案を促すために社員を表彰するような取組が行われております。  国土交通省としましても、非懲罰的な報告制度の導入を鉄道事業者に促すなど、こうした取組の促進をしてきたところでございます。今後とも、引き続き安全性向上に向けてこうした取組を鉄道事業者に指導してまいりたいと考えております。
  74. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 組織は、私もこの国交省という巨大な組織も担当しまして、また危機管理ということについては一番大事な役所なんですが、このレベルのことであればここがまず集まるという、下から順番に集まるのが政府全体の危機管理であったと思います。  私は、御嶽の爆発とかいうときでも、自分がまず、織田信長じゃありませんけど、直ちに自分の感じたことで役所に駆け付け、あれは土曜日でありましたが、ということで、そしてだんだんだんだん全軍が集まってくるというようなことが大事で、リーダーの方も、現場感覚を持って、これは大変だと思うという気持ちがなければ、何か下の方がどうかなと思っても、おお、よく言ってくれたという気持ちがなければそういう風土ができないんだと思います。  だから、マニュアルからいくと、この事故のレベルだとここから、これの次はこれだということになったり範囲も決まるんですが、やはり組織というものが生きていくためには、リーダーあるいは幹部が常に危機感を持って、自分のところに情報を是非とも言ってくれよという、そうした体質というものを身に付けて、言ったら、よく言ってくれたという、そういうものにしていかなければならないし、いち早く言ってくれよという、上の方がそういう気持ちを持つということが私は大事なことではないかというふうに思っています。なかなかそれが、冷たい目で見られていったら言いづらいということが、そんな余分なことはやめておけとかいうことであってはならないというふうに思います。
  75. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  正常化の偏見ということもお聞きしたかったんですが、最後に、技術、技能継承がうまくいっていないこと、あるいはミスや失敗を隠さずに言えるような職場環境、このような組織のガバナンスの問題は一義的には民間会社であるJR東日本が決めることであります。しかし、大量輸送を担う公共交通機関としての非常に重い社会的責任を背負ったJR東日本でありますから、運輸安全委員会においては、調査中でありますが、今回の山手線支柱倒壊事故の調査にしっかりと取り組んでいただき、監督官庁である国土交通省においては引き続きJR東日本への監査を通して積極的な関与をしていただければと思います。  大臣の御所見をお伺いいたします。
  76. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 今回の山手線の事案はいろんな教訓を持っている事案だと思っておりまして、監査をしっかりし、そして既に行っている調査の上に指導監督を強化したいというふうに思います。  また、運輸安全委員会でもしっかり調査をしていただくようにと思っているところでございます。
  77. 田城郁

    田城郁君 ありがとうございます。  質問を終わります。
  78. 広田一

    委員長広田一君) 午後一時に再開することとし、休憩をいたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  79. 広田一

    委員長広田一君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  本日、太田房江君が委員辞任され、その補欠として吉川ゆうみ君が選任されました。     ─────────────
  80. 広田一

    委員長広田一君) 休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 金子洋一

    ○金子洋一君 お疲れさまでございます。民主党の金子洋一でございます。  本日は、本題として東洋ゴムの問題を取り上げたいと思っておりますが、そちらに入ります前に、二、三、別の案件につきまして御質問させていただきたいと思います。  まず、午前中にも少しお話が出てまいりましたけれども、火山の問題、箱根町の火山の風評被害の問題についてお尋ねをしたいと思います。  神奈川の箱根の山にレベル二の避難指示というものが、火口付近の避難指示というのが出ましてから約一週間たちました。大涌谷の半径三百メートルが避難指示区域ということになったということでございます。その結果、大涌谷周辺を通っております県道が通行止めになる、あるいは大涌谷のすぐそばと申しましょうか、上と申しましょうか、を通っておりますロープウエーも運休になっております。  また同時に、大涌谷、ああいった形で勢いよく水蒸気が上がっておりますので、そこから温泉を取って周辺の施設に対して供給をするというようなことも行われております。その供給をしている施設にこれまでは立入りができなかったということで、そのままだと、簡単に言うと詰まってしまって供給ができなくなるんではないかと、非常に大きな問題がそこでは生まれております。  ただ、世間一般では、箱根の全域があたかも非常に危ない状況にあるんじゃないかとか、旅館の方のお話では、火山灰は降っていますかとかいう、そういうような質問もあるそうでして、降っているわけがありません、水蒸気が勢いよく上がっているというような状況でございますので、ほんの大涌谷の半径三百メートルのところについては避難指示が出ているというのが現状であります。  そういったことで、言わば風評被害というのが非常に憂慮される状況になっております。箱根の町あるいは地元の旅館の皆さんも、それに対していろいろな形で、情報交換をしたり、できることはないかということで模索をしておられるようですけれども、やはりここは、国交省・観光庁が大きなリーダーシップを発揮をしていただいて、風評被害を振り払う努力を是非していただきたいと思います。  また、特に最近は、インバウンド、外国人、外国からの旅行おいでになっている方もおいでですし、午前中にも大臣からお話がありましたけれども、ロープウエーのところまで行ってみたら止まっていたというようなこともあると思います。また、指示自体分からなくて入ってしまうということもあるのかもしれませんし、そういったことも含めまして、どういうふうに方策を取っていただけるのか、観光庁長官にお尋ねをしたいと思います。
  82. 久保成人

    政府参考人久保成人君) 観光面での委員指摘の風評被害を防止するためには、国内、国外の旅行者あるいは旅行を考えておられる方に対して、何よりも、御指摘のとおり、正確な情報提供に万全を期すことが重要であるというふうに私ども考えております。  このため、観光庁といたしましては、JNTO、国際観光振興機構、あるいは旅行業協会等関係機関と連携して、御指摘のとおり、今回の措置は大涌谷の噴煙地に近いごく一部への立入り規制であって、箱根の他地域まで規制が及ぶものではなく、噴煙地以外の各地域の施設だとか交通機関も平常どおり営業、運行していることなど、現地に関する正確な情報を国内外の旅行業者や旅行を考えておられる方に発信をしております。  明日十五日も、箱根町との、私どもと意見交換を行いますけれども、今後ともしっかりと箱根町と地元の意向も踏まえながら対応に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  83. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  是非ばっちりと対策を取っていただきたいと思いますし、箱根町の皆さん大変不安に思っておられます。以前に、御嶽山でああいった形の災害がございました。あれとは全く性質が違いますけれども、不安に思っておられるということは本当に大きなものがあると思いますので、是非、町そして旅館のような皆さんとも連絡を観光庁の方できちんと取っていただきたいと思いますので、これはお願いをさせていただきます。  続きまして、もう一件お尋ねをしたいと思います。  保土ケ谷バイパスの町田立体二期工事という件でございます。これは何かと申しますと、東名高速の横浜町田インターの出入口のところを立体化しようということでありまして、これだけではよくお分かりにならない皆さんおいでだと思いますので、どういうような位置付けなのかということを申し上げます。  まず、東名高速の方なんですけれども、東名高速の上り、横浜町田インターを先頭にして、海老名ジャンクションですね、ここまでの区間が二〇一四年の渋滞ワースト一位の区間であったということであります。もう一方、その出口の前を通っている国道十六号線のバイパスですけれども、これは、平成二十二年度の道路交通センサスによりますと、平日の昼間十二時間の交通量が日本全国の一般道路中日本一の交通量だということであるわけです。つまり、日本一渋滞している高速道路の出口の前に日本一の平日交通量のあるバイパスが通っているという形になっております。そこを言わば立体で上を通れるように今工事が進んでおります。進んでいるんですが、なかなか完成に至っておりません。初めは平成二十六年度中に完成だということを聞いておりまして、となりますと今年の三月三十一日までですので、早くできないかなと思っていたら、なかなかできないと。二十七年度になってしまったということで、どうなっているんだろうと思いましたら、実は二十七年度いっぱいの完成に延期になったということであります。  私、住んでおりますのが新横浜でして、そして相模原方面あるいは厚木方面に行くときに、ほぼ、大体、必ずと言ってもいいほどその辺りを通るわけで、毎回毎回渋滞をしまして時間が読めないと。立体の完成を心待ちにしているわけですけれども、その完成が非常に遅れているんですけれども、これを早急に進めていただくべきじゃないかと思うんですが、局長、いかがでございましょうか。
  84. 深澤淳志

    政府参考人(深澤淳志君) お答え申し上げます。  委員指摘の国道十六号町田立体事業、委員指摘のように、ここは一日約五万台の交通が集中しております。その保土ケ谷バイパスの渋滞緩和あるいは沿道環境の改善ということを目的とする事業でございます。  現在、国道二百四十六号との交差部における橋梁の架設の工事をやっております。委員指摘のように、当初平成二十六年度完成ということで進めてまいりましたけれども、その橋梁の架設の元々の案によりますと、交通規制がどうしても伴ってしまって、その交通規制による大渋滞が予想されるものですから、橋梁の架設方法について関係機関と調整をしてまいりました。その結果、若干、お約束していた二十六年度という開通はできなかったんですけれども、このところにつきましては、今お話ありましたように、今年度の完成を目指して鋭意工事を実施しております。  引き続き、地域の御協力をいただきながら、一日も早く開通ができるように努力してまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  85. 金子洋一

    ○金子洋一君 そこは分かりますが、ただやはり工事方法は前から決まっていたわけですので、やってみたら渋滞しましたというんだとこれは大変情けない問題だと思いますので、しっかりやっていただきたいのと、やはり国道十六号線のバイパスの連続した立体化など、その辺りの渋滞の緩和について特に力を入れてやっていくべきだと思うんですが、局長、いかがでしょうか。
  86. 深澤淳志

    政府参考人(深澤淳志君) 幹線道路の渋滞対策は、国としても大変大きな課題だというふうに考えています。  ちなみに、平成二十四年度の国土交通省推計によりますと、全国で一年間に渋滞により失われる時間、これを労働時間に換算すると約二百八十万人分の労働時間に相当するということであります。中でも、神奈川県内というのは渋滞が非常に激しいところでございまして、神奈川県内で渋滞によって失われる時間、これは全国でいうと東京、愛知、大阪に次いで全国第四位ということであります。  御指摘の国道十六号においては、東名高速道路や、あるいは国道二百四十六号との交差部を始めとして慢性的な渋滞が発生しているところでございます。これに対しまして、現在、国などにおいては広域的なネットワークを強化するという意味で、圏央道であるとか、あるいは東名高速道路と横浜の中心部を結ぶ首都高速の横浜環状北線あるいは北西線といった事業を進めていますし、またボトルネックを解消する観点からは、先ほど御説明しました十六号と二百四十六号の交差部の立体化などを進めております。  今後もこれらの対策による効果をきちっと確認しながら必要な対策に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  以上です。
  87. 金子洋一

    ○金子洋一君 どうかよろしくお願いいたします。  それでは、東洋ゴム工業の問題に移らせていただきます。  社長、専務、お越しになっているわけですけれども、まず、細かい事実関係についてのお尋ねというのは重複をいたしますのでいたしません。今後どういうことをやるのかということについて基本的にお尋ねをするということでやらせていただきたいと思います。  私は、今回のこの事件というのは極めて大変なことであると思っております。まず、関係をしている皆さんに大きな迷惑を掛けている。会社の経営陣だけではありません。物づくり産業という意味では、我が国の物づくり産業に対する信頼を損なう非常に大きな出来事であると思いますし、また免震、耐震あるいは制震ゴムといった面では、同業他社、名前も出てきますけれども、ブリヂストンさんですとかオイレスさんですとかJFEエンジニアリングさんですとか、そういった他社に対する目というのもやはり厳しくなってきてしまうんじゃないかと思います。  また、経営陣は、そういった形で私は経営陣の怠慢が大きかったと思いますけれども、とはいっても、会社の中で真面目に働いておられる大多数の皆さんには、これは責任がないというふうに思いますし、そういった方々が、彼は、彼女は東洋ゴム工業の社員だということで外部から冷たい目で見られるようなことすらあるんじゃないかと思います。これも大変残念なことだと思います。  また、株主の皆さん、取引先の皆さん、せっかく東洋ゴムの品物を使うと言ってくださっている設計者の皆さん、あるいはビルを建設をなさる皆さん、そしてエンドユーザーの皆さん、こういったところに大きな迷惑が掛かっていると思います。  そういった大きな迷惑が掛かっているところにどういう対処をしていかれるのかということについてお尋ねをしたいと思います。  まず第一にお尋ねをいたしますけれども、まず今回、この事件が発覚したことによって東洋ゴム工業の株価が二千八百円程度だったものが二千二百円程度に急落をしております。これに対して、主に株主に対してどういうふうに思われるか、社長にお尋ねをします。
  88. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 株価ということで、株主の皆様に対して、私ども東洋ゴムの経営理念や事業内容に期待と御評価をいただいておったにもかかわらず、結果として株主様の期待を裏切ることになり、大変申し訳なく思っております。  今回御迷惑をお掛けした皆様への対応を最優先課題として取り組むとともに、今後公表させていただきます再発防止策を通じて、企業体質を改革していくことで関係者の皆様方の信頼を取り戻すことができるよう取り組んでいきたいと考えております。  以上です。
  89. 金子洋一

    ○金子洋一君 株主の皆さんが今の御発言で納得をなさるかというのは全く別だと思いますが、時間も限られておりますので、次の質問に参ります。  これは国交省の局長にお尋ねをします。  今回の問題というのは、建築基準法の三十七条、建築材料の品質への違反だというふうに思われるわけですけれども、今回の事案では設計者の側も責任を問われるのでしょうか。
  90. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) お答え申し上げます。  今回の事案につきましては、建築確認を受けた設計図書上は大臣認定を受けた免震材料を用いることとされており、その範囲においては何の瑕疵もございません。したがいまして、設計者が責任を問われることはございません。
  91. 金子洋一

    ○金子洋一君 それは不幸中の幸いだと思います。  あと、続けましてお尋ねをいたします。  これは事実の確認というか、こういう事実認識でいいのかということをこれは国交省に続いてお尋ねをいたしますけれども、まず最初に、大臣認定が取り消されたG〇・三九という三つの製品、これが五十五棟あって、これは三つの製品とも大臣認定を取り消されたという認識でいいわけですよね。その追加公表された十八製品、百五十四棟ですけれども、これは取消しがないということでいいわけでしょうか。
  92. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 当初見付かりました五十五棟については、正確に言いますと五つ認定がございまして、三件を取り消しております。二件については、ただ、中間報告書の中で、当初認定を受けたものについても不正があったのではないかという記述がございましたので、この点は調査をいたします。  それから、後で判明いたしました九十九棟につきましても、認定は取り消しておりませんが、やはり中間報告書の中で、これについても改ざんがあったのではないか、あるいは東洋ゴム工業から改ざんの疑いがあるということで調査中でございます。ただ、認定は取り消しておりませんが、既に出荷は停止をされておりますので、新たに不正が広がるということはないと思っておりまして、今後しかるべき時期に、内容をよく精査をして、不正があれば認定を取り消すことになろうと思います。
  93. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  今のままで認定が取り消されないということを前提にお尋ねをいたしますけれども、結局、その後者の方ですね、百五十四棟の中で、パスをしたけれども出荷してはならないものを出荷したのが九十九棟で、それをチェックして、七十七棟については建築基準法上問題なかったと、残り二十二棟は調査中で分からないということだというふうに受け取っております。  この七十七棟について社長にお尋ねをしますけれども、この最初の取消しの部分の五十五棟については、これは全数交換をされるのは当然だと思いますけれども、この七十七棟の部分について、替えてくれという申入れがあった場合は、当然、東洋ゴムさんの責任において交換をなさるという確認です。よろしいでしょうか。
  94. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) お答えしたいと思います。  当初の五十五棟については、施主様の意向に沿って、他社製品を含めまして全数取替えを行う方針で進めております。  九十九棟に関しましては、四月二十一日に、当社グループ製免震ゴムにおける新たに判明した建築物に関する大臣認定不適合等の調査結果についてを公表いたしましたが、その中で交換方法について御提案させていただいております。ただ、これも施主様、施工主様と綿密に相談をしながら今後進めさせていただきたいと思っております。
  95. 金子洋一

    ○金子洋一君 はっきり言っていただきたいんですが、先方から替えてくださいという申入れがあったら全数替えるという解釈でよろしいわけですね。
  96. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) 五十五棟の場合には全数不適合品でございましたけれども、今回の七十七棟に関しましては基準内合格品も含まれておりますので、その合格品に関しましては御相談をしながら残せるものは残していただきたいという思いで今御提案をしております。
  97. 金子洋一

    ○金子洋一君 そういうお答えになるだろうと思っていたんです。ただ、それは十分お気を付けにならないと大変なことになると思いますよ。  東洋ゴムさんの事業の中でこの免震ゴムの占めるシェアというのはそんなに大きくないわけですよね。ですから、ひょっとしたらたかをくくっておられるんじゃないかと思いますけれども、全数交換をしてくださいと言ってくるユーザーというのはどういうユーザーが多いかというと、例えば、マンションのオーナーさんとかでしたら、このビルは当然建築基準法をクリアをしていますと、それは当然のことです。それプラスアルファ免震ゴムなんかが付いていて、これは非常に地震にも強いんですというところに魅力を感じて買った方が多いはずなんです。あるいは、売り方についても、これは通常の建築基準法で求められているこういった基準よりももっと上で造っていますと、免震ゴムなんか使っているんです、ここが我々の売りですという形で売っているはずです。  そういうところに期待をして買われた方が、何だと、これは何かよく分からないけれども、けちの付いた品物が使われているじゃないかということを見たら、これはもう、いや、うちがせっかくローンを組んで買ったこの大事な家をどうしてくれるんだという気持ちになるのは当たり前だと思います。そういったところが管理組合か何かで議決をなさって替えてくれというふうにおっしゃっても、今の御答弁ですと、それでも相談させてくれということになっているんですよね。  そうなると、これは、ここから先、私の推測で、まあアドバイスだと思っていただいてもいいと思いますけど、そういうことが一件でも出ると、これはもうマスコミも含めて大騒ぎになると思いますよ。東洋ゴムというのは、変なものを出荷しておいて、替えてくれと言われても替えないと、それ測ったらオーケーじゃないかなんて言っているということになると思います。本当にそういうやり方でいくおつもりですか。
  98. 山本卓司

    参考人山本卓司君) あくまで私どもは施主様、使用者様、所有者様との、御意向に沿った形で交換していくということでございますので、御意向がそのようなことであれば、その方向で検討させていただきたいというふうに思います。
  99. 金子洋一

    ○金子洋一君 それがやはり会社のためにもいいと私は思います。それについてはそこまでにさせていただきますけれども、絶対にそうなさった方が会社のためにはいいと思います。  そこから先、お尋ねします。  交換をするということになった場合に、世の中にはいっぱいそういった御社の該当した製品を使ってしまったところが多いわけですけれども、交換の順番とか、どういうふうにお考えなんでしょうか。公共建設の割合が多い、例えば病院のような何か災害があったときに絶対にそこにあってくれなきゃ困るようなものというようなものもありますし、そうした公共性の高いものが先になるということなんでしょうか。社長、いかがでしょうか。
  100. 山本卓司

    参考人山本卓司君) まず、工事中物件というものもございますので、工事中物件並びに公共性の高い病院等公共物ですね、これをまず最優先で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  101. 金子洋一

    ○金子洋一君 そうすると、また、じゃ、マンションなんかは一番最後になるのかということになるんですが、それはどうなりますか。
  102. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 決してマンションを軽視しているわけではございませんで、当然マンションはたくさんの人がお住まいでございますので優先度としては高くなるかと思いますが、ただ、これは第三者と、あるいは国土交通省様といろいろ御相談しながら決めさせていただきたいというふうに考えております。
  103. 金子洋一

    ○金子洋一君 そこはきちんとなさった方が御社のためになると思いますので、何回も申し上げて恐縮ですけれども、よくお考えをいただいた方がいいと思います。  あと、交換工事のためのその直接の部品の費用とか工事費用というのは当然東洋ゴムさんの負担になるとして、建設中の建物の工期の遅れですとか引渡しの遅れ、施設の開業の遅れなど、得べかりし利益について、あるいはマンションに住んでおられる方が工事中に転居をしなきゃならないというようなことになったようなときの必要な費用といったものについても、これは東洋ゴムさんがお支払いになるということでいいでしょうか。
  104. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 補償につきましては、本件と相当因果関係を有する範囲内、すなわち本件から通常生ずるであろう範囲内の費用につきましては基本的に負担させていただく方向です。また、今御指摘ありました建設中の工期の遅れ、引渡しの遅れ、施設の開業遅れ等による得べかりし利益等につきましては、これは物件ごとに状況、事情が異なるかと思いますので、物件ごとに施主様、施工会社様等と個別に相談させていただきたいというふうに考えております。  それから、マンション工事中の転居に必要な費用につきましては、安全面から建物使用者の一時的な退去が必要な場合、あるいはできるだけ一時退去が必要でないような工法というものはゼネコン様等と相談させていただいておるんですけれども、そういう場合において、相当因果関係を有する範囲内において当社において引っ越し費用、仮住居費用などを負担させていく所存でございます。
  105. 金子洋一

    ○金子洋一君 その御答弁について、そこはちょっと違うんじゃないかという気もしないではないんですが、時間もございませんので、これまでの社長の発言をお聞きになりまして、私はこの会社の体質の問題など非常に大きな責任があると思っておりますけれども大臣はいかがお感じになったでしょうか。これも繰り返しになりますけれども
  106. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 極めて遺憾であり、許し難い事案であるというふうに思う上に、私が発覚直後から、責任を持って免震装置の交換、改修をするようにと、原因究明、再発防止を行うようにということを繰り返し指示をしてきたところでございます。  また、その例えば交換という中で、工事中が十四棟あると。また完成ということを待ってもう行事が予定をされていたりというようなところもございまして、病院とか庁舎を十四の中でも優先して、七棟ほど優先するというようなことをやらせていただいたりということを言っているわけですが、今日ありました、そのあとの五十五棟プラス九十九棟、これらについてはしっかり責任というものを感じて対応をしなくてはならないということを私の方からは申し上げておきたいと思っております。
  107. 金子洋一

    ○金子洋一君 ありがとうございます。  この五十五棟以外の部分についてどういう対応をするのかということによって、世論というのは大きく変わると思います。御社の事業の中でシェアがというか比率がそんなに大きくないこの問題で、御社に働いておられる真面目な皆さんが大変な不利益を被る可能性というのが大きくなってしまうわけですから、そこのところはきちんとお考えをいただいて、しっかりと対処をしていただきたいということを社長に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  108. 河野義博

    ○河野義博君 公明党、河野義博でございます。  東洋ゴムの偽装事件に関しましては、与党の方からは森屋委員、そして大野委員から幅広く御質問いただきました。私の方からも国交省に対しまして、再発防止に向けまして、二度とあってはならない事故でございます、事件でございますので、国交省の方に指導監督を徹底していただくこと、お願いを申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思っております。  まず、クルーズ船の入港の件で伺います。  国土交通省では、観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一四に基づきまして、二〇二〇年のクルーズ百万人時代の実現に向けまして官民一体となった取組を進めていただいております。  昨年、クルーズ船によりまして入国した外国人旅行客数は、前年と比べますと二・四倍、約四十二万人に上りました。寄港の回数も六百五十四回と、日本船のクルーズ船も含めますと千二百三回となりまして、いずれも昨年過去最高を記録いたしました。一度に多くの観光客が訪れる大型のクルーズ船寄港に伴う経済効果は一人当たり三万円から四万円、一寄港当たりは一億円にも及ぶと試算をされております。  そこで、まずクルーズ百万人時代の実現に向けた太田大臣の御決意を伺いたいと思っております。
  109. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) クルーズ振興というのは大きく二つ意味があると思いますが、一つ観光立国の実現ということです。非常にクルーズ船寄港は極めて重要な役割を果たしていると思います。もう一つは、地方創生と、各地方でクルーズ船を受け入れるということが地方活性化、創生に大きく役立つということであります。  このため、クルーズ百万人時代という目標を、二〇二〇年、掲げまして、クルーズ船の受入れ環境の改善に取り組んでいるところでありまして、大型クルーズ船を受け入れる埠頭の確保であるとか、あるいは出入国手続の円滑化であるとか、あるいは駐車スペースの確保やバスの配置、あるいは地元のイベントとの関連、これらについて改善をしたいというふうに思っています。  外国のクルーズ船は九州・沖縄地域に数多く寄港していますけれども、本年四月には博多港に最新鋭の旅客ターミナルビルが竣工してクルーズ船の利便性が向上していると。全国もまたそれぞれ前進をしていると思いますが、今後とも政府一丸となってクルーズ振興を図っていきたいと、このように考えています。
  110. 河野義博

    ○河野義博君 観光立国推進地方創生という両方の観点からこれは進めていただきたいと思っております。  国交省に続けて、当局に伺いますけれども、これまでの取組と成果を大きく上げていただいております。御紹介をいただければと思います。
  111. 大脇崇

    政府参考人(大脇崇君) クルーズ振興につきましては、関係者が一丸となって地域活性化に取り組んでいるところでございます。  私ども国土交通省といたしましては、全国百八の自治体の長から成ります全国クルーズ活性化会議、これと連携しつつ、外国クルーズ船の船会社からの問合せに一元的に対応するワンストップ窓口の設置、それからクルーズ船社が必要とします寄港地の情報の国内外への一元的な発信、それから官民一体となったイベントの開催、あるいは免税店を臨時出店する手続の簡素化、それから貨物埠頭などの既存ストックの有効活用、こういったものに取り組んでまいりました。そうした取組の結果、先ほど先生おっしゃっていただきましたように、昨年は前年比二・四倍の約四十二万人の外国人旅行客がクルーズ船で来ていただいたという状況でございます。  引き続き、二〇二〇年のクルーズ百万人時代を目指して、ソフト、ハード一体となった取組を進めてまいりたいと考えてございます。
  112. 河野義博

    ○河野義博君 局長からもお話ありました免税店への対応、これは非常に地元も喜んでおりました。従来、クルーズ船は不定期船でございますので、都度都度、店側としては免税の申請をしなければならなかったのが、事前に承認を得ておれば、前日までに申請をすれば毎回の承認は必要ないということで手続も簡素化されて、非常に地元も喜んでおりました。  太田大臣からも御紹介ありましたけれども、先月末に博多港のクルーズセンターが竣工いたしまして、私地元でございますので、竣工式典にも参加させていただきました。博多港は昨年、外国船のクルーズ寄港回数が日本一でございまして、九十九回寄港いたしました。一方で、従来、外国人乗客が入国する際には、船から降りて、そこでバスに乗り換えてもらって定期船のターミナルまで行って、そこで入国手続をするということで、大型船が来ると大体入国まで二、三時間掛かっておりました。これでは利便性が図られないということで、国にも御支援をいただいて福岡市が整備をしたわけでございます。  この度、入出国の審査ブースを二十ブース擁する専用ターミナルを、非常に簡素な造りではありますけれども専用ターミナルを造っていただきました。その結果、審査時間も一時間短縮される。インバウンドとともにアウトバウンド、これから福岡からクルーズ船に乗ろうという人たちのお客さんも増える見込みがありまして、インバウンドとともにアウトバウンド客の増加も期待をされておるわけでございます。  一方で、まだ課題も多く、これから大型船、大型化が進んでおります。大型船を誘致したいんですけれども、一方で、港の岸壁の長さが足りずに船が着けられない、また深さが足りないために船が着けられないといった課題もあるようです。そういった課題に向けた対応を改めてお聞かせください。
  113. 大脇崇

    政府参考人(大脇崇君) 先生御指摘のとおり、クルーズ船の受入れ環境の改善というのが今後の課題というふうに考えてございます。  具体的には、御指摘ございましたけれども一つは、クルーズ船の寄港の増加、それから船の大型化、こういったものに対応した貨物埠頭などの既存ストックの有効な活用の方法、それから、貨物埠頭などにおきまして、これも先ほど御指摘ありましたけれども、クルーズ船とバスの乗換え、この辺の動線の改善でありますとか、それから外航クルーズ船の出入国手続、これの更なる円滑化、こういったものに引き続き取り組んでいく必要があろうかと思っております。  今後とも、港湾管理者や関係省庁とも連携してしっかりと取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  114. 河野義博

    ○河野義博君 お話がありましたように貨物ターミナルに着けるようなケースもあるようで、当然人の往来は想定されておりませんので、動線の確保が課題といったことでございます。是非とも国交省のノウハウを各地方地方に届けていただいて、一体となった取組をしていただきまして、クルーズ百万人時代の早期の実現に引き続き御指導いただきたいと思っております。  続きまして、話題を変えます。空港設備に関して質問をいたします。  国際競争力向上のための基盤整備に関しまして、太田大臣は今国会の国交委員会での所信表明にて、社会資本のストック効果を最大限発揮できるように重点的な整備に取り組まれると、それとともに、既存のストックを賢く使って、そして最大限に活用してまいりますという決意を述べられております。  現在、空港は、日本国内に九十七の公共用飛行場がございます。新規の空港を造っていくという時代から既存の空港をどううまく使っていくかといった時代に到来をしたんじゃないかと私は思っております。  一方で、私の地元福岡市の空港は、第二滑走路、この増設に向けて準備は進んでいるんですけれども平成二十五年度発着回数は、一本の滑走路で十七万四千回発着を行っております。比べてみますと、二位の那覇空港は十四万八千回でございます。ちなみに、四本滑走路がある羽田空港、これ四つで割ってみますと、羽田空港でも、あの混んでいる羽田空港ですら十万二千回しか飛んでいないんですが、福岡空港は十七万四千回発着をやっておりますから非常に大混雑をしております。アクセスが非常にいい空港でございまして、私の家からも空港に行くまで三十分掛かりませんが、飛行機に乗ってからは、乗ったら渋滞していまして、三十分以上普通に掛かるという空港でございます。  地元でも、コンセッション方式で第二滑走路を造っていくということが合意をいたしました。国交省におかれましても、福岡空港の第二滑走路の増設に向けた事業も採択していただいておりまして、本年度にも環境アセスメントが終わりまして、航空法の告示手続をやると、年度内には終了する見込みと伺っておりますけれども、その進捗状況及び今後の見通しを教えてください。
  115. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 今先生御指摘のように、福岡空港、滑走路一本で年間二千万人弱の利用がありまして、航空機の混雑や遅延を可能な限り早期に解消する必要があるというふうに考えております。  そのため、福岡空港におきましてはコンセッション等の空港経営改革を進めまして、適切な財源を確保することとし、平成二十七年度予算において滑走路増設事業が予算化されたところでございます。現在は事業の実施に必要となる環境影響評価法に基づく評価書作成の手続中でありまして、評価書の確定後、航空法に基づく空港位置等の告示に係る手続を平成二十七年度中に行う予定でございます。  今後は、地元の福岡県及び福岡市の全面的な協力をいただきながら、平成三十六年度完成という目標の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  116. 河野義博

    ○河野義博君 平成三十六年の完成に向けて十年あるわけでございます。着実に進めていただきたいわけですが、民間資金を活用したコンセッション方式の導入が地元でも合意をいたしました。このコンセッションに関しまして、検討状況及び今後の見通し、併せて教えてください。
  117. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) 福岡空港の民間委託につきましては、昨年十一月二十六日に、福岡県知事それから福岡市長より私宛てにでございますけれども、航空局長宛てにコンセッション手続を進めていただきたいという意見書をいただいたところでございます。現在、地元と密に調整を行いながら、地域の実情等を踏まえたコンセッションの実現に向けまして、詳細なスキーム及びスケジュール等について検討を進めているところでございます。  今後につきましては、この具体的なスケジュールを含めまして、概略を平成二十八年度の概算要求までにはお示しできるように関係者と調整を進めてまいりたいというふうに考えております。  現時点で大きな課題があるという認識はございませんので、いずれにいたしましても、滑走路増設事業の推進のために、地元、県、市の全面的な協力を得てしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  118. 河野義博

    ○河野義博君 概算要求までにスケジュールを示すという局長のお言葉をいただきまして、ちょっと安心をいたしました。地元でも非常に興味のある、手を挙げたいという会社はいるんだけれども、じゃ、今からどういう手続でどうなるんだということが認知をされておりません。是非とも、期限を区切って、いつまでに何をするんだということを知らしめていただきたいというふうに考えております。  続きまして、第二滑走路は着実に進めていただきたい、あと十年掛かる事業でございます。夜間の工事がメーンになりますので時間が掛かるのはしようがないんですけれども、一方で、福岡空港の近くには、八十キロ圏内にあと二つ空港がございまして、同じ県内には北九州空港がございます。お隣佐賀県には佐賀空港がございます。まず事実確認なんですけれども、福岡空港、北九州空港、佐賀空港、このそれぞれの空港の利用者数及び発着回数を教えてください。
  119. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) お尋ねの、今それぞれの空港の利用者数、それから発着回数でございますけれども、まず利用者数、乗降客数につきましては、福岡空港は平成二十六年、暦年で約千九百七十万人、それから北九州空港は約百三十万人、そして佐賀空港は約五十万人となっております。それから、発着回数でございますけれども、同じ平成二十六年で、福岡空港約十七万回、それから北九州空港が約一・八万回、そして佐賀空港が約〇・九万回というふうになっております。
  120. 河野義博

    ○河野義博君 車で一時間強で行ける福岡空港から北九州空港及び佐賀空港なわけですが、福岡空港二千万人近く使っているんですが、佐賀空港五十万人です。福岡空港十七万回発着していますが、北九州空港一・八万回です。  北九州空港は、御案内のとおり海上空港です。非常にすばらしい空港、二十四時間使える非常にいい空港を造っていただいているにもかかわらず、この八十キロ圏内にある三つの空港なわけですけれども、余り機動的に有効に活用されているとは言えないんじゃないかなと私個人的に考えておりますが、この三つの空港を一体的に運用して、効果的な運用をしていくべきだと考えているんですけれども、改めて局長の見解を聞かせてください。
  121. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) まさに先生おっしゃるとおりでございまして、この三空港というものを、それぞれの空港のその特色、強みを生かして有機的に活用していく必要があるというふうに思っております。  それで、福岡空港の滑走路増設による処理能力向上が実現するまでに約十年要するわけでございまして、それまでの間も北部九州の航空需要の増加が見込まれるところでございます。このため、北九州空港や佐賀空港とも連携してこれに対応していくことが極めて重要な課題であると認識しております。  北九州空港につきましては、福岡空港で対応できない深夜、早朝便の誘致、それから貨物拠点空港としての発展等を目指して、地元自治体において路線の誘致や空港アクセスの改善等に取り組まれていると承知しております。それから佐賀空港につきましても、国内線や国際線の充実を目指して、地元自治体において利用促進や空港アクセスの改善等に取り組まれていると承知しております。  国交省といたしましても、これらの地元自治体と協力をいたしまして、先ほど申し上げましたように、それぞれの空港の特色、強みを生かした利用促進を図って、北部九州への航空需要に適切に対応してまいりたいと考えております。
  122. 河野義博

    ○河野義博君 地元の意向が大事であることは言うまでもないんですけれども、一方で、福岡県と佐賀県をまたぐこれは話でございます。なかなか福岡県側から、じゃ、佐賀空港に行きましょうというわけにはいかないのが正直なところだと思います。やはり国の指導力というものに私は期待をしたいわけでございます。  ちなみに、福岡都市圏から北九州空港に行くバスというのは、直行便は現在ございません。福岡都市圏から佐賀空港に行くバスは国際線が到着する日にしかございません。海外の例を考えてみますと、以前もここで御紹介をしましたが、イギリスではロンドン近郊に四つの空港がございますけれども、長距離の国際線や既存の航空会社が使っているヒースロー空港があります。南の方に行くとガトウィック、ほぼLCC専用の空港がございます。ロンドンシティー空港というのはロンドンから程近いんですけれども、近距離の欧州域内の通常の航空会社が使っている。その間も電車やバスが非常に通っている。ロンドン市内からガトウィックに行くには、バスなんかもう五分置きに発車しているわけですね、電車も複数ある。やっぱりアクセスとLCCというのが非常に大きなテーマになっていくんだろうと思います。なかなか、福岡都市圏から考えますと、佐賀、北九州の航空会社、安い航空会社があるとはいっても、アクセスの方法がなければ誰も使わないわけでありまして、しかも県をまたぐ事業になります。  国交省の指導力というものに期待をしたいわけでありますので、是非とも、地元の意向も聞きながら、横串を刺して取組を推進をしていただきたいと思っております。  最後に、関連をしまして、LCCに触れましたので、LCC普及に向けた取組でございます。  近年、LCCの利用というのは国内でも増えているとはいえ、欧米に比べるとまだまだ普及が足りておりません。航空会社の運賃も他国に比較してその下がり方というのがまだまだ足りないんではないかと思っております。地方創生にも大きく資するのがこのLCCだと私考えておりますので、こちらの促進にも是非力を注いでいただきたいわけでございます。  成田から奄美に昨年LCCを、バニラエアを飛ばしていただきました。奄美は観光客も増えて非常に喜んでおります。せんだっての奄振法の関係の質問の際にも申し上げましたが、次は関空に飛ばしてくれというのが奄美の希望でございます。奄美は歴史的にも非常に関西との交流が強いところでございまして、この奄美—関空路線ですとか、あとは、台湾からも九州にLCCの路線を飛ばしてくれという話を私は度々依頼を受けるところであります。  台湾は訪日観光客が非常に多くて、台湾の人口の一割以上は年一回日本に来るという、非常に日本への観光客が多い地域なわけですが、九州には直行便が来ておりませんので、台湾の関係者からも、LCC、是非九州に飛ばしてくれというお話がございました。  奄美—関空便、台湾—九州路線を含めまして、LCC普及に向けた今後の取組、また決意を最後に伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  123. 田村明比古

    政府参考人田村明比古君) LCCは、低運賃などが特徴の新たな航空サービスを提供することによりまして、これまで航空利用が少なかった方々の旅行需要を創出しております。また、LCCの普及は、航空ネットワークの充実や地方空港の活性化に寄与するものと考えております。そのため、LCCの参入を進めるべく、空港におけるLCC専用ターミナルの整備など、受入れ体制の強化を進めております。また、今後の成長にとってボトルネックとなり得る要因を解消するために、操縦士、整備士等の養成確保対策等の推進も行っております。  こうした取組に加えまして、空港コストの低減や、それから航空会社のニーズを反映したターミナルビルの運営など、LCCを始めとして航空会社が新たなサービスを展開しやすい環境が求められておりますので、このような取組を柔軟かつ効率的に行うことができるように、空港経営改革を推進してまいります。  さらに、先ほど先生御指摘もありましたアクセスの改善というものもありますし、そういうことも含めまして、LCCを始めとする内外の航空ネットワークの維持、拡充に向けて、観光政策と一体となって、更なる航空需要の掘り起こしの取組を進めてまいります。
  124. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 維新の党の室井です。  早速質問に入りますが、今日は、山本社長、そして伊藤常務については、御苦労さまでございます。申し上げたいこと、またあなた方の会社に非常に期待をしている者の一人として、しっかりと質問をさせていただきたいと思います。  この東洋ゴム工業という会社、社員が一万人を超えておられると。そして、その中で、年間売上げといいますか、実績上げ、四千億円ということ、さらには、新たな事業計画として海外にこれから進出していこうということで、さらに事業計画としては四千億から六千億という大きな目標を持って海外に進出していくと。すばらしい日本を代表する企業でありながら、いろいろと新聞記事を見ておりますと、もう信じ難い答弁、これは裏で結構策を練っておられて、さじ加減をしながら答弁されておられるのかなというふうに私は取っておるわけでありますが、しかしながら、一万人以上の社員を守っていくためには、やはり企業を存続し、またしっかりと立て直しをしていただかないといけない、このように私は思っております。  そこで、最初に住宅局長に、国交省にお尋ねをしたい部分がありまして、この免震偽装の調査の結果、当初は、御承知のとおり、問題の物件数が五十五棟、先ほど来先生方からこの数字は聞いておられます。私も、この五十五棟、そして、その後に、信じ難く、いろいろと調査されたんでしょう、九十九棟がまた追加をされたと。そしてその中で、最終的に足して百五十四棟ということを聞いております。  そこで、四月三十日には一転して、百三十二棟で震度六から七程度では倒壊しないから大丈夫なんだよというような、そういうことを聞かせていただきました。ああ、そうかと、大丈夫だったらいいなというような思いで素直に聞いておるわけでありますけれども、そういう中で、この百三十二棟で震度六から七で倒壊しない、そういうことで国土交通省も追認しておられると。  そうすると、この百五十四棟から百三十二棟を引きますと、二十二棟は完全に崩壊するというようなことで、ちょっとその辺の確認と、そして、今もよく地震が起きております。震度六、七程度で倒壊しないという、間違いないということが言えるのか。その建物の強度とか建築方法によって多少、建設年数ですか、それにも関わってくると思うんだけれども、私は素人なので、その辺はよくしっかりと理解しておかないといけないなと、こう思っておるんです。  その点、ちょっと局長、理解のできるような説明を是非お願いします。
  125. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) お答え申し上げます。  構造安全性の検証が終わっていないのは二十二棟でございますけれども、このうち十九棟につきましては元々出荷時の試験結果の生データがないということで、構造計算のやり方に工夫が要るということでございます。東洋ゴム工業におきましては、同じ時期に出荷した同じ種類の製品の最も悪い値に置き換えて検証されておりまして、この結果では十九棟全て、震度六強から七に耐えるということが出ております。  ただ、私ども、四月二十七日の第三者委員会にかけましたところ、これは第三者委員会の意見として、データの欠損に悪意がないという保証はないと、したがって統計上考え得る最も厳しい値で再計算をすべきだということで、これはある意味、やり直しを命じたところでございまして、現在これをやり直しております。  ただ、さらに三棟残りございますが、これは、竣工時期が古くて、構造安全性の検証に必要な建築物や地震動のデータの構築、モデリングにちょっと時間を要しているので、少し計算が遅れておるということでありまして、決して二十二棟が危ないということではございません。  それから、本当に震度六強から七で大丈夫かということでございますけれども、これは、最初の五十五棟、それから後から出てきました七十七棟を含めて第三者委員会に諮って、その内容は検討していただいておりますし、第三者機関でも再計算をしております。先ほど申し上げましたとおり、第三者委員会は非常に厳しい判断をされますけれども、それを経てもなお、五十五棟プラスその後の七十七棟については大丈夫だという結論をいただいておるところでございます。
  126. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 山本社長、お伺いをしたいと思います。  衆議院の国土交通委員会でいろいろと御質問の中で、社長はこのように言っておられますね。建築物所有者国民の皆様には、これは当たり前のおわびの言葉なんですけれども、大変御迷惑を掛けたと、陳謝されておるわけでありますが、その中で、そういう状況の中で、この免震ゴムのデータの改ざんが、私の聞くところによると一九九六年から、もう一方のマスコミの方では一九九二年というふうになっておるんですけれども、これはどちらが正しいんですか。
  127. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) 免震に関しましては一九九六年からでございます。
  128. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 ありがとうございます。  そこで、いずれにしましても改ざんが続いていたということでありますけれども、その間、トップとして、また経営陣として、そういう状況を見抜くことができなかったのかなというような、私は率直な、単純な疑問を感じております。  その点をちょっとしっかりと、どういう状況でこういう結果になったのかということも併せてお聞きをしたいということと、社長、あなたは、企業風土の体質まで踏み込んで会社を立て直すという意欲で今後取り組みたいと、後々私も幾つかこの件に関しては質問させていただきますけれども、こう述べておられます。  まとめた質問としては、この免震ゴムの偽装問題の根本的な原因をどのように社長は認識をされておられるのか、また、今後どのように対応、再発防止のために対応、防止に取り組もうと、こう思われているのか、御答弁していただけますか。
  129. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) その前に少し説明させていただきたいと思います。  原因に関しまして、このA氏が、製造の方から製造部には非がないとか、それから納期に間に合わないから急ぐようにとか、あるいはお客さんに迷惑が掛かるというようなプレッシャーが掛かったというような発言をしております。これに関しまして、製造の方からはそのような発言をしていないというようなことで今調査中でございます。それから、上司より高い固有技術を持っておったということで、上司もA氏に頼り切っていたということで、不正行為が長い間続いてきたということにございます。この辺、上司や周囲の者にヒアリングを行いましたけれども、A氏の動機を裏付けるような供述はございませんでした。  ということで、今現在、外部の法律事務所の協力も得て引き続き調査を行っているということで、原因についていまだ調査中でございます。
  130. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 再発防止策につきましてでございますが、基本的なテーマといたしましては、今回、品質管理上のプロセスの中でこの問題が発覚できなかったということで、まず品質管理上のシステム的な徹底が必須であると、それと企業風土、体質の変革に踏み込んだ実効性のある再発防止策を検討したいと。もちろん、最終報告書を受領後、その内容を精査して、更に充実した再発防止策としていきたいと考えております。
  131. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 伊藤常務さん、私の通告をちょっと勘違いされているのかな。そのあなたの答えた質問、後ほど私が質問するつもりでいたんだけれども、もうちょっとしっかりと見ていただかないと、質問する方が調子狂ってしまう。後ほど、重複するかも分からないけれども、しっかりとまた質問いたしますね。  じゃ、引き続いて質問をいたしますけれども、この東洋ゴム工業、二〇〇七年に断熱パネルの耐火性能の偽装、自慢できる話じゃないですよ、また過去に同じようなそういう系統のことをされておられると。くどいようだけれども日本を代表する一流企業の会社として海外に進出しようというような計画性のある会社が、なぜこういうレベルの低い、信じ難い幼稚なことを繰り返しているのかなという非常に腹立たしい思いが、私、今沸き立っているんですが、この件で偽装における当然教訓を生かされていないと。  そこで、この耐火性能の偽装が発覚、当時の社長、当時の社長が今会長をされているのかな、引責辞任をしたという、こういう問題があったと。責任を取っただけだったんだなというふうに、首を入れ替えたということだけなのかなという、私はそう解釈しているんですけれども、何か間違っているところがあったらおっしゃってくださいね。  二〇〇七年のこの断熱パネルの耐火偽装における教訓や再発防止を生かされずに今回の免震ゴム偽装の問題を引き起こしたと。この原因はどこにあるのか。先ほど来、同じ質問が続いておりますけれども、この原因はどこにあるのか、しっかりと私にお聞かせいただきたい。  そこで、この不正防止のための内部管理体制、これをどのように改善したのか、またこれから、この件でまた同じことを繰り返して、この改善をどうしていこうと今考えておられるのか、その点をお聞かせをください。
  132. 山本卓司

    参考人山本卓司君) まず、二〇〇七年に実施しました再発防止策について、概略を御説明させていただきます。  二〇〇七年十一月に品質監査室を社長直轄で設置いたしまして、ここが緊急対策として、全社品質総点検を行いました。あと、コンプライアンスの緊急研修。そして恒久対策として、内部統制システムの強化、それから社員教育の徹底、これはコンプライアンス教育も含めた教育でございます。それから、事業監査、品質監査の推進、新事業、新製品、設備投資、出資に関する決定プロセスの改善強化、内部通報制度、ブランドの価値観の共有などがテーマとして挙げられており、非常にテーマとしては妥当でかつ網羅的であったのですが、振り返り確認いたしましたところ、監査につきましては、残念ながら、規格値と出荷成績書の突き合わせを行い、今回問題になったデータ測定の作業時のフローまで至っていないというようなことに代表される、やや深掘りに欠ける、徹底性が不足していたということが大きな反省材料でございます。  今後、じゃどうするのかということで、繰り返しになりますけれども、システム的な徹底はもちろん、やはり体質改善ということが一番大切なことかなというふうに考えております。
  133. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 社長、あれですよね、トヨタという大きな企業もリコールとかいろいろな問題で、きちっとそれぞれ購入された方々にしっかりとした信頼を回復する、ピンチをチャンスに変えるという、そういう経営方針で頑張ってこられ、純利益も売上げも世界のトップを貫いておられると。恐らくあなた方も今まで売上げ、どれだけの純利益だったのか、私ちょっと忘れましたけれども、それ全てを投げ出して、やはりこれから海外に出ていこうという。  日本企業は、私もよく申し上げるんですが、やはり日本企業というのは世界最高の冠たる安全基準というものがある、そのハードルが非常に高い。それによって、EU諸国もいろいろと日本の国へ物を売り込んでいくのに、安全基準が高過ぎるからハードルを下げよと、こんなことを言っている、そういうこともあるんですよね。  これからあなた方の会社が伸びていくにしても、この辺をしっかりやはり対応していくという気持ちでやっていただかないと、うまく私も表現できないけれども、命を懸けてというか、やはりしていただかないと、あなた方が今の状態で出ていくと日本の信用をどんどんどんどん落としていってしまうというような恥さらしのような結果にならないように、やはりこういう結果を更にチャンスに変えて伸びていただくということを私は期待をするわけでありますが。  次の質問になりますが、こういう状況の中で、大臣、ひとつ今後、国土交通省として、こういう問題を総合的にひっくるめて強いリーダーシップで御指導いただきたいんですけれども、どのように大臣として、今後どういう取組とどういう指導をしていくかということについてお聞かせいただければ。
  134. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 東洋ゴム工業、今回、日本の物づくりで一番大事な品質管理という、ここをもう誇りを持っていて、二重三重に品質を管理して市場にそれを出す、世界に出すという、これ、このチェックシステムというか、技術開発能力というか、ここに大勢の人が絡んで開発をし、チェックをすると。これ、世界では一番日本企業がしっかりしていると思うんです。  ところが、そこへの力の入れ方が、限られた人だけで開発をして、そしてチェックする人もほとんどいないというようなこと自体、私は非常に問題だったというふうに思いますし、いろんな問題があるんでしょうが、私が、東洋ゴム工業、現時点ではとにかく免震装置の交換、改修を、大勢の人が不安に思って大変な状況にありますから、ここを急いでしっかりと、工程表というようなことも示しながら、これはゼネコンや国交省も今入って、工事中のところには、もういても立ってもおられないというので私はもう入れと言ってそのつなぎ役になったりして、長野県の物件とか御前崎とか、あるいは舞鶴とか、今工事中のところをやらせてもう動きを始めているところなんですが、もっと積極的に、そうしたことについて反省しながら、この免震装置の交換、改修ということに全力を尽くすようにと。  それから、冒頭にお話をしましたけれども、そうした企業の、研究開発から製品を作りチェックをする、そういうことがほかの企業よりも、この免震ということについて、東洋ゴム工業の、私は率直に足りないというふうに思っておりまして、その辺について力をしっかり注いでいく体制を取らなくてはいけないということと、そして今回のことは、先ほど、二度と起こさないというのじゃなくて、もう二度目だということになっているということからいきまして、原因究明、再発防止、企業の体質も含めて、そういうことに全力を挙げて改善しろということを強く言っているところでございます。
  135. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 住宅局長にちょっとお伺いしたいんですけれども、国による性能の評価、メーカー側に提出する書類を確認するだけで実物を用いた試験はないと、こんなことを私は聞いているんですが、この東洋ゴム工業による不正が見過ごされたのはこうしたチェックの甘さにあるというふうに指摘をされている部分があるんですが、大臣もお触れになられましたけれども、そういう偽装を防ぐような効果的な対策と思われる方法、認定時に加え認定後のチェック、こういうことも言われているんですけれども、住宅局長としてその辺どうお考えでしょうか。
  136. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 再発防止策あるいは今後の制度の見直しにつきましては、第三者委員会において原因究明の後に詳しく御検討いただくことにはなろうと思います。  ただ、今までも第三者委員会議論されておりましたが、例えば、同じ高減衰ゴムを作っておる他社においては、全てのデータを社内で共有をしていて誰でも見られると、それから、データの補正についても全て方式がオープンで社内でみんながチェックできる、さらに、取引先にも全てのデータを示して、かつ補正の方法も全部示して、いわゆる社内、社外共に徹底した見える化を図っているから、その会社では絶対こんなことは起きないと会社の方が自信を持って言われたということを大変第三者委員会も興味を持って聞いていらっしゃいました。  あわせて、今、一部上場企業を中心に、ISO9001、品質マネジメントシステムなどをほとんどの会社が導入をされております。このシステム自体は、例えば二年なり三年に一回サーベイランスに入るという、第三者が必ず現場に入っていくという仕組みを既にお使いになっているわけですから、これらを有効に活用することも我々としては必要だと思っております。  あわせて、今年六月に施行されます建築基準法改正に基づく調査権限の活用、あるいは性能評価機関が生産現場、品質管理現場をちゃんとチェックをするというようなことも考えられるんではないかと思っています。  これらにつきまして、第三者委員会の意見を聞きながら、再発防止策を今後検討してまいりたいと考えております。
  137. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 最後になりますけれども山本社長、そして伊藤常務、こういう状況でありますけれども、これは本当に先生方が先ほど来申し上げているように人の命に関わる大切な大きな重要な問題であって、それぞれ議員の先生方の一言一句は非常に重いものがあると思います。  十分に、そういう人命に関わるような事故が今後起きないように私も祈っておりますけれども、後の始末はしっかりとされて、再びこの東洋ゴム工業が大きく企業として伸びていくように、この問題でポシャってしまわないように、対応だけはしっかりとするということは、逆に東洋ゴム企業の体質、企業の信用性が上がるということもあるんですから、しっかりと隅々まで対応していただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。
  138. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。  免震データ偽装問題についてまずお尋ねをいたします。  東洋ゴム工業の製造した製品技術的根拠のないまま大臣認定を取得した問題と、そして性能評価基準に満たない製品を出荷した問題、この二つがあると思うんですね。  まず、山本社長にお聞きしたいと思いますが、社長は、衆議院の審議で、不正だと認識したのは今年の一月三十日だというふうに発言をされています。この日の出席した会議においてそれを認識をしたということであります。一方で、二〇一四年の九月の十六日に開かれた会議では、午前に報告を受け、出荷停止の準備をすること、国交省へ一報することなどが決定されたけれども、午後の会議ではそれが覆されたと、こういうことであります。ここが一つのターニングポイントだというふうにも言われております。  私はもう一つターニングポイントあるんじゃないかというふうに思っておりまして、それは十月の二十三日の会議でございます。報告書によりますと、この会議では主に二つのことが報告されている。一つは補正の方法に技術的根拠が乏しいこと、もう一つは振動数〇・〇一五ヘルツの実測値を用い、かつ試験機の差異を解消するための補正を行ったとしても、出荷済みのG〇・三九の一部が大臣認定の基準に適合しないこと、これが報告されているわけですよ。  なぜこの時点で、もちろん九月の十六日の時点、またそれ以前で不正だと認識してないのも遅過ぎるというふうに思いますが、なぜこの十月二十三日の時点で改めて不正だと認識できなかったんでしょうか。それをまずお聞きします。
  139. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 十月の二十三日に、ここにあります、一部が大臣認定の基準に適合しないことという報告はあったんですが、ではその一部はどれかということになりますと、この日のデータ処理方法にまだ断定的なデータ処理方法がなく、そのデータ処理方法の妥当性にまだ疑問が残るということで、どの一部が適合しないのかということが非常に曖昧でございました。  したがって、これをはっきりするために、その後、伊藤氏と相談しまして、中央研究所長にこの調査に加わって早く解明するようにというのがこの十月二十三日でございます。
  140. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 私、驚きました。一部は不正があると。不正があるかどうかは分からないではなくて、この十月の二十三日で改めて不正があることは間違いない、一部は一部だと、こういうことは認識したということですね。私、とんでもない話だと思いますよ。  九月十六日の時点で、一旦は出荷を止めようという決断までしているわけですよ、午前中の段階で。しかし、それは覆されたと。これはやっぱり十月の二十三日の時点で、もう本当に大丈夫なのか、大丈夫なのかという思いがあったはずなんです。改めて二十三日の段階では、一部に不正はあることは認めたわけですよ。ところが、それ以降も出荷をし続けているということですよ。これはとんでもない話だと私は言わなければならないと思います。  もう一つ、先ほど同僚議員からの質問で、五十五棟以降の取扱いについて伊藤常務は、数値の以内に入っているものもあるからそれは取替えについては考えさせてほしい、取り替えないこともあるという発言の後に、社長は、それは取り替えていくと、求めがあればという話をされたと思うんですね。ここ、この場に至って常務と社長のこの取扱いについて全く違う答弁が出てくるということそのものが、一体これどういう会社なんだ、意思疎通はどうなっているんだと私は言わなければならないと思うんです。  改めて、一月三十日に確認をされたということですが、今の質問では、十月二十三日でも一部は不正だと認識したということですよ。社長が衆議院の段階で一月三十日と言っていますけれども、しかし、二月以降も製品を納品、出荷をされているわけですね。これは二月のいつに出荷、納入をされていますか。それと、それを契約した日というのは分かりますか。
  141. 山本卓司

    参考人山本卓司君) まず最初に、先ほどの説明の補足をさせていただきます。  一部外れるかもしれないし、外れるかもしれない、どれか分からないということであって、確実にあるかどうかということがまだ特定できておらないということでございます。  それと、先ほどの伊藤が申しました対応についてでございますけれども、きちんと施主様の御意向を確認、相談し、どのような交換方法がよいのかということを丁寧に相談しながら進めていくというつもりでお返事させていただきましたので、伊藤の言っていることと本質的には同じであるということでございます。
  142. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) 今の御質問に対しまして、最終的には一月三十日から三日間に分けて分納しておりますけれども、最終の出荷をしております。それの契約日は前年の二〇一四年の七月十五日に契約をいただいたものを出荷しております。
  143. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 一月三十日に不正を認識したということですが、社長の衆議院の、それ以降にも出荷されているわけですよ。これ、何でなんですか。
  144. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) 申し訳ございません。出荷日の確認が怠っておったということでございます。
  145. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 まあ、あり得ない話ですよね。あり得ない話ですよ。びっくりしました。  政府の対応、引き続いて聞きたいと思うんですね。  耐火パネルが問題になったのが二〇〇七年ですよ。そのときに、大臣認定、この東洋ゴム工業についてはほかにあったんですか。
  146. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 十九年十一月に防耐火材料の不正の試験体の報告がございます。その段階では、防耐火材料三十八件、東洋ゴム工業は認定を取得しております。それからまた、免震材料については十四件取得をしておりました。
  147. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 つまり、大臣認定は、あとは免震ゴムだけだったわけですね、耐火パネル以外は。私は、第三者委員会、二〇〇八年に弁護士の団体が出している文ではこう言っているんですよ。企業体質とカルチャーが不正の背景にあると。第三者委員会が二〇〇八年の段階でここまで指摘をしていると。同様に、大臣認定を受けているのはあとは免震ゴムしかないと。普通は、ここで免震ゴムについても不正があるのではないかと疑うのが普通だと思いますけれども、どうですか。
  148. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 防耐火材料の試験の不正は実は東洋ゴムだけではなくて複数社やっておりましたので、まず防耐火材料の試験体の不正をいかに防ぐかということで、私ども委員会を設けまして、例えば試験体の製作時に指定性能評価機関の職員の立会いによる監視体制を強化する、あるいは試験体の仕様と申請書の仕様について整合性のチェックをする等、いわゆる試験の不正をいかに防ぐかということで再発防止策を取ったところでございます。  ただ、東洋ゴム工業に限って更にほかに広がりがあるかということは当時は調査はしておりませんでした。
  149. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 疑っていなかったということでもあるんでしょう。私は、それはやっぱり怠慢だと言わなければならないと思います。  今回、大臣は、認定制度の見直し、これも必要だと、安全に直結する製品については認定前に工場に出向いて実地調査するなども表明をしておられます。  確認しますが、大臣認定のうち、安全に直結する認定の種別とそれぞれの件数、割合というのはどれぐらいあるんでしょうか。
  150. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) もちろん、大臣認定の見直しについては、今後、第三者委員会で御議論いただきます。内容については今後でございますが、例えば安全に直結するものとしては、分かりやすい事例として、十年ほどの間に事故が起きたもので、エレベーターの故障により扉が開いたまま昇降して挟まれた事故、あるいは防火シャッターが降下中に挟まれた事故が起きております。それから、防火材料、防耐火構造についても火災時の安全に直結するものでございます。  ただし、例えばエレベーターについては、平成二十五年度単年度、議員お配りの資料でも書かれております、エレベーター、エスカレーター、合わせて二百七件、一年度に認定を受けておりますし、シャッターは、この中では特別に出ておりませんで申し訳ございません。防耐火材料については千四百五十一件、設備について四百七十六件というような状況でございます。
  151. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 やっぱり、そもそも自主検査が前提、企業任せの認定制度そのものに問題があると言わなければならないと思いますし、引き続き、安全に直結する認定でも企業任せになるケースがある、穴が残ると、抜本的見直しが必要だというふうに思います。  そこで、委員長、今日は東洋ゴムの社長と常務に対応について聞きましたけれども、引き続き、当委員会にこの評価機関の関係者や有識者を招いて、なぜ不正が見抜けなかったのか、制度のどこに問題があるのか、どういう対策予算が必要なのかを明らかにすることを求めたいと思います。
  152. 広田一

    委員長広田一君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をしたいと思います。
  153. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 ありがとうございます。  さて、今回、免震データ偽装の問題では住まいの安全というのが脅かされました。今日は、住まいの安定が脅かされる重大な方針が示されているので、このことについて質問をしたいと思います。  私は、参議院議員になる前は市民団体で低所得者の生活援助とか生活保護の申請のサポートなどをしてまいりましたので、住宅問題についてお聞きをしたいと思うんですね。  まず、大臣にお聞きしますが、一昨日の水防法の審議で大臣は、防災には自助、共助、公助、近助が大事だというふうにおっしゃいました。まさにそのとおりだと私も思います。つまり、コミュニティーが住まいには大事だと、同時にコミュニティーが大事だということだと思うんですね。  その住まいなんですが、二〇一一年の三月の十五日に閣議決定された住生活基本計画がありますけれども、その中身と重要性について、改めてですけれども、語っていただきたいと思います。
  154. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 平成十八年に制定をされました住生活基本法は、国民の豊かな住生活の実現を図るため、基本理念、国等の責務、住生活基本計画の策定等を定めたものでございます。この法律の制定により、住宅セーフティーネットの確保を図りつつ、健全な住宅市場を整備するとともに、国民の住生活の質の向上を図る政策への道筋が示されたところでございます。  具体例といたしましては、法律に基づき閣議決定された住生活基本計画におきましては、最低居住水準未満の世帯の早期解消なども目標一つとして定められておるところでございます。
  155. 広田一

    委員長広田一君) 山本参考人、そして伊藤参考人におかれましては、御退室いただいて結構でございます。
  156. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 今、最低居住面積水準というのがありましたが、この未達成率を引き下げていくということが、早期に引き下げるということが目標としても掲げられているのがこの計画でございます。  大臣にお聞きしますが、これ、どのような政策であってもこの達成度が下がってしまうようなことがあってはならないというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  157. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) まずそこは、達成度が急激に下がるような政策ということは、国全体、政府としてやるということはないと私は思います。
  158. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 達成度が下がることはないということだと思うんですが、しかしそれが非常に疑義があるんですね。  七月施行で、生活保護世帯に支給される住宅扶助の限度額というのが実は引き下げられました。例えば大阪市では、今までですと単身で四万二千円が上限で住宅扶助が出ていたと、それが四万円になりました。二人世帯ですと五万四千円まで、これが四万八千円に引き下げられました。  私、これは厚生労働委員会でも聞いたんですが、このことによって四十四万世帯に影響が出ると、つまり、今住んでいる家賃が超えてしまうと、上限額を、ということになります。保護世帯の約半分が高齢世帯ですから、もう重大な影響になります。この生活環境の変化に対応が非常に難しくなる、高齢者又は障害者等がこれまで住み慣れたコミュニティーからの転居を迫られてしまう可能性が出てくると、これは想像を絶する私はストレスが掛かると思います。  厚労省に今日は来ていただいておりますけれども、昨日、この住宅扶助の認定にかかる留意事項という課長通知が発出をされましたけれども、これについて確認をしたいと思います。この発出の趣旨をお答えください。
  159. 永岡桂子

    ○副大臣(永岡桂子君) 辰巳委員から、住宅扶助基準の見直しに係ります留意事項の通知、このことについての御質問でございます。  住宅扶助の見直しにおきましては、社会保障審議会の生活保護の基準部会の報告書を踏まえまして、これは今年の一月九日に出ておりますけれども、最低限度の生活の維持に支障が生じないよう一定の経過措置などを設けております。生活保護受給者の居住の安定ですとか居住先確保の支援の観点から十分な配慮が必要であると考えておりまして、経過措置の適用も含めた適切な住宅扶助の認定、転居に係る支援などが行われますように通知を発出することとしたものでございます。
  160. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 一律にこれを、この通知を締め付けとしてどんどん転居を迫っていくということではないということは確認したいんですけど、どうですか。
  161. 谷内繁

    政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。  先ほど副大臣から御答弁ございましたように、通知につきまして、出しておりますけれども、その際には、自立助長の観点から引き続き当該住居等に居住することが必要と認められる場合というものを定めておりまして、その通知の中で例示として以下の三つのことを述べております。
  162. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 経過措置もあるということで、一律に締め付けでやっていくものではないということは確認したいと思うんですね。  先ほど、期限のない経過措置というのを三つ設けているということなんですね、この通知の中には。もう私の方から言いますけれども、例えば、通院、通所しており、引き続き医療機関に通わなきゃいけない、転居によって通院に支障を来す場合とか、就学、就労しており、転居することによって支障を来す場合とか、あとは、高齢者、身体障害者等であって日常生活において扶養義務者からの援助や地域の支援を受けて生活している場合など、転居によって自立を阻害するおそれがある場合と。つまり、一律に上限が引き下がって、今の家賃のところ、払っているのが超えるから転居ということではなくて、今述べたような要件に当てはまれば家賃は据置きで、旧家賃の限度額のまま支給されるということだと思います。今うなずいておられますので、そうだと思います。  そこで、今回の課長通知にもう一回戻ります。住宅扶助の認定にかかる留意事項についてということで、例えば限度額への家賃などの引下げが困難であった場合は、まずこの当該世帯の意思や生活状況等を十分に確認しというのがあります。なぜ意思や生活状況の確認が大事なのかということを教えてください。
  163. 永岡桂子

    ○副大臣(永岡桂子君) この基準部会の報告書におきましては、生活保護の受給世帯の住居については、その世帯の生活の継続性であるとか安定性、それから選択性の観点から十分な配慮が、先生おっしゃいますように十分な配慮が必要であると考えられます。転居の助言ですとか指導を行う必要がある場合には、本人の御意思、これを十分に確認をして、これを尊重して行うということが必要であると、そういう指摘を受けておりまして、これを踏まえて今般の通知に盛り込まさせていただいたところでございます。  福祉事務所の方には、世帯の意思ですとか、あとは、生活状況を踏まえまして、経過措置などの適用ですとか適切な住居への転居指導、これを行っていただきたいと考えております。
  164. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 意思を尊重するために意思の確認が必要だということは確認できたと思うんですね。ですから、一律に上限を超えたから転居又は指導とはしないということだと思います。  ところが、大阪では既に、今の段階ですよ、この意思を確認せずに、経過措置の説明もせずに、上限が下回ったということで、家を自分で探して七月以降転居を迫るという事例が既に出ております。  確認しますけど、このようなことはあってはならないということでいいですね、意思を確認していない。
  165. 谷内繁

    政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。  先ほど副大臣から答弁ございましたように、あくまでも意思を確認した上でそうした指導を行っていただくということになります。
  166. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 この意思の確認をどうするのか、どういうふうにやっていくのかというのは今後の課題でもありますので、今日は時間がないのでそこには立ち入りません。  もう一つ、先ほど最低居住面積水準というのがありました。今回の通知の中にも、転居をする必要がある場合には、最低居住面積水準を満たす等、適切な住宅の確保を図るためということを記したり、最低居住面積水準未満率を早期に解消することが目標として掲げられていることに留意することというふうに書いております。  確認ですが、この最低居住面積水準は面積だけではなくて収納スペースや設備条件、つまり専用台所がある、水洗トイレがある、浴室、洗面所がある、このことも含むということでよろしいですね。
  167. 谷内繁

    政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。  議員御指摘のとおりでございます。
  168. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 大事なところだと思うんですね。  で、ここからが問題なんですよ。今回の転居ということになった場合に、今はその最低居住面積水準を満たして住んでいる生活保護世帯が満たさない住居に転居せざるを得なくなるんじゃないかという不安の声が出ております。  改めて、この課長通知に留意するというところまで書いているわけですから、今回、とりわけ水準を満たしている住宅から満たしていない住宅への転居というのは、今回の見直し、また通知の趣旨からいって望ましくないと思いますけど、どうですか。
  169. 谷内繁

    政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。  転居が必要な際には、最低居住面積水準を満たすなど、適切な住宅が確保されることが重要であるというふうに考えております一方で、生活保護受給者の生活状況によりましては、例えば、床面積の広さよりも築年数や駅からの近さなどの利便性を重視する場合も考えられるところでございます。  このため、最低居住面積水準は最低限度の生活を営む上で適切な住宅かどうかを判断するための目安でありますけれども、適切な住宅かどうかは地域におきます住宅の供給状況や世帯の状況を踏まえまして個別に判断することとなりますので、二十五平米未満の住宅に転居を助言することはあり得るものというふうに考えているところでございます。
  170. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 今の答弁ですと、あくまで、しかし駅前に住みたいということをその意思として反映するということでありますから、そういう意思がない場合、つまり、別に駅前じゃなくていい、今あるこの広さの住宅、満たされているところから満たされているところに私は移りたいんだということも一つの転居の可否の判断となるということでよろしいですね。
  171. 谷内繁

    政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。  繰り返しになりますけれども、この転居の指導に当たりましては十二分に生活保護世帯の方の意思を確認するということが重要になるというふうに思っております。
  172. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 それは確認できました。  最後に、新基準に適用せざるを得ない場合でも、今、生活保護法第二十七条を根拠とした指導、指示という問題がありますが、仮にこの世帯が新基準の家賃額を超える場合でも、明らかに最低生活の維持が保つことができない場合を除いて、この法二十七条を根拠とした指導指示書の発出はなじまないと考えますけれども、よろしいですか。
  173. 谷内繁

    政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。  今回の住宅扶助基準の見直しに当たりましては、生活保護基準部会報告書における留意事項を踏まえまして、最低限度の生活の維持に支障がないよう配慮しつつ、慎重に見直しを行うこととしております。したがいまして、こうした趣旨を踏まえますと、今回の見直しに伴います転居の助言、指導は、直ちに法二十七条を根拠としてされるものではないと考えております。ただし、限度額より高い家賃に居住し、明らかに最低生活の維持に支障があると認められる場合については、法第二十七条に基づく指導として転居を指導することも考えられます。
  174. 広田一

    委員長広田一君) 辰巳君、時間が参っておりますので、お願いします。
  175. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 はい。  明らかにというのがありましたので、住宅政策の問題、これは国交省、厚労省、縦割り行政ではなくて、二つ協力して進めていってもらいたいと思います。  ありがとうございました。
  176. 山口和之

    ○山口和之君 日本を元気にする会・無所属会の山口和之でございます。  私は元々医療機関に長年従事しておりましたものですから、この免震技術というものは本当にすばらしいなというふうに思っておりまして、例えば手術中にがつんと来たときに、手元の問題もあるでしょうし、中止しなきゃいけない場合もあるでしょうし、機材が倒れるといったところもあると思います。ちょっと若干価格帯が高かったような記憶をしておりますけれども、それにしてもそれに匹敵するだけの十分な価値があるものと思っていますので、今回の一件は非常に残念でならないと思います。  今日、午前中から質問がありましたので重複する点がたくさんあるかもしれませんが、そこは御了承願いたいと思います。また、関連して、先ほどの質問と同様に、建築、居住のところについて質問をさせていただきたいと思います。  それでは、改めてリスクの回避の可能性を確認したいと思います。  まず、そもそも論なんですが、その前に、今回の東洋ゴムさんのデータ改ざんされた免震装置の性能は、本来の装置の性能よりどの程度落ちるものなのでしょうか。それをお聞きしたいと思います。先ほどの大臣答弁の中では、耐震強度としては六強でも十分対応できるというお話がありました。それは耐震レベルの話であって、免震レベルの強度としてはどの程度の性能が落ちるものなのかということは把握できるんでしょうか。
  177. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) どれぐらい免震性能が落ちているか、これは免震材料の不具合の程度と建築物の構造種別等により異なっておりますので一概に申し上げることはちょっと難しゅうございます。  一例としてでございます。五十五棟のうち一つ設計事務所がやった八棟で、これは設計事務所自身が試算をしておりますが、これだと一割、当初の予定よりも揺れ幅が平均で一割大きくなるという結論が出ております。ただ、これが全体を代表しているかどうかというのはちょっと申し上げられませんし、ただ、五十五棟に比べて、後から判明した九十九棟は更にばらつきの程度が小さいということを考えますと、九十九棟の方はこれよりも更に小さいということではないかとは思います。
  178. 山口和之

    ○山口和之君 分かる範囲ででしたので結構でございますけれども、イメージできる範囲内であると思います。  それで、日経BP社のアンケートがあるんですけれども、ケンプラッツというところで、百九十三人の建築実務者を対象にしたネット上のアンケートです。これは、建築専門家は今回の偽装を回避できたのかという質問ですけれども、その中で、仮に自分が該当する建物の担当者だった場合、東洋ゴムのデータ改ざんを見抜けたかどうかを尋ねた質問に対し、先ほど室井先生の方からも質問あったと思うんですけれども、この中では八九%が見抜けないだろうと回答して、見抜けると回答した方は二%ぐらいしかいなかった。  これは本当に見抜けないものなのかどうか、東洋ゴムの社長さんと、あと国土交通省参考人の方からお伺いしたいと思います。
  179. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) 日経BP様のアンケート内容に弊社が回答できる立場ではございませんが、弊社としても不正を見抜けなかった事実を反省しております。  今後、再発防止策の中で厳格な品質管理体制を検討、構築するとともに、技術者の倫理意識を高めて、定められた方法に基づいて正しい仕事をすることを徹底させたいと考えております。
  180. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) お答えいたします。  日経BP社に回答されたのは建築実務者でございます。具体的には、設計者や工事施工者だと考えます。  今回のように、製造される企業内で試験をした人自身が意図的にデータを改ざんして、出荷時のデータまで全てつじつまを合わせてしまった場合には、それを受け取る設計者あるいは工事施工者が見抜くというのは非常に難しいと思います。
  181. 山口和之

    ○山口和之君 まず、こういった改ざんを見抜くのは非常に難しい、会社内としてもなかなかそういうものはできないと。その後、発注されたものに対してそれを使用するというのは、それはもう言語道断の話ですけれども、見抜けるか見抜けないかの問題でいくと、まずそう簡単には見抜けないというものであるということだと思います。  そもそもでちょっとお伺いしたいんですけれども、データを改ざんした理由は何かとお伺いしたいんですが、その前に、この免震装置は価格帯として、その材料は高いんですか、安いんですか。ほかの、その基準内に、大臣認定に当てはまるものと比較して高いものなのか、安いものなのか、どういうものなのかを教えていただきたいんですね。価格帯として安くなるのか。原因は今調査中という先ほどの回答でしたけれども、もしかしたらこちらの方が材料は安いと、そういうことはないんでしょうか。
  182. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) そのようなことはないと思っております。通常のスペックどおりに製造してまいりましたので。
  183. 山口和之

    ○山口和之君 であれば、基準に満たしたものを使った方が安心、安全であるわけで、わざわざ改ざんしてやっていくほどのものでもないような気はしますけれども技術力の不足なのか、いろいろ、その選択するまでの間の問題なのかと思うんですけれども。その辺は、ちょっと見抜けなかったということと、そこには理由がないということですので、これはそれぐらいにしておきますけれども。  アンケートに戻って、先ほどのアンケートによれば、半数近くが類似データの偽装がほかにもあるだろうという回答もあるんですね。国交省として、大臣認定に関して、ほかにもデータ偽装があるかどうか把握しているのか、また調査する考えはあるのか、お伺いしたいと思います。
  184. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) まず、免震材料につきましては、他に二十六社大臣認定を取っておるところでございます。  これにつきましては、三月十九日に試験データと出荷データの整合性を確認して、かつ、大臣認定不適合品を出荷していないか確認をするように、また大臣認定の不正取得が、そもそも不正取得自体がないかについて各社が自主的に確認をして、四月二十日までに国土交通省に報告するよう通知をしたところでございます。  これにつきましては、二十六社全てから不正はなかったという報告をいただき、そのときに、あわせて、特にたくさんの認定を取っておる企業からは、それぞれの社の品質管理の方法あるいは製造データに関する点検の方法等についての提出をいただきました。これを基に、四月二十七日の第三者委員会において内容を検討いただき、他企業の不正の点検としては必要な調査内容となっていることは確認いただいております。  ただ、今後また再発防止策を作る過程におきまして、製造時の品質管理方法あるいは発注者への説明事項等については追加調査をすることがあり得ると思っております。また、免震材料以外の認定についてチェックをするかどうかは、また今後第三者委員会の意見も伺いながら考えてまいりたいと思います。
  185. 山口和之

    ○山口和之君 先ほど室井先生の方からもありましたけれども東洋ゴム工業においては平成十九年に断熱パネルの不正事案を引き起こし、再発防止策を講じていたものと認識しておりますけれども、このとき再発防止策が有効に機能していれば不正の免震材料が使用されなかったはずだと思うんですけれども、何度も質問に出ているかもしれませんけれども、それにもかかわらずこうした偽装を許してしまった理由を会社としてどう考えるのか。また、それを踏まえ、今後の再発防止についてどう生かしていくのか、再びお伺いしたいと思います。
  186. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 断熱パネルの際の再発防止策は、一個一個網羅的なものではございましたが、深掘りして徹底的に実施することができておらなかったと、品質監査において規格値と出荷成績書を突き合わせるまでは行っておりましたが、そのデータ測定作業時のフローまで至っておりません。この点については、会社として深く反省しております。  今回の改善策、再発防止策については、そのような品質管理上のシステム的な徹底性ですね、これはもう徹底的に厳しく行う、それから企業風土企業体質の変革にまで踏み込み、実効性のある改善策、再発防止策を策定してまいりたいと考えております。
  187. 山口和之

    ○山口和之君 免震装置は、指定性能評価機関である財団法人日本建築センター等、若しくは日本免震構造協会による審査を経て大臣認定を受けるとされています。この審査は実物の性能試験ではなく書面審査である、先ほども出ておりましたけれども、提出した書類が基準を満たしていれば性能評価書が発行され、その後メーカーが評価書を添付して国交省に申請すれば認定が交付されるという仕組みになっているようですが、メーカー側の書類のデータ改ざんをしてもチェックできない仕組みだと思います。十年前の耐火偽装問題と同じ構造ではないのかというふうに考えると、再発防止をどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
  188. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 免震材料のほかにも、特殊なコンクリートあるいは鋼材等を含む指定建築材料につきましては、例えば免震構造のような新技術の開発や民間の創意工夫を阻害しないように配慮が必要であること、また、試験方法が普及しているものもあって検証も容易であるものについては自社試験データを認めても支障がないことから、従来は各社の試験データの提出を受けて指定性能評価機関が書類、ヒアリングのみで性能評価をすることは認めておったところでございます。  ただ、今回その信頼が損なわれたということでございまして、当然チェックについては第三者機関の御意見も伺いながら、どこをどういうふうに強化をしていくかということについては我々としては考えていかなければいけないと考えております。
  189. 山口和之

    ○山口和之君 先ほどのアンケートの中でも、大臣認定というのは技術が高度であればあるほど性善説に依存する、六割は大臣認定の認定制度は見直すべきというぐらいの回答があったところでございますので、安全基準の確認するためにもちょっと方法を考えねばいけないんではないでしょうか。  関連して、二〇一一年の六月二十九日、六月のことですけれども、不燃木材に大臣認定違反というのが十社中九社該当していたという話も聞いております。それからまた、二〇一三年、これは一社ですけれども、木造準耐火基準、三百五十を超える棟で大臣認定の不適合の疑いもあるというのも指摘されているところなんですね。そう考えていくと、大臣認定のあるべき姿というものを再度確認して、性善説に頼ることなく、科学的な判定をしっかり、チェック機構を効かせたものが必要なのではないかというふうに思います。  先ほども出てきましたけれども東洋ゴムの免震装置問題が発覚して約四十日後の四月二十一日に、国交省は新たに二十五都道府県のマンションや病院など九十棟で大臣認定適合していない免震部材が使われていることを発表されたということも聞いております。そこで、データがなく性能も判断できないものも九棟あったということですので、これ、こういうふうに考えていきますと、もう企業体での自助努力もそうですけれども、こちらのチェック体制も万全にしていくようなことを是非やっていただきたいと思います。  東洋ゴムさんのことに関してはここで一旦、退席していただいて。
  190. 広田一

    委員長広田一君) それでは、山本参考人伊藤参考人におかれましては、御退室をしていただいて結構でございます。
  191. 山口和之

    ○山口和之君 続きまして、住宅確保配慮者に対する、要配慮者というのは、低所得者、被災者あるいは高齢者、障害者、子供を育成する家庭その他の住宅の確保を特に配慮を要する者の民間住宅への円滑な入居の促進についてお伺いしたいと思います。  資料を見ていただきたいんですけれども、資料一ですが、これは民間住宅における入居選別の状況です。  ここで、右側の神戸市の調査を見ていただくと、オーナーにアンケートを取ったときに、高齢者は不可というのが四一%、それから障害者は不可というのが六六%、子育ては不可、三六%ですね。三重県においても、三〇%不可とか出ております。オーナーは、左下の方に行きますと、入居に拒否感がある賃貸人の割合というと、高齢者に対しては五九%、約六〇%ですね、障害者のいる世帯では五二%というふうに拒否感が民間住宅では要配慮者にはあるということですが。  その取組に対して、国の方では、居住支援協議会というものの設置を促しておって、鳥取県を見ますと、次の資料二なんですが、これは先進事例としてここに載っているんですけれども、ここでは、下の相談対応実績、赤枠で囲われているところですが、平成二十五年においては、百九十四人が相談していたことに対して百二十七人の方に対して入居が促進されたということで、連帯保証人であったり、緊急連絡先の確保であったり、生活保護の申請等々、あるいは入居後の福祉等々の配慮された、あんしん賃貸相談員という方が置かれて、こういうふうにいい方向に向かっているということがここで示されています。  そうはいっても、百九十四人が入居したいところなんですけれども、百二十七人までしか入居されていないということと、次のページを見ていただくと、資料三を見ていただくと、このサービスの非常にいいところは、連帯保証サービスもそうですけれども、葬儀の実施、死後の手続、福祉の整理とか等々の支援まで行える体制をつくっていくということなんだそうです。  その次の資料四を見ていただきますと、この居住支援協議会の概要、これは住宅セーフティーネット法、平成十九年からのものなんですけれども、現在三十七都道府県で行われているということで、全都道府県ではないということです。そこの、全県にまず広げていただきたいなと思うことと、きめ細やかに地域の中でこういうものが支援されるような体制ができることを望みたいと思うんですが、その辺についてお伺いしたいと思います。
  192. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 住宅確保配慮者民間賃貸住宅への入居につきまして、一部で不適切な入居選別がなされているということは我々も問題だと考えております。これに対して、御指摘のとおり、一部の居住支援協議会におきましては、専門の住宅相談員による入居までのきめ細やかなサポート、これは先ほど御指摘いただいた鳥取県でございます。それから、神戸市では、家賃債務保証、見守り等のサービスを提供する事業者の紹介など、民間賃貸住宅の家主等の不安を解消する取組を行って入居の円滑化を図っているということがございます。  このため、国土交通省といたしましては、地方公共団体や関係団体への先進的な取組の周知徹底、それから居住支援協議会の全国会議、シンポジウムの開催等による情報共有や新たな取組の働きかけ、モデル的な取組を行う居住支援協議会に対する重点的な支援などにつきまして、厚生労働省と連携をしながら取り組んでまいる所存でございます。  また、居住支援協議会の設立促進でございますけれども、現在、二十六年度末までに三十七都道府県、十一区市において合計四十八の協議会が設立をされております。都道府県のうち十県まだできておりませんが、全て設立のための準備会は立ち上がっておるところでございます。全都道府県に居住支援協議会が設立されるよう経費の助成等を通じて支援をしてまいります。  また、きめ細やかな取組ということでは、市区町村単位での居住支援協議会の取組というのも非常に重要だと思っておりまして、これにつきましては、身近な相談窓口を設置するという観点から、設立費用等についての、あるいは活動費用等の支援、助成等を通じながら、市区町村単位での協議会設立に努力をしてまいりたいと考えております。
  193. 山口和之

    ○山口和之君 十九年から、なかなか先ほどのすばらしいサービスまでは行き届いているところはそんなにないという話ですので、できれば、まずネットワークが十分にできることと、そこまで見たサービスが支援できるような体制ができることによって、選択肢が広がったり、もっと利便性がいいところに引っ越すことができたり、働きに行くときにも例えば十分いい仕事に当たるということもありますので、公営住宅だけではなく、こういうところも是非配慮していただきたいなと思います。  そこで、民間住宅というと、公営住宅やURのようにバリアフリーにしていただきたい、ユニバーサルのデザインにしていただきたいといっても、なかなか民間ですからそう簡単にはいかないと思うんですけれども、ただ、選択肢を広げていただくためにも、住みよい日本をつくっていくためにも、このバリアフリー化したところが民間にも広がっていくことが大事だと思うのですけれども、その辺については何かございますでしょうか。
  194. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 御指摘のように、高齢者あるいは子育て世帯等の住宅確保配慮者のために、いわゆるバリアフリー、ユニバーサルデザインの考え方に基づいて段差の解消、廊下幅の確保、手すりの設置などをすることは非常に重要であると考えております。  一方で、やはり民間の賃貸住宅の所有者の方、家主さんは費用の点についても気にされます。あるいはそこがネックになるということもございますので、例えば、民間事業者等が供給する賃貸住宅のうちでバリアフリー化等の基準を満たして、かつ、公営住宅を補完するためなど、地域の住宅政策推進の観点から地方公共団体が必要と認める民間の賃貸住宅につきましては、建設費や改修費の一部を支援する、補助をする事業、地域優良賃貸住宅制度というのも実施をしております。また、本年度から居住支援協議会との連携の下で民間事業者等が空き家を改修してバリアフリー工事等を行い、高齢者や子育て世帯等向けに賃貸する場合に改修費の一部を支援する住宅確保配慮者あんしん居住推進事業というのも開始をしておるところでございます。  これらの取組を通じて、高齢者や子育て世帯等が暮らしやすいバリアフリー化された民間賃貸住宅の整備を着実に進めてまいる所存でございます。
  195. 山口和之

    ○山口和之君 ありがとうございます。  民間も広げて、地域の中で安心して生活できるような社会を実現するためにも是非広げていただきたいなと思います。  もう一問質問はあったんですけれども、ほぼ時間となりましたので、これで終わらせていただきます。
  196. 広田一

    委員長広田一君) しばらく速記を止めてください。    〔速記中止〕
  197. 広田一

    委員長広田一君) それでは、速記を起こしてください。
  198. 和田政宗

    和田政宗君 次世代の党の和田政宗です。  まず、東洋ゴムに申し上げたいのは、マンションを買うというのは、これは人生の一大事で、大体の方がローンを組んで買うわけです。少しでもいいものを、安心できるものを買いたいと思いまして、家族で話し合って、選んで、ようやく買うわけです。今回の事件は、そうした市民の気持ちを打ち砕く大変な事件であるというふうに思います。今後、装置の交換など、徹底して居住者、利用者の立場に立った対策を求めます。  では、質問していきます。  まず、東洋ゴムに聞きますが、東洋ゴムは昨年二月に装置の偽装について把握をしていながら、国交省に報告したのが今年二月にずれ込んでおります。これはなぜか、お答えください。
  199. 山本卓司

    参考人山本卓司君) 重大な問題であるという認識は当然ございまして、しっかりと調査しなければならないと。そして、調査の過程で、認定制度、製品の性能検査方法、データの信頼性、出荷済みあるいは出荷予定品の性能基準の妥当性などを検証いたしました。しかしながら、専門的な知識、人材が足りなかったことから事実の究明がなかなか進まず、出荷停止や認定取下げに至るまでに多大の時間を要してしまいました。この点については大変申し訳なく、反省しております。
  200. 和田政宗

    和田政宗君 これは今冒頭に申し上げたように、消費者、利用者がいるわけですから、本来であれば速やかにそれは国交省に伝えるなりして世間に公表して、少しでもそういった影響が出ないようにすべきだというふうに思いますが、一年掛かってしまったということで今説明がありました。  東洋ゴムは、今回の事件の原因について、子会社である東洋ゴム化工品の担当者が十年間一人で免震ゴムの試験データを管理していて、ほかに分かる人間がいなかったというようなことを述べておりますけれども、こうした状況を放置したことは、これ建築基準法の規定に抵触するものであるわけです。これ、なぜ放置したのか、お答えください。
  201. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) 当社における免震ゴムの製造・品質保証体制ですが、担当者が所属していた開発技術部門のみならず生産部門、それから品質保証等、複数の部門が関与しておりまして、現時点では、御指摘の事実のみをもってその基準等や告示において求められる品質保証に必要な技術的生産条件等に直ちに抵触するものではないと理解しておりますが、もっとも、業務経験が長く、上司より高い固有技術を持っている一人の者が中心となって開発部門の業務を担っていたことは事実でございます。  この体制として問題があったことは真摯に受け止めておりまして、今後は、外部の法律事務所の調査を踏まえ、体制の見直しを図り、再発防止を徹底したいと考えております。
  202. 和田政宗

    和田政宗君 その社内体制の不備などについては、もう他の委員質問をしておりますので、それについては質問はしていきませんけれども、国交省にお聞きしたいのは、大臣認定の不正取得がなぜ可能だったのかということです。国交省がしっかりチェックできる仕組みが本来必要なわけですけれども、これについて国交省はどのように考えているんでしょうか。
  203. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 免震材料のような新技術につきましては、民間の創意工夫によって各社が独自の製品を開発し、また試験方法も独自であることが多いため、例えば第三者機関で画一的に試験をするというのは困難な面もございます。したがいまして、指定性能評価機関では企業の自社試験データを基にした書類審査とヒアリングで性能評価を行い、国では機関が評価すべき項目を全て評価しているかどうかについて確認をしてきたところでございます。  しかしながら、この仕組みでは、今回のように会社においても見抜けなかったブラックボックス化した部分の改ざんを見抜くというのは非常に困難な面もございます。したがいまして、今後、原因究明の結果を見て、第三者委員会の意見も聞きながら再発防止策等について検討してまいりたいと考えております。
  204. 和田政宗

    和田政宗君 これ大臣認定ということで、大臣がお墨付きを出しているものでありますので、そこに不正があるということは、これも金子委員を始めとしてほかの委員が申し述べているとおりでございますけれども、それはあってはならないというふうに思いますので、国土交通省としても絶対にそうならないような仕組みを構築していただきたいというふうに思います。  次に、免震装置に問題が発覚しましたマンションの管理組合への対応について聞きます。  安全性が確認されていないマンションの当面の安全性の確認ですとか今後の対応の説明をどうやっていくのか、東洋ゴム、国交省、それぞれに聞きます。
  205. 伊藤和行

    参考人伊藤和行君) 当初の五十五棟につきましては、構造安全性の検証を行い、震度六強から震度七程度の地震に対して倒壊するおそれがないということを三月三十日に確認し、公表させていただきました。免震ゴムの全数取替えについて、所有者様、使用者様、施主様、建設会社様などの関係者様と協議の上、早期の交換に向けて対応を行ってまいります。  また、九十九の物件について、現在七十七棟について、震度六強から震度七程度の地震に対して倒壊するおそれがないことを確認して公表しております。残り二十二物件に関しましても、一日も早く公表できるように、今現状、検証を進めていただいております。  それから、共同住宅様に関しましては、当初の五十五棟に関しましては件数二十五件ございます。そのうち、賃貸物件とか建築中を除きました十八物件に関しましても説明会を実施させていただいております。
  206. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 国土交通省におきましては、東洋ゴム工業が、これはマンションに限らず全ての建築物について、所有者にどのような説明をし、どういう状況であるかということを逐一報告を受けております。  例えば、五十五棟については四月中に住民説明会を全て開催し管理組合さんに全部説明をしているし、九十九棟のうち共同住宅五十二棟につきましても現在所有者に説明を行っている途上であると、まだ全部は終わっていないというふうに報告を受けております。  引き続きフォローしてまいります。
  207. 和田政宗

    和田政宗君 これは、居住者の立場に立つ、利用者の立場に立つということが当然前提になるわけですけれども、免震装置を交換工事などをする場合には、マンションの入居者が一時退去するなど負担が生じる場合があります。その際、入居者がマンションの部屋の買取りを求めた場合に東洋ゴムはどのように対応するのでしょうか。
  208. 山本卓司

    参考人山本卓司君) まず、マンションの交換工事でございますけれども、これ基本的には、施工会社様と相談して、できるだけ入居したままの交換を御相談しております。ただ、それでも入居したままでできない場合は、当然、それに伴います費用というのは私どもで負担すると。  それと、先ほど買取りということでございますけれども、交換工事が完了した段階においては当初の基準を満たすことになるということで、原則として、私どもが交換後に買取りの必要性はないのではないかと考えてはおりますが、ただ、個々のケースもございますので、これは一つ一つ相談しながら個別に協議をして考えさせていただきたいというふうに思っております。
  209. 和田政宗

    和田政宗君 私の質問の部分というのは、いわゆる交換工事を行うときに、例えば一年なり二年なり、そういった期間になるかどうかは分からないですけれども、例えば六か月でも、子供を幼稚園に通わせている、小学校、中学校に通わせているということになりますと、同じエリアに同じ住居を確保できるかというような問題もありますし、それであれば、もう買ってもらって別のところに移っていくというようなやり方もあるわけですね。そちらの方が家族にとって負担が少ないというふうに思うこともあるわけですから、これはまだ仮定の話でお答えになれないかもしれないですけれども、そういった家庭に対してもきめ細かく対応してもらえればというふうに思います。  東洋ゴムの問題については以上でございます。
  210. 広田一

    委員長広田一君) それでは、山本参考人伊藤参考人におかれましては、御退室をしていただいて結構でございます。
  211. 和田政宗

    和田政宗君 次に、航空管制についてお聞きしていきたいというふうに思います。  広島空港でのアシアナ機の事故については、本日質問をしようと思ったんですけれども、昨日も運輸安全委員会から発表がありましたとおり、事故原因について今調査が様々動いているところですので、今日は徳島空港の重大インシデント事案について航空管制の問題点から質問をします。  この事案は、地上車両が滑走路に進入していることを管制官が失念をして起きてしまったわけですけれども、一歩間違えれば大事故につながりかねないものであったと思います。  このように、人間はミスをするものです。今回のような失念やミスを防止するために、防衛省はどのような改善を行ったのか、またどのように行っていくのか、お答えください。
  212. 笠原俊彦

    政府参考人(笠原俊彦君) お答えをさせていただきます。  本事案は、今委員の申されたとおり、徳島飛行場、徳島空港の海上自衛官の管制官が作業車両に対し滑走路上での作業指示の許可を発出していたことを失念し、民航機に対して着陸許可を発出したところ、当該民航機が滑走路上に車両を確認したため、着陸のやり直しを行ったという事案でございます。  本事案発生時の管制は管制官が一名で実施をしており、このような業務態様について問題があったものと認識をしておりまして、管制官の失念防止に対する現時点の再発防止策としては、その後は複数の管制官による管制業務の実施を指示をしたところであります。また、その他の再発防止策といたしまして、基本手順の確実な実施の徹底、また滑走路の閉鎖を明確に表示するボード、リマインダーと呼んでおりますが、それなどの確実な使用により失念防止に取り組んでいるところでございます。  今後、このような事案が発生しないよう、再発防止策、安全対策を講じて飛行の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
  213. 和田政宗

    和田政宗君 リマインダーなどの対策を取っているということで、これは国交省が管理する管制塔、空港でもそのようなことが行われているというふうに思います。  これ、二人でやって、リマインダーというようなことですけれども、やはり人というのはミスを犯すものですので、例えば、地上車両が滑走路に進入している間というのはアラームが鳴り続けたりですとか、管制室の窓に大きく透かしか何かでバッテンのようなマークが出るとか、そういった、どうやっても今滑走路に地上車両が進入しているというようなことが分かるような、そういった状態に自動的になるようなシステムというのも私は考えるべきではないかというふうに思いますので、これは提案として申し上げたいというふうに思います。  次に、おととい復興予算の今後の在り方が示されたことから、巨大防潮堤問題と復興予算について質問をしたいというふうに思います。  まず、この委員会でも先月取り上げましたけれども、林野庁が気仙沼野々下海岸の巨大防潮堤に対する追加工事において宮城県の要請のままに追加工事を行ったのは、結局、宮城県に追加負担分を求めてもそれは国費で賄われるからという意思が働いたのではないかと考えますが、その点はどうなんでしょうか。
  214. 黒川正美

    政府参考人(黒川正美君) お答えいたします。  林野庁が施工します野々下海岸の防潮堤につきましては、地元の早期復旧への強い要望を踏まえまして直立型で工事に着手したところでございます。その後、宮城県が施工する防潮堤については、構造基準の見直しにより台形型となったところでございます。  この宮城県側の構造変更を踏まえまして、林野庁におきましても、宮城県の構造変更が地震に対する強度を増強しようとするものであること、宮城県から同一の構造としてほしいとの要請があったこと、同一の海岸であり一連の構造物となるため、技術合理性の観点から同一の構造とすることが望ましいことから、林野庁の防潮堤の構造を変更することとしたものでございまして、御指摘のあった点を勘案して追加工事を判断したということではございません。
  215. 和田政宗

    和田政宗君 これは、防潮堤事業の予算の構造として、こういった追加負担が生じて、これを例えば県に負担させたとしても今質問しましたように結局国費全額一〇〇%というようなことがあるわけで、こういったものが本当に必要な事業なのかというようなところの精査に影響を及ぼすようなことが私はあってはならないというふうに思っております。  財布が同じということで、国がやっても県がやってもどっちも同じというようなことでは当然いけないわけでありまして、自治体の方が、宮城県を始めとしてですけれども、これは、もらえる予算はもらっておけ、付けてもらえる予算は付けようというようなことで、そういったような姿勢が私は根本にはあるんではないかなというふうに思っております。  そこで、今後五年間の復興事業の在り方についておととい復興庁より発表があったわけですけれども、この巨大防潮堤の整備事業については一部費用負担を自治体に求めるのか否か、お答えください。
  216. 菱田一

    政府参考人菱田一君) お答え申し上げます。  平成二十七年度は東日本大震災からの集中復興期間の最終年度に当たりますことから、できる限り早期に平成二十八年度以降の復興支援の枠組みを示す必要があるということで、一昨日、十二日に復興大臣から、集中復興期間の総括及び平成二十八年度以降の復旧・復興事業のあり方についてというものを公表されたところでございます。  その中で、平成二十八年度以降の復興事業に関する自治体負担の在り方につきまして、災害復旧事業等復興の基幹的事業として実施されるものにつきましては自治体負担はゼロとすること、一方で、震災からの復興に資する事業であっても、地域振興や将来の災害への備えといった全国共通の課題への対応という性格も併せ持つものにつきましては自治体負担を導入していくことという方針が示されたところでございます。  防潮堤整備事業につきましても、この方針に沿いまして、基幹的事業である災害復旧事業として実施されているものにつきましては自治体負担をゼロとし、他方で、災害復旧事業以外の社会資本整備総合交付金等を活用して整備されているものにつきましては自治体負担を導入していくというふうに整理をしております。
  217. 和田政宗

    和田政宗君 すなわち、一〇〇%国費で賄われるということであるというふうに認識をいたしますけれども、これ、繰り返しになりますが、巨大防潮堤事業が本当に必要なものかというのは、自治体が一部費用を負担するということになればより精査をするというふうに思っております。そんなに高さは必要ないということであったり、複合的な防御で事業費を安くする、これは過去、気仙沼大島でも住民の反対によって県が折れて、結局それをやって予算が三分の一になるというようなこともありました。こうした精査が行われるというふうに私思っております。  私は自治体に巨大防潮堤事業の費用を一部負担させるべきだというふうに思いますが、国はどのように考えますでしょうか。
  218. 長島忠美

    ○副大臣(長島忠美君) 私の方からお答えをさせていただきます。  災害復旧事業は原形復旧を原則としております。他方、広範囲で被災をし、その被災の程度が激甚であるなど、原形復旧によっては再度の災害を防ぐことができない著しく不適当な場合においては、その災害を起こした高波、波浪あるいは津波等を対象として必要最小限度の工事を災害復旧事業として行ってきたところでございます。  このような考え方の下で、東日本大震災の津波災害を踏まえた方針として、ハード、ソフトの組合せあるいは多重防御の考え方により対応する中で、防潮堤の高さについては、数十年から百数十年に一度の津波に対応する高さを限度として、地元市町村のまちづくりとの整合性や環境保全、周辺の景観との調和などを図りながら海岸管理者が適切に定めることとし、これを災害復旧事業として行うこととしてまいりました。  したがって、防潮堤の高さが原形復旧のレベルであるか、かさ上げされているかにかかわらず、災害復旧事業として今後も全額国費で対応していく方針でございます。
  219. 和田政宗

    和田政宗君 今答弁にもありましたように、必要最小限度であったりですとか原形復旧ということであれば、これはほとんど全ての方が許容できるというふうに思うんですね。ただ、L1対応だということでただ一律にコンクリートを積み上げてそれで防ぐということで、もう実際に住民は、今どんどん造られていますけれども、こんなものができちゃったのかということでもう落胆をしているわけであります。  このいわゆる合意形成の過程においては、宮城県や村井知事が集中復興期間でないと防潮堤予算が付かないというふうに説明しまして、住民を焦らせる形で合意に持っていったわけです。これ、政治や行政に携わる人間でありましたら、集中復興期間が終わっても復興途上であれば、それは国の施策として復興に十分な予算は確保されるべきであるし、されるだろうということは容易に想像が付くというふうに思うんですね。今回、そして実際にそうなる方向ですけれども、宮城県や村井知事による、こうやって住民を焦らせて合意に持っていったようなやり方について、これ見解として、復興庁、どのように考えますでしょうか。
  220. 長島忠美

    ○副大臣(長島忠美君) 私の方からお答えをさせていただきます。  今ほど御指摘をいただいた住民を焦らせる形で合意形成がなされたという指摘については、私どもは防潮堤の計画について、地元市町とまちづくり整合性計画性、そして周辺の景観との調和などを図って、海岸管理者である県が適切に市町村と連携を取りながら定めたものというふうに承知を実はしております。  住民の意見を踏まえて十分に話し合っていただきながら合意形成を進めていただくことは大切であるというふうには思っております。多様な意見がある中でどのような合意形成を図っていくのか、あるいはどのような段階で合意が形成をされたとするのかについては海岸管理者である県等において適切に判断をし、説明をされてきたものというふうに認識をしております。  急ぐということは大切なことでありますけれども、焦らせたということは我々は認識をしていないところでございますので、これからも防潮堤事業を所管する国土交通省、農林水産省からも地元に対し丁寧に対応するように今までどおり助言をしていただきながら、私どもはそのことにコメントする立場にはないと思いますけれども、合意形成の手法については宮城県において適切に判断されていくものと考えております。
  221. 和田政宗

    和田政宗君 これは、今造られているところ、できたところの近隣の住民ですとかそういった方々に聞いていただければ、しまったという意見が結構あって、それはまさに今私が質問しましたように、今交渉をまだ行っているところというのは、様々な防潮堤問題というものがメディアでもクローズアップされておりますし、国民の中でもそういったものに関心を持っているというようなところで慎重に交渉が行われているものというふうに私は思っておりまして、これはきっといいものになっていくんだろうというふうに私は希望としても持っておりますけれども、もう実際に今造ってしまったところというのは、うわっ、こんなのできちゃったというようなことが実感として、私は被災地を回っていてそういった声を聞くわけでございます。  巨大防潮堤事業を進めるための方便としてこの集中復興期間というのが私は使われてしまったんではないかなというふうに思うんですけれども、これ、急いで造って、何年かして取り返しの付かない様々な問題が出て、そのときは多分きっと壊すということに私はなるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、何年かして、ああ、ああ、やっちゃったという状況が出てくるはずだというふうに思うんですね。  私は、そうしたことにならないためにも、巨大防潮堤についての予算は今後も確保されるわけですから、宮城県は住民とより慎重に話合いをすべきだと考えますが、国交大臣の見解、いかがでしょうか。
  222. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 和田先生から何回かそういうお話がありまして、私も国交省に再度一つ一つ全部見てということを、奥尻も含めて調査をさせたりしながら状況を掌握してきているつもりです。  今、長島副大臣からありましたような考え方の下で海岸管理者である県が適切に定めるということで、和田先生おっしゃるように、引き続きこれ丁寧に対応して合意形成がなされていくということが大事だと思います。丁寧に合意形成ということについてはやるようにということを私は思っております。
  223. 和田政宗

    和田政宗君 丁寧にやられるということが当然でありますけれども、それができていなかったところが結構あったというふうに思いますので、今後については国交省も厳しく目を向けていただければというふうに思います。  最後に一点だけ事実確認したいんですけれども、海岸堤防の復旧費のデータ、これは当初からの増加額についてですけれども、四月七日の国交委員会で、林野庁からは平成二十七年三月末のデータで答弁があったものの、国交省の答弁は平成二十六年十二月末のデータでした。これはなぜかというふうに私疑問として思ったんですが、平成二十七年三月末だと増加額が多いためにあえて平成二十六年十二月のものを出したのではないかという疑問も湧きますけれども、それ、事実なのか事実じゃないのか、お答えください。
  224. 池内幸司

    政府参考人(池内幸司君) お答え申し上げます。  被災六県の防潮堤等の復旧に必要な事業費の総額につきましては、四月七日の参議院国土交通委員会で答弁させていただいたときには、平成二十七年三月末時点で整理されたデータがありませんでした。そのため、当時整理されていた最新のデータであります平成二十六年十二月末時点のデータについて答弁させていただきました。
  225. 広田一

    委員長広田一君) 時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。
  226. 和田政宗

    和田政宗君 はい。  三月末のデータの提出を求めますので、お願いいたします。  終わります。
  227. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  東洋ゴム、免震装置ゴム不正問題、人命に関わる許し難い事案であります。今日、ずっと委員皆さん質疑を私も聞いておりまして、山本社長伊藤常務、極めて不誠実な答弁であったと思っています。一万人ですか、社員の方がおられるということで、東洋ゴムも再建をしなければならないと思っておりますが、並大抵のことでは再建できないのではないか、もう経営陣を刷新する、あるいは外部の血を入れるぐらいのことをしなければならないのではないかと思っております。  総括的な質問になりますけれども、監督大臣として、こうした不正事案が二度と起こらないように再発防止に向けての太田大臣の御決意を伺いたいと思います。
  228. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 極めてこの不正事案は残念であり、また私は許し難いものだというふうに思っています。  まず、免震装置の交換、改修と、今日そこの、どういう順番で相手がどうでとか、あるいはマンションの管理者とかいろんなことについても質問が行われて、東洋ゴム工業にとっては、今日答弁をしたあるいは今日受けたということについて対応するということについて、決意をきっと持ったことだろうと私は思いますし、そうしなさいということを申し上げたいというふうに思っています。  免震装置の交換、改修、そして原因究明、再発防止、このことについてしっかりやるように十分指導をしていきたいというふうに思っておりますし、もっと根源的に、なぜこういうことが起きたかという中には、そうした世界に冠たる免震材料というものを技術的に作れなかったという根本的な問題、しかし、作れなかったけれども数値を改ざんしてできたような形を取っていったという長年の経過というものが放置されてきたという、また見抜けなかったということはどうしたことかということだと思います。しっかり指導監督していきたいと、このように思います。
  229. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 先ほど来御議論がありましたように、大臣認証に対する国民の信頼に関わる問題でもあるわけでありますから、太田大臣を始め国交省の皆さん、しっかり監督責任を果たしていただきたいと思っております。  東洋ゴムの問題につきましては、今後の推移も見ながら、また国土交通委員会で取り上げさせていただきたいと思います。  次の質問に移ります。  去る四月十二日に発生をしたJR東日本山手線の支柱倒壊事故についてでございます。この事故では、お手元に、新聞記事でありますけれども、情報の流れ、あるいはJR東日本が出した当面の対策等について資料を付けております。この事故では、支柱が倒壊をして山手線内回りのレールに接触しているわけであります。列車が運行していれば、文字どおり大惨事になりかねないものでありました。  まず、本件に関して国交省の見解を伺いたいと思います。
  230. 藤田耕三

    政府参考人(藤田耕三君) 御指摘の電化柱倒壊事案でございますけれども、現時点での認識といたしまして幾つかの問題点を認識しておりますが。  一つは、事前に電化柱の傾きが発見されていた、その意味で、事前に対応する機会があったにもかかわらず、その時点で適切な対応が取られていなかったということ。それから二つ目には、倒壊した電化柱につきまして、はりを撤去しておるわけでありますけれども、その際、強度計算が実施されていないということ。それから三つ目には、これを危ないと思った人がそれを身近なところに連絡しただけでとどまっておりまして、決定権のある責任者のところに情報が上がって協議され方針が出されるという、危機管理で一番大事な点が欠けていた、こういったことが問題点であるというふうに認識をしております。
  231. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 そして、五月八日には、JR東日本から緊急点検結果と当面の対策についてということで報告が出されております。お手元の資料にも付けております。このJR東日本の報告書は、国土交通省の問題意識に応えるものと評価できるものでしょうか。国交省の評価を伺いたいと思います。
  232. 藤田耕三

    政府参考人(藤田耕三君) 五月八日にJR東日本が公表しました当面の対策といたしまして、電化柱がどの程度傾いたら列車を止めるかという基準を新たに策定したということ、それから設計・施工段階の安全上の確認につきまして、現場に対して技術指導支援を行う電力技術管理センターを設立するということ、さらには関係者間の情報伝達の徹底をすると、こういった項目があるものと認識をしております。  これらの対策につきましては、方向性としましては、先ほど御説明した三点に対応したおおむね適切なものだと判断しております。まずはこの対策を確実に実施して、安全の確保に努めていただきたいというふうに考えております。
  233. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 私もこれを読みましたけれども、現段階でのものという言い訳はあるのでしょうが、やはり危機意識、当事者意識に欠ける私は不十分なものだと、そのように考えています。  まず、形式の面でも、事実関係に時刻が明記されておらず、また支柱の傾きを認識した社員もどの社のどういう肩書なのかも明記されておりません。強度計算をしていない点は社内規程違反ではないかと思われるところがございます。そして、社内規程違反の認定、それに対する処分などの対応など一切言及がありません。また、情報伝達のルール化についても、どのような経路で伝達するかについて言及がありません。  当面の対策として、設計・施工における安全上の確認を適切に行うための技術的な支援機能を強化しますと。支援機能を強化するというところに私は大変気になったというんですか、何だこれはと思ったんでありますが、まるで技術的な安全確認は請負の施工業者に責任があるかのような、当事者責任を回避するかのような、他人事のような表現になっていると思っています。  総じてJR東日本として事故を軽視しているかのような不十分な報告書ではないかと考えますが、改めて国土交通省の見解を伺います。
  234. 藤田耕三

    政府参考人(藤田耕三君) 五月八日に公表されました報告書、これはあくまでも中間的なものだというふうに理解をしております。私ども国土交通省としましては、これも踏まえた正式な報告をJR東日本に対して求めております。  それから、私どもも現在監査に入っております。その結果を踏まえて、国土交通省としても必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
  235. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 どこかで発表されているかも分かりませんが、正式な報告書というのはJR東日本といつ頃というふうな話をされておられるんですか。
  236. 藤田耕三

    政府参考人(藤田耕三君) 特にまだ現時点で時期について申し上げられる段階ではございませんけれども、詳細な正式の報告を求めたいと思っております。
  237. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 また正式な報告が来ましたらお届けをいただきたいと思います。  報道によれば、第一回目の発見、四月十一日午前二時の夜間工事の時点で、JR東・東京電気システム工事区と施工請負会社である日本電設の社員が支柱の傾斜を見付けて、JR東日本から施工会社に緊急手配を掛けたが、金曜日の夜だったため必要とされる作業員が確保できず、既に予定されていた週明け十三日の工事に先送りすることを決定しているわけですね。  JR東日本の方にある程度自前で施工できる体制を確保する必要があるというふうに私は、このときに緊急にしなければ、また安全に関わる事態にもなっていたわけであります。過度な外注化が私は事故の原因と考えますけれども、その点をどのように考えられますか。
  238. 藤田耕三

    政府参考人(藤田耕三君) 四月十日にまず傾きを発見して、十三日に工事を実施することを決めたと。この経過につきましてJR東日本が五月八日に公表した資料の中では、十日の夜に工事関係者が電化柱の傾きを認めたが、緊急性がないと判断したため当夜のうちに改修せず、直近の工事予定日であった四月十三日に施工することとしたと。これは、電化柱の傾きに対する異常時の判断基準がなかったこと、関係者が事態の緊急性を十分に認識できなかったこと、情報伝達に遅れが生じたことによるものであると考えられるとされております。  すなわち、工事が言わば先送りされた要因としましては、基本的に危険性の判断に問題があったということとされておりまして、作業員の確保の点についてはこの報告の中では触れられておりません。  この点も含めて、現在行っている監査の中で国土交通省としても検証を行っているところでございます。これを踏まえて、安全の確保について指導してまいりたいと考えております。
  239. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 自前で施工できる体制についても是非検討していただきたいと思います。  それから、支柱倒壊の約一時間前の十二日午前四時五十二分頃には、始発電車に保守担当の東京電車線技術センターの助役と日本電設の社員が同乗し、目視で現場を確認したと報道されています。倒壊の危険がある支柱の確認を多数の乗客を乗せた始発電車で行うというのは、私は安全意識の欠如も甚だしいと考えますけれども、その点についてはいかがですか。
  240. 藤田耕三

    政府参考人(藤田耕三君) これまでの報告では、始発電車に乗って確認した後に徒歩で現地に赴いて確認をしたというふうに聞いておりますけれども、いずれにしても、その辺の判断も含めて、現在の監査それから東日本の報告を待って必要な指導をしてまいりたいと思います。
  241. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 四月三日には青函トンネル内での発火事故も起きております。JR東日本はJR北海道に技術支援をしている会社であります。このようなおざなりな報告、正式な報告を求めるということでありますけれども、正式な報告をしっかり踏まえて安全性を確保するための対応が必要だと思いますけれども、改めて今後の国交省の対応について伺います。
  242. 藤田耕三

    政府参考人(藤田耕三君) 繰り返しになりますけれども、四月二十日から、現在、私ども国土交通省としまして、JR東日本の工事担当部署に監査に入っております。この監査の中では、五月八日に公表された事故の検証も行っております。それから、JR東日本に対しましては、今回公表された内容を踏まえた正式な報告を求めておるところでございます。  その報告、監査の結果を踏まえて安全確保のために必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
  243. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 この項目の最後ですが、太田大臣に、今後どのように大臣として監督責任を果たしていかれるのか、伺います。
  244. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 五月八日の件は、最終的な全体像ということとか対策とか、そういうことがまだちょっと時間が掛かるものですから、国交省の方で中間でもいいからまずやるべきことを出せというような経過の中で、現場で傾いているということが分かったと言ったら、どの基準でということで、その幅と同じぐらいという基準を示してというようなこととか、様々なことをさせていただいた一環としてやらせていただきましたが、私は、JR東は、ある意味では鉄道全体のリーダー的な技術が極めて優れているとか、安全ということについては最も優れて真剣な会社であるということの範を垂れるべき私は位置付けにJR東はあるというふうに思っています。  そういう点では、今回の四月の事案は、非常に明らかに報告、連絡体制と決定の仕組みとか、あるいは土日をまたいで月曜日ならばというようなこととか、いろんな点でもうはっきりした失敗例があるわけでありまして、それらをきちっと、監査もやらせていただいておりますけれども、検証して、二度とと言うのがこのときに適当かどうか分かりませんが、より安全ということについて重視して、範を垂れるべき企業としての役割を果たすように指導したいと、このように思っています。
  245. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 正式な報告書も踏まえてしっかりした対応をしていただきたいと思います。  次に、原発事故子ども・被災者支援法に基づく公営住宅の入居円滑化について伺います。  この原発事故子ども・被災者支援法につきましては、私も社民党の発議者として名を連ねましたけれども、私の記憶に間違いがなければ、全ての政党が発議者になって衆参全会一致で成立した唯一の議員立法だというふうに聞いております。当然、太田大臣の出身の公明党さんも発議者として名を連ねております。一緒に私も、答弁に立った公明党の議員さんと発議者として答弁に立った記憶がございます。  そこで、この子ども・被災者支援法に係る施策で国交省が関わる事業については、原発避難者に対する高速道路の無料化措置がございます。そして、この公営住宅の入居の円滑化が支援策のほぼ全てと言っていいわけであります。もっとやっていただきたいことはいっぱいあるんでありますが、議員立法ということで軽視されているのかどうか分かりませんけれども、官僚の皆さんがなかなか前向きに一緒にやっていただけないという状況の中で、この法律の趣旨が骨抜きにされている面も否定できません。そして、この公営住宅入居円滑化でありますけれども、当初から、要件が厳しく使い勝手が悪いのではないかと危惧されてきたわけであります。  まず、お聞きしますけれども、現在のこの入居申込件数は何件でしょうか、そして少数にとどまっているのはなぜなのでしょうか、伺います。
  246. 熊谷敬

    政府参考人(熊谷敬君) お答え申し上げます。  子ども・被災者支援法に基づく公営住宅への入居円滑化施策につきましては、昨年十月の制度開始以来、公営住宅優先入居実施自治体は四十以上の都道県、政令指定都市に広がってきているところでございます。  お尋ねの最新の入居申込者数ですけれども、申込みの際に必要となる居住実績証明書の発行数が現在五十件と聞いておりまして、最大で五十件と考えております。このような現状になっている理由といたしましては、引き続き、仮設、借り上げ住宅に入居をし続けることを選択される方が多いからではないかと考えております。
  247. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 既に自主避難をされている方は、政府推計でも二万人、実際はこの倍以上いるのではないかと言われています。これに対して、年度末で、今、御報告五十件ですかね、五十件という実に驚くべき少ない数字であります。この円滑化施策がよほど使い勝手が悪いと考えなければなりません。  多くの自治体では、条例で公営住宅入居の際には県内に住所を有することなどの居住地要件を課しています。この円滑化は支援対象地域からの新規避難者の受入れも対象としていることは、住宅局長による、お手元の資料に付けておりますけれども、六月十八日付け通知にも明記されております。  条例を改正して居住地要件を外した自治体はあるのでしょうか、確認をさせていただきたいと思います。
  248. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 支援対象避難者の公営住宅への入居円滑化措置を実施している総数が、まず四月二十二日時点で三十一の都道県と十の政令市でございます。このうち、二十二道県、一政令市は最初から居住地要件がございません。それから、今回の支援対象避難者に対して条例等を改正して居住地要件を外したところが四県、七政令市でございます。合わせて二十六道県、八政令市は居住地要件を定めていないということになりますので、逆に言いますと、残っているのが五県、二政令市はまだ居住地要件が残っておるという状況でございます。
  249. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 東京都などでは入居倍率が数百倍に上るなど、自治体の公営住宅の入居倍率は非常に高いわけですね。もう東京都は新しい公営住宅は随分建てていない、そういう状況もありますね。現状、住居困窮者のニーズにも応えていない中で自主避難者に対応できるのかと当初から懸念されてきたわけであります。  この点、空きがあれば無抽せんで入居を認める特定入居という手段がございます、制度がありますね。無抽せんの入居を公営住宅入居円滑化に当たって認めるべきという議論も当初から根強くあるわけであります。福島第一原発の避難指示区域に居住していた方で住宅に困窮している方についてはこの特定入居が認められております。  入居円滑化に当たって、自主避難者にも特定入居を認めるべきという強いニーズがあるわけでありますが、この点について、やはり是非認めていただきたいと思いますが、いかがですか。
  250. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 公営住宅法第二十二条第一項に基づきます特定入居は、例えば災害、不良住宅の撤去、借り上げ公営住宅の契約終了、公営住宅建て替え事業による公営住宅の除却などの事由で原則として住宅を失った方々を対象に、公募を経ることなく公営住宅への入居機会を付与した制度でございます。  制度の根幹が住宅を失っていらっしゃる方ということでございまして、自主避難者の方々につきましては支援対象地域内に帰宅可能な住宅が存在するということから、法律を改正して特定入居の対象にするというのは、正直言ってちょっと困難ではないかと思っております。  しかしながら、この入居円滑化措置の中では優先入居の扱いをするということも盛り込んでおりまして、例えば先ほど御指摘いただきました東京都においては、当選倍率が一般の応募世帯に比べて五倍となる優遇措置が既にとられております。やはりこういう優先入居の措置で対応していくことが望ましいのではないかと考えております。
  251. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 この子ども・被災者支援法の趣旨は、強制避難と比較して自主避難を差別していいとは言っていないのがこの法律の趣旨であります、そもそも。そして、ただでさえ公営住宅入居円滑化は、避難者から家賃を取ろうというもので多くの批判を受けた施策であります。せめて居住要件を外した新たな避難者を受け入れるとか、特定入居を認めて抽せんなしの入居にするとかの改善が必要ではないかと考えますが、これ大臣に御所見を伺いたいと思います。
  252. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) この子ども・被災者支援法に基づく基本方針に基づきまして、支援対象避難者の方々が公営住宅に円滑に入居できるよう支援することは重要だというふうに思っておりまして、なかなかそれが進んでいないという状況も承知をしています。  現在、三十一の都道県と十の政令市が入居円滑化措置を実施しているところですが、この適切な運用ができるようにということは、今日の質疑の中でも具体的なことが出されたりしております上に、なかなかこういうことは再度周知徹底をするということも大事かというふうに思っておりますので、公営住宅関係の全国会議などを活用して地方公共団体に周知徹底を再度図りたいと、このように思っています。
  253. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 是非、せっかくつくった制度でありますから、この制度が生きるように改善措置を図っていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  254. 広田一

    委員長広田一君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  255. 広田一

    委員長広田一君) 続きまして、地域公共交通活性化及び再生に関する法律及び独立行政法人鉄道建設運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取をいたします。太田国土交通大臣
  256. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) ただいま議題となりました地域公共交通活性化及び再生に関する法律及び独立行政法人鉄道建設運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  地域公共交通については、地域公共交通活性化及び再生に関する法律に基づき、地方公共団体が中心となって、まちづくりと連携した面的なネットワークの再構築を推進しております。このような取組を実効性のあるものにしていくためには、事業の特性に応じた支援が可能となるよう、既存の助成制度に加え、民間資金の呼び水となる出資等を行うことによって、支援策の多様化を図ることが必要です。  また、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構については、独立行政法人改革に係る閣議決定等を踏まえた措置を講ずることが必要です。  このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、地域公共交通活性化及び再生に関する法律に基づき、国土交通大臣の認定を受けた事業に対する出資等の業務を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に行わせることとしております。  第二に、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の業務のうち、高度船舶技術に関する業務、基礎的研究に関する業務等を廃止するとともに、役職員に対し、金融業務に関する守秘義務を課すこととしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  257. 広田一

    委員長広田一君) 以上で趣旨説明の聴取は終了しました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会