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2015-04-15 第189回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年四月十五日(水曜日)    午後一時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         柳田  稔君     理 事                 上野 通子君                 滝沢  求君                 中泉 松司君                 小林 正夫君                 河野 義博君                 柴田  巧君                 紙  智子君     委 員                 赤石 清美君                 石井 浩郎君                 石井みどり君                 長峯  誠君                 二之湯武史君                 羽生田 俊君                 福岡 資麿君                 三宅 伸吾君                 山田 修路君                 大野 元裕君                 加藤 敏幸君                 福山 哲郎君                 牧山ひろえ君                 谷合 正明君                 市田 忠義君               アントニオ猪木君                 浜田 和幸君    事務局側        第一特別調査室        長        松井 一彦君    参考人        NPO法人社会        保障経済研究所        代表       石川 和男君        独立行政法人石        油天然ガス・金        属鉱物資源機構        理事長      河野 博文君        国立研究開発法        人物質材料研        究機構特命研究        員        原田 幸明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国際経済外交に関する調査  (「国際平和と持続可能な国際経済実現に向  けた我が国外交役割」のうち、持続的繁栄を  支える資源エネルギー問題等現状課題(  資源エネルギー問題)について)     ─────────────
  2. 柳田稔

    会長柳田稔君) ただいまから国際経済外交に関する調査会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際経済外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 柳田稔

    会長柳田稔君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柳田稔

    会長柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 柳田稔

    会長柳田稔君) 国際経済外交に関する調査を議題といたします。  本日は、「国際平和と持続可能な国際経済実現に向けた我が国外交役割」のうち、「持続的繁栄を支える資源エネルギー問題等現状課題」に関し、「資源エネルギー問題」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、NPO法人社会保障経済研究所代表石川和男参考人独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構理事長河野博文参考人及び国立研究開発法人物質材料研究機構特命研究員原田幸明参考人に御出席いただいております。  この際、御一言御挨拶を申し上げます。  各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。  本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いをいたします。  本日の議事の進め方でございますが、まず、石川参考人河野参考人原田参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いをいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、石川参考人から御意見をお述べいただきます。石川参考人
  6. 石川和男

    参考人石川和男君) 本日はお招きいただきましてありがとうございます。石川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  私、お手元にA4で二枚ほど資料を用意させていただいております。表題に「お伝えしたいことを、簡潔に」ということでまとめてございます。本日、この調査会メーンテーマエネルギー資源関係というふうに受けておりまして、私の問題意識等々あるいは今後の展望論等々について簡潔にまとめましたので、これにて説明をさせていただきます。  まず、そのA4のペーパーの最初のところでございますけれども、この調査会メーンテーマであります国際資源動向ということについて私の認識なんでございますけれども、私、これまで言わば政府の方でエネルギー行政等々やらせていただいた時期が結構ありまして、そういう経験なども踏まえて、あるいは最近のこういう民間に出た立場で今の国際資源動向どうかということで私なりに俯瞰をしてみますと、やはりこれは昔も今も、そして今後もそうだと思うのでありますが、このまさに(1)のところに書いてございますように、誰も予想できないんじゃないかと。去年から始まりました原油価格下落というものを、恐らく先生方も、あんなふうに本当になるだろうかと、直前まで全く予想していらっしゃらなかったと思いますね。もちろん私もそうです。下落が始まったときに、ああ少し下がったんだな、ガソリンがそのうち安くなるななんて、そんなふうに思ったりしましたけれども、まさかあそこまで下がるとは予想だにしなかった。  それから、それによって、その次に書いてございますように、アメリカ発シェール革命ですね。シェールオイル、シェールガスアメリカ国内で発見されてということで、世界エネルギー事情大分変わるんじゃないかなんて数年前から言われておりましたけれども、日本もそのシェール革命の恩恵にあずかろうとあの手この手でいろんな施策を打っているわけでありますけれども、原油価格が下がってしまったせいで、実はアメリカ本土のシェールマーケットというのはこれはまたちょっと予想と違ったような展開になっていて、大分苦しい場面も見られつつあるというようなこと、これは事実であります。  ただ、ここで申し上げたいのは、そういう資源のある国の情勢、あるいは国際経済需給動向等々というのは、これはいかんともその予想ができないので、それに対して日本としてどういうふうな強靱なエネルギー供給構造を立てていきますかという、これは私がこんなところで偉そうに言わずとも、これはもうずっと前から同じだと思っております。まさにフヘン。ここで私、フヘンという言葉を二つ書いておりますけれども、不変で普遍であると。変わらない、ずっとそのままのものであろうというふうに、このようにまず認識をしております。  相前後いたしますけれども、シェール革命って何ですかと考えたときに、私が思いまするに、あれはアメリカ発アメリカ革命であろうと。やっぱり上手だなと思うんですね、あの国は。そういうPRが物すごく上手だなというふうにまず私は直感いたしました。日本にダイレクトに効果あるいは影響というものがすぐに来るかと言われたら、そんなにすぐに来るわけでもないですね。現に、アメリカでは随分シェール革命シェール革命だと言われておりますけれども、じゃ、シェールガス、いわゆる日本に来るときには液化して船に詰めるわけですのでLNGということになりますが、じゃ、いつ来るんですかとなりますと、実はまだ数年先なんですね。したがって、なかなかそんな簡単にはその現物を日本に輸入するということも起こりませんし、現に起こっておりません、まだ。価格についても、原油価格下落によって大分シェール市場もちょっとふわふわふわふわしているなという、そういう状況。  私は、シェール革命というのは一つの事象にすぎないと思っておりまして、これが未来永劫、日本にとって、今原子力止まっておりますけれども、それに対して多大な効果があって、これはすばらしいという、そういう論にはどうもくみすることはできないなというふうに思っております。したがって、ここの三番目に書いておりますけれども、ある程度、我が国は物を持っていない国ですので、資源につきましては、エネルギー資源ですね、持っておりませんので、昔も今もこれからも、これはもう国際的な需給で決まるものだというふうに達観しておいて、じゃ日本でどういう安全網を引いておきますかと、この原点に立ち返ったエネルギー資源政策というか戦略というか、これは民間はもちろん、政府行政府立法府もそういう視点に立って今後もやっていかなきゃいかぬと。  特に、今日これからお話ししますけれども、昨日も福井地裁の方でああいう判決が出て仮処分が決定したと。これは一つの判断でありますけれども、じゃ、それによってどうなるんだと、そういった日本の今の、特に震災以降のエネルギー資源、これコストも含めたそういう問題を考えていければなということでございます。  さっき申しましたとおり、不変かつ普遍的な方針を引き続き堅持すべきであろうという観点から、今日は幾つかここで論点提起及び提案をさせていただきたいと考えております。  ここに二つほど書いておりますけれども、思想的なものはこれはもう本当に国会でももう毎回、エネルギー資源関係ですとこういう議論が出てくるわけでありますけれども、あえてここでもう一度再認識をするために、つまり、さっき申しましたような国際的な動向にかかわらず、日本としてちゃんと余裕を持っておく、そのためにはどういう施策民間あるいは政府の方で必要かという、こういうこと、これが結局、ここに書いていますように供給構造ですね、そういうものを常にきちんとしておく、要するに余裕を持っておく、予備率を持っておくと、簡単に言うとそういうことかと思います。予備余裕というのは多めに持っておくということかと思います。何か災害が来たときに、かつかつでぎりぎりだとどこにも頼ることができない。そうではなくて、ちゃんと余裕を持っておく、そのためには幾ばくかのコストは致し方ないということかなと思います。  もちろん、自分の体を筋肉質にしてぜい肉をそぎ落として、常にこういう態勢でいるというのはそれは大事なことかもしれませんけれども、余りにぎりぎりのところでいろんなものを削ってしまいますと、いざというときに、これは政治行政が最も重要な役割であると私は思っておりますけれども、いざというときの対応、その体制をつくる、そのためのルールをどうするかというのは、これはまさに国会立法府でありますので、立法府役割だろうと。それが、ここに書いてありますようにエネルギー安全保障というものに結び付き、パソコンでいうところのOSのような役割だろうというふうに私は以前から、今もこれからも考え続けると思います。  そして、具体的には、じゃ日本エネルギーって全くないんですかと言われますと、全くないわけではないんですね、ちょっとはあると。そのちょっとはあるうちの一つが、これは以前から日本でありますけれども、水力なんですね。今は水力といいますと、特に震災以降、日本でももうほぼ連日マスコミ等々でも取り上げられておりますけれども、自然エネルギーであるとか再生可能エネルギーだとか、そんなカテゴリーになるわけですけれども、そういうものは少しはあるわけですね。最近では二〇一二年の、これは菅総理のときでしたね、固定価格買取り制度が実施をされて、それによって、例えば、まさに外に出れば太陽光があるわけですけれども、風とかそういった自然エネルギーを使いましょうと、こういう制度が整備がされていると。  それともう一つ、実は国産エネルギーというカテゴリーの中に、これは世界共通なんですね、実は原子力というのは準国産エネルギー扱いということで、これは日本だけではありません、世界各国そのような扱いで考えていると。理由の一つとしては、非常に小さな体積でもって膨大なエネルギーを発するということであります。例えて言うならば、よく言われますのは、原子力エネルギーというのは石油に比べて同じエネルギーを出すのに体積比で七万分の一、石油は七万倍掛かるということです。これはストックコストが極めて安く済むわけですね。こんな小さなエネルギーで大きなエネルギーを発するという意味で、一旦輸入してしまえばそれはもうほぼ、まあ今停滞はしておりますけれども、リサイクルというような仕組みもあるのだからこれは準国産エネルギーでしょうと、こういう扱いになっておるわけでございます。  したがって、この国産エネルギー、言わば再生エネルギーとそれから準国産扱いである原子力、これは従来から我が国にあるわけでありますけれども、これをやはり一定量以上確保しておく必要性というものが私は、原子力については特にいろいろ問題がありますけれども、やはりそこは冷静になって、その一定量以上の確保というものをいかにうまく進めていくかということかと思います。  じゃ、具体的に何かということでございますが、次の行に目を移していただきたいと思います。  柱といたしましては、再生エネルギー原子力について今日は特に取り上げたいと思うんですが、再生エネルギーコスト問題だと思います。特に今、だんだん世界でも取り上げられつつあるのが風力とそれから太陽光であります。まさに自然エネルギーで、燃料費は全く掛からないものであります。これは、有効に使えばこれほどいいものはないと私も思いますが、残念ながら、今地球上の人類が持つ技術ではそんな多くを回収することができない。もし全部回収しようとすると多大なコストが掛かって、これでは逆に費用対効果が悪過ぎて、どうにもこうにも今の技術ではできない。将来の蓄電技術でありますとか、あるいはエネルギー回収技術の向上というものは、これはもちろん我々の子孫の代でいろんなものが出てくることを期待しているわけですけれども、現に、あるいは当面、今後十年間、二十年間を見たときにどうですかと言われると、これはいささかちょっと余り自信が持てない状況にあるということかなと思います。  しかしながら、これは特にヨーロッパ、ドイツあるいはスペイン、デンマークなどでも大分導入されていますけれども、再生エネルギーへの期待感というものは、これはもう世界的にもあるわけですね。日本がそれに乗り遅れるというのは、それはまたそれで良くないと。でも、この高いというものをどういうふうにやっていこうかとなりますと、どこかから補填するしかないんですね、高いのですから誰かが補填しなければいけません。この補填の仕方、もっと分かりやすく言うと補助金の出し方、これに工夫の余地があろうかと。  今は高い買取り制度、高いですね、世界的に高いです。もう数字見れば明らかです、高いんです。この高い買取り価格をずっと堅持するのかと言われると、実はこれは資源エネルギー庁がこの間も委員会の方で出しましたけれども、やはりちょっと最初高過ぎたよなと。二〇一二年、最初入れたとき高過ぎた。高かったです、世界でも一番高かったです。やっぱり下げにゃいかぬなということで漸減傾向にあって、やはり今回の買取り価格も下げる。恐らく今後もこの流れというのは止まらないと思います。だからといって、ゼロになるということではないんですが、やっぱりもうちょっと下げないと、どうしても世界レベルからすると日本は高いねと。  この間ドイツへ行ってまいりまして、これは再生エネルギー大国ですね。よく知っているんですね、ドイツ政府の方は日本制度を。いや、日本は高いね、ドイツの十年前ぐらいだねなんて言われまして、ああ、そうですかなんて、数字見ると本当にそうなんですね。だからといって、彼らは日本が遅れているとかそういう言い方はしませんでしたけれども、ぼろっと向こうの政府の複数の方が私に言ってくれたのは、頑張ってねと、でもドイツみたいな、高くてちょっと失敗した部分があるんだよ、ここは気を付けてねみたいなことでアドバイスはいただきましたけれども、そのぐらい高いんですね。だけれども、これをやめてしまうとどうなるかというと、これは広がらないです。広がらないですね、高いんですから。  しかも、残念ながら、太陽、風力というのは不安定なんです。今も曇っていますね。晴れればどうだ、曇ればどうだ、夜になったら発電はしないですね。風力は、天気がいいときには風車動かないです。じゃ、風が強くて台風のときはどうかといったら、これは風車ごと飛んでいっちゃうんで、これは駄目ですね。ということで、適当なあんばいの風がないと無理だと。要するに、ぶれちゃう。こういうものをきちんとどうやって補填していくかという、これは金が掛かるわけですね。化石燃料も掛かります、石炭石油補填しなきゃいけませんので。  そういうコストをどういうふうに考えていくかという議論余りないので、これについて是非今日この国会の場で私は提起したいのは、この下に書いていますけれども、実は安定財源というのはあるんですね。これは、私は、やはり今日本にある既設原子力発電所、これが今止まっております。しかし、既設原子力発電所というのは安いんです。これは誰がどう言おうと安いんです。新設は高いと思います。これから造るやつはやっぱりいろんな投資をしなければいけません。震災以降、いろんな基準ができました。だけれども、既設は安いので、そういう安い電気を使ってこういう高い電気とブレンドしながら、その安い電気で得た収益補填をするという仕組みをすれば、高い買取り価格も是正できますし、新たな補助金を税金の中から出すという必要もないであろうと。この細かな計算というのは私自身はシミュレーションはしておりますけれども、設定の仕方によってこれは十分可能なものであると。これによって国産エネルギーであるこの二つエネルギーがうまくブレンドして両方うまく進めるよなと、こういうことになろうかと思います。  ここで、高稼働率というふうに書いております。何だ、高稼働率かと、低かったのかという御質問が飛んでくるかと思いますが、低かったです。アメリカは二〇一四年度、原子力発電所稼働率は九二%です。日本震災の前、二〇一〇年の稼働率は六九%を切る六八・幾らだったと思います。その前の五年間を平均しても七割ちょっとぐらいですね。つまり低いんですね、休ませ過ぎです。これを安全側に見ているからということをおっしゃる方いますけれども、それはちょっと、いささか日本規制が私はこれぞ世界から遅れているんじゃないかなというふうに思います。使えるわけですね、技術的には大丈夫ということで。そういった活用を是非していくべきというふうに思います。これは技術的には可能なものであります。私が今日申し上げることは、技術的に可能なものしか申し上げません。政治的にはいろいろあろうかと思いますが、申し上げることは全て技術的に可能なものであります。  それからもう一つ、やはり原子力といいますと、どうしても、事故が起きて、あの記憶というのは、これはもう私、消えないと思うんですね。それはそうですよ。私だって、あの場面を見たときにはびくっとしました。あっ、大丈夫かなと思いました。それが、やはりああいうふうに今インターネットで即座に日本国中、世界に流れるような世の中ですので、みんなが知っている、この状況。これに対して、怖い、だから原子力をやめるという気持ちも十分分かるんです。非常によく分かります。その中でどうやってじゃ原子力というものをやっていくかとなると、政府では原子力依存度の低下、これは安倍総理もよくおっしゃっていますけれども、極力原子力依存度を低下させていくと。それは、私は今の政治状況、この国の空気から考えると仕方ないと思います。であれば、それはその方向で進んでいくのであろうと、私はそう思います。  ただし、そのフェードアウト、脱原発への道の進め方、ここに私は危険が潜んでいるかなというふうに思います。つまり、原子力発電所は、これは元々分かっていたことなんですが、四十年にせよ、二十年延ばして六十年にせよ、それで終わりではないんですね。この後、バックエンドというのがあって、使用済燃料をどうするか、最終的な高レベル放射性廃棄物ですね、いわゆる核のごみと言われるやつですが、これをどう捨てますか、どこに捨てますか、幾ら掛かりますか、そのための人はどうされていますかというのがあるわけですね。  そのお金はどういう計算で立てられているかといいますと、原子力をそこそこ動かそう、動かしてそれで回収して積み立てておこうと、こういう計画なんですね。これは別に今ここで言う話ではなくて、前から分かっていることであります。どうもそれを忘れて、今やめればいいんだ、原子力発電所が止まっていれば安全なんだというような空気が流れている。これはやはりマスコミのせいというのもあると思いますけれども、これは政治メッセージとしてはそうではないということを私は国会の皆様から是非発していただきたいなと。  止まっているから安全ではないですね。止まっていて安全ならば、福島第一原子力発電所事故は起きなかったと思います。あれ、止まっていました。地震で止まりましたですね。正常に動いていたんです。ところが、津波が来て、冷却電源がなかったので駄目になってしまったという、これは真摯に反省しなければいけませんし、きちんと再発防止策を講ずる、当たり前のことであります。多重防護は当然のことであります。だけれども、止まっていれば全ての原子力発電所が安全というのは、これは違うということは再認識をしていただければというふうに思います。  そして、安全投資は必要です。原子力発電所をやめたって廃炉するのに何十年も掛かります。そこにあの津波が来たらどうされますかということなんです、あの津波が来たら。それは、物事は確率ですので、あの東日本大震災級のものが来るかと言われたら、それは、私は個人的には、確率で考えれば、そんな私が生きているうちは来ないだろうとは思いますが、しかし、そんなことを言っているから原発安全神話ができてしまうのであって、そういうふうに達観していてはいけない、だから対策を講じる。  廃炉プロセスでも安全対策は必要なんですが、そのためのお金がないんです、止めていますから。だから、早く発電再開しないといけません。規制委員会の審査を待つと。よく分かります、気持ちはよく分かります。しかし、外国ではどうか。アメリカスリーマイル島、旧ソ連のチェルノブイリなどどうしたか。原子力を全部止めた国なんてありません。やはり、そこで集めた収益でもってきちんとその後の対策を打つ、安全投資のためのお金を同じ原子力で稼ぐ、そして、自分廃炉お金、私は葬式代と言って本を書いたんですが、自分葬式代自分で出すというのが原子力発電所のモデル。そしてやめていくという、このやめるプロセスをきちんと立法府ないしは行政府で私は出すべき時期に来ているんじゃないかなというふうに思います。  即ゼロではなくて、いついつまで動かす、それまでしのぐんだと。そして、その次に向けて、それは自然エネルギーかもしれませんし、天然ガス有効利用かもしれません、石炭の高効率かもしれませんが、それまでにそういった化石燃料再生エネルギーをここまでやってここまで投資をするんだという計画を是非立てて国民に示すことが、今政治役割ではなかろうかと。  生意気申しまして恐縮でございます。時間参りましたので、あと一分だけ。次のページでございますけれども、バックエンドのところであります。再処理、最終処分問題でありますけれども、三つほど。  六ケ所村、青森県、ここは再処理ですね、中間貯蔵。私は、将来的にはアジアの原子力が増えてくれば、日本の六ケ所村が、今は審査中でありますけれども、竣工すれば安全保障と、市場になるというふうに思っております。  そして、その後の最終処分、これはもちろん青森県外ということでありますけれども、そういった方針を堅持しながら外国との協調、オーストラリアが受入れみたいなそういった報道も出ておりますけれども、外国との協調も必要かなというふうに思います。  そして、これは長期物でありますので、トイレなきマンションという、このちまたに流れているものを誤解を解く努力をしていきたいというふうに思います。  最後に、再エネと原子力というのは対立ではない、協調ですと。国産エネルギー政策をということで、私のプレゼンテーションを終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  7. 柳田稔

    会長柳田稔君) ありがとうございました。  次に、河野参考人から御意見をお述べいただきます。河野参考人
  8. 河野博文

    参考人河野博文君) 河野でございます。よろしくお願いします。  お手元に資料を配らせていただきましたので、基本的にはこれに沿ってお話をしたいと思いますけれども、まず、こういった貴重な機会を与えていただきましてありがとうございます。  そして、私、その資料にありますように、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構という大変長い名前の組織でございまして、左側のローマ字にありますようにJOGMECという略称で、現在ではかなり国際的にも認知をされているかというふうに思います。  私どもの組織は、二〇〇四年に石油公団と金属鉱業事業団という二つの組織が合体して新しく生まれた組織でございます。その後、さらに法律の改正が何度かありまして、地熱、それから石炭、こういった業務も加えていただきましたので、現在私どもがやっております仕事は、石油天然ガス、それから金属鉱物、石炭、地熱、そして石油、LPG、金属の備蓄、そして金属鉱害と石炭鉱害の言わばある種の後始末のようなことを引き受けさせていただいているということでございます。  資源開発に関しましては、リスクマネーを供給する、つまり出資をしたり債務保証をしたりするということで日本の企業をサポートすると同時に、日本の会社の方がなかなか行かれないアフリカのようなフロンティアには私ども自身が行きまして探査活動をするといったこともいたしております。  それが私どものあらあらな自己紹介なんですけれども、今日はいただきましたテーマは金属鉱物ということですので、金属鉱物の現状課題ということで簡単にお話をさせていただきたいと思います。  まず、資料の第一ページを御覧いただきたいと思います。  金属鉱物というのは非常に多種多様でございます。マーケットとして非常に大きなものは鉄鉱でございまして、世界で約三十兆円のマーケットでございます。このグラフの真ん中に、少し細かくて見えないものを更に拡大して書いてあります青い囲いの中のガリウムという鉱物がございますけれども、これは世界マーケットが一億ドル、百億円ですので、非常に大きな鉱物から小さなマーケットの鉱物まで何千倍、何千分の一という大きさがありまして、この大きさあるいはリスクの度合いによって担い手が随分違うということを申し上げさせていただきたいと思います。  ここで示しましたグレーが言ってみればベースメタル、基礎となる金属鉱物、そして黄色が貴金属、緑がいわゆるレアメタル、そして赤がレアアースというような分類でございます。  二ページを御覧いただきますと、こういった金属鉱物が例えば自動車でどのように使われているかということを簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。  車の場合、まず液晶の画面がいろいろございますけれども、左側、ディスプレーと書いてありますところにインジウムというレアメタルが使われておりまして、これは液晶の中の透明な配線を構成する金属でございます。こういったものも使われておりますし、ごく僅かですけれども、これがないと液晶画面が映らないということになります。  一つ飛んでいただきましてライト。先ほど、一番小さなマーケット、ガリウムと申し上げましたけれども、LEDにはガリウムが使われております。そして、最近ではハイブリッド、電気自動車ございますけれども、モーターの類いにはネオジウムというレアメタル、ディスプロシウムというレアアース、もちろん配線には銅と、こういった金属類が使われているということでございます。ネオジウムは磁石の性能を大幅に引き上げますし、ディスプロシウムというのはほんの僅かで磁石の耐熱性を非常に高めるという貴重なものでございます。  右の方に行っていただきまして、ボディーの鉄鋼部材には様々な、ステンレス関係あるいは特殊鋼関係の鉄以外の金属鉱物が大量に使われているということでございます。  右に上がっていただきますと、バッテリーで最近はリチウムが電気自動車、ハイブリッドカーに使われるようになってきております。  更に上に行きますと、プラチナ、これは白金族ですけれども、排気ガスをきれいにするための触媒等々に使われているということでございます。  このレアメタル、レアアースの類いは、実は一台の車にほんの僅かしか使われておりませんけど、非常に貴重なものだと申し上げておりますのは、例えば先ほど御紹介したディスプロシウムというモーターに使われるようなものは、一台当たり五十グラム、百グラムのオーダーでございますけど、これがないとモーターの性能が発揮できないということになりますし、リチウムも、電気自動車一台当たり、あらあら十二キロとか十キロとかそういうオーダーですけど、これがないと高性能の電気自動車にならないというようなことになるわけでございます。  その上で、実は鉱物資源は非常に偏在しているということを三ページの世界地図で御覧いただきたいと思います。  非常に偏在性の高いものとして、この地図の左側の端にありますPGM、これプラチナメタルグループでございますけれども、南アで九五%、そして、右の端に行っていただきましてピンクの柱、Li、リチウムですけれども、これはチリから五八%、そして中国に飛んでいただきまして、Wと書いてありますタングステンは世界の五五%、隣のレアアースは四〇%、こういった寡占状態にございますし、また、黄色の柱を見ていただきますと、カザフスタン、南アでクロムの四八%、四一%、この二か国でほとんどを占めていると、こういう偏在性のある資源だということでございます。  我が国の輸入状況も、四ページにありますように、特定の国にかなり偏在しているということでございまして、もちろん、例えば豪州のように極めてオープンな国もありますけれども、それでは、レアアースの輸入相手国、一時問題になりました中国、今でも六割の依存度があるというようなことを考えますと、供給ソースを何とか多様化していきたいと願うわけですけれども、資源の偏在をどうやって乗り越えていくかという問題があるということを御理解いただきたいと思います。  次に五ページですけれども、資源の消費量が飛躍的に伸びております。これが一時の価格高騰を招いているわけですけれども、やはり何といっても中国の消費量が飛躍的に増えてきたことがその背景にあるということでございまして、主要な資源について言うと、このグラフが示しますように、ほぼ中国が世界の中で半分ぐらいを消費して世界の工場になっていると、日本が大体五%ぐらいの消費だという構造になっております。  こういうことを背景といたしまして、六ページを御覧いただきますと、資源価格は大きく変動をいたしております。潜在的には、世界の経済が豊かになるにつれて資源消費量は増えていきますので、やや右肩上がりの価格になるような構造だと思います。しかし、その過程で大きな変動があるわけでございまして、特に最近経験しておりますのは、サブプライムローンの金融危機、それに続くリーマン・ショック、これらで大きくマーケットが崩れまして、がっくりと下がった。しかし、その後、徐々に徐々にまた値段が回復して最近に至っておりますが、このところ、鉛、銅、亜鉛、ニッケル、御覧いただきますと、主として中国経済の減速を背景として値段がやや下がっているという状況にございます。  次の七ページを御覧いただきますと、日本は、先ほど申しましたように、世界の金属資源の五%ぐらいを大体使っている国でありますけれども、しかし、ハイテク産業は日本の言わばお家芸でございますので、特別なものについては非常に高い消費の割合を持っているということでございまして、先ほど御紹介しましたインジウムのようなものは、液晶の透明配線の材料ですけれども、液晶それ自身は今や中国、台湾でかなり作られているわけですけれども、その配線のための合金は日本で作られて輸出されているということで、インジウムの消費量は世界の七六%を占めるということになります。ガリウムのLED、最近有名な青色LEDなどの原料も五割程度日本が消費しているというようなことで、御覧いただきますように、平均的な五%に比べてかなり高い消費割合を日本が占めておりますのはハイテク関連だというふうに御覧いただきたいと思います。  八ページを御覧いただきますと、日本には、先ほどのお話にもありましたが、非鉄金属を中心とした製錬所がまだまだたくさんございます。古いものは、内陸地帯にありますのは元々の鉱山の山元に造られたものでございますけれども、新しいものは臨海部で海外から鉱石を輸入して製錬するということで成り立っている事業でございます。  先ほどのお話もありましたが、これらの製錬所は非常に電力多消費でございまして、最近、私どもがこういった企業の経営者の方にお目にかかりますと、やはり電気料金の問題で何とかしてほしいという強い要望がございます。  また、都市鉱山というお話、後で出るかもしれませんけれども、日本にはこれまで使ってきた金属鉱物を製品化したものがたくさん眠っているわけでございまして、これを都市鉱山というふうに呼んで、リサイクルをして金あるいは貴金属、レアメタルを取り出すという活動が盛んに行われておりますけれども、こういった製錬所はそれの拠点になっているということでございます。  九ページを御覧いただきますと、実は今日、私は、資源に関しては、安定供給を確保するためにも、また経済性を確保するためにも、山元、鉱山権益の確保が非常に重要だということを一つ申し上げたいと思って参りました。  日本の製錬所は、今までは鉱石の買手として、大量に買ってあげるので安く安定的に売ってくださいねという商売をしてまいりました。しかし、中国の成長に伴う価格の高騰の中で、山元の力が非常に強くなりまして、製錬所のもうけが非常に薄いという現状にあります。この九ページの左側のグラフはそれを示しているわけですけれども、また、右側の折れ線グラフ見ていただくと、青い部分はLMEというロンドンのメタル取引所の価格、これが製品の出口、値段は決まっています。その何割を山元の人が取り、何割を、何%を製錬所が利益として確保し得るかというのがこの色分けなんですけれども、製錬所が取れる割合は極めて薄いものになっております。したがって、今や日本の製錬所を経営する企業者は、海外に行って鉱山権益を確保して安い鉱石を自分で持ってくるという努力をしないと経営自身が非常に苦しいという状況になっております。  十ページはそういった資源開発のことを非常に簡単に模式化したものでございますけれども、もちろん資源開発には非常に長期間を要します。何十年掛かりの作業でございます。生産期間が二十年、三十年というのは当たり前でございますが、しかし、それにも増して、それに先立つ非常にあらあらの探査、そしてどれぐらいの鉱石が本当に掘り出せるだろうかという探査活動、FSと呼んでおりますけれども、そのために十年程度掛かります。この期間のコストはそれほど物すごく大きな規模ではありませんが、これを掛けることによってその後の商業生産がどれぐらい採算に乗るかということを見極めるということでございまして、採算に乗ると見極めた後では数千億円掛けて鉱山開発が行われるという状況にあります。後ほど御紹介するカセロネスというチリの日本一〇〇%の鉱山は、もう数千億円規模の事業でございます。  十一ページをちょっと飛ばさせていただきまして、十二ページを御覧いただきたいと思います。  先ほど申し上げたような動きですので、チリでついに日本資本一〇〇%の銅鉱山の生産が昨年から始まっております。安倍首相も開山式においでになって、昨年の七月に大きなパーティーがありました。現在、なかなか産みの苦しみで初期生産を上げるための苦労をしておりますけれども、これなどは日本の資本が海外で自主開発をやった典型的な例だというふうに御紹介できると思います。これについても、JBIC、それから私ども、それからNEXI、貿易保険、みんなが協力して資金的なサポートをいたしております。  十三ページを御覧いただきますと、これはリチウムの例でございまして、先ほどチリからほとんどのリチウムを輸入していると申しましたけれども、これからはアルゼンチンからも入ってまいります。これも、日本の企業がかなりのパーセンテージで参画したアルゼンチンのオラロスという塩の湖からリチウムを取り出す事業でございまして、これについても昨年から生産が始まっておりまして、今いろんな不具合を調整しておりますが、今年のしかるべきタイミングから本格生産に入れるだろうというふうに思っております。ここでの生産量が大体一万七千トンぐらい取れるのではないかともくろんでおりますが、日本の現在の消費量が一万五千トンですから、全部日本に持ってくるわけではないんですけれども、日本の消費量を賄うぐらいの事業になっております。  これについても、私どもは債務保証をさせていただいて、最初の段階からお手伝いをしておりますが、こういったことを支援するのが私どもの仕事だということでございます。  十四ページを御覧いただきたいんですけれども、右側の分かりにくい写真、これは私どもJOGMECが持っております衛星情報を特殊処理して画像化するという技術でございまして、これである程度鉱物の賦存状態を把握することができる、したがって探査活動をやるときに絞り込みができるという技術でございます。これらを駆使してチリでフロンテラというかなり大きな鉱山を見付けることができまして、これはカナダの企業との合弁ですけれども、それを日本の企業に権益として引き継ぐことができましたので、いずれこれが日の丸鉱山になっていくだろうと期待をしております。  同様に、十五ページを御覧いただきますと、日本資源会社は実はかつてアフリカでちょっと痛い目に遭って撤退した経験があります。なかなかアフリカに出ていくのに慎重でございますけれども、そういったときに私どもが出ていこうということで、南アフリカで白金族の探査をやっておりまして、これも金属量で六百九十三トンというかなり大きな埋蔵量のものを見付けておりまして、これも近い将来日本の企業に権益として譲り渡していきたいというふうに計画をいたしております。  それ以外にもいろんな私どもの関係の事業がありますが、一つは鉱害、海外で鉱山を安定的に経営していくためには、日本がかつて経験したような鉱害問題をどうしたら今から未然に防げるかということは非常に大きな使命でございまして、私どもは、ペルーから強い依頼がありまして今専門家を派遣しております。同様のことを、私どもが訪問しますとアジアの国もアフリカの国も是非教えてくれということですので、日本の国内の環境を守るための活動は今国際的に非常に価値ある活動と評価されるようになっているということを一つ申し上げておきたいと思います。  もう一つは、先ほどちょっと触れました写真の件ですけれども、ボツワナに、特にSADCという南部アフリカ諸国の連合の事務局のある国がございます。かつて信用度が日本の国債と一緒だとか言われて問題になったというか議論になった国でございますが、非常にいい環境の国でございますけれども、そこでこのリモートセンシング、つまり人工衛星から得られた画像情報を処理して、こういうところに鉱脈がありそうだということを分析する、この技術を今アフリカ諸国のエンジニアに教えておりまして、既に何百人育てております。これは、資源などで非常に進出著しい某国の活動に比べますと、お金ではなくて技術を教えるということで大変喜んでいただいているということを申し上げたいと思います。  お時間もありませんので駆け足になりますが、十七ページは、じゃ日本資源はないのかということでございます。  実は、日本の近海、あるいは日本からちょっと離れている公海上に海底資源がございます。この中で、特に日本のEEZの中で、左側にあります海底熱水鉱床というものを幾つか発見をしております。十八ページの地図にありますように、沖縄の近傍にかなり大きな鉱脈を幾つか発見しております。私どもだけではありませんで、海上保安庁の協力を得て発見したものもございます。また、小笠原近辺にも、これほど大きくはありませんが、海底熱水鉱床の鉱山があるというふうに思われておりますし、十七ページの上のコバルトリッチクラストというのは、これは、公海上で私どもが世界海底機構から世界で初めて独占的な探査権を、鉱区を得た地域があるということでございます。  これは、十九ページにありますような、こういった船を浮かべ、そこから機械を下ろし、それからパイプを下ろし、下で掘削した鉱石を上に揚げてくるということを実用化することによって将来可能になるわけでございますけど、まだ時間の掛かる話でございます。  私は、鉱物資源ということで今日は触れないでおこうかと思いましたけれども、もし御関心があるといけませんので、二十ページにもう一つの国内資源、メタンハイドレートについて簡単な資料を添えさせていただきました。  二十ページの地図の右下にございますように、愛知県と三重県の沖合の第二渥美海丘というところで、一昨年、メタンハイドレートの世界で初めての洋上生産実験をいたしまして、まだ商業化するには一本の井戸から出る量が少ないんですけれども、六日間の連続生産成功いたしましたので、この技術を更に高めていって将来国産エネルギーにしたいと。埋蔵量的には、この地域だけで、割と濃い部分で日本の消費量の七年分ぐらいはあるだろうというふうに見ておりますので、日本全国をくまなく探査していけばかなりの埋蔵量が期待できるのではないかというふうに期待をしております。  今日、私はこうした事実を皆さんにお伝えすることを使命とさせていただきましたけれども、資源は安定供給を図る必要がある、そのためには供給源の多様化を図る必要がある。同時に、今や資源は山元が利益を生む、高いお金を払って輸入しなければならない。しかし、そのプロジェクトに最初から投資をしていれば、そのプロジェクトがうまくいったときに配当という形で利益を言わば取り戻すことができる、還元、還流させることができる。そういう意味で、権益の確保というのは重要な役割を持つものだというふうに思いますし、何といっても、初期からやる、一番早いステージの探鉱活動からやることが利益を生む源泉になるので、もちろん技術が要りますけれども、そういった努力が必要であるということ。  そして、最近、商社の皆さんでも資源で減損を出したり、あるいは一昨年辺りは非常に最高益を記録したりしておりますけれども、実はそういったプロジェクトを始めたときの方はもうその会社には多分おられないというケースがたくさんある。それほど、先ほど申し上げたように、資源のビジネスは長期間を要しますので、この資源政策の成否は時間を掛けて是非御評価いただきたいということを申し上げたいと思います。  今日はありがとうございました。
  9. 柳田稔

    会長柳田稔君) ありがとうございました。  次に、原田参考人から御意見をお述べいただきます。原田参考人
  10. 原田幸明

    参考人原田幸明君) 原田です。どうも、機会を与えてくださいましてありがとうございます。  では、説明に入ります。  まず、一ページ目ですけれど、これは私の入っている研究所の紹介でございまして、せっかくだから少し宣伝してこいと言われましたもので付けておりますので。こういう材料の開発をしている研究所に勤めております。そういう視点から、今回資源とリサイクルの面に関して話したいと思います。  二ページ目からが本題でございまして、まず皆さんに強く理解していただきたいことは、この二ページ目というのは、今、日本が何でもうけているかという絵です。貿易の部分の輸出の部分で、金額のシェアでリーマン・ショック以降一番に出ていますのはこの赤い線、これは工業素材でございます。化学製品、金属類、そういったものです。これがなかなか表に出ないのは、統計が古い統計になっていまして、区分が、光ファイバーだとか、先ほど出ました半導体のターゲットだとか、そういったものが別分野になっているんですね。そうじゃなくて、日本世界に出しているものをまとめていきますと、青が自動車です。自動車よりも日本は工業素材でもうけている国だということを、皆さん、頭の中に是非入れてほしいと思います。  その中でも、特に先ほど河野参考人から紹介がありましたレアメタル類、これは非常に重要な役割を果たしておりまして、次の三ページの絵ですけれど、ごく少量のレアメタルがかなり多くの製品に影響を持っています。我々はこれを産業のビタミンと呼んでいます。要するに、米や肉とは違っていつもたくさん取ることはないんですけど、なくなったときの失調の具合が非常に大きい。だから、これを基本的にきちんと確保していくことが重要です。  しかも、四ページ目、今からエネルギーに関しましても様々なイノベーションが求められておりますが、下に懐かしい元素記号でいっぱい書いておりますので、なかなか分かりにくいと思いますけど、これほどのレアメタルが期待されているということです。  例えば、太陽電池もシリコンだけではありません。化合物半導体もあります。燃料電池の一番上、Ptは白金です。これが必ず必須です。二次電池にはリチウム、コバルト、REと書いてありますのはレアアースです。それからモーター、先ほども出ましたけれども、モーターでDyと書いてありますのはディスプロシウムという、恐竜の名前のような金属ですけれども、こういったもの。例えば今、日本の電力消費の四八%が製造業で、うち動力は五八%、空調一一%です。モーターが変われば日本は変わります。民生部門においても、エアコン二六%、冷蔵庫一五%です。それほどの部分をこういうレアメタル類が担っています。更に言うと、照明のLEDに関しましては、照明も電力消費、民生の一一%です。こういった本当に産業のビタミンが非常に重要な役割を果たしております。  次の五ページ目の絵は、これはもう先ほどの河野参考人意見でも出ておりますように、レアメタルの需要、金属だけでなくレアメタルの需要も伸びておりまして、特にレアメタルは、中には四倍だとか二倍だとか、非常に高いものです。  ところが、最近メディアがどうも鎮静しておりまして、レアメタルは終わったんじゃないかということで、六番に、これ最近の価格動向をいろいろな金属書いております。下の方に書いてありますのがレアアース類でして、一時期非常に高くなったもので、今はかなり安いんじゃないかというふうに思われておりますけれども、上の方はほかの金属類、やはりずっと高値の状態を維持しておりまして、次の七ページに、これまとめたものですけれども、要するに十年前と比べましてこの青色は十年前の何倍かというので、中には二十倍以上、低いのでも二倍とか三倍です。ちなみに、ガソリンが一・五倍ですね。だから、十年前と比べるとまだ高い水準ですし、変動の幅も、赤のグラフがそうでして、大体百倍変動したとか二十倍変動したとか、そういう非常に不安定な状態の中で、今の日本の材料の産業が動いているし、その産業が日本を大きく支えていっているということです。  この変動の仕方、注意して見ますと、次の八ページの絵、これはなかなか皆さん見ない絵なんだと思いますけど、一九〇〇年からの値段の変動を見ていきました。そうしますと、第一次大戦後、第二次大戦後、オイルショック、現代。現代はそういうフェーズにあるということなんですね。近視眼的な資源の見方ではなくして、もっと長期的に見るならば、完全に戦略を立てていかなければいけない、そういう時代にあるということです。  そういう中で、このレアメタルをどうするかという一つのオプションとして、今から話すリサイクルの話が出てまいります。  数年前から小型家電リサイクル法が動き出しまして、次の九ページは、経産省、環境省の勉強会の中でデータを集めながら作った、これだけのレアメタル類が日本の中にある小型家電から出てくるよと、これをちゃんと使いましょうということで動き出したわけです。正直申しまして、余りうまくいっていません。というのは、リサイクルに対する考え方が実は古かった。  次のページを見ていただきたい。リサイクルは、青で書いた考え方、今までやっていた。リサイクルに対しては、廃棄物を減らしましょうね、環境に悪いものを出してはいけません、それを無害化しましょうという方向と、それから資源を確保しましょうという方向で、言うならば片方が環境省、片方が経産省という分担で今までは進められてきたわけです。  ところが、今度のレアメタルの危機で少し分かってきたことは、どうも資源の確保というのは二つあるよと。たくさん回すものを回していこうというふうな鉄とかアルミだとか紙とかガラスでやっているようなリサイクル、これと、レアメタル、レアアースがなくなった、さあモーター作れませんよ、どうしますか、そういうときに対して対応してくるそういうときのリサイクル、それをリサイクルで賄おうというリサイクル、この二つというのはどうも違うんじゃないかと。  今こういうレアメタル類で必要なのは、そういうリスク回避、赤で書いておりますリスク回避のところのリサイクルが必要であると。これはいいことは、すごくいいことがあるんです。何かというと、天然資源と違いまして、リサイクルの場合は欲しいところに原料があります。我々が使っておるところに原料があるわけです。だから、まさにリスク回避としては非常に優れているわけなんですけれども、一つ問題があります。というのは、リスク回避のときじゃないと経済的に成り立たない、定常的に存在させることがなかなか難しいわけです。  小型家電リサイクル法の場合、非常に積極的なんですけれど、やはり従来のリサイクル法で考えていて、リサイクル屋さんが頑張ったら動くよ、そうするとレアメタルも貴金属もリサイクルできるでしょうという枠組みでやってしまったんですけど、実はそうじゃなかった。本当は何らかの形で外的な形のサポートをしていって、リスク回避のシステムをつくる必要が一つにはあったと思われます。  それからもう一つ、リスク回避という側面でいいますと、廃棄物の減量との関係です。少しこのページ長くなって済みません。廃棄物の減量との関係でいいますと、廃棄物をためておくということは良くないことだというふうにずっと言われ続けてきたわけです。ところが、やはりすぐに物にできないで廃棄物としてためておかなければいけないケースもあるわけですね。ところが、この辺が整理されていない。やはり、大量循環の観点でいうと、大量に循環するもので悪いものをためていくのは良くないんですけれど、リスク回避の観点でいくならば、それを積極的にストックにしていく、そんなふうなことも必要だと。そういうふうな政策のリサイクルに対する見方の転換が求められているんです。  これは、政策だけじゃなくて、実はリサイクルをやっている方々にも我々が言っているんですけれど、どうも今までのリサイクルって本当はリサイクルじゃないんじゃないかということを十一ページで言っています。  というのは、先ほどから議論されていますように、日本はやはりハイテク製品を作っている。そのためのハイテク素材に物すごく高い技術力を持っている。で、原材料を買ってきている。で、リサイクルして作ったものを、またこれをインゴットとしていくと、市場で翻弄されるんですね、値段が価格変動しますと。それでリサイクル業の方々というのはなかなか非常に厳しい立場なんです。どんどんそういう方々が今潰れていく、そういう状態になっています。そうじゃなくして、リサイクル自体も質を変えていって、ハイテク製品に伸ばして持っていけるようなリサイクルに質を変えていく、そういうふうな積極的な取組を政府がリードして、日本のハイテク産業に合った、そしてリサイクル産業を生かすような形を仕組んでほしいと思います。  ここでちょっと気付いてほしいんですけど、ここに、自治体の後の矢印にリサイクル業と書いていなくて資源仕分業と書いています。これは何かというと、日本の産業分類にリサイクル業というのがないんです。廃棄物処理業、古物卸業ってあるんですけど、リサイクル業ってないんです。そういう意味でも、リサイクルってまだ日陰者です。日陰者が今からこういうリスクに対して対応していかなければいけないということなので、是非その辺のシステムを整えてほしいというふうに思います。  その次の絵は、これは今言ったことの繰り返しでございまして、今までのリサイクルを単に保護するだけでなく、より高度なリサイクルにしていく積極的な努力をしていかないと、リスク対応のリサイクルはできないということでございます。  引き続き、じゃ、そういったときの元の資源はどこにあるのかということで、先ほど言いましたように、我々が使っておるところにまさにある。先ほどの河野参考人意見にもありましたように、都市鉱山というものがあって、実はこの十三ページの絵は、私が二〇〇八年にうちの物材機構の方で発表して、これだけの資源日本の中にも眠っているよということを指摘したものです。  ただ、ここで注意していただきたいのは、これは、ここに世界の埋蔵量と日本の蓄積量を比較しておりますけれど、埋蔵量というのは、今すぐ掘れるのにまだ掘っていない、お金になるんですね。蓄積量というのは、あるだけなんです。だから、この蓄積量を埋蔵量に変えるというプロセスがこの間にもう一個要るんです。それが言うならばリサイクル業の育成です。ただ、黙っておいて日本の中にある資源が使えるものじゃない、きちんとしたリサイクル業を育成しないといけない。それによって初めて、日本の中にある資源が確保されることによってリスクにも対応でき、日本の産業の基盤が確保されると思います。  そういう中で、次の十四ページで、これは特にメディアなんかがよく誤解しているんですけれど、都市鉱山というのを家庭の出した電子くずだというふうな感じで扱っています。これは家庭の皆さんがリサイクルに参与するという意味では非常に積極的なんですけれど、量的に言うと非常に大きな間違いです。左側の方に書いています原料、製造、使用、この部分に多くのものがたまっております。この部分をどういうふうにうまく回していくかということがリサイクルの観点では非常に重要です。もちろん、家庭の使われたごみの中にある、リサイクルしていくことも重要ですけれど、量的なバランスを失わないような政策が必要なんです。  次の絵に描いていますのは、今言ったような状況ですので、使用済みの製品からのリサイクルは正直申しましてまだ進んでおりません。この中にグラフがありますけれど、灰色のグラフは、プロセスと書いていますけど、これは製造段階から出てくるくず、先ほどから言っていますインジウム、ガリウム、こういう重要なものは製造段階からかなりくずを利用してやっていくシステムができています。  ところが、全体を見て、まだまだです。黒い部分が使用済みです。鉄は幸いにも磁石にくっつくという性質があるので、使用済みのものが使われていますけれども、まだまだ使用済みのくずはリサイクルされておりません。この辺を強めていくと同時に、どちらかといいますと、この灰色の部分がまだ低い、ほかの部分も。こういう産業くずをうまく生かしていきながら、そこに市民の取組も含めていくようなバランスが重要です。  十六ページは、そういう意味ではちょっと今回のシステムとここはずれますけど、リサイクルという意味では、これからのリサイクルに関しましては、むしろリユースを中心にするリサイクルです。使えるものの使い方という形で進めていって、それでむしろ市民的なコミュニケーションの取組とか、そういうところを重視して進めていく。資源の確保という観点に関しましては、産業くず、工場くず、そういうところをリサイクル。むしろ、それをうまく回していくリサイクル業をまさに産業として育てていくことが求められているということです。  ということが国内の状況なんですけれど、最近また大きな変化が起きています。というのは、物の国際的な流れが変わっております。さきにお見せしましたような資源動向の中で何が起きているかといいますと、今までは国内の需要があって、たくさんのものが出ていて、それを輸出していたわけなんですけど、まず物を作っているところが変わってきています。日本ではなく、日本の企業も生産の転移で東南アジアに変えておりますけれど、そういう部分に移っています。それから、世界に物を作っておるところの中国、世界の工場、隣の国にそういう国際的な資本を受けた形での集中的な製造ができる国ができています。そういう形で、今まで日本日本国内で作って物を回していくという時代から、世界中に物が回っていく時代になる。  さらに、使用済みに関しましても、リユースフローと書いておりますけれど、使用済みのものもかなり海外に流れています。フィリピン、ベトナムを通じたりして回っておりまして、例えばちょっと古い二〇〇九年のデータですけれど、使用済みのパソコンの一二%は中古で海外に行っております。それから、中型の家電では六%、その中の部品で六%、これは貿易の統計に出てくる部分だけです。中には非合法なものがたくさんあって、なかなかつかめないという状態です。  次のページは、貿易の統計でいきますと、二十一世紀になりまして、要するにこの二十年間でスクラップの輸出が急増しております。これは鉄と銅のスクラップなんですけれど、赤と紫で書いているのが鉄と銅のスクラップの輸出でして、二〇〇〇年から急激に上がっているのが分かると思います。要するにこういうリサイクルの市場が、国内の資源確保だけじゃなくて、完全に国際市場の下に支配されてしまっている。これをどうするかというのが問われているわけです。  さらに、もっとひどいことが起こっています。これはタングステン、超硬Wといっていますが、タングステンといって、工具で道路をだだだだだだっと破すっていますね。ああいうときに使ったり青函トンネルを掘ったりするときに使われる非常に重要なものですけど、これが全体の投入のうち、下の方に赤丸付けていますけれど、集めてきたタングステンの半分は海外に行く。日本の中でタングステンを金属として取り出しても、そのうちの半分は海外に行くと。全体でいうと六〇%近くは海外に流れていく、そういう構造になっています。先ほど、一番最初に言った、日本が材料を使って生きているよという国の姿とは思えないような構造です。  で、どこへ流れていっているか。次の絵ですけれど、これは世界中の国々をちょっと若干一応デフォルメして、ヨーロッパがかなり膨らんでいますけれど、丸描いたJPが日本でして、あとアメリカとかドイツと書いていますけれど、黒丸が輸出国で白丸が輸入国、国の貿易の流れが線の太さです。タングステンはドイツに流れていっております。同じような絵で見ますと、タンタルというコンデンサーに使う、言うならばアップルがパワーが大きいのはこのタンタルコンデンサーのおかげなんですけど、これも日本がかなり製造しているんですね。ところが、この絵で見ても、アメリカなんかに入って日本ナッシングに近い、こういう状態です。それから次に、リチウムイオン電池で必要なコバルト。リチウムイオン電池はまさに日本の製造の産物です。これも日本ナッシングです。こういうふうな状態が起きてきています。廃バッテリーに至りましては、日本の隣の韓国が世界中から集めている、こういう構造になっているわけです。  この構造の裏腹に、今のは資源の話でありましたけど、これを海外に流していくと何が起きるかというと、そういういいところを取って、いいところだけ食い散らかして回りのものを環境に排出していく。エレクトリックウエーストでEウエーストというんですけど、Eウエースト、悪いのにイーウエーストとはこれいかにという感じでございまして、これをどんどん今やっていまして、私は、これはカラスのようにやるので鴉食リサイクル、カラスのリサイクルだよというふうな言い方をした方がいいんじゃないかと。やっぱりこれが起きながら、さっきのような資源の流れが起きている。  これを、日本のもうちょっとレスポンシビリティーの高い資源循環をつくっていくということが重要ではないかということがこの後半の方の絵になっております。  今、先ほどの流れの中に赤い線を描いております。例えば都市鉱山の鉱脈って書いておりますのは、例えば日本の生産がアジアに転移していく、実はそこで何が起きるかというと、アジアでの産業廃棄物の発生ということになってくるわけです。  例えば今の産業廃棄物、アジアでは三億トンです、日本のより少ないです。ところが、二〇五〇年には三十億トンになります。もしかすると、その三十億トンの大部分が、日本の産業が日本で作った素材をアジアに持ち込んで加工して、そこでできる端材になってしまう可能性だってあり得る。そういうところに対してどういうふうに回していくかということを我々は考えなきゃいけない。これは、アジアの環境の面と日本の国益の面と全く一致した取組になるわけです。  それから、さらに今、リユースフローという形でいろいろな様々な使用済みのものが流れています。これがまさにいわゆる鴉食リサイクルで、また環境破壊も生んでいる。そこに対して、品位の高いリユースもコントロールしていくような流れが必要だ、そういうふうな政策を幾つか打っていく必要があるということで、一応四つ重要なのではないかということをまとめてまいりました。  一つが、リユースを徹底してやりましょうというブランド・リユースということで、要するに、中古製品がどんどんアジアに何も手を付けずに安いから流れていくという状態ではなくして、日本の製造業が責任を持って、中古としてはちゃんと使えるんだということのブランドを持ったような形のリユースシステムを組む。その中で、中古崩れ、そこから出てくる廃棄物、それをちゃんと日本に循環していくようなシステムをつくっていく、これが一つです。  次に、フォローリサイクルというのは、日本の製造業で、実は素材業は日本に残っています、素材は日本出して、製造加工業をタイ、ベトナム、今からミャンマー、そういうところで展開しようとしています。その部分で工場端材がたくさん出てくるわけです。この部分がその場の産業廃棄物になってしまったのでは環境にも悪い。それをきちんと日本に持ってくるようなシステムというものをやっていく必要がある。  それから、さらに、その現地の方々がやっぱりそれと併せた形での産業廃棄物処理技術、もちろんそれから一般廃棄物処理技術、そういったところに日本は高いリサイクルポテンシャルを持っています。そのリサイクルの技術をきちんと与えてあげる、教えてあげる、そういうふうなことを取り組んでいく。  実は、こういう取組というのは数年前も試みられたんですけれど、どちらかというと日本技術を持ち込むという形でやったんですね。そうじゃなくて、リサイクルは基本的には現地の方々がやる。日本の工場は現地に行っても、現地でのリサイクルは現地の方々がやる、そこのところに日本技術日本のアドバイスと日本のコンサルタントが入り込む、そういうふうな新しい形での現地との協力体制、そういったものを組んでいくということをやっていく必要があります。  それをやって、最後は日本の国益になるわけなんですけれども、ファインケミカルリサイクル、要するに、その中で一番付加価値の高いのはどうする、どこに売る、それは日本に持ってくるとハイテク製品に使われるんでもっと高く売れるよ、そういったものは日本に持っていこう、そういったふうな流れをつくる。  今まで、こういった国際的な資源の流れに関しましてはバーゼル条約というのがありまして、これはむしろ廃棄物をどうやって発展途上国に押し付けないかという流れでした。でも、今や発展途上国も生産しています。自らの意思でいろいろなものを生産して、産業廃棄物を出しています。それをどういうふうな形でより高度に利用していこうかということを考えなきゃいけないなということになっている。  だから、バーゼル条約は非常に重要です。でも、それよりも、それに併せて資源の効率的な循環というものをやっていく。要するに、環境効率の高い資源循環のシステムということを我が国がリードしていくということは、これは日本の国益だけではなくてアジアの、ひいてはアジアだけじゃなくアフリカ、南アメリカ、そういった国々も同じような問題に面しております。そういう国々に対して、日本が持続可能な経済をつくっていく上で貢献していく、そういう役に立つのではないかと思っております。  二十七ページの、そこら辺の幾つかの表を今ちょうどディスカッションしている最中でして、こういう考え方がありますよということで、皆様の政策づくりの参考にしていただきたいと思います。  最後、二十八ページはこれはおまけでございまして、昔懐かしい、中学校に見たことのあると思います元素の周期表でございます。申し訳ありませんが、読み方は付けておりませんけれど、幾つかパラメーターですね、これは耐用年数どのくらいなんだろう、それから掘るときにどのぐらい土を掘っているんだろうか、どの国がどのくらい占有しているのか、十年間でどれくらい伸びたかという数字と、あとどこに使われているかということを書いておりますので、是非皆様の政策づくりの参考にしていただければと思っております。  どうも御清聴ありがとうございました。
  11. 柳田稔

    会長柳田稔君) ありがとうございました。  これより質疑を行います。  質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。  委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願いします。  質疑及び答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。  まず、大会派順に各会派一人一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  滝沢求君。
  12. 滝沢求

    ○滝沢求君 自由民主党の滝沢求でございます。  参考人の皆様方におかれましては、貴重な御意見をいただき誠にありがとうございます。  早速でございますが、石川参考人に二点ほどお伺いいたしたいと思います。  先ほどの説明の中で、先月、ドイツを訪問されたということでございます。ドイツというと、脱原発を決めた再生エネルギー大国であります。私の地元青森県、先ほど六ケ所村の話も出ましたが、六ケ所村では今、十万キロワット以上もある大規模なソーラー発電所の建設が進んでおります。皆さんは御存じないかもしれませんが、この六ケ所村でございますが、この地域は、冬場はもとより、夏場でもやませという霧が出まして、ほとんど日が差しておりません。どうしてそのような地域に太陽光発電ができるかというと、先ほどちょっと触れられましたが、まさに固定価格買取り制度、これがあるからでございます。  日本は、ドイツをひな形に、再生エネルギー固定価格買取り制度震災の翌年に開始をいたしました。しかし、原発停止によるコスト高と、早くも問題点が出てきております。    〔会長退席、理事小林正夫君着席〕  マスコミの報道だけを見ると、ドイツは既に原子力ゼロになっていると思っている方も多いかもしれません。しかし、現実は二〇二二年までに原発ゼロを進めるということでございます。  ドイツの先例なども考えて、再生エネルギー、そして原子力、それぞれ日本にとって最適な道はどういうものなのか、そのことをまず最初に一点伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
  13. 石川和男

    参考人石川和男君) 御質問いただきまして、お答えいたしたいと思います。  三月に、ドイツ、中旬に一週間ほど行ってまいりまして、連邦政府、州政府等々十か所ぐらい訪問して、政府の担当者あるいは州政府担当者、消費者団体、産業団体、あとは、太陽光パネルの屋根貸しという事業がありまして、その事業をやっておられる方々等、いろんな対談という形の調査をさせていただきましたけれども、今、滝沢先生の御発言の中にもありましたけれども、ドイツ自然エネルギーはもうこれは世界で一番進んでいる国であります。  御質問の趣旨に対しての私の考えでございますけれども、やはり先ほどもプレゼンテーションの中で申し上げましたけれども、どうも日本は、震災以降、再エネ対原子力が対立していると、何かそういう論調多いですよね。原子力をやめるんだ、その代わり自然エネルギーだと言って、自然エネルギー推進をしたい人たちは原子力を言ってみればバッシングをする、逆に、原子力を推進したい勢力は再生エネルギーは駄目だと言って、お互い何か罵り合っている。そうではなくて、やはり二つがジョイントして、さっき申しましたとおり、国産エネルギー政策としてお互いがお互いを補填する。具体的には、既設原子力が再エネの高い部分を補填する、よって国民負担を上げない、これが私、この共存共栄の道が私は肝要かなというふうに思います。
  14. 滝沢求

    ○滝沢求君 先ほど石川参考人の二十分の説明の中で、残り一分というときに、再処理と最終処分の話にちょっと触れられました。  ドイツはフランスに再処理を委ねております。しからば、先ほど話しましたように二〇二二年まで原発を稼働させる予定のドイツは、その対策をどのように考えているのか。そしてさらに、もう一点になりますけれども、加えて、日本にとって現実的な解決策というのはあるのかどうか、どのようなものなのか。私の地元青森県では県民を含めて不安に思っておりますので、そのことも併せてお伺いいたしたいと思います。  先ほど、残り一分で恐らく話し足りないこともあるでしょうから、どうぞその辺も含めて、最終処分地の考えもお伝えいただければと思います。
  15. 石川和男

    参考人石川和男君) お答えいたします。  まず、ドイツで私がいろんな方々と対談をさせていただきまして思いましたのは、基本的にドイツ原子力の、二〇二二年までやって、その後の廃棄物問題も含めたバックエンド対策というのは、全くもって日本と同じ状況にあるというふうに感じました。というのは、ないんですね、ごみ処理場が、やっぱり。それについて、日本も同じなんだよと申し上げたら、向こうは、まあそうだろうなと。どうするんですかと聞いたんですよ。そうしたら、いや、頑張ると言うんですね。どう頑張るんだと言ったら、地道にやっていくんだと。日本と同じような状況にあると。    〔理事小林正夫君退席、会長着席〕  それから、今、滝沢先生おっしゃいましたけれども、ドイツは再処理をフランスに委ねているんですね。以前はドイツでやっていたんですが、全部フランスにお願いと、取引みたいな形にしているわけですね。本当あの二つの国というのはうまいことやっているなと思うんですけれども、お互いがそれで商売をやっているわけですから、何てずる賢くて、日本もそういうものをまねなきゃいかぬなということで。  さっき実は言いそびれたことが私の二枚目の紙のところでありまして、再処理というのは、恐らく今後アジアで原子力発電所というのは増えていく見込みであります。これはもう世界エネルギー機関、国際機関がありますが、そこでも出されていますし、実際に東南アジアでのエネルギー需要を考えると、それはどうしても油とか石炭だけじゃどうにもこうにも追い付かないというわけで、これは原子力をやらにゃいかぬと。となると、必ず使用済燃料って出てきますので、その処理どうするかと。結局、同じなんですね。  日本と同じ問題が生じるときに、さっき申し上げたかったことを、もしお許しいただければということで発言申し上げますけれども、アジアで再処理が長期的に必要になります。長期物として考えるべきと。そうすると、日本の青森県の六ケ所村が再処理のアジアの拠点として、まさに言ってみれば貿易拠点になり得るということも含めてこれは考えていくべきものであろうと。  ただし、これはあくまでも再処理の話でありまして、最終処分につきましては、これはドイツと同じだと思いますが、なかなか見付かっていない状況ですね。これについては地道にやっていくと同時に、もう一つ、最終処分というのはすごい先の話です。  よくトイレなきマンションという説が、私はあれは本当風説にすぎないと思っておりますが、トイレは今要らないです。今すぐ要らないですね。今すぐトイレあると困ります、その管理が。入れるものがないんです。トイレに収めるものがないんですね。  したがって、これは実は、再処理をして高レベル放射性廃棄物になった後に三十年から五十年ぐらいは、空冷といって、置いておくわけですね、置いておくと。この期間あるわけですね。うかうかしていられません。選定して概要調査をして細かいことをやって、やっぱりそれは二十年、三十年掛かりますので、今その場所を見付けておいて全く損はないんですが、今すぐごみ処理場がないから駄目だという論はここで明らかに違うということを私は先生の皆様に御認識をいただきたいと。  もう一つの滝沢先生の御質問について、じゃ、うまい方法何ですかねということなんですが、私は、やはりそれは特効薬はないと。俗に言う政治主導、政府安倍総理がよくおっしゃっています、前面に出るんだと。国が前面に出て、とても自治体だけではし切れないことを国が全面的に責任を持って進んでいく、説得をしながら、説明をしながら進んでいく、このプロセスは大事だと思いますが。  一つだけ、その過程において、廃棄物いつ捨てるんだ、それまでに一体幾ら掛かるんだと。この問題というのは長期物ですので、一年、二年ずれる可能性があるんですよね。早まることはないと思いますが、一年、二年遅れる可能性がありますので、そのときに一体幾ら掛かるのであろうかということもきちんと試算をしておくべきと。  ちなみに、私は試算をしてございまして、使用済燃料ですね、再処理の前、これが一年間寝かせておくと大体、私の試算ですと六億円です、年間。これをたった六億と呼ぶのか六億円もと呼ぶのかは、それは人によって価値観が違うと思います。それから、高レベル放射性廃棄物を一年間、見付からなかった、一年間延長だ、置いておこう、で、幾ら掛かるかというと、私が試算しましたら九十六億円です。  今、日本は追加燃料費で一日百億円以上、資源国に流れているという状況、そのぐらいのオーダーのものでできるというふうに試算をしながら、中間貯蔵そして最終処分のプロセスをきちんとやって出していく、これは政府に是非求めたいというふうに思っております。
  16. 滝沢求

    ○滝沢求君 非常に今、政府が前面に出る、そしてしっかりと試算をすべきという指摘、大変参考になりました。ありがとうございます。  そしてまた、河野参考人原田参考人におかれましては、時間の関係で質問できないことをお許しいただきまして、私の質疑を終わります。  ありがとうございました。
  17. 柳田稔

    会長柳田稔君) 大野元裕君。
  18. 大野元裕

    ○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。  今日は、三先生、本当にありがとうございました。いろいろと私の知らないことがたくさんあって、勉強をさせていただきました。  その上で、時間の関係もありますので二問か三問、順番ではないんですが、河野参考人にお伺いをさせていただきたいと思っております。  先ほど御説明を賜りました中で、鉱石の価格、それから製錬費の関係で製錬会社の取り分がますます減ってきていると、そうすると、我が国の企業を含め、こういった会社が自分で開発のところから取り組んでいかないともうやっていけないんだと、こういう御趣旨の説明があったかというふうに思っております。  そんな中で、JOGMECさんは、探鉱の融資や、あるいは共同探鉱だとか、あるいはリスクマネー、債務保証、こういったことに取り組んでおられるというふうに私も理解をしておりますけれども、これについてまずお伺いしたいんですが、JOGMECさん、これ、石油、ガスで最初にこういったことに取り組んで、特に民主党政権のときに随分これ積み増しをさせていただいて、その結果キャリーオーバーもほとんどなくなってきたと、こういう経緯があって使い勝手が良くなっていったんだと私も理解をしております。  その一方で、若干、見直しもそろそろ時期に来ているかなと私、当時感じておりまして。というのは、リスクマネー、全てこれは企業ではなくて税金で取るという形になっておりますので、徐々に使い勝手が良くなればなるほど、これ、企業側とそれから政府側のリスクの取り方というものは変わってくるべきではないかと、ずっと当時思っておりました。  他方、鉱物、鉱石に関して言うと、そのリスクの取り方、それからそのレア度というんでしょうか、こういったものによって随分違うと思うんですけど、その辺はどういう形で今リスクマネー及び出資等について検討されておられるのか、教えていただきたいと思います。
  19. 河野博文

    参考人河野博文君) ありがとうございます。  確かに、石油天然ガスが、このリスクマネーの供給という意味では、財源的にも歴史的に多くの資金を政府からいただいてまいりました。その後、金属鉱物の価格上昇、それから希少性がかなり認識されるに至りまして、特に金属関係の債務保証基金は政府からかなりの追加出資をいただきまして、現在では四百億円を上回る債務保証基金になっておりますので、おかげさまで、一つの鉱山に日本の企業が参加するときに払うある種のロットですね、どうしても百億円以上のお金が必要になりますので、そういう規模の債務保証ができるようになって今日に至っております。  こういった債務保証は保証料をいただいておりますので、それを毎年積み立てていくことによってリスクに備えるということでございますけれども、資源案件というのはそれほど実は数が多くありませんので、本来であれば、保険のように大数の法則が働いて、何百件も何万件もやって、それで保証料をいただいてそれで頼るということですけれども、当面は、その件数が少ない分だけ、どうしても私どもJOGMECあるいは政府がリスクを取らざるを得ないという状況になっていると思います。  そういう意味で、長い目で見ていただきたいと申しましたのは、債務保証の場合は、保証料ということで一定の、一%に行くか行かないかの料金をいただくわけで、これを積み立てていくということになると思いますけれども、一方、出資という方は、探鉱というあるかないか分からない状態で投資をいたしますので、これは非常にリスクも高い代わりに、うまくいった場合のリターンが高いということになるわけでございまして、今まで既にかなりの金額の投資をいたしておりますけれども、石油公団時代に持っておりました優良なアセットは実は移行時に全部政府の方に納めさせていただいておりまして、それの配当は今実はJOGMECには入らない仕組み、お国の方に入っております。そのリスクのあるものをJOGMECが引き受けて、まだ発足後十年少々ということですので、探鉱したものが果実を生むに実はほとんど至っておりません。  したがって、これからこれが、成功案件が、探鉱という十年前後掛かるものから商業化という次のステージに行って、なおかつ商業化の段階ではまず借金をして事業をいたしますので、借金を返済する、その借金の返済が終わった後、私どもは出資をいたしておりますので、民間の出資者と同様に配当をいただくことになります。おかげさまで、ごく僅かな案件で今配当をいただいておりますけれども、これから成功案件が増えていくに従ってこの配当収入が増えていくということで、トータルのリスクをキャンセルアウトしたいというふうに思っております。  一方で、こういう油価の変化、資源価格の変化がありますから、案件の採択は非常に慎重に審査しなければいけないというふうに思っております。私どもの組織の最大の特徴は、地質関係を中心とした技術系のスタッフを多く抱えているということでございますので、地質的なリスクについてはできるだけ深く分析をして、また、より多くデータを集めて解析をした上で評価をするということにいたしております。それが私どもの組織の特徴ではないかと思っております。
  20. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございます。  別に私、最近野党暮らしが長いものですから口調が追及口調かもしれませんが、そういう意味ではなくて、より良い制度をと思っているんですけれども。  もう一点お伺いしたいのは、やはり石油の、そちらのリスクマネーと比較をさせていただくと、まだ短いというのもそのとおりなんでしょうが、石油の場合には、JOGMECのお金が入ってきて、結果として日本には持ってこられないで第三国でほとんどが消費されてきている。万が一のときにはそれ日本に持ってくるという話はございますが、こういった鉱物資源については我が国に持ってくるだけのまだニーズがとても高いとは思いますが、そういった担保というものがあるか。  また、投資をするときに、リボケーションのような条項、アメリカの場合のですね、条項があるような場合、これを回避するような制度というものが投資の際に仕組みで盛り込まれているかを是非教えてください。
  21. 河野博文

    参考人河野博文君) ありがとうございます。  石油の場合は、確かに権益を持っているけれども、平常時においては外で処分しているケースもございます。しかし、私どもが出資をさせていただいたり債務保証をさせていただいたりしているときは、万が一の場合、特に日本がオイルショックのような場面に遭遇した場合は極力日本に持ち込んでいただくようにということを約束していただいておりますので、実際にはそういう格好で持ち込むことができるというふうに思いますし、そのもの自身を仮に持ち込むことが難しい場合は、スワップ取引でそれに代わるものを持ち込んでもらうように努力をしていただくことにしております。  鉱物資源の場合には、もちろんこれはほかの石油でもある意味では主権という問題がありますので、仮に輸出を停止すると、最近で言えば、私どもが直接被害を受けているわけではありませんが、インドネシアのニッケルのように、輸出を制限するということが後から生ずる可能性はゼロではないというふうに思います。そのこともある種のカントリーリスクというふうに思っておりますけれども、できるだけ、私どもが資金的にサポートさせていただく案件は、そういうカントリーリスクの点でも安全度の高いところを極力選んで支援をさせていただいているという状況にございます。
  22. 大野元裕

    ○大野元裕君 済みません、今のにちょっと追加なんですが、カントリーリスクの高いところで制限を、中国やインドネシアみたいなパターンはあると思います。他方で、アメリカのような先進国でも、先ほど申し上げたようにリボケーション条項がありますので、そういったときは必ずしもカントリーリスク、イコールではないような気がしていて、相手国の法制度等も当然関係があると思いますので、そこについて是非、担保と言うと変ですけど、どういう条項を投資の案件にというのは、そこは先進国の場合にはどうお考えかを最後に聞かせてください。
  23. 河野博文

    参考人河野博文君) 実は、御承知のように、アメリカの場合にはシェール革命で大量の天然ガスを現在輸出をするようにしつつあります。しかしながら、当初は日本はFTA当事国ではありませんでしたので、自動的には日本への輸出が認められないという状況にございまして、日本の商社を中心とした諸企業がアメリカのシェール案件に投資した段階では、私どもは輸入がおぼつかないということで、これを資金的にサポートすることは実はできませんでした。しかし、その後、アメリカが個別案件を承認すればFTA当事国でなくても輸出が許可されるということが確認されましたので、これからはそういった案件について、アメリカ合衆国について私どもはサポートすることができる環境になったというふうに思っております。  一方、同じ北米でもカナダは全くそういうことはございませんので、カナダの政府関係者も度々、全く自由に輸出させますと、むしろアジアマーケットで買ってほしいということを強く言ってきてくれていますので、私どもはカナダ案件については、アメリカより後発ではありますが、投資をさせていただいているという状況にあります。
  24. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございました。  ほかのお二人の先生には質問ができませんでしたが、時間の関係で御容赦いただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  25. 柳田稔

    会長柳田稔君) 河野義博君。
  26. 河野義博

    河野義博君 公明党の河野義博でございます。各参考人、ありがとうございました。  まず、河野参考人に伺います。  資源エネルギー調達の多様化という重要性についてお話をいただきました。その中で、今日は鉱物でございましたが、JOGMECの業務の中でオイルガスというのも非常に大きな分野でございますので、私、ガスについてちょっとお伺いをしたいんですけれども。  原油は御案内のとおり九割以上中東に依存しているわけですが、ガスはある程度分散ができております。特に環太平洋を中心に分散ができているという中で、一つは、分散されていますけれども、さらにロシアを加えてLNGで輸入をサポートしていこうという取組をJOGMECさん取り組まれておりましたが、昨今のLNG価格が下がっているという状況を踏まえて、ロシアからのLNGとしての輸入プロジェクト、これはどういうふうな進捗を見せているのかをお伺いをしたい。  また、その上で、私は、賛否両論あろうかと思いますが、パイプラインでやっぱり輸入していくということも一つの大きな選択肢として真剣に考えていけるんじゃないか、またガス価格の下がり方、またロシアを取り巻く国際情勢を見ましても、進めていくに値するんではないかなと思っているんですけれども、実際、実現の可能性といったところに関しては、パイプラインの輸入、どのようにお考えなのか、まずお聞かせいただければと思います。
  27. 河野博文

    参考人河野博文君) ありがとうございます。  おっしゃるように、LNGは比較的供給源が多様化しております。私ども、先ほどのシェールの例で申しますと、将来のことをにらんでカナダに投資をさせていただいておりますが、もちろん、カタールが世界で最初に輸出したのは日本でございますし、そのときにかつての石油公団が日本の企業に対して債務保証したという歴史がございます。現在、カタールに次ぐ大きな勢力は豪州でございますけど、豪州のLNGプロジェクトについても投資あるいは債務保証をさせていただいているという状況にございます。  そういう中で、ロシアですけれども、実はロシアは、天然ガスではなくて恐縮なんですけれども、資源が非常に豊富な国でございまして、私どもはグラスルーツでイルクーツクに参りまして、東シベリアの石油を本当にグラスルーツからやりましてようやく掘り当てまして、現在、ロシア企業とジョイントベンチャーでやっております。  しかし、遡るとサハリン1、2というナショナルプロジェクトがございまして、これのうちのたしかサハリン2の方は天然ガス日本に持ち込んでいるという状況にあろうかと思います。サハリン1については、石油は持ち込んでおりますんですけれども、天然ガスをどのように処理するか、商売をするかというのは実はまだ当事者の間で議論のあるところのようでございまして、これを当初エクソンモービルは何とかパイプラインで日本に運べないだろうかということを議論したことがあるように聞いておりますけれども、今はそういう構想では必ずしもないのと、ロシア側の株主あるいは政権側がこのガスを誰にどのように扱わせるかという点についても若干の議論があるように聞いておりますので、これを何によって、どういう方法によって持ってくることができるかというのは、まだ私にとっては正直言ってよく見えていないところでございます。  しかし、ポテンシャルとして、北米のシェール革命に端を発します世界エネルギーの流れの変化の中で、ロシアはアジアに石油のみならず天然ガスを大いに売りたいと、今まで西に流していたものを東に流したいという強い意欲はあるように私には見えるわけでございまして、現在ウクライナの問題もございますけれども、ロシアがそういう気持ちを持っているときに日本の企業が資源の確保をするということは一つの可能性だなというふうに思っております。  ちょっと方法論につきましては、これはパイプラインというものについて日本の買手がどういうふうに判断するか、あるいは誰がどういう投資をするかというリスクの問題、様々ありますので、どちらがいいということを今ここで、私の知識では申し上げかねるというところでございます。  ありがとうございます。
  28. 河野義博

    河野義博君 ありがとうございました。  続いて、原田参考人に伺います。  都市鉱山のリサイクル、アジアというちょっと広い規模でいい循環をつくっていくべきだという、貴重な御提言をいただきました。その上で、循環をつくるに当たっては、やはり何かしらのインセンティブを持たせた制度をやっぱりまずつくっていく必要があるんではないかと思いますけれども、具体的にどういった制度設計が望まれるのか、お聞かせをいただければと思います。
  29. 原田幸明

    参考人原田幸明君) やはりリサイクルをやりたいという理由は、基本的には資源の確保とそれから環境の改善でございます。そうした場合に、まず分かりやすい日本の方からいきますと、資源の確保でございますので、日本の方に持ってくれば有利だよというシステムをどうつくるかということになってくると思います。要するに、日本で高い付加価値のできるリサイクルができるようなシステムをつくり、そこに参入できるような制度、場合によってはそれを援用する法制度というのが一方で要る。  もう一方では、基本的にやはり現地ではEウエーストの問題が出ているわけでございまして、Eウエースト、要するに電子産業廃棄物ですね。電子産業廃棄物に対して、それをうまく処理できるようなところの経済的・社会的メリット、それを出していくというところがポイントになると思います。要するに、ただ単にリサイクル業が入り込むというだけではなくして、環境改善をできるような形でのビジネス参入、それを援助できるような制度とその国々との協調、そういったところがポイントになるというふうに思っております。  今ので答えになっていますでしょうか。もうちょっと踏み込んだ答えになりますと、いろいろ今度は法制度とかそういう問題になってきますので、私の専門外になってきますので、そういったものをベースにして法律家の方々でより具体化していただきたいなというふうに思います。
  30. 河野義博

    河野義博君 ありがとうございました。  最後に、石川参考人にも質問させていただきます。  原発のフェードアウトを過たず進めさせることが立法府にとって大きな使命であると、私もそのとおりだと思っております。その中で、再エネと原発を対立軸ではなくて同じくくりで見ていくべきだ、再エネのコストというのは原発で負担していくべきだと、それも貴重な御提案だったかと思いますが、一方で、中期的に見ますと、原発がフルに再稼働して、そこでコストを下がらしていけるような状況にはなかなかないんではないかなという感じもいたします。  そういう中で、今、賦課金という、FIT制度の下で賦課金に頼っているわけですけれども、このFIT制度そのもの自体をどうするんだという議論も今あっている中で、国際的にも風力価格が大体三倍ぐらい、太陽光も三倍、四倍というFIT、この料金制度自体をどうするんだという議論もある中で、このFITのあるべき姿というのを中期的には考えていくべきだと思うんですけれども、その点に関して何か御提言があればお聞かせください。
  31. 石川和男

    参考人石川和男君) 実は、河野先生の御指摘というのはヨーロッパ諸国も悩んでいるところでありまして、FITというのは、実は、世界のはやりかなと私自身思っていたんですが、そんなことないんですね。アメリカなんかでは、もう五十州あってほとんどはFITではないんですね。RPS制度といって、昔、日本がやっていました、FITの前にやっていた制度なんですけどね、その制度になっています。それから、ヨーロッパも、FITはやっぱりちょっとこれは調子悪いなと、やってみて調子悪いということで、入札制も含めた割と競争的な価格メカニズムを導入しようという動きになっていると。  日本は、まあ日本の政策決定というのはどうも外国を見て見習おうかということで、どうも日本だけでなかなか決められないような雰囲気がありますけれども、たまたま向こうの欧米が進んでいますので、そういうものを参酌した方が進めやすいということであるならば、私は、FIT、固定価格の買取りということよりも、むしろ競争的に入札制のようなものを入れることによって、やみくもに下げるということもこれまた私やり過ぎだと思うんですよね、やっぱり。そうではなくて、政府介入という価格ではなくて、なるだけ自由市場に近づけていくようなそういう改革。これは、欧米ではFITに対してFIPと呼んでいるんですね、プレミアムを付けて、それを連動させて競争的にしていきましょうということで。そういう改革の提起というのは私は非常に重要かなと。  固定価格買取り制度について言うと、そろそろやめていいだろうというふうに思っております。
  32. 河野義博

    河野義博君 時間が参りましたので、終わります。  ありがとうございました。
  33. 柳田稔

    会長柳田稔君) 柴田巧君。
  34. 柴田巧

    ○柴田巧君 維新の党の柴田巧です。  今日は、三人の参考人の方々、本当にどうもありがとうございました。  まず最初に河野参考人にお聞きをしたいと思いますが、これまでのいろんなお取組や今まさにやっておられることなどなど、また、これからやろうとされることもお聞きをしまして、大変重要なことをやっておられると改めて認識をしましたが、いずれにしても、長期的な観点で資源戦略に基づいて資源外交を進めていく、あるいは資源開発をやっていく上において、最終的にはやっぱり優秀な人を確保できるか、育成できるかというのは非常に重要なことだと思います。  世界的に同じような傾向は見られるようですが、いわゆる資源系、資源工学とかそういったところの学科とかそういったものがだんだん少なくなってきているんですが、とはいえ、海外はまだまだそういう専門家を育てるべく体制は整っていると思いますね。アメリカもそうですし、イギリスもフランスも国立、王立の鉱山大学といいますか高等教育機関はかなりレベルの高いものを持っております。しかし、それに比して我が国は、秋田大学等その関係の分野がないわけではありませんが、非常に他国と比較してみると心もとないところがあると思うんですね。  したがって、そういう鉱物の専門家、研究者といいますか技術者、これを育成をしていくために、やはり資源学の再確立、再構築というか、という観点も含めて、それこそ産学官で国を挙げてしっかり体制を整えるべきだと思いますが、この点どういうふうにお考えになっていらっしゃるかというのをまずお聞きをしたいと思います。
  35. 河野博文

    参考人河野博文君) ありがとうございます。  いや、おっしゃるとおりで、私どもも人材確保は非常に大きな課題だというふうに思っております。私どもJOGMECのみならず、日本石油天然ガスあるいは金属鉱物の資源企業どこも、商社も含めて、より多くの専門家を欲していると思います。  ここへ来て資源価格が少し、石油天然ガスもそれから金属鉱物も、それぞれ程度の違いはありますけれども下がってきたということで、企業によっては、外国の企業ですけれども、石油天然ガス関係の企業は大量のレイオフをするというようなケースも出ておりますけれども、基本的にはやはり私どもは人材のある種国際的な取り合い、そういう状況があるというふうに思っています。  私どもも是非とも、日本の大学で、まあ名前は変わっておりますけれども、資源を学んでいる人は結構おります。しかし、これをもっと充実していただきたいというふうに思いますし、できることならインターンのような格好で私どもでも受け入れたいと思いますし、日本の企業の皆さんもそういった方々を割と早いうちに受け入れることによって資源により多く学生の方に関心を持っていただくという努力が必要だというふうに思っています。やはり就職の機会が非常にあるというふうに見えないと、学生さんはそういった分野を専攻しないというのは当然のことだと思いますので、日本資源企業が、先ほど申し上げたように上流に、世界的に出ていくということをよく見ていただく中でそういった人材も育っていくのではないかなというふうにも思っているところでございます。  私ども自身のことを申しますと、日本の組織、大体オン・ザ・ジョブで人材を育成するというケースが多いわけなんですね。鉱物資源について言いますと、小坂に国際資源大学校というのがありまして、そこで日本のエンジニアの方も海外の方も一定の研修ができる仕組みになっております。石油天然ガスの方は必ずしもそういう一体的なものはありませんので、私ども自身も各企業もオン・ザ・ジョブで何とか人材を確保し、かつ育てていきたいというふうに思っていまして、私どもの組織で申しますと、大体三十代までの間に専門性を一段高めると。大学院出て入られる方もかなりおりますけれども、大学卒業であれば大学院、修士、博士の資格にチャレンジしてもらう機会を提供する。それから二番目は、現場経験ということで、石油の探査あるいは生産現場に出向のような格好で出ていってもらう、そういう機会を増やしたい。三番目に、どうしてもこれは国際ビジネスですので語学が是非とも必要でありますので、この三要素を何とかかなり高いレベルで三十代までに身に付けてもらえるような研修制度を今つくりつつあるという状況でございます。
  36. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございました。  続いて、河野参考人にお聞きをしたいんですが、先ほどメタンハイドレートなどの新しい鉱物資源のお話もお聞きをしましたが、せっかく我が国にはITなり情報処理なり、いろんな分野の最先端技術があるわけですね。それを活用して資源開発の技術を更に上げていくということが極めて大事なことだと思っています。  そのために、例えば国からどういう支援やバックアップがあればもっとこういったものが進んでいくというふうにお考えか、もしあれば教えていただければと思います。
  37. 河野博文

    参考人河野博文君) ありがとうございます。  私の問題意識と全く一緒でございます。ただ、おっしゃるように、日本のありとあらゆる産業は世界で一流の技術を持っていると思いますけれども、石油とか天然ガスあるいは金属鉱物資源の開発にこの技術が生かされているケースは、正直言ってそれほど多くないんです。  それはなぜかと申しますと、例えば石油天然ガスでいえば、北欧諸国などは北海油田が見付かったことにより、それの開発が進むことにより、地場の産業がそういう石油天然ガスの上流事業にどんどん進出していって、単に石油産業のみならず、機械、造船、そういった産業がもうことごとく海洋資源に進出することができています。この分野のビジネスは経験のある人のものしか使わないと。それは私も当然だと思うんですね、自分の油田を壊されてはかないませんから、プルーブンな技術を使うというのがやはり基本的な習わしでございますので。日本には残念ながら、昔は鉱山がありまして、そこから派生した機械メーカーが今有名な日本の産業になっているわけですけれども、その鉱山が失われ、日本に目ぼしい石油がない状態の下で日本のハイテクの優れた技術がこの分野で十分生かされていない。大変歯がゆい思いをいたしております。  しかし、私も何年か経験しまして、産油国に行きまして、一番先方が目を輝かして聞いてくれる話は、日本のハイテクの持っている技術をあなた方の資源開発に使いたいんだと、我々は国の機関なのでそれの触媒をやらせてもらいたいんだという話をしますと、物すごく関心を示してくれるんですね。  そこで、私どもは二年ほど前からソリューションという事業を始めていまして、日本の企業が業種を超えて、持っておりますセンサーとかあるいは素材とか、そういった様々な技術石油天然ガスの、私どもアップストリームと呼んでいます上流の問題解決に使えるようなプロジェクトを立ち上げつつあります。まだ二年ですので、これから成果が出てくるところですけれども、例えば日本の水処理の技術を、油と水の混じった生産物から油水分離するとか、これにマグネティックの技術を使うとか、あるいは地下の動向日本の優れた、実は私どもが勉強したものの一つは、自動車メーカーのブレーキのセンサーの原理を使って地下の石油の挙動を感知できるのではないかとか、そういった様々な技術を寄せ集めて、それを一つずつの問題解決の解として提示することによって、最終的には産油国の問題解決の現場で使ってもらう、それが技術協力にもなり、日本の製品を販売することにもなるというふうにもくろんでいまして、今それに力を入れております。  最近でいいますと、例えば日本のエンジニアリング会社の技術を、重質油、非常に重たい油を改質するために使う技術、ある程度進んできていまして、これも将来、商業化できれば産油国に持ち込む、そんなことを今考えているところでございます。  加えて、もう一つ申しますと、メタハイとおっしゃいましたので。メタンハイドレートの開発でも、これナショナルプロジェクトですので、おかげさまで上流会社も数社、エンジニアリング会社も数社加わったような新しい会社が誕生しています。できれば、こういった人たちから更に日本の機械が現場で使えるチャンスを日本のメーカーに与えていただけたら有り難いなというふうに思っている次第です。
  38. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございました。  石川原田参考人にもお聞きをしたかったんですが、時間が参りましたので終わります。  ありがとうございました。
  39. 柳田稔

    会長柳田稔君) 紙智子君。
  40. 紙智子

    ○紙智子君 参考人の皆さん、どうもお疲れさまです。日本共産党の紙智子でございます。  エネルギー政策についてお聞きをしたいと思います。  東日本震災、福島第一原発事故から四年たっているわけです。それで、四周年の追悼会に私、福島の浪江町に行きました。そこの町民全体が今も避難生活です、元に戻れない。役場も二本松というところに間借りをして行政をやっているという状況になっています。それから、原発も原子炉の中がどうなっているかいまだに分からないと。それから、汚染水の問題もいまだにどう解決するのかということがはっきりもしていないという中で、改めてやっぱりこういう事故は二度と起こしてはいけないということを痛感いたしました。  そういう中でなんですけれども、原子力政策については、やはり本当にこういう事故もある中で、核のごみの処理の問題も、方法もまだ決まっていない。だから、そういう中で動かせばまたたまっていくわけですよね。そういう事態を考えたときに、やっぱり政府原子力政策でちゃんと反省しなきゃいけないことというのはあるんじゃないかと。その点を、資源エネルギー庁におられた石川参考人河野参考人、お二人にお聞きしたいと思います。
  41. 石川和男

    参考人石川和男君) 御質問ありがとうございます。お答えしたいと思います。  私も福島県の第二原子力発電所、それから、第一はまだ入れませんでしたけれども、その近くに何回かお邪魔をいたしまして状況自分の目で見て、津波も含めて、ああこれは本当にひどい震災だったなと、こういう事故というのはもう二度と起こってほしいわけないですよね。もう絶対に起きちゃいけないということで、再発防止策、それを万全に期すのはもうこれは当然のことであります。  私は今の先生の御質問に対してどういうふうにまず感じたかといいますと、本当にそうなんですよね、その事故がまだ、おとといでしたか昨日でしたか、その炉の中が、1Fの炉の中がロボットが行ったらよく分からない、なかなか難しい状況になるという中で、じゃ日本原子力発電所というのを再稼働するという一方の政府の方針というのは本当に正しいんだろうかと常に自問自答しながら私もいろんなものを言い続けているわけなんですが。  私はやっぱり思うに、ちょっと距離を置いて冷静に考えてみると、事故を収束させるためには、原子力発電所というのはやっぱり物すごく大きな工場、プラントでありますので、その再発防止策のためにこんなふうな安全対策を講じなきゃいけない、そのためにはお金と人が掛かるわけですね。もちろん物も掛かります。お金が必要なんですね。  日本の財政がうはうは状態で、もう幾らつぎ込んでもいいというような状況であれば、それはそれでいいと思うんですが、しかし、残念ながら、御案内のとおり、日本はもう一千兆を超えるような借金も抱えていて、ほかにもたくさんやるべきことがあって、そっちにもお金を使わなきゃいけない、でもこっちにも使わなきゃいけないという状況の中で一体どこからお金をやりくりするかというふうに考えますと、それはたまさか日本の中にはまだ五十基の原子力発電所があって、そういう原子力という産業界全体において、その安い電気でもって蓄えたお金で、同じ原子力業界なんですから、そういうところで被災地に対していろんな支援とかそういうことをするというのが最終的には最も国民負担が少ない方法なのだろうと。  そのときに、当然、原子力発電所収益を得ようとなると、電気つくらなきゃいかぬわけですね。これがいわゆる再稼働という話であります。  厳密に申しますと、原子力発電所は全て稼働しているというふうに私は思っております。なぜならば、使用済燃料の管理というのはこれは結構な仕事でございますので、稼働はしていますが、発電だけをしていないんですね。ですから、この紙にも書きましたけれども、早期の発電再開というのは、実はこれは前野田総理が御決断されまして、当時は関西電力の大飯原子力発電所三号機、四号機でしたね、これは政治決断ということでされました。もちろん、そのためにいろんな準備をして当時判断したわけですけれども。  やはり、そういうリスクとコストというものを考えながら、一時しのぎであれ原子力を再開して、それによってきちんと対策を講じ、もちろん1F周辺は当然のことであります、優先的にそちらに御支援をし、そしてほかの疲弊している経済を回復し、そして、私は何遍も言っておりますけれども、とっとと廃炉しちまおうぜと、早くその道をつくろうじゃないかということで、きちんと政府として計画を出して、国民に対して、あっ、いついつまでにやめるんだな、そのための一時しのぎで、我々の子供や孫のときにはもうバイバイというこの絵をちゃんと描くべきと、私はこんなふうに思っております。
  42. 河野博文

    参考人河野博文君) ありがとうございます。  今の私のJOGMECという立場で申しますと、原子力に直接関わっている部分はごくごく僅かでございまして、ウランの探査は私どもがやらせていただいております。そういう意味で、日本原子力の安定供給という意味で原料面から今貢献できればいいなというふうに思っているところですけれども。  過去、一定期間私も原子力に携わりましたので、この福島の事故は本当に残念でもあり、何がしかの責任があるのではないかと常に自問しているところでございます。しかし、その後の皆さんの活動で、私も全てを知っているわけではありませんが、新しい基準、新しい組織で新たな責任を持って政府が取り組まれるということで、何とか日本原子力行政を進めていただきたいと願っている者の一人でございます。  あえて今資源をやっている者として申しますと、先ほど人材のお話がありましたけれども、原子力発電所、現在止まっているとはいえ、今後の廃炉問題なども含めて考えますと、どうしても技術者の確保が非常に重要な課題だというふうに思います。原子力に関するパブリックアクセプタンスが低い、そしてまた現在のように発電に従事できていないという状況の下で、新しい人材をこの原子力の分野で育てていくことは本当に大変なことだなというふうに資源をやっておりまして思いますので、そういった点にも是非とも国会先生方、また行政府の方々には御尽力をいただきたいというふうに思っております。
  43. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱりこの廃炉も含めて、人材の問題というのは本当に大事な問題だというふうに思っています。  それで、もう一つちょっとお聞きしておきたい、あとちょっと時間あるのでお聞きしたいのは、昨日、福井地裁が高浜原発の再稼働中止を求める仮処分を言い渡したわけですね。その判決の内容というのは、原子力規制委員会の新規制基準、適合したとしても安全性の確保はできないということをおっしゃっていますし、それから基準地震動が信頼性がないということも指摘しています。  それで、やっぱり津波だけじゃなくて、揺れの問題も含めてどうなのかということもあるというふうに思っているんですけれども、この判決についての感想なり受け止めをお二人にお話ししていただきたいと思います。
  44. 石川和男

    参考人石川和男君) 私、昨日この地裁判決を見まして、それでその裁判官の方の御趣旨を拝見しまして、ちょっとこれは司法判断に対してこの場でどうのこうの言うというのは不適切かもしれませんが、私がまず思いましたのは、やっぱりこれは技術の問題、科学の問題であるので、よく裁判官の方が判断できたなと思うんですね。違うというふうによく判断できたなというのは、これは率直な疑問でございます。それがまず感想の一つと。  それから、今先生がおっしゃいましたように、確かに地震とか津波が全く来ないかと言われたら、それは分からないわけですね。それが二〇一一年三月十日までは来ないというふうにたかをくくっていたのが原子力安全神話だったわけです。それはもろくも崩れ去ったので、もうその神話は駄目です。私もそう思います。  しかし、じゃ、例えばこの間、大飯原発で野田総理が判断された、再稼働オーケーと、まあもちろん十三か月たちましたから止まっておりますけれども、あのときはやはりリスクとコスト計算したと思うんですね、一定の確率の下で。まあ来てしまったけれども、東日本では。だけど、大飯原子力発電所については今のままで大丈夫であろうというある種の判断があったと思うんですね。  さっきも申しましたとおり、未来永劫原子力をやるということは、これはないと思います。これは過渡的な電源であるというふうに私は思っておりますので、いつか必ずやめることになります。恐らくやめる時期は、最も最長で今から五十年後か六十年後になると思います。物すごく長いスパンであります。その長い期間の一時しのぎを、厳密に確率計算とかそういったものを勘案しながら、私は再稼働を認めるならば認める、認めないなら認めないということでめり張りを付けて判断をしていくというのが、これは政府役割であろうというふうに考えてございます。  必ず来るというふうに言ってしまったらこれは何もできないわけでありまして、そんなことを言ってしまいますと、例えば火力発電所では化石燃料を燃やしているわけですけれども、WHOによりますと去年一年間で七百万人の人が命を落としているわけですね。そういうふうにリスクはあるわけですね。  ですから、そのコストとリスクのバランスを考えながらどこまでやるのか。ただし、必ず原子力をいついつまでにやめるというロードマップは作る、これは私は国民的コンセンサスの大前提であるというふうに考えております。
  45. 河野博文

    参考人河野博文君) 大変難しい問題だと思いますけれども、正直申しまして、私も現在、独立行政法人という政府関係機関に奉職しておりますので、司法の判断について余りコメントをさせていただくわけにはいかないかなというふうに思っております。
  46. 紙智子

    ○紙智子君 時間になりましたので、これで終わります。  ありがとうございました。
  47. 柳田稔

  48. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですかはやりません。  私も、子供の頃、兄貴たちがリーダーズ・ダイジェストという本をよく読んでいまして、その頃に人口問題、あるいはエネルギー問題、あるいは森林破壊問題、あの当時、五十年前にそんなことが書かれていて、私は子供心に興味があって、その後ずっといろいろ、プロレスラーという傍ら、そういう自然環境の問題とかに興味がありまして。  一つは、ブラジルで、六〇年代の後半ですかね、アルコール政策という、石油が多分三十ドルを超えるだろうという予測の下にアルコール政策に転換しました。ところが、逆に十五ドルぐらいに石油が下がってしまって、まあ当時エタノールを作っていましたから、ガソリンの車の給油タンクからみんながストローで酒を飲んでいたという、で、飲めないようにしたという話がありましたが、そういう意味で、今原発の専門的な話も聞かせてもらいました。  そして、一つには、石川参考人にお聞きしたいんですが、次の世代というのは第五世代原発というんでしょうかね、これが早く実現できれば、今言った問題、それからごみ処理の問題ですね、これが、もうちょっと積極的になぜ政府がやらなかったのかなと。これはまだできたわけではありませんが、可能性としては非常に実現性のあるところに来ていると思います。その辺について石川参考人にお聞きしたいと思います。
  49. 石川和男

    参考人石川和男君) ありがとうございます。  今の猪木先生のお話について、私も、実は今の既設原発というのはこれは第二世代ですので、そういう第五世代という目から見ると古いといえば古い型なので、ただ、どんどん技術が開発されていきまして、いろいろ報道等々で出ておりますけれども、第五世代の原子炉というのは物すごく安全性が高いということで、一人の人間としては私はすごく期待をしておりますが、ただ、まさに猪木先生がおっしゃったように、これは物すごく長期で先の話であろうと。今すぐ、はい、あしたこれ造りましょうというわけにも簡単にいきません。  我が国の場合には、やはりさっきの紙先生の御指摘にもありましたけれども、福島第一原発事故がまだ全て解明されているというわけではないんじゃないかと私は思っておりますので、そういう状況の中でなかなかこれを言い出すことというのは、政府の立場だと、そこの役所に勤めていた人間の感性からしますと相当勇気の要ることで、むしろ、私は今外野の人間になってしまいましたので、外野の人間がやいのやいの言うということであれば、これがもしそういう安定供給あるいは資源の最小化ということに資するのであればどんどんやればいいというふうに言えるんでありますけれども、じゃ現状日本の政策当局としてどうかと言われると非常に難しい問題だなと。  ただ、私たちの孫やひ孫の代でこれがどうかというのは、ひょっとすると、その技術開発の芽は我々の世代では消すことなく小さなろうそくのような形で残しておいて、私たちの子孫の中でそれがひょっとして使える可能性というのはゼロではないので、そのときのためにそういう思想というものを国会でも政府でも残しておくべきだなと。私は今、そのぐらいしかちょっと言えない状況だなと思っております。
  50. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 地熱発電に関してもいろいろ勉強させてもらいました。それから、キャパシタも含めて電力をいかに有効に使うかという。そんなことで、私がいろんなものに投資して、地球の人口が五十億になるよって前に言ったら、猪木の借金が五十億になったって大騒ぎになりましたけどね。まあ、そういうことに興味もあったものですが、今は北朝鮮問題。  一つ河野参考人にお聞きしたいんですが、非常に北朝鮮は地下資源が豊富だという中で、拉致問題が引っかかっていますのでなかなか先に行かないんですが、政府関係者がどの辺までその先を見ているのかなという、百年の大計という。  ちょうど二月三日でしたか、マイケル・ピルズベリー氏というんですかね、中国の担当の軍事評論家が言っている、百年のマラソンというタイトルで。百年の大計という言葉がありますが、そういう意味では、中国の進攻というか、ありとあらゆるところで今中国が出ていって、去年ですかね、アフリカ諸国に総理も回られ、そういう資源の問題を含めてですね。ただ、本当に日本が今取らなきゃいけない、まあ百年の大計とは言わないにしても、十年、二十年先に考え方を持っていかないと、この間も外交防衛でも質問させてもらったニカラグア運河を中国が契約してしまったと。やっぱり食料問題というものが、これが大きな問題につながってきますので、その辺を、北朝鮮の、多分昔の、旧陸軍でしょうかね、その辺は資料は北朝鮮より持っている、三井あるいは住友でしょうかね、その辺はどのようにお考えか、ちょっとお聞かせください。
  51. 河野博文

    参考人河野博文君) ありがとうございます。  正直申しまして、私どもも北朝鮮の資料は極めて乏しいのが正直なところでございます。もちろん、中国は鉄鉱石をかなり輸入しているとか、かつて金その他の鉱物資源が生産された実績があるということは伺っておりますけれども、私どもにとって情報が不足しているというのが実態でございますし、実際に投資ができる、あるいは先ほど申し上げたような権益を確保できる状況にあるかと申しますとなかなかそういう状況にもない状態ですので、より一層情報収集が進んでいないというのが偽らざるところだというふうに申し上げておきます。
  52. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 本当に日本が、先ほど石川参考人が言われているように、米国発の米国のための革命にすぎないという、オイルサンドあるいはシェールオイル、全部のもの、この精製もちょっとあることで尋ねさせてもらいました。コスト的には、百ドル超えれば採算が合うけど、またこれ下がったら採算が合わないと思いますけどね。その辺の我々が聞かされる情報が、本当に、何でしょうね、国益あるいはアメリカの主導によって聞かされている部分で、その辺は実際に地元に行ってみないと分からないことがたくさんあるものですから、その辺を一つ今日はいい専門的なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。  終わります。
  53. 柳田稔

    会長柳田稔君) 浜田和幸君。
  54. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。  まず、石川参考人に、先ほど、冒頭、シェール革命の話と原油価格下落について言及されましたが、この原油価格というのはやっぱり投機筋がかなり背後で動いているというのが一般的に言われていますよね。確かに二十ドル近く下がりましたけれども、また反転するということが言われていて、投資あるいは投機筋からすると、やっぱり乱高下することによって大きなうまみが生じるわけなんですね。そういう実際のニーズだとか埋蔵量とか関係ないところでの投機筋の動き、これについて日本が翻弄されている状況を何とか改革、対応策を考える場合にはどういうことが可能なのか。  また、このシェール革命についても、やっぱりサウジアラビアが原油の減産に、OPECのほかの国々が減産しよう、維持をしようとしていたのにサウジがそれをはねつけた。その結果、サウジ自体が今孤立するような状況になっているという面もあると思うんですね。  でも、逆に言うと、そういうサウジが抱えている問題について日本が様々な協力する、水の面でもあるいは農業の面でも。ですから、困っている国に対して協力する、そういう観点で、日本がサウジにどういうような形で今後向き合っていくことが日本エネルギー政策にとってもプラスになると考えられるのか、その辺りについてお考えをお聞かせください。
  55. 石川和男

    参考人石川和男君) 御質問ありがとうございます。  まず、最初の私のプレゼンテーションでも価格の動きは分からないと。おっしゃるように、投機筋が、言ってみれば資源とは関係ないところでもうけたいんだと、もうけ話だということでいろいろお金が動いているという側面はもちろんあろうと思うんですが、どうも私はそれは一つの、ほんのワン・オブ・ゼムなんだろうと。最終的には、資源価格というのは、やっぱり何だかんだ言って需給で決まるのかなと。恐らく、そこに乗っかった形でもうけて、それがぶわっと大きくなって、陰謀論の好きなマスコミが、いや、これはちょっと投機筋が、あいつがどうのこうのみたいな話で膨れ上がっちゃってこんなふうになっているのかなと。  ですから、御質問にありました投機筋に対して日本がどうかと言われると、まあそれは、日本にちゃんとしたどえらい投機する人を望まれているのかということになるんでしょうけど、ちょっとそれは国策としてはどうかなということですので、私はその点については、投機筋というのはもうワン・オブ・ゼムにすぎないんだろうなと。  むしろ、そういう投機筋がどう動こうとも日本が強く出れるようなことというのは、やっぱり日本資源があるんだよと、サウジの話もされましたけれども、あなたに頼るんだけど、実はあなたに全面的に頼らなくても自分は独り立ちできるんですという姿を見せていくこと、これはもうエネルギー政策の、私は今までも今日もこれからもずっと国是だと思っておりますので、最初の私のプレゼンテーションに戻るんですが、余裕を持った、今でいうところのエネルギーミックスの構成を抱え、政治的にはいろいろ難しいかもしれませんが、外国から見てどうかと。  あの国が買いに来たときに足下を見てやろうという人ばっかりだと思うんですね。そうじゃなくて、こいつの足下を見ても、何かこいつ強そうだからというふうなことを外国に思わせるような資源エネルギーのミックスを考えていくべきと、その点で国産エネルギーをもっともっと増やす努力を今後も続けなきゃいかぬと、私はこんなふうに思っております。
  56. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。  それと、石川参考人が、日本原発から出る核廃棄物の処理の持っていき場で、オーストラリアが受け入れる可能性があるかのような言及をされましたよね。オーストラリアを含めて、中央アジアでも日本原発メーカーが様々な形で関与していますから、そういう国々からは、場合によってはそういう高濃度の放射性廃棄物を受け入れてもいいというような提案も間接的には聞いているんですが、海外に日本の出たそういったごみを持っていく、一時はモンゴルに持っていくということで内々に合意ができていたのに、情報が漏れてしまってモンゴルでの反対運動で立ち消えになってしまった。そういう日本で出た核のごみを海外に持っていって処理してもらうということに対する経産省あるいは日本政府の今の対応の仕方で本当にそういうことが可能なのかどうかについて、お考えをお聞かせください。
  57. 石川和男

    参考人石川和男君) ありがとうございます。  まず、核のごみですね。これはもう御案内のとおり、原子力発電から出るものでありまして、まず、これは再処理ということで青森県の六ケ所村に持っていく。しかし、ここは再処理及び中間貯蔵にすぎないわけでありまして、さあこの後どうしようかということで、最終処分場を青森県外に持っていくということをまず起点として考えると、それは国内の別の場所ないしは外国というのは、それ自体は私はあると思うんです。  ただ、先生おっしゃるように、じゃ、オーストラリアでもあるいはモンゴルでも、外国で例えばそういうものが動き出したときに、やはり日本と同じような反対運動というのはこれは当然想定されるわけでありますので、そういう点では過剰な期待感は禁物ではありますけれども、慎重に慎重にやっていって、ただ、当該外国が受入れ体制が国としてオーケーだということになったら、きちんとした契約というか契りのようなものを交わして日本の六ケ所村からそれを持っていくという選択肢というのは、私は余り表向き、今政府がそれを言うことというのは難しいと思いますが、政府の中あるいは国会の中でそういう検討が続けられてほしいなと、余り表では難しいかもしれませんが、水面下ではやっていってほしいというふうに思います。
  58. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 次に、河野参考人に。  先ほどメタンハイドレートのお話が出ました。これは、日本が最先端の技術を誇るということは大変うれしいことだと思うんですけれども、日本だけで開発をするにしても限界があると思うので、例のカナダの永久凍土で、アメリカ、カナダ、ドイツ日本でやりましたよね。ああいうような仕掛けで、例えば竹島周辺にも韓国がかなり力を入れています。中国は中国でこれをやろうとしているんですね。だから、日本が持っている技術と、韓国、中国、この辺り、ロシアを含めて国際的な共同開発という道筋はあり得るのかどうか、また、そういうような話合い、その土壌があるのかどうか、それについてお聞かせください。
  59. 河野博文

    参考人河野博文君) ありがとうございます。  私どもも国際協力ということは念頭に置いて進めております。今御指摘がありました一番最初のメタハイの生産実験はカナダで行っております。そして現在、アメリカエネルギー省と協力をして、アラスカで陸上試験ができないかということを模索しておりまして、ある種の覚書は結ぶことができております。やはり海上で実験をするのは大変一回の実験にコストが掛かりますので、陸上の方が非常にコストが節約できますので、これは並行して追求していきたいなというふうに思っております。  ほかの国との関係は、何がお互いに提供できるかということで、今、情報交換のようなことは一部の国々と進めております。最近少し話題になったかと思いますけど、インドもメタンハイドレートの開発に関心があるようでございまして、私ども、最初の海上生産実験は「ちきゅう」というJAMSTEC保有の船でやらせていただきました。今回、インドは、JAMSTECのこの「ちきゅう」を用船して掘削をしております。並行して、インド政府から私どもに、是非情報交換、協力してほしいというお話もありまして、私どももできる協力はしますということで話を進めている、そういう状況にございます。
  60. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 韓国、中国との間はどうですか、このメタンハイドレート。
  61. 河野博文

    参考人河野博文君) 韓国の場合は、私どもが聞いている限りではかなり科学技術的な部局でやっているようでございまして、私どもJOGMECとちょうどカウンターパートになりますのはKNOCという韓国の石油公社のようなものがございますが、そこではまだ本格的に扱っていないようですので、余りそういった立ち入った情報交換には至っておりません。  それから、中国の場合は、恐らくこれは推測ですけど、中国から私どもが天然資源の権益を得ることは非常に難しいので、ギブ・アンド・テークの関係になかなかなりづらいということもありますし、一方、中国は、メタンハイドレート以前に多分シェールでもかなりの資源量がありますので、どこまでこの課題にチャレンジするのかはちょっと分からないところがございます。
  62. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。  原田参考人にもお伺いしたかったんですけれども、時間が来ましたもので、また改めてよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  63. 柳田稔

    会長柳田稔君) 以上で各会派一巡をいたしましたので、これより、午後四時頃までを目途に自由に質疑を行っていただきたいと思います。  質疑のある方は挙手を願います。  山田修路君。
  64. 山田修路

    ○山田修路君 ありがとうございます。自民党の山田修路と申します。  今日は大変有意義なお話をありがとうございました。まず感謝を申し上げたいと思います。  石川参考人に、重複して済みません、たくさんになって済みませんけれども、お伺いしたいと思うんですけれども、プレゼンの方の一番最後に、国産エネルギー政策の新展開というのが最後の結論になっております。その前にずっと御説明があったんで、上に説明されたようなことなのかなというふうにも思うんですけれども、具体的な内容あるいはアイデアについて少し、あればお話をお伺いしたいと思うんです。  というのは、具体的な柱ということで三つほど書いてあって、再エネのコスト負担問題ですとか原子力のPA問題、そして再処理や最終処分の問題というのが書かれていたんですけれども、元々、不変、普遍的な方針、そこで国際資源動向の急変にも動揺しない供給構造を保つことが大事と。御説明があったように、予備あるいは余裕が必要なんだというお話もありましたけれども、この供給構造を保つために具体的に例えばどんなアイデアがあるのかとか、それから二つ目に、国産、準国産エネルギーの比率を一定、これはいろいろまだ議論されているところですけれども、この一定比率を保つためには例えばこんなことがあるんじゃないかとか、そういうお話がお聞きできたらと思うんです。  供給構造ということでいえば、例えば食料なんかの問題ですと、輸入先を少し多様化して、どこかの国で何か問題が起こったときにほかのところから輸入できるようなことも考えておくとか、何かそんな議論も少しなされているようなんですけれども、例えばそういう不変、普遍的な方針の具体的イメージですね、そこ、何かありましたら少し御説明いただけたらと思うんですが。
  65. 石川和男

    参考人石川和男君) 御質問ありがとうございます。  私のプレゼンの、時間がないのでちょっと最後ははしょってしまいましたが、国産エネルギー政策というのは、実はこれは今、日本エネルギー政策の中で幾つかの区分というか、今でしたらエネルギーミックスということで、再エネ幾らにしようとか原子力幾らにしようとか化石を幾らにしようと、こういう話になっていまして、そのうちCOPがありますので、多分ノンCO2みたいな話が出てくると思うんですが、私はやっぱり、三・一一より前から本来はもっともっとメディアでも報じられるべきだったのは、オイルショック以降、実は我々が気にしなきゃいけないエネルギー安保。このエネルギー安全保障というのは何かいかつい言葉なんですね。でも、これは、ありていに言ってしまいますと、私が思うにこれは自給率の向上、つまり我が国領土、領海内において取れる資源を使って、それで外国に対して足下を見られないと。これは、私はもう外交の常套手段、常套のあれかなというふうに思っておりますが。  それをどう確保するかということでありますが、具体的にどのようなというお話について私が思いますのは、まず理念としてはエネルギー安全保障という問題を震災以降もっともっと政治的にも広めていくべきだと。ただ、さっきも言いましたように、ちょっと言葉がいかついんですね。ですから、自給率、それを落とし込めていくと国産エネルギーでやろうという。これは前から言われている言葉なのではありますが、国産エネルギー政策というふうに大きくプレーアップすることって余りないんですよね。  以前は石炭坑がありました。日本にはたくさんの石炭坑がありまして、実は私は通産省に入省しましたときに、三菱南大夕張炭鉱の閉山と、その後、もう一つ北海道の大手、大きなところの閉山を手掛けまして、ちょうど終わるとき、まさにフェードアウトのときだったんですね。ああ、これで日本石炭はなくなってオーストラリアからだななんて話をしたときに、ちょうどエネルギーセキュリティー大丈夫かみたいな話はあったんですけれども、当時はオーストラリアは戦乱の国でもないので大丈夫だということだったんですが、しかし輸入資源には変わりないと、これはやっぱり良くないだろうということでずっと思っておったんですが、ようやく最近、再生エネルギーというものがプレーアップされてきましたので、これはチャンスであろうと。  で、具体策ということなんですけれども、私はやはり、そうはいっても資源がそんなたくさんあるわけじゃないんですね、種類が。数えたって原子力と再エネ五種類ですから、六種類ぐらいしかないわけですね。問題は、これをどうやって商業ベースに乗せて、我々が毎月払う電気料金がそこそこ抑えられるような形で収めるかということだと思うんですね。  そうしますと、既設原子力発電所は、もっともちょっと古くなっちゃって廃炉にしなきゃいけないものもあるんですけれども、大方はまだ何十年も行けるわけですね。そうしますと、まずはその期間の間は原子力についてきちんと稼働率を高めるということ。さっきも申しましたが、日本は低いです。お隣韓国も九〇%です。アメリカ合衆国も九二%、これは世界最高だと言って彼らは発表しています。フランスもそうです。ですから、電気料金安いですね。産業競争力もあります。これは、先般ドイツに行きましたときに、ドイツ政府からいただいた資料にそう書いてありました。だからドイツはあかんと、彼らはそういうプレゼンをしてくれました。それはやっぱり国産エネルギーとして彼らが自分たちで賄えるもの、強みだと思うんですね。日本は悪いけど、ないんですね。  ないので、あるものを使うということになると、私は、既設原子力発電所とか再生エネルギーというのはこの国にある人工的な油田だと思っております。油田、ガス田の類いだと思っております。だけれどもお金が掛かるので、それは今の原子力で使って、ただし、いつかやめます。やめるまでは時間があるので、それはそれで再エネも投資して育てていくと。あとは、三十年後、四十年後については、これは若干我々の子孫たちに期待するしかないと思うんですけれども、その技術開発のための資金もそこできちんと確保して、それで将来の国産エネルギー投資に少しぐらい蓄えておくと。  原子力発電所をフル稼働させて九割ぐらいに稼働させますと、私の試算では、例えば東京電力の柏崎刈羽原子力発電所というのがあります。これは七基あります。これを九割で稼働させますと現在よりも一兆円の利益増効果があるんですね。関西は廃炉を決めたものがあるんですけれども、関西電力、三つの原子力発電所があって、これをフル稼働させますとやっぱり一兆を超える利益増効果が出てくるんですね。これでアバウト、日本全体の原子力発電所を欧米並みの稼働率にしますと三兆ぐらいは利益増効果として出てくるんですね。これは非常に有効なんですね。技術的には、世界的に全くおかしい話じゃない。  そういうことで、さっき申しましたとおり、廃炉のためのお金もためる、葬式代もためる、次の世代の技術開発のものもためる、こういうものをトータルパッケージとして国産エネルギーで、大体それでも四割か五割だと思います。化石燃料はやっぱり頼らざるを得ません。そのぐらいの目標を作っていくことが私の今思っております技術的に可能な国産エネルギー政策のアウトライン。  ちょっと質問と全てがマッチしたかどうか分かりませんが、取り急ぎ、そういうことであります。
  66. 山田修路

    ○山田修路君 ありがとうございました。  再エネの中ではいろいろありますですよね、バイオマスとか小水力とか、いろんなものがありますけれども、やはりそのこと自体はそれほど大きなウエートがないというふうに考えておられるということでいいんでしょうか、水力原子力の話がありましたが。
  67. 石川和男

    参考人石川和男君) 水力につきましては、皆様は水力のイメージはどのようにお持ちでしょうか。水力というと大きなダムを想定される方もいらっしゃいますし、川の流れるところに水車というのも想定されると思いますが、日本が開発できる大型の水力発電所というのはもうないです。もう開発され尽くしましたので、まさに先生がおっしゃるように、小水力なんですが、申し訳ないんですけれども、全部かき集めてもそんなに大きな出力を確保できるわけではないんですね、現実問題として。したがって、水力については余り期待はできない。ただ、地域エネルギーとしての有効活用はあり得ると思います。  バイオマスについてもやはりコストの問題がありまして、そういう点からすると、実は五つの再エネの中で私は最も有望だとは思ってはいるんですけれども、じゃ大型石炭火力発電所、例えば百万キロワットとか百五十万キロワットとかってあるんですよ、大型の。原子力もそうですね、新型の、今、新しい原発は。そのぐらいの能力ができるかと言われると、ちょっとそこまでは遠いなというのが率直な現実ですね。
  68. 山田修路

    ○山田修路君 ありがとうございました。  以上です。
  69. 柳田稔

    会長柳田稔君) 小林正夫君。
  70. 小林正夫

    ○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。  石川参考人にまずお聞きをいたします。  マスコミ報道で紹介されている石川参考人のコメントでは、発送電を分離しても原発の再稼働が進まなければ電力会社が調達する火力用発電所の液化天然ガスは増え続けると、このように述べられておりました。今国会で送配電の分離という法案が出てまいりましたので、これから審議に入るんですけれども、日本の送配電の在り方、このことについてどのように御見解を持っているかお聞きをしたい、これが一つです。  それと、石川先生の書かれた本の中の「原発の正しい「やめさせ方」」、この著書の中で、原発四十年寿命説は本当なのかと、このように言われておりました。この原発四十年説について御意見をお聞きをしたいと思います。  この二問、よろしくお願いいたします。
  71. 石川和男

    参考人石川和男君) 御質問ありがとうございます。  最初の送配電網についてでございますけれども、実は私も、今回の提出されている法案は電気事業法の恐らく第四次改革だと思うんですけれども、私は一次と二次について実は資源エネルギー庁の方で仕事としてそのチームに携わっておりまして、当時は今の発送電分離を目指していたんです、私自身も。これはいいや、外国にも例があって、これで自由化だと。規制緩和の波というのが当時あったものですから。  ところが、やっぱりずっとそういう制度改革チームの中にいて考えて、そして震災が起きて、今まで考えてみますと、日本の送配電の在り方というものが、いわゆる九電力体制、沖縄を入れれば十電力体制で縦割りで来たわけですね、地域ごとに縦で来たわけですね。この評価というのをどう考えるかとなったときに、欧米と比べてどうかといえば、それは開放はされておりません。東京電力管内は東京電力だけ、中部電力管内は中部電力だけ。それがいいのか悪いのかと言われたときにどう答えるかなんですね。  私は、その答え方というのはいろいろあると思います。一つには料金面ですね。それからもう一つは、何といっても電力や、これは都市ガスなんかでもそうなんですけれども、これは公共インフラです。こういうふうについているわけです、普通についているわけです。常に来なきゃいけないんですね。水道もそうです。これは危機管理だと思っています。何かあったときの、災害の復旧、電気でいうところの停電時間ということ、あるいは電気の質ということだと思うんですが、そういう基準で考えますと、実は日本のこの縦型の地域ごとに割れていた送配電体制というのは、結果として世界で非常に高い水準の危機管理能力と電気の質を保っていることは、これはもう論をまたないわけであります。もう数字が出ております。  ですので、そういう観点からしますと、今の小林先生の御質問に対して、送配電網の在り方という質問に対しては、私は、もちろん東京、中部で越境していいと思います、発電所が越境したっていいと思います。東北と北海道、あるいは九州と四国で越境したって、それはそのぐらいはいいと思うんです、全然。  だけれども、今回の送配電分離を含めた一連の制度の改革法案についてどうかと問われますと、それによって、さっき申した後段の部分ですね、危機管理、停電時間、電気の質、そして何といってもコストですね。電気料金はどうかと言われますと、これは残念ながら、欧米の先行例が示してもいるんですけれども、少なくとも料金面については、これは私は請け合いかねます。統計として出ております。  発送電分離法案の中身は、発送電分離だけではありません、料金規制撤廃です。料金規制撤廃というと、わあ、すごいと思うんです。しかし、今の料金規制は、九九年の電気事業法改正において料金値下げを自由化しました。値下げだけ自由化したんです。値下げするのも時間掛かったんですよ、認可で。電気料金の認可って三か月から半年掛かるんですよね。下げると言っているのに半年なんか掛けるかよ、これはすぐやろうよというわけで値下げ自由化したんです。ところが、値上げだけは駄目だったんです。やっぱり駄目だろうと、これは。ストップが利かないと。恐らく、日本の電力会社はそんな簡単に上げたりはしないと思います、日本の電力会社の行動原理からすると。しかし、それはあくまでも思想的なものであって、ルールとしては駄目だと。  それは九九年の話ですので、後生大事に、二〇一五年の今がどうかと言われたら、ずっとそのときのでいいとは思いませんが、そのときから、周辺環境を考えますと、まさに国際資源環境を考えますと、値上げせざるを得ないような状況になっていますよね。そうですよね。だから料金認可で、下げているわけですね、今、そんな状況の中で料金値上げ自由化法を通すというのは、私はそれはおかしいというふうに思っております。  それで、送配電の形につきましては、これについては私は、越境でもって発電設備がどんどん入ること自体はこれはむしろ歓迎すべきことというふうに考えております。  それともう一つ、四十年規制ですね。  これについては、前民主党政権においていわゆる規制的なものになって、四十年で一応終わりにしようと、ただ、国が、規制委員会が見てよければ六十年までは行きましょうと、こういうふうな段取りのルールができたんですが、実はこの四十年規制がいいのか悪いのかと言われたときに、やはり日本の場合には外国を参考にしまして、アメリカ原子力規制参考にしたわけであります。  ところが、この四十年という数字について言うと、科学的根拠はないんですね。当のNRC、アメリカ規制委員会がそういうふうにホームページで言っておりますし、実際に国会審議の中で、まさに当時の与党、民主党ですね、それから政府、民主党、そして自民党、公明党の質疑を私もこれは実は論文で引用させていただいていますけれども、あれは科学的根拠がないんだよと、もう政治的に決めていいじゃないかということで決まっている数字なんですね。  したがって、科学的なものがないということであれば、ここについては少し柔軟に考えるべきだろう。というのは、四十歳と決めちゃうと、私はそれで安心してしまうと思います。本当は三十年で駄目になるかもしれません。だけど、五十年でも行けちゃうかもしれません。それは要所要所で、例えば十年ごとにきちんとやるとか、そのぐらいのレンジで見ていく方が結局はいいのではないかと、私はそんなふうに思っております。
  72. 小林正夫

    ○小林正夫君 原田参考人にお聞きをいたします。  都市鉱山の話、本当にありがとうございました。  太陽光発電大分拡大されて、日本全国、太陽光発電のパネルが大分普及してまいりました。このパネルは二十年ぐらいたつと機能が衰えるんじゃないか、このように私聞いておるんですけれども、二十年たってこのパネルを廃棄をしようというときに、有効な資源はこのパネルからは取れるんでしょうか。これが一つです。  それと、昨年十一月に、産業技術研究所のつくばセンターに視察に行ってまいりました。そのときに、パネルを産業廃棄物として処理するとき、カドミウム等の有害物質が含まれた場合の除去方法の研究を進めていると、こういうふうにお話がありました。このパネルの有害物質の処理に対して、何か御所見があればお聞きをしたいと思います。  以上です。
  73. 原田幸明

    参考人原田幸明君) まず、太陽光パネルは、メーンはシリコンでございますけれど、中に配線で銀などが使われています。そういう意味で、銀、それから全体に使われているアルミニウムのフレーム、こういう部分は完全に資源の対象でして、今でももう既に一部の業者はリサイクルに取り組んでおります。そういう意味では、一つの大きな都市鉱山の鉱脈だと見ております。  ただ、今からシリコンでいくのかという話がありまして、化合物半導体というのが出てきて、いろいろ、インジウム系、銅系あるんですけれども、その中にカドミウムテルル系というのがあります。日本では使われておりませんけど、アメリカのファーストソーラーという会社は今それで世界シェア三番まで行っています。そういったものがやっぱり入ってくることを前提としたリサイクルということを考えておかなければいけないということでございます。  ただ、ファーストソーラーが、我々が学ばなきゃいけないところがありまして、彼らはその設置からマネジメントからリサイクルまで全部込みでサービスするよと。リサイクルを家の方で買った人がやるのではなくして、サポートしているシステムでリサイクルをするよという形でそのカドミウムの問題を克服しようとしています。  今から、ソーラーパネルだけに限らず、多様なそういう有害物質を含みながら、それが非常に高効率なためにエネルギーに貢献するというものが出てくると思いますので、いずれのリサイクルの形態というのは、そういう場合、消費者というよりは、消費者はあくまでユーザーであって、それをサポートする人たちのシステムの中に組み込まれておいて、消費者は、そのリサイクルまで考えたシステムをサポートしている会社から買っていく、そういうふうな形に変わっていかないといけないんじゃないかと、そういうふうに思っております。  また、せっかくですからもう一言言わせていただきますと、今資源エネルギーのバランスが非常に御質問の頻度においても違うんですけれど、やはり資源の場合はリサイクルできますので、有害物質も含めて、エネルギーのような一方向の流れではないという優位性のあるものを我々が使っているということをよく考えてシステム設計をしていくべきではないかと思っております。
  74. 小林正夫

    ○小林正夫君 これで終わります。  ありがとうございました。
  75. 柳田稔

    会長柳田稔君) 市田忠義君。
  76. 市田忠義

    ○市田忠義君 日本共産党の市田です。  石川参考人にお伺いします。  事前にいただいた資料を読ませていただいて、その中に、落ちない飛行機はないという小見出しの文章があります。車も薬も完全に安全なものはないと。ただ、パソコンの場合も故障はするかもしれない、しかし故障してからでは困るから、あらかじめ早めに機種変更すると。原発の場合、いつ事故が起こるか分からない、したがって十年に一回ぐらいは入念に点検をと、こういうふうにお書きになっています。  それで、文脈から見て、決して飛行機事故原発事故をイコールに置いておられるとは思わないんですけれども、全ての技術に完全に安全なものはないと、それはそのとおりだと思うんですけれども、飛行機事故原発事故とを同列視していいんだろうかという根本的疑問を私、持っています。  福島原発のあの事故の教訓が示しているのは、一たびああいうシビアアクシデントが起こって放射性物質が外部に放出された場合に、それを抑える、制御する能力を少なくとも人類は現在では持っていない、コントロールできないと。しかも、その被害、時間的に将来にわたって危害を及ぼすし、空間的にもどこまでも広がる、あるいは地域社会そのものがなくなるというか、ふるさとにも帰れないと。そういう点で、ほかの事故とは異なる異質の危険を原発事故というのは持っているんじゃないかと。だから、同じように完全に安全なものはないけれどもイコールではない、やっぱり異質の危険があるというふうに認識すべきじゃないかというふうに私は思うんですが、その辺、参考人はどう思っていらっしゃるかということが一点と。  それとの関わりで、もし他の事故とは違う異質の危険を持っているという認識に立てば、原発を稼働して安い電力をつくっておいて、そうすることが将来の廃炉にも役立つと、言わば葬式代を準備するためには、必要悪というか、必要悪という言葉は使っていらっしゃいませんが、原発は少なくとも稼働して安い電力をつくっておくことが大事と。しかし、その間に事故が起こったら取り返しが付かない、元も子もないじゃないかと。すなわち、原発事故の持つ他の事故と違う異質の危険性という問題についての認識石川参考人はどのようにお考えかと。時間の関係で、それ一点だけ。
  77. 石川和男

    参考人石川和男君) 御質問ありがとうございます。  私、そういうものを書いたり発言したりすると、市田先生の御指摘、もう本当にごもっともでありまして、そういう質問は非常に多いんですね、電車の事故とかと違うじゃないかと。そのとおりです。原子力事故と飛行機の事故とは全く違うものでありまして、まさに先生御指摘のとおり、原子力事故というのは一旦起きてしまうと地域を一瞬で住めなくしてしまう。ただ、飛行機事故の場合には、これは言ってみれば、この間もドイツウイングでありましたけれども、一旦落ちてしまうと、これは本当にもう全員が犠牲者になるぐらいの大きな事故。これは全然フェーズが違う。  しかし、その違いについてはもっとも、そうなんですけれども、ルールの設定の仕方という、まあ電力行政というんでしょうかね、そういう安全規制とかそういうもののつくり方の考え方としては、やはりそこで確率論というものを考えるべきではないかという意味において、ちょうどこれを書いたのは、ドイツ事故の前に書いたものですからこういう書き方になったんですけれども、やはり自動車でも年間五千人から一万人ぐらいの方が亡くなっていると。あれはあれで固有のものだと思いますので、その事故対策というのはこれは警察庁がいろいろ対策を講じていると。原子力については、それはまた原子力規制当局が講じて事業者とともに安全を確保していくということになると思うんですが。  今の先生の御指摘について言うと、非常に答え方というのは難しいといいますか、的確かどうかはちょっと自信がないのでありますが、やはりリスクとコスト確率論というのを考えたときに、向こう四、五十年間原子力でしのぐということが、過去の世界原子力の歴史とかそういった新技術の開発の期間ということを俯瞰したときに、全部やめちまうのだろうかと考えたときには、やめた方のコストの方が掛かるだろうというふうに私は思っているんですね。  それは、原子力がいいということを言っているのではなくて、今既設原発があって、それはもう四十年なり六十年なりやって、そういう工程で組まれてやる長期の投資事業でありますので、それに対してどう向き合っていくかと考えたときに、確かに福島第一原子力発電所については、これは地域振興、復興策も含めてきちんとやっていくべきというのは当然のことでありますが、ほかの原子力プラントについてそこまでやるんですかとなったときに、よく言う諸外国の例なんですけれども、これは、旧ソ連、ウクライナですね、チェルノブイリは、それからアメリカのTMI事故スリーマイル島の事故アメリカはどうしたかということ、そういった諸外国の過酷事故の例を参考にすると、今の原子力全停止というのはちょっといささか行き過ぎたものであろうということから考えると、やはりそこは日本なりにリスク、コストのバランスを考えて、私はきちんと廃炉プロセスに円滑に持っていけるようなそういう原子力の正常化、廃炉するプロセスも正常化しなきゃいかぬと思っています。  ですので私は、ここで御提案申し上げたような早期発電再開の運用、審査と発電の並行化です、これは現行法上抵触いたしません、運用の問題ですので、そういったことをあえて提案をさせていただいているというところでございます。
  78. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間の関係で、終わります。
  79. 柳田稔

    会長柳田稔君) 牧山ひろえ君。
  80. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 民主党の牧山です。  一つ意見があるんですけれども、石川参考人の事前にいただいた資料を読ませていただきまして、その中で、ドイツエネルギーヴェンデ、エネルギーの転換について勉強させていただきました。  現在、日本では太陽光を始めとした再生エネルギー導入のコストが問題となっていますけれども、石川さんは、ドイツにおいては、このエネルギーヴェンデを推進することに関し当局が揺るぎない決意を持っているということと、それからドイツの国民も、この目的を推進するに当たって再生エネルギー導入増で電気代が上がったとしても許容する土壌があるというふうに観察していらっしゃることに感銘を受けました。  それから、このような当局の決意と国民の覚悟というのはエネルギー政策に関するドイツ国内の徹底した議論から生み出されているのではないかと思うんですが、エネルギー政策は、国民の生活、それから安全保障にも深く関係してくるかと思うんですけれども、日本では、原発再稼働に関する状況を見ていても、エネルギー政策に関する国民的議論が不十分ではないかと思わざるを得ないんですね。  ここでちょっと質問があるんですけれども、石川さんと河野さん、両方にお聞きしたいんですけれども、今後、日本企業が生産拠点を日本に残す、あるいは一度海外に生産拠点を移した日本企業がUターンをして戻ってくるということを目指すに当たって環境を整備することが非常に大事になってくるかと思うんですけれども、当局はその環境整備に当たってアベノミクスによる円安誘導をされたんだと思いますけれども、ここまで円安が進行しているにもかかわらず貿易赤字が続いていることにも示されております、円安誘導に頼り過ぎない、それから製造業の日本企業のUターンのための政策、日本国内で製造業を復活させる政策が必要だと思うんですけれども。  そこで、企業が事業拠点の選択に際しての重要な要素として事業展開に掛かるコスト、これが挙げられると思うんですけれども、そのコストの中で一番重視されることが電力価格電気料金だと思うんですね。  現在の日本電気料金は米中に比べますと高い水準になっております。最近の電気料金の値上げについて何かと注目が集まっておりますけれども、実は日本発電コストは三・一一以前から国際比較では高かったということですけれども、例えば発電コスト高の原因として、石油ですとか天然ガスなどの燃料の輸入価格が国際的な水準よりも割高となっているという意見もありますけれども、そのようなことに関しましてどのような御認識がおありでしょうか。それから、何らかの対応策はあるのか、御意見をお伺いできればと思います。
  81. 石川和男

    参考人石川和男君) 御質問ありがとうございます。お答えいたします。  今の牧山先生の御質問は、ちょうどこの緑の、先生方の机にもあろうかと思いますが、ここの六十八ページと六十九ページの見開きを御覧いただければと思いますが、これは事務局の方で用意していただいた資料でございますが。  確かに、三・一一より後は、この六十九ページ、資料を見ますと、二〇一一年三月辺りからぼんと上がっているんですよね。上がっていますよね。上がりますよね、それは。だって、需要が増えるんですから。あと、足下見ていますからという話です。ところが、じゃ、その前はどうでしたかというと、結構上がったり下がったりしているんですね。これは、もう輸入国、輸入資源に頼る国である以上は、ある程度は甘受せざるを得ないと思いますけれども。  今の先生の御質問に対して私がどういう認識かと申しますと、やはりそれは、今日のプレゼンでも申しましたとおり、なるだけ輸入価格を下げるというのはこれ必要だと思うんですね、努力が。そのためには、何といってもやはり日本が強く出るために、日本にはエネルギーあるもんねと、その姿を見せることが大事だと思うんですね。  現在はないに等しいですよね。これを言うとまた原子力の話というふうに言われちゃうんですが、でも、事実関係として、原子力が好きか嫌いかにかかわらず、原子力は止まっているんですよね、二〇一〇年と比べますと。そうすると、外国は足下を見ちゃうと。こんな状況価格下げ交渉なんて商社はできるんだろうか、石油会社できるんだろうかと言われると、なかなか私はこれしんどいなと思いますので。円安の問題、円高の問題というのは、これもまた為替の問題ですので、これまた原油価格と一緒で予想ができない。やはりそこについては一定部分甘受せにゃいかぬ部分あると思いますので、やはり私はそういう観点から、原料を輸入するときの強く出るためには、日本エネルギー国産エネルギー、これを増やす政策にむしろ震災以降もっともっと行かにゃいかぬなと思っております。  それと、もう一つ、牧山先生の中で、企業が日本にUターンするためには、電気料金、そういったコストが問題じゃないかと。私はそれは一理あると思うんですが、むしろ、行った企業が戻ってくるのに加えて、新たに日本に企業が来たいかどうかというふうに考えたときに、これは今日のテーマではないんですけれども、やっぱりこれは税制の問題、特に法人税ですかね、これはやっぱり大きな問題で、私の友人でも、やはり日本を離れてシンガポールに行ったり上海でという人が実際私の周りにも出ておりますので、その理由は、済みません、ちょっと資源ではないんですが、やっぱり法人税って非常に大きな問題ですので、これは引き続き議論をしていくべきかなというふうに思っております。
  82. 河野博文

    参考人河野博文君) ありがとうございます。  私は、資源との関わり合いで今の御質問にお答えさせていただこうと思います。  日本の企業が長く続いた円高の間に海外展開をほぼ二十年掛かりで進めたと思います。これが円安になったからといって一気に戻るということは非常に難しいと思いますけれども、今の円安のレベルであれば、日本の国内に投資しても十分やっていけると思い始めている企業は決して少なくないというふうに思っております。しかし同時に、燃料価格が、あるいは電気代が制約になっているという面はどうしてもあるわけです。石油とか天然ガスは、円安の結果、輸入価格は円換算では上がりましたけれども、シェール革命の影響で、原油安でそれが相殺されているというのが現状だと思います。  ただし、よく議論されますように、日本天然ガスを買うに当たってLNGで買わなければならない。先ほどパイプラインのお話がありましたけれども、今のところはありませんので、液化天然ガスで購入する。これは加工賃が相当掛かりますので、どうしても割高になります。加えて、このLNGというビジネスをメジャーが始めたときのビジネスモデルが、当時比べるものがありませんでしたので、原油の値段にスライドして天然ガスの値段が決まるという、しかも長期契約で契約するという、こういうビジネスモデルで来ております。  したがって、昨年のレベルでいいますと、恐らく日本の輸入しておりますLNGは十六ドルMMBTUという、ある燃料単位ですけど、十六ドルぐらいになると思います。一方、アメリカの国内で売られております天然ガスはLNG化しておりません。パイプラインで運ぶだけです。したがって、リンゴとリンゴの比較にはならないんですけど、三ドルとか四ドルとかそういう値段で売られているわけですね。いかにも日本は高いではないかという議論がありました。  それでは油の値段にリンクしたのをやめたらどうかということで、これからアメリカから輸入されるLNGは原油価格にリンクしない値決め方式になると思います。それは値段で換算すると、LNG化のために三ドル、輸送コストで三ドル、若干のマージンと、こう上乗せしていくと、十ドルを少し超えるぐらいのレベルになるというふうに計算できるわけですけれども、今の原油価格のLNGスライドの値段は、恐らく同じかあるいは安くなる可能性があります。  ただし、長期契約の値決め方式というのは一定のタイムラグを置く約束事になっておりまして、去年の後半から原油価格がぐうっと下がってきております。この原油価格がぐうっと下がった分がLNGの値段に反映されるには数か月を要しますので、今年の後半、日本に輸入されるLNGの値段は、こういう契約方式のものであっても相当値下がりするという状況にあるというふうに思っております。  しかし、米国のいわゆるシェールガスのLNGが常に安いとは限らないと同じように、また原油スライドの値決め方式の中東から来るLNGが常に高いとは限らない。それは常にリスクのある話ですので、日本としては多様なソースから買えるようにした方がいいだろうということで、私どもも政府からの要請がありまして、従来の値決め方式とは違う値決め方式で輸入されるLNG、それを開発する事業に対しては、先ほどのリスクマネーの供給でいえば、債務保証の際の料率を多少安くさせていただくというようなことでお手伝いをさせていただいている状況にあります。
  83. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 大変参考になりました。ありがとうございました。
  84. 柳田稔

    会長柳田稔君) それでは、予定の時刻が参りましたので、本日の質疑はこの程度といたします。  一言御挨拶を申し上げます。  石川参考人河野参考人及び原田参考人におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日のお礼とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会