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清水貴之君
維新の党の
清水貴之です。よろしくお願いいたします。
これまで
皆さんと
様々意見交換をさせていただきまして、多くの
参考人の
方々の
意見も拝聴し、
地方独自の発想で
地方が主体的に
活性化に取り組んでいく
必要性、これについてはもう我々、ほぼ
共通認識として持っているのではないかというふうに感じております。また、そのために、
統治機構や
地方制度を変えていく必要があるという
意見が多く出たように思います。
ただ、では、どのように
制度を変えていけばよいかということに関しては、本当に様々な
考え方があり、
地域差もあり、正直これは、もう聞けば聞くほどなかなか難しい問題で、もし
意見の集約を図ろうとするならば、相当な労力を要するのではないかというふうに感じました。
御存じのとおり、我々
維新の党、
大阪維新の会が進めてきました
大阪都構想が否決、日曜日にされました。非常に私としては残念な結果なんですが、結果は結果としてしっかり受け止めていこうと、いかなければいけないと思っております。
その
活動に日々参加してきましたので、そこで感じたことを少々、何か
参考になることがあればと思い、述べさせていただきたいと思います。
まず、
都構想に反対される
方々の
意見として多かったのが、
大阪市をなくしてほしくないというものでした。これはこれまでの
市町村合併でも多々あった話だとは思うんですが、やはり
自分の住んでいる場所、その
地名に非常に
皆さん愛着があるわけですね。もし実現していれば
大阪市という
単位はなくなっていました。ですから、
大阪都何々区という
単位、呼び名になっていったわけで、確かに
大阪市というものは解体されます。
ただ、
地名などは変わりませんということを、残りますということをこれは伝えてきたんです。例えば、
大阪市には
福島区という区があります。これは、
都構想が実現したらどうなっていたかといいますと、
大阪都北区
福島という名前になり、
福島というこの
地名はこれは残るような
仕組みになっていたわけなんですが、でもやはり、
皆さん、
大阪市という
単位といいますか、その
地名に非常になじみがあって、
愛着があって、それを変えたくないという
意見が多くあったわけですね。また、現存の
各区ごとの、これはもう東京でもそうだと思いますが、
ブランド力とかネームバリューというのもありまして、隣のあの区と一緒になるのは嫌だとか、こういう話も出てくるわけです。
また、
大阪都
構想そのものが分かりにくいという話もたくさん聞きました。
橋下市長が、
自分が二時間話しても理解してもらうのは難しいと言っていたんですけれども、そのとおり、
協定書も分厚いものですし、簡単な内容ではないわけなんですね。ですから、我々としては、
橋下市長や
松井幹事長だけで六百回以上の
タウンミーティングを開き、
維新の
大阪府議、市議も同じような
説明会を何度も行ってきて、少しでも理解していただけるように努力を積み重ねてきました。
これは決して負け惜しみとかではないわけです、ないんですけれども、話を聞いていただいた後には理解してもらって、ああ、だったら賛成にという
意見をいただいた方が多かったように思うのですが、やはりなかなかそこまで
説明して理解をしていただくというのは簡単ではないわけです。
ですので、もっと中身の
議論を時間を掛けてできればよかったのかもしれませんが、結局、これも決して負け惜しみではなくて、今後の
議論に生きればという思いで話をさせていただくんですけれども、中身の
議論よりも、先ほど申した、
自分の住んでいる場所への
愛着ですとか、それこそ、
都構想への進め方とか
橋下市長のやり方とか、そういった
橋下市長に対する信任投票のような形になってしまったなというふうに感じました。
あるタイミングでやはり思い切って変える必要というのもあるし、そういったことに意義はあるとは思うんですが、大幅な変革ということに関しては、やはり
住民の
皆さんの抵抗は非常に強いですよね。ですから、どのように
意見を調整しながら変えていくのかというのは、これは本当に難しい
課題だなというふうに感じました。
その一方で、
投票率というのは六六・八三%です。非常に高い
投票率で多くの方が関心を持ってくださり、投票所に足を運んでくださいました。
タウンミーティングでも、これまで政治に興味がなかったけれども、内容がよく分からないままに賛否を決める、若しくは棄権するというのは無
責任だというふうにおっしゃって、もう暑い中、一時間も二時間も話を聞いてくださるという方がたくさんいらっしゃいました。質問も多く出まして、二者択一という非常に難しい選択を
皆さんに迫ったわけですが、お一人お一人が真剣にこの
課題に向き合ってくださいました。我々としても、
住民の
皆さんがどのような
部分に関心を持っているのかが分かって大変勉強にもなったわけです。
もちろん、このように国会や各
地方議会でこうやって
議論をする、専門家の方に話を聞く、そして
制度設計をしていくというのも、これも非常に重要なことだとは思うんですが、ただ、やはり主役はそこに住んでいる
住民の
方々だというのを改めて実感いたしました。
住民の
皆さんと共につくっていく
必要性を感じました。
今回の
都構想に関しては、市長選や知事選、国政
選挙、府議や市議の
選挙でこれまで何度も争点になってきて、その間、多くの論争がありました。
都構想をめぐって費やされてきた
政策立案とか
議論の時間と労力は膨大になります。
都構想は否決ということになりましたが、これで
大阪の問題、決して解決したわけではありませんし、
都構想には否定的であっても、
大阪がこのままでいいと思っている
住民の
皆さんは決して多くないのが現状だと思います。
今回の件で多額の税金を使っていますので、その点は
住民の
皆さんにおわびをして理解をしていただかなければなりませんけれども、大
都市制度の
在り方、
住民自治の
在り方を考える上での一石をある
意味投じたものではないかというふうにも考えます。私
自身もいろいろと考えるところはありますが、是非、今回の
都構想を
一つのモデルケースという形にして、また様々
議論が深まっていけばいいなというふうに考えております。
そこで、改めてという形になるんですが、我々
維新の党は、
統治機構改革でこの国の形を変えていくべきであるというふうに基本的に考えております。欧米に追い付け追い越せの
時代、高度成長
時代には中央
集権、官僚主導などの国家運営方針が有効だったのでしょうが、今の成熟した
日本にはその
仕組みがなじまなくなってきているのではないかと考えるからです。
では、どうするかといいますと、まず国と
地方の
役割をもう抜本的にやはり見直す必要があると思います。国の
役割を
外交・安全保障、マクロ経済
政策などの国家的に取り組むことがふさわしい
課題に集中させる一方で、
地方にできることは
地方に任せるべきです。
地方によって、それぞれの
地域によって持っている
課題が違うので、やはり
地方独自で考えていくべきだと思います。
住民に身近な
課題は
基礎自治体が担うとともに、広域
地方政府として道州制を
導入し、
権限と
財源を
地方に
移譲し、さらには規制緩和を図り、国からの上意下達によらない、
地域そして個人が自立できる社会システムを確立すべきだと思います。道州制ですが、
地域、個人の創意工夫、民間の自由な競争によって経済、社会の
活性化を促す成長戦略の切り札としての
可能性を有していると考えます。
ただ、道州制と一言で言いましても、様々
議論があったとおり、その中身をどうするのか、中の
自治体の
単位はどのようにしていくのか、
都道府県は残すのか、
市町村はどうするのか、道州間の
格差はどうなるんだと、
議論をすべき論点は多々あることもこれまでの審議の中で明らかになってきました。
我々としましては、やはり国が全国一律に
政策を決める中央
集権体制ではなく、道州制にして
地方の自立性を認めれば、
制度や
住民サービスの
地域間競争が生まれ、
行政も効率化することができる。交通インフラなど、今の
都道府県単位より大きな
視点で俯瞰することで、空港誘致合戦のような無駄も排除できると。そして、強い道州という
単位の都市で
自治体が生まれることで、アジアのほかの都市、ソウルとか上海とかシンガポールのような大都市と戦える都市が誕生する。その結果、
日本の国力が高まるというふうに考えています。東京一極集中も是正しなければなりませんし、やるべき
課題が山積しています。
長年取り組んできた
都構想が実現しませんで、正直、心身共にちょっと疲れてはいるんですけれども、ただ、そんなことも言っていられませんで、
都構想は頓挫しましたが、これは
大阪だけではなく、それぞれの
自治体でも、
行政も市民も様々
改革に取り組まなければいけないことにこれは変わりはないと思います。
今述べさせていただいたとおり、じゃ、どうしたらいいかというのは、これは本当に難しい問題でして、もうなかなか答えが出ないし、まとめるのは本当に難しいことだと思うんですけれども、
改革の道というのは決して
一つではないと思います。
住民投票も、今回は決して我々はゴールではないと思っていますし、
日本の将来像を描く
議論のスタートだと思っております。引き続き、
皆さんと
議論を深め、より良い
制度づくりができればというふうに思っております。
以上です。ありがとうございました。