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2015-05-13 第189回国会 参議院 国の統治機構に関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年五月十三日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      石上 俊雄君     浜野 喜史君      田中  茂君     行田 邦子君      主濱  了君     山本 太郎君  五月十二日     辞任         補欠選任      浜野 喜史君     森本 真治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         山崎  力君     理 事                 猪口 邦子君                 島村  大君                 渡邉 美樹君                 長浜 博行君                 横山 信一君                 清水 貴之君                 倉林 明子君     委 員                 井原  巧君                 衛藤 晟一君                 古賀友一郎君                 高橋 克法君                 武見 敬三君                 柘植 芳文君                 堀井  巌君                 足立 信也君                 江田 五月君                 風間 直樹君                 森本 真治君                 吉川 沙織君                 秋野 公造君                 行田 邦子君                 山本 太郎君                 荒井 広幸君    事務局側        第三特別調査室        長        宮崎 清隆君    参考人        国立社会保障・        人口問題研究所        長        森田  朗君        北海道ニセコ町        長        片山 健也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国の統治機構等に関する調査  (「時代変化に対応した国の統治機構の在り  方」のうち、国と地方関係人口減少社会に  おける基礎自治体))     ─────────────
  2. 山崎力

    会長山崎力君) ただいまから国の統治機構に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、主濱了君、田中茂君及び石上俊雄君が委員辞任され、その補欠として山本太郎君、行田邦子君及び森本真治君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎力

    会長山崎力君) 国の統治機構等に関する調査を議題といたします。  「時代変化に対応した国の統治機構在り方」のうち、「国と地方関係」について調査を行うに当たって、本日は「人口減少社会における基礎自治体」について参考人から意見を聴取いたします。  御出席いただいております参考人は、国立社会保障人口問題研究所長森田朗君及び北海道ニセコ町長片山健也君でございます。  この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。  皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず森田参考人、そして片山参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございますので、よろしくお願いいたします。  それでは、森田参考人からお願いいたします。森田参考人
  4. 森田朗

    参考人森田朗君) 国立社会保障人口問題研究所森田でございます。  本日は、この国の統治機構に関する調査会意見を述べる機会を与えていただきまして、大変感謝申し上げます。  私の専門行政学、広い意味での政治学でございまして、これまで行政組織であるとか、あるいは公共政策について研究を行ってまいりました。近年では厚生労働省中央社会保険医療協議会、いわゆる中医協でございますが、そこの会長を務めておりますし、また国立社会保障人口問題研究所に勤務しておりますことから、専ら医療社会保障政策中心として研究を進めております。そのため、地方自治及び国の統治構造に関する研究につきましては最新の研究成果を十分にフォローしていない可能性もございますが、その点につきましてはお許しいただきたいと存じます。  以下、では、現在の人口減少社会における地方自治体在り方、国と地方関係、特に基礎自治体に焦点を当てて意見を述べさせていただきます。このテーマに関しましては、比較的最近書いた論文等につきましてはお手元に資料として配付されていることと存じますので、参考にしていただければ幸いでございます。(資料映写)  私自身は一九九五年に設置されました地方分権推進委員会及び二〇〇一年に設置されました地方分権改革推進会議に関わってまいりました。これらの会議が目指しました分権改革といいますのは、ここにありますように、それまでの国の中央集権的な体制を改め、憲法にも示された地方自治実現を図ることであると理解しております。具体的には、国、すなわち中央政府による地方自治体に対する制度上の統制、また補助金等を通した様々な規制を削減し、その地域のことについてはその地域住民が自ら決定できる状態実現すること、これを目指してきたと思います。  私は、このような理想的な地方自治状態と申しますのは、第一に、政策がその地域内で完結し、国や広域自治体政策から切り離して決定できること、第二に、その政策及び首長、議員地域住民民主的参加によって決定されること、そして第三に、それらの政策実現するために必要な財源地域住民によって負担されること。要するに、政策地域的完結性住民自治、そして自主財源という条件が満たされるときに理想的な地方自治というものを実現できるのであって、これまでの地方分権改革はこうした状態に少しでも接近することを目指して行われてきたと言えると思います。  そのために、地方分権改革では、国という上位の政府による統制をなくし、中央政府地方自治体とを対等な協力関係に変えることを目指して機関委任事務制度廃止するとともに、地方政策実現を阻害する補助金等廃止によって自主財源拡充であるとか、また必置規制廃止、さらには権限移譲などを行ってまいりました。その結果、自治体自己決定の範囲というものは拡大し、多数の補助金交付金化されるなど、自治拡充に資する基本的な制度改革実現したと思っております。  しかしながら、それによって、地方自治体、特に住民に近い基礎自治体自立性が増し、地方自治の理想に大きく近づくことができたかといいますと、これは必ずしもそうとは言えないように思っております。  なぜそうなのか。私は、その理由として第一に、法制度面改革改革のエネルギーを集中させ、全国一律の制度改革を施行したために各自治体が置かれている状況多様性十分改革に取り込むことができなかったこと、また現代国家においては国と地方事務が深く結び付いており、それを切り分けることがそもそもかなり困難であったこと。そして、第二の理由としましては、分権改革を始めた一九九〇年代の半ば以降、改革前提としていた社会環境が大きく変わり、改革前提が失われてしまったことがあると思います。  第二の社会環境変化として指摘できるのは、第一に、国、地方財政状況の悪化です。第二は、昨今話題となっております人口減少です。以下、財政状況そして人口減少状況について述べさせていただきたいと思います。  財政状況が悪化したことにつきましては改めて申し上げるまでもないと思います。私自身財政学専門家ではございませんので詳細についての説明はできませんけれども、このグラフ、図が示しておりますように、我が国の場合、防衛と年金を除くほぼ全ての事務において国と地方の双方が仕事を分担しております。  すなわち、国と地方が経費を負担して住民に対して行政サービスを提供しているわけですけれども、周知のように、多くの地方税源は限られており、補助金交付金そして地方交付税という国からの移転財源地方は多くの財源を依存しています。この状態自体分権改革以前から存在し、したがいまして、改革時においては、まずは国から来る財源自由度を高めること、地方が自由に使えるようにすること、例えば要綱によって制約の多い補助金廃止し、交付税等の使い道を固定されない一般財源に転換すること、さらには、それを推進するために、国と地方で分け合っている税源の一部を国から地方に移譲すること、このようなことが試みられました。  その結果、どの程度地方自治体財政的自由度が高まったかということは私自身はよく分かりませんが、そのような改革にもかかわらず、九〇年代以降続いた国、地方財政難は地方財政を悪化させ、結果として国への依存度を下げることにはならなかったと思います。特に、地方税制の問題でもあると思いますが、税収の偏在が農村部小規模自治体財政状況を一段と厳しいものにしていると言えます。  このような状況は、この図が示しております。これは平成四年、一九九二年以降、急速に地方債発行残高が増えていることを示しています。多くは国、地方を通じた景気回復のための支出によるものであります。平成十六年、二〇〇四年以降は地方債残高増加傾向は止まり、むしろ最近では減少に向かっていますが、その内容を見ますと、他方によりまして将来の交付税の先取りとも言える臨時財政対策債の占める比率というものが高まってきているのがお分かりいただけると思います。  二十一世紀に入ってからは高齢化に伴う社会福祉負担増によって財政はますます厳しくなり、最近では、特に平成合併による財政特例措置の期限が到来したため、合併した自治体の中には一層厳しい状態に陥っているところもあるようです。このような状態の中、現在地方創生が叫ばれ、自治体から期待の声も聞かれます。更に申しますと、今後は、これまで比較的豊かであった都市部自治体も、これから生じます急速で大規模高齢化によって財政事情は悪化していくことが予想されます。こうした、自治のある意味で最も基本的な要素である財政的な自律性が脆弱化していくことは、分権改革の当初の前提を大きく変えるといいましょうか、前提と違った状況が生じていると思います。  次に、人口減少に話を進めさせていただきます。  地方分権改革で十分に考慮されていなかった社会環境変化の第二は、人口減少です。昨年の地方消滅というショッキングな問題提起以来、地方創生に至るまで、前提になっておりますのは人口減少、とりわけ地方農村部人口減少の問題です。二十代、三十代の女性が急速に減少する地域消滅可能性があるとして、それに対する対策が叫ばれていますが、人口学観点から見る限り、大量の移民でも受け入れない限りは全国的に短期的に人口自然増を図ることは極めて困難です。生まれてくる子供の数を増やす政策を最大限実施する一方で、当面は少子化人口減少前提として社会在り方制度在り方を考えていかなければならないと思います。  これは、日本人口ピラミッドが二〇一〇年から六〇年までどのように変化するかを示したものです。アニメーションになっております。次第に下がすぼまり、次第につぼ型になって面積が小さくなっていくことを御理解いただけると思います。この右側の点線部分ですけれども、この点線で囲まれた部分はまさに二十代、三十代の女性です。一人の女性が一生の間に産む子供の数である合計特殊出生率が現在注目されているところですけれども、二十代、三十代の女性の数、絶対数そのものが、この図が示しておりますように五十年間で半減いたします。  今問題になっている人口減少対策では、これまでも急速に人口減少、特に若い世代人口大都市への流出等によって人口減少高齢化が生じている農村部自治体の問題として、この問題をいかに、農村部自治体をいかにして活性化し、人口増に結び付けるかということが議論されております。まさに消滅可能性のある地域を存続させる策が模索されているわけですけれども、統計数値を見る限りでは、かなり厳しいものがあると言わざるを得ないと思います。  この図は、二〇一〇年から三十年間の市町村別人口動態を示したものです。ごく一部の都市部で増加が予想されるものの、五〇%以上の減少が予想されている市町村も多数あります。こうした人口減少高齢化は、言うまでもなく、地域社会活力低下に結び付き、地域共同体機能低下させ、必要な行政サービスの質、量の維持を困難にします。特に、災害時等の非常時における対応能力低下は大きな課題と言わざるを得ないと思います。  このような将来の人口減少については、かなり以前から予測されておりました。そのために、今から十数年前に市町村合併必要性が言われ、実は私自身もその推進に協力してまいりました。結果といたしまして、市町村数はほぼ半減いたしましたが、合併推進の過程で様々なあつれきがあり、また合併後の地域間にしこりも残り、人口減少に対する対策としての合併は、大変不評な策として現在の人口減少対策選択肢には入っていないように思われます。しかしながら、合併推進してきた者といたしましては、望ましいと思われますこの合併という一体化策を取るか取らないかはともかくといたしまして、公共施設にせよ、医療施設にしましても、集約化集中化はその地域社会機能維持していくためには避け難い選択肢であるように思われます。  ところで、現在の人口減少問題は、大都市、特に首都圏とそれ以外の農村部地方との対立図式で論じられ、若者や富を吸い取る首都圏への地方からの人口の流出を食い止め、地方にとどめることが地方創生につながると主張されているように思います。  しかしながら、人口動態を見る限り、首都圏におきましては、この図が示しておりますように、高齢化がこれまでにない規模と速度で起こるとともに、若い世代人口都市部でも急速に減少することが予測されています。我が国全体の衰退を食い止め、持続可能で発展に向かう社会をつくるためには、都市部農村部人口の取り合いをするのではなく、人口減少という課題を緩和するために最も適した地方自治体在り方を考える必要があると思います。  さて、財政状況及び人口減少地方分権改革前提を変えてきたと述べてまいりましたが、それでは、統治構造という観点から今後の我が国地方自治体、特に基礎自治体在り方はどうあるべきなのか、私の意見を述べさせていただきます。  結論から申しますと、制約条件が多いためベストの解決策というものは容易に見出せないと思われます。しかし、重要なことは、住民日本国民として安心して暮らせる環境を保障することだと思います。それぞれの地域でそれが実現できればよいのですが、人口減少による地域社会機能低下は避け難いと言わざるを得ません。したがって、今後の地方自治体在り方としては、以下のような方向で考えるべきではないかと思っております。  第一に、人口減少で現在の自治体の中にはその機能を果たすのが困難なところも多数出てくる可能性があります。他方、持続可能な地域活力を保持している自治体ももちろんあります。したがって、言えることは、自治体規模能力等に応じて多様な制度を検討することではないかと思います。一国多制度という言葉がございますが、自立可能な規模能力を持つ自治体には多くの自治権を認める一方で、それだけの力を持たない自治体については事務の一部ないし全部を広域自治体ないし国が肩代わりして担うという形での多様化もあり得ると思います。  その場合に、どのような事務をどこが担うべきなのか、その線を引くことは容易ではありませんが、自ら担い得る事務のみを担い、それ以外の事務については、それを担い得るところが担当するというのは補完性の原理という考え方にも合致するものであると思います。もちろん、それを自治体ごとに選択できるようにするという考え方もあるでしょうが、一応類型化を行い、それぞれについて基本的に担う事務を定めておくということが望ましいのではないかと思います。例えば、現在の高齢化財政力から見る限り、東京のような大都市中心部高齢化が急速に進むそのような都市周辺部地方の核となり得る都市農村部小規模自治体等といった区別です。  第二の方向としましては、こうした自治体事務の編成を前提にして、行政機能集約化集中化共同化が必要であるということです。それには既に言われておりますようなコンパクト化推進というのが不可欠であり、公共施設や他の都市機能中核的な自治体に集中させ、周辺の小規模自治体と連携し、それらの自治体中核となる自治体が支援するような、そうした仕組みをつくることが必要ではないかと思います。その延長上に合併による規模拡大集約化という方法もあり得るとは思いますが、仮に合併が困難であったとしても、同様の効果を生むような仕組みというものが考えられてしかるべきではないかと思います。  特に、農村部山間部小規模自治体の場合、今後の人口減少高齢化によって、地域共同体としての機能維持が困難になるところも出てくると想定されますので、中核となる自治体、あるいは広域自治体がその機能を代替するような制度も必要になってくると思います。あるいは、行政事務の代行を一種のビジネスのような形で実施しておりますアメリカのシティーマネジャーのような制度も検討されるべきではないかと思います。そのような小規模自治体の場合、先日の地方議員選挙でも見られましたように、地方自治の最も根幹的な要素である住民自治機能低下も懸念されるところであります。無投票当選、さらには議員定数を充足できないような状態が拡大するとしますと、冒頭に述べました住民自治の根幹を揺るがす可能性があるということです。自治能力を失った地域社会では、住民生活維持し、安全、安心を維持することは困難と言わざるを得ません。  関連しまして、第三に、今後、地方農村部人口減少高齢化が当分続くと想定される以上、それらの自治体の中には存続していくことが困難なところが出てくることは間違いないのではないかと思います。それらの自治体にも住み続けたいという住民がいる限りはその支援は必要です。しかしながら、若い年齢層人口維持できない場合には、いずれ消滅するという可能性が高いと言わなければなりません。そのような自治体に対しては、二十年、三十年という長期的な計画に基づいて自治体としての機能を他の自治体に吸収ないし統合していく、そうしたダウンサイジングを計画的に進めていくことが必要ではないかと思います。  時間もほぼ参りましたので、最後に結論的なことを述べさせていただきたいと思いますが、重要なことは個々の国民の生命、生活を守ることであり、それに必要なミニマムの行政サービスを的確に供給することです。これは、国家の国民に対する責任であると思います。統治構造における自治体在り方は、その目的を達成するのに適した形態は何かという観点から探求されるべきではないかと思います。高度に発展し、地域相互依存性が高まり、しかも人口減少高齢化が進行しつつある現代社会において、伝統的、歴史的な自治の姿に固執すべきではなく、今後の我が国の姿を見据えて、それに適した制度の構築を検討すべきではないかと思います。  まだ多くの触れられなかった論点もございますが、それらにつきましては、後の質疑の折に御質問があればお答えさせていただきたいと存じます。  どうも御清聴ありがとうございました。
  5. 山崎力

    会長山崎力君) 森田参考人、ありがとうございました。  続きまして、片山参考人にお願いいたします。片山参考人
  6. 片山健也

    参考人片山健也君) ニセコ町長片山でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。(資料映写)  私の問題意識から最初に御報告させていただきたいと思いますが、戦後、日本社会は、右肩上がり高度成長の中で自治体も大きな予算を組んで住民皆さん生活を支えてまいりました。その結果、例えば農村部であれば、道路の道普請といいますか、道路草刈りは農家の皆さんが年に何回か出て刈っていたわけでありますし、雪の多い日、隣のおばあちゃんの玄関が雪でいっぱいだったら、隣の人が行って、ばあちゃん大丈夫かと言って雪をかいて、ばあちゃん生活を確保してきた。日本社会は、基本的に相互扶助町づくりをしてきたのではないかというふうに思っています。  しかし、だんだんと経済が順調に右肩上がりになっていくにつれて、住民サービスの向上という名の下に、じゃ道路草刈りは私たち公共でやりましょう、あるいはお一人で暮らしているおばあちゃんの面倒は役所が見ましょう、どんどんどんどん、本来住民皆さん自治を担っていた自治の力を、公共がこれまで住民サービスの名の下に行政に移管してきたという歴史ではないかというふうに考えています。その結果、地方自治体職員数を増やし、予算規模を増やし、今日に至ってきたのではないか。そうすると、今、元の原点に、本来ある自治の現場にこの形を戻していく必要があるんではないか、そんなような意識を持っているところでございます。  そんな前提で現在町づくりを進めておりまして、そういった住民自治住民皆さんが、主権者である住民が自ら考え行動して町づくりを進めていくに当たっては、きちっとしたまず情報共有化が大前提ではないかというふうに私たちは考えています。  皆さんに、先生にお配りさせていただきました「もっと知りたいことしの仕事」というのが、こういう冊子がございます。これは、我が町の今年の予算説明書でございます。町民全戸に配付をさせていただいております。例えば、これはアカウンタビリティーといいます、予算責任として、当該予算で決まった仕事の事細かな内容住民皆さんにまず御理解をいただいて、その中から町づくりの議論をしていただくものとしているものでございます。  例えば、この本の三十七ページをちょっとお開きいただければ有り難いというように思います。三十七ページには、ここに道路をやると書いておりますが、この予算の国からの補助金幾ら町民の税金が幾らなのか、借金幾らなのか、どこをやるのかというのが書いてございます。  つまり、子供の暮らしも含めて、こういったものを全部住民皆さんお知らせをするということをやることが今後、財政民主主義を進める上で必要ではないかということで進めているものでございます。  また、百五十四ページから資料編としまして、借金状況だとか積立ての状況、あるいは人件費状況補助金はどんなところに使われているのかというのをずっと書いております。また、人口状況等についてもこの資料編で事細かくお知らせをしているというような状況でございます。  つまり、こういった財政状況を含めて住民皆さんといろんな話合いをする中で、あっ、こんなことはとっても役場がやる仕事でない、それは私たちがやるといって、実際に動いていただくこともありますし、役場予算がそんなにないこと、それから職員能力もそんなに全てができるわけでないという現実が分かってきていただいていて、その中で、あっ、それは私たち仕事だねということで動いているものがあるわけであります。徹底した情報公開をやることによって、住民皆さんが自ら考え行動するという風土ができつつあるのではないかというふうに考えています。  我々は、子供の参加も含めて多様なこういった住民との話合いを日常的にやりながら、町づくり公共課題を解決するというのをみんなの力で進めているというふうな状況でございます。  四年に一回選挙はありますが、首長が替わるたびに、住民行政との関係、例えば情報が出る出ないとか、そういうことがくるくる変わるということはまた白紙にリセットするという話でありますので、私たちがこれまで積み重ねてきた住民自治の力、こういう情報はきちっと住民皆さんお知らせする中で意思決定がなされていくであるとか、そういったものはきちっとやっぱり条例で規制すべきではないかということで、私たちはニセコ町まちづくり基本条例というものを作り、これに基づいて町づくりをしているところでございます。これは私ども、町長も選挙で当選した場合、あるいは特別職全員が議会の場で宣誓を行って進めているというふうな内容でございます。  先ほどの予算を作るに当たっても、予算ヒアリングってやりますが、その公共課題を解決するためにこういうふうに考えているという現場の声自体を全て公開をして進めているということであります。基本的に、役所内部の会議も全て公開ということで進めております。  その中で一例だけ申し上げますと、一般廃棄物最終処分場というごみの処分場でありますが、私ども、共同で広域でごみの焼却施設は持っておりまして、ダイオキシンが出る焼却灰については各町村がそれぞれ最終処分を行うということで、処理の行き場のないものについては各町村が引き受けるということに早く結論を出していました。平成十三年にダイオキシン特別措置法という法律が動きますので、そのときまでに完璧な処分場を造らねばならないということでありまして、それはもう全てスケジュールから全部公開で進めてまいりました。当時、反対運動も起きましたが、我々には秘密はないということで徹底して行っておりましたので、そういった大きな広がりはなく、最終的に、反対運動を行った皆さん役場で隠し事は一つもないという御理解をいただいて、うまく、うまくといいますか、握手をして別れたところであります。  こういったようなことをやる上で、だんだんと住民皆さん自治の広がりがあって、例えば観光協会を株式会社化して町民が出資する株式会社をつくるであるとか、福祉の老人保養所も住民皆さんが出資をして運営をするということで、町からの運営費の補助というのは一切設立以来行っていない、住民の力で行っているわけであります。  また、私たち地域はリゾート地でもありまして、将来のリゾートを考えるときにこの環境と景観を守るということが大変重要で、乱開発をしてはならないということでございますので、厳しい開発規制を行っております。財産権がありますので、そことの調整は相当大変でありますが、我々のこの環境の価値を将来に守ろうということで、例えば水道水源はもう大変良好な水であります。これを例えば遠くの方が買われて、財産権でありますので、我々の命と暮らしを守る水が、我々の生活にとって欠かせないものであるものが奪われてしまうということになってはならないということで、水道水源地の開発規制であるとか、地下水が勝手に大量取水できないような規制を行っております。当然訴訟リスクもありますが、やっぱり自治体が覚悟を持って規制をし、行っていく必要があるんではないかというふうに考えてこういった制度を行ってきたものでございます。  水源関係は、ここに、先生にお配りしたとおりでございます。  こういった中で、現在、人口は、レジュメの方にちょっと書かせていただいておりますが、若干、十五年間微増状態ということで、その下にあるとおり、現在、住宅不足対策をどうするかとか、子育ての環境も、子供の数が増えるということで今一生懸命対応しているというような状況でございます。  また、観光につきましては、そこに記載のとおり、日本人口減少に伴って観光客数がどんどん落ちてきておりますので、それを今海外の皆さんに補っていただいて、この十年間、大体十・三倍の海外の皆さんの伸びを見ているというようなことでございます。これも十八年前から海外対策を行ってきた成果が徐々に現れてきたものというふうに考えています。また、こういった開発も、住民の合意形成の中で様々なリゾート開発が現在進んでいるというようなことでございます。  また、自治体在り方についてもこれまで幾つか提言をさせていただいておりまして、レジュメの参考のところにちょっと書かせていただいておりますが、平成十五年には合併特例法あるいは改正自治法について提案をさせていただき、多くを法律の中に入れ込んでいただくことができました。また、平成十九年は、地方財政の健全化法に当たっては地方の現場から提言をさせていただきました。  先ほど森田先生が述べられたとおり、事務の補完、こういったものがもう少し流動的になる仕組みが必要ではないかというふうに考えておりまして、ここにあるとおり、将来的には自治体も、基礎タイプ、総合タイプ、拡大タイプといって、自治を補完する仕組み多様化していく必要があるんではないかというふうに考えております。これにつきましても、更に今後また精査をしながら提言をしてまいりたいというように考えておりますが。  今現在、広域連合の制度は非常に質の高い制度であります。ただ、唯一大きな問題点は、そこに独自の財源は持たないということでありますので、是非将来的には広域連合に課税権を認めるということをすると、いろんな、環境分野であれ観光であれ、広域連合が機能的に動いていって自治多様性が深まり、地方自治の豊かさに結び付いていくのではないかというふうに我々は考えています。  以上で私の御報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  7. 山崎力

    会長山崎力君) 片山参考人、ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十五分以内となるよう御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  渡邉美樹君。
  8. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 自由民主党の渡邉美樹でございます。  本日は、森田参考人そして片山参考人、貴重な意見をどうもありがとうございました。  森田参考人資料の五ページ目の地方財政の借入金というのがございます。まず、率直に申し上げて、この地方財政の借入金、これは、森田参考人はこの借入金、今後どのような形でこれを減らすべきなのか、いや、そうじゃなくてこのままでいいのか、これについて率直な御意見についてお聞きしたいと思います。
  9. 森田朗

    参考人森田朗君) いずれにしても、借入金ですから、本来ならばなくしていくべきであろうかと思います。  しかしながら、地方住民に対して行政サービスを行っていかなければなりませんので、それを維持するために、できるだけ効率化をしつつ、減らしつつ、これをだんだん減らし続けていくということが必要ではないかなと思います。
  10. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 森田参考人にもう一度お聞きします。  それは、現在、工夫の中で可能だというふうに今お考えでしょうか。
  11. 森田朗

    参考人森田朗君) 現在のところは非常に、かなり難しいのではないかと思います。  と申しますのは、地方財政もそうですけど、国の財政もそうですけれども、大きな問題の論点というのは三つあると思います。  一つは、国、地方を合わせてですけれども、収支をどう考えるかということと、もう一つは、国と地方の間での負担をどう考えるかということ、三番目は、地方の中でも比較的豊かなところとやはりそうでないところとございますので、そこのところの調整をどうするのかと、そうした三つの論点をどのような形で解決していくのかというのが地方財政制度の一番根本的な問題だと思いますけれども、現状で見る限り、一番最初の、国、地方を合わせたところの収支といいますのがなかなかバランスが取れない状態ですので、これを地方が一定の割合を担っていくという状況はそう簡単には変わらないのではないかと思います。  以上です。
  12. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 私もそのように思っております。この地方財政の借入金二百兆円、本当にこれが減っていく、そんな体制を考えるのがこの国の統治機構に対する調査会だと思っておりますが、ニセコの片山参考人にお聞きしたいと思います。  ニセコでも七十七億の借金がございます。そして、町が負担すべき借金は三十三億なんですが、ここのところずっとまた借金が全然減っていない状況が続いております。これは返せるんでしょうか。
  13. 片山健也

    参考人片山健也君) 返せるといいますか、当然、地方交付税等を考えながら現在やっておりまして、その中で今私ども考えているのは、地域が持続していくためには新たな目的税が必要だというふうに考えておりまして、宿泊税含めて観光税の検討を現在進めているところでございます。
  14. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 なるほど、別の税等を設けることによってそれが可能だというふうにお聞きしました。  森田参考人にお聞きします。  森田参考人は、小規模基礎自治体においてのミニマム行政のサービス、これを供給するためには市町村合併が重要だと、そしてまとめのところでもこのミニマム行政のサービスという言葉を使われていますが、ミニマム行政のサービス、これは森田参考人のお言葉で、何をもってミニマム行政とおっしゃるのか、教えてください。
  15. 森田朗

    参考人森田朗君) 基本的に、社会福祉、教育、また住宅も含めた地域のインフラを含めて申し上げております。
  16. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 ありがとうございます。  片山参考人にお聞きします。  片山参考人も、別の資料を見させていただきますと、とにかく住民の身近にあって、住民の直接の監視機能が発揮される自治体に権限と財源をもっと渡すべきだということを主張されているわけですが、具体的にどの財源、例えばどのような権限を市町村に渡すことによって国の統治機構としての一つのあるべき形に近づくのかということについてお聞きしたいと思います。
  17. 片山健也

    参考人片山健也君) 大枠でいいますと、国の今税収が、国に入って地方に移管している補助金交付金というのは相当数ありますので、これらについてできるだけ最初から地方に配分をするということが必要ではないかというふうに一つは思います。  それから、もう一点では、実はたくさんあるんですが、例えばの例でいえば、農地が今かなり流動化をしてきております。しかし、私たちは農地を守りたいというふうに思っていますが、なかなか国の法律どおりにいくと、形式的に整っている農地には売買を認めざるを得ないということになっていまして、将来それが荒らされると自動的に農地から除外されてしまうというものに対して、物すごい実は危機感を持っております。現実的にそういうもので今困っていることもたくさんありまして、そういうものを地方に任せていただくことによって、地方は本当に農地をきちっと将来守っていけるというふうに思っていますので、そういったような規制についても地方に権限を持たせていただければ有り難いというふうに考えています。
  18. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 ありがとうございます。  では、もう少し突っ込んでお二方に、森田参考人片山参考人にお聞きしたいんですが、私の友人なんですが、市会議員、そして県会議員、県会議長、市長と歴任した方がおりまして、彼がクリアテストという地方行政の事業のコストを調べております。その中で、地方行政において、民間に任せることができるもの、これが現在五・一兆円あると。重複事業を整理することで無駄を省けるもの、これが三・八兆円あると。そして、元々無駄な補助金、これを廃止することによって一・九兆円省けると。そして、公務でやるべきことじゃないものまでやっている、これを省くことによって三・六兆円削減できる。つまり、十四・一兆円、国及び地方の経費を削減できるということを彼は発言しております。  この数字においてはともかくなんですが、お二方にお聞きしたいのは、実際、今、地方行政において民間に任せることも任せていないことがあるでしょうか。そして、重複事業、つまり国、県、市、それぞれが重複、同じことをやることによって無駄なお金を使っているところがあるでしょうか。それから、明らかな無駄な補助金があるでしょうか。そして、公務でやるべきことではないことまでも公務でやることによって無駄な税金が使われているところがあるでしょうかというところで、この四つの視点において、両参考人がどのような意見を持たれているのかというのを教えてください。  まず、森田参考人からお願いします。
  19. 森田朗

    参考人森田朗君) ただいまの御質問ですけれども、かなりの額の無駄があるのではないかというのは、そうかもしれませんが、何をもって無駄と見るか、何が民間でできるか、公的な部分かということにつきましては、これはなかなか難しいところがあろうかと思います。  例えば、民間といいましても、民間がいわゆる市場ベース、ビジネスベースでビジネスを担ってくれるところはいいわけですけれども、非常に小規模自治体で、例えば、それだけのビジネスが成り立たないような場合に民間に委託するとしますと、基本的にコストとしてそれほど下がるかどうか、そういうことを考えた場合、簡単にこれだけの数字が計算上出てきたとしても、実質的にそうなるかどうかということについては、よりきちっとした精査というものが必要ではないかと思います。
  20. 片山健也

    参考人片山健也君) 我々のところも民間委託、実は相当進めております。ただ、民間委託が必ずしも結果的に安上がりになっているかということは、それは相当やっぱり吟味しなくちゃならないというふうに思っております。  例えば一例でありますけど、バスについて、公共のバスを町で持っていたものを全部私ども民間委託をしました。スクールバスも含めて既にやっておりますが、この度、国の法改正によってバスの借り上げについて相当量の一定額の基準の料金が決まりまして、額的には物すごい大きな負担に今はなっていて、実際に財政を苦しめている要因になっています。改めて、自分たちが今度バスを買って、自分たちでやることも検討せざるを得ないというふうな状況になってきているというふうに考えています。  また、小さい小規模自治体では、費用対効果という面でも、競争原理が働かないものですから、民間といっても民間の受け手がないと、やっぱり行政でやらざるを得ないというような実際仕事もあると思います。  それと、最近、民間委託において庁舎内で議論をしていることは、災害があったときに民間がきちっと最後まで住民の命と暮らしを守ることに従事していただけるかどうか、そこのところのリスク管理というものを相当やっぱり議論としてありまして、一部、東北の震災の時点においては、民間の事業者さんが全部当該自治体から避難をされていると。そのことによって市役所全体が大変な作業をやってきたという実態も聞いておりますので、その辺のやっぱり危機管理上のことも今後公共課題として考えていかなくちゃならないと、そのように考えております。
  21. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 どうもありがとうございます。  どこを視点とするか、どこを正しいとするかであるべき統治機構在り方というのが変わってくるということが今のお二人のお話からよく分かりました。  その上で、例えば今、森田参考人が、ビジネスとして成り立たない規模があるんだ、例えば片山参考人が、民間に任せられないまだ規模があるんだということなんですが、お二人に次にお聞きしたいことは、では、例えば百万人の県に全てこの日本全部を分ける、そして全部適正な規模に、効率的な規模に、しかも、かつ、しっかりとしたミニマムサービスといいますかセーフティーサービスがしっかりできるような規模にする、そういう方法も一つあると思いますし、恐らくこの国の機構の統治機構で考えることはそういうことだと思うんですが、じゃ、その上でどうしたらいいと思うのか。例えばそれが道州制という言葉になるかもしれませんし、いや、今のままで、とにかく国が負担していくんだという考え方になるかもしれませんし、じゃ、どうしたらいいと思われますか。そのことについてお二人の御意見を聞かせてください。森田参考人からお願いします。
  22. 森田朗

    参考人森田朗君) 今おっしゃいましたように、一定規模にそろえてしまって、それなりの規模を、マーケットならマーケットの規模をつくって効率化を図ることができるのではないかというのはおっしゃるとおりだと思います。同じようなとは言いませんけれども、そういう方向を目指して改革すべきではないかというので行ったのが市町村合併であったと思います。それは全国一律というよりも、ミニマムの小規模な線を上げていくという形で、一定以上の規模にすることによって効率化を図るということを考えたところだと思います。  ただ、合併の話を少し踏み込ませていただきますと、あのときには地方分権改革のさなかであったということもあり、人口減少行政サービス維持が難しくなるところが出てくるということで合併推進をという話をいたしましたけれども、問題は、具体的にどことどこを合併することによってそういうことができるかというときに、これは国の方から線を引いて強制的にということはできなかったわけです。したがって、それぞれのところでパートナーを探して合併するということを推奨することになったわけですけれども、結果として何が起こったかといいますと、それぞれのところは自分たち合併することが有利なところと合併をするということで、本来ならば豊かなところとそうでないところがセットになって合併するのが、今申し上げたような形が一番結果としてよかったわけですけれども、そうならず、どちらかといいますと、豊かなところ同士が合併し、そうでないところ同士がやむを得ず合併せざるを得なかったという結果になってしまったと。  そういう意味でいいますと、合併のときもそうですけれども、そうしたある程度の適正規模に何らかの形で統合することが可能であるならば、おっしゃるような形での効率化というのはかなり進むと思いますけれども、その場合に、やはり、現在もそうですけれども、小規模自治体に住んでいらっしゃる方がそこでは今までと同じような形でのサービスを受けることができなくなる可能性がありますので、それについて、それぞれの方の住む権利というものを含めて、統治構造在り方地域自治体在り方、それをどう考えていくかという、突き詰めていけば憲法上の大きな問題について答えを出さざるを得なくなるんじゃないかと思います。
  23. 片山健也

    参考人片山健也君) 今御指摘あった一定の人口においての適正規模というのは、日本社会、これだけ大きな面積と多様な歴史がある中では難しいというか、逆に非効率になるんではないかというふうに私自身は思っておりまして、逆にそれは多様な仕組みをつくることによってより効率的なものに持っていけるんではないかというふうに考えております。以前の財政学の数字でいくと二十四万人ぐらいが適正規模ということでありますが、それにそろえたからといって日本全体が効率よくなるというふうには考えておりませんので、多様な仕組みづくりをお願いしたいなと思います。  それと、もう一点だけ。先ほどの税金を返せるんですかという仕組みの中で、やっぱり一番大きなのは行政コストのカットしかないというふうに思っています。そこはもう徹底して必要ないものを除き、本当に住民皆さん主権者として最低限の町づくりをしていくというのが、やっぱりそういうダウンサイジングといいますかね、そういうことをせざるを得ないというふうに考えております。  以上でございます。
  24. 渡邉美樹

    ○渡邉美樹君 どうもありがとうございました。時間ですので、終わらせていただきます。
  25. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、長浜博行君。
  26. 長浜博行

    ○長浜博行君 よろしくお願いします。  せっかくの議論でしたので、そのまま続けさせていただいて。  森田先生、いわゆる合併推進をされたというようなお話と、それから各種の政府の審議会に参加をされて意見も述べられてきたという歩みの中において、今日いただいた資料の中にも、この十ページですか、高度に発展し、しかも人口減少高齢化が進行しつつある現代社会において、伝統的、歴史的な自治の姿にとらわれるべきではないということと、それから先生の論文も二本読まさせていただきましたけれども、国も自治体も最終的には一人一人の国民の幸福のために存在しているのであり、その価値は地域の団体としての自治体の存続よりも優先されるべきであるという、同じ趣旨だと思いますが、ここまで、先生の思いの中で、ある種普通に読みますと、市町村合併、三千幾つから今千七百になった状況の中においても、なお先生の思いの中において、福祉と言ったらいいのかミニマムサービスと言ったらいいのか分かりませんが、それが実施され得ないような形として存在し続けているという、何か強い思いがおありになるんでしょうか。
  27. 森田朗

    参考人森田朗君) 今先生が読み上げられた部分につきましては、私も少し踏み込んだ形であえて書いたところでございます。それは、これまでの自治の主張からいえば、やはりそれぞれの自治体に住んでいる人がその場において最大のサービスを受けるのがあるべき姿だというイメージだったと思います。  しかしながら、財政の問題もさることながら、人口のことを考えたときに、今はともかくとしまして、二十年後、三十年後、そして更にその先を考えたときに、やはりこの国の形というのは相当変わってくると思います。  一例を申し上げますと、最近は医療が発達してまいりまして、まさに高度の医療によってこれまで治らなかった病気が治るようになりました。しかしながら、そのような治療ができる病院といいますのは、非常にコストも掛かりますし、専門医もいなければいけない、装置も要ると。そういう病院をどこに配置するかというのは非常に大きな問題になってまいります。全国至るところに、どなたでも救急車でそこに行けるようなところにそうした病院を配置するということは現実には難しくなってくるとしますと、そうした病院でもって救済を受けられる人というのは、ある程度の範囲で限られてこざるを得ません。それをどう考えるかということだと思います。  したがいまして、できるだけそうした高度のサービスといいましょうか、そうした機能を持つところにできるだけ将来的には集約化していかなければ、だんだんだんだんサービスの質というのは全体的に落とさざるを得なくなってくるのではないかと。そのことを考えたときに、私も地方分権、地方自治推進ということで随分関わってまいりましたけれども、今の人口動態、そして財政的な姿を見ている限りは、それは将来の姿としてそのまま続けていくことは非常に難しいのではないかと。  そこで、ダウンサイジングという言葉をあえて使いましたけれども、思い切った発想の転換をして、これからのこの国を持続可能な形に考えていくという必要があるのではないかと思った次第でございます。
  28. 長浜博行

    ○長浜博行君 片山町長にお伺いをしますけれども、先ほど来お話をいただいている中で、住民の方々との直接の話合いをされたり、御説明いただいた大変分かりやすい町の予算資料、こういったことは、今日のテーマの基礎自治体ですけれども、面積なのか人口なのか、その基礎自治体という言葉ですね、それはニセコだからできるのであって、例えばですよ、例えば人口、私の千葉県のイメージでいれば五十万ぐらいの都市の市川や船橋とかいう都市もありますけど、こういう状況の中では同じ首長としてもなかなかやりづらいだろうなと。そういう基礎自治体のトップとしての、何か自治体規模の違いによるものというものは存在しますか。
  29. 片山健也

    参考人片山健也君) 自治体規模によって、住民皆さん情報が行く行かないという、その近さとか、そういうものは余り人口とは関係ないというふうに私は思っています。  要は、大きな町であれば、その域内分権をどういうふうにしていくのかということかなというふうに思っておりまして、私ども、私が直接住民皆さんとの会議に出ているわけではありません。担当の者がそれぞれ出ながら、そこの情報共有の仕組みをしっかりしていくということでありますので、人口要件というのは余り当てはまらないかなというふうには考えております。
  30. 長浜博行

    ○長浜博行君 それから、地域の財産ですね。例えば、観光とか農業、多分ニセコはそうかもしれません。  それから、今では、この今日いただいたペーパーでも、現在の課題、住宅不足対策というのが出ていますね。これは北海道、あるいはニセコ以外から、今はニセコに住みたいという方々が、若い方が特に増えていて、森田先生のさっきの移民のお話が出ましたけれども、まさに移住が進んでいる状況の中においてこういう住宅不足という問題が生じていますが、やっぱり全国の自治体を見ていると、どう努力をしてもそこの何か、まあ言葉がいいかどうか、武器になるような、売りになるような財産がここはどうしてもないじゃないかというところにおいても、それは努力不足ですか。探せば何か出てくるということでしょうか。片山町長に。
  31. 片山健也

    参考人片山健也君) 各地それぞれ本当に努力をされていて、努力不足とかそういうことはないというふうに思いますが、ただ、地域地域にいろんな歴史や風土がありますので、我々もそうでありますが、意外に地域皆さんにとっては分からない地域の価値というのはあると思いますので、その辺をみんなでお互い確認し合う作業というのは必要ではないかというふうに思います。
  32. 長浜博行

    ○長浜博行君 お二人に伺いたいわけでありますけれども、補完性の原理というのがどうしても地方自治の議論をするときに出てきます。今日の森田先生の方にも書かれているところでもありますし、片山町長のこの「地方自治体のこれからの課題」というところで、「これまでに機関委任事務廃止や国と地方の協議の場の設置など一部の制度については是正されたものの、国の権限と財源を大幅に地方に委譲し、「補完性の原理」に基づく分権への取り組みは、未だ進展していない。」というのが文章として出ています。  この補完性の原理は、ヨーロッパの地方自治憲章において書かれた、公的な責務はなるべく身近な自治体、ですから、多分、日本でいえば基礎自治体の中においてされるべきだという中での議論だというふうに思います。身近な自治体が優先的に履行すべきだということだというふうに思っておりますが、この人口減少社会における基礎自治体において、地方分権のこの補完性の原理という考え方変化があるのかどうか、森田先生と、それから現場を預かっておられる片山町長にお伺いをしたいと思います。
  33. 森田朗

    参考人森田朗君) お答えいたしますが、補完性の原理というのは、翻訳の問題もあると思いますけれども、サブシディアリティーの原則になるわけですけれども、日本の場合には分権改革のときには基礎自治体にできることは基礎自治体に権限を移すべきだと。そうした、できるところにその権限を移し、それができないところはより広域的な団体、最終的には国がその事務を担うべきだという解釈で行われました。  ただ、ヨーロッパの場合、これはいろいろな読み方があると思いますけれども、それぞれの基礎自治体で担い切れないような事務については広域的なところに移すべきではないかと。日本の解釈とは逆方向事務の移管といいましょうか、そうした考え方もかなり聞かれたところです。  と申しますのは、ヨーロッパの主要な国におきます基礎自治体といいますのは日本市町村に比べますと規模がはるかに小さいわけでございまして、そこができることは非常に限られていると。したがって、新たな事務ができたときに、なかなかそこが担い切れないようなことについてはより広域的な自治体がそれを担う、そうした考え方もあり得るのではないかと。それぞれ能力に応じたところがそれにふさわしい事務を担うのが補完性の原理と、そのような解釈というのも聞いたことがございます。  したがって、我が国の場合、これからのことを考えたときに、私自身も申し上げましたのは、だんだん小さな農村部人口減少自治体で自ら事務をこなすことが難しい場合には、広域的な県ないし広域連合でもあり得るかと思いますし、あるいはさらに国がということもあるかと思いますけれども、そちらの方に逆に事務を移管することによって、自ら住民の方が決めることのできる事務だけを担っていくと、そういう統治構造在り方もあるのではないかと。その場合には、規模能力に応じて、大きなところは自ら担うし、そうでないところはほかにそれを移譲していくという考え方もあるのではないかと、そのように思っております。
  34. 片山健也

    参考人片山健也君) 基本的な考えとしては、各地域地域でそれぞれ暮らしのなりわいというのは違うと思います。したがって、その地域の町や村や市の皆さんが、どういう市を目指すのか、どういう町を目指すのかというのを皆さんで議論する中から、私たちの町はこのレベルの町を目指そうという合意形成があって、それは別な町でやってほしい、あるいは都道府県でやってほしい、あるいはそれは私たちがやるという、その覚悟を住民の議論の中から決めていくという柔軟性といいますか、多様性があっていいのではないかというふうに私は考えております。  そういった面で、議論の中から補完性の原理というのがより高度に、まあ多少複雑化すると思いますが、あっていいというのが基本的な考え方でございます。
  35. 長浜博行

    ○長浜博行君 ちょうど今お話を伺っていて、今日の午前中の本会議で、その部分だけではないんですが、保険法ですね、国保の問題が、市町村財政、一般財政を法定外の組入れをして、大分、市町村長さんの苦しんでいた部分ですが、これがより広域性を持つというか、都道府県にという形の流れが、ちょうど森田先生の今御説明を伺いながらぱっと浮かんだわけですが。ああいった形での、分権は基本的に仕事財源地方に落としていくということからすれば、逆の流れがある種できているんだと思いますけど、一番、さっきのあの借金の問題も含めて、国の問題も同じですが、社会保障分野に非常に支出も、そしてそれを賄うための借入金も増えているわけでありますので、この社会保障分野における基礎自治体の役割という問題はどのようにお考えでしょうか。お二人に伺いたいと思います。
  36. 森田朗

    参考人森田朗君) これにつきましては、先ほど片山参考人もおっしゃったところかと思いますけれども、やはりある程度のこれ規模がないとなかなか効率的にサービスの提供ができない分野だと思いますので、その意味でいいますと、それぞれの自治体基礎自治体で担い切れないというか、それが難しいような場合には広域連合というような仕組みを活性化していくと。それにどの程度の権限と自治能力を持たせるかというのは、これはまた制度的な問題になると思いますけど、そういう在り方というものも考えられるのではないかと思います。  社会保障、特に介護と医療に関して言いますと、非常にきめ細かく、一人一人の住民に応じた形のサービスを提供しなければならないサービスですけれども、支えております保険制度というのは全国一律になっておりますので、その意味でいうと完全に地方に移すということもできませんし、かなり広域的な団体がそれを引き受けたときにきめ細かいサービスができるかというと、それも難しいところだと思います。  その辺はそれぞれ調整をしながら最適な地点というものを探していかざるを得ないと思いますけれども、少なくとも財政的な部分につきましてはより規模の大きなところが最終的な責任を負うという仕組み、そのための受皿として広域連合をつくるか、あるいは都道府県がそれを担うかと、それはいろいろあり得ると思います。今回の国民健康保険に関しては、県が財政的な責任を負うと。しかしながら、実質的な対住民に対するサービスのような部分は、まだというか、これからも市町村が担うという形になりまして、そこの間の調整というのはこれからますます重要な課題になってくるのではないかなと思います。
  37. 片山健也

    参考人片山健也君) 国民健康保険につきましては、私どもも全国町村会を挙げて広域行政でというお願いをしておりまして、この度そういうことが進むということで、大変感謝をいたしております。  小さな町におりますと、現場としては国保会計自体を市町村が持つというのはもう本当に厳しい実情がありまして、そこは広域化を進めたいということと、私のお配りさせていただいた自治体制度改革の歩みというこのレジュメの中に、中ほどの、二枚目でございますが、後志広域連合と、私ども十六の町村で広域連合をつくっておりまして、これまで国民健康保険、介護保険、それから税の滞納処分、なかなか小さい町でできないものを広域でやっております。この度、昨年十二月に、介護保険も、難産でありましたが、統一保険料ということがやっと合意ができて進むことができました。これも、広域連合という制度があって、国や北海道を挙げて応援をいただいたということで同じ土俵に乗れたということで、介護保険も大変苦しかったんですが、これによって大きな枠で介護保険制度を運用できるというふうに考えております。  こういった意味で、広域行政体の柔軟性といいますか、そういうものをこれからどんどん国の方でも許容範囲を広げていただきますと、我々現場でも、いろんな自治体基礎自治体が小さなパイでやるものではなくて、大きなパイで住民の福祉向上に立ち向かっていけると、そのように考えております。  よろしくお願いしたいと思います。
  38. 長浜博行

    ○長浜博行君 終わります。
  39. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして、秋野公造君。
  40. 秋野公造

    ○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。  森田先生、片山先生、今日は本当にありがとうございます。今日は先生方のお話から多くのことを学ぶことができました。  私の感想を最初に申し上げますと、国の事務であっても都道府県の事務であっても市町村事務であっても、住民の合意の下、住民の意思をどう反映していくかということが非常に重要であるということを今日改めて確認をしたわけでありますが、ここで大事な、住民自治とは一体何なのかということであります。  議会という場はそれを一つ反映をしているところだろうと思いますが、それだけではという様々なニセコのお取組についても御説明をいただいたところでありますが、まず森田先生に伺いたいのは、住民自治というのは、これは仕組みの話を言っているのか、状態の話を言っているのか、それとも、必要な備えるべきことというのは一体何なのかということをちょっと改めてお伺いをしたいとともに、片山先生には、事例を通じて御説明をいただきましたので、ここから更に質を上げていく挑戦をなさるんだろうと思います。更に質の高い住民自治というものについてどのようにお考えかということを伺いたいと思います。
  41. 森田朗

    参考人森田朗君) 非常に難しい御質問でございまして、住民自治といいますのは、仕組みの問題もあれば、状態というふうにおっしゃいましたけれども、現実にどのような形で反映されているかという問題点もあると思いますし、更に申し上げますと、これはある意味でいいますと、哲学といいましょうか、このあるべき基本的な姿を表している言葉でもあろうかと思います。いずれにしましても、住民の方が自分たちの住んでいらっしゃる地域在り方について決定する権限といいましょうか、その仕組み住民自治だと思いますし、そうあるべきであるというのが住民自治の精神ではないかと思います。  現実にそれがどのように行われているかというのはそれぞれの形態によって違っているところでございますけれども、本来ならば代議制の議会を通して住民の意思というものがその地域政策決定に反映されるというのが一つの制度的な姿ですけれども、それだけでは規模が大きくなったり、あるいは本当の草の根の住民の声というのが反映されないというところから、全国では様々な形での住民参加の仕組みというものがつくられてきているというところだと思います。  それをどのような形で政策に反映するかというのはなかなか難しいところで、それにつきましては、むしろ実践されている片山さんの方にお答えいただければと思いますが。
  42. 片山健也

    参考人片山健也君) 先ほど説明申し上げましたとおり、情報共有によって私たちの税金がどう使われてどこで意思決定される、それにはどんな問題があったのかというのは住民皆さんが分かるということが大事だというふうに思っています。  私たちは、公共課題を解決して、住民皆さんが安心して暮らしていける地域をどうつくっていくかというのは地方自治の問題でありますので、その課題をきちっと住民皆さんお知らせをして、今どんな壁にぶち当たっているのか、その解決手法はA案、B案、C案と例えばあると、そこに住民の多様な価値観や意見を入れることによってその政策の質を上げていくというのがまさに住民自治の根幹だというふうに思っているんですね。  政策意思形成過程に住民意見を入れていきますが、最終的に、例えばA案、B案、C案というのが残ったときに、住民皆さんは圧倒的にA案をいいと言っている、例えば行政の部局はBだ、しかしC案という案もあると。私は首長として選挙で選ばれていますので、住民皆さんが圧倒的にA案であるけど私はC案だという政治責任を明らかにして町の方針を示していく、そのために選挙制度があって、代表制というものがあり、あるいは議会というもう一つの二元代表制の仕組みがあると思うんですね。  その今ある形式を徹底して住民の中に落とし込んでいく、住民とともに考え悩んでいくという仕組み住民自治というそのものかなと。それが、結果的には行政の無駄を排して、本当に必要なものだけに税金を使うという洗練された質の高い自治が生まれていくのではないか。その今産みの過渡期というふうに御理解いただければ有り難いと思います。
  43. 秋野公造

    ○秋野公造君 どういう地方分権を進めるにしろ、住民自治を、質を上げていかないとならないということになるのかと思うんですが、森田先生にもう一回伺いたいと思いますが、これが仕組み部分だけに特化をしてしまいますと、ついつい財源の移譲とかあるいは交付税を渡すとか、こういった議論が住民自治を高めるという議論に私はなかなか直接つながりにくいような感じがいたします。  片山先生のお話を聞きますと、様々お任せをするということが非常に重要であるということに考えが立ち戻るわけでありますが、それは格差が生じることを前提にこの地方分権というのは進めていっていることになるのか、ちょっとそこら辺を実際にお進めになられた先生にまずは伺いたいと思います。
  44. 森田朗

    参考人森田朗君) 住民自治というその自治考え方で、先ほど申し上げましたのは、どのように地域在り方住民の方が決めるかという観点から申し上げましたけれども、その決める内容に関して言いますと、本来ならば、ある行政のサービスをする場合にそれを誰が負担をするかということで、当然、住民の方は納税者としてその負担をする。負担をするからサービスをせよ、あるいは、そこの関係において、もっと効率的にサービスをせよということを発言するのが本来の住民自治の姿ではないかと思います。  したがいまして、分権改革のときも一つの理想として言われましたのは、受益と負担の関係を明確化するということです。当然のことながら、行政サービスを受ける以上、それに見合う形での負担というものを誰かがしなければいけないわけで、それを住民が自ら納得して受け入れるというところで本来の自治住民自治というものが成り立ち得るところだと思います。  ところが、制度的に現実の問題としまして、住民の方の負担だけではとても今の行政は行うことはできませんし、冒頭の図でお示ししましたように、国と地方事務関係というのは入り組んでおります。その意味でいいますと、負担とサービスの関係が希薄になったところで住民自治ということを行う場合にはどうしてもそこで限界が出てくると思います。  そのことは、当然のことながら、どのような形でサービスを受けるか、負担と関わりが出てくるわけで、本来ならば、税金をたくさん払う代わりにサービスがいいというところとそうでないところで差が出てくるというのは、これはやむを得ないところだと思います。現在の場合、我が国の場合、必ずしもそうした形での住民自治というのが十分に展開されているとは思えませんけれども、いずれにしましても、住民の方がどういう意識を持つかということによって、ある程度の格差といいましょうか、差が出てくると。これはむしろ本来ならば自治の中に埋め込まれたところだと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、社会福祉中心としまして、国の一律的な制度でもって行われているサービスに関して言いますと、これで地域間の格差が出るというのは、これはまた別な形での差別といいましょうか、問題の発生になると思いますが。
  45. 秋野公造

    ○秋野公造君 片山先生に伺いたいと思います。  今の森田先生のお話を踏まえてということになるんですけど、できるだけ多くの地元の住民の御意見を踏まえていくということの重要性をちょっと確認をしたわけでありますが、一方で、例えばいろんな権限等が移譲されてまいりますと、その地域だけの価値観で物事が進んでしまうという弊害も起きるのではないかと思っているんです。  すなわち、国や県といったものが関わることによって、何といいましょう、全体観を見ながら制度の良しあし、決断の良しあしということを判断できるということを考えると、何が何でも全部市町村に権限をどんどん移譲すべきだという流れには私も時々疑問を感じることがあるわけでありますが、そういう意味では、国の技術的支援、都道府県の持つ技術的支援みたいな観点から、そういう地元の方だけでなく別の行政組織との連携ということを踏まえて、権限移譲との考え方について先生のお考えを伺いたいと思います。
  46. 片山健也

    参考人片山健也君) 基本的に、私たちも、それぞれの自治体一千七百十九あれば、その自治体が全て全部権限を持つということは全く考えておりませんで、それは広域行政がやった方がいいものも当然多くあります。  例えば、二次交通、三次交通も多くの自治体をまたがるものについてはやっぱり大きな視点で動くということが大事でありますし、今回、私ども、水に関する条例を作りましたが、北海道は北海道政府として、北海道としてこの水環境をどう守るかという道条例を作っていただきました。それによって私たちの条例が本当に補完をされて更に機能が高まったということがありますので、そこはお互いの政府関係がきちっと協力し合うというのが重要だと思っておりますので、先生がおっしゃった危惧は我々も同じように共有しているというふうに考えております。
  47. 秋野公造

    ○秋野公造君 森田先生に伺いたいと思いますが、国が行うべき事業ということで先ほど事例を挙げていただきましたけれども、かなりの領域に広がるところかなという印象を持ちました。なかなか、あとこれから触っていける部分というのはやっぱり交付税部分しかなかったりするのかなと思ったりもするわけですが、一方で、先生はここで財政調整機能といったものも重要であるというお話をされています。  これからの交付税在り方について、これは森田先生、片山先生、お二方にお伺いをしたいと思います。お考えをお聞かせください。
  48. 森田朗

    参考人森田朗君) 交付税制度といいますのは非常に複雑な制度だと思いますし、これをどのようにすべきかというのは大きな問題ではないかと思います。私自身も、分権改革で関わったときにそれにつきまして随分議論をいたしました。  一つ言えますのは、先ほども申し上げましたように、交付税の原資になる一定の財源からの原資、それだけでは必要な交付税を十分交付できないということです。そのため、様々な形で、借入れであるとか、それも、国が借り入れたり国が保証して地方が借り入れる形を取ったりという形で必要な経費というものを賄っているという状態だと思います。それが安定した制度で予測可能ならばいいわけですけれども、やはりそのときの経済状態財政状態によって裁量的な判断という余地がないわけではないと。これでは地方の側は、ある意味でいいますと、非常に将来的に不安定な財源になると思いますし、他方では、いろいろな形でその交付税を増額をするという形での働きかけというものも可能ではないと。  それにつきまして、制度在り方としてどうなのかというのは難しいところですけれども、できることならばと考えましたのは、やはり安定した一定の財政調整を非常に機械的に、今以上にきちっとした形で行ってしまって、それで不足する部分については、それぞれの自治体が自分たちの付加的なサービスについては住民に負担を求めるという仕組みというのが両方の理念にかなうのではないかと。  だから、基本的な部分についての財政調整の仕組みというものにできるだけ制度的に特化できないのかということです。現在でも多分にそうした機能を果たしていると思いますけれども、まだ実際に交付される交付税の額とその原資の税の額の間に乖離というものはどうしても生じているものですから、その部分も含めて制度をどう考えるか、これからの課題だと思いますけれども、現実の問題として、行政サービスが必要であり、地方財源が限られているとしますと、そう簡単には妙案は出てこないのかもしれません。
  49. 片山健也

    参考人片山健也君) 地方交付税制度自体は大変優れた制度だというふうに考えています。私ども何度も勉強会やっておりますが、ただ、悩みとしては、十年間にわたって地方交付税総額がこういうふうに担保されているということがあれば、私ども自治の現場でも十年計画で、例えば先ほど先生がおっしゃった借金をこういうふうに返していこうとかここを抑えていこうとか、いろんな計画というのは可能なんですが、なかなか、翌年度、翌年度ということで、そこで一喜一憂して、地方のまた議会でいろんな議論をせざるを得ないというのは本当に大きな悩みがありまして、そこのやっぱり十年スパンぐらいで地方財政制度みたいなのを確立していただくと、本当にいろんな形での協議がしやすいのかなというふうに期待をしております。
  50. 山崎力

    会長山崎力君) 秋野公造君、時間です、まとめてください。
  51. 秋野公造

    ○秋野公造君 最後に簡単に、片山参考人に、人口増加のこれまでの決め手について一言だけいただけたらと思います。
  52. 片山健也

    参考人片山健也君) 私ども、景観、環境についてかなり厳しい規制を設けておりまして、子育てをされる皆さんにとっては、子育てをする環境が将来守られているという安心感ではないかと、そのように考えています。
  53. 秋野公造

    ○秋野公造君 終わります。
  54. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして清水貴之君。
  55. 清水貴之

    ○清水貴之君 維新の党の清水貴之と申します。  今日は、お忙しい中、貴重な御意見お聞かせいただきまして、ありがとうございます。  まずは、片山参考人にお聞きしたいと思います。  今日、このニセコ町の予算説明書をお持ちいただきまして、見せていただきまして、本当に丁寧で細かくて分かりやすいなという第一印象なんですけれども、同時に、最初に思ったのが、これを作るのはなかなか大変じゃないかなというふうにも思いまして、これだけの作業、やはり手間暇掛かるんじゃないかなとも思ったんですが、まずはこの辺りはいかがですか、作業の面でいいますと。
  56. 片山健也

    参考人片山健也君) 最初、作る段階では職員からの抵抗はすさまじいものがありました。この忙しいときに、そういったものを住民は求めていないでありますとか、たくさんありました。  しかし、そもそも私たちは、議会に説明するのにいろんな資料を作るわけです。その資料を単に町民皆さんが分かりやすくという置き換えただけでありますので、今は職員からは全く反対も批判もなくて、住民皆さんからは逆に早く見たいという期待感の方が圧倒的に多いです。
  57. 清水貴之

    ○清水貴之君 これを本当に、確かに、ああ、これ分かりやすいから見たいなという声が増えていくのは非常によく分かります。  様々な場所で住民の方との意見交換なども行っていらっしゃるということなんですが、いかがでしょうか、住民の、例えば自治会単位かどういう単位か分かりませんけれども、大概、どこの自治会とかでも、出てくるメンバー、顔ぶれというのは大体同じような顔ぶれが出てきて、同じようなメンバーで物事が決まっていくということが大体もう全国的にも多いんじゃないかなとも思うんですが、こういったことを始められて実際にそういう住民皆さん意識がどう変わっていったのか。そのメンバー構成が変わっていったのか、住民皆さん意見が変わっていったのか、積極的に参加するようになっていったのか、この辺りというのは町長はどのように肌感覚として感じていらっしゃいますでしょうか。
  58. 片山健也

    参考人片山健也君) 私ども、懇談の場はもうたくさん、いろんな場がありまして、五人集まればどこでも指名の者が行きますよでありますとか、そういうことを日常的にやっております。こういった財政情報を出すことによって、これまで大体三百件から多いときは四百五十件ぐらい要望、陳情があったわけですね、項目的には。それが大体、今現在五十から六十程度の要望、陳情になっています。  それはまさに、全てを要求したら役場ができるという、打ち出の小づちを持っているということは幻想だということが分かっていただいたということ。それから、職員も限られた数でやっていますので、いろんなことを言っても職員自体がもう動けないと、目いっぱいやっているんだということを住民皆さんが御理解いただいて、ああ、それは私たちがやるということで動いていただけているという、そういうふうに変わってきたんではないかというふうに思っています。
  59. 清水貴之

    ○清水貴之君 でも逆に、これだけ全てオープンにしますと、ああ、あそこはこんなことをやっているのにうちはやってくれないじゃないかとか、これまででしたら何となく断りやすかったものが断りにくくなったりとか、そういったことは起きたりはしないんでしょうか。
  60. 片山健也

    参考人片山健也君) そういうこと自体も分かることが大事だと思うんですね。ここはなぜやったというのは必ず理由があるわけです。だから、その理由をみんなが分かっていく。ああ、あそこはこうやっているけど、うちはこういうふうにやろうですとか、そういう町づくりの多様な議論が出ることがいいことだと私は思っております。
  61. 清水貴之

    ○清水貴之君 こういったことをされて、森田参考人からもありまして、地方議会の今衰退といいますか、我々議員はもうこれ、全員そこに危機感を持っていることだと思います。無投票の首長、議員がもうどんどん増えている、投票率は下がっている、こういった状況の中、町議会に関してはいかがでしょうか。皆さん積極的に参加するようになってきたのか、手を挙げる方が増えてきたのか、議会というのはどう変わってきましたか。
  62. 山崎力

    会長山崎力君) 片山参考人でよろしいですか。
  63. 清水貴之

    ○清水貴之君 はい、片山参考人にお願いします。
  64. 片山健也

    参考人片山健也君) こういう実践を二十年間以上ずっと積み重ねてきておりまして、情報は出せば出すほど議会への期待感が高まるというのはもうつぶさに分かります。議会でこれまで質問があって、誰がどういう質問をしたか、あるいは反対したか賛成したかというのは、昔はほとんどの皆さんは興味持っていませんが、今は本当に興味を持って、議会に対しても関心を持ちますし、先般も議会議員の選挙がありましたが、きちっと皆さん、いろいろ考えられて応援をされていたという実感を持っています。
  65. 清水貴之

    ○清水貴之君 議会人になろう、議員になろうという、そういう候補者、手を挙げる人というのは増えてきたということでよろしいでしょうか。
  66. 片山健也

    参考人片山健也君) 情報は出ていますので、逆に、議会というのはみんなから見られて大変だというやっぱり逆の、議員さんというのは本当に大変だなということも分かっていますので、それほど出る人が多いというふうには思いませんが、議会に対する関心は本当に高くて、例えば子育てでこういう課題があると、その人たちが、夜会議があるけど私は出られないと、誰に託すかといったらまさに議会議員に託すわけです。そういった意味で、議会議員に対する信頼感というのはもう確実に増しているというのを実感として持っております。
  67. 清水貴之

    ○清水貴之君 もう一つお聞きしたいのが、新しく人口流入されている方、増えてきているということで、なかなかこれ人口減少の中で非常に珍しいですし、常日頃の努力されている結果が現れているんだと思うんですが、新しく入ってきた方とやはりこれまでの住民皆さんとの関係、この辺りというのは、何か問題があったりとか、ここをこう改善した方がいいとか、そういったことというのは何か起きていたりはしますでしょうか。
  68. 片山健也

    参考人片山健也君) たくさんの皆さん、関西、東京方面からも来ていただいたりしておりますので、それぞれやっぱり都市部皆さんの価値観というのは多少違ったりもしていますが、基本的に大きなトラブルというのは今ありません。  ただ、中には、田舎に、何というんですか、人間関係を一切なくしてこの景観を楽しみたいと来られている方もおられますので、一部ではありますが、例えば広報紙も要らない、一切関わりたくない、当然そういう方もおられます。ただ、町全体で問題かというと、さほど、そこは皆さんがうまくコミュニケーションを取られているというふうに思っています。
  69. 清水貴之

    ○清水貴之君 もう一点お聞きしたいのが、観光に関してもなんですけれども、非常に力も入れていらっしゃって、外国からの観光客というのも、国内もそうでしょうが、外国からも増えてきているということなので、特に外国からの話なんですけれども、様々、各自治体、外国人の観光客を増やしたいと思っていろいろ手だてを打って考えてやっていることだと思うんですが、なかなか難しいところもあって苦労されているような様子もうかがえますが、そういった中でも外国人観光客にアプローチがうまくできているその理由であったりとか、何か方策みたいなものがありましたら教えていただけますでしょうか。
  70. 片山健也

    参考人片山健也君) 十八年前から香港、台湾含めてそういう観光PRをしてきたことがちょっとずつ芽吹いてきている感じがしますのと、今、特に冬場のパウダースキーというのが、世界でニセコの雪はすごいという評判になっておりますが、これは我々、過去に十七名がスキー場エリア外で死亡するという雪崩事故の経験がありまして、この雪崩事故をなくしたいという住民皆さんのネットワークが、スキー場にゲートを造るということで、今十一か所ゲートがありますが、雪崩リスクが比較的少ない日に開放しているわけです。そのことによって、事故も当然ありませんし、そういった信頼感が、特にヨーロッパ、アメリカ、カナダの皆さんにとっては、パウダーを楽しめる世界ナンバーワンのスキー場だという、そういった評価が高まってきた。それは、まさに住民皆さんが雪崩事故をなくしたいと新たなものを造った、結果的にそれが観光の信頼感に結び付いてきたと、それもやはり大きいのではないかと思っています。
  71. 清水貴之

    ○清水貴之君 そういった情報を外国にどのようにして届けるかというところなんですけれども、様々今メディアがある中、そういったメディアを使うのか、若しくはPR会社みたいなところと契約してやるのか。そのやっていることが伝わらなければなかなか始まりませんので、その辺りというのはどう工夫されているんでしょうか。
  72. 片山健也

    参考人片山健也君) 地域で十数年前からお住まいになられている方が何名かおられて、その皆さんが口コミでPRしたことと、私たち役場の中で、自治体国際化協会の応援をいただきまして、今四名の海外の皆さんが我が町で働いております。その方がそれぞれの各国や、ヨーロッパはヨーロッパの価値観というのがありますので、その価値観に基づいて彼らが欲しがる情報を、年間今五百五十社ぐらいの、旅行社を含めて役場からダイレクトに発信をずっとさせていただいております。そういったやっぱりマスコミや旅行社の皆さんとの信頼関係も大きいというふうに思っております。
  73. 清水貴之

    ○清水貴之君 長年の本当にこつこつこつこつ積み重ねられてきたことが実を結んでいるんだなというのをすごく実感をいたしまして、ありがとうございます。  森田参考人に続いてお聞きしたいと思います。  コンパクトシティーについてなんですけれども、私も、やはり人口減少社会の今この世の中で、ある程度機能を集約してコンパクト化していくということには賛成です。  その一方で、そういった意見の中で出てくる反論といいますか、というものの一つとして、そうすると、やはり地方というのは更にどんどん衰退していくと。一部の地域、その市町村中心都市だけが盛り上がって、それ以外のところは更に衰退していってしまうというようなことをよく言われます。これに関しては、森田参考人はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  74. 森田朗

    参考人森田朗君) そのような批判といいますのは市町村合併の後も行われまして、中心市にどうしても集まってしまうので、周辺部のかつての自治体といいましょうか、そちらの方が衰退してしまうのではないかということです。これは大変大きな問題で、それまでずっと住んできた、あるいは祖先代々住んできたふるさとが衰退し、場合によっては人が住まなくなってしまうというのは、これは大変悲しいことであるのは間違いないと思います。  ただ、現状を見ている限り、正直申し上げまして、これまでのところ、全てのそういうところを今までのように、あるいは今までに近い形で維持するということが非常に難しくなってきたということだと思います。そういう意味では、ある意味で決断をせざるを得ないところでして、そうした行政サービスがだんだんだんだん低下をしてきたところでも、あえて住み続けられるという方についてはそれをいかぬという話ではないと思いますけれども、やはり高齢化が進んできて、近くに医療機関がある、あるいは交通機関が便利である、そのほか生活上の様々な施設が生活をしていくために必要な距離にある、そうした形での地域社会をつくっていくためにはコンパクト化というのは避けられないのではないかなと思います。  人口減少も含めてですけれども、我が国地域の姿といいますか、社会の姿というのは、それをそろそろ真剣に決断をしなければいけないような状態になっているということをまず認識する必要があるのではないかと思います。
  75. 清水貴之

    ○清水貴之君 ということは、やはりある程度その周辺部分に不便が行ってしまうのはやむを得ない部分があって、どちらかを選択するということになるんですかね。その周辺部にそれでも住み続ける方は住み続けることになるでしょうし、やっぱり中心部で利便性を求める方はそちらにという、ここはもうやはり致し方ないというような御意見でしょうか。
  76. 森田朗

    参考人森田朗君) 明確に申し上げるというか言うことは、非常に言いにくいことでありますけれども、そういう状態に、我が国の今の人口、そして財政も含めていいますと、近づいてきているということだと思います。  したがいまして、これからますます高齢化が進み、若い人たち人口が減っていく中で、高齢者の方に対して十分な医療、福祉を維持し、そしてその生活を支えていくためには、そうした形での集約化コンパクト化というのが大きな選択肢であるというのは間違いないと思います。  ただ、それを強制するとか、そういう話ではありませんけれども、どこに住んでいても同じレベルの最高のサービスをということについては、現状においてはそうした期待に応えられるだけの日本には労働力も財源財政的なあれもない、なくなってきつつあるということだと思います。
  77. 清水貴之

    ○清水貴之君 もう一つ、道州制についてもお伺いしたいと思います。  今日は、最初のお話の中では道州制の部分はそれほど触れられなかったかなと思うんですが、事前にいただいた資料の方では、道州制にこちらはそれほど積極的ではない御意見をお持ちだというふうに読ませていただきました。ただ、今日いただいた資料では、伝統的、歴史的な自治の姿にとらわれるべきではないというふうな御意見も述べていらっしゃって、となると、新しい形としての道州制もこれは一つの選択肢かなとも思うんですが、道州制についてはいかがでしょうか。
  78. 森田朗

    参考人森田朗君) 私自身、道州制の反対論者としていろんなところで書かれておりまして、正直申し上げまして、道州制というのはそもそもどういうものとして考えるかということが必ずしも明確でないものですから、そうした形で言葉先にありきで走るということについてはかなり批判的なことを申し上げてきました。  理由の一つといいますのは、大きな枠組みとして道州制というのは、人口減少し、特に地域が衰退してくるときはあり得ると思います。しかしながら、都道府県合併ではなぜいけないのか、また州にどのような権限を持たせるのか、そうしたことについての詰めた議論というのがあって道州制がかくあるべきではないかという提言というのはそれほど聞かれませんでしたので、それについては少し慎重にすべきではないかと思います。  一例を申し上げますと、四国は人口大体四百万です。横浜市よりも少し大きな規模です。これからますます減ってまいります。中国地方を合わせても千百万とかそれくらいですから、東京都の人口ぐらいの規模であります。  ここを一つの州にするということは、それだけの、住んでいらっしゃる方もいますし、面積も広いんですけれども、財政的な力、産業の力が十分自立し得るだけ成り立ち得るのかといいますと、これはなかなか難しいのではないか、四国、中国だけではありませんけど。そうしますと、先ほどの交付税の話ではありませんけれども、そうした州間におけるかなり大規模財政調整の仕組みが必要になってくると。州内で更にそれもやらなければいけないと。  それでもあえて、その方がそれぞれの地域あるいは我が国統治構造の姿として望ましいというならば、それはそれとして決して反対するものではないんですけれども、必ずしもそうした姿というものは見えてこないんじゃないか。まして、その州に大きな権限を移譲するということになりますと、これは豊かな州とそうでない州の間で相当大きな格差が生じる可能性があり得るというふうに思います。  したがって、消極的といいましょうか、もう少しその辺が明確になるようにすべきであり、都道府県の範囲で狭ければ、都道府県の合併ということは検討に値するのではないかと、そんなふうに申し上げてきたつもりです。
  79. 清水貴之

    ○清水貴之君 質問を終わります。  ありがとうございました。
  80. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、倉林明子君。
  81. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  今日はお二方の参考人に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  続きで、森田参考人に道州制について伺いたいと思うんです。  憲法との関係で言及されていたところがあったかなと文献をお読みしていて思ったんですけれども、要は、道州制、今形が見えないからということだけじゃなくて、知事の権限が大変強化されることにもなるということから憲法論上について言及されていた辺りを少し解説的に御説明いただければと思います。
  82. 森田朗

    参考人森田朗君) それにつきましては、私の個人的な意見というよりも、多分、公法学において通説的な意見を取るとそうなるのではないかということでございますけれども、現在の憲法の場合、九十三条で地方公共団体の長と議員は直接公選をすると、直接という言葉が入っております。したがいまして、現在の知事も市町村長も直接住民から知事ないし市町村長として選出されるということになっております。  仮に、州に強大な州の自治権が与えられて、そこで州知事と言われる人たちが公選で選ばれるということになりますと、相当その知事さんの持っている権限というものは強くなってしまうと。それでもいいのではないかという議論ももちろんあり得ると思いますけれども、そうした場合に、それこそ州間における財政的な調整も含めて、そうした国全体としてのバランスを取るような調整というのが本当にうまくいくんでしょうかという問題でございます。そこはよく考える必要があるのではないかと。  先ほど申し上げましたように、四国を一つの州にしますと四百万ですけれども、首都圏、南関東だけでも三千万を超えます。三千万でGDPの三分の一以上を生産している首都圏が一つの州になった場合、そこが持っている州の力というのは相当大きいわけでして、そこの長たる知事の権限というものは相当大きなものになってくるであろうと。国と比較してもすごい力になるわけでして、そうしたことが発生するということも踏まえた上でよく検討すべきではないですかと。  その場合に、ならば、では、議会が選ぶ議院内閣制的な形での首長さんの選び方もあるのではないかというときに、今の憲法九十三条でいいますと直接と書いてあるものですから、それが果たしてできるんでしょうかと、そういう問題提起でございます。
  83. 倉林明子

    ○倉林明子君 片山参考人に続きでお伺いしたいと思うんですけれども、要は、戦後憲法ができて、地方自治が憲法上も規定されるということで、地方自治の形がやっぱり本当にどう実践されるかということが問われてきたと思うんです。取組を伺っておりまして、住民が自分たち町づくりも含めて住んでいる町のことを決めているという実感が持てているのかなということを強く感じたんですね。  二十年にわたる取組があったということなんですけれども、自分たちが自分たちで町のことを決めているんだという実感、これをつくっていく上で、基本条例も担保しているという部分も先ほど少し触れられたんですけれども、やっぱり何がこの住民自治を成功させる上で要になったとお考えかということと、あわせて、ニセコの町づくりの計画、十二年計画だったかと思いますけれども、それも徹底して住民皆さんの御意見も、住民参加も得ながら作られたということで感心して拝見していたんですけれども、この町づくりの基本理念ということでその説明の中でも触れられているかと思うんですが、非常に大事だと思ったのは、地域資源が循環する、そういう町の中で循環していくという仕組み大事だというようなことも触れられているんですけれども、そこら辺、ちょっともう少し踏み込んで説明いただけたらなと思うんですけれども、お願いします。
  84. 片山健也

    参考人片山健也君) 情報共有しながら主権者たる住民がこの町づくりを主体的に担っていくということを進めなくちゃいけないというのは、もう自治体の将来に対する危機感です。九千人以上いた人口が四千五百人まで減っていって、観光の宿泊客もバブル期七十万人を超えていたものが三十万人まで落ち込んだ、この先、観光はやっていけるのか。あるいは農業も、かなり頑張っている皆さんたくさんおられますが、やっぱり本当に苦しい皆さんもおられて、町自体の将来が危ういときに、この町を担っていくのは誰かというのは、まさにそこにいる住民であると。  そうすると、やっぱり住民皆さんがこの町を何とかしていこう、この誇りある町を何とか維持しようという気になっていただかないと町は進みませんので、誰か為政者がカリスマ的にやる町なんてあり得ない、持続していかないというふうに私たち思ってきたので、それで徹底した情報共有、住民参加。そして、首長は四年ごとに替わってあっさりと首切られていきますので、責任者は誰なのかというのは、まさにそこに残った住民責任を負っていくんですよね。そこにきちっと情報を渡していくというのは役割ではないかというふうな、危機感からこういうことを進めていったということです。
  85. 倉林明子

    ○倉林明子君 もう一つあって、地域の循環、地域で循環させるという辺りについてはいかがでしょうか。
  86. 片山健也

    参考人片山健也君) 地域には今、物づくりとか、例えば木工をやっておられたり、様々な芸術家の方もおられます。やっぱり地域でそういう、地域の文化を担って、そこをなりわいとしていた人たちの物をまず活用していく、物づくりも含めて。特に、公共機関が発注するときに、大量にどこか安いからといってよそから買ってくる。それが本当に地域経済を担っていくかというと全くそうは思いませんので、そこで担える地域の経済循環をしていく。それから、エネルギーも地域で循環をしていくというようなイメージで今現在町づくりの、経済の循環というのを考えながら取り進めているというようなことでございます。
  87. 倉林明子

    ○倉林明子君 ありがとうございます。  あと、お二方に伺いたいと思うんですけれども、分権改革のお話もありました。この間、参考人の方々にもお伺いしてきているんですけれども、分権改革では一定の成果、成功と言える部分もあったと。しかし、実際にそれと同時に行った三位一体改革、これについて大変厳しい意見も述べられていたかと思うんです。  この分権改革と三位一体の改革がやっぱり地方自治体に与えた影響というのは大変大きかったというふうに思っているわけですけれども、それについて評価をお二方にそれぞれお聞きしたいと思います。
  88. 森田朗

    参考人森田朗君) 最初にプレゼンテーションのところである程度申し上げたと思いますけれども、私自身は、地方分権改革といいますのは、それまでの、国の下で、地方が国の言わば統制を受けるという形を変えて、地域地域で物事を決めることができるような形に変えていくという意味では大変大きな成果を上げたと思います。  ただし、先ほど申し上げましたように、それが前提としておりましたのは、財政状況というものがだんだんだんだん好転していくのではないか、あるいは変わらないのではないか、また、人口もそれなりにそれまでと同じようなトレンドで増えていくのではないかと。そうした前提の下で制度を変えることにより、権限を自治体に移す、そして明確化すると同時に、その自治体が使える財源も増やしていくという改革を目指してきたと思います。  しかしながら、現実には、財政状況が九〇年代以降非常に厳しくなり、さらに、九〇年代の後半から特に若い世代の要するに少子化が進んでくるということになってまいりました。それと同時に、経済の停滞も伴って都市部への人口の移動が起こってくるということになった。そうしますと、実際に分権の権限を付与したとしても、地方が自立的な政策運営を行うだけの財政的な基盤というものがなかなか確立できなかったのではないかと思います。  三位一体改革は、そこは国と地方の間で、ある意味で、交付税補助金地方債の債務を整理をしようという形で議論が行われたわけですけれども、これは、国と地方地方間の間で利害がなかなか一致しなかったというところで、何といいましょうか、それぞれの方が不満を残したまま決着を付けざるを得なかった状態だったというふうに思っております。  その意味でいいますと、分権改革といいますのは、制度面につきましてはかなり進んだ形で展開されましたけれども、それが、前提としていた条件が満たされなかったために、今日非常に、人口減少も含めてですけれども、厳しい状態に陥っている自治体も出てきているのではないかなというふうに思っております。  したがいまして、これからの在り方としては、もう一度、今の前提を見据えて新たな制度考え方というものに目を向けていくべきではないかというのが私の意見でございます。
  89. 片山健也

    参考人片山健也君) これまでの地方分権改革、大きないろんな動きが出て、特に地方と国との協議の場が設けられたというのは大変大きい画期的な出来事ではないかというふうに評価をさせていただいております。  それと、三位一体改革につきましては、地方の現場にいる者としては本当に夢も希望もないような思いもありましたが、そのときに、じゃ、私たちの町は本当にやれるのかと、やれるというか暮らしていけるのかと、私たちが暮らしていくためにはどうしたらいいかというきっかけとなって住民の議論も相当やっぱり進みましたし、町の職員自体も危機感を持って事に臨んだという面では、今となってみればそれはそれで我々を目覚めさせてくれた大きな役割を担ってきたんではないかというふうに思っています。
  90. 倉林明子

    ○倉林明子君 もう一点、お二方に短めでお願いできたらと思いますが。  やっぱり市町村合併について、お考えは少し伺ったところもあるんですけれども、今後も市町村合併をしていくべきなのかどうか、私はすべきじゃないという立場ではあるんですけれども、住民自治という観点から市町村合併の今後についてお考えを伺って終わりたいと思います。お二方に。
  91. 森田朗

    参考人森田朗君) 先ほども申し上げたところでございますけれども、合併という形が、ある意味でいいますと非常に、中での資源の利用の仕方が効率的になり得るという意味では望ましいのではないかと思いますけど、先ほどもお話ございましたように、やはり周辺部に住んでいる方、その他にとりまして地域がなくなるという意味では大変耐え難いものもあるというのも理解できるところでございます。  基本的に申し上げたいのは、これから人口が減ってくる、そして財政状況が非常に厳しくなってくる中で、少なくとも住民の方に必要な、先ほどもありましたけど、ミニマムのサービスを供給していくためにどういう形がいいのか。合併まで至らなくても協力をする、あるいは、縦から横からといろいろ言い方しますけれども、隣接する自治体あるいは広域の都道府県がサービスを肩代わりする、提供すると。そうした形での集約化、効率化というものが必要ではないかなと思っております。その形はいろいろこれから考え得るところだと思います。ただ、現状のまま維持して財政的なサポートというのは、人口の減ってくるということもあり、かなりそれは無理ではないかと思います。
  92. 片山健也

    参考人片山健也君) 私は民間から行政へ入りましたので、今でも基本的には合併推進論というものに立脚しておりますが、財政合併、ある程度強制的な合併というのはやっぱり失敗だというふうに思いますので、やっぱり住民の誇りと将来の覚悟があっての合併は今後もあり得るというふうに考えております。
  93. 倉林明子

    ○倉林明子君 ありがとうございました。
  94. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、行田邦子君。
  95. 行田邦子

    行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。  まず、お二方の御参考人におかれましては、貴重な御意見賜りましてありがとうございました。  まず、私は、初めに地方自治地域格差について伺いたいと思います。  地方自治の理想像ということで、森田参考人は、自治体住民が自ら考えて決めた政策を自らの財源によって自治体が自ら実施すると、これが理想像ではないかといったことを書かれていらっしゃいます。私もそのとおりだと思います。  そして、一方では、自主財源、やはり地方自治を行うには自主財源が必要であって、地方分権、これまでの地方分権の中でも税源移譲ということが一定程度なされてきたわけでもありますけれども、しかしながら、経済環境それからまた社会変化、そしてそれに伴った財政状況、現行下におきましては結局それが地域格差の拡大にもなってしまったということが言えるのかなというふうに思っておりまして、この経済環境また財政状況が、経済環境良くなってほしいと思いますけれども、財政状況、極端に良くなるということがないという前提だとすると、自主財源を確保するということのための税源移譲を進めていくと、結局は地域格差は今よりも広がってしまうのではないかというふうに危惧をしておりまして、この点をどのようにお考えなのか、またどのように解消すべきか、森田参考人に伺いたいと思います。
  96. 森田朗

    参考人森田朗君) 地方自治と格差の問題というのが両立するのはある意味で難しいのかもしれません。  私もかつてアメリカに短期ですが住んでいたことがありますけれども、そのときに、ある町は非常に町がきれいでサービスもいい、しかし他方は、道路は穴ぼこだらけだし、ごみだらけだと。しかし、周りの人に聞いてみると、後者の方がいいと言う人もいると。なぜか。税金が非常に安いからと。  低い負担で低いサービスと高い負担で高いサービス、それをどちらか選べる、それが、ある意味でいいますと自治の問題であり、それを格差と言うかどうかはこれは評価によるところだと思います。そうではなくて、絶対的な意味での格差があるとしたら、これはそのまま放置することは非常に難しいというふうに思います。  我が国の場合に、そうした、サービスを落として税金が安い、そしてその逆という、そうした選択を地方がすることは非常に難しいのが現在の自治体だと思います。といいますのは、多くの事務が、社会保障が中心ですけれども、国の制度でもって維持されている。したがって、ある部分だけ税金を安くするということは非常に難しいし、それに対して他方で税金を高く取るということも難しいと。その意味でいいますと、ある程度の必要な財源というものは、そこに税金が、税収が入るかどうかにかかわらず保障せざるを得ないと、これが財政調整の必要なところだと思います。  したがいまして、税源移譲というものはどういうことかといいますと、それぞれの自治体でより多くの税金、課税をすることができるという権利だと思いますけれども、税源を移譲したときに何が問題かといいますと、確かに課税をして税収が増えるところはそれは望ましいのかもしれませんけれども、我が国の多くの自治体の場合には、仮に税源を移譲したとしても、それほど税収が増えないと思います。したがいまして、税源移譲をした場合には、増えるところはもっと豊かになるかもしれませんけれども、そうでないところはやはり国からの財源の移転にかなり依存せざるを得なくなってくる。  その意味でいいますと、我が国の場合にいわゆる税源移譲、課税権だけではなしにその税収の移転も含めてですけれども、それをすることが望ましいかといいますと、むしろ格差の増大に結び付く可能性が高いのではないかなと思います。  その意味でいいますと、できるだけ地域の方に、住んでいらっしゃる方にサービスをきちっと提供するための財政措置というものは講じざるを得ないでしょうと。それが、ある意味でいいますと自治権制約になるという部分がないとは言えないかと思いますけれども、これは私自身の考えでは、住民の方にサービスを保障するためにはある程度は受け入れざるを得ない、そういう状態ではないかなと思います。
  97. 行田邦子

    行田邦子君 続いてお伺いしたいんですけれども、国民生活を支える行政サービスを供給する役割、これはやはり最も身近なところの行政である基礎自治体が行うのが適しているというふうに考えられていますけれども、福祉や医療、介護、また子育てといった、こうした行政サービスというのはきめ細かいサービスが求められますし、また、地域の実情、そしてそこに住む人たち住民の特性に応じて行うべきだというふうに思っております。そうすると必然的に、自治体地域によって独自性またバラエティーに富んでくるというふうに思っておりますし、またそうあってしかるべきだと思います。    〔会長退席、理事猪口邦子君着席〕  一方で、今申し上げたような医療、介護、子育てまた福祉といったものは、先生おっしゃるように国の制度ですので、国の制度として一定レベルの質の確保というのも必要かと思いますが、地方自治体によって独自性、バラエティーが富めば富むほど、一定程度の質の確保ができにくくなるという部分もあるのかなというふうに思っておりまして、これをどのように解消すべきなのか、あるいは地方自治なのだからこれは差が生じてよしとするのか。どのようにお考えか、森田参考人に伺いたいと思います。
  98. 森田朗

    参考人森田朗君) それは大変難しい問題だと思いますけれども、それぞれの地域の独自性というのをどの程度、どのくらいの余地で認めるかということにつきましては、これはある意味でもうバランスの問題になってくるかと思います。それを格差というかどうかは、先ほど申し上げましたように、それぞれの負担との見合いであるとか、一方では、公共施設の方は余りサービスをしない代わりに福祉を手厚くするとかその逆であるとか、それはまさに地域の選択の問題になるかと思いますが。
  99. 行田邦子

    行田邦子君 ありがとうございます。  続きまして、森田参考人片山参考人に伺いたいと思います。  人口減少状況にあって、今後の基礎自治体在り方についてということで、お二人の参考人から御意見をいただきました。事務の代替執行、連携協約といったこと、森田参考人、書かれていらっしゃいます。また、片山参考人は、事務補完制度、これを充実させるべきだといったことを述べられていました。  そこで、伺いたいんですけれども、あえて市町村合併をせずに、こうした基礎自治体の形を残しつつ広域連合あるいは連携といったことをやることの、そのメリット、デメリット、また市町村合併とどのような点が大きく異なるのか、まず片山参考人から伺いたいと思います。
  100. 片山健也

    参考人片山健也君) 前回の合併のときに地域自治組織というのをつくっていただきまして、そういう制度も運営されていました。当時、我々、広域連合の研究をやっておりまして、徹底した地域自治組織をつくっていく、それから、一方で徹底した広域連合の制度をつくっていく、結果的には同じものができるというふうに思っております。  意思決定をその組織なり地方政府が、どこでどういう質の意思決定をするのかということの違いなわけですね、合併というものは。全部を一つにするのか、広域連合をつくるのか、あるいは地域自治組織で、小さな自治体でここは私たちが意思決定をしましょうという仕組みをつくるのか。つまり、それが多様性であるというふうに思っています。その多様性をきちっと担保することによって住民が誇りを持ってその町づくりに参加する、それが結果的には町村合併に行くかもしれないし、地域自治組織あるいは広域連合に行くかもしれない。その選択権と決める民主主義の過程を大事にするということが大きなことではないかというふうに思っています。
  101. 森田朗

    参考人森田朗君) 合併をした場合には、それまでの自分たち地域社会をベースにした自治体というものがなくなることになります。したがって、それまで地域で決められたことは自分たちだけで決めるというのが難しくなります。しかし、今までどおりの形で、とてもではないんですけれども行政サービス維持できなくなった場合には、合併というのは重要な選択肢であるというのは先ほど申し上げたとおりですし、それを選ばないとするならば、先ほど言いましたように、広域の自治体事務を移譲するといいましょうか、やってもらうか、あるいはほかのところにそれを委託するという形で、自らはできる範囲に身軽になる、そして地域共同体を、自治体を残すという選択肢もあり得ると思います。  ただし、その場合には、移譲したサービスの在り方についての発言権というものは非常に少なくなってしまいます。その中でどの道を選ぶのかというのはそれぞれのところの選択によってくると思いますし、そういう問題に対処するために地域自治区というのがこの前の合併のときに制度としてつくられました。この制度をいろいろ活用されているところもあれば、なかなかうまく生かし切れていないところもあるようでございますけれども、いずれにしましても、地域の共同体を維持しつつ自分たちで全ての行政を担っていくというのは、それは難しい状況になっているということは考えなければならないと思います。
  102. 行田邦子

    行田邦子君 ありがとうございます。  それでは、片山参考人に伺いたいと思います。  これまでニセコでは、二〇〇一年にまちづくり基本条例、これ日本で初めての自治基本条例ということでありましたが、制定されて、そして二〇一一年には水資源の保全に関する条例二つ、これも非常に画期的だと私は思っているんですけれども、制定されました。こうした法律にひも付かない独自の条例を作るというのは、これは大変な御苦労がおありだったと思います。  特に、水資源については私も関心がありまして、財産権とのバッティング、民法また憲法とのバッティング、また他の法律との整合性というのを図るのは非常に大変だというふうに思っておりまして、これをあえて条例を作られたと。すばらしいことだと思うんですけれども、法律などにひも付かない独自の条例を作るときのその御苦労といいますか、経験をお話しいただければと思います。    〔理事猪口邦子君退席、会長着席〕
  103. 片山健也

    参考人片山健也君) 当然、財産権に、まあ見方によっては立ち向かうみたいなところがあるものですから、やっぱりその覚悟をどうするかというのと、裁判で争ったときに勝てるかどうかというのは相当やっぱり重要でありますので、ヨーロッパの各国の事例ですとかそういうものも検証させていただいた中で、住民皆さんの命と暮らしを守ることと民法上の財産権と、どちらが裁判の場になったときに勝てるのかということも想定をして今回規定させていただきました。  もちろん住民皆さんから、それはまず国の法律を先に作ってもらうべきだという意見も当然ありました。しかし、日本の場合、公害の法制度を見ても、四日市や東京都を始め、やっぱり各自治体が本当に困ったことを制定する、それがどんどん各自治体に普及をしていって、国が一般法として最終的に制度をつくるというのが流れとしては一番、特にこういう、いろんな財産とか個人の権利に関するものについてはいいのではないかと。それは、やっぱり危機感を持っている自治体が覚悟を持ってやる。  それによって、今回は北海道条例まで北海道で作っていただきましたので、大変有り難く思っていますし、それがまた各都道府県に広がることによって、日本の国としてやっぱりこの水は守ろうと。そのときに、各自治体が作っている最低標準の、これは国の一般法としてやっぱり制定すべきだという議論になっていくのかというふうに期待をしているところでございます。
  104. 行田邦子

    行田邦子君 ありがとうございます。  水資源については自治体によって問題意識に濃淡があるかなというふうに思っていまして、国での法律ということも検討すべきであると私は個人的には思うんですけれども、例えば国で、国の法律によって他の法律との整合性や憲法との整合性というのをきちんとそこは整理をして、そしてその上で、条例を作りたい自治体には作れる、できる規定のような、このような法律があるといいのかなということで今私自身は考えております。  それでは、最後の質問なんですけれども、森田参考人に伺いたいと思います。  今後の基礎自治体在り方というお話がありましたけれども、私は百二十六万人が住む政令市の住民なんですけれども、森田参考人は政令市についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  105. 森田朗

    参考人森田朗君) 政令市の在り方というものは大変難しい問題でありまして、かねてからいろいろなところで議論が出ております。  一つは、都道府県との関係においてどのような権限を持つか、二重行政の問題であるとかそういうところがあろうかと思います。  もう一つは、現在政令市が二十ほどありますけれども、そのロケーションといいますか位置の問題になります。  首都圏とか大都市周辺の政令市の場合には、大都市中心部に対して言わば周辺部人口が多くなったことによって行政集約化を図るという意味での政令市だと思いますけど、地方のブロックの中心になっている政令市というのはまた違う意味を持っているところだと思います。そちらの方は昼間人口も非常に多いですし、周辺地域中核的な機能を果たしているというところだと思います。これから人口減少が進んできて、自治体在り方を考えていくとき、先ほどのほかの小さな自治体事務を担うという担い手としてもそうですけれども、そうした意味での地方中核的な政令市の役割というのはこれから非常に重要になってくるのではないかなと思っておりますが。  政令市に関してはいろんな論点がございますが、それくらいでよろしゅうございますでしょうか。
  106. 行田邦子

    行田邦子君 ありがとうございました。  終わります。
  107. 山崎力

    会長山崎力君) では、続きまして、山本太郎君。
  108. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち、共同代表の山本太郎と申します。  先生方、本日は本当に貴重なお話、ありがとうございます。引き続き、中学生でも山本太郎でも分かるように御説明いただけると助かります。よろしくお願いします。  四月十五日、本調査会参考人質疑で私、現在の日本の最重要課題であります格差の是正と少子化対策についての国の役割と地方の役割について質問いたしました。参考人の東京大学名誉教授神野直彦先生は、所得の再分配による格差の是正も少子化対策も、国による現金給付と地方自治体が提供するサービス給付、現物給付でセットで保障していくことが重要だとお答えいただきました。  この格差是正と少子化対策についての国の役割と地方の役割について、両先生方の御意見、お聞かせ願えればと思います。森田先生からお願いできますか。
  109. 森田朗

    参考人森田朗君) 格差是正と少子化の問題ですし、それを国の現金給付と地方のサービスという神野先生のお考えには私自身も賛成でございますが、ただし、問題になりますのは、国も地方もそうですけど、それをどういう財源でもって手当てをするかということだと思います。それが非常に限られているというのが今日の問題ですので、国が現金給付をして調整をする方が望ましいのか、あるいは地方に給付を、給付といいますか財源移転をしてそちらの現物給付で、現物で給付をする方が望ましいのか、それについてはいろいろな選択の余地、またいろんな議論の余地があろうかと思います。
  110. 山本太郎

    山本太郎君 片山先生もよろしいでしょうか。
  111. 片山健也

    参考人片山健也君) 私は、例えば子育て問題で、小中学生の医療費がよくばらまきであるとかいろいろ言われたりしている実態見ておりますが、ヨーロッパ諸国の教育の先進諸国の事例を見ると、国家政策として、子供がお金を掛けずに生活できるようないろんな教育支援をたくさんやっておられて、日本はOECDの状況を見ても相当低い状況になっております。これはやっぱり、我々も含めて協議をしながら、今ある財源子供たちにどう配分をしていくかという、発想の転換を図る必要があるというふうに思っておりますし、それは自治体現場にいても、できるだけの、そういった住民皆さんの合意形成を得ながら子供たちへの投資を増やしていきたい、そのように考えております。
  112. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  三月二十三日、行政監視委員会の参考人質疑、そちらで私、徳島県神山町の後藤正和町長さんに、二〇〇九年の政権交代のときの民主党のマニフェストの中にあった、民主党のマニフェスト、すごく良かったんですよね、これ、月二万六千円の子ども手当、そして月七万円の最低保障年金、そして農業を始め第一次産業の所得補償制度、中山間地の直接支払制度、これが充実すれば日本の中山間地域、これ子育てパラダイスになるんじゃないかなと、そう質問しましたところ、後藤町長さん、おっしゃるとおりだと御賛同いただいたんですけれども、両先生方、今のようなお話はどう思われますか。
  113. 森田朗

    参考人森田朗君) 先ほどお答えしたのと重なることになるかと思いますけれども、それ自体が可能ならば結構なことだと思いますけれども、基になる財源をどうするかというのが根本的な問題だと思います。それを国債を発行してするということになりますと、その国債は将来の子供たちが償還しなければなりませんから、子供たちのためになるかどうかというのはかなり疑問なところです。  したがいまして、現在何を削ってそちらを増やしていくのか、財源にするのか、もちろん行政の効率化そのものも必要ですけれども、効率化といいましても、現実の問題にはある程度限界がありますので、そうした意味でいいますと、そうしたお金の出入りが全部絵が見えたところで初めてそれが望ましいかどうかということが判断できるのではないかと思いますが。
  114. 片山健也

    参考人片山健也君) 将来持続する財政運営という面では、やっぱりプライマリーバランスであるとか将来の国家財政との調整が重要だと思いますので、個別にこれがいい、あれがいいというのは当然あると思いますけれども、やっぱり全体像としての教育の在り方とか子育ての在り方というのはもう少し議論をする必要があるというふうに私は思っています。
  115. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  次に、ニセコ町長片山先生にお伺いしたいと思います。  参考資料の中で、町長さんは、ニセコ町の主産業、農業と観光であると。私は、世界に通用するリゾートのこれからの価値は、食や暮らしの安全、安心と非日常における癒やしの場、健康の場の存在であると考えている。このため、エコロジーに配慮した資源循環・持続型社会創設のための三つのことを重点に置き、町政を進めている。一つ目は身近な地域の農畜産物を地域で消費する地産地消、二つ目は地域の自然再生可能エネルギーの自給率を上げ、スマートコミュニティー都市をつくること、三つ目は地域経済が循環する自律型経済社会を構築することである。そして、地球温暖化をストップさせるトップランナーとして、ニセコのライフスタイルを世界に発信できる町へと成長させていきたいと思っていると述べられております。  これは本当にすばらしい理念だなと僕自身思うんですけれども、このすばらしい理念と、ちょっとここからは少し答えづらくなるかもしれないんですけれども、大量の放射性物質を環境に放出し、地域を壊滅させるリスクのある原子力発電所というのは、決してこれは共存できるものじゃないだろうなと思うんですよね。  私は、食と農業と観光の北海道こそ、これは北海道だけじゃなくて日本全体の財産として、観光と食というのは、もうこれは本当にこれからの日本を支えていくものだと僕は思っているんですけれども、特に、食と農と観光の北海道こそ速やかに原発のない北海道を実現するべきじゃないかなと思うんですけれども、町長さん、御意見いかがでしょうか。
  116. 片山健也

    参考人片山健也君) 議会でもたくさん、町議会でも御意見いただいていますが、現在のエネルギー政策全体でのそのベストミックスと過渡的なやっぱり電源対策って必要だというふうに思っていまして、そこはやっぱり皆さんといろんな議論をしながら熟度を高めていきたいと、そんなふうに考えております。
  117. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  ニセコにいらっしゃるお客様の中には、そういう意見というのは、いろいろ交わされる方とかいらっしゃいますか。
  118. 片山健也

    参考人片山健也君) 当然、多様な価値観やライフスタイルの思いがある方おられますので、たくさんの御意見があります。
  119. 山本太郎

    山本太郎君 分かりました。  もう一つ片山町長さんにお聞きしたいことがあるんですけれども、今国会、カジノ法案、議員立法で提出されているという状況なんですけれども、ニセコにカジノ、もしも、どうだと言われた場合、片山町長さんはどのようなお答えを返されますか。
  120. 片山健也

    参考人片山健也君) カジノにもたくさんの種類ありまして、どういうカジノかというのにもよると思いますね。私どもの町のすぐ近くで留寿都というところがカジノに、村長さん手を挙げていますので、それはいろいろ村長さんとも連携しながら進めたいというように考えております。
  121. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  日本人の入場は制限するよというような話にもなっていたりとかというのも聞くんですけれども、これ、日本人の制限があったとしても、外国からのお客さんがいらっしゃって、その方々が結局最後はお金を巻き上げられる、胴元が勝つんだというのがカジノだと思うんですね。  また来たいなと思えるような、何というんですかね、また来たいなと思えるような思い出づくり、癒やしの場づくりということをずっとされてきた方々、片山町長なんかもそうだと思うんですけれども、という環境の中に、そのような、ばくち場みたいなものができてしまい、また来ようにも、その分まですっちゃったみたいな話にもなりかねないなというふうに何か勝手に思っちゃうんですけれども。  日本人のおもてなしという精神とはちょっとまた真逆のものになってしまうんじゃないかなと思うんですけれども、カジノの合法化という部分に関しては私自身は反対の立場なんですけれども、町長さん、お隣の町で手を挙げていらっしゃるという方がいらっしゃるということをおっしゃっていましたけれども、じゃ、形を変えたカジノであれば、留寿都とすみ分けをして、カジノを歓迎するという形もあるかもしれないということですか。
  122. 片山健也

    参考人片山健也君) カジノも、私もシンガポールとか見ていますけれども、いろんな種類がありまして、どういうものを目指すのかによって全く性質が変わってくると思うんですね。  ですから、全てを一緒にして、全否定とか全賛成とか、それはちょっと違う、もう少しやっぱり質の議論をすべきではないかというふうに思っています。
  123. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  僕のカジノに対する知識というものが余りないので、是非町長さんに教えていただきたいんですけれども、いろんな種類のものがあると。例えばですけれども、ニセコで受け入れられるとするならば、どのようなタイプのカジノなんですか。これ聞いておいた方がいいですよね。
  124. 片山健也

    参考人片山健也君) ニセコで具体的に検討したこともありませんのでちょっと答えようがないということで、申し訳ありません。
  125. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  いや、いろんな種類があるとおっしゃったので、どのようなものがあるのかなと。もしも可能性があるとしたら、どんなものがあるんだろうというふうなことをお聞きしたかったんですけれども。  先ほど申したとおり、この持続可能なもの、もちろん先ほど申しました原子力発電所もそうですし、そしてこのカジノというものもそうだし、この国に来ていただいた方にまた来ていただくという持続可能なものをという、その観光地を提供していくという部分も必要だと思うんです。  本日いろいろ話されている、例えば人口減少という部分に関しても、これは持続可能な社会をつくるかどうかという話だと思うんですね。先ほど言われていました、まず財源が、どこから引っ張ってくるんだということが確定しなきゃその話はなかなか前に進まないんだよということはもちろんなんですけれども、まず片山町長、先ほどから言われていますけれども、ヨーロッパの例とか出されていますけれども、もうヨーロッパでは既にその持続可能な社会をつくるために若い世代に対していろんな手当を出していると。一番受給率、その受給が一番高いのが若い世代なんだと。なぜならば、若い世代が少しでも、収入で苦しんだりとか、子供をつくるような雰囲気がつくれる、子づくりができるというような状況を国が提供をしてというような、本当に国家戦略の一環としてその少子化対策というものに臨んできていると、というのがヨーロッパで見られると思うんですけれども。  特に、今地方とそして中央との格差、都市部地方との格差という部分においてこのような調査会が開かれていると思うんですけれども、やはり地方に人が集まるというような状況には今現在なっていないと思うんですね、中央に集中している。若しくは、そのように魅力ある観光地であるとかリゾートをつくることに成功した、自分たちの元々のふるさとの資源を使って、そういうようなリゾートをつくるということを成功したところを除けば、本当にどんどん人が減っていってしまうと、当然のような状況になっていると思うんです。  このような状況の中で、じゃ、どうやってそこの地方に人を帰していくのか、新しくまたそこに住みたいなと思わせるようにしていくのかということは、もうここにお金を付けて、安定した生活がそこで送れて、収入は少ないかもしれないけれども、いろんな手当があるからそこで家族もつくることもできるかもしれないし、家族を連れてきたとしても子供たちも安心して暮らせるということを、先日の参考人の方々が来ていただいたときも、国は口を出すなと。そんなふうには言っていませんよ。平たく言うと、国は口を出すな、金を出せばいいんだと。まさにそのとおりだと思うんです。地元の自主性という部分に任せてという部分がすごく重要になってくると思うんです。  とにかくお金を付けて、とにかく先ほど言いましたように民主党のマニフェストにあったとおり、例えば子供たちに対する手当であったりとか家族に対する手当であったりとか最低限の基礎年金であったりとか、そして中山間地域に住む方々に対する手当というものを増やしていかなきゃこれどうにもならないと思うんですけれども、現在の政治状況を見ていて、そのような手当というものがこれから付いていきそうな状況にあると思われますか。
  126. 山崎力

    会長山崎力君) どちらの参考人に。
  127. 山本太郎

    山本太郎君 済みません。僕がほとんどしゃべっちゃったんで、時間があと一分半ぐらいしかないので。でも、お二人にお聞きしてもよろしいでしょうか。
  128. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、森田参考人、手短に。続いて、片山参考人、お願いします。
  129. 森田朗

    参考人森田朗君) 先ほどお答えしたことに尽きるんでございますけれども、やはりできるならばそれは望ましいわけですけれども、その財源をどうするかということと、これからの少子化を考えたとき将来の負担というものは増やすべきではないということになりますと、なかなか実現は難しいかなと思います。
  130. 片山健也

    参考人片山健也君) 地域を支援するという意味では、総務省で地域おこし協力隊であるとか集落支援員というすばらしい制度がありまして、それで実際に地域で新しい風を入れて企業を起こしたり、今回は統一地方選挙で、我が町で二年いた地域おこし協力隊員が町議会議員にも当選をされたということがありますので、是非そういった多様な制度があれば、お金だけの問題ではないのではないかなというふうに私は思っています。
  131. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。終わります。
  132. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、荒井広幸君。
  133. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 最後でございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  今日はありがとうございます。  冒頭は、人口減少は、国策ないしは政策、町村を含めた、そうした国策、政策の失敗であるのか、いわゆる先進国病というんですか、先進国に特有のやむを得ない現象なのか。この辺は片山参考人そして森田参考人の順で、どっちとも言えないところがあるかと思いますが、御見解を聞かせてください。
  134. 片山健也

    参考人片山健也君) 難しいですね。  本当に、戦後、国民が総力を挙げて経済を復興させてきたということで、皆さんお忙しい中で企業も発展してきておりますし、我が町でも、そういった経済競争の中でやっぱり子供をつくる、何といいますか、ゆとりといいますか、そういう経済的なあるいは時間的な環境がなかったというのは事実だと思います。  ただ、国を挙げて地方創生の動きを今やっておられますので、我々も知恵を出して、これから力を合わせて、少し豊かになるように頑張りたいというふうに思っております。
  135. 森田朗

    参考人森田朗君) 人口減少につきましては、これ日本に限らずほぼ全ての先進国で起こり始めているところでございます。その意味でいいますと、これは政策の失敗というよりも、むしろ文明の発達によって起こってくる現象であるというふうに思われます。  ただ、その傾向自体が、我が国でいいますと、もう二十年以上前に見えていたわけでございまして、それに対して対策を講じてきたかどうかということについては政策的な問題があろうかと思います。ただ、どのような政策が有効であったのかといいますのは、なかなか、ほかのヨーロッパ諸国を見ても有効な策がないところでございます。  ただ、日本はそちらの方について十分な手当てをしてきたかどうかといいますと、見かけ上高齢化によって人口が増え続けたところもありまして、十分な手当てがされていなかったような気がいたします。
  136. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 ありがとうございます。  少子化社会対策議員連盟というのを、十年ちょっと前なんですが、つくりまして、中山太郎先生が会長になっていただいて、そして選挙を挟んで少子化社会対策基本法というのがやっとの思いでできましたが、そのとき私は事務局長だったんですけれども、その頃、子供さんをつくりましょうというふうに言うと、女性議員の方から産めよ増やせよかということで大変にまた批判をいただき、また母体を守るために場合によっては堕胎をしなくちゃいけないというのは、それはいいのか悪いのか、女性の権利はと。また、そういうのは神に授かったものであるからそんなのは許されないんだと、こう様々な議論があったことを思い出しますと、非常に隔世の感がして、人口減少に対する様々な自由な議論ができるということは大変有り難いことで、そういう意味では、遅まきながら有効な政策を何か打てるんじゃないかなというふうに考えて私もいかなくちゃいけないと思っているんですが。  片山参考人のお話の中で、相互扶助時代に戻していく試みなんだというのが非常に私は印象に残りました。私どものところも、自助、共助、公助をもう一回仕分をし直してみる、すみ分けをしてみる中で、実は随分と国も地方もオーバーラップしてやっているところ、あるいはダブルで足りないと言っているところ、いろいろあると思うんですね。  ですから、一つの考え方として、私はやはり、片山町長さんの言ったお話でいうと共助の部分ですね。自助、公助、このところの間の共助の部分、この領域が非常に重要になっているんだと思うんですね。それによって豊かさも感じられるし、同時に財政的なものも負担が取れるし、自分の負担も少なくなるということで、おっしゃった話はすごく私は印象に残りました。私も小さいとき、今もそうですけど、私の方は作場道というんです、どぶの泥さらいをみんなでしてやっていた。ところが、もう今は、何で市がやらないんだ、何のために市になったんだなんというような話を相変わらず言っているわけですね。  そういうものを考えていきますと、自分たちでやれるものはやっていくという方法論の中に随分と解決策が私は見えるような気がするんです。そういう意味において、自分たちでやれるものをやった結果、これ見える化することによって、何だ、こんなのだったら昔やっていたんだから、みんなでやろうじゃないかという音頭取りの人も出てくるでしょうし、いや、そんなのは忙しいから誰かにやってくれという人も、雪かきもそうですね、あるんだろうと思うんですけれども、この自助、共助、公助ですみ分けをきちんと見て、みんなが納得してそれぞれ、これはこれ、これはこれ、これは町に、これは私たちで、これは自分で、家族で、こういうものをやるともっと、財政的な意味と、それから様々な、何と言ったらいいんでしょうかね、行政サービスというのか、あるいはやるべき社会が良くなるというのか、いるべき生活が良くなるというのか、そういう効果が現れると思うんですが、この辺、もう少し解説していただければ幸いです。
  137. 片山健也

    参考人片山健也君) 今先生がおっしゃるとおり、もっともだというふうに思います。  ずっと自治体は、特に首長さんは、住民や市民の皆さんとお話しすると、財政が厳しいというのを、これ何といいますかね、過去からずっとの口癖なんですね、みんな、財政は厳しいと。だけど、実際の財政の厳しさは住民皆さんは分からないんですよ。厳しいと言いながら小学校建ったじゃないかと。ということは、見える化がされていないんですよね。  だから、私たちの税金がどこでどう使われているのか、どんな苦しみがあるのか、組織として、例えば役場だったら今何悩んでいるのかというのを、やっぱり徹底してうみを出していくことをやると、あっ、そんなのに金使って、そんなのに委託費百万も掛けているんだったら、それは我々の自治会でできるんじゃないかという議論がどんどん出てくると思うんですね。やっぱりこれからはそういうことをやっていかないと、私たち自治体ももちませんし、その作業を徹底してやることがこれから求められているんではないかと。その作業をやることによって、今の財政の問題であるとか、あるいは、もっと子育てにお金を掛けたいけど、じゃ、どこを削るんですかという議論ももっと平場で住民皆さんがやれるようになるというふうに期待をしています。
  138. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 例えば介護にしても、家族でやっていたから大変、これは分かります。しかし、一挙に施設に行きましたから、施設の負担が高くなる。だけれども、これでまた大変になりましたから、今度グループホームだとか地域に落としていくということをやっているんですね。  だから、最初から私は、いろんな計算をしながら考えるというんでしょうかね、それを心を込めながら、どうやって自分も受益する、また自分も支えていくかということを自助、共助、公助の中でやっていきたいなということで、実は我々、新党を立てるときは、この自助、共助、公助の共助を充実していくということでやっておったんです。そうなりますと、学校教育の中で、もう学校の勉強の中で介護の資格を取っていくということになって、全員が資格者になればいいんですよ。そういうところがやっぱり非常に政策として貧困じゃないのかなというふうに思っているので、そういうことも考えております。  最後になりますが、私は福島でございまして、避難指示した町村を拝見していて、本当に、私はその隣なんですけれども、申し訳ないなと思って毎日家で寝ているんですけれども、もう帰れない、当面帰れないところもあるし、少しずつ帰ってこられましたけれども、しかし、また放射能が不安で戻らないという人もいる。科学技術が進んでいるから大丈夫だと言われても汚染水は止まらないじゃないか、いろんなことでまたちゅうちょされる方もいる。  悲しい苦しい現実なんですけれども、ここにある種、森田先生の数字にもありましたように、二十年先行したいわゆる限界集落から町村消滅危機というものが見えると思うんです。悲しい現実で大変例に取るのは申し訳ないことではあるんですが、しかし、その皆さんを救済するためにも、今の避難指示の町村、そして住民皆さんを救済するためにも、二十年先が見えているような気がしますので、こういう対策をすれば何とかなるのかなと、ある部分でもいいんですが、何かそんなアイデアをお持ちでしたら、また後で聞かせていただきたいと思うんですが。  私は、そこで二十年先も考えて、この苦労している皆さんのところで、私なりに今研究して勉強しているところなんですが、二重住民票というのはどうなんだろうというイメージなんですね。  三十年でセシウムが半減期になりますから、一挙に帰れる場所が広くなりますし、放射線量が下がります。それまでは、しかし、どこかの町村に住んでいるわけですよ、仮設でも。借り上げ住宅と言った方がいいかもしれませんけれども。しかし、そこの、今度、方々とも溶け込み、経済活動も仕事もするわけです。しかし、ふるさとに帰ったときに、あるいはふるさとのつながりが唯一の支えなんです。心身症が非常に多いんですよ。  だから、お墓を捨ててきたんじゃないんだよ、帰れるようになったら帰るからねと、こういう意味でも、二重の住民票を持っている、町づくりには選挙で参加できるようにする、どっちにもなんですね。そういう特例を設けて、市町村にはきちんと特区にして交付税を、これをきちんと財源として最低限の除染を続ける、最低限の医療を提供するというようなことのところだけはやってさしあげると、こういうようなイメージを持って私いるわけなんですが。  二重住民票、投票権も含めて、納税の部分が若干問題なところがあるんですが、こういったものも今研究しているということでございまして、時間になりましたので、是非、避難指示を受けている方々にとっても朗報となりますので、お二方には、二十年先に困っていますので、いろいろとお知恵、御助力をお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  139. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、続きまして高橋克法君。
  140. 高橋克法

    ○高橋克法君 自由民主党の高橋克法です。  片山参考人から、情報公開というのが一番最初に前提としてあって、そしてまちづくり基本条例を作り、町の基本的な町づくりに向かうプロセスの姿を明らかにして、そして、例えば予算を全てオープンにしていく、すばらしい話だなと。僕と同じじゃないか、考え方がと思って、気が付きましたら、実は僕も町長時代にニセコのことを一生懸命研究して、まねさせていただいたんです。ありがとうございました。  町長さんがおっしゃった予算のこと、うちの町は予算のあらましということで全戸へ配付しましたけれども、これもまねさせてもらいました。百二十万ぐらい配付、印刷代が掛かりましたけれども、議会からもそれは余りやるなと言われたり、職員からも最初は抵抗を受けましたけれども、同じです、でも、やり始めてしまったら、もう良いことだということで、それも大変ありがとうございました。それが前置きです、済みません。  合併についてなんですが、私自身合併に対する考え方というのは、大きくしながら小さくする。大きくしていい部分は、スケールメリットを追える部分はどんどん大きくしていく。大きくしてはいけない部分、それは町長さんがおっしゃった地域自治組織、徹底した部分というふうになるのかもしれませんけれども、自分自身もそういうことを経験した中で、この地域自治組織については限界を感じました。  なぜかというと、一つの合併した自治体の中の、旧市町村ごとの地域自治組織になるのかどうかは分かりませんが、その地域自治組織なんですが、政治家たる首長というのは、町づくりの理念とか哲学も当然持っているわけですよね。でも、地域自治組織というのは、事務処理はできるかもしれないし、ある程度のその地域に対する考え方は持てるかもしれないけれども、やっぱり選挙で選ばれた首長というのがその自治体全体のこれからの方向性とか基本的な町づくりの理念、哲学はやるわけですから、それは乗り越えられないんですね、地域自治組織というのはどうしても。  ですから、そういうことから考えると、自分の考えとしては、もちろん合併をした方がいいという、地域住民の方がそういう御判断ならそれはいいんですが、やっぱり合併のいろんな弊害とかを聞くと、これからはやっぱり大きくしながら小さくするの小さい部分、理念、哲学をしっかり地域ごとに持たなきゃならない部分というのは、一つの市町村で、その上で、大きくしなければならない部分、先ほどの国保の問題とかスケールメリットをどんどん追うべき部分というのは、やっていくとなると広域連合、市町村を残しながら広域で事務処理をしていった部分を集約していく、こういう方法が一番いいのかなというふうに私は思うんですけれども、片山参考人森田参考人、御意見を賜りたいと思います。
  141. 片山健也

    参考人片山健也君) 今おっしゃるとおり、広域連合をもっと活用した方がいいと思っています。  ただ、やっぱり先ほど申しましたとおり、自主財源がないと。そして、一部事務組合と似たような広域連合ばかりができておりますので、全部が各加盟自治体の意向を聞かないと何一つ決定できない。そして、お金もない。そこにやっぱり自己財源を持つような広域連合に課税権を付与するという思い切ったことをやっていただければ、いろんな広域行政が進むというふうに考えております。よろしくお願いします。
  142. 森田朗

    参考人森田朗君) おっしゃることには私もそのとおりだと思います。今、片山参考人がおっしゃいましたように、広域的な仕組みといいますのは合併に限らずいろいろあり得ると思いますし、皆さん住民の方も合意されるならば広域連合というのはいい仕組みだと思いますし、さらに、それに大きな権限、課税権ですね、それを持たせるというのは一つの解決すべき方法だと思います。  ただ、仮にそうした一つの課税権を持ってサービスを担う広域連合ができたとしますと、今度はその広域連合とそれに加盟している自治体間の調整というのがこれまた別な問題として発生してまいります。いずれにしましても、ベストの方法はなかなかないんですけれども、そうした団体間の調整というのが意外と時間的にも財政的にもコストが掛かるとするならば、私自身は、できるだけ多くの方に御理解いただいて合併をした方が効率化が進むのではないかと思います。
  143. 高橋克法

    ○高橋克法君 どちらの選択でも百点満点はないということだと思います。  そして、私自身が感じていたのは、片山参考人がおっしゃるように、広域連合のイメージといっても、実は広域行政組合なんですよ。広域行政組合ほど首長が集まって、理念、哲学違う人たちが集まるんで、これもう、えてしてまとまらないことが多いですよね。私自身もまとまらなかったです、僕の性格が余り良くないのでね。だから、そういう前提でいうと、本当に広域連合というのも、じゃ、どこまでちゃんと機能するのかというような疑問もあったものですから、これはこれからもいろんな議論をしていかなければならないと思います。  それから、予算編成について、そのプロセスをしっかりと町民皆さんに開示して、そして共有していく、まさにプロセスを大切にするという、そのとおりだと思うんですが、一つだけ。例えば、予算編成で一番分かりやすいのって、いわゆる道路の新設とか補修なんですよね。要望はたくさん出ていると思います。でも、限られた財源でどれを直すかという。それ多分、町民皆さんにどういうふうに見せ方をするのかというのをちょっと片山参考人にお聞きしたいんですが。
  144. 片山健也

    参考人片山健也君) 確かに道路ですとか箇所付けというのはありますけど、全部出すと住民皆さんもどこが優先されるかということが見えてきますので、どこか一つを選べば、それは理由があるわけですから説明すればいいと思いますので、特に負担には全然今のところは思っていないというのが実態です。
  145. 高橋克法

    ○高橋克法君 説明をするというのは、この道路を直したのはこういうことですよと、だからほかの道路よりも優先順位がありますよねというような形の説明になるということでしょうかね。
  146. 片山健也

    参考人片山健也君) 当然そういうのは議会でも議論になりますので、そういう説明をして、皆さんが、ああ、そうだよねという納得のプロセスですから、そういうふうに今動いているというふうには私自身は思っています。
  147. 高橋克法

    ○高橋克法君 実は、僕もニセコを一生懸命勉強してまねしながら町づくりやったときに、やっぱりこの予算編成のプロセスを見せる。その中で、例えばこの道路の箇所付けって一番シビアな問題なんです。  私の場合は、うちの町で道路評価システムってつくって、四十八の指標をつくって、それ一つ一つ点数入れていくんです、この要望について。すると、総合点数出ますよね。すると、要望順に点数出てくるんです。だから、点数が一番高いやつ、これが必要性が高いよねということで、それ全部町民にオープンにすると、みんな、ああそれはしようがねえなと。ただし、弊害もあります。点数が低い道路ってずっと低いんです。集落の中の回覧板だけを回すような道路ってずっと低いんです。これ、生涯直らないんです。補修できないんです。そこで出てきたのが道普請でした。  あっ、済みません、僕、参考人じゃなかったですね。ごめんなさい。  それで、ひとつ、これは森田参考人片山参考人にお伺いしたいんですが、実は、より良いものをより安くという言葉って、多分アメリカのウォルマートという世界一の流通資本が言ったことだと思います。良い言葉です、より良いものをより安くだから。そのことが日本の私たちのライフスタイルにもどんどん浸透してきて、郊外型の大規模なスーパーなり、いろんな言い方がありますけれども、そういったものができて、そこに家族で一日行けば、一日楽しめて、いろんなものを買えて便利だ、利便性がいいということになった。  片や、町中の商店は、父ちゃん母ちゃんがやっていたちっちゃなお店はみんなシャッターが閉まってしまった。父ちゃん母ちゃんでやるお店って効率悪いですよね、大量生産、大量購入、大量販売じゃないから。だけれども、そのことによって何が起きたかというと、一つは消防団のなり手がなくなった、それから登下校の子供たちの見守り機能がなくなった、その地域の独り暮らしのお年寄りに対する見守り機能がなくなった。機能がなくなった分は行政が税金を使ってやらなきゃならなくなったということだと思うんです。  私は、このことというのは非常に、地域の、地方在り方を考えるときに、良かれと思って利便性を追求して、ああ便利になってよかったね、安くて買えてよかったねと国民は喜んだかもしらぬけれども、もう一方で大事な機能をそぎ落としてきてしまった。ここにやっぱり気が付かなきゃいけないんではないのかなと思うんです。  先ほど片山参考人がおっしゃった、無償の汗によって支えられてきたんだと、これまでの地域は、そういう部分が間違いなくあったんだということをおっしゃられたと思うんです。農業への株式会社の参入というのもあるけれども、実は、農地という一つの生産手段だけで見れば、株式会社が参入して効率的に物を生産した方がいい、その面だけでいえば。ただ、農地を維持するというのは、私たちに見えない、つまり、先ほど荒井先生がおっしゃった作場道のみんなして力合わせて堀ざらいをやったり、いろんなことを、それから入会の雑木山を一生懸命手入れして水が枯渇しないようにとかという、具体的な生産でお金になる部分の前の部分、お金にならない部分を集落で一生懸命みんなで協力してやって、この生産手段たる農地が守られてきたわけですよね。  だから、そういうことから考えると、そういう目に見えないものを無視した形、また、農家が衰退するとやっぱり消防団のなり手もなくなるんですよ、地域を守る。そういうことから考えると、安易に効率性とか利便性だけで物差しを当てたら地方はますます衰退していってしまうというふうに私は感じているんですが、いかがでしょうか。
  148. 森田朗

    参考人森田朗君) ただいまの御質問に直接お答えすることになるかどうか分かりませんけれども、先ほどから議論が出ておりますように、自助、共助、公助という形で、今のは共助の重要性、充実させるということのお話だったかなと思っております。  これは、確かに行政のサービスに限界が出てきて、しかも民間ではなかなかサービスがない場合に、自分たち地域のコミュニティーの力を使ってやっていくと。それは、特に自助という形での家庭がなかなか力を持たなくなってきたとき、非常に重要なことだったと思っております。これ自体は、我が国だけではなくて、最近、片仮名にしますとソーシャルキャピタルというような言い方をしていますけれども、これをどのような形で地域社会維持していくために活用していくかというのは、一つの学界の方でも議論になっているところだと思います。  私自身は、そうした形での地域の力であるとか共助の仕組みというものをますます活性化していくということは非常に重要ではないかと思っております。ただし、長期的に見た場合に、やはり日本人口の動態を見た場合に、その仕組みがずっと未来永劫持続するかどうかといいますと、それはかなり難しいと思います。今、消防団のお話ございましたけれども、消防団に参加される方自体がかなり高齢化をされているわけでございまして、そうした意味でいいますと、次の世代、若い世代地域にもそうですし、そうした担い手として増えてこなければ、これはなかなか、もうその問題は、その方法というのは解決策にならないと。  若い世代の人たち自体が、先ほどから申し上げていますように、だんだんといいますか、かなり急速に減ってきております。これは、例えばニセコですと人口が増えているようですが、いわゆる社会的な流入による増加だと思いますけれども、我が国自体の若い人の世代が限られていますから、どこかの人口が増えるということは、それだけほかが減るということにほかならないわけで、減った部分についての地域社会をどうやって維持していくかというのが、これからのまさに統治構造自治体在り方を考える上で重要な論点ではないかと思います。
  149. 片山健也

    参考人片山健也君) 公の役割、公共の役割というのは、やっぱり再構築というんですかね、再度見直す時期に来ているんではないかというふうに思います。  そもそも、費用対効果で効果が上がるものであれば公がやる役割はあるのかという当然議論もありますし、そもそも民間でできないから公が担ってきたところが多いと思います。だから、そこの辺をきっちりと住民皆さんと覚悟を持って議論をして、我が町がどういうスタイルの町を目指すのか、どういう暮らしぶりをするのかということをやっていくと、先ほどの郊外型のマーケットの参入をみんなが認めてよしとするか、あるいは、やっぱりじいちゃん、ばあちゃんを守ろうとするのか、それはみんなで情報共有しながら、その町の将来を覚悟を持って決めていくというのが大事かなというふうに感じています。
  150. 高橋克法

    ○高橋克法君 ありがとうございました。
  151. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、森本真治君。
  152. 森本真治

    森本真治君 済みません、御配慮ありがとうございます。十分以内で終わらせていただきたいと思います。  民主党の森本でございます。今日は貴重な機会をいただきまして、せっかくなので伺わさせていただきたいと思います。  森田参考人人口減少社会における基礎自治体在り方ということで、極めて現実を直視した中での、今日、御提言というか、お話を伺ったというふうに思います。今この問題について、私が少なからず国会論戦なんかを見てみる中でいえば、なかなか、こういう観点での議論が進んでいるのかというようなところも実は思っておるところがあります。実際、産みやすく子育てしやすい環境づくりといっても、出生率が上がっても、言われたように女性の人数が減るわけですから全体の数は増えないという中で、やはり人口減少ということにどう歯止めを掛けるのかということは非常に大きな課題があろうかというふうに思います。  その中で、今、じゃ、国の方の対策ということで、先生の方の資料でも六ページに消滅自治体対策としての地方創生の有効性ということが書かれていらっしゃいますが、なかなかこの地方創生の具体的な中身というのははっきりと分からないところもあるかもしれませんけれども、少なくとも、人口を増やしていこうとか経済を成長させていこう、拡大をさせていこうという観点が国の方、政府の方は強いのかなというふうに思っております。  先生がお考えになられるこの地方創生、国の方の今の地方創生考え方が、私が言うような考え方であるとすれば、それでいいのかどうか。また、違う観点地方創生というのもあるのではないかというふうに思うのですが、先生の御所見をお伺いしたいと思います。
  153. 森田朗

    参考人森田朗君) 私自身は、地方創生が今目指しておりますのは、やはり日本の特に農村部人口減少高齢化が進んで、その地域社会そのものが、崩壊とは言いませんけれども、かなり衰退してきていると。それでは、日本の国土の在り方として、あるいはそこに住んでいらっしゃる方に対するサービスといいましょうか、権利の保障として問題があるのではないかと。そのために地方に頑張ってというか、力を付けていく必要があるという形で地方創生ということが行われているというふうに思っております。  しかしながら、そもそも地方消滅という議論が出てきた背景には人口減少があるわけでして、それは一つには確かに農村部から都市部への人口の移動がありますけれども、もう一つは、より根本的な問題として、今おっしゃいましたように、生まれてくる子供の数が減ってきているということです。これは将来的に、地方創生をして都会に移ってくる人の動きというものを止めて地方にとどめておいたとしても、将来的には人口日本全体として減ってくるということになるでしょう。したがいまして、短期的に、ある意味で、十年か二十年か知りませんけれども、地域社会というものを維持していくために地方創生政策といいますのはそれなりの効果があると思いますけれども、より根本的なところでは、新しく生まれてくる子供の数をどうやって増やすのか、子供を産みやすく、育てやすく、そして将来我々の社会というものを支えてくれるような人材というものをどのようにして育てていくのか、そこに多くの目を向けるといいましょうか、政策の軸足を移す必要があるのではないかというふうに思っております。  現在のところは、地方に、短期的にとは言いませんけれども、十年、二十年で地方をどうやって維持していくかという話と、長期的に人口をどのようにして増やしていくかという話が、必ずしも区別されてきちっと議論をされていないように感じます。
  154. 森本真治

    森本真治君 ありがとうございます。  片山町長さんの方にもこの地方創生観点で、今まさに森田先生が言われたとおりかなというふうに私も思うんですが、もう既にニセコ町では、ある意味この人口増加とか活性化というようなことがもう既にやられている。私は地元の自治体の方々とお話をしても、今回、じゃ、地方創生で各自治体がいろんな計画を作りなさい、ただ、ちょうど基本計画なんかがあるんで、それとセットでやってしまえばいいやみたいな程度の、程度と言ったら怒られますけれども、そういう認識の方も多くいらっしゃるんですね。  今回、新たに、じゃ、地方創生ということでやりなさいと言われますけれども、ニセコ町としてはどうなんですか。これまでもある程度先行してやっていて、何か違いって出てきますか、今後、この地方創生というのを契機に。
  155. 片山健也

    参考人片山健也君) 我々も今そういう計画作りあるいは人口分析、一生懸命やっております。ただ、今回は、町の十年間あるいは二十年間の長期計画を作るって、これまでどこの自治体もやっておりますけど、将来の存続について徹底してみんなで議論しようということを国を挙げてやっているということがすごくやっぱり我々にとっては画期的だと思いますし、これまで、多極分散型国土形成促進法であったり、あるいは東京都に大学が集まっていることが問題だといって分散することを一時やりましたけど、ちょっとやめちゃったのが本当に残念なんですが、そういうようなことを国が本気で、三年間したら忘れるんではなくて、やろうと今されておりますので、それは我々高く評価をしているところです。
  156. 森本真治

    森本真治君 ありがとうございます。  最後の質問で、片山町長さんの方に、人口の推移で、確かに増加はしています。ただ、昭和三十年頃に比べると半分ぐらい。先ほど来にもあるように、日本全体の人口の数が減るわけですから、じゃ、過去の、この倍、八千人とかということが果たして今後あるのかどうかといったときには、なかなか現実的な話でもないのかなということは思いますね。  その中で、ニセコ町の特色として外国人観光客が非常に多い。我々も地元で、まず、じゃ、定住対策をするときに、交流人口を増やそうと、来てもらおうと、まずは。その中で、町の魅力を知ってもらって定住していただく方を増やそうという努力もしたことはあります。そういう中で、ニセコ町の強みは外国人がたくさんいらっしゃる。  じゃ、今後の町を維持する中で、例えばこの外国人の定住というか、移住というか、そういうことについては何か御所見ってお持ちでいらっしゃるんですか。
  157. 片山健也

    参考人片山健也君) 今、人事異動で、海外の皆さんが普通に人事異動されて世界から来られて、英語しかしゃべれない御家族もおりますのでインターナショナルスクールも既に開校しておりますし、持続するために、東京や横浜方面からシーズナルスクールで夏の間、英語合宿に来られる方もたくさんおられます。  一点だけ、地方創生の絡みで私ちょっと発言させていただきたいんですが、活性化することが人口が全部増えるわけではないですよね。そうすると、地域を活性化していく、持続する活性化をどうするかという話だと思うんですよね。  そうすると、全国の事例を見ると、高齢化しているから活性化されていないとか、そういう問題では全くないということが分かると思います。高齢化していても活性化されて活力ある地域社会はありますし、子育て世代が少なくても本当に日本全国で有名なところはたくさんあります。  そうすると、その地域に住んでいる人々がどう活動するかと。活性化というのは、多分行動量の大きさではないのかと。そういうふうに考えていくと、人々が、お年寄りが多くてもその人たちが生き生きとそこで暮らしている、その暮らしぶりをどうしているかというのがまさに地方創生の大きなテーマではないかというふうに私は思っていますので、そういった面での計画を作っていきたいなというふうに思っています。
  158. 森本真治

    森本真治君 ありがとうございました。  終わります。
  159. 山崎力

    会長山崎力君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  森田参考人及び片山参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。本調査会を代表して厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会