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2015-04-22 第189回国会 参議院 国の統治機構に関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年四月二十二日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      浜野 喜史君     石上 俊雄君      行田 邦子君     田中  茂君      山本 太郎君     主濱  了君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         山崎  力君     理 事                 猪口 邦子君                 島村  大君                 渡邉 美樹君                 長浜 博行君                 横山 信一君                 清水 貴之君                 倉林 明子君     委 員                 井原  巧君                 古賀友一郎君                 高橋 克法君                 武見 敬三君                 柘植 芳文君                 堀井  巌君                 足立 信也君                 石上 俊雄君                 江田 五月君                 風間 直樹君                 吉川 沙織君                 秋野 公造君                 田中  茂君                 主濱  了君    事務局側        第三特別調査室        長        宮崎 清隆君    参考人        兵庫県知事        関西広域連合長  井戸 敏三君        中央大学大学院        経済学研究科教        授        佐々木信夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国の統治機構等に関する調査  (「時代変化対応した国の統治機構の在り  方」のうち、国と地方関係広域行政))     ─────────────
  2. 山崎力

    会長山崎力君) ただいまから国の統治機構に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、行田邦子君、浜野喜史君及び山本太郎君が委員を辞任され、その補欠として田中茂君、石上俊雄君及び主濱了君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎力

    会長山崎力君) 国の統治機構等に関する調査を議題といたします。  「時代変化対応した国の統治機構在り方」のうち、「国と地方関係」について調査を行うに当たって、本日は「広域行政」について参考人から意見を聴取いたします。  御出席いただいております参考人は、兵庫県知事関西広域連合長井戸敏三君及び中央大学大学院経済学研究科教授佐々木信夫君でございます。  この際、参考人方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。  皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず井戸参考人佐々木参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、井戸参考人からお願いいたします。井戸参考人
  4. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) ただいま御紹介いただきました兵庫県知事そして関西広域連合長をしております井戸でございます。  特に、関西広域連合の発足から現在の機能ということを中心に述べさせていただきたいと思っておりますが、その前に、やはり国と地方との原理原則についても意見を述べさせていただけたらということでレジュメを用意しております。レジュメに沿って御説明をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、早速でございますけれども、お手元にお配りしております今後の広域行政体制というレジュメの一ページを御覧いただきたいと思います。成熟社会にふさわしい分権型社会構造への転換が必要だという意味で一枚目のパワーポイントを作らせていただいております。  成長社会で必要とされた原理原則が現在のような成熟社会に当てはまるか当てはまらないかということを考えてみましたときに、幾つかのポイントがありまして、直していかなきゃいけない、変えていかなきゃいけないということなのではないかと思っております。  経済的豊かさ、もちろんこれがあって初めて成熟社会も完成するわけでありますが、心の豊かさに関心を持つ方々の方が、昨年の内閣府の調査でも六三%が心の豊かさだと、経済的豊かさだという方々の二倍を占めております。やはり世の中変わったということだと思うんです。  それから、経済効率を求めるときは集中が望ましいのでありますが、心の豊かさとか価値観が多様化しているという状況の中では分散が原理になるべきだと。そして、標準だとか画一だとかというのはどんどん経済成長を遂げていくときの原理原則なのでありますが、成熟社会になりましたら多様性価値観に応じた個性が問題になります。  そして、成長しているときには、供給能力が足りませんからどうしてもサプライサイダー見方中心になっていくわけでありますが、私がよく例えているのでありますけれども、一合升と五合升を考えていただいて、一合升に入ったお米を五合升に入れたらぽこっと四合分足りなくなりますが、それが成長時代なんですね。ですから、常に埋めていかなきゃいけない、これがサプライサイド原則なんです。ところが、我々日本、もうこの二十年間デフレデフレということはどういうことかというと、サプライサイドが余っていて需要が少ないという現象なんですね。それと同じようなことを考えますと、やっぱりディマンドサイド、需要の側の見方というのを強調されなきゃいけないということであろうかと思います。  そういう意味からしますと、中央集権型の行政システムではなくて地方分権型の行政システムにしていかなければいけない。発展途上スタイル中央集権型、先進国スタイル地方分権型。これは世界でも類例のないあれですね、日本は。先進国であるにもかかわらず中央集権型を維持している、類例がないと言っていいと思います。それが一つ分権システムに変えていかなきゃいけないということと、もう一つ東京一極集中が何でこうなってしまっているか。やはり日本列島構造としては、双眼型にしていかないとリダンダンシーも確保できないということになろうかと思っております。元々、日本は常に双眼型であったはずであります。  二ページを御覧いただきたいと思いますが、中央政府役割というのはやはり国家機能の維持に最低限必要な事務限定、純化すべきではないか、このように考えます。地方自治本旨に基づいて、国の役割を外交、防衛、通貨、司法などの国家の存立に関わる事務に純化すべきです。  一応、地方自治法の一条の二に、国が担うべき事務の例としてそこに書いているような規定が置かれてはいるんですが、これに基づいて具体の仕分作業がされたことは余りないんです。今まで何がされてきたかというと、国から地方権限移譲するという作業なんですね。移譲するという作業をやっていると、国は当然に持っていて、それで地方にふさわしいものを分けていこうと、こういう発想ですから、常に部分的、限定的な移譲にしかなっていきません。  そういう意味からすると、中央政府役割というものを限定していくというような発想があった方がいいのではないか。つまり、権限移譲ではなくて国の権限限定する、こういう発想が必要なのではないか、このように思っております。  あわせまして、財源が、よく言われることでありますが、収入が六、四で支出が四、六、これを一致させるべきだということでありますけれども、この一致させ方は、いろんな技術を使わないと移譲ロスが出てきますので、ここでは余り触れませんけれども、権限財源責任を一致させて、自己決定自己責任が貫ける仕組みにしなくてはなりません。  それで、五ページにちょっと飛んでいただきたいんですが、先ほど申しました、権限移譲していくのではなくて国の役割限定させるという意味で、中央集権制限法案というのを、平成五年、兵庫県が提唱させていただきました。これは、私の前任の故貝原俊民知事が当時提案させていただいたものでありますが、国が処理すべき事務を十九項目に限定をいたしまして、そしてその事務について国は行うけれども、あとは全部地方に委ねるんだという大原則であります。  私は、こういう大原則をきちっと明示的に打ち立ててそして作業をしていかないと、国と地方とのもう百年戦争にわたるような、分権分権というこの作業は切りがない作業になってしまうのではないかと思いますし、一つ一つ事務も、今地方分権委員会議論していただいているわけですけれども、手挙げ方式で今やっておりますが、手挙げ方式でやりますと何が問題かというと、立証責任地方側にあるわけです。ですから、地方がなぜそれやると非常に効率的で望ましいのかということを立証しなきゃいけません。これ、なかなか難しいことなんですね。  大体、事務やり方なんというのは、要は便宜的に決めているのであって、本質的な議論じゃありませんから、そういう意味からすると、国のやることはこうだということを大命題を打ち立てて、そしてその国のやることを議論していって、それ以外は全部地方でやるんだというぐらいの対応で進めていかないと前に行かないのではないか、そのように非常に懸念をいたしております。  また三ページに戻っていただきたいと思います。基礎的自治体広域自治体との関係なんでありますが、市町村基礎的自治体ということで、住民に最も身近なサービスを提供する最前線部隊であります。しかし、規模が小さ過ぎると行政サービスの提供が全てできるわけではないということが言えますので、そうすると、やはり専門的で大規模な事業の実施をどこか市町村を超える団体が受け持たざるを得なくなる可能性があります。また、伝染病だとか災害対策などでは基礎的自治体だけでできるのかという課題が出てまいります。  一方で、基礎自治体市町村合併は、新たな課題を引き起こします。  平成の大合併やったわけでありますけれども、本県でも八十八が四十一になったわけでありますが、何が問題かといいますと、新しい役所の所在地に全ての機能集中してしまう。当たり前なんですけれども、それに伴って周辺部の被合併住民の方は不便になったということがありますし、それから旧役場には、大体どんな小さなところでも五百人から千人ぐらい一日訪ねてきていたんです。今は支所になりまして、住民票を取りに来る人しかいないということになっていますので、百人いるかいないかぐらいになってしまって、もう地域のにぎわいの核がなくなってしまって大変閑散とした実情にあります。過疎化人口減少が促進されてしまったということになります。それは、ひいてはその地域が持っていた歴史文化やあるいは伝統をなくしてしまうことにつながっております。そういう意味で、平成の大合併問題点はきちんと摘示して評価する必要があるのではないか、このように思っています。  それから、最近言われておりますコンパクトシティーとか小規模拠点とかという発想は、私は、はっきり言って一極集中ピラミッド構造を全国の津々浦々まではびこらせようとしている発想だと、こう思って反対をしております。  つまり、経済性とか効率性だけで行政を考えるのかということでありますし、我々の生活は効率性経済性だけで成り立っているわけではない。そこのところにポイントを置いてもう一度議論をきちっとしていく必要がある、在り方を考える必要がある。中心部だけが繁栄して周辺部の衰退を加速させる、一強成って万骨枯るということにつながるわけであります。私は、だから、市町村同士連携というのは、個性を残しながらの対応ですので、一つの行き方ではないか、このように思っています。  それから、四ページですけれども、広域自治体在り方でありますが、大き過ぎる広域自治体、例えば道州というようなことを考えますと、これもいろんな課題があります。私は、現在の都道府県は自然的、文化的、歴史的背景を基に国民に定着しているんではないかと。逆に、現在の都道府県が一八九〇年に自治のエリアとして確立して変わっていないじゃないかと非難されているように言われるんですけれども、逆であって、百何年も変わっていないじゃないか、ということは、それだけ国民から信頼されている仕組みだ、こういうふうに評価すべきなのではないか、このように思っています。  それから、文化的な面もそうですが、それらが一体となったからといって、本当に文化的な共通性がない団体一体になったからといって住民自治が本当に発揮されるんだろうかというふうに思いますし、それから道州の首都所在地から離れ過ぎて、仮に目が届くだろうかというようなことも指摘をしたいと思います。  そして、六ページ目に入らせていただきますが、やはり行政体制地域実情に即したものでないといけないのではないかというふうに思います。そのためにも、地域実情に即した対応をしていくべきだと。そのときに、単なる末端事務だけではなくて、意思決定に係る部分パッケージで下ろしていかないとこれは意味がない。今はパッケージ機能が抜けているんですね。一つ一つの細かい事務やり方についてだけであって、常に意思決定部分は残っている、企画部分は残っているというのが実情です。これは幾らやっていてもらちが明かないというのが状況なのではないかと思っております。  関西広域連合は、実を言いますと、そういう分権型社会をつくるための突破口になりたいという意味で我々関西の者がつくらせてもらいました府県域を超える自治体でありますが、一番の要請は、南海トラフが動いたときの関西全体のヘッドクオーターがないじゃないか、各県はそれぞれありますけれども、調整役とかヘッドクオーターがないじゃないか、そんな状況を放置しておいていいんだろうかということが最大共通課題でありまして、そして、関西全体の広域行政を担う責任主体をつくろうということでつくらせていただきました。あわせまして、自治法にもありますように、広域連合事務と関連する国の事務移譲要請する要請権が書かれておりますので、そのような意味で国の事務権限受皿としての機能を果たそう、この三つの趣旨で設立を平成二十二年十二月に行いました。奈良が抜けていたので関西は相変わらず一つ一つじゃないかと言われていたのでありますが、おかげさまでようやく関西広域連合奈良も入ってくれることになりましたので、今年度、今年中にはまず名実共一つになるということだろうと思っております。  実施事務は、広域防災広域観光文化広域産業広域医療広域環境などを行っております。特に、企画調整事務はある意味関西全体の共通課題を処理するということにいたしております。組織体制としましては、広域連合委員会、これは構成知事、政令市の長でつくります。それから議会、構成団体の議員から選びます。  特色は、そこの下側の図に書いておりますように、防災兵庫県、観光は京都府、産業は大阪、医療は徳島、環境は滋賀、それから農業は和歌山というように事務をそれぞれ担当県を決めました。これによりまして、いわゆる全部の事務一つのところに集中するのではなくて、業務首都制、それぞれの事務に応じて中心が変わっているというやり方を取っています。それと併せて、兼務を活用しまして、共通事務以外の分は全部兼務の職員が行う、例えば防災ですと、兵庫防災監防災局長を行うと、こういうやり方を取りました。  成果としましては、東日本への支援やドクターヘリ共同運航広域課題への調整を行ってきております。  メリットといたしまして、十ページでございますが、地域実情を最も把握している市町村明治以来、広域自治体として定着している都道府県仕組みを堅持することが可能になります。また、府県合併を行わずとも、機能的連携により広域課題への対応が可能になります。また、広域課題に対する責任主体特別地方公共団体として持ち得ます。また、国の事務受皿ともなれます。そして、柔軟な対応も大丈夫です。業務首都制による効率的な組織運営も行えるということになろうかと考えています。  道州制でございますけれども、いずれにしても、要は制度を変えたらいいんだという発想は危険です。単に統治機構を変えるだけで地方自治発展につながるとはとても言えないのではないかと思います。  また、地方自治本旨というのは住民自治団体自治だと、こう言われておりますけれども、憲法で言っている地方自治本旨が道州で保障されたことになるのであろうか。地方自治法は、都道府県区域と名称は従来の区域とすると書いてあります。その発想地方自治本旨を受けての発想であるはずでありますから、変えようとするのに都道府県区域をがばっと変えてしまおうというような発想本旨に当たるのかどうか。それから、平成合併の検証が必要だ。それから、広大な道州では実現できるかどうかが問われます。  それと、こういう組織いじりを考えるような時期なんでしょうか、もっと今はいろんな他の課題がいっぱい山積していませんでしょうかということ。我々としては、都道府県広域連合分権社会の実現は十分可能ではないかというふうに主張させていただきたいと思います。  最後に、十二ページでありますが、キーワードは多様性連携なのではないか、それぞれの地域個性を生かしながら地域資源を活用していき、そして足らざるところを補う、連携して支え合う仕組みが求められているのではないかと考えております。  兵庫は今回、地方創生を、地方中央という対概念ですから、地方という言葉は、ですから地域創生と言い換えまして条例を作り、そして徹底的に分権推進を図っていこうという体制と、市町村とも協力した推進を図らせていただくことにいたしております。  私は、取りあえず以上、御説明申し上げさせていただきます。
  5. 山崎力

    会長山崎力君) 井戸参考人、ありがとうございました。  次に、佐々木参考人にお願いいたします。佐々木参考人
  6. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 佐々木信夫でございます。よろしくお願いします。  今、井戸先生がいろいろ、道州制の話も比較的消極的なお話を結論的にされましたが、自己紹介という意味で申し上げますと、「人口減少時代地方創生論」という、本当は全員の方に財力があればお配りをしたかったんですが、第六章のコピーだけが実は付いておりますけれども、メーンタイトルは「人口減少時代地方創生論」なんですが、この中身は、実は「日本型州構想がこの国を元気にする」というこちらが、サブタイトルがメーンでございまして、出版社が逆に付けたというだけでありまして、今の地方創生論で皆さんは読んでくださるのかなということで付けたんだろうと思います。  廃藩置県以来の、あえてキャッチフレーズで申し上げますと、古いシステムにいつまでしがみつくのか、これは問題提起でありますので。九州だけでオランダ、東北だけでスウェーデンと、これだけの経済規模が各地域にあるにもかかわらず、それがいわゆる気付き社会になっていないという。東北なら東北九州なら九州がこれだけの国に相当する活動をしているということがそこに住んでおられる方々には気付く仕組みになっていない、言われるのは東京一極集中と、こういうことで全部くくられるわけですが、実はそうでもないわけであります。東京一極集中はこれからの日本最大のリスクと、こういうことも書いてございます。  挑戦的にお話をするというわけでは全くございませんで、私は私の考えていることを述べさせていただきたいと思いますが、いただいたテーマは、どちらかといえば市町村レベル広域行政について今どうなっているかということでありましたので、国の形を大きく変えるという議論は、もし必要とのところで議論できればと思います。そういうレジュメは実は用意しませんで、市町村レベルのいわゆる広域化時代にどういう仕組みが今あって、今、地方制度調査会委員もやっているものですから、今日五時からもございますが、人口減少時代の新たな地方行政体制在り方という諮問をいただいておりますので、どうしたらいいのかなということを考えながらやっている、その中間の話みたいなものをレジュメにまとめさせていただきました。  大きい歴史で見ますと、二十世紀人口が大変増えた、まあ二十世紀だけが増えたと言ってもいいと思いますが、明治維新の始まる前までの日本というものは、八百年から一千年の間、大体一千万人。農業国家でありますが、交通手段も馬、船、徒歩の時代でありますので、一千万人。  これが、明治維新から明治政府ができる、内閣明治十八年、国会明治二十三年、都道府県制度明治二十三年、市制町村制明治二十二年スタートですから、大体明治維新から二十年たって日本近代国家仕組みができ上がるわけですが、その間ざっと二十年ちょっとの間に日本人口は三千五百万人に増えています。つまり、開国の効果というか、明治維新後の開かれた日本効果というものは日本人口を増やしていったと。  それから半世紀たちまして、第二次世界大戦で大きな失敗はありましたけれども、人口も減りましたけれども、それでも明治の半ばから半世紀で七千万人という戦後の数字がございます。それから、今年、戦後七十年と言っていますが、人口が減り始めて六、七年たっておりますが、おおむね六十年間で更に二倍になったと。一億二千七百五十万ぐらいで頭を打ったということではありますが、約一億三千万人になったと。  こういうふうに倍、倍、倍とこの二十世紀の間に人口が爆発をしてきたという、アジア型近代化一つの特徴かもしれませんが、大変人口が増えたと、こういう国でございました。  それが、いろんな予測が出ておりますが、どこまで減っていくのかですね。減っていくことが悲しいかどうかというのは、多分この二十世紀が異常でありまして、国会の中でも是非議論、特に参議院の場合はじっくりとやっていただきたいんですが、日本の国土に定員というのはないんだろうかと。乗り物でも建物でも学校でも、あるいは保育所でも、一人当たりの子供はどれぐらいの面積が必要だと、こういうことを計算しているわけですが、七割が可住できない山林、山でくくられていますけれども、三割のこの沿岸部に人が住んでいる日本ですけれども、どれぐらいが適正規模なんだろうかと。  つまり、一億二千五百万が望ましい人口規模なのか、それとも今後の予想で、中位水準を見ると大体二一〇〇年で八千万人ぐらい、政府は一億人で止めるんだと言っていますが、それは人口学者からいうとなかなか難しいお話をしている話なんですが、仮に八千万人だとして、それでも明治政府ができたときから見ますと、三千五百万人に対して八千万人ですから、二倍以上の人口がありますね。  同時に、現在が一番の天井でありますので、約一億三千万人が暮らしやすい道路なり様々な社会資本なり、あるいは個別の住宅を用意していますので、多分GDP五百兆円をハイテクによってこれから七十年、八十年維持できていくとすれば、もしかして八千万人の国が世界で一番豊かな国になる可能性があると。  今生きている人は多分二一〇〇年のそういう状態を見れる方はなかなかおられないので勝手なことを申し上げますが、必ずしも人口が減っていくということは、政治家の方々は、兵庫県知事さんは分かりませんが、人口が減ることは大変悲しいことで、そういう計画を作ることは望ましくないというのがどこの首長さん方でもそうでありまして、今、五か年の地方創生論を各地域政府の求めに応じて作っていると思いますが、多分足し算をしますと二億人ぐらいになる。  これ実は、十年前の日本市町村計画と都道府県計画の我が県、我が市、我が町の将来の人口はという推計を書いてある計画書を見ますと、これも二億人ぐらいになるわけでありまして、ほとんど意味のない数字を、科学的でない数字を言いながらそれぞれやっているわけでありますが。  急激に人口が減ることのひずみであるとか、あるいは、非常に能力の高い日本人だと思いますので、人口減イコール経済が落ちていくという話にはならないんじゃないかと、日本の場合ですね。やっぱり、そうならないようにできる能力が実はあるんじゃないかと思いますので、私は、急激に減ることのひずみというものについてうまく対応していけるなら、仮に我が国の人口が八千万人であるというような計算ができ上がったとすれば、この一億三千万人が暮らしやすい様々な社会資本を八千万人で使っていくということは一番豊かな国に実はなるのじゃないかというふうにも一つ考えているわけであります。  そこで、時間が二十分というふうになっておりますので、この二十世紀人口爆発の世紀は、実は日本にとっては、農村国家から都市国家に大きく変貌していった国であったと。したがって、統治の仕組みというものも、これだけの世の中の変化人口が増えてきましたので、これまではともかく、農村国家から都市国家に変わっていった、この都市国家時代における新たなやはり統治の仕組みなり行政仕組みというものを今構築をしていく時期ではないかと。そういう意味では、長らく続いてきたことを大切にする部分と、やはり効率性効果性もきちっとにらんだ上でこの統治の仕組みをリセットするという両方の視点が実は必要ではないかと思います。  レジュメをあと十分ぐらいでさらっと、皆さんの頭を整理していただくために作ってきたものを御紹介をしますと、この国と地方関係広域行政という資料でありますが、住民基本台帳で出している数字、一億二千六百四十三万人と。これ、最近数字が発表されましたのでもうちょっと減っていますね。大体、細かな数字はともかく、今、日本は百二十五万人亡くなって百万人生まれているという、こういう状態でありますね。これがあと二十年ぐらいたちますと、二百万人亡くなって百万人生まれてくると。まあ、この生まれてくる方は増えるかどうか分からないんですが、なかなかそう簡単でもない。そうすると、今二十五万人ずつ人口が減っていますが、そのうち百万人ずつ人口が減るという、特にこれは、私もそういう年代ですが、団塊の世代、戦後ベビーブーム世代が七十五歳を過ぎていくあと十年後辺りから急ピッチで亡くなる方が増えていく、そうすると急激に人口が減っていくと。  人口の変動要因については、日本創成会議という、昨年五月に発表した、消滅可能性自治体と、消滅自治体とは必ずしも言っていないんですね。増田寛也さんは親しい方ですが、売らんがための私の本に似たようなタイトルの付け方かもしれませんが、人口市町村で半数以下になっていく、二〇四〇年に半数以下になっていく。ですから、二十五年後をにらんで、市町村人口が半減するところを消滅可能性自治体というふうに名付けたようであります。もちろん、限りなくゼロになるところもあるわけでありますが、半数以下。  それを見ますと、日本のほぼ、今千七百十八市町村ですけれども、半分、半数が実は半数以下の人口減になっていくと。その要因は、生まれないということもありますけれども、同時に、生まれにくい大都市地域に、出生率の低い地域に若い人たちが集まってきてより人口が減っていくと、この二つのメカニズムを説き明かして問題を提起したと。  もう一つレジュメにはありませんが、今は一生懸命解説をする仕事が多いものですから、テレビ、新聞でやっていますが、統一地方選挙が今行われて、前半が終わって、後半が日曜日から始まって今度の日曜日投票ですが、昨晩もNHKのニュース9でやりましたけれども、無競争当選が一つのキーワードになってきていまして、私はゼロ票議員、ゼロ票議会と、こういう言葉を使った方がいいと言って、NHKも使っていましたけれども、政治的正当性が失われている議会あるいはそういう議員というものが、実は県議会議員のレベルでも二一・五%に今回なったと。これはもう戦後一番大きい数字であります。町村長でも四〇%になっていると。町村議員でも、まあ終わってみないと分からないですが、ただ締め切っておりますので、無競争については三〇%を超えていると。  国会、県議会、それぞれ、市区町村議会がありますけれども、その議会というものが、実は地方分権を進め、さらに地域で自ら決定をし自ら責任を負うという仕組みをつくりながら、一方で政策の決定者である議会というものがそういう状況になってきていると。さらに、議員のなり手がなかなかなくなって、辞めるなら後任を探して辞めてくれというのが、少なくとも小規模の一万人以下の市町村の実態のようであります。  それはもう皆さん御承知のことかもしれませんが、これはやっぱり今後の地方行政体制を考えていくときに一つ大きい課題かなと。単なる行政をやるというわけではありませんので、やはりそこで展開されるいろんな決定なり民意を吸収をして政策をつくるということを自治体がやろうとしますと、そこの草の根の部分が非常に危ない状況になってきていると。  それで、レジュメですが、行政対応仕組みと。いろんな仕組みが、井戸先生は旧自治省にもおられた方でありますので、旧自治省がいろいろな仕組みをつくってきたものも、今使われているものもございますが、大きく五つぐらい、一ページの下の方ですが、あとは各論で、その中身はどういうものですかということを説明したものでありますが、仮にここで申し上げますと、一つ規模を拡大をするという、これは言葉を換えますと統治機構の一元化と。これは明治の大合併、昭和の大合併平成の大合併と。  明治の大合併は七万一千の町村を一万五千の市町村に変えて明治時代が始まったと。それから、昭和の大合併はそれが三千五百になったと。昭和二十八年から三十六年、日本の法律でやったと。小学校を持てる規模明治時代、中学校を持てる規模の八千人が昭和の合併一つのメルクマールと言われましたけれども、平成の大合併は三千二百三十二市町村が千七百十八になっている。しかも、地図で落としてみますと、西高東低状況で止まっていると。もちろん、東北でも秋田とか岩手とか、青森はどうか分かりませんが、合併を盛んとしたところもございますし、福島のように余り合併をされなかったところもありますが、いずれにしてもほぼ市町村数が半分になっております。  この、いわゆる規模を拡大しながら行政サービスを充実させるという手法はイギリス、ドイツ、スウェーデン、日本が比較的得意とするところというか多くやってきたところでありまして、規模が大きいところを割っていくというアメリカ型のやり方もあります。まあ日本の場合は、規模を大きくしてきたと。  広域化に対応する方法として、その次に一番使われてきたのが一部事務組合という、特定のテーマについて、ごみ処理であるとかガス、火葬場の経営であるとか、そういうものをそれぞれお金と人を出し合って組合をつくって処理をすると、こういうやり方。それを少し広げて、府県レベルの広域連合というのは珍しいわけですが、市町村レベルで、例えば介護保険とか、そういう広域連合というものもその後使われてきております。  ここから先が少し新しいというか合併などと違うやり方で、これから売りにならないかなと地方制度調査会などでも盛んとこの辺が議論中心ですけれども、母都市との連携を強化する。母都市といった場合に、資料は、オリジナルというよりは、いろいろ総務省、国交省等が作った資料を使わせていただいておりますが、七ページ、右の下の方に、横長の資料編で七ページに地図が出ておりますが、おおむね連携都市圏の中心となり得る都市と。人口が二十万以上で、そこと隣接する市町村を広げて三十五万ぐらいで一つの都市圏ができないかと。そこで連携協約を結んで、なるべく小規模なところも同じサービスの水準を担保できるようにしようと。  これが、少し前ですとそういうところが合併をして担保しようとしたわけでありますが、そうではなくて連携方式によって担保しようと、こういう話。一つ、母都市との連携強化という方式連携中枢都市圏というのはこれから一生懸命財政支援もしながら法的な仕組みをつくっていくという、こういう動きであります。全国で広げてみても百はできないんですが、今六十幾つと。  もう一つは、委託をする、連携をするというよりは母都市に個別に委託をしていくと。これとこれとこの仕事については例えば中心都市、二十万都市にお願いをすると、こういう、いわゆる地方の中枢拠点都市と思われるところに委託契約をして個別に委託をしていくという。  これはしかし、ある程度二十万都市とかいうところがあるところの話でありまして、そこから相当距離があったり、更に中山間地域とか離島とかいわゆる条件不利地域というところもあるものですから、そういうところでは、実は五万人ぐらいの定住自立圏あるいは小さな拠点、拠点制をつくっていくというのはいかがなものかという井戸先生お話ではありましたが、私の感じですと、都市国家時代というのは結局都市に人が集まると思うんで、農村国家時代のように、つまり生産の場と消費の場が同じ場であるという活動ならそれぞればらばらに暮らすはずなんですが、そうではなくて、働く場と住む場を分けたり遊びの場が町の中にあったりしますと、どうしても大、中、小、こういう都市ができていくというのが都市国家の特徴だろう、その流れというものはある程度自然ではないかと。それを見ながら行政仕組みを考えるということしかないんだろうと思いますが、実は定住自立圏とか小さな拠点のところでは府県が補完をするしかないじゃないかという形で、自立できないところは、委託もできなければ連携もできないとすれば府県が補完機能を果たすと。ここまでは議論としてはございます。  六番目は、これはまだ議論としてはないんですが、問題だけ提起しておきますと、市の制度でも、政令指定都市、中核市、一般市と、町村は一つ。町村と言っていますが、これは第二十七次の地方制度調査会平成の大合併を進める頃議論されてそのまま葬り去った特例町村制という、つまり、全部一律に、千人の村でもフルセットで仕事をお願いをするというやり方は限界があるんじゃないかと。そこで、仕事を住民に密着した部分だけに絞り込んで、あとの部分は実は府県なりあるいは隣接の大きいところが補完をするというやり方で、町村というものを二種類にしたらどうかという一つの提案であります。これは、市が三種類なら三種類あるのと同じような発想でありまして、何か特別なものじゃないと。  それからもう一つ、この管理自治体というのも、もう言葉は今はありませんが、実はこの人口の予測を見ますと、二〇四〇年ぐらいになりますと二割ぐらい住民がいない地域が出てくる、空白地域が出てくると。しかし、そこには道路がありますし、元々の公共施設もありますし、空き家もあるかもしれませんが、人が全く住んでいないところを自治体というふうに言えるかどうか分からないんですが、そういう人口がいなくなったところを誰が管理するかと。こういう時代日本ではまだ想定されていませんが、これはどこかにお願いをするしかないんじゃないか。  つまり、Aという市とBという市の間にXという町があったときに、その町が完全に空白になった場合に、AとBの間に道路があるわけでありますので、例えばその道路をきちっと管理するのは、市町村道路ですと町がやっていたはずなんですが、それをどうするかとか、そういう公共のインフラが中心かもしれませんが、ただ地域も、農村でも山林でもほったらかしますと、一年もたちますと獣の山のようになりますので、今はイノシシとタヌキとキツネと戦っているところがいろいろありまして、特に鹿ですね、地方自治体では鹿を捕ってくれる方を一生懸命、六千円ぐらいで一日日当でお願いをして鹿撃ちをやっていますが、農村を荒らしに来ているわけでありまして……
  7. 山崎力

    会長山崎力君) そろそろお話をおまとめ願いたいと思います。
  8. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 分かりました。  人が住まなくなりますと、だんだんそういうののいろんなものが下りてくると、こういうことをにらみますと、やはりこれからの行政仕組みというのは人口減少をにらみながら新たな仕組みが要るのではないかと思います。  府県の在り方については省略をさせていただきます。まずは、基礎自治体在り方について、そういうことを申し上げました。  どうも五分ばかりオーバーしまして、失礼しました。
  9. 山崎力

    会長山崎力君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十五分以内となるよう御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。  堀井巌君。
  10. 堀井巌

    ○堀井巌君 発言の機会をいただきましてありがとうございます。自由民主党の堀井巌でございます。  お二人の参考人方々には貴重な御示唆、御所見を賜りまして誠にありがとうございます。  まず、井戸参考人にお伺いをしたいと存じます。  これまで、私も総務省の、自治省の後輩でもございまして、井戸参考人が私の大先輩でございまして、これまでの地方分権、ずっと取り組んでこられて、また、関西広域連合の長として今は御活躍されておられる、心から敬意を表したいと存じます。  私の質問は、地方分権の今後、どういうテーマが中心になっていくかということでございますが、これまでは例えば機関委任事務の廃止等々、大きな成果が上がってきたと思いますけれども、まだまだ道半ばではある、引き続き地方分権を進めていく必要があると、このようにも考えるところでございます。  他方で、井戸参考人も指摘されましたように、じゃ、道州制というのがその文脈の中で時々出てまいりますけれども、町村会の方々が非常に懸念を示しておられますように、また参考人も懸念を示されましたが、私も同感でございまして、やはり地方分権というのは何よりもその基礎自治体であるそういった市町村、補完性の原理ではございませんが、そういった基礎自治体がもろ手を挙げて是非その方向でやってもらいたいという流れの中で出てくるものが本来の意味での地方分権なんだろうというふうに思うところでございます。  ちょっと昨今の地方分権議論を聞いておりましてそのような感想を持つわけですが、参考人におかれては、今後どのようなもの、例えば権限移譲するのか、あるいは財源なのか、あるいは分野としてこういう、先ほどもパッケージ移譲お話をされましたですけれども、こういったものについて地方分権として次のテーマとして進めていくべきだというものがございましたら、その御所見をお伺いしたいと存じます。
  11. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 我々、特に関西広域連合として懸命に取り組んできましたのが、国の出先機関の丸ごと移管という課題でございました。つまり、元々国の出先機関はどういう状況で発生したかといいますと、戦後、都道府県が公選化されまして、公選化されたときに、言わば中央政府から見たら、言うことを聞いてくれないような自治体が出たら困るという中から、国の出先機関をそれぞれの各省が置いていったわけでありまして、今全部、国の出先機関を各省持っていると、こういう状況に至っております。これから国の在り方仕組みを考える前に、出先機関がやっております仕事、これは原則として都道府県移譲する、そして都道府県移譲できないようなものは広域連合のような広域的な団体移譲していく、この基本方向を明確にしていくべきだと、このように思っております。  そうすると、能力がないんじゃないかとか、すぐそういうことを言われるんでありますが、能力がないんじゃなくて能力を与えないようにしているのが今の実情ですから、能力さえ与えてもらったら幾らでもやれる、やり通してみせるというのが、この国の出先機関問題、この解消を図るというのがまず手っ取り早い分権化の一つではないか、このように思っております。  それと、さらに、今地方分権委員会議論していただいております権限移譲の手挙げ方式でありますが、手挙げ方式でやっていくのも一つの手法なんですけれども、どうしてもちゃちな議論に陥ってしまいます。判断事務、企画事務が入ってこない。まとめた事務要請すると、それは今回の移譲議論の対象じゃないとかいって入口にも入れない、こういうやり方で阻止されてしまうということになりますので、ある意味で、骨太の方針じゃありませんけれども、大きな、大くくりの事務でこれは地方なのか国なのかというような議論を展開していただくことが必要なのではないか、このように思っております。ちょっと実務的な見地で申し上げました。
  12. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございました。  次に、佐々木参考人にお伺いしたいというふうに存じます。小規模市町村をどのように今後支えていくかという論点でございます。  私の選挙区は奈良県でございますが、奈良県は四十七の市町村平成の大合併で三十九ということで、余り他県に比べると平成の大合併はやらなかった県でございます。小規模町村も大変多うございまして、一番小さいところですと人口約五百名の村がございます。こういったところ、いわゆる合併に伴う様々な、合併特例債的なものももう今はございませんので、むしろそれぞれの町村にあっては、そういった部分での合併の論議、もう一度やり尽くしていますので、そこにエネルギー使おうというよりは、むしろ消滅自治体ということから何とか脱して地方創生で頑張ろうと、ありとあらゆる地域のエネルギーをこの地方創生のために使いたい、このような思いで今それぞれが進み始めているというのが私から見た現状かなというふうに思っておりますし、何とかそれを私も微力ながら陰ながら支えたい、応援したいと、このように思っているところです。  その中で、先ほど御指摘ありましたような連携自治体同士の連携等々の試みも行われ始めておりますが、今回お伺いしたいのは、府県との関わりで、将来、もう少し詳しく教えていただければと思いますけれども、こういった小規模町村が町村として存続をする中で様々な行政サービスをずっと一定のレベルで提供していこうとする場合に、いわゆる府県の役割、具体的にはこういったところについて新たな例えば取組をすることが有用ではないかというような御示唆がもしございましたら、御教示いただければと存じます。
  13. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 今、奈良県の話でございましたので、ちょっと一つだけ。  皆さんのお手元に、どの程度が小規模自治体かということを御覧いただくために、私の横長の資料の三ページが今の日本市町村の現状を表していまして、実は一万人未満のこれを小規模市町村と名付けているようでありますが、四百八十五、市町村全体のそれでも二七・八ですから、約三割近くは一万人未満と。これは人口で見ますと二%足らず、一・九%でございますけれども、数としては相当あるわけであります。人口の予測を見ますと、実はこれが一番、数として一万人がずっと一万人であればいいんですが、八千人、六千人、五千人と人口急減の一番予測が高いところでありまして、本当にゼロに近づいていくという自治体が相当この中に入っていると思います。  それで、今の、府県が垂直補完をする、府県というのは本当にそういう能力があるかというと、それは、知事さんを前にあれですが、非常に中間政府のような仕事の仕方をこれまでやってきていますので、まあ言葉を換えれば卸売業のような仕事をしているものですから、非常に国の省庁との縦割りの中で、職員も総合的に市町村みたいないろんな仕事をやっているという、こういう訓練ができておりませんので、仮に小さい町村のところに県の総合事務所のようなものをつくったとして、仕事の種類が物すごくありますので、それを県の総合事務所をつくって県が垂直補完できるかというと、なかなか難しいのかなと。  むしろ、ちょっと距離があって物理的にどうかなというところはありますが、ある程度、基礎自治体で二十万、三十万のところに、結局それが、総合事務所をつくるかどうかはともかく、支援体制は県よりもある程度強い力を持っている、フルセットでいろんな仕事をやってきている中規模以上の基礎自治体との連携というか、水平補完の方が多分いいのではないかと思います。  例えば、過疎地に行きますと、小学校はもう県立でやってくれというお話なんですよね。持ちこたえられない。特に、いろいろ小学校を統合しても、今は日本で四百ずつ小学校が消えていっていますが、毎年。統合しても統合しても非常に広過ぎて、よそのところまでバスを動かすというわけにはいかないので県がやってくれという、あの状況を見ますと、小学校とかそういうものは県でできるかもしれませんが、実際は、やはり二十万、三十万都市を頼りにするしかないのかなと、こんなふうに思いまして、県は余り垂直補完として私は当てにできないのではないかと実は正直に考えております。それは都庁に十六年いた経験で申し上げているわけですが、多分知事さんなどは違う意見かもしれません。
  14. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございます。示唆に富むお話をありがとうございました。  奈良県でも今、なかなか奈良の場合は、二十万、三十万都市が奈良市というところにしか、中核市が一つしかございませんので、あとは十万都市以下でございますので、そういう意味では、県がそういう中核的な都市と同じような考え方、対等な関係で水平補完的な形で今関わろうという、知事さん、奈良モデルと呼んでおられますけれども、その取組も行っております。示唆をありがとうございました。  最後、あと私は三分弱しかございませんので、もう一度井戸参考人にお伺いしたいと存じます。  奈良県、御案内のとおり、この度、関西広域連合防災観光などの分野で部分参加をさせていただくことになります。よろしくお願い申し上げます。  これまで参加をしなかった知事のお考え等、私が理解する限りでは、やはり意思決定等々で大きなところに飲み込まれてしまうのではないかというような、いろいろ小さいながらの心配事があったんではないかというふうに思いますけれども、参加することのやはりメリットということを感じて今回参加ということになったわけですけれども、一言、奈良県民の方々に、関西広域連合長として歓迎の言葉なりをいただければ有り難いと、このように存じます。
  15. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 奈良には、前から防災だとか観光文化だとか、これらの密接な関西全体として取り組まなくてはならない課題があるので、部分参加でもいいから入ってほしいということを申し上げてきましたが、ようやく踏み切っていただいたということで、大変我々としてもウエルカムという基本姿勢でございます。  しかも、意思決定は、先ほど御説明しました委員会で各知事及び政令市の長で議論をするわけでありますが、全会一致を原則としております。多数決で、数の多い少ないで決めてしまおうということを基本原則にしておりません。大小にかかわらず言わば一票を持っているわけでありますので、そのような意味で、関西全体の利益のために、難しい課題もあるかもしれませんが、それを調整をして乗り越えていく、それが関西広域連合役割だと、責任だと思っております。  そのような意味で、できるだけ早く議会に規約を提案して、奈良加入の連合として発足をすることを期待をしたいと思っております。
  16. 堀井巌

    ○堀井巌君 ありがとうございました。  終わります。
  17. 山崎力

    会長山崎力君) 続きましては、石上俊雄君。
  18. 石上俊雄

    石上俊雄君 民主党の石上俊雄でございます。  お二人の参考人の先生、今日はいろいろお話を伺いまして、本当にありがとうございました。勉強させていただくことで二、三質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。私、電機産業出身なので地域行政とか全然詳しくありませんので、素人の質問になりますが、御容赦をいただきたいというふうに思いますが。  まず佐々木先生、その次に井戸先生という形で、お二人に同じ質問なんですが、やはり先ほど人口減少という話もございました。八千万人でどうこうという話もありましたが、それをしっかりと対応していくためには、やはり大都市の制度を見直していくとか、あと地方制度、またこれもしっかり見直していくというのが必要だというふうに私も思います。  そんな中で、私、今横浜に住んでいるんですが、横浜の人口は三百七十万人ですか、あとは今、都構想というのが話題になっている大阪市は二百七十万人ですかね、あと名古屋は二百三十万人ぐらいおられるんでしょうか。それぞれ大都市といったところのその仕組み、これと、あと東京の二十三区の仕組みというのはこれ違っているわけであります。  この辺を、地域地方のところでの制度もしっかり見直さないといけないんですが、大都市のところの制度を中長期的な視点で、どんな感じでモデルチェンジしていく必要があるとお考えなのかをちょっとお聞きしたいのと、そのときに、憲法上は地方自治ということに対して、地方公共団体の意義ということについては余りうたっていないんですが、先ほど井戸先生からありましたが、地方自治法というところにはしっかり規定されているわけであります。  このモデルチェンジをしようとしたときに、要は法的な変更が必要になるのか、その辺についてまず佐々木先生からお答えをいただいて、その後に井戸先生、お願いしたいと思いますが。
  19. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 大都市制度の問題は、レジュメとしては実は三ページ以降に詳しく用意はしたんですが、そこまでお話が進みませんでしたが、御質問ありがとうございました。  横浜三百七十万、名古屋二百十五万、大阪二百八十万ですね、二百万以上のいわゆる政令指定都市、昭和三十一年以降、基礎的な市に七、八割の府県の業務を移して、ある程度自律的な都市経営ができるようにという仕組みが始まって約六十年たって、現在、札幌から熊本まで二十政令市がございますね。  全部同じ制度を使っているんですが、実は非常に、今申し上げた二百万以上のところは、これはやっぱり、例えば大阪で聞いていますと、二百八十万の市というのは実は京都府の人口と広島県の人口と同じで、そこに公選の市長が一人しかいないというのは、住民自治という点から見ても余りにも大き過ぎるでしょうと。広島は二十三人とか、京都は三十人か二十八人とか、いろいろ市町村長の数を挙げて、議員さんの数も含めて、住民の代表がやはりマネージしていくという仕組みから見ると大き過ぎるんだと、こう言っていました。  それで、ああいう、もう一つ、都という、都区制度と言っていますが、政令指定都市と都区制度、大都市制度らしいものが日本には二つの系列があるとして、政令指定都市は数を増やしてきたと。都という制度は、昭和十八年に東京府と東京市を合体をして、戦後、内部に特別区というものを抱えている県を、県というか府を都と呼んでいるわけですね。  先般、一年半前に皆さんのところで可決をされて成立をした大都市地域特別区設置法、議員立法でおやりになったと思うんですが、二百万以上の都市については特別区を置くことができると、それは合併をして二百万以上になることも含めてと。  そうすると、大体全国で八か所ぐらいできるという想定の上に、大阪だけではもちろんないわけですが、今大阪でやっているものを見ますと、最後の五月十七日の住民投票、法律に基づく住民投票の段階まで今進んできていますね。大阪二百八十万を五つの特別区にして、公選の区長、公選の議会があり、専任の職員がいる。しかも東京よりも権限の強い、ある程度規模の粒ぞろいの中核市の権限を持った、児童相談所や保健所も全部フル装備した特別区をつくる、これによって住民自治を充実をさせると。  一方では、広域的な行政とか広域的な政策は、むしろ大阪府を一つの司令塔に一本化して、これは自治法の第三条を見ますと、都道府県の名称変更は法律に基づくと。その隣を見ますと、市町村の名称変更は各都道府県の条例によると書いてありますので、平成の大合併で半分ぐらい市町村の数が減りまして、相当新しい市町村名もできましたけれども、各県が条例でそれを制定したと、で、総務大臣に届けると。  その流れからいえば、多分、特別区の設置が賛成多数で可決をすれば、大阪の場合、大阪府を大阪都に変えるという、こういう法律に基づいて申請が出てくるんだろうと思うんですね。それは、皆さんがそれを認められれば大阪都になっていくという、戦後初めての都道府県名の変更になると思うんですが。  それで、お聞きになっている内容は、大都市制度が、実は政令指定都市は七十万以上で今なっているわけですが、七十万から三百七十万までばらばらでございますけれども、内部は大きく三つか四つにグルーピングできると思うんですが、それが一本化されている。このやり方はやっぱりいろいろバリエーションを付けた方がいいんじゃないかと。  実は、都制度というのも、考えれば、ある種の、それは政令で指定する必要はもちろんないとしても、大都市制度として五種類ぐらいの一つになるようなものかもしれない。国際的に見ますと、一つ日本で使っている政令指定都市のような制度。それから、戦後、結局できないで政令指定都市制度になりましたけれども、特別市、府県とか州からは完全に同格の抜き出した市ですね。それから、東京の都制度のような都区制度、内部に自治体である特別区を抱えている州、それを都市州と、ケルンなどはそうですけれども。  そういう、大きくは三つぐらいなんですが、日本の場合、政令指定都市と言われるものも実は百万以下と二百万以上とその中間があるように思いまして、今、横浜市長など政令指定都市市長会が提案している、特別自治市という名前を付けていますが、政令指定都市よりももっと権限の強い、しかし、都制度のように公選のいわゆる自治体を中に置くものではなくて、権限の強い総合区をつくった形の特別自治市をつくったらどうかという提案がありますので、政令指定都市は今提案されている中では二系統でありますね。今使っている政令指定都市と特別自治市という政令指定都市の提案があると。もう一つ、大阪がもし使うとすれば都という制度がもう一つ増えていくと。  さあ、どうでしょうかね。実際見ますと、浜松とか静岡とか見ますと、今の政令市でうまくいっているところもあるんですね。つまり、行政区単位でいいと。ただ、ある程度大きくなりますと総合区のようなものにしたい、更に大きくなりますと特別区のようなものを入れたいと、こういう話にどうもなるようでありまして。  それをやっぱり五十年ぶりに、大都市に関する法律を改正をしましたと、昨年新藤総務大臣がおっしゃっていましたけれども、ちょっと日本の大都市については、国会も含めて、大都市は豊かであるということもあるんでしょうけれども、余り制度に関心を示さないできたということもあるのかもしれないですね。ですから、都市国家時代にふさわしい都市制度は何かという議論を、改めて中核市を含めておやりになる時期じゃないかと思います。
  20. 石上俊雄

    石上俊雄君 ちょっと時間がなくなってきたので、井戸先生には別な話を聞きたいので、よろしいですか。  井戸先生、済みません。広域連合の話をちょっとお聞きしたくて、本当に。  私もパンフレットを見させていただいて、関西広域連合、いろいろ連携取られていて、防災とか、あと産業振興とか、様々やられているということで本当に感銘を受けているのでありますけれども、これがいろいろ、議会もあるというふうになっているんですが、その地域ごとに、ウイン・ウインの関係の案件についてはすごくがあっと進むと思うんですけど、何かちょっと痛みが伴う、そういったそれぞれの地域の内容というのはこれがちょっと難しいような気がするんですが、その辺についてお考えをお聞きしたいと思います。
  21. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) まず、大都市制度の問題ですが、特に今の政令市は区が問題なんですね、区。区は、役人が区長がなんです。それから、議会の代表もいないし、だから住民自治が全く働いていない。我々、二十年前に阪神・淡路大震災経験しましたけれども、区長の言うことを住民が聞くか。全然聞きません。首長だから聞いてくれるんです。つまり、我々の代表だから聞いてくれるんです。ですから、最後にごみ処理問題が片付いて完全自治体に二十三区がなりましたけれども、やはりそういう区の在り方を問わなきゃいかぬ。  区の在り方を問うたときに二つありまして、今の政令市の中で住民代表制をどう入れていくかというやり方と、それから都区制度に移管していくかというやり方と、また別の仕掛けをつくるかというやり方とあるんですが、特別自治市にしてみても区が残るはずですね、それでそれが完全自治体になっていないんだとするとどうかなという問題点があるということだと思います。  自治法都道府県という制度を位置付けているんですね。都道府県という制度を、自治法の中に。ですから、どのタイプを選ぶかというのは住民が選べばいいという仕掛けには一応なっているということではないか、このように思っています。  それから、難しい課題というのは、よく言われるんですが、我々がつくったのは、その難しい利害が相対する課題だからこそ、逆に、広域連合委員会の中でもみにもんで一定の方向付けを出そうということにいたしているんです。  今、ホットな問題は、リニアのどこを通過するか。あっ、いなくなっちゃいましたけど、奈良付近なのか、告示はもう奈良付近になっているんですが、京都の方に持ってこいと、こういう話もあるんですけれども、それはそれとして、我々としては十分検討した上で一致点を見出したいというふうに考えていますし、できなかったらこんな広域連合つくらない方がましなので。やる、また、やらねばならないというそれぞれの責任感から運営をさせていただいているということだと思っております。  もう一つ差し迫っているのが、また北陸新幹線をどうするんだと。これは一応、関西広域連合としては米原ルートにしようということにしているんです。これはなぜかというと、米原ルートにするとスピード感が違うんですね。北陸新幹線と関西とをつなぐ、早くできるという、これに非常に重点を置いているんですが、本当にそれでいいのかどうかというのは、北陸側からもいろんな意見が出てきていますので、これは痛み伴っているんです、実を言いますと。大阪とか京都とか、神戸もそうですが、新幹線のエリアで乗客数で負担し合おうかというようなことを言っておりますので、痛みを伴った決断も広域連合だからできる、これは府県間調整ではきっとできなかった、そのように思っております。
  22. 石上俊雄

    石上俊雄君 本当にありがとうございました。参考になりました。  終わります。
  23. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、横山信一君。
  24. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  お二人の参考人には大変に興味深いお話を聞かせていただきました。  最初に、井戸参考人にお聞きをしたいと思います。  私も、関西広域連合の話を聞いたのは今日初めてでございまして、非常に興味深く聞いておりました。資料の中で、三ページのコンパクトシティーの発想は一極集中を加速するという、非常に興味を引くタイトルで面白く聞かせていただいたんですが、経済性効率性だけではないということに関して、そのとおりだと思うんですが、一方で、コンパクトシティーにしても、今国交省が進めようとしている小さな拠点にしても、人口減少社会に対して地域生活をどうやって守っていくかという、そういうところから発想されて出てきたものだというふうに考えておりますが、その人口規模が縮小していくことに対して、コンパクトシティーを否定するということと人口規模経済性効率性だけではないという、この兼ね合いといいますか、そこの部分はどういうふうにお考えになっているのか、教えていただきたいと思います。
  25. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 問題は、東京を頂点とする日本列島全部をピラミッド構造として構築していくことがいいんでしょうかという問いかけなんですね。それで、今まで人口が増えているときも同じような発想をやっていたんです。それから、人口が減っているときも同じような発想地域経営をやっていこうとしているのはいかがだろうかという意味なんです。  それで、現実に小さな集落を見てみますと、人口は少しずつ減っています。しかし、Uターンしてきている者とかIターンしてきている者とか、定年後ふるさとに戻ってきて農業を再開している人だとか、いわゆる人口自身は減っているかもしれないけれども、地域の活力が本当に人口だけで減っているかと。人口が減っているから地域の活力がなくなっているか、そうとも言えないんじゃないか。  ただ、利便施設はどこかになきゃいけませんから、それはネットワークでつないだらいいのではないか。ですから、コミュニティーバスとか足の確保が非常に重要になりますが、全部まとめなきゃいけないということではないのではないでしょうか。まとめようとすると、固まって住めばいいという話になるんです。だから、おまえの集落はなくしてBという集落に集まってこいと、これ一番合理的なまとまり方なんですが。  私どもの、例えば佐用町というのが岡山県との県境にありますが、その集落でも、一人でも自分で、もう俺が生きている間だけはここからは出たくないという、そういう人がいらっしゃるんですね。そんな一人のわがままを聞くのかという評価ももちろんありますが、そういう地域に対する愛着の念というのを、おまえは間違っているんだぞと言えるのかというようなことまで考えてきますと、それはサービスやり方を工夫するべきであって、人を一つのところにまとめていくという発想は現実的な実態とは合っていないのではないかと、机上の理論なのではないかという思いがするものですから、私は、コンパクト・アンド・ネットワークという、コンパクトという発想、まとめようという発想はいかがかなと。ネットワーク、連携は重要だと。  その連携のための基盤をどういうふうにつくってやるか、これが大事なんではないか。例えば、買物なんかでも、拠点からトラックか何かで出前をするとか、そういうような、要はサービスネットワークをどう工夫をしていくかということで集落の機能自身は人口減少下でも維持できる可能性は十分あるのではないか、こういうふうに考えるからであります。あわせて、高齢者になってもスマホなどの利用を本当にうまくやれれば外界との連携は十分取れますので、そのような意味からしても可能性いっぱい残っているのではないかと主張したいのであります。
  26. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  今、知事お話からもありました連携の基盤をどうつくるかということについてまたお伺いしたいんですが、今度は両参考人に、佐々木参考人井戸参考人、お二人にお聞きをしたいのでありますが、事前にいただいた佐々木参考人の資料の中で、何を連携するのかが分からないというふうなところが、広域連携の中で、自治体間の中で連携をしようとすると、連携事業を模索するようなことが実際起きてくるわけでありますが、また、その役割分担が明確ではないといったことも起きてまいります。  そういう中で広域連携をどう進めていくのかということの、自治体間の事業連携をどう進めたらいいのかということをお聞きをしたいんですけれども、井戸参考人には、既に関西広域連合、これは南海トラフというのがあったというふうに先ほどお話がありましたけれども、実際に一つのテーマがあってやはりそこに集まってきやすいということがあると思うんですが、実際に、広域連携と、こう言われてもなかなかそれは結び付きづらいということがあろうかと思うんですけれども、そうしたことに対して両参考人から、どのようにこれを進めているのか、御意見を伺いたいと思います。
  27. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 御紹介をすればよかったのですが、私の横長の資料の十ページは、これはヒアリングをいろいろその連携するであろう地域から取ったものでありまして、現実の話、現地の話だと。  まず一つは、連携を進める話になってきているけれども、大体六十一圏域でそういう話を政府側が進めようとしているというところなんですが、再び合併の話になるのではないかという警戒感は相当あるようでありますですね。  問題は、今先生がおっしゃったように、連携する事業が思い浮かばないというのは結構ありまして、困ってはいるんでしょうけれども、どれとどれとどれを連携をすればいいかということが余り隣接の自治体から出てこないんですね。やっぱりその母都市になる中心都市は受け身でありますので、それを精査してやれるものは一緒にやりましょうという話になるんですが、提案の方が余り出てこないということなんです。  これは意見を求められながら答える人を振るようですが、広域連合をおやりになってみて、府県レベルですけれども、市町村レベルで例えばこういう二十万、三十万の都市圏をつくる場合にどういう仕事なら皆さん連携に応ずるかということは、多分、井戸先生の方が詳しいかもしれないですね。いずれにしても、整理したものの段階以上は、私もこれとこれとこれは一緒にやった方がいいんじゃないですかということははっきり申し上げるものを持たないんですが。  ただ、もう一つ、先ほどのコンパクトシティーというのも、無理やり人を集めるという話よりは、広域的に皆さんが公共の機能をコンパクトに一つのところにまとめましょうという話でありまして、無理やり山の中から移って町の中でアパートに住めということを強制している話ではないんですね。  ですから、スマホの話も、例えば百円バスをどんどん走らせて便利にするという話ももちろん必要なんですが、機能部分をコンパクトに集めると。そういう意味では、このピラミッド型という話とは少し違うかなという私はコンパクトシティーに対する印象を持っているんですが。
  28. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) これからの連携というのを考えると、健康とか介護とか、いわゆる我々の生活の身近なサービスをどういうふうにタイアップしていくかという分野は、まだまだこれからフロンティアとして残っているのではないかというふうに感じています。それともう一つは、例えば特養なんかにしても、都市の真ん中にはもう土地がないので造りにくい、しかし、周辺部地域だと造りやすい、住所地特例などもありますから。  それから、特養が例えば百ベッドできますと百人の雇用がありますので、そういう意味で非常に、タイアップすると雇用自身も増えるというような分野が介護とか病院だとか健康の分野でいっぱい残っている。スポーツもそうだと思います。文化連携もあると思っております。それともう一つ、現実的な面では、例えば農産物などの販売ですね、直売所。それを都市と連携することによって周辺部が、現実の販売所を都市の中につくることによって産業も維持できるというようなこともあり得ると思います。  それともう一つ、基本的に忘れちゃいけないのは、周辺部に人が、特に過疎地域と言われているところに人が住まなくなったら防災力が物すごく減退するんですね。それを保全するための費用というのを考えたら、住んでいてもらった方が総合的に評価するとコストとしては低コストで済むかもしれない、そういう意味での総合評価というのも連携を考える中でしていく必要があるのではないか、こんなふうに思っております。
  29. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございます。  最後になると思いますので、これは佐々木参考人に最後、伺います。  ちょっとイメージがしづらかったんですけれども、条件不利地域の垂直的連携という、都道府県が直接連携した方がいいのではないかというお話がありましたが、これは、どちらかというと従来の中央集権型というか、そういうふうにイメージをしてしまうんですが、分権型社会の中でそういう垂直連携というのはどういうふうに考えていらっしゃるのか、イメージを教えていただければと思います。
  30. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 条件不利地域をどういう地域であるかというこの規定自体がなかなか人によっていろいろなんですが、申し上げたとおり、垂直補完よりはやっぱり水平補完の形を考えた方がいいことは間違いないんで、県がある程度その条件不利地域について、先ほど申し上げた総合事務所みたいなものをつくってサービスを担保するというやり方を仮に、それは別に集権型という必要はないと思うんですが、ただ、県というものがそういうことをやれる実は訓練ができていないというか、そういう職種が全部そろって基礎的なサービスをやっておりませんので、やはりある程度大きいところから総合事務所を出してもらって連携をする、その代わり、連携というか補完をすると、もしかして委託の方式でそういうやり方もあるかもしれませんが、役割そのものを小さくするというか。  特例町村制といって、多分これは町村会でもいろいろ御反対もありますので、二級町村制ではないかとかいう話をする人もいますけれども、どうでしょうか、住民のためにある自治体ですので、全てがフルセットで行政をやれるという規模を失ったり、そういう条件がないところは、やはりそういう限定した仕事をする自治制度というものも考えざるを得ないんじゃないかと。それを水平で補完をするということを考えざるを得ないし、ここには、ある程度財政補給もやってくださるところにはお願いをするというやり方しかないのかなと思います。
  31. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございました。以上で終わります。
  32. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、清水貴之君。
  33. 清水貴之

    ○清水貴之君 維新の党の清水貴之と申します。今日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。  まずは、井戸知事、日頃から大変お世話になっております。お話を聞かせていただければと思います。  広い兵庫県の知事として兵庫県全体を見ていらっしゃって、さらに、関西広域連合長ということで更に広い関西を、あれだけ個性的な首長さんがそろっている関西、特に我々のリーダーの大阪がそうなんですけれども、をまとめていらっしゃって、関西発展のために御尽力いただきまして、本当にありがとうございます。    〔会長退席、理事猪口邦子君着席〕  その関西広域連合についてまずお聞かせいただきたいんですけれども、できて五年近くがたっていらっしゃいます。先ほど御紹介いただきましたように様々な連携があって、当初の目的の南海トラフ対策ということでもしっかりと手を結んでやっていらっしゃるということなんですが、一方で、今後のためとか、ほかの地域でもし同じような連合体をつくろうとしている地域などに参考になる意見としてお聞かせいただきたいと思うんですけれども、逆に、こういったところをもっと直したらいいんじゃないかとか、こうした方がうまくいくんじゃないかとか、五年近く活動をされて見えてきたものなどありましたら、教えていただけますでしょうか。
  34. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 七つの広域事務については、四年半ほどたちまして、当初計画していた以上に関西広域連合調整機能というのが発揮されてきていると、このように考えています。  例えば、防災につきますと、関西としての防災計画を作りまして、それに基づいたガイドラインもまとめ、その分野につきましても伝染病から原子力の避難計画に至るまで一つの基本方向を出してきておりますし、例えば福井の人はいざというときは兵庫に引き受けるとか、そういう分担までも決めさせていただきました。これらは、そのような関西全体として取り組まなくてはならない広域事務の進展は非常にあったと思っております。  今、課題は、やはり、国の権限事務移譲という観点では、先日の我々が提案した事務については国から全部駄目と、こういう結論を出されましたし、そのために、我々はもう個別事務だけで攻めていくのはやめようと、もっと大ぐくりでまとめてこの権限をよこしなさいというような対応にして変えていこうというふうに考えてはいるんですが、これも相手があることですからうまくいくかどうか分かりませんけれども、やはり国の事務広域連合への移管という点で課題が今残っている、このように考えております。橋下市長のようなパワーのあるメンバーが都制に専念されてしまっているものですからちょっとパワーを欠いているということもあるのかもしれませんが、ともあれ、国との関係で苦戦をしているということではないかと思っております。  今検討中の事務は、例えば試験研究機関、各県全部持っているわけですけれども、これ、それぞれの県の特色に応じて役割分担をするような方向がうまい具合にできないんだろうかとか、そういう意味とか、あるいは、いわゆる委員会、監査委員とか人事委員とか、こういうような委員会とか附置機関について共同化できないだろうかとかいうようなことが課題にはなっていますが、附置機関はやっぱりそれぞれの地域の属性があるものですから共通化しにくいところもありますし、試験研究機関はかなり動き得るのではないか、こんなふうに考えながら更に検討を加えていっているものでございます。
  35. 清水貴之

    ○清水貴之君 今お話しいただきました国の権限移譲のところなんですけれども、としますと、関西広域連合が強い力を持って更に国と対峙していくためにということで、道州制とかいう話に今度はなっていくと思いまして、井戸知事は道州制に対してはそれほどという御意見を持っていらっしゃる、もうそれは承知の上でなんですけれども、その関西広域連合の中の仕組み、もっと強い力を持つためにということなんですけれども、奈良県が最近入られたりとか、さっきあったリニアの問題ですとか、これも我々の大阪のトップが余り乗り気じゃない、あの関西ワールドマスターズゲームの話とか、うまく話合いでまとまっていく部分でまとまればいいんですけれども、なかなかそうはいかなくて、やはりそれぞれの思惑が、思いがあったりとかでまとまらない部分というのもあると思うんですね。    〔理事猪口邦子君退席、会長着席〕  都構想というのを我々維新の党はやっていますので、都構想の賛否はもうそれぞれ御意見があると思いますが、賛否の問題ではなくて、都構想というのも、我々の考え方としては、大阪府と市が話合いでいろいろと二重行政を解消していけば、それはそれで、もうそれに一番こしたことはないんですけれども、やはり長年のいろいろあつれきとかあって、知事からも百年戦争という国と地方の話もありましたけれども、やはり話合いではなかなかうまくいかないところが出てくると、今度はやはりそういうルール作りをする仕組みを変えなければという話になっていくかなとも思うんですね。  としますと、関西広域連合が国ともっと強い力を持って話合いを進めていくためには、今でしたら部分参加も可能とか、比較的柔らかいつながりといいますか、負担の少ない方法でうまくまとめていらっしゃるなとも思うんですけれども、更に強くまとまっていくためにそういったある程度の仕組みづくり、ルール変えなども必要になってくるのではないかなとも思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。
  36. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 関西広域連合は発足して五年目を迎えて、ようやく広域事務についてのまとまり、あるいは調整というものについて機能を発揮し始めているというふうに思っておりますが、これから更に特に対国とのバーゲニングパワーをどう持つかということになってくると、今のような連合の在り方でいいのかどうかということが問われてくるんだと思うんですね。  ですが、道州制にそのままこれは移行することを前提とした組織ではもちろんありません。つまり、構成団体というのがあって初めて広域連合ができるわけですので、構成団体をなくしてしまおうということになるとタコ足になってしまいますから、これは道州制にそのまま移行するような団体ではありません。我々としては、府県の役割役割として残しながら、府県域を越える権限責任をどう果たしていくかということに徹していきたいというのが今の時点での我々の在り方です。  ただ、関西だけしかないものですから、なかなか国が、関西だけ特別扱いできないねと、こういう感じが対応の仕方として出てきまして、それで、結果として関西広域連合と国との折衝でほかのところがないのでねと、こういうような話にもなってくるうらみがありますから、我々としては、共通課題については是非各ブロックで検討していただきたいなということで働きかけをしているうちに、例えば中国、四国とか九州だとかではそういう機運が出てきていたはずだったんですけれども、今のところ急速に動こうとされていませんので、さらに仲間づくりも心掛けていかなければならないのではないか、このように考えております。
  37. 清水貴之

    ○清水貴之君 続いて、佐々木参考人にお伺いしたいんですが、今のお話ですが、関西広域連合を例とする広域連合なんですが、いただいた資料の三ページに広域自治体の広域連携というところが下の方にありまして、国のブロック機関等からの権限移譲が進まない中、府県共同事業レベルにとどまるということで、今知事がおっしゃったようなことを懸念されて書かれているのではないかなというふうにも推測するんですけれども、佐々木参考人はこの広域連合ということについてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  38. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 限界があると思います。  それぞれ政治機関を持った主体を、七つなら七つ県知事がおり、県議会があり、その七つが同じ方向を向いて動く部分については一緒にやった方が合理的なものがあると思いますけれども、何度か御質問があるように、内部で利害が対立する問題になりますとそれぞれの政治機関が主張をしますので、それを統合できるような、例えば連合長であってもEUの委員長みたいなものをつくれば別ですけれども、話合いだけでうまくいかなければ今日はこれで終わりということで、なかなか前に進まなくなってくるのではないかと。  ちょっと話は違いますが、関西広域連合の例えば東北地方から見た評価というのは非常に高いんです。実は三・一一のときに、主濱先生もおられますけれども、消防といえば、どこから助けが来るか分からないので、関西広域連合でやりますとパートナー方式なんですね。例えば、岩手に対しては兵庫の消防が来ると、宮城に対しては大阪の消防が来ると、これ警察も全部。それで非常に効率が良かったというのが岩手、宮城、福島の関西連合に対する評価で、あれはすばらしいと。  そういう意味では、中で分配をする機能というものを一つに統合して持っているという、内部だけじゃなくて外から見てもそういうお仕事をされているという評価は高いんですが、ただ、道州制に移行するためのもちろんものではないというのはそれは井戸先生広域連合観で、例えば橋下さんから聞くとお話は逆で、道州制のための準備だと、こういうふうにおっしゃって、それぞれ考えていることが違う感じがするんですが。  私は、広域連合は、ある程度は、首都圏でもそうですが、必要なものは関西で挙げたぐらいが限度かなと。まだ五つか六つと言っていますが、十六ぐらいを考えておられるわけですが、これがうまくいけばその段階で止まるのかなと。こういうまどろっこしい、まどろっこしいというかソフトなやり方だけで済むかというと、国の統治機構に関する調査会ですのであえて申し上げると、もっとシンプルなことを考えるべきだと。  つまり、今は国があり、国のブロック機関があり、出先機関がありますね。県があり、県の出先機関がある。さらに、政令市は区があるんですね、一般の市町村がある。六層制ぐらいになっていますから、カリフォルニア州一州の面積しかないこの国に非常に統治機構の密度が高くなっていると。これは、高度経済成長で税収がある頃は余り皆さんそれほど問題にしなかったと思うんですが、これから、これで百六十兆円規模の活動をしていますが、百兆ぐらいしか税金を納めていないとして、これをずっと持ち続けるというのは多分増税しかなくなってくるので、サービスよりも統治機構の維持にお金を食うという、こういうふうになってきますので。  結局、聞かれていないことで申し上げますと、あえてこういう調査会ですので、やっぱり十ぐらいの州にくくると。それはようかんを切るという話ではない。都市というものを主体に府県が空洞化してきているところがたくさんありますので、大都市を軸に、やはり、例えば東北とか九州とか当たり前に呼んでいるところを一つの州政府として広域的な自治体に変えていくと。府県の機能をいきなりなくするのがいいのか、府県割りというのは多分カウンティーのような形でそれはある程度私は残した方がいいと思うんですが、それは政治機能を持たないものでいいんじゃないかと。  やっぱり、基礎自治体中心に、今議論をしている一つ部分で、大都市、中都市を中心連携を進めて、いわゆる揺り籠から墓場までの基礎的な部分はカバーすると。広域的な部分については内政の権限も相当程度移す形で、九州九州、北海道は北海道、東北東北でそれぞれ完結、ある程度完結できるような、相互が競い合うようなこういう統治機構にしないと、地方分権というよりは、最近はどうか分かりませんが、地域主権というか、地域が主体となってそれぞれの地域を運営していくという国に変えていくのが私は二十一世紀の姿ではないかと思います。  聞かれていないことまで答えましたけれども、広域連合の限界というものはあることはあると思います。
  39. 清水貴之

    ○清水貴之君 ありがとうございました。大変勉強になりました。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  40. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、倉林明子君。
  41. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子でございます。京都選挙区から選出されておりまして、広域連合にもお世話になっておるところでございます。  今日はお二人の参考人、貴重な御意見ありがとうございます。  一番最後に佐々木参考人が御発言もありました、道州制に関わってなんですけれども、質問は井戸参考人にお願いしたいと思うんですね。  現在の道州制議論について、先ほどの、最初の意見陳述でも、憲法における地方自治本旨に反するのではないかということで指摘されている点は重要だなと思ってお聞きしたんですね。その点でくくった御説明になっていたかと思いますので、少し踏み込んで御説明をいただきたいと思います。
  42. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 憲法では、地方自治本旨に基づいてこれを法律で定めるとしか規定されていないものですから、結果として地方自治本旨とは何だろうということになるんですけれども、今までの、教科書的に言われているのは団体自治住民自治だということなんですが、道州規模になったときに、本当の意味で、団体自治は十分確保できると思うんですが、住民の意思をその道州にきちんと反映できるだろうかと。  例えば、関西というのを考えましたときに、百人規模の議会を考えましても、人口割りでさらっと百人を割ったとしますと、兵庫県でも何人出せますかね。せいぜい二十人とか、そんな規模になってしまう。その二十人の議員を仮に出して、そして兵庫住民の意思を代表をきちっとしているだろうかというような物理的な限界がどうしてもありますから、そうすると本当の意味での住民自治が確保されたということにつながるだろうかというのが憲法論議の一つポイントになってくるのではないかと、このように思います。
  43. 倉林明子

    ○倉林明子君 住民自治をどう担保するかということで、私も関西広域連合設置の際に京都で市会議員しておりましたので、議会から選出された代表を京都では多分四名送ったと思うんですけれども、我々一定議席持っていたので一人共産党からは出せたんですけれども、果たしてこれで広域連合の議会として住民自治住民の声が鏡のように反映できる自治体となるのかと議論した覚えがありまして、同様のことは道州制を考える場合、憲法の住民自治、憲法で定めた地方自治本旨ということがどう担保されるのかというときに大事な視点だというふうに受け止めております。  そこで、次に井戸参考人にまた続きで申し訳ないんですが、これからを考えていく際に、これまでの取組はどうだったかということで、私、三位一体改革について今日のお話の中では触れられていなかったかと思うんですね。  三位一体改革についての評価をお聞きしたいと思うんですが、その上で、本調査会でも議論がありまして、四月十五日の調査会参考人に来ていただきました神野直彦参考人地方分権改革有識者会議の座長ということで中心になって進めてこられた方ですけれども、この神野参考人が三位一体改革について、自主財源である地方税を増やすことによって一般財源、つまり地方税プラス交付税を増やそうというのがそもそもの意図だったと思うと、少なくとも三位一体改革に関与した私の意図だったと、こう述べられた上で、ところが結果的には五兆円交付税が減らされた、全て関与した者である私の責任だがと申された上で、結局設定した目的とは逆な結果になってしまったと、こういう評価を述べられたんですね。  改めて、地方自治体の知事ということで、井戸参考人に御意見をお聞きしたいと思います。
  44. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 評価としては、いい点と悪い点がやっぱりあります。  評価すべきなのは、ああいう、国が赤字財政の状況の中で自治体に三兆円の税源移譲を行った。税がやはり一番の基本的な財源ですので、地方自治の強化にそれはつながったはずなんです。ところが一方で、交付税の、もし、本当は財源不足額を特別会計の借入金だとか臨時財政対策債で埋めてないで従前のように三二%の財源で運営されているような交付税制度であったら、画期的な、三兆円地方税が増えたということですから、現実が生まれたんだと思うんですが、財源不足の解消に使われちゃっただけ、それで、しかも財源不足の解消以上に交付税を切り込まれてしまったということの結果に落ち着いてしまったという意味ではうまく活用されたなと。我々知事会としても、いろんな提言をしたのがほとんど、我々の提言の実行率は一二%ぐらいにすぎませんでしたから、結果として国にうまい具合にやられたなというのが最終結論です。  特に、私たちは補助金の転換というのを強く要請していたんですね。この補助金はその三兆円の中で地方が自主的に対応しますよと、そういう幾つかの有力な補助金の転換を要請していたんです。例えば、直轄負担金の問題もありますが、道路の維持管理費などについては基本的にもうこれはなくしてもらったんですけれども、それ以外の補助金、例えば国保の運営費補助金だとかいろんな住民生活に密着している補助金、そういうものについて振替を要求していたんですけれども、それが実現できなかったということが大変懸念したとおりになってしまったなというのが実感です。ただ、三兆円の税源移譲がなされたということはもうこれは事実ですから、それはそれとして評価すべきだと思っています。
  45. 倉林明子

    ○倉林明子君 お二人の参考人に質問したいと思います。  平成市町村合併、先ほど来話題にもなっているところですけれども、これも三月四日の調査会で西尾勝氏が、自身が推進してきた平成市町村合併についてということで意見を述べられておりまして、進め方として正しかったかというと、なかなか思うようにいかなかったと、編入合併される側の町村の小さな自治を大事にしていくという方策をもっとみんなが力を入れてやらなければいけなかったのではないだろうかというふうに思っていて、結局余りメリットのない結果に終わったんじゃないか、やはり財政的な締め付けが一番利いてしまったのではないかと思うと、こういう意見表明されたんですね。なるほどなと思って聞いていたわけですけれども。  この平成市町村合併について、また西尾氏がこういうふうに御意見述べておられるということについて、それぞれの参考人の御意見を伺って、私は終わりたいと思います。
  46. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 合併問題は大分調べましたし、書きましたし、いろいろお話もしましたので詳しいつもりなんですが。  三千二百三十二市町村が千七百十八になった、ほぼ半分になったと。大体、ざっくり言うと編入合併が三割、新設合併が七割なんですね。一番の問題は、何のために平成の大合併をやったのかと。それは、二〇〇〇年の地方分権一括法施行以来、分権時代の始まりの基礎自治体が、受皿というと受け身ですが、政策主体、経営主体になれるような基礎自治体をつくろうというのが元々の始まりだったと思うんですが、そのためにはどれぐらいの例えばスケール、規模が必要かとかそういう議論が本来は行われるべきなんですが、それが全くないまま、財政主導で、財政支援によって特例債を合併事業には七割認めて九五%は後に交付税で返すとか、ほとんどただで仕事ができるので合併をしたらどうですかと言うと、五千人と一万人の町が一緒になっても合併ですので、それでいろんな事業ができるということでどんどんやったところがあるんですね。  結局は、終わってみて私は失敗だとは思っていないんですが、というのは、明治でも昭和でも、振り返ってみると分裂をして終わったという歴史はまだないので、これをうまく使っていこうというその賢さは日本の場合はあると見ていますので、これは十年の今の段階で、特に財政の支援措置の終わったところで今評価するのはまだ早いと思うんですが、要するに分権基礎自治体の主体となれるような規模が確保されたところと全くされていないところでは、結局、今後成功した、失敗したの評価の分かれ目が実は出てくるんじゃないかと。  何割が成功で何割が失敗かとはなかなか言えないんですが、小さくてもうまくやっているところはありますけれども、少なくとも、政府主導であったかどうかはともかく、県も間に入って一生懸命、私も宮城県の合併審議会の会長を六年やりましたので見ておりますが、どれぐらいであればいいのかということを何度も市町村長は聞くんですが、それに対する答えはないものですから、結局、市町村同士の肌合いのいいところで一緒になったらどうですかというレベルで一緒になっている。ですから、明治、昭和の合併よりもある意味理念がはっきりしない合併であったと。  これは、有名な地方分権などを推進をしてきた委員の先生もおっしゃいますが、結局、地方分権の主体をつくるんだと言いながら財政支援に釣られた合併に終わったので、結果がよく見えないものになっていると、そういう評価ですね。ただ、失敗だとは私は思いませんが。
  47. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 佐々木先生のおっしゃる点と私も基本的に同じ評価であります。  兵庫県の場合は、九十一が四十一になったんですが、これ県がかね、太鼓でたたいたわけではなくて、私どもはニュートラルで、市町村に選択をする、そういう機会を与えたんですが、そのときに判断材料がどうしても要りますから、人口がどうなるか、財政状況がどうなるか、税収などもどう推移するか、産業構造などもどうなっていくか、こういう基礎的な資料を作るのには私たちも応援しますよと、しかし決断をするのはその市町村の皆さん、住民の皆さんですよというのが本県の基本的なスタンスでした。  なぜそういう将来見通しを与えたかというと、やはり財政的な枠組みが小規模団体ですと大変つらくなる、今後更につらくなるという見通しがかなりあったものですから、小規模で財政的につらくても我慢して自主的な再建を貫くのか、それとも、少し一緒になって財政的なあるいは弾力性を確保しながら地域づくりを進めるのか、そのどちらを取るのかという選択をしていただいたということではないかと思っています。  そういう意味からすると、各市町村の財政力は高まりましたから、それはそれで、ある意味で財政面では成功だったというふうに思っています。ただ、ひずみが出ました。冒頭にも申しましたように、被合併市町村の役場所在地の疲弊は非常に著しい、あるいは公共施設などの身近なサービス施設が合体することによってなくなる、ですからサービスが遠くなるというようなひずみは出てきています。例えば、商工会なども合併すると本来一つになるわけですから、すごく人数が縮小されてしまいます。ところが、そういう状況をどういうふうにカバーするかというのがやはり県の役割だということで、商工会などは支所を置かせて、そして十年間は減少をしない、県単で見る、十年以降も自然退職が出てきたら埋めないで対応していくというような振興策を併せてつくらざるを得ませんでした。そういうひずみがどうしても出るんだというところの対策が十分に行われてこなかったというところにやはり平成の大合併の批判が出てきているのではないかと、このように思っています。
  48. 倉林明子

    ○倉林明子君 ありがとうございました。
  49. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、田中茂君。
  50. 田中茂

    田中茂君 日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂といいます。よろしくお願いいたします。  今日は、両参考人、大変お忙しい中御出席いただきまして、またお話を拝聴する機会も得まして、大変有り難く思っております。  私、先ほどお話をずっと聞きながら、地方分権、道州制、様々なその話の前に、じゃ、自分にとっての地方というのは何なのかと、そう考えたときに、やはり地方というのは私の生まれ育った場所。そこは、生まれ育って、じゃ、何を自分に与えてくれるのかと。それはやはりアイデンティティーだと思うんですね。じゃ、そのアイデンティティーというのはどこから派生するか。当然ながら原風景、美しい山河、そして四季を通じた風景。で、原体験、それは何かというと、原体験といえば、歴史、伝統、文化、その土地の歴史、伝統、文化であると思うんですね。そこの中で自分の考え、そして先人がまた育ててくれた社会的規範、ソーシャルノームというか、そういうものを得ていくと。共同体生活の中でそれを会得していくと。だからこそ、自分たちには自由の気概が出てくる、独立、自尊の気持ちも生まれてくる。私は、そういうのが地方だと思っております。  そういう中で、当然ながら時代の背景が変わっていって、経済性効果性を求めていくと。ということで、道州制又は地方分権なのか、自立型分権なのか、それは、それぞれの手段として出てくると思っておるわけです。  ただ、今言ったようなアイデンティティーの生まれる源であるというものを押さえておかない限りは、これは非常にぶれていくんではないかと、基本はそこにあるんではないかと私は思っておるんですね。  そういうことに対する両参考人のお考えはどういうふうな考えでお持ちなのか、お聞かせいただければと思います。
  51. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 今、我々兵庫県で大変強調していますのは、ふるさと意識を持とうということなんです。それは、今、田中議員が御指摘されたような、基本的なバックボーンを育て上げていかなければならない。兵庫で生まれ育ったということを誇りに持つ、そのことが大事なのではないかと。ただ、これ幾ら観念で言っても会得できませんから、我々としては、学校では体験教育を重視させていただいています。  小学校三年生で環境学習、五年生で自然学校、中学一年生でわくわくオーケストラ、二年生でトライやる・ウイークということで社会体験、それから高校一年生でボランティア、高校二年生で就業体験、こういう体系的な年代別のふさわしい体験学習コースを用意しているという、これはふるさと意識を持ってもらおうという意味一つの手段です。  それから、ただそれは生まれ育った人たちだけですけれども、今現在我々兵庫に住んでいる人たち、その人たちを巻き込まなきゃいけない、それでないと兵庫の将来がどうなってもいいという話になってしまいますので、自分の住んでいるところをより豊かな、自分たちの望めるような環境にしていくにはどうしたらいいのか。そうすると、自分の住んでいるところを第二のふるさととして意識してもらおうという意味でのふるさと意識の喚起運動を県民運動として展開をさせていただいております。  おっしゃいますように、そういう地域に対する帰属意識をなくしてしまうようなことになってしまうと、それは国も成立しなくなる、世界にも通用しなくなる。やはり帰属意識をきちっと持った、ふるさと意識を持った人間を育てていきたいというのが我々の基本原則でございます。
  52. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) ふるさとは遠くにありて思うものというところもありまして、ふるさとに住んでいる人の思いと、ふるさとを離れてこういう大都市におられてふるさとを見る思いとは必ずしも同じではないと思うんですが、合併などの議論もそうですが、生活都市、自然都市のようなふるさと、いわゆる地域と、それから行政上の都市、これは、ある程度合理性を持って公共サービスを提供するためにどういうくくりとかサイズがいいかという話をしている行政都市と、必ずしもイコールではないんですね。  ですから、生活都市で、こういう野山とかいろんな風景をおっしゃいましたし、私も田舎がありますけれども、そういう風景はなるべく、もちろん壊すわけじゃなくて、記憶にも残るし、そういうところになるべく行ったり来たりするような、もっと言えば、住所を二つも置けるような形で、なるべく自然都市というか、そういう自分が育ったところの帰属意識はなるべく強めていく方が、強めていくようないろんな施策もあっていいし、それは大事だと思うんですね。ただ、それと、例えば区域を広げたとか行政上の合理性のために行政都市を人為的につくってきているお話とは必ずしもイコールではないと思うんですね。  一つこれから問題は、やっぱり大都市で生まれ育っている人たちが半数以上を占めてきていますので、大都市がいわゆるふるさととして、こういう大都市で育っていく人たちにどういう形で残っていくのかなと。それを、田舎に例えば何とか留学とかいう形で行ってもらうということも大事ですが、比較的古い話ですと、旧制高校のようなやり方というのはいいんですね、青春を地方の都市で送るという。それは、大都市で生まれようが何であろうが、地方の幾つかの旧制高校などで原体験で青春を送った人というのは意外とそういうところのことを大事にするという。ですから、流れが地方から大都市へ来るだけじゃなくて、大都市から地方にどういう形で、ずっと住み着けという話ではないんですけれども、体験をしてもらうような仕組みというものを考えなければいけないんじゃないかなと。  もっと言えば、大手の大学は減反をして各地方に分校を造った方がいいと。今は逆でありまして、地方会場で全部試験をして地方から人を集めてきて、某中央大学もそうでありますが、生きている状況でありまして、これはますますそういう青春は大都市でしか送らない仕組みになっていると、これが人口減に拍車を掛ける非常に大きな仕組みだと、これ是非皆さん議論をしていただきたいんですが。企業だけじゃないんですね、大学が一番大事だろうと、人を、若者を吸引している、私も責任はありますけれども。答えにならないですかね。
  53. 田中茂

    田中茂君 ありがとうございます。  別の角度からちょっと質問させていただきたいんですが、先ほどコンパクトシティーのお話がありましたけど、そもそもは高齢化社会に対してコンパクトにまとまっていく、機能を全部そこに集中させると。だけど、先ほどの質問にもちょっと私関連してくるんですが、別にそこには高齢者だけじゃなくて、青、壮、老、全ての人たちが住んでいるわけですね。そういう中で自分たちのアイデンティティーというのは築かれていく、そしてきずなも築かれていく、共同体意識が生まれてくる、そういう非常に大きな話が出てくるわけだと思っておるんですね。  そういう中で、コンパクトシティーが果たしてどの程度成功していくのか。国土交通省はグランドデザインということでおっしゃっていますけど、それは一国土交通省の話では僕はないと思っているんですね。そこには総務省も関係してくるだろうし、文科省も関係してくるだろうし、当然ながら環境省も出てくる、いろんな省庁が出てそれはコンバインさせていくという話になると思うんですね。その辺についてもちょっと御意見をお聞かせいただければ有り難いんですが。
  54. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) やはり、市町村中心になってどういう自分たちの地域づくりを進めていくかということに懸かっているというふうに思います。市町村として、機能的な連携を重視していくのか、それともその機能をできるだけまとめ上げていくような地域づくりを進めていくのか、どちらを取るのかという選択の問題だと思います。  ただ、今まで高度成長のときでもそういうまとめ上げていくという選択をかなり取ってきたはずですが、じゃ、それが地域過疎化を止めるとか高齢化を止めるとかということにつながったかというと、余りつながってこなかったんではないか。だとすると、今のような人口減少下において、高度成長期に取ったような同じような発想で、コンパクトというような発想で進めていくことでうまくいくんだろうかという疑念が私自身はありまして、それよりも、今のそれぞれ持っている機能を補完し合うような仕掛けを考えていった方が現実的なのではないだろうかというふうにも思っています。  それから、ふるさとの意識の問題は、大都市のコミュニティーで育った子供たちも十分持っているんですね。震災から復興の過程におきまして、例えば神戸市などでもお祭りが再開されたんです。お祭りが再開されただけでコミュニティーの横の連携と力がすごく増しました。つまり、大都市だからふるさと意識がないんじゃなくて、大都市だからこそ逆に、そこに住んでいるその環境の中での地域愛とか、あるいは人と人との結び付きとかということをより強く認識した対応が必要になるということなのではないか、このように思っております。
  55. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) コンパクトシティーの話ですけれども、いろいろな、都市的な皆さんで共通で使う機能をなるべく一か所に集めようと。それは国交省だけではなくて総務省などもそういう考えを進めようとしていますが、せっかくこういう統治機構の話に絡む話ですので、高度経済成長期に人口が大都市に集中して、その受皿として郊外にたくさんベッドタウンを造りましたね。これをニュータウンと言ったわけですが、名前だけイギリスから持ってきた。ここが実は今崩壊をして、大都市圏の郊外からだんだん崩れてくるという問題が一つあるということ。  実は、地方都市でも、ある程度は小都市でもいいんですが、新たな都心部にニュータウンを造る、郊外にニュータウンを造るんじゃなくて、郊外に造ったのは日本の場合はベッドタウンでしたけれども、都心部にニュータウンを造ると、こういう新たなニュータウン政策として、人口社会の、それをコンパクトシティーという必要はないとは思うんですが、ニュータウン造りと、そこにある程度総合的な機能を持って暮らしやすい都市ができていくと。  それは別に全部農村までそこに住めという必要はないんですが、そこから通っていただいてもいいとして、新たな人口時代のニュータウン政策として、都心に、都心というのはこの大都市の都心ではなくて、地方のある程度のコンパクトシティーと言われるような、該当するようなところにニュータウンと言われるようなものを、総合的な都市づくりをやっていく時代ではないかと。  実は、ベッドタウンがこれから大変皆さん大きい問題を、シルバータウンになりゴーストタウンになっていきますので、住民税が入らなく、さらに固定資産税が入らなくなっていって、郊外の、名古屋も大阪も東京も大都市圏三十キロから五十キロ圏が大きく崩れてくる、こういう時代がもう一方では始まると。これを地方創生議論ではどういうふうにするのかなというテーマがもう一つございますね。
  56. 田中茂

    田中茂君 ありがとうございました。
  57. 山崎力

    会長山崎力君) 主濱了君。
  58. 主濱了

    ○主濱了君 生活の主濱了であります。  井戸参考人、それから佐々木参考人、貴重な御意見誠にありがとうございます。私からも御礼を申し上げたいと思います。  早速質問に入りますが、まず井戸参考人に、国と地方役割の明確化、こういう点について伺いたいと思います。これ、先ほどのお話の中に入っておった件であります。  今、国の方では、第一次から第四次までの一括法が進められておって、さらに今国会では第五次の一括法が今提案をされていると、こういうことであります。  それから、五年ほど前になりますか、これは知事さんもうよく御存じですけれども、国の地方機関、これを広域連合移譲しましょうと、こういったような動きがあったわけですけれども、実現に至らなかったということであります。この原因の一つというのは、様々な役割を果たしている国の出先機関、これを一括して移譲しようとしたところにあると思うんですよ。要するに、国のやるべきことを担っている分野もあるし、それから地方に移管していい部分もあった、これを一括してやったところにあるんではなかろうかと私自身は思っております。  地方分権、これを実現するためには、根本的に、要するに国と地方役割分担を明確にして、さらにそれを基本法として制定することが必要であろうというふうに考えたわけなんですよ。国の事務とすれば、やっぱり外交、防衛、司法、危機管理、治安の維持とか、それから義務教育、基礎的な社会保障、それから基幹的な社会資本整備、地球環境であるとか、そういったような本当に国の根幹に関わる事務は国の事務とすると、こういうふうに言われておりまして、この件については昔から、前から言われているところであります。  国はどう考えているかといいますと、先ほど、これも井戸参考人お話にありましたけれども、平成十一年のあの地方分権一括法、この一括法で地方自治法を改正しまして、国と地方役割分担の明確化が図られていると、こういうふうな認識なわけですよ。私は、実はそうは思っていないわけなんですがね。その図った結果どうなっているかというと、これは地方自治法の一条の二のところで、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、よく分からないような、全体的にこういうふうな包括的な表現をしているということで、こういうことではなくて、きちっと定める必要があるんじゃないか。  要するに、国と地方がそれぞれの役割を発揮するためには、根本的に国と地方役割分担を明確にする、それから基本法として制定する、これが必要不可欠ではないだろうかというふうに、こう考えておりますが、この点についていかがお考えか、お伺いをいたしたいと思います。
  59. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 我々、国と地方とで地方分権ということをテーマに、事務移譲権限の移管ということをずっと主張してきました。  そうすると、一つ一つ事務で吟味を始めますと、百年河清を待つように、ちょっと小出しにされて終わり、小出しにされて終わりという繰り返しになり、しかも最末端の形式的な事務だけが移譲されて、本体はほとんど無傷で残っているという、こういう歴史を重ねてきたわけですね。我々が出先機関の丸ごと移管ということを主張しましたのは、そういう仕分作業をしようとすると、もう百年河清を待つみたいな作業に迷い込んでしまうということがありますので、我々としては、出先がやっている仕事はみんなできるぞと、だから出先のやっている仕事を全部よこしなさいという主張をしたということなんです。  それで、今度、その主張に対して、国の方としては、これとこれとこれは国としてやらざるを得ないから出先丸ごと移管の対象にはしないけれども、あとはあげるぞという、そういう、ある意味で主体性、立証責任の転換みたいなことをやることによって突破口を開こうとしたのがこの出先機関の丸ごと移管。  私は、そのようなやり方自身はかなり成功したと思っておりますが、まさか市町村から説明不足だと言われて抵抗が出てくるとは思っておりませんでしたので、時間が掛かってしまって、結果として、法律の閣議決定までは至りましたが、議論もしないで廃案になってしまった。非常に残念な経過をたどりました。  したがいまして、先ほども私、五ページで中央集権制限法案というのを、あえて平成五年の提案を御披露させていただいたのは、今議員がおっしゃっていただいたように、国の仕事はこのような仕事なんだということを、一条の二を更にブレークダウンするような、基本法でもいいですし、制限法でもいいですし、国の仕事法でもいいんですけれども、そのような基本法を作っていただいて、それで、それに基づいて国の仕事の方を議論をして、それ以外は全部地方でやるんだというようなアプローチがされていかないとパラダイム転換は起こらないのではないかというふうに非常に強く今までの経験からしても感じておりまして、それであえてこの中央集権制限法案の内容についてまで資料として御披露をさせていただいたものでございます。  今の神野委員長の下での分権もそれなりに踏み切っていただいてはいるわけですけれども、特に、農地転用の許可について思い切って都道府県に渡す、ただ協議が残っておりますけれども、思い切って都道府県に渡すというような象徴的な事柄まで踏み切っていただいたと大変評価しているんですけれども、これだけでは済まないのではないか。もっと地方創生と言われているような時代の中で地方に主体性を持たせる、そのような対応が不可欠なのではないかという意味で、国の事務の方を固めて、それ以外は地方だというような大胆な提案をさせていただいたつもりでございます。
  60. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  次に、佐々木参考人に伺いたいんですが、今度、これら事務を担う公務員についてであります。  佐々木参考人には従前から行革の関係で大変お世話になっているところでありまして、その関係で伺いたいわけなんですが、平成二十七年の国家公務員数、これ実は千人の純減なんですよ、純減。減らし続けておって、二十七年度も減らすと、こういうふうな状況になっております。それから、地方公共団体の職員数というのが二百七十四万人、二百七十万人余りなんですけれども、やはりこれも純減していると、こういう状況であります。  一方、世界と比較した場合、日本の国の公務員はどうなっているかと、こういうことなんですが、地方公務員を含めた日本の公務部門の職員数というのは、国際比較ですと、人口千人当たりで、フランス、イギリス、アメリカの約三分の一、それから西ドイツの大体六〇%、六割という状況で、日本の公務員数は、公務部門の職員数というのは、これは軍隊も全部含めておりますけれども、極めて少ないと、こういう状況になっているわけなんですよ。  私はこう思っているんです、優秀な公務員を確保して、その効率的、効果的な行政を確保するためには、削減だけではなくて、その適正な職員数をまずは科学的に分析をする、これがまず必要だというふうに思います。  そういうふうな科学的な分析、これだけの事務をやるには何人必要なんだ、こういうふうなことをしっかりとやった上で、最低限これぐらいは必要だというふうなことをもう国も地方もやるべき段階に来ているのではないかというふうに思っておりますが、この関係でいかがお考えか、お伺いしたいと思います。
  61. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 大変難しい質問だと思うんですが、国際比較の日本の公務員数は少ないというのは必ずしも正確ではありませんで、その関連の団体の職員まで入れますと倍ぐらいになるということで、公務に携わっている人が少ないというわけでは必ずしもどうもないようなんですよね。  ただ、国のいろんな風土がありますので、それを単純にどれぐらいが世界と比較して標準かということを仮に言えないとして、少なくとも、先ほどの地方分権の話と絡めますと、やっぱり自治体が政策的に自立をしていく、それは行政権限だけじゃなくて立法権も相当程度自治体が発揮できるような仕組みに変えていくというのが、分権というよりは、もしかして地域主権か地方主権の考え方かもしれませんが、それを回せるような、きちっとやれるような優秀な公務員は確保していかなければいけないと思うんですね。  ただ、いろいろ分析をしてみますと、市町村の仕事は全部その市町村の公務員でなければできない仕事をしているかといえば、今相当程度、民間あるいは、もしうまくいけば、ヨーロッパ的に言えば、NPOが非常に増えてそういう仕事をするわけですけれども、例えば介護でも、もっと非営利団体を育てて公共分野を担ってもらうと。そういう意味では、事業に携わる公務員の数はそう増やす必要はないと思うんですが、いわゆるマネジャーとか政策を立案をする、ある意味質の高い仕事をする、設計をするような公務員はある程度確保する必要があると思うんですね。  県もこれは同じことが言えるわけで、今はやっぱりなかなか、事業の仕分ということを声高にひとときおやりになっていましたけれども、どの主体がこの仕事をやるべきかということをやるのが事業の仕分なんですね、元々、カナダのサマーレビューから来ているとすれば。それを一旦仕分をした上で、本当に直接市町村とか県がやるべき仕事はどれぐらいなのかと。そうではなくて、そこがある程度関係はするけれども、民間も含めて公共領域で仕事をしていただくNPOなり、企業系でも公共の仕事をやっていただくものがどれぐらいなのか。ざっくり言うと、市町村で半分ぐらいは、アウトソーシングとは言いませんけれども、外に切り離しても十分回る、県の仕事でも三分の一ぐらいは回ると、こういう計算もありまして、そういう意味では公務員の数は減らせると思うんです。  ただ、公務員のイメージが、いわゆる政策立案型の公務員を相当程度確保して、単純にいろんな事業をやるというここの部分については非公務員で公務的なことをやると、こういう人たちでいいんじゃないかと。  そういう意味では、公務員制度も大きい改革がないまま、公務員制度改革というと、日本はキャリア公務員制度の改革だけを議論しておりますけれども、今数が減ったお話でしたけれども、大体三百五、六十万人の時代がここのところで、三百万人が地方公務員ですけれども、数はある程度、それは主濱先生とは意見が違うかもしれませんが、絞り込んでいい、問題は質を上げると。数で賄う部分は相当アウトソーシングをしていく、こういうことを、やっぱりひとつ仕事の切り分けをいろいろやってみて公務員制度を再構築していく時代ではないかと。  やっぱり、税金を使って他人のお金で他人のために仕事をするというメカニズムはどうも必ずしも有効にお金が使われないので、自分の金を自分のために使うというやっぱり民の論理が働く中で仕事をした方がいい仕事ができると私思いますので、余り公務員組織を大きくし、公金を使う領域を拡大をしていくという、日本行政社会主義の国とも言われていますが、そういう領域はやっぱりしぼめる方がいいんじゃないかと。ただ、公の領域は大きいですよね。ですから、いろんな主体が公の領域に参加できるという設計をむしろした方がいいんじゃないかと思います。
  62. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。終わります。
  63. 山崎力

    会長山崎力君) 続きまして、柘植芳文君。
  64. 柘植芳文

    ○柘植芳文君 今日は本当に御両人の参考人に貴重な意見を賜りました。ありがとうございました。  参議院全国比例区の柘植でございます。よろしくお願いしたいと思います。  今日、話を聞いておりまして一つ感じたのが、いわゆる学問的見地から見る分権の形と住民サイドに立って住民と間近に接しておりながら考える分権の形というのはかなり違うんじゃないかということを、よくしっかり確認させていただいたわけでございます。  今日はちょっと視点を変えまして、井戸先生にお伺いしたいんですけれども、地方分権等の格差の問題について少し話をお聞かせいただきたいと思います。  平成の大合併によりまして、大きく地方が、町村がなくなりまして市が大きくなったわけでございますけれども、それは地方分権の形として高く評価される部分とそうじゃない部分があるということも今日お聞きいたしました。  しかし、様々な状況を見ておりますと、それによりまして大きくなった市の中での格差が広がり、これは県でも今言われておりますけれども、そういったものが今日、国全体の中における格差の問題と、様々な場所場所によって格差の形態が違うわけでございますけれども、そういうものが広がっていき、地方分権の、平成の大合併という大きな事業は地方をどう形を変えていくかという形で大きな成果が出なきゃいかぬところを、今年度、十年もたっておりますけれども、今更ながら、地方創生という政府が重要政策として掲げて取り組まなきゃならないという現状でございますけれども、そういう現状を考え合わせますと、本当に平成の大合併地方分権という議論が成功してきておるのかということが一つ大きな疑問に残りますし、私、東海の名古屋に住んでおって、生まれは岐阜でございますけれども、高山市という大きな市がございまして、これは九町村が合併して日本一の大きな面積を持つ市になったわけでございます。  私の仕事は郵便局関係の仕事をやっておりましたものですから、地域方々と直接意見を聞く場合が多いんでございますけれども、そうした中で一番よく聞くのが、合併して何一つ良くならないと、地方行政から離れていって地方行政が行き届かないということをよくおっしゃいます。それは日本という国土が山あり谷ありという極めて地形的になっておる環境の国土でありますので、一つの山を越えていかなきゃならぬという大きな地理的な要素もあると思いますけれども、そういう声もたくさん聞くわけでございます。  そういう声を聞いておりながら、なおかつ、今日また、それをもう少し大きくしたいわゆる道州制の議論もされておるわけでございますけれども、広くなり大きくなればなるほど私は格差が広がって、地方分権というのが住民サイドに立った改革なのか、税という国の仕組みを変えていくことに重きを置いた改革なのか、どちらに基軸を置いた改革かというのがすごく分からないところが出てくるわけでございまして、私は何か、地方住民が置き去りにされて、大きなメカニズムのシステムだけ直していこうという形が今の今日の地方創生を生み出しているもとじゃないかと思うんですけれども、ちょっとその辺りのところを直接タッチしてみえる井戸参考人に伺いたいと思います。
  65. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 平成合併で格差が拡大したんじゃないかという御指摘は、私はかなり当たっていると思っています。  先ほども触れさせていただきましたが、被合併地域、特に合併された役場所在地などの人の訪れ方というのを見ますと、従前、五百人から千人ぐらいは毎日役場を訪ねてこられていたのが、今や支所になって、五十人から百人、一桁減ってしまっている。ということは、周辺の喫茶店なんかもやっていけなくなるというようなことで、我々、そういう地域の振興のための県単の制度をつくったりしているんですけれども、例えば、役場が利用されていないのでボランティア団体に使ってもらうというような場合の初度調弁費なんかを助成するとか、そういうようなことまでやっていますが、なかなか十分に是正できていないというのが実情です。  ですから、私、そのような意味からしたときに、地方創生で目指そうとしているのが、そういう地域的な格差を何とかしたいという、もし目的があるんだとすれば、人々が、そういう地域のそこに住んでいる人ももちろん考えなきゃいけませんが、周辺や都会に住んでいる人たちの知恵や交流というものをベースにした施策というのも入れていかないといけないのではないか、このように考えています。  過去六年間ほど兵庫でも小規模集落元気作戦というのをやってきたんですが、元気になったのはそこの小規模集落のリーダーの皆さん、これは非常に元気になられましたし、活動も活発化しました。  しかし、中心市だとか都市の人たちは、最初は交流に一生懸命だったですが、だんだん意欲が衰えてくる、今でも続いているところは多いんですけれども、というような相互交流でないところの問題点が出てきていますので、これをどう相互交流にしていくか、そういう観点で更に力を入れていく必要があるのではないか、このように思っています。  そういうふうに考えてみますと、今回の地方創生も、地方の側だけで頑張る、田舎だけで頑張るという発想ではなくて、共にどう交流し合うかとか、連携し合うかとかという相互補完発想が必要なんではないか、このように考えております。
  66. 柘植芳文

    ○柘植芳文君 もう一つ、今度は佐々木先生にちょっとお聞きしたいんですけれども、平成合併をして非常に疲弊化した大きな市と、合併を拒否して残った小さな町村がすごく発展をして、そこの住民たちが生き生きして生活しておる地域が実際あるわけでございますけれども、この辺りの評価というのはどうされていますかね。
  67. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 高山などはそれは非常に物理的に相当無理をした合併だと思うんですが、大きくなったから、いわゆる圏域内格差のお話ですよね、周辺に置かれているところが何となく町村という機能を失ったので寂れていくと。ですから、どうしてもそれは圏域内の地域間格差が広がったのではないかと、大きくしたところはですね。それはやり方の問題だと言いながら、やっぱりそういうところはどうしてもありますよね。  ただ、お金が潤沢にあって例えば三千二百三十二市町村に満遍なく財政保障ができた時代は、それは千人の村でも役場を残してフルセットで行政をやっていただいていいと思うんですが、これからより財政上やっぱり豊かな状況を考えることは難しいとすれば、いかに簡素化するかということも考えなければいけないので、今、合併の話を限定をしますと、小さい単位で税源をある程度稼げて、いろんないい資源があって頑張っているところは、合併をしなくても輝いているところはあります。  ただ、そうでないところもありますですね。いろんな、火力何とかとかそういう補給金に頼っているところは、もうそれがなくなりますと本当になくなるわけですが、国家全体で考えますとやっぱり国土構造における格差の方がはるかに大きいんで、つまり三大高速網を整備はして職住近接型の分散型の社会をつくろうと一生懸命やってきたわけですが、意思決定仕組みを集権のまま残していますので、結局ストロー効果が働いて便利なところにみんな集まってくるという、この仕組みをやっぱり変えないとならない。  道州制の議論は、やっぱり国土構造を変える話だと私は思うんですね。つまり、意思決定仕組みを十なら十の地方政府にそれぞれ分けることによって地域のインフラを生かしていただくと。それが全部、東京ターミナルのような形で集まる形をなるべく薄めて、九州九州で。  九州はいい案を持っていますよ。九州はスコットランドになれと言ったんですが、石破さんのところへ行って、そう言えと言ったんですけれども、それは極端な話ですが、それぐらい自立できる権限をもらえば、我々は日本海と東シナ海のあちら側に大きいマーケットがあるので伸びれますと、こういう案を議会も経済界も一緒になって作っているんですね。  そういうものをむしろ生かす統治の仕組みをつくった方が間違いなく元気になるし、格差は縮まると思うんですよ。このまま四十七府県体制で、今の体制ですとますます、どういう方向になっても、私は凸凹はより大きくなると思います。
  68. 柘植芳文

    ○柘植芳文君 ありがとうございました。
  69. 山崎力

    会長山崎力君) それでは、長浜博行君。
  70. 長浜博行

    ○長浜博行君 どうもありがとうございました。  先週も関西とか関東とかいう視点からの議論もあったようでありまして、今日も井戸参考人から関西広域連合についてのお話が出ましたので、大変、関東の人間からすると興味深く拝聴させていただきました。  佐々木先生が都庁の職員からアカデミズムに移られて二十五年目に書かれた、事前にいただいた資料の「新たな「日本のかたち」」ですか、パラダイム転換で「脱中央依存と道州制」というサブタイトル、さっき御紹介いただいたとおりのことだと思いますし、QアンドAがあの本の中にはありますね。そして、関西広域連合について触れられている部分があって、これはさっき井戸知事からも御説明がありましたけど、七府県の協力体制であって政治的な統治体制ではない、そして広域連合発展形態が道州制ではあり得ないと、あくまでも広域連携一つの方法だということで多分整理をされているんだと思うんですね。佐々木先生のさっきのお話で、兵庫と若干大阪と見方の違いがあるのかもしれませんが、でも、佐々木先生の本の中ではこういう整理をされていたので、先ほどの井戸知事の考え方と一緒ではないかなというふうに思いました。  広域行政という今日のテーマでは、どうしても道州制のことに触れざるを得ないというふうに思っております。  先ほども、明治二十三年というか一八九〇年に四十七の府県制度がスタートしてちょうど今年百二十五年になるわけですが、これを知事は定着をしている制度だということで、佐々木先生の方はもうこれだけたっているんだから変更したらどうだという、まさに視点がはっきり分かれているところで、この問題に関しては直接お二人の討論を伺った方が多分分かりやすい部分があると思うんですけれども。  二〇〇六年二月の第二十八次の地方制度調査会の最終答申が出ていたときに、現行の四十七都道府県制度を廃止して、それに代わる広域自治体として九から十三の道ないし州を置くことが望ましいという具体的な提案がこの二〇〇六年の時点では出ていたんですね。  このときは、第一次安倍政権で、安倍総理は大変地方分権に熱心な方でありますから、このときの第一次安倍内閣において道州制の担当大臣を初めて置かれたんだというふうに思います。これは、いわゆる大臣といっても、発令文に基づく正式な担当事項として、道州の導入を円滑に推進するため行政各部の所管する事務調整担当ということで、正式にいわゆる道州制担当大臣というような形で置かれたのが第一次安倍内閣だと思います。  二〇〇六年九月の安倍内閣の、まさに道州制担当大臣を置いた後の二〇〇七年の六月に自民党の道州制調査会の第二次の中間報告が出されて、二〇一五年から二〇一七年というか、まさに今年からですか、十年の間に道州制導入に移行すると。この二〇〇六年の時点では、大変この道州制の議論がある意味では煮詰まってきているというか機運が盛り上がっていた時期だというふうにも思います。佐々木先生の本によると、民主党政権のときに大分この道州制の議論がしばらく鳴りを潜めたという状況であったようでありますけれども、最初の道州制担当大臣は、多分、間違っていたらごめんなさいですが、佐田先生、佐田玄一郎さんだったんではないかなというふうに思います。  その後、いわゆる民主党政権が終わって、第二次の安倍内閣ができたときの新藤大臣は、この道州制担当大臣を、これもまたたしか兼務をされていたというふうにも思うんですが、今の安倍政権、つまり改造内閣の安倍政権の中においては、今、道州制担当大臣は多分いないと思います。それで、いわゆる特命大臣としての、元気で豊かな地方を創生するための施策を総合的に推進するため企画立案及び行政各部の所管する事務調整担当として、いわゆる地方創生担当大臣というような形で、大変ダイレクトに安倍総理は一次のときも二次のときもこの道州制にコミットをされてやってこられたんですが、今は、今申し上げたように、間違いがなければ道州制担当大臣というのは置かれていないというこの状況議論の中で、もちろん今申し上げたことは先生方は十分御承知のところだと思いますが、この今日のテーマでもあるところの大きな統治機構の変更としては道州制が大きなテーマになると思うんですが、この議論はこの後どういうふうになっていかれると思いますでしょうか。お二人にお聞きできればと思います。
  71. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 大きな流れは長浜議員御指摘のとおりだと思います。大変危機感を持って自民党の中間報告に対して意見を申し述べて、佐田委員会にも出席をして意見を申し述べて反対論を相当ぶたせていただいた思い出もございます。  我々何を危機感を持ったかといいますと、国の形を基本的に変えないで地方の形だけ、つまり都道府県だけ先決して潰す、それ以外は道州制審議会に丸投げする、こういう基本的な法案だったんですね。したがいまして、これは問題ですよということを非常に強く申し上げました。国に権限を残しておいて道州だけつくるとすれば、非常に大きな総合出先機関が道州として発足するだけではないか、これがどうして地方自治の進展につながるのか。四十七都道府県をコントロールするより十の道州の方がよっぽど楽だ、そういう中央集権体制を更に強化する、そういう道州制になりかねないのではありませんかということを強く指摘をさせていただいたものでございます。  私は、今後もし道州制の議論を更に進められるとするならば、そのような意味で、国は一体その道州制を前提にしてどういう形を用意をしようとされているのか、これは国会の権能も含めてですね、司法はこれは難しいと思いますが、これ立法権なんかの分配も含めて、どういう形を国として予定されようとしているのかというのを十分に併せて議論されないといけないのではないか。それでないとバランスが欠くということになって、結果として地方いじりだけの道州制を目指そうとされているとすれば、それは中央集権を徹底するための道州制、しかも都道府県を潰して行政効率を上げるだけの道州制ということになってしまうのではないでしょうかということを私は懸念をしております。  ですから、これから議論されるとすれば、片方の国の在り方議論をきちっと並行してやっていただく必要があると。そういう意味で、併せて議論した上で、国民議論を理解していただいて選択してもらうという、この姿勢が重要なのではないかと思っております。
  72. 佐々木信夫

    参考人佐々木信夫君) 今、長浜先生が整理された一つの流れで、民主党が悪かったと言っているわけじゃなくて、そのときに議論が止まって何となく皆さん忘れてしまったかなという、こういう感じで、安倍新政権になってもそれが、もう一度呼び起こすという、こういう雰囲気はありませんでしたが、ただ、昨年の通常国会に自民、公明も道州制基本法を出そうというところまで行ったんじゃないでしょうかね。それは道州制ありきではなくて、道州制国民会議を設置をして三年ぐらい議論をしましょうと、その結果を見て進めるかどうかというものは考えましょうという話でありましたので、それをなぜやらないのかなというのがまず一つ疑問なんですが、今回ですね。  地方創生に、例えば官房長官の記者会見でいろいろ聞いていますと、道州制も含まれているんだと、最初の頃ですね。文字では書いていませんので、多分それは方便といえば方便なんですが。もし含まれているなら、地方創生の論議というのは、いわゆる竹下内閣でやったふるさと創生みたいな今イメージになっていますので、そうではなくて、国の形、地方というのをもう少し大きく捉えて、地方を本当に元気にするということを考える地方創生であるとすれば、この道州制国民会議を起こして、さらに各地の要求を聞きますと、西高東低ではあるんですが、九州とか中四国、四国はともかく、中国地方とか、それぞれ活発にこういう議論をやるべきだというところからいうと、広域のブロック単位で道州制国民会議を起こしてくれと、我々はその政策についてはいろいろ用意してあるので、その統治機構についても提案があるんだと。こういう議論をすると、本当に地方創生議論に実はなってくるんじゃないでしょうかね。  単独で統治機構の話だけ道州制国民会議で議論してみても中身がどうも出てこないので、それは仕組みは後から付いてくると考えれば、どうすれば例えば東北が元気になるかとか伸びるかとか、九州が伸びるかとか、北海道伸びるかと。これを少しブロック単位で投げてみて、経済界とか、地方の議員さんもたくさんおられますので、それで三年議論してみるような国民会議設置法を出されて議論してみたら、答えはイコール道州制では必ずしもなくていいと思いますね。ただ、私はやっぱりそういう方向を志向せざるを得ないんじゃないかと。  ただ、懸念されたのは、井戸先生がおっしゃったことと同じで、集権型の道州制という提案に近いものは、やっぱり地方は何となく拒否反応が強い。町村もより強いんですね、町村は反対運動をしていますから。そうではなくて、連邦型はちょっと難しいとしても、連邦型に近い、いわゆる地域に立法・行政権のある主権型のやはり道州制というものを構想しながら日本の新たな国の形をつくっていくという、しかも国民が多く参加する形でそういう設計をつくっていくという、少し方向を変えてこの三年ぐらいはおやりになったらどうかと実は個人的には思っております。  どうぞよろしくお願いします。
  73. 長浜博行

    ○長浜博行君 ありがとうございました。
  74. 山崎力

    会長山崎力君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。  井戸参考人及び佐々木参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会