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2015-07-06 第189回国会 参議院 行政監視委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年七月六日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  六月八日     辞任         補欠選任      島田 三郎君     衛藤 晟一君  六月九日     辞任         補欠選任      衛藤 晟一君     島田 三郎君  六月十日     辞任         補欠選任      山田 修路君     山谷えり子君  六月十一日     辞任         補欠選任      山谷えり子君     山田 修路君  六月十六日     辞任         補欠選任      清水 貴之君     室井 邦彦君  六月十九日     辞任         補欠選任     佐々木さやか君     平木 大作君  六月二十二日     辞任         補欠選任      平木 大作君    佐々木さやか君  七月二日     辞任         補欠選任      室井 邦彦君     清水 貴之君  七月三日     辞任         補欠選任      小林 正夫君     浜野 喜史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松村 祥史君     理 事                 石井みどり君                 柘植 芳文君                 長峯  誠君                 渡邉 美樹君                 難波 奨二君                 柳澤 光美君     委 員                 石井 浩郎君                 上野 通子君                 木村 義雄君                 島田 三郎君                 滝沢  求君                 中西 祐介君                 羽生田 俊君                 福岡 資麿君                 松下 新平君                 山田 修路君                 有田 芳生君                 神本美恵子君                 津田弥太郎君                 浜野 喜史君                 藤末 健三君                 藤本 祐司君                佐々木さやか君                 谷合 正明君                 清水 貴之君                 倉林 明子君                 行田 邦子君                 和田 政宗君                 山本 太郎君    国務大臣        総務大臣     高市 早苗君        厚生労働大臣   塩崎 恭久君        農林水産大臣   林  芳正君        国土交通大臣   太田 昭宏君        環境大臣     望月 義夫君        国務大臣        (復興大臣)   竹下  亘君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        山谷えり子君    大臣政務官        財務大臣政務官  大家 敏志君        厚生労働大臣政        務官       高階恵美子君    事務局側        常任委員会専門        員        青森 昭継君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       佐藤 裁也君        内閣官房総合海        洋政策本部事務        局長       加藤由起夫君        内閣大臣官房        審議官      兵谷 芳康君        警察庁長官官房        審議官      露木 康浩君        復興庁統括官   吉田 光市君        総務省行政評価        局長       新井  豊君        法務大臣官房審        議官       上冨 敏伸君        厚生労働大臣官        房審議官     福島 靖正君        厚生労働省職業        安定局雇用開発        部長       広畑 義久君        中小企業庁事業        環境部長     佐藤 悦緒君        国土交通大臣官        房官庁営繕部長  川元  茂君        国土交通省住宅        局長       橋本 公博君        国土交通省港湾        局長       大脇  崇君        気象庁地震火山        部長       関田 康雄君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       北島 智子君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政活動状況に関する件)  (政策評価制度に関する決議の件)     ─────────────
  2. 松村祥史

    委員長松村祥史君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三日、小林正夫君が委員辞任され、その補欠として浜野喜史君が選任されました。     ─────────────
  3. 松村祥史

    委員長松村祥史君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官佐藤裁也君外十四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松村祥史

    委員長松村祥史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松村祥史

    委員長松村祥史君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  行政活動状況に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山田修路

    山田修路君 自由民主党の山田修路、石川県の選挙区でございます。  本日の委員会にも松葉づえをついて参加をされていただいておる委員もおられますけれども、大変不便を感じておられるんではないかと思います。たまたま地元を回っておりまして、やはり特に企業の方から障害者雇用についていろいろお話をお伺いをいたしました。今日はこのことについて質問をしたいというふうに思っております。  障害者方々が自立をし、また社会参加をしていくためには、これらの方々雇用されたり、あるいは就業し、仕事に就いて地域の一員として共にみんなと生活をしていく、このことが極めて重要であると思っております。このために、企業雇用を促す制度としまして、障害者雇用納付金制度というのが設けられております。障害者雇用促進法改正によりまして、今年の四月からこの納付金制度対象事業主が拡大されたところです。常用雇用労働者が百人を超え二百人以下の事業主もこの制度対象になりました。  それで、地域を回っておりまして、新しくその納付金制度対象になった企業の方からいろいろとお話をお伺いいたしました。その企業はこの制度に真面目に対応していきたいということでございました。こういった制度が拡充された時期でもありますので、この問題に関連して質問をしたいと思います。  まず、障害者雇用対策の基本的な考え方あるいは方向につきまして高階大臣政務官にお伺いをしたいと思っております。  障害者方々が、やはり先ほど言いましたように、能力を最大限に発揮して適性に応じて働くことができる社会を築いていくこと、これは極めて重要だと思っております。具体的な政策内容については後ほどお伺いをいたしますが、まず障害者雇用対策の基本的な考え方方向について大臣政務官からお伺いしたいと思います。
  7. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 先生がおっしゃるとおり、誰もが自分の持ち味、能力を生かして社会参加できる、その地域で暮らしていける、そういう環境づくり、非常に重要だと私どもも考えてございます。先ほど障害者雇用促進法のことにも触れていただきましたところですので、若干丁寧めにこの点について御説明を申し上げたいと思います。  現在、障害者雇用者数につきましては、十一年連続で過去最高を更新しているところでございまして、法律に基づいて雇用状況報告、これを六月一日現在でいただいているところでして、例えば昨年、平成二十六年の報告に基づいて実数紹介させていただきますと、民間企業では雇用障害者数実数で四十三万一千二百二十五人、対前年比で五・四%の増となっている状況です。そして、公的機関では雇用障害者数、国、都道府県、市町村、教育委員会、こういったところでございますが、五万四千八百六人、そして独法、こういったところでは九千百七十八人という報告が上がってきております。  これが、数が増えるだけではなくて、しっかり安定的に定着していくような工夫というのがこれから一層強化させていただいていく必要があるだろうと考えてございます。先生指摘のとおり、企業における障害者雇用への理解の進展、そして障害者御自身の就労意欲の高まりに呼応する形で環境整備を進めていく必要があると考えてございます。  平成二十五年の改正時におきまして、この先、平成三十年度からは法定雇用率算定基礎精神障害者を加えるということになってございますので、特に服薬指導とか寄り添っていく形の職場定着支援が必須だと考えてございまして、現在進めております障害者就業生活支援センター、これ全国で今年は三百二十六か所分の手当てをさせていただいておりますが、利用いただいている方の登録支援者数がおよそ年間で十四万八百三十八人となってきておりまして、これが非常に数が増えている、そして就業定着率も高いということで、この事業をなるべくであれば各地域に浸透させていくような形で強化してまいりたいと考えておりますので、先生方にも是非この辺でのお力添えを私からもお願いしたいと思うところであります。  現在、このセンターは人口約三十万人規模に一か所ぐらいで充実しようとしているところでありますが、対象数が増えているため、指導に当たる職員の確保なども今後重要になってくるかと考えております。また、平成二十八年四月からは、同じ法改正に基づきまして、雇用分野における障害者に対する差別の禁止、そして障害者能力の発揮のため、職場で働く際の障害を改善する合理的な配慮の提供義務が施行されてまいりますので、量だけでなく質の向上を目指して、事業主を始めとする関係者皆様に対して十分に周知してまいりたいと考えてございます。
  8. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございました。特に、数が増えてきている、でも数だけではなくて、やはり安定的に継続的に就業できるという質の向上も大事だというお話がありました。  企業の方のお話を聞いていて、まず入口のところですけれども、身体・知的障害者については、民間企業は二%の法定雇用率が義務付けられております。企業としては、障害者雇用していきたい、こういう共生社会に貢献したいということで雇用しようというふうに考えても、個人情報関係もあって、どのようにそういった方を見付けていったらいいのかというような課題もあるように聞いております。  ハローワークなどの紹介やあるいはその支援体制情報提供がどうなっているのか、また、就職後も様々な困難が障害者やあるいは企業に生ずると思いますけれども、就業した後の職場への定着、今お話がありましたようなその定着に向けた支援体制についてもどうなっているのか、この点についてもお伺いをしたいというふうに思います。
  9. 広畑義久

    政府参考人広畑義久君) お答え申し上げます。  ハローワークにおきましては、障害に関する専門的な知識を有する就職支援コーディネーターを配置しております。必要に応じまして特別支援学校福祉事務所などの関係機関障害者就労支援チームを構成するなど、このコーディネーター中心となりまして、個々の障害者障害特性に応じたきめ細やかな職業相談職業紹介を実施しております。  さらに、就職だけではなく、その後の職場定着支援するため、ハローワーク中心となりまして、地域関係機関が連携し、就職から職場定着まで一貫して支援を行うチーム支援、それから、先ほど高階政務官から御答弁申し上げました、全国三百二十六か所に設置されております障害者就業生活支援センターが、就業面だけではなく、仕事を続けていくために必要となる生活面での相談支援事業所への助言等を実施しております。  今後とも、こうした取組によりまして、障害者就職支援職場定着支援を推進してまいります。
  10. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございました。就業支援、そして定着に向けた支援についてお話伺いました。  企業の方からすると、やはり障害者の方を雇用する場合に、職場施設整備するということも必要になっていきます。障害者の方が事務所作業場で仕事をする場合、やはりトイレあるいは食堂を改装する、あるいはエレベーターを造る、あるいはフロア全体をバリアフリー化するといったことについて経費が掛かるということになります。これに対してしっかり助成をしていかないと、企業の方で障害者の方を雇用しようとしてもなかなか現実には難しいということになると思います。  この助成措置についてどういった対応をしているのか、お伺いをしたいと思います。
  11. 広畑義久

    政府参考人広畑義久君) お答え申し上げます。  障害者作業を容易に行えるような施設設置整備を行った場合の助成措置といたしまして、独立行政法人高齢障害求職者雇用支援機構におきまして、まずは、一つ作業施設等設置整備、賃借を行う事業主への支援といたしまして障害者作業施設設置等助成金、もう一つは、保健施設給食施設等福利厚生施設整備を行う事業主への支援といたしまして障害者福祉施設設置等助成金を実施してございます。  今後とも、これらの助成措置を通じまして障害者雇用促進に努めてまいります。
  12. 山田修路

    山田修路君 ありがとうございます。  まさに、施設整備、これは企業にとりましては非常に大事な問題、障害者の方を雇用するためには重要な課題だというふうに思っております。そのことにやはりプラスして、企業雇用する場合に、障害者状況やあるいは仕事内容によっては介助者が必要になったり、あるいは専門的な指導員が必要になるという場合があります。また、職場同僚方々、周囲で一緒仕事をする同僚方々に対しましても障害特性を理解してもらうということも必要になるということもあるかもしれません。  このような専門的な指導員など人的な支援、これについての助成などについてどういうものがあるか、お伺いをしたいと思います。
  13. 広畑義久

    政府参考人広畑義久君) お答え申し上げます。  今議員御指摘のとおり、障害者職場定着に当たりましては、専門的な指導員の配置などの人的支援は重要でございます。  このため、三つございまして、一つには、障害者を雇い入れ、その雇用管理を行うために、精神保健福祉士などの障害者指導援助に関する資格を有する者や障害者雇用実務経験等を有する者を職場支援員として配置し、必要な業務遂行上の支援を行わせた場合、事業主助成する障害者職場定着支援奨励金二つ目といたしまして、企業雇用されます障害者に対しまして業務遂行コミュニケーション能力向上支援とともに、事業主同僚などに対する職務や職場環境の改善に関する助言等を行うジョブコーチ、これは所定研修を受講しかつ就労支援実務経験を有する者でございますけれども、このジョブコーチが訪問いたしまして職場適応援助事業を実施する場合、ジョブコーチを派遣する事業主助成いたします訪問型職場適応援助促進助成金三つ目といたしまして、企業に在籍いたしますジョブコーチ、この場合は多少要件が軽くなりまして所定研修を受講しました従業員でございますが、これが自社、自分の会社において雇用する障害者職場適応援助を行う場合、事業主助成する企業在籍型職場適応援助促進助成金を実施しております。  今後とも、これらの助成を行い、企業における障害者職場定着のための人的支援取組を一層促進してまいります。  あと一点、先ほど高階政務官から民間障害者雇用数を四十三・一万人ということで御答弁申し上げましたけど、これは実数ではございませんで、障害の種別でダブルカウントもございますので、実数ですと三十四・五万人ということでございます。  よろしくお願いいたします。
  14. 山田修路

    山田修路君 どうもありがとうございました。  今日は、地元を回っておりまして、企業の方、特に障害者雇用に積極的に取り組もうと考えておられる企業の方のお話をお聞きしまして、その悩みというんでしょうか、こんなところはどうしたらいいんだろうかというお話をお聞きしましたので、高階政務官、また事務局の方にお聞きをしたところです。  そういう地元お話をお聞きしても、やはりそういった地域の中でも障害者方々一緒に働こうという機運も盛り上がってきているというふうに感じております。そのためには、今日質問しましたように、障害者雇用対策の充実はもちろん必要なんですけれども、あわせて、こういったいろんな対策をやっているということが事業主さんにも分かるようにやはりPR活動をしっかりするとか情報提供をしっかりする、そのことによってまたこの障害者の方も一緒に働く共生社会というのができていくと思いますので、是非その点もお願いをいたしまして、私の質問といたします。  どうもありがとうございました。
  15. 有田芳生

    有田芳生君 民主党・新緑風会の有田芳生です。  今日は、事件捜査DNA型鑑定について、具体的に言えば、冤罪が明らかになった足利事件、その教訓は何なのか、そして、菅家利和さんが冤罪だったということが明らかになった以上、じゃ真犯人というのは誰なのか、そういう問題に絞って、DNA型鑑定現状とそれから問題点、そのことについてお聞きをしたいと思います。  警察白書によりますと、平成二十五年にDNA型鑑定を行ったのは二十八万七千二百八十五件ということが記されておりますように、科学技術の発展によって犯罪捜査においてDNA型鑑定というものが多用されているという現状がそこでも明らかになっているというふうに思います。  そして、まずお聞きをしたいのは、あした、七月七日で群馬太田市で行方不明になったまま十九年が過ぎていく横山ゆかりちゃん事件、あしたでちょうど十九年になりますが、この事件について、どういう案件だったのか、そして今までの捜査がどうなっているのか、そしてその体制について、まずお聞きをしたいと思います。
  16. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) お尋ねの事件でございますけれども、平成八年七月七日でございます。当時四歳の横山ゆかりちゃんでございますけれども、群馬太田市内パチンコ店付近で所在不明となりまして、現在もなおその行方が分かっていないという誘拐容疑事件でございます。  群馬警察におきましては、発生後直ちに百五十名体制捜査を開始をいたしております。現在も四十名体制捜査本部を維持して捜査に当たっているところでございまして、昨日も重要参考人の特徴を示したチラシですとかポケットティッシュなどを作成、配布をいたしまして広く情報提供を求めております。また、警察庁におきましても捜査特別報奨金三百万円を懸けてその対象事件といたすなどいたしまして、不審者に対する捜査等を鋭意継続して行っているところでございます。
  17. 有田芳生

    有田芳生君 十九年前から横山ゆかりちゃんが行方不明になったそのパチンコ店、そこには非常に奇異な格好をしてゆかりちゃんに接近をしていく男が防犯カメラに映っており、そのことが警察によっても明らかにされ、マスコミでもしばしば報道されてきました。あれから十九年たって、どうしてもこの防犯カメラの不審な男の映像というもの、それが中心に報道、そして警察によっても広げられているんですが、十九年たって何の事件解決の端緒にもならないというときに、あの防犯カメラ映像だけを社会に広げていくということにおいて、捜査においてそこだけに集中してよかったんでしょうか。問題はなかったですか。
  18. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) この防犯カメラ映像が重要な有力な証拠であるということから、そのような広報などにも努めているところでございますけれども、当然のことながら発生当初から聞き込み捜査なども行っております。また、周辺関連事件などの容疑者などについてもその関連性などを捜査するといったようなことで、総合的な捜査を現在に至るまで推進しておるというところでございます。
  19. 有田芳生

    有田芳生君 この十九年前に起きた横山ゆかりちゃん行方不明事件、しかしその前に、一九七九年から一九九六年のゆかりちゃん事件に至るまでの間、その周辺、半径十キロ圏内で五つ事件が起きております。  皆様方資料をお示しいたしましたけれども、その上の方の図を見てください。一九七九年には足利市で万弥ちゃんが誘拐をされ、遺体として発見されました。一九八四年には、菅家さんが冤罪で逮捕されてしまった足利市、有美ちゃん五歳、これも遺体で発見されました。八七年には群馬県で朋子ちゃん八歳が行方不明となり、遺体で発見されました。九〇年には再び足利市で真実ちゃん、この真実ちゃんが足利事件ですね、それで遺体となって発見されました。そして、十九年前に発生をした横山ゆかりちゃん事件。この五つ事件日本全国広しといえども、これまでの日本犯罪史上、これだけ狭い範囲で五人の幼女が連続して行方不明になる、あるいは遺体となって発見される、このことは非常に異常な事態がいまだ続いているということだというふうに思います。  二〇一一年の三月八日の予算委員会で私はこの問題について質問をいたしました。当時の国家公安委員長は、この五つ事件について連続した事件である可能性があるという答弁をされました。言葉を換えて言えば、同一犯の可能性があるということですが、その認識は今でも変わっていないでしょうか。
  20. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 委員指摘五つ事件でございますけれども、いずれも幼女対象とする誘拐容疑あるいは誘拐殺人といった事案でございます。また、行方不明になった場所などが近接をしているということもございまして、同一犯による犯行の可能性は否定できないと考えておりまして、当時の国家公安委員長答弁における考え方と今も変わっておりません。
  21. 有田芳生

    有田芳生君 そうすると、この予算委員会での当時の質問の後、この五つ家族事件を解決してもらいたいということで強い思いで家族会を発足いたしました。それからもう時間が掛かっているんですけれども、じゃ、この一つの中の足利事件菅家さんは冤罪となりましたけれども、この菅家さんの事件冤罪となったその根拠、まず、菅家さんは何で逮捕されて足利事件の犯人に仕立て上げられたんでしょうか。あるいは、それが間違いだった、冤罪だったという根拠はどこにあったんでしょうか。
  22. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 御指摘足利事件でございますけれども、菅家さんに対する逮捕前の捜査におきましては、現場に遺留されていた被害者の半袖のシャツでございますけれども、ここに付着していたDNA資料から抽出されたDNA型と菅家さんのDNA型が、当時の鑑定手法MCT一一八型検査でございますけれども、この結果が一致をしたということでありますとか、菅家さん自身が犯行を自白したといったような事情を総合的に検討した結果、犯人性が高いと認めて当時逮捕、起訴されたというものでございます。  その後、再審がございまして、平成二十一年でございますけれども、新しいDNA型鑑定の手法、STR型検査法というものでございますけれども、その検査法によりまして両者のDNA型は一致しないということが明らかとなり、平成二十二年三月、無罪判決が言い渡されてそれが確定をしたという経過をたどっております。
  23. 有田芳生

    有田芳生君 今、菅家さんの自白という発言がありましたけれども、もう既に明らかになっているのは、取調べにおいて暴力的な、そして威迫的な、机を蹴飛ばす等々を含めて、そういう捜査が行われて自白せざるを得なかったというのはもう明らかじゃないですか。  そうすると、じゃ、冤罪だという根拠となったのは、DNA型鑑定の誤りということでいいんですか。
  24. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 再審の決め手となりましたのがDNA型鑑定の新たな結果であるという点は、今委員指摘のとおりだと思います。  先ほども申し上げたとおり、捜査段階におきましてはMCT一一八型検査法という検査法でございましたけれども、再審の段階ではSTR型検査法という鑑定技術の高度化がございまして、それによってDNA型が一致しないということが明らかになったというものでございます。
  25. 有田芳生

    有田芳生君 確認をしますけれども、菅家さんが冤罪であったという最大の根拠はMCT一一八型の鑑定が間違っていたと、そういうことでよろしいですね。
  26. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 捜査段階におけるMCT一一八型検査の具体的な方法に問題があったというようなことが再審の判決においても触れられております。そういう意味では委員のおっしゃったとおりだと思います。
  27. 有田芳生

    有田芳生君 そうすると、これは重大な問題が更に派生をしてまいります。  これは質問通告をしておりませんけれども、当時、これは国会でもこれまで質問がありましたけれども、MCT一一八型法のDNA鑑定によって八つの事件で有罪が確定をしております。その中の一つ、福岡県で起きた飯塚事件、この被告人はずっと、やっていない、私ではないと言い続けておりましたけれども、既に死刑が執行されております。この事件についてMCT一一八型法が根拠一つになっておりましたけれども、この件についてどのように今認識されますでしょうか。
  28. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 確定判決についてコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、足利事件において、MCT一一八型検査法によるその事件における鑑定結果の信用性に疑問を差し挟む余地があるとされましたのは、その具体的な当時の鑑定人の鑑定手法に問題があったのではないかという点でございまして、MCT一一八型検査法自体に信頼性がないとされたものではないというふうに承知をいたしております。
  29. 有田芳生

    有田芳生君 そうすると、菅家さんが冤罪であったという大きな根拠となった当時のMCT一一八型法のDNA鑑定、そして、今私が指摘をしましたけれども、既に同じ鑑定によって死刑が執行されてしまった飯塚事件足利事件とこの死刑が既に執行された飯塚事件、同じくMCT一一八型法の検査が行われましたけれども、これをやったのは同じ技官じゃないですか。違いますか。
  30. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 先ほどお話をしましたとおり、確定判決についてはちょっとコメントを差し控えたいと思いますけれども、MCT一一八型検査法による個人の識別の精度が足利事件の場合には約千人に一人程度、これは血液型ですとかほかの鑑定と組み合わせた場合に同じ人が現れる確率、これが千人に一人程度ということでございました。  今の私どもが用いている、菅家さんの再審においてDNA型が一致しないということが明らかとなったSTR型につきましては、四兆七千億人に一人というふうに精度が非常に高まっているということもございまして、現在はその鑑定手法を中心捜査を行っているというところでございます。
  31. 有田芳生

    有田芳生君 今はSTRの話を聞いているんじゃないんですよ。時間があればその件もお聞きをしたいと思いますけれども、菅家さんが冤罪になった、MCT一一八型法のDNA型鑑定によって犯人にされた、だけどそれがSTRによってやっぱり違ったんだということが明らかになった。だけど、振り返ってみれば、繰り返しますけれども、死刑が既に執行された飯塚事件において同じ技官によってMCT一一八型法によってDNA鑑定が行われた、これは重大な問題じゃないですか。どう思われますか。もうそれは先ほどのとおりの答弁になるんでしょうから、時間の無駄ですからやめますけれども、しかし、飯塚事件については再審請求が却下をされましたけれども、今福岡高裁でまだ審議が続いております。  三月三十一日、この飯塚事件について、福岡地裁では、MCT一一八型法のDNA型鑑定、これが飯塚事件、死刑執行された人の犯人であるという大きな根拠になったんだけれども、三月三十一日の福岡地裁では証拠から排除されたんです、これは証拠にならないということになった。御存じですか。
  32. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 繰り返しになりますけれども、確定判決についてはコメントを差し控えたいと思います。
  33. 有田芳生

    有田芳生君 だから、今問題になっているわけでしょう。事実なんですよ。菅家さんが冤罪であったということが明らかになったMCT一一八型法のDNA鑑定、それと同じ鑑定を同じ人物がやって既に死刑が執行された飯塚事件。そのMCT一一八型法のDNA鑑定は、福岡地裁で証拠から排除されたんです。これは証拠にならないという話なんですよ。目撃証言だけでまた争っているわけですけれども、これも答弁できないんでしょうか。
  34. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 飯塚事件については、通告いただいていなかったということもございまして、ちょっと手持ちの資料が必ずしも十分でありませんけれども、証拠関係によりますと、被害者着衣の繊維片が被疑者車両シートのものと同種であった、被疑者車両の後部シートの血痕の血液型が被害者と同一である、被疑者の性器の頭にあるその亀頭の部分ですけれども、皮膚炎で出血する状態であり、被害者膣に血液があるなど矛盾しないといったことが、DNA型鑑定の一致という鑑定以外の証拠関係として有罪認定に用いられていたというふうに承知をいたしております。
  35. 有田芳生

    有田芳生君 しかし、じゃ、MCT一一八型法によるDNA鑑定が証拠から排除されたというのは御存じでしたか。
  36. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 先ほどちょっと申しましたとおり、通告をいただいておりませんでしたので、確認をいたしておりません。
  37. 有田芳生

    有田芳生君 じゃ、これは改めて法務委員会などでお聞きをしたいと思いますけれども。  それでは一点だけ。冤罪を明らかにしたDNA型鑑定だったわけですけれども、その再発の防止策というのはどのように捉えているんでしょうか、足利事件の再発防止策。
  38. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 警察におきましては、足利事件における様々な捜査上の問題点の御指摘をいただきました。その検証を行いまして、虚偽自白を生まないような取調べ、適正な取調べを行うこと、捜査指揮における供述のチェック機能を強化する、より客観的証拠に依拠した捜査力を向上させる、鑑定記録、鑑定資料の適切な取扱いを徹底させる等の諸対策を講じてきております。  また、DNA型鑑定技術につきましては、これは先ほども申し上げたとおりでございますけれども、技術の向上と適正な運用ということが重要でありまして、現在用いておりますSTR型の検査法におきましては、四兆七千億人に一人と、最も高い場合でもこれだけの高次の精度を持った鑑定手法を捜査に用いるというふうにいたしておるところでございます。
  39. 有田芳生

    有田芳生君 ここでもう一度、北関東連続幼女誘拐殺人事件に戻ります。  菅家利和さんは今でも、私は冤罪になったことは非常にうれしいことだけれども、じゃ真犯人はどうなんだと、それが検挙されない限り私は完全に白ではないと、今でもずっとそう思っていらっしゃいます。  その菅家さんの思いを捜査当局がどのように具体化していくかなんですけれども、足利事件は時効が来ているんですけれども、先ほどお示しくださったように五つ事件が連続したものである可能性が高いということになれば、横山ゆかりちゃん事件をきっかけにして、ほかの四つの事件足利事件も含めて捜査というのは今でも続いているんでしょうか。
  40. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 今委員おっしゃったとおりでございまして、群馬警察におきましては、栃木県警察と連携を図りつつ、時効のまだ完成していない横山ゆかりちゃん事件中心に、他の四事件との関連を含めて捜査中であるというふうに承知をいたしております。
  41. 有田芳生

    有田芳生君 その体制の中でどのような情報というものが今寄せられていますでしょうか。具体的な中身、差し障りあるというならば、件数はどうなっているのか、そこら辺教えていただけますか。
  42. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 具体的な内容につきましては、捜査の中身そのものでございますのでお答えを差し控えたいと思いますけれども、今もなお情報はかなり寄せられてきております。月に十数件から数十件ほど情報が寄せられてきておりますので、こういった情報あるいは他の事件との関連などを今総合的に分析しながら捜査を進めているという状況でございます。
  43. 有田芳生

    有田芳生君 そこで、皆さんのお手元に配付をしました資料の下の方の絵を見てください。  これは、松田真実ちゃん、足利事件被害者、当時四歳ですけれども、彼女が事件当日、事件の前に、川で遺体を発見されるんですけれども、堤防で発見されますけれども、そのとき、ある男と一緒に歩いていた、目撃者がおりました。そのうちのお一人が非常に絵のうまい方で、記憶力も鮮明な方です。私もお会いしましたけれども、その方がこれを描かれました。そしてまた、別の男性も目撃証人としてこの絵を見て、あっ、これは漫画のルパン三世に似たような顔だというような証言をされております。  当時、警察はこの真実ちゃんと一緒事件前に川の近くを歩いていた男性から事情聴取されていますね。
  44. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 具体的な捜査の中身でございますのでお答えは差し控えたいと思いますけれども、私どもが把握をしている参考人あるいは関係者については可能な限り当時から事情聴取をしているというふうに承知をいたしております。
  45. 有田芳生

    有田芳生君 事情聴取やっているんですよ。ところが、菅家さんが犯人だとして逮捕されたから、このルパン三世に似た男性についての捜査は終わってしまった、そうじゃないんですか。
  46. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、捜査の具体的な中身についてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、容疑性のある人物についてはその可能性を排除せずに捜査をするというのが基本でございます。
  47. 有田芳生

    有田芳生君 この事件前に真実ちゃんと一緒に歩いていた男性、真実ちゃんはパチンコ店でいなくなりますけれども、そのときこのパチンコ店にいた男性、そして一緒に歩いていた男性。そして、この男性については、例えば日本テレビの清水潔記者が「殺人犯はそこにいる」という本でも明らかにしましたけれども、真実ちゃんの当時着ていた服に遺留をしていた資料、犯人のものと思われる資料、そのDNA型鑑定を行ったところ、もちろん最新のSTR型法でやったところ、三十数か所で全くこの男性のDNA型と一致したと、そういう報道がこれまでもありますけれども、それは御存じですか。
  48. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 委員今御指摘の報道については承知をいたしております。
  49. 有田芳生

    有田芳生君 その具体的な情報を検察の最高幹部が知っていたということは御存じですか。
  50. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 具体的なそういう経緯については承知をいたしておりませんけれども、先ほど申し上げましたとおり、私どもとしては、参考人、関係者についてはあらゆる捜査を尽くしておるという立場でございます。
  51. 有田芳生

    有田芳生君 そうすると、当時少なくとも二度事情聴取を行ったこの男性については、今でも例えば行動確認なんというのはされているんでしょうか。
  52. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 特定の人物について行動確認をしている、あるいは捜査対象としているということは、繰り返しになりますけれども、お答えを差し控えたいと思いますけれども、捜査はあらゆる可能性を排除せずに行うというふうに現場の方では一生懸命今もやっているというところでございます。
  53. 有田芳生

    有田芳生君 先ほど示していただきましたように、今のSTR型のDNA型鑑定ですと四兆七千億人に一人特定できるという、そういうすばらしい科学技術の発展ですけれども、このいわゆるルパン三世に似た男性についてのDNA型鑑定というのはいろんな形でどうもやられたらしくて、その結果、百兆分の一ぐらいの精度で一致するという、そういうことは御存じでしょうか。
  54. 露木康浩

    政府参考人露木康浩君) 今委員が御指摘になられた事実については承知をいたしておりません。
  55. 有田芳生

    有田芳生君 横山ゆかりちゃん事件があしたで十九年になりますけれども、その後も五つの、幼女が殺害され、あるいはいまだ行方不明になっている事件、必ずやはり解決をしていただきたいと強く願います。  その上で、もう時間がだんだんなくなりましたので、法務省にまず一般論でお聞きをします。  ある事件が起きた、そして裁判になった、そして判決が出た、そして本人はやっていないと言い続けていて今高裁で審議が続いているという状況の下で、四年の実刑判決を受けた男性が一般論として裁判の途中で保釈をされるというのはどういう事態ですか。
  56. 上冨敏伸

    政府参考人上冨敏伸君) お答え申し上げます。  禁錮以上の実刑判決を受けた被告人につきましては、いわゆる必要的保釈を規定しております刑事訴訟法の八十九条は適用されません。他方、いわゆる職権保釈について規定しております同法第九十条は適用され、「裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。」ものとされております。  職権保釈を許すか否かは個別の事案ごとに裁判所において判断されるべき事柄でありまして、具体的にどのような場合にこれが認められるかについて一概にお答えすることは難しい点がございますが、一般的には、被告人が保釈された場合の逃亡や罪証隠滅のおそれの程度、身柄拘束の継続により被告人が受ける不利益の程度などの事情が考慮されるものと承知しております。
  57. 有田芳生

    有田芳生君 二〇一二年に鹿児島市内で女性に対する強姦事件が起きました。そして、それで逮捕された男性が懲役四年の実刑判決となりました。もちろん、本人はやっていないとずっと一貫して主張しておりますから、今高裁で審議が続いておりますけれども、今年の三月に保釈をされた。なぜか。弁護側が、足利事件あるいは東電OL殺害事件DNA型鑑定をやった押田茂實さんにDNA型鑑定をやってもらいました。女性の体に付いていた、下着に付いていた、ショートパンツに付いていたDNA鑑定を行いました。で、警察は鑑定不能という結果を出したんだけれども、弁護側が押田先生に鑑定をやってもらったところ、全く単純なマニュアルどおりDNA型の結果が出た、犯人とされた男性とは全く違うものが出た、だから保釈されたんですよ。  じゃ、もう一つ法務省にお伺いします。  裁判所、弁護団、そして検察側が協議を続けているときに、DNA型鑑定が非常に重要な争点になっているとき、裁判所も弁護団も知らないうちに検察がDNA資料を勝手に持ち出して調べてもいいんでしょうか。
  58. 上冨敏伸

    政府参考人上冨敏伸君) 検察官は、刑事訴訟法の第二百二十三条一項に基づきまして、公訴提起の前後を問わず、犯罪を捜査するについて必要があるときは、任意捜査の方法の一つとしてDNA型鑑定などの鑑定を嘱託することができるものとされております。  検察官が同項に基づいて鑑定を嘱託する場合には、公訴提起の後であっても、裁判所又は弁護人に対して鑑定を嘱託することを事前に伝えなければならないということにはされていないと承知しております。
  59. 有田芳生

    有田芳生君 強姦事件DNA型鑑定が本人のものとは違っていた、だから保釈をされた、最大の争点ですよ。ところが、弁護団、裁判所、検察側が三者協議をずっと続けているときに、何も言わずに勝手に検察がDNA型鑑定をやるために資料警察からもらっている。こんなことをやったら司法は成り立たないんじゃないですか。  実際に、東京高裁の裁判長だった木谷明さんは、テレビ局の取材に、許し難い暴挙だと、こんなことをやっていたら裁判所の立場はないじゃないかと、そういうふうにおっしゃっています。そういう強い批判に対してどのように思われますか。
  60. 上冨敏伸

    政府参考人上冨敏伸君) まず、現在公判係属中の具体的な事件についてのお答えとしては差し控えさせていただきたいと思います。  その上で、一般論として申し上げますが、公判の状況や鑑定資料の残存状況などに鑑みて、検察官が独自に鑑定をすることを差し控えた方がよいと考えられる場合があり得ないわけではないと思われますが、一般的には、検察官が裁判所又は弁護人に対して事前に伝えずに鑑定を嘱託することが直ちに問題であるとは考えておりません。
  61. 有田芳生

    有田芳生君 このDNA型鑑定の問題というのは、例えば宮崎県で起きた強姦事件などは、無罪をずっと主張を今でもしていながら八年間獄中にいる人もおります。結局、DNA型鑑定科学技術の進歩によっていかに精度が高くなったとしても、人間がやることですから、いろんな細工もできるんですよ。だからこそ、このDNA型鑑定についてもきちんとした法整備をやっていかなければならないと私は考えておりますので、この問題、もう時間が来ましたのでやめますけれども、更にいろいろな場所で質問を続けていきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  62. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。  本年は、平成十七年に政策評価法が見直されて十年となります。今国会でも重要なテーマでございます地方創生におきましても、地方公共団体のPDCAサイクルが重要視されておりますとおり、この十年間、ますます行政における政策評価制度の重要性というものは高まってきているのではないかと思います。  平成十七年の見直しから十年ということで、大臣に、是非この間の政策評価制度の進展についての御所見、また更なる実効性の向上について御決意を伺いたいと思います。
  63. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 佐々木委員指摘平成十七年の政策評価法の見直しの際には、本委員会で御決議をいただくなど、御指導を賜ったところであります。それ以降、各種ガイドラインの制定や各府省における評価手法の向上など、そういった取組を通じまして、各府省のマネジメントサイクルの質が着実に向上しているものと認識しています。特に最近では、行政事業レビューとの連携ですとか政策評価の標準化、重点化を進めているところでありまして、更なる政策評価の実効性の向上につながるものと期待をいたしております。その上で、現在、本年四月に設置されました政策評価審議会におきまして、目標設定の在り方や施策の分析手法、規制の事前評価や公共事業評価の実例を踏まえた改善方法について検討を行うこととしております。  今後とも、政策評価の質や実効性の一層の向上に努めてまいります。
  64. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 今大臣からもございましたとおり、政策評価の実効性向上のためには、政策目標の設定の在り方ということも更に改善をしていく必要があるかと思います。  この政策評価の設定に当たりましては、目標とその達成手段との間の因果関係をロジックモデルにより明確にして、各政策の必要性、これを議論しやすくすることが重要であると私は思っております。また、政策に関するインプット、アウトプット、アウトカムの定量化も更に進めていくべきでありますし、各府省が単独で達成できるものと、またそのほかの要因が影響するもの、こうしたことも区別をするなど、更に分かりやすくしていくということが重要であると考えますけれども、この点、見解はいかがでしょうか。
  65. 新井豊

    政府参考人(新井豊君) 委員指摘のとおりでございまして、目標と達成手段の因果関係をロジックモデルによって明確化すること、それから、インプット、アウトプット、アウトカムを定量化すること、さらに、適切な要因分析を行うこと、これらは全て政策評価の質の充実の視点から極めて重要なものと考えております。  一方で、実際の政策は、目標と達成手段の因果関係がふくそうしている場合ですとか、あるいはインプット、アウトプット、アウトカム、こういったものの定量化がなかなか困難な場合もございまして、なかなか御指摘のとおり行うことに難しい面があるというのも事実でございます。  そのような中で、総務省といたしましては、御指摘の問題意識を持ちつつ、可能な限り指標の定量化や評価技法の開発などに取り組んでいるところでございまして、今後とも政策評価の質の向上政策への反映の充実といった点に努力してまいりたいと考えております。
  66. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 是非よろしくお願いいたします。  次に、テーマが変わりまして、箱根の大涌谷の火山活動についてお伺いしたいと思います。  先月三十日、気象庁は、箱根の大涌谷でごく小規模な噴火が発生したとしまして、噴火警戒レベルを二の火口周辺規制から、三の入山規制に引き上げました。その後も継続的にごく小規模な噴火が発生している可能性があるとの報道がありましたけれども、この箱根の大涌谷の火山活動というのはどういう状況にあるのか、また監視観測体制は万全となっているんでしょうか。
  67. 関田康雄

    政府参考人(関田康雄君) お答えいたします。  箱根山につきましては、六月三十日の朝に気象庁と神奈川県の温泉地学研究所が共同で実施いたしました大涌谷での現地調査によりまして、ただいま御指摘いただきましたとおり、ごく小規模の噴火が発生したということが判断されましたことから、同日の十二時三十分に噴火警戒レベルを二から三に引き上げたものでございます。また、これに伴いまして、警戒が必要な範囲につきましても、従来の大涌谷周辺の想定火口域の中心からおおむね三百メートルが、おおむね一キロメートルというふうに拡大されたところでございます。  その後の火山活動の状況でございますが、七月一日午前六時頃までは断続的にごく小規模な噴火が発生していたと考えられております。その後は噴火の発生は確認されておりませんが、七月二日に実施しました現地観測では、六月二十九日に確認しました噴気孔の周辺に新たに三つの噴気孔があることを確認しております。  それから、地震活動につきましては、警戒レベルを引き上げました六月三十日は震度一以上の地震が十二回発生するなど、非常に活発な活動がございましたが、その後やや低下しまして、七月一日以降は本日十二時まで震度一以上の地震については一回だけとなっております。  次に、箱根山の観測監視体制についてですが、気象庁では、全国四十七の常時観測火山の一つとして、神奈川県温泉地学研究所等の機関と密接に連携し、二十四時間体制で監視を行っているところでございます。  具体的には、噴火警戒レベルを二に引き上げました以降、増設しました遠望カメラ、それから空振計を含めまして、地震計が十か所、空振計二か所、遠望カメラ二か所、GNSS六か所、傾斜計一か所により監視を行っているところでございます。六月三十日に噴火警戒レベルを三に引き上げて以降は、関東地方整備局の御協力をいただきましてヘリコプターによる上空からの調査を実施しましたほか、機動観測班を現地に常駐させているところでございます。  今後とも、神奈川県温泉地学研究所と一層の連携強化をしつつ、火山活動の観測監視に万全を尽くしてまいりたいと考えております。また、地元関係者や報道機関に対しても丁寧に説明してまいりたいと考えております。
  68. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 引き続きよろしくお願いいたします。  箱根町の方では、三十日の噴火警戒レベルの引上げを受けまして、新たに立入りが規制された区域の住宅ですとか、それから旅館などに避難指示を出しております。この対象となる住民の皆さんの避難状況、またその支援体制はどのようになっているのか。それから、観光客の皆さんの安全確保というところも万全にしなければなりませんけれども、この点、どのようになっているんでしょうか。
  69. 兵谷芳康

    政府参考人兵谷芳康君) お答えいたします。  先月三十日の噴火警戒レベルの引上げに伴いまして、地元神奈川県箱根町では直ちに半径一キロ以内の立入り規制を行うとともに、住民等に対しまして避難指示を発出をいたしました。関係機関の迅速な対応により、当日中に立入り規制区域内の避難が完了いたしております。また、箱根町では町の老人福祉センターを避難所として開設をし、避難されている方の受入れ体制を整えております。  また、今月三日からは、大涌谷周辺の半径一キロ以内を災害対策基本法に基づく警戒区域として設定をいたしまして引き続き立入り規制を行っておりまして、周辺住民、観光者も含めた安全確保措置を適切に行っております。  政府としては、レベル引上げ後直ちに内閣府を始め関係省庁の職員を地元箱根町に派遣するとともに、山谷内閣府防災担当大臣出席の下で関係省庁災害警戒会議を開催し、また、その際、箱根町とのテレビ会議による意見交換を行い、地元取組状況課題などについてしっかりと情報共有を図るとともに、今後の対応方針の確認を行っております。  依然として火山活動が活発な状態が続いておりますので、引き続き、地元自治体と連携をし、住民の安全確保に万全を期すとともに、火山観測を強化し、正確かつ迅速な情報発信に努めてまいります。
  70. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 何より安全確保が第一でございますので、引き続き万全の体制をよろしくお願いいたします。  地元の皆さんにお話伺いますと、やっぱり地元の旅館さんなどにとってはこれからが書き入れ時というようなシーズンになっておりまして、いろいろな心配の声をいただいております。今回も規制区域というのは箱根の一部でありまして、例えば強羅とか仙石原も一部でありますし、芦ノ湖ですとか箱根湯本というところは規制には入ってないわけですけれども、こういう区域外でもやはりお客さんは減っているということでありました。  こうした影響につきまして、神奈川県の方では既に緊急支援の融資、これを開始をしているというふうに伺っております。箱根町ではこれからということでありまして、また、箱根町では宿泊施設ですとか交通機関などにアンケートを実施をして、観光業への影響を調べて売上減少の実態などもまとめていく方向であるというふうに伺いました。  こういった地元の動きともしっかりと連携をしていただいて、政府としても地元産業への影響について状況をしっかり把握をして適切な支援を行っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  71. 佐藤悦緒

    政府参考人佐藤悦緒君) 今般の火山活動による現地の中小企業・小規模事業者への影響につきまして、中小企業庁といたしましても、地元の商工会議所や公的金融機関、地元自治体、関係府省と連携して情報収集に努めているところでございます。あと、委員から御指摘いただきましたように、一部事業者に休業やまたキャンセル等の影響が発生していることを私どもも確認しておりまして、地元では影響の拡大が懸念されていると認識をしております。  こうした中、地元の商工会議所や各公的金融機関などには、一部事業者の方から資金繰りに関する相談も寄せられていることを確認しております。また、資金繰りに苦しむ中小企業・小規模事業者に対しましては、日本政策金融公庫や商工中金においてセーフティーネット貸付けなどにより資金繰り支援に対応しておりまして、引き続き、御相談に丁寧に対応していくところでございます。  また、御指摘ございましたように、地元自治体として神奈川県が国の信用保証制度を活用した制度融資を実施しておりまして、また、明日七日には箱根町におかれても国の信用保証制度を活用した制度融資の取扱いが開始される予定であるというふうに伺っております。今後とも、この制度融資の実施を私どもとしても後押し、バックアップをさせていただければというふうに思っております。  引き続き、現地の中小企業・小規模事業者の状況をきめ細かく把握していくとともに、神奈川県や箱根町といった地元自治体との緊密な連携協力を図りながら、影響を受けている事業者の方々への支援にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  72. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  73. 和田政宗

    ○和田政宗君 次世代の党の和田政宗です。  まず、質疑時間を繰り上げていただいたこと、委員長を始め各会派の理事、委員方々に感謝をいたします。  では、質問をしてまいります。  まず、公的施設の合築などによる効率化についてお聞きします。  公的施設は、耐震化への対応や施設の老朽化への対応が求められておりますが、公的施設の新築に当たっては、国と地方自治体などが連携して合築や共同入居などを行い、効率化する必要があると考えております。例えば、お手元の資料の世田谷区においては、国、都、区の施設が合同で入居する施設の建設が行われています。私は、これは良い取組だというふうに捉えております。  今後、こうした取組をどのように推進していくのか、国の考え方を聞きます。
  74. 大家敏志

    大臣政務官(大家敏志君) お答えさせていただきます。  和田先生指摘のとおり、公共施設の新築等に当たりましては、国と地方公共団体が連携して、例えば今先生言われました合築による施設の集約化等、国公有財産の最適利用を図ることが重要と認識をいたしております。  現在、財務省におきましては、国公有財産の最適利用の観点から、国公有財産に係る情報の共有等、地方公共団体や関係機関と連携に取り組んでいるところであります。引き続き、この最適利用に向けて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えています。
  75. 和田政宗

    ○和田政宗君 そして、こうした公的施設の合築に当たりましては、それによってコストが逆に高くなることがあってはならないわけでありまして、建物のコスト減や、併せて耐震性に工夫が必要だというふうに考えます。どのような手法でそういったことの実現を図っていくのか、お答えください。
  76. 川元茂

    政府参考人(川元茂君) お答えいたします。  国や地方公共団体の施設を集約することにより、エントランスホール等の共同利用による面積縮小化などの効率化によってコスト縮減が図られます。  また、施設の耐震性能につきましては、建築基準法に基づく安全性の確保はもちろんのこと、例えば災害応急対策活動を行う官署が入居する場合には、防災拠点としての活動が確実に行われるように耐震性能を割り増す等の対策を取っております。  さらに、施設の集約化によってオープンスペースが確保できる場合には、地域のニーズにも応じて避難スペースを確保するなど、地域にも貢献し得るものと考えております。  国土交通省におきましては、今後とも地方公共団体や関係機関との情報交換を密にしまして、地域と連携した官庁施設整備により積極的に取り組んでまいります。  以上でございます。
  77. 和田政宗

    ○和田政宗君 これまでのいろいろ各省庁の建て替えといいますと、国は国、県は県、区は区というような形であったというふうに思いますが、今、官庁営繕部長お話を聞いていましても、共用スペースを確保する工夫などでいざというときの対処にも極めて有効であるということでありました。  とかく役所は縦割りと言われますけれども、この取組につきましては、財務省理財局ですとか国土交通省官庁営繕が様々な調整を行って効率化を目指すという良い取組だというふうに思いますので、更にしっかり推進をしていただければというふうに思います。  次に、仙台市内青葉区大手町の国有地の売却について聞きます。  この国有地は、お手元の資料の二枚目、上の方の斜線部分になりますけれども、この国有地は仙台城に近く、元は仙台城の城郭の一部を成していた土地で、面積も広い上、仙台城へ向かう道路に接し観光客も多く通ることから、景観や環境、歴史に沿うような利用が望まれます。  しかしながら、売却が行われますと地域に全くそぐわないような利用がなされるおそれがあり、本来であれば国において活用を図るべきだと考えます。東北大学のキャンパスにも近く、研究施設としての活用や、観光を含めた地域活性化のためにも活用できるというふうに私は考えます。  この国有地を含めて、歴史的な価値があったり史跡に近い国有地については国や公共機関で有効に活用すべきと考えますが、どうでしょうか。
  78. 大家敏志

    大臣政務官(大家敏志君) お答えいたします。  まず、大前提でありますけれども、未利用となっている国有地につきましては、国や地方公共団体による公用、公共用利用をまず検討します。この公用、公共用の利用がなされない場合に処分をして税外収入を確保するというのが、これがまず大前提であります。具体的には、未利用となっている国有地について国において利用する計画がない場合、まず三か月間、地方公共団体等からの取得要望を受け付けます。この等というのは、社会福祉法人であったり学校法人であったりというのも含まれます。この地方公共団体等からの要望がない場合に、競争入札により処分するというのが一つの流れであります。  本件のこの土地につきましても、このルールにのっとって対応してまいりました。で、国及び地方公共団体からの利用要望がないことが既に確認をされています。今後、今やっている埋蔵文化財の調査の完了を待って競争入札に付するということになります。  ただし、私の地元でも既にこんな問題があるんですが、先生指摘のような地域にそぐわない利用、何か我々の許せないものが建ったらどうするんだというような議論がありますので、競争入札を行うに当たっても、地域の町づくりに責任を持つ地方公共団体において、地区計画策定、これは、建てていいもの、建ててはならぬものというのを定めることができますので、その要望があれば、この地区計画策定を待って入札を実施するといった対応も行えることになっております。  いずれにいたしましても、未利用となっている国有地の処分に当たっては、引き続き、公用、公共用利用優先の原則の下、地域社会のニーズに対応した有効活用に配慮しつつ、地元地方公共団体と連携をし、適切に取り組んでまいりたいというふうに思っています。
  79. 和田政宗

    ○和田政宗君 ルールにのっとっておやりになるというのは、これはもう当然、行政ですから当たり前のことというふうに思いますが、例えばこれが、県や市が利用なさいますかというような話も、これは行政間の内部でやられているわけでありまして、この近隣の住民ですとか仙台市民はもうほとんど知らないというような状況でありまして、ここが、いざ売却、元国有地だった、それで何か景観に、まあいろいろな規制等がありますので、景観に著しくそぐわないというような形にはならないというふうに思いますけれども。  これ、この後質問していきますけれども、被災地の巨大防潮堤のように、後から建ってみてびっくりしたというようなことにもなりかねないわけでありまして、この国有地は一つの事例かもしれないですけれども、例えば仙台城ですとか史跡に極めて近いということで、昔仙台城の城郭の一部で蔵屋敷があったというようなところでもありまして、そういったところを例えば民有地に一気に変えてしまって、後々何か観光振興とかで利用したいというふうになったときに、あれ、あの国有地はどうしたっけ、売却してしまいましたみたいな形になりますと後の祭りになりますので、そういったところもしっかり国において検討していただければというふうに思っております。  次に、漁業近代化資金の償還期限の延長に関連してお聞きしたいというふうに思います。  漁船建造における貸付金の償還期限などの延長が今年の四月から行われることになりましたけれども、延長の対象は信用漁業協同組合連合会と農林中央金庫のみで、日本政策金融公庫からの融資は対象外になっています。信漁連や農林中金による漁船建造などに対する貸付金は主に沿岸の漁業者などが利用し、日本政策金融公庫からの融資は主に遠洋漁業者などが利用しているはずです。遠洋漁業も被災地を中心に経営に多大な努力をしているわけでありまして、日本政策金融公庫からの貸付けも償還期限延長の対象にすべきと考えますが、農林水産大臣はどのように考えますでしょうか。
  80. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) 漁業近代化資金につきましては、昨年度、今先生からお話がありましたように、漁船等の一部の資金の償還期限の延長、これを内容といたします政令改正を行いました。この漁業近代化資金の主たる借入者である零細な沿岸漁業者の単年度当たりの償還余力、なかなか厳しい状況で低下をしておりますので、この償還額を低減するということで償還期限を延長したものでございます。  実は、この政令改正を検討する過程において、今御指摘のあった政策金融公庫の資金のうちで漁船に利用可能な資金の償還期限を延長する必要があるかどうかも調査をいたしまして、今お話しいただいたとおりでございますが、多くが沖合遠洋漁業と、こういうこともございまして、漁業近代化資金と比べても短い年数で償還が実際なされておる、それから借入者による償還のほとんどが償還期限内で延滞もないと、こういうことでございまして、その償還余力が漁業近代化資金の借入者よりは大きいと、こういう実態もありましたので延長の必要はないと、こういう整理をいたしたところでございまして、こういう借入者の実態を踏まえて対応をしてまいったと、こういうことでございます。
  81. 和田政宗

    ○和田政宗君 事前の農水省のレクチャーといいますか聞き取りですと、例えばこの日本政策金融公庫の融資についても、そういった遠洋漁業者の組合ですとか全国的な要望等があれば検討をしないでもないというようなニュアンスであったというふうに思うんですが、これはそのとおりでよろしいでしょうか。
  82. 林芳正

    国務大臣(林芳正君) まさにこれは臨機応変にいろんなことをやっていかなければなりませんので、現在のところは、先ほど申し上げましたように、この当該資金の延長に関する要望が上がっているというふうには聞いておりませんが、今後は公庫を通じて、要望があるのかないのか、こういった把握をして、必要があれば検討してまいりたいと思っております。
  83. 和田政宗

    ○和田政宗君 次に、防潮堤の問題について聞いていきます。  宮城県気仙沼市内で整備されている防潮堤、これはお手元の資料の四枚目に当たりますけれども、高さ五メートルの防潮堤、この天井より高い防潮堤が海沿いに延々一・三キロにわたって建設されます。かなりの威圧感があるということで、地元でも何かとんでもないものができたなという声があちこちから上がっております。  この事業主体は宮城県でありますが、地元の方からは海が全く見えなくなるという懸念の声が上がり、これに対し県は、では、アクリル板を防潮堤に入れて海が見えるようにしますとの説明で、じゃ、どうなったのかといいますと、この写真のとおりで、何か取りあえず空けましたという形です。これでは避難するときに、走って逃げる、緊急的に車で逃げたりすると全く海が見えません。さらに、去年六月の国土交通政務官答弁では、この防潮堤につきまして、宮城県におきましては、今後は地元皆様と意見交換をしながら景観等に配慮するよう検討いたしていくというふうに聞いておりますと答弁しているんですが、全く配慮がなされた形跡がございません。  国土交通大臣に聞きます。この申し訳程度のアクリル板の小窓についてと、配慮を検討すると言って全く配慮がなされていないこの防潮堤の形状についてどのように思いますか。
  84. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) これは、港湾における防潮堤は、船舶の接岸や荷役に支障が生じないように岸壁というのと距離を置いたところに防潮堤を造ると、こういう形になっています。ここでは、調べましたら六十メートル後ろということで、そこで荷役等ができるという形にして、防潮堤を後ろ側に、働いているところの後ろに造るということです。  津波が来た場合に、荷役作業に従事されている方が防潮堤の陸側に避難をするということが大事なので、そこで、この気仙沼港の防潮堤の小窓については、津波来襲時に防潮堤の海側で働かれている方の避難状況を確認するために設置をされているという小窓でございます。その大きさや位置、相互の間隔は荷役作業が行われるエリアにおける避難状況をほぼ確認できるように設計をされているところで、窓の大きさは縦六十センチ、幅百五十センチ、五十メートル間隔で八か所設置されているという形になっています。小窓には厚さ三・五センチのアクリル板が設置されることになっていますが、これは防潮堤についての国の基準に基づいて、私も調べてみまして、この三・五センチのアクリル板で津波の圧力に耐え得るのかということも調べさせていただきましたが、L1の波圧等にも十分耐えられるという状況となっています。こうした状況を総合的に勘案して、海岸管理者である宮城県が御指摘の小窓を付けました防潮堤を設置したものと承知をしているところです。  国としても、こうしたことで荷役作業をしている方たちを見る、そして、危ない場合には連絡をマイク等でするという形のもので、そうした意味でのこの構造は妥当だと、このように考えています。
  85. 和田政宗

    ○和田政宗君 時間が来ておりますので一言だけ申し上げますが、先週の国土交通委員会から、県の説明がちょっとおかしいというか、うそをついているんじゃないかと。もう極端に言いますけれども、一部そういった荷役作業をやる、後背地にありますけれども、これ、主たるものというのはこの防潮堤の背後にある工場を守るところでありまして、かなり海のへりですとか川のへりにも造られておりますので、背後地にいる人たちを逃がす、守るためのものだというふうに思いますので、私、説明がかなり違うというふうに思いますので、ちょっとこれは、次回以降、国土交通委員会の方でもやっていきたいというふうに思います。  以上で終わります。
  86. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  今日は、看護職員の処遇改善について質問をさせていただきます。看護職員の夜勤回数、時間外勤務ということで大変過重になっていると。これが問題になりましたのは昨日や今日のことではないというふうに認識をしております。  看護師の夜勤に関して人事院が判定を出しております。これは一体いつのことだったか、そしてその中身はどうだったか、まずお答えください。
  87. 福島靖正

    政府参考人(福島靖正君) 昭和三十八年の四月に、全日本国立医療労働組合委員長から人事院に対しまして、国立病院及び国立療養所に勤務する看護婦、准看護婦、助産婦の夜勤勤務規制等に関する行政措置の要求がなされたと承知しております。  この要求に対しまして昭和四十年五月に人事院判定がなされ、夜勤回数については、約八日をもって夜勤に従事する者の月間平均夜勤日数とすることが一応の目標として適当であること、夜勤体制については、一人夜勤で足りると考えられる看護単位については、特に突発事故の発生等の万一の場合に備えてその処置、連絡を容易ならしめるための措置を講じ、休憩設備等についても特段の考慮を払う必要があること、その他の看護単位については、夜勤日数、その他相関連する事項に及ぼす影響についての考慮をも併せ行った上で、計画的に一人夜勤の廃止に向けて努力すべきこと等とされたと承知しております。
  88. 倉林明子

    ○倉林明子君 私も看護師をしておりまして、当時に、こういう昔闘争があったということで教えていただいたのがこの判定を導き出した二・八闘争というものでした。以来その後も、この月平均八日ということについて言えば大きな改善がなかったというのが実態だというふうに思うんですね。  そこで、現場の看護師が看護師増やせということで大きな運動を取り組みまして、社会問題にもなりました。そうした世論を受けて制定されましたのが一九九二年の看護師確保法及び基本指針でありました。そこで、ここで夜勤負担の軽減ということで示された基本指針、この夜勤負担軽減の中身はどうだったでしょうか。
  89. 福島靖正

    政府参考人(福島靖正君) 看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づきます基本指針におきましては、看護師等の継続勤務を促進する上では、その負担の軽減が必要である、このため、看護婦等の夜勤負担を軽減し、働きやすい職場づくりを進める上で、入院患者の状況等に応じて複数を主として月八回以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力する必要があるというふうに規定されております。
  90. 倉林明子

    ○倉林明子君 平均八日から今度は八日以内というふうになった。私も、働いておりました当時、画期的な指針が示されたと本当に喜びを持って受け止めたものでした。ところが、それから十五年たった二〇〇七年、参議院の本会議において全会一致で採択された請願がございます。看護師等の増員に関する請願、この中身を紹介していただきたいと思うんです。請願項目ごとに、その中身と現状、到達点はどうなっているでしょうか。
  91. 福島靖正

    政府参考人(福島靖正君) 御指摘の請願でございますけれども、内容は三点ございまして、医師、看護師など医療従事者を大幅に増員すること、看護職員の配置基準を、夜間は患者十人に対して一人以上、日勤時は患者四人に対して一人以上とするなど、抜本的に改善すること、夜勤日数を月八日以内に規制するなど、看護職員確保法等を改正することの実現を求めているというふうに承知しております。  まず、看護職員の確保でございますけれども、ナースセンターによる就職あっせんや病院内保育所の運営に対する支援などの取組を進めてまいりまして、看護職員の就業者数でございますけれども、請願が採択された平成二十年には約百四十万人でございましたけれども、平成二十五年には約百五十七万人と増加をしております。  次に、看護職員の配置でございますが、診療報酬において、昼夜にかかわらず、重症度、医療・看護必要度等の入院患者の状況等、実情に合わせた適正な配置数が確保されるような基準となるように常に見直しを行っておりまして、例えば平成二十六年度の診療報酬改定においても重症度の高い患者に対する看護職員の評価を行ったところでございます。  さらに、看護職員の夜勤回数でございますが、日本看護協会の調査によりますと、平成十九年には月八・三回でございましたが、その後いろいろな取組を行ったこともあり、平成二十五年には月八・一回と改善が見られております。
  92. 倉林明子

    ○倉林明子君 現場の悲願でもあります夜勤八日以内、今改善はしているというものの平均で八・一回ということは、やっぱり八回を超えているという実態があるということが明らかだと思うんですね。二〇〇八年には、二十代の二人の看護師、過労死が認定されたと、これは大きな衝撃を与えまして、看護協会での調査取組などにもつながっていったものだというふうに思っております。  そこで、二〇一一年、厚生労働省は五局長通知を出しました。看護職員の雇用の質の向上のための取組について、二〇一三年には六局長通知を発出いたしました。しかし、日本看護協会、日本医療労働組合連合会、この実態調査を見ますと、現状でも八日以内の夜勤が守られていない。先ほど紹介あったとおりであります。  確かに看護師は増えているんだけれども、職場、ベッド数そのものも増えている、需要も増えているというもので、厚生労働省の需給見通しから見ても、不足している実態というのは変わりがないというふうに思うんです。過重な労働でもう辞めたいと思っている看護師というのは、現状七五%に上っている。これ、事態は大変深刻だと思います。  人事院判定から五十年、看護師確保法制定から二十三年、現状の夜勤回数がどうなっているのか、私は、厚生労働省として一度でも調査したことがあるのかを確認したいし、実際にこの調査、厚生労働省としてしっかり取り組むべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  93. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今先生指摘の看護職員の労働実態でございますけれども、厚生労働省としては調査はまだ行っておりません。日本看護協会の調査なども踏まえて、厚生労働省としては実態を把握をしておりまして、私といたしましても、入院医療とか救急医療への対応など心身の緊張を伴う労働、あるいは夜勤、交代制勤務といった厳しい勤務環境にあることを認識をしているところでございます。  このため、看護職員を含めた医療従事者の勤務環境の改善に向けて昨年の十月に施行になりました改正医療法、これによりまして、医療機関の個々の実態に応じた勤務環境改善の計画的な取組支援する都道府県の医療勤務環境支援センター、この設置等を進めておりまして、今年の六月一日現在で三十四の都道府県で設置をしているところでございます。  看護職員の労働実態につきましては、厚生労働省においても、夜勤あるいは時間外労働等の労働実態を調査する方向で検討いたしたいというふうに考えております。
  94. 倉林明子

    ○倉林明子君 いろいろ取組を病院で進めてもらうために、その材料としても必要だということで調査方向が示されたというふうに思っております。  看護師確保法が制定されて以降、一度も八日以内ということが実現できていない、この実態を本当に深刻に受け止めた上で、夜勤の回数、過重な時間外労働の実態、インターバルの時間も含めてしっかりつかむようにもう一度御答弁いただきたいと思います。
  95. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今の看護職員の夜勤の実態であるとか、こういう勤務負担を軽減をしてその定着促進するというのはもう極めて重要であることは、先生指摘のとおりでありますし、我々もそのように考えているところでございます。  この医療従事者の厳しい勤務環境の背景には、その業務が救急患者への対応とかあるいは公益上のものであることに加えて、看護職員などの人材確保など医療政策上の課題というのもございまして、労働時間に関する規制だけではなくて、こうした課題と併せて解決を図らなければならない問題だというふうに認識をしております。  このため、昨年の六月の先ほども申し上げた医療法、これによって、医療従事者の勤務環境改善に計画的に取り組む個々の実態に応じた動き、あるいは、各都道府県に先ほど申し上げた医療勤務環境改善支援センター設置をして、勤務の環境改善に取り組む医療機関を総合的、専門的に支援する体制整備するということにしたわけでございまして、各都道府県において地域の実情に応じた取組が進められているというふうに思っております。厚労省としては、こうした取組、仕組みを通じて各医療機関がそれぞれの実情に応じた自主的な取組を進めることによって、医療従事者の勤務環境改善を促進していきたいと思っております。  また、診療報酬面では、看護職員の夜勤の負担軽減を図るために、入院基本料の算定に当たって、夜勤を行う看護職員の一人当たりの月平均夜勤時間数を七十時間以内とする基準を設けているところでございます。
  96. 倉林明子

    ○倉林明子君 調査の中身として、夜勤回数をしっかり入れること、長時間労働の実態をつかむこと、インターバルをつかむこと、この点を重ねてお聞きしましたので、その点は改めて聞きませんけれども、調査として盛り込むんだと、そういうことで取り組んでいただきたいと思います。  そこで、五十年掛かっても看護師の処遇改善がなぜ進まなかったのか。これは、私は本当にその要因をしっかり考える必要があるというふうに思うんです。一つは、やっぱり法律で規制がされてこなかったこと、同時に、先ほど若干紹介はあったんだけれども、診療報酬上で看護の評価、この点では弱かったということが言えると思うんですね。  看護の現場で最大の今懸念になっておりますのが、高齢化が最高となります二〇二五年問題です。医療提供体制が一体どういうふうになるのかという問題で、地域医療計画の策定を待つということになって、実は、二〇一六年から、第八次看護職員の需給見通しの検討委員会、これ一回開いたんだけれども、この地域医療計画が出るまではできないということで開店休業状態となっております。医療提供体制の大幅な見直しを進めるということで、病棟での看護体制が、これ需給見通しがないという空白区間ができるわけで、私、看護体制の弱体化を招くようなことがあってはならないと思いますけど、大臣、いかがですか。
  97. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 御存じのように、この四月から地域の医療構想を作るということで三年掛けてやることになっておりますが、この地域医療構想は、都道府県が地域ごとに急性期機能とか回復期機能、あるいは慢性期機能といった医療機能別の将来の医療需要と病床数の必要量を推計することによって、御指摘の看護体制を含め地域の医療ニーズに応じた適切な医療提供体制整備を図るということを目的としておりまして、今先生御懸念の病床での看護体制が弱体化するかどうかというようなことにつきましては、私どもはそういうことがあってはならないというふうに思っておりますし、都道府県においては地域医療介護総合確保基金、これなども活用してもらって医療機関の施設設備の整備、あるいは在宅医療等の充実、看護職員を含めた医療従事者の確保、養成などに取り組むことが必要だというふうに考えておりまして、厚生労働省としても、地域医療構想の実現に向けて、看護職員の確保、養成を始めとした都道府県のこうした取組をしっかりと支援をしてまいるつもりでございます。
  98. 倉林明子

    ○倉林明子君 七対一の看護体制、診療報酬上も明確に位置付けられて看護師の一定の確保が進んだ。もちろん、取り合いになるというような矛盾も生まれたという側面はあるんだけれども、診療報酬上付ければしっかり配置が進むということを一方で示したものでもあったと思うんですね。  私、八日以内の夜勤、勤務時間間隔を最低十二時間確保する、長時間労働についても規制を掛け短くしていると、こういう具体的な指標も持って看護師確保法で明確に位置付ける、規制措置をとるべきだと思うし、診療報酬上も加算措置をしっかりとるべきだと思います。どうですか。
  99. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 先生が今、労働時間に関する規制をしっかりやれと、こういうことでございますが、先ほども答弁申し上げたように、規制の問題もさることながら、やはり人材確保も大事であり、また、今お話し申し上げたように、地域の医療ニーズというのはかなりそれぞれ多様化をしているわけでありまして、それをしっかりと支えるだけの十分な看護体制というものを確保していくということをこの地域医療構想の中で確保していきたいというふうに考えておるところでございます。
  100. 倉林明子

    ○倉林明子君 看護実態、このまま医療、看護の崩壊につながるようなことは絶対やってはならないし、医療の安全、患者さんの命に関わる問題ですので、私は、現場の実態をしっかりつかんで改善にしっかり取り組んでいただくように強く要望をいたしまして、終わります。
  101. 行田邦子

    ○行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。  今日、私は、離島の保全、管理のための国有財産化、所有者把握について伺いたいと思います。  この度、総合海洋政策本部におきましては、六月三十日に海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針の改正を行いました。ここでは、離島は我が国の領域保全や管轄海域の管理の観点からも重要な役割を担っているということを新たに明記をしています。  そこで、大臣伺いたいと思います。こうしたことを新たに明記をしたその意図と、また問題意識についてお答えいただけますでしょうか。
  102. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 行田委員が何年も領域保全について取り組んでこられたことに敬意を表したいと思います。  近年、海洋における資源の確保や安全保障の観点から、各国の利害が衝突する事例が多く見られます。我が国周辺海域においても近隣諸国の海洋活動が活発化するなど、従来以上に離島の保全、管理を適切に実施していく必要性が高まっております。平成二十五年十二月に閣議決定された国家安全保障戦略においても、国家安全保障上の戦略的アプローチの一環として領域保全に関する取組を強化するため、総合的な防衛体制の構築のほかに、国境離島の保全、管理及び振興にも積極的に取り組む旨が明記されたところであります。  こうした状況を踏まえまして、今般、五つの離島の役割の一つに、我が国の領域保全や管轄海域の管理に果たす役割を明記したところであります。
  103. 行田邦子

    ○行田邦子君 離島の保全、管理の重要性ということへの認識が高まっている。こうした中で、この度の基本方針の改正の中では、新たに施策が盛り込まれているその一つとして、我が国の管轄海域の根拠となる離島、五百三十二ありますけれども、このうち持ち主がいないとされている無主の土地については国有財産台帳に登録をするといった施策が新たに盛り込まれているわけであります。  そこで、政府参考人伺いたいんですけれども、こうした無主の土地が国庫に帰属をし、そして国有財産台帳に登録しなければいけない根拠法について教えていただけますでしょうか。
  104. 加藤由起夫

    政府参考人加藤由起夫君) お答え申し上げます。  民法第二百三十九条第二項におきましては、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」とされているところでございます。また、国有財産法第三十二条第一項におきまして、「国有財産の分類及び種類に従い、その台帳を備えなければならない。」とされまして、さらに同条第二項におきまして、「国有財産につき、取得、所管換、処分その他の理由に基づく変動があつた場合においては、直ちに台帳に記載し、又は記録しなければならない。」とされているところでございます。  これらを踏まえまして、国庫に帰属することが新たに判明いたしました土地について、国有財産であることを明確にし、その安定的な管理に資することを目的として、国有財産台帳への登録を進めていく方針でございます。  以上でございます。
  105. 行田邦子

    ○行田邦子君 今御答弁いただいた民法二百三十九条第二項と国有財産法にのっとってしっかりと行っていれば、こうした重要な離島のうちの無主の土地についてはこれは全て国有財産台帳に登録されていてしかるべきであるわけであります。にもかかわらず、残念ながら、ようやくこうした我が国の管轄海域の根拠となる離島、そのうちの無主の土地がある離島、二百八十が対象となりますが、ようやく政府の方針として国有財産台帳にしっかりと登録をするということが今般なされたわけであります。そして、しかもこの二百八十の島の中には排他的経済水域を根拠付ける離島も含まれていると、極めて重要な離島も含まれているわけであります。  私は、法律にのっとってしっかり本来行われていなければいけないことがまだなされていなかったと。しかも、実は平成二十二年七月に閣議決定で低潮線周辺の無主の土地を国有財産化するということも五年前に決められているわけでありますけれども、にもかかわらずこれがなかなかなされてきていなかったということ、大臣にお伺いしたいんですけれども、なぜ国有財産台帳にこれまで登録されてこなかったのでしょうか。
  106. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 政府といたしましては、まずはEEZの外縁を根拠付ける離島について、その所有状況調査、整理し、国有財産台帳への登録を進めてきたところでありますが、平成二十五年以降、領海の外縁を根拠付ける離島の所有状況についても調査を進めた結果、所有者のいない約二百八十島が判明したというところでございます。  これを受けまして、今般、関係省庁との調整を行いまして、これらの離島の土地を国有財産台帳へ登録するための所管省庁等の考え方を整理したことから、離島の基本方針の改正を行うに至ったところであります。  委員指摘のとおり、我が国の管轄海域の根拠となる離島を安定的に管理することは我が国の国益上極めて重要であります。関係省庁と連携しながら、これらの離島における国有財産台帳への登録、早急に進めてまいりたいと思います。
  107. 行田邦子

    ○行田邦子君 山谷大臣は、これまでも議員としてこうした重要な離島のことについて主導的な立場で事に当たられていたというふうに思っております。また、名前の付いていない島について名前を付けるといったことも、これは山谷大臣が議員の頃から取り組んできて、そして成果を上げたというふうに認識をしておりますので、大臣となられた今、是非リーダーシップを発揮していただきたいと思っております。  そこで、続けて伺いますけれども、これら二百八十の島の多くは何らかの政策目的を持つ行政財産になると思われますけれども、想定される所管府省庁はどこになるんでしょうか。
  108. 加藤由起夫

    政府参考人加藤由起夫君) 国有財産台帳への登録に際しましては、一定の行政目的が存在する土地につきましては行政財産として登録を行っていくということにしているところでございます。  一定の行政目的が存在するものといたしましては、例えば、低潮線保全区域が指定されている土地につきましては国土交通省、国立公園の特別地域内に存する土地につきましては環境省、国有林野周辺に存する土地につきましては林野庁、こういうようなものを想定していると、こういうところでございます。
  109. 行田邦子

    ○行田邦子君 これから国有財産台帳に登録するに当たりまして、一つの島の中に、ある部分は環境省、ある部分は国土交通省、またある部分は林野庁と、複数の府省庁が関係するということになるわけであります。そうすると、私、これまでこうした国有財産台帳への登録が遅れてきたというのは、恐らくその理由の一つは、こうした複数の省庁にまたがってしまっているという縦割り行政の中で誰も動かなくなってしまっているということがあったのではないかというふうに思っておりますので、是非、総合海洋政策本部におかれましては、その調整機能を強力に果たしていただきたいと思っております。  大臣伺いたいと思います。この国有財産台帳登録なんですが、いつまでに完了させるのか、期限をお答えいただけますでしょうか。
  110. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 我が国は、四方を海に囲まれ、領海及び排他的経済水域の面積が世界第六位の海洋大国であります。アメリカ、ロシア、オーストラリア、インドネシア、カナダ、日本と、世界第六位の海洋大国であります。こうした我が国にとって、離島の保全、管理を着実に図ることは、国民生活や経済活動の発展のみならず、領域保全や管轄海域の管理にも大きな役割を担うものでございます。このような認識の下に、先月末の総合海洋政策本部会合において新たな離島の基本方針を決定し、その際、本部長である安倍内閣総理大臣から各大臣に対し、この基本方針に定められた諸施策の実施に直ちに取り組むようにという指示がございました。  私、海洋政策担当大臣といたしましても、離島の保全、管理は、領海、EEZ等における我が国の管轄権の確保の観点から極めて重要であることから、関係省庁と連携し、この基本方針に定められた諸施策にしっかりと取り組む所存でございます。特に、国有財産台帳への登録については可及的速やかに対応したいと考えております。
  111. 行田邦子

    ○行田邦子君 是非、可及的速やかにお願いをしたいと思います。  続けての質問ですけれども、我が国の領海、そしてまた排他的経済水域の外縁を根拠付ける低潮線の保全区域、これが百八十五指定されていますけれども、そのうちの七割は離島にありますが、残りの三割は本土にあります。  この本土にある低潮線保全区域について伺いたいと思うんですけれども、これも離島と同じく重要な土地と認識をしておりますけれども、この土地の所有者の把握状況と、そしてまた所有者がいない無主の土地の場合であったときの国有財産台帳登録は完了しているかどうか、お答えいただけますでしょうか。
  112. 加藤由起夫

    政府参考人加藤由起夫君) 本土にございます低潮線保全区域の周辺の土地につきましては、現在のところ、土地所有者や国有財産台帳登録の状況を把握するにはまだ至っておりません。離島は本土よりも人目が届きにくく、管理する必要性がより高いことを踏まえまして、これまで離島における土地所有者の把握や国有財産台帳への登録を優先して行ってきたことによるものでございます。  今後、関係省庁と連携協力して必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  113. 行田邦子

    ○行田邦子君 離島の、こうしたEEZやまた領海の外縁を根拠付ける島々というのももちろん大切ではありますし、また人目が行き届かないので今までは優先順位として高かったということであろうかと思いますけれども、ただ、低潮線保全区域、本土にあるものについてもこれは重要だと思っておりますので、是非、早急にその計画を立て、そして実行に移していただきたいと思っております。  そこで、最後の質問大臣伺いたいと思います。  領海を根拠付ける離島のうち、何らかの所有者がいらっしゃる、登記簿に所有者が登録をされている、こうした島が約百五十ぐらいあるというふうに理解をしておりますけれども、こうした島々、つまり無主の土地でもなく国有財産でもないこうした島についてなんですけれども、その所有者の把握状況についてお聞かせいただけますでしょうか。
  114. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) EEZや領海の外縁を根拠付ける離島のうち、所有者のいない離島については適切な管理を行う必要性が特に高いことから、これまで優先的に国有財産台帳への登録を進めてきたところであります。一方、今般、国有財産台帳への登録を行うこととしている離島以外についても、その所有者を把握するということは、領海、EEZ等における我が国の管轄権の確保の観点から重要であると考えております。このため、引き続き関係省庁と連携を図りながら、既に所有者がいる離島についても、その所有状況等について把握するように取り組んでまいりたいと思います。  最初に御答弁させていただきましたけれども、この度の海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針、五つの役割を明記したところでありますが、我が国の管轄海域の根拠、我が国の領域保全や管轄海域の管理、広大な海域における様々な活動を支援促進する拠点、海洋の豊かな生物多様性の確保及び生態系サービスの提供、人と海との関わりにより形作られた歴史や伝統の継承ということでありまして、海に守られてきた日本から、海を守り、また海の恵みに感謝しながら発展していくためにも、こうした関係省庁と連携をしながら、その所有状況等について把握しながら、海の価値の創造ということにも尽くしてまいりたいと思っております。
  115. 行田邦子

    ○行田邦子君 EEZそして領海の面積というのは国土面積の十二倍にも広がっているということで、そしてそこには未使用のエネルギーや鉱物資源もあるということが確認されているわけであります。こうした離島の保全、管理というのはこれからますます重要性が増してくる中で、総合海洋政策本部におきましては、また大臣におきましては、しっかりとこの改正された基本方針にのっとって実行していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  116. 清水貴之

    清水貴之君 維新の党の清水貴之です。よろしくお願いいたします。  私は、東日本大震災の後、今も多くの方が生活を続けていらっしゃいます仮設住宅、そしてその仮設住宅からの移行、移動が進みつつある災害復興住宅について質問をしていきたいと思います。  まず初めになんですけれども、震災からもう四年数か月がたっておりますが、今も仮設住宅での入居を余儀なくされていらっしゃる方が多くいるというふうに認識しています。現在のその仮設住宅で生活をしていらっしゃる方の人数をまずは教えていただけますでしょうか。
  117. 兵谷芳康

    政府参考人兵谷芳康君) お答えいたします。  御質問の応急仮設住宅の入居者数については、本年の六月一日現在、被災三県で、建設仮設住宅に七万三千人余り、建設仮設住宅以外のいわゆるみなし仮設住宅に七万六千人余りでございまして、その合計は十四万九千人余りとなっております。
  118. 清水貴之

    清水貴之君 十四万九千人、十五万人近い方が今も仮設住宅での生活をされているということなんですが、例えば阪神大震災のときは、この仮設住宅での生活というのはほぼ五年で解消されました。東日本大震災、まあ規模が違いますのでこれを一緒に比較するというのはなかなか難しいのかもしれませんけれども、東日本大震災はもう既に四年数か月がたっている、来年の三月で五年になるということです。  今後の見通しなんですけれども、どのようにこの仮設住宅からの移行というのは進んでいく見通しになっているのでしょうか。
  119. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 東日本大震災による応急仮設住宅の提供は、災害救助法に基づく応急救助として実施しているものでありまして、その提供期間は原則二年とされておりますけれども、東日本大震災で設置したものについては、特定非常災害特別措置法に基づきまして、各県において一年を超えない期間ごとに延長を行うことが可能というふうになっております。  御指摘の応急仮設住宅の提供期間については、岩手県及び宮城県においては、沿岸の市町村を中心に、被災者ごとに延長を判断する特定延長も含めて六年目までの延長を決定しております。また、福島県においては、被災者がいない五町村を除きまして六年目まで一律の延長を決定しております。  今後の更なる延長についてでございますが、まずは被災三県において災害公営住宅等、恒久的な住宅の整備状況等の復興状況を総合的に勘案しまして、特定延長も含めた応急仮設住宅の延長の可否を検討し、その後、国に協議がなされるということになっております。  いずれにしましても、更なる延長につきましては、国としても各県の検討状況伺いながら、被災三県と十分に連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
  120. 清水貴之

    清水貴之君 もちろん、その県ごとに若しくは入っていらっしゃる方ごとの事情というのが様々あると思うんですが、大臣、いかがでしょう、この現在の状況というのは、十分に移行といいますか移住というのが進んでいると思われますでしょうか。それとも、まだまだ仮設住宅で生活していらっしゃる方がたくさんいらっしゃって、その移行状況というのは十分でないというふうにお考えで、早く進めていくべきだというふうにお考えでしょうか。いかがでしょうか。
  121. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 進んでいる部分と、まだまだ大きな課題というのはあると思います。したがいまして、国としても十分に状況を把握しながら、被災者に寄り添いながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  122. 清水貴之

    清水貴之君 災害復興住宅の方への移住が進んでいきますと、これまでの仮設住宅の方に空き室というのが出てきてしまいます。今度、そうなりますと、この空き室の増加によってこれまでのコミュニティーが保たれていたものが崩壊していってしまう、若しくは人が減っていくわけですから治安の面での不安もあると、こういった声も聞かれてきます。こういったことに関する対策というのはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  123. 吉田光市

    政府参考人(吉田光市君) お答え申し上げます。  災害公営住宅等への移転が進む一方、仮設住宅の空き住戸が多くなってくる状況におきまして、引き続き入居している方への見守りなどのケアはますます重要な課題になってきていると考えてございます。こうした課題に対応するため、今年度、見守り等につきまして被災三県で大幅に関連の人員を拡充することとしているところでございます。また、専門スタッフを配置した心のケアセンターによる相談支援や保健師による巡回保健指導などの心身のケアにも取り組んでいるところでございます。  今後とも、こうした仮設住宅の課題にしっかりと対応できるよう取り組んでまいる考えでございます。
  124. 清水貴之

    清水貴之君 仮設住宅の建設コストについてもお聞きしたいと思います。  東日本大震災の前にもやはり残念ながら大きな災害というのが起きてしまって、同じような仮設住宅を建設しなければいけなかったこともあるかと思います。この辺りのコストとも比較しながら、仮設住宅の建設コストを教えていただけますでしょうか。
  125. 兵谷芳康

    政府参考人兵谷芳康君) 災害救助法に基づきます応急仮設住宅の建設に係る基準単価は一戸当たり二百六十二万一千円でございますが、国との協議によりまして、この基準単価を超えて建設することができることとなっておりまして、東日本大震災においては、例えば、岩手県ですと平均で約六百十七万円、宮城県では約七百三十万円、福島県では約六百八十九万円となっております。
  126. 清水貴之

    清水貴之君 過去の資料も私いただきまして、これまででしたら、新潟の中越地震、二〇〇四年ですけれども、四百七十万円ほどです。能登半島の地震だったら五百万円ほどで、二〇〇八年の岩手・宮城の内陸地震、こちらでしたら大体五百万円ぐらいなんですね。  それと比べますと、今回はやはり百万円から二百万円ほど建設費の単価、コストが上がっているということでありますが、その原因はどこにあるんでしょうか。
  127. 兵谷芳康

    政府参考人兵谷芳康君) 今回は、地域状況、いわゆる寒さ対策などを含めまして、お風呂の追いだき機能、あるいは二重サッシ化、あるいは断熱材の追加といったことを行っております。あるいは、一般的に建設単価も上昇してございますので、そういった意味で今上昇していると考えております。
  128. 清水貴之

    清水貴之君 もちろん生活している方の住環境が大切ですので必要なコストは掛けるべきだとは思うんですが、その一方で、やはり毎回仮設住宅ができるたびに出てくる問題点というのもありまして、コストは前回よりも大分上がりつつあるにもかかわらず、やはり今回も、雨漏りがしたとか、カビが発生したとか、壁が薄くて騒音が、隣の部屋の音が気になるとか、様々な住宅の問題点というのが出てきているかなと思います。  この辺りというのは、ヒアリングをするなり把握をするなり、次に生かそうとしているのか、この辺りの対策、対応というのはどのように行っているんでしょうか。
  129. 兵谷芳康

    政府参考人兵谷芳康君) 本来、災害救助法の仮設住宅は、先ほど大臣からも答弁ございましたが、二年間以内の提供を想定しておりますので、御指摘のように、今回のように長期化いたしますと通常以上の補修、補強が必要となってまいります。  このため、例えば屋根や外壁、給排水、衛生設備などの補修あるいは補強、さらには共用部分であります通路のアスファルトや屋外附帯設備の補修、さらには結露やカビ等によりまして腐食した床、畳、天井パネル等の交換といったことを災害救助費で行っておりまして、ただ、この補修経費は仮設住宅の提供延長に係ります経費全体の約二割近くとなっておりまして、徐々にその割合が増えておりますが、今後とも、地元自治体と連携しながら、被災者の方々生活に支障が出ないよう必要な補修、補強等も図ってまいりたいと考えております。
  130. 清水貴之

    清水貴之君 その辺りなんですけれども、阪神大震災でもやはり最長大体五年ぐらいは掛かったわけですから、その期間を見越して、後から補修するのでなくて最初から補修が要らないしっかりしたものを造っていこうという、そういう発想というのはなかったんでしょうか。
  131. 兵谷芳康

    政府参考人兵谷芳康君) 先ほども御答弁申し上げましたが、救助法の仮設住宅は基本的に二年間以内の提供というのを想定しておりますので、そういった意味で一定の基準がございますが、今回の場合は特に寒さ対策といったことで、風呂の追いだき機能とか、さっき申し上げました断熱材の追加、二重サッシ化といったことも強化をさせていただいているところでございます。
  132. 清水貴之

    清水貴之君 また、住宅間の格差というのも聞こえてきます。  いわゆる我々がイメージするような仮設住宅、プレハブ建てのものから、今回は様々地元の建築家の方が関与したものがあって、デザイン的にも非常に斬新なものがあったり、あと二階建てのもの、三階建てのものがあったりと、これまでにはないような仮設住宅というのもできたかなと思います。それはそれでいろいろ多様性があって、住んでいる方にとっては好評だったという話も聞いているんですが、その一方で、やはり差が生まれるということは、そうではない仮設住宅、それこそ問題のある住宅に住んでいらっしゃるような方からしたら不満の声も出てくるわけですね。  この辺りの住宅間の格差についてはどう認識しているのでしょうか。
  133. 山谷えり子

    国務大臣山谷えり子君) 大規模災害発生時においては、大量の応急仮設住宅を迅速に提供していく必要があるほか、災害の程度や地域状況によって必要な機能が異なってまいります。このため、東日本大震災の教訓も踏まえまして、被災者の仮住まいの迅速的確な提供に向けまして、平時から地方自治体とも連携し様々な取組や準備を進めていくということが重要だというふうに考えております。  国においては、これまでも、事前に応急仮設住宅の建設候補地の選定や、例えば寒冷地仕様などの地域の実情に応じた標準仕様を設定すること、また民間賃貸住宅を活用できるよう空き住戸の把握や関係団体との事前協定の締結を進めていくなどできるように、マニュアルや手引を作成をしているところでございます。さらに、過去災害における先進事例等を集めまして各地方自治体に提供するなど周知に努めておりまして、今後とも、被災者の住まいの確保を迅速的確に行えますように、先進的な取組の周知等、引き続き努めてまいりたいと考えております。
  134. 清水貴之

    清水貴之君 私の問題意識としては、本当におっしゃるとおり素早く住みやすい住宅を提供する必要があると思っておりまして、そのためにやはりある程度、今回の様々な経験を生かして基準作りというのを進めていくべきではないかなというふうに考えています。  やはり、差が生まれることによる住んでいる方の不満というのももちろん出てくることになりますし、今、私、常任委員会は環境委員会にいるんですけれども、ちょうど今審議中なのが廃棄物処理法の改正案でして、大規模災害が起きたときにどのように地域が連携して災害廃棄物というのを処理していくか、その計画を事前に作っていこうということなんですね。  ですから、この住宅に関しても、起きてから慌ててと言ったらなんですけれども、作るのではなくて、事前に、どういった住宅が住んでいる方にふさわしくて適切で、どの地域にはどういった住宅が合っていて、コストの面も、やはりこれは国の税金を使うものですから、何でもかんでも高ければいいというものでももちろんないと思うんです。その兼ね合いというのも非常に大事になってくると思いますので、この辺りの基準作りというのを事前に進めていただきたいというのが私の問題意識で、質問をさせていただきました。  もう一点、災害公営住宅への今移転も進んでいるということで、建設予定戸数そして進捗状況についてお聞かせいただけますでしょうか。
  135. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 東日本大震災の被災地における災害公営住宅につきましては、本年四月末時点で、岩手県では、計画戸数五千九百二十一戸に対して工事完了千六百二十四戸、二七%の進捗でございます。宮城県では、一万五千九百八十八戸の計画に対し完了五千四百二十四戸、三四%でございます。福島県では、計画戸数七千五百九十二戸に対して工事完了二千百二十六戸、二八%。三県合計では、計画戸数二万九千五百一戸に対して九千百七十四戸完了、三一%の進捗となっております。
  136. 清水貴之

    清水貴之君 まさに今進んでいるところだと思うんですけれども、ただ、これもやはり住む方が求めているニーズと実際に造られている建物の仕様とかにミスマッチが起きているという話も聞こえてきます。  私も実際に東北の方、被災者の方のお話を聞きましたら、うちの近くにできた住宅というのはもう全部階段なんだと、我々高齢者が住めるような建物ではないということで、もうあそこには行けないというようなこともおっしゃっている方もいらっしゃいました。ほかにも、やはり利便性の問題もあります。買物に不便だとか通院に不便だとか、そういった利便性の問題もあって、なかなかニーズとマッチしていない部分もあるというふうには聞いているんですが、この辺りについてはどのように把握をしているのでしょうか。
  137. 橋本公博

    政府参考人(橋本公博君) 災害住宅の建設につきましては、事業主体である地方公共団体において、被災者の方の住まいに関する意向を適宜調査をしながら整備する場所や戸数等を決定をしておるものと承知をしております。ただし、建てられる場所の制約等もあり、必ずしも完全に皆様方の御意向に沿えるというばかりではないという面もあろうと思います。  一方で、既に管理を開始した災害住宅について見ますと、やはり一部に空き家が出ておるところもございます。その理由でございますが、まず一つは、入居を予定していた方々の意向が変化をしたこと、それから、希望する地区の完成を待って、今既に完成したものに入らないという状況、あるいは仮設住宅の退去期限まで様子を見る等で、必ずしも入居が促進されていないという部分もございます。  こうした空き住戸のある地区につきましては、随時募集を行ったり、入居相談あるいは内覧に随時応じるなど入居促進に努めておるところでございますけれども、今後とも、復興庁等関係機関とも連携を図りながら、国土交通省といたしましても引き続き地方公共団体を支援してまいる所存でございます。
  138. 清水貴之

    清水貴之君 是非、新しい建物を造る場合、コミュニティーというのも大事になりますので、この辺りも配慮して造っていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  139. 山本太郎

    ○山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたち、政党名は非常に長いんですけれども質問時間は十五分と短めなので、是非、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  それでは、まずは環境省に確認いたします。  東電原発事故後、福島県の十八歳以下の子供約三十七万人を対象に行われてきた小児甲状腺検査で、小児甲状腺がんの悪性ないし悪性疑いとされた子供は、先行検査で百十二人、本格検査で新たに十五人、現在合計で百二十七人である、これに間違いはありませんでしょうか。時間がありません。間違いならば訂正ください、間違いがなければ内容を繰り返さずに間違いないとだけお答えください。ありがとうございます。
  140. 北島智子

    政府参考人(北島智子君) 間違いございません。
  141. 山本太郎

    ○山本太郎君 御協力ありがとうございます。  お配りした資料なんですけれども、皆様のお手元にあると思います。いきなりですけれども、資料三から始めたいと思います。福島県における甲状腺がん有病者数の推計というタイトルのものです。これは、国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長である津金昌一郎さんが国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部に試算を依頼したもので、これをベースに「県民健康調査」検討委員会の中にある甲状腺検査評価部会が甲状腺検査に関する中間取りまとめを発表しました。それが配付資料の二になります。  事故後の甲状腺検査で悪性ないし悪性疑いと診断されていた百四人全員ががんだった場合、その患者数は二〇一〇年時点の有病者数の六十一倍、今年三月時点で悪性ないし悪性疑いと診断された百十二人が全て悪性だった場合は六十六倍、本格検査、二巡目以降の検査ですよね、本格検査で新たに診断された十五人の子供たちを合わせた百二十七人が全て悪性だった場合は二〇一〇年時点の有病者数の七十五倍になるとの計算が出たそうです。もちろん、試算であるため、数字が多少変化することにより二十五倍や三十倍と小さくなることもあり得る、そういう意味で数十倍のオーダーと丸めたと、疫学の専門家である津金さんがデイズジャパンの取材でお話をされております。  お聞きします。福島県で子供たちの甲状腺がんが数十倍のオーダーで多発していること、環境省はお認めになりますか。
  142. 北島智子

    政府参考人(北島智子君) 御指摘の中間取りまとめでは、甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病率に比べて数十倍のオーダーで多いことが指摘をされております。この解釈につきましては、被曝による過剰発生か過剰診断のいずれかが考えられるとした上で、過剰発生を完全に否定するものではないが、過剰診断の可能性が高いとの意見があった旨が記載されております。  また、平成二十六年十二月に公表された住民の健康管理に係る専門家会議の中間取りまとめでは、甲状腺がんの疫学に関する文献の内容を踏まえ、成人に対する検診として甲状腺超音波検査を行うと罹患率の十から五十倍程度の甲状腺がんが発見されることが示されており、原発事故による放射線被曝の影響ではないかと懸念する意見もあるが、原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められないとの見解が示されております。  この見解は、御指摘の甲状腺検査評価部会の甲状腺検査に関する中間取りまとめの評価と大きく異なるものではないと考えております。
  143. 山本太郎

    ○山本太郎君 だから、多発しているとは言えないとおっしゃりたいわけですよね。イエスかノーかでお願いします。
  144. 北島智子

    政府参考人(北島智子君) そのとおりでございます。
  145. 山本太郎

    ○山本太郎君 だから、それ誰が計算したんですかという話なんですよ。この状況を計算できる、多発ということを認められるのは疫学者だけなんですよね。福島県の小児甲状腺がんの原発事故前と事故後の推移を疫学者として計算したのは、試算したのは、日本では、国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長の津金昌一郎さんと岡山大学の津田敏秀さん、この二名のみなんですよ。その両名とも数十倍の多発を指摘していらっしゃる。  福島県の小児甲状腺がんの多発はしていないという評価をするなら、それはどういう研究者のものなんですか。代表的な研究者の方のお名前を挙げてもらえますか。
  146. 北島智子

    政府参考人(北島智子君) 環境省の専門家会議、それからこの福島県の「県民健康調査」検討委員会甲状腺検査評価部会の中にも疫学者が含まれております。ちょっと手元に名簿がございませんけれども、「県民健康調査」検討委員会には津金先生、児玉先生が入っておられます。そして、環境省の専門家会議には祖父江先生が入ってございます。
  147. 山本太郎

    ○山本太郎君 たっぷりと時間を使って、ありがとうございます。  結局、その津金さん、その委員会にも入っているという方がこれを出されているわけですよね。その中の一員なわけですよ。結局、それを評価しているのは誰なんですか、山下俊一さんですか、長瀧さんですか、その二十六年のという話をされていましたけど。その方々は疫学者じゃないんですから試算できないんですよ。津金さん、津田さんという専門の疫学者が計算をなさった、試算をなさった、その上で多発だという結果を出されている、試算を出されているということなんです。  環境省の北島部長さん、お医者さんでもあられるんですか。そうですよね、医官ですからね。検討委員会委員でもあられるんですよね。そうですよね。御専門は何なんでしょうか。
  148. 北島智子

    政府参考人(北島智子君) 行政マンですから、専門というよりは、行政でございますけれども、元々の専門は公衆衛生でございます。
  149. 山本太郎

    ○山本太郎君 なるほど。分かりました。  北島部長は、今回の件に関して御自身が疫学的な計算というのはできないわけですよね。
  150. 北島智子

    政府参考人(北島智子君) できるできないというよりも、行政マンでございますので、こういった問題につきましては、専門家の意見を聞いて取りまとめていただくという立場でございます。
  151. 山本太郎

    ○山本太郎君 公衆衛生を勉強されてきたということをおっしゃいました、専門といえばそうかもしれないと。北島部長ならば、疫学者の評価、無視できないということはよくよく御存じですよね。公衆衛生を勉強されていた方ならそうだと思います。  これというのは、やっぱりスクリーニング効果ということ、過剰診断であったりとか、スクリーニング効果とかということも含まれていくということなんですか。いかがですか。過剰被曝ということも考えられるけれども、過剰診断ということも考えられるんだということを先ほどおっしゃいました。いかがですか。
  152. 北島智子

    政府参考人(北島智子君) 環境省の専門家会議では、定義付けが難しいといういろいろな御意見がございまして、過剰診断という言葉は使っておりません。福島県の県民健康調査の評価部会におきまして、その過剰診断という言葉をどう定義付けたかは報告書にございませんけれども、この部会の評価結果におきましては過剰診断の可能性が示唆されたものと考えております。
  153. 山本太郎

    ○山本太郎君 現場で患者と向き合っている人たち、ここの県民健康調査の検討委員会の中にもいらっしゃいますよね、臨床でやられている方々。その方々は過剰診断なんかじゃないということを強くおっしゃっていますよね、中でも。だから、過剰診断ということはほとんどこれは適用されないと思うんですよね。現場の方々はしっかりと診ているということだと思うんですけれども。  多発していると言えないというのは何か専門家会議の取りまとめなどの根拠があるんですかということをお聞きしたかったけれども、先ほど御自身でおっしゃいました。平成二十六年十二月に取りまとめを出した環境省東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議、それがベースになっているんですよね、多発とは言えないということは。多発とも言えないしということはそうじゃないですか。  それだけじゃなく、恐らく、平成二十五年二月に取りまとめを出された原子力規制庁でもこういうことをやっているんですよね、東京電力福島第一原子力発電所事故による住民の健康管理のあり方に関する検討チームもそのような取りまとめといいますか、というものが出ていると。結局、そういうものをベースにしていくとやはり多発とは言えないというようなことを言っていると。でも、今、北島さんがおっしゃったのは二十六年十二月の環境省のものですよね。  話を進めます。  平成二十七年五月、福島県の「県民健康調査」検討委員会甲状腺評価部会の取りまとめという最新の現場からの報告なんですよ、今私が言っているのは。最新の報告、過去の二つの検討会、北島部長がおっしゃった環境省のものだったりとか規制庁から出されたものだったりとか、それとは内容が違ってきているということなんです。議論だけに基づいた結論だけじゃなくて、多くの人々の命に関わる間違いの許されない状況で最善の答えを出すために疫学が存在すると、それを基に甲状腺検査評価部会が新しく評価した結果が中間取りまとめですよね。違いますか。中間取りまとめですよね。  この最新の評価を踏まえて、住民の健康管理の在り方についてもう一度検討すべきだと思うんですけれども、いかがでしょう。
  154. 北島智子

    政府参考人(北島智子君) 環境省が開催しました東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめについては、「県民健康調査」検討委員会において会議資料として提出するとともに、概略を説明しております。  一方、環境省の専門家会議と「県民健康調査」検討委員会甲状腺検査評価部会は、構成員や委員の専門分野、検討に用いた資料、検討を行った時期などが異なるため、両者の中間取りまとめについては内容が異なる部分もあると考えておりますが、「県民健康調査」検討委員会甲状腺検査評価部会の中間取りまとめにおいて環境省の専門家会議の中間取りまとめの考え方を否定したり変更を求めるような内容はないと考えております。  そのようなことで、この福島県の「県民健康調査」検討委員会甲状腺検査評価部会の動向を見守ってまいりたいと考えております。
  155. 山本太郎

    ○山本太郎君 最新の知見は採用されないなんて、そんなことあり得るんですか。この国を代表するような疫学者じゃないんですか。国立がん研究センターのがん予防・検診研究センター長ですよ。この方が、がん研究センターのがん対策情報センターがん統計研究部に試算を依頼したわけですよね。最新の一番疫学に詳しい人たちが福島の情報をインプットして出してきた数、それを評価したわけですよね、中間取りまとめとして。  お聞きします。北島部長、第十四回の専門家会議が終了した後の囲み取材で、中間報告という形になっていきますけれども、今後どういうスケジュールということになりますかと記者に聞かれました。北島部長自身、また新しいものが出たところで必要な検討をしなければいけないと考えております、こんなコメントをされているんですよ。  今日の答弁で環境省が根拠にしている取りまとめは既に古いんです。最新の知見が出ているということなんですよ、疫学者による。しかも、それは検討委員会委員でもあり、そして甲状腺検査評価部会の部会員でもある。そのような人たちが取りまとめたものの最新の知見がピックアップされないなんておかしいでしょう。アップデートして当然じゃないですか。もう一度検討すべきだと思います、新しいものが出たら必要な検討をすると御自身でおっしゃっているんですから。手短に、するのかしないのか、お答えください。
  156. 北島智子

    政府参考人(北島智子君) ただいま申し上げましたとおり、最新の評価部会の中間取りまとめにおきましても、十二月の専門家会議の中間取りまとめの考え方を否定したり変更を求めるような内容はないと考えておりますので、この福島県の専門家による議論を、私も自ら参加はしておりますし、見守ってまいりたいと考えております。
  157. 山本太郎

    ○山本太郎君 見守る見守らないは関係のない話なんです。もう最新の知見が出ているというお話です。  先ほどお話ししたとおり、否定したりとかという話じゃないんですよ。要は、よくよく見ていくと大変なことになっているんじゃないかと。もちろん、スクリーニング効果ということで上乗せされる部分はあるだろうと。でも、これは疫学者的に言うと二倍程度だと。その上乗せ割合を考えたとしてもそれを上回る多発が見られる、そのような話なんです。スクリーニング効果だけじゃ、これは原因というか、その内容、話、説明付かないんだと、だからもっとそれを幅を広げていく必要があるんじゃないかという話になっているんです。  これ、フォローアップが必要だと言っています。長期低線量被曝の影響を調べる必要があると言っています。福島県甲状腺がんの発生に関する疫学的検討、資料四ですね、その結論として書かれているのが、長期低線量被曝の影響を調べる必要があり、平成二十八年一月から義務化されるがん登録推進、福島県と周辺県についてはがん登録と県民手帳を組み合わせてフォローアップする必要があると書いてあります。  大臣にお伺いします。大臣、いいですか、この件に関して最新の知見がメンバーから出てきているんです、元々の県民調査の。大臣として、新しい知見を基にもう一度みんなの中で話し合うということを求めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  158. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 福島県の「県民健康調査」検討委員会及び同検討会の甲状腺検査評価部会では継続して議論がなされておりまして、五月十八日の検討会では甲状腺検査評価部会での中間取りまとめが示された。これは今、新しい知見だということで承知をしております。  福島県の「県民健康調査」検討委員会では、先ほどからお話ございましたように、環境省の環境保健部長委員として参加しております。我々もそういった情報をしっかりとそういったところでいただいておりますが、環境省としては、まず、福島県が実施している県民健康調査の進捗状況のほか、福島県での議論や対応についてしっかり注視してまいりたいと思います。  また、県民健康調査甲状腺検査の充実や福島県及び福島近隣県における疾病の罹患動向把握など施策にしっかりと取り組みつつ、環境省としても引き続き、県民健康調査の検討状況なども踏まえまして、福島県と密接に連絡を取りながら適切に放射線の健康管理が実施されるように努めてまいりたいと、このように思います。
  159. 山本太郎

    ○山本太郎君 最新の知見を取り入れて是非一刻も早くやってください、被害が拡大する前に。  ありがとうございました。
  160. 松村祥史

    委員長松村祥史君) 本日の質疑はこの程度といたします。     ─────────────
  161. 松村祥史

    委員長松村祥史君) この際、柳澤君から発言を求められておりますので、これを許します。柳澤光美君。
  162. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党、日本共産党、日本を元気にする会・無所属会、次世代の党及び生活の党と山本太郎となかまたちの各派共同提案による政策評価制度に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     政策評価制度に関する決議(案)   政府は、平成十三年の中央省庁等改革を機に、政策評価制度を全政府的に導入し、平成十四年からは、行政機関が行う政策の評価に関する法律、いわゆる政策評価法を施行するとともに、平成十七年には、同法に基づく施行後三年の見直しを行っている。   このような政策評価制度の歩みにあわせ、参議院改革の一環として創設された行政監視委員会は、平成十五年及び平成十七年に、それぞれ決議を行ったところである。   本年は、平成十七年の政策評価法見直しから十年が経過するとともに、独立行政法人通則法の改正に伴い、政策評価と独立行政法人評価について、それぞれ独立した審議体制が発足したほか、地方創生推進の観点から、地方公共団体はPDCAサイクルの整備が求められている。   また、国際連合の評価グループなどが、本年を、評価と証拠に基づく政策形成を提唱する「国際評価年」として指定し、昨年十二月の国連総会でも、国単位での評価能力向上についての決議が行われている。   このような状況を踏まえ、政府においては、国民目線に立って、行政について不断の見直しを行うとともに、国民への説明責任を果たす観点から、今後とも、政策評価制度の実効性を高め、国民の行政への信頼向上を図るため、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一、政策評価の結果を政策に十分反映するためには、時宜に適した政策評価の実施と的確な政策効果の把握が重要であることに鑑み、事後評価においては、適切な目標設定と達成手段を事前に明示し、数値や明確な根拠に基づく評価を実施するとともに、事前評価においては、政策の効果と政策費用の的確な把握を徹底するよう、最大限努めること。なお、政策効果の把握のため、政策目標や測定指標に影響を与える様々な要因について、踏み込んだ分析をするよう十分配意すること。  二、目標管理型の政策評価については、目標の適切な設定が評価の良否を左右することから、各府省は、適切な目標設定の下で意義ある評価が行われるよう、事前分析表の作成段階において設定される目標や測定指標の改善を図ること。なお、測定指標については、国民生活及び社会経済に及ぼす影響を客観的・定量的に示すことができるよう、更なる開発・設定に努めること。  三、PDCAサイクルを通じた行政運営の向上説明責任の徹底の観点から、政策評価と行政事業レビューとの役割分担、有機的連携を一層強化することにより、メリハリのある分かり易い政策評価を推進するとともに、事務事業レベルまで含めた政策の体系化、一覧性の確保をさらに推進すること。  四、主要な評価方式である総合評価については、政策体系のより上位の政策等の評価に用いることが想定されており、制度改善など政策の大幅な見直しへの活用が期待されることから、評価手法の開発や外部シンクタンクの活用などの改善方策を検討し、一層の活用を図ること。  五、総務省が担う総合性・統一性確保評価については、府省横断的政策の評価という極めて重要な役割を果たしていることから、適切なテーマの選定、量的拡大、実施体制の強化、外部シンクタンクの活用などにより、その充実・強化を図ること。  六、総務省の客観性担保評価活動については、政策評価制度全体の質の向上に大きな役割を果たすことが期待されており、今後とも、政策評価法第十二条及び政策評価に関する基本方針の趣旨を十分勘案し、一段の見直し・改善に努めること。  七、地方創生推進諸施策の実施に当たっては、従来の関連諸施策の十分な検証が不可欠であることから、総務省は、政府内における第三者的な評価専担組織の立場から、地方公共団体における中心市街地活性化、地域再生、都市再生などの地域活性化策の実施状況、効果の発現状況、国の支援施策の活用状況等について、早期に調査・検証を行うこと。  八、政策評価推進機能を担う総務省においては、地方人口ビジョンや地方版総合戦略の策定等を行う地方公共団体がPDCAサイクルを十分活用できるよう、国の関係部局及び地方公共団体への評価手法等の情報提供等の支援に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  163. 松村祥史

    委員長松村祥史君) ただいまの柳澤君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  164. 松村祥史

    委員長松村祥史君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、高市総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣
  165. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 政策評価制度に関する決議に対しまして、所信を申し述べさせていただきます。  ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、今後、本年四月に発足した政策評価審議会の委員等の知見も活用しながら、政策評価制度の実効性を高めるなど、国民の行政への信頼向上のために一層努力をしてまいります。
  166. 松村祥史

    委員長松村祥史君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十分散会