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和田政宗君 次世代の党の
和田政宗です。
私は、被災地の巨大防潮堤問題について
質問をしていきます。
お二人の
大臣に御
出席をいただいておりますので、まず、この巨大防潮堤問題をなぜ
改善しなくてはならないのか、その理由を申し述べた上で
質問をしてまいります。
私は、この巨大防潮堤
事業について見直すべきという立場で
活動してまいりましたけれども、そもそも私はインフラ
推進派でありまして、必要な道路や鉄道は積極的に造れという論者です。というのも、どんな道路や鉄道でも建設され敷設されれば、そこに少なからず経済
活動が生まれ、
地域の発展に結び付くからです。
しかし、東日本大震災後に建設されている被災地の巨大防潮堤は、これは何も生み出しません。例えば、気仙沼の小泉地区というところに三百六十億円もの巨費を投じて高さ十四・七メートルの巨大防潮堤を造るわけですけれども、防潮堤を守るエリアには人は一人も住んでおらず、無駄
事業の何物でもありません。これら防潮堤
事業の
費用対
効果については全く算出されていないということは、政府の答弁でも明らかになっています。
総額一兆円を超えるとてつもない金額を投じて東北の三陸沿岸を巨大なコンクリートの壁で囲むのがこの巨大防潮堤
事業で、私は防災の研究者でもありますが、どんなに肯定的に捉えようとしても、こんな防潮堤を造っても人命は救えませんし、同じ
費用を投じるならば避難道路の整備や高台移転をした方が命を救うことにつながります。いざ津波が来たときに避難をするための時間稼ぎに防潮堤が必要な場所もありますけれども、それでも、震災前、原形復旧に様々な
施策を組み合わせることで巨大な防潮堤を回避することができます。
例えば、お手元の
資料、気仙沼大島の小田の浜という地区では、当初、宮城県が十一・八メートルの巨大防潮堤を建設する予定で、この計画で押し切ろうとしましたが、ここには環境省の快水浴場百選に選ばれている砂浜がありまして、巨大な防潮堤が造られれば観光産業がめちゃくちゃになることから、地元が一致結束をして猛反対をしたところ、宮城県は、三・五メートルの震災前、原形復旧に防潮堤の高さを下げて、背後地に防潮林を組み合わせる案に変更し、何と
予算は三分の一になりました。すなわち、住民が猛反対をしていなければ三倍の
予算で巨大防潮堤が造られていたわけです。
現在、被災地の防潮堤につきましては、国が一〇〇%
費用を負担しまして、
事業主体は宮城県などの各県となっておりますけれども、しっかりと防潮堤
事業の
費用について精査しているのかは甚だ疑問です。また、住民との話合いや住民合意についても、宮城県は、例えば住民の多数が反対している場合には自治会長の過半数が賛成しているといった、とにかく形式上住民合意ができたといって当初計画のまま押し切ることが多く、気仙沼大島のような
改善例はごくまれであり、本当に代替案がないのかが
検討されず巨大防潮堤計画が進んでいるわけです。
そして、過去の教訓を直視すれば、北海道南西沖地震の大津波の後、奥尻島では巨大防潮堤が建設され、二十年後の今、地下水の海への流入が減って海がいそ焼けして海藻が取れなくなり、漁業も駄目になり、観光も駄目になりまして、人口流出が止まらないという状況になっています。東北の沿岸も二十年後こうなることが目に見えているわけです。東北の主要産業である漁業が死んで、観光が死んだら、東北自体が死ぬことになります。安倍総理は美しい国日本を掲げられておりまして、私もその考えに大いに賛同するところでありますが、こんな東北の姿は、美しい日本ではなく誇りある日本でもないというふうに思います。
私は各種
委員会で再三再四この問題を取り上げてまいりましたが、
推進する側の国土交通省や農水省ではなかなか見直すということが行われませんでした。去年三月の参議院
予算委員会では、安倍総理
大臣が巨大防潮堤について、
自治体とよく相談して見直しを考える必要があると述べているにもかかわらずです。
行政機構のトップの発言が無視されているというのは、これはゆゆしき事態だというふうに思っておりまして、これはもう自然環境を守る環境省でありますとか、厳しい
予算査定を行う財務省にしっかりと行動してもらうしかないと思っておりますので、ここから
質問をしてまいります。
まず、環境省、
環境大臣にお聞きしますが、先頃、宮城県の北部
地域が三陸復興国立公園に編入されましたが、国立公園への編入に当たり、この
地域に巨大防潮堤が存在することについて環境省としてその是非の
検討を行ったのか否か、お答え願います。