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2015-09-08 第189回国会 参議院 厚生労働委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年九月八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  九月四日     辞任         補欠選任      古賀友一郎君     武見 敬三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         丸川 珠代君     理 事                 大沼みずほ君                 羽生田 俊君                 福岡 資麿君                 津田弥太郎君                 長沢 広明君     委 員                 赤石 清美君                 石井みどり君                 木村 義雄君                 島村  大君                 高階恵美子君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                三原じゅん子君                 石橋 通宏君                 西村まさみ君                 羽田雄一郎君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                 山本 香苗君                 川田 龍平君                 小池  晃君                 行田 邦子君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君    衆議院議員        発議者      井坂 信彦君        発議者      浦野 靖人君        修正案提出者   井坂 信彦君        修正案提出者   浦野 靖人君    国務大臣        厚生労働大臣   塩崎 恭久君    副大臣        厚生労働大臣  山本 香苗君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       高階恵美子君    事務局側        常任委員会専門        員        小林  仁君    政府参考人        厚生労働省労働        基準局長     岡崎 淳一君        厚生労働省職業        安定局派遣・有        期労働対策部長  坂口  卓君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労  働者の保護等に関する法律等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○労働者職務に応じた待遇確保等のための施  策の推進に関する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四日、古賀友一郎君が委員を辞任され、その補欠として武見敬三君が選任されました。     ─────────────
  3. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案及び労働者職務に応じた待遇確保等のための施策推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局派遣有期労働対策部長坂口卓君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案及び労働者職務に応じた待遇確保等のための施策推進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 福岡資麿

    福岡資麿君 自由民主党の福岡資麿です。  本日、参議院におけるこの派遣法審議も九回目の質疑となります。  今回の改正案につきましては、平成二十四年の参議院厚生労働委員会附帯決議において検討課題とされました特定労働者派遣事業在り方期間制限在り方派遣労働者職業能力開発に取り組む恒久的な仕組み等について見直しを行い、派遣元に対し、派遣期間が満了した場合の雇用安定措置であったり計画的な教育訓練を新たに義務付けるなど、正社員希望する方にその道が開かれるようにするとともに、自らの働き方として派遣を積極的に選択する方には賃金等の面で派遣先責任強化するなど待遇改善を図る法案となっています。  立案に当たっては、有識者による一年弱の検討、そして労使の代表による議論が行われました。国会に提出された後も、衆議院では三十時間を超える議論が行われ、そして参議院に送付されてきたわけでございます。  七月八日の本会議から始まった参議院での議論も、議員立法も含めれば、三度の参考人質疑地方公聴会も含め、実に四十時間を超える審議を行ってまいりました。そして、この長時間にわたる審議で明らかになってきたこと、それは、今回の改正案理念、先ほど申し上げました、正社員希望する方にその道が開かれるようにするとともに、派遣で働くことを希望する方には待遇改善を図るというその理念が、今回の改正案により、派遣先派遣元に新たに課せられた義務によってどのようにそれが着実に履行されるか、その点に懸かってきているということでございます。  キャリアアップ措置創設雇用安定措置創設均衡待遇の実現に向けた取組強化、いずれも極めて重要で意義深いものだというふうに考えています。これらの措置派遣労働者方々にとって真の意味あるものとするために、厚生労働大臣決意をお伺いしたいと思います。
  7. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ただいま福岡議員から御指摘をいただきましたように、今回の改正案は、正社員希望する方にはその道が開かれるようにするとともに、派遣という働き方を積極的に選択している方については待遇改善を図るためのものでございます。こうした改正案の目的を達するためには、派遣元派遣先、それぞれにおいて、今回の改正案で初めて創設する雇用安定措置キャリアアップ措置均衡待遇確保に向けた取組を着実に実施していただくことが極めて重要だというふうに考えておるところでございます。  改正案が成立をした場合には、改正内容の丁寧な周知を努めるとともに、今回の改正案で一部届出制となっております労働者派遣事業を全て許可制にするということをしていることから、この許可制を通じて着実な履行を行政努力もあって確保しなければならないというふうに考えているところでございます。
  8. 福岡資麿

    福岡資麿君 大臣からは力強い御決意をいただいたというふうに思います。  この派遣制度が一人一人の希望に応じた働き方への道に広がるために、しっかりとそこは厚生労働省としてもその後注視していただくということをお願いをさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  9. 石橋通宏

    石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。  今の大臣答弁お聞きしても、これまでの質疑政府説明が全く根拠がないものであるということをさんざん証明してきたにもかかわらず、結局は同じことを繰り返される。大変憤りを感じます。  大臣、昨日、報道陣に対して、早期の採決に期待を示す、審議時間は十分に取ってきた、議論を聞くと考え方相違が多いという発言をされておられるそうです。  とんでもないじゃないですか。何十回この審議が止まって、答弁不能に陥って、審議時間を無駄にして、それはあなたでしょう。それを、考え方相違。我々の質疑をそうやって軽んじるわけですか、国民代表としての。  大臣、これ撤回を求めます。答弁してください。
  10. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど福岡議員からもお話がございましたように、今回私どもが、正社員を望む方には正社員の道を開いて、そして、あえて派遣で今の時点では働くことが選択をされるべしと考えられる方々には処遇改善を、しっかりとその可能性を高めていくということで、今回は特に派遣元に対する義務強化を図っていることが多いわけでありますけれども、一方で、もちろん派遣先にも情報提供等々の義務を今まで以上に加えるということで、今申し上げたような派遣でいく方々、あるいは正社員転換をしたいという方々希望にできるだけ応えられるようにということで手だてをお示しをして、それの実効性について、先ほど福岡議員からも議論が行われてきたというふうに言われたわけで。  ですから、その実効性について今先生もお触れをいただきましたが、どれだけ実効性があるのかということに関しての議論は当然これ行われてまいったわけでありますけれども、私ども考え方として、それが皆さんの、派遣で働く方々雇用可能性というものを高めるというために有効かどうかということについての言ってみれば考え方の違いというものが議論の主な争点になっているのかなというふうに思っているわけでございまして、そういう意味で、私どもが御議論を願いたいと思っている点について更なる御議論を今日も賜るというふうに理解をしておりますので、私どもとしては、議論を尽くしていただければ有り難いなというふうに思っているところでございます。
  11. 石橋通宏

    石橋通宏君 全く答えになっていないですよ、大臣。  考え方相違じゃないでしょう。法律の欠陥でしょう。制度の全然駄目なところを大臣すら答弁できなかった、証明できなかった。だから、派遣労働者当事者の七割の方々が、これ絶対駄目だ、反対だとおっしゃっているじゃないですか。それが証明でしょう。理解もされていないんじゃなくて、皆さん理解をしているから反対しているんです。にもかかわらず、考え方相違で片付ける。全く国民の声に耳を傾けようとしない安倍政権体質そのものじゃないですか。  大臣、今日は、先日の安倍総理答弁でも取り上げましたけれども、お手元に資料をお配りをしています。大臣、改めてこれ見てください、資料の一、資料の二。  大臣、これ見てどう思われますか。これ、大臣、見たことなかったら、是非検索して調べて見てください。派遣元事業主はこうやって宣伝広告を出して、それで競争しているんです。大臣、分かりますか、見ておられますか、資料一、二。  これ、a、ある派遣T社広告です。必要なときに必要なスキルを必要なだけ御提供いたします、こんなに安いんです。派遣だと掛からないコスト、真ん中の交通費のところを見てください。何と書いてありますか。本人負担ですと書いてあります。何ですか、これは。  派遣元企業、隣のS社広告正社員だったらこんなに掛かるけど、こんなにコストが削減できますよ、新卒採用よりもこんなにコストが削減できますよ。大臣、見ていますか。これ見てくださいよ、大臣、ちゃんと。これが現実なんです、今の。  めくってください。二、こんなにコストが削減できるというわざわざ図式で、賃金もこんなに掛からない、一切福利厚生が掛からない、ボーナスも要らない、こういう広告宣伝を打っているんです。これは、単に安かろうじゃないんですよ、大臣派遣労働者権利や、派遣労働者皆さんの頑張っている、それすら否定している広告宣伝なんです。  大臣、これ見てどう思われますか。
  12. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは、民間の広告、何に使っているのかよく分かりませんが、恐らく新聞広告ではないんだろうというふうに思いますが、職安法では、御案内のように、派遣元派遣で働く方を募集する際については労働条件等の明示を行うこととされていますけれども、恐らくこれは派遣元派遣先に対して行うPR資料というか、そういう形で使っているんだろうというふうに思いますけれども、これについては法律上の規制は特にないというふうに理解をしております。  事業者間の商取引に係る事項であるために、労働法制による規制自体はなじまないと考えておりますけれども一般論として、派遣正社員より安いといったような広告の文言を使用することは、これは均衡を考慮した待遇確保を求める趣旨からいっても適切では全くないというふうに私も思って今この資料を、前回もお配りをいただきましたけれども、拝見をしているわけであります。  こういうことでありますので、このような派遣で働く方が正社員よりも安いというような広告というのはやはり適切ではないということで、使用しないように業界団体に私どもとしてもこれは要請をしないといけないということで、先生の御指摘のとおりだというふうに思っています。  派遣会社は、派遣先との派遣料金交渉派遣で働く方の待遇改善にとって重要であるということを踏まえた上で交渉に当たるように努めるべきことを派遣元指針に定めるという方針でございまして、派遣会社意識向上というものを指導してまいりたいと思いますし、私どもは、今回全て許可制という体制に転換をするわけでありますので、そういう意味でも行政関与が強まる中で、派遣会社意識向上を強く促していかなければ、今のような派遣を言ってみればコストダウンのための方策に使うというような本来の趣旨に反するような使い方というのは私どもとしては許せないということだというふうに考えております。
  13. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、許せないと言ってくれました。  じゃ、今大臣、冒頭認められたように、規制ないんです、法律上の規制は。何か具体的なちゃんと実効性ある法的措置をとっていただかないと、お願いしたって駄目でしょう、大臣。具体的な法制度上の措置をとる、これ、大臣、約束してください。
  14. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 恐らくこれまでもこのようなことをやっている派遣元というのはあったんだろうというふうに思います。そういうことで、今回初めて派遣元指針に、さっき申し上げたように、こういうことは好ましくないということを明記をしていこうというふうに考えているわけで、それは何かというと、先ほど申し上げたように、派遣料金を決めるのは、やはり働く方々待遇改善にとってこの派遣料金そのものが重要だということを踏まえて交渉に当たるべしということを書き込むことによってこのような発想が出てこないようにするということが大事なのでありまして、先ほど申し上げたように、全て許可制とする中において行政関与を強めながら、業界にそのようなことは好ましくないんだということを自覚をしてもらうということが大事なのであって、これを徹底をしてまいりたいというふうに考えております。
  15. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、明確に言ってください。これは許可取消し事由に当たるんですね。じゃ、今後はこういうとんでもない、派遣労働者方々権利を踏みにじるような、尊厳を踏みにじるような、さらには均衡待遇配慮、これも全くもって無視するような、こういう広告をするような業者は許可取消し事由に当たる、許可しませんと、そういうことでいいですね。
  16. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは直接許可取消しにそのままつながるということではないというふうに考えておりまして、この間、総理答弁したとおり、今回の改正案によって、一部届出制となっている労働者派遣事業を全て許可制にするということで、先ほど来繰り返し申し上げているように、行政関与が強まる中で派遣会社意識向上を強く促していくというのが私ども政策意図でございます。
  17. 石橋通宏

    石橋通宏君 許可取消し事由にしなかったら、大臣許可制にしたからこういう業者いなくなる、意味ないじゃない、全然伝わりませんよ。許可取消し事由にするんですね。更新しないんですね。一旦許可をしたとしても、仮にこういうことを、広告宣伝を繰り返すようなところがあれば、次のときには許可更新しないと。それは是非明言してください。
  18. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、先生もまたお認めになったように、直接こういうことを規制する法律はないわけでございまして、私どもとしては、派遣料金を決めるというときに処遇改善というものを考えながら決めなきゃいけないという基本的な哲学徹底をしていくということが大事だということを指針明記をしていくわけであって、それ以上に、全て許可で縛るということができるという枠組みではないわけでありますが、しかし、考え方からして、そういうことの意識向上を図るように指導するという形でこういうことが起きないようにしていくというのが私ども考え方でございます。
  19. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、これを御覧になっている全国の派遣労働者方々、笑っておられますよ。大臣哲学も何もないじゃないですか。こういう事業者許可制にするから、総理答弁されたじゃないですか、そういう業界を変えるために今回は許可制にするんだ、総理大臣答弁ですよ。だったら、このような広告を打つところは許可しない、若しくは繰り返すようなときには更新しない、何でそれが明言できないんですか。大臣決意も何もないじゃないですか。それでは野放しですよ。やる気ないと証明しているようなものじゃないですか、大臣。  もしこれ、今の現状じゃ法規制ができないなら、じゃ、法律作ってください。大臣、例はあるんです。既に、厚生労働省所管健康増進法虚偽誇大広告等禁止規定というのがあります。これ罰則規定もきちんと設けられています。こういうミスリーディングするような、不当に変な広告宣伝をするような、これは処罰できるんです。さらには罰則まで持てるんです。  こういうことをちゃんとするべきだと思います。その検討を是非やってほしい。それは約束してください。
  20. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今引き合いに出されました健康増進法ですか、ここにおける誇大広告の問題については、恐らく新聞広告一般的な、一般方々が全部見るような形でのものであろうかと思いますけれども、これは先ほども私からも言って、そのようなことのように受け止められるようなことをおっしゃいましたが、派遣元派遣先に対する売り込みに使っている資料だという理解でありますけれども、これはやはり、例えば職安法の四十二条の募集内容の的確な表示というのがありますけれども、ここには確かに、誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならないということでありますけれども、これはここに明確に書いてあるように、新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲載又は頒布その他厚生労働省令で定める方法によって労働者募集を行う者は云々と書いてありまして、誤解を生じさせることがないようにという、直接募集をするというようなときのものでございます。  しかし、残念ながら、今先生が御指摘になっておられるこの宣伝資料は、言ってみれば営業活動で使われるものだろうと思いますので、そういうところについては、先ほど来申し上げているように、指針で基本的な考え方が、先ほど申し上げたように、処遇改善というものを、その重要性を踏まえて派遣料金交渉をしっかりとやらなければならないということを、努めなければならないということを派遣元指針に定めようということを今申し上げているわけであって、そういうことを、先ほど来申し上げております全て許可制とする中で行政関与が強まるわけでありますから、その中で派遣会社意識向上を強く促していきたいと言っております。  先ほど総理発言について言及がございましたが、前回石橋委員から、許可制にすることによって、このような広告を打つ、虚偽広告を打つような派遣元事業者許可しないんだ、認めないんだ、そういうことを宣言いただいたんだと思いますという先生からの御発言に対して、内閣総理大臣も、私はそこまで言っているわけではございませんということを言っているわけであって、言わば許可制にするということによって、これはやはり派遣元に対して責任感を持たせるということにつながっていくということを言っておりまして、私が今申し上げているように、指針で書くべき基本的な哲学を守って、派遣料金交渉をしっかりと進めないとならないということを努力義務として指針の中に明記をするということを申し上げているわけでございますので、そのようにして派遣会社意識向上を図るように行政指導をしっかりとやっていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  21. 石橋通宏

    石橋通宏君 今の答弁を聞いて、もう皆さんお分かりになったと思います。  大臣、全くやる気がない、派遣労働者方々のためでもない、処遇改善する気もない。派遣元事業主に、これからもこういう広告打って、これインターネットの広告で、みんなこれで競争しているわけですよ、それを野放しにする、全然許可取消しする気もない、それを宣言された。一体誰のための法案なのか、明白になったと思います。  大臣資料三、見てください。これも前回総理に聞きました。  この法案は一体どっちを実現するんですか。安いです、コスト削減です、人材派遣料こんなに安上がりです、これを今後も実現させるのか。この右側、本来あるべき労働者派遣制度の姿、我々はこういうことだと思っています。本来、専門性のある方、一生懸命頑張っておられる方、そういう方がきちんと報われる制度にする。であれば、二割、三割は正社員の方よりむしろコストは高い、それでもすばらしい方々だからちゃんと雇ってください、それが本来あるべき姿でしょう。  この法案はこれを実現するんですね、大臣。約束してください。
  22. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 本来、派遣は臨時的、一時的な働き方であって、今お話がございましたように、能力のある方が特殊な、言ってみれば特定の分野で頑張るという方ももちろんおられて、それらの方々は、実際に私もお会いをした中には、今、それこそ一流会社に幾つか複数動きながら自らの価値を高めているという方がおられますから、先生が今おっしゃったような、一般技術者よりも更に高い報酬が払われてしかるべき方々も当然あると思いますけれども、それらはしかし、いずれにしても、さっき申し上げた雇用可能性とかあるいは処遇改善をするというのは、やはり評価に基づいてされるわけでありますから、その評価を上げるために何をやるかといったら、今回、数々、正社員化キャリアアップの新しい手だて義務として入れているわけでございまして、中でも、教育訓練、有給、無償で提供される教育訓練にしても、あるいはキャリア形成支援制度、これを導入をするということについても、これは全て、今おっしゃったような、どれだけの報酬を得られるかということにつながってくるわけでありますので、私どもは、今回派遣元義務を課すことによってその可能性を高めるという手だてをたくさん入れているわけでありますので、先ほどのキャリア形成支援制度にしてもそうでありますから、したがって、結果として一般正社員皆さん方よりもはるかに高い報酬が払われるというケースは、それはあり得ますけれども、皆がそうなるということを私ども法律で定めるようなことはなかなか難しいことだというふうに思うわけでございます。
  23. 石橋通宏

    石橋通宏君 全く答えずに、何か訳の分からないことばかり言われて、結局は、これが目指せない、これが実現するものではない、そのことを言えないからごまかされているだけなんだと思います。  じゃ、大臣、端的に聞きますが、資料の四。  今回、第三十条の三、均衡を考慮した待遇確保、これは現行法から全く変わっていません。均衡待遇配慮、これ何で現行法から変わらないんでしょうかね。つまり、全くやる気がないから現行法と変わらないわけでしょう、大臣。  とすると、この第三十条の三、ここで言う考慮すべき対象となる賃金水準大臣、この資料の四、ここで言う、この法律が対象とすべき賃金水準、何が含まれるんですか。ここに書いてある労働費用、人件費の構成要素、これ全部が当然、第三十条の三、考慮されるべき賃金水準、これに含まれるという理解でよろしいですね。
  24. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) 事実関係でございますので、改正後の第三十条の三につきましては、同種の業務に従事する派遣先労働者賃金水準との均衡を考慮しつつ、派遣労働者職務の内容、賃金を決定するよう配慮する義務を課しております。今おっしゃっていただいたとおりです。  この賃金水準の範囲には、各種手当や賞与など、労働の対償として使用者が支払うものが含まれるという形で解釈しております。
  25. 石橋通宏

    石橋通宏君 これ、全部含まれるという理解でよろしいんですね。労働コスト、これだけ、通常、企業が正社員方々雇用されれば必ず必要になるんです。それと同様の賃金水準、そういうことでよろしいですね。もう一回答えてください。
  26. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) 今御答弁させていただきましたけれども、労働の対償として使用者が支払うものであれば含まれるということです。
  27. 石橋通宏

    石橋通宏君 じゃ、この表から除外されるものを教えてください。
  28. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  29. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を起こしてください。
  30. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) 失礼いたしました。  今、石橋委員がお作りになられた資料の中の基本給、諸手当、ここに入っているものは入ります。
  31. 石橋通宏

    石橋通宏君 所定内賃金しか入らないということですか。それ以外は全部除外ということ、それをお認めになるんですね。そういうことですか。今、基本給、諸手当と言われて、所定内賃金のところですね。所定外、賞与・期末、様々な福利厚生、全部入らないんですね。それをお認めになったということですか。
  32. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  33. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を起こしてください。
  34. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) 失礼いたしました。  今、作っていらっしゃる表の賃金のところは入るんですが、右側の、いろいろと忘年会だとかそういったところが書いてあるところの青い枠の中以外は入りますと。ただ、所定外賃金、ここは実際の実績見合いになります。
  35. 石橋通宏

    石橋通宏君 ということは、この上の表の右側、こういったものは除いて構わないということを今宣言されちゃったわけですか。  そうすると、先ほどの、安いですよ、労働コスト切下げですよ、こういうのを払わなくても大丈夫ですよという、そういう宣伝を認めることになりますよ。いいんですか、それで。そういうので派遣労働者方々均衡処遇なんて実現できるわけないじゃないですか。安いと認めちゃっているんですから。  これは何で大事かといいますと、今回、大臣政府は、第四十条第五項を作ったから、これによって派遣先にも情報提供義務を課すんだといって、それを宣伝されているわけです。しかし、じゃ、その四十条第五項に含まれる賃金水準というのは、当然、今御説明があった賃金水準はどこまで含まれるのかということ、それに基づいて呼応されるわけです。  とすると、これは含まれないと言っちゃったら、それは水準の提供義務がないわけですから、均衡待遇なんかそもそも実現できないじゃないですか。ということになるでしょう。大臣、それをお認めになったということですか。そんなのでいいんですか、本当に。
  36. 山本香苗

    ○副大臣山本香苗君) おっしゃっていただいたとおり、四十条の五のところとリンクしてくるわけでございますけれども、ここにおきます講ずべき措置としましては、今後省令において規定していくこととなっておりますが、派遣で働く方と同種の業務に従事する派遣先労働者、またその属する職種グループについての賃金水準情報提供することなどを予定しております。  御指摘のとおり、今、派遣元賃金決定に資するように情報提供義務ということは掛かるわけですが、ここに書いてあるものでもできる限り多くの情報が提供されることが私たちとしても望ましいと考えておりまして、そういった形を促してまいりたいと考えております。
  37. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、今副大臣答弁いただきましたので、これ全部含まれることが望ましいんだと。望ましいというのは甚だ不満ですが、でも全部含まれるというふうに言っていただきました。それは四十条の第五項にも当然含まれるんだと。つまり、派遣先はこれ全部の情報について求められれば提供しなければならないんだと、そういう対応をするということです。  それでは大臣にお伺いします。  今回、私たちが最大の問題の一つだと思っているのは、第四十条の第五項、これは派遣元派遣先情報提供を求めたときに提供しなさいと書いてあります。力関係からいって、派遣元派遣先にこういう情報を全部出せなんて言えるわけないんです、現実的に。何でそれを要件にしたか。現実的にそういうことはできないと分かっているから入れたんじゃないかと疑いますが、これ、もし派遣元派遣先情報提供を求めなかったら処罰の対象になりますか。
  38. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  39. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を起こしてください。
  40. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生指摘のように、派遣元が求めた場合に義務が掛かりますから、それが求められないときには罰則は特にないということでございます。
  41. 石橋通宏

    石橋通宏君 派遣元派遣先情報提供を求めないときに派遣元は罰せられますか。
  42. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 罰則はございません。
  43. 石橋通宏

    石橋通宏君 許可の取消しにも当たらない、指導の対象にもならないということですか。
  44. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 特に予定はしておりません。
  45. 石橋通宏

    石橋通宏君 それでどうやって実効性を担保するんですか。  派遣元均衡待遇義務が三十条の三であるんでしょう。均衡の配慮をするためには、情報がなかったら均衡の配慮はできないじゃないですか。この義務を果たすためには、情報を得なかったら配慮なんかできないでしょう。それを求めなくても何の処罰もしません、指導もしません、全く有効じゃないじゃないですか。どうやって第三十条の三の義務、これを果たさせるんですか。大臣、もう一回。
  46. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回この条文は、元々は努力義務であったものの中で賃金については配慮義務に格上げをしたわけでございます。したがって、罰則はないにせよ、先ほど来申し上げているように、全面的に許可制に移行する中で、当然これ、指導は厳しくやっていかなければいけないと思いますので、そういったことで、配慮義務は何らかのアクションを取らないといけないというのが努力義務との違いでございますから、そこのところをやっていないということであれば、指導の上でこれを指摘をするということは当然やっていかなければいけないのではないかというふうに考えます。
  47. 石橋通宏

    石橋通宏君 当然指導はするということですので、指導の根拠にしなきゃいけません。そうしたら、じゃ、これ台帳には書かせるということでいいですね。
  48. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 私どもの考えでは、これは対象には入っていないということでございますので、今申し上げたように、指導をしっかりとやっていくということでございます。
  49. 石橋通宏

    石橋通宏君 対象にしていなかったのは全く考えていなかったからでしょう、大臣。今言われて、ああ、そうだったなと気付いたわけでしょう。だったら、これ大事だと思うなら、指導しなければいけないと、大臣、今明言したじゃないですか。どうやって指導するんですか、何にも記録がないなら。  ちゃんと今大臣理解をいただいたのであれば、これ、台帳に書かせる、若しくはせめて台帳に書かせるように、若しくは何らかの具体的な措置が図られるようにします、それぐらいは答弁してください、ちゃんと。
  50. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  51. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 速記を起こしてください。
  52. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生のように台帳に書くべきだという考え方もあろうかと思いますけれども、私どもは、先ほど来申し上げているように、これは配慮義務として当然やっていただく、アクションを取っていただくということが法律の定めているところでありますから、それにのっとってやっているかどうかということを、指導監督の際に指摘をしていくということで実効性を持たせていきたいというふうに考えているところでございます。
  53. 石橋通宏

    石橋通宏君 やる気がないと宣言された。大臣、どうやって実効性担保するんですか。何の台帳も記録もない。やりましたか、はい、やりました。それが厚生労働省のチェックですか、ずさんな。それを今大臣、それでよろしいとお認めになったということ、これも重大な問題だと思います。何の実効性も担保できない、こんなのとんでもないということを改めて確認した。これ、全国の皆さんが今そのことを大臣答弁で、大臣御自身が全くやる気もない、関心もない、労働者のために何にもする気もない、そのことをお認めになった、そのことが確認されたというふうに思います。もうとんでもない話だと思います。  大臣答弁が全然駄目なので時間がどんどんなくなってきてしまいまして、幾つかまだありますが、ちょっと先に需給調整指導官のところを、重要なのでやらせていただきたいと思いますが。  大臣、今回、私、ずっといろんな問題を指摘されて、大臣は、いや、しっかりやらせます、許可制にするから大丈夫です、常々ずっとそれを言ってきた。でも、僕らは許可制にすることは曲がりなりにも評価しますと。しかし、じゃ、本当に許可制にしたことによって問題が全部解決されるのか。いや、解決されないと僕らは思っているわけです。台帳もできない、全然こういう報告の内容も強化されていない。だからそれは意味がないわけです。  もう一つ、需給調整指導官の体制が余りに貧弱だから、先日、行田委員からも御指摘をいただきました。資料の五を見てください。大臣、これもう何度も見ておられると思うのでよくお分かりだと思います。これが今の需給調整指導官の体制です。  大臣、今回許可制にする、さらには需給調整官の役割を飛躍的に増やす、それによって需給調整指導官の業務、責任は大幅に増える、そういう理解でよろしいですか。イエス、ノーでお願いします。
  54. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今お配りをいただきましたけれども、全国の労働局に配置をしている需給調整指導官というのは様々な任務を担っております。そして、今回の改正を受けて、新たに義務付けられる措置などに対する指導監督業務が加わることになるわけでありますので、当然、責務は新たに加わっていくということになるわけでございます。
  55. 石橋通宏

    石橋通宏君 これは大幅に増大しなかったらおかしいんです、大臣。全部許可制になるんですから。しかも、今回様々な措置を、本当に実効性があるのであれば、余計に業務は飛躍的に増大するわけです。  しかし、これ見てください。都道府県単位の労働需給調整官の今の配置です。沖縄県、二人です、需給調整官。一人当たり何と二百六十三もの事業所をお一人がやらなければいけない。こんな体制でできるわけないじゃないですか、大臣。できるわけない、そのことは御認識をされているんですか。
  56. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回の改正案で全ての派遣元事業者許可制に一本化する、そして許可審査業務が増大をするということは今申し上げたとおりでありまして、加えて、派遣会社等に新たに義務付けられる措置に係る指導監督等にも対応する必要があって、当然のことながら、需給調整指導官の任務、業務が先ほど申し上げたとおり増大をします。  このために、需給調整指導官については可能な限り私どもとしても十分な人員を確保していくことが必要であって、改正法案の対応として例年以上の増員体制を既に、二十七名増でございますけれども、二十七年度につきましては、を図ることとしているわけでございまして、今後とも、先生指摘のとおり、必要な指導監督等の体制が確保できるように、厳しい行財政改革を踏まえながらではありますけれども、最大限必要な定員の確保に努めていかなければならないし、今お話がございましたように、今回特に、許可制にした上で、様々な計画的な教育訓練雇用安定措置どもございますから、当然のことながら、これ、調整指導官が対応するためには、私どもは定員の確保を努めていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  57. 石橋通宏

    石橋通宏君 本当にだらだらだらだらと関係ない答弁されて時間稼ぎされていますが、大臣、じゃ、最後、時間が来てしまいましたので、最後に一つだけ。  今大臣、需給調整官が足りないと明言された、増やしていかなきゃいけないとされた。じゃ、来年度の概算要求どうなっていますか。僕ら、概算要求を見て愕然としましたよ。これだけのことをやろうとしているのに、概算要求でほとんどやる気ないじゃないですか。何が大幅増員ですか。あの概算要求じゃ到底駄目でしょう。三倍、四倍、五倍にして、向こう二年、三年はもう集中的にやらなきゃいけない。そういう姿勢ならまだ、まだ理解できますよ。しかし、全然あの概算要求では十分な体制を図るという意思もやる気も感じられないじゃないですか。  そのことを、あれでは駄目だ、是非三倍、四倍の増要求をしないと到底駄目だということをここで約束してください。
  58. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 重要性については御指摘のとおりでありますし、私どももそのとおりだと思っているからこそ先ほどのような答弁を申し上げているわけでありますが。  一方で、先ほど申し上げたように、この重要性は、この派遣ももちろん当然重要でありますし、今回こうして御審議法案について願っているわけでありますから、当然のことではございますが、しかし、全体の中で今回十名増やすということで取りあえずスタートをするということでありまして、それは先生方も、政権を担った御経験がある皆さん方には、行財政の改革と併せてやっていく中でどのくらいの時間を掛けてやっていくかというのは様々いろんなことがあるということはもう御案内のとおりでありますから、その中にあって、私どもとして、今回の概算要求では、先ほど申し上げたような格好で増要求をしているということでございます。
  59. 石橋通宏

    石橋通宏君 終わります。
  60. 長沢広明

    ○長沢広明君 派遣労働は、これまでも議論してきたことでございますけれども雇用者と使用者が違うということで、勢い法体系が複雑になりがちであるということになります。  そういう中で、派遣労働者の保護を図るということを考えますと、やはり関係者がこうしたこの法案も含めまして労働関係の法令にきちんと精通していること、これが非常に大事な要素になるというふうに思います。派遣労働者の適正な就業を確保するために、この点については、派遣元派遣先、それぞれに責任者を置くということになっています。ただ、このうち派遣元責任者については、派遣元責任者講習を受講して、派遣法を始めとして労働関係法令の知識を得ることができる仕組みになっていますが、派遣先についてはそのような仕組みがなかったわけであります。  政府として、派遣先責任者についても、当然この責任者が労働関係法令を学ぶ機会をきちんとつくっていかなきゃいけない、こういうふうに思いますが、その仕組みについてどうお考えか、御答弁いただきたいと思います。
  61. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  今委員の方から派遣先責任者についての御提示がございました。  この派遣先責任者の関係につきましては、今回の法案の基になります労働政策審議会の建議におきましても、派遣先の責務の強化ということに備えて、国が派遣先責任者講習の受講を促進するための施策を講ずるものということが建議の中でもうたわれたところでございます。  こうしたことを踏まえまして、私どもとしましては、今年度から派遣先責任者のモデル事業ということを実施することとしておりまして、全国の六地域で派遣先責任者講習ということを開催するということとしております。そういった中で派遣先責任者としての能力向上を図っていただくということを考えておりまして、成果を基にしました事業モデルということを広く公開して、それで派遣先責任者講習の普及ということに図ってまいりたいと考えております。
  62. 長沢広明

    ○長沢広明君 この委員会におきましても大変濃密な議論を行い、様々な論点が出てきております。そういう審議の中で浮かび上がった問題というのは、これは派遣先派遣元、それぞれきちんと理解をしてもらわなければならないことがたくさんございますので、こうした関係法令をきちんと理解してもらう、こういう努力はしっかり進めてもらいたいというふうに思います。  前回の質問でも、若者の雇用対策、女性の活躍ということについて質問しましたが、高齢化社会においては高齢者の雇用ということも大変大事であります。ただ、高齢者の雇用というものはどうしてもマッチングが難しいという課題があります。その点で、高齢者の方々にとって勤務時間や就業場所、希望する労働条件を選択しやすいという特徴を有するこの派遣労働、派遣労働者方々が増えている一つの要素として、高齢者の方々がこういうところで働いていらっしゃるという問題もございます。  そういう意味では、高齢者にとって働きやすい働き方の一つというふうに言えるわけですけれども、今回の改正案で高齢者の雇用機会の確保、こういう点についてはどういう取組を行うか、伺いたいと思います。
  63. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 今、委員の方からありましたとおり、働く意欲のある高齢者の方が年齢に関わりなく活躍できるというような仕組み、あるいはそういう環境ということをつくっていくということは非常に重要だと思っております。  もとより、私どもとしましては、高齢者雇用安定法でありますとか、あるいはそういった高齢者の雇入れに対する助成であったり、あるいはシルバー人材センターというような活用というようなこともやっておるわけでございますけれども、今回の改正法案では、一定の御承知のとおり事業所単位、個人単位の期間制限ということを設けておるということを今回の改正案では盛り込んでおりますが、まさに今委員の方から御指摘ありましたとおり、高齢者の方もいろいろ選択しやすいというような派遣のメリットということもございますので、高齢者につきましては、一方で、他の年齢層と比べると雇用機会の確保が厳しいという背景もございます。  そういったことを勘案して、高齢者の選択の幅を広げるという考え方の下に、先ほど申し上げましたような期間制限の仕組みについて、六十歳以上の高齢者についてはこの期間制限の例外として、高齢者の雇用機会の確保派遣の仕組みということも活用しながら図っていくということで考えております。
  64. 長沢広明

    ○長沢広明君 終わります。ありがとうございました。
  65. 川田龍平

    ○川田龍平君 維新の党の川田龍平です。  今日、読売新聞がこの派遣法については今日にも採決ということで、今日メディアも外にも中にもいますし、後ろの傍聴席、本当に立ち見の傍聴席が、今日、皆さんも注目されているわけですけれども、今日の朝の理事会では採決ということの話は出なかったわけですが、大臣、これ今日採決するんですかね。
  66. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは院がお決めになることでございますので、丸川委員長を始め先生方にお任せをしているところでございます。
  67. 川田龍平

    ○川田龍平君 私は、これで採決ではないと思うんですね。当然、まだこれは、この法案の中身が、問題が解決されているわけではない、そして本当に問題の多い法案だと思っております。  質問に入りますが、長年、特定労働者派遣事業を営まれている中小の事業主の中には、派遣労働者正社員として無期雇用して、教育研修や福利厚生などをしっかりしてきた会社も少なからずあると聞いています。許可制の一律導入に当たっては、健全な特定労働者派遣事業の実態をもっとしっかりと調査、把握して、そこで働いてきた派遣労働者がよもや現状より待遇が悪化することがないように、目配りをしながら慎重に行うべきと考えますが、大臣の所見を伺います。
  68. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 優良な特定派遣事業者につきましては、許可制度への円滑な移行ができるということが望ましいというふうに思います。そのため、特定労働者派遣事業を営む現在の中小事業主に向けましては、企業経営に精通をいたしました方によるセミナーなどによって移行のための情報提供等を行うとともに、事業主の個別事業に応じた相談というものも実施をしなければならないというふうに考えております。  このような支援制度があることについては、厚生労働省のホームページに掲載することなどによってこれを広く徹底、周知をして、優良な特定労働者派遣事業者を支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  69. 川田龍平

    ○川田龍平君 この法案の三十条の二についてですが、この「派遣就業に必要な」は削除すべきと私は考えます。これは教育訓練についてですけれども正社員になるために必要なということを書くということを要求しているわけではなくて、削除しても派遣会社に求める義務として何ら誤解は生じないと考えますが、この三十条の二について、「派遣就業に必要な」というこの文言は削除すべきではないかと考えますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
  70. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) この条文につきましては、これまで衆議院を含めて数々の御指摘を頂戴をしてきているわけでございますけれども正社員となる可能性を高めるためには、現在の派遣の仕事をするに当たって必要な能力及び知識のレベルアップをまず図ることが一番有効であると考えられると思っておりまして、今回の改正案において初めて義務付けることとしておりますキャリアアップ制度については、派遣就業に必要な技能及び知識が習得できる教育訓練というふうに規定をしているわけでございます。  派遣元義務付ける教育訓練は「派遣就業に必要な」と規定しているものの、その内容は、必ずしも現在従事をしている業務と密接に関連していなければならないということでは決してないわけでございまして、今回の改正案におきましては、事業の許可基準に新たにキャリア形成支援制度を有することを追加することといたしまして、計画的な教育訓練についてはキャリアアップに資するものとなることを求めることとしております。  今般初めて義務付けられた教育訓練派遣で働く方の着実なキャリアアップにつながるように行政としても指導をしてまいりたいと思っておりますし、また、先ほど来申し上げているように、やはりそれぞれ働く方々職務における能力を高めることが処遇改善あるいは正社員化につながる一番の近道ではないかというふうに考えますので、まずは、今の派遣就業に必要な技能及び知識が習得できる教育訓練をやっていただくということを期待をしているわけでございます。
  71. 川田龍平

    ○川田龍平君 そうであれば、「派遣就業に必要な」という言葉、これ要らないと思うんですね。法案の中身として、正社員になりたい人がなるための法律だということを何度もおっしゃっているわけですから、この「派遣就業に必要な」という言葉があることによって、これ、派遣就業のため、派遣社員を続けるということをある意味言っているようなことではないんですか。だからここは削っていいと思うんですけれども大臣、これはいかがお考えでしょうか。
  72. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これも、先ほど申し上げたように、いろいろな議論がこれまでもございました。  しかし、今申し上げたように、やはり今働いているところで評価を上げるということがそこでの処遇改善にもつながりますし、その次のステップアップにもつながってくるということを考えてみると、まずは、基本は、派遣就業に必要な技能及び知識が習得できる教育訓練を受けていくことで可能性を高めるということであり、しかし、そうはいいながら、必ずしも今やっていることの業務と直接つながっていない研修というのもあり得るということも申し上げているわけでございますので、そこは基本的な考え方としてそう申し上げているので、先生のおっしゃりたいお気持ちもよく理解はできるところでありますが、私どもの御提起している法案の中では、まずは今やっている仕事で力を付ける、評価を受けるということが大事ではないかというふうに申し上げているわけであります。
  73. 川田龍平

    ○川田龍平君 是非これは、やっぱりこの「派遣就業に必要な」という言葉は削除すべきというふうに思っております。  次に、改正案の附則第九条の解釈について伺います。  これ、八月二十八日の当委員会の理事懇談会において厚労省から提出された説明ペーパーによると、附則の第九条の「なお従前の例による。」による対象は、条文に明示されている現行法第四十条の二のほか、その関連規定である法第四十条の四などとのことです。内閣法制局から前に届いた書面でも趣旨は同様です。  これ、附則の第九条の「なお従前の例による。」の対象となる現行法第四十条の四等のこの等、などとは具体的にどの条文を指すのでしょうか。
  74. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  今委員指摘の、私どもの八月二十八日付けのペーパーの方でも記載しておりますとおり、今回、期間制限につきましては、改正案の附則九条によりまして経過措置を設けるということにしておる中で、同条において、施行日前に締結された派遣契約に基づいて行われる労働者派遣についてはなお従前の例によるということとしております。  このなお従前の例によるということによって適用があるのは、現行法のこの例示として挙げさせていただいている第四十条の四のほかには、経過措置の附則九条に係ります現行法の四十条の二の規定と一体となって施行されておるというもので現に効力を有する規定ということでございますので、例えば派遣元期間制限を超えて派遣するというような労働者派遣の期間に係ります第三十五条の二でありましたり、あるいは勧告、公表の規定であります第四十九条の二の規定などが該当するということでございます。
  75. 川田龍平

    ○川田龍平君 ですから、などとは何かと聞いているところに、などという言葉を答えに入れられたらまた聞かざるを得ないわけで、具体的にどの条文、またどの政省令を指すのか、などというのを明確に答えてください。などという答えが入っていたら、これ、などの答えになっていないじゃないですか。
  76. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) ちょっとほかにも幾つか規定がございますのでと思いまして省略させていただきましたが、今、三十五条の二、四十九条の二ということで申し上げましたが、ほかには、就業条件等の明示に係ります第三十四条、それから派遣先への通知に係ります三十五条の第一項、それから派遣元責任者に係る部分、これは一定の部分に限りますけれども、三十六条、それから派遣元の管理台帳に係ります三十七条の第一項、それから、現行法でございますので幾つかの雇入れに係る義務がございます、努力義務が。ここでも議論に取り上げられている優先雇用努力義務という第四十条の三、それから、いわゆる二十六業務に係ります労働契約の申込義務である第四十条の五、それから派遣先に係りますけれども派遣先責任者についての第四十一条、派遣先の管理台帳に係ります第四十二条ということになります。
  77. 川田龍平

    ○川田龍平君 これ、政省令は入らないんでしょうか。
  78. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 具体的には、今後、政省令の関係も入るということになります。
  79. 川田龍平

    ○川田龍平君 そうすると、政省令の、省令や通達などによって具体的に明示する、これ、予定があるんでしょうか。
  80. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 今申し上げましたように多岐にわたりますので、どのような適用関係になるかなどについて明確にする手法については検討してまいりたいと考えます。
  81. 川田龍平

    ○川田龍平君 厚労省の説明ペーパーによれば、なお従前の例によるとは、法律のほか、施行命令などを含め、問題とされている事項についての法律関係は包括的に施行前の法令の規定を適用することとされています。これでは、具体的にどの条文が適用されて、また適用されないということが分からない場合があるのではないかと思いますが、部長、いかがでしょうか。
  82. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 今申し上げましたように、包括的にということではございますけれども、今申し上げましたような法律の条文あるいは省令等につきましては、今申し上げましたように、委員の御指摘がありましたように、どのような適用関係になるかということについて明確なる手法をしっかり検討してまいりたいと思います。
  83. 川田龍平

    ○川田龍平君 今回のケースのように、この経過措置の対象が期間制限という改正案の根幹に関わるものであり、その解釈が関係者にとって非常に大きな影響を与えることもあります。  経過措置規定の「なお従前の例による。」については、その効果が及ぶ範囲が明確になるように、この法律ないし省令、通達などによって、「なお従前の例による。」によって適用されることとなる条文等を明示する必要があると考えますが、大臣、見解いかがでしょうか。
  84. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 基本的にはおっしゃるとおりで、「なお従前」には未施行の規定が含まれないわけでありますけれども、この改正法附則の規定のみをもって具体的に旧法のどの規定が適用されるのかが分かりにくいということが御指摘をいただいておるわけでございますので、改正法施行後に混乱等が生じないように、施行通知、通達、あるいは厚生労働省ホームページに掲載するなどにおいて、そういったところで適用関係を明確にして、適切な対応を取って、混乱が起きないようにしていきたいというふうに考えます。
  85. 川田龍平

    ○川田龍平君 ちょっと時間が迫っていますが、先日来、専門二十六業務の関連した質問をしてきました。専門性の高い業務であれば常用代替にならないというロジック、論拠について伺いたいと思います。  このことについて事前に問い合わせたところ、担当部署から回答が書面で来ました。常用代替の防止の趣旨は、我が国のいわゆる長期雇用慣行との調和を図る観点から、派遣先に常用雇用されるいわゆる正社員について派遣労働者が代替することを防止するものである。また、現行制度では、この業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務は、前述の雇用慣行を損なわず、常用代替を促さないと考えられることから、これらの該当する業務について期間制限の例外としていたところであるという答えがあったんですが、これ、全く答えになっていません。  私は、この回答は三重の意味で問題があると思っています。  まず、なぜ常用代替を促さないかという回答になっていませんし、そこを答えずに、なぜ期間制限の対象外になっているかにすり替えて回答してきています。そして、常用代替の対象を派遣先に既に常用雇用されている正社員のみに限っています。テレビ番組制作の現場でいえば、派遣だけでなく、外部プロかフリーランスが請負、一括委託といった様々な労働形態が複雑に入り組んでいるんです。そういう方々の常用代替になっているとは言えないのでしょうか。さらには、常用代替を促さないはずの専門業務での派遣が、なぜ今回、期間制限の対象となるかの説明になっていません。  以上三点について、時間が来ていますけれども、明快な、簡潔な答弁をお願いします。
  86. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 三点いただきましたので簡潔にお答えしたいと思いますが、まず一点目につきましては、私どもの方ですり替えてということではなかったんですけれども、ロジックとしましては、私ども、常用代替の趣旨ということに鑑みてということでお答えしたつもりでございますけれども、もう少し委員の御指摘等を踏まえれば、専門的な知識とか技術、経験を有するというような業務であれば、外部より来ていただくということが効果的であるということなど、正社員が企業内のキャリア形成の一環として経験する業務ということとは別個のものと考えられるので、そういった意味では、こういった専門性の高い業務であれば長期雇用慣行を阻害することはないという趣旨も含めてということでございましたが、すり替えの意思はございませんでしたけれども、やや不明確であったことはおわびを申し上げます。    〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕  それから、二点目につきましては、テレビ番組の制作の現場というのはいろんな方がおられるということかと思っております。そういった意味で、今委員の方からありましたような、請負やフリーランスで働く方もおられると思いますけれども、こういった方につきましては派遣先からの指揮命令がないので、ですから、その派遣労働者との関係では異なるので、基本的に競合するというような方ではないのではないかと考えております。  それから、最後、専門業務が期間制限のなぜ対象となるのかということでございますけれども、これはこれまでも大臣等からも御答弁させていただいておりますとおり、現行の期間制限ということがやはり非常に分かりにくいということ、これは、労働者派遣元派遣先にとっても分かりにくいということで、専門性も変化している中で、分かりやすい仕組みにしようということでございますので、今回については、業務についての考え方ということを廃止して、専門業務であるかどうかにかかわらず、今回、新たな期間制限を設けるということにしたということでございます。
  87. 川田龍平

    ○川田龍平君 やっぱりこの法案は、当事者の意見を聞いて十分に練られた法案とは思えませんので、十分な審議をしっかり行っていただきたいということを申し上げて、最後、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  88. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  施行日を九月三十日に延期するというわけですが、あと二十日余りしかないわけです。  前回労働者派遣法改正時のことをお聞きしますが、法案成立から労政審の答申が出るまでは何日掛かったか、それから、労政審の答申が出てから法の施行まで何日掛かったか、それだけ答えてください。
  89. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  平成二十四年改正でございますけれども法案成立しましたのが二十四年の三月二十八日でございます。その後、五月二十八日から関係部会を開催しまして、四回開催しておりますが、答申があったのが七月の五日、労政審答申ということでございますので、九十九日間ということでございます。  それから、もう一点御質問の、労政審答申からでございますけれども、二十四年改正法施行日が二十四年の十月一日ということでございますので、それまでの期間が八十八日間ということでございます。
  90. 小池晃

    ○小池晃君 前回の政省令の修正、二十二項目だと聞いております。今回、四十一項目以上なわけで、こんな僅かな期間でまともな準備、議論ができるわけがないと。  もう一回聞きますが、前回法案成立してから施行までに各労働局が全国で行った説明会は何回やっていますか。
  91. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 前回、二十四年の改正時につきましてですが、法案の成立から施行までの間に全国の労働局での説明会は、合計で百五十三回実施ということになっております。    〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
  92. 小池晃

    ○小池晃君 前回は、労政審の答申が出てから二種類、三十八万部のパンフレットも作って周知徹底を図ったというわけですね。  大臣、九月三十日施行、労政審で十分な議論できるわけがないじゃありませんか。丁寧に周知すると先ほど大臣答弁されましたけれども、こんな期間で事業者労働者に周知徹底、図れると思っていますか。お答えいただきたい。
  93. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、改正法案の内容の成立後の周知について御指摘がございましたが、改正法案が成立した段階で、改正内容の概要について、私どもとしては最大限分かりやすく解説をしたリーフレット、今、過去の例をお引きをいただきましたけれども、そういったものなどの関係資料厚生労働省のホームページに当然掲載をし、都道府県労働局等を通じて、やはりこれも地方で配布をすると。  それから、労政審での省令、告示などの議論につきましては、その資料を速やかにホームページに掲載をして議論の内容の周知に努めるということ。それから、労政審の議論を経て、省令、告示等が定められた際には、速やかに、これもホームページに掲載をし、都道府県の労働局や業界団体等に通知をするのは当然のことだろうというふうに考えております。  また、施行後も事業主に向けての説明会等を開催するなど、多段階でこの周知を徹底しなければならないというふうに考えているところでございます。
  94. 小池晃

    ○小池晃君 それを九月三十日までにできるのかと私、聞いたんですよ。できるわけないじゃないですか。連休もあるんですよ。もう諦めなさいよ、こんな法案は。今言ったこと、できると思いますか。
  95. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ホームページは別に休みは関係なく誰でも二十四時間見ていただけるわけでございますし、最大限の努力を私どもとしてはさせていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  96. 小池晃

    ○小池晃君 私、本当に無責任だと思いますよ。  これ、本当に現場は大混乱しますよ。こんなやり方で、しかも、要するに十月一日のみなし雇用を施行させたくないがために、そのただ一点で、九月三十日に、もう事業主に対しても労働者に対してもまともに周知もできないようなときに強行する。こんなことあり得ないですよ。  総理は、前回質疑で、この改正が行われず現行のまま十月に至る場合には、派遣先において意図せず違法派遣を受け入れた状態となって、みなし制度が適用されてしまう可能性があると述べました。  大臣、みなし制度が適用されることで、労働者にはどのような不利益が生じるんですか。
  97. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 労働契約申込みみなし制度が適用される派遣で働く方、その方々について不利益が生じるわけではないと考えております。  他方で、今回の改正が行われないで現行のまま十月に至る場合には、派遣先が意図せずに違法派遣を受け入れた状態となって、みなし制度が適用される事態を回避するために、十月の前に派遣の受入れを停止をし、その結果、派遣で働く方が雇い止めになるという不利益が生じる可能性があるのではないかと懸念をしているところでございます。
  98. 小池晃

    ○小池晃君 私が言ったことに全然答えていないじゃないですか。意図せずにだったら、適用されないわけですから。みなし雇用を適用されて、みなし雇用が適用されることによって労働者にとってマイナスはありますかと私、聞いているんです。  だって、前々回、大臣は、みなし雇用というのは労働者を守る制度だとおっしゃった。労働者を守る制度が適用されないのが、労働者にとって不利益になりますか。私は単純なことを聞いているんですよ。みなし雇用で直雇用になれば労働者に利益じゃないですか。それが適用されることで不利益はありますかと聞いているんです。
  99. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) この労働契約申込みみなし制度は、違法派遣の是正に当たって、派遣で働く方の雇用が失われないようにしつつ、一定の違法派遣を受け入れた派遣先に民事的な制裁を科すことによって違法行為の抑止を図ると。抑止を図るためのものであって、これは極めて重要なものだというふうに考えております。  労働契約申込みみなし制度が適用されて、派遣先から派遣労働者への申込みがみなされるというふうに至った場合については、いわゆる直接雇用になるわけでありますが、派遣で働く方に不利益がこれによって生じるわけではもちろんないわけでありますが、違法行為の結果直接雇用に結び付くのではなくて、円満な形で労働契約を締結することが本来は望ましいということを考えているわけでありますからこそ、私どもは、今回の法案で、派遣元によるキャリアアップ措置等を通じ、働く方の正社員としての雇用可能性、先ほど来申し上げておりますけれども、この雇用可能性を高めるということが極めて大事であり、また、派遣元による雇用安定措置派遣先による正社員募集情報提供義務等を通じて直接雇用の機会を増加させるなどの措置を盛り込んでおりまして、こうしたことを通じて派遣労働者の直接雇用化、正社員化推進していくことが筋ではないかというふうに考えているわけでございます。
  100. 小池晃

    ○小池晃君 みなし雇用で不利益にならないと認めました。これは利益なんですよ、明らかに。それを取り上げるわけですよ。  円満に正社員になれれば、そんなこと、法律要らないですよ。なれないから法律作ったんじゃないですか。そういう法律を自民党も公明党も賛成して作ったわけじゃないですか。  先ほどから議論になっているけれども正社員への道を開くなんてうそじゃないですか。正社員の道、本当に僅かながら正社員の道を、十月一日にはその道が開けようとしていたんですよ。それを閉ざそうというのが今度の法律じゃないですか。  大臣、やっぱり私は、自民党も公明党もこれ賛成したんですよ、賛成して作ったんですよ。それを今になって止めてしまうというのは、私は、政治家として大臣、これは国民に対する背信行為だと思いませんか。こんなことが許されると思うんですか、大臣。お答えいただきたい。
  101. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) さっき私から答弁申し上げたように、違法行為があって、それで直接雇用に結び付くというのがこのみなし制度でございます。  ですから、それはそれで、働く方にとって直接雇用に結び付くという意味においてはもちろん不利益ではないし、直接雇用に結び付く、同じ条件でということでありますが、しかし、もっと大事なことは、それはそれで私どもももちろん賛成をして二十四年にできた法律でありますけれども、しかし、本来、直接雇用正社員になるんだったらば、先ほど申し上げたように、雇用可能性というものを高めていく、そのためにはやっぱり能力を高めていくことが、言ってみれば正社員として、雇う側から見て、やはり自然に来てもらいたいと思っていただいた方が双方にとってそれは望ましいことだというふうに考えているわけでございますので、そのための今、派遣元派遣先の様々な義務を増やして、なおかつ全面的な許可制を導入する中で働く人たちの保護を図っていこうということを申し上げているわけでございます。
  102. 小池晃

    ○小池晃君 大臣、それはそれで結び付くんだというふうに認めているわけですよ。だったら、私、提案したい。  十月一日からやりませんか、これ。やってみたらいいじゃないですか。やって、直接雇用にすると。それで救われる人がいるということを大臣認めたんだから。  この法案は、私は直接雇用に全く結び付く中身じゃないと思いますよ。そこはあれだけれども、でも、じゃ、そういうふうにおっしゃるんだったら、十月一日に、九月三十日施行なんて言わずに、まずはやってみたらいいじゃないですか。どうですか。やりましょうよ、これ、自民党も公明党も賛成したんだから。みなし雇用制度を発動して、それによってどれだけの労働者が直接雇用になるのか、それを見届けようじゃないですか。その結果を見て改めて考えたらどうですか。  大臣、どうですか。答えてください。
  103. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) この附則九条のことは、これは経過措置の話であって、この施行前に既に契約をされた派遣の場合の当てはめのことを申し上げているわけであって、これ、みなし制度そのものは十月一日から施行されることになるわけでありまして、それは何も変わるところではないし、大勢の方々があたかもこのみなし制度自体を廃止するかのように受け止めておられる方がおられるかも分かりませんが、それは全く当てはまらないことで、このみなし制度そのものについては何ら変わらないわけでございます。
  104. 小池晃

    ○小池晃君 何も変わらないわけないでしょう。  私、資料を配っていますけれども、みなし雇用がなくならないのは分かっていますよ。しかし、期間制限は適用されなくなるわけですよ。みなし雇用になり得る労働者の中で圧倒的に多いのは期間制限なんですよ。だから、これをやろうじゃないかと言っているんです。  答えてください。経過措置云々の問題じゃないですよ。施行を九月三十日にしないで、それでみなし雇用制度を発動したらいいじゃないですか。期間制限によって救われる労働者がどれだけ出るのか、自民党も公明党も賛成したんだから、それをやったらいいじゃないですか。どうですか。
  105. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは、冒頭、福岡議員からの御質問にあったように、石橋先生からは御批判をいただきましたけれども考え方の言ってみれば違いというものが出ているので、私ども期間制限を廃止をするわけではないわけでございますので、それを分かりにくいと言われた二十四年の附帯決議にのっとってこれを組み直して、事業所単位と個人単位に業務単位の期間制限から転換をするということを言っているわけでございますので、このところについての考え方相違が今先生のお考えの中に含まれているんだろうというふうに思いますけれども、そこは私ども期間制限を廃止するわけではないというふうに申し上げているわけでございますので、そこのところは言ってみれば議論の焦点ということだというふうに思います。
  106. 小池晃

    ○小池晃君 全く矛盾した話をしていると思いますよ。何のためにこの法案を出したのかという話ですよ、これ、今の説明でいったら。  それから、盛んに、この改正が行われずに現行のまま十月に至る場合には、これを回避するために派遣の受入れを事前に停止し、雇い止めが生じる可能性がある、今日もおっしゃいました。もう十月一日目前ですよ。全国で雇い止めは起こっていますか、どうなんですか。もしあなた方が言うとおりだったら、もう雇い止めが全国で大量に発生しているわけですよ。そういうことになっているんですか。
  107. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 私どもが聞いている限りでは、今回の改正法案の施行日は労働契約申込みみなし制度の施行日より前に設定をされていることもあって、これ、御指摘のような雇い止めが全国的に生じているとは承知をしていないところでございます。
  108. 小池晃

    ○小池晃君 何言っているんですか。もう十月一日目前になっているわけでしょう。だから、説明、全然破綻しているんですよ。あなた方が言うとおりだったら、もう全国で雇い止めがぶわっと起こっていなきゃいけないじゃないですか。起こっていないじゃないですか。  結局、正社員にする、これもうそだった。みなし雇用制度を発動すると雇い止めが生じる、これもうそだった。何から何までうそで塗り固められた、そういう法案じゃないですか。  私は、こんなものを強行するなんてことは断じて許されないというふうに思いますよ。今朝の理事会だって何の提案もされていませんから、当然私は、今後もこの委員会は継続されるものだというふうに思っています。  次回定例日、引き続きこの問題、徹底的に議論する、そのことを申し上げて、私は質問を終わります。
  109. 行田邦子

    ○行田邦子君 行田邦子です。  まず大臣に伺いたいと思います。確認の質問なんですけれども、同一労働同一賃金について伺いたいと思います。  大臣は、これまで委員会答弁の中で同一労働同一賃金について、「同一労働同一賃金という考え方は大変重要であるので、そういうことを思い描きながら、やっぱりこれは乗り越えるべき問題をしっかりと議論していくことが大事だということを申し上げているところでございます。」と、このような答弁をされていまして、私は、同一労働同一賃金について、これまでの大臣の中で塩崎大臣は最も理解を示している大臣だというふうに思っています。  そこで大臣に伺いたいんですけれども大臣が大事だと思っている、重要だと思っている同一労働同一賃金、この同一労働同一賃金を考える場合、労働者が受け取る賃金ベースでの均等・均衡待遇ということでよろしいんでしょうか。
  110. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 最後の方がちょっと聞こえなかったので今確認をしましたが、同一労働同一賃金の実現のためには解決すべき課題が当然あるわけでありますけれども派遣労働者派遣先労働者との均等・均衡待遇検討する際には、派遣料金の額ではなくて、派遣労働者が受け取る賃金についての取組が求められるということでございます。
  111. 行田邦子

    ○行田邦子君 そうですよね。  そこで、同一労働同一賃金の手前の均衡待遇については、改正法案では三十条の三なんですけれども、この三十条の三、現行法の三十条の二なんですけれども、私は、労働者派遣法を改正するのであれば、この現行法の三十条の二こそ改正するべき、前進させるべきだったというふうに考えていまして、ところが、今回全く変わっていません。  そこで大臣に伺いたいんですけれども大臣御自身としては、現行法の三十条の二、均衡待遇確保についてなんですが、この条文で均衡待遇はしっかりと確保できると納得しているのか、それとも、今後改正の余地はあると思っているのか、改正するならばどういった点について調査や検討が必要だとお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。
  112. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 現行法の三十条の二は、均等待遇が重要な考え方の一つであることに鑑みて、派遣元事業主に対して、努力するにとどまらず、配慮の対象となった事項に具体的に取り組むことが求められる配慮義務を課すことで均衡待遇の実現を図ることとしておるわけでございます。  この規定は、派遣労働者均衡待遇の実現に一定の効果がこれまであったものと思っておりますが、一方で、一般派遣という働き方は、雇用と使用が分離していることから、雇用主である派遣元派遣先の同種の労働者賃金水準等の情報を入手しておらないで、均衡を考慮することが非常に難しいという場面がそこそこあったわけでございます。  このために、今回の改正で、派遣先から派遣元に対して賃金水準に関する情報を提供することとしておりまして、派遣労働者均衡待遇がより一層進むと考えているわけであります。  さらに、今後、改正法附則第二条第三項に基づいて、諸外国の状況等を把握する中で均衡待遇確保在り方について必要な検討を更に行ってまいらなければならないというふうに考えております。
  113. 行田邦子

    ○行田邦子君 いや、これで本当に均衡待遇が進むのかと。私は全く思っていません。三十条の二、これこそ改正すべきであったというふうに考えています。  次に、キャリアアップ推進について伺いたいと思います。  改正法案の三十条の二なんですけれども、私は、このキャリアアップ推進、段階的かつ体系的な教育訓練等なんですけれども、これは絵に描いた餅になりはしないかという視点で質問したいというふうに思っております。  まず部長に伺いたいと思います。  計画的な教育訓練の対象者についてなんですけれども派遣元事業主雇用する全ての派遣労働者が対象になっています。これは、例えば常用型のみとか一定期間以上の派遣労働見込みの者など、対象者をあえて制限しなかった理由についてお聞かせください。
  114. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 今回の改正法案キャリアアップ措置を盛り込みました趣旨でございますけれども、やはりそもそもの問題として、正規雇用と非正規雇用の二極化という中に職業能力の開発、形成の機会が違いがあるということがございますので、そういった観点から、キャリアアップを図ることができる環境を整備するということが重要ということが念頭にございます。  また、前回の二十四年の改正法の附帯決議におきましても、派遣元事業主派遣労働者に対する教育訓練の機会を確保しというような形での恒久的な仕組みについて検討を行うべしという附帯決議がなされているということで、いろいろ審議会も含めて御議論をいただいたということでございますが、今申し上げたような問題意識からしますと、常用型あるいは雇用期間の長い労働者に限らず、そういった方は比較的という部分もございますので、どちらかというと、むしろ登録型の方あるいは短期の派遣の方についてもやはりこういった課題ということがより重要であるということから、今回の改正案では、全ての派遣労働者に対してこういった計画的な教育訓練の実施ということを義務付けるということにしたということでございます。
  115. 行田邦子

    ○行田邦子君 今お答えいただいたとおりで、派遣元雇用する全ての派遣労働者が対象となるということは、その理由は分かりました。  それでは、部長に続けてお聞きしたいんですけれども派遣元にとって今後の雇用の見通しが立てにくい短期の登録型派遣労働者に対して、どのように段階的かつ体系的な教育訓練を施すことができるのか、具体的にお聞かせいただけますでしょうか。
  116. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 今委員の方からございましたとおり、長期的なという観点では短期あるいは登録型の方に対しての見通しというのは確かに立てにくいわけでございますけれども、やはり、それぞれの派遣元事業主で、業務であったり、その労働者に応じた形での工夫をしていただくということが必要だろうと考えております。  例えば、より安定的な仕事に従事するためにはどういったスキルを身に付けさせたらいいだろうかということの観点からは、やはりこういった短期登録型の方についても計画的な教育訓練ということを組み立てていただくということが必要かと思いますので、OAのスキルがないというような方について、基本的な部分も含めてですけれども、OAスキルというようなことをこういった登録型の方にも身に付けていただくというようなカリキュラムを組むとか、そういったやはり短期の方、登録型の方にも合ったような体系も含めての教育訓練ということをお願いするということになってこようかと思います。
  117. 行田邦子

    ○行田邦子君 それが理想的なんでしょうけれども、短期の登録型の派遣労働者に対して、本当にしっかりとした教育訓練、段階的かつ体系的な教育訓練派遣元がどのようにできるのか、ちょっと私はなかなかイメージがしにくいところでございます。  そして、質問を続けたいと思うんですけれども、部長にまた伺いたいと思いますけれども教育訓練についての調査結果を見てみますと、これは平成二十四年十二月実施の労働者派遣の実態に関するアンケート調査なんですけれども派遣元はどのような教育訓練取組を行っているかなんですが、派遣元派遣先に対し教育や研修を行ってもらうように働きかけているという回答が最も多いわけであります。そしてまた、派遣労働者に聞いたアンケートですと、派遣労働者にとっては能力やスキルの獲得方法として、派遣先でのOJTとの回答が四〇%ということです。  この調査結果からしても、私は、やはり結局は効果のある教育訓練というのは、実際の現場での労働を通じた経験であることが非常に多いというふうに思っております。  そこで伺いたいんですけれども派遣元が行う教育訓練、どのようなものを想定しているんでしょうか。
  118. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 派遣元義務付ける教育訓練でございますけれども、もちろん派遣で働く方のキャリアアップに資するものということで、先ほど申し上げましたように、派遣会社あるいは派遣で働く方の状況という様々な状況に応じてしっかり計画を立てて実施していただくということかと思っております。  具体的にということであえて例示的に申し上げると、例えば先ほど申し上げたような登録型、あるいはそういった有期の方ということであれば、やはり比較的短期にその能力が身に付く、ステップアップにつながるというような教育訓練ということが必要かと思いますので、経理アシスタントでの派遣ということになれば、基礎的な経理に関する知識ということを速やかに学習してもらうような研修ということになると思いますし、それから、無期の派遣で働く方ということであれば長期的な視野での教育訓練ということになりますので、将来のグループリーダーであったり、将来の、最新の技術を身に付けるための研修というようなことを見据えての教育訓練ということになってこようかと思います。  そういった中で、まさに委員、データも含めて御指摘されましたけれども、やはり実際の労働を通じた研修ということは確かに直截的に労働者にも身に付きやすいということでございますので、そういった意味ではOJTということも有効だと考えております。  ただ、やみくもにというわけには、やはり計画的な教育訓練ということでありますのでいきませんので、ここは、派遣元の方で、派遣事業者の方で派遣先としっかり調整をしていただいて、計画的に行われるというようなOJTであれば教育訓練のメニューとしてあり得るということかと思いますし、議員御指摘のとおり、そういったことは効果があるのかなと思いますので、そういったことについては、都道府県労働局等を通じて、そういったものの活用ということについては周知をしてまいりたいと考えます。
  119. 行田邦子

    ○行田邦子君 段階的かつ体系的な教育訓練、私は、これ条文に盛り込んだ、法律に盛り込んだということは、このこと自体は評価したいんですけれども、ただ、大臣に伺いたいと思います。  この三十条の二なんですけれども教育訓練義務付けというのが、私は、絵に描いた餅、形骸化してしまうのではないかというふうに危惧していますが、いかがでしょうか。
  120. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回の改正案では、事業の許可・更新要件にキャリア形成支援制度を有することを追加をするということになっておりまして、計画的な教育訓練の内容については、各派遣会社において教育訓練の計画を策定して、許可あるいは更新の申請時に労働局に出してもらうということになっています。  この計画が許可・更新要件を満たすか否かは派遣で働く方のキャリアアップに資するかどうかという観点から当然判断をするわけであって、段階的かつ体系的ではない計画を持ち込まれても、それは要件を満たさないということになるわけでございまして、各派遣会社においては、要件を満たした計画に従って計画的な教育訓練を実施していただくことになるわけでありますので、義務付けが形骸化するという御指摘は当たらないのではないかというふうに考えておりますし、また、計画的な教育訓練の実施状況については、毎年行政への事業報告事項にすることになっておりますし、実効性の担保を図らなければいけないと思っております。  なお、もっとも、私どもとしても、先ほど来申し上げているのは、これまでの、改正前の派遣法の中ではキャリアアップ措置というものは何もなかった、それを新たに有給、無償の教育訓練、そしてキャリア形成支援制度を有することを許可基準として導入をするということで、この義務化、許可基準化、これはやはり私どもとしては大きな一歩前進というふうに考えますし、その能力アップが雇用の安定化につながるというふうに考えているところでございます。
  121. 行田邦子

    ○行田邦子君 事業計画に記載するのは、これ全体的な事業の報告ですので、それだけでは個々の派遣労働者に対してどういう教育訓練をしたのかというのは分かりづらいと思いますし、また、管理台帳に取りあえず記載しておけばいいやというようなことになりはしないかということを私は危惧をしております。  まだまだ質問したいこと、この法案たくさんございます。今日は質問しませんけれども、私は、この法案の一番おかしいと思うところは、やはり期間制限在り方です。この期間制限在り方が個人単位そして事業所単位、これがどう考えても、派遣労働は臨時的、一時的なものとならないということを申し上げて、今日の質問は終わります。
  122. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  私も、この派遣法、長く議論をさせていただきまして、議論をすれば議論をするほど私自身も勉強になりまして、そしてますます疑問が深まってきているところでございます。  そこで、今日は管理台帳について質問させていただきたいと思います。  以前より石橋委員が何度かこのことについて取り上げていると思いますけれども、私も、この管理台帳、もう少ししっかりと管理をし、そして、これからの教育訓練在り方というものを考える際にこれ絶対に必要なものだというふうに考えております。  私も医師でございますので、医療の世界でいったら言わばカルテに当たるんですね。このカルテというものが、契約ごとに三年で切れていく、じゃ、疾患ごとに三年でそれを捨てていいのかということになると、これは継続的な治療にも、そして継続的な改善にも当たらないのではないかという問題意識を持っております。  では、最初に坂口部長にお伺いさせていただきます。  この派遣元派遣先の管理台帳を作成する理由ということを教えていただけますでしょうか。
  123. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) お答えいたします。  今委員の方からお尋ねのありました派遣元管理台帳と派遣先管理台帳でございますが、こちらの方は、派遣労働者の適正な雇用管理ということを行うようにするために、派遣労働者の就業の状況ということを把握できるようにしておくということが必要であることということが一点でございます。また、私ども行政の方でもその状況を把握できるようにしておくということが必要だということで、こういった点から、一定の事項についての記載をした上での保存をしていただくということを派遣会社派遣先の方に義務付けているというものでございます。
  124. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これは石橋委員からも、前々回でしたっけ、提案があったかと思うんですけれども、やはり派遣台帳というものは派遣契約ごとというものではなかなか、今回の教育訓練、そしてキャリアコンサルティングの派遣元義務付けたとしても、その経過が分かっていかないんじゃないか。私、すごくその言葉、納得をして、そのとおりだなと思ったんですけれども。  長期的なキャリアアップもそうです。私の分野でいうと、健康管理もそうです。個人ごとの台帳というものをしっかり作成して、長年の間それを追っていくような形に変えていくべきなのではないかと思いますが、大臣、御意見ございませんでしょうか。
  125. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 現在の法令では、一つの派遣契約を単位に、派遣元派遣先管理台帳は各派遣労働者ごとに記載することとなっております。  その保存は、派遣終了の日を起算日として三年間というふうになっているわけでありますが、労働者派遣派遣元派遣先との間の個別の派遣契約に基づいて行われるものでございますので、その個別の状況の管理も各契約ごとに行うことが適当であることから、派遣元派遣先管理台帳の作成、保存等については派遣契約単位というふうにしているものでございます。  一方で、先生指摘のように、また石橋議員からも御指摘があったように、長期的なキャリアアップの観点から、派遣で働く方の教育訓練等の情報を、一人一人に長期的な管理を行う必要性は十分理解をしているわけでございまして、何らかの方法で管理する仕組みについて検討をしてまいりたいということを申し上げているわけでございまして、健康管理面での情報については、また労働安全衛生法に基づき、労働者ごとに管理をしているところでございます。  そういうことも勘案しながら、どういう方法でいくのが長期的なキャリアアップの観点からの派遣で働く方の教育訓練等の情報をまとめていくことがふさわしいのかということを考えてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  126. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、部長、教えていただきたいんですけれども、これ、派遣台帳を個人ごとに変更するということは法改正は必要なんでしょうか。それとも施行規則を変更すればよろしいんでしょうか。
  127. 坂口卓

    政府参考人坂口卓君) 先ほど大臣の方からも御答弁させていただきましたけれども現行法令の仕組みでは、この派遣元管理台帳については、一つの派遣契約を単位に派遣労働者ごとに記載されるということとされていると。その保存につきましては、派遣の終了日を起算として三年間ということとされておるところでございます。  今申し上げたように、派遣労働者ごとに記載するということにされているんですけれども、恐らく委員の今の御議論というのは、台帳を労働契約と関連させて派遣労働者ごとに管理をするという御趣旨かと思っておりますが、そういった観点でいけば、今申し上げたように、現在は施行規則でその保存につきまして派遣の終了日を起算日として三年間ということにしておりますので、そういった意味では、保存の起算日を規定しております派遣法の施行規則というものを改正するということが必要になってくるということかと思います。
  128. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  大臣大臣がうんと言えばここで変えることもできる。法改正という難しい手続は取らなくても、こうやって個人ごとの長期的な管理をすべき事項というのが今回の法改正の中にたくさん含まれております。  大臣、どうでしょう、ここで、少し検討するという回答でも結構でございますけれども、しっかりと、施行規則を変えるだけでございますので、これからの検討事項の中で重点項目として入れていただけますでしょうか、お願いをいたします。
  129. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど答弁を申し上げたように、この二つの台帳は、派遣先派遣元の台帳は、個々の派遣契約に基づく労働者派遣についてその就業状況を把握するためのものだというのが元々の趣旨、目的でございます。したがって、労働契約とは関連付けているものではないということであるわけであります。  一方で、今回の改正では、無期雇用派遣労働者に対して長期的な観点からの教育訓練の実施を義務付けるなど、直接雇用する派遣会社雇用責任、これを強化をしているわけでありまして、これに伴って派遣会社において派遣労働者に対する情報をより長期間保存をし、そして雇用管理に役立てていくということが望ましいということで、これは今先生からも御指摘をいただいているわけでございまして、その旨を派遣元指針に規定をして、周知をしてまいりたいと思っております。  さらに、派遣労働者の過去の就業状況、教育訓練の受講状況などについては、派遣労働者のキャリア形成を図る上でこれも極めて重要な情報でございます。そして、今回の改正では事業の許可基準に新たにキャリア形成支援制度を有することを追加していることは何度も申し上げてきたところでございまして、こういったことを踏まえると、許可基準の一要素として、派遣労働者へのキャリアアップ措置に関する情報を中長期的に管理する体制を整備することを求めることを現在検討をしているわけでございますので、方向としては先生指摘のとおりの方向性で検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  130. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  先ほど行田委員からも心配がありましたように、やはり形骸化するようなものがあってはならない。だから、PDCAサイクルをいかに回していくかということを考えたり、どういう教育訓練、またどういうキャリアアップに結び付いていくかということを考えるためにも、十分これは検証する材料として大切なデータになってくるんです。  でなければ、私ども、参考人からいろいろ今回の質疑の中でも意見を聞いてまいりましたけれどもキャリアアップに資するような、そういった教育訓練を既に受けていらっしゃる方もいらっしゃいますし、いらっしゃらない方も、じゃ、自分のキャリアをどうやって形成していくんだというときに、どういう、一般事務であれば英会話にしたらいいのか何にしたらいいのかということさえも、実際に業界団体の皆様方もまだまだ手探りの中でやっていらっしゃるようなこともございます。  ですから、いいものはいい、いいものはいいんだったら、更に伸ばしていくためにも、こういった少しずつ仕組みを変えて、実績があるもの、長期的に観察できるものでエビデンスを蓄積していく、これは厚労省としてやらねばならないと私は考えておりますので、是非前向きに検討いただきたいと思います。  時間もございませんので、次に参ります。  私も以前から取り上げておりますように、やっぱり労働安全衛生上、一時的、臨時的雇用というものがどれだけ危険なものなのかということを少し提案をさせていただきたいと思います。  特に、有害であると言われて特殊健診というものを行われるような方々派遣労働者として働いていらっしゃるわけです。このような労働記録というものを今回のような台帳の記録の中にしっかりと必要事項として書き込むべきではないかと思うんですけれども大臣、いかがでございましょう。
  131. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ちょっと繰り返しになって恐縮ですけれども派遣元派遣先管理台帳は、派遣労働者の適正な雇用管理の観点から、派遣労働者の就業に関する情報を記載をさせているというのが法の趣旨だということは繰り返し申し上げてきているわけでありまして、一方で、今先生指摘の、特殊健康診断あるいは一定の有害業務に従事をされる働く方々の作業記録、これについては、働く方々の健康管理の観点から、検査結果や具体的な作業内容に関する情報を特殊健康診断結果個人票などに記載をしていただいているわけでございます。そういう形で管理をしているわけでありますが。    〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕  したがって、両者はそれぞれの観点からの別個に作成することが政策目的的にも適当と考えるべきかなというふうに考えておりまして、特殊健康診断等の記録について、派遣元管理台帳や派遣先管理台帳に記載を直接していくということを義務付けるということは必ずしも必要ではないのではないかというふうに考えておりまして、それぞれ管理がきちっとされていくということで、法の趣旨にのっとってそれぞれ行われるべきかなというふうに考えているところでございます。
  132. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  法律は違っても労働者は一人です。どういう環境で働いているからこそこういう疾患に結び付いたということがデータとしてつかめなければ、私も先日、原発の労働者の皆様方についての議論をさせていただいたと思いますけれども、どういう働き方をしたかが分からないから、今こういう障害があっても証明できないという方々がたくさん今生まれてきている現状です。  ですから、しっかりと、一時的、臨時的と考えるのであれば、だからこそ私は、管理台帳をなぜこれは作成するのか。雇用管理ですよね。雇用管理があって、そして雇用管理があった上に健康というものが成り立つわけですよね。ですから、しっかりとどういう働き方をしたのかということを、せめて特殊健診を受けて、将来的に様々な疾患が出るかもしれないということを、可能性が秘められた方に関しては管理をすべきだと考えております。  皆様方に資料一を準備をさせていただきました。  これは、健診を受けた後、どのくらい記録を残さなければならないかという年月です。長いものであれば四十年という年月、記録は残さないといけないんですけれども、しかし、どういう働き方をしたのかという台帳はもう既にそのときにないんです。であれば、こういう症状が出てしまった、でもそれを証明する労働の実態というものが把握できない、こんなことがあっては私はならないと思っております。    〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕  ですから、是非、派遣台帳の三年という年月も見直すべきではないか。やっぱり、こういうふうに長期的な視点で経過観察しなければならない方々にとって、三年というものが余りにも私、短過ぎるのではないかと思いますが、大臣、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
  133. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今先生指摘があったように、特殊健康診断の結果の保存につきましては、一定の有害業務に従事をする働く方々の長期的な健康管理のために、業務の内容等に応じて、今お配りをいただきましたけれども、五年から四十年の範囲で保存期間を設定されているわけでございます。  一方で、派遣元台帳及び派遣先台帳の保存については、繰り返し申し上げておりますけれども派遣労働者派遣就業の紛争の解決を図って、行政による監督の用に供するために、賃金台帳等の他の労働関係法令上の保存期間との均衡を考慮して、労働者派遣の終了の日から三年間としているわけであります。  このように、保存の目的が派遣元台帳等と特殊健康診断では異なっているということから、両者の保存期間を合わせることまでは必要ないのかなというふうに考えているところでございます。
  134. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 大臣、先ほども申しましたけれども、法と法の間にやはりこんな隙間があっては私、ならないと思います。  同じ方を、労働の契約の視点で見るのか、健康管理の視点で見るのか、これは一貫して見ていただかなければ、一時的、臨時的というふうに定義付けられるのであれば、しっかりと安全も守っていただきたい、健康も守っていただきたい、是非そこはお願いをしたいと思います。  時間が参りましたので、最後、お願いとさせていただきます。  資料二にお配りさせていただきましたけれども派遣先責任者講習というものがようやく始まりました。コンプライアンスの面でもいろいろ派遣先の問題というのは今までも議論されたところでございますので、更にこの事業を進めて、派遣先にも是非義務付けるような形で講習を行っていただきたいと思っております。  以上、時間が参りましたので、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  135. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  派遣労働者の当事者の声をどう聞いていらっしゃるのか、まずお聞きをいたします。  塩崎大臣は、本法案提出前後に二回、派遣労働者からのヒアリングを行ったとされています。どういう中身だったんでしょうか。それをどう受け止められたか、教えてください。
  136. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今お話しいただいたように、この法案提出前後に二回、ヒアリングを大臣室で行いました。  それぞれ派遣で働いていらっしゃる方々について、どういうことでお困りになっているのかということを中心にお話を聞こうということでお話を聞かせていただいたわけでありますので、まず派遣で働く方に、積極的に派遣を選んでいらっしゃる方、それから、正社員になりたいがやむを得ず派遣で従事をしておられる方、両方の方々がおられました。年齢を理由に派遣元から紹介を受けられなくなったなどのお話も伺ったわけでございますし、それから、このヒアリングは非公開で行ったので、細かいことはともかく、あくまで派遣労働者の実情を把握するために行ったものでございます。  違法派遣の根絶に力を尽くすことは、当然のことながら私ども厚生労働行政の重要な使命であるというふうに考えましたし、具体的な違法事案を把握した場合には、都道府県労働局が派遣元派遣先に対して指導監督等を実施し、行政処分等の厳しい対応を行っているわけでありまして、これらを通じて、今後とも違法派遣の根絶に尽力してまいりたいと思っております。  いずれにしても、ヒアリングをさせていただいて、お話を、実態を聞かせていただいた中で、いろいろ問題があるという御指摘と、今の自分のライフステージでは派遣という働き方でいくのが今の働き方としては選択をすべき道だという方と、それから、あとは、自分の能力を生かしながら派遣で十分活躍をされているということを感じさせるお話も頂戴をしたところでございます。
  137. 福島みずほ

    福島みずほ君 反対であるという二名の方の、私は書面でいただきましたが、これは、例えば産休正社員の一時的穴埋めのために紹介予定派遣を悪用した事例や年齢差別の報告や、ひどい実態ですよね。  大臣、短く答えていただきたいんですが、衆参で当事者の方が、衆議院では廣瀬明美さん、参議院では宇山洋美さんが切実な訴えをされました。これをどう受け止められましたか。
  138. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 私もそういう報告はもちろん聞いているわけでございますが、それは直接お会いをしてお話を聞いた方の抱えておられた問題とも共通するところがあって、今回、私ども教育訓練キャリアアップ義務化するということでありますけれども、全くそういうことを受けていないというお話も聞きましたし、かなり働いている方の立場を無視した派遣の実態というものもあるということを参考人のお話の中からも感じ取ったところでございます。
  139. 福島みずほ

    福島みずほ君 当事者、参考人二人は大反対なんですよ。  派遣労働者の声を聴いてくださいというので陳情を昨日受けられたと思いますが、当事者有志、日本労働弁護団有志、女性と若者が多く働く派遣就労の環境をますます悪化させる法案を廃案にすることを求めます、この法案が首切り合法化法案、若年定年制法案、マタハラ合法化法案、細切れ雇用強制法案、労働組合解体法案であるために即時廃案を要請します、一、十月一日施行の労働契約申込みみなし制度を形骸化しないでください、二、産休、育休がますます取得しづらくなる改正はやめてください、三、派遣労働者のみならず国民に対しての法改正の周知期間がないため混乱を来します。  この声を、当事者の声をどう聞いていらっしゃいますか。
  140. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、福島先生から御指摘をいただいた派遣労働者の声を聴いてくださいという御要望を私の事務所の方に、議員会館の方にいただきました。それとともに、当事者の皆様方の手記というのも頂戴をいたしました。まだいただいたばかりなので中は全部は読めておりませんけれども、現場で御苦労をされている方々のお声を聞かせていただいているというふうに理解をしているわけでございまして、三点の要望を今お読み上げをいただきましたけれども、それぞれ重要な論点で、この委員会でも議論が重ねられている論点でもございますので、これらの問題点を指摘をしていただいて、しっかりと審議をせいということだというふうに思います。  みなし制度の形骸化の問題、今日もかなりお話をいただいて、御議論をさせていただきました。産休、育休の問題については、これも何度か御議論をこの場でいただいて、実際、不十分さを私どもも十分認識をしているわけでございますので、どこまで改善をできるか、これを考えていかなきゃいけないということだと思いますし、それから、周知期間の問題については、先ほど来私ども答弁しているように、できる限りのことをさせていただいて、今までの派遣法に比べて格段にこれは義務を増やし、直接雇用する派遣元義務を中心に、派遣先にも義務を今まで以上に課すことによって、働く方々の保護が図られるように、ステップアップができるようにしようということでございますので、御理解を賜れれば有り難いなというふうに思うところでございます。
  141. 福島みずほ

    福島みずほ君 当事者は、よくこの法案のことを分かっていて反対なんですよ。歓迎されていない法案です。声をこれから精査して読むということであれば、十分時間を取ってくださいよ。  今日は九月八日です。この法案の施行日は九月一日です。私たちは、今の時点で修正案も改正案も一切受け取っていません。九月一日施行の法案を九月八日議論するなんてあり得ないですよ。こんな法案、廃案にするしかありません。  そして、みなし雇用制度ですが、厚生労働省の役人に九月三十日施行はやめてください、十月越えてもいいじゃないかと言ったら、大変なことになるというふうに私は言われました。  大臣、みなし雇用制度労働者権利じゃないですか。労働者のためになることをやることがなぜ大変なんですか。
  142. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは何度もお答え申し上げ、また今日も何度か申し上げましたけれども平成二十四年の法改正によって設けられた労働契約申込みみなし制度というのは、派遣受入れ期間の制限に反するなどの一定の違反行為に対して、労働者の保護を図りつつ、派遣先に民事的なペナルティーを科すという効果を持っているわけでございまして、違法行為を抑止することを目的としている仕組みでございます。本年十月からの施行が予定をされているわけであります。  他方で、現行制度では、いわゆる二十六業務について派遣受入れ期間の対象から除外をしているわけでありますけれども、もうこれは何度も言っていますけれども専門性が時代とともに変化する、あるいは対象業務に該当するかどうか分かりにくい、これは二十四年の附帯決議にも入っているわけでありますけれども、こういう課題があって、このために私どもは、改正案では、現行の期間制限を廃止をして、全ての業務に適用される分かりやすい仕組みを設けるということにしているわけでございます。  これは、今回の改正案では、平成二十四年の法改正により設けられたみなし制度について、期間制限違反に適用するという仕組みを変更しておりませんで、また、予定どおり十月一日から施行をするということになっています。何らそこは変更がないわけであります。  それから、派遣労働者権利を剥奪するといった御指摘は当たらないと思いますけれども、みなし制度については、労働者の保護を図りつつ、違法派遣の是正を図る上で必要な仕組みだということを今日も繰り返し申し上げてきているところでございます。
  143. 福島みずほ

    福島みずほ君 とんでもない答弁ですよ。派遣労働者が期待したみなし雇用制度を適用させないために九月三十日にやるんですよ。邪道中の邪道じゃないですか。  質問したい。  厚生労働省労働者の味方ですか。
  144. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 当然、働く人たちの権利保護をし、できる限り働きやすい環境を整えていくということが厚生労働省の使命であることは間違いないというふうに思います。
  145. 福島みずほ

    福島みずほ君 派遣労働者が歓迎をしていない、みなし雇用制度をとにかく一件でも適用させないために死に物狂いで九月三十日やろうとしている、見苦しいですよ。誰の立場に立っているのか。労働者の立場に立っていないことだけは明確ですよ。  一体誰が九月三十日とやっているんですか。厚労省ですか。与党ですか。自民党ですか。派遣会社ですか。誰が首謀者なんですか。
  146. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは福岡議員が最初に指摘したとおり、いろいろな考え方が私はあって、だからこそ審議が必要なわけでありまして、審議をしているわけでありますが。  何度も申し上げますけれども、直接雇用をする結果となるこのみなし制度は、結果としてもちろん直接雇用になるという意味において、働く人たちにとって有効な手であるわけではありますけれども、問題は、違法行為があって直接雇用正社員になる、まあ正社員になるかどうかは別にして、今までの条件と同じであれば、すぐ正社員というわけには多分いかないんでしょう。  いずれにしても、しかし直接雇用になるというのが、原因が、違法行為が起きたということでその派遣先で直接雇用をされることは、もちろん結果としていいですけれども、本当にそれが働く人の将来を考えた上でやっていることかどうかということを考えてみると、私たちは、何度も申し上げているように、今回初めて法定をした義務として教育訓練あるいはキャリアアップのためのキャリア形成支援制度許可基準に入れ込んで、そういうことをやらない、私がヒアリングでいろいろ聞かせていただいた、派遣で働く方々が何の研修も受けていないという話を聞きましたが、まさにそういうことは許されないというものを派遣元にこれは義務として求めていくわけでありますので、そうすれば、私は、正社員雇用可能性をどうやって高めていくのかと。  これはやはり採用する方がちゃんと採用してもらわなきゃいけないので、違法だから採用するよりは、採用したいから採用してもらった方が全然働く方にとってはプラスになるわけでありますので、長い目で見て働く人のことを考えるということが大事だというふうに思います。
  147. 福島みずほ

    福島みずほ君 信じられないですよ。とんでもない答弁ですよ。みなし雇用制度よりは、長いキャリアアップをしていつかやるかもしれない方がまともだという、とんでもない答弁ですよ。塩崎さん、とんでもない答弁ですよ。みなし雇用制度は、当事者が正社員になる唯一のというか、権利なんですよ。  この派遣法の改悪法案は、正社員の道を権利として保障していません。均等待遇均衡待遇についても、これはきちっと保障されていないですよ。何もないんですよ、待遇改善。一生派遣のまま働かせることができる、しかも更新を拒絶すれば若年定年制的に働くんですよ。七五%の派遣労働者の女性たち、本当に反対していますよ、働き続けられなくなるかもしれない。それで女性の活躍なんて、ちゃんちゃらおかしいですよ。非正規雇用を増やすことが問題であって、非正規雇用をいかに減らして正社員を増やしていくかというふうに政治は努力すべきなのに、全く逆行しているじゃないですか。  今日、朝、私は理事会で、今日採決はありますかと聞いたら、誰も何も答えませんでした。議論しなくちゃいけないし、三十日施行なんてあり得ないですよね。ないですよね、ないですよね、ないですよね。採決やれるような状況ではありません。こんな労働者に背を向けた派遣法の改悪法案、採決はあり得ないですよ。  厚生労働省労働者の味方をしなくてどうする。さっき労働者の味方と言ったけれども、そんなのうそですよ。労働者を踏みにじる法案を絶対に成立させてはなりません。採決などあり得ない。審議を尽くし、しかしもうこれは廃案、廃案しかないということを申し上げ、私の質問を終わります。採決はあり得ません。
  148. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 羽生田俊君。
  149. 羽生田俊

    ○羽生田俊君 私は、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案及び労働者職務に応じた待遇確保等のための……(発言する者多く、議場騒然)
  150. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 暫時休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後三時二十九分開会
  151. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案及び労働者職務に応じた待遇確保等のための施策推進に関する法律案を議題といたします。  他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案の修正について大沼君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大沼みずほ君。
  152. 大沼みずほ

    大沼みずほ君 私は、ただいま議題となっております労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党及び公明党を代表して、修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  これよりその趣旨について御説明申し上げます。  今回の法律案により新設される雇用安定措置については、派遣労働者雇用の維持を図る観点から非常に重要なものであります。法案審議過程においても、より一層の履行確保が求められていることを踏まえ、手続規定の整備による派遣会社意識向上、都道府県労働局による実効性ある指導の実施等の観点から有益であると考えられる仕組みを設けることが重要です。  また、今回の法律案により、派遣先における常用代替を防止するための仕組みとして事業所単位の期間制限が設けられますが、これをより実効性あるものとするため、派遣可能期間の延長に際して派遣先に求められる過半数労働組合等の意見の聴取や、過半数労働組合等から異議があった場合の対応方針の説明等の手続が、確実、適切に行われることが必要です。  また、平成二十七年十月一日からは労働契約申込みみなし制度が施行されることとされておりますが、労働者保護の観点から、当該制度の対象となるか否かを派遣労働者本人が知ることができる仕組みを設けることが必要です。  このような観点から、本修正案を提出いたしました。  修正の要旨は、次のとおりであります。  第一に、派遣元管理台帳の記載事項に、第三十条の規定により講じた措置を追加するものであります。  第二に、派遣先は、派遣可能期間を延長しようとする場合の過半数労働組合等の意見の聴取及び過半数労働組合等が異議を述べた場合の当該過半数労働組合等に対する派遣可能期間の延長の理由等の説明を行うに当たっては、この法律趣旨にのっとり、誠実にこれらを行うように努めなければならないものとするものであります。  第三に、派遣元事業主は、派遣労働者に対し就業条件等の明示をするに当たっては、派遣先派遣先の事業所ごとの派遣期間の制限又は同一の派遣労働者に係る組織単位ごとの派遣期間の制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けた場合には労働契約の申込みをしたものとみなされることとなる旨を併せて明示しなければならないものとするものであります。  第四に、この法律の施行期日を平成二十七年九月一日から平成二十七年九月三十日に改めるものであります。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上です。
  153. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) これより両案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  154. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案並びにその修正案、そして労働者職務に応じた待遇確保等のための施策推進に関する法律案に関し、いずれも反対の立場から討論を行います。  本改正案は、派遣労働者雇用の安定や処遇改善にはつながらず、生涯派遣で低賃金という状態を拡大させるものであり、我が国の雇用在り方を大きく劣化させるものであります。  以下、改正案の具体的な問題点を申し上げます。  第一に、安倍総理以下政府は、今回の改正案正社員希望する派遣労働者その道を開くものであるとしておりますが、その根拠を見ていけば、雇用安定措置により派遣先への直接雇用の依頼をさせるとしつつ、派遣元事業主は電話で依頼するだけでよいし、派遣先正社員として採用する必要はありません。  また、個人単位の期間制限によって、三年に一度派遣労働者が自身のキャリアを見詰め直す機会とするといいますが、見詰め直した結果として正社員になりたいと考えても、そのための有効な手段は用意されてありません。  さらに、教育訓練等のキャリアアップ措置派遣元事業主義務付けるとしていますが、正社員化のための教育訓練の実施は人材派遣会社にとっては何らインセンティブもなく、実効性はありません。いまだ教育訓練の具体的な内容すらも明らかにされておりません。条文上どこにも正社員になれるという保証はなく、そもそも目指すべき正社員の定義さえ、その言葉さえ明らかにされていないじゃありませんか。  第二に、期間制限の見直しについてであります。  本改正案が業務単位の期間制限を廃止することは、労働者派遣法が制定当時から専門的な業務にのみ派遣労働を認めてきたこと、業務を原則自由化した後も専門的な業務についてのみ期間制限の例外としてきたことといった、これまでの労働者派遣制度在り方を根本から覆すものであります。  改正案によれば、派遣先企業は、専門性のない業務を含むあらゆる業務について、人を入れ替えつつ派遣労働を永続的に利用することが可能となるのです。これは、常用代替の防止や派遣労働が臨時的、一時的なものであるという原則を完全に無視し、派遣労働を無制限に拡大させるものであります。  また、労働政策審議会では、労働者代表も使用者代表も専門二十六業務の廃止を求めていなかったにもかかわらず、それを厚生労働省が推し進めました。これは、今回の改正案が人材派遣会社の意向を最優先にして作られたことの証拠であります。労働者を守るべき任務を負う厚生労働省業界団体のために法改正を行うなど、魂を捨ててしまったものと断じざるを得ません。  第三に、政府派遣労働者雇用の安定のための要とする雇用安定措置についてであります。  派遣先への直接雇用の依頼、派遣元での派遣労働者以外での無期雇用実効性がないことや、派遣元の本来業務である新たな派遣先の提供が含まれているなど、雇用安定措置に期待が持てないのは明らかです。  さらに、政府は、雇用安定措置義務違反に対して、許可の取消しも含め厳しく指導することで派遣元事業主の履行を確保すると言っていますが、そもそも、施行日の直前に至っても、当委員会審議の中で雇用安定措置義務の始め、終わり、対象派遣労働者といった基本的事項についてすら答弁が錯綜する始末であります。このような状態で、厚生労働省が本気で雇用安定措置の履行を徹底させようと考えていると誰が信じるでありましょうか。  第四に、派遣労働者処遇については、均衡を考慮した際に配慮した内容に関する説明義務の追加など小手先の改正にすぎず、派遣労働者の根本的な待遇改善策は講じられておりません。そもそも、現行の労働者派遣法においても禁止されている事前面接が、実際にはそれに似たようなことが横行しているなど、そもそも今の派遣法を、きちっとまずは法律を施行することから始めるのが当たり前じゃありませんか。  また、修正案については、国会審議を踏まえ、今まで申し上げた政府案の根本的な欠陥を直すものではありません。さらに、施行日を九月三十日とすることは、翌日から施行される労働契約申込みみなし制度を骨抜きにしたいという目的が露骨に現れており、みなし制度に対する派遣労働者の期待を完全に裏切るものであり、到底賛成できません。  真に労働者保護のための制度改正を行うのであれば、十月一日に施行される労働契約申込みみなし制度によって、まずは派遣先の都合のよいように使われている違法派遣の状態を解消して、その後、制度改正について議論するべきであります。このような手順を踏まずに、違法状態を法改正によって無理やり合法に変えてしまうような手段は断じて許されるものではありません。  なお、いわゆる同一労働同一賃金法案については、衆議院での修正の結果、派遣労働者への適用規定が均等ではなく均衡待遇でも了とされたこと、立法による措置が担保されていなくなったこと、かつ一年以内ではなく三年以内と大きく後退してしまったことなどから、法案の実質的な意義が失われてしまったため、反対であります。  今回の法案は、派遣会社による派遣会社のための法案であり、こんな法案、絶対に通すわけにはいきません。  本改正案は、昨年二度の廃案に追い込まれております。今回も再度廃案にすることこそが派遣労働者の保護につながる道であることを強く申し述べ、私の反対討論といたします。
  155. 川田龍平

    ○川田龍平君 私は、維新の党を代表して、労働者派遣法改正案の修正案及び原案に反対の立場から、労働者職務に応じた待遇確保等のための施策推進に関する法律案、いわゆる同一労働同一賃金法案に賛成の立場から討論を行います。  衆議院における修正内容は、我が党にとって完全に満足のいく内容ではありませんが、派遣労働者待遇について均等の文言が初めて入ることもあり、改革を一歩でも進めるために、同一労働同一賃金法案については賛成するものです。  しかしながら、この派遣労働者改正案の本来の趣旨である常用代替の防止とならないばかりか、派遣労働の濫用につながりかねないなど、本改正案が抱える問題点や矛盾がこれまでの審議の中で次々と明らかになりました。  中でも、業務単位の期間制限を撤廃する期間制限の見直しについては、個人単位の期間制限によって、二十六業務の派遣労働者はその業務の専門性などの実態を考慮されることなく、一律に三年で職場から去らなければいけないこととなります。このことは、今現在、二十六業務で比較的高賃金で長期間安定して働いている方々雇用を不安定にさせるだけでなく、例えば添乗員などの、独自の労働市場を形成しており、派遣法制定当時から期間制限は必要ないとされてきた業界にも大きな影響を生じさせる極めて乱暴かつ強引な変更です。  二十六業務一つ一つの多様な実態把握が不十分なまま、派遣労働者の声を聞いていないなど、これまでの施策の政策効果、検証が不十分です。現場で働く方々に対して、改正の趣旨について、これまでの政府説明理解を得ることができるとは到底思えません。  また、均等待遇や同一労働同一賃金といった派遣労働者待遇改善が今回の改正によって全く進まないことも改正案の大きな問題点です。改正案に対しては、派遣社員七割近く反対という調査結果も出ました。改正の内容が現場のニーズとそごを来していることは明らかです。  今回の改正案は廃案とし、現場の実態を踏まえた労働者派遣制度の改正について再度検討することが必要です。  なお、自由民主党及び公明党提出の修正案についても、議論で明らかとなった改正案の問題点や矛盾点を解消するものではなく、賛成できません。とりわけ、修正された施行までの日数が極めて短いことは、周知徹底が間に合わずに、現場の混乱が予想されます。施行日以外の修正についても、明確な修正ではなく、分かりにくく、提示も、午前中の審議の前の理事会でも示されず、議論もせずに衆議院に送ることはできません。  今日の法案の終局、採決に当たっては、事前に申入れもなく、委員会運営に筆頭理事間の調整がうまくいかなかったことは両筆頭理事に猛省を促します。  以上で労働者派遣法改正案に反対の討論を終わります。ありがとうございました。
  156. 小池晃

    ○小池晃君 私は、労働者派遣法の一部を改正する法律案について、本日、こうして乱暴に採決されようとしていることに強く抗議し、断固として反対する立場から討論を行います。  本法案は、昨年二度も廃案になった上、衆議院では、自公両党が採決を強行して参議院に送り付けてきたものであります。本院の審議では、次々に法案の矛盾を指摘され、頻繁に審議が中断し、九月一日の施行日を過ぎ、会期末が迫った現在も、新たな問題、疑問が噴出しているのです。この経過だけでも、この法案には重大な問題があり、撤回し、廃案にすべきものだと言わねばなりません。  反対する最大の理由は、一九八五年の労働者派遣法成立以来三十年間、職業安定法四十四条で禁止された労務供給事業の例外として、臨時的、一時的業務に限る、常用雇用の代替としないとしてきた派遣労働の大原則を投げ捨て、その制度的保障だった業務ごとの期間制限をなくし、労働者派遣を切れ目なく受入れ可能としていることであります。  本法案は、派遣元で無期の雇用契約を結んだ派遣労働者期間制限の対象から外してしまいました。有期契約の派遣労働者については、事業所単位の受入れ期間を三年としていますが、過半数労働組合等からの意見聴取だけで際限なく延長できる仕組みです。個人単位で見ても、有期雇用派遣労働者は、三年を上限としつつ、課を変えれば使い続けられるため、いつでもどこでもいつまでも派遣先企業が派遣労働者を使い続けることが可能にする制度につくり変えるものであります。  一方で、曲がりなりにも派遣先に課せられてきた直接雇用義務はほとんど消滅します。派遣期間抵触日を超えた場合の労働契約申込義務、専門二十六業務で、同一事業所三年以上従事した場合の優先雇用申込義務を削除するなど、派遣先を縛る規定をなくし、雇用責任を免罪するものとなっています。みなし雇用制度を残してはいますが、本改定によってほとんど適用されなくなります。この改悪によって常用代替が劇的に進むことは明らかであり、断じて認めることはできません。  政府は、正社員希望する者にはその道を開くとして雇用安定措置があると繰り返しますが、実際には派遣元から派遣先への要請にすぎず、しかもそれすら義務でなく、正社員になれる保証など全くありません。キャリアアップ措置にも何ら実効性がないことは、質疑を通して明白となりました。  以上のように、本法案は、正社員になりたい、労働条件改善と安定雇用をと望む派遣労働者の切実な声を踏みにじる大改悪にほかならないのであります。  反対理由の第二は、均等待遇の担保がどこにもないことです。  法案均衡処遇確保措置も、年収三百万が八六%を占めるという低賃金で、賃金格差も正社員の七割から八割にすぎない派遣労働者の現状に対し、派遣元均衡処遇を考慮した内容の説明義務を課し、派遣先には、同種の業務に従事する派遣先労働者賃金情報提供教育訓練福利厚生施設の利用に関する配慮義務を課すのみで、世界では当たり前の均等待遇原則実現には程遠く、派遣先労働者との格差を固定化するものにほかなりません。  反対理由の第三は、十月一日のみなし雇用制度の施行の一日でも前に何が何でも成立させようとしていることであります。  この法案派遣労働者を保護する法案ではない、それを何よりも物語るのがこの問題ではないでしょうか。しかも、法案の附則九条の経過措置の「従前の例による。」の解釈をねじ曲げ、既に派遣契約を結んだ労働者に、みなし雇用制度の対象となるべき専門業務偽装などの期間制限違反があっても適用しないとされたことであります。既に三年前に確立した法律を前提として契約した派遣労働者権利を施行日一日前の新法成立を理由に奪うもので、極めて重大です。  そして、本日、突然与党から提案された九月三十日という施行日修正では、円滑な施行など到底できません。仮に成立しても、労働者派遣の仕組みを大転換することから、四十一項目以上の省令、指針を労働政策審議会で検討し、それに基づき、派遣元派遣先派遣労働者への周知徹底期間は十日余りしかないという乱暴極まりない日程であり、大混乱を招くという無理を承知の法案を成立させることは、立法府として重大な禍根を残すものであります。  その他の内容修正も一時間ほど前に突然示されたばかりで、まともな検討すらできません。これでは立法府としての責任放棄になってしまいます。これは、法案への賛否を超えて国会が問われている問題だと私は思います。  そもそも、与党が内容上の修正を求めるという異例な事態は、法案の根本的欠陥を示すものにほかならない、このことを申し上げたいと思います。  以上、余りにも理不尽、これほどあからさまに労働者権利を踏みにじり、企業側の要求にべったりと応える法案を私は見たことがありません。正社員化希望する方にはその道を開き、派遣を選択する方には処遇改善を図るというのであれば、本法案は廃案としてきっぱり出直すべきであります。  本法案は、どこを取っても矛盾、欠陥だらけであり、正社員、直接雇用が原則という日本のあるべき働き方を間接雇用が常態化する社会へ大転換していく改悪法案であります。廃案にするほかない、このことを再度強く訴えて、反対討論といたします。
  157. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  私は、この法案に関して、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案と修正案に断固反対、労働者職務に応じた待遇確保等のための施策推進に関する法律案に反対の立場から討論を行います。  重大欠陥のあるこれらの法案は、きっぱり廃案にすべきです。手続的な問題と中身の問題と、二つ分けて申し上げます。  まず初めに、手続の面から申し上げます。  今日、採決ということに強く抗議をいたします。午前中に、理事会で全く提案のなかった終局の動議がなされ、それも休憩になって止まりました。しかし、その後、採決を今日やる必要が本当にあるのでしょうか。修正案が私たちに示され理事会で議論になったのは、つい一時間ほど前からです。しかも、その四点の中身については、先週、与党の筆頭が説明した中身よりかなり後退し、私たちはこの中身の検証がなかなかできません。  この参議院厚生労働委員会で、修正案のきちっとした趣旨説明とそれについての討論を一切行わずに採決をすることは、参議院の恥だと思います。突然このような修正案を出し、とにかく何が何でも今日委員会で可決しようとすることに強く抗議をいたします。  もう一つの理由は、何が何でも九月三十日に施行日を変えるということです。  今日まで一切の修正案は出ておりませんでした。九月一日が施行の法案を、九月八日までそのまま放置して議論してきたことそのものも問題だと思います。なぜ九月三十日施行なんでしょうか。それは、十月一日に施行予定の、みんなが三年以上待望してきたみなし雇用制度、直接派遣先雇用される民事効を発生させる制度を何が何でも、何が何でも、何が何でも適用させないという厚労省と派遣会社と経済界、派遣先の利害でしかありません。  厚生労働大臣に今日私は、厚生労働省労働者の味方ですかと聞きました。大臣労働者の味方である旨答弁したと思いますが、私はそうは思いません。こんな法案を、どんなことがあってもみなし雇用がされる労働者を一人も出さないために、無理を承知で、立て付けにおいて無理であり、動機において不純である、労働者権利を踏みにじる、労働者権利性を認めない、こんな法案を九月三十日施行で強行しようとする厚生労働省労働者の味方ではない、そう思います。  そして、中身について申し上げます。  この法案は、常用代替防止をかなぐり捨てるものです。曲がりなりにも派遣法は常用代替防止という建前でやってきましたが、二十六業種も撤廃し、業種の制限を一切なくしてしまいます。八五年の成立から、十三、十四、二十六と専門業種を拡大してきた、そして今回撤廃する、こんな労働法制規制緩和は許すことはできません。  そして二つ目は、生涯派遣という道になるからです。  課を変えればずっと派遣のまま働かせ続けることができる、派遣先で人を変えればずっとそのまま働かせることができるという法案です。一生派遣のまま働かせることができる。しかも、しかも途中で派遣の更新を拒絶すれば、若年定年制、その事態が起きます。労働者にとって何の益もありません。  大臣も、そして総理大臣も、繰り返し、正社員の道を開き均等待遇を実現すると言いましたが、これほど労働者を愚弄した言葉はありません。条文のどこに、正社員の道を権利として効果を出すものがあるんでしょうか。雇用安定措置は、いずれも、希望であったり、あるいは派遣先に言うというだけであって、何の法的効果もありません。この労働者派遣法改悪法案は、正社員の道を閉ざし、そして生涯派遣にし、そして、場合によっては幾らでも派遣切りを行うことができる大改悪法であります。  均等待遇についても、労働者の意思を全く生かしているものではありません。均等待遇については、配慮であったり考慮であったり、そのレベルにとどまって、それが実現するものとは程遠い中身になっております。  この法案が仮に成立をすれば、七五%を占める女性、とりわけ若い人たちは派遣労働者に押し込められるでしょう。そして、均等待遇の実現もなく、様々な保障もなく、本当に劣化した労働条件の中で生きざるを得ないことが考えられます。  私たち国会議員は、雇用強化雇用の保障や雇用の安定にこそ努力すべきであり、雇用の破壊と雇用の劣化に手を貸してはならない、そう思っています。  今日、採決の局面を迎えて、実に無念です。九月一日施行の法案がなぜ九月三十日で無理やりやれるんでしょうか。四十一項目の政省令をこれから労政審で強行して突破して、どんな意味があるんでしょうか。パブリックコメントや説明会や周知は極めて不十分です。  人が働くということは、その人にとって極めて大事なことです。雇用をこんな形で法律を成立させてはならない、是非、与党の議員にもお願いをいたします。  この法案が絶対に将来禍根を生む、そう確信をしています。断固反対、手続上も全くおかしい、労働省は原点に戻れ、そう申し上げ、私の反対討論といたします。
  158. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、大沼君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  159. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 多数と認めます。よって、大沼君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  160. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、津田君から発言を求められておりますので、これを許します。津田弥太郎君。
  161. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私は、ただいま可決されました労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党、日本を元気にする会・無所属会及び無所属クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一、労働者派遣法の原則について   1 派遣就業は臨時的・一時的なものであるべきとの基本原則については本法施行後も変わらないことに十分留意し、かつ、派遣労働が企業にとって単純な労働コストの削減や雇用責任の回避のために利用されてはならないことを再確認し、労働者派遣法の規定の運用に当たること。また、労働者派遣法の根本原則である常用代替の防止は、派遣労働者が現に派遣先で就労している常用雇用労働者を代替することを防止するだけでなく、派遣先の常用雇用労働者雇用の機会が不当に狭められることを防止することを含むものであり、このことに十分留意し、労働者派遣法の規定の運用に当たること。特に、派遣先派遣労働者を受け入れたことによりその雇用する労働者を解雇することは常用代替そのものであり、派遣労働の利用の在り方として適当でない旨を周知すること。   2 直接雇用が労働政策上の原則であることに鑑み、正社員として働くことを希望している派遣労働者正社員化の機会が与えられるよう、派遣元事業主派遣先のそれぞれに派遣労働者正社員化に向けた取組を講じさせることや、国として派遣労働者正社員化を促進する取組を支援する具体的措置を実施することなどを含め最大限努力すること。その際、派遣労働者からの転換を目指すべき正社員とは、労働契約の期間の定めがなく、所定労働時間がフルタイムであり、直接雇用労働者であることが原則であること、加えて、長期的な雇用に基づく処遇体系の下にある労働者であることが求められることに留意すること。また、短時間労働者、有期雇用労働者等の非正規雇用労働者についても、労働者の意向に沿って、正社員化の機会が与えられるよう最大限努力すること。  二、労働者派遣事業について   1 特定労働者派遣事業一般労働者派遣事業との区分を撤廃し、全ての労働者派遣事業許可制とするに当たっては、派遣業界全体の健全化、派遣労働者実効性ある保護につながるような許可基準に見直すこと。派遣労働者の基本的権利労働者としての尊厳、更には正当な労働の対価の支払や雇用の安定を無視して利益確保に走るような派遣元事業主業界から排除されるよう許可制を適切かつ確実に運用すること。また、全面許可制への移行に伴い増大する許可・更新手続、相談・申告対応、指導監督等を適切に実施する体制の確保が必要であることから、都道府県労働局の需給調整業務に係る組織体制の拡充、需給調整指導官の必要な人員増及びその専門スキルの向上を図るための研修の実施等に努めること。   2 労働者派遣事業許可に当たっては、事業運営の実績等がない中で書面による審査にならざるを得ないこと等に鑑み、最初の許可更新の際に、当該更新を受けようとする派遣元事業主許可基準を満たしていることを労働政策審議会に報告することとし、その効果を検証した上で、初回の許可の有効期間である三年を短縮することについても検討すること。   3 現在、届出のみで特定労働者派遣事業を営んでいる小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置検討するに当たっては、労働政策審議会における議論を踏まえ、優良な小規模派遣元事業主が不当に排除されることがないよう配慮しつつも、許可基準が派遣元事業主雇用責任を担保するために果たしている役割に十分留意するとともに、当該配慮措置の期間が必要以上とならないよう留意すること。また、派遣元事業主として派遣労働者保護の責任等を適正に履行することができる優良な小規模派遣元事業主が新制度に移行できるよう、事業主からの技術的かつ財政的な面での相談に応じるなどの必要な支援を行うこと。その上で、本法施行後に事業の許可を受けずに廃業する派遣元事業主雇用されている派遣労働者については、その生活及び雇用の安定を図るための方策を講ずるよう努めること。   4 派遣労働者保護等を適正に実施する派遣元事業主を優遇し、優良な派遣元事業主を育成するため、認定制度の活用促進策について具体的な検討を行い、早急に実施すること。あわせて、法令違反を繰り返す派遣元事業主に対しては、厳正なる指導監督の強化許可の取消しを含めた処分の徹底を行うとともに、企業名の公表についても検討すること。   5 マージン率については、派遣労働者保護の観点から社会通念上適切な範囲があると考えられることに鑑み、その規制在り方について検討すること。また、マージン率の関係者への情報提供に当たっては、平成二十四年改正法の立法趣旨を踏まえ、常時インターネットにより広く関係者とりわけ派遣労働者に必要な情報が提供される方法で情報提供を行うことを原則とする旨を派遣元指針に規定すること。   6 無許可労働者派遣事業を行う事業主に対しては、許可の取消し等の措置を採ることができないことに鑑み、行政による刑事告発を行うことも視野に、指導監督に万全を期すこと。また、企業名の公表等について検討すること。  三、期間制限について   1 新たに期間制限が掛かることとなる二十六業務に現に従事する派遣労働者について、本法の施行を理由とした労働契約の更新拒絶の動きがあることに鑑み、労働契約法第十八条及び第十九条の趣旨派遣元事業主への周知、不当な更新拒絶を行わないための関係団体への要請、無期雇用派遣労働者への転換支援、当該派遣労働者への相談支援及び就業継続支援体制の整備等、当該派遣労働者雇用の安定化のための措置を早急に講ずること。さらに、施行日前に締結された労働者派遣契約に基づき行われる労働者派遣については、派遣労働者の保護に欠けることのないよう、本法施行前の第四十条の四の規定等に基づく指導・助言を徹底するとともに、それに従わない派遣先に対しては勧告や公表も含め、厳しく対処すること。   2 無期雇用派遣労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇してはならない旨を派遣元指針及び許可基準に規定し、事業の許可及びその更新の審査段階等において必要な指導等を行うことができるようにすること。さらに、その旨を許可の条件とし、これに違反した派遣元事業主許可の取消しを行うことができるようにすること。また、有期雇用派遣労働者についても、派遣契約終了時に労働契約が存続している派遣労働者については、派遣契約の終了のみを理由として解雇してはならない旨を派遣元指針明記すること。   3 クーリング期間経過後、派遣労働者の意向に反し、再び同一の組織単位の業務に派遣することは派遣労働者キャリアアップの観点から望ましくない旨を派遣元指針に規定すること。また、派遣労働の利用は臨時的・一時的なものが原則であることから、その利用は三年以内が原則であることを明らかにすること。特に、派遣先派遣可能期間の延長の是非を判断するに当たっては、必ず過半数労働組合等からの意見聴取を実施し、この原則を尊重すべきであることを周知徹底すること。また、派遣先による対応方針の説明等は労使自治の考え方に基づく実質的な話合いができる仕組みの構築が目的であることを併せて周知すること。なお、過半数労働組合等からの意見聴取手続の適正かつ効果的な運用が常用代替防止のために重要な役割を果たすことに鑑み、過半数労働組合等が的確な意見を述べられるよう、事業所全体で受け入れた派遣労働者数の推移のほか、過半数労働組合等からの求めに応じ、部署ごとの派遣労働者数及び派遣受入れ期間等の情報が派遣先から提供されることが望ましい旨を派遣先指針に規定し、周知徹底を図ること。さらに、国として過半数労働組合のある事業所の割合、意見聴取において過半数労働組合等から反対意見が出された割合及びその内容等の実態を把握するための調査及び分析を行うこと。なお、最初の派遣労働者の受入れに当たっては、過半数労働組合等にその受入れの考え方について説明することが望ましいことを周知すること。   4 改正後の第四十条の二第四項の規定に基づき、過半数代表者から意見聴取を行うときには、過半数代表者が管理監督者である場合、投票、挙手等の民主的な方法によらず使用者の指名等の非民主的・恣意的方法により選出されたものである場合等については、意見聴取手続が適正でないと判断されることに鑑み、過半数代表者の適正かつ民主的な選出について、厳正な確認、必要な指導等を行うこと。また、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないことを省令で定め、その違反に対しては厳正に対処すること。その状況によっては、不利益取扱いに関する規制在り方について検討すること。さらに、意見を聴取した過半数代表者が民主的な方法により選出されたものではない場合については、事実上意見聴取が行われていないものと同視して、労働契約申込みみなし制度の対象とすること。なお、派遣先が意見聴取の過程及び結果並びに対応方針等の説明の内容について故意に記録せず又は記録を破棄した場合、意見聴取に当たり合理的な意見表明が可能となるような資料派遣先から提供されない場合等については、法の趣旨に照らして不適当であることから、厳正に対処すること。   5 意見聴取手続において過半数労働組合等から反対意見が述べられた場合、派遣先は十分その意見を尊重するよう努めるべきであり、当該意見への対応方針を説明するに際しては、当該意見を勘案して労働者派遣の役務の提供の受入れについて再検討を加えること等により、過半数労働組合等の意見を十分に尊重するよう努めるべき旨を派遣先指針に規定すること。さらに、二回目以降の延長に係る意見聴取において、再度反対意見が述べられた場合については、当該意見を十分に尊重し、受入れ人数の削減等の対応方針を採ることを検討し、その結論をより一層丁寧に説明しなければならない旨を派遣先指針明記すること。   6 派遣可能期間の延長手続を回避することを目的として、クーリング期間を置いて再度派遣労働の受入れを再開するような、実質的に派遣労働の受入れを継続する行為は、過半数労働組合等からの意見を聴取しなければ三年を超えて派遣労働を受け入れてはならないとした立法趣旨に反する旨を派遣先指針に規定すること。  四、雇用安定措置について   1 雇用安定措置として講ずる内容について記載した労働契約のひな形を作成し周知すること。また、雇用安定措置のうちいずれの措置を講ずるかについては派遣労働者の意向を尊重することが重要である旨、特に派遣労働者派遣先への直接雇用を望んでいる場合には直接雇用につながる措置を採ることが望ましい旨、及びキャリア・コンサルティングや労働契約の更新の際の面談等の機会を通じてあらかじめ派遣労働者の意向を確認し、早期に雇用安定措置の履行に着手すべきである旨を派遣元指針に規定すること。また、派遣元事業主が行う派遣先に対する直接雇用の申込みの依頼は書面の交付等により行うことが望ましいことを周知すること。さらに、改正後の第三十条第二項の雇用安定措置の対象となる派遣労働者については、派遣元事業主によって当該義務が適切に履行されるか、当該派遣労働者希望しなくなるまでその効力が失われないことを周知徹底するとともに、義務を履行せずに労働契約が終了した場合であっても、同条第一項第四号の規定により、労働契約を継続して有給で雇用の安定を図るために必要な措置を講ずること等を通じて、その義務を履行しなければならないことについて、確実に周知徹底すること。   2 派遣元事業主と通算して一年以上の労働契約を結んでいた派遣労働者については、派遣契約の期間にかかわらず、雇用安定措置の対象となることを派遣元事業主及び派遣労働者に周知徹底し、雇用安定措置の適正かつ効果的な運用を担保すること。さらに、雇用安定措置については、派遣労働者の年齢や業務等によってその雇用の継続が困難な場合も含め、派遣元事業主の履行を確保するよう厳正な指導等を行うこと。   3 雇用安定措置実効性ある実施が派遣労働者の保護の観点から最も重要であることに鑑み、派遣元事業主が個々の派遣労働者に対して実施した雇用安定措置については、その内容を派遣元管理台帳に記載することで、派遣労働者に対するキャリア・コンサルティングや雇用安定措置に係る派遣労働者の意向の確認等にも積極的に活用するよう、派遣元事業主に対して指導すること。なお、派遣先に対して行った直接雇用の依頼については、派遣先からの受入れの可否についても併せて派遣元管理台帳に記載させること。   4 雇用安定措置の真に実効性ある実施により労働契約法第十八条の無期転換申込権を得ることのできる派遣労働者を拡大することが、派遣労働の中では比較的安定的な無期雇用派遣労働者への転換を望む派遣労働者希望をかなえることにつながることから、改めて同法第十八条の立法趣旨派遣元事業主に周知徹底するとともに、その適用を意図的・恣意的に逃れる行為は同法第十八条の観点から脱法行為である旨を派遣元指針に規定すること。また、派遣元事業主が繰り返し派遣期間三年直前で派遣就業を終了させ、又は意図的に三年見込みに達しないように派遣契約を調整することにより雇用安定措置義務逃れをすることは、雇用安定措置の立法趣旨に反する旨を派遣元指針に規定すること。さらに、そのような雇用安定措置義務逃れをする派遣元事業主について繰り返し指導を行っても改善しない場合、事業許可の更新を認めない旨を許可基準に盛り込み、派遣元事業主の事業許可の更新を認めないこと。   5 雇用安定措置のうち、派遣先への直接雇用の依頼については、直接雇用の依頼を受けた件数に対して派遣先が直接雇用した人数が著しく少ない場合については、派遣先に対してその理由を聴取し直接雇用化の推進に向けた助言・指導を行うものとすること。また、新たな派遣先の提供については、業務の内容や福利厚生等に係る就業の条件について、特に賃金、就業場所、通勤時間等に関して合理的と認められる目安を定め周知すること。  五、派遣労働者待遇について   1 均衡を考慮した待遇確保するため、派遣元事業主派遣労働者の賞与や退職金等を含む賃金を決定するに当たって考慮し、勘案すべき内容について明確化するとともに、その周知を図ること。また、派遣元事業主は、派遣先との派遣料金交渉派遣労働者待遇改善にとって極めて重要であることを踏まえ、交渉に当たるべきである旨を派遣元指針に規定し、その周知徹底を図ること。さらに、派遣先も、派遣料金を設定する際に就業の実態や労働市場の状況等を勘案し、派遣される労働者賃金水準派遣先の同種の業務に従事する労働者賃金水準均衡が図られたものになるよう努める旨を派遣先指針に規定すること。派遣労働者待遇に関する事項等の説明を求めたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない旨を派遣元指針に規定し、派遣元事業主に対し厳正な指導監督等を行うこと。また、不利益な取扱いを受けた派遣労働者への救済措置在り方について検討を行うこと。   2 均等・均衡待遇在り方について検討するための調査研究その他の措置の結果を踏まえ、速やかに労働政策審議会において、派遣労働者派遣先雇用される労働者との均等・均衡待遇の実現のため、法改正を含めた必要な措置在り方について議論を開始すること。その際、パートタイム労働法や労働契約法の関係規定も参酌して行うこと。   3 派遣元事業主雇用される通常の労働者と有期雇用派遣労働者との間における、通勤手当の支給に関する労働条件の相違は労働契約法第二十条に基づき、働き方の実態その他の事情を考慮して不合理と認められるものであってはならない旨を派遣元指針に規定すること。   4 派遣労働者が安心して働くことができる環境を整備するため、派遣先派遣労働者の労働・社会保険への加入状況を確認できる仕組みを強化するほか、派遣労働者を労働・社会保険に加入させることなく事業を行う派遣元事業主に対して指導監督等を強化するなど、派遣労働者に対する労働・社会保険適用の促進を図ること。また、派遣労働者を労働・社会保険に加入させることを許可基準に加えることについて検討すること。   5 派遣労働者の育児休業の取得については、恣意的な判断や、誤解に基づく運用により派遣労働者権利が不当に制限されることがないよう、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の内容を周知し、適切な指導等を行うこと。また、派遣労働者の育児休業の取得に向けた取組等が優良な派遣元事業主等に対する優良認定の仕組みを推進し、派遣労働者の育児休業の取得率が著しく低い派遣元事業主についての対策を検討すること。さらに、派遣労働者を始め非正規雇用労働者の育児休業の取得を促進するため、その取得状況や不利益取扱い等に係る実態を早急に把握するとともに、法制上の措置を含む取得促進のための実効性ある措置を講ずることを検討すること。その際、派遣労働者の育児休業については、育児休業からの復帰時の派遣先確保など派遣労働者固有の課題があることを踏まえ、検討を行うこと。  六、キャリアアップ措置について   1 段階的かつ体系的な教育訓練等のキャリアアップ支援については、派遣労働者正社員化賃金等待遇改善という成果につながるものとなるよう、派遣元事業主に対して助言等を行うこと。また、派遣元事業主が、個々の派遣労働者について適切なキャリアアップ計画を当該派遣労働者との相談に基づいて策定し、派遣労働者の意向に沿った実効性ある教育訓練等が実施されること、また、キャリアアップの成果は賃金表に反映することが望ましいことを周知すること。派遣元事業主義務付けられる教育訓練については、その義務の具体的な内容を明確化するなどして周知するとともに、その履行が徹底されるよう適切な指導等を行うこと。さらに、派遣元事業主義務付けられる教育訓練の内容について、派遣元事業主は、派遣労働者に周知するよう努めるべきである旨を周知し、インターネット等により関係者に対して情報提供することが望ましい旨を派遣元指針に規定すること。   2 派遣元事業主義務付けられる教育訓練の実施状況については、事業報告、派遣元管理台帳等によって確認し、その実施について適切な指導監督等を行うとともに、事業許可の更新の際には重要なチェック項目としてその適正かつ誠実な実施を確認し、基準を満たさない場合には更新をしないことも含め厳正に対処すること。   3 派遣元事業主義務付けられる教育訓練の実施に当たっては、必ず有給かつ無償で行わなければならない旨を許可基準に盛り込むこと。また、その費用をマージン率の引上げによる派遣労働者賃金の削減で補うことは望ましくないことを周知徹底すること。その義務違反に対しては、許可の取消しや更新をしないことを含め厳正に対処すること。また、派遣元事業主義務付けられる教育訓練を受けるために掛かる交通費については、派遣先との間の交通費よりも高くなる場合は派遣元事業主において負担すべきである旨を周知すること。さらに、派遣元事業主義務付けられる教育訓練以外の教育訓練については、派遣労働者キャリアアップのために自主的に実施すること、また、派遣労働者の負担は実費程度とし受講しやすくすることが望ましい旨を派遣元指針に規定すること。派遣労働者の参加が強制される場合、派遣労働者が当該教育訓練に参加した時間は労働時間であり有給とする必要があることを周知すること。   4 派遣労働者キャリアアップのためには、キャリア・コンサルティングが効果的であることに鑑み、派遣労働者の意向に沿ったキャリア・コンサルティングが実施されるよう、派遣元事業主に対し指導等を行うこと。また、短期細切れ派遣が繰り返されるような登録型派遣や日雇派遣等の派遣労働者についても、派遣元事業主義務付けられる教育訓練の実施及びキャリア・コンサルティングの提供は必須であること、その実施は労働契約が締結された状況で行われなければならないこと、そのため必要に応じて労働契約の締結・延長等の措置を講ずる必要があることを周知徹底すること。   5 派遣先雇用される労働者募集に係る事項の周知については、周知した事項の内容を記録し保存することが望ましい旨を周知すること。また、派遣労働者の直接雇用化を推進するため、派遣先派遣契約の終了後に派遣労働者を直接雇用する場合の紛争が起こらないよう派遣元事業主に支払う紹介手数料の取扱い等については、派遣契約の記載事項として省令で定めること。さらに、派遣先派遣労働者正社員として採用するなど直接雇用しようとする際、それを派遣元事業主が禁止したり妨害したりすることは労働者派遣法趣旨に反するものであることを明確化し、そのような派遣元事業主に対しては、厳正な指導を行うこと。  七、派遣先責任について   1 派遣先の使用者性を認めた中労委命令及び裁判例について周知を図り、派遣先が苦情処理を行うに際しては、それらに留意する旨を派遣先指針に規定すること。また、派遣先において適切かつ迅速な処理を図らなければならない苦情の内容として、派遣先におけるセクハラ・パワハラ等について派遣先指針に例示すること。さらに、派遣先の団体交渉応諾義務在り方について、法制化も含めた検討を行うこととし、その際、労働時間管理、安全衛生、福利厚生、職場におけるハラスメント、労働契約申込みみなし制度の適用等に関する事項に係る団体交渉における派遣先の応諾義務についても検討すること。   2 派遣元事業主の責めに帰すべき事由によって派遣労働者の労働義務が履行不能になった場合においては、民法第五百三十六条第二項の規定による反対給付や労働基準法第二十六条の規定による休業手当が確実に支払われるべきであることを、当事者を含む関係者に周知徹底すること。また、これらの場合における派遣労働者への賃金等の支払に関する実態の調査を行うこと。   3 派遣先による派遣労働者特定することを目的とする行為は、労働者派遣法趣旨に照らし不適当な行為であることに鑑み、その禁止の義務化について検討すること。   4 労働契約申込みみなし制度実効性を担保するため、派遣労働者に対してみなし制度の内容の周知を図るとともに、派遣労働者がみなし制度を利用できる状態にあることを認識できる仕組みを設けること。また、みなし制度趣旨が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている派遣先への制裁及び派遣労働者の保護にあることに鑑み、派遣先は、労働者の意向を踏まえつつ、みなし制度の下で有期の労働契約が成立した後に当該契約を更新することについては、派遣元事業主と締結されていた労働契約の状況等を考慮し真摯に検討すべきである旨を周知すること。さらに、離職した労働者を離職後一年以内に派遣労働者として受け入れてはならないとの禁止規定に違反した場合、事前面接を始めとする派遣労働者特定することを目的とする行為を行った場合、グループ企業内派遣の八割規制に違反した場合等の派遣先責任強化するため、みなし制度の対象を拡大することについて検討すること。  八、その他   1 今後、労働者派遣法改正について、施行後の状況を踏まえ、その見直しについての検討を行う際には、今回の改正により新設された個人単位及び事業所単位の期間制限雇用安定措置等の改正規定について、常用代替防止、派遣労働者の保護、雇用の安定等の観点から検討を行うものとすること。   2 派遣労働者の安全衛生については、雇用関係のある派遣元事業主と、就業上の指揮命令や労働時間の管理を行っている派遣先の連携が不十分であることから、派遣労働者の安全衛生上のリスクに対して就業上の配慮が十分になされていない可能性があるため、派遣労働者の安全衛生について派遣元事業主派遣先が密接に連携する旨を派遣元指針及び派遣先指針双方に規定すること。また、安全衛生教育の実施は事業者の法的義務であるが、その実施率は低く、特に派遣労働者に対する実施率は全労働者より低くなっていること、及び労働災害発生率の高い派遣労働者にこそ十分な安全衛生教育が実施される必要があることに鑑み、派遣元事業主及び派遣先による安全衛生教育の実施の徹底を図ること。   3 派遣労働者の労働関係法令に関する知識の修得の必要性を踏まえ、派遣元事業主から派遣労働者にその機会が与えられるよう指導等を行うこと。また、派遣先に対して、派遣先責任者講習等の機会を活用し、労働関係法令の遵守に必要な知識の付与を図ること。   4 個々の派遣労働者についての派遣元管理台帳の保管については、派遣労働者のための雇用安定措置キャリアアップ措置等の着実かつ適正な実施を確保する観点から適切に行わせること。なお、キャリアアップ措置については、長期的・継続的に行う必要があるため、派遣元事業主派遣労働者に関する情報を中長期的に管理する体制を整備することを求めること。   5 無期雇用派遣労働者募集に当たっては、正社員募集と誤認させることがないよう指導等を徹底すること。   6 平成二十四年改正法の見直しの検討に当たっては、派遣労働者の保護や待遇が後退することとならないようにすること。また、雇用仲介事業の在り方検討は、求職者及び労働者の保護や待遇が後退することとならないようにすること。また、職業安定法第四十四条に定める労働者供給事業の禁止については、行政による刑事告発を行うなど、指導監督に万全を期すこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  162. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいま津田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 多数と認めます。よって、津田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩崎厚生労働大臣
  164. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
  165. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 次に、労働者職務に応じた待遇確保等のための施策推進に関する法律案について採決に入ります。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  166. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、牧山君から発言を求められておりますので、これを許します。牧山ひろえ君。
  167. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 私は、ただいま可決されました労働者職務に応じた待遇確保等のための施策推進に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党、日本を元気にする会・無所属会及び無所属クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     労働者職務に応じた待遇確保等のための施策推進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一、雇用形態の相違による待遇格差を解消するに当たっては、民事的効力のある均等・均衡待遇規定の整備について調査し、必要な検討を行うこと。加えて、訴訟による解決が非正規雇用労働者にとって負担が重いことに鑑み、行政指導の根拠となる均等・均衡待遇規定の整備、訴訟よりも迅速な解決を図ることができる仕組みの整備、職務分析・職務評価の普及による労使の取組の支援等の訴訟によらない格差解消の方策等についても調査し、必要な検討を行うこと。  二、雇用形態の相違による待遇格差に関する訴訟においては、格差が不合理なものであること等の立証について、労働者側にとって過度な負担とならないことが望まれるため、立証責任在り方について調査研究を行うとともに、裁判例の動向等を踏まえ、必要があると認められるときは、法律上の規定について検討を行うこと。  三、欧州において普及している協約賃金雇用形態間で基本給格差を生じにくくさせている機能を果たしていることに鑑み、我が国においても特定最低賃金の活用について検討を行うこと。  四、派遣労働者について、派遣先雇用される労働者との間においてその業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度その他の事情に応じた均等な待遇及び均衡のとれた待遇の実現を図るとは、長期的な雇用に基づく処遇体系により様々な要素を広く評価して待遇を決定する我が国の雇用慣行を踏まえた諸事情を含むものであるところ、職務その他の事情の差がなければ均等待遇を図るべきであることに留意すること。  五、派遣労働者に関する法制上の措置を含む必要な措置を講ずるとは、派遣先雇用される労働者との均等・均衡待遇の実現のために必要となる法制上の措置を講ずることが原則であることに留意すること。  六、派遣労働者に関する均等な待遇及び均衡のとれた待遇確保在り方について法制上の措置を含む必要な措置を講ずるに当たっては、短時間労働者及び有期雇用労働者に係る措置を参酌して検討を行い、実効性のあるものとすること。また、派遣労働者の置かれている状況に鑑み、できる限り早期に必要な措置を講ずるよう努めること。  七、派遣労働者について派遣先雇用される労働者との均等・均衡待遇の実現を図るために、派遣料金及びマージン率に対する国の関与在り方について検討を行うこと。また、マージン率の関係者への情報提供について、インターネットによる提供を原則とするなど、より多くの者が見ることができる方策について検討すること。  八、派遣労働者であることによって特段の理由なく通勤手当が支給されないことは不合理であると考えられることから、派遣労働者への通勤手当の支給を促進するための対策について検討すること。  九、雇用形態による待遇相違に係る調査研究の対象となる賃金とは、通勤手当、住居手当等の各種手当、賞与、退職金その他の使用者が労働者に支払う全てのものをいうことに留意すること。また、派遣労働者のキャリアと賃金体系との関係についての調査を行うこと。  十、非正規雇用労働者に係る均等・均衡待遇規定が雇用形態に対応した各法律に個別に規定されていることに鑑み、それぞれの規定の存在や内容について周知の徹底を図ること。  十一、一九九四年に採択された「パートタイム労働に関する条約(ILO第百七十五号条約)」の批准に向けて、我が国における短時間労働法制の見直しを進めるなど、精力的に努力するとともに、必要な検討を行うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  168. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいま牧山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 多数と認めます。よって、牧山君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩崎厚生労働大臣
  170. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
  171. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会