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2015-06-02 第189回国会 参議院 厚生労働委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月二日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      足立 信也君     羽田雄一郎君  五月二十七日     辞任         補欠選任      島村  大君     柘植 芳文君      石橋 通宏君     蓮   舫君  五月二十八日     辞任         補欠選任      滝沢  求君     世耕 弘成君      柘植 芳文君     島村  大君      蓮   舫君     石橋 通宏君  五月二十九日     辞任         補欠選任      世耕 弘成君     滝沢  求君  六月一日     辞任         補欠選任      川田 龍平君     藤巻 健史君  六月二日     辞任         補欠選任      羽田雄一郎君     福山 哲郎君      藤巻 健史君     川田 龍平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         丸川 珠代君     理 事                 大沼みずほ君                 羽生田 俊君                 福岡 資麿君                 津田弥太郎君                 長沢 広明君     委 員                 赤石 清美君                 石井みどり君                 木村 義雄君                 島村  大君                 高階恵美子君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                三原じゅん子君                 石橋 通宏君                 西村まさみ君                 白  眞勲君                 福山 哲郎君                 牧山ひろえ君                 山本 香苗君                 川田 龍平君                 小池  晃君                 行田 邦子君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   塩崎 恭久君    副大臣        内閣府副大臣   赤澤 亮正君        厚生労働大臣  永岡 桂子君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       橋本  岳君    事務局側        常任委員会専門        員        小林  仁君    政府参考人        内閣官房行政改        革推進本部事務        局次長      山下 哲夫君        内閣大臣官房        審議官      安田 貴彦君        警察庁長官官房        審議官      島根  悟君        消防庁審議官   北崎 秀一君        厚生労働省医政        局長       二川 一男君        厚生労働省労働        基準局長     岡崎 淳一君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       土屋 喜久君        厚生労働省社会        ・援護局長    鈴木 俊彦君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    藤井 康弘君        厚生労働省保険        局長       唐澤  剛君        国土交通省鉄道        局次長      篠原 康弘君    参考人        国立研究開発法        人国立精神・神        経医療研究セン        ター理事長    樋口 輝彦君        特定営利活動        法人自殺対策支        援センターライ        フリンク代表   清水 康之君        京丹後市長    中山  泰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (自殺総合対策等に関する件)  (自殺総合対策の更なる推進を求める決議の件  )     ─────────────
  2. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、足立信也君及び川田龍平君が委員辞任され、その補欠として羽田雄一郎君及び藤巻健史君が選任されました。     ─────────────
  3. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省社会援護局障害保健福祉部長藤井康弘君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国立研究開発法人国立精神神経医療研究センター理事長樋口輝彦君、特定営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク代表清水康之君及び京丹後市長中山泰君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 社会保障及び労働問題等に関する調査のうち、自殺総合対策等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 武見敬三

    武見敬三君 自殺対策基本法が発足して十年というこの節目と相なりました。実は、この自殺対策基本法を制定するに当たっては、この参議院厚生労働委員会が極めて重要な役割を果たしました。そのときの与党の筆頭理事を私が自由民主党で務めておりまして、野党の筆頭理事山本孝史さんでした。  山本さんと私の間では極めて深い信頼関係が実はできてきていたんですけれども、例えば通常国会期中、二月に通常、衆議院で予算委員会をやっているときには、参議院の各委員会は全く開かれませんでした。山本さんと私とで、この二月、委員会としてもしっかりと国民の役に立つ審議というものはできるだろうと、与野党共に国対を説得して、そして意義ある審議をしようじゃないかということを私は提案をいたしました。そうしたら山本孝史さんの方から、武見さん、それはすごくいい、実は自殺者が三万人を超えて極めて厳しい状況に今日我が国が至っているので、この自殺を特に取り上げて集中的に審議をしようじゃないか、そしてそれをしっかりと取りまとめて、可能であればそれを将来的に基本法に取りまとめるということをやってみようじゃありませんかという御提案を、民主党の筆頭理事山本孝史さんから受けました。  そこで、私は、極めてこの自殺という問題は、当時私も常に考えておりました人間安全保障ということを考えたときに、その最も対象とすべき課題だという認識を持ちました。御存じのように、ODA大綱などで人間安全保障という考え方我が国のその政策基本理念として今日は定着をしております。しかし、それは、ただ単に外国において政策対象とするときだけの考え方ではなくて、我が国の国内においてもこの人間安全保障という考え方でこうした諸施策を考えることが必要であると私は思います。自殺はまさにそうした課題であると、私はそのとき瞬時に認識をいたしました。  そして、人間安全保障という考え方は、個々の人間着目をして、そして特に社会的な弱者というものに着目をしながら、その人々が住んでいるコミュニティーというところにその政策単位というものを求め、そして中央政府トップダウンでその政策を実施するヒューマンプロテクションというトップダウン政策アプローチと、コミュニティーにいる、そこにいる人々に対する支援措置を直接的に行うボトムアップのヒューマンエンパワーメントという考え方を上手に組み合わせることによって、最も効果的にそこにいる人々に対して、人生、より有意義な生活を送ることができるような選択肢をいかに増やすかということがその政策基本理念になっております。  自殺対策取組については、まさにこのヒューマンセキュリティー的アプローチが継続して取り組まれているわけであります。それはまさに厚労省中央政府の方で政策を策定するトップダウン政策決定と、各市町村で実際に直接にそうした自殺に関わる関係者方々に対する支援を行うサービスを整えるボトムアップ政策というものがどのように有機的に連携をして、その両者が一つの好ましい循環型の政策決定を策定するかということが、まさにこの人間安全保障アプローチの骨格になるわけであります。  そこで、私は改めて、今回内閣府から厚労省にこの自殺に関わる担当移管することを、おおよそ決まりましたので、その点からまずお話を伺いたいと思います。内閣府の方と警察庁の方にまずお聞きをしたいんであります。  我々がこの機能移管において一番懸念しているのは、内閣府という総合調整機関、そこから厚生労働省にその担当が移ったときに、内閣府で可能であった総合調整機能というものが厚生労働省移管することによって失われるのではないか。特に私ども、この基本法を制定したときに最も大きく困難な問題が直面したのは、実は警察データをきちんと厚生労働省の方に持ってきていただけるかどうかということでした。なかなか、当時、警察も脇が固くて、こうした情報については当然個人のプライバシーもありますから絶対に外には出してくださらなかった。しかし、それを改めてプライバシーをきちんと守る形で、警察自殺に関わる様々な、実は最も貴重な情報を持っておられるわけでありますが、それをしっかりと厚生省自殺に関わる様々な政策分析を行うところにも活用できるようにしていただくということが基本法の中での一つの大きな眼目だったんです。  今回、内閣府から厚生労働省にこうした機能移管するに当たりまして、こうした総合調整機能が改めて厚生労働省でもきちんと確保できるような形で内閣府から厚生労働省に移行するためのそうした準備、しっかりと進んでいるかどうか、この点、例えば移行チームのようなものを設置してやっておられるのかどうか、改めてお伺いしたいと思います。  まず、内閣府の方にお願いします。
  9. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) お答え申し上げます。  内閣府におきましては、自殺対策基本法の施行以来今日まで、国を挙げた自殺対策推進に取り組んでまいったところでございます。この間、御案内のとおり、関係省庁地方公共団体民間団体等の様々な方々の御努力もあり、平成十年以降十年連続で三万人を超えた状態高止まりを続けておりました自殺者数は、昨年は約二万五千人まで減少するなど、着実に成果が出てきているものと認識をしております。  お尋ねの今後の事務引継でございますけれども、更に自殺対策を前に進めていくためにも、円滑に事務を引き継いでいくことは大変重要であると認識をしております。  先ほど十年連続と。十四年連続でございました。失礼しました。訂正させていただきます。  それで、現在、この事務移管につきまして、特定の名称を付けているというわけではございませんが、既に内閣府と厚生労働省担当課間での調整を開始をしているところでございます。引き続きしっかりと対応をしてまいりたいと考えております。
  10. 武見敬三

    武見敬三君 では、警察庁の方、ちょっとお答えいただけますか。
  11. 島根悟

    政府参考人島根悟君) お答え申し上げます。  警察庁におきましては、自殺対策に資するため、平成二十二年から内閣府に自殺統計に関するデータ提供を行っております。自殺対策業務内閣府から厚生労働省移管された場合には、厚生労働省に対しまして自殺統計に関するデータ提供を行ってまいる所存であります。
  12. 武見敬三

    武見敬三君 それで少しは安心をいたしました。  そこで、改めて塩崎大臣にお聞きしたいんですけれども、厚労省移管した後、やはり自殺というのは厚労省内各局等に全部いろいろと広がって関連をしてくる課題ですね。そうすると、全省的に調整して連携していただくような仕組み厚労省の中につくっていただかないと、一部の局の一部の部課だけでこの自殺対策をやるんだといっても、省内全体を調整する機能がないと、自殺政策立案そして実施というのは実はうまくいかないんですよ。そういう意味で、例えば厚生労働担当事務次官とか審議官とか、やはりしかるべき、かなりレベルの高いところで全体調整できるような核をつくりませんと、この中の調整がうまくいかない。  それから、内閣府から厚生労働省移管する場合の一つの大きなメリットは、内閣府は直接地方自治体、市町村とのパイプないんですよ。だけれども、厚生労働省にはあるんですよ。ただ、そのパイプというのは様々な局が様々に別々に持っているパイプなんですね。それらを自殺という政策目的のために上手に活用する仕組みをつくらなきゃいけないんです。それによって初めて市町村との間の連携というのが厚生省側としてうまくできるようになるんですが、こうした全省的な取組体制を整えていただきたいと思っているのでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  13. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど武見委員から、この厚生労働委員会参議院において決議平成十七年の七月に行われて、それが大きな原動力になって自殺対策基本法ができ、そしてまた今回、様々な施策を取ってきた内閣府から今度厚生労働省移管をされることになったこの自殺対策であります。  それで、今お話がありましたように、これまで内閣府で総合調整をやってきた、当然のことながら、これ、厚生労働省になっても同じように総合調整をやらなきゃいけないということで、その権限は法律でもって担保されることになりますが、今お話しのように、厚生労働省においてはどうなのかということでありますけれども、これまでも、自殺対策基本法に基づいて策定されております自殺総合対策大綱、これに基づいて、うつ病対策などの精神保健医療充実とか、それから生活困窮者への支援であったり、あるいはその充実であったり、職場のメンタルヘルス対策推進など、幅広く自殺対策厚労省はやってまいりました。  そういうことでありますので、今回、厚生労働省移管後においても、自殺対策に関する施策についてはやはり幅広い分野施策連携を図ることが今先生指摘のように大事だというふうに思います。今の先生からの御指摘のとおり、厚生労働省内関係部局がうまく連携をしていくということが大事で、かつ、一元的な指揮の下で対策をしっかりと進めるということが大事なので、その体制を組むことが大事であるということは先生指摘のとおりだと思います。  したがって、厚生労働省を挙げて、一体的、総合的に自殺対策に取り組めるように心してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  14. 武見敬三

    武見敬三君 一元的な管理がきちんとできる仕組みというのが本当に重要です。したがって、一元的にというのは、しかるべきところでしっかりと一元化できるようなポストの人が上に入っていないとそれができませんので。巨大な役所なものですから、何分、厚生労働省は。是非そういう仕組みをつくっていただければと思います。  その上で重要なのは、今回、内閣府から厚生労働省移管するときのポストの問題なんですよ。今、内閣府では、この自殺対策担当専任ポストがちゃんとあるんですね。ただ、四月からどういうわけだか併任になっている。そして、改めて、内閣府から厚生労働省にこの機能移管するわけですから、私は、当然にその内閣府のポストは行革上も厚生労働省ポスト一つ増やして、これは内閣府にとっては一つ減るわけでありますから、これは大変自分たちとしては抵抗したくなることでしょう。しかし、こういう行革的な考え方もきちんと併せ持って議論するとすれば、これは内閣府のこのポスト一つ減らして、そして課長級ポスト専任厚生労働省の方に一つ増やすというふうにしないと、この機能をきちんと今度は担当できなくなると思います。  これは大臣力業ですよ、力業。やっていただけますか。
  15. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回、業務移管に当たりまして、本年一月の閣議決定におきまして、移管後の業務に支障が生じないように、移管業務に係る機構定員併任者等の人員は移管先省庁に移すこととされております。いわゆる座布団の話だろうと思いますが。  厚生労働省においては、内閣府としっかり連携しながら、必要な機構定員等確保に努めて、自殺対策移管が円滑に行われるように準備を万端整えて進めてまいりたいというふうに思います。
  16. 武見敬三

    武見敬三君 内閣府の方も用意万端、そちらに持っていかれないように必死に今防護策を練っておられると思いますので、これは恐らく大臣同士でもきちんと話をしていただく課題だろうというふうに思います。  内閣府の言い分というのは、私がここで言うのもなんですけれども、自殺対策を引き受けたときに改めてポストが一個増えたわけじゃないんだ、したがって、増えたわけじゃないんだから譲れないと、こういう理屈だろうと思いますから。しかし、実際に機能というものを移管させるわけでありますから、譲った譲らないの話じゃなく、きちんと厚生労働省にそのポスト確保内閣府から移管させていただきたいと思います。  その上で、改めて、先ほどからも、人間安全保障アプローチで必要とされているPDCAサイクル、これをどのように自殺対策を進めるに当たってしっかりとデザインをするかというのが大きな課題です。これは、従来、政府側シンクタンク機能として本来重要な役割を期待されていたのは、国立精神神経医療研究センター自殺予防総合対策センターであります。  しかしながら、このセンター、極めて精神医学的な立場からの御研究というものがやはり中心であった。私はそのことを全く否定をいたしません。しかし同時に、これを政策論として組み立てようとするときには、実は様々な、より広い社会科学的な手法を駆使した形で、特に情報データシステムを設計をし、そしてそれを統計学的に解析をし、自殺動向分析を的確に行うといったようなことが行われなければならないんでありますが、しかし、こういった点に関しては、この精神医学中心アプローチの中で、実は我々が期待したほどはなかなかやっていただけなかったというのが実情でした。  そこで、改めてそのシンクタンク機能というものが、国立精神神経医療研究センターの中に設置されてあります自殺予防総合対策センターが、そういった本来の役割をきちんと確保しつつ、今度は、先ほど申し上げたように、市町村レベルで活動しております地域自殺予防情報センターといったようなもの、ここときちんと情報システムとして結び付いていて、そしてその情報というものが的確に、プライバシーをきちんと守る形でしっかりと集積し分析をされて、その動向を把握をして、それに的確に政策で対応できるようにするという仕組みをつくる必要性が出てくるわけであります。  この点に関して更に重要になってくるのは、人の置き方と、それから財源です。この自殺予防総合対策センターの中で、所長さんは、これは国立精神神経医療研究センター理事長樋口先生が実際に今このセンター長併任をしておられると伺っております。それから、副センター長自殺実態分析室長というのは同一人物であり、しかも併任だと伺っています。そして、専任は三名で非常勤研究員は四名、事務室非常勤が二名で派遣が二名と、こういう構成になって、非常に小ぶりの状態です。しかも、大臣、これが一番深刻なんですけれども、運営費交付金、幾らだと思いますか、ここに与えられているのは。僅か五千万円なんですよ。この現状を変えない限り、実際に政府の中でその中枢的機能をしっかりと確保する、そういったシンクタンク厚生労働省確保することができません。  そこで、改めて社会援護局藤井部長の方に伺いたいと思いますけれども、これをきちんとつくり上げていく準備は進んでいるんでしょうか。私が藤井さんに何度も何度も言っているように、医学医療の世界というのはなかなか難しいですよ、自分たち専門領域に対するプライドと、そしてまた責任というものを非常に強く感じている人たちだから、自分たち中心的分野と離れた社会科学的な分野自分たち組織機能の中に取り込んでいって、しかもそれによって自分たち専任ポストが減る、こういうようなことになると物すごく強く抵抗してなかなかやってもらえないものですよ、こういうことの抵抗というものも押しのけてきちんと説得をして、独法である国立精神神経医療研究センターに改めて自殺予防総合対策センターというものを位置付けるのですか、保健医療科学院の方がやりやすいんじゃないんですかということを私は何回も申し上げたけれども、どうしてもここでやらせていただきたいというのでここでやるということになったんですが、果たしてその準備状況が本当にうまくいっているかどうか。これは今回、改めてこの施策がうまくいくかどうかの要の議論なものですから、きちんと実はお答えいただきたいと思います。
  17. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) お答え申し上げます。  先生指摘自殺予防総合対策センターは、平成十八年に国立精神神経医療研究センター設置をされまして、自殺対策に関する必要な情報の収集、分析提供、また研修資材開発等を通じまして、自殺予防に向けた政府の総合的な対策支援をする役割を担っております。  今後、自殺対策のより一層の推進が求められてまいります中で、今後のこの自殺予防総合対策センター業務在り方につきまして検討をするために、検討チームを私、障害保健福祉部長の下に設置をいたしまして、有識者の参画の下、現在議論を進めているところでございます。  まさに先生、改めて御指摘をいただきました論点も含めまして、この自殺予防総合研究センター業務在り方につきましては、今後、検討チームにおきまして、六月、すなわち今月中を目途に検討結果を取りまとめることとしてございまして、その検討結果、あるいはまさに先生に御指摘をいただいております論点も踏まえつつ、しっかりと適切に対応してまいりたいと考えております。
  18. 武見敬三

    武見敬三君 清水さんにお聞きしたいんだけれども、こういう社会科学的な手法を通じた分析についてはある程度までライフリンクの方でもいろいろおやりになってきているけれども、こういった分析手法について様々な先行研究があると思いますが、これを取り入れるようなことができる受皿に今のところなっているんでしょうか。あるいは、どういう先行研究があるんでしょうかね。
  19. 清水康之

    参考人清水康之君) 結論から申しますと、長期的な視点に立った、例えば社会保障などの様々な制度のことも含めた包括的な自殺対策に関する政策研究というのは、残念ながら、私の知る限り今はありません。  ただ、そうした政策研究必要性を踏まえて、昨年の秋に、社会学経済学公衆衛生精神医療統計学や死生学といった様々な分野研究者の方たちと、あと全国の自殺対策の現場で活動する私たちのような実務家、さらには自殺対策のまさに議連の方たちであったり、あるいは自治体の首長の方たちであったり、政策立案に関わる方たちですね、こうした方たちが集まって日本自殺総合対策学会というものを立ち上げました。  これは、自殺対策の現場の取組が、最前線の取組研究対象になって、研究の成果がしっかりと政策に反映されて、政策が現場を後押しし、またその後押しされた政策がどうだったかということが検証されて、さらに対策に還元されていくというような、そういうまさにPDCAサイクルを確立することを目指した学会なわけですが、その中心メンバーでもあられる公衆衛生の第一人者の京都府立医科大の本橋教授、あと東京大学経済学部の澤田教授、一橋大学社会学部の猪飼教授、それに統計の専門家や、実務家である私などが協力をして、昨年度から厚生労働省の科学研究において、まさにこの包括的な自殺対策に関する政策研究を始めたといったところです。
  20. 武見敬三

    武見敬三君 ありがとうございました。  まさに今、それぞれの関連する分野方々が、自殺という問題に焦点を当てて、それぞれの自分の専門的な分野から取り組むためのそういった研究調査というものが進み始めている。これを実際に取りまとめて政策に反映させるという仕事をこの国立精神神経医療研究センター自殺予防総合対策センターで執り行っていただかなきゃならない。しかし、ポストは限られていて予算は僅か五千万円という状況の中でどうやりくりをするのか、これは大変な課題になります。  そこで、改めて、樋口先生には今日お越しいただいておられるわけでありますけれども、こうした課題について、直接の組織の責任者としてどのようにこの問題を受け止めて、そして自殺予防の総合対策センターというものを改革をし、再構築しようとお考えなのか、御所見を伺いたいと思います。
  21. 樋口輝彦

    参考人樋口輝彦君) 国立精神神経医療研究センター樋口でございます。  私どもは、平成十八年にこの自殺予防総合対策センター設置してここまで参りました。これまでの取組といたしましては、主に地方自治体の職員に対する研修であるとか、それから自殺の実態分析調査研究、あるいは地方自治体が取り組む対策に対しての協力をするとか様々な取組をやってまいりました。民間団体との共同による手引書等を作成した経緯もございます。こういった一定の取組を行って、これまでにある程度成果を上げてきたというふうには認識をしております。  しかしながら、今、武見委員からの御指摘もありましたように、更に包括的な社会学的な観点とか、統計学的な、疫学的な調査であるとか、そういった領域も含めて取り組むというのは、これは自殺の問題というのは非常に奥の深い幅の広い領域でありますので、当然必要なんだろうと思っております。  先ほど藤井部長からの報告にありましたように、現在、我が方の自殺予防総合対策センター業務在り方に関して見直しの検討会がスタートしているということでございますので、私どもはその検討結果を踏まえて、今後真摯にそれの検討結果を踏まえた研究センターとしての役割を果たしていきたい、強化していきたいと思っております。  確かに、予算面では非常に厳しいものがございますし、人員も限られておりますけれども、国全体が非常に厳しい財政環境にある中で、あるいは私たちも、施策としてはこの自殺対策だけではないいろいろな、薬物依存の問題とか児童の発達障害の問題、様々の課題を取り組む中で、やはりその要の一つとしてこの問題に対して今後とも継続的に取り組ませていただきたいと思っております。
  22. 武見敬三

    武見敬三君 先生のところのセンターというのが、まさにこの二十一世紀はメンタルヘルスの大きな深刻化する世紀であって、それに関わる様々な課題に対応しなければならないということはよく存じ上げております。しかし、また他方で、うつ病との関わりで自殺の問題も非常に強く関わっているということも御案内のとおりであります。ただ、それを精神医学という観点からきちんと議論をするというのも必要でありますけれども、それだけでは十分な政策にはなり得ないんだということも是非御理解をいただきたいと思います。  そのときに難しいのは、やはり精神医学で自分の専門領域を持った先生方の集団の中に、突如として社会科学、統計学の関係者人たちが俺たちも専門家だといって入ってきたときに、実はなかなか上手に共存できないというのが医学医療の世界の専門家の中でよくあることなんです。そういうことがないように、上手にきちんとしたセンターのコンセプトを再構築していただいて、共存できる仕組みを、実際に専任でしっかりとした形で確保していただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。  そこで、さらに今度は、各地方におけるボトムアップアプローチの方についてお伺いしたいと思います。  各地域で活動している地域自殺予防情報センター、これを地域自殺対策推進センターとして改編して強化しようというお考えがいろいろあるようで大変結構なんですけれども、現状では全国に僅か三十一か所、予算で五千四百万円しかないんですね。これで果たしてどういうふうに対応できるのかが心配なんでありますが、藤井部長、これ改めて、予算も含めてどのように充実強化が必要とお考えなのか、御説明ください。
  23. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) 先生指摘地域自殺予防情報センターは、これは都道府県及び指定都市が設置をいたしまして、関係機関等と連携を図りながら、地域における自殺対策の総合的な支援体制の整備を推進するものでございまして、現在、全国三十一か所に設置をされております。  地域での対策推進にとりましては、これはもう言わずもがなではございますけれども、この地域自殺予防情報センターの果たす役割が大変重要であると認識をしてございまして、その体制機能の強化とともに、その業務推進に当たりましては、先ほど先生指摘いただいております自殺予防総合対策センターともしっかり連携をして取り組むことが必要と考えております。  私ども、地域自殺予防情報センターをめぐるこうした論点につきましては、現在行っております自殺予防総合対策センター業務在り方検討においても一つの重要な視点だというふうに考えておりまして、今月中を目途とする検討結果の取りまとめを踏まえまして、その中でしっかり検討をいたしまして適切に対応してまいりたいと考えております。
  24. 武見敬三

    武見敬三君 ここは本当に、藤井さん、難しいですよ。国の方では、各市町村がそういう独自の取組をきちんとコミュニティーに根差した形で実施しようとする、それを政策的に支援をする、これは各市町村との間で連携が上手に取られていないと、市町村の方の予算も限られていますから、それを実際にどのように実施していくのかというのは、実は難問が山積しているはずです。  そこで、改めて、今日は京丹後市の中山市長にお越しいただいておりますけれども、この自殺対策で非常に一生懸命取り組んでおられることに私は敬意を表したいと思いますが、実際に、市町村の立場で、地域の拠点としてのこういった自殺対策推進センターのようなものをつくるときのつくり方としてどういうつくり方が非常にいつも求められるのか。  それから、同時に、単独で孤立してそういう組織があったってしようがないので、例えば自立支援のための様々な生活支援の事業みたいなものも国はやっているんですね。そうすると、大体が生活に困る低所得者層、最困窮者の中に自殺者がやっぱり多い。そういった自立支援のための事業とそれから自殺予防のための事業というものが、上手に各地域レベル連携して、そうした方々を上手に特定化していって、そして支援策を提供していくというきめ細かい地域社会におけるサービスができるようにしておかなきゃいけないんだろうと思いますが、この点、どうお考えでいらっしゃいますか。
  25. 中山泰

    参考人中山泰君) 京丹後市長でございます。今日はお呼びいただいてありがとうございます。  我々のところは、全国の市区町村の皆さんと自殺のない社会づくりをしていこうということで、三百近い自治体の皆さんと連絡し合ってさせていただいていまして、その幹事役をしているのでその関係でお呼びいただいたんだと思います。  今、武見先生おっしゃられるとおりで、都道府県のセンターはそれぞれまちまちに置かれてまちまちにされているということだと思うんですけれども、市町村にとって何が大切かといったときに、やっぱり基本的なデータをいただく、あるいは政策のメニューをいただく、様々な政策をしようとしたときにバックアップをいただく、このことがとても重要に思っています。  基礎自治体、大体どこも今やらぬといかぬなというやる気はあるんですね。だけど、目の前に処理しないといけない様々な状況がある中で、プライオリティーが持てずにどうしたらいいか分からない、どういう効果があるか分からないということで雲散霧消しているというような面もありますので、自殺対策、おっしゃられましたように、精神医療の面ももちろん大切なんですけれども、それ以外に経済、経済の中でも事業、金融、保険、あるいは教育、法務、福祉、いろんな分野で原因が出てきて追い込まれているということからすると、いろんな分野から総合的にアプローチをしないといけない。対症的なこと、予防的なこと、社会全体のセーフティーネットを分の厚い形で埋め込んでいって初めて対策の実効が出てくるという分野だと思いますので、そういう意味で、あらゆる分野を視野に置いて、そしてシンクタンク的な機能でもって市町村を支えていただく、こういうようなことが、都道府県にあっても、またそれをネットワークする形で中央にあっても、是非お願いしたいなというふうに心から願っております。
  26. 武見敬三

    武見敬三君 中山市長、そういうのはもう本当によく分かるんですけれども、言うはやすし行うは難しというところもたくさんあって、国と県、市町村というのがよっぽど上手にうまく機能しない限り、そういう理想的な機能はなかなか政策的につくれないですよね。  そういうところで、改めてこの機に、藤井部長、こういう国レベルとそれから県レベルとそれから市町村レベルと、それぞれの機能をきちんと上手に連携できるようにデザインをしながら、改めてこうした地域の自殺予防センター在り方とか、それから国立神経研究センターにおける自殺予防総合センター在り方とか、そういうのをこの際しっかりもう一度整理をして、そして本当に更に自殺者が減少していくように努力をしていっていただきたいと思います。  また、同時に、この自殺者の問題を考えるときに忘れられてはいけないのは、いわゆる自死された方の御遺族の問題なんですよ。大変なやっぱり心に傷を負われます。こういった方々に対する社会的な支援というものをきめ細かく同時にまた進めていく必要性があるということはもう明らかです。  ところが、問題は、こういった自死遺族支援の方というのはなかなかその全体像も把握できずに、関連する情報の把握もなかなかうまくできていないというのが実情だと思いますけれども、改めてこうした分野に関わる取組をしていただきたいと思いますが、藤井さん、いかがですか。
  27. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) 自死遺族の方々に対する支援につきましては、厚生労働省といたしまして、これまでも、先ほど出てまいりました地域自殺予防情報センターにおいて自殺者の親族等からの相談に応じて助言を行うなど、地域における自殺者の親族等に対する支援充実を図ってきたところではございます。  また、厚生労働省では、全国的あるいは先駆的な自殺対策を行っている民間団体に対して財政的支援を行う自殺防止対策事業を実施をしておりますけれども、この中でも自死遺族に対する相談等の支援を行う団体に対しましても財政的支援を行っているところでございます。  今後、私どもといたしましては、例えば自治体とのネットワークを生かしつつ、自死遺族支援の好事例を紹介していくなど、これまでの取組等が遺族の方々支援により広い範囲で効果的に結び付いていきますように、事業の在り方等をしっかりと検討してまいりたいと考えております。
  28. 武見敬三

    武見敬三君 これに加えて、もう一つ地域医療との関わりで、これは二次医療圏ごとに自殺未遂者及びそういった関係親族の人たち支援するための医療機関というのが拠点機能として確保されるということが必要だと思いますけれども、この点に関する……
  29. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 申し訳ありませんが、時間でございますので、おまとめください。
  30. 武見敬三

    武見敬三君 はい、分かりました。それでは、質問はやめます。  それで、改めて最後に申し上げておきたいことは、この基本法というのが、いわゆる参議院という、第二院らしい最も深い意味のある、そしてなかなか社会ではふだん日が当たらない課題に対してその独自性を生かした形で、超党派でこうした課題に取り組んだ私は一つの理想型だと思います。  私は、やはり参議院というのは、こうした課題についてしっかりと取り組み、腰を据えて審議をし、そしてこうした問題に対する社会の新たな役割をしっかりとつくり上げていくことがこの院の大きな役割ではないかということを、十年たった今日、改めて確認をさせていただいて、私の質問を終わります。  以上です。
  31. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。  本題に入る前に、昨日から本日にかけて全てのメディアで報道されております、年金情報百二十五万件が流出をされたという情報でございます。  この問題は、大変根の深い問題、マイナンバーの問題とも絡む問題でございます。これは、所管する当委員会においてしっかりした解明が行われていかなければならない、そのように思っております。この問題の解明、対策抜きに新たな閣法の審議などあり得ないということをはっきり申し上げて、本題に入らせていただきます。  武見先生に引き続き、自殺対策をしっかり進めるという観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。  平成十七年の七月十九日、約十年前でございますが、本委員会自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議が全会一致で行われたわけでございます。まさに十年目の節目。  先ほど質問をされました武見先生、そして我が党で今は亡き山本孝史元議員、この二人が中心になってこの取組をしっかり進めていただきました。さらには、小池議員や福島先生も大変御協力をいただいたわけでありますし、当時の厚生労働大臣が尾辻先生でございました。また、政府全体では、今は参議院の議長であります当時の山崎官房副長官が全体の取りまとめをしていただいたわけであります。そのことに対して心より敬意を表するとともに、特に、今は亡き山本孝史さんは武見先生に再三本当に感謝の意を言っておりましたことを申し伝えたいというふうに思っておるところでございます。まさに様々な立場の方々が総力を結集して実現をしました十年前の決議でございました。  そこで、改めて塩崎厚生労働大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  十年前の参議院単独の本委員会決議は、その後の我が国自殺対策にどのような役割を果たしたのか、大臣の御見解をお伺いします。
  32. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今お話がございましたように、平成十七年の七月にこの委員会で御決議がなされまして、そこにおきまして、自殺自殺する個人の問題だけに帰するのではなくて、自殺する個人を取り巻く社会に、社会全体に関わる問題として関係府省が一体となって総合的な対策を取らなければいけないと、こういうこととされたわけでございます。  それを受けて、厚生労働省としましては、この決議に基づいて、政府対策支援する自殺予防総合対策センター先ほどお話が出ておりますけれども、これを設置をいたしまして、そして、その決議等を契機として成立をいたしました自殺対策基本法、議員立法でございますが、及び自殺総合対策大綱に基づいて、うつ病対策などの精神保健医療充実生活困窮者への支援充実、そして職場のメンタルヘルス対策など、様々な施策を総合的に取り組んでまいったところでございます。
  33. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ありがとうございます。  この本委員会における決議を受けて、自殺対策関係省庁連絡会議が設置をされ、政府による自殺総合対策が示されるわけであります。この間、国会においては、超党派の自殺防止対策を考える議員有志の会、現在の議連の前身でありますが、これが組織をされ、自殺対策に取り組む全国の民間団体と緊密に連携を図りながら、今大臣がおっしゃった自殺対策基本法の制定に向けた取組を活発化させることとなったわけであります。当時、国民の皆様から寄せられた基本法の制定を求める署名の総数が十万一千五十五人であったというふうに承知をいたしております。結果として、平成十八年の六月十五日、百六十四回国会の閉会日の前日、ウルトラCでこの法案が成立することになったわけでございます。  今日は、内閣府の赤澤大臣出席をいただいております。改めて、この自殺対策基本法がその後の我が国自殺対策にどのような役割を果たしたのか、お答えをいただきたいと思います。
  34. 赤澤亮正

    ○副大臣赤澤亮正君) 内閣府においては、自殺対策基本法の施行、平成十八年十月から今日に至るまで、国を挙げた自殺対策推進に取り組んでまいりました。自殺対策基本法の制定により、基本法において基本理念が明文化をされたことにより、我が国における自殺対策の方向性が明確化をされました。また、自殺総合対策会議の設置とともに、政府推進すべき自殺対策の指針として基本的かつ総合的な自殺対策の大綱を定めることとなりました。自殺対策基本法の制定を踏まえて、平成十九年に自殺総合対策大綱、さらに二十四年には大綱の見直しをそれぞれ閣議決定をし、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すという理念の下、国を挙げて自殺対策を総合的に推進してまいりました。  以上のような取組を通じまして、平成十年以降、十四年連続して三万人を超えた状態高止まりを続けてきた自殺者数が、昨年には約二万五千人にまで減少するなど、成果が出てきているものと認識をしてございます。引き続き、自殺総合対策大綱に基づき自殺対策を着実に推進してまいりたいと考えております。
  35. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 厚労省内閣府と国の立場でお答えをいただきました。  言うまでもありませんが、自殺対策を進めるに当たっては、地域住民にとって最も身近な市区町村の役割が重要でございます。この基本法の第四条、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、自殺対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」というふうにあるわけでございます。私も担当務官として関わった自殺総合対策大綱にも、地方公共団体の果たすべき役割が記載をされているわけであります。  本日は、四年前の七月に発足しました自殺のない社会づくり市区町村会の代表世話人であられます京丹後市の中山市長が、御多忙の中、出席をいただきました。あと数分でこの部屋を出なければいけないという事情は分かりますが、自殺対策における市区町村の責務について簡潔に見解をお伺いしたいと思います。
  36. 中山泰

    参考人中山泰君) ありがとうございます。  三分ぐらいいただいてちょっとさせていただきたいと思うんですけれども、まず、市区町村の責務の前に、自殺対策全体の大切さ、先生おっしゃられたとおりなんですけれども、私の立場から、定性的なところからちょっと入っていきたいと思うんですけれども。  この社会、人が生きる、あるいは生きようとする意思を前提に成り立っている私たちの社会において、そこに踏みとどまっていくことができないほど社会的に追い詰められているということは、これは根本的な意味で、その意味で最も社会的弱者である状況であるというふうにも思うんですよね。同時に、社会の成り立ちにも関わるような面も持つこの対策、真っ正面から国も地方も据えてしっかりと対応していくということが求められる課題であるというふうに受け止めています。  その上で、市区町村の果たす役割というのはとっても大きいものがあるというふうに思います。というのも、まず一つ自殺は様々な要因が重なって追い詰められているという点、その要因というのは全て生活の現場で起こっているわけですね。同時に、市町村の任務こそは、生活の現場に立脚をして住民の皆さんの一番近い距離で寄り添いながら福祉を一緒に考えていくというのがまさに任務そのものであるというようなことが一つありますし、同時に、現実的な面からしても、全国至る所で多くの職員がポテンシャルとして持っている、その中で施策の展開力というものは潜在的には広く持っている、そういう現実的な背景も市町村はあるということを捉えても、市町村の果たすべき役割はとても大きいというふうに思っております。  他方で、同時に大切なのは、先ほど武見先生もおっしゃられましたですけれども、ナショナルミニマムであるという点だと思うんですよね。国民として保障されるべきナショナルミニマムとしての対策人間としての安全保障の問題であるという点があるというふうに思うわけです。そうしたときに、ナショナルミニマムと現場で立脚する、これを両立してやっていく課題こそがこの自殺対策であって、そもそも国と地方がそれぞれの役割を密接に連携をしてやっていくことがこの課題の属性として根本的に求められる課題であるというふうに思っております。  したがって、地方としては、地方の立場からすると、国と密接に連携をして取り進めることができる構造的な制度環境づくりというのは絶えずいただきたいなというふうに思っておるところでございます。
  37. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、市区町村がそうした今責務を果たす上で、国との協力、これは当然不可欠になるわけでありますが、市区町村の立場として、国からどういった支援があればそうした責務を果たすことができるとお考えか、また逆に、国からこうした支援がない限り市区町村としての責務が果たすことができないといった支援の最低条件というものについて率直にお伺いします。
  38. 中山泰

    参考人中山泰君) これまでの取組を振り返ったときに、やろうとする、やる気のある自治体を支援する仕組みですね、こういったものは、基金始めいただきつつあるんだというふうに思うんですよね。  その上で、是非ともお願いしたいということがありまして、もちろん、こういった本格的に対策を打っている自治体、これをますます広げていくということはもとよりなんですけれども、是非とも必要に思うのは、まだ本格的に対策が十分できていない、これは、やろうとしても政策間のプライオリティーが持てずに対策実施が乏しかった自治体というのがあるわけですね。こういった自治体にも、日本中どの自治体も必要十分な最低限の対策をすべからくお願いすることができるような制度環境の整備は是非ともお願いしたいなというふうに思います。  というのも、この間の取組の成果で積極的に取り組んでいただく自治体も少しずつ増えているんですけれども、同時に、まだまだ本格的に手の付けられていない自治体もたくさんある。自治体間の格差が広がっているという、全国的に、という状況だと思うんですね。その中で、是が非でもあってはならないというふうに思うのは、住民にとって、住む地域によってこの大切なセーフティーネットに差があるということがあってはならない次元の性格の問題だと思うんですね。どこに住もうとも最低限の命を支える支援というのはしっかりと受けることができる、これは国民として保障されるべきナショナルミニマムだということだと思います。  このためにも、ナショナルミニマムと現場に根差すということを両立させていくこと、このことの一つの工夫として、例えば、これは是非とも法改正していただいて、ほかの自治体の仲間の皆さんからお叱りを受けるかもしれませんが、自殺対策の基本計画、これを自治体すべからくしっかり作る、そして推進をするということをどの自治体であってもできるように、自治体の大切で不可欠な役目として、尊い任務として明確に書き込んでいただくということがお願いできないかというふうに思っております。  とりわけ、まだまだ一日に七十人もの方がお亡くなりになられているという状況を前に、全国すべからくどの自治体も対策をしていくことによって、お互い情報交換するわけですね、それによってお互いの政策を高め合うことができる。まだまだ緒に就いて十年です。まだまだ伸び代が大きい。なので、全国的にやってもらって、情報交換をして高め合っていくということがお互いのためにもなる。そういうナショナルミニマムを、ばっとしていただくことがシビルミニマムを押し上げていただくことにもつながるんだというふうに思います。  これは、法的に乾いた言い方をすると義務付けということになるわけですけれども、ただ、これは、大切なのは、住民の立場から見ていただくこと、住民がいつでも日本中どこでも最低限の支援は地域横断的に共有できるんだという、こういうなくてはならない規範を地域のみんなで共有をしていくということがとても大切だと思うんですね。  何より、例えば単独の自治体にしても、自分たちの住民の皆さんが将来どこに住むかもしれない、今は我々のところの住民だけど、将来どこに住まざるを得ないかも分からないときに、そこに行っても最低限、必要十分な生きる支援は受けられるんだよというようなことを自治体相互に共有をしていくということはすごくメリットがどの自治体にとってもあることだと思うんですよね。だから、そういう面にもそうだし、自治体にとってこの問題、地域によって差があってはいけぬ問題なんだというのを、いろんな意味で理解を広げていく上でも非常に大切であるというふうに思います。  もちろん、地方分権とか地域主権があるわけですけど、だけど、その前に地域によって差があってはならぬ問題というものもあるわけであって、計画を作っていくんだということを前提に、その計画の中に地域独自の事情や特色を踏まえた計画を作っていただいて、互いに多彩に高め合っていくということで、分権の趣旨とも両立するというふうに思います。  本格的に取り組んでいる自治体をますます広げていく上では、最後に申し上げるのが、国の組織体制、そして予算、これも武見先生の御議論ありましたけれども、これは是非とも地域の立場からもお願いしたいなというふうに思います。  首長はみんな持っているんですね、もう一、二分で終わりますけれども、平成二十四年には全国市長会、年間に五、六本しか決議がないわけですけど、自殺の総合対策決議をしていただきました。首長も問題意識は持っているんだけど、申し上げましたように、目の前に成果が求められるような課題というのが山積をしている中で、なかなか人的、予算的な制約がある中で本格的に手が付けられなくているという自治体も多いわけですね。  ですから、今年度からは予算も自己負担が必要やということになってくるとますます後退せざるを得ないケースも懸念されるわけで、そういったことが決してないように、どの自治体もしっかりと前進をして自治体相互に高め合っていくことができるような予算的、体制的、そして法的バックアップを是非ともお願いしたいというふうに思います。
  39. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 心残りがあると思いますが、時間になりましたので、中山市長、ありがとうございました。  委員長、お帰りいただいて結構です。
  40. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 中山参考人は御退席いただいて結構でございます。
  41. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、ライフリンク清水さんにお聞きをしたいというふうに思います。  清水代表は、NHKで報道ディレクターを務めておられました。十一年前にNHKを退職されてライフリンクを設立、以来、代表を務められているわけであります。自殺対策全国民間ネットワークの代表でもあり、昨年設立されました、先ほども申されましたが、日本自殺総合対策学会の発起人代表も務められておるわけであります。十年前の本委員会決議あるいは自殺対策基本法の制定においても、民間団体のリーダーということで大きな役割を果たされて今日に至っておるわけでございます。  そこで、清水代表に質問をいたします。  自殺という問題を議論した際に、一部の方から、死にたい人は勝手に死なせればいいじゃないか、わざわざ国が自殺対策などする意味があるのかというような端的な指摘がございました。そうした中で、なぜ国を含めて自殺対策を行わなければならないのか、基本的な認識をまずお伺いします。
  42. 清水康之

    参考人清水康之君) なぜ国を含めて社会全体で自殺対策をやらなければならないのか。それは、端的に申し上げますと、自殺対策というのは、生きる支援、国民の命を守る活動だからです。これは世界的にも言われていることですし、大綱の中にもうたわれていることですが、自殺はその多くが追い込まれた末の死です。  最後の段階では、確かに本人が自ら命を絶つという行動を取っているわけですが、でも、だからといって死にたくて死んでいるわけでもないし、勝手に死んでいるわけでもないし、多くはそうせざるを得ない状況に追い込まれて言ってみれば自殺させられているわけなので、そうやって死を強いられている人たち支援する、あるいは、そもそも死を強いられる人がいない社会をつくるというのは、これは生存権であり、あるいは先ほど来話にも出てきている人間安全保障に関わる問題であって、私は、これは国を含めて当然やっていかなければならないというふうに考えています。
  43. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、この十年間、我が国自殺対策を総括して、おおむね解決した課題、解決には至っていないものの相当程度解決をした課題、さらに、現時点においても解決の道半ばとなっている課題について、清水代表から御見解をお聞きしたいと思います。
  44. 清水康之

    参考人清水康之君) まず、おおむね解決した課題と言えるのは、国と全ての都道府県において自殺対策が行われるようになったこと、自殺対策が行政の仕事になったということではないかと思います。  次に、解決には至っていないものの相当程度解決した課題ですが、これは強いて言えば、自殺対策社会的な課題であるとの認識が少しずつ社会の中で共有されるようになってきたということ、あるいは、全国各地でいろんな活動が生まれてくる土壌が整ってきた、環境が整備されてきたということではないかと思います。  ただ、ほとんどが現時点においても解決の道半ばとなっている課題と言わざるを得ません。この五年間、日本の自殺者数が減少してきているといっても、そうした中でどういう方向に自殺対策進めていけばいいのかということは分かってきたんですが、ただ、依然として一日七十人もの人が自殺で亡くなっているわけであって、減ったといっても、九十人毎日亡くなっていたのが七十人に減っただけであって、これは増えるスピードが少し遅くなったというだけです。  ですから、依然として非常事態が続いている、対策もまだまだ道半ばだと、そういう認識の上に立つ必要があると思います。
  45. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そうしますと、清水代表としては、この残された課題、一番最後に申されました、これに対応するためには、本委員会における新たな決議が必要であり、同様に、自殺対策基本法についても一定の見直しが必要であるという、そういう認識でよろしいんでしょうか。
  46. 清水康之

    参考人清水康之君) 全くその認識です。いい意味で十年前の決議自殺対策基本法も使い古すことができたというふうに思っています。  スマートフォンに例えれば、せっかくいろいろなアプリが出てきたにもかかわらず、OSが古いために十分機能することができない、今自殺対策はそういう状況にあると思います。ですから、自殺対策のOSを更新して、現在の様々な取組をもっと早く、もっと強力に全国に展開していけるように、新たな決議基本法の見直し、これは私は不可欠だというふうに考えています。
  47. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 続けて、清水代表にお伺いしたいと思います。  ウェルテル効果という言葉がございます。語源はゲーテの「若きウェルテルの悩み」ということですが、マスメディアの自殺報道に影響されて自殺が増えるという事象、これを指す言葉であります。  マスコミ報道の影響というものは大変大きなものがあって、WHOでは以前より「自殺予防 メディア関係者のための手引き」を作成しておるわけであります。故山本孝史さんも本委員会で取り上げたことがあるわけですが、そこに次のようなことが書かれておりました。  一つ自殺をセンセーショナルに扱わない、当然の行為のように扱わない、あるいは問題解決の一つであるかのように扱わない。二つ、どこに支援を求めることができるのかということについて情報提供する。三つ、自殺既遂や未遂に用いられた手段を詳しく伝えない。四つ、著名な人の自殺を伝えるときには特に注意をする。五つ、自殺で残された人に対して十分な配慮をする、これは先ほど武見委員も申されました。  自殺問題に対するマスコミ報道につきまして、近年、相当程度私は改善されているのではないかというふうに思うんですが、それでも課題はやっぱり残っているのではないか。そのことについて、清水代表の見解、あるいはマスコミに対する要望も是非お聞かせください。
  48. 清水康之

    参考人清水康之君) ニュース報道における自殺報道という意味では、確かに改善が図られてきているというふうに思います。例えば、朝日新聞は過去に不適切な自殺報道をしたんですが、ただ、そのことをきっかけにして自殺報道のガイドラインを作りまして、今では全ての記者に配る取材のハンドブックにも載せて、それを教材にした新人教育なども行っています。  ただ、そこまで徹底している報道機関というのはまだ少ないですし、あとはニュース報道以外の媒体ですね、ドラマとかあるいはワイドショーにおいては、依然として不適切な自殺についての報道が続いているように感じます。特に、ドラマの中で人がビルから飛び降りる、そういう自殺で亡くなるシーンを繰り返し繰り返し見せられると、これは、それが人生の選択肢の一つとして、見た人たちに印象付けられるということにもなるでしょうから、ニュース報道以外の媒体に対する働きかけ、あるいはドラマ等が自殺に与える影響についての検証、こうしたものも必要だというふうに思っています。
  49. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、赤澤大臣にお聞きしたいと思います。  我が国自殺の特徴はどういうものかということであります。WHOによりますと、世界では四十秒に一人、推定で約八十万人、毎年お亡くなりになっていると。様々な情報、十分な情報があるかどうか分かりませんが、各国における自殺の現状を考えるときに、人口当たりの人数だとか、あるいは全体の自殺者の人数だとか性別だとか、あるいは自殺に至った理由など、様々な観点で比較をするということは重要だというふうに思うんですが、我が国自殺状況について、諸外国と比較してどのような特徴があるか、分かる範囲でお答えをいただきたいと思います。
  50. 赤澤亮正

    ○副大臣赤澤亮正君) 諸外国における自殺に関するデータについては、性別、年齢別のデータについては把握をしてございます。自殺に至った理由別までは把握をしておりませんので、そのような前提の下でお答えをいたしますが、我が国を含む先進七か国の自殺死亡率、御案内の人口十万人当たりの自殺者数ですが、それを比較をいたしますと、男性、女性共に我が国自殺死亡率が最も高いということがあります。それから、年齢別に見ると、十五歳以上六十九歳以下の各年齢階級において我が国自殺死亡率が最も高い。特に、十五歳から三十四歳までの若者の死因の第一位が自殺となっているのは、先進七か国の中では日本のみという状況でございます。  このように、我が国自殺死亡率は、国際的に見るといまだ高い水準にありますので、引き続き自殺総合対策大綱などに基づく施策を着実に推進していくとともに、特に厳しい状況にある若年層の自殺に関しては、平成二十六年度補正予算において若年層向けの自殺対策など地域の実情に応じた自殺対策支援するための交付金二十五億円を措置したところでございます。  今後とも、若年層対策を含め総合的な自殺対策に取り組んでまいります。
  51. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ありがとうございます。  特徴として若年層の自殺率が高いという、このことに対して今後私たちはしっかりした対策を講じていかなければ、更に対策を講じていかなければならないということだと思います。  最後の質問をいたします。  三月の二十四日、政府は、内閣官房・内閣府見直し法案を国会に提出をされ、その中には、これまで内閣府が行ってきた自殺対策厚生労働省移管するということも含まれているわけであります。仮にこの法案が成立をしたとするならば、来年の四月一日の施行日まで、移行期間は既に十か月を切っております。先ほど武見委員も、しっかりこの引継ぎをやれという御指摘をいただきました。命に直結した自殺対策に関しては、万一にも行政の施策に切れ目があってはならないわけであります。  そこで、新たに自殺対策を担う可能性の高い厚生労働省塩崎大臣に対してお尋ねをしたいというふうに思います。今後、どのような決意で国としての自殺対策を進めるのか、また、内閣府からの業務の引継ぎ等はどのような予定で行うのか、大臣の決意を含めて、極めて力強い決意をお述べいただきたいと思います。
  52. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど来申し上げておりますように、厚生労働省では、これまでも省内関係部局において自殺総合対策大綱に基づいて各種施策推進に取り組んでまいったところでございます。  今回、法案が成立をいたしますと、厚生労働省自殺関係の事務が回ってくるわけでございまして、移管後においても、厚生労働省内関係部局連携をして厚生労働省挙げて取り組んでいくとともに、関係府省との調整に関しましても、関係大臣で構成される自殺総合対策会議の総合調整機能業務ノウハウ、そして人的体制等を円滑に引き継ぐことなどによって、政府全体として一体的、総合的に自殺対策に取り組んでまいりたいと思っております。  また、業務移管につきましては、本年一月の閣議決定において、移管後の業務に支障が生じないよう、移管業務に関する機構定員、予算は移管後の省庁に移すということになっております。  厚労省においては、内閣府としっかりと連携をして、必要な機構定員、そしてまた予算の確保に努めて、自殺対策移管が円滑に行われ、総合的な対策厚生労働省中心に行われるように心して頑張っていきたいというふうに思います。
  53. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 終わります。     ─────────────
  54. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、藤巻健史君及び羽田雄一郎君が委員辞任され、その補欠として川田龍平君及び福山哲郎君が選任されました。     ─────────────
  55. 福山哲郎

    福山哲郎君 おはようございます。  民主党・新緑風会の福山でございます。厚生労働委員会での質疑は恐らくもう八年ぶりぐらいになると思います。このような機会をいただきました、それぞれの筆頭、また我が党の津田理事にも心から感謝を申し上げたいと思います。    〔委員長退席、理事羽生田俊君着席〕  また、今日、決議が御検討されていると承っております。厚生労働委員会委員先生方におかれましては、この決議に向けて御尽力いただいていることも心から感謝を申し上げます。  なぜ私が質問に立たせていただくかというと、私、尾辻先生を会長とする自殺対策推進する議員の会の副会長をやらせていただいていることと、民主党政権時代に自殺総合対策大綱の改定に向けて党内の社会的包摂プロジェクトチームの座長をやらせていただきました。また、政権のときには、社会的包摂チームというチームを官邸内につくりまして、清水参考人にもお力添えをいただく中で、各省庁に本当に御尽力をいただいて、この自殺対策についてお世話になりました。そんな経緯があるので、今日立たせていただくこと、本当に感謝申し上げます。  時間がないので、行かせていただきます。  実は、政権時代に自殺対策として、よりそいホットラインという、二十四時間三百六十五日、誰でもどこでも全国から相談できる、言わば命と暮らしの一一〇番のようなものをつくらせていただきました。これは、本当にNGOの皆さんや国の協力等々があって成り立ったところでございますが、このよりそいホットラインが現在どういった相談をどのぐらい数受けているのか、短めで結構ですので、活用状況について、厚労省、お答えください。
  56. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) お答えを申し上げます。  今御指摘のありました、よりそいホットラインでございますけれども、無料電話相談の中で、相談内容を特定しない一般ライン、これについては約十五万件の相談を受けております。それから、自殺予防ラインにつきまして三・二万件、そして、セクシュアルマイノリティーラインについて三・八万件、DV・性暴力ラインにつきまして二・七万件、こういったものを含めまして、二十六年度全体で約二十九万件の相談を受けている、こういう状況でございます。
  57. 福山哲郎

    福山哲郎君 一年間で二十九万件と、先生方、多いと思われるか少ないと思われるかは別にして、これ、実は接続している数が二十九万件ですよね。接続率は今どのぐらいになっていますか。
  58. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 全体で約二%でございます。
  59. 福山哲郎

    福山哲郎君 先生方、驚かれるかもしれませんが、二十九万件は実際相談を受けた数です、一年間で。しかし、接続できているのは二%です。つまり、そのぐらい数の多い電話が鳴っていて、現実問題として、よりそいホットラインの例えば電話の台数だとか、それからNGO、NPOも含めたサポート体制の問題も含めて接続がまだまだ足りていないというのが現状でございまして、実は、よりそいホットラインの電話相談の現場に行くと、本当に社会は壊れているのではないかというぐらい、いろんな人の複合的な相談の中身が寄せられます。  しかし、一方で、自殺対策のよりそいホットラインが果たした役割もそれなりに僕はあると思っておりまして、厚労省内閣府、そして自殺対策の現場で現実にお力添えをいただいた清水代表、どういうふうに今評価をいただいているか、お答えいただけますでしょうか。短めでお願いします。
  60. 清水康之

    参考人清水康之君) これ、非常に大きいと思います。自殺対策に取り組む全国の民間団体も、生活相談や女性向けの相談あるいはセクシュアルマイノリティーの方々への相談を行っているほかの様々な分野の民間団体と一緒によりそいホットラインに関わらせていただいているわけですけれども、それぞれが培ってきた知見や経験を生かしてこの相談業務に当たっていて、相談員を対象としたアンケートを見ても、よりそいホットライン、こうした相談対応が自殺対策に役に立っているというふうに答える人が圧倒的に多いという状況です。
  61. 福山哲郎

    福山哲郎君 厚生労働省内閣府にも。
  62. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) よりそいホットラインでございますけれども、様々な困難に直面している方につきまして、まず電話相談を受け、必要に応じて面談あるいは同行ということで、非常に自殺防止対策も含めて生活に悩んでいる方々のお役に立っているというふうに評価をいたしております。
  63. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) お答えします。  自殺総合対策大綱におきましては、相談体制充実など、社会的な取組自殺を防ぐことを当面の重点課題一つと掲げております。その中で、悩みを抱える人がいつでもどこでも相談でき、適切な支援を迅速に受けられるためのよりどころとして、二十四時間三百六十五日の無料電話相談を実施する体制を整備するということにつきましても盛り込まれているところでございます。  そうした中、厚生労働省において実施をされているよりそいホットラインにつきましては、大綱の当該項目に該当する事業であると考えております。このような取組を含めまして、自殺の危険性が高まっている人々に対して社会的な支援の手を差し伸べるための取組推進が重要であると認識をしております。    〔理事羽生田俊君退席、委員長着席〕
  64. 福山哲郎

    福山哲郎君 ありがとうございます、評価をいただいて。逆に、もっと積極的に進めていただければと思います。  その中で、先ほど厚労省言われましたけれども、実はこれは電話を受けるだけではありません。同行支援とか相談の窓口を紹介したりとか、非常に有機的な形で、それぞれの相談者の方が積極的に、そして本当に寄り添って対応していただいています。  問題は次の段階で、例えば地域の自殺対策、今、何とか基金をしっかりと予算化してほしいと私は思っておりますが、地域の自殺対策とよりそいホットラインをどう連動させるかとか、それから例の生活困窮者自立支援事業、これも今、全国でスタートしておりますが、これをよりそいホットラインとどう連動させるかによって、自殺対策だけではなくて生活支援だとか、そういった総合的な形でこのことが活用できるのではないかと私は今考えておりまして、内閣府におかれましては自殺対策との連動、それから厚労省に関しては生活困窮者自立支援との連動についてどうお考えになっているか、お答えいただけますでしょうか。
  65. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) 内閣府におきましては、国と地方公共団体に対する連携の促進、そして地方公共団体間における取組の実例の共有等を目的に、定期的に全国の主管課長等を集めた会議などを行っております。  よりそいホットライン等に関しまして申し上げますと、これを始めといたします国の自殺対策取組については、こうした会議などで枠組みを活用して情報提供を行うことによりまして、地域における取組の更なる連携を促進をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  66. 福山哲郎

    福山哲郎君 あと厚労省
  67. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 生活困窮者の自立支援制度との連携でございますけれども、これは、早期の相談対応から自立まで切れ目のない支援を行っていく上で非常に大事だと思っております。具体的には、電話相談によりますよりそいホットラインと、それから対面で相談に応じた後、包括的な支援を行う生活困窮者の自立支援制度、これがうまくつながっていくことが非常に効果的な支援の上で大事だと思っております。  そのために、この四月から始まっております自立支援制度の施行に先立ちまして、よりそいホットラインと新制度の相談窓口との連携、これを図っていただくように通知を発出しております。  その結果、各地でこういった連携が進んでおりまして、地域によりましては、例えば新制度の相談窓口が終了した後の夜間時間帯にこのよりそいホットラインにつなぐといったようなガイダンスを流す取組もやっているということでございまして、今後とも、両取組がうまく組み合わさって効果的な支援が行われるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  68. 福山哲郎

    福山哲郎君 非常に有機的につなげていただける御努力をいただいていること、本当に心から感謝を申し上げます。是非よろしくお願いします。  その中で、先ほど厚労省から通知というのがありました。これ、例えば自殺生活困窮者等々について、各自治体等の主管課長とかに、やはり例えば研修等でよりそいホットラインの紹介等で認識を深めていただくとか、それぞれの自治体の自殺対策の中で、例えばモデルケースのように自治体に例の基金を使って積極的にやっていただくような、そういうプロジェクトなりモデルがあると全国的に広がるような気がしますが、そのことについては、厚労省、どのように考えていただけますでしょうか。
  69. 鈴木俊彦

    政府参考人(鈴木俊彦君) 今御指摘ございましたように、具体的な好事例の展開というものが大事だと思っております。  私ども、自治体によりそいホットラインの事業が生活困窮の取組の中で十分に御活用いただけるように、これはよく御認識いただく必要があると思っておりまして、具体的には、自治体の職員もさることながら、生活困窮者の自立支援の中で実際にその自立相談支援に当たります従事者、この方々の養成研修の中で、よりそいホットラインの取組の紹介でございますとか、あるいはよりそいホットラインの関係者に講師として出ていただいていろいろな認識を深めていただく取組を展開している、こういうことでございまして、今後ともこの取組につきましては力を入れてまいりたいと思っております。
  70. 福山哲郎

    福山哲郎君 是非よろしくお願いします。  あわせて、よりそいホットラインには、例えば女性差別、それからLGBTも含めセクシュアルマイノリティー向け、それから外国人に対しての相談の電話もあって、これも今、よりそいホットラインではいろんな知見が蓄積されています。こういったことをいかに有効に活用していただくかというのが重要なので、是非厚生労働省におかれましては内閣府とともにこのことについてしっかりと対応いただきたいと思いますし、塩崎大臣、やり取りを聞いていただいて、このよりそいホットライン、結構重要なので、どうか大切にしていただきたいと思いますし。  もう一個申し上げると、実はアルコール依存対策も、今アルコール障害対策基本法というのが議員立法でできまして、これも超党派で私やらせていただいたんですけど、これも実はアルコールによる精神的な問題というのが自殺に行くということが非常に可能性として高まっています。自殺防止のためにも、地域の中で是非この飲酒問題の対応も含めて考えていただきたいと思っているので、二つ併せて、塩崎大臣、お答えいただければ有り難いと思います。
  71. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど来やり取りを聞かせていただいて、改めて、電話相談に限らず様々な支援につながるネットワークになっているということがとても意味があるなというふうに私も感じたところでございます。  潜在的に自殺を考えていらっしゃる方々の背景にはいろんなものがあって、今の飲酒の問題なども含めて、やはりしっかりと受け止められる体制というものを持っていないといけないので、そういう意味では、ネットワークでホットラインが機能していただくということは大変大事なので、厚労省としてもしっかり応援をしていかなきゃいけないというふうに思います。
  72. 福山哲郎

    福山哲郎君 アルコールの問題については、内閣府、一言だけ答えていただけますか、短めに。
  73. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) 自殺総合対策大綱におきましても、適切な精神医療を受けられることにすることを重点施策として掲げている中で、アルコール依存症を始めとするうつ病以外の精神疾患等に関するハイリスク者対策推進についても盛り込んでおるところでございます。また、アルコール健康障害対策基本法に基づいて内閣府に設置されているアルコール健康障害対策関係者会議におきましては、二十八年五月までの基本計画の策定を目指して検討が行われているところでございます。  引き続き、具体的なアルコール依存症対策事業を実施をしておられます厚生労働省等とも連携の上、アルコール依存症を始めとするうつ病以外の精神疾患等に対するハイリスク者対策推進してまいりたいと思います。
  74. 福山哲郎

    福山哲郎君 是非いろんな連携をお願いします。  せっかく厚生労働委員会に来させていただきましたので、あと二問だけ、もう一遍に聞きますので、お答えいただきたいと思います。  実は、院内感染がいろんなところで広がっています。最近の国際的な知見や情報や技術をしっかり日本も取り入れて各医療機関で実践をしていくことが重要だと思っています。実は、私事ですが、私の母も入院中、外科の手術で入院したのに院内感染になって内臓疾患になり、そして歩けなくなって、今要介護五になりました。これ、院内感染です。やっぱり非常にこれ、今後の対策、重要だと思っておりまして、今国際的には、例えば手すりや取っ手、テーブル等に患者が触れるところで銅を使った感染経路の遮断や菌の繁殖抑制等の考え方が出てきています。  こういったものについて厚労省は今どう考えておられているか。こういったものに対する支援、基準づくりは考えられないかということと、診療報酬上、例えば院内感染防止のために看護師の配置が要件となっているわけですが、看護師にハード、ソフト両面でのいろんな最新の知見を反映するような研修レベルを上げるために、診療報酬上そういったことの後押しをすることがこれから要検討だと思っておりますが、厚生労働省、どのように考えているか、お答えいただけますでしょうか。
  75. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 時間ですので、簡潔にお願いします。
  76. 二川一男

    政府参考人(二川一男君) 厚生労働省におきましては、これまで院内感染対策といたしまして、医療法に基づきまして指針の策定、委員会の開催等を義務付けているところでございますし、また、感染対策マニュアルの作成の手引も医療機関に配付をしているところでございます。  御指摘の銅による院内感染防止対策についてでございますけれども、給湯設備などで繁殖するレジオネラについては銅の利用に効果があるといった研究成果が得られていると承知をしているところでございます。銅によるこういった院内感染防止対策の効果につきましては、引き続き関連学会等による研究等を通じまして、まずは知見の集積に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  77. 唐澤剛

    政府参考人唐澤剛君) 診療報酬でございますけれども、診療報酬上、医療安全の院内感染防止対策加算として評価をしておりまして、これは看護師さんにはかなり高い要件を求めております。六百時間以上の研修などを求めておりますが、その内容につきましても、改定のたびごとにレベルの高い要件を求めてきておりますので、今後とも、私ども、高齢化の進展で院内感染防止対策はますます重要になってまいりますので、この診療報酬につきましても適切な評価に努めてまいりたいと考えております。
  78. 福山哲郎

    福山哲郎君 ありがとうございました。終わります。
  79. 長沢広明

    ○長沢広明君 公明党の長沢広明です。  今日は、朝から自殺対策の問題での議論が続いておりますが、この十年間、自殺対策を進めるということで、多くの議員、そしてまた専門家の皆さんが力を合わせて取り組んでこられたことに心から敬意を表したいというふうに思います。  自殺対策の超党派の議員連盟には、我が党から谷合正明議員が入って今回の決議案作りにも一緒に取り組んできたところでございます。本来、谷合正明議員がこの場に立って質問をするのが一番よかったんですけれども、残念ながら総務委員会委員長をしておりますので質問に立てなかったということで、私が代わりに質問させていただくということになります。  自殺という問題は、多様でしかも複合的な原因や背景を有するということで、単に精神疾患ということだけではなく、失業、倒産、長時間労働と、こういった社会的な要因も背景にあり、その実態に即した多方面の対応ということが必要だというふうに指摘をされています。このため、自殺対策には精神保健的な視点だけではなく社会経済的な視点を含む包括的な取組ということで、様々な関係機関の地道な努力がこの間の自殺対策推進につながってきたというふうに思います。  自殺対策基本法、あるいは今、福山議員からもありました自殺総合対策大綱、またそれを見直して充実するというような、様々な取組によって我が国自殺対策は大きく前進をしました。ただ、OECDの統計によれば、先ほど来御指摘あるとおり、人口十万人当たりの自殺率は、韓国、ハンガリーに次いで第三位という高い水準にあるということは、これは事実でございます。  今後も引き続きこの自殺対策を進めていくという意味で、何点か基本的な確認をさせていただきたいというふうに思います。  今回、この国会に提出されたいわゆる内閣官房・内閣府見直し法案により、自殺対策内閣府から厚生労働省移管するという方針が出ております。自殺対策は、今申し上げたとおり、様々な多方面からの取組ということが非常に重要な対策でありまして、一つ省庁で解決できる問題ではないという、幅広い省庁が横断的な連携を取る必要があるということで、内閣府が省庁横断的な施策を取りまとめる、そういう機能があるということで内閣府が所管があったというふうに理解をしております。  今回の移管によって、内閣府から厚労省に移ることによって施策が後退するようなことがあってはならないというふうに思いますので、自殺対策に関して、まず基本的に内閣府から厚労省に移す理由は何なのか、これについて説明いただきたいと思います。
  80. 山下哲夫

    政府参考人(山下哲夫君) お答えいたします。  省庁再編後の社会経済情勢の変化により、内閣官房、内閣府に事務が集中することとなったため、今御指摘の、今回お出ししております内閣官房・内閣府見直し法案では、各省が中心となって行うことで、より強力かつきめ細かに推進できると考えられる事務については各省等に移管することとしております。  今回、内閣府が所掌する自殺対策大綱の作成、推進に関する事務などを厚生労働省移管することとしたのは、今後、国を挙げて更に自殺対策を推し進めていくためには、地域において自殺対策の中核を担っている自治体の保健福祉部局や経済的な自立を支えるハローワークなど、現場との緊密な連携が可能な厚生労働省事務移管することで取組体制の更なる強化が図られると考えたことによるものでございます。  厚生労働省への移管後におきましても、関係閣僚から成る自殺総合対策会議は同省において維持することとしておりまして、引き続き、同会議において自殺総合対策大綱の案を作成し、自殺対策の実施を推進するなど、内閣府における場合と同様に、政府一体となって自殺対策に取り組むことができるものと考えております。
  81. 長沢広明

    ○長沢広明君 今御説明ありました、厚生労働省移管することでよりきめ細かな対応ができるようになるという考え方が背景にあるわけです。したがって、移管に伴って厚生労働省もよりきめ細かな対応ができるように、移管に伴った体制整備も含めて、どういう体制自殺対策を行っていくか、ここは非常に重要なことで、今まで武見先生からも津田先生からも御指摘のあったところです。  そこで、私からも確認させてもらいます。移管に伴って、厚生労働省としてどういう対策自殺対策を行っていく予定なのか。同時に、内閣府を始め、今説明があったとおり、政府一丸、省庁一体となってという取組をしていく上では、内閣府とほかの省庁との連携体制について、これは厚労省内閣府と両方からお答えをいただきたいと思います。
  82. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) お答え申し上げます。  厚生労働省への移管後におきましても、自殺対策に関する施策につきましては、先生指摘のように、これ幅広い分野施策連携を図るということが重要でございます。  まず、厚生労働省内におきましては、関係部局がきっちりと連携をいたしまして、かつ、先ほど大臣も答弁申し上げましたけれども、一元的な指揮の下で厚生労働省挙げて自殺対策推進できるような体制検討しておるところでございます。  また、関係府省との連携に関しましても、自殺総合対策会議等の総合調整機能業務ノウハウあるいは人的体制等を円滑に引き継ぐこと等によりまして、政府全体として、一体的、総合的に自殺対策に取り組んでまいりたいと考えております。
  83. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) 内閣府におきましては、これまでも国を挙げた自殺対策推進に取り組んできたところでございます。その結果につきましては、昨年は二万五千人まで自殺者数が減少するなどの着実な成果が出てきているものと認識をしております。  今後、また更に自殺対策を前に進めていく上におきましても、円滑に事務を引き継いでいくということは大変重要であるという認識をしております。既に内閣府と厚生労働省担当者間での調整を開始しているところでございます。引き続きしっかりと対応してまいります。
  84. 長沢広明

    ○長沢広明君 しっかり連携を取っていただきたいというふうに思います。  厚労省においても、今年四月から、これは自殺予防総合対策センター、CSPの業務在り方等に関する検討チームというのを置いているというふうに聞いています。いわゆる情報提供研修資材の開発、それから地域の実情に応じた取組推進するという意味での自殺予防に向けての総合的な対策支援するという自殺予防総合対策センター在り方について検討が行われているというふうに伺っております。  この自殺予防総合対策センター機能強化というのはこれから非常に大事だと思いますし、求められてくると思いますが、今後の自殺予防総合対策センター役割及び今後求められる姿、これを厚労省としてどのように捉えているのか、伺いたいと思います。
  85. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) 自殺対策の今後のより一層の推進が求められております中で、私ども、この自殺予防総合対策センター役割もより一層重要なものになってくるのではないかというふうに考えております。  そういった認識の下で、先生指摘をいただきました、自殺予防総合対策センター業務在り方について検討いたしますために、検討チームを、私、障害保健福祉部長の下に設置をいたしまして、有識者の参画の下、現在議論を進めているところでございます。  検討に当たりましては、特に自治体との連携強化でございますとか、あるいは幅広い分野施策連携が重要な視点だというふうに考えておりますけれども、今後、今月中を目途に検討結果を取りまとめることとしておりまして、これを踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
  86. 長沢広明

    ○長沢広明君 あと端的に質問をします。  既にこの委員会の中でも、先ほど来御指摘あるとおり、若年者の死因一位が自殺となっているのは先進七か国の中でも日本だけと。ほかの国の若年層の死因一位というのは事故なんですね。だから、日本だけが自殺が一位であると。  こういうことを含めて、若年者の死因一位が自殺であるという事実に対して、政府はどのように捉えてどう対策を講じてきたか、これはこれまで担ってきた内閣府にお答えいただきたいと思います。
  87. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) 今委員指摘のとおり、十五歳から三十九歳の死因の第一位が自殺我が国ではなっております。また、国際的に見ても、先進七か国の中では、十五歳から三十四歳の死因の第一位が自殺となっているのは日本のみであり、人口十万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率も他国に比べて高い状況でございます。また、自殺者数全体は減少をしていく中、若年層の自殺者数の減少幅が他の年齢層に比べて小さいものにとどまっているなど、若年層の自殺は依然深刻な問題であると認識をしております。  こうした状況を踏まえ、自殺総合対策大綱におきましては、若年層の自殺対策を重要な課題と位置付け、子供については、自殺予防を目的とした教育の推進やいじめを苦にした自殺の防止、また、働く若者については、職場におけるメンタルヘルス対策などの施策を盛り込み、関係省庁で取り組んできたところでございます。内閣府におきましては、平成二十六年度補正予算におきまして、若年層対策等、地域における自殺対策の強化を支援するための交付金二十五億円を措置したところでございます。これらの施策を通じまして、政府一体となって若年層の自殺対策に取り組んでまいる所存でございます。
  88. 長沢広明

    ○長沢広明君 最後に、大臣に、いわゆる予算面での取組を確認させてもらいます。  いわゆる地域自殺対策緊急強化基金というのがつくられましたが、これ平成二十一年度の補正予算で、都道府県に三年間の対策に係る基金として平成二十一年度の補正予算でこれは措置されました。いわゆる相談体制をつくる、それから人材育成を行うということのための基金です。これは二十一年度の補正予算で、その後、二十五年度のやはりこれも第一次の補正予算で十六・三億円積み増したと、なおかつ、これを二十六年度まで実施期間を延長したと。さらに、平成二十六年度には平成二十七年度末までまた実施期限を延長したということですが、非常にまあ、何というんですか、その場的なんですね、予算の措置においても。  これで、地域の実情を踏まえた自主的に取り組む地方公共団体対策、あるいは民間団体の活動等の支援を行う地域における自殺対策力を強化するいわゆる基金というものが動いてきたわけです。しかし、この基金は、今申し上げたとおり、補正予算で措置されたり、ちょいちょい延ばしたりというやり方で、いわゆる恒久的な予算ではないと。地方で取組を行うに際しては、非常に不安定な財源であるという問題があります。  自殺対策に関して、今後恒久的な予算を確保して地域の取組支援していく必要があるというふうに思いますが、大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  89. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、長沢先生からお話がございましたように、今は地域レベルでの実践への取組というか、その地域へ転換をしていくということが極めて重要なことになっておりまして、そういう中にあって安定的な予算が必要じゃないかと、今先生指摘をいただいたところでございます。  厚労省としても、二十八年度から自殺対策の事業を内閣府から引き継ぐわけでございまして、現在、自殺対策を所管をしております内閣府と十分連携しながら、ちょうど間の年になるものですから、橋渡しの、なかなか難しいわけでございますけれども、今先生の御指摘の問題は極めて重要だと思っておりますので、私どもとしても、しっかりと内閣府とも連携して、政府として必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに思います。
  90. 長沢広明

    ○長沢広明君 終わります。ありがとうございました。
  91. 川田龍平

    川田龍平君 維新の党の川田龍平です。  私は、今回、自殺対策を考える議員有志の会というのに八年前に当選をしてから参加をさせていただきまして、超党派議連の設立にも関わらせていただきました。  法律については、やはり成立させてから、特に、成立させただけではなくて、理念が予算化され、そして実施されて、さらにはチェック、そして見直しをして継続して初めて生きてくるということを、私も原発事故子ども・被災者支援法を超党派の全会一致で成立させた経験からも、この三年間、日々痛感をしております。  本当にこの自殺の問題については、先ほどほかの先生からもお話がありましたとおり、山本孝史議員とは、実は約二十年前の、議員がまだ衆議院議員だった時代、薬害エイズの問題で私が参考人で発言をさせていただいたときに質疑に立っておられ、そして「龍平の未来」という私の本のことを取り上げていただいて、龍平君の未来あるいは皆さんの未来は私たち全員の未来である、エイズの薬害の問題解明を通じて平和で明るい未来が築けるように共に頑張っていきたいと、山本孝史議員が衆議院議員時代におっしゃっておりました。  そして、山本孝史議員とは、最後の絶版となった遺著の中で、命を守るというテーマで対談をさせていただいて、その本が完成したときに山本孝史議員が亡くなるということを、私も議員だったときにその経験をさせていただいたことからも、山本先生が先頭に立って切り開いてこられた自殺対策というものを私も引き継いで、この十年目の節目にしっかりと今後も自殺の問題について取り組んでいきたいという決意で頑張らせていただきたいと思っています。  そして、自殺については、私も友人が自殺で亡くなった経験がありますし、それから、過労によって自殺に追い込まれた小児科医の中原先生の遺族の方とも一緒に過労死問題にも取り組んできたこともあって、自殺の問題というのは、私自身の問題としても、本当にこの問題、何とかこれ以上多くの人が自殺によって亡くならないようにしていきたい、命を守る政策をしっかり実現していきたいと思っているところです。  そして、特に今回、自殺基本法の十八条に親族等に対する適切な支援がうたわれていますが、自殺で家族を亡くした遺族が全国に一体どれくらいいて、そのうちどれくらいの方がそうした支援を必要としているのかどうか、また、自殺総合対策大綱にも、重点施策の八番目として、残された人への支援充実するとうたわれているところですが、この基本法ができたことをきっかけにして全国に自死遺族等への支援が広がっていると承知していますが、例えば、自死遺族のつどいと言われる、自死遺族の方々が月に一回程度集まってふだん話せないような胸の内を安心して語り合える場というのは、基本法の施行前と現在とではどれくらい増えているのでしょうか。また、遺族等のための情報提供というのは全国でどのくらい行われているのか、まとめて質問させていただきます。
  92. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) 自殺につきましては、家族や周りの方々に大きな悲しみと生活上の困難をもたらすなど、残された人々に深刻な影響を及ぼすものでございます。  自殺総合対策大綱におきましては、そうした影響の緩和を図るための取組として、遺族の自助グループ等の運営支援、学校、職場での事後対応の促進、遺族等のための情報提供推進などを掲げております。関係省庁地方公共団体においてこれらの取組が進められているところでございます。  内閣府におきましては、地域自殺対策緊急強化事業を通じまして、地方公共団体における自死遺族支援取組への財政的な支援を行っております。これによりまして、地域の実情に応じて、自死遺族のための分かち合いの会の運営費の補助、あるいは自死遺族向けの相談会や自死遺族向けの相談を行う者への研修の実施、地域の相談先や自助グループの連絡先などを記載した遺族のためのリーフレットの作成などを行っております。  お尋ねの、自殺で家族を亡くした遺族の方の数ということでありますけれども、一説には約三百万人という試算もあると承知をしておりますけれども、内閣府としては把握をしておりません。そのうち、したがいまして、どれくらいの方が支援を必要としているかについても把握をしていない状況でございます。  また、自死遺族のつどいの状況でございますけれども、基本法施行前の自死遺族への支援の詳細については把握をしていないところでございまして、また、現時点においても御質問のような集いの開催状況について網羅的に把握をしているわけではございませんが、その意味で詳細な数字はお答えをしかねるわけでございますけれども、私どもの把握しているところでは、少なくとも四分の三以上の都道府県において、内閣府の地域自殺対策緊急強化事業を活用して、二十五年度にいわゆる自死遺族のつどいに関する事業を実施したと報告を受けております。  また、情報提供の関係につきましてですけれども、これについても、御質問のような自治体における情報提供状況について網羅的な把握はしておりませんが、様々な形で遺族への情報提供は行われていると考えております。内閣府の地域自殺対策緊急強化事業を活用して、二十五年度にリーフレットを用いた情報提供を実施したとの報告を受けている都道府県といたしましては、例えば岩手県、長崎県などがございます。  以上でございます。
  93. 川田龍平

    川田龍平君 今後、厚労省として、こういったことをしっかり把握するべきと考えます。大臣、これ是非検討してください。こういった情報をしっかり共有して、厚労省として今後しっかり取り組んでいただきたいと思います。  次に、自死遺族等への支援課題について清水参考人に伺います。  清水代表は、二〇〇一年にNHKのディレクターとして自殺で親を亡くした子供たちの番組を作られ、それをきっかけに自殺対策に取り組むようになったと聞いていますが、当時と現在を比較して自死遺族等への支援はどう変わったと感じていますでしょうか。また、十分でないとすれば具体的にどういった点でしょうか。そして、そうした課題を乗り越えるための取組で参考になるものがあれば是非御紹介ください。
  94. 清水康之

    参考人清水康之君) 二〇〇一年当時と今日とを比べますと、自死遺族支援というのは大分広がってきたと思います。  二〇〇一年当時は、遺族支援の団体といっても本当に指折り数えるぐらいで、それが基本法ができて、第一条にしっかりと遺族支援充実必要性がうたわれ、大綱の中にも遺族支援のことが書き込まれたこと等によって、今では、私たちが把握している限りでは、四十七全ての都道府県において、全国で約百四十余りの遺族を支援している団体が増えてきています。  ですから、数も増えてきていますし、あと、質でいうと、自死遺族支援弁護団というものが結成されて遺族の法律相談に乗っていたり、あとは遺族向けの追悼法要を行う宗教家のグループができている。これ、自殺で家族を亡くした場合は葬儀も十分に挙げられないというケースが間々ありますので、そうした人たちが後でしっかりと葬儀を行えるようにということで追悼法要をやっている、そういうグループが出てきたりというふうに、ですから数も質も増えてきているという、そういう状況ではあります。  ただ、課題というか、それでもまだまだ全然十分とは言えない状況で、というのも、数が増えて質が増えてきたにもかかわらず、そうした支援情報が遺族に確実に届く仕組みがないんですね。ですから、支援にたどり着ける遺族というのは、たまたま情報に触れることができた、たまたま情報を入手することができた、そういう遺族であって、でも、その遺族はもうほんの一握りなわけなので、まさに、三百万人遺族がいるというのは私たちの推計ですけれども、そうした中ではほとんどの遺族が恐らく支援にたどり着けていない。  ですから、支援情報をしっかりと一元的に集約して、それを確実に遺族に届けていくという、そういう仕組みを全都道府県に私は設置すべきだと思います。そういう意味では、東京都がそれに近いことをやっていますので、それを全都道府県に広げるという必要があるんじゃないかと考えています。
  95. 川田龍平

    川田龍平君 私も、たまたま友人の遺族の方と今もつながりを持っていますけれども、本当にそういう人というのは少ないんではないかと思います。  東京都は、自死遺族を対象としたリーフレットを作成して、監察医務院などを通じて遺族に配付することで遺族支援に関する情報の周知に努めています。しかし、ほかの道府県においては、多くは当該地域の自死遺族支援に関する情報の集約すらできておらず、当然、自死遺族に対して適切な情報提供ができていないのが実情です。  来年度から自殺対策の所管が内閣府から厚労省に移る一方で、遺族等への支援自殺対策の重要な柱の一つであるわけですが、ただいまの清水代表からの指摘も踏まえ、今後、厚労省警察庁や都道府県とどのように連携して、自死遺族等への支援をどのように強化していくかの考えをお聞かせください。大臣、お願いします。
  96. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) お答えを申し上げます。  厚生労働省といたしましては、これまでも都道府県、指定都市に設置をしております、先ほど来出てまいっております地域自殺予防情報センターにおきまして、自殺者の親族等からの相談に応じたり、あるいは助言を行うなど、地域における自殺者の親族等に対する支援充実も図ってきたところでございます。  また、私ども、全国的また先駆的な自殺対策を行っている民間団体に対しまして、財政的支援を行います自殺防止対策事業というものも実施をしておりますが、この中で、自死遺族に対する相談等の支援を行う団体に対しましても財政的支援を行っているところでございます。  なお、今回、移管に当たりまして、私ども厚生労働省といたしましても、この自死遺族対策、大変重要な課題だというふうに認識をしております。私どもの自治体とのネットワークを生かしながら、例えば自死遺族支援の好事例を紹介するなど、これまでの取組が遺族の方々支援に更に効果的に結び付いていきますように、事業の在り方等を検討してまいりたいと考えております。
  97. 川田龍平

    川田龍平君 次に、自殺予防について伺います。  この配付資料一を御覧ください。各都道府県等が設置する地域自殺予防情報センターは、毎年の決算額に大きな差があるようですが、取組の具体的内容においてどのような差があると把握していますか。  また、続けて三問目へ行きますが、地域センターの重要な役割は、好事例などの紹介など、市区町村をいかに支援して予防の取組を強化させるかにあると考えます。そのために、地域センター充実、地域格差の解消について今後どのように取り組む予定かということも、併せて、藤井部長、お願いします。
  98. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) この地域自殺予防情報センターは、都道府県及び指定都市が設置をしておりまして、関係機関等と連携を図りながら、地域における自殺対策の総合的な支援体制の整備を推進するものでございまして、全国今三十一か所に設置をされております。  地域での対策推進には、この地域自殺予防情報センターの果たす役割、私ども大変重要と考えておりますので、現在未設置の自治体に対しても設置を働きかけているところでございますが、地域における自殺対策につきましては本事業だけでもございませんで、内閣府の地域自殺対策緊急強化基金を活用した事業がまた各自治体の実情に応じて実施をされているものと認識をしておりまして、そういう意味では、この地域自殺予防情報センターがないとか、あるいは予算的にあるいは決算的に金額が低いからといって、必ずしもその地域において自殺対策が取り組まれていないというふうには認識をしておりません。  いずれにいたしましても、私ども、地域での自殺対策推進にはこのセンターの果たす役割、大変重要と考えてございますので、現在未設置の自治体に対しましてもこれを今後とも設置を働きかけてまいる所存でございます。
  99. 川田龍平

    川田龍平君 東京の小平にある自殺予防総合センターについて伺います。  ここが自殺予防に関するナショナルセンターであるという位置付けでよろしいでしょうか。
  100. 二川一男

    政府参考人(二川一男君) 自殺予防総合対策センターでございますけれども、委員指摘のとおり、国立研究開発法人国立精神神経医療研究センターの組織の一部として運営がされているものでございまして、国全体の本部といった位置付けのものと考えております。
  101. 川田龍平

    川田龍平君 この配付資料の裏の二番のところなんですけれども、このとおり、毎年の予算額を見ると年々削減されていますが、その理由は何でしょうか。
  102. 二川一男

    政府参考人(二川一男君) 予算につきましては、国立精神神経医療研究センターの運営交付金において措置されているところでございますが、運営交付金が全体が減額となる中で、この部分につきましても減額となっているところでございますが、現在、研究活動や情報発信等の業務につきましては、厚生労働科学研究費等を確保することによりましてそういった業務を実施しているものというふうに承知をしております。
  103. 川田龍平

    川田龍平君 藤井部長を主査とする検討チームが既に二回開かれて、先ほど中山市長からもナショナルセンターについて厳しい御指摘があったと聞いていますが、センターのこれまでの業務体制について、どこに問題があってどのような課題があったと考えていますでしょうか。また、検討会を二回終えた現時点での見解を、藤井部長、お聞かせください。
  104. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) 国立精神神経医療研究センター設置をされております自殺予防総合対策センターでございますが、これまでも自治体で自殺対策の実務を担う職員等を対象とした研修を行う等、地域の実情に応じた取組推進において一定の役割を果たしてきていただいているというふうに考えております。  一方で、地域レベルでの実践的な取組を更に強力に進めてまいる上では、例えば自治体による企画立案に有益なデータ情報提供でございますとか、あるいは地域における関係機関の連携強化のための支援に取り組むべきだというふうな御指摘もいただいておりまして、こうした課題に適切に対応してまいるために、現在、検討チームにおける検討を進めておるところでございます。
  105. 川田龍平

    川田龍平君 時間ですので、残りの質問は次回に回しますが、本当に今回のこの自殺について厚労省として引継ぎをしっかりとやった上で、専任担当官を置いてやはりしっかりとやっていただきますように、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  106. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  107. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査のうち、自殺総合対策等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  108. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  津田理事が先ほども言われていましたけれども、十年前、この場で参考人質疑決議を上げて、そのことも思い出すんですが、やはり自殺というのは、これは個人の問題ではなくて、多くが防ぐことのできる社会的な問題だと。誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す、それを政治の意思として確認をして、法律を作り、その法律が実際に政策効果も上げてきたというのは、私は大変大事なことではないかなというふうに思っていまして、とかくこの厚生労働委員会は、対決法案、時には激突ということが多いわけですが、やっぱりそういう中で本当に大きな役割を果たしたんではないかなと私自身も改めて感じています。しかし、同時に、やはり一日七十人以上の方が自ら今も命を絶っているということは、これは何としても解決をしなければいけない問題である、引き続き大きな課題であるというふうに思うんですね。  今日は、いろんな角度から議論されていますが、自殺未遂の問題に、未遂者あるいは未遂者家族の支援中心質疑をしたいと思います。  自殺されている方の約二割、三割は自殺未遂歴があると言われていて、基本法でも大綱でもこの対策の重要性は指摘をされているわけです。大臣に、まず、未遂者対策というのは、これは自殺予防・防止対策にとって非常に重要性が高い課題であると思うんですが、その認識をまずお伺いしたい。
  109. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 自殺者自殺未遂歴というのは、男女共に二十歳代から四十歳代で極めて高くて、特に女性の二十から四十歳代においては四〇%以上という自殺未遂歴がございまして、自殺の予防を進める上で自殺未遂者対策というのは重要であるという認識を私も感じているところでございます。  自殺未遂者に対する支援については、これまでに、救急医療や精神科医療で働く医療従事者を対象とする自殺未遂者に対する心理的ケアに関する研修、あるいは都道府県等が設置をいたします、先ほど来随分お話が出ておりますけれども、地域自殺予防情報センターにおける自殺未遂者やその親族等に対する相談対応などを実施するとともに、今年度から、救急搬送された自殺未遂者に対して入院中から相談支援を行う試行的な事業を新たに開始をしているところでございまして、こういうような取組状況を踏まえながら、今後とも自殺未遂者に対する適切な支援についても取り組んでいきたいというふうに思います。
  110. 小池晃

    ○小池晃君 厚労省にお聞きしますが、今全国で自殺未遂、どのくらい起きているのでしょうか。
  111. 藤井康弘

    政府参考人藤井康弘君) お答え申し上げます。  先生先ほど大臣も御答弁申し上げましたが、自殺者数に占める自殺未遂歴の有無の割合につきましては警察庁自殺統計等で私どもも把握をしておりますけれども、先生指摘のような自殺未遂者数ということに関しましては、厚生労働省におきましては把握をしていないものでございます。
  112. 小池晃

    ○小池晃君 総務省にお聞きをしたいと思いますが、少なくとも救急出動の搬送件数などで未遂というのは把握できるんじゃないでしょうか、その数は。いかがでしょうか。
  113. 北崎秀一

    政府参考人(北崎秀一君) お答えいたします。  自殺未遂をした方の救急出動件数そのものではございませんけれど、消防庁では救急・救助の現況を毎年調査しておりまして、これによりますと、自損行為、すなわち故意に自分自身に傷害等を加えた事故で救急出動した件数は、平成二十五年中で六万四千六百二十二件となっておるところでございます。  以上でございます。
  114. 小池晃

    ○小池晃君 自殺未遂者というのは、生きたい、死にたいというはざまを揺れ動いていると言われていて、やはりそういった方にしっかり対策をするというのは、本当にこれは最も緊急の支援分野ではないかなと私は思うんですね。  大臣、いろいろと先ほどお話しされましたけれども、未遂者の数も現状では把握できていないというのが実態であります。これは、やはり全国の病院に対する調査であるとか、あるいは救急出動時の情報収集なども含めて、これは省庁間の連携を深めて情報収集、情報共有、これ緊急の課題としてあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  115. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 結論としては、そのとおりだと思います。  自殺未遂者の支援を行うためには、やはりその実態をしっかりと情報収集しておくということが大変重要でありますので、これまでも厚生労働科学研究において、高度救命救急センターにおける重症な自殺未遂者の実態把握、これを行ってまいりました。  消防庁で把握をする自損行為、今お話が出ましたが、による救急搬送データのより細かな分析とか、そういうことに取り組んできたわけでありますけれども、今お話しのとおり、医療機関あるいは関係省庁としっかり連携をして、更に情報収集、共有の強化を図って自殺未遂者支援に取り組んでいかなければならないというふうに思います。
  116. 小池晃

    ○小池晃君 これは、総務省も含めて、政府を挙げて是非取り組んでいただきたいというふうに思います。  自殺総合対策大綱では、自殺未遂者対策として、一つは精神科救急も含む救急医療体制、それからもう一つはネットワーク、相談体制、地域において総合的なケアができる体制ということを掲げておりますが。  内閣府にお聞きしますが、全国でどれぐらいの医療機関、自治体が自殺未遂者支援に取り組んでいるのか、全国の取組状況、これを教えていただきたいと思います。
  117. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) 自殺総合対策大綱におきましては、自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐという観点から、救急医療施設における精神科医による診療体制等の充実や家族等の身近な人の見守りに対する支援等を盛り込み、関係機関において取組を進めているところでございます。  内閣府におきましても、地域自殺対策緊急強化事業を活用いたしまして、救急告示病院との連携等、自殺未遂者支援取組を行っている自治体を支援させていただいているとともに、そのような先進的な取組に対して、事例集の作成等を通じて他の自治体にも周知をしているところでございます。  なお、お尋ねの全国のどのぐらいの医療機関や地方公共団体において自殺未遂者支援取組を行っているかにつきましては、内閣府において全てを網羅的に把握しているわけではございませんが、少なくとも、都道府県別で見ますと四十六都道府県において地域自殺対策強化事業を活用して自殺未遂者支援取組を行っていると承知をしております。  こうした取組を通じまして、関係省庁地方公共団体等と密接に連携しながら、自殺未遂者の支援を今後も進めてまいりたいと思います。
  118. 小池晃

    ○小池晃君 四十六ということで、鳥取が入っていないようですけど、鳥取も、基金は使わないけれども未遂者対策はやっているというふうにはお聞きをしているわけであります。  全体としてこれを取り組まれているというんですが、その中身がやっぱり問われていると思いまして、自治体で、私、東京の荒川区がこれをやっているということで担当者にお話を聞きました。これは、荒川区は担当部局任せにせずに区を挙げて取り組んでいるというふうにおっしゃっています。ゲートキーパー研修といって、窓口とか電話の対応、訪問時に区民の方にそういうサインがあるかどうか、気付いたらば適切な相談機関につなげられるような研修をやる。あるいは荒川区社会福祉協議会、生活支援センターライフリンクやBONDプロジェクトというNPOなどと年三回、定期的に実務担当者会議をやって、連携情報交換をやっていると。それからさらに、未遂者支援連絡会をほぼ毎月、年間十回ぐらい開催をして、日本医大の高度救命救急センターあるいは東京女子医大の東医療センターの救命救急センター担当者あるいは精神医学の専門家等々出席をして、事例検討情報交換を行っているというんですね。  具体的には、日本医大や女子医大の救命救急センターに搬送された未遂者に精神科医が再企図防止のために区の支援が受けられるということを伝えて、本人の同意が得られたら区の担当者が訪問して、あるいは窓口に来ていただいたりして支援をしている。二〇一〇年から現在までに約百名弱支援やっておられて、残念ながら、再度自殺で亡くなった方が四名、再度未遂に至った方が四名いらっしゃるということなんですが、そういう取組をやっているというんですね。  担当者の方は、これは未遂者支援のためには連携情報共有が必要で、それに基づくきめ細かい対策につなげていく、例えば就労支援であるとかあるいは福祉の支援であるとか、そこにつなげていくことが大事だというふうにおっしゃっておられます。  しかし、未遂者というのは、日本医大や女子医大などの三次救急だけじゃなくて、二次救急あるいは初期救急の段階にも行きます。区外の医療機関にももちろん行かれます。区の独自の取組だけではとてもつかみ切れないと。区の担当者は、これは、自殺総合対策未遂者支援は区だけではとてもできない、地域自殺対策緊急強化基金を活用しているけれども、更に充実してほしいというふうに言われているわけですね。  ちょっとお金のことを、私、こういう取組やられているところがある中で、実際に、先ほどもちょっと議論ありましたけれども、これは三年間の基金として始まって、補正予算で積み増し、延長を続けてきて、それで今年度は東日本大震災の被災者、避難者向けの事業に限定するということになってきていて、これでいいんだろうか、やはり恒常的、安定的な財政基盤のために恒久財源がどうしても必要ではないかというふうに思うんですね。  財源の問題も含めて、今後、厚労省でこの問題しっかりやっていただかなければいけないわけで、その問題についての大臣の御決意を改めて伺いたいというふうに思います。
  119. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) この問題につきましては、先ほど来、何人かの先生からもお尋ねがございました。  もちろん、大綱で、全国で画一的な取組から地域レベルでしっかりと実践的な取組へ転換しろと、それから、自殺未遂者の、今先生がお取り上げになっていらっしゃる再度の自殺企図を止めるということを重要施策とされているわけでありまして、厚労省としては、医療機関において自殺未遂の段階で、先ほど申し上げたとおり適切な支援を行うということは重要で、今また新たな試みもしているということでありますけれども。  問題は、今お話がございました財源のことでございますけれども、今すぐにという一つの方向性を申し上げることはなかなか難しいわけでありますけれども、やはり今御指摘があった問題を含めて、重要課題がこうして自殺関連で未遂を含めてあるということであれば、二十八年度から自殺対策の事業を内閣府から引き継ぐ際に、この基金の取扱いを含めて、現在自殺対策を所管をしている内閣府と十分に連携をしながら、まだ所管にはなっておりませんので、厚労省は、政府として必要な予算の確保に、年末に向けてしっかりと努めてまいらなければならないというふうに考えております。
  120. 小池晃

    ○小池晃君 恒久財源というふうに言っていただきたかったんですけれども、それは引き続き私ども求めていきたいと思います。  清水参考人にお伺いしますが、自殺未遂者の対策強化、大綱でも言っている、この現状について参考人はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
  121. 清水康之

    参考人清水康之君) 自殺未遂者支援というのは、まだ始まったばかりだというふうに考えています。荒川区と日医大病院や女子医大病院のような地域と医療機関の連携というのは例外的にできているだけであって、全国的に見たらまだまだ珍しいケースです。  自殺未遂者というのは、これは自殺のリスクが非常に高いことが明白な人たちなわけですから、自殺未遂者への支援というのはピンポイントで確実に行うことができる自殺対策、生きる支援なわけですね。しかも、自殺念慮を抱えている人たちというのは、死にたいと生きたいのはざまで揺れ動いていて、十分な支援を受けることができれば多くは生きる道を選ぶんですね。  ただ、しかしながら、ほとんどの地域ではそうした未遂者あるいは未遂者の家族への支援というものが行えておらず、そうした中で、生きる道を選べずに亡くなっている人が今たくさんいるという、そういう現状だと思いますので、受皿も人材もまだまだ著しく不足していて、そうした状況の中で、未遂者支援はまだ始まったばかりであるし、非常に遅れているという、そういう捉え方をしています。
  122. 小池晃

    ○小池晃君 おっしゃるような実態があると思うんですね。  大臣、今のお話も踏まえて、この自殺未遂者対策、これは徹底的なやっぱり体制強化が必要ではないか。二次医療圏ごとにきちっと支援ができる拠点病院を定めるとか、あるいはその拠点病院が各医療機関と連携するような体制をつくるとか。それから、未遂者親族、ここへの支援もこれは大事だと、やっぱり未遂されたということはもう大きな衝撃になるわけで、これを日常的に見守り続ける親族がこれは支援を受けられる体制をつくることも大事だと思うんですが、大臣、ちょっと端的にお答えいただきたい。
  123. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) やはり御家族も含めて支援をするということになれば、例えばPSWであるとか、もちろん精神科医療の御専門の方のお力も借り、そしてまた複数の医療機関、関係をしてくる方々もおられると思うので、そういった協力をしっかりと得ながら、この新しい自殺対策、これは未遂を含めてしっかりやっていかなきゃならないんじゃないかということで、また、その自殺企図を防ぐということは、やっぱりかなり高度な知識を持った上で対応していかなければいけないのではないかと思いますので、こうした今いろいろ試行事業もやっておりますので、進捗状況を踏まえながらこの実情に応じた支援体制の構築に向けて取り組んでいかなければならないと思います。
  124. 小池晃

    ○小池晃君 清水参考人にちょっと今後の未遂者対策聞こうかと思ったんですけど、ちょっと時間が来てしまったということなんで、これで終わりにしますが。  十年目の節目に決議を行うことは非常に大きいと思いますが、これにとどまらずに、自殺対策基本法、そして大綱の更なる見直しという方向に向かってやはり引き続き努力をしていくということが大切だと思いますので、そういう立場で頑張りたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  125. 行田邦子

    ○行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。  この参議院厚生労働委員会決議がなされて十年という節目に当たって、今日は自殺対策ということで審議が行われていますけれども、私からは、まず、毎年三月に行われています自殺対策強化月間について伺いたいと思います。皆様のお手元に資料を配付していますけれども、「みんなが、誰かのゲートキーパー。」というキャッチコピーで、これは強化月間のポスター、キービジュアルであります。  まず、内閣府に伺いたいんですけれども、今回の自殺対策強化月間におきましては、特に何に重点を置かれたのか、そしてまた、どのような効果を得られたのか、お答えいただけますでしょうか。
  126. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) 本年三月の自殺対策強化月間におきましては、自殺に追い込まれることは誰にでも起き得る危機であるという認識の下、一つは、危機に直面した本人向けには、悩みを一人で抱えないで相談しても大丈夫だということ、二つには、周囲の人向けには、悩みを抱え込んでいるかもしれない友達や家族に声を掛けてみることが重要だと、こういった点についての理解の促進に重点を置いて取り組んだところでございます。  具体的には、地方公共団体や民間団体による全国一斉相談、都道府県、政令指定都市による全国一斉こころの健康相談統一ダイヤルなどを実施したほか、内閣府におきましては、インターネット特設ページにおきまして、実際に相談業務に携わっている方へのインタビュー等を掲載したり、先ほど御紹介がありましたポスターの作成、配布、インターネットテレビやラジオ番組を通じた広報啓発活動を行ったところでございます。  こうした取組を実施したことで、例えば月間中のこころの健康相談統一ダイヤルへの総呼数、電話が掛けられた回数でございますけれども、これは前後の一か月間に比べまして二倍程度になるなど、一定の効果を上げたのではないかと考えております。
  127. 行田邦子

    ○行田邦子君 悩んでいらっしゃる御本人に対してと、そしてまた周囲の方に対してと両方のメッセージであり、また啓発活動ということでありましたけれども、これちょっと余談ではありますが、このポスターを見ていて大変残念だなというふうに思っております。せっかく自殺対策強化月間というものを設けて、国を挙げて、全ての関係者といいますか、この自殺対策はもうほとんど全ての国民、そしてまた全ての関係団体、そして全ての組織が関係すると思いますけれども、こうして取り組んでいるわけでありますけれども、何かメッセージがぼやけてしまっていて、今の御答弁を聞いて分かったんですが、当事者へのメッセージとそれから周囲へのメッセージ、これがちょっと一緒になってしまっているのでぼやけてしまったのかなと非常に残念であります。  啓発活動、大変に自殺対策において重要だと思っておりますので、来年の四月から厚生労働省移管されるという可能性もありますので、そうなった暁には、是非厚生労働省におきまして、有効な、そしてまたメッセージ性のある啓発活動を行っていただきたいと思っております。  そして、今少し御答弁の中にもありましたけれども、こころの健康相談統一ダイヤルというのがあります。平成二十年から全国で統一の電話番号にしたということでありますけれども、そこで内閣府に伺いたいんですが、この相談電話の受信件数と、それからどういった傾向があるのか、お答えいただけますでしょうか。
  128. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) 平成二十六年度におけるこころの健康相談統一ダイヤルの総呼数につきましては、十六万五千四百二十件ございました。一日当たりに換算すると、約四百五十件ということでございます。  この事業につきましては、地域における心の健康づくり推進体制の整備の一環といたしまして、各都道府県、政令指定都市がそれぞれ行っております心の健康電話相談等の公的な電話相談事業に全国共通の電話番号を設定するものでありまして、心の悩みを抱えた人たちの様々な相談が寄せられているものと考えております。  内閣府におきましては、全国の相談内容の内訳を集計するということまでは行っていないのでありますが、例えば大阪府での状況を見ますと、人間関係あるいは健康問題、金銭問題等の相談が多かったということで報告を受けております。
  129. 行田邦子

    ○行田邦子君 十六万五千件ということですけれども、先ほどの午前中の質疑の中では、よりそいホットラインは二十七万件だったかと思います。また、いのちの電話は、これは年間七十五万六千件だったということで資料がございますけれども、この数がどうかということは別として、是非、こうした統一の電話番号を設けているわけですので、この相談内容、受信件数だけではなくて、どういった相談内容の傾向があるのかということも、できる限り、可能な限り国においても知ってみようという意識を持っていただきたいなというふうに思っております。  そこで、このこころの健康相談統一ダイヤルなんですけれども、元々はこれ、都道府県、政令市がそれぞれの事業として行っていたものを共通の電話番号にしたということでありますけれども、受付時間というか運用時間を見てみますと、ほとんどのところが土日祝日、年末年始は休みということです。そしてまた、時間についても九時から十六時とか、あと十二時から十六時とか、大体平日の役所が開いている時間の中でというようなところが多いようです。東京都などは、これはあえて十四時から翌日の朝五時半までというふうにしているようです。  そういったところもあるようですけれども、この運用時間、電話の受付時間なんですけれども、これ行政手続と相談というのは質が違いますので、行政手続だったらば、土日が役所が休みだったら月曜日にしようということもできますけれども、追い詰められてどうしようかと自殺を考えているような人に対してのホットラインというものは、やはり土日祝日、できる限りこれ二十四時間ということにするべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  130. 安田貴彦

    政府参考人安田貴彦君) こころの健康相談統一ダイヤルの事業につきましては、先ほども申し上げたとおり、各都道府県や政令指定都市がそれぞれ行っている公的な相談事業に全国共通の電話番号を設定するものでありまして、ダイヤルの対応時間につきましては各自治体の御判断により異なっているのが実情でございます。  ただ、一方におきまして、悩みを抱える人の相談をやはり可能な限り受け止められるようにするためには、対応時間の延長を含め、相談体制充実が大変重要であろうと思います。内閣府としても、そういった取組を先進的な事例として取りまとめて公表、周知を行っているところでございます。  自殺対策の強化月間におきましては、やはり各都道府県等の御判断によりまして、夜間なりあるいは土日祝日に相談の電話を開設しているところも相当数あるところでございます。また、内閣府におきましては、地域の自殺対策緊急強化事業におきまして、電話相談事業の二十四時間の対応化やフリーダイヤル化、こういったことによりまして、心の悩みを抱える人が相談しやすい環境の整備を支援してきているところでございます。  今後とも、こういった公的な電話相談事業におきましても、緊急強化事業を活用していただくことは可能ではないかなというふうに思っておりますので、引き続き各地域の実情に応じた電話相談事業の充実の促進を図ってまいりたいと考えております。
  131. 行田邦子

    ○行田邦子君 是非お願いいたします。  今日は、国土交通省さんに来ていただいていますけれども、自殺防止の水際対策として、私は駅ホームのホームドアが有効だというふうに考えております。  そこで、まずホームドアの設置状況政府取組について伺いたいと思います。
  132. 篠原康弘

    政府参考人(篠原康弘君) お答え申し上げます。  御指摘のように、ホームドアは列車との接触、ホームからの転落等の防止、さらには自殺の抑止にも寄与しているものと考えておりまして、この整備を進めてまいりたいと思っておりますが、特に一日当たりの平均利用者数が十万人以上の駅、あるいは視覚障害者等からの要望の高い駅を優先的に整備を進めておりまして、現在のところ五百九十三の駅で整備が進んでございます。  今後の目標といたしましては、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます平成三十二年度までに八百駅の整備を目標として持っているところでございます。
  133. 行田邦子

    ○行田邦子君 いただいた資料ですと、ホームドアを設置すると、ホームからの転落、接触の防止、これもうゼロになります。よじ登っていかない限りは転落しませんので、これは自殺対策にも私はホームドアは非常に有効だと思っておりますけれども、ただ、これが費用が結構掛かるということです。  ホームの補強をしなくても、一駅、一路線当たり大体三億円と。大体の場合、ホームの補強が必要ですので、そうなると十数億円掛かるということなんですけれども、転落防止効果を維持しつつも、このホームドアのコストが掛からないような、そのような開発を進めてはいかがでしょうか。  そしてまた、主体となる鉄道事業者ですけれども、鉄道事業者に対する経済的な支援というのはいかがでしょうか。
  134. 篠原康弘

    政府参考人(篠原康弘君) ただいま御指摘ございましたように、ホームドアは基礎の部分を補強する必要がある場合がございまして大変コストが掛かりますので、より低廉なコストで開発できるホームドア、例えば昇降ロープ式あるいは昇降バー式といったものを開発する上で、国の方で二分の一の補助をするといったような制度を設けてございます。  また、ホームドアそのものの設置につきましても国が三分の一を補助するといった制度を設けておりまして、このようなものを使いまして積極的に促進をしてまいりたいと考えてございます。
  135. 行田邦子

    ○行田邦子君 今日は、せっかく国土交通省さん、お見えなので、いま一つ私の方からホームドアについて要望を申し上げておきたいんですけれども、私は今電車通勤で、今日も高崎線で来ましたけれども、ホームからの転落事故とかあるいは自殺によって死亡者が出た場合、大体電車は六十分から百分遅れるということです。これ非常に、今日は自殺対策というテーマでありますけれども、経済ロスも大きいというふうに考えていまして、皆さん、電車通勤の方はもうよくよく御存じだと思いますけれども、会議が遅れてしまうと。会議が遅れるくらいだったらまだいいというような、こうした経済面でのロスというのも大きいと思いますので、是非、国土交通省さんに当たりましては、一度こういった試算をしてみてはいかがかなということを御提案申し上げておきたいと思います。  それでは、最後に、大臣に伺いたいと思います。  自殺対策は、国それから自治体、またあらゆる団体、そして教育機関や医療機関、また企業、学界、国民全体で取り組むべき社会的重要課題だというふうに思っております。  そしてまた、さらに、来年の四月からは厚生労働省移管がされるというような可能性もございます。そうなりますと、午前中からの審議でありましたように、総合調整機能というものが厚生労働省にも求められるわけであります。密接な各府省との連携というのもしっかりやっていかなければいけないわけでありますけれども、そこで、大臣に対して、この点の御認識と、そしてまた特に注力したい点、強化したい点について大臣のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  136. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 法律が成立をいたしますと、来年度から厚労省がこの自殺対策につきましての総合調整を行う立場になるわけでありますが、これは関係閣僚の会議を使っての総合調整ということになろうと思いますが、いずれにしても、先ほどお話が出ているように、特にこれから地域とかあるいは自殺未遂の問題、あるいは未遂の方にも病院におられるときからということを先ほど申し上げましたけれども、さらに、医療関係等の方々ともしっかり連携をする、そしてまたNPO、いろんな方々とやっぱり連携をしないと、独り政府だけでやろうと思っても、全くアウトリーチができないということでもございますので、連携をしっかりとやるためには、やはりこの総合調整を行う立場をフルに生かしながら、各省と連携をし、そしてまた官民で連携をして、そしてまた地方と連携をしていくことによって、一人でも多くの方々の尊い命を守っていくということが大事なのではないかというふうに思うわけで、そういう意味で、来年度からの予算についても、先ほどお話があったとおりでありますが、内閣府ともよく連携をしながら、しっかり予算確保ができるように頑張っていきたいというふうに思います。
  137. 行田邦子

    ○行田邦子君 終わります。
  138. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  私も、二十五年間、自殺対策、ライフワークとして取り組んでまいりました。みとりという現場におりまして、そのみとりというものを生徒たちに語ってくれということで、多くの養護教諭の皆様方から授業を行ってほしいと、いわゆる命の授業というもので、愛知県中、小中学校回らせていただきました。大人の自殺に至る理由と子供の自殺に至る理由と全く違います。子供たちというのはニュースを見て、自殺というのを、死というものを美化する。そのことによって、悩んでいる友達と一緒に校舎から飛び降りてしまう。こんなことも日常茶飯に実は学校の現場で行われております。  その中で、私、この自殺対策の最前線に今産業医としても立っておりまして、その現場の苦悩というものを皆様方と共有するために今日は議論をさせていただきたいと思っております。  なかなかこの自殺対策、お一人お一人に向かうことというと大変難しゅうございます。まさにオーダーメードの医療というものが求められます。同じことをどの方にやっても自殺が予防できるわけではありません。一人一人の方にただ一言間違った言葉を掛けただけで本当にリストカットに走ってしまうような場面というのも、私よく経験をいたしております。ですので、これは本当にシステムという社会的なものをこれから構築していくということとともに、やっぱり現場の声というものをもっと大切にしていただきたいという願いも込めて、まずは国立精神・神経医療センター理事長にもいらしていただいておりますので、お聞きをしたいのですけれども。  今、先ほどから議論ございますように、自殺予防総合対策センターについての在り方の見直しが現在厚労省でも進んでおります。私、この対策センターについても高く評価する声も伺っております。実はアルコール、先ほども御紹介いただきましたアルコールでございますが、アルコールとうつ病と自殺というものは死のトライアングルというように言われておりまして、この考え方をそのセンターデータとともに全国に浸透させてきた。皆様方もコンビニなんかで赤いポスター御覧になったことがあると思うんですけれども、アルコールの対策月間というところで大きく貢献をしてくださいました。  このような中で、やっぱりマンパワーも足りない、予算も足りない、こういう現状があるんじゃないかということを大変私、危惧いたしておりますけど、その現状、十分なものなのか、教えていただけますでしょうか。
  139. 樋口輝彦

    参考人樋口輝彦君) ありがとうございます。  私どもの自殺予防総合対策センター業務の見直し、在り方というのは、現在厚労省の方で検討されているということでございまして、その結果を待って私たち、対応をしていかなければならないと思っております。  御指摘のように、自殺の問題というのは、午前中にもお話ししましたけれども、その背景、要因、非常に複雑で多様でありまして、何か一つのことだけを追求すれば何とかなるというものでは決してないというふうに思います。ですから、メンタルヘルスの問題に始まり、それからやはり社会的な様々な要因を分析して、どういう対応をすべきかというのをしっかりとデータを基にした議論をしていく、それが私どものセンターに与えられているこれまでの業務ではないかというふうに思っております。  御指摘のように、確かにそれほど潤沢な人及び予算が配置されているわけではございませんので、なかなか十分なことはできていないとは思いますけれども、それでも限られた財源を有効活用して、最大限の効果、成果を出せるようにということでスタッフ一同頑張ってきておりますので、今後はその見直しの内容を見せていただいて、それに即して十分な対応、できる限りのことはやっていきたいというふうに思っております。
  140. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  突然振って大変申し訳ないんですけれども、清水さんにもお尋ねしてよろしゅうございますでしょうか。  清水さんは、いわゆるソーシャルモデルの中で自殺対策を行ってくださっておりましたし、もちろん様々なところに造詣も深いことは私、存じ上げておりますけれども、これから新しい組織というものをパワーアップしていく上において、メディカルモデルというものとやっぱりソーシャルモデルと両輪になりながら助け合うということが必要だと思うんですけど、御意見ございますでしょうか。
  141. 清水康之

    参考人清水康之君) 当然のことといいますか、メディカルモデルだけでは駄目だし、ソーシャルというか、地域モデルだけでも駄目だし、あるいは、言わば対個人への支援と対地域への支援と、さらには対社会、対制度への支援、こういう分け方ができると思うんですけれども、それらはどれか切り離してできるものでもないですし、切り離すべきものでもないですし、それは一体としてやっていかなければならないということでございます。  精神保健の分野でいいますと、ただ、私は、これが中心になるというよりは、地域づくりというものがあって、その中で精神保健医療の担うべき役割が明確になってくると、こういう順番ではないかというふうに思っています。
  142. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  今の議論を受けまして、大臣にお尋ねしたいと思います。    〔委員長退席、理事羽生田俊君着席〕  これから厚労省というものが担うかもしれないこの事業、どのような形で更に強化をしていくおつもりなのか。まず、様々な問題というものをまだまだはらんでいる中で、やり方は多くございます。しかし、多くのネットワークの中で一つの形をつくり上げていくのに様々なステークホルダーの皆様方の同意も得ていかなければならない。武見先生からも御指摘いただきましたけれども、やっぱり医療の皆様方、マンパワーが足りない中で、ここまでセンターを維持してくださっております。  その中で、今回、大変医療現場から危惧されておりますのが、政策というものが、システムというものが余りにも重視されて、現場の声が反映されないようなセンターに拡大されていくんではないのか。若しくは、精神医療というものが本当に矮小化されてしまうようなものであってはならないというお声をいただいておりますけれども、大臣、御意見いただけますでしょうか。
  143. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 平成十八年に国立精神神経医療研究センター自殺予防総合対策センターというのができて、ここが中心厚労省としては貢献をしてきたわけでございますけれども、先ほど来出ておりますように、いろいろ時代の変化もあって、更にパワーアップするためにどうするかということで、これは先ほど藤井部長の方からもお答え申し上げたように、この五月に検討チーム障害保健福祉部長の下に置いて、自殺予防総合対策センター業務をどうするか、どうやったらもっと厚みのあるものになっていくかということを議論を始めてもらって、有識者の皆様方に様々な御意見を頂戴することになりました。    〔理事羽生田俊君退席、委員長着席〕  何とかこの検討で、自治体との連携、つまり地域をもっとしっかり対応すべきだということもございましたし、また、先生お話があるように、メディカルモデルで精神保健福祉医療分野、こちらも含めて、やっぱり幅広い分野施策連携させていかないといけないという中で、今年の六月をめどに検討結果を取りまとめるということになっておりますので、そう時間はないわけでありますが、ここの中で、先ほど申し上げたように、プレーヤーとしては官も民も、そして地方も中央政府も、それぞれやっぱり連携をしていかなきゃいけないので、NPOを含めてしっかりと意見吸収をしながら、それらとの連携を取れるようにやっていく。中でも、医療方々がインプットしていただく仕組みというのはやっぱりとても大事なので、更にこれをソフィスティケートさせるということが大事だというふうに思います。
  144. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  大変心強く思いました。  様々な先生方からも地域の取組というものが取り上げられておりますけれども、その地域の取組、これ誰が担うんだということになるんですね。  医療・介護総合法案の中でも、その地域に、包括ケアもやれ、今回の様々保険者機能の改革もやれ、あれもやれこれもやれという中で、本当に地域の皆様方、特に保健スタッフの皆様方はもう疲弊していらっしゃいます。いろんなものを押し付けられても人材もいなければ予算もないと、こんな中で私たちはどうしたらいいんだという中の取組一つとして、私、大変注目いたしておりますのが、いわゆる産業保健の分野で、今回、ストレスチェックテスト、これをやっぱり有効に活用していかなければならないと思う気持ちもございます。  私も産業保健の現場におりましていつも思うんですけれども、皆さん、家族にいい顔をして、家族はこういうメンタルの不調というものを気付かないですし、見せない。これで休職になったとしても、最初の、特に男性の傾向なんですけれども、背広を着て毎朝出るんですね。結局図書館で寝ている、家族には自分が休職になったことを言えない、こういう方々がいっぱいいらっしゃいます。  ですから、ゲートキーパー役としてやっぱりこの産業保健の入口、ストレスチェックテストの入口というのは大切になってくるかと思いますけれども、今日、局長教えていただきたいんですが、どのようにこのストレスチェックテストというものを自殺対策に生かしていくつもりなのか。時間もございませんので、短くお願いできますでしょうか。
  145. 土屋喜久

    政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。  御指摘の改正労働安全衛生法に基づきますストレスチェック制度は、働く方のストレスの状況を把握をしてメンタルヘルス不調の発生を未然に防止する、こういうことを目的にした制度でございますので、自殺予防にもこういった目的を通じて資するものであるというふうに考えております。  このため、事業者がまずはストレスチェック制度の趣旨、目的を正しく理解をして適切に導入、実施していただくことが重要であるというふうに考えておりますので、労働局やあるいは産業保健総合支援センターによる説明会など、十分な周知に取り組んでいるところでございます。  本年十二月に制度の施行を予定しておりますので、引き続いて事業者に対するきめ細やかな指導、支援に努めてまいりたいと思っております。
  146. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  今出ましたので、産業保健総合支援センター、まさに五十人以下の事業場の皆様方、まさにここが要になってくるかと思うんですね。資料にも配らせていただきましたけれども、メンタル対策の普及、啓発をここでもやることになっておりますが、自殺対策においてどのような役割を今後果たしていかなければならないとお考えなんでしょうか。  いろんな機関をつくっても、結局、予算が集中されなかったり、そのスキルというものが集中されなければ、分散してしまって全くパワーを発揮しませんので、せっかくあるんだったらここでもしっかりと対策を打ってもらう、大切だと思いますけれども、御意見いただけますでしょうか。
  147. 土屋喜久

    政府参考人(土屋喜久君) 各都道府県に設置をしております産業保健総合支援センターにおきましては、メンタルヘルス対策を専門とする相談員を配置しております。まずは、産業保健、事業場におけるということで、その中での自殺予防も含めた総合的なメンタルヘルス対策づくりの相談対応、訪問支援、そういったものをしっかり行ってまいりたいというふうに考えております。
  148. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  私、本当にこういった一つ一つ施策が、こういうシステムを構築させていただくのはいいんですけれども、現場の皆様方の声というものがちゃんと吸い上げられていかなければならない。先日も取り上げましたけれども、例えば保健所、保健師さん、もう数が足りないですし、保健所と精神保健福祉センターというのが地域の相談窓口となっておりますけれども、私も紹介したことがございます、相談までに一か月待ちです。こんな状況ではなかなか実態が動いてまいりません。  皆様方も御存じのように、こういったメンタル面というのは心理職の皆様方が中心となって本当に細かな、きめ細やかな心遣いをしてくださるんですけれども、公認心理師というような議員立法も頓挫したままで終わっておりますけれども、ストレスチェックテストであったり、このような自殺対策充実させていくためにも、是非この心理士の皆様方の在り方というものも超党派で見直していくべきだということは主張させていただきたいと考えております。  最後に、大臣、御意見いただきたいんですけれども、産業保健の中でも自殺対策をどのように位置付けて強化していくのか。厚労省が既に様々な施策を行っておりますので、その中で自殺対策というものを強化する策というものも求められてくるかと思います。ですので、是非、今後の検討課題としてどのようなものがあるのか、対策を強化していく予定なのか、教えていただけますでしょうか。
  149. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 自殺をされた方の約三割が働いていらっしゃる方だということを聞いておりまして、また、勤務問題というか職場の問題というのが自殺の理由の一つというふうに考えられる方が約二千名おられるというふうに言われていますので、この産業保健というのももっともっと強化をしないといけないのではないか、特に予防という意味では重要だというふうに思っております。  何らかの精神疾患にかかっていらっしゃって自殺をされるという方が多いわけでございますので、自殺を予防するためにはこのメンタルヘルス対策をどう進めていくかということが大事であって、厚労省としては、職場におけるメンタルヘルス対策指針というのを作っておりますけれども、これに基づく事業場への指導、それから各種相談支援あるいはポータルサイトでの情報提供などに努めているわけでありますが、今先生指摘をいただいたストレスチェック制度、これは体系立って職場の中で事前に早めに一次予防として精神上のストレスを言ってみればすくい上げていこう、そこでそこから先に行かないように手を打とうということでございますので、この施行に向けた周知啓発に相努めなきゃいけないのと、やはりストレスチェックがちゃんと機能するように、言ってみれば体制を整備するということが我々にとっても大事な役割ではないかというふうに思っております。
  150. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 申し訳ありません、時間が過ぎております。
  151. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 終わりました。ありがとうございます。
  152. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  厚労省移管するということで、厚生と労働を所管する強み、あるいはハローワークや医療機関と連携しながら、しっかり地に足の付いた形で取り組んでいかれるという決意表明が先ほど他の委員の答弁にもありました。  厚労省移管することで期待していることも大変あるわけですが、一方で内閣府の強みというのもあったと思うんですね。私自身もというか、今日は自殺がテーマでちょっと感無量というか、山本孝史先生武見さん、尾辻さん、柳澤さん、津田さん、もう超党派で本当に初めから議員連盟をやってきて、そして私は二〇〇九年のときのまさに自殺担当大臣でした。そのときに、やはり若者対策をやっていたので、若者と自殺、あるいはセクシュアルマイノリティーと自殺とか、あるいは文科省を呼ぶ、あるいは、さっきありましたが国土交通省に来てもらうとか、内閣府ってやっぱり横断的に様々なテーマを取り組むという、そういう非常に利点もあって、横断的に取り組むことができたと思っています。  ですから、厚労省移管することのメリット、それから横断的にやることも、他の省庁に働きかけるというのは内閣府が得意とするところなので、そういうことも生かしてやっていただきたい。その点、いかがでしょうか。
  153. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生がおっしゃっていらっしゃるのは、各省庁連携がいかに大事かということなので、今回、様々な御意見の上で、法律でもって今まさに自殺問題については内閣府から厚労省に持ってこようということでありますので、先生が大事だと思っていらっしゃる省庁間の総合調整、これをいかにうまくやるかということでありますので、関係閣僚会議ができて、そこで調整をする、その中心厚生労働大臣がやるということになりますから、そこの実効性をどう高めていくかということが先生の、内閣府の方がその調整機能が強いんじゃないかというお話でございますけれども、必ずしもそれ、何というか、どの役所ということではなく、やっぱり問題に応じて総合調整は、今回厚労省に移すということでもございますから、それをしっかりやっていくことが大事だということで、覚悟を持って厚労省は臨まないといけないというふうに思います。
  154. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非頑張ってください。  自殺をなくすためには、過労や過労うつをなくすこと、長時間労働の規制こそ必要で、これは厚労省、これこそやるべきだ。いかがでしょうか。
  155. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) そのとおりだと思いますし、それを心掛けて厚生労働行政をやっているつもりでございます。
  156. 福島みずほ

    福島みずほ君 全会一致で過労死防止推進法が成立されましたし、塩崎大臣を本部長とする長時間労働削減推進本部も設置をされています。では、ホワイトカラーエグゼンプション、労働時間規制をなくす法案はこれに逆行するものだとやはり一言申し上げたい。厚労省は、長時間労働の規制こそすべき役所として頑張り抜いてほしいというエールを送りたいと思います。  それで、私は担当大臣のときに、まさにライフリンク清水さんなどに内閣府参与になっていただいて、啓発推進のためにいろんなこと、プロジェクトチームつくって様々な施策をやりましたが、啓発推進のためにとりわけやる必要があるとやりました。一つが、一番自殺が多い月である三月を自殺対策強化月間に決めてチラシを配ったり、駅の前でチラシを配ったりもしましたが、こういう強化月間や啓発のことについて、自殺対策の啓発に積極的に取り組むことの意味について、清水さん、いかがお考えでしょうか。
  157. 清水康之

    参考人清水康之君) 自殺対策推進する上では、啓発と実務というのを両輪でやっていく必要があると思います。畑仕事と同じように、枯れた土壌に幾ら種をまいても芽が出ないのと同じように、やはり自殺対策も、これを推進していこうという理解のない地域で実務を根付かせようと思ってもやっぱりうまくいきませんので、実務と啓発はしっかりと両輪でやっていく必要があると。  しかも、その啓発をやる際には、多くの人ができるだけ共感してそのキーワードの下に結集できるような、そういうメッセージを掲げる必要もあると思います。例えば、響き方として、交通事故防止というのと交通安全の推進というと、やっぱり後者の方が何か前向きなメッセージとして受け止められて、いろんな関係者が結集しやすいと思うんですね。ですから、自殺対策においても、命支える自殺対策というようなメッセージを掲げて、既に自殺対策に関わっている関係者のみならず、企業やあるいはスポーツ団体とか、あるいは芸能関係者とか、そういういろんな人たちを巻き込んで啓発ひいては自殺対策推進できるような、そういう状況をつくっていく必要があるんじゃないかと思います。
  158. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  確かに、その命を支えるというキーワードで命を支える自殺対策という、ポジティブというか、命を応援しますよという観点で自殺対策施策を当時やれたことは大変よかったと思っています。また、先ほど福山さんの方からよりそいホットラインの話もありましたが、よりそいホットラインや、一つだけでなくて様々なことが相まって自殺をとにかくなくしていくということが可能だというふうにというか、それが必要だというふうに思っております。  啓発活動の重要性について、厚生労働大臣、いかがでしょうか。
  159. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、啓発活動についてのお尋ねでございますけれども、自殺予防に関して啓発活動をやるということについては、自殺総合対策大綱に、自殺等に関する正しい知識の普及を含む国民一人一人の気付きを促すと、それから、職場における普及啓発を含むメンタルヘルス対策推進が当面の重点施策として示されておりまして、厚労省としてもこの二つを中心に進めてまいりたいと思っております。  こういうことで、厚労省のホームページには、みんなのメンタルヘルス総合サイトというのを設けておりますし、若者向け、働く人向けのこれはポータルサイトでありますが、対象者に応じてきめ細かな啓発活動を行って、コミュニケーションをできる限り多層化するということかなというふうに思っております。  また、先ほどお話が出ている自殺予防総合対策センター、このウエブサイトにも、「いきる」というウエブサイトでありますが、自殺の現状、それから国、自治体の自殺対策について情報提供を行っておりまして、こういったことで国民各層の気付きを促す、こうした取組を更に多様化もし、積極化をしていきたいというふうに思います。
  160. 福島みずほ

    福島みずほ君 清水参考人にお聞きをいたします。  まず取り組んだことが、地域によっても自殺の理由が実は違う、割と主婦の方が亡くなっていたり若者が多く亡くなっていたり、いや、実は多重債務で亡くなる地域、秋田などそうだったと思うんですが、地域によっていろんな特色がある。それをきちっと踏まえて、それに適切に対応していくということなど大変必要だと思いますが。  十年間を数分で話すのはちょっと難しいかもしれませんが、この間の自殺問題、人数を三万人切るなんて言い方はやめようと、当時担当大臣のときに、副大臣の大島さん、政務官の泉健太さんもすごい頑張ってくれたんですが、三万人切るという数字はやめようという話はしていたけれど、でも、この十年間の間にやはり二万五千人になった。でも、この二万五千人をどんどんやっぱりゼロにというか、自殺に追い込まれる人がいなくなるようにしたいと思っているわけで、この間の取組でよかったこと、あるいはこれが課題だということをちょっと話していただけますか。
  161. 清水康之

    参考人清水康之君) 課題としては二つあると思っています。  一つは、自殺対策に万能薬はないと腹をくくることですね。地域によって自殺の実情が違うということもそうですし、恐らくこれ時代によっても自殺で亡くなる人の数やあるいはその背景というものも変わってくると思うんですね。ただ、常に重要なのは、今一体何が起きているのかというその実態をしっかりと踏まえて、その実態に基づいて戦略を立てて、その戦略の下、しかるべき連携を図りながら関係者が実行して、その実行した結果をまた検証して、その検証の結果を政策に反映させていくという、一発勝負ではなくてそういうふうに継続的に対策を進化させていくということが必要だと思いますので、そうした意味で、万能薬はないんだ、粘り強く、ただ確実に進めていかなければならないと、このことを共有するのが一点と。  あともう一つは、私は政治の関わりだと思っています。自殺対策の最前線というのは、これは個々人への対人支援です。言うまでもなく、一人一人の命とどう向き合うかと、そこが問われるわけですね。今日、今この瞬間においても、全国各地でいろいろな命を支える活動が行われています。いろんな支援者が奮闘しています。ただ、それを美談で終わらせるのではなくて、そういう人たちがちゃんと支援しやすいような、安心して支援に取り組めるようなその枠組みをつくるというのは、これは政治の仕事ですし、政治にしかできない仕事だというふうに思いますので、私は、支援から置き去りにされて自殺に追い込まれる人がいない社会を実現するためには、自殺対策は政治の仕事、そういう認識の下、今後も国会議員の皆さん、政府の皆さんにしっかりと関わり続けていただくと、これも非常に重要な課題だというふうに思っています。
  162. 福島みずほ

    福島みずほ君 塩崎大臣、いかがでしょうか。移管された後、厚労省の責任というか役割がとても大きくなると思うんですね。  私も、万能薬はなく、あらゆることをやるべきで、例えば、ちょっと細かいことですが、若者と自殺、あるいはセクシュアルマイノリティーと自殺。セクシュアルマイノリティーの人は、やはりこの社会でより生きづらいために自殺をする人が十代で多いと。今、文科省がLGBTに関する手引を作ろうとしていたり、いろいろ頑張っている面もあるわけですよね。ということは、大きな大局的なことをやること、予算を付けることと同時に、きめ細やかにもやっていかなければならない。厚生労働省として、どんなスタッフで、これからのことですが、どんな形でやろうとお考えなのか、お聞かせください。
  163. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは、先ほど来申し上げているように、自殺をお考えになっていらっしゃる方々というのはまずどこにおられるか分からないことが多いわけで、お役所仕事というのは大体待っているというスタイルでありますけれども、それでは間に合わないわけです。  したがって、先ほど来申し上げているように、一人公的な部門のお役所の人たち、国も都道府県も市町村レベルも、それぞれのネットワークはフルに活用して、言ってみれば受ける体制はつくっておきながら、やっぱりアウトリーチをするためには、民間のやっぱりこの道の御専門の一番詳しい方々ともしっかりと言ってみればパートナーシップを組んでアウトリーチをして、そして専門家の医療あるいはPSWを含めて、そういった方々連携をしながらやっていかなければならないので、そういう言ってみれば総合調整、まさにさっきのお話のとおりで、それは霞が関の省庁だけではなくて地方の様々な行政のレベル、それから民間の方々との連携をしっかりと組めるようにやっていかなきゃいけない。  そういう総合調整も必要なんだろうというふうに思いますので、そういうことによって、これは一人親家庭への支援とか子供の貧困の支援とか、こういうものも同じだと思います。しっかり出ていって、早め早めに手が打てるような体制を、官だけでやろうとしないでしっかり連携を取って、ネットワークでもってやる努力をしないといけないのかなというふうに思っております。
  164. 福島みずほ

    福島みずほ君 最後に、清水参考人に、先ほど政治の責任ということをおっしゃったんですが、足立区やいろんなところの自殺対策、自治体や、あとNGOで全国頑張っている人のことなどもよく御存じで、東尋坊で頑張っている人とか、私も何度もお会いしていますが、今ここは国会ですので、政治でこういうことをやってほしい、厚労省に言ってこういうことをやってほしい、提言をお聞かせください。
  165. 清水康之

    参考人清水康之君) 関心を持ち続けるという、もう一言で言うとそれに尽きると思います。その際には、やはり、先ほども少し触れましたけれども、自殺対策の現場、最前線というのはもう対人支援です。ですから、その現場で何が起きているのか、その現場で取り組んでいる人たちがどういう仕組みをつくれば、どういう体制をつくれば支援しやすくなるのかという、その現場を踏まえたシステムづくりですね、これは、どちらかではなく、やっぱりそれは両方セットだと思いますので、これをしっかりとやっていただくために、やっぱり現場と国会と引き続き連携してやらせていただければというふうに思います。
  166. 福島みずほ

    福島みずほ君 ここは厚生労働委員会なので、厚生労働省自殺移管して、私たちもその責任をより強く果たしていかなければならないと思っています。ですから、先ほど、長時間労働の規制こそ必要で、ホワイトカラーエグゼンプションは逆行するでしょうと申し上げましたが、まさに厚生と労働と両方頑張らなくちゃいけない。経済財政諮問会議の社会保障の切捨てなど、ゆめゆめそんなことが起きてはいけないと。社会保障充実と労働のきちっとした規制、これも厚労省の大きな役割で、それが長期的に見たらやっぱり命の支援になるということで、厚生労働大臣、その立場でどうか頑張ってください。  以上で終わります。
  167. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  津田君から発言を求められておりますので、これを許します。津田弥太郎君。
  168. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、維新の党、日本共産党、日本を元気にする会・無所属会、無所属クラブ及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による自殺総合対策の更なる推進を求める決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     自殺総合対策の更なる推進を求める決議(案)   自殺対策基本法平成十八年に施行され、我が国自殺対策は大きく前進した。それまで「個人の問題」とされてきた自殺が「社会の問題」として広く認識されるようになり、平成二十一年には、地域における自殺対策力を強化するため、都道府県に地域自殺対策緊急強化基金が造成された。自殺対策が地域レベルで実施され始めたこと等により、自殺者数は五年連続で減少し、平成二十六年には約二万五千人となっている。   しかし、平成十八年から平成二十六年までの九年間だけでも、我が国自殺者数は約二十七万三千人に上っている。一日に平均八十三人が自殺で亡くなっていることになる。人口十万人当たりの年間自殺者数を示す自殺死亡率についても、我が国は主要先進七カ国で最も高く、また、児童生徒を含む若年世代の自殺死亡率は高止まり状況にある。   このような現状に鑑み、我々は、非常事態はいまだ続いており、我が国自殺問題は決して楽観できないとの認識を共有するとともに、自殺対策基本法の施行から来年で十年の節目を迎えるに当たり、政府に対し、自殺問題に関する総合的な対策の更なる推進を求めるものである。   自殺の背景には、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立などの様々な社会的要因があることが知られている。政府自殺総合対策大綱においても、「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」であり、「その多くが防ぐことができる社会的な問題」であるとされ、そうした基本認識の下、自殺総合対策は、国、地方公共団体、関係団体、民間団体、企業、国民等の「関係者連携による包括的な生きる支援」であることが謳われている。このような考え方に基づいて、全国各地の先駆的な取組を通じて得られた知見や経験を広く全国の地域における対策に還元していくこと等が求められており、「地域レベルの実践的な取組中心とする自殺対策への転換」を強力に推進していく必要があると考える。   我々は、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を実現するため、立法府の責任において、政府に対し、自殺総合対策の更なる推進を促すとともに、自殺対策基本法の改正等の法整備に取り組む決意である。   政府においても、このような認識の下に、次の事項について、迅速かつ確実に必要な措置を講ずることによって、自殺対策を「地域レベルの実践的な取組」による「生きる支援」として再構築し、自殺総合対策の更なる推進を図るべきである。  一、自殺対策の本質は、生きる支援であり、いのちを支えることである。この自殺対策の本質が広く伝わるよう、自殺対策の実施に当たっては、「いのち支える自殺対策」という概念を前面に打ち出すこと。  二、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を実現するため、自殺対策は、社会における「生きることの阻害要因(自殺のリスク要因)」を減らし、「生きることの促進要因(自殺に対する保護要因)」を増やすことを通じて、社会全体の自殺リスクを低下させる方向で推進すること。  三、自殺対策は、自殺の多くが複数の阻害要因が連鎖した末に起きている実態を踏まえて、個々の施策が細切れにならないよう、連鎖の類型に応じて常に関連施策を連動させながら推進すること。  四、自殺対策については、関係府省が一体となって総合的に推進するための体制を強化すること。    平成二十七年一月の閣議決定内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」には、平成二十八年四月に自殺対策業務内閣府から厚生労働省移管すること、移管業務に係る機構定員併任者等の人員は業務移管先の府省庁に移すこと等が明記されていることを踏まえ、移管後の業務に支障が生じないよう、平成二十八年度予算の概算要求前に、内閣府と厚生労働省が合同で「自殺対策業務移管チーム(仮称)」を設置するなど、円滑な業務移管のための措置を講ずること。また、厚生労働省設置する部署については、専ら自殺対策推進する業務を担うこととするとともに、多岐にわたる自殺対策行政を厚生労働行政の一部に矮小化しないようにするため、厚生労働事務次官又は厚生労働審議官を責任者とする省内横断的な組織とすること。その際、警察庁、文部科学省等の関係府省との調整業務を担えるようにするため、課長級を含めて内閣府からポスト移管することによって、専任課長級の管理職を配置すること。  五、「地域レベルの実践的な取組中心とする自殺対策への転換」を図るため、現在は国立研究開発法人国立精神神経医療研究センター設置されている自殺予防総合対策センター業務及び体制を抜本的に見直し、関係者連携して自殺対策PDCAサイクルに取り組むための拠点として、民学官協働型の「自殺対策政策研究センター(仮称)」として組織を改編すること。また、自殺予防総合対策センター支援・指導の下に活動している全国の地域自殺予防情報センターについても、その在り方を抜本的に見直し、都道府県及び市町村(特別区を含む。)の自殺対策を直接的かつ継続的に支援する「地域自殺対策推進センター(仮称)」として体制及び機能の強化を図ること。  六、都道府県及び市町村(特別区を含む。)に、具体的な数値目標や施策の工程表などを盛り込んだ「いのち支える自殺対策行動計画」の策定を義務付けること。  七、都道府県及び市町村(特別区を含む。)が自殺対策を中長期的な視点から安定的かつ計画的に実行できるよう、平成二十八年度予算において、これまでの地域自殺対策緊急強化基金に代え、地域自殺対策予算の恒久財源を確保すること。特に、平成二十八年度予算の概算要求に当たっては、「自殺対策業務移管チーム(仮称)」において、事前に都道府県及び市町村(特別区を含む。)から意見を聴き、その意見を踏まえ、内閣府が必要かつ十分な予算を要求すること。  八、「いのち支える自殺対策」を寄り添い型相談支援事業(よりそいホットライン)及び生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業と効果的に連動させ、全国の関係者が真摯に耳を傾ける傾聴支援及び相談機関につなげる実務支援を一体的に推進し、「いのちのセーフティーネット」を確保すること。  九、自殺者の親族等への支援を強化するため、全ての都道府県に、「自死遺族等支援地域センター(仮称)」の役割を担うものとして、自死遺族等支援に関する情報を一元的に集約する機能を持ち、当該地域において家族を自殺で亡くした全ての遺族に対して支援情報提供するための仕組みを構築すること。  十、自殺者の約二割から三割に自殺未遂歴があることに鑑み、自殺未遂段階で医療機関等から適切な支援を受けることができれば、その後の再企図を防げる可能性が高まることから、自殺未遂者を支援する専門家を養成するとともに、二次保健医療圏ごとに、自殺未遂者・未遂者親族等支援の拠点となる病院を定め、拠点病院が自殺未遂者支援の専門家を当該地域の他の医療機関や相談機関等に派遣する体制を構築すること。あわせて、自殺未遂者を日常的に見守り続ける親族等が継続的かつ安定的に支援を受けることができる体制を全国に整備すること。その際、拠点病院や自殺未遂者支援の専門家との連携が円滑に行われるよう運用すること。  十一、児童生徒を含む若年者の自殺対策については、生活上の困難やストレスに直面しても適切な対処ができる力を身に付けさせる教育が重要であることに鑑み、全ての児童生徒を対象に「SOSの出し方教育(自殺の0次予防)」を実施すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  169. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいまの津田君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  170. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩崎厚生労働大臣及び赤澤内閣府副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩崎厚生労働大臣
  171. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。  誰も自殺に追い込まれることのない社会を実現するため、御指摘支援省内体制を含め、様々な対策を総合的、一体的に実施できるよう取り組んでまいります。
  172. 丸川珠代

  173. 赤澤亮正

    ○副大臣赤澤亮正君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  174. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時十三分散会