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三原じゅん子君 専門家からの
指摘を考慮しながら、検診受診率向上のために内視鏡診療時の安全な鎮静の確保に向けた体制づくり、これが重要だということを重ねて
指摘をさせていただきたいと思います。
もう一点、がん検診の内視鏡検査における鎮静に関連してですが、がんの早期発見に向けて、検査精度の高い内視鏡による検査の受診率を上げるには、適切な鎮静を通じて受診者の苦痛や不快感を抑えることが有効です。しかし、御存じのように、麻酔科医の数の不足、
地域的偏在があり、通常の手術でさえも麻酔科医の不在によって手術が十分に
実施できない状況がある中で、消化器内視鏡検査などの診療時に麻酔科医が安全に鎮静を行うには現状では手が回らないのではないかなという声が聞かれております。
この課題に対しましては麻酔医育成の強化というのが対策になるとは思いますけれども、これは、人材育成というのは長期の時間が掛かりますので、それと並行して、医師と医療機器とで機能分担を適切に行いながら安全に内視鏡検査を
実施できるような技術革新、これが進展していることを考慮しますと、当面の対応として、
我が国においても、このような医療機器の開発、導入、普及のための施策を
推進していくことが必要な段階に来ているのではないかなと
考えております。
この点につきましても、国としての方針、今後の施策の方向性について、しっかりとこれから御検討をいただきたいと、これはお願いとして御要望しておきます。
次に、遺伝情報の利活用と、関連する法制度について質問をさせていただきたいと思います。
私たちは、両親から受け継いだ、生まれたときからの生涯変わることのない遺伝情報というのを持っております。遺伝情報には、その人の外見に関する情報から将来発症する可能性のある病気のリスク、こういったことまで様々な情報が含まれております。その遺伝情報は、私たちの生活における様々な
分野で活用されております。例えば、犯罪捜査や司法領域では
DNA検査や親子
鑑定で活用されていますし、医療
分野では感染症やがんなどの診断、あるいは抗がん剤などを選ぶときの薬剤応答や出生前検査などにも活用されております。
最近では、医療領域以外で行われているいわゆる遺伝子検査ビジネス、これが過熱しております。大手インターネット検索サイトや大手スマホアプリ開発会社など、三万円弱でサービスを
提供して、しかも、インターネットで気軽に申し込めるということがマスメディアでも話題になっております。遺伝子検査ビジネスでは、個人の能力、性格検査、病気のなりやすさに関するリスク検査、体質判定を目的とした検査や親子
鑑定などが行われております。その精度は現代の星占いレベルと言われるものまであるようであります。ただ、検査精度については、今後、
研究が進むことで精度が高まり、技術革新も進むということで、更に安い価格で
提供されるのではと言われているようであります。
さて、この遺伝子検査の検査方法ですが、医療領域、つまり医療機関で行われている遺伝子検査は、
一般的に血液やがん
細胞を用いて検査を行って、Aという病気なのか違うのかといったその診断を行うことを目的として
実施をされています。一方、医療領域以外で行われている遺伝子検査ビジネスでは、遺伝情報は体のどの
細胞を取っても基本的に同じ遺伝子で構成されているということで、医療行為である採血ではなくて、髪の毛や爪、あるいは唾液とか頬の内側の粘膜といった、誰もが簡単に取れるものを
検体として検査機関へ送付しています。
この遺伝子検査ビジネスで有名な企業の一つに米国の23アンド・ミーというのがあります。この企業の活動を
説明したいと思います。
23アンド・ミーは、グーグルが出資する遺伝子検査ビジネス事業者です。この企業では、利用者はインターネットを通じて約一万円で遺伝子検査キットを購入して、唾液を自分で採取して返送するだけで二百五十四種類の疾病リスクなどを判定し、検査結果はオンラインで簡単に
確認できるというものです。最近では、カナダやイギリスでも事業展開を開始して、全ての疾患リスク検査を
実施しています。
ただ、この企業ですが、二〇一三年の十一月に米国のFDAから、診断精度に大きな問題があるとして、一度は遺伝子検査サービスの中止命令を下されて、新規の疾患リスク検査を停止しています。しかし、今年の二月、FDAは、希少遺伝疾患、いわゆるブルームシンドロームの検査キットについては販売承認しているんですね。
このように、昨今、遺伝子検査ビジネスの利用者は
世界中に広がっているようであります。これは米国の一企業が
世界中から国境を越えて多くの
検体を米国に集めることができるということを意味しているということを是非
皆様には御
理解をいただきたいと思います。
民間企業が
実施している遺伝子検査ビジネスについてですが、
実施機関に対して事前承認や認可制にすべきといった意見があるようですが、つまり、民間企業が
実施している検査結果に対しても一定の精度を
求めようという
考えからのようでありますが、この点については、
厚労省は遺伝子検査ビジネスに関する規制の
在り方についてどのようにお
考えなのか、お聞かせください。