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2015-04-14 第189回国会 参議院 厚生労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年四月十四日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      石橋 通宏君     福山 哲郎君      辰巳孝太郎君     小池  晃君  四月九日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     石橋 通宏君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         丸川 珠代君     理 事                 大沼みずほ君                 羽生田 俊君                 福岡 資麿君                 津田弥太郎君                 長沢 広明君     委 員                 赤石 清美君                 石井みどり君                 木村 義雄君                 島村  大君                 高階恵美子君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                三原じゅん子君                 石橋 通宏君                 西村まさみ君                 羽田雄一郎君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                 山本 香苗君                 川田 龍平君                 小池  晃君                 行田 邦子君                薬師寺みちよ君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   塩崎 恭久君    副大臣        内閣府副大臣   赤澤 亮正君        法務副大臣    葉梨 康弘君        厚生労働大臣  永岡 桂子君        厚生労働大臣  山本 香苗君    大臣政務官        総務大臣政務官  あかま二郎君        外務大臣政務官  宇都 隆史君        厚生労働大臣政        務官       橋本  岳君        厚生労働大臣政        務官       高階恵美子君    事務局側        常任委員会専門        員        小林  仁君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       片山 一夫君        警察庁長官官房        審議官      露木 康浩君        警察庁警備局長  高橋 清孝君        消費者庁審議官  河津  司君        総務大臣官房審        議官       橋本 嘉一君        総務大臣官房審        議官       青木 信之君        法務大臣官房審        議官       佐々木聖子君        外務大臣官房審        議官       下川眞樹太君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        鈴木 康裕君        厚生労働大臣官        房審議官     谷内  繁君        厚生労働省医政        局長       二川 一男君        厚生労働省健康        局長       新村 和哉君        厚生労働省労働        基準局長     岡崎 淳一君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       土屋 喜久君        厚生労働省職業        安定局長     生田 正之君        厚生労働省職業        安定局派遣・有        期労働対策部長  坂口  卓君        厚生労働省職業        能力開発局長   宮川  晃君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       安藤よし子君        厚生労働省社会        ・援護局長    鈴木 俊彦君        厚生労働省老健        局長       三浦 公嗣君        厚生労働省保険        局長       唐澤  剛君        厚生労働省政策        統括官      今別府敏雄君    参考人        日本赤十字社副        社長       大塚 義治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (アッツ島における遺骨収集帰還事業に関する  件)  (北朝鮮帰還事業における日本人妻への意思確  認に関する件)  (医療現場過重労働の現状及び対策に関する  件)  (外国人技能実習制度適正化及び拡充に係る  見直しに関する件)  (臨床研究倫理審査委員会認定制度在り方  に関する件)  (被災地における介護保険補足給付在り方  に関する件)  (子どものいる低所得世帯の可処分所得を増や  す取組の重要性に関する件)  (データヘルス計画の推進における経済産業省  との連携の必要性に関する件)  (高度プロフェッショナル制度の問題に関する  件) ○勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案(  内閣提出)     ─────────────
  2. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る八日、辰巳孝太郎君が委員辞任され、その補欠として小池晃君が選任されました。     ─────────────
  3. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働大臣官房審議官谷内繁君外二十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本赤十字社社長大塚義治君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 白眞勲

    白眞勲君 おはようございます。民主党の白眞勲でございます。  私も十一年目になりましたけれども、厚生労働委員会では生まれて初めての質問ということでございまして、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まず、太平洋戦争における旧日本軍最初に玉砕したとされるアッツ島の遺骨収集帰還事業について厚生労働省にお聞きいたします。  まず、事実関係について、アッツ島の戦没者数遺骨収容数、それから残存遺骨数をそれぞれお願いいたします。
  9. 谷内繁

    政府参考人谷内繁君) お答えいたします。  アッツ島におきます戦没者数は約二千六百名でございまして、今までで収容いたしました御遺骨は三百二十柱、したがいまして、まだ収容されていない御遺骨は約二千二百八十柱となっております。
  10. 白眞勲

    白眞勲君 御遺骨収集実施した時期と回数についても、事実関係でお願いいたします。
  11. 谷内繁

    政府参考人谷内繁君) お答えいたします。  アッツ島におきます御遺骨収容でございますが、これまでに昭和二十八年度に八十二柱の御遺骨収容しております。また、同じ昭和二十八年度でございますけれども、アメリカ軍昭和二十三年にアラスカ州アンカレジのフォート・リチャードソン米陸軍基地に改葬いたしました二百三十六柱の御遺骨について収容しております。また、昭和五十三年度に二柱を収容しております。さらに、平成十九年度と二十年度に調査実施いたしましたが、その際は遺骨収集はできておりません。  以上でございます。
  12. 白眞勲

    白眞勲君 後ろから出てこないで、前に席が空いているから、そこ座っていていただきたいと思うんですけど、委員長、お願いいたします。
  13. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) それでは、谷内審議官、前の席にお移りください。
  14. 白眞勲

    白眞勲君 今の話によりますと、確かに今、ちょっと、ちらっと聞けなかった部分もあるかもしれません。ちょっと聞き間違いかもしれません。昭和二十八年から平成二十一年までは、つまり一九〇〇でいうと一九五三年から二〇〇九年まで、つまり政権交代の前の五十六年間、これブランクがあるんですけど、この間は何していたんですか。
  15. 谷内繁

    政府参考人谷内繁君) お答えいたします。  遺骨収容でございますけれども、基本的には、遺骨に関する情報がありました際に、各国と、その遺骨があるという情報がある国と調整をいたしまして遺骨収容実施しているところでございますけれども、アッツ島におきます情報が、その間は、昭和二十八年、五三年にあった際に行きましたけれども、それ以降しっかりとした情報がなかったという状況でございまして、平成十九年、二十年には調査をいたしましたけれども、遺骨は出てこなかったという状況でございます。
  16. 白眞勲

    白眞勲君 それ、ちょっとおかしくないですか。情報がなくたって、今おっしゃいました二千六百名の戦没者数がいらっしゃって、遺骨収容が三百二十だったら、どう考えたって遺骨がいっぱいあるのは分かると思いますし、全然今のじゃ納得いかないです。つまり、情報がないから行かなかったということでよろしいですか。
  17. 谷内繁

    政府参考人谷内繁君) その後の状況を御説明いたしますと、実は……
  18. 白眞勲

    白眞勲君 その後のことなんて聞いていませんよ。確認したって言っているんじゃないですか。その間について聞いているんだろう。
  19. 谷内繁

    政府参考人谷内繁君) はい。  その間につきましては、今、先ほど申し上げましたように、遺骨に関する情報がなかったということで、遺骨収容に行かなかったというふうに承知しております。
  20. 白眞勲

    白眞勲君 じゃ、ちょっと話変わりますけれども、アッツ島における米軍死者数遺骨収容数というのはどのぐらいなんですか。
  21. 谷内繁

    政府参考人谷内繁君) お答えいたします。  防衛研究所編さん戦史叢書によりますと、アッツ島におけます米軍側死者数は約六百名とされているところでございます。  なお、厚生労働省におきましては、アッツ島におけます米国遺骨収集状況は承知しておりません。
  22. 白眞勲

    白眞勲君 聞いたことありますか、米軍に。
  23. 谷内繁

    政府参考人谷内繁君) 米軍からアッツ島におけます遺骨収容状況自体を聞いたことはございません。
  24. 白眞勲

    白眞勲君 聞きゃいいじゃないですか、それ。聞いて一緒に調査したって私はいいと思いますよ、共同調査を。何でそういうことをやらなかったんでしょうか。
  25. 谷内繁

    政府参考人谷内繁君) お答えいたします。  米側との共同調査につきましては、情報交換は今までもしておりますけれども、共同調査につきましても、今後やることも含めてどうしようかということを今こちらから提案中でございまして、今協議中というところでございます。
  26. 白眞勲

    白眞勲君 でたらめですよ、やっていることが。五十年以上ほっぽり投げておいて、今情報交換していますと言ったじゃないですか。で、情報がありませんでしたとか。情報がないわけないと思いますよ、私は。米軍のしっかりと私は情報遺骨収容というのをやっているんじゃないかと私は思うんですけれどもね。  これ、ちょっと厚労大臣にお聞きいたします。今年で戦後七十年ですよね。そういう中で、御遺族高齢化、記憶の風化というものが言われている中、こういう今の、私が見たところ本当にやる気があるのかなという部分において、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
  27. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 御指摘のように、今年は戦後七十年の大きな節目でございまして、特に御遺骨収集には力を入れていかなければなりませんし、先般、天皇皇后両陛下もパラオに行っていただいておるわけでございます。  今御指摘アッツ島における遺骨収集、これにつきまして今御説明申し上げたわけでありますけれども、かなり長い間のブランクがあったという御指摘がございました。それはそれでそのとおりだったわけでございますし、また、二〇〇九年、平成二十一年からこのアッツ島全体が米国野生生物保護区に指定をされているということから、環境影響評価というのが必要になっているわけでございます。そういう連絡を米側からもらっているわけであります。  これまで、毎年、環境影響評価実施について米側調整をしておるわけでありますけれども、厳しい地理的条件の下で、作業期間が短いなどの制約が多く、具体的な実施方法について、まだ現在のところ了解を得られていないという状態でございます。  やはり、この戦没者遺骨収集というのは国の、政府の重要な役割、責務でありますので、御遺族がまた一方で高齢化をしているということを考えてみれば、アッツ島での遺骨収集が早期に実施できるように、引き続き政府として米側としっかりこれは調整を進めなければならないというふうに考えておるところでございます。
  28. 白眞勲

    白眞勲君 いや、大臣おっしゃるとおりなんですけれども、これはアッツ島に限ったことでは私ないと思うんですね。今、今日は例を挙げてアッツ島ということで言いましたけれども。  ここで委員長理事会の皆さんにちょっと理事会でお諮り願いたいと思うんですけれども、ちょっとこれ、厚生労働省として、このいわゆる南方の島の今の遺骨収容数とか、そういった記録について、一度全部出してもらいたいなというふうに思うんですね。  これ、ちょっと理事会でお諮りいただきたいと思います。
  29. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 後刻理事会において協議をさせていただきます。
  30. 白眞勲

    白眞勲君 是非、厚労大臣アッツ島のみならず、遺骨収容というもの、これは非常に重要だと私は思っておりますので、継続して御尽力のほどお願いしたいというふうに私からもお願い申し上げます。  続きまして、一九五九年、昭和三十四年から始まった日本から北朝鮮への帰還事業についてお聞きしたいというふうに思います。  まず、厚生労働省にお聞きいたしますけれども、この帰還事業で九万三千三百四十人が北朝鮮に渡航して、そのうち日本国籍所有者数は六千八百三十六人ということでよろしいんでしょうか。この辺りの事実関係についてお願いいたします。
  31. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) 法務省からお答え申し上げます。  昭和三十四年十二月から昭和五十九年七月までの間に実施されました北朝鮮への帰還事業によりまして帰還をされた方、合計九万三千三百四十人。うち、日本人と判明しております者、今委員指摘のとおり六千八百三十六名となってございます。
  32. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) それでは、佐々木審議官におかれましては、その前の席にお座りをください。
  33. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっとお聞きしたいんですけど、日本妻はそのうち何人いるんでしょうか。
  34. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) お答え申し上げます。  そのうち、在日朝鮮人等に随伴して北朝鮮へ出国しましたいわゆる日本人妻につきましては、推定ではございますけれども、約千八百三十人であったと承知をしております。
  35. 白眞勲

    白眞勲君 たしか予算委員会麻生総理麻生外務大臣だったかな、答弁したとき、千八百三十一名と聞いているんですけど、どうなんでしょうか。
  36. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) 私どもがこの名簿を保有をしてございますけれども、記載内容、十全なものではございませんで、真に日本人妻であったかどうかということにつきましては推定の域を超えないところがございまして、ただいま約千八百三十と御報告したものでございます。
  37. 白眞勲

    白眞勲君 日本赤十字さんにお聞きいたします。  当然、この方々というのは、当時の厚生省、外務省から委託を受けた日本赤十字渡航直前帰還希望者意思確認したということですけれども、その確認内容というのはどのようなものだったんだろうかと思うんですね。つまり、北朝鮮という国交がない国に行くわけですから、当然、自由に往来はできないということを確認したということなんですけど、その辺りいかがでしょうか。
  38. 大塚義治

    参考人大塚義治君) 当時、日本赤十字社は、居住地を選ぶ言わば権利と申しましょうか、が重要なものだという認識の下に、いわゆる帰還事業をお手伝いし、また自らも実施したわけでございますけれども、その中で最も心を砕いた点が御本人意思確認ということでございました。したがいまして、様々な手続を経て最終的に確認をして朝鮮民主主義共和国、いわゆる北朝鮮にお帰りいただくという手順を取ったわけでございますけれども。  かいつまんで申し上げれば、まず市町村に設けられました日赤の窓口に、そこで本人が、個人北朝鮮へ帰りたいという意思を表明していただく、署名捺印をして表明していただくというところに始まりまして、最終的には、何度かの意思確認を経ながら、言わば帰国乗船直前に、赤十字国際委員会、ICRCのメンバーの立会いの下に最終的に確認をして御乗船いただいたと、こういうことになっているわけでございます。
  39. 白眞勲

    白眞勲君 意思確認したということ、直接日本赤十字さんも意思確認をしたということですけど、これは世帯確認したのか、それとも個人に対して行われたのか、お聞きしたいと思うんですね。  ほとんどの日本人妻が帰れるものと思っていたという証言もあるわけなんですけれども、その辺り、まずちょっとお話聞かせていただきたいと思います。
  40. 大塚義治

    参考人大塚義治君) ただいま申し上げましたように、基本個人お一人お一人の意思確認してということでございますが、当然、家族という単位もございますので、最終的に、乗船の前に、ICRC立会いの下に、確認する場合には御家族一つの部屋で最終的に確認をしたと聞いております。  また、その際に、一度いわゆる北朝鮮に御帰国されると、なかなか、特別の政府許可がないと帰れませんよということにつきましては、特別のしおり、パンフレットでございますけれども、パンフレットを作って、その中にも明示をして、繰り返し注意を喚起して、その上で意思表示をしていただき意思確認をしたと、こういうことになっております。
  41. 白眞勲

    白眞勲君 今のパンフレットということですけれども、そのパンフレット、多分あるかと思いますので、是非またこれは委員会の方に提出願いたいと思うんですけれども、いかがでございますでしょうか。
  42. 大塚義治

    参考人大塚義治君) 理事会お許しがあれば、提出をいたします。
  43. 白眞勲

    白眞勲君 じゃ、委員長理事会の方でお諮りいただきたいと思います。
  44. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 後刻理事会協議をさせていただきます。
  45. 白眞勲

    白眞勲君 今、赤十字さんから、基本個人だけれども、実際には世帯確認しているんだというお話がありました。本来はこれ個人に対して行われなければならないものだと思いますけど、その辺はいかがでしょうか。
  46. 大塚義治

    参考人大塚義治君) 私の説明がちょっと不十分だったかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、まず最初帰国意思につきましては、お一人お一人、個人個人署名捺印の上で確認をして言わば手続がスタートいたします。したがいまして、原則は個人の御判断でございます。現に、同一の家族でもその御意見が分かれて、家族の一部は北朝鮮に渡り、家族の一部は残られたというケースも多数ございます。  したがいまして、基本個人個人意思でございますけれども、最終的な、今度は家族のまとまりというのも大事なものでございますので、家族を言わば分断するような形で最終意思確認をしたわけではないと、そういう意味で申し上げたつもりでございます。
  47. 白眞勲

    白眞勲君 あと、今、二度と帰れなくなる可能性もありますよということをあのパンフレット等明示をしましたということですけれども、本人に対して、今不動産とか何かだと、例えば重要事項説明といって、お互いに言葉で言って、不動産屋さんが言ったものをお互いに聞いた上でサインということですけれども、そういった了解サインというのはもらっているんでしょうか。つまり、二度と帰れなくなるということを明示した文書に対してサインをしているとか、そういうことはあるんでしょうか。  帰国意思サインは分かりました。しかし、二度と帰れなくなる、これは非常に重要な僕はポイントだと思っているんですけれども、それについてのサインとか、本人がきちっとそれに対して意思の表明というのをしたのかどうか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  48. 大塚義治

    参考人大塚義治君) 帰国される場合に様々な条件がございます。  もちろん、もう一度日本に戻りたいという可能性がどうかということも重要な要素ではございましょうけれども、その他財産の問題でありますとか、日本におきます関係者との関係でありますとか、様々な問題がございますので、後ほどもしお許しをいただければ提出をいたしますパンフレットといいますのは、表題は帰還案内と書いてございますけれども、その中に様々なことが書いてございます。特に強調しておりますのは、どういう選択をするか、日本に残るか、北朝鮮に渡るか、あるいは許されれば他の国に出国するか、いずれも本人の自由ですよというのは非常に重要なポイントとして書いてございまして、他方、いわゆる北朝鮮にお帰りになりますと、日本政府の特別な許可がないとお戻りになれません、そのことは十分注意してくださいというようなことが表示をされまして、繰り返し説明されたと聞いておりますけれども、その点に絞って意思確認の例えばフォーマットを作って確認印を押すというような、そういう手続はございません。  先ほど申し上げましたように、基本的には、帰りたいという方が御登録をいただき、その過程で、乗船するまでの過程でもし意思が変更されればいつでも自由に撤回できます、変更できますということも、これも繰り返し御説明をしているわけでございますから、途中で意思が変わったということであれば、言わば乗船候補者名簿から削除されると、こういう手続になっております。
  49. 白眞勲

    白眞勲君 その後、北に渡った日本人妻が戻ってきたり、いろいろな証言があるわけですけど、ほとんどの方が、帰れるかと思っていたという方がほとんどなんですね。帰れないと思って行ったという人はほとんどいないんですね、証言の中に。だから、私そこをよく聞いているんですよ。つまり、その辺のそごがちょっとあるんですね。  だから、私思うんですけど、帰れないですよ、もしかしたら本当に帰れなくなりますよということがあったら、相当な方々というのは私ちゅうちょすると思います。ところが、その辺りがどうもあやふやなんです。私はそこをよく調べたいなと思っているんですけれども。  その部分非常に重要なんですが、その辺り、十分に周知していたというのとの、今御発言のあったところとの兼ね合いをどういうふうに思われますか。
  50. 大塚義治

    参考人大塚義治君) 具体的な数字で残っているわけではございませんので、一つの例ということでお聞きいただかなければなりませんけれども、私も当時の業務に関連をしました複数の人たちお話を聞いたことがございます。  例えば、今の、一度渡りますと日本政府の特別の許可がないと戻ることがなかなか難しいですよということは御説明をした。そのときに、数で言うわけにはまいりませんが、かなりの方々は、分かっている、分かっていると、そのうちちゃんと、何といいましょうか、日本に堂々と帰ってこられる道が必ず開けるといって自信を持って帰られた方も少なくなかったというようなことも聞いておりまして、ちゃんと御説明をしたという事例ももちろんございます、それが原則でございますので。  私どもとしては、どう受け止めていただいたかというのを数字であるいは資料でお示しすることはできませんけれども、言わばマニュアルに従いまして誠実に事務が執行されたものだというふうに認識をいたしております。
  51. 白眞勲

    白眞勲君 今、度重なってお話しされているのが、日本側から特別な許可がないと帰れませんよというお話をされましたけれども、要は、日本人ですから、日本に帰るのに特別な許可が必要なのかなというのを私今ちょっと感じたんですね、疑問に。世界のどこに行こうと、日本人日本の国に帰るのに特別な許可って必要なんでしょうか。
  52. 大塚義治

    参考人大塚義治君) 私の方からお答えするべき事案かどうか必ずしも自信がございませんけれども、ただいま申し上げました帰還案内にはどういう表現になっているかといいますと、当時の文献ですが、そのまま読み上げますと、朝鮮人がその祖国に帰った後においては、日本政府の特別の許可のない限り、彼は再び日本へ戻ることはできません、したがって、その点をよく認識を、この点はくれぐれも注意していただきますというようなことが表示をされてございます。
  53. 白眞勲

    白眞勲君 日本赤十字さん、ちょっと私、認識が間違っているような感じがするんですね。  私は朝鮮人のことを言っているんじゃないんですよ。日本国籍所有者です。日本国籍所有者について、あなたは日本人なんですけれども帰ってこれなくなる可能性があるんですよということを聞いたかどうかなんです、私が最初から言っているのは。今のは、朝鮮人の人たちが自分の祖国、まあ祖国と言えるかどうかはそれはまた別の議論になるんですけれども、に帰るときに、あなたたちは今の日本側が、特別な許可を得ない限り、またこっちに戻ってこれませんよというのは分かりました。  しかし、今私が言っているのは日本人の方がです、日本人の方が海外から戻ってくる際にそういうことを言っているんですかということです。それを聞いているんです。
  54. 大塚義治

    参考人大塚義治君) ただいまの先生の御質問のようにストレートに御説明したかどうか、これはちょっと正直はっきり分かりませんが、そもそも日本人、いわゆる日本人妻でございますが、日本人の方で朝鮮人の奥様になられている方につきましては、帰国するときに、特別にといいましょうか、朝鮮人の妻であるということが事由で、なおかつ本人が希望すればお帰りになれるという扱いをしておるわけでございますから、通常ですと、旦那さんであります、御主人であります朝鮮人の方がそう簡単に帰国できませんよということは、その奥様であります日本人妻の方も同様な条件にあるというふうには御理解をいただいておったというふうに考えております。
  55. 白眞勲

    白眞勲君 それ、ちょっと間違っているんじゃないでしょうかね。同様じゃないですよ。国籍違えば違いますよ、それは。これは、私の父親と母親は国籍が違いますからよく分かります、私。  法務省さん、いらっしゃっていますよね。これ、質問通告していませんけど、ちょっとこれ非常に大きな問題なんで。日本人がどこの国にいようとも、帰ってくるときに特別な許可は必要でしょうか。
  56. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) 入管法の規定について御説明を申し上げます。  日本人帰国をする場合、その方が有効な旅券を所持し、必要な手続を取った場合に、入国審査官が帰国確認をする、帰国確認を受けなければならないということが入管法に定められております。
  57. 白眞勲

    白眞勲君 日本人だったら帰れるということですよね。
  58. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) 入管法の手続上、日本の国籍を有する方がお帰りになられたとき、渡航文書の定めはございますけれども、入国管理局として手続をするということを定めてございます。
  59. 白眞勲

    白眞勲君 入国管理局が手続をするのは、日本人かどうかをきちっと見定める人的確認をしていきたいということで手続をするということでよろしゅうございますね。  つまり、どういうことかといえば、日本人だったら帰ることはできるということでいいですよね。
  60. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) お答え申し上げます。  出入国管理の役目といたしまして、全ての方の出入国の公正な管理を行うということになっておりますので、外国人のどなた、日本人のどなたが国境を越えて行き来をされたということを確かめるという役目を持っているものでございます。
  61. 白眞勲

    白眞勲君 ちゃんと答えてもらいたいんだけど、要は日本人は帰ってこれるということでいいんですよね。それだけなんですよ、要は。
  62. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) 日本人の方が御帰国になられたときにはきちっと手続をするということでございます。
  63. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、今、日本赤十字さんがおっしゃっているのは、在日朝鮮人の方のことをずっと言っていたような気がしたんですね。それは、日本人が帰ってくるときに特別な手続は必要ないと私は思います。日本人であるならば帰ってくるのは当たり前。  だけど、今回の北朝鮮からは、それが帰ってこれないんですよというのを確認したかどうかを私は聞きたいんですよ。それについて、赤十字さん、どうなんでしょうか。
  64. 大塚義治

    参考人大塚義治君) お示しのようなケースにつきまして、そこを言わばピックアップして御説明をしたかと。した、しないという明確な資料は、資料としては残っておりません。  ただ、私どもは、先ほど申しましたように、当然、家族として行動されるということが基本的な前提でございますから、あるいは社会の通常でございましょうから、そういう前提で御理解をいただきたいという御説明は多分、まあ多分というのも変ですが、しておったはずだというふうに理解をいたしております。
  65. 白眞勲

    白眞勲君 それはちょっとおかしい話でして、家族家族として、もう分かります、それは血のつながりのある家族です。しかし、国籍が違うと、それは当然対応が国として違ってくる、これも当たり前の話なんですね。国籍とは関係ないんです。だから、私は個人世帯かということも聞いているわけです。  つまり、今までの話を聞いていますと、私はどうもそこに、日本人妻の皆さんがいつでも帰れると思っていたと、私は当たり前だと思います、日本人である以上は。それを、きちっとそこは、帰れなくなりますよというのは、どうも今までの件ですとあやふやだということが分かるかと思います。  それで、そこでちょっとお手元の資料、皆さんにお配りした資料一枚目、在日朝鮮人帰還業務実施状況ということで、日本赤十字社が外務省の資料で出てきているわけなんですけれども、これは情報公開請求で川島高峰明治大学准教授が手に入れた資料なんですけれども、ここにある、外務省さんにお聞きします、申請無効者って何ですか。
  66. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) お答え申し上げます。  先ほど、帰還の申請についての手続について赤十字社の方から説明がございましたが、その申請の書類、手続等において何らかの不備があったものというふうに理解しております。
  67. 白眞勲

    白眞勲君 これ、申請者が十二万人のうちの申請無効が二万人もいるんですよね。どういうことなんでしょうか。ちょっとよく分からないんですよね、これ。意思変更者は分かります、気が変わったということだと思います、簡単に言えば。  この申請無効というのは、書類上不備があるということなので、例えばどういう書類上の不備をここに入れているんでしょうか、カテゴリーに。ちょっとお話しいただきたいと思います。  そこ座っていてくださいよ。
  68. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) それでは、下川審議官は前の席にお進みください。
  69. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) お答え申し上げます。  ちょっと具体的に、どういう項目が落ちると無効になるかという、具体的にお答えする材料は持ち合わせておらないんでございますが、先ほど来御説明がございましたように、本人意思確認ですとか、それから居住地域それから家族関係等々いろいろな事実関係、そういったようなものについて何らかの不備があった場合ないしは確認できない事項があった場合というふうに理解しているところでございます。
  70. 白眞勲

    白眞勲君 それにしても多いんですよね。これ、もう一回やります、ちょっと先に進みたいのでここで止めますけれども、ちょっとこれ全然理解できないんですね、これだけの申請無効があるというのは。それに、意思の変更者というのは上にありますからね、今ちょっとお答えの中にそんな意思の変更っぽいような話もしましたけれども。それは別に、要は書類上の不備ということでいいわけですか。もう一回、そこだけ確認します。書類上の不備なんでしょうか。
  71. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) 書類、手続等の不備というふうに考えております。
  72. 白眞勲

    白眞勲君 安否調査の嘆願書、これ二ページ目以降なんですけれども、皆様、黒塗りのやつです。これ相当な数あるんですね。この安否調査の嘆願書、相当外務大臣に来ていますけれども、今まで一体何通来ているんでしょうか。そして、何人の北朝鮮に行った方から安否調査、そして帰国の嘆願書、そういったものが出ているんでしょうか。お答えください。
  73. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) ただいまお尋ねございました嘆願書や安否調査依頼といいますのは、過去長年にわたり様々なものがございますので包括的にお答えすることは困難でございます。ただし、例えば昭和四十九年には、外務大臣宛てということに限って申し上げれば百件以上の安否調査依頼があったというふうに考えられまして、それらも踏まえまして、昭和五十年代前半には日本赤十字社を通じて北朝鮮に対しまして二百十人の日本人配偶者についての安否照会を行ったところでございます。
  74. 白眞勲

    白眞勲君 これ、一通一通って物すごい重い私は嘆願書だと思うんですね。命が懸かっているんですよ。僕は、別に黒塗りのところを攻撃するつもりもありません。それは個人のいろいろな状況が書いてある部分だと思いますから、それについて私は何も思いませんけれども、この字を見るだけで、やっぱり私ちょっと胸が締め付けられるような思いがするわけですよ。  ちょっとお聞きします。二ページ目の、「主人名 不名」と書いてあるんですね。これ普通、夫の名前は分かりますよね。この「主人名 不名」というのはどういう意味なんでしょうか。
  75. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) 帰還事業によりまして北朝鮮帰還されました在日朝鮮人、こういった方に随伴して北朝鮮に渡航したいわゆる日本人配偶者の個別の背景事情はそれぞれいろいろあったかと思われます。したがいまして、一概にお答えすることは困難でございますが、日本人配偶者の家族が必ずしも朝鮮人配偶者の名前を把握していない事例等、そういうこともあったのではないかというふうに考えております。
  76. 白眞勲

    白眞勲君 もちろん、あり得なくはないと思いますよ。しかし、この不明という数が物すごい数なんですね。やっぱり何か御主人の名前の書いたものが、それはこの日本にあるはずですよ、私は。必死になって皆さんこれ安否調査をお願いしているのに、不明ということはなるべくやめようと思うのが普通ですよ。できる限りの資料を出していきたいというのは、これは当たり前の話なんですね。それについてもちょっと不明というのが多いと私思うんですね。  もう一つお聞きします。この三ページ目、渡ったところ、昭和三十五年から三十六年頃、山口県からとなっているんですね。これ新潟からしか船出ていませんよ。何で山口県なんですか、これ。これは、黒塗りのところにどういう事情が書いてあったか私は分かりません。それから、手前のもう一回二ページ目、出発した場所、これも真っ黒に塗られているわけですね。これ新潟県でしょう、普通は。これ何ですか、どうしてですか。
  77. 宇都隆史

    大臣政務官(宇都隆史君) お答え申し上げます。  白委員がお示しされている二枚目の資料に関しては、このいわゆる日本人妻と言われる御家族の方から宮沢外務大臣宛てに提出された資料ということで、恐らく、この渡ったとき、ところ、昭和三十五年から六年頃、山口県からというのは、実際にそこから船が出たという意味ではなく、恐らく山口県辺りにその時代にいて、新潟の方に移動して出港したというような、そういうことを書かれているんではないかと推察はされます。ただ、これ行政文書ではないので、これ以上我々行政側からこの山口県という意味についてお答えすることは少し困難かと思われます。
  78. 白眞勲

    白眞勲君 でも、普通こういうものが来たときにあれっと思わなきゃ駄目ですよね。だから、ここの事情は何を書いてあるか分かりませんけれども、黒塗りの部分で、やっぱりこういったものについてきちっと調査をするとか、そういうことというのは過去にやられたんでしょうか、外務省としては。これ、山口県からというのはどういうことなんでしょうかということは聞いたんですか。推察は分かりました。聞いたのかどうか。事実関係聞けばいいじゃないですか、この人どういう人だか分かっているんだから。その辺についてはどうなんでしょうか。
  79. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) 先ほど申し上げましたとおり、昭和四十九年に受け取りました安否調査依頼なども踏まえまして、昭和五十年から五十四年までの間に、計十四回にわたり二百十人の日本人妻について安否照会及び緊急を要する者についての里帰りの依頼というものを日本赤十字社を通じて行ったところでございます。  若干の反応があったものについては、昭和五十……
  80. 白眞勲

    白眞勲君 そんなこと聞いていないよ。答えてよ、これについて。
  81. 下川眞樹太

    政府参考人下川眞樹太君) はい。  さらに、そういう国交等がない中で、日本赤十字社を通じての照会というものを過去にも累次にわたってやってきたわけでございますけれども、加えまして、日朝のいろいろな協議過程におきまして、日本人妻の動向について照会をしてまいりました。  さらには、今行われております日朝間の協議におきましても、いわゆる日本人配偶者に関する問題については照会しているところでございまして、昨年十月二十八日、二十九日の二日間にわたり平壌において行われました特別調査委員会との協議でも様々な質疑を行いまして、残留日本人日本人配偶者分科会については、先方より、資料を分析するとともに、現地調査によって証言を聴取し、人定事項等の確認に努めるとの説明がございました。ただし、残念ながら、具体的な情報を含む調査結果の通報はなかったところでございます。
  82. 白眞勲

    白眞勲君 外務省さん、余り時間を長々と、質問したことに答えていただければいいんですよ。そのストックホルムの話まで持っていく必要ないじゃないですか、これ。  じゃ、ちょっとお聞きしますけれども、これは外務省というか拉致対策関係かもしれませんけど、拉致被害者の有本恵子さん、石岡亨さん、さらに松木薫さんとの違いをちょっと聞きたいと思うんですね。  これらの拉致被害者の方々は、昭和五十年代に欧州において失踪とされ、その後、北朝鮮に拉致されたとのことです。いまだに帰ってきていらっしゃらない。ただ、横田めぐみさんのような強制的にボートに乗せられたという、嫌々乗せられたというふうなケースとはちょっと違って、いわゆる自分の足で入ったのではないかという点で、また、手紙が北朝鮮にいるということも伝えてきているわけですよね、この拉致の被害者の皆さんは。  これらの被害者と、今、日本人妻の話を赤十字さんからいろいろ話を聞いていると、帰ってこれるかと思っていたけれども帰ってこれないんだと、だまされたと言っている。これ、私、何か共通項あるような気がするんですけれども、これ、日本人妻関係も、拉致と言えるんじゃないでしょうかね。この辺どうですか。
  83. 赤澤亮正

    ○副大臣赤澤亮正君) まず、拉致担当からお答えをいたします。捜査等については、これ警察の方にも聞いていただかないといけないかもしれませんので。  有本恵子さんや石岡亨さんなどの拉致被害者については、関係省庁・機関による捜査、調査の結果に基づいて、北朝鮮当局によって実行された拉致行為の有無を判断して拉致被害者として認定をしております。そういう意味で、北朝鮮による拉致ですので、当局による国家的犯罪行為として本人意思に反して行われたものだという認定を政府としてしているということであります。  先ほどから御議論ありますように、北朝鮮への帰還事業については、赤十字国際委員会による必要な仲介を依頼するとの方針の下に、政府としては、日本赤十字社などが帰還意思確認等を行い実施されたものであるというふうに認識をしておりまして、この点を捉えて、北朝鮮への帰還事業で在日朝鮮人とともに北朝鮮に行った日本人配偶者については拉致行為があったとは言えないというふうに考えております。
  84. 白眞勲

    白眞勲君 赤澤大臣、今、日本赤十字社さんからの話をずっと聞いていらっしゃったと思うんですよ。本人意思確認が非常にあやふやなんですよ、日本人妻が。私は、されていないと見ているんですね、これ。本人意思確認、つまり帰ってこれないんだという意思確認もしないまま出ているという部分においては、これ、日本人妻の問題も拉致と認定したっていいんではないのか。帰ってきたくたって帰れない状況になっちゃっているんですよ、今。  それについて、赤澤さん、今までの政府の立場は私も知っております、知っているつもりでおります。しかし、その辺りについてどうなんだというふうに私は思うんです。  ちょっと、警察庁さん来ていらっしゃいますが、拉致の判断、これをどのようにしているんでしょうか。
  85. 高橋清孝

    政府参考人(高橋清孝君) お答えします。  北朝鮮による拉致行為とは、国内外において本人意思に反して北朝鮮当局により行われた、主として国外移送目的拐取、その他の刑法上の略取及び誘拐に相当する行為と考えているところであります。  警察では、これまで捜査活動を通じて積み上げた客観的な証拠や関連情報を総合的に判断して、十三件十九名を北朝鮮による拉致容疑事案と判断してきたところであり、それ以外の方については、これまでのところ北朝鮮による拉致容疑事案と判断するには至っておりません。
  86. 白眞勲

    白眞勲君 警察庁さん、今のお話ですと、本人意思に反してということが重要だということですよね。ですから、そういう面でいうと、日本人妻方々本人意思に反して外に出れないわけですよ。  有本さんの場合の本人意思に反してというのはどういう意味を持っているんでしょうか、警察庁さん、お答えください。
  87. 高橋清孝

    政府参考人(高橋清孝君) その本人意思につきましても、捜査活動を通じて積み上げました客観的な証拠とか関連情報を判断して、総合的に拉致行為に該当するかどうかということを判断しております。
  88. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっと私の質問の仕方が悪かったかもしれないんですけど、つまり、出れないという意思に反してなんでしょうか。つまり、本人が北に入境した可能性があるわけですよね。それは、意思で入っている可能性もある。出れないところで意思に反してというところなのか、それを聞きたいんです、私は。
  89. 高橋清孝

    政府参考人(高橋清孝君) 出れないということよりも、現在いるところから北朝鮮に入域することに関して意思に反してということだというふうに考えております。
  90. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっとその辺もう一回、だって出れなければそれはあれでしょう、意思に反してにならないんですか、出れないときも。出れないときも意思に反してでしょう、これは。
  91. 高橋清孝

    政府参考人(高橋清孝君) お答えします。  個別の事案について具体的に判断しなければお答え難しいんですけれども、それぞれの方についてその意思を捜査としてはしっかり確認しないと、拉致行為に該当するかどうかというのはなかなかお答え難しいということです。
  92. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっとこの辺りもう一回やりたいと思いますが。  要は、私が言っているのは、例えば、もう簡単に言えば、私の家に誰か入ってきてくれて、ケーキおいしいよとか言って入って、それ出さなければこれは拉致ですよ。帰りたいです、駄目と言って、鍵閉めちゃって出さないようにしちゃったら。警備局長さん、そうですよね、これ拉致になりますよね。もちろん、それは法と証拠に基づいてということになるかもしれないけど、基本的にはそうでしょう、本人意思に反して出さなければ。どうなんですか、それは。
  93. 高橋清孝

    政府参考人(高橋清孝君) 繰り返しになりますけど、具体的な事案について判断していかなければならないんですけれども、結果としてそういう出られない状態ということは、判断すれば、何らかの犯罪行為に該当する可能性はあるかもしれません。
  94. 白眞勲

    白眞勲君 それを言ってくれればいいんですよ。要はそういうことですよ。つまり、今回のケースも、私は、この日本人妻というのは帰れるかと思ったら帰れない、出してくれない。そういう面では、赤澤大臣、どうですか、日本人妻というのも、これも私は拉致の、大きなカテゴリーでいえばそういう可能性も否定できないのではないか、そういうふうに思いませんか。これ、政治家として御判断願いたいと思う。
  95. 赤澤亮正

    ○副大臣赤澤亮正君) 本日の議論は聞かせていただきました。あわせて、白委員の問題意識も理解はいたしますが、私どもが取り扱っている拉致について言うと、やっぱり捜査当局の認定の下に非常に厳格な判断をしておりまして、これちょっと条文も御紹介をすれば、刑法の二百二十五条で、やっぱり、「営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐」ということ。あるいは、今回の有本さんや石岡さんの場合でいうと、北朝鮮の国家的な意思としては、二百二十五条で結婚目的で、朝鮮の方と結婚させようというんで連れてきたという略取・誘拐の例でありますし、通常の拉致であれば、「所在国外に移送する目的で、人を略取し、又は誘拐」ということで、先ほどの委員指摘の、連れてきて、そこまでは意思はあったんだけれども、帰さないような場合というのは、むしろ逮捕とか監禁とかの方に当たるのかもしれません。私どもが通常、拉致の認定を捜査当局にいただいている方の条文とは適用条文が若干違っているんじゃないかという感じが私自身はいたしております。  そういう意味で、私どもが捜査当局と協力しながら拉致の認定をしている事案と事実関係とかもうちょっと整理する必要があるように感じております。
  96. 白眞勲

    白眞勲君 ありがとうございます。  今おっしゃいました逮捕・監禁、可能性あり、そして、もう一回この辺りは精査する必要性あり、そのとおりだと私は思っております。是非それを私はお願いを申し上げたいというふうに思います。  日本赤十字社さんに最後にちょっとだけお聞きいたします。  今非常に、北に渡った、これは朝鮮人の方もそうです。日本人の方はもちろんです。赤十字社として、今のこの現状をどういうふうにお伺いでしょうか。
  97. 大塚義治

    参考人大塚義治君) 当時の帰国事業につきましては先ほど来御説明申したとおりでございますが、私どもの活動の、言わば人道的団体としての活動の一つの主要な事業の一つに、例えば離散家族方々を引き合わせるというような活動も重要な活動の一つとして考えております。  したがいまして、事の事情はともかくといたしまして、互いに会いたい、会って話をしたいというような御家族がある場合に、なかなか様々な事情でそれが実現できないということに対しまして、人道的な見地から、また客観的な事情が許せば、我々ができる範囲あるいはできる方法で様々のお手伝いをして御希望に沿うように支援をするということは我々の大事な役割だと思っておりまして、そういう観点から今後とも可能な努力を続けていきたいとは考えているところでございます。
  98. 白眞勲

    白眞勲君 塩崎大臣にお聞きいたします。今までずっと議論聞いていらっしゃったと思うんですが、日本人妻、非常に厳しい環境の中に置かれている。意思に反してと言って私はいいと思います。もう出られない人たちいっぱいいるわけです、帰れない人たちがいっぱいいる。そういう中で、今の話で、今、赤澤大臣からも逮捕・監禁と言ったけれども、そういった可能性についても検討していきたいという話もあった。  厚生労働行政をつかさどる大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  99. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、特に外務省から、日本人配偶者で北朝鮮に渡っていらっしゃる方々についての話を今聞いておったわけでありますけれども、これは、やはり北朝鮮側に対しまして、人道的な観点から実態はどうなのかということを含めて安否確認を外務省の方からしているというふうに理解をしているわけでありまして、これについては、厚生労働省というよりは、外務省がまずは中心となって北朝鮮側に対して調査結果をしっかり通報を受けるようにしていただいている方向で動いているのではないかというふうに理解をしているところでございます。
  100. 赤澤亮正

    ○副大臣赤澤亮正君) 今の白委員の御質問で一つだけちょっと私、申し上げておきたいのは、犯罪の、刑法の条文に当たるかどうかというのは本当に厳格な認定が要るということで、私が今日挙げたあれでいうと、略取・誘拐と併せて逮捕・監禁ということを申し上げましたが、これに当たるかどうかの認定というのは非常に厳格な認定が要るということで、私どもとしては、今、日本人妻の問題については拉致行為があったというふうには認定をしていない、意思に反していたとは認定していないということはもう重ねて申し上げておきたいと思います。
  101. 白眞勲

    白眞勲君 一点、拉致の判断をするのが警察庁で、認定をするのが拉致対の方ですから、そこだけは今答弁の中にちょっとそごがあったような気がしましたので、それも私の方からも御指摘したいと思いますけれども。今の段階ではというところがポイントだと私思っておりますから、これから是非御検討いただきたいという、先ほどの答弁、非常に重要な答弁だと私は思っております。  それで、ちょっと時間がもうほとんど一分、二分しかなくなっちゃったので、ちょっとどこまでできるか分かりませんが、最後の質問にさせていただきたいというふうに思います。  資料の最後のページをお願いいたします。  これを見ると、これ、いわゆるおれおれ詐欺とかいわゆる特殊詐欺の関係、ちょっと全然話が違って大変に恐縮なんですけれども、見ると、本人からの相談、今日は消費者庁さんも来て、本当は答弁していただこうかと思ったんだけど、もうちょっとしゃべっていただく時間がないので私が言いますけれども、ホームヘルパー等が、団体等からの相談が、認知症等高齢者では八割以上を、何というんでしょうかね、全国の消費生活センターにトラブルのことについての相談があるということになっているんですね。  結局、厚労省さん、これどうなんでしょうか。このトラブルというのを厚労省はちゃんと確認しているんでしょうか。その辺ちょっとお聞きしたいと思います。
  102. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) このような消費者被害を未然に防止するという観点から、高齢者の相談窓口でございます各市町村に置かれる地域包括支援センターが消費生活センターなどと定期的に情報交換を行うとともに、地域包括支援センターに高齢者から消費者被害についての相談があった場合には、消費生活センターなどと連携して対応するというふうな取組をしているところでございます。
  103. 白眞勲

    白眞勲君 その連携、重要なんですけど、ちょっと警察庁さんに最後の事実関係だけ簡単に御説明願いたいんですけど、今この状況どうなっているんですか。
  104. 露木康浩

    政府参考人(露木康浩君) お答えいたします。  振り込め詐欺を始めといたします特殊詐欺につきましては、昨年中の認知件数が一万三千三百七十一件、被害総額が五百五十九・四億円と、過去最高を更新をいたしております。また、特殊詐欺の被害者のうち六十五歳以上の高齢者が占める割合は、平成二十三年には約六割でございましたけれども、その後年々増加をいたしまして、昨年には約八割となっており、大変被害は深刻でございます。
  105. 白眞勲

    白眞勲君 そうなんですよ。つまり、約一万人の被害者が毎年発生して、それで一人当たり五百万円被害受けているんですね。その多くが高齢者である。これ、やっぱり厚生労働省としても非常に重要なポイントだと私思っているんですね。お年寄りの皆さんが大変な嫌な思いをしているということ。  これについて、今日はもう時間がないのでこれでやめます。あと、次の機会にこの件についてまたじっくりとやりたいと思っておりますので、今日はここまでとします。  ありがとうございました。
  106. 石橋通宏

    石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。  今日は、最初に、この間続けて大臣に長時間労働、過重労働対策、現状認識と取組について幾つかお伺いをしてまいりましたけれども、まず、とりわけ今日は医療現場過重労働問題について大臣の認識、それから具体的な提案も含めて、まず質疑をさせていただきたいと思います。  最初に、塩崎厚生労働大臣にお伺いします。  現状、医療現場、勤務医さん、そして看護師さん、多々過重労働問題についてこの間いろんな場で問題指摘をされているわけでありますけれども、まず大臣として、この医療現場における過重労働問題について御見解、御認識いかがか、お伺いさせていただきたいと思います。
  107. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) この医療の現場での勤務の状態については、もちろん私も地元で随分いろいろなお話を聞きますし、全般的な話も聞いてもかなりタイトであり、また被災地などで医療機関に行っても、これますますもってなかなか大変な状況だなということを感じることが多いわけでありまして、例えば医師について、週の労働時間が六十時間以上の雇用者の割合が三八・一%に及ぶといった実態があって、その勤務環境を改善することは今申し上げたように大変重要であって、時間外労働の上限問題などいろいろ議論はされてきておりますけれども、なかなか、やはり様々なことを考えながらこの問題について考えていかなきゃいけないなと、そういう認識を持っているところでございます。
  108. 石橋通宏

    石橋通宏君 まず、大臣も厳しい現場の状況があると、改善が必要だという認識を示していただいたこと、確認をさせていただきたいと思います。  一点、大臣でもいいし、参考人でも構いません、ちょっと確認ですが、労働基準法上、これ労働時間規制、休日規制、様々あるわけですが、これお医者さん、看護師さんに対してこの労働基準法上何らかの適用除外、つまり一般の労働者と比較して専門職であるがために適用除外になっている、そういう扱いがあるんでしょうか、ないんでしょうか、確認まで。お願いします。
  109. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 医師、看護師を特定してということはないと。管理監督者とか、いろんな、同じように普通の労働者の方と掛かっているということでございます。
  110. 石橋通宏

    石橋通宏君 基本的にないんですね。一般労働者と同じ扱いなんです、大臣。ですから、当然、残業する際には三六協定の締結、登録が必要ですし、残業すれば残業代を支払わなきゃいけない、これは当たり前のことですけれども、大臣、先ほど厳しい環境、まさにその当たり前のことが、じゃ現場でどうなっているのかというのがやっぱり問題なわけです。  それでは、大臣厚生労働省として、この医療現場、勤務医さん、とりわけ、そして看護師さん、この過重労働の実態についてきちんとした調査を最近されたことはあるでしょうか。
  111. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 医師、看護師などは、医療に限定をしてそれだけということは、今日先生がお配りをしていただいている資料、若干ありますけれども、基本的にはないというふうに聞いております。
  112. 石橋通宏

    石橋通宏君 医師、看護師に特化して調査をやったことが最近、最近なのか過去に遡ってなのか分かりませんが、ないという説明だったんです。  先ほど大臣医療現場厳しいとおっしゃった。でも、厚生労働省として調査をしたことがないと、このことがまず大変重要な問題ではないかということなんです。  資料一でお配りをしておりますが、今回、何か資料、データ、調査結果がないのかというふうにお伺いしたところ、このお配りをしているところ、これ抜粋してまとめてありますが、しかし、この一番、例えば労使協定がどうなっているのか、これ保健衛生業で出ているんですけれども、医師、看護師では出てこないので病院の現状が分からないんです。二のところで、さはさりながら保健衛生業で、じゃ労使協定の締結の状況がどうなっているかというと、三六協定締結をしていないというのが過半数に上っているんですね。じゃ、締結をしていない理由が何かというと、時間外・休日労働がないというのが四二%、プラス三六協定の存在を知らなかったというのが三八・七%と、これも信じられませんけれども。  大臣、そもそも、一般の病院で、一定の規模を持った病院で残業が一切生じないというのが、僕は素人考えでも余りイメージができないわけです。なので、これやっぱり、実態がきちんと把握をされていないというこの状況については大変問題ではないかということを大臣も御認識をいただけるんだと思います。  それで、これちょっと済みません、事前通告をしていないので、参考人で結構です、分かったら教えてください。三六協定について、これだけ協定そのものを締結していないというのがあるわけですが、自治体病院なんかでいわゆる医師、看護師が公務員扱いになっている病院というのは、三六協定の締結というのはこれは病院単位でやられるんでしょうか、それとも自治体が締結をしている三六協定、これが病院にも適用されるという理解でよろしいでしょうか。
  113. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 基本的には、三六協定は事業場単位で結んでいただくと。したがって、自治体全体ということではなくて、病院であればその病院として締結するというのが考え方になっております。
  114. 石橋通宏

    石橋通宏君 これもちょっと是非調査をしていただけないかと思うわけです。現場では、どうも自治体病院なんかでも、三六協定が締結されていないと、自治体の三六協定がそのまま締結をされているような事例があるやに聞いております。  大臣、これ大臣御存じであれば、若しくはこれも参考人でも構いません、これまで医療機関に集中して監督指導、調査、労働基準監督署、調査、指導をやったことがあるでしょうか。あったらその結果を教えてください。
  115. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 今手元に資料がないんですが、最近そういう形でまとめたということはないのではないかというふうに思っております。
  116. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、これが今の状況です。医療現場の労働時間、過重労働の実態調査もしていなければ、そこに集中して監督指導、調査入ったということもないと。先ほど大臣に認識を示していただきましたね、でも、これが実態なんです。  大臣、是非調査をしっかりやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  117. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 私も、大臣になる前からいろんな方々、医療関係者から聞いてみて、特に看護師の皆さん方の夜勤とか、それから特に救急救命の先生の勤務状態とか、二十四時間の小児科とか、いろいろ聞いてみて、なかなか大変だなというふうに思っておりました。  一方で、命と健康を守るために頑張っていただいているということも事実であって、そういうことになると、やはりその先生方や医療関係者の健康を守るということもこれ大変大事なことでありますので、今先生から御指摘のとおりの、いわゆるこの労働規制に関しての在り方がよく分からないということであれば、何ができるのか、調査について、私も考えてみたいというふうに思います。
  118. 石橋通宏

    石橋通宏君 まさに大臣言っていただいたとおり、命と健康を守るために本当に現場で頑張っていただいている。だからこそ、本当に心身共に健康な状態でやっぱり患者さんに対していただきたいということから含めても、是非、大臣、今約束をしていただいたと理解をしますので、具体的にどのような調査、若しくは監督指導、セットでやっていただくのがいいと思いますが、しっかり検討して、検討結果を委員会に報告をいただきたいと思います。それ、確認でよろしいですね。
  119. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) どういうことができるか、考えたいと思います。
  120. 石橋通宏

    石橋通宏君 是非しっかり実行していただきたいと思います。  その上で、若干ちょっと二点について、具体的に提案も含めて、大臣、見解をお伺いしたいんですが、まず病院等の医療機関における産業医の選任について確認をさせていただきたいと思います。  当然、病院でも、五十人以上常時雇われているところでは産業医の選任が必要なんだということで理解をしておりますけれども、その病院の産業医で、何と病院長が産業医に選任をされている事例が現場であるというふうに理解をしておりますが、大臣、これどうなんでしょう。病院長が産業医に選任をされて、病院長が自分のところのお医者さんなり看護師さんの健康、これって適任、適切だと思われますか。
  121. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 恐らくこれは利益相反、つまり経営側と健康を守る側との二つの役をやること自体をどう考えるかという先生の今のお尋ねだと思うんですが、働く方の健康を確保する、つまり医療機関で働いていらっしゃる方々の健康を守ることは経営にもプラスになるという考え方もあって、必ずしも経営と健康管理が矛盾するということはないのではないかというふうに考えてもいるわけでございまして、院長と産業医を兼務することで結果として働く方の健康の確保に立脚した判断ができないという実態がある場合にはこれはやはり問題だろうというふうに思うわけであって、仮にそうした実態があるということで確認されれば、産業医による働く方の健康維持などがこれは適切に遂行されるように、他の産業医の選任も含めて必要な指導を行うような適切な対応を取らなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。  なかなか悩ましいところで、先生御指摘のとおり、つまり健康のプロたる医師がどう考えるかという問題だろうというふうに思います。
  122. 石橋通宏

    石橋通宏君 現場では、まさにその健康のプロたる医師が、これは問題だというふうに思われています。  大臣過重労働が蔓延をしているような病院で、医療機関ですよ、そういうところで、じゃ、なぜ過重労働が蔓延をしてしまっているのかというと、それはやっぱり経営側、管理者たる病院長も含めて、それがなかなかそういう実態を強いてしまっているという状況がある中で、その病院長が自ら産業医に選任をして、いや、あなたは先月百時間超えで働き過ぎで大丈夫なのか、いやいや、病院長、大丈夫です、それ、ちゃんとできるわけないですよね。  それ考えたら、大臣、経営にプラス、いや、そういう話じゃないというふうに思いますので、大臣、ここは是非これもちゃんと実態調査をしていただきながら、これせめて経営側、管理者側に立つ者が産業医に選任されることはやっぱり原則あってはいけないということは指導すべきだと思いますが、大臣、これちゃんとこれもしっかり検討していただけないでしょうか。
  123. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) プラスと言っているのは、健康で頑張ってくれることが病院としてもプラスだということを申し上げているので、先ほどおっしゃっていることは必ずしも、何というか、経営者たる医師がやることがプラスだと私は言っているわけではございませんので、申し上げておきたいと思います。  働く方の健康確保に立脚した判断ができなかったり、それから産業医の職務を行う時間が十分確保できないような、そういう院長がおられたりということが多く見られる場合は、やはり対応を検討すべきだというふうに私も思いますので、実態を把握することが重要だというふうに思います。  そこで、御指摘の院長による産業医の兼務の状況を含めて、産業医の実態について何らかの調査を行う方向で検討させていただきたいというふうに思います。
  124. 石橋通宏

    石橋通宏君 これも是非検討し、速やかに委員会に報告をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。これまでもやるやるといって一向に進んでいないという実態があると理解をしておりますので、これちゃんと大臣、今答弁いただきましたので、大臣の責任でしっかり前に進めていただければと思います。  加えてもう一点、これも委員会でもこれまでにも議論されてきたことだと思いますが、医師、看護師、とりわけ看護師さんの夜勤の回数についてちょっと確認をさせていただきますが、現状でこれ看護師さん、まあ医師もそうなんだと思いますけれども、夜勤の回数、それから夜勤交代を含めて連続勤務、これについて法令上の規制があるんでしょうか。
  125. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) まず第一に、いわゆる時間規制というか労働規制については、先ほど局長から答弁したように、他の働く方々と同じように掛かるということでございます。医師や看護師を対象とした夜勤の回数あるいは連続勤務時間、これについての法令上の制限は特にないというふうに理解をしております。  ないというのは、先ほどの一般的な労働時間規制は掛かるという前提の下での話でありまして、しかし、他の働く方と同様に、時間外とか休日労働とかに関する三六協定の締結や届出、それから割増し賃金の支払、深夜労働等に関する法令違反が認められる場合には、当然当局としては是正を指導しなければならないということとともに、一か月の四十五時間、一年三百六十時間といった限度を定めた限度基準告示に基づく指導を現場でも努めているところでございまして、さらに、労働者の健康を確保する観点から、労使の自主的な取組を促進するための労働時間等設定改善指針を見直す方針でございまして、具体的には深夜業の回数の制限とか、あるいは終業時刻から始業時刻までの間に一定時間以上を確保するいわゆるインターバル、勤務間のインターバルの措置について、労使が自主的に取り組むための参考として新たに指針に加えることとしておりまして、これらに新たに加える内容については都道府県の労働局に配置をするコンサルタントなどを通じて周知を図らなければならないというふうに思っております。  特に、医療機関につきましては、勤務環境改善に向けた取組を行う医療機関に対し総合的な支援を行います医療勤務環境改善支援センターというのがございますので、この活用を含めて、都道府県と協議、連携しながら重点的な周知啓発に努めなければならないというふうに考えております。
  126. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、今御説明をいただいた取組で確実に夜勤、連続勤務、これ抑制されるんでしょうか。自主的な取組、でも自主的な取組をこの間もずっと現場では恐らくやってこられたんだろうと思う。でも、現状、残念ながら大きな改善が見られないと。これもう、やっぱり法的な措置をとるべきではないんでしょうか。  かつて二〇〇七年に参議院でも国会請願決議が行われて、これも夜勤日数については月八日以内に規制すべきだということで確認をされておりますが、その後、今に至っても法令上の規制がないという現実です。大臣、もう既に法制度上の改正をすべき時期に来ているのではないかと思いますが、その検討はしていただけないですか。
  127. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今お話がるるございましたとおり、看護職員を始めとして医療従事者のまず確保は勤務環境が良くならないとなかなか定着あるいは離職を防ぐということができにくいわけでございまして、これは、日本看護協会の調査がございますが、平成十九年の看護職員の夜勤回数は月八・三回、今、それが二十五年には八・一回ということで、若干の改善は見られていますけれども、まだ八回以上ということでもございますので、さらに、去年の六月の医療法改正の、さっき申し上げたような医療勤務環境改善支援センターを設置をしたり、あるいは医療機関がPDCAサイクルを活用して勤務環境改善を取り組む仕組みを導入をしているわけでありますけれども、今お話がございましたように、新たな指針に加える項目をやって、やっぱりこれが確実に勤務環境の改善に向けて歩みが進むようにしなければいけないと思いますし、私どももそれに努めなければならないというふうに考えておるところでございます。
  128. 石橋通宏

    石橋通宏君 対策しっかりやっていただくのはもちろんのことですが、やはりもうここまで来たときには法令上の法改正等を含めた検討が必要なんだろうなというふうに思います。是非そのことも含めて今後また検討していただければと思いますし、私もまた今後質疑をさせていただきたいと思っております。  それでは次に、話題を変えまして、外国人技能実習制度適正化問題について質疑をさせていただきます。  この問題も、この間、我が党の津田委員からの御質問もありましたし、いろんな各党からの御質問もございました。私は、今日は若干違う観点でも質問をしていきたいと思いますが、まず塩崎大臣に、今回法案提出され、これから議論されていくわけですけれども、今回は特に技能実習制度の適正化ということが大変強く強調されております。なぜ適正化が必要なのか。大臣、その現状について、改めて、細々としたことはいいです、なぜ適正化をやらないといけないのか、そのことについて御認識を端的にお聞かせください。
  129. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回、私ども与党の中でも議論をし、また政府でも議論した結果が今回の法律になっているわけで、今、適正化ということに関しては、数々事案もあって、海外からも批判を受けていた人道上の扱い、あるいは労働条件の問題などが多々ございました。  この技能実習の制度の中で、それらの問題を解決する、言ってみれば自律的な仕組みや法的な構えというものが十分ではないんじゃないかということで、私どもは、この趣旨は、やはり日本の多々ある技能を学んでもらってそれぞれの母国で活用してもらうということで国際貢献を果たすということは何も変わらないわけでありますけれども、やはり失踪するとかそういうようなことが結果としても起きているわけでありますので、そういうことのない健全な技能実習ができるような形で、それも実効あるものとして制度をつくり、強化をするというふうにするというのが今回の適正化の目的であったかというふうに私は理解をしているところであります。
  130. 石橋通宏

    石橋通宏君 実習制度については、本当に深刻な問題、人権侵害、労働基準法違反含めて多々今なおはびこっているという状況です。海外からの強い批判も受けているところです。  先日、当委員会でも、津田委員の質問に対して高階政務官から、監督指導の結果で約八割事業場で違反がやっぱり認められるんだということも答弁がございました。私たちは、これやっぱりもう制度上の根本的な欠陥だと思っているわけです。今回も、これ制度上の、言い方は悪いかもしれませんが、付け焼き刃の改善で制度を存続させて拡充させようとしているのが政府の考えですけれども、我々はこれじゃ駄目だと思っているわけです。そういうなし崩し的な拡大には我々はやっぱり断固反対であるということを改めて申し上げた上で質問させていただきますが。  大臣、先ほど御認識を示された現状の問題、だからまず今回、いろいろな適正化の具体策が提案をされています。やっぱり、まずこれ適正化、しっかりと取組をいただいて、その適正化、これが本当にその問題の解決に向けて具体的な効果を示すのかどうか、そのことを確認をいただかないと、今後この制度の存続含めて、いわんや拡充なんかあり得ないと思っているわけですが、まずは適正化策をしっかりと実行し、その効果を検証いただくと、そうでなければ拡充、拡大はあり得ないという、これは大臣もそのとおりだと思いますけれども、そういう御見解でよろしいですか。
  131. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これまでは、制度に中心的に関わってきたいわゆるJITCOと呼ばれている団体があったわけでございますが、ここが言ってみれば推進と規制と両方やっているような格好になっていたというふうに私たちは理解をしておりました。したがって、先ほど申し上げたような、規律が行き届かないということがしばしばあったわけでありますので、私どもとしては、やはり今回この法改正によって管理団体を許可制にする、それから実習実施者の届出制、それから技能実習計画の認定制を導入をして技能実習のチェック体制というものを強化をするというのがまず第一。  それから、それをちゃんと報告を求めて実地に検査をする新たな外国人技能実習機構というのをつくるということで、これを実効あらしめるということが二つ目であり、また、機構に実習生からの通報とかそれから申告窓口を整備をして実習生の保護自体も図らなければならないということでそれを強化するという、こういう法案を今回出しているわけでございます。
  132. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、答弁書間違われていませんか。その質問、中身の質問していませんよ。  適正化をしっかりとやった上でなければ拡大、拡充なんかあり得ませんよねという話をさせていただいているわけです。今、現状で多々問題があるんです。だから、大臣先ほど言われたとおり、今回しっかりと適正化をしていかなければいけないんだと。だから、適正化をして、効果を見て、問題解決がされたのか、それを検証いただいた上でなければ拡充なんかあり得ませんよねと、大臣、そういう見解でよろしいですねと、確認です。
  133. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) いや、我々の問題意識は先ほど申し上げたとおりであって、今の現状のままで適正化をするといってもそれはなかなか難しいなと。だからこそ、法律を変えて、仕組みを変えて実効ある規制ができるようにしていこうじゃないかということで今回この法律を出させていただいているわけであって、今までと言ってみれば様相を変えて、実効ある規制ができる外国人技能実習機構というものが規制機関として明確に位置付けると、そこに権限も与えるということでやっているわけでありますので、まさにこれをやらないと適正化はなかなか図れないということで、私たちは法律を今回出して、これを通していただいた上で、これを実施することが適正化につながるんだというふうに思っております。
  134. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣とコミュニケーション取るのが非常に難しいです。  今回の法案のことを言っているわけですね。今回の法案で適正化策が提案をされていますね。でも、同時に拡充策も提案をされていますね。しかし、今回の法案提出の法律、なぜこれが出てきたのか。まさに大臣が言われた、現行の制度では駄目だと、いろんな問題がやっぱりなくならないんだと。だから、今回法案提出をされて、今大臣るる説明を聞いていないけどされましたが、具体的な改善策、適正化策を提案されているわけでしょう。だから、まずこの法案で書かれている適正化策、これをしっかりと実行した上でなければ拡充策に行っちゃいけませんよねと、そのことを聞いているわけです。そういう理解で、じゃ、よろしいんですね、大臣
  135. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、現行制度は規制と推進が言ってみれば一つの組織の中に入っているような、そういうことで実効性ある規制ができない、適正化ができない仕組みだという認識を持って、いろいろ試みはしましたけれどもなかなか難しいと。だったら、ここはこの仕組みを変えて、ちゃんと規制は規制ということをやれるものをもっと明確にしていこうじゃないかということで、ですから、新制度の施行と、それから、そうはいっても時代の、国内、国外のいろいろな条件が変わってきておりますから、そのニーズにも応えるということで、両方のこの拡充と適正化とを同時に達成しようじゃないかということで御提案を申し上げているということでございます。
  136. 石橋通宏

    石橋通宏君 今の最後の部分最初に言っていただければそれで終わったわけですが。  要は、これ同時にやるわけでしょう。要は拡充策で、改善されたのかどうかも分からないけれども、政府の本音は拡充策をやりたいから拡充策はとっととやります、規制強化の方はおいおいやっていけばいいですねと。これで本当に、海外からの先ほど言われた批判、現場での人権侵害、これが一体どうなるのかも分からないうちに拡充して本当に大丈夫なんですか。だから、そういう話だと我々としては到底今回は賛成できないというふうに申し上げているわけです。  そこで、ちょっとなかなかコミュニケーション難しいので、具体的な話で、課題、ちょっと二点だけ確認をさせていただきたいと思いますが、今日は、法務副大臣、済みません、葉梨副大臣、おいでいただきましてありがとうございます。確認をさせていただきたいと思いますが、現行の問題点、とりわけ民間ブローカーの介在ですとか送り出し国側の様々な問題についてなかなか、こちら側で幾ら改善しようとしても、現行制度上では対応できないという問題がやっぱり現に存在するのではないかというふうに思っておりますけれども、まず葉梨副大臣、その送り出し国側の問題について、やっぱりそれが現行制度の大きな問題だという御認識がおありかどうか、まず確認をさせてください。端的にお願いします。
  137. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) 送り出し国側の送り出し機関、これが不適正な行為を働くということ、これは技能実習制度の適正化を図る上では問題があるというふうに考えています。
  138. 石橋通宏

    石橋通宏君 そこで、今日資料でもお示しをしております。私も現状についていろいろとまた調べているわけでありますけれども、これ資料の二の上のところで、送り出し国側で上位十か国、派遣をいただいている国々、数の推移を示しておりますのと、一番上の右側に認定送り出し機関数というのを示しております。  葉梨副大臣、現行の実習生の中で認定送り出し機関以外のいわゆる非認定送り出し機関からどれくらいの実習生が送り込まれてきているのかどうか、数と割合を教えてください。
  139. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) その数、割合については、私ども掌握しておりません。
  140. 石橋通宏

    石橋通宏君 掌握されていないそうです。なので、分からないんですね。認定送り出し機関といいながら、でもそれ以外のところからどれぐらい来ているのか。それ以外の要は非認定機関から来ても構わないわけですね。なので、それも実数も把握をされていないので、非認定送り出し機関からの受入れがどれぐらいあるのかということが分からないというのが現状であるという問題をまず指摘をさせていただきたいと思います。  で、もう一つ。じゃ、送り出し機関、認定であれば大丈夫なのかというと、いや、認定であっても大丈夫でないというのが現状なんだと思いますが、僕も今回見てちょっと驚いたのは、例えばミャンマー御覧ください。ミャンマーが今非常に人数が増えてきているというのは御存じのとおりで、今年に入ってからもミャンマーがすごく増えておられます。ミャンマーは、認定送り出し機関が、でも全体から見ればまだ六百九十人しかおられないのに、百四十七も認定機関があるんですね。これ、本当にミャンマー政府が百四十七もの認定送り出し機関をきちんと指導監督をしているのかどうか、正直大変疑問ですが、葉梨副大臣、これ、送り出し国側で政府機関がこの百四十七もの認定送り出し機関、ちゃんと監督指導しているのかどうか、そういう把握はできているんでしょうか。
  141. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) 今、もう委員も御承知のとおりかと思いますけれども、この認定送り出し機関というのは、いわゆるJITCOが相手国の政府の窓口とRDという討議合意書というのを結びまして、それで相手国がそのそれぞれの相手国の基準に基づきまして送り出し機関を認定するということでございまして、私ども政府としてのまず関与もございませんし、またJITCOとしても個々の認定送り出し機関についての指導監督という、そういうような類いのものではないということで、我々法務省としましては、まず省令で送り出し機関、これはそういったRDの取り交わしの有無、認定の有無にかかわらず、不適正な行為というのを禁止して、そしてそれぞれ送り出し機関と技能実習生や監理団体との間に締結された技能実習実施に係る書面の写しを求めるなどして、私どもの入管当局としては監督を、個々の受入れの段階で管理をしておるというような実情でございます。
  142. 石橋通宏

    石橋通宏君 それが実態なんですね、現状制度の。だから、制度的な欠陥があるというのは、まさにその点を示しているわけです。  そこで、今、葉梨副大臣から御説明がありましたように、現行はJITCOがRDを結んでやっているわけですけれども、現実的には認定送り出し機関の認定もその指導監督も送り出し国側に基本的には委ねられているわけです。じゃ、その様々な発生する問題についてどのように二国間で、若しくはJITCOと送り出し国政府側との定期協議なりでやられているのかなと思って、これまた資料請求をさせていただいたところ、ホームページに載っていますという定期協議の一覧を出していただいて、それが資料二の下のところに書いてありますが、これ見て驚くわけです、こんなものなのかと。例えば、二〇一四年には一度も定期協議がやられていなかったということになる。主要国でも二〇一三年もやられていないところもあります。  葉梨副大臣、お答えは分かっているんですが、これについて、定期協議がこういう状況だということについて、これは法務省として何らかの指導をJITCOにはされるんでしょうか。
  143. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) まず冒頭、先ほどRD、討議合意書と申しましたが、討議議事録でございますので、訂正をさせていただきます。  先ほどお答えをさせていただきましたとおり、私ども入管当局といたしましては、個々の技能実習生の受入れの段階での審査、管理というのを行わせていただいておるわけでございます。そして、まさにこの資料にありますとおりのJITCOにおける定期協議の一覧ということでございますが、今回、先ほど厚生労働大臣からも御答弁ございましたように、まず制度の見直しということで、送り出し機関による不当な金銭の徴収の不適正な行為、これは、現在、通常外国で行われているものなので、なかなか私どもとしてもその実態を把握することは困難である、このことはもう認めざるを得ないだろうと思います。  そこで、厚労省と一緒になりまして、技能実習制度の見直しについての、先ほども御答弁ありました関係法案を国会に提出をさせていただいておる。そして、新制度では……
  144. 石橋通宏

    石橋通宏君 聞いていないことはいいです、副大臣
  145. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) まあ今度は政府がしっかり行っていくということで、新しい制度において、今度はちゃんと二国間の当局同士の取決めというのを順次進めていこうということを考えております。
  146. 石橋通宏

    石橋通宏君 端的に、要は定期協議については現行制度上は政府あずかり知らぬということですね。なので、塩崎大臣、こういう実態なんです。現行では、RDといってもこれはあくまで議事録です。向こうの送り出し機関側、これのコントロールが全然利いていない。そして、定期協議、JITCOがやっているといっても、現状はほとんど実質的にはやられていないと。この状況を御覧になって、塩崎大臣、どうですか。  今、副大臣から若干言及がございました。今回の法案、出てきておりますが、そもそもの改善策、適正化の柱のイの一番に政府間取決めと、二国間で政府間取決めをするんだということがうたわれています。これは、まさに今御指摘があったように、現行の制度上の欠陥をこの二国間取決め、政府間の公的な取決めでしっかりと政府のコントロールを利かせていくんだということだと思います。  では、塩崎大臣、この政府間取決め、これをしっかりやられて制度の改善ができてから拡充策に進んでいくという、順序はそういう順序でよろしいでしょうか。
  147. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、葉梨副大臣からも答弁申し上げたように、私どもとしては、これまでの言ってみれば技能実習制度の管理監督体制の不十分さということを感じて、だからこそ、今回、それを適正化するために法律を提出させていただいているということを申し上げたとおりであって、それと同時に新たなニーズにも応えていくということをやろうとしているわけでございます。  今申し上げたように、この政府間での取決めというものを今後は重視をして、相手国政府と協力をして不適正な送り出し機関を排除するとともに、日本の側でも有能なところを優先的にして、優秀でない結果を出していないところはやはり排除をしていくという格好も、監理団体としてあるいは実習実施者についても要件を満たすということを課していこうということにしているわけであって、我々は、今申し上げたように、受入れ枠の拡大などの制度拡充については、政府間取決めを結んでいない国からの実習生であっても、制度をより適正に活用するインセンティブになるように、今申し上げたような監理団体及び実習実施者に限って、要件を満たす場合に限って優良なところに認めていく、あるいは外国人技能実習機構による監理団体に対する実地の検査などの管理監督体制の強化を併せてやるということで、新制度の施行と同時に実施をしていくというふうに先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、これを今の体制のままで適正化を図るというのはなかなか難しいだろうということを私たちは考えたからこそ、実効性のある管理監督体制をつくるということにしているわけでありますので、この仕組みなくして適正化だけを先に図るといっても、なかなかこれは難しいのではないかというふうに思います。
  148. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、繰り返しお願いしますが、質問に端的にお答えください。  先ほど来、葉梨副大臣もそうです、大臣も、現行の制度上、とりわけ送り出し国側の問題というのは繰り返し確認をされております。民間ブローカーの排除、先ほどちょっと触れていただきました、これができないと。つまり、今回適正化策で国内における体制整備、先ほど来累次お話をされましたけれども、様々取組をされますが、これやっぱり送り出し国側でしっかりとした体制が取られなければ、民間ブローカーの排除等々そういった実効性ある対策が取られなければ、現行のその問題は変わらないわけです。変わらないんです。幾らこっちでやろうとしたって、じゃ、向こうで民間ブローカーにお金を払わなきゃいけない、そういう闇に隠された部分がある、それがなくならなかったら駄目なんですよ、この制度は。  だから、私は、今お聞かせいただきたいと思っているのは、この政府間取決め、しっかりとやるんですね、やってから今後の様々な拡充、拡大があるんですね、これやらないままにやったら大変なことになりますよということを申し上げているんですが、大臣、全く答弁をいただけませんけれども、これ政府間取決め、速やかに取決めをして、とりわけ主要国十か国あるわけですが、こういった国々では速やかに政府間取決めをして、その上で拡充をしていく、そういう理解で、改めてそこだけお聞かせください。それやらないままに拡充策を進めるのか、それやってから拡充策を進めるのか、それだけお答えください。
  149. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今お話しのように、いろいろな団体が、送り出し機関もあったりすることはそのとおりであって、それをどう実効ある規制を掛けて適正な制度運営ができるようになるかということを考えた上での今回の法律を提案をしているわけでございまして、何度も申し上げますけれども、これから政府間の取決めを順々に進めていく中で、新たな制度についても同時に、並行的に進めていく中で全体の適正化を図っていくというのが私たちの提案をしているところでございます。
  150. 石橋通宏

    石橋通宏君 またこれから法案審議が始まっていく段階でこれ改めてしっかり確認させていただきます。今大臣、最後に、これやっぱり政府間取決めもしながらということでしたので、この辺の今後の取組の確認をしていきながら、我々としては、これ政府間取決めちゃんとやって、その上でなければその先に行くことは決してあってはいけないと考えていることをこの場では申し上げておきたいと思います。  それで、済みません、時間がなくなってしまいましたのでちょっと幾つか飛ばさせていただいて、ここで葉梨副大臣はもう結構ですが、委員長お許しをいただければ退席いただいて結構です。
  151. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 葉梨法務副大臣、御退席ください。
  152. 石橋通宏

    石橋通宏君 それでは、済みません、飛ばして、ちょっと最後に一点だけ。  今回の労働基準法改正案について、いわゆる、我々は過労死促進法案、残業代ゼロ法案、定額働かせ放題法案、様々な呼称でこれ攻撃をさせていただいておりますけれども、大臣、この基準法改正案のいわゆる高度プロフェッショナル制度、これについて一点、事実確認をさせていただきたいと思いますが。  先般閣議決定をされましたときに、各メディアが様々この法案について報道をしました。そのときに、多くのメディアは、今回の法案、働いた時間ではなく成果で報酬を決める新たな労働制度、働く時間ではなく成果に対して賃金を払う脱時間給制度などなど、報道があったわけです。  大臣、このメディアの報道、今回の法案、これ正しいかどうかだけ、これ正しい報道なんでしょうか。
  153. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 様々な報道がございましたので、我々の考えに近いものもあれば、そうでもないのもあったなというふうに思ったところでございました。  成果で報酬が支払われるということに関しては、これは法律の中にもありますけれども、従事した時間と従事して得られた成果との関連性が通常高くないと認められるもので、なおかつ高度の専門的知識等を必要としているというのが対象業務の要件というふうに私たちは考えてございますので、時間だけで測るということではない、成果をやはり見ていくというのが一義的に重要になってくるかなということでございまして、もちろんそれら以外に健康確保というのは大前提ということでございます。
  154. 石橋通宏

    石橋通宏君 ちょっと、今メディアの報道ぶりと若干大臣答弁変わられたのをもう一回確認しますが、働いた時間ではなく成果で報酬を決める新たな労働制度、これは報道間違っていますか。
  155. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これまで私も委員会等で答弁をした中で、この制度については時間ではなく成果で評価されるというふうに説明をしてまいりました。
  156. 石橋通宏

    石橋通宏君 ということは、メディアの報道、これ、メディアの報道は恐らくレクで厚労省なりの話をそのまま報道されたんでしょうから正しいんだと思いますが。  今回の法案、大臣、では、働いた時間ではなく成果で賃金が支払われる、法案のどこにそれが書いてあるでしょうか。
  157. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほども申し上げたように、今国会に提出したこの法案においては、高度プロフェッショナル制度の対象業務の要件の中で、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得られた成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務というふうに規定をしているところでございます。
  158. 石橋通宏

    石橋通宏君 それ全然説明になっていませんよ。法案のどこに働いた時間ではなく成果で賃金が支払われなければならない、つまり、今回対象になった労働者について必ず成果で賃金が支払われなければならないというのは条文のどこに書いてあるか、最後にそれだけ確認させてください。
  159. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 塩崎大臣、時間でございますので、簡潔に御答弁ください。
  160. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 条文には書いてございませんが、趣旨は今申し上げたとおりのことです。
  161. 石橋通宏

    石橋通宏君 条文には書いていないということを大臣確認をいただきましたので、これは明らかに誤報ですから、それを是非周知をしていただくことをお願いして、質問を終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  162. 川田龍平

    ○川田龍平君 先日の質疑で時間が足りませんでした。その続きから入らせていただきます。  全国に千三百以上もある臨床研究の倫理審査委員会の質の向上を目指す認定制度が開始され、九つの委員会しか認定されなかったこと、また、法定化されていないためにこのメリット、デメリットがほとんどないという議論をさせていただきました。この認定申請時に提出すべき書類を見ると、実際の研究計画が倫理審査委員会に申請され、どのように審査され計画が改善されたか、また同様の問題のある計画を修正なしに承認したりしていないかどうかといった審査の質に関する調査は行っていないのではないかと思われますが、九つの委員会を認定するに当たり、審査の質についてはどのような評価項目で判断され、何をもってほかの二百二十五の委員会より審査能力、審査実績が優れていると判断したのでしょうか。  また、書類審査において質問項目ごとに点数化し足切りをしたと聞いていますが、その基準は公表されるのでしょうか。
  163. 二川一男

    政府参考人(二川一男君) 御指摘倫理審査委員会認定制度構築事業でございますが、この事業におきましての倫理審査委員会認定につきまして、臨床研究に精通した専門家、厚生労働科学研究班を組織してございますけれども、その専門家が検討した基準に基づいて今回認定をしたということでございます。  その基準でございますが、審査の質に関連する事項といたしましては、まず、活発、継続的に活動している実績を見るということでございます。それから、審査委員に入っておられる方の委員としての経験年数。それから、一件当たりの審査の所要時間、内容をきちっと審査いただいているかということでございます。それから、議事録における審査内容の記載、こういったところを確認をするという基準でございまして、これを確認した上で認定をしたというものでございます。  また、認定されなかった機関につきましては、個別に不認定になった理由、どの部分が足りなかったかということを個別にお知らせをしておるわけでございますけれども、足切りの項目あるいは点数の基準につきましては、今後もこの制度をより良い制度に向けて引き続き検討を行っているところでございますので、現時点におきましてはこの基準を公表するといったことは考えていないところでございます。
  164. 川田龍平

    ○川田龍平君 そのような外形的な項目では、ある程度の審査の質は予測はできるかもしれませんが、それをもって質が高いとは断言できないのではないでしょうか。今後この認定制度を続けていくのであれば、研究計画に対する審査の内容に踏み込んで評価をするべきと考えますので、是非御検討ください。  そして、この認定制度は予算事業ということですが、実は認定作業の実務を六千万円で三菱総研に委託しています。さらに、実地調査についてはパソナメディカルという会社に孫請をしているようですが、公開入札ということで毎年委託企業が替わり、業務の一貫性、継続性に疑問も感じますし、今年度分からは、さらにその間にAMED、日本医療研究開発機構、先日、理事長来ていただきましたが、そのAMEDが厚労省との間に入ってこの入札業務を行うことになるんですが、このような体制で果たしてこの国の被験者保護の質の向上を本当に図ることができるでしょうか。医政局長、お願いします。
  165. 二川一男

    政府参考人(二川一男君) 御指摘のとおり、この倫理審査委員会の認定事業でございますけれども、先ほど申し上げましたように、厚生労働省におきまして倫理審査委員会を認定する具体的な基準を整理するということでございますけれども、書面審査とか実地調査などの実際の認定に伴う調査業務、これにつきましては外部機関に委託をして実施をしているところでございます。  また、今年度、二十七年度からは、御指摘のとおり日本医療研究開発機構、いわゆるAMEDでございますけれども、AMEDに医療分野の研究開発関連予算を集約すると、こういった方針でございますので、研究支援を一体的に行うということに基づきまして、今年度はこのAMEDを通じて調査業務を実施するというふうにしているところでございます。  しかしながら、今年度におきましても引き続き認定そのものは厚生労働省において行うということでございまして、被験者保護の質は確保されるものというふうに考えているところでございます。
  166. 川田龍平

    ○川田龍平君 この審査内容を評価する専門家会議のメンバーは、昨年度分は厚労省と三菱総研が相談して決めたということだそうですが、今年度は厚労省が決めるのか、それともAMEDなのか、どの民間事業者と相談してメンバーを決めるのかも分からない状態です。大丈夫なんでしょうか。  私は、この事業はきちんと法制化して国の責任で行っていただきたいと考えています。私どもの維新の党で提出を三月四日にしました法案では、第五条において、医学又は法律学の専門家その他の学識経験者等から構成される臨床研究に関する委員会を法定化しているところです。  他方、厚労省でもこの認定臨床研究審査委員会という名称の制度の法制化を検討しているようですが、この認定臨床研究審査委員会は、この始まったばかりの認定倫理審査委員会と何が違うのか、それとも認定倫理審査委員会を法定化するという意味なのか。現場も様々な指針に基づくたくさんの倫理審査の委員会が乱立し、大変混乱をしているところかと思いますので、その辺り分かりやすく御説明いただきたいと思います。
  167. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生今御指摘臨床研究の法制化につきましては、昨年十二月に取りまとめられました検討会の報告書の内容を踏まえて現在作業中でございます。  平成二十六年度から実施をしております認定事業、今お話がありましたが、ここにおいては委員構成等の要件を審査をして一定の要件を満たす倫理審査委員会を認定するということとしているわけでございます。法制化に当たっても、審査の質を確保できるように、この事業も参考にしながら一定の基準を満たす倫理審査委員会を認定する仕組みについて今検討を進めているということでございます。
  168. 川田龍平

    ○川田龍平君 それ、分かっていて答弁されているんだと思うんですけれども、この認定臨床研究審査委員会というものと、それから認定倫理審査委員会と何が違うのか、分かりますでしょうか。
  169. 二川一男

    政府参考人(二川一男君) 現在は、臨床研究につきましては、指針というものに基づきまして倫理審査委員会の認定を受けて研究を進めていただくというふうになっているわけでございます。  その中から、特に現在時点で優れていると思われるところを倫理審査委員会の中から九つ認定をしたといったところでございます。ルールといたしましては、認定を受けた倫理審査委員会でなくても、審査委員会を受ければ臨床研究を進めることができるわけでございますけれども、特に優れたところを指定したということでございます。  一方、今後法制化を検討するわけでございますけれども、法制化をする場合には、臨床研究そのものについての審査を行う、そういった委員会が必要であろうというふうに考えているところでございまして、倫理ということに限らず、臨床研究につきましての適否、そういったようなものにつきましても十分審査をしながら進めていくものというふうに考えているところでございます。
  170. 川田龍平

    ○川田龍平君 私は、地域ごとに中核的な委員会を整備して、科学的、倫理的妥当性、実施施設要件などを審査し、施設ごとの委員会では、当該臨床試験を自分の施設で実施可能か否か、また責任医師や分担医師としての適格性などの個別事情を審査する体制も一案として検討すべきと考えています。  二〇一三年度に製薬企業が医療機関や医師に提供した資金が四千七百六十八億円に上ることが厚労省の集計で明らかになりました。この認定臨床研究審査委員会では、製薬企業からの資金提供、つまり利益相反関係や被験者への説明も含めて、臨床研究の公正さを審査するということでよろしいでしょうか。  これによって、例えばディオバン事件におけるノバルティス社の関与の実態は被験者にあらかじめ知らされ、世間一般にも公表されると理解してよろしいでしょうか。
  171. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今御指摘の資金提供などについての状況については、昨年の十二月に公布をされました人を対象とする医学系研究に関する倫理指針というのがございますが、ここにおいても、研究計画書に明記をし、倫理審査委員会の審査を受ける、それから被験者に対して説明をするということを既にこの倫理指針で求めておりまして、この点を踏まえて法制化の作業を今やっているところでございます。  資金提供の状況の一般への公表については、先生も御案内のように、製薬企業の自主的な取組というのが既に行われて、公表も行われておるわけでありますけれども、検討会の報告書においては「製薬企業等の取組状況も踏まえ、法的規制も視野に対応を検討すべきである。」というふうになっておりまして、この点について私どもとしても引き続きしっかり検討を進めていきたいというふうに思っておるところでございます。
  172. 川田龍平

    ○川田龍平君 この製薬企業からの資金提供については、宣伝広告費や研究開発予算との関係も含め、今後しっかり議論していきたいと思います。  次に、昨年のデング熱の一時流行を踏まえて、この四月中にも策定する予定の蚊を媒介の感染症に関する特定感染症予防指針について伺います。  この二月二十日から約一か月間のパブコメでは、どのような意見が届いていますでしょうか。
  173. 新村和哉

    政府参考人(新村和哉君) お答えいたします。  パブリックコメントの結果につきましては、今月末に予定している指針の告示の際に御意見の詳細等をお知らせすることとしておりますけれども、そのパブリックコメントでは、例えば具体的な殺虫剤の使用方法や過剰な殺虫剤の使用に関する御懸念など様々な御意見をいただいているところでございます。
  174. 川田龍平

    ○川田龍平君 殺虫剤の散布時における薬剤弱者への配慮といった意見が提出されていると聞いています。指針に加え、自治体向けの手引も作成中とのことですが、いつ公表されるのでしょうか。また、手引の内容についても、パブコメで届いた意見は参考にしていただけるのでしょうか。
  175. 新村和哉

    政府参考人(新村和哉君) この蚊媒介感染症の対応、対策に関する自治体向けの手引につきましては、可能な限り指針と同時に提供したいと考えております。  手引の内容につきましては、主として指針を補完するための技術的な助言でございますので、パブリックコメントにおいて指針案について寄せられた御意見につきましても、これを参考にしながら、現在手引の策定を行っております。
  176. 川田龍平

    ○川田龍平君 この自治体向けの手引は、地域住民の日々の生活に直結するものです。散布時における薬剤弱者への配慮について、農水省と環境省とで出している住宅地における農薬散布についての通知並みにしてほしいとの要望がありますが、御検討いただけますでしょうか。
  177. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 昨年、デング熱が久方ぶりに発生をしたわけでございまして、国内においてもデング熱などの蚊が媒介する感染症が発生をした場合に、更なる蔓延を防いで国民の健康を保護するためには、ウイルスを媒介する蚊の駆除などの対策は当然欠かせないわけでありますけど、一方で、今お話がありましたけれども、駆除に当たって薬剤を使用する際にはやはり安全面に万全の配慮をするということ、適切に使用するということを考えておりまして、蚊媒介感染症の対応、対策に対する自治体向けの手引の策定に当たりましては、今先生から御指摘のあった農水省、環境省の通知も含めて参考にしていかなければいけないと思っていますし、具体的にあらかじめ蚊の生息数を調査するなどして、蚊の密度が高い箇所を狙って適切な薬剤を用法、用量に従って散布するほか、周辺の住民に事前に周知することが必要であるということについて掲載する予定としておりまして、さらに、感染症の発生時の薬剤散布だけではなくて、平素からたまり水などの蚊の発生源を減らすということも対策として重要であることを強調し、そういうことで、対策は万全を期していきたいというふうに思っております。
  178. 川田龍平

    ○川田龍平君 防除用の殺虫剤というのは、農薬用殺虫剤に比べてその濃度が高く、住宅地で散布されると窓を閉めても屋内に侵入し、生活が不可能になるとの薬剤弱者の声が届いています。是非、薬剤弱者の声も反映した指針と手引となるように、よろしくお願いします。  次に、アルツハイマー病の克服を目指す全国規模での臨床研究、J—ADNIにおける研究不正の疑惑については、これまで何度も質問主意書を提出し、先日の予算委員会でも大臣に質問させていただきましたが、今日はこの関連で、研究不正に関するガイドライン、とりわけ告発者の権利保護について伺います。  厚生労働省は、厚生労働分野の研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインを策定していますが、文科省のガイドラインが基になっており、また内閣府は研究不正行為への実効性ある対応に向けてという文書を出しています。  しかし、私は、欧米や韓国に比べ、日本は研究不正行為に対する告発を抑制しようとする姿勢がいまだに色濃く残っており、告発者の権利保護の規定が不十分だと考えております。ガイドラインの対象となる不正行為の範囲が狭いのではないでしょうか。研究成果の中に示されたデータの改ざん、捏造、盗用のみが対象で、公表データの基礎となるデータの改ざんは不正行為には当たらないのでしょうか。
  179. 鈴木康裕

    政府参考人鈴木康裕君) お答え申し上げます。  御質問の本年四月より適用しておりますガイドラインですけれども、この中におきまして、告発や調査の対象となり得る不正行為、これ特定不正行為というふうに呼んでおりますが、その定義は、投稿論文など発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果等の捏造、改ざん及び盗用というふうにしております。  したがいまして、先生御質問の公表データの基礎となるデータの改ざんでございますけれども、これについては発表された研究成果に影響を与え得るというふうに考えておりますので、不正行為となり得るというふうに理解しております。
  180. 川田龍平

    ○川田龍平君 次に、厚労省と文科省のガイドラインでは、「告発者に対し、解雇、降格、減給その他不利益な取扱いをしてはならない。」とありますが、そのような労働契約上の不利益に限らず、一切の不利益取扱いを禁止すべきではないでしょうか。  例えば、共同研究に関わる告発者や告発者の所属機関との契約の解除や、後継の研究について契約を結ばないなどの取扱いもしてはならないと考えますが、いかがでしょうか。
  181. 鈴木康裕

    政府参考人鈴木康裕君) お答え申し上げます。  ガイドラインにおきましては、告発者に対する適切ではない不利益でございますけれども、これは定義としましては、研究・配分機関は、悪意に基づく告発であることが判明しない限り、単に告発したことを理由に、告発者に対して解雇、降格、減給その他不利益な取扱いをしてはならないというふうにしております。  しかしながら、その労働契約上、不利益行為に限定するものではなくて、これにつきましては、広く適切ではない不利益な行為についても取扱う扱いとして考えられるというふうに理解をしております。
  182. 川田龍平

    ○川田龍平君 この告発者に対して不利益な取扱いをした研究機関に対するペナルティーとして、補助金の取消しや返還などが行われるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  183. 鈴木康裕

    政府参考人鈴木康裕君) ガイドラインにおきましては、告発者が適切ではない不利益な取扱いを受けたときに、補助金取消し等は直接は規定はしておりませんけれども、そうした取扱いを放置する研究機関ということについては体制整備が不備であるというふうに認定をいたしまして、管理条件の付与ですとか、間接経費の削減等の措置を行うことにしております。
  184. 川田龍平

    ○川田龍平君 また、この告発後に告発者に不利益な措置が行われた場合、その措置は告発したことを理由にしたものとみなすという、いわゆる推定規定も必要ではないでしょうか。いかがでしょうか。
  185. 鈴木康裕

    政府参考人鈴木康裕君) 本ガイドラインにおきましては、先ほど来御説明いたしましたけれども、告発者が適切ではない不利益な取扱いを受けないよう配慮をしております。  ただし、告発者にこうした適切ではない不利益な取扱いがなされた否かというのは、個別な事情というのがやはりございますので、単に不利益な行為を受けたと、取扱いを受けたということのみをもってそれが適切ではないというふうに断定するのは少しどうかということでございます。
  186. 川田龍平

    ○川田龍平君 この厚労省のガイドラインでは、研究不正を指摘された研究機関が原則として調査することとされ、中立公平な調査が確保されていません。厚労省などの第三者的な機関による調査が必要と明記されるべきではないでしょうか。いかがですか。
  187. 鈴木康裕

    政府参考人鈴木康裕君) 本ガイドラインでは、研究機関を挙げて研究活動に関する不正行為を防止するということを目的にしておりますので、原則として被告発者が所属する研究機関で行うということになっております。これは、原則というのは異動する場合があるということでございますけれども。  一方、調査委員の要件としては、半数以上を外部の有識者とするということでありますとか、調査委員は告発者それから被告発者と直接の利害関係を有してはならないというふうに規定しておりますので、調査委員会の公正性については担保されるものというふうに考えております。
  188. 川田龍平

    ○川田龍平君 それでは、次の質問に移ります。  子宮頸がんワクチンの副反応問題についても、前回の答弁は大変かみ合っていませんでしたので、もう一度再質問をさせていただきます。  未知の副作用を対象とする治験薬の補償制度を参照とすべきと申し上げたところ、大臣からは、有効性、安全性が確認された医薬品である以上、その評価が定まっていない治験薬の補償制度と同様に扱うことは適当ではないとの答弁でした。  しかし、私が申し上げたのは、この子宮頸がんワクチンによる副反応とされるCRPS、複合性局所疼痛症候群は、現段階では診断基準などがまだ分かっていないのだから、同様に未知の副作用を対象とする治験薬の補償制度を参照すべきではないかとお尋ねをしたのです。  この治験薬の補償制度においては、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすることをGCPは求めています。このため、発生した有害事象を補償しないと治験依頼者が決めるのであれば、治験依頼者側が因果関係のないことを立証しなければならないことになっています。  この未知の副作用被害については、承認済みの医薬品であっても、治験薬同様に被害者側での厳密な証明が求められるべきではないと考えますが、との意見について、改めて厚労省の見解を伺います。
  189. 新村和哉

    政府参考人(新村和哉君) 予防接種に係る健康被害救済につきましては、予防接種と健康被害との間に因果関係は必要でございますけれども、個々の具体的な判断につきましては被害者側に因果関係の証明を求めているものではございません。専門家の御議論によりまして因果関係が認定されれば救済を行っていくというものでございます。
  190. 川田龍平

    ○川田龍平君 前回、大臣は、予防接種法上の健康被害救済は過失の有無を要件にするものではないが、救済に当たっては因果関係が専門家の議論によって認定される必要があるとの答弁でしたが、この予防接種法上、無過失補償制度の趣旨からいって被害者側での因果関係の厳密な証明は求められるべきではないのではないかと。つまり、因果関係が専門家の議論によって否定されない限り救済されるべきではないかと考えますが、明確にお答えいただけますでしょうか。
  191. 新村和哉

    政府参考人(新村和哉君) ただいまの御質問につきましても同様のお答えになりますけれども、健康被害救済におきましては、予防接種と健康被害との間に因果関係は必要でございますが、個々の具体的な判断につきましては専門家の御議論によりまして因果関係が認定されれば救済を行っていくものでございますので、被害者側に因果関係の証明を求めているというものではございません。
  192. 川田龍平

    ○川田龍平君 これはやっぱりいち早くやっていただきたいんですけれども、先日も質問したときに、やっぱり非常に時間が掛かり過ぎているという問題があります。この予防接種、特に定期接種というのは単なる医薬品とは異なり、公衆衛生、社会予防の観点から行われるものですので、万一の副反応被害については、より迅速に、より幅広い救済が行われるべきではないかという是非問いに答えていただければと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。より早く、より幅広く救済すべきと考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
  193. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 定期接種化されましたワクチンによります健康被害に対しては、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度というもの、それから、その他の医薬品による副作用被害に対しては、PMDA法に基づく医薬品副作用被害救済制度の対象になりますけれども、どちらの制度においても迅速に救済を行うことは極めて大事だということを制度の本旨ともしているわけでございます。  また、個々の具体的な判断については、両制度とも専門家の議論によって、先ほど局長から答弁申し上げたように、専門家の議論によって因果関係が認定されたものについて救済を行っていくこととしているわけでありますが、一方で、予防接種健康被害救済制度におきましては、定期接種が感染症の発生及び蔓延の予防のため法に基づく公的な制度として実施をされているという特殊性に鑑みて、給付水準の面で医薬品副作用被害救済制度により充実した給付を実施をしているというところでございます。
  194. 川田龍平

    ○川田龍平君 できるだけ早く広く救済していただけるように、大臣、これは大臣からも早くやるようにということを是非検討していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  質問を終わります。ありがとうございました。
  195. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 午後三時四十五分に再開することとし、休憩をいたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後三時四十五分開会
  196. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  197. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  東日本大震災の被災地で、復興事業、高台移転のために土地、家屋などを売った人が一時的な収入増のために介護施設利用料が大幅に上がるという問題が起こっています。私が行ってきた岩手県の陸前高田市ですが、奥さんが介護施設に入所している高齢男性のケースなんですが、昨年、防災集団移転事業で津波に流された宅地を売却したんです。すると、今年に入って、月三万七千九百円だった妻の施設利用料が十万四千四百五十円、三倍近くに跳ね上がった。年間八十万円もの負担増に、これではやっていけないという悲鳴が上がっています。  何でこういう事態が起こるのかというと、実はこれは介護保険制度の仕組みにそもそもの問題があります。介護保険の負担というのは、住民税が課税か非課税かで大きく変わってくるわけです。介護保険の保険料、利用料については、これも課税か非課税かで大きく変わりますが、自治体独自に減免が可能になっています。実際、東北の被災地では保険料、利用料の減免はやられている。  しかし、減免されないのが介護施設の食費、居住費なんですね。収入が基礎年金のみで世帯非課税であれば補足給付が適用されますから、ユニット型の個室で一か月食費、居住費は月三万七千円程度。ところが、これ課税扱いになると十万円を超えるわけです。これらは、本来は住民税の均等割すら掛からない低所得、低年金の人たちで、一時的に収入があったとはいえ、これは余儀なくされたわけですね、津波、震災の被害で売らざるを得なかったわけですよ。しかも、移転の後には新しい家とか土地を買わなきゃいけない。ところが、今の仕組みだと、そういうケースでも、手元にお金が残らないケースでも翌年には大幅な負担増になる。これを何とかしてほしいという声が被災地からも岩手県からも上がっております。  私、これ緊急に是正が必要だと思うんですが、介護施設のこの食費、居住費について独自減免の仕組みが必要なのではないか、これを救済することができないのか、お聞きします。
  198. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) 御指摘ございましたとおり、被災地での防災集団移転促進事業を利用されて宅地を売却された場合、その売却額が譲渡所得に反映されまして市町村民税が課税になり、その結果、翌年度の補足給付が対象外になるというケースがあると私どもも承知しているところでございます。  補足給付につきましては、施設入所時の食費、居住費は入所者本人の自己負担が原則という中で、福祉的観点から市町村民税非課税世帯に該当する低所得の方のみ対象としているものでございます。基本的には、一定の所得のある方には御負担をお願いする仕組みということになってございます。  なお、本来、市町村民税が課税されていても、市町村の条例によりまして市町村民税が免除されているという場合には補足給付の対象となるものでございますけれども、市町村民税の免除自体は税のルールに従って取り扱われるということでございます。
  199. 小池晃

    小池晃君 実は、これちょっと一月前ぐらいから、私、厚労省に何とかならないのかと言ってきたんです。最初はこれどうにもならぬという話だったんです。ところが、その後で、住民税免除扱いにすれば、これは軽減されますというふうに言われたんです。昨日の質問通告の段階でもそういうことで答弁するということだったんですよ。ところが、今朝になって総務省とすり合わせをしたらば、被災直後であれば免除扱いできるけれども、そういった形、一定の時間がたった後では免除できないから、これはすぐに答えられませんと。ちょっと私は本当にあきれてしまったんですね。私は、これは本当に何とかしなきゃいけない問題じゃないかと思うんです。大臣、やっぱりこれは政治のイニシアチブ必要じゃないですか。私は、これは解決しなきゃいけないと思います。  それで、総務省からは、やっぱり介護保険の問題については指摘をされていまして、これまでも。後期高齢者とか、あるいは国保と違って、合計所得金額というのを用いているんです、実際の算定に。そうなると、こういう土地の売却なんかは入ってきちゃうわけです。厚労省が言っている文書を見ると、こう書いてあるんですね。自宅を買い換える第一号被保険者は、第一号被保険者総数のうちごく一部に限られると想定されるから、それはいいというんです。確かに一般論ではそうでしょう。ただ、こういう津波の被災で、やっぱり余儀なくされて売却するということまで私はこういう考え方でやるべきではないと思うんですよ。  実際に被災地回って、陸前高田の市長から私、言われたのは、やっぱりこういう問題解決してほしいと。そうしないと、もしこれから東南海、大都市部も含んだ大変な被災があったときにどうするんですかと、やっぱり制度上の不備じゃないですかと言われて、私、本当にそう思うんですよ。  大臣、やっぱりこれ要するに税の世界で免除してクリアするという話が一時期あって、私はそれはそれでやむを得ないかなとは思ったけれども、それは総務省の方で駄目だというふうになるのであれば、本来でいえば、介護施設の食費、居住費というのは元々保険給付だったものを、これは二〇〇五年の制度改変で保険外負担にしたものなんですよ。だから、私は、やはり本来これは厚労省の範囲で介護保険制度の枠内で解決すべきではないかというふうに思うんですよ。やっぱり、税の方で対応してくれというんじゃなくて、介護保険の制度の中に、この補足給付についてもこういう特別な事情なんかも考慮した独自減免の仕組みが必要なんじゃないですか。保険料、利用料では一応そういうのはあるわけだから。  私は、これは大臣、震災、津波で甚大な被害を受けて、もう移転のために余儀なく土地や家を売らざるを得ないという、そういう人たちがそのことだけをもって年間数十万円もの負担がかぶさってくるというのは、私はこれは理不尽だと思いますよ。これやっぱり解決できる仕組みを私はつくるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
  200. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今日お話を初めて私も先生の御質問絡みでお聞きをしまして、なかなか難しい問題だな、しかしこういうケースでありますから同情を覚えるという気持ちももちろんあるわけでありますが。  しかし、先生御存じのように、福祉や医療、社会保障の場合には、市町村民税の課税か非課税かということでいろいろ分けていることが多いわけでございまして、今回の施設の食費、居住費の負担軽減措置は、税のルールの下で今の市町村民税の課税状態を基準としてその適用の有無を判断するということになっていて、御指摘のケースについて総務省が、先ほどのお話で、これは税のルールでは担税力に基づいて公平に課税すべきと、こういう考え方だということで担当の方からそういう答えをしたんだろうと思うんですね。  したがって、今回、先生、岩手のお話をお聞きになっているようですけれども、津波でやられたのは岩手だけではなくて、ほかの宮城県も福島県もあるわけでありますから、同じようなケースがあるんだろうと思うんですね。したがって、税の並びでやはり考えなきゃいけないという側面はそれはそれとしてあると思うので、そうなると、それをオーバーライドするだけの論理をどう持ってくるかということがないとなかなか難しいということなので、したがって、被災地全体にわたって同様の声があるのかどうかとか、そういうことも含めて聞かないと分からないのかなという感じで、しかし、日本は法治国家ですから、法律の下でいくと今のようなことでなかなか、地方税が課税されているときはそうなってしまうということですが、それが、じゃ、例外扱いするに値することかどうかということはまた別の論理で考えなければいけないんじゃないかなというふうに思います。
  201. 小池晃

    小池晃君 あのね、横並びじゃないんです。国保とそれから後期高齢者医療制度では、総所得金額を使っているんですね、総所得金額。そうなると、譲渡所得は除外される、特別控除されるんです。だから、国保とか後期高齢者医療ではこういう問題は起こらないんです。介護保険は合計所得金額というのを設けているから、使っているから、横並びじゃないんですよ。だから、こういう自宅を売却したときにそれが反映されてしまうんです。そういう仕組みになっているんです。だからこういう事態が生まれるわけです。  だから、大臣、横並びだったら私言いませんよ。横並びじゃないわけだから、一方で保険料、利用料については、介護保険法のたしか百四十二条だったかな、で、自治体が、まあこれ持ち出しになるけれども減免できるという規定があるんです。しかし、補足給付についてはないわけです。だから、これは不備ではないかと私言っているんです。  だから、それ全部やれと、まあ何というか、普通の生活の中で売ったものまで全部やるというふうには私言っていませんよ。こういう被災地の特別な事情ということに踏まえて、これはやっぱり何らかの手だて必要なんじゃないかと。法治国家だからといって、やっぱりこんな事態を放置しておいていいわけないじゃないですか。私は、これは何らかの手だて取るべきだというふうに思いますよ。どうですか。
  202. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今の介護保険法の下ではそうだということを申し上げて法治国家だと言っているのでありますが、しかし、先生今お話しのように、国保の場合には除外をされるということでもございますので、これ、実は介護保険の保険料の算定方法について、その譲渡所得の扱いについて、先生御指摘の点については議論のあったところだというふうに聞いています。  したがって、これはもう介護制度全体の見直しの中でやはり検討をしないといけないのかなというふうに思うところでございまして、今の法律ではそうだということなのでありますが、その問題が横並びでそうなっていないということは先生今御指摘のとおりだと思います。
  203. 小池晃

    小池晃君 全体の見直しでって、もうせっぱ詰まっているわけですよ。今までは三年間で買換えでこれは何とかクリアできたんです。今年からこれ問題になるわけです。だから、私は、本当に何らかの緊急的な手だて取るべきだと思いますよ。そういったことも考えた方がいいんじゃないですか、検討すると。そういう緊急的な手だてでこういう、やっぱり津波で高台移転で土地を売ったというだけで負担がどんと増えるようなことは緊急にやっぱり何とかクリアするような手だて考えてくださいよ。どうですか。どちらでも。
  204. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今申し上げたように、国保と介護保険の並びでいって整合的じゃないということでありますし、今のような東日本大震災の下でのことでありますので、これは総務省とも話した中でこういうことになりましたが、何ができるのか考えてみたいと思います。
  205. 小池晃

    小池晃君 私は、やっぱりこういうのは政治のイニシアチブで解決すべきだというふうに思います。本当に理不尽ですから、やはりこれはやっていただきたいと思います。  それから、引き続き震災の問題で、現地へ伺うと、やはり高齢化、それから特に仮設住宅から復興住宅に移転という中で、大変見守り支援の役割が大きくなってきているという指摘がございます。  総務省に聞きますが、来ていただいていますが、今日。見守り支援などの事業で復興支援員制度というのを設けておられて、今資料お配りしておりますけれども、これがやはり被災地でかなり歓迎をされていると。被災地、実績でいうと、二〇一四年四百五十二名のうち、仮設住宅等の見守り事業で岩手県で百九十四人となっています。これ、おおむね一年から最長五年ということなんですが、被災地で活用され始めている制度でもあります。今後も被災地の声を聞いてやはり継続、拡充していくべきではないかと思いますが、いかがですか。
  206. あかま二郎

    大臣政務官(あかま二郎君) お答えをいたします。  復興支援員制度、今先生御指摘のとおり、二十一団体四百五十二名の復興支援員が現在活動をしております。総務省では、被災地方自治体が復興支援員の活用に取り組む場合には、復興支援員の報償費など及び所要の経費、これらについて震災復興特別交付税により財政支援をしておるところでございます。そうした中、平成二十七年度までの集中復興期間中はその財源をまず確保すること、そして、復興の動きを更に加速をして、集中復興期間において被災地の一刻も早い復興を目指すこと、これが重要だと思っております。  その取組を二十八年度以降もという御指摘でございますが、現在、復興庁を中心に政府を挙げて集中復興期間の総括、それから集中復興期間後の復興支援の枠組みについて検討をしておるところでございます。その枠組みについて検討をする中で震災復興特別交付税の在り方についても議論していくことになろうと思いますが、総務省としては、地方自治体、被災地の声を十分伺いながら、被災地の復興に真に必要な事業、これらを支障がないように行ってまいりたいというふうに思っております。
  207. 小池晃

    小池晃君 これも被災地お話聞くと、大船渡で聞いたんですけど、仮設に入っている方にお話聞いたらば、要は、今まで、震災前まで家に鍵掛けたことないと言うわけですよ。そういう暮らししていたと。そういう人たちが鉄筋四階、五階建ての復興住宅に入ると、これはやっぱり本当に精神的にも支え、必要だと思うんですね。そういう中でいうと、集中復興期間が終わるというけれども、これからやっぱり復興住宅に入った後のこういった方たちの支援が本当に大事になってくるというふうに思うんです。  厚労省に聞きますが、社会・援護局の生活支援相談員事業、これも被災三県で昨年約六百人の相談員が奮闘されました。今年も実施されるけれども、予算は復興庁の予算五十九億円の範囲内だと聞いていますが、今言ったみたいに、いよいよこれから大事になる事業でもあり、孤独死を絶対生まないということで、やはり必要な施策、見守り支援は継続すべきではないかと思いますし、そのために必要な相談員の増員ということも考えていく必要あると思うんですが、いかがですか。
  208. 鈴木俊彦

    政府参考人鈴木俊彦君) 今御指摘ございました、被災者の方々が安心して日常生活を営めますように地域の見守り体制あるいはコミュニティーの形成を支援していく、これは誠に重要であるというふうに思っております。  そこで、今御指摘がありましたように、被災地の社会福祉協議会などに相談員を配置いたしまして、被災者の孤立を防止するためのいろいろな取組を進めているところでございます。この事業は、仮設住宅に限らず、復興公営住宅に移られた後におきましても被災者のニーズに即して実施する、こういったことが可能になっております。  厚生労働省といたしましては、今後とも、復興庁その他の関係省庁と連携を図りながら、この事業を始めといたしまして被災者の方々のニーズを踏まえた取組が適切に展開されるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  209. 小池晃

    小池晃君 陸前高田市では、仮設五十三か所に加えて災害公営住宅ができ始めて、訪問する範囲も増えて、限られた相談員で訪問するのは本当に大変だということも聞いています。阪神・淡路大震災では千人超える孤独死出ています。このやっぱり教訓をしっかり踏まえて、今後、東日本大震災で災害公営住宅へ移った後での孤独死など生まない取組を本当に全力を挙げて取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  子供の医療費の無料化の問題です。  子供の医療費の無料化を自治体が独自施策でやった場合に、国保の国庫負担を削減するいわゆる地単カット、この問題ですが、私たち、これ本来国の制度で子供の医療費を無料にすべきだとは思います。一昨年、我が党の議員の質問に対して当時の田村大臣も、国が政策的な判断して統一的な無料化制度をつくれば自治体間の不公平という問題はなくなるという趣旨の答弁もされています。  そこでお聞きしますが、全額公費で就学前の子供医療費を無料化した場合の影響額は幾らか、その場合、医療費の波及増分は幾らと見込んでいるのか。
  210. 唐澤剛

    政府参考人唐澤剛君) 就学前の、未就学児の方の医療費でございますけれども、仮にこれを全額公費で無料化をするとした場合の必要な財源でございますが、平成二十四年度のベースで機械的に計算をしたところでは、二千四百億円程度となっております。  この金額でございますけれども、未就学児、就学前の児童の方については患者負担が地方単独事業により無料化されている自治体が非常に多いという実情がございまして、私どもは計算に当たりましては既に医療費の波及増は発生しているというふうに前提を置いて計算をしております。したがって、既に波及増は発生しておりますのでこれ以上の波及はないと、そういうふうに考えております。
  211. 小池晃

    小池晃君 これ以上の波及増はないということなんですよ。同じ厚労省の試算でも、小学卒業まで、中学卒業まで、高校卒業までの無料化については波及増を織り込んでいる。すなわち、局長、就学前までについてはそういう波及増を織り込めないということですね、無料化しても。
  212. 唐澤剛

    政府参考人唐澤剛君) 先生御指摘ございましたように、小学校より上、就学後につきましては自治体によっていろんな施策が違いますので、やっているところもあるし、その水準も低いところがあるわけですが、就学前につきましてはかなり厚くなっておりますので、既に波及増は発生して、これ以上の波及増はないと、そういうふうに考えているところでございます。
  213. 小池晃

    小池晃君 要するに、今までは窓口無料化やっているところとやっていないところがあって、財政調整しないと不公平が生じるからと言ってきたんだけれども、要するに就学前について言えば、既にほとんどの自治体で無料化されているから新たな波及増はないという、そういう想定で厚労省も計算している。ということは、この年齢層については、就学前については、もはや地単カット続ける根拠ないということじゃないですか。それでも就学前について地単カットを続けるんだったら、一体何が根拠なのかを説明してください。
  214. 唐澤剛

    政府参考人唐澤剛君) これは、既に波及増が発生しているわけでございますけれども、元々の医療保険制度といたしましては、二割の患者負担というものを前提にしておりますので、それに比較をいたしますと医療費が増加をしている状態にあると。そういうことで、私どもはこの調整措置を実施をしているということでございます。これ、いろいろな御意見、自治体からの御意見もいただいているところでございます。
  215. 小池晃

    小池晃君 だから、新たに無料化しても、もう波及増は起こらないということであれば、自治体間の不公平という議論はもうこれは成り立たないでしょうと、私、そう言っているわけですよ。  大臣、私たちは住民の医療費負担を軽減するから不公平が生じるという、そういう議論にはくみしません。そして、その不公平を調整するからといってペナルティーを科すということも反対です。しかし、仮に自治体間の格差を調整するという政府の立場に立っても、就学前の子供の医療費についてはもはや調整の余地はないということじゃないですか。だって、計算していないわけだから、波及増を。ところが、この国庫負担削減のペナルティーあるから、一旦窓口払い無料にしたところも償還払いに戻すという自治体もあるわけですよ。  やはりこの地単カットは、先ほどもちらっと触れられましたけれども、知事会、市長会、町村長会なども、もう子育て支援、少子化対策の地方の努力の足を引っ張ると、本来、国が統一的に行うべき施策を地方のみに責任を負わせるものだという、廃止を求める声も出ています。そして、与党である公明党も党首が、ペナルティーは見直すべきだと参議院の本会議でも質問されました。私は、そのとおりだというふうに思うんですよ。  大臣、こうした知事会、町村会、市町村会、公明党党首、予算委員会でも公明党の西田さんだったかな、質問されていましたよ。この声、どう受け止めていますか。地単カットは、これはもうやめるべきじゃないですか。是非やめていただきたい。
  216. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、波及増があるかないかという話があって、それによって市町村によるばらつきというか、扱いの公平の問題がありましたが、今お話が出ましたように、実は今回のこの国保改革、医療保険改革の中で、この国保改革をまとめる際の私どもでの議論の取りまとめというのを今年の二月に地方三団体と厚労省の間で合意をしたわけですけれども、その際にも、知事会、市長会、町村会、それぞれの代表が出てこられてお話合いをしていたわけですけれども、地方単独事業に係る国庫負担調整措置の見直しといった提案について、現行制度の趣旨や国保財政に与える影響を考慮しながら引き続き議論ということになってございます。  今お話があったように、公明党から、山口代表から代表質問でそのことを御指摘になられたということもよく分かっておりまして、この国庫負担の調整措置の見直しについては、やはり現行制度の趣旨とか、あるいは国保財政に与える影響なども当然考慮はしながら、引き続き議論をやっぱりしっかりやっていかないといけないんだろうなというふうに考えております。
  217. 小池晃

    小池晃君 いや、それでは、ちょっともう少しきちっと前が見える、ちょっと明るみが見えるぐらいのこと言ってほしいんですよ。やっぱり、これは本当に党派を超えた声ですから、山本大臣には聞きませんけど、お立場もあるでしょうからあえて聞きませんが、しかしやっぱりこれは党派を超えた声ですから。  予算委員会大臣は、少子化社会における子供の医療の在り方等を検討する場を設けると答えていますよね。この場でペナルティーの問題も検討課題に含まれるんですか。  ちょっと、大臣の答弁だから。
  218. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 子供の医療全体ですから、当然、今のように問題意識を持っていらっしゃる方々がたくさんおられるということであるので、当然その問題も出てくるということは、私もそうだろうというふうに思います。
  219. 小池晃

    小池晃君 これは、やっぱりやめるべきです。これ本当に地方分権に反します。少子化対策に反します。やっぱり、本来は国が無料にすべきものを、地方が一生懸命やっているものを、足引っ張るようなことをやるということ自体が破廉恥です。これは、やっぱり本当に直ちにやめていただきたいと思うし、やっぱり今日検討課題だというふうにおっしゃったんで、これは是非前向きに解決をしていただきたいというふうに思います。  終わります。
  220. 行田邦子

    ○行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。  私は、まず今日は労働保険特別会計の雇用勘定の雇用保険料、そしてまた失業等給付金の積立金について伺いたいと思います。  まず、お手元にお配りをしております資料一を御覧いただきたいと思います。予算、決算ベースで過去五年間、平成二十一年度から二十五年度の失業等給付金の予算、決算の数字に多額の乖離が生じています。例えば、平成二十二年度なんですけれども、この差引き剰余を見ていただくとお分かりになるかと思いますが、予算と決算で約一兆円弱、九千四百四十七億円の乖離が生じています。そして、過去五年間で見ても、一番乖離が少ないのが平成二十一年度ですが、それでも二千四百七十億円という乖離です。この予算と決算の多額の乖離が生じる理由についてお聞かせいただけますでしょうか。
  221. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 失業等給付についてのお尋ねがございまして、それについては、雇用失業情勢が急速に悪化した場合にも対応できるように予算を編成をしておって、雇用失業情勢が予算編成時に見込んでいたときよりも改善をすれば予算額と決算額に乖離が生ずることとなるということになっているわけでございます。  景気や雇用失業情勢を予測することはなかなか難しいときがあって、雇用失業情勢が急激に悪化した際においても失業等給付を確実に支給できるようにということで、失業等給付の予算編成に当たっては一定額の予算を確保するということで、やや余裕を持って準備をさせていただいているという格好でございます。
  222. 行田邦子

    ○行田邦子君 安定的な運用のために予算は常に多めに組むという御答弁だったかと思いますけれども、それは一定程度理解はするんですけれども、それにしても九千四百四十七億円の乖離と、これかなりの開きだというふうに思っております。  そして、次に伺いたいんですけれども、それでは、平成二十六年度終わりましたけれども、平成二十六年度の決算見込みの数字、収入、支出、それから差引き剰余、そしてその結果の積立金残高はどのようになるのか、見込みを教えていただけますでしょうか。
  223. 生田正之

    政府参考人(生田正之君) お答えいたします。  平成二十六年度の失業等給付の決算見込みにつきましては、本年九月頃に確定するということでございます。  失業等給付の中で、一般求職者給付に関しましては、平成二十六年四月から平成二十七年の二月までの月平均の受給者実人員が現在でも判明しておりまして、四十七・二万人になってございます。これは、前年同時期では五十三・五万人でございましたので、約一一・八%の減となってございます。受給者実人員が一一・八%減っておりますので、一般求職者給付についての支出額につきましては平成二十五年度よりも下回るだろうというふうに思っております。  ただ、昨年、雇用保険法の制度の拡充をいたしまして、育児休業給付なり、あるいは教育訓練給付、あるいは再就職手当の拡充等ございまして、こういった中で、今の段階で失業等給付全体につきましての決算額というのを明らかにするのはなかなか難しいという状況でございます。
  224. 行田邦子

    ○行田邦子君 今の御答弁ですと、平成二十六年度の失業等給付については二十五年度に比べて減っている、一一・八%減ということです。確かに、平成二十六年度からは育児休業給付の充実や教育訓練給付金の拡充などがなされたわけでありますけれども、これは既に予算に見込まれているわけでありますので、今の御答弁を聞きますと、恐らく平成二十六年度は積立金残高は予算ベースの五・九兆円を上回るんではないかというふうに私は思っております。そして、平成二十五年度の積立金残高は過去最高と言われていますけれども、それを更に上回るのではないかというふうに思っております。  そこで、大臣に伺いたいと思うんですけれども、平成二十五年度末で積立金残高は六兆六百二十一億円と過去最高となっていますが、この積立金残高の水準が過剰ではないでしょうか。
  225. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) この点については何度か予算委員会等々でお答えを申し上げているところでございますけれども、先ほど、予算を作るときに少し、何というか、予想を大きく見て余裕を持って予算を立てておくというのと同じように、やはりこの積立金というのは不況期に備えて好況期に積み立てておくということがなければ、不況期に一気に減少するということが過去にもあって、四兆円あったものが五年で約四千億まで減少したということがあったのは先生も御存じだと思います。  将来の不況期に必要な積立金水準をどのように予測するのかというのはなかなか難しいところで、一時的に積立金があることだけでそれがちょっと過大ではないかという判断は、少し時間を掛けて評価をして、ダイナミックに変わる可能性を含めて、それでも過剰かどうかということを考えていくべきなのかなというふうに考えているところでございます。
  226. 行田邦子

    ○行田邦子君 確かに経済状況の急変というのは過去にもありました。そういった事態に備えてやはり一定程度の積立金の額、水準というのは必要だというふうに思っております。これは必要だというふうに思っておりますけれども、それにしても、今、弾力倍率四・一倍、平成二十五年度の決算で四・一倍ですから、恐らくこれを、更に積立金の水準は上がってくるだろうという予測ができる中で、やはり私はこれは積立金の水準ということを見直すべきではないかというふうに思っております。  そこで、厚生労働省におきましては、資料二を御覧いただきたいんですけれども、失業等給付費の今後五年間の収支見込みというものを立てています。  試算一と試算二がありますけれども、試算一については、失業等給付の受給者実人員が五十万人で推移する、つまり平成二十七年度実績見込みベースで推移するという試算です。それから、試算二の方は、平成二十一年から二十五年度実績平均ベース、つまり六十三万人で推移するケースという、この二つの試算を設けているんですけれども、試算一、試算二、それぞれ両方とも平成三十一年度見込みでも弾力倍率はまだ二倍を超える、つまり弾力条項を適用できる範囲というような試算になっています。そして、この前提というのは、雇用保険料率は今の弾力条項を適用した引下げ千分の十という前提になっています。  そこで、厚労省、政府参考人に伺いたいんですけれども、仮にこの雇用保険料の料率を千分の八に引き下げた場合、積立金残高への影響はどのような試算となりますでしょうか。
  227. 生田正之

    政府参考人(生田正之君) お答えいたします。  現在の雇用失業情勢が続きまして、失業等給付の基本手当の月当たりの受給者数、これが二十八年度から三十一年度を通じまして平成二十七年度の実績見込みベースと変わらないということだと仮定いたしますと、雇用保険料率を二十八年度から千分の十から千分の八に引き下げた場合に、積立金残高が千分の十のまま推移した場合と比べまして、平成三十一年度までの間に一兆三千六百億円減少する見込みでございます。
  228. 行田邦子

    ○行田邦子君 そうすると、弾力倍率はどうなるんでしょうか。
  229. 生田正之

    政府参考人(生田正之君) 五十万人の場合ですと、雇用状況がそんなに悪くないということもございますので、弾力倍率は変わらずに行けるんじゃないかというふうに推定されます。  ただ、六十三万人のケースですと、弾力二倍を切ってしまうということで、保険料率を上げないといけなくなるということかと思います。
  230. 行田邦子

    ○行田邦子君 大臣に伺いたいんですけれども、今の仮に千分の八に引き下げた場合の試算一、試算二で、どのように弾力倍率が変わるのか、この試算の数字というのを見ながら、保険料率の引下げということもあり得るのではないかという検討をしていただけたらと思っております。もちろん、千分の十より引き下げるということは今の法律ではできませんので法改正は必要ですけれども、御検討してもいいのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
  231. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 保険料率については費用負担者である労使の合意というのが、この間も申し上げましたけれども、拠出者が合意をしないといけないので、雇用保険財政の中期的な安定的運営を確保するという観点から検討し、決めているわけでありますけれども、今年度の雇用保険料率の設定に際して今後五年間の積立金の推移を試算したところで、この失業等給付の受給者について、二十一年度から二十五年までの実績平均の水準で推移するケース、あるいは過去の最低水準を下回る程度の水準のケースのいずれにおいても、御指摘のように積立金などの額が失業等給付費の二倍を超えるものの、積立金残高は緩やかに減少していくということを今お配りをいただいているわけであります。  一方で、失業等給付の在り方については、平成二十五年の十二月の労政審の報告において、基本手当の水準に関しては受給者の就職状況の動向等を踏まえて引き続き検討するということにされておりまして、引き続き、この雇用保険部会で議論をいただくということになっています。  また、保険料率の在り方については、昨年の、先ほどお話が出ておりますような育児休業給付の引上げの見通しがはっきりしてこないとなかなかうまくいかないということで、これは多分、今年の秋頃に財政状況については大体見えてくるというふうに思っておりますので、それを見届けてからどうするかということを考えるのかなというふうに思っております。
  232. 行田邦子

    ○行田邦子君 私は、これだけ積立金の残高が積み上がっていると、国庫負担の在り方についての議論にも支障を来すというふうに、なかなか議論が進まないと思っていますし、そしてまた、これだけ残高が積み上がっていますと国庫に返納しろというような意見も出てきますので、そうしたことが起きないように、この積立金の残高の水準ということについてはしっかりと労政審の場などにも議論の俎上にのせていただけたらなというふうに思っております。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  先日、子供の貧困対策について伺わせていただきましたが、その中で所得再分配を強化すべきではないかと質問させていただきました。ちょっと時間が足らず中途半端な質問になってしまいましたので、改めて大臣に伺いたいというふうに思っております。  資料三を御覧いただきたいと思います。先日もお示ししたものと同じものでありますけれども、これはOECD対日審査報告書二〇一三年版なんですけれども、ここではこの資料三のAのグラフを見ていただきたいと思うんですけれども、日本の所得再分配効果、つまりジニ係数の低減とか所得格差の縮小は三十三か国中二十七位と低いレベルにあることを報告しています。  まず、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  233. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 前回、時間がなくてゆっくり議論ができなかったんですけれども。このお配りをいただいているOECDの対日審査の報告書で使われているジニ係数の変化については、これは生産年齢人口で見た場合ということで十八歳から六十五歳までの人口を対象としたジニ係数、この変化分を見ていて、再分配前の数値から再分配後の数値へどれだけ改善、変化をしているのかというのを見たものでございまして、日本はこの数値が小さいというのが今の御指摘だと思います。  これに対して、生産年齢人口ではなくて、全年齢を対象としたジニ係数を厚生労働省の所得再分配調査で見てみますと、再分配を考える前のジニ係数は高齢化世帯の小規模化等を背景として拡大傾向にあります。平成二十三年の調査では〇・五五となっておりますけれども、これを今度、年金などの社会保障給付や税の効果、この再分配を加味して見た場合のジニ係数というのを見ますと〇・三八になっておりまして、この数値は、経年で見ても平成十一年で〇・三八で、二十三年でも大体〇・三八ということで、おおむね横ばいで推移をしているということでございまして、我が国の社会保障制度は高齢者への給付が手厚いということがまず第一にあって、その一方で現役世代の給付が少ないという指摘がかねてからございまして、生産年齢人口のみを対象として作成される御指摘の数値にはこういったことが反映をされているというふうに考えるべきだろうと思うんです。  したがって、単身高齢者とかあるいは母子家庭の増加といった状況にはしっかりと目配りをしなければいけない、子供の貧困と言われているわけでもございますし、そういうことで必要な対応を行っていくことが必要でありますけれども、例えば、私どもとしても、そういうことを意識しながら、平成二十七年度には、生活保護に至る前の段階の生活困窮者、この四月から法律も施行になりましたが、相談、就労支援などの包括的な支援とか、あるいは一人親家庭の親の学び直し、子供への学習支援などを特に力を入れようということでやっておる。あるいは、これは高齢者の方になりますけれども、介護保険における低所得者の保険料の軽減の強化などで再分配を補うという格好にしているということでございまして、今お配りをいただいたものは生産年齢人口における指標ということで、全体で見ると今のような景色が見えてくるのかなというふうに思います。
  234. 行田邦子

    ○行田邦子君 まさに大臣が御答弁されたように、このOECDの対日審査報告書の結果というのは、これは生産年齢人口ですので六十五歳超の方というのは入っていないんです。逆にこれ裏を返せば、日本の所得再分配というのは、いかに高年齢者には効いているけれども若年層に効かないということも言えるのかなと思っていまして、資料四を見ていただきたいと思うんですけれども、これは厚生労働省の所得再分配調査の結果より内閣府が作成したものでありますけれども、ここでも、やはり見てすぐに分かるとおり、若年層における再分配効果というのは非常に乏しくなっているわけであります。  そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、子供の貧困対策を考えるとき、子供のいる低所得者世帯のネット所得が増える所得再分配、例えば給付付き税額控除等を行わなければ状況は改善しないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  235. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、子供の貧困ということが最近よくクローズアップをされておりますけれども、子供のいる低所得世帯に対して、それぞれのニーズに応じて、子育て生活支援、それから就業支援、経済的な支援などを組み合わせてきめ細かな支援を行っていく必要があるというふうに認識をして、そういう手だてを予算などで打っているところでございます。  二十七年度の予算では、さっき申し上げたように、この生活困窮世帯や児童養護施設あるいは一人親家庭の子供などへの学習支援というのを特にバックアップしていかなきゃいけないということ、あるいは児童養護施設の職員の配置というのも、これは五・五対一を四対一にするというのをこの四月から実施をいたしました。  それから、一人親家庭の親に対する自立支援というか、高校卒業程度の認定試験の合格のための講座の費用を助成するというようなこともやってきているわけでありまして、また、先般、四月二日に総理が参加をして、あと有村少子化担当大臣とそれから下村文科大臣と私と参加をいたしましたけど、子供の未来応援国民運動というものの発起人の集会というのがありましたが、そこで総理から、経済的に厳しい一人親家庭や多子世帯の自立を応援するために、夏をめどにその方向性を取りまとめ、年末をめどに財源確保を含めた政策パッケージを策定するようにという指示を受けたところでございまして、厚労省としては、子育て、生活、就業、経済面など一人親家庭の自立に向けた支援の充実について幅広く意見を聞きながらやっていきたいというふうに思っているところでございますので、問題の所在は、今ございますように、お配りいただいたように、所得再分配が高齢者には有効に効いていても若い人たちには十分効いていないということを補うための政策を種々打っているところでございます。
  236. 行田邦子

    ○行田邦子君 私がお聞きしたいのは、今大臣がおっしゃったような様々な施策だけでは足りないのではないかと。ですから、給付付き税額控除等の税の所得再分配効果を強めなければいけないのではないかということなんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  237. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、年末までに手だてを考えろという総理の指示の中にいろんなものが当然入ってくるわけでございますが、明示的にこの給付付き税額控除についてどうかということであれば、それは私ども自民党の中でもこの可能性についてはかねてより議論はあるところでありますけれども、低所得者に絞った効果的な支援が可能になるということは我々としてもよく分かっているわけでありますけど、一方で、所得の把握とか資産の把握、それから執行面での課題というのが残っているので、どういうふうになるのかというのは今、消費税の逆進性への対応の中でも議論が行われているというふうに認識をしております。
  238. 行田邦子

    ○行田邦子君 特に、日本の所得再分配は年金などの社会保障での効果は認められても、税による所得再分配の効果というのは余り認められないというような調査結果も出ておりますので、是非、政府内におきましても、給付付き税額控除、もちろんそれをやるには様々な課題をクリアしなければいけないと思いますが、じゃ、どういった課題をクリアしなければいけないかという点も含めて議論し、また検討していただきたいと思っていますし、また私自身も今後様々な御提案もしていきたいというふうに思っております。  それでは、最後なんですけれども、資料六を御覧いただきたいと思うんですが、先ほど大臣がおっしゃった様々な施策の中に学習支援といったものがあります。もちろん私もこういったものは大切だと思っておりまして、実は、埼玉県におきまして非常に成果を上げているものがございます。生活保護世帯の子供への教育支援というものでありまして、きめ細やかな実施を行うことによりまして、埼玉県の生活保護世帯の子供の高校進学率が八六・九%だったものが四年間で九七・八%に上がるなど、実績を上げています。  ところが、この事業なんですけれども、今年四月から生活困窮者自立支援制度が始まったことによりまして、これ自体私はいいことだと思っているんですけれども、生活保護世帯だけではなく生活困窮者世帯に対象が広がりました。そしてさらに、今まで造成された基金から財源を捻出していたんですが、補助率が二分の一となってしまっただけではなくて、自治体の人口に応じた枠の上限が設けられてしまいました。非常に財源的には不安定であり、また率直なところ足りないというような声が上がっています。  補助率等を上げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  239. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 学習支援事業の国庫補助率が十分の十から二分の一になったわけでございまして、自治体が継続的に事業を実施できるように法律に位置付けて恒久的な制度としたものであって、御指摘の補助率も含めて立法過程から国と自治体で真剣な議論を行った結果、こういうような形になったわけでございます。  自治体において着実に事業が実施できるように、平成二十七年度予算においては、生活困窮者自立支援関係予算の全体では国費四百億円で、子供の学習支援事業については十九億円を確保いたしております。  自治体に事業の実施意向を私どもの方で確認をいたしました。昨年度の百八十四自治体から今年度は三百二十四自治体がやるということを言っておりまして、自治体の数からいくとかなり増えているということでございまして、先ほどの補助率の問題で御心配いただいておりますが、我々の基本的な姿勢として、子供の学習支援をしようということについては変わりがないわけでございまして、今後とも自治体に対して事業の意義を丁寧に説明して積極的に事業を実施していただくようにというふうに思っております。三百二十四といってもまだまだでありますから、これを更に増やすということが大変大事だというふうに思っております。
  240. 行田邦子

    ○行田邦子君 生活支援や就労支援は三分の二とか四分の三という高い補助率ですので、是非補助率を上げることを検討していただきたいと思いますし、また、残りの部分についての、交付税措置される予定ではありますけれども、今日総務省さん来られていますけれども、是非、単位費用の算定に当たりましては十分なものとなるように算定していただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  241. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  まず、ちょっと通告はいたしておりませんけれども、石橋委員がせっかく医療関係者過重労働について取り上げていただきましたので、ちょっと私からも一言お願いをしたいと思います。  私は産業医でございます。いわゆる産業医の立場というものをしっかり認識していただきたいと思います。私も、昨年の六月十三日、質問させていただきましたけれども、産業医は、職務の実施をしているこの状況において健康上改善が必要だと思われるときには、事業者に対して健康管理について必要な勧告を行うということになっているわけです。ということは、そこの病院の院長が産業医である場合には自らにその勧告をすると。これ、大変矛盾した状況なんですね。  それで、この医療機関の過重労働というものがなぜ起こっているのかということはもう重々大臣にも御理解いただいていると思います。医師不足ということもございますし、応招義務というものが私どもには課せられております。ということは、断れないんですね。例えば、五時でその診療所というものが受付が終わりました、でも、そこに五十人の患者さんがいたら、その五十人の患者さんが診終わるまで八時でも九時まででもやらなきゃいけない。それが私どもの義務として課せられているにもかかわらず、やはりそこで労務管理というものがなかなかできないこの実態というものも更に私としては御理解いただいた上で、これから制度設計をしていただきたいと思っております。  しっかりとその産業医の役割、そして事業主の役割というものを役割分担をしながら考えるのであれば、それを兼務するということはこれ法律違反ではない、前回も言っていただいておりますけれども、やっぱりここはしっかり通知か何かで出していただかなければ、前回局長より御答弁いただきました際に、適切でないような場合があるときには自分たちも指導、勧告を行いますというふうになっております。実際に、昨年からまた今年までの間も、過重労働全く変わっておりません。やはりこのような状況下におきまして、この産業医の役割というものが一番発揮できていないのが医療機関であるということを再認識していただきたいと思います。  最近、いきサポという、いきいき働く医療機関サポートWebというものも開設されたことは私も重々承知いたしておりますけれども、やっぱりそういう中でもその産業医の役割というものをしっかりと認知していただきまして、これ兼務している場合には、是非是非しっかりと注意をした上で監視をしていただく、若しくはもうこれは役割分担をすべきだということを厚労省が打ち出していただくことを私からお願いしておきたいと思いますけれども、大臣、一言だけ、それに関しましては、済みません、質問通告いたしておりませんけれども、御感想でも結構でございます、いただけますでしょうか。
  242. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど来お話を私からもしていますように、なかなか医療機関というのは過酷な労働条件の中で頑張っていただいているなということでありますから、それを解消しながら、しかし、しっかりした医療ができるようなことのために何をしたらいいのかということを考えていきたいというふうに思います。
  243. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  それを考えていただく意味におきましても、大変申し訳ございません、ちょっと質問の順番を入れ替えさせていただきたいと思います。五番目の質問、いわゆる健康経営というところから入っていきたいと思います。  資料四というものを皆様方には御覧をいただきたいと思います。実は、健康経営というこの概念、欧米諸国におきましても最近大きく取り上げられているところでございまして、従業員の健康というものを経営資源と捉えまして、メンタルヘルスを含む健康管理に積極的に取り組むことで様々な疾病の予防ができ、従業員が心身共に元気で働ける企業を目指すという、事業者とそれから産業保健スタッフ共に理想的な活動ということで、更にこれから私はこの日本でもこれを広報していただきたいと思っているものでございます。  実は、今までは疾病モデルという、病気になったら医療費を払ってそれを治療するというものに対して、今後は生産性モデルというものの転換というものが叫ばれているところです。これは、人的資本への投資における収益の最大化というものを目指す考え方でございます。ですから、職場環境が疾病を起こす、でも、その疾病を起こすその健康状態によって生産性にも影響を与えるという、いわゆるPDCAサイクルのようなものが回っていっている状況ですよね。  ですから、こういう状況に関して、健康と生産性に着目した研究というものを厚労省さんも行っていらっしゃるのかどうか、まずは教えていただけますでしょうか。
  244. 土屋喜久

    政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。  労働者の健康管理対策を促進していくためには、労働者の健康の向上によるメリット、これを事業者の方々に御理解いただく、それを促していくということは大変重要だと思っております。先生御指摘の研究についても、これを行うことは大変有意義であるというふうに認識してございます。  このため、厚生労働科学研究におきまして、平成二十五年度から二十七年度までの三か年の計画で、労働者の健康状態及び産業保健活動が労働生産性に及ぼす影響に関する研究というものを実施をしております。この研究では、働く方々の健康状態や事業場等におけます産業保健活動が労働生産性に及ぼす影響について検証をするとともに、効果的な産業保健活動の在り方や生産性の観点を含む産業保健活動の評価方法の在り方について検討をしております。  先ほど申し上げましたように、二十七年度までの研究でございますので、この研究が順調に進捗し成果を得られるように私どもとしても取り組んでまいりたいと思います。
  245. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  でも、まだまだそのベースが整っていないというところで、健康診断の結果、必要な労働者には医師、保健師による保健指導というものを行うように努めなければならない、いわゆる努力義務にまだまだとどまっているというところでございます。  所見ありの労働者がどのくらい保健指導を受けていらっしゃるのでしょうか、教えてください。済みません、なるべく短くお願いできますでしょうか。
  246. 土屋喜久

    政府参考人(土屋喜久君) 平成二十三年の労働災害防止対策等重点調査報告というのがございまして、これによりますと、定期健康診断の結果において異常の所見があった労働者のうち、医師又は保健師による保健指導を受けた労働者の割合は約六割となっております。  先生御指摘のとおり、安全衛生法に所定の規定もございますので、必要な方が適切な保健指導を受けられるように事業者に対する必要な指導を行ってまいりたいと思います。
  247. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  しっかりとやっぱりそこを促していただかなければ、健康というものが業績にも反映するんだ、こういう考え方というものがなかなか浸透していかないと思います。  これらの再検査、治療を促す取組というものはどのようなものがあるのか、教えていただけますでしょうか。
  248. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 健康診査におきまして再検査等が必要とされた労働者につきましては、必要な対応が確実に行われるように促すことは重要と考えております。厚生労働省におきましては、安衛法に基づく健康診断結果を踏まえた労働者の健康管理の取組が促進されるように、毎年九月を職場の健康診断実施強化月間と定めておりまして、健康診断結果に基づく措置の実施、保健指導の実施、そして医療保険の保険者が行う特定保健指導との連携を行うよう、事業者に対して指導を行っております。  また、安衛法に基づきます健康診断の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の項目に異常の所見があった労働者については、労災保険の給付の一つとして、二次健康診断等給付制度を設けてございまして、これは二次健診及び特定保健指導を行うものでございますが、平成二十三年の実績で二万八千七百二十九件、二十四年の実績で三万二百四十四件、そして二十五年の実績で三万一千七百二十三件と、微増の傾向で対応させていただいているところでございます。  このほか、高齢者医療確保法に基づく生活習慣病予防対策といたしまして、四十歳以上の労働者については、事業者と医療保険者との連携の下、事業者が健康診断結果を医療保険者に提供いたしまして、再検査、治療を要する者には医療保険者において医療機関への受診を促しております。  今後とも、こうした取組によって、健康診断の結果、再検査あるいは治療が必要とされた労働者に対する対応を図ってまいります。  ありがとうございます。
  249. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  いわゆる安全配慮義務に関わること、大変これは重要な問題でございます。安全配慮義務でさえも行われていないような事業所においても、次の健康経営ってちょっとかなりハードルが高いのかなというふうに私は捉えております。  では、その特定健診というものを何度か私も取り上げさせていただきましたけれども、いわゆる予防というもので、特定健診の場合というものは、後期高齢者支援金の加算、減算という金銭的インセンティブというものがございますけれども、事業主の健康診断の場合って、もう何かしら何か仕組みをつくりながら促す、モチベーションを上げていくということも必要かと思います。  実は、この日本政策投資銀行の試み、大変面白いものがございます。健康経営格付というもので、その格付によって金利の優遇措置を行っているというものも、既にもうそういう業界においてもなされ始めております。健康経営の評価が高い企業にはなるべく特別な金利が適用されると、こういうような仕組みが既にそういった分野でも行われているんであれば、厚労省においても何かしら施策が必要かと思いますけれども、大臣、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
  250. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今の後期高齢者支援金の加算、減算制度を保険者に設けるということで、特定健診あるいは特定保健指導の実施率によって後期高齢者医療への支援金を加算、減算してくれるということで、実際この健診をバックアップするということでやっているわけでありますけれども、一方で、この労働安全衛生法は、先ほどちょっとお話があったように、労災保険給付という形でやっておりますが、労働者が働く上での健康確保の観点から、事業者に、健康診断の実施に加えて、その結果に基づく就業上の措置も義務付けているということで、そのため、再検査とか病気の治療とかまでを事業者に求めるものではなくて、企業に対してそのインセンティブを与えるような仕組みは想定していなくて、先ほどのように、個人に対して給付で、二次健診とかそういうのでやっているという格好になっているわけであります。  厚労省としては、事業者に対して健康診断の実施を徹底するとともに、こうした制度を通じて再検査や治療が必要な労働者に適切な対応が行われるように取り組まなければならないなというふうに思っているところでございます。
  251. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  ですから、労働者の疾病というものは、これを治療することによって生産性を、日本の経済を支えるんだというような、やっぱりちょっと発想の転換が必要なのかなと思っております。  次に、じゃ、そういったいわゆる産業保健というものを支える新しい事業がスタートしたかと思います。これまで、地域産業保健センター、産業保健推進センター、メンタルヘルス対策支援センターというものが統合されまして、産業保健活動総合支援事業ということが行われておりますけれども、まだまだ取組が不十分ではないのかなと思われますが、政務官、いかがでしょうか。
  252. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 御紹介いただきました、先生の資料の三にあるものだと思いますが、地域産業保健センターは、ただいま御説明いただきましたとおり、労働者五十人未満の小規模事業所を対象にいたしまして、登録された産業医により健康診断結果に基づく保健指導を行うなど、健康管理に対する支援を実施してまいっております。  この度、平成二十六年度からは、加えて、事業場の産業保健活動を支援するほかの二つの事業と一元化をいたしまして、各都道府県に設置された産業保健総合支援センターの地域窓口と位置付けてワンストップサービスを進めようということで、利便性を一層向上させていこうと働きかけをしているところでございます。  今後とも、産業保健総合支援センター及びその地域窓口である地域産業保健センターの積極的な活用が図られるように機能強化に努めてまいりますとともに、周知広報にも努め、小規模事業所の労働者の方々の健康を守る活動、産業保健活動に対する支援を行ってまいります。
  253. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  せっかくこの新しい事業がスタートいたしましたので、更なる充実というものをお願いしたいと思います。  さらに、健康経営のために大切なツールというものがございます。健康会計と言われるものでございます。健康会計は、二〇〇八年に経済産業省が提唱した企業の健康への取組というものを評価する考え方でございます。企業が社員の健康増進に対して行う投資のコストとその効果を可視化していく、これは大切なことです。健康増進に積極的な企業が社会的に高く評価されるということを意図しているものですけれども、厚労省におきましてもこのような健康会計について研究などを行っていらっしゃいますでしょうか。大臣、お願いいたします。
  254. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、健康経営ということで厚労省は何をしているのかということでありますが、従業員の健康を確保するということが結果として企業の活性化につながるんだという話を先ほどおっしゃいましたが、従業員の健康管理に経営課題として取り組む考え方というのが大事だということは先ほどおっしゃったとおりで、厚労省として、事業場における労働者の健康保持増進のための指針というのを策定をして、事業者による心身両面にわたる健康保持増進、促進を推進しているほか、もう一つは、二十七年の六月から、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組んでいる企業を安全衛生優良企業として認定をするということをして、厚生労働省のホームページで公表することとしておりまして、やっぱり従業員が元気で頑張ってくれるということでなければならないと思いますが。  今の健康会計ということでありますけれども、私どもの方でそれを研究しているということは、特に今のところはないということのようでございます。
  255. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これ大切な概念でございます。ですから、企業がどれだけ投資をしてどれだけその健康増進によって業績が上がったか、これを証明していかなければ、なかなか企業側が投資を行っていただけないということにもなります。  今、少し一部答えていただきましたけれども、実はこの従業員の健康管理、健康づくりの推進ということは、単に医療費というものだけの捉え方ではもう済みません。生産性の向上、従業員の創造性の向上、そして企業イメージの向上というものも効果が図られるということです。企業におけるリスクマネジメントとしてもこれは重要だよねという認識が、最近、企業、もちろん産業保健の場面でも言われていることでございます。従業員の健康管理は、経営者であるその指導力の下で発揮されるものなんですけれども、経営者の皆様方にもそれをしっかりと認知していただく必要があると思います。  ここで面白いことがございまして、実は欧米諸国において日本というものが一番健康経営するのにマッチしている国じゃないかと言われているんですね。日本は皆保険制度を取っておりますので、個別の保険でプライベートインシュアランスを掛けているよりも更にコントロールしやすい土壌が既に準備をされている。  米国の商工会議所によれば、企業の従業員の健康管理コストにおいて、医療費と呼ばれているものは健康管理コストの重要な一部ではあるけれども、最大そのコストの要因というものは、出勤しているけれども病気やけがによって生産性が落ちている状況だということが分かってきております。ですから、医療費だけというものをターゲットに置いてこれは健康管理をやっていくということはちょっと間違っているんじゃないのかという考え方なんですね。医療費を適正化するということは単なる部分最適であって、企業経営全体の最適化には必ずしもなっていない。  これ、アメリカの統計でございますけれども、企業にとってのコスト、いわゆる狭義の医療費というものについて見ると、一番目ががん、肩凝り・腰痛、そして冠動脈性の心疾患、四番目が慢性疼痛、五番目が高コレステロールという順番ですね。広義の、いわゆる病気休業や、出勤しているけれども病気やけがによって生産性が落ちている状態までを全て総コストとして見ると、肩凝り・腰痛、うつ、倦怠感、慢性疼痛、睡眠障害という順なんですね。  ですから、疾病の医療費ということだけではなく、いかにこれを生産性につなげていくのかという、ターゲットにする疾病までも変わってきてしまうんですね。ですから、しっかりとこのメンタルケアも今回法改正によってチェックテストが入りますけれども、医療費だけ見た場合と総コストで見た場合は予防のターゲットがこれだけ異なってくるという認識も日本も持ち始めていかなければならない時期に入ってきていると思います。  そのためには、せっかく厚労省がこの度、データヘルス計画というところで保険者機能の強化というものに力を入れてくださいます。それとともに、やっぱり企業という母体、組織においても健康に取り組む姿勢というものを打ち出していただかなければならない。いわゆるこれコラボヘルスと言うんですけれども、このコラボヘルスというものを今後日本でも行っていただくために、先ほど示しました資料の四、健康経営銘柄というものが経産省から発表がなされました。いわゆる企業側に働きかけてもらう経産省と、それから保険者機能というところで強化を進めていく厚労省、これは両輪としてしっかりタッグを組んでいかなければならないと思いますけれども、大臣のお考え、いただけますでしょうか。
  256. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回、ストレスチェックがこの秋から入るということでありますが、恐らく今先生がおっしゃったように、メンタルヘルスに現れる、その他のいろいろな物理的なストレスなんかも含めて、そういうところで判断をしてもらうことによって、また企業の生産性や収益率を上げていくということもあり得るんだろうなというふうに思いました。  健康保険組合などの被用者保険者がデータヘルスの実効性を高めるために企業や事業主と連携するのが極めて重要だということで、このため、厚労省が推進をしております、今、データヘルスと、経産省が推進をしている健康投資、健康経営、今先生のお配りになっていらっしゃる健康経営銘柄ということで、東京証券取引所も一緒になってやっているようでありますが、これが相乗効果を発揮するように、これまでもそれぞれの手引とかあるいはガイドブックに相互の取組を紹介をしたりしてきましたし、共通の説明会などを持っていたりします。  こういうことで両省が連携をすることによって、言ってみれば健康で足腰の強い企業というものをつくるということは、そこで働く人たちが健康で足腰が強いということになるんでしょうから、厚労省、経産省、それぞれの観点からお互いの力を発揮して、働いている人たちの健康と企業の言ってみれば経営的な価値のアップというのを両方達成していくということが大事なのかなというふうに思います。
  257. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これ、少子高齢化において、もう日本でとても大切なことだと思うんですね。私たちが今まで目指してきたのは健康寿命の延伸というところで、厚労省ではどうしてもそういった視点で話が進んでまいりますけれども、やっぱり健康でいることによって生産性が上がるといったような、そういった経産省の視点というものをやっぱり厚労省も学ぶべきであると思うんですね。  先ほど御答弁いただきましたように、まだまだ研究途中でもあるということでもございますし、いわゆる健康会計というものについても是非厚労省におきましても研究開発をしていただきまして、しっかりと、どういう優先順位において疾病をコントロールしていけばこれは企業の経営にも役立つのか。企業の経営というものに役立たないとなかなか企業サイドは動いてくれません。と申しますのも、保険者というものに厚労省は働きかけることができても、企業の経営者の皆様方になかなか直接働きかけることができません。データヘルス計画というところで保険者の皆様方を動かすことはできても、一つの保険者にたくさんの会社がぶら下がっております。ということは、それぞれのやっぱり労務管理というところまで手を突っ込んでいかないと本当の健康経営というものはできません。  私ども産業医というのは、その健康経営というような面におきまして、ですから労務管理のところまで手を突っ込める唯一の健康スタッフなんですね。ですから、健康のサイドで安全配慮義務を行っていく、その安全配慮義務を行っていく上で、必要であれば組織改編などもお願いをすることもございますし、労務管理もお願いをすることがある、配置転換もお願いすることがある。  そういう意味において、もっともっと産業保健というものについてもう少し研究開発というものが私は厚労省も必要なんではないかと考えております。ですから、企業経営と健康管理というものをいかにコラボしていくのか、大きなテーマだと少子高齢化の中で思っておりますので、是非、今後ともこの話題につきましては私も研究をしながら質問を続けてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  今日はちょっと、済みません、母子保健の方、質問ができませんでしたので、次回に回していきたいと思います。  ありがとうございました。
  258. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  今日は、ホワイトカラーエグゼンプションについてお聞きをいたします。  この法律ができれば、年間五日間さえ有給休暇を取らせれば、毎日十六時間勤務、三百六十日連続勤務も合法になるという理解でよろしいですか。
  259. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 高度プロフェッショナル制度につきましては、様々な要件の下で対象者を限定しながらやっているということでありますので、そういうような極端な働き方を前提にした制度ではないということでございます。
  260. 福島みずほ

    福島みずほ君 極端じゃないですよ。合法か違法かを聞いているのです。これについて、衆議院の予算委員会で、大臣はそれはできるというふうに答えていますよ。  これは局長でも結構です、よく聞いてください。年間五日間さえ有給休暇を取らせれば、毎日十六時間勤務、三百六十日連続勤務も合法になる。つまり、これは私が説明することもないと思いますが、健康確保措置が三つありますが、一定の時間が八時間だとする、仕事の終了から次の時間の始業時間まで八時間空ければいい、最大一日十六時間まで働かせることが可能。有給強制の五日間以外は三百六十日、十六時間勤務が合法。事前のレクでは、はい、そうですということになっていますが、それでいいんですね。合法ですね。合法か違法かを聞いています。
  261. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 先ほども言いましたけれども、いろんな制度の前提がある中でそういう仕組みになっていると。そして、労働者が自ら働き方を決めていくという前提の下での制度ということでありますので、そういう極端な働き方は想定していないということだろうというふうに思います。
  262. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、極端な働き方が想定されていないということなど聞いていません。労働基準監督署は違法でなければ入れないですよ。ですから、合法か違法かを聞いているんです。弁護士だって違法でなければ争えないですよ。違法かどうかを聞いているんです。それだけ答えてください。  年間五日間さえ有給休暇を取らせれば、毎日十六時間勤務、三百六十日連続勤務も合法になるという理解でよろしいですか。
  263. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) それはあくまで、そういう対象者の方が自らそういう働き方をするということでありまして、企業の方がそういう働き方を強制するということはできないということでございます。
  264. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい、ちょっとよく分からない。最後何て言ったの。
  265. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) あくまで制度の前提として、労働時間ではなくて成果で働くというような、その制度の趣旨の中で御本人が働き方を決めていくということでありますので、企業の方がそういう働き方をさせるということが考えられているわけではないということでございます。
  266. 福島みずほ

    福島みずほ君 質問に答えてくださいよ。私は合法か違法かと聞いています。  平成二十七年二月二十五日、衆議院の予算委員会塩崎大臣の答弁、これでよろしいですね。今、十一時間のインターバルを入れた上で、なおかつ一日十三時間労働、そして、三百六十と言いましたが、我々が聞いていたのは、一年間は三百六十五日ありますから、三百六十ですよね、そういうことができるということでありますけれども、それは理論的にはできる。  つまり、実際三百六十日働き続けるかどうかは別にして、理論的にこれはできるということでよろしいですね。議事録そうなっています。
  267. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生は極端なことをおっしゃるものですから、極端に答えているわけでありますが、そもそも制度を導入する際に、この仕組みでは、企業内の手続として、労使同数で構成をされます労使委員会というのがあって、そこで対象業務も対象労働者も、それから健康確保措置の中身も五分の四以上の多数で決議をいたします。そこで、今お話が出ました三つの健康管理時間を管理する中で、いずれかの措置を導入をしなければいけないという義務を法律で定めているのが、先生がおっしゃった三つの措置ですね、インターバル規制と、それから……
  268. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣、済みません。それ全部分かっていますので、結論だけ言ってください。
  269. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ええ。  この三つでありまして、それに加えて健康管理時間というのが、今申し上げた一定時間を労使委員会で決めたものを超えた場合、一か月当たりのですね、超えたものに対しては、医師による面接指導の実施義務が罰則付きで課せられるわけで、労働安全衛生法でこれは課されます、義務がですね、罰則付きで。  したがって、今のような働き方をした場合には、当然一か月当たりの労働時間が恐らく五分の四の合意で認められた労働条件をはるかに超えるでしょうから、その時点で必ず医師による面接指導をやらなければいけないというところに来るわけであって、先生のおっしゃるような極端なことがずっと続くようなことはあり得ない、やろうとしてもこれに引っかかって、健康確保のために管理時間を設定していますから、そういうことは起こり得ないんではないかなというふうに思います。
  270. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、私は合法と違法の間を聞いているんです。違法なのか合法なのか。  もちろん、途中で面接とかあるかもしれません。でも、その産業医が全然駄目だったら機能しないわけですよね。つまり、違法か合法か。つまり、どこまで違法なのか。これは合法なんですよ。これは合法だと、理論的にはあり得ると答えていますし、こんな極端な働き方に近い働き方は起こり得るんですよ。  では、厚生労働省、お聞きします。じゃ、大臣、これ衆議院で理論的にはできると答えているけど、そのとおりでよろしいですね。参議院でもそうでしょう。
  271. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 理論的には可能です。  それで、しかし、さっき言ったように、それを試みても必ずこういう安全弁がありますから、それに引っかかるということであります。
  272. 福島みずほ

    福島みずほ君 理論的には可能なんですよ。一日十六時間労働で三百六十日働き続ける、これ可能なんですよ。こんなことが、これを可能にする法律、これも、違法ではないという意味でですが、極めて問題です。  労働者保護立法の中で、労働時間、休日、休憩、深夜労働に関する規制を設けている意義は何ですか。
  273. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 労働基準法につきましては、企業と労働者の関係の力関係その他を考慮した上で一定の最低基準を課すということでありますので、そういった趣旨におきまして、労働時間につきましても、原則としては一日八時間あるいは週四十時間という法定労働時間を義務付けているということでございます。
  274. 福島みずほ

    福島みずほ君 そのとおりですよね。その趣旨から照らして立法理由がないというふうに考えます。  先ほども石橋委員の方から成果主義についての質問がありました。そのとおりですが、時間でなく成果で評価される働き方を希望する働き方のニーズに応えるとしていますが、時間ではなくて成果で評価するかどうかは専ら賃金制度の問題です。当否はさておくとして、今日、成果主義賃金は広く浸透しています。その中で、労働時間等の規制を外さなければならない理由は何でしょうか。
  275. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) もちろん、現行労働時間法制の下でも成果主義を取るということは可能であります。  しかしながら、よりそれを進めて、あらかじめ働く方、企業と働く方の間でどういう成果を出すかということについてあらかじめ職務契約書等で明記して、それを前提に報酬を決めると。その場合に、働く労働時間等については労働者の自由に任せると、こういう仕組みをしっかりと取るためには現行の労働時間法制を適用除外するという方がよりその制度に即した働き方ができると、こういう考え方でございます。
  276. 福島みずほ

    福島みずほ君 それならば、成果で評価することが新制度の導入要件になっていますか。
  277. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) そもそもの対象業務につきまして、その性質上、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないというような業務をそもそも対象業務として省令で定めるということにいたしておりますし、それから、この制度において働く場合につきましては、職務記述書におきましてどういう成果を求めるかということをあらかじめ定める、それに応じて賃金を定めるということが前提としてこの制度を考えているということでございます。
  278. 福島みずほ

    福島みずほ君 要件ではないですよね。要件かどうかということでいえば、要件ではないですよね。
  279. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 何といいますか、法律上の部分と、今後省令、指針等で定めていく部分等とがあります。法律上の考え方は、先ほど申しましたように、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くない、そういうものを前提としつつということでありますが、その対象となる方につきまして、職務記述書等について従事する職務の内容を明確にしていただくというようなことも前提として、それを本人が同意するということを考えておりますので、制度全体としてはそういうことを考えているということでございます。
  280. 福島みずほ

    福島みずほ君 実際には仕事が長く掛かる人の残業代は出なくなりますが、成果に応じて賃金が支払われるという内容はこの法案に含まれておりません。この制度では残業代がなくなるだけで、成果に応じた賃金評価システムが導入されるわけではない。よろしいですね。
  281. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 先ほど大臣が言いました労使委員会等で制度の枠組みを決めていくということでございますが、今申しましたように、職務記述書におきましてあらかじめ従事する職務の内容を決める、そして報酬も決めるということでありますので、そういった意味においては、その範囲では決まるということだろうというふうに考えております。
  282. 福島みずほ

    福島みずほ君 全然その要件となっていないんですよ。要件ですらない。そればかりか、成果で評価すること自体が長時間労働に結び付くと考えないんでしょうか。  例えば、営業ノルマを達成するために長時間労働を強いられる労働者は数知れず、成果で評価することは長時間労働に結びやすいと言えます。成果を上げて早く帰りたいという労働者がいるのではないかとおっしゃるかもしれませんが、成果を上げて早く帰りたい労働者に、ニーズに応えることは今も可能です。使用者が帰宅を認めればよいわけです。時間外労働規制を外して残業代をゼロにすることとは無関係ですし、議論のすり替えです。  もし、早く仕事を終わった労働者がいて、労働時間規制なければ、使用者は、もっとやれ、もっとやれ、もっとやれ、もっと成果出せ、もっと仕事しろと言うんじゃないですか。
  283. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) この制度につきましては、そもそもが従事した時間と従事して得た成果とが関連性が高くない業務を前提としているということでありますので、先生おっしゃったような営業とかはそもそも対象として考えていないということでありますし、それから、今申しましたように、職務記述書等でしっかりと職務の内容を定めていくということにしているということでありますので、この制度の適用を受けるかどうかという同意をする段階でそこがしっかりと決められているという前提でありますので、早く終わったからほかの仕事をということは、この制度として想定していない。  したがいまして、逆に言えば、そういう働かせ方をすればこの制度の対象者として認められないと、この制度を適切に運用していないということでありますから、それは、そういう観点において法律に違反しているということになるということであります。
  284. 福島みずほ

    福島みずほ君 意味不明ですよ。だって、労働者は使用者に命ぜられて仕事をせざるを得ないじゃないですか。  新制度では、労働者が始業、終業時刻、休日の取得を自由に決めることができるんでしょうか。
  285. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 基本的に、職務記述書等で従事する職務の内容を明確にする、そしてそれを前提として基本的にどういう働き方をするかにつきましては労働者に任せると、これが制度の基本的な考え方でありますし、それを前提として労働時間とか休日とか深夜業の規制を適用除外にすると、こういう考え方でございます。
  286. 福島みずほ

    福島みずほ君 始業、終業、休日、これ全く自分で決められるんですか。
  287. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) もちろん、その会社の例えば建物の管理とか、そういういろんな要素はあるかもしれませんが、少なくとも使用者が、今日は何時間働けとか、今日は何時まで働けとか、そういうことは考えていないということでございます。
  288. 福島みずほ

    福島みずほ君 これ、労使委員会で決めることになるんじゃないですか。労働者が始業、終業、休日時間を自分で勝手に決められないでしょう。私は今日夕方しか行かない、私は今日行かない、勝手にやれるんですか。三百六十五日、三百六十日、自宅で仕事します、ちょっとそれは極端ですが、でも、始業、終業、休日時間、労働者は勝手に決められるんですか。
  289. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 労使委員会で五分の四で決めるのはむしろ制度の枠組みであります。その枠組みの中で個々の労働者が日々どういう働き方をするかということにつきましては、これは個々の労働者に任せられているということであります。  もちろん、その会社の管理上、朝、例えば五時前に出てこられたら困るとか、そういう部分はあるかもしれませんけれども、逆に、今日は何時間働けとか、そういうことを使用者側が労働者に命ずるということはないという制度だということであります。
  290. 福島みずほ

    福島みずほ君 何時間働けとは言わなくても、成果主義、一応、これは成果主義と関係ありませんが、もっと仕事を、もっとこれをやれとか、もっとこれをやれとあるわけじゃないですか。お医者さんだってそうでしょう、さっきありましたけれども、もっとやっぱり仕事をしなくちゃいけない。  だから、これは労働時間、休日、深夜等の規制が適用除外になるので、使用者がこの仕事は今日中に仕上げるようにと命ずることができるようになるんじゃないですか。しかも、そこに制限がない、残業時間のあれがない。どうですか。
  291. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 元々、一千万円以上で、多分一千七十五万ということになるわけですが、それ以上の年収がある方々というのは、やはりおまけにそれで高度の専門的な知識を持っている人ということになると、これは交渉力がやはり企業に対してある人たちであって、今のような、あれもやれ、これもやれみたいなことでいいですというような話のタイプの仕事をされている方々を我々は想定しているわけじゃなくて、そもそも一千万円以上の人というのは全体で働いている人の四%しかいなくて、うち一・五%は役員ですからこれは外れますので、そうすると、二・五%のうちの、これは本人が希望しなきゃ駄目なんですから、本人が希望されると更にぐっと狭くなるわけであって、そういうことでスタートを、こういう交渉力のある人を相手にやり、なおかつ、さっきおっしゃった労使委員会で働き方なんかは枠組みを決めるということで、これは労使の労のうちの半分以上が、過半数が賛成しない限りはこれは合意に至らない、五分の四の、過半数ですから、ということでやっていますし、職務記述書というのにちゃんと何をやるかというディスクリプションを書いて、それに従って成果もそこに書かれていくという、そういう制度でありますから、非常に弱い立場で、あれもやれ、これもやれというと逃げられないような人はこの対象にはなりませんし、そもそもそういうふうに、仮にですよ、余り賢くない経営者がそういうふうに迫ったら、多分こういう人は辞めていくんですね。別な会社に移るだけの力があるからそういうことに、この道を選ぼうということでやっているわけでありますから、そういうような方々は先生が御心配されるようなことは私は起き得ないというふうに思います。
  292. 福島みずほ

    福島みずほ君 労働者は使用者の業務命令に従わなければならないので、実は出退社の自由なんかないんですよ。それから、今の大臣の発言は、いつも擦れ違うんですが、現実では違いますよ。  お聞きいたしますが、高収入は労働時間規制を除外する根拠と言えるのでしょうか。今、交渉力があるとおっしゃいましたが、交渉力と年収は関係ないですよ。実際、高収入の労働者がリストラで路頭に迷うケースは枚挙にいとまがない。高収入イコール交渉力があるというのであれば、あるという構図自体、全くの虚構です。しかも、辞めて、その人たちは、じゃ、どこに行くのか。実際、ホームレスやいろんな派遣村に来た人たちも結構高収入の人もいましたよ。だって、今IT企業でどれだけリストラがあるか、どれだけ高収入であるのか。  お聞きします。収入と過労死、過労自殺の相関を調べたことがありますか。また、収入が高ければ過労死、過労自殺がないと言えるのでしょうか。収入と健康状態の相関がありますか。じゃ、なぜ医者はあんなにたくさん過労死しているんでしょうか。専門職で高収入ですよ。
  293. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 過労死の問題については、これはまた法律もできましたし、しっかり対応していかなきゃいけないというふうに思っておりますが、現時点におきまして、収入と過労死との関係で分析したというものはないというふうに理解しております。
  294. 福島みずほ

    福島みずほ君 この法案を議論する前提がありません。大臣は、高収入であれば交渉能力が高いとおっしゃいますが、本当にそうかというと、そうじゃないんですよ。むしろ中間層というか、責任が重い人たちがうつになったり過労死で亡くなっています。お医者さんだってよく自殺をされたり、これがもとで超党派で全会一致で過労死防止推進法ができたんじゃないですか。  今局長は、収入と過労死、過労自殺の相関を調べたことはないというふうにお答えになられました。これ、調べる必要があるでしょう。でないと、交渉力があるなんて簡単に言えないと思いますが、局長、いかがですか。
  295. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 御指摘のように、過労死防止対策推進法ができました。今、その中でどういう調査研究が必要か、大綱で定めるということになっておりまして、過労死の家族会等、皆さん方にも入っていただきまして、そこは検討していくと。  したがいまして、過労死という観点につきましては私どもしっかりと調査研究をして、何が対策として必要かということを考えていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  296. 福島みずほ

    福島みずほ君 この法案の前提である大臣の、収入が高ければ交渉力があるというのは、それはあり得ないですよ。過労死を議論する上で必要ですが、この法案を議論するせめて前提としても、収入と過労死、過労自殺の相関関係を調べ、収入が高ければ過労死、過労自殺がないと言えるのか、検証をすべきです。また、収入と健康状態の相関もありません。  医者は、医者というか、ほかの専門職もありますが、専門職で比較的収入が高い、でも過労死の遺族の方もたくさんいらっしゃいますよね。これ、どう見ていらっしゃいますか。
  297. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 今回の制度との関係でいけば、対象業務等々もあるということが前提でありますが、一方では、おっしゃるように、過労死等の中ではお医者さんとかそういった高収入の方々がいるという事実は私どもも十分承知しております。  ただ、どういう相関があるかとかそういうことにつきましては、先ほど申しましたように、過労死対策防止推進法もできたわけでありますから、ここはしっかりと議論をした上で必要な研究ができるようにしていかなきゃいけないというふうに考えているところでございます。
  298. 福島みずほ

    福島みずほ君 過労死防止推進法ができても、ホワイトカラーエグゼンプションが成立したら過労死促進法ですよ。きちっとこの相関関係やこれ調べないと、大臣が言う収入が高ければ交渉能力があるなんというのうてんきなことには私たちは乗れないんですよ。これはきちっと調べるべきだというふうに思います。  また、過労死の使用者責任が問えなくなるという、過労死の弁護士たちもそう言っています。私も実は過労死の事件をやりました。立証そのものが本当に大変です。仮に新労働制度の対象労働者が働き過ぎで過労死しても、労災認定されない可能性が高いんじゃないか。さらに、使用者の過労死に対する民事上の責任を問えないことになってしまう。  今回の法案には、過労死認定時間を超える労働を禁止する措置は何もありません。まず、使用者は個々の対象労働者の労働時間を管理、記録しておく義務がなくなります。過労死した労働者が何時間働いていたのか分からなくなる。新しく創設する健康管理時間にしても、実労働時間ではないので過労死基準の労働時間を認定できません。いかがですか。
  299. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 過労死の認定をする場合に、労働時間、どのくらい働いていたかというのが一つの重要な要素であります。これは、現在でも管理監督者等、労働時間の適用除外になっている方でも、労働基準監督署で認定審査が出てくれば、その労働時間をしっかりと確認した上で必要な方に認定している。  ですから、これは労働時間規制があるかないかではなくて、実態としてどういう働き方をしていたか、それが過労死に結び付いたか、これは労災認定でありまして、これは事実関係でしっかりやらせていただいているということでございます。
  300. 福島みずほ

    福島みずほ君 労働時間規制が一切なくなる労働者が誕生し、使用者は労働時間管理の責任を負わないわけです。健康管理時間は実労働時間ではありません。  今だって過労死の認定は大変で、実際の事件で、例えば本人が使っていたパソコンやいろんなものを会社は自宅にも行って全部取っていった。だから、弁護士は、全部一つ一つ立証しなくちゃいけない。でも、今回この法案がもし成立すれば、それに輪に輪に掛けて、健康管理時間というものがあっても労働時間規制はありませんから、過労死は増えるし、立証はより困難になるんですよ。だって、労働時間規制全くないんですから、会社側の使用者責任が問いにくくなる、問えなくなるというふうに思います。  全労働省労働組合が行った労働基準監督官千三百七十人への緊急アンケート集計結果によれば、新労働時間制度が導入されたら職場にどういう影響があるか、長時間・過重労働が一層深刻化すると答えた監督官は九百八十八人、七三・四%、長時間労働が抑制され効率的な働き方ができると答えた監督官は五十六人、四・二%にすぎません。  労働基準監督官が踏み込めなくなるんですよ。サービス残業を摘発するとか、違法な残業だとか、残業代不払は許さないとか、労働時間規制に反しているとか、休日労働に反しているとか言えないんですよ。  冒頭、極端な事例を言ったかもしれませんが、一日十六時間、三百六十日働いても理論上は合法です。労働基準監督官も弁護士も違法でなければ裁判の提訴できないし、労働基準監督官は違法でなければ企業に踏み込めないですよ。だとしたら、野放しになるんですよ、残業代払っていなくてもオーケーなんですから。  こういう労働時間の、というか、私は本当に心からこんな法案ができたらおかしいと思っておりますし、そのことをまたこれからも追及していきたいと思います。  以上で終わります。
  301. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  302. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣
  303. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ただいま議題となりました勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  少子化に伴い若年労働力人口が減少する中で、次代を担うべき青少年が安定した雇用の中で経験を積みながら職業能力を向上させ、働きがいを持って仕事に取り組んでいくことができる社会を築くことが、我が国の経済社会の発展を図る観点からも重要な課題となっています。  このような状況を踏まえ、青少年の雇用の促進等を図り、その能力を有効に発揮できる環境を整備するため、青少年の適職の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講ずることとし、この法律案提出いたしました。  以下、この法律案内容につきまして、その概要を御説明いたします。  第一に、勤労青少年福祉法の題名を青少年の雇用の促進等に関する法律に改め、その内容を抜本的に改正することとし、青少年の適職の選択を促進するため、一定の労働関係法令違反の求人者からの求人の申込みを公共職業安定所において受理しないことができるようにするとともに、新規学校卒業者の募集を行う企業が青少年の適職の選択に資する情報を提供する仕組みを設けることとし、あわせて、青少年の職場への定着の促進に関する取組等の実施状況が優良であることなどの基準に適合する中小企業についての認定制度を創設することとしています。また、国は、職業生活を円滑に営む上での困難を有する、いわゆるニート等の青少年に対して、自立を支援するための施設の整備等の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしています。  第二に、青少年を始めとした働く方々の職業能力の開発及び向上を促進するため、職業生活設計の策定等を支援するキャリアコンサルタントの登録制度を創設するとともに、国は職務経歴等を明らかにするジョブ・カードの普及に努めることとするほか、技能検定の実技試験の実施方法を見直すこととしています。  最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、平成二十七年十月一日としております。  以上がこの法律案の趣旨でございます。  御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。
  304. 丸川珠代

    委員長丸川珠代君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会