○小西洋之君 小西洋之でございます。
私は、
憲法審査会で、
国民から見た
二院制の
役割を
議論するとき、今まさに求められていることは、解釈改憲により、安保
法制によって破壊されようとしている
我が国の法の支配、立憲主義、すなわちは
国民の
憲法を守る
役割であるというふうに思うわけでございます。この点、我が
参議院は
衆議院が果たし得なかった
役割をしっかりと果たしてきたところでございます。
その一つは、昭和二十九年の六月二日の
参議院の本会
議決議でございます。自衛隊の海外出動、すなわち集団的自衛権の行使をなさざることに関する
決議でございます。
その
趣旨説明においては、
憲法九条の自衛とは、
我が国が不当に侵略された場合に行う正当防衛行為であって、それは
我が国土を守るという具体的な場合に限るものでありますと明言をされております。さらに、
憲法の明文が拡張解釈されることは誠に危険なことであります、ゆえにその危険を一掃する上からいっても、海外に出動せずということを
国民の総意として表明しておくことは、
日本国民を守り、
日本の民主主義を守るゆえんであると思うのでありますというふうに明言されているところでございます。
この本会
議決議と昨年七月一日の閣
議決定及び今
参議院に提出されている安保
法制の限定的な集団的自衛権なるものがまさに真っ向から違反することは、小学生でも分かる明々白々の事実でございます。
また、こうした本会
議決議及び先ほど白先生が披露なさいました昨年の六月十一日の附帯
決議がございます。私はあの附帯
決議の案文を起草させていただいた当時次席幹事でございましたけれども、まさに
憲法解釈の変更案、すなわち七月一日の閣
議決定の最終案文そのものを我が
参議院に提出し、十分な
審議を受けない限りは
憲法の解釈変更をしてはならないという明文
規定でございます。これを真っ向からじゅうりんした暴挙であることも明々白々でございます。
そして、その七月一日の閣
議決定の内容でございますけれども、昭和四十七年
政府見解、それを作成した吉國当時
内閣法制局長官の、他国に対する武力攻撃では、
日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利は覆ることはない、ゆえに、
憲法九条の下で行う自衛の措置というのはない、あり得ないというその答弁、作成の契機になった三週間前の答弁があるのに、その昭和四十七年見解を読み替えて限定的な集団的自衛権を可能にする。
さらに、この九月の四日の、これ私の質疑でございましたけれども、安保特でございます。実は、四十七年見解にはもう一つの四十七年見解があったことが明らかになったわけでございます。当時、全く同じ質疑に基づいて防衛庁が作成し、そして作成の過程で
内閣法制局に合い議をして提出したその防衛庁の
政府見解においては、九条の下において行われる自衛権の発動というのは、いわゆる自衛権の三要件、
我が国に対する急迫不正の侵害があることに該当する場合に限られると明々白々に書かれているところでございます。もはや、昭和四十七年
政府見解の読替えが全くの暴挙であることは、もう中学生、高校生でも十分に分かる事実でございます。
このような違憲立法をこのまま放置してよろしいんでしょうか。このことを我々
参議院はまさに良識の府として
考えなければいけないと思います。
最後に申し上げたいこと、六十日ルールということが与党の幹部の
皆様からも言われておりますけれども、先ほども申し上げましたように、我が
参議院の昭和二十九年の本会
議決議は、今、
政府が
国会に出している安保
法制の
憲法解釈を真っ向から否定しています。にもかかわらず、
参議院の本
会議を開かずに、我が
参議院にかかっている
法案を返付して
衆議院に召し抱えて、よって
衆議院の単独
可決でその
法案を成立させることは、まさに
参議院の否定そのものでございます。このようなことを断じて許してはいけないと思います。
最後に、尊敬する
柳本会長にお諮り申し上げたいんですけれども、先ほどの白前筆頭幹事の
発言は非常に重いものがございます。昨年の六月十一日の附帯
決議違反、七月一日の閣
議決定がその我が
憲法審査会の附帯
決議に違反しているということについて、是非幹事会でお取扱い、またそれに当たりましては、先ほど申し上げました昭和四十七年
政府見解の読替えなどの違憲問題、あるいはこの六十日ルールというのも五十九条二項の
憲法問題でございますので、この昭和二十九年の本会
議決議との
関係も含め、どうかお取扱いを
お願い申し上げます。
ありがとうございました。