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2015-09-07 第189回国会 参議院 憲法審査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年九月七日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      江崎  孝君     石橋 通宏君      尾立 源幸君     牧山ひろえ君      斎藤 嘉隆君     野田 国義君      水野 賢一君    渡辺美知太郎君  八月二十六日     辞任         補欠選任     渡辺美知太郎君     水野 賢一君  八月二十七日     辞任         補欠選任      水野 賢一君    渡辺美知太郎君  九月四日     辞任         補欠選任      有田 芳生君     浜野 喜史君      福山 哲郎君     広田  一君      藤末 健三君     白  眞勲君  九月七日     辞任         補欠選任      山下 雄平君     島田 三郎君      吉良よし子君     大門実紀史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         柳本 卓治君     幹 事                 愛知 治郎君                 高野光二郎君                 堂故  茂君                 豊田 俊郎君                 丸山 和也君                 金子 洋一君                 小西 洋之君                 西田 実仁君                 儀間 光男君                 仁比 聡平君     委 員                 阿達 雅志君                 赤池 誠章君                 石井 正弘君                 石田 昌宏君                 宇都 隆史君                 大沼みずほ君                 木村 義雄君                 北村 経夫君                 小坂 憲次君                 上月 良祐君                 佐藤 正久君                 島田 三郎君                 滝波 宏文君                 中曽根弘文君                 中西 祐介君                 山下 雄平君                 石橋 通宏君                 徳永 エリ君                 那谷屋正義君                 野田 国義君                 白  眞勲君                 浜野 喜史君                 広田  一君                 前川 清成君                 牧山ひろえ君                 魚住裕一郎君                佐々木さやか君                 矢倉 克夫君                 清水 貴之君                 大門実紀史君                 田中  茂君                 江口 克彦君                渡辺美知太郎君                 福島みずほ君                 主濱  了君    事務局側        憲法審査会事務        局長       森本 昭夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基  本法制に関する調査  (二院制について)     ─────────────
  2. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。  この際、御報告を申し上げます。  本審査会の当面の調査テーマにつきましては、幹事会等で協議いたしました結果、二院制とすることに決定いたしました。  何とぞ委員各位の御協力をお願いをいたします。  日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。  本日は、二院制について委員間の意見交換を行います。  まず、各会派一名一巡により、各六分以内で意見表明を行っていただきたいと存じます。発言時間の経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、意見のある方は順次御発言願います。  愛知治郎君。
  3. 愛知治郎

    愛知治郎君 自由民主党愛知治郎であります。  自由民主党代表して、二院制について発言をいたします。  自民党では、日本国憲法制定の経緯、その後の時代の変遷とともに生じる現実との乖離から、解釈では乗り越えられない限界など、様々な現行憲法矛盾点が示されているところから、平成二十四年に日本国憲法改正草案を策定、提案しております。  参議院自民党としては、今春より政策審議会において将来を見据えた参議院在り方検討を開始し、参議院議員選出のための選挙制度のあるべき姿とともに、中長期的に将来的な参議院在り方についての主要なテーマ検討してまいりました。今回は、参議院自民党としての二院制についての基本的な考え方とともに、これらについても併せて報告をさせていただきます。  まず、二院制についてでありますが、自民党としては、二院制を維持するとともに、衆議院優越についても現行の立場を踏襲するというものであります。  この理由としては、二つの院の相互抑制均衡により慎重審議実現する、第一院審議の不十分さや欠陥を補うことができる、議院内閣制の下で国会行政監視機能を高めるためには二院制が必要である、国民の多様な意見や多元的な価値をきめ細かに反映することができる、長期的視野に立った安定的な議論ができるなど、参議院には衆議院とは異なる役割があると考えるからであります。  参議院自民党としては、我が国のように両院とも公選の場合、両院機能に優劣を付けるよりも、機能のすみ分けを目指すのが妥当な選択考えます。現行憲法前提としつつ、憲法許容範囲内で参議院独自の機能を付与することが適当と考えております。  先ほども申し述べたとおり、参議院自民党としては、今般の選挙制度改革に関する議論の中で、参議院議員選挙制度改革議論するには、まずは将来的な参議院在り方を見据えて議論すべきと考え政策審議会の中に参議院在り方検討プロジェクトチーム設置し、参議院議員選出のための選挙制度のあるべき姿とともに、将来的な参議院在り方について検討してまいりました。  この方向性は、本年七月に成立した参議院選挙制度改革に関する公職選挙法改正の附則において、平成三十一年の参議院議員通常選挙に向けて、選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとされましたが、これは参議院在り方を踏まえて行うこととされたことと軌を一にするものであります。  以下、自民党としての参議院在り方についての基本的な考え方が述べられておりますので、プロジェクトチーム検討した参議院議員選出のための選挙制度のあるべき姿について御説明をいたします。  参議院議員選出のための選挙制度在り方は、参議院の本来的な役割検討した上で、そのために最もふさわしい選挙制度はどうあるべきかという視点考える必要があります。  そのために、衆議院参議院役割について比較検討すると、まず、衆議院首班指名における優越を有しており、政権選択を通じて民意を集約する役割を持っております。また、解散不信任決議によって常に内閣抑制均衡を保つ関係にあります。予算や条約に関する優越衆議院に認められていることも、内閣と密接な関係を持つことと整合的であると考えます。  一方で、参議院解散がないため、衆議院ほど政権と表裏一体の関係ではありません。また、憲法上、議員任期が六年という長期でありまして、半数改選とされていることから、議論安定性連続性が担保されております。このことから、中長期的な視野に立って慎重な審議を行い、多様な民意を反映する役割が求められていると考えます。参議院が良識の府と呼ばれ、党派色を薄めて、個人の識見に基づく議論を展開することや、国民少数意見を酌み取ることが期待されているという認識も、この憲法上の位置付けから導かれるものであります。  こうした参議院役割を踏まえた選挙制度として、公職選挙法では、被選挙権を満三十歳以上という衆議院より高い年齢に設定し、定数も衆議院の約半数とすることで、高い識見を有する少数精鋭を選抜する仕組みになっております。同時に、地域的な多様性専門的な知見を議席に反映させるため、地域代表的性格職域代表的性格を重視した選出方法が取られております。  参議院創設当時、参議院議員選出方法を定めた参議院議員選挙法提案趣旨説明では、地方選出議員には地域代表的性格があり、全国区を導入した理由としては、学識、経験共に優れた人材の選抜と職能代表制の有する長所を取り入れる狙いがあると説明されております。選挙区と全国比例区から成る参議院現行制度にもこの考え方は受け継がれているとしております。  次に、投票価値の平等としては、衆議院の場合には、上記のとおり、民意の多数派が政権を形成するという機能を持つため、民意の多数派と議席の多数派が一致する必要があります。したがって、一人一票を理想として、可能な限りそれに近づけるという、厳密な意味での投票価値の平等が求められます。  一方で、参議院も全国民代表である以上、投票価値の平等という要請から無縁ではありません。しかしながら、憲法上で半数改選が定められていることからも、衆議院のように投票価値の平等が厳密に求められるものではなく、直近の民意に加えて、より中長期的な視点や多様な観点からの審議も期待されているところであります。そのため、投票価値の平等に関しては、衆議院よりも緩やかな制約の下で、地域性専門性を重視した選出方法を取ることに合理性があると言えます。  また、中長期的な今後のテーマについてでありますが、党プロジェクトチームにおいては中長期的な今後のテーマについても議論を行っていますが、その一部を紹介いたします。  まず、衆議院との関係について、衆議院優越を強めるか両院対等とするか等、変更の必要をどう考えるか。予算決算役割分担をどう考えるか。国会同意人事について、両院で審査する必要性についてどう考えるか。内閣との関係について、参議院からの閣僚等の登用の是非についてどう考えるか。また、議員人材として専門家、有識者であることの要件をどう反映するか。海外との関係では、議員外交強化すべきではないか。また、この点に関連し、参議院議員英語表記見直しをするべきではないか。また、委員会調査会の組織、機能強化見直し参議院議員選出のための選挙制度在り方国民に開かれた参議院広報在り方。また、一度も実現をしていない皇族の傍聴。国立国会図書館機能拡充をどう考えるか等々の意見があったところであります。  参議院自民党としては、上記に述べた参議院在り方、あるべき姿の検討は、自民党だけで行うのではなく、全会派が参加して議論すべきと考えます。既に各会派におかれましてもそれぞれ議論が行われているものと考えますが、参議院全体として一定結論を出すべきと思い、先般、参議院議長に、議長主導の下に全会派が参加して議論する場として参議院改革協議会設置お願いをしたところであります。各会派先生方におかれましても、趣旨を御勘案の上、何とぞ対応をよろしくお願いを申し上げます。  以上で私の発言を終わります。
  4. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 金子洋一君。
  5. 金子洋一

    金子洋一君 お疲れさまでございます。民主党金子洋一でございます。  ここでは、民主党の二〇〇五年に作成をいたしました憲法提言に基づきまして、二院制在り方、さらには参議院基本的な在り方について、基本的な考え方を改めて述べさせていただきます。  我が党の基本的な方針を一言で申し上げますと、二院制は堅持するが、議会改革し、参議院役割を変えるべきであるとするものでございます。  まず、我が党の政府統治機構についての基本的な考え方は、国民主権が生きる新たな統治機構の創出のためには、従来の官主導統治制度と決別して、民主導の新しい統治制度へ移行すべきだというものであります。国民主権の徹底と権力分立明確化基本といたしまして、首相主導政府運営確立国民の負託を受けた国会行政監視機能拡充強化、そして違憲審査機能充実が柱となってまいります。  さらに、議会改革について申し上げます。  議会を単なる法案審議の場とするのではなく、今日の複雑な行財政システム対外関係を律することが可能な専門的情報管理チェック機能を果たすための仕組み拡充していき、政府に対する国民コントロール権限が十分に発揮されるよう、議会政府行政に対する監視機能を大幅に拡充する必要があると考えております。とりわけ、行政監視院設置国政調査権拡充など議会による行政監視機能整備を通じて、議会の復権若しくは国会活性化を可能とするための改革が必要であると考えております。  さらに、現行国政調査権をより活用できる仕組み確立するとともに、二院制については、決算行政監視充実など専門的、総合的な機能を兼ね備えた参議院制度確立を目指すなどの見直しが必要であると考えております。ただし、この二院制見直しに際しては、分権改革などとの関係を併せて検討すべきであると考えております。  具体的に申しますと、予算衆議院決算行政監視参議院といった役割分担を明確にするとともに、各院の選挙制度についても再検討する。そして政党については、議会制民主主義を支える重要な役割を鑑み、憲法上に位置付けることを踏まえながら必要な法整備を図る。そして選挙制度については、政治家政党利害関係に左右されないよう、その基本的枠組みについて憲法上に規定を設ける。こういった取組を検討していくべきだと考えております。  また、昨年十一月の本審査会の席上で、我が党の前川委員より、両院協議会在り方について問題提起をさせていただきました。  憲法五十九条の三項に基づいて、衆参議決が異なった場合には両院協議会を開催することができますが、皆様も御案内のとおり、衆議院可決され参議院で否決された法案については、衆議院で賛成した会派代表十名と参議院で反対した会派代表十名が集まって、議長をくじで選んだ上で協議会が開催されます。こうした構成になっておりますので、互いに譲り合って合意を形成するというような仕組みになっておりません。参議院の将来のためには、この両院協議会在り方をきちんと議論すべきであると考えております。  また、この点に加えまして、いわゆる六十日ルールについて申し上げたいと思います。  皆様もよく御存じのように、これは、衆議院可決をされ参議院に送付された法案が六十日以内に議決されない場合、衆議院は、参議院法案を否決したものとみなして衆議院出席議員の三分の二以上の多数で再び可決をしたときには法律になるというものでございます。これは、参議院が送付された法律案をいつまでも議決をしないことで会期終了による廃案を企図するなどといった状況が生ずることを防止するための規定でありますけれども、あくまでもできる規定であり、強行規定ではございません。現在参議院審議中の法律案にも送付以来六十日を超えているものが幾つかございますけれども、参議院の威信と存在意義を懸けて、国民が納得のいくまで審議を尽くすべきだと考えております。  以上をもちまして、私からの意見表明とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。
  6. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 佐々木さやかさん。
  7. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。  二院制について意見を申し述べます。  日本国憲法は、第四十二条で両院制規定し、第四十三条一項で「両議院は、全国民代表する選挙された議員でこれを組織する。」としております。衆参いずれもが全国民代表位置付けられております。二院制を採用するほかの諸国を見ますと、連邦制の下で州の利益を反映するために上院を置いていたり、上院議員が民選でない、下院と異なり間接選挙で選出されたりなどという場合が多くなっております。  このように、我が国二院制は、他国に比べますと衆議院参議院で似た地位と権限を有していることから、参議院独自性、果たすべき役割ということが論点となり、一院制とすべきとの意見も存在するところであります。  しかしながら、二院制には以下のような長所がございます。二院制の下では、一院の専断を抑制するチェックアンドバランスが期待できます。二院制は、立法府自体権力分立一定役割を果たすものと考えられます。また、議事が二つ議院によって審議されることにより、先の議院での審議過程で取り上げられず又は明確にならなかった問題点を後の議院審議をするということができます。ほかの院の審議を補い、より充実した議論慎重審議を通じた国民の総意のより正確な反映が期待できます。  こうしたチェックアンドバランス議論を互いに補っていくという観点から優れている二院制は維持されるべきであり、参議院の果たすべき役割についてもこれらの点から考えるべきであると思います。  参議院独自性として重要となりますのが、行政監視機能であります。参議院が、議院内閣制の下で、政府政治的一体性を有する衆議院に対するチェックアンドバランス、補完の役割を担っていることから、より強い行政監視機能を期待されているということは共通の認識と言えると思います。  国会において行政監視専門として扱う委員会は、参議院改革の一環として平成十年に新設された参議院行政監視委員会のみであります。今国会では、行政監視委員会及び参議院会議において、政府に対し、政策評価制度実効性を高めることを求める決議を行いました。行政監視委員会は、創設以来、必要に応じて決議議決や苦情、請願の採択を行うなど、着実に活動の実績を積み上げてきておりますが、同委員会の一層の活性化など、参議院行政監視機能強化に今後も取り組む必要があると考えます。  もう一つ重視されるべきであるのが、参議院決算審査であります。財政再建のためにも、予算の無駄を是正し、より良い予算編成予算執行実現しなければならず、決算審査重要性はますます高まっていると思います。参議院では、決算審査充実のために、これまで政府に対し決算早期提出を求め、早期審査に努めるなど、様々な改革を行ってまいりました。その結果、決算審査の内容を予算編成に反映させるという予算決算サイクルが構築されてきています。  予算審議決算審議一連一体のものとして行われるべきでありますので、衆議院予算参議院決算という単純な立て分けではなく、参議院の特徴に応じて長期的な検討を要する事項に重点を置くなどしながら、参議院での予算決算サイクル充実に今後も取り組むべきであると思います。  参議院選挙制度については、参議院に独自の性格を持たせるため、選出方法衆議院とは異なるものにすべきとの意見もあります。しかし、その場合も、冒頭に述べたように、憲法衆参いずれも全国民代表位置付けていることに留意をすべきであります。  平成二十五年七月の参議院通常選挙について判断をした最高裁、平成二十六年十一月二十六日大法廷判決も、「参議院衆議院とともに国権の最高機関として適切に民意国政に反映する機関としての責務を負っていることは明らかであり、参議院議員選挙であること自体から、直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。」としています。  参政権国民の重要な基本的権利でありますので、今後も参議院選挙における投票価値の平等の実現については議論努力を続けていく必要があると考えます。  以上です。
  8. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 清水貴之君。
  9. 清水貴之

    清水貴之君 維新の党の清水貴之です。  現在、政府提出安全保障法制に関する法案参議院において審議されており、政府案憲法適合性の問題につき、連日、真摯な議論が闘わされています。維新の党も、安全保障法制に関する自らの考え法案にまとめ、皆様に御議論をいただいているところです。  我が国の将来に関わるこの重要な法案について参議院としてどのような判断を下すのか、今まさに二院制意義が問われていると考えます。その意味においても、本日この憲法審査会の場において二院制について議論をすることは極めて意義深いことであると考えます。  そこで、二院制について、我々維新の党の考え方をお伝えしたいと思います。特に、維新の党が考え統治機構改革の全体像の中に参議院あるいは国会在り方をどのように位置付けていくかという観点から意見を述べたいと思います。  まず初めに、維新の党は、統治機構改革により、この国の形を決める仕組みをグレートリセットすべきであると考えています。今、日本は、経済グローバル化と大競争時代の荒波の中で、新陳代謝が遅れ、国力が停滞、弱体化し、国民は多くの不安を抱えている、そのように考えています。我が国がこの閉塞感から脱却し、国民の安全、生活の豊かさ、伝統的な価値や文化などの国益を守り、かつ国の将来を切り開いていくためには、より効率的で自律分散型の統治機構確立することが急務です。  維新の党は、以上の認識の下、直接国民から選ばれた首相が一義的には国民に対して責任を負い、自ら掲げた政策のイニシアチブを取り、国民の支持の下で強いリーダーシップを発揮し、与えられた任期において最大限の使命を果たす努力が求められる首相公選制と、国の役割外交安全保障マクロ経済政策などに集中する中で、広域地方政府として道州制を導入して、最終的には憲法四十二条を改正し、一院制国会創設することを目指しています。  一院制につきましては、首相公選制前提とするならば、一つの国家の意思二つの院の意思で決める制度の合理的な理由がないと思われます。従来より、衆議院及び参議院とも与党が過半数を制していれば、参議院衆議院焼き写しと言われ、逆にねじれていれば、再考の府というよりも決められない政治のデメリットが度々強調されてきました。  社会が目まぐるしく変遷する時代、まさに政治判断が要求されております。それなのに、我が日本政治は余りにスピード感がなさ過ぎると言っても過言ではありません。したがって、一院制にした方が、責任を問われた場合にも分かりやすく、より政治的確性透明性が高まるものと期待できます。  しかしながら、国の統治におけるチェックアンドバランス機能を重視すれば、いきなり一院制まで行くのはどうかという議論もあり得るかと思います。その場合、一院制に至るまでの過渡的な措置として、両院がそれぞれ異なる観点から異なる役割を果たすことを明確にすることにより、チェック機能を有効に働かせることが望ましいと考えます。  このような考えから、現在のように、参議院衆議院位置付け権限議員選出方法が似通っている状況をいかに改めるのかという議論を避けることはできないものと思われます。その場合、道州制との整合性を高めるという視点からは、参議院議員公選制を維持しつつ、両院議員性格やその選出方法の原則を憲法に明記し、参議院では道州代表的な要素を打ち出していくこともあり得るでしょう。道州の首長と参議院議員の兼職を認めるということも一つの選択肢となると考えます。私たちは、日本維新の会の時代に、地方公共団体の長と参議院議員との兼職を可能とする法案を提出しているところです。  なお、道州の首長と参議院議員との兼職が認められ参議院に首長が集うことになれば、当然、その審議在り方についても検討がなされることになると考えます。道州代表的な側面をもっと強調していけば、国民代表としての二院制ではなく、ドイツの連邦参議院のような道州代表としての性質に純化し、全ての参議院議員が道州の首長や大臣から構成されるという形もあるかもしれません。しかし、この場合には、連邦制と道州制の違いなど、国の成り立ちに関わる根本的な議論を踏まえる必要があると思います。  また、特に我が党が目指している首相公選制との関係でいえば、参議院役割について、衆議院とは異なった首相に対する事後的なチェック機関としての性質を強調していくことが考えられます。この点で維新の党は、米国会計検査院型の強力な会計検査機関国会設置することを提案しています。これと参議院決算審査とのリンクを強化していくこともあり得ると考えています。  なお、現在最高裁判所が持つ違憲立法審査権を強化する観点から、参議院によるチェック機能の一つとして、最高裁に違憲審査を求めるための勧告権を参議院に付与するといったことも検討されるべき論点であると考えます。  以上、二院制に関して我々維新の党の基本政策を基に意見を述べてまいりましたが、これらの項目はいずれも憲法改正抜きには実現することは困難であることを申し上げ、意見表明としたいと思います。  御清聴ありがとうございました。
  10. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 仁比聡平君。
  11. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  前回、五月二十七日、私は、今日我が国における最大の憲法問題は、安倍内閣の集団的自衛権行使容認など、昨年七月一日の閣議決定及び今国会への戦争法案の提出強行であり、それ自体が戦後最悪の憲法破壊であって断じて許されないことを厳しく指摘しました。そして、今日、二院制をめぐり参議院に問われているのは、その戦争法案を廃案にすることというべきです。  第一に、立憲主義と国会役割についてです。  安倍政権は、決めるべきときは決めるのが民主主義だ、国民の十分な理解が得られなくても決めなくてはならないなどと言いますが、全くの暴論です。民主主義の根幹は、政治と社会の根本的な在り方国民憲法に定め、その憲法に従って政治をするところにあり、政府及び国会議員は重い憲法尊重擁護義務を課せられているのです。  侵略戦争に対する痛恨の反省を踏まえ、日本国憲法憲法九条に戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を明記しました。明白な憲法違反の法案を数の多数で強行することはできません。  六月四日、衆議院憲法審査会で与党推薦を含む三人の憲法学者がそろって戦争法案は違憲と述べたのを引き金に、言わば違憲ショックが政府・与党を襲いました。与党幹部は、国会運営に緊張を欠いていたとか、事前に防ぐことができたと述べましたが、事前に防ぐことができたどころか、大抵の憲法学者なら、正面から質問されれば誰でも憲法違反と答えるしかないのは当たり前です。  与党幹部は、砂川判決を読んでいないのかとか、何が必要かを考え抜くのは憲法学者ではなく政治家だ、憲法の番人は最高裁であり憲法学者ではないなどとも言いましたが、法案それ自体が戦後最悪の憲法破壊にほかならないという根本的矛盾は、議論すればするほど深まるばかりです。  今月三日、取材に応じた山口繁元最高裁長官は、集団的自衛権の行使を認める立法は憲法違反、立憲主義や法治主義が揺らぐ、従来の解釈が国民に支持され九条の意味内容に含まれると意識されてきた、その事実は非常に重いと警鐘を鳴らしました。また、砂川判決が集団的自衛権を意識して書かれたとは考えられない、七二年見解の論理的枠組みを維持しながら集団的自衛権の行使も許されるとするのは相矛盾する解釈の両立を認めるもの、七二年見解が誤りだったと位置付けなければ論理的整合性は取れないと、いずれも論理的な矛盾がありナンセンスだと厳しく批判しているのです。憲法九条との論理的整合性も法的安定性も欠如した戦争法案は、廃案しかありません。  第二に、戦争法案は、自衛隊が平時から有事まで切れ目なく米軍と一体に肩を並べて軍事行動を行おうとする改定ガイドラインの実行法です。重大な軍事行動について、法案上、法理上に限定はなく、時の政府判断次第で先制攻撃と侵略を辞さない米国と際限なく一体化し、武力行使を可能とするものです。それは、憲法九条をなきものにする憲法破壊であり、政府答弁が破綻と撤回を繰り返し、国会審議が中断を繰り返している根本問題は、かかる法案の違憲性、対米従属性にあるというべきです。  我が党が独自に入手し、国会に示してきた統合幕僚監部内部文書や統合幕僚長の米軍幹部との会談記録は、陸海空自衛隊を束ねる統合幕僚監部が、法案の八月成立を前提にして、海外派兵や日米共同作戦計画などを、国会答弁さえごまかし、国会にも国民にも全く秘密裏に具体的に検討し、進めていることを示す重大問題です。そこで明らかとなっているのは、憲法を根底から覆す究極の対米従属というべき事実であり、この問題を明らかにすることは法案審議に先立つ参議院の責務というべきです。  最後に、私は、衆参それぞれの院が、主権者国民代表する唯一の立法機関として審議を尽くすことが二院制基本原理であることを強調したいと思います。八割を超える国民が今国会で成立させるべきではないと声を上げ、八月三十日の日曜日、戦争法案廃案、安倍政権退陣、国会十万人、全国百万人大行動が行われました。人々の怒りが世代を超えて重なり合い、文字どおり国会は包囲され、埋め尽くされました。官房長官は、大きな誤解が生じていることは極めて遺憾などと述べましたが、それこそが大きな誤解です。深い理解が広がり続けているからこそ巨大な人々が動き出しているのです。この民意を正面から受け止めるのが参議院の責務です。  強行採決は絶対に許されないし、世論に包囲され、参議院審議を続けているのに衆議院が再議決するなどはまさに国民主権の否定、ファシズムにほかなりません。その衆議院の与党多数は、二〇一二年総選挙でも四割の得票で八割の議席という、小選挙区制による虚構の多数でしかないのです。  日本共産党は、憲法違反の戦争法案を廃案にし、憲法改悪のあらゆる企てに断固として立ち向かう決意を述べ、意見表明といたします。
  12. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 田中茂君。
  13. 田中茂

    ○田中茂君 日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。  戦後の二院制考えた場合、当初GHQから提示された日本国憲法草案、いわゆるマッカーサー草案、それでは貴族の身分がなくなり、貴族院は不要として国会一院制になっていたと理解しております。これを見た松本烝治国務大臣は、一院制では選挙で多数党が替わるたびに前政権が作成した法律が全て変更され、政情が安定しなくなることを指摘し、GHQ民政局局長のホイットニー准将に二院制の存続を迫ったと聞いております。  この松本氏の二院制採用の趣旨は、世界多数国の例に倣う、不当なる多数圧制の抑止と行き過ぎたる偏倚の制止、またその背景には、日本人特有の左右いずれに向かっても過激に偏頗する、軽々しく時の勢力に阿附する事大性、雷同性の民族性があることを指摘されております。つまり、日本人はどちらに向かうにも熱しやすく、片方にわっと行ってしまうところがあり、権力者にへつらったり扇動されたり、またすぐ他人の説に同調したりするところがあると。したがって、二院制にして慎重にダブルチェックをした方がいいというわけであります。  これまでに衆議院議決参議院で否決された例は幾つかあります。その中でも二院制の危機を招いた例として、今から十年前の小泉純一郎首相政権下、二〇〇五年の郵政民営化法案があります。  郵政民営化法案は、衆議院において僅か五票差で可決されました。それだけ賛否が拮抗した案件であったわけです。一方、参議院では賛成百八票、反対百二十五票で否決されました。それは、戦後有数の重要案件であったがゆえに、参議院でよく吟味すべきとのチェック、精査機能が働いたのであり、参議院の特性として典型的な役割を果たしたわけであります。  衆議院可決された法案参議院で否決された場合は、まず衆参両院協議会を開き、衆議院参議院の調整を試みるのが常であります。しかしながら、小泉首相は、通常の手続を完全に無視し、両院協議会を開くことなく、その日のうちに衆議院解散しました。  両院協議会での協議がまとまらない場合は、再度衆議院に戻され、三分の二の多数議決で議案は可決されますが、三分の二に達しなければ廃案となるわけであります。郵政国会当時、衆議院での再可決に必要な三分の二以上の賛成を与党が得るのは不可能と見られておりました。そこで、小泉首相が取ったのが解散だったわけであります。  このような行為は前例がなく、参議院の存在を全く無視した暴挙でありました。憲法には、両院議決が異なった場合を前提にした規定があります。それを全て排除したわけですから、これは議会政治の否定であり、憲法違反の疑いもあるとの当時は議論がありました。  行政府代表である首相が、国会議決、しかも参議院議決が不服、不満だといって衆議院選挙で決着を付けようとするのは言語道断の筋違いであります。これは、三権の独立と、国会は国権の最高機関であるを完全否定し、行政府の長である首相を優位に置いたことを意味します。  小泉首相は、解散宣言後の記者会見で、今国会で残念ながらこの法案は否決され廃案となりました、国会結論が郵政民営化は必要ないと判断を下された、私は本当に国民の皆さんがこの郵政民営化は必要ないのか国民の皆さんに聞いてみたいと思いますと語り、この衆議院選挙の結果は自民党圧勝で終わりました。  ここで再認識されるのが、二院制を提言した松本烝治大臣による日本人の性質に関する分析で、それは、左右いずれに向かっても過激に偏頗すであります。参議院意義と存在が懸かった極めて重要な政治的局面であったにもかかわらず、当時は、私の記憶では中曽根弘文議員のみが記者会見で抗議したことを記憶しております。  衆議院に優位性があるのは確かでありますが、だからこそ、参議院存在意義を示すためにも、参議院自らがその存在を懸けて断固とした死活的抗議をすべきでありました。小泉解散を安易に許した段階で、参議院必要性と存在性を参議院自らが否定したと取られてもおかしくはありません。あのような行為を前例としてつくったこと自体参議院不要論を強めると考えております。参議院でそういう意識改革ができていない限り、また起きる可能性もあります。当然、総理大臣もそのような問題意識を持つべきではありますが、少なくとも、衆議院解散は違法ではありません。  では、今後参議院はどうすべきなのか。  参議院の表決を理由内閣衆議院解散することは、その手法の是非に関し賛否両論あるものの、現実的には可能であり、実際それが実行されたわけであります。現行憲法では、内閣総理大臣に衆議院解散する権利は当然認められておりますので、解散そのものは憲法違反を構成するものではありません。しかし、現在の参議院役割と同時にその限界、つまり牽制機能が働かないというジレンマが明らかになったわけであります。  確かに、ここ一か月間のオリンピックに関する一連の騒動を見ていますと、日本人は、どちらに向かうにも熱しやすく、片方にわっと行ってしまうところがあり、権力者にへつらったり扇動されたり、また、すぐ他人の説に同調したりするところがあるとの松本大臣の指摘は当たっているのかもしれません。  その意味でも、参議院必要性を含め、健全な議会政治を運営していくために、参議院の牽制機能が働くための仕組み議論し、導入することが今後の参議院として果たすべき役割考え、私の今日の発言は終わりにいたします。
  14. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 江口克彦君。
  15. 江口克彦

    ○江口克彦君 次世代の党の江口克彦でございます。  次世代の党におきましては、一国の最高法規である憲法国民自らの手で自主的に作られるべきとの考えに立ちまして、党として自主憲法草案を作成するため、本年一月、党内に自主憲法起草委員会を設立することを決定し、年内の草案発表を目指して現在検討を重ねているところであります。  国会については、英国やドイツなど主要先進国の例も検討した結果、我が党としては二院制を維持することといたしました。しかし、問題なしとしているわけではありません。国会については、二院制意義、とりわけ第二院たる参議院役割明確化し、国会の立法機能政府に対する行政監視機能強化を図らなければなりません。  また、参議院役割として、一定の案件については参議院の先議にする、あるいは参議院の専権事項とすることが考えられます。例としては、条約の承認や決算の審査が挙げられます。  一方、立法機能について考えますと、参議院があることによって慎重な審議が担保されるという面を一層充実させることが求められますが、反面、最後は法律の制定を決定できるシステムであることも必要であります。法案衆議院による再議決要件を三分の二から緩和し、過半数とすることも検討すべきである。この部分を改めることによって、ねじれ国会となった場合における決められない政治という課題を克服できるのではないかと思っております。  また、国民生活に重大な影響を与える予算及び予算関連法案に対する衆議院参議院の取扱いについても議論の必要があるように思います。我が国では、予算関連法案は単なる法律案にすぎませんが、例えば英国では予算予算関連法案も金銭法案として下院が優越する仕組みとなっており、大いに検討するべき事項と考えます。  国会行政監視機能強化という観点からは、衆議院と比較して内閣と密接な関係を有しない参議院が果たす役割は大きいと思います。  参議院行政監視機能強化のための工夫としては、例えば参議院においては、国政調査のみならず、これを通じて行政執行上の問題点を明らかにし、その改善を求めるべく決議を積極的に行うことが考えられます。そして、決議を行うにとどめることなく、当該決議を踏まえた政府の取組についての報告を求め、行政執行の問題点の解消の状況を検証するといった取組が極めて重要ではないかと考えております。こうした行政監視サイクルをつくることが参議院行政監視機能強化することになるのではないかと思っております。  私見になりますが、二院制及び参議院役割について思うところを述べさせていただきます。  まず、政治を行う上では、緊張の要素と慎重の要素が必要だと考えております。緊張というのは、安易に政策結論を出さないようにすることであり、慎重とは、丁寧に審議をしていくということであります。国会一院制にした上で議会内閣制を採用した場合、緊張も慎重もなくなってしまい、結論は早く出ますけれども判断を誤る危険性が高まります。一院制にも二院制にも一長一短がありますが、緊張の要素と慎重の要素という点において、やはり二院制は優れていると考えます。  また、参議院のあるべき姿について申し上げますが、良識の府としての参議院においては、党議拘束を外し、政治家自らの責任判断意思決定を行うべきであります。そして、参議院議員は、大臣等として行政に入ることなく、立法府としての職務に専念し、国民の側に立って政府を監視する機能を高めるべきであると考えます。  最後に、定数削減について申し上げます。  私は、持論として、地方分権を進めた上で小さな国会を目指すべきであると考えております。国会議員国民とのコミュニケーションをしっかり取り、多様な民意をきちんと反映することができれば、衆議院議員を三百人に、そして参議院議員を百名にそれぞれ削減することも十分可能であると考えます。  以上です。
  16. 柳本卓治

  17. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 無所属の渡辺美知太郎です。私は政党に入っておりませんので、個人的な見解を述べさせていただきます。  かつて、ある経済誌が、二〇二〇年までになくなる可能性がある仕事というのを特集していました。テクノロジーの発展、グローバル競争の激化、雇用形態の変化などにより、従来までは当たり前にあった職業が東京オリンピック・パラリンピックまでにはなくなっている可能性があるというものでした。  例えば、ネット販売の普及により訪問型の営業職がなくなる、音声入力のテレビ、タブレットの普及により受付、案内業務がなくなる、また、大企業の大幅な人員削減やグローバル競争の激化などにより中間管理職や日本人の取締役がいなくなるのではないかといったものでした。  さて、その職業の中に参議院議員というのも入っておりました。その理由として、財政再建への対応が遅々として進まず、社会保障の大幅カットが現実味を帯びる中、これまで以上に政治家自身も身を切る必要に迫られている、そこで、衆議院のカーボンコピーと言われている参議院の廃止によって議員削減で手を打つというシナリオがあってもおかしくないという、大変手厳しい内容だったことを覚えています。  しかし、参議院での審議そのものを見てみますと、例えば、我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会、以下平安特と申しますが、平安特での議論を見ますと、衆議院では違憲か合憲かといった議論、また自衛隊員のリスクが上がる下がる、そういった話が多くありましたが、参議院では幅広い議論が行われているように思います。また、年金情報流出問題についても、衆議院議論の後に更に深掘りした審議が行われているように私は思います。平安特にしましても、野党の指摘と政府の答弁がかみ合っているかいないかはここではおくとしまして、そもそも参議院がなければこの安保特の採決も終わっているわけでありますし、私は、同じ法案を異なるメンバーで異なる視点審議をする二院制意義があると思っています。  さて、そもそも、歴史を振り返ってみますと、明治時代以降、戦前にかけて、日本衆議院と貴族院から成る二院制を取っておりました。その後、太平洋戦争を経て、日本国憲法の制定に当たり、先ほど田中先生もおっしゃっていましたが、いわゆるマッカーサー草案では貴族院制度の廃止と一院制の推奨をされました。それに対して日本側は、一院制を取ると政策の継続性や安定性が損なわれるといったことを理由にして、二院制を取りたいということを主張しました。そして、GHQとの交渉の末、現在のように衆議院参議院から成る二院制を取るということが憲法に定められ、現在に至っております。  二院制でのメリットは、言うまでもありませんが、二つの院があるということで、やはり慎重な議論実現ができるということを挙げられています。他方、デメリットとしては、二院制政策決定の遅延が起こるのではないかという点が挙げられていますが、チェック機能として参議院はこれまで一定役割を果たしてきていると私は考えております。しかし、先述のとおり、国民の目からは、参議院衆議院のカーボンコピーではないかと、二院制から一院制への移行を望む声も大きいというのが現状です。  先日可決された参議院の合区を盛り込んだ公職選挙法改正案の結果も踏まえ、憲法改正を行い、地域代表の色を強くする、また、米国のように役割衆議院参議院で分ける、そういった議論もなされています。この点も含んで、参議院在り方について議論するということは有益なことだと思います。  しかし、形だけ変えても意味はありません。法案審議在り方などについても、国民衆議院との違いをしっかりと伝えていく必要があると思っております。これは、与党、野党の垣根を越えて取り組んでいく問題だと思っております。緊張感を持った国会実現させ、国民参議院の有益性を御理解いただけなければ、参議院の存続は厳しいものだと思っております。  以上で私の意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  18. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 福島みずほさん。
  19. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。社民党を代表して発言をさせていただきます。  社民党は、二院制を堅持すべきだという考え方です。民主主義の強化というのが最大の理由です。  立法府は国権の最高機関であり、三権分立の中で最高の地位を占めております。最高機関である国会の民主主義の強化という意味では、二院制の方がはるかに優れております。また、行政の監視という点でも立法府を強化していくこと、そのためには二院制がふさわしいというふうに考えております。  小選挙区と郵政民営化のときに、衆議院可決し、参議院では否決をいたしました。衆議院参議院で違う結論が出る。私は、このときの参議院結論議論はとても必要なものであったと思っております。  最近も、戦争法案について衆議院は強行採決をやりました。もし一院制であれば、あの強行採決のまま法案は成立をしたことになります。今のような様々な議論が一切なされない、そんな一院制では、民主主義の本当に脆弱化につながる、国会のある意味強行採決でいかにでも短期間にひどい法案を成立させることができる、このような事態を決して招いてはなりません。  また、衆議院参議院選挙制度が違いますので、バックグラウンドの違うものを持つ人々、多様な人々が国会議論する、それも二院制にとって重要なことであるというふうに考えております。  社民党は二院制を堅持し、かつ二院制、とりわけ参議院強化する立場で頑張っていきたいと思っております。  もちろん私も参議院議員ですが、ドメスティックバイオレンス防止法や、調査会を舞台に多くの議員立法がたくさんの議員によって作られております。六年間の任期の中で超党派の枠組みをつくりやすく、安定していい立法を作ろうという、まさに国会で最も必要な立法活動をやるのにふさわしいシステムが参議院だと実は思っております。二院制を堅持し、二院制強化し、民主主義を活性化するために参議院の皆さんとも力を合わせていきたいと考えております。  ところで、憲法審査会憲法適合性議論する場所であります。今日の最大の憲法テーマは安保法制、戦争法案であることは間違いありません。  去年七月一日まで一切、集団的自衛権の行使を合憲とする政府見解は一切ありません。横畠長官に質問したところ、ありませんというのが答えでした。そのとおりです。  二〇〇四年、安倍総理は国会委員会の中で、集団的自衛権の行使が日本国憲法下で認められる場合があるのではないかと質問し、そんなことはできませんと当時の内閣法制局長官にきっぱり否定をされております。質的な問題である、個別的自衛権と集団的自衛権は量的な問題ではない、これが確立された見解です。  戦後の主な政権党であった自民党も、一貫して集団的自衛権の行使は違憲である、仮に集団的自衛権を認めるのであれば明確に明文改憲すべきだと繰り返し繰り返し答弁をしております。  私たちの所属する参議院は、この参議院で不戦決議も、自衛隊を海外に派兵しない、そんな決議もやっている、そんなところです。立場の違いあるいは政党の違いを超えても、集団的自衛権の行使は違憲であるという下に、まさに憲法に適合させようとする形で国会が進行してきた。それを踏みにじるのがまさに安保法制、戦争法案です。  憲法破壊を許してはならない。憲法憲法でなくなったら一体どうするのか。全くの無法状態です。憲法は間違いなく最高法規です。憲法法律、政省令という序列があり、憲法憲法でなくなる、国会は何を基準にこれから法律を作るんでしょうか、行政は何を基準に行政をやるんでしょうか、裁判所は何を基準に裁判をするのでしょうか。今までは憲法でした。それを踏みにじることは絶対に許すことはできません。  最高裁元長官や名立たるほとんどの憲法学者、多くの学者たち、日本弁護士連合会は全会一致で集団的自衛権の行使は違憲であるとしています。国会包囲の十万人、全国百万人行動、連日多くの多くの行動があります。立場を超え、憲法を破壊してはならない、その立場で国民意思表示をしております。  ナチス・ドイツがワイマール憲法がありながら国家授権法を成立させた、そのことを私たち日本はまねしてはなりません。国会議員憲法尊重擁護義務があり、総理大臣にはもちろんあります。ヒトニヒトコト、マグナカルタ。マグナカルタができてちょうど八百年。憲法は国家権力を、そして国会議員を縛るものである。私たちは恣意的に政治をやってはなりません。憲法を守れ、それが国会議員、そして総理大臣に課されている。だから、戦争法案は廃案にし、私たち参議院憲法を守るべきである、そう確信しております。  以上で終わります。
  20. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 主濱了君。
  21. 主濱了

    ○主濱了君 生活の主濱了であります。  我が会派は、実はこの百八十九国会で初めて憲法審査会に参加をしております。まず、憲法に対する私どもの基本姿勢から申し上げたいと思います。  私どもは、憲法とは、基本的人権の尊重を貫くために権力を縛る、あるいは暴走を止める、こういう立憲主義の考え方基本としております。一方、憲法は、国民の生命や財産や人権を守るなど、平和な暮らしを実現するためのルールとしてみんなで定めたものであります。時代や環境の変化に応じて、必要があれば、憲法の原則は厳守しつつも、改正すべき点は改正するべきであると、このように考えております。  次に、二院制についてでありますが、生活会派は、二院制については憲法改正をも視野に入れて検討をしているところであります。  憲法第四十二条は、国会衆議院及び参議院両院でこれを構成すると規定をしておりますが、せっかくの二院制機能していないのではないかと、こういう認識を持っているところであります。衆参で同じことをやっているから無駄であると、こういう批判もあるわけですけれども、生活も同じ考え方でございます。私どもは、二院制国政が慎重に行われていくことを期するとの制定当時の考え方を尊重し、維持をしていきたいと考えております。  加えて、衆参両院に求められる性格役割憲法に理念として明記することを考えております。その方向は、衆議院は多数決の府、参議院は良識の府、再考の府として決算行政監視機能や中長期的課題に対する提言機能など、機能分担を図ることができないか、そういう方向で考えていきたいと、このように思っております。  他方、参議院議員選挙となれば、どうしても政党化していくことになります。参議院が良識の府あるいは再考の府として機能していく、あるいは大所高所から対応していくためには、参議院議員の選び方についても検討しなければならないと、このように考えております。  二院制については以上であります。  それから、安全保障法案について申し上げたいと思います。  武力行使の新三要件は、憲法第九条の明文の規定憲法解釈、すなわち憲法第九条の下で認められる自衛権の範囲を大きく超えていると、こういう認識であります。  自衛権については、昭和六十年九月二十七日の政府答弁の、憲法第九条下で認められる自衛権の発動としての武力の行使は、我が国に急迫不正の侵害があるなど三つの要件に該当する場合に限られると、こういうふうに明記しております。これに対して、武力行使新三要件の第一では、まず我が国と密接な関係にある他国に対する武力行使が発生したこと、これが客観事実ですね。それから、我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険があること、これは主観的な部分です。これを満たす必要があるわけであります。  武力行使新三要件は、いずれにしても、一つには、憲法第九条下で認められる自衛権の発動要件、我が国への急迫不正の侵害があるという客観条件が欠落している、こういうことから、憲法九条下で許される自衛権の範囲を大きく逸脱していると。二つ目が、自衛権行使の要件とその効果を大きく変えたものであるにもかかわらず、ひとときの内閣の閣議だけで憲法解釈を変えたこと、当然にも憲法改正の手続を経ていないこと。三つ目として、日本にとって重大な国防の要件とその効果において変更前と変更後に大きなギャップがある、法的安定性が保たれていないなど、その合憲性に関して重大な欠陥が存在するというふうに思っております。したがって、私どもは、この武力行使新三要件は違憲の可能性が高いと、こういうふうに考えているところであります。  安倍政権が合憲の根拠としている砂川事件、それから昭和四十七年政府見解について申し述べますと、砂川事件につきましては様々判示事項はあるわけですが、この砂川事件において決して集団的自衛権について判示しているのではないということ、それから、四十七年政府見解については集団的自衛権を明瞭に否定をしているというものであります。結局、合憲の根拠はないことになると、こういうふうに思っております。  最後に、憲法九十九条について触れておきたいと思います。  憲法九十九条で、安倍総理始め国務大臣、それから私ども国会議員憲法擁護義務を負っているわけであります。したがって、内閣憲法違反の法案を提出してはいけない、それから私ども国会議員国会憲法違反の法律案可決してはいけないと、こういうふうに思うわけであります。内閣は、違憲の可能性がある本安全保障法案は即座に取り下げ、再検討をするべきであるというふうに思います。  最後に、柳本会長、それから幹事の皆様に是非御検討お願いしたい件があります。それは、憲法違反の可能性のある安保法案を提出した内閣に対して、法案の合憲性について更に検討するよう要請する、これを御検討いただきたいと、このようにお願いを申し上げまして、私の発言を終わります。
  22. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 以上で各会派意見表明は終了いたしました。  次に、各委員発言希望に基づいて、会長の指名により意見交換を行います。  発言を希望される方は、お手元に配付した資料のとおり、机上の氏名標を立てていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。  多くの委員発言の機会を得られますよう、一回の発言時間は各三分以内といたします。お守りください。発言時間の経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。発言が終わった方は、氏名標を横にお戻しください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、発言を希望される方は氏名標を立ててください。  赤池誠章君。
  23. 赤池誠章

    ○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。  私は、現行二院制を維持すべきと考えております。そして、その意義を更に国民にしっかり訴え、理解を広め、支持を広げるための教育の充実が必要であると考えている次第でございます。その理由に関しましては、既に先生方るるお話をなさっておりますし、この審査会始め先生方の訴えるところでございます。  例えば、権力の分立、チェックアンドバランス、相互の抑制均衡、民主政治基本、立法、行政、司法の三権の分立等々定められているわけであります。特に、議院内閣制を採用する我が国にありましては、現行憲法最高機関である国会というものがうたわれているわけでありますから、国会の分割、いわゆる二院制により、立法府の相互の抑制均衡チェックアンドバランスが大変重要だと考えている次第でございます。  さらに、世界各国を広く見たときに、貴族制を取っていない、また連邦制を取っていない国での二院制在り方ということが問われているわけでありますが、人口の多い国はおおむね二院制が多いという事実があるとおり、国民の本当に多様な意見や利益をどのような形できめ細かく代表させるかという観点、いわゆる熟慮型とか民主的第二次院型とか多角的民意反映型だとか様々な言われ方をするわけでありますが、二院制にとって大変重要な意義があるということは変わらないと思うからであります。  そんな中で、この憲法審査会でも議論になりましたが、私は、二院の在り方参議院在り方として、危機管理上からも大変必要ではないかということを考えている次第であります。  衆議院解散した場合、衆議院議員は御承知のとおり全てが失職して前議員となるわけでありまして、その中で一体国民を誰が代表するか、それはひとえに参議院議員のみ、参議院のみということでございます。現行憲法でも緊急集会の規定があるわけでありますから、参議院決算参議院であると同時に、危機管理に強い院としての、じっくり取り組め、中長期的な課題とともに、危機管理に強い院として更なる努力、取組が求められているのではないかと思っております。  そんな中で、昨今の、先ほど渡辺先生からもございましたとおり、平安特の議論を見てみますと、衆議院から参議院に移って国民必要性の理解が大変高まったというのは、まさに参議院在り方の一つのポイントではないかということを感じている次第でございます。  このような意義を持つ二院である参議院が更に国民の理解、支持を広げるためには、やはり教育の充実というのが避けて通れないと思っているところであります。  今回、全ての教科書を見ることはできなかったんですが、代表的な教科書を見てみますと、国会には二院がある、そして二つの院で話し合うことで政治方向性を慎重に決めるとか、小学校、中学校、高校それぞれの教科書にそれなりに書いてはあるわけでありますが、残念ながら、学習指導要領や解説書の中には、国会という議会政治在り方について教えるということはあっても、二院制というもの、参議院存在意義に関してより深掘りするような記述が残念ながら不十分ではないかということも感じている次第でありますので、引き続き、先生方の御指導、御支援の中で教育の充実にも取り組んでまいりたいと存じます。  以上です。
  24. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 白眞勲君。
  25. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党の白眞勲でございます。  今回のテーマであります二院制という観点から、現在参議院審議中の安保法制について、昨年六月十一日に当憲法審査会で通りました日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議をまとめさせていただいた当時の筆頭理事として、一言申し上げなければならないなというふうに思っております。  さらに、今、赤池議員から、現在参議院審議中の安保法制について国民の理解が深まったという御発言がありましたけれども、深まったのは、反対という意味合いでは深まったのかなという感じはしておるというところも併せてお話をさせていただきたいと思います。  当時、当審査会においては、この日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案の附帯決議の第六項目め、もう一度読み上げさせていただきますけれども、「本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。」とされており、この決議は与野党の多くの議員によって賛成された附帯決議でありました。まさに、二院制における参議院の良識の府としての意味合いがあるわけであります。  しかるに、政府は、その後、七月一日に憲法解釈を大幅に変更、集団的自衛権行使容認に大きくかじを切り、今まさにその法案審議がなされているという状況でございます。この附帯決議を尊重していない現在の状況は、この我々の憲法審査会の附帯決議を無視して強行していることであり、本審査会を冒涜しており極めて遺憾であり、かつ二院制役割をも無視しているやり方であると私は感じております。  そのとき、国務大臣谷垣君は、「ただいま可決されました日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。」と発言しているにもかかわらず、一度もやっていないじゃありませんか。今、幹事長ですよ、自民党の。そういう方がこういう発言をしておきながら、何もその後やっていないというのは、まさに当審査会のこの決議を冒涜したものではないか、そういうふうに私は感じているところでございます。  こういった国民の多様な意見二院制があるからこそできることでもあり、そういった面でも二院制重要性というのは極めて重要である、それを強調して、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。
  26. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 阿達雅志君。
  27. 阿達雅志

    ○阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。  参議院在り方に関する自民党における議論考え方については先ほど愛知治郎幹事が述べられたとおりでありますが、私も二院制は維持すべきであると考えます。  まず、参議院衆議院のカーボンコピーということがよく言われますが、私は断じて参議院衆議院のカーボンコピーではないというふうに思います。それは、参議院に関する制度が全く異なるために、やはり参議院衆議院でカルチャーが異なっていると。具体的には、被選挙権が三十歳以上である、衆議院の定数の半分である、六年の任期がある、それから議決における様々な規定があるということですが、やはり一般論としても、少ない人数が同じメンバーでより長期間にわたり議論をする、このことによる議論の継続性、それから議論の中身の深掘り、これは明らかに違うのではないかと思います。  そういう意味で、民主制において、よく民主制というのは民意の反映とともに民意の統合のプロセスがあるんだということを言いますが、衆議院民意の反映という意味において重点があるのであれば、参議院というのは民意の統合という点において非常に大きな部分があるのではないかと思います。  特に、衆議院が総理を選出することができる、議院内閣制においては、やはり衆議院政府、ここが特に民意を反映して動いた場合に、より慎重な審議を行うためには、参議院での議論、これが欠かせないものではないか、こういうふうに思います。その意味で、二院制というのは今後とも維持すべきであろうと。  その場合に、やはり投票価値をどういうふうに考えていくか、これはもう一つ重要な点になろうと思います。もちろん、憲法の枠内で考えていかないといけないわけですけれども、やはり選挙制度については、地方行政の単位が今都道府県である以上、この都道府県代表というものについてできる限りのことを考えていかないといけないのではないか。今回の法律改正はありましたけれども、やはり地方の声をどういうふうに取り込んでいくか、これは今後、地方分権、それから地方の時代ということを考えるに当たってできる限りいろんなことを考えていかないといけない。これは、憲法改正あるいは道州制の導入も含めて、やはり我々として、参議院として特に考えていかないといけないのではないかというふうに思います。  以上で終わります。
  28. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 牧山ひろえさん。
  29. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 民主党牧山ひろえです。  ここのところ、参議院改革については、平成元年、十年、十九年、二十二年、二十四年と参議院で野党が過半数議席を獲得し、衆参の間で与野党の多数派が異なった結果生じた、いわゆるねじれ現象の発生とその問題解決が大きなテーマとなってきました。  平成二十五年通常選挙の結果、ねじれの状態はなくなりましたけれども、ねじれ発生時には、ねじれをなくすことは極めて困難であり、選挙を機にねじれが発生した場合には、また参議院有害論が発生するだろうということを見込んだ上で、参議院存在意義を発揮するためにしっかり議論を積み重ねていかなければならないと思います。  今でも参議院はしっかり存在意義を発揮していると思います。現在焦点となっております集団的自衛権を認めようとする新しい安全保障法制についても、また労働者保護の流れを大きく変えようとしている派遣法の改正についても、衆議院で触れられなかった論点が参議院審議で次々に出てきております。また、特に安全保障法制における審議で顕著ですが、衆議院では発言の機会が少なかった会派にも発言の場が与えられ、より多角的な論議が出てきている。そのような意味で、国民の多様な意見を反映する、そして慎重な審議を行うという二院制の、そして参議院存在意義をある程度しっかり果たしているのではないかと私は考えるわけです。  白議員がおっしゃっていたとおり、安保法制審議において反対の意見が深まっている中で、そういう意見が結果にしっかりと反映されることを願っております。議論の中身だけではなく、仕組み自体国民の皆さんに分かりやすいように工夫していく必要があると思います。例えば、党派性からくる問題を生じづらくするため、参議院においては、各政党は党議による拘束の範囲をできるだけ縮小する方向で議事運営を行うことも検討してもいいのではないかと考えております。  以上です。
  30. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 石田昌宏君。
  31. 石田昌宏

    ○石田昌宏君 自由民主党の石田です。  東京大学の三浦瑠麗さんという若手研究者が、「シビリアンの戦争」という刺激的な本を岩波書店から出しています。戦争は軍隊が起こすもの、それを文民統制によって抑制するというのがシビリアンコントロールの考えですが、この論文では、クリミア戦争、レバノン戦争、フォークランド紛争、そしてイラク戦争の過程を分析して、実際には軍が戦争に消極的なのに、政治家国民が主導して戦争へ突き進むというケースがあるというふうに分析しています。それは、正義や歴史的正統性などの大義の下に国民が奮起し、民主的に政治を動かし、戦争を支持する一方で、軍は、戦争の勝利の可能性が読み切れず、何よりも犠牲を払うのが軍自身になるために消極的になるとまとめています。この考えには賛否いろいろとありますけれども、少なくとも、民主的な意思決定にも限界があり、専門的な視点や当事者の視点を含め慎重に決定をしなければならないことは確かだと思います。  つまり、国の進む方向を間違えないようにするためには、民主的な政治の決定を、事後ではなくリアルタイムに監視し、かつそれを即訂正していくという力のある機関が必要だと考えます。この役割二院制の下でより明確に参議院が担えないでしょうか。このためには、監視という視点では選挙制度を、そして訂正に関しては議会運営を抜本的に見直すことが必要です。  選挙制度については、今国会で、参議院の場合、都道府県単位の原則が崩れました。一票の格差の是正のためです。衆議院選挙制度ならこのやり方は理解できます。しかし、参議院を先ほど述べたような監視という視点から考えると、衆議院と同じ原理で参議院選挙制度見直したところが問題となります。監視に適切な人物でどう院を構成するのかという視点選挙制度考え直すべきです。  訂正という視点では、議会運営については拒否権について検討すべきかと思います。アメリカ大統領や日本の地方自治体の長にも拒否権がありますが、日本国政議院内閣制であって、内閣国会が一体化している以上、決めたことを見詰め直すという機能が弱いと思います。そこで、リアルタイムな訂正の機能を高めるために、参議院内閣衆議院の決定に対する拒否権を強く意識した議会運営をすることが必要かと思います。  このように、監視そして訂正という機能を果たすためには、いずれにせよ、参議院議院内閣制の中での独立性を高める必要があります。この審査会でこの議論が深まっていくことを期待しています。  以上です。
  32. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 小西洋之君。
  33. 小西洋之

    ○小西洋之君 小西洋之でございます。  私は、憲法審査会で、国民から見た二院制役割議論するとき、今まさに求められていることは、解釈改憲により、安保法制によって破壊されようとしている我が国の法の支配、立憲主義、すなわちは国民憲法を守る役割であるというふうに思うわけでございます。この点、我が参議院衆議院が果たし得なかった役割をしっかりと果たしてきたところでございます。  その一つは、昭和二十九年の六月二日の参議院の本会議決議でございます。自衛隊の海外出動、すなわち集団的自衛権の行使をなさざることに関する決議でございます。  その趣旨説明においては、憲法九条の自衛とは、我が国が不当に侵略された場合に行う正当防衛行為であって、それは我が国土を守るという具体的な場合に限るものでありますと明言をされております。さらに、憲法の明文が拡張解釈されることは誠に危険なことであります、ゆえにその危険を一掃する上からいっても、海外に出動せずということを国民の総意として表明しておくことは、日本国民を守り、日本の民主主義を守るゆえんであると思うのでありますというふうに明言されているところでございます。  この本会議決議と昨年七月一日の閣議決定及び今参議院に提出されている安保法制の限定的な集団的自衛権なるものがまさに真っ向から違反することは、小学生でも分かる明々白々の事実でございます。  また、こうした本会議決議及び先ほど白先生が披露なさいました昨年の六月十一日の附帯決議がございます。私はあの附帯決議の案文を起草させていただいた当時次席幹事でございましたけれども、まさに憲法解釈の変更案、すなわち七月一日の閣議決定の最終案文そのものを我が参議院に提出し、十分な審議を受けない限りは憲法の解釈変更をしてはならないという明文規定でございます。これを真っ向からじゅうりんした暴挙であることも明々白々でございます。  そして、その七月一日の閣議決定の内容でございますけれども、昭和四十七年政府見解、それを作成した吉國当時内閣法制局長官の、他国に対する武力攻撃では、日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利は覆ることはない、ゆえに、憲法九条の下で行う自衛の措置というのはない、あり得ないというその答弁、作成の契機になった三週間前の答弁があるのに、その昭和四十七年見解を読み替えて限定的な集団的自衛権を可能にする。  さらに、この九月の四日の、これ私の質疑でございましたけれども、安保特でございます。実は、四十七年見解にはもう一つの四十七年見解があったことが明らかになったわけでございます。当時、全く同じ質疑に基づいて防衛庁が作成し、そして作成の過程で内閣法制局に合い議をして提出したその防衛庁の政府見解においては、九条の下において行われる自衛権の発動というのは、いわゆる自衛権の三要件、我が国に対する急迫不正の侵害があることに該当する場合に限られると明々白々に書かれているところでございます。もはや、昭和四十七年政府見解の読替えが全くの暴挙であることは、もう中学生、高校生でも十分に分かる事実でございます。  このような違憲立法をこのまま放置してよろしいんでしょうか。このことを我々参議院はまさに良識の府として考えなければいけないと思います。  最後に申し上げたいこと、六十日ルールということが与党の幹部の皆様からも言われておりますけれども、先ほども申し上げましたように、我が参議院の昭和二十九年の本会議決議は、今、政府国会に出している安保法制憲法解釈を真っ向から否定しています。にもかかわらず、参議院の本会議を開かずに、我が参議院にかかっている法案を返付して衆議院に召し抱えて、よって衆議院の単独可決でその法案を成立させることは、まさに参議院の否定そのものでございます。このようなことを断じて許してはいけないと思います。  最後に、尊敬する柳本会長にお諮り申し上げたいんですけれども、先ほどの白前筆頭幹事の発言は非常に重いものがございます。昨年の六月十一日の附帯決議違反、七月一日の閣議決定がその我が憲法審査会の附帯決議に違反しているということについて、是非幹事会でお取扱い、またそれに当たりましては、先ほど申し上げました昭和四十七年政府見解の読替えなどの違憲問題、あるいはこの六十日ルールというのも五十九条二項の憲法問題でございますので、この昭和二十九年の本会議決議との関係も含め、どうかお取扱いをお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  34. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 豊田俊郎君。
  35. 豊田俊郎

    ○豊田俊郎君 自由民主党の豊田俊郎でございます。  本日は、二院制テーマとした各会派皆様方の御意見を拝聴し、大変参考になりました。  二院制在り方については、今日まで、先輩議員含め、長きにわたって検討審議されてきた案件だろうというふうに思いますけれども、今御意見を各会派から拝聴したところ、一会派を除いては全て二院制維持だと、維持、堅持だということでございますので、このことについては更に論ずる必要は私はないというふうに思っておるところでございます。  問題なのは、この参議院に置かれている国民からの期待、これにどう応えていくかということが大事だろうというふうに思います。言うなれば、独自性をどう出していくかということでございます。私は、このことにおいては、やはり議員を選ぶ際の制度仕組み、ここの改革なくして新たな展開はないと考えておるところでございます。  現行選挙制度では、衆議院参議院がもうほとんど似通った制度となってしまいました。このことにおいて、やはり抜本的な改革が必要ではないかなというふうに思います。もちろん、今日まで参議院はいわゆる地方区と、それと職域ということの中で選ばれた議員制度でございましたけれども、残念なことに、今回の改正によって地方代表の堅持というこの枠は崩れたわけでございます。  さて、これからが課題だというふうに思います。私は、憲法改正を含むことはもちろん承知ではございますけれども、何といっても地方枠というものをしっかり確保していくことが大事だというふうに思いますし、またあわせて、中選挙区制、いわゆるブロック制も含めて検討していく必要があるというふうに思います。  何はともあれ、多くの皆さんの御意見を直接聞けたこと、感謝を申し上げて、私の意見といたします。どうもありがとうございました。
  36. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 丸山和也君。
  37. 丸山和也

    ○丸山和也君 短い時間ですので、三点に絞って言わせていただきたいと思います。  まず第一点、参議院議員という我々は名刺をもらっているんですけれども、海外へ行くとやっぱり参議院は、英訳するとハウス・オブ・カウンシラーズというんですか、それを基準にやっているようなんですけど、基本的に意味がよく通じないということです。このグローバル社会の中で、海外に行って名刺を渡しても、何ですかこれはと言われるのがほぼ常識ですね。ですから、これは協議していただいて、できれば、例えばセナタということで少し格を上げていただきたいと。格を上げるというのは変ですけれども、世界に通用する呼称でセナタということに変える方向で是非検討していただきたいと、これが第一点。  それから二つ参議院独自性というのも、やっぱり選挙区、選挙の選び方によって大きく変わるものですから、今も意見がございましたけど、基本的には今は衆議院の選び方と非常に似ているということが参議院衆議院の、無用論も出てくることになっていますので、基本的にはブロック制とか広域化を前提考えるべきだと、このように思っています。それによって、良識の府と言われる参議院議員がそういう広域の中から良識のある人が選びやすくなるんだと、こう思っております。  それから三点目、これはよく衆議院優越という言葉が簡単に言われているんですけど、憲法の中で、前文の中にもどこにも、衆議院議員参議院議員より優れているとか衆議院議員の方が資質がいいとか、そういう連想をさせるようなこの衆議院優越というような言葉を軽々しく使わないように我々はすべきだと思うんですね。  もちろん、再可決とか、予算案とかいろいろなものがありますけれども、これは別に衆議院優越しているということじゃなくて、一般の人は、衆議院優越というと、恐らく衆議院議員の方が偉いんだろうな、参議院議員の方がちょっと劣るんだな、だからできれば衆議院に行きたい、あるいは衆議院議員で落選した人が仕方なく参議院に来ると、こういうやっぱり大衆的、俗っぽいイメージが広がりますから、この衆議院優越という言葉は我々は禁止すべきだと、このように思っております。決して貴族院を復活させろとは言いませんけれども、やっぱり参議院というのはそういうところからも国民的あるいは共通認識をつくっていく必要があるんじゃないかと思っております。  以上であります。
  38. 柳本卓治

    会長柳本卓治君) 先ほどの主濱委員、小西委員並びに白先生からの御提言の問題につきましては、両筆頭間で協議をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  他に御発言はございませんか。──他に御発言もないようですから、委員間の意見交換は終了いたします。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時二十九分散会