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2015-04-20 第189回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年四月二十日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十三日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     斎藤 嘉隆君      小林 正夫君     足立 信也君      行田 邦子君     山口 和之君  四月十四日     辞任         補欠選任     薬師寺みちよ君    渡辺美知太郎君  四月十七日     辞任         補欠選任      滝波 宏文君     佐藤 正久君      安井美沙子君     小西 洋之君      平木 大作君     矢倉 克夫君      藤巻 健史君     小野 次郎君      井上 哲士君     倉林 明子君      山口 和之君     田中  茂君     渡辺美知太郎君     中西 健治君      又市 征治君     吉田 忠智君  四月二十日     辞任         補欠選任      佐藤 正久君     滝波 宏文君      斎藤 嘉隆君     田城  郁君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小坂 憲次君     理 事                 赤石 清美君                 井原  巧君                 石井 正弘君                 相原久美子君                 石橋 通宏君                 杉  久武君     委 員                 磯崎 仁彦君                 江島  潔君                 熊谷  大君                 佐藤 正久君                 滝波 宏文君                 塚田 一郎君                 中原 八一君                 藤川 政人君                 堀内 恒夫君                 吉川ゆうみ君                 若林 健太君                 足立 信也君                 礒崎 哲史君                 江崎  孝君                 小西 洋之君                 斎藤 嘉隆君                 田城  郁君                 矢倉 克夫君                 小野 次郎君                 寺田 典城君                 倉林 明子君                 田村 智子君                 田中  茂君                 中西 健治君                 吉田 忠智君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    副大臣        外務大臣    城内  実君        財務大臣    宮下 一郎君         ─────        会計検査院長   河戸 光彦君         ─────    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡  拓君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       藤山 雄治君        内閣官房内閣審        議官       谷脇 康彦君        内閣法制局第一        部長       松永 邦男君        総務大臣官房審        議官       高野 修一君        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        尾池 厚之君        外務大臣官房審        議官       山上 信吾君        外務大臣官房審        議官       中村 吉利君        外務大臣官房審        議官       岩井 文男君        外務大臣官房参        事官       滝崎 成樹君        外務大臣官房参        事官       鈴木 秀生君        外務省国際協力        局長       石兼 公博君        財務大臣官房審        議官       可部 哲生君        財務省国際局長  浅川 雅嗣君        国土交通大臣官        房技術参事官   菊地身智雄君        海上保安庁警備        救難部長     秋本 茂雄君        環境省水・大気        環境局長     三好 信俊君        防衛大臣官房長  豊田  硬君        防衛大臣官房審        議官       吉田 正一君        防衛省防衛政策        局次長      鈴木 敦夫君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君        防衛省経理装備        局長       三村  亨君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君    説明員        会計検査院事務        総局次長     田代 政司君        会計検査院事務        総局第一局長   桜田  桂君        会計検査院事務        総局第二局長   村上 英嗣君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事        長        田中 明彦君        独立行政法人国        際協力機構理事  植澤 利次君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十五年度一般会計歳入歳出決算平成二  十五年度特別会計歳入歳出決算平成二十五年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十五  年度政府関係機関決算書(第百八十七回国会内  閣提出) ○平成二十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百八十七回国会内閣提出) ○平成二十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八十七回国会内閣提出)  (外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機  構有償資金協力部門の部)     ─────────────
  2. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十七日までに、行田邦子君、小林正夫君、風間直樹君、薬師寺みちよ君、井上哲士君、滝波宏文君、平木大作君、藤巻健史君、安井美沙子君及び又市征治君が委員辞任され、その補欠として足立信也君、斎藤嘉隆君、中西健治君、倉林明子君、佐藤正久君、矢倉克夫君、田中茂君、小野次郎君、小西洋之君及び吉田忠智君が選任されました。     ─────────────
  3. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 平成二十五年度決算外二件を議題といたします。  本日は、外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。  まず最初に、外交青書防衛白書について伺います。  外交青書防衛白書、共に日本政府安全保障政策を周知するための重要なツール一つだというふうに考えます。ただ、役所が違うと作成要領発信要領も違う、相互の良い点を見習いながら改善することが大事だと思います。そういう観点で何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず、種類なんですが、今ここに可能な範囲で持ってきました。(資料提示)  外務省の場合、外交青書というのは、まず閣議決定用白表紙のこういうものが一つ、それと市販用にこれを実際カラー刷りとしたこういうものが一つ、それと英語の、この日本語を要約したもの、概要版というもの、全部で三種類あります。  防衛省の場合、この閣議用白表紙のもの、それと、これは広報用防衛省の方に納入させて各自治体の方に配っているもの、よって裏にはこのようなバーコードとかこういう値段は書いていないものがあります。さらに、これと全く似たようなもので市販用バーコード値段が付いているというものがあります。さらに、英語版外務省と違って全訳版防衛白書にあります。外交青書には全訳版はありません。このような概要版だけです。さらに、防衛白書の場合は、概要版としてこの英語概要版と、これはロシア語概要版、さらにこれは韓国語概要版、そして中国語概要版と、外国語が四つの概要版があるんです。何かぱっと見ると外交防衛が逆なような感じがしないでもないんですけれども、このぐらいどちらかというと防衛白書の方が周知の方に力を入れているような感じにも見えます。  今日、お手元に配らせていただきました資料、これは外務省防衛省両方から聞いたやつをまとめたものですけれども、まず、この二十五年版の販売部数、これを見てください。外交青書日本語版販売部数はこれを見ますと千百二十四部、それに比べて防衛白書日本語版販売部数は一万七千五百とかなり差があります。さらに、今言いましたように、外国語版は、外交青書概要版英語だけ、それは市販はありません。これは配付用だけで、市販英語版というものはありません。さらに、防衛省の場合は、市販の方にも全訳版英語版というものもあります。  こう見ると、白書は作ればいいというものではなくて、防衛省が絶対いいとは言いませんが、やはり外務省の方もしっかりその予算というもの、あるいは体制をつくって、もう少し販売部数とか翻訳版とか含めての改善余地はあると思われますが、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  9. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘外交青書ですが、国際情勢日本外交の取組を国民の皆様に分かりやすく説明するものです。そして、同時に、こうした外国語訳対外発信の重要なツールであるとも認識をいたします。  外交青書の場合、この外交青書以外にも、例えばODA白書とか様々な資料、パンフレットの発行も行われています。また、平成二十七年版の外交青書、今月閣議配付を行いましたが、この二十七年版外交青書は、平成十八年版までに作成していた英語全訳版、これを再び作成する予定にもしております。  しかしながら、御指摘のように外交青書防衛白書と比べて翻訳言語数ですとか販売部数等においては下回っている、これは事実だと認識をいたします。御指摘も踏まえまして、外交青書はどうあるべきなのか、この改善策も含めて真摯に検討したいと考えます。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは応援したくてこの質問をさせていただいていまして、やはり外務省は、どちらかというと、広報について大事だと言う割には、意外とそういう体制広報ツールというものはまだ改善余地があるというふうに思っておりまして、いっときも、残念ながら、大事なカレンダーというものが、生け花カレンダーというものが非常に人気があって、まさにそのカレンダーと交換でいろいろ情報を取れるというのもあったんですけれども、いっとき事業仕分等でそれが非常に、二か月にカレンダーが一枚になってしまったとかいろんなものが、やっぱり反省がありました。やはり、非常に大事なツールですので、これはもう少し力を入れた方がいいと思います。  例えば、この仕様一つ見ても、閣議版、この白表紙、これ一つ取っても、外務省のは三百しか作っていないんです。防衛白書はなぜか千七百五十も作っているんです。これは、国会議員に配付したりするというものもこれなんですけれども、やっぱりその配付量が全然違うんです。両方とも、外交青書防衛白書は同じ位置付けにあるにもかかわらず、そのやっぱり配付する努力というのが足らないような気がしますし、さらに、防衛白書の場合は、市販ではなくてこういう納入させるやつ、それが一万二千四百五十、二十五年度で、これを納入させて各都道府県とか自治体にみんな配っているんです。さらに、その説明にも行っている。確かに大変かもしれませんけれども、やはりこの一つ取っても、相当、防衛政策に対して国民の理解を得るという努力一つとして使っていると。  中身を見ると、外交青書もかなり防衛白書と似ているんです。写真も多いしグラフもあると。見た感じ、同じ感じがします。大分良くなっているという感じがしているので、これはもっと広報ツールとしても、私は防衛白書が一万七千五百も売れるんだったらもっと頑張った方がいいのかなという感じがします。  さらに、この値段なんです、市販値段。これ見ると、防衛白書の場合は千二百円なんです。外交青書は千九百九十五円なんです、二十五年度版で。厚さは誰が見ても防衛白書の方が厚いんです、大きいし。値段が高いんです、こっちの方が。それ理由は分かりませんけれども。  この違いの一つに、防衛省の場合は入札のときに値段も千二百円以下ですよという上限を、キャップを掛けている、入札のときに。外務省はそれを掛けていないようなんですね。千二百円というと、うんとここは二千円弱とはやっぱり違いますから、そういう部分もあるようです。  これ、調べたら面白いのは、外交青書の場合は、この契約状況を見てほしいんですけれども、閣議版市販版が別なんです。防衛省の場合は閣議版広報版市販版、これが一遍にやっちゃうんです。だから、同じ業者でほとんど構成も同じですから、非常にそういう面ではコストカットという面でも多分しやすい面はあるし、修正も多分容易だと思います。  防衛省に伺います。なぜ閣議版配付版市販、この許可を含めて一つ入札で行っているんでしょうか。
  11. 豊田硬

    政府参考人豊田硬君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、防衛白書には白表紙閣議用カラー表紙広報用、さらに市販用の大きく分けて三種類がございます。防衛省におきましては、予算の効率的な執行の観点からこれらの各種防衛白書について同一の契約で取り扱っておるところでございます。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 経費の効率的な使用という観点からの説明ありましたけれども、そのほかにも、修正の容易性含めても一つ業者の方が多分楽だと思います。外務省に聞いても、場合によっては同じ業者のときもあると言うんです、同じ業者のときもあると。調べてみますと、この業者が、実はたまたま同じ業者のときもあるんです、防衛白書外交も。同じ業者が、こっちは千二百円、こっちは二千円で売っているんです。実際問題、政府のもの。  そう考えた場合、外務大臣、やっぱりこれ、確かに三か月ぐらいのタイムラグがあったとしても中身はほぼ同じで、資料が付いたりとかそういうレベルですから、入札を分けるメリット、役所説明聞いてもなかなかすとんとこないんですけれども、やはり今、防衛省説明経費の効率的な使用という観点から一緒にしていると。外務省の方も、この辺り、何とか改善余地はないんでしょうか。
  13. 城内実

    ○副大臣城内実君) 佐藤委員指摘のとおり、外交青書というのは外交ツールとして非常に重要だという認識は全くそのとおりだと思います。  他方で、外交青書につきましては、原則として前年、暦年のですね、前年の一月から十二月末までの国際情勢日本外交についての記述であります。可能な限り早い発行を可能とすべく、四月に新たな年度となるのを待たずに早期に編集作業を開始しております。その結果、通常四月初に閣議に配付する閣議版作成編集と、閣議後に資料編を加えて発行する市販版編集作業会計年度をまたいで行われているわけであります。このため、これ会計制度上なんですが、年度ごとの別の契約を行っているということであります。  他方で、これまでも入札は一括して行うなどの工夫を行ってきておりますので、佐藤委員の御指摘も踏まえて、入札契約手続等について更なる改善に向けた検討を積極的に行ってまいりたいというふうに思います。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 よろしくお願いしたいと思いますが、やっぱり普通の人が考えても、多分両方とも中身サブスタンス役所が書いているんですよ。値段が千二百円と二千円、やっぱりこれはどう考えても、ちょっとうまく工夫すればもう少しこの値段も下げることもできるのかなという感じも素人的には思いますので、引き続き、非常に重要なツールですので、お互いにいい形で、もしも業者一緒なら、これをパッケージで、外交青書防衛白書一遍に売った方が、場合によっては外交青書販売部数も増えるかもしれませんし、いろんな面で工夫というのは、やっぱり縦割りではなくて、いい形で日本安全保障政策を多くの人に知ってもらうということの工夫をお願いしたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  離島災害対処について質問をさせていただきます。  平成二十五年の十月十六日、伊豆大島で大きな災害が発生しました。離島への災害派遣では、いかに迅速に隊員や建設機材を島の方に展開させるか、上陸させるかが人命救助やあるいは被害復旧の鍵です。  この伊豆大島災害の際に、現地に一番最初に展開することができた陸上自衛隊ヘリは、木更津にあります第一ヘリコプター団CH47チヌークや立川の東方航空隊UH1ではなく、練馬駐屯地UH60JAでした。その理由はどういうものだったんでしょうか。
  15. 深山延暁

    政府参考人深山延暁君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、この二十五年十月十六日の伊豆大島への災害派遣の際に最初に着陸いたしましたのはUH60J型でございました。任務といたしましては、第一普通科連隊所属のファスト・フォース、行方不明者救助のための部隊でございますが、十名の輸送をして着陸したものと承知しております。  ヘリコプターにつきましては、UH60Jは、従来のUH1型等に比べますと、航続距離エンジン性能等、優れた面もございます。この当時の現場の状況を考えまして、そうしたヘリを充当したものと承知しております。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 私が当時説明を受けたのは、であれば、CH47、大型のヘリの方がいいに決まっているんですよ。  要は、ここは非常に風が強くて、当初まだ台風等の、低気圧等のやっぱり余波があって、このUHの場合は二枚羽根等もあってなかなかそうはいかなかったと。  じゃ、参考人に併せて伺います。なぜ海上自衛隊航空自衛隊救難ヘリは同じようなUH60JとかSH60なんでしょうか。
  17. 深山延暁

    政府参考人深山延暁君) 御指摘のとおり、UH60Jの同機種の形態であるSH60J、あるいは同じUHの60は、済みません、SH海上自衛隊に、航空自衛隊陸上自衛隊UHを入れております。このH60型のヘリは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、エンジン出力とか航続性能航続距離等において、例えば従来の陸のUH1に比べて優れた性能を持っております。  今般、防衛力整備上は、更新期を迎えます各種ヘリの後継に能力の優れたものを入れまして、そしてかつ同型機種をそろえまして経費効率化を図っていると、そういう考えだと承知しております。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、実は、救難ヘリというのは天候気象海象が悪いときでも飛ばないといけない。これは、今エンジン出力の話がありましたけど、もう一つは四枚羽根なんです。だから、非常にそういう、救難ヘリですから、天候気象海象が悪いときでも飛ばないと命が救えない。  実は、UH1の場合は二枚羽根で、さらに、CH47チヌークは大きいんですけれども三枚羽根と、非常に風に対してはやはりUH60の方が強いということもあって、救難ヘリは大概このUH60JAとか、あるいはSH60JとかKを使っているということがあります。  ただ、陸上自衛隊の場合、UH60Jの配備は、現在、佐賀と沖縄、宇都宮と木更津の四か所のみの部隊配置としては限定的です。陸自においても、実際上は、いろんなまだ離島瀬戸内海離島とか、ほかは北海道もあります。  そこは、災害派遣だけではなく、国民保護とかあるいは離島防衛という観点でも、やはり非常に気象海象が悪いから行けないということでは話になりませんので、有人離島ですので、やはり今後の課題として、更にUH60というようなものをもう少し全国に、もう少し足らないところを埋めるということも大事だと思いますが、いかがでしょうか。
  19. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、UH60機につきましては保有数が約四十機と少ないことから、首都圏また南西諸島の防衛を念頭に、関東、北九州、沖縄配備を集中させて陸上自衛隊能力を最大限発揮できる体制を保持しております。  御指摘陸自部隊UH60の増勢と配備先の追加につきましては、自衛隊各種ヘリコプターの中長期的な配備計画等を十分に踏まえて検討することが必要であると考えておりまして、現時点で具体的な計画はありませんが、他方災害対処に当たっては、海上自衛隊SH60や航空自衛隊UH60を含めた統合運用及び離島急患搬送急患輸送、また災害対処にも資するV22オスプレイの取得等により災害への備えに万全を期すことを計画をいたしております。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 離島の場合は、災害だけではなく、国民保護、救出の場合もありますし、あるいは、いかに離島グレーゾーンでもしっかり戦力を入れるかと、あるいは事後の継続的な兵たん支援という面でも、やはり陸続きじゃありませんので、そういうのはやっぱりヘリコプター気象海象に強いヘリというのは非常に私は大事な要素じゃないかと思いますので、引き続き検討をお願いしたいと思います。  次に、二十五年の伊豆大島災害のときに、もう一つ課題としてあったのは航空輸送の話です。震災後、人命救助、この関係では生存率がかたっと下がってしまう七十二時間以内が勝負だと言われています。ただし、今回発生した十月の十六日、次の二日目の十七日も航空輸送力ではC130を使っていないんです。輸送力考えたら誰が考えてもC130がいいんですけれども、C1しか使えなかったと。これはどういう理由によるものでしょうか。
  21. 深山延暁

    政府参考人深山延暁君) お答え申し上げます。  今、冒頭御質問でありましたように、まずヘリを活用いたしましたが、その後、輸送機におきましては、当初、大島空港の利用が可能であることが確認された後でございますが、東部方面隊派遣部隊利便性の高い入間基地を拠点としまして、まずC1輸送機を用いて人員や車両の輸送を実施しました。  C130輸送機運用については、活動当初においては大島空港の限られたスペースを有効利用するため、つまりC1の方が小さいということ、あとヘリコプターとC1の輸送状況あと滑走路耐圧等の制約がございましてC130の使用は控えておりました。  十八日以降、耐圧等をチェックいたしましてC130の運航も行ったところでございますけれども、一部重量等を制限した上で運用を行ったというのが事実でございました。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 本来であれば、事前にその滑走路圧はチェックしておかないといけないものではあるんですけれども、ただ実際的に滑走路の長さが千八百メーターと。やっぱりこの航空機を運用する場合は、滑走路の長さと地耐力というか滑走路圧というもの、両方とも大事になってきます。  結果的に、防衛省からいただいたペーパーでは、ある程度燃料満タンの場合、C1で約千三百メーターの滑走路、C130で約千九百メーターの滑走路、C2で約二千メーターとされています。大島空港は約千八百メーターですので、C130をやっぱり、十分燃料を積んで、あるいは重たい機材を積んで着陸となると、非常に滑走路の面でも、あるいは滑走路圧という面でもぼこぼこにしてしまう可能性がありますから、なかなかそこはフル運用できなかったと。これが離島のやっぱり制約なんです。これが本当に、今一番近くても厚木基地ですから、さらにその離島が大島を離れていけばいくほど燃料を多く積まないといけませんから、なかなかC130の運用というのは更に厳しくなってしまうということが言えると思います。  そこで、このC1がC2に換装されて、C1がなくなってしまう今予定になっています。C1がなくなってしまった場合、二年前のまさに二十五年の伊豆大島災害派遣と同規模の空輸による災害支援活動は私はかなり制限されると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  23. 深山延暁

    政府参考人深山延暁君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、C1は離着陸滑走距離は比較的短く、利便性がございます。しかし、これが除籍いたしてしまいますと、現有、保有することになる輸送機はいずれもこれより長い距離、御指摘のとおりということになります。  防衛省自衛隊といたしましては、種々の災害に対しまして、保有する装備品等を最大限活用するということと、あとは陸海空部隊能力を最大限発揮するということで、こうしたことを埋め合わせて活動を行っていきたいと考えております。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 ただ、大臣、口で言うのは簡単ですけれども、C1の代替はオスプレイではできないんです。確かに航続距離は多くても、大臣も乗られたら分かると思いますけれども、非常に中は小さいですよね。とても車両なんか運べるような広さはありませんし、やっぱりC1の代替というのはなかなかできない。だけど、実際、長崎県の離島とか鹿児島、沖縄の南西諸島には、滑走路千五百メーター以下の空港を持つ有人離島がいっぱいあります。C1がなくなってしまったら、災害派遣だけではなく、国民保護とかあるいは離島防衛という観点でも空輸支援はかなり制限されると認識します。  この点について、C130とC2だけで本当にいいのかと。これは、中長期的な課題として検討すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  25. 中谷元

    国務大臣中谷元君) できる限り長くC1というものは使っていきたいと思っております。  御指摘のとおり、離島におきまして滑走路が千五百メートル未満の空港が複数存在することから、自衛隊災害対処、また我が国の防衛を含む様々な事態において自衛隊部隊を機動的に展開、移動し得る体制を構築していく必要がございます。この際、輸送・展開能力を確保するために、大綱におきましては、平素から民間輸送力との連携を図りつつ、統合輸送能力の強化を図るということで、例えば滑走路が十分整備されていない島嶼部への輸送につきましてはV22オスプレイが極めて有効な装備であると考えておりまして、防衛省といたしましても、佐藤委員の御指摘のように、最適な輸送、展開の在り方につきましては、平素から様々な情報を収集しまして検証をしていくということが必要だと考えております。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 大島の離島での教訓というのは非常に大事で、これは真剣に検討すべきだと思うんです。幾らオスプレイ代替するといっても、それは無理ですから、C1と同じことはそれは無理ですから、そこは数字的に無理なので、そこは冷静に考えていただきたいと思います。  さらに、港もそうなんです。  大島の災害派遣では、元町港は瓦れき等が入ってきて、なかなか海上自衛隊の「おおすみ」型の輸送艦等が接岸できませんでした。そのため、LCACでダンプやトラック、油圧ショベルなどを陸揚げしましたが、非常に時間が掛かって、七十二時間以内に陸揚げできた建設機材はほとんどなかったというのが実情でありました。  防衛省参考人の方に伺います。  離島災害派遣で海自の輸送艦が接岸できる港があれば、人命救助、民生支援上極めて効果的だと思いますが、いかがでしょうか。
  27. 深山延暁

    政府参考人深山延暁君) お答え申し上げます。  万が一の災害派遣の場合に離島輸送艦が接岸できる港湾があったらどうかというお尋ねでございますが、御指摘のとおり、離島におけます人命救助等の各種活動に際しまして、その島に輸送艦が接岸できるのであれば輸送艦の輸送力を最大限活用することが可能であり、御指摘のとおり、より効果的な輸送、展開が可能になると思います。
  28. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさに今参考人から話があったとおりなんです。ただ、実際どうかと。これ、参考人に確認します。  伊豆諸島や小笠原諸島には有人離島が多くありますが、「おおすみ」型輸送艦が接岸できる港、伊豆諸島、小笠原諸島にございますか。
  29. 深山延暁

    政府参考人深山延暁君) お答え申し上げます。  当方で調べたところによりますと、伊豆諸島、小笠原諸島の港湾におきましては、「おおすみ」型輸送艦が接岸できる港湾はございません。
  30. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、ないんですよ。  それでは、沖縄の方で聞きます。沖縄県におきまして多くの有人離島がございますが、沖縄本島、石垣島、宮古島を除いて「おおすみ」型輸送艦が接岸できる港はありますか。
  31. 深山延暁

    政府参考人深山延暁君) お答え申し上げます。  沖縄県の沖縄本島、石垣島、そして宮古島の三つの島を除きますと、それ以外の島嶼では「おおすみ」型輸送艦が接岸できる港はございません。
  32. 佐藤正久

    佐藤正久君 「おおすみ」型だけではなく、普通の護衛艦もなかなか入れないというのが実情です。  鹿児島県もそうです。鹿児島県も非常に多くの有人離島がありますが、よく有名な人口約三万三千人の種子島、種子島の港、これは「おおすみ」型の輸送艦の接岸ができる港はありますか。
  33. 深山延暁

    政府参考人深山延暁君) お答え申し上げます。  今お尋ねの種子島におきましても、「おおすみ」型輸送艦が接岸できる港湾はございません。
  34. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛大臣、これが実態なんです。統合機動防衛力、統合輸送大事だといっても、空港とか港がなければ行けないんですよ。  資料二を見てください。これは、平成十九年の七月に新潟の中越沖地震、私も当選してすぐでしたけれども、すぐ現場に入って、いろいろ御意見あるいは要望を聴取いたしました。柏崎市にあります柏崎港に海自の船が入って、いろんな給水支援をこの資料にあるようにやっておりました。  どのような海上自衛隊の船が入ったか、参考人説明願います。
  35. 深山延暁

    政府参考人深山延暁君) お答え申し上げます。  御指摘の新潟中越地震は平成十九年七月十六日に発生いたしたところでございますが、平成十九年の七月十九日から八月二日の間に、舞鶴地方隊の第二四護衛隊所属の護衛艦「みねゆき」、護衛艦「あぶくま」、そして自衛艦隊第一輸送隊所属の輸送艦「くにさき」、掃海隊群所属の掃海母艦「うらが」が接岸いたしたところでございます。給水活動等を実施いたしました。
  36. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛大臣、まさに柏崎港は、「おおすみ」型と同じ「くにさき」が入ったり護衛艦が入れたり、掃海母艦まで入れると。私も現場に行ってこれはと思ったのは、実は、国土交通省の方も頑張っていただいて、その前の年までに柏崎港の改修をしていたんです。耐震岸壁に変えていました。だから、非常に地震が来て波は打っていましたけれども、何とか給水車が岸壁まで行けるような工事が終わっていた、耐震岸壁になっていた。しかも喫水が、海上自衛隊の船が入れる喫水の方までこれも直していたということで、給水車がどんどんどんどん岸壁に行って、護衛艦から水をもらって、更に被災者の方に行っている。実は船というのは物すごい水源なんです。物すごい水源で、どんどん船を替えれば、そこを拠点として水源というのができたので、非常に柏崎あるいは刈羽の方々は水には困らなかったんです、結果として。  さらに、この写真にあるように、この仮設浴場、護衛艦「みねゆき」と、こう仮設の浴場がありますけれども、これは大臣とか私、よく見慣れている陸上自衛隊の入浴施設じゃないんです。陸上自衛隊の入浴施設は男性用だったんです。女性用の入浴施設は海上自衛隊のこの入浴施設だったんです。なぜかというと、お湯の供給量が違うものですから、男の場合は中にある浴槽にあるお湯で洗っても全然問題はありませんけれども、女性は掛け流しのきれいな方がいいということで、海上自衛隊の方では女性の入浴施設、全然量が違うんです。まさにいろんな面で船の活用というのは、三・一一でありましたけれども、いろんなものがあります。ただし、さっき説明がありましたように、実際そういう活動ができる港は非常に限られている、しかも、離島ではこれがほとんど整備されていないという状況です。  大臣もハワイに行かれたら、特にオアフ島へ行かれたら高速道路に乗られることが多いと思います。主要な陸海空、海兵隊の基地には必ずインターチェンジがあるんです。ヒッカムもパールハーバーも全て。基地を中心にある意味ハイウエーが造ってある。特に、ハイウエースリーに乗ってしまうと、あれは北のカネオヘベイの、まさに海兵隊用に造った高速道路ですから、ハイウエースリーをずっと行くと、いつの間にか海兵隊に入っちゃうんです。というふうに、日頃からそういう防衛とかそういうインフラ整備を考えながら合わせているという部分があると思います。  防衛省には海洋班と宇宙班とあるんです。海洋班と宇宙班、昔は海洋宇宙室でしたけれども。ただし、海洋と宇宙があっても国土班がないんです、防衛省においては。離島などのインフラ整備を行う際には、やはり国土交通省や地元と連携して行うということが災害派遣や今後の国民保護の面でも非常に大事で、やはりこれ、政府全体として、特に防衛省とか海上保安庁、あるいは消防等の意見も踏まえたトータルのインフラ整備というのが私は必要じゃないかと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。
  37. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 委員が例示で挙げられました入浴施設の提供、これは災害時などにおいては大変重要な部分でございますが、問題は、こういった施設を持ち込めるだけの港湾施設や、また高速道路のインター、飛行場のアクセスなどがあって、整備されているかということで、御指摘のように、離島については、各種の事態が発生した場合の自衛隊による対処や住民の避難に際して、輸送手段に大きな制約があるというのは事実でございます。  御指摘の国交省等が行う離島における港湾や空港等のインフラ整備に関しまして、防衛省自衛隊がどのように関わるべきかにつきましては、国交省等の関係機関とも連携しながら検討してまいりたいと思っております。
  38. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは是非お願いしたいと思います。ほかの国はやっぱりやっていますから。  例えば、台湾の場合は、高速道路を戦闘機の滑走路代わりにできるということも考えて整備をしたり、実際にそういう離発着訓練も行ったり、いろんなことやっておりますから。単に地下道を掘る、トンネルを掘るといっても、場合によってはそこにトンネルの横穴を掘ればシェルターになる場合もありますから。いろんな面で、一粒で二度おいしいという発想は、やはりそういう危機管理の面からの視点でも大事だと思います。  国土交通省にお伺いします。  やはり、有人離島の住民の暮らしとか命を守る、あるいは日本の本土においても非常に空港、港湾の整備は危機管理の観点からも大事だと思います。空路や航路、採算が取れる、取れないという発想ではなくて、それに加えて島民の命を守るという観点から、関係する危機管理省庁と連携しながらインフラ整備を行うということがこれからますます重要になると思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  39. 菊地身智雄

    政府参考人菊地身智雄君) お答えを申し上げます。  国土交通省におきましては、これまでも港湾や空港の整備に当たりまして必要に応じて関係府省庁間で連携を図ってきたところでございます。例えば、港湾や空港の整備の前提となる計画の策定に当たりましては、港湾管理者や空港の設置管理者が自衛隊などの関係行政機関や地元自治体、利用者から意見を聞くなど、関係者との連携を図ってきております。  また、地震や津波あるいは台風等災害に度々見舞われている我が国におきましては、議員御指摘観点は極めて重要な観点だというふうに認識しております。また、その際に港湾や空港が果たす役割は非常に大きいというふうに認識しておるところでございます。  今後とも、離島における港湾、空港の管理者とも十分相談しながら、関係者と連携を図りながらしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。
  40. 佐藤正久

    佐藤正久君 今の話を聞くと、全然今まで問題なかったというふうにやっぱり聞こえてしまうんですよね。今までしっかり連携して問題ないと。問題ないわけはなくて、やはり今言ったように、伊豆大島の二十五年のあの災害のときに、C130が降りれるか降りれないかというのは、それから二日ぐらい、三日掛けて点検してチェックしているんです。これでは話にならなくて、これで今まで問題がなかったと言えると私は全然思いません。  そこは真摯に、やはりこれからのことを考えたときに、せっかく有効に国民の税金を使ってやるときには、もうかる、もうからないだけではなくて、やはりそういう国民の命を守るという視点からの整備も、私はこれは無駄ではなくて、国土交通省にしては無駄に見えるかもしれませんけれども、それは価値ある無駄だと思いますよ。  また、防衛省防衛省の方でやはり全てのそういうインフラを再点検をしていただいて、チェックをしたら降りれるではなくて、日頃からその辺のデータベース化というのはしておかないと、幾ら統合機動防衛力といっても実態が伴っていなければそれは話になりませんから、そこは二十五年度、いろんな教訓事項出ておりますので、しっかりと対応していただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  41. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎です。  岸田外務大臣中谷防衛大臣、よろしくお願いいたします。  初めに、ODA事案に係る不正防止に関連をして御質問をいたします。  ODAの事案についてでは、私自身、平成二十年十一月の当決算委員会において贈収賄事件の質問をさせていただいております。これは、コンサルタント会社パシフィックコンサルタンツインターナショナル、PCIによる事件でありまして、この事件は、ODA案件の受注に絡み、PCI社からベトナム政府高官へ約二億八千万円もの高額な贈賄が行われたというものであります。これはベトナムの所得水準にとっては極めて大きな金額でありまして、本件に関し、二十年の十一月の初公判において、PCI元役員はベトナム政府高官への贈賄の事実を認めておりましたが、ベトナムにおいて当該高官への有罪が確定したのは、それから一年以上たった二十二年の三月のことでありました。  私は、この問題について二十二年四月の決算委員会でも再び取り上げさせていただいております。その際、ベトナムの対応が甘過ぎる、ガバナビリティーがない国に日本の税金でODAを払うべきではないという点を指摘をさせていただき、再発防止をしっかりやっていただきたいということを指摘をさせていただきました。それにもかかわらず、昨年、ベトナム、インドネシア、ウズベキスタンにおけるODA事業をめぐる贈収賄事件が再度発生をしております。本院が警告決議を行う事態となったことは誠に遺憾であります。  政府は、PCI事件を受けて、日越ODA腐敗防止合同委員会を立ち上げております。日越合同で取りまとめた再発防止策の具体的内容、フォローアップの実施状況等について、特に相手国のガバナンス強化等についてどのような成果をもたらしたと言えるのか、まず外務大臣にお尋ねいたします。
  42. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のPCI事件を受けて、二〇〇九年二月に日本、ベトナム両国政府が取りまとめた日越ODA腐敗防止合同委員会報告の中には、調達手続の透明性の向上及び厳正化、そして腐敗防止の制度、体制強化の観点から、講ずべき具体的な再発防止策を規定しておりますが、その中で、日本側におきましては、コンサルタントの選定に関する合意手続の強化、そして事後監査の拡充、随意契約適用範囲の厳格化、さらには不正に関する情報提供の制度化、こうした再発防止策を講じるとされています。一方、ベトナム側においては、国連腐敗防止条約の批准、入札時における第三者評価等の透明性向上に関する取組、そして内部告発者の保護制度等の制度整備、こうしたものを進めていくとされています。  こうした取組を行った結果、ベトナム側のガバナンス強化については一定程度寄与したと考えてはおりますが、しかしながら、御指摘のとおり、昨年再び同様の不正事件に至りました。このことにつきましては、取組が必ずしも十分でなかったと重く受け止めなければならないと考えます。  昨年七月に今後の取組方針につきましてベトナム側とも合意いたしましたが、この具体化作業を今進めているところであります。是非、一層の取組強化を進めていきたいと考えます。
  43. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 政府において、日越で再発防止を取り組んできたことは分かりますが、にもかかわらず再発をしたということでありまして、これは非常に深刻な状況だと思います。政府の再発防止策が十分機能しなかったということは申し上げにくいですが、そう言わざるを得ません。  再発防止策が機能しなかったことの原因分析、昨年の本院の警告決議を踏まえ、昨年十月に提出された政府の講じた措置において、今後実施される再発防止策の具体的内容について御説明を願います。
  44. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今御指摘のように、平成二十年にODAをめぐる不正行為が発生し、それを受けて再発防止策を講じたにもかかわらず同様の不正行為が発生したこと、これは極めて遺憾なことであり、また昨年の参議院決算委員会の決議、これを重く受け止めております。  ODA事業の適正な実施を確保するためには、まずは我が国のODA制度の不断の改善、そして受注企業のコンプライアンスの意識及び体制の欠如、さらには相手国のガバナンスの脆弱性、こういった総合的な問題を外務省、JICAが中心となり、受注企業や相手国政府の全ての関係者が協力し解決していく必要があると考えております。  そういった観点から、昨年十月に不正腐敗対策の更なる強化策を取りまとめました。この中において、具体的な内容を盛り込み、より対策を強化したわけですが、その中にあって、例えば無償資金協力での贈与資金の一部返還枠組み、こうした枠組みを新たに導入するですとか、あるいは技術協力等のJICA契約における違約金、これを強化する、こうした取組を盛り込んでおります。  それ以外に、相談窓口の強化、周知ですとか、JICA腐敗防止ガイダンスの策定ですとか、こうした様々な内容につきまして盛り込んでいるわけでありますが、是非、こうした対策を着実に粘り強く実施していくこと、不正を許さない土壌を彼我につくり上げていくこと、こうした努力を続けることによって、不正腐敗の根絶に向けて一層努力を続けていかなければならないと強く認識をしております。
  45. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 再発防止策、また改善を見るようにという努力をされていることは分かるんですが、例えば先ほど大臣からお話があった情報受付窓口について申し上げると、昨年の事件を受けて不正競争防止法違反で起訴された被告は、不正防止策としての設置された情報受付窓口について、その存在を知らなかったというふうに言っていると報じられております。したがって、情報窓口があっても、そこに情報を提供する人が知らないのであれば情報を提供できないということで、受け身の対策であるとの指摘もあります。  また、入札契約、調達段階においての監視強化についての受注企業と相手国政府との契約段階において、国の機関が監視を行き届かせていくのは難しいという見方もあるわけですが、そこでお伺いするんですけど、実際、この不正腐敗情報受付窓口へ情報提供は実績としてあったのか、さらに、昨年発表された再発防止策の実施状況、具体的成果、今の課題等を申し上げた点についてどのように克服をして再発を防いでいくのか、外務大臣にお尋ねいたします。
  46. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、このODAをめぐる不正を行ったJTC社は外務省の相談窓口を認識していなかった、こういった点につきましては十分承知しており、この点につきまして重く受け止め、対応を考えていかなければならない、このように考えております。  相談窓口につきましては周知徹底をより図らなければいけない、これは当然のことですが、その内容としまして、関連業界への広報あるいは説明会、こうした対応を行うわけでありますが、この窓口への相談件数、実績があったのかという御質問をいただきました。  この実績を見てみますと、二〇一二年が三十六件、二〇一三年が三十二件、そして、こうした不正防止情報相談窓口の機能強化等、再発防止策の一環として行った二〇一四年、この二〇一四年度につきましても百六件相談件数があったと報告を受けております。  是非こうした相談実績の積み上げに向けて努力を続けなければならないと思っていますが、その際に一つ、今申し上げました周知徹底あるいは関係業界や企業への説明会等の努力、これも当然でありますが、あわせて、今回リニエンシー制度という新たな制度を設けまして、自主申告した企業に対しては入札排除措置の減免をすることにより相談を促す、こうした相談を促すような仕掛けを用意する、そういったことによって相談窓口の存在意義を高める、こういったことによって相談窓口の利用を高めていく、こういった取組も併せて行っております。こうした取組の結果、是非、この相談窓口への相談件数、実績の積み上げをしっかり行っていきたいと考えます。
  47. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  窓口への報告実績数が一四年度百六件に伸びたということは、それだけ周知を行えばそういった情報提供の数も増えてくるということですので、今後ともしっかり取り組んでいただきたいと思います。こうした関連の団体、業界というのはそう星の数ほどあるわけではないと思いますので、周知徹底をすることで、こうしたことをしっかりとフォローアップしていっていただきたいというふうに思います。  私の記憶では、ベトナムのODAはこの問題を受けて過去一度凍結扱いになったはずです。それを再開をする前提として、この決算委員会でも申し上げたんですが、再発防止をしっかりとやるべきだということで、それで再開をしてまたこういう形になっているわけですから、二度とこういうことの起こらないようにしっかりと対応していただきたいということをお願いをさせていただきます。  残念ながら、再発防止の話はこのODA事案だけではなく、防衛装備品をめぐる調達についても同様のことが起きております。私自身、この点も過去質問をいたしておりますが、平成二十四年の八月、決算委員会において三菱電機等による過大請求事案について会計検査院に対する検査要請の取り計らいを委員会でお願いをしております。委員会としては同年九月に検査要請を行い、その報告書が会計検査院から二十四年十月及び二十五年九月に国会に提出され、二十三年度及び二十四年度決算検査報告にも記載をされるに至っております。  これらの報告を受けて、防衛省は再発防止に努めてきていらっしゃったというふうに思いますが、残念なことにその後も二十五年十月に日本航空電子工業株式会社、二十六年三月に古野電気株式会社が過大請求を行ったことが判明しております。さらに、今般二十五年度決算検査報告においても、二十三年度、二十四年度決算検査報告で指摘された企業以外でも同種の事態が生じていることが明らかになっております。これも大変に遺憾なことでありますが。  三菱電機等の過大請求事案が発覚以降、防衛装備品等の調達をめぐる不適切な事案は後を絶たないということで、会計検査院の指摘も二十三年、二十四年度、二十五年度と繰り返されている事態について防衛大臣はどのように御認識をされているか、お伺いします。
  48. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省といたしましては、三菱電機等による過大請求事案以降におきましても事案が生起していることは誠に遺憾なことであると認識をいたしております。引き続き、再発防止に取り組んでまいります。  また、会計検査院から繰り返し指摘を受けていることにつきましては、真摯に受け止め、早期に所要の措置を講じてきているところでございます。今後、同様の指摘を受けることがないよう、更なる防衛装備品等の調達の適正化に努めてまいります。
  49. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 防衛省による再発防止策が講じられているわけですが、その効果が十分に発現していない現状をどのように分析をされているのか、また、防衛関連企業への周知や認識等について、実態を調査し、必要に応じて改善を求めるなどの必要があると思いますが、どのように今後取り組んでいかれるのか、防衛大臣にお伺いします。
  50. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省といたしましては、防衛関連産業、企業の実態を調査をするということが重要であると認識をいたしており、三菱電機事案の再発防止策の一つとして、平成二十五年度から抜き打ちの調査や現場の調査、そして作業員への聴取を行うことといたしました。その結果、平成二十五年八月には日本航空電子工業、平成二十六年二月には古野電気の過大請求の不正行為の事実を確認するなど、当省の策定した再発防止策は一定の効果があったものと考えております。  今後とも、企業に対する調査の頻度を上げるなど、積極的に実態調査を行いまして、必要に応じて改善を求めてまいります。  また、平成二十五年度から全国の調達機関の職員を対象に、内部部局の職員による再発防止策の趣旨及び遵守の重要性等につきましての巡回教育を行っております。平成二十五年には全国十四か所で千九百人の職員に、平成二十六年には全国十か所で約五百二十名に対して教育を実施しておりまして、今後もこういったことにつきましては継続をして行ってまいりたいと思っております。
  51. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 検査を厳正にやった結果、新しい事案が見付かったというのはちょっと皮肉な感じもいたしますが。  いずれにしても再発は防がなければならないということですが、防衛装備庁の新設ですね。装備取得関連部門の集約、統合のほか、監査機能の強化を図ることを内容とする防衛省設置法等の一部改正案、本年三月、国会に提出をされております。組織を新しくつくることは大事ですけど、それだけで不適切な事案がなくなるとは言い切れないわけでありまして、その実効性を確保するために防衛省としてどのようなフォローアップを行うのか、御説明願います。
  52. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛装備庁の設置に当たりましては、これまでの過大請求事案における教訓、反省、これを踏まえまして、不祥事が生じないような組織設計を行うと同時に、職員の更なる意識向上に努めてまいっております。  具体的には、防衛調達審議会による調査審議に加えまして、防衛装備庁内における監察・監査部門の設置により内部監査機能の強化を図るとともに、内部監視機能の強化を図るとともに、教育部門の充実による職員の法令遵守教育の徹底、あわせて、防衛大臣直轄の防衛監察本部の増員により外部からの監察機能を強化するといった措置により、業務の一層の透明性、公平性を確保することといたしております。
  53. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 しっかりとこれからも取り組んでいただきたいと思います。  先ほどのODA事案に関する不正の問題も今回の防衛装備品の調達をめぐる問題も、今後も注視をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  次に、対北朝鮮外交安全保障政策について御質問をいたします。  まず初めに、アメリカにおいて今年の一月二日にオバマ政権が発動した対北朝鮮制裁に関する大統領令、いわゆるエグゼクティブオーダーの内容について、外務省から御説明願います。
  54. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) お答えいたします。  委員今御指摘の大統領令は、本年一月一日、これアメリカ時間ですけれども、発出されたものだというふうに思います。これは、米国政府が、昨年十一月から十二月の間に行われたサイバー関連行動、関連する国連安全保障理事会決議に違反する行動、深刻な人権侵害などを含む北朝鮮当局による挑発的で不安定化させる抑圧的な行動及び政策が、国家安全保障、外交及び米国経済に対する継続的な脅威を形成していると認めて発出されたものです。  この大統領令は、財務長官によって、北朝鮮当局又は朝鮮労働党の関係機関、それから北朝鮮当局の職員、それから朝鮮労働党職員、さらには北朝鮮当局又はこの大統領令の対象者を支援した者などに該当すると決定された者の資産を凍結したり取引を禁止するとともに、それらの者の米国への入国を一時停止するものというふうに承知しております。  さらに、この大統領令は、北朝鮮に関するこれまでの大統領令とは異なり、大量破壊兵器関連活動への関与などの理由に限定することなく、北朝鮮関係者などを幅広く制裁対象に指定することを可能とするものというふうに承知しております。  アメリカの財務省は、この大統領令は、北朝鮮の機関、補助部門及び管理下の組織を含む北朝鮮当局に対する経済的圧力を高めるものであるというふうに説明しているというふうに承知しております。
  55. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 今御説明があったとおり、今回のこの大統領令、エグゼクティブオーダーの特徴は、従来、核、ミサイルの開発等によって行われた制裁をサイバー攻撃や人権侵害を理由に発動することができるという形で付け加わったということでありまして、この部分が非常に重要であります。  サイバー攻撃に関しては、申し上げるまでもなく、米ソニー・ピクチャーズに対するサイバー攻撃が北朝鮮から行われたということが一つの要因。人権侵害に関しては、この間、我が国政府、そしてEU等ヨーロッパを中心とした国連の場における北朝鮮の人権問題の提起が決議となり、それが大きな圧力となって、こうしたアメリカが新たな制裁のメニューの中に人権問題も取り組むということを入れたということにつながってきたんだというふうに思います。  北朝鮮の人権状況に関しては、国連調査委員会の報告を受けて昨年十二月の国連総会本会議において北朝鮮人権決議が採択をされ、さらに安全保障理事会においても議題化をされております。しかし、残念ながら、安保理での制裁決議ということになると、中国、ロシアの拒否権の行使という壁があるわけで、なかなか簡単ではないと。  そこで、何が大事かというと、各国が独自に制裁を多用するということだと思います。御承知のとおり、我が国は世界で最も厳しい経済制裁を対北朝鮮で既に発動をしておるわけでありまして、そうしたことを同盟国であるアメリカにも求めていくことは非常に私は有効だと思います。私自身、今年の三月に自民党の拉致問題対策本部として訪米をいたしまして、米国議会及び政府関係者と面談をし、拉致問題の早期解決に向けたアメリカの独自の対北朝鮮制裁の強化を要請をしてまいりました。  実は、ちょうどこの週末でありますが、十八日、共同通信のワシントンからの配信で、オバマ政権が北朝鮮の人権侵害に関わった当局者に制裁を科す方針を固め、人物の特定に必要な情報収集や該当要件の検討に着手したという報道がありました。今申し上げたとおり、今までは核、ミサイルに限定したものを人権問題を理由に発動するということであれば初めてでありまして、極めて重要であり、我が国の拉致問題解決にも大きな私は影響があると思います。  そこで、まずこの事実関係日本政府の対応について外務大臣にお尋ねをいたします。参考人で結構です。
  56. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) お答えいたします。  今委員指摘の報道の方は、私どもとしても承知しております。このアメリカによる制裁対象の指定というものはアメリカ政府が判断する事柄ではありますけれども、政府といたしましても、本件についてのアメリカ政府の対応につき、関心を持って注視し、引き続きアメリカと緊密に連携して対応していきたいというふうに考えております。  それからまた、我が国の対北朝鮮措置につきましても、北朝鮮側から諸懸案解決に向けた前向きな具体的行動を引き出す上で何が最も効果的かという観点から、米国を始めとする関係国と引き続き緊密に連携しながら、不断に検討を行っていきたいというふうに考えております。
  57. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 この共同の配信の中、米政府当局者は、日本側から制裁の要請や拉致責任者、実行犯らに関する情報提供があれば制裁対象として検討し得るということを語ったというふうに報じられております。このことは、報道の内容ですから外務大臣が御答弁されるということはないかもしれませんが、そのような可能性は私十分にあると思うんですね。したがって、日本政府としても、具体的にこの日本の拉致問題の人権侵害を一つの大きな理由として、こうした対象を情報提供していくべきだというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  58. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のように、今年一月の大統領令につきましては、従来の大統領の大統領令とは異なって、対象がサイバー関連行動あるいは深刻な人権侵害等にも及ぶものであるという点については注目すべきことであり、こういった点も踏まえて、引き続き米国としっかり連携していかなければならないと思います。  そして、そうした連携の在り方につきましては、我が国自身、北朝鮮との対応におきまして、従来から、行動対行動あるいは対話と圧力、こうした方針で臨んできました。圧力につきましても、今日まで国連決議等に加えて我が国独自の制裁を行う、そして対話においても、昨年一年四か月ぶりに対話を再開し、特別調査委員会の調査がスタートをしました。ただ、この特別調査委員会の通報につきましてはまだ通報を受けていない、これは大変遺憾なことであり、一日も早い通報を求めていかなければならないと思いますが、こうした日本の対北朝鮮に対する対応、この現状の中にあって、最も北朝鮮側から建設的な対応を引き出すためには何が効果的なのか、こういった観点から今後の取組を考えなければなりません。  そういった観点から、米国との連携においても何を求めるべきなのか、何を実施するべきなのかを考えていく、こうした検討は続けていかなければならないのではないかと考えます。
  59. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 大変慎重な言い回しでありまして、大臣のお立場だとそういう御発言になるのかと思いますが、過去、長年北朝鮮との外交関係を見てきて私が申し上げたいことは、圧力なくして動くことはない国でありまして、圧力があって初めて対話が生まれるというのが米朝においても日朝においても明らかであります。  したがって、適切な圧力を掛けることで、まさに今再調査の結果が出てこないということを遺憾に思われているという御発言ございましたけれども、それを促す意味でも毅然とした対応を取ることが私はそれにつながっていくということを申し上げたいと思いますし、近々、防衛大臣外務大臣もワシントンに行かれて、それぞれ2プラス2のカウンターパート、お会いになるということでありますから、是非外務大臣として、このことが、アメリカ側からこうした一つの大きな前進に向けた動きがあることを捉えて、日本として連携を図っていくということをお話をいただきたいというふうに思いますが、外務大臣、もう一歩踏み込んで御答弁いただけたら有り難いんですが。
  60. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これから予定されております日米2プラス2等の場を活用して米国にしっかりと連携協力を求めていくべきだという御指摘でありますが、こうした北朝鮮に対する対応において、米国を始めとする関係国との連携協力、重要だということについては全く御指摘のとおりだと考えます。  その中にありまして、米国との関係、これは特に重要な関係であり、日米の外相の間においても、直近の日米外相会談、昨年の十一月でありましたが、ケリー国務長官との間におきましても、北朝鮮政策、これを直接取り上げ具体的に議論を行った、こういったことでありました。  是非、様々な機会を捉えて、引き続き米国との連携を行いながら、その時点において最も北朝鮮から建設的な行動を引き出すために効果的な対応を検討していきたいと考えます。
  61. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 外務大臣の心はよく分かりましたので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。  過去、北朝鮮が拉致を認めたときもそうです。アメリカがブッシュ政権で北朝鮮などの国々を悪の枢軸ということで指定をしイラクへの侵攻を行った、そのことによって、北朝鮮は非常に脅威に感じ、日朝での協議、そして拉致問題を認めるという経緯に至ったというのが過去のいきさつであります。  また、アメリカが発動した金融制裁、バンコ・デルタ・アジアに対する金融制裁は大変効果があったと言われておりまして、アメリカとしてこうした圧力を掛けることは、日米の連携を強化することは、まさに拉致問題を含む核、ミサイル等の懸案事項の解決にも私は資することだと思いますので、外務大臣はよくその点御存じだと思いますので、しっかりとお取組をいただきたいということをお願いさせていただきます。  ミサイル発射事案についてお尋ねをいたします。  実は、北朝鮮はこの間も弾道ミサイルなどの発射を行っております。三月二日には、日本海に向けスカッドと推定される弾道ミサイル二発を発射したと言われていますが、この発射実験の内容について防衛省から御説明願います。
  62. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) お答え申し上げます。  北朝鮮は、三月二日午前六時三十分頃及び六時四十分頃、北朝鮮の西岸の南浦付近から、それぞれ一発の弾道ミサイルを東北東方向に発射した模様でございます。発射された弾道ミサイルは、約五百キロ飛翔いたしまして日本海に落下したものと推定しております。  今般の北朝鮮による弾道ミサイル発射の意図、目的につきましては、一般論として申し上げれば、北朝鮮は、最近の弾道ミサイルの発射によりまして、国威の発揚や弾道ミサイルの技術、運用能力の検証などを図っている可能性が考えられます。また、北朝鮮は、現在実施されておりますアメリカと韓国、米韓連合演習につきまして強い反発を示しておりまして、今般の発射は同演習に対抗する軍事的示威行動である可能性もあるものと考えられております。  防衛省といたしましては、引き続き、北朝鮮の動向に関しまして、米国を始めとする関係各国と緊密に連携しつつ、重大な関心を持って情報収集、分析に努める所存でございます。
  63. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 理由はいかんであれ、弾道ミサイルの発射は明確に国連安全保障理事会の決議違反でございます。  韓国は国連の北朝鮮制裁委員会に書簡を送付し問題提起を行ったと言われていますが、日本政府としては国連にどのようなアクションを取られたのか、御説明願います。
  64. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今年三月二日の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、政府としましては、まず北京の大使館ルートを通じて直ちに北朝鮮に対して厳重な抗議を行いました。  その上で、翌三月三日、これは現地時間ですが、国連の北朝鮮制裁委員会に対して書簡を発出いたしました。この書簡におきまして、我が国は、三月二日の弾道ミサイル発射は、北朝鮮による弾道ミサイル技術を用いた発射を禁止する累次の安保理決議違反であると考えていること、また、今回の発射に関して北朝鮮に対して厳重な抗議を行ったこと、安保理決議の即時そして完全な履行を求めたことなど、こうした説明を行いました。  政府としましては、引き続き、北朝鮮の挑発行為を自制し安保理決議を遵守することを求めるために、国際社会と緊密に連携をしていきたいと考えております。
  65. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 しっかり対応していただきたいと思うんですね。  なぜかというと、最近、ミサイル事案が余り頻発をすると、だんだん麻痺をしてきて我々の対応がしっかりしないと、まさに北朝鮮はそれを繰り返す、常套化してくるという非常に悪い悪循環に今陥っていると思います。  アメリカの研究所、ジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析サイトは、北朝鮮が日本、韓国を射程内とする弾道ミサイルを約千発保有していると分析を発表しております。千発であります。大変に大きな数であります。また、米国の戦略核兵器を運用する戦略軍のヘイニー司令官は、二月に下院の軍事委員会の小委員会で提出した書面の中で、北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル、SLBMの開発を行っていると明言をしております。また、北米航空宇宙防衛司令部のゴートニー司令官が、北朝鮮は既に核兵器を小型化し、米本土を狙って発射する能力を保持しているということを表明をされております。  まさにこの間、手をこまねいている間に、北朝鮮のミサイル、そして核の技術がどんどん進んでいるという危機的状況があるというふうに考えます。  この関連で、中谷防衛大臣は記者会見で、北朝鮮が核兵器の弾頭化、小型化の実現に至っている可能性も排除できないと述べていらっしゃいますが、現状の北朝鮮の核兵器能力について改めて御説明を願いたいと思います。
  66. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 北朝鮮は、核兵器の計画の一環として、核兵器を弾道ミサイルに搭載するための努力を行っているものと考えております。  一般に核兵器を弾道ミサイルに搭載するためには小型化するのに相当の技術力が必要とされておりますが、北朝鮮は二〇一三年の二月にも三回目の核実験を行ったこと、また、米国等が六〇年代までにこうした技術力を獲得したと見られることなどを踏まえれば、北朝鮮が核兵器の小型化、弾頭化の実現に至っている可能性も排除できないと考えております。  防衛省といたしましては、北朝鮮による核開発の進行及び弾道ミサイル能力の増強は、我が国に対するミサイル攻撃の示唆などの挑発的言動と相まって、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっているものと認識をしておりまして、引き続き、北朝鮮の動向に関して、米国を始めとする関係国と密接に連携をしつつ、重大な関心を持って情報の収集、分析に努めるとともに、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいる所存でございます。
  67. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 可能性も排除できないというのはちょっと微妙な言い回しなんですが、具体的にもう核の小型化が進んでいて、まさに核兵器に核を搭載できる能力を有しているとアメリカの関係者は既に明言をしているわけで、日本政府がそれを認識していないということは私はないと思うんですが、防衛大臣、その認識があるということでよろしいんでしょうか。
  68. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これまで三回実験を行っておりまして、小型化、弾頭化の実現に至っている可能性も排除できないというふうに思っております。
  69. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 排除できないということは、あるということだと私は理解をいたしますが、慎重な言い回しだということは分かりますけど、もう既にアメリカでは政府関係者もそういう明言をしているわけですから、私はしっかりと我々も分かっているんだということを北朝鮮に向けて言っていった方がいいんではないかとむしろ思っておりますので、慎重なお立場の言い回しは分かりますけれども、その辺りをしっかりとまた発言をいただきたいなというふうに思います。  今、イランの核開発をめぐり、欧米など主要六か国が大きな枠組み合意をしたと言われておりますが、はっきり言ってイランの核の話はもう北朝鮮で過去に過ぎていたことで、北朝鮮の核開発は更に進んでおりますし、その小型化がもう実現をしているということがほとんど明確になってきております。これは非常に日米双方にとって、日米韓と言ってもいいでしょう、大きな脅威なんですが、残念ながら、その脅威に対する認識が私はアメリカ政府も少し最近足りないんではないのかなというふうに大変感じて危惧をしております。  仮に北朝鮮の核の小型化が実現をしていて、それを何らかの形でテロリスト等の手に渡らせるような核拡散が行われた場合、これは大変ゆゆしき事態を招くということでありまして、まさに世界全体の安全保障上の脅威でありますし、我が国、米国、韓国のみならずということでありますので、今後、2プラス2の協議の中で、もう一度日米の中で、核、ミサイルの問題、もちろん拉致問題も同様でありますが、しっかりとその重要性を強調していただきたいということで、それぞれの大臣にその点についてコメントをいただきたいと思います。
  70. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 北朝鮮における核・ミサイル開発、さらには拉致問題を始めとする人権問題、こうした問題を国際社会と共有するということ、これは大変重要なことであり、その中にあっても、特に日米韓、こうした関係国との連携は大変重要であると認識をいたします。  そして、こうした連携、意識の共有については更に幅広く共有するべく努力をしていかなければならないということで、今月、四月十四、十五、G7の外相会談が行われましたが、このG7外相会談の成果文書、コミュニケ本体の中に北朝鮮問題は明記し、その中にこの拉致問題という言葉もしっかり明記した上で北朝鮮問題を取り上げて、国際社会全体としてこの問題に取り組まなければいけない、こういった意識をG7の中で確認し、一致をしたということもありました。  是非、日米韓もちろんでありますが、国際社会と、北朝鮮における核・ミサイル開発あるいは拉致問題を始めとする人権問題、こうした問題を共有することによって北朝鮮により強いメッセージを国際社会全体から発する、こうした取組を我が国としてリードしていかなければならないのではないか、このようにも感じております。
  71. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今月八日にカーター国防長官、来日をいたしまして、私と北朝鮮情勢の認識、またミサイル問題を含む様々な課題に協議をしました。  北朝鮮が弾道ミサイルを連続して発射するということ、またこの地域の安全保障環境がより一層厳しさを増していることなどを踏まえまして、日米両国が緊密に連携していくことで一致をいたしましたが、月末に再び協議する機会がございますので、北朝鮮による核・ミサイル開発がこのミサイル攻撃の試射の挑発的な言動と相まって、非常にこの地域また国際社会の平和と安定に対する重大な脅威となっていること、また拉致問題が我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であるということで、先ほど委員の方から対話と圧力の事例が挙がりましたが、今後とも、米国とは緊密に連携をしつつ、対話と圧力の方針の下に、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決すべく協議を行ってまいりたいと思っております。
  72. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 終わります。     ─────────────
  73. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、佐藤正久君が委員辞任され、その補欠として滝波宏文君が選任されました。     ─────────────
  74. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。  今日は、議題となっております平成二十五年度決算等に係る省庁別審査ということで、とりわけODAに関して昨年の当決算委員会に引き続いて質疑をさせていただきたいと思います。質問事項が多岐にわたっておりますので、外務大臣、簡潔明瞭な答弁を是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、今日、お手元に資料を配らせていただきました。ODAの実績額の推移、とりわけ対GNI比ということで、今日、国際比較をさせていただいた図、大臣もよく御覧になっている図だと思います。平成二十五年度決算、二〇一三年度はある種特殊要因もあって、若干、対GNI比〇・二三ということで上がっていたわけですけれども、二〇一四年、これはまだ暫定値ではありますけれども、これを見ますと、また〇・一九と、〇・二を切る水準に低下をしてきているということであります。  大臣、率直に言って、このOECD主要国の中で、我が国ODAの実績、対GNI比、残念ながらこういう低位にとどまっているということについてどういう所見をお持ちか、まず御答弁をお願いします。
  75. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国のODA実績につきましては、委員からただいま御指摘がありましたように、二〇一三年から二〇一四年にかけて、特殊要因もあるということで、金額、実績の変動がありました。一つは円安要因であり、もう一つは二〇一三年に債務免除という要素があり、こうした要素によって二〇一三年から一四年にかけて実績が減少するということになりました。  こうした点につきましては、引き続きしっかり実績を踏まえて今後の取組を考えていかなければならないとは思いますが、いずれにしましても、我が国の国際協力は、過去六十年間の実績とともに国際社会から高く評価されていると認識をしております。  そして、我が国の外交にとりましても、ODA、大変重要な手段であります。ODA予算の確保につきましては、引き続き最大限努力をしていかなければならないと認識をしております。
  76. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大臣、今、海外から高く評価をされているということでした。中身の問題について質的に高く評価を受けているということは、これは確かにそうなんだと思います。  ただ、やはり国際的に先進国、対GNI比〇・七を目指そうと、これは大臣も繰り返し答弁されているとおり、まだ政府としても目標を捨てたわけではないと、引き続き〇・七というのは目標なんだということを言っておられるわけです。しかしながら、この表を見ていただければ、対GNI比は低位にとどまっております。  大臣、国際社会側から見たときに、ほかの先進国、G7の国々ないしは途上国もしかりでありますけれども、本当にどう我が国の立場というのが見えているんでしょうか。そういうことは分析をされていますか。世界から見たときにこれがどう評価をされているのか。この額の実績ですね。対GNI比〇・七を目指そうと言っているのに、日本は〇・二も達成できていないじゃないかと。海外でいろいろ今、安倍総理がいろんな国に行って日本の責任ある地位をとおっしゃっているときに、これが日本の責任ある地位なのかということが、どう評価をされているかということについて、大臣、どう評価を受けているというふうにお考えですか。
  77. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のように、我が国としましては、このODAの対GNI比〇・七%、こうした目標については引き続きコミットしておりますし、これからも重視して取り組んでいかなければならないと考えています。ただ、その中にあって、その数値についてこれまで諸外国から特段この日本の数値について何か意見をいただいたとか指摘をいただいた、こういったことについては承知をしておりません。  我が国としまして、様々な条件の中にありまして、最大限、評価されている我が国のODAを拡充するべく、質においてもまた量においても努力をしていかなければいけない、これは今後も変わらないと認識をいたします。引き続き努力を続けたいと存じます。
  78. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 引き続き努力をというお話でありました。  そうしますと、大臣、今、七月に予定をされております国連開発資金会議、この準備がいろいろ進められていると聞いております。さきの準備会合の中で、この七月の会議で新たな行動指針案が採択をされる予定であると。今そのゼロドラフトが出てきておりまして、私も読ませていただきましたけれども、このゼロドラフトの中でこういうのがあります。  まだGNI比〇・七%を達成していない全ての先進国に対して、これ当然我が国も入るんだと思います、この全ての先進国に対して一刻も早く達成するように増加をさせることを求めると。さらに、二〇二〇年までにそれをちゃんと実現ができるように、ちゃんとした工程表を作らせるということをこの成果文書の中に盛り込むということで議論がされているんだというふうに伝えられております。  大臣、この成果文書ゼロドラフト、七月の最終合意文書に向けて、今、日本政府はどういう立場でこの点について議論に参加をされておられるんでしょうか。まさか、よもや、大臣、今努力するんだとおっしゃっていただきましたからには、こういう目標を設定されたら困るから勘弁してくれというような非常に後ろ向きの議論を日本政府代表がこの議論でされているわけではないと思いますが、大臣、どういう立場で臨んでおられますか。
  79. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘の第三回開発資金国際会議の成果文書の素案、いわゆるゼロドラフトですが、これはこの会議の共同議長が作成した交渉のためのたたき台であります。よって、これをたたき台にしながら交渉が行われる、今後の交渉過程でこれは変わっていくものだと認識をしています。  そして、今のこの状況、報告を受けますときに、具体的な工程表を作るということにつきましては多くの先進国が慎重であるという報告を受けております。もちろん我が国としまして、GNI比〇・七%の目標、これはコミットしているわけではありますが、その手法や工程表を期限を定めて発表するということについては多くの先進国が慎重であるという状況につきまして、引き続き注視をしていきたいと思っています。  いずれにしましても、こうしたGNI比〇・七%の目標を念頭に置き最大限努力をするということについては変わらないと考えます。
  80. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 今大臣言われた多くの慎重な先進国に日本も入っているんですね。
  81. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今申し上げましたように、ゼロドラフトにつきましては、これはたたき台でありますので議論が行われます。その議論がどのようなものになるのか、今の段階で予断することは控えなければならないと思いますが、多くの先進国が慎重であるということは事実だと報告を受けております。
  82. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 お答えをいただいておりません。  結果が、いろいろ議論、交渉を通じてあるというのは当然です、ゼロドラフトですから。日本はどういう立場でこの議論に臨まれるのかと。慎重な先進国ときびすを合わせて慎重な国に入っているんですね。
  83. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国の現状を考えますときに、手法や工程表を期限を定めて発表することは困難であるというのが我が国の現状ではないかと認識をいたします。
  84. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 つまり、慎重な国の一国が日本であるということなんだと思います。大変残念です。  これ、二〇二〇年に向けてということでいいますと、大臣、これはもう大臣が重々御存じのとおり、今年九月にはポストMDGsの新しい国連開発目標が策定される予定です。我が国も積極的に、MDGsもそうですし、ポストMDGsの議論も積極的に主導的な役割を果たしてきているというふうに理解をしております。さらに、今年十二月には気候変動枠組条約、いわゆるCOP21、この新たな国際枠組みも策定されてまいります。これまた日本は主導的な役割をこの間、京都議定書以降ずっと果たしてきていると理解をしております。  今、国際社会で言われておりますのは、このポストMDGsもそしてCOP21も、やはり世界で協調した目標を設定してやっていくためには今まで以上の開発資金が必要になるであろうということ、これは共通認識であります。だからこそ、今回の第三回開発資金国際会議においても、やっぱりポストMDGsやCOP21を見据えて、これからもっともっと資金が必要になってくる中で先進国の役割をしっかりと、この国際公約〇・七をみんなで目指していこうじゃないかと。もう既に達成している国もあるわけです。  だから、まだ達成していない国はちゃんと国際的な責任を果たすべきではないかという脈絡でこういう議論が出てきているにもかかわらず、これまでそれぞれの会議でも主導的な役割を果たしていただいているんですよね、そのはずの日本が、二〇二〇年、いや、なかなか目標を具体的に掲げるのは難しいからと言うのは、これ相当に表と裏と違う立場を、いわゆるダブルスタンダードで議論に臨まれているとしか、国際社会から見れば、とりわけ途上国から見ればそうとしか受け止められないのではないかというふうに思うわけですが、大臣、もう一度、これ本当に、今年の九月の議論、十二月の議論に臨んでいくに当たって、七月のこの開発資金会合、そういう立場で臨んでよろしいんでしょうか。
  85. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、今様々な国際会議に向けて議論が行われているわけですが、今日まで我が国としましてこうした議論をリードするべく様々な取組を続けてきました。こうした姿勢は全く変わりません。  しかし、具体的な数字を挙げる等におきましてはしっかりとした責任が伴わなければなりません。その際に、各国の事情というのは様々な事情が存在いたします。我が国におけるODAの在り方、あるいは開発目標の在り方、そして気候変動における我が国の立場、環境、これは他の国と異なっている、これは当然のことであります。その中にあって最大限の努力をしていく、こうした姿勢をしっかり示していくことは重要だと考えております。  数字につきましては、我が国の現実の中で最大限努力する、これは当然のことだと考えます。
  86. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 今後の本当に世界的に国際的な役割をこういったポストMDGsもそしてCOP21も果たしていただく、それはもう是非やっていただかなければいけませんが、やはり国際社会の中では、じゃ、どう先進国が責任を資金的にも果たしていくんだ、これ問われる話です。そこで日本政府が決して後ろ向きの発言をされることがないように、これはくれぐれも指摘をしておきたいと思いますし、今後、我々もしっかり、今後の七月の会議、それから九月、十二月、政府の対応というのは注視をしていきたいと、必要に応じてまた質疑を通じて明らかにしていきたいと思います。  その上で、一つだけ確認です。今の資金調達の関係で、これ、この間議論をさせていただいておりますが、なかなか一般会計の中で制約があるという中でこれはずっと新たな資金調達のメカニズムも議論をいただいているわけです。とりわけ国際連帯税の議論をしていただいております。特に、二〇一二年の八月の税制抜本改革法でも、これは法律事項として、国際連帯税、国際的な動向も見極めながら検討すべしということが、これちゃんと政府に対して要求をされております。  ということは、こういう今まさに議論させていただいたような国際的な状況の中で、やっぱり改めて日本政府として、この新たな資金調達のメカニズム、国際連帯税的なものも含めて、しっかりと本気で導入に向けた議論をしていくべきではないかと思っておりますが、これどうでしょう、きちんと今年の年末の来年度の税制改正議論に向けて、しっかりと本格的な議論、導入に向けた議論をしていただくということを約束いただけないでしょうか。
  87. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 世界の開発需要、これはますます高まってまいります。それに対応するためには幅広い開発資金の動員が必要だと認識をいたします。  国際連帯税を含め具体的な資金調達のメカニズムについては、各国がそれぞれ可能な形で選択肢を検討していくことが求められます。その中にあって、国際連帯税ですが、御指摘のように平成二十四年の税制抜本改革法において、「国際的な取組の進展状況を踏まえつつ、検討すること。」、このように明記されています。そして、委員御自身が事務局長を務めておられます国際連帯税創設を求める議員連盟、この議員連盟も活発に活動されているということを承知しております。  政府の中においては、また国会の中においても様々な意見があるのは承知はしていますが、外務省としましては是非引き続き真摯に検討を進めていきたいと考えております。
  88. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これはもう二〇一二年の八月以降、ずっと真摯に検討を進めていきたいと、これ繰り返し、そこから一歩も踏み出していただいておりません。先ほど来申し上げたような国際情勢の中でこれは本気でやるべき時期に来ておると思いますので、これは今後ともまた別の機会でも見解ただしていきますので、是非、そう答弁していただきましたので、本気で検討していただきますようにこの場ではお願いをして、次に移りたいと思います。  さきのODA特別委員会で大臣にも質問させていただきましたけれども、新たな政府開発協力大綱、新大綱における、いわゆる軍隊、軍人に対するODA支援について、若干だけ確認をさせていただきたいと思います。  これはお手元の資料の二で、さきのODA特で要求した事項に対して外務省から御回答いただいたことも含めて、資料としてお配りをしております。  新大綱で軍隊、軍人に対する非軍事的ODA支援ということが明示をされたと、なぜこの大綱でそれをわざわざ明示をしなければならなかったのかということについていろいろと見解をたださせていただいたわけであります。大臣は、これまで重ねて、いや、これまでもやってきたんだと、実績がある話なんだと、実績があることを明確にするために大綱に書き込んだだけで、これによって新たに今までできなかったことができるようになったりということではないんだということを繰り返し御説明されております。  そこで、ちょっと確認なんです。この資料二の下のところに、資料要求をさせていただいて、過去十年間に、じゃ、どんな具体的な事例があったんですか、実績があるということで三件だけ出てまいりました。これがあの回避原則に照らして問題ないと判断をして行った実績ですと、十年で三件ですということでした。  大臣、つまり、今までもやってきたんだと、ちゃんと。これからも、別に今までできなかったことを新たにやるような話ではないんですという答弁です。つまり、今後もこの十年間で三件という話から大きく増加をするようなことはないということだというふうに理解をいたしますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  89. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、過去十年間に、軍や軍籍を有する者が関係することから軍事的用途への使用の回避原則に抵触することがないか慎重に検討した結果、軍事的用途への使用に当たらないと判断して実施した案件、これは資料にありますこの三件でございます。そして、今後について御質問いただきましたが、今回ODA大綱を見直して開発協力大綱というものを新たに作ったこの趣旨は、この十数年間の国際協力等における環境の変化をしっかり踏まえた上でこれからの協力の在り方を確認したということであります。  過去十年間、御指摘のような案件は三件でありましたが、今この現状を見るときに、近年、様々な動き、エボラ出血熱を始めグローバルな感染症の拡大ですとか、あるいは様々な紛争後の復旧復興ですとか、さらには最近のフィリピンにおける台風被害ですとか、軍が関わるようなこうした人道的な取組はますます増えているというのが現状だと思います。こうした国際社会の変化、そして様々な取組の状況の変化、こういったことを考えますときに、これから中長期的に日本の開発協力を考えた場合に、この大綱の中に、基本的な原則を明らかにしていく、こういったことは大変重要なのではないか、こういったことから明確化するという判断をしたものであります。  ただ、このことは、軍事目的にODAを用いないというこれまでの原則、これを変えるものでは全くありません。その原則を守りながら、我が国として、現実、より効果的な、そしてより評価される国際開発協力を行うためにはどうあるべきなのか、こういった観点から様々な努力をしていく、こうした視点は重要なのではないか、このように考えます。
  90. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大臣の答弁で不思議なのは、災害ですとか感染症ですとか、国際社会の変化があると、軍が関わる機会がますます増えて、でも、大臣、これ昨日今日始まった話じゃありません。そんな災害なり感染症なりはずっと以前からある話です。それに対して軍がますます関わる。でも、この十年間の事例は三件です。私は実はもっとあると思ったんです。大臣が、いや、これまでも実績があるんです、これまでと変わるものじゃありませんという話をされたので、もっと実績というのはあるんだろうなと思っていたら、たった三件だったんです。しかも、災害が関わるのは一件だけです。だから、大臣が言われていることとこの実績とどうも整合性が付かないわけです。  なので、今回この三件出していただいた、実績として、これは大変重たいですよ、大臣。これから我々はこれを基準に、今後の動向がどうなるのか見させていただきますし、今、外務省には、じゃ、回避原則に照らして駄目だった事案がどれぐらいあるのかも併せて示してくれというふうにお願いをしてあります。つまり、これまでの基準で、どういうのが合致して三件オーケーで、どれが駄目で拒否されたのか。何か事前のレクでは、拒否された案件の方がたくさんありますというお話でした。  それをまさに出していただいて、やはりこれまでの基準とは変わらないんだということを示していただかなければいけませんので、それは外務省からしっかりと情報開示をしていただいて、我々、今後の対応についてはしっかりとモニターをしていきたいと思いますし、さきのODA特では、大臣、それがきっちりと透明性ある形で担保できるように情報開示の在り方も考えますと言っていただきましたので、それも併せてしっかりと対応いただきますようにお願いをして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  モザンビークのプロサバンナ事業について質問させていただきます。  今日、JICA田中理事長、おいでをいただきましてありがとうございます。これ、昨年の決算委員会でも質問をさせていただきまして、岸田大臣も覚えていただいていると思いますが、この案件については、大変残念ながら、当初の予定から大きく、プロサバンナ事業、遅れてきた。これは大きな原因は、やはり当事者たる小農、農民組織の皆さん、市民社会の皆さんとの対話が残念ながらうまくいっていなかったということで暗礁に乗り上げてきたわけで、大臣からも、昨年の決算委員会、そして田中理事長からも、これ、しっかりと対話を丁寧に進めていくという答弁をいただいておりました。  そこで、田中理事長にまず伺います。  今回、暗礁に乗り上げておりましたナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援プロジェクト、いわゆるPDですね、このマスタープランのゼロドラフトができ上がったというふうに聞いております。明確にお答えください。このゼロドラフトができ上がったのはいつですか。
  91. 田中明彦

    参考人田中明彦君) これは最近でき上がったというふうに私了解しております。
  92. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 最近というのは、済みません、いつですか。
  93. 田中明彦

    参考人田中明彦君) このドラフトをモザンビーク政府がホームページで初稿を公開したのは三月三十一日でございます。その前だというふうに思っております。
  94. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 済みません、ちゃんとお答えをいただきたいんです。ホームページで公開は、別にそれはホームページで公開した日という事実でしょう。初稿が、ゼロドラフトができ上がったのはいつなんですか。
  95. 田中明彦

    参考人田中明彦君) 公開するバージョンができたから三月三十一日に公開したんだと思っております。
  96. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 それでは、JICAの理解としては三月三十一日にゼロドラフトというのは完成したんだということでよろしいんですね。
  97. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 挙手を願います。田中明彦理事長。
  98. 田中明彦

    参考人田中明彦君) ゼロドラフトというのはこれからマスタープランを今後たたいていくたたき台でありますから、これを公開したときに初稿ができ上がったものというふうに思っております。
  99. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 つまり、ゼロドラフトが完成をして、それをホームページで公開をしたと。つまり、ホームページで公開をされる前に、この間ずっと対話が滞っていた市民社会、農民組織の皆さんとそれについて一切相談せずに、いきなりホームページに出したという理解でいいですね。
  100. 田中明彦

    参考人田中明彦君) 様々なステークホルダーとの対話を丁寧に進めるということを私どもモザンビーク政府にお願いしてきたわけでございます。  その丁寧な作業の一つが、ゼロドラフトあるいは初稿を一般国民に広く公開して、しかもそれについて様々な説明を行うということによって、これからその内容について実質的にステークホルダーの皆さんと相談していこうということでありますから、私は、これはまさに丁寧な対話のプロセスを進めるために初稿、ゼロドラフトというものを公開したんだと思っております。
  101. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 モザンビーク国民の何%がインターネットにアクセスできますか。
  102. 田中明彦

    参考人田中明彦君) 私、直ちに今正確な数字を把握しておりませんが、インターネットに公開しただけでなく、モザンビーク政府は様々な役所その他でドラフトが入手できるように配慮していると聞いておりますし、それから、ラジオ等でもこの内容について周知しているものと理解しております。
  103. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 では、公開と同時に関係組織にはドラフトの原文が送付をされたという理解でよろしいですね。
  104. 田中明彦

    参考人田中明彦君) これは、ですから、役所で誰でも入手することができるように措置されたものと理解しております。
  105. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 関係組織は、ドラフトが開示をされた三月三十一日のことすら知らなかったと言っております。新聞報道で知ったと言っておりますが、これは事実ですか。
  106. 田中明彦

    参考人田中明彦君) 様々なステークホルダー、多数いらっしゃいますから、その様々なステークホルダーに周知するために新聞とテレビで周知する努力を行ったというふうに理解しております。
  107. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これ、大臣もよく聞いておいていただきたいと思います。  この間、ずっとですよ、関係組織と主要な団体と議論をしてきていただいて、そこがなかなか御理解をいただけなかったからここまで延びてしまった。にもかかわらず、ゼロドラフトができました、いや、ホームページで公開しました、役所で見れますから来てください、これは余りに対応がひどくないかというのをまず指摘をさせていただきたいと思います。  今度、公聴会をやられるというふうに聞きました。この公聴会というのは、全ての市民団体、農民組織、このプロジェクトに影響を受ける当事者ですね、誰もが参加できる公聴会になっているということでよろしいですか。
  108. 田中明彦

    参考人田中明彦君) そのように理解しております。
  109. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 確認します。希望する全ての関係者が参加できるんですね。
  110. 田中明彦

    参考人田中明彦君) 公聴会は登録制度だというふうに理解しておりますが、登録した全ての方が参加できるというふうに理解しております。
  111. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 登録の案内は、じゃ、事前に全てのこれまでJICAと対話があった関係組織には送られているという理解でよろしいですね。
  112. 田中明彦

    参考人田中明彦君) できる限り数多くの団体に公聴会の案内がモザンビーク政府から行っているものと理解しておりますし、それに加えて、モザンビーク政府は、ラジオや新聞で関係する全ての団体に公聴会の日程等を周知せしめているものと理解しております。
  113. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 主要団体からは案内が来ていなかったというふうな話を聞いておりますけれども、これ、理事長、大事なところですからもう一回確認しますが、公聴会、登録をしてくださいという案内は、これまで対話を続けてきた全ての主要組織、農民組織、市民社会グループ、全ての当事者にちゃんと事前に送られて登録をできると、そして、登録をした団体については必ず参加ができるという理解になっているということで、これ絶対に間違いないですね。
  114. 田中明彦

    参考人田中明彦君) 今回の公聴会は、プロサバンナのマスタープラン調査の対象となる全十九郡に対して行うわけですけれども、この十九郡の関係団体には全て案内を出しているというふうに理解しておりますし、さらに、繰り返しになりますけれども、ラジオや新聞、一般に開示しているところで誰でも登録すれば参加できるという形になっているというふうに理解しております。
  115. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 理事長、答弁ここでされましたので、改めて、情報いろいろ来ますから確認しますので、これ答弁違ったら大変なことになりますから、ここは改めて確認をさせていただきます。  公聴会、こういう形で今回持つというのは、この公聴会の持ち方、これは事前に市民社会と協議をして公聴会の持ち方は決められたんですね。
  116. 田中明彦

    参考人田中明彦君) これまでJICAとしまして関係を持ってきた幾つかの市民団体の皆様方と御相談して、このような形のものを持つことになったというふうに伺っております。
  117. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これは是非、後でどの団体に相談をされたのかを確認をさせていただきたいと思います。というのは、主要な団体からは、一切相談を受けていないという連絡を受けております。  外務大臣、特に昨年の答弁で、やっぱりこれは丁寧な議論をしていかなければ駄目だということを外務大臣にも言っていただいた。今回ゼロドラフトができて、公聴会を開く。しかし、私は今理事長の答弁を聞いても、公開はホームページでぼんと出したと、事前に相談があったのか、いや、分からない。今回、公聴会を持ちます、その持ち方は一部の団体とは相談した、でも、どの団体か。これ多分、僕は心配しているのは、これは同じことがまた繰り返されるんじゃないかとすごく心配をするわけです。  最後に、時間が来ましたので、もう一度、田中理事長。これから公聴会を開いていきます。それ以降、このドラフトをどういう形で最終的に進めていくのか、市民社会の皆さんとの対話、本当にどうやって進めていかれるつもりなのか、最後にそのことだけ確認の答弁をいただいておきたいと思います。
  118. 田中明彦

    参考人田中明彦君) 公聴会は、先ほど申しましたように、モザンビーク政府としてのマスタープランのたたき台を前提にした、これからの丁寧な議論の言わば出発点でございます。  ですから、十九郡全ての公聴会で様々な意見を言っていただくと。その意見を言っていただく前提として、モザンビーク政府としても、ラジオでも中身を報道したり、パワーポイントの資料等も作っているというふうに伺っております。この公聴会が終わってもそれで対話が終わるというわけではないわけでありまして、その後、ゼロドラフトへのコメントに基づいた検討修正したもの、さらにパブリックコメント等もやっていくというふうに伺っており、私どもとしてはモザンビーク政府が今後の対話を丁寧かつ遅滞なく進めていただけるというふうに期待しております。
  119. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 これで終わりますけれども、公聴会はあくまでスタートだと思っておりますので、その後の進め方、私も引き続きしっかりと注視をさせていただきます。外務大臣にも、今日答弁いただきませんでしたけど、しっかりとした対応をいただくこともお願いをして、質問を終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  120. 小西洋之

    小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  私から、冒頭一言申し上げさせていただきます。  本日の質疑のために内閣法制局の次長を金曜日の夜に通告をさせていただいていたんですけれども、夕方五時前に通告をさせていただいて、理由にならない理由、そのときのやり取りの紙がございますので、また先生方にもお示しをさせていただきたいと思いますけれども、結果、夜中の二時まで引っ張られまして、最終的には出ていただけないということが理事会で決定されました。  ただ、理事会の中で、議員の質問権に関わる問題であるというようなこともおっしゃってくださったそうでございまして、そうしたことに配慮いただきましたことを踏まえつつ、ただ一方で、やはりこれは重要な問題であると思いますので、委員会の問題ではなくハウスの問題として、政府に誠実なきちんとした対応を求めるように、説明責任とまた対応を求めるように別途質問主意書を私の方から出させていただくことを冒頭申し上げさせていただきます。  では、質疑に移らせていただきます。  冒頭、会計検査院に伺わせていただきます。  二十五年の決算結果によりまして、外務省は二件、防衛省は六件の不当事項が掲記されていたということでございますが、両大臣におかれましてはしっかりとした職務の監督をお願いしたいと思います。  しかし、この会計検査院が行う検査でございますけれども、こうしたいわゆる経済的な観点からの検査のほかに、各省庁が、日本国憲法以下、憲法を始めとする法令をしっかり守っているかという合規性の観点からの検査もすることが会計検査院法上の二十条三項の考え方で定められているところでございます。  これにつきまして、かつて私、こちらの決算委員会でこのような質問を会計検査院にさせていただきました。仮に我が国のどこかの役所が憲法に違反するような支出を行っていた場合、それはこの二十条三項の合規性の観点から検査院の検査の対象になるんでしょうかという質問でございます。これに対しまして会計検査院の院長の方から、仮に憲法に違反する行政の支出があった場合には、合規性の観点から検査対象となり得ると考えておりますという答弁をいただいているところでございます。  この関連で、更に大切なことを確認させていただきます。会計検査院の院長に伺います。  一般論として、行政の支出が憲法違反か否かは会計検査院が主体的に判断するのでしょうか。よろしくお願いいたします。
  121. 河戸光彦

    会計検査院長(河戸光彦君) 一般論といたしまして、合規性の観点からの検査に当たりましては、関係法令等を所管している府省の見解を聴取したり、関係する判例等の内容を検討したりするなどした結果、会計検査院として、誤った法令解釈に基づいて行政の支出がなされていると判断される場合には、合規性の観点から指摘することもあり得ると考えております。これは、行政の支出が憲法違反か否かについて検討する場合であっても同様であると考えております。
  122. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  今の会計検査院の院長の答弁と申しますのは、憲法に違反しているかどうか、その判断を主体的に会計検査院が行うということでございます。これは当然でございまして、会計検査院は憲法上の独立機関でございますので、法律に基づく合規性の検査に当たりましては主体的に自ら憲法違反か否かについて検討するということでございます。  委員長、この答弁、実はこの決算委員会の歴史、また衆参を通じての委員会の歴史で初めての答弁でございますので、是非、同僚議員の皆様とともに共有をさせていただきたいと思います。  では、この関連で、こうした答弁も踏まえながら質問をさせていただきたいと思います。昨年の七月一日の集団的自衛権を行使容認をいたしましたいわゆる解釈改憲の問題について質問をさせていただきます。  昨年の七月一日ではございますけれども、その着手は、政府の中におかれましては、一昨年、まさに平成二十五年の八月の冒頭に、お亡くなりになりましたあの小松長官がいらっしゃってこうした動きが始まり、私も平成二十五年の十一月の二十五日にこの決算委員会で憲法解釈の問題について追及をさせていただいたところでございます。また、その他いろんな先生方がこうした問題を重ねられておりますので、二十五年の関連として非常に深い問題があるという認識質問をさせていただきたいと思います。  今日、委員長、させていただく質問は、恐らくこの決算委員会の歴史の中においても、ある意味、私が申し上げるのもなんですけれども、非常に重要な質疑になろうかと思います。それはなぜかと申しますと、七月一日の集団的自衛権の行使容認の解釈の変更、それは、昭和四十七年見解、今皆様のお手元にカラーで配らせていただいておりますこの昭和四十七年見解を基に行ったということが言われているところでございます。  その内容でございますけれども、これは外交防衛委員会などで何度も追及をさせていただいて、ここで改めて更に決算委員会で本質的なものをさせていただきますけれども、この昭和四十七年見解、今から四十三年前の昭和四十七年にまさにこの決算委員会に提出をされたものでございます。何枚かめくっていただきますと、その当時の内閣法制局の中におけるその起案の原議、これは私は情報公開請求で入手したものでございますけれども、それも付けさせていただいているところでございます。  今まで、集団的自衛権の行使は、昨年の七月一日以前は、憲法の条文を変えない限りできないというふうに国会答弁をされておりました。解釈変更の余地すらない、限定容認も余地すらないということも、平成十六年の有名な秋山法制局長官の答弁などで具体的に示されているところでございます。つまり、解釈変更の余地すらなく、あらゆる集団的自衛権が、また、憲法の条文を変えない限りできないと言われていたものが、七月一日に、ある日突然できるようになった、その理由の根本が実はこの紙の中に書いてあるわけでございます。まず、それを御説明しまして、皆様と共有させていただきたいと思います。  このカラーの絵でございますけれども、七月一日以降の、七月十四日の衆議院の閉会中審査で公明党の北側先生が掲げられたパネルと同じものでございます、衆議院の委員部からいただきましたけれども。  ここに書いてある内容をちょっと御説明をさせていただきますと、上から、これ憲法九条の解釈なんですけれども、憲法は九条において戦争の放棄などを定めていると。なので、一見すると、我が国においてその実力の行使という、一切の実力の行使は禁止していられるように見えると。しかし、次、三行目ですけれども、国民の生存という問題がありますけれども、国民の命に関わるようなことについては、下から二行目の言葉ですけれども、必要な自衛の措置をとることまでは禁じているとは到底解されない。  次の段落です。しかしながら、だからといって、そういう国民の命を守るための自衛の措置、すなわち戦いですけれども、戦いができるからといっても、我が国は憲法前文の平和主義の規定がございます、憲法九条の解釈を拘束する平和主義の規定がありますので、平和主義の憲法なのだから、何でもかんでも戦い、すなわち何でもかんでも自衛のための措置を無制限に認めるということは到底解されない。よって、それができるのは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命などが根底から覆されるという急迫不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための必要やむを得ない措置として必要最小限度のものができると。これが憲法九条の七月一日以前の解釈でございました。  ところが、七月一日をもって安倍内閣は、今申し上げたこの文章を別の読み方ができるということに気付いたというふうに言っているわけでございます。それは、二つ目の箱の基本的な論理②というのがございますけれども、赤い文字のスタートのところに「外国の武力攻撃」というのがございます。この外国の武力攻撃、今申し上げましたように、我が国に対する外国の武力攻撃によって日本国民の生命が根底から覆される場合に、それを守るための必要最小限度のことはできるというふうに当然読めるし、それ以外に読めるはずもないんですけれども、実は横畠長官はこのようにおっしゃったんです。外国の武力攻撃というのは裸で書かれています、限定されていません、我が国に対する外国の武力攻撃だけではなくて、我が国の同盟国に対する外国の武力攻撃によって日本国民の生命が根底から覆される場合、これも含まれるのであると。  分かりやすく申し上げますと、安倍総理が国会で言っているような事例に基づいて申し上げますと、我が国の同盟国であるアメリカに対する外国たるイランの武力攻撃によって日本国民の生命が根底から覆されるという場合には、我が国は必要最小限度の自衛の措置たるその武力行使ができる、すなわち集団的自衛権ができるというふうに言っているんです。  皆さん、初めて御理解された方はもうとんでもないことだというふうに思われると思うんですけれども、これが実は、もう私、外交防衛委員会で何度も、三回確認させていただきましたけれども、政府のその集団的自衛権行使を解禁した解釈でございます。ここからいろいろ質疑を重ねさせていただきます。  問題は、こうした昭和四十七年見解をこのような読み方をすることが、論理的な整合性あるいは法的な安定性、これは七月一日の閣議決定にもそれは守らなきゃいけないと書いてあります、あるいは今までの国会の議論の積み重ね、我々が六十年間以上この質疑を通じて政府の憲法解釈、九条解釈を監督し確立してきた、我が国に対する武力攻撃が発生したとき以外に我が国は武力行使をすることができない、それも限定された必要最小限度の正当防衛的な武力行使しかできない、そういう歴代の積み重なってきた考え方に矛盾しないかということを確認をさせていただきたいと思います。  では、初めは法制局の第一部長に伺わせていただきます。  めくっていただいて出てくるこの起案の文書ですけれども、これは情報公開請求に基づいて提出をいただきました。私の情報公開請求は、昭和四十七年当時、昭和四十七年当時にこの昭和四十七年見解を作ったときの内閣法制局にある全ての資料、また、作るときに内閣法制局が入手することになった全ての資料を提出して、情報公開請求して、くださいといって、結果、この起案の文書とこれをワープロ打ちした文書が出てきましたけれども、それ以外の文書は法制局の中にはないという理解でよろしいですか。
  123. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 答弁指名はいたしますが、小西委員にお願いを申し上げます。  私も耳をそばだてているつもりなんですが、大変小西委員の御質問は早口の部分がございまして、議事録を起こす都合もございますので、できるだけはっきりおっしゃっていただけると重要な問題が把握しやすいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
  124. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) お答え申し上げますが、委員の方から御請求がございました情報公開請求に対しましての当局が持っておりました文書は、情報公開で開示をいたしましたものだけでございます。
  125. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  今の法制局の答弁は、この四十七年見解を作った当時から、法制局が今所有している文書というのは、このお付けしている起案のものと、あとワープロ打ちのこの文書、手書きの文書を起こしたワープロ打ちの文書だけであるということでございます。  そうすると、この四十七年見解を、ここの「外国の武力攻撃」という言葉がありますけれども、これを、当然我が国に対する外国の武力攻撃と読むのが当たり前なんですけれども、これを同盟国に対する外国の武力攻撃と読んでいいか判断することをいろいろな工夫をしてやらなければいけないのでございます。  その工夫として、今皆様にお配りをさせていただいていますのが、この昭和四十七年見解を作る契機になったこちらの決算委員会の議事録でございます。  横畠法制局長官に伺います。  今、議事録ございますよね、真田次長答弁と書いた。二枚めくっていただきますと、吉國長官答弁というのがございますけれども、これが昭和四十七年九月の十四日でございます。昭和四十七年の九月の十四日で、当時の水口議員とおっしゃる方が、政府の集団的自衛権と憲法の見解について文書で提出してくださいというふうに、この議事録の最後に付けていますけれども、その要求に対して、その二週間後でございますけれども、起案に日付がありますけれども、昭和四十七年の十月の五日に起案をして七日に、たった二日で決裁した。私もかつて役所でこういうことをさらさらとやっていましたけれども。四十七年見解が非常に物々しいものだというふうに政府の皆さんは説明されておりますけれども、まあ言うと普通の政府見解ですよね。それを今から証明をさせていただきます。  法制局長官に伺います。四十七年のこの吉國長官答弁、更にその上に、この四十七年見解が国会に提出される約半年前ですけれども、四十七年の五月の十二日、当時の真田法制局次長でございます、こういうこともあるので今日次長を要求していたんですけれども、真田法制局次長がまさに水口先生から当時質問をされたその議事録でございます。  横畠長官に伺います。七月一日、あなたは新しい憲法解釈の変更を容認する際に、この二つの議事録、昭和四十七年五月十二日の真田次長に対する水口先生の質疑、また吉國長官に対する昭和四十七年九月十四日の水口先生の質疑についての議事録を精査されていましたか。
  126. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) もとより、過去の国会における議論というのは精査した上での検討でございます。
  127. 小西洋之

    小西洋之君 では、長官に重ねて伺います。精査されたとおっしゃいましたので、じゃ、吉國長官のその質疑のやり取りの中に、いわゆる今回長官がお認めになった限定容認、限定された集団的自衛権ですね、国民の生命などが根底から覆される、明白な危険という余計な要件も付けていますけれども、覆される場合に、それを守るための集団的自衛権は可能であるわけがないというような法理を長官が示されている、そういうやり取りがあるということを御存じですか。
  128. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) どの部分を意識してのお尋ねかは定かでありませんけれども、先ほど御紹介いただきました昭和四十七年政府見解の基本的な理論の中で、「外国の武力攻撃によつて国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、」という、そういう場合についての一定の武力の行使というものは憲法九条の下でも許容されているというのが昭和四十七年当時の基本的な論理でございます。  当時におきましては、それに該当する場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという認識に立っておりましたので、当時の議論はそのようなものになっていると思います。
  129. 小西洋之

    小西洋之君 長官はこのようにして時間を稼ぐようなことを一生懸命毎回されるんですけれども、分かりました、じゃ、早速その長官の答弁の内容について質問を重ねていただきます。  この議事録、真田次長答弁と書かれたものから、下にマジックで真ん中にページを付させていただいていますけど、五ページをお開きいただけますでしょうか。  ちょっと時間が押してまいりましたのでポイントを押させていただきますけれども、この五ページに黒線を引っ張らせていただいておりますのは、先ほど申し上げました七月一日以前の憲法九条の解釈でございます。一段落から二段落目ですけれども、「日本国が、この国土が他国に侵略をせられまして国民が非常な苦しみにおちいるということを放置するというところまで憲法が命じておるものではない。」。次ですけれども、黒いところ、「いよいよぎりぎりの最後のところでは、この国土がじゅうりんをせられて国民が苦しむ状態を容認するものではない。」、「その直前の段階においては、自衛のため必要な行動はとれるんだ」。で、真ん中ですけれども、ちょっと太めの線ですね。「国土を守るというためには、集団的自衛の行動というふうなものは当然許しておるところではない。」。更に飛ばして太いところですね。「その非常に緊密な関係に、かりにある国があるといたしましても、その国の侵略が行なわれて、さらにわが国が侵されようという段階になって、侵略が発生いたしましたならば、やむを得ず自衛の行動をとるということが、憲法の容認するぎりぎりのところだという説明をいたしておるわけでございます。そういう意味で、集団的自衛の固有の権利はございましても、これは憲法上行使することは許されないということに相なると思います。」ということを言っているところでございます。  これが本来の憲法九条の正しい解釈でございます。  じゃ、次をおめくりいただけますでしょうか。  この吉國長官と水口先生の質疑というのは実はただの質疑ではございませんで、まさに今回安倍内閣が解禁した他衛かつ自衛、自衛のための他衛である集団的自衛権、それがあり得るのかということを実は水口先生は繰り返し繰り返し吉國長官に質問をされているところでございます。  横畠長官、今私が申し上げました、水口先生は正当防衛たる集団的自衛権があり得ると、そういうことがあり得るのかということを長官に繰り返し重ねて質問されているんですけれども、そういう質疑であることを御存じですか。イエスかノーかだけで答えてください。
  130. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 具体的な箇所を御指摘いただきたいと思います。
  131. 小西洋之

    小西洋之君 今の長官の答弁が、今回、解釈変更に当たりまして内閣法制局は、国家安全保障局、今日お役人いらっしゃっておりますけれども、政府の方、六月三十日にその閣議決定の最終案文だけを提出をして、内閣法制局に、で、内閣法制局は翌日の午前中の七月一日に電話で意見はありませんと言っただけだということがもう国会質疑等で明らかになっておりますけれども、全く何の審査もしていないわけでございます。つまり、四十七年見解を作った、承認した当時の内閣法制局長官が、自衛かつ他衛の集団的自衛権はあり得るのかという質問を重ねて受けて、そんなものはありませんという答弁をひたすらなさっている。それを受けた二週間後に作られたのが昭和四十七年見解でございます。それをこれからお示しをさせていただきたいと思います。  この七ページ、ひっくり返して七ページを御覧いただけますか。七ページです。  議事録は非常に深い内容ですのでつまびらかに御説明できませんが、七ページの下の三段落目のところの太い下線でございますね。「わが国は憲法第九条の戦争放棄の規定によって、他国の防衛までをやるということは、どうしても憲法九条を」、次です、「いかに読んでも読み切れないということ、平たく申せばそういうことだろうと思います。」。憲法九条をいかに読んでも読み切れない、そういう他国防衛の武力行使というのはできないと言っている長官がそれができるような四十七年見解を作るわけがございませんので、たまたま、四十七年見解のこのカラーの紙のこの外国の武力攻撃という前に我が国に対する外国の武力攻撃という限定がないことに付け込んで、この昭和四十七年見解を自分たちの御都合のいいように、集団的自衛権ができるように読み替えるというのは、法令解釈としては、そのことは絶対やってはいけない暴挙でございます。  もう長官、楽になられたらいいと思います。両大臣ももう四回目でございますので御理解いただいていると思いますけれども、また今日は質問を後でさせていただきますけれども、もうこういうことをしてはいけないです。もうこれはもたないです。  前回も、外交防衛委員会でも申し上げましたけれども、仮にゴールデンウイーク明けに安保法制を強行されても、強行というのはあれですけれども、与党の皆さんが最後採決をされても、私は、将来、必ず違憲訴訟が起きますので、最高裁判決でその合憲判決を阻止するために国会議員としてこうして今、議事録を刻まさせていただいているところでございます。先生方、本当に尊敬する保守の政治家でございますので、どうか皆様の力でこうしたことを止めていただきたいというふうに思います。  では、今申し上げました自衛かつ他衛が否定されているということでございますけれども、その次の線を読んでいただけますか。「わが国が侵略をされてわが国民の生命、自由及び幸福追求の権利が侵されるというときに、この自国を防衛するために必要な措置をとるというのは、憲法九条でかろうじて認められる自衛のための行動だということでございまして、他国の侵略を自国に対する侵略と同じように考えて、それに対して、その他国が侵略されたのに対して、その侵略を排除するための措置をとるというところは、憲法第九条では容認してはおらない」ところであるというふうに言っているところでございます。  じゃ、ちょっと次の、六ページの方にお戻りいただけますでしょうか。いろんな点を確認をしなければいけないんですけれども。  ちなみに、この今の議事録、長官の議事録と、あと先ほど申し上げました真田次長の議事録を読んでいただきますと、まさにこの議事録に出てくる言葉で昭和四十七年見解が作られたということが大変分かりやすく理解をされるところでございます。  一番上に、「少なくとも最高裁の砂川判決において自衛権が承認をされております。」という言葉がございます。この昭和四十七年見解のこのカラーの紙の第一段にある「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置」というのは、最高裁判決と軌を一にしているということは横畠長官も七月十四日に答弁をされているところでございます。  では、その左の黒線のところですけれども、最高裁ではそのように言っているんだけれども、最高裁は個別的自衛権も集団的自衛権も認めておりませんので、日本国が無防備、無抵抗ではないと、何らかの自衛の措置ができるということしか言っておりませんので、じゃ、その日本は何ができるんだというところですけれども、黒いところです、今申し上げました、「日本は自衛のため必要な最小限度の措置をとることは許されている。その最小限度の措置と申しますのは、説明のしかたとしては、わが国が他国の武力に侵されて、国民がその武力に圧倒されて苦しまなければならないというところまで命じておるものではない。」ということですね。つまり、これ以外の集団的自衛権の局面ということはできないというわけでございます。  更に左の方に行っていただいて、「そういう説明をいたしますと、おのずからこの論理の帰結」、論理の帰結です、憲法九条解釈の、「論理の帰結として、いわゆる集団的自衛の権利は行使できないということになるというのが私どもの考え方」だというふうに言っております。  その更に左下のこの吉國長官、私が丸でぐるぐるしているところでございますけれども、初め、憲法の前文の平和主義を引用します。この昭和四十七年にも、先ほど申し上げました、我が国は自衛の措置ができるんだけれども何が何でもできるわけではない、なぜなら、それは平和主義の制限に服するからということが四十七年見解に書かれておりますけれども、平和主義の言及があるところでございます。  そこから左の部分というのは、先ほど申し上げました、我が国に対する外国の侵略があった場合に、それを守ることだけは憲法十三条などを根拠に必要最小限のことができるんだということを書いているんですけれども、ずっと左に行って、左側の太い線のところですね、書いてあります。「「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が根底からくつがえされるおそれがある。」というふうに言っております。まさに昭和四十七年見解の有名な言葉ですね。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利が根底から覆るおそれがあるという言葉が付されております。  これ、先ほどの起案のこのかがみに早坂主査という方が書かれていまして、これ、早坂さん、当時参事官内閣法制局の課長クラスの方なんですけれども、その方が鉛筆でさらさらさらと書いたものなんですけれども、私も政府の役人の経験がございます。役人が、部下の課長さんが長官に諮るものを作るときは、長官や次長の答弁、あるいは、このまさに水口先生の要求に対して政府の見解を示すわけですから、そうしたその直前の議事録の言葉などを正確に引用するというのはよく理解できることでございます。  次でございます。「くつがえされるおそれがある。その場合に、」、次です、「自衛のため必要な措置をとることを憲法が禁じているものではない、というのが憲法第九条に対する私どものいままでの解釈の論理の根底でございます。その論理から申しまして、集団的自衛の権利ということばを用いるまでもなく、」、集団的自衛権はそれはできないということは言われているところでございます。  横畠長官に伺います。横畠長官がお認めになった七月一日の新しい憲法解釈というものは、国民の生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利が根底から覆されるおそれがある、まさにこの場合ですね、この場合に、我が国が許容される必要な自衛のための措置としてそういう限定的な集団的自衛権が認められるんだと言っているんですけれども、そうではないと。まさに日本に対する武力攻撃が発生した場合に、それを守るためのそういう局面のことしか駄目であると。そのことを、次ですね、「憲法第九条に対する私どものいままでの解釈の論理の根底でございます。」と言っていますね、論理の根底。その論理から申し上げまして、集団的自衛権は一切認められないと言っているわけでございますけれども。  論理の根底であるというふうに当時の法制局長官が言っているのに、ここに安倍内閣が言葉を付け加えて新しい論理をつくり出すことは、それは法令解釈として許されるんでしょうか。それは、意図的かつ便宜的かつ恣意的な憲法違反の法令解釈ではないでしょうか。
  132. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) この度の新三要件につきましては、御存じだと思いますが、第一要件といたしまして、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることとし、第二要件といたしまして、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないことと明記しております。さらに第三要件として、必要最小限度の実力行使にとどまるべきものとしております。  すなわち、この新三要件の下で容認されます武力の行使、自衛の措置といいますのは、あくまでも我が国を守るため、我が国と国民を守るための措置でございます。  そこで、先ほど御指摘のございました、七ページにあります他国の防衛までもやるということではもちろんございませんし、他国の侵略を自国に対する侵略と同じように考えて対処するというものでもございません。
  133. 小西洋之

    小西洋之君 全く私の質問に答えてないですね。吉國長官がおっしゃっているのはまさにこのとおりなんですよ。憲法九条の解釈の論理、その根底、もう全てにおいて、我が国は我が国に武力攻撃が発生したとき以外に武力の行使はできないと言っているんですよ。ところが、それ以外のことを、このまさに四十七年見解を作られた吉國長官のこういうお考えを完全に無視をして、それ以外の、我が国が武力攻撃を受けない状況で我が国が武力行使をする集団的自衛権ができるということを生み出しているのは、明らかに憲法違反の解釈変更であるというふうに指摘をさせていただきます。  重ねて申し上げます。次の七ページですね。横畠長官が今言い訳に使いました。横畠長官が私の論理的な質問に対して論理をもって返していないのは、それは論理破綻で憲法違反であるということを同僚委員の皆様、また国民の皆様、将来の最高裁判事の皆様に御理解いただきたいと思います。  七ページで、横畠長官が読み上げる前に先ほど私が言いました、「わが国は憲法第九条の戦争放棄の規定によって、他国の防衛までをやるということは、どうしても憲法九条をいかに読んでも読み切れないということ、平たく申せばそういうことだろうと思います。」というふうに言っているわけでございます。読んでも読み切れないものなんですから、当然、ここの昭和四十七年見解の外国の武力攻撃というのは、我が国に対するという意味でしかないんですよね。それを別の意味で読むというのは許されないことなんですね、ということを指摘をさせていただきたいと思います。  また六ページに戻っていただきまして、もう一つ大事なことを指摘をさせていただきます。  横畠長官はこういうふうに言うんですね。いや、昭和四十七年当時は我が国に対する武力攻撃が発生していない状況、例えばアメリカといった同盟国に武力攻撃が発生して、それによって我が国の国民の生命が根底から覆される、そういう事実の認識はなかったんですと。なかったんですというようなことを言っているんですけれども、そういう事実の認識ではないと。どういう事実の認識を持とうが、憲法九条解釈の論理的な帰結として、いわゆる我が国に武力攻撃が発生した、そういう個別的自衛権しか認められないということもはっきり吉國長官はおっしゃっています。それが六ページの下のところでございます、一番下、「政策論」と「論理」というふうに線を引かさせていただいておりますけれども。  先ほど申し上げましたように、この水口先生という方は、正当防衛の集団的自衛権というのがあるんだろうと、まさに自衛かつ他衛の集団的自衛権があるんだろうという質問をしているんですね。吉國長官は、いや、そういうことじゃないんですよと。そういう政策論みたいな話をしているわけではないんです。つまり、政策論というのは、事実をどのように認識するかという、その立法事実に、法律論との橋渡しは立法事実になりますけれども、政策論というのはまさに事実の認識のところでありますので、そんな話ではないんです、論理なんですと。論理によって我が国の、憲法九条においては、次のページでございますけれども、「自衛のための措置」というのは、「集団的自衛のための行動はとれない」と、これが、最後の一番下の太い線です、「憲法第九条の法律的な憲法的な解釈」であるというふうに言っているわけでございます。  委員長、いろいろ申し上げておりますけれども、私が申し上げているのは、昭和四十七年見解を作るきっかけになった質疑で、まさに今回安倍内閣が認めた限定的な集団的自衛権がどのように議論されているか、それがこっぱみじんに否定されている、論理的に、ということをお示しをさせていただいているところでございます。  済みません、時間が押してまいりましたので、このページの冒頭に戻っていただきまして、真田次長のものについて、少し駆け足ですけれどもポイントを説明させていただきます。この真田次長に質問をされているのも水口先生でございます。  二ページというところをお開きいただきまして、真ん中の太い線のやや左下に、「その他国がわが国とかりに連帯的関係にあった」というんですが、この連帯的関係というのは、後で御確認いただきたいんですけれども、この鉛筆書きの起案では初め連帯関係と書いてあるんですけれども、これを密接な関係というふうに変えているんですね。まさにその直前の質疑などで内容を参考にした一つの証拠になるというふうに考えさせていただきたいと思います。  その二ページの下でございますけれども、「一口に自衛のためには武力を行使してもいいんだというふうには申しておらない」と。つまり、自衛のためでできるというわけじゃ、自衛の名の下でできるというわけではないんですよと。次ですね、「三要件のもとにおいてのみ許される」。第一要件がかなわない限りは我が国は武力行使はできないということを言っているわけでございます。  その次の三ページをおめくりいただけますでしょうか、ひっくり返していただけますでしょうか。太い線のところでございますけれども、「毛頭考えておりません。」というのが一番最後に書いてありますね。そういう集団的自衛権の可能性だというようなことはもう毛頭考えていないということを言っているところでございます。  さらに、この三ページの一番下の、これ水口先生の部分でございますけれども、水口先生の部分、先ほどから申し上げている内容が書いてあります。「たとえ集団的であろうと個別的であろうと、あなた方の解釈」、これ実は法制局の解釈を水口先生がちょっと間違えているところもあるんですけれども、正当防衛の考え方について、集団的自衛権の国際法上の正当防衛の考え方について間違えているところもあるんですけれども、次です、「日本の安全が直接脅かされたような状況、こういう場合に当然固有の権利として持っている自衛権を発動し、」、つまり集団的自衛権ができるんじゃないんですかというふうに言っています。  それに対して、その下の太い線のところでございますけれども、「わが国が日本国憲法のもとでいかなる行動がとれるか」、それは、更に太い線、「自衛権行使の三原則、三要件、このもとにおいてのみ行使が許される」、で、次ですね、「その解釈の結果、」、あくまで論理的に導かれるその旧三要件、我が国に武力攻撃が発生した場合しかできないというその旧三要件の論理の結果として、「もう個別的自衛権しか該当しない。」、集団的自衛権はできないというふうに言っているところでございます。  この今線を引かせていただいた、もう個別的自衛権しか該当しないというところがございますけれども、更にそこに細い線を引かさせていただいております。今申し上げました、つまり第一原則ですね、第一要件があるので、「第一原則でございますから、その原則の適用の結果、わが国が行使し得る自衛権の態様というのは個別的自衛権に限られる」、つまり第一原則が全てなんだと言っているわけですね。そうすると、この四十七年見解の「外国の武力攻撃」というのは、第一原則である我が国に対する外国の武力攻撃というふうに読まなければいけないわけでございます。  もう時間が最後になりましたので、以上、このように、この議事録を是非皆様、お読みいただきたいんですけれども、もうどこを読んでも七月一日の閣議決定を否定する論拠ばかりでございます。  岸田大臣に最後、伺わせていただきます。  岸田大臣、安倍総理が今度訪米をされるということになると思いますけれども、最高裁判決で私は間違いなく違憲判決が出ると思います。また、これから安保国会の中でこうした質問をあらゆる議員がすることになります。到底もつとは思えません。日本の国益を守るために、外務大臣として訪米を止める、そういう御提案をなさる考えはございますでしょうか。
  134. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、先ほど来の議論を聞いておりまして、また、今までも外務防衛委員会等様々な委員会におきまして委員質疑、拝聴しておりました。過去の議事録等も丹念に読み込む、こうした真摯な態度には心から敬意を表し申し上げます。  その上で一言申し上げるならば、委員のお示しいただきましたこの四十七年の政府見解の資料をちょっと使わせていただきますと、基本的な論理は、国民の生命、自由及び幸福追求の権利、これを守るためにやむを得ない措置、そして必要最小限の限度の範囲内においては日本国憲法は禁じているというものではない、これが基本的な論理です。この論理にこの四十七年の当時の状況を当てはめたならば、ここにありますように、他国に加えられた武力攻撃は認められない、こういった帰結になる。この帰結に基づいて答弁が行われているわけですから、この答弁、幾らこれを指摘してもまさに委員のおっしゃるとおりだと思います。  ただ、我々今議論しておりますのは、この基本的な論理に今現在の状況を当てはめた場合に、安全保障環境が変わり、容易に国境を越えてくる脅威も発生し、新たな脅威も発生する、している、こういった安全保障環境の変化、これをこの基本的な論理に当てはめると、国民の生命、自由及び幸福追求の権利を守るためには、もちろん三原則しっかり守った上で認められる措置、この中に集団的自衛権の一部も含まれる、こういった議論をしているわけです。  この整理をした上で議論しませんと、これいつまでたっても何か平行線に終わってしまうのではないか、このように思えてなりません。  そして、総理の訪米につきましては、これは日米関係においても、あるいは戦後七十年を迎えて……
  135. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 時間が終了いたしております。
  136. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国際社会において大きな貢献をする意思を示すためにも大変重要な訪米だと考えております。是非訪米を成功させるべく努力をしていきたいと考えます。
  137. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 時間が終了いたしております。小西洋之君、時間が終了しておりますので、発言は控えてください。     ─────────────
  138. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、斎藤嘉隆君が委員辞任され、その補欠として田城郁君が選任されました。     ─────────────
  139. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。  岸田大臣、また中谷大臣、よろしくお願いいたします。  今月二十七日から、NPT、核拡散防止条約、こちらの運用検討会議が開催されます。岸田外務大臣御出席とお伺いをしております。私からは、この問題も絡めまして、核、また軍縮、さらには不拡散の政策のこれまでの在り方、外交・安全保障の観点からの検証をした上で、可能であれば、今後どのような在り方がいいのかというのを御議論できればというふうに思っております。  まず、今、世界の核管理ということで、直近に関心非常に高まっているところはイランの核合意であるかと思います。こちらについて、内容と課題、御説明をいただければと思います。
  140. 城内実

    ○副大臣城内実君) お答えいたします。  先般、ローザンヌにおきまして、EU3プラス3、すなわちアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国とイランとの間でいわゆる包括的共同作業計画の主要な要素について合意に至り、今後、六月末を目指して最終合意に向けた交渉が行われております。  今般のこの合意後に発表されましたモゲリーニEU上級代表とイラン・ザリーフ外相との間の共同声明によりますと、イランによるウラン濃縮等の制限、IAEA追加議定書の暫定適用等につき合意に至ったというふうに承知しております。いずれにしましても、最終合意に向けて引き続き交渉が行われております。  国際不拡散体制強化の観点から、また中東地域の安定のためにも、イランの核計画が専ら平和的な性質のものであることを査察等により検証することが不可欠であります。そのことを担保するためにも、最終合意の形成とその着実な履行が重要であります。
  141. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 今副大臣より、査察、ございました。まさに、この査察をしっかりと継続的に実効性あるものにしていくのかというところは今後大きな課題であるかと思っております。  また、今のお話に続きますが、合意を成立させたそれぞれの要因、とりわけ今回ヨーロッパ諸国とアメリカ合衆国が入っております。オバマ政権、どういう背景があったのかというところの御説明と、また、中国とロシアが今回合意にも関与をしております。そちらが関与した背景も併せて御説明をいただければと思います。
  142. 城内実

    ○副大臣城内実君) お答えいたします。  ローザンヌ合意の成立を促した要因についてのお尋ねがございましたが、EU3プラス3とイランとの交渉においては、全ての当事国がイランの核問題を平和的、外交的に解決するという強い政治的意思の下、粘り強い議論を行ってまいりました。こうした当事国の努力により、二〇一三年十一月の共同作業計画、いわゆるジュネーブ合意というものでありますが、これを経て今般の合意に結び付いたと考えております。  また、二〇一三年八月にイランでアフマディネジャド大統領からローハニ政権に政権が替わりまして、その発足後、イランの交渉態度がそれまでに比べて柔軟になったことも交渉を前進させることになった要因であります。さらに、国際社会としても多くの国々がイランの核問題の平和的、外交的解決を支持し、EU3プラス3とイランとの交渉と合意を後押ししてきた経緯がございます。  また、欧州諸国とアメリカという御指摘がありましたけれども、欧州諸国、アメリカを含む全ての当事国がイランの核問題を平和的、外交的に解決するという強い政治的意思の下、粘り強い議論を行ってまいりました。また、ロシア、中国と御指摘がございましたけれども、交渉当事国の間で考え方に若干の差が見られることはあったと思われますけれども、合意を形成するという基本的目標は、米国、ロシア、中国など全ての当事国が共有していたというふうに考えております。
  143. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 オバマ・アメリカ大統領のプラハ演説から六年たちまして、その意義としましても、やはり最大の核保有国が核なき社会というものをしっかりと理念ではなく現実のステップとして発信をしたというのはやはり大きな意味もあったのかと思っております。    〔委員長退席、理事赤石清美君着席〕  とりわけ、今、核保有国、アメリカ、またロシア、中国も含めた合意ということですが、保有国にとっても、今まさに国際テロ、非常に脅威を増している、そのようなテロ組織に核が流出するという危険性というのは、これは非常に大きな問題であると。やはり核兵器そのものが国際のセキュリティーの脅威になっているということ、それは非常に認識をされているという、その延長で今回イランの合意がなされたというふうに私は理解もさせていただいております。  ただ、他方で、先ほど課題ということを少しお話し申しましたが、アメリカの国務省のプレスリリースなどによると、今回のイランの核合意でどのような効果がまずあるのか。要するに、ブレークアウトタイム、つまり核兵器を造れるまでの期間というのが、現在二から三か月であったものが一年ぐらいには何とか最低でも延びるだろうというようなものであります。俗な言い方をすれば、今回の合意で時間稼ぎができる、いざ本当に脅威が生じたときに対応するための時間というのが、しっかりと対応できるような状況になったということであると思います。  アメリカの一月議会でキッシンジャー元国務長官が、オバマ政権、核拡散の防止を狙う段階から、核武装の阻止は不可能と見て、それまでの時間を長引かせるという拡散管理に転じているというような議会での発言もあったと聞いております。  このような背景もありまして、今回のイラン合意、現実的なステップとしては非常に評価もしている部分ではありますが、改めて核不拡散の難しさも感じているところでございます。  その上で、冒頭申し上げましたNPT会合に移りたいと思います。  イランの核合意に見られますように、核保有国と保有しない国の間の駆け引きが微妙なバランスの中でなされているというときに、今懸念をしているところは、核保有国の中でも、先ほど冒頭申し上げたテロに対しての脅威という点で、核の役割というのを低減しようという、そんな潮流がある中で、伝統的な核の力に依存をした国力の増加というような風潮も出てきているというところであるかと思います。とりわけ記憶に新しいのがロシアのプーチン大統領の発言、クリミア併合の過程で核戦力を臨戦態勢に置く可能性があったというふうに発言もされました。  NPT、岸田大臣行かれますが、今最大の軸というのは、核保有国に対して核軍縮をしっかり求めるという体制と、また核を持たない国が核不拡散と平和的利用をしっかり要求をされている、この二つが対立をしているというような状態でありますが、先ほどのプーチン大統領のような発言というのは、核を持たない国が、ロシア始め核保有国の軍縮に対しての約束というのを、これは信頼感を停滞させるというようなおそれもあるかと思っております。  NPTの交渉にも関係してくるところかと思いますが、まず岸田大臣から、このプーチン大統領の発言、与える影響をどのように思っていらっしゃるのか、お答えいただければと思います。
  144. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、NPT運用検討会議、五年ぶりの今年の会議ですが、NPT運用検討会議自体が、核軍縮とそして核の不拡散とそして原子力の平和利用、これを三つ大きなテーマとして掲げています。そうした三つのテーマにおいて結果を出すために、核兵器国と非核兵器国の協力なくして現実的な結果は得られない、こういった思いをしっかり持って臨まなければいけないと思っています。  そして、その中にあって、プーチン大統領のこの発言ですが、今回のロシアによるクリミア併合ですが、そもそもクリミア併合自体が一九九四年のブダペスト覚書に反していると認識をしています。すなわち、米国、英国、ロシア、そしてウクライナの間において、ウクライナが核兵器を放棄する代わりにウクライナの領土を保全する、この四つの国においてこういった覚書を交わしているわけですが、ウクライナにおいてクリミア併合が行われる、このブダペスト覚書そのものに反していると認識をいたします。  是非、こうしたプーチン大統領の発言が核軍縮・不拡散の動きを逆行されるような結果につながらないよう、ロシアに建設的な協力を求めていかなければなりません。こうした核兵器国の協力なくして結果を出すことはできません。是非、そうした思いをしっかりとNPT運用検討会議においても反映させていかなければならないと考えます。
  145. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 今お答えいただいたことと重なってしまうかもしれませんが、私、今まで日本政府の対応、いろいろ言われている部分でもあるんですが、唯一の被爆国としての立場として貫く部分と、やはり核保有国との意見の調整といいますか、そういう部分でのなかなか難しい立場に置かれているのかなというような、こういうように思っております。  私としては、率直に申し上げれば、今まさに核保有国と核を持たない国との調整というのが大事な部分に、日本こそしっかりとリーダーシップを発揮してNPTの交渉を進めていただきたいというふうに思っているんですが、この点、まずまた大臣から一言いただければと思っております。
  146. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) おっしゃるように、我が国は唯一の戦争被爆国であり、こうした核軍縮・不拡散の議論をリードしなければなりません。その際に、やはり現実的、実践的な対応を求めることによって核兵器国と非核兵器国が協力をし具体的な結果につなげる、こうした議論を進めていかなければならないと思っています。    〔理事赤石清美君退席、委員長着席〕  核兵器国にも、我々はこの五年間、NPDIという非核兵器国十二か国の枠組みで議論を進めて、そして国連に十八の文書を提出し、合同文書をまとめて更に国連に提出するという働きかけを行ってきましたが、この文書を通じて核兵器国そして非核兵器国双方に具体的な努力、協力を促していく、こうした働きかけをしっかり行っていきたいと考えています。
  147. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 昨年、オーストリアで第三回の核兵器の人道的影響に関する会議、開催をされました。これを受けまして、我々公明党としましても、本年三月二十日に、核兵器の非人道性の議論というものを、これはやはり被爆国の日本でしかはっきりと発信をできない部分でもあるかと思います、この議論について、核兵器のない世界という目標の前進に向けて、共通の礎として、非人道性の議論をしていくための外交努力と市民社会との協力の拡大、我が国としてのそういう議論を主導するとともに、この分野について各国に表明するよう働きかけるということを、これも提言申し上げました。  今回の議論におきましても、この核の非人道性、これをしっかりと大臣からもお訴えをいただきたいと思います。この点、一言いただければと思います。
  148. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の核兵器の非人道性の影響の議論、大変重要な議論であると認識をしています。  先ほど、NPDIを通じてNPT運用検討会議に対して提言を行っていると申し上げましたが、その際に、核兵器国に対しましては自らの透明性を高める、そして、米ロだけではなくしてマルチの軍縮会議を進めるべきである、こうした提言を行い、さらには世界の指導者に被爆地を訪問して被爆の実相に触れてもらう、こういった提言をしているわけですが、それと併せて、御指摘のこの核兵器の非人道性の議論は、核兵器国と非核兵器国が協力する触媒の役割を果たしていくという認識に基づいて、この核兵器の非人道性の議論を通じて核兵器国と非核兵器国が共に協力していく、こういった議論を進めていくべきだということでこの議論を重視しています。  是非、このNPT運用検討会議等を通じて具体的な結果を核兵器国と非核兵器国が協力して出すために、この核兵器の非人道性に関する議論、これを通じて協力が実現するよう議論をリードしていかなければならないと考えます。
  149. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 大臣から、核兵器保有国と非保有国、持たない国との間の触媒としてこのような概念をしっかりと共有をさせていく、やはり人類に対しての危機というところで触媒という意味合いだと思います。そのような観点で、是非また唯一の被爆国として、核に対しての国際規範定立に向けても更にリーダーシップというのを私は取っていただきたいというふうに改めて大臣に御要望させていただきたいというふうに思います。  私、今日、核の問題取り上げておりますのは、今申し上げたとおり、NPTのようなマルチの議論の中で核のない世界というのをどのように理念として掲げていくかというところこそ日本がしっかりとやるべきだという、そのリーダーシップを取るべきだというところの御議論でもございますが、他方で、さらに、日本自らのやはり切実な安全保障の問題、核の問題でも、先ほども御質問もありました、ございます。この核の脅威というものについても、より地域の安全保障をどうやって日本として守っていくのか、外交努力等も重ねていく上でやっていくべきなのかというところからも問題提起をさせていただきたいというふうに思っております。  具体的には、先ほど話にもございました北朝鮮でございます。北朝鮮の核の問題など、最近様々な情報がいろいろ出されております。先ほど塚田委員からも様々御紹介のあったところでもありますし、一部重複もするところもあるかもしれませんが、アメリカの北軍の司令官のゴートニー司令官ですね、北朝鮮が核兵器、米本土を狙うぐらいの能力も保有しているというような発言もされていたというようなことでございます。  先ほど、あと塚田委員が引用されていましたジョンズ・ホプキンス大学の報告書でございますが、先ほどは弾道ミサイルの一千発というような話もありましたが、同じ報告書の中で更に記述がありまして、二〇二〇年までには最大百発の核弾頭を製造する能力があるというし、ミサイルと合わせれば数年内に小規模な核兵器の製造能力を確立する可能性がある、北朝鮮がという、このような見方を同じ報告書内で示しております。  また、韓国の関係政府の方のお話でもありますが、やはり先ほど冒頭お話もしたイランとはまた比較にならないほど北朝鮮、非常にミサイルの発射実験も行っておりますし、運搬手段というのも高度化していると、そういう報道もございます。  中谷防衛大臣、先ほどのお話もありましたが、記者会見等では可能性も排除できないというようなこともおっしゃっておりました。可能性が排除できないというようなお話も先ほどありましたが、アメリカの方の海軍大将なども、やはり北朝鮮が核弾頭の小型化に成功した前提で対応すべきだというような話もされている。この安全の意味合いでも、やはりその事実というのをしっかり前提とした上でまた考えていくというような部分の御認識というのも大事かと思っておりますが、再度の確認になりますが、中谷大臣の御認識をいただければと思います。
  150. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 北朝鮮の核、ミサイルにつきましては、いろんな国の情報に接しているところでございますが、まず、ノドン等の配備等につきましては、北朝鮮は昨年三月、六月、七月、本年三月にもノドンを含む弾道ミサイルを複数発射をし、また、運用能力も誇示をいたしておりまして、一二年の十二月に、人工衛星と称するミサイル発射などによって弾道ミサイルの長射程化、高精度化に係る技術を進展させております。  また、核におきましても、過去三回の核実験を実施をいたしまして、こういうことを踏まえましたら、一般に核兵器の小型化、弾頭化には相当の技術力が必要とされるものの、北朝鮮がその実現に至っている可能性も排除できないということでございまして、北朝鮮の動向などを注視をいたしまして、今後、北朝鮮の弾道ミサイル、また核につきましては、我が国といたしましても重大な関心を持って情報の収集、分析に努めてまいりたいと思っております。
  151. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 やはりなかなかお立場上お答えづらい部分もあるかとは思いますが、非常にリスクが高まっているという事実は各種客観的な情報からも、客観的なというか、客観的な、米国であったり、そういう部分の機関からの情報からもやはり明らかになってきているんじゃないかなというふうには思っております。  その部分でやはり懸念すべきは、北朝鮮の核技術が流出する、また北朝鮮も非常に瀬戸際外交をしているところでありますから、その瀬戸際をやっている最中でどんどんどんどんエスカレートしていくというエスカレーション効果というのもやっぱりあります。指導者の意思と離れて核の危険というのが起きてくるということをやはり考えなければいけない部分ではあるかと思います。  当然、まず前提として、北朝鮮の政情はどうなっているのかということも一つ確認はさせていただきたい。この部分もなかなかお答えづらい部分もあるのかもしれませんが、政府として今どのように捉えられていらっしゃるのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  152. 城内実

    ○副大臣城内実君) 北朝鮮の政情、内部の動向につきましては、例えば軍幹部の人事等に若干の変動がございますが、金正恩国防委員会第一委員長を中心とした体制が基本的に固まっているように見受けられます。こうした点を含め、政府としては北朝鮮情勢につきまして重大な関心を持って不断に注視してきており、平素より米国や韓国と緊密に連携するとともに、北朝鮮に公館を設置している国を含む各国と情報交換を行うなど内部情勢の把握に努めております。  政府としては、このような情報収集や分析を不断に行いつつ、引き続き、対話と圧力の方針の下、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて取り組んでいく考えであります。  現時点で北朝鮮情勢が不安定化しているとまでは考えておりませんが、情報収集の詳細あるいは分析の詳細につきましては、事柄の性質上、お答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。
  153. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 今、報道などでも確かに安定しているというような報道が一部見られるわけですが、例えば金正恩第一書記のその体制の中で、内部が、元々ある意味抗争していたところが、昨年の張成沢氏の処刑なども受けて、その部分では内部が固まってきたと。ただ、実際の権力基盤がしっかりと統一化されているのかどうかという部分ではないと。内部抗争がある程度収まってきたことでの安定であって、金正恩総書記がしっかりと権力を握って抑えているかどうかというのはまだ分からないとか、いろんな議論もあるところではあるかと思います。  その辺りは非常に重要なところでもあるかと思います。政府内でも議論をされていると思いますが、引き続きしっかりと注視をしていただきたい、このように改めて御要望させていただきたいというふうに思います。  先ほどの核のリスク、高まっているというところであります。実際どうするのかというところですが、外交という観点からお話もしたいと思うんですが、まず大臣に、NPTの運用会議へ行かれる、この場でどのようにこの北朝鮮の問題について発信をされるのか、まず御意見をいただきたいというふうに思います。
  154. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国としては、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界を目指す、こうした大きな責任を担っています。その際に、先ほど委員からも御指摘がありました核兵器の非人道性ということに対する正確な認識と、一方で北朝鮮等の安全保障上の冷静な認識、この二つの認識をしっかり踏まえながら現実的、具体的な対応を我が国として考えていかなければならないと考えます。  そして、その北朝鮮への対応ですが、まずもってこの核開発あるいはミサイル開発、これは六者会合共同声明あるいは一連の安保理決議に違反をしています。米国や韓国始め関係国と協力しながらこうした決議の完全履行を求めていかなければならないわけですが、あわせて、国連安保理決議の履行を他の国々ともしっかりと協力しながら働きかけていかなければならない。その際に、様々な国際会議を活用すること、大変重要だと認識をしています。四月十四、十五、開催しましたG7外相会談においても北朝鮮問題を取り上げました。  国際社会には、北朝鮮と国交がある国あるいは北朝鮮に大使館を持っている国、こういった国も多数存在いたします。こういった国々にもこの北朝鮮の状況についてしっかり理解をしてもらい、協力をしてもらわなければなりません。是非、多くの国々の理解を得ながら北朝鮮に強いメッセージを発し続けなければならない、そういった観点から、NPT運用検討会議においても北朝鮮問題をしっかりと議論し、注視していくこと、重要な姿勢ではないかと考えます。
  155. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 予算委員会で公述人として来られていたのが一橋大学の秋山信将教授でいらっしゃるわけですが、私、質問させていただいたときに、秋山教授は、そのNPT、核兵器の在り方について理念的な議論を深めていくという部分では非常に重要であると。ただ、我々が直面している安全保障上の核の脅威というものに対しては、この多国間の枠組みとともに、やはり日本のより直接的な安全保障の問題として二国間等でも対話をしていく枠組みというのもこれはつくっていかなければいけないというようなお話もありました。  私はこの発言ごもっともであるかと思うんですが、北朝鮮などはIAEAの査察も拒絶して、NPTから実質上脱退もしているわけでございます。そういう背景もあるといえばあるんですけど、この非人道性というものを理念としてNPTのような多国間で議論をしていく、車の両輪として、やはり地域間での枠組み、これを、核をめぐった安全保障対話というのもやはりやっていくということ、戦略上やっていくということは、これ両方とも大事であるかなと思っております。  先ほど来、塚田委員質問に対しても、まず米国というところ、ここは一番基本でありますので、日米の対話というのもしっかりやっていくべきでもあるかと思いますが、私はそれに加えて、韓国もそうですけど、中国ともこれはやっていくきっかけというものをやはり考えていかなければいけないのではないかなと思います。なかなか議論にならないところではあるわけですが、とりわけ中国も含めた二国間の枠組み、今現状すぐにできるとかそういう話ではないのかもしれないですけど、そこをやっていくことについての今政府の、大臣の御見解というものはどのようなものであるのか、御意見をいただければと思っております。
  156. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 核軍縮あるいは不拡散の議論を進める上において、もちろん多国間のマルチの枠組み、これは大変重要でありますが、あわせて、二国間の対話、これも国際的な軍縮・不拡散の促進に加えて、透明性の向上を通じた地域の信頼醸成の観点からも重要であると考えます。是非、二国間のこうした対話も重視していきたいと考えております。  その際に、中国という国がこの核軍縮・不拡散の議論の中においても大変重要だという御指摘、これはそのとおりだと思います。日中関係については、昨年十一月の北京APECでの日中首脳会談、日中外相会談の後、少しずつ様々なレベル、様々な分野におきまして対話が進んでいると承知をしています。三月十九日には日中安保対話も開催されました。  こうした様々な対話を通じながら、中国との間においても、こうした軍縮・不拡散を始め様々な課題について対話を続けていくことは大変重要な取組ではないかと認識をいたします。
  157. 矢倉克夫

    矢倉克夫君 私、今中国というふうに申し上げたのは、今申し上げた秋山教授が「外交」という雑誌に書かれているものがありまして、要は、中国の核戦力というものを分析された結果でもあるんですが、相手国をせん滅させるようなものではなく、むしろ相手の産業基盤などを標的にして、それらへの攻撃能力を確保すれば相手を抑止するに十分だというような最小限抑止、若しくは、例えば先制攻撃を受けたときにそれに対してしっかりと反対できるというような体制を持っているというような、確証報復というのを採用しているというような議論があったわけでございます。私、それを見て、この中国との間でも、中国がどういう核戦略を持って、しっかりと議論をしていくということを、これ地域の安全保障を認識する前提でもやはり大事であるし、その点では対話が大事だというところがまず一点でございました。  その上で、北朝鮮との関係でいえば、やはり同じ東アジアの中で中国というものが、冒頭も申し上げたイランとの合意でも関わってきている、テロの危険性の中でどのような危険要因になってくるかというようなところでは利害も持てるような部分でもあるかと思います。そういうようなところをしっかりとつかまえていって、日本側でアジェンダもまた設定をしていく、二国間で議論をしていくというような枠組みというのを積極的によりやっていくというような姿勢がやはり大事であるのではないかなというふうなところでございます。  ちょっと時間がなくなりましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますが、やはりNPTのものにしましても、この外交の在り方もそうですけど、これ、会議があって議題があってそれに対しての対処をしていくというようなものではなく、やはり核の問題にしても日本の地域の安全保障という問題でそれぞれ分析もしていき、中国との関係でも議題もしっかり設定をしていく上で積極的に安全保障を進めていくというような方針もやはり更に確立をしていかなければいけないのではないかというところを問題意識として最後お伝えさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  158. 小野次郎

    小野次郎君 維新の党の小野次郎です。  質問通告しておりませんが、週末にかけてニュースがいろいろありまして、ちょっと時事問題的にお伺いさせていただきます。  最初中谷大臣だと思いますが、毎日新聞の今朝の世論調査結果が出ているんですね。辺野古移転についてどう思うかといったら、非常に厳しい結果が、これ全国の調査ですけれども、反対が五三、賛成が三四ということで反対の方が大きく上回っていると。あれっと思って、私、ほかの報道機関のあるかなと思ったら、その前日、十九日に日本テレビもその世論調査結果を出していますけど、それでもやっぱり厳しい結果で、たしか四五対三七だったかな、反対の方が多くなっている。  だから、このままだと、沖縄の民意が反対なんじゃなくて、全国民の世論調査しても反対の方が多くなっちゃっていると。私は、去年までの結果とか、あるいはこの前外交防衛委員会で聞いたとき、十三年前に私が官邸にいたときの話を大臣口にされましたけれども、長年掛けてこうやって積み上げてきたものをこの数か月間で悪い方向に、世論調査結果だけ見れば下がってしまっている気がするんですけれども、県民の民意に寄り添う姿勢というのは、大臣、どういう姿勢が必要なんだと思いますか。
  159. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 調査にはいろんな質問の仕方があろうかと思いますが、最近では菅官房長官が沖縄に行って面会をしたこと、また総理と翁長知事が直接官邸で議論をしたことなどがございます。  じゃ、どうやって解決するのかと。もう十九年も政府努力をいたしておりますが、結論といたしましては、やはり普天間の危険性、これは一日も早く除去をしなければなりませんが、その方法としてはもう辺野古に移転をするというのが唯一の手段でありまして、じゃ、ほかの手段はとなりますと、更にこれ時間が掛かって混乱をするというのが現実でございます。  全国の皆様方にお願いをいたしたいのは、沖縄が抱えている基地負担の大きさ、こういうものは軽減すべきだと、それは日本の皆様も感じておられますが、こういった各日本全国に対して、沖縄の抱えている基地負担の軽減、これを受け入れていただけるかどうか、それも含めて政府は訓練の移転などはお願いをいたしておりますが、やはり基地につきましてはもう辺野古に移転をしなければならないということが唯一の手段でありますので、引き続き、こういった現状、環境、事情等につきまして政府として説明をしていきたいなというふうに思っております。
  160. 小野次郎

    小野次郎君 最初に菅官房長官が記者会見で粛々と進めると言って、それは知事さんから指摘を受けて、もうそういう言葉は使わないようにしましょうとおっしゃいましたね。そうしたら、その翌日か何かに、今度、安倍総理が、たしかあれは委員からの質問に対する答弁で、また粛々と言って、それは、我が党の同僚議員、沖縄出身の儀間さんが、それじゃ沖縄の人の民意というのは雑音なんですかと、粛々という意味が雑音にためらうことなくという意味に取れるんだけれども、それじゃ雑音みたいじゃないかと言ったら、安倍総理が、粛々というのがそういう響きがあるのであれば使わないようにしましょうとおっしゃいましたけど、一度聞きたいのは、中谷大臣岸田大臣は、これから辺野古移転のことについて、今の御答弁を聞いているとまさに粛々と進めると言いたいみたいに聞こえるんですが、粛々という言葉はお二人はお使いになりますか。
  161. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、粛々という言葉が上から目線で捉えられていると、また非常に不快に感じるという御意見がありますので、政府としてはそういう言葉は使うべきではないと思っております。  しかしながら、この辺野古に移設をしていくということは普天間の早期移転をするための唯一の手段でありますので、私としては、謙虚にまた着実にという意味で、堅実に進めていくべきだというふうに思っております。
  162. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 言葉というのは相手に思いや内容を伝えるものであります。相手がどう受け止めるかということが重要かと思います。粛々という言葉は使いません。
  163. 小野次郎

    小野次郎君 中谷大臣が前回私の質問に対して、十三年前に官邸で私も安全保障の関係の仕事しました。でも、そのときは、たしか辺野古移転が余り思うほど進まなかったんです。それは、でも、官邸の総意、私たち一スタッフに至るまでお互いに言っていたのは、絶対にけが人は出すな、絶対に逮捕者は出させるなと、それを出先の防衛局の方も念頭に置いていたと思うし、海上保安庁や県警の方たちにも、つとに私たち、私自身もその方針を、方針というか感覚を伝えたつもりです。  ですから、なかなか成果が上がらなかったということもあるかもしれないけど、他方で、逮捕者も出なかったし、けが人も出なかったと私は理解していますが、しかし、この一方の逮捕者の方はもう出ていますよね。身柄拘束、米側が拘束した者を県警がそれを引き取ったという事案があったと思いますが。  そういうことは、私の自分個人の経験でも、例えば成田空港の反対闘争みたいなことを思い出すと、一歩進んだと思っても、けが人が出たり逮捕者が出ると十歩も百歩も下がるということがあるということなんですよ。だから、十何年やってきたからこれしかないんだって、景気回復は確かにこの道しかないと言っていいですよ。だけど、こういう問題についてこの道しかないと言ってしまったら、それは民意に寄り添うものにはならないんじゃないかと思うから私は重ね重ねこういうことを聞いているんです。  現に、その世論調査結果は、沖縄県民の世論調査じゃないんですよ。全国民に聞いた、それが一個、二個で信用できるかということも言えると思いますが、全国紙がやってみても全国的なテレビ局がやってみても数字がむしろ悪くなっているというのは、やはり真摯に政府はこの数か月間の沖縄との関係についての対応の仕方について反省すべきところがあれば反省しておかないと、この数字がもっと悪くなったらどうするんだというのが私の聞きたいところなんですよ。  両大臣、何かお考えありませんか。
  164. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 話合いによって、話合いの場を通じて進めていくということ、これは大事なことでありまして、当時、小泉政権のときも、SACOの合意でキャンプ・シュワブ沖に建設をしていたところ工事ができなくなったということで、協議会をつくりまして、当時、岸本市長、また稲嶺知事、政府と三者で協議会をつくって一つ一つ進めておりました。  しかしながら、その後、V字案の決定のときに話合いが、この受入れ合意についていろんなことがありましたが、しかし、沖縄とは話合いができる協議会、また話合いができていたわけでありまして、その後、鳩山政権になってこれができなくなってしまいましたが、我々としては地元の三者で話合いができるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  165. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 世論調査というもの、様々な背景とかタイミングとか、それから質問の仕方などもあるかとは思いますが、これは一つの大切な材料としてしっかり受け止めなければならないものであるとは思います。是非、こうした世論調査等もしっかり受け止めながら、丁寧に政府の対応を考え続けていきたいと思います。
  166. 小野次郎

    小野次郎君 中谷大臣に突っかかるわけじゃありませんけど、話合いができるようになったとかできないようになったとかさっきおっしゃいましたけれども、知事が会いたいと言っても簡単に会えなくなったのは安倍内閣じゃないですか。鳩山内閣とかの話されたけど、安倍内閣で、最近の民意が表明されて知事が選ばれているのに、その知事さんになかなか会おうとされなかったのは安倍内閣であって、それを国民は見ていて、決していいことだとは思っていないからこういう数字に僕は出ているんだと思いますよ。  三月二十四日だったと思いますけれども、私、かなり強い感じで両大臣に、もっとちゃんと会わなきゃ駄目じゃないですかということを外防委員会で申し上げました。それが結果につながったわけじゃないかもしれませんが、四月に入ってから官房長官がお会いになり、総理もつい先週末お会いになったわけですけれども、そういった流れ自体について国民がやっぱり、寄り添うとか言っているけど、会う会わないというんじゃ、一般の沖縄県民が会う会えないじゃなくて、知事さんが会えないなんというんじゃいけないだろうと国民も思うからこういう厳しい数字になっているんだと私は思うので、それは本当に反省していただく必要があると思うし、急がば回れという言葉がありますけど、やっぱり十何年掛かってきたから、もうあしたやるしかないんだ、あさってやるしかないんだと自分を追い込んでしまうと、かえってそれはずっと先になってしまうこともあるので、それは私の拙い経験からもそういう事例があるから申し上げているので、是非聞いていただきたいと思います。  もう一つ、今度は外務大臣にお伺いしますが、翁長知事はかなり明確に、沖縄県民がこの辺野古移転について反対だということ、また、そのことを、知事もそういうふうに総理に伝えているということをオバマ大統領に伝えてもらいたいということも言っていますけれども、外交の一環としてこういった県民の意向とか地元知事の意向というのをオバマ大統領に伝えるということは予定があるんでしょうか。
  167. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これから日米の首脳会談も予定されているところですが、首脳会談につきましては、今現時点では、具体的な日程等も調整中ですので、内容については調整中ということであります。  ただ、我が国政府としましては、沖縄負担軽減というこの課題につきましては、かつて仲井眞前知事から要望されました四項目も含めて、こうした要望をしっかり受け止め、相手のあることではありますが、できることは全て行う、こういった姿勢で取り組んできましたし、これは、翁長新知事になってからもこれは全く変わらないということは私も委員会等で説明をさせていただいています。  こうした我が国の政府の対応、変わらないということも含めて、これは米国政府にしっかり説明をしていく努力は続けていかなければならないと考えます。
  168. 小野次郎

    小野次郎君 日本政府の考え方をきちんと伝えるということはもちろん当然大事だと思いますけれども、よく寄り添うという表現をこれまでも使われてきましたけど、何か寄り添うというのは、優しい言葉を使うとか丁寧に対応するというのもあると思うんですけど、まず何よりも誠実にということが大事だと思うんですね。  やはり、沖縄の方がどのように思っている、それを代表する知事がどういうふうに考えているということについても、それがアメリカの方が聞いたからといって、喜ぶから伝える、喜ばないから伝えないじゃなくて、やっぱり誠実にこういうこともあるんだというのはちゃんと伝えることが、日本政府の立場をしっかりと伝えるということと矛盾することではないと私は思うので、是非、地元の意向も伝えてくれということについては、何らかの形で外交の中でちゃんとしっかりアメリカ側にも理解させるべきだと思いますけれども、そうお考えになりませんか。
  169. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) こうした沖縄の負担軽減を始めとする様々な重要課題において、大切な同盟国であります米国との間においてしっかりと意思疎通を図るということ、これは言うまでもなく重要なことであります。そして、その意思疎通を図るに当たって、より正確に、そして誠実に実態を伝えるということは両国の信頼関係にもつながるものだと思います。是非、しっかりとした意思疎通を行うべく引き続き努力をしなければならないと考えます。
  170. 小野次郎

    小野次郎君 今の大臣のお答えは、沖縄のそういった空気なり意向というものも、まあそれだけをということはないでしょうけれども、アメリカ側に伝えようと、そういう努力をしてみようという意向と受け止めさせていただきます。  それでは、予定された質問に移りますが、防衛大臣、集団的自衛権容認による抑止力の向上についてお伺いしますけれども、我が国に対するどのようなタイプの武力攻撃について、どういう機能、作用によって我が国に対する侵略を抑止する機能が向上するのか。この点は国民に、政治家の我々ももちろんですけど、国民によく腹に落として分かるように御説明いただかないと、そもそも何のためにこの集団的自衛権の行使容認なんという、言わば憲法の、さっき同僚議員も聞いていましたけれども、できないと言ったことをできると解釈を変えるその憲法論の前に、それがどれだけ抑止力を向上できるのか、どんなタイプの侵略あるいは脅威に対してその抑止力が機能するのかということをよく御説明いただきたいと思います。
  171. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 一般に抑止力というのは、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識をさせることによって侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものでございます。  では、どうするのかということで、一つは、あらゆる事態に対応できる切れ目のない安全保障法制、これを整備することによって盤石な防衛体制を築くということでありまして、戦後、憲法ができて六十七年になるわけでございますが、安全保障環境というのは大変変化をいたしております。特にこの十年、十五年におきましては、日本を取り巻くグローバルなパワーバランス、これが変化をしてきた。また、技術革新の急速な進展で非常に強力なミサイルとか核兵器とか化学兵器とか、そういった殺傷能力が向上した兵器もできてきております。  また、国際テロ、これの脅威、またアジア太平洋においての問題や緊張が生み出される。そして、何よりも脅威というのが世界のどの地域において発生しても我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状態になってきている。それに加えて、いわゆるグレーゾーン、この侵略に至る前の状態においても重大な事態に至りかねないリスクが存在をしているというようなことでございまして、あらゆる事態に対応できるような安全保障法制を構築することによりまして我が国の安全というものを図っていく、また脅威に対抗していく、抑止力としていくという必要があるのではないかと思っております。
  172. 小野次郎

    小野次郎君 今の答弁も全く答弁になっていないと思いますよ。今の話は脅威論、つまり脅威があるということを言っているので、僕が聞いているのは、それをどうして集団的自衛権の行使を容認すれば抑止できる力になるのかと聞いているんです。
  173. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほども申し上げましたが、いろんな事態が発生するわけでありまして、我が国として切れ目のない対応を取ることによって明確なメッセージをまず送ります。そして、そういった事態に対する備え、体制も取り、また訓練、訓練を行うということにおいては、非常に、いざ起こった場合の対処ができるということが明示的に明らかにすることによりまして、これも抑止力になるわけでありまして、日本に対する武力攻撃や武力攻撃に至らない侵害を行おうという国を思いとどまらせることができるということでございます。
  174. 小野次郎

    小野次郎君 具体性に全く欠けた御答弁をいただきましたが、まず冒頭申し上げれば、その抑止力というのは、大臣自らお答えになったとおり、侵略を思いとどまらせる力ということですよね。分かりやすく言えば、手痛いしっぺ返しを食うからそういう侵略なり武力の行使はやめておきましょうと相手に思わせる力ということですね。それは、やっぱり二つぐらいあると。  一つは、経済的な、逆に我が方からの反撃によってより大きい経済的打撃を与えるからやめておきましょうと、それは分かりますよ。でも、それは渋ちんというのか、そういうことを、利害得失考えるような国だったら効きますよね。もう一つは、やっぱり国民を大事にする国であれば、自国民日本に対して何か悪さをしたときに、より手痛い被害を自国民が受けてしまうと、それは耐えられないからやめておきましょうというのもそれはやっぱり抑止力になると思うんですよ。でも、それもやっぱり自国民を本当に大事にする国に初めて効く抑止力じゃないですか。  ところが、これまで中谷さん、まあ安倍総理も時々おっしゃるのは、大量破壊兵器を使うような国があるかもしれないからとか、国際テロ、ISILの話もされました。時々、サイバーだとかグローバルなリスクが、脅威がすごく増えているんだみたいにおっしゃるけど、よく利害得失考えないで大量破壊兵器使うかもしれないような脅威だとか、ISILに至ってもなおのことそうですけれども、一体そういうところを相手にして、念頭に置いて、集団的自衛権の行使容認によって、日本に対する危害を加えようというのを、ああ、やめておこうと思いとどまらせる力がどうやって働くのかということを私たちが理解できないと言っているわけですよ。サイバーなんというのは、誰か同僚議員でこの間UFOのことを聞いた人いましたけど、宇宙人に対して、集団的自衛権行使容認するからといって我が国に危害を加えることを抑止なんかできないじゃないですか。  それは極端な例ですけど、そういった例として挙げられる大量破壊兵器をやみくもに使うかもしれない国だとか、あるいは国際テロを、非常に表現あれですけれども、とても利害得失を考えながら使っているんじゃなくて攻撃してくる可能性があると思うような国際テロとかサイバーのテロなんかに対して、どうやって今議論している集団的自衛権の行使容認によって日本に対する危害を思いとどまらせる作用が働くのか、とても国民は理解できていないと思うんです。  もし大臣、御説明いただけるなら是非お願いしたいと思います。
  175. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 抑止力というのは、小野委員が言われるように、軍事だけではなくて、経済とか外交、また友好とか連携とか、そういうもろもろのものがございます。しかし、安全保障の法律をきちんと整備していないといざというときに機能できません。  そういう中で、先ほど北朝鮮のミサイルのお話もいたしましたけれども、着々とミサイルの能力を向上し、また核実験も行い、また日本に対する挑発的な発言も行っておりまして、じゃ、こういった状態にいかに対応するかということで、先ほどいろんな御意見もありましたけれども、こういった事態を防ぐためには、日米で連携するとか、またアジアの国々とも協議をしてそういうのを止めていくということがありますが、こういった安全保障におきましては、集団的自衛権、これに関わるものはその抑止力の一部でありまして、安全保障の法制におきましてもまだまだ不備なところがございますので、そういった法制をきちんと補完をすることによってこの抑止力を機能させていくと。安全保障のみではございませんが、こういった法律の面においての抑止機能を果たすために必要であると私は思っております。
  176. 小野次郎

    小野次郎君 完全にすり替えていますよね。私は、だって、集団的自衛権の行使容認に対して、どうしてそれで抑止力が働くのか仕組みを説明してほしいと申し上げているのに、大臣は、我が党も含めて、グレーゾーンに対してもっと今よりも効果的な対応を取るべきだということについては全く異論ありません。それから、もし装備の近代化が必要な部分があるなら、それは必要だと思いますよ。あるいは法制だって、法律整備が必要だと思いますよ。それを聞いているんじゃないですよ。  集団的自衛権の行使容認によって、例として挙げられているテロだのサイバーだの大量破壊兵器だのということに対してどうやって抑止力が機能するのか、そこが第一歩というか最初なのに、その最初のところが我々には理解できないと言っているわけですよ。
  177. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 安全保障は思考停止ができません。確かにサイバーとか新しい分野もたくさんありますが、いずれにしても、座標軸として、日本の安全保障また世界の安全保障もあれば、平時もあれば烈度がどんどんどんどん上がっていく場合もありまして、全ての分野を想定しますと、現在法律的に整備できている部分とまだ整備できていない部分がございます。  その中で、集団的自衛権におきましては、この情勢の変化によりまして、いわゆる新三要件と申しますけれども、我が国の存立に関わるような事態の場合に、他国に対する攻撃に対して我が国が対応するという分野は全くこれはできていなかった分野でありますが、そういう分野もしっかりと整備をすることによって全体の安全保障という体制ができて、またそれに対する備えもできていくというところにおきまして、非常に時代の変化に伴って大事な部分であるというふうに思っております。
  178. 小野次郎

    小野次郎君 確認させていただきますけれども、大臣のおっしゃっているのは、様々なそういった安全保障に対して手当てすることによって抑止力が高まるのであって、集団的自衛権の行使容認だけによって抑止力が高まるものではないとお答えになっているんですか。
  179. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのとおりでございまして、集団的自衛権の部分はその一部でありまして、今回はありとあらゆる部分、また切れ目のない対応をしていくという観点で今検討しているということでございます。
  180. 小野次郎

    小野次郎君 それじゃ、今度、岸田外務大臣に伺いますけれども、集団的自衛権の行使を容認して他国と他国の争いに我が国が何らかの形で関与するケースが増えれば、それは取りも直さず我が国に対する直接的な武力攻撃のリスクの方は拡大するわけですよね。一方で、集団的な自衛権行使容認する、そのことだけで抑止力高まるというわけではないという答弁があって、一方でリスクの拡大の方は否定されますか。
  181. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今、中谷大臣の方から答弁がありました抑止力と我が国の安全保障法制との関係ですが、私もこの基本的な考え方として、一昨年十二月に我が国としまして国家安全保障戦略を初めて策定しました。  その中にも書いてありますように、まずは我が国として外交において我が国にとって最も好ましい環境をつくり、その上で我が国として切れ目のない安全保障法制と体制をつくり、そしてその議論の中で、国民の自由や命や幸福追求の自由を守るためにこの集団的自衛権の一部も必要なのではないか、こういった議論があり、そしてそれを、切れ目のない体制をつくることによって結果として抑止力にもつながる、これが物の考え方であると思っています。  そして、この集団自衛権を行使できる際には、これは単に我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生するのみでは足りないわけです。あくまでも、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることを始め、新三要件を満たす場合のみであります。つまり、憲法第九条の下で許容されるのはあくまでも国民の命と幸せな暮らしを守るための必要最小限の自衛の措置のみですので、こうした措置をとること、これは政府として当然の責務であると認識をしています。  そして、万が一の事態において、この自衛の措置を十分に対応していく、このことが抑止力を高める、こういったことでありますので、かえってリスクが高まるのではないかという指摘は当たらないと我々は考えています。
  182. 小野次郎

    小野次郎君 リスクは高まりますよ。だって、特に日本の場合は、もうアメリカと集団的自衛権の行使を共有することになる確率が一番高いわけですから、そうなれば、アメリカはほとんどの世界中の武力紛争に何らかの形で関与しますから、そのたびに我が国は、権利ですから、義務ではないというのはありますよ、それにしても、我が国はそれに関与するかしないかということを判断しなきゃいけなくなりますからね。  そうすれば、今までのように、よそ様の不幸は同情するけど日本関係しなければタッチしませんと言っていた個別的自衛権型の安全保障じゃなくて、もっと積極的にどんどん絡んでいこうというふうになればリスクは広がることは明らかなので、そこを否定されるんですか。
  183. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国の措置は、あくまでも我が国の国民の生命、自由、そして幸福追求の権利、これを守るための必要最小限の措置であります。これを、こうした措置すら我が国政府としてやらないということはあり得ないと思っています。  そして、様々な対応についても、あくまでも我が国の国民の生命と自由と幸福追求の権利、これを守るために必要なのかどうか、こうした厳格な三要件という物差しを作っているわけですので、その範囲でしっかり対応する、これは当然のことであります。そのことによってリスクが高まるという考え方は取るべきではないと考えます。
  184. 小野次郎

    小野次郎君 私は、最後に、取るべきだということを申し上げておきます。というのは、集団的自衛権のことを、今大臣がお答えになった模範解答みたいなことを私は頭からそれを否定しようとしているんじゃないんだけれども、どんな薬にも副作用というか副反応というのがあるんですね。この集団的自衛権の問題の副反応は、やっぱりリスクが拡大する、もしそのときの政権の判断がちょっとでも緩くなったら、それは今まで拾わなくてもいいリスクを、当事者になってしまうということですから、そこはリスクとして認めないと。  私の議論は、まず脅威があって抑止力を、どうやって働くのか、お答え余りいただけなかったと私は思います。それに対して、リスクが拡大するということはどうやって歯止めを掛けていくんだということを考えないと、大臣のお答えは何か憲法論と外交・安全保障としての議論と混同されているようなので、また次回の機会に質問を続けさせていただきますが、リスクはないよなんという答えはちょっと受け入れられないということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  185. 倉林明子

    倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  今日は、経ケ岬米軍基地について質問させていただきます。  京都府京丹後市に近畿で初めての米軍基地建設が始まって今日で三百七日目、米軍TPY2レーダーの運用が開始されまして百十六日目となりました。地元の京丹後市長は、安心、安全が大前提ということで基地を受け入れられました。しかし、現状はどうかと申しますと、住民が危惧していた不安、これが現実のものとなってきております。その一つが、二十四時間続いております発電機から出る低周波騒音であります。運用開始間もなくから、もううるさくて寝られないという苦情が殺到しておりました。  防衛省は、発電機による騒音について、事前にこれだけの騒音が出るということを把握していたのか、具体的にどんな騒音対策取ってきたのか、説明をお願いいたします。
  186. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 米軍の経ケ岬の通信所の運用に伴う騒音につきましては、事前の調整の過程においても周辺の住民の方々から懸念が示されていたために、防衛省としてもその対策に万全を期す必要があると考えておりました。このため、発電機からの騒音対策について米側に対して万全の措置をとるように申し入れ、これを受けて米側におきましては、周辺地域への影響を最大限緩和できるように発電機の稼働前の段階から発電機の周辺に防音壁、これを設置したところでございます。  防衛省としては、この防音壁の設置によってその時点で想定され得る騒音に対して必要となる措置が講じられたと考えていたところですが、昨年十月末に実際に発電機を稼働したところ、当初想定をしなかった低周波音について地域の住民の方々から御指摘を受ける事態に至ったところでございます。  そこで、防衛省といたしまして、この低周波音に対する住民の方々の御指摘を重く受け止めて、日米双方で鋭意検討を進めた結果、まず米側においては、本年二月十九日、六台ある発電機のうち三台分については消音器、マフラーの設置を行い、先月三月四日には残りの三台についても消音器、マフラーを設置する等を行いました。また、日本側においても、米軍が設置した防音壁に関し、当初は海側に面しているところからあえて設置をしていなかった部分について防音パネルを設置するなどの対策を講じたところでございます。  こうした日米双方の取組の効果を確認するために本年三月に実施した騒音調査におきましては、このマフラー設置前の状態では低周波音に属する九十ヘルツの周波数帯が非常に大きかったのに対して、このマフラー設置後にはそれがほぼ解消するなどの効果が得られたことが確認できまして、地元からも低周波音による騒音がある程度緩和されたと一定の評価をいただいたところでございます。  米側においては、発電機の騒音問題の抜本的な対策として、発電機の代替として商用電力の導入について検討を進めているところでございまして、今後、こういった追加的な措置を講ずることによって最大限努力をしてまいりたいと思っております。
  187. 倉林明子

    倉林明子君 五か月間にわたって下がるということがなく経過したんですね。九十ヘルツが大分減ったということで低周波音対策が功を奏したのは、発電機に直接マフラーを設置したこの後なんですよ。それまではずっと騒音に苦しみ続けて、母親の母乳が止まると、帰省して帰ってきていたのに、そういうことまで起こったわけです。発電機マフラーは確かに効いたんだけれども、それまでいろいろやられてきたことというのは、壁を造ったり一般の騒音対策だったわけです。  そこで、環境省に確認をしたいと思います。低周波音の防止対策として塀や壁による防音効果はどうか、さらに、最も低周波音に効果的な対策は何か、端的にお答えください。
  188. 三好信俊

    政府参考人(三好信俊君) 低周波音の対策についてのお尋ねでございます。  低周波音は百ヘルツ以下の特に低い音でございますので、人の耳は低い音は感じづらく、より大きな音でないと感じることができない性質がございまして、一般的に、特に低周波音をどれだけ感じられるかは個人差が大きいとされております。そういう音の特性上、通常の騒音に比べまして、塀や壁による防音効果が余り期待できないとされているところでございます。  そのため、一般的には、低周波音の発生源についての対策が最も効果的と考えられているところでございます。具体的には、音源について音が発生しにくい仕組みに改める手法のほか、消音器、マフラーや音源を密閉する等の対策がございます。
  189. 倉林明子

    倉林明子君 つまり、低周波対策ということでは、効果が期待できないことをやっていても効果は上がらないというのは当たり前だと思うんですね。マフラーを設置して初めて環境省の参照値を下回るところも出てきた。しかし、まだ上回る低周波騒音も続いているというのが現状なんですよ。  京丹後市が米軍基地を受入れに当たって示した条件というのがあります。その中で、万一にも決してあってはならない健康への影響又は環境被害等が発生した場合には、又はそのおそれが合理的に出てきた場合において、安全性が回復、確認されるまでの間、停波を含め、止めることですね、責任を持って適切かつ確実な措置を講ずることとしているわけです。  防衛省は、深刻な騒音被害が出ている下で、停波、すなわち発電機の停止を米軍に対して一度でも要請したことがあるのか、明確にお答えください。
  190. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは運用最初から行っておりまして、米軍は六台発電機を設置をしましたが、順次マフラーの設置をしたところ、最初の三台に設置が完了した本年二月十九日から残り三台についても設置が完了した三月四日までの間についても、日本側からの要望を受けて、マフラーの設置が完了した三台のみで発電機の運用を行ってまいりました。  これによって低周波の問題、非常に効果が出ましたが、まだまだ対応をということで、抜本的な対策として、発電機の代替として商用電力の導入について検討を進めているところでございます。
  191. 倉林明子

    倉林明子君 要は、していないんですよ。停波の要請をしたのかどうかと、発電機を止めてくれという、質問通告ちゃんとしているので、それはちゃんと見て答弁してほしいと思うんですよ。  住民に対する、私、重大だと思うのは、受入れ条件として京丹後市長が示されていた防衛省への要請、条件、それに対して実態は守られていないという事態があるわけで、発電機については今からでもちゃんと止めなさいということをきちんと要請すべきだと申し上げておきたいと思います。  さらに、住民の不安が現実のものとなった。これが、軍人軍属による交通事故の頻発であります。昨年十月以来、開所式前に既に二件発生しておりますが、その後、直近までで、地元にも説明されていると思います、事故の件数は何件になっているか、そのうち人身事故は何件ですか。
  192. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。  米軍経ケ岬通信所の軍人軍属が関係いたしました事故につきまして、被害を伴わないもの、また米側が被害者のものを含めまして、これまで十五件について関係自治体、京丹後市、京都府への情報提供を行っておりまして、このうち人身事故は一件となっておるところでございます。
  193. 倉林明子

    倉林明子君 とうとう住民の不安がこの点でも現実になったということで、非常に不安が広がっているんですね。軍人軍属で百六十人配属する予定だということで伺っているんだけれども、一年もたたないし、まだ配属完了していないのにこれだけ事故が発生していると、極めて異常だというのが地元の受け止めなんです。  住民には、基地内に住居は造るんだと、だからそれまでの間の措置だということで、軍人軍属が今基地の外に、町の中に住んでいるんですね。それで、それでは心配だということで、当面の間の扱いについてどんな説明があったか。軍人軍属についてはホテルにまとまって宿泊してもらう、マイクロバスでまとめて往復すると、こういう説明だったんですね。ところが、今ではマイクロバスで利用している軍人軍属というのは極端に減って、がらがらです。じゃ、代わりに何が増えているか。レンタカーやYナンバー、この車が目立って増えてきております。  そういう車を使う場合もあるだろうということで、車を使う場合については、事故防止のために運転講習やります、徹底しますと。非常に道路状況も悪いし、降雪もあるということでこの徹底を住民にはさせると約束をされてきたはずですけれども、その後、この運転講習について配属された軍人軍属に徹底されているのかどうか、説明を求めます。
  194. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) お尋ねの交通事故防止の講習の実態でございますけれども、交通安全講習会の実施状況につきましては、京丹後警察署の協力を得まして、まず、昨年、平成二十六年十月二日に、米軍人などから約七十名の参加を得て、日米の交通ルールの違いに関する講義、また教習所内におきまして、右ハンドル車、左側通行に慣れるための実車講習を行っております。さらに、本年、二十七年一月十六日に、米軍人などから約四十名が参加しまして、冬季のスリップ事故に関する講義、また教習所内において実際に雪を用いて実車講習を行っております。  今後でございますけれども、現時点で固まったものがあるわけではございませんけれども、更に道路交通事情、交通安全に対する理解を深めてもらうよう、今後とも交通安全講習会を継続的に実施してまいりたいというふうに考えております。
  195. 倉林明子

    倉林明子君 マイクロバスががらがらで、なぜ自家用車が増えて、Yナンバーやレンタカーが増えているかといいますと、ホテルを出ちゃっているんですね。そもそも、京丹後市の受入れ条件という中には治安の不安も大きく出されていたことから、米関係者の居住場所の選定に当たっては、地元区、地元自治体の意向を踏まえ、適切、丁寧な手続を確保することとされておりました。  現在、米軍関係者の居住地の状況についてどうつかんでいますか。
  196. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、交通事故発生のリスクがあるということで、先生御指摘のとおり、米軍人などの通勤にはシャトルバスを利用する取組を行っているところでありまして、この取組を効果的なものにするためにも、経ケ岬通信所に勤務する米軍人軍属などにつきましては、この通信所において居住施設等の生活関連施設が整備されるまでは京丹後市内のホテルに宿泊することが望ましいと考えてきたところでございます。  この考えにつきましては、米側に説明し、理解を求めてきたところでございますけれども、現時点、現在におきまして、経ケ岬通信所に配置されている米軍人など約百二十名のうち九十名は京丹後市内のホテルに宿泊しているものの、約三十名の軍属につきましては、経済的な理由などにより、ホテルから個別に賃貸住宅に移っている旨米側から説明を受けているところでございます。  こうした現状を踏まえまして、賃貸住宅に移った軍属の居住場所に合わせたシャトルバスの運行ルートの変更を検討いたしますとともに、将来にわたって基地外に居住することとなる軍属の居住地につきましても、米側において検討を進めた結果、現在、約七十名が入居できる集合住宅が確保できる見通しが立っているというようなところでございます。
  197. 倉林明子

    倉林明子君 望ましいということで理解を求めたけれども、理解得られず、どんどん出ちゃっているんですよ、ホテルから。経済的理由というのはどういうことかよく分かりませんけれども、ホテル暮らしが嫌になって出ていっているというふうに地元では専ら言われているところです。  そこで、今お話もあった基地外のところの住居の確保の見通しということですけれども、現地でもこれに対しても非常に不安が広がっております。要は、全くそういう、米軍が来るということじゃなしに土地の売買等の話が持ち込まれ、どうも島津というところに建てられるんじゃないかと。それだったら売らないという人たちも出てきていて、元々の約束であった基地内に居住地、住宅を造るんだから、それまでの間、ルール守って住民の治安を担保してくれと、安心、安全で受け入れる条件だと、これが京丹後市が了解した前提だったはずなんだけれど、それももはや本当に崩れてきているということが言えると思うんですね。  本来、私、米軍に対して京丹後市から示された条件を守らせる、この責任は一体どこにあるのかといったら、受入れをお願いした政府にあることは明らかだと思うんです。安心、安全、受入れ条件を守らせることができないということであれば、基地の提供そのものもできない、撤回もあり得るんだというふうに京丹後市でも言っていたわけですから、強い姿勢で私、政府は臨むべきだと。米軍に対してお願いしたと、してもらえなかったと、こんなことでは住民説得できませんよ。いかがですか。
  198. 中谷元

    国務大臣中谷元君) シャトルバスの運行ルートの変更など、本当に真剣に取り組んでまいりたいと思います。  米軍人が基地内に居住するための前提となる居住施設等の整備や軍属のための集合住宅の確保につきましては、引き続き米側に働きかけをしてまいります。その上で、防衛省としてもできる限りの協力を行ってまいりたいと思っております。
  199. 倉林明子

    倉林明子君 できる限りやったら、安心、安全の受入れ条件示した京丹後市が悪者になるだけなんですよね。やっぱりそこの責任は政府にあるんだということをきちっと住民にも分かるように、私は、示す責任、本当にあるということを強く申し上げておきたいと思います。  昨年五月も、基地が建設される前でしたけれども、行政監視委員会で私この問題取り上げました。この際、当時の防衛大臣は、住民の皆さんに不安がないよう、これからもしっかりと米側と調整をしていきたいと、こう答弁しておりました。米軍には要請しても全く拘束力がない、これがこの間の現実が示していることだと思うんです。私、空約束で住民に基地の負担と危険を押し付ける、これは絶対に許されないと強く申し上げておきたいと思います。  そこで、米軍と日本政府関係、これを端的に示したなと私感じましたのは、米軍が掲示した警告看板であります。アメリカの国内法を根拠にして立入りを禁止したということで問題が発覚しまして、私どもも撤去すべきだということで外務省及び防衛省に要請をいたしました。そのとき対応した防衛省外務省は、撤去を申し入れたというふうに答えておりました。撤去は確認できたんでしょうか。
  200. 鈴木秀生

    政府参考人鈴木秀生君) お答え申し上げます。  委員指摘の警告板につきましては、外務省防衛省から撤去の申入れをいたしました。我が方の申入れを受け、米軍はこれらの警告板を撤去又は修正したものと承知しております。
  201. 倉林明子

    倉林明子君 撤去したものも数枚あったかもしれない。でも、ほとんど撤去していないんです。今日、資料でお配りしましたけれども、撤去というてやったんは、黒塗りのテープを根拠法のところに貼っただけなんですよ。もう何ちゅうことすんねんと、ほんまに私は腹立ったわけです。  何でかといいましたら、この黒塗りにした部分に書いてあったのは米国国内法なんですよ。米国国内法が日本国民に適用されるかのような表示がされていたわけです。  これは日本の主権侵害になるということで、国会で二度にわたって取り上げられて問題になっておりました。そのときは、発覚して、これは重大な問題だということで、直ちに、こんなテープ貼ったりしませんよ、全部撤去したんですよ。その確認もされました。一九八三年、当時の大臣はこう申しております。米軍の措置は誤りであった。明確です。こういうことが二度とないよう我々としても米軍に対してもまた何らかの機会に申し入れなければならぬと答弁しているんです。二度目にとどまらず、三度目の誤った看板設置が発覚したわけです。今回は、撤去したものもあるという説明だけど、今朝の時点で確認もしましたけれども、テープ貼っただけで撤去していないものも残っております。  私、外務省に確認したいと思うんですけれども、日米合同委員会の刑事裁判管轄権に関する合意事項、もう公開されておるものです。施設又は区域の標示、これについて、日英両国語で記載すべき趣旨、明記されているかと思います。その趣旨について御説明をいただきたい。  もう一点、確認をさせていただきたいのは、ほかにこういう同様の看板というのは、まさかないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  202. 鈴木秀生

    政府参考人鈴木秀生君) お答え申し上げます。  まず、一つはテープを貼ってあるところでございますけれども、現時点でそのように修正された状態のような警告板についても、今後、適切な表記として新たな警告板と交換する方向で米側で調整しているものと承知しております。  次に、刑事裁判管轄権に関する合意事項についてのお尋ねでございますけれども、刑事裁判管轄権に関する合意事項において、合衆国軍隊が使用する施設又は区域で許可なき立入りが禁止されている地域の境界は、日英両国語をもって次の趣旨を記載することとされているということでございます。次の趣旨というのは、合衆国区域(施設)、在日合衆国軍隊、許可なき立入りは日本国の法令により処罰される。  また、外務省として把握している限りでは、現在、他の米軍施設・区域において、今回の事例と同様の警告板が使われているということは承知はしておりません。
  203. 倉林明子

    倉林明子君 明確なんですよね。日米合意事項なんですよ。それも守っていないというルール違反がやられていたということは、私、重大だと思います。こんなテープ貼ったぐらいで長いこと置いておくということも、私、主権侵害に対する断固たる姿勢が見えないというふうに思うんです。  そこで、ぼちぼち直します、掛け替えていきますとおっしゃるんだけれど、私は直ちにそういう機敏な対応というのが求められた事項だと思います。しゃきっと合意事項どおりに掛け替えを速やかにしていただきたい、これは求めます。  国内で確認している看板、ないとおっしゃったんだけど、私ども確認しているものありまして、それ、二枚目に入れているものであります。これ、国内法、問題になりました一九五〇年制定のアメリカの国内治安維持法に当たる法が根拠法として書いてあるんです。これ、青森県の車力です。私どもで撮影してきたものですので、間違いございません。要は、記載されているアメリカの法律、これを現時点でも日本で書いている看板があるということは、私、信じられないんですね。  一九五〇年に制定された国内安全保障法、いわゆる治安維持法、これ外務省に確認したいと思うんですけれども、アメリカでこの法律は現在も機能しているものなのかどうか、いかがですか。
  204. 鈴木秀生

    政府参考人鈴木秀生君) お答え申し上げます。  委員お尋ねの点につきましては、米国の国内法に関するものでございますので、日本政府として他国の法律の運用状況などについてお答えする立場にないということを御理解いただきたいと存じます。
  205. 倉林明子

    倉林明子君 国内の看板に掲示されている法律について説明できないというのは何たることかと思います。  私、そういう答えもあろうかと国会図書館にも調べていただきました。  明確で、国民の言論の自由を脅かすものということで、大統領が拒否権を行使したんですね、この法律に対して。法律としては制定されたんだけれども、違憲判決が相次ぎました。当然のことだと思います。ほとんどの規定については一九九三年に廃止されているんですね。緊急拘禁、まさに立ち入ったら捕まるよという警告についての根拠となる部分については一九七四年に廃止されているんです。日本の国内の看板だけで生きている法律なんですよ。ひどいと思うんですね。  私、これが基本的人権を侵害するとして廃止された米国国内法を日本の米軍基地にだけ掲げ続ける、これ、絶対日本国民を愚弄するものにほかならないというふうに思います。今、私ども把握した青森の車力で掲げ続けられている看板はもちろんですけれども、全ての米軍基地を点検して、直ちに撤去させるべきだと思います。防衛大臣、明確にお答えください。
  206. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 車力の例を挙げられましたけれども、ほかの地域にこういうものがないのかどうか確認をいたしておりますが、ほかの地域においても米軍において適切な対応が取られるように、日本側としましても今般と同様必要な申入れを行うことといたしたいと思います。
  207. 倉林明子

    倉林明子君 合意事項になっていてもそれが守られていないし、こういうことを繰り返しやられているということは、これまでどおりの対応では撤去してくれないんです。断固たる立場で撤去を望むように、そこはきちっと毅然として対応していただきたい、これは重ねて求めておきたいと思います。  経ケ岬の米軍基地、ここでは住民の安全、安心を守るという前提が崩れる中で、本当にこの基地と共存していけないという住民の声が広がっているんです。一期工事が終わった段階と承知しておりますけれども、二期工事に入ることなく基地の建設の中止、撤去を、最後強く求めまして、質問は終わります。
  208. 田中茂

    田中茂君 日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。  早速質問させていただきます。  内外からのサイバー攻撃、サイバーテロに備える上で、現状の政府の管理体制をお伺いしたいと思います。  現時点において、政府機関、各省庁で使用している情報関連ハードウエア、パソコン等のハードウエアですが、及びソフトウエア、メールソフト、オフィス、セキュリティーソフトは各省庁の裁量に任されていますが、これはいかなる理由でそうなっているのでしょうか。また、それに関するメリット、デメリットがあると思いますが、それをお聞かせください。  一見すると、政府官庁、国立大学や国立研究開発法人においては、サイバー対処としては統一規格のハード、ソフトを使用した方が管理の上で効率的なのではと思うんですが、いかがでしょうか。お聞かせください。
  209. 高野修一

    政府参考人(高野修一君) お答えを申し上げます。  政府における情報システムの調達でございますが、これはやはり公金を使って調達をするものでございますので、公正、透明な調達手続、またその予算を効果的、効率的に使うという観点から、会計法令、あるいは国際的にはWTOの政府調達協定などに従って適切に行う必要があるということになります。  政府における情報システムの調達に当たりましては、例えばWTOの国際的な協定に基づきますと、特定の型式あるいは生産者又は供給者を要件としてはならないといったことが定められてございます。  仮にということでございますが、政府における情報システムの調達において何らかの統一化を図ったと、こういうふうにした場合に、ハードウエア、ソフトウエア等を単一の種類に限定してしまいますと、特定の事業者からしか調達ができないと。調達先の囲い込みのようなベンダーロックインと言われるようなことが起こりまして、調達コストが高騰したり、また、市場において多様な技術進展の見られる分野でございますので、多様な技術又は製品の採用ができず、情報システムの多様性、柔軟性の確保が困難になるといったことも場合によって考えられるというふうに思います。  ただ、委員指摘の事柄とは全く同じではございませんけれども、政府全体として、例えば政府共通プラットフォームといった大きなクラウドのシステムの中になるべく乗っていっていただいて運用コストを下げていこうということもやってございますが、そういった中におきまして、一つの大きな目標、目的といたしまして、政府情報システムのセキュリティー強化というのを統一のプラットフォームに持っていくときには、より一段と高いセキュリティーレベルを確保するというような努力も一方でいたしてございます。  ただし、最初から申し上げましたとおり、政府全体としまして、特定のベンダーあるいは製品といったものに統一化を図るということには必ずしもならないというふうに考えてございます。
  210. 田中茂

    田中茂君 確かに、システムが多様な方が強靱性というのは高いと思っておりますので、統一にしない部分もあるのはいいのかもしれませんが、もう一つ、安全面ということであれば、一つはインターネットにつながるネットワークと外部に接続しない閉じたネットワークの二重ネットワークがあると思うんですが、その点はいかがになっているんでしょうか。お聞かせいただければと思います。
  211. 高野修一

    政府参考人(高野修一君) 例えば専用回線等を通じて特定のクローズドのネットワークをつくるとか、そういうことのお尋ねかなと思いますけれども、必要に応じまして、一般的な回線を使ってやる場合、あるいは非常に秘匿性の高いような情報を扱うので、その性質に応じて専用回線あるいは特別のセキュリティーレベルを設定するといったようなことは、それぞれの事柄、情報システムが扱う情報の内容といったものに応じて適切に判断する必要があると、このように考えてございます。
  212. 田中茂

    田中茂君 その二重ネットワークというのは、全省庁に整備されているんでしょうか、一部だけなんでしょうか。
  213. 高野修一

    政府参考人(高野修一君) 二重ネットワークという意味合いがちょっと私分かりかねておりますが、先ほどお答え申し上げた趣旨は、一般の回線を使う場合、それでも様々な技術、手段によりましてセキュリティーを高めることは当然やっておりますし、可能でございますし、やっておりますが、それ以外に専用回線を引いてネットワークを構築する必要があるものについては、政府全体としても適切に判断をしてシステム構築あるいはネットワークの整備を行っていると、このように考えてございます。
  214. 田中茂

    田中茂君 外部と接続する直接のやつと、外部と接触しない二重のネットワーク、多分それは各省庁によってちょっと違う部分があるかと思うんですが、これは全体をそういう二重のネットワークにした方がよろしいかと私は思っておりますので、予算の都合があるかと思いますが、その点、最大な考慮をしていただきたいと、そう思っております。  次に、サイバー防護の一元的管理、先ほどもちょっとお話がありましたが、現在、我が国のサイバー政策は、サイバーセキュリティ戦略本部と内閣サイバーセキュリティセンター、NISCが総括を行い、その指示に基づいて防衛省自衛隊、あと外務省、警察庁など、各機関がそれぞれ独自のサイバーセキュリティーを管轄していると説明されております。ただし、これはマネジメント上の一元化が行われているだけであり、実際のサイバー防護は各省庁の諸機関に任されていると聞いております。  例えば、防衛省自衛隊には、二〇一四年に電子防護を扱う専門部隊として組織されたサイバー防衛隊がありますが、同部隊の管轄範囲は防衛省自衛隊の自己防護だけであり、その外にある重要インフラを防護する役割を負ってはいません。これは、自衛隊が我が国全国民の安全を確保する義務を有しているのと対照的であります。  大規模サイバー攻撃やサイバーテロに際しては、政府機関や各官庁はもとより、電気通信会社などの重要民間インフラも同時に防護するシステムがなければ意味が全くないと思っております。  このような問題に対して政府はどのように対処する考えを持っておられるのか、重要インフラの一義的責任を負っている大臣、官庁はどこにあるのか、そこには実動部隊があるのか等を含めてお聞かせください。
  215. 藤山雄治

    政府参考人(藤山雄治君) まず最初に、御指摘のありました重要インフラに対して大規模なサイバー攻撃があった場合の政府の対応ということで申し上げますと、これは、そういった緊急事態ということになりますと、官邸において官邸対策室というものを立ち上げるということになると思います。その場において、防衛省あるいは今委員指摘になりましたような様々な関係省庁という方から担当者を集めまして、緊急参集チームということで対応するということによって政府一元化の対応がなされるということになろうかと思います。  一方、御指摘のありました各省庁における様々な重要インフラに対する取組というのは、それぞれを所管する関係省庁においても様々な取組をやっているということによって、もちろんその元立ちとしてはNISCが、失礼しました、サイバーセキュリティ戦略あるいはそれを受けました行動計画なども作りまして全体の取りまとめをやっているという状況にございます。
  216. 田中茂

    田中茂君 欧米の対応が全ていいとは思いませんが、一応、欧米の対処方法としては、個別対処の限界から、全て情報の共有、一元化対処センターを設置したと聞いておりますが、多分、日本の方もそういうセンターをつくった方がよろしいかと思うので、その点は是非とも検討をしていただきたいと、そう思っております。  次に、官庁における情報機材の入札についてお聞かせください。  さきに政府機関、各官庁における情報関連機材の管理状況について質問をいたしましたが、現在、防衛省では、調達に係る入札公告によって、どのような部署でどのような機材が使われているのか、その仕様が明確に分かるようになっております。  例えば、昨年の入札公告における仕様書の中には、情報システム関連の業務用機材として、国内某所のパソコンが採用されていること、パーソナルコンピューターのスペック、処理能力、ルーター、外付けHDDなど周辺機械の構成、ウイルス対策ソフト、セキュリティーソフトの種類などが全てオープンになっております。  これらの機材の構成が分かれば、当然ながら、悪意のある外部者は、同様のシステムを仮組みし、そこに通用するサイバー攻撃の手法を物理的にシミュレーションできるわけであります。言い換えれば、実際にサイバー攻撃を行う際の予行演習ができてしまうと、そう考えております。このような現状は、情報保全の観点からして明らかに問題であると思っています。  調達に際して、入札の公平性を期するためとの事情は理解できますが、こうした分野については公開入札の例外として特定秘密に準ずるものとして非公開にすべきだと、そう思っておりますが、いかがでしょうか。
  217. 高野修一

    政府参考人(高野修一君) 情報システムの調達におけます情報の開示ということについてのお尋ねでございますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、政府における情報システムの調達も公的な調達でございますので、原則として一般競争入札によるということになりますので、その限りにおいては仕様書等を公開して行うということになります。  ただし、一般競争入札を行う場合でありましても、仕様書の中に、例えば、セキュリティー上の観点から機密性、秘匿性の高い情報が含まれるような場合には、該当部分について公開はせずに、誓約書を出していただき、職員による監視の下、希望する事業者のみに閲覧を限定するなどの対応が可能になっておりますし、現に行われているものと考えてございます。  また、そもそも会計法におきましては、外交防衛の活動など国の行為を秘密にする必要があるときには、仕様書を公表せず、随意契約を締結することも可能になっている仕組みがございますので、様々な事案に応じまして適切に調達の形態が選ばれているものというふうに考えてございます。
  218. 田中茂

    田中茂君 ありがとうございます。  次は、情報収集が複雑化しサイバー犯罪が巧妙になっておりますが、優秀な若手研究スタッフの養成が必要であると、そのように思っております。経済産業省や情報処理推進機構主導でこのような人材育成に取り組んでいることも承知しておりますが、省庁の枠を超えて情報収集や外交防衛にもこうしたホワイトハッカーの力を活用すべきではないかと考えております。既に、政府は二〇一五年度から、いわゆるホワイトハッカーのような人材を民間から数人公募で採用するということで選考作業に入っていると聞いております。  米国と比較しても無意味かもしれませんが、米国はホワイトハッカーの育成に大規模に取り組んでおり、昨年、当時のヘーゲル国防長官がサイバー部隊を約六千人に計画する発表をしております。この一部を国家任務部隊として、安全保障上で決定的に重要である発電所等の電源網や、そのほかインフラ関連施設などを守る任務を二〇一八年までに増強することとなっております。  日本でも人材強化を図ることは良い方向だと思っております。ただし、公募で採用して五年間の有期雇用ということでありますが、この点に関して問題はないのでしょうか。というのは、有期雇用であればセキュリティー面、雇用期間終了後の処遇等での安全性が確保できるとは限りません。有能な人材を確保するだけでなく、そのような採用形態、身元確認の対策について万全を期していらっしゃるのか、お聞かせください。よろしくお願いします。
  219. 谷脇康彦

    政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。  本年一月にサイバーセキュリティ基本法が全面施行されまして、この法律に基づきまして内閣にサイバーセキュリティ戦略本部を設置するとともに、その事務局として内閣官房に内閣サイバーセキュリティセンター、NISCを発足をさせまして、サイバーセキュリティー確保のための政府の司令塔機能の強化を図ったところでございます。  こうした体制強化の一環といたしまして、NISCの人員の増強に努めているところでございます。具体的には、本年一月及び三月から四月にかけまして、諸外国のサイバー政策、サイバー攻撃をめぐる情勢分析等を行ういわゆる任期付職員の募集を行ったところでございます。  委員御懸念のこの職員が任期を終了した後という点でございますけれども、任期付職員につきましては、国家公務員法第百条に基づきまして、任期中はもとより退職後におきましても、職務中に知り得た情報を漏らしてはならないこととされております。こうした規定を踏まえながら、職員の任期中及び退職後の情報の保秘に関しても職員教育を徹底してまいりたいと考えております。
  220. 田中茂

    田中茂君 今、規定上はそういうふうに規定としてあると思いますが、誰も守るとは思っておりませんので、その辺はどういうふうにフォローしていくのか。辞めた後の、そこで五年間なり二年間、最大で五年間研修ということですが、その後のフォローというのはかなり難しいと思います。だけど、これをどうにかしないことには何らかの形で漏れる可能性もあるし、もう一つは、彼らの中にも、五年間というのであればかなりの能力が付いていくと思います。その段階で辞めさせるということはちょっと問題もあるんではないかと思っております。何らかの形でキャリアパスという道は開けないのでしょうか。その辺をお伺いできませんでしょうか。
  221. 谷脇康彦

    政府参考人(谷脇康彦君) 委員指摘の点でございますけれども、五年なり任期付職員として勤務した後、キャリアパスという問題が確かにございます。これは、民間企業におきましてもセキュリティー人材が不足しておりまして、必ずしも明確なキャリアパスが描けていないというのが現状でございます。  そういった意味で、私ども、人材育成、官民の壁を越えてどのように人を育て、そしてキャリアパスを実現していくのかという点について、産学官民の連携の下で引き続き人材育成について考えてまいりたいというふうに考えております。
  222. 田中茂

    田中茂君 その点、是非とも早期にやっていただきたいと、そう思っております。  次に、質問させていただきます。  日米首脳会談についてなんですが、隣国との歴史問題が米国の懸念を呼び起こす外的問題であるとすれば、沖縄問題は米国の懸念を惹起する内的問題であると思っております。この沖縄問題については、ホワイトハウス、さらには米上下両院議会からも問われることと思いますが、この間の新聞報道によりますと、日米首脳会談で発表予定の共同声明で、普天間飛行場の辺野古移設を再確認する文言を盛り込むことで進めていると、そのような報道がありました。  そこで、現在複雑化している辺野古の工期、およそ九年間と聞いております。代替施設の工事に九年間掛かるにもかかわらず、沖縄県の要請である、現在使用している普天間基地、五年以内に運用を停止するということは、海兵隊の部隊はその間の四年間を別の地域で活動せねばならないということになります。この整合性はどのようになっているのか。そもそも普天間基地の五年以内の運用停止と辺野古代替施設の工期九年間はリンクしているとは思えませんが、その間のずれをどのように対応されるのか、アメリカ訪問前に是非ともその点は聞かせていただきたいと思います。
  223. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) お答え申し上げます。  住宅や学校等に囲まれまして市街地の真ん中に位置しております普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければなりません。これが大前提でございますし、かつ政府と地元の皆様との共通認識であると思っております。このような認識の下、辺野古への移設が普天間飛行場の継続的な使用を回避する唯一の解決策であることを日米間で再確認しております。  その上で、普天間飛行場の危険性の除去を少しでも早く実現する観点から、普天間飛行場の五年以内運用の停止についても、仲井眞前知事からの強い要請を受け、政府として全力で取り組んできているところでございます。既に、昨年八月、普天間飛行場に所在する固定翼機の大部分を占めますKC130十五機全機を岩国飛行場に移駐しました。  政府といたしましては、引き続き、沖縄を始めまして全国の自治体の御協力を得る努力をしながら、オスプレイの沖縄県外における訓練等を始め、できることは全て行うという姿勢で取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
  224. 田中茂

    田中茂君 先ほど委員からもお話がありましたが、毎日新聞の世論調査、非常に危機的な話では僕はないかと、そう思っております。  そういう中で、普天間飛行場以外の地区の返還状況について、若干関連性があるのでお聞きしたいと思っております。  先日、菅官房長官や翁長知事の出席の下で、西普天間住宅地区の返還が実現しました。他方、嘉手納以南におけるこれ以外の地域の返還について、従来は、県内で機能移設後、もう一つは海兵隊移設後、三番目が普天間代替施設完成後に行われるとされていましたが、その後、日米政府間で、普天間の辺野古移設と嘉手納以南の返還を切り離すことで合意されております。ただ、政府沖縄の対立が、先ほど来からかなり話がありましたが、深刻化し、辺野古代替施設の建設が遅れ、普天間の返還もめどが立たなくなると、もうその間に沖縄県民の不満はますます増大する可能性が高いと思っております。  そこで、政府は積極的にほかの地区の区域の返還や振興事業の進展を図るべきだと思っておりますが、現在行われている嘉手納以南の土地返還計画についての具体的状況をお聞かせいただけませんでしょうか。
  225. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 一昨年四月に公表した沖縄の施設・区域の統合計画は、人口が密集する沖縄本島の中南部において、嘉手納以南に所在する米軍施設・区域のうち約千四十八ヘクタールを超える土地の返還を進めるものであります。これまでに、牧港補給地区の北側の進入路が返還され、また本年三月にはキャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区が返還をされました。今回の西普天間住宅地区の返還は、その跡地利用を通じて沖縄全体の発展のために輝かしい可能性が秘められており、目に見える形で沖縄の負担軽減につながるものと期待をいたしております。  また、返還に向けたこれまでの取組として、牧港補給地区の移設先であるトリイ通信施設のマスタープラン及び嘉手納弾薬庫地区の知花地区のマスタープランについて日米間で合意したところでありまして、防衛省としましては、この統合計画を着実に実施をいたしまして、沖縄の負担軽減を目に見えるものとするために引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  226. 田中茂

    田中茂君 先ほどの世論調査の結果を見ても明らかなんですが、日本国民になるべくならそういう説得できるような材料を与えるのが賢明だと私は思っておりますので、この提言を最後に私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  227. 中西健治

    中西健治君 無所属クラブの中西健治です。お疲れさまでございます。  まず、外務大臣にアジアインフラ投資銀行についてお伺いしたいと思います。  中国からの回答についてなんですが、日本は、我が国は、公正なガバナンスが確立できるのか、債務の持続性を無視した貸付けにより他の債権者を害さないか、環境、社会に対する影響への配慮が確保されているかという点について問題提起を行ったものの、中国側からは明確な回答は得られなかったとして、三月末の設立メンバー、申請期限は見送ったというふうに理解しておりますけど、明確な回答が得られなかったということは、何らかの回答は得られたということでしょうか。
  228. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) お答えいたします。  日中間の具体的なやり取りの詳細については御説明を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、我が国のAIIBに関する基本的な考え方については、これまで中国に対して様々なレベルで様々なタイミングを捉えて問題提起をしてきております。しかしながら、現時点で中国側からはまだ具体的な説明というのは得られていないという状況にあります。
  229. 中西健治

    中西健治君 差し控えるということでありますけど、初期の交渉の段階では不明確な部分があるのはある意味当然なんじゃないかと思うんですが、そこら辺は全く許容しないということでしょうか。これは外務大臣にお伺いしたいと思います。
  230. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) AIIBにつきましては、まず日中間で様々なレベルで意思疎通を図り、意見交換は行ってきました。その中にあって、今委員から御指摘がありましたように、我が国の立場、我が国として、ガバナンスの確立ですとか債務の持続可能性ですとか、こういった点について問題意識を申し、中国側に説明を求めてきたわけですが、明確な答えを今も得ていない、こういった状況にあります。  引き続きまして、関係各国ともこうした問題意識は共有しながら中国側に働きかけを続けていく、こういった対応は重要であると認識をしております。
  231. 中西健治

    中西健治君 申し上げましたとおり、これ設立されるところでありますから、ある意味軟らかいところもあって仕方ないのかなというふうにも思うわけですけれども、ADBですとか世銀並みのガバナンス、これがなければ参加する余地はないのか、それとも、やはり初期段階なのでそうしたものはある程度許容する余地があるのか、それについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  232. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国としましては、このAIIBにつきましては、既存の国際金融機関と比較した場合に遜色のない基準が求められるというように考えております。この点につきましては、このAIIBの交渉に参加を表明した国においても、また、米国や我が国のように交渉参加については慎重な立場にある国においても認識は共有をしております。  そして、これを満たしたならば参加の余地があるのかという御質問がありました。今現状においては、まずはこうした問題意識をしっかりと提起し、中国側に働きかけていきたいと存じます。これは、参加するということになれば大きな出資が求められます。国民の税金を使う以上は、これは当然の責任ある立場であると思っています。  ただ、基準を満たしたならば等、仮定の話に対して今の時点で予断を持ってお答えするのは、これは控えなければならない、我が国の責任ある立場として控えるべきではないかと考えます。
  233. 中西健治

    中西健治君 お話の中で、関係各国とは緊密に連携ということがありましたけれども、四月十三日付けの読売新聞だったと思いますけれども、AIIBへの参加判断に当たってG7が統一基準の作成を進めていたという記事が掲載されておりました。G7諸国との間でこの統一基準の作成は行われたのでしょうか。
  234. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) AIIBに関しましては、こうした構想が発表されてから後、関係各国とは緊密に意思疎通、連携を図ってきました。三月末の交渉参加の締切り前において英国等が交渉参加を表明したわけですが、私の知っている限りにおいても、英国あるいはフランス、ドイツ、又はオーストラリア、こういった国々は従来から意思疎通を図ってきましたし、交渉参加に当たって事前に我が国に対して通報を行う等、意思疎通を図ってきました。  このように緊密に連携、意思疎通を図ってきたわけですが、具体的に基準を作ったのかとか、これを中国に提示したのか、具体的なやり取りについては、これは相手国との関係もありますのでここで申し上げることは控えますが、ただ、今申し上げましたように、様々な意思疎通、そして情報交換は行ってきました。そして、その上で関係各国との間においては、このAIIBにつきまして、既存の国際金融機関と比べて遜色のない基準が求められる、確かなガバナンスと債務の持続性等、こういった点について明らかにされなければならない、こういった点について共通の認識を持ち、交渉の中、外という立場の違いがあっても中国側には引き続き連携して働きかけをしていかなければならない、こういったことを確認しております。  先日行われましたG7外相会談におきましても、このAIIBの議論において各国の連携は重要であると、引き続き連携して働きかけていこう、こういったことを確認いたした次第であります。
  235. 中西健治

    中西健治君 先ほど出資金、大きな金額求められる、参加するならば求められることになると、こんなような御発言がありましたけれども、委員会でも一千億円単位という言葉をお示しになられたかと思いますが、一千億円単位といっても、ADBですとか世銀への出資金と比較した場合には特に大きいということにはならないということでよろしいでしょうか。単に、一千億単位というのは、客観的にこうなるだろうということをおっしゃられたと思いますけれども、他の国際機関への出資と比較した場合に大きいという価値判断ではないと、こういうことでよろしいでしょうか。
  236. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) AIIBにつきましては、構想が発表されてから後、具体的な状況につきましては十分把握されていない中にあっても様々な議論が行われ、また推定が行われてきました。AIIBのこの出資金につきましても様々な推定が行われ、私自身、様々な関係者が様々な場で行った推定を見る中にあって、委員会の答弁の中で少なくとも一千億円単位の出資金が求められる、このように説明をさせていただきました。それ以後を見ましても、例えば、中国の方からアジアからの参加国の出資金は七〇%程度だというような公式的な発表が行われた、こういった動きもありました。  ですので、こうした出資金のありようにつきましては、まだまだ不透明ではあるとは思いますが、いずれにせよ、これはある程度大きなお金が、出資が求められる、国民の税金が使われることになります。こうした国民の税金の使い道についてしっかりとした責任を負う政府の立場から、引き続き中国側に、ガバナンスの確立等、実態面について説明を求めていく、こういった態度は続けていかなければならないと考えます。
  237. 中西健治

    中西健治君 これは財務省にお伺いしたいと思いますが、AIIB設立の背景にはアジアにおける膨大なインフラ需要があると、これはそういう理解なんじゃないかと思います。ADBの融資を受けた、ADBですね、アジア開銀の融資を受けた事業の競争入札における国別の落札率というのを見てみると、中国やインドは二割近く落札しているのに対して、日本企業は、日本は〇・三四%しかない、一%を割り込んでいるということであります。域外国であるアメリカですら一・六一%ということですから、落札している割合が極めて低いということであります。  これ、世銀の融資を受けた事業についても日本の落札は非常に低いということになっていますけど、それでいいのか、落札率が低いという現状について原因をどのように分析しているのか、こうしたことについて財務省の見解をお聞きしたいと思います。
  238. 浅川雅嗣

    政府参考人(浅川雅嗣君) お答え申し上げます。  今委員指摘のとおりでございまして、ADB及び世銀の二〇一三年の例えば調達実績を見ますと、日本企業の調達率はADBで〇・五%、世銀で〇・一%となっているところでございます。  ADB及び世銀の融資に係ります調達は、言うまでもなく国際競争入札ということで行われており、基本的には最も低い価格を提示した企業が落札されている、価格競争入札でございます。ADBの融資に係ります調達率の上位二か国は、インドが二四%、中国が二一%ということでございまして、総じて新興国企業の調達率が高いわけでございます。これは、日本も含めた先進国企業よりも低い価格をこうした新興国企業が提示しているということが原因だというふうに考えているところでございます。  調達も含めました日本企業によるインフラ輸出はこれ非常に重要だと我々も認識しておりまして、この促進につきましては、官房長官を中心とした経協インフラ戦略会議でも議論を累次させていただいているところでございまして、こうした議論を踏まえながら、例えばJICAですとか、あるいはJBICとかいう我が国が持っている日本の支援機関を活用してまいりたいと思っているところでございます。
  239. 中西健治

    中西健治君 是非進めなきゃいけないということだと思います。AIIBへの参加の議論をする際にもやはりアジアのインフラ需要をどれだけ日本企業が取り込めるのかという視点が非常に重要ということだと思いますので、まずそれを、ADBにしても、既存の国際機関の融資を受けている事業に関して、やはり日本企業がもっと取れるようにするということをやっていっていただかないといけないと思います。  防衛大臣にお伺いしたいと思います。  カーター国防長官と会談を四月の初めにされました。それを受けて報道では、カーター国防長官は自衛隊が南シナ海での警戒監視を分担することに期待をにじませたというふうに言われておりますけれども、今後、自衛隊が南シナ海において警戒監視を担うことはあるとお考えでしょうか。
  240. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、自衛隊は、常続的な警戒監視活動を南シナ海で行っているわけでもありませんし、また具体的な計画を有しているわけでもございません。  自衛隊がいかなる場合にいかなる対応をするかにつきましては、まさに防衛省の所掌事務の遂行に必要な範囲であるか否かという観点から決められますが、このような観点から見ますと、国家間の相互依存関係が一層拡大深化をし、また南シナ海における情勢の我が国の安全保障に与える影響も拡大深化する中で、我が国としてどのように対応していくべきかにつきましては今後の課題であるというふうに考えております。
  241. 中西健治

    中西健治君 今の御答弁だと、南シナ海の警戒監視をすることもあり得るというように聞こえましたけれども、そういう理解でよろしいですか。
  242. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国の安全保障につきまして、防衛省の所掌事務の遂行に必要な範囲であるか否かという観点で決められるものでございまして、この地域の情勢などにつきまして、我が国、どのように対応していくべきかにつきまして今後の課題であるという認識で今いるわけでございます。
  243. 中西健治

    中西健治君 今後の課題ということですから、可能性は排除しないというふうに理解できるわけですが。  海空連絡メカニズム、日中間で元々は海上連絡メカニズムを整備するというお話、これが、空も重要なので海空と名前を変えてこれで整備をしようということになっているかと思いますが、この海空連絡メカニズムにおいて地理的範囲というのは限定されているのでしょうか。
  244. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これ、日中間の協議をいたしておりますが、極めて大事な協議であると認識しておりまして、今年の一月十二日から再開をいたしております。  内容等につきましては、今中国側と調整をしているわけでございまして、現時点におきましてその範囲や内容等も発表できる段階ではございませんが、日中双方の艦艇等がいろんな形で活動いたしておりますので、本メカニズムの適用範囲を例えば我が国周辺や東シナといったように限定をするとの考えはございません。幅広くメカニズムについて協議をしてまいりたいと思っております。
  245. 中西健治

    中西健治君 先ほどの質問ともかぶってくるわけですけれども、今、地理的範囲は限定しないという、考えはないということでしたので、これは海空連絡メカニズムの対象が南シナ海に及ぶということは十分あり得るということだということでよろしいでしょうか。
  246. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そういう予断を持って協議をしているわけではございません。これは、やっぱり日本と中国の間の、日中間の連絡をスムーズに行うということで、できるだけ早期に運用開始をしたいということで話合いをいたしておりますので、私としましても、今後、中国側とこういった事態に対処できるような連絡メカニズムをつくるために、早期に運用開始ができるように努力をしたいということでございます。
  247. 中西健治

    中西健治君 早期に運用開始ということでありますけれども、日米の間のガイドラインというのはかなり、もうすぐということ、発表されるんではないかというふうに言われています。それから、安保法制についても、法案というのが五月に出てくるのではないかというふうに言われているところでありますけれども。  この日中間の海空連絡メカニズムはなかなか進捗しないでそちらばかり、日米のガイドラインの改定や安保法制の法案ばかりが先に出るということになると、日中の間での懸念というか、中国側の懸念というのが高まるばかりになるのではないかと思いますが、そこら辺のタイムラインについてどうお考えでしょうか。
  248. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、日中間のみならず、米中間では実はこういったメカニズムのようなものがもう既にございまして、日米の両国と中国はCUESという枠組みに参加して、国際海上衝突予防規則とか、また国際民間航空条約等の国際規範の下にありまして、双方のメカニズムは共に国際規範の枠内で運用されることになると考えております。  日中間のメカニズムにつきましては、まず定期会合の開催、ホットラインの設置、艦艇、航空機間での直接通信で構成することで合意をしておりまして、こういった具体的な内容について調整をしているということでございまして、こういった米中間のメカニズム等も含めまして、日中間でこういったメカニズムができるということにつきましては米国も非常に関心を持ち、また歓迎をしているということでございます。
  249. 中西健治

    中西健治君 あと、日米防衛相会談では宇宙空間に関する取組ということをしなくてはいけないと、こんなようなことを話されたというふうに思いますけれども、現在の防衛装備品の多くというのは人工衛星を通じたGPS機能を利用しているということだと思います。  この人工衛星が破壊若しくは無力化されるということになると、我が国の安全保障も無力化するおそれがあるということではないかと思いますが、将来的に我が国が運用するものも含めて、また米国の人工衛星に対する攻撃、これは集団的自衛権の行使の対象となり得るのでしょうか。
  250. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 宇宙空間におけるある国による人工衛星に対する攻撃を他国に対する武力攻撃とみなすか否かということについてのお尋ねでございますが、特定の事例が武力攻撃に該当するかどうかにつきましては、そのときの国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様をもって個別の状況に応じて慎重に判断する必要がございますので、人工衛星に対する攻撃という与件のみによってあらかじめに論じることは困難でございますが、日米間で宇宙につきましての防衛当局間の協議を行っていこうということにつきましては合意をして進めてまいりたいと思っております。
  251. 中西健治

    中西健治君 この人工衛星、GPS機能というのは大変重要な問題なんじゃないかというふうに思います。今後またこの安保法制の議論の中で取り上げていきたいと思います。  今日はどうもありがとうございました。
  252. 吉田忠智

    吉田忠智君 本日のトリを務めます社会民主党の吉田忠智でございます。どうぞよろしくお願いします。  自衛官の海外派遣について質問をいたします。  残念ながら、イラク派遣を経験をされ、その後自殺された自衛官の方は計二十九名、また、イラク以外で海外派遣を経験されて自殺された自衛官は過去五年間で陸自六名、海自十三名、空自一名、計二十名に上るとのことであります。まず、その数でよろしいか、確認をいたします。  そして、これらの自殺された自衛官に対して平成二十六年度までに何人に対し公務上災害、賞じゅつなど、どのような補償、支援がなされたのか、伺います。
  253. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) お答え申し上げます。  まず、数字に関してでございますが、自衛官の自殺者のうち、イラク特措法に基づいて派遣された経歴のある者が二十九名、それからその他の海外派遣の経歴のある者が過去五年間で二十名いる、今の御指摘は事実でございます。  その上で、これらの自殺された自衛官に対する補償といたしましては、二十六年度までにイラク特措法に基づき派遣された経歴のある四名の隊員、これにつきまして公務上の災害として認定をされておるところでございます。  さらに、具体的な実施状況について申し上げますと、三名の御遺族に対しては遺族補償年金及び一時金が支給されております。また、残る一名の御遺族については、二十六年度末に公務災害の認定を行いましたことから、現在、遺族補償年金及び一時金の支給手続を進めているところでございます。  なお、隊員が一身上の危険を顧みることなくその職務を遂行して死亡した場合、こういう場合には賞じゅつ金が授与されることとなるわけでございますが、これまで自殺した隊員に賞じゅつ金を授与した実績というのはないところでございます。  以上でございます。
  254. 吉田忠智

    吉田忠智君 なぜ、トータル四十九名の方が自殺をされているにもかかわらず、公務災害で補償されたのが僅か四名なんですか、それちょっと伺いたいと思います。
  255. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 四名の隊員につきましてはあくまで公務上の災害ということでございますので、公務上の災害として自殺との因果関係があった場合にこの認定をしているわけでございます。この四名の隊員以外につきましては、例えば私的要因等によりまして公務によるものとは言えないというふうに判断されたことから、その公務災害の認定は受けていないという状況でございます。
  256. 吉田忠智

    吉田忠智君 因果関係が立証できなかったからということでありますが、これも大きな問題であります。自衛官の人権の観点からも大変そのことについても問題だと思いますけれども、このことばかり聞くと時間がどんどん足りなくなるんだけれども、そのことを大臣どう思われますか、四名しか補償されていないということについて。
  257. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自殺につきましては様々な要因があると思いますが、四名につきましては、もう明らかにイラク派遣の期間中における業務に関連した大変重い重圧があったということで、過度の負荷が認められたということで公務災害になりましたけれども、残りの皆様方につきましては、いろんな要因があるということで、公務によるものとは言えないと判断をしたということで、現在も自殺原因と公務の関係については調査を行っているというところでございます。
  258. 吉田忠智

    吉田忠智君 自殺されたということは認められておられるわけですから、残された遺族の方のためにも是非その点はしっかり大臣としてやっぱりきめ細やかな対応が必要だと、そのことを申し上げておきたいと思います。  いずれにしても、これだけの数の方が自殺されたということは、海外派遣ということがどれだけ大きな精神的な、肉体的な負担になっているかということは明らかだろうと思います。  そして、現在、国民の皆さんの多くの皆さんが不安や懸念を持たれる中で、国会の外でも毎日のように抗議行動が行われていますけれども、まさに密室で、密室というのは、私たちは議論に入っていませんから、安保法制、戦争立法の与党協議が行われているわけであります。  先ほど小西議員からも議論がありましたが、私は去年の集団的自衛権行使あるいは後方支援に係る閣議決定というのは明らかに憲法違反だと思っております。一九七二年の集団的自衛権行使ができないというそういう解釈を、当てはめによって真逆の結論を導いたわけでありますから、明らかに私は問題だと。何としてでも集団的自衛権行使を限定的という形で盛り込みたいという方々と、それから内閣法制局と自民党、公明党、妥協の産物が去年の集団的自衛権行使の閣議決定だと私は思っています。  したがって、今、自民、与党で密室協議が行われているような内容で、私たちは新聞、テレビの報道しか知る由はありませんけれども、そういう内容でもしこのまま突き進んで、それは衆議院も参議院も与党が多数ですから、八十時間議論しましたよと、その結果で強行採決して、そうしたら、先ほど小西議員もそのときのために準備していると言いましたけれども、もう既に違憲訴訟の準備をされておられる方が多数おられるわけですから、大変な問題になりますよ。  そのことはまず申し上げた上で、そして、これまで個別自衛権行使したことはありません。集団的自衛権行使、限定的であれ、それはなかなか行使するところまでは行かない可能性があります。しかし、この恒久法を作ったら、恒久法に基づく後方支援というのは一番先に行使される可能性がありますよ、これは。だって、アメリカが手ぐすね引いているんですから。もう自衛隊を自分たちの手足のように使いたい、そうアメリカが思っているわけですから。だから恒久法が大きな問題なんです。  しかも、今までなら、いいか悪いか別にして、私たちは反対してきましたけれども、その都度特措法で国会で議論して、そうして法律を作ってきました。それもやらなくていいというんですから、恒久法を作って。そして、事前承認が原則といいながら事後承認も認める、緊急性が認められれば事後承認もいいんだ。私たち国会は一体どうすればいいんですか、もう立法府の軽視も甚だしいですよ。  またそのことばかり言っていると次の質問に行けませんので、そのことを申し上げた上で、この集団的自衛権行使の閣議決定の中に、他国が現に戦闘行為を行っている現場ではない場所で、米軍や多国籍軍への補給、整備、輸送、医療など、いわゆる後方支援を自衛隊が行えるようにすることが目指されているわけであります。  私は、行使の可能性としてはこれが一番可能性が高いと思っていますが、後方支援というのは、改めて言うまでもなく、前線に人員、物資を輸送する、まさに憲法に反する武力行使と一体の活動だと、そのように先ほど申し上げたとおりであります。また、軍事上も、文字どおり生命線ですから、特にゲリラやテロリストなどの標的になりやすい。それは定石ですよ、正面から攻めると難しいから補給部隊を攻める、これは戦の。それはもう中谷防衛大臣にそんなことを言うと釈迦に説法ですから。だから後方支援は気を付けなきゃいけないんですよ、どこで線引きするのか。  具体的な例があります。二〇〇三年のイラク戦争では、補給物資を輸送中の米陸軍第五〇七整備中隊がイラク軍と民兵が陣取るナーシリーヤに迷い込んでしまって、中隊三十三名中十一名が戦死、六名が捕虜、十名がイラク軍に包囲されるという大きな被害を記録しているわけであります。  そこで質問ですが、米軍の湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争における後方支援活動がどのような戦闘に巻き込まれたのか、被害状況などを把握、研究しておられるのか、伺います。
  259. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、法律整備のお話がありましたけれども、非常に国際情勢も変化をし、また日本の危機管理や安全保障も対応しなければなりませんが、やはり政府としては、国民の生命、財産、領土を守るためにしっかりと対応できるという形をつくらなければなりません。そのためには法律がなければ対応できませんが、どのような範囲で法律を作るのかということにつきましては、昨年閣議決定をいたしましたので、憲法との関係におきまして、その範囲で今対応をしているわけでございますので、二年を掛けて、国民の皆様に御理解いただくように、現在与党間でもやっておりますし、まとまった形で国会でも御議論をいただきたいと思っているわけでございます。  後方支援等につきましてですが、湾岸戦争から二十五年になりまして、こういった国際的な活動等につきまして、PKOも含めまして二十数年やってまいりました。相当な経験も踏み、また国際機関の情勢等も国民の皆さんに御理解をいただきましたので、この際、憲法上、後方支援の形として、現に戦闘が行われていない、現場でない地域でやる活動ということで今検討をいたしているわけでございますが、御質問におきましてのこういった対応等につきまして、隊員に対しては、派遣する側としての安全管理、また派遣された隊員の現場での判断などにおきましては、しっかりと安全に対する配慮ができるように、そのようにしていきたいというふうに思っております。
  260. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 補充ありますか。
  261. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 補足させていただきます。  防衛省といたしましては、自衛隊が国際平和協力活動等に積極的に取り組むためにも、平素から、隊員や部隊の安全を確保しつつ、任務を遂行するためにも必要となる各種取組を行うことが重要と考えております。  この観点から、例えば、平素から諸外国における地域情勢ですとか諸外国軍による各種活動状況等について幅広く情報収集、分析に努めるとともに、派遣先での情報収集能力や防護能力の強化といった自衛隊の各種体制整備等を行っているところでございます。  防衛省といたしましては、自衛隊を海外に……
  262. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 手短にどうぞ。
  263. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) はい。  派遣するに際しては、隊員の安全確保が極めて重要との立場に立ちまして、御指摘の米軍による活動実績等も含めまして、必要となる情報収集、分析などを通じて隊員の安全確保に万全を期する考えでございます。
  264. 吉田忠智

    吉田忠智君 端的にお答えください。  過去の後方支援活動の結果について、被害状況も含めて把握、研究されているかいないか。
  265. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 繰り返しになりますけれども、防衛省といたしましてはやっております。  先ほどの御指摘でございますけれども、委員から御指摘ございましたイラク戦争中の第五〇七整備中隊に対します攻撃事案の概要におきましては、例えば二〇〇三年三月二十三日、バグダッドに向け前進するいわゆる有志連合部隊の車列の最後部に位置していたパトリオットミサイル大隊の支援を任務としておるこの第五〇七整備中隊でございますが、運行上のミス等により車列からはぐれまして、イラク南東部のナーシリーヤにおきましてイラク軍及び非正規軍からの攻撃を受け大きな被害を受けたというふうに承知しております。
  266. 吉田忠智

    吉田忠智君 それ以外の他国軍が行った後方支援について、把握、研究していないということですね。
  267. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 今手元に持っておりますのは今申し上げたものでございます。
  268. 吉田忠智

    吉田忠智君 そんなこともここで答えられなくて、何の後方支援の検討をするんだよ。大臣
  269. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘の米軍による活動の実績も含めまして、必要な情報収集、分析などを通じて、隊員の今後の安全確保活動などに検討をしてまいりたいと思います。  参考といたしまして、米軍のイラク戦争等における被害状況等につきましては、米国防省から、アフガン戦争やイラク戦争における米軍人の被害状況等について、また、資料等で敵対行為及び非敵対行為ごとの軍種別の死傷者のほか、階級別、性別、また年代別の死傷者などの統計、そして後方支援部隊といった各国の部隊等の死傷者に係る統計などは把握をしながら、防衛省の中で研究、検討はしているということでございます。
  270. 吉田忠智

    吉田忠智君 委員長、もうこれ以上この問題で議論すると、ちょっともう余り時間がなくなったけど、この過去の後方支援についての防衛省が把握している資料を請求いたしたいと思います。お取り計らいをお願いします。
  271. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 理事会で協議をさせていただきます。
  272. 吉田忠智

    吉田忠智君 それで、閣議決定では、「支援活動を実施している場所が「現に戦闘行為を行っている現場」となる場合には、直ちにそこで実施している支援活動を休止又は中断する。」と記載されているわけであります。  戦闘行為とは、国際的な武力紛争の一環として行われるわけで、人を殺傷し又は物を破壊する行為であります。自衛隊部隊が活動している地点においてそのような行為が現に行われているか否かという明らかな事実により客観的に認識できると答弁されております。  休止又は中断は誰がどの時点で判断するのか、そして、直ちにとは速やかにかつ例外なく必ずということなのか、休止又は中断した方がかえって自衛官、自衛隊の被害が予想される場合も速やかにかつ例外なく必ず休止又は中断するのか、そのことについて伺います。
  273. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、国際社会の平和と安全のために活動する外国軍隊、他国軍隊に対する支援活動についての法整備、これに関しましては昨年七月の閣議決定において示されております。  まず、先生も御指摘になりましたように、我が国の支援活動となる他国軍隊が現に戦闘を行っている現場では支援活動は実施しない、それから、仮に状況変化により我が国が支援活動を実施している場所が現に戦闘を行っている現場となる場合には直ちにそこで実施している支援活動を休止又は中断する、こういう考え方に立ちまして、具体的な法整備の内容について検討を進めているところであります。  これも先生御指摘になりましたが、この現場であるか否かの判断の前提となる事実関係、これにつきましては、自衛隊部隊が活動している地点においてそのような人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われているか否かという明らかな事実関係でございますので、現場の部隊が客観的に認識をできると、このように考えてございます。  この事実関係に基づきましてどんなふうに判断をしていくか、この点につきましては法律できちんと定めてまいらなければならないと思っておりますが、現場の部隊で判断をする事項、そしてあるいは政府として判断をしなければならない事項、こういったことの整理も含めまして、現在与党にも御議論いただきながら法案化を図っているところでございます。  また、先生お尋ねの直ちにというのが速やかにかつ例外なく必ずかということでありますが、方針の中で直ちにと書いてありますので、その方向に従って検討しているのはもちろんでございます。  また、例外なく必ずという点でございますが、この点につきましては、私ども今この法律の中で考えております活動の中に捜索救助活動というのがございます。この捜索救助活動につきましては、その人道的性格を考慮いたしまして、その活動をまず始めて、実施をしている、そのときに現に戦闘行為を行っている現場となった場合でも、これは隊員の安全への配慮というものを考えながらでございますけれども……
  274. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 簡潔にお願いします。
  275. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) はい。  遭難の救助の継続が許容される場合があると、このように考えているところでございます。
  276. 吉田忠智

    吉田忠智君 活動が継続されるケースもあり得るということであります。これは、去年の違憲の閣議決定からも逸脱して、自衛官の生命を危険にさらすものである、そのように思います。  もう最後の質問になりましたけれども、現場部隊が自らの被害を最小にするためにあえて命令に背いて、直ちに休止又は中断せず、武力行使も伴いながら強行したような場合は憲法違反となるわけですが、自衛隊法の罰則には国外犯処罰規定がなくて、第四十六条の懲戒処分にしかならないというふうになるわけですか。
  277. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 隊員の行為が自衛隊法の四十六条に規定する懲戒処分や同法の九章に規定する罰則の対象になるか否かは、個別具体的なケースに即して判断されることになります。  その上で、国外において自衛隊法第百十九条に規定する上官の職務上の命令に対して多数共同して反抗したり部隊を不法指揮した場合の罰則には、国外犯を処罰する規定がないために罰則が適用されませんが、隊員が職務上の義務に違反した場合には懲戒処分を行うことがあります。  いずれにせよ、国外における行為に自衛隊の罰則の適用がない点につきましては、武器使用権限を含め、今後の国外における自衛隊の活動の態様を勘案しながら、防衛省において自衛隊法の罰則の国外犯に関する検討を行うところでございます。  そして、先ほどの私の答弁の中に、米軍によるイラク戦争等における被害状況についての検討の中に、後方支援部隊といった個別の部隊ごとの死傷者に係る統計ということを話しましたが、これにつきましては含まれておりませんので、その部分は訂正をさせていただきたいと思います。
  278. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 時間が終了いたしております。
  279. 吉田忠智

    吉田忠智君 はい。  恒久法も含めて、昨年の閣議決定を踏まえた戦争立法については極めて問題だということを主張して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  280. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 他に御発言もないようですから、外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時七分散会