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2015-02-10 第189回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年二月十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  二月九日     辞任         補欠選任      斎藤 嘉隆君     徳永 エリ君      福島みずほ君     吉田 忠智君  二月十日     辞任         補欠選任      大島九州男君     安井美沙子君      徳永 エリ君     斎藤 嘉隆君      倉林 明子君     田村 智子君      山口 和之君     山田 太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小坂 憲次君     理 事                 赤石 清美君                 井原  巧君                 石井 正弘君                 相原久美子君                 石橋 通宏君                 杉  久武君     委 員                 磯崎 仁彦君                 江島  潔君                 熊谷  大君                 滝波 宏文君                 塚田 一郎君                 中原 八一君                 藤川 政人君                 堀内 恒夫君                 若林 健太君                 足立 信也君                 礒崎 哲史君                 江崎  孝君                 斎藤 嘉隆君                 徳永 エリ君                 安井美沙子君                 平木 大作君                 寺田 典城君                 藤巻 健史君                 井上 哲士君                 田村 智子君                 山田 太郎君                渡辺美知太郎君                 吉田 忠智君    国務大臣        農林水産大臣   西川 公也君        環境大臣     望月 義夫君    副大臣        内閣府副大臣   平  将明君        内閣府副大臣   西村 康稔君        財務大臣    宮下 一郎君        厚生労働大臣  永岡 桂子君        農林水産大臣  小泉 昭男君        環境大臣    小里 泰弘君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       佐藤 英道君    政府特別補佐人        原子力規制委員        会委員長     田中 俊一君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡  拓君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       澁谷 和久君        内閣官房行政改        革推進本部事務        局次長      市川 健太君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       三宅  智君        農林水産大臣官        房総括審議官   今城 健晴君        農林水産大臣官        房審議官     山口 英彰君        農林水産省食料        産業局長     櫻庭 英悦君        農林水産省生産        局長       松島 浩道君        農林水産省農村        振興局長     三浦  進君        農林水産省農林        水産技術会議事        務局長      西郷 正道君        林野庁長官    今井  敏君        経済産業大臣官        房総括審議官   糟谷 敏秀君        経済産業大臣官        房審議官     吉野 恭司君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       木村 陽一君        環境大臣官房審        議官       中井徳太郎君        環境大臣官房審        議官       小川 晃範君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    鎌形 浩史君        環境省地球環境        局長       梶原 成元君        環境省水・大気        環境局長     三好 信俊君        環境省自然環境        局長       塚本 瑞天君        原子力規制委員        会原子力規制庁        次長       清水 康弘君        原子力規制委員        会原子力規制庁        原子力規制部長  櫻田 道夫君    説明員        会計検査院事務        総局第三局長   須藤  晋君        会計検査院事務        総局第四局長   斎藤信一郎君        会計検査院事務        総局第五局長   平野 善昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成二十五年度一般会計歳入歳出決算平成二  十五年度特別会計歳入歳出決算平成二十五年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十五  年度政府関係機関決算書(第百八十七回国会内  閣提出) ○平成二十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百八十七回国会内閣提出) ○平成二十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八十七回国会内閣提出)  (農林水産省及び環境省の部)     ─────────────
  2. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、福島みずほ君及び斎藤嘉隆君が委員辞任され、その補欠として吉田忠智君及び徳永エリ君が選任されました。  また、本日、倉林明子君及び山口和之君並びに大島九州男君が委員辞任され、その補欠として田村智子君、山田太郎君及び安井美沙子君が選任されました。     ─────────────
  3. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 平成二十五年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林水産省及び環境省決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  7. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 若林健太

    若林健太君 自由民主党長野県選挙区の、委員長と同じ地元若林健太でございます。今日は、西川農林大臣農林族の大先輩でございます、胸をお借りして質疑をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。  まず最初に、決算委員会ということでございますので、会計検査院報告からお伺いしたいと思います。  会計検査院報告によりますと、青年就農給付金事業について今回指摘が行われ、経営開始時期の見直しなどで一億七千万、総所得に応じて給付額見直した場合で九千万の差額が生じたと、こういった指摘があります。  この指摘の内容と、そしてそれに対する対応についてお伺いしたいと思います。
  9. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生今御指摘の部分でございますが、会計検査院平成二十五年度決算検査報告におきましては、青年就農給付金につきまして、一つ目につきましては、失業等給付と重複して給付していることでございまして、二つ目給付期間を通して研修していることを確認せず給付をしていること、三つ目には、農業経営開始時期が各々の実態に即して設定されていないこと、これらの措置に対する要求等がございまして、農林水産省といたしましては、本指摘を踏まえ、実施要綱改正を行うなど適正な措置を講じていくことといたしておるところでございます。  また、前年の所得が二百五十万未満であれば給付額が一律であることへの指摘もございました。このことから、今後は、前年の所得が百万から三百五十万になるまで所得に応じて給付金額を変動させて給付する仕組みを導入いたしまして、新規就農者経営発展に向けた取組推進してまいることとしております。  今後とも、適正に執行していくことは当然のことでございますが、現場の声を踏まえながら、新規就農者の確保、定着に努めてまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  10. 若林健太

    若林健太君 給付について、一律支給はモラルハザードが起こると、こういう指摘があって、上限額二百五十万を三百五十万に上げた上でスライドさせる、これ、非常にいい改正指摘を受けた改正であるというふうに思います。  一方、この青年就農給付金については、当初その使い勝手が悪いといった指摘もあり、適用対象範囲について何度か見直しが入ってきていると思いますが、その経過についてお伺いしたいと思います。副大臣
  11. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先ほど御指摘をいただきまして、先ほども申し上げましたとおり、今後、一定所得ですね、三百五十万になるまでこれを導入をしていくということでございますので、適正にこれを進めてまいりたい、このように思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
  12. 若林健太

    若林健太君 この青年就農給付金というのは、当初、導入時点では親元就農について認められないといったような形で、非常に現場からは期待をされた制度であるにもかかわらず使い勝手が悪いといった指摘をされていました。こういった点を見直しをすることによって適用対象というのが非常に広がってきて、今現場では大変期待をされているというふうに思います。  今、農業生産者平均年齢が六十五歳を超えるということで、新規就農をどうやって拡大していくかというのは大変大きな農政の課題だというふうに思いますが、そういう意味で、今回、会計検査院指摘事項を踏まえて給付についての制度適用見直しを行いました。また一方、この適用対象についても随時見直しをしております。是非、これは現場にとって非常に期待の大きい制度でもありますので、適正な運用に努めながらも安定して拡大をしていっていただけるようにとお願いを申し上げたいというふうに思います。  続いて、土地改良に関する予算についてお伺いをしたいと思います。  昨年四月以降、私の地元であります長野県の農家や土地改良区の方々から、土地改良予算が十分でない、足りないというような声が寄せられております。予定した圃場が実施されないなど声が上がっているわけでありますが、長野県では、農業競争力強化を図り基幹産業として育てるために土地改良に積極的に取り組んでまいりました。こうした関係者の熱意に応え、事業の円滑な推進を図っていくためには十分な予算を確保することが必要であります。  自公政権復帰後の平成二十五年度予算については、二十四年度補正予算と合わせて十五か月予算として編成をされまして、現場要望に応える予算が確保されましたが、平成二十六年度予算は二十五年度補正と合わせても現場要望に十分応え得る水準であったかどうかと、こう指摘がされているところでございます。  そこで、まずこの各年度の前年度補正予算と当年度の当初予算、その合計額について事務方からお伺いしたいと思います。
  13. 三浦進

    政府参考人三浦進君) お答え申し上げます。  農業農村整備事業関係予算につきましては、まず、平成二十五年度におきましては、当初予算として農業農村整備事業二千六百二十七億円、農山漁村地域整備交付金のうち農業農村整備分七百三十五億円を計上しております。これに平成二十四年度補正予算農業農村整備事業千六百四十億円、農山漁村地域整備交付金のうち農業農村整備分九百億円を加えますと、合計五千九百二億円となります。また、平成二十六年度につきましては、当初予算として農業農村整備事業二千六百八十九億円、農山漁村地域整備交付金のうち農業農村整備分七百三十五億円を計上しておりまして、これに平成二十五年度補正予算農業農村整備事業八百億円を加えますと、合計四千二百二十四億円となります。
  14. 若林健太

    若林健太君 ありがとうございます。  今お話しいただいたように、土地改良予算というのは、平成二十六年度当初予算は前年度からはるかに増えてはいるんですけれども、二十五年度補正予算が減ったことによって、合計額でいきますと千七百億も少なくなったということでございます。  今日、お手元に資料を配付させていただいておりますが、この資料を見ていただきますと、平成二十一年度から二十二年度農業農村整備事業についての予算というのは激減をしているわけでございます。これは民主党政権時代でありまして、戸別所得補償導入に合わせて実はその財源を捻出するというようなこともあり、農業農村整備事業についての予算が大きく削減をされました。  当時、現場では、壊れた水路だとか水利施設などを補修をすることもままならないといって、こんな予算では大変だ、地域の基盤が壊れてしまうといった声が非常にあったわけでありまして、政権交代を実現をさせていただいて、平成二十五年度、前年度補正予算も含めてそこの是正をさせていただいたということで、何とか息をついたということになってございます。しかし、この補正によって手当てをするといった予算構造のゆがみが、結果として翌年度、そして来年度予算編成についてもそうですけれども、これをカバーすることがなかなかできないという状況になってございます。  無駄な公共事業として一時期やり玉に上がった時期もありました。随分こうした指摘を織り込んで、昔は一兆円あった農業農村整備事業、この予算を今の水準にまでしてきたわけでありますが、新規圃場を整備すること、これは生産性を向上させていくために当然必要なことでありますけれども、一方、今ある水路補修だとか水利施設改修といったことでさえも一定予算規模維持していかなければままならないということがございます。  そこで、平成二十五年度、二十六年度でどの程度こうした改修補修に係る維持という意味での決算というか金額が使われてきたのか、そのことについて事務方の方からお伺いしたいと思います。
  15. 三浦進

    政府参考人三浦進君) お答え申し上げます。  農山漁村地域整備交付金を含む農業農村整備事業関係予算に係る平成二十五年度決算額は四千七百二十七億円でございます。このうち基幹から末端までの水路更新整備等が六割強を占めております。このほか、圃場整備に係る事業の中で行う老朽化した末端用排水路ですとか暗渠排水の更新整備等がございまして、総じて更新補修に関するものが大半を占めているという状況にございます。
  16. 若林健太

    若林健太君 今お話しいただきましたように、昔はこの農業農村整備事業関係予算で無駄な道路造っちゃったとか橋造っちゃったという話ありましたが、今むしろ壊れた水路補修だとか水利施設改修大半を占めているという状況でございます。しかし、この予算は、こういった現状維持をしっかりしていくこと、これも大切ですけれども、一方、今、新農政で進めております農地集約化をすれば、当然この圃場整備をしていって、生産性を向上するための投資というのはやっていかなければならないわけでございます。  民主党時代にどんと下げてしまって、当初予算がなかなか上がってまいりません。そういう中で毎年の補正維持をしているわけですけれども、補正はその時々の規模、またテーマによって上下をするわけで、そういう意味では安定的な農業農村整備事業予算を確保するため当初予算一定規模を確保していく、こういった取組が必要じゃないかというふうに思います。  その点について、大臣の御見解と御決意をお伺いしたいと思います。
  17. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私も就任しまして予算の時期を十二月、一月やってきましたが、やっぱり土地改良予算を復活して大きくしろという要請は各県から大変たくさん来ております。  それで、予算編成のときも、なるべく当初予算で取りたいと、こういうことで、最終も麻生財務大臣とも折衝しました。これ何とか伸ばしてくれと、こういうことでやってきましたが、補正も含めてなかなかシーリングが掛かっておって思うようにいかなかったと、こういうことありますが、まあ予算を伸ばすと、この数値目標も掛けて理解はしてもらったつもりでおります。  それから、補正のときもそうだったんですが、結局シーリングという壁に阻まれて公共はもうここまでと、こういうことになりましたが、非公共で百億をいただきまして、それを公共並みに使っていこうと、こういうことで財務大臣との折衝をやりました。  それで、こういう要請が多いのは、今言われましたように圃場整備の大区画化、こういう問題で生産性を上げることもありますけれども、やっぱり長い間補修できなかった、だから早く補修をやりたいと、こういう要請が非常に多いですね。それから、住宅地に囲まれてきて、もうオープン水路では水が汚れて駄目だ、こういうことでパイプラインにしたい、しかし予算がなかなか付きません、ここを何とか確保してくれと、こういうこともありまして、この要請にやっぱり我々は応えていかなきゃならないと、こう思っておりますので、しっかり当初予算で取れるように努力を重ねていきたいと、こう思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  18. 若林健太

    若林健太君 ありがとうございます。  来年度予算編成等で、この非公共での取組というのは新たな取組として大臣折衝で勝ち得た大きな成果だと思います。そういうところも含めて、是非これは国土強靱化、一度水利施設等が壊れてしまったら、これ改修するのは大変なことでございます。是非とも当初予算でのしっかりとした取組ということを改めてお願いを申し上げたいというふうに思います。  順番を少し入れ替えて、当初、日本型直接支払等についてお話をしようと思いましたが、今、昨日まさに全中役員会で合意されたと、こう言われております農業委員会JA改革についてのお話を少しお伺いしたいというふうに思います。  全中との大筋合意によって、今までJA全中が行っていた監査機構によるJA監査については外出しをして監査法人に任せると、こういう大きな決定がありました。全国JAの在り方というのは、本当に地域によって様々でございます。ただ一方、一兆円を超えるような資金量を持ったJA単協も出てくる中で、今までのような内部監査でこの地域あるいはいろんなステークホルダーからの要請に応えられるかというと、そろそろ見直しをしなければならない時期を迎えていた。その意味では、今回のこの改革、その点については受入れしていかなければいけないところだと思います。  しかし一方、国家資格として農協監査士というものを認めてきたという経過もあるわけでございまして、こうした農協監査士の皆さんが新たな制度の中でしっかりと誇りを持って仕事をやっていける、そういう環境をつくっていくことが大切だと、こんなふうに思います。その点についてどういった配慮をされているのかというのが一点。  もう一つ、じゃ、監査をやらなくなった全中というのは一体この後どうなるのか。一般社団法人化にすると、こういうことでありますが、しかし、引き続き意見集約をし、そういった代表機能というのは残されるのか、農協法上の位置付けがどうなるのかと、この点について事務方の方からお伺いしたいと思います。
  19. 山口英彰

    政府参考人山口英彰君) お答えいたします。  昨日、先生からも御紹介がございましたように、自民党の農協改革のPT、プロジェクトチームによりましてこの法制度等の骨格、これの取りまとめがなされたところでございます。  その中におきまして、まず農協監査士の話でございます。  今回の農協改革の中におきましては、この会計監査、これは貯金量二百億円以上の農協につきましては現在全国中央会監査を実施しておりましたけれども、これにつきましては農協信用事業が安定して継続できるよう、信金、信組と同様に、公認会計士による会計監査ということを義務付けるということになったわけでございます。また、その中で、全国中央会は、この中央会内部組織であります全国監査機構、これを外出しいたしまして、公認会計士法に基づく監査法人を新設して、農協当該監査法人又は他の監査法人監査を受けるということになったわけでございます。  この中で、いろいろ配慮する事項も決めていただきましたところでございまして、政府は、農協監査士につきましては、当該監査法人等における農協に対する監査業務に従事できるよう配慮するということと、公認会計士試験に合格した場合に円滑に公認会計士資格が取得できるよう運用上配慮する旨、これを規定するということが決まったところでございます。  また、全国中央会、今申しましたように、この監査業務を外出しするということがございますので、今後の機能といたしましては、会員の意思の代表会員相互間の総合調整などを行う一般社団法人に移行するということになっております。この移行した一般社団法人につきましては、農業協同組合中央会と称することができると、こういうような法的手当ても、これも農協法の中でやっていくことになるかと思っております。  以上でございます。
  20. 若林健太

    若林健太君 私は、この改革論議の中で、実は農協監査については農協法の中で何とか位置付けられないかと、ドイツの制度などを参考にして、そういった検討ができないかとかねて主張してまいりましたが、しかし全中側も、そして農林族先輩方、役所も含めて知恵を出していただいて、今回のような形で公認会計士法に基づく監査法人となると。一方、残った全中については、農協法の中で位置付けが残されるということになりました。  非常にいいさばきであったかというふうに思います。やっぱりJA皆様方もこの新たな制度に対して誇りを持って取り組んでいく必要がありますし、そういう意味で、農協法上の位置付けを残すということも大変重要なことだったというふうに思いますので、その点、是非誇りを持てるようなそういう体制をお願いを申し上げたいと思います。  あわせて、農業委員会についてお伺いしたいと思うんですが、農業委員会については、六月の与党取りまとめの際には法令上の建議機能を廃止すると、削除するということが言われました。  これについては大変反発があって、農業委員会というのは、実際ろくな報酬もらわないで、それこそボランティアで、まさに名誉職誇りを持って立派に機能してやっておられる方、たくさんいらっしゃいます。この誇りというのが一体どこにあるのか。それは、農地を守り農政を担うと、そしてその立場は、やっぱり国に対して農政への意見具申ができるんだというところにあったように思うんです。  そういう意味で、今般、この点についての改正もされたと、そういう方向が出たと、こう伺っておりますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  21. 山口英彰

    政府参考人山口英彰君) お答えいたします。  農業委員会改革につきましては、昨年の六月の与党取りまとめで、この農業委員会の業務につきましては、従来の農地法等の法令業務がございますが、これに加えまして、農地利用の担い手への集積、集約化、耕作放棄地の発生防止、解消、新規参入の促進等、こういった業務に重点を置いていくという方向が明示されたわけでございます。さらに、その際、これらの業務に集中できるよう、農業、農民に関する事項についての意見の公表等は法令業務から削除するというのが昨年六月の取りまとめでございました。  今回、プロジェクトチーム先生方からもいろいろ御議論、また地元、地方の御意見を伺いながら取りまとめたところによりますと、この農業委員会の建議等の、意見公表等の業務につきましては法令業務としては削除するということになっておりますが、農業委員会がその業務の遂行を通じて得られた知見に基づき、農地等の利用の最適化の推進業務をより効率的かつ効果的に実施する上で必要があると認めるときは、関係行政機関に対し、その施策の改善意見を提出しなければならないと、こういった取りまとめになっております。  以上でございます。
  22. 若林健太

    若林健太君 そういう意味では、この農業委員会の皆さんが農政に意見を言う、そういう余地を残したということでよかったと思ってございます。  公選制が見直されたのは、私、本当に残念だと思っております。農業委員というのはまさに農地を扱うわけで、村の中で農地を扱うに当たって、やっぱり一定の信用、その信用のバックボーンは我々の村の中から公選で選んだんだというところに依拠していたと思いますし、また、それぞれの委員の皆さんの誇りの源泉はそこにあったような気がいたします。これが、選挙されてないからというようなことで廃止されてしまうということについては大変危惧をいたしました。  首長さんの指名といいますけれども、じゃ、首長さんの選挙を一生懸命やったやつを選ぶようになっちゃったらどうするんだと。あるいは、農地の開発圧力というのは大変強いものがあるわけで、それに対して毅然と農地の管理というのができるのかといった心配、指摘があったところであります。  代表制を是非維持してもらいたいというのが私どもの意見でありましたが、その辺をどう決着をさせていただいたか、お伺いしたいと思います。
  23. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今度の改革、三つやらせてもらうと。  一つ農業生産法人の問題です。これは今四分の一しか外部から出資できませんけれど、私どもの考え方では五〇%未満まで出資をしていただこうと、で、農業の皆さんが他産業の皆さんと組んで農業所得を上げようと、こういうことが一つですね。これは農地法の改正ですね。  もう一つ農業委員会法の改正で、今の公選制の問題、六月にも私ども二十回以上議論しました。その中で、一割未満の地域しか選挙をやっていないと、こういう中で、民意が反映できれば公選制でなくてもいいではないかと、こういう意見になりまして、最終的に、議論を重ねていきましたが、農業委員会法を預かる全国農業会議所始め御了解をいただけたんで、あとは民意の反映を市町村議会の判断に委ねると、こういうことであれば十分民意の反映はできるだろうと、こういう解釈をして、公選制をこれからは取らずに首長の推薦で議会の同意を得ると、こういう形にさせていただいたと、こういうことです。  それから、先ほど若林先生が言われた農協監査士の問題。これ、十分配慮して、業務監査どういうふうにするかということもありますし、それから、なるべく公認会計士に早くなっていただけるように我々も側面から支援をしていきたいと、こう思っておりまして、さらには、今度は都道府県の中央会のこの仕事が農協からの要請で業務監査等に近い業務がやると思いますんで、そのときの担当等にもやっていただければと、こんなことを考えております。
  24. 若林健太

    若林健太君 代表制を担保するための制度措置についてお願いします。
  25. 山口英彰

    政府参考人山口英彰君) お答えいたします。  今大臣からお答えがございましたように、公選制自体につきましては今回廃止ということでございますが、その代わりの市町村長による選任、これが適正に行われるようということで、今回の自民党の取りまとめの中におきましてはこのやり方の手続を定めたところでございます。  まず、市町村長は、あらかじめ委員候補者について地域からの推薦を求め、又は募集を行うということをしていただくことになっております。さらに、市町村長は、その推薦を受けた者及びその募集に応募した者に関する情報を整理し、これを公表するということが義務付けられることになりまして、また、その推薦及び募集の結果を尊重しなければならないと、こういった規定を置こうかと思っております。  そういった形で、実質的に地域代表される方が選任される、そういった仕組みにしたいと思っております。
  26. 若林健太

    若林健太君 今のこの推薦、地域からの推薦による代表制の確保、そして今大臣から御説明いただいた議会のチェック、これ非常に重要だと思います。これから省令等、細部にわたって制度の作り込みをしていくところだと思いますが、是非、この地域からの代表制そして公平性といったところを配慮していただいて、丁寧な制度の作り込みをしていただきたいと思います。  今般の農業委員会JA改革について、一部のマスコミで、岩盤規制を撤廃するとか、ドリルを空けるだとか、あるいは産業界対農業といった構図をつくり上げて、何か農村社会が壊れてしまうかのような報道、これ非常に不安が今地域の中に広がっているというふうに思っています。この本来改革は、そうした何か政治ショーでやるような話ではなくて、我々が今まさに戦後の農政の大きな転換だといって、担い手の育成あるいは日本型直接支払といった新農政を実施していくために、そのパートナーとして、政府と一緒に走っていく地域のパートナーとしての農業委員会JAグループがそれぞれ力を持ってやっていけるように、自由度を持ってしっかり自らの判断でしっかりやっていけるような制度改正をするため行っているものだと、私はそう理解をしたいと思いますし、そういうものとして前へ進む改革にしていかなければいけないんだと思います。  昨日、自民党のプロジェクトチーム、その会合においても萬歳全中会長が受け入れると、そしてこの受け入れたことが地方創生あるいは今の新農政の実施に前向きに捉えられ、そういう結果になっていくように努力をしていきたいという発言をされたと伺いました。大変貴重な発言だと、こう思います。そこは、政府もしっかりこの方向性を打ち出して、全中農業会議とタッグを組んで、何としてもやらなきゃいけないのは、今農業が抱えているこの構造問題、しっかりとメスを入れて、新農政を実施する中で農業を成長産業にすることだというふうに思います。  まだ地域は全く理解されていません。特に単協の皆さんもそうです。不安が広がっています。是非ここをみんなで結束してやっていく、そういう環境づくりが大切だと思います。大臣から是非その意味で御決意をお伺いしたいと、こんなふうに思います。
  27. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私どもも、この一連の改革をやるのは、農家の所得を増やして農村のにぎわいを取り戻すと、こういう大スローガンの下に万般の改革をやろうと、こういうことで進めております。  農業の生産額、これだけは申し上げておきたいと思いますが、日本の農林水産業の国内生産高、一番多かったときは十一兆七千億です。今は八兆五千億しかありません。これはいろいろ原因ありますけれども、総合力を発揮して、先生方にいろいろな御意見を伺いながら、さらには農協の皆さんと相談をしながら、必ず農家の所得を上げていく、それから単位農協地域農協を強くすると、この目標に向かって頑張っていきたいと、こう思っておりますので、御理解のほどお願いいたします。
  28. 若林健太

    若林健太君 ありがとうございます。  地域の今農村の状況というのは大きく変わりつつある。確かに、農業生産者平均年齢が上がってきている、耕作放棄地が広がっている、課題はたくさんあります。でも、一方、やる気のある担い手も随分育ってきて、水稲を始め大規模でやっている方もいらっしゃるし、非常に付加価値の高い園芸に取り組んでいる方もいらっしゃると。  今まさに、そういう意味ではそういった担い手をしっかり支え、しかし一方、我が長野県もそうですけれども、ブラジル行ったときみたいに、だあっと地平線が見えるような、あんなところばかりじゃなくて、まさに中山間地、条件不利地域をたくさん抱えております。これに対する手厚い対策、これも大切なところ、産業政策と社会政策、両方必要なんだというふうに思いますし、これに取り組むためにはJA農業委員会もまさにパートナーだと、こう思いますので、そういった誇りと気概を農業者が持って、そしてJAの皆さんがそう思ってこの改革にみんなで結束していけると、こういうことに是非また邁進をお願い申し上げたいというふうに思います。  予定した質問がだんだんできなくなってまいりましたが、一つだけ、じゃ最後に農地中間管理機構についてちょっとお伺いしたいと、こんなふうに思います。  一昨年の臨時国会において、担い手への農地利用の集積、集約化を進める手段として農地中間管理機構を整備するための法律が成立をされまして、昨年の十一月までに全ての都道府県で機構が設立をされました。私の地元長野県においても四月に機構を指定し、担い手への集積率を現状の四割から七割まで増加することを目標に事業開始しておりますが、まあ広い長野県ですから、この機構の支所を十か所設置しているほか、市町村など様々な組織に連携をお願いしながら出し手と受け手のマッチングを今進めているところであります。一方、最近の報道を見ますと、出し手が不足をしていてなかなか実績が上がらない、受けようというやつはいるんだけれども、農地が全然出てきてないじゃないかと、こういった指摘がされているところでございます。  各県ごとに様々な取組がされていて、熊本県での事例など先進的な事例もあるわけでありますが、それぞれの県の今活動状況がどうなっているのか、そしてまた、農林省として今後この制度、これはまさに新農政をやるためにこの成功というのは極めて鍵になるというふうに思いますが、どう取り組んでいこうとされているのか、お伺いしたいと思います。
  29. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) 先生指摘のとおりでございまして、借り手の方はもう大分数がそろっているようでありまして、貸し手の方がそろっていないというのが、これが現実の状況でございまして、スキームからすれば、農地の所有者から農地を借りて、これを担い手にできるだけ集積してお貸ししようという、こういう形でございますが、出し手につきましては法律上公募方式を取っておりませんで、これがまとまった農地を機構に貸していただくことが重要と考えているところでございますけれども、人・農地プラン、この中で、地域農業者の話合いを進めて、まとまった農地、これをどうしても確保していくと、こういうことでございます。  今先生指摘のとおり、熊本の事例がございまして、各県でこういうことをやっていただきたい、こういうふうに思っていますが、私も以前農業をやっていたとき、長野県で農業をやりたいと、こんな思いがございました。あのレタス、すごい勢いで作っていられるのを目の当たりにしました。出し手の部分につきましては、熊本県知事がトップセールス的に地元紙にも出て、そして知事に農地を預けてくださいと、こういうPRをどんどんされていると。これは全県に広がっていただきたい、こういうふうに思っています。当然のことながら、昨年の九月に熊本県を講師といたしまして全都道府県を集めた研修会を行いました。優良事例の横展開を図っていくこと、これ大事だと思っておりますので、全都道府県を軌道に乗せていくべく先生にも御指導いただきたい、こういうふうに思っております。  また、今現状、現場はもう動いておりますけれども、初年度の実績として、三月末時点のデータですね、これを集計をいたしまして、この数値を基に官邸を含めて機構の活動の検証、評価、これを抜本的に行うこととしておりますので、この評価を踏まえまして今後の具体的な取組を、対応を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。よろしくお願いいたします。
  30. 若林健太

    若林健太君 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、今お話をいただいた熊本の事例など、先進的な事例も出てきてまいりました。是非、横展開をしっかりやっていただいて、この農地中間管理機構、農地の集積の成否というのはまさにこの担い手政策の中核にあるというふうに思いますし、また今日時間がなくてお伺いできませんでしたが、日本型直接支払についても今般急傾斜地についての加算制度を設けるなど手直しをいただいています。まだまだ不十分なところがあると思います。走りながら制度を補充して、そして是非この日本の農業、成長産業化に向けて取り組んで頑張っていただきたい。  今日、農林の大先輩である西川大臣に直接御答弁をいただきました。様々な改革で御苦労のことだと思いますが、しかしみんなが結束しなきゃいけないということだと思います。農業委員会JAも、そして役所も私どもも、しっかり日本の農業、農は国の基ですから、そんな思いで取り組んでまいりたいと思います。  今日、こうした質問時間いただいたことを感謝申し上げて、終わらさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  31. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 自由民主党福井県全県区の滝波宏文でございます。本日は、地球温暖化、エネルギー、そして林業について質問させていただきたいと思います。  まず、会計検査院からこの秋に指摘報告が出されている再生可能エネルギーについて。  会計検査院によりますと、平成二十一年度から二十五年度までに経産省、環境省などが実施した再生可能エネルギー設備に係る事業費は、既に四千六百八十億円の多額に上っています。検査院がこの間に導入された設備を点検したところ、二十五年度末時点において休止している設備が四十一設備あり、そのうち一年以上休止している設備が八設備見受けられたとの指摘がありました。  また、風力発電事業について経産省等が平成九年から二十四年度までに交付した補助金千八十二億円を検査したところ、千二百七基中約三割に当たる三百六十二基において、延べ四百八十六回、九十日以上連続して稼働を停止している実態等が指摘されております。  また、二十四年には、再生可能エネルギーの促進を目的に固定価格買取り制度、いわゆるFITですが、導入されました。この制度では、再生可能エネルギーを発電する事業者が国庫補助金などを利用して発電した電気をFITに基づき売電する場合には、二重の給付を回避する観点から売電額より国庫補助金相当額を控除する、こういうふうな制度になっているにもかかわらず、国庫補助金等の取扱いに関する取決めがない事業等が複数見受けられたことも報告されております。  FITをめぐっては、変動性が高く発電の質が元来良くない太陽光発電を中心に最近接続問題も生じまして、以前から予想されていたように、FITバブル、太陽光バブルがついにはじけた、やっぱりはじけたと、こういうふうに言われてもおりますけれども、これらの会計検査院指摘報告等の結果も踏まえた今後の再生可能エネルギー導入の課題、特にFITの問題について経産省及び環境省に対応と方針を伺います。
  32. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 現在、固定価格買取り制度についての御質問を頂戴いたしました。  固定価格買取り制度につきましては、やはり規制が少なくて工期も短いということで、太陽光発電に偏った導入が進んできております。それによりまして、国民負担上昇の懸念でございますとか、御指摘のとおり、今般の系統接続問題に象徴されますような系統制約の顕在化といった、そういう問題が生じてきております。  再生可能エネルギーを最大限導入ということでございますけれども、ここにも一定程度制約があり、様々な要請を両立させていかなければならないということは事実かというふうに考えてございます。他方、再生可能エネルギーの最大限導入を図る、目指す上で、やはり固定価格買取り制度がその原動力になっているということも事実でございます。  したがいまして、これらの根本的な課題につきまして更なる検討を進めまして、電力の安定供給を前提に、再生可能エネルギーの最大限の導入、それと国民負担の抑制、しっかり両立をさせるべく、必要となる見直しを検討してまいりたいと考えてございます。
  33. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) 低炭素社会の実現のためには、再生可能エネルギー導入を中長期的には確実に、そして大量に進めていくということが不可欠だと考えてございます。  環境省といたしましては、再生可能エネルギーの最大限の導入に向けまして、浮体式の洋上風力でありますとか潮流、潮の流れでございますけれども、そういったものの新しい再生可能エネルギーの開発、実証、あるいは再生可能エネルギープロジェクト等への出資を通じまして、民間の活力を、民間資金を活用するような事業、あるいは出力変動のための対策、そして地域の実情を反映した地方自治体の低炭素なまちづくりを推進する計画の策定の支援あるいはその実施の支援といったようなことに取り組んでまいりたいというふうに考えております。  会計検査の指摘につきましても、先ほど停止中という話がございました。環境省の支援をいたしました施設につきましても八施設停止していたわけでございますけれども、部品の供給あるいは原因解明ということで、六施設につきましてはもう既に稼働を開始しております。あと二施設につきましては、例えば熱のプールの利用とか、そういう季節物がありまして、今、冬の段階ではちょっと動いておりませんが、夏になればそういったものもしっかりと動かしていくということで、会計検査院指摘も踏まえながら適切な予算執行に努めてまいりたいと、かように考えております。
  34. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 再生可能エネルギー、先ほど経産省からの御答弁にもありましたように、最大限の導入ということでエネ基では書かれておりますけど、やはり一定の制約、合理的、現実的な制約があることは踏まえていただきたいと思います。  先ほど申し上げた太陽光発電の接続問題、こういった技術的な制約もありますし、また、これは経産省から発表されているように、FIT、今既に認可されているものが全部稼働したら年間二・七兆円の国民負担が掛かる、こういうものもございます。これが二十年続くわけです。一年でいった場合にこれは消費税一%以上の負担でありますので、そういった制約、そして今議論になってございますこういった予算執行の問題、更なる指摘等を招かないように慎重に対応していただきたい、現実的、責任ある対応をお願いしたいと思います。  さて、地球温暖化の関係ですけれども、私が十年ほど前、小泉政権のいわゆる官邸スタッフとして内閣官房で働いていたときに、職場の壁にポスターが貼ってありまして、当時、まだ地球温暖化は議論が始まった頃だったので、地球温暖化と騒がれているけれども自分たちの生活に一体どういう関係があるのかな、それを分かりやすく漫画で説明してあるポスターでありました。  そこに書かれていたのは、日本が亜熱帯になって伝染病がはやるとか、またスコールのような集中豪雨が頻発してしまうとか、そんなことが書かれていたわけですけれども、今、十年たってみると、あの先般の東京のデング熱の発生ですとか、また、もう今では当たり前になってしまったゲリラ豪雨とか、本当にまさに日本の現実問題として地球温暖化問題が現れてきている、そういうことに戦慄を覚えます。  このように、地球温暖化は、今や身近にある、そこにある危機なんでありますし、国を挙げて、そして国際社会一丸となって取り組んでいかなきゃいけない、そういう重要な問題だと思っております。  国連の気候変動枠組条約の下、二〇二〇年以降の新たな枠組みの合意について、各国には、本年十二月のCOP21、いわゆる同条約の第二十一回締約国会議に十分先立って温室効果ガス削減目標を提出するように求められております。加えて、本年六月にはドイツでG7サミットの開催が予定されており、我が国の地球温暖化対策に取り組む姿勢もこれは問われる、国際的に問われるわけであります。  既にEUそれからアメリカは削減目標を公表しておりまして、実はG7で残りはカナダと日本のみというふうな状態になっております。  かつて京都議定書を議長国として主導したまさに環境先進国としての責任、それに恥ずかしくないような対応が必要でありまして、早急にG7サミットに間に合うように削減目標を取りまとめる、そして、その内容はやはり先ほど申し上げたような環境先進国としてふさわしい高い目標、これを目指していくべきだと考えておりますけれども、我が国としての削減目標案はいつ、どのように設定、公表するのか、環境大臣に伺います。
  35. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) それではお答えさせていただきます。  私、答弁、ちょっと今これ以外のことで、今先生おっしゃったように、今回のIPCCの報告、八百人ぐらいの世界の科学者が地球の気候変動に関して大変心配をして、各国の大統領や首脳がこれを参考にしているということでございまして、この問題については、もう既に日本の国の集中豪雨だとか様々な、ハリケーンとかありますけれども、まさに世界の多くのそういう事象は地球温暖化によるものだということがもう既に出ておりまして、先生の御指摘のとおり大変日本としても憂慮すべきことで、一日も早くこういったものを出していかなくてはならないのではないかなと、今先生の御意見を聞きながらそんなことを考えておりました。  二〇二〇年以降の削減目標についてでありますけれども、COPの決定や各国の動向や将来枠組みに係る議論の状況エネルギー政策やエネルギーミックスに係る国内の検討状況を加えて、できるだけ早くやはり我が国としても取りまとめることを目指しております。  このため、現在、中央環境審議会それから産業構造審議会の合同専門家会合を、多分四回開かれたと思いますけれども、様々な観点から、我々環境省だけで決めるものではございません、経済産業省もあれば外務省もあれば、様々な皆さんのやはりそういった英知を結集いたしまして、活発の議論をいただいているところでございまして、引き続き検討を深めて、一日も早くこの数字が我が国としても出せるように進めていきたいと、このように思っております。
  36. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 大臣、ありがとうございます。  ただ、非常に今厳しい状態が我が国の前に広がっておりまして、東日本大震災以降、化石燃料からの発電量、これ非常に増大しているわけであります。いわゆるたき増しですね、私は滝波でございますけれども、たき増しの方は非常に問題だと思います。特に、CO2の排出が多い石炭火力、こちらの方について建設計画もどんどん増えております。もちろん、日本の先端技術を使った例えば電源開発の磯子発電所のように非常にクリーンな日の丸発電所、これを世界に広めていく、これは非常に大事なことでありますし、いいことだと思うんですが、やはりどうしても地球温暖化の観点からすると火力としての限界というのはあります。  このように電力供給を火力発電所に依存している状態では、総理がサミットの席で堂々と示せるような野心的な温室効果ガス削減目標案、これをまとめるのはなかなか難しいんじゃないかと。また、第一次安倍内閣において総理が提唱された世界全体の温室効果ガス排出量を二〇五〇年までに半減させるというクールアース50構想、そして、それを踏まえて設定された我が国の長期目標、二〇五〇年八〇%削減、この実現にも大きな影響が出るのではないかと心配してございます。  民主党政権、鳩山内閣のときには非常に高い目標で二五%削減というのを掲げましたが、そのときには、電力については、火力への依存度を下げて、原子力は五〇%電力を賄わなきゃいけない、そういうふうな計算になっていたと思います。  こういった火力の増大の状況も含めて、環境省の現状認識と今後の対応を問いたいと思います。
  37. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) お答え申し上げます。  今先生指摘のように、石炭火力発電、これにつきましては、最新鋭の技術を用いましても同じ火力発電でございます天然ガスの火力発電所に比べて倍のCO2を出すということでございます。そしてまた、こういったような発電所が例えば四十年ぐらい稼働を続けるというふうに考えた場合、長期的な観点からも地球温暖化対策への影響は大きいものと考えております。  こうした状況を踏まえまして、関係省庁そして関係大臣取りまとめをいただいた、対策を取りまとめていただいているわけでございますが、その取りまとめに基づきまして、電力業界全体として二酸化炭素排出削減に取り組む枠組みを構築をしていただくということになってございます。その枠組みの構築に向けて、関係業界に対して働きかけてまいりたいというふうに考えております。  また、個別の計画、新増設の計画があった場合、これは環境影響評価手続というものがございます。その中で、最新鋭の技術が採用されているか、あるいは、先ほど申し上げましたような枠組みの中に参加していただいているかどうか、あるいは、枠組みが構築されるまでの間、二酸化炭素の最新鋭の天然ガス火力からの増加分を相殺するような措置が講じられているかどうかといったような視点で審査もしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  38. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 この地球温暖化対策という観点でも重要なエネルギーの関係について、我が国の状況を改めてちょっとお時間いただいて振り返りますと、原子力発電所が停止したことでCO2の排出量というのは過去最高の水準となっております。また、国民負担、資源のない我が国ですから、燃料の輸入費用が非常に増大しておりまして、家庭用の電気料金が二割、産業用では三割増えてございます。こういった国民負担を押しなべて増大するという問題もありますし、また、震災前には二〇%程度だったエネルギー自給率、これは今では僅か六%ということになっておりまして、エネルギー安全保障上非常に脆弱な状況になっております。  そして、三・一一が明らかにしたことの一つは、都会は都会だけで成り立っているわけではないということなんだと思います。私の地元福井など原子力立地地域としては、今まで思っていた以上のリスクをしょって安定、安価な電力を消費地に供給してきたと、もうより感謝してもらってもいいんじゃないかと、そんな思いがあるのにもかかわらず、実態としてはもう放り出されている、そういうふうな状態であります。福島は特にそのリスクが発現してしまったところでありまして、返す返すも残念なあの事故でございます。この点は、特に東京を始め東電地域の消費地はまだまだ感謝が足りない、そういうふうに私は思っております。  いずれにしても、我が国は都市国家ではなくて、立地地域と大消費地のように地方と都会が支え合ってこの厳しい国際社会を乗り越えていく、そういうのが我が国の形なんだということを改めて想起すべきだと思ってございます。  そしてまた、低廉で安定的な電力を確保するという意味では、いわゆるベースロード電源、これを一定比率確保する、これも大事な視点なんじゃないかなと思っております。  その点からすれば、先ほどお話ございましたように、地球温暖化対策等のために石炭火力等を比率を減らしていくということであれば、代わりに今放置されている原子力発電所を活用するしかないんじゃないかと私は考えております。ベースロード電源は、ほかには一般水力、地熱しかない。いずれもこれらは、採算を含め、開発のめど、そして発電量の大幅な確保は容易ではない状態であるからです。  先ほど、民主党の鳩山内閣であったような、二五%の削減目標のために原子力を五〇%を確保せざるを得ない、そういうふうなこともありました。これが日本の制約状況なんだということを我々はやはり認識せざるを得ないと思います。今回も、COP21に向けた新たなしかるべき、環境先進国としてしかるべき削減目標を設定するには、原子力を含めたエネルギーのベストミックスの決定が必要だと思っております。  以上のように、日本の経済力維持、安全保障確保、立地地域と消費地にも表れる地方と都会の支え合いという我が国の形、こういった観点、そして今、本日テーマとしております地球温暖化、これからしても、原子力は基幹的電源として活用が不可欠なのが日本の現実だと思います。  こういった様々な観点含めまして、G7サミット、そしてCOP21に備えるためにも、早急にエネルギーのベストミックスを決めるべきと考えますが、いつまでにどのように決めるのか、また、その際、責任ある現実的なエネルギーミックスの確立のために政府としてどのような観点からの検討が重要と考えているのか、併せて経済産業省にお伺いいたします。
  39. 吉野恭司

    政府参考人(吉野恭司君) エネルギーミックスについてのお尋ねでございます。  エネルギー政策の基本は、安定供給、コストの低減、温暖化対策、安全性のいわゆる三つのEプラスSでございます。これを基本に、現実的かつバランスの取れたエネルギー需給構造としていくことが必要というふうに考えております。  エネルギーミックスの在り方に関しましては、私どもの審議会、長期エネルギー需給見通し小委員会、これは先月末に開始をいたしましたが、原子力をどの程度活用するかも含めまして、各エネルギー源の特性や各エネルギー源のバランスも十分に考慮しながら検討していくものでございまして、現時点で政府として予断を持っているものではございませんが、有識者の検討を踏まえて、できるだけ速やかに取りまとめを目指して検討を深めていきたいと考えております。
  40. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 原子力については、トイレなきマンション論、よく言われますけれども、一方、今何が、まさにたき増しで起こっているのは何かといえば、CO2という、ちょっと言葉はあれですが、ふん尿を空気中にばらまいているわけです。これはどういうことかといいますと、生きていくということは本当に難しいということです。原子力を全部捨てたらバラ色の世界が待っている、そんなわけじゃないんです。  いろんな制約条件、我が国抱えている中で、しっかりと責任ある現実的なエネルギー政策を立てていただきたいと思います。(発言する者あり)
  41. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 御静粛に願います。
  42. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 もちろん、再エネもしっかり伸ばしていっていただきたいと思いますが、生活の基盤であるエネルギーにおいて、捕らぬタヌキの皮算用、これはいけません。もちろんイノベーションも中長期的に向けて頑張っていただきたいと思いますけれども、それはしっかりと確保されたときに使っていく、そういうふうな現実的な、そして歴史の検証に堪えられるような、耳触りの良さを求めるのではない、そういうエネルギーミックスの設定を早期にお願いしたいと思います。  さて、森林環境税について続けて伺いたいと思います。  森林というのは、地球温暖化防止のために重要な役割を果たしております。温室効果ガス削減目標の達成のためには、森林でCO2を吸収するかあるいは排出抑制をするしかどっちかしかない、その重要な一項目になっております。  京都議定書第一約束期間、すなわち二〇〇八年から二〇一二年の削減目標六%のうち、森林吸収が三・八%分を担っておりました。さらに、続く二〇二〇年度までの削減目標は、今の目標ですけれども、これは全体の、三・八%のうち森林吸収が二・八%になっております。にもかかわらず、林業には安定的な財源が確保されておりません。毎年、先ほど土地改良の話もございましたけれども、補正予算という不安定な財源の下で、地方の林業関係者が間伐等を着実に実施することでこれを達成してきたわけであります。  森林には、CO2吸収のほか、国土保全や水源涵養、生物多様性保全といった多面的機能を有しており、その発揮のために間伐等きちんと森林整備を推進する必要があると思っております。そのためには、その負担は林業関係者の努力のみに委ねるのではなくて、これらの機能の受益に着目していく必要があるんじゃないかなと思ってございます。  さらに、皆様が感じておられますように、先ほどもちょっと話しましたが、昨今の豪雨とか暴風雪とか、異常気象による災害が頻発してございます。人口減少や高齢化、気候変動、鳥獣被害等により、我が国の山や森などの自然、これは荒廃が深刻化しております。地方創生の観点からも、人口減少に伴い、自然に向き合い、自然に手塩掛ける人たちが減っていくことは大変大きな問題でありまして、地域資源を活用した活性化を図らねばなりません。  こうした状況に対し、市場が評価できない外部効果、そういう自然の恵み、これをきちんと評価して受益と負担の関係を整理すること、これはまさに政府がやらなきゃいけないことなんだと思ってございます。すなわち、自然の恵みを将来にわたって享受できるように、別の言葉で言えば、日本のエコシステムを維持していくために、国民が薄く広く負担できる仕組みをつくって、都会を含めて受益と負担の関係を整理することこそが今大事だと思っております。  一方、一部で議論されております石油石炭税の増税分、すなわち温対税ですけれども、これを森林吸収に回すことは、税の導入時にCO2の排出抑制に回すということで導入された経緯もあるので、なかなか難しい面があります。そもそも一部業界だけ狙い撃ち的に対応を求めるということではなくて、先ほど申し上げたように、国民全体が負担している形が適切じゃないかなと思ってございますが、実際今、昨年末に取りまとめられました税制改正大綱においても、森林吸収源対策等の財源について新たな仕組みの導入を検討していくことが位置付けられてございます。  以上を踏まえまして、どのように森林吸収源対策、エコシステム維持等に取り組んでいくのか、まず農林水産省そして環境省大臣の御見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  43. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 森林はその吸収源対策、使命を果たすべく努力をしていきたいと思います。そのときには当然財源が必要だと、こういうことになりますね。  今御指摘を受けましたけれども、私どもも昨年、森林吸収源対策のPTをつくりました。そこで、誰がこの温室ガスを増加させていると、どの産業だと、こういうこともみんなで議論しました。それから、国際約束を果たすためにどの産業がどれだけ減らすんだと、こういう議論もしました。さて、それじゃ吸収源をどうやって守っていくかと、こういう話もしました。  そのときに、財源どうするという話になりまして、じゃ新税でいくかと、こういうことも議論しましたが、新税はなかなか税調のこの議論の中でクリアすることができなかったと。それじゃ、今の狙い撃ちの話がありますけれど、石石税にお願いするかと、こういう話も議論したんですね。ところが、今のこの税金は排出を減らすための目標でつくられた税金であり、吸収を増やすための税金ではないというような議論の方向に行ってしまって、一部分けてもらってはおりますが、必要とするものが取れなかったと、こういう状況にあります。  一方、都道府県は一生懸命やってくれておりまして、三十五県、四十七都道府県のうち三十五県でやってくれていまして、この趣旨に沿って三百億円ぐらい年間獲得してもらって、森林にこれを活用しております。  そこで、どうするかという議論で、税調で議論をした結果でありますが、ちょっと物足りないと思いますけれど、新たな仕組みの導入に関し、森林整備等に係る受益と負担の関係に配意しつつ、COP21に向けた二〇二〇年以降の温室効果ガス削減目標の設定までに、ここからなんですが、具体的な姿について結論を得ると。こういうことで、まだ誰が負担するか決まりませんが、みんなで努力をしようと、ここまで合意ができておりまして、これから二〇二〇年に向けて私どもも森林に予算が回るように努力を重ねていきたいと、こう考えています。
  44. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 私たちの暮らしでございますけれども、きれいな空気、それから豊富な飲み水、食料や資材、自然が持つ防災・減災機能など、森里川海からの恵みに支えられております。今その恵みが実は失われつつあるというのが現実でございます。  御指摘のとおりに、森林などの自然を守りその恵みを供給をしている地方、それからまた恵みの受け手である都市とのつながりを強化しなくてはいけない。これ、当たり前のように都市が享受して、あとはというような形にならないように、このつながりは非常に強化することが大切だと我々思っております。国民全体で支えていくというような形、仕組みを新たにつくっていくということ、これが地方創生という意味からも非常に大切だと、我々このように認識をしております。  実は昨年十二月に環境省内に「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトチームを設置して、森里川海の恵みの出し手とそれから受け手、ここを、恵みを支えるための仕組みというものについて検討を進めているところでございまして、国民的な議論にこれはしっかりと進めていきたい、このように思っております。
  45. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 ありがとうございます。  まさに森里川海、この自然の恵みを、先ほど申し上げたように我が国の形、地方と都会の支え合い、こういった視点からしっかりとプレーアップした形で受益と負担の関係を形成していただきたいと思います。  さて、この森林の関係でございますけれども、林業につきましては、今、成長産業化を目指すというふうになってございます。私の地元は山に囲まれ、森林資源に恵まれた地域です。私自身も幼い頃は祖父に連れられて山に下草刈りに行ったりしておりまして、そんな御縁もあって今、福井県の山林協会の会長もさせていただいております。  資源がない日本と言われておりますけれども、実は森林資源については世界有数です。残念ながら、戦後これまでその資源をうまく生かすことができなかった、大きな損失であったかと思います。一方、今、最近になってバイオマス発電所の建設等明るい話題も出てまいりました。地方創生という意味では、山村地域ではこの林業の成長産業というのがまさに鍵なんだなというふうに感じてございます。  そこで、幾つか質問したいと思います。時間もない中で、ちょっと木質バイオマスの話をしたいと思いますが、私の地元奥越、大野でも木質バイオマス発電所の起工式がありまして、出席してまいりました。今まで採算が合わないということで放置されてきた森林が、間伐されたりチップ工場が事業を拡大したりと、もう地元の雇用という点でも期待が出ております。  木質バイオマスは、太陽光、風力と違い、変動性のない安定的な質の良い電力を生みます。そして、なおかつ森林活用でカーボンニュートラル、すなわち地球温暖化の観点でも問題のない優秀さであります。このような意義深い木質バイオマス発電に対し、農林水産省、どのような成果を目指して取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。
  46. 今井敏

    政府参考人(今井敏君) お答えいたします。  木質バイオマス発電につきましては、これまで利用されてこなかった未利用間伐材の需要を拡大するということに加えまして、更なる間伐などの森林整備を後押しするという効果も期待できると考えております。さらには、発電所の設置、運営を通じまして直接的に雇用を創出するということのほかに、原料であります木材の伐採、搬出、そういう面での雇用の創出というのも期待できますので、中山間地域等での雇用創出面でも非常に大きな効果が期待できると考えております。  現在、未利用間伐材を主に利用した木質バイオマス発電所が全国で七か所稼働しております。さらに今後、平成三十年までに全国で四十か所ぐらいが稼働するということが見込まれておりまして、農林水産省といたしましては、木質バイオマス発電の推進のために、施設の整備への支援ですとか、又は利用拡大に向けました相談窓口の設置ですとか、そういった面で一生懸命後押しをしていきたいというふうに考えております。
  47. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 成長産業化ということになりますと、やはり若い世代がそこに新規就業していく、そういうことになっていかなきゃいけないわけであります。最近、都会からの林業研修生を主人公とする「WOOD JOB!」というふうな映画も公開されまして、私の選挙区の福井県でも池田町というところで撮影がされたりしました。  こういった林業の新規就業を特に中心に、労働力の確保、育成のためにどういった施策を講じて成果等あったのか、今後の取組をどうするのか、お伺いしたいと思います。
  48. 今井敏

    政府参考人(今井敏君) 先生指摘のとおり、今後、林業、山村の活性化を図っていくためには、何よりも林業を現場で支える若い就業者の確保、育成というのが非常に重要であると思っております。  そこで、農林水産省といたしましては、新規就業者を雇用して育成に取り組む林業事業体、ここに対しまして新規に雇用した一人当たり九万円等を助成します緑の雇用事業というのを実施しておりまして、これによって新規就業者を三年間研修を行うというようなことをやっております。  その成果もございまして、これまで新規就業者数につきましては、緑の雇用事業を創設する前は年間全国で平均二千人程度の新規就業の水準だったものが、事業開始した後は平均で三千三百人水準まで増加する、あるいは、林業従事者に占めます三十五歳未満の若い人の比率というのが、平成二年、六%ということで一番底を打っていたんですけれども、最近におきましては緑の雇用の成果等もありまして二割程度にまで増加しているというような傾向も見えてきておりますので、引き続き若い就業者が意欲を持って林業に就業できるような後押しをやっていきたいというふうに考えております。
  49. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 林業は長らく停滞して斜陽産業というイメージが定着してしまっておりますけれども、実は近年、上向きのトレンドを示しているというふうに御説明も受けまして、先ほどもちょっと御答弁ありましたが、この成長のトレンドを確実なものにして、成長産業を実現するために農林水産省としてどのように取り組んでいくのか、決意のほどをお願いいたします。
  50. 小泉昭男

    ○副大臣小泉昭男君) もう御指摘のとおりでございますが、林業、大変大事な時期に迫っておりまして、戦後造成した人工林ですね、御案内のとおりもう利用期を迎えておりますからこれは本当に膨大な量が出てまいります。これの関係で、大臣からは、六次産業化も含めて家具で輸出しようじゃないか、こういう話もいただいていまして、私たち全省を挙げてこれに取り組んでまいる、こういうことを考えておりまして、林業の成長産業化を実現する、これ大変なことでありますから、これはもう皆さんの御努力も、お力をお借りしたいと、こういうふうに思っております。  農林水産業・地域の活力創造プラン、これも踏まえて、六月の改訂をされたわけですから、これもしっかりとやっていきたいと思っておりますし、それと木材の利用ですね。これは、木材で造った学校の校舎はインフルエンザでの休校数が少ないとも伺っておりまして、木材の影響というのはすごく大きなものがあると、こういうふうに考えております。さらにはCLTですね。これはもう御案内のとおりでございますが、直交集成板といいまして、交互に厚くして、今はもうビルの八階建てまでできるような技術があるようでございますから、これもしっかりと普及に努めていきたい、こういうふうに思っております。  先ほども御答弁にございましたが、バイオマスの発電もこれかなり注目されておりまして、農林水産省としては、消費者の部屋というのがございまして、ここを一度御覧になっていただきたいなと思うのは、まきストーブございますから、これは煙突ももう一回再燃焼して出すということで、効率のいいまきストーブ、部屋によっては一日まき二束あれば十分と、こういうことも聞いております。またペレットですね、これも大分自動化できるということで注目されておりますが。こういうことも含めて、消費者ニーズに応じた国産材の安定供給体制、こういうものもやっていきたい、こういうふうに思っております。  様々ございますが、先生の御提案もしっかりと省内で反映させるように努力をしてまいりたい。ありがとうございます。
  51. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 さて、ちょっとまた地元も関係いたしますけれども、敦賀原発の破砕帯問題について、環境省所管に設置されている規制委員会委員長にお伺いしたいと思います。  昨年末の十二月十日にこの問題に関するピアレビュー会合が開催されました。そこでは、規制委員会側の有識者会合が作成した評価書案に対し根本的な疑問がピアレビューアーから出された、それも相当厳しく疑義が呈されたと報道されています。新聞では、活断層評価に疑問、断層との関連に疑義とか大きく書かれている。実際、議事録見ましたら、科学的な解釈にはいろいろ問題があるとか、挙げ句の果てには、評価書案は可能性の低いものを前面に出しており、科学的でも技術的でもなく、明らかに何か別の判断が入っているとまで酷評されています。  これを踏まえ、事業者側は六十三の問題点対比表を作ってこれも提示しておりますけれども、地元福井でも本件の動向を固唾をのんで見守っているんですが、規制委員会、規制庁は、このような根本的な疑問が二か月も前にピアレビューアーから発せられたというのに放置しており、しかも事業者が骨を折って論点整理して六十三か所も問題点を提起しているのに、それに対する答えを、事実関係を明らかにはしておりません。素直にピアレビューアーからの意見、これは単なる専門家じゃなくて規制委員会が自ら選んだ専門家なんですよ、その方々からの意見をしっかり耳傾けて早急に対応し、評価書案を修正していただきたいと思いますが、田中委員長の御答弁を求めます。
  52. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) 先生指摘のように、昨年十二月にピアレビュー会合を開催いたしまして、様々な議論があったことは私も承知しております。現在、そのピアレビュー会合でのいろんな意見等を踏まえまして今報告書案の検討を有識者の中で行っているということで、そう遠くない時期にそれがまとまるものというふうに聞いております。  その中では、当然その事業者からの質問等についてもある程度答えられるようになっているんだろうというふうに私は想像いたしますが、あくまでもこれは有識者会合の判断でまとめていただくということであります。その判断結果の報告をいただいて、その後、原子力規制委員会としてこの発電所をどういうふうに判断していくかということを決めることになろうかと思っておりますので、現段階ではその内容についてまで私から、私ども委員会の方からコミットすることは控えたいと思います。
  53. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 また疑義が呈されないようによろしくお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  54. 徳永エリ

    徳永エリ君 皆様、お疲れさまでございます。民主党・新緑風会の北海道の徳永エリでございます。  冒頭、通告はいたしておりませんけれども、今日大きく報道されております農協改革について西川大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  JA全中政府農協改革案を受け入れた、自民党の部会でも了承したということで、JA全中は一九年三月三十一日までに一般社団法人化し、監査部門を分離して新たな監査法人をつくることになり、農協法上の位置付けを失うことになります。都道府県中央会農協法上の連合会に移行するということで、今国会農協法改正案が提出されることになり、審議をこれから行うわけでありますけれども、詳細は今後の審議の中でしっかりと伺っていきたいというふうに思っておりますが、改めてこの段階で大臣にお伺いをしたいと思います。  なぜ官邸が主導して、農協法上定めがあるとはいえ、民間の農協改革しなければならないのか、そしてなぜ自己改革では駄目なのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  55. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今、農協改革の御質問いただきました。  それで、私どもの考え方は、農家の所得を増やし農村のにぎわいを取り戻すと。それで、何を変えていったらいいんだろうかと、こういうことを議論をしてきました。そういう中で、農協の経営の自由度、農家の皆さんの経営の自由度を高めていくためには今の全中監査制度は果たして必要なんでしょうかと、こういう議論もいたしました。  農協法ができたのが昭和二十二年、そして全中ができ、各都道府県の中央会ができたのは二十九年ですね。それから六十年たちました。当時の農協、二十二年当時は一万を超える農協がありました。昭和二十年代の日本の経済は低迷しておりましたので、農協経営が困難になった農協がたくさん出たと。こういう中でどうすればいいかということで、監査権を与える、監査権を与えるということは強制監査ができると、こういうことですね。それで、監査をし指導を強化した結果、今では農協の経営は非常にいい状態に今あります。  しかし、一方で、農協の経営はいいけれども、農家の所得は減り続けていると。こういうことの中で、やっぱり自由度を高めるためにどうするかというときにこの強制監査権限は私どもは必要がないだろうと、こういうことで考えたわけであります。  そして、監査をするのも、ほかの金融機関は公認会計士監査を受けている。なぜ農協だけ、農協監査機構、これは三十人の公認会計士と三百四十人の農協監査士がいます。身内が身内を監査をしていくべき時期だろうかと。こういうことを考えますと、これは、全中から分離された農協監査機構が独立をして公認会計士制度の機関になっていただいて、一般の公認会計士の皆さんとイコールフッティングで見てもらおうと、こういうことを考えて農協改革をやろうと、こういうことになったということでございます。
  56. 徳永エリ

    徳永エリ君 昨年の規制改革会議の答申の中にはこの監査権限の廃止という文言はなかったと思うんですね。それがなぜ急に出てきたのかということも納得できませんし、それから、農家所得を増やす、農村のにぎわいを取り戻すことになぜ監査権限や指導権限を廃止しなければいけないのか。それが所得向上やにぎわいの取戻しにつながっていくのかというのは、何度お伺いしても全く納得がいかないんですね。  昨年、安倍総理はスイスのダボス会議で、民間企業が障壁なく農業に参入し、需給の人為的コントロール抜きに作りたいものを自由に作れる時代がやってくると、そうおっしゃいました。これは農業を成長産業として位置付けて、民間企業に対して農業参入を促すメッセージだと私は思っています。既存の農業者を元気にする、強くするんだというメッセージではないと、そう感じました。この民間企業が障壁なくのこの障壁の部分ですけれども、私はこれが、小規模家族経営農家を守ってきた農地法であり、農協であり、そして農業委員会だと思っているんです。これを全部改革しようとしているわけですよね。私、これ、弱体化しようとしているんだと思うんですよ。改革のための改革なのではないかというふうに思っています。  この点に関して、大臣、どう思われますか。
  57. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 民間参入の件を申し上げますと、先ほども申し上げましたけれども、日本の農林水産業、これ生産額最大十一兆七千億の時期がありました。昭和五十九年頃だと思います。ところが、今は八・五兆円ですね。しかし、外国から買ってくるのが大体六兆円。そうすると、足しますと十四兆五千億です。これが日本人の食として摂取するとき幾らになるかというと、九十四兆円を超えます。そうすると、間が八十兆円あります。それで、いい例を申し上げますと、農林水産業の生産額は八兆五千億ですが、日本の総菜関係の産業は八兆七千億になっているんです。  それで、今、農業のよそからの参入は四分の一までしか入れないと、こういうことになっています。しかし、周辺産業と農家が組まなくて果たして所得が上がるかと。こういうことになりますと、私は、食の関連企業の皆さんと農家がやっぱり一緒になって、価格の設定等にも負けない、そういう農業にしなければならないと思います。しかし、農業のやっぱり一番の、ほかから来る人たちに負けない、あるいは資本の参加も二分の一未満までしか認めない、そうであれば農家を守り切れると、こういう判断をして今回は農地法の改正をやらせてもらうと、こういうことにしたわけであります。
  58. 徳永エリ

    徳永エリ君 この農協改革とそれから企業参入とあとTPP、これもセットで考えなきゃいけないと思うんですね。  企業は、今、規模を拡大して、生産コストを削減して、競争力を強化しようとしていますよね。でも、小規模家族経営農家が競争力を強化できるかどうかということですよ。民間企業の競争原理を農業に持ち込むと、小規模家族経営農家はふるいに掛けられる。強いところだけが残る。そして、企業と一緒に生き残っていく。じゃ、そのふるいに掛けられて淘汰された農家はどうするんですか。今まで一生懸命努力をしてきた。安心、安全で品質のいい農産物を作ってきた。そこが世界から評価されているところなんじゃないんですか。競争原理に巻き込まれてそこを失ってしまっては、本来の強さというものを発揮できなくなるのではないかと、そのことを大変に危惧をいたしております。  それともう一つ、この農協改革あるいは企業参入、生産コストの削減や規模拡大、これはTPP対策というふうにも考えておられますか。
  59. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私は今、農林水産大臣という立場でありまして、日本の農林水産業を強くする、これを考えながら行政をやらせてもらっておりまして、TPPで来るとか来ないとかという、そういう考え方ではありません。あくまでも日本の農林水産業を強くしていきたいと、こういうことで仕事をさせてもらっております。
  60. 徳永エリ

    徳永エリ君 業を強くすることも大事ですけれども、やっぱり頑張ってきた農家を強くしていく、しっかり守っていく、そのこともやっていただきたいと思います。  これ、TPPや企業参入によってどんどん小規模家族経営農家が淘汰されていったら、それこそ農協の組合員数も減っていきますよ。出資金や、それから賦課金を払えなくなってしまったら農協が運営できなくなってしまいます。ですから、まずは今回は農協改革中央会に手を突っ込みましたけれども、いずれこのままいったら農協そのものが解体ということにもなりかねませんので、しっかりと既存の小規模家族経営農家を支えていただきたいということを繰り返し申し上げたいと思います。  続きまして、TPPについてお伺いしたいと思います。  一月二十六日から二月一日まで、米国ニューヨークでTPP首席交渉官会合、また交渉官レベルの分野別作業部会が開催されました。さらに、二日、三日と、ワシントンで農産物関税の実務者協議が行われました。六日の閣議後の記者会見で、甘利大臣は、前進はしているが期待したほどの進捗はなかったとおっしゃっていますが、これまでに農畜産物の関税交渉に関して大変に心配な情報が新聞記事になっておりまして、これが本当ならば、衆参の農林水産委員会の決議、国会決議に反するものであり、断固抗議しなければならないと思いますが、来年行われます米国大統領選挙に向けて米国では選挙戦が本格化していく中で、TPP交渉の大筋合意に向けてデッドラインが迫っている。三月には参加十二か国閣僚会合、春までには十二か国合意に持ち込もうとしているのではないかと、私たちは大変に懸念をしております。  農業への影響が大きく懸念される中でのTPP妥結に向けての動き、現状はどうなのか。昨年の春頃には、甘利大臣はTPP交渉は山でいうと七、八合目まで来ているというふうにおっしゃっておりましたけれども、現段階ではこのTPP交渉、山でいうと何合目ぐらいまで来ているのか、あるいは農畜産物の関税の交渉の中で難しいというところは一体どの点なのか、その点について御説明いただきたいと思います。
  61. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、ニューヨークで首席交渉官会合、二月一日まで開催をされたところでございます。昨年の十二月にはワシントンで同じように首席交渉官会合が開催されました。一連の会議を通じまして、いわゆるルールの分野につきましてはかなりの進展を見たところでありますが、ただ、特に知的財産、国有企業の問題を中心にまだ難しい課題が残っております。今後、それぞれのワーキンググループで引き続き調整が進められることになっております。  並行して進められております市場アクセスの協議につきましては、日米だけではなくて、ほかの国ともずっと交渉を進めているわけでございます。進捗状況は相手国によってかなり異なりますが、特にアメリカも含めて幾つかの国とはまだ難しい課題が残されていると、こういう状況でございます。  日米の協議、先生指摘のとおり、先週三日までワシントンで事務レベル協議を行いましたが、甘利大臣が会見でお話ししているとおり、閣僚レベルで協議を行うまでの間合いは詰まっていないという状況でございます。引き続き事務レベルでの協議を行うこととなったところでございます。  TPP全体の閣僚会議、三月とかという報道もなされておりますけれども、今後の知的財産などの調整状況、それから日米を含めた市場アクセス交渉の状況などを見極めてから開催されることになると思います。現時点で具体の日程等が決まっているわけではございません。  何合目かという御質問をよくいただくわけでございますが、全体、ルールの分野も含めてTPPの交渉全体で見ますと終わりが見えてきたと、これは、昨年の北京での首脳会議で、交渉の終局が明確になっていると、こういう声明があるわけでございますが、ただ、個々に見ると、日米の協議で残された課題も含めて、知的財産など個々の課題を見ますと、ハードルはかなり高いという構図になっておりますので、なかなか全体として何合目かというのは申し上げにくい状況でございます。
  62. 徳永エリ

    徳永エリ君 デッドラインが迫っている中で閣僚会合がいつ開かれるかということは非常にこれ重要なポイントでありますので、そこをしっかりとこれから注意して見ていきたいというふうに思っております。  それから、これまでも何度か御質問させていただきましたけれども、通商交渉の権限が米国では憲法上議会に与えられておりますので、TPP妥結には、米国議会でTPA、大統領の貿易促進権限法、これが成立しなければ、交渉の結果を議会に修正されるかもしれない、更にハイレベルの要求をされるかもしれないというリスクを背負うことになります。オバマ大統領も一般教書演説の中で、TPP妥結に欠かせない大統領の貿易促進権限、TPAを、これを一任してほしいと共和、民主両党に要請をしました。  デッドラインが迫っている中で、米国でまだこのTPA法案も提出されていない、審議も行われていない、この状況を日本政府としてはどう捉えておられるのか、お伺いいたします。
  63. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) TPA法案はアメリカの国内法案でございまして、我が国政府としては公式にはコメントしないという立場でありますが、その上で当方が承知しているところを申し上げますと、先生指摘のとおり、一月二十日、オバマ大統領の一般教書演説、それから一月の二十七日には上下両院の委員会でフロマン代表が公聴会で証言をしております。そうした一連の発言を受けて、伝え聞いているところでは、TPA法案が間もなく再提出をされて審議入りするのではないかという、そういう見通しが伝えられているところでございます。  TPA法案の成立とTPPのいわゆる合意、これの前後関係については、アメリカの国内でもどっちが先なのかという、諸説あるところでございます。ただ、前後いずれであっても、TPAの審議過程においてTPPについて議会から様々な意見が出されるということが想定されるところでございます。  これにつきましては何度も申し上げているところでございますが、各国が議会の了解を得るというのはその国の政府の責任で行うべきであって、仮にですね、仮に十二か国で合意されたものについてその後アメリカなどほかの国の事情で再交渉だということが求められたとしても、それには基本的には応じないという、そういう強い姿勢で臨むことといたしまして、その旨を対外的にも明確にしているところでございます。
  64. 徳永エリ

    徳永エリ君 いずれにしましても、今まで米国議会でも大変に大きな反対があって、なかなかこのTPA法案、提出、審議という形にはならなかったんですが、少し動き出しそうだということでありますので、ここもしっかり注意して見ていかなければいけないというふうに思っております。  これまで、新聞記事によりますと、日本政府は、重要五農産物、いわゆる聖域について一定程度譲歩することで早期妥結を図る構えだとして、具体的な数字、関税率、それから乳製品や米の輸入特別枠の話も記事になっています。  そこで、まず畜産物、牛肉、豚肉についてお伺いいたします。  牛肉に関しては、関税を協定発効から十五年目以降に九%になるように段階的に引き下げていくと。セーフガードに関しては、これは一定の輸入量を超えると元の関税率まで戻るというものでありますけれども、現行の三八・五%よりも更に低くする方向で調整していると。こうなると、日豪EPAのレベルよりも大変に高いレベルの内容ということになってきますので、これが事実であれば更にオーストラリアからも厳しく変更を要求されることも否めないと思います。  豚肉に関しては、安い価格帯の豚肉が対象の一キロ最大四百八十二円の差額関税制度維持するものの、十数年掛けて五十円前後まで引き下げていくということも検討しているということ。  そして、乳製品であります。これ、TPPの参加国ごとに特別枠を設けて、一定量を低関税あるいは無税で輸入することを検討しているということも記事になりました。  本当にこういう内容があるのであれば、大変に現場への影響が心配されます。甘利大臣は、飛び交っている数字に関しては、議論の中でいろいろな数字が出てきていると思いますが、全てそれが確定されたということではないとおっしゃっていますが、このような数字が交渉のテーブルに上がっていることがあるとしたら、これに関して大臣はどのようにお考えになるか。これ、かなり厳しい数字だと思いますけれども、お考えを伺いたいと思います。
  65. 今城健晴

    政府参考人(今城健晴君) お答えいたします。  ただいま委員から御質問ございました交渉の中身でございますが、TPP交渉全体が進展しているということは事実でございますけれども、これはあくまでも全体をパッケージとして交渉しておりまして、何ら確定しているものはないということでございます。現在、交渉中でございます。難しい課題が残っている、そういう状況の中で具体的な中身についてはお答えできないということを御理解いただきたいと思います。  いずれにしましても、TPP交渉、非常に厳しい交渉ではございますけれども、いただいております衆参両院の国会決議、これをちゃんと踏まえまして、それが守られたというような形の評価をいただけるよう、政府一体となって現在真摯に交渉している最中であるということでございます。
  66. 徳永エリ

    徳永エリ君 TPPは秘密協議でありますから交渉の中身は明かせないのはよく分かっておりますが、今まで新聞の記事について委員会で御質問させていただいた際には、澁谷審議官の方から、新聞報道は全て誤報であると、政府が発表したもの以外は全て誤報なんだというふうにおっしゃいました。  しかし、今回、かなり断定的に記事が書かれておりましたし、甘利大臣もいろんな数字が飛び交っているというふうにおっしゃっておりますので、こういう数字が交渉の中で出てきているという事実はありますね。そこを確認させていただきたいと思います。
  67. 今城健晴

    政府参考人(今城健晴君) 具体的な数字につきまして、どの部分が正しい、どの部分が正しくないということをだんだん言っていきますと、結局中身を全て言うことになりますので、残念ながら、どの部分が正しいかも含めてお答えを差し控えさせていただきます。
  68. 徳永エリ

    徳永エリ君 確定ではないけれども誤報でもないと、このくらいの感じでしょうか。数字が飛び交っているということでありますので。
  69. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) 様々な記事にこれまで私が誤報だということをいろいろ申し上げてきたところがありますが、最近、記者さんの方も知恵が付いてきて、合意していないのに合意というふうに書かれる、これは明らかに事実に反するわけですのでこれは誤報になるわけですけれども、最近の記事は、よく読むと、という案も浮上しているというような書き方でございます。誰か一人がきっとこうなるかもしれないという臆測をするだけで、それは必ずしも事実誤認にはならないわけでございます。内容が固まっていないものに対して、きっとこうなるかもしれないという、臆測といいますか、その書かれること自身、事実に反するとまでは言えないわけでありますけれども。  ただ、ずっといろんな記事を見て、私の目で見てみますと、交渉の状況に照らしてみますと、ほとんどの記事が、まず推測そのものが本当にそうか怪しいというもの、あるいはその推測の前提となる事実関係を誤解したまま記事にしているもの、あるいは、何が本質的な要素という、そのことについての理解に欠く内容で読者に相当誤った印象を与えかねないというものが多いと見受けられます。  あくまで今申し上げた趣旨で、誤解を与えかねない記事が多いというふうに申し上げたいと思います。
  70. 徳永エリ

    徳永エリ君 日本のメディアは、どこの国よりもたくさん毎回この交渉会合の場には行っているわけでありまして、そこで他国の交渉官とも相当人間関係をつくってリーク情報を取ったりもしているようでありますので、誤報ではないと、こういう数字も出ているんだということを大変に懸念しております。  それから、先ほどのお話ですけれども、大臣は、これ具体的に、例えば牛肉が発効から十五年目以降、段階的に引き下げていって九%までと。これ大変なことですよ、現行三八・五%ですから、こういった数字が出ているとしたら。このことに関してはどう思われますか。
  71. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 各紙、各社それぞれの数字を出しておりますけれど、どういうところから出ているのかなということ、私はちょっと分かりませんですね。  私どもの検討は、あくまでも国会決議を守って、そして御承認をいただけるもの以外は認める、そんなつもりは全くありませんので、よろしくお願いいたします。
  72. 徳永エリ

    徳永エリ君 しっかりと、譲歩し過ぎないように交渉していただきたいというふうに申し上げたいと思います。  それから、もう一つ心配なのは米なんですけれども、日豪EPAで米を守ることができました。TPPにおいても、今国内でも米が余っていますから、恐らく米だけは守れるんだろうというような雰囲気が広がっておりましたけれども、今回の交渉の過程で、また新聞記事に、米も、MA米の枠の外で米国産の米を五万トン、特別枠をつくって輸入することも検討しているという記事が載りました。  昨年、過剰感から米価が大きく下がりました。それから、生産調整も廃止になります。消費も毎年八万トンずつ減っているわけであります。こんな状況の中で、なぜ更に米を輸入しなければならないのか。こんなことをもし検討しているとしたら、これ重大な問題だと思いますが、西川大臣はどう思われますか、お伺いいたします。
  73. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私どもとしては、どういう形であれ、主食用の米を追加で輸入することは考えておりません。しっかり交渉をさせていきたいと、こう考えています。
  74. 徳永エリ

    徳永エリ君 考えておりませんと今御答弁をいただきましたけれども、これ、米農家の皆さん、すごく心配しているんですね。大臣が考えておりませんとはっきり御答弁いただいたということを北海道の稲作農家の皆さんにお伝えして大丈夫でしょうか、もう一度確認いたします。
  75. 西川公也

    国務大臣西川公也君) この交渉はパッケージでやります。さらに、交渉は甘利大臣の方でありますが、農林水産省としては私の先ほどの言葉どおりでございます。
  76. 徳永エリ

    徳永エリ君 主食用米だけではなくて、今、主食用米の先が見えなくなってきておりますので、飼料米の生産にも取り組み始めています。ですから、この飼料米という部分でも輸入することで重なることがないように、その点にも御留意いただきたいと申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  77. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 日本は餌を輸入している、そういう状況の中で、最初から餌米であって、ほかの飼料と価格が違うのであれば、米という表現じゃなくて入れてもらえれば一番いいんですけれど、主食用の米については輸入は考えておりません。
  78. 徳永エリ

    徳永エリ君 主食用の米という話でございましたけれども、とにかく農家の皆さんに極力その影響がないようにしっかりと交渉していただきたいというふうにお願いをしたいと思います。  皆さんのお手元には、衆参の農林水産委員会の決議をお配りをいたしました。八項目の決議であります。  以前、甘利大臣は、予算委員会の私の質問に対して、最終的に私がやるべきことは衆参の農林水産委員会で決議されている内容と最終的に日本がまとめてきた内容とが整合性を取れるかどうかということで、その判断は議会がするものとおっしゃっています。  当然、政府国会決議と整合性が取れるようにという方針で交渉を進めていると思いますが、どのような交渉内容であれば皆さんのお手元にお配りしたこの衆参の農林水産委員会の国会決議と整合性が取れるというふうにお考えなのか、西川大臣にお伺いしたいと思います。
  79. 澁谷和久

    政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げますが、一昨年の七月に正式に交渉会合に参加して以来、今お配りいただいております衆参の農水委員会の決議を常に私ども念頭に置いて交渉を行ってきているところでございます。決議の英訳文を交渉の場で何度か配付もしております。対比したような日本語の原文をくれと求められたこともございます。国会での厳しいやり取りも交渉の場で説明をしつつ、我が国の状況を粘り強く説明してきているところでございます。  言うまでもなく、大臣お話しされたとおり、最終的には国会で御承認いただけるような内容の協定にしなきゃいけないわけでありまして、だからこそ時間を掛けた厳しい交渉が続いていることを是非御理解いただきたいと思います。  いずれにしても、国益にかなう最善の道を追求するよう、交渉に全力を尽くす所存でございます。
  80. 徳永エリ

    徳永エリ君 西川大臣も、TPP対策委員長のときに交渉会合に行かれて、この決議文を各国の交渉官にお配りしたという話も聞いておりますので、しっかりとこの決議を守っていただきたいということを申し上げたいと思います。  一項目めには、重要五品目に関しては除外又は再協議の対象とすることということになっておりますので、聖域には踏み込まないということだと思っておりますので、くれぐれもその点を守っていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。  さらに、安倍総理は、TPPは国益に資するということをずっとおっしゃっておられます。いまだに、その総理がおっしゃっている国益とは一体何なのかと、これ何度も何度も伺っていますが、日本は何を守って何を攻めるのかということが明確になっておりません。特に、農業に関しては、TPPに参加することによって日本にとって一体どんなメリットがあるのか、そのことが全く理解できません。その点について改めてお伺いしたいと思います。
  81. 西川公也

    国務大臣西川公也君) この国益の解釈、それぞれの立場によって違っていますね。しかし、私の立場からすれば、日本の農林水産業を守り抜き、更に発展させていくことが私は国益だと、こう考えております。総理が申されている国益はまた議会の場で総理に御質問をいただきたいと思いますが、私は自分の省の仕事を守り抜くと、これが私としての国益の解釈でございます。
  82. 徳永エリ

    徳永エリ君 TPPで農林水産業を発展させることができるのか、守っていけるのかということが大変に大きな問題でありまして、TPPに参加することによって自給率も下がっていきますし、それからもう経営が立ち行かなくなるということを心配している農家もたくさんあります。もう既に、北海道ではTPPで先が見えないということで、大臣も何度も委員会で聞いていただいておりますけれども、もう酪農家の方々の離農が加速をしておりまして、TPPに入る前からもう大きな影響が出ているんですね。  そこで、もう一度お伺いいたしますけれども、TPPに参加することによって日本の農業に本当にメリットがあるんでしょうか。あるとしたらどんなことがメリットなのか、お話しいただきたいと思います。
  83. 西川公也

    国務大臣西川公也君) このTPP交渉は、農業だけじゃなくて……(発言する者あり)ええ、全体の中で交渉はしていますよね。そういう中で、パッケージでやっていますから、そういう中で日本は守ろうということでありますから、守ろうということは、その今の何の利益があるんだということはなかなか表現が難しいと思います。ですから、私は、国内農業を強くする、これに向かって一生懸命やっているつもりですし、これからもやっていくと。  TPPはどういう形で決まるか分かりません。分かりませんけれども、農業の構造改革と強化することはもう待ったなしの状態だと、そういうことで、農業の発展のために全力で当たっていきたいと、こう考えています。
  84. 徳永エリ

    徳永エリ君 今の御答弁だと、競争力強化が前提であると。競争力が付かなければTPPで農業はメリットを取れないというふうに私は聞こえましたが、そのためにも、今の農協改革やそれから企業の参入あるいはTPP、これ本当に重要な問題だと思います。  今政府がやろうとしていること、官邸主導で進めようとしている農政改革は、本当に競争力強化になるのかということをもっともっと議論して慎重に考えていかなければなりませんし、競争力強化ができていない段階で拙速にTPP妥結をし参加することは、やはりやってはいけないことだというふうに思っております。  TPPは、もし参加すれば、二十年掛けて段階的に関税を撤廃する高いレベルの経済連携であります。いずれは関税がゼロになります。  過去のこれ試算ですけれども、私の地元北海道では、農業、関連産業、地域経済には一・六兆円の影響がある、そして十一・二万人の雇用に影響があると言われています。倒産や失業をどのように吸収していくのか、あるいは地域をどう守っていくのか、それから既存の農業者の方々が農作業をしながら守ってきた多面的機能、これをどうやって維持していくのか。このまましっかりその対策もせずにTPPに突き進んでしまえば、少なくとも私の地元北海道は、地方創生どころか地方喪失であり、農業崩壊になるということを申し上げたいと思います。  春には合意ありきということでもしTPP交渉を進めるということをしているのであれば、それはとんでもないと思います。このTPP交渉は国民に大きな影響がある非関税分野もありまして、それを、その交渉の中身を政府のごく少数の人たちしか知らない、国会議員の私たちも情報を得ることができない、こんなひどい交渉はないと思います。しかも、米国主導ということであるならば、これはもう私はやはりTPPは撤退すべきだというふうに考えております。  そのことを改めて申し上げたいと思いますが、もう一度、大臣のお気持ち、そして農業をしっかり守っていくという御決意も含めてお伺いしたいと思います。
  85. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今、北海道の試算をお話しくださいました。これは今の、影響は、十一万二千人に影響が出ると。これは、何にもしなければ、それからよその国から関税ゼロで入ってきた場合はと、こういう前提だと思います。  国も、TPP交渉に入るときに、それじゃ農業どのぐらい痛むんだと。あのときの数字は、たしか三兆円だったと思います。しかし、それは外国の言いなりになって、さらに日本は何の対策もしないときの数字だと思います。  私どもは、この交渉をやっているのは、日本の農業に影響を及ぼさないと。アメリカ主導と言う人もおりますが、アメリカが何言っても日本は交渉で頑張り抜いていきたいと思いますし、頑張ってくれております。さらに、対策はやるのかというのは、それは負けを前提という話になりますから、今のところは考えておりません。  どういう方向、どういう決着になるか、これを見ながら私どもは対応しますが、それよりも何よりも日本の今の現状を強くしたいと、これが私の考え方でございます。
  86. 徳永エリ

    徳永エリ君 今御答弁を聞いておりまして、ますます不安になってまいりました。  まだまだ農協改革あるいはTPP、それからこの企業参入の方向性についても詰めていかなければならないことがたくさんあると思いますので、これからまた農林水産委員会、委員会の中でしっかりと議論させていただきたいと思います。  時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  87. 安井美沙子

    安井美沙子君 民主党・新緑風会の安井美沙子でございます。今日は、三つのテーマについてお伺いしたいと思っております。  まず最初は、いわゆる十五か月予算決算審査についてお伺いいたします。  最初に私の問題意識を申し述べさせていただきますが、政府が十五か月予算というからには、決算審査も十五か月決算をしなければ筋が通らないのではないかというものです。国家予算は本来単年度主義であるべきというのは憲法八十六条で規定されております。しかし、現実の行政執行においてはそれはやりにくいことも出てくることから、繰越制度や基金等の、言葉は悪いですけれども、逃げ道がつくられております。  安倍政権におきましては、財政法の趣旨を更に逸脱して、前年度補正予算と当年度の当初予算を合わせて十五か月予算という考え方を恒常的に使っておられるように見受けます。行政執行の現実に照らせば、このこと自体が問題だと申し上げるわけではないんですけれども、これに派生する問題が目に余るように思っております。  今年度補正予算においても緊急経済対策として三・一兆円を積み増しましたけれども、翌年度の概算要求で要求があった事業をゼロ査定又は削減査定して財政健全化に向かっているように見せかけながら、前年度補正予算で俗に言うゾンビ事業となっているものが散見されました。  補正予算は、本来、財政法二十九条で、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出等に限り認めるものですけれども、便利な財布のようなものとして安易に使われている嫌いがあります。編成期間や審議期間が共に短く、財政当局や行革担当部局の事業の無駄遣いに対するチェックが弱くなる、これが問題だと思っております。  最大の問題は、十五か月予算というからには、後に続く翌年度当初予算と併せて事業の妥当性や行革の視点、経済効果など様々な角度からチェックしなければならないのに、それが難しいことにあります。当初予算の審議のときに、既に成立した補正予算をにらみながら審議するのにはどうしても限界があります。安倍政権の国会軽視はこういうところにも現れていると思います。  それは決算も同様です。十五か月予算というからには、前年度補正と併せて一体的に決算審査をすべきではないかと思います。今回であれば、平成二十五年度決算審査ですから、平成二十四年度補正予算も一緒に審議すべきだと思うわけですが、現在の院のシステムにおいてはそういうわけにはいかない。平成二十四年度補正予算は昨年既に審議されております。  現在の仕組みはともかく、十五か月予算に対する決算審査の本来的な在り方として、財務当局としてはどういうふうにお考えなのか、見解を求めます。
  88. 宮下一郎

    ○副大臣(宮下一郎君) お答えをいたします。  先生もおっしゃっていただきましたように、まず、現在の仕組みですけれども、決算は、憲法や財政法の規定によりまして、四月一日に始まり翌年三月三十一日に終わる毎会計年度作成をして、会計検査院の検査を経て国会に提出すると、これは憲法九十条や財政法二条や十一条、書かれていることを要約すればこういうことになります。  したがいまして、現在御審議をお願いしております二十五年度決算につきましても、こうした規定を踏まえますと、二十五年度中に実績となった支出、執行実績に基づくものになるということはまず御理解をいただきたいというふうに思います。  また、補正との関係でございますけれども、厳密に言いますと、二十五年度決算というのは、二十五年度当初予算それから二十四年度補正予算で歳出権が付与されたもののうちの歳出分、それから、二十四年度当初予算の中で繰り越されたものが歳出されたものも入っておりますし、二十四年度補正予算の中で繰り越されて歳出されたものも入っておりますし、厳密に言うと、二十三年度から繰越明許、それから事故繰越しを経て、二十三年度予算で歳出権が与えられたものが二十五年に歳出するということもあります。  あとは、技術的なところもあるわけですけれども、歳出は予算の各項ごと、省庁予算の下に項があって目がありますけれども、各項ごとに歳出権を付与すると、こういう仕組みになっておりまして、補正予算が例えば成立しますと、その項目の歳出権が拡大するということで、そこで合算されます。したがいまして、その与えられた、広がった歳出権に基づいて歳出が行われるときに、それが補正予算によって与えられた歳出権に基づいて歳出実績となったのか、当初予算からくるものなのかというのは実際区別ができません。したがいまして、補正予算由来のものを全部集めてきて決算するというのが現実的にはできないと、こういうことであります。  しかしながら、二十五年度決算の中には二十四年度補正で繰り越されて歳出されたものももちろん含まれておりますし、一部はもちろん二十四年度補正予算として御審議いただき、そして二十四年度中に歳出されたもの、これは二十四年度決算の中で決算審議もされておりますけれども、二十四年度補正予算についてはそういうことで二つに分かれると、こういうことであります。  したがいまして、現状では、この二十五年度決算の審議の中で二十四年度決算についても併せて御審議いただくことは可能でありますので、その中で政府としては責任を果たしてまいりたいということで御理解をいただきたいと思います。
  89. 安井美沙子

    安井美沙子君 理解はできませんでした。  財務当局として十五か月予算という財政法を逸脱したやり方を認めているわけですから、それに対しての決算審査というのも、その一体的予算の経済波及効果とか事業の妥当性とか、こういったことをもっと厳しくチェックする姿勢を持たなければ私は仕事をしていないというふうに思えてなりません。  この問題はこれ以上やり取りをしても意味がなさそうなので、次の話題に参ります。  福島県飯舘村における国直轄除染の進捗状況についてお伺いをいたします。  間もなく東日本大震災、福島第一原発事故から四年になろうとしております。被災者の皆さんは、一体いつになったら元の暮らしに戻れるのかと考え続けて、もうかなり疲れていらっしゃいます。私たちがその思いに寄り添い続けることが、すなわち震災、そしてこの事故を風化させないことにつながると考えておりますが、先ほどもこの部屋の中でまるで福島第一原発事故がなかったかのような論調が展開されていて、私は本当に残念に思いました。  昨年の決算委員会でも環境省に飯舘村の除染の状況について質問をさせていただきましたので、私は定点観測というものが大事だと思いまして、同じ質問、それ以降の進捗状況についてお伺いをいたします。  資料一を御覧ください。昨年お伺いしたときには、これ三月三十一日のところですけれども、飯舘村、宅地の除染の実施率は九%でございまして、でも昨年内、二十六年内に一〇〇%終了するという目標がございましたので、質問した当時は、その時点で九%なのにどうやって一〇〇%年内にやるのだろうと大変心配をして質問をしたわけでございます。しかし、昨年末に人員を七千五百人も大量投入したということで、スパートを掛けて九六%まで完了されたそうです。このこと自体は私は、目標を必ず達成するというお約束をほぼ守っていただいた、残りの四%についても雪解けを待ってすぐに再開すると言っていただいていますので、このこと自体には評価するわけであります。  しかしながら、この除染作業が、国直轄の除染作業が本当に避難指示解除に向けて効率的、効果的にやられているのだろうかという疑問が湧いてまいりました。そのことについてお伺いします。  資料二を御覧ください。あるお宅の除染前と除染後の線量の変化について、赤枠で囲んでいる部分ですけれども、この線量の変化のデータがございます。それぞれの、例えば玄関とか壁とか入口とか項目がありますけれども、これについて除染前と除染後を比べますと幾分低減していることが分かります。  ところで、避難指示解除の要件というのは、年間積算線量が二十ミリシーベルト以下なんですね。これ換算しますと、三・八マイクロシーベルト・パー・アワーとなります。この左側の除染作業前というところを見ていただきますと、元々この三・八マイクロシーベルト・パー・アワー以下の、未満の数値もたくさんあるわけですね。  で、なぜ元々線量が低いのに満遍なく除染をする必要があるのかというのを不思議に思いまして、いろんな方に聞いてみました。そうしましたらば、村民の方にしてみれば、このそもそも二十ミリシーベルトという基準が受け入れ難いのだと。ICRPの勧告に従って一ミリシーベルト、あるいは半減期を勘案しても、せめて二ミリシーベルト以内に収めてほしいという気持ちがあるということです。村長はまた違いまして、五ミリシーベルトというのを目標に置いているということです。  そんないろんな方の声を受けながら、環境省としては、多分非常に苦慮をしながら、明確な目標値を置かずに、村民の方の納得していただくことを最優先に、作業前の線量がこうだからとかいうことを考えずにひたすら満遍なく除染作業をするということになっているのだろうと。はっきりしたことはおっしゃっていないんですけど、私はそのようにそんたくしております。  村民の気持ちを尊重すること、このことはとても大事だと思うし理解するんですけれども、効率とか効果、こういうことを考えずに、ただ作業をこなすことが目的化しているんではないかというふうにちょっと懸念をしております。  あることを地元の方から聞きました。布で家の壁を、放射性物質を拭くわけですけれども、そのときに、ある布でこう拭いて、その同じ布で次のところを拭くと、こういうようなことをやっているとちっとも除染していることにならないわけですけれども、こういう雑な作業が行われて、これ、ただ作業をやっていればいいみたいな、こういうことを何度も目撃して、環境省の除染に対して不信感を抱いていると、こういうことなんですね。実際、地元の方も、飯舘村の村民の方も除染作業に加わっていらっしゃいまして、そういう方はもちろん自分の故郷を取り戻すために丁寧に丁寧に作業をされているわけですが、必ずしもそうではない場合もあるという、そういう悲しい現実もあります。  そのことの、作業自体が目的化しているんではないかという問題意識と、それからもう一つは、せっかく宅地の線量を限りなく下げようと、こういうふうに全部やっていても、これから山林とか田畑の除染が始まるんですね。そうすると、せっかくこっちはきれいにしても、山林とか田畑から濃度の濃い放射性物質により汚染されてしまう可能性もあるわけですよね。そうすると、果たして宅地を最初に完璧にして、それから、後から田畑、山林を、もっと線量の高いところを後からやるという、このことはどうなんだろうかと。もしかしたら、それぞれの線量を測って、線量の高いところから区分けをせずに同時並行でやった方がよかったんじゃないかと、こんなことを思うわけです。  このような疑問点を今ちょっと持っておりますので、そのことに関して環境大臣の御見解をお願いします。
  90. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 安井先生がおっしゃったように、決してこれはやはり風化してはいけないと、我々もそのように考えておりまして、もちろん二、三日前の日曜日もその前の週も、福島始め指定廃のあるようなところ、福島には毎週、今ここへ行っておりますけれども、やはり特に我々環境省の人間は率先してそういったことを国民の皆さんに知らしめていかなくてはいけないということはもう先生おっしゃるとおりでございまして、その気持ちを決して忘れないでこれからも除染については進めていきたいなと、このように思います。  様々な考え方がございますけれども、今目標値の話が若干出ましたが、これは、除染というのは、実は下げられる空間線量でありますけれども、これはやっぱり、今お話ございましたように、除染の状況や土地利用によって非常に異なります。ですから、下げ幅というのはまず限界がございますので、一律に空間線量による除染の目標を設定するということはなかなか難しい問題だと思います。ですから、まず除染をして放射能の数値を下げていくと、これが第一の目的であるというふうに、我々は除染についてそのように思っております。このため、除染は、線量に応じた適切な手法の下で下げられるところまで作業を実施していくと、そういう形で今我々は作業を進めております。  具体的に言いますと、手法の選定段階でありますけれども、これは除染事業者、もちろん委託するわけでありますけれども、現場においてまず試験施工を実施します、そこで。何センチというか、そこのところでどれくらいの土を取ればどれぐらい下がるのかなというような試験の施工をして、ですから場所によって様々やっぱりやり方が違ってくると思いますが、手法の最適化をまず図っていかなきゃいけない、この場所はこれが何センチぐらいがいいのかな、一般的にはよく五センチとかと言われますけれども、六センチ、七センチのところもあります。ですから、それで最適化。あるいはまた、じゃ七センチで、十センチやったらどうだと、十センチやったら七センチのときと五センチのときと変わらないと、そういうことになると、効率的になるべく早くやらなきゃいけないということになりますので、じゃここは五センチでやりましょうと。そういうようなことをその場所場所によって決めさせていただいておりますし、その手法を環境省が確認をいたします、何しろ。その上で除染を実施していくというような形に実はなっております。  それから、除染の作業段階においても、先ほど拭いている布でまたこちらで拭いているじゃないかと。私も現場へ見に行きました。そして、拭いている方がおりまして、なかなか大変ですねと、じゃ、これをまた使うんですかというような話を実は私も聞いたんです。そうしましたら、ここを拭いたらこれはもうちゃんと袋に入れて処分しますというような、そういうような形で、仕事的にはそういうふうに実はなっております。  今の御心配ございますので、除染事業者による施工管理を徹底させていかなきゃいけない。今先生がおっしゃったように、我々が行ったときだけそうやっているんじゃないのというようなことだとこれ困りますので、必ず施工管理をしっかりし、それからまた環境省としても巡回をしておりまして、それから抜き打ち検査もやっております、実は。それで品質管理に努めているということを常に進めているところでございます。
  91. 安井美沙子

    安井美沙子君 環境省としても、恐らく非常にきめ細かい対応をしていただいているものだとは思います。ただ、それが非常に先行き不安に駆られている人からすると、なかなか疑心暗鬼になってしまうことも多かろうと思います。  ですから、これから避難指示解除までの間、除染作業が長く続きますけれども、どうぞ村民の皆さんとのコミュニケーション、それから広報、情報開示をしっかりしていただいて効果的にやっていただきたいと思います。私が先ほど指摘させていただいた疑問も、恐らくもうちょっときちっと現地で説明をいただければ払拭されることもあろうかと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。  それから、これ、内閣府にお聞きするのだと思いますが、飯舘村村長は二十八年三月に避難指示解除を目指しているということなんですけれども、先ほど資料一にありましたけれども、宅地以外の除染というのは二十八年の末までに完了するという計画になっているんですね。そうすると、村長が目指している三月の避難指示解除というのはあり得るのでしょうか。
  92. 糟谷敏秀

    政府参考人(糟谷敏秀君) 内閣府の原子力災害対策本部としてお答えを申し上げます。  御質問いただきましたように、飯舘村は、復興計画で平成二十八年三月を当面の目標時期、解除の当面の目標時期とされております。  解除の要件でございますけれども、原子力災害対策本部の決定で、年間積算線量が二十ミリシーベルト以下になることが確実であることとか、それからインフラとか生活関連サービスの復旧とか、あとは市町村、住民との十分な協議、こういうことが定められております。  昨年末に宅地周辺の除染がおおむね終了したことを受けまして、今後、線量低減がどれぐらい進んだかという状況の確認、それからインフラ、生活関連サービスの復旧など要件の確認を進めていきながら、時期も含めて避難指示の解除をどのように進めていくか、これから更に議論を深めていきたいと思います。  いずれにしても、こうした要件をしっかりと満たすということを確認をした上で、その中には市町村、住民との十分な協議というのも含まれております。そういうことをやりながら、なるべく速やかな解除につなげていきたいというふうに考えております。
  93. 安井美沙子

    安井美沙子君 よく分かりますけれども、私が指摘したのは、資料一の除染の予定を見ていただきますと、作業が終わるのが二十八年の末になっているわけですね。そうすると、作業が終わっていないのに避難指示解除の検討をするのかなというのは素朴な疑問ですよね。  だから、除染の線量の変化等を見ながら、今いろいろおっしゃったことを勘案しながら協議されていくということですので、こういう目標との表面的に見るとそごがありますので、その辺もきちっとしていただいて分かりやすくしていただければと思います。  時間がなくなってきましたので、一つ質問を省かせていただきますけれども、飯舘村というのは基本的に自給自足に近い生活をしていたところで、私も随分通っていたんですけれども、農業を再開できなければ戻ってもしようがないと思っていらっしゃる方が多いんですね。その意味では、用水路とかため池とか、こういうところもきちっと除染されないと生活が成り立たないというふうに考えていらっしゃいます。農水省の方の事業もあります、復興庁の交付金なんですけれども。こちらもどうなっているんだろうと心配されている方は多いので、環境省是非そこは足並みを合わせて進めていただきたいと思います。済みません、質問する時間がなくなってしまいました。  今日の実は三つ目のテーマ、犬、猫の殺処分について、これを私、今日どうしてもお聞きしたいと思っております。  資料三を御覧ください。日本は現在、年間十二・八万頭もの犬、猫が殺処分されております。これは海外と比べて格段に高い数字です。このことに心を痛めている人はとても多くて、全国各地でNPOとかそれからボランティアの方々が様々な活動を展開して、この殺処分を何とか減らしたいというふうに頑張っていただいています。今週には殺処分ゼロを目指す超党派の議連も立ち上がります。  しかし、国政においては、どうもその動物愛護管理に対する、特に環境省のコミットメントが限りなく低いという私は印象を持っております。それには一つ理由がありまして、動物愛護管理法によって国の責務が限定されているというのが大きな理由だと思います。犬、猫の引取りは自治事務とされておりまして、国は指針策定や啓発など限定的な関与しかしていないんですね。  いつ、どうしてこういうふうに決められてしまったのか、どういう思想的背景で自治事務になってしまったのか、細かい経緯は時間がないので省いていただきまして、その理由についてお答えいただきたいと思います。
  94. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 我が国の殺処分が多いではないかということで、大変我々も、人とそうやって暮らしている動物の愛護ということを考えると、本当に残念だなというふうに思っております。  この間、宮本亜門さん始め様々な著名人の皆さんが、今度のオリンピックまでにほかの国と肩が並べられるような、そういう、環境省、指導してもらいたいという陳情がございました。今先生がおっしゃったそのとおりの、そういうような御提案がございました。  今その理由とか哲学的なもののお話でございますけれども、これは動物保護管理法が制定されて施行されたのが昭和四十九年であります。地方自治法において都道府県等が処理しなければならない事務としてこれ記載されておりまして、現行の地方自治法においても自治事務としてこれ記載されております。  これ、動物保護管理法が制定された当時の法案起草者の国会の議事録によるその発言によりますと、従来から犬の引取りは都道府県等の保健所で行われる、これは、ちょうど狂犬病予防法というのも自治体がやっておるわけでありますけれども、これはやはり自治体と密着した業務であるということで今言う自治事務として整理されたものと聞いております。  また、これ、今までの法律の過程を見ると、ほとんど議員立法でございまして、それぞれの先輩の議員の皆さんがそれぞれ発言をし、我々もちょっと議事録見させていただくと、まあ全てではありませんけれども、こういう形が一番いいだろうというような形で実はなっているものと、このように認識しております。
  95. 安井美沙子

    安井美沙子君 私も何度聞いてもそこまでしか分からないのですけれども。  引取りの数の削減目標というのは国として立てていられまして、これ、十年間で半減というようなことをこれまでもやって、五年前倒しでその目標を達成するなど着実にこの引取り数は削減されているわけですけれども、なぜ殺処分数の削減という目標を立てないのでしょうか。
  96. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) これは、殺処分の目標というのはなかなか難しい問題でございまして、まず、引き取って、例えば四十万匹ですか、頭といいますか、四十万頭引き取って、じゃ、これをどういうふうな形にしようかといったときに、それをそのまま置くわけにはいかないと、ですから少なくとも引き取らないような形をつくると。四十万を、やはりこれを引き取るのを二十万にすれば二十万頭は助かるということになりますので、やはり目標としては、引き取るというものを、これを最小限にしていきたいと。  そしてまた、引き取る場合にも、今の法律でいきますと、少なくとも、これは引き取ってくれといってもおかしいじゃないかといったときには、それはあなたのところでちゃんとずっと最期までみとっていただきたいというような形もつくってありますので、少なくともまず引取りの数を少なくさせると。それからまた、その中で引き取ったものについては、もうこういう犬、猫がおりますので是非ひとつ欲しい方はいただいてもらいたいと、そういうような形とか、様々そういうことでやって、まずそこが一番大事でございまして、そういう形の中で今四十万が二十万ぐらいになってきたということで、それも今先生がおっしゃったように、何とか頑張って五年ぐらいは早く達成したと。  これはもちろんこれからもっと少なくしていきたいし、それからゼロにつなげていきたいという気持ちはまさにそういうことでございまして、このことについては今後ともしっかりと対処していきたいなと、このように思っております。
  97. 安井美沙子

    安井美沙子君 引取りは大事なんですけれども、私としては、殺処分の削減目標というのも同時に立てていただきたいというふうに思っております。  国の予算は大体年間一億から二億この動物愛護管理にあるわけですけれども、半分が都道府県とか指定都市、中核市に対する補助金として動物収容施設の新築、改築などに使われているわけです。これ、事業費が、二分の一なんですね、補助率が二分の一なんです。資料の四を見ていただきますと、今までにこの交付金を使って設備を更新したりしたところというのがあるわけですけれども、何といってもこの補助率が二分の一だということで、なかなか手が挙げにくい。  次のページに私の地元の名古屋で造った、改修した施設がありますけれども、引取りをされて、収容期限大体三日から七日ぐらいと言われていますけれども、その三日から七日の間この施設で譲渡されるのを待って、譲渡されなければ殺処分されてしまうわけですけれども、待っている間に余りにも冷暖房も何もなくてひどい状況で死んでしまう犬、猫もいたわけですね。  ですから、こういう改修というのはとても大事。それは殺処分を減らすという目標がないから私はそういう施策が進まないんだと思うんですけれども、この交付の補助率を上げていただくということをひとつ考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  98. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) この今の予算でありますけれども、今年度は大体二億円程度ということでございまして、この動物愛護管理に関する予算のうち主なものは、動物の収容や譲渡を行う施設の整備に対する補助金でございます。今先生がおっしゃったように、ちょっと劣悪ではないかというような御疑問、我々もちょっとその内容までについては調べてございませんけれども、そういう補助金でございます。  これの一億円というのは、動物の、誰が飼って、そこら辺に捨てたりとかいろんな放置されたりしている犬や猫がいて、どこのものか分からない、これはマイクロチップ等を入れるというような形になっておりまして、これ、自治体が引き取った動物の収容や譲渡のための施設を新設する場合に国が事業費として補助するものでございまして、補助率は二分の一ということでございます。これは、他の補助金の補助率等いろいろやはり考えてバランスを取ってやっているところでございまして、どのぐらいがいいのか、八割がいいのか九割がいいのか、いろいろございますけれども、様々な補助率を勘案して大体二分の一というところでございます。  ただ、環境省としては、今先生お話ございましたように、必要な予算の確保に努めるとともに、都道府県に周知を図り、補助金の活用による動物の収容や譲渡のための施設整備の促進にこれからもっと努めていきたいなと、このように思います。
  99. 安井美沙子

    安井美沙子君 気持ちだけでは駄目で、やっぱりお金がないとできないんですよ。  次の資料の六にこれまでの各自治体の犬、猫の殺処分数というのを載せていますけれども、やはり譲渡を待つ間の施設がなければ実際にこれ減らすことができないんです。  先ほど自治事務になった理由というのをお伺いしたときに、実際に各自治体でやっていただく作業、事業が多いからというニュアンスのことをおっしゃったと思うんですけれども、逆に、住民に近いからこそ自治体ではこれに予算を付けられないという事情があると思います。犬、猫に予算を付けるのかと住民はやっぱり思いますわね。国が動物愛護管理という哲学を持って国がきちっと予算を付けるということでしかこの殺処分を減らすということは私はできないと思っています。  今、一・五億円程度の予算を付けていただいていますけれども、例えば平成二十五年度予算ですと一億七千百万円なんですね。これ全て執行しているわけではないんですけれども、仮に全部執行したと考えてみますと、犬、猫の引取り数は同じ年十七・六万頭なので、一頭当たりに九百七十一円使っているということになるんです。そうしますと、一頭九百七十一円しか使わない。もうちょっと掛ければもっとこの命を救えるんじゃないかと思えてならないわけです。  資料の七に非常に見るのもつらい写真を載せさせていただきました。なぜ殺処分を減らさなきゃいけないのか。私は、こういうつらい写真を見て、みんなでどういうことが今この国で行われているのかということを直視していただかなきゃいけないと思っております。  一頭に九百七十一円しか使わない。だけれども、補助率が半分で、二分の一を出さなきゃいけないけれども、各自治体は予算が非常に限られていて出せない。ならば国がもっと出せないのかと。国が予算を使わないから、全国のNPOとかボランティアの方々が自腹で活動してくださっています。  殺処分って大体二酸化炭素ガスを使って行われるんですが、これ、何分か二酸化炭素ガスを入れて窒息死させるわけです。麻酔がかかる前に窒息するというのが現実です。非常に残酷なことが行われています。これをもしもうちょっと本当の安楽死にしようとすると、施設を改修したり、あるいは一匹一匹注射をするということになると、これだけの数ですから手が回らないわけです。ですから、こういう残酷なことをしていなければならない。  これを見るに見かねて、最後のページですけれども、こういったNPOの方々が、収容期限を過ぎてもう殺処分をしなければいけない犬、猫を引き取って、自らこの譲渡会をするために世話をして生き延びさせてくれているんですね。  こういうことを民間の手にもうおんぶにだっこにして予算を付けないのであれば、九百七十一円しか使っていないのであれば、もうちょっと自治体に代わって国が予算を使えないものかと思いまして、最後に環境大臣の見解を求めて、質問を終わります。
  100. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 本当にこの写真を見ると、ふがいないといいますか残念だなと、痛ましいなというようなことをつくづく思います。これは、まさに人が勝手にかわいいからといって飼って、そして捨て去るというか、引き取ってもらうような形をするという、そもそもはそこだと思います。でも、結果としてこういうようなことになっております。  先生のおっしゃったこのボランティアの皆さんも本当に苦労してこういうことをしていただいて、我々も感謝申し上げなきゃならないなという気持ちではいっぱいでございますけれども、何せ予算ということになりますとなかなか様々難しい面がございますけれども、今後、財政当局ともよく相談をしながら、対処できるところを我々も頑張っていきたいなと、このように思います。
  101. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  102. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、徳永エリ君が委員辞任され、その補欠として斎藤嘉隆君が選任されました。     ─────────────
  103. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 休憩前に引き続き、平成二十五年度決算外二件を議題とし、農林水産省及び環境省決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  104. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  本日は、決算委員会の省庁別審査ということで、通告に従いまして、会計検査院による検査結果を中心に、環境省及び農林水産省にそれぞれ順次質問をいたします。  まず、環境省に伺いますが、平成二十五年度決算検査報告によりますと、環境省関連で指摘された件数は十三件、指摘金額は三十六億円となっておりますが、前年の指摘金額が九億円でありましたので二十七億円の増加となっております。  今回、指摘金額が大きく増えたことも含めまして、会計検査結果に対する環境大臣の見解をまず伺います。
  105. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 平成二十五年度決算報告においては、環境省に関する事項といたしまして、今先生お話ございましたように、不当事項について十一件、四億七千六百二十三万円、意見を表示し又は処置を要求した事項、改善しろということでございますけれども、二件、三十一億四千八百六十三万円、合計十三件が掲記されております。  これらの掲記内容につきましては会計検査院の御指摘のとおりでございまして、誠に遺憾に存じております。御指摘を真摯に受け止めて、国庫返納及び再発防止対策等の必要な措置を講じるとともに、今後なお一層、国民の大切な税金を使っているということを常に念頭に置きながら、予算執行の適正化に努めてまいる所存でございます。
  106. 杉久武

    ○杉久武君 私、冒頭、金額が増えたことを含めまして大臣に御質問させていただきましたが、金額が増えた、減ったということも一つの評価としては大切なポイントでありますけれども、私自身も昨年の決算委員会指摘をさせていただきましたし、先般の全般的質疑でも他の委員から指摘がありましたように、やはり会計検査院の検査というものは網羅的に隅々までやっているわけではないという、そういう実態がございます。  とはいえ、毎年、会計検査院報告が出されますと、メディア等でも、今年は多かったとか少なかったとか、そういう話がありますが、私は、そういった評価をする前提としては、会計検査院の検査の在り方、やはり問題があったところだけでなく、なかった点について、どういうところが問題がなかったのかという点がしっかり公表されていなければ、なかなか定量的な評価というのは難しいのではないかというように考えている次第でございます。この点につきましては、また別の機会にしっかりと質問をさせていただきたいと思います。  ともあれ、環境省におかれましては、今、会計検査院からの指摘につきまして、しっかりと真摯に対応していただきたいというように考えております。  次の質問に参りますが、今の環境省指摘されたこの二十五年度会計検査報告によりますと、先ほど申し上げました指摘金額合計三十六億円のうち、金額的にほとんどを占めておりましたのが、廃棄物処理に関する溶融固化施設の運営及び維持管理並びに溶融スラグの利用という点が大宗を占めておりまして、約三十一億円挙げられております。  この中身についてでありますが、これについては、循環型社会形成推進基本法に基づきまして、天然資源の消費を抑制し、環境への負担をできる限り低減する循環型社会を形成するための施策推進に加えまして、廃棄物処理法に基づいてごみ焼却施設等の廃棄物処理施設の整備を実施する市町村に対しまして、平成十六年度までは廃棄物処理施設整備費国庫補助金を、そして十七年度以降は循環型社会形成推進交付金を、それぞれ交付されております。  この二十五年度決算検査報告によりますと、会計検査院が二十二都道府県の九十三事業主体におきまして、平成年度から二十四年度までにこの交付金等の交付を受けて設置されました、ごみ、焼却灰等を溶融固化するための溶融固化施設百二施設を対象に検査したところ、市町村等が焼却灰等を溶融固化せずに最終処分場へ直接埋め立てる方式に変更している場合や、施設の適切な運営を行っていない事態、溶融固化後の生成物である溶融スラグの全部又は大半を建設資材に利用することなく埋立処分をしていた、そういう実態が見られたとの指摘がなされております。  言うまでもなく、我が国は資源小国でございます。環境型社会を早急に形成し、有限な資源を再利用することは喫緊の課題でございます。この環境型社会の形成に寄与する溶融固化施設が適切に運営されていない、又は資源のリサイクルを目的に溶融化された溶融スラグを利用されることなく廃棄されていると、こういう実態は極めて不適切であると思いますし、循環型社会の旗振り役である環境省としてもこれは問題であると思います。  そこで環境省に伺いますが、これらの問題が生じた原因は何だったのか、また今後どのように対応していくのか、お答えをいただきたいと思います。
  107. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) 溶融固化施設についてのお尋ねでございます。  溶融固化施設というのは、ごみや焼却灰などを高温の条件の下で加熱、溶融した後に冷却してガラス質の物質、溶融スラグにすると、こういうものでございまして、高温で処理するということでダイオキシン類の削減に資するということで、平成年度から平成十六年度までは、廃棄物処理施設整備の補助金の交付に当たりまして、ダイオキシン類対策の観点から溶融固化施設の設置を要件としたということがございました。その後、焼却施設そのものによるダイオキシン類の発生抑制、除去に関する技術が進展したこと、そしてまた最終処分場の残余年数が増加したことなどを踏まえて、必ずしも溶融固化施設を設置する必要がなくなったということから、平成十七年度には同施設の設置を要件とする補助金は廃止したということでございます。  会計検査院報告におきまして、先ほど御指摘のように、補助金等により整備した溶融固化施設の一部が長期にわたり稼働を休止していると、こういった指摘がございました。このような事態が生じているのは、事業主体において稼働する必然性が薄れてきたということとともに、稼働に要する経費の負担が大きいためである、こういうようなことが考えられるところでございます。  環境省といたしましては、会計検査院からの御指摘もございましたので、地域の実情も勘案しながら、休止している施設等に関する取扱いについての方針を示すということの対応を検討しているところでございまして、適切に対応してまいりたいと思います。
  108. 杉久武

    ○杉久武君 やはりこういった大きな施設というのは長期間にわたって利用しなければ効果が得られないものでありますので、環境省としてもしっかり対応していただきたいと思います。私も環境委員会に今所属をしておりますので、この問題につきましては環境委員会等でも取り上げてまいりたいというように思います。  続きまして、農林水産省に移りたいと思います。  平成二十五年度決算検査報告によりますと、農林水産省関連で指摘された件数は六十四件で、指摘金額合計で八百五億円であります。前年の指摘が三百五十七億円ですので、四百四十八億円増えたということになります。  その八百五億円の中身を見ていきますと、最も金額的に大きかった案件が農畜産業振興対策交付金の未使用額及び返還額を交付先から速やかに国庫に納付させるよう改善させたものというものがございます。この金額は七百三十一億円に上っておりますが、まずはこの中身について会計検査院に御説明をお願いいたします。
  109. 斎藤信一郎

    説明員斎藤信一郎君) お答えをいたします。  農林水産省平成二十三年度に東日本大震災復旧・復興予備費を財源とし農畜産業振興機構に対して交付しました農畜産業振興対策交付金について検査しましたところ、機構において未使用額及び畜産関係団体等からの返還額について使途に制限があり有効に活用できない状況となっているのに、農林水産省はこれらを機構から速やかに国庫に納付させていませんでした。  会計検査院指摘に基づき、農林水産省は、二十五年度末までに機構に生じた未使用額及び返還額について二十五年十二月及び二十六年四月に国庫に納付させるとともに、通知を発出するなどしまして、今後生ずることとなる交付金の未使用額及び返還額について四半期ごとに国庫に納付させることとする処置を講じたものでございます。
  110. 杉久武

    ○杉久武君 今、会計検査院から御説明いただきましたとおり、使っていなかった五百九十五億円、そしてこの農畜産業振興機構、いわゆるALICですかね、ALICに戻ってきているお金もすぐに国庫に返納していなかったという、合計で七百億円にも上る金額が滞留をしていたということになります。  そこで、農林水産省に伺いますが、なぜ会計検査院指摘を受けるまでALICは国庫返納を行わなかったのか、説明をお願いいたします。
  111. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 先ほど会計検査院から御答弁がございましたように、平成二十五年の十一月末時点で、農畜産業振興対策交付金に係る国庫納付が行われていないという指摘を受けたところでございます。  農林水産省といたしましては、その会計検査院指摘をいただきましたのに先立ちまして、同年、平成二十五年でございますが、六月の農畜産業振興機構の平成二十四年度決算の確定を受けまして、この交付金に係る国庫納付の検討を進めてまいりました。また、その検討を進めた結果、同じく二十五年の十一月二十九日に独立行政法人の評価委員会にお諮りした上で、所要の手続を経まして、同年十二月六日に国庫納付を行ったところでございます。  以降、その当該交付金につきましては、未使用額とそれから機構に返ってまいりました額を速やかに返還しておりまして、今後とも、機構への返還金があるごとに国庫納付を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  112. 杉久武

    ○杉久武君 今、種々手続等は進めていたということでありますけれども、やはりこれだけ大きなお金でそれなりに返還までに時間を要しているということについては、やはりそれを速やかにできる体制づくりが必要ではないかというように思いますので、今後しっかりとした管理をお願いをしたいというように思います。  今回、このALICについて、私も少し調べてみました。やっぱり大きなお金を持っているなというふうに感じまして、私も公認会計士出身でございますので、その財務の内容を少し分析をしてみようということで決算書の方を見てまいりました。どういうふうにこの農畜産業振興対策交付金があるのかということについて見てまいりました。  お手元に今日資料の方をお配りをしております。一枚目がこの独立行政法人ALICのバランスシートになりまして、要は資金が、交付金がなされた場合に、会社としては一旦それを預かってお金を持っているという形になります。そして、この負債のところに今回指摘をされた畜産業振興資金というものが、負債の預り金で二千六百四十九億円という本当に大きな金額がこの資金として計上をされているということになります。  さきの一月、先月末に行われました決算の本会議におきまして、私が基金の問題について問題提起をさせていただきました。今基金が、把握されている基金が百七十四基金あって、全体で三・一兆円という、そういう規模感があると、やはりこの基金を有効に使っていかなければならない、無駄なものについては国庫返納を進めていかなければならないということを本会議代表質問で指摘をさせていただいたところであります。  このALICに滞留している資金についても、どういうふうに管理をされているのかなというところを一つ一つ調べていきますと、一つ分かったことが、この今回指摘をされた畜産業振興資金というのは、これは基金ではないという形で整理をされているということになります。  一方、このALICのほかの、野菜生産出荷安定資金とか野菜農業振興資金というこの二つについてはもうほとんど基金という形で管理をされているという形になっておりますので、まずは、そもそも基金というのは何かという点について、基金シート等を作って独法の行革の方でしっかり今見ていただいていると思うんですが、まずその基金シートで管理される基金とは何かということについて、行政改革推進本部の方にお伺いをいたします。
  113. 市川健太

    政府参考人(市川健太君) 御説明申し上げます。  基金シートの対象につきましては、行政改革推進会議において取りまとめております基金シート実施要領では、補助金や出資等により造成された特定の基金を活用し、特定の事業を実施している場合とされているのみでありますが、併せて発出しております基金シート作成要領においてはより詳細に規定しておりまして、国からの補助金や出資等を原資として、貸付け、債務保証、利子助成・補給、補助、補填、出資等の事業を複数年度にわたり行うために保有される全ての資金を基金シートの対象とするとされ、ただし地方公共団体向けの基金は除くものとされております。  なお、この作成要領では、基金という名称にはこだわらず、積立金、勘定、資金等の資金も上記の要件を満たす限りは基金シートの対象とする旨が付記されているところでございます。
  114. 杉久武

    ○杉久武君 今そういった形で定義が御説明をいただきました。  そこで、農水省に伺いたいんですが、先ほど私が申し上げましたように、この畜産の振興資金については二千六百億という大きなお金を保有しておりますが、これは基金シートの対象外に今なっていると。一方、野菜に関するこの二つの資金については基本的に基金シートで管理をされていると。この二つを区別する大きな理由は何でしょうか、農水省に伺います。
  115. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 先ほど行革事務局の方から御答弁をいただきましたけれども、基金シートにつきましては、特定の基金を活用して特定の事業を実施する場合に作成するということとされております。  そのルールに従いますと、この野菜関係の野菜生産出荷安定資金などにつきましては、野菜の価格が低下した場合に生産者補給金の交付を行うといった特定の事業を実施するためのものであるというふうに判断いたしまして基金シートを作成しておりましたけれども、一方、この畜産業振興資金につきましては、畜産業の振興に資する各種業務に必要な経費の財源に充てるための資金としてALICで管理しているものでございまして、特定の事業を実施するというものではないと判断いたしまして、これまで基金のシートの作成は行ってこなかったということでございます。
  116. 杉久武

    ○杉久武君 ちょっと今の御説明ですと、あえてここで管理上の峻別が必要なのかという点については物すごく疑問が湧くところでございます。  現在、政府の行革では基金の実態に基づいて管理強化を積極的に取り組まれておりまして、昨年のこの決算委員会からの措置要求決議に基づいて基金の再点検が行われた結果、基金から三千億円の国庫納付がなされたということについては、これは大きな成果として先週の全般的質疑でも安倍総理も何度も挙げられていた事例になるとは思いますが、そうすると、今のお話の中でいいますと、この畜産業振興資金の部分については、そもそも網羅的にそういった余剰資金があるかどうかという視点で見る中からやっぱり漏れているということになってしまうのではないかというふうに思います。  そういった点につきまして行革推進本部に伺いたいと思うんですが、今回の例で挙げさせていただきました畜産業振興資金のようなこういったものについては、統括的にまた管理とかチェックをする仕組みというのはあるんでしょうか。そこを教えていただきたいと思います。
  117. 市川健太

    政府参考人(市川健太君) 御答弁申し上げます。  先生指摘のとおり、特に基金という名称を有していない場合、そもそもどういう資金が存在するのか、そういう把握も難しゅうございますし、またそれが基金シートの対象に該当するかについて事前に私どもの立場から把握することは困難でございます。  そのため、個々の資金が基金シートの対象に該当するかの判断、これは先ほどの要件に照らして基本的には各府省において行っていただくということになりますが、私どもといたしましては、各府省において適切な判断がなされますよう、今後、来年度の基金シートの作成、公表に向けて、対象とすべき基金等の定義や解釈を明確にし、各府省への周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
  118. 杉久武

    ○杉久武君 是非よろしくお願いしたいと思います。  やはりこういった管理対象のまず入口で網羅性というものをしっかり担保されなければ、その後、幾ら充実した調査をやってもやっぱり漏れが残ってしまうと思いますので、この点についてはしっかり対応していただきたいというように考えております。  ALICの中身の方に戻りたいと思います。  このALIC、潤沢にあるこの基金をどういうふうに管理をしているのかなということを財務諸表の中からちょっと分析をしてみました。お手元の資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。ALICの決算書につきましてはホームページで平成十五年から公表をされておりまして、その中身を見てみました。この上に書いておりますのが手持ち資金というか、現金化できるものがどういったものを持っているかというものを過去十一年間追っかけてみました。下の段に書いてありますのが事業費の推移を書いたものでございます。  まず、農林水産省にお伺いをしたいんですけれども、この数字を見てみますと、ほとんど定期預金と有価証券でずっと運用をしているという実態があると思います。この有価証券の中身、ここには書いておりませんが、財務諸表の注記等を見てみますと、ほとんどが国債でした。社債も一部ありますけれども、ほとんどが国債で、満期保有ということで、五年、十年持つことを目的としたということで、満期保有の国債を持っているというのが実態でありました。なぜこのような運用をされているのか、農水省に伺います。
  119. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 委員指摘のとおり、農畜産業振興機構の資金につきましては、普通預金と、それから定期預金、それから国債などの有価証券により保有しているところでございます。  具体的にどのような形でその資金を保有するかにつきましては、それぞれの資金の性格によってやっぱり異なっておりまして、例えば事業費などの直近の支出が見込まれるもの、それからBSEの発生などに対処する緊急対策など、こういったものに備えるものといったものにつきましては、流動性を確保するという観点から、普通預金又は満期が一年未満の定期預金で保有しているところでございます。他方、政府出資金などの安定的な保有が見込まれるものにつきましては、国債などの有価証券で安全かつ確実な運用を図っているところでございます。  また、これらの運用益につきましては、人件費や業務費、一般管理費の一部に充てておりまして、このことによりまして毎年度の国から受けております運営費交付金の縮減を図っているということでございます。
  120. 杉久武

    ○杉久武君 そういう必要性自体は私も当然理解をしておりますし、私も事業そのものについて今日は特に意見を申し述べるつもりはございませんが、この資料の二ページ目の下の事業費の支出の推移、これもキャッシュフロー計算書から拾ってみました。そうすると、せいぜい一番多いときでも二千七百億、平均したら二千百六十二億ということで、それを上の資金の推移のところに線を引いてみると、大体、資金って一年に一回転ということは普通ないとは思うんですけれども、そう仮定したとしても、それ以上の余剰の資金が持っているんではないかというようにやはり見受けられてしまいます。  これまで何度か国庫返納もされてきたとは思うんですけれども、やはり私はまだ余裕があるんではないかなというように思いますが、この点について農林水産大臣の御意見を伺いたいと思います。
  121. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 御指摘の農畜産業振興機構でありますけれど、畜産の経営安定対策、あるいは野菜価格安定対策等の各種事業に必要な一定の資金を確保すると、こういうことでやってきました。  今御指摘がありましたように、二千億台の支出があれば大丈夫かなと、こういう御意見であったかと思いますが、私ども、今回の保有で機構の不要財産が指摘されまして、平成二十五年度には三十七億円、平成二十六年度に八百二億円を国庫納付いたしました。今後とも、このような不要財産、こういうものが発生したらすぐに国庫に返納すると、この姿勢でやってまいります。  でありますが、先ほど生産局長から申し上げましたが、畜産経営で過去にBSEが発生したときも緊急にお金が必要になったと、こういうこともありましたし、口蹄疫の場合もありました。そういう意味で、ある程度適正な額を確保させていただきたいと、こういう考えで私どものこの資金の管理はやっております。緊急時に備えた一定規模の保有資金を有する必要があると、こういうことで今保有しておると、こういうことでございます。
  122. 杉久武

    ○杉久武君 その必要性、資金の必要性というのは私も十分理解をしているわけでございますが、もうちょっと、じゃ、下って分析をしてみますと、どういう結果があったかといいますと、三ページ目、畜産と野菜に分けて同じ分析をしてみました。  畜産の部分については、今大臣に御答弁いただいたように、過去、BSEは平成十三年ですので今日私が御提示したグラフからは漏れている期間に入りますし、それで、BSEにたしか一千億ぐらいの緊急な支出があったというように私も理解をしております。また、口蹄疫、そういった問題、様々あるという意味で、畜産の方はそういった異常事態も想定できるのかなと思うんですが、最後、四ページ目の方、今度は野菜の方だけを見てみました。そうすると、こちらはもっと顕著な結果が出ているんですね。同じように線を引いてみますと、どれだけ多い年でも二百三十億ぐらいの事業支出しかないのに、ここで五百億ぐらいの国債を常に運用し続けているということ自体は、これはどう考えても私は余っているんじゃないかなというように感じるわけであります。  一方で、この野菜の部分については、これは基金ですので、基金シートで今回行政改革推進会議の方で取りまとめしていただきました。三千億のリストに載ってくるのかなと思ったら、この二つの基金は載っていなかった。すなわち、基金シートで管理をして分析をしたけれども、この二つの基金の部分については、農水省としては十分であったと、十分というか、余裕はないという判断をされたということにプロセス的にはなると思うんですけれども、その辺りについてもし追加で御説明いただけるのであればお願いしたいと思います。
  123. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) お答えいたします。  今委員から議場に配付されました資料によりますと、野菜勘定につきまして、この二、三年、七百億から八百億円の基金残があるという状況でございます。  この状況を、事情を御説明しますと、農畜産業振興機構におきましては野菜の価格が低落した場合に生産者に補給金を交付するという事業を行っておりまして、この事業は毎年度、生産者と契約をいたしまして、最大限どの程度までこの交付金が交付されるかというお約束をさせていただいております。したがいまして、野菜の長期的な価格が低下がありますと、機構は最大で年間一千三百億円の交付を行う義務があるという状況でございます。  そういった中で、機構といたしましては、そういった事態が発生しても補給金の支払が滞ることがないように所要の資金を確保する必要があると考えたところでございますが、他方で、財政の効率化を図る観点から、予算額につきましては毎年度、一般会計予算と国庫債務負担行為の組合せで予算措置をしておりまして、過去における最大の交付率、契約量に対する交付額でございますが、大体三割程度だったということもございまして、平成二十三年度に国庫債務負担行為の率を五割から七割に引き上げまして、現状におきましては、予算編成においては全体の交付予約数量の三割程度を一般会計予算措置するという形で運用させていただいているところでございます。
  124. 杉久武

    ○杉久武君 時間がなくなってしまいましたので、本当はもう少し突っ込んだ議論をしたかったところではあるんですけれども、やはり当然最大のリスクを評価することは大事ですけれども、それによって幾ら手持ちを用意しておくかということは、やはりそれは発生可能性をもうちょっと現実に即した形で分析をして、やはり今、国の財政も厳しい中で不要なものは積極的に国庫に返納すべきだということを最後お願いをさせていただきまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  125. 寺田典城

    ○寺田典城君 維新の党の寺田典城でございます。よろしくお願いします。  最初に、原子力発電所の情報開示についてお聞きさせていただきたいと思います。  私自身も、何というんですか、原発というのは安全なものであって、それこそクリーンなエネルギーだという感覚をずっと持っておりました。ところが、二〇〇二年に東京電力で原発の自主点検の記録が改ざんされたり隠蔽されたりしたことがありました。あの当時、佐藤栄佐久さんが福島県の知事で、大変なことだよ、これはということで知事会議で取り上げて、それをもっと糾弾しようよという話にはなったんですが、その当時は、どういうわけなのか、とにかく一定のところまで行くと情報が全然入らなくなる、マスコミも取り上げなくなるという形でした。これは、要するに、政治と産業界と、それから役所と、それから学問の社会とマスコミも含めてなれ合いがそのような形になって私たちに情報が入らなかったんじゃないかなと。これが東日本大震災みたいな大きな、何というんですか、東日本が破綻するような大きな事故までつながってしまったんじゃないかなと思うんです。  それは、原子力発電所の情報開示がしっかりなされてなかったというのも大きな原因だと思うんです。その見解をひとつお聞きしたいと思うんですが。
  126. 清水康弘

    政府参考人(清水康弘君) 原子力に関わる情報の開示についての御質問でございます。  原子力規制委員会におきましては、組織理念において、意思決定のプロセスを含め、規制に関わる情報の開示を徹底するということを定めておりまして、透明性の確保を図ることは極めて重要なことであると認識しております。これを具体化するために、原子力規制委員会の業務運営の透明性の確保のための方針などを定めております。これに基づきまして、原子力規制委員会の会議の公開、それから新規制基準の適合性審査、規制基準の検討会合等の公開、さらには被規制者との面談の議事要旨の公開などを行っております。  国民から信頼を得られるよう、引き続き情報開示に、情報公開に努めてまいります。
  127. 寺田典城

    ○寺田典城君 月並みな答弁いただいたんですが。  私、フランスにも行ってきました。ラアーグという、アレバ社にも行ってきて、アレバ社の幹部にお尋ねしました。原発というのは安全ですかと聞いたら、危険なものだよと。だから、この地域住民から含めて、ヨウ素剤から何から全て用意して、いつ起きるか分からないというような形で、私たちはそういう考えの下で行動して説明もしていると。  ですから、今も原発は安全だというような形でまた揺り戻ししてきているんですが、こういう場合はどうなるんだというようなことを規制委員会でももう少し具体的に国民に提示するようにしたらいかがですか。
  128. 清水康弘

    政府参考人(清水康弘君) 原子力規制委員会については、新しい新規制基準の適合性の審査を行っておりますが、その結果については国民に分かりやすく説明するように努力しております。  以上でございます。
  129. 寺田典城

    ○寺田典城君 いや、だから、具体的にどのようなことをするのかという、今こんなことも言っています。今の安全基準というのは世界一厳しくなっていると。何が世界一なのかさっぱり分からないということを含めて、もう少し具体的に、責任負っているのは規制庁なんですよ、ひとつその辺はもう少し具体的に踏み込んでください。
  130. 清水康弘

    政府参考人(清水康弘君) ただいま先生から御指摘ありましたように、我が国の新しい規制基準につきましては、福島第一事故の反省に基づきまして、世界最高水準というような言い方をしておりますが、抜本的に見直し、例えばシビアアクシデント、重大事故に対する対応、あるいは、これまで入っていませんでした火山あるいは森林火災など項目を増やし、さらには地震あるいは津波などについての基準も強化しております。  そうした強化した基準に基づきまして、今現在二十一の原発につきまして適合性の申請が出ておりますので、こういったそれぞれの原発について今適合性審査を進めているという、そういう状況でございます。  そして、適合性審査にある程度のめどが付いたものについては設置変更許可という形で許可を出しておりますが、その審査内容については地元に対して丁寧に詳しく、説明会なりその他のことを含め、説明していきたいというふうに考えております。  以上です。
  131. 寺田典城

    ○寺田典城君 別に次長さんに全部責任取りなさいと言っているわけじゃないですけれども、とにかく踏み込んだ考え方を、しっかりしたディスクロージャーをお願いしたいなと。  東京電力には、二〇一三年の八月の二十日の日に、福島第一原発の小野という所長とも会ってきましたが、私は全部、話は全て伺ってきました。何も質問しませんでした。一言言ったのは、東京電力が生き残るためにはしっかりしたディスクロージャーがなければ生き残れませんよと、そういう話を一言だけしてきました。四、五日後に、あのタンク危ないんじゃないですかというような話を中見てしておったら、間違いなく漏水しているというような話も出ていまして、まだまだ隠蔽体質があるんじゃないかと。この間も、何というんですか、女川原発では、点検記録不備四千百八十八も見付かったと言っていますんでね。  私はこう思うんですよ。日本で大きな三つの間違いは何であったかというと、第二次世界大戦が一つ、もう一つは原発事故だと思うんです。もう一つは一千兆円の借金なんです。これは日本の理性の喪失みたいなものじゃないのかなと、そういつも言っているんです。  ただ、第二次世界大戦は、日本は経済発展にも民主化にもなったからそれなりのことはあったんですけれども、原発については、これは何もいいこともないということだけはひとつ御理解してくださいよ、この事故によって。それを一つ申し述べさせていただいて、本題に入りたいと思います。  本題は農水省の方で、よろしく大臣お願いします。  私は、二〇一八年、平成三十年ですか、減反政策が廃止される、私はいいと思います。ところが、日本の国というのは、御存じのとおり、米が安定しない限りは農業は安定しませんですね。ですから、水田利用計画をしっかり立てるべきだと思うんです。  それは、今も減反政策するとき、どうするどうするってやってきたことも事実なんですが、もっと具体的に何々をどうしてどう植えるというようなことを、県なり市町村なり農協なり農家なりとしっかり全国ネットで、まあ最初は地域でしょうけれども、そういう考えをすべきだと思います。いかがですか。
  132. 松島浩道

    政府参考人(松島浩道君) 委員指摘のとおり、平成三十年に向けまして現在米政策の見直しを行っているところでございまして、三十年産を目途に、行政による配分に頼らずとも、需給見通しなどを踏まえつつ、生産者が中心となりまして需要に応じた生産が行われるよう環境整備を行っていくということで今様々な環境整備を進めております。  その中で、今委員からお話がございました水田をどう活用していくのかということについても大きな課題でございまして、現在、県、市町村段階においてそれぞれ、いろいろな地域にどういう作物を植えるのかという設計図でございます水田フル活用ビジョンというものを策定していただきながら、その見直しを進めているところでございます。
  133. 寺田典城

    ○寺田典城君 農業の政策というのはやはり十年一スパンとかでやっていかなきゃならぬのに、選挙のたびごとというんですか、ころころころころ変わっていますね。これは本当に農家にとっては大変だと思います。ですから、それをひとつしっかり計画を立てていただきたいなと思うんですが。  今まで、何というんですか、日本の農業が失敗したのは、私は、産業としての農業とそれから生きがい農業としての農業を区別せずに、一緒に政策的に持っていこうということが私は農業の大きな失敗の一番原因だと思うんですよ。ですから、その辺を私は、二〇〇六年ですか、品目横断的な経営安定対策という、ああいう戦後最大の農業改革のあれが出たときはこれで十年もやればかなり落ち着くなという感じでいましたけど、また全然変わっちゃってきていると。  その辺も含めて、どのように、大臣、覚悟を決めてなさっているか、そのことをお聞きしたいんですが。
  134. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 日本の国土、いつも申し上げますけど、三千七百七十万ヘクタールあるんですね。そのうち、農地が四百六十万弱使っていると思うんですよ。一番いいところを一二%も使っていながら、農業所得、残念ながら八兆五千億を切ると、こういうことなんですね。  やっぱり、一番今まで大宗を成していた米が毎年八万トンずつ消費が減ると。しかし、需要と供給のバランスが取れない。ですから、どうしても米価が農家が望むような米価にならないと。ここを農林関係総力で、農家の皆さんに需要と供給のバランスで米価は決まると、こういうことをよく分かってもらうようにお話をしたいと思うんです。  日本は今、畜産が一番の稼ぎ頭なんです。二兆七千億なんです。米は残念ながら一兆七千八百億しかないんですね。このバランスの取れた政策をしっかりやっていきたいと、こう考えております。
  135. 寺田典城

    ○寺田典城君 八兆五千億の農業の生産額の中で米は一兆八千億だったですから、二割ぐらいなんですね。だけれども、一番大きな影響している。それから、一番、百六十万ヘクタールも使っていますから、米の生産にですね、それがしっかりしないと私は日本の農業というのは、米が合わないから野菜に転換するとか何だかんだといったら野菜も大暴落するでしょうし、それをやはりもっと国自体が腹据えて決めるべきだと思うんです。  それと、生きがい農業。これ、いつも言っているんですけれども、産業としての、合理化する、大規模自立農家も育てるとか集落営農を育てるという産業としての農業、そのほかに生きがい農業ってあるわけですよ。これは社会政策だと思うんですよ。例えばこの生きがい農業でやったのを、品目横断的とは言わないですけれども、厚生省と手を組んで夏山冬里方式でグループホームみたいな、冬はそうするとかどうするかとか、生きがいももっと認めてやるべきだと。ファーマーズマーケットなんかは顔の見える、何というんですか、売り物をして、全部の個々の方が、それは月二万円、三万円の収入で、物すごくコミュニティーもあってうれしいとか、いろんなのあるんですよ。  だから、その辺をみんな一緒くたで農林省はやっちゃうところがあるんじゃないかなと思うんです。今までずっと見てきました。その辺どう思います。
  136. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 担い手に農地を集約していく、これはこれでやっていきたいと思うんですね。現在、五割の農地が担い手が請け負っておりますけれど、これを十年間で八割にすると。しかし、そうすると二割は、これは規模の小さい農家が必ず残るわけですね。  やっぱりやる気のある人、この人たちが続けてもらうためには、これは生きがい農業にもつながると思いますが、やってもらうためにはやっぱり価格の安定がなきゃ駄目なんでありまして、その価格をどう維持するかというのは、やはり需要と供給のバランス、これを米政策、私も一貫してやってきましたけれども、常々びほう策で終わってきた嫌いがあるんですね。  ですから、今回はもう農業三法を全部変えて、本当にやりがいのある人は二割の中に入るけれどもしっかりやってもらうと、支援しようと。それで、あとは効率化を求める産業政策としては八割を担い手に集約してみようと、こういうことで、余りもう、休耕するからお金出せとか何々やるからお金出せとかという、そういうやり方じゃなくて、日本の農業のあるべき姿、今つくっています、これに向かって、各作目ごとにしっかりした生産ができるようにやっていきたいと、こう考えています。
  137. 寺田典城

    ○寺田典城君 昨日は農協全中の話も出ていました。それから午前中にはTPPの話も出ていました。  私は、日本はTPPに入らざるを得ないと思うんです。日本だけ孤立するわけにいかないと思うんです。北海道なんかは一兆円売上げが半分になっちゃうとかって言うんですけれども、私は北海道の農業が一番強いと思うんです。ということは、競争しているからです。価格保障なり所得補償なんかからすれば、秋田県が一番農業弱いんじゃないかなと思うんですよ。四万二千世帯ぐらいあります。北海道も四万二千世帯あります。秋田県は千七百億しか売上げなくて、北海道は一兆円あるんです。  だから、二町歩、三町歩持っている人方が七百万円だの八百万円もするような機械を二台も三台もそろえてやっているのが今の農業の現状なので、やはりそういう点では合理化をしていかなきゃならぬだろう、集落営農もしなきゃならぬだろうと、そう思うんです。  ですから、そういうのを恐れずに農林省ははっきり言うべきなんですよ。みんな政治の顔色伺いして、農家に顔色伺いして、票が入るとか入らないとかやってみたってしようがないんですから、これは。生き残っていかなきゃならぬですから。そのことをもっと大臣として、もう旗頭になるということをひとつアピールしてください。その話を聞きたいんですから。
  138. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私は、農家の所得を増やす、そして農村のにぎわいを取り戻したいと、これを私は就任のときに職員の皆さんにお願いしまして、その目標に向かってみんなでやっていこうと、こういうことであります。  特に米の問題が難しくて、私だけは作ってもいいだろうと、こういうことで超過米が発生するわけですね。こういうときこそ、今回改革をすると言った全中の皆さんにも是非協力をしてもらって、米のバランスは崩れておると、こういうことをみんなで農家の皆さんにお伝えをして、価格等も農家の皆さんが困らないような設定がされるように努力していきたいと思います。
  139. 寺田典城

    ○寺田典城君 次は六次産業化についてお聞きしますけれども、秋田県出身の局長さんがいらっしゃるので、ひとつよろしく。  この間、秋田県の六次産業化の話もいろいろ聞いたんですけれども、周りの人方は、秋田県ばかりじゃない、余り慌てない方がいいと思うんですよ。  ここに会計検査院からの報告があって、農商工連携事業は達成率は四・八%だが、農業主導型の、農業法人が主導するものだって二一%だとかとなっています。六次産業化で、機械とかそういうのは半分ぐらいは補助金出しながらやっていると。秋田県のブドウジュース作るところの工場を見に行ったら、ブドウジュース作るんだけれども、この機械、二か月しか使えないんですよと。リンゴジュース作りたい、何々ジュース作りたい、作れないんですよと。そういう物すごく硬直的な補助金なんですね。  そういうことを含めて、慌てずにもっと人材育成してやるというふうなことを考えてみたらいかがですか。
  140. 櫻庭英悦

    政府参考人櫻庭英悦君) 委員の今御指摘ございましたけれども、農林水産業の六次産業化というのは、先ほど大臣からもありましたけれども、単なる原材料供給だけじゃなくて、加工あるいは販売にも一次産業の方が手を出していく、取り組むということで、所得向上にはつながる、最短の道だと思っております。  しかしながら、今委員が御指摘のとおり、認定事業者からは事業展開に当たっての困ったこと、課題というのも我々は伺っております。一つ目は、やはり商品を作ったけど販路がない、販路開拓に困っている、あるいは、新しい商品を企画したいんだけど、原料はあるけどどういうものを作っていいか分からない、そして三つ目には、加工技術をどうやって習得すればいいのかと、るる課題をいただいているところでございます。  私どもとすれば、一番現場に近い都道府県段階、あるいは高度なものは中央段階に一貫したサポートを行う、アドバイスを行う六次産業化プランナー、これを置いたり、あるいはネットワーク活動交付金、そういったものを通じまして、じっくり育てながら農家の目線で一緒になって対応していきたい、必要な支援をしていきたいという具合に考えておるところでございます。
  141. 寺田典城

    ○寺田典城君 農林省と櫻庭局長も頑張ってください。替わります、これで。  どうもありがとうございました。
  142. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 維新の党、藤巻です。よろしくお願いいたします。  今日は七分という短い時間ですけれども、西川大臣是非為替のことについてお聞きしたいと思っております。農林大臣でありながらなぜ為替かといいますと、先ほど若林委員の方からも聞かれましたときに日本の農業が衰退した理由を幾つかおっしゃっていましたけれども、為替が入っていないんですよね。  私は、日本の農業が衰退した最大の理由は円高のせいだと思っているわけですね。需給の問題おっしゃっていましたけれども、先ほど大臣徳永委員のときかな、農産物、昔は十一兆数千億出ていたのが今は八兆何千億とかおっしゃっていましたね。これは別に日本人がダイエットを始めたわけじゃなくて、その分はきっと外国から入ってきているわけですよ。外国からなぜ入ってきたかというと、当然、円高で外国の製品が安くなって、日本の農産物が競争できなくなったから外国からたくさん入ってくるんじゃないかと思うんですよね。  これ、例えば私が沖縄へ行ったときに、二十年ぐらい前だったかな、サトウキビ畑たくさんあったのに、これが物すごく減ったなと思ったのは、これはひとえにやっぱり円高のせいかと。補助金が出ているから多少はもっているのかもしれませんけれども、円高のせいで日本の砂糖は競争力ないわけですよね。ちょっと極端な例ですけれども、例えば百グラム一ドルだったとしますけれども、一ドル三百六十円時代は百グラム一ドルのお砂糖って三百六十円したわけですね、外国産の。でも、九十円時代、平成二十五年のこのときだったら八十円台ですから、八十円で外国の砂糖を買えちゃうんですね。昔三百六十円した外国の砂糖が今八十円じゃ、これじゃ沖縄の砂糖なんか競争できるわけないわけですよ。  ということは、やっぱり農業が衰退した最大の問題、競争力をとおっしゃっていましたけれども、それは競争力というのは外国産との競争が一番の大きい競争だと思うんですが、そういう認識が農水省に今まであったのかどうかということをまずはお聞きしたいと思います。
  143. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今、為替の話をいただきました。  それで、確かに、輸入のときは、円高であればそれはどんどん競争力、日本の方が弱くなると、これはもう事実だと思います。一方、輸出の方も今一生懸命やっておりますけれど、輸出は今は円建てでいけと。八割弱が円建てで輸出しておりますので為替の影響が余りないのではないかと思いますが、それは当然、貨幣価値の話ですから、当然影響があると思いますが、それも考えてこれからよく分析してみたいと思います。
  144. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本の農業にとってみれば当然もう輸入の方がむちゃくちゃに多いわけですから、やはり円高が日本農業にダメージを与えているというのは事実だと思うんですね。私は、やっぱりそんなに重要なものであるならば農水省が先頭を切って円高防止と旗を振らなくちゃいけなかったと思うんですよ。  というのは、二〇〇〇年の最初の頃というのは、アメリカの農業団体って、ドル安を、ドル安をといってストライキやりましたよ。私は金融界にいましたけど、それが日本のマスコミにも出て、実際ドル下がっていっちゃったんですから。私は、日本の農業団体が円安をと聞いたことは一回もないんですよね。なぜそういうこと、農水省としても、補助金を取れ、取れじゃなくて、先頭に立って円安をと言うべきだと、圧力団体として言うべきだと私は思うんですね。  例えば、そのほかにも、一九八五年のプラザ合意ですけれども、プラザ合意のときというのは、あれ、ベーカー財務長官が、ドル高でアメリカの農業は駄目になったから円安をというふうに来た、これは非常に大きい要因だったんですから。要するに、政治を動かしても通貨を動かしてきて自分たちの国の農家を守っているわけですよ。それほど重要な為替問題を全く触れずに来ているわけ、農水省、日本はね。それはやっぱり認識不足であって、為替は動かせるんです。これは私は、三十年いた実務家として私は動かせると言っていますから、そういうことも聞かないで動かないものだと思って、与件だと思って政策を取るのは間違いじゃないかと私は思っているわけです。  例えば、それからTPP問題にしても、確かにこの平成二十五年度決算、今日は今回審議するんですけど、あのときに、予算を作った段階って一ドル八十円ぐらいなんですよ。ということは、百二十円ですから、外国の農産物って約五割アップなんですよ。この平成二十五年度決算のとき、二十五年と比べて今五割アップ。ということは、TPPが入れて五〇%の関税をやめて五〇%安くなったとしても、この五〇%円安になっているからチャラなんですよ。  だから、例えばTPPでいろんな、うちの寺田委員が申しましたように、これはTPP、どうしても受け入れざるを得ない、パッケージだからと言うのであるならば、その代わりにアメリカに向かって、じゃ円安認めろよと言えばいいじゃないですか。よっぽど農業いいですよ、本当に。百二十円が二百四十円になれば、これ二倍、関税、二〇〇%の関税なくした、いや、一〇〇%か、関税なくしたと同じなんですから。  だから、それは交渉の問題であって、確かにTPP、うちは農業が大変なことになるんだから、じゃ円安認めろよと、そういう交渉だってできるはずなんですけど、それこそまさに一番農家にとって最大の守るべき分野、要するに、外国の値段が、外国産農産物、二倍になればいいんですから、日本製品売れるんだから。だから、そういうことを先頭として、農水省が先頭にしてやるべきだと思うんですが、その見解はいかがでしょうか。
  145. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 御意見は承りました。ただ、為替の問題は、政府がこれは言及するわけにはいきません。  それから、円高と円安で、輸入する人はそれは円高の方がいいのは決まっているんですね、餌買うとき。しかし、今度、日本との競争力の中で、安く買ってきてしまったから日本の飼料作物に与える影響があると、これも事実でしょうから、どういう状況が一番いいのかということを今日はせっかく御提言をもらったので研究してみたいと思います。
  146. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 今日の私の質問の目的は、別にあれこれ言うことよりも、農林水産省が為替というのは極めて重要だということを認識していただいて、農水省が旗を振って農家のために円安をするという圧力団体になっていただきたいと。これは誰かがプレッシャーを掛けないと動かないのでね。私は金融界に長年いた者として、為替は動かせるんですから、国力と為替のレベルが同じだったら駄目なんですけど、今は国力に比べて円がむちゃくちゃに強いと思うのでこれは動かせると確信していますので、是非いろんなことを言って、財務省にプレッシャーを掛けて考えろと言えばいいわけであって、それを是非お願いしたいと思って、質問を終わります。  ありがとうございました。
  147. 田村智子

    田村智子君 日本共産党の田村智子です。  一月末から二月初めにかけて、TPP交渉参加十二か国による首席交渉官会合、さらに日米の実務者協議が行われ、マスコミは一斉に、二月中に日米協議がまとまり、三月にも十二か国の大筋合意かと報道しています。甘利TPP担当大臣も二月三日の記者会見で、春の早いうちに十二か国の閣僚会合が持てることが望ましい、その逆算のスケジュールでいければより良い段取りが持てると思いますと述べられました。  TPP交渉は、アメリカと新興国の隔たりはいまだ大きく、短期に合意ができるような状況にはないと思います。なぜ日本が合意を急ぐのですか。
  148. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。  TPPは、物のやり取り、貿易だけではなくて、サービス、投資、さらには知的財産、金融サービス、電子商取引あるいは国有企業の規律、こういった幅広い分野で二十一世紀型の新しい経済取引のルールを作っていこうということでありますので、日本にとりましては、成長特に著しいアジア太平洋地域においてしっかりと利益を確保していく、いわゆるバリューチェーンをつくり出していくということで、非常に大きな意味があるというふうに考えております。  また、TPPも含めて、アジアで議論されておりますRCEPとか日中韓のFTAの取組等、こうしたことも含めて日本の国益にかなう高いレベルの経済連携交渉を戦略的かつスピードを持って推進していくということが、我が国の成長のため、成長戦略の大きな柱の一つというふうに認識をいたしております。  したがいまして、関係国とも協議しながら、協力しながら、早期妥結に全力を尽くしているところでございます。
  149. 田村智子

    田村智子君 今の御説明を聞いても、特段、二月中にまとめたり、春のうちにとか、早く日本がこの協議まとめなければならないという事情は、これ私は分からないんですよ。事情があるのは明らかにアメリカですよね。来年はアメリカ大統領選挙で、TPP合意をオバマ大統領の実績にしたいと。秋の米国議会で承認を得るには、十二か国の合意は春がタイムリミットだと言われています。この米国の事情に合わせるような拙速な交渉は、これ絶対に認められないわけです。  しかも、この日米合意を急ぐ余り、豚肉、牛肉の関税大幅引下げ、米の輸入拡大など、アメリカ側の要求に次々と譲歩しているのではないかと、報道を見ればそう思わざるを得ないわけです。  事実、甘利大臣は一月二十七日の記者会見で、米の輸入枠について、一粒も増やすなということは不可能だと明言をされました。これはどういう意味ですか。甘利大臣の言う一粒というのは何万トンのことですか。
  150. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。  日本としては、昨年から、そして今年に入っても、できるだけ早くに日本の国益を実現する形で、守るべきものは守り、攻めるべきは攻め、そういう方針でできるだけ早く妥結をしようということで臨んできております。それの中で、アメリカの政治日程も含めてそういう機運が盛り上がっているということは事実であろうというふうに思います。  その上で、日米間の協議につきましては、米の問題も含めてまだ多くの課題が残っております。現在、日米でその課題についていかに間合いを詰めることが可能かどうか着地点をめぐって議論を、交渉を重ねているところでございまして、甘利大臣の発言はそのような趣旨で、そのような状況の中で述べたものというふうに認識をいたしております。  いずれにしましても、米は最大のセンシティブな品目であることは私ども十分に承知をしておりますし、国会決議もよく認識をしておりますので、国益にかなう最善の道を追求し、最大限努力をしていきたいというふうに考えております。
  151. 田村智子

    田村智子君 これは一粒なんという単位はあり得ないわけで、何万トンという単位でしかあり得ないんですよ。そういう発言を甘利大臣はされていると。ミニマムアクセス米七十七万トンとは別に、特別枠で五万トン程度、関税ゼロあるいは低い税率でアメリカ産の米を輸入する方向だと、マスコミはこう報じています。  農水大臣、午前中の民主党徳永委員の質問に、主食用米の追加輸入は考えていないと明言をされました。ミニマムアクセス米とは別枠輸入、これ自体が大問題で、これがあり得ないと明言していただきたいと思いますが、いかがですか。
  152. 西川公也

    国務大臣西川公也君) ミニマムアクセス米七十七万トン、そのうちアメリカの割当てが大体半分で来ていますね。それで主食は僅かだと、こういう状況が現況かと思います。  それで、私が先ほど申し上げたのは、昨年の秋のこの米価下落の問題が物すごく大きな問題で、農家の方々に大変心配を掛けました。そういう状況のときに、主食用の米を輸入云々なんていう議論すら私は非常に農家の皆さんの心配をあおることになる、だから、この交渉の中で農林水産省としては、主食用の米については慎重な上にも慎重に交渉していただいて、私どもは日本の主食用のバランスが崩れるような方策は取らないと、こういう意味で申し上げたところでございます。
  153. 田村智子

    田村智子君 これ、そうすると、特別枠ということを拒否されないという答弁に聞こえますよね。  国産の米、確かに大臣言われるとおり、今や四十年前の価格に戻るほどの暴落に昨年秋なってしまいました。私も千葉県の農家の方々にお話をお聞きしましたが、肥料代も払えないと、今年何とかしのいでも、同じことが続いたらもうやっていけないと。極めて深刻な事態です。  二〇一三年度決算では、ミニマムアクセス米の購入は七十一万トン、売却は六十九万トン。過去五年を見ても、一年に七十万トンを超える購入、八十万トンを超える売却で、しかもその売却のほとんどは国内です。主食用、僅かだと言いましたが毎年十万トン、加工用で二十から三十万、飼料用三十万から四十万トンと、こうなっているわけです。  これ、ミニマムアクセスというのは、元々、ここまでは関税ゼロで輸入の機会があるよというものであって、そこまで輸入しなくていいんですよね。しかし、日本政府は言わばその上限に張り付くような輸入と国内の売却ということ、ほとんど国内売却ですから、これ続けてきているんですよ。  当然農家から、供給過剰だといいながらなぜ輸入量を減らさないのかと怒りの声が上がるわけです。その上、ミニマムアクセスと別枠で米を輸入し売却をしたら、国産米の米価、主食用もそうですけど、飼料用、加工用含めてですよ、これ下落するということになるんじゃないですか。
  154. 佐藤英道

    大臣政務官(佐藤英道君) TPP交渉につきましては、全体をパッケージとして交渉しており、何ら確定しているものではなく、仮定の質問にはお答えできないこと、御理解を賜りたく存じますが、米については、ただいま大臣から発言があったとおり、慎重が上にも慎重な対応が必要と考えております。引き続き、衆参両院の農林水産委員会決議が守られたとの評価をいただけるよう、政府一体となって交渉に全力を尽くす考えであります。  いずれにしても、TPP交渉いかんにかかわらず、主食用米に対する需要が減少傾向にある中で米の需給と価格の安定を図っていくためには、今後とも主食用米から飼料米等への転換を進めることが極めて必要であると考えているところです。
  155. 田村智子

    田村智子君 答えになっていないんですよね。  今、報道では、輸入拡大で供給過剰となる分、政府が国産米の買取りを増やすことも検討しているんだということも言われています。昨年秋、米価が暴落したとき、農家の皆さんは緊急対策として政府の買入れを求めましたが、政府はこれを拒否しました。ところが、アメリカからの輸入拡大のためには買取りをするという、こんな議論があるとしたら、もう本末転倒、支離滅裂ですよ。絶対認められない。  西川農水大臣は一月十四日の参議院農水委員会で、衆参の農林水産委員会の決議を守り抜いたと評価をいただけなければ、TPPの交渉は幾ら合意をしても効力を発しないと答弁をされています。  決議には、もう皆さん御存じのとおり、米を筆頭に、重要品目は交渉対象からの除外又は再協議の対象とすること、十年を超える期間を掛けた段階的な関税撤廃も含め認めないこと、重要五品目などの聖域の確保を最優先し、これが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすることとあるわけです。当然自民党を含めた全会一致の決議です。  一粒も増やすなというのは不可能だという大臣の発言、ミニマムアクセスを超えた輸入などはこの決議からはあり得ません。こんな要求をのまなければならないのならば、交渉からの脱退しかないと思いますが、大臣、いかがですか、西川大臣
  156. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 私どもはTPPに参加をいたしました。その中で、国益を守って、成長著しい国々と一緒になって日本経済を更に活性化させていこうと、こういう考え方があるのも事実です。そういうことで参加をいたしました。  その中でも、重要五品目を守り、日本の農業に影響を与えないと、ここを交渉の私どもは最大の課題としてやっておりますし、また、さきに、一月十五日に効力を発生した日豪のEPAにおいても同様の文章の国会決議をいただきました。この日豪のEPAは、残念ながら共産党さんだけは反対でありましたが、ほかの皆さんは賛成をいただけたということで、国会の皆さんに御評価をいただけたと、こういうことであります。  今度のTPPも国会で審議をいただき、評価をいただかなければ、これは効力を発生しない、そういうのは当たり前のことでありまして、国会の皆さんの御評価がいただけるような交渉にしてまいりたいと、こう考えております。
  157. 田村智子

    田村智子君 米は交渉対象からの除外とまで決議に書いてあって、何で一粒も増やすななんてことは不可能だという発言が担当大臣から出てくるのか。全くおかしいですよ。農水大臣も御自分の国会での答弁に是非責任を持っていただきたいと思うんですね。  先ほどの委員会で大臣はこういう答弁もされています。日本側としてはアメリカに対して譲るつもりはありません、期限も切らずにしっかり待ち続けながら交渉をして、日本の農林水産業に悪影響を及ぼさないと、こういう判断をいただけるような形になるまで私どもは交渉をしっかりやっていきたいと。報道では譲りっ放しの情報しか出てこないわけですよ、米の特別枠とかね、そういう話とか。こんな報道がある中で、二月中の日米合意なんかあり得ないです。大臣言われるとおり、アメリカが下りてくるまで待つと大臣言われているわけですから。  これ、二月中の合意なんてあり得ない、これは少なくとも明言していただきたいと思いますが、いかがですか。
  158. 西川公也

    国務大臣西川公也君) この交渉は、日本側は甘利大臣でありますから、甘利大臣が私どもの考え方をよく聞いていただいて交渉してくれると思っておりますし、交渉のことについては、期限については切るわけにいきませんので、そこの部分はお答えいたしません。
  159. 田村智子

    田村智子君 決議を守り抜くということの意味を本当によく考えていただきたい。決議をもう一度よく読んで考えていただきたい。今後、また農水委員会で我が党も質問していきたいと思います。  今日は次の問題に移ります。里山などの環境保全について質問します。  東京都の稲城市で、民間の区画整理事業として南山という里山を切り崩して、その土砂で隣接する谷、根方谷戸というところを埋め立てて盛土をするという計画があります。これは十四戸の住宅のすぐ後ろに高さ四十メートルの盛土が造られることになってしまい、計画の中止や見直しを求める運動が粘り強く続けられています。  この根方谷戸には絶滅危惧種のトウキョウサンショウウオが生息をしています。これは両生類で、水辺に産卵をして繁殖をする体長十センチほどの小さな生物です。東京都の環境影響調査では、生息域をほかに確保するなど適切な対処が講じられているとされましたが、その実態は、根方谷戸でトウキョウサンショウウオを捕まえて別の場所に移すと。その別の場所の林というのは水辺がないものですから、行く行くは人工池を造るということになっているんですけど、今は金魚すくいで使うようなプラスチックのおけを置いてあるだけというものなんです。それで、二〇〇七年からの五年間で一千三百三十二の個体を捕まえて移しましたが、生存が確認できているのは僅か六十五個体だということなんですね。  環境大臣、これは生物多様性の確保ということに矛盾するようなやり方じゃないかと思いますが、感想でも構いません、お願いします。
  160. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 本事業計画でありますけれども、東京都の環境影響評価条例に基づいて環境影響評価がされたものと伺っております。  環境大臣として、これ東京都のことになっておりますので、コメントする立場ではございません。しかしながら、我々環境省としては、今お話ございましたように、生物多様性の保全、これは大変重要なことだと思っております。開発に際しては絶滅危惧種の保全等の配慮が必要であると我々認識をしております。この事例についても、条例による環境影響評価の結果に基づき適切な対処がなされるべきものと考えております。
  161. 田村智子

    田村智子君 適切な対処がなされていないと私は思っているんですけれども。  これはトウキョウサンショウウオだけじゃなく、ここは問題が大きくて、この根方谷戸というのは、一九五八年の狩野川台風で大崩壊をして広範囲に水害をもたらしたことから、斜面が保安林に指定をされて、十か所が砂防ダム造られています。埋め立てるにはこの保安林指定の解除が必要で、区画整理組合は東京都に今解除の申請を提出しているというふうに聞いています。  一般論としてお聞きをしますが、保安林の解除というのはどのような場合に行えるのか、端的にお願いします。
  162. 今井敏

    政府参考人(今井敏君) 一般論としての保安林の解除要件についてのお尋ねでございます。  保安林制度につきましては、森林法に基づきまして、水源の涵養ですとか災害の防止などの公共目的を達成するために重要な森林を保安林として指定して保全を図る、そういう制度でございます。そうした保安林の公共性に鑑みまして、農林水産大臣による保安林の解除は、森林法第二十六条の規定がございまして、そこでは、指定理由が消滅したときと公益上の理由により必要が生じたとき、この二つに限定しているところでございます。
  163. 田村智子

    田村智子君 そもそも公共事業でもない区画整理事業ですから、これは公益上の理由があるとは私は到底言えないと思っています。  根方谷戸の埋立てについて、私は実は二〇一〇年の行政監視委員会でも取り上げまして、その当時の計画では埋立地五・六ヘクタールは事業保留地というふうにされていましたが、私の質問後、人工緑地にして稲城市に無償提供をするという計画変更が行われたんです。この方が、市への無償提供ですから公益性の理由が発生すると思ったのか、保安林の解除の承認が得られやすくなると考えての変更ではないのかという指摘もあるわけですが、そもそもの自然緑地である谷戸を埋め立てて人工の緑地を造るということに、これは公益性があるとは到底考えられません。  また、南山の土砂というのは稲城砂と呼ばれていて、大変崩れやすい性質であることも分かっています。隣接する川崎市でこの土砂を受け入れる計画がありましたが、市議会でも問題となって稲城砂の受入れは撤回をされています。しかし、東京都と稲城市は盛土にこれを使用しても大丈夫だと。その根拠となる基準は、毎時六十ミリメートルの降水量、耐震強度は二百四十五ガルなんですが、昨年広島で発生した土石流災害を見ても、その降水量は毎時百二十ミリメートルでした。また近年、二百四十五ガルを超える地震が発生しているというのはもう御承知のとおりだと思います。  根方谷戸の保安林解除、これ、こうしたことを考えると私はすべきではないということをこの場でも申し上げたいと思いますし、東京都から国に申請があった場合に、是非、住民からこのように出されている懸念を踏まえて厳正な審査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  164. 今井敏

    政府参考人(今井敏君) 御質問のあった案件につきましては、現時点ではまだ国の方に申請書が届いておりませんので、今後の取扱いについて具体的にお答えすることができませんけれども、今後、本件保安林の解除申請書が国に進達された場合には、森林法に基づきまして保安林指定目的の確保の観点から適正かつ厳正に審査を行う考えでございます。
  165. 田村智子

    田村智子君 次に、メガソーラーの設置に伴う森林伐採や大規模開発についてお聞きします。  再生可能エネルギーの開発と普及というのは大変重要な課題ですけれども、この発電所の建設が環境破壊を引き起こすということになれば、これは再生可能という目的からも逸脱することになると思います。  今、山梨県では、民間事業者が次々とメガソーラー建設計画を進めていて、県が把握しているだけでもその総面積は県の面積の〇・二%、一千七十七ヘクタール。これは、県内に昭和町という自治体があるんですけれども、この町全部の面積よりも広くなってしまうということなんですね。  山梨県がまとめた事例を資料として配付しました。ちょっとカラーでなくて見にくくて申し訳ないです。  鳴沢村に九十三ヘクタール、ここは富士山麓の国立公園の敷地内で、ここに自然林に大きな穴が空くような開発となってしまいます。資料の二ページ目ですね。それから、甲斐市菖蒲沢地区、二十九ヘクタールのメガソーラーを隣接させて四か所造ると。これ百十三ヘクタールに上ります。身延町下八木沢地区では急傾斜地に十三ヘクタール、ここは崩壊土砂流出危険地区なんですけれども、既に二ヘクタールが無断伐採されていることが分かっています。八ケ岳山麓の北杜市小淵沢町、ここにも二ヘクタール、別荘地で、これ隣接して既にメガソーラーが次々と設置されていて、騒音の問題など住民とのあつれきが深刻なものになっています。また、甲府市善光寺山門付近の傾斜地一・六五ヘクタール、この開発地の真下は保安林で、その下の地域は土砂災害の特別警戒地区に指定をされています。これらの地域では住民への説明もないままに突然大規模な開発が行われ、不安や反対の声が今急速に広がっています。  環境大臣、こうした大規模な森林伐採を伴うような開発、これは生物多様性やあるいはCO2削減の方向と矛盾することになるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  166. 塚本瑞天

    政府参考人(塚本瑞天君) 大規模な太陽光発電施設を始め大規模な開発行為については、生物多様性に十分配慮することが重要と考えています。  大規模な太陽光発電施設を建設する場合、国立公園や国定公園内では自然公園法による開発規制があります。また、自治体によっては条例等による対応を進めているところもございます。  国立公園あるいは国定公園内に関しましては、大規模太陽光発電施設に関する検討委員会を開催いたしまして、昨日、最終回で基本的考え方を取りまとめていただいたところでございます。この検討会では、国立公園それから国定公園が優れた自然の風景地であり、特に樹林地や自然草地などは生物多様性の保全上重要であることから、その立地から除外すべきだというような意見が出されております。また、これらの点を国立公園、国定公園の特別地域における審査の基準に明確に位置付けること、そして、国立公園、国定公園の普通地域においても届出を義務付けるべきであるとの御提案をいただきました。これを受けて、自然公園法の省令を速やかに改正する予定でございます。
  167. 田村智子

    田村智子君 これ、国立や国定公園での規制というのは是非急いでほしいんですけれども、自然の森林や自然の草地、草の部分ですね、こういうところを開発するというのは、それ以外の地域でもやはり深刻な実態をもたらしてしまうと思うんです。ところが、現状では自治体の条例で規制を掛けるしかないということで、新しく起きている問題ですから、これ自治体の方も追い付いていないというのが現状だと思います。  山梨県の条例を見ますと、環境アセスの対象は三十ヘクタール以上の大規模開発とされていて、先ほど甲斐市の事例を紹介しましたが、二十九ヘクタールなんですよね。これを複数造るんですよ。合わせれば超えるんだけど、ぎりぎりでやって環境アセスからも擦り抜けると、こういうやり方が行われているわけです。  山梨県は、発電設備認定時に地方公共団体が関与できる仕組みの創設をしてほしいと、資料の一ページにありますけれども、このように国に求めています。これは、発電設備としての認定というのは経済産業省の管轄で、事業者からの建設計画というのもまず経済産業省が把握をしているわけです。自治体がその計画を把握し適切に対応できるような仕組み、これ早急に必要です。加えて、それだけでは住民の合意には必ずしもつながらない。だから、住民にも建設計画の情報が伝わるような仕組み、これは急いで検討することが必要だと思いますが、経済産業省、お願いします。
  168. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) まず、メガソーラーなどの再生可能エネルギーによる発電事業につきましては、地域住民の御理解を十分得ながら、自然環境などと調和を図りながら進めていくことが重要であると認識してございます。  このため、私どもの固定価格買取り制度の法律のまず運用といたしましても、土地の造成、あるいはその施工の前に経済産業大臣の認定がございますけれども、そこで事業実施に必要な関係法令、例えば自然公園法でございますとか森林法でございますとか、条例もございます。そういったものの手続の状況をまず提出させた上で、認定案件の詳細情報とともに発電設備が立地する地方公共団体に提供していく予定にしてございます。  また、固定価格買取り制度の地方自治体の関与の在り方につきましては、一部の事務、権限の地方への移譲も含めまして、本年中に結論を得るべく検討を行う予定にしてございます。  他方、メガソーラーの開発におけまして、環境保全あるいは土地利用の調整につきましては、こうしたことを目的とする法令あるいは条例により対処されるということがまずはやはり基本ではなかろうかなというふうに思ってございます。  地域の実情を踏まえて住民自治の観点から柔軟な対処を行うという観点から、固定価格買取り制度の中で一義的に何かを義務付けていくということにはやはり慎重な検討を要するものというふうには考えてございまして、さきに申し上げました取組を通じまして地方公共団体と連携をまずは深めながら、再生可能エネルギーの調和の取れた導入を目指してまいりたいと考えてございます。
  169. 田村智子

    田村智子君 甲府市善光寺地区の開発については、我が党の県議が事業者からの説明を受けました。この事業者は、開発地のすぐ下が特別警戒区域であることも認識していなかったと。住民説明会をこの県議が求めますと、寝た子を起こすからできないと拒否をし、土石流などの懸念を指摘すると、法律には抵触していない、災害が起きても私たちの責任ではないと開き直ると。県議は現地に入れたんですけれども、写真撮影も駄目だ、地域住民や専門家の同行も認められなかったと。  実は、地元に土木工学や防災の研究者が住んでおられまして、この地域についてこう述べておられるんですね。斜面の保水能力は大いに低下し、斜面崩壊が早まるでしょうと、更に恐ろしいのは深層崩壊に至ることだと、こういう危険性を指摘をしているわけです。  保安林への影響の調査とか、その保安林含む山腹、この保全を視野に入れた対策や規制、これは農水省としても検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  170. 佐藤英道

    大臣政務官(佐藤英道君) 御指摘のとおり、森林は国土の保全や水源の涵養等の公益的機能を有しておりまして、これらの機能を持続的かつ高度に発揮させることが重要であると認識しております。  このため、森林法に基づき、水源の涵養、災害の防止等の目的を達成する上で特に重要な森林を保安林に指定し、一定の伐採、転用規制等を課しているところでございます。また、保安林以外の民有林につきましては、森林法に基づき、森林の有する災害の防止等の公益的機能を阻害しないよう、一ヘクタールを超える開発行為を都道府県知事による許可制としているところであります。  農林水産省としては、森林の有する公益的機能の確保等の観点から、保安林以外の民有林についても開発許可制度の適切な運用が図られるよう、都道府県への指導をしっかりと行ってまいります。
  171. 田村智子

    田村智子君 これ、原発や化石エネルギーに代わる再生可能エネルギーというのは本当に大切だと思いますが、環境保全と両立しながら開発されるように、無秩序な大規模開発への規制の仕組みというのを是非とも自治体とも協力して検討してほしいと思います。  最後、一問だけ、都市農業の振興について一問だけお聞きしたいんですけれども、今、都市の農業って大変役割が見直されていて、防災とか子供たちの農業体験とか、地域住民の農地利用、温暖化対策、様々な果たしている役割は大きいと思います。大量消費地への新鮮な野菜の提供ということもあると思います。しかし、都市計画法では十年以内に市街化すべき地域という位置付けのままで、税負担の問題なども様々に起きているわけですね。  是非、私は、市街化区域の農地の役割、これ、都市計画法にも位置付けるとか、固定資産税は現に農地として使用されているならばこれは宅地並み課税ではなく農地課税にするとか、相続税についても検討するとか、こういうことが必要だと思いますが、是非その検討を今こそ進めるときだということに一言前向きなお答えをいただければと思います。
  172. 佐藤英道

    大臣政務官(佐藤英道君) 現行の都市計画制度では、市街化区域内の農地は十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき土地と位置付けられているところであります。人口の減少など我が国の社会、経済が大きな変化を迎えている中、このような市街化区域内農地位置付けについては確かに見直しを求める声が高まってきているのも事実でございます。  このような状況を踏まえまして、平成二十七年度予算におきましては、都市農業に関する制度について調査検討を行う事業の創設を盛り込みをさせていただいたところでございます。  土地利用の規制や税制は多数の国民の利害に大きく関わるものであり、その見直しについては多くの課題もあるのも事実であります。今後とも、国土交通省、関係省庁と連携し、都市農業の振興等に向けて幅広い観点から検討してまいります。
  173. 田村智子

    田村智子君 終わります。
  174. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。  本日は、平成二十五年度決算関連ということで、これまでの農政と、それから厚生労働行政における農薬の問題を少し取り上げたいというふうに思っております。  お手元に、早速なんですが、ちょっと資料をお配りさせていただいていますので、資料一というのを見ていただきたいんですが、実はこれ、農薬を原因とする蜜蜂の大量死と、こういう現象を写真で撮っているものであります。  実はこれは、農水省の独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構が実際にそのホームページの中で平成二十六年七月十八日に公開、プレスリリースしたものであります。まさに巣箱の前で蜜蜂の死骸が大量に積み上がっているところでありまして、これを巣門前の蜜蜂のへい死というふうに呼ぶそうであります。そういう専門の言葉すらあると。プレスリリースによれば、蜜蜂が収集した花だんごからもネオニコチノイド系の農薬が検出されまして、周辺の水田における同農薬の散布が原因の可能性が高いと実は断定をしております。  このネオニコチノイド系の農薬に関しましては、お隣の国韓国又はEUにおいても実は安全性に問題があるとして使用制限をして、今調査を行っていると。ただ、日本はそういった制限が実はありません。そういった意味で、本当に人間にも影響がないのか、こういったことがやっぱり懸念されておりまして、昨今、蜜蜂と農薬、また農薬と人間との関係ということが少し話題になっております。  一方、私の手元の中には実は岐阜県の蜜蜂養蜂農家さんからの資料がありまして、ある養蜂農家がかなりなこれによる損害を得ていると。平成二十三年に五百万匹、平成二十四年は百万匹、二十五年は四百六十万匹が死滅して、三年間で一千四百万以上の損害があったと、こういう報告も実はいただいております。  こういう状況下において、西川農水大臣にお伺いしたいんですが、このような全国の蜜蜂大量死とネオニコチノイド農薬の因果関係に関してどう認識されているか、お答えください。
  175. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 我が国では、欧米で報告されているような女王蜂や幼虫だけを残して働き蜂がいなくなるいわゆる蜂群崩壊症候群はこれまでのところ報告はされておりません。平成二十五年度から実施している被害事例調査では、蜜蜂被害は水稲のカメムシ防除に使用した殺虫剤を直接浴びたことが原因の可能性があることが明らかになりました。  このことを踏まえまして、当面の対策として、蜜蜂が殺虫剤を浴びないように農家と養蜂家の間で情報を共有し、巣箱の設置を避けるなどの対策を講じるよう指導するとともに、二十六年度の被害状況を調査しているところであります。ネオニコチノイド系農薬は水稲のカメムシ防除のために重要であり、他の殺虫剤に比べ人や水生生物に対する毒性が弱いことなどから、現時点では蜜蜂の被害ができるだけ生じないように使用していくことが適当と考えております。  引き続き、蜜蜂の被害事例調査あるいは試験研究機関による研究を実施し、それらの情報を踏まえて指導の見直しを行うとともに、必要に応じ農薬の使用方法の変更も検討してまいりたいと考えております。
  176. 山田太郎

    山田太郎君 この問題は決して蜜蜂の死の問題だけではないと、人間に対する影響もあるのではないかという危惧があると思っているんですね。  そんな中で、実は農水省さんも、昨年の十一月十八日、私が同じような質問を大臣にさせていただいたんですが、平成二十五年四月二十六日に実は住宅地等における農薬使用に関してという通達が出ています。  このときの私の質問では、この通達は出しっ放しではなくて、どれぐらい周知徹底がされているかということをきちっと調べてくださいということに対していろんなお答えをいただいています。もう一方、このネオニコチノイド系農薬の危険に関して、実は岐阜県の各務原市の市議の杉山元則市議という方が議会で質問をしたら、その質問をしただけで問責をされてしまったというぐらいな事件等も現場では起こっておりまして、こういうふうに私が聞きましたら、その二つのことに関しては前向きにきちっと調べて私の事務所に報告をいただくということだったんですが、報告はポストに何らかのこういうところに設置の場所をつくったという紙だけが入れられていたという状況でありまして、私の認識としてはいまだ御報告をいただいていないという状況なんですが、大臣、いかがですか。
  177. 西川公也

    国務大臣西川公也君) しっかり報告をするようにと、こういうことを指示しておきましたが、きっと事務所の留守等の関係でうまく連絡がつながらなかったかと思いますので、再度指示をいたします。  それで、この住宅地の農薬使用でありますが、農水省では平成二十五年四月に環境省とともに都道府県に対し通知を発出しました。学校、公園、住宅地周辺等において農薬を使用する者が守るべき事項の周知や周辺住民等からの相談窓口の設置などを指導してきたところであります。その結果、全ての都道府県で相談窓口の設置は行われたと、設置されたというところであります。また、各都道府県では農薬使用者に対して農薬の適正使用に関する指導を行っており、私の住む栃木県ではゴルフ場関係者、造園業者を対象とした農薬使用の研修会を新たに開催していると、こういう報告もありました。  農林水産省としましては、住宅地等における農薬使用については、都道府県担当者のブロック会議等で取組の更なる推進を指導してまいります。  各務原もお答えいたしますか。よろしいですか。
  178. 山田太郎

    山田太郎君 はい、簡単に。
  179. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 各務原の問題でありますが、本件は市議会において議決されたものであると承知しております。地方議会における決議でありますので、国の立場として所見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  180. 山田太郎

    山田太郎君 今の大臣の答弁だと、窓口機関をつくったから周知徹底されていると。これがいわゆる今政府の農薬に対する考え方なのかということは、私は大変驚きなんですね。  実は農林水産省さんは、自らこの蜜蜂被害の問題は重大だと多分考えたんでしょう。平成二十五年五月三十日に消費・安全局農産安全管理課長の名前で、もう一つの調査を三年間にわたってやるということをやっているんですよ。その中の中間報告が一年についてだけまとめられまして、六十九件のいわゆる被害報告というか報告事例がありまして、その中でも、実は農水省さんがもうはっきり書いているんですが、二〇%は農薬使用者側から住民への説明等がなかったと、あるいは説明をしたんだけれどということに関しても、そのうちの三〇%は住民は認識していなかったとはっきり報告書の方ではうたっているわけですよね。  こういう状況下の中で、実際には周知徹底はされていないんじゃないかというようなことを知った上で、単にいわゆる事務所と窓口を置いたということだけでは、決して農水省さんがこの以前出した通達を現場できちっと守らせているとは思えないんですね。もう一度、大臣、お答えください。
  181. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 今の報告の件は、二十五年六月の農水省の蜜蜂被害事例調査中間取りまとめかと思います。  それで、今御指摘がありましたように、中間の取りまとめをやったと。調査の結果、六十九件の被害事例が報告された、こういう報告書でありまして、二〇%で農薬使用者側から養蜂家への農薬使用時期等の情報提供が行われていませんでしたという報告があったと。さらに、その中でも三〇%の養蜂家が情報提供を受けていないと回答していると。これを、私どもの報告書でありますので、これは養蜂家にとっては大切なことでありますので、更に周知徹底が図れるように私どもの職員を督励してまいります。
  182. 山田太郎

    山田太郎君 これは養蜂農家だけの問題じゃなくて、各住民、地域もこんなような状況なのではないかということは危惧されますので、今大臣、前向きな答弁いただきましたので、しっかり周知徹底を数字を持ってやっていただきたいと、設置窓口だけの問題ではないと思いますので、お願いします。  二点目なんですが、またちょっとお手元の資料を見ながらやりたいと思います。  このネオニコチノイド系農薬の一つであるクロチアニジンの農薬の使用拡大申請、つまりクロチアニジンに関してその適用を緩和していこうと、こういう話について少し質疑をしたいんですが。  ちょっとこの表を見ると複雑なんですが、簡単に言いますと、農水省さんの方から厚労省さんに対してそのいわゆる緩和等の基準の変更というか申請がなされて、農水省さんは、これ内閣府の方にある食品安全委員会の方にリスク評価をさせて、それを戻して厚労省さんの方が通達許可をしていく、消費者庁さんからも意見を、あれば回答を求めると、こんなような、いろんな団体が農薬に関してああでもないこうでもないということを政府の中で議論されると思うんですが、その中でちょっと今回、このクロチアニジンに関して農水省さんの方からまさに厚労省さんの方に適用拡大の申請が出されている最中であります。一度パブコメをやって、今二回目のパブコメと。一度目のパブコメが相当反響が大きかったということで、二回目のパブコメになっています。  いろんな内容、時間がないので一端を述べさせていただきますと、お米に関しては、今まで〇・七ppmだった量を一・〇に緩和すると。これEUでは〇・五ということなので、相当、濃度が倍だと。それから、ホウレンソウ類、葉っぱ類に関しては、何と三から四〇ppmに増やそうと。これEUの二十倍という基準にまで緩和しようと、こういうことなんですね。それで、実はかなりそれの緩和が住民の間からも、研究者、専門家の間からも不安視されまして、大丈夫かと、こういう声が寄せられているわけであります。  そんな中で、審査の方法というのは実は二つありまして、簡単に言いますと、ADIというものとARfDというものがあります。ADIというのは何かというと、その人が生涯、毎日その物質を摂取し続けたとしても大丈夫かというチェックを行う検査であります。もう一つがARfDというんですが、これはたくさん一度に食べた場合大丈夫かと。この二つのチェックをするということで通過するはずなんですが、これまで実はARfD、一回たくさん食べたことによって大丈夫かというチェックは項目に入っていなかったんですね。このことは平成二十六年の六月から盛り込まれたということであります。  そこでお聞きしたいんですが、今までこのクロチアニジンの申請に対してARfDの評価はなぜ行わなかったのか、どうして平成二十六年六月から実施に至ったのか、その辺り、厚労副大臣来ていただいていると思いますので、お答えいただけますでしょうか。
  183. 永岡桂子

    ○副大臣(永岡桂子君) 山田委員にお答えいたします。  食品中の農薬の残留基準値につきましては、食品安全委員会が科学的根拠に基づきまして定めております慢性毒性に関する指標でございます、委員おっしゃいますようにADIに基づきまして設定をしてきたところでございます。  他方、国際食品規格等を作成しておりますコーデックス委員会、また欧米におきましては、農薬の慢性毒性に加えまして、急性毒性も考慮をした上で残留基準値を設定してきております。  このような国際的な動向も踏まえまして、我が国といたしましてもARfDを考慮いたしました残留基準値の設定を導入することといたしました。具体的には、食品安全委員会におきまして、平成二十六年の六月以降、昨年でございますが、ARfDの設定を開始いたしまして、また、厚生労働省では平成二十六年十二月以降、ARfDを考慮をいたしました残留基準値の設定に向けた作業を進めてきたところでございます。  今後とも引き続きまして、農林水産省や食品安全委員会と協力いたしまして、順次必要な対応を進めてまいりたいと考えております。
  184. 山田太郎

    山田太郎君 皆さん、もう一つ表を見ていただきたいんですが、これはOECD加盟国の農薬使用量の国際比較ということで、まさに副大臣おっしゃられましたけれども、世界的に見ても日本の農薬の単位当たりの使用量って物すごく多いんですね。韓国の次だというふうに言われておりまして、私も調べてみて、言い方は悪いですが、これは中国並みかというふうに、はっきり、日本のもうちょっと現場は安心、安全なんじゃないかなと思っていたんですが、ちょっと心配になってきたということでお伺いしたいんです。  今副大臣お答えいただいたんですけれども、厚労省さんの方に現場でお伺いしましたら、残留基準の設定の手続は進められているんだけれども、八十七品目今申請中で、そのうち実は六十八品目はARfDを評価していないと。このままでいくとARfDを評価せずに通過して世の中に出てしまうと、こういうことになりかねないと思うんですが、どうして申請中のこの六十八品目に関してARfDをやろうとされないのか、お答えいただけますでしょうか。
  185. 永岡桂子

    ○副大臣(永岡桂子君) 御質問ありがとうございます。  クロチアニジンにつきましては、当時、農薬について我が国におきましてARfDを考慮した残留基準の設定について導入の準備がおおむね整ってきたところでございました。パブリックコメントにおきまして寄せられました御意見の中にこのクロチアニジンの急性的な影響を懸念するものも含まれていたことから、パブリックコメントの意見なども踏まえまして、ARfDを設定することを含めて食品安全委員会に再評価を依頼したものでございます。  一方、農薬の残留基準につきましては、これまで、一日摂取許容量、ADIでございますね、に照らしまして子供や妊婦を含めまして国民の健康に影響が出ないよう設定しておりまして、特に健康被害が生じているとは考えておりませんけれども、いずれにいたしましても、現在、厚生労働省におきまして残留基準の改正の検討作業を行っているほかの農薬の再評価につきましては、その必要も含めまして適切に判断をしてまいりたいと考えております。
  186. 山田太郎

    山田太郎君 全然質問に答えていただいていないんですけれども、もう時間がないので、二つ端的にお答えください。  まず、残っちゃっている六十八品目、今はやっていると言っているわけですよ。六十八品目に関しては、ある時点からなので通過しちゃっていると言っているわけですよ。世の中に出る前にこの六十八品目についてもARfDをやったらどうかというのが御提案というか、これ当然だと思うんですね。  もう一つ大事なことを質問したいと思います。既に出てしまっている農薬です。これに関してもこれからARfDを、いわゆる危険性だとか緊急性のものを比べてやる意思はあるのかどうか。私はやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  187. 永岡桂子

    ○副大臣(永岡桂子君) 現在、残留基準が設定されております農薬は約六百五十品目程度ございます。一度に全ての農薬につきましてARfDを考慮した残留基準を見直すということは大変困難でございますので、関係府省と協力いたしまして、優先順位を検討しながら進めていく方針で検討しております。具体的な進め方につきましては現在検討中でございまして、関係いたします審議会の意見も聴いた上で適切に進めてまいります。
  188. 山田太郎

    山田太郎君 何か要領を得ないですけれども、やるのかやらないのかということについてはやるという認識でよろしいのでしょうか。  それともう一つお聞きしたいんですが、最終的に今いろんな機関が、今日はもう、済みません、時間がなくなっちゃって平さんには御質問できないかもしれませんが、関係府省がやっぱり多いんですね。そんな中で、最終的には、農薬に関しては政府は一体どこが責任を持って最終的に許認可をして国民に対して安心、安全を保障しているのか、その辺りも含めて、まず厚労副大臣、並びに平先生も来ていただいていますのでお答えいただければと思いますが、よろしくお願いします。
  189. 永岡桂子

    ○副大臣(永岡桂子君) 先生がおっしゃいます六十八の品目の農薬につきましては検討中でございます。  以上です。
  190. 平将明

    ○副大臣(平将明君) 食品安全委員会の担当の内閣府副大臣でございます。山田先生、御無沙汰しております。  食品安全委員会はリスクの評価ということを担当しておりますので、先ほど御指摘いただいた部分についてもADI、ARfDについては我々としてはしっかりとリスク評価をしている、それに基づいて運用していただければ人には影響がないというのが我々の考え方でございます。
  191. 山田太郎

    山田太郎君 もう時間になりましたので、最後、締めさせていただきたいと思うんですけれども、実はこの問題、EUでは欧州食品安全機関、EFSAなんかもかなり人間の脳に対して影響があるという警告を出しておりまして、特にその論文の根拠になったのが東京都医学総合研究所という、日本発なんですね。そこの研究が逆に重要視されまして欧州の方では禁止というか制限される、日本ではすっこ抜けているというのが現実でありまして、こういう状態を放置しておいたら、日本の食の安全、それから海外に対しても日本の農作物の信頼がなくなると思います。  もう時間過ぎていますが、端的に、この問題をお聞きになって、せっかくなので、西川大臣、最後、締めの御感想と、これからの農政に農薬どう考えていくのか、お答えいただけますでしょうか。
  192. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 短めにお願いします。
  193. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 農林水産省としましては、農薬の登録制度を所管する立場から、厚生労働省より追加データの提出依頼等があれば協力しながら、一緒になって農薬の安全のために協議をしながら連携して対応してまいりたいと、こう考えております。
  194. 山田太郎

    山田太郎君 時間になりました。引き続きこの問題はやっていきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  195. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 無所属の渡辺美知太郎です。  昨年に引き続き、福島第一原発事故により生じた放射性廃棄物の問題について今日は質問したいと思います。  この放射性廃棄物の問題、残念ながら、どこにあるいは誰に放射性廃棄物を押し付けるといった議論になってきていると私は思っております。  昨年、JESCO法の改正がありました。もちろん、このJESCO法の改正、石原前環境大臣始め関係省庁の方々、いろいろと御努力はされたとは思いますが、三十年後に福島県外のどこに廃棄物の処分場を持っていくか全くめどが立っていない、これは次の世代への押し付けであります。  おまけに、このJESCO、環境省全額出資の特殊会社、言い方は悪いですが、天下り企業であって、今回の改正で、JESCO、六億円の資本金だったんですが、二十億円に増額をすると、それから役員の枠も増やす。元々、このJESCO、平成二十八年には事業が終わる予定でしたが、延期、延期と来て、さらに今回のJESCO法の改正によって三十年は事業が継続されると、そういった背景がございます。  そして、福島県外の宮城、栃木、茨城、群馬、千葉、この五県の放射性指定廃棄物については、県内のどこかに押し付けるといった議論になってしまっているのではないかと思っています。  おまけに、振興策、もちろん私は、お金をたくさんもらったから処分場を造っていいと、そういった話をするつもりはありませんが、福島の三千十億の振興策に比べると、五県は一回限りの五十億、五県で五十億、五で割れば一県で十億と。一方で、今、川内原発再稼働の話がありますが、原発再稼働をすれば、川内原発、地元では交付金が十三億以上年間入ってくるわけであって、振興策にも不備があるのではないかと私は思っております。  では、早速質問に入りたいと思っています。  昨年末の衆議院選挙後、宮城、栃木といった放射性廃棄物の一か所処分場を造るといった地域について、進捗状況をまず伺いたいと思います。
  196. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) 宮城県と栃木県の指定廃棄物の処理施設についての現在の状況ということでございますが、御承知のとおり、まず宮城県におきましては、昨年の一月に三か所の詳細候補地を提示して以降、地元と意思疎通を図るべく様々な取組を行ってきているところでございます。関係市、町、県との意見交換、個別の市、町の御懸念や御質問に対するお答えなどに加えまして、複数回、副大臣や政務官による現地視察を行ってきているというところでございます。  それで、その後でございますけれども、昨年八月、県によりまして、県の総意として詳細調査を受け入れるとの取りまとめを受けまして、詳細調査、文献調査、あるいは現地での調査もございますけれども、それに取りかかったところでございますが、現地でのボーリング調査はまだ実施できていないと、こういうような状況でございます。  引き続き、詳細候補地からいただいた御質問などに丁寧に回答するとともに、説明会の開催を打診するなど、地元の方々の御理解を深められるよう丁寧な対応を行ってきているというところでございます。  次に、栃木県でございますけれども、昨年七月に詳細候補地を提示して以降、御地元との意思疎通を深めるべく様々な取組でございます。具体的には、二回にわたる市町村長会議の開催、あるいは県議会主催の説明会への対応、塩谷町との複数にわたる意見交換などを行ってきているということでございます。  それから、最近の動きといたしましては、塩谷町から詳細調査候補地が必要面積を満たさないとの御指摘があったため、これに丁寧に対応するため、本年二月二日に現地確認を試みたところでございますが、この現地確認は実現はしていないというところでございます。  引き続き、説明会の開催の打診など、理解を深められるような丁寧な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
  197. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 この面積確認でありますが、なかなか住民の方々、環境省に対して不信感があると思うんですが、例えば第三者による面積確認などは検討されていますか、伺います。
  198. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) 面積確認につきましては、塩谷町からの御指摘を受けまして、私どもの副大臣が町にお邪魔したときに、実際に住民の方々を含め町も立ち会った上での確認を行いませんかと、こういうような提案をしているというところでございます。    〔委員長退席、理事赤石清美君着席〕  私どもだけで確認をするというのではなくて、町も含めて立ち会っていただいての確認を申し入れたところでございます。
  199. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 この面積確認、やっぱり住民の方々の不信感が払拭されるように行っていただきたいと思っております。  昨年の話になるんですが、十一月九日の市町村長会議で、栃木県ですね、栃木県知事が、保管することになった指定廃棄物を、五十年後か百年後になるか分からないが、掘り出して路盤対策に再利用するというのはいかがという意見があって、大臣環境省としては、検討していきたいという回答がありました。これはつまり、中間貯蔵施設もできなくはないということでよろしいでしょうか。
  200. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、昨年十一月九日の栃木県での市町村長会議において、福田知事から処理施設跡地の原状回復についての御意見がありました。これに対して、環境大臣からしっかり検討する旨回答いたしまして、環境省におきまして、昨年十二月の二十二日に指定廃棄物の関係の有識者会議を開催いたしまして、再利用の可能性を含めた指定廃棄物の管理方法の技術的課題について検討、整理を行ってきているというところでございまして、引き続き検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  201. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 つまり、中間貯蔵にするかどうかはまだ結論は出せないということですか。
  202. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) 処理場に運び込んだ後どのようにしていくかということに関しまして、県知事の原状回復という御提案も含めて、技術的課題様々ございますので、検討していくということでございます。
  203. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 もし中間貯蔵が認められるのであれば、今、宮城県も栃木県も住民の方々の不信感というのはやはり強いですし、これはなかなか難しい話だと思っております。例えば仮置きの補強とか、今のやっぱり状況ではかなりこれ危険なので、是非そういった、今何をすべきか、よく検討していただければなと思っております。  昨年質問したんですが、改めて伺いたいと思います。  昨年、質問で、詳細調査候補地に対して詳細調査をしたからといってその結果が、つまり詳細調査候補地となった地域が、詳細調査をして、ああ、やっぱりこの地域は処分場建設にはふさわしくないからやめようと、そういった、決定が覆ることはまずないといった旨の御答弁をいただいたんですが、この方針について変わりはないのでしょうか、伺います。    〔理事赤石清美君退席、委員長着席〕
  204. 小里泰弘

    ○副大臣(小里泰弘君) 重ねての答弁で恐縮でございますが、候補地につきましては、危険な箇所、不安定な箇所としてあらかじめ指定された箇所を除いた上で、植生自然度とか人家からの距離とか、多数の項目によりこれを総合評価をした結果として選定をされたものであります。  したがって、基本的には現在の詳細調査候補地を最終的な候補地として選定できるものと考えております。
  205. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 小里副大臣、先月の二十二日の記者会見で、これ地元の方なんでしょうね、何かしら怪物を見るような先入観があったりしますから、それを解消していく努力が必要だとおっしゃっていました。この発言自体について私は何か問題があると、そういった話をするわけではありませんが、この怪物発言、今まで環境省の詳細調査の実行、やり方などを見ますと、幾ら事前に詳細調査を行いますよと地元の首長に通知をしたとはいえ、住民の方々、拒絶をしている状況です。そういった状況にもかかわらず、職員の方を派遣して詳細調査を行うと。それから、詳細調査候補地の選定、この候補地の選定にやはり注文があるといった状況であるにもかかわらず、今みたいに基本的に覆ることはないと。  やはりこれは、私は、環境省に対して住民の方々、不信感がある、そのとおりだと私は思っておりますが、これは私の主観でありまして、小里副大臣は、なぜ、じゃ住民の方々がこのように強固に反対をされるか、どのような御認識をお持ちでしょうか、伺います。
  206. 小里泰弘

    ○副大臣(小里泰弘君) 怪物を見るようなと申し上げたのは、要するに、この造ろうとしている処理施設がとてつもなく、何というか、地域にとって悪影響を与えるような想像が相当膨らんでおられるんじゃないかなと思ったことがまずございます。それと、人と人とが接する場合に、接する機会があればいいんですが、遠く離れて接する機会がないと、なかなか意思の疎通がうまくいかずに、想像だけが、悪い方向への想像だけが膨らんでしまいがちであるということを念頭に置きながら、したがって、意思の疎通を図る機会を我々の方でしっかりつくっていく必要が、努力する必要があるということを申し上げたわけであります。  その中身としては、なぜ反対をしておるのか、おっしゃったように、地域の方々が抱いておられる御懸念、御心配に対してしっかり応えていく必要があると思っております。  川との距離とか、栃木の場合でいえば尚仁沢湧水との関連とか風評被害とか、様々な御不安、御疑問の点があります。また、御指摘をいただいたように、選定に至る過程についても御疑問があるわけでございまして、そういったところをしっかり説明をしていく必要があると思っております。
  207. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 住民の方が施設によって地元に悪影響を与えるようなイメージがあるとおっしゃっていますが、地元の方はこれかなり勉強していると私は思っております。住民の方々への説明会もありますが、今更環境省の方々が来てこの施設は安全ですよと言っても、地元の方、そもそもかなり勉強していますし、逆に住民の方々がやはり懸念をしているのは、先ほど副大臣もおっしゃいましたが、風評被害も大きいと思います。  塩谷町の方々は最終処分場、指定廃棄物が別に臨界を起こすとかそういったことは思っていないですけれども、実際同じ栃木県内であっても、ほかの方々はかなり無関心、あるいは塩谷町には核処理施設ができるんじゃないかみたいな誤解もあったりして、処分場が決まったら、おたくの、造り酒屋さんであればもう取引やめるよとか、そういった実際に風評被害が出ていると思うんですね。  塩谷町の方々への住民説明会を行うと、これは私は蛇足ではないのかなと思っていまして、むしろほかの地域の方々にも、これは是非この塩谷町だけではなく、さらに栃木や宮城だけではなくて、これ今後のやっぱり原発政策に関する重要な事項だと思いますので、できる限りこれは塩谷町以外、栃木県内、県外でしっかりと、住民説明会は難しいかもしれないですけれども、なかなか、やっぱりそういった啓蒙活動を続けていただきたいなと思っております。これについてはどう思われます。
  208. 小里泰弘

    ○副大臣(小里泰弘君) 塩谷町の地域の方々がかなり切実な問題として捉えて勉強されておるということは、私ども認識をしております。ただ、その上にも、この処理施設に対して、あるいは環境省のスタンスについてやはり誤解があるんじゃないか、先入観があるんじゃないかと思います。そういったところをしっかりと説明をしていく必要があると思います。  また、御指摘をいただきましたが、塩谷町以外の県内の皆様、また全国民の皆様に対してこの処理施設の必要性、安全性、また選定の経緯等も含めてしっかり説明していく必要があると私ども思っております。
  209. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 副大臣環境省に対して誤解があるのではないかとおっしゃっておりましたが、私は、申し訳ないですけれども、この環境省の今までのアプローチの仕方、これはやはり誠意に欠けるのではないかなと思っております。  例えば、詳細調査候補地選定の際に、これ何度も申し上げていますけれども、環境省自らが選定をした例えば塩谷町尚仁沢、そういう名水百選がございますが、それを一般の水源として例えば採点をしていると。結局、じゃ尚仁沢の価値を、地元の方々あるいは地元の議員の方が、井上前副大臣が来たときに尚仁沢の価値考えたんですかと言ったときに、一般水源からの距離は四キロあるから大丈夫ですと。それではとてもではないですけれども距離は近づかないと思っております。どう思われます。
  210. 小里泰弘

    ○副大臣(小里泰弘君) 選定の過程において、科学的な見地から様々な項目を用意して選定をしております。同時にまた、地域の皆様に安心感をいただくという観点からも様々の項目を準備しております。その上でのこの選定結果でありますので、そこを過程を含めてしっかりと説明して、御理解いただく努力をしていく必要があると思っております。
  211. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 話はちょっと栃木から宮城に移りたいと思いますが、宮城県は今積雪で、詳細調査、ボーリング調査、延期をしております。これ、再開はいつ頃になりそうですか。
  212. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) お答え申し上げます。  積雪で入れない部分がございますので、雪解けを待ってのアプローチということになろうかと思います。
  213. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 めどとしたら六月ぐらいですか、五月か六月。
  214. 鎌形浩史

    政府参考人(鎌形浩史君) そこは、詳細はちょっとこれから検討になろうかと思いますけれども、連休とかそういう時期をにらんだ上での対応になろうかと思います。
  215. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 時間になりますから私の質問は以上にしたいと思うんですが、放射性廃棄物の問題は、やはりどこかにお願いをするというよりかは、これは復興と一緒に本来であればセットで考えるべきだったと私は思っております。  私がかつて所属していたみんなの党、残念ながら解党はしてしまったんですが、ほかの政党の方々とも特定原子力被災地域土地利用法案を出しています。これは、大規模な再生可能エネルギーの集約と除染の実証設備、それと放射性廃棄物、これらを一緒に考えていこうよと言ってきた話だと思っていますので、やはり押し付けではなかなか厳しいと思っています。  法施行後三年の見直し期間に今年から入りました。検討チームも設置したと聞いていますので、是非発想の転換をしていただいて、廃棄物の問題、復興と絡めて考えていただければなと思っております。  私の質問は以上です。どうもありがとうございました。
  216. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。どうぞよろしくお願いします。  まず、環境省に質問をいたします。  指定廃棄物処分場建設問題、先ほど渡辺委員からも質問がございまして、現地の実態に即した質問がございましたが、私も何点かお尋ねをしたいと思います。  東京電力福島第一原発事故由来の放射能によって汚染された廃棄物のうち、一キロ当たり八千ベクレル超で環境大臣が指定したものは、指定廃棄物として国が最終処分場を各県に一か所新たに建設することになっているわけでございます。先ほど来お話がございましたけれども、処分場候補地の住民あるいは自治体からの不安の声が大変に高まっております。  会計検査院は、平成二十五年度決算検査報告において、指定廃棄物の処理事業に関し、平成二十三年度から三か年度で、予算額一千三十六億二千七百十八万円に対し支出済歳出額百八十五億六千四百二十万円、不用額は三百八十九億六千六百六十七万円となっていたことを指摘をして、特に注目をしているわけでございます。  まず、これについて環境省はどのような見解をお持ちか、お尋ねをいたします。
  217. 小里泰弘

    ○副大臣(小里泰弘君) 御指摘のような会計検査院の数字になっているところでございます。  執行率が低い要因につきましては、これは福島県プラス五県分を計上しておるわけでございますが、例えば、福島県内において下水汚泥などの減容化事業など一部の事業を実施をしてきておるところもございますが、五県における特に処理施設の整備事業などについては、地元との調整が残念ながらまだはかどっておりませんで、その結果、事業に着手できなかったということがこの数字の大きな要因としてございます。  残念な状況でございますが、引き続きしっかりと説明を心掛けて、事業の進捗を期してまいりたいと思います。
  218. 吉田忠智

    吉田忠智君 私も現地で宮城県の加美町の町長にもお会いをしましたが、その加美町では、昨年十月八日、田代岳国有林の現地調査が町に事前通告がないまま強行され、同月十五日には、これも町に対する事前連絡なしに処分場の必要性や詳細調査の概要等を示した冊子を環境省が全戸配布するということがあり、町長が環境省に抗議文を出す事態に至っています。  栃木県の塩谷町では、先ほど少し答弁の中でもありましたけれども、二月二日、立入り拒絶の要望に反して環境省職員が候補地への立入調査に訪れ、反対する住民と摩擦を起こしています。  これらの強硬な対応については、地元住民、自治体の意向を最大限尊重すべき環境省として逆効果でもありますし、謝罪や反省が必要ではないかと考えますが、大臣、いかがですか。
  219. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 指定廃棄物の処理施設の詳細候補地がある自治体でございます、今先生の話のですね、及び地元の方々におかれましては、指定廃棄物の処理に対して皆さんそれぞれ御心配なさっているということは承知をしております。  環境省としては、地元皆様方の不安とか御懸念についてやはり丁寧にお応えすることを基本姿勢としておりますので時間が掛かっているのかなというようなことがございますけれども、どちらにいたしましても、やはり丁寧に分かりやすく説明をしていかなくてはいけないということを旨として進めさせていただいております。  これまでも地元自治体からいただいた御質問が何回か来ておりますので、その回答、それからまた、こちらからも是非ひとつ説明会を皆さんにさせていただきたいという打診をさせていただいたり、丁寧な説明を行う努力を何回かしてまいりました。  今後も丁寧に説明をしていくということを決して忘れずに、自治体や地元の方々に対してそういった努力を引き続きさせていただきたい、このように思っております。
  220. 吉田忠智

    吉田忠智君 これまでのやり方がまずかったところもあったという反省はあるわけですね、大臣
  221. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 我々は常に丁寧な説明を心掛けてやっていくということでございまして、様々まだまだ御理解をしていただけない点があれば、その行き違いというものがある場合もありますので、そういったことがないように、払拭できるように、これからもそういう機会をいただいて丁寧な説明をさせていただくと、そういう一語に尽きるのではないかなと、このように思います。
  222. 吉田忠智

    吉田忠智君 行き違いでは済まない点があるということを指摘させていただきたいと思います。  茨城県では、県内に遮断型処分場を一か所整備して集約処分とする意見と、もう一方で、県内に新たに処分場を整備することは困難であり、現在の保管場所において保管を継続して、放射能濃度が八千ベクレル以下に減衰してから既存の処分場において処分すべきとする両論があったために、環境省が放射性物質の減衰とそれによる指定廃棄物の量の減少の推計を提示してアンケートしたところ、一時保管している十四市町村のうち七市町村が継続保管を求めると回答しているわけであります。継続保管も排除せずに検討すべきではないかと考えます。  また、他県についても環境省としてシミュレーションを提示すべきではないかと考えますが、いかがですか。
  223. 小里泰弘

    ○副大臣(小里泰弘君) まず、茨城県におきましては、焼却灰とか下水汚泥といった形で比較的性状が安定している廃棄物が公的な管理下に置かれているものがほとんどであります。そういったことから、これまでの市町村長会議やアンケート調査におきまして、御指摘のとおり保管継続すべきという御意見も多数いただいてまいりました。こうした議論の参考とするために、茨城県の指定廃棄物の放射能濃度の減衰についてお示しをしたものであります。  これを他県にもという御指摘でありますが、他方の宮城県、栃木県といった指定廃棄物の保管状況が非常に逼迫している県におきましては、一か所での集約処理に向けまして選定手法を確定して詳細調査候補地が公表をされている状況でございまして、茨城県とは議論の進捗が大きく異なっております。このため、現時点におきまして、これらの県において茨城県でお示しをしたような詳細な減衰予測をお示しする予定はありません。  ただ、大ざっぱな試算、見込みによりますと、十五年後の八千ベクレル・パー・キログラム超の指定廃棄物の量の見込みとして、宮城県ではおおむね一千トン、栃木県ではおおむね二千五百トンと大ざっぱに試算は出ているところでございます。ちなみに、これに対して茨城県では十三年後の段階で〇・六トンとなっているところでございます。
  224. 吉田忠智

    吉田忠智君 名水百選の尚仁沢湧水のある栃木県塩谷町では、町議会が昨年九月に湧水保全条例を可決しています。候補地や周辺での廃棄物処理事業に町の許可が必要としているわけです。また、宮城県の加美町も、同様に町議会が水資源保全条例を制定しました。  環境省として、住民自治を無視して建設を強行することはあってはならないと考えますが、その点いかがですか。
  225. 小里泰弘

    ○副大臣(小里泰弘君) 御指摘の条例が制定されたことは承知をしております。これも地域の不安や御懸念の表れであろうと捉えているところでございます。これらの県においては、そういったまず御懸念、御疑問に答えるべく、処理施設の必要性、安全性について引き続き丁寧に説明する努力を積み重ねていくことが大事なことであると心得ております。御理解をいただく、そのための努力をすべき段階であると考えているところでございます。  したがいまして、詳細調査を終えていない現時点におきましては、処理施設を建設する場合にどう対応するかといったような御質問についてはコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。
  226. 吉田忠智

    吉田忠智君 放射性物質という汚染物質の特性を考えれば、全国で一か所に集約して、低レベル放射性廃棄物として浅地中トレンチ処分をすべきだと考えますけれども、実際問題として、住民、自治体の反対があって、放射性物質を完全にコントロールする技術がない以上、新たに処分場を建設するのは困難だと思います。そうであれば、継続保管も一つの考え方ではないでしょうか。  そもそも、事故の原因者である東京電力、原子力政策を推進してきた国がそれぞれ責任を負うべきところを、国が各県処分場一か所整備という基本方針を閣議決定をして、結果として各県と自治体に責任を押し付けたのが今のボタンの掛け違いになっているのではないかと考えるんです。  大臣、この特措法は二十四年一月一日施行から三年の見直し期間が経過をしています。継続保管も排除せずに、私が先ほど申し上げた各県処分場一か所整備という基本方針を見直す、あるいは特措法自体も見直すべきだと考えますが、いかがですか。
  227. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) この問題につきましては、各県で処理、処分するという形のものは、今ちょうどここに書いてございますように、二十三年の十一月十一日、私そういったことは覚えているんですけれども、前の民主党政権のときに決めていただきました。これはそのときに、こうすることが最もベターだろうということで、私の大臣のとき、それから石原大臣やその前の細野大臣と、様々な大臣いらっしゃいますけれども、そういう皆さんが苦労して苦労してこの形をつくったと。そこから、今ボタンの掛け違いということがございましたけれども、そのときにしっかり決まったことでございますので、我々はそれを踏襲して、この状況を一日も早く解消するように進めているということでございます。  そして、この指定廃棄物については、例えば、今お話ございましたように、東京電力福島第一原子力発電所の敷地内やその周辺に集約して処理すべきという御意見もございます。  しかし、この事故によって最も大きな被害を受けました、そして復興、帰還に向けて懸命な努力をしている福島県、まだ十二万、十三万の方たちが今年のお正月もうちに帰れなかったと。様々そういう人たちのコメントを聞くと、帰りたいんだと、一日も早く帰りたいというような、そういう方たちがおります。そういう福島県に対して他県の指定廃棄物を集約して引き受けるという負担を今これから強いることは、到底理解が得られるとかそういう状況ではないと、このように我々は思っております。また、今は避難されておりますが、先ほど申しましたように、再び地元に帰ることを望んでいる方々、多いとか少ないとか様々なやっぱりこれも御意見がございますけれども、でも帰りたいという、ふるさとが懐かしい、ふるさとに骨を埋めたいんだというような皆様の御意見を無視するわけにはいかないと考えております。  こういう状況の中で、各県の指定廃棄物を福島県に集約して処理を行うということはまず困難だと、このように思っております。このため、放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針において定めました各県内で処理するという考え方を見直すという予定は今のところございません。  一方、放射性廃棄物の特措法の附則において、法律の施行後三年を経過した場合に法律の施行状況について検討を行うこととなっておりまして、今先生がおっしゃったようにその時期でございまして、本年一月で特措法の本格施行から三年を迎えたところでありまして、これを踏まえて、一月五日付けで省内に検討チームを設置いたしました。施行状況についてただいま検討を開始したところでございます。
  228. 吉田忠智

    吉田忠智君 人間の力では制御できない原発を安全神話に寄りかかって進めていった結果、本当に苦労しているわけであります。大臣を始め、環境省の皆さんの御苦労は重々分かりますし、本当にすぐ解答の出ない難しい問題でありますけれども、徹底的に透明な議論の中で現実的にもう進めていくしかないわけでありますから、この特措法、基本方針の見直しも含めて検討委員会の中でしっかり検討していただきたい、このことを申し上げたいと思います。  次に、農林水産省に何点か、時間がちょっと迫ってまいりましたが、質問させていただきます。  一つは、直接支払交付金、昨年、平成二十六年産米の平均価格、米価、六十キロ一万二千二百三円という戦後最悪水準の米価下落でございます。そして、前政権が導入したいわゆる戸別所得補償政策、米に係る経営所得安定対策のうち、特に十アール当たり一万五千円だった直接支払交付金が平成二十六年産米から七千五百円と半減、平成三十年産米で廃止をされるということになっているわけであります。  農水省として、どのような評価を背景にしてこの廃止を決定されたのか、米農家への経営の影響は具体的に試算をされたのか、伺います。
  229. 佐藤英道

    大臣政務官(佐藤英道君) 平成二十五年末の経営所得安定対策の見直しの中で、米の直接支払交付金につきましては、米は麦、大豆等と違い十分な国境措置があり、諸外国との生産条件の格差から生じる不利はないこと、それから全ての販売農家を対象とすることは農地の流動化のペースを遅らせる面があること、米については潜在的生産力が需要を上回ってきている状況にあることなどの政策的な課題があったために廃止することとしたところでございます。  しかしながら、この交付金を前提に機械や施設の投資を行ってきた農業者もいるのも事実であったために、平成二十六年産から単価を削減した上で、平成二十九年産までの時限措置、いわゆる平成三十年産から廃止とすることとしたところでございます。  このように、米の直接支払交付金を削減する一方、農地農地として維持していくための多面的機能支払の創設、非主食用米への支援など水田の有効活用対策の拡充、農地中間管理機構を活用した農地の担い手への集積を推進するための支援策等の拡充を行うとしたところであり、意欲と能力のある担い手が経営改善に取り組めるものと考えているところでございます。
  230. 吉田忠智

    吉田忠智君 この直接支払は、私が現場を回っても高く評価をしていただいた制度でありますから、いま一度検証して是非見直しをしていただきたいと思います。  時間がもうなくなりましたので、最後に西川大臣にお伺いをいたします。  報道ベースでしか承知をしておりませんけれども、JA全中監査・指導権限をなくして二〇一八年度末までに一般社団法人化をするということであります。農協も確かに私はいろいろ問題があると思います。本当に農家のためになっているのか検証が必要だと思います。だけど、やっぱり協同組合ですから自主改革で進めていかなければなりません。  JA全中も独自に改革議論を進めてきたと承知をしております。大臣、このJA全中のこれまでの改革議論をどのように評価をされておられるのか、そしてこれからの農協の在り方を、大臣はもう精通されておられますから、どのように大臣として考えて、そしてJAと関わっていかれるのか、最後にお伺いします。
  231. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 農業経営、これは自由な発想でやっていただきたいと、これがあります。それから、農協も自由な発想で活動してもらうと、これもあります。そういう中で、全中監査権限でありますが、これは強制的なものでありますが、今度は監査法人を設立して、一般の監査法人とお互い、選ぶのは選択制にしていきたいと、こういうことにしています。  今までの全中は、結局、農協連合会の健全な発展を図ることを私どもは目的として、農協が経営が困難なとき特別認可法人として権限を与えてきましたが、農協がみんな健全経営ができるようになったときにこの必要性はないだろうと、こういう判断をしました。  それから、全中について、加入、脱退が今自由ではありません。当然加入になっておりますけれど、これは、農家の皆さんが加入するしないはやっぱり農家、単位農協に選んでもらうと、こういうことで少しでも自由度を上げていきたいと、こういうことでこの改革に踏み切ったと、こういう考え方でございます。
  232. 吉田忠智

    吉田忠智君 どうもありがとうございました。終わります。
  233. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 他に御発言もないようですから、農林水産省及び環境省決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会