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2015-02-06 第189回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年二月六日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  二月二日     辞任         補欠選任      斎藤 嘉隆君     大塚 耕平君  二月三日     辞任         補欠選任      足立 信也君     蓮   舫君      大塚 耕平君     斎藤 嘉隆君  二月四日     辞任         補欠選任      磯崎 仁彦君    三原じゅん子君      蓮   舫君     足立 信也君  二月五日     辞任         補欠選任     三原じゅん子君     磯崎 仁彦君      平木 大作君     秋野 公造君      井上 哲士君     吉良よし子君     渡辺美知太郎君     中西 健治君  二月六日     辞任         補欠選任      足立 信也君     大野 元裕君      江崎  孝君     田城  郁君      山口 和之君   アントニオ猪木君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小坂 憲次君     理 事                 赤石 清美君                 井原  巧君                 石井 正弘君                 相原久美子君                 石橋 通宏君                 杉  久武君     委 員                 磯崎 仁彦君                 江島  潔君                 熊谷  大君                 滝波 宏文君                 塚田 一郎君                 中原 八一君                 藤川 政人君                 堀内 恒夫君                 若林 健太君                 足立 信也君                 礒崎 哲史君                 江崎  孝君                 大野 元裕君                 斎藤 嘉隆君                 田城  郁君                 安井美沙子君                 秋野 公造君                 寺田 典城君                 藤巻 健史君                 吉良よし子君                 田村 智子君               アントニオ猪木君                 山口 和之君                 中西 健治君                 又市 征治君    国務大臣        内閣総理大臣   安倍 晋三君        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融)        )        麻生 太郎君        総務大臣     高市 早苗君        法務大臣     上川 陽子君        外務大臣     岸田 文雄君        文部科学大臣        国務大臣     下村 博文君        厚生労働大臣   塩崎 恭久君        農林水産大臣   西川 公也君        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        損害賠償廃炉        等支援機構))  宮沢 洋一君        国土交通大臣        国務大臣     太田 昭宏君        環境大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣原子力        防災))     望月 義夫君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君        国務大臣        (復興大臣)   竹下  亘君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣防災)        )        山谷えり子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、消        費者及び食品安        全、科学技術政        策、宇宙政策)        )        山口 俊一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    甘利  明君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、少子化対策        、男女共同参画        ))       有村 治子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣国家戦        略特別区域))  石破  茂君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        財務大臣    宮下 一郎君         ─────        会計検査院長   河戸 光彦君         ─────    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡  拓君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       藤山 雄治君        内閣大臣官房        審議官      井野 靖久君        厚生労働大臣官        房年金管理審議        官        樽見 英樹君        厚生労働省医政        局長       二川 一男君        環境大臣官房審        議官       早水 輝好君    説明員        会計検査院事務        総局次長     鈴木 繁治君        会計検査院事務        総局第一局長   田代 政司君        会計検査院事務        総局第二局長   村上 英嗣君        会計検査院事務        総局第四局長   斎藤信一郎君        会計検査院事務        総局第五局長   平野 善昭君    参考人        日本銀行副総裁  岩田規久男君        日本年金機構理        事長       水島藤一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成二十五年度一般会計歳入歳出決算平成二  十五年度特別会計歳入歳出決算平成二十五年  度国税収納金整理資金受払計算書平成二十五  年度政府関係機関決算書(第百八十七回国会内  閣提出) ○平成二十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百八十七回国会内閣提出) ○平成二十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八十七回国会内閣提出)     ─────────────
  2. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、渡辺美知太郎君、平木大作君及び井上哲士君が委員辞任され、その補欠として中西健治君、秋野公造君及び吉良よし子君が選任されました。     ─────────────
  3. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 平成二十五年度決算外二件を議題とし、本日は全般質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 赤石清美

    赤石清美君 皆様、おはようございます。今日からいよいよ参議院でこの決算委員会質疑が始まります。参議院決算と言われるように、しっかりとした審査を行っていきたいと思っています。  今日は、我が自民党は、私、赤石清美と、市長経験のある井原巧と、知事経験のある石井先生と、この三名で一応充実した審議をしたいと、このように思っております。  さて、昨日、衆議院で、シリアにおける邦人へのテロ行為に対する非難決議がなされました。本日、参議院においても、本会議において非難決議がされる予定であります。  今般、このシリアにおいて、ISILにより、二名の邦人及びヨルダン国のパイロットに対し非道、卑劣極まりないテロ行為が行われました。私は、この許し難い暴挙を断固非難いたします。また、御家族の御心痛を思えば言葉もなく、誠に無念、痛恨の極みであり、深い同情の念を表明いたしたいと思います。  それでは、決算委員会の質問に入らせていただきます。  まず、今年度の、二十五年度の決算は、第二次安倍内閣におきまして、初めて予算編成をし、予算の実行をし、そして今回チェックと、プラン・ドゥー・シーまで来たということであります。まだアクションはこれから起こされるものというふうに思われますけれども、実際に、第二次安倍政権内閣総理として、このPDCAサイクルを今後どのように今回の結果を得て回していきたいと考えているのか、総理決意をお願いしたいと思います。
  5. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 平成二十五年度当初予算は、経済再生に向けて、緊急経済対策に基づく二十四年度補正予算と一体的に十五か月予算として編成するとともに、予算効率化を通じて、四年ぶりに税収公債金を上回る状態を回復させました。財政健全化目標達成に向けた第一歩の予算とすることができたと思っています。  また、平成二十五年度決算については、税収が当初予算と比べ三・九兆円増加をいたしました。補正予算による国債増発を行わなかったこと等から、最終的には税収公債金を六・一兆円上回る結果となり、決算においても経済再生財政健全化両立させる姿を示すことができたと考えています。  今後の予算編成においても、引き続き経済再生財政健全化両立を果たしていきたいと、このように思っております。
  6. 赤石清美

    赤石清美君 ありがとうございました。しっかりとこのPDCAサイクルが回るように、総理リーダーシップに期待したいと思います。  次に、パネルをお願いいたします。(資料提示)  今回の決算で、多くの会計検査院からの指摘事項がありました。全体で五百九十五件、金額にしまして二千八百三十一億円の会計検査院からの指摘があります。まず、全体で五百九十五件、特にその中でも多い省庁があるわけですけれども、これは後ほど質問することとして、まず、会計検査院長に、今回の会計検査の結果についての評価をお願いしたいと思います。
  7. 河戸光彦

    会計検査院長河戸光彦君) 会計検査院は、平成二十五年度決算検査報告におきまして、我が国社会経済の動向、財政現状等を踏まえて、国民の期待に応える検査に努めた結果、東日本大震災からの復興に向けた施策、国民生活安全性確保に関する事項社会保障に関する事項などにつきまして幅広く指摘問題提起を行っているところでございます。  会計検査院といたしましては、府省等において適正な会計経理執行について更に特段の努力を払うよう望んでおりまして、検査報告指摘された事項を対岸の火事とせず、自らの業務改善の材料として活用していただき、同種事態再発防止に役立てていただけることを期待しているところでございます。  そのため、各府省都道府県等職員対象とした講習会や、各府省会計課長等に対する検査報告説明会を開催したり、各府省都道府県等検査対象機関が開催する研修会に本院の職員を講師として派遣したりするなどして、指摘した事態周知徹底に努めているところでございます。  また、同種事態が繰り返し発生しているものにつきましては、その原因を究明して、関係機関努力が足りなかったり制度に問題があったりする場合、ここに焦点を当てて指摘を行うなどして改善が図られるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
  8. 赤石清美

    赤石清美君 ありがとうございました。  今、会計検査院長からありましたように、数多くの実際に指摘があるわけでございまして、この数年を見ていますと、必ずしも指摘件数が減っているということでもないし、まあ、そんなに増えているということでもないんですけれども、ただ、これだけの数の指摘を受けるということはやはりその行政の運営について様々問題を含んでいるんだろうというふうに思います。  そういうことで、まず全体について総理御所感をお願いしたいと思います。
  9. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 平成二十五年度決算検査報告において、会計検査院から、今、赤石委員が御指摘になられたように、五百九十五件、二千八百三十一億円の指摘を受けたことは誠に遺憾であります。検査報告指摘事項は様々なものでございますが、その内容に応じて一つ一つ着実に改善策を講じ、その後の予算会計事務などにしっかりと反映させていくことこそ重要であると認識をしています。  昨年十一月の検査報告を受け、私からも各大臣に対して、検査報告事項について確実に改善をするように指示を行い、二十七年度予算編成等において適切に反映を行っているところでございます。  例えば、基金等において使用見込みのない資金が滞留しているとの指摘があったことを踏まえまして、その全額を既に国庫に返納したところであります。さらに、全ての公益法人等に造成された基金を網羅的に再点検した結果、新たに〇・三兆円を超える金額国庫に返納させることとしております。これに加えて、基金に対する予算措置については、基金方式による実施が真に必要な事業に絞り込み、大幅に削減をしているところでございます。  また、会計職員不正経理等への対応としては、各省庁において各種研修会議等を通じ関係職員等に対して指導及び周知徹底を行い、予算の適正かつ効率的な執行に努めているところでございまして、決算結果や検査報告次年度以降の予算編成予算執行に反映させていくまさにこのPDCAサイクル取組は極めて重要でありまして、今後とも的確に反映させていくことができるように努めていきたいと思います。
  10. 赤石清美

    赤石清美君 ありがとうございました。  しっかりと総理リーダーシップの下にやっていただきたいと思うんですが、今日は、その中でも、このパネルにありますように、非常に件数指摘金額の多い三省に対しまして、具体的には厚生労働省国土交通省農林水産省でありますけれども、企業でいうと、私は会社経営者の出身ですけれども、企業でいうと監査法人から指摘されるということは大変なことなので、その改善をしない限り有価証券報告書を出せないということで非常に厳しく指摘されるわけですけれども、そういう意味でも、このやっぱり会計検査院監査というのは非常に重要なことでありまして、少なくてもこれだけ多くの指摘を受けている省庁担当大臣として、その改善の意欲とそれの方向性について、まずは厚生労働大臣、そして国土交通大臣、そして農林水産大臣、三名の大臣の御所見を伺いたいと思います。
  11. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今、赤石先生から御指摘ございましたように、今回お示しをいただいているように、会計検査院からの指摘件数金額共厚生労働省がワーストワンということで、大変残念かつ遺憾な状態であることはもう率直に認めなければいけないというふうに思っております。  件数の中身を見てみますと、地方自治体の事務処理誤りに基づくものが七五%あったり、あるいは金額につきましても、今総理がお話しになった基金の返納、こういったものが八五%を占めるなどいろいろありますけれども、しかしいずれにしても、こういうような指摘を受けるような事態というのは、しっかりとこの指摘を踏まえて、もう既に昨年の十一月に再発防止と適正かつ効率的な予算執行について各部局長に文書で周知徹底をし、また、省内の会議でも繰り返し地方公共団体への要請等を含めて再発防止に向けて積極的な取組を行うように指示をしているところでございます。  いずれにしても、指摘を重く受け止め、改善すべき事項について速やかに対応し、今後とも適正な予算執行に努めてまいりたいというふうに思います。
  12. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 平成二十五年度決算検査報告におきまして、国交省関係では七十一件、七十九億円の指摘を受けました。  例えば、高齢者世帯子育て世帯向け賃貸住宅リフォーム費用を補助する事業、これについて三十三事業者工事費水増し等の不正があったという指摘が例えばされました。このため、再発防止に向けまして、領収書等による工事費支払状況確認建築士による現場確認徹底など、審査手続厳格化を図りました。また、不正受給された補助金につきましては全て返還させることとしておりまして、現時点で八二%を回収しているところでありまして、未回収分につきましても事業者より全額返還の意思が示されているという状況にございます。  指摘された事項については、再発防止徹底し、地方整備局地方公共団体などへの周知を図るなど、適正かつ効率的な執行に取り組む決意でございます。
  13. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 農林水産省関係では八百五億円、六十四件の指摘を受けました。  その主なものとしましては、放射性セシウムに汚染された稲わら問題で影響を受けた肉用牛肥育農家に対する資金繰りのための肉用牛肥育経営緊急支援事業等において未使用額及び返還額が速やかに国庫に返納されていなかったと、こういう指摘であります。  本事業指摘金額につきましては二十六年四月までに国庫返納されておりますが、その他の案件についても指摘に基づき補助金返還などの必要な措置を講じてきたところであります。  今後、このような事例の発生を未然に防止するため指導強化を図り、予算の適切な執行徹底してまいります。
  14. 赤石清美

    赤石清美君 各大臣、御説明ありがとうございました。  ただ、この数年見ていますと、なかなか件数金額も減っていないのも事実であります。詳細につきましては今後また省庁別審査がこれからありますので、そこで細かく議論できればというふうに考えております。  続きまして、今まで見たこの会計検査院検査体制でありますけれども、本当に隅々まで検査が行き届いているのかどうか、各省庁のですね、その辺について甚だ、会社経営者の立場から見ますと、まだまだ検査し切れていない部分というのが相当あるのではないかということを考えておりまして、この辺につきまして会計検査院長の御意見を伺いたいと思います。
  15. 河戸光彦

    会計検査院長河戸光彦君) 会計検査院といたしましては、国の財政状況が厳しい中で、検査能力の質的な向上を図ることや機動的、弾力的に検査体制を構築することによりまして、現在の人員及び予算をできる限り効果的に活用することが重要であると考えております。  このため、検査手法検査領域を多様化するための調査研究専門分野検査に対応できる人材の育成や外部専門家の活用に引き続き努めてまいりたいと考えているところでございます。
  16. 赤石清美

    赤石清美君 私もそのとおりだと思いまして、もう少し会計検査院機能の幅を広げる必要があって、外部のコンサルタントも含めて、会社でいうと監査法人に依頼してやるわけですけれども、それは監査法人の規模は会社が決めてやればいいことなので、ただ、国の場合はなかなかその人員の配置も含めて柔軟性がないということもありまして、やはりこの会計検査院機能強化をもうちょっとしっかりすることによってこういう無駄な件数、そして無駄な金額が減るのではないかなという印象を持っておりまして、その辺について総理に何とかバックアップをしていただければというふうに思っておりますが、総理の御所見を伺います。
  17. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 政府としては、会計検査院機能重要性については十分に認識をしております。検査活動が円滑かつ厳正に行われ、その機能が十分発揮できるようにしなければいけないわけでありまして、検査体制充実強化については今後も引き続き配慮していきたいと、委員の御指摘も踏まえまして、考えております。  いずれにしろ、会計検査院検査報告も踏まえまして、引き続き無駄を徹底して排除し、国民皆様の信頼を得るべく、国民皆様からいただいた税金の使用でございますから、しっかりと考えていきたいと、このように思います。
  18. 赤石清美

    赤石清美君 もう一点、体制整備についてでありますけれども、海上保安庁でありますけれども、中国海洋進出等、最近この海上保安庁の役割が非常に大きくなっているわけでありまして、特に東シナ海、尖閣諸島などを考えますと、今の状態では不十分ではないかという危惧をしております。  二十六年度補正予算では十四隻の舟艇、二機の航空機、二十七年度当初予算では四百三十五名の保安官の増員、二十三隻の舟艇、六機の航空機予算手当てされました。自衛隊を前面に出せない我が国の事情から考えますと、この海上保安庁機能強化は避けられないと考えておりまして、この予算措置で十分かどうか、総理の御所見をお願いしたいと思います。
  19. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 御指摘のように、中国公船等による尖閣諸島周辺海域への接近や徘回が依然として残念ながら繰り返されております。また、昨年秋以降、小笠原諸島周辺海域において、中国サンゴ漁船と見られる外国漁船がこれは相当多数確認をされたところでございまして、それに対して数隻で対応しなければいけない海上保安官の負荷は大変大きなものがあります。その中において、まさに一生懸命我が国海域を守っている、それが海上保安庁でありますが、我が国周辺海域をめぐる状況は一層厳しさを増しています。  こうした状況を踏まえまして、平成二十六年度補正予算及び平成二十七年度予算政府案において、戦略的観点から、巡視船航空機整備や要員の確保など、所要の体制強化のための予算を計上しているところでございます。  こうした体制は、まさにその時々の状況に対応していく必要もあるわけでございまして、今後とも我が国の領土、領海を断固として守り抜くとの決意の下、我が国周辺海域警戒警備に万全を期していく考えでございます。
  20. 赤石清美

    赤石清美君 ありがとうございました。しっかりとした取組を是非お願いしたいと思います。  続きまして、プライマリーバランスの問題でありますけれども、平成二十六年度、今年度末には公的債務が一千十兆円と、一千兆円を上回るという報告もあります。このところ二年連続で改善はされておりますけれども、二〇二〇年度までにプライマリーバランスをゼロにするという目標を今掲げておりますけれども、この実現につきまして総理の熱い決意をお願いしたいと思います。
  21. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま赤石委員が御指摘になったように、我が国財政については巨額の公的債務が累積するなど、大変厳しい状況にあるのは事実でございます。安倍内閣としては、そうした状況の中において、我が国に対する市場や国際社会からの信認を確保するために経済再生財政健全化両立を目指しているところであります。  二〇二〇年度の財政健全化目標はしっかりと堅持をし、その目標達成に向けまして、まずはデフレから脱却をし経済再生をしていく。デフレから脱却をし経済再生していかなければ税収は増えていかないわけでありますから、今その道を進んでいるわけであります。その意味におきましては、税収は確実に増えていっております。  同時に、無駄削減など、徹底した行財政改革もしっかりやっていかなければなりません。歳出歳入両面にわたって取り組んでいくことが必要であり、社会保障についても効率化合理化重点化を進めていく必要がございます。本年夏までに二〇二〇年に向けて財政健全化目標達成する、その達成に向けた具体的な計画を策定してまいります。
  22. 赤石清美

    赤石清美君 ありがとうございました。  しっかりとした目標達成を、やっぱり政治は結果が全てでありますので、是非しっかりとお願いしたいと思いますけれども、実際には、この債務超過の大きな要因は、今総理からも指摘がありましたけれども、社会保障費関係費でありまして、ここをどうやって適正化するかということは一番重要なポイントではないかというふうに思っております。  主なこの社会保障費が昨年で二十九兆二千三百二十億円、毎年そしてこれが増えているわけでありまして、ここをどうやって適正化するかということが最もこのプライマリーバランスを適正化するものに必要だというふうに思っておりますが、厚生労働大臣としてはどのようにこれについて取り組んでいくのか、御所感をお願いしたいと思います。
  23. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生御指摘のように、社会保障費が財政に与える影響は大変大きなものがございまして、特に急速に少子高齢化が進んでいる、その中での社会保障費が増大する中で既に社会保障・税の一体改革を推進してまいっておりまして、制度の充実と重点化効率化を同時に今進めているところでございます。  消費税引上げによります増収分を活用した社会保障の充実については引き続き実施をしてまいりますけれども、税と保険料とそして自己負担で成り立っているこの社会保障制度でございますので、国民にどうやって信頼をされながら持続可能なものにしていくかということが大事でございますので、負担能力に応じてできる限り公平な負担をしていただいて、必要な給付が適切に給付されるようにするというために不断の見直しをしていかなければならないということだと思います。  二〇二五年に団塊の世代が七十五歳を全て迎えるということになるわけでありますから、そこに向けて、特に社会保障制度改革推進会議においても検討を今行っておりますけれども、国民の安心を支える社会保障制度の、次の世代にどうやってこの制度を引き渡していくのかということをやはり国民の理解の下で進められるように更に議論を深めてまいりたいというふうに思っております。
  24. 赤石清美

    赤石清美君 しっかりとした議論をして適正化を図っていただきたいと思います。とにかく次世代にこの重たい荷物をなるべく少なくして渡すように是非お願いしたいというふうに思っております。  この問題につきましては、我が党にも政調会長の下に財政再建に関する特命委員会、今日の読売新聞にも出ておりますが、が立ち上がりました。政府・与党としてもしっかりとした議論をしてサポートしていきたいというふうに思っております。  政府の中では、今現在、経済財政諮問会議でこのことが議論されておりますけれども、政府・与党と一体となってこのことは議論していく必要があるんではないかというふうに思っておりまして、甘利大臣にこの辺のところについての所感をお願いしたいと思います。
  25. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 総理からお話をさせていただきましたとおり、経済再生、それから財政の再建、二兎を追って二兎を得なければならないというふうに思っております。  二〇一五年と二〇二〇年、具体的な節目は二つあります。二〇一五年の半減目標達成ができそうであります。これは国と地方合わせてのいわゆるSNAベースでありますから、地方の行方もしっかり見なければならないんですが、この目標達成できる見通しは付いてきました。  二〇二〇年に向けてであります。総理から具体的に三つの柱が示されました。デフレをまず脱却をして経済再生を図る、パイを大きくしていくということであります。そして歳出の改革と歳入の改革、これは聖域なしにやっていきますよと。  具体的にどういう手法でやっていくか。そして、その工程等については今年の夏までにお示しをしますということになっております。これは諮問会議中心にしっかりやっていきたいと思っております。そこでは、党の方で立ち上がった財政再建に関する特別委員会のチームとしっかり連携を取りながら、より良き手法を構築していきたいというふうに思っております。
  26. 赤石清美

    赤石清美君 しっかりと与党とも議論を積み重ねて、国民から信頼の置ける改革を是非実施していただきたいというふうに思います。  それでは続きまして、個別の案件に入りたいと思いますけれども、一つは、私は、会社の経営というのは、大体普通は三月末で決算をして、そして五月ぐらいに決算発表をして、六月に株主総会でその評価を受けて、もちろん人事もそこで決まるわけでありますけれども、私は合計三度ぐらい株主総会の議長をした経験がありますけれども、この株主総会を無事に終えるというのはどれだけ大変かというと、本当に一年間に、麻生副総理もうなずいておりますけれども、一年間の総決算で、ここをクリアしないと会社がもたないということになりますので、それをクリアするためには大変な努力が要るわけでありまして、そういう意味で、PDCAサイクルをしっかりと回して、当然株主総会のときはその前の年の決算と同時に業務報告とそれからその年の活動内容も全部トータルでセットで受けるわけでありまして、そういう意味ではPDCAサイクルがしっかり回るわけですけれども。  確かに、財政法上の今の決算の時期については、それはそれで昔からある法律でありますのでいいと思いますけれども、しかし、民間企業から見たら、どうもこのPDCAサイクルは長過ぎるんじゃないかと、もうちょっとやっぱり短縮すべきじゃないかというふうに、普通の民間の経営者、例えばトヨタであったって、二十兆円以上の売上げがあって、そしてグローバルに展開して、それだって同じ時期にちゃんと決算をしてPDCAサイクルを回しているわけでありますので、もう少し早く努力をすべきじゃないかと思いますけれども、財務大臣にお伺いしたいと思います。
  27. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これはもう先生よく御存じのとおりに、これは決算書のいわゆる早期提出という話でありますけれども、これは決算の十分な審議をお願いするというのはもちろんですけれども、決算の結果から予算を編成するのに反映をさせていくということがこれは重要なんだという御指摘、全くそのとおり、会社も同じなんだと思いますが。  我々といたしましては早期提出にこれまでも努めてきたところで、これは結構、昔に比べればえらく早くなりまして、平成十六年の頃はもう丸々一年遅れですから、あの時代に比べたら早くなってきておりますが、具体的には決算事務がIT、いわゆる電算化されたというところが作業の効率化の迅速を図ってまいりましたので、今、平成十四年の頃までですと大体年明けの通常国会に出しておったのが、いわゆる翌年の一月に出していた決算書を、平成十五年度から十一月に決算を提出させていただくようになって、大分もう早くなってきたところでありますが、問題は、国の場合は、ちょっと会社と違うところは、三月末に今は締め切るんですが、その後、金が繰越しだ何だかんだいろいろ出ますので、結果的に締まるのは七月末ぐらいになります。  したがいまして、いわゆる会社用語では出納を整理する時間が終了して、いわゆる役所で言う主計簿が締め切られた後は、年度末を越えてどうしてもこれは七月末ということになります。それから会計検査院にそれを送ることになりますので、会計検査をしていただくのにいいかげんなわけにはいきません。それは、大量に人員を増員しようと言われればそれはできるかもしれませんけれども、なかなか会計検査院としてはそんなに大量な人をというわけにもまいりませんので。それで、どうしてもそこのところはある程度の時間をいただくということで、二か月ぐらいの時間を会計検査院でこれはどうしてもいただかざるを得ませんので、その上で締切りをいたしまして出しますと、印刷だ整理だ何だかんだとやりますと、どうしてもこういった時期にならざるを得ぬというのが今置かれている現状なんで。  私も同じようなことを随分前に考えたことがあって、その頃はもうちょっと縮めるところがあったのは、これはITのおかげだと思いますが、これ以上早くやろうとすると、ちょっとこれはかなり人間をどうにかせぬと、若しくは会計の制度を変えにゃいかぬということになるんじゃないかなと思っております。
  28. 赤石清美

    赤石清美君 私は、制度も含めて、今のIT化時代に、もう少し現代風にその会計システムを改善することも視野に入れて是非検討していただきたいというふうに思っています。  次に、ODAの問題ですけれども、パネルをお願いいたします。  日本はかなりこのODAによって諸外国とのいろんなコミュニケーション、連携を取れて、またそれが日本のグローバル戦略にも基づいて成長戦略の基になっているわけですけれども、日本のODAはOECDの諸国の中でも特に円借款の割合がこのパネルにありますように非常に多いわけでありまして、ほかの国は、アメリカなどはほとんど無償か寄附とかそういうことでやっておるわけでありますけれども、日本が、ODA大綱をもう今出されていますけれども、ODA大綱も与党の中でいろいろと議論があって、何でこんなに円借款が多いのだというふうな議論がありますので、是非外務大臣からこのODAの円借款の対応について御所見をお願いしたいと思います。
  29. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、ODAには円借款と無償資金協力、さらには技術協力、こういった手法がありますが、その中にありましてこの円借款というもの、インフラ建設など大規模な事業への支援に有効であるということ、また返済義務を課すことによって開発において供与国の主体性を持たせるということ、さらには自助努力を支援するということ、また我が国の外交にとりましても、供与国との間において長期にわたり安定的な関係の基礎となるというようなことから、外交にとって重要な手段と位置付けられております。  ただ、円借款につきましては、確実に返済されなければならない、これは大変重要なポイントであります。よって、この事業の準備の段階から実施の段階まで、各段階において慎重な確認、調査を行って実施をするということで、ほとんど問題なくこの返済は行われているわけですが、ただ例外的に、予想されなかった政治情勢ですとか紛争ですとかあるいは自然災害ですとか、こういったことによって返済が困難になるという場合、国際的な合意に基づいて債務免除を行う、こういった事例があるというのも事実であります。
  30. 赤石清美

    赤石清美君 いろんな手法があっていいと思うんですけれども、やっぱりお金を貸すわけですから、きちんと返してもらうということが重要なことでありまして、その辺が曖昧模糊にはなってはいけないと思いますので、具体的個別のことはまた省庁別審査で議論していただきたいと思っていますけれども、そういう指摘もあるということを御承知おきをお願いしたいと思います。  それでは次に、水の問題でありますけれども、私は青森県の八戸の近辺の出身でございまして、私の近くには八戸圏水道圏というのがあるんですけれども、八戸圏の水道企業団ですね、非常に優秀な水道企業団で、私も実際見に去年行ってまいりました。かなり優れた浄水設備を持っておりますし取水設備を持っておりまして、まあ日本はとにかく水はどこの地方に行ったって蛇口を開ければ全部飲めるわけですから、非常に優秀な水システムを日本は持っていると思うんですね。  もっとこれをいろんな国が、アジアの国もアフリカの国も南米の国も水で困っているわけでありますから、その水をもっとビジネスとして日本はもっともっと還元し、またそれを成長させるべきじゃないかと。特に田舎の水の企業団は、どんどん人口減少してもうだんだん成り立たなくなってくる状態にあるわけでありますので、この水ビジネスというのを考えたときに、ほとんどが官がやっているんですね、民がやっている例はほとんどないわけでありまして、これを、でもグローバルに何か輸出させようとか成長させようとかと思ったら官の中ではかなり難しいわけでありまして、これをもっと民に任せるような方向というのは考えられないものかということを私自身は思っておりまして、その辺について厚生労働大臣の御所見をお願いしたいと思います。
  31. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生御指摘のように、浄水システムというのは地方公共団体が全体を管理する仕組みを持っている、大変優れた力を持っていると思っております。もちろん、一つ一つの技術は民間企業が担っているところが多いわけですけれども、どう全体をコーディネートしてうまく回していって世界で一番安全な水を提供できるかということを考えてみると、かなりの力があるというふうに私も感じているところであります。  部分的には、いろいろな民間企業に業務委託をするとかあるいはPFIでやるとか、そういうことは進みつつありますが、水道産業の海外における取組について、東京都などにおいて主に東南アジアで今技術協力を中心にやっておりますけれども、民間企業においても、厚生労働省主催の現地セミナーをきっかけとして、中国などで浄水場の浄水システムの受注などが、事例が出始めているというところでございます。  厚労省としても、民間企業を含めた日本の水道産業の海外展開を支持をするというために、これまでも現地セミナーや調査などをやってきておりますけれども、今後とも、先生おっしゃるように、我が国の一つの言ってみれば強みでもあるこの水道、浄水のシステムを国際ビジネスとして輸出していくということについても発展を促していきたいというふうに考えているところでございます。
  32. 赤石清美

    赤石清美君 是非、これは政府全体として是非考えていただきたいなというふうに思っております。  それでは、時間もなくなってまいりましたので、私の最後に地元の要望でもありますけれども、今年は非常に雪の多い年でありまして、先日も特急が長時間止まるような事故も起こっております。  私のところにもう毎日のように首長さんが、除雪費用が足らないと、もっとしっかり国としてサポートを欲しいと、スピーディーにやってほしいという、毎日のように要望が来ておりまして、この辺の対応について国交省はもう少しスピーディーな対応をお願いしたいと思いますが、国土交通大臣に御所見をお願いいたします。
  33. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 今年の冬はかなり豪雪があって例年を上回っているということで、青森市や弘前市、あるいは昨日も秋田県の鹿角市や北秋田市から例年の二倍以上だということで、要請が強いものでございます。  この除雪費用が非常に厳しい状況にあるということ、そして役所としてはどれだけ降るかということをきちっと判断してというようなことであるものですから、私は、もうできるだけ早くここは結論を出して豪雪の費用をお渡しするということが大事だということで、今財務省ともよく相談をして、自治体に臨時特例措置をとるということを始めとして追加の措置をとるようにということを指示しておりまして、できるだけ早く手を打たせていただきます。
  34. 赤石清美

    赤石清美君 是非しっかりとお願いしたいと思っております。財務大臣も是非協力をお願いしたいというふうに思います。  次に、私の出身は青森県の南部町というところでありまして、ここには一級河川で馬淵川という川があります。これは上流が岩手県の県北で、下流が青森県の南部で、そして八戸に流れるという川でございまして、私が小さいときから、昭和二十三年生まれですけれども、その頃からしょっちゅう洪水が起こっていました。最近、またその洪水が更に被害が拡大するようになってきました。  私は、資料を皆さんに配付しておりますけれども、南部町の町役場にこの馬淵川の水害歴というのを調べてもらったら、昭和三十三年からこの資料は入っておりますけれども、何と二十回洪水が起こっているんですね。その被害がどんどんどんどん拡大しているというふうなこともありまして、単年度ではいろいろと処置をしてもらっているんですけれども、なかなか単年度で、非常に蛇行している川でありまして、ちょこちょこと整備はしてくれているんですけれども、それではなかなか直らないわけで、根本的な解決するためには中長期にこの河川をどうするかという対策が必要だというふうに考えておりまして、この河川の中長期的に改善していくという考えを是非国土交通省に持っていただきたいと思いますけれども、その辺の所感を、国土交通大臣、お願いします。
  35. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 提出いただいた資料を拝見しますと、もう二、三年に一回は氾濫をする、そして田畑がやられる、被害は大変大きいと、積算しますともう大変な額になるということで、大変お困りだと思います。  県管理の河川ということになりますが、県として今、河道掘削などの緊急的なことはやっているわけですが、やはり青森県が二十年間で実施するという河川整備計画を策定するということは基本なんですが、国としても、ここは毎年のようにというわけにはいきませんから、力を注いで、よく連携取って対応をさせていただきたいと思っています。
  36. 赤石清美

    赤石清美君 ありがとうございます。  しっかりとした国のサポートをお願いしたいと思っております。  もう時間もなくなりましたので、あと一点だけ、無電柱化ですね、電柱をなくすという。今、自民党でも議連をつくって議員立法で出そうとしていますけれども、私は川越というところに住んでおりまして、小江戸川越という非常にきれいなところなんですけれども、そこの無電柱化は、その小江戸の昔の千年ぐらい前からあるところだけは整備されているんですけれども、その周辺の道路がなかなか進まないんですね。  それは、国道の所管が違う、県道の所管が違う、市道が所管違うということで、実は予算執行もなかなか進まないということがありまして、もう少し国が前面に立ってこの無電柱化ということをしっかりと進めていただきたい、これは希望として出しておきたいと思います。  終わりに、安倍第二次政権が更に安定して、この決算が毎年しっかりとされて、PDCAサイクルが長期にわたってしっかりと回ることを期待申し上げて、私の質問を終わります。  以上です。
  37. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 関連質疑を許します。井原巧君。
  38. 井原巧

    井原巧君 おはようございます。関連で質問に立ちます自民党の愛媛県選出の井原巧でございます。新米の議員でありますけれども、質問の機会をいただき、大変光栄に存じております。  私は、市長、県議という地方自治の出身でありますけれども、市長の頃一番苦手だったのはやっぱり議会でありまして、もちろん行政の運営もしなきゃなりませんし、しかし民主主義の議会も対応しなければならない。いらいらというかストレスがたまった記憶がありますけれども、総理も今週一週間ずっと国会に招集されておりますからストレスもおたまりだろうと思いますけれども、是非私も質問をしたいのでお許しをいただきたいと、このように思っております。  議場に立って答弁するとき、質問するとき、私自身が一番心掛けていたのは当然テレビの向こうの国民でありまして、できる限り国民に分かりやすい質問もしたいと思いますし、また御答弁の方、よろしくお願い申し上げたいと思います。質問の機会をいただいた先輩、同志に感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。  まず一つは、初めにお伺いしたいことは安倍政権への評価ということであります。  さきの総選挙、もちろんこれは消費増税の先送りとかあるいはアベノミクスの是非というのが政策的な焦点というふうに言われておりました。何といいましても十五年間、我々も地方自治にいましたけれども、これは深刻なデフレ不況でありまして、この大きな壁に安倍総理は三本の矢を始め様々なありとあらゆる工夫を凝らして取り組んでいるという、そういう姿勢でありますが、私は、本当にこの経済、今回のアベノミクスというのは、日本は大きな病巣に侵されていて、それの一番大きなのがやはり経済なんだろうと思うんです。  その病巣を取り除かないと、先ほどの財政再建とか、あるいは社会保障の問題とか、全てやはりそこにあるわけでありますから、そのことについて全力で立ち向かうということだろうと思うんですけれども、野党とかマスコミの一部には、例えば為替の問題で苦しむところが出たとか非就業者の問題とか、様々なその手術の途中過程での副作用と申しますか、そのことで様々言うことがありますけれども、私は、そこで立ち止まるんじゃなくて、手当てをしながらやっぱりこの手術は完遂することが国民の負託に応えることだろうというふうに思っております。  その結果が先般の選挙だろうと思いますけれども、改めてお伺いいたします。安倍政権、自公政権、高い支持率を維持しておりますし、また、さきの総選挙での勝利について安倍総理御自身はどのように捉えられておるか、お伺いをいたします。
  39. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我々が政権を奪還いたしました一二年の暮れの総選挙、その状況におきましては経済は低迷をしておりました。経済の低迷だけではなくて、累積債務も積み上がっていた中において、財政の健全化に向けて進んでいかなければならない。同時に、社会保障の財源をしっかりと確保していく必要がございます。また、教育の改革もそうでございますし、外交、安全保障の立て直しも急務でございました。  しかし、一番大切なことは、まずはデフレから脱却をし、経済を成長させていくことであります。今、井原委員指摘されましたように、デフレから脱却をして経済を成長させていかなければ税収が増えていかない、よって財政の再建もできないわけでございますし、また、社会保障の財源を確保していく上においても、しっかりと経済を成長させ、果実を実らさなければならないのは当然のことでございます。また、外交、安全保障においても、日本のプレゼンスが低下をしていた中の大きな原因の一つは経済の低迷にもあるのは事実でございます。  そこで、我々はデフレ脱却に向けて三本の矢の政策によってこのデフレマインドを払拭する、まず気分を変えるのは大変大きな意味があるわけでございますが、デフレマインドを払拭するために三本の矢、大胆な金融政策と機動的な財政政策、そしてしっかりとした成長戦略を示し、実行していくことであります。  その成果として、現在、雇用においては、有効求人倍率は二十二年ぶりの高い水準になっておりますし、高校、大学の卒業予定者の内定率は上がっております。倒産件数も、我々が政権を取る前よりも二割減少したところでございますし、給与においても昨年二%以上平均で上がり、これは十五年ぶりの出来事となったわけでございます。  雇用においても収入においても間違いなく改善し、そして税収でございますが、税収は十二兆円増えたわけでございます。そこで、二十五兆円あった、我々が政権を取る前あったPB赤字は約半減したところでございます。  そうした成果について御支持をいただいている、しかし、まだまだ実感できないという方がいらっしゃることは事実でございまして、更にこの好循環をしっかりと全国に行き渡らさせていきたいと、このように考えているところでございます。
  40. 井原巧

    井原巧君 ありがとうございました。  なぜこの質問をしたかというと、もちろんアベノミクス、しっかり数値が出てきているということは国民の皆さん方にも是非知っていただきたいなと私も思いましたし、もう一つは、総理御自身が多分なかなか自分ではおっしゃれないだろうけれども、私が感じている魅力ということを少しお話しさせていただいたらと思います。  私は、市長時代に、自分で一番大切にしていた理念というのが、市政ですね、市政は家庭、市民は家族というふうなことをよく言っていました。それはなぜかというと、市長もそうだし、市の職員も議員さんも、自分の家族のことは誰でも一生懸命やるように、そういう思いがあったら必ず市民は付いてきてくれるから、苦しいことでも立ち向かおうと、こういうような思いでその理念を皆さんにお話ししていたわけですけれども、考えてみたら、国家という言葉がありますけど、これは国は家と、こう書くわけですね。国民はまさにこれは私は家族だと思って、総理はその国民から見ればお父さん役なんだろうと思うんです。  そのお父さん役は、やはり家族というのは、家族の窮状というのは実はよく知っているんですね。今、日本はどんな大きな問題にぶち当たっているか。経済が厳しい、あるいは地方の疲弊がある、あるいは国際的にも新興国の台頭があって経済も厳しくなった、社会保障も苦しいじゃないか、人口減少もあるじゃないか。だけど、この問題、お父さん何とかしてよと本当は思っているんですよ、本当は思っているんです。だけども、家によっては、そのお父さん、気付いていてもなかなか大きな壁だから恐ろしくて右往左往しているとか、動かないとか。そうなると、家族から信を失います。  家族というのは、本当は大きな壁にお父さんが挑んでもらう、その姿勢を実は家族というのは待っているというふうに思っておりまして、決められない政治は信を失うという言葉がありましたけれども、今、安倍政権の一番私は魅力というのは、今国民が思っている一番大きな課題ですね、そのことにやっぱり逃げずにぶれずにチャレンジしているその姿勢が私はすごく高い評価になっているというふうに思っておりますから、是非、総理は、まあ体力的にはきついかも分かりませんけれども、その信念は是非このまま続けていただいて、我々も一生懸命応援していきたいと、こういう思いで質問をさせていただいた次第でございます。  それでは、政策について入っていきたいと思いますが、まず地方創生についてお伺いしたいと思います。  総理は年頭の記者会見で、今年のえとのひつじの漢字は、木に枝葉が茂り、実に味が付いてきたという意味があると、全国津々浦々、多くの皆さんにアベノミクスの果実を味わっていただきたいと述べられまして、地方創生への意気込みを語られたわけであります。  総理の考え方とか政策を見ていると、私は実は一貫した哲学を感じている一人でありまして、例えば経済再生もできる限り中小とかあるいは小規模事業者が輝けるように何とか工夫を凝らしたいと、こうおっしゃっています。  今争点に上がっておりますけれども、農業の改革においても、現場の農家の皆さん方とかあるいは農協の皆さん方が伸び伸び輝いて、やはり農業というのは力が持てるんだ。これは、スポーツでいうラグビーみたいなものなんだと思うんですね。一人が幾ら頑張って輝いても、あるいは三角形の頂点が一生懸命頑張っても、総合力ではなかなか力にならずに、大きな壁というのは乗り越えられないと思うんです。それぞれの現場現場が役割を認識して目標を一にして頑張れる体制を取れば、それぞれの分野でこの大きな壁は乗り越えられると、こういうふうに総理の方で現場力を引き出そうという意を用いていることに私はすごく哲学を感じております。  そういう意味でいうと、この地方創生の成功というのは、何といっても現場がいかに地方創生の意図を理解して取り組んでくれるかということに私は懸かっていると思うんですけれども、実は少し自分も現場の首長をしていまして心配するところもあります。それは、やっぱり現場の中心となる首長さんや議員さん、役場職員との意識の格差について少し心配をいたしております。  長らく国と地方の関係というのは、主従関係とか親子関係とか、そんなふうに言われていた時代がありました。そして、地方分権論議が出てきて、今では国と地方の協議の場ができるとか、対等、パートナーと、こういうふうに位置付けされてきたわけでありますけれども、実はその対等、パートナーになると、今まで以上に地方自治体は本当は、自覚を持ってその大きな責任を負うという、そういう気持ちが更に上がっていなければなりません。それを前提として今回の地方創生という政策は組み立てられておりますから、地方の現場がいかに自主的に取り組むかということに全てが私は懸かっているというふうに思うわけです。  ただ、いろんな地方に参りますと、すごく熱心な首長さんもいらっしゃいます。しかし、例えば先般補正で組んだ交付金ですね、ああいう交付金が出たときに、よし、これを生かして頑張るぞという自治体もあれば、ラッキー、一息つけるぞという自治体もあることはもう間違いないんです。でも、それではやはりなかなか成を得ることはできません。  安倍総理や石破大臣のような熱さと地方が同じ熱さにならないとこの地方創生は成功しないというふうに考えておりまして、総理に是非お伺いというかメッセージを出していただきたいなと思うのは、地方創生を進めるに当たりまして、その中心を担うのは地方自治体であると思いますが、首長や議員、そして職員に是非期待したいこと、考えてほしいことがあれば、総理の方から一言お願いしたいと思います。
  41. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、井原委員指摘をされた点がまさに地方創生が成功するかどうか、一番大きなポイントだろうと思います。石破大臣もよくこれは述べておられることでありますが、危機感を共有する、この言わば地方創生に失敗したら地域や日本の未来はないという危機感を共有しなければならないと、このように思っております。  そこで、今までのように国がメニューを考えて、このメニューに手を挙げる人、誰とやっていく政策ではなくて、まさに地方が自分たちで計画とアイデアを出して、今おっしゃったように、お金が下りてきたら、ああ、これで一息できるということであれば、もうそこで終わるわけでありますが、それを元に新たな富をつくっていく、新たな活力を生み出していくためにみんなで考えようということになれば、まさに新たな地平線が切り開かれていくんだろうと、この思いを皆さんとともに共有したい。  それで、まさにそれは、それぞれの地域の持っている特性を一番よく知っている地域の皆さんに考えていただくということではないかと思います。愛媛県の場合は、例えばかんきつ類に大きな強さを持っていて、次々と甘くておいしい高級なものを、かんきつ類を作って、そしてそれをブランドとして付加価値を付けて今成功を収めておられます。そのような取組をやっていく。  委員も市町村合併してできた四国中央市の初代の市長として様々なアイデアを出してこられた。まさに、市長そして首長がリーダーシップを持って職員の皆さんと一緒に新たな取組をしていく、アイデアを考えていく、わくわくしながらクリエーティブな町おこしを考えていくということが大切ではないかと、このように思います。  その意味におきまして、地域の資源を活用する方法について知恵を絞って、総合戦略推進組織を立ち上げて、一体となって取組を推進していただきたいと、このように思っているわけでございまして、やる気のある地方の創意工夫を全力で応援する安倍政権の地方創生は、この方針で取り組んでまいります。  補正予算で創設した交付金等の支援策も活用していただきながら、この活用の仕方はまさに今委員がおっしゃったような精神で活用していただきたいと。このチャンスを、このチャンスしかないという思いで取り組んでいただきたいと思います。
  42. 井原巧

    井原巧君 大変力強いメッセージをありがとうございました。本当にみんなが一生懸命考えて、このチャンスしかないというそういう思いで日本津々浦々取り組めればなというふうに思っております。  次の質問は、その総合戦略の策定についてでありますけれども、国は一五年度中に自治体ごとの長期の人口ビジョンと五か年総合戦略の策定を求めております。私は、実はこれ本当にすごく大事なことだと思っていまして、その策定過程そのものが非常に大事だろうというふうに思っているんです。  大臣はいつも、最近、産官学金労言と、こういう言葉をよくおっしゃいますが、産業界、官界、大学等の高等研究機関、あるいは金融機関、労働組合、言論界と、こういうことなんだろうと思いますが、要は地元のチームみんなまとまってと、こういうことなんだろうと思うんですね。総力戦でということだろうと思いますが、その総力戦を進めるためには、あえてやはりその策定過程に加わっていただいてその熱さをやっぱり共有していくということがすごく大事だろうというふうに思っているわけです。  先ほど申し上げた意識の差とか、あるいは一五年度中に策定という時間の制約とか、そういうことを迫られて、例えば地域によってはひょっとしたらコンサル頼りになるところもあるかも分からないし、あるいは役所の中で作るところがあるかも分からないし、財源目当てで少し総花的な、そんなことになるかも分からない。そんな心配も私はするわけでございます。  政府におかれては、地方の自主性を損なわない範囲でこの策定について何とか支援を考えていただきたいなと思いますが、その点についてお伺いをいたします。
  43. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 明日、高知で四国地域の地方創生フォーラムというのを行います。明後日は秋田市で行います。四国は私が参りますし、秋田は平副大臣が参る予定にいたしておりますが、委員指摘のように、これは市長さんが勝手にやるものだとか町長さんがやってくれるだろうとか、そういう話ではこの地方創生というのは絶対に成功しない。  産官学金労言というのは、月月火水木金金ではなくて、産業界、それは商工会議所であり商工会でありJCであり中小企業団体中央会であり農協であり漁協でありという話です。産業界。そして、市役所、町役場。大学でも高校でも高専でもいいのですが、その地域の学問をされる方々、あるいは学ばれる方々。産官学。あと、これはビジネスにならなければしようがない話で、国からお金が切れたら最後、おしまいということではどうにもならぬので、ビジネスになるかどうかは、信用金庫であり信用組合であり地方銀行であり、それも本店ではなくてそこの支店の方々を交えていただきたいと思っておるのですね。産官学金。これは働き方を変えていかねばなりません。就業状況も変えていかねばなりません。連合を始めとする労働界の方々にも御参画をいただきたい。そして、地方新聞、地方のラジオ局、地方のテレビ局にも加わっていただきたい。みんなでつくりますということであります。産官学金労言。  そして、KPI、キー・パフォーマンス・インジケーター、何をやろうとしているんですかと。観光客の宿泊日数でしょうか、それとも移住者でしょうか、何を実現しようとするかという数値目標を設定していただく。そして、先ほど来赤石議員もお話しになりましたように、PDCA、これをどうやって回すかというお話でございます。そこに当たって、じゃ、地方にお任せよということを私どもは申し上げるつもりがなくて、それぞれの町、それぞれの村、それぞれの市が何がどうなっているのかというのを分からないと計画の立てようがないので、ビッグデータという形で、人、金、物、それはどんな人でありどんな金でありどんな物であり、どこから入ってどこへ出ていくのか等々、それはお示しをいたします。  そして、人材面におきましても、国家公務員がいろんな地方自治体に行きますが、人口五万人以下の市ってほとんど行っていない。町村もほとんど行っていない。大きなところに指定席みたいな形で行っておってもこれだけではどうにもならぬので、御希望を募りまして、できるだけマッチングさせる形で人材も出したい。そして、委員が御指摘になりましたような財政的な支援も行います。国はあくまで、財政面、情報面、人的な面で支援はします。しかしながら、それぞれの自治体、四国中央のことは四国中央が一番知っているんであって、霞が関で分かるはずはない。主役は市町村だというのはそういうことです。  ちっちゃな自治体はできないじゃないのとおっしゃる方がありますが、そんなことはない。ちっちゃな自治体がすばらしいアイデアを出すことがいっぱいあります。であらばこそ産官学金労言なんだろうなというふうに思っておりまして、これがまた、ここが足りない、あそこはいかぬということがあれば、私どもとして、親切丁寧、正直をモットーとしておりますので、とにかくこれをやりませんと国としては地方とともにこの国を存続させることはできない、総理が答弁いたしましたように、その危機感を共有したいと思っておるところでございます。
  44. 井原巧

    井原巧君 大臣、本当に親切丁寧な答弁、ありがとうございました。  次に、先ほど触れました人材について質問をしたいと思います。  私は、先ほども紹介がありましたように、四国中央市というところの出身で、紙の生産量は実は日本一の、九万足らずの町であります。何の紙でも作りますし、その加工業が今、高付加価値を求めて結構若い子が活躍して、意外と地方創生の成功している町なのかなというふうに思ったりしますけれども、ただ、アベノミクスに関しては、お札と切手だけは私の町もつくることができませんので、これは政治の方で頑張っていただきたいなというふうに思っておりますが。  その合併した町の中で、千三百人の実は村が私の町にもありました。これは成功体験ということなんですけれども、合併して、第三セクターで赤字団体でありましたから私自身が社長になったわけですけれども、神戸出身の子で全然四国にゆかりのない若い子がIターンで実は就職してきてくれたんですね。彼のアイデアを取り入れて、地元のお茶を使ってお茶を練り込んだ抹茶大福というのを作りました。売り方がまたいいんですね。ブランド化を進めることとターゲットは東京と大阪だという、そういうインターネットを始めたんです。最初はもちろん一年ぐらいは苦労しましたけれども、あるときにマスコミで取り上げられたり、一気に火を噴いて、実はお取り寄せランキング日本一まで獲得しまして、私なんかも民放の何とかマンデーというのに経営者で出たこともございます。それは、でも、進取の気性を持ったその神戸から来ていただいた若者に実は全て懸かったわけですね。  ですから、私のこういう成功体験とか、あるいはほかの地方のやっぱり成功事例を見ると、やっぱりそういう戦略を描く進取の気性を持った方、それがやっぱりいるかいないかというのがすごく大きいし、それを、いても生かすか生かさないかがすごく大きいものがありまして、それが地方創生の私は鍵であり肝であるというふうに今回思っております。  そこで、質問でございますが、そういう進取の気性を持った人材の育成と供給支援について国としてどのように支援をされていくのか、お聞かせ願いたいと思います。
  45. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) まさしくそこがポイントでありまして、さればこそ二十六年度補正予算におきまして交付金を用いまして、大都市圏からの人材呼び戻しというのを行う事業といたしまして、地域が必要とする人材を大都市圏で掘り起こしますとともに、自治体によります若者人材の還流、育成、定着を図る取組を支援すると、まあ答弁を読めばそういうことになるわけですが。要はあちらこちらにそういう人材がおられるわけですし、それは昨日も衆議院で答弁いたしたかと思いますが、十代、二十代の若い方々、東京に住まわれる方は半分近くの方が地方に住みたいと思っておられるわけで、人材はいる、地方も求めている、それをどうやってマッチングさせるかということが一番大事なんだと思います。地域にそういう方に帰ってきていただけるかどうか。UターンでもJターンでもIターンでも何でも構わないのですが、それをどうやってやるかを地域地域でお考えをいただきたいと思うのです。国は支援をいたします。  委員の御地元の大成功した事例があります。あえて商品名を言えば「霧の森大福」ですよね、商品名言っていいかどうか知りませんけれども。大福を洋風にするとどうなるんだという話で、これは食べるとえらくおいしい。これに安住することなく、今度はロールケーキをやるんだみたいな話で。  それから、物すごい雇用を生み出しているわけですが、それはまさしく人材です。その人材をどうやって見付けるかということをそれぞれの地域で、国が誰か人を派遣してくれるやではなくて、どうやって人を見付けるかということは、参議院は地方議会あるいは首長出身の議員の方も大勢おられるわけで、こういうアイデアがあるぞ、こうすれば戻ってくるぞというのを是非とも御教示をいただきたいし、委員のところの平野さんという方でしたかしら、実際に行く側のたしなみというのもある、受け入れる側のたしなみというのもある、行く側も、俺が行って教えてやるぜみたいなことだと大体失敗することになっておりまして、受け入れる側も、よそ者、若者、「ばか者」、奇抜な発想をするやつは要らないぜみたいなことを言っているとマッチングができないわけで、まさしく人材をいかにして確保するかということがポイントだというのは御指摘のとおりでございます。
  46. 井原巧

    井原巧君 ありがとうございます。  本当に、地方の方が意外と保守的で新しい人を受け入れない地域性がありますから、そこをいかに打破するかということは本当に大事だと改めて思っております。  続きまして、市町村合併後の地方の活性化についてお伺いしたいと思います。  市町村合併、平成の大合併があったわけですけれども、三千二百三十二、平成十一年、あった市町村が今は千七百十九となっております。総理山口県は五十六が十九になりまして、私のところは七十が二十、まあまあ合併したところですけれども、高市大臣のところ、奈良はほとんど合併していなくて四十七が三十九ということではありますけれども、西日本が比較的市町村合併が進んだ地域ではあります。  そこで、まずお伺いしたいのは、平成の市町村合併による市町村等の基礎的自治体の行政能力、財政力等の進捗をどう評価しているのか、市町村合併についてどう評価しているのかということをお聞かせ願いたいと思います。
  47. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 平成の合併によりまして、市町村の規模は総じて一定の拡大を見ております。おおむね一・九倍ですね。一定の行財政基盤の強化、これも図られたと認識をいたしております。  この平成の合併期、つまり平成十一年の四月一日から平成二十二年の三月三十一日、そこから平成二十三年十月までに合併した市町村、五百九十団体なんですけれども、こちらを対象に実施しました市町村合併に関する調査結果、これでは、市町村合併による効果として、専門職員の配置・充実、それから専門部署の新設、こういった組織・機構の充実というのができた、それからまた、職員配置の適正化などによる行財政効率化、こういったことが挙げられておりますので、市町村合併による行政能力の向上は図られていると思っております。  ただ、一方で、やっぱり住民の声が市町村に届きにくくなったと、こういった課題もございますので、やはり合併市町村が一体感をきちっと醸成していただいて、規模の、経済の効果も年月を追って現れてくる、こういう状況になって初めてみんながメリットを実感できるようになるんじゃないかと考えます。
  48. 井原巧

    井原巧君 ありがとうございます。  市町村合併が進んだわけでありますけれども、交付税の算定について少し具体的にお聞かせ願いたいと思うんです。  合併しましたから当然市町村の面積の拡大はしたわけでありまして、その当時では想定していなかった財政需要というのも生まれました。私のところなんかも、交付税の算定の中に、例えば公民館は一万人に一つと書いているわけですね、だけれども、実際合併したら公民館は十九ありましたから、人口が十万しかありませんので、九つは交付税の算定替えだったとか、あるいは消防署とか、様々、思った以上に、小学校の合併も難しいですけれども、公民館というのは地域の拠点だからそれを簡単に合併というのはなかなか現実は難しかったわけでありまして、想像以上の財政需要が生まれたわけであります。  そういうことをしかし鑑みながら合併算定替えという特例を十年間続けていただいて、旧の市町村ごとに交付税はいただいたわけですけれども、合併して十年たつと段階的に一本算定という、ちょっと専門用語になりますけれども、変わっていくというふうになっております。  そこで、質問したいと思うわけですけれども、なかなか地方がそれに対応できておりませんから、その特定期間が終了して全ての団体が通常の、普通の形の市町村の計算式、交付税の計算式になった場合の影響額は果たしていかほどになるのかと、そして、この課題に対しまして、二十六年度から支所に対する経費とか基準財政需要額に加算する対応も取っていただいて、現場に即した計算式にしていただいていることは大変有り難いわけでありますが、今後どのように対応を更にしていくお考えなのか、内容とかスケジュール、影響額があれば、影響額等についてお聞かせいただきたいと思います。
  49. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) まず、今後全ての合併市町村が一本算定に移行した場合の影響額についてお尋ねがありましたが、平成二十五年度の交付税の算定結果を踏まえますと約九千五百億円となるところであります。総務省としまして、この平成の合併によって市町村の姿が大きく変わったと、これを踏まえまして、合併後の市町村の財政需要を的確に把握しまして普通交付税の算定に反映していこうとしております。  具体的には、先ほどおっしゃった、例えば公民館の話がありましたけれども、支所に要する経費ですとか、あと人口密度が低いことによって結局は割高となってしまう経費などについて、平成二十六年度以降五年間を掛けて反映していくということにしております。  まず、このうち支所に要する経費の算定については平成二十六年度から先行的に実施したのですけれども、平成二十七年度においては消防費それから清掃費などについて見直しを行います。先般、具体的な見直し内容を取りまとめたところでございます。  さらに、平成二十八年度以降も、保健衛生費ですとか小中学校費などについて市町村の面積の拡大に対応した見直しを行って、順次交付税算定に反映をすることにしております。  これらの見直しによりまして、合併市町村に対しましては、合併算定替えの影響額九千五百億円の約七割に当たります六千七百億円が措置されることになります。  今後とも、地方団体の御意見よく伺いながら、実情をしっかり踏まえながら対応してまいります。
  50. 井原巧

    井原巧君 ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。  時間の関係もありまして、先般の地方自治法改正によりまして地域間の連携協約の新しい制度ができたんですけれども、これは今後連携を深めていただくということで、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次に、教育についてお伺いしたいと思います。  総理は、就任以来、教育再生はもう経済再生と並ぶ内閣の最重要課題というふうに捉えていただいて、大変有り難く思っております。  また、今年四月から施行される子ども・子育て支援制度というのがありますが、それについては、財政大変厳しい中であったわけでありますが、〇・五兆円の予算を支援制度に計上した上に、幼稚園の先生とか保育士とか、そういう処遇の改善あるいは職員の配置の改善などで〇・七兆円ベースで予定していた質の改善についても全て盛り込んでいただきました。これはもう本当に総理の英断だというふうに心から感謝をしております。  ただ、依然として人口減少、少子化というのは深刻なところがございまして、その一番大きな原因は何だろうということなんです。  国立社会保障・人口問題研究所によれば、夫婦に尋ねた理想的な子供の数というのは二・四二人いらっしゃいますが、実際は生まれた方は一・九六人になっていると。なぜ理想どおりじゃないのということになりますが、それは、六割の夫婦が答えたのが、子育てや教育にお金が掛かり過ぎるということであります。  現実に、これまで財政も厳しいところはあったんですけれども、我が国の公財政教育支出の対GDP比でありますが、OECD加盟国平均が五・四%教育費に掛けているのに対して、日本は実は三・六%ということで、かなり低いということになります。また、二十五年度決算で見ると、対前年度比〇・七%減にもなっております。  このような事態を受けまして、安倍政権では、先ほども申し上げましたように、非常にこの教育再生にお力をいただいているところでありますが、是非、国民に分かりやすい、メッセージ性の高い大胆な教育費の負担軽減に取り組んで、そしてこの少子化対策、そして教育の課題について政府が取り組んでいるのだということをアピールしていただきたいと思うわけですが、安倍総理のお考えについてお伺いしたいと思います。
  51. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 安倍政権は教育を重視をしておりまして、教育再生安倍政権の最も重要な政策の一つであります。  教育再生は、全ての子供たちが高い水準の学力、そして規範意識を身に付ける機会をしっかりと保障していくということでありまして、私たちが進めていく教育再生において、誰も子供たちを後ろには置いていかないという基本的な精神で取り組んでいきたいと思います。同時に、家庭の経済的な事情によって子供たちの進学意欲が左右されないようにしなければならない、全ての子供たちにしっかりとチャンスがある日本にしていかなければ日本の未来はないと、このように思っております。  あわせて、今、井原委員指摘をされましたように、教育費は少子化傾向にも大きな影響を与えているということもございます。そこで、我々、今回の予算平成二十七年度予算案におきましても、幼稚園の保育料について、所得の低い家庭の負担を一層軽減するなど幼児教育の無償化に向けた取組を段階的に進めています。そしてまた、高校生等の奨学給付金を充実してまいります。また、奨学金でありますが、奨学金においては様々な課題が指摘をされておりました。そこで、無利子奨学金や授業料減免を充実をしていく、さらには奨学金の返し方についてもしっかりと工夫をしていくということにしてまいります。  経済的な理由で子供の未来が閉ざされることがあってはならないわけでございまして、今後も教育費の負担軽減に取り組み、子供を持つ家庭をしっかりと支えていく考えであります。
  52. 井原巧

    井原巧君 大変心強い御答弁をありがとうございました。  次に、幼児教育について少し踏み込んでお話をさせていただきたいと思います。  三つ子の魂百までということわざがあるように、幼児教育の重要性は論をまたないわけでありますし、下村大臣はもう本当にあらゆる場において幼児教育の重要性とか投資の高さについて訴えていらっしゃいます。  第一次の安倍内閣のときに教育基本法の改正がありました。あのときに初めて幼児期の教育が規定されて、その重要性も書いていただいたわけでございます。幼児期の教育の重要性は、今日資料を添付しておりますが、ノーベル経済学賞を受賞されたヘックマン教授のペリー就学前計画における研究においても実証をされておりまして、幼児教育はやはり将来においても大きな影響があるんだというようなことを指摘されているところであります。  今後も、全ての子供たちに家庭の経済状況にかかわらず質の高い幼児教育を保障するため、先ほど総理が段階的にしていただいているということで大変心強く思っていますが、その幼児教育の無償化に向けた取組や幼児教育の質の向上に取り組むことが必要と考えますが、下村大臣の見解をお願いいたします。
  53. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) ありがとうございます。  井原委員が資料として幼児教育への投資の効果の一で示していただいていますが、アメリカのペリー就学前教育の中で、三、四、五歳児の幼児教育をきちっとしたグループと幼児教育をしなかったグループで、その後、生涯における収入の問題とか、これはアメリカの問題ですが、逮捕歴が大きく違ってくる、犯罪のですね、とか基本的な能力の到達度もかなりの差が出てくるということで、幼児教育の時期にきちっとした教育を受けるということは極めて重要だということは既に学問的にも証明されているわけでございます。  このような観点からも、さらに子供の質の高い幼児教育の機会を保障することを政府としては最大限努めていきたいと考えておりまして、関係府省と連携しつつ予算編成に取り組んだ結果、平成二十七年度の予算案におきましては、一つは市町村民税非課税世帯への保護者負担の軽減を図る、また市町村に対する補助の充実を図るということをすることによって、無償化に向けて更に加速させていきたいというふうに思います。  また、幼児教育の質の向上につきまして、平成二十七年度予算案におきまして、幼児教育の質向上推進プランとして、幼児教育に関する国の研究拠点の整備に向けた検討や教職員の研修の充実を図るためのモデル事業等を行うようにしております。  さらに、現在、幼稚園における教育課程の基準等の在り方について中教審でも検討をしていただいておりまして、今後、小学校教育との円滑な接続等の観点から、更に検討を深めてまいりたいと思います。  引き続き、政府・与党一体となって財源をしっかり確保しつつ、幼児教育の段階的な無償化に向けて加速度を付けるように先頭に立って頑張りたいと思います。
  54. 井原巧

    井原巧君 大変ありがとうございました。  もう時間が残り二分ですけれども、地元の塩崎大臣に是非質問をしたいので、少し、本当は義務教育課程についても聞こうと思いますが、充実をお願いして、医療費の削減、適正化についても一言聞きたいと思います。  私は、もちろん税と社会保障の一体改革というのは、これは大きな課題でありますし、税収社会保障費とそして地方交付税が実はイコールの額でありますから、ここを改革しないと本当に財政再建は難しいというふうに思っている一人でありますが、そういう改正前に、既存の制度の中でもやはり日々見直しということが必要だろうと思っておりまして、厚労省の方は積極的にジェネリック医薬品、後発医薬品のことでありますが、その普及に取り組んでいるところであります。  政府経済財政運営と改革の基本方針二〇一四でも、その後発医薬品の普及について明記をされておりまして、今後その普及について塩崎大臣はどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたしたいと思います。
  55. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 地元のよしみで御質問いただいてありがとうございます。  今お話ありましたように、これ医療費をどうしていくかということはとても大事な社会保障改革の肝の一つでもございますけれども、今御指摘のように、いわゆるジェネリックにつきましては、平成二十五年の四月に目標を六〇%ということで立てておりまして、現在、二十五年の九月現在で四六・九%というところに来ておりますから、まだこれから更に、これ三十年三月末ということでありますけれども、達成しなければいけないということであります。  やはり医療費の資源の有効活用という意味ではこのポイントは大変大事でありまして、安定供給、あるいは品質に対する信頼性の確保、そしてまた情報提供の充実、診療報酬上どう扱うかという問題などによって、諸外国並みの普及率を目指してジェネリックの使用促進に取り組んでいきたいというふうに思っております。  元々この六〇というのを設定したときには、フランスが六〇%ぐらいだったんですね。ところが、直近で見ると、これがもう七〇%ぐらいになっておりまして、日本でもやはりかなり頑張っていかなきゃいけないなというふうに思っているところでございまして、引き続き数量シェアの目標見直しについても検討してまいりたいというふうに思っております。
  56. 井原巧

    井原巧君 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
  57. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 関連質疑を許します。石井正弘君。
  58. 石井正弘

    石井正弘君 自由民主党岡山選挙区の石井正弘です。  本日、全般質疑におきましてこのように質問の機会をお与えいただきました先輩議員の御配慮に感謝を申し上げさせていただきながら、早速質問に入らさせていただきたいと思います。  まず最初に、決算の総論ということになるわけでございますが、私も四期十六年間、岡山県知事をしております間、県の発展、そして県民福祉の向上、そして快適な生活を実現していこうということで取り組んでまいりましたが、その基本は、あくまでも財政というものがその基盤を成すものであるということを認識しながらやってまいりました。大変、就任時、県財政は危機的な状況にございまして、起債制限比率あるいは公債費比率、全国一厳しい水準でございましたので、これを立て直しながら様々な前向きな政策を推進していこうということでやってまいりました。  その経験を踏まえまして、やはり財政健全化、これが最も肝要であるという見地から、今回、平成二十五年度の決算の数字を見ておりますと、歳入におきましては五年ぶりに税収公債金収入を上回っておりまして、いわゆる、先ほど来議論出ておりますが、プライマリーバランス、これは改善をされてきたということでございます。そして、二十五年度の補正予算は新規国債の増発を行っていない、あるいは今回成立をいたしました二十六年度の補正予算も新規国債発行額を七千五百億円余り減額をするということにしておりまして、財政健全化の観点からは現時点におきまして評価できると考えております。  しかし、二十五年度の決算でございますが、新規公債の発行額、これは四十三兆四千億円余でありまして、これを二十四年度と比較いたしますれば六・五兆円、すなわち一三・二%の減とはなっておりますけれども、その内訳であります赤字国債であります特例公債、これは三十三兆八千億円余となっておりまして、五年連続で三十兆円を超える規模と、こうなっております。  この結果、二十五年度末の国の債務の残高でございますけれども、一千二十四兆円に上っておりまして、年度末ベースで初めて一千兆円を上回ったということであります。特に、普通国債の残高が増加の一途をたどっておりまして、二十五年度末に七百四十三兆円に至って、この十年間では三百兆円近く増加をしているということでございます。  そこで、麻生財務大臣にお伺いいたしたいと思います。財政健全化に向けまして、新規国債の発行はできるだけこれを削減をし、国の債務残高の増加を抑制していくという基本的な姿勢、これが必要ではないかと思いますが、政府認識をお尋ねいたしたいと思います。
  59. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) おかげさまで、この平成二十七年度の予算編成におきまして、久方ぶりに税収といわゆる公債発行が逆転、まあ逆転という言葉は正確かどうかちょっと別にして、少し正常化しつつある流れになってきたとは思っておりまして、結果として、二〇一五年度までのプライマリーバランスの対二〇一〇年度赤字の半減というところの目標が見えてきた。これが、次に五年後の二〇二〇年までにこれを完全にいわゆるゼロにするところまで行かねばいかぬというところが今我々の目標で、そのできました後も引き続いて対GDP比で減っていく形にしていかなきゃならぬというところで、これが財政健全化目標と言われるものであります。  この目標達成に向けて財政健全化計画というものを、二〇二〇年度、そのまた以降に向けて、この夏までにあらかたの基本的なものを作り上げたいと思っておりますけれども、予定よりも厳しくなっておりますのは、消費税の引上げを一年半先延ばししている分だけ収入が減る形になりますので、そこが難しい。  しかし、とにかく経済は、それによって景気を良くする、それによって法人税収、また所得税等々のものが増える等々のものを考える、また歳出は今言われましたように改革をする、そして歳入の改革も含める等々のことを考えて、三つの柱とよく言うんですけれども、それを軸にきちんとした形で安心した財政というものでないと国の健全な発展はないと、そう思って私どもも努めておるところであります。
  60. 石井正弘

    石井正弘君 大変前向きな財政健全化に向けての御答弁、ありがとうございました。  先ほど赤石議員の方からも質問がございましたが、安倍総理会計検査院機能強化ということについて再度お尋ねをさせていただきたいと思います。  先般、会計検査機能充実強化につきまして、一月二十八日の参議院会議でも同僚の松山議員の質問に対しまして御答弁いただいているところではありますけれども、会計検査院は国の決算に関して、事業の妥当性あるいは効果がないと思われる事業検査につきまして十分に機能しているのだろうかと、こういう意見もあるところでございます。  例えばアメリカでありますけれども、会計検査院が政策の効果を包括的に検証するような検査を行っているんですね。そして、有効性の観点から、目標達成度、これに重点を置いて、達成しているかどうかということに重点を置いて評価する検査、これに積極的に取り組んでいるというところであります。  その結果が議会での政策決定にも影響を与えているというふうに聞いておりますが、こういったことを踏まえまして、再度総理に対しまして、無駄を排除するという観点から、会計検査院体制強化につきまして何らかの措置を講ずるべきではないかと考えておりますが、御見解をお伺いいたしたいと思います。
  61. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 会計検査院の求められている役割は、不正や不当な使途についてはこれはもちろんでございますが、同時に、今委員が御指摘をされました事業や政策の効果を問う有効性の検査の拡充強化にも努めているところであるということを承知をしておりますが、会計検査院では、平成二十五年度決算検査報告においても、例えば復興予算により実施をされた事業について、復興に必要な木材が被災地へ供給されていなかった点につき適切に事業を実施するよう所見を述べたり、また、交付金によって造成された基金事業において、有効に活用されていなかった資金国庫納付を求めたり、国庫納付させたりするなど、有効性の観点からの指摘を行ったものと承知をしています。  政府としては、会計検査院機能重要性について十分認識をしておりまして、検査活動が円滑かつ厳正に行われ、その機能が十分に発揮をされることから、不正不当な使途はもちろんでございますが、無駄の徹底的な削減にも有効であると、そういう観点からも引き続き十分に発揮できるように配慮していきたいと考えております。
  62. 石井正弘

    石井正弘君 是非そういう配慮をお願いいたしたいと思います。  そこで、具体的な今度は各論に入っていきたいと思うんですが、先ほど井原議員からも質問がございました地方創生ということについてであります。  この二十五年度におきましても、地方交付税等の一般財源総額、これ必要額を確保するとか、あるいは補正予算におきまして地域の元気創造プランの推進等々、所要額を計上しながら事業執行されてきたということでございましたが、当時は、地域の活性化という言葉はあっても、いわゆる地方創生と現在言われておりますが、こういう言葉はまだなかった時代でございましたが、今、増田論文の発表を機に地方創生の大議論が巻き起こっているところでございます。  そこで、私の方から、地元の新聞に載りました寄稿文をお手元にお示しをしております。(資料提示)これは、パネルでもお示ししておりますけれども、大原さんが、大原美術館の理事長でございます、「地方のあるべき姿の全体像」ということで発表されたものでございます。  この総論のところについて感想を総理にまずお伺いしたいと思うんですが、傍線にございますとおり、地方創生の議論が始まっている、遅きに失した感があるがうれしいことだと思うと、こうまず言って、そして、具体的総論、これを欠いているのではないかということを言った後に、具体的総論とは、地方のあるべき姿の全体像を描いて、それに至る道程を示すものである、国家も同じである、一たび地方創生という国家の経営目標を立てた以上、その具体的総論を速やかに構築をして、その仕上がりの姿と政策の道筋を世に問わなければならない、それが地方の期待であり、そして首都の責務であると、こう言っておられるのですが、この思いは、地方の考え方を、思いというものをここに表されている、凝縮されていると、この論文はそういうふうに私は位置付けができると思うんですけれども、この首都の責務であるとまで地方を代表する大原さんがおっしゃっていることについて、総理の感想をお伺いしたいと思います。
  63. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 昨年十一月に山陽新聞に寄稿されました大原謙一郎さんの御意見を読まさせていただきました。  ポイントは三つだと思うんですが、一つは、地方創生を進めるに当たって最も重要なのは人であり、創造的な仕事の場を地方に行き渡らせなければならないということ。そして二番目に、さらに、意欲と能力を備えた強い個が地方に住まい、十分に自己実現を図れる条件が整えられるべきであるということ。そして三つ目に、こうした地方をつくり上げるため、国としては、国家の経営目標として具体的な地方創生の姿と道筋を示すべきことと、誠に心に響く主張であったと思います。  つまり、地方創生の主役は人であり、そしてその人が地域によって力を発揮できるような環境を整えていくこと、それに向かって国がちゃんとビジョンを示せということだと思います。  昨年末には、我々は長期ビジョンと五年間の政策目標を示した総合戦略を決定をいたしました。これらに即して、地方に住む方々が情熱を持って地域に仕事をつくり、仕事が地方への流れをつくり、そして町に活力を生み出していく、このまさにまち・ひと・しごと、この中でも人を中心に地方創生を進めていきたいと、このように考えているところでございます。
  64. 石井正弘

    石井正弘君 ありがとうございました。この大原論文の各論の中で、地方の人的構造を強固にするためには創造的な仕事の場を地方に行き渡らさなければならないと、そのためには、企業の中枢機能の地方分散を推進し、本社が東京以外にあることのハンディキャップをなくする施策が求められると、このようにあるんですね。  また、その次ですけれども、このパネルは文部科学省が作成されたパネルなんですが、質問は石破大臣にお伺いしたいんですけれども、このパネル、資料にございますとおり、左側の数字は大学進学時における人口移動ということなんですが、京都府と東京都の流入超過というものが突出をしているわけですよね。  それから、右の方のパネルを御覧いただきますと、青色の部分、すなわち二十歳から二十四歳における人口移動の流入超過というのを見ますと、これも枠に囲っておりますからお分かりのとおり、首都圏、それから大阪、愛知に限られているということであります。  その下欄の地元就職を希望しない理由というところを御覧いただきましても、その一位は志望する企業がないからというものが三五・二%等と、このように表記されております。  こういったことから、国の総合戦略、基本目標にございますように、地方への新しい人の流れをつくるというこの方向性、これに私は非常に注目をしているところでございますが、特に企業の地方拠点の強化、とりわけ地方への移転というものが私は重要であるというふうに考えております。  次のパネルですが、これは石破大臣肝煎りの税制ということで、今回私も党税調の幹事として議論にも参画をさせていただきました件でございますが、この地方拠点強化税制、非常にこれは画期的なもの、まさに異次元の今までにない政策だというふうに言えると思うんですが、この税制の意義と効果、そしてこれは一年限りの国税ということでございますから、これをもう少し継続的にできないかという見解もあるようでございますが、課題が今後あるとすればどういった点があるのか、石破大臣に是非見解をお尋ねいたしたいと思います。
  65. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それぞれの自治体が企業の地方拠点強化についての計画を作っていただきます。何でもいいから来てちょうだいという話ではなくて、いらっしゃい、いらっしゃいではなくて、それぞれの、岡山市なら岡山市、倉敷市なら倉敷市がそういうような計画を作っていただきます。それに基づきまして、事業所ですとか研修施設ですとか本社機能ですとか、そういうものを移転し、新増設を行われる事業者の方に対しましては設備投資減税や雇用促進税制の措置を講じますといっても何のことだかよく分からない。  実際に、具体的にはどういう話かといえば、例えば、東京から岡山市でも津山市でも新見市でも何でもいいんですが、そこへ本社機能移転のために五億円を投資したとしますと。そのときに、税額控除を選択をなさいますと、オフィス減税分として七%ですから、法人税の負担額は三千五百万減りますと。そして、それによって三十人の方が地方に転勤をされ、地方で二十人を新しく雇われました場合には、雇用促進税制の特例といたしまして、最大五千五百万の法人税額を控除しますと。ということで、合計九千万円の税負担というものが軽減をされますということであります。  これは、こういう場合にこれぐらいお得ですよということをきちんと徹底をしませんと、企業は合理性の生き物ですから、一体どれぐらい得するんだということをはじかれることになります。これをちゃんと周知をするような努力をしなければなりません。  じゃ、お金だけ得すればそれでいいのかという話にはなりませんで、委員指摘のように、じゃ、そこへ行くと教育はどうなるんだいと、そこへ行ってどんな教育が受けられるのと、あるいは、身内に要介護の方がおられて、医療、介護はどうなるのということがございます。それは、特に御本人のみならず、御家族の方、奥様にとっての関心事項かもしれません。  ですから、もう単に企業が移転をするんじゃなくて、そこに勤めておられる方、移られる方、そういう方々にとってどういう問題があるのかということは、国もやりますが、自治体において、教育はこうですよ、医療、福祉はこうですよ、どうぞいらしてくださいということが必要なのであって、私ども税制で支援をいたしますが、自治体においてもそういうような御努力は当然いただきたいと思っておりますし、いただけるものと確信をいたしております。
  66. 石井正弘

    石井正弘君 もう大臣おっしゃるとおりでございまして、このようないい税制ができても、それを運用して、地元自治体が是非来てほしいという、それを行政総力を挙げて取り組んでいくことが肝要ではないかと思っております。是非こういった税制の有効活用を全国の自治体にお願いをしたいというふうに思っております。  そして、これに関連して、先ほどパネルの二、資料の二でも既に御説明したんですが、大原論文では、やはり教育研究についても、この問題について、全国に拠点を拡大させなくてはならない、全国各地に自己研さんと能力研磨の機会が埋め込まれることなしには地方の人的構成は強固になり得ないというふうにあるんですね。  先ほどのパネル、こちらの左側にお示ししたとおり、大学進学時における人口移動で流入超過が一部の都府県に集中しているということでありますので、そういう意味におきまして、大学等高等教育機関の地方の拠点の強化ですね、総合戦略にあります地方大学等創生五か年戦略、これに大いに期待をいたしますけれども、文部科学大臣に趣旨と構成するメニューについてお伺いしたいと思います。  と同時に、先の質問で恐縮なんですが、企業の地方移転強化について先ほどこのような税制がありました。大学については元々税が掛かりませんから税制措置ということではありませんが、大学等が首都圏等から移転する際には財政面において異次元の施策というものを講じていったらどうかと思うんですね。欧米の地方都市を見ても、有名な大学があって、文化あるいは学術都市、そういったところが非常に地域活性化の核になっているところも多々ございますけれども、いわゆる偏差値が高い、もっと一般的に言えばいわゆる有名大学、こういった大学が地方に分散するということになれば、まさに異次元の地方創生政策と言えるのではないかというふうに私も今までの経験の中で思うんですけれども、文部科学大臣の御見解をお尋ねいたしたいと思います。
  67. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) 今、日本には七百八十三大学がありまして、地方にも既存の大学は実は相当あります。ですから、まずは地方にある大学を一層活性化させて、そして都市部の大学以上、若者にとって魅力ある存在になるということをまずはしていく必要があるということの中で、昨年十二月二十七日に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、その既存の地方大学を活性化させるために、一つは、地域の課題解決や地域が必要とする人材の育成をきちっと大学側がやっているのかどうか、これに対して積極的に貢献する大学についての取組に対する支援、それから、地域産業の担い手となる学生の定着を図るために、これは都道府県が無利子奨学金の優先枠を創設するとか、それから奨学金を返さなくていいということについてサポートするとか、それから大学等と地元の企業と連携した人材育成、こういう取組を地方大学等創生五か年戦略として取りまとめたところでございます。  また、大学の設置の改廃、移転について、都市部から地方に移るという今御提案でありましたが、基本的にはこれは学校法人等の設置者の主体的な判断に基づいて行われるものでありますので、国が強制できるということではないというのは御承知おきいただきたいと思います。  しかし、現在、大学進学時における地方から大都市圏への人口流出を抑制するという観点から、大都市圏の大学における入学定員超過、これは結構超過している大学が相当あるんですね、これを適正化するということを検討しているところでございます。  地域で活躍する人材育成、大学を核とした地域産業の活性化、地方への人口集積等の観点から、地方大学の役割、極めて大きな期待が寄せられているところであります。地方創生の中核を担う地方大学の活性化について、文部科学省としても全力で取り組んでまいりたいと思います。
  68. 石井正弘

    石井正弘君 ありがとうございました。是非前向きに政策を進めていただきたいと思います。  そして、これらに関連いたしまして安倍総理にお伺いいたしたいんですけれども、企業とか大学の今お話をしましたが、政府自らが範を示して民間等に働きかけをする、このことが大事ではないかと思うんですね。  首都機能の移転のための法律、これが二十年ほど前に制定をされているんですけれども、残念ながら目に見えたような大きな成果というものは出てきていないと思います。まず隗より始めよということではないかと思います。政府関係機関の地方移転というものを内閣一丸となって、総理リーダーシップを持って強力に進めていくべきではないかと思います。この施策は、もうまさに東京一極集中是正ということには最も効果的だと思います。  省庁から独立行政法人に至るまで幅広く候補、これを内閣が主体的にリストアップをしていく。例えばでございますが、東日本大震災に関連いたしまして、復興庁を当該被災地、具体的には福島に持っていくとか、あるいは阪神・淡路大震災二十周年でございましたけれども、防災セクションを関西圏、特に被災地でございます神戸に持っていくとか、あるいは文化庁は日本の伝統文化の集積地、例えば京都に持っていくとか、こういったもうまさに異次元の政策というものを打ち出すということによって政府の地方創生に対します本気度を是非示していただきたいと、このように思いますけれども、この検討につきまして総理の見解を求めたいと思います。
  69. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 政府機関、政府関係機関については、多極分散型社会を目指し、これまでも六十九機関が都区外への移転が完了いたしました。また、移転先が決定もされています。  さらに、今回の地方創生の取組の中で、地方の発展に寄与すると考えられる政府関係機関については、地方からの提案を受ける形で地方への移転を進めていくこととしております。来年度には都道府県等から誘致提案を募集をし、創生本部において必要性や効果を検証しながら、平成二十八年度以降その具体化を図っていくこととしていきたいと考えております。
  70. 石井正弘

    石井正弘君 ありがとうございました。  それでは、具体的な産業ということで、地方を元気にしていくためには、やはり基幹産業でございます農林水産業を地域の特性を生かしながら更に活性化させていくことが重要と思います。  農業につきましては、和食が世界文化遺産に登録をされて、さらには日本型食生活が世界に見直されているということを含めて海外展開、攻めの農政を更に進めていただきたいということ、これは時間の関係で要望に代えさせていただきたいと思いますが、林業につきまして農林水産大臣にお伺いいたしたいと思います。  先日、昨日でございますが、自民党の地方創生実行統合本部の会合が開かれまして、石破大臣も御臨席をいただきました。テーマは、地方創生は林業からだと、こういうテーマでありました。  林野庁の長官の説明を聞きますと、新たな木材需要の創出を図って林業を成長産業に持っていくためには、CLT、直交集成板の開発普及、それから木質バイオマスのエネルギー利用、公共建築物等の木造化、こういったものが重要であるということでございました。まさにこれらを強力に進めていただきたいと思います。  今日は時間の関係で、木質バイオマスについてお伺いいたしたいと思います。  平成二十五年度は木質バイオマスの産業化促進事業五億五千八百万円余が計上されておりますが、この政策効果はどうだったでしょうか。  木質バイオマス発電についてお伺いいたしたいと思います。  岡山県、本県の、私の出身は岡山でございますが、真庭市、今ここで日本一の規模となる発電量となります発電所が間もなく完成ということで、着々事業が進んでおります。現在ありますバイオマス発電のほぼ倍の規模の発電量であります。  資料、パネルを御覧いただきたいと思いますが、一番上にございますが、未利用木材として間伐材や林地残材などを集めていく、それから一般木材として製材端材などを集めていって、これらをチップ化して、下にございますが、発電をしていくということで、一万キロワット、そして二万二千世帯分の需要に対応するという非常に大規模な事業でございますが、いわゆるカーボンニュートラルの観点からも、環境に優しい、そして再生可能エネルギーの可能な限りの拡大を目指すという政策にも合致しております。エネルギーの地産地消にもつながりますし、大事なことは、そこの左下にございますとおり、雇用として間接雇用百八十名とありますとおり、非常にこれは新たな雇用創出にもつながるということで、まさに地方創生にふさわしい事業ではないかと思うんですが、こういった事業を含めて全国に賦存する木質バイオマス資源の活用を国を挙げて支援をして取り組んでいただきたいと思いますけれども、これからの方針はどうでしょうか。  また、公共建築物等の活用も重要でございますが、今後さらに、林業振興のためには国産材の利用のより一層の拡大、これが極めて重要であると考えておりますが、この点についての考え方をお示しいただきたいと存じます。
  71. 西川公也

    国務大臣西川公也君) 木材の利用の関係と、今後バイオマスをどう進めるかと、こういうお話かと思いますが、現在、未利用間伐材等を利用した木質バイオマス発電施設、全国で七か所でございます。それから、熱利用施設は約千七百か所が稼働していると、こういう状況にあります。  それで、これからは、もう伐期が来た日本の木材、森林、これをどう有効性を高めていくかと、こういうことになりますと、今御指摘があったように、木質バイオマスの話もありますが、直交集成板、CLTについてどう有効利用を図っていくかと、こういうことになると思いますが、国土交通省の協力を得てなるべく早く高層建築に使えるように我々も努力をしていきたいと、こう考えています。  さらに、委員が大変御興味を持っておられるセルロースナノファイバー等の新たな素材の開発も併せて私どもは前向きに努力をしていきたいと、こう考えています。
  72. 石井正弘

    石井正弘君 ありがとうございました。是非前向きに取組を御期待申し上げたいと思います。  水産業の分野でございますが、水産資源の減少に対応しながら、つくり育てる漁業、そして豊かな海づくり、これを是非進めていただきたいというふうに思うんですね。  地球温暖化の影響などいろいろ言われておりますけれども、漁場の大きな変動が生じているわけでございまして、私の地元、瀬戸内海全般でありますが、瀬戸内海環境保全特別措置法がございまして、水質の改善のための規制の措置が講じられ、そして、COD、化学的酸素要求量の環境基準達成率が七八・四%となってきておりまして、東京湾の六八・四%とか伊勢湾の五六・三%と比べましてかなり高くなっている。すなわち、窒素、リンが除去されまして水質基準は改善されているんですが、その間、一方でプランクトンが減ったということもありまして、漁獲量が昭和六十年のピーク、それから比べると今は約三分の一になっているんですね。貝類が特に減少が著しくて、アサリに至ってはもう九九・五%減になっているといったような状況でございます。  生物の多様性、生産性を確保して瀬戸内海を豊かな海とするために、私も入っておりますが、瀬戸内海再生議員連盟では同法の改正に取り組んでおりまして、今国会で是非成立をさせたいと考えておりますが、環境大臣におかれましては、この我々の取組についての評価につきましてお考えをお示しいただきたいと思います。是非御支援をお願いいたしたいと思います。
  73. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) もう石井先生も中心的な役割を担っております瀬戸内海再生議員連盟で、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正に向けて取り組まれていらっしゃるということは承知をしております。環境省としても、多面的価値・機能を有する美しく豊かな瀬戸内海を目指すことが重要と考えております。  漂流、例えば海底ごみ、これは非常に影響がございますので、従来からの海岸の漂着ごみに加えて、先生方の御協力もいただいて、新たに平成二十六年度補正から、都道府県等が行う漂流・海底ごみの回収、処理等に対する財政措置、これを講ずるところとしたところでございます。新たなるこの取組、各県が大変、今度初めてのことでございますので、評価をしていると伺っております。先生方の御協力、大変有り難いと、このように思っております。  引き続き、関係省庁や関係府県等と連携をして、水質の保全管理、沿岸域の環境の保全、再生などに取り組んでいきたい、このように思います。
  74. 石井正弘

    石井正弘君 ありがとうございました。是非引き続きの御支援をよろしくお願いいたしたいと思います。  それでは、時間の関係で最後の質問になりますが、国土交通大臣に対しまして、これは地域の問題でもあり、瀬戸内海全体の問題でもあるんですけれども、二十五年度に地域公共交通確保維持改善事業、この中の内訳で離島航路の確保維持というものはあるんですけれども、この事業は離島に限られた支援策なんですね。離島航路ではありませんが、地域交通の足の確保の観点から今存亡の危機に瀕しているのが、岡山の玉野市宇野港とそれから香川県の高松港を結びます宇高航路であります。  資料を御覧いただきたいと思います。  この船なんですが、瀬戸大橋の通行料金の大幅割引とか引下げ、これがありまして、今、二社体制から一社体制になりました。それから、今は深夜、早朝もなくなっておりますが、昨年の四月の料金の引下げが高速道路全般にありまして、収支が急激に悪化して、このままだと赤字が続く、そうしますと二隻体制から一隻体制にして更なる減便、そして、そのままいきますと赤字が続くものですから、航路を廃止又は休止せざるを得ないと。そうなってしまいますと、もうこれを復活するということは難しいというのが事業者側のお話であり、また支援要望というものが経営者側から出ているということであります。地元自治体からも強い要望が出て、昨年、太田大臣の元に、私も一緒させていただきましたけれども、要望をさせていただきました。  この航路はトラックなど物流の根幹を成すものでありますし、また、旅客の平日の利用者を見ておりますと、仕事が約三割、通勤通学、通院目的が約二割と、こういうことでありますので、地元の生活にも非常に重要な航路となっているわけでございます。瀬戸大橋が台風とかあるいは強風、大雪、こういった気象条件、さらには地震など災害時に利用できなくなった場合の重要な代替手段にも実はなっているんですね。それから、自転車とか百二十五㏄未満の二輪車は通行できません。谷垣幹事長も、しまなみ海道は通れますけど、この橋は通れないということなんでありますけれども、自転車ではですね。  そこで、御覧いただきますと、瀬戸大橋を利用すると非常に大回りになります。時間も掛かります。旅客の運賃も掛かります。地元自治体は、存続のため、一定の負担をすることはやむを得ないという判断に傾きつつあるわけでございますけれども、これは道路の通行料金を大幅に引き下げてきた国の道路政策にも起因するものではないかと思うんですね。事業者への赤字補填が難しいという意見があろうかと思いますが、だったら、瀬戸大橋の通行料金の引下げもそうでしたけれども、利用者への運賃補助とすればいいのではないかと、このようにも考えます。道路局の料金政策、そして港湾局が投資してきた事業……
  75. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 質問をまとめてください。
  76. 石井正弘

    石井正弘君 これが無駄になってはいけませんので、国土交通省一体となって是非対応をお願いしたいと思います。  航路存続のため、国も一定の負担を地元自治体とともに是非とも行っていただきたいと思いますが、この点につきまして大臣の御見解をいただきたいと思います。
  77. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 時間がなくなったようですから端的に申し上げますが、非常に大事な航路だと認識をしています。  今の離島航路に限られているものの延長線上では、代替手段があるゆえに国の支援はできないということになります。この香川県、そして岡山県、玉野、高松、それぞれと協議会を開いておりまして、地元にも頑張ってもらわなくちゃいけないんですが、それらに加わっている国交省としても、よく相談しながら、何ができるかということについて更に協議を深めたいと、このように考えています。
  78. 石井正弘

    石井正弘君 ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。  終わります。
  79. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏でございます。安倍総理以下、大臣の皆さん、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず冒頭、私からも、この度、中東で尊い命を奪われた二人の日本人に対しまして心から哀悼の誠をささげたいと思います。しかし、私はここで同時に、今まさにこの瞬間も世界の各地で戦争や紛争、武力衝突やテロ行為で、そしてまた様々な武器や兵器の使用によって命を落とされている、奪われている全ての国々の市民に対しても心からの哀悼の誠をささげたいと思うのです。  今私たちがやらなければならないのは、憎しみの連鎖や暴力の連鎖や報復の連鎖を何としても食い止めることなのではないでしょうか。そのためにも、世界の国々と手を携えて、憎しみや恨みの根源にある貧困や差別や抑圧や偏見というものをなくすために努力をしていくことなのではないでしょうか。私は、平和憲法を抱く日本だからこそできる社会的、経済的、そして人間的な支援を続けていくことこそ私たちが進むべき道だと考えております。そのことに私自身の強い決意を申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。  今日、この事案に関する質問を予定はしておりませんでしたけれども、今朝方、新たなニュース速報が、報道が入りましたので、事実関係のみ、この件、お聞かせをいただきたいと思います。  今朝の共同の配信によると、トルコのチャブシオール外務大臣が会見で、トルコの情報機関が後藤健二さんらの拘束場所を把握をして、全てそれを日本政府に情報提供していたというふうに報道をされております。まず、この事実について確認をさせていただきたいと思います。
  80. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 安倍総理が、今回の中東訪問の最中からトルコのエルドアン大統領には電話を掛け、協力を要請し、そして先方からは最大限の協力を行う旨確約をいただいておりました。私も一月二十七日にトルコ・チャブシオール外務大臣と電話会談を行い、協力することで一致をしておりました。  我が国としましては、トルコを含め関係国と連携しながらお二人の早急な解放に向けて全力で取り組んできた次第ですが、その中で様々な情報を得ておりました。その内容については、この情報提供に当たって情報提供先との信頼関係もあります。具体的な内容について一つ一つ、何を得たか、何を得なかったか、こういったことについて申し上げるのは控えるべきだと思っています。  そして、報道については承知をしておりますが、この報道についてコメントをすることは控えさせていただきます。
  81. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 報道についてというよりは、今信頼関係と言われましたが、トルコの外務大臣がこれを公式の会見で言われた、これは報道機関に対する会見で言われたと。つまり、そのことについて、そういう事実があったのかということはここで国民の皆さんに開示をしていただいていいと思いますが、外務大臣、是非言ってください。
  82. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘になったのは報道についてであります。報道についてコメントするのは控えます。  一方、今後の我が国の情報収集において、提供先との信頼関係において、提供された情報について具体的に明らかにしない、こうした方針は大変重要だと考えています。
  83. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 繰り返しますが、先方の外務大臣が既にこれを公表されているということもあります。そういう意味では、これを国民の皆さんにきちんとどういう経過があったのかということは開示をしていただいていいんだと思います。  今回は既に、じゃ現地対策本部の設置場所が適切であったのかどうかということもいろいろと指摘をされております。今回のトルコ外務大臣のこのお話は大変重要な事実を含む内容だと思っておりますので、今後、検証作業等々にとっても重要な内容だと思いますので、きちんと確認をした上で、それを適切に対応していただきたいということだけこの場では要望させていただきたいと思います。  それでは、早速ですが、通告をしておりましたところに戻りまして、決算審査に入ってまいりたいと思います。  既に午前中から、朝から赤石理事の質問等々で決算の意義について、これは総理もお答えをいただいておりますので、ここであえて繰り返すことは避けておきますが、一つだけ総理大臣に。  決算の意義は十分感じておられると。二十五年決算会計検査院指摘、様々、今日も午前中、これまでも言及がございました。一点だけ、総理、振り返って、二十五年度決算、十五か月予算、ここが失敗だったなと、それをこの二十七年度予算に反映させることができたということが、是非ここは訴えたいというのがあったら、それをお聞かせいただけないでしょうか。
  84. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この二十五年度決算については、会計検査院がこれはまさに問題点等々については指摘をしていただいているところでございまして、そうした御指摘を今般、二十七年度予算には反映をさせていただいているところでございます。  そういう意味においては、例えば基金の在り方等々も含めて反映をさせていただいているところでございまして、今後とも、そうした御指摘を謙虚に受け止めながら、PDCAサイクルをしっかりと回していくことが求められているんだろうと、このように思います。
  85. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 是非ここだというところを言っていただきたかったんですが、PDCAサイクルについては後ほどまた質問があると思いますので譲りたいと思いますが。  具体的に、これも午前中、これまでの質問にもございました、国民の皆さんがやっぱり今一番心配をされているのが政府債務の問題だと。これは今回の決算の中でも重要な部分として指摘があるわけであります。  まず最初に、今日テレビを見ておられる皆さんにも政府債務の今の状況、二十五年度決算、そしてこの二十六年度末の見込みについてどういう状況になっているのか、説明をいただきたいと思います。麻生大臣で結構です。
  86. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 財務大臣でよろしいですか。──安倍内閣総理大臣
  87. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我が国財政の現状につきましては、巨額の公的債務の累積が、巨額の公的債務が累積するなど厳しい状況にあるわけでございまして、安倍内閣としては、そうした状況我が国に対する市場や国際社会からの信認を確保するため経済再生財政健全化両立を目指しているところでございまして、三本の矢の政策を進めることによって経済を成長させ、それによって増収を図るとともに、二十七年度予算においては、社会保障の自然増を含め聖域なく見直しをし、徹底的な重点化効率化を図っていくこととしております。  こうした取組の結果、国の一般会計におけるプライマリーバランスの赤字を政権交代前の二十四年度当初予算の二十四・九兆円、約二十五兆円ですね、から二十七年度予算の十三・四兆円へと十一・五兆円改善をしたわけでございます。なぜこうした改善ができたかといえば、デフレ脱却をし、経済を成長させる我々の政策によって効果が表れ、税収も十二・二兆円増えたからであります。  この結果、国債発行額は四・四兆円の削減となりましたが、四・四兆円という削減額は過去三番目に大きな規模の削減となったわけでございまして、六年ぶりに四十兆円を切ることができた。国、地方で見ても、二〇一五年度の財政健全化目標達成が見込まれると、このように考えているわけでありまして、また、二〇二〇年度の財政健全化目標もしっかりと堅持をしているということは繰り返し申し上げているとおりでございまして、その目標に向けて進んでいくためにも、デフレから脱却をし、経済再生により税収を増やし、無駄の削減徹底し、行財政改革もしっかりと取り組んでいき、そして歳出歳入両面にわたって取り組んでいく考えでございます。  社会保障につきましても、効率化合理化重点化を進めていく考えでございまして、本年夏までに達成目標に向けた具体的な計画を策定していく考えでございます。
  88. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 総理、冒頭、決算審議重要性確認をさせていただきました。時間の限られている決算審議です。是非、質問に端的にお答えをいただければと思います。  今確認させていただきたかったのは、これ通告をさせていただいておりましたが、今の政府債務、国債及び借入金の状況について御説明をいただきたかったわけですが、これ、国債、二十五年度末決算で一千兆円を超えて、一千二十四兆九千五百六十八億円という状況になっております。  これ、国債費の今利払いだけで決算で八・一兆円になっています。やっぱり国民の皆さんの心配は、今後の、景気回復をしていけば、当然この金利の上昇という局面も出てくるんだろうなと。この利払い費が、現在既に八・一兆円の利払い費が今後どうなっていくのかということをやっぱり多くの皆さんが心配されていると思うんです。  そこで、今日、内閣府においでをいただいておりますが、昨年、内閣府が中長期の経済財政に関する試算というものを公表されました。この中で長期金利そして国債費の伸びの予測が含まれておりますので、済みません、時間がありませんので、端的にここの部分だけ、十年後どういう状況になっているのか、御説明をお願いします。
  89. 井野靖久

    政府参考人(井野靖久君) お答えいたします。  昨年七月に策定いたしました中長期の経済財政に関する試算におきまして経済再生ケースとしてお示ししておりますのは、今後、中長期的に経済成長率が実質で二%以上、名目で三%以上を達成するケースであります。  このように経済成長率が高まっていくことに伴いまして、長期金利は現在の低い水準から徐々に上昇していきまして、二〇二〇年度頃には四%程度に上昇するという試算結果となっております。また、国債費でございますが、足下の二十兆円台前半の水準から、二〇二〇年度頃には四十兆円程度に増加するという試算結果となっております。
  90. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ありがとうございます。  今お聞きをいただきましたとおり、この内閣府の試算ですね、非常に穏やかな経済成長、これ、まさに安倍政権が目指しておられるんだと思いますが、その下でも十年間のうちに相当に大きく国債費が増加をしていくという予測です。  最初のパネルをお願いをしたいと思います。(資料提示)この予測を基に、じゃ今後、その国債費の伸び、利払い費、先ほど申し上げた、これがどう推移をしていくのかということを試算をしてみた数字がこの国債費の内訳の試算でございます。  これを見ていただきますとおり、今後、ある段階から利払い費が急激に伸びていきます。今まだ低い水準にございますけれども、この推計どおりに進みますと、十年後には国債費が歳出総額に占める割合が約三七%にまで拡大をしていくと、こういう予測になっております。  総理、この推計、どういうふうに受け止めておられるのか。
  91. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさにこの推定は我々が予測をしている推定でございますが、その前に立ちすくんでいては、むしろ更に財政は悪化をしていくわけでございます。  その意味におきまして、これは誰もが認めることでございますが、デフレから脱却をしなければ税収は増えていかない。これは当然のことであります。デフレから脱却をしていかなければ税収は増えない。税収というのは、名目の成長率を上げていかなければ税収は増えていかないというのは過去の実績でございます。そこで、税収を上げていくということと、先ほど申し上げましたようにしっかりと無駄をなくしていく、行財政改革にその観点から取り組んでいく以外には道がない。ですから、この道しかないということを申し上げているわけでございます。  その中において、この名目金利が上昇していく、また名目経済成長率との関係もございます。そこにつきましても、内閣府については慎重な見積りもしっかりとしているところでございますが、しかし、こういう状況、厳しい状況ではありますが、だからこそ、国の信認をしっかりと確保しつつ、我々は、伸びていく社会保障費に対しては、消費税五から八に上げたところでございますが、再来年にはしっかりと一〇%に上げ、対応できる状況をつくっていきたい。そのためにも経済の好循環を回していく、これ以外には道がないというふうに考えているところでございます。
  92. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 総理はその説明繰り返されていますけれども、この内閣府の試算でポイントは、結局、これ、いずれかの段階で金利の伸びが成長率を上回っていくと、だからこれだけ利払い費が途中から急激に伸びていくということだというふうに思っています。  つまり、この時点で三十年後の予測も税収は七十兆円以上を見込んでおられるわけです。それでもこれだけ公債費比率が高まっていくというのがこの内閣府の試算から導き出される状況でありまして、我々は単に今現在この状況安倍政権だけを責めるということじゃない、これは二十年、三十年、この間ずうっと積み上げてきて、今我々の財政がこういう状況にあるんだということを適切にやっぱり国民の皆さんに説明をさせていただきながら、それを御理解をいただきながら、そして財政の運営、経済政策の運営をしていかなければいけないということなんだというふうに思っています。  残念ながら、今回の補正の議論でも、それからこれから本予算の議論始まってまいりますが、財政健全化、健全化と言われるけれども、結局は、補正とプラス本予算で十五か月予算ということでいけば、非常に大きな額の予算を組んでおられるのではないか、やっぱり無駄の削減も含めてまだまだ不十分なのではないかということを心配しているわけでありまして、そのことも含めてこれからの決算審議の中でもしっかりと我々としても追及をさせていただきたいというふうに思っておりますので、このところは是非正しい認識国民の皆さんに示していただきますようお願いをしておきたいと思います。  その上で、公共事業費についてお伺いをします。  先ほど来いろいろな財政の健全化という話をされておりますが、これは我が党の相原理事が本会議でも指摘をいただきましたけれども、平成二十五年度決算で公共事業関係費が前年比で約二兆二千億円増加をして八兆円規模に膨れ上がっております。総理は答弁の中で、これは二十四年の補正で緊急経済対策を積んで、それがほとんど二十五年に繰り越されたので八兆円になったんだというふうにおっしゃいましたが、まさに総理が言われたとおり、これは十五か月予算でやられたわけで、その十五か月予算の中で八兆円にも上る公共事業費を積んだということであると思いますので、これは当然政策効果が問われる話だと思います。  それまで以上に二兆円以上の投資をしたと。じゃ、実際にそれが国民の生活、経済にどういう影響を及ぼしたと考えておられるのか、乗数効果、そして雇用創出効果の観点から簡潔に御説明いただきたい。
  93. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほども指摘をしておられましたが、言わば補正予算等の予算についてでございますが、これは当然無駄をなくしていく、当然でございます。と同時に、その時々の経済状況を見ながら、マクロ経済管理の上においてどれぐらい需要をつくらなければいけないかという観点からも、財政との兼ね合いを見ながら予算を決めていくわけであります。そこが大切なポイントでございまして、経済がこれは落ち込んでいく、底割れをしそうな状況であれば、そこにしっかりと財政出動をしていくということは当然のことなんだろうと思います。  そういう意味もあるんだということは申し上げておきたいと思いますし、私たちが政権を奪還した段階においては、これは十五年間続いてきたデフレがあって、この十五年間続いたデフレ脱却をする、これは相当のことでありまして、なかなかそんな長いデフレ脱却したという例はほとんどないわけでありますが、そこで、我々は異次元の政策として思い切った政策を取り、言わばマインドチェンジに成功したわけでございます。  社会資本の整備について今御質問がございました。端的に申し上げますと、例えばその効果には、公共投資が雇用を創出をし、所得の増大により消費を拡大させるなど短期的に経済全体を拡大させる効果であるフロー効果と、公共事業により整備された道路、河川等の社会資本が機能する、これは将来にわたっても機能するわけでございますが、中長期的に得られる効果であるストック効果、この二つがあると、こう承知をしております。  平成二十四年度補正予算では、景気の底割れ、先ほど申し上げました、の懸念がある状況の中において大きなフロー効果を狙わなければならなかったわけでございまして、約二・四兆円の公共事業予算を計上しました。そうした公共投資が需要の下支え効果を適切に発揮をし、デフレ不況からの脱却の進展に一定程度寄与したものと考えているわけでございます。一方、先般、これは二十六年度補正予算については、こうした効果も考え合わせながら補正予算も組んだところでございます。  そこで、我々がこうした補正予算あるいはこの二十四年度の補正予算を組んだ結果、言わば現在の状況でいえば、デフレ脱却はしていませんが、デフレではないという状況も生みつつあるわけでありますし、有効求人倍率の改善等雇用の改善、そして賃金への上昇と結び付けることもできていると、このように考えているところでございます。
  94. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 非常にばくっとした説明で、私が今お聞きしたのは、公共事業投資、二兆円プラスの増額をされたと、まさにこの乗数効果をどういうふうに具体的に分析をされたのか。総理は、この公共事業費のことに直接お答えにならずに、全体のマクロで良くなったと。でも、実際に、じゃ公共投資のこの二兆円の部分がどう貢献をしたのかということをどう判断をされているのか、具体的に分析をされているのかということをお聞きしたかったわけです。  参考までにお伝えをしておきますと、例えば建設関係の従業員数がどうなっているのか。これはほとんど動いておりません。建設従業員の賃金状況がどうなっているのか。実は、私も意外に思ったんですが、これはほとんど動いておりません。  この状況の中で、総理、先週の本会議の答弁の中でまさにそういう御指摘をされたわけですね。答弁で、これは経済状況に応じた一時的な対応であり、いつまでも続けることを想定しているものではありませんという答弁をされています。これが何を意味するのかというのは非常に興味があるんです。  これは総理も、もう公共事業、いわゆる伝統的な公共事業というのは乗数効果も余り見込めないと、だから今後はもっと違う効果のあることにちゃんと集中的に投下をするという意味で言われたのかどうか。その辺が、だから、乗数効果をどう考えられていて、雇用創出効果がどうあって、今後どうしていくのかという具体的なきちんとしたデータに基づく説明を聞きたかったわけです。  甘利さん、もし答弁があれば。
  95. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 乗数効果は、一投じるとそれがGDPにどのくらい跳ね返るかということでありますけれども、これも時代とともに変化をいたします。内閣府の調査、これは経済社会総合研究所で短期マクロモデルというのを作ります。最新のモデルですと、一年目は一・一四%増加をするということになります。  総理等の発言に関して申し上げますと、総理は、もう番たび公共事業を次から次へ追加して、平時の年度予算ベースできちんとやるべきことはやりますけれども、補正で番たび次から次へと投じていくということではなくて、補正についても質と量、それから効果について検証しながらやっていくという意味だと思うんですね。  かつて、公共事業というのはどういうときにやるかというと、需要を追加する即効型でやるわけですよね。それが時代とともに変化をしてくるというのは、私どもは、国土強靱化というか事前防災、先回りしてそれは整備した方がいい、災害が起きたときの被害の方が大きい、それはやるべきことは先回りしてやっていくという質の変化ですね。  それから、直近の補正では、三・五兆円では、公共事業比率を下げているはずであります。それは、今回はどういうところに問題があるかと、個人消費と地方創生、地方への展開、この二つが問題だという分析をして、そこにピンポイント、合わせた補正を打っているわけです。ですから、時代時代に補正の打ち方も何が課題かということを分析して、それに一番効果的な手法を使うという意味だというふうに思っています。
  96. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ありがとうございます。  私も内閣府の乗数効果試算を見させていただきました。やっぱりこれ、正直申し上げて、年々年を追うごとに低下をしていきます。今、甘利さんが言われたこと、やっぱり、時々、過去には公共事業費、これはぼちぼちの乗数効果があったんだろうな、しかしやっぱり今のコンテクストの中でそれが余り見込めなくなってきた、だから適切なということはまさにそのとおりだと思いますので、これは今回また決算審議を通じまして我々もしっかりと効果を見たいと思いますし、御説明いただきたいと思いますし、それを踏まえての今後の予算審議ということにもさせていただきたいと思います。  時間がありませんので次に行きますが、結局、今回の決算審議も含めて、やっぱり我々が一番その評価で気にしておるのは、それが本当に国民の皆さんの生活、暮らしを良くしているのかどうか。とりわけ、大多数を占める勤労者世帯の暮らしがどうなっているのかということを正しく分析をしていただいて、そして正しい政策を打っていただくこと、それに尽きるというふうに思っています。  この間もいろいろ議論がありまして、総理はこの数字を挙げて説明をされているわけですが、今日は最初に、ちょっとパネルを、これ資料でお配りをしております。  僕は、この一年、二年のアベノミクスの効果がマイナスだどうのこうのとそれだけ取り上げて批判をするつもりはありません。むしろ、この二十年、二十五年の日本のトレンドというものをまず正確に把握をしておく必要があると思っているんです。これ、今お配りをしております資料で、お手元の資料では三のところですが、この一九九〇年以降の名目賃金、実質賃金、物価指数の推移を見たものです。二〇〇〇年を一〇〇としています。こういうトレンドを長期的に描いています。総理もよく御存じだと思います。  ポイントは、一九九七年頃を境に労働者への分配、賃金がもうずっと低下のトレンドを取っているということなんです。そのトレンドの中に今もいるのではないかということを我々は正しく見る必要があると思っています。名目がこれだけ落ち込んでいて、デフレ状況だったので実質は若干踏ん張っていたんだけれども、ここに来て物価も上昇したので、実質がずっと落ち込んできているということなんだと思うんです。  総理、なぜ一九九七年頃を境に労働者への分配、実質賃金、名目賃金がこれだけの落ち込みトレンドを示しているのか、どういうふうに理解をされていますか。
  97. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この今お示しをいただいた資料がございます。  我々、なぜデフレから脱却をしなければいけないかといえば、デフレ下においては物の値段が下がっていくわけでありますが、それ以上に賃金も下がっていくわけでありまして、そこでまさにGDP、名目GDPがこれ縮小をしていくわけでございます。  そこで、その中において、経済自体が、これは物の値段が下がっていく中においては、資金を持っている人がこれ極めて結果として資産が増えていくということになっていくわけでありますから、企業も、投資もしなければ、あるいはまた人材への投資もしないということでございます。この流れを変えていく必要があるわけでありまして、その流れを変えていくという意味において、我々は三本の矢の政策によって異次元の政策を実施をしてデフレマインドを、これを払拭をしていく。その中で、今デフレではないという状況は事実できてきたわけでありますし、名目賃金は御承知のように上昇しているわけであります。  そして、よく例として挙げられる実質の賃金につきましては、これは言わば景気回復局面でございますから、新たに仕事を得た人たちはパートからスタートする、あるいは企業側も慎重に構えますのでパートを雇う、しかし、仕事を得た人の数はこれは増えてきているわけでございます。その結果が有効求人倍率の改善等々に表れてきているわけでございますし、事実、倒産件数も減っている。つまり、仕事が確保されている段階。そしてさらには、名目賃金については昨年においては二%、これは十五年ぶりの上昇になったわけでございますし、今年も我々は経済界に働きかけを行いながら、しっかりと上昇していく、そういう約束をしているところでございます。  これは、例えば二〇〇六年、七年にかけて企業は高い収益を上げたわけでありますが、しかし、それは賃金に転嫁をされずに内部留保に多くが回っていった。ここはやはり、かつての金融不安の中において貸し剥がし等々に遭ったということもありますし、デフレマインドが払拭されていない中には、先ほど申し上げましたように、言わば人への投資をしない。これを変えていく上においては、デフレから脱却をすることによって、そしてまた政労使の会議というような仕組みを使って企業に働きかけを政府としても行い、なるべく早くこの成長の果実を均てんをしていきたいと、このように考えているところでございます。
  98. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 結局、この二年間の御自身の何か一部の切り取った数字の成果だけ言われて終わっちゃったような気がしましたが……(発言する者あり)
  99. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 静粛に願います。
  100. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 九七年以降、なぜこれだけ継続的に、この九七年以降のトレンドの中にはいろんな局面があったんですよ、総理。上昇局面もあれば下降局面もあって、いろんな局面もあった。総理が今まさに御指摘をされたとおり、二〇〇一年、二〇〇二年から五年間は長期の景気回復期だったわけです。それがあったわけです。しかし、それ以外のときには低下期もあったわけです。しかし、一貫して九七年以降、労働者の分配が減り続けている。その要因は何だと思われますかと言っているのに、この二年間のどうのこうのに終始されるから、総理、今取られている政策は間違っているんじゃないですかと言わざるを得なくなるわけです。  総理、これは九七年以降、トレンドとして認められるんだと思います。やっぱり、この九七年以降、正規雇用が減って非正規雇用が増えてきたこのトレンドと全く反比例の関係で合致するわけです。九七年というのが日本の市場で正規雇用がピークを打った年なんです。それ以降は、正規雇用は一貫して減り続けているんです、トレンドとしては。そして、非正規が増え続けている。安倍政権のこの二年間も、総理はいろいろ言われますが、トレンドとしては、残念ながらそのトレンドは払拭されていないんです。  だから、実質賃金もなかなか、総理が頑張っている、頑張っているとは言われますけれども、実質賃金のトレンド、これは次の資料の四にお示しをしておりますけれども、事実として実質賃金の低下トレンドは払拭できていないと。であれば、この問題の根源を、やっぱり今の労働者が置かれている状況、非正規がこれだけ拡大をしてしまった、非正規と正規の格差が物すごく大きい。賃金だけじゃありません。様々な社会保障の適用とか、教育訓練制度への適用とか、一時金や退職金だとか、様々なトータルで見たときに、大変残念ながら、厳しい状況に置かれている非正規の方々が今や二千万人を超える状況になってきていると。このことを正しくつかまないと、間違った政策、また更にそれを増やしてしまうような労働者保護ルールの改悪なんということをやり始めちゃうわけですよ。だから、我々はちゃんと九七年以降のトレンドを正確に把握をしましょうと申し上げているわけです。総理
  101. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) いや、だから、先ほど私はお答えをしたんですよ。(発言する者あり)お答えをしましたよ。  九七年度、まさに、これは消費税を上げた、三%から五%に上がっていく中においてアジアの経済危機もありました。その中において日本はデフレに突入をしていくわけであります。それからずっとデフレが続いてきたというお話をしました。デフレ下にあっては、まさにこれは、物の値段が下がっていく以上に収入が下がっていくし、企業は人材にも投資をしない。もちろん設備投資もしませんが、人材にも投資をしないという状況が長く続いたのは事実です。だから、それを変えなければいけないということを申し上げたわけでありまして、まさに今委員が御質問になったことに答えているわけでございます。  そこで、雇用状況改善をしているのは事実であります。働く人の数が増えているわけであります。そして同時に、非正規の方々と正規の方々のこれは格差、言わば賃金格差については、これは今、縮まりつつ、縮小しつつ、我々が政権を取ってから縮小しつつあるわけであります。そして、私たちが政権を取ってから、政権を取る前に比べて、五十五歳以下の働き盛りの人々を見てみますと、勤労者を見てみますと、その方々の正規から非正規へ移った人の数と非正規から正規に移った人の数を比べれば、これは反転したんですよ。非正規から正規に移った人の数の方が増えてきたわけであります。まさにそれはファクト、事実であります。そういうものもしっかりと見ていただきたい。  こういう傾向を私たちはしっかりと進めていきたいわけでありますし、雇用状況は、これはもう間違いなく事実として改善をしているわけでありますから、この雇用状況改善をしていくことによって、雇う企業側もいい条件を出していかなければなかなか人が集まらないという状況があります。その中において我々は、二年連続、これは最低賃金について大幅な引上げを行うことができたわけでございます。  しっかりとこういうことにも取り組んでいきたいと、こう思うわけでございますし、またパートタイム労働者について、差別的取扱いが禁止される範囲を広げ、正社員との均衡待遇を推進してきたところでございます。  しっかりとこうした対策にも我々は取り組んでいきたいと、今、事実をずっと積み重ねて申し上げたところでございます。
  102. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ファクトと言われますので。例えば、先ほど総理、景気回復期には実質賃金は低下をすると。この九七年以降のトレンド、様々な景気局面がある中で一貫して実質賃金が低下をされていると。それはファクトです。それから、働く人の数が増えていると。働く人の数はこの二十年間を見ていただければ増えているんです。  何が増えているのかが問題だと御指摘をさせていただいているわけで、総理、そこだけの、この二年間のところだけ切り出して、いや、働く人が増えている。じゃ、どういう働く人が増えているのかということに思いをはせるのが政治でしょう。それを、思いをはせないから、やれ十万でも十五万でも雇用がありゃいいじゃないか。しかし、一生懸命働いて十万円しか稼げない、それで生活がままならない、若い人が結婚できない、お子さん持ちたくてもお子さんも、そういうことに思いをはせるのが政治なのに、それを無視するから正しい政策が取れないんでしょうというふうに僕らは申し上げているわけです。  総理は、よく総雇用者所得は伸びているというのを盛んに言われます。総雇用者所得って一体何なんでしょうか。  是非、総理、これ委員長にお願いをしたいと思います。  政府の公式統計で、総雇用者所得というものはこの二十五年間どう推移をしてきたのかというデータをきちんと我々の決算審査のために出していただきたい。探しても見付からないんです。是非、委員長お願いします。
  103. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 後刻理事会において協議いたします。  甘利担当大臣
  104. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 委員長、是非その辺はよろしくお願いをいたします。それから……
  105. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 甘利担当大臣を指名いたしております。
  106. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) これは私にも原因があるんですけれども、雇用者所得というと全体を指すんですね、従来の用語で。普通、聴いている人、テレビでも見ている人は、雇用者所得というと一人当たりと勘違いするんです。それは一人当たり雇用者所得という別建てになるんです。だから、一人当たりか総かが分かるようにしてくれということを答弁で言った方がいいと私が言ったんです。そこで、雇用者全体の所得ということを表現するようにしたんです。  だから、総雇用者所得という表現は、過去には雇用者所得という表現になっています。これは紛らわしいものですから、一人当たりか総かということをテレビを見ている人にも分かった方がいいということで、そういう表現を加えろということを言ったんです。
  107. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 それで逆に分からなくなっているんです、甘利さん。だから、委員長が先ほど言っていただいたので、きちんとこれを評価、分析をできる形で、この二十年、二十五年のトレンドとして出していただきたい。委員長が差配いただきましたので、それは是非よろしくお願いをいたします。  有効求人倍率も、総理、上がった、上がったと喜んでおられる。確かにこれは僕も評価をします。この二十数年間で有効求人倍率がここまで上がった、これは私も評価をしたいと思います。でも、大事なのは、分かっておられると思いますが、この有効求人倍率の中身、じゃ、それが実際にどこまできちんとした雇用に結び付いたのか、付いているのかということをきちんと総理は同時に語っていただかないと、いや、有効求人倍率が高まったと、良かった、良かった、それでは政治はちゃんとした責任を果たせないわけですよ。お分かりでしょう。  例えば、昨年の十二月、総理が使われている有効求人倍率が一・一五倍、ずうっと最高の水準です、言われましたね。じゃ、そこで、正社員の有効求人倍率とその正社員の有効求人倍率の充足率、就職率が前年比でどうなったかは、総理、御存じですか。
  108. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 質問通告ございませんでしたが、今資料を探しました。  正社員の有効求人倍率については、政権交代前、我々が政権交代前は〇・五〇倍でございますが、我々が政権を取ってから、一四年の十二月で見ますと〇・七一倍でございまして、この〇・七一倍という正社員の有効求人倍率は、この調査を開始して以来、十年間で最高の数値でございます。
  109. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 その〇・七一倍はもういいんです。その充足率がどうかということをお伺いしたんです。総理、〇・七一倍になったというのはいいです、これは。ただ、その正社員の求人がどの程度充足を、実際にきちんとした正社員の就職に結び付いているのかどうかをお伺いしたんです。総理、把握されていますか。
  110. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) そのような数字を事前にお聞きをしていないものですから、今手元にはございませんので、改めて調べて御報告します。
  111. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 お聞きしていないことはどんどん答えていただくわけですが。  有効求人倍率というのを使われるときには、総理、是非、有効……(発言する者あり)いや、違いますよ、総理総理が御自身で、雇用の情勢は良くなっていると、その重要な指標として有効求人倍率を使われているわけですから、じゃ、その中身が一体どうなのか。それが本当に、いろんな分野があるわけです。いろんな分野があって、有効求人倍率が非常に高くなっている。例えば医療、介護の分野は非常に今高くなっています。ただ、残念ながら充足できていないんです。そして、充足されてもそれがなかなか定着をしていただけないと。  私たち、いや、これ是非みんなの課題としてこういう雇用情勢、今の働く者の状況をきちんと把握をしないと適切な政策が打てないでしょうというために私は言わせていただいているんです。  時間がなくなってきましたので、だから、先ほど申し上げましたそういう認識をきちんとしていただかないから、労働者雇用保護ルール、これを更に改悪をして、更にこの二十年のトレンドをもっと悪化をさせるような、そういう間違った政策を追求されてしまうのではないでしょうかということを僕らは追及したいわけであります。  例えば、労働者派遣法の改悪があります。昨年、二回も廃案になりました。しかし、またこの通常国会でお出しになると聞いております。総理は盛んに、この派遣法は、やれ正社員化を進めるんだ、やれ処遇が良くなるんだということを言っておられますが、総理、端的にお答えください。総理御自身は、お時間がない、忙しいので、僕は見られたことがないと思うんですが、今回の労働者派遣法の具体的な中身、条文というのは御覧になっておられないんですよね。確認させてください。
  112. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) もちろん、法案を提出する上において、私の指示の下に法案を作成をする、また起案をするのは厚労省であります。しかし、こうしたことについて、責任を持って法案を審議する上において答弁をしていくのは厚生労働大臣でありますから、私が政府が出す百本近い法律を全て読んでいるわけではもちろんございませんが、概要については私が指示をした概要にのっとって作られているわけでございます。
  113. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 それは当然そうだと思います。  しかし、総理が様々今回の派遣法についての答弁を言われている。なので、若干、申し訳ない、言い方は悪いかもしれませんが、言われていることをそのまま言われているだけなので、本当はそうなのかということについて御理解をされていないんだろうな。塩崎厚生労働大臣も、この派遣法の中身、本当にどこまで御存じなのかということが甚だ心配なわけでありますけれども。  例えば、一つだけ例を挙げさせてください、雇用の安定化。今回の派遣法というのは、派遣を増やすものではない、悪化させるものではないと、むしろ正社員に結び付けるものだというような発言をされています。塩崎厚生労働大臣、条文のどこにそれが担保されていますか。
  114. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) まず第一に、まだ国会に提出をしていないので、法律もまだ最終的には固まっておりませんので条文を言うわけにはいきません。
  115. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 では、昨年廃案になった法案のベースで結構です。これは繰り返し繰り返し昨年国会答弁でされておられますので、廃案になったベースで結構ですので、条文のどこに正社員化が担保されていますか。
  116. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 条文を今持ち合わせておりませんので、その条文を、どこにあるかということはちょっと申し上げられませんけれども、おっしゃっていることは、正社員化についての手だてはどういうものがあるのかという御質問ではないかなと思うんですが、今のように言われると、その担保は法律で書いてあるわけでありますから、また法律で出したときにきちっと御説明をしたいと思いますけれども、今までの派遣法の中でなかった規律を新たに導入しているものは数々ございます。  それは、一つ、例えば派遣元に対しての雇用安定措置であり、それから教育訓練、キャリアコンサルティングのことについては、そもそも、今まで全て届出制と許可制とありましたが、届出制が四分の三だったんですね。今度は、許可制を全てにするということが担保をすることのまず第一であって、定めた規律を守らなければ許可制で……
  117. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 答弁を簡潔に願います。
  118. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) はい。  いろいろ業務改善命令や事業停止命令や、そして最後には許可の取消しというものもできるように今回は全てを許可制に変えるという仕組みにしているわけでありまして、まだ具体的な条文でお出しをしていませんから、どこにどういうことが書いてあるかということはともかくとして、少なくとも派遣元には大きな措置として新たに雇用安定措置を設け、それから、これはもう許可の際の要件でもありますから、これは、ちゃんとキャリアアップの仕組みを持っているのかというようなこともありますし、直接雇用への派遣先への義務化とか、そういうこともいろいろあるわけでありますので、改めてこれは条文を出して、皆様方にまた御説明を申し上げたいというふうに思います。
  119. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 聞いていることに端的に答えてください。でも分かるんです。答えられないんです、ないんですから。  昨年の廃案になった法案の中には、そんなことはどこにも書いてないんです、総理。これは是非厚労大臣にきちんと対応してもらってください。これは、法案にはどこにも書いてないんです。しかも、雇用の安定措置というのはあります、総理。しかし、これは全員には提供されないんです、しなくていいんです、義務じゃないんですから。そのことも我々はずっと追及をさせていただいています。  いろいろ、あれもやる、これもやる、正社員化を実現だ、許可制にする、期間制限だ、キャリア形成だ、これは全部義務じゃないんです。やってくれればいいなという中身なんです。やってくれればいいなという中身はやらないです、残念ながら。それでやるなら、これまで派遣の、今派遣労働という人たちが抱えている深刻な問題というのはなかったんだろうなと思うんです。  今、是非、厚生労働大臣総理にも是非お願いしたい。もう一度立ち止まって、今派遣労働というものがどういう問題を抱えているのか、どういう状況で彼らが一生懸命頑張って働いているのか、そのことにもう一度しっかりと問題分析をしていただいて、この法案をそもそも一から労政審でやり直していただきたいわけです。そのことを厚生労働大臣、是非約束してください。
  120. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 元々、労政審で建議がなされて、それに基づいて出した法律であります。それを今回また更に修正を与党からも御提案があるので今いろいろ議論をしていると、こういうことでありまして、先ほど、雇用安定措置は義務じゃないんだと、こう言っておりますが、これは法律上も義務であって、それは最終的にどうなるかというのは、これは日本は社会主義じゃありませんから、先生。  ですから、それは企業が最終的にどうするかというのは企業が最後に決めることであることは間違いありませんけれども、しかし踏まなきゃいけないステップは全部書いてあって、それを義務化にしているわけでありますので、そこのところはまた法律が出てから議論をさせていただきたいと思います。
  121. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 厚生労働大臣が条文の中身を分かっていなかったんだなというのを改めて確認をさせていただきましたし、これからまた出てくるんだということですが、我々はしっかりと議論させていただきたいと思います。  これで時間が来ましたので終わりますが、労政審、労政審と言われていますが、安倍政権になってからのまさに問題点がそこなんです。労政審の議論をないがしろにして、労働者がいる場で物事を決めるのではなくて、労働者の代表がいない安倍政権の下につくられた様々な産業競争力会議だとか、そういうところで決めたことをこれでやってねとやるから問題になるんです。  そのことを指摘をさせていただいて、私の質問を終わりにします。ありがとうございました。
  122. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  123. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、山口和之君及び江崎孝君が委員辞任され、その補欠としてアントニオ猪木君及び田城郁君が選任されました。     ─────────────
  124. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 休憩前に引き続き、平成二十五年度決算外二件を議題とし、全般質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。  石橋通宏君の関連質疑を許します。礒崎哲史君。
  125. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。今日は、この決算委員会で質問させていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。  まず、質問に入ります前に、今般、シリアにおきまして、いわゆるISILによって二人の尊い日本人の命が奪われました。本当に悲しい、深く深く悲しみを覚えているところでございます。亡くなられたお二人に心からの哀悼の誠をささげたいというふうに思います。  先ほど、参議院の本会議におきまして、テロ行為に対する非難決議が可決をされました。政府におかれましては、人道支援を拡充することによって国際社会の平和に寄与していく、この歩みを着実に一歩ずつ前進をさせていくことを改めてお願いを申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、早速委員会の方の質問に入らさせていただきたいというふうに思います。  この決算、国の決算といいますと、国民の皆さんから見てなかなか規模感が大きい、億の金ではなくて何兆と、たまに何百兆、何千兆という単位が出てくるものですから、よく分からぬというふうに受け止められる方も多いというふうにお伺いをいたします。  新聞などでもよく、家計に例えると、そのような分かりやすい表現をされているところもありますが、私も冒頭、ざっくりこの平成二十五年度の会計どうだったかというのを、物すごく乱暴になりますが、家計に例えて言えば、収入が四百六十万円の家庭で実際に支出が一千万円あったと。そのうち借金が四百三十万円ですね、そして、それ以外は貯金や銀行の預貯金になるというような形になります。したがいまして、収入の倍の支出が今出ているということからすれば、極めて財務体質については厳しい状態であると。家庭の借金で国の借金を例えると、今の計算でいくと一億になっちゃうわけですね。大変大きな額が今あるという、少し国民皆様にもそうした観点で身近にまずこの点御理解をいただきたいというふうに思います。  その家計、国に例えればこの決算、家庭に例えれば家計になりますけれども、この二十五年度の国のお財布の状況ということで先日決算報告がなされまして、その中で、使い方としてこれは正しくなかったのではないか、おかしいのではないかという指摘が五百九十件を超える件数金額にして二千八百億円を超える金額指摘をされているという形になりました。  まず、この点につきまして麻生大臣から、この結果を受けてどのようにお考えか、見識についてお伺いしたいというふうに思います。
  126. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、礒崎先生御指摘のありましたとおりに、平成二十五年度決算報告におきまして会計検査院から五百九十五件、二千八百三十一億円の指摘を受けたということは事実でありまして、甚だ遺憾だと、さように思っております。  検査報告指摘事項には、これは様々なものがその内容にございますけれども、一つ一つ着実に改善策を講じて、その後の予算また会計事務などにしっかりと反映させていくことが重要なんだと、そう思っておりまして、昨年十一月の検査報告を受けて、私からも各大臣に対して改めて予算の厳正かつ効率的な執行と経理の適正な処理というものに努めるような要請を行って、二十七年度の予算編成などにおいても検査報告を適切に反映したところであります。  例えば、具体的にということを多分おっしゃると思いますが、具体的なものを申し上げさせていただければ、これ、お使いにならなかった分は返納してくださいということはこの前の決算のときにその話がございましたので、そういった額で返納させております分に関しましては書類が出ておりますのでここで改めて申し上げることはありませんけれども、公益法人等々に造成された基金を網羅的に検査した結果、更に新たに三千億円を超える金額国庫に返納ということにさせていくことにいたしております。  また、基金予算計上というものも御指摘がありましたので、前回、基金の方式による実施が本当に必要な事業だけにしてその他は削減せいということで、一昨年におきましては一兆二千億だったと記憶いたしますけれども、それを七千億円削減、まあ減額、削減、そして今回は五千億円を計上させていただくということで、一・二が〇・五、七と〇・五に下がったと、七から〇・五に下がったということであります。  また、二十七年度の予算におきましても、二十六年度の当初予算に比べて四千億円減らさせていただいてトータル一兆円を計上させていただいているところでありまして、いずれにしても、会計職員不正経理等々の対応としてこれはきちんと、規律向上とかいろんな表現はありますけれども、指導並びに周知徹底を行って効率的な執行というのに努めさせていかねばならぬところでありまして、PDCAのサイクル等々、先ほど御質問があっておりましたけれども、非常に大事なところだと思って、今後とも的確にそれが反映させていただけるようにやりたいと思っております。
  127. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 今大臣から詳しい御説明をいただきました。今大臣の方からは、昨年、一昨年との比較という形でのお話をいただきました。もう少し前からこの数字拾っていきますと、実は金額としてはここ数年で大きく減少してきているというのも、これもまた事実であります。  二千八百億円なんていうと国民の皆さんからはそんなに無駄遣いしているのかという感覚もお持ちかもしれませんが、確実に減少してきているということも、これも事実であります。ただ、その一方で、今の六百件弱という件数、これが大きな変動がないということも、これもまた事実でありまして、この数字を捉えて改善が進んでいるのかどうかといいますと、もしかすると大きな金額指摘がたまたまなかっただけというふうに見ることもできるかもしれませんので、ここは、大臣、着実に今後も改善が前進していくよう、今後もしっかりと監視の方もしていただければというふうに思います。
  128. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御指摘、誠にごもっともだと存じますので、たまたま見付からなかっただけじゃないかという、何となくそういう気持ちもおありなんだと思いますが、私どもそれは物すごく大事なところだと思っておりますので、件数がきちんと上がることの方が逆に言えばもっと問題かもしれぬのであって、私どもとしては、これはもうちょっと余りにも差が、数千円とかいうのとまたちょっと違う話でありますので、私どもとしては、ここのところは規律というものがきちんと、役員の士気向上とかいろんな表現があろうかとは思いますけれども、そこらのところが一番肝腎なところだと、私どもはそう思って各大臣にこの点がという話をさせていただいております。
  129. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 どうぞよろしくお願いをいたします。  今、改善に向けてということでお話もいただきました。まあ額としてどうかということはあろうかと思いますが、やはり二千八百億円という数字、こうしたものが使い方として正しくないというようなことも出てきている。先ほど冒頭、家計に例えてお話をしましたが、やはり極めてこの決算審議というのは重要だというふうに考えております。  改めてではありますけれども、総理に、こうして正しくサイクルを回しながら正しくお金を使っていくということも踏まえて、この決算審議の意義、総理としてやはりどのように重要性捉えているか、お話をいただきたいと思います。
  130. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 国会には衆参で予算委員会がございます。その年の予算について、果たしてその予算が正しいかどうか、中身について御議論をいただくところでございますが、同時に、その予算が所期の目的どおり正しく使われているのか、あるいは効果を発揮をしているのか、あるいはまた、その中で様々な問題があったのかどうかということをしっかりと国会の場で議論していくことも予算と同じように重要でございまして、国民からお預かりをした大切な税金であり、その使い方でございます、それをしっかりと御議論していただき、その議論を次の予算へ反映させていくことも重要であろうと、このように思います。  政府としては、従来より国会での審議内容や決算検査等を踏まえて次年度予算編成予算執行に的確に反映してきたところでございますが、これはもう毎年毎年新たな課題というのも出てくるわけでございますので、しっかりと御指摘をいただいたことについては取り組んでいきたいと、このように思っているところでございます。
  131. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 今総理から、しっかりと今回の内容について反映をしていく、予算に反映をしていくというお話がありました。いわゆるこれが俗に言うPDCAのサイクルを回していくということだというふうに思います。先ほど麻生大臣の方からもPDCAというお言葉がありました。  改めて、ちょっとPDCAというものについて少し今回は論議をさせていただきたいんですが、いわゆるPDCAというものです。(資料提示)  左上のところから、プランということで、まずは国でいけば予算を作るという過程、そして右の方に、その予算に基づいて実際に事業執行していく過程、そして、その事業執行した結果としてどのようにお金が使われたのかというチェックをする過程、そして、その使われた結果に対して更に振り返りを行って予算に生かしていく、これが俗に言うPDCAという形になります。  先ほどの総理のお言葉の中に二点大切な言葉が、私がこれから訴えたい内容が実はもう含まれておりました。目的どおり使われているのか、そしてそれがどのように効果を発揮しているのか、これを見ていくことが極めて大切だとお話をされました。まさにそうだと思っております。  五百九十件の指摘があって二千八百億円の使われ方が問題があるという、その冒頭の部分、お話をさせていただいた、質問をさせていただいたのは、目的どおり使われているかどうかという観点でチェックをされたのが冒頭の点という形になります。  では、効果的に使われたのかという点についての論議、これがやはり非常に大切だと思っています。そうすると、効果的に使われるということは、やはり何かの目標、方針があって、それに基づいてきちんと計画が立てられているのか、実行がなされているのか、それが非常に重要な点になっていくというふうに思います。  その意味では、政府がそのために出された方針、目的が何になるのか。通常、本予算審議の前には施政方針演説ということで総理が演説をなされるわけですけれども、それがそのまま該当するのかどうか、その点も含めて、今回の審議対象になっております平成二十五年度の予算、この方針、目的、狙いは何だったのか、改めてその点について総理にお伺いしたいと思います。
  132. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) この目的につきましては、第二次安倍内閣最初の予算編成である平成二十五年度当初予算におきまして、強い経済を取り戻すという断固たる決意の下に、まずは景気の底割れの回避とデフレからの脱却、早期脱却を図ることとしました。他方、財政状況の悪化を防ぐため、歳出の無駄を最大限縮減しつつ中身を大胆に重点化することとして予算編成に取り組んだところでございます。経済再生に向けて、緊急経済対策に基づく二十四年度補正予算と一体的に十五か月予算として編成するとともに、予算効率化を通じて四年ぶりに税収公債金を上回る状態を回復し、財政健全化目標達成に向けた第一歩の予算としたところでございます。
  133. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 今、主には、そうすると、経済再生に向けて、中身としてはデフレ脱却、それと財政規律、これを健全化していくというふうな二点でお話をいただきました。  ただ、実は、先ほど私が方向性ということで施政方針演説というところを一つ例としてお話をしたんですが、その中で実はうたわれていたのが、まず第一に、一番目に書いてあったのが震災からの復興というのがございました。その後は、今御説明をいただいた経済の成長、その後に安心、安全というのがありまして、その後に暮らしの不安への対応、後半に外交と安全保障ということで、実はこれ、並べていきますと、どれが一番重点項目かというのが実はこの演説のところから少し分かりづらくなっているというところがありまして、逆に今そこは総理の御発言からいくとかなり絞り込まれて、やはり経済だったんだということだというふうに理解をいたしました。  ただ、やはりもう少しといいますか、方針を示す際の強弱というものが中身として必要なのかなということもそこは改めて感じるわけですけれども、ちょっと後ほどその点についてはまた触れさせていただければと思いますが。  今総理がお示しになりました方向性に基づいて、そうしますと、今回は様々な事業が実行をなされた。そうすると、それに対しての結果、そして当然、政府としてその内容についてしっかりとフィードバック、内容についての振り返りをされている。そしてさらには、それを、今年度の補正予算になるんでしょうか、それとも来週から始まります来年度の本予算の中身にフィードバックをしているという形になるというふうに思いますけれども、振り返りの内容とそうしたフィードバックの内容について、具体的に中身について確認をさせていただきたいと思います。
  134. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど目的についてお話をさせていただきました。確かに、施政方針演説については幾つかの柱を立てて政府としてやるべきことについて記述をさせていただいたところでございますが、そうしたことを実行していくためにもまずは強い経済を取り戻していかなければいけないということであったわけでございますが、その視点から平成二十五年度決算を振り返りますと、税収が当初予算と比べ三・九兆円増加をする一方で、補正予算で新規国債を増発しなかったことなどから、最終的に税収が公債費を六・一兆円上回る結果となったと、決算においても経済再生財政健全化両立させる姿を示すことができたと考えています。  また、政府としては、従来より、検査報告決算結果等を踏まえて予算編成等に適切に反映するよう取り組んでいるところであり、二十七年度予算編成においても的確に反映を行ったところであります。  例えば、予算編成において、検査報告で一部の基金の返納について指摘を受けたため、全ての公益法人等に造成された基金を網羅的に再点検した結果、新たに〇・三兆円を超える全額国庫に返納させるとともに、基金関連予算基金方式による実施が真に必要な事業に絞り、本当に必要な事業だけに絞り込んでいく、大幅に削減したところでございます。  また、執行段階においては、検査報告指摘をされた事務事業の進め方に問題があったものについて会議や研修等を通じ会計法令等の周知徹底等を行うなど、予算執行の適正化に取り組んだところでございますが、今後もしっかりとPDCAサイクル取組を進めていきたいと、このように思います。
  135. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 今お話を聞かせていただいて、先ほどの話でいけば財政規律を整えていくということ、これが大きな目的になっておりましたので、そこの点についての振り返り、お話をいただいたのかなというふうに思います。  もう一つの大きな大きな柱であります経済再生、この点についての振り返りはどうなのかなというふうに思います。  ちょっとここで私が少し引っかかっておりますのは、午前中の審議も見てそうなんですけれども、自分自身の会社員時代に働いていたそのときの、こういうサイクルを回してきたときの感覚でいきますと、様々な事業をやってレポートを提出をしなければいけないときに、まず目的を書きました。次の項目で結論を書きました。もうこれはオーケーかNGか、極めて簡潔に明瞭にそれを書く。その後に結果を書いて、その後に考察というものを書いていきます。考察の中には、当然今後の課題も含めて、結果に対しての振り返り、併せて今後の課題についてもその中に記述をしていく形になります。当然、目的は、職場におければ生産性の向上であったり品質の向上であったり、そのために、改善をするためにどういうことが必要なのかと、そういう提案型のレポートを書くわけです。  そういう意味でいけば、自分としては、結論としてはオーケーなんですけれども、まだまだ足りない部分があったんじゃないかなと、目的は達成できているのかもしれないがもっともっと改善項目があるのではないかな、そういう視点を持って考察を書くと。私が思うに、このCと、特にAの部分、私はそういう振り返りこそ必要なのではないかなというふうに思っています。  今の総理からいただいたお話というのは、当然プラスになっているところだと、効果が出ているところだということは重々承知をしておりますが、じゃ、それを更に良くしていくためにはどうすればいいのか、あるいは目的といいますか、プラスにはなっているんだけれども実はもっと大きなプラスを見込んでいて、そこに対しては実は届いていないんだ、それを改善するためにはどうしたらいいのか、私はそうした振り返りが大変重要だというふうに思っているんですが、そういった点で何か振り返りの事例がありましたら教えていただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  136. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは、礒崎先生、ちょっと今この場で言われましたんで、具体案をもって、これだけやっておけばあともう六億円ぐらい税収が増えたろうなとか、ちょっとなかなかそこまで今、個別に今言われましたので、ちょっと調べてみますけれども、今言われて、この段階であの事業をこうしておけばというのがちょっと今直ちに答弁できるわけではございませんので、時間をいただいたら調べて御返事申し上げます。
  137. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 当然、やはり振り返りは私はされているんだというふうに思っています。でなければ、今回の平成二十六年度の補正予算が作れるはずがないんです。緊急経済対策が打てるはずがないんです、緊急なんですから。二十七年度本予算が作れるはずがないので、私はこれは振り返りをされていると思っていますので、是非これ、今後の決算の中でも結構ですし、この後の本予算会議の中でも結構です、是非その振り返りの内容について御提示をいただきたいというふうに思います。  例えば、昨日の予算委員会の民主党の金子議員からの質問の中でもあったんですけれども、その中で、正直、個人消費の落ち込みというものが現実にあったと、これはもう多分お認めになられるというふうに思います。その原因ということで、甘利大臣の方から幾つか、何点かお話がありました。天候不順もあったと思うと。あとは、物価上昇と、それに賃金上昇が追い付かずに実質賃金が低下をしていた、こういうことも考えられるし、あるいは若者の消費行動として将来防衛に、将来への不安から生活防衛に走ってしまったんじゃないか、こういうお話もありました。私、これが振り返りだというふうに思っております。ですから、昨日、甘利大臣の方からこういう発言があったんで僕は間違いなくこれは振り返りをされていると思ったんですけれども、まとめた形でまたお出しをしていただければというふうに思います。  私の観点でいけば、今言った実質賃金のこともありますので、これはなぜ実質賃金が上がっていないのか、これもやはり振り返りの中でできれば触れていただきたいと思いますし、物価上昇、これも後ほどまた日銀副総裁にも来ていただいていますのでお伺いをしたいと思っていますが、これもやはりうまく進んでいないことの一例ではないかなというふうに思います。  それから、為替が円安になったことで輸出が伸びるであろうと言っていたものがやはり伸びていない。これも輸出、輸入のバランスからいけば、やはり予定どおりいかなかったということでいけば僕は振り返りの対象になるんだろうというふうに思いますし、あとは国内企業の投資ですね、金融からの貸出金がなかなか増えていないという現状もあります。これもやはり振り返りが必要。総理が目指しておられるデフレ脱却に全てが私は必要なアイテムだと思っておりますので、是非これ振り返り、具体的な中身について今後御提示をいただければというふうに思います。  今るるお話を申し上げてまいりましたけれども、やはり今言った、何を目的にしていたのか、それに対して全ての人たちが行動して、そこに対してどのような振り返りをするのか、極めてそこを簡潔明瞭に、やはり今後、本当のPDCAサイクル改善のサイクルを回していくためにはこの考え方を一つ観点の中に私は入れていくべきではないかなというふうに思っています。  別に安倍総理がやっているとかやっていないとかというわけではなくて、これまでなかなかそういう観点、お話がなかったんではないかなと思いましたので、今回、こういう考え方、是非今後の総理の御発言の中に含めていただきたいということで提案をさせていただきたいと思いますが、総理、どうでしょうか。
  138. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今、礒崎委員から御指摘をいただいた振り返り、そして足りないところは何かということを、あるいは政策意図どおりにはならなかったかどうかということを検証していくことは極めて重要であろうと、このように思います。  そして、今、礒崎委員にそれぞれ御指摘をいただきました昨年の消費税引上げに伴う消費の落ち込み、あるいは、まあこれは反動減もあるわけでありますが、消費の落ち込みは私たちの予想以上であったのは事実でございます。そこから、果たして言わば消費落ち込みに対する補正予算が十分であったかどうかということも含めてこれは検証していくというか、こういう検証をしながら私としては消費税の引上げを十八か月延期をしたところでございますが、そうした点、あるいはまた地方への波及が少ない、あるいは中小・小規模事業者の原材料費が上がっていく中で価格転嫁が十分にできていなかった点等々は、これはしっかりと振り返りながら今後の政策に反映させていきたいと、このように考えているところでございます。
  139. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 先般来、補正予算の効果の検証とか、それから予算そのものの検証という御指摘をいただいております。  先般、一月の三十一日だったと思いますが、補正の効果について諮問会議で出させていただきました。ただ、これはどうしてもマクロ的な指標になってしまうんですね。補正だけで数百項目、予算では数千項目が歳出項目であると思うんですが、それは、民主党時代にやられたいいものは我々も引き継ごうということで、行政事業レビューというのがあります。これはいいことだと思いましたから安倍内閣でも引き継がせていただいておりまして、より効果的に使おうということでやっております。行政事業レビューでその政策効果をしっかり測っております。  ただ、これもどうしても定量的なものというのはやっぱりなかなか出せなくて、どうしても定性的になりがちなんです。それはそれで効果的だと思いますが、そういう方向で、それを基に、この政策は効果があったのか、期待どおりの効果が果たせたのかと、そういうところからレビューを通じて次の予算に反映していくということだというふうに思っています。
  140. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 今、甘利大臣の方から行政事業レビューのお話が出ました。少しその質問も本当はしようかなと思っていまして、今ちょうどお話をいただいたので。  今総理とやり取りをさせていただいたのは、大きな国の方針に基づいたPDCA、その方針に基づいた実際の各省庁で行われた事業に対するPDCAというもののCとAに当たるのが行政事業レビューだというふうに思っておりますので、これはもう私は極めて大切な部分。今、大臣、それについてはしっかりと認識をされているというふうに受け止めましたので、少し中身について、定量的には難しい、定性的になりがちだというお話もありましたが、全体の改善のサイクルとしては私は必要なアイテムだという認識でおりますので、その定量的、定性的という部分で問題があれば、是非その部分を課題としてPDCAサイクルでまた回していただいて改善をしていく、少しでも効果を上げるための行政事業レビューの姿、在り方とは何なんだ、そういう論議も引き続きさせていただく必要があろうかというふうに思います。  こういう小さな改善のサイクルと大きな改善のサイクルをとにかく繰り返して、一つ一つを積み上げていくということが財政の健全化に向けて何よりも私大切だと思っておりますので、是非そうした取組を皆さんにお願いをしたいというふうに思います。  先ほど少し金融のお話ということで、今日は日銀の副総裁にもおいでをいただきましたので、ちょっと素朴に、率直な質問にはなりますけれども、何点かぶつけさせていただければというふうに思います。  総務省の統計局から出されております総合の物価指数を見ますと、四月以降、消費税が八%に上げられてからの八か月間で総合指標としては〇・二ポイント上昇、これ、目標としては二%の物価上昇ということでありましたので、極めて達成は困難な状況だというふうに数字としては見れるというふうに思います。  改めて、日銀の副総裁には、この金融緩和政策で二%の物価上昇、これをターゲットとして二年程度という期間を置かれておりましたけれども、改めて、このターゲット、現状の認識について改めて確認をさせていただきたいというふうに思います。
  141. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 二%の物価安定の目標、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するという量的・質的金融緩和導入時の考え方は変わりはございません。量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しており、物価は企業収益や雇用所得の増加など経済改善を伴いながら上昇してきているというふうに思います。  やや詳しく申し上げますと、消費者物価の前年比は、量的・質的金融緩和が導入する前はマイナスで推移していたわけでありますが、その後プラスに転じ、昨年秋頃には一%程度で推移してきたわけであります。しかし、その後、原油価格が大幅に下落いたしました。その影響を受けて、消費者物価、前年比のプラス幅はゼロ%台まで縮小しております。  しかし、基調的な物価上昇率は着実に高まってきているというふうに考えます。その背景としては、需給ギャップが改善していることと、予想物価上昇率がやはり上昇しているということが考えられます。すなわち、需給ギャップは、失業率が三・四%まで低下するといった指標から分かるとおり、労働面を中心に改善を続けておりまして、最近は過去の長期平均並みであるゼロ近傍まで需給ギャップは改善しているということでございます。先行きも潜在成長率を上回る成長が続く下で改善傾向をたどると考えております。  また、中長期的な予想物価上昇率はやや長い目で見れば全体として上昇しており、こうした動きは賃金、物価形成にも好影響を及ぼしていると考えています。実際、昨年は十数年ぶりにベースアップが復活したほか、今年の春の賃金交渉に向けて労使双方で賃上げに向けた動きが進むなど、人々のデフレマインドの転換は引き続き着実に進んでいると考えます。こうした下で、基調的な物価の上昇率は着実に高まっていくと見込んでおります。  その上で、原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくという前提に立つと、原油価格下落の影響が剥落するに伴って消費者物価の前年比は伸び率を高め、二〇一五年度を中心とする期間に二%に達すると見ています。ただし、原油価格はこのところ大幅に変動しておりますので、消費者物価指数が二%に達する時期が原油価格の動向によって多少前後するという可能性があることは事実でございます。
  142. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 今日、PDCAのお話をさせていただいたという観点からすると、目標どおり今物価がうまく上がってきていないということ、これは一つの状況として現実だというふうに思います。とすれば、当然その原因があろうかと思いますが、PDCAサイクルに合わせれば当然そこは振り返りが必要なのかというふうに思いますが、今、岩田副総裁の方からのお話でいくと、これは原油価格の減少といいますか、原油価格が大きく下がったことがその大きな要因であるという、そういう認識でよろしいんでしょうか。
  143. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 原油価格が急速に下落したということが大きな物価下押し要因であるというふうに考えております。
  144. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 これ、二月の四日になるんですけれども、岩田副総裁が記者会見でお話をされていたところで、遅れの要因は主として原油価格の下落なんだと、これほどの原油価格の急落は予想できなかったというお話をされていました。いや、それはそうだと思います。あれほどの下落を的確に見抜いていたなんといったら、その人はもう物すごい大家、もう神と言ってもいいのかもしれませんけれども、そんな方だと思いますね。  当然このこと自体私はどうこう言うつもりはないんですが、予想できなかった現象が起きて今こういう足下の状況にあっている中で、二年間をめどとするというターゲット、これについての見直しが変わらないというところに若干違和感を正直言って感じます。予想できない現象が起きたのであれば、当然そこに対して何らかの見直しや考え方の修正というのが必要なのではないか。  また、今お話の中に今後の動向として緩やかに原油価格が上昇するということを仮定をしておられましたけれども、予想できなかったことが今現実に起きているのに、緩やかに上昇することを仮定とし目標は変わらないというのも少々考え方としては違和感を感じるんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  145. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 原油価格の下落は、企業収益の改善、家計の実質所得の上昇につながるため、日本経済にとってはプラスに働くと考えています。  物価面で申し上げますと、エネルギー価格の低下は、目先はどうしても物価の押し下げ要因として働きますが、やや長い目で見ますと経済活動が改善しますので、それを通じて物価の押し上げ要因になると見ております。  日本銀行では、二%物価安定の目標を二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現することにコミットすると同時に、二%を安定的に実現することを目指しております。  実際の物価、消費者物価指数は原油価格を含めて様々な一時的な要因には影響されますが、二%を安定的に実現するためには、物価の基調的な動き、これが重要であります。この点は、繰り返しになりますけれども、需給ギャップと中長期的な予想物価上昇率に規定される物価の基調ですが、これはやはり改善傾向にあるというふうに考えておりますので、原油価格が現状程度から先行き緩やかに上昇していくという前提に立てば、先ほど申したように、消費者物価の前年比は二〇一五年度を中心とする期間に二%に達するというふうに見ています。  その仮定がおかしいという前提でございますが、一応、先物市場等を、原油の、見て、その先物市場から一応推定していると。ただ、それは、先物市場は将来変わることもありますので、それは注意深く見ていきたいというふうに思っています。
  146. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 今のお話の中でも繰り返し、緩やかに上昇というところは仮定ということでありましたけれども、その前段として、この原油価格の下落というのが物価という面では押し下げ、上げていこうという方針に対しては確かにマイナスの影響かもしれませんけれども、個人消費含めてプラスの影響だろうというお話をいただきました。私もそういう認識でおりましたので、今副総裁のお話としては、私、認識はそこの部分は一緒だったのかなというふうに思いました。  この間の五%から八%へ消費税を上げた、あそこからなかなか物価の上昇、これがうまくいかなくなっている、というよりも個人消費が伸びなくなっている。これは総理も先ほども御答弁をいただきましたので同じ認識だというふうに思います。であるならば、今回のこの原油価格の下落、これは間違いなく個人消費をプラスに押し上げていくための私は好材料になるのではないかなという認識もその一方で持っております。  そうすると、先ほど甘利さんが四点お話をしたということで言いました、天候不順と物価上昇、それから実質賃金低下、将来に対する不安と、この四項目の中で、じゃ、個人消費の落ち込みを上げていくために、これ、天候不順は政府ではどうにもならないお話でありますし、将来に対する不安、生活防衛、これも取り除くのはそんな簡単な話ではありません。賃金のアップも必要でしょう、社会保障制度も変えていかなきゃいけない、様々なことをクリアしないといけないので、短期的にはなかなか難しい。そうすると、残りはやはり物価上昇と賃金の上昇、ここを押し上げていくことが極めて重要。賃金については、この後、春闘ということで労使の中でしっかりと話がされていくと思いますので、そこにお預けをするしかないんだというふうに思いますが、そうすると、今、目下、この時点で政府としてコントロールができるのではないかというのはやはり物価上昇だというふうに思います。  そうしますと、ここで少し矛盾をまた感じているのは、岩田副総裁は、そうはいってもやはりこの後きちんと上がっていく、その意味では二%を今後も目指していくんだというお話だというふうに思います。ただ、これまでの二年間の傾向の中で、確かに物価上昇によってデフレマインドが変わってきたというのも数字としても出てきているのかもしれませんが、同時に、消費税によって消費が落ち込んだということも、これもまた現実であります。  そうすると、物価上昇が消費落ち込みの要因の一因であるとするならば、物価上昇を急いで上げることは逆にまた消費行動を落ち込ませることの起点になりかねないんじゃないかなというふうにも思うんですけれども、その意味で、総理のお考えを確認をしたいんですけれども、二%の物価上昇を第一の目標として続けていかれるおつもりなのか、それとも、今回のこの原油価格の下落というタイミングをしっかりとチャンスと捉えて、少し物価上昇について、方針についての見直しをお考えする余地があるのかどうか、確認したいと思います。
  147. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 御承知のように、我々、政府と日本銀行との間にいわゆる政策の協定をいたしまして、二%の物価安定目標という目標を掲げたわけでございます。これは、日本銀行がそれをやると、言わば政策目標を同じくし、政府からは、二%を日本銀行、責任を持って安定的に目指してくださいと、そして政府の方も財政再建の努力をしていく、こういうことであったわけでございます。  ここで大切なことは、手段においては日本銀行がこれは責任を持ってやっていく。と同時に、この二%に、達成するかどうかについては、言わばどうなったかということについて日本銀行が負っているのは説明責任でございます。これは計画経済、社会主義のように計画経済ではいかないという前提の下でございますから、しっかりと説明責任を果たしていくことができるかどうかということでございまして、我々は現時点において石油の下落、これは誰も予想できない状況の中での下落があったわけでありますから、日本銀行の説明に対しては了としている、納得しているところでございます。  同時に、この石油の下落についてはまさに日本経済にはプラスに影響しているのは間違いないわけでございますし、また同時に、為替が円安方向に進む中においての原油価格の低下が輸入物価全体に及ぼす影響はまだ限定的でありまして、プラスの影響は今後、より作用してくるものと我々は考えているわけでございます。  そこで、御質問の、言わば物価安定目標に向けて二%引き上げていくことはかえって消費をこれは冷え込まさせてしまうのではないかというお話でございましたが、同時に、物価がしっかりと二%に向かって上がっていくのであれば、早く投資をした方がいい、早く物を買った方がいいというこれはマインドにもなるわけでありまして、デフレ下においては、待っていれば値段が下がっていくという状況の中では更に待ち続けるということも起こるわけでございます。  そこで、そうなってくれば、デフレになれば、デフレ下、事実、我々は十五年間経験してきたわけでありますが、市場経済は健全に作用しないわけでございますから、デフレから脱却をするためには我々は二%という物価安定目標が必要だと考え、二%という物価安定目標を掲げているわけでございますので、これにつきましては、しっかりと日本銀行が責任を持って手段を選び、その目標に向かって着実に日本経済の歩みを進めていただきたい、この考え方には変わりはないわけでございます。
  148. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 あの二%という数字そのものは、これまで世界のこういう金融緩和政策を取っている国で、実際その二%程度という実績もあっての、経験則からきている二%だというふうにも理解をしております。  ただ、少し私が気になっているのは、危惧をしているという言い方の方が正しいと思うんですけれども、二%という数字にこだわり過ぎるということ、あと、二年程度という期間にこだわり過ぎるということ、これが逆に政策の足を引っ張ることになりかねないかなということも感じます。  あわせて、二年後には消費税を一〇%に上げられるということを今総理は明言をしております。今回、五%から八%に上げてどれだけ消費に対してマイナスの心理的な影響があるかということ、これはもう嫌というほど我々は感じていることも現実でありますので、この後、どういうバランスを取って、そこに向けて着実にデフレから脱却するという環境をつくっていくのかというのが本当に重要。ですから、二%という数字にこだわり過ぎるということと二年という期間にこだわり過ぎることはどうでしょうかという、これは私の危惧であります。  あわせて、もう一個ありますのは、原油価格が今大幅に下落、予想も付かない下落をしたということであります。ということは、予想も付かない上昇をするという局面も将来的にはあるかもしれない。二%という上昇を目指し、更なる金融緩和をやった途端に原油価格が大きく上がってしまったときに、果たしてその物価のコントロールがどこまで利くのかというのも私は正直不安な点としてありますので、この点については、財金の委員会ですとかその他の委員会のところでまた深く論議はさせていただきたいと思いますが、問題提起としてそういう危惧を持っているということだけはお伝えをさせていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。  ちょっと内容は全然変わりまして、今度は、次の質問をさせていただきたいというふうに思います。今パネルを用意をさせていただきました。  皆さん、多くの方が自動車お持ちでございますが、実にこの自動車の税金について多くの、大変多くの税金が掛かっているというその実態の、麻生大臣には常日頃から委員会の中でいろいろとやり取りはさせていただいておりますが、改めてここで今日は総務大臣の方にいろいろとお伺いをさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  今パネルを用意をいたしました。パネルにしては字が小さいなというふうにテレビ御覧の方も思われるかもしれません。そうなんです。こういう字体じゃないと書き切れないんです。これぐらい自動車の税金というのは今複雑な状況になっているというのが、これが実態だというふうに御理解いただきたいというふうに思います。  車を買う段階、保有している段階、それから走行している段階、大きく三つの段階におきまして、それぞれ合計で九種類の税金が掛かるというのが今の自動車の税制の体系。あわせて、それぞれの項目について、ここには減税率という書き方だけしておりますけれども、ここで省いた項目がありまして、実は、そもそも本則税率というのと暫定税率というのがこれ以外にも実はありまして書き切れないんです、という状況に今なっております。  様々こういう、私は問題、課題だという認識でおりますけれども、自動車のこうした車体課税について、平成二十八年度以降、平成二十九年度の税制大綱に向けて税制改正において具体的な結論を得るということで今決まっているかというふうに思っておりますが、その改正の考え方のベース、これは、三党合意でも決められております税制抜本改革の第七条、これに基づく考え方で今後も見直しを図っていく、これでいいかどうか、まずは確認をさせていただきたいと思います。
  149. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 平成二十七年度与党税制改正大綱におきまして、消費税率一〇%段階の車体課税の見直しについては、委員がおっしゃったとおり、二十八年度以降の税制改正で具体的な結論を得るということになりました。  その際なんですが、税制抜本改革法第七条、つまり国及び地方を通じた関連税制の在り方の見直しを行い、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、簡素化、負担の軽減及びグリーン化の観点から見直しを行うとされている、これを基本とするということは間違いございません。  さらに、平成二十五年度から二十七年度の与党税制大綱も踏まえながら検討をしていくということになると考えます。
  150. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 先ほどの観点を持って見直しをされていくということでありますが、実は今ここにお示しをしております税制のところに加えて、今、環境性能に関しての考え方をこの税の中にまた加えるというお話も出てきております。我々は環境性能課税というような言い方をしておりますが、それは言ってみれば新設という形にもなるわけですけれども、これは今お話がありました確かにグリーン化というところには合致をするのかもしれませんが、簡素化であったりユーザーの負担軽減というところからすると矛盾するのではないかなというふうに、これは率直に思うわけでありますけれども、大臣、この点についてはいかがお考えをお持ちでしょうか。
  151. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 今し方の答弁の中で、平成二十五年度から二十七年度の大綱も踏まえてというお話をいたしました。平成二十六年度の大綱の中で、取得時に環境性能課税を実施すると、こう書かれております。  非常にこの税制の在り方、簡素かどうかといった考え方について様々な考えがあるんですけれども、例えば自動車関連税制につきまして、委員も日産自動車の方で活躍されていたと承知をしているんですけれども、ですからお詳しいかと思うんですが、関連の団体などから、道路特定財源であった税もあり、そしてまた燃料課税も含めて複雑で、またユーザーの税負担も非常に重いと、こういった御意見があるということを十分承知をいたしております。あわせて、また地方財政審議会からは、現在、自動車に関しては、取得、保有、走行の各段階においてバランスのとれた総合的な課税が行われているという、こういった御意見もいただいております。  税制抜本改革法第七条の規定は、このような様々な意見はありますけれども、今の、現在の状況を踏まえながら、やはり公平、中立、簡素という税の基本原則に沿って考える方向性、これが示されていると考えております。  ちなみに、取得税については一〇%への引上げ時に廃止という方針は変わりません。
  152. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 今大臣の方から、公平、中立、簡素というお言葉がありました。是非この観点で見直しを進めていただきたいというふうに思います。  ちなみに、ここに示してあるのは、これは乗用車だけです。これ以外に商用車、トラック、バスがございます。あとこのパネルが三、四枚ないと作れないというぐらい複雑になっているということですので、この簡素化というところも是非お忘れなきようにこれは見直しをいただきたいというふうに思います。  あわせて、ちょっとこの中に書き切れないところもあるんですけれども、実は、これは主に皆さん四輪自動車のお話もされているかと思うんですが、二輪車については、実はこの改正において、新車、中古車、保有車を問わず全てが増税されるということで今案が提案をされております。今回の消費税の増税延期によって、それについても一年今先送り、論議が先送りになりましたので併せて先送りにはなっているんですが、四輪の自動車については新車販売の部分のみ増税という形になっておりますが、これ二輪車は保有車も併せて増税という形になります。  先ほどの総務大臣のお話、公平、中立というお言葉からすると極めて不公平な税体系になるのではないかというふうにも考えるわけですけれども、大臣、この点についてお考えを伺いたいと思います。
  153. 高市早苗

    国務大臣(高市早苗君) 二輪車につきましては一年先送りになったこと、今委員も御指摘がございました。  ただ、四輪と違いまして車検制度などがございませんので、なかなかその実態を把握するということが難しい、こういった理由から四輪とは違った扱いになってございます。
  154. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 今の大臣の御発言は税金を取る側の理屈でございます。ユーザーからすれば明らかにこれは不公平という考えは、これはもう免れないと思いますので、それはシステム上の問題であります。システムを改善することによって変えられるのであれば、システムの見直しができないのか、そういう論議も私は必要だと思いますので、是非お考えをまたいただければと思います。この点についても引き続き論議はしていきたいというふうに思います。  あと、やはり麻生さんにも一問させていただければと思いますが、今出てきたように、一番下にあります燃料課税の部分でございます。  ガソリン、ガソリンスタンドで入れた場合にガソリン税が掛かりますが、その上に消費税が掛かる、いわゆるタックス・オン・タックスという状態、これになっております。これ今、原油価格、先ほどの話で下がったという話をしましたので、ガソリンはかなり入れやすくはなってきているんですけれども、普通乗用車で行って満タンにしますとやはりこのタックス・オン・タックス分でどれぐらい金額が掛かるかといえば、今これ二百七十円近くの金額を、満タンにするとですね、からからの状態からタンクを満タンにしますとそれぐらいの金額がタックス・オン・タックスで乗ってくるというのがこれは現実であります。今朝、私、立ち食いそば屋さんで御飯食べてきましたけれども、朝御飯で二百九十円でした。ガソリン一回満タンにすると、タックス・オン・タックス分が食事一回分に相当する、これぐらいのお金が取られてしまう。やはりユーザーからすれば、非常にここに対しても不公平感といいますか、理不尽ではないか、そういう思いがこれはやはりあろうかと思いますけれども、この点について御見解をお伺いしたいと思います。
  155. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは、礒崎先生、揮発油税とかそれから酒税等々を含めまして、個別の間接税というのは、これは原価の一部を構成するというあれになっていますんで、もう御存じのとおりに。したがって、消費税の標準課税でありますいわゆる価格に個別間接税を含むという取扱いになっておるんで、これは大体もう世界中、皆、大体このルールになっておりますのはもう御存じのように、日本だけが特殊なわけではないと。何となく、あなたの話聞いたら、日本だけえらくふんだくっているように、イメージですけれども、これは世界中同じルールでやっておるということはまずちょっと御認識をいただいて、ちょっとテレビ見ている皆さん方もそこのところだけはまず御認識をいただきたい。  したがって、こういったある程度確立した庫出税に乗っけるというやり方で、これを揮発油税の場合には個別に、ガソリンスタンドで全部個別にばらばらしてあるのを御存じと思いますが、あれを、じゃ、ガソリンでもやれるのかということになると、これは今度は売っております側の小売店のところが物すごい仕事が増えますんで、これでということでこのルール、簡素化というルールでこれになっているんだと思いますが、したがいまして、今現時点でこれをどう見直すかという点に関して、これを別のやり方に変えるというような考え方は今持っておりません。
  156. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 グローバルでこういうルールだからと言われれば、確かに変えるのはなかなか難しいというのは承知をいたします。ただ、ルールだからというか、海外がこうだから日本もしようがないでしょうという説明をされてもやはりなかなかユーザーとしては納得いかないというお気持ちは、大臣もこれは御理解をいただけるというふうに思います。やはり先ほどと同じで、システムに問題があるのであれば、そのシステムが改善できないのかどうかということを考えていくのも、これも大切な、先ほどのやはりPDCAに戻りますけれども、その考え方の一つだと思いますので。大変だということは今お話をいただきました。解決策はないのかということを引き続きこれはやはり論議をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  最後に、ちょっと時間なくなってまいりましたが、また全然ちょっと違う観点になってしまうんですけれども、午前中、石橋議員の方から、公共事業に関するということで一点お話がありました。その費用対効果といった観点でのお話でございました。  当然、皆さん御存じのとおり、この公共事業関連、特にインフラというもの、これはもう長期にわたって使われるものであります。その意味では、短期的なではなくて、やはり長期の目線でしっかりと見ていくこと、しかも、その維持すること、保有して維持をし、そして修繕をしていく、管理をしていく、ここに大変なお金がやはり掛かるものということからすれば、やはりしっかりとグランドビジョンを持った形、中期、長期的な計画が不可欠だというふうにも考えております。  その意味で、将来的な財政への影響、これも十分に踏まえた計画でなければならないというふうに思いますが、この点について、今後の在り方について国交大臣の方にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
  157. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) おっしゃるとおり、維持管理ということを始めとして長期的な視点に立って老朽化対策等、あるいはメンテナンスということをしていかなくてはなりません。  しかしあわせて、長期的視点に立つというならば、日本の社会は一体どうなるのか。人口減少社会になる、高齢化になる、様々なそうした、そして都市間競争も激しい、その中でどうやって我が国が生き抜いていくかというようなことを絡めまして、昨年の七月四日に国土のグランドデザイン二〇五〇というのを出させていただき、そして、併せて国土形成計画ということを十年間ということでこれから出させていただく。さらにまた、社会資本整備重点計画という、この五年間の期間という、あと申し上げました二つは既にあるものですが、それを改定しながら、常に長期的視点に立って、日本をどう持っていくかということを射程に置いて、一直線にそこに行くようなことをしないと無駄というような問題が出てくると、このように思っています。
  158. 礒崎哲史

    ○礒崎哲史君 グランドデザインについても質問をもう幾つかしようと思いましたが、時間が来てしまいましたので、残りの質問についてはほかの委員会にてまたさせていただきたいと思います。  質問を終わります。
  159. 秋野公造

    秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。お役に立てますよう質疑をしてまいります。  冒頭、ISILの非道なテロ行為に、強く断罪します。犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げますが、残された御家族の御心痛に言葉もありません。政府におかれましては、強い対応を今後もお願いをしたいと思います。  まず、決算審査に当たり、昨年六月、参議院においては、平成二十三年度決算及び平成二十四年度決算審査を議了し、内閣に対し七項目に及ぶ警告決議と十一項目に及ぶ措置要求決議を議決しております。  そこで、これらの警告決議、措置要求決議を平成二十七年度予算編成においてどのように反映をされたのか、総理にお伺いをしたいと思います。
  160. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 政府として、決算に関する国会審議や内容、審議内容や決算結果等を踏まえて、予算執行等に適切に反映すべく取り組んでいます。  御指摘の昨年六月に議決された平成二十三年度、二十四年度決算に対する決議においては、国庫補助金等により造成された基金の見直しについて指摘を受けました。全ての公益法人等に造成された基金を網羅的に再点検した結果、新たに〇・三兆円を超える金額国庫に返納させることとしております。また、基金に対する予算措置については、基金方式による実施が真に必要な事業だけに絞り込んでいき、大幅に削減をしています。  すなわち、二十六年度補正予算においては、二十五年度補正予算に比べて〇・七兆円の減となる〇・五兆円を計上しました。二十七年度予算においては、二十六年度当初予算に比べて〇・四兆円の減となる一兆円を計上したところでございます。  また、同じ決議では、独立行政法人における保有資産の規模の見直しについても指摘を受けたのでございますが、総務省より各府省に対し保有資産の不要認定の判断基準について周知を行った結果、二十七年度において各法人から百四十七億円の不要財産に係る国庫納付を見込み、歳入予算に計上しております。  決算審査の結果を次年度以降の予算編成予算執行に反映させていくPDCAサイクル取組は極めて重要と考えておりまして、今後とも的確に反映していくように努めてまいります。
  161. 秋野公造

    秋野公造君 適切に措置をされているということで、中身について伺いたいと思います。  まず、厚労大臣に伺いたいと思います。  政府におかれましては、保育対策関係経費として、平成二十五年度決算見込み四千三百十六億円、二十七年度の予算案七千六十七億円ということで、保育士の養成に取り組んでいただいておるところであります。  保育士の確保ということは非常に重要でありますが、その保育士を目指す学生の方からお手紙、御相談をいただきました。内容は、大学の教育実習を受けるに当たり、麻疹、はしかのワクチンを二回接種しましたが、抗体が確認できなかったという理由で教育実習は受けられず、大学から転科も勧められて困っているというものであります。このままでは一人の保育を目指す学生の未来が絶たれてしまいます。  今日私がここで取り上げる理由は、少し調べてみると、ホームページで同様の指導を行っていると思われる大学が散見されるからであります。  麻疹のワクチン接種の重要性というものは、実習現場で対象とする乳幼児の感染予防という観点から論をまちませんが、予防接種を二回受けたとしてもどうしても抗体ができない人というのは僅かながらでも存在をいたします。  そもそも、集団免疫の観点から、抗体の陽性の確認による必要があるのかということも含めまして、厚生労働省指導内容について伺いたいと思います。
  162. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 秋野先生御指摘の麻疹の予防接種でございますけれども、指定保育士養成施設の学生が実習に参加する際に、感染症予防のために麻疹の予防が適切に行われていることは重要だということはもう言うまでもないわけでありますけれども、二回接種を受けていれば保育実習に参加することは差し支えないと考えるところでございまして、一部の養成所で、今御指摘のように、二回の予防接種プラス抗体の検査を受けるようにということで、そういうことを指摘しているところがあるということも分かっております。  厚労省としては、やはり適切に予防接種を受けていれば保育実習に参加することは差し支えないというふうに考えておりますので、各養成施設にこれから周知をしてまいりたいと思います。
  163. 秋野公造

    秋野公造君 抗体の必要はないということを確認できました。これで実習を受けることができるようになるかと思います。  次に、高額療養制度について伺いたいと思います。  この高額療養制度は、公明党が主導して検討が進められ、今年一月から中低所得者に対する負担というものが大幅に引き下げられ、この負担軽減の対象者は四千六十万人に及ぶということであります。安心の医療体制として大きな前進ではありますが、一方で、がんや難病といった長期間にわたってこの高額療養制度を使わなくてはならない方がいらっしゃいます。  現在、この高額療養制度、三か月以上になった場合は多数回該当ということで、四か月目から自己負担限度が軽減される仕組みを整えていただいておりますものの、例えば一年とか三年、一生この制度を利用するかもしれない方の負担を考えますと、中には十分な収入がない方もいらっしゃるかと思います。所得だけではなく期間で区切った深掘りした対応も検討していいのではないかと思いますが、これも厚労大臣に伺いたいと思います。
  164. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生御指摘のこの高額療養費制度、改善後も問題があるかも分からないという御指摘でございますけれども、主にがん患者の方とか、そういう方々を念頭にのお話だろうというふうに思います。  直近十二か月間に高額療養費が支給された月が、今先生お話しのように、三か月を超えて四か月目から自己負担限度額を一応引き下げていくようにさせていただいているわけでありますけれども、この多数回該当の制度が、この制度を長期間利用されている方の数というものは確かに把握をまだしていないという状況でございます。  これらのデータを把握するためには協会けんぽなどの保有しているレセプトデータ等の分析が必要となってくるものですから、議員の御提案を踏まえて私どもとしても調べてみたいと考えておりまして、協会けんぽ等にこれから協力を求めてデータの分析を進めてまいりたいというふうに思っております。
  165. 秋野公造

    秋野公造君 ありがとうございます。  胃がん対策について伺います。  平成二十四年まで胃がんで亡くなる方を減らすことはできませんでした。二十五年二月二十一日、それまで年間五万人の方が死亡していた胃がん対策として、その原因であるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌を保険適用していただきましたことは世界に誇る政策であると思います。提案してきた者として、実現をしたそのうれしい喜びは今でも尽きません。  最初の一年間の実績として、出荷ベースではありますが、百十万件の除菌が行われたということでありまして、二年目も、北海道大学の浅香教授のところで検討がなされておりますが、それ以上の数の除菌が実施されたと伺っております。  この保険適用は、胃内視鏡を行ってから除菌が保険適用になるというルールになっておるわけでありますけれども、我が国で年間千三百万件の胃カメラが行われており、毎年十一万五千件の胃がんが発見をされているということを考えますと、理論上、百件胃カメラを行いますと一件の胃がんが見付かっているということになります。すなわち、保険適用の効果として、最初の一年に百十万件の除菌が行われたならば百十万件の胃カメラが行われ、そしてその結果、百分の一、一万件の胃がんが早期発見をしたということで、この事実は早期発見、早期治療につながっていて、多くの命を守っているということであります。  この保険適用という早期治療の仕組みに結び付けるためには早期発見の仕組みが必要でありまして、その中で重要になってくるのが市町村で行われている検診であります。  地方議会においても、公明党議員が市区町村で実施されているがん検診でこのピロリ菌検診の検査を提案するなどして、実施されている自治体も増加をしてきておりますが、残念なことは、まだ国の検診の指針の中にこのことが書き込まれていないという事実であります。市区町村においては国の指針を参照しているということが非常に多い状態でありまして、既に国においては胃がん検診の在り方について検討を始められたと聞いておりますが、検討を加速して全国的に早期発見の仕組みを整えるべきではないか、早急に国の指針を改正してはどうかと御提案を申し上げますが、厚労大臣の見解を伺います。
  166. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) このピロリ菌対策につきまして、秋野先生、大変御熱心であることは、去年、がん登録のシンポジウムを松山でやったときによくお聞きをいたしまして理解をいたしたところでございます。  このピロリ菌につきましては、胃がんと強く関連しておって、厚労省としても、このヘリコバクター・ピロリ菌の除菌については平成十二年より順次保険適用される範囲を拡大しておりまして、平成二十五年にピロリ菌感染胃炎にも保険適用を拡大するなど、対策を推進をしてきたところでございます。  国のがん検診に関する指針、今御指摘ありましたが、がん検診のあり方に関する検討会などで議論をしておりまして、それを踏まえて、国内外のがん検診に係る知見に基づいて、死亡率を減少させる効果のあるものなど科学的根拠に基づく検診内容を記載し、その推奨を行ってきております。  現在、この検討会において、早ければ平成二十八年度の指針改正に向けて検討を行っているところでございますが、その中で、胃がん検診においては、現在推奨されておりますエックス線検査のほか、内視鏡検査、今お話がありました、それからヘリコバクター・ピロリ菌抗体検査などについても検討を行うこととしております。その検討の結果、死亡率減少効果が認められるなど、その検査の効果や必要性が認められれば指針に盛り込むということを検討したいと思いますので、この検討会での検討結果を待ちたいというふうに思います。
  167. 秋野公造

    秋野公造君 がん登録法なども始まりますので、どうか期待をしたいと思います。  ピロリ菌と同じ感染症とのつながりで、エボラ出血熱感染患者の国内発生が懸念をされている状態であります。残念ながら、二十五年の段階ではまだ準備がなかったということであり、厚労省においては医療体制整備について強化を図っていただいておりますが、残念なことには、このエボラ出血熱ウイルスを分離できる施設、すなわちバイオセーフティーレベル4施設、BSL4がいまだ稼働しておらず、もしも患者が発生した場合に、検査、確定診断が限定され、結果として治療においても万全の体制が取れない可能性があるということであります。  このBSL4は、治療法がない感染症を克服するための施設でありまして、世界では既に四十を超える施設が稼働をしております。我が国の研究だけでなく、医療体制の一部としても必要でありまして、昨年十月、公明党の山口代表が本会議において施設の整備を求めて質疑を行いましたが、その後の進捗につきまして伺いたいと思います。
  168. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生御指摘のように、このBSL4の施設はアメリカでは九つございます。ドイツも四か所と聞いておりますし、イギリスも二か所ということでございまして、エボラ出血熱などの感染症に万全の対策を講じるために、国立感染症研究所の施設について、地元関係者の理解を得てBSL4施設としての早期に稼働できるよう、これまで以上に取り組むことを今私どもとしても正面から捉えているところでございます。  昨年十一月十七日に、私自身、武蔵村山市長を訪問いたしまして施設の稼働に向けた協議を進めていくということを申し入れて、市長の了解を頂戴をしたところでございます。これを受けて、昨年十二月にエボラ出血熱に関する市民向けの公開セミナー、これを三回やっていただきました。それから、今年の一月二十日に、地元自治会など関係者の参加を得て、施設運営連絡協議会、この初会合を開催をいたしまして、施設の必要性や安全対策などについて説明をこちらからいたしまして御意見を伺ったところでございます。  今後とも、この施設運営連絡協議会や施設見学会などを開催することといたしておりまして、BSL4施設についての丁寧な説明を重ね、そして、地元関係者の理解を得て早期に稼働できるように力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  169. 秋野公造

    秋野公造君 アメリカでは九施設稼働しているという話も今大臣からお話をしていただきました。  日本学術会議においては、複数の施設の整備についても指摘があったかと思います。既存の施設については今了解をいたしましたが、このことについて見解を伺いたいと思います。
  170. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生御指摘のように、総合科学技術会議とかあるいは日本学術会議などで、自然災害等による不測の事態に備え国内に複数の施設を整備すべきじゃないかと、こういう御提案をいただいておるわけでございます。今、その言ってみれば候補として、長崎大学にBSL4施設を設置する構想があるというふうに承っておりまして、文部科学省では、平成二十七年度の予算によりまして長崎大学において情報収集や調査を行うための経費を計上しているというふうに聞いております。  厚労省としては、引き続き国内におけるBSL4施設の設置の在り方についての検討を進め、計画が具体化したものについては関係省庁等とも連携をしながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  171. 秋野公造

    秋野公造君 もう一つ、塩崎大臣に伺いたいと思います。  沖縄の国保の財政状況が非常に厳しい状況で、それが続いております。その原因としては、沖縄はさきの大戦により前期高齢者の割合が少ない人口構成となっておりまして、その前期高齢者交付金が少ないということが原因として指摘をされています。  この交付金の制度自体を変えるということは多分簡単なことではないんだと思いますが、沖縄県が置かれた特殊な事情を十分踏まえて、国保の制度において、さきの大戦の影響が薄まるまでの間だけでも、例えば、前例もあるわけでありますので、特別調整交付金を活用するなど、何らかの特別な財政支援を行うべきではないかと考えますが、見解を伺いたいと思います。
  172. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) この沖縄の国民健康保険の財政問題につきましては、自民党の沖縄選出国会議員の皆様方も御一緒に、私のところに国保関係者の皆様方そろっておいでをいただきました。その際に、沖縄が置かれた特殊な事情、戦争にまつわるいろいろな事情で財政状況も非常に厳しいというお話を頂戴をしたわけでございまして、この国保財政を支援する取組を何らかの形で行っていかなければならないだろうというふうに考えております。  一月十三日に、社会保障制度改革推進本部、政府の方ですが、ここで医療保険制度改革の骨子というものをまとめまして、その中で、平成二十七年度から、来年度ですね、低所得者対策として約千七百億円の保険者支援制度の拡充を行う、そして平成三十年度以降、子供の多い自治体とかあるいは医療費適正化等の取組を進める自治体に対しまして更に約千七百億円の財政支援を実施することを決定をいたしました。こうした取組を通して沖縄の国保の財政改善も図られていくものというふうに考えております。  国保改革を検討する際には、引き続いて沖縄の国保が置かれている特殊な状況というものについて十分認識を深め、御指摘のあった例えば特別調整交付金といったものの在り方も含めて、よく地域ごとの実情を踏まえながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  173. 秋野公造

    秋野公造君 もう一つ沖縄について経産大臣に伺いたいと思います。  日本は世界第六位の排他的経済水域を有し、その海の底には様々な海洋鉱物資源が眠っていると言われております。これまで私は、その中でも大変有望だと言われている沖縄海域の海底熱水鉱床の開発について、その開発を前に進めるため、JOGMECが保有する海洋資源調査船「白嶺」を投入すべきであるといった提案をさせていただき、その時々の大臣からは大変前向きな御回答をいただいてまいりました。  沖縄周辺での海底熱水鉱床の開発が進めば、沖縄の地域経済に大きく寄与するとともに、我が国の国力を高めることにもつながるかと思います。  そして、この海底熱水鉱床のプロジェクトに大変期待をしているわけでありますが、平成二十六年の成果としても多くの成果が上がったと報道等でも聞いておりまして、専門家も、これだけの頻度で熱水鉱床が発見されるということは大変なことであって、広範囲の広がりが期待できると言われております。来年度もこの成果を踏まえて「白嶺」を活用して更に詳細な調査が行われ、新たな成果につながることを大いに期待をしております。  そこで、宮沢大臣に、海底熱水鉱床の開発を担当される大臣として、これまでの成果を踏まえ、来年度、「白嶺」を使ってどのように沖縄の海底熱水鉱床の調査を行うか、意気込みと決意を伺いたいと思います。
  174. 宮沢洋一

    国務大臣(宮沢洋一君) 秋野委員には、これまでも本当に「白嶺」について、熱水鉱床について大変力強く応援をしてきてくださいまして、ありがとうございます。  海底熱水鉱床というのは、恐らくテレビを見ている方はよく御存じないと思いますけれども、海底から噴出する熱水に含まれている金属、銅、鉛、亜鉛、金、銀などが沈殿してできたものであります。大変有望な資源であります。日本は、私たしか三十年前に予算を担当しておりましたけれども、ハワイ沖なんかまで随分研究に行っていた記憶がございます。  日本が先頭に走っている分野、まだ世界で商業化されていない分野でありますけれども、おっしゃるとおり、今年度といいますか、昨年末から今年にかけましてかなり大きな発見がございました。沖縄周辺海域では二十一年度から熱水鉱床に関する調査をやっておりますけれども、昨年十二月には、沖縄本島北西約百五十キロメートルの野甫というサイト、野甫サイト、また今年一月には、海上保安庁とも協力しまして、沖縄久米島西約三十キロメートルにごんどうサイトという二つの有望なサイトを発見しております。  そして、御指摘の来年度以降でございますけれども、こうした成果も踏まえつつ、「白嶺」を最大限活用いたしまして、沖縄周辺海域を中心に今度はボーリング調査を実施し、詳細な資源量調査を進めたいと思っております。  そして、将来的な商業化に進めるためにはいろんな生産技術の開発が必要であります。まず、平成二十九年度までに、いわゆる鉱石を掘る採鉱、そしてまた掘った鉱石を海底から引き揚げる揚鉱とを組み合わせたパイロット試験を実験することとしております。  こうした目標を一つ一つ達成しながら、平成三十年代後半以降に民間企業が参画する商業化を目指したプロジェクトを開始することを目標にこれから取り組んでいこうと思っておりますので、更なる御支援をよろしくお願いをいたします。
  175. 秋野公造

    秋野公造君 千五百メートルを超える深いところで採鉱、揚鉱というのはいまだどこの国もやっておりませんので、息の長い取組になるかと思いますが、どうか着実に進めていただきたいと思います。  防衛省が開発をしたUS2という救難飛行艇は世界に誇るものであります。かねてから、このUS2という飛行艇を、非常に長距離飛ぶことができる、短距離で着水ができる、荒天時も使用ができる、三メートルの荒波でも着水ができる、こういったすばらしいものを消防飛行艇として用いてはどうかと提案をしてきたわけであります。瓦れきなどで車両が集結できないとき、あるいは大規模災害のときにそういったものがあるということはニーズも非常に高いのではないかと思いますし、森林火災が多発するような海外に、地域においてもニーズがあるように思います。  防衛省が開発した航空機については、このように民間機として活用するなど、その成果を国民に還元していくべきではないでしょうか。US2の消防飛行艇への活用を含め、防衛省開発航空機の民間活用を視野に開発していくことについて、防衛大臣の見解を伺いたいと思います。
  176. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 防衛省が開発した航空機を自衛隊機以外に活用することについては、御指摘をいただいたとおり、三つのメリットがあります。まず第一に、我が国の防衛装備品の市場拡大が期待できること、第二に、防衛生産、防衛技術基盤の維持強化に資すること、そして第三に、量産効果によって防衛装備品の費用低減が期待できる、このようなことが考えられまして、防衛省としてはその推進に努めてきたところでございます。  そこで、お尋ねの救難飛行艇US2につきましては、これは防衛省が開発したものでありますが、平成二十三年八月に、製造元の新明和工業が自社製品として研究開発することを防衛省としては承認をいたしております。同社はUS2を消防飛行艇として改修する可能性についても検討を行っていると承知しておりますが、当該機を民間航空機として販売するには、民航機としての安全証明、耐空証明、これを取得するために多額の費用が必要になると、大きなそういった課題がございます。  他方、防衛省としましては、平成二十七年度の予算案におきまして、陸上自衛隊の新多用途ヘリコプターUHX、これを民間機として国際市場で販売するために、民間機と共通のプラットホームを前提に国内外の企業に共同開発させるための経費を計上するなど、防衛省開発の航空機を自衛隊以外として活用することについて様々な可能性を追求をいたしまして、これを積極的に推進してまいりたいと考えております。
  177. 秋野公造

    秋野公造君 どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  次に、高速道路の暫定二車線区間の四車線化についてお伺いをしたいと思います。  我が国には、暫定二車線として整備された高速道路が数多く残されております。国交省のデータでありますが、アメリカでは五・一%、フランスは二・〇%、韓国五・二%ということでありますが、日本は三一・九%も残っているという状況であります。十二月に総理が御発言なさいました常磐自動車道も暫定二車線と聞いておりますところでありますし、昨年六月、太田大臣には長崎にお越しくださいました長崎道、長崎―長崎芒塚も暫定二車線区間のまま御視察をいただいたところであります。  この暫定二車線区間については、中央分離帯がなく対面通行でありますので正面衝突などの重大事故が発生しやすいという課題と、遅い車が前におりますと追い越すことができないということで走行性が悪いという課題があります。東日本大震災のときにも、復旧工事をしている箇所で交互通行となって物資の輸送効率に影響したと聞いております。  このように高速道路の暫定二車線区間については多くの課題が存し、早期に四車線化などの対策を実施すべきであると考えますが、国土交通大臣の見解を伺います。
  178. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 日本の高速道路は、限られた財源ということで、とにかくまずつなげようということで整備をしてきましたものですから、暫定二車線区間が多く残ったという諸外国でも例の見ない状況になっています。おっしゃるとおり、中央分離帯がないものですから、衝突事故があったり、渋滞が発生したらもう逃げ道がないというようなことがございます。  この一月に、それらを全部中心で判断をしております国土幹線道路部会が基本方針を出しまして、暫定二車線区間については、安全性や大規模災害の対応などのためにその状態を長期間継続すべきではない、機動的に対応すべきであると、こういうことを言っております。  御指摘の長崎道もそうでありますけれども、この暫定二車線区間については、この基本方針を踏まえまして、個々の区間の交通状況等々、優先順位を明確にしながら、四車線化のためにしっかりと検討を進めていきたいと、このように考えています。
  179. 秋野公造

    秋野公造君 新たな関門海峡道路について質問をいたします。  関門海峡の断面においては、毎日約七万台の自動車交通を始めとして人流、物流が大変盛んでありますが、そこを支える交通ネットワークは鉄道以外では道路と橋が一本しかないという状態であります。  この主要なネットワークでありますが、トンネルは建設後五十六年、関門橋は建設後四十年経過をしており、老朽化が進み、その補修工事も大規模化している状態であり、交通規制、通行止めが非常に多くなっている状態でありまして、災害発生時の緊急物資の輸送、経済活動への影響を考えても、この本州と九州の間の代替路の確保は喫緊の課題と考えます。地元においてはこの整備効果の検討を行っており、経済効果は二千七十億円、そして両市の短縮効果は二十五分と推計をされております。  海峡といえば何十キロも離れているイメージがありますが、この関門海峡は名ばかりの海峡でありまして、人口三十万人の下関市と人口百万人の北九州市の間の水域で一番狭いところは六百メートル程度、海峡延長は二十キロということでありまして、ほとんど川のようなものであります。繰り返しになりますが、ここに道路とトンネルが一本しかない状態であります。太田大臣の御地元の荒川は最大川幅が二千五百三十七メートルであり、下流部において同じ二十キロメートルのところには十七本の橋が架かっているということを考えますと、この関門橋の特殊性を御理解いただけるかと思います。  つきましては、この関門海峡を挟んだ下関と北九州との間の交流がより活発化することを期待する地元の熱意、そして命を守る道路整備の観点から、新たな関門海峡道路に対する国土交通大臣の御見解を伺いたいと思います。
  180. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 関門海峡道路を含めた六つの海峡横断プロジェクトがございましたが、平成二十年三月に個別プロジェクトに関する調査は行わないことといたしました。それ以降、国において調査を行っていないというのが現状でございます。  関門海峡につきましては、今お話がありましたように、下関と北九州の間で交流が活発なこと、そして海峡幅が狭いことなど特徴があるということで、荒川のことまで御指摘をいただきましたが、地元からの要望は大変強いということも伺っているところでありますが、まずは地元の山口県、福岡県が今調査を行っておりまして、調査検討の状況を見守っていきたいと、このように思っているところでございます。
  181. 秋野公造

    秋野公造君 特殊性を認識していただいたと思います。  国民生活を支える社会インフラの老朽化の状況を考えると、既存の構造物の点検、診断というものを良質に保つことが重要であり、インフラ点検を適切に実施できる資格を持った技術者の活用、非常に重要だと思います。この公的な資格として、JISに規定された非破壊試験技術者が全国に五万人います。韓国では法律を二〇〇五年に作って取り組んでいます。二十五年八月には、国交省がシンガポール政府と連携して非破壊検査セミナーを開催して、我が国の優れたシステムが注目されたと聞いています。  防災・減災の観点と、シンガポール、韓国、中国などアジア各国への展開可能性を踏まえ、我が国において、総理リーダーシップの下、この非破壊検査の研究開発、人材育成を総合的に振興を図ることが重要と考えますが、最後に総理に伺いたいと思います。
  182. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) インフラが急速に老朽化する中、長期間にわたって社会インフラが適切に機能を発揮するために、維持管理、長寿命化にしっかりと取り組む必要があると認識をしております。その際、御指摘の非破壊検査技術などを活用することによって危険箇所を早期に発見して事故を未然に防ぎ、インフラの長寿命化を図るといった効果が期待できると考えています。  そうした背景から、昨年六月に閣議決定した国土強靱化基本計画においても、効率的、効果的なインフラの維持管理・更新システムの事例として非破壊検査技術などを位置付けているところでございまして、今後も世界市場獲得も視野に入れながらこうした技術の活用や開発を進め、インフラの安全性確保や長寿命化、維持管理コストの合理化を実現していきたいと思います。
  183. 秋野公造

    秋野公造君 終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  184. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、足立信也君が委員辞任され、その補欠として大野元裕君が選任されました。     ─────────────
  185. 寺田典城

    ○寺田典城君 維新の党の寺田典城でございます。よろしくお願いします。  今から八年二か月前、ちょうど第一次安倍内閣が発足したときなんですが、そのとき私、知事所信で県議会でこのようなことを述べました。  安倍総理は、闘う政治家を標榜し、改革路線を継承するとともに、我が国の自然、歴史、文化、伝統を保ちながら、魅力あふれ、活力に満ちた美しい国日本をつくっていきたいと述べております。しかしながら、破綻に近い国家財政、ますます顕在化してきた個人間や地域間の格差、分権改革や道州制など、国の形を問う重要な課題が山積しております。安倍政権におかれましては、具体的な方策を示し、速やかに実行されることを期待しております。特に、中央集権型の国家経営は限界に達していることから、国家財政の健全化と分権型社会の確立は直ちに取り組むべき課題であると考えておりますと、そう八年二か月前に私は述べさせていただきました。  財政の健全化について聞かせていただきますけれども、私、もう今年で後期高齢者になりますんで、麻生副総理と同じなんですが、まあ麻生副総理みたいに頭が風光明媚でないんでちょっと間違うかも分かりませんが、率直に言って、気に掛かるのは現在の財政状況です。いつまでもつのかなと。次の世代には誠にこれだったら申し訳ないなと思っているんです。  それで、アベノミクスの第一の矢、異次元の金融緩和ということになっています。日銀は、長期国債を含めて国債を買い続けております。もし日銀が国債を買い入れることができなくなった場合、どのような現象が起こるのか、総理及び財務大臣にお伺いしたいと思います。
  186. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 日銀の国債買入れをやめた場合の影響というお話でしたけれども、これは、仮に日銀がいわゆる買いオペ、買入れをやめた場合の財政、特に国債市場にどのような影響を与えるかについては、これはちょっとその時点の経済動向等々を踏まえた上でなければ確たることを申し上げられる状況にはない、それはもう御理解いただけるとおりだと思います。  いずれにしても、大事なことは、こういう国債というようないわゆる信用でやっているもの、そういったものが、今後ともその信用というものをきちっと維持し、その上で長期金利というものを考えなきゃいけませんし、今のように〇・二とか〇・三というのも、これはちょっと史上空前に安くなっておりますけれども、こういった金利というものをいかにして維持するか、抑えておくかというのは、これは財政健全化取組を着実に今後進めていって、国債の管理というものをやっぱり政策の中できちんと努めていかにゃいかぬということだと思っております。  もう一つは、財政規律との話ということになるんだと思いますが、これまで安倍内閣で第二次、第三次の中におきましてそれぞれ三度の補正予算を編成しておりますが、いずれも経済対策というものを考えないと、財政規律にこだわって結果として不景気になったら何のためだか意味がありませんので、そういった意味では、二十四年度の補正予算のときにおきましては、これは経済の底割れ懸念に対応するために補正予算を十兆三千億させていただきました。それから、二十五年度の補正予算では、これは消費税率の引上げということに伴います反動減というものを考えて五兆五千億させていただき、二十六年度、三日通していただきました補正予算では、これは経済のいわゆる地方等々脆弱な部分に的を絞って行うものということで三兆五千億ということでさせておりまして、年々その額は縮小してきておるというのはもう御存じのとおりでありますので、財政規律の観点からもしっかりとした対応を行っていると私どもは考えております。  いずれにしても、二十六年度の補正予算において、財政の一部というものを歳出に充てないで、全く充てないで、八年ぶりか、公債金の減額というものをやらせていただき、七千五百億円だったと記憶しますが、行わせていただいておりますので、こういった姿勢が間違いなく国際的に見ても、また市場からの信認も得て、日本の国債というのは、これだけ多額の国債出していながらも金利が上がらず、〇・三とか四とかいう数で推移している背景に寄与しているものだと、私どもはそう考えております。
  187. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま財務大臣からお答えをしたように、日銀が行っております市場における国債の買入れでございますが、これは決して財政ファイナンスではなくて、まさに二%の物価安定目標に向けた金融緩和への手段として国債の買入れを行っているということでございます。  いずれにせよ、国債に対する信認を今後とも維持して、そして長期金利の上昇リスクを抑制することが重要でございます。そういう意味におきましては、今委員が引用していただいた第一次安倍政権に対する御感想でございますが、第一次安倍政権においては、まさにプライマリーバランスにおいては達成目標に向けて相当歩みを進めまして、あと一歩のところまで行ったのは事実でございますし、今回も来年度予算におきまして国債の発行四・四兆円の減額を行った、これは三番目の減額でございますが、一番多い減額というのは第一次安倍政権のときに行った減額でございますので、こうした努力を進めていく、そのためにも経済の好循環を回して税収を増やし、しっかりと財政再建へも資する、そういう状況をつくっていきたいと、このように思っております。
  188. 寺田典城

    ○寺田典城君 信用を得て長期金利はできるだけ財政規律を守って上昇しないようにということと、あとは補正予算については経済対策だと、そういうふうなお話なんですが、二月四日の前原議員に対して、日銀は政府から独立しているという趣旨の答弁がありました。今、日銀が国債を買うことができなくなった場合はどうするんですかと。(資料提示)  それで、この表の一を見ていただきたいんですが、二〇一〇年には五十兆円しかなかったんですね、日銀が国債、まあ短期国債が主だったんですけど。それで、今、二〇一五年の一月ではもう二百兆円を超えているんですよ。また買わなきゃならぬです。これは十年物国債利回りのもので〇・三二五で異常なぐらい低いですね。二〇一〇年はそれこそ一・四%ぐらいあったと。黒田さんになってから恐らく百二十兆円ぐらいの、何というか、国債を買っているようなんですが、この前、平成二十六年十月三十一日、量的緩和の拡大、長期国債を年間八十兆円ペースで買い入れますということなんです。  私は、もうこういうことじゃないかと。まあ、そういう異次元の金融緩和によって円安後株高になりました。確かに効果はあったと思います。ただ、特定の好環境だと思うんですよ、率直に言って。日銀の黒田総裁は、この好循環の間に政府が歳出削減や行革などの財政の健全化を進めることを期待しているんではないかと、そのように思っています、私は。ですから、これは財政破綻を避ける最後のチャンスだと思うんですよ、今の手法は。  一ページと二ページ、これ資料を見てもらえればいいんですが、二〇一〇年は国債の債務残高が八百六十二兆円、そうなんですが、今は一千三十六兆円なんです、二〇一五年で。五年間でそれ。恐らく日銀が全部国債を買っているような状況なんですよ、それを見ていると、これを見てもらえれば。日銀が全部買っていると、それで支えているという状況だと思うんですよ。  その辺をやはり感じていただかないと、これはもう私はオリンピックまでこの日本の国、財政的にもつのかなと、率直にそう思うときあります。率直に言って、この年になるとそういう考え方もしちゃうんですよ。マイナスに考えていません。  それで、私、政治も行政もみんな税金で賄われています。借金の上に借金重ねて経済対策だってよく言うんです、機動的な財政出動と。ですが、そういうことで、この前は一月の二十八日の本会議の中、十二人のうち九人が質問しております、プライマリーバランスはどうするんですかということで。決算の本会議のときです。判で押したように、二〇二〇年までに黒字化の目標達成したいと。それから、経済再生財政の健全化の両立を図りたいというふうなことでなっています、夏までにその達成に向けた具体的な計画を立てますというふうに。その意気込みについて総理財務大臣からお聞きをしたいんですが。
  189. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは、二〇一五年でプライマリーバランスを対二〇一〇年のGDP比半減達成ということを掲げたときに、達成できると思った人はここには一人もいらっしゃいませんよ。ほとんどできないと、みんな言われましたから、あのときは。ぼろかす言っていたじゃないですか、あのとき。しかし、現実に今できるようになりましたと。余り悲観的に考えられると年食われますのでやめた方がいいです。明るく考えて、今明るく考えてやると言われるんだから。そうすると、二〇二〇年のオリンピックまで、ああ、生きていた、あいつの言ったとおりになったなと言わせなきゃこっちもいかぬ立場にありますので、我々も一生懸命やりますが。  寺田先生、これは、経済というのはちょっと正直生き物ですから、石油の値段が今下がった下がったとさっき民主党の人が言っておりましたが、今日幾らになったかといえば、今日は五十ドルになっているでしょう。昨日まで、おとといも四十三ドルですよ。それが四十五ドルになって、今日は五十ドルですよ。この前の話と全く違っちゃっていますよ、三日前と。それぐらいこういう世界に我々今生きていますんで、これはちょっと正直確固としたものがきちっとあるわけではありません。  ただ、一つだけ。日本銀行がいわゆる我々の国債を直接というのであって、日銀がファイナンスをしているわけではありません。これだけははっきりしておかないといけませんので。我々は一昨年の一月に、日本銀行総裁、時の白川さんと、日本銀行との間の共同声明にサインをして、それに基づいて二%のインフレターゲットをつくって、できる限り早期にということで、二年間というような当面の目標を立てて今事は進んでおりますので、私どもとしては二%の目標をやりながら、先ほど民主党の方、あなただったかな、言われていたように、二%の目標を目指すということと同時に、経済成長をさせていくということと両方、間違いなく財政経済の成長と両方、今二兎を追っておりますので、なかなか、こっちが行っているんじゃないかといってこっちがというけど、そのどっちかを、両方うまくやっていかないとならぬという極めて厳しい綱渡りをやっていると、我々はそう認識いたしております。
  190. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 夏にプランを出すのは私の役目でございます。今財務大臣からお話をさせていただきましたとおり、二〇一五年のPB赤字半減の目標は、消費税を一〇%に上げることを前提に組んでありました。しかし、それを延期したにもかかわらず、できたわけであります。なぜできたかというと、それはやっぱり経済の成長によって税収が増えているんです。  ですから、二〇二〇年に向けては、単に歳出をカットしていくというだけではなくて、歳出カットもしました、自然増も本来の見通しよりは低く抑えてあります。ですから、歳出をしっかり聖域なく見直すと同時に、母体である経済規模を大きくして税収を増やしていくと、両方の合わせ技でプランを作っていきます。
  191. 寺田典城

    ○寺田典城君 経済対策はそのような理屈で物を考えているんでしょうけど、ただ、建設コストの高騰というのは、民間投資ができなくなっているんですよ、余り住宅なんかも高くなっちゃってですね。それから入札不調だとか。ですから、その辺に弊害もあるということも一つ覚えておいてください。  それと、小泉さんの改革のとき、三位一体、すごいなと思ったのは、麻生当時の総務大臣が一二%の地方交付税削減したときです。みんな苦労したんですけど、あれはすごかったなと、なかなかやれる人いないなと、率直にそう思います。それで、二〇〇七年、平成十九年にプライマリーバランス、マイナス一・一%まで下がったことは事実です。町村合併も行われました、そういうことで。  ただ、見てみると、税収が今税外収入も入れて約六十兆円だという中で、これも出ていますけれども、社会保障費が三十兆円、地方交付税が十六兆円以上、それとそのほかに人件費だって五兆円掛かるんですから、残っている使える金というのは十兆円もないんですよ。だから、小泉改革のときはそんなに経済対策はしなくても進められたということも事実だということも御理解していただきたいなと、率直にそう思います。  いずれにしましても、お金のある人からは、はっきり言って社会保障費をもっと上げるなり、水準を下げるなり、負担していただくとか、それから小泉政権並みに地方交付税の削減まで話し合うとか考えるとか、そこに総務大臣いらっしゃいますけれども、これは、その意気込みを総理大臣財務大臣にお聞きしたいと思います。二つに手を掛けなければ日本の財政再生成らないと思います。
  192. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 小泉内閣の時代と今の時代ともうかなり違っております。一番大きなものは、やっぱり対ドル交換レートの円の価格なんかというのはもう全然変わったものになりましたので、この間ずっと七十幾らまで放っておかれたので、そういった意味では、これは、財政というよりは日銀の金融の緩和によってこれは間違いなく円安ドル高に振れた、大きな理由の一つはこれだと思っております。  それから、石油の価格がこれだけ下がったというのは、これはちょっと私どもとしては全然予定外でしたし、小泉内閣のときは到底考えられない時代になっておると思いますので、置かれている状況はかなりいろいろ流動的に動いておりますので、私どもとして今きちんとした対応はこれ、これ、これと全部この短時間で申し上げられるわけではございませんけれども、私どもとしては、少なくとも二〇二〇年まで、まずはプライマリーバランスというものをしないと、ずっと上がっていきますので、これは間違いなく最低限抑えるところまで行くためには黒字化ということはやらねばならぬ。  そのためには、今富裕者からというお話でしたけど、これはもう間違いなく今回、最高税率も上がっておりますし、相続税も上がっておりますし、いろんな形で上がっておりますので、そういった形はさせていただきながら、今言われたような御心配に対応するためにいろいろ対応してきているという最中であります。
  193. 寺田典城

    ○寺田典城君 それと、やはり重複行政を避けなければ行政コストは下がりません。地方と国との権限移譲して重複行政をやめて、行政コストを二割ぐらい下げるとかコストダウンするとか、法律の数を減らすとか。  私は行革のときは、私は平成三年に市長になったときは、なぜなったのかというと、行政の無駄遣いが多いからです。大きくなればなるほど無駄が多いです、それは。市町村の小さいところより県庁の方、まあ市町村にもだらしないところはありますけれども、そういうことで、ひとつやはり真剣に、今、安倍内閣が力あるときに、何というんですか、やっていただきたいなと、これは国民の率直な声だと思いますよ。そういうことをまず申し述べさせていただきたいと思います。  次に移ります。  東日本大震災復興のことについてなんですが、交付金の復興というのは事業の進捗には役に立ったと思います。ただ、全てが交付金の制度で、そうすると地方議会は議論しないんです、市民も参加しないんですよ。ですから、今後は地方負担も入れるべき、何というんですか、特例の復興債でも地方に発行させて、そしてそれを特別交付税で見るとか、兵庫県なんかは、阪神・淡路なんかはそういうスタイルだったですけれども、それを第二期の復興、一六年から二〇年の間ですね、いろいろ考える必要があると思うんですが、復興大臣、いかがですか。
  194. 竹下亘

    国務大臣(竹下亘君) お話しになりましたとおり、あの阪神・淡路のときも地方負担あり、中越地震のときも地方負担ありという状況復興に取り組んでまいりました。ただし、今回の場合は、エリアがむちゃくちゃ広かったこと、それからそれを負担する市町村の財政規模が数十億とか百数十億とかいう財政規模で数百億、数千億の復興をしなきゃならぬと、とても地方が担い切れる金額でなかったといったようなこともありまして、特例中の特例の措置でございますが、地方に負担を求めないという形、震災復興特別交付税という形を取ったところでございます。  しかし、御指摘にありましたように、事業に合わせて、あるいは帰ってくる人口に合わせて事業を縮小しようとかというインセンティブはなかなかそれでは働きません。それから、先ほどお話しになりましたが、地方議会のことは、これ予算に計上してありますし、あるいは事業に着手する際にはいろんな協議もしますので、議会での協議がおろそかになるということはないんではないかなと期待はいたします。ですけれども、議会でチェックしていくということは非常に重要なことでございますので、地方負担の観点、今おっしゃいました観点といったようなことも含めまして丁寧な検討が必要であると。  ただし、いろいろまだまだ課題も残っております。いきなり地方負担を求めるといってもなかなか、それが実施できるような状況になっている市町村もあるかもしれない、なっているエリアもあるかもしれない、しかしまだまだのところもたくさんございますので、いろんな課題はまだ残っております。丁寧に検討していくことが必要だと、こう思っております。
  195. 寺田典城

    ○寺田典城君 市町村要望でいろいろ交付金もどのようなことなのかということで判断しながら交付するでしょうけれども、やはり地方がある程度負担があって、そして地方債を、特例地方債を発行するということになると、これは何か、これが本当に必要でこれはあれだというので辛抱もするようになるんですよ、議論もするんですよ。これは地方自治を経験した者としてお話しさせていただきたいんですが、私はやはり住民参加型の、何というんですか、自分たちがこういうことをつくったんだという、そういうコミュニケーションも始まることですし、議論も始まることですから、そういうのは考えていただきたいなと。  それと、今、高台移転だとか災害公営住宅だとかいろいろあるんですが、オーバースペック、右肩上がりの計画を立て過ぎているんじゃないかなと、私も東北ですからよく見に行くんですが、そう思わざるを得ないんですよ。その辺はいかがでしょうか、復興大臣
  196. 竹下亘

    国務大臣(竹下亘君) 我々も同じことを心配しているんです。絶対それだけは起こしちゃいかぬと。やっぱりそれは、原資は税金ですから、税金の無駄遣いは絶対起こしちゃいかぬということで、目をこんなにして今見張りながら、あるいは議論をしながら進めているところでございます。  国からいろんな助言をしたり指導をしたり、もちろんやりますし、それぞれの自治体が何回もアンケート調査をしまして、帰ってきたい人、だんだん減るケースの市町村もありますので、それに合わせた対応をするようにと。我々は、必ずその実情をしっかりにらみながら対応するようにということを指導しており、議論をしておりまして、例えば高台移転の計画で見ますと、二十四年十二月末時点では約二万八千戸の計画を持っておりました。ところが今、二十六年九月末の数字しかありませんが、この時点では二万一千戸、すなわち七千戸削りました。そういった現実に合った対応というものを我々も真剣に取り組んでいるところでございます。これこそまさにきめ細やかに対応していかなきゃならぬ課題だと、こう思っております。
  197. 寺田典城

    ○寺田典城君 私、奥尻島なんかへ行って二十年になります。それから、兵庫県の地区の町づくりもそれこそオーバースペックだったりして人がいないとか、それから奥尻島なんかは大きな防潮堤の中に海浜が見えないからもうよそに移らなきゃならないとか、いろいろあるんですよ。  だから、今後やはりそういうことも考えて進めていただきたいと思うし、だんだん今度復興が進んでくると、公園造りたいとか文化センター造りたいとかいろいろ、体育館はこうだとか出てくるんですよ。それで、身の丈に合った、人口減少が将来こうなるということもわきまえて、過大インフラにならないように。何というんですか、私、国会の先生方というのはすごく、特に自民党の先生なんですが、申し訳ないですけれども、お金の使うことについては物すごく一生懸命なんですよ。削ることについては誰も余り言わないんですよ。総理、そうなんですよ。  だから、その辺はやはり、私は三期十二年、自民党と選挙をやってきた男でして、いつも議会からこう言われて、ディスクロージャー、しっかり説明、そして、けちらない、辛抱しながらやっていかないとやれなかったですよ。だから、そういうことを今、何というか、安倍政権に対する批判も余り出てこないし、その辺はちょっと心配しているところです、率直に言って。  あと、地方創生にしたいと思います。  石破大臣、地方創生、私、非常に関心あります。どうしても地方創生はしていきたいと率直に思っています。だから、私の過去では、例えばですよ、三十人学級というのは全国で初めてさせていただきました、あれ平成十三年。そのとき原点は何であったかというと、もちろん学力の向上だとか子供の個性を成長させることができることと、学校の臨時講師を四、五百人雇用できたんです。二〇〇一年ですからITバブルが崩壊したときであります。だから、そういうことで、非常に文科省にはすごく叱られましたけれども制度を変えてもらって、少人数学習、三十人程度というのは特殊な事情あればオーケーだよということを認めてもらったんですが、後からですね。  それから幼保一元化。これなぜやったと思います、私。全国で初めて認定こども園あれしました。ちょっと思い付いたこと言ってみてください。
  198. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 済みません、私がお答えすることかどうか分かりませんが。  それは、保育園は保育園で、地方においてはそうでもないのですが、なかなか待機児童が多くいると、幼稚園は幼稚園でなかなか人が集まらないということもある。あるいは、幼稚園は教育、文科省がやるわけですし、保育園はこれは厚労省がやるわけですが、そうすると親御さんの働いている状況でどっちへ入るかというのは変わってくるわけであって、それは本当にいいのか。保育園においても、これはもう教育というものは目的に入っているはずですが、子供たちにとってどういう教育が一番望ましいのか。幼稚園、保育園のいいところを併せ持ってやっていくというのが認定こども園の一つのコンセプトではなかったかなと思います。
  199. 寺田典城

    ○寺田典城君 それは申し訳ないけど、一般論だと思います。  文科省と厚生省の縦割りの障害というのも言われるんですが、幼稚園から小学校に入ったときの成績と保育園から小学校に入ったときの成績は五ポイント差があるんです、出発点から。だから、幼児保育も幼児教育も一緒にやったらいいんだろうということで、幼稚園業界から叱られ、保育園業界から叱られたけれども認定こども園にしたと、そういうことなんですね。  それから、今やろうとしているのは、特区で法改正しようとか特区で認めようとかとしているでしょう。あれも、国際教養大学、イノベーションだというので、地方からだってこういう大学つくれるとやったことは事実なんですが、あれは地方自治法を二〇〇四年に改正しなければああいう大学できなかったですよ。今はそれは、独立行政法人、学校法人で今はそれが当たり前みたいな形になっているんですが。私は、だからこの前大臣にお話ししました、条件不利地域は一国二制度だっていいんじゃないですかと。秋田とか青森県行ったら朝二時間雪寄せしなきゃ外に出ていけないんですから、そういうところに工場来なさいとか、また離島、半島もそうです。  だから、そういう点で含めて何が一番大事かというと、やっぱり人材育成だと思うんです。私も真剣に考えました。人材育成、インターンで国内とか海外に出すとかでなくて、そういうことも考えましたけれども、小泉改革のとき、もう財源がなかったものですから、ヤドカリ方式でやったんですよ。各部の予算を似ているようなものだったら全部ヤドカリでいこうよと、ヤドカリ方式でやったんです。  これから地方創生は、建物を建てるとかじゃなくて、やっぱりヤドカリ方式というか、何かそれを提案したいと思うんですよ。ということは、例えばショッピングモール、二十万、三十万人、必ず大きなショッピング、幕張なんかは一年に三千五百万人もあの周辺に来るというんですよ。  そうなってくると、そこにお年寄りの方々が、大きなところで歩いたりなんかしているのは元気な方々。それと、若い人方も、それから子供を連れた夫婦、お母さんとかも来ています。ああいうところに、はっきり言って、ヤドカリにして、専門学校を付けるとか職業能力大学校みたいなのを付けるとか、それと生涯学習センター、図書館だとか。図書館なんていうのは、市に行ったらみんなお年寄りばっかりいて、俺のポストここ、座るのここだなんて、満杯なんですよ。だけれども、外に出して、ショッピングモール、全国にありますから、そういうことを、もちろん人口減少地帯だったら空き教室使った生涯学習だとかそういうものをやればいいんですけれども。  そういうことを、やっぱり地方創生の使い方をヤドカリ方式でいった方がいいんじゃないかなと思うんですが、まあ私の説明が十分なのか分かりませんが、ひとつどう考えますか。
  200. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) ちょっと理解能力が足りませんで、ヤドカリの意味が分からないのかもしれません。  ただ、委員がおっしゃいますのは、その地域その地域に独自の知恵があって、それが一国二制度というつもりもございませんけれど、やはりいろんな形の知恵というのは地方から出てくるものだと思っています。  委員がおっしゃいますように、教育もそうで、北海道の音威子府というところにある高等学校もそうなのですが、やっぱり独自の教育を行うことによって全国から若いお嬢さん方が集まるようになったと。そういう創意工夫は地方にあると承知をいたしております。  ですから、ヤドカリ方式というものをまた委員に御教示をいただいて、それはもうその地域のことは地域でないと分からないので、横手のことは横手でなきゃ分からないし、何であの秋田が一番人口の減少率が高いんだかもよく分からない。そして、学力が高いと人がいなくなるというのは、本当にそこに連関性があるのかどうかは分からない。大潟村が何で一番人口が減らないのか。かえって人口が増えているわけですね、秋田県の中で唯一。ですから、地域の知恵というものを最大限に生かすということは地方創生の大きなポイントだと認識をいたしております。
  201. 寺田典城

    ○寺田典城君 大潟村の話も出たんですが、所得が多いからなんですが、恐らく今の米の値段だったら、もうあれでしょうね、何というんですか、これだったら経営していけないというような形になってくると思うんです。だから、所得を増やすことが必要なんですが。  申し訳ないですけれども、例えばショッピングモールには若い人方たくさん働いているんですよ。この人方、四、五年して、スキルも身に付けられないで、今度、臨時職員だとか何だかんだになったら、これはやっぱり、スキルアップするために何か資格を取らせるとか、だったら職業能力大学校みたいなものに入れるとか、それから要するに生涯学習局でやっている専門学校に入れるとか、やっぱりそういう人材育成に、何というんですか、入れていくことが大事。例えば、びっくりしたのは、献血センターなんかもそういうショッピングモールにあるんです、人が来るから。年間何百万人も来るから、そこに人方来ていただきますということなんですよ。それから、じいちゃん、ばあちゃんが二人で歩いている。やっぱり外に出て歩けば元気になる、要するにコミュニケーションもあるし、やっぱり総体的に元気であることが地方創生だと思うんです。ですから、そういう点を一つ。  あと、この次が特定秘密保護法と国民保護法あるんですが、これは後でゆっくりやらせていただきますので、石破大臣、腹を据えて掛かっていただきたいと思いますが、意気込みを聞かせていただきたいと思います。
  202. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 大事なのは人だと思っております。ですから、若い人を使い捨てにするようなことはもってのほかであって、若い人たちがいろんな能力を身に付ける、そういうようなことは極めて重要だと思っております。  ですから、地方に仕事と言いますけれど、それはやはり収入あるいは仕事の継続というものの安定性が求められるわけでありまして、質の高い雇用というのはそういうものだと承知をいたしております。今回、これを逃すともう機会はないと、先ほど総理が答弁をしたとおりでございますが、そういう思いでやっていかなければならないと思います。よろしくお願い申し上げます。
  203. 寺田典城

    ○寺田典城君 どうもありがとうございました。  政治家というのは皆選挙に通ってくるんですが、ああいうショッピングモールなんかへ行って頭下げるだけでも非常に、うちの息子なんかはそれで通ったんじゃないかなと思っているんですけれども。  そういうことで、終わります。どうもありがとうございました。
  204. 吉良よし子

    吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  私は、一昨年の参議院選挙で出会ったいわゆるブラック企業で働いていた二十代の男性が、僕はあの会社で夢という言葉が嫌いになったと言っていたこと、忘れることができません。そうやって若者から夢を奪い、人生を奪うブラック企業や非正規労働などの雇用問題、これを何とかしてほしいという皆さんの熱い思いを背負って私は国会に送り出していただきました。そして今日、いよいよ総理に直接質問する機会を得ました。よろしくお願いいたします。  まず、いわゆるブラック企業の問題について伺います。  ブラックと言われる企業での非人間的な労働実態について、私たちも独自に聞き取りを行い、その根絶を求めて国会でも度々問題にしてきました。  そこで、総理に初めに伺います。いわゆるブラック企業根絶に向けての決意をお聞かせください。
  205. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 私としても、もちろん政府としても、若者の使い捨てが疑われる企業は社会的に大きな問題であると。まさに今委員が御指摘をされたように、若者の将来と夢を奪うことにつながると思います。このため、こうした使い捨てが疑われる企業への対応の強化を図っておりまして、昨年十一月には、過労死防止法の施行に合わせまして、賃金不払残業や過重労働等が疑われる企業に対して重点的な監督指導を行いました。本年一月からは長時間残業に関する監督指導徹底など、更に強化を図っています。  また、若者が社会に出て職に就く際、自らにふさわしい仕事を選べるようにするため、これまで、ハローワークにおいて職場情報を積極的に開示する企業について若者に対し重点的にPRする、また、大学新卒の求人に際し離職状況等を明示するなどの取組を行っています。これを更に進めるために、平均勤続年数や残業実績など新卒者の選択に役立つ職場情報の提供を企業に義務付ける、若者の使い捨てが疑われる企業についてはハローワークで新卒求人を受け付けない、若者の雇用管理が優良な中小企業について認定制度を設けるなど、新たな法案の検討を進めております。
  206. 吉良よし子

    吉良よし子君 いろいろ取組も進めているというお話でした。  しかし、今はブラックと言われる働かせ方というのはあらゆる職場に広がっているというのも事実であります。例えば、若者が初めて働く経験をする高校時代のアルバイトから既に違法、無法な働かせ方、いわゆるブラックバイトに遭遇することも珍しくはありません。  その違法事例の一つが労働時間の管理の問題です。例えば、フレッシュネスバーガーでバイトとして働いていた方によると、その店舗にはタイムカードを押すタイミングについて、出勤時は作業のできる態勢を整えた後でタイムカードを押すように、退勤時はカードを押した後で着替えをすることという指示をする張り紙があったそうです。着替えをしなければ仕事ができないのですから、本来その時間は労働時間に含まれるべきであるはずなのに労働時間からそれが除外されてしまっている、これが問題なわけです。こうした例は、今やどの職場にも蔓延している。  もう一つ典型的な事例を示します。パネルを御覧ください。(資料提示)これは、丼物の外食チェーンなか卯で、新しく入ったアルバイトの学生に対して行われたテストの中身です。出勤時、一番初めにAの挨拶をした後、二番以降、B、月間重点目標の唱和、連絡ノートの確認、経営理念の唱和、接客用語唱和、出勤打刻、これがタイムカードです、そして最後、着替え。これらをどの順番でやるのが正しいか書けという問いになっているわけです。  ここで総理に伺います。この職場で出勤打刻、タイムカードを押すのは何番目だとお思いでしょうか。
  207. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 就労の問題でございますので、まず私から答えたいと思いますが、一般的には労働時間というのは使用者の指揮監督の下にある時間のことをいうのであって、作業前に行う準備等であっても使用者から義務付けられている、そういうような場合には労働時間としてカウントしないといけないということだと思います。  御指摘のような、これ、クイズのようなことになっていますが、労働時間に当たるか否かについてはその実態に即して個別に判断をすべきであるわけでございますけれども、一般的に申し上げれば、使用者の指揮監督下にあるにもかかわらずタイムカードを打刻しなければならないというなど、使用者が労働時間を適正に把握していないことが認められる場合には改善に向けた指導を行うということになる状態になるということでございます。
  208. 吉良よし子

    吉良よし子君 何番だと思うか、お答えください。
  209. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 基本的に、その職場に行った段階で常識的にはタイムカードに打刻するということだと私は思います。
  210. 吉良よし子

    吉良よし子君 ということで、すぐということで二番に該当するのではないかというお答えでしたけれども、この職場の場合、正解とされているのが一番最後になっているわけです。店舗に入り挨拶をした後、二番にはG、着替えをして、三番にはC、連絡ノートの確認、四番目にはD、会社の経営理念を唱和して、五番目にE、接客用語の唱和があり、さらに六番目、Bの月間重点目標を唱和した後、最後の最後にやっとFの出勤打刻、タイムカードを押すようにと、こういうテストになっているわけです。  しかし、ここで挨拶した後行われている行為、先ほど厚労大臣からもお話あったとおり、使用者の指揮監督の下に行われている行為のはずなんです。これは明らかに労働時間に含まれるはずです。  もう一度確認しますけれども、このタイムカードの打刻、労働時間の管理を理念の唱和などの後に始めるというやり方というのは明らかに違法であるということでよろしいでしょうか。
  211. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今日これ初めて拝見をいたしたので、これがどういう強制力を持つかは分かりませんが、少なくとも義務付けられている、使用者側から義務付けられている行為であるならば、そこからが労働時間としてカウントされるということでございます。
  212. 吉良よし子

    吉良よし子君 義務付けられている行為なら労働時間ということですから、最後が出勤打刻というのは明らかに違法だということであります。  こうした事例はなか卯だけの問題ではありません。ファミレスなどの外食産業、スーパーなどの小売業など、ありとあらゆる職場にほとんど当たり前のように蔓延しているわけです。こうした事態、直ちに根絶するべきではないでしょうか。厚労大臣、いかがでしょう。
  213. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今申し上げたように、当然、労働時間でありながらそれがその後に打刻しろというのであるならばおかしいわけでありますから、そういうことが分かれば当然指導しなければいけないと思います。
  214. 吉良よし子

    吉良よし子君 当然指導するべきとお答えがありました。すぐにでも、ありとあらゆる職場にこうした事態があるわけですから、指導徹底をよろしくお願いいたします。  そして、こういうことを一つ一つ是正させない限り、ブラック企業というのはなくせないわけです。  昨年の予算委員会で、私は、固定残業代制を悪用した長時間労働の押し付けや残業代不払の問題を取り上げて、厚労省も新しい対応を行い始めました。そして、今度、最初に総理がお話あったように、問題ある企業の求人をハローワークでは受理しないという制度をつくるというお話がありましたが、具体的にどうするのか説明を、厚労大臣、簡潔にお願いいたします。
  215. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) ブラック企業根絶に向けてでございますけれども、特に、先ほど若者の使い捨てが疑われる企業の話がございましたけれども、社会的に大きな問題だということは私たちも思っていて、監督指導強化に取り組むことが重要だということで、もう既に今は先生御指摘のようにあります。  具体的には、昨年十一月に施行を行いました過労死等の防止対策推進法に定められた月間に合わせて重点的な監督指導をやってまいりました。それから、本年一月からは、月百時間超の残業が行われている……(発言する者あり)よろしいですか、そこは。  それでさらに、新卒者の選択に役立つ職場情報を企業から提供する仕組みを我々やるとともに、今の御指摘の若者の使い捨てが疑われるような事業所について、ハローワークで新卒求人を受け付けないということをやろうと思っています。  それから、若者の雇用管理……(発言する者あり)
  216. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 答弁が終了してから質問をしてください。
  217. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 若者の雇用管理が優良な中小企業についても認定制度を設けるなど、新たな法案を今検討中でありますから、今はまだ中身が固まっていないので、追ってまた御議論をいただくということになります。
  218. 吉良よし子

    吉良よし子君 まだ固まっていないというお話でしたが、ハローワークにおいて問題のある企業の求人を不受理にするという、これはブラック企業対策において重要な前進だと私は思っているんです。  しかし、先ほど来お話あるように、それは新卒者に限られていると。二度目以降の就職、転職を希望する方などにはそのまま問題がある企業だとしても紹介されてしまうということなんです。また、民間の就職情報誌やサイトなどにはこうした対応は適用されませんので、つまりは、新卒者の方も含めて求職をしている人たちが法令違反を繰り返す問題のある悪質な企業に就職するリスクというのはまだまだ高いままだということなわけです。  それを避けるためには、やはりそうしたハローワークで新卒向けには不受理とされるような悪質な企業の名前を、社名を公表するべきだと思いますが、厚労大臣、いかがでしょうか。
  219. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 貴重な御意見として賜りたいと思います。
  220. 吉良よし子

    吉良よし子君 貴重な御意見ということですが、私は、ブラック企業根絶のためには、この公表することはもう欠かせない大事なことだと思うわけです。  その必要性を申し上げるために、今日、私は、牛丼チェーンの店舗数で全国、国内トップとなったすき家について取り上げたいと思います。  このすき家では、この間、ブラックな働かせ方、深夜一人で勤務させるワンオペなどが問題となって、大きな社会的な批判も浴びて店舗の閉鎖などを余儀なくされました。そこで、すき家の親会社ゼンショーホールディングスは、店舗の労働環境改善を経営の最重要課題に設定することとし、昨年四月、「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会を設置し、昨年七月、その調査報告書が公表されました。これは、インターネット上でも公開され、誰でも見ることができるようになっています。  ブラック企業根絶を標榜している厚労大臣はこの報告書、お読みでしょうか。読んでいるかどうか、お答えください。
  221. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 御指摘報告書は、このゼンショーホールディングスが設置した第三者委員会で作られて、昨年の七月三十一日に取りまとめられたもので、今お話しのようにホームページなどにも載っているということでございまして、私も今回御質問いただいたので見させてもらいました。  報告書において、そのすき家の……(発言する者あり)質問はちゃんと手を挙げてしてください。  報告書においては、すき家の過重労働の実態やその原因を分析した上で、長時間労働の根絶、絶対的禁止のルール化など、労働環境の改善に向けた提言がまとめられているというふうに承知をしているわけでありますので、これからのブラック企業対策と、今おっしゃっているようなことについて参考にしていきたいというふうに思います。
  222. 吉良よし子

    吉良よし子君 参考にしていただきたいというお話でしたが、読んでいるかどうかの質問でしたので、そこだけでよかったんですけれども。  今後、そのすき家ですね、職場がどう改善されていくかというのは、これから推移をゆっくり見ていかなければなりませんけれども、ゼンショーがこうしてやはりすき家の労働実態改善、経営の最重要課題にし、こうした詳細な報告書まで作ったということは私も注目に値すると考えています。  本日取り上げたいのは、この調査報告書で明らかにされたすさまじい労働実態に対して労働基準監督署から度重なる是正勧告を受けながら、どうしてそれがすぐに改善へと動かなかったのかということなんです。  すき家では、ワンオペだけではなく長時間労働も蔓延しておりました。また、店舗の売上げが少ない場合、その売上額に見合う時間しか働いていないという報告を社員に出させることで、実際に社員が働いた時間分の残業代を支払わない、そういうサービス残業も蔓延していたんです。調査報告書ではこうした実態を、現場社員の生命、身体、精神に危害を及ぼし、私生活を崩壊させていると厳しく批判しているわけです。  これに対し、厚労省、労働基準監督署は、二〇一二年度、二〇一三年度の二年間の間、合わせて百四件、六十二通もの是正勧告を発したと報告書には記載されています。厚労大臣、この事実には間違いないでしょうか。
  223. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) この今の御指摘の件につきましては、個別の事案でございますので、指導内容についてはもちろん、回答は差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにしても、労働基準関係法令の違反が疑われる企業については、監督指導を実施をして、問題が認められた場合には厳しく指導し是正を図るということは当然のことでございます。
  224. 吉良よし子

    吉良よし子君 すき家、ゼンショーホールディングスがもう調査報告書として発表している資料の中に詳しく件数が書かれて、もう公表されているものなんです。それすら個別の企業のことだから政府の側では言えないとおっしゃるわけですが、私はそういう体質こそが問題なのではないかと思うわけなんです。  労働基準監督署は、度重なる是正勧告、百四件、六十二通も出していたにもかかわらず、それがすぐに公表されなかった。ここで公表されていれば被害が広がらなかったのではないかと思うんです。  というのは、報告書によりますと、すき家においてこの労働環境改善というのが最重要課題とされたのは、是正勧告がされた後ではないんです。是正勧告されても、その対応は取締役会に報告すらされていなかったと。改善が最重要課題とされたのは、ワンオペやすき家の名前が現場の告発で出されて、マスコミでも流されて社会問題化してからだったというからなんです。会社幹部への第三者委員会の聴き取りの中では、労働基準監督署とか労働環境を考えたことはないという証言まであったわけです。せっかく労働基準監督署が是正勧告出していても、経営幹部によってそれらが無視されて、社会問題化するまでの間、労働者は生命、身体、精神に危害を加えられ、私生活が崩壊させられ続けてきたわけなんです。  総理、こうした勧告が繰り返されているという事実についてもっと早く公表に踏み切っていればここまで被害が広がるのを防げた、避けられたとは思わないでしょうか。
  225. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 私はこの事案について詳細について存じ上げておりませんが、しかし、もちろんこうした法令違反は元来あってはならないことでありますし、労働基準関係法令にしっかりと従っていくことが大前提でございますが、法令違反といった事態になる前から使用者が法令遵守の意思を十分持つことが重要であろうと。ただ、元々全くそれは期待できないような状況があると、今のお話の中においてですね、そういうときには、これはやはり労働基準監督署がこれは監督指導を厳しく行い、重大又は悪質な違反に対しては司法処分を含め厳正に対処をしていくことが大切ではないかと、このように思います。
  226. 吉良よし子

    吉良よし子君 監督指導を厳しくというのももちろん重要なわけですけれども、このすき家においては何度も、百四件にわたって二年間の間に是正勧告、発せられているわけですよ。それにもかかわらず、すぐに改善へと踏み切らなかったわけです。  先ほど長時間労働のお話しましたけれども、回転と呼ばれる二十四時間連続の長時間労働がずっと行われている中で、体調不良を起こしたり、また、それによって意識を失って交通事故まで起きているという事態まですき家の現場では起きているわけなんです。それらを食い止めるためには、やはり公表をしていく、その事実を公表していくということがやっぱり必要だと思うんです。  これは、単に悪質な企業を正していくということだけではなくて、働く人を大切にする企業を伸ばすということにも私つながると思うわけなんです。ブラックと言われる働かせ方が横行している多くの企業の風土を社会全体で正していく、改めさせていくと、あるべき労使の公正な関係をつくり広げるためにも、悪質な企業の社名公表というのはやはりどうしても必要だと思うんです。これは現場労働者の切実な願いでもあるんです。  労働組合の連合が昨年行った組合員三千人に行ったアンケートの調査では、ブラック企業対策として国に進めてほしい制度や取組について、一番に挙がったのがこのブラック企業の社名公表、実に六五・〇%の方がそう答えているわけなんです。  ブラック企業をなくす、それを力を込めるというのであれば、少なくともブラック企業の情報公開、とりわけ悪質な企業の社名の公表に今こそ踏み出すべきなのではないでしょうか。総理、いかがでしょう。
  227. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 監督署が指導などに入るときは事業場別、つまり店舗ごとに行くわけでありますけれども、このすき家に関しても幾つかあって、今は全社的には当然、労働基準監督署から長時間労働等を是正するように指導中ではありますけれども、中身についてはやはり申し上げることはできないと思うんです。  そこで、今お話がありましたが、例えば、これは行政として告発をするなり何かのアクションがあるときは当然公表することになろうかと思いますけれども、指導の中で名前を出すということについては、まだそういうことは考えているわけではございませんので、引き続きしっかりと監督を厳しくやらなきゃいけませんし、さっき申し上げたように、十一月に過労死等防止啓発月間に合わせて重点的な監督指導をやって、三千八百十一事業場で労働基準関係法令違反が認められた、それは四千五百六十一のうち三千八百十一というかなりのところで違反が認められて、是正を指導し、違法な時間外労働があったものはこの中で二千三百四事業場、全体の半分ぐらいだったわけであります。  そういうこともございますので、引き続き徹底的に監督指導をやるようにしていきたいと思います。
  228. 吉良よし子

    吉良よし子君 ですから、指導されているということは大事なわけですよ。それだけ入って、それだけの違法企業が、事業所があったという事実は本当に問題なわけです。だからこそ、ただ、働く側としては、だからこそその中身を知りたいわけなんです。それだけ四千社なり五千社なり入って、そのうちの八割の企業で違法な事態が見られていると。それに対して何度も何度も、しかもすき家のように繰り返し是正勧告がされているような企業があると。そういう企業の名前をちゃんと公表してほしい、そういうことで社会的な抑止力を発揮してほしいというのが労働者の願いなわけなんです。  是非とも、この企業名の、悪質な企業なんです、全ての企業名をということではありません。ハローワークでも繰り返し違反が認められる企業は不受理というお話でした。ですからこそ、悪質な企業名の公表を是非とも検討していただきたい。総理、いかがでしょう。
  229. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 言わば今例として挙げられている当該企業においては、何回も何回も勧告しているにもかかわらず、それに応じていないということについては相当悪質であろうと、このように思うわけでございますが、その中において、言わば指導に従わさせるためにどのようなこちらが手段を持つかということについては、当然様々な手段を検討していく必要もあるだろうと。そういう意味で、先ほど大臣も貴重な御意見として参考にさせていただきたいと言ったのではないかと、このように思います。
  230. 吉良よし子

    吉良よし子君 貴重な御意見ということは繰り返されていますから、是非ともこの公表について検討を始めていただきたいんです。いかがでしょうか。
  231. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど時間がなかったのではしょりましたが、例えば今年の一月から月百時間超の残業が行われていることを把握した全ての事業場に対して監督指導徹底などをやっておりまして、特に東京と大阪が一番こういうケースがあるものですから、この大阪と東京の労働局に過重労働の困難事案等に対応するための特別チームをつくって、対応を更にグレードアップして今やっているところでございまして、今繰り返し御提案がありましたけれども、先生の御意見、貴重な御意見として賜っていきたいというふうに思います。
  232. 吉良よし子

    吉良よし子君 では、貴重な御意見と何度もおっしゃっているわけですから、是非とも検討を進めていただきたいということを強く申し上げたいと思います。  そして、このブラック企業、これが横行する背景の話に移りたいと思います。  このブラック企業が今これだけ社会中に増えている背景には、やはり派遣や有期雇用など非正規雇用が日本中に蔓延し、二千万人を超えるに至ったという現実があると思うんです。  ここで、政府は今、正社員三十万人増と掲げておりますけれども、今後提出が予定されている派遣法の改悪案というのは、その言葉に真っ向から反する内容になっていると思うんです。  パネルを御覧ください。  現行の労働者派遣法、これでは、法律で定められた派遣期間、これを過ぎたら派遣先がその派遣労働者を直接雇用しなければならないという義務規定が置かれています。特に、この第四十条の四、四十条の五では、その期間を過ぎた派遣労働者に対して労働契約の申込みをしなければならないとしっかりと書かれているわけです。しかし、これが、昨年秋に国会に提出された政府案の中では、その派遣先に課されている労働契約の申込みの義務、これらが、この二つともがすっぽりと削られてしまっているわけです。  この条項を確実に派遣先に履行させるというならまだしも、そうした義務付けをなくしてしまってどうして正社員化が進むと言えるのか、これまであった直接雇用の道をなぜ閉ざすのか、総理、お答えください。
  233. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) まず、すっぽり削られてしまっているというお言葉がありましたが、これは委員長にもお願いをしたいんですけれども、今そこにパネルとしてございますのは、普通あれを見れば、四十条の四というのはあれだけだろうと思うと思うんですね。実際は、実は、ちょっと見づらいかも分かりませんが、これだけがあるもののごく一部を取り出したもの、すっぽり削除して、ほかの部分は、あれだけやってあたかも条文かのように思われるので、こういうのは、出すときには全部をやっぱり出していただいて、あるいは、抜いているなら抜いているということが分かるように是非していただきたいというふうに思います。  その上で申し上げれば、提出を検討中の労働者派遣法の改正法案では、今、雇用主である派遣会社に一義的な責任を派遣で働く方の雇用の安定について負わせるということで、現行法の四十条の四、今あそこの上の部分ですね、それから四十条の五、この派遣先の直接雇用の申込義務を削除する一方で、派遣期間満了時に働く方の雇用が途切れないように、雇用の安定に図るための措置、雇用安定措置と我々は呼んでいますけれども、これを派遣会社に新たに法的に義務付けるということにしております。  さらに、現行法第四十条の四には、期間制限違反を防止するという目的ももちろんあるわけですけれども、期間制限違反については、これは今までの法律でいけば四十条の六の、古い法律の労働契約申込みみなし制度によって違反を防ぐこととしておりまして、これは実は今年の十月一日から施行になります。これによって違反を防ぐこととしておりまして、派遣で働く方の保護が後退するということは考えておりません。  労働者派遣事業については、現在、約四分の三が届出制となっておりますけれども、今後は全てを許可制とすることにして、許可制を通じて雇用安定措置の履行を確保して、そして派遣で働く方の雇用の安定を図っていこうと。そして、それは許可制でありますから、もしこの義務を履行しないということになれば、まず指導、助言があり、改善命令が来、事業停止命令もあり、そして許可取消しということになってくるわけでありますので、御懸念のことがないように私たちも新しい法律の中で働く人の権利をしっかりと強化していこうということでございます。
  234. 吉良よし子

    吉良よし子君 いろいろおっしゃられましたけれども、まず、私、ここに法案書いてあるのは、重要だと思う部分をしっかりと分かるように抜き出したわけです。ここが全部取られているということを問題にしているわけなんですけれども。  先ほど来、みなしなどの話もありますけれども、それらは、無期雇用の場合はその対象から外れると、派遣元で無期雇用の場合は。だから、派遣社員全員がカバーされないという仕組みになっているわけです。許可制などとおっしゃっていますけど、そもそも専門二十六業務に限定していたものを外すということは派遣労働者が増えるということであって、正社員が増えるということでは決してないということなんです。  私が伺っているのは、派遣先が直接派遣労働者に、直接雇用をすると、それが義務だったわけです。その義務を、派遣先の義務を外してどうして正社員化が進むのかと、そのことなんですが、お答えください。
  235. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) これは理事の皆さん方にも申し上げたいんですけれども、そっくり削除するなら削除したということが分かるように「…」と書くとか、部分的にやったということをやっぱりはっきり書いていただかないといけないということを繰り返しておきたいと思います。  それで、先生今御指摘の四十条の四のところでありますけれども、これ実は、先ほど申し上げたように、落ちている条文のところをしっかりと読めば、この四十条の四は、まず第一に、二十六業務以外の業務について、派遣先が三年の上限に達した際に、その際受けている派遣で働く方を派遣先が上限を超えて引き続き受け入れようとする場合であって、そして五番目に、働く方が派遣先に雇用されることを希望する場合という全ての要件を満たした場合について派遣先に直接雇用の申込義務を課すものでありまして、今お話ございましたけれども、あたかも全ての希望者に申込義務を課すかのようにおっしゃるのは、それは不正確だということを申し上げておかなければいけないというふうに思います。
  236. 吉良よし子

    吉良よし子君 あのですね……(発言する者あり)
  237. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 静粛に願います。
  238. 吉良よし子

    吉良よし子君 希望すると言いました。私は何度も、期間が過ぎた派遣労働者が希望した場合には直接雇用する義務があるということは口頭で何度も申し上げているわけでありまして、決してそれをはしょっているわけではありませんし、私が聞いているのは、その義務を外してどうして正社員が増えるのかというお話なんですよ。  今だって、現行の規定が守られていないといって闘っている事例がたくさんあるわけです。なのに、そうした規定すら取り外してしまったら、まさに派遣先の義務は何もなくなって、正社員は増えなくなるじゃないかと、直接雇用が増えなくなるじゃないかと、その道が閉ざされてしまうではないかと、そういうお話をしているわけです。何でそれで正社員が増えるのかと、そこのところをお答えください。
  239. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回、今まで何もなかった正社員化に向けての規律というものをたくさん導入します。その一つがさっき申し上げた雇用安定措置であり、それから、許可要件としても、教育訓練やキャリアコンサルティングの機能がちゃんとなければ、システムとしてなければいけないということを申し上げているわけであって、それから、もちろん派遣先にも、今までなかった例えば正社員募集情報の提供を義務付けるとか、あるいは募集情報の提供、これも義務付けていますし、それから、派遣元に、キャリアアップの支援をするという意味において、派遣労働者の仕事ぶりの情報をきちっと派遣元に提供することを努力義務で課すというようなこともやっているわけであって、あたかも正社員化が進まないとおっしゃいますけど、むしろ逆に、我々は、正社員になりたい人は正社員化が進むように今まで何もなかった規制を掛けていくということをやり、そして何よりも、さっき申し上げたように、そういう新たに加える義務に対して……
  240. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 答弁をまとめてください。時間が過ぎております。
  241. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 履行しないときには許可の下で指導をしていくということであります。
  242. 吉良よし子

    吉良よし子君 ですから、それで何で正社員になるのか全然分からないんですよ。教育訓練をしたからといって……
  243. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 吉良よし子君、時間が経過しております。
  244. 吉良よし子

    吉良よし子君 お願いをしたからといって、それで直接雇用になるとは決して保証はどこにもないじゃないですか。何より現場の派遣労働者が全然納得していないんです。
  245. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 吉良よし子君、申合せの時間が経過いたしております。
  246. 吉良よし子

    吉良よし子君 ニコンで五年間も派遣労働し、やっと直接雇用されたのに半年後に解雇された同い年の男性は、今の規制ですら守られていない、それを取っ払うなんて僕にとっては絶望国家法案だとおっしゃっていました。若者に夢と希望というんではなく、絶望を押し付けるような派遣労働者の……
  247. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 吉良よし子君、発言者に申し上げます。委員長指示に従ってください。
  248. 吉良よし子

    吉良よし子君 改悪法の今国会への再提出はきっぱり諦めるよう申し上げて、質問を終わります。
  249. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。今日はボリュームを、先日注意があったので、半分に落としましたので御了承ください。  元気がなければ何もできないということで私も本当に体の健康に気を付けておりますが、私も今日はずうっとというか、いつもテレビの中でも総理がなぜ元気かなというのを私なりに分析をしておりましたら、やっぱり答弁に答えて立ったり座ったりを一日何回するのかなと。それで、私どもの師匠力道山に若い頃は屈伸運動を毎日千回、二千回やらされまして、膝はがたがたになって、同世代の選手たちはみんな旅立ってしまいました。  でも、ちょうど今年は戦後七十周年ということでいろんな思いがありますが、ちょうどこれからのまた新しい七十年に向けて、日本が新しくリーダーシップを取りながらも踏み出していかなきゃいけない年かなと思います。  そして、委員会でも時々この話はさせてもらったことがありますが、何といっても私が世界に名前が売れたのはモハメド・アリさんと戦った世界初の異種格闘技で、その年に、一九七六年ですが、その年にパキスタンの英雄アクラム・ペールワンというのが挑戦をしてきまして、本当にルールが決まらずリングに上がり、いまだに私の手に歯形が残っていますが、殺し合いの試合になって、十万とも言われる観衆が総立ちになって、本当に私もリングから降りれないんじゃないかというぐらい。私はそんなことを考えていなかったんですが、それには勝ったから両手を上げたら、アラーに対して尊敬のあれというか、波立った観衆が一瞬にして潮が引くように静かになったという、大変、イスラムの世界の、何ですかね、在り方というのをそのとき少し学びました。そして、本当にそんな試合でしたから、私もずっと後味が悪く、その後そのいとこがまた挑戦してきて、これもまた国中の話題になりました。そして、お墓参りもしたんですが。  一九八四年にテレビ番組の企画で、子供たちを連れて、今一番危ないと言われているペシャワールという町、そしてラホール、そこでイベントをやりましたが、ちょうど国交六十周年ということで、企画、外務省が立てたんですが、ペシャワールに行くんじゃ後援はできませんよということで、結構ですと。で、我々はペシャワールで興行を実行したところ、私のメッセージがタリバンか、彼らに届いたのかどうか、その前後一週間は一切テロ行為が起きなかったという、新聞にも、ワシントン・ポスト、いろいろな新聞にも大きく見出し付きで書いてあります。  本当に、そういうスポーツを通じてのメッセージの送り方、今回の本当テロ事件は許し難いことですが、イスラムの社会をもうちょっと理解をしなきゃいけないかなという私なりの経験を通じて、この場をお借りして総理にまたお伺いをしたいと思いますが。  お手元に配付されているイラクの人質の解放、もう古いんですが、二十五年前ですね。そのときも、本当に毎日、連日、テレビ、新聞が報道していましたが、私は当事者ですからイラクにいたり、そのニュースは聞いておりませんでしたが、とにかく一人単身で飛び込んだということで、大変なことがあったと思いますが。  それはともかく、去年、ちょうどノーベル平和賞を取った、マララさんというのか女史といっていいのか少女といっていいのか、とにかくマララさんとお会いをしたいという連絡をいろんなところを通じてしたところ、かつてさっき言ったモハメド・アリとの試合も含めてマララさんのお父さんが大変私のファンでもあったということで電話の連絡が付きまして、それで、その後はメールでやり取りをしましょうとか、ただ、今は何せあることに集中しているので、インタビューや公には会わないことにしています。  それで、こちらから一方的に一月の十五、十六、十七、この辺りでやればロンドンにも飛べますよということで連絡をしておきましたら、やっとメールが返ってきて、ちょうど前日ロンドンに来て、家で迎えたいという。ただ、住所は教えてくれませんので、行ってから電話で翌日話をして、それで、ちょうどバーミンガムという町ですから、これはロンドンから二時間半ぐらい掛かりますかね、家に行ったときに、家族も全部そろって。ちょっとこんな警戒のないあれでいいのかなという感じもしましたが、多分中にボディーガードはいたと思うんですが、とにかくびっくりしたことは、十七歳の少女といっていいか、話が余りにもしっかりしているなと。  また、国連での演説も私も聞いておりましたので、本当に命を張って、私も人生戦ってきた歴史ですけど、十七歳の子が本当に命を張って、またこういうことがあったらどうすると質問もしたんですね。そうしたら、いや、私は女のため、あるいは女の権利、学校、教育の問題、平和のために命は惜しくありませんという、そんな答えが返ってきたのにはびっくりしました。  十五分ぐらいという話が一時間半ぐらい話が盛り上がりまして、雑談もしました。とにかく、一つには、私のキャラクターは、いつもいろんな外交の中で、キャラクターというか、相手の警戒心を取ってしまうというか、そういう意味では本当にざっくばらんな話合いができました。  本当に彼女の願いは、私も、パキスタンだけではないのですが、やっぱり子供の教育、学校建築、いろんな部分でいろんな相談を受け、またいろいろお手伝いもしておりますが、先ほどちょっと申し上げた古舘伊知郎さんも、子供たちを連れてテレビの番組でカイバル峠をずっと行って、本当にその辺の、今で言えば、あの当時はちょうどロシアが、ソ連ですね、の侵攻の後だったんですが、その辺でみんなが、子供たちが茶色い、黄色い風呂敷みたいなのを持って、空爆来るとそれをかぶって地べたに伏せるという、そんなような状況でした。  総理がいつも言われる積極的平和主義、マララさんも、同時に私も平和スポーツ外交というのをずっとやってきておりますので、先日会ったときに是非日本に来てくださいという話をしたときに、今スケジュールが詰まっていますが、一番先にその招待を受けたいという話がありましたが、もし来られるということになれば、どういう機関でどういうふうに受けたらいいのか、今のところ検討中ですが、その件について総理の御意見をお伺いしたいと思います。
  250. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) マララさんが、武装勢力から命を奪うぞという脅かしを掛けられながらも、その脅かしに、テロには決して屈することなく女性が教育を受ける権利を訴え続けたこと、世界の人々に勇気を与え、私も含めて多くの人々が感銘を受けたわけでございます。  教育は、まさにその国に住む人、世界の人々にとって未来を形作っていくものでもありますし、同時に、他者や異文化に対する理解を育み、平和を支える礎でもあろうと、このように思います。  我が国も、積極的平和主義の下、この教育分野を重視をしておりまして、今まで様々な支援も行っておりますし、同時に、世界で女性の人権が守られるように、紛争下においても、あるいは貧困下においてもしっかりと女性の人権が守られるように、UNウイメン等の活動への支援も含めて、日本は世界に対して支援を行っているところであります。  マララさんは、ノーベル平和賞を受賞して以来、世界中を忙しく飛び回っておられるんだろうなと思いますが、また遠くない将来に日本を訪問されまして教育の重要性について話をいただければいいなと、こんなようにも思っております。
  251. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 ちょうどそのときに、コベントリーという、バーミンガムの前に、隣の町なんですが、昔聞いた話で、ナチス・ドイツがイギリスのコベントリーという町を占拠して、そこからイギリス全土を破壊しようという計画を立てて、その暗号を傍受したイギリスの軍隊がチャーチルに、大変だと、この住民をどこかに移しましょうと言ったところ、チャーチルは、一言か二言か分かりませんが、ノーと。そうすると人民を全く見殺しにするということになる。ただ、何といったですかね、あの暗号の、エニグマという暗号を解読したイギリスが、もしその住民を移すことによってドイツがまた違う戦略を立ててもっと被害が大きくなったらという。立っている位置によって判断が違うんだろうなと。会社でいえば、社員、あるいは課長クラス、部長、取締、社長というのがある。日本の国のトップに立たれる安倍総理が、そのチャーチルの判断、いいか悪いかは私は分かりませんが、ただ、国を、全体を守ろうとするこのあれには共感できるんですが、安倍総理の見解をお願いします。
  252. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) このイギリスの軍情報部がエニグマを解読をしていたという事実をドイツ側に知られないために今委員が御指摘のようなそういう対応をしていたということは、これは有名な話でございますが、言わば国全体を守るためにいかなる政策判断をするかということは、言わば国の行政の責任者としては極めて重大な、また重要な問題でございます。  いずれにいたしましても、大切なことは、日本人の命と平和な暮らしは断固として守り抜いていくという決意を忘れないことではないかと、このように思います。
  253. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、国際連合経済社会理事会についてお伺いをいたします。  私どももこの理事会があるということも余り分からなかったんですが、この経済社会理事会が、今どうでしょう、国連の中の一部ですが、どのような機能で、どのような働き、あるいはどのような資金によって、その辺の詳しいことが分かりませんので、もし説明をしていただければ。
  254. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 国連の経済社会理事会ですが、その役割としましては、経済、社会、教育、文化あるいは保健、こうした国際事項に関する研究と報告を行うこと、さらには、国連総会、国連加盟国、関係専門機関に勧告を行うこと、また、勧告を通じてこの専門機関の活動の調整を行うこと、こういった役割を担っております。我が国は、一九六〇年以降、ほとんどの期間この経済社会理事会の理事国を務めています。今現在も理事国を務めております。  経済社会理事会における開発問題、あるいは地球規模問題、こうした問題に関する様々な議論で是非引き続きリーダーシップを発揮して、これを通じて世界の平和や安定に貢献していく、これは大変重要な取組ではないかと考えています。
  255. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 今大臣がおっしゃられたとおり、本当に世界には宇宙ごみの問題、あるいは海の問題、いろんな、世界中を見渡すと、ちょうど私も、どういうわけか、発想と言っていいんでしょうか、十年、二十年考えることが早いとよく言われます。そんなことで、宇宙ごみの問題も、あるいは北方領土の問題、いろいろ委員会でも話をしたことがあります。是非是非日本がこの国際連合経済社会理事会をもっと生かして、リーダーシップを取っていってもらいたいと思います。  次に、話変わりますが、今年、天皇皇后両陛下がパラオを訪問されます。かつては、一番のペリリュー島という、一万六千人でしょうか、日本軍が玉砕し、その海がオレンジ海岸という名前が付いていますが、本当に血で染まったためにそういう名前が付けられたということも聞いています。  パラオと私のあれは、本当に、今からちょうど、アリ戦の後ですが、パラオの酋長が日本に来られて、もう一回パラオを日本の人に思い起こしてもらいたいということで、私が名前が上がり、私に招待状が出て、行きました。本当にすごい、学校が全部休みになって、日本の旗で迎えてもらって、それでいろんなところを案内してもらって、本当に日本びいきで、日本の教育をしっかり受けた国民だな、その当時は国じゃなかったんですがね。  そして、いよいよ帰るときになりましたら、私どもは本当に貧乏なので何もお土産がないんです、差し上げられるのであれば、島が三百幾つありますから、どの島でも選んでくださいということで、その島を選んで、今イノキアイランドという名前が付いて観光客の名所にもなっていますが。そのときに、島の周りを見たときのサンゴが余りにも美しいというか、本当に竜宮城があるんじゃないかというぐらい感動したんですが、それ以来、サンゴの、養殖じゃないんですね、増殖というか、枝を切って、日本では駄目ですが、パラオではそれを許可してもらって、それで早く成長させて、それをまた海に戻していく、もう二十四年、二十五年になりますかね。  ただ、それはあくまでもこういうことができますよという実証だけで、もっともっと大規模にやっていかないと、海の連鎖というか、そこに群がる小さい魚、それを食べる魚、それをまた追っかける大きな魚、この海の連鎖が崩れてしまう。あるいはまた、空気の排出量というと、一スクエアフィートに対して森林の三倍ぐらいサンゴが酸素を供給しているということも聞いています。  そういうことで、是非、天皇がパラオ御訪問の機に、このサンゴのこともまた国民の皆さんにも目を向けてもらって、やはり自然環境ということをもっと目を向けてもらい、一つには、今この間も中国漁船が来てサンゴを荒らしていったとかいろいろ出ていますが、そういう意味では、国を批判するとかいうことを抜きにしても、逆に言えば、世界にそのメッセージを発信していければいいと思っています。  そして、日本政府としても、できれば何らかの形でそのサンゴの支援に協力していただければと思いますが、環境大臣でしたか。
  256. 望月義夫

    国務大臣(望月義夫君) 我が国は、サンゴ礁保全に関する国際的な取組といたしまして、サンゴ礁生態系の保全を目的とした枠組みで国際サンゴ礁イニシアチブ、ICRIといいますけれども、この設立を米国とともに、一九九四年に日本の国も米国と一緒に主導したわけでありますが、このイニシアチブにはパラオ、今先生もお話ございましたように、パラオやインドネシア、フィジーなど三十五か国、それから三十二の機関が参加をしているところでございます。  さらに、今年度からはタイ国と共同でその事務局を担っております、日本が。そして、シンポジウムの開催等、積極的にサンゴ礁の保全の取組を推進をしております。二〇〇五年とたしか二〇〇七年に日本とパラオが事務局を担ったこともございまして、パラオとはしっかりと連絡を取って、現在もサンゴ礁の保全について取組をさせていただいているところでございます。それから、昨年の十月に我が国の沖縄県恩納村で二十九回のICRIの総会を開催もしております。  政府としては、今後ともこうした取組を進めながら、国際的なサンゴ礁保全の取組をやはり世界的な、我が国がそういった意味ではしっかりしたリーダーシップが取れるように今後とも取り組んでいきたいと、このように思います。
  257. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 時間も迫ってきたんで、もう端的に一つ。  国債発行が毎年増えているわけですが、今政府もそれに真剣に取り組んでいると思います。かつて子供たちに借金を残していいのかという議論がすごくなされたときがありますが、そういう声も聞こえなくなってしまって、今本当にこの動乱の時代に思い切った大なたを振るって政治改革あるいは財政改革をしていただきたいと思います。  そこで、国債を減らすためにはどのような政策を取っているかをお聞かせください。
  258. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) アントニオ猪木先生御存じのように、二〇一五年の予算で、今年度、平成二十七年度の予算で、前々から言われておりましたまず第一段階として、二〇一五年度までにプライマリーバランスを対二〇一〇年度比で半分にしますという赤字半減目標をほぼ達成できるだろうと思っております。  ただ、これは半分にしただけであって、まだ残り半分をやりませんと、国債の絶対量は漸減していく、少しずつ減っていくということになりませんので、二〇二〇年度にプライマリーバランスを黒字化しますという目標を掲げて、今から債務残高の対GDP比をきっちりと減らしていくということを、安定的に引き下げていくということをやりますんで、それに当たってきちっとした計画を立てなきゃいかぬということで、今年の六月、夏ぐらいまでに私どもとしてはきちっとした財政健全化目標の計画を立ててやっていかねばならぬと思っております。  それに当たりましては、基本としては、何を基本にすればいいかというと、やっぱりこれは経済再生させる、経済を成長させることによってデフレ脱却、これが一つ。もう一つは、やっぱり歳入の問題がいろいろありますんで、この歳入の問題。同時に、社会保障等々の歳出の問題。これがバランスしておらぬから赤字が増えておるわけなんで、そういったものをきちんとバランスをさせるということをしませんと財政が健全化になりませんので。  幸いにして、今までのところ、こういった方向が、我々としてはきちんとそういった姿勢を、経済を活性化させながらも財政も同時に、野方図にしているつもりはないというメッセージが伝わっておりますので、マーケットにおいても、我々としては、これだけ国債が出ながらも金利が暴騰するというようなこともなくきちっとした形でできているということで、今後とも非常に地道な作業をきちっと続けていかねばならぬと思っております。
  259. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 最後に、私の同僚議員も予算委員会でも質問しましたが、直接型民主主義を提唱している党として国民の声を聴くということで幾つか拾い上げてきましたが、将来、我々が年を取り、働けなくなったとき、社会保障は子供たちの負担になります。結果として、子供たちがいなかったり少ない人は、若いうちに家計は余裕があり、自由に遊んでおきながら、働けなくなると他人の子供に面倒を見てもらうことになります。なので、収入だけは、子供の数に応じても社会保険の負担額を変えるべきであると思います。人口を維持する観点から、子供三人を基準として、二人の場合は一・五、一人の場合は二倍、子供がいない場合は三倍といった具合にする、まあこれはネットで拾ったものですが、これについて、厚生労働大臣ですかね。
  260. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) アントニオ猪木先生から今社会保障の在り方についての御提言がございましたが、社会保険は、必要な給付との見合いで働く方に支払われる報酬、つまり賃金を基礎に負担能力に応じて労使に御負担をいただいているというのが仕組みでございまして、したがって負担能力とは別に子供の数などの個々の事情に着目をして負担額の軽減を行うということは必ずしも適切ではないのではないかというふうに考えておりますけれども、しかし、そうはいいながら、社会保険の仕組みの中でも、次世代育成の観点から、例えば出産育児一時金の支給なども行われています。それから、出産、育児に際しての所得を保障するための出産手当金、あるいは産前産後休業及び育児休業期間中の保険料負担の免除などの支援策などをやっておりまして、子育て世帯の家計の負担を軽減しているところでございます。
  261. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 時間が来ましたので終わりますが、まだ幾つかありましたが、できればこの次は一、二、三、ダーをやらせていただくと。  どうもありがとうございます。
  262. 中西健治

    中西健治君 今国会から無所属になりました中西健治でございます。  国会開会以来、先週と今週、政府に対して、内閣に対しては五通質問主意書を出させていただきましたが、是非、今日は総理を始めとして閣僚の方々に対してじかにお聞きしたいこと、幾つかお伺いしていきたいというふうに考えております。  まず、総理にお伺いしたいと思います。  平成二十五年度補正予算経済対策の評価についてお伺いしたいと思いますけれども、二十五年度補正予算は、昨年四月の消費増税に伴う景気の落ち込みを軽減することを大きな目的として五・五兆円もの大盤振る舞いがされたということだと思います。ところが、消費増税後、景気の落ち込みは二四半期連続の大きなマイナスとなりまして、言わばリセッション、景気後退とも認定されかねないような二四半期連続のマイナスということになりました。  昨年度の経済対策は残念ながら失敗だった、期待していたより効果が希薄で所期の目的は達成できなかった、こうした認識でよろしいでしょうか。
  263. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 好循環実現のための経済対策とそれを実行する二十五年度補正予算については、経済対策の効果が速やかに発現し、消費税引上げに伴う反動減に適切に対応できるよう、政府を挙げて迅速に対策の具体化を図るとともに、地方公共団体に対しても速やかな対応を要請してきたところであります。  各府省の調査によれば、経済対策は順調に実施されています。その結果、経済動向全般につきましては、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準でございますし、また、賃上げも過去十五年間で最高の賃上げが行われ、企業の経常利益は過去最高水準となり、倒産件数も二十四年ぶりの低水準となっております。また、設備投資計画は過去平均と比べて総じて高い伸びであり、公共投資は景気を下支えし、足下では底堅く推移となるなど、経済の好循環が生まれ始めているのは事実であります。  他方、確かに、駆け込み需要の反動減や夏の天候不順の影響等によりGDPが二四半期連続でマイナスとなる中、個人消費等に弱さが見られるのも事実でありますし、景気の回復状況にも地域のばらつきがございます。確かに我々の予想以上に消費は落ち込んだのは事実でございますが、一方、この補正予算を実施していなければもっと厳しい状況になっていたのは恐らくそうなんだろうなということであろうと、このように思います。  こうした検証結果については、去る一月三十日の経済財政諮問会議において公表しているところでございますが、ちなみに、足下では街角の景況感が全国全ての地域で上昇し、中小企業の景況感もおおむね改善をしてきているなど、景気回復の兆しも見えるわけでございまして、こうしたものをしっかりと確かなものにしていきたいと、このように考えております。
  264. 中西健治

    中西健治君 今総理が言及されました経済財政諮問会議に提出されたペーパーは、私の方も拝見させていただいていますけれども、これ、事業執行率ですとか予算の消化率、これが順調にいっていますよということは書いてありますけれども、政府がこの補正予算を出したときに、これは実質GDP比を一%押し上げるものですよ、そして雇用創出効果は二十五万人ありますよということに対して答えが書いていません。  ここで端的にお答えお願いしたいと思うんですが、この実質GDP一%押し上げ、そして二十五万人雇用を創出、これは達成できたんですか。
  265. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 補正予算を切り出してこの部分がこれに該当するってなかなか決めづらいんでありますけれども、雇用であれば二十五万人が目標で、精査をしてみると三十一万人ぐらいになっているから、その内数で達成ができているんじゃないかなという程度の評価なんですね。さっき総理が申し上げましたように、マクロ的に諮問会議ではその後どうなったかというのを検証してみました。  そして、恐らく御要望の中では、個々の項目が具体的にどういう効果になっているのかということだと思うんです。これは、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、この経済対策の補正だけで多分項目でいえば数百あるんだと思います。年度予算にしてみれば五、六千あるんでしょうか。これは、前政権のいいものは引き継ごうと、いいのを探すのが大変だったんですけれども、それをしっかり引き継いで、やるべきことはやっていこうということで個々に精査をしています。  ただ、それは先ほども申し上げましたけれども、どうしても定性的な評価になりがちでありまして、定量的なものもなくはないんでありますけれども、限界があるというところであります。
  266. 中西健治

    中西健治君 是非定量的なものを、また今年も補正予算組んだわけですから、是非今後は見させていただければということをまた要望はさせていただきます。  消費税再増税先送りということになりましたが、景気条項を削除するということを総理はおっしゃられております。と同時に、総理はリーマン・ショックのような重要な事情変更は別だがということもおっしゃられている。景気判断は行わないんだけれどもリーマン・ショックのような重要な事情変更は別だと、こういうふうにおっしゃられておりますが、何が事情変更に当たり、何が事情変更に当たらないのか、これも判断ということになるんじゃないかと思います。  例えば、欧州債務危機はどうでしょうか。
  267. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今の段階で一々その仮定の質問にはお答えはできませんが、しかし、世界的な経済の緊縮が起こるような状況、言わばそういう大きな事情の変更と思われるようなことがあれば、こうした状況であれば事情はまた別になるということでございます。
  268. 中西健治

    中西健治君 それは大変難しいところだと思います。  というのは、リーマン・ショックにしても、サブプライム問題から実際にリーマン・ブラザーズが破綻するまでというのは長い年月があったわけであります。その間で増税するかどうかというポイントが来たときには、これは事情の変更に当たるのかどうかというのはどういうふうに判断するのか。結局、景気の大きな下振れが予想されるかどうかという判断になるんじゃないでしょうか。
  269. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それは、まさにそういう事態が起こった段階において、諮問会議を始めエコノミスト等の意見も伺いながら、これは言わば大きな経済の収縮状況になっていく危険性があると、そういう判断をするわけでございますが、その際には、そうした事情の変更とみなすことができるということについて適切に判断していきたいと思います。
  270. 中西健治

    中西健治君 今のお話を伺っておりますと、やはり景気の大きな変動、これが事情変更だということに当たるかどうか判断するということになるかと思います。そうなると、そもそもの消費税法の景気条項を削除することにいかほどの意味があるのか、財務省に対するポーズなんじゃないか、こういうふうにも思われてくるということになりますが、これは実際の税法の議論のときにさせていただきたいというふうに思います。  続きまして、中東地域のことを質問させていただきたいと思います。  今回、痛ましい事件の起こった中東、お亡くなりになったお二人の御冥福を心からお祈りいたします。  さて、その中東地域に対する関与、特に原発輸出についてお伺いしたいと思います。  テロに屈することなく医療等の人道支援を続けていくことには大いに賛成ではありますけれども、情勢が不安定な地域に対して原発輸出を行っていくことは差し控えるべきではないかというふうに思います。  岸田外務大臣にお伺いいたします。  原発輸出の前提となる原子力協定が結ばれた国は中東地域にあるでしょうか。あるとすれば、どこといつ結ばれたのか、あと、現在交渉中のところがあるか、お答えいただきたいと思います。
  271. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 我が国と中東地域諸国の原子力協定ですが、まず発効しているものとして、ヨルダンとの協定が二〇一二年二月に、トルコとの協定が二〇一四年六月に、アラブ首長国連邦との協定が二〇一四年七月にそれぞれ発効しております。  そして、現在交渉中のものとしては、サウジアラビアとの交渉が二〇一三年十二月に始まって現在交渉中ということになっております。
  272. 中西健治

    中西健治君 パネルの方を御覧いただきたいと思います。(資料提示)  ヨルダンと二〇一二年、そしてトルコと二〇一四年、アラブ首長国連邦、この地図には入っておりませんが、ちょっと下になりますけれども、二〇一四年に結ばれた。そして、今サウジアラビアとも協定の締結のための交渉をしているということですけれども、これ全てアラブの春が起こってからじゃないでしょうか。  アラブの春、じゃ、これは私の方から申し上げます。アラブの春は、二〇一〇年十二月にチュニジアでジャスミン革命が起こって、それから二〇一〇年から二〇一二年にかけて各地で騒乱が起こったと、こういうものです。そのチュニジアでの革命が起こった後にこれらの中東諸国との原子力協定は結ばれてしまっているということであります。そして、我が国では二〇一一年に大震災があった、それよりも後ということであります。ここら辺の事実を是非踏まえておいていただきたいと思いますが。  ヨルダンとは協定が結ばれましたけれども、実際の入札では日本の企業はロシアの企業に負けました。そして、その後ヨルダン国内ではどのように原発の建設予定地が変わっていったのか、これについて岸田外務大臣にお答えいただきたいと思います。
  273. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) ヨルダンの原発建設予定地ですが、ちょうど委員の方から資料を出していただいておりますので、この地図を見ていただくと分かりやすいかと思いますが、当初はこのアカバ湾沿いを予定しておりました。そして二〇一〇年末に、アンマンの北東約四十キロに位置するマジダルに変更になったと承知をしております。そして、その後ヨルダン政府はマジダルとアンマンの南東に位置するアムラを候補地として検討し、そして二〇一三年十月に、ヨルダン政府がロシア企業への優先交渉権を付与するということを発表した際に建設地をアムラにすることを発表したと承知をしております。その後は、建設予定地、変更になったとは承知しておりません。
  274. 中西健治

    中西健治君 このヨルダンの建設予定地も、今外務大臣から御説明があったとおり、二転三転しています。そして、イスラエル国境に近いところからシリア国境に近いところに今は変わっているというような事実があるということであります。  続きまして、トルコにおける原子力発電所建設プロジェクトはどうなっているでしょうか。
  275. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) トルコにおけるシノップ原子力発電所建設プロジェクトにつきましては、平成二十五年五月に安倍総理がトルコを訪問した際に日本に排他的交渉権が付与されました。これを受けて、トルコ政府と日本企業を中心とする民間企業との間でプロジェクトの実施条件を定める商業契約を締結すべく交渉が行われ、同年十月二十九日に大枠合意されたと承知をしています。  本件商業契約は、この事業実施のための協力範囲やフィージビリティースタディーの枠組みなどについて定めるものであり、このプロジェクトの具体的諸条件については、今後のフィージビリティースタディーを通じて民間企業側とトルコ政府との間で交渉されていくものであると承知をしております。
  276. 中西健治

    中西健治君 このトルコにおける原発プロジェクト、これは日本が受注して、今、更にフィージビリティースタディーということでありますけれども、建設予定地はシノップという場所です。このシノップという場所、市長が原発建設反対を掲げて当選しています。ですので、トルコの市民感情もこれに対しては非常に複雑なものがあるということであります。  もう一つお伺いしたいと思います。  二〇〇三年のイラク戦争後、日本が、我が国が円借款の供与を行って支援したイラクでの事業のうち、いわゆるイスラム国の支配地域にのみ込まれてしまった発電事業はあるでしょうか。
  277. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) イラクにおきます火力発電事業ですが、イラク中西部のアンバール県において実施中のアル・アッカーズ火力発電所建設計画ですが、この計画はガス火力発電所及び送変電施設を整備するもので、平成二十二年二月に交換公文に署名いたしましたが、昨年以来、ISILの攻撃の影響を受けて本体工事の入札が無期延期となっております。  現在、このアンバール県の治安が回復していないことから、今後につきましては、治安状況を注視しつつ、イラク側と協議を行って対応を検討する、こうした予定になっております。
  278. 中西健治

    中西健治君 今外務大臣がおっしゃられたのが、このアッカス地区にある火力発電所建設地というところであります。これ、日本の円借款で建設するということになっておりましたが、今はいわゆるイスラム国の支配下になってしまっているということであります。  こうした一連のことを聞かせていただいて、総理にお伺いしたいと思うんですが、今後、中東地域への我が国の関与を考えていく際、この原発輸出はやめていくべきではないでしょうか。
  279. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 原発を利用しようとする中東地域の国に対して我が国から原子力関連資材等の提供を行う上においては、これはもう御承知のように、原子力協定の締結等を通じて核不拡散と核テロへの対応を含む原子力の平和的利用を確保しているわけでございます。  我が国としては、もちろん相手国の意向や、大切な点は、今委員が御指摘になったように、政治、治安状況でありますし、また原子力の平和利用に関する相手国の状況等、そうしたものをしっかりと総合的に勘案した上において政府として適切に対応を行っていきたいと考えております。
  280. 中西健治

    中西健治君 現在、サウジアラビアとは原子力協定、政府が今協定について交渉中ということでありますから、やはり政府の判断としてここはやめるべきであるということを私は申し上げさせていただきます。  続きまして、スカイマークについてお伺いしたいと思います。  国内航空三位のスカイマークが民事再生法の適用を申請いたしました。第三のエアラインとして政府の後押しもあって参入しましたけれども、二十年弱であえなく経営が行き詰まってしまったということであります。  これ、この経営が行き詰まる過程で、国土交通省も関与していましたし、やはり二転三転しているということを、そういう印象は拭えないんじゃないかなというふうに思うわけですけれども、まずお聞きしたいと思います。スカイマークの経営行き詰まりの可能性について、いつの時点で認識したんでしょうか。
  281. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 昨年の七月に、超大型機A380の購入契約に関しましてエアバス社からスカイマークに対しまして契約の解除及び解約違約金の支払についての通知がありまして、これを踏まえて、スカイマークの平成二十六年度第一・四半期の決算報告書におきまして継続企業の前提に関する注記が付されました。  これを受けまして、国交省として、同社の財務状況が厳しい状況であるとの認識に至ったということでございます。
  282. 中西健治

    中西健治君 平成二十六年十一月に、三か月ほど前ですけれども、その段階でスカイマークとJALが共同運航しようと、こういう話をしておりましたけれども、この共同運航が合意されていた場合にはスカイマークが再建できたと、可能性があったと考えていらっしゃったでしょうか。
  283. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) これは仮定の問題でありますからあれなんですが、そうした十一月に話合いがされたという報道があったところでありますけれども、特に業務提携、コードシェアの問題であろうと思いますが、こうしたことについて、正式に国交省側にそうしたことが申請がなされたこともありませんで、国交省としても判断を示したことはないということでございます。どういう経済状況、経営状況かということも含めて、十分そのとき、もしという話についてはちょっとこういう公的な場でお答えしかねるということでございます。
  284. 中西健治

    中西健治君 申請はされなかったということでありますけれども、同じ月の二十五日、十一月二十五日に太田大臣は記者会見を行っております。その記者会見で、日本航空が他の航空会社と業務提携を行う場合には健全な競争環境の確保の観点から厳しく判断しますと、こういうふうにおっしゃられておりますが、これは事実上、申請を認めない、こう言ったのと同じなんじゃないですか。
  285. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) これはあくまで一般論としての発言でありまして、そこでの八・一〇ペーパー、いわゆるですね、ということについては随時私も発言をしてきたものですから、そうした「日本航空の企業再生への対応について」といういわゆる八・一〇ペーパーというのに照らして、健全な競争環境の確保の観点から厳しく判断するという発言はいたしましたが、それを事実上拒否したということではありませんで、あくまで一般論として日常的に私が申し上げていることを言ったということでございます。
  286. 中西健治

    中西健治君 スカイマークの再建に当たって公的支援を行う見通し、見込みはあるんでしょうか。
  287. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) スカイマークに対しては、現在、民事再生の始まったところでありまして、裁判所の監督の下で民事再生法に基づく手続を通じて事業再生が図られることになりますので、推移を注視してまいりたいと、このように思っておりまして、現時点で特段の再建支援を行うと、いわゆる公的支援ということについては考えておりません。
  288. 中西健治

    中西健治君 考えていないということでしたけれども、JALの再建支援との間の整合性をどのように説明されますか。
  289. 太田昭宏

    国務大臣太田昭宏君) 日本航空の経営破綻に際しましては、当時の政権下におきまして、同社が我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っており、我が国国民生活経済社会活動にとって必要不可欠であることから、企業再生支援機構による全面的な支援の下でその再建を図ることとしたものというふうに認識をしております。一方、スカイマークの事業につきましては、その規模、ネットワーク構成から、日本航空の場合とは異なる状況にあると認識をしています。  いずれにしましても、国交省としましては、まずはスカイマークにおいて輸送の安全ということが大事だということ、そのことを強く今指導監督をするということで、再生手続を見守っているという状況にございます。
  290. 中西健治

    中西健治君 日本航空は大きくて潰せない、ツービッグ・ツーフェールということなのかなというふうに今の大臣の答弁を伺って思いました。  総理にお伺いしたいと思います。  JALの支援に端を発しているのかもしれませんが、政府は、羽田空港の発着枠の傾斜配分ですとか、こうしたところでやはりかなり裁量的な行政を行っているのではないかという印象も持たざるを得ないというふうに思っています。  空の安全は非常に大切です。しかし、民間企業のやることですからもう民間企業に任せておく、空港の発着枠などは入札で行っていく、そうしたことに変えていく、いつまでもそういう裁量行政をやっていくのではなくて民間に任せていく、こうしたことに変えていくおつもりはありませんでしょうか。
  291. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 日本航空は、今御議論にあったように、民主党政権下において公的支援を行い、民事再生がなされ、まさに再上場が行われたわけでございます。この公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられることがないように、国交省において、健全な競争環境の確保の観点から、同社の再生の進捗状況等を監視をし、必要に応じて指導、助言を行うなど適切に監督をしているというふうに聞いています。その過程で、羽田空港の発着枠の配分や日本航空による新規投資、路線開設の計画等に際して必要な対応が取られてきたと、こう承知をしております。  政府として、民間企業が健全、活発な競争を行うことを通じてより良い航空サービスが提供されるという航空政策の基本的な考え方に立って、引き続き適切な競争環境の整備に努めてまいりたいと思います。
  292. 中西健治

    中西健治君 どうもありがとうございました。  質問を終わります。
  293. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。最後のバッターでございますから、是非しばらくの間お付き合いいただきたいと思います。  冒頭、中東諸国への人道支援問題で一点、総理に伺いたいと思います。  総理が今回の中東訪問で、テロ集団イスラム国と闘う周辺諸国に対して難民支援等で二億ドルの支援を行うと表明をされたことは広く知られておりますが、人質事件に関する政府の対応とは別に、私は、この憲法前文で、我らは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永久に除去しようと努める国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う、こううたっている我が国としては、これは非軍事の人道支援を行っていくというのは当然のことだろう、こう思いますし、賛成です。  他方で、難民の問題なんですが、二〇一三年に日本に三千二百六十人の難民申請があったんですけれども、認定されたのは僅か六人です。二〇一〇年から昨年の十一月までの間に問題のシリアから難民申請が六十一件あったわけですが、一人も認定をされていないということであります。  そこで、総理、現地の難民支援に資金提供、これはもちろん大事ですが、一方で、日本自身がこの難民認定基準の見直しをし、これを受け入れるということも大事なんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  294. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 難民認定申請につきましては、従来より、国際的な取決めである難民条約等に規定されている難民の定義にのっとりまして、個別に審査の上、難民として認定すべき者を適正に認定しており、平成二十五年には六人を難民認定をしています。  他方、難民条約上の難民と認定しない場合でも、人道的観点から必要と認められるときには本邦での在留を特別に許可することとしておりまして、平成二十五年は百五十一人、うちシリア人二十六人であります、平成二十六年は十一月末時点で九十八人、うちシリア人十二人に対し、人道的観点から在留を認めているところでございます。  本国における内戦や戦闘状態から逃れたいわゆる避難民であることのみをもって直ちに難民条約上の難民に該当するものではございませんが、今後とも国際社会の一員として人道的見地からの保護を図っていく考えでございます。
  295. 又市征治

    ○又市征治君 総理は、今度の中東訪問の中で、イスラエルで、ホロコースト記念館で、かつて杉原千畝は自らの心に従い六千人ものユダヤ人に日本に渡るビザを出した、たどり着いた敦賀では町を挙げて歓迎したそうだ、時代や世の中は変わっても人々の中にある寛容の心だけは決して変わらない、こういう旨を述べられたようですけれども、私は、この寛容の心と、今、日本のやっている難民認定の厳しさ、あるいは冷たさと言ってもいいが、落差が大き過ぎるんじゃないのかと。国連高等弁務官事務所からもう過去に十二回も、是非、この厳格過ぎる難民認定の見直しを求められてきているわけでありますから、私はこれ以上論議するつもりはありませんが、早期にこの難民認定の基準の見直しを求めておきたいと思います。  そこで、本論に入ってまいりますが、二〇一三年度予算は、長引くデフレ不況あるいは円高からの脱却を目指す、こういう触れ込みで組まれたわけでありますけれども、実際には大変、大型公共事業の大幅な増額などであったわけでありまして、この時点でこれだけ公共事業を膨らませば多少の経済成長は当然だ、こういう有識者の声も出ました。  決算を見ますと、公共事業関係費は七兆九千五百七十二億円で、前年度比で三八%も伸びているわけです。その他、その後の経緯でいくと、防衛費もどんどん伸びてきているわけですが、そんな格好で、一方で国の債務は国債等が二〇一三年度末で一千二十四兆九千五百六十八億円、三十三兆円以上、三・三%の増ということでありました。  この公共事業などをどんどん増やすという問題と、一方での国債が伸びていくというこれらの問題、この点がまず一点ですね、この点を総理はどう御判断されているのか。もう一つは、先ほどからもありましたが、会計検査院報告では、不当掲記件数が五百九十五件、指摘金額が二千八百三十一億円になっているわけで、前年を下回ったといいますけれども依然多い件数金額なわけで、この検査院の報告をどう受け止めて、どのように御指示なさっているのか。この二件についてお伺いをします。
  296. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) まず、第二次安倍内閣の最初の予算でもあります二十五年度の当初予算におきましては、デフレ不況からの脱却と、これはもう一番の優先順位でありましたので、この中で経済の底割れの懸念というものは当時はっきりしておりましたので、需要の下支えを行うということで、二十四年度の補正予算と一体的に、いわゆる十五か月予算という形で編成をさせていただいております。  その多くがかなり繰り越された結果、二十五年度決算における公共事業関係費は今おっしゃいましたように約八兆円、前年度比で三八%となったというのは事実であります。しかし、これによりまして二十五年度のいわゆる公的固定資本形成というものは前年度比で一〇%、一〇・二、三%の伸びとなっております。また、GDPを〇・五%押し上げる効果があったということから、デフレ不況からの脱却の進展に一定程度寄与したものだと、私どもはそう思っております。  また、財政につきましては、GDPの二倍という巨額の公的債務という厳しい情勢にもありますので、私どもとしては、市場とか、また国際社会からの信認というものを確保せねばなりませんので、経済再生財政再建というのを両立を目指しておりますので、私ども、それは引き続きその姿勢は貫いていかねばならぬと思っております。  会計検査院、今御指摘のありましたように五百九十五件、二千八百三十一億と、多くの指摘を受けたことは、これは甚だ遺憾なことであります。例えば、一部の基金使用見込みのない資金が滞留しているとの御指摘に対して、予算編成におきましては、全ての公益法人に造成されている基金を網羅的に再点検して新たに三千億円を超える金額国庫に返納させるとともに、基金関連に真に必要な事業を絞り込むというために大幅に削減をしております、この基金に関しましては。  そういったようなことをさせていただいておりますので、私どもとしては、さらに、御指摘のありました会計検査院等々、いろいろこの国会での御指摘がありました問題に関しまして、予算会計事務など更にしっかりとやっていかねばならぬと思っております。
  297. 又市征治

    ○又市征治君 先ほどからずっと、今日、朝からあるいはこの間からの予算の論議の中でも、総理は有効求人倍率やあるいは賃金が上がったとかいろんないい成果の面を強調されていますが、私は、問題、一方で、少なくとも、このデフレからの脱却ができたか、あるいはそのデフレの原因は何か、そういう点をもっとやはりしっかりと見詰め直して、とりわけ、先ほども出ましたが、一九九七年をピークとして賃金がどんどん下がり続けてきている、非正規労働者がどんどん増えた、ここらのところが改善をされていかないと、安倍総理がおっしゃる経済の好循環というのはやっぱりなかなか成り立たないんではないかと。幾つかの成果だけを強調するのではなくて、やはりこうした実質賃金の低下は依然として続いているし、個人消費は低迷している、格差が拡大をしているというところを、もう少しこの経済の実態というものを見てもらいたい。  そういう中で、例えばもう二百三十兆円も現金、預金ため込んでいるような企業に法人税減税先行実施しますなどということは、私は、この経済実態を見た経済政策、税制とは言えないんではないか、こんなことも是非しっかりと受け止めてもらいたいということも申し上げておきたいと思うんです。  そこで、次に東日本大震災復興事業の問題ですが、関係予算執行率は六割強だということでありまして、復興庁は、発注規模の大型化であるとか生コンプラントの増設、あるいは労務単価の引上げなどによって復興事業は全体として着実に進んでいる、こういうふうにおっしゃっているわけだが、検査院からは被災地における集団移転促進事業の遅れなども指摘もされています。  集中復興期間が二〇一五年度で一応終わるということになっているわけですが、まだまだやらにゃならぬことは、これまでの中で復興大臣もおっしゃっているとおり、住宅問題を中心としてたくさんの課題があるということでありますけれども、あるいはまた中小企業等のグループ化補助金制度など被災地の企業支援策の長期継続であるとか、あるいはまた被災地の医療支援の問題だとか、様々な課題がある。  各首長さん方からも、知事さん方からも、この継続を求める声が出てきているということは当然のことなんですが、この二〇一六年度以降の復興問題について担当大臣としてはどういうふうにお考えになっているのか、明確にしていただきたいと思います。
  298. 竹下亘

    国務大臣(竹下亘君) 復興をやり遂げるまでが復興だという思いでやり続けてまいりますし、安倍総理も度々おっしゃっているように、東日本大震災からの復興安倍内閣の最重要課題の一つであると、立ち止まることはないというふうにおっしゃっておりますが、我々も全く同じ認識でございます。  その上で、一六年度以降どうしていくかという、今までいろんなことをやってまいりました。結果として、二十七年度予算が成立いたしますと二十六兆三千億円というお金を突っ込みまして、復興に、これまでやってきたわけでありますが、その結果、何ができて何ができていないか、あるいは復興を進めていく上で、先ほどおっしゃいましたように、医療の制度がどうなっているとかいろいろ新しい課題も出てきておりますので、そういったことに、新しい課題にどう対応していくかといったようなことをどこかの時点で一回立ち止まって見直す必要がある、しっかりとレビューをした上で一六年度以降について考えていかなければならないと。  私個人の考えでは、やっぱり五年ぐらいの固まりで、将来のこういう復興の例えば財源の仕組みについてもというような、地元の人に安心してもらうには一年一年ではなくて五年ぐらいの固まりで物事を考えていかなければならないのかなと、こう思っておりますが、まだこれは総理の許可も財務大臣の許可も得ておりませんので、これからの交渉でございます。
  299. 又市征治

    ○又市征治君 五年ぐらいのスパンでひとつ考えていかにゃいかぬのではないか、復興が終わるまで復興だと、こう力強いお話でございましたが、是非、そういう意味ではやはり将来性が見えるような格好は、そのぐらいのスパンは大変大事だと思うので、御努力方を是非していただきたいと、こう思います。  次に、防衛装備品の調達に関する検査院の報告についてお尋ねをいたします。  冒頭述べたように、今、安倍政権下で防衛予算が大変増大をしておって、どうも防衛予算が聖域化されているような気がしてなりません。来年度予算では前年度比九百六十四億円の増で四兆九千八百億円余ですけれども、今年度の補正に潜り込まされた二千百十億円加えますと五兆一千九百十一億円となって、概算要求さえも上回っている。ちょっとこれはひどいなと思うんですが、そういう意味で過去最大の規模に膨らんでいるわけですけれども、それは予算の問題としてともかくとして、この肥大化する防衛費が防衛産業の不当な食い物になるということなどということは絶対に許されてはならないということだと思うんですね。  本委員会では、三菱電機株式会社などによる過大請求事案が連続して発覚する中で、二〇一二年に検査院に検査要請を行って、検査院は、同年の十月並びにその翌年、一三年の九月にも報告を提出をしました。にもかかわらず、その後も過大請求事案が発覚したために更に検査院は昨年九月にもまた報告書を提出をしているわけですが、そこで検査院にこの検査結果のポイントと検査院としての所見を伺いますし、防衛省はこれに対してどのような措置をとったのか、併せてお聞きをいたします。
  300. 河戸光彦

    会計検査院長河戸光彦君) 平成二十四年一月以降、防衛関連企業による過大請求事案が相次いで発覚したところでございます。  これに対しまして防衛省は、二十五年に通達を発するなどして原価計算システムの適正性を確認するための制度調査の強化を図るなどの再発防止策を講じているところでございます。しかし、多くの防衛関連企業に対して制度調査を完了するまでにはなお長期間を要すると思料されましたことから、二十五年の通達に基づく制度調査がまだ実施されていないなどの防衛関連企業において検査を行いました。  その結果、原価計算等に関する規程類が十分整備されていなかったり、原価計算に係る工数の計上に当たり、工数が適正に計上されているか検証するための作業指示や作業実績に関する資料を保存していなかったり、不正な工数の付け替えを防止するための工数修正の証拠を記録及び保存していなかったりなどしておりまして、実績工数の客観性を検証することができないなどの事態が見受けられました。  そこで、防衛省において、こうしたことなどについて早急に調査を行い、必要に応じて防衛関連企業に対して改善を求めるなどの方策を検討するよう、会計検査院法第三十六条の規定に基づき意見を表示したものでございます。
  301. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 防衛省といたしましては、昨年九月の会計検査院の意見表示を踏まえまして、原価計算方式による調達価格を算定している契約企業に対して契約の前提となる社内規則類の整備状況確認を実施をしておりまして、不備があった場合には速やかに是正を求めることなどによりまして装備品の調達価格の透明性に努めております。  また、現状、対象となる企業、約百二十社がありますが、うち八十社については確認を終了しておりますが、残りの企業についても速やかに確認を終える予定であります。また、企業においての確認はこれまで制度調査時に実施しておりましたが、今後は原価監査の機会も活用して実施する予定です。  これまでの事案を踏まえまして、引き続き契約企業に対して、まず原価監査に関する規程や書類整備の義務付け、抜き打ちの制度調査の実施、コンプライアンスに関する要求事項確認等の措置を講じることによって防衛装備品の適正化に努めてまいりたいと考えております。
  302. 又市征治

    ○又市征治君 先ほどの検査院長の報告、短かったんですが、こういう報告の中ではこんなふうにも述べられていますね。防衛省において、これまでに相次いで発覚してきた過大請求事案を踏まえた資料の信頼性確保に関する事項について、防衛関連企業取組状況等の確認を早急に行うことの必要性についての認識が欠けている。防衛省が欠けていると言われているわけですね。こういう厳しい指摘されておるのに毎年同じことを我々はこの場で追及せないかぬ。ちょっとこの関係部署の責任者の処分問題を含めてやっぱり考えるべきですよ、こんなことばっかり繰り返しているくらいだったら。是非、そのことも含めて、中谷大臣、検討を要請をしておきたいと思います。  次に、昨年、本委員会は検査院に対して年金記録問題に関する年金機構等の取組に関する検査要請を行いました。  そこで、これも検査院に伺いますが、厚労省が設置した特別委員会の検討結果と検査院の検査項目、これは完全に一致しているわけじゃないんですけれども、今回の検査報告と特別委員会で取り上げられている事項での報告で異なっている点があるのか、あるとすればどのような点なのか、あるいはそれはまたなぜそういう相違が生まれているか、ここらのところを検査院から報告願います。
  303. 河戸光彦

    会計検査院長河戸光彦君) 会計検査院は、参議院からの要請を受けまして、年金記録問題に関する事業の実施状況、年金記録問題への取組による効果の発現状況、年金記録問題の再発防止に向けた体制整備状況につきまして検査を行い、その結果を平成二十六年十月に報告しているところでございます。  厚生労働省報告書は、年金記録問題の全般的整理が必要であるとしまして、厚生労働省及び日本年金機構における年金記録問題への取組、年金特別会計からの年金記録問題対策に要した経費等を二十五年九月末現在の計数で整理して、二十六年一月に取りまとめたものと承知しております。  一方、本院は、参議院からの要請を受けまして、年金記録問題に関する事項につきまして幅広く検査を実施しているところでございます。そして、検査の結果として、総務省第三者委員会における年金記録問題への取組、一般会計からの年金記録問題対策に要した経費、日本年金機構における内部統制システムの体制整備状況等についても記述しているところでございます。さらに、年金記録問題に対応するために制定された厚生年金特例法に基づく特例納付保険料の納付勧奨等が適切に行われていない事態や、国民年金の第三号被保険者で転出した者に係る種別変更の処理が適切に行われていない事態について是正改善の処置等を求めたことなどについても記述しているところでございます。  このような相違点が発生しましたのは、厚生労働省報告書が年金記録問題の内容や取組などを整理したものであるのに対しまして、本院の報告書は、年金記録問題に関する事業の実施状況等につきまして会計経理の面から合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点により会計実地検査を行い、不適切な事態指摘するなどした結果を取りまとめたものであることによるものと考えております。
  304. 又市征治

    ○又市征治君 それでは、この検査報告を受けて、厚労省というよりもこれは機構なんでしょうね、どういう努力をしたかということについて二点ほどお伺いをします。  一つは、この「年金記録等に係る年金相談等の実施状況」という項目の中で、十五年金事務所において、年金相談業務の中核部分を正規職員等で対応する体制が十分に確保されていないなどの状況になっていたというふうに指摘をされている。全体の年金事務所数からいえばさほど大きな割合ではないんですけれども、社会保険庁を廃止をして機構へ移行する過程で労働者を随分と削った、その挙げ句、正規職員では対応できない部署が生まれてきたというのはよく知られているんですが、これは大変問題です。そこで、まず、この指摘された事務所の実態をどういうふうに改善をされたのか、これが一つ。  二つ目に、「機構における契約方式、入札の状況等について」の項目では、契約全体の競争入札の割合は目標の八〇%以上に対し六三・七%となっている一方で、年金記録問題への取組のための契約の競争入札の割合は三三・八%となっている、こういうふうに指摘されているんですが、これは専門性の高い業務については競争入札はなじまないというふうに言われているのではないかというふうに私は推測をするんだが、これについては一体機構としてはどういう対処をしてきたのか、受け止めてきたのか。この二点伺います。
  305. 水島藤一郎

    参考人水島藤一郎君) お答えをいたします。  日本年金機構といたしましては、年金相談体制の更なる充実や制度改正による年金相談の複雑化に対応するために、年金事務所の相談窓口の四割に正規職員等を配置するよう平成二十三年十月から取り組んできているところでございます。その結果、正規職員等の割合が、平成二十三年十月の時点では一四・三%でございましたが、平成二十六年四月の時点では三六・三%となっております。  しかしながら、年金事務所ごとに見ますと、御指摘のとおり、四割の正規職員等を配置すべき年金事務所のうち、その確保ができていない事務所が十五事務所あるという御指摘をいただいております。これらにつきましては、平成二十六年十月の時点で、うち八事務所に関しましては改善を図っております。引き続き体制整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。さらに、相談に当たる職員の研修の充実等によりまして年金相談業務の質的向上に努めてまいります。  次に、御質問の二点目でございます。  今回の会計検査院報告では、競争入札の割合が約六割という指摘がなされております。しかしながら、契約の性質上やむを得ないものを除きますと、実質的に約八割の水準にあるものと認識をいたしております。日本年金機構の業務におきましては専門性の高いものがございますが、このようなものについて正確性と品質の確保が重要と考えておりまして、総合評価落札方式を含めて調達を実施しているところでございます。  今後とも、契約の競争性及び透明性の確保に努めつつ、専門性の高い業務など正確性と品質の確保が重要な業務についてはサービスレベルや品質管理にも十分配慮してまいりたいと考えております。
  306. 又市征治

    ○又市征治君 時間が参りましたから一言だけ申し上げておきますが、安く雇ってそれで仕事を回すなんていう格好でやっていて、年金機構が本当の意味国民にサービスができていくということは考えられませんよ。その点はもう一遍、改めて省庁別審査の中で追及をいたしますが、是非検討いただきたいと、こう申し上げて終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  307. 小坂憲次

    委員長小坂憲次君) 他に御発言もないようですから、本日の審査はこの程度といたします。  次回は来る九日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会