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2015-06-04 第189回国会 参議院 経済産業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      高野光二郎君     長峯  誠君  六月四日     辞任         補欠選任      長峯  誠君     石田 昌宏君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉川 沙織君     理 事                 磯崎 仁彦君                 滝波 宏文君                 宮本 周司君                 加藤 敏幸君                 倉林 明子君     委 員                 阿達 雅志君                 石田 昌宏君                 岩井 茂樹君                 長峯  誠君                 松村 祥史君                 渡邉 美樹君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 安井美沙子君                佐々木さやか君                 浜田 昌良君                 東   徹君                 松田 公太君                 中野 正志君                 荒井 広幸君    国務大臣        経済産業大臣   宮沢 洋一君    副大臣        経済産業大臣  山際大志郎君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       高階恵美子君        経済産業大臣政        務官       岩井 茂樹君    事務局側        常任委員会専門        員        奥井 俊二君    政府参考人        内閣法制局第四        部長       高橋 康文君        消費者庁審議官  河津  司君        厚生労働省政策        統括官      石井 淳子君        経済産業大臣官        房商務流通保安        審議官      寺澤 達也君        経済産業大臣官        房審議官     松永  明君        経済産業省商務        情報政策局長   富田 健介君        資源エネルギー        庁長官      上田 隆之君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       木村 陽一君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      多田 明弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、高野光二郎君が委員辞任され、その補欠として長峯誠君が選任されました。     ─────────────
  3. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気事業法等の一部を改正する等の法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、資源エネルギー庁長官上田隆之君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 阿達雅志

    阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。本日はよろしくお願いをいたします。  今回の電気事業システムガス事業システム改革、これは本当に大きな大改革だと思うんです。電気事業については、一九五〇年以来のシステム、これを変えていくということですし、ガスについても、ほぼ同時期のガスシステム、これを変えていくという非常に大きな大改革でありますし、また、この改革自体、九五年の改革開始以来、二十年間掛かってきた改革、この最終章ということで、是非ともこの大改革、成功させていただきたいと思う次第です。  ですが、その一方で、やはりこのエネルギーというのは国にとって本当に国家の礎と言ってもいい、非常に大事なものだと思うんですね。それは、国民生活あるいは経済活動の本当に血液の部分でありますから、やはりこのエネルギーの問題というのは本当に慎重に進めないといけない。また、実際問題として、電力会社それからガス会社というのが地域独占裏返しとして地域経済において担っている役割、これがまた非常に大きいというのも事実だと思うんです。ですから、それだけ経済全体、国民生活全体に影響があるということで、この改革についてもやはり失敗は許されないんじゃないか。  じゃ、その成功、失敗、何で判断されるかというと、前回委員会でも大臣が御説明をされたような安全を前提とした3E、これがちゃんと進んでいく、バランスよく進んでいくということだと思うんですけど、最終的に、例えば二〇三〇年でこのSプラス3Eが達成される、やはりこれだけでは駄目だと思うんですね。これだけ大きな影響のある話なんで、その過程においてもやはりこのSプラス3Eが常に維持されて、そして最終的に電力コストも下がっていく、こういう状態が必要なのではないかと思うわけです。  そういう中で、もう改正の意義、狙いについては既に何人かの委員先生方質問をされまして、それに対して丁寧に答弁をいただいておりますのでそこは省きますけれども、これからの日本エネルギー産業というのを考えたときに、一つは、川上から川下まで今いろんな会社がある、それからまた世界で見た場合に、地域から国全体、それからさらに世界というふうに地域的広がりもこれからどんどん持っていく、それが総合エネルギー産業ということの意味だと思うんですが。そういう中で、このメーンプレーヤー、これからのそういう大きなエネルギー産業の中でメーンプレーヤーというのはどういうプレーヤーを想定をされているんだろうか。  それからまた、日本企業川上から川下までが統合される、あるいは地域を越えて大きくなっていった、そういう場合に、今度は海外進出、これをどういうふうに考えていくんだ。あるいは逆に、やはり世界で闘っていくということを考えると、外資系企業日本にやってくることもあるんじゃないか。外資系エネルギー総合企業日本へ来る、これをどういうふうに考えるんだろうか。あるいは、そういう外資系企業と組む日本企業をどう考えるんだろうか。  こういう、エネルギー業界が将来この改革の先にどういう絵になるのか、その辺についてちょっと所感をお聞かせいただければと思います。
  7. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 阿達委員にお答えをいたします。  システム改革後のエネルギー産業、その見通しということと外資系日本企業連携というようなお話かと思います。  電力システム改革ガスシステム改革を一体的に進めることで、まずは家庭に届けられる全てのエネルギー消費者が選べることになります。多様なエネルギーをより低廉でかつ質の高いサービスを提供する総合エネルギー市場総合エネルギー企業の発展を促すことができるとまずは考えております。市場の垣根を撤廃をすることで、外資系企業も含め、我が国エネルギー市場に対してより参入しやすい環境が整備されるものだと考えております。  我が国企業外資系企業との連携ということでありますけれども、国内企業が、自由化で先行する諸外国での経験を有する外資系企業などと連携をすることでまずは新たなサービスの提供や安価な燃料調達などが可能となるのであれば、これは歓迎すべきことだと考えております。改革を進める中で、内外企業連携も含め、活発な競争が行われることを期待をしております。  ただ、一方で国民生活の根幹を成す電気事業ガス事業でありますので、外資系企業電気事業ガス事業への参入について、従来から外為法に基づきまして、公の秩序の維持を妨げるおそれがないか、すなわち電気ガス安定供給確保等に支障を生ずるおそれがないかといった観点から審査を行うこととなっております。例えば、上場会社発行済株式の一〇%以上を取得する場合や非上場会社株式を取得する場合に国に届けることを義務付けて、その届出の内容を国が個別に審査をすることとなっております。  国際ルールに適合する規制の中で、外資系企業参入国内企業連携についてはしっかりと考えてまいりたいと思っております。
  8. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  その外資系企業を含めて日本エネルギー産業を考えていく、ただ、行儀の悪い一部のファンドのような、そういう人たちについては注意深く見ていくという、そういう御答弁だったと思うんですけど。  今回、総合エネルギー企業を育てていくという中で、実は、総合エネルギーといいながら、今の電力あるいはガス業界からいくと、ネットワーク部分、これは実は外れているわけですね。このネットワーク部分というのについては公共財ということで考えているようなちょっとアプローチのように思うんですけれども、このネットワークオペレーターというのが、そうすると、民間企業でどんどんどんどん競争をしていくということではないとすると、将来的にはこういう統合だとかそういうこともあるんだろうかと。これが一点目でございます。  それからもう一つは、先日、佐々木委員日本電力会社海外へ出ていくというお話をされた中で、大臣の御答弁で、日本電力会社は非常に競争力がある、いい発電技術等日本のメーカーとともに持っているんだというお話でしたが、私は、こういう電力ガスというのは、もう一つシステムとしての優秀さ、これを日本は持っていると思うんですね。そうすると、このオペレーター部分というのもやっぱり海外へ出ていくべきなんじゃないかと。  それを考えたときに、実はこれ、総括原価方式ネットワークオペレーター規制を受けている。総括原価方式、それから地域独占が許されている中でこういうネットワークオペレーター海外へ出ていくというのは、多分そのままの形では難しいんじゃないか。そうすると、やはりこれを生かすために持ち株会社をうまく使うとか、そういう方法も必要になってくるんではないかと思うんですが、このネットワークオペレーターのこれからの在り方について御所見をいただければと思います。
  9. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) もう御指摘のとおり、今回、法的分離を行うということにしているわけでございまして、一般送配電事業者、それから導管事業者部分につきましては御存じのとおり許可制と、これは地域独占を認め、総括原価のままだというふうな仕組みを考えております。その中で、特にこのネットワーク公共インフラとしてオープンに利用できるということが非常に重要だと考えております。  それで、このネットワーク事業者統合あるいは集約化といったことでございますけれども、もちろんこれは経営判断として私どもはそういうこともあり得ようかと思っておりまして、その場合にはもちろんその合併の認可等々の手続は必要でございますが、ネットワーク事業者がどうするかということは経営判断によるものであろうかと思っております。  法律の中ではこういった集約化あるいは統合という措置を講じているわけではございません。むしろ、法律の中では、仮にネットワーク事業者のそういったこと、集約化やあるいは統合ということが行われないとしても、広域的運営推進機関枠組みあるいは広域的なガス導管網の整備の枠組みというものを用意させていただきまして、そこで基礎的なインフラ維持、構築されていくと、こんなふうに考えているところでございます。  それから、ネットワーク事業者海外展開お話がございました。これも、人材、技術等々、ネットワーク事業者は相当持っているわけでございまして、海外市場の開拓を行うということも十分考え得ると思っておりますし、その際、法的分離仕組みを上手に生かしていくというのも委員指摘のとおりかと思います。  法令上は、しかしながら、海外事業を行う場合にはこの総括原価というものは、電気事業法ガス事業法規制は当然国内法でございますので、総括原価を定めました料金規制、この対象外になるわけでございます。法令上は、その場合には会計につきましてネットワーク事業会計の枠外で整理するということを求めておりまして、総括原価とは違う仕組みの下で事業を行っていただくと、こういうふうに考えているところでございます。
  10. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  電力会社ガス会社というのは、従来、話をすると、通常の民間企業と違う、公益企業だという言い方をよくされてきたわけですね。それは、やはり供給義務公共料金という非常に公益性がある、その裏返しとして地域独占総括原価というのを認められていた、こういう経緯の中で電力会社さん、ガス会社さんというのも我々は公益企業だと、もう単純な民間企業じゃないということで来られたと思うんですけれども。  今回、こういうシステム改革の中でやはりこの部分が明らかに分かれていくわけですね。自由化し、法的分離という中でやはりこの公益性という部分がある意味薄まっていく。そうなってくると、最終的にいろんな経営判断の中でどういうふうに動いていくかという、もちろん、電力会社ガス会社さんがどういうふうに自分たちビジネスを考えていくかということはあると思うんですけれども、やはり私が危惧しますのは、そういう中でこの公益性部分というのが自由競争の中で落ちてしまうとまずいんではないかと。  それについては、やはり政府として、あるいは資源エネルギー庁としてもしっかり状況を見ながら、そして補っていく、こういうことが必要なのではないかと思うわけです。これがやはり、今回、附則にある検証規定一つ意味だと思いますし、国として、本当にその状況を見ながら、こういう公益性というところでもし何か問題があるようだったらやはりしっかり支えていくんだと、その部分について是非経産省さんの御確認をお願いをしたいと思います。
  11. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今、電力ガス部と言っておりますけれども、かつては公益事業部と言っておりまして、まさに電力ガスにつきましては国民生活、また国民経済の礎でございまして、公益的性格がもちろんあるわけでございます。  そういった点で、今回は、ダイナミックなエネルギー市場を創設するとともに、やはり公益的側面についてはしっかり担保しなければいけないということでありまして、法的分離後につきましても、送配電事業者とかガス導管事業者などのネットワーク事業者につきまして、安定供給中心的役割を担っていただくということがありまして、総括原価方式により投資を回収すると、こういうことを保障をしております。また、小売業者に対してはいわゆる空売り規制というものを課すこととしておりまして、これらの措置を通じまして安定供給確保に万全を期していかなければいけないと思っております。  一方、料金につきましても、競争が十分であると確認されるまで国の認可等規制を残すということにしておりまして、規制料金よりも高い料金新規参入がしてくるということは考えにくいわけでございますので、自由化が原因で料金がどんどん上がるというようなことはないと認識しております。  さらに、電力ガス取引監視等委員会というものを設置をいたしまして、この委員会市場競争状況などを適切に監視していくということにしておりまして、独占状態とか寡占状態に陥るということに伴う不当な料金値上げが起きないようにしてまいります。  政府が果たしていく役割はまだまだあるわけでございまして、しっかりと公益的な側面監視をしていきたいと思っております。
  12. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  公益性部分をしっかり見ていっていただくということは、本当にこの改革を進めていく上でも重要でございますので、よろしくお願いをいたします。  法的分離に関してちょっと質問させていただきたいと思います。  今回、法的分離行為規制、これ実はその方向性として非常に微妙なバランスで成り立っていると思うんですね。法的分離をし、行為規制をやるということは、それぞれが独立して動いていけということなわけですが、その一方で、やはりグループ一体性ということが繰り返し言われているわけです。このグループ一体性ということと行為規制というのは、明らかにこれ方向性は逆だと思うんですが、そういう中で、法律あるいは政省令で書いていくと、確かにこう書かざるを得ないのかなという気もするんですが。  例えば実際問題として、これは兼業規制前回委員会でも質問がありました兼業規制なんか取ってみても、幾らこれ兼業規制やったところで、持ち株会社が最終的にその子会社の役員の人事権を持っている、大株主として人事権持っていればそこは何とでもなってしまうわけですね。それから、あるいは金融ということで、金融について条件を公平にしなさいと言っていても、実はこのネットワークオペレーターのところが得た収益、これを持ち株会社が配当で吸い上げて、それを発電事業に回せば実はお金というのは回ってしまうわけです。  だから、実はそういうところで、この行為規制、今やはりこうやって書くということに非常にこれ限界があると思うんです。やはり、こういう行為規制をなぜするかということになると、ネットワークオペレーターがいかに公平にそういう託送料金というものを設定してマーケットに提供していくか、これが最大の目的なわけですから。実際にはこの規定、ざると言ってはなんですが、悪用しようと思って抜け道を探せば抜け道がないことはない話にどうしてもなってしまいますし、そこを余りきつくするというのは、これ会社法だとか株主との関係でもやり切れない問題だと思いますので、むしろそこについては実態を見て、そういう託送料金が本当に公平になっているのかどうか、そこを見ていくということで是非御対応をいただきたいなと思います。これはむしろお願いということで、もう質問せずに先に進ませていただきます。  やはり、こういう非常に大改革をやっていく中で、私が一つ気になりますのは、新規発電所だとか基地を造るとき、この新規に造る場合に、本当にそれぞれが投資をするためのインセンティブ、これをちゃんと持てているんだろうか。よく海外でこういう電力発電所とかのプロジェクトをやるときにバンカブルという、銀行がその投資をするに値するかどうか、こういう評価の仕方をするんですね。  そういう中で、やはりこういう電力事業というのが、非常に需要そのものが変わっていく。これは、途上国なんかだと成長というのが見えていますから、電力というのはつくれば将来的には必ず売れるという見込みがある。ところが、やはり日本のように成熟をしてくると、必ずしも本当に売れるかどうか、またその売るときに値段がどうなるかというのが非常に大きなリスクで残ってくるわけです。  こういう中で、やはりしっかりと将来に向けて投資を進めていく、そのためには、国としてもしっかりと長期的に巨額の投資、これが動くような仕組み、これを考えていただきたいなと思うんですが、この点について経産省のお考えをお聞かせください。
  13. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 今回、電力システム改革を三段階に分けながら、ある種大きなビジョンを示しながらこういう改革を進めてきているわけでございますけれども、こういった競争的な市場を目指す方針というものが世の中に伝わったことを受けまして、現行制度下におきましても、新聞等々によく出ておりますけれども、いろんな事業者がむしろこの分野がビジネスチャンスであるということを考えて発電所建設やあるいはLNGの基地建設ということに、それに着手をしたり、あるいはその計画を持っているところであります。  自由化された市場の下でも、様々な事業者需給状況あるいは価格といったことを勘案しながら、経営判断として発電所あるいは基地を含めた投資を進めるということは基本でございまして、市場そのものをダイナミックなものにしていくということでむしろ国内外からの投資が増えていくということを期待したいと思います。  政府といたしましては、御案内のとおり、中長期的なエネルギー需給見通し、これは広域的運営推進機関におきましてそれぞれの事業者から情報を集めまして、内外の中長期的なエネルギーの、あるいは電力需給見通しというものを提示することによりまして、こういった民間事業者にそういった投資見通しを与えさせていただけるといったことにしているわけでございます。  また、最終的には、これはちょっと民間の動きではございませんけれども、もし発電所建設が進まない場合には、御案内のとおり、一般送配電事業者が言わばラストリゾートみたいな形で発電所建設を公募により行うという仕組みも用意をさせていただいているわけでございまして、基本的には、しかし、民間事業者に一定の需給見通しをお示しさせていただくことにより、この市場のダイナミズムの中で投資が進むということを期待をさせていただいているところでございます。
  14. 阿達雅志

    阿達雅志君 ありがとうございます。  今のお話で、新規発電所建設、そういう新規については、いろんな基本計画だとかで示された中身によってビジネスサイドも動いていく、これよく分かるんですが、その一方で、既存事業者を考えた場合に、今回のこの改革によって既存事業者経営状況、これが悪化することは本当にないのかなと、これが気になるところでございます。  前回松田委員からも質問がありました例えば電力債の問題なんですが、実は私、これ電力債というのは切り札にならないのではないかと逆に思っておりまして、それは、実は東京電力の処理のときにおいて、一般担保付き電力債が出ているにもかかわらず、その後で大手の都市銀行さんが担保付き融資を出したと、こういう事例があるわけですね。そうすると、実は、一般担保付き社債を出していても、その後で有担保融資が出るんだったら一般担保って意味がなくなっていると。そういう意味で、実は、マーケット的に見ると、この一般担保付社債というのが本当に切り札になるかというと、そうならず、むしろその会社自体のクレジットの方が大事になってしまっている。  こういう中で、イコールフッティング、実は私は逆側イコールフッティングも考えておかないといけないんじゃないかと。それは、特に今電力会社さんの経営状態が非常に悪化している。それは、既存の設備を全部動かせていないということで、ある意味非常に資産として有効活用できていない部分があるわけですね。そういう中で、効率性の悪い資産を有している電力会社、これが新規参入してくる電力会社と比べたときに、本当にイコールフッティングになるんだろうかと、むしろ逆のことが起こりかねないんじゃないか。  そうすると、この逆のこと、経営状態が悪くなると何が困るかというと、経営状態が悪くなったら電力料金を上げるわけですね。しかも、供給力が圧倒的に電力会社は持っていますから、そうすると、幾ら安い電力が一方で入ってきても、大半の部分電力、これの値段が上がってしまうと大変なことになるんじゃないか。そうすると、やはりこの電力会社経営状態というのは非常に気を付けて見ていかないと、これからの改革において変な落とし穴になるのではないかと思うんですが、御所見をお聞かせいただけますでしょうか。
  15. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  大きく二つ申し上げたいと思います。一点は、法的分離既存電力会社経営状況との関係、これについて一点。それから、一般担保付き社債の話で、イコールフッティングをどう考えるかと。この二点、お話をしたいと思いますが。  まず、法的分離経営状況との関係について申し上げますと、御案内のとおり、諸外国では法的分離と小売全面自由化を同時にやることが非常にこれまでは多かったわけであります。我が国におきましては、法的分離の実施によります混乱、そういった問題が生じないように、小売全面自由化と同時に実施するということはせずに、十分な準備期間を置きながら慎重に進めると、こういう段階論を取ったわけでございます。御案内のとおり、電力については、法的分離を二〇二〇年、そして小売全面自由化は二〇一六年と、こういった間を置いているわけでございます。  この期間の間に安定供給のためのルールでありますとかシステム、これをしっかり整備することはもちろんでございますけれども、各事業者におかれましても相当な準備といったようなことを進められるものと思っております。もちろん、自由化が進むわけでございますので、競争にさらされるということは当然でございますが、したがってその意味では、論理的には収支、これまでの利潤といったものが圧縮される、こういったようなこともあろうかと思いますが、他方で、やはり既存電力事業者、一定の競争力を有すると、こういった評価もあろうかと思います。  法的分離の実施に向けまして、この準備期間というものをうまく活用しながら、様々な経営戦略が練られるのではないかと、こういうことを強く期待をしているところでございます。  料金の点もちょっとお話ありましたが、これにつきましては、御案内のとおり、きちんともし競争が進んでいない場合には、規制の経過措置を残すことといたしておりますし、先ほど大臣の方からもお話ありましたように、監視委員会の機能というのも十分働くのかなというふうに思っております。  もう一点、イコールフッティングの点でございます。  私ども、先生が今引用されました東京電力の件というのは個別には承知をいたしておりません。ただ、一般論として申し上げますと、一般担保付社債は他の債権に優先して弁済を受ける権利ではございますけれども、抵当権者よりは劣後をすると、こういうのが法律規定でございます。  しかし、実際にもし担保を設定するということになりますと、当然社債権者の権利を大きく毀損するということになりますので、個別の社債権者はもちろん何かおっしゃるかもしれませんが、社債管理権者といった方々が何かをおっしゃるということもあろうかと思いますので、通常はその担保付き融資が実行されることはなかなか想定しにくいのではないかと思っております。  もう一つ申し上げますと、御案内のとおり、これも社債市場が無担保社債の方に移行してきております。その中で、この一般担保付社債というものについてどうなのかという議論はあるんですけれども、これも実は、他の通常の民間会社とは異なりましてこれは法律上定められておりますので、例えば登記などの手続でありますとか、その登記に伴う税負担、こういったものは電力会社には課せられないと、こういったことがございます。その意味で、もしイコールフッティングでという観点からしますと、新規参入者から見るとこの部分イコールフッティングでないと、こういった評価はあることは事実でございます。  これらを勘案しまして、私ども、一般担保の特例につきましては最終的には廃止をすると、これによってイコールフッティングを図るというふうに考えておりますけれども、他方で、先生御指摘にもありましたけれども、震災後、非常に今厳しい状況にあるわけです。原発が稼働が停止している、そして燃料コストの負担が増えている、こうしたことで収支そのものも厳しいですし、資金調達環境が悪化していると言わざるを得ない状況かと思います。  したがって、そうした状況を踏まえまして、最終的には廃止するという判断の下で、市場関係者にとっての一定の安心感という点にも着目をいたしまして、第三弾の改正法の施行から五年間は経過措置を設けさせていただく、こういったことで我々としては対応させていただくということで考えているということを御紹介させていただきます。
  16. 阿達雅志

    阿達雅志君 今の電力債については、この電力債の約款の作り方の問題でありまして、通常の社債に比べて実はこの電力債というのが全然そういう細かい条件が付いていない、非常に日本式の特殊なものであるために起きていることなので、これ、将来的に廃止されるということですので、それで結構だと思います。  ただ、民間企業の立場をもし考えると、確かに先ほど少しお話がありましたこの原子力の問題というのは非常に大きな問題ではないかと思っております。企業の予測可能性ということで、やはり今の原子力の置かれている状態、再稼働できない状態、これ、非常に経営にとって大きな負担になってくるわけでございます。  また、それとともに、日本の場合、今まだ原賠法の規定で、制限なし、無制限の責任を事業者が一義的に負うと。こういう話は、これ、民間企業、上場企業の経営者としては非常に嫌な話なわけですね。今まではやはり公益性、国策民営という原子力であるがためにやってきたわけですから、この国策民営という構図が今回の法的分離を含めて自由化の中でもし崩れていくのであれば、やはりこの原子力に対してのいろんな環境整備というのは是非真剣に、しかもなるべく早く進めていただかないといけないのではないかなというふうに思います。  時間もありませんので、今の点はお願いということで、ちょっとガス事業の方に移らせていただきます。  ガス事業については、導管の延伸についてはもう既に何人もの委員の方々から質問も出ておりますので、この導管の延伸を考えたときに、私はちょっと二つ問題意識として持っておりまして、一つは、天然ガスの利用が進まないと導管の延伸というのをちゃんと計画を立ててやっていくというのは難しいんではないかというふうに思うわけです。  実は、延伸をやる、需要を高めるというのは、今まで事業者さんが自分たちの経営の中でいろんなイノベーションをやって天然ガスの利用を促進する、こういう取組をやってきたわけですね。だけど、実はこれ、純粋に民間企業として考えると、私ちょっと疑問に思うのは、電力さんにしてもガスさんにしても、自分たち電力ガスを売っているのに省エネ器具をどんどん作る、これ、自分たちの製品売れなくするような話なわけですね。じゃ、なぜこういうことができてきていたかというと、これ電力業界とガス業界競争する中でパイを取り合っていたから、こういう自分たちシステムを使えばより電気料金ガス料金が安く済みますよと、こういうことでイノベーションを進めてきた部分があると思うんですが、今回もし、ある総合エネルギー企業電力ガスも両方やるとしたら、本当にこういうイノベーションについてのモチベーションというのが利くんだろうか。  そういう意味で、やはりこの天然ガスをもししっかり需要を拡大していくということであれば、こういうイノベーションについての仕組みまで含めて、是非経済産業省さんとしてしっかり位置付けていただきたいなというふうに思うんですが、御所見をお聞かせいただけますでしょうか。
  17. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 天然ガスの需要拡大策をしっかり取っていくべきではないかという御指摘かと思います。  実は、この一月、私どもは、エネルギーミックスの策定作業というのを進めさせていただいておりますけれども、六月一日の日に総合資源エネルギー調査会におきまして報告書の案というものを取りまとめさせていただきまして、現在、パブリックコメントにお諮りをさせていただいているところでございます。その中におきましても、産業分野等におきまして天然ガスシフトということを進めていくんだということを明記をさせていただいております。また、具体的には、エネファームを含みますいわゆるコージェネレーションにつきまして、二〇三〇年時点で現在の約二倍以上となる千百九十億キロワットアワーという程度の導入を見込ませていただいております。  御案内のとおり、自由化の中でも私どもはこのエネルギーのイノベーションというのは非常に重要なことであると思いまして、こういった部分については引き続き支援措置あるいは技術開発を進めていきたいと思っております。御案内のとおり、エネファームにつきましては補助制度というのもございますし、それから、いわゆる燃料電池あるいは蓄電池、様々な技術開発につきましては目標を設定しながらかなり多くのお金を投入させていただいているということでございまして、機器の開発それから普及というものを後押しをしていきたいと思います。  また、今回の法案によりましていわゆる自由化されるわけでありますけれども、例えば既存事業者であれ新規参入者であれ、設備の導入といったものを小売料金の中に含めて長期間で回収すると、そういうような形で利用者の初期負担を軽減する、そういった料金設定の仕組みということも考えられるわけでございまして、私ども、イノベーションというのを徹底的に進めるとともに、今の自由化された市場の中での事業者の様々な創意工夫といったものに期待をさせていただきたいと考えております。
  18. 阿達雅志

    阿達雅志君 ほぼ時間が来ましたのでこれでちょっと最後にさせていただきたいんですが、この総合エネルギー産業というのを考えたときに、もう一つ非常に大事な部分というのはこの川上だと思うんですね。特にこの天然ガスの上流においては今世界的に大再編が行われていると。そういう中で、これ、やはり民間企業が取るとしては余りにもリスクが大きい。最近も幾つかの商社が大きな損失を出したり、やはりこの上流分野というのは、なかなかコストだけで考えていくとリスクを取り切れない、こういう部分があると思うんです。  そういう点については、やはり国として、このエネルギー、国の礎であるということから、民間企業ができない部分については是非国がサポートする、あるいは民間企業がそうやって失敗したときに、是非国が何らかの形でその権益をしっかり押さえられるようにしていっていただきたいな。やはりそこまで含めてこの改革全体がうまくいくんではないかと思いますので、その点についてはお願いをして、これで質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  19. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 おはようございます。民主党・新緑風会の加藤でございます。  この電気事業法等の改正等と、等が二つ付く束ね法案ということで議論をしてまいりましたし、いろいろと私は、各委員先生方お話を聞きながら、問題点も明らかになり、私は非常に、これから、今日また含めまして参議院らしいいい議論ができればと、こんなふうに思っております。  今日、私の方はガスシステム改革を中心に御質問を幾つかしたいというふうに思います。  まず、今回、ガスシステム改革、これの一番大きい点は、東京、大阪、東邦、大手三社につきまして、二〇二二年四月には導管部門の法的分離を行うという、考えてみればドラスチックというのか、うん、すげえなということも含めてこれはもう改革が行われようとしているということであります。  この構想については、平成二十五年十一月から始まりましたガスシステム改革委員会における検討の初期段階から、当該の業界、労使に率直に言って反対だという声が上がりまして、特に保安面、災害時の対応あるいは供給に係る各種の課題ということから、製造部門、導管部門、小売部門の分離はなじまないのではないかと、こういうふうな意見が多く出されたと聞いておりますし、私どももそういう声をヒアリングをしております。  これらの意見を押してまで、言い換えれば、この手の話としては非常にこなれの悪い状況の中でこの改革を断行されようとしている、推し進められているということにつきまして、改めまして、私は、一歩踏み込んだ政策理念、改革メリットということをここで簡潔にまず御説明をいただきたいと、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
  20. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 電力改革につきましては、三段階ということで、今回三段目を御審議いただいているわけでありますけれども、元々、民主党政権時代に検討されていた流れを、私どももこれは大事なことだということで受け継がせていただいたわけであります。  ガスにつきましては、今回、三段階分をお願いをしているわけでありますけれども、まず、基本的には、小売の自由化ということと法的分離というものはやはり車の両輪だと思っておりまして、小売の自由化をする場合には、やはり導管部門というものが分離していないとなかなか公正中立にはいかないということは事実だろうというふうに思っております。  そして、審議会におきましても正直申し上げましていろんな意見がございました。そういう中で、その対象は導管の総延長が特に長い事業者である大手三社に限るということにした。その上で、法制化に当たって、大手三社においても法的分離にしっかり対応できるように、実施までに七年間の十分な期間を設けるということ、またさらに、LNGの調達や保安確保に支障が生じないよう政府が必要な施策を推進するということも明記をいたしまして、ガスの三つの事業者にも御理解をいただいたということでございます。  短期間の審議で電気に比べて済んだというのは、電気のときにいろんな問題点について議論が行われまして、それと同様の問題がガスにも随分あったということがやっぱり一番大きかったんだろうというふうに思っております。また一方で、ガス会社からしましても、これからのビジネスチャンスといった意味では大きな改革でございますし、それこそ電気改革に当たって、まさに法的分離に当たって一番積極的だったのがガス事業者であるというようなことも踏まえまして、最終的には皆さんから御納得をいただいた、こういうことでございます。
  21. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 ある種実務的なプロセスの御説明については今の御説明で、言わば最終的に御判断をされたということでございました。ただ、今までのいろいろな議論の中で、一言で言うと、やっぱり市場原理に軸足を移していくんだということがメーンテーマだと思うし、追求する考え方の大事なところだというふうに思うんです。  しかし、先ほども議論がありましたように、一方で公益性という部分があるということもこれは事実であって、昔から電気ガス、水道と、これは生活のインフラですから、このことを言わば、これを市場原理に移していくというのは相当高度に成熟した社会でないとということが私は条件だと思うので、そこのところはある種一方的な判断だけでは私は収まらないということを含めて、ただ、それはそれで、国民の皆様方自身もやっぱり、どうなるの、どんなメリットがあるのと。それで、一々メリットがなきゃやらないんだということも、これはもうポピュリズム的な側面もあって、やっぱり理念は理念として、向かうべき方向は方向として、私は政治はそこは捉えるべきだと。しかし、国民の生活から見て違う方向を向いた改革だということであっては、これはやっぱり理解は得られないということだというふうに思うんです。  それで、私は、更に議論は少し機会があれば続けていきたいというふうに思いますし、大臣におかれましても、やっぱり決断されたときの大臣としてこれは背負っていかれるということでありますので、私は今の、先ほどの御説明は今日は、今日は是として、そしてさらに、私はやっぱり、ある種政治家としてのもう少しかみ砕いた御説明もまた求めていきたいというふうには思います。  そこで、二番目の質問でございますけれども、これは電力ガス両方に共通しますけれども、この改革、これは需要家である国民あるいは経営者、今まで国際的に割高な電力料金ガス料金が引き下げられるということをやっぱり期待をすると思うんですよ。かつて六重苦、これは円安に振れてよかったなと。ここは大いに良くなったんですけれども、エネルギーコストが高いとかいうことを過去さんざん言われてきたわけですし、私も申し上げてきました。ここは、先ほどの私はメリットは何だといったときに、結局安くなるのならないのということは、言い換えれば、やっぱり料金の抑制に努めると、を図るという、そういう目的が本当に実現するんだろうかということに今度は逆に議論がそこにスポットが当たってくると。  我が国エネルギー価格の高さというのはさんざん私も問題指摘をしてきましたけれども、しかしそうはいっても、原油、天然ガスという原材料、これ全部海外に依存するということで、それは言ってみると、コストの相当部分は外で決まってくると。これは、川上の方から源流をきちっと押さえるということで、資源権益を押さえていくとかいろんな方策の中で努力をするわけですけれども、言ってみると、非常になかなか、海外に依存するということで、国内で安くするということにはやや難しい部分もあるんだと。それじゃ、今回システム改革をして、システム改革のいわゆる効果としてやっぱり抑制的にできるんだよという一つのこの説得を言わばしてきたと思うんです。  そこで、言ってみると、二〇〇〇年、特定規模電気事業市場参入において、あるいは一九九五年から大口需要への自由化が始まったりして、料金については引下げの方向に向かっていわゆる環境整備が行われてきたということでございました。また、料金自由化あるいは参入自由化するということで、いろんな形で各エネルギー産業への参入を促す案ということになっておりますけれども、このことが結果としてエネルギー価格の抑制ということにどうつながっていくのかということと、僕はもう一つは、抑制したといったって、何を基準に抑制できたというんですかと。  いやいや、とにかく抑制したんだよと言ってしまえば終わりなのかということになると、やってしまったら勝ちという、分かりやすく言えば、そういう問題なのということも含めて、私は行政監視的な視点からいっても、評価をしていく中でやっぱり抑制的な、そのことにこれは寄与したということを私はどう説明をされるのかということで、価格抑制のプロセスあるいは指標も含めてどのように考えておられるのかということを御説明いただきたいと思います。
  22. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 委員も価格の抑制、料金の抑制とおっしゃっていただきましたけれども、なかなか引下げと言えないのは、やはり資源価格の動向とか、また再生可能エネルギーの賦課金の設定などによって動く場合がございますので抑制という表現を使わせていただいておりますけれども、今回の改革、まさに安定供給維持しながら料金を抑制していく、そして国民にその利益を還元すると、これが一番の目的でございます。  そして、じゃどうやって評価するかという話、これは正直言ってなかなか難しい問題を含んでおりますけれども、おっしゃいましたような、これまで大口の規制料金を撤廃してきたわけでありますけれども、規制を外したところの料金でいいますと、利益率というのは一般的にやはり自由化した部分の方が利益率が低いという状況がこれまで出てきておりますので、やはり一番大事なことは、市場における競争状況というものをしっかり我々がつくり出していくということが一番大事なことだろうと思っておりまして、今後やはり、まさに利益率等々といったものをしっかり把握しながら市場監視をしていきたいと、こういうふうに思っております。
  23. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 今、大臣の方から利益率ということ、やっぱりそこに集中するわけですよね、議論が。だから、原価構成を、私はメーカーの立場でいうと、これはもう原価構成をきちっと分析できない企業はやっぱり生き残れないわけでありますから、そうすると、やっぱりきちっと原価を分析をしていくと結構手を付ける部分というのは薄いですよねと。さらにそれを、言われているように自由化すれば、やっぱり薄くなっていくよと。  だから、言うと、もうける部分が縮小されていくというのは、ある種自由化消費者からいったら効果ですよと、それは自分たちに還流する原資になりますねという構造の中で、じゃ新規参入が、それはばかばかもうかるような業種なら、さあ、借金してでも行こうと、こうなりますけれども、結構薄いよと、こうなったときに、何か新規参入のインセンティブがなくなってしまうと。しかし、新規参入がないと、先ほど言ったような競争状況が保持できないので、それは今度逆に下がらないという何とも言えない議論があるわけですけれども。  この議論につきましてはまたあれですけど、言ってみると、多分やってみな分からぬと、やるんだぞという雰囲気で資源エネルギー庁がもういっているのかなと。それで、起こるべき問題についてはあらかじめいろんなところでやっぱり安全くいを打ったりネットを張ったりしながら、最悪のときには何とかできますよと、だから取りあえずという側面もないではないというふうに思います。  じゃ、そこで、自由化したら何が起こるのかということについて、国内には事例がありませんけれども、ヨーロッパの例えばガスシステム改革というものは、これは随分やってきましたですね。EUの統合から始まって、これは一九九八年頃からEU主導でガス自由化が進められましたとか、いろいろ事情を抱えながらも国内料金自由化やアンバンドリングに取り組んできたわけでありまして、ただ、今日、じゃEUのガスシステム改革についての検証については、いろいろな意見がございますけれども、自由化規制緩和、事業分割などが直接的に料金引下げに結び付いたとか便益が著しく向上したという分析は、残念ながら私としては見付けられていません。  それから、もう一つの課題でありました総合エネルギー企業の育成という、この点につきましては、電力ガスシステム改革構想では、恐らく経済産業省の立場でいわゆる総合エネルギー企業をつくり育てていきたいという、こういう理念、方向があるというふうに思います。しかし、ヨーロッパの過去の事例を見ると、最初は自由化によって多くの企業が我も我もと参入してきましたが、結局は、激しい価格競争が起き、先ほどのように、どんどん利益率が下がっていく中で体力のない企業が振り落とされ、撤退をし、時間がたった後で振り返ってみると寡占化が進んでいくということであったと。結果的に残ったものは寡占化ということになるということでありました。  そういうことで、ここからは私の意見でございますけれども、欧州のガスシステム改革に関する経験や様々な研究調査、ここから私どもが何が学べるのかということでいえば、ガス市場自由化を成功させるためには、単なる事業者の経営努力や政府などの段階的なレビューのみでは不十分だと。供給者側の改革論議だけではなくて、便益を受ける最終消費者自由化への関心を高め、やっぱり消費者の立場から意見を発信をし、事業者の創意工夫やイノベーションを促すなど、まあ理想を言えばですよ、改革消費者の立場で主体的に関わっていけるという、そういうジャンルをつくらないと。ここは非常に大事な点ではあるというふうに思います。  この点につきまして、ガスシステム改革電力システム改革においても需要側、お客様に立った制度改革へのアプローチがやや希薄であったんじゃないかと、このように私は思っておりますので、法律施行の各段階に行われる検証や政省令などにおける具体的な取組において、是非需要サイドの意見を十分取り入れていくということ、ある種消費者、お客様参加の私はシステム改革というものを目指さないとなかなかこの目指しているところまでには行かないのではないか。また、最終的なコストについて、私は、エネルギーコストは最後、消費者が担っていただくと。この資源小国の日本として非常に重要なことなんですよね。  直嶋委員の過日の質問において、国民が原発については駄目よねという意見が多い中で今の政府はそういう方針取られたのと言ったら、大臣はいみじくも、一応インデックスに書いて、やっぱり総選挙で、小さい声でしたけれども、三百もらったのでという、言わばそこに根拠を求めておられると。しかしそれは、有権者はお客様ですから、そこは私は、いずれ、このエネルギーコストは最後、国民全体でどう負担をしていくかと、そして、そのことは生活と同時に産業競争力にも直結し、自らの雇用にもつながっていくという極めて大きな方程式をお一人お一人のユーザーが受け止めていくという、そういうこともやっぱり政権としてはちゃんと対応していくということが大事じゃないかということで、ちょっと風呂敷が広がりましたけれども、大臣の方の御意見をお願いしたいと思います。
  24. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、ヨーロッパの話が最初ございましたけれども、ヨーロッパにおきましては、小売の全面自由化後、ヨーロッパで取れるいわゆる国産のガス生産が減ってきたということで、遠くから長いパイプラインでガスを輸入するということ等から小売料金が上昇した時期もございましたが、他方、小売自由化ガス導管への第三者アクセスの向上が原材料の影響を除いた料金低下に有意な効果をもたらしたとの分析もございます。  また、ガスと並行して電力の小売の自由化をしたイギリスにおきまして、自由化と同時に料金規制を撤廃したために価格が上昇したということもあって、今回は競争状態を実際に確認できるまでは規制料金を一部残すと、こういうことで対応をさせていただくことにいたしました。  そして、今まさに消費者の選択の話というのは大変大事だということはおっしゃるとおりでありまして、たしか固定電話が自由化されるといったときに、どういう意味があるか私自身もよく分からなかったような時代があったわけですが、今はまさに携帯含めて大変消費者の方が敏感になっていると、こういう状況があるわけでございまして、電気ガス含めて、やはり多様なサービス消費者の手元に提案されるということをどんどんやって、本当に消費者自身が、あっ、これなら安くなるということをよく分かるような、そういうことをこれからまさに民間にやっていただかなければいけませんし、我々もそれの支援をしていかなければいけないというふうに思っております。
  25. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 先ほど私、まあ、やっぱりやってみな分からぬこともあるなと。これは、余りこれを言うと、議会としてもっと詰めろと。これは私は、仕事としてそういうことですけれども、少しそこのところは、いわゆる暫定的な期間とか、ある種のトライアル的なところも含めて、これはやっぱり用心深く対応されていくということだと思うんです。  しかし、やはりそれが余りにも度が過ぎると、じゃ、所期の理想はどうしたんだねと。これなかなか、子供が自立するのと一緒で、ここを丁寧にやればやるほどそれをもって自立が遅れるのではないかという理屈もあったり、しかしそれはそれでやっぱりいわゆるセーフティーネットは必要だとか、そういうことはありますから、これは、更にちょっと細かな議論等についてはまた機会があれば次回ということで。  さて、私が特に大臣に申し上げたいしお聞きしたいというのは、地域総合エネルギー企業の育成という、この視点をどうするんですかと。  今のところ、総合エネルギー企業というと、ガス由来の三社と電力由来の九社、そんなところですか、それ以外はどうなるんですかといったら、いや、大量にガスを輸入している、権益持っている商社はどうですかとか、ガソリンスタンドはどうなるんですかといったときに、なかなかこの総合エネルギー企業ということについてははっきりしねえなということで、言っているほどのことはないのではないかという気もしたりはするわけです。  そこで、私は、そういうふうな大きなところの話ではなくて、本当に大事なのは、電気ガス、水道というのは市民生活にとってのライフラインだから、安定供給ということを前提に、価格だけではなくてきめ細かなサービス安定供給という、これも私は売り物として非常に大事なものだと思っているんですよ。安定して供給しますよと。いや、場合によっては止まりますよということよりも、少々のことがあったってうちは出すんだと、最後はプロパンボンベかついででも行きますよとか。あるいは、うちは電力ガスも売っているけど、お宅にとって一番いいのは実はこっちですよと、そういう提案ができるとか。そのことをやっぱりきめ細かくやっていく総合エネルギー地域に根差したそういう企業をどう育てていくかということだと思うんです。  ただ、そういう企業がこれからそういうふうなことをやっていくときに、正直言ってお金がないという部分がある。それから、人もたくさんはいない。それから、やっぱり原材料をどう調達するかというのはこの産業、業種の大きな生命線ですから。そうかといって、小さな会社がLNGを海を隔てて買い付けるというわけにはいかないので、そういうふうなところの、やっぱり原材料、資源の供給をちゃんと、どう支えていくかということがないと地域に根差した総合エネルギーサービス業というのは成立しないのではないかというふうに思っております。  ドイツにおいては、自由化によって激減すると予測された地元の電力会社、これシュタットベルケと呼ばれているそうですけれども、それの多くが生き残り、現在、電力小売の二割強以上のシェアを継続的に保っているという報告がありました。  先ほど大臣の御説明ありましたけど、ヨーロッパは面的ネットワークの国ですから、日本ネットワークはありますけれども、電力網でいったら基本的には単線に近い状況だと私は思います。  そういうような意味で、そういうふうな非常に面的にネットワークを持っているドイツの事例と日本の事例は簡単にはいきませんけれども、しかし、そういう地元でサービスをちゃんと提供することによってお客様から評価されて生き残っていくという、こういう私はビジョンというんでしょうかビジネスモデルというのは大事なんではないかというふうなことで、この辺のところ、先ほど言いましたけれども、原料の確保だとか電力確保だとかそんなことで、それぞれ非常に課題を抱えた業態だというふうに思いますけれども、この辺を、地域のそういう根差した総合エネルギー業、育成という言葉は私は嫌いなんですけれども、がより良く自立発展していくということについてのお考え等についてあればお伺いしたいと思います。
  26. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 地域の中小のガス会社というのは、やはり大変信用力、名門企業である場合が結構ございまして、私の地元の福山市もそうですけれども、やっぱりそういう地域において信用がある企業、そして地域に根差した営業力もあるということでございますので、こういう企業がこれからどう伸びていってもらうかということは大変大事だと思っております。  例えば、私どもの地元の福山ガスというのは、実は基地とパイプラインでつながっていないというのが今の現状でございまして、やはりこういう法律ができたことによって、つながると、広島にある大きな基地から直接天然ガスが入ってくるということになりますと、いろんな利便性が増してくると思いますし、また電力の小売等々といったものにも知恵を出していくということで、元々信用力のある企業、営業力のある企業といったものが、電力ガス、それにプラスアルファも加えてまさに総合エネルギー産業であり、また地域を代表する、いわゆる地域インフラを担うような、そういう企業にしっかりと育っていくということは大変大事なことでありまして、もちろん私どもが直接な今支援のツールというものを持っているわけではありませんけれども、そういうことを促す政策をやはり実現していかなければいけないと、こういうふうに思っております。
  27. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 福山ガスというのは名門企業だそうで、御発展すればよろしいことかというふうに思います。  地方創生ということが今言われていますよね。私は、地方創生も、大きな旗振って、かねや太鼓でやっているというところはほっておきましてね、今言ったような、地方に根差した総合エネルギー企業がやっぱりきちっと伸びていくということが地方にとって非常に大事なことなんだというふうに思います。そのことから派生していく企業もあるんではないかというようなことを含めて、先ほどのお答えを受けながら、更に御努力、また御活躍を頑張ってほしいと、簡単に言えばそういうことです。  次に、消費者の選択の課題ということで、先ほど大臣がメニューがいろいろ出てきてということがあって、私は、システム改革によって電気ガスの分野に様々な分野からの参入、そしてそのときに、これ経産省が言っているんですけれども、それぞれのライフスタイルや趣向に合わせたメニューやサービスが生まれ、光熱費の一体的な管理も容易となるなど、エネルギー選択の自由度が拡大すると、ややちょっと楽天的な言い方かなと思いますけれども。  ただ、問題は、先ほど私は消費者の参加をどうするんですかと、こう言いつつ、しかし、その消費者がこういった多様なサービスについて、逆に言うときちんと評価、選択できるのかという、こういうふうな大きな課題があります。  非常に高齢化社会だと、こういうふうに言われていて、私もよく分かるんですけれども、面倒くさくなるんですよ。携帯電話のメニューをずらっと並べて何々がお得で三ギガまでとかなんとか言われて、もう面倒くさいという部分もあって、本当にまたそこがきちっと評価ができるのかという課題を抱えていると思います。  イギリスでは、電力ガス自由化におきまして、業務提携や携帯電話会社や通販会社などの相手方ブランドを活用して電気ガスを売り込むホワイトラベルという業態が出現をしましたと。これはこれで、私は新しい試みでこれはいいんではないかと。しかし、消費者側からいえば、様々なサービスメニューの中から、何がメリットなのか、どのサービス自分たちにふさわしいのか、本当に電力ガスが安定的、安全に供給されるのかといった選択の正確性、正確に判断をしていくという、ここが今度大きな課題になってくるんではないかと。  携帯電話やプロバイダーとの契約などで若干消費者トラブルが発生をしてきたということは聞いております。料金や契約期間やサービス内容に関して消費者の利益にならないケースも出てくることが、ある意味このエネルギー関係の新規サービスについても予想されるということで、ポイントは消費者トラブルの発生を未然に防ぐということが大事であり準備をする必要もあるんじゃないかという視点から、今日は消費者庁にお越しいただいていますので、この辺のところを、ちょっと早いと思うんですよね、段階としては。まだ法律も決まっておらぬのに、消費者庁として。まあ、しかし、そこは少し先々に向けてのお話をお聞きしたいと思いますし、加えて経産省の方のコメントもいただきたいと思います。
  28. 河津司

    政府参考人(河津司君) お答えさせていただきます。  委員指摘のとおり、現時点では、まだ自由化後に小売業者消費者に対して個別具体的にどういったサービスを提供するのかというのを予測するのは大変困難でございますので、今の時点では基本的な考え方をお答えさせていただくことになります。  料金自由化を行う分野につきましても、消費者庁といたしましては、引き続き消費者利益を確保していくということが重要だというふうに考えております。このため、消費者が多様なメニューの中から適切な選択を行うことができるよう、小売全面自由化の実施に際して小売事業者が提供するサービスの内容に関する消費者の理解を増進するための情報提供の推進等の取組を行うということにしてございまして、この旨は本年三月に閣議決定をされました消費者基本計画においても明確に定められているところでございます。  それからまた、一般論でございますけれども、消費者が適切な選択を行うというためには、消費者情報がある、すなわち適正な表示がされるということが極めて重要でございます。逆に言いますと、消費者に誤認を与えるような表示というものにつきましては、消費者庁が所管しております景品表示法に基づいて厳正に対処するといったようなことで、消費者利益を確保するという観点から適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  29. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) これ、今回の法案等々によりまして、事業者の創意工夫によりまして多様な料金メニューが生まれるということが期待されておりますし、それ自身はむしろ望ましいと考えておりますが、委員指摘のとおり、分かりやすくなければならないし、誤解をしてはならないし、正しく判断できる環境というものをしっかりつくっていくということは必要だと思います。  海外におきましては、御案内のとおり、価格の比較サイトといったものがございまして、そういったものである種分かりやすく料金の比較が行われる、そういうのが民間事業者等々によって行われているわけでございますが、我が国におきましてもそういう事業者が出てくるということもあり得るのかなと一つ思っております。  また、政府の立場でいえば、需要家の立場から事業者に対してどのような情報の開示を求めていくかということにつきましてはしっかり検討しないといけないと思っておりますけれども、消費者トラブルの防止という観点も踏まえて、前回の第二弾改正それから今回の法律におきまして、小売電気事業者あるいはガスの小売事業者に対しまして、需要家への契約条件の説明義務、それから契約を締結した場合にはそれを書面にして交付をする義務、それから需要家からの苦情や問合せへの対応義務ということを明示をしているわけでございます。  じゃ、その説明義務の具体的な内容をどうしていくかということにつきましては今後も検討したいと思っておりますけれども、省令で定めるということになっておりますが、単なる料金メニューだけではなくて、例えば割引期間がある場合はその期間がどれぐらいのものか、その中身はどういうものであるか、あるいは、契約の解除を行う、その場合にペナルティーがあるような場合は、そういう条件といったものはどういう場合なのか、そういったことをしっかりと需要家に説明させる、そういうことを今想定をしているところでございます。  こういったことによりまして、様々なサービスを需要家が十分に正しく御理解をいただいた上で契約を締結できるように環境を整備いたしまして、それによって消費者トラブルを未然に防ぐと、そういう取組を進めてまいりたいと考えております。
  30. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 特に消費者庁におかれましては今日ぐらいに言っておいた方がええだろうと思って質問をしたわけで、御準備の方をよろしくお願いしたいというふうに思います。  さて、六番目の御質問でございますけれども、料金規制廃止と所得再分配政策ということで、ちょっとタイトルがやや大げさかなと自分でもそう思っています。  ただ、現在の電力料金規制の制度でいえば、三段階料金制度が取られて、第一段階料金はナショナルミニマムの考え方をある意味導入した比較的低い料金が設定をされているということであって、これは言うたら生活インフラですから、やはり単身世帯のように、単身だから貧困世帯ということではございません、しかし年金生活者、高齢世帯、低所得世帯が結構増えているという、貧困層が結構増えているという、私ども強く認識をしておるわけですけれども、ここのところがある種電気料金で社会政策的要素を入れて生活を支えるという側面を持っていた、それは公益性が高いということにもそこはつながってきたんだというふうに思うんです。  これ、将来的に料金自由化になってきて、五年後、六年後、十年後ということになって段階料金制がなくなって、ガス電力とは違う料金体系ではございますけれども、もうこれはマーケットで決まるんだという価格にするということは、それはやっぱりマーケットで決まるということですから、ある種そこはいろんな料金が出てくると。  社会的なそういう政策を自由化した料金に求めること自体おかしいわけですけれども、しかし、ある種やっぱりそういう声も残ってくるかも分からない。例えば、私もシニア料金で映画見られるようになって喜んでいますけれども、バスに乗るときにやっぱりシニアは何かパスをもらったりという。ある人は、そんなことをせずにバス代はちゃんと取って、別のところで所得保障をしてやった方が分かりやすいんではないかというこれは説もあったり、これは長年の議論なんです。  そこで、私は、この社会政策的な視点を生かし続けるのか、もうそこは割り切ると。私はここは、五年間とかなんとかいろいろ移行措置的な、経過措置的にとっているけれども、最後はもうそこは割り切るんだと。でなきゃ、やっぱり新規参入もどうなのということになってくるということを含めて、私はそういうようなところを、ここを経済産業省としての考え方をお伺いしたいと思います。
  31. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  今先生御指摘電気料金の三段階料金、あるいはガス料金も似たような段階料金を一応取っております。こうしたものがどうなっていくのかという御質問でございます。  経過措置料金規制を残す期間はこれは残っていくということはまず申し上げた上で、その後はどうなるかという点につきまして申し上げますと、これは私ども、事業者自身が判断をしていくことになるのではないかと、こういうふうに考えております。  この点、社会政策という先生表現ありましたけれども、東京電力の例えばホームページでは、先ほど御紹介ありましたように、ナショナルミニマムの考え方を導入した比較的低い料金、こういった表現を使っております。こうした制度の存在、これが消費者の方々にどれだけ定着をしているのか、どういうふうに受け止められているのか、そうしたものを事業者としてどのように考えていくのか、そうしたことを判断の上で、この料金規制料金が終わった後していくか、これは事業者がそれぞれ判断していくものかなと、このように考えている次第でございます。  なお、新規参入につきましても、恐らくは電気あるいはガス料金料金水準そのものだけで何か収支を全部賄っていくといったようなサービスではなくて、それ以外に、ほかのサービスとのセット販売等々も含めて、各事業者いろんなことを考えてこられるのかなというふうに想定をしているところでございます。
  32. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 もう事業者が勝手に決めてくださいということなら、そう明確に、明らかにして、その上で競争もあるでしょうしということだと思うんです。これはこれでまた表現の仕方は経産省の方で今後お考えになることだろうというふうに思います。  先ほど、セット販売で、他のサービスを付加をしてトータルで求めていくという、ある種抱き合わせによる、何というんですか、販売促進という側面もあるんだと。それは、いい意味でのやっぱりセット販売だということで、先ほど言ったように、消費者から、ああ、これはいいねというやっぱりそういう評価をもらわなければ、何か目くらましみたいなことではいかぬよというのは先ほどの問題指摘にあったところであります。  そこで、簡易ガス事業の在り方ということでちょっと御質問をしたいのは、今、一定の地域、住宅にLPガスを供給する簡易ガス事業に関して、LPガス全般は日本の約半数世帯が生活必需財として利用しているという実態があるわけですけれども、簡易ガス事業以外、これは価格水準に関する料金規制がないために結構高いんじゃないか、LPガスはと、こういうふうな声があったりします。  これよく言われるのは、東京の二十三区にいた社員が埼玉に転勤したりあっちこっちに流れたりして地方ではLPガスになったときに、ガス料金が奥さんの方からえらい高くなった、生活大して変わっていないのにという指摘があったりして、私どもは、例えば労働組合の立場で行っていろいろ意見を聞くと、そういうふうなこと何とかならぬかとかいう、いろんな自由意見の中に出てくることで把握をしておったわけでありまして。  このLPガスの小売価格というのは、これはこれで、先ほど言われましたように、付加サービスとの関係で評価すべきなので、表面的な価格だけで高い低いということは言っても私は詮ないことだと。だから、結構LPガスの業者というのは工夫しているわけでして、単に価格やっておるわけじゃないわけで、例えば風呂釜を二年間あれをするとか、いろんなことでつくっておられるということだと思います。  それはおいておきまして、大規模マンション、団地など一定戸数以上にLPガスを供給している簡易ガス事業につきましては、料金規制の廃止方針が打ち出されております。LPガス業界の実態からして、将来的に簡易ガス事業にあってこれ料金はどうなってくるのということであります。簡易ガス事業者は、今後、積極的に都市ガスの供給区域への参入を図っていくとか、またあるいは参入を図られるとか、いろいろなケースが発生するのではないかというふうなことで、従来の地域でのLPガス料金引上げというのか、ガスの価格についてどう考えていくのかということについて少しお聞きをしたいというふうに思うんです。  やはり、簡易ガスをやっている団地に、例えば導管を一キロぐらいつなげば、天然ガスを供給するということにしてしまえば、言わば今までの簡易事業に対する競争者として別の事業が乗り込んでくると。そのときに、競争状況の中で例えば価格を下げる、LPガスの方が、ということで対抗していくということになって、ただしその事業者としての最終損益をどう調整するかと。  そこは下げるということになれば、他の事業領域、つまり、ボンベで売っている部分のところは上げるとか上げないとかいうことでその企業体としての最終損益の黒字を維持していくとか、それぞれでの事情が出てきますねというふうなことになってきて、この辺は今の段階でお答えが難しいかも分かりませんけれども、ちょっとこの辺りの、簡易ガス事業についての価格の対応についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  33. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  簡易ガス事業についてのお尋ねでございます。  簡易ガス事業につきまして、今回私どもが提出させていただいている法案の中では、参入規制、そして料金規制について撤廃ということを盛り込ませていただいております。他方で、この簡易ガス事業につきましても規制なき独占という事態になりますと、これは消費者の方々に対しての、お困りになるということでございますので、一般ガス事業あるいは電気事業の場合と同様でございますが、競争が十分であることを確認されるまでは経過措置料金という形で小売料金について国の認可規制を残すことにいたしているわけでございます。  他方で、LPガスの方はどうなるのかというお尋ねもあったかと思いますが、このLPガス販売事業は、これは先生御案内のとおり、これは規制が掛かっていない、保安については掛かっておりますが、料金規制等ございません。それは、実態といたしまして、各地域に多くの販売事業者がそれぞれ参入をしておりまして、もしこの事業者と契約を結びたくないということでありましたらすぐ切り替えるということが一応可能だという実態に基づいて法律がそのような形になっているのかと思っております。  したがいまして、先生御指摘ございました、LPガス販売事業者が都市ガスとかほかの領域に入って、ボンベの方の料金について値上げをするといったような事態が起きるのではないかといったお話もありましたけれども、私ども、今の法律の構えといいますか構造からいたしますと、そうしたLPガス販売事業につきましては競争が行われており、そうした簡単な値上げといったことを行うといったことはなかなか抑制的になるのではないかと、このように想定をしているところでございます。
  34. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 それはもう一言で言えば、ある種教科書的に、お答えとしてはそのとおりだと。でも、まあ教科書どおりにいかないのがエンジニアの世界だったんですよね。教科書どおりに設計したって動かないんだと。それは現実、現場の問題というのはやっぱりその条件がそれぞれ違うので。私はそう簡単に、今言われたのは理想的競争状況ということであるから、価格を上げればそれは別の業者に取って代わられるから、それは価格は下方硬直性ですよと、上がりにくいんですよと、こう言われたけれども、私は必ずしもそういうふうなマーケットになっていないのが現実だと。そういうマーケットもありますけれども。  極めて高齢化している中で、LPガスを使っている世帯がそのことについてやっぱりどういう理解をしているかという、これまずは消費者自身が、私は、状況はいろいろあるから、今のお答えはお答えとして是としますけれども、現実、何が起こってくるかということについては頭に置いていただきたいと。何年かたったときにまた質問、まあ私がするかどうかは分かりませんけれども、議論をやっていくということだと思います。  さて、八点目のガスの保安体制、災害復旧関係の対応ということについて、これはガスシステム改革のこの議論の中で、関係者において一番懸念された保安対策ということで、これを確認させていただきたいと。  導管事業者と小売事業者への保安に関する義務を分担されるということになっていますけれども、これはやっぱりガスというのは扱いにくいんですよね、漏れるということで。非常に導管の性能が上がっているということで、私は良くなっていると思うんですけれども、最終的な消費機器との間に保安責任の線引き、こういうことどうなのかなと。今は機器までガス事業者が結構担当されていますよね。だから、衆議院の議論を見ていますと、生まれたときから関西のガス会社の、機器も全部そうだったと。こういうふうなことで、まあある種丸抱えという、最終のこんろまでガス事業者が全部供給をしてメンテナンスをしているという、その営業のすばらしさと、それから言わば安心感ということが議論されていました。  導管事業者に対しましては、導管網の保安のみならず小口需要家が保有する内管の点検義務を課すということにされていますけれども、ちょっと、ぱっと見ますと導管事業者の負担が重過ぎるのではないかと、こんなふうにも感じますけれども。  ここのところが、災害の発生を含め何かが起こったときに、導管事業者と小売事業者間が本当に連携して対応できるのかということについての御判断をお聞きしたいと思います。
  35. 寺澤達也

    政府参考人(寺澤達也君) お答えします。  まず、今般のガスシステム改革後、ガス漏れとか災害対応といった危機時対応については、基本的にガス導管事業者役割を担います。この緊急時対応については線引きはございません。他方、委員指摘のとおり、需要家と直接接点を持つのは小売事業者です。また、需要家に置かれている消費機器についての情報を持っているのもガスの小売事業者です。したがいまして、ガス小売事業者ガス導管事業者連携協力が必要だと、これは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今回の法改正においては、全てのガス事業者につきまして、保安については連携協力することを義務付けています。  また、今後、審議会におきまして、導管事業者と小売事業者役割分担とか連携協力の在り方について、これを示すガイドライン、これを検討していきます。その上で、ガイドラインで示された連携協力の中身がきちっと実現されるかどうか、これは託送供給約款や保安業務規程によってしっかりと担保していきます。  また、こうした制度設計に加えまして、導管事業者と小売事業者の間で、通常時からいざというときに備えて共同で訓練をしたり、あらかじめ消費機器についての情報共有をすると、こういった連携協力が行われるよう、経産省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  36. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 これはまた引き続き更に深掘りをしていきたいというふうに思います。  さて、次は導管延伸の問題を少しお聞きしたいと思います。  これも議論をされてきました。一言で言うと法的分離ということでありますけれども、導管事業会社が新たに導管を設置する、あるいは延伸をするという、これはその企業にとってどういうインセンティブなんでしょうかということなんです。  小売の皆さん方が一生懸命勧誘をして、この辺ずっと取ったよと、それで導管延伸をという、だから、ここは小売のやっぱりあれのインセンティブですよねと。そして、言ってみるとそういう、まあ言ったら、三年もあれば回収できますよとか、それは託送料金で何とか面倒を見れるということはいいんですけど、大規模な導管を、これは国家の例えばエネルギー危機のときに、災害時にどうするかというそういうようなことを含めて、導管会社にそんなことまで担わせるのという、分野も含めて。しかし、そのことは大事なことだし、やっぱり導管があるからその需要が拡大されるという側面もこれは当然あるわけですから、その辺を含めて、この導管会社ってどうなのということですから、ここのところはなかなか。  例えば、A型、これは報告書の中で、産業用熱需要集積エリア向けパイプライン、こういうふうなもの、B型は広域輸送パイプライン、それからC型がセキュリティー向上パイプラインと、三種の種別の中で、これは経済産業省の審議会に提出された資料では、B型、C型、これ二つ合わせて約一兆九千六百億円という試算されたりもしていますので、この辺のところの経産省として支援策はあるのかないのか、どうこの事業を支えていくのかについてお答えをいただきたいと思います。
  37. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 平成二十四年に取りまとめられました審議会の報告書においては、広域的な幹線導管網の整備について、国が全体最適的な整備方針を策定した上で、それに基づいて民間事業者が整備をすることを提言しております。  法案が成立いたしますれば、例えば事業報酬率の設定など導管整備を促進するための詳細設計を速やかに検討するとともに、報告書の提言を踏まえて国全体としての整備方針を検討していきたいと思っておりますけれども、電力のように全国大の導管網が正直に言ってすぐにできるという状況にはないというのは事実でございます。  一方で、個々の地域について言えば、やはり導管網を整備をしなければいけないというような地域は多々ございまして、そういうところにつきましては、広域的に便益をもたらす導管の整備費用を周辺のガス事業者の託送料金に含めて回収できる措置、また、建設後一定期間につきまして、高めの事業報酬率を設定できる措置を講じようというふうに考えております。  さらに、小売部門と導管部門が連携して各地域の潜在的な天然ガスの需要を調査、開拓するということは大事なことでございまして、引き続き連携が図れるように、導管の敷設、運営を行う導管事業者ガス需要の調査、開拓を小売業者に委託する費用をこれもまた託送料金で回収できることを認める予定でございます。
  38. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 託送料金については、そういうふうなことでいろんな要素が入ってくるということで、また後日の議論に付したいというふうに思います。  最後に、富士山の爆発ということがありました。ちょっと天地を揺るがすような大爆発はおいておきまして、中規模の爆発によって火山灰が桜島のときのようにもうずっと降り注ぐと。  産総研の最近の研究成果によりますと、宝永噴火と同規模の降灰によって火力発電所の吸気フィルターが目詰まりを起こすリスクということが報告されておりましたので、この辺のところ、心配ばかりしてもしようがないんですけれども、対応策について私はお聞きをしたいというふうに思います。
  39. 寺澤達也

    政府参考人(寺澤達也君) 御指摘のとおり、電力の供給の安定を確保する上で、自然災害についていろんなものを想定してあらかじめ対応策を検討しておくと、これはとても重要なことだと考えております。  このため、当省においては昨年、審議会において、富士山噴火も含めて様々な自然災害に対して電力システムの耐性、強靱性とか復旧の対策の妥当性等について、その審議会において確認と評価をしていただいたところでございます。  御指摘がございました火山灰によるフィルターの目詰まり、この点も確認、検証したわけでございますけれども、これについてはフィルターの交換体制を整備することなどによって対応するということが確認されているところでございます。  経産省としましては、委員指摘の点も含めて、自然災害に対する対応力を強化していくために引き続き取り組んでいく所存でございます。
  40. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 対応の方をよろしくお願いしたいと思います。  以上で予定した質問は終わりますけれども、この要綱を一覧をしておりまして、省令だとか規定だとか基準だとか、いろいろな言葉がいっぱいありますので、次、質問の機会がありましたら、そういう細かなこともできるだけ前広に私は開示をしていただかないとなかなか議論が進まないという側面もありますので、その点を要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  41. 小林正夫

    ○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。  五月二十九日、本会議でいろいろ質問をさせていただきました。そのとき、大臣からも答弁を受けております。今日はそれに関連して何点か質問をいたします。  まず経産省にお聞きしますけれども、送配電分離ということは具体的にどこの設備を分離をしていくのか、これお答えください。
  42. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  電力の供給に当たりましては、まずは発電をする発電所がございます。そこから送配電という形で圧力を少しずつ落としながら御家庭まで、最後は低圧という形で届くわけでありますが、その発電所から各種変電所を通じまして、最後、御家庭、需要家のところまで届くその送配電設備それから変電設備につきまして、これは送配電部門の所有物という形になります。それから、加えまして、御家庭では壁にメーターが付いている、それから御家庭の中にはアンペアのブレーカーといったものがありますが、こうした設備についても送配電部門が所有すると、こういうことになります。この送配電事業者がその維持管理を責任持って行う、このような形になろうかと思います。
  43. 小林正夫

    ○小林正夫君 資料を用意をいたしました。あわせて、同じものですけれどもパネルを用意をいたしまして、送配電が受け持つところはどこなのかということをきちんと政府の方と共有化しておきたいと思っています。(資料提示)今政府の方で答えていただいたこと、あるいは今までの審議会でいろいろ質問をした、それを取りまとめて絵に描くとこういうものになるかなと私思いまして、今日はこの資料を作りました。  発電所の方が発電事業者と送配電事業者とどこで区分するのか、こういう絵を作りたかったんですが、火力発電とか水力とか原子力とか太陽光だとかいろいろあるものですから、ここの細かいことは描けませんでした。ただしかし、ここの発電所から送電鉄塔を通じて、電柱を通じて一般家庭まで、ここまで行くということは変わりありません。要は、発電所から一般家庭、一般家庭のお宅の設備ですけれども、中の屋内配線、これも全部含めてつながっていないと電気が送れない、こういう代物なんです。  私、先日の本会議で安全対策についてもお聞きをしましたけれども、私は議員になる前は送電屋でした。要は、ここの電気を送る仕事をやっておりました。だから、この国会の電気の供給とか、あるいは経産省の皆さんが入っているあのビルの供給だとか、そういう工事をやったりあるいは保守をやってまいりました。そのときに私自身が体験したのは、やはり電気を止めて工事するだとか、あるいはこの線をいじくるというときに、発電部門とこちらの需要家部門と調整をして工事を行わないと、安定供給もできないし、もちろん作業安全の確保ができない、こういうことを自分自身経験をしてまいりました。  そういう意味で、今回、一体で供給しているもののうち、この送配電部門を電力会社から切り離して別会社にするということの法案ですから、本当にこの辺の連携がきちんとこれからも取れていくのか、ここに安全上問題ないのかどうか、こういう視点でこの間も本会議で質問をしたわけでございます。  そこで、本会議では、電力労働者及びガス労働者の労働災害を防ぐために、事業者間の協調・連携体制をどう築くのか、こういう質問宮沢大臣にいたしました。大臣からは、ネットワーク事業者発電事業者などの関係事業者が適切に連携できるようにする仕組みを整備することが重要で、広域的運営推進機関において、送配電事業者発電事業者及び小売事業者が協力して対処できる仕組みを整備することとしている、こういう旨の大臣から答弁がありました。  そこで、私、今日、できれば広域的運営推進機関の理事長にこの委員会に来ていただいて、具体的にどういう検討がされているのかということを直接お聞きしたいと思いました。それで、国会のルールによって、私の方が直接理事長にお電話して、今日の目的と、この時間帯にこの委員会に来ていただくことは可能でしょうか、このようにお話ししたら、可能ですという御返事いただき、出席する意思もありますという連絡をいただきました。ところが、それで手続をしたんですが、残念ながら今日実現がそれができませんでした。したがって、そのようなことの経過があったということだけお話を申し述べた上で、そこの所管は経産大臣ですので、本来、推進機関に対していろいろ確認したい事項があったんですが、所管大臣に対して私は今日質問をしたいと思います。  まず、広域的運営推進機関は、需給計画だとか系統計画を取りまとめて、周波数変換設備とか地域間連系線等の送電インフラ増強や区域を越えた全国大での系統運用を図る、こういう大変大きな目的を持っています。さらに、需給逼迫時において、電源のたき増しや電力融通を指示し需給調整を行うなど、我が国電力安定供給にすごく影響を持つ、そういう施策を決定する、こういう機関であります。この推進機関がいろいろ決定することに対して、現場でやるのは全て人がやるということになります。  そこで、先日、前回の経産委員会では、この推進機関に対して、直嶋先生あるいは安井先生の方が、そこの推進機関がやる業務などについていろいろお話がありましたので、私は、先ほど言ったように、安全という面から大臣質問をしたいと思うんです。  それで、要は、労働者の安全確保をするために、その安全が大変大事なんだと、そういうことに対して所管大臣はどのように思っているかということと、多分安全は大事だと思ってくれていると思うんですが、そういうことをきちんと推進機関にどう伝えて、どういうような環境をつくっていくのか、所管大臣のお考えを聞きます。
  44. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 私の立場から申し上げますと、理事長は専門家でいらっしゃいますから、理事長が出席して答えていただくにこしたことはないわけでございますけれども、今の経緯は知らずにおりました。今後は、しっかり理事長に国会の場で説明をしていただきたいと思っております。  その上で申し上げますけれども、おっしゃるように、労働の安全というのはもう全てに優先することだろうというふうに思っております。そういう観点からこの広域的運営推進機関をまず認可する基準というものを作っておりまして、その中で、作業事故や供給支障を生じさせることのないよう、設備を停止する際の作業停止手順をあらかじめ定めなければならないというようなことを認可のまさに基準の中で書かせていただいて、そして、その結果、広域的運営推進機関認可されたわけでありますけれども、その広域的運営推進機関におきましても、送配電事業者発電事業者及び小売事業者が協力して対処するルールが定められております。  具体的には、運営機関の業務指針の第十二章、作業停止計画の調整というところの第二百十四条でございますけれども、作業事故、供給支障等を生じさせないよう、相互に協調して作業停止に伴う電力設備の運転を行わなければならないと、こう定めさせていただいておりまして、今後、まさに労働災害が増えることのないよう、必要な労働、これは労働規制の方もございますから、規制と併せまして、送配電業者が多様な発電事業者と協調して災害時の対応や需給調整等に関するルールが整備されるよう、国としてもしっかりと審査基準について今後も検討してまいります。
  45. 小林正夫

    ○小林正夫君 是非、安全は最優先だ、こういう考え方でいろいろ指導もしていただきたいと思います。  本会議でも話したとおり、電力関係で働く人、平成二十六年度に十七名の方が労働災害で亡くなっており、今年度に入っても既に一名の方が感電で亡くなっているという、こういう現場の状況がございます。  この機関でいろいろ、先ほど言ったように、送電線の増強をしなさいとか、あるいは周波数の変換について考えなさいとか、あるいはたき増しをしなさいとか、いろんな指示が出るんですが、大臣、現場での工期だとか、そこで対応する作業者の数だとか、どういう環境になっているのか、もうこのことが頭にしっかり入った上でそういう計画を作っていくということが私は大変大事だと思うんです。  是非、そういうふうにこの推進機関が取り組めるように、大臣の方からも指示を出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  46. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) しっかりと指示を出させていただきます。
  47. 小林正夫

    ○小林正夫君 それで、災害時の停電復旧についても、先ほど言ったように、送配電部門を別会社にすることによってなかなか迅速な復旧について難しい面も出てくるんじゃないですか、こういう質問もいたしました。  それで大臣は、広域的運営推進機関では、既に、電気事業者との間の定期的な訓練や、資機材などの保有に関する情報共有などに関するルールが定められている、今後、法的分離の実施に向け、災害時などにおける一般送配電事業者発電事業者や小売電気事業者との間の協調に関する事項を追加するなど、必要なルール改定を行う、こういう旨の答弁がありました。  私は、大臣がおっしゃった、この事業者間の連携だとか協調、この整備が労働災害を防ぐ大きなものになる、このように思っております。したがって、そういう意味で、この推進機関にどういうことを検討しろと、そういう指示を出しているのか、この検討項目について教えてください。
  48. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 経緯をまずお話しいたしますと、有識者を交えました委員会、総合資源エネルギー調査会の電力システム改革委員会制度設計ワーキンググループにおきまして、常時から備えておくべき事項、緊急時における事業者間協調の在り方、さらに緊急時対応を円滑に行うための訓練といった課題について、まず検討を行ってまいりました。  これを踏まえまして、本年四月に発足しました広域的運営推進機関において、委員会での検討内容を踏まえ、その業務規程におきまして、まず、会員、電気事業者は維持運用する電気工作物に加え、電源車、携帯用発電機、資機材等の保有の状況を同機関に提出すること、そして、同機関は災害発生時などの緊急時にその災害規模に応じて非常態勢を構築すること、同機関は年一回以上、会員及び関係者の協力を得て訓練を実施することなどのルールを既に定めております。  今後、広域的運営機関のルールの策定、改定に当たりましては、盛り込むべき内容を広域的運営推進機関の業務規程に係る国の認可の基準としてあらかじめ示すとともに、この機関が基準に従って策定したルールの内容を国が確認し、認可する、こういう仕組みになっておりますので、今後、第二段階、第三段階の改革を実施するに当たっても、この仕組みに従って必要な見直しを図ってまいります。
  49. 小林正夫

    ○小林正夫君 そこで、この事業者間の連携整備ということが、先ほど言ったように、私、大変重要なポイントになってくると思います。  それで、今回の提案で、二〇二〇年の四月一日に送配電分離を行うと、こういう法律になっておりますので、当然、それまでの間に、今言った事業者間の調整のルールだとか、そういうものを決めていくということに私はなると思うんです。  そういう意味で、今言った調整をしていく、あるいは協調していくというルールを、いつ頃をめどに検討を終わらせてきちんと現場の方に指示ができるようになるのか、この辺の実施時期、実施というか検討のめどについてお聞きをいたします。
  50. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) おっしゃいますように、第二段階、第三段階の改革の実施するに当たっても、この仕組み、今、先ほど申し上げたような仕組みに従って必要な見直しを行っていくわけであります。  まず、来年、第二段階の改革実施に向けまして、認可の基準の改定を行って、広域機関はこれに基づき必要なルール改定を行うことになるわけですが、まだいつまでにということは申し上げられる段階ではございませんけれども、まさに十分な時間的余裕を持って取り組めるようなタイミングで改定をしていきたいと、こういうふうに思っております。
  51. 小林正夫

    ○小林正夫君 今回の法律でも、検証をしながら進めると、こういうことが法律に書かれました。それで、直嶋先生の方からも、前回委員会で、民主党としてもその検証をしながらこのシステム改革がきちんといくのかどうか党内でも検討していきたいと、こういう旨の話が先日の委員会でもございました。  私、できれば、この推進機関にどういう今検討をさせているのかという項目の一覧と、それとそれをいつ頃までに検討を終わらすという、この一覧表をできれば作っていただいて、今後の電力改革が進展していく、そういう意味ではそういうものを基にしながら私自身も検証していきたいと思うんですが、そういう資料の提出というのは可能でしょうか。可能ならば出していただきたいと思います。
  52. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 私も実は中身を詳しく存じ上げているわけではございませんけれども、可能なものはやはりしっかりお示しをして、いろんな知恵を皆さんからいただくということは大変大事なことだろうと思っておりますので、努力をさせていただきます。
  53. 小林正夫

    ○小林正夫君 先ほどの資料をもう一度見ていただきたいと思うんですが、私、安全にこだわっているのは、この資料にも書いたとおり、電気の三つの特徴として、電気はつながっていないと送れない、そして目に見えない、そして今使っている電気は今発電しないと間に合わない、こういうような代物なんです。  したがって、くどいようですけれども、発電所から需要家まで全部電線がつながってないと電気というのは供給できない。そこの途中の送配電を分離する、別会社にするということですから、私は、今言ったようなことをきちんと進めていかないと作業の安全とか安定供給ができないんじゃないか、こういう意味で今日は質問させていただきましたので、こういうこともできれば共有しておきたいと思います。  次の質問に入ります。人事規制についてお聞きをいたします。  これは大臣にお聞きしますけれども、本会議で、大臣からは兼職制限の規定についていろいろ答弁がございました。異動、再就職について今日は質問をしたいと思います。  今般の法律、経産省の提出に向けて、制度設計ワーキンググループで、送配電会社から発電会社や小売会社持ち株会社への異動や再就職を一定期間禁止するという案が提示をされたと聞いております。本法律案にはこの規定に該当する条文が見当たらない。要は、異動だとか再就職についての禁止という、そういうような、法案は入っていません。ということで、これは審議会で検討されていた異動だとか再就職の禁止は行わない、このように私受け止めていますけど、それでいいですか。
  54. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) おっしゃるように、審議会におきましては、送配電事業の中立性を確保する観点から、役職員について、兼業規制のみならず一定の人事異動の制限を行うべきとの議論がございました。具体的には、送配電事業者グループの発電小売事業者やその親会社との間で、例えば二年間といった一定期間、人事異動を制限すべきと、こういう議論でございます。こうした人事異動の制約につきましては、その後の政府部内における検討の結果、労働者の基本的な権利に対する制約でもあり、抽象的かつ広範に規制することは不適切と判断をいたしました。  このような経緯から、今回の法案には人事異動や再就職を法律上罰則付きで規制する規定は設けておりません。
  55. 小林正夫

    ○小林正夫君 そこで改めて、法制局に今日は来ていただきましたので、お聞きをいたします。  今大臣がおっしゃったそういう過程は分かりましたけれども、異動だとか再就職を一定期間禁止するという経済産業省の条文案に対して、内閣法制局としてはどのような指摘を行ったんでしょうか。
  56. 高橋康文

    政府参考人(高橋康文君) 私どもといたしましては、一般に、職業選択の自由につきまして憲法第二十二条第一項において保障されており、憲法上の要請を踏まえまして、広範な制限規定を設けることが適切かとの趣旨から再考を求めましたところ、現在の法律案のように必要性を踏まえた最小限の制限を課す規定となったものというものでございます。
  57. 小林正夫

    ○小林正夫君 内閣法制局のそういう指摘も受けて、先ほど大臣が言ったような判断をして今回の法律には盛り込んでいないと、このようなことが確認できました。  今後ですけれども、法律にはないけれども、何らかこの辺の規制については、私は行わないということでいってくれると思っているんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  58. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) この点は衆議院でも随分議論をさせていただきましたけれども、まず、競合する小売事業者競争情報を知り得るような立場にある送配電事業者の従業員がグループ会社の小売電気事業に従事した場合、中立性に疑義が生じるおそれはなしとはしないと思います。そのために、人事異動が自由に行われることによって送配電事業者の中立性について疑念が生じるのではないかという指摘に対し、どのような対応があり得るのかについては今後検討していかなければいけないと考えております。  そして、これはもう委員御承知のとおりでありますけれども、現在もある意味じゃガイドライン的なものはございます。経済産業省、公正取引委員会の共同のガイドラインにおきまして、適正な電力取引についての指針において、望ましい行為ということで、一般電気事業者に対し、人事異動については行動規範の作成、遵守を求め、これを受け、一般電気事業者各社が従業員の人事異動について一定の制限をしているという事例もございます。  人事異動について罰則付きの規制を設けないという整理をしたわけでございます。そういう状態の中で、一方で、事業者自身が中立性確保に疑念を持たれないよう、実質的な中立性が確保される方策について、事後的な監視で十分か否かを含め、これから関係者の意見を聞きながら、それを踏まえながら必要な措置の内容の検討をしていきたいと思っております。
  59. 小林正夫

    ○小林正夫君 従業者の職業選択の自由など、これらに触れてくる私は可能性もあると思っています。  そこで、法制局にまたお伺いいたしますけれども、今の大臣答弁のように、何らかの規制について考えていきたいというような旨の答弁が今あったわけなんですけれども、仮に規制監督庁によるガイドラインだとか通達だとか、こういうふうに出された場合に、通常、被規制者である事業者に実質的な拘束を有するものになる、私はこのように思いますけれども、ガイドラインや通達による規制であれば許されるというものでは私はないと考えますけれども、法制局はどのように考えますか。
  60. 高橋康文

    政府参考人(高橋康文君) 御指摘のガイドラインが具体的にどのようなものになるのかについては承知しておりませんので、確たることは申し上げられませんが、法律案におきまして必要性を踏まえた上で合理的な範囲での規制となっておるというふうに承知しておりますので、法令以外の手法をもちましてこれを超えた規制を行うことは適当ではないというふうに考えております。
  61. 小林正夫

    ○小林正夫君 先ほど大臣、今でもそういうガイドラインがあると、このようにおっしゃいました。確かに、この四月一日にも新しく書換えされてそのガイドラインが出ていることは私も承知しています。しかし、それは発送配電一貫体制という現行の状況の中で出てきているガイドラインなんです。  今回の法律は、送配電を分離するという、より中立性ということを確保するということになってきますので、そういう意味で、今あるから、それをそのまま送配電が分離されてもそのことの考え方を踏襲していくということは、私は、環境が違ってきましたから、今あるけれども、それはあくまでも発送配電一貫体制の下で作られたガイドラインなんですよ。それを今度中立性を高めるために送配電を別会社にしますから、だから、今あるんだからこの考え方はこれからも踏襲するということにはなり得ないと思うんですが、いかがですか。
  62. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) そういう点も含めまして、これから関係者の御意見を聞きながら、どういう対応が、まさに憲法上の職業の選択の自由といった点は大変大事でございます。ただ一方で、まさに中立性を客観的に確保できると関係者が思えるような運営ということも大事でありますので、それこそ労働組合の方も含めていろんな意見を聞きながら、納得できるようなものを作っていきたいと、こういうふうに考えております。
  63. 小林正夫

    ○小林正夫君 私は規制をすべきじゃない、こういうことの考えですので、そういうような方向で結論を出してもらいたいと、このことはお願いしておきますけれども、今までのやり取りを聞いていると、大臣の方では何らかのそういうことも検討していきたいんだという、こういうことの繰り返しの答弁がありました。  私はそういうふうになってほしくないと思うけど、仮に、仮にそういうことで規制するのであるならば、保安の人たちが今頑張って働いている、そういう人たちに対する職業選択の自由だとか、そういうことの影響がないように、やっぱり規制の対象だとか範囲だとか、あるいは期間というのは本当に最小限にしていくという努力は必要だろうし、またそういうものにしていかなきゃいけないと思いますけれども、仮に、仮に、仮にですよ、こういう規制を作るのであればそういうものにしていくべきだと私は思いますけど、いかがですか。
  64. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 抽象的で広範なものはやはり問題があるということは事実でありますので、具体的で狭い範囲ということになるんだろうと思いますが、先ほど答弁で申し上げましたけれども、事後的な監視で十分か否かを含めということは、恐らくかなり委員の問題意識に近いことも答弁させていただいたのかなというふうに思っております。
  65. 小林正夫

    ○小林正夫君 分かりました。  次の質問に入ります。  スト規制法についてお伺いいたします。厚生労働省に今日は来ていただきました。ありがとうございました。  昨年五月三十日の第二弾のこの電事法改正のときの本会議で、スト規制法について検討する場が必要じゃないか、こういう話をしたところ、当時の田村厚生労働大臣から、そういう方向で検討していきたいと前向きな答弁がありました。その後、六月の十日の経済産業委員会でスト規制法の在り方に関する検討について、こういうことをやっていくということを確認した上で、去年の九月に労働政策審議会にスト規制法の在り方を検討する部会を公労使三者構成で立ち上げました。これは、厚生労働省が誠実にそういうようなやり取りをきちんと実行に移していただいたこと、このことに対しては、私は改めて感謝をしているところでございます。  そこで、この部会の検討結果がどうだったのか、確認をしたいと思います。
  66. 石井淳子

    政府参考人(石井淳子君) 委員の御指摘のとおり、昨年九月から労働政策審議会にスト規制法の部会を設けまして、審議を六回、そして視察につきましては、中央給電指令所とか、いわゆる新電力発電所も含みまして視察を二回行いまして、検討を行った結果、今年の二月に報告書が取りまとまっております。  この報告書の結論、報告書の中では今後の方向性といたしておりますけれども、まず、現状では電力需給が逼迫をして供給への不安が残っており、また電力システム改革の進展と影響が不透明であることから、引き続き注視することが必要であって、労側の委員からは、スト規制法を廃止すべきとの意見を付記した上で、現時点では存続することでやむを得ないとされたところでございます。  ただ、あわせまして、そのスト規制法の禁止行為に関する解釈通知を現在の電気事業状況を踏まえて見直すということとか、あるいは、電力システム改革の進展の状況とその影響を十分に検証した上で今後再検討するというふうにされたところでございます。
  67. 小林正夫

    ○小林正夫君 委員長、法制局に対する質問、私終わりました。法制局の退席について委員長の方で御判断ください。
  68. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 内閣法制局高橋第四部長は御退席いただいて結構でございます。
  69. 小林正夫

    ○小林正夫君 部会の結論は今報告を受けました。そして、今回スト規制法を残す一つの大きな要件は、現状において電力の供給が不安定であると、そういうことも一つの理由に挙げられております。  そこで、二〇二〇年の四月一日に送配電を分離ということになれば、その電力の今の需給逼迫だとか電力の供給の不安定さというのが私は解消できるからこそ送配電分離に入っていくんだ、こういう判断を多分政府はするんだと思います。そうなると、スト規制法についても、そこで大きな問題だとされていたものがなくなってくるわけですから、その段階でスト規制法について撤廃をする、そういう判断もしてもいいんじゃないでしょうか。厚生労働省にお聞きします。
  70. 高階恵美子

    大臣政務官高階恵美子君) 今ほど労政審の報告書については御報告させていただいたとおりですけれども、まさしく、今電力システム改革を進めているさなかにございますものですから、この度の送配電分離、これが実施された暁には、送配電分離を含む電力システム改革全体の進展の状況、そしてその影響を十分に検証を行いまして、その上でこのスト規制法の在り方を改めて検討をさせていただきたいと考えております。  まず、このスト規制法の在り方部会の中でも、労働基本権の保障とスト規制法の関係、そして電気安定供給と特殊性、そして電力システム改革影響も想定した検討ということで論点を整理して議論していただいておりますので、ただいま御議論いただいておりますこの法案の成立の暁には、またしっかりとスト規制法の在り方も再検討してまいりたいと考えております。
  71. 小林正夫

    ○小林正夫君 これは労働基本権の関係ですので憲法二十八条にやっぱり規定されていて、この規制されていること自体が私は今いい形じゃないと思っております。そして、今回の内容でいくと、例えば新電力で入ってくる人たちにはこういうスト規制は掛からないということになってきますので、同じ事業をやっている中でスト規制掛かるところと掛からないところあると。元々、憲法二十八条から照らし合わせてこれは問題だというふうにされているわけですから、やはりそういう課題だとされていることが解決できていけば、スト規制法というのは撤廃することを早く判断をしてやっていく必要があるんじゃないかと思います。  そこで、宮沢大臣に確認をしておきますけれども、二〇二〇年の四月一日に送配電を分離する、この分離するときには、今言ったような電力需給状況だとか電力システム改革の進展、こういうことがきちんと行われて電力供給にも不安がないと、そういう状態が整ったから送配電分離を実施をしていく、こういう判断になるんですよね。この辺、確認しておきます。
  72. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今回の検証規定につきましては、課題や懸念があればそれを解消するための環境整備に取り組むことで、電力システム改革を最後までやり遂げるという趣旨で設けたものでございます。したがいまして、法的分離の実施が困難になるような安定供給上の課題があれば、これを克服するために様々な措置を当然講じていくということでありまして、しっかりとそういう措置を講じて期限どおり実施できるようにしていくというのがこの検証規定の趣旨でございます。
  73. 小林正夫

    ○小林正夫君 ということは、送配電分離をする段階では今言ったような不安が解消されていると、こういうことになりますね。  そうすると、厚労省にお聞きしますけれども、これはやはりそういう段階でスト規制法撤廃について、それで部会の検討の中でも要は再検討しなさいと、こういうことも付いているというふうに先ほどお聞きしましたので、これはやっぱりそういう段階から関係者を含めていろいろこのスト規制法について再検討、これに入っていく、このことが必要だと思いますけど、そういう取組をしていただけるということでよろしいですか。
  74. 石井淳子

    政府参考人(石井淳子君) スト規制法の在り方につきましては、今議員から御指摘のありました電力の供給の不安という問題に加えまして、送配電分離を含む電力システム改革の進展による影響、これを見るということになっております。電気事業競争環境あるいは労使関係、それから業務に対する影響を十分に検証することが必要であることから、本法案の施行後、具体的には労働政策審議会に今回と同様、有識者あるいは関係労使から成る部会を設置した上で、そこで再検討するべきと考えております。これは、報告書の中におきましても、電力システム改革の進展の状況影響を十分検証した上で今後再検討すべきとされておりますので、そういうことになろうかと思います。  ただ、施行後の労使を含めた労働政策審議会における検討、これを円滑に行うため、施行の前におきましても、厚生労働省としては、例えば電力需給状況やあるいは電気事業競争環境、労使関係、そして業務、この状況については情報収集を行って、その中で関係者の御意見も聞くなどしつつ省内での事務的な検討は進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  75. 小林正夫

    ○小林正夫君 私は、もう早くスト規制法撤廃に向けた再検討を立ち上げてもらってやっていってもらいたいし、やっていくべきだ、このように思っております。今の厚生労働省の答弁に納得はできませんが、是非、省内でいろいろ検討の場を立ち上げて、再検討に対する準備だとか関係者の話を聞いてそういう準備は進めたいと、こういうお話ですので、それはそれできちんとやっておいてもらいたいなと、このように思います。  スト規制法の関係についてはこれで質問を終わりますので、厚生労働省関係についてはこれで質問を終わりました。委員長の方で御判断ください。
  76. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 高階厚生労働大臣政務官及び石井政策統括官、御退席いただいて結構でございます。
  77. 小林正夫

    ○小林正夫君 次に、再エネの拡大について、いろいろ課題があると思いますので、話をお聞きしたいと思います。  これは結局、買取り制度ができてこの七月で丸三年になると思いますが、初めは四十二円で買い取って、今日まで買取り価格が大分変わってきたことは確かですが、一般の国民から見ると、賦課金が非常に大きくなって、四十二円で買い取るというふうに決めたところは二十年間ずっと四十二円が残って、その次がまたずっと二十年間残るということですから、一般家庭にとってはこの賦課金による電気料金が値上げしていくということが大変つらいと、こういうような話も私の方にも聞こえてまいります。  そこで、持続的にこの再生可能エネルギーの利用を進めていくということであれば、今の固定価格買取り制度を中心とした施策について適切に見直しを図っていく必要があるんじゃないかと私は思います。  それで、今エネルギーミックスについて政府としてどうしていくのかという検討がされ、今年の暮れのCOP21に向けていろいろ数字が出てきております。そういうものの動きなどを総合勘案していくと、やはりエネルギーミックスの形が明らかになってくれば、固定価格買取り制度という制度自体私は課題があると思っていますけれども、今日お聞きしたいのは、政府としてどういう課題が今あるのかということと、この見直しについて私は必要だし、やってもらいたいというふうに思っていますけれども、そのことに対してどのように思っているのか、経済産業省にお聞きをしたいと思います。
  78. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 再生可能エネルギーの施策の見直しでございますけれども、まず、その最大限の導入を進める、それから長期エネルギー需給見通しの今回の案で示されたその水準を達成していきますためには、やはり引き続き相当の努力を必要とすることは事実だろうというふうに思っております。  他方、同じ見通しの案の中で、固定価格買取り制度については、再生可能エネルギー導入推進の原動力となっている一方で、特に太陽光に偏った導入が進んだことや、国民負担増大の懸念を招いたという指摘も実際受けております。したがいまして、国民負担の抑制との両立が課題になっているということが改めて認識されたのかなということでございます。  これまでも、昨年のエネルギー基本計画を踏まえまして審議会を立ち上げまして検討を進めてまいっておりまして、今回、エネルギーミックスでの議論を踏まえまして、再生可能エネルギーの最大限導入、国民負担の抑制、もちろん言うまでもなく電力安定供給確保を同時に達成するために、固定価格買取り制度の在り方を含めまして必要な施策についての具体的な検討を加速をしてまいりたいというふうに考えてございます。
  79. 小林正夫

    ○小林正夫君 是非、現実に合った制度にしていくために、私は見直しが必要だと思っていますので、そういう方向で取り組んでいただきたいと思います。  時間の関係で最後に質問しますけれども、再エネの関係は変動が非常に激しいものですから、太陽光なり風力の発電所を造ったとしても、そのバックアップになる電源をつくっておかなきゃいけないということに当然なります。そのために、系統安定化のための追加的なコストだとかバックアップ電源をつくる、そういうことで大変費用が掛かるんですけれども、このことについて、誰がこの費用を負担するのかなど費用負担に関するルール、これをどのように検討を進めるのか、また、どこの場で、いつこういうことを決めるのか、このことをお聞きしたいと思います。  先日の委員会でも大臣からもバックアップ電源の必要性についてはるる答弁がありましたので、このことについてどういうふうに政府は取り組むのか、お聞きをしたいと思います。
  80. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 太陽光あるいは風力、こういった自然変動電源を拡大するのに伴いまして、委員指摘のとおり、バックアップ電源等々の、いわゆる私ども調整コストと言っておりますけれども、これが今後増加するということが見込まれているわけでございます。  今回、エネルギーミックスのコストの議論の中でも、この調整コストというのは一体どんなものがあってどれぐらい掛かるんだろうかという分析を実は行わせていただきまして、例えば自然変動電源対応のために余分に火力発電設備を維持確保しておかなければならない費用であるとか、あるいは火力発電そのものの設備の利用率が低下していったために発電効率が落ちてくると、それに伴って高稼働時に比べて余計に必要となる燃料費の増加分であるとか、あるいは石炭火力を、ストップ・アンド・ゴーと言っておりますけれども、起動、停止が増えると、そういったものに関するコストであるとか等々、幾つかのコストを例示してそれをはじいているわけでございます。こういった調整コストの在り方というのは、実は私ども今のような分析、これは恐らく本邦初演の分析だろうと思うんですが、議論を開始をさせていただいたところでございます。  今、広域的運営推進機関がございまして、この調整力の在り方につきましては広域的運営推進機関におきまして議論を開始をさせていただいたところでございます。一般的な調整力につきましては、託送料金で費用を回収していくというルールがあるわけでございますが、今申し上げましたような様々な調整コスト、こういうものがどういうものであって、それをどのように考えてどのように費用回収していくのかというような点につきましては、今の広域的運営推進機関の議論の場も活用しながら私どもとしても議論を深めてまいりたい、こういう段階であると申し上げさせていただきたいと思います。
  81. 小林正夫

    ○小林正夫君 時間が来ましたので今日はこれで質問を終わりますが、次回、まだ質疑の機会が私はあると思います。原子力の事業環境整備など、こういう課題について次回質疑で扱わさせていただきたい、このことをお話をして、今日は質問を終わります。  ありがとうございました。
  82. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  83. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、長峯誠君が委員辞任され、その補欠として石田昌宏君が選任されました。     ─────────────
  84. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 休憩前に引き続き、電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。  前回質問では、法的分離についてお尋ねをいたしました。今日は、電気についてのもう一つの大きな改正であります小売料金規制の撤廃についてまずお尋ねしたいと思います。  自由化に伴いまして電気料金の設定も自由になっていくということでございますけれども、前回も御答弁でいただきましたとおり、急に値上がりするというようなことがないように、需要家を保護するという観点から、当分の間は経過措置として規制料金維持するということとなっております。そして、こうした経過措置が課される区域といいますのは、国が指定をして、需要家の利益を阻害しないというふうに判断ができればエリアごとに国が指定を外していくという仕組みとなっておりますけれども、この需要家の利益を阻害しないと判断できればという点についてはどういう状況をもって判断するのか、指定を外していくのかということをまず確認させていただきたいと思います。  恣意的であるというようなことの疑念が生じないように、できるだけ客観性を持つ判断基準にしなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  86. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今回の法案におきましては、イギリスで起こったことなどを勘案をいたしまして、小売全面自由化後、旧一般電気事業者に対して経過措置として小売料金規制を掛けることとしておりますけれども、競争状況に応じておっしゃるように解除することとしております。  実際に解除するに当たりましては、電力総需要量に占める新規参入事業者による小売供給量の割合などのまさに新規参入状況、それから、既存電力会社の供給区域内における他の電力会社参入状況などの既存電力会社間の競争状況、さらに、既存電力会社が経過措置として提供する規制料金メニューではなくて自由料金メニューを選択する消費者の割合など、競争の進展状況を慎重に見極める必要があると考えております。加えまして、小売全面自由化後の電気料金の推移、また需要家の全面自由化に対する認知度、スマートメーターの普及状況、卸売電力取引所の活況状況なども総合的に勘案して判断する必要があると考えております。  こういうことでございますので、現段階で具体的な数値目標を解除条件として定めることは困難でございますけれども、消費者に不利益が及ばないと判断できる場合に解除することとしたいと考えております。
  87. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 今御説明いただきましたように、いろいろな事情を総合的に勘案するということで、需要家の側、消費者の側からどのように自由化について捉えているか、認知度が広まっているか、いろいろなところをきめ細かく見ていっていただけるんだと思っております。  そして、その消費者の側からという観点から質問をしたいと思っておりますけれども、自由化に伴っていろんな事業者参入をしてくると、小売電気事業者はいろいろな料金プラン、供給条件を需要家に提供できるようになります。恐らく、時間帯によって電気料金が変わったりだとか、再生可能エネルギーを多く割合として取っているとか、それから東京電力は携帯電話会社とのセット割引ということも検討しているそうですけれども、そうしたほかのサービスのセットということもあると思います。携帯電話料金といいますと、例えば何年間契約ということになっていて、それを経過する前に解約をすると違約金が生じるようなことももしかしたらあるかもしれません。また、料金は少し割高なんだけれどもアフターサービスですとかいろんなところでサービスを充実するということもあるかもしれません。  こうしたように、消費者にとってはもう本当にいろんな選択肢が出てくると。これが改革の狙いの一つでもあるわけでございますけれども、いろんな料金プランができて、また契約内容も複雑化していくと思いますので、消費者にとっては少し分かりにくいと、選択が難しいということも起こるおそれがあるかと思います。  今日も加藤委員からも御指摘がありましたけれども、今や全人口の四人に一人が高齢者ということもございます。インターネットで各社の料金プランを比べて自分に一番どれが合っているかなということを選択できることがちょっと難しいという方も決して少なくないと思います。ですので、情報が不足する需要家に不利ということにならないように、政府としても適切な運用の確保規制を行うことが必要ではないかと思います。  これから契約を切り替えるとかプランの変更をしていくという方々が多く出てくると思いますので、そうした手続についても円滑に行われるように環境整備に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  88. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  今回の電力システム改革の大きな目的の一つが、小売の参入の全面自由化によって需要家の方がどこから電気を買うかその会社を選んでいただける、それに加えまして、料金のメニューを選びたい、そういったニーズにしっかりと応えていただける、そのような多様な選択肢を生み出す、こういったことが非常に重要だと思っております。その意味では、今分かりにくいといったお話がありましたけれども、何か規制をもって料金メニューを、その中身を絞るといったようなことは私ども今は考えていないところでございます。  他方で、その分かりやすさ、あるいは需要家の方に御不便が生ずると、こういったことはあってはいけないと思っておりまして、料金等の情報を的確に提供する、そして、その上で自らの意思でしっかりとした選択をしていただける、こういった環境を整えることが大事だと思っております。  その意味で、これは第二弾の法案の中で手当てをしておりますけれども、小売の電気事業者に対しましては、契約条件をしっかりと需要家に説明をするような義務付けをする、それから締結後に契約の書面として交付をする、さらには、お話がございましたけれども、お問合せあるいは苦情といったものに対してもしっかり対応する、このことを事業者に対して義務付けをしているところでございます。もしこのような義務を果たさないような小売電気事業者がいる場合には、それは私ども今回の法案の中に盛り込みました電力取引監視委員会でございますとか、あるいは大臣が自らこの事業者に対しまして必要な勧告や命令を行うと、こういった措置もできるようにしているところでございます。  加えまして、切替えのお話も出てまいりました。この切替え手続、これ、電気につきましては、広域的運営推進機関におきまして、切替え手続を切替え先、つまり新しい方の事業者の方で一元的に行えるようなシステムを設置するように今準備を進めているところでございます。これができますと、需要家の方は、AというところからBに切り替えたいといえば、そのBのところに御連絡をしていただくことで簡便に、またかつ短期間に契約を切り替えることができるようになるわけであります。  これに加えまして、海外におきましては、先ほどもお話ありましたけれども、価格の比較サイトのようなものも発達しております。こうしたことも日本国内において広まっていくということを期待をしているところでございます。  もちろん、私ども、これらを大前提として国自らが、今回のシステム改革の趣旨を含めまして、消費者の方々、需要家の方々に対しまして広く制度の趣旨、概要といったものをしっかりと周知徹底していくことに万全を期すことは当然ではないかと思っております。その上でしっかりとした消費者の判断と選択というものが行われる。できますれば、そうした消費者の賢い選択によって新しい事業者の創意工夫といったものが生まれてくるといったこともこの改革の中の効果として期待をしたいところでございます。
  89. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 インターネットの有用性を否定するものではありませんけれども、申し上げたとおり、インターネットをどんどん活用できる方ばかりではありませんので、消費者庁ですとか適切なところとしっかり連携をしていただいて周知に取り組んでいただきたいと思います。  今ございましたけれども、消費者からの問合せというところについてもう少しお聞きをしたいんですが、消費者、需要家の側から見ると、発電事業者がいて、送配電事業者がいて、また小売事業者がいてということで、これまでよりも複雑な体制になってくるわけでございます。  直接契約をして、恐らくお金を払うのは小売事業者になるかと思いますけれども、何かあったという場合に、例えば停電、また漏電、ブレーカーの故障、そういうトラブルが発生した場合に、小売事業者はこうした電気の設備を所有したり管理しているわけではないわけでございまして、ですので、そうしたトラブルがあった場合に一体どの事業者がしっかりと責任を持って対応するのかというところを確認をしたいと思います。  小売事業者に問い合わせても、例えば業者によっては対応に違いが出てきてしまったりだとか、小売事業者送配電事業者との間で消費者がたらい回しにされるようなことがあってはなりません。小売事業者サービスは、競争の中で多少の違いは出てくるとは思いますけれども、そうはいっても、どこと契約しても安心をして電気の供給を受けられるという最低ラインといいますか、そうしたことはしっかり確保されなければならないと思います。  こうした消費者からの問合せですとか復旧作業などに迅速にしっかり対応していくという体制はどのように今後取られていくのでしょうか。
  90. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  私どもは、電力自由化あるいは法的分離を実施した場合でありましても、送配電事業者、あるいは今お話のあります小売事業者、こうした方々が相互に協調しながら、例えば停電と、こういったようなトラブルに対してしっかりと復旧、迅速な対応が行うことができるようにしていかなければいけないと思っております。  御指摘もございましたけれども、例えば停電ですとか、そうしたトラブルが生じた場合の復旧作業を担うのは送配電事業者でございます。小売事業者とはなりません。他方で、小売事業者の方につきましては、先ほどの答弁でも申し上げましたように、消費者からの苦情あるいは問合せにしっかり対応するということを義務付けているわけでございます。  その際には、連絡先をしっかりと事業登録のための申請書に記載するといったことで分かりやすい対応ができるようなことを義務付けているところでございますが、トラブルがいざ発生した場合、つまり消費者の方から小売事業者に第一報が入ったときにいかに円滑に対応ができるかというところが大事でございますが、私ども、ここにつきましては、消費者への苦情や問合せの対応をする小売事業者と、それから復旧作業に責任を持つ送配電事業者が相互に連携をするということが何よりも重要でありまして、この点につきまして、これは午前中にもお話ありましたけれども、広域的運営推進機関の方で、平時からの情報共有も含めまして、事業者が協力して対処する仕組みというものをしっかりと整備することとしているところでございます。  この点につきましては、今後の第二段階、第三段階と、段階に応じましてこのルールもしっかりと深めていかなければならないと思っているところでございます。  なお、問合せにつきまして、高齢者の方々も多く、インターネットばかりに頼ってはいけないというお話がありました。私ども、法律上の義務付けとして電話で対応しなければならないと、こういったことを書いているわけではございませんけれども、そうした点も含めまして、消費者の問合せへの対応といったところにつきましても恐らく今後は消費者の方々からの選択といったものの一つの対象になるのではないかと、このように考えているところでございます。
  91. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 次に、スマートメーターについてお聞きしたいと思います。  スマートメーターが普及をいたしますと、自分の電気の使用量というのがすぐ分かるようになると、見える化されるというふうに言われておりまして、電気の使用量が多いなと思えば節電をしていただくとか、いろいろな効果的な省エネということからも期待がされるところでございます。  いろいろと効果が期待されるんですけれども、このスマートメーターには、今申し上げたように、自分の電気の使用状況という情報が蓄積をされることになります。電気の使用量が分かるということは、大体のその方の行動パターンというのが分かってしまいます。家にいていろいろ電気を使っているのかなと、電気の使用量が極端に少ないということになれば、家にいない、留守にしているということも分かってしまうかもしれません。こうした行動パターンなどのプライバシーにも関わる情報でございますので、やっぱり漏えい防止というところをしっかりとやっていただかなければならないと思っております。  政府といたしましては、このスマートメーターに蓄積されていく個人情報を保護していくためにどういった対策を講じていくのか、御説明お願いします。
  92. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 御指摘のとおり、このスマートメーター、ここにはかなりプライバシーに関わる情報というのが取り扱われるということになるわけでございます。したがいまして、そのセキュリティーということにつきましては万全を期す必要があると考えております。  スマートメーターの導入は進みつつありますけれども、その調達に当たりまして、今、各電力会社は、例えばこのスマートメーターに対するアクセスを、特定の手順を踏まないとアクセスできないようなアクセス制御といったこと、あるいは通信そのものを暗号化していくといったこと、そういう対策を講じつつシステムの構築を行っていると承知をしております。  それから、政府といたしましても、当然ながら一定の対策の水準を確保するという必要があると思います。私ども、スマートメーター制度研究会というものを設けておりまして、セキュリティーの専門家あるいは電力会社から構成されますセキュリティーに関するワーキンググループというのを設置いたしまして、その場で検討をしております。検討の中身は、スマートメーターのシステムにおいてどういう脅威が想定されるのか、その脅威があったときにどのような対策を行っていくのかと、そういうことを議論をさせていただきまして、できるだけ早急に統一的なガイドラインというものを作ってまいりたいと考えておりまして、こういったことを通じましてセキュリティー対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  93. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 スマートメーターに蓄積された情報をまずはしっかりと保護するということが大事だと思いますけれども、そこに収集された情報を活用していくということも考えられるかと思います。自分で自分の電気の使用量の状況情報を活用するですとか、また、説明をきちんと受けた上で、本人が同意をした上でほかの業者にその情報が渡るということは特段問題がないかもしれませんけれども、個人に関する情報ですので、知らないうちに利用されるということがあっては決してならないと思います。  他方で、今ビッグデータと呼ばれる大量の電子情報の利活用が注目をされております。企業などが適切また有効に活用できるようにルールを明確にする個人情報保護法の改正案も審議をされているところでございます。商品の例えば購入履歴などの個人情報を、氏名、住所を削除するなどといった、個人が特定できないように加工した上で活用することが可能になる方向の改正案となっておりますけれども、スマートメーターによって収集された電気の使用量に関する情報といったものも、こうしたビッグデータと同様に考えられるんでしょうか。また、今後利活用されるとした場合に、どのように活用されていくことになるのか、お聞きしたいと思います。
  94. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) スマートメーターによって収集された電気の使用量に関する情報でございますが、確かに名前あるいは住所ということと組み合わせるということによりまして個人情報の一部となるわけでございます。  おっしゃるように、このスマートメーターから得られる情報は宝の山であるとおっしゃる人もおられますように、ビッグデータ等として将来活用するといったことも一つ考えられるわけでございますが、当然ながら、この情報を最初に保有する一般送配電事業者情報の提供を受けた小売電気事業者、これは個人情報保護法に沿いまして情報の取扱いを行うということが求められるわけであります。したがいまして、本人の同意を得ない形でその個人情報を第三者に提供したり、当初の利用目的以外の目的に使用するということは、これは原則禁止という形になります。  それから、需要家が小売事業者を切り替えるという、スイッチをするという場合に、新しい小売電気事業者が一般送配電事業者から需要家の電気の使用情報を取得できる仕組みを構築するということにしておるわけでありますけれども、この際にも、需要家本人の同意を確認した上で、その新しい小売電気事業者が同意を確認した上で情報を提供いただいて使用するということでございます。  仮に、個人情報に関する不適切な取扱いということが行われた場合には、必要に応じまして個人情報保護法に基づく勧告、命令というものの対象になります。また、電気事業の運営が適切でないと、それによりまして電気の使用者の利益を阻害しているという場合には電力取引監視委員会によります確認を経て、電気事業法に基づく業務改善命令ということが出されることになるということでございまして、その個人情報の重要性ということに配慮しながらスマートメーターに関する情報を取り扱っていきたいと考えております。
  95. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 先ほどもありましたように、スマートメーター、もう普及も進んできておりますし、東京電力では平成三十二年度までには導入完了ということでどんどん進んでおりますので、そうした個人情報保護に関することについても消費者には分かりやすく引き続き説明を続けていっていただきたいと思います。  それから、省エネルギーについてお聞きをしようと思います。  今後も、そうしたスマートメーターですとか活用しながら、需要家の方々の省エネ意識が向上して、また電力システム全体としても省エネルギー、効率化の方向に進んでいくことが望ましいと考えておりますけれども、アメリカでは、エネルギーの使用量削減をしてエネルギーコストや環境への影響を低下させるために、電気事業者に対して省エネを義務化をして、需要家への省エネプログラムの提供というものを促進をしているというふうに聞きました。  州によって違うかと思いますけれども、この背景といたしましては、電力小売の自由化を行った州で、電気事業者が収益確保のために販売電力を拡大しようとするなどのインセンティブが働いて、電力システムの非効率化につながり得る事態があったというふうに聞いております。  これから我が国でも小売の自由化が進んでいくわけですけれども、同じような、省エネの方向とは違うインセンティブが働いてしまうようなことが起こる心配はないんでしょうか。
  96. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 確かに、アメリカにおきまして、自由化を行いますと、電力事業者がとにかく電気をたくさん売りたいということで、かえって省エネが進まなくなるのではなかろうかという懸念が指摘されているということについて私どもも承知をしております。  他方、御案内のとおり、需要家はできるだけ電気料金を節約をしたいと考えているわけでありまして、小売の全面自由化によりまして、一般家庭に対しましても自由な料金メニューの設定が可能になるわけでございます。  これはある事業者の例でございますけれども、需要が非常に多いと見込まれる日があしたあるとした場合に、その前日に需要家に電話をして、あしたこれぐらいの量を節電してもらえばポイントを差し上げますよと、そのポイントはその事業者に対します電気料金の支払に充ててもいいというような取組を行い始めた事業者もいるわけでございまして、完全自由化によりまして、こういった需要家の電気節電のニーズに対応すべく、ディマンドリスポンスというような形で、エネルギーの効率的な利用を促す料金メニューということも普及することも逆に我々は期待をしているところであります。  また、直近、省エネ法改正の中で、こういった、消費者が省エネに取り組むことができるよう、電気事業者に対しまして、消費者がインターネット等を用いて自らの電気料金を、使用量を把握できる仕組みをつくるということ、それからスマートメーター等の整備計画の公表をしていくということ、それからでんき予報等の電気需給予測情報を提供する体制の整備ということの取組を求めておりまして、この自由化の中でも、むしろそういう形で省エネを進めていくという方向を期待をさせていただきたいと考えております。
  97. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 関連しまして、ネガワット取引についてお聞きしたいと思います。  平成二十五年の電力システム改革専門委員会の報告書でも、節電、また省エネにより生み出される供給余力の活用、ネガワット取引について指摘をされております。今回の法案では、ネガワットを発電された電気と同等の供給力として取引できるように、発電量調整供給の定義を変更するという改正も行われております。ネガワット取引は、現在では新電力などの一部の電気事業者でしか行われていないようでありますけれども、今後、これについても普及していくことが期待されると思います。  ネガワット取引の活性化、また需要家の理解というところも必要かと思いますが、こうした普及のための方策はどのように考えているんでしょうか。
  98. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) ネガワット取引の活性化ということであると思います。  まず、ネガワット取引は、電力会社との間で節電、これ言い換えると需要抑制ということになるんですが、これに関する契約を結んだ上で、依頼に応じて需要抑制をした場合に対価を受け取る仕組みであります。  委員指摘のとおり、現状を振り返りますと、一部の小売電気事業者において活用が始まりつつあるものの、本格的な動きにはなっていなかったのが現状であります。これは、実際にどれだけの需要を抑制したのかを測定する方法等についての指針や実績が不足していたためだと考えられます。  経産省といたしましては、これらに対応を図るために、まず、需要抑制量の測定方法等に関する統一的な指針を示すガイドラインを本年三月に策定をしたところであります。  さらに、ネガワット取引の普及に向けてどのような機器や需要家の組合せが確度高く需要を抑制できるか実際に試してみることが必要であります。このために、平成二十六年度の補正予算も活用をしながら、ネガワット取引の一連の流れの実証を現在行っているところであります。この実証を通じまして、関係事業者にネガワット取引のノウハウ等を蓄積する機会を提供するとともに、多様な需要家の需要抑制実績データを基に国内におけるネガワット取引の導入可能量を推計をしていきたいと思っております。  これらの成果を活用していくことで、ネガワット取引の拡大に今後努めてまいりたいと考えております。
  99. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 ありがとうございました。  次に、今回の法改正で設置されます電力ガス取引監視等委員会について質問します。  本改正案で経済産業省に八条委員会として設置されることになります。事業者に対して報告の徴収、また監査、立入検査などのほか、業務改善勧告も出すことができると。証券取引等監視委員会と比較しましても、同等以上の強い権限を持つ機関となっております。こうした従来にない強い権限を持つ機関として同委員会を設置した趣旨を確認したいと思います。  また、適正な電力またガス取引が行われているかどうかを監視する機関としては公正取引委員会もございますけれども、公正取引委員会との役割分担ですとか、また協力、連携というのはどういうふうに行っていくことになるのか、お聞きします。
  100. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  電力ガス取引監視等委員会、この組織の設置の趣旨ということについてまずお答え申し上げます。  電気事業あるいはガス事業などにおきまして、今回、小売の全面自由化、あるいは法的分離を実施するに当たり、これらを実効あるものとして実現するためにも、自由化される市場におけます取引の適切な監視というものと、それからネットワーク部門の中立性確保のための行為規制の遵守状況監視、これらの業務が非常に重要になるわけでございますが、これらを担う組織といたしまして、これは第一弾の改正電気事業法の附則の中で既に規定がございますけれども、政府は、電気事業の監督の機能を一層強化するとともに、電気安定供給確保に万全を期するため、電気事業規制に関する事務をつかさどる行政組織について在り方を見直し、独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織に移行させると、このような規定があったわけでございまして、この規定に基づきまして、規制監視の対象である電気事業者などから独立して、そして対象の事業者等と伍することができる高度の専門性、これらを備えた機関を設けることとしたわけでございます。  このような新しい監視委員会でございますので、電力を始め一連のシステム改革の成功の鍵を握る組織である、このように言っても差し支えないかと思っておりまして、今申し上げました独立性そして高度の専門性といったものに加えまして、この組織それ自身の権限の強化ということも必要ではないかと、このように考えた次第でございます。そのようなことで、今先生からも御指摘ございました、これまでの八条委員会には前例のない権限として、直接事業者に対しまして業務改善を勧告できる権限、こうした権限を付与したと、このような次第でございます。  なお、公正取引委員会との関係についても御質問がございました。これは、どちらも電力ガス分野の市場監視するという意味では共通をしておりますけれども、それぞれの政策目的があろうかと思っております。私どものつくります電力ガス取引監視等委員会は、これは法律の根拠が電気事業法あるいはガス事業法に基づくわけでございまして、託送供給における差別的取扱いといったようなことも含めまして、電気事業あるいはガス事業の健全な発達を阻害する行為を排除するということで、これまで資源エネルギー庁自らが担ってきた監視の業務などを行うわけでございます。加えまして、行為規制の遵守状況監視も行っていく予定であります。  他方、公正取引委員会、これはもちろん電力ガス以外の市場全体を見ているわけでありますが、公正かつ自由な競争の促進を通じまして消費者の利益を確保すると、こういうことで、新規参入妨害行為などの競争制限的行為、こうしたものに対する独占禁止法の執行というものを担う組織であろうかと思っております。  こういった二つの組織でございますけれども、これまでも私ども経済産業資源エネルギー庁と公正取引委員会との間では、共同でガイドラインを作るなど様々連携をしてやってまいりました。したがいまして、今後も、これら二つの組織が情報共有を行うなど、市場監視するという機関といたしまして互いに連携を図っていくことが大変重要だと思っておるところでございます。
  101. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 今御答弁ありましたとおり、電力ガス取引監視等委員会は、職務の性質上、中立性、公平性が確保されなければならないわけでございます。  しかしながら、大変高度の専門性が必要になると思います。そうなりますと、電気ガス事業者の関係者が委員に就任をしたりとか、また事務局に出向したりする可能性も考えられるかと思います。そうした場合、どの事業者からも中立性、公平性について信頼を得なければならないわけでございますので、問題が生じることはないのか、この監視委員会についての中立性また信頼、どのように確保していくのか、お聞きしたいと思います。
  102. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) お答え申し上げます。  この電力ガス取引監視等委員会の中立性をどう確保していくのかということかと思いますけれども、御案内のとおり、電力取引の監視、こういうものは、電気事業等のほか、法律あるいは経済あるいは工学といったものの専門性が非常に重要でございまして、事務局も含めましてこうした識見を有する多様な人材から成る組織というふうにしていくのが適切であると考えております。特に、この委員につきましては、その職務につきまして公正かつ中立的な判断をすることができる者であることを任命要件という形で法律上に規定をさせていただいております。  したがって、例えば電力会社あるいはガス会社に在籍をする役職員を委員に任命することはありません。それから、籍を外れたOBみたいな場合であっても、その電力会社ガス会社の前職において経営に影響を与えてきた、そういう者を任命するということはないというふうに考えております。  また、事務局の職員につきましても、これは弁護士、公認会計士等々の外部人材を積極的に採用をしていきたいと考えております。役所、資源エネルギー庁等の職員の場合は電力に関する行政経験もございますので、その知見を生かすということはむしろ有用であるかなと思っておりまして、ある程度事務局に配置するということは想定をしておるところでございます。  他方で、この委員会監視規制の対象から独立した組織とする必要があるわけでございますので、職員といえども、電力会社ガス会社に在籍している職員というものを事務局職員に採用するということはないと考えております。  他方で、電力会社ガス会社影響下にある者等でないような、過去で職務経験のある人が、非常に有能な人がいた場合、そういう場合まで採用を一律に否定するということはないと考えておりますけれども、電力会社ガス会社影響を与える、あるいは影響を受けたりする関係にある者を採用するということについては慎重であるべきと、そういった方針で臨みたいと考えております。
  103. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 電力ガス取引監視等委員会広域的運営推進機関の関係についても確認をさせていただきたいと思います。  電力ガスなどの取引について二つの公的な機関が関わることになるわけですけれども、例えば送配電事業者の公平性について新規参入事業者が疑問を持ったというような場合に、この取引監視委員会広域的運営推進機関で権限が重複したりだとか、また責任の所在が不明確になったりしないで、役割をそれぞれ十分に発揮できるようになっているんでしょうか。この点、確認させてください。
  104. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  取引等監視委員会広域的運営推進機関の関係でございます。  まず、大きな違いといたしまして、広域的運営推進機関は、全ての電気事業者、これを会員とする民間の組織でございます。これに対しまして電力ガス取引監視等委員会は国の行政機関であると、まずこういう組織の性格付けが異なります。  その上で、広域的運営推進機関でございますけれども、日本全体としての送配電網の広域的かつ効率的な利用を実現するということで、公平な系統利用のルールでありますとか手続を整備する、これを会員に対してしっかり守らせると、このような組織として存在をするわけでございます。  他方で、国の行政機関でございます監視委員会は、先ほども御説明申し上げましたように、市場における取引の監視、あるいは中立性を確保するための厳格な行為規制、遵守状況監視していくと、こういったことになるわけでございまして、最終的に事業者に勧告を行うと、こういったこともあるわけでございます。  具体的に先生の方からお話がありました送配電網の中立性に疑いが生じたといったような場合にどうなっていくかということを考えますと、まずは恐らく広域的運営推進機関、これはお互いに会員になっておりますので、まずはその広域的運営推進機関のルールに基づきまして、事業者間で自主的な解決というのをまず探られるのではないかなと、このように考えるわけでございます。  しかし、その上で更に違法の疑いがあって、そこがなかなか除去されていかないということになりますと、監視委員会が直接立入検査を行う、あるいはこの広域的運営推進機関それ自身に対して報告徴収を掛けると、こういった役割をして、情報収集をいたしまして違反行為の有無を検証していく、そして最終的には物事が悪い状況を是正すると、こういうところまでしっかりとこの監視委員会役割を担っていくということになろうかと思います。  広く全体として申し上げますと、広域的運営推進機関は、送配電網をいかにして効率的に運用できるか、そしてそれを整備していくかと、こういったところに主目的を持っているものに対しまして、監視委員会は、市場における取引の適正性でございますとか行為規制の遵守状況監視していく、そして悪いことがあればそれを是正する、こういった大きな役割分担を持っていると、このように申し上げたいと思います。
  105. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 時間が迫ってまいりましたので少し質問を飛ばしまして、最後に大臣に附則のいわゆる検証規定についてお聞きをしたいと思います。  本改正案には、附則にいわゆる検証規定が置かれておりますけれども、電気事業を取り巻く状況につきまして、第二段階の改正法の施行前、また第三段階改正法施行前と第三段階の改正法施行後五年以内という時期におきまして、改正法の施行状況、またエネルギー基本計画に基づく施策の実施状況ですとか電気需給状況などについて検証を行うと、そして政府において必要な措置を講ずるという規定となっております。  こうした規定を設けた趣旨についてお伺いしたいと思いますけれども、需要家の利益になる改革を進めていく姿勢というものに変更はないものと考えますけれども、大臣の御所見を伺います。
  106. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今回お願いしております改正は、電気については第三弾、ガスについては一遍で全部と、こういうことで長年続いてきております仕組みを大きく変えるということでございまして、様々な課題を検証し克服しながら進めていくことが必要であると考えております。  そういった観点から、附則の七十四条でいわゆる検証規定を置いておりますけれども、趣旨は、検証を行った結果、課題や懸念があれば、それを解消するための環境整備に全力を尽くすことで電力システムまたガスシステム改革を最後までやり遂げると、こういうことでございます。  この規定に基づきまして、今後審議会などの場で検証を行っていくことになるわけでありますが、検証に当たっては透明性の高い議論を行うことが必要であり、国民の皆様にも分かりやすい形で進めていきたいと考えております。
  107. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 以上で終わります。ありがとうございました。
  108. 東徹

    ○東徹君 維新の党の東徹でございます。  電気事業法のことについていろいろと質問が進んでいっておりますけれども、そもそも、我々維新の党としても、この電力自由化、そして発送電分離、こういったことは是非やっていくべきということで掲げてまいりました。  今年の二月十二日の第百八十九国会における安倍内閣総理大臣の施政方針演説におきましても、「電力市場の基盤インフラである送配電ネットワークを、発電、小売から分離し、誰もが公平にアクセスできるようにします。ガス事業でも、小売を全面自由化し、あらゆる参入障壁を取り除いてまいります。競争的でダイナミックなエネルギー市場をつくり上げてまいります。 低廉で安定した電力供給は日本経済の生命線であります。責任あるエネルギー政策を進めます。」ということで、まさしくそのとおりだというふうに思っておるんですが、いろいろと質問を聞いておりますと、本当に低廉で、特に電力が安い料金になっていくのかなというところが一番私としては気になるところではあります。  この本法律案の趣旨そのものが、革新的な技術の導入や異なるサービスの融合などダイナミックなイノベーションを創出して、料金を最大限抑制していくということで消費者利益の向上を目指していくものというふうに思っておるんですが、そんな中で、やはりエネルギーミックスを見ますと、二〇三〇年、原子力が二〇から二二パー、原発がですね、そういった状況の中で本当にこれが進んでいくのかなというところが若干心配なところと。そしてまた、これは非常に難しいところでありますが、地球温暖化ガス、これもやっぱり削減していかないといけないという、こういったところの部分大臣も大変御苦労されているというふうなところは非常に分かるわけですけれども、そんな中で、今日はちょっとガスのことについて、これまでもガス事業についても質問されておりましたけれども、ガス事業についてまず質問させていただきたいというふうに思っております。  我が国は、都市ガスの原料である天然ガス、これはほぼ全て液化天然ガス、LNGの形で輸入しておるわけですけれども、輸入されたLNGは全国三十三か所のLNGの基地で気化をされて、そして導管網に送られていっております。LNG基地ガス事業にとっては欠かせないものであります。  公正取引委員会は、二〇〇〇年に適正なガス取引についての指針というものを出しておりまして、LNG基地事業者が第三者によるLNG基地利用のルールを明確にするため要領等を策定することなどを定めて、LNGの基地利用を推進してきました。しかしながら、第三者による基地の利用実績というのはこれまでにはありません。第三者利用は進んではいないわけでありまして、石油元売会社など、調達力はあってもLNG基地を利用できなければガス事業参入できないわけであります。  今回の法案では、第三者が基地を利用する場合の約款の作成、公表義務をガス製造事業者に課すなどの措置が講じられておりますが、これでどれだけ第三者利用が進むと見込まれているのか、まずは御見解をお伺いしたいと思います。
  109. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 委員おっしゃるとおり、ガスの小売、卸売に参入するためには、しっかりとタンクにガスを持っていなければいけないというようなことで、LNGのまさにタンクに第三者のガスを入れるということは大変大事な政策になるわけですが、御質問にあったとおり、残念ながらこれまでのところ、ガイドライン等を作成したにもかかわらず、自主的な取組では現実にはそういうことは起こってこなかったということであります。  今回の法案におきましては、LNG基地の利用条件を明確化し、第三者が基地を利用しやすい環境を整備するために、一定規模以上のLNG基地を保有する事業者に対し、他の事業者が利用できる容量の公表や料金の算定方法などの基地利用約款の策定を義務付ける制度を創設することとしております。さらに、第三者利用を理由なく拒否することを禁じることとしております。  また一方で、もう一つ問題がありますのは、LNGにつきましては、ほとんどのLNGにつきまして仕向地条項というものがありまして、要するに降ろせる港が決まってしまっていると。これ、産出側と需要側の国の力関係でそういうことになっているわけですが、今、その仕向地条項を相当柔軟にすべく我々としても実は努力をずっとしておりまして、何とか仕向地条項を更に緩和させること、相まって第三者利用といったものも盛んになってくるんだろうと期待をしております。  現在のLNG基地の利用状況は、発電向けと都市ガス向けの供給割合に応じて各基地で実は大きく異なっておりまして、余力のある基地も存在いたします。また、発電所の稼働状況など、今後の電源構成の変化により余力が増す可能性もございます。  したがって、どの程度第三者利用が見込まれるかという、定量的にはお示しすることはできませんけれども、今回の法案によって利用ルールの明確化が図られれば、事業の予見可能性が向上し、例えば大需要地に基地を持たないLNGを調達できる石油事業者、要するに、石油事業者基地というのは大需要地には余りないものでございますので、そういう石油事業者などが新たな都市ガス小売事業や地方のガス事業者に対する卸売事業参入することを期待をしているところでございます。
  110. 東徹

    ○東徹君 宮沢大臣は先般の本会議でも大体同じような答弁をされておられるんですけれども、他の事業者が利用できる容量を公表するということなんですが、これ、利用できる容量というのがどれほどあるのかというところは、一体どこまで把握されているのかなと。  あるガス事業会社に聞きますと、そんなに容量が、空いている容量というのは、余力は余りないというようなことも言われたりとかするわけでして、これは当然季節によっても容量の余力のないときあるときと出てくるんでしょうけれども、この点について、容量、どこのLNGの基地ではこれだけの容量が空いているとか空いていないとか、年間通してそういった数量の把握というのはされているんですかね。
  111. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  私ども現時点で事業者の方から正確に数値として承知をしておりますのは、基地の容量だけでございます。したがいまして、今おっしゃっていただいている空き容量が正確にどうであるかというところまでは、現時点では掌握はできておりません。  ただ、先ほど大臣の方からも御答弁ございましたように、発電向けあるいは都市ガス向けと、その基地状況によってそれぞれ私どもタンクの回転数なんかは承知をしておりまして、そういう意味で、どれぐらいの需要を、使われているかと、こういったことはある程度の、感覚的には理解をしているわけでございまして、その意味で、先ほど申し上げましたように、今後、今回の予見可能性を高めるというルールの整備によりまして実際に第三者の利用が進むことを期待していると、このように申し上げたいと思います。
  112. 東徹

    ○東徹君 是非ここ、これ自由化ということで第三者利用が進んでいかないとなかなか自由な競争も生まれないわけでして、料金もこれでは下がらないというふうに思うわけですね。ということは、やはり空き容量をきちんと経済産業省としてまずは僕は把握する必要があると思うんですね。  これ、是非把握をまずすることから始めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  113. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) 御指摘の点、大変重要な指摘だと思います。  まず、私ども、そうした作業に入る前に空き容量をどういうふうにして算定するのかと、この辺のルールもしっかり作らないと、各事業者によってその定め方というものが変わってこようかと思います。この辺についても、まずしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
  114. 東徹

    ○東徹君 続きまして、ガス事業の保安体制とかそういったことについてまずお聞きさせていただきたいと思っております。  先日、五月の二十一日でしたけれども、東京ガスの保安体制について視察をさせていただきました。また、今週の月曜日には、大阪ガスさんの方の保安体制についても視察にちょっと個人的に行かせていただきました。ガスは可燃性の物質である上、阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓もあることから、これまでガス会社は保安体制の構築にはかなりの時間とお金を掛けて取り組んできたというふうに視察をして改めて思いました。  本法律案では、事業類型の見直しに伴って、ガス工作物の緊急保安、それから内管の漏えい検査をガス導管事業者に、消費機器の調査、それから危険発生防止周知の義務をガス小売事業者に課しておるわけであります。これまでは、導管から家庭内の内管、消費機器の調査、危険発生防止の周知まで、保安業務を一般ガス事業者が一貫してこれを担ってきたわけでありますけれども、これが別々の会社に分かれるとどこまで連携がうまくいくのかというのは非常に分からないなというふうに思っております。  特に、大規模災害においては、被害情報の収集と、それから供給停止の判断、漏えい緊急対応、それから被害箇所の修繕対応など、復旧対応においてもこれまでと同様に全国からの応援体制があるのかとか、こういうときの復旧のシステムとか、そういったことは同様に維持できるのかどうか、そのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
  115. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) お答えいたします。  災害時におけるガス導管の保安につきましては、基本的には現在の一般ガス事業者であるガス導管事業者が担うこととなっております。このため、被害情報の収集、供給停止判断、ガス漏えいの際の緊急時対応や、導管被害箇所の修繕対応などの復旧対応においては、既存ガス事業者による全国からの応援体制は法改正後も引き続き十分生かされると考えております。  また、この法改正におきまして、災害時対応においては、ガス導管事業者ガス小売事業者が保安に関して相互に連携協力をすることが不可欠であるとも考えておりまして、そのために、今般、ガス小売事業者を含む全てのガス事業者が保安に関し連携協力する義務を課したところでございます。
  116. 東徹

    ○東徹君 この後も、法的分離がなされた後も維持されていくというふうなお答えでありますけれども、そこは一番懸念されるところでもありますので、しっかりとその辺のところは大丈夫なんだということをお示しをこれからもしていっていただきたいと思います。  災害発生時などの緊急の場合には、ガス導管事業者がその専門性に基づいて災害対応を主導するということが考えられます。しかし、この場合、ガス導管事業者は日常的に需要家と接点がないわけでありますから、需要家が具体的にどのような消費機器を使っているか把握していないということが想定されるわけであります。一方、ガスの小売事業者は消費機器調査などを通じて需要家の消費機器情報を把握することが可能でありますから、需要家の了承の下に小売事業者が把握する情報ガス導管事業者に提供できる、そういった仕組みをつくるべきというふうに考えますが、この点についてお伺いをしたいと思います。
  117. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) ガス導管事業者が緊急時対応を行うに当たっては、あらかじめ需要家が有する消費機器の設置状況などの情報を把握することが大変重要だと考えております。そのため、これ委員指摘のとおりでありまして、需要家と直接接点を持ち、消費機器の安全性調査を行うガス小売事業者から緊急時対応を行うガス導管事業者に消費機器情報を提供する仕組みをつくっていくことが大変重要だと考えております。  今後、審議会において、消費機器情報の事前共有を含め、ガス小売事業者ガス導管事業者連携協力の在り方を検討していくとともに、託送供給約款や保安業務規程により、連携協力の実現を担保してまいりたいと考えております。
  118. 東徹

    ○東徹君 これはまたちょっと違う話かもしれませんが、以前に、パロマ工業という会社が一九八〇年四月から一九八九年七月にかけて製造した屋内設置型の瞬間湯沸器なんですけれども、同排気ファンの動作不良を原因とする一酸化炭素事故が発生して、これで死亡が二十一人、重軽症が十九人という事件があったわけでありまして、過去にもこういったこともあったということで、しっかりと、どういうようなガス機器を使っているかということの把握というのは、非常に改めて大事なのかなというふうに思いました。  続きまして、水力発電についてお伺いをしたいと思います。  これにつきましては、岩井務官の方からも以前、私は以前に造る側にいたんですということで、大変専門家なんだなというふうに理解はさせていただいておるんですが、是非お伺いさせていただきたいと思うんですけれども、水力発電については更に導入拡大が可能だというふうなことで、既存ダムの発電設備の設置と、それから既に発電されている既存ダムの発電設備のリプレースで効率を高めることができるというふうにお話をしていただいておりました。このことでどの程度拡大できるのかというところを、是非、調査中だと言わずにお示しいただきたいなと思いまして、よろしくお願いいたします。
  119. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 今回は私の方からお答えさせていただきます。  水力発電そのものはベースロード電源として位置付けられるものでございまして、今調査中という話がございましたけれども、長期エネルギー需給見通しというものを我々の方でやっている、まだ案の段階でございますけれども、この中でも最大限導入を見込んでございます。  具体的には、既存ダムや水路等における未利用の落差を活用した発電設備の設置や既存発電設備のリプレースによる出力増加によって、大規模なもので四十五万キロワット程度、中小規模で四十九万キロワット、合計で九十四万キロワット程度の導入拡大を見込んでございます。
  120. 東徹

    ○東徹君 多分、岩井務官にお聞きしても同じ数字が返ってくるんだろうなとは思うんですが。  ここがやっぱり限界なんでしょうかね。非常に日本って、水力発電ってもっともっと余力があるんじゃないのかなというふうに私自身は思っているんですけれども、ちょっとその辺の御所見をお伺いできればと思うんですが。
  121. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 九十四万キロワット程度の導入拡大ということでございましたが、今後、いろいろな状況を勘案しながら、適地とか、そういうことを更に検討していく必要はあるかと思っております。  以上でございます。
  122. 東徹

    ○東徹君 ありがとうございます。  続きまして、石炭火力発電についてお伺いしたいと思います。  まず、石油火力発電についてなんですけれども、石油火力発電は、これエネルギーミックスでは二〇三〇年に三%程度ということになっておるんですね。これは大臣のいつも非常に危惧されております地球温暖化という問題、それから発電コストの問題、こういったことを考えると、この石油火力発電というのは発電コストが二十八・九円から四十一・七円ということで、非常に発電コストというのは石油火力発電、高いんですよ。  石油火力発電は将来的には火力発電とは私はこれ言えないんじゃないのかなというふうに思っていまして、発電コストの安い石炭火力とか温室効果ガスの少ないLNGで十分これから将来賄っていくことができるというふうに思うんですが、二〇三〇年には、是非これは三%と言わずにゼロにしていくべきだというふうに考えるんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  123. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) 石油火力についてのお尋ねでございます。  先生御指摘のとおり、石油火力は、LNG火力、石炭火力などと比較いたしますと、燃料費が高く、CO2の排出量というのもこれは発電量当たりで石炭に次いで高いと、こういうデメリットがございます。他方で、出力の調整が容易でございますので、電力需要のピーク時の供給力として一定の機能は担っていると、こういう電源であると考えております。  また、石油火力につきましては中東に依存度が高いと、こういう問題もあろうかと思いまして、燃料の供給安定性という点でも問題があるわけでございますが、一方で、貯蔵がしやすい、あるいは輸送がしやすい、さらにはそれが重なりまして備蓄量も多いと、こういったことでございまして、突然の発電所の停止、こういったことがあった場合に代替する役割と、こういったことが期待できるわけでございます。実際に、先般の大震災後、この石油火力の稼働を増加させることで何とか供給力不足を乗り切ったと、こういった経緯もあるわけでございます。  こうしたことを踏まえますと、石油火力についてゼロをというお話ございましたけれども、今後も一定程度の量を確保していくことにこれは意義があると、このように考えている次第でございます。
  124. 東徹

    ○東徹君 これはやっぱり考えていかないといけないのかなというふうに思うんですね。中東に依存しているという問題、このことを考えても将来的にはこれゼロにすれば、まあ別な話になってしまいますが、ホルムズ海峡のああいった問題も心配なくなるんじゃないのかなというふうに一方思いますし、そしてまた、ここでもよく議論されています温室効果ガス、これはもうLNGに比べたら当然多いわけでありまして、これは、そういう意味で考えると、是非これゼロにやっぱり近づけていくということをする必要が必ずあるというふうに思うんですが、宮沢大臣、これ是非お考えすべきというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  125. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まさに、例えば太陽光発電が、一天曇って雨が降ってきて、突然太陽光の電力が使えないといったときにバックアップが必要になるわけですが、私もいろいろ勉強させていただきまして、かつて我々小学生の頃は石炭をたいただるまストーブでやっておりまして、その後、ガスストーブもあり石油ストーブも発達してきたわけですけれども、やはり瞬時のこの瞬発力というのに、だるまストーブというのはなかなか瞬発力がない、そしてガスと石油の間でもやはり石油の方がかなり瞬発力があるということで、やっぱりある程度これを置いておかないと、なかなか緊急時といいますか、突然風が止まる、突然雲が出てきて雨が降るというような事態にはなかなか対応できないという中で、必要最小限を計上したのが三%という数字だということを御理解いただきたいと思います。
  126. 東徹

    ○東徹君 そうでしょうかね。これは本当に、是非これ考えるべきじゃないのかなというふうに思うんですね。  これ、やっぱりコストの問題、それから温室効果ガスの問題、こういったことから考えると、やっぱり石油火力発電というのはもうちょっとこれ時代遅れだと思いますよ。これだけやっぱり石炭も、どんどん火力発電所を増やしていっていて、それからLNGもどんどん増やしていっていて、まだ石油を、油をたき続けないといけないという時代では全然こう思えないんですね。  一方で、ちょっと時間なくなってきましたが、最後の質問にさせていただきたいと思うんですけれども、資源エネルギー庁の資料によりますと、太陽光とか風力の発電を優先的に稼働させることによって火力発電の設備容量の九割程度が抑制、停止するという算定結果が出ているんですね。九割、火力発電の設備容量を停止、抑制するということで、これは全体的な発電コストの増加を意味しておって、国民負担もこのことによってやっぱり大きくなるわけですよね。  石炭火力発電所は新設が多く予定されておりますし、ますます火力発電の稼働率が低下していくと、一方では低下させていこうとしているわけですね。これは再生可能エネルギーの導入と火力発電の稼働率の維持、これはどのようにこれ考えているのか、まずここをお聞きしたいと思いますが、これで終わると思いますので。
  127. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 今委員指摘されたような難しい問題があるということを踏まえた上で、この四月の一日に発足をいたしました広域的運用推進機関におきまして、一般送配電事業者安定供給維持するために必要な調整力の在り方について既に議論を開始したところでございます。  この自然変動電源の導入拡大に伴いまして火力発電の稼働率の一定程度の低下は避けられない、それによる調整コストの増加もある、この課題は重要な課題として認識した上で、送配電事業者の調整力の確保に必要な費用、これは託送料金で回収することとしておりますけれども、それ以外のコストについても、こうした議論の場を活用しながら、今後とも火力発電等の必要な調整力を確保できるように費用負担の在り方も含めて検討をしてまいりたいと考えております。
  128. 東徹

    ○東徹君 非常に何か矛盾しておって、そして、こんなのではコスト、料金もこれでは下がらないんじゃないかと、そういうふうに思います。  時間になりましたので、これにて終わらせていただきます。ありがとうございました。
  129. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  前回委員会大臣から、原発も石炭火力も駄目というならどうするのかという発言がございました。まず初めに、それに答えてまいりたいと思います。  目指すべきエネルギー政策は、二〇三〇年で少なくとも再生可能エネルギーの比率を三〇%とすると、そして本格的に大量導入に向かっていくと。さらに、省エネを徹底する、持続可能な低エネルギー社会を実現する、そのことによって決定的に低い日本エネルギー自給率を高めること、これを目指すべきだというふうに考えております。ただし、やっぱりつなぎの電力で火力に頼らざるを得ないという時期があることは確かで、バックアップということも含めて、やっぱりそこは、石炭火力に依存することなく、二酸化炭素排出が低いLNGとしていくべきだと考えております。  そこで、質問をしたいと思います。  燃料の価格で見た場合、最も低コストとなる電源は何でしょうか。
  130. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 燃料費だけで見てみますと、先般、私どもが明らかにさせていただきましたコスト検証の結果、二〇一四年のモデルプラントでありますけれども、それは、再生可能エネルギーは、バイオマスを除きましては、これは燃料費はゼロ円でございます。そういう意味では、燃料費のみにつきましては再生可能エネルギーが最も安い燃料費ということでございます。もちろん、発電コストはその他の費用もございますので、燃料費だけで比較するのは適当かどうかという問題はあるかと思いますが。
  131. 倉林明子

    ○倉林明子君 要は、持続可能なエネルギー源ということで再エネに、コストがゼロだから、燃料価格がゼロだからということでやっぱり世界的な普及が進んでいる、それが背景にあると思うんですね。  導入時に確かにコストは高くなるということなんだけれども、中長期的に見ればコストが下がる、これが再生可能エネルギーの大きな特徴だと思います。他方、化石燃料の価格、これは今後も上昇するという推定があります。  そこで、資料を御覧いただきたいと思います。  二〇一〇年レベルの価格のところでいうと、一番高いのは確かに太陽光ということになっております。ところが、二〇三〇年のところで見ていただきますと、価格が一番高いのが石油ということになっております。この太陽光の下がり方というのは、中長期的により効果が出てくるということがよく見て取れるかと思うんです。日本経済研究センターの二〇五〇年への構想でも、同様の推計がされております。  現状推移シナリオ、このまま行けばどうかということと、原発ゼロの下で今から省エネ、再エネを積極的に導入する場合、この場合、電力価格はどうなっていくのか。これも研究所の資料として提出をさせていただいております。それは二枚目になっております。  要は、現状推移シナリオは赤でございます。自然エネルギー中心の取組を今から始めていったらどうかということで、確かに二〇三〇年のところまでは自然エネルギー中心のシナリオで歩んだ場合、高くなるんです。しかし、注目すべきは、それ以降の価格について、どんどん二〇三〇年以降については自然エネルギー中心シナリオの方が下がっていくというところを見ていただきたいと思うんですね。  二酸化炭素が削減できる、さらにエネルギー自給率は向上できる、コストは下がると、再エネ導入は極めて有効だと考えるんですけど、いかがでしょうか。
  132. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、いただいた資料についてちょっと質問しますと倉林委員から嫌われるんですけれども、この数字自体がどの程度正直言って信憑性があるかということについては、相当これは検証してみなければいけないなという気がいたします。  例えば、風力についてこんなに安くできるのかな、また、地熱についても相当今は初期費用等々掛かっておりますけれども、こんなに安いのかな。一方で、原子力とか水力はずっとある意味では発電価格が同じというのは分かるんですけれども、同じような意味で、じゃ風力、特に地熱が何で横一本になっていないのかなというような、いろいろ疑問があるということを申し上げた上で申し上げますけれども。  まず、LNGについては私どもはベースロード電源とは考えておりません。それはなぜかといいますと、価格の面でもちろん石炭の方が安いということはありますけれども、さらに、先日、安井委員からも御質問いろいろありましたけれども、中東依存度、特にホルムズ海峡の内側から持ってくるものが二五%近くあるということで、これをベースロードとした場合には、いざというときには発電ができなくなってしまうという点でやはりベースロードとはできないというふうに考えております。  その上で、これはもう繰り返しになりますけれども、自給率、また電力コスト、そして高い温暖化ガス削減目標ということで今回お示ししたエネルギーミックス案になっているわけでありますが、コストということを考えたときに、原子力と石炭というものをやはり中心に据えておかないと、国民負担というものがとてつもなく跳ね上がってしまう。  特に、太陽光発電というものは、各国においてやはりベースロード的には扱えない電源でありまして、ただし風力についてはやはり状況が違っていると思います。風力につきましては、やはり大変適地におきましてはそれなりに安定した発電が期待できるということで相当頼りになる電源でありまして、そして再生可能エネルギーの中でも大きなウエートを占めておりますが、残念ながら我が国においては、その風力につきまして適地が少ない。まさに、通年で安定した風が吹いて、また大平原がある等々といった適地がないといったところで、いろいろ増やそうと思ってはおりますけれども、相当限度があるということをよく御理解いただきたいと思います。
  133. 倉林明子

    ○倉林明子君 この試算は、私が勝手に作ったものじゃないんですよね。IPCCにも関わったようなシステム研究所から提案されているものだということで、ここで示されている再エネ導入した場合の将来性について、私はしっかり政策的にも生かすべきだということで申し上げておりますので、受け止めていただきたいと思います。  そこで、経産省が示していますコスト検証の中で、モデルプラントの試算結果について私確認したいと思うんです。  原子力、石炭、太陽光、これ住宅の場合で結構です、それぞれについて、二〇一四年、二〇三〇年の発電コストはどうなっていますでしょうか。
  134. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) お答え申し上げます。  これは先般のコスト検証を行った結果でございますが、まず二〇一四年のモデルプラントの発電コストであります。キロワットアワー当たりで申し上げますと、原子力が十・一円以上、石炭は十二・三円、住宅用の太陽光が二十九・四円と算定をされております。それから、二〇三〇年のモデルプラントの発電コストにつきましては、同様にキロワットアワー当たり、原子力が十・三円以上、石炭は十二・九円、住宅用太陽光は十二・五から十六・四円と算定をされているところでございます。ただし、この住宅用太陽光というか、太陽光、風力等につきましては、これと別途調整コストというのを試算しておりまして、この二二から二四%程度の導入量の場合は、年間四千七百億円程度のコストが調整コストとして別途掛かるという試算を出させていただいております。
  135. 倉林明子

    ○倉林明子君 どないしても太陽光を高く見せたいというふうに今聞いていて思ったんですけれども、太陽光の場合、経産省のこのコスト検証に示された額でも、二〇一四年は二十九・四円だったものが十六・四円に下がっている。これは経産省自身のコスト計算でも示された、これ事実だと思うんですね。  そこで、モデル計算で唯一、私、上限が示されていない原発について聞きたいと思います。  どこまで上がるのか不明なまま、これは安い電源と言えるのかと思うんですね。新規制基準に対応するためにどれだけの費用が見込まれているのか、確認できますか。
  136. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  今回のコスト試算の過程で、現在、新規制基準への適合性審査を申請しております十五原発二十四基につきまして、追加的安全対策費の最新の見通し、これを調査させていただきました。その結果、一基当たり約一千億円と見込まれた次第でございます。  今回の発電コスト試算を行った審議会におきましては、この追加的安全対策費につきまして、モデルプラント方式を用いて試算しているため、新規制基準があらかじめ明らかであれば不要となる費用を除くべきと、こういった議論がありました。これを受けまして、そのような費用を慎重に特定いたしまして、発電コストの試算の際には、この一千億の中で六割に相当します一基当たり六百一億円、これを追加安全対策費として計上し、結果としてキロワットアワー当たり〇・六円と算入させていただいている次第です。
  137. 倉林明子

    ○倉林明子君 こっちは割引するんですよね。二十四基で出てきた額は合計二兆四千億円になっているわけですよね。ところが、その分で今引いてもええというようなところを見込んでコスト検証では試算したんだということが今分かりました。  改めて適合審査の中でも追加の安全対策が求められて、当初の見込みよりも安全対策費用は個別の原発で増加したという経過があります。さらに、新規制基準というのは固定されたものではありません。安全性向上させるために見直すということを前提にしております。安全性向上のための費用、更に上積みされるという可能性が極めて高いものであります。老朽原発の延命の安全対策費用、六十年を目指す、かなり手挙げるん違うかと大臣はおっしゃったけれども、これ極めて高額に安全対策費がなっていくだろうと思います。  再稼働を前提として原発を維持すれば、一基も原発が動いていないということでも多額の維持費用が掛かっている、これが、資料でお付けいたしましたけれども、三枚目、これ決算資料で調べていただきまして整理したものです。二〇一四年度、これは一基も動いておりません。ところが、九社合計で一兆四千二百六十五億円というお金が掛かっているわけです。さらに、見通しがない核燃料サイクルは続けると言っているわけですから、投資というのは見えていないと思うんですね。幾ら掛かるかというのは見えていないと思うんです。  ところが、大臣は、費用をコスト検証の試算の倍見込んでも十一円で、まだ安いとおっしゃるわけですよ。私、十一円で済むのかと。十一円にとどまるという見通しを示せるのか、大臣に重ねて確認をしたいと思います。
  138. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、止まっている原発で随分お金が掛かっているという話がありますけれども、これは、各電力会社が、原発が稼働停止しても発電所を安全に維持管理するための費用として必要な費用を計上しているものでありまして、減価償却費、人件費、修繕費などであります。各電力会社は、原子力規制委員会の新しい規制基準に対応するために、止めている間も今でも安全対策投資などを増やしておりますので、こういう金額になるんだろうと思っております。  今、安全対策費用で十一円台、これは衆議院で答弁させていただいたものでありますけれども、二〇一四年のモデルプラント、また二〇三〇年もそうですけれども、各電源構成ごとの試算をお示しする中に、今回は感度分析というものをやっておりまして、原子力につきましても感度分析をお示ししております。追加的安全対策費が二倍の場合はプラス〇・六兆円、廃止措置費用二倍の場合はプラス〇・一兆円、あっ、〇・六円、〇・一円ですね、事故廃炉・賠償費用等が一兆円増加する場合にはプラス〇・〇四円、再処理費用及びMOX燃料加工費用が二倍になった場合にはプラス〇・六円というような感度分析をお示ししておりまして、そういうものをまさに足し合わせると、二倍となっても一キロワットアワー当たり十一・七円ということになるということを申し上げました。
  139. 倉林明子

    ○倉林明子君 じゃ、核のごみの最終処分、廃炉に掛かる費用分、これはコストに含まれていますか。
  140. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 含まれております。
  141. 倉林明子

    ○倉林明子君 含まれていると明言されましたけれども、額の見通しというのは現状では立っていないはずであります。額も見通せないし、電気料金になるのか税金の投入になるのかということも決まっていない部分が多くあるわけです。既に廃炉費用は電気料金に盛り込まれる省令改正が行われております。自由化後は託送料金に含める検討までしているわけです。  一方、再生可能エネルギーの飛躍的な拡大がもたらす経済効果はどうか、確認したいと思います。  火力発電のコストの大半は燃料費ということになります。その多くが海外に対する支払となります。再生可能エネルギーの場合、燃料は完全に国産であり、設備投資も多くは国内となるものです。雇用効果も含めて、経済効果はどうでしょうか。
  142. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 再生可能エネルギーにつきましては、固定価格買取り制度の開始以来、関連する投資でございますとかビジネス、活性化しておりまして、雇用創出あるいは経済活性化の観点から一定の意義があるということは御指摘のとおりかと思います。  具体的な経済的効果につきましては、試算が難しい面がございまして、あと電力コストの上昇等によります電力利用サイドの影響というのは考慮はできないんですけれども、直接的な効果といたしましては、太陽光発電でございますと、二〇一〇年度には約五千億円の市場規模、約三万人の直接雇用者数であったというものが、二〇一三年度には約二・五兆円、雇用者は約九万人という増加が見られたという試算がございます。また、風力発電でございますけれども、約一千万キロワット仮に導入がされたということでございますと、経済波及効果として約一・一兆円、約七万人の雇用が生まれるという試算もございます。
  143. 倉林明子

    ○倉林明子君 安倍政権の目玉である成長戦略、この中でクリーンエネルギーについての経済効果、試算しているんじゃないですか。どうですか。
  144. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 具体的な数字につきましては、今、私どもの方でも改めて精査をしたいというふうに思っております。  今、私が申し上げたものは、基本的には業界サイドで集計をしたものをベースにお答え申し上げました。
  145. 倉林明子

    ○倉林明子君 大体、衆議院でも明確に答弁していたはずですよ。衆議院から参議院に来て、経済、雇用効果については目標がなくなったんですか。どうですか。はっきりしてちょうだい。どういうことよ。
  146. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 申し訳ございません。衆議院でそのような答弁をしたちょっと明確な記憶が私ございませんけれども、いずれにしても、再生可能エネルギーの大量導入によって一定の雇用創出あるいは経済活性化効果があるということ自体はもちろん先生御指摘のとおりでございまして、その点について、私どもしっかりそれも踏まえてその政策は講じてまいりたいと考えてございます。
  147. 倉林明子

    ○倉林明子君 議事録を確認の上、正確な答弁をしてください。
  148. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 答弁できますか。(発言する者あり)  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  149. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 速記を起こしてください。
  150. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 大変恐縮でございます。少し衆議院の議事録を確認させた上で、後ほど答弁をさせていただくことをお許しいただければと思います。
  151. 倉林明子

    ○倉林明子君 私の元に答弁が届きましたので、私の方から紹介をさせていただきたいと思います。  多田政府参考人質問に答えて、この分野における雇用効果についてということで答弁しております。二〇二〇年で百六十八万人、二〇三〇年で二百十万人、現在の三倍あるいは四倍に広がっていく可能性がある分野。多田政府参考人答弁されておりますので、よく思い出していただければと思います。  発電量当たりの雇用、化石燃料発電と比較すると同程度から十倍程度と試算もあります。小規模分散型の再生可能エネルギー地域の活性化ともつながるものだと承知しております。小規模の太陽光や風力の電源を確保することが可能だと、これ立証したのがFIT制度でありました。  一般電気事業者が再生可能エネルギーの接続を拒否できる規則改正を行いましたけれども、接続義務の原則と例外を逆転させるもので、私、これは本当に元に戻すべきだと思います。いかがですか。
  152. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今、雇用の話がありまして、何の雇用かがいま一つ分からなかったんですけれども、太陽光等々、雇用が多いということは、雇用といった面ではいいわけでしょうけれども、一方で、恐らくコストといった意味では全国民に多大なコストが掛かるということになるわけでありまして、その辺のバランスというものはしっかり考えていかなければいけないんだろうと思います。  そして、今、太陽光等々の接続拒否の話がございました。  これにつきましては、再生可能エネルギーについてFITを導入いたしまして、この制度は、再生可能エネルギーを導入するといった意味では大変効果がありまして、導入前のたしか八割ぐらい増えてきているということで、効果があった一方でいろいろな問題点が出てきております。  太陽光に偏って導入をされたということからかなり問題点が出てきておりますし、特に、九州電力管内においては昨年大量な接続希望が寄せられたわけですが、それにつきましては、五十キロワット未満に小さく低圧にして、低圧分割という手法で、実は大きいんだけれども低圧でという申請がもうほとんどを占めているといったような、ある意味では脱法的な話がある状況の中で、昨年来いろんな制度を導入してまいりました。そして今、指定電気者制度というものを入れまして、接続について三十日を超える接続をしないということができる契約という形で導入をしております。  そして、これ、なぜ導入したかと申しますと、まさに、当初入ってきた方たちは特に五百キロワット未満であれば無制限であったわけでありますが、そういう方たちが発電する電力量がほぼ需要に近い状況になってきてしまう、まさに供給が需要を超えるわけにはいかないというのが電気でありますけれども、まさに最大発電をする場合に供給が需要を超えてしまうと、こういう見通しになったために、新たに入ってくる方につきましてそういうお願いをすることにいたしております。  これは、接続をさせないということではなくて、多数の方に接続をして、一時期のまさにピークのときには少し接続しない、制限をしていただきますけれども、ピーク以外ではしっかりと売電をしていただくということで、まさにある意味ではワークシェアリングのような発想であります。  前もって入った方について、本来であれば、契約を直せるんであれば、そういう制限を若干受けていただければ皆さんが同じような形になるわけですけれども、憲法上の財産権の制限というようなことがありまして、やはり新たに入ってくる方を増やすためにやった制度であるということを御理解いただきたいと思います。
  153. 倉林明子

    ○倉林明子君 今るる御説明になったけど、原発の空押さえなんですよ。原発を動かすために、二十年間使うことになってしまうのが、邪魔だから、結局つなげないようにしたんですよ。そういう答弁もしていましたよ。そういうことだと私は受け止めました。  それで、私、重大だと今大臣答弁を聞いていて思いましたのは、さっきのクリーンエネルギーの目標値ですね、これは政府日本再興戦略の中の位置付けなんですよ。閣議決定した成長戦略じゃないんですか。こういう目標はもう投げ捨てたということだと受け止めていいんですか。
  154. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) ちょっと今の御質問の趣旨がいま一つ分からなかったものですから、教えていただけますでしょうか。
  155. 倉林明子

    ○倉林明子君 成長戦略に明確に掲げた目標について、質問通告も受けているのに答弁できないということは深刻だという指摘をしておきたいと思います。  コストの高い原発は市場競争の中で淘汰されていると、これが世界で起こってきている現実であります。世界で爆発的に太陽光や風力が普及する鍵、こうなったのが再エネ最優先の給電ルールを徹底させたことでありました。現在の原発最優先というやり方から再エネ最優先の給電ルールに見直す、この方向にこそ転換すべきだと考えます。どうですか。
  156. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 原子力発電につきましては、アメリカにおきましても、またイギリスにおきましても新たな原子力発電所を造るという計画が進んできておりまして、世界が脱原発だということは認識として私どもは持っておりません。  また、再生可能エネルギーにつきましても、例えば、先ほども申し上げましたけれども、大型の風力発電所というものが大変低コストで発電ができる地域というものがアメリカにはたくさんありますし、ヨーロッパ北部にもありまして、こういうところの大型の風力につきましては、日本のような固定価格買取り制度という補助金を出すような制度ではなくて、一般的な価格でしっかりと原子力等々と競争してやっているわけでありまして、そういうところではやはり再生可能エネルギーの導入というのはまさに容易に進められるわけでありますけれども、日本という国がそういう状況にないということはやはり御理解していただきたいと思います。
  157. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 時間ですのでおまとめください。
  158. 倉林明子

    ○倉林明子君 国民の世論は圧倒的に原発をゼロにしていくことを望んでいるということを重ねて申し上げたいし、年末には化石賞をいただくことになるであろうという警告を申し上げまして、終わります。
  159. 松田公太

    松田公太君 日本を元気にする会・無所属会の松田公太です。  おとといもお話をさせていただきましたが、私は、日本電力自由化で目指すべきは、法的分離ではなくて所有権分離だと思っております。今日は、欧州、特にドイツ等も引き合いに議論をさせていただきたいというふうに思っております。  私、二年前の五月にエネルギー市場の視察でドイツを回らせていただきましたが、その先進性に驚きまして、また大変学ぶことが多かったなというふうに思いました。ドイツは御案内のとおり、福島原発事故を受けまして二〇一一年の七月に原子力法の改正を行いまして、二〇二二年脱原発を明確な目標として掲げているわけです。現在は既に十七基のうちの八基を停止しまして、残るところ九基という状況になっております。また、脱原発に関してもすばらしいなというふうに思うんですけれども、自然エネルギーに対する取組も、これもまた大変なものだなというふうに感じております。  ドイツ視察の前年に、EU視察のブリュッセルでお会いしたドイツの議員やエネルギー省の官僚たちは、元々の目標である二〇二〇年の総発電量に占める自然エネルギー比率、これ三五%なわけですけれども、この達成は当たり前なんだと、四〇%を目指すんだというふうに言っておりました。そして、二〇五〇年に向けた目標というのは何と八〇%なんですね。その信念と今の制度というものをしっかりと持続してもらえれば、これも私は間違いなく達成できるような数字かなというふうに感じております。  そういうことで、今ドイツは、エネルギーヴェンデ、エネルギー改革ですね、また電力自由化の優等生というふうに言われるわけですけれども、実は、皆さんもこれ御存じかもしれませんが、最初は違っていたんですよね。例えば、一九九八年に、今の日本と同じように、一般家庭も電力会社を選べるように小売、これを自由化一部していったわけですけれども、そのときは、ほかのEU加盟国がもう既にEU電力指令によって進めていた発送電の分離、これをドイツの大手の電力会社が実は抵抗しまして、これはなかなか進まなかったんです。結局何が起こったかというと、同じその電力会社グループ内の発電会社が有利な託送料金、これを得るような、そういう状況が続いて、せっかく電力自由化が進んだにもかかわらず、約百社新規参入があったんですけれども、そのほとんどが難しいということで経営難に追い込まれまして、現在は、たしか残っているのは四社か五社だったというふうに思っております。  その結果何が起こったかといいますと、これは午前中の加藤委員お話にもありましたけれども、寡占化なんです。電力料金が高止まりしてしまったという現状なんですね。その頃のドイツは、EUと比較しても平均で約三割近く高い電力料金が設定されておりました。しかし、次の変化が訪れたのが二〇〇五年だったんです。欧州委員会で何が起こったかといいますと、ドイツの電力自由化に対する遅れ、これが非常に問題だということで、自由競争促進委員会から、発送電の分離が進まなければ発電事業者が送電事業に参加することを禁止しますよというような強硬な姿勢を打ち出したわけですね。それによってやっと、ちょっと腰が重かった、当時は、メルケルさんも動き出して、完全な所有権分離までは行かないものの、送電網の所有権のマイノリティーを大手電力に残したままですけれども、送電ビジネスは別会社に任せるという、いわゆるISO方式ですね、これに移行するということで当時は話が進められていました。  しかし、その直後に、ドイツの最大手のエーオンという会社が、電力のエーオンですね、こちらが、理由は様々あったと思うんですけれども、一つではないと思うんですが、一説によりますと、欧州委員会から独占禁止法とかカルテル防止法で調査が入っていたということもありますけれども、そのような経緯を経て、やっぱり送電網は完全に売却してしまおうということで、送電網の完全な売却を決断したというのが実態なんです。  その後、これはドイツの電力政策、これは脱原発にかじを切ったということが影響しているんだと思うんですけれども、送電網の売却を決断する会社というのがもう次から次へと続きまして、現状は、送電網を所有していた、当時は六電力会社があったわけですが、今は四大電力ですけれども、そのうちの二社が完全に所有権を分離しまして、もう一社も既にマイノリティーのごく僅かのホルダーになっておりまして、これも近々全額売却する方向になっているということですね。  話が長くなってしまいましたけれども、その電力自由化、所有権分離によってドイツには非常にフェアな環境が生まれたと思うんですね。そして、今現在でも既に二七%が再生可能エネルギーというすばらしい状況を生み出すことになったわけです。現在のドイツの原発の比率というのは一六%ですから、もう既に自然エネルギーが原発のエネルギーを上回っているわけです。  そこで、宮沢大臣にお聞きしたいんですけれども、やはりこのようなドイツの事例からも分かっていただけるんじゃないかなと思いますが、やはり中立性また透明性の観点から、電力自由化におきましては法的分離ではなくて所有権分離、これを目指すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  160. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今回の、第一弾、第二弾、第三弾ということで電力改革お願いしておりますけれども、まさに第一弾改革におきまして所有権分離でという方向性を出した上で今回法案をお願いしているわけであります。そして、まさに所有権分離にした方がいいだろうと我々が考えた理由というのは、一つは、まさに安定供給確保のためには所有権分離という形の方が望ましいということが一点。それからもう一つは、九電力……(発言する者あり)ああ、済みません、法的分離の方が望ましいと、法的分離でなければならないということ。それからもう一つは、まさに株式会社として上場している企業でございますので、これの財産について国が、政府がそれを売りに出せということについては、やはり財産権の侵害になる可能性が大変高いと、こういうことで法的分離ということで法案を提出させていただいております。  一方、ドイツにおきましては、今御説明がありましたように、当初まさに法的分離という形だったものが、今四社あるうちの三社が自主的に所有権分離になっている。それは、市場リスクが高いが大きな利益が見込める発電小売事業と、安定した事業が可能であるが利益が小さな送電事業の双方を保持することは経営的に非効率であること、また、再生可能エネルギーの導入拡大のための送配電投資など、中長期的な観点から多額の送配電投資が必要になったため事業の再編が必要になったというような、いろんな各会社の判断であったと聞いております。  一方、もちろん法律的には法的分離ということでありますけれども、当然各社の判断においてドイツのように所有権分離を選択するということは、これは可能でありまして、各社の判断で、まさに株主も含めてそういう判断をするということであればこれは財産権の侵害には当たらないわけでございますから、そういう可能性は残っているということは申し上げておきます。
  161. 松田公太

    松田公太君 今いろいろお話をいただきましたが、宮沢大臣がおっしゃった中で、まず安定供給についてなんですけれども、これは多分、資金調達面とかそういった部分をおっしゃっているのかなと。今までもいろんなお話をさせていただいて、宮沢大臣の前の茂木大臣ともお話をさせていただいた経緯がありますが、やはり法的分離ではなく所有権分離になってしまうと、先日もお話をさせていただきましたが、例えば一般担保付社債の問題であったりとかそういった面が出てきますので安定供給、資金調達が怠ってしまってそこが難しくなるんじゃないかというお話も出ていたと記憶しておりますけれども、私はやはりそこの部分はそれこそイコールフッティングで、先日も申し上げましたとおり、しっかりと同じ条件にしていただきたいというふうに考えているわけですね。  また、財産権と今おっしゃいましたが、多分憲法二十九条の財産権というところだと思うんですけれども、ここでは確かに一項で、財産権は保障されていますよと、侵害されてはなりませんということが書いてあるんですけれども、第三項の方を見ていただきますと、これは、公共の目的があるんであれば、そのような目的にのっとって場合によっては使用も可能だと。果たして、この電力の送電網の完全な中立化というものがそこまで公共に資するのかどうかという議論はあろうかと思いますけれども、私は十分あるんではないかなというふうに思っておりますので、二十九条の三項を考えても、私は逆に財産権の侵害には当たらないんじゃないかなというふうに考えているわけでございます。  最後のお話で、所有権分離を目指そうと思ったら目指せるんですよということは、もうそのとおりだと思います。  ちょっと振り返ってみますと、これもドイツの例なんですけれども、ドイツの実は改革のきっかけとなったのは、先ほども言いましたように、初めは保守的でなかなか改革したくないという思いがあったんでしょうけれども、このきっかけとなったのがEUの電力指令だったわけですね。  EUの電力指令も三回に分けて行われておりまして、最初からもう所有権分離しろと言ったわけではないんです。一九九六年には会計分離をしなさいというところから始まりまして、二〇〇三年には法的分離と、例えば送電料金の設定、承認をするためのネットワーク規制庁、これをしっかりつくりなさいよという促しをしまして、そして二〇〇九年にはいよいよ所有権分離を促しているという状況なんですね。現状も、実は厳しい監視の下という非常に厳しい規制、条件が付くわけですけれども、その下であれば特に所有権分離じゃなくちゃいけませんというふうには言っているわけではないんです。その他の分離方法も認めているんですね。  つまり、何が言いたいかというと、重要なのは、初めは法的分離を認めつつ、原則として最終的には所有権分離を目指すという方向に持っていくのがいいんではないかということなんですね。  ところが、現在の我が日本のこの電事法の改正ですと、法的分離というものが最終ゴールになってしまっていると。これでは、誰も所有権分離しようというふうには思わないわけですね。  ですから、所有権分離を例えば原則として目指しましょうというようなことを法改正、そのようなものにしていただければ、将来的にはおのずとそのような動きにつながっていく可能性があるんじゃないかと私は思って、その所有権分離という言葉に非常にこだわって今までやってきたわけですが、それについては宮沢大臣、いかが思われますでしょうか。
  162. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 先ほど、安定供給確保のために法的分離が適当であると申し上げましたのは、資金調達といった意味ももちろんございますけれども、先ほど小林委員と随分議論をさせていただきましたけれども、今後の緊急時等々の対応についてでも、やはり法的分離の方がそういう緊急時の対応が極めてスムースにできる、そして国民生活に支障を来さないと、そういう意味もあって申し上げたわけでございまして、やはり法的分離というものが一番いい政策だろうと私は思っております。
  163. 松田公太

    松田公太君 その話も実は私ドイツへ行ったときにいろいろしてきたんですね。送電網の会社の社長さん、CEOともお会いしましてお話をして、例えば、当時、日本には自然エネルギー、再生可能エネルギーの比率が二〇%以上になったら実はブラックアウトが起こってしまう可能性が高まるんだとか、いろんなそういう神話みたいなものがありまして、果たしてそれはどう思いますかという質問をしたのも記憶しておりますが。  当時、それに対する答えとしては、実はドイツでも同じような神話があったんだと。ところが、そこは50ヘルツという送電網の会社だったんですけれども、その社長が言っていたのは、いや、実は、我々は今四〇%だと、既に。風力が非常に多い。なのに問題は一回も起こったことがないと。要は、今の技術をもってさえすれば、四〇%、五〇%、最終的にはドイツが目指しているように八〇%、一〇〇%になったとしてもこれは十分コントロール可能なんだということをおっしゃっているんですね。  また、例えば、法的分離じゃなくて所有権分離になってばらばらの会社になったとしても、それぞれの会社がやはりノウハウをしっかり持っているわけですから、それで危機対応時に問題が出てくるとか、そういうことは私は想像できませんし、やはり一度も欧州のドイツなんかではブラックアウトになったという話が所有権分離後もありませんので、これは私は回避できる、今の日本技術力さえもってすれば回避できるんじゃないかなというふうに思ってしまうんです。  最後にお聞きした質問にまだお答えいただいていないんですけれども、所有権分離という言葉を私は入れて、それをやれというと、もしかしたら確かに財産権の問題とかいろいろ出てくるかもしれませんが、例えば、それを目指しましょうというようなことも含めてその法改正をすることはできないのかということなんですが、いかがでしょうか。
  164. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) やんわりとお答えしたつもりでおりましたのですが、やはり法的分離というのが最終目標であることは変わりはないと思っております。
  165. 松田公太

    松田公太君 分かりました。  私は引き続き所有権分離ということを言い続けさせていただきたいと、このように思っております。  それでは、前回質問のときに提出させていただいてできなかったエネルギーミックスについてお聞きしたいと思います。  これは、前回お話しさせていただきましたが、今回の自由化の意図というのは、やはり新しいエネルギー産業を創出すること、またダイナミックなイノベーション、これを起こすことだというふうに思っております。  しかし、先日の総合資源エネルギー調査会で了承されました長期エネルギー需給見通し、いわゆるエネルギーミックスを見た結果、残念ながら、私は不十分なものだなというふうに感じざるを得なかったんですね。もう既に本委員会でも何度もお話が出ておりますが、まず、二〇三〇年度の再生可能エネルギーの比率が二二%から二四%というのは非常に消極的じゃないかなというふうに思っております。昨年策定されましたエネルギー基本計画では、二〇一三年から三年程度、導入を最大限加速していきますよ、そしてその後も積極的に推進していきますというふうに書いてあるんですね。そのときと比較して何かトーンダウンしてきているなというふうに私は感じております。  そこで、これは政府参考人で結構ですが、お聞きしたいんですけれども、二〇一三年と二〇一四年の再生可能エネルギー比率及びエネルギーミックス、この実績を教えていただけないでしょうか。
  166. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 再生可能エネルギーの導入量でございます。二〇一二年度は、再生可能エネルギー合計で、電源構成に占める割合は約一〇%、九百四十一億キロワットアワーでございます。二〇一三年度は、これが一〇・七%、一千四億キロワットアワーでございます。それから、三〇年の目標値は、今のエネルギーミックスの案で掲げているとおりでございまして、これは比率でいいますと二二から二四%でございます。数字でいいますと、二千三百六十六億キロワットアワーから二千五百十五億キロワットアワーという数字になっております。
  167. 松田公太

    松田公太君 今の数字の中に二〇一四年度はなかったんですが、まだそれは出ていないということでよろしいですね。二〇一三と二〇一四でお聞きしたんですが。
  168. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 一四年度の数字はまだ出ておりません。
  169. 松田公太

    松田公太君 それでは、二〇一三年、二〇一四年、そして二〇一五年の目標数値っていかがだったのか、教えていただけますか。
  170. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) このエネルギー基本計画の中で、二〇一三年から三年程度、導入を最大限加速をしていく、その後も積極的に推進していくという方針は示しておりますけれども、この具体的な数値という、三年間、二〇一三年から三年度なので二〇一五年時点での結果としての導入水準というものは定めておりません。
  171. 松田公太

    松田公太君 この委員会でも何度もPDCAという言葉を出させていただいておりますが、基本計画でそれだけ、最大限加速するという言葉を使ったにもかかわらず、二〇一三年、二〇一四年と年ごとの目標値がなかったというのは、私は、もうこれは本当に大風呂敷だけ広げて実際は適当にやってしまっている、そのように感じてしまうわけですね。本当に本気度が疑われてしまいます。  それでは、宮沢大臣に引き続きお聞きしますが、なぜ再生可能エネルギーの比率が二二から二四という数字になったのでしょうか。先ほどもお話ししましたけれども、ドイツは約十年で一六%から四〇%に二四%も伸びようとしているんですね。ですから、日本ももう少し積極的な数字を立てられなかったのかなというふうに考えているわけですけど。
  172. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今回のエネルギーミックスを検討するに際しましては、当然安全性を大前提にした上で、自給率はおおむね二五%程度を目指す、また電力コストは現状よりも引き下げる、そして欧米に遜色のない温暖化ガス削減目標を掲げるという三つをクリアするような、達成するようなエネルギーミックスということを考えて策定をしたわけであります。  そして、例えば原子力発電所というもので安全性が確認された、まさに規制委員会審査を通った、そういう原子力発電所がたくさん出てきたという場合を想定しますと、恐らく自給率も上がる、コストも下がる、そして温暖化ガス削減目標もかなり大胆なものが出せると、こういうことではありますけれども、一方で、原子力については低減をさせていくという方針がございます。  そして、再生可能エネルギーを最大限導入するという目標もございます。そういう中で、バイオマスとか水力とか地熱といった発電については、これは非常に着実に発電ができるというものでありますから、かなり野心的に伸ばすということにしております。一方で、太陽光、風力につきましてはコストといった面がございますので、まさに現状よりも電力料金が上がらないという制限の中で最大限導入した結果、二二から二四という数字になったものであります。  そして、ドイツの場合は、先ほど委員もおっしゃっておりましたけれども、やはり風力、特に大型風力というものが大変頼りになる電源としてありまして、コスト的にもいわゆるFITというものを使わなくてもしっかり市場競争力があって、そしてそれを導入する余地といいますか、適地が大変広い面積に広がっているという中でやはりそれだけ大幅に増やせる能力があったわけでありますけれども、残念ながら、日本におきましては、砂漠のような太陽光発電の適地ではありませんし、風力につきましても、北海道と東北の一部に可能性のある地域があるので我々も今力を入れてその支援をしているところでありますが、それにしてもそれほど大きなものが期待できないというのがこういう数字に表れているものだと思っております。
  173. 松田公太

    松田公太君 今いろいろお話しいただきましたが、冒頭に申し上げましたように、今日は他国の例とかと比較しながらお話をさせていただきたいと思っているんですけれども、政府試算の太陽光また風力のコストは、私、先ほどもこの話ありましたが、コストがかなり高い設定になっているなというふうに感じているんですね。これでは当たり前ですけれども高い買取り価格になってしまいますから、国民コストを抑えるという宮沢大臣の考え方に照らし合わせるとこれはもう増やせないということになってしまうんです。ですから、そもそもそのコストの見直しが私は必要だというふうには思っていますが、このコストの話、今日は時間がもうないのでまた次回にさせていただきたいと思いますが。  ちょっと話を変えて、今回、エネルギーミックスの中では原発の比率、これを二〇から二二%にするという見通しが立てられているんですけれども、このコストも私は逆の意味でおかしいと思っていて、前回のコスト等検証委員会では八・九円以上というふうになっておりましたが、少し上げられたものの今回は十・一円以上というふうになっていて、非常に安い逆にこっちが価格となっているわけですね。  原発事故以降、私は本委員会とか予算委員会等でもコストの話を相当してきましたが、実は二〇一二年、みんなの党時代に設定した、みんなの党として設定した価格、いろんな知見を集めて、そのときの価格というのは十五・五円だったんです。自然エネルギー財団の試算というのは、皆さんもう御案内のとおりですけれども、現在十四・三円から十七・四円というものも出ております。また、他国に目を向けますと、ドイツでは原発十七・二円、イギリスでは十六・八円というふうになっているんですね。  ほかの先進諸国と比較しても、日本が私は建設費とかそういったところが高いと自分のビジネスの経験からも知っているわけですけれども、にもかかわらず四円から七円下がる、この日本の突出した安さ、この差というのはどこから大臣、きているんでしょうか。
  174. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 日本のまずコストの方から申し上げますと、これは専門家に御検討いただいたわけでありまして、基本的に民主党政権時代に、二〇一一年に使った計算方法とほぼ踏襲をして計算をしております。そして、それらの中には、当然、追加的安全対策費とか廃炉についての費用、原子力事故についての費用、また再処理費用等々も含まれた上で計算し、最近造られた四基の原発のコストにその後のまさに追加的費用等々を入れて計算したものでありまして、極めて正しい数字を専門家が出していただいたというふうに思っております。  そして、一方で、じゃ、ドイツの例は私ちょっと、もう造らないと言った国ですから何でコストがあるのかなと実は思っておりましたけれども。イギリス、アメリカにおいては、今、原子炉を造る準備作業、まさに開発段階に入っているわけでありますけれども、やはり相当長い間原子力発電所を造ってこなかったということで、かなり保守的にコストを見ているといった意味と、フィージビリティースタディーなど、やはり相当今まで長い間造ってこなかった関係で必要になる大きなコストが入っているというふうに聞いております。
  175. 松田公太

    松田公太君 時間が参りましたのでやめさせていただきますが、今回、幸いあと二回しっかり質問をさせていただく時間がありますので、これは引き続き深掘りをさせていただきたいと、このように思っております。  ありがとうございました。
  176. 中野正志

    ○中野正志君 次世代の党の中野正志でございます。  政府は、二日、実質賃金が二年ぶりにプラスに転じたと発表いたしました。アベノミクスを始めとする様々な政府の取組、また民間の努力がやっと実を結んできたな、大変喜ばしいことだと、私は評価も惜しまないものであります。  実質賃金が増に転じた理由、これはやっぱり円安の影響を受けた輸出産業、例えば自動車、電機などのメーカーということになりますが、また人手不足が顕著な建設業などが相次いで賃上げをしたことと、こう考えております。ただ、その一方で、昨年四月の消費増税で冷え込んだ数字との比較であるため結果的に高めに出ただけだというさめた意見もあります。見方でありますから、ポジティブな理由あるいはネガティブな理由、両論あって当然ではあります。  ただ、アベノミクスはインフレ率の目標を二・〇%と設定をしております。デフレ脱却の過渡期には実質賃金は下がる傾向があります。物価が上がれば実質賃金は下がるのでありますから、賃金の上昇が物価に追い付き追い越すには時間差があるのは当然だからであります。そこで、景気は回復傾向といいながらも、なかなか実質賃金が上がらず、野党からは何だということでいわれのない反発なども一部ありましたけれども、安倍総理も大変御苦労なされました。ようやくここで実質賃金増との好循環の兆しが見え始めておりますけれども、今までのアベノミクスの方向性は私は間違いはなかったと思います。今後の個人消費の回復にも期待が持たれるところではあります。  デフレ脱却を確実にするため、企業の収益をやっぱり内部留保から設備投資だ、あるいは賃金上昇、そういう好循環へと回していくように、これからも経済政策、大変重要でありますけれども、宮沢大臣の所見をお伺いをしたいと思います。
  177. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 昨年の四月の消費税増税の影響が、私ども政府が思っていたよりは少し長引いたということは事実であります。四—六で大体終わって、七—九はかなり消費も回復してくるだろうと期待しておりましたけれども、もちろん増税の影響もあるし、また天候等々の要素もありましたけれども、思ったほど、GDPはかえってマイナスになってしまったというところがありましたが、十—十二になりましてやはり少し底堅い動きになってきております。  そして、昨年の企業収益は史上空前ということでありまして、そのこともあって、いわゆる賃上げにつきましても、連合の集計でも、昨年も非常にいい数字でありましたけれども、今年もそれを上回るような数字が出てきているという中、そして、四月には消費税上げの物価がげたを履いていた部分がなくなってくる、恐らく四月、五月、六月とげたがほぼなくなっていくんだろうと思います。そうしますと、実質賃金が四月プラスになりましたけれども、これは速報でございますので若干のぶれはあるかもしれませんけれども、やはり趨勢的には実質賃金というものがプラスになっていく。  そして、消費そのものもやはり昨年の暮れぐらいから、例えば住宅についても相当低空飛行が続いていたわけですけれども、十—十二月ぐらいから契約が増え始めてきて、その効果が今徐々に出てきているということになりますと、消費についてもやはりそれなりに着実に進んでいってもらえるんだろうと思っております。  ただ、今、投資の話がございました。まさに今やはり少し心配しておりますのが、あれだけ利益を上げているのであれば、もう少し投資を、特に国内投資をしてもらっていいんではないだろうか。やはり投資を増やす方策というものを、これはある意味じゃ官民で考えていかなければいけないんだろうと。  まさにデフレの時代、長い間に設備投資の更新とか維持、修理自体もなかなかできていない設備がいろいろあることは確かでありますし、またこういう状況の中で新しい分野に入っていっていただくことも大事でありまして、やはり投資を増やす知恵を少し我々出していかなければいけない、そして、それが将来の日本経済の更なる活性化につながっていくようにしていかなければいけないというふうに思っております。
  178. 中野正志

    ○中野正志君 宮沢大臣のまさにその認識に間違いはありません。是非あらゆる機会に、民間企業側、民間団体側に宮沢大臣また安倍総理の考え方、どんどんどんどん言い続けていただきたいなと思います。政権党側にいると手前勝手になります、手前みそになりますから、あえて私の方から今の質問をさせていただきました。  法案について、おとといに引き続き質問いたしたいと思います。  今回の法案は、発送電分離によって送配電網の中立性を高める、誰もが送配電網を利用しやすくする、つまり競争しやすい環境を整備するものであると理解をしております。自由化の効果、改革の効果を最大限高めるため、これは是非とも実現をさせなければならないのだなと思います。そのために、今回の法案では、送配電会社の人事や業務委託などに一定の制限、行為規制を課して、その中立性を高めることとされています。  しかし、我が国安定供給を支えてきたのはまさに現場の力、現場の力です。この改革によって、発電部門と送配電部門を行き来させながらこれまで行われてきた電力会社の人材育成や電力会社と地元の関係会社との業務連携ができなくなり、現場力が損なわれるということになってはいけません。  行為規制は、こうした現場力を維持向上させ、安定供給を実現することのできるバランスの取れたものにしなければならないと考えますけれども、そのような制度設計になっているのでしょうか、なりますでしょうか、政府の見解をお伺いします。
  179. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  行為規制についての考え方ということでございます。  御指摘のとおり、行為規制、これを考えます場合に、送配電事業の中立性の確保という目的と、それに併せまして、災害時対応にも十分配慮しまして質の高い電気安定供給、そして需要家の方々の利便性、さらには業務の効率性、こういった目的をきちんと確保していくことが極めて重要だと思っております。その意味で、御指摘バランスというのは非常に重要なところだと思っております。  幾つか例示だけ申し上げますけれども、従業員の兼職につきまして、これ制限することにいたしておりますけれども、全て兼職を禁止をするというわけではございませんで、一般送配電事業者の中で、託送供給でありますとか送配電投資計画など中立性の確保が特に必要な業務、こういった業務に従事している者のみを対象とするといったこと、さらには、発電事業者側、小売電気事業者側につきましても、発電所投資計画でございますとか電力小売の販売戦略の策定業務、こういったところにつきまして管理的な立場にある、そうした形でグループ競争部門あるいはその親会社の業務の運営において重要な役割を担う従業員のみを対象とすることを想定をしております。  御指摘のように、現場レベルでの人材育成あるいは技能の継承、こういったことを念頭に人事交流は認めるようにいたしております。また、あわせて、今申し上げましたように、兼職制限についても対象となる範囲を限定をしているわけでございます。  また、先生御指摘になりましたグループ会社の委託といった形につきましても、原則禁止はしている一方で、その禁止の範囲を限定すべく、適正な競争関係を阻害するおそれがないという場合には、これ省令で定めますが、これに該当する場合には委託を認めることとしております。  長くなりますので言葉だけ申し上げますと、例えばこの委託の中で、復旧工事の際の送配電設備の保守管理業務でございますとか、そうしたものについてはグループの工事会社への委託を認める、こういったことを考えているところでございまして、先ほど申し上げました幾つかの観点のバランス確保、これ最大限注視していきたいと思います。
  180. 中野正志

    ○中野正志君 是非そのようにお願いをいたしたいと思います。  現場力が損なわれている、どんな建設関係も同じでありますけれども、例えば送電線なんかいい例ですよね。もう今あの現場におられる人たちは六十前後の人たちがほとんどなんですね。後継者なかなか育たない。しかも、大変残念ですけれども、報酬がそこまでじゃないものですからなおさらということが実はあります。  事業体としての電力会社も、どうしたって経費切り詰めということがありますから、それはそのままいわゆる工事会社にコスト削減で発注をせざるを得ない。今度、その工事会社が下請を使うときは、更に自分たちのコスト削減も求めなければならないということで、ああいった現場現場の本当に蓄積されたすばらしい技術力、まさに人間の能力をある意味超えた技、なるほど日本の、本当すごいよな、この電気系統。さっきお話もいただいたところでありますけれども、やっぱりこの現場力、そのための人材育成、それもしっかりと頭に置きながらこれからの政策展開も考えていただきたいなと思っております。  はてさて、固定価格買取り制度、いろいろ議論もありました。その制度が強力な推進力となって、電力システム改革による市場環境の整備とも相まって、今後再生可能エネルギーの導入が一層拡大していくことは期待されているところではあります。環境への適合を踏まえて、我々は様々な政策手段でこれを後押ししていく必要があるとは思いますが、同時に、保安にも目を向け、その対応に万全を期す必要もあります。  今回の法案では、近年増加している風力発電の羽根、すなわちブレードですね、風車の落下事故を踏まえて、風力発電設備に対する保安規制を強化することとされていますけれども、果たして必要十分なものであるのか、その具体的内容と狙いをお聞かせいただきたいと思います。
  181. 寺澤達也

    政府参考人(寺澤達也君) 御指摘のとおり、風力発電を導入するに当たっては、公共の安全を確保するということは大前提でございます。しかしながら、残念ながら、最近風力発電設備をめぐる事故が増えております。具体的に申し上げますと、委員指摘があったような風車が落ちたり羽根が飛ぶといった大きな事故がこの三年間で十七件発生をしています。  こうした事態を踏まえまして、昨年の二月以降、経産省におきましては、専門家を集めたワーキンググループを設けて事故原因の究明と対応策を検討してきました。その結果、本年二月には、例えば雷対策のための技術基準を整備するなど、これまで主としてハード面の対策を講じてきたところでございます。他方、メンテナンスが不適切であるということによって事故につながったケースも多く発生をしています。このため、今般、風力発電設備の設置者に対して定期点検を義務付けをするということにしたものでございます。  このように、ハード面、ソフト面、両面にわたる対策によって風力発電の安全性の確保にしっかりと取り組んでまいります。
  182. 中野正志

    ○中野正志君 経産省としては、洋上風力発電、ある意味試作という形でありましょうか、是非成功させていただきたいものだと思っております。  政府は、安全性の確認された原子力発電所の再稼働を進める方針を示していますけれども、新規制基準への適合性審査の進捗状況を見る限り、原子力発電所が再稼働し、需給逼迫状況が早々に改善する見通しが立っていない状況だと思います。実際、先日、五月二十八日の本委員会でも私から指摘させていただいたように、川内原発の再稼働には一年十か月を費やしております。  安定供給事業者の健全性の面で平時とは言えない状況において、予定どおり電力システム改革を進めていくことは可能なのでしょうか。需給が安定するまで改革は延期することも考えるべきではないでしょうか。  時に、この問題はまた改めて議論させていただきたいと思いますけれども、ガス事業システム改革電気事業と同じレベルで推進していくことには無理があるように感じてもおりますので、こういった側面も考え合わせると、改革をある程度延期せざるを得ない状況にあるようにも思いますが、この点の経産省の見解と見通しについてお伺いをいたします。
  183. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 電力システム改革並びにガスシステム改革、延期すべきではないかというような御質問かと思います。それぞれ分けて御答弁したいと思います。  まず最初に、電力システム改革については、今回の法案の附則第七十四条第一項におきまして、改革の段階ごとに法施行の状況等について政府として検証を行う規定、これ検証規定でございますが、設けられているところであります。御指摘電力需給状況も検証の対象と明記されているところであります。  足下の電力需給につきましては、老朽化火力を含む火力のたき増しや発電所の定期検査の繰延べ等によりまして電力不足を回避しているなど、引き続き予断を許さない状況にあるのは事実でございます。  このため、政府といたしましては、夏冬の需給見通しを踏まえまして、必要な措置をしっかりと講じているところであります。このような状況を踏まえると、小売全面自由化の施行時期を延期する状況にはないと考えております。  また、ガスシステム改革につきまして御答弁いたします。  電気とは事業者の規模やネットワークの整備状況などに違いがあることから、今回の法案におきましては、法的分離の対象事業者を一定規模以上の導管を維持運用する者に限定をしている。また、導管の整備を促すべく、事業者間の導管の接続の協議について、国が命令や裁定をできる制度を創設するなど、電気ガスの産業構造の違いを踏まえた制度設計とさせていただいているところであります。  また、附則第七十五条第二項におきまして、LNGの調達とガス工作物の保安の確保に支障が生じないよう必要な施策を推進することが政府の責務である旨を規定をさせていただいております。なお、附則第七十五条第一項におきまして、電気と同様、改正後の法施行の状況等について検証を行う検証規定、これも設けさせていただいております。  今回の改革は、市場の垣根を取り払い、総合エネルギー市場を創出するものでありまして、改革を遅らせることは消費者の利益につながらないと考えております。したがいまして、これらの検証を行った結果、課題や懸念がもしあれば、それを解消するための環境整備に全力を尽くすことが検証規定の趣旨でありまして、実施時期の見直しは想定をしているわけではございません。
  184. 中野正志

    ○中野正志君 岩井大臣政務官答弁は理解はいたしますけれども、最後に答弁された部分是非しっかりとそのように取り進めをいただきたいと思います。  今回のこの電力システム改革は、電力市場への新規参入を促進し、競争の活性化によるエネルギー供給の効率性向上、サービスの高度化を目指すものと考えますけれども、その際、安定供給は、市場に参加する事業者全てがその責任を果たすことで実現をされるものであります。  全ての発電会社、小売会社安定供給の責任を全うすると同時に、発電、小売から法的分離された送配電会社需給の調整、周波数維持など最終的な安定供給責任を果たすために必要かつ十分な調整力、予備力を確実に確保できる環境が不可欠であると思います。そのためには、この調整力、予備力調達の仕組み、ルールが適切に整備されていることが必要であると考えます。さらに、そうした調整力、予備力を提供する発電設備への新規投資既存設備の維持及び投資が継続的に行われるということが大前提となりますけれども、この点、今回の電力システム改革に問題はありませんでしょうか。今後、更に詳細な検討をすべき事項、もう少し議論に時間を要すべき項目などはございませんでしょうか。政府の、経産省の見解をお伺いをしておきます。
  185. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 電気はためられないということでございますので、瞬時瞬時の需給バランスの調整、あるいは周波数の調整ということを確実に行わなければならないと考えております。  委員指摘のとおりでございますけれども、第二弾の改正電気事業法の中におきまして、一般送配電事業者にこの周波数維持義務、あるいは電圧の維持義務、こういった義務を課しているわけでございます。この一般送配電事業者が各小売電気事業者の供給力確保をしている状況を見ながら必要な予備電源を確保するということを通じまして安定供給確保する仕組みという制度にしております。  それから、必要な調整力、特に瞬時瞬時の周波数の調整に必要なもの等々につきましては、その費用を託送料金で回収を認める仕組みということを整備をすることにしております。この調整力につきましては、今日も御議論いただきましたけれども、現在再生可能エネルギーというのが大幅に導入が進んでいると。この中で、様々な系統の安定化のためのコストというのが発生をしています。こういったものがどういうものでありまして、それをどのように確保していくのかということにつきましては、今の委員の御指摘では私どもの課題であると思っております。広域的運営推進機関の中にこの調整力等に関する委員会というのを設置をいたしまして、その辺りの検討を始めさせていただいたところであります。  設備投資を継続的に行っていくべきことが必要であるという御指摘もいただきました。これも全くそのとおりでございます。これも御議論ありましたけれども、基本的には、新しい自由化の中で発電所需給バランスを見ながら、市場のダイナミズムの中で発電所建設投資が、行っていくということが基本であると考えておりますけれども、ラストリゾートという形におきましては、一般電気事業者が最終的に発電所を公募する仕組みというのを用意をさせていただいているわけでございまして、こういった仕組みを通じまして、先ほどの調整力の確保、それから安定的かつ継続的な設備投資といったものに努めてまいりたいと考えております。
  186. 中野正志

    ○中野正志君 ガスシステム改革一つだけ。  今回の電力ガス、熱の一体改革で各分野の垣根を取り払った競争になりますと、従来の電力会社など規模の大きな企業が有利になるとの懸念も当然聞くわけであります。地域経済活性化のためには、これまで地域に根差して発展してきた事業者が活躍することも大事ではないかと考えております。例えば、地方の中小都市ガス会社、今回の改革で攻められる一方なのかと。それらの事業者が主体となって今回の改革をきっかけに新たな事業展開をすることもできるのか、そういったことをお伺いをいたします。簡単で結構ですから、お答えください。
  187. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 今回、地方の中小都市ガス会社も含めまして総合エネルギー市場の中で御活躍をいただくということが大変期待されているわけでございます。既に、この総合エネルギー市場参入するプレーヤーということで、地方の中小都市ガス会社も多くの事業者参入の意思を表明されておられます。  この場で申し上げたいと思うんですが、ちょっとあれですけど、北海道ガス、京葉ガス、青梅ガス、入間ガス日本ガス、角栄ガス、大垣ガス、静岡ガス、中部ガス、鳥取ガス、西部ガス、佐賀ガス等々、多くの中小ガス事業者が新たな総合エネルギー市場の中で小売の電気事業参入したいという御意向を表明をされております。私ども、この長年培った営業力や信用力を土台といたしまして、地域に根差した総合エネルギー企業としてこういった中小ガス会社事業展開することを期待しているわけでございます。  それから、済みません、ちょっと訂正を。先ほど、電源の公募について、私、一般電気事業者と申し上げたようでございます。これは広域的運営推進機関の間違いでございます。修正させていただきます。失礼しました。
  188. 中野正志

    ○中野正志君 時間です。ありがとうございました。
  189. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 皆様、お疲れさまです。  それでは、冒頭に、我々、健康第一でございますけれども、サプリメントや特保なんというのが最近もございますし、医薬品、こういったものに頼っているわけですが、この健康第一で忘れてならないのは生薬、いわゆる漢方だと思うんですね。こういうものを非常に活用していくということも重要なことだろうというふうに思っております。  専らこの分野、農林省、厚生省、こういったところもやっておりますが、地域創生、再生、いろんな表現をされていますが、経済産業省が積極的に関わらないと、こうしたものが六次化産業を含めてなかなか発展しないんだろうというふうに思います。どうぞ、経済産業省としての、伝統的な生薬、漢方についてどんな捉え方をしているのか、関心、所見、こういったことをまず聞かせてください。
  190. 富田健介

    政府参考人(富田健介君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。  御指摘いただきましたとおりに、漢方、これは中国から伝来した技術でございます。西洋医学が臓器とかあるいは組織の、病気の原因に直接作用するような薬を処方することで病気を治していくということに対しまして、漢方は体全体の調子を整えるということで病気を治していくという、それぞれの役割を持った処方だと思っております。厚生労働省の調査によりますと、医療現場の九割で漢方をお医者さんが使っておられるというデータもございます。医療分野で一定の評価を得てきているものだと思っております。  私ども、現在、経済産業省におきまして、健康長寿社会を支えるヘルスケア産業の育成に取り組んでございます。御指摘の漢方につきましては、こうした分野における大変重要な資源の一つだと思っておりまして、漢方を活用した健康寿命の延伸あるいは新規産業の創出など、厚生労働省あるいは農水省共々連携をしながら、こういった活用が図られることを期待しつつ取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  191. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 中国でほとんど漢方を今生産なんです。しかし、農薬を使って生薬をつくるということも言われています。それが日本に入ってきます。しかし、日本はもうどんどん農地がもう寂れていってしまうんですね。  ですから、確かに、農地を、再生可能エネルギーの例えばソーラー発電所を造るというのも一つかもしれませんが、私はそれよりは、やっぱり大地に合った日本人伝来の二千年来の歴史というもの、これは奈良県なんかはよく取組をしていますけれども、こういうものに転作をしていく、あるいは契約栽培をしていく、そういったことが必要だと思いますので、超党派の議員連盟もできたようですが、これらについても時折お話をさせていただきたいと思います。漢方ではなくて和方でいこうと、こういうふうに思っておるわけです。松田先生、中野先生の話でだんだんエキサイトしてきますので、落ち着くような漢方も我々もらいながら進めていきたいと思いますが、私もその気持ちでいきますが。  今日は、各先生方と関連するところ多いわけですが、まず、火力発電所の新増設計画というものがあります。しかし、その中で、火力発電について省エネ規制を強化する方針と聞きます。その目的や法的根拠、どんな規制内容なのか教えていただきたいと思います。
  192. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 現在、火力発電に関連します省エネの関係の規制といたしましては、エネルギー使用の合理化等に関する法律というのがございまして、そこで、燃料資源の有効な利用の確保に資するという目的で、一定量以上のエネルギーを使用する事業者、この中には火力発電事業者も含まれるわけでございますけれども、それに対しまして省エネに取り組む努力義務を課しているというものがございます。加えまして、同じ省エネ法に基づきまして、現在、一般電気事業者及び卸電気事業者に限られますけれども、熱効率に関連する指標を別途設定をいたしまして、これの中長期的な高効率化の取組というのを求めております。他方、これは一部の発電事業者にとどまっているということでございます。  規制の強化云々というようなことにつきましては、多様な事業者が火力発電事業を実施するような動きに昨今なっておりますので、こうした事業者に対しましても一定の対策を求めるべきだという指摘が省エネ政策の検討の場である審議会においても出されております。こういう意見を踏まえながら、今後どのような対応をしていくべきか、総合的に検討していくことになると思っております。
  193. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 十一万キロワット未満は国による環境影響評価、いわゆる環境アセスメント、こういったものがないというようなこと、排出量が増えるというようなこと、しかし比較的安いということですね。こういうような悩ましい課題を持っているので、例えば原発というものが二〇から二二というふうなところにいったんだろうと思いますけれども。  これは、例えば再エネを一ポイント上げれば原発の方のポイントを一%下げる、そういうような関係にあって、再エネを上げれば再エネ固定価格買取り量が増えますから結局電力供給コストは上がっていく、一%程度上がるんじゃないか、まあこの数字はちょっと私も確定したものは持っておりません。そうすると、最後に電気料金に跳ね返ってくるというのは、目標というか考え方として一三年比で二%ダウンを考えようと言っているわけですから、安くしようと。できないわけですよね。  ですから、非常に悩まれたと思うんですが、従来の電力構成の中でこれは議論しているんですよ、再エネも。風力、太陽光始め、従来のものを随分念頭に置き過ぎているんじゃないかと。当面は火力発電だけれども、水素、燃料電池でやる、特に家庭用は日本だけが実用化しているんですから。例えば、いつも皆さんにまた出たと、こう言われますが、エネファーム、あるいはガスのエンジンによるコージェネレーションのエコウィル、こういったものをうまく活用する。あるいは蓄電池も少しずつこれが広がってきている。それから、電気自動車から、これはためているわけですから、それをまた使う。こういうようなことを自家発電設備というふうに言っているんでしょうかね、経済産業省では。  この自家発電設備等を、太陽光発電といわゆるダブルで、ダブル発電、お店に行くとこれはダブル発電というやり方で売っているんですよ。ソーラーパネルを売るときも、ダブル発電でエネファームどうですかと。エネファームやるときにも、発電はしますが、この太陽光パネルどうですかと言って売っているんですね。なかなか魅力的な売り方をしているんですが、このダブル発電というものを長期エネルギー需給見通しの中で組み入れているんですか。この点、まずお聞かせください。
  194. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 御指摘のダブル発電、これは住宅用太陽光で発電する、それからエネファーム、これは燃料電池でございますので、天然ガス等を原料といたしまして、そこから水素を作ってそれで発電と熱を出すと、こういうものを両方一緒に導入したときにダブルで発電をすると、こういうことかと思います。ただ、今申し上げましたように、この住宅用太陽光とエネファームはそれぞれエネルギーが別でございまして、それぞれ独立をして見込んでいるところでございまして、ダブル発電の量というものは見込んではおりません。  太陽光発電の方につきましては、二〇三〇年の導入量七百四十九億キロワットアワー程度、七%程度と考えているわけでございますが、このうち住宅用太陽光発電につきましては九十五億キロワット程度でございまして、そのうちの四割が自家消費されるものと見込んでおりまして、住宅用太陽光についてはそういった数字でございます。それから、エネファーム、家庭用燃料電池であるエネファームにつきましては、その発電量を百六十億キロワットアワー程度と見込んでいるところでございます。
  195. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 冒頭ありましたように、大した数字じゃないので若干無視したと言うとおかしいですけれども、見込んでいないんですね、大臣。  私はそこで何を言いたいかというと、いわゆるトレードオフの関係なんですよ。例えば、原発が動いていないから、電気を調達するときには一番安上がりでというようなところになると、やっぱり従来の電力会社もある程度、石炭火力含めてそっちに行っちゃうんですよ、新増設含めて。これはポートフォリオ掛けているようなものでもありますよね。そういうものを、一方を追求すれば、排出量が高まるとか、こういったことも問題が出てくる。だから、他方を犠牲にしなくちゃいけないということになると、実際は早く原発を動かさないと、排出量もそれから料金も上がってくるからというところでつくった数字が今度のバランスなんだろうと思うんですね。  だから、これはもう何人も否定できない話なんですけど、その隘路を救うといいますか、そのところに、先ほど、やっぱり無視し過ぎているんですよ、自家発電というものを。それを今日はダブル発電という形で、太陽光とそれから水素燃料電池で、水素に分解して電気を起こし、お湯を沸いて、家でこれを使うというものをダブルでやることを、これをもう少し推奨してみたらどうかと、こういうやり方を。  前回も私、いろいろなアイデアを言ってまいりましたけど、こういうアイデアはどうかということなんですね。どういうことかといいますと、これ、経済産業省に出ているホームページですけれども、今大体十キロワット未満の太陽光設備に、今言いましたエネファームあるいはエコウィル、蓄電池、自動車のバッテリーのそういう電気などダブル発電をするということになりますと、それはダブル発電・余剰買取りという部門なんですね。ダブル発電・余剰買取りという部分なんです。商業でやる十キロワット以上は、これは売電、全面売電できるわけです。しかし、家庭においては余剰電力を売るという状況になっているんです。その余剰電力の売り方は、調達価格は三十三円なんです。二通りありますけど、三十三円。ところが、ダブル発電の余剰電力は二十七円なんですよ。これを仮に六円上げてあげれば、もっとダブル発電に入っていくということなんですね。  五千万世帯あるんですから。御家庭の投資をいただく、そのときに私は、アベノミクスの重要なところは、家庭の光熱水費を下げることが私は最も効果的で早いんだから、そこに投資をするべきだと。家庭に投資をしろと、企業起点ではないと。こういったことで幾つかのスキームや考え方を提案してきましたが、今日はこのダブル発電でお話をしていくんです。六円安いんですよ。これは六円安いのを三十三円にしたらいいんじゃないかという単純にも思えるんですが、この辺り、事務方はどのようにお考えになりますか。
  196. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 御指摘の点でございますけれども、固定価格買取り制度の趣旨をどのように理解するかということかというふうに考えております。  ダブル発電に対するインセンティブということになりますけれども、固定価格買取り制度はやはり国民負担であくまでも再生可能エネルギー源の導入を促進するということで設けられた制度でございまして、実質は自家発電設備を支援するというためにこの制度を用いるということになりますと、やはりその制度の趣旨に合わないところというのが出てくるのかなということでございますし、それから、太陽光発電の投資回収がダブル発電の場合はやはり有利になるということでございまして、自家発設備を付けている人に大きく有利になることが果たして公平なのかどうかという、そういう疑問にも答えていく必要があろうかというふうには思っております。  ただ、御指摘のように、その自家発電設備の導入を促進すること自体は重要な課題でございますので、現在、補助金等によって導入支援を行っておりますが、当面はこういう手法を中心に、引き続き普及拡大に努めてまいりたいという考えでございます。
  197. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 平成二十五年一月二十一日、第八回調達価格等算定委員会、これがFITをつくる。私は余剰売電についてはぎりぎり認めてきたんです。一〇〇%売電。FIT、このドイツ方式は全く時代遅れ、強い者が発電という会社をつくって、弱い人たちがそれを買っていく、そして同時に、自分で発電できない人が高いものを、しわ寄せのように弱い人に行く。これは常々言われているプラスマイナス論でいうとマイナス論ですね。その比較考量というのは当然あって、いろんな考え方があっていいんですが。  このときもエネ庁の新原部長はこう言っているんですよ。この法律はただ一点で、コスト構造が違うかどうかだと、つまり投資額に見合ってそういうことを言っているんだといっているんですね。  そして、また何遍かのところでいうと、二十四年三月六日、第一回調達価格等算定委員会ですからこれは前後しますかね、日にち的にいうと。こういうことも言っているんです。法律自体は、価格と買取り期間を決める。ですから、七月でこれ新しくするということで今検討に入っているんですね、FITは。どれぐらい導入されるかという効果によって買取り価格及び期間を決めるようにとは規定されていない。だからこそこの七月に、見直すときに私は言っているんです。  原発の危険性がある以上、余剰電力としてそれを買うという分ぐらいは上げて何の支障があるかと。そうすれば、私が結果論で言うように、化石燃料にこれは依存をするということにはなりますが、原発という道を極力回避できる道の具体的方法論なんだと、こういうことを申し上げているわけなんですね。  今度参考人に来る柏木先生もそういう趣旨のことを言っているんです。一番は安定しないということを言っているんですよ、当時は。当時は、安定しないというのは、太陽光は曇ったり夜になったり駄目だから、系統に大変不安定さを起こす、ところが、エネファームなどは、お湯を使わないで発電だけというのはロスもあるんですが、しかし発電できる能力があるんですから、それによって系統に行く、安定性を持たせていく、家庭が。これはもう技術的に可能なんですよ。  だから、そういうことを取り入れていかないと、いや大変だといって、結局今までのことを前提にしながらいいだの悪いだの、原発依存はできないだのと言っていることにつながるということで、野心的というんじゃなくて、こういうのを野蛮的と私は呼ばせていただいているんですね。今度の数値はやっぱり原発に頼るという、野心的ではなくて野蛮的計画であると、このように言わざるを得ないんですね。  この辺について感想をいただきたいと思うんですが、大臣
  198. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、エネファームにつきましては、今回のエネルギーミックスにおきましても省エネの観点から相当導入促進を図らなければいけないと思っておりまして、たしか現状十数万台のものを五百万台以上に二〇三〇年には導入するということを目標としておりますので、この導入の促進につきましては相当政策的に支援をしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。  一方で、今のダブル発電の御議論を聞いておりまして、やはりエネファームにつきましては、天然ガス由来の電源でありますから、これを再生可能エネルギーの方のシステムに入れ込むのは正直なかなか大変なのかなと。やはり再生可能エネルギーは再生可能エネルギーとしていろいろ計算をし、またエネファームはエネファームとして五百万台導入を目指して、どういうまさに促進のための政策的な知恵が出るかということを徹底的にやっていかなければいけないんだろうというふうに思っておりました。
  199. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 結論付けて言えば、大臣がおっしゃる方向なんですね。しかし、それに代わる新しい方程式がないならば、先ほど言いましたように、この調達価格などではっきりしているように様々な議論があるんですよ。しかし、再生可能エネルギーを、昨日の議論もそうですけれども、政策的に引っ張っていくというわけですよ。しかし、その再生が安定しないし、まだ大きくならないという、もうキャップ掛けてしまったわけですから。だったら、もう最初からそれしかやる気がないということじゃないですか。しかし、家庭にチャンスを与えましょうと言っているんですよ、総合的な観点から、大臣。そういうときには十分、FITという概念ではないということをおっしゃるかもしれませんが、まさにそれこそジャパンメードじゃないですか。何でドイツ方式を取り入れる必要があるんですかということになるんです。  ですから、新しい、そういう意味では、三〇年に三百五十万だか世帯ですよね。五百五十、五百十万かな、(発言する者あり)五百三十万。これも野心的かどうかというのは、四千八百万戸あるんですから、そして、今十万台ですから、まだたった。私これ、セールスマンやっているんじゃないんですね、笑ゥせぇるすまんやっているんじゃないんです。五社、六社製造してやっていて、出入りがうんと激しいんですが、これが今ナショナルフラッグですからね、世界の、日本だけ。そして、裾野はすごく広いんです、メーカーから調達するところ全部入れると、自動車ほどではないんですが、これは非常に広いんですね。ますます技術が出てくるでしょう。新しい技術も当然出てくると思うんです。  しかし、家庭に着目をしたやり方をやっていかないと、相変わらず電力会社電力を売り付けるという形では問題解決しませんよと。せっかく電力ガスと通信と様々なものがミックスされて家計のビッグバンが起きるというときに、もっともう高いところから見ていただきたいんです、大臣。そうすると、家庭がプロシューマ、プロダクツコンシューマー、自給自足に近づけるような体制こそ今こそ日本はやるべきなんです。そのツールを我々は、まだ技術的には不十分なところがありますが、持っているんですよ。何でこれを積極的にもっとやらないか。  もちろん、安倍総理は補正で、一発目で二百億、その次に二百二十億付けています。付けていますが、これは、エネファームについては付けていますが、私は、金額の問題だけじゃなくて、普及の仕方にもう一つ工夫すればでき上がるんじゃないですかと。ただしこの場合も、替えない人には負担を回しますから、FITのマイナス点はそのまま残るという、この隘路はあるんです。  だから、そこらを改善するようにするために、私が言っているのは、リース方式で四千八百万戸に配りましょうと言っているんです、計画的に。そのリースの元金は何だといったら、アベノミクスでやっぱりもうけたお金を、投資に行くまではまだ判断が付かないから、じゃそれを、内部留保を投資していただいて、その会社はリターンをもらったらいいでしょうと。片方は、八年、十年で、なかなかこれリース屋さんに言うと難しいと言うんですが、八年、十年でそれを返済していけるようにするという、そういう仕組みなんですよね。  だから、何と言ったらいいんですかね、私が進んでいるというのか、私がばかだというのか、思い込みというんでしょうかね、レッテル貼りというのか、最近の言葉で言うと、荒井はレッテル貼りばかりしているということかもしれません。そういう反省も自分でもしつつ、様々な組合せができるんだということを、最初からこのエネルギー需給見通しというのはもうキャップをつくってしまったようなものです、もちろん見直しというのはあったとしても。  ここを非常に残念だと思っているんですが、いま一遍大臣に、この辺、最後に御検討いただけると言っていただいたわけですから、どうぞ、もうベテランの域にある大臣として、幅広く、それこそ省庁の垣根、経産省を含めて割っていただき、地方再生、家庭にどうやって恩恵を届けるか、光熱水費をどう下げてあげるか。所得が上がったと同じですよ。そういうことをやっぱり目配りしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  200. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 恐らく、今おっしゃったお話承りながら、やはりこれからいろんな点で技術がまさに進歩してもらわなければいけない。例えばエネファームにつきましても、小型なものはあるわけですけれども、なかなか大型なものがないというような話、それから、例えば太陽光を屋根の上に付けて、そしてエネファームを持っている家庭でいえば、エネファームがかなり太陽光の発電量に瞬時に応じて調整できるものになっていれば、かなりこの使い方が出てくるんだろう。また一方で、更に言えば、蓄電池といったものがもう少し安価で手に入る、容量も大きいということになりますと、まさに一つの家庭とか一つ地域で完全に自給自足ができると、こういうことに恐らくなるんだろうと思います。  だから、そういう技術革新をともかく促すといいますか支援をしていくということが一つありますし、また一方で、エネファーム自体、先ほど申し上げましたように、五百万台以上というのも相当私は野心的な目標だろうと思っておりますけれども、これを何とか成功させるためには、そのリース方式といったものも含めて、やはりどんな方式があるのかということは、委員からの御提言も更にいただくこととして検討してまいりたいと思っております。
  201. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今度のガス改革を私は高く評価している理由は実はそこにもあるんです。従来のガス会社は既得権を持ち過ぎているから、最後のメンテナンス、小売店は系列なんですよ、全部。だから安くならないという問題もあるんですよ、本当は。それが一回御破算になる、新規参入があるということになると、今まで不透明だったもの、消極的だったものが一挙に営業革命で広がる可能性がある。国のお金を使わなくても価格が下がる可能性も、サービスが加えて新たに提供できて買うという人たちもできるということですから、非常に私はそこを評価はしています。  ただし、安全性、ここだけはしっかり、電力も含め、ガスも含めしていかなくちゃいけないということを申し上げて、終わります。
  202. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十六分散会