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2015-06-02 第189回国会 参議院 経済産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉川 沙織君     理 事                 磯崎 仁彦君                 滝波 宏文君                 宮本 周司君                 加藤 敏幸君                 倉林 明子君     委 員                 阿達 雅志君                 岩井 茂樹君                 高野光二郎君                 松村 祥史君                 渡邉 美樹君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 安井美沙子君                佐々木さやか君                 浜田 昌良君                 東   徹君                 松田 公太君                 中野 正志君                 荒井 広幸君    国務大臣        経済産業大臣   宮沢 洋一君    副大臣        経済産業大臣  山際大志郎君        経済産業大臣  高木 陽介君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       岩井 茂樹君    政府特別補佐人        原子力規制委員        会委員長     田中 俊一君    事務局側        常任委員会専門        員        奥井 俊二君    政府参考人        資源エネルギー        庁長官      上田 隆之君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       木村 陽一君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        住田 孝之君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      多田 明弘君        環境大臣官房審        議官       中井徳太郎君        環境省地球環境        局長       梶原 成元君        原子力規制委員        会原子力規制庁        原子力規制部長  櫻田 道夫君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気事業法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、資源エネルギー庁長官上田隆之君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。宮沢洋一経済産業大臣
  5. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 電気事業法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  東日本大震災を契機として、戦後六十年以上続いてきたエネルギー供給体制を抜本的に見直し、国家戦略として責任あるエネルギー政策を構築することが求められております。低廉で安定的なエネルギー供給確保し、国の成長を支えるのはもちろんのこと、成長戦略の観点からエネルギー産業を国の成長をリードする産業へと発展させることが重要であります。  このため、まずは電力システム改革をその重要な柱と位置付け、改革段階的に進めるための法案を順次提出してまいりました。改革の第一段階である広域系統運用の拡大を実現するとともに電力システム改革の全体像を明らかにする改革プログラムを定めた電気事業法改正法が一昨年の十一月に成立し、続いて、改革の第二段階である小売及び発電全面自由化実施するための電気事業法等改正法が昨年六月に成立したところであります。  この歩みを止めることなく、三段階から成る電力システム改革の総仕上げである法的分離の方式による送配電部門中立性の一層の確保実施するのに併せて、ガス熱供給についても、小売全面自由化などの制度改革を一体的に進めることで、これまで縦割りであった市場垣根を取り払い、ダイナミックなイノベーションが生まれる総合的なエネルギー市場をつくり上げるため、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  まず、電気事業法改正に関するものであります。  第一に、一般送配電事業者及び送電事業者について、小売電気事業及び発電事業との兼業を原則として禁止することによる法的分離平成三十二年四月一日から実施します。あわせて、適正な競争関係を損なうことのないよう、グループ内での人事、会計などについて適切な行為規制措置します。  第二に、現在の一般電気事業者に対して経過措置として課される小売料金規制について、競争進展状況を確認した上で、供給区域ごと経過措置を解除することができる制度とします。  第三に、適正な競争関係確保するため、現在の一般電気事業者に認められている一般担保付社債の発行の特例を廃止します。ただし、足下の資金調達環境を考慮し、法的分離実施から五年間に限り、送配電事業発電事業を営む会社などが一般担保付社債を発行できる措置を講じます。あわせて、株式会社日本政策投資銀行などによる電気事業者への貸付金に係る一般担保制度も廃止します。  次に、ガス事業法改正です。  第一に、平成二十九年を目途に、ガス小売業への参入全面自由化します。登録を受けた事業者であれば、家庭を含む全ての需要家に対してガス供給を行うことができることとし、これに伴い、ガス事業類型を見直します。あわせて、LNG基地第三者利用を促す措置を講じます。  第二に、ガス導管網の整備を促進するため、一般ガス導管事業については地域独占料金規制を維持し、導管建設や保守の着実な実施確保します。また、全てのガス導管事業者導管相互接続に係る努力義務を課すとともに、国が事業者間の接続に係る協議を命令し、裁定することができる制度を創設します。  第三に、需要家保護を徹底するため、ガス小売事業者契約条件説明義務などを課すとともに、競争が不十分な地域では、現在の一般ガス事業者に対し、経過措置として小売料金規制を継続いたします。また、保安確保に万全を期すため、ガス導管事業者導管網保安需要家保有内管の点検を義務付け、ガス小売事業者には消費機器の調査などを義務付けます。  第四に、導管部門の一層の中立化を図るため、一定規模以上のガス導管事業者について、ガス小売事業及びガス製造事業との兼業を禁止することによる法的分離平成三十四年四月一日から実施します。あわせて、適正な競争関係を損なうことのないよう、電気事業法と同様、適切な行為規制措置します。  次に、熱供給事業法については、現在許可制とされている参入規制登録制とし、料金規制供給義務を撤廃した上で、需要家保護を徹底すべく、熱供給事業者契約条件説明義務を課すなどの措置を講じます。  最後に、これらの改革により自由化される市場が適切に機能するよう、独立性と高度の専門性を有する電力ガス取引監視等委員会経済産業省に設置し、電力ガス及び熱供給取引監視や、送配電事業及びガス導管事業行為規制などを適切に実施してまいります。  このほか、ガス事業に係る事業類型の見直しなどに伴い、関係法律について所要の改正を行うとともに、一連の改革について各段階検証を行い、課題を克服しながら進めていく旨を附則に規定します。  以上が本法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  6. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 自由民主党の渡邉美樹でございます。質問の機会をいただき、ありがとうございます。  まず、質問を始める前に、その質問背景を明確にするために、少し自己紹介を含めて話をさせていただきたいと思います。  私が創業したグループは、エネルギー・環境問題に取り組んできました。日本外食産業としては初めて、一九九九年にISO14001を取得させていただきました。そして、二〇一〇年には環境省よりエコ・ファースト企業の認定も受けております。  再生可能エネルギー事業にも取り組んでおりまして、原発事故の三年前から事業企画をいたしまして、二〇一二年、秋田で風車を、一号機が稼働し、現在三機まで稼働しております。そして、八号機まで現在準備ができております。そして、二〇一三年からはソーラーシステムの設置を進めております。二〇一四年、PPS、電力小売事業、着手いたしまして、そして今年には北海道厚真メガソーラー、そして来年早々には北海道むかわでやはりメガソーラーという形で本格的に再生可能エネルギー事業に取り組んでいるところでございます。結果としまして、現在のこの規模で、一千六百五十億の売上げの規模で三割が再生可能エネルギーで賄っていると、そのような状況になっております。  今日は、与党の議員ということもあるんですが、その再生可能エネルギー事業を推進してきた経営者として、幾つか疑問に思った点、そして不安に思っている点を御質問させていただきたいというふうに思います。  宮沢大臣におきましては、これまで縦割りであった市場垣根を取り払い、ダイナミックなイノベーションが生まれる総合的なエネルギー市場をつくり上げると趣旨説明で御説明をされております。まさにおっしゃるとおりでございまして、そのためには電気事業法改正ガス事業法改正等は絶対に必要なことであり、この改正案は今国会で絶対に可決されなければならない、そのように思っております。ただ、そのためには、本法案が可決されても、そこに競争が生まれなければ意味がないわけであります。ですから、イコールフッティングというのを中心に今日は御質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、その質問に入る前に、現在ベストミックスという言葉が新聞等でも当然書かれているわけですが、ベストミックスということについて御説明をいただきたいというふうに思います。というのは、この法案そのもの自由化を目指しているものでありまして、自由化というのは電気のそのミックスをマーケットが決めるというところが自由化前提ではないかというふうに思うわけであります。しかし、ベストミックスで何が何%から何が何%ということを決めた上でその競争が行われるということに対して少し違和感を感じるものですから、ベストミックスとはどういうことで捉えられていらっしゃるのか、そのことについてまず御質問させてください。
  8. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) お答え申し上げます。  エネルギーベストミックスとは何かという御質問かと思いますが、このエネルギーベストミックスでございます。これは、エネルギー基本計画を踏まえまして、安全性前提にいたしまして、安定供給、それから経済効率性環境適合、こういったものにつきまして達成すべき政策目標、これを想定いたしました上で、施策を講じたときに実現されるであろう将来のエネルギー需給構造の見通しであり、またあるべき姿というものをお示しするものであるというふうに考えておるところでございます。
  9. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 ということは、そのベストミックスになるように、例えば価格若しくは税制等か分かりません、何らかの形で政府がそこに誘導していく目標というふうに捉えてよろしいんでしょうか。
  10. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 委員指摘のとおりでございます。あるべき姿であると私ども考えておりまして、その中には、政策的な措置、様々な措置を講じつつ実現していこうと、そういうあるべき姿としての位置付けでございます。
  11. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 それでは、そのあるべき姿というベストミックス一つ自然エネルギーに関して質問をさせていただきます。  経済産業省、今回のベストミックス再生可能エネルギーを二二から二四%というふうに設定をされたわけでありますが、先ほども言いましたように、私のグループだけでも三割という自然エネルギーを、賄おうとしているわけであります。海外でいうならば、デンマーク、二〇二〇年までに風力だけで電力で五〇%というものを掲げております。また、安倍総理施政方針演説におきまして、長期的に原発依存度低減させ、徹底した省エネルギーと、再生可能エネルギー最大限導入を進めるとおっしゃられているわけでございますが、この背景からして、再生可能エネルギー二二から二四%というのは少し消極的過ぎるのではないかなというふうに思うんですが、それについての見解を教えてください。
  12. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今デンマーク風力五〇%を目標というお話がありましたけれども、再生可能エネルギー、特に風力及び太陽光につきましては、それぞれの国でかなり事情が違っていると思っております。北米、またヨーロッパの北の方、デンマークも含めて、におきましては、まさに広大な平原が広がっていることに加えまして、遠浅の海もある。さらに、風が大変安定的に年中吹いているということで、稼働率も極めて高いし、コストとしても大変低い。日本の半分というようなコストというような国があり、また恐らく太陽光につきましても、日本は梅雨もあり台風もありという国ですけれども、砂漠のようなほとんど曇りがない雨が降らないという国であれば、太陽光についても昼間の電力としては相当頼りになる電力になろうかと思いますけれども、日本の場合はそうはならないと、こんな状況が実は日本にございます。  そういう中で、今回のエネルギーミックスにつきましては、安全性ということは当然大前提でありますけれども、三つ目標を掲げております。一つは、自給率をおおむね二五%程度にする、今六%でございますけれども、二五%程度まで高める。そして、震災後上がった電力、本当は震災前まで下げたいところはやまやまですけれども、そこまではとてもできないので、少なくとも現状よりも電力コストは引き下げる。そして、欧米に遜色のない温暖化目標を達成すると。こういう三つを何とか同時達成しようということでエネルギーミックスというものを考え、検討してまいりました。  再生可能エネルギーにつきましても、例えば安定的に発電できる地熱、水力、バイオマスにつきましては、アセスの緩和等々ということを見込んで、相当野心的な数字を実は載せさせていただいております。また、太陽光風力につきましても、これは正直言ってコストの面がございます。今の電力コストよりも引き下げるという範囲内で最大限入れてきたのが今回の結果でございます。正直、自給率を高める、またコスト現状より上げない、さらに野心的な温暖化目標を作るということが、全てを達成するのは、原子力を増やすと実はもっといい数字ができますけれども、そういうわけにはいかないという中で最大限導入を図ったものでございます。
  13. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 大臣、ありがとうございます。  恐らくこのベストミックスの誘導というか、そのためにこのような価格設定されていると思うんですが、原子力発電価格、十・一円ということで公表されているわけでありますが、例えば減価償却コスト、その期間が適正であるのか、また核燃料サイクル費放射性廃棄物最終処分費、見積もるのが非常に難しい費用がここで当然加算されているわけでありますが、例えば、核燃料サイクルにおいては二十回以上も延期されて、費用は当初七千七百億と試算されていたものが二・三兆円に膨れ上がって、更に十一兆円になるという試算もあるわけでございまして、原子力発電のこの十・一円というのは本当に適正なんでしょうかと。例えば、そういう事故等を想定した場合には、もっと大きな引き当てをさせることによって、この価格を上げることで本当の意味原発と火力が価格競争ができるようになるのではないでしょうか。それによって電気代は若干上がるかもしれませんが、自然エネルギーFITなしで戦えるような形になるのではないでしょうか。  やはり、この十・一円というところの、その根拠が非常に甘いのではないか。それによって適正な競争が行われないんじゃないか。また、我々、我々っていきなり事業者になってしまいますが、事業者としては参入が非常にしにくい状況になってしまっているのではないかと思うんですが、それについて御意見をお願いします。
  14. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 少しこれは御説明させていただきたいと思います。  今回、エネルギーミックスの検討に当たりまして、それぞれの、原子力発電にかかわらず、石油、石炭、さらに再生可能エネルギーコストというものはどういうコストであるかということにつきましても二〇一一年に行った試算を見直しまして検証を行いまして、新たな試算というのを出させていただきました。  これによりますと、現在、二〇一四年のモデルプラント、これは様々のプラントを新設いたしましたときのコストというものを出しているわけでございます。  そのコストでございます。これは、単なる、建設費であるとか、燃料費であるとか、運転維持費であるとかといったものに加えまして、事故リスク対応経費であるとか、政策経費であるとか、できる限り考え得るコストというものを全部包含をさせていただいたものでございます。  原子力発電所につきましては、委員指摘のとおり、キロワットアワー当たり十・一円以上というコストになっているわけでございますけれども、この中の、まず御指摘建設コスト減価償却につきましては、実は、我々は、今回の検証におきましては、初期費用というものをプラント建設時の費用として評価をするというOECD計算方法考え方を採用しております。前回、二〇一一年に政府が行った検証ではいわゆる減価償却という考え方で行っていたわけでございますが、それでは初期投資がむしろ過小評価することになるということでございますので、それを是正いたしまして、OECD計算方法を取り入れまして、初期投資プラント建設時の費用として評価するという手法を取り入れています。これは国際的にも通用した手法であると考えております。  それから、このキロワットアワー当たり十・一円のコストには、それ以外の、政策経費であるとか、安全対策コストであるとか、賠償費用であるとか、除染中間貯蔵費用であるとか、核燃料サイクル費用であるとか、放射性廃棄物最終処分費用であるとか、あるいは立地対策研究開発等々の全ての経費を含んだ試算としているわけでございます。  もちろん、その核燃料サイクルコストをどう見積もるかというところについては様々な御議論があろうかと思いますけど、今回は、これは二〇一一年と同じような手法によりまして、例えば再処理費用単価というものを電気事業者等々からの再処理積立金法に基づく届出額を基に算定をしておりますし、放射性廃棄物最終処分単価につきましては、最終処分法に基づきまして算定している処分費というものを基に算定をしているわけでございます。  それから、事故対応費用の点につきましては、今回新たな算定というものを行っているところでございまして、前回、二〇一一年時点ではこれは東京電力事故損害費用というのは七・九兆円と見積もりまして、それを損害費用として入れていたわけでございますが、今回の時点では十二・二兆円に増加しているということから、それをモデルプラントに引き直す形におきまして算定をしているわけでございます。  等々、今回のモデルプラント試算につきましては、多くの専門家に集まっていただき、今のような厳格な作業を行いながら試算をしたものでございます。  なお、十・一円以上と書いております。これは損害賠償費用が現時点では確定をしていないといったことによるわけでございますが、今回の試算では、実は感度分析というのを行わさせていただきました。この感度分析というのは、今の委員の御指摘にもございました、仮にいろんなことの費用が増加した場合はどういうふうにこの原子力コストは変わってくるだろうかということでございまして、例えば安全対策費用が二倍になった場合にはキロワットアワー当たり〇・六円増加するであるとか、損害賠償費用が一兆円膨れた場合にはキロワットアワー当たり〇・〇四円膨れるであるとか、そういったもし仮に費用が膨れたとした場合に、それがどの程度この発電単価に影響を与えるかということにつきましても試算をしてお示しをさせていただいている、そういう状況でございます。
  15. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 御丁寧な御回答をありがとうございます。  二〇三〇年に再生可能エネルギーを二二から二四%へ持っていくためには、恐らく、今のお話ですと、完全な自由競争ではそこまで持っていけずに、やはり別枠として考えていかなきゃならないというふうに思います。そのときに、その固定価格買取り制度FITに実際参加していた事業者として実感として思うのは、その再生可能エネルギー市場参入しようというインセンティブが働くぎりぎりの一番低いところに設定するべきだというふうに思っております。それが最もたくさんの付加価値を生むというふうに思っているわけですが。  二〇三〇年までに、どのような価格設定で、そして自然エネルギーのどのようなミックスの中で、そして再生可能エネルギーの普及をどんな道筋でストーリーとして描いていらっしゃるのか、それをお示ししていただきたいというふうに思います。
  16. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) お答えをいたします。  再エネをしっかりと普及させていくに当たっては、その参入へのインセンティブが働くぎりぎりの水準というお話かと思います。そして、別枠というお話もありましたが、少なくとも現状では再エネ別枠で考えていく必要はあるかと思っております。  固定価格買取り制度における買取り価格について少し御説明をさせていただければと思います。  現行制度では、発電が効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用を基礎に事業者が受けるべき適正な利潤を勘案をし、調達価格等算定委員会意見を尊重して定めると、現状でもそういうことになっております。そのため、発電コスト低減した場合は、事業者が受けるべき適正な利潤確保しつつ、その低減を反映して買取り価格を引き下げることとなっております。  具体的に申し上げますと、例えばこれまでも十キロワット以上の太陽光については、コスト低減を厳格に反映をし、平成二十四年度の四十円から平成二十五年度に三十六円、そして翌年の平成二十六年度に三十二円に引き下げております。さらに、平成二十七年度については、コスト低減に伴う二十九円への引下げに加え、これ利潤配慮期間というのが三年ありますが、これが終了いたしますので、それに伴いまして七月からは更に二十七円に引き下げることとしております。  このように、現行の固定価格買取り制度の下でも、現実のコストをしっかり踏まえながら参入インセンティブが失われないようにバランスの取った運用に努めておりますが、固定価格買取り制度による実は国民負担上昇の懸念等の課題が現状生じております。このようなことから、今後の制度自体の在り方についても、再生可能エネルギー導入拡大と国民負担の両立を図る観点から検討を深めてまいりたいと考えております。
  17. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 どうもありがとうございます。  続いて、事業者としての不安、それに基づいたちょっと質問をさせていただきたいと思います。  円安が実際に今非常に止まらない状況でありますが、インフレを懸念する声も出ております。再生可能エネルギー事業者にとって、インフレになったときに価格買取りが据置きでは、これは事業者として大きなリスクになるわけであります。FITは、インフレとなったとき買取り価格をタイムリーに見直せるようになっているんでしょうか。そのインフレヘッジはどうなっているんでしょうか。それについて御質問させていただきたいと思います。
  18. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) お答えさせていただきます。  御案内のとおり、固定価格買取り制度というものは、これは発電設備等々の初期投資を十五年から二十年といった長期に固定した価格で買い取る、そういうことによって回収していただくということでございまして、期間中の買取り価格を固定することによりまして事業者の売電収入を保証いたしまして予測可能性を高めていく、そういう制度でございます。したがって、買取り価格につきましては、十五年あるいは二十年といった間、初年度に適用された価格というもの、そのものの価格で買取り期間中適用されるということが原則だと考えております。  ただ、委員指摘のような非常に例外的な場合というのもあろうかと思いますが、それにつきましては、法律上、再生可能エネルギーの特措法第三条の中に規定がございまして、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において特に必要があると認めるときと、こういう場合につきましては買取り価格を改定できるという、そういう規定になっております。  ただ、この期間中に買取り価格を改定するということにつきましては、事業者の予見可能性の観点、あるいは賦課金の上昇の観点、様々な観点があるわけでございまして、慎重な判断が要ると思いますが、急激なインフレーション等々、そういった事態、例外的な事態が起こった場合につきましては本規定の適用を検討することになると考えております。
  19. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 どうもありがとうございます。  続いて、次の質問でありますが、売買電事業について御質問させていただきたいと思います。  実は、私のグループですが、この売買、買う電気、売る電気ですが、売買電事業に関しましては東京電力管内だけで限られております。関西電力、中部電力、北海道等でやりたいわけでありますが、実は、規制の中でやるのが難しいということで、現在は諦めている状況でございます。  その規制というのは何かというと、一つはエリアごとの届出があると。これは当たり前のことだと思います。もう一つは、売り先の確保をしなければならないと。つくることができても、例えば私のグループですと、北海道にそんなにたくさん店があるわけではありません。そうすると、東京ではたくさん使うんですが、北海道では余り使わないと。北海道の中で売り先を確保しなさいとなると、なかなかつくる、売るということが非常に難しい。結果として北電に売るしかなくなってしまうという状況が生まれるわけであります。  それから、例えば三十分ごとの同時同量という規制もございます。これについて言うと、不足した部分においては現在は三%以内で一・五倍の電気料金を払いなさいと、それから三%以上不足した場合には三倍の電気料金を払いなさいという、非常に厳しい規制に基づいているわけでありますが、結果として、実際、PPSの企業六百三十三社が登録しておりますが、全国で事業を行っている会社さんは十社程度しかないということになっているわけであります。  この規制、ちょっと強過ぎるんではないでしょうか。例えば卸機能というものを充実させることによって売り先の確保ですとか三十分ごとの同時同量ですとか、若しくは、同時同量を求めたとしてもこんなに三倍ですとか一・五倍とかいうものにならない、もう少し規制を緩和する中でこの売買電事業に関しても競争を促すということができるのではないかと思うんですが、それについて御意見をお願いいたします。
  20. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  今特に御指摘のありましたインバランス料金のところを少し御説明させていただきたいと思います。  先生御指摘のとおり、今三十分単位で同時同量というものが掛かっていまして、新電力一般電気事業者との間でインバランス料金というものを精算する仕組みになってございます。  問題といたしまして、単価が固定制であること、それから、今御指摘ありましたけれども、三%を超える不足のインバランスのときには単価が三倍で、逆に余った場合には、三%を超えて余剰が生じた場合には無償での引取りと、このようになっている、さらに、不足時の補給単価と余剰時の買取り単価、これに差がある、こういった問題があるというふうに承知をしております。  このため、現状では、三%を超える不足のインバランスが発生しやすい特に小規模事業者にとりましては負担が大き過ぎる、こういったことがございますし、また、需給状況が、市場に連動していないということから、例えば需給が逼迫したときには自ら高い電気市場で調達をしないでインバランス供給を受けた方がかえって安く付くと、こういったような場合もあるというふうに課題があったと承知をしております。  したがいまして、私ども、今回の改正に当たりましても、審議会でずっと議論を重ねてきておりまして、まずは市場価格に連動させた上で、さらに全国大の需給状況も加味したインバランス料金単価の仕組みにすると、こういうこと、さらには三%の閾値を撤廃する、さらには不足時の補給単価と余剰時の買取り単価に差を設けない、こういった見直しをするという方向で検討を進めてございます。こういった見直しによりまして、事業者規模の大小によるインバランス負担の不公平感、こういったものを改善していきたいと思っておりますし、需給状況に応じてインバランスの発生を抑制するインセンティブが生じることになると思っております。  また、先生から御指摘のありました、売り先をどうやって確保するのかと、そうした観点から卸市場の活性化、厚みを増す、こういった点が大事であることは御指摘のとおりだと思っております。
  21. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 どうもありがとうございます。  それでは、飛ばして、最後の行為規制についての御質問をさせていただきたいというふうに思います。  というのは、今回、法的分離ということになるわけでありますが、実際私が事業をやってきた感触としましては、ホールディング体制では本当の意味のイコールフッティングにはならないというふうに思っております。電気をつくる、それから送る、それから売るというもの、これが別々にならない限りは本当の意味でのイコールフッティングにはならないというふうに思っているわけですが、ただ、様々な事情等の中で法的分離ということになって、それはよしとしたいというふうに思います。  その上で、じゃ法的分離でもこのイコールフッティングをしっかりと守るためには、やはり行為規制というものが当然重要になるわけであります。人事に対する規制、業務委託に対する規制、ファイナンスに対する規制、社名や広告等々の規制があるわけでありますが、具体的に、例えば人事の規制であるならば、規制の対象は取締役、執行役員だけなのか、部課長等はどうなのかとか、例えばファイナンスの規制であるならば、どこかで資金調達したものがほかのところに資金調達として、お金としてホールディングを通して流れないのかとか、例えば小売に関して言っても、やはり東電という名前が付いていれば一般の方は安心できるということで、じゃ小売も東電にしようと思うのはこれは当たり前のことで、そのときに社名に、小売事業者の社名に東電とか東京電力という名前を付けることができるのかとかいう、本当の意味で平等な競争、イコールフッティングという視点から見て、この行為規制の今現状どのような形でそれを行おうとしているのかということについて御質問させていただきたいと思います。
  22. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  私ども、法的分離という形を取らせていただいております。これは、中立性確保ということと安定供給の実現といったものを両立させようと、こういった考え方でございます。  御指摘のありました点、幾つか御紹介したいと思います。  まず、従業員の件でございます。従業員の兼職につきましては、中立性確保が特に必要な業務、これに従事しているネットワーク部門の従業員と、その親会社あるいはグループ会社である小売発電事業者などの業務の運営において重要な役割を担う従業員、これは例えば管理的な立場にあるといった方々を考えております。こうしたことについては兼職を禁止することにしておりまして、これらに該当する場合につきましては、役員のみならず管理職といった方々も対象になるというふうに考えております。  また、ファイナンスでございますけれども、持ち株会社を含みますグループ会社と送配電会社との資金の融通に関しましては、今回の法案の中で、金利などにつきまして通常の取引の条件の範囲内である、こうしたことを求める行為規制を明記しております。このため、例えば送配電会社が総括原価方式の下で得た利益、これをグループ会社に不適切な形で移転する、こういったことは生じないというふうに考えてございます。  それから三点目に、社名、会社の名称についてお尋ねございましたけれども、私ども、ネットワーク事業者中立性を害する社名、これにつきましては禁止をすることを考えておりまして、例えば送配電事業者につきましては、ネットワーク事業者であることを外形的に、外から見て判断できる表示、例えば何とか電力ネットワークなどの表示を義務付けることを予定をしております。  他方で、小売事業者につきまして、従来の電力会社の名前を使わせるかどうかという点でございますけれども、私ども今回中立性確保という観点から取り組んでおりまして、従来電力会社が培ってまいりました信用力あるいはブランド力を失わせることで競争環境を整備すると、こういったアプローチというものは今考えていないところでございます。
  23. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 ありがとうございます。  最後に質問させていただきますが、それらのことを監視するのが電力取引監視委員会だと認識しております。  今回、経済産業省の直轄の八条委員会になっているわけであります。再生可能エネルギー等を推進するという観点、そして経済産業省と一体的に運営するという視点からいえば、八条委員会というのは私は大変メリットがあると、そのように感じております。しかし、公正取引委員会原子力規制委員会などの三条委員会と比べると、予算や人事権など権限を省庁に握られて、強制権もないため、独立性に劣るという実はこれデメリットもございます。  三条委員会、八条委員会、それぞれにメリット、デメリットあるわけですが、今回最終的に八条委員会にした理由を教えていただきたいと思います。
  24. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 今委員の方から三条委員会、八条委員会のことについてメリット、デメリットがあるというお話もございました。  今回創設する電力取引監視委員会の三条委員会について、まずエネルギー政策の枠組みからいって、これから離れて市場監視やまた料金規制を行う仕組みとすることは、まず安定供給保安確保して再生可能エネルギーの普及などを進めるという観点からは適当ではないと、このように考えております。  そのため、今回は、経済産業大臣の直属の八条委員会として、エネルギー政策の枠組みの中でその業務を行う仕組みとしていると。仮にこの委員会エネルギー政策の枠組みから離れて業務を行った場合、例えば効率性のみが考慮され、再生可能エネルギーの拡大に必要な送電線の増強投資が託送料金の審査においてもコストカットの対象になりかねないと、こういったことも考えられます。一方で、委員は独立してその職権を行う旨を法律に規定いたしました。個々の職務遂行について独立して判断を行うことを明らかにしているほか、事業者に対する業務改善勧告などの権限を単純に行使できるようにいたしております。  このように、監視や規制の対象から独立性に疑義が生じないように十分配慮した設計としておりまして、既存の八条委員会の中でも極めて独立性の高い組織だと、このように考えております。
  25. 渡邉美樹

    渡邉美樹君 質問を終わります。どうもありがとうございました。
  26. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもおはようございます。民主党の直嶋でございます。  今日から電事法を始めとする改正案の審議ということでありますが、前回エネルギー基本計画に関わりまして放射性廃棄物の問題等質問させていただきました。若干その部分を残しておりまして、今日は冒頭、まずその廃棄物の方から質問させていただきたいと思います。  若干、五月二十八日でしたが、そのときの議論を振り返って申し上げますと、エネルギー基本計画には、安全性前提にして、いわゆる3Eを重視するということでうたわれているわけであります。一つは、その安全性というのをどう捉えるかということを大臣や規制委員長とやり取りをさせていただきました。結論的に申し上げますと、原子力における安全性ということでいいますと、いわゆる原子炉を始めとする発電設備の安全性はもちろんでありますが、それだけではなくて、非常時の避難計画がきちっとできて運用されること、それから三点目として、放射性廃棄物の処分が適正に行われること、これら含めて安全性ということを答弁をいただきまして、これは確認をさせていただいたというふうに思っております。  ここから先が今日の議論なんですが、先般、今年の三月に、ちょっとお手元に資料を配らせていただきましたので見ていただきたいと思いますが、三月に五つの原子力発電所の廃炉が決定をされました。(1)に記載のとおりであります。そして、そういう状況を考えますと、私は、これから高経年化炉がたくさんあるということも含めて考えますと、もう廃炉が普通の時代になったと、人によっては廃炉時代と、こういうふうにおっしゃる方もいますが、そういう時代になってきたと、原子力を取り巻く状況も変わってきたというふうに思っております。  そして、下の(2)に、じゃ、これまで廃炉にされた発電所の、いわゆる放射性廃棄物やそうでないものも含めてどのように処分がされているかというのがその下の表でございます。やはりこの状況をきちっと踏まえた上で、この廃炉が普通の時代になった時代における原子力を仮に利用していくとした場合に、じゃ、どういうようにこれから廃棄物を処理することを考えなきゃいけないのかということになってくるのではないかと思います。  若干説明しますと、左の縦軸の方に低レベル放射性廃棄物と書いています。これ、L1からL2、L3と、上の方が放射能が高いということであります。現在、L1、放射能レベルが比較的高いものについては、いわゆる処理基準がまだできておりません。聞くところによると、今年度中に規制委員会で作ると、こういうことになっていると思います。2と3はもう既に処理基準ができてございます。  それから、放射性廃棄物として扱われないものが、実はこれが廃炉に伴うごみの九七、八%と言われていますが、この以下のものであります。いわゆるクリアランス制度対象のもの、それからその他のものということになります。  東海発電所というのは、実は停止したのが一九九八年です。十七年前に停止したんですが、基準のありなしということを別にして、例えば再利用可能な、あるいは放射性廃棄物でないものの処分を見ても、例えばクリアランスレベルの処分量というのは、トータル四万一千百トンある中で僅か百七十一トンしか今処理されていません。それから、その下のいわゆるがらくた類というんですか、コンクリート等ですが、これも十二万八千七百トンあるんですが、四百五十五トンしか処分されていない。これが実態でありまして、あと、詳細なことは分かりませんが、私がいろいろ調べた範囲では、浜岡一号、二号、それから「ふげん」の方も、ほとんどいわゆるがらくた類の産業廃棄物の処分も進んでいないというのが実態なんですね。  果たしてこの状態で、これからの廃炉が普通になった時代に原子力を使っていくことができるんだろうかと、むしろ原子力というのは、これから廃棄物によって制約される時代に入りつつあるんじゃないかと、このように私は受け止めております。エネ庁の資料を拝見しますと、百万キロワットクラスのモデルプラントで計算すると、ごみの総量は五十三、四万トン出てくると、こういうふうに計算されています。そうしますと、まさに膨大な量だということを申し上げられると思うんです。  そういう意味で、まずこの現状について、全く進んでいないと言ってもいい状況なんですが、これについて大臣はどう見ておられて、今後どうしようとされているのか、お伺いをしたいと思います。
  27. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、放射性廃棄物につきましては、それを発生させた事業者が適切に処理処分する責任を負うとする、いわゆる発生者責任の原則が基本であると考えております。廃炉に係る放射性廃棄物についても、この原則の下で、事業者が定め、そして原子力規制委員会が認可した計画に従って事業者において取組が行われることとなっております。  現在、廃炉が進み廃炉措置に関する計画が事業者から示されている発電所は、このお示しいただいた日本原子力発電の東海発電所と中部電力の浜岡原子力発電所でありますけれども、それぞれ関係自治体と調整中であるなどの理由によって、放射性廃棄物の処分がいまだほとんど開始できていない状況というふうに伺っております。  従来から国の方針として定めてまいりました原則の下で、事業者が処分場所の確保などにしっかり取り組むことが引き続き必要不可欠だと考えておりますが、国といたしましても、事業者がその責任を果たせるよう、制度の整備や監督などの役割を担っております。  このため、今御紹介がありましたけれども、規制基準の未策定の部分について、その策定を行うことが重要でありまして、原子力規制委員会において検討を開始したと承知しております。また、処分の円滑な実現に向け、国として研究開発を推進するなど、必要な取組を進めていく考えでございます。また、事業者が処分場を確保する上で当該地域の理解を得ていくことが大変重要でございまして、国としても政策上の重要性などをそれらの地域に対して丁寧に説明するなど対応をしていきたいと考えております。
  28. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  今大臣もお答えの中で発生者責任の原則ということをおっしゃいました。ただ、国としてもできるだけ監督はしっかりやっていきたいと、こういうことであります。  結局、いろいろなぜ進まないかということを私なりに整理をして考えてみますと、要は、基準ができても駄目なんですね、処分場がないんですよ。だから、基準は政府が決めても、今年中に全て出そろうということ、今年度中にですね、ということなんですが、処分場がないために作業ができない、処分場を決めてから規制委員会の審査を受けると、こういうことになっていますから、何といっても処分場が確保できないと前へ進まないということなんです。  それぞれ地元の市の当局なんかの発言ぶりなんかを聞きましても、基本的には、ほとんどの皆さん、市の外へ持っていって処分場を確保してほしいと、こうおっしゃっているんですよね。ですから、大臣が今お答えになったように、私もそれは、原理原則でいえば発生者がちゃんとするということはそのとおりだと思うんですが、しかし同時に、原子力というのは国策民営で進めてきたという、こういうバックグラウンドもあるわけでありますし、やはり事業者に全てやりなさいというのは実際の処分場確保等を考えてもなかなか難しいんじゃないかなと思うんです。  ですから、ちょっと今大臣研究開発とか制度の面でということをお触れになりましたが、私は、やはり国がもう少し主体的に役割と責任を果たす、そういうことを考えざるを得ないのかなと。特に、これから増えてくる廃炉を円滑に進めるということでなければ、原子力を使い続けることは私はだんだんできなくなってくるんじゃないかと。私たちはもうやめると言っていますからいいんですけど、政府はまだこれからお使いになるとおっしゃっているわけですから、まさにそういうことになってくるんじゃないかというふうに思っていまして。  今おっしゃったようなことでいうと、私は、少し制度的な枠組みも、前へ進めることができるような枠組みを政府の方でやはりお考えになるべきじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、この点に関してはいかがでしょうか。
  29. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今、廃炉の話をおっしゃいました。  恐らく使用済燃料の中間貯蔵の件もそういうことだろうと思っておりますけれども、やはり地域がなかなか納得を得られないという現状があるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、地域の理解を得ていくために国としても政策上の重要性等を丁寧に説明するなどと申し上げましたけれども、それを超えて国がどういうことができるのかということをやはり少し考えてみなければいけないと思っておりますので、いろいろ検討してみたいと思っております。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございます。是非御検討をお願いしたいと思うんです。  ちょっと極端かもしれませんが、廃棄物処分をちゃんと進めない限りはやはり動かせないというか使えないと、あるいは、使うためにはそれをきちっとやると、こういうことを制度的に担保していく必要があるんじゃないかなというふうに思っていまして、そのことはお伝え申し上げたいと思います。  それで、続きまして、今大臣から提案の趣旨をお聞きをいたしました法律の方の中身について議論させていただきたいと思います。  今も趣旨説明の中でお話をされていましたが、今回の電気ガス熱供給に関するエネルギー分野の一体改革と、こういうふうに申されております。この目的の中に、これまで縦割りであったエネルギー市場垣根を取り払い、総合的なエネルギー市場をつくり上げるということが入っています。  まずお尋ねしたいのは、この法律案が目指す総合的なエネルギー市場、こう言われると何となく分かったような気はするんです。しかし、中身、一体何だろうなと。熱、電気、石油はどうなるのか、あるいは、他業種から入ってくるような、いろんな産業との融和とかいろんなことも想像できます。現時点でどんな総合エネルギー市場ということをお考えになっているのかを御説明をいただきたい。  それからもう一つは、やはり今、安倍政権の大きな課題になっていますが、地域活性化と言われています。この地域活性化にこのシステム改革がどのような貢献をするかという点についても、お考えであればお聞かせをいただきたいと思います。
  31. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) まず、総合エネルギー市場、これはどういうものかというお尋ねでございますけれども、今回、電力のみならず、ガスあるいは熱供給に係る制度というものを一体的に改革することを目指しております。これによりまして、これまで縦割り構造と言われておりました市場垣根を取り払っていきたいと考えております。  これによりまして、総合エネルギー市場、すなわち、消費者の立場から見れば、市場垣根を感じることなく、様々な供給事業者から多様でより低廉かつ質の高いエネルギー供給を選択できると、そういう統合された市場というものが実現することができると考えております。  また、事業者サイドから見ても、家庭用まで自由化されることによりまして、電力事業者ガスを、またガス事業者が電力を、さらには、既に自由化されております石油事業者が例えばガス事業に進出したり電力事業に進出したり、あるいは通信事業者がこういった市場に進出をしたりと、様々なことが考えられるわけでございます。  そういう意味におきましては、消費者の立場から見ても、事業者の立場から見ましても、そういった縦割りでありました市場垣根を取り払うことによりまして、多様で、魅力的で、かつ競争的でダイナミックな市場というものを想定しているところでございます。  それから、地方創生との関係で……(発言する者あり)分かりました。
  32. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 地方創生につきましては、今長官が説明しましたように、価格やサービス面での消費者へのメリットをもたらすとともに、産業競争力の強化ということが今回目的になるわけでございますけれども、こういうことが地方の産業や国民にも広く行き渡ることが重要だと考えております。  今回の法案では、送配電部門法的分離などにより、地域の分散型電源を用いて発電する地方の発電事業者が送配電網をより利用しやすくするための措置を講ずる、また、都市ガス小売全面自由化により、地方のLPガス事業者が都市ガスの販売に参入できることとしていると。こうした取組を通じまして、地方における様々な事業展開を後押しすることで地方の活性化につなげていきたいと思っております。  なお、総合エネルギー市場については、今長官がお話しした点もございますけれども、もう一つ、恐らく、電力の卸売市場というものを相当活発化させる努力をこれからしていかなければいけない。それとともに、石油の商品市場、商品先物は既にあるわけですけれども、それに加えて、LNGについてもそういうものをつくって、これらの市場を活発化させることによって、やはり総合エネルギー市場というものが確立できるのではないかというふうに私は考えております。
  33. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  今のやり取りの中で、特に大臣がお答えになった分散型電源というのは、私どももまさにそうで、地方の活性化につながるというふうに思っています。  ただ、残念ながら今度のエネルギーミックスには、これは質問じゃなくて、ちょっと申し上げておきますと、今回のエネルギーミックスの中では、まあエネ庁からもいろいろ審議会等で御説明があったというふうに私も伺っていますが、しかし、これを具体的にどういうふうに使ってこのエネルギーミックスに反映させているのかというところがちょっとはっきりしません。是非この点は更にこれからも掘り下げていただきたいというふうに思っています。  それで、自由化ということで、ちょっと私、実は電力の、これ電力会社十社ですけど、過去二十年ぐらいのいわゆるマーケット、それぞれの地域におけるマーケットをずっと見てみました。これからシステム改革をしたときにどういうふうになっていくのかなというのを検証したいと思ったんですが、例えば二〇〇〇年頃と今と見ますと、この二十年ぐらい、震災前は各地域ともほぼ消費量は増えていまして、マーケットは拡大していました。これが一つです。ただし、震災後、かなりこれが縮小していると。  それからもう一つは、地域別に見ると、例えば東京のウエートはすごく高いですね。全国のマーケットの大体三〇から三三ぐらい。ここのところ少し上がっています。恐らくこれは、ほかのところからの参入とか自家発とかの影響があるんじゃないかと思います。問題は四国なんですが、これは全体の、全国の市場でいうと構成比が三%ぐらいしかありません。北海道が四%、四国と北陸がざっと三%と、こういう状況であります。それで、そういうふうに各エリア別の全国需要というのを見ますとそういう傾向にあります。  今言われていることは、これからエネルギー市場競争原理、こうやって競争政策を取ることによって新規参入が増えてくると、また、いろんな業界の、さっきお話あったような、縦割りが崩れてそれぞれの、合従連衡というんですかね、それぞれが組合せができてくるだろうということなんですが、近年のそういうエネルギーの使用状況とかこれからの我が国の人口動態というのを考えると、長期的なエネルギー需要というのはやはり縮小していくんじゃないかと。今回のエネルギーミックスの計画でも、総量はやはり、省エネも進めていくということで縮小しているわけであります。  そういうことで考えますと、さっき申し上げたように、都市部に比べて、例えば地方、四国で本当にこういう競争が巻き起こるのかどうか、あるいは自由化によって仮にその競争がないとすれば電気料金が格差が広がっていくとか、そういうことも危惧をされるんですけれども、こういう点についてはいろいろ議論されてきたと思うんですが、御所見を是非お伺いしたいと思います。
  34. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 今委員指摘ありましたように、今までの電力の需要、特に都市部に集中している、これは現実だと思うんです。今回の自由化、これはある意味でいうと需要家、いわゆる消費者側の選択肢の拡大又は電気料金の最大限の抑制といった改革、こういった恩恵が東京を始めとする都市部だけではなくて地方でも広く国民がこの恩恵を受けなければいけないと、このようにも考えております。  その上で、今、都市部とは異なり地方では競争が進まないのではないかという御懸念でございますが、まず電気の送電網、これ全国でつながっており、託送制度を利用するとともに、これはそれぞれの事業者の努力でもございますが、家庭向けに広告、ホームページ、電話、メール、いろんな形で営業活動することによりまして、小売電気事業者は都市部でも地方でも広く電気を販売することが可能になります。自由化後は地方の需要家であっても小売電気事業者を自由に選択ができることが可能となると。  こういった観点から、都市部のみならず地方においても電力システム改革による恩恵を実感していただくことができると、このように考えております。
  35. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 小売業者が、全国的に売れるような業者が果たしてどのくらい時間掛ければ出てくるのかちょっと分かりませんが、一応ちょっと御指摘だけさせておいていただきます。いずれまた、こういうことも恐らく今後議論になってくるんじゃないかと思います。  それで、もう一つこの法律で言われていることは、国内市場に閉じこもることなく、総合エネルギー企業による海外市場の開拓、獲得も目指すということを言われていまして、既に今年の四月に、東電と中電でいわゆるJERAによる海外での事業拡大ということが、会社ができまして、構想されています。  これは私はいいことだと思うんですが、これから描いておられる構想として、あるいは想定されていることとして、例えば海外市場というのはどういう市場を考えておられるのか、あるいはどんな人が、今電力会社のことを申し上げましたが、どんな事業者参入してどのぐらいやれる、頑張れるのかなと、こういう見通しのようなものをお持ちであれば是非お聞かせをいただきたいと思います。
  36. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 今委員が御指摘の東電と中電、これが協力し合いながらというお話もございました。我が国のこの産業は、エネルギーを効率的に活用するために、優れた技術、ノウハウ、これを蓄積してまいりました。今後は、こうした技術やノウハウを統合して、高効率の火力発電等のインフラ整備、こういう形でそれぞれの国の国際展開を進展していく、これが重要であると考えています。  例えばインドネシアでは三十五ギガワットの規模の新規電源開発計画を始め、特にASEANを始めとするアジアでエネルギーのインフラに係る新規計画が多く存在しております。我が国の一部のエネルギー企業が参入に向けて働きかけを行っているところでございますが、こうした動きを加速するべく、システム改革による総合エネルギー企業の発展を進めていくと。ある意味でいうと、電力会社だけではなくて様々な企業と協力をしながら、そういう形でインフラシステム又は技術、ノウハウ、こういったものを展開していくと。  特に、政府としては、エネルギーの政策対話、官民ミッションの派遣、相手国による制度構築支援、海外実証事業による現地企業とのパートナリング等を積極的に進めて、総合エネルギー企業がまずはアジアの旺盛なエネルギー需要を積極的に取り組んでいくことを支援したいと、このように考えております。
  37. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  インフラ整備中心にというお話です。かつて私やったことがあるんですが、インドでスマートグリッドの実証事業というのをやったことがあります。例えば、あれは今どういう成果が上がっているかというのは余り最近聞かないんですけれども、今日はお聞きしませんが、国内でも四か所でスマートグリッドの実証研究をやったり、まさにおっしゃった技術を磨いてきているわけでして、そういったものの成果なんかもやはりきちっと取り入れてやっていくということが重要じゃないかなというふうに思っています。  それで、続きまして、広域的運営推進機関の機能についてお伺いしたいと思います。  四月一日に広域的運営推進機関が発足をいたしました。この機関の一つの大きな役割であるのが、いわゆる送電線網の整備計画を作って実行すると、こういうことだと思います。この計画を作成して、特に全国大でこの系統運用をしっかり整備をして、先ほど来議論のありました再生可能エネルギー導入を拡大していこうというところに狙いがあると思うんですが、この運営機関は、経産大臣の監督の下に、再生可能エネルギー導入拡大を視野に入れて今いろいろ整備計画を作っておられるということであります。具体的に言いますと、いわゆる周波数の変換設備とか、あるいは北本線の整備、あるいは地域間の連系線、こういうところが中心だというふうにお聞きをいたしておりますが、この増強計画、送電網の整備について今どういうふうになっているのか。  それから、特に、結構これは膨大な資金が掛かる、お金が掛かるということであります。そうすると、このコストをどういうふうにこれから回収をしていくのか、その割り振りをどうしていくのかということも当然話題になってくると思うんですが、そういった点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  38. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおりかと思います。この電力系統の整備を、これを通じました広域運用の推進というものは再生可能エネルギー導入拡大にも資するものであると考えております。それで、この地域間連系線、あるいは地域内での基幹送電網といいました主要な系統インフラ、これらにつきましては、この四月に設立されました広域的運営推進機関におきまして、広域運用の観点から広域系統整備計画、これを策定するということになっております。  この広域系統整備計画でございますが、これはエネルギーミックス等々国の政策方針を踏まえ、設備増強計画の検討を行う仕組みということになっておりまして、今後、まだこれ四月に発足したばかりでございますが、必要な系統インフラの整備に取り組んでいくということになります。  それで、具体的に、今例えば東西間の周波数変換設備、これはもちろん安定供給といった側面もあるわけでございますが、これの増強といったことを例に申し上げますと、御案内のとおり、現在百二十万キロワットの周波数変換設備があるわけでございますが、これを二〇二〇年までに九十万キロを増強して二百十万キロワットにするということで、これにつきましては、その着工に向けた準備が進んでいるところでございますが、更にそれを増強しようということで、更に九十万、合計三百万キロワットまで増強をするという方針を私ども固めまして、今年の四月十六日でございますが、国の方から、この広域的運営推進機関に対しまして、その具体化ということの検討を要請したところでございます。  じゃ、ルートをどうするのか、それから委員指摘のように必要な費用分担をどうしていくのかというところにつきまして、まさに広域的運営推進機関におきまして、今後国からの要請を踏まえた検討が行われることが開始された時点であると、こういうふうに承知をしているところでございます。
  39. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今はいわゆるハードの問題でありまして、もう一つはソフトの話なんですが、以前、今年の春頃だと思うんですが、大臣との質疑の中で、いわゆる再生可能エネルギーの買取りの停止があって、いろいろルールの議論がされたときに幾つか申し上げました。例えば地域間連系線の使い方の問題とか、あるいは優先給電とかそういう方策、EUで取っているような政策です。それから、電力会社間の精算の制度がきちっとしていないためになかなかやり取りができないんだと、こういう話もありまして、こういう面についてやはり運用面をしっかり改正をして思い切った形で使えるようにしていただきたいと。そのとき大臣からお話があったのは、当然これら全て加えた上でエネルギーミックスを策定していくんですと、こういうお話がございました。  さっきも議論ありましたが、今回の政府案を見ると、その割にちょっと寂しいなという感じはいたしておりますが、いずれにしても、この広域的運営推進機関がこういうルールをやはり主導してしっかり作っていくということになると思うんですけれども、まずこのルールをちゃんと、今整備をしつつあるのか、しているのか、この点が一点と、それから、さっきちょっと申し上げましたが、やはりこういうことをきちっとやっていけば、エネルギーミックスでいうと太陽光が七%、風力が一・七%と、こういうレベルよりももっと拡大ができるんじゃないかなと、そういうふうに思っているんですけれども、この点についてお答えをお願いいたします。
  40. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、エネルギーミックスの策定の前提についてお話しいたしますと、結局、太陽光等々が系統に接続できないというのには二つの制約があって、一つは需要と供給で、需要が少なくて供給が上回ってしまう場合に制限しなければいけない。そしてもう一つは、送電の能力がありまして、その送電のまさに能力を超えてしまって送電できないと。こういう二つの制約があるわけでありますけれども、今回のエネルギーミックスの策定に当たっては、前者、まさに需給については勘案しておりますけれども、送電の能力に関しては、逆に言えば完璧なバランスが取れるというようなことを前提に策定をいたしました。  そして、現実に、今年の四月に設立されました広域的運営推進機関におきましては、地域間連系線の運用容量を三十分ごとにきめ細かく算定する、これまでは年間通じて固定されていたものですけれども、三十分ごとにきめ細かく算定する、また、発電設備設置者も地域間連系線の利用申込みを認めるというような運用改善を図ることといたしております。  今回のまさに法改正といいますか、第一弾、第二弾、第三弾の法改正によりまして、例えば第二弾の法改正によりまして電気事業者類型が見直され、再生可能エネルギー発電事業者も電気事業者として位置付けられることになり、広域機関の会員として連系線利用ルールの策定に主体的に参加することで再エネ事業者も連系線を柔軟に活用できるようになること、また、広域機関の検討を踏まえ、地域間連系線などの整備が進展すれば、まさにエリアをまたいだ再エネ電気のやり取りが活発化し、再エネ導入拡大の効果が生ずるものと考えております。
  41. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今のお答えの中でいうと、送電の運用についてきちっと反映をしてあの数字になったと、こういうお答えでしたか。
  42. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) エネルギーミックス算定においては、送電の、まさに送電能力が少ないから例えば北海道から東北に動かさせないということは一切関知していなくて、全国大の需要と供給で計算していると、こういうことでありまして、前提としては、送電線がまさにフルに再生エネルギー導入するために使えるという前提で計算をしているということであります。
  43. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございます。今の御答弁もまた併せてちょっと検討させていただきたいと思っています。  それで、さっきのちょっと話に戻るんですが、上田長官からお答えいただいた送電網の整備なんです。これ、時期的なものというのは、いつまでにやるという話は何かあるんですかね。
  44. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) これは、先ほど申し上げました現在百二十万から二百万キロワットの送電網の状況について、その着手、着工に向けた準備を進んでいるところでございますが、これにつきましては二〇二〇年までに行いたいと思っております。そこから三百万キロワットの増強につきましては、これは相当送電網の整備、時間が掛かるものでございますが、やや今後の検討でございますが、二〇二〇年代の後半というのを目指しまして、なるべく早期にできるように広域的運営推進機関において検討が行われているところと承知をしております。
  45. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございます。  多分、地域間連系線も同じように大体二〇三〇年ぐらいにはめどを付けるという。例えば北本線なんかはどうですか。
  46. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  北本連系でございますけれども、二〇一九年三月までに三十万キロワット増強して九十万キロワットにするということで、昨年の四月に着工済みでございます。
  47. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  それから、もう一点、この広域的運営推進機関についてお伺いしたいんですが、さっきちょっと答弁の中でお話しされたようなんですが、新規発電事業者が既存の送配電網へ接続を希望する際に、小売全面自由化後は、系統運用を行う送配電事業者のほか広域的運営推進機関にその検討を依頼することができるというふうに伺っています。  この新規に接続申込みを行う太陽光発電事業者へは今年一月の省令改正等によって新たな抑制ルールが作られた、このことによって、発電事業者側は電力会社の意向で止められるんだということでいろいろ御不満がたくさんあるといろいろ聞いております。また、今この新たなルールが適用されたんですが、やはり売電量が減ったために事業の採算が合わなく見通しが立たないと、そういう可能性があるので、ちょっと新規参入をどうしようかなと二の足を踏んでいるとか迷っているとか、あるいは諦めていると、こういう話も今聞いています。  こういう中で、今申し上げたような懸念があるとなかなか再生エネ導入拡大というのが進まないと思うんですが、この広域的運営推進機関が、再生エネルギー導入拡大の方向で、今申し上げたような、電力会社が接続拒否や出力抑制をしないよう、どういう指導をされていくことになるのか、お伺いしたいと思います。
  48. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) お答え申し上げます。  広域的運営推進機関は、実は、この接続の可否、接続するかしないかどうかについての確認あるいは検証ということをできることになっております。  具体的には、元々、再生可能エネルギーは全ての電源を公平に扱うということから、電力系統への接続につきましては先着優先という考え方を取っているわけでございますけれども、広域的運営推進機関に例えば再エネ事業者等々接続希望者から接続、それについて様々な議論があったときに、その接続をするかどうか、その可否についての確認、検証ということを行うことができることになっております。  そういった求めがある場合には、広域的運営推進機関におきましては、送電系統の熱容量やあるいは予測される潮流がどういったものであるか、あるいは、事業者が希望した系統につなぐときの電圧というのがあるわけですが、それが事業者の希望と系統事業者側の言い分とが異なる場合には、その理由がどういうところであるか、あるいは想定する連系点、あるいは連系点までの距離がどのようなものであるか等々の観点から接続の可否につきまして妥当性を確認し、必要に応じて広域的運営推進機関が検証をすることができることになっているわけでございます。  こういった仕組みを通じまして、接続の可否というものについてしっかり広域的運営推進機関が、その事業者の納得感、あるいは透明性の向上ということはこういった形によりまして期待することができると考えております。
  49. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 という意味では、指導性はちゃんと持っていると、こういう理解でよろしいですかね。  次に、料金規制の撤廃条件というんですかね、これといわゆる適正な競争関係に至る見通しについてお伺いしたいと思います。  需要家保護を図るための措置として今料金規制があるわけですが、この料金規制の撤廃については、第一段階の法律の中で、電気小売業を営む者の間の適正な競争関係確保されていないことその他の事由により、電気の使用者の利益を阻害するおそれがあると認められるときに限り、その実施の時期を見直すと、これはたしか修正、文言が追加して修正されたというふうに思っております。  この規定自体がなかなか不明確というんですかね、判断が難しい部分があるんですが、この中でちょっと三点お伺いしたいと思うんです。  一つは、小売料金規制の撤廃は経済産業大臣が指定を解除することによって料金の自由化が行われることになりますが、現在、我が国を十分割している先ほど申し上げた一般電気事業者の各供給区域内において、競争が進んだ地域と進まなかった地域が混在することが考えられます。区域の指定と解除はこの一般電気事業者のエリア単位で行われるというふうに理解をいたしておりますけれども、例えば私の出身のところでいえば、中部電力さんの管内でいえば、愛知県は結構参入が多くて自由にどんどん競争しているよと、しかし隣の岐阜県へ行くと全然今までと余り変わらないなと、こういうことというのはあり得ると思うんですけど、そうすると、一般電気事業者のエリアで一括して規制を撤廃するしないというのを判断すると、中のそういう問題の中でいうといろいろ問題が出てくるんじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、この辺についての御所見をお伺いしたいと思います。
  50. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 今、経過措置料金の規制の解除のことについてのお尋ねでございますが、送配電網は離島を除いて連系しているため、基本的には小売電気事業者間の競争状態に大きな差異はないものと考えられることから、この経過措置料金規制の解除は広域的に判断すべきであると考えておりまして、他方、周波数変換装置や地域間連系線の制約により地域によって競争状況が異なることが想定されること、また供給区域内であれば小売電気事業者間の競争状態に大きな差異がないと考えられることを踏まえまして、経過措置料金規制供給区域単位で解除することとしておりますが、供給区域より細かい単位、今御指摘ありましたような単位で解除することはまずは想定していないと、こういうことでございます。
  51. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 さっきの都市と地方の問題もそうなんですが、電線がつながっているから大丈夫なんだと、こういう御説明なんですけど、大きなネットワークで販売ができる小売業参入ばかりじゃなくて、恐らく小さなところの参入が結構あるんじゃないかと思っていまして、今日はその御答弁お伺いしておきますけど、すっきりしないことはちょっと申し上げておきます。  それで、もう一つは、今みたいな議論も含めて考えていきますと、適正な競争関係確保というのはなかなか判断難しいんですよね。それから、実際にそうなっていくまでには結構時間が掛かるという説もあるし、中にはもうずっとできないんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいます。  これについて、第三段階の後、どれぐらいの期間をある程度想定をしてこの規制の撤廃、いわゆる自由競争になるということを想定されておられるんでしょうか。その点をちょっと確認したいと思います。
  52. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) お答えをいたします。  適正な競争関係、この確保前提に置いて、一体、じゃ、その経過措置料金規制はいつ解除されるかという御質問かと思います。  委員指摘のとおり、今回の法案においては、小売全面自由化後、旧一般電気事業者経過措置として課す経過措置料金規制を設けております。一方で、その経過措置料金規制でありますが、競争状況に応じて、これ言い換えるならば、競争環境がしっかりと確保された場合、解除することを可能としております。  実際に経過措置料金規制を解除するに当たりましては、その判断基準でありますけれども、一つ目といたしましては、電力総需要量に占める新規参入事業者による小売供給量の割合などの新規参入状況、そして、既存の電力会社の供給区域内におけるほかの電力会社、これ旧電力会社でありますが、その電力会社の参入状況などの既存の電力会社間の競争状況、そして既存の電力会社が経過措置として提供をしている規制料金メニューではなくて自由料金メニューを選択する消費者の割合など、競争進展状況を慎重に見極める必要があると考えております。  加えまして、小売全面自由化後の電気料金の推移、また需要家全面自由化に対する認知度、スマートメーターの普及状況、卸電力取引所の活用状況なども総合的に勘案しつつ、消費者に不利益が及ばないと判断できる場合に経過措置料金規制を解除することを考えております。  委員指摘の中身ですけれども、一体いつかということに関しましては具体的にお示しすることは困難でありますが、実際に競争が進展しているかどうか慎重に見極めた上で経過措置を解除してまいりたいと考えております。
  53. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  それぞれの基準はすごくもっともだと思うんですけど、じゃ、それをまとめてどう判断するんだというところがなかなか難しいんですが。  それで、時間が余りなくなってきましたので、前もってちょっと飛ばして、後の方で申し上げようと思ったんですが、質問と同時にお願いということなんですが、実はこの電力ガスシステムの改革というのは、今もちょっとやり取りさせていただきましたけど、大変な事業であります。法律も三段階でやってきましたし、これからいろんなことが起きてくるんだろうと思うんですが、実は私ども党内にこのシステム改革のフォローアップチームをつくろうと思っています。前回申し上げたかもしれませんが、元々このシステム改革は福島の事故を受けて新たにやり始めたことでありまして、そういう意味で我々もしっかりフォローしていきたいと、こういうふうに思っていまして、そういうチームを発足させたいと思っています。  つきましては、この法律の中にも書かれていますが、いろんなことを検証してやっていきますということがうたわれていますし、今のこともそうなんですけど、是非政府の方からも、こういった特に検証課題等を中心にどうなっているかということについて情報提供をお願い申し上げたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。
  54. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今回、エネルギーミックスを決める、決めるというか、検討している途中で直嶋委員にも経産大臣室に来ていただきまして、省エネとか再エネ導入についていろいろといい提言をいただきまして、私ども、それを参考にしながら今回作業をしましたし、これからも行政の参考にさせていただきたいと思っております。  これから、法律によりましても、政府として何段階かの検証をこれからやるわけでありますけれども、まさに民主党においてもフォローアップチームをつくっていただけるというのは、これは逆に言えば有り難い話だと思っておりまして、やはりこの電力、またガスの問題につきましては、対立的ではなくて、一番いいものを、いいアイデアを共に知恵を絞りながらつくっていくということが私は大切なことだと思っておりまして、これはもう当然、検証の結果は国民にお示しすることは当たり前でありますけれども、いろんな、その発表した計数だけでなくて、それ以外のものについてもお示しできるものはお示ししながら、共に知恵を出していきたいというふうに考えております。
  55. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。といって、今からの質問を手を抜くわけじゃなくて、しっかりやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それで、あと残された時間でガスについてちょっと質問させていただきたいと思います。  特にガスのコジェネですね、コージェネレーションについて、これもここで大臣と議論させていただいたと思いますが、熱と電気、両方併給をして両方使うという意味で非常に効率的には優れた制度だと思っていまして、大いにこれは進展をさせていくべきだというふうに思っています。それから、あと、例えばこのシステムに近いのは家庭用の燃料電池なんかもそうなんですが、これについて、経産省としてもしっかり目標を立てて具体的にこれからの普及を図っていきたいと、こういう趣旨の御答弁をいただいています。  このコジェネとか燃料電池の普及促進策ということでいいますと、元々ガスのシステム開発というのも、やはり天然ガス利用の拡大というのが目的の一つに入っているというふうに思っておりまして、今以上に是非積極的に進めていただきたいと、このように思っておりまして、これらの点について現在お考えの政策をお伺いをしたいと思います。
  56. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) エネファームを含みますコージェネレーションにつきましては、まさに発電時に生じた排熱を有効活用することでエネルギーを効率的に活用するということが可能でありまして、今般のエネルギーミックスにおきましても、二〇三〇年時点で現在の二倍以上となります千百九十億キロワットアワー程度導入を見込んでおります。例えばエネファームにつきましては、現在十二万台程度導入実績でありますけれども、二〇三〇年にはこれが五百三十万台程度に飛躍的に伸びるといったことも見込んだ上に作成をしております。  経産省としましても、これまで予算、税で導入を促進してきておりますけれども、二十六年度の補正予算においても、分散型エネルギーから生ずる電気や熱を一定地域内で面的に活用する取組やエネファームの導入に対する支援措置を盛り込んだところでございます。  こういう支援策と相まちまして、今回の法案において、都市ガス小売全面自由化され、新たな事業者参入を通じ、多様で魅力的なサービスが各地域で提供されることでコージェネレーションや燃料電池の普及拡大が図られるものと認識しておりますが、しっかりと支援策を講じていきたいと思っております。
  57. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  それで、あと、ガスについて一点お伺いといいますか、ちょっと懸念をされている部分も含めてお話を申し上げたいと思います。  今度のこの改正ガス事業法によりますと、小売全面自由化は法律の公布から二年六か月以内に施行すると、こういうことになっております。  実はいろいろ苦情を頂戴しているのは、この二年六か月ということなんですが、業界で要は情報システムで対応しなきゃいけないと。そうすると、システム開発の期間として考えた場合にこの二年六か月じゃ短過ぎると。今いろいろ聞いてみますと、例えば消費税が上がることによるシステム開発が必要になっているとか、マイナンバー制度が入るのでシステム開発がしなきゃいけないとか、ちょっとタイミング的にいいますといろいろなものが重なってきているタイミングだということで、特にいわゆるSEの確保に苦労されているという話を聞いています。  この二年六か月ということについて、私に言ってきた人は、やっぱり三年というのが普通、普通常識は三年でしょうと、こういうふうにおっしゃるんですけど、この点については法律が成立すると自動的にこれは二年六か月になるわけですよね。そういう意味で、やはりちょっと事前に考えておかなきゃいけないんじゃないかと、こう思うんですけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。
  58. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  先生御指摘のシステム開発に関するガス会社の方からの懸念といった声は、私どもも耳にしております。  これまでのちょっと経緯を申し上げますけれども、ガス小売全面自由化実施時期につきましては、審議会の中でも議論がなされまして、新しい託送料金制度を設計すること、そしてそれに基づきまして事業者が認可申請を行うこと、さらに、今御指摘の点にも関係しますが、新規参入者の存在を前提とした需要家の情報システムの構築、これに時間が掛かると、こういったことを考慮して、他方で電気小売全面自由化実施が公布から二年六月以内と、このように規定されたということと同様の考え方に基づきまして平成二十九年を目途に実施することが適当と、このように審議会の中で議論がされたところでございます。  こうした議論を踏まえまして、私ども今回御提案させていただいている法案の中では、法律公布の日から起算して二年六月を超えない範囲で政令で定める日から施行するということをこの小売全面自由化に関しまして規定をしているところでございます。  具体的にこの二年六月以内の中でどこにするかといった点につきましては、先ほど申し上げました託送料金制度の話あるいはシステムの話に加えまして、ガスにつきましては保安の面が大事だと、こういった御指摘もございまして、保安責任を分担いたします導管事業者小売事業者の間の連携、協力、ルールの整備に要する期間、こうしたことも踏まえまして今後検討させていただきたいと思っております。  ガス会社からの懸念という点を耳にしていることは先ほど申し上げましたけれども、一方で、施行の時期を遅くするということになりますと、冒頭大臣の方からお話をさせていただきました全体のエネルギーのシステム改革、これをダイナミックにエネルギー市場をつくり上げるために進めていく、こういったことにつきましても改革実施時期が遅れてしまうと、こういった点もございますので、慎重に検討をしていきたいと思っております。
  59. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。是非円滑に進むようにお願いをしたいと思います。  以上で私の質問は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  60. 安井美沙子

    安井美沙子君 民主党・新緑風会の安井美沙子でございます。  冒頭、小渕優子前経産大臣説明責任について、これはひとときでありましても経済産業大臣という重責を担われたというこの責任を深く自覚をしていただきまして、必ず一政治家としての責任を果たしていただけるよう、御本人はここにいらっしゃいませんが、しっかり経済産業委員会の議事録に残させていただきます。  それでは、質問を始めます。  現在、衆議院の特別委員会で安全保障の審議が行われております。御案内のとおり、集団的自衛権の発動要件の一つである存立危機事態をめぐって、政府・与党を含め答弁の不一致が指摘されている、こんな状況であります。  資料の一を提出させていただきましたけれども、このホルムズ海峡をめぐる話が今議論が紛糾しているわけでありますけれども、これはまさにエネルギー安全保障の話でございまして、経済産業委員会でも議論をするべき内容であろうと私は思っております。  この存立危機事態ということですけれども、他国領域での武力行使の唯一例外的な事例として、政府は、ホルムズ海峡が封鎖され、石油、天然ガスの輸入が途絶えた場合、これを存立危機事態とし、現に戦闘行為が行われていないことを条件に機雷除去ができることもあるとしているわけです。存立危機事態とは、政府によれば、生活物資の不足やライフラインの途絶により、放置すれば国民の生死に関わる状態を示すということですけれども、この判断基準について、資料一に示しておりますように、総理それから防衛大臣、外務大臣の間で微妙に解釈が違うというふうに見られております。  中谷防衛大臣の答弁を見ますと、経済的打撃だけでもよしと受け取れる答弁でありまして、一方、岸田外務大臣は、それだけでは駄目である、経済面のみの影響が存在することのみをもって重大影響事態となることは全く想定していないと、こういうような答弁をされています。そして、安倍総理は、総合的に評価するということがいつも言われるわけですけれども、政府の裁量をかなり残す、こういう答弁をされておりまして、答弁される方によって微妙に解釈が違うということが今問題になっているわけです。  資料二を御覧いただきたいんですけれども、ホルムズ海峡が封鎖されて直接影響が出るのは、このホルムズ依存度が八一・八%の石油、原油と、二四・七%に上りますLNGでございます。  石油の備蓄は百九十九日分、それからLNGは二週間分ですけれども、このホルムズ海峡が封鎖された場合に国民の生死に関わる状態が実際に想定されるのか、エネルギー需給の観点から具体的にお示しいただきたいと思います。
  61. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) いわゆる存立危機事態云々という話は私自身が判断するわけにはまいりませんけれども、まず石油製品につきましては、今御指摘にありましたように、我が国が輸入する原油の八割がホルムズ海峡を通過しております。これが途絶えるということになりますと、まさに生活の足である乗用車、また物流であるトラック等々相当な問題が起こってまいりますし、また冬場ということになりますと、灯油やLPガスが枯渇して寒冷地では国民の命に関わる問題ということも生じるおそれがあると思っております。  また、電力という観点から申し上げますと、これはLNGと原油と両方あるわけでありますけれども、今、化石燃料への電力依存度はオイルショックのときよりも高い約九割でございます。ホルムズ海峡を通過する化石燃料の輸入が途切れるということになりますと、日本に直接輸入する分だけでも夏のピーク時に供給力の約四分の一を失うということになります。昨年の夏の例でいいますと約四分の一を失うということになります。ということは、産業活動、国民生活への打撃というものは大変大きなものであります。さらに、世界の化石燃料市場が混乱して、更にほかのところから輸入しようとしても輸入に支障が生じるという事態も起こるのではないかと考えております。
  62. 安井美沙子

    安井美沙子君 全般的にお述べいただいて少し情景が浮かんできたわけですけれども、衆議院の特別委員会では、何か凍死者が出るとか餓死者が出るとかいった部分的な情景が切り取られて語られるものですから、なかなか国民の間に、具体的なイメージが分かりにくいのではないかというふうに問題意識を持っています。今の大臣の御答弁聞いていますと、ますますこのエネルギー安全保障というのをしっかり考えていかなければならないということを再認識するわけです。  次に、今日は電事法の審議ですから、電事法の広域機関の役割について、話は続きなんですけれども、少し話を移していきたいと思います。  暮らしを直撃するという意味では、やはり電力への影響が一番懸念されるわけですけれども、電力の需給逼迫時における広域機関の役割についてお伺いしたいと思います。  資料の三を御覧いただきたいんですけれども、今回の電力システム改革におきまして、広域機関が重要な役割を担うということはもう論をまたないことでありますが、危機対応について確認をさせていただきたいと思っております。  まず、これは通告していないんですけれども、この業務規程について政府参考人に確認をさせていただきたいと思います。この資料三、第八章、需給状況の悪化時の指示等というところで、需給逼迫時の指示又は要請という箇所があるわけですけれども、この需給逼迫時というのが、例えば、ここのところの夏に必ず出てくる電力需要ピーク時に数日間程度予備率がゼロに近くなって非常に緊迫するようなこういう状況から、それから、ホルムズ海峡封鎖により石油備蓄が尽きるほどの長期にわたるエネルギー危機まで含めたそういう解釈なのかということ。これ、質問レクではそうであるというふうに聞いたんですけれども、確認をさせていただきたいと思います。
  63. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  先生お配りいただいております業務規程に定めます需給逼迫、特段の中期、長期の定義というものが設けられているわけではございませんが、こちらございますように、結果として特定の一つの区域の中の事業者の努力のみではうまく需給調整が行えない、こういった状況でエリアを越えた需給の調整が必要となる場合ということを想定しているというふうにお考えいただければと思います。
  64. 安井美沙子

    安井美沙子君 そうしますと、やはり数日間程度どういうふうに乗り切るかというレベルの話から中長期のものまで取りあえずは対応するんだというふうに理解をさせていただきます。  その上でですけれども、まずこの二号ですか、需要抑制を指示できるというふうにあります。ちょっと質問の順番を変えさせていただきますけれども、契約を結んでいる需要家の需要を抑制させてもらえるという話なんですけれども、この需要家との契約量というのは全体の供給量の何割ぐらいに当たりまして、さらにその契約量のうちのどのくらいまでを抑制できるのでしょうか。
  65. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  こちらにございます電気の使用者との契約でございますが、私ども、こちらにつきまして随時調整契約といったものを想定をしております。いわゆる電力会社の方からの事前の通告、これは即時の場合もございますし、一時間から三時間前という場合もございます、さらには前日といった場合ございますが、非常に短期間の事前の通告で電力の使用を抑制する、こういったことをあらかじめ契約をしていただく、これを随時調整契約と申しております。  これにつきましてでございますけれども、今回の夏の電力需給見通しを作成した際に各電力会社から出していただきました随時調整契約の内容を考えますと、トータルで合計五百十三万キロワット、これが逼迫時に抑制可能な電力量として見込んでいる状況でございます。最大の需要想定に比べますと三%程度の分量に当たるものでございます。
  66. 安井美沙子

    安井美沙子君 三%とおっしゃいましたのは全体の供給量の中の三%という意味だというふうに思いましたけれども、そもそもその契約をしている大口需要家というのが全体の中の何%ぐらいですか。
  67. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  今の随時調整契約を結んでいる需要家という観点から考えますと、分量からいたしますと、恐らく一割から二割程度需要家というふうに想定されます。
  68. 安井美沙子

    安井美沙子君 そうしますと、需要抑制をできる対象の需要家の使用量が全体の一〇%ぐらいで、件数では余り意味がないんですね。これも質問レクの間でやり取りはしたんですね。時間がもったいないので後でお答えいただければと思います。  私が問題意識として持っているのは、二号の需要抑制に関しては、やはりこれは数日間の電力逼迫状況にしか対応できないようなレベルなのではないかということでございます。それは後でまた確認させていただきたいと思います。  それから、一号の方では、作業停止計画の調整、この太線を書いたところですけれども、停止中の電源の運転、運転中の電源の出力の増加等を指示できるというふうにあります。つまり、電力の出力を何とか増やそうという、こういう措置だと思います。しかし、ホルムズ海峡が封鎖されてエネルギーが逼迫したら、幾ら定期点検中の発電所を稼働させてもエネルギーを注げないわけですから、火力発電については全くこれは意味がないということになります。  そうしますと、需要抑制にも限界があり、そして供給力を増加させるということでもエネルギー逼迫時には限界があるということになりますと、ほかに広域機関で何か手だてはあるのでしょうか。
  69. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 恐らく、手だてが広域的機関にあるのは、将来の発電能力が不足した場合に、それを入札に掛けて新たな発電所を建設するということはここにあるわけでありますけれども、これは数年、十年、十五年掛かる話でありましょうから、恐らく余りにも先過ぎて間に合わないということになりますと、これ以外にはほとんどないんだろうと思っております。
  70. 安井美沙子

    安井美沙子君 例えば、これは頭の体操だけなんですけれども、今稼働していない原子力発電所を超法規的な措置原子力規制委員会の審査を経ずに運転をさせるということが広域機関にできるのでしょうか。
  71. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 広域機関にはできません。
  72. 安井美沙子

    安井美沙子君 そうしますと、広域機関が需給逼迫時に指示又は要請ができるという条項があるわけですけれども、実際にはこういった中東危機なんかのときには広域機関はほぼ機能を期待されていないというふうに私は今の答弁で結論付けさせていただきますけれども。  今は、広域機関が原子力発電所原子力規制委員会の審査を経ずに稼働させる権限はないということでしたけれども、自衛隊を派遣する、他国領域に派遣するということ、この判断と、それから原子力発電所を稼働させるという判断が拮抗するような場面も出てくるかとは思うんですけれども、そういったときは、この広域機関は関係ないということですが、これはどこが判断することになるんですか。
  73. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) それは、今ある法律ではできないことを判断するわけでありますから、いわゆる超法規という世界の中で判断することが、過去超法規で判断した例というのは、こういうことではありませんけど、別にあったわけでありますが、そういう種類の判断をするかしないかという極めて重い政治的な判断だろうと思っております。
  74. 安井美沙子

    安井美沙子君 ありがとうございました。  一応いろんな想定をシミュレーションしておかないといけないと思っています、エネルギー安全保障に関しましては。今確認できましたのが、この広域機関については、最初の御答弁では、中長期の逼迫時にもある程度の責任というか機能を期待されているという業務規程ではあるけれども、実際にはそれは期待できないという現実が見えてきておりますので、そこはきちっと、それならそれで中長期の逼迫時に対応する政府の何かしら御検討が必要なのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  75. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まさに中東依存度というものは高くなっておりますし、またホルムズ海峡が運航不能になった場合には大変大きな影響が、日本の経済、国民生活に影響があるという状況は間違いないわけでございますので、ホルムズ海峡の外に位置する産油国からの原油取引量とかLNGの取引量の増大といったものをやはりしっかりこれからやっていかなければいけない。  例えばLNGにつきましては、アメリカ等、シェールガス等々というものが二〇一六年、シェールガスについては二〇一六年から日本に入ってくる予定でございますけれども、それ以外の、中東以外のLNG産出国との間でいろんな今交渉等々を行っておるわけでございます。また、原油につきましても、今般、カタールの地上の権益をINPEXが獲得できましたけれども、これにつきましては、ホルムズを通らないで輸出できるパイプラインがある原油、あっ、済みません、UAE、アブダビでございます、UAEについてはホルムズを通らないでパイプラインで運べると、こういう油でございまして、そういうことをいろいろと推し進めていかなければいけないんだろうと思っております。
  76. 安井美沙子

    安井美沙子君 次にこの話をお聞きしようと思っていたんですけれどもね。  資料二を戻っていただきますと、調達先の多角化ということ、実際にこの五年間を見てもほとんど進展がないんですよね。もちろん個々の商社などが頑張っていらっしゃることは承知しておりますけれども、今このホルムズ海峡封鎖ということがこれだけ取り沙汰されているわけですから、まずはエネルギー安全保障の観点から、もっと積極的にある程度コストを掛けてでもこの権益確保等々を意識してやっていただきたいと思っているんですけれども、このホルムズ海峡封鎖という緊急事態に備えて非ホルムズ地域から緊急輸入ができるような手だては打ってあるのでしょうか。
  77. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 結局、例えばLNGの場合ですと、スポットでも相当購入をしておりますけれども、緊急事態のときにスポットで取引ができるかどうかというのは極めて難しい状況を生じる可能性はかなりあると思っております。そうした意味には、それ以外に、じゃ、緊急時には日本に特別にこうやって油なりLNGを売ってくれるという契約自体はないんだろうというふうに承知しております。
  78. 安井美沙子

    安井美沙子君 やはり、自衛隊の派遣を考える前にこういったことの手だてを先に打つことが私は重要だと思いますので、平時の調達先の多角化ということと併せて緊急時の調達先の確保というものを真剣にやっていただければというふうに思います。  ちょっと話戻しますが、それを政府全体で、あるいは経済産業省全体でやってくださいという話にちょっとすぐに広がってしまったんですけれども、この広域機関ですね、ちなみに先ほどのお答えは分かりましたか。まだですか。広域機関の役割、これ、私はしっかり、何というんでしょうか、何はできて何はできないのかというのを明確にした方がいいと思っているんです。最初の御答弁ではまあ基本的には何でもできるというようなふうにも受け取られるわけですけれども、実際には、もう本当に数日間の需給逼迫にしか対応できないのではないかと思いますが、上田長官、首かしげていらっしゃいますが、いかがですか。
  79. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 失礼いたしました。  広域機関の役割でございます。  まさに委員指摘のこの業務規程に書いてあるとおりでございますが、作業停止計画の調整等とか、あるいは停止中の電源の運転と、こういったことができるわけでございまして、おっしゃるような様々な緊急事態、予想されるわけでございます。それが数日である場合もあれば、数か月あるいは数年に掛かるような場合もあるわけでございまして、そういった場合には、例えば、作業停止計画を調整するとか停止中の電源の運転と、そういうその広域機関の役割というものもあるわけであると思いまして、非常に緊急事態、その性質の中によりましてはなかなか広域機関だけでは対応できないケースもあろうかと思いますけれども、様々な事態に対応いたしまして、広域機関もそれなりの役割を果たしていくことは期待されているところだと考えております。
  80. 安井美沙子

    安井美沙子君 これ、やっぱり納得できないんですね、今の御答弁では。  先ほど需要抑制は三%とおっしゃいましたよね、三%でしたっけ。そうしますと、全体では余り影響がないと。それから、定検中のものを動かすといってもエネルギーがないんですから、石油が入ってこないわけですから、原油、LNGが入ってこない、そしてほかの調達先も競争が激化してなかなか入手できないということになりますと、せっかく定検中のものを動かしても、これ、稼働させようと思っても動かすものがないわけですよね。それで、石炭は分かりますよ、石炭は恐らく定検中のものを動かせると思いますが、それも知れているのではないかと。  その辺を考えますと、やはり論理的に考えると、この広域機関の需給逼迫時の対応というのには限界があると。そうしますと、それを超えたときには政府全体でやるんだという先ほどの御答弁もあるのですが、しっかりその役割をきちっと明確化して、それを担うところを、ホルムズ対応対策課でも何でもいいんですけれども、きちっとやっておくことがリスク管理だというふうに私は思います。  次に、機雷掃海に係る危険性とコストについてお伺いします。  資料の四ですけれども、これまでの自衛隊の海外派遣におけるコストとリスクというのをちょっと資料を出してもらいました。これまで幾つかのオペレーションが行われて、この中で機雷掃海というのに当たるのは一番下のペルシャ湾における機雷除去ですけれども、これ、規模感がちょっとほかのものと比べると小さい感じがいたしますけれども、こういったこれまでの経験から、今後、今議論されているホルムズ海峡の機雷掃海に係るコストとリスクをどの程度見込んでいるのかということを教えていただきたいと思っています。  現時点で分かる、現時点では派遣の期間とかそれから人数などは想定するのが難しいことは承知しておりますので、例えば、何人をどのくらいの期間派遣するなどの前提条件を付した上で試算を教えていただければと思います。
  81. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  今、機雷の掃海作業に係りますコストとリスクというお尋ねをいただきましたが、これは環境によりまして派遣する、先生も御指摘ありましたように、隻数等がなかなか推測が難しいということが現実でございまして、なかなか具体的に想定することは困難でございます。  その上で、この資料にもありますけれども、平成三年、一九九一年でございますが、このときに、ペルシャ湾派遣部隊を掃海艇四隻、あと掃海母艦一隻、補給艦一隻で行いましたけれども、このときの費用につきましては、こちらの資料にございますように約十三億円を要したものでございます。  なお、この際に、ほかのリスクという点では、この作戦中におきましては亡くなった方はいらっしゃいませんでしたが、このオペレーションに参加された方で、その後に現在までのところ二人の方が自殺によって亡くなっているという結果を得ております。  それと、誠に大変恐縮でございますが、今先生からお示しいただきました資料の中で、私どものお示しの仕方が悪かったかもしれませんが、自殺者の数がちょっとずれておるといいますか、一番上が二十五、数字が二十五、二十九、調査中が四つ、一番下が二ということが私の手元にある資料でございます。もしかしましたら私どものお示しの仕方が悪かったのかもしれませんが、大変申し訳ございませんでした。
  82. 安井美沙子

    安井美沙子君 資料の御訂正ありがとうございました。  結局、ペルシャ湾における機雷除去、平成三年のものについて教えていただいたんですけれども、これを頭の体操として、今回のホルムズに関して、こういったデータを用いて、ある前提を置いて試算をお示しいただきたいということ、まだ御答弁いただいていないんですけれども、お願いします。
  83. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 誠に恐縮でございますが、具体的に役に立つ想定となりますと、状況に応じたことになろうと思いますけれども、仮にペルシャ湾の機雷、ほかのことを全部除きまして、ペルシャ湾における機雷掃海といたしましても、場合によりまして派遣期間、要する派遣隻数等が異なりますので、誠に申し訳ありませんが、お示しいただけないことを御理解いただきたいと思います。
  84. 安井美沙子

    安井美沙子君 このことについては質問レクのときもさんざんやり取りをしました。  このデータ、派遣人数とそれから死者、右の方の二つのコラムですけれども、派遣人数と死者を出していただくだけで昨晩五時間掛かりました。五時間、夜遅くまで、委員部の方にもみんな待っていただいて、防衛省の回答をひたすら待っておりました。防衛上の秘密などなどで出せないのですかと聞いたら、そうではないと、数字が取れない、間に合わないという、そういう御回答の中、五時間待ちました。こういった過去のファクトを集めるのにこれだけ時間が掛かるので、どういったこれからシミュレーションをできるのだろうということを大変心配になりました。  今、衆議院の特別委員会でさんざんこのコストやリスクの話がされておりますけれども、そもそもシミュレーションをできるだけの土台が防衛省にはないんじゃないでしょうか。本当に心配になります。  今申し上げたのも、それからもう一つ付け加えますと、この執行額というの、今四プラス一隻の船を出したということをお伺いしましたけれども、これまでのオペレーション、幾つかの例の執行額の主な内訳ということをお伺いしたら、それは間に合いませんでした。五時間待っても出てきませんでした。  なぜかというと、この執行額という丸まった数字では何をどうコストを掛けたのか全く見えないわけであります。何人派遣して何を出したからこういうお金になっているのかということを知らないと、今度ホルムズ海峡の機雷掃海するときにどのぐらいのコストが掛かり、どのくらいのリスクが掛かり得るんだろうということを私たちも全く想定できない。そういった理由でこの内訳についてもお願いしたんですが、これも出てまいりませんでした。  これ、なぜデータがないのか、そして、このデータが間に合わなかったのか。そして、そういった過去のいろいろなシミュレーションに基づいて今回も仮の数字なら出せると思うんですが、なぜできないんですか。
  85. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) まず、経費の内訳について先生のところにお出しするのが間に合わなかったという点につきましては、これは要するに過去の経費を洗うのに時間が掛かったということに尽きますので、誠に申し訳なかったと思います。  ちなみに、十三億円の内訳についてだけ申し上げますと、十三億円、これ、十三億円というのは平成三年の派遣に要した費用ということで申し上げたものですが、項、防衛本庁、これは手当、旅費、糧食費、油購入費等八億円、項、武器車両等購入費、これは読んで字のごとしなんですが、装備品等に係るものが一億円、そして装備品等整備諸費、これは修理、整備等に係るものが四億円で、十三億円という内訳は判明いたしました。こうしたことが遅れたことは誠に申し訳ございませんでした。  次に、なぜシミュレーションができないのかというお話でございましたが、各派遣は、もちろん責任を持ってある程度のシミュレーションを行うとなりますといろいろな要素を見積もらなければいけませんが、自衛隊の派遣に関しましては状況に応じ千差万別となりますので、先ほど御答弁申し上げましたように、なかなかお示しするのは難しいというのが実情でございます。その点は何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
  86. 安井美沙子

    安井美沙子君 先ほどの内訳について時間が掛かったということですけれども、こんなことは過去のデータですので、コンピューターを開ければすぐ三秒で出てくるようなものではないかというふうに思いますので、非常に理解に苦しみます。  そして、もちろん責任ある数字数字が独り歩きするといけないという御懸念もあるかと思いますけれども、こういった仮定を置いたときにはこうなる、そしてまた違う仮定を置いたらこうなるというようなことは幾らでも示せるわけでありまして、それが現在の安全保障の議論には不可欠だと思います。でないと、リスクとリスクを考え併せてどちらがより国民に資するものかという議論も、議論の土台がない、議論の材料がない中で議論をしているというふうに私は思います。  そして、今こういったまともな議論ができない中で私が心配になりますのは、ある程度この一番下の事例が近いのかなとも思うわけですけれども、この機雷除去のときには公海上のオペレーションであったのに対しまして、今回はイランとオマーンの領海における作業になりますから、反撃によるリスクも考えなければならなくて、この死者ゼロ、自殺者二という以上のリスクを抱えているものだということも併せて申し上げたいと思います。  宮沢大臣エネルギー逼迫を理由に膨大なコストとリスクを掛けて自衛隊を派遣するのは本当に最後の手段だと思います。冒頭、大臣が展開される状況についてお述べいただいたんですけれども、そういった状況を打開するために自衛隊を派遣するのは最後の手段、それをしなくていいように何ができるのか、それを考えるのがエネルギー安全保障だと思うんです、それの本筋だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  87. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) エネルギーの中東依存度を下げるというのは何十年来の我が国政府の方針でございまして、それをやってきましたところが、原発が全基停止するということで、今大変中東依存度が逆に増えてしまったと。原油においては御指摘のように八〇を超え、LNGにおいても約四分の一、ホルムズ海峡の内側に依存していると、こういう状況になっているわけでございます。  そういう中で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、アメリカを含めた原油の調達先の多角化や資源外交の積極的展開を通じた上流資源開発、またさらに、中長期的な点からはメタンハイドレートなどの国内資源の開発などに取り組んできたところでありますけれども、こういうことをしっかりとこれからもやっていかなければいけないと思っております。  そして、これまでの成果として先ほども申し上げましたけれども、いわゆる、本年四月に国際石油開発、INPEXがアブダビの陸上油田の権益獲得にアジア企業として初めて成功しました。この油田は、ホルムズ海峡を回避した輸出が可能ということに加えまして、二〇〇三年に我が国がクウェートで大きな権益を失いましたけれども、それに匹敵する量を確保できる油田でございます。また、アメリカのシェールガスにつきましても、日本企業が参画する全てのプロジェクトの輸出許可を取得して、来年以降輸入ができると、こういう状況になってきております。  LNGにつきましては、いろいろこれからも多角化ということをやっていくことはできますが、一方で、原油ということになりますと、なかなか正直言ってすぐには代替するところを見付けるのは難しい。電力の場合は、このエネルギーミックスにおきましても、原油の部分というのは大変小さな割合でありますから、LNGを多角化することによってかなり埋められることになると思いますけれども、じゃ、例えばガソリンを使う自動車、トラック等々ということについて言うと、正直、なかなかこれから先いろんな知恵を出しても、ホルムズ海峡が通れないという事態が起こったときには、相当大きな国民生活、経済活動に影響が出るのは避けられないというふうに思っております。
  88. 安井美沙子

    安井美沙子君 前回質問で水素のお話もお聞かせいただいたんですけれども、是非そういったことも熱心にお取組をいただきたいと思っております。  電力の方にまた戻りますが、先ほど来、与党の委員からも、それからうちの直嶋委員からも、再生可能エネルギーの割合、少しこれ抑制的なんではないかと、もっと野心的にできるんじゃないかという指摘があったかと思います。このエネルギーミックスという上では、再生可能エネルギーコストというのも一つの大きな障害になっていますけれども、再生可能エネルギー原子力と並んで国産エネルギーでありまして、このホルムズ問題を考えますと、多少のコストを差っ引いても、これはもっともっと積極的にやるべきではないかというふうに思います。  3EプラスSというのが必ず出てまいりますけれども、こういった事態を受けますと、エナジーセキュリティー、エネルギーセキュリティーはエコノミーに勝ると、そういう話じゃないかと思うんですね。しかも、そのエコノミーの部分が原子力あるいはそのほかの火力発電等に比べても、総合的に、安倍総理の好きな総合的に勘案すると、実は安く付くんではないかということももう一度御検討いただきまして、再生可能エネルギーについても、このエネルギーセキュリティーの脆弱性を克服するという意味でもう少し野心的にお取り組みいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  89. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 再生可能エネルギーの中でも地熱とかバイオマス、あと水力といったものは常に発電が見込まれる安定的な電源でございまして、これについては相当野心的な導入計画を作って二〇三〇年を目指しているところでございます。  一方で、太陽光風力につきましては、日が照らなければ、曇れば太陽光発電できない、また風力は風が強過ぎても弱過ぎてもできないというために、常にそれと同等量の火力発電のバックアップを持っていなければいけないといった意味で、やはりこういうホルムズ海峡等々で一朝事が起こったというときには、正直言って国産エネルギーではあるものの頼りになるエネルギーではない、やはり火力が動かない以上、それを昼間だけ使って夜全くなしというわけにはいかないというような状況は御理解いただきたいと思います。
  90. 安井美沙子

    安井美沙子君 その点はよく理解しております。その点は難しいことは思いながらも、せっかく広域機関ができましたので、広域機関の本領を発揮していただきまして、連系線の増強などで広域においてその電力を融通するということの技術をもう少し上げていくことによって再生エネルギーの不安定さを克服できるのではないかとも思っています。  これまでるるエネルギーセキュリティーの話をさせていただきました。本当に難しい取組だと思っております。  しかし、今、ホルムズ海峡の話が出てきて、これの重要性というのがますますハイライトされていると思っています。難しいけれども、万難を排して取り組んでいくのが経産省の使命だと思いますし、私たち国民全体がこれ関心を持って取り組まなければいけないことだと思っています。  もしこのエネルギーセキュリティーの脆弱性を克服できれば、現在政府が唯一例外的に他国領域への自衛隊の派遣を認めようとしている唯一のこの事例が成り立たなくなります。安全保障議論で毎日のようにホルムズ海峡の事例が引き合いに出されながら、このエネルギー安全保障の議論が詰められていないということは大変問題だと思いますので、この経済産業委員会でこれをしっかりと議論していきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございます。  もし先ほどの答弁いただけるのならお願いいたします。
  91. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) 遅くなりまして恐縮でございます。  具体的に申し上げますと、先ほど私が申し上げました五百十三万キロワット、これはお客様の数で申しますと千四百件程度のお客様であります。全体で、全国約八千四百万件、需要家がおられまして、それ全体で一億六千万キロワットであります。全国でそのぐらいありまして、そのうちの約三分の一が大口の需要家、つまり自由化料金をやっていらっしゃるお客様でありまして、この五千百万キロワットの中の約一割程度が、今回、先ほど申し上げました五百十三万キロワットということで、これだけを減らすことができるということでございます。  先生お尋ねの件が、もしその千四百件程度需要家の方の全体の契約量、これの合算値をというお尋ねですと、ちょっと今、恐縮ですが、計算がまだ間に合っていないという状況でございます。
  92. 安井美沙子

    安井美沙子君 昨日の質問レクのときに、件数では意味がありませんねという会話がございましたので、それだけ申し述べておきます。  ありがとうございます。
  93. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時三十二分開会
  94. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。  今日議題となっております今回の改正法案は、東日本大震災を契機といたしまして検討が開始されました電力システム改革の総仕上げとして、第三段階改正であります発送電分離、また小売料金規制の撤廃を行うとともに、ガス事業熱供給事業についても抜本的な改正を行うものでございます。いずれも国民生活や社会経済に直接大きな影響を与える改正でありますので、改めてこの委員会の場で改正の趣旨や政府エネルギー政策の展望について国民に説明を尽くしていただきたいと思っております。  そこでお聞きをいたしますけれども、今回の改正では、電力システム改革に合わせて、先ほども申し上げましたガス事業熱供給事業についても小売参入全面自由化などの抜本的な改革を行います。これによってエネルギー分野の垣根を越えた総合的なエネルギー市場の実現を目指すこととされていますけれども、こうした改正が我が国の経済成長にどのような効果をもたらすとお考えになっているのか、本改正案の狙いについて改めて大臣に伺いたいと思います。
  96. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まさにデフレから脱却をして成長戦略の軌道に乗せるためには、民間のダイナミックなイノベーションというものがどうしても必要だろうと思っております。  生産性を向上させる、イノベーションを進める、そういう観点から、電力ガス熱供給を一体的に改革することで、これまで縦割りだったエネルギー市場垣根を越えた総合エネルギー市場の創設というものをこの法律は目指すものであります。これによりまして、エネルギー間の相互参入や異業種からの新規参入、また電力会社とガス会社の連携といった企業間の連携が進むことが期待されております。また、低廉で安定したエネルギー供給日本経済の生命線であり、今回の改革を通じまして、安定供給確保しながら料金を最大限抑制していきたいと考えております。  競争的でダイナミックなエネルギー市場をつくり上げることで、消費者が価格やサービス面でメリットを享受できるようにするとともに、産業面でも競争力の強化に資するエネルギー産業の発展へとつなげていきたいと考えております。
  97. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 今、安定供給についても大臣から重要性、改めて触れていただきました。  これまでは、垂直一貫体制と言われます、発電また送配電、小売までを一つ電力会社が一貫して行うと、こういう体制であったわけでございます。こうした体制の下では、長期的な観点に立って電力需要に見合った発電設備また送配電設備を形成することができて、電力品質の維持、災害時の早期復旧など安定供給を可能にしてきたと、こういう体制が安定供給に資する役割を果たしてきたというふうに言われております。  例えばアメリカの場合は、日本に先んじて発送電の分離と自由化が進んでまいりましたけれども、送電網などに対する補修費が削減されて大規模な停電が起こったということも指摘をされております。やはり、一般家庭ですとか、また事業者の皆さんとしては、これから自由化になると、それであってもこれまでと同じように安心して、また安定的に電気を使えるんだろうかということが関心事だと思うんですけれども、消費者の求める安定供給というのはどのように確保していくのか、お尋ねしたいと思います。
  98. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  システム改革、御指摘のとおり、安定供給をしっかりと確保していくということが極めて重要でございます。今回の法案の中では、法的分離などにつきましても手当てをしておりますけれども、そうした場合でありましても、送配電事業者、そして発電小売電気事業者が協調して停電などのトラブルに迅速に対応するなどの安定供給確保のための体制を確保することがこれは不可欠だと思っております。  このため、平時からの情報供給も含めまして、今年の四月に発足をいたしました広域的運営推進機関、こちらにおきまして、事業者が協力して停電などのトラブルに対応する仕組みを整備する、このようなことにしているわけでございます。  具体的には、広域的運営推進機関の業務に関する事項を定めます業務規程、こちらにおきまして、例えば会員である電気事業者が維持運用する電気工作物に加えまして、電源車でございますとか携帯用の発電機でありますとか資機材等々の保有の状況をこの広域的運営推進機関に提出するようにということでございますとか、年一回以上、会員及び関係者の協力を得て訓練を実施する、こういったこと、さらには災害発生時等の緊急時にその災害規模に応じまして非常態勢を構築する、こういったことが決められているところでございます。  こちらのルールにつきましては、今後の電力システム改革の進展に応じまして必要な見直しを行っていくことにいたしておりまして、今後、法的分離実施に向けまして、災害時等におけます一般送配電事業者、そして発電小売事業者との間の協調に関するルールを追加する、こういった改定を行うように考えております。  災害時にコールセンターの小売部門の担当者が送配電部門の災害対応を即座に応援できる、こういったことも大事だと思っておりまして、平時から両部門間の一定の連携を認める、こういったことも含めまして、安定供給に万全を期すことにしておるところでございます。
  99. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 もう一つ電気料金ですね。小売料金の全面自由化が行われて、本当に電気が安くなるんだろうかと、こういうことも心配に感じていらっしゃる方が多いんじゃないかと思います。  例えばイギリスですと、自由化による競争の加速の中で安定的な電源の確保ができずに電気料金が大きく上がるという事態が起きたというふうにも指摘をされております。  我が国でも電力供給が落ち込んだ状態の中で自由化を行って、供給不足によって電気料金が値上がりをした、低所得世帯の方などには大変大きな負担にも、そのような事態になってしまったらなることになりますので、こういったことが起こらないようにしなければならないと思います。  安価で良質なサービスを受けられるようになることが改革の目指すところでなければならないと思いますけれども、諸外国において電力システム改革で見られる電気料金の上昇のような、こうした弊害を防ぐ措置というのはどのようになっているんでしょうか。
  100. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  システム改革を進める中で、安定供給確保と並んでその目的となりますのが料金の抑制という点であろうかと思います。電気料金の水準につきましては、資源価格の動向でございますとか、あるいは再生可能エネルギー賦課金の設定など様々な要因の影響を受けるわけでございますが、今回のシステム改革の中におきましては、これまでの地域独占あるいは総括原価方式を見直すことによりまして、高コスト構造、これを改善するといったこと、さらには、新規参入者が参入しやすい環境を整備いたしましてコスト競争力のある事業者参入を促進する、こういったことを通じまして、電気料金を最大限抑制することを目指しているわけでございます。  また、先生御指摘ございました諸外国の事例、イギリスの事例では、これは自由化と同時に料金規制を撤廃したと、こういうことによりまして価格が上昇してしまう、こういった苦い経験があるわけでございまして、私ども、今回の法案を策定するに当たりましては、そうした事例を踏まえまして、一般家庭向けの電気料金につきましては、競争が十分に行われていること、これを確認されるまで国の認可等の規制を残すことにしているわけでございます。規制料金より高い料金での新規参入というのは考えにくいというふうに考えてございまして、私ども、この自由化が原因となって料金が上がるような事態は防ぎたいと思っております。  さらに、電気料金に占める燃料費の割合、これは四割を超えているわけでございます。したがいまして、資源外交などを含めまして、北米からのシェールガスあるいはLNG輸入の実現、こういったことを通じまして、供給源の多角化といったこともシステム改革と併せてやっていくことが重要かと思っております。
  101. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 是非よろしくお願いいたします。  冒頭でも申し上げましたけれども、エネルギー産業の育成というところは成長戦略としても重要でございます。日本再興戦略では、エネルギー産業を育て世界市場を獲得するとしまして、二〇二〇年に現状八兆円の内外のエネルギー関連市場を約二十六兆円獲得するとの目標を立てております。  衆議院の本会議で、この法案に関しまして我が党の國重徹議員の質問があったんですが、それに対しまして総理も、我が国の産業エネルギーを効率的に活用するための技術やノウハウを蓄積しているけれども、それらを総合化して国際展開することが少なかったのは事実だと、こういう認識を示されていらっしゃいます。エネルギーの効率化や省エネなど、日本の高度な技術を世界市場に向けて更に発信していくことを期待したいと思います。  今日も議論になりましたけれども、日本エネルギー企業の世界市場への進出に向けまして、政府として支援の在り方、また世界市場でのシェアの獲得の見通しなどについて、大臣はどのようにお考えになっているのか、お伺いします。
  102. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まさに我が国のエネルギー関連の技術の高さというものについては、途上国だけではなくて先進国も大変興味を示しております。  磯子にあります電源開発の石炭火力発電所は、本当に世界中から引きも切らさずに見学者が来るというような状況でありますし、また、私もいろいろ国際会議に出ておりまして、原子力発電につきましても、やはり原子力災害を超えた技術というんでしょうか、災害の結果更に技術力が高まっているという点について随分いろいろ興味を持たれている。さらに、先週末もアフリカの資源大臣の国際会議を東京で開きましたけれども、資源大臣と話しておりまして、燃料電池、燃料電池車とかエネファームについて話をしておりましたら大変興味を持っているということで、我が国のまさにエネルギー関連の技術というものを輸出することは、我が国にとってだけではなくて、まさに途上国のためにも非常に役立つことだろうというふうに考えております。  政府といたしましては、エネルギー戦略、政策づくり、インフラ参画、人的・資金的支援などを組み合わせ、アジア各国のエネルギー問題に対して包括的な解決策をワンストップで提供していきたいと考えております。  具体的には、このゴールデンウイークには私もインドを訪問いたしましてモディ首相などと会談をさせていただきましたけれども、高効率火力発電所の重要性を強調するなど、トップセールスというものも行ってきております。これからも官民ミッションの派遣とか、海外の実証事業において我が国企業と現地企業との組合せをつくるなど、積極的に進めていきたいというふうに考えております。
  103. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 ありがとうございます。  次に、再生可能エネルギーについて私も取り上げたいと思っております。  今回の改正、第三段階となる電力システム改革の議論といいますのは、東日本大震災、また福島での事故を契機に検討が開始をされました。大規模集中電源から分散型電源システムへの移行、また需要家の選択肢の拡大、広域融通の強化などの必要性がその検討の議論の中でも指摘をされてきております。  再生可能エネルギーですとか、それからコージェネレーションのような分散型エネルギー、これは大規模災害時の停電のリスクも小さくなりますし、また東日本大震災の計画停電などの大混乱、こうしたことを教訓にいたしますと、やはりこの普及、導入促進していくべきだと思いますけれども、今日も何度か議論になりましたが、エネルギーミックスでのこうした再生可能エネルギー、分散型のエネルギー導入目標というのはどのように取り扱っているのか、お伺いしたいと思います。
  104. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) この再生可能エネルギー、あるいはコージェネレーションのエネルギーミックスにおける位置付けに関するお尋ねでございます。  午前中御議論ございましたけれども、エネルギーミックス、今回、安全性を大前提にしながら、自給率をおおむね二五%程度に改善をする、電力コスト現状より引き下げる、欧米に遜色ない温暖化ガス削減目標を掲げると、こういう具体的な目標を同時に達成するということを目標に検討を行ってきたものでございます。  再生可能エネルギーにつきましては、発電電力量の二二から二四%という導入比率を見込んでおります。これは、一つには、出力が安定しております地熱、水力、バイオマス、こういったものにつきましては、環境規制の緩和あるいは地元との調整、こういったことが順調に進むことなども見込みまして、非常に野心的な導入の値となっております。また、出力が変動します太陽光風力につきましては、電力コスト現状より低減するという範囲内で最大限導入を行っております。  昨年四月にまとまりましたエネルギー基本計画におきましては、これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準、二〇三〇年の発電電力量の約二割を更に上回る水準を超えるということになっておりましたが、それを超えた水準ということになっているわけでございまして、足下から比較いたしましても二倍程度と、水力を除きますと四倍程度という導入拡大の目標になっているわけでございまして、野心的な見通しであると考えております。  それから、コージェネレーションでございますけれども、二〇三〇年時点におきまして、現状発電電力の倍以上でございますが、千百九十億キロワットアワーという程度を想定をしております。都市再開発などにおけるエネルギーの面的利用の中でのコージェネレーションの活用、あるいはコージェネレーションの余剰電力の系統での活用、エネファームの導入等、新たな導入形態の活用を見込んでこういった数字にしたものでございます。
  105. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 再生可能エネルギーを活用した町づくりですとか地域活性化に取り組む自治体も多くあります。福島につきましては、復興の柱になる再生可能エネルギー最大限の買取りができるように特別な支援をするという総理の発言が報道されておりました。今も大変な思いをしている福島の皆さんに少しでも希望を持っていただけるように、福島を再生可能エネルギーのフロンティアにする、このために全力を挙げていただきたいと思います。  ただ、福島以外にも再生可能エネルギー、力を入れて、地域の雇用創出などに取り組んでいる自治体も多くありまして、やはりそういう自治体からは、再生可能エネルギー導入目標もう少し高く掲げて達成のために国として全力を挙げてほしい、こういう声も強くございますので、こうした声もしっかりと受け止めていただきたいと思います。  再生可能エネルギーにつきましては系統接続ですとか固定価格買取りについて様々課題がございますけれども、将来的にはエネルギー自立型の住宅ですとかビルの実現も期待したいと思っております。各地でこうしたことについては実証事業行われていますけれども、系統との調和を図りながら、ゼロエネルギー住宅ですとか、またビル、スマートタウン、こうしたものの普及を更に進めていっていただきたいと思っておりますけれども、取組について伺いたいと思います。
  106. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 御指摘のとおり、再生可能エネルギーを更なる導入を図っていく、それを拡大していくためには、電力系統の負荷を低減しながら、住宅、建物等々を含めました地域分散型のエネルギーシステムの構築ということを進めていくことが必要であると考えております。  私ども、固定価格買取り制度による支援ということを行っておりますが、それ以外につきましては、今の自立型あるいは独立型といったものにつきまして、固定価格買取り制度の対象とならないような、自分で使う、自分で生産し自分で使うという自家消費向けの再生可能エネルギー発電整備につきましては導入の補助制度というものを持っております。これは平成二十六年度補正で三十五億円でございます。また、ゼロエネルギーハウスあるいはゼロエネルギービルといったものにつきましても、同じく補正で百五十億円程度の予算を確保いたしまして、その導入支援を進めさせていただいております。  また、地域再生可能エネルギー等を有効利用する地産地消型のエネルギーシステム構築への支援ということで同じく補正予算で七十八億円をいただいておりまして、こういった取組を進めているところでございまして、地方自治体等の御意見もいただきながら、関係省庁連携して、独立型も含めた再生可能エネルギー導入拡大ということについて力を注いでまいりたいと考えております。
  107. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 では、大臣に、今回の法改正、こうした再生可能エネルギーですとかコージェネレーションのような分散型エネルギー導入、普及促進にも大きな後押しになるのだというところを、決意も含めましてお聞かせいただきたいと思います。
  108. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 電力に関しましては、今回、第三弾の法案、法改正の御審議をお願いしているわけでございますけれども、第一弾、第二弾、そして今回の第三弾と、それぞれに再生可能エネルギー導入促進策が盛り込んでございます。  まず、第一弾につきましては、広域運営推進機関をつくることを決めたわけでありますけれども、再生可能エネルギーを可能な限り最大限導入しながら、低廉で安定的な電力供給を実現するために、連系線利用ルールの策定や地域間連系線の整備などをこの広域機関が行うこととしております。  そして、第二弾の改正でございますけれども、電気事業の類型が見直されまして、再生可能エネルギー発電事業電気事業者として位置付けられることになったため、再生可能エネルギー発電事業者も広域的運営推進機関の会員として送配電網の利用ルールの策定に主体的に参加することができることとなっております。  そして、今回の法案でございますけれども、まさに送配電部門法的分離措置することによりまして、様々な発電事業者にとって送配電網を公平に利用できる環境を整備するという制度でございます。  こうした一連の改正によりまして、固定価格買取り制度などの支援策と相まって、再生可能エネルギー最大限導入に資するものと考えております。
  109. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 それでは、法案の中身についてもう少し詳しく入りたいと思います。  送配電部門法的分離についてですけれども、現行法では会計分離という形になっているのを、本法律案では一般電気事業者送配電部門小売発電から切り離して別会社にするということになります。この点に関しまして、電力システム改革の第一段階の法律では、附則で法的分離によることを前提にする一方で、場合によっては機能分離も検討するというような記載もございました。また、諸外国に目を向けますと、イギリス、イタリアでは、資本関係を認めない所有権分離を取っておりますし、法的分離を行ったドイツでも大手の電力会社は自主的に所有権分離を行っております。  中立性が高いという観点から申しますと、所有権分離の方が優れているようにも思いますけれども、様々な議論があったかと思いますが、改めてこの法的分離という形を採用した理由について伺いたいと思います。
  110. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) お答え申し上げます。  今回の法案は、電力会社の送配電部門を別会社化にする法的分離ということでございますけれども、さらに、その別会社との資本関係を解消するということまで義務付ける所有権分離という手法もございます。これにつきましては、委員会におきましても、また政府部内においても様々な議論を行ったわけでございますけれども、この所有権分離まで行った場合につきましては、所有者が異なるということでございますので、グループ一体としての経営ができなくなる、その結果、安定供給確保のための資金調達に支障が生ずるおそれがあるといったこと、あるいは、電力会社の株主、おられるわけでいらっしゃいますが、その株主の財産権の侵害となる可能性ということが否定できないという側面を持ち合わせております。  こういった観点から、第一弾の改正電気事業法で定められた改革プログラム、ございますけれども、その中でも法的分離の方式によって実施することを前提として進めるとされているところでございます。  もちろん、法的分離前提といたしますけれども、送配電会社と発電小売会社との間の人事、会計などに関します所要の行為規制、こういったことを併せて講ずることにいたしまして送配電部門中立性というものを図っていくということは十分可能であると考えております。
  111. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 併せて行う様々な規制の中の一つとして、兼職の制限があります。本改正案では、一般送配電事業者の取締役や執行役が小売事業を行うグループ会社の取締役や従業員を兼ねてはならないなどといった兼職の制限を設けておりますし、また、従業員につきましても、一般送配電事業者の一部業務について兼職の制限を設けるなどしております。こうした措置中立性確保のために重要でございます。  先ほども申し上げたように、いざというときの連携という観点からは、停電などの緊急時の対応において円滑な連携ができるようにもしていただきたいと思いますけれども、この兼職の制限につきまして、では、具体的にどういう内容にするのかということについては省令に委ねるとされておりますけれども、どのような考え方で兼職の制限、具体的に行っていくのか、その方向性について伺いたいと思います。
  112. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありました行為規制一つとしての兼職の規制についての考え方でございます。  私ども、中立性確保という観点と、それから今御指摘もありました日頃の連携等々安定供給に支障が生じない、こういったものから、過度のものとはなってはならない、こういった観点を組み合わせて考えているところでございます。  具体的には役職員の兼職制限の規定を設けておりますが、その対象については一定の限定を行っているところでございます。  具体的に申し上げますと、従業員についてでございますけれども、一般送配電事業者につきましては、この一般送配電事業者の全ての従業員が対象となるというわけではございませんで、その中で託送供給あるいは送配電投資計画など中立性確保が特に必要な業務に従事している者のみを対象とするということを想定をいたしております。また、発電事業者あるいは小売電気事業者につきましても、全ての従業員を対象とするというわけではございませんで、発電所の投資計画や電力小売の販売戦略の策定業務において、またこの中でも一つ縛りを掛けまして、管理的な立場にある、こういった考え方で、親会社やグループ競争部門の業務の運営におきまして重要な役割を担う従業員のみを対象とすると、このような考え方で今回の兼職制限というものを考えているところでございます。
  113. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 次に、一般送配電事業者発電事業者との取引についてお聞きしたいと思います。  一般送配電事業者は、需要家がどこからも電気供給が受けられないというような事態が生じないように、最終保障供給ですとか、それからユニバーサルサービスの確保のために離島供給の責任を負っております。ですので、法的分離がなされた後も、一般送配電事業者一般電気事業者発電部門だった発電事業者との間でどうしても密接な取引を行っていくということになろうかと思います。  こうしたところで送配電部門の中立を確保しようとしているこの法案の趣旨が没却されないようにしなければなりませんけれども、こうした一般電気事業者発電部門であった発電事業者との取引についてはどのような規制を行うのか、御説明をお願いいたします。
  114. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  一般送配電事業者発電事業者との関係についてでございます。  安定供給の観点から一定の連携が必要になる、こういった側面がある一方で、中立性確保の観点から行為規制が課されると、こういうことになるわけでございますが、御指摘一般電気事業者発電部門であった発電事業者、これとの取引につきましても通常の取引の条件の範囲内でと、このような規制が課されることになるわけでございます。  先生から今御指摘のございましたセーフティーネットとしての最終保障供給、あるいはユニバーサルサービスとしての離島供給、こちらにつきましては一般送配電事業者自らが行うことが求められるわけでありまして、まさに発電事業ではありながら一般送配電事業そのものというふうに規定されているわけでございます。したがいまして、この一般送配電事業者自らがこうした行為を行った場合には、これは、発電事業者との間の兼業あるいは取引に関する規制は適用されないことになるわけでございます。  なお、一般送配電事業者が最終保障供給あるいは離島供給に係る業務を、これを自ら持たずにグループ内の小売発電事業者に委託すると、こういったことが想定されるわけでございます。このこと自体は法律上も許容することにいたしておりますが、その場合であっても中立性に疑念が生じないようにしなければいけません。したがいまして、私どもの提案させていただいている法案の中では、そうした場合であっても委託先については公募することが必要だと、このように明記をいたしております。また、この委託の条件につきましては、先ほど申し上げましたとおり、通常の取引の条件の範囲内でこの規制は課されることになるわけでございます。
  115. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 次に、分社化がされた後における事業者の名称についてお聞きしたいと思います。  発電、そして送配電、また小売が分社化されても、グループ会社として資本関係は残ることになります。そうした中で、小売部門を承継する事業者送配電事業者と同じグループ会社であるということを余り強調して顧客を獲得しようとするということは、中立性確保しようとした今回の法改正の趣旨から余り望ましくはないと思います。  この観点につきまして渡邉委員の方からも御質問がございましたけれども、例えば同じグループ会社であるということを強調する名称を使ったりするということについてはどのように考えていくのか、渡邉委員に対する答弁におきましては、小売業者のブランド力を失わせるようなことはしないというような答弁があったかと思いますけれども、やはり中立性、そして消費者への適切な情報提供という観点からもこの点は注意深く検討されなければならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  116. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  社名についての取扱いでございます。先ほどもお答え申し上げましたとおり、私どもといたしましては、法的分離に当たりまして、従来電力会社が培ってきました信用力あるいはブランド力を失わせることによりまして競争環境を整備すると、そういったことまでは意図するものではございませんが、御指摘のとおり、一般送配電事業者中立性確保の観点、これから社名についても一定の規律は必要かなと、このように考えております。  具体的には、社名につきまして、中立性が求められる一般送配電事業者であるということを外から見ても分かるようにということで、例えば○○電力ネットワークなどの表示を義務付けるといったようなことを想定をしているわけでございます。  また、社名につきましてはそのように考えておりますけれども、一般送配電事業者中立性確保するという観点からは、一般送配電事業者が持ちます信用力でありますとかブランド力を活用する目的で広告宣伝でありますとか共同で営業をすると、こういったようなことは認めない予定でございます。  こうした規律につきましては、今後、省令におきまして具体的に規定をしていく考えでございます。
  117. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 今後、具体的により細かく検討していただくということですけれども、併せて、消費者の皆さんにも新しい制度についての説明ですとか周知、広報というところも必要かなというふうに感じております。  それから、新規に参入する事業者の皆さんができるだけ公平な競争条件の下で事業を行えるように、今までも質問してまいりました、いろいろな規制を行っているわけではございますけれども、それでもやはりなお、系統接続ですとか託送において中立性確保がなされていないなというような疑問を持った場合、新規の参入者としてはどのような措置をとることができるのか、そうした疑念の解消についてきちんと対応するといいますか、そうした制度も必要ではないかと思っているんですけれども、この点はどのようにされるのか、お聞きしたいと思います。
  118. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 新規参入者から見て、一般送配電事業者に関する中立性、公平性の確保のための措置というのは、今御説明させていただきましたようにいろんな措置を講じているわけでございます。  しかし、それが十分ではないと考えられる場合にどういう措置がとれるかということでございますけれども、今回の法案による改正後の電気事業法に基づきまして、経済産業大臣あるいは電力取引監視委員会に対しまして、一つは苦情の申出ということを行うことができることになっております。  この申出を受けました経済産業大臣あるいは電力取引監視委員会におきましては、必要に応じてでございますけれども、任意調査あるいは法律に基づく報告徴収あるいは立入検査と、こういったことを実施いたしまして事実関係を調査した上で、仮に違法行為が確認をされたという場合には、その一般送配電事業者に対して業務改善を勧告をする、あるいは命令をするということができるわけでございまして、また、その結果につきましては申出を行った者に通知するということになっているわけでございます。  また、新規参入者が自らと一般送配電事業者との契約の条件、金額等々、様々な条件等につきまして協議が調わないと、こういう場合につきましては、この改正後の電気事業法に基づきまして、電力取引監視委員会に対しましてあっせんあるいは仲裁ということを申請することができることになっております。このあっせん、仲裁があった場合については、委員会は申請に基づきまして必要なあっせん及び仲裁を行うと、こういった措置をとることを予定しているところでございます。
  119. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 中立性確保、これが実質的にも実現がされるように、新規事業者の皆さんからの声にも引き続き注意深く耳を傾けていただきたいと思います。  少し早いですが、通告した質問は以上ですので、これで終わります。ありがとうございました。
  120. 東徹

    ○東徹君 維新の党の東徹でございます。  今回の電気事業法等の一部を改正する等の法律案ということで、今日、質疑からもいろいろありましたが、ベストミックスのことについても非常に関係してくるということで、その中でもやっぱり再生可能エネルギー、このことも大変重要な分野であるというふうに思っておりまして、その再生可能エネルギーの分野の中でも、まず洋上風力発電コストについてお伺いしたいと思います。  風力発電も、非常にこれからどんどんどんどんと導入拡大がされていくんだろうというふうに思っておりますが、陸上と洋上とを比較した場合、洋上の方がかなり発電コストが高いというふうに感じております。  経済産業省の二〇三〇年モデルプラント試算結果の資料を見せていただきましたところ、洋上風力発電コストでは一キロワットアワー当たり三十・三円から三十四・七円というふうに試算されておりまして、非常に高いコストになっておるわけですけれども、その中でも、そのコストの内訳を見てまいりますと、発電コスト三十・三円のうち政策経費が十・一円ということで、非常に政策経費が大きく占めておるわけですね。今日の渡邉委員からも朝ありましたが、十・一円といえば、これは言わば原子力発電コストと同じぐらいのコストがこの風力発電政策経費に入っているというふうなことで、これは非常に余りにも高過ぎるのではないのかなというふうに思っております。  ほかの電源に比べてコスト全体に占める政策経費がこれだけ高くなっているわけでして、洋上風力政策経費としてどんな経費をこれは見込んでいるのか、まずお示しをいただきたいと思います。
  121. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 洋上風力の二〇三〇年の発電コストに占める政策経費の中身でございます。  今回、午前中も申し上げましたけれども、モデルプラント方式という形におきまして、二〇一四年のそれぞれのモデルプラント試算、それから二〇三〇年のモデルプラント試算ということを、洋上風力も含めましてそれぞれの発電所ごとに示しているわけでございます。洋上風力につきましては、御指摘のとおり、二〇三〇年につきましては、政策経費を含んだ形で三十・三円から三十四・七円ということになっているわけでございまして、このうち政策経費が約十・一円キロワットアワーという状況になっているわけでございます。  それで、この政策経費、これはそれぞれの電力モデルプラントについてそれを加えているわけでございますが、洋上風力政策経費としては大きく二つのものがございます。一つは、固定価格買取り制度によりまして優遇された利潤相当の政策経費、IRRというものがございますけれども、これが一キロワットアワー当たり約八・六円ということでございます。それからもう一つは、政府の予算措置に相応する予算関連の政策経費、これが一キロワットアワー当たり一・六円という形で計上をさせていただいているところでございます。  それでは、この利潤相当の政策経費がどうして八・六円かということでございますが、これは固定価格買取り制度の中で決まっておるものでございまして、洋上風力の場合、導入実績の乏しい我が国においては、事業リスクが大きい等々から、他の電源と比較いたしまして高い内部収益率約一〇%程度が必要と設定した上で買取り価格というものが算定されているわけでございまして、それを利潤相当の政策経費としてカウントしているので、その分大きいという状況にあるかと思います。  それから、予算関連経費の方でございますけれども、これは平成二十六年度の予算額を二〇三〇年の発電電力量で割るという形で算出をしておりまして、洋上風力については、予算額として主に技術開発の予算等を計上しておりますけれども、二〇三〇年に見込まれる発電電力量が小さいこともあり発電電力量当たりの予算が相対的に大きい値となっていると、そういうことからこの十・一円キロワットアワーという状況になっているわけでございます。
  122. 東徹

    ○東徹君 固定価格利潤、政策予算、合わせて十・一円ということで、非常に高いというふうに思うんですが、これ、洋上の場合、港湾とか漁業とか、こういった利害関係者との調整とか、そういったことというのは余り関係はしてこないんでしょうか。
  123. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 将来的に仮に洋上風力を商業的に展開するということになってまいりますと、当然、漁業補償でございますとか、あるいは港湾の利用者あるいは海域の利用者といった幅広い人たちとの利害関係の調整というのが必要にはなってくるということでございます。  他方、今回のモデルプラント試算の中には当該経費というのは盛り込んではおらないというふうに承知をしてございます。
  124. 東徹

    ○東徹君 そうしたら、次にお伺いしたいと思うんですが、経済産業省の方では、電力不足を補っていくためにいろんな補助金を使っていろんな発電設備を導入していったりしているわけですけれども、その中でも自家発電の設備導入促進事業についてお聞きをさせていただきたいと思います。  五月二十八日に、いろんな様々な新聞報道でもありましたが、分散型電源導入促進事業費補助金のうち自家発電設備導入促進事業について、補助金の請求者が虚偽の運転日報、日誌ですよね、を提出するなどして五億円もの補助金をだまし取られたというふうに報道がされております。この事業についてでありますけれども、約二百五十億円で基金がつくられて、平成二十五年度から五年間事業を行うものというふうにされておりますが、支払われた補助金の総額それから件数など、現在までの実績についてまずはお示しいただきたいと思います。
  125. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  分散型電源導入促進事業費補助金の中で自家発設備導入促進事業、こちらにつきましての補助の実績でございます。  平成二十五年度に創設をしたものでございますが、平成二十五年度の補助実績は総額で四十五億円、件数で二百二十八件となってございます。翌年、平成二十六年度でございますが、こちらにつきましてはまだ補助金自体は支払われておりませんけれども、二十五年度と同様に、既に年二回の公募を実施しまして、七月、一部は八月になりましたが、それと冬、十二月に交付決定を行っております。  交付時点での補助金の総額は二十二億円、八十八件でございます。こちらにつきましては、事務的な作業でございますけれども、今後、確定作業を経た上で補助金の交付ということになります。
  126. 東徹

    ○東徹君 今回、東日本大震災電力不足を補っていくための補助金ということで、こういったものを不正に受給するという大変許し難い事件だというふうに思いますが、補助金を受け取ったこのテクノ・ラボ社に対して五月十八日付けで補助金五億円の返還命令を行ったということでありますが、これ、返還される見込みというのはあるんでしょうか。
  127. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、テクノ・ラボ社に対しましては、五月十八日付けで交付決定の取消し、こちらを決定するとともに、補助金の返還を求めております。テクノ・ラボ社の方からは、一週間後の五月の二十五日付けで当該返還に応じる旨の意向が文書でなされております。  仮に請求に従って返還がなされなかった場合には引き続き督促を行っていきたいと思っておりますし、更なる対応策について速やかに検討して対処していきたいと思っております。
  128. 東徹

    ○東徹君 これ、本事業の事務局になったところがみずほ情報総研株式会社ということになっておるわけですけれども、これは民間に委託されておるわけだと思うんですが、今回、この補助金を決定したことに対していろいろと見てみると、実際に送電を行っていないのに補助金を行っているというふうな経緯もあるように思います。  これ、みずほ情報総研の責任についてはどのように考えるのか、お伺いしたいというふうに思います。
  129. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  私どもも、今回の事案に関しまして、事務局の方で手続を確認をさせていただきました。今回の補助金の交付額の確定に際しましては、このみずほ情報総研の職員が現地にも出向きまして、運転日誌、それから発電機の購入を証明する書類、これは売買契約書あるいは購入時の領収証など、さらには発電機それ自身が稼働しているという事実を確認いたしまして、五億円という交付額を確定したというふうに承知をいたしております。  平成二十五年の七月に交付決定をして以来、実際に翌年の三月に確定検査というものをいたしておりまして、そのしばらく後、六月に補助金を支払っております。この一連の手続の中で、私どもが、今、現時点では、このみずほ情報総研、定められた手続は、それを踏んでいるというふうには承知をいたしております。
  130. 東徹

    ○東徹君 そうなってくると、それは責任がないというふうに思われるのかもしれませんが、実際には送電は行っていなかったということはそうだろうと思うんですね。本来、送電をして初めて補助金を打つべきものじゃないのかなというふうに思います。  これ、恐らく、全体的に経済産業省として、この自家発電設備導入促進事業だけではなくて、いろんな補助事業を行っているわけでありますけれども、そういうふうに考えてしまうと、これ、本当に氷山の一角であって、ほかにまだまだまだまだ調べていけばこういった水増しとかあるんじゃないのかなというふうに思って、疑ってしまうわけでありますけれども。  こういった再発防止、そしてまたしっかりとやっぱり検証していくこと、非常に大事だと思うんですが、その辺についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  131. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今部長が申し上げましたように、みずほ情報総研ですか、研究所ですか、におきまして、手続について明確な問題があったと認められない、にもかかわらず実際には金が出ていってしまっていて、しかも補助金違反といったようなことで実体がないというところが一番の問題でありまして、やはり手続が、一応明確な手続があって、それにのっとっていたけど駄目だったという問題について、やはり再発防止のためにどういうふうにしていくのか。例えば反面調査をした上でするとか、もう少し事業の実施状況を見た上で交付するとか、やはりそれなりの工夫をこれからしていかなければいけないことだと思っております。
  132. 東徹

    ○東徹君 たくさん補助事業を行っている経済産業省ですから、その事業の実施状況をしっかりと確認した上で補助していくと、そういうふうな制度に是非切り替えていっていただきたいなというふうに思います。  続きまして、この法案の中にもあります電力ガス取引監視等委員会についてお伺いをしたいと思います。  本法律案で創設されているこの委員会でありますけれども、事業者に対して直接業務改善勧告を行うことができるほか、あっせん、仲裁といった監視にとどまらない業務を行うことができるという、従来にない強い権限を有する八条委員会として位置付けられております。  ただ、しかしながら、この委員会委員ですけれども、全てこれは非常勤ということになっておりまして、委員に求められる役割とか責任とか、そういった重大さを考えていくと、少なくとも委員長については常勤でしっかりと職責を果たしていかないと駄目なんじゃないだろうかというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  133. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 今般設立いたします電力ガス取引監視等委員会でございますけれども、これは、電気事業だけではなく、法律、経済、工学などの優れた識見を有しており、また監視や規制の対象である電気事業者と伍することができる、そういった専門性が必要になってございます。また、常に市場が変化する中で、最新の知見を持った人材を任命することも重要と考えてございます。このため、委員長も含めまして非常勤とすることで、非常勤でしか勤務できない方々も含めまして幅広い層の中からより適切な人材を任命することができる仕組みとしてございます。  なお、早急の対応が必要な案件への対応や事務局へのガバナンス確保に万全を期すことも重要であることから、委員長を始めとする五名のうち、少なくとも常時二、三名が出勤する勤務形態とすることを想定してございます。
  134. 東徹

    ○東徹君 そうやって聞くと、余計に委員長というのは重責なんで、少なくとも委員長ぐらいは常勤でなくてはいけないんじゃないだろうかというふうに思うんですが。  この委員については、全て非常勤である上に、任命要件が法律上定められているとの理由で、国会の同意人事の対象というふうにはされておりません。しかし、委員の果たすべき役割とか責任の重大さを考えれば、委員の任命に当たっては、少なくとも委員長については国民の代表機関である国会による民主的コントロールを働かせるべきではないのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  135. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) これは、経済産業大臣が決定するエネルギー政策の枠組みの中で市場監視を担うことから、委員長も含めましてその職責をしっかりと果たしていただける五名の方々をエネルギー政策を所管する経済産業大臣が責任を持って任命する、これが適切であるというふうに考えてございます。
  136. 東徹

    ○東徹君 証券取引監視委員会のように、八条委員会と位置付けられていても国会の同意人事の対象というふうな委員会もあることからすれば、電力ガス取引監視等委員会についても同意人事の対象とするべきだというふうに思います。  続いて、次の質問に移らせていただきます。  熱供給事業についてですけれども、現状、需要の多い大都市に集中しておりますけれども、需要家の減少によって供給地点や事業者数が減少している傾向にあります。具体的には、供給地点は平成十五年から十七年の百五十四地点をピークに減少し、平成二十七年一月では百三十九地点というふうになっております。また、事業者数でありますけれども、平成十三年の九十一事業者をピークに減少し、平成二十七年一月では七十七事業者というふうになっております。  今回の法改正によって、熱供給事業は許可制から登録制に移行し、料金規制供給義務は撤廃されるということになりますが、需要が減少する中、料金規制を撤廃すれば熱料金が上昇してしまい、更に需要が減っていくことにつながるのではないだろうかというふうな危惧もします。  法改正後、熱供給事業の動向についての見解をお伺いいたします。
  137. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 熱供給について申し上げる前に、先ほど証券取引監視委員会等との比較で御議論があったわけでありますけれども、証券取引と今回とかなり違いますのは、証券取引というのはやはり不特定多数が参加する市場というものがあって、それを監視しなければいけないということと、今回は、やはり基本的にはBツーBの取引監視ということでありまして、恐らく監視する規模というものがかなり小さいという中で、常勤でなく非常勤でやるというふうなことにさせていただいた面もあるということは申し上げておかなければいけないと思っております。  それから、熱供給につきましてお答えいたしますと、昭和四十七年の熱供給事業法の制定時におきましては、熱供給事業は自然独占性がありまして、需要家熱供給の契約を締結するとほかの代替的なサービスを選択することが困難であったことなどを背景に、供給事業者に対しまして供給義務料金規制など厳格な事業規制を課すこととしてきております。  しかしながら、近年の技術革新に伴いまして、熱源設備の省スペース化や効率化が進展したことなどにより、熱供給を受けている需要家が比較的容易に電気ガスなどを熱源とした熱供給以外のサービスを選択できるようになってきております。近年では、熱供給事業者熱供給に代わるいわゆるコジェネ等の熱源機器との間で競争が発生しておりまして、熱供給事業者による販売熱量も減少傾向におっしゃるようにございます。  このため、今回の法案では、事業の許可制登録制とし、料金の認可を撤廃することなどによって、熱供給事業者が、需要家の保護を図りつつ、より需要家の実態に応じた柔軟なサービスなど需要家ニーズに即したサービス提供をしやすい環境を整えることとしたものであります。また、需要家熱供給に代わる熱源機器を選択することが困難であることなどにより熱供給に係る料金が上昇することが見込まれる場合には、経過措置といたしまして料金の認可等の規制を継続することとしております。
  138. 東徹

    ○東徹君 先日もこの委員会の方で丸の内の熱供給の事業を視察に行かせていただいたんですけれども、やっぱりコスト、個別熱事業と地域熱供給事業とを比較しても、なかなかこれ、本当にどっちがどうなのかというのはよく分かりにくいんですね。ただ、でも、よく聞く話は、やはり地域熱供給事業のビルに入っているテナントさんから聞くと、高い高いというふうなことをよく聞くわけでありますが、本当に分かりにくい、このコストを比較すると本当にこれ分かりにくいんですよね。分かりにくいからこそ、何かしようがなしに入っているというふうなところもあって、非常にこの料金についてはどうなのかなというふうに思います。  そんな中で、答弁にもありましたが、熱供給事業では、需要家熱供給事業者から提供されるサービス以外のサービスを選択することが実質的に困難であることもあって、熱供給事業者に規制なき独占が生じている可能性もあります。このような場合、単純に料金規制を撤廃すると料金の高騰を招いてしまうというおそれがあるため、今回の法案でも、このような懸念のある場合は供給区域には小売料金規制経過措置を設けることができるというふうなことでありますけれども、具体的に経過措置が設けられる地点はどの程度見込まれているのか。  そしてまた、規制なき独占が生じている供給区域では、今後新たに熱供給以外のほかの選択肢が生じる可能性が私はなかなかないのではないかなというふうに思うんですが、経過措置を撤廃することも難しいというふうに考えますが、どのような対策を打って経過措置を撤廃できる状況をつくるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  139. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  規制なき独占が生じる懸念がある地点について経過措置を設けるということでございますが、どの程度見込まれるかということでございます。  私どもは、熱供給事業者供給している熱供給地点、様々なところがございますけれども、集合住宅の各戸ごとに熱供給契約を締結しているような区域、こうしたところにつきましては、個々の需要家熱供給に代わる熱源機器を見付ける、あるいは配管等のエネルギーインフラを個別に整備する、こういったことは実質的には困難である可能性が高いかなと、このように考えておりまして、このような地域を仮に経過措置の対象とする場合には、現在、全国の地域の中で十数地域が対象になるかなというふうに想定をいたしております。  もちろん、法案が成立いたしましたら、その後、この経過措置の対象要件等々につきまして詳細な検討を行いまして、具体的な対象地域は特定をしていくと、このように手順は踏みたいと思っております。  もう一点、経過措置を撤廃することが難しいような場合にどのような対策を打つのかと、こういった御指摘がございました。  今、私が例示いたしました集合住宅などを考えますと、実際には建物の構造上の問題なんかもあるかなというふうに考えてございまして、そのような場合には、個々の需要家が物理的に熱供給に代わる熱源機器でございますとか配管等のエネルギーインフラ、これを個別に整備しようとしてもなかなかそれは実際には実現が難しいと、このようなことがあろうかと思います。そのような場合には、これは、私ども直ちに有効な対策を、このような対策を打てば効くといったようなことを考えるのはなかなか想定し難いかなというふうに思っております。  このような状況が存続する限りにおきまして、私ども、需要家保護の観点からしっかりと経過措置を残していくといったことが必要なのではないかというふうに思っております。  今回の法案では、熱供給事業者、これが認可を受けた料金以外での供給条件によりまして熱供給を行うことは妨げられておりません。これまでは、認可された供給条件、そのピンポイントで供給しなければいけませんが、それ以外のことも可能になります。  私ども、今回の熱供給事業法自由化といったものが、様々なアイデアの中で需要家のニーズといったものを踏まえた上での熱供給事業者の対応、これは視察のときでも、集合住宅ではございませんが、オフィスビルを中心としたところでございますが、事業者の方からそうした工夫はしていきたいと、このようなお話もあったかと思いますが、そのような様々なサービスが生まれていくことを期待しているところでございます。
  140. 東徹

    ○東徹君 どうもなかなか需要家の方から納得のいくような説明というのは非常に難しいのかなというふうに思っております。  是非、この熱料金、上昇しないようにしっかりとこれこそちょっと監視していく必要があるんじゃないのかなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  時間ということですので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  141. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  今回の電力ガスシステム改革について、大臣は責任あるエネルギー政策が土台になるという考えを示されております。  二〇三〇年のエネルギーの電源構成を考える上で、先進国である日本に国際的に求められる大きな責任の一つが地球温暖化対策であるというふうに思います。  今日、環境省においでいただいております。そこで、確認をさせていただきます。  先進国に求められている二〇五〇年の温室効果ガスの排出削減目標、これどれだけになっているか、また日本の二〇五〇年の目標はどうか。お願いします。
  142. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) お答え申し上げます。  二〇五〇年の温室効果ガス排出削減目標につきましては、国際的には、平成二十一年七月のG8のラクイラ・サミット首脳宣言におきまして、先進国全体で二〇五〇年までに八〇%又はそれ以上の削減をするとの目標を支持するということになってございます。  我が国におきましても、攻めの地球温暖化外交戦略におきまして、二〇五〇年までの世界全体の温室効果ガスの排出量半減、先進国全体で八〇%削減を目指すという目標を達成することを掲げるということで、国際的に訴えかけております。  また、平成二十四年四月二十七日閣議決定をいたしております第四次環境基本計画におきまして、我が国の長期的な目標といたしまして、二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すとしております。
  143. 倉林明子

    ○倉林明子君 明確に二〇五〇年の目標というのがあるわけです。国際的にも合意しているという中身です。ところが、二〇三〇年の目標ということで示されたものを見ますと、九〇年比で見るとおよそ一八%減ということにとどまっております。世界から見れば、これは決して野心的な目標とは言えないものでありまして、経産省が示した電源構成案には二〇五〇年に八〇%をどう達成するのかという戦略が見えないということが私は大きい問題だというふうに思っているんですね。  そこで、原発は二〇三〇年の電源構成案で二〇から二二%ということで示されております。そもそも、原発の運転期間ということで、議論もありましたが、四十年が法の原則ということはこれ間違いないと思っているんですね。  これ、経産省がお作りになりました資料を今日は提出しております。分かりやすいように、二〇三〇年、二〇五〇年に赤い線を私の事務所で引かせていただきました。これ見ていただきますと、原則どおりであるならば緑の色で染まっているところ、これが、原発の設備、四十年で運転原則ということであればこのラインになると。六十年、延長した場合ということで書いてあるのが青色のラインということになります。  二〇三〇年のところを注目していただきたいのですが、新増設をしないということを繰り返しおっしゃっていますので、それ前提とするならば、四十年超えた原発、このかなりの部分を延長するということになるんじゃないでしょうか。どうですか。
  144. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、一九九〇年比で物足りないというお話がございましたけれども、一九九〇年というのは二十五年前、四半世紀前でありまして、これだけ大きく世界が動く中で九〇年比を使っているということ自体、少し私は、余りにも保守的だなと、まあヨーロッパにとっては恐らく大変都合のいい数字なんだろうと思いますが。やはりこれからは、これから先何をやるかということが最も大事でありまして、我が国といたしましては、基本的に、二〇一三年という一番新しい数字が取れるところから二六%削減するという方向で作業を進めているところでございます。  そして、原発についてのお尋ねがございました。  原発につきましては、原子炉等規制法におきまして原発を運転することができる期間を原則四十年と定めておりますけれども、同法においては、一回限り、二十年を上限に延長を認めております。そして、法令に基づいて事業者が、再稼働であり、また延長を含む再稼働であり、申請した場合には、原子力規制委員会が法令に定められた基準に適合するかどうかの審査を行い、政府としてはその判断を尊重するということを方針としております。  二〇三〇年のエネルギーミックス、お示ししておりますけれども、これは見通しであり、あるべき姿をお示ししているものでございます。おっしゃるように、現段階において、新増設、リプレースは想定はしておりません。エネルギーミックスにおいても想定はしておりません。ただ一方で、事業者が四十年を超えて原子炉を動かすということを希望し、それを規制委員会の審査に持ち込み、規制委員会においてそれが適合しているということが認められたものについては当然動いていくということでございますので、そういうものもあると思われますし、また当然のことながら稼働率を向上させるということでこういう目標を作ったものでございます。
  145. 倉林明子

    ○倉林明子君 かなり六十年の延長も見込んでいるんじゃないかということについて明確な答弁はなかったんですけれども、あるべき姿ということで示したということは、先ほども議論あったように、政策的な誘導もしていくんだということで、政府の姿勢としては、老朽原発も含めて稼働を進める方針だということが言えるんだと思うんですね。延長ありきで老朽原発の延命を促進する、こういうことは到底許されないと、私強く申し上げておきたいと思います。  先ほど、九〇年比はヨーロッパにとっては都合ええと、我々は二〇一三年から比べるんだということでおっしゃいました。しかし、これまでどれだけ先進国が二酸化炭素を排出してきたのかということが評価、比べるときの土台になるわけですから、私、国際的な評価は年末には明らかになることですから、その上また議論はさせていただきたいと思います。  今後、新増設、今はないということでおっしゃいました。しかし、今後、見込みどおりに再稼働が進まないという場合、新設やリプレースについては今後もないと断言できますか。
  146. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、再稼働につきましては、まず事業者自身が判断をした上で規制委員会において厳正な審査が行われるということでありますので、私どもが何らかの、前もってこうあるべき、こうなるだろうということを考えているわけではありませんが、一方で、既に関西電力は四十年を超える再稼働についての申請を行っているということを考えますと、そういう申請が今後かなり出てくるということは想定をしております。  したがって、そういう中でどの程度動いていくかということでありますが、新増設、リプレースというものを入れなくても、稼働率の向上という要素を更に加味すればあの二〇から二二という数字は決してできない数字ではない、非現実的な数字だとは思っておりません。
  147. 倉林明子

    ○倉林明子君 増設やリプレースはないと、再稼働が見込みどおりいかない場合、ということに明確にお答えがなかったと思うんですよ。  私は、現時点で稼働している原発はゼロなわけですよね。動く見通しもない原発の稼働、これをこれだけ織り込むということは、私、極めて無責任だと思います。原発の再稼働、新規制基準を合格しても進めるべきではない、これが国民の声だということをしっかり見るべきだと思います。その上、加えて、原子力発電の事業環境整備を図るとエネルギー基本計画には明記、案の段階で、電源構成案のところで明記されている。本当にけしからぬことだというふうに思っております。  その上でお聞きします。二〇三〇年の電源構成案、これ見ますと、石炭火力発電は二六%となっております。現状よりは下げるということになっているんですが、この二六%というのは上限として考えているのか、それとも超えることも想定したものなのか、いかがでしょうか。
  148. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) この二六%というのは、まさにエネルギーミックスと同じでありまして、見通しであり、あるべき姿だと考えております。  そして、今の御質問に対するお答えとしましては、二〇一三年比温暖化目標マイナス二六というのは、これは国際的にこれから約束することになろうと思いますから、それを守る中でどうしていくかという議論は当然していかなければいけないと思っております。
  149. 倉林明子

    ○倉林明子君 環境省質問したいと思います。  石炭火力の現状について幾つかまとめて確認をさせていただきたいと思います。  現時点で、石炭火力発電所の建設計画中、アセス法の法対象規模施設、新増設で増える出力規模はどれだけか。それは現在の設備量との比較でどの程度になるか。さらに、法対象外ということで、小規模な石炭火力の建設計画は直近でどれだけ出ているか。法対象外の全容についてつかめているのか、つかむ仕組みがあるのか。最後ですね、石炭火力発電所の増加が地球温暖化に与える影響について認識を伺いたいと思います。
  150. 中井徳太郎

    政府参考人中井徳太郎君) 環境省試算によれば、計画中の法対象規模の石炭火力の設備容量は約千三百万キロワットでございます。これは、二〇一三年度の一般電気事業者による石炭火力発電所の設備容量の約三割に相当する規模でございます。  また、環境影響評価法の対象規模未満の石炭火力発電所の建設計画について、事業者により計画が公表され、環境省が把握しているものは十件でございます。この情報は、環境省事業者による環境影響評価情報及びプレスリリース等の公表情報により把握したものでありまして、環境省において全容を把握したものではございません。  以上でございます。
  151. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) 石炭火力発電所の増大が地球温暖化対策に与える影響はどういうものかといった御質問についてお答えを申し上げたいと思います。  石炭火力発電所につきましては、それが最新鋭の技術であったとしても、天然ガス火力発電所に比べて約二倍の二酸化炭素を排出するものでございます。そしてまた、通常数十年稼働をするといったようなことを考えますと、中長期の地球温暖化対策としてしっかり対応していくべき分野であるというふうに認識をしているところでございます。  東日本大震災の影響も踏まえて、残念なことに、電力部門からのCO2の排出でございますが、我が国全体の温室効果ガスの約四割を占めるという最大の排出源となってございます。  本日、地球温暖化対策推進本部、朝開いていただきまして、その中で、目標の積み上げに用いましたエネルギーミックスについてお示しするとともに、政府としての我が国の新たな削減目標の案を取りまとめたところでございます。  この削減目標、これから、まだ案の段階でございますけれども、これがしっかりと、案が取れた段階になれば、その目標をしっかりと確実に達成できるようにいたす必要がございます。そのため、電力業界に対しまして温暖化対策の枠組みの構築を促すということが一昨年四月の関係大臣会合において既に決まっております。  これについて促していくということでございますが、残念ながらまだ構築をされていないという状況でございますので、国の目標と整合する枠組みが構築できますよう、環境省といたしましても、環境政策としての枠組みの在り方を検討すべきであるというふうな環境大臣からの御指示があったところであり、今後検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  152. 倉林明子

    ○倉林明子君 今、石炭火力発電所が、つかみ切れていない部分も含めて、大変急増しているということが言えると思うんです。  こうした背景について、環境省もガイドラインを作っていく必要があるということで検討会もされている。そこで、その背景に何があるかという分析をされていまして、先ほど紹介もあった、東日本大震災の後、電力需給量の逼迫がある、電力システム改革で新たな電源をつくるというこういうニーズがある、発電設備の更新時期が到来しているというようなことが要因としても挙げられております。  こうした背景を考えますと、石炭火力の増設が一層拡大する可能性というのは、私高いんじゃないかというふうに思うんですね。二〇三〇年に二六%でとどまるのかどうか、この今建設中の小規模も含めて稼働すれば二〇五〇年時点でどうなるか、環境省の見通し、つかんでいるところで結構です、いかがですか。
  153. 中井徳太郎

    政府参考人中井徳太郎君) 二〇一三年度の一般電気事業者による石炭火力発電所の発電電力量は約二千八百五十億キロワット時となってございます。一方、現在のエネルギーミックス案に示されております二〇三〇年度の電源構成のうち石炭火力で確保を見込む発電電力量は約二千八百十億キロワット時とされておりまして、二〇一三年度時点で二〇三〇年度の目標を上回ってございます。  こうしたエネルギーミックスを踏まえた国の温暖化対策の目標、計画と整合性を図るためには、何よりも電力業界全体での自主的枠組みの早急な構築が不可欠と考えてございます。
  154. 倉林明子

    ○倉林明子君 もう既に大きく上回っているということで、今後この石炭火力を規制していかないと、原発が稼働できない場合、代替電源ということで石炭が補うことになるという最悪な事態になりかねないと私思うんです。  環境省質問します。法対象となる一連の石炭火力の案件について環境大臣意見が提出されております。経済産業省に対する意見の概要を説明してください。
  155. 中井徳太郎

    政府参考人中井徳太郎君) 経産省、環境省局長級の取りまとめ以降、六件の石炭火力発電所の計画段階環境配慮書に対しまして環境大臣意見を述べてございます。その中で、事業者に対する意見に併せまして経済産業省に対しても意見を述べており、その概要としては、電力業界に対し、温暖化対策の自主的枠組みの構築に向けて枠組みの内容についての議論を促すこと、また、枠組みの検討の進捗及び内容を確認し、その実効性を確保すること、また、枠組みが構築されるまでの間は、事業者に対し、天然ガス火力超過分に相当する二酸化炭素排出削減に係る環境保全措置を講ずることに関して確認することを求めてございます。
  156. 倉林明子

    ○倉林明子君 二〇五〇年の二酸化炭素八〇%以上削減していこうというところに向けて、いち早く、どれだけ早く削減に踏み出せるかというところが、非常に二〇三〇年までのところで国際的にも注目されていることだというふうに思うんですね。ところが、日本現状でいうと、天然ガスの二倍は二酸化炭素を出すという火力発電所が大規模から小規模までどんどんできているという状況、これは深刻だというふうに思うんですね。  NPO法人気候ネットワークの調査によりますと、新規建設計画は、石炭ですね、新規建設計画は四十五基、設備容量は二千三百万キロワット以上あると、排出する二酸化炭素は一億四千万トンと推計されております。これは、一九九〇年の日本全体の温室効果ガス排出量、この一〇%を超えるということになるわけです。二〇五〇年に二酸化炭素八〇%引き下げると、国際公約をどう具体的に実行するのかというのは、私、今の姿からは全く見えてこないと思うんです。  責任あるエネルギー政策ということを語るのであれば、石炭火力発電所、この建設を止めると、こう思い切った規制に踏み込むべきだというふうに思います。大臣、いかがでしょうか。
  157. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 前段で原発の再稼働はすべきでない、延長もすべきでないというお話があり、後段で、今、石炭火力の問題点を御質問受けているわけでありますけれども、正直言って、ならばどうしたらいいのかなと実は思っておりました。  自給率はともかく二五%程度確保したい、電力コスト現状よりも下げたい、そして欧米に遜色のない温暖化目標を持ちたいと、こういう三つ目標を掲げて今回エネルギーミックスを出したわけでありますけれども、原発について再稼働を認めないということになってまいりますと、恐らく自給率は相当下がってまいります。そして、石炭火力、原発を両方ともなしということになると、電力コストはめちゃくちゃに、これは何倍かになってしまうかもしれないと。そして、欧米に遜色ない温暖化ガス目標というものも、原子力発電所の再稼働なしには二六%という数字は出てまいりません。  そういう中で、石炭火力発電所をやめた方がいいとおっしゃっても、なかなか現実的な、我々の立場からいうと難しいし、また、もう一つだけ付け加えておかなければいけないのは、石炭火力発電所におきましても、相当程度古くなった、老朽化したものがありますから、これについてはまさにこれから新しいものに替わっていくというようなことが行われていくということであります。
  158. 倉林明子

    ○倉林明子君 世界の流れは、脱石炭火力という流れが明確に転換あった十年だったんじゃないかなと思うんですよ。  アメリカでは、水銀、大気汚染物質の規制強化で、米国エネルギー情報局によりますと六千万キロワットが廃止見込みだということです。イギリスでも千八百万キロワットの老朽火力は廃止という方向が出ています。増加傾向にあったドイツでも、四十件の計画のうち二十一件については撤回ということになっています。  日本は、国内でも建設を急増させているというだけじゃなくて、海外の石炭火力発電所に対しても輸出信用、投資ということを増やしてきております。世界のNGOからも、この点も批判が集中しているところです。  そこで、資料をお付けいたしました。これはWWFジャパンからいただいたものですけれども、公的輸出信用機関による支援、これ石炭火力の分がどうなっているかということで、日本はもう突出して高いんですね。これがどういうところに行っているかというと、東芝、日揮、三菱重工、日立、こうした大手石炭火力プラントメーカーが世界各地で建設する火力発電所に対して信用を付ける、融資をするということになっているんですね。  国内でも海外でも石炭火力を増やし続ける、こういうことは地球温暖化に逆行する、やめるべきだと私は思います。大臣、いかがでしょうか。
  159. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) アメリカでも、これ二〇一二年の数字ですけれども、石炭火力の割合は三八%、ドイツは四六%ありまして、我が国について言えばかなり低い水準。しかも、状況がかなり違っております。アメリカにおきましては、まさにシェールガス、シェールオイルが発見されてからがらっと態度を変えたという国でありますし、また、ドイツにおきましても、大変大きな電力のネットワークの中にある一方で、かなり低コスト風力発電に恵まれていると、こういうような国でありますので、単純になかなか比較はできないと思っております。  一方で、我が国が持っている石炭火力発電の技術というものは国際的にも大変高く評価されておりますし、さらに次の段階ガス化まで今検討しているということ、そして、途上国の中ではやはり石炭火力しか持てないという国も多々ある。そういう国に、世界の温暖化、しっかりと温暖化目標、高い目標を持たなければいけないという中では、やはりそういう途上国に日本の技術で石炭火力の本当に効率のいい火力を持っていただくということが、逆に中国の効率の悪いものが出回るよりははるかに大事なことだろうというふうに思っております。
  160. 倉林明子

    ○倉林明子君 十年前はそういうことも言えたかもしれないんですけど、中国が造る石炭火力発電所についても逆に効率も高くなっているという指摘もあることは、それは追加しておきたいと思うんですね、指摘をしておきたいと思うんです。  私、問題だと思うのは、原発の再稼働しか頭にないんじゃないかというふうに思えてならないということなんです。二〇五〇年、どうやって八〇%削減するという目標を達成するのか、そこに進んでいくんだというところをやっぱり明確にしていく必要がある。国民の原発再稼働に反対だという声、原発ゼロという声をしっかり受け止めるならば、そういったこの今の原発比率を目いっぱい高く見込む、石炭火力を建設し放題、これは先進国の取るべき道では私はないと思うんですね。  無責任なエネルギー計画については撤回をするようにと強く求めて、今日は終わります。
  161. 松田公太

    ○松田公太君 日本を元気にする会・無所属会の松田公太です。  私は、東日本大震災、福島原発事故直後から、一貫して電力自由化を訴えてきました。初めの頃は、日本では電力自由化なんて無理なんだと、そういう声も大きかったんですけれども、何とかここまで進んできた。これは本当に、皆様の御努力と方向性、これについては私は一定の評価をしている次第でございます。しかし、残念ながら、多くの事項がまだ不十分だなというふうに言わざるを得ません。  今回の自由化は、原発事故を受けて、地域独占、一極集中型の発電では駄目だとの認識に至ったことに起因しておりまして、電力を選択したいという国民ニーズが高まったことに応えるものだと考えております。また、エネルギーのセキュリティーや地方創生にも資する地域分散型への移行も視野に、電力事業への新規参入を増やすために行われている改革だと言っても過言ではありません。  私、二年前と三年前に欧州視察に出かけまして、先ほども話が出ていましたけれども、デンマークであったりドイツであったり、様々な国々の電力改革、ドイツ語で言うとエネルギーヴェンデというんですけれども、それを目の当たりにしまして、それがどれだけ大きなインパクトを与えるか、社会インフラまた経済を根底から変えていく力を持っているものだというふうに感じているんですね。  そこで、まず宮沢大臣に御確認させていただきたいんですけれども、先ほど申し上げました一極集中型の発電では駄目だ、電力を選択したいという国民ニーズ、また例えば新規参入、こういったことを実現するために今回の法案があるというふうに私は認識しているんですが、その認識で間違いないでしょうか。
  162. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 結論から申し上げまして、間違いないと思っております。  まさに、ガスを含めて小売全面自由化する、そして送電業を別の会社にするといったことにおいて、発電部門で競争が起こり、そして小売でも全面自由化競争が起こり、そして電力業界を超えたいろんな提携が、ガス業界を超えた提携が起こり、また新規の発電事業者も参入するということで、まさにダイナミックなエネルギー市場が形成される結果、消費者にとりましてもいろんな選択肢ができて、比較的安い電力ガスが購入できるようになると、こういう改革だと思っております。
  163. 松田公太

    ○松田公太君 それでは、ちょっとばくっとした質問で恐縮なんですが、電力事業への新規参入、これを増やすためには何が大切だと思いますでしょうか。
  164. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 突然新規参入をという、何が大事かということになりますと、送配電というものが自由に使えるということがやはり一番大事なことだろうと思っております。
  165. 松田公太

    ○松田公太君 おっしゃるとおり、それもその一つだと思います。つまり、イコールフッティングであったり、公正な競争環境、これが重要だというふうに思っているんですね。そのフェアな競争環境、これを担保しなくてはいけないというふうに思っているんですが、そのためには、やはり私は、送電網と小売発電の資本関係、これを引き続き認める現在の法的分離では残念ながら不十分だというふうに考えているわけです。  例えば、大手の大型スーパーしか小売を認められていなかったとします。それをちょっと想像していただきたいんですが、その後、コンビニの小型店も小売を認められたと、そのような状況を思い浮かべていただきたいんですが、そのような自由化が行われたとしても、例えば配送用のトラック、これは全部大手のスーパーの同じグループ会社、ホールディングカンパニーに属している関連会社が所有しているというような状況で、例えば、グループ会社の商品を大量に運んでいるときに、またその予定があるときに、今日は混んでいるので配送できませんよと言われてしまうリスクが出てきてしまったら、怖くて新規参入者は小型店の出店、これをためらうというふうに思うんですよね。私自身でしたら、怖くてやはりそういったところには新規参入できないというふうに思ってしまうんです。  今回の改正では、兼業規制による法的分離を行うというふうにありますけれども、本当にフェアにするためには、やはり送配電を所有権分離するしかないというふうに思っているんです。また、所有権分離になれば、中立的であるだけではなくて、そのことが明確になるため、透明性という観点からも新規の参入者を増やすことにつながるんだろうなというふうに感じています。  法案では、適正な競争関係確保するために、送配電事業者とそのグループ小売発電事業者に対して取締役の兼職禁止等の行為規制措置を行おうとしているわけですけれども、しかしながら、これが本当に実効性のあるものなのかなということも大いに疑問に感じている部分なんですね。  例えば、同時に送配電会社と小売若しくは発電の会社の役員になれなかったとしても、任期満了後、そのまま送配電会社の取締役になれたり、ホールディングカンパニーを軸として、グループ内で順繰りに役員になれたりするのであれば、到底適正な競争環境若しくはファイアウオールみたいなものは確保できないというふうに思っているわけです。  そこでお聞きしたいんですけれども、今申し上げましたような、例えば、一つの送電会社の役員をやられていました、その後、任期満了ということで持ち株会社の役員になられる、そういったことって可能になっているんでしょうか、現在。
  166. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  兼職を超えて人事異動、異動というものについてどう考えるかという御指摘かと思います。  私ども、この法案提出に先駆けて、審議会で議論をさせていただきました。その場におきましては、送配電事業中立性確保する観点から、役職員につきまして、兼職規制のみならず、一定の人事異動の制限、具体的には送配電事業者と親会社やグループ発電小売事業者との間で、例えば二年間といった一定期間は人事異動を制限すべきだと、このような議論が行われたところは事実でございます。  こうした人事異動への制約につきましては、その後の政府部内における検討の結果、労働者の基本的な権利に対する制約でもあって、抽象的かつ広範に規制することは不適切と、このように判断をいたしまして、今回の法案におきまして人事異動を法律上、罰則付きで規制することは行わないことにした次第でございます。  今回の法案におきましては、そのような観点から兼職の制限ということにしているところでございます。もっとも、グループ会社内の人事異動が自由に行われることによって送配電部門中立性について疑念が生ずるのではないかと、こういう御指摘に対しましては、私どもといたしましてどのような対応があり得るのか、この点につきましては検討していかなければいけない課題だと認識をしているところでございます。
  167. 松田公太

    ○松田公太君 検討しなくちゃいけない課題ということなんでしょうが、現状においては全くそういった規制がないということなので、私は、残念ながらそれでは意味がないなというふうに思ってしまうんですね。  同時に兼職することができなかったとしても、その後、順繰りに異動することができるのであれば、全くその規制は意味がないというふうに言えると思うんですね。そういったところにやはり法的分離の私は問題点があると思っているんです。  中立性確保する、イコールフッティングの状況を整備するといっても、幾らでもやはり抜け道ってできてしまうんですね。私自身が、以前銀行員だったんですが、やはりホールディングカンパニーになったときもそういった状況を目の当たりにしてきたわけです。本気で新規参入を増やして電力自由化を成功させたいと考えているのであれば、やはり所有権分離を目指す必要があるなと考えています。  今日はいろいろ質問を考えておりまして、田中委員長にもお越しいただいていますので、所有権分離についてはここまでにさせていただきまして、引き続き議論させていただきたいと思っておりますが、ちょっとそこに関連しまして、一般担保付社債についてもお聞きしたいというふうに思います。  本法案では、これまで一般電気事業者に認められてきました一般担保付社債の発行に関する規定の廃止も盛り込まれているわけですけれども、施行後五年間はこれを認めるという経過措置が講じられているんですね。つまり、この法案が、発効します二〇二〇年の四月一日から五年後、二〇二五年の三月三十一日までに発行した社債については、その償還期限まで一般担保が付されるということになりまして、一般電気事業者は引き続き非常に有利な状況が当面続くということになるわけです。  しかも、電力債の中には償還期限が例えば三十年というものもあるわけですね。今のような低金利だということを想定しますと、低金利での長期の資金調達、これが可能になるわけですし、今後、これから十年の間に大量に社債を発行して、そこで集めた豊富な資金をがんがん使って、自由化された市場に対抗するために、様々な部門、これはいいことかもしれませんけれども、発電小売部門に徹底的に投資をすると。そうなると、いいことなのかもしれませんが、やっぱり新規参入者にとってはこれフェアじゃないわけですよね。なかなかその資金調達のコストが本当に〇・五%、〇・三%違うと、それだけでビジネスがもう大きく変わってきてしまうんです。そのような発想、どんどんどんどん、じゃ、これから十年の間に社債を発行しようという発想は、私は一般電気事業者の社長ならば当然のことのように考えるんじゃないかなというふうに思うんです。  これでは残念ながらイコールフッティングとは言えませんので、二〇一六年四月の小売自由化に合わせて一般担保付社債を私は廃止にするべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  168. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 東電は大変苦しい状況にあるわけですけれども、それ以外の、沖電除いて八電力と言っていいんでしょうか、につきましても、おっしゃるように、そんなに有利な条件で社債がばんばん発行できるような市場環境には実はないと思っております、一点。  そして、今おっしゃった、その二〇二〇年までは一般電気事業者だけに認められているということは、これは実は今回の改正ではなくて、御承知のとおり、第二弾、去年の改正で決まったものでありまして、第二弾の改正で、二〇一六年以降も現在の一般電気事業者一般担保付社債を発行することを引き続き認めるということを決めた上で、第三弾、改正法案提出に際しては、一般担保の在り方につき、事業者間のイコールフッティングを確保すること云々で見直し規定を設けたと、こういうことでございます。したがって、今回の法律が施行された以降は、まさに法律的には今の一般電気事業者とそれ以外の発電事業者等とは同じ立場になるわけであります。  この間どうかという御質問でありますけれども、そういったことで、前に決めた制度をそのまま使うということでありますが、最初のお答えに返りますけれども、おっしゃるような懸念が生じるような状況にはないと考えております。
  169. 松田公太

    ○松田公太君 確かに格付等を見ていますと、東日本大震災原発事故以降、各電力会社、もちろん収益性も落ちているということで、徐々に徐々に下がってきている状況ではあるんですが、ここのところまた下げ止まりといいますかね、止まってきている状況にあるのかなというふうに思っておりまして。  そもそも電力会社、今回の東電の一件で明確になったと思うんですが、国が完全に守るということだろうなと。以前、これはちょっとどちらか覚えていませんが、予算委員会ですかね、民主党の政権時代にいろんな質問を私もさせていただきましたが、たしか当時の菅総理が、絶対東京電力は債務超過にさせない、潰さないということをもう明確におっしゃった。これは非常にそのときショッキングだったわけでございますが。私は、民間企業である以上、また上場しているわけですから、そのようなリスクを背負って初めての民間企業、上場企業じゃないかなというふうに思っているわけです。  ですから、そういう意味では、市場は、国がこれだけやはり東電も保護したということで、それはほかの会社についてもそうだろうと、九電力会社についてもそうだろうというふうに思っていますから、これ以上大きく私は調達環境が悪化するということはないと思っているんですね。ですから、一般の格付が適用されますような普通社債、これで私は十分じゃないかなというふうに思っているんです、一般担保付社債じゃなくてですね。それによっても十分私は低いレートで調達が可能なんじゃないかなというふうに思っております。  また、仮に一般担保付社債を一定期間継続する、今おっしゃったような理由で、必要があったとしても、一般送配電事業者についてだけ必要最小限の範囲で一般担保付社債の発行を認めればいいのかなというふうに思うんです。なぜ今回、発電事業者とか、また持ち株会社にまで一般担保付社債の発行を認める必要があるのでしょうか。
  170. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) 御指摘一般送配電事業者以外に発電会社あるいは持ち株会社にもどうして認めるのかという点でございますけれども、私ども、やはり大規模設備の維持管理のための資金調達が必要な会社というものといたしまして、これらの会社につきましては一般担保付社債の発行を選択できると、このような経過措置が必要ではないかというふうに考えてございます。  先生御指摘の先ほどの点につきましても補足をさせていただきますと、私ども、この法案の提出に先立ちまして制度設計ワーキンググループという審議会の中で議論をさせていただきました。そして、市場専門家、それから新規参入者双方から御意見をいただきました。  市場専門家の方からは、やはり原子力発電所の停止によって収支、資金調達環境については悪化をしている、経営環境は非常に厳しいというふうに見ているので、この改革の内容次第で資金調達に支障を来してしまう、こういったところを懸念しているという声がございました。  他方で、新規参入者の方につきましては、私ども事務局の方から今回のような御提案をさせていただいたときに、自分たちとしては非対称な一般電気事業者の優遇策であると思っているというふうな認識はお示しした上で、できる限り早い時期に廃止されることを望むけれども、いろいろな懸念があるということを踏まえると、事務局提案の既発、新発いずれについても御提案の方策で妥当なのかなと考えていると、このようなことで新規参入者の方からも一定の御理解を得ていると、このように認識をいたしております。
  171. 松田公太

    ○松田公太君 その新規参入者がどなたかこの場で一々聞くのもあれですけれども、多分想像するに大手なんじゃないかなというふうに思いますね。ですから、私が本当の新規参入者、ベンチャーであったり中小であったりであれば、そこはやはりちょっとイコールフッティングで頼むよという気持ちになるのではないかというふうに思います。大手で別事業体で入る、新規参入するということであれば、もちろん資金調達能力は高いわけですから、そこまでそれについては心配しないということじゃないかなと思います。  これまで三回の法改正を通じて目指してきたのは、やはり電力自由化を行い、新規参入を増やすということなのではないでしょうか。私は本当にこのような競争を阻む内容が多分に盛り込まれていることに懸念を持っておりまして、残念ながら、大手企業の優遇であったり既得権益の保護、これをしようとしているようにしか私には見えないんですね。ですから、これでは再生可能エネルギーのベンチャーが増えるのは難しいんではないかなというふうに考えてしまいます。この話についても引き続きまた後日させていただければというふうに思いますが。  時間が大分押してきましたので、ちょっと質問を飛ばしまして、済みません、エネルギーミックスについてもお聞きしたかったんですが、これもまた後日お聞きできればというふうに思いますが。  最後の質問の、火山に対する原発の対策についてお聞きできればと思います。  五月二十九日、金曜日だったわけですが、口永良部島でマグマ水蒸気噴火がありまして、高度九千メートルを超える噴煙が発生して、火砕流は火口から二・二キロもの距離をたったの七十秒で流れて海まで到達したんですね。時速にすると百十五キロのスピードだということです。火砕流は、速いものでは時速二百キロに達するものもあるというふうに聞いております。  九州電力は、川内原発の半径百六十キロ圏内にある巨大噴火の跡のうち三つについて、火砕流が原発のある場所に達した可能性があるということを認めているんですね。また、桜島を含む姶良カルデラからは川内原発に火砕流が五分で到達するんだというシミュレーションデータも出されているわけです。  実際にそのような影響が出る巨大噴火が日本で起こるのは一万年に一回だというふうに言われておりますけれども、前回の巨大噴火、これは鬼界カルデラですが、これは七千三百年前の出来事なんですね。また、火山学者の中には、一万年に一回じゃなくて実は六千年に一回起こるんだということを言って警告している方もいらっしゃるわけです。  田中委員長、規制委員会としては、このような火山の巨大噴火に関してどのようにお考えでしょうか。起こる可能性が少ないと見ているのか、可能性はあると見ていてしっかりと対策を練る必要があると考えているのか、いかがでしょうか、お教えいただければと思います。
  172. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) まず申し上げておきたいのは、過去に川内に火砕流が到達した可能性が否定できないという姶良カルデラの噴火とは、九州全域に壊滅的被害をもたらしてしまったといういわゆる巨大な噴火です。ですから、口永良部島とか御嶽山とか、そういった類いの噴火とは全く違うものであるということでございます。  それで、一般論として、これだけの大きな破局的ないわゆる巨大噴火が起きるときには、地下でのマグマの供給が、非常に大量のマグマの供給があると言われております。その供給が、今でも定常的にマグマの供給があるようですけれども、それが桁が違うような供給が数十年にわたって続いて起こるだろうというふうな文献もございます。  ただし、今までの火山学の経験からいうと、こういった巨大噴火を経験したことはありません、人類は。ですから、今後そういったモニタリング、GPSとか地形の変動とかが起こるだろうというところを継続的にモニタリングをして、その予兆をつかんで、早急に原子力発電所を停止し、適切に使用済燃料を運び出すとか対策を取るというようなことを求めております。  川内原発について申し上げますと、この鹿児島地溝帯、地溝にはたくさんのカルデラの跡があります。大体、平均すると九万年に一回ぐらい巨大噴火が起きていると言われております。姶良カルデラは約三万年前に起こっていますので、まあ原子力発電所の今後三十年ぐらいの間にはそういったものは起こらないだろうという評価で、一応、先ほど申しましたモニタリングとそういった判断を併せて、今私どもとしては評価をしたところでございます。
  173. 松田公太

    ○松田公太君 おっしゃるとおり、近年ではそれだけの巨大噴火、これはもちろん経験がないわけですから、どのような状況が起因になるのか、また事前のどういう活動があるのかというのは分からないわけですよね。ですから、今の残念ながら科学的な知見ではそれを予測できないということだと思うんです。ただ、巨大噴火じゃなくてマグマ噴火、水蒸気の、マグマのものであったり、そういったものはある程度分かるようになってきているんじゃないかという話もありますが、そういった動きが出てきたとき、その動きが果たして、例えば二〇一一年に起こった新燃岳レベルの噴火になるのか、若しくは一九九一年の雲仙・普賢岳レベルになるのか、場合によっては本当に鬼界カルデラのレベルになるのかというのは分からないんです。  ただ、分からないながらも、何かそういうことが、異常があれば運転を今は止めると、そういう、停止命令ですかね、これ出されるというお話をされましたが、どのようなレベルの異常を察した場合、運転停止命令というのはかなり重い、大きいですね、原発を止めるということですから、そのような命令を下すことになっているのか、教えていただけますか。
  174. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) まさにどのレベルで止めるべきかということはまだ決まっておりませんけれども、今、火山の専門家にもお集まりいただいて、どの程度の切迫性があるのかというようなことも含めて判断して、安全を大前提として早急に手を打ちたい、判断したいというふうに思っております。
  175. 松田公太

    ○松田公太君 前例がないことですから、なかなか明確なお答えができないのは分かりますけれども、基準は私はある程度はっきりさせる必要はあるんじゃないかなというふうに思うんですね。  何が巨大噴火、大きな噴火につながるか分からないから、取りあえず様子を見て、何か危険そうだったら止めさせようなんというあやふやなものではなくて、例えば国交省、気象庁なんかと連携をして、ある一定基準を超える動きが発見された場合は、これは残念ながら、危険を避けることにこしたことはないわけですから、停止命令、多少の負担にはなるかもしれませんけれども、電力会社にとって、停止命令を出すというようなものを是非考えていただきたいと思うんですが、宮沢大臣、こういう話を経産省から国土交通省に働きかけて基準を作るということは考えられないんでしょうか。
  176. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 恐らく、専門家で今御検討いただいているという話ですけれども、それだけ大きな爆発についての専門家という方がそうたくさんはいらっしゃらないのかなと。私どもとしても、まさに福島を経験をしておりますから、常にリスクといったものを考えて行動しなければいけないということは当然のことでありますので、規制委員会の手に余るのかどうかということも踏まえて、できることは協力していきたいと思っております。
  177. 松田公太

    ○松田公太君 それでは、時間が来ますので最後にさせていただきますが、これ田中委員長に御提案といいますかお聞きしたいんですけれども、先月十八日に開かれた原子力規制委員会の外部専門家による会合では、原発周辺にある火山の監視について専門家らの組織をつくって科学的な助言をする体制を整備すると、こういう方針が示されましたよね。これは私は一歩前進だと思っているんですね。  しかし、私がちょっとその後調べて驚いたのは、日本はこれだけの世界有数の火山国であるにもかかわらず、火山の観測とか研究、防災を担う専門の国立機関がないということなんですよ。これでは、今、宮沢大臣もおっしゃいましたが、噴火に対する知識とかそういった蓄積が全くない、専門家が少ないという状況になってしまいますので、リスクに対して余りにも不十分じゃないかなというふうに思います。  是非、田中委員長の方から、これは原子力規制委員会として、国に対して、火山の専門機関の設置、これを要望すること、私必要じゃないかなと思いますが、最後お聞かせいただきたいんですが、いかがでしょうか。
  178. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 時間ですので、端的にお願いします。
  179. 田中俊一

    政府特別補佐人(田中俊一君) 先生の御指摘は大変理解できるところありますけれども、私どもの立場でそういった専門機関を設置するという提案をするのは少しのりを越えているような気がいたしますので、答弁はその辺で。
  180. 松田公太

    ○松田公太君 終わります。ありがとうございました。
  181. 中野正志

    ○中野正志君 次世代の党の中野正志でございます。  ITセキュリティー、経済産業政策の重要な柱の一つでありますから、あえて今日は、まず、百二十五万件の情報が流出したとニュースで発表されました日本年金機構の年金情報の管理システムに係る案件からお伺いをいたしたいと思います。  正直、この管理システムに外部から不正アクセスがあって、年金加入者の氏名や年金番号など、先ほど言った百二十五万件の流出があったと。サイバー攻撃は、海外のみならず、日本でも頻発している問題でもあります。昨年十一月にサイバー攻撃対策に関する国の責務などを定めたサイバーセキュリティ基本法が成立をいたし、実質スタートもいたしておりますけれども、我が国の安全保障の根幹に関わる重大な問題である、明らかでありますけれども、国内の産業的には実は成熟をしていない分野だなと感じております。  しかし、一つポジティブな例を御紹介をいたしておきます。実は、日本のサイバーセキュリティー、世界から水を空けられていると誤解をされておりますけれども、正直、そうでもないんであります。今年二月に開催されたハッカーの世界大会と言えるセクコンでは、一位が残念ながら韓国、二位が台湾、三位が米国、四位、五位が日本でありました。全く世界から取り残されているわけではないんであります。  しかし、産業界でこの人材が重用されているかというと、日本の雇用制度、年功序列ですね、が邪魔をして、優秀な人材が日本企業では、とりわけ特に公的機関ではほとんど採用されておりませんのが実情であると聞いております。本当に残念でありますけれども、是非この辺りは、我々、経済産業政策の一環としてITセキュリティーの人材の育成、取組がしっかりされていくように求めたいのでありますけれども、岩井大臣政務官、是非御見解をお伺いをしておきたいと思います。
  182. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 中野委員にお答えをいたします。  委員指摘のとおり、サイバー攻撃の脅威が増大をする中で、我が国をしっかりと守るという意味でも、セキュリティー人材を確保していくというのは大変重要なことだと経産省としても考えております。このため、経済産業省では、独立行政法人情報処理推進機構、IPAと申しますが、を通じまして、全国から公募した優秀な若手人材がセキュリティー技術を学ぶセキュリティ・キャンプというものを二〇〇四年から実施をしております。セキュリティー分野で卓越したトップ人材を育成しているところであります。二〇一二年からは産業界もキャンプの運営に加わりまして、企業見学などを通じて採用拡大の取組も進めているところであります。  また、国家試験であります情報処理技術者試験において、セキュリティーを含むITの知識、技術を認定することを通じましてセキュリティー人材の採用、育成を促進しているところでもあります。二〇一六年からは、組織のセキュリティーマネジメントを行う人材確保、拡大のため、新たな試験区分といたしまして、情報セキュリティマネジメント試験の創設も予定をしております。セキュリティー人材が企業でしっかりと処遇するためには、まず経営者側がしっかりセキュリティーを経営問題として捉えていただくこと、セキュリティー確保のための体制整備や必要なリソースの確保等を行っていくことも大変重要だと考えております。  経産省といたしましては、こうした取組を進めるため、本年度中にサイバーセキュリティー経営ガイドラインを策定することといたしております。このような取組を通じまして、セキュリティー人材の育成と企業における適切な処遇の促進、図ってまいりたいと考えております。
  183. 中野正志

    ○中野正志君 全くそのとおりでいいんでありますけれども、同時に、やっぱり、岩井大臣政務官お触れになりませんでしたけれども、防衛省あるいは外務省、当然ながら内閣官房含めて全省庁しっかりと連携ということが本当に大事になってくるなと。もう一年に我々、日本、何億件と言われるサイバー攻撃に遭っているわけでありますから、やっぱり人材育成を含めて、今、岩井大臣政務官からお答えはいただきましたけれども、中央省庁のみならず、地方も含めて連携ということがしっかり確立されなければならない。まして、いよいよマイナンバーということで国民の皆さん大注視ということになるわけでありますから、是非そちらの方面も含めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。  はてさて、電力ガスシステム改革を推進するための議論が続いておりますけれども、この改正は極めて範囲が広く、多岐にわたった議論が必要となるものであります。法案のタイトルは電気事業法等改正がメーンのように見えますけれども、その中身は、電力事業の改革と並行してガス事業改革熱供給システムの改革再生可能エネルギーの取扱いからエネルギーミックスなどを同時並行で達成していかなければならない一大改革であると言えます。  そこでまず、エネルギーミックス市場メカニズムの考え方について質問させていただきます。  先ほど来も議論はありました。エネルギー政策の基本は、セーフティー、安全性前提とした上で、三つのE、つまり、安定供給経済効率性の向上、環境への適合を同時に満たす取組が必要である点にあります。エネルギー基本計画に基づく長期エネルギー需給見通しでは3EプラスSの視点を踏まえた電源構成を示しておりますけれども、今回の電力システム改革自由化により、発電設備への投資を市場メカニズムに委ねてしまうことになります。これによって、あるべき電源構成は実現できるのでありましょうか。というのは、やはり市場メカニズムは各事業者競争で成り立つわけでありますから、競争力のない電源は必然的に排除されていってしまいます。  そこで、お尋ねしますけれども、自由な市場メカニズムと国として保持しなくてはならないあるべき電源構成、すなわち国として確保しなくてはならないエネルギーミックスを実現するために、政府としてどのようなお考えの下にどのような見通しをお持ちなのか、この改革の中で具体的にどのように実現をしていくのか、特に、どのような仕組みをこの改革に織り込むことで市場メカニズムと国の方針のバランスを取ろうとしているのか。政府がお考えの全体工程とマイルストーン及び具体策について、是非お聞かせをいただきたいと思います。
  184. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 御質問のとおり、エネルギーミックスは、二〇三〇年の電源構成及びエネルギー源構成の見通しであり、あるべき姿とずっと言ってまいりました。あるべき姿でありますから、やはり政策的にそういうものに誘導していくということはやっていかなければいけない。ただ、おっしゃるとおり、電力全面自由化ということになりますと、送電に総括原価方式は残りますけれども、電力料金の総括原価方式がなくなっていくということになりますと、政策的な誘導力が小さくなってきているということは確かであります。しかし、その中にありまして、やはり法律、予算、税、また規制制度等々を全て動員をいたしまして必要な政策措置を講じていかなければいけないと考えております。  具体的には、再生可能エネルギー最大限導入と国民負担の抑制の両立に向けた固定価格買取り制度の適正な運用や、低コスト、効率化のための技術開発の促進、また低廉で安定的なベースロード電源を一定程度確保するため、原子力、水力、地熱などの運転の円滑化などを図るための電源立地対策、また将来の供給力不足等に対応する広域的運営推進機関が行う電源建設者の仕組みを活用すること、さらに火力発電の効率化の促進に向けた省エネ法の活用や、まさに今働きかけておりますけれども、電力業界の自主的な枠組みの構築の促進といった措置を講ずることによりまして、あるべき姿を実現していきたいと考えております。
  185. 中野正志

    ○中野正志君 大臣お話のありました再生可能エネルギー、それはやっぱりその出力が天候に左右されるという点で不安定な電源であり、現時点ではいまだ市場メカニズムに委ねることのできない電源だと言えると思います。しかし、環境への適合や国産エネルギーであるという観点から、その導入拡大の必要性は私も認めます。この点、固定価格買取り制度が強力な推進力となっていると思います。  一方で、この固定価格買取り制度の賦課金は急激に上昇しておりまして、電気の利用者の負担はこれからも大きな課題ともなります。今後も持続的に再生可能エネルギーの利用を進めていくためには、固定価格買取り制度を中心とした施策について適宜適切に見直しを図っていく必要があると思いますけれども、この点について政府の見解をお伺いをいたします。
  186. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 再生可能エネルギー、なかんずく固定価格買取り制度を今後どのようにしていくのかというお話かと思います。  私ども、この再生可能エネルギー導入拡大というのはエネルギーミックスの議論の中でも一つの大きな柱でございまして、最大限導入を進めていくという姿勢においていささかの変更もございません。他方で、この再生可能エネルギー導入拡大を進める上では、やはり国民負担との関係というのが重要な課題になってきているわけでございまして、今御指摘の賦課金で見ましても、平成二十六年度は六千五百億円、平成二十七年度は一兆三千二百億円という程度に達しているわけでございます。  この固定価格買取り制度でございますけれども、再生可能エネルギーの推進の原動力というふうになっているというふうに認識をしております。他方で、太陽光にかなり偏った導入が進んだ結果、今申し上げました国民負担上昇の懸念、あるいは系統制約の顕在化といった課題が生じていることは事実かと思います。買取り価格そのものにつきましては、毎年の買取り価格算定委員会の中で、発電コストの水準を適切に反映をさせ、その水準に応じて引き下げていくということかと思います。  また、制度の在り方そのものにつきましても、今後、私ども、審議会、資源エネルギー調査会の新エネルギー委員会というところがございますが、そういった場も活用しながら、この再生可能エネルギー導入拡大、かつ持続的、安定的にどう図っていくかという視点と国民負担の抑制、このバランスをどう取っていくかという、そういった方向で検討を深めてまいりたいと考えております。  また、国民負担の抑制という観点からは、固定価格買取り制度のみならず、例えば太陽光の低コスト化あるいは高効率化を進めていくための技術開発、こういったことも必要でございますし、相対的にコストの低い風力あるいは地熱、こういったものの導入を更に拡大するための環境アセスメントの手続の迅速化、あるいは地域内の送電網の整備と実証、こういったことも必要かと考えておりまして、そういう施策を進めながら国民負担の抑制と再生可能エネルギーの推進、このバランスを検討していきたいと考えております。
  187. 中野正志

    ○中野正志君 是非、それらの視点、大事にしていただきたいと思います。  再生可能エネルギー導入の急拡大に伴って、やっぱり自然変動電源、今お話のありました太陽光発電風力発電のためのバックアップ電源、あるいは系統安定化のための調整力や追加的費用負担についても更に考慮していくべきだと考えます。これは系統安定化費用と呼ばれるものでありますけれども、一例を挙げますと、気象条件の変動によって太陽光風力の出力変動に伴う火力の稼働、停止を繰り返す必要があって、火力発電の起動、停止コストが必要となります。当然であります。あるいは、陸上の風力発電は先ほど来話がありましたように北海道や東北の一部しか適地がないため、風力を増やすのであれば、生産地から消費地につながる電線、地域間連系線ですね、を強化する必要があって、そのコストも当然ながら増大します。  このような様々な側面を検討した場合、全面自由化後における必要な電力量、費用負担に関するルールは、どこの場で、いつ、どのように決めるのか、市場メカニズムがこういった問題を解決するとお考えなのか、経産省の見解をお伺いをいたします。
  188. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) まさに委員指摘のとおり、太陽光風力等々のいわゆる自然条件により出力が変動する再生可能エネルギー導入拡大、このためには、調整力の電源としての火力発電、それから系統の整備と、こういったことが必要になってくるわけでございます。  石炭火力を始めといたします火力発電による一定のバックアップというものはどうしても太陽光等については現状では不可欠でありまして、その結果、まさに御指摘のとおり、火力発電稼働率が低下をしていく、その結果、調整コストが増加をすると。あるいは、ストップ・アンド・ゴーと言っておりますが、火力発電を止めたりまた開始をしたりする、そういった調整コストが増加をするわけでございます。  私ども、今回のエネルギーミックスの過程の中でこういった調整コストというものを議論をしてまいりまして、コストの分析の中で、例えば太陽光風力の変動電源の拡大に伴う調整費用といたしまして、再エネ全体の導入量が二二から二四%程度の場合には年間約四千七百億円程度の調整コストが必要になるという試算を明らかにさせていただいたところでございます。しかしながら、それはそういった段階でございまして、果たしてこれを市場メカニズムの中で解決していくのか、誰がどのような形で負担をしていくのかということにつきましては現時点では十分な整理ができておりません。今後、状況に応じまして検討していく課題であると考えております。  それから、地域間連系線等々の系統の増強ということにつきましては、広域的運営推進機関が四月に発足をいたしましたので、この広域的運営推進機関におきまして、広域運用の観点、エネルギーミックス、あるいは国の方針も踏まえながら、この具体的なルート、それから御指摘費用負担の在り方も含めて広域的な整備計画を策定するということにしております。  具体的には、この機関が必要性を検討した上で、基本要件を作成しまして実施主体あるいは実施案等々を募集をする、その中で経済性も踏まえて計画を策定すると、こういう状況でございます。
  189. 中野正志

    ○中野正志君 エネルギー基本計画等において、原子力発電をベースロード電源として活用し、原子燃料サイクルを推進することとしておりますけれども、その政策を実現するためには、電力システム改革によって事業者間の競争が進展する事業環境においても、引き続き民間が原子力事業を担えるような環境整備が必要になると思います。  これまでの議論でも明らかなように、市場メカニズムの働きが自然と原子燃料サイクルを推進することにはならないように思います。この点、政府としては、原子燃料サイクルと市場メカニズムとの関係をどのように捉えておられるのか、自由化の中でどのような制度的な措置が必要と考えておられるのか、お伺いをいたします。
  190. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 核燃料サイクル自由化の関係でございますけれども、核燃料サイクル自体につきましてはエネルギー基本計画の中でも、これまでの経緯も十分考慮しながら、関係自治体あるいは国際社会の理解を得ながら核燃料サイクルを推進していくという方針に変わりはございません。それからまた、3EプラスSの達成に向けて、単に市場任せにするということではなくて、各エネルギー源ごとに必要な措置をそれぞれに応じて講じていくという姿勢でございます。  こうした考え方に基づきまして、原子力につきましては、このエネルギー基本計画にも記載してあるところでございますけれども、電力システム改革、それによって競争が進展をする、そういう環境の下においても、原子力事業者が円滑な廃炉あるいは安全対策安定供給などの課題に対応できるよう、事業環境の在り方について検討を行うということとしておるわけでございます。  これを踏まえまして、原子力委員会、これは私どもの審議会でございますが、そこにおきまして検討を行いまして、昨年十二月に中間整理というのを公表をさせていただきました。その中で、核燃料サイクル事業につきましては、自由化により競争が進む、あるいは原発依存度低減していく中においても、安定的、効率的な事業実施確保されるよう、事業者からの資金拠出の在り方などを検証し、その結果を踏まえて必要な措置を講じていくことが重要であるとの御指摘をいただいているところでございます。  私ども、こうした審議会での議論の結果も踏まえまして、この核燃料サイクルにつきましてどのような対応が必要かということを今後検討していくと、こういう段階でございます。
  191. 中野正志

    ○中野正志君 時間ですので、今日は静かに質問して終了することにいたしますけれども、是非、いろいろ大きな課題もありますけれども、また次の委員会質問させていただきたいと思います。  終わります。
  192. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 新党改革の荒井です。  今度の法改正の、私はやっぱりなかなかできなくてこれは実は大した改革だなと思いますのは、ガス改革を入れたということなんですね。これがないとやっぱり本来あるべきエネルギー社会というのは描けないと思いました。同時に、大臣もよく言われるように、縦割りをこれを壊すという意味では、これはガスは絶対条件なんですね。可能性も持っています。  そういう意味で、是非成功させていきたいと思いますので、何回かにわたって時間をいただけると思いますので、今日は全体的なことをお聞かせいただきたいと思うんです。  まず、電力についてです。  一六年四月をめどに小売参入全面自由化を踏まえて、ほかの業界からの参入がどんどん出てきております。例えば、発電所でいいますと、これは五月六日でしょうか、日経新聞でも報じられておりましたが、首都圏向けに火力発電の新増設計画があって、何と原発十三基分に相当し、投資額は二兆円であると、こういうことなんですね。一千三百万キロワットだというふうな見出しもありました。  これについては別な懸念もありますので、時間がありましたら別な日にしたいと思いますが、実は東電の柏崎刈羽原発は八百二十万キロワットでございますから、もしこれを再稼働するということに仮になれば大変な混乱が生じるということなんですね。逆に言えば、撤退する火力事業者もあり、これはエネルギーのみならず、大変経済にとっても私は問題が出るんじゃないのかなというところを心配もしますが、後日に譲ります。  課題は、今日は、首都圏ばかりがどうも恩恵を受けるんじゃないかというような印象ですから、印象でなければそれを取っていただきたいと思うんです。  この法律案によると、発送電分離は沖縄を除きまして日本全国が対象になりますから、大変な改革なんです。送配電の分離によるデメリットとして安定供給の維持や災害時の復旧なども、これも指摘されておりますが、もう一つの私はデメリットになっちゃ困るなと思うのは、こうした恩恵が首都圏にばかり集中するのではないかという懸念なんです。  そこで、お尋ねします。地方における今までの新規参入、こうしたところの実績というか見通し、見込み、事例を引きながら簡単に説明していただきたいと思うんですね。地方でもこれだけ恩恵があるぞと、こういうことなんです。
  193. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。それでは簡単に申し上げます。  まず、発電所、発電建設についての新規参入状況でございますが、例えば首都圏以外ということで申しますと、個別の会社の名前になりますけれども、石油資源開発が福島県の相馬の方でガス火力発電所を建設する。あるいは、山口宇部パワーが山口県の宇部市に石炭火力の発電所を予定している。こういった形で、首都圏以外におきましても発電建設計画は存在するものと認識をいたしております。  また、新規の小売という観点におきましても、既に大口の分野は自由化がされているわけでございますが、沖縄電力を除く全ての一般電気事業者の管内で新規参入供給実績というものが既に存在しているところでございます。  数字は省略をいたしますけれども、やはり東京、関西といったところの割合は多いわけではございますけれども、北海道、東北、北陸、中国、四国、そういったところにおきましても一定の小売についての新規参入があるということでございまして、今回の改革のメリット、首都圏以外にも全国幅広くもたらされるものと期待しているところでございます。
  194. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私は、今日、直嶋前大臣からもありましたけれども、その話の中でありました、いわゆる広域系統の運営推進、この運用にも関わってくるんですが、原発を持っている今までのブロック圏の電力会社が存在していますから、原発を再稼働しないと経営に打撃が来るわけですね。ある人は、それはエンドユーザーに高いコストを払わせるので経済成長に問題だし、家計にダメージを与える、これも一面の事実なんですね。  しかし、これがもっと早く、そしてもっと合理的に競争状態になれば、原発をブロックごとに、電力会社が再稼働するんではなくて、三つぐらいの再稼働で済むはずなんです、広域融通ができれば。どうしてそういうことを計算しないのかということなんですね。計算しない経産省じゃ困るという、こういう話になっていきます。  いやいや、それはそこそこやっていますよと言うんですよ。しかし、エネルギー基本計画というのはそういう組立てになっていないんです。ですから、表面上は競争だと言いながら、実はもう現在の既得権、電力会社を温存させながら、だから自分の持っている自前の原発を再稼働しなければ成り立たないというのは当たり前なんです。  これは再三私は過去においても指摘しているんですが、そういうことを含めて今言っているんですが、話を元に戻しますが、大口参入自由化は二〇〇〇年から拡大してきていますけれども、全面自由化、発送電分離は、東日本大震災、福島原発事故、これを反省とし契機として生まれた。これがあったからこそできたという側面も一方ではあるわけですね。  しかし、一番被害を被った、では、東北地方に、先ほども福島の例を出していただきましたけれども、どういう恩恵が生まれつつあるのか、あるいは生まれているのか、簡潔に例示していただけますか。
  195. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、今回の電力システム改革東日本大震災の経験を踏まえたものでございまして、最初の第一弾で広域的運営推進機関、これをつくるということを決めてその広域融通を可能にするということにしたのも、まさにそうしたものだと認識をしております。  今後、この広域的運営推進機関におきまして、例えば東北地方の安定供給という観点、あるいは東北地方におけます再生可能エネルギーの有効利用という観点を含めまして、先ほども御指摘ありました北本の連系でございますとか、あるいは東京と東北間の連系線の強化、こういった取組が進んでいくかと思っております。また、東北地方域内の系統増強といったような議論も出てこようかと思っております。  さらに、この第一弾の広域的運営推進機関のみならず、今回の第二弾、第三弾の取組によりまして、供給区域を越えた競争の促進、これによります電気料金の抑制でございますとか、さらには、今申し上げました連系線を使いながらということになるかもしれませんが、再生可能エネルギーの首都圏等の需要地への融通、これによる普及拡大、さらには広域融通による安定供給確保、こういった効果が東北地方にもたらされていくものと認識をしております。  震災後には、東北地方におきまして需給逼迫時の電力使用制限、こうした発動もあったかと思いますが、こうした御不便をもたらすようなことになりました使用制限の発動の回避、こういったことも実現していけるものと認識をいたしております。
  196. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 まだこれからというところもあると思いますが、またこれは後ほどにさせていただきます。  天然ガスについてです。  衆議院の審議において政府からは、利用者への多様で魅力的なサービスが各地域で提供されれば、天然ガスの利用拡大につながることが期待されるという趣旨で答弁がございました。五月の十三日です。しかし、私は少し不十分だなと見ているんですね。もうちょっと積極的になってもらいたい。  それはどういうことかというと、電力不足はもとより、今よりCO2削減をしなければならないわけですね。しかし、残念ながら、当面は化石燃料を活用するということが必要です。最も私は有望視されるのは天然ガスの利用拡大だと思っているんです。そのための環境整備、環境づくりというものを行うことがむしろ今回の重要な柱、つまり政策ではないのかと思うんです。民間の創意工夫だけに任せるにはまだまだ環境整備が足りないと思うんですね。ですから、そうした政策を進めていくということが必要だと思います。  極端に言えば、今日も人口減少の話がありましたけれども、これはばらつきがありますが、日本全体で沈んでいくわけですけれども、それでも時間差が出てきます。そのときに、ガス市場は今二兆四千億ぐらいのパイになってきているわけですが、これも減ってきているわけですね。こういうもの、ガスは若干横かもしれませんけれども減ってきている基調にあるんですが、利用拡大を更にしていかないと、様々な先ほど言ったような隘路にぶつかってまいります。  そこで、昨年四月に閣議決定されたエネルギー計画では、ガスシステム改革の推進に当たっては利用形態の多角化を促進することが重要な鍵になっていると指摘しているのは至極当然なことなんです。もっと国が政策的に環境づくりをするべきだと。例えば、環境調和性に優れたボイラー、工業炉や熱電配給により高い省エネを実現する天然ガスコージェネレーション、三つ目には系統電力需給ピークを緩和するガス空調等の拡大、四つ目は燃料電池です、いわゆる水素社会を含めて、燃料電池への水素供給のための原料などにこの天然ガスをもっともっと活用できるのではないかと考えています。  天然ガスの利用拡大をもたらす施策の目標、そしてロードマップを作成する必要があるんじゃないでしょうか。ガス市場の拡大のための政策をロードマップとしてきちんと見せていくという必要があると思いますが、いかがでしょう。
  197. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 委員おっしゃりますとおり、昨年四月に決定されましたいわゆるエネルギー基本計画におきましては、天然ガスについて、その役割を拡大していく重要なエネルギー源と位置付けた上で、コージェネレーションなどの地域における電源の分散化や水素源としての利用など利用形態の多角化により、産業分野などにおける天然ガスシフトを着実に促進する方針を示しているところでございます。  昨日、エネルギーミックスについて報告書案が取りまとめられましたけれども、それにおきましても、産業分野等における天然ガスシフトを明記するとともに、エネファームを含むコージェネレーションについて二〇三〇年時点で現在の約二倍以上となる千百九十億キロワットアワー程度導入を見込んでいるところでございます。  こういう方針の下で、経済産業省では現在、エネファームや天然ガス、コージェネレーション、高効率の天然ガスボイラーや工業炉、ガス空調の導入に対して既に支援を行ってきておりますが、今おっしゃいましたロードマップというところまでは実は頭が行っておりませんでしたけれども、やはり天然ガス導入を促進を示す姿勢としてそういったものがどういうものができるかとか、検討させていただきたいと思います。
  198. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣、有り難いんです。いよいよ、私としては大変不満な計画ではありますけれども、原発含めてですね、しかしもう一方で、ロードマップを天然ガスについてもきちんと作ってもらうというのは、渡邉先生の冒頭の質問にもありましたように、新たな参入者が入っていくときのやっぱり経営判断であるとか、あるいは社会貢献の中でまた利潤を得ていく様々なものの重要なポイントになると思うんですね。どうぞ積極的にロードマップを作っていただき、その責任を果たすための政策、環境づくり、約束というものを見せてもらいたい、こういうことなんだと思います。是非早期に発表していただきたいというふうに思います。  原発のごみ処分地の選定でございます。核のごみ、特に使用済核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の処分地の選定方式について伺います。  従来は公募でした。幾つか頓挫をしております。国による科学的有望地を国が提示していくというやり方に変えた、こういうことでございます。今まで公募してきたところはどこで、なぜまとまらなかったのか。だから今度は国の選定ということにしたんだと思いますが、これらを含め、選定できなかったことの総括を事務方から示していただきたいと思います。
  199. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) 御指摘の高レベル放射性廃棄物最終処分についてでございます。  二〇〇二年に、実施主体でございますNUMO、原子力発電環境整備機構、こちらの方で自治体の公募を開始をいたしました。二〇〇七年に高知県東洋町の方から正式に応募があったわけでございますが、こちらにつきましては、調査受入れの賛否をめぐりまして、町の中はもちろん周辺の自治体を含めて様々な議論が行われ、結果としては、四月に町長選がございまして、応募が取り下げられると、このような事態に至ったわけでございます。  この点につきまして、私どもといたしましては、この最終処分の処分事業、こちらの安全性を含めまして、一体それはどういうものなのか、住民や周辺地域の方々に対し十分な情報提供あるいは意見交換、こうしたものができなかった、結果として住民の方々の安心や信頼を得ることができなかったと、このように認識をいたしているわけでございます。  その後、現在に至るまで、この東洋町を除きまして、公募に応じていただける自治体は全く出てこなかったというのが残念ながら正直なところでございまして、こうした事実を踏まえまして、今回、自治体が自ら手を挙げるいわゆる手挙げ方式では、自治体にとって説明責任が重くて、ハードルが高かったんだと、このように考えた次第でございます。  こうした苦い経験の反省に立ちまして、今回の新しい基本方針の中で国が科学的有望地をお示しし、その後の理解活動の進捗等を踏まえて、処分地選定調査への協力について自治体に申入れを行う、こうした新しいプロセスを組み込んだと、このような次第でございます。
  200. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣には最後に所見を伺いたいと思います。  国が説明を、こういう選定をしたと、ランクがあるんでしょうか。説明会を開き、調査したい意向というのを自治体に示すということなんだろうと思うんですが、最初は文献調査、その次に概要調査、精密調査の段階に進むというような話も聞いているんですが、どのようにその説明会そして調査というのを進めていくんでしょうか。
  201. 上田隆之

    政府参考人上田隆之君) 先般、閣議決定によりましてこの最終処分に関する基本方針の改定を行ったわけでございますが、それに基づきまして、今後国が科学的有望地を提示をしていくという段階に進みたいと思います。  それで、いろんな段階がございまして、国が説明会を行うということと自治体に調査への協力を申し入れるということは、基本的には別物でございます。まず、私ども、どこかのタイミングで科学的有望地を提示したいと考えておりますけれども、その前の、もう現在の段階から既にこの最終地層処分というのはどういうものか、あるいは処分地選定の進め方がどういうものか、その考え方はいかなるものであるかということにつきまして、広く国民や自治体に理解をしていただくということがまず最初の段階でございまして、こういった理解活動を展開をしてまいりたいと考えております。  既に、具体的には、全国におけるシンポジウムの開催というのを始めておりますし、また地方自治体に対する説明会等々も開始をさせていただいたところでございます。そうした理解活動を行った上で、科学的有望地、これは科学的に見てこういったところは必ずしも適地じゃないといったようなところを除いた部分になろうかと思いますが、そういう科学的有望地を提示をするということをいたしたいと思っています。  その段階では、じゃ、それがどういった科学的知見に基づいて示されたものなのかといったことにつきましてしっかり説明をいたしまして、御質問にお答えいたしながら理解を促進をしていくという段階がございます。そうした理解が得られないという状況で調査の意向を示すというわけでは全くございませんで、説明や対話を重ねていきたいということの中で地域の理解を深めさせていただきたいと。こうした理解活動の進捗状況を十分踏まえた上で、その後に調査への協力について国から申入れを行うという段取りを想定をしているわけでございます。  御指摘の文献調査、概要調査、精密調査、これは法律に基づきまして文献調査、概要調査、精密調査の三段階の調査を経て処分地を選定するということになっているわけでございますが、今私どもがやろうとしておる作業は言わばその前段階の、文献調査に入る前にそういった調査に御協力をいただけないかという申込みの手続につきまして、今申し上げましたような方法で進めていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
  202. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 時間が少なくなってきましたのではしょりはしょりで恐縮ですが、その科学的有望地としての条件や基準というのは、経産省の作業部会で検討するのであって、原子力規制委員会は法律上も含めて関与しない、こういうことでしょうか。簡単にお願いします。
  203. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) お答え申し上げます。  科学的有望地の要件、基準につきましては、最終処分関係閣僚会議におきまして、総合資源エネルギー調査会で検討を行うということとされましたので、これを踏まえまして、昨年の十月からその調査会に置きました二つのワーキンググループ、こちらにおきまして専門家による検討を進めているところでございます。  御指摘原子力規制委員会の関与でございますが、もちろん国民の信頼性を確保していく上で規制当局の関与は重要でございますけれども、この科学的有望地の条件、基準につきましては、これは作業部会の方でやらせていただこうと思っております。  なお、今回の基本方針を策定するに当たりましては、法律の規定に基づきまして原子力規制委員会の意見を求めまして了承をいただいたところでございます。今回の基本方針の中では、原子力規制委員会は、調査の進捗に応じ、安全確保上の考慮事項を順次提示する、このようなことが基本方針の中に盛り込まれているところでございます。
  204. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今日は確認で進めています。  技術の進歩状況では、新しい処分方法が見付かった、そうしたら、どのような形か、地層処分、いろいろなやり方ありますが、それをもう一回、一度廃棄したものを取り出すという表現がいいんでしょうか、それをまた何らかの処分の方法の仕方があって、またどこかの土地に、そういう見直しがあり得るということでいいんでしょうか。
  205. 多田明弘

    政府参考人(多田明弘君) 今回の基本方針の中では、可逆性あるいは回収可能性、こういった表現を使わせていただいております。この問題につきましては、廃棄物を発生させてきた現世代で解決するべき問題だという大きな認識と、他方で、将来世代の選択肢を奪ってしまっていいだろうかと、こういった問題認識の中から出てきた表現でございます。  私どもといたしまして、現時点で最も有望とされているのがこの地層処分という最終処分の方法であるということについては認識は変わっておりませんけれども、他方で、処分事業、これは最後きちんと閉めるまで百年は掛かる事業でございます。こうしたことを考えまして将来世代に選択肢を残すと、こういった方法を今回の基本方針の中で出したものでございます。  具体的には、安全な管理が合理的に継続される範囲内で処分施設を閉鎖するまでの一定の間、一度搬入した廃棄物を取り出せること、これを確保しようということを考えたところでございます。その間に何らかの代替技術が実用化されましたら将来世代が処分方法を見直すこともあり得ると思っておりますけれども、現時点では地層処分が最善だと考えております。
  206. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 この辺は様々な課題があります。  今日はここまでにさせていただきますが、私どもは新党改革・無所属の会として、フランスのビュール、これから地層処分を始める、まだ国民のコンセンサスを得ていません。住民のコンセンサス得られない。フィンランドのオンカロ、これはやっておりますね。そして、地層の研究として北海道。私たちの会派は手分けをしながらみんなでほとんど行っております。たくさんこれも課題がまだあります。  しかし、しかしです、私は、安保もそうなんですね、安保もそうなんです、安全保障も、原発も、リスクを語らないところにすごく不信感があるんですよ。国民の皆さんもそうだと思うんです。リスクを語らないというツケは政治不信となって跳ね返ってほかの政策までも進められないし、当該の政策でさえもう疑心暗鬼になって暗礁に乗り上げるという犠牲を生んでいくんだと思うんです。  ですから、三月十一日、三・一一以前も以後も、このトイレのないマンションと言われた問題については何らかの結論を出さなきゃいけない。そして、賛成、反対どちらの立場であっても、これに何らかの解決を付けなければならないというふうに考えてはいますが、非常に重い問題ですから、大臣、やはりリスクもきちんと示しながら、それでも比較考量としてこういうことなんだと、そういうことを率直に誠実に語って国民の判断をまつべきだろうというふうに思うんです。  最後に、大臣の今の使用済核燃料の部分の質疑に関しての御所見ございましたらお願いしたいと思います。
  207. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 再稼働ということになりますと、各党いろんな御意見がある、各政治家それぞれ御意見があるわけですけれども、使用済核燃料が現実にこれだけ日本国内にあるという現実の中では、やはり最終処分というものを何らかの形にしなければいけないということについては、その方向はある程度御理解をいただけるだろうと私は思います。  そして、そのときにまず、おっしゃるように、そのリスクがどの程度あるかというようなことはきっちり説明をしなければいけませんし、また、スウェーデンの例、またフィンランドの例、例えば衆議院の経産委員会でも公明党の富田委員から全部見てきた結果報告等々教えていただきまして、本当に、政治であり、そして政府であり、そしてある意味ではNUMOでありが誠心誠意いろんな話合いをし、またいろんな情報を流すことによって徐々に理解の度を進めていくという努力をしなければいけない。  百年以上掛かるかもしれないものですけれども、寝ていていいというものではなくて、一歩一歩やっぱりじっくりと、我々の世代のうちに解決するんだという意欲で、そして誠心誠意国民と向かい合ってこの話を進めるということがどうしても必要なことだと思っております。
  208. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 時間ですので、まとめてください。
  209. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 はい。  我々の調査報告も平野達男レポートとして冊子にしてお出ししていますので、是非検討していただきたいと思います。  終わります。
  210. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  211. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気事業法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会