運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2015-05-14 第189回国会 参議院 経済産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年五月十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      高野光二郎君     宇都 隆史君      山田 修路君     林  芳正君      小林 正夫君     石橋 通宏君  五月十三日     辞任         補欠選任      宇都 隆史君     高野光二郎君      石橋 通宏君     小林 正夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉川 沙織君     理 事                 磯崎 仁彦君                 滝波 宏文君                 宮本 周司君                 加藤 敏幸君                 倉林 明子君     委 員                 阿達 雅志君                 岩井 茂樹君                 高野光二郎君                 松村 祥史君                 渡邉 美樹君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 安井美沙子君                佐々木さやか君                 浜田 昌良君                 東   徹君                 松田 公太君                 中野 正志君                 荒井 広幸君    国務大臣        経済産業大臣   宮沢 洋一君    副大臣        内閣府副大臣   西村 康稔君        経済産業大臣  山際大志郎君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       岩井 茂樹君    事務局側        常任委員会専門        員        奥井 俊二君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      兵谷 芳康君        金融庁総務企画        局審議官     氷見野良三君        金融庁総務企画        局審議官     西田 直樹君        復興庁審議官   北村  信君        財務大臣官房総        括審議官     迫田 英典君        経済産業省通商        政策局長     鈴木 英夫君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      多田 明弘君        中小企業庁長官  北川 慎介君        中小企業庁事業        環境部長     佐藤 悦緒君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用  保険法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日、山田修路君が委員辞任され、その補欠として林芳正君が選任されました。     ─────────────
  3. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、中小企業庁長官北川慎介君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 滝波宏文

    滝波宏文君 自由民主党、福井県選出の滝波宏文でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、アベノミクス効果もあり、日本経済全体の先行きについては明るい兆しが現れていますが、一方で、その成果地方まで行き届いていないという声がございます。地方創生、別の言葉で言えばローカルアベノミクス、すなわち、アベノミクス成果全国津々浦々に、そして津々浦々だけですとどっちもさんずいなので沿海部だけかということになりますので、山にも谷にも、山々谷々までしっかり行き届かせることが喫緊の問題でございます。  そこで、地方創生に向けてあらゆる政策手段を総動員することが必要であります。中でも地域経済を牽引する中堅中小企業による主体的な取組を最大限引き出すことが重要だと思います。商工中金は半官半民の金融機関として地域経済を担う中小企業者に対して資金供給を行ってきており、まず、ローカルアベノミクス実現のために商工中金がどのような成果を果たし、活動を行っているのか、地域中核企業付けなども始められると聞いてございますけれども、その点も含めて御説明をお願いいたします。
  7. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 商工組合中央金庫地域経済に与える作用ということでございます。  地域経済活性化観点から、やはり中小企業地域を支えておりますので、これを後押しするために成長マネーの円滑な供給、あるいはいざというときのセーフティーネットマネー供給と、こういったことが重要だと考えております。  まず、委員指摘地域中核企業支援貸付制度についてでございます。これは、地元から多くの雇用や仕入れを行うなど地域経済中核を担い、地域経済波及効果の大きい企業に対しまして長期一括返済、こういったリスクマネー商工中金を通じて供給するという取組、これを今年度、平成二十七年度から行っておるところでございます。既に具体的な相談が寄せられているところでございます。  次に、地域持続的成長を支えるセーフティーネットマネーでございます。これは、今般の商工中金法改正案におきまして商工中金危機対応業務位置付け、当分の間、政府が必要な株式を保有するということで対応してまいりたいと考えております。  こうした商工中金取組を通じまして、地方経済を支え、ローカルアベノミクスを実現してまいりたいと考えております。
  8. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。  これからの日本にとって、地方産業をいかにして世界経済と直結させるのか、世界市場と結び付けさせるのか、これが非常に大きなテーマになると思っております。  アメリカシリコンバレー、御案内のとおり世界的なIT企業最大集積地でありますけれども、実は大都市ではなく、周りには自然が広がる大いなる田舎なんですね。グーグルにしてもフェイスブックにしても、アップル、ヤフー、インテル、いずれも人口十万ぐらいの都市にその本社がある。シリコンバレーを生んだのはスタンフォード大学と言われてございますけれども、私もスタンフォード大学の研究所にいたことがございますが、その大学の裏山には山ライオンに注意と、こういう掲示板が掲げられたりして、非常にまさに自然豊かないい環境の中で発想豊かに新しいビジネスを世界市場に打ち出す、これがシリコンバレー世界ということになります。世界市場に、これは直接、ニューヨークとかワシントンDC、それを経由することなく直接打ち出す、ここに大きな鍵があるんじゃないかというふうに思ってございます。すなわち、地域が成長するためには、シリコンバレーが示すことは、大都市であることが前提条件ではないんだと、世界経済地域がいかにしてつながっていくか、そこが問題なんだということを体現しているのがシリコンバレーではないかというふうに思っているところであります。  足下の効率化、それだけを考えると、何でも、今成功している東京あるいは大阪、名古屋、この太平洋ベルト地帯に集めていくというのが市場の論理かもしれませんけれども、しかし、あの南海トラフ巨大地震、そういった災害も乗り越えていかなければいけません。また、市場自体経済危機金融危機を起こしたり、また既存の技術、そういったものは流行を含めてどんどん陳腐化させていきます。  そういった中どのように生き残っていくかということを考えたときに、アメリカでもリーマンショックのときに東海岸を中心とする金融産業、これが崩れていったわけでありますけれども、今申し上げたシリコンバレー、西海岸のシリコンバレーIT企業等がしっかり頑張って国の経済維持されたといったところもございます。リスク分散という観点からも、国が、国民が生き残っていくためにも、日本でも多くの地域的な柱を立てるということが大事ではないかと。  そういう観点で、この地方中堅中小企業を育て世界経済につなぐ、このことに力を入れなきゃいけないんじゃないかと思っておりますけれども、このような観点で、商工中金がどのような支援を行い、どのような成功事例が出ているか、お伺いしたいと思います。
  9. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) お答えいたします。  地方産業、これを世界経済へつなぐということが非常に重要であると認識をしております。その際、海外展開リスク、これは大変高うございますので、また黒字化まで時間も掛かります、こうした事業への長期リスクマネー供給につきましては、残念ながら民間金融機関による対応は限られているという現状にございます。  このため、二十六年度から、商工中金ではグローバルニッチトップ支援付けといった長期リスクマネー供給ということを始めております。これによりまして、民間金融機関をリードして呼び水効果を発揮するということを考えております。二十六年度におきましては、このグローバルニッチトップ支援付け、百十二件の実績が上がっておりますが、いずれも全て民間金融機関との協調融資となっておりまして、海外現法に対する出資金、あるいは海外現地法人設備資金運転資金に要する親子ローン、こういった資金ニーズ対応しております。  例えば、自動車や航空機部品強度向上に欠かせない金属の粒、こういったものの製造、あるいはアルミニウム繊維、こういったものを使って遮熱カーテンを作る、こういうような特に優れたグローバルニッチトップ企業に対して貸付制度対応しているところでございます。また、地域の分布につきましても、福井県、広島県、島根県など、委員指摘太平洋ベルト地帯に限らないところにも展開をしているところでございます。  このように、引き続きこの制度を活用しながら、地方産業世界経済へつなぐ役割を果たしていきたいと考えております。
  10. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。  今お話もありましたように、海外展開にはリスクも伴うものであります。こういったチャレンジを行う中堅中小企業にそういったリスクマネー、これは成長マネーと言い換えてもいいかと思いますけれども、しっかりそこは供給されていく、チャレンジを後押ししていくということが大事かと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、商工中金については、政投銀、英語ではDBJと略されたりもしますけれども、とともに、小泉政権行革の一環として政策金融改革の中で完全民営化方針が決められました。法的には二〇〇六年のいわゆる行革推進法に記載されたのが最初かと思います。  そのときの基本的な考え方は、官から民へと、非常にストレートで分かりやすいフレーズで、一般受けもしたし、知識層オピニオンリーダーに対しても説得力がありました。なぜなら、当時は、世界的な、経済的な思想の潮流も、新自由主義、そしてその極みにあるいわゆる市場原理主義に至っていたんじゃないかと思いますけれども、とにかく市場に任せれば大丈夫なんだと、市場は万能であって、自己修復能力すら持っているんだと、こういった議論世界的に強うございまして、実際、ソ連はもう既に崩壊して、小さな政府に徹しているアメリカは絶好調だと。一方、日本は、九〇年代の金融危機からの脱出ということに苦しむ中で、この世界的な経済潮流に従うべきだというふうに考えるのは一定説得力があったと思います。  しかし、今皆さん御承知のとおり、その市場原理主義の最先端、まさに模範というふうに言われていたアメリカ金融市場、デリバティブと言われる金融派生商品なども自由に認めたアメリカ金融市場こそが、二〇〇八年のリーマンショックによってそういった市場原理主義考え方とともにもろくも崩れていったというふうなことがございます。  株価等の下落の中で市場はフリーズをしてしまって、民間ではリスクを引き受ける者が誰もいなくなって、結局政府が、アメリカ政府危機を受け止めるために公的資金投入等を行わざるを得なくなったというのが経過でございます。  今、リーマンショックの後、いわゆる市場原理主義というものは昔のような勢いはもはやありません。もちろん市場力そのものについては、いわゆる資本主義の基盤として引き続き有効であって、全て否定されたわけではないですけれども、一方で政府役割、特に危機時における政府役割というものが世界的にも再評価をされているかと思っております。  そして、我が国は、加えて、三・一一東日本大震災、これを経験いたしました。今、リーマンショックと三・一一、この両危機を踏まえた政策見直しというのを行っていく必要があるのではないかと思ってございます。  私は、以前にこれは昨年の経産委員会でもお話ししたことがあったかと思いますけれども、こんな考えから、市場政府、どちらかが絶対ということではなくて、政府市場が共働、共に働いていい社会をつくるというふうなのがあるべき姿だと思いますし、政策立案においてもそういった視点を持って行っていくべきであろうと考えてございます。  この観点から、今回の商工中金法及び政投銀改正案、これを見ますと、両危機を踏まえて、行き過ぎたマーケットへの過信を排して、政府の重要なツールである両機関について政府のガバナンスの継続を確保するという意味で評価しているところであります。  以上の議論を踏まえまして、両機関を所管する経産省及び財務省にお伺いしたい、特に経産大臣にお願いしたいと思いますけれども、今の市場政府役割分担についての御認識と、それから、その中での今回の両機関見直し位置付けについて御所見を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
  11. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 政策金融について少し翻らせていただきますと、政策金融というのは、戦後の復興期また高度成長期には大変大きな役割を果たしてきたわけであります。そして、恐らく最初の転換期というのが、昭和五十年代の終わり、六十年前後にかなり民間金融というものが進んできて、一方で大変金融緩和になってきた。いずれバブルにつながるわけでありますけれども、その時期までどういう状況があったかといいますと、いわゆる年金と郵貯のお金運用部に強制的に回されて、そして財政投融資として一部政策金融に使われていた。そして、そのときの金利が法定されておりまして、五%以上という金利運用部から支払うというような、かなり硬直した金融体制がその辺で大きく変わって、たしか六十年だか六十一年にその五%というのを外す代わりに強制預託というものもなくなる方向で動き始めた。この辺で恐らく政策金融というものがかなり大きく変わってきたんだろうと思います。  そしてその後は、まさに民間金融機関は、金融が緩むと中小企業まで貸し込んでくる、引締めになるとそれを引き剥がすと、いわゆる晴れた日に傘を貸して、雨が降ってくると傘を取り上げると言われているような状況で、金融緩和の時期になると必ず民業圧迫という議論が出てきて、行政改革の中でいろんな縛りが政策金融機関に掛かってきたと、こういう歴史だったと思います。  そして、いわゆる金融危機、二十世紀の終わりから始まった金融危機がある意味で一段落した後、今回の基になる政投銀、また商工中金完全民営化への方向が決められたと。その後、おっしゃるように、リーマンショックがあり、そして大震災があり、特にリーマンショックのときには、いわゆる大企業が依存しておりました直接金融市場が崩壊をしたということで、いわゆる当時の優良会社である東京電力ですら銀行に行くという中で、中小企業にはお金が回ってこないという中で政策金融機関役割が大変見直された。また、大震災のときも同じような話があったという中で、二回、完全民営化が延期されてきたわけであります。  そして、今回はまさに危機対応業務といったもの、これは民間にも使えるようなシステムにしてあるわけでありますけれども、なかなか手が挙がってこないという状況の中で、いろんな大きな危機また小さな危機たくさんあるわけでございますので、それに民間金融機関対応できるまでの間は、やはり完全民営化ではなくて政府一定影響力を残すということでお願いをしているわけであります。  ただ、もちろん民間が出てくるまでただ座して待っているだけではなくて、我々としても民間金融機関にいろんな意味で働きかけをしていくし、いろんなノウハウの伝授等々も商工中金にやっていただいた上で、なるべく早く民間金融機関にも、雨の日にもちゃんと傘を出すような、そういう金融機関になっていただきたいという状況をつくり上げるということで今回法案提出させていただきました。  将来的な完全民営化方針は堅持しつつ、危機対応業務が十分に、民間危機対応業務が十分に確保されるまでの間は政府が必要な株式を保有するということで御提案を申し上げております。
  12. 迫田英典

    政府参考人迫田英典君) お答えをいたします。  ただいまの宮沢大臣の御答弁でほとんど尽きているかと思いますけれども、若干補足をさせていただきますと、委員指摘市場政府役割分担というものを金融面における官民の役割分担というふうに置き直して申し上げれば、公的金融役割というのは民間金融補完であるというのが基本的な理念だということになりますけれども、その上で、公的金融による補完在り方、これは民間企業資金需要状況であるとか、あるいは民間金融機関による資金供給状況であるとかといった様々な社会経済情勢に応じてこれは変化をしていくものだろうというふうに考えております。  そうした諸情勢変化については委員からも御指摘があり、宮沢大臣からも御答弁があったとおりだと思いますが、そういった状況変化を受けまして、今回の政投銀見直しにつきましては、民間にできることは民間に委ねるという理念維持をする、すなわち完全民営化への移行期間という位置付け維持をすると、しかしながら、民間による成長資金供給の一層の促進、あるいは危機対応、こういったものについて政投銀が当面期待される役割を果たせるような、そういう法案の内容にして国会に御提出をして御審議をいただいたと、こういうことでございます。
  13. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。  危機対応業務については、先ほど宮沢大臣からもちょっとお話あったかと思いますが、指定金融機関制度の下で、民間金融機関参加もこれ想定した制度設計としていたはずなんですけれども、実際には参加がなかったと理解しております。これをどういうふうに考えていらっしゃるか、お答えいただければと思います。
  14. 迫田英典

    政府参考人迫田英典君) 御指摘のとおり、指定金融機関制度、これは民間金融機関参加も想定をしているわけでございますけれども、あくまでも制度の立て付け民間金融機関経営判断に基づいて参加をしてもらうということであります。したがいまして、それぞれの金融機関経営判断の結果ということになるわけでございますけれども、昨年開催をいたしておりました政府での、成長資金供給促進に関する検討会というものがございまして、ここでもいろいろ言及されているわけでございますけれども、その中におきましては、やはり、大規模な景気変動であるとかあるいは自然災害、こういった際の投融資においては、通常のリスク、リターンの分析ではなかなか測り切れない部分があるんだというような御指摘があり、また、例えばリーマンショックのようなことでありますと全国一斉に対応するというようなことが必要になるわけでございますけれども、こういった面から見ても、なかなか民間金融機関では対応が容易でないということだったのではないかというような指摘がなされているわけでございます。
  15. 滝波宏文

    滝波宏文君 危機は今後も起こるという前提制度設計を考える必要があり、その対応業務を持続的に担い得る機関であるよう、今後の見直しに際しても、是非こういった両機関の公益的な機能維持する観点から検討いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、商工中金の方は、組合金融として、組合員に対する金融サービスの提供をその役割としておるため、法的に株主資格中小企業組合とその構成員に限定しております。このようないわゆる株主制限により、危機対応業務などに対する株主の賛同はこれは得られやすい状況ではないかと思いまして、概して商工中金政府株式処分については比較的懸念が少なく感じております。  一方、DBJ政投銀政府株式処分については正直心配する面が大きいです。特に、三・一一以降のいわゆる、言わばエネルギー危機状況だと私は思っておりますけれども、DBJは北海道電力とか九州電力への大型の出資、また電力債市場が不活発になったことから、メガバンク、地銀などとともに融資面でも重要な役割を果たしているところであります。  今後も、発送電分離など電力システム改革の中、エネルギー産業の変革が想定され、DBJリスクテークの機能はますます重要だと考えております。この点、政投銀株式処分に当たっては、エネルギーセキュリティー観点などから、政府以外の大口の株主状況については十分な配慮が必要だと考えられます。既に法律上、政府保有株式処分方法などについては、政府が随時検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずるとされておりますけれども、現段階における政府の具体的な方針をお伺いします。
  16. 迫田英典

    政府参考人迫田英典君) 政投銀株式処分に当たってでございますけれども、まずは、国民共有の財産でございますので、売却する際には国庫収入最大化を図る必要があるというわけでございますけれども、それに加えまして、株式処分長期事業資金に係る投融資機能の根幹の維持も含めた政投銀目的達成に与える影響、あるいは市場の動向といったようないろんなことを留意しつつ、売却の手法であるとかタイミングも含めてその処分在り方について適切に検討していくということになるわけでございますが、ちなみに、五月十二日に参議院の財政金融委員会において、政投銀法改正法案に対して附帯決議が採択をされておりますけれども、この附帯決議におきましては、株式処分方法等検討に当たっては、その業務運営資産状況等を踏まえ、公共性確保日本政策投資銀行目的遂行のために必要な株主構成中立性安定性確保等に留意して検討を行い、長期的企業価値が毀損されることのないよう適切な措置を講ずることというような決議がされておるわけでございまして、これに対しまして麻生大臣から、御趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに御答弁申し上げているところでございます。
  17. 滝波宏文

    滝波宏文君 政投銀については、成長マネー供給等での期待も大きい一方、その有する債権の性質に加え、産業金融としての役割を果たしていく上での中立性などにも配慮する必要がありまして、株式処分に際しましてはこれらのことに十分留意され、慎重に対応するようお願いいたします。  さて、危機対応も含め政府支援については、今でもゾンビ企業への支援だと、言わばもう死ぬべき企業への政府のサポートであって不適切なんだ、こんなことをしばしば聞いたりしますが、私は、先ほど申しましたけど、市場原理主義に根差す一面的で偏った見方ではないかと思ってございます。  私の地元福井県は、伝統的に繊維産業や眼鏡産業が盛んな土地です。繊維や眼鏡、これ聞くと、何となく価格競争上、斜陽産業と思われるところもあるようで、市場原理の人からは、日本では立地すべき産業ではなくて、一律にゾンビ企業なんだからそんな産業を支えるのは無駄なんだ、こんな考え方になりがちではあります。  ところが、今、地元のこれら業界で何が起きているかといいますと、例えば繊維産業では、高機能新素材として期待されるカーボン、すなわち炭素繊維への新展開、こんなことを図ってございます。  地元では大きく報道されたわけですけれども、福井市の株式会社ミツヤは航空機のエンジンの外側を覆うファンケース、これの構造支持材を、そしてまた、あわら市の株式会社SHINDO、これはファンケース自体をそれぞれ炭素繊維で開発して、欧州エアバス社の新型機に同時に採用されました。  両社が福井県の工業技術センターの支援を得て活用しましたのは開繊という技術、これは繊維を開いて、ほぐして薄く広げて、それで固めて強度を上げるというふうなものでありまして、これによって軽くて丈夫な炭素繊維を量産することができるようになっております。これは繊維産業で技術蓄積、これがなければ実現できない世界であります。  また、眼鏡産業では、例えば先月、安倍総理も訪問されましたけれども、鯖江市の株式会社シャルマン、これもまた福井県工業技術センターとまた大阪大学などと共同でレーザー微細接合技術、これを開発して、非常に細いチタン、この合金を接合できるような技術を実現いたしました。それを活用した眼鏡シリーズ、国会でも掛けられている方よく見られるんですけれども、それがポイントではなくて、このチタン接合技術を発展させてメスとか医療用の分野に、医療用器具に、メディカル分野にこういう新展開といったこともしてございます。  時代に合わせた新展開、これこそ重要なイノベーションの一つです。それを可能にするには、こういった地域企業がノウハウ、人材を含めてゴーイングコンサーン、すなわち継続企業として存続しているからでありまして、それを一律ゾンビ企業だというふうに切って捨ててはイノベーションの種も育たないということになります。  そこに必要なのは地域企業の潜在力を評価し育てる目利きの存在ですけれども、そういった点で重要な役割を果たすと思います商工中金として、どのように目利きを行い、どのように地域企業を発展させてきたのか、あわせて、先ほど申したような福井県の工業技術センターのような公設試、こういった協力なんかも含めて、地域企業によるイノベーションについての経産省の全体の取組も併せてお聞かせいただければと思います。
  18. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) お答えいたします。  商工中金の目利きの役割、そしてまたイノベーションへの支援と、こういうことだと思いますけれども、まず商工中金、これはフルバンク機能を備えた組合金融機関という特徴がございます。それで、全国二万二千の中小企業等の組合、そしてまたその構成員、約二百五十万いらっしゃいますが、こういった方々と中長期的なリレーションシップに基づく目利き能力を発揮して融資に当たっているところでございます。  中小企業の方も様々な状況がございます。まず、危機対応、先ほどゾンビ企業のようなお話がございましたが、危機対応の時点におきましては、一時的な売上げの減少、こういったものに目を奪われることなく、日常的な取引関係から得られる情報、例えば事業内容、業界動向、あるいは経営者の資質の問題、こういったものを勘案しながら、経営者の方と膝詰めで多角的かつ丁寧に長期的な視点で業績回復の可能性をまず探るというところから始まっております。また、更に進んで経営改善ということになりますけれども、ここではまた同じように業績回復に向けたアドバイスをいたしますとともに、必要に応じまして経営改善計画の策定、これも一緒になって取り組んでいるということでございます。  商工中金、先ほど申し上げましたとおり、メーンバンクとしての機能を有してございますので、企業全体の状況を把握した上で、短期そしてまた長期までの資金繰りを支援するということが可能でございます。こういった特徴を生かしながら目利き機能を発揮していきたいと考えております。  そしてまた、イノベーションの支援ということでございます。経済産業省といたしましては、産業技術総合研究所、そしてまた公設試験研究所、こういったものの連携によります全国レベルでの技術シーズの事業化への橋渡し機能の強化、そしてまた、これらの研究機関を活用いたしました中堅中小企業のオープンイノベーションの支援、こういったことを行いまして、地域企業が先端技術を活用して製品や生産方法の革新を進めていくための取組を進めているところでございます。こういった様々な取組を通じまして、地域企業のイノベーションを後押ししてまいりたいと考えております。
  19. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。  今の議論にも含意されているように、成長マネー供給セーフティーネットマネー供給、重なる側面もあるかと思いますが、総合的な対応をお願いしたいと思います。  さて、本日のやり取りでも、政府の重要なツールとしての商工中金DBJ、両機関による成長マネーセーフティーネットマネー供給が引き続き重要であるということがハイライトされたかとは思いますが、一方で、やはり我が国は資本主義国家でありまして、こういった供給をマーケットが自然に、すなわち民間金融機関が主体的に行うようになるべきではあるのでしょう。  リーマンショック、三・一一の両危機、そしてそれに先立つ九〇年代の我が国の金融危機の経緯を踏まえると一定の限界はあるとは思いますけれども、今回の両法案改正を踏まえて、民間金融機関取組に対してどのように指導していく方針なのか、金融庁にお伺いします。
  20. 氷見野良三

    政府参考人氷見野良三君) お答えいたします。  金融庁では、金融機関に対しまして、企業のニーズを的確に応え、金融仲介機能を積極的に発揮するよう求めているところでございます。特に中小企業に対してはきめ細かく対応し、円滑な資金供給等が行われるよう、言わば雨の日に傘を取り返すといったようなことでない対応を促しておるところでございますけれども、御指摘のとおり、世界的な金融システム危機時とか自然災害のときには、民間金融機関だけでは必ずしも十分に資金供給役割を果たし切れない事態も生じてきたし、生じ得るということだというふうに存じます。  この場合でも、民間金融機関ができる限り適切に資金供給役割を果たすことが重要と考えられますので、民間金融機関に対しましては、こうした事態に備えて資金供給の能力を高められるよう、リスク管理の高度化や財務基盤の強化などについて促してまいりたいと考えております。
  21. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  残された時間で信用保険法改正についてお伺いしたいと思います。  地域経済の担い手として存在感が増しているNPO法人、今般、信用保険の対象として追加されたことは意義のあることだと考えております。一方で、実際にどのようなNPO法人が信用保証を付されたことになるかは、これは通常の中小企業への融資と同様、金融機関による個々の審査、判断に委ねられます。そういった金融機関のきちんとした審査、これを行った上で融資を行う、こういったことを実現していくためにはインセンティブ付けみたいなことが必要なんじゃないかと思ってございますけれども、具体的にどんな措置を講じているのかについてお伺いしたいと思います。
  22. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 金融企業が投資経験の乏しいNPO法人に対して融資を行うに当たりましては、中小企業に対する融資の場合と同様に、NPO法人の活動のまず現場に足を運んで実態を把握することや事業性を適切に審査をして融資を行うことが前提であります。同様に、NPO法人側においても、適切な会計の実施や事業計画の検討が求められております。  また、これまで既にNPO法人に対する融資を行ってきた一部の金融機関からは、今回、NPO法人を保険の対象に追加をすることに当たりましては、金融機関がNPO法人のソーシャルビジネスの現場をきちんとまず調査をして行うようにすることが重要であるというような御指摘もいただいているところであります。  委員指摘のとおり、金融機関がNPO法人の事業活動の審査を行うインセンティブ付けというのが大変これ重要だと考えております。そのため、制度的なインセンティブといたしまして、責任共有制度の下で、金融機関一定の責任、これ二〇%ということなんですが、を負わせる必要があると考えております。  しかしながら、現行の制度上では、NPO法人の実態として、従業員の数が二十人以下の法人が約九割でありまして、かつ平均的な資金需要は八百万円程度でありますが、事実上、多くのNPO法人が上限一千二百五十万円の特別小口保険の適用によりまして一〇〇%保証となる可能性がございます。今回、NPO法人については、この特別小口保険においても責任共有制度を運用できるように必要な法改正を行い、金融機関が適切な審査を促すようなインセンティブを付け措置を講じていきたいと考えております。
  23. 滝波宏文

    滝波宏文君 ありがとうございます。実施段階しっかり見ながら進めていただきたいと思います。  ちょっと早いですが、私の質問を終わらせていただきます。
  24. 安井美沙子

    安井美沙子君 民主党・新緑風会の安井美沙子でございます。  質問に先立ちまして、現在、国会の各所で話題になっておりますTPP交渉に関する国会に対する情報提供の問題について、今日は、内閣委員会も開催される中、大変お忙しい中、西村内閣府副大臣にもお越しいただきましたので冒頭質問させていただきます。  TPP交渉、現在、農水省、農水委員会などで、あるいは外防委員会でこの議論がされておりますけれども、もちろん経済産業委員会にも非常に影響のある話題ですので、是非お答えをいただきたいと思います。  西村内閣府副大臣は、五月四日、ワシントンDCの記者会見におきまして、TPPの合意内容について国会議員に開示する意向がある旨発言されました。私も、同時期にワシントンDCにおりまして、アメリカの下院議員から情報開示の実態について聞いたばかりでしたので、日本の国会議員もこれでイコールフッティングになるのだと拍手喝采したものでした。  ところが、三日後の七日になって西村副大臣はこの発言を撤回されたので、大変落胆いたしました。誤解や混乱を与えたとか真意が伝わっていなかったと述べられていたのですが、決して誤解を与えるような言い方ではありませんでした。  少し引用させていただきますけれども、来週以降テキストへのアクセスを国会議員に認める方向で少し調整をしたい、国会で相当いろんな形で求められている、できるだけ早くしないと、もう最終段階ですし、いろんな委員会で質問を受けているのでできるだけ多くの議員にと思うが、その辺り、どういう形で条件を付けるか国会とも相談しなければならない、こんなふうに発言されているのです。  決して誤解を与えるような発言ではなかったので、どこかからの圧力によって発言を撤回されたとしか考えられず、とても残念です。発言を撤回する、つまりなかったことにするということになれば、国会議員はこれからも情報を知らされないことになりまして、行政に対するチェック機能が果たせません。  交渉ですから情報開示に制約があることは承知しております。是非、一定の制約の中であっても、ルール作り等に工夫を凝らして、国会議員が国民、将来の国民も含めて国民に対する責任を果たせるように引き続き頑張っていただかなくてはならないのですが、現在の所見をお伺いいたします。
  25. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) まずもって、五月四日の私の発言が、今御引用もしていただきましたけれども、アメリカ日本制度の違いがあるにもかかわらず、特に国会議員が、議員が外部に情報を漏らした場合に、それに対するアメリカの場合は刑罰もありますし、それから日本のこの議会の規則と国会法と、それからアメリカの議会の規則、ルールが違います。そうしたところあるにもかかわらず、アメリカと全く同じようにできるような、そのような趣旨で受け取られてしまったこと、これは私の本意ではありませんでしたので、このことについて撤回をし、おわびを申し上げたところでありますし、改めて反省もしているところでございます。  ただ、一方で、国会でも何度も質疑をいただいておりますし、私自身も、アメリカの議員と情報交換する中でアクセスできているような情報も接しました。そんな中で、何か工夫して情報提供を更にできることはないのかという、そういう強い思いからそのような発言に至ってしまったわけでございまして、この点、引き続き真剣に、どういう情報提供できるのか、このことについては考えていきたいと思いますし、五月一日の段階でもこれまで以上に、交渉で行われてきたルールの部分の交渉についての内容を内閣府から公表させていただいたところでありますし、今月、もう十五日ですから明日ですけれども、都内で千人規模の会場を用意をして説明会も開く予定にしております。更に今後どういう工夫ができるのか、日本制度の制約がある中でどういったことができるのか、このことについては真剣に考えてまいりたいというふうに思っております。
  26. 安井美沙子

    安井美沙子君 今の答弁を伺っておりまして、決して西村副大臣は、前回の記者会見でおっしゃったことと今お考えのことに私は相違はないというふうに印象を受けました。つまり、受けた側が、記者会見を聞いた側が、もしかしたらマスコミも含めて大々的に議員に対してこの情報を公開するように勝手に思っただけで、西村副大臣自体は、一定の制約の下で、ルールも違う中で、日本で公開の方法を考えていきたいとおっしゃったにすぎないというふうに思いますし、私はそもそもそういうふうに受け止めておりますので、引き続きその御努力を続けていただきたいというふうに思います。  TPPのこの情報公開について、私自身がアメリカの下院議員から聞いたことですけれども、連邦議会の一室に秘密の部屋、シークレットルームというのがありまして、議員はそこに行ってテキストを閲覧することができる、ただしメモを取ったりすることはできない、こういうふうに伺っています。そのテキストはもう膨大な量ですから閲覧だけでは実際なかなかその中身を精査するということは物理的に厳しいわけですけれども、この閲覧ができるできないということは大きな違いかと思います。  過去に政府の方で実態についていろいろ調べてみたけれども十分な情報を得られなかったというようなこともあったんですけれども、アメリカの議員に聞けばすぐ分かることですので、実態、これの有効性なども確認しながら更に方法を追求していただきたいと思っています。  確かにアメリカでは議会が通商を規制する権限を持っているわけですし、それから、議員に対する守秘義務が先ほど副大臣おっしゃったように罰則付きで課されている点は確かに日本と違います。しかし、国会には、日本の国会にも秘密会があります。議事録を外部に漏らした場合は除名も含めた懲罰の対象となります。この制度を生かした範囲で情報開示のルールを作るということはお考えになれないでしょうか。
  27. 西村康稔

    ○副大臣(西村康稔君) 国会でのこの審議在り方については、私は今政府の一員でもありますので、これは国会の中で議論をされるべき話というふうに考えておりますので私がコメントをすることは差し控えたいと思いますが、大事なことは、十二か国、交渉の十二か国で保秘、秘密保持の契約を結んでおります、情報が外部に漏れないということが大事でありまして、アメリカの場合も、今お話もありましたとおり、一定のやり方で開示をしておりますけれども、外部には漏れないというところを固く守られているということでありますし、十二か国の信頼関係の下で交渉を進めておりますので、その外部に漏れないということが何より大事だというふうに考えております。  いずれにしましても、私どもも私どもなりに何か工夫できないのか、このことについては引き続き考えてまいりたいというふうに思います。
  28. 安井美沙子

    安井美沙子君 ワシントンで当時うわさされていたとおりTPA法案の動議が否決されましたので交渉の行方少し分からなくなりましたけれども、それにしても、国益にかなうような内容で妥結することが大事ですので、一日も早い情報開示を何らかの工夫の下にしていただけるようにお願いをいたします。  どうもお忙しい中ありがとうございました。もし退出の必要がありましたらば、委員長の御判断でよろしくお願いします。
  29. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 西村内閣府副大臣は御退席いただいて結構でございます。
  30. 安井美沙子

    安井美沙子君 さらに、質問に入る前に一言、大臣所信に対する質疑の冒頭でも指摘させていただきました小渕優子前経産大臣の政治資金規正法問題についても触れさせていただきます。  昨年の臨時国会の経済産業委員会で要求しました小渕優子前経産大臣の政治資金問題の資料要求につきましては、委員長、理事の皆様のお計らいでその一部を提出していただきましたけれども、本当に一部でございまして、肝腎な資料がまだ提出されていません。そんな中、四月二十八日に東京地検特捜部は、小渕氏の元秘書と資金管理団体未来産業研究会の元会計責任者の二人について、収支報告書に記載した五千六百万円の寄附の大半が実際には架空だったとして、政治資金規正法違反の罪で在宅起訴をしました。  小渕優子前経産大臣は、昨年の大臣辞任記者会見で、疑念を持たれていることについてしっかり調査をし、皆様方にお示しができるよう、そのことに全力を傾注してまいりたいとおっしゃっていました。しかし、今回の起訴を受けておっしゃったことは、関係者に多大な御迷惑と御心配を掛けたことを深く反省しているということと、政治的、道義的責任を痛感しているというこの二つのごく短いコメントだけなんです。これではとても説明責任を果たしているとは言えません。  取調べ中とのことで御本人は不起訴になったようですけれども、元秘書らはパソコンのハードディスクをドリルで破壊して証拠隠滅を図った確信犯であり、管理者である小渕氏の責任は免れません。安倍総理や公明党の山口代表も、そして衆参の多くの議員が求めているように、御本人自らがきちっと説明責任を果たすことが肝要です。  本日、ここに本人はいらっしゃらないので何を言っているのかということですけれども、昨年の臨時国会の経産委員会でこの問題に最初に質問した者の責務として、小渕前経産大臣説明責任を果たされるまでこの委員会指摘し続け、議事録に残していくことが私の責任と思って述べさせていただきました。  それでは、今日の本題に入ります。商工中金の改正法についてお伺いをいたします。  先ほどの宮沢大臣滝波委員への答弁の中でかなりこれまでの経緯、歴史的な意味合いについても私もよく理解をさせていただきまして、基本的には、何といいますか、大きな流れは分かっているつもりですけれども、今日はこの改正法の細かいところについてしっかり確認をさせていただきたいと思っています。  先ほど大臣がおっしゃったように、今回の改正案というのは、危機対応業務を実施する民間金融機関が存在しないなどの状況を勘案して、商工中金が引き続き危機対応業務を的確に行うことを目的として、完全民営化について三度目の見直しをするものであるというふうに理解をしています。この見直しの意図、今回の意図と向かっている方向性について再度確認をさせていただきたいと思います。  まず、危機対応状況についてお伺いをします。  これまで、日本政策金融公庫法に基づく危機認定は平成二十年から五十七件あったというふうに理解をしています。最も大規模だったのはリーマンショック東日本大震災ですけれども、その他は、資料一として提出させていただいておりますけれども、災害復旧関連が三十九件と経営環境変化関連が十六件、合わせて五十七件というふうに理解をしています。  これらの危機認定ですけれども、誰によってどのような基準で行われるのでしょうか。また、災害や経営環境変化認識されてからどのくらい迅速に認定されるものなのか、お知らせください。
  31. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) まず、どういったプロセスでどのように危機対応業務を行うかということでございます。  危機対応は何かということでございますが、日本政策金融公庫法の第一条で、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するための必要な金融を行うものというふうにされております。  それで、その上で、日本政策金融公庫法第十一条におきまして、誰が認定するということでございますが、主務大臣、財務大臣、農水大臣経済産業大臣が、一般の金融機関が通常の条件により特定の資金の貸付け等を行うことが困難であり、かつ主務大臣が指定する者、指定金融機関危機対応業務を行うことが必要である旨を認定する場合に行われることというふうになっております。  それで、危機といたしましては、委員指摘のように、大規模な金融危機や大災害に加え、中小企業の外部環境変化への脆弱性を踏まえ、急激な原材料やエネルギーコスト高等、多くの中小企業の経営に悪影響を与え、我が国の経済活動に支障を来すおそれがある事象等についても認定を行っているところでございます。  それで、どれぐらいの期間で危機認定を行うということでございますが、様々なケースがございますが、例えば東日本大震災に関する事案におきましては、あれは二十三年三月十一日に起こったものでございますが、次の日からこの業務の方というのは行わさせていただいているというところであります。
  32. 安井美沙子

    安井美沙子君 東日本大震災のケースはかなり特殊でございますので、一般的な事例でございますとどのぐらいの迅速さなのか、教えてください。
  33. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) これは、たくさんの例ございますが、災害復旧関係がございます。その災害復旧関係のものは、これ災害救助法が適用されたことを踏まえるのが適当で、その後というふうに普通なっておりますので、災害救助法が適用されて、その後迅速というのが一般的に考えていただければというふうに考えております。
  34. 安井美沙子

    安井美沙子君 個別ケースによって様々ということで、なかなかちょっと実態が分かりにくいわけですけれども、例えば今、箱根、大涌谷の火山性地震による立入り規制が発令されています。噴火警戒レベルが二に引き上げられてから一週間以上たっていますけれども、果たして危機対応認定というのはもうされているのでしょうか。風評被害も含めて客足が遠のき、観光地としてはもう大打撃を受けておりますし、この影響はかなり長引きそうな気配がしております。  されているのか、もしまだ認定されていないとしたら今後どのようなステップを踏んで認定されるのか、お知らせください。
  35. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 今申し上げましたように、日本政策金融公庫法におきまして、一般の金融機関が通常の条件により特定資金の貸付け等を行うことが困難な場合に危機対応業務を行うことが必要である旨を認定をするというふうにさせていただいております。  それで、今委員指摘の大規模な自然災害の場合でございますが、先ほども申しましたように、災害救助法の適用を目安としております。必須ということではございませんが、目安としておりまして、今般の大涌谷の事案につきましては、まだ災害救助法が適用されていないといったことなどを踏まえまして、現時点では危機対応業務の認定を行ってはおりません。  しかしながら、今般の事案による中小企業への影響につきましては、中小企業庁といたしまして、地元の商工会議所、商工会等を通じまして情報収集に努めているところであります。もちろん、大涌谷周辺地域への立入り禁止区域指定に伴って一部事業者に休業等の影響が発生していることは確認しておりますし、今後とも中小企業状況を引き続き注視をさせていただきたいというふうに思っております。  なお、危機対応業務の認定を行っていない場合でございましても、資金繰りに苦しむ中小企業に対しましては、政府金融機関において相談に丁寧に対応していきますとともに、セーフティーネット貸付けといった制度によって必要に応じて支援をさせていただきたいというふうに考えております。
  36. 安井美沙子

    安井美沙子君 危機認定というのがどんなふうに行われているかというのを具体的に知りたいという意図で質問をさせていただいております。  それでは、今記憶に新しいところでは昨年の九月の御嶽山の噴火の場合ですけれども、例えば噴火から何日後に危機認定されて、この場合は長野、諏訪、松本というエリアが指定されたわけですけれども、このエリアがどういう根拠に基づいて指定が行われたのか。また、そのときの指定の根拠というのに、例えば警戒レベルとか、先ほどおっしゃった救助法の発令とか、こういったこと、どんなふうになっているのかを教えてください。
  37. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 御質問いただきました御嶽山の災害でございますが、これは、昨年九月二十七日に噴火自体は発生いたしました。それで、何度か申し上げました災害救助法自身は九月二十七日同日に適用されました。それを踏まえまして、二日後の二十九日に危機対応業務の認定を主務大臣が行って、その結果といたしまして、長野県内の日本政策金融公庫、商工中金、信用保証協会及び商工会、商工会議所等に特別窓口を設置したというところであります。  この認定におきましては、災害救助法の適用が適切であるというふうに判断をして認定をされたというふうに承知をしております。
  38. 安井美沙子

    安井美沙子君 少し状況が分かってきました。ありがとうございます。  今回の改正において商工中金危機対応業務法律で義務付けるということについてお伺いをします。  民間金融機関が指定金融機関に手を挙げなかった、挙げてこなかったということがこの法律で義務付けることの理由であるというふうに説明を受けていますけれども、そもそも、これ、一度指定金融機関に手を挙げたら、危機認定されたエリアに支店があれば必ず窓口を設置しなければいけないというふうに理解しているんですけれども、そのとおりでしょうか。指定金融機関の責務について具体的にお伺いをします。
  39. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 御指摘のとおりというふうに承知しております。
  40. 安井美沙子

    安井美沙子君 質問の最後に申し述べたことですけれども、窓口を設置しなければいけないことのほかに、指定金融機関の責務について教えてください。
  41. 迫田英典

    政府参考人迫田英典君) 指定金融機関の責務ということでございますけれども、これは危機対応制度というのは、指定金融機関の経営資源あるいはノウハウを最大限活用をいたしまして、迅速かつ円滑な資金供給が行われるということを狙いとしているわけでございまして、その趣旨の下で危機対応業務を適正かつ確実に遂行することが求められるわけでございますけれども、例えば法令上でいいますと、指定金融機関の指定を申請する際に、危機対応の実施体制あるいは実施方法等を定める業務規程を策定をしていただく、それに基づいて主務大臣が認可をするということになりますので、そういった業務規程に則した、先ほど申し上げた適正かつ確実な遂行ということを期待をするということになるわけでございます。
  42. 安井美沙子

    安井美沙子君 民間金融機関がなかなか手を挙げてこなかったということが今回の法改正の肝になっているわけですけれども、それがなぜだろうということをもう少し考えてみたいと思います。  もしその窓口を設置しなければいけないということであったとしても、結局、融資をするかどうか、あるいは何らかの危機対応をするかどうかというのは各行の独自の判断でありますので、なぜそんなに二の足を踏むのかなというふうに思います。今までの危機認定事案で、全国レベルのものは例外としても、地域限定のものについては平均でどのくらいの申請があり、それに対してどのくらいの対応をしているのか、この状況を教えてください。
  43. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 御質問いただきました集中豪雨などの災害関係の事案のうち地域レベルで対応したものの実績についてでございますが、事案により十件程度のものもございますが、実際の融資には至ってないものも相当数あるということでありますので、おおむね一件程度となっております。
  44. 安井美沙子

    安井美沙子君 私も少し調べましたところ、全部の対応件数というのは分からなかったんですけれども、窓口は開いていたけれども対応はゼロ件だったというものが結構見られます。  そうしますと、これは、申請がなかったのか、それとも申請があったけれどもこれを対応しなかったのかということについてはいかがでしょうか。
  45. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 申請、相談共に商工中金につきましてはなかったものがほとんどだったというふうに承知をしております。
  46. 安井美沙子

    安井美沙子君 そうしますと、最初にこの法改正の話を聞いたときよりも、実際にそういうお話を聞いてみますと、実際、窓口を設置しなければいけないという責務はあっても、東日本大震災リーマンショックのような大規模なものを除いては、一応窓口は設置していても実際にその申請が来るというのは非常に少ないということなんですよね。そういう実態がもっと開示されていれば、そんなに、民間金融機関にしても、これは非常に重い責務だなというふうに感じないのではないかというふうに思ったわけです。  もう一つは、これ、そうはいっても、窓口を設置するという、危機認定がされたたびに窓口を設置すること自体が重荷なんだということであれば、設置すること自体が、何というんでしょうか、精神的にといいますか重荷なんだということであれば、いつでも対応しなければいけないということが大変であれば、危機の認定ごとに指定金融機関を募集するということは考えられないのでしょうか。
  47. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 委員の御提案でございますが、ただ、しかしながら、危機の事案ごとに指定金融機関を募るということになってしまいますと、どうしても危機発生後に指定金融機関として必要な申請や審査といった手続を行う必要が出てしまいます。  そうしますと、冒頭にも委員から幾つか御質問をいただきましたが、迅速に対応ができなくなる可能性が出てまいります。例えば、東日本大震災のときは翌日からやったと。先ほど御質問いただきました御嶽山の場合も災害救助法の適用の二日後から実際にやったということで、機動性に欠けるということがございますので、やはりあらかじめ指定金融機関としての手続や審査を行って、危機認定と同時に対応することができる現行の運用が適切でないかというふうに考えるところでございます。
  48. 安井美沙子

    安井美沙子君 その御事情もよく分かります。  それでは、今度は指定金融機関には手を挙げるけれども、その銀行の例えば業績とかもろもろの事情によっていつでもこの指定金融機関を取り下げられるという自由度を設けていれば、もう少し民間金融機関も勇気を持って手を挙げられるのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
  49. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 現行の株式会社日本政策金融公庫法第二十五条に基づきまして、届出により当該危機対応業務を廃止することが認められているというところであります。
  50. 安井美沙子

    安井美沙子君 それでは、いつでもこれは、法律上も危機対応業務から取り下げることができるということが担保されているのであれば、実際に運用上もこれは非常に自由度を持っていつでも指定金融機関から外れるというふうに考えてよろしいですか。
  51. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) おっしゃるとおりというふうに考えております。
  52. 安井美沙子

    安井美沙子君 それでは、これが民間金融機関が手を挙げない理由ではないというふうに考えてよろしいですか。
  53. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) おっしゃるとおりというふうに考えております。
  54. 安井美沙子

    安井美沙子君 次に移りますけれども、危機対応業務については、これまでも商工中金法上のみなし指定になっておりまして、十分というか十分過ぎるほどきちっと対応していたと思います。これを今度義務として明文化すると、政府民間金融機関も余計に商工中金頼みになって、民営化への道が遠くなるような懸念があるのですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  55. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 恐らく、危機対応業務ができる金融機関があるから我々はもう何もやらなくていいというような考え方ではないんだろうと思います。これまでも、どうしても、期限を区切って改正をするということをしてきたわけですけれども、結局は条件が整っていないのでなかなか手を挙げられないのではないかと、いろいろなことを調べてみたりあるいは聞いてみたりするとそういうことだということでございまして、ですから、一般の民間金融機関危機対応業務ができるような、そういう条件を整えてもらった上でそちらの方に速やかに移行していくようにというふうに変えていく方が大事だと、そういうことで今回はこの期間を区切らない形にさせていただいたものでございます。  ですから、そこの条件が整うか整わないかということが大事なのであって、政府系の金融機関危機対応業務をやっているからもう我々は何もやらなくていいというような、そういう形になるのではないと考えております。
  56. 安井美沙子

    安井美沙子君 今の質問は、期間を区切るということではなくて、みなし指定から法律上で定めるということについて、より担保されたというふうに民間金融機関が思わないかという質問でございましたけれども、いかがでしょうか。
  57. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) それはある意味民間金融機関それぞれの経営判断に任せるところもございますので、それぞれの金融機関においてはどのように感じるかというのはそれぞれに違うかもしれませんけれども、少なくとも政府の側といたしましては、危機対応業務というのはしてもらわないと困るわけでございまして、誰かがですね。それを必ずするということを担保するというのは我々の責任だろうということでこのような形にさせていただいたところでございます。
  58. 安井美沙子

    安井美沙子君 その辺りが今回の改正法の分かりにくいところでありまして、大きな流れは大臣から先ほど答弁していただいたんですけれども、この法律の中身を見ますと、実際民営化を進めようとしているのかそうでないのかということがちょっとなかなか分かりにくいということで御質問をさせていただいております。  次に、今いみじくも副大臣がおっしゃったことですけれども、二〇〇七年の改正では、二〇一三年から一五年の間に完全に民営化されるということになっていましたけれども、今回の改正案では、完全民営化方針維持しつつも、その目標時期を明示しないことといたしました。これもちょっと不思議なんですけれども、その理由について分かりやすく御説明ください。
  59. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 今回、商工中金改正の提案でございますけれども、商工中金につきまして平成十七年に完全民営化方針打ち出されましたけれども、その後、御説明申し上げているとおり、リーマンショックあるいは東日本大震災危機がございまして、完全民営化の開始時期を二回延長して、今年、検討期限が来ているということでございます。  この検討期限到来に当たりまして政府としていろいろ検討いたしました結果、大規模な景気変動あるいは自然災害の際における金融支援、これは現時点では民間金融機関による対応が事実上困難であったということでございまして、政府金融機関による一定枠が必要と考えているところでございます。  今般の見直し、これは、こうした方向性を実現していくために、まず、できる限り早期に全ての株式処分するということを規定いたしました完全民営化方針、これは堅持いたしました上で、一方で、今後も生じ得る危機の備えに万全を期すということが重要と考えておりますので、地域経済を下支えし、長期の投資環境を整備するため、民間による危機対応が十分に確保されるまでの当分の間、商工中金危機対応業務を義務付けまして、政府が必要な株式を保有するということにいたしたものでございます。
  60. 安井美沙子

    安井美沙子君 まだちょっとはっきりしないんですけれども、また後でお伺いします。  今おっしゃった当分の間ということなんですけれども、これ、民間金融機関による危機対応が十分に確保されるまでというふうに解説をされています。これ、何をもって確保されたというふうに判断をされるのでしょうか。例えば幾つの民間金融機関が手を挙げればよしとするのかなど、何か参考になる情報はありますでしょうか。
  61. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) どうすれば確保されたと見られるかということでございます。  我々といたしましては、中小企業金融という立場から考えておるわけでございますので、中小企業側から見て、全国各地におきまして相当の民間金融機関が指定金融機関となって危機時の資金対応が十分なされるめどが付いてくるというのがまず重要だと考えております。  また、一方で、商工中金株主中小企業組合そしてまたその構成員ということでございますので、完全民営化するに当たりましても、政府保有の株式中小企業側にどのように資金的な制約の中で受け止められていくのかということを見極めた上だと考えております。
  62. 安井美沙子

    安井美沙子君 これまで民間金融機関に手を挙げさせることができなかったわけですから、その原因を分析してその手だてを考え、先ほど副大臣、条件を整えるというふうにおっしゃっていましたけれども、手だてを考えて、その上で実現見込み時期を予想して、また前回のように年限を定めるべきではないかというふうに思っております。  そして、万が一それを達成できそうもないという判断があればまた延長するという方が私としては理解ができるのですが、そこはなぜあえてこの期限を設けないのか、もう一度御説明をいただきたいと思います。
  63. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 今参考人から御答弁申し上げましたように、期限を区切るというのが、何といいましょうか、大事なことというよりは、むしろ今言ったような条件、すなわち中小企業から見たときに、危機的な環境が起きたときにきちんと金融業務を行ってもらえる金融機関確保できているかどうかという条件、これがどれぐらいでそれが確保できるのかというのは、これだけ世の中の動きが激しく、かつ様々な意味危機的な状況が訪れる可能性がある中で、期限を区切っていつまでというのが言いづらいことだという、いろいろな聞き取りやら様々な調査等々を行った上で私たちが感じ取ったといいましょうか、結論として持ちました感触なわけでございます。  ですので、ここは期限を区切るということではなくて、質的な条件というものがきちんと確保されるということを条件として、そこをもって民営化の方に進めるということが現実的であると、このような判断でございます。
  64. 安井美沙子

    安井美沙子君 もう一度北川長官にお伺いしますけれども、民間金融機関がある程度全国確保できたということをもってその状況が整ったというふうに先ほどおっしゃっていたと思いますが、全国でということになりますと、例えば四十七都道府県に一行ずつこれが確保できると、そういったイメージでよろしいでしょうか。
  65. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 具体的にはどのようなイメージかということでございます。  例えば、商工組合中央金庫、今各県に二つ程度それぞれ支店を持ってこういった業務に対応しているところでございますので、中小企業サイドの立場に立てば、全都道府県において地銀始め地域金融機関、何らかのところが指定金融機関として危機対応業務を行っていただけると、こういう体制が整うことを期待したいと思います。
  66. 安井美沙子

    安井美沙子君 今の御答弁からは、やはり一店舗以上は各都道府県に危機対応窓口があるということを想定されているのかなというふうに思いましたけれども、それがきっちりとした目標値でなくても、ある程度のイメージというものがあれば、そのイメージを実現するためにどういった政策的な誘導策を持たなければいけないかということを、必然的にそれを組み立てるわけでありまして、その政策を遂行するための目標年限というのがやっぱりあって、そこに対してどのぐらいそれが遂行できているかということを随時確認して、そしてそれをまた、いわゆるPDCAサイクルですけれども、回しながら、最終的にその年限に近づいたときに、ここが足りなかった、あるいはここができたということで、また遂行状況によって必要に応じて延長すると、こういったことが私は健全なやり方だと思っておりまして、今のように条件が整うまで待つということで非常に受け身的に感じるのでありまして、また、うがった見方をすれば実は塩漬けにしたいんではないかと、そういうふうにも捉えられかねませんので、やはりこれまでどおり、しっかりその政策目標を作りつつ、年限も定め、延長するという方が、民営化ということにしっかりと向かっているんだという印象を持つわけですが、いかがでしょうか。
  67. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) これは、これ以上年限にするか質的なものにするかと言ってもということもあるかもしれませんが、私たちといたしましては、民営化を決めたことに関してその旗を下ろすつもりはいささかもございませんで、やはりあらまほしき姿としては、いずれは危機対応業務民間金融機関がやっていただく、そういう社会があらまほしき社会だという、そこの部分に関しては何も変わっていない、そういう考え方なのでございます。  ですから、そこに対してどのような筋道で行くかということは、何しろ、ある意味プレーヤーが民間金融機関であるということもございますから、当然、民間金融機関民間金融機関としてきちんと経営を成り立たせていかなくてはいけないということがございますので、そこの部分にまで公の側からかなりの部分で制約を加えるということはいかがなものなのかということもあろうと思います。  ですから、私たちとしては、繰り返しになりますけれども、民営化するというその方向性に関してはいささかも変えずに、しかし政府としては、ですからそういう方向で行くんだということをきちんと示した上で、できれば我々が考えている姿というものに対して民間金融機関対応できるような条件を整えてもらえないだろうかと、そういうことで今回はこういう方向で行くんだということを示している法改正になっているという御理解をいただければと思います。
  68. 安井美沙子

    安井美沙子君 民営化という旗は下ろすつもりはないと、このことは確認させていただきました。  私、何が何でも民営化しろとか、これ、お尻をたたいているわけでもなくて、どっちの方向なのかをはっきり示してほしいということだけなんですね。もし将来的な、論理的な可能性として、危機対応政策金融に任せるんだと、それからリスクマネー成長資金は、もうこれは地銀に任せるんだとか民間金融機関に任せるんだと、そういうやり方だってなくはないとは思うんですね。  だけれども、政府方針としては、やはり政投銀商工中金については民営化するんだと。これがもし一〇〇%の確信を持ってそういう方向で進められるのであれば、じゃ、それがしっかり進むような政策設計になっている方がいいのではないかと、こういうふうに思うわけであります。  やっぱり、人間誰でも、制度もそうだと思うんです、国もそうだと思うんですけれども、お尻に火が付かないと動かないというのは自然なことだと思いますので、条件が整ったら民営化しますなんて言っていると私は物事は動かないというふうに思っていまして、副大臣が、民間にそんなに政府が介入するべきではない、各行の判断によるべきだとおっしゃることももっともですが、自然に任せていたら物事は進まないなと思うのも、同時に正直な感想でございます。  自然に任せるということではないと思いますけれども、やはり年限があるかないかというのは大きな違いではないかと思うし、年限を定めてもこれまで動かなかったわけですから、年限を定めるだけでも駄目だと思いますので、その辺は引き続き考えてまいりたいと思います。  格付なにかを見ますと、商工中金も、それから一般の地銀を中心とした民間金融機関も同レベルか上で、資金の調達コストにおいて、特に民間金融機関商工中金に比べて遜色があるとかそういうことはないのに、また日本政策金融公庫から同じ条件で利子補給などを受けられるのに、それでも民間金融機関が指定金融機関に手を挙げない原因、ここですね、大臣は根本的にどういうところにあると思われていますでしょうか。
  69. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 全国銀行協会、全銀協や全国地方銀行協会からは、危機対応は通常のリスク、リターンの分析では測り切れないこと、全国一律での対応が必要とされていること、危機対応業務に必要なシステムを構築し、常時稼働させておかなければならず、コストが掛かることというような理由で、現状では民間金融機関として対応することは困難だと、こういうことが民間側の感触のようでございます。  今いろいろお話を承っておりまして、恐らく、結局ツーステップローンで資金は行く、さらに、貸し倒れた場合の八割は保証されているという中で二割のリスクを取るという判断をするかしないかということ、で、商工中金はまさに政策金融機関でありますから、そういう中でリスクを取って対応をしている、しかし民間の方は、まさに株式会社であり、株主等々との関係においてなかなかそこまでいかないと、こういう状況があるんだろうと思います。  ただ一方で、特にメガバンクというよりは、地域に根差した銀行というのは、やはり長い目で見ていただく必要があると思っておりまして、まさに危機対応のときにいろいろ助けるべき中小企業を、そういう形で自分がリスクを取ることによって、助けたことによって将来の自分のビジネスにつながるというような長い目で見ていただくということが大変必要なんだろうと思っておりまして、そういう雰囲気を我々醸成していかなければいけませんし、もちろん商工中金政投銀等々にあるノウハウについても、やはり民間金融機関にしっかりと教えていく、お渡ししていくということも大事でありますけれども、やはり、まさに目先の利益だけではなくて、長い目で見た地域のことを考えて、それが利益になるといったようなことをしっかりと我々が金融機関と話合いをしながら、もちろん財務省、金融庁にもお願いしなければいけませんけれども、そういう形を取っていくことが一番大事なんだろうなというふうに思っております。
  70. 安井美沙子

    安井美沙子君 地銀の在り方についても後ほど伺いたいと思っておりますけれども、非常によく分かります。  資料の二というのを御覧いただきたいのですけれども、実際に、商工中金の融資の破綻率というのの推移表をお見せしているんですけれども、非常に危機対応においてもこの破綻率は低いと思います。これを見ると、なかなか地銀が、一般の民間金融機関が手を挙げられない理由というのも、実際、これを見るとローリスクだなと思うわけですけれども、こういうものを示して指定金融機関に手を挙げることを奨励しているのでしょうか。
  71. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 民間金融機関への働きかけということでございます。  これまでの経緯は御説明したとおりですけれども、具体的には、商工中金、これは協調融資、ほぼ協調融資民間と一緒に貸しておりますので、そういった場面におきまして地域金融機関のノウハウの提供、こういったことをしながら、実際もこのような状況説明していくということでございます。  また、今般、法改正が成立の後に考えておりますのは、民間金融機関からの希望もございます意見交換の場というものをつくっていきながら、こういった実態あるいは状況について御説明しながらインセンティブ付けをしていきたいと考えております。
  72. 安井美沙子

    安井美沙子君 財務省も経産省と共管で指定金融機関の監督義務があるわけですけれども、今は商工中金しかないんですが、将来的に指定金融機関が出てきたときの監督方針というのはどうなっているんでしょうか。民間金融機関の場合と商工中金の場合のモニタリング方針について違うことはないのかもしれませんけれども、その運用上など、どういうふうにお考えなのか、お知らせください。
  73. 迫田英典

    政府参考人迫田英典君) お答えをいたします。  まず、大きなお話として申し上げれば、主務大臣が指定金融機関に対しては、政策目的に沿った運用がなされているか、あるいは公的資金の適切な管理あるいは債権の扱いが行われているかといった、政策上の措置を受けて行う業務としての適正かつ確実な運営を確保するための、ある意味では必要最小限の関与という観点からの監督ということになろうかと思います。  その上で、仮に民間金融機関が指定金融機関となった場合、そこの取扱いでございますけれども、そこは特段何か差があるわけではありませんで、同じような方向で、今申し上げたような政策上の観点からの関与ということでいいますと、そこに差があるわけではないということだと思っております。
  74. 安井美沙子

    安井美沙子君 ありがとうございます。  資料の三というのを見ていただきたいのですけれども、実際、地銀の貸出金、預金の推移というのを見ますと、これは非常に伸びている、非常にとはいきませんが、順調に、着実に伸びているわけですね。この貸出先がどこなのかということは分かりませんし、中身が望ましい方向にあるのかどうか分かりません。しかし、こういった状況で業績が改善しているということであれば、ますますもって、このまま何も制度を見直さずにただ座して待っているだけであれば、わざわざリスクが高いと思われる、思われている、少なくとも、破綻率がこんなに低いなんということが私は認識されているのか不安なわけですけれども、リスクが高いと思われる指定金融機関に手を挙げないのではないかというふうに懸念があるわけです。  手続の簡素化を検討しているというふうにも聞いているのですが、その検討状況と、どんなふうに改善されそうなのか、その見通しについて教えてください。
  75. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 手続につきましてはまだ検討中でございますけれども、具体的には、申請手続を簡素化して、例えばその審査を本省のみで、現在、財務局、そしてまた本省という二段階の審査になっておりますけれども、これを本省のみの審査にする、あるいはまた、もう一つは業務内容を明確化していこうと考えておりまして、例えばQアンドAの公表ですとか、あるいは実施要領の基本的なひな形のようなものをつくって公表すると、このような手続的な改正をしていきたいと考えております。
  76. 安井美沙子

    安井美沙子君 また地銀の役割等については後ほどお伺いします。  現在、政府保有の株式比率というのは四六%で、二〇〇八年に株式会社化してから変わらないというふうに認識をしております。今後、当分の間政府が必要な株式を保有するというこの点についてお伺いするのですけれども、必要な株式というのはどのくらいを意味するのでしょうか。
  77. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 現在、政府保有株式は四六%ということになっております。  今般の見直しにおきましては、今まで申し上げたような改正の趣旨に沿いまして、商工中金危機対応業務を的確にするために必要な株式、これを政府が保有するということといたしております。これにつきましては、今後どの程度が具体的に妥当かということにつきまして、少し定性的になりますけれども、危機対応業務における指定金融機関制度がどのようになるのか、あるいは商工中金危機対応業務をしっかりできているのか、あるいは商工中金自体の財務基盤の要素、こういったものを見ていきたいと思っております。  具体的には、商工中金市場からの資金調達というのを行っております。債券で調達しておるわけでございますけれども、そういたしますと、商工中金の財務基盤がどのように市場から評価されるかというところも重要でございますので、その際、政府保有株式がどのように市場から評価されるかということも考えながら検討していきたいと考えております。
  78. 安井美沙子

    安井美沙子君 そうしますと、徐々に保有率を下げるというふうに今理解しましたけれども、商工中金の格付のことを考えますと、むしろ民間金融機関危機対応確保されたときに一気にこれを下げる、あるいは一気に全て売却するという方法もあると思うんですけれども、その辺についてはいかがお考えですか。
  79. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 商工中金の場合は、法律によりまして、株主政府以外には中小企業組合そしてその構成員と基本的に定められておりますので、そうしますと、買手側の中小企業サイドの資金余力というものも十分見ながら売却をしなければなりませんので、今具体的にこのようにしますとなかなか申し上げられない状況にはございます。
  80. 安井美沙子

    安井美沙子君 現在のところ、組合員株式を買い増しするようなインセンティブとか見通しというのはお持ちなんでしょうか。
  81. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 具体的には、買い増しするインセンティブといいますか、これは一般的にでございますけれども、株主となることによりまして、商工中金の経営をより理解しやすくなるということや、もちろん配当の収益というものもございます。  実際の場合を見てみますと、具体的な個々の取引を見てみますと、基本的に、何といいますか、相対を中心にやっておりますので、具体的にどのようになっていくかというのは何とも申し上げようがありません。これは具体的には、その背景にあります中小企業組合、そしてまたその構成員の資力、収益の状況というものが背景にありますので、そこの状況に大変よってくるのではないかと思います。
  82. 安井美沙子

    安井美沙子君 そうしますと、株式の保有を、これからどういうふうに政府の保有率を下げていくかということについてはなかなか分かりにくいというふうに理解をしました。  私、これまで株式の保有と、それから危機対応の義務付けと、それから目標時期、この辺について各論的にお伺いしてきたわけですけれども、民営化に向かっての各論をお伺いしていますと道筋がなかなか見えにくいなという、この辺が懸念材料としてどうしても残るわけです。  完全民営化の際、これいつになるか分かりませんけれども、危機対応の責務が商工中金から外れることになるわけですけれども、それまでにある程度確保された指定金融機関に、じゃ、逆にどういう縛りを掛けていくのかということを教えていただきたいと思っております。  先ほど質問の中で、この指定金融機関というのはいつでも取り下げられるのであるということを確認しました。それから、窓口を設置しても対応しないということもあると。今まではなかったのかもしれませんけれども、商工中金対応したのかもしれませんけれども、個別の案件において申請があってもそれはもちろん審査するわけですから対応しないこともあると。  こういう要素を鑑みますと、民間の指定金融機関が出そろったとして、今度は逆に商工中金の責務が外れるわけですから、国として危機対応というものをどういうふうに着実に履行させ、危機対応システムを担保するのか、この辺についてはいかがお考えでしょうか。
  83. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) もちろん、今まで長官等から御答弁してまいりましたように、まさに完全民営化になる株式を売り始めるということになる段階の状況というのは、全国的にいわゆる指定金融機関というものがしっかり整備されていると、こういう状況の上でなされるわけであります。  御心配のところは、じゃ、手を挙げていた人が、やめられるんだから、くしの歯が抜け落ちるようにいなくなったらどうするんだと、こういう話なんだろうというふうに思いますけれども、やはりそういう状況がもしも出てきたとしたら、それなりに指定金融機関制度というものについて、そちらの方の制度についてやはり見直しというようなことが必要になる可能性はあると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、恐らく今後そういう機関が出てくるという場合は、やはりこれまでの短期的な視野の経営を少し反省をして中長期の視点からしっかり地域を守っていこうというそういう金融機関全国的に生まれてくるという状況ですので、じゃ、すぐにやめましたというわけにも恐らくいかないんだろうと思いますし、更に申し上げれば、義務は外れますけれども、民営化後の商工中金も指定に向けて動くという可能性もあるんだろうというふうに思っております。
  84. 安井美沙子

    安井美沙子君 そういう状況が生まれることが本当に望ましいと思いますし、その道筋に向けて様々な制度設計をしていっていただきたいと思います。  それでは、今度は商工中金の使命についてお伺いしますけれども、これ、半官半民である、かつ、それから組合員株主であるという、こういう特徴があるわけですけれども、これまで商工中金ならではの融資案件として新規事業を軌道に乗せたなどの成功事例はありますでしょうか。
  85. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 商工中金独自の取組でございます。商工中金では、中小企業向け資金供給ということで、メーンバンクという機能を使いながら、通常の融資に加えまして、例えばグローバルニッチトップ貸付け、あるいは流動資産の担保融資、ABLというものですけれども、こういったもの、あるいは組合員向けと、こういったものを様々やってまいりました。  具体的な成功例、少し御紹介していきますと、まずグローバルニッチトップ貸付けでございます。これは民間銀行と協調して長期資金供給し、熊野筆と呼ばれる女性用の化粧筆の海外展開を成功させた広島県熊野町の株式会社晃祐堂の例というものがございます。これは名前を出すことについてもこの会社から御了解を得ております。  また、ABL、流動資産担保でございます。これはかなり前から商工中金は先駆的に取り組んできていただいておりまして、例えば最近では、複数の農家が設立した秋田県大潟村の食品会社に対しまして、米の在庫あるいは売掛金を担保とした融資を行った例がございます。  また、組合員向け融資、そもそもの機能でございますけれども、このノウハウを生かしまして、大変厳しい状態にある温泉街の再生のために民間銀行と協調して北海道の事業協同組合向けに融資を行った例と、こういったものもございます。  非常に先駆的にいろいろ取り組んでおりますので、こういった取組、更に発展させることによりまして、中小企業金融の円滑化、多様化が図られるように努めていきたいと考えております。
  86. 安井美沙子

    安井美沙子君 今言ったような事例というのは今の地方創生の必要性に鑑みて大変重要な役割だと思いますけれども、この役割というのは民営化後も変わらずに果たせるものと考えてよろしいのでしょうか。
  87. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 商工中金は基本的に、この組織の成り立ちといたしまして、中小企業者そして中小企業組合のための金融機関ということでここまで来ております。この基本的性格は変わらないと考えますので、将来につきましても同じような対応をしていくんであろうというふうに思います。  今後、株式会社、どのようになっていくかということでございますけれども、今申し上げた基本的な支援在り方というのを踏まえた経営判断が行われるものと考えております。
  88. 安井美沙子

    安井美沙子君 あくまでも民間になった場合の企業判断ということなのでその答弁にとどまられるのかもしれませんけれども、制度的に民営化したときに、何かこれまでやっていたことでできなくなることはないのかなという質問でございましたけれども、いかがでしょうか。
  89. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) お答えいたします。  もう少し補足をいたしますと、株式の保有というところでこの金融機関の基本的な性格が書かれております。株主資格というところで、今後も中小企業者構成員とする団体そしてまたその構成員というものに対する金融機能の根幹が維持されるように株主資格も決まってくるので、今までのこのような中小企業向け支援という性格は変わっていかないものだと考えております。
  90. 安井美沙子

    安井美沙子君 地銀の方について今度お伺いしますけれども、地銀ももちろん地方創生における役割というのは重要だと思いますし、先ほどの資料三で、今、貸出金、預金共に伸びているというデータはあるのですけれども、果たして地方活性化するために必要なところにお金が出ていっているのか、あるいは、逆に言うと、貸し先があるのかという問題は一方でささやかれるというか言われているわけですけれども、地銀の地方創生における役割について、現状とそれから課題、今後の期待も含めてお伺いします。
  91. 西田直樹

    政府参考人西田直樹君) お答えいたします。  まず前段で、地方銀行全体の中小企業向け貸出しの状況ですが、これは平成二十五年五月以降、前年同期比で増加してきておりまして、本年二月末時点で対前年同期比四・五%の増と、そういった状況にあります。  そして、先生からお尋ねのありました地方創生の絡みでございますけれども、先生の御指摘のとおり、地方創生の実現に向けて地域銀行が果たしていく役割は大変大きいと我々も思っております。  このため、地域銀行につきましては、その具体的な役割として、まずはその地域経済産業の現状、課題などをまず適切に把握、分析すると。そうした分析結果を活用しまして、様々なライフステージにあります企業事業の内容であるとか、あるいは成長可能性などを適切に評価すると。そして、その上で、その事業性評価を踏まえて、それぞれの企業にふさわしい解決策や対応策を検討、提案してその実行を支援していくと、こういったことが重要であると考えております。  その際、特に担保や保証に必要以上に依存しない、目利き能力を発揮した企業事業性評価に基づくリスクマネー供給でありますとか、あるいはコンサルティング機能というものを発揮した企業の経営改善あるいは生産性向上等の支援などの取組を一層強化していくということが大きな課題だと考えております。  また、地域経済活性化支援機構でありますとか政策金融機関などと連携して設立しております地域活性化ファンド、こういったものを通じた積極的な資金供給というものを期待されているのではないかと考えております。  このため、金融庁といたしましては、金融モニタリング基本方針というものに基づきまして、今後とも引き続き地域銀行による取組状況を具体的に確認するとともに、金融機関が組織全体としての積極的な取組等を行うよう促してまいりたいと考えているところでございます。
  92. 安井美沙子

    安井美沙子君 商工中金が民営化しましても、やはり地方創生に引き続き、中小企業組合員であるということに鑑みて、邁進していってくれるだろうという先ほどの長官の御答弁と、それから今の地銀への期待と、この御答弁を併せて考えますと、その成り立ちは違うけれども、将来的にはかなりこれ、役割も今よりもオーバーラップしてくるのかなというふうに思っています。  商工中金の方につきましては、過去に二回、商工中金ファンドというのができまして、お金を集めて地方創生あるいは事業再生にこの資金を回していったということがあるようですけれども、この商工中金、今はこういったものがないのですけれども、更に地方創生に向けてこういったことをやっていけるのかどうか、あるいはさらに、ほかの金融機関を募ってシンジケートローンを組んで地方発のビジネスを育てていくような役割を期待できるのか。こういうことを私としては期待するのですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  93. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 民営化後の話ということでよろしいわけですね。  商工中金は、恐らく委員の御地元でもそうだと思いますけれども、やはり各地域それぞれいろんな組合があって、組合のまさに幹部の方と日常的に接せられていて、たしか中金会というような会が各地にあって、そして組合の幹部の方というのはまさに地方経済のリーダー役の方が多いという中で、大変今大きな役割を果たしていると思っております。そして、商工中金自体まさに全国ネットがあるわけでありまして、そうした意味では、地方銀行、第二地銀等々とはかなり情報量も違うという中で大きな役割を果たしております、地方創生といった意味で。  これ自体は、完全民営化された後でも組合及び組合員を対象とするそういう金融機関であるという性格は変わらないわけでありますし、また全国ネットを有する中小企業向けの金融機関という性格も変わらないわけでありますので、民営化後であっても今地方創生に果たしている役割はしっかりと果たす枠組みはできますが、一方、それを決めるのは我々政府ではなくて経営者の方が決めていくと、こういうことになろうと思います。
  94. 安井美沙子

    安井美沙子君 将来的なお話を今伺いまして、民営化後に、更にこれから地方が疲弊していくという危機の中で、商工中金とそれから地銀と双方が果たす役割というのに大いに期待するわけですし、そこの部分が活性化していかないと地方創生地方創生というのはつまり中小企業活性化して雇用が生まれるということに尽きるわけですから、その辺が本当に活性化してくると、機能し始めると日本地域も元気になっていくのではないかと思いまして、実はこの今回の商工中金法の改正というのは、政府の先ほど民営化の旗は下ろさないとおっしゃったその方向に向けてきちっとこれを遂行していくということと、地銀へ目利き能力とかそういったことを移管していくというその協議の場ですか、こういったことも含めて、双方がウイン・ウインになっていくことが本当に望ましいというふうにいろいろ御答弁を聞いていて思いました。  最後に、この商工中金の改正法に関して、途中でも申し上げましたけれども、この政府方針とそれから各論の部分がどうも同じ方向を向いていないように見えてしようがないという懸念は、私は、今回長い時間をいただいたのでじっくり聞かせていただきましたけれども、必ずしも一〇〇%その懸念が払拭されたわけではございませんで、やはり危機対応業務を義務を法定化したこと、そして株式保有について、それから目標の時期を定めなかったことについて、これらなかなかそう簡単にすっきりと理解できるものではないのですが、やはり民営化に向かって、できれば、年限を区切るという措置以上に、スピードアップすることが望ましいのですから、年限を定めなかったわけですけれども、スピードアップする方向で、目に見える年限ではないわけですけれども、政府としてどのようなステップを踏んでこの民営化に向けて進めていくのかということを含めて、今回の法改正への思いを大臣にお伺いしたいと思います。
  95. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 私も今いろいろやり取りを承っておりました。五年、七年という話について随分議論がございましたけれども、私どもが前、政権にあったときに五年、七年と、あれはいつからでしたっけね、二〇〇八年を起算点としておおむね五年、七年。そして、民主党政権で、大震災を受けて二〇一五年を起点としておおむね五年、七年と。二回、五年、七年ということでやってきたわけですけれども、正直言って今すぐに民間金融機関危機対応業務に名のり出るという状況がないことも事実でありますし、二度あることは三度あるというのか、三度目の正直か、どちらかあれですけれども、少し、五年、七年で確実に出てくる、それなりの確率でそういうものが出てくるという見通しがない中で当分の間と、こういう形にさせていただいたわけであります。  そして、基本的にやはり民でできるものは民だということは大変大事な考え方でありますので、完全民営化方針はこれは堅持をすると。  そして、まさに一番のキーポイントは、民間危機対応業務といったものに名のり出てくれるような状況をどうつくっていくかということでありまして、これもこれまでにお答えいたしましたけれども、いろんな努力をしてまいります。  特に、やはり地域を守るということがその地域金融機関にとって長い目で見たら大変プラスになるんだということについては、いろんな、金融庁等々ともいろいろお力を借りながら、かなりそういう働きかけをしっかりやっていってそういう雰囲気を醸成していくということが大事なんだろうと思っておりまして、五年、七年という期限は設けておりませんけれども、できるだけ早い時期にそういう状況をつくり出していくということが我々政府の一番の務めなんだろうというふうに思っております。  ただ一方で、完全民営化された後の商工中金といったもの、やはり危機対応業務だけではなくて大変大きな役割を果たしております。今は政府系ですけれども、完全民間となったときにも、やはりそのDNAのようなものは残っているんだろうと私は思っておりまして、組合を中心にしっかりとした対応をしてもらわなければいけないと思っております。  思い出しますのが、ちょうど二〇〇五年に自民党政権で行革の重要方針決定ということで政投銀そして商工中金の民営化の方向を決めたわけですけれども、その前の二、三年というのが、正直言って政投銀にしても商工中金にしても、もう民営化するんだという方向の中で、かなり政策金融機関らしからぬ姿勢があったわけであります。  例えば政投銀について言いますと、私も自分で経験いたしましたけれども、私の仲のいい企業政投銀に融資を頼みに行ったら断られたけれども、同じ案件を地銀に持っていったらすぐに融資してくれたというようなことが起こってしまっていた。商工中金にしましても、やはりちょっと具合の悪くなった中小企業から、更に融資をするのではなくて、かなり早い段階で融資を引き揚げるというようなことも幾つか耳にしたことがございまして。  そういうことが絶対に起こってはいけないわけでありまして、そういうことがないようにしながらやはり完全民営化を図っていくということが大事だろうと思っておりますので、やはり政府としてもその過程については相当気を遣っていかなければいけないんだろうというふうに思っております。
  96. 安井美沙子

    安井美沙子君 過去に遡って経緯まで教えていただいて、私も本当に納得した部分がございます。ありがとうございます。  そういった政府の思いが今回の法改正によって、何というんでしょうか、インナーサークルの方に行ってしまって外から見えなくなっていく、気が付いたら塩漬けになっていて、十年後ぐらいになったら、あれ、商工中金の民営化ってどうなったんだっけというような状況になるのが非常に私が恐れている状況なので、そういった意味でしつこく目標年限ということを申してきたわけですけれども、目標年限がなくても今おっしゃったような政府の意思があるということを確認できましたので、それを外からも常に監視して、先ほどるる述べてまいりましたような地方創生への金回りが実際に活発に起こってくると、こういうような状況が目に見えてくるようになれば本当によろしいと思いますので、是非その方向でよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  97. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  98. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  99. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。  今回の改正、商工中金法等の一部を改正する法律案でございますけれども、地域経済を支える中小企業、また新しい地域経済の担い手等いると思いますけれども、NPOに対する金融の円滑化を図るものでございます。地域活性化にとっても大変重要な法律案ではないかなと考えております。  まず、商工中金法について伺いたいと思います。  商工中金完全民営化につきましては、これまでも議論が行われてきたわけでございます。午前中も様々議論がございましたけれども、二〇〇七年に法律が成立した際には、附則に、この法律の施行から五年から七年を目途にして政府の保有する株式を全部処分するという完全民営化方向性が明示をされておりました。しかしながら、その後、完全民営化の時期というのは二度にわたって延期をされております。それぞれ、リーマンショック、また東日本大震災という大きな経済ショック対応するためという背景がございました。  今回、三度目の時期の延長ということになりますけれども、リーマンショックですとか、また東日本大震災というようなことに比べますと、直前に大きなそうしたことがあったというわけではございませんけれども、今回のこの時期の延長の理由、それから背景について、大臣に改めて伺いたいと思います。
  100. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) この法律につきましては、平成十七年に完全民営化方針政府において決定されまして、平成十九年に両機関完全民営化を定めた株式会社日本政策投資銀行法及び株式会社商工組合中央金庫法が成立したわけであります。  そして、その後、二〇〇八年の秋にリーマンショック、そして二〇一一年の三月に東北の大震災という、大変日本経済に大きな影響を与える事件、事故が起こりまして、その結果、当時の麻生内閣、そして民主党政権において、それぞれ延長をされてまいりました。  そして、その検討期限というものが昨年度末、二〇一四年度末に参りまして、法律からしますと、今年以降、五年から七年を掛けて完全民営化をすると、こういうことが決まっていたわけでございまして、いよいよそういう状況になって、関係者等々といろいろ議論をしてまいりました。  そして、まず第一に、危機対応業務の担い手として民間金融機関が出てくることを期待をしていたわけでございますけれども、残念ながら危機対応業務を担う民間金融機関というものが現れていない。そしてまた、すぐに現れるという状況ではない。  一方で、リーマンショックのようなそこまで大きいものかどうかは別にしても、小さないろいろ、火山の爆発等々もあったり、また経済危機というものもいずれ全く起こらないわけではないと、こういう中で、やはり民間金融機関が出てくるまでは危機対応業務というものを政投銀であり商工中金が担う必要があるだろうということで、今回の法案という形でお願いをしております。  リーマンショックとか、また大震災というような大きな事件、事故があったわけではありませんけれども、しかし一方で、検討の期限が来ている、そして残念ながら民間金融機関危機対応業務ができないというような状況に鑑みまして、今回法案提出させていただいております。
  101. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 現状ではやはり商工中金危機対応業務をしっかりとやってもらわなきゃいけないと、私もそう思います。そうしたことで延長するということでございました。  そこで、今回、この延長によって政府株式を保有をするわけですけれども、それに加えて、法改正でこの危機対応業務の責務を明文化しております。今回、このようにあえて明確化する趣旨について確認をさせていただくとともに、先ほどからありますこの危機対応業務民間金融機関参加してこないという点について、対応策の必要など、どのように考えていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  102. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) この明文化についてでございますが、これは私どもの認識といたしまして、危機対応業務は絶対にやっていただかなくちゃいけないという思いがあるということ、しかし現行法制上では届出によりその危機対応業務を廃止することが認められているものですから、その責務を商工中金にしっかり担っていただくためには条文の中に明文化する必要があるということで明文化をさせていただきました。  そしてまた、先ほどから大臣からも答弁させていただいているところでございますけれども、民間金融機関危機対応業務ができるようにしていくというのは、これはまさに経営環境そのものが変わっていかない限りなかなか難しいということが、これまで五年ないしは七年ということを続けてきている中で、結果として今現在も民間金融機関で一つもこの危機対応業務をしてくれるところが出てきていないという事実でございますので、その経営環境、すなわちリスクがもっと取れるような条件というものをどう整えていくかということを、もちろん政府もしっかりこれから見ながら進めていくということになろうと思います。  また、民業補完というものを徹底しなくてはいけないということも今回の中で議論をさせていただいておりまして、そういう観点からは、商工中金からの危機対応に関する計画あるいは業務報告の提出義務付けを通じた政府によるガバナンスの強化、あるいは商工中金民間金融機関との意見交換の場の設置や第三者によるチェックの仕組み等々を創設いたしまして、取組を進めていくことになります。
  103. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 御説明ありがとうございました。  ところで、商工中金では二〇一五年度から地域中核企業支援貸付制度というものを開始をいたします。地方創生の中で、地域経済活性化していくために、地域に密着して活躍する中核企業の新しい事業展開支援していくということは重要であると私も思っております。しかしながら、この地域経済の中心的な存在である中堅中小企業というのは地方銀行などのほかの金融機関にとっても優良顧客でありますので、民業圧迫というようなことが言われないようにしなければならないと思います。  この地域中核企業支援貸付制度というものの対象企業というのはどのように決めて、また民間金融機関の融資の呼び水となるような工夫はどのように行っていくのか、そして地域経済への波及効果についてどう考えているのか、お尋ねいたします。
  104. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 今委員指摘地域中核企業支援貸付制度でございますが、これは商工中金におきまして地域経済活性化を図るために平成二十七年度から産業投資会計貸付けを利用しまして始めたものでございます。具体的には、十年一括返済、そしてまた成功払い金利制度の導入ということで、リスクマネー供給というものを行いたいと考えております。  この制度は、地元から多くの雇用や仕入れを行う、こういったことで地域経済中核を担う中堅中小企業を対象としておりますし、また、その企業が策定する新分野への進出等の事業計画など、これを審査して選定するということになっております。  御指摘民業圧迫ということでございます。これも配慮されておりまして、民間資金呼び水効果が発揮されることが重要と考えておりますものですから、本制度につきましては民間金融機関との協調融資、これを条件として行っております。  本制度の実施によりまして、地域中核を担う企業が新たな事業分野への進出などリスクの高い事業に積極的にチャレンジし、地域雇用の増加、そして地域の取引先の新規開拓といった波及効果が生まれることを期待しておるところでございます。  いずれにいたしましても、このような取組を通じまして地域経済活性化支援してまいりたいと考えております。
  105. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。  次に、中小企業信用保険法について伺いたいと思います。  地域の課題の解決ですとか活性化の上でNPOが果たす役割というものの重要性については、広く認識されるようになってきたのではないかと思っております。しかしながら、NPOの形で事業を行ったりとか起業をしようとする方々への支援というのは、まだまだこれからであると思います。そうした支援の一つが今回の法改正で前に進む形となるわけでございますけれども、この事業型NPOの信用保証制度の利用につきましては、我が党の山本香苗参議院議員から、かねてから強く政府に対して要望をしていたものでございます。昨年の予算委員会でも、中小企業と連携するNPOですとかそれから中小企業支援に資するNPOということではなくて、広く対象にしてほしいと、こういう質問がございました。  今回の改正というのはこのとおりになっているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  106. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 委員指摘のとおりに、NPO法人、これは日本社会にとりまして大変重要な役割を果たす存在となってきてございます。しかし一方で、どうしても信用力が乏しく、金融支援を受けたいと言っても融資が受けられないといった問題も指摘されているところから、今回の法改正におきましてNPO法人をその中に含めるということにいたしました。  今御指摘いただきましたとおり、中小企業との連携や中小企業支援を行うNPO法人に限ることなく、全てのNPO法人を対象にするところでございます。
  107. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 ありがとうございます。  中小企業と同じように考えられるNPOの皆さんへの支援というのは、例えば、これまで創業・第二創業促進補助金もNPOも対象にしていただいているんですけれども、中小企業者と連携した事業を行うNPOですとか、中小企業者支援を行うために中小企業者が主体になって設立するNPOですとか、そうした形でどうしても条件が付いてありました。  ですので、今回は、これまでと違って、NPOそのものの事業活動に注目をしていただいているという点で大きく前進したと言えるのではないかと思います。  ところで、中小企業庁の、NPOなど新たな事業・雇用の担い手に関する研究会の二〇一四年九月、中間論点整理というものがございますけれども、この中で、事業型NPOを中小企業と同等とみなして中小企業政策の対象とするための指標として、四つの点が検討されております。  その四つ目に、「市場の競争において有利となる税制上の恩典を有していないこと。」というものがございます。これは、認定NPOについてはどのようになるんでしょうか。認定NPOは寄附者が税制上の優遇を受けられるということでNPOへの寄附を促進をするものですけれども、認定NPOかどうかということは今回の信用保険の利用の対象となるのかならないのか、そうしたことに関係をしてくるんでしょうか。
  108. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 今般の中小企業信用保険法の改正においては、中小企業と同様に事業活動を行うNPO法人をこの対象としておりまして、認定NPO法人についても、中小企業と同様に事業活動を行っていれば中小企業信用保険の対象となるべく提案をさせていただいております。  それで、御指摘ございました中間論点整理における四つのメルクマール、判断基準は、NPO法人を中小企業政策の対象に含めるに当たって、NPO法人が中小企業と同様に事業活動を行っていることを総合的に評価するものとして、研究会に提示をした判断基準の一つであります。したがって、「市場の競争において有利となる税制上の恩典を有していないこと。」というメルクマール、判断基準に該当することをもって直ちに中小企業政策の対象から除外されるものではないと考えております。  それと、あと、今委員指摘の、「市場の競争において有利となる税制上の恩典を有していない」ということは、御指摘いただいた寄附金の控除やみなし寄附金制度といった税制上の恩典によりましてNPO法人が市場の競争において中小企業よりも相当に優位となる場合があり得るので、それを想定してメルクマールとして出したものということでございます。
  109. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 そのメルクマールは一つの指標ではあるんでしょうけれども、それに該当する該当しないで直ちに決まるものではないと、こういう説明だったのかなと理解をいたしました。  そうなりますとといいますか、やはりこのNPOの、事業性を有し、また信用保証に当たってどういうふうに判断をしていくかということはなかなか難しいことでございます。NPOへの融資というのは、現在は日本政策金融公庫ですとか一部の信用金庫では始まったというところでございまして、NPOの事業性また返済可能性ということをどういうふうに適切に審査するのか、なかなか難しい問題であるかと思います。きちんと借りるべきところが借りれるようにしていただきたいですけれども、不適切な場合これを排除するということも当然必要でございます。  信用保証を行うに当たっても適切な審査が行われる必要があると思いますけれども、この点は今後どういう工夫がされるのか、お聞きしたいと思います。
  110. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 金融機関において融資経験の乏しいNPO法人に対して融資を行うに当たりましては、中小企業に対する融資の場合と同様、NPO法人の活動の現場に足を運んで実態を把握することや事業性を適切に審査して融資を行うことが大前提でございます。同様に、NPO法人の側においても適切な会計の実施や事業計画の実施が求められるものでございます。  また、これまで、御指摘いただいた、既にNPO法人に対する融資を行ってきた一部の金融機関からは、今回NPO法人を保険の対象に追加するに当たって、金融機関がNPO法人のソーシャルビジネスの現場をきちんと調査をして行うようにすることが重要であるといった指摘がなされているところでございます。  これらを踏まえ、金融機関の適切な融資、事業性評価の促進及びモラルハザードの防止の観点から、金融機関一定の責任を負わせることが必要であると考えております。したがって、今回の対象となるNPO法人に対する信用保証につきましては、制度としまして責任共有制度を適用させるような措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  111. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 御説明いただきましたように、やはり金融機関にきちんと責任を負わせるべきところは負わせて、その上で個別に今後具体的に努力をしていただくことになるのかなと思います。  融資をする以上、利益が出るのか、返済が可能かということを見なければならないのは当然でございますけれども、やはり企業とは同等とはいえNPOは違うわけですので、そうした特殊性も正しく理解をした上で適切にその事業の評価をしていただきたいと思いますし、そうした方向政府としても後押しをしていただければなと思います。  先ほど申し上げました中間論点整理では、こうしたことに関連をしまして、やはり、日本政策金融公庫や一部の信用金庫を除いては、金融機関において積極的な融資姿勢は見受けられないことの要因といたしまして、NPO法人の社会的ミッションに対する金融機関の理解の不足ということが指摘をされております。  こういう問題点があるわけですけれども、金融機関事業型NPOへの適切な理解を促すなど、こうした点について政府として何らかの支援を行っていくという考えはあるんでしょうか。
  112. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) NPO法人におきましては、金融機関からの借入れに際しまして、信用力に乏しくて十分な融資を受けられないといった実態があり、その信用力を補完する信用保険制度の対象となっていなかったことも金融機関の融資姿勢が積極的でなかった要因の一つであったものと考えられるところであります。  こうした中で、今般、中小企業と同様に事業を行うNPO法人を信用保険制度の対象に加えることによって、こうした実態が改善されると期待しております。まさにこのような大きな制度改正をするわけでございますので、この制度改正をするということで、いろんなところで、この制度改正の中身でありますとか目的とか、どういった効果を期待するかというものを各地で、説明会でありますとかいろんなところで周知、普及に努めていくことになります。その場で、まさに委員指摘のように、NPOの社会的ミッションに対する金融機関の理解の不足が少しでもなくなるように、そのような場において、これまでNPO法人に対して融資を行う金融機関の積極的な取組事例を周知、普及をすることとか、ミッションに対するそもそもどうあるべきかといったことも、いろんなことを説明会等でるる説明をさせていただきたいというふうに思っております。
  113. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 おっしゃるとおり、今回の法改正で信用保証を使えることによって大きな後押しになると思いますし、それに加えて周知をしていただくということが非常に大事だと思っております。  例えば中小企業の場合には商工会議所ですとかそうした窓口もたくさんありますし、周知をする上で協力をしてくれるようなところもあるわけですけれども、NPOさんたちに対してどういうふうに周知をしていくのかなということも気に掛かっているところでございます。  ところで、先ほども申し上げましたが、中間論点整理の中でもう一つ課題として挙げられているところに、役員保証を求められるという点がございます。NPOの場合にも中小企業に言うような経営者保証の弊害ということが該当すると思いますけれども、このNPOの役員保証についてどのように問題を捉えているんでしょうか。経営者保証に関するガイドラインというものがありますけれども、NPOが融資を受けて信用保証を利用する場合にも、私は積極的に適用されるべきではないかと思っております。  このガイドラインにのっとって役員保証は要らないということにするためには個人と法人の分離ということが必要なんですけれども、中小企業さんでもなかなか難しいことが多いということになりますと、NPOの場合は更に難しいところがあると思いますし、また意識もされていないかもしれません。ですので、そうしたNPOが相談できるような窓口ですとか、そうした点は中小企業に対する支援の窓口を利用できるようにしていただくとか、そうしたこともしっかりと考慮をしていただきたいと思っているんですけれども、この点について、ちょっと幾つか御質問しましたが、いかがでしょうか。
  114. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 個人保証につきましては、中小企業の経営者だけではなくNPO法人の経営者にとっても、経営の規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、当然のことながら思い切った事業展開等を阻害する要因になり得るものだというふうに認識をしております。  それで、御質問がございました経営保証に関するガイドライン、これ、昨年二月から運用されているものでございますが、これに関しまして中小企業のみならずNPO法人というのも対象になるかどうかということでございますが、これお答えの方はイエスでございまして、中小企業のみならずNPO法人が融資を受ける場合も対象としておりまして、NPO法人においても積極的に活用されることを期待しております。実際これまでも、政府金融機関である日本政策金融公庫において、NPO法人に対して経営者保証に関するガイドラインに基づいて個人保証を免除した融資を実施している例もあるところでございます。  それとあと、もう一つ御質問がございました。ただ、これ、NPO法人代表の方でありますとか経営者の方に関してこのガイドラインを適用する場合、御指摘がございましたように、個人の財産とNPOの財産というのを分離をするとか幾つか条件があるわけでございます。その場合、実際、相談をどのようにするのかということでございますが、もちろんこれ、中小企業庁といたしましては、NPO法人も含めまして事業者向けに相談窓口の設置や専門家の無料派遣を実施して本ガイドラインの利用促進を図っているところでございますので、NPOの方に関しましても是非お使いをいただければというところであります。  引き続き、金融庁とも連携をいたしまして本ガイドラインの周知、普及に取り組みまして、こうした措置についても周知していくことで融資現場の対応を変えていきたいというふうに考えております。
  115. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  最後に大臣にお聞きしたいと思います。  これまでもいろいろと質問させていただきましたNPOの役割というものは、例えば障害者支援ですとか子育て支援、また女性の活躍、地域の見守りネットワークですとか、町づくりですとか、今社会的に課題になっている非常に重要な各分野において活躍をしているのがNPOでございます。  私も、地元で障害者の子供、障害を持つお子さんたちの学校が終わってからの放課後のサポートですとか、そういったことを熱心に取り組んでいらっしゃるNPOさんにお話を最近聞いたんですけれども、マンツーマンで学習指導をしたりとか、地域からも本当に必要とされている施設で、ただ、希望がたくさんあるので今の施設では受け入れ切れない、また成人してからも通えるように総合的な施設にしたいと、そういったことで建物も新しくしたいんだけれども、やっぱり資金の調達というものが非常に頭を悩ませていると、こんなお声もございまして、今回の改正で後押しになればいいかなと思っているところでございます。  こうした各重要な分野でNPOが新しい担い手として地域で果たす役割について、どういうふうに考えていらっしゃるのか。また、今回の法改正が地域経済活性化、また雇用の促進というところにどのように資するというふうにお考えなのか。大臣にお伺いいたします。
  116. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 委員指摘のとおり、NPOの役割というのは、まさに年々役割の重要性が増してきていると思っております。そして、NPOの中でも、地域的な様々な社会的課題に対して事業活動的な手法を用いながら身近なサービスを提供するというNPO法人というものも増えてきていると聞いております。例えば母親が子連れで学べる職業訓練講座の運営活動とか、アンテナショップなどの運営を資金源とした環境保全活動などという活動をしているNPO法人もあるようでございます。  一方で、委員おっしゃるとおり、NPO法人からしますと、資金調達といった意味で大変御苦労をされているということもこれまた事実でございまして、日本政策金融公庫とか一部の信用金庫におきましてNPO法人向けの融資を実施しておりますけれども、これも年々増えてはきておりますけれども、まだ相当な額になっているということではないという中で、今回法改正によりまして、NPO法人がまさに企業信用保険の対象となるということで、融資を受け入れられやすくなる、そして事業的活動を行うNPO法人が更に事業を拡大してもらう、また新たに事業を開始していただくということで、当然のことながら地域における雇用といった意味でも大変大きな意味合いがあると思っておりまして、地域のまさに創生のための一助になる政策だというふうに考えております。
  117. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 以上で終わります。ありがとうございました。
  118. 東徹

    ○東徹君 維新の党の東徹でございます。  ちょっと今回の法案質疑に入る前に、一点要望を大臣に是非させていただきたいと思っていることがありまして、これは通告をしておりませんので要望ということでお聞きいただければと思います。  何かと申しますと、関西電力の電気料金の値上げでございまして、昨日の報道では家庭向け電気料金の値上げ幅を平均八・三六%にするという方針を明らかにしたということで、二年間でこれは一八・一一%になっておりまして、これ関西経済にとっても非常に痛手を被るというふうに思っております。是非、大臣におかれましては、これはもうかねがねからこの関西広域連合、滋賀県とか、兵庫県の井戸知事が連合長をやっておるんですけれども、関西広域連合としてこの関西電力に対してもずっと申入れをしてきたことでもございまして、関西電力に対して、経営の更なる効率化に向けた努力、それを是非してほしいということ、そして関西の府県民に対してしっかりとこの電気料金値上げについて説明を果たしていってほしいということを申し入れておりますが、大臣として何かコメントがございましたら是非お願いしたいと思います。
  119. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 関西電力からは二回目の値上げの申請がございまして、役所におきましていろんな方の意見も聞きながら中身の査定を厳しくいたしまして、先ほどおっしゃった八%ちょっとの値上げ、一方で、夏場が大変電気を使うものですから、夏場につきましては今年の四か月間につきましては、役員報酬のカット等々ということで、更にそれを四%たしかちょっとだったと思いますけれども、に抑えると、こういうことを決めたわけで、六月一日から開始されると、こういうことになっております。したがって、かなり厳しい査定はいたしました。  ただ一方で、何で二回目の値上げが必要になったかといいますと、当初予定されておりました高浜原発の再稼働とか、たしか大飯も入っていたかと思いますけれども、そのような再稼働がずれ込んでいるということから値上げをしなければいけなくなった。燃料費の方の増減については毎月調整をしておりますので、これは別問題でございまして、そういう状況の中で値上げをせざるを得なくなったということでありまして、高浜三号機、四号機につきましては、規制委員会における適合という審査が終了しておりまして、今、地元の理解を得べく、私どももお手伝いをしながら活動をしている。一方で、差止め訴訟といったものが、差止めが今認められているという状況の中で、いつ再稼働ができるかということで今後の状況は変わってくる。もちろん、再稼働をしたときにはしっかりその分を値下げするようにという条件も付けた上で認可をしております。  そういう状況の中で、まさに二回目の値上げ、家庭だけではなくて、産業にも大変大きな影響出ております。産業につきましては、省エネをやはり徹底的に図っていただくために補助金等々を活用していただくということが大事だと思っておりますし、また、そういう厳しい状況につきまして関西の方々の理解を得るよう、私どもとしても活動をしていきたいと思っております。
  120. 東徹

    ○東徹君 原発の再稼働が遅れるというのは、これは当然想定し得る範囲であるというふうに思いますし、経営者としての見通しが甘かったんじゃないのかなと、そういうふうに思っております。是非とも厳しくまた御指導していただきたいというふうに思います。  それでは、商工中金の今回の法案についての質問に入らせていただきますが、まず最初に、この商工中金株式会社商工組合中央金庫ですね、それと信用保証協会、これについて、まず数字だけで結構でございますので、現役の公務員の方が何人出向されているのか、そしてまた国家公務員のOBの方、一般職の方も含めて何人所属されているのか、まずお聞きしたいと思います。
  121. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) お答えいたします。  商工中金への現役の国家公務員の出向者につきましては、現在、役員として一名、一般職員として二名の合計三名が在籍しております。国家公務員OBにつきましては、役員として二名、一般職員として庶務等を中心に十六名の合計十八名が在籍しております。  また、一般社団法人全国信用保証協会連合会につきましては、現役の国家公務員出向者はおりません。国家公務員OBは役員として一人在籍しております。
  122. 東徹

    ○東徹君 ありがとうございます。  じゃ、続きまして、商工中金の関連に入らせていただきます。  まず、今回の法案では商工中金に関する民営化の期限を当分の間延期するということでありますが、その理由として、いろいろと先ほどから質問もされておりますが、民間金融機関では危機対応業務が十分に行えないということが挙げられておりますが、現状、危機対応業務は指定金融機関として民間金融機関参加する仕組みになっているにもかかわらず、いまだに民間金融機関参加は得られていないということです。  そこで、まず、参加を得られるようにするため、政府から民間金融機関に対してどのような要請を行ってきたのか、お伺いしたいと思います。
  123. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) まず、これまでの取組ということでございますけれども、これまで、平成二十年、制度創設以降、政府あるいは政策公庫から民間金融機関に対する説明会、個別説明会を実施してきております。それは、全国各地で十四回程度というものをこれまでやってきております。
  124. 東徹

    ○東徹君 説明会をやっただけでは、それは手を挙げてくるところもなかなかいないんじゃないんだろうかというふうに思っているんですが。  先ほどからもいろいろと答弁がありましたが、昨年秋に開催された政府成長資金供給促進に関する検討会において、民間金融機関では大規模な景気変動自然災害における投融資というものが、通常のリスク、リターンの分析ではなかなか測り切れず、困難であるという指摘がされているということが衆議院の方の委員会の方で竹谷大臣政務官より答えられておりました。非常に難しいものであるということは重々理解されておるところでありますけれども、繰り返しになりますけれども、政府として、先ほど申し上げました民間金融機関の指定金融機関になるための申請手続の簡素化、指定金融機関危機対応業務の実施要領のひな形を公表することなどによって業務の内容の一層の明確化といった措置を講ずる、というふうなことがありましたが、このような措置でもって果たして民間金融機関が手を挙げるのかなというふうに思うんですが、そういったことで手を挙げると思える理由についてお伺いしたいなと思うんですが。
  125. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) これにつきましては、繰り返し答弁申し上げているように、このことによって民間金融機関がどんどん指定金融機関になっていただけるというふうには我々は考えてございません。  しかし、ある意味での外形の基準みたいなものを定めていくこと大事でございますが、民間金融機関、やはりこれは株主に責任を負っている民間組織でございますので、その経営に関しては民間の手に委ねられているというのは、これはもうどうしてもそういうものでございます。  しかし一方で、ここのところ民間金融機関がよりリスクを取る方向に少しずつ向いているというのも事実だというふうに私たちは考えてございます。その世の中全体としての雰囲気づくりというものは私たち政府もしっかりそれは後押しをしなくてはいけないと思っておりますけれども、委員の御質問にお答えするとするならば、手続を簡素化する等々のそのことだけで民間金融機関が指定金融機関になっていただけるというようなことは考えているわけではございません。
  126. 東徹

    ○東徹君 そうであるならば、例えば日本政策金融公庫の損失補償の比率を現状よりも引き上げる等、制度設計について見直していくとか、そういったお考えとかいうのはないんでしょうか。
  127. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 確かに、政策的に追加的なインセンティブができるような措置を講ずるというのは手としてはあろうと思いますが、もちろんそれには財政的な負担というものも出てまいりますし、あるいは、もちろん、公的な部門が信用の部分を補完をするということを余りにやり過ぎれば、当然ながらそれはモラルハザードにつながっていくという危険性もあるわけでございます。  ですから、できればそれは民間でできることは民間でやっていただけるような方向に持っていきたいというのは、この方針は変わらないということでございまして、その範囲の中で何ができるのかということはきちんとこれからも検討させていただきたいと考えております。
  128. 東徹

    ○東徹君 完全民営化という旗印は下ろしていないということで、大臣からも何度もそういう答弁もいただいておりますし、七年か八年ということではなくて早期に民営化するというような答弁もいただいておりますので、完全民営化するんだろうなというふうに思っております。  一点、今回の中で、商工中金民間出資者等への広報委託費についてお伺いしたいんですが、平成二十七年度の予算についてでありますけれども、商工中金民間出資者等に対する広報委託費として六千五百万円計上されておるわけですが、これ商工中金株主に対する説明会に国費を投じなければならないという理由は何なのか、お伺いしたいと思います。
  129. 佐藤悦緒

    政府参考人(佐藤悦緒君) 今般、今年度末までに商工中金在り方を改正しなきゃいけないというのは、これ法律の附則でありますので、周知のことでございましたので、商工中金民間株主の方が改正の方向性によりましては株主価値が相当に低くなってしまうということも懸念されまして、実際に政府商工中金株式処分すれば、商工中金資金調達や業績へ影響し、ひいては株式価値の下落が見込まれる、これは民間株主にとってゆゆしき事態であり、安心して株式保有できなくなり、また、ましてや新たに引受けをすることは到底受け入れませんといった不安の声が商工中金株主である組合の代表の方からも実際に要望があるように、株式価値が毀損されるのじゃないかという不安の声が相当昨年度来ございました。  このため、政府といたしましては、今般の改正によりまして、これ、株主の方は中小企業者の方又は中小企業組合組合員の方、まさに中小企業者という中小企業庁にとりましてはまさに政策主体の方そのものでございますので、そのため、中小企業庁といたしましては、今般の改正により、単に商工中金危機対応業務を責務として負わせるだけではなく、このために必要となる株式を保有し、商工中金の安定的な財政基盤を確保することを民間株主中小企業者中小企業組合の方に主体的に説明して、引き続き政府とともに商工中金の財政基盤を支えていただくことを求めることが重要であって費用を措置したもので、財政当局とも話をして予算を計上させていただいたということでございます。
  130. 東徹

    ○東徹君 大変長く答弁いただきましたけれども、国費を使って株主に対して説明するというのは、国民感覚からすれば納得いかないものだというふうに思います。  続きまして、商工中金の財務状況についてでありますが、商工中金、不良債務比率、ここが数年上がってきていて、その比率自体も同時期の地銀の平均よりも大きくなってきている。また、商工中金の全債権のうち三分の一以上が要注意債権であって、要注意債権、破綻先、実質破綻先、破綻懸念先を足すと四割程度に及んで、正常債務は六割程度にとどまっているということであります。  このような財務状況になっていることについて、セーフティーネットの役割を果たした結果であるというふうにこれまでも答弁されてきておりますけれども、商工中金株式の四六%を政府が保有していることからすれば不良債権比率を下げる努力が必要だというふうに思いますが、今後どのように不良債権比率を下げていくのか、お聞きしたいと思います。
  131. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) お答えする前に、先ほど関電の料金の件で若干事実を間違えてお伝えしたものですから。正確には、今週の月曜日に消費者庁との協議を了し、今週火曜日に方針を発表いたしました。そして、認可につきましては、近々、物価閣僚会議を経て認可を行うこととなると、こういうことでございまして、失礼をいたしました。  今、不良債権の話でございますけれども、まさにおっしゃるように、政策金融機関というのは民間が出にくいところをやる、それをやらなければいけないわけでありまして、ある程度リスクを取っていくということになりますと不良債権比率というものが上がってくるということは、これはある意味でやむを得ないところだと思っております。  そして、特にこの危機対応業務というものを義務付けている間につきましては逆に言えば政府出資もあるということで、他の民間金融機関と比較しても格付自体はそれほど劣るわけではないわけでございまして、それなりの安い資金を調達しながらしっかりと危機対応業務等々を中心に業務をしていくという中で、不良債権というものにつきましてはある程度私は致し方ないんだろうと思っておりますが、一方で、危機対応業務民間が出てくるという状況の中で危機対応業務を義務付けを外すという段階になりますと、これはまさに完全民営化に向けてしっかりとした財務体質をつくるという中で、これまで以上にしっかりとした融資の審査等々を行うというようなことを徹底的にやっていく必要が出てくるんだろうというふうに考えております。
  132. 東徹

    ○東徹君 ちょっと時間がなくなってきましたので次に移らせていただきますが、この商工中金ですけれども、東証一部上場企業への貸出しもされています。東証一部上場企業への貸出件数、少ないんですが、全体の〇・三%、二百十社なんですが、貸出残高も総貸出残高の二・五%、二千三百四十七億円ということになっておりますが、中小企業による中小企業のための機関と言っておきながら一部上場企業へも貸し出しているということでありますが、この点についてどのように思われているのか、お伺いしたいと思います。
  133. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 商工中金の本来の目的を踏まえての大企業への対応ということだと思います。  商工中金法におきましては、中小企業等協同組合など及びその構成員に対する金融の円滑化を目的としてつくられております。そして、融資対象もそのような方々となっております。それを踏まえますと、東証一部上場企業等の大企業であっても、組合の構成員であれば融資を受けることが可能だと考えております。  こうした大企業への融資は、当該企業ニーズに応えることで組合の活動に対する下支えや中小企業との取引等に寄与することから考えますと、あくまでも商工中金の目的に沿った取組になっていると考えております。ただいま委員から御指摘ありましたとおり、規模も大変小さく、限定的に対応されていると考えております。  また、民営化に向けて商工中金の財務基盤をこれ強化するということも重要であります。しかしながら、商工中金は、そもそも中小企業資金繰りを円滑にする目的でつくられておりまして、中小企業によって設立された組織であります。また、大企業に対する貸付けについては、今後とも、この目的に整合的な範囲で限定的に対応がなされることと認識をしております。
  134. 東徹

    ○東徹君 ということは、今後も大企業に対しても貸出しをしていくということでよろしいんですね。
  135. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 整合性が得られる範囲内で、そういう方向で考えていきたいと思います。
  136. 東徹

    ○東徹君 続きまして、もうこれ最後の質問にさせていただきますが、信用保証協会についてお伺いしたいと思います。  信用保証協会、現在、横浜、川崎、名古屋、岐阜の四か所で、都道府県に加えて各市において信用保証協会があります。そんな中で大阪では、二重行政の解消の一環として昨年五月に大阪府と大阪市の信用保証協会を合併し、効率化を図っております。  そこで、四市の信用保証協会について、県と市の信用保証協会がなぜ別にあるのか、まず理由をお伺いしたいのと、こういった合併によって効率化についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  137. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) まず、信用保証協会そのものは、各地域の発意によりまして信用保証協会法に基づく手続を経ることで設立できることとされております。実際に、各市の信用保証協会は地元の地方自治体関係者や商工関係団体等が中心となって設立されたものでございます。御指摘いただきました四つの市につきましては、昭和二十年代前半に県の信用保証協会に先駆けて設置されたという経緯もございます。  こうした信用保証協会は、現在も地方自治体や地元の地域金融機関との緊密な連携をしながら、自らも事業者への経営支援に取り組んでいるところでございまして、これに対しまして政府の側から合併を促すというようなことは今のところ考えてございません。
  138. 東徹

    ○東徹君 ちょっと答弁が違っていましたけれども、趣旨が違っていたんですけれども、もう時間がないんで、終わらせていただきます。
  139. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  まず、中小企業信用保険法について質問いたします。  中小企業・小規模事業者にとって、信用補完制度が果たしている役割は極めて大きいというふうに認識しております。そこで、現状を確認したいと思います。中小企業が行った借入れのうち、保証を利用した企業の割合はどうなっているか、そのうち、全額保証した企業の割合はどうか、いかがですか。
  140. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 統一的なデータはないんでございますが、私どもが今使える資料に基づいて御説明申し上げますと、日本政策金融公庫が信用保証協会の利用先に実施いたしましたアンケート調査の結果によりますと、平成二十六年度に借入れを実施した中小企業の方のうち、信用保証制度を利用した企業の割合は五一・八%となっております。これは、平成二十七年一月から三月までの実績ということでございます。  それから、一〇〇%保証制度につきましては、別の調査でございますけれども、全国信用保証協会連合会の調査によりますと、全国三百八十五万の中小企業・小規模事業者の方のうち、三六・六%に当たる約百四十一万者が信用保証制度を御利用いただいていますけれども、この利用された企業のうち、一〇〇%保証制度を利用した企業の割合は七一・七%程度、約百一万者と承知しているところでございます。これは、保証債務残高のベースでございます。
  141. 倉林明子

    ○倉林明子君 大変大きな割合で利用されているというのが実態だと思うんですね。  これは、日本政策金融公庫の資料を付けさせていただきましたけれども、保証利用が一部、そして全額保証利用ということでグラフ、推移を取っております。全額保証の紺の部分、割合がリーマンショックのとき本当に高くなっています。確かに全体として下がってきているものの、全額保証の利用割合というのは、占める割合というのは本当に非常に高い状況も示していると思うんですね。  さらに、この同じ政策金融公庫の調査結果の資料を次に付けております。全額利用が企業の規模別で見るとどんな利用状況になっているかということで、業種別の下の規模別というところ、ゼロから二人、三人から五人というところで見ると、他の規模が大きいところから見ても全額利用の割合が非常に高いという特徴が見て取れるかというふうに思うんです。  改めまして、小規模事業者にとりましてこの全額保証という制度はなくてはならない制度だというふうに考えますが、大臣認識はいかがでしょうか。
  142. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) この全額保証というのは、全額が保証の対象であって、一〇〇%保証ではなくて八〇%保証の分も含まれている分というふうに理解した上で御答弁させていただきますが。  先日、OECDの事務総長が私の部屋に来られました。ちょうど対日審査の報告書を持ってこられまして、その中で、幾つかの指摘の中の一つが、中小企業に対して国費を投入し過ぎていると、日本政府は、というものでありました。そして、その中心がまさにこの信用保証でございまして、この信用保証が国費を多額に投入していることによって日本経済の体質改善が遅れているという指摘をOECDからは実は受けたところでございますが、私の方からは、一方で、日本における中小企業の重要性といったものをお話をして、やはりこの制度は大変大事なんだということを申し上げたところでございます。  まさに信用保証というのは我が国の特に小規模事業者にとっては大変大事なものであるということは、共通の認識を持っております。ただ一方で、一〇〇%保証がどうかということにつきましては、いろんな危機時に一〇〇%保証といったものが必要であるということは私自身もそのとおりだと思う一方で、一方で、やはり金融機関のモラルハザードというのは大変招きやすい制度であることは間違いないと考えております。  やはり一〇〇%信用保証協会が保証してくれるということになりますと、金融機関の方からいいますと、必要な融資の審査というものは当然のことながらおざなりになり、そして企業経営に対する見方をしっかり企業経営者と相談するといったこともおざなりになり、一方で、企業経営者の方からしますと、事業者の方からしますと、本来であればしっかりとした業務計画とかしっかりとした返済計画を作らなければいけないものが、それが若干おざなりになってくるといった意味で、そういう問題点をやはり考えながらこの一〇〇%保証の問題は考えていかなければいけないと考えております。
  143. 倉林明子

    ○倉林明子君 とりわけなぜこの問題で質問したかといいますと、今回の法改正で、信用保証の対象にNPO法人が、加えるということと併せて、責任共有、特別小口保険のところが条文上は部分保証となるという読み取りができると思うんですね。  そこで、この点、衆議院でも議論ありまして、この質疑の中でNPO法人以外は引き続き一〇〇%保証として運用していくと、その上で、自ら重い答弁だというふうにも述べておいでです。本当に重い答弁だと私も受け止めました。  そこで、この一〇〇%保証、NPO法人以外はどうやって担保していくのか。法文上は明記ないという下でどのように担保するのか、お願いいたします。
  144. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 衆議院でも真島委員からたしかそのような御質問をいただきまして、従来からの特別小口保険の対象となっている小規模事業者について変更はないのかというお尋ねでございまして、私の方から引き続き一〇〇%保証を継続していくということを申し上げて、そして何で保証されるのか、法律的に担保がないではないかということに対しては、たしか、やはり法律の解釈、また法律を実施していく上で、全てではないわけでありますけれども、立法者の意思というものは尊重すべきものであって、まさに私が答弁していることは大変重いものであると、こういう答弁をさせていただいたところであります。
  145. 倉林明子

    ○倉林明子君 答弁の中で続けて、担保するために何をするかということで宮沢大臣自身が答弁されたと思うんですけれども、信用保証協会と中小企業総合事業団とが締結する保険約款の中でこれ担保していくんだという答弁だったと思うんですけれども、具体的な中身に該当しますので、ここは確認をさせていただきたい。その上で、私はやっぱり条文上もきちんと明記されるべきであろうというふうに思うんです。  議論の中で、先ほどもOECDの紹介ありました。国際的に見たときに、日本制度は一〇〇%かなり入ってきている、民間金融機関のモラルハザードといったものも考えると責任共有が基本だと、私、ここの認識を問題にしたいと思うんですね。国際的に見る場合、注目すべき点は、やっぱり中小企業資金調達構造、資金調達の構造そのものが大きく違いがあるというところに注目すべきだと思うんですね。  株式の公開基準、公募債、コマーシャルペーパーの発行など、諸外国では中小企業でも直接資金調達ができる道が開かれている、資金調達が可能になっている。ところが、日本の場合どうかと。中小企業、とりわけ小規模事業者の場合、公開市場等で直接資金調達できる道というのは開かれているんだろうか、条件あるのかどうか、これは中小企業庁長官に確認したいと思います。
  146. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 中小企業市場から直接資金調達ができるかということでございますが、現状を見てみますと、やはり総資産に占める比率でいえば、金融機関からの借入れの割合が高いというのが現状であります。こういった情勢は改善しなければならないと長い間考えておりまして、そのために、例えばエンジェル税制という格好でベンチャー向けに、特に投資家から直接入ってくるような制度を導入してみたり、あるいはベンチャーキャピタルにおける投資人材を発掘してみたり、あるいはファンドという格好をつくってみたり、様々な手だてを取ってきておりますけれども、現状におきましては、まだ借入金比率が高いという現状にはございます。
  147. 倉林明子

    ○倉林明子君 やっぱり直接調達が困難な実態というのは、日本固有の状況はあると思うんですね。いろいろやっているけれども借入実態はそうなっていないということだと思います。  そこで、直接調達困難な中小企業・小規模事業者が間接融資に頼らざるを得ないという状況の下で、私は、今回の法の提案の理由の中にも述べられていましたけれども、中小企業・小規模事業者の事業の継続、発展という観点から欠かせないのがこの信用補完制度であり、特別小口の果たしてきた役割というのは大きいと思うんですね。  その上で、まず正すべきは、信用保証協会の保証がなければ融資をしない、こういう民間金融機関の姿勢そのものじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
  148. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 私も諸外国の例をつまびらかにしているわけではありませんけれども、今お話を伺っておりまして、例えばCPを発行できるような中小企業というのは諸外国においてもかなり大きな中小企業であって、一〇〇%の信用保証が必要な小規模事業者といったような同じような企業事業者ではとても恐らく間接金融の利用しか道がない、直接金融の道は恐らくないのではないのかなと思って今伺っておりました。  そして、民間金融機関の姿勢でありますけれども、私もまたおっしゃるとおりだと思っておりまして、最近、少し金融庁も政策方向を変えてきておりますけれども、やはり余りにも、信用といいますか、担保であり保証人、また信用保証協会といったものに頼り過ぎていて、やはり自分の目でしっかりと相手の事業者の今後の経営状況等々、目利きのようなことをしっかりやって、将来のキャッシュフローをしっかりつかんで融資をするという姿勢に余りにも欠けていたということは間違いないんだろうというふうに思っております。  ただ一方、借りる側からしますと、しっかりとした事業計画がなくても、なくても逆に担保さえあればずっと借りられるという状況が、これはいいことなのか悪いことなのかというような問題も当然あるんだろうというふうに思っております。
  149. 倉林明子

    ○倉林明子君 民間金融機関から融資が確保される見通しが、保証付きでない場合まだまだ貸してくれない、現状そうなんですよね。そういう状況が改善しない中で、責任共有、部分保証を拡大するということになりますと、中小企業に必要な融資というのが確保できないという危険が私は増大しかねないと思うんです。  そこで、法改正の影響について幅広く懸念の声が上がっている中の一つに、この責任共有、部分保証の拡大ということが地方自治体が独自に行っている制度融資にも広がるんじゃないかという心配があるわけです。一〇〇%保証を特別小口については継続するということを私が言ったんだから重いということなんだけれども、地方のこの制度融資についても広がらないということが担保される必要あるというふうに思うんですけれども、どのように担保していくお考えでしょうか。
  150. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 地方自治体の制度融資についてでございますけれども、先ほど大臣から御答弁もございましたとおり、従来から特別小口保険の対象としている小規模事業につきましては、今回の法改正を踏まえての見直しを行う予定はないということで、引き続き一〇〇%保証を継続する考えでございます。  したがいまして、地方自治体におきまして、この信用保証制度を活用した小規模事業者向けの制度融資に関して、今回の法改正による悪影響のようなものは考えておりませんが、委員の御指摘もございますが、自治体におきましてどのような運営がされるか、私どももよく説明をしながら注目してまいりたいと思います。
  151. 倉林明子

    ○倉林明子君 地方自治体の制度融資にまで部分保証の拡大なんということになりますと、たちまち中小企業、とりわけ小規模事業者のところの命綱を断つということになりかねないというふうに思います。部分保証の導入についてはきっぱりやめるべきだし、条文上もその点での明確化を図るべきだということを重ねて指摘をしておきたいと思います。  そこで、続いて商工中金法について伺います。  危機対応業務商工中金に義務付けをするという固定化をする一方で、完全民営化の期限については期日を削除するということになったわけです。改革から十年、民間金融機関危機対応業務に一件も参入しなかった、この理由について改めて確認をさせてください。
  152. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 今回、法改正提案に至る検討におきまして、政府でいろいろ議論する中で、全国銀行協会あるいは全国地方銀行協会からは、幾つか民間が参入できなかった理由というのが挙げられております。具体的には、危機対応、これが通常のリスク、リターンの分析では測り切れない、あるいは全国一律の対応が必要とされる、あるいは必要なシステムを構築して常時稼働させなければならないと、こういったことでございました。このような理由があるわけでございますけれども、現時点ではなかなか困難と存じますが、中長期的にはできるだけ多くの民間金融機関が入っていただいて中小企業向けの危機対応の担い手が増えることは望ましいことだと思っております。
  153. 倉林明子

    ○倉林明子君 先ほど来、はっきりしないなというようなやり取りになっていたかと思うんですね。完全民営化を目指すのか、それともこの危機対応業務については公的部分残して商工中金でしっかりやっていただくのかと。  私は、はっきり言って十年間一件も手が挙がらなかったし、今後も、民間金融機関が手を挙げない理由として述べている中身を見れば、もう破綻していると思うんですね。看板だけ完全民営化を掲げるというようなことはもう諦めて、完全民営化方針というのは撤回をすべきじゃないかと思います。  大臣、いかがでしょうか。
  154. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 当初、平成十七年に方針を閣議決定したわけでありますけれども、その当時の、やはり民ができるものは民にということは私は大事なことだというふうに思っております。そうした意味で、将来的な完全民営化方針は堅持するということにさせていただいております。  一方で、危機対応業務につきまして、これまで民間から業務を行ったということはないわけでありますけれども、一方で、一部でありますけれども、この制度について民間金融機関から問合せがあるということも事実でありまして、決して、今後我々の努力次第によってはそういうものが出てくることができると私は考えております。
  155. 倉林明子

    ○倉林明子君 完全民営化方針の後、リーマンショックが起こる、そして東日本大震災が起こる、もう本当に全国一斉に襲うような危機が起こり得るということを体験した後で、やっぱり危機対応業務というのは公的に支えながらやっていくしかないということがいよいよはっきりしたからこそ、今回の義務化という措置とられたと思うんですね。  私は、改めて、完全民営化という看板だけ掲げ続けるというようなことはもうやめるべきだということを重ねて申し上げまして、終わります。
  156. 松田公太

    ○松田公太君 日本を元気にする会・無所属会の松田公太でございます。  商工中金法の改正について質問させていただきます。  今、倉林委員のお話をお伺いしていまして、非常に面白い観点だなと思って聞いていたんですが、大体、私が以前属しておりましたみんなの党時代から、投票行動が一緒になることが多いんですね、共産党さんと。ただ、逆の理由で投票行動は一緒になるということが多くて、今回も私は反対の観点で御質問をさせていただきたいと、このように思っております。  小泉内閣時に制定されました行政改革の推進法の柱の一つでもありますこの商工中金の私は完全民営化だと、このように思っております。今回で三回目の延長になるわけですけれども、今回の改正案でいよいよ方向性が大きく変わってきたのかなというふうに感じざるを得ません。  当たり前のことでありますが、改革や改善を実現するためには目的と目標をしっかりと定めることが非常に重要なことでありまして、特に目標が独り歩きを始めるようになってしまうと、だんだんその目的が見失われてしまいまして、何のためにこれ元々やろうとしていたのか、これも何となく分からなくなってしまう、見失ってしまうということが多々起こるわけですね。  今回の、商工中金に更に大きな役割をある意味付加する、そのような改正案を見ていますと、当時やはり設定されました目的から大きくずれ始めているのではないかなというふうに感じるわけです。当時の目的をもう一度見直してみますと、やはり小さく効率的な政府の実現のために、政策金融機関を再編して必要な業務を日本政策金融公庫に一本化することだったはずなんです。  私は、この元々の目的は民営化と効率化という観点から非常に妥当だと考えてきたわけですが、宮沢大臣は、この当初の目的についてはどのように思われますでしょうか。
  157. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 当然、政府は効率的でなければならないということであります。そして、そういう効率的な運営の中でしっかりと政策目的を達成できるような体制をつくるということが非常に大事なんだというふうに思っております。
  158. 松田公太

    ○松田公太君 その当初の小さな政府、効率的に運営をしていくという目的から、今回の改正というのはある意味大幅にずれてきてしまっていると思うんですけれども、それについてはいかが思われますでしょうか。
  159. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) やはりリーマンショック、また東北の大震災といったものを経験しまして、危機対応業務の重要性というものを再度我々は強く認識をしたわけでありまして、そういう中で、一方で、当初の目的というものはまさによく理解をしているものですから、完全民営化の道というものは当然追求はするけれども、危機対応業務といったものについて、民間が担えるようになるまでは、この間、商工中金に義務付けて、しっかりと危機対応できる体制を維持していくということでありまして、当初の目的からずれているということではないわけでありますし、その後もいろいろ経験した結果、今回のような法改正をお願いしていると、こういうことでございます。
  160. 松田公太

    ○松田公太君 危機対応業務についてはまた後ほどお聞きしたいと思うのですが、まず、元々の計画、目的というところに戻ってお聞きしたいんですけれども、本気で計画を実現するというためには、私はやはり明確な納期、これが絶対必要なんだろうというふうに思っています。これは、先ほども民主党の安井委員からもお話がありましたが、経済産業委員会でも共通言語と今となってはなっておりますPDCA、このPDCAの中のP、これが基本中の基本であろうかというふうに思っております。  当初の計画では、二〇〇八年から五年から七年、つまり今年なんですね、今年が納期だったわけです。一回目の改正では、二〇一二年からスタートして五年から七年。そしてまた次の改正では、今度は二〇一五年、これ今年から五年から七年ということになったわけですけれども、いよいよ今回でその目標年度といいますか、目標年限が消えてしまったわけですね。目標とする日付、納期がないということは、これは、本音ではもう目標、目的を達成する意思がないということの表れなんじゃないかなというふうに私は感じてしまうわけです。  なぜ納期を本当に外してしまったのかという質問をさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  161. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) これ、当初は、二〇〇八年を起算点としておおむね五年から七年後、一回目の改正で二〇一二年四月を起算点としておおむね五年から七年後、そして、二回目の改正で二〇一五年四月を起算点としておおむね五年から七年後をめどに完全民営化と、こういうふうに変わってきているわけであります。  そして、なぜ今回も例えば五年から七年にしなかったのかということでありますけれども、やはり二回の改正といいますか、約十年近くたってみて、民間金融機関危機対応業務を担っていただくという政策についてはそう簡単ではないということが分かってきたわけでありますし、現在のところ、先ほど申し上げましたように、制度の問合せがあるといったことは事実でありますけれども、では、具体的にこういうものに取り組むという、決めたところはもちろんないわけですが、そういう考えを表明したり、それらしき検討をされているというところも見当たらない中で、これから我々いろいろなことをしていくわけでありますけれども、なかなか、じゃ、三回目も五年から七年にすればいいというほどのまさに目算が立たないためにこういうような規定ぶりでお願いをしております。
  162. 松田公太

    ○松田公太君 今御答弁の中で、制度に対する問合せがあるというお話がありましたが、これ、どのような問合せなんでしょうか、具体的に。どのような目的で銀行は問合せをしてきているんでしょうか。
  163. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 個別の案件ですので詳しくは申し上げられませんけれども、制度がどういう中身なのかという問合せだというふうに聞いております。
  164. 松田公太

    ○松田公太君 それは、政府の方から働きかけて考えてくれということで問合せしてきたということですか、それとも、そういう働きかけはなく、一方的に問合せをしてきたということなんでしょうか。ちょっと細かい話で恐縮ですが、もし分かれば教えてください。
  165. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 全く私どもから働きかけた結果ではございません。
  166. 松田公太

    ○松田公太君 何かその話を聞いていますと、何かしら、何かモチベーションがその銀行にもあって問合せをしてきたんだなというふうに思いますけれども、そのモチベーションって何だと推測されますか、宮沢大臣
  167. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 私自身詳しく聞いておりませんので、モチベーションを聞いたということ、恐らくモチベーションはおっしゃらなかったんだろうと思います。
  168. 松田公太

    ○松田公太君 分かりました。  実際、今まで、先ほどもこの質問出ておりましたけれども、各金融機関に指定金融機関になってもらうためにどのような働きをしてきたのか、これをもう一度教えていただけませんでしょうか。
  169. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) これは、基本的にこの制度につきまして、財務省の方が担当でありまして、私どもとして民間の方に働きかけてきたことはこれまでのところございません。
  170. 松田公太

    ○松田公太君 これ、北川長官の方からも御答弁いただけませんでしょうか。先ほどとダブっても結構ですので。
  171. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 平成二十年にこの制度ができて以来、銀行協会ベースあるいは個別行ベースにこれまで十四回ほど説明会などを催したということを所管官庁から聞いております。
  172. 松田公太

    ○松田公太君 ありがとうございます。  今までは、そういった説明会等を開いても、なかなか手を挙げるところがなかったということだと思うんですね。  危機対応の円滑化業務というものを調べてみたところ、ツーステップローン、また損害担保、利子補給と、この三つが大きく分けてあると思うんです。これ、比較的銀行にとっては安全な、危機が起きた状況では必ずしも安全とは言えないかもしれませんけれども、比較的リスクヘッジされている融資業務を行えるものなんじゃないかなというふうに私は感じるんですね。なのに、なぜ銀行がそうもこういった指定機関になりたがらないと思われるのかというのが不思議なところだなというふうに思っているところです。  実際、そのデフォルト率なんかも、先ほども資料提出ありましたが、見ますと、非常に低い中で、更にこの損害担保で中小には八〇%、中堅には七〇%、大企業にも五〇%補償を付けたり、ツーステップローンですから、政策金融公庫から一旦お金を借りて、そのお金をそのまま貸すというパターンですから、リスクがほとんどないというふうに思われるんですけれども、このような状況でもなぜ銀行が手を挙げないかというのが私は非常に不思議なんですが、これについてどう思われるか、教えていただければと思います。
  173. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) なぜ銀行が手を挙げないか、私どももつまびらかにはよく分かりませんけれども、例えば、損害担保があっても二〇%は自行の負担になるとか、あるいはシステムを組むいろんなコストが掛かるとか、様々なことが障害、障害って考える上での障害となっているのかとは推測されます。
  174. 松田公太

    ○松田公太君 二〇%の自己責任が出てくるということなんですが、私も以前銀行員をやっておりましたけれども、マル保、いわゆる、信用保証協会のですね、大体八〇%じゃないですか、保証部分が。これ銀行にとっては物すごくメリットがある話で、もう物すごく積極的に融資を実現しようとするわけですよ。こう言ったらあれですけど、ほぼノーチェックで審査通そうとするようなところもあるわけですね。それと、ですから、考えても、この二〇%というのは全く一緒の比率でありますし、遜色ないというふうに思いますし、先ほども申し上げましたが、デフォルト率が非常に低いということですから、これ本当に手を挙げない理由が何なのかということを私ずっと考えていたんですね。なかなか自分でも思い付かなかったものですから、もし本当におっしゃっている理由で結果的に銀行が手を挙げていないということであれば、これは大変失礼な言い方かもしれませんが、政府が本気でこの指定金融機関への交渉ということを今までしてこなかったんじゃないかなというふうにも感じるわけなんですね。それについてはいかがでしょうか。
  175. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) この危機対応業務指定金融機関制度平成二十年からでございますけれども、当初の想定からしますと、民間金融機関が手を挙げてくる、その上でみなし指定として政投銀商工中金参加すると、こういう制度設計であったわけでございます。それが、結果的にはこのような状況になっているということで、特に政府として政投銀商工中金以外はお断りするような、そういう状況には全くなかったわけでございます。
  176. 松田公太

    ○松田公太君 それでは、次に進めさせていただきたいと思いますが、危機対応の融資、これを受けられるのは商工中金組合員と、組合員外の場合は貸出総量の二〇%という枠もあるというふうにお聞きしているわけですけれども、現在、商工中金、この融資を受ける前提条件として、株主数が約二万六千者あるわけですね。日本には三百八十五万者の中小企業があるわけですけれども、そのうち何者が株主若しくは組合員として危機発生時に即座に融資を受けることができるのでしょうか。
  177. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) この商工中金の貸出先として想定されておりますものは、組合とその構成員でございます。その数を申し上げると、株主になっているのが二万二千の組合、そしてまた四千の構成員企業でございます。そしてまた、二万二千の組合の中に、そこの全体、参加している中小企業者が二百五十万者程度と把握しております。そのような規模でございます。
  178. 松田公太

    ○松田公太君 その残りの百万者以上の中小企業というのは、何か危機対応の融資を受ける手だてというのはあるんでしょうか。
  179. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) それは、基本的に組合員には任意に入れますので、そこの構成員になることが直ちに危機対応の対象になってくるということになります。
  180. 松田公太

    ○松田公太君 じゃ、危機対応が、何かリーマンショックのようなことが起こる、若しくは東日本大震災のようなことが起こる、その後慌てて組合員にならせてくださいということで言ってきたらそれは対応可能だということなのかもしれませんが、それ以外に何か政府として用意しているものはございませんでしょうか。
  181. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 恐れ入ります。ちょっと補足いたしますと、商工中金法では員外貸付けという制度がございます。だから、したがいまして、組合員でなくても総貸出額の二〇%以下までは員外貸付け対応できますので、そのような貸出しで対応できると考えております。
  182. 松田公太

    ○松田公太君 その員外貸付けということも、先ほど私は申し上げましたが、存じ上げておりますけれども、商工中金以外の部分で見て、政策銀行、例えば日本政策金融公庫からのそういったセーフティーネットの資金供給若しくは融資、緊急融資、そういったものはあるのでしょうか。
  183. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) これは危機対応ではございませんけれども、商工中金にも政策金融公庫にもセーフティーネット貸付けというものがございます。
  184. 松田公太

    ○松田公太君 これもちょっと私の経験に基づいて恐縮なんですけれども、実は、以前、国民金融公庫から私、融資を受けたことがありまして、また商工中金から融資を受けたこともあるんですね。ですから、国民金融公庫というのはもう皆さん御存じのように日本政策金融公庫になっているわけですから、融資が両サイドから私は受けた経験があるということなんですけれども、その審査であったり、時間であったり、そんなにはっきり言って遜色なかったんですよ。  今、現状、日本政策金融公庫からセーフティーネットの融資という枠があるわけでございまして、その供給実績を見てみますと、平成二十年以降の数字ですけれども、これ二十兆円以上あるんですね。商工中金は実はトータルで九兆円、政投銀の話は今日していませんけれども、政投銀の分は五兆円という数字なんです。ですから、そう見ると、何で私は商工中金というものを間に残す必要があるのかなと。政策金融公庫、ここからダイレクトに融資を危機対応時にはしてしまってもいいのではないかなと。  また、支店の数を調べますと、ちょっと時間がないのでこのままお話しさせていただきますけれども、百五十二支店あるわけですね、政策金融公庫というのは。商工中金というのはたしか百ぐらいだったと思います。  そう考えても、もう既にそれだけ百五十二支店もあるわけですから、日本政策金融公庫から、ダイレクトな窓口を授けて、融資をするという業務に一本化してもいいのではないかなと。いつまた次起こるか分からない危機のために商工中金を残すという論点は私はおかしいのではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  185. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) 論点は二つぐらいあると思います。  一つは、中小企業金融全体で二百四十兆円という非常に大きな規模でございまして、先ほど委員指摘の公庫二十兆円、商工中金十兆円弱と、あるいは信用保証協会は三十兆円ということでございますので、政策的にカバーしている割合がそんなに高くない、そういった中で、危機が起こったときにやはり少しでも多くの手だてを持っている方がまずいいだろうという判断が一つあります。  もう一つは、商工中金にはメーンバンク機能がございまして、これは公庫とはちょっと違うところなものですから、日頃の経営状況を把握しながらこういう危機時にも対応できるのではないかと考えております。
  186. 松田公太

    ○松田公太君 メーンバンク機能ということにおいては、それこそ民業圧迫ということで、私は、メガバンクであったり地元の地銀であったり信用金庫、そういったところに任せるべきだなというふうに思っておりますし、また、例えば、メガバンクが各行、今二百支店ぐらいですかね、二百支店、三百支店ぐらいあると思うんですけれども、そういったところを経由して、例えば危機が発生したときは窓口になっていただいて、そのような支店にですね、窓口ですよ、全部そこに融資をお願いするということではなくて、窓口になっていただいて、その一角を受け付ける業務、それを担ってもらう。こういう話にすれば、そのぐらいだったらメガバンクとしても、私も以前メガバンクの行員の経験もありますけれども、公共性という物すごく大きなものを一つの銀行の中の理念として持っているわけですから、当たり前に取り組んでいただけるんじゃないかなと。しかも、その窓口に、例えば手数料収入なんかを付けることによって、一定割合の最初の審査をやっていただくというようなことも私は考えられるんじゃないかなというふうに思いますが。  ちょっと時間となりましたけれども、宮沢大臣、私はやはり、この商工中金をこういう形で残していくのではなくて、いろいろ知恵を絞って、今申し上げましたような話で、何とか効率化、小さな政府ということを実現していくべきじゃないかなというふうに思いますが、最後に一言いただければと思います。
  187. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) リーマンショックが起きたときに起こったことを思い出しますと、まさにリーマンショックが起こって、いわゆる社債市場日本においても壊滅的な打撃を受けた。そして、特にCP等々も発行できなくなったという中で、それまで短期又は中長期の社債で運営していた大企業がまさにメガバンクに殺到をした、そしてメガバンクから借りていた中堅企業等々が今度は中小金融機関等々に殺到するというような、こういう流れの中で起こったことでありまして、大変な危機が起きたときに、メガバンクが正直言ってこういう業務に対応できるとは正直思われませんし、特に地方においてメガバンクの支店というのは、やはり地方中堅企業中小企業からいいますとかなり敷居の高い存在でありまして、なかなかお付き合いができていないというような中でメガバンクを使うというのはなかなか難しいと思います。  一方で、商工中金につきましては、おっしゃる一番最終的な方向というのは同じでありますけれども、危機対応業務についての我々が持っている心配というものが晴れるまでは、やはり少しこういう対応でいかなければいけないというふうに考えております。
  188. 松田公太

    ○松田公太君 終わります。ありがとうございました。
  189. 中野正志

    ○中野正志君 次世代の党の中野正志でございます。  冒頭、まずは、政府の判断次第で日本経済産業政策あるいは金融財政政策に大変な禍根を残すことになるかもしれないと、そんな思いで、あえて、直接の職掌ではありませんけれども、宮沢大臣、安倍内閣の一員として、中国が主導いたしますいわゆるアジアインフラ投資銀行、AIIBについてどう考えられるかということをお伺いをしておきたいと思います。  日本は、幸いに三月末に参加見送りという決断をされました。私は率直に評価をいたしておりますし、予算委員会でも安倍総理大臣に、ここは慎重になすった方がいい、バスに乗り遅れるな式のお話を、またいろいろ各政党の有志からそういうお勧めもあったことも事実でありますけれども、そういう悪い誘惑には乗っては駄目だと、こういうお話をさせていただいたんでありますけれども、とにもかくにも三月段階では決断をされまして見送りということで、大変幸いであります。  しかし、その後も相変わらず安倍さんの決断に対して批判が続いております。私たちのこの永田町かいわいの悪いところでありますけれども、日本政府が何か新しいことを進めるというときには、必ず駄目だ駄目だと足を引っ張るグループが存在をする。しかし、中国さんが新しいことをやろうとすると、中身を知らないままに大きな拍手を送られる人たちが現に存在をする。この典型ではないかと、実はAIIBのことについて、私は、何といいますか、そう思っておる一人なんであります。今でもAIIB参加は慎重にと、むしろ見合わせるべきと、この判断で私は皆さんにお話をさせていただいておるところであります。  つくづく、やっぱりいろいろ私たちなりに調べてみても、透明か、それから公正な運営ができるのか。やっぱり組織統治の問題は、これは出資金を募る組織でありますから、当然ながら私たちも見なければなりませんけれども、どうも大きなクエスチョンマークだよなと。それから、融資基準の問題などで審査、本当に商工中金のような目利き能力があるのかと。残念ですけれども、どうも、かの国でありますからそういったことも大変心配だよなと。  私もつらつら考えてみますと、大体、私たちの日本国のいわゆるスーパーゼネコンと言われているグループ、東南アジアあるいは中近東のいろいろなプロジェクト、参加をいたしまして頑張ってきましたけれども、私の知る限り、ほとんどの海外プロジェクトは日本のゼネコンは赤字であります。黒字なんというのは聞いたことがない。  私直接行って、あのドバイの都市交通システム、あえて名前挙げますと、鹿島建設と大林組が一生懸命やられたというんでありますけれども、何百億の単位で赤字なんであります。それはそうです。もう私たちの日本のような時間感覚のお国柄でありませんから、もう部材の支給がどんどこどんどこ遅れていく。なかなかスムーズな対応ができない。古く考えればアルジェリアの高速道路もそうでありますね。これはもう、地元で汚職道路と言われているんだそうでありますけれども。また、熊谷組が仕掛けた香港の地下鉄もそう。あるいは大成建設、古くはトルコのトンネル、こういったものも所詮は大赤字なんです。海外のインフラプロジェクトは大赤字。この間も大前研一さん、事業家でありますけれども、あの方も、海外のもうインフラプロジェクトは日本のスーパーゼネコンはほとんど全部が赤字だと。私も、なるほど、そうだよなと、つくづくそう考えております。  そして、今回AIIB、一年半ぐらい前からいろいろ話が出ておるわけでありますけれども、やっぱりつらつら考えますと、所詮は中国の国内事情だ。私たちはここ二年半、三年、週刊誌やいろいろな雑誌で、中国、鬼の城と書くいわゆるゴーストタウンですね、どんな大都市にもすぐ近郊にあんな大きな巨大なマンション群を建設して、人っ子一人入っていない地域というのが何ぼでもある。あんなのは日本でなんか考えられない。それだけの鉄鋼であれ、セメントであれ、その他の部材であれ、供給力がその当時はあったということなんです。ところが、今はストップしていますから、需要と供給の関係から言えば余っている。余ったやつどうするかといったら、人と馬一体という表現で言うと悪いんですが、括弧付けで言えば人馬一体でよその国に送り出してやるということに私はなるのではないのかなと思うんであります。  ですから、そういう意味で、高速道路やら、あるいは高速鉄道、港湾、空港、新都市建設、それに伴って、中国自体の建設会社やら、セメントメーカーやら、鉄鋼、機械メーカーなど、設備過剰になっている現実だけは間違いない。その結果、いろいろ言われておりますけれども、まさにシャドーバンキングというあのことで、中国経済も大変な状況になるのではないかとうわさされるぐらいの現実の状況があるわけであります。  不動産バブルの崩壊、もう既にその芽が出ていて露呈をしておる現実がありますけれども、私は、先ほど言いましたように、あえて私たちの日本政府がこれに絡む必要はない、積極的な形はやめるべきだと。所詮は、世界銀行だとかあるいはアジア開発銀行検討して駄目だったという結論のプロジェクトにこれが金を出して、結果的には回収できないというケースだってそれなりの数が出てくるだろうということは、もう素人が考えたって正直分かる話ではないかなと、そういうふうに思っておるところであります。  私たちの日本は、アジア開発銀行の実績、信頼を基にして、日本らしいインフラプロジェクトの中でどうしてもこのものだけは必要だ、そういうことで頑張っていけばいいと思いますし、日本らしい高度技術のプロジェクトに参加していくべきだなと、私は率直にそう思います。例えば鉄道システムでありますとか次世代型の石炭火力発電所、あるいは地熱発電のガスタービン、こういったことでその国その国のインフラプロジェクトに協力支援できることは何ぼでもあるよな、率直にそう思うのであります。  六月に再度参加するのかしないのかということの最終判断という言い方になるんでしょうか、そこを、意思表示をする機会だという話もお伺いをしておるんでありますけれども、宮沢大臣、率直にお考えをお聞かせをいただいておきたいと存じます。
  190. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 担当外のことでございまして余り率直に申し上げると問題が恐らく起こるんだろうと思いますが、日本政府といたしましては、公正なガバナンスが確立できるのか、債務の持続可能性を無視した貸付けを行うことによりほかの債権者にも損害を与えることにならないかといった点を含めて、今慎重な見極めが必要という立場に変わりはないと聞いております。もちろん、こういうことにつきましては中国側にも伝えて、その後、恐らく対話が継続していくということになろうかと思っております。  一方で私は、この話がいろいろ出てきてみて、ちょっとショックだった、残念だったのは、アジアの借り手側の国といったものが相当程度真っ先に手を挙げて参加をしたということでありまして、もちろん借り手からすれば貸し手が多ければ多いほど有利になるということはあるんでしょうけれども、我々が育て上げてまいりましたADB、アジア開発銀行というものに対して、やはりそれなりの不満といったものがそれらの国にあった、それ自体に我々がなかなか応えてこれなかったということが恐らくあるんだろうと思っておりまして、ADBというのは大変しっかりとした国際金融機関でありますけれども、これをやっぱりもう一度立て直して、期待に応えられるようなものにしていくということがまず我々の大きな責務なのかなと思っております。
  191. 中野正志

    ○中野正志君 大臣、ありがとうございます。そのとおりでございますので、所管外を十分に承知しつつも、あえて冒頭でお話をいたしました。  それでも、もう宮沢大臣、御存じをいただきますように、ラオス、カンボジア、ミャンマー、さっき言いましたアルジェリア、それぞれに経済特区をつくりまして、中国資本、大規模導入をいただいて、また大規模に投入をいたしまして、それでいながら結果的には環境破壊を起こしたり、あるいはもう犯罪が増加したりということで、現地の住民とトラブルが絶えません。結果的には停滞している事業というのは数多くあるのであります。所詮はこのAIIBだって、中国が国際資本、まあ支配力とでもいうんでしょうか、それでしっかり囲い込もうという魂胆であることは見え見えでありますから、是非内閣の一員として、あくまでも慎重であられるようによろしく御配慮をいただきたいと存じます。  それから二つ目でありますけれども、私は地球温暖化の問題を毎回のようにずっと取り上げてまいりました。  六日のことでありますけれども、アメリカ合衆国の海洋大気局、CO2濃度が危険水準になっていると発表されました。今年三月には、観測開始から初めて四〇〇ppmを超えたと発表したんであります。世界的な気候変動、地球温暖化に多大な影響を与えると。CO2をこれ以上排出しないよう日本も格段の努力をしていかなくてはならないと改めて強調したいと思います。さすれば、新基準を満たした原発については速やかに再稼働させるべしと、これは以前から申し上げてきたとおりでありますが、これも重ねて申し上げたいわけであります。  また、従来、CO2発生量が多いとされてきた石炭火力発電も、日本の新技術、次世代技術開発により発電効率と環境対策は世界ナンバーワンだ、原発の再稼働とともにこの石炭火力発電もベースロード電源の一翼を担ってもらいたい、いくべしと改めて期待もいたします。  さらに、宮沢大臣には、成長戦略の一つとしてこの次世代石炭火力発電技術、これは、是非、世界各国に技術移転、普及していけば、環境問題の解決にも大きく貢献し、また経済対策にも合致をすると考えておりますけれども、是非この機会に改めて御意見をお聞かせをいただいておきたいと思います。
  192. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 石炭火力発電につきましては、安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源と位置付けておりまして、高効率化発電技術の有効利用などによりまして環境負荷を低減しつつ活用していくということは大変大事だと思っております。  我が国の技術は、まさに磯子にある電源開発の発電所に世界各国から見学者が続々と訪れてくるように、世界最高の技術を既に持っておりますし、また、現在、石炭ガス化技術、いわゆるIGCCの開発といったものにも力を入れて開発をしておりまして、まさに世界の石炭発電のフロントランナーという位置付けだと思っております。そして、世界各国からも、日本のまさに石炭火力の技術を自分の国にもその技術を用いて発電所を造りたいというような話がいろいろと持ち込まれてきております。  ただ一方で、今、OECDの場におきまして、アメリカ、またヨーロッパの一部の国を中心に石炭火力発電についての公的輸出信用等について制限を加えた方がいいのではないかという動きがございまして、私どもといたしましては、まさに原子力発電所を導入できるほどの国力がない、またLNGでも高過ぎるといった国はたくさんあるわけでありまして、そういう国々が石炭というものを使ってまさに発展していってもらうというのは大変大事である。一方で、日本がOECDの枠に縛られている間に中国の効率的でないものが大量に輸出されるという事態は避けなければならないということで、今ドイツなどとも協力をしながらOECDの場でそういう結論にならないような努力を一方でしております。  そういうことを含めて、まさに技術の国内における開発、そしてそういうものをしっかりとほかの国に移すことによって地球温暖化の防止に役立てていくということを実現していきたいというふうに考えております。
  193. 中野正志

    ○中野正志君 是非、そのように期待をいたします。  はてさて、商工中金について申し上げます。  我が地元である宮城県中小企業団体中央会、常日頃から情報の連携を積極的に行われていると。新年会、これも宮城県中小企業団体中央会と商工中金仙台支店の中にある顧客さんの団体、両方で共同開催をしている、こういった連携事業というのは大変にいいことだなと私も思います。とりわけ、東日本大震災以降の危機対応業務においてその必要性を改めて感じさせられている結果も出ております。  以前の委員会でも取り上げた事例ですけれども、商工中金と地元の銀行、信金との協調融資で地元企業の介護施設ほかへの十六億円のシンジケートローンを組成というニュースも大変心強い一つであります。少し細かいんですけれども、商工中金仙台支店七億円、杜の都四億円、東北銀行三億円、仙南信用金庫一億円、宮城第一一億円、ほかにもいろいろな案件があると考えますけれども、こういった商工中金の特性を生かしたユニークな事例だと思うのでありますけれども、その他、誇るべき事例があったら是非お聞かせをいただきたい。  また、商工中金法律案について、改めて確認のためお聞きいたしておきますけれども、現在の貸出規模についてお聞かせをいただきたい。取引先数等の確認。それから、東北エリアの東日本大震災以降における危機対応業務による貸出取引件数などもあえて確認のために中身をお聞かせをいただいておきたい。  以上でございます。
  194. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) まず、商工中金商工中金らしい取組ということで、一つ御紹介させていただきます。  宮城県における事例でございますけれども、これは、震災の被害によりまして工場移転が必要となりました企業に対しまして、商工中金を主幹事、それから地方銀行を副幹事、そして参加金融機関を募りましてシンジケートローンを組み、新工場の建設資金対応している事例でございます。これは、仙台発祥の食文化である牛タンの普及に一貫して取り組む企業でございましたが、こういった企業支援を通じまして地域ブランドの発展を支えて地域活性化にも貢献していくと、こういう一つの事例でございます。  それから、東日本大震災発生後の対応でございます。平成二十三年四月以降、累計、平成二十六年末までで、被災地域における商工中金危機対応業務による貸出実績、フローでございますが、約四千二百億円、貸付件数八千五百件となっております。これは、特に震災直後の平成二十三年度に積極的に対応しているという数字になっているところでございます。それから、全体としての商工中金の貸出規模でございます。二十七年三月末の貸付けストック残高は九兆五千億円、件数としては三十二万件、貸出先数としては約七万ということになっております。  以上でございます。
  195. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 時間ですのでおまとめください。
  196. 中野正志

    ○中野正志君 はい。  ありがとうございました。なお、更に頑張ってください。
  197. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 皆様、御苦労さまです。  私は、通告をしておいて、それで議論した方が中身が深まるだろうと、大体のものについてそう思っておりますので、質問している三倍から五倍ぐらい通告しておるわけでございます。  その意味で、いつも関係省庁の皆さんには空振りというのがあったりして、喜んでいるのか、よかったと思うのか、困ったと思っていただけるのか分かりませんが、失礼を掛けていることをこの席を借りて、この後もそういうことがあろうと思いますので、おわびをしたいというふうに思いますし、委員の皆様にも、そういう事情で大勢の方が出入りするということを御理解いただきたいと思います。  まず、本法案ですが、通告でいいますと、三番目と、それから大臣の六番目のところに関わりたいと思うんですが、まず金融庁にお尋ねしたいんですが。  先ほど来から何回か出ておりますけれども、危機対応業務、これが平成二十年十月の制度発足以来、今日まで民間金融機関参加はなかったと。なぜなのかというようなことも、自分も分からないという答弁も先ほども事務方からはあったんですが、金融庁はどのように働きかけをしてきて、そして、何で参加しないのか、じゃ、どうしたら参加してくれるのか、もう諦めるのか、この辺、御説明ください。
  198. 西田直樹

    政府参考人西田直樹君) お答えいたします。  危機対応制度は、御案内のとおり、金融機関の自主性に基づく経営判断を尊重する仕組みというふうに承知しておりますけれども、その上で、例えば東日本大震災の際には、金融庁は、被災地の地方銀行に対しまして指定申請の検討を依頼するとともに、関係省庁等とともに制度説明を行ったものと承知しております。  一般に、民間金融機関におきましては大規模な自然災害等の際における投融資につきましては通常のリスク、リターンの分析ではなかなか測り切れない部分があることとか、あるいは危機対応業務に必要なシステムを構築、維持するためのコストが掛かるなどによって、対応することが容易じゃないというような指摘があることも承知しています。  今主務省庁におかれましては現行の制度に係る運用改善を行うこととしていると聞いておりますけれども、金融庁といたしましても、まずは民間金融機関が適切なリスクテークによる資金供給能力というものを高められるように、リスク管理の高度化、あるいは財務基盤の強化、あるいは政府金融機関を含めた他の金融機関との連携等の取組を促していきたいと考えているところでございます。
  199. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 リーマンや三・一一、特に三・一一は身近だったのでよく分かるわけですが、そのほかにも、今日先生方の資料でも今まで商工中金がどういう対応をしてきたかという一覧表もございましたが、一言で言えば、なかなか民間はできないなと思っているんです、やり切れないなと思っているんですね。  ですから、そこを考えると、先ほど来からもお話があるんですが、小泉政権時代からのものでございまして、私も大変因果があるんですが、先ほどの事務方の説明、午前中でしたが、ありましたが、民業を補完するんだと、これはもうそれでいいんですね。さらに、こう言っているんですね、補完在り方の問題なんだということで今回こういう法律になっているということをおっしゃっているわけです。  民業を補完する、この立場は堅持するべきだと思います。しかし、補完在り方が問題なんだというふうになれば、まさにこの危機対応というのは、政府系あるいは何らかの政府が信用を取らない限りは、保証をしない限りには難しいんだろうと思うんですね。そうすると、機動性とか、あるいは、何と言ったらいいんでしょうか、本当に今までの経験も含めた目利きが積み重なっているという意味になると、やっぱりどこかが存続していないと無理だなという印象を拭えません。  大臣にお尋ねするんですけれども、商工中金のまさに機能役割を縮減してでも、必要な分野、例えばこの場合は危機対応なんですが、こういうときのために中小企業にとっては最後の貸し手となれるようにしておくべきだと思うんです。  そうなると、やっぱり規模を縮小したのでは余力がなくなるんですね、体力がなくなる。こういうもののバランスも見ながら、民営化は当面見送って、危機対応という、これ頻繁に来ているんです、昨日も地震がありました。そして、今度は箱根の方でも、町はどのように旅館の皆さんの経営を続けるか、資金を協力するかというようなこともニュースで言っているわけです。こういうことも含めながら、当面は民営化をしないで、こうした補完を徹底し、やれないところですね、このやれない部分について危機対応業務をきちんとするということでいいんだろうと思いますが、大臣、何かこの辺、反論がございますでしょうか。
  200. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 当面、民営化をしないという、当面というところが、これがどのぐらいの長さかというところのいろいろ解釈が、違いが恐らくあるんでしょうけれども、少なくとも今回お願いをしている法案におきましては、民間において危機対応業務といったものが全国規模でできるようになるまでの間は株式を国が持っているということでありますので、当面民営化しないといえばしない案を御審議をお願いしているというふうに考えております。
  201. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 旗を下ろす下ろさないという話がありますが、旗上げて、旗下げないで旗上げるなんて、どっちの旗上げるんだか分からなくなりますから、とにかくこれは必要だと、必要だということで取りあえずはやむを得ないかなというふうに私は思っております。  続きまして、被災地の、復興大臣も言っておりますが、様々な集中復興期間、これ五年なんですけど、これを終えて次の段階になどということを含めての地元負担、こういったことで、大きな見直しの区切りが付いて見直しに入っていこうとしていますので、若干そこに触れさせていただきたいと思います。  まず、津波、地震の場合と分けまして、原発被害というようなことを想定してください。被災者の方々は、四月以降、みなし仮設住宅に住み続けることができるのか、大変不安なんですね。  二〇一六年、来年の四月から、みなし仮設住宅の提供を続けるべきだと思っているんですが、どのようにお考えになりますか。内閣府ですか。
  202. 兵谷芳康

    政府参考人兵谷芳康君) お答えいたします。  東日本大震災による応急仮設住宅の提供につきましては、発災当初から、災害救助法に基づく応急救助として実施をすることとしたものでございまして、地震、津波、原子力災害で一律に取り扱っているところでございます。  また、その提供の期間についてでございますが、災害救助法に基づく仮設住宅の提供でございますので原則二年とされておりますが、東日本大震災で設置したものについては、いわゆる特定非常災害特別措置法に基づき、各県において一年を超えない期間ごとに延長を行うことができるようになっておりますので、現在、福島県におきまして、被災者がいない五町村を除き、五年目までの延長を行っているところでございます。  六年目への延長につきましては、現在、福島県において、災害公営住宅等の恒久的な住宅の整備状況といったものを総合的に勘案して、その延長の可否を検討しているものと承知をしております。  国としては、延長協議を受けた際には、福島県の状況を確認をして、適切に対応してまいります。
  203. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 続いて、これは皆さん、我々がその立場だったらよく分かるんですよね。一年ごとでしょう。でも、子供が今四年生で、六年生まで転校をするかしないか、もう一年ごとの話じゃないですね。三年先まで見せてもらわないと。それから、どの小学校に入るか、中学校に入るか、一年ぽっきりでまた変わるなんということになったら大変なんですね。  ですから、例えば子供を持つ方々には、その子供の修学期間、その期間を通じて長期的な住宅提供をするということぐらい、五年目の、集中復興期間をやめるというんですから、それは反省に基づいて何らかの意味でやめるんだったら、反省の中にこの子供たちの修学期間中は続けるというぐらいの、当然実態に合わせた反省があって集中期間をやめるんだろうなと私は思うんですが、どのようにこのケースの場合はなりますか。
  204. 兵谷芳康

    政府参考人兵谷芳康君) お答えいたします。  災害救助法に基づく応急仮設住宅は、被災者の方への応急的、一時的な救助として仮の住まいを行政の方で現物で提供するというものでございますので、その提供期間は原則二年でございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、東日本大震災の場合は、いわゆる特定非常災害特別措置法に基づいて、その救助を行う各県において一年を超えない期間ごとに延長を行うことができるとされておりますので、この規定に基づきまして、現在、応急仮設住宅の提供期間の延長を行っているところでございまして、引き続き一年ごとに対応検討していくことになるものと考えております。
  205. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 では、それに関連するのは、この質問の後に見解を申し上げますが、避難指示の解除が進められているところ、避難指示の解除が進められている、帰れます、しかし帰りません、こういうことがあるわけですね。  では、戻らないと選択した方々にとっての住宅提供期間は継続していただけるんですか。先ほどと同じなら同じですと言ってください。
  206. 兵谷芳康

    政府参考人兵谷芳康君) 基本的に同じでございますが、応急仮設住宅については、現在福島県において六年目の延長の可否を検討していると承知しておりますので、その延長協議を受けた際には適切に対応してまいりたいと考えております。
  207. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これは法律の盲点です。どういうのが盲点か。自然災害災害救助法に基づいてやっていますから、二年が原則で一年ごとと、こういうことになるんです。その一年は自治体の判断に任せるんです。しかし、ここに大変大きな仕組みがあります。総理大臣がそれに合意した場合、自治体の判断が生かされるということなんです。皆さん、こういう仕組みなんですね。ですから、こういう問題点を、では福島県知事は、福島県の被災地の首長は、なぜ一年ごとみなし仮設を継続するという、そういう話にしていたんでしょうね。これは首長の責任、多大なんですよ。この災害救助法ではもう無理である、原発における救助法というものを制定してくれということにならないといけないんだと思うんですね。  大臣、ここが私が申し上げたいことで、これは我々国会も不作為、政府も不作為、そして、一生懸命頑張っていらっしゃいますが、常に国側からの意見を唯々諾々としてのんできた首長の責任、三者の不作為なんです。被災者のことを考えていないということです。いつまで災害救助法でやるんですか。集中復興期間が終わったと言うんだったら、どこにその災害救助法でやってきたことで終わらせてくれという声が被災者にあるんでしょうか。  私は、二年の集中復興期間は延長すべし、そして、こういう問題点を解決しないで集中復興期間を閉じるなどということはあり得ない。県も首長も、そして政府も私も国会も、新立法を立てていくということが望まれているというふうに考えておりますので、ひな形を今後お示しして、各先生方のお力添え、御検討もお願いしたいと考えているわけなんです。  ここで結論的には終わっちゃう話なんですが、それでは、ちょっと具体的な話でテクニカルな話なんですが、復興費用の中で除染というのは莫大な費用を掛けています。今の延長をするこの計算をすると、帰っている人もいますから、二百億からの今までの経費でいうとできるんじゃないかと思っているんですね。その二百億からの経費でできるということになりますと、費用的には税金であり本当に多大なお金であって感謝をしなければなりませんが、後ほど東電に福島県が求償できるわけなんです。ところが、役所の皆さんにお話を聞いたら、求償するこのみなし仮設等々はまだまだ整理付いていないようですね。津波の部分なのか地震の部分なのか、ごちゃごちゃになってこのまま四年来ているんです。これで復興期間終わるというのは、重ね重ね私は大きな問題だと思うんですね。ですから、東電に求償していないんですよ、まだ。  大臣、こういうことを考えますと、最後に大臣の閣内での御発言を大変期待するんですが、仮設の担当では大臣はありませんが、東電を含め、産業を含め、様々な、廃炉も含めてですが、責任を、大きな責任を負っていただいています。今私が申し上げましたように、例えば災害救助法で対応しているがために、このような被災者に心労や苦労を掛け続けているんです。それを地元の首長も私も、そして国会も政府も、それを手続ですぐやるのかと思ったら、総理と合意した上で、つまり内閣が合意した上でやらなけりゃ県はそれを発議できないということになってしまったのでは、何のための救助法なんですかと。だったら、新たな新法を作る以外にないと思うんです。  こういう意味で、まだまだ原発事故についての法体系については整備されていないと私は認識しているんですけれども、大臣は、この原発事故災害の救済のために、法律在り方、どのようにお考えになっていますでしょうか。時間がなくなりますので意見だけ言っておきますと、それをしないで再稼働などということは私は胸が裂けそうで言えません。
  208. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 委員からの御提案、今いろいろ聞いて勉強させていただきました。  内閣府の方からいいますとなかなか腰は重いようでありますが、災害救助法以外の考え方というのもあり得るのかなというのが正直言って印象でございます。ただ、私の立場からしますと、まさに避難指示の解除というものを早急に実現していかなければいけないということで、この点につきましては経産大臣として全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
  209. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 戻るも戻らないも、これは選択肢です。そして、同時に申し上げますが、再稼働する場合にはもう一度起きるという前提で実は世界各国が体制を組み、それを言っているんです。日本ぐらいです、もうないでしょうとは言わないけれども、そこを言及しない。ですから、動かす以上はこうした法整備を万が一に備えて用意しておく、整えておくということは、最低のこれは我々の仕事なのではないかと思いますから、どうぞ少し勉強していただきつつ、法整備をしていただきたいと思います。自然災害関連死もそうなんです。  こういったことで、今日は終わりたいと思います。
  210. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会