○中野正志君 次世代の党の中野正志でございます。
冒頭、まずは、
政府の判断次第で
日本の
経済産業政策あるいは
金融財政
政策に大変な禍根を残すことになるかもしれないと、そんな思いで、あえて、直接の職掌ではありませんけれども、
宮沢大臣、安倍
内閣の一員として、中国が主導いたしますいわゆるアジアインフラ投資
銀行、AIIBについてどう考えられるかということをお伺いをしておきたいと思います。
日本は、幸いに三月末に
参加見送りという決断をされました。私は率直に評価をいたしておりますし、予算
委員会でも安倍総理
大臣に、ここは慎重になすった方がいい、バスに乗り遅れるな式のお話を、またいろいろ各政党の有志からそういうお勧めもあったことも事実でありますけれども、そういう悪い誘惑には乗っては駄目だと、こういうお話をさせていただいたんでありますけれども、とにもかくにも三月段階では決断をされまして見送りということで、大変幸いであります。
しかし、その後も相変わらず安倍さんの決断に対して批判が続いております。私たちのこの永田町かいわいの悪いところでありますけれども、
日本政府が何か新しいことを進めるというときには、必ず駄目だ駄目だと足を引っ張るグループが存在をする。しかし、中国さんが新しいことをやろうとすると、中身を知らないままに大きな拍手を送られる人たちが現に存在をする。この典型ではないかと、実はAIIBのことについて、私は、何といいますか、そう思っておる一人なんであります。今でもAIIB
参加は慎重にと、むしろ見合わせるべきと、この判断で私は皆さんにお話をさせていただいておるところであります。
つくづく、やっぱりいろいろ私たちなりに調べてみても、透明か、それから公正な運営ができるのか。やっぱり組織統治の問題は、これは
出資金を募る組織でありますから、当然ながら私たちも見なければなりませんけれども、どうも大きなクエスチョンマークだよなと。それから、融資基準の問題などで審査、本当に
商工中金のような目利き能力があるのかと。残念ですけれども、どうも、かの国でありますからそういったことも大変心配だよなと。
私もつらつら考えてみますと、大体、私たちの
日本国のいわゆるスーパーゼネコンと言われているグループ、東南アジアあるいは中近東のいろいろなプロジェクト、
参加をいたしまして頑張ってきましたけれども、私の知る限り、ほとんどの
海外プロジェクトは
日本のゼネコンは赤字であります。黒字なんというのは聞いたことがない。
私直接行って、あのドバイの都市交通
システム、あえて名前挙げますと、鹿島建設と大林組が一生懸命やられたというんでありますけれども、何百億の単位で赤字なんであります。それはそうです。もう私たちの
日本のような時間感覚のお国柄でありませんから、もう部材の支給がどんどこどんどこ遅れていく。なかなかスムーズな
対応ができない。古く考えればアルジェリアの高速道路もそうでありますね。これはもう、地元で汚職道路と言われているんだそうでありますけれども。また、熊谷組が仕掛けた香港の地下鉄もそう。あるいは大成建設、古くはトルコのトンネル、こういったものも所詮は大赤字なんです。
海外のインフラプロジェクトは大赤字。この間も大前研一さん、
事業家でありますけれども、あの方も、
海外のもうインフラプロジェクトは
日本のスーパーゼネコンはほとんど全部が赤字だと。私も、なるほど、そうだよなと、つくづくそう考えております。
そして、今回AIIB、一年半ぐらい前からいろいろ話が出ておるわけでありますけれども、やっぱりつらつら考えますと、所詮は中国の国内事情だ。私たちはここ二年半、三年、週刊誌やいろいろな雑誌で、中国、鬼の城と書くいわゆるゴーストタウンですね、どんな
大都市にもすぐ近郊にあんな大きな巨大なマンション群を建設して、人っ子一人入っていない
地域というのが何ぼでもある。あんなのは
日本でなんか考えられない。それだけの鉄鋼であれ、セメントであれ、その他の部材であれ、
供給力がその当時はあったということなんです。ところが、今はストップしていますから、需要と
供給の関係から言えば余っている。余ったやつどうするかといったら、人と馬一体という表現で言うと悪いんですが、括弧
付けで言えば人馬一体でよその国に送り出してやるということに私はなるのではないのかなと思うんであります。
ですから、そういう
意味で、高速道路やら、あるいは高速鉄道、港湾、空港、新都市建設、それに伴って、中国自体の建設会社やら、セメントメーカーやら、鉄鋼、機械メーカーなど、設備過剰になっている現実だけは間違いない。その結果、いろいろ言われておりますけれども、まさにシャドーバンキングというあのことで、中国
経済も大変な
状況になるのではないかとうわさされるぐらいの現実の
状況があるわけであります。
不動産バブルの崩壊、もう既にその芽が出ていて露呈をしておる現実がありますけれども、私は、先ほど言いましたように、あえて私たちの
日本国
政府がこれに絡む必要はない、積極的な形はやめるべきだと。所詮は、
世界銀行だとかあるいはアジア開発
銀行が
検討して駄目だったという結論のプロジェクトにこれが金を出して、結果的には回収できないというケースだってそれなりの数が出てくるだろうということは、もう素人が考えたって正直分かる話ではないかなと、そういうふうに思っておるところであります。
私たちの
日本は、アジア開発
銀行の実績、信頼を基にして、
日本らしいインフラプロジェクトの中でどうしてもこのものだけは必要だ、そういうことで頑張っていけばいいと思いますし、
日本らしい高度技術のプロジェクトに
参加していくべきだなと、私は率直にそう思います。例えば鉄道
システムでありますとか次世代型の石炭火力発電所、あるいは地熱発電のガスタービン、こういったことでその国その国のインフラプロジェクトに協力
支援できることは何ぼでもあるよな、率直にそう思うのであります。
六月に再度
参加するのかしないのかということの最終判断という言い方になるんでしょうか、そこを、意思表示をする機会だという話もお伺いをしておるんでありますけれども、
宮沢大臣、率直にお考えをお聞かせをいただいておきたいと存じます。