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2015-03-26 第189回国会 参議院 経済産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年三月二十六日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      阿達 雅志君     吉川ゆうみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉川 沙織君     理 事                 磯崎 仁彦君                 滝波 宏文君                 宮本 周司君                 加藤 敏幸君                 倉林 明子君     委 員                 岩井 茂樹君                 松村 祥史君                 吉川ゆうみ君                 渡邉 美樹君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 安井美沙子君                佐々木さやか君                 浜田 昌良君                 東   徹君                 松田 公太君                 中野 正志君    国務大臣        経済産業大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(原子力        損害賠償廃炉        等支援機構))  宮沢 洋一君    副大臣        経済産業大臣  山際大志郎君        経済産業大臣  高木 陽介君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       岩井 茂樹君    事務局側        常任委員会専門        員        奥井 俊二君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      久保田 治君        厚生労働大臣官        房審議官     大西 康之君        厚生労働省老健        局長       三浦 公嗣君        林野庁林政部長  牧元 幸司君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      井上 宏司君        経済産業大臣官        房商務流通保安        審議官      寺澤 達也君        経済産業大臣官        房審議官     高田 修三君        経済産業大臣官        房審議官     土井 良治君        経済産業省経済        産業政策局長   菅原 郁郎君        経済産業省通商        政策局長     鈴木 英夫君        経済産業省産業        技術環境局長   片瀬 裕文君        経済産業省製造        産業局長     黒田 篤郎君        経済産業省商務        情報政策局長   富田 健介君        資源エネルギー        庁長官      上田 隆之君        資源エネルギー        庁次長      高橋 泰三君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       木村 陽一君        中小企業庁長官  北川 慎介君        環境大臣官房審        議官       田中 聡志君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (経済産業行政等基本施策に関する件)  (公正取引委員会業務に関する件) ○外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に  基づき、北朝鮮仕向地とする貨物の輸出及び  北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入  につき承認義務を課する等の措置を講じたこと  について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院  送付)     ─────────────
  2. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、阿達雅志君が委員を辞任され、その補欠として吉川ゆうみ君が選任されました。     ─────────────
  3. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣大臣官房審議官久保田治君外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、経済産業行政等基本施策に関する件及び公正取引委員会業務に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 宮本周司

    宮本周司君 皆さん、おはようございます。自由民主党、宮本周司でございます。  私の方から質問をさせていただきたいと思いますが、昨今、いろいろな経済関連の本当に好転をするような情報というものがメディアを通して発せられるようになってまいりました。  そんな中、先般、三月十四日、私の地元であります石川県におきましては、北陸新幹線開業という、またこれも明るいニュースが舞い込んできたところでございます。実際、この新幹線開業によりまして、人、物、金が動き出す、そういった実感を石川県民、またその沿線方々が今感じているところでございます。  その開業に伴いまして、実は本年度は、全国植樹祭であったり、若しくは全国規模のいろいろなイベントや大会、こういったものも予定をされているわけでございますが、確かに、開業の週そして先週と、約二週間、三週間経過したわけでございますが、御当地我が石川県におきましては、やはりいろいろな観光地観光客数が二倍ほどに増えているとか、それこそ田舎の表現でいけば、盆と正月が一緒に来たぐらいのにぎわいになっております。  ちょうど時を同じくして、映画で「さいはてにて」という、能登半島の一番最先端の珠洲市というところがロケ地となった映画が今公開もされておりますし、来週三十日からはNHKの連続テレビ小説ですか、「まれ」という、これもまた輪島市という能登半島の市が主要なロケ地として舞台となっております。  そういったことも相まって、新幹線沿線だけではなく、実は今、中京圏若しくは関西圏からも普通の特急列車若しくは車を利用して多くの方々石川県にお越しになっておりますので、今、地方の一県といたしましては、特に石川県は人口も面積も日本の一%という小さな県でございますので、この開業効果県全域でしっかりと受け止め、また過疎化、いろいろな部分で疲弊を極めております能登においてもしっかりと地方創生を実現していく、このような期待を寄せているところでございます。  地方創生が今我が国の中で大きな存在感を示すようになりました。この地方創生、特に我々経済産業分野におきましては仕事づくりという面で大きな貢献を果たしていかなければいけない、そのように責任を感じているところでございますが、昨年春、経済産業省の方からよろず支援機関という支援制度が確立をし、四十七都道府県で稼働をしております。全県レベルでの中小企業又は小規模企業支援専門的な職務として、一定の研修を受けた方々がそこでいろいろな支援施策に従事をしていただいている。  ただ、やはり四十七都道府県ありますと、いろいろな格差が既に発生していると聞きます。確かに、いろいろな支援団体金融機関等々と連携をして、しっかりとした効果成果を生み出しているよろず認定支援機関もあれば、若しくは、何というんでしょう、件数、数を追い求めるような形で地域内で不具合が発生しているようなお話も聞きます。  私、一昨年の産業競争力強化法の際にも御提案をし、昨年、よろず支援ができるときに大きな期待を寄せた一人でございますが、私としましては、いろんな支援団体であったり、若しくは中小企業支援専門的に行っておりますコンサル士業方々、またそれを財政面支援をする多くの地銀、信金といった金融機関方々、この方々がやはり市町村レベルで面的な支援を実現できるように有益な連携が図られる、このことを期待していたわけでございます。  ただ、よろず支援機関においてはそのコーディネーター役として機能していただけるのかなという大きな期待を寄せていたのですが、やはり市町村レベルにはまだまだその効果が浸透していない。  私は、やはり理想とするのは、よろずがしっかりとコーディネーター役を果たして、都道府県の中でのいろんな支援団体であったり金融機関であったり士業さんに統一的な体制をしっかりと明示をする。そして、それを受けた個人であったり支店であったり、その単会ですよね、それが市町村の中で、お互いの役割分担を明確にした中で最終的には中小企業小規模企業がしっかりと事業持続していく、しっかりと成長、発展をしていくためにあらゆるサポートを講じていける、そんな在り方理想なんではないかなと感じておるところでございます。  そういう意味におきまして、いろいろな認定支援機関制度であったり、若しくはよろず支援機関であったり、若しくはいろいろなサポート体制がある中で、中小企業者小規模事業者にとって窓口がやはり明確である、一元性のあるサポート体制というものがより確立された方が、もっともっと今、政府が、国がなされている施策が有効な効果若しくは成果を生み出すんじゃないかと思っております。  そのような体制構築をすべき段階に私は至っているんじゃないかなと思いますが、経済産業省の御所見是非伺いたいと思います。
  7. 北川慎介

    政府参考人北川慎介君) お答えいたします。  委員指摘のよろず支援拠点でございます。これは、民間の成功事例参考にしながら、昨年から各都道府県に設置して整備しておるものでございます。基本的には各経営相談ワンストップ窓口といたしまして、事業者の方に様々な御相談を一元的に受け付けるということをまず目指しているわけでございます。  委員指摘の様々ほかの認定支援機関あるいは商工会商工会議所、こういった支援機関とどういう関係にあるかということでございます。  認定支援機関と申しますのは、金融、税務、法務など専門的な相談に応じる、指導するということで、税理士さんあるいは地域金融機関、こういう方を中心に二万三千の方を認定しているものでございますし、一方で日常的な経営に関する相談全国二千百八十五の商工会商工会議所経営相談に応じると、こういう分担になっておるわけでございますが、先ほどのよろず支援拠点との関係で申し上げますと、まずはワンストップでよろずで受けまして、特に難しい問題につきましてはよろず自身でアドバイスを行いますけれども、今申し上げましたいろんな支援機関との連携の中で、専門あるいは地域性に応じて御紹介し、さらにまたフォローアップしていくと、こういう体制を取っております。  昨年六月の開設以降、この二月までに既に八万件を超える相談をお受けしておりますけれども、委員指摘の、全県レベルでうまくいっているのか、あるいは他機関との連携はうまくいっているのかということも課題でございます。  先般、昨年、小規模事業支援法改正いただきまして、そこで商工会商工会議所によります小規模事業者に寄り添った伴走型支援というものも徹底させたいというふうに考えているところでございます。  このような様々な方法を講じながら、特によろずを中心連携を取って、寄り添った支援体制を組んでいきたいと考えております。
  8. 宮本周司

    宮本周司君 ありがとうございます。  やはり、面的な支援スキームをしっかりと構築をして、その効果が若しくは機能が発揮される在り方を望みますので、引き続きの御指導をよろしくお願いしたいと思います。  先般の大臣からの所信表明演説の中で、中小企業小規模事業者持続的発展には、後継者への事業承継が円滑になされることが必要であると、このような御発言がございました。やはり、中小小規模企業において事業承継というのは一つの大きな課題になっておるわけでございますが、特に、小規模事業者においても、昨今、経営者高齢化であったり親族外承継といった案件が増加をしておりますので、事業承継の足かせとなるような事象が多発をしてまいりました。それを受けて、今般の通常国会におきましても、この経済産業委員会の方で承継円滑化法審議も予定されております。  小規模企業におきましては、その約六割が個人事業者であります。個人事業者の場合にも、やはり法人と比べますとなかなかこの事業承継支援するスキームにまだまだちょっと格差があるんじゃないかなと、まだまだ十分な措置が講じられていないんじゃないかなと懸念をするところでございます。個人事業者事業承継課題の中でやはり一番大きなものは資産の移転、これに尽きると思っております。  先般の平成二十七年度税制改正の中に盛り込まれていると思いますが、個人事業者向け事業承継税制に関して、事業用の土地、これに対しては一定配慮がなされてそういった税制改正方向性が立てられたと思いますが、建物とかほかの資産に関してはなかなかまだまだ難しい。もしかすると、本当に相続後に事業をスムーズに運営をしていく、持続をしていくことにもいろいろなハードルになるんじゃないか、このようなことが懸念をされているわけでございます。  先ほど長官の方からも御案内ございましたような小規模企業振興基本法の制定、また、いろいろな小規模企業特化をした支援メニューも充実する中で、小規模個人事業者事業承継税制に対してももう一歩踏み込んだ取組をするべきじゃないかなと思っております。  この点におきましては、是非、税のスペシャリストでもあります宮沢大臣の御見解、また、いろいろな今の経産大臣としての思いを是非お聞かせをいただければと思います。
  9. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 私も大臣になる前、自民党で税制取りまとめをしておりましたけれども、中で幹部でよく話しておりましたのが、やはり、これまで、いわゆる法人成りと言っておりますけれども、個人から法人になるのを進める税制を含めた制度というものをやってきたわけであります。  そういう中で、企業だけではなくて、例えば医療でありましても、医療個人から医療法人等々になるといった動きもかなり加速化されておりまして、少し個人企業、また法人との間で差が付き過ぎて、少しゆがんできてしまっているのではないのかなと、この辺については少し今後見直しをしていかなければいけないというふうなことを実は考えておりました。  御指摘小規模事業者相続につきましては、私がまだ税制取りまとめをやっておりました二十五年度改正で、小規模宅地等についてはかなり大きな改正改善をいたしまして、かなり部分がその特例を受けられるようにしましたけれども、おっしゃるように、上物につきましてはいろんな課題があるということはよく承知をしております。  大きな工場とか、また旅館といったようなものにつきまして、相続のときに評価をいたしますと、これ固定資産税評価額ということになりますので、古いものであっても当初の購入費の二割残存価値が残ってしまうというようなことで、かなりの御負担になっているということは認識をしておりまして、今年度の改正におきましても、個人事業主事業承継時の税負担の軽減といったことを経産省としては要望しましたけれども、残念ながら、まず先ほど申しました小規模宅地特例というものがあるという点、それから個人の場合、事業用資産とそれ以外の資産の区分が不明確で線引きが困難であるということで、与党の二十七年度税制改正大綱では、既存の特例措置在り方を含め総合的に検討するということにされました。  したがって、やはり今後のことを考えますと、はっきり事業用資産と認定できるものは何かといったところの線引きについて少し知恵を出しながら再度、再チャレンジをしていかなければいけないと思いますし、そういう中で、正面から行くのか、また逆に言えば、固定資産税評価額といったものについてもう少し手を加えるのか、いろんな方法があると思いますけれども、そういった方向で今後も対応していきたいと思っております。
  10. 宮本周司

    宮本周司君 大臣、ありがとうございました。  是非、これは与野党を問わず、いろいろな知恵を出し合って、地方現地現場中小企業、また小規模事業者持続的な発展を願う政治的なアプローチをしていければと願っておるところでございます。  そういった非常に経営基盤がやはり脆弱な中小企業、特に小規模企業において、今回またちょっと負担となるんじゃないかと懸念される案件が予想されております。  本日、厚生労働省の方からもお越しをいただいているわけでございますが、今通常国会におきまして労働基準法改正案検討されると。そして、その中におきまして、十日以上の年次有給休暇付与される労働者に対して五日間、五日間の年休使用者が時季を指定して与えなければいけない、これに対しては罰則規定も設けるという内容で今、これから法案が審議をされると伺っております。  確かに、労働者の健康をしっかりと確保をして、効率の良い仕事在り方労働環境在り方、これを実現していくことは必要だと思います。労働者お一人お一人にとってはこれは大切なことでありますし、我が日本においても、労働の時短であったりとか、若しくは労働効率がなかなか上がってこない、このことは懸念されているところでございます。  ただ、片や、やはり事業の、労働現場という見方をしますと、数百名いらっしゃるような労働現場と、それこそ小規模のように三名、五名、十名で回している労働現場におきましては、やはり掛かってくる負担かなりの差異があるんじゃないか。若しくは、親企業から発注を受ける下請事業者にとっては、やはり納期であったり数量であったり、どうしても優先しなければいけないそういった状況にも追い込まれる場合もあるかと思います。  いろいろな配慮というものがこういった事業規模一定事業規模以下のところに対してはなされてもよいんじゃないか、私はこのように考えるところでございますが、厚生労働省の方ではどのようにこの中小企業の中でも特に規模の小さい小規模企業に対してお考えをいただいているか、お聞かせいただけますでしょうか。
  11. 大西康之

    政府参考人大西康之君) 今委員から御指摘いただきましたとおり、今回の労働時間法制見直しの中で、年次有給休暇のうち年間で五日間につきましては働く方の意見を聞いて使用者がその日を指定すると、そういった義務付けをするということで検討しているところでございます。  また、今委員から御説明いただきました小規模事業者状況につきまして、厚生労働省としましても理解しているところでございまして、今回のこの今検討している年次有給休暇を指定することを義務付け仕組みにつきましては、まず、一年を通じまして五日の年休を取っていただきたいということでございますので、非常に忙しい時期ではなくて閑散期に休んでいただくと。納期が終わった後、交代で休んでいただくとか、そういうことももちろん可能でございます。また、労働者御本人が既に何日か御自身年次有給休暇を取っていただいた場合には、その日の日数分はこの五日の使用者付与義務、指定の方から引くというようなこともございます。あるいは、労使であらかじめ協定を結んでいただいて、何日に休みましょうと、計画的に年次有給休暇を取得すると、こういった仕組みを使っていただいた場合にはその日数もその五日間からは引くという、こういった仕組みになっているところでございます。  今回の検討について、労働時間法制見直し検討でございますけれども、御指摘のように、中小企業団体皆様あるいは中小企業庁とも緊密に連携を図りつつ、先ほど申し上げましたような例えば労使協定による計画的な年次有給休暇付与の具体的な方法、こういったものも含めてきめ細かい周知を行っていく、そういった必要があると考えておるところでございます。
  12. 宮本周司

    宮本周司君 お考えはそれはそれとして、現場に対する、現実というものに対してやはりもっともっと理解をしていただきたい。  当然労働者方々の健康を確保する、これは重要だと思っております。ただ、例えば月六十時間を超える時間外労働、これに対して中小企業に対する配慮というのはほかの案件ではなされているわけじゃないですか。同じく今回のこの案件に関しましても、例えば同様に下請関係にある親企業の方への働きかけもしっかりするとか、一定猶予期間を設けて、やるなということでもないんです、一定のやっぱり配慮が必要だなと。  罰則規定があるわけでございますから、そこのところはやはり現地現場をしっかりとする、その実態把握している中小企業庁、若しくは経済産業省からも、ここはやっぱり厚生労働省に任せっきりではなくて、やはりその労働現場在り方、そして全てにおいてウイン・ウインをしっかりと実現していく、それが地域のためであり日本のためであるわけでございますので、やはりその実態をしっかりと伝えていただいた上で本当に有用な運営在り方具現化、実現化されるように私は希望するところでございますが、それに関して経産省の方から何かお考えございませんでしょうか。
  13. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 宮本周司委員にお答えをいたします。  労働基準法改正によります年間有休五日の義務付けに関する御質問かと思います。  今般の労働基準法改正については、厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会の場におきまして、中小企業団体使用代表者として議論に参加をし、その議論の結果を受けて作成をされているものだと理解をしております。  一方で、委員指摘のとおり、中小企業、とりわけ小規模事業者は一般に従業員の数が非常に少なくて、一人の年休取得による事業運営への影響が大変大きいため、今回の法改正による負担増懸念をされているところであります。労働者年休、適切に取るということは重要だと思います。経産省としては、一方で、ビジネスを大きく阻害することのないように小規模事業者年休付与が行えるよう、そんな考え方も必要かと思っております。  具体的に申し上げますと、例えば委員の方から現場というお話が出ました。小規模事業者ビジネス現場実態をしっかりと把握をさせていただいて、まずは厚生労働省の方にしっかりとお伝えをさせていただきたいと考えております。また、これは厚労省の話ではありますが、年休付与在り方労務管理改善に向けた取組に対する助成金制度、これがございますので、中小企業団体などを通じて中小企業小規模企業者皆様方にしっかりと周知徹底を図ってまいりたいと思います。  そして、従業員年休付与してもなお収益性を維持するということが非常に重要かと考えております。つまり、生産性向上が必要だと考えておりまして、そのために、予算や税による支援策に加え、その実施状況把握、好事例水平展開、こんなことも積極的に行いながら、中小企業小規模事業者皆様方生産性向上、これをしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。
  14. 宮本周司

    宮本周司君 ありがとうございます。  今、岩井大臣政務官の方からもこのようにいろいろな所見もございましたし、打ち出しもございました。やはり私は、今、約三百八十五万という中小企業がこの日本に存在する中で、従業員数四名以下のところというのは大体全体の六五%もあるんですよ。ですから、労働環境改善することは大切であるんですが、そもそもの経営に対しても支障を来すような運用の在り方では労働の機会そのものを喪失してしまう、このような危険性すらある、このことに言及しているわけでございます。  是非、このことを受けまして、厚生労働省の方でも、やはりこういった小規模に対する配慮、これを是非考えをいただきたいと思いますが、もう一度、これを受けての御答弁をお願いしたいと思います。
  15. 大西康之

    政府参考人大西康之君) 改めましての御答弁となるわけでございますが、今し方経済産業省からの御指摘もございましたし、私どもといたしましても、この小規模事業者皆様経営を圧迫するというようなことを、何といいますか、考えているわけではございませんので、やはりワーク・ライフ・バランスの観点から、こういった年次有給休暇のスムーズな取得についていろいろな、先ほどちょっと御答弁させていただきましたが、柔軟な方法でありますとか、あるいはそれに対する支援措置についてしっかり検討してまいりたいと考えております。
  16. 宮本周司

    宮本周司君 当然、事業者側の自助努力、労働環境、また生産効率を上げていく努力は必要だと思いますので、そういった部分も含めて、経済産業省厚生労働省是非連携をした上で現地現場にとって有益な運用を図っていただきますよう、よろしくお願いいたします。  我が国、やはりこれからもっともっと経済成長が実感できる経済の好循環を実現していかなければいけないと考えております。アベノミクス三本目の矢、成長戦略、この一翼を担っているものとして、再生医療、この分野があるんじゃないかなと思っております。  先般、議員立法によります再生医療推進法の成立に伴いまして、再生医療等安全性確保法、また改正薬事法が整備され、今まさに再生医療製品の特性に合った早期の承認制度の確立など、再生医療そのものが実用化また商業化に向けて急加速度的に成長する、このような期待が寄せられている時期かと思います。  経産省の試算では、今国内で約百億の再生医療の市場が、三十五年後の二〇五〇年には二・五兆円、実に二百五十倍に達するのじゃないか。世界市場も今約一千億円だそうですが、同じく二〇五〇年には三十八兆円市場、三百八十倍です。これだけの成長が見込まれる今のこの再生医療現場でございますが、当然、iPS細胞等の研究も進んでおりまして、国内においてももっともっとスピード感が出てくる、このように思っているところでございます。  当然、経済産業省の方からも、この分野を成長分野として、これまで研究開発の方にはいろいろな支援を講じていただいてきたと思いますが、急加速度的に恐らく成長するであろうというこの市場を鑑みて、いわゆる出口戦略ですね、これが商業化、実用化されて民間の医療機関等々に導入をされていく、こういった再生医療関連機器、この導入を更に更に推し進めるような支援措置、市場化をしっかりと念頭に置いた出口戦略、これも打ち出していく必要があるんじゃないかと思っております。  この分野におきまして、高木副大臣是非所見を伺いたいと思います。
  17. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 委員指摘いただきましたように、昨年十一月に再生医療等安全確保法及び医薬品医療機器等法が施行されまして、再生医療の迅速な実用化に向けた制度が整備されてまいりました。今後、再生医療産業化を加速させるために、製造プロセスの低コスト化、また早期の製品化といった出口戦略、これは最も重要であると私どもも認識しております。  そういった中で、まず一番目に、再生医療の低コスト化に必要となる細胞の大量培養装置等の研究開発。二つ目が、再生医療製品の早期の上市、いわゆるマーケットに出すということですね、この上市に向けて、治験の加速化に必要となる有効性、安全性の評価手法の確立を支援しております。また、今後、再生医療を実施する医療機関日本企業との提携を希望する海外企業ワンストップ企業等に相談できるように、再生医療業界団体と連携し、相談窓口設置等を支援してまいりたいと思います。  委員の御地元にも澁谷工業等々ございまして、そういった部分ではまさにこの成長戦略の大きな柱となる分野でございますので、引き続き厚生労働省、また文部科学省等の関係省庁とも連携をしながら再生医療産業化を加速させていきたいと、このように考えております。
  18. 宮本周司

    宮本周司君 副大臣、ありがとうございました。  まさに、御紹介をいただいた企業、私の地元で本当に今、企業の雄として、また牽引車として御活躍をいただいている、期待している企業でございます。私もしっかりと下支えできるような政治活動での協力を、サポートをしていきたいと思っております。  時間も少なくなってまいりましたので、もう一点伺いたいと思います。  これも大臣所信の中にございましたが、再生可能エネルギーの最大限の導入を強力に進める。またこれも石川県のネタになるんですが、建機のコマツという会社がございます。本社機能の一部を移転するとか、若しくは出生率が高い女性の社員さんを石川県の方で雇用するとか、いろいろな地方創生に対する模範となるようなお取り組みをしていただいているところでございますが、ここが粟津工場という、小松市というところにある粟津工場におきまして、また画期的な工場の方を今稼働しております。  いろいろな省エネルギー、若しくは創エネルギーですね、これを駆使しまして、中心には地元の森林組合と連携した木質バイオマスによる蒸気ボイラーでの発電、また発電だけじゃなくて、その熱を利用した空調への転用であったりとか、まあ本当に、ソーラーパネル、バッテリー式充電のインパクト、地下水熱の利用、LED、いろいろな策を講じて、その粟津のある生産工程の工場におきまして、購買電力量の九〇%をカットする、九〇%カットですよ、これを目標に掲げてこれだけのことをやってまいりまして、先般、この木質バイオマスに関しましては三月九日に稼働を始めたところでございます。そして、今、コマツの方からは、この九〇%の購買電力のカット、削減、これに関しては恐らく二〇一五年度中には達成できるだろうという見込みまで立っていると。  この木質バイオマスに関しましては、資源が乏しいこの日本におきまして約七割を占めている森林、有益な資源としても活用が期待されるところでございます。同じ再生可能エネルギーでも、環境アセスメントの問題であったりとか、水利権の調整に時間が掛かる等、風力であったり若しくは水力、またいろいろな発電効率関係で太陽光に関しても一長一短がある。そんな中で、木質バイオマスに関しましては一定の安定した発電の在り方というものが期待をされているところでございます。  本日、ちょっと時間がないので、農水省の方には申し訳ないんですが、農水省の方からも、地方創生で林業としっかりと連携をした形での木質バイオマスの推進、これにはお取り組みをいただいていると思いますので、是非、両方の部分を鑑みたお取り組みを更に更に推し進めていただきたいと思っておりますが。  やはり、地域に根差した林業を始めとする関連産業にもこれはいい意味で派生をしていく地域密着型の再生可能エネルギー在り方が実現できるんじゃないかと思っております。当然、産業経済の活性化もございますし、雇用等の確保、いろいろな部分効果が見込まれております。天候にも左右もされません。出力変動も小さいです。負荷が低い安定的な電源であって、やはりいろいろと変動がするほかの再生可能エネルギーと比べてもエネルギー政策上重要な電源であると、このように経済産業省でも捉えていただいていると思っております。また、環境面におきましても、二酸化炭素を吸収する、そして、燃やす段階には排出しますが、いわゆるカーボンニュートラルを実現をする。資源が乏しい日本においても、本当に未来に向けた重要なエネルギー源になると私は思っております。  また、福島の復興、再生の一環としても再生可能エネルギーの利活用を推進する、また、新たな産業の基盤を構築する、こういった発言も大臣の方からございました。是非是非、木質バイオマスには大きな可能性がある、可能性が秘められている、このように私は推察するところでございます。今後更に木質バイオマスの導入を促進していくために、経済産業省の方でどのようにお考え、そしてどのように今後取り組んでいくのか、その意気込みも含めて是非御答弁をいただきたいと思います。
  19. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 貴重な御質問ありがとうございます。  木質バイオマス発電の導入促進、経産省の取組ということでございますが、地域に存在をいたします木材等を有効活用するバイオマス発電は、エネルギー基本計画におきましても、安定的に発電を行うことが可能な電源となり得る、また地域活性化にも資するエネルギー源だということに位置付けられているところであります。経産省においても積極的に各種取組を現在も進めているところであります。  まず、再生可能エネルギーの導入拡大の原動力であります固定価格買取り制度におきましても木質バイオマス発電を買取りの対象としてきており、各地において発電への投資が現在も進められているところであります。また、固定価格買取り制度については、来年度より二千キロワット未満の未利用木質バイオマス発電を対象に別個の買取り区分を設けております。具体的に申し上げますと、一キロワット当たり三十二円だったものを四十円ということでインセンティブを与えさせていただいておりまして、それによりまして、小さい事業規模でも木質バイオマス発電に取り組めるようになったことで更なる木質バイオマスの利用促進につながることが期待をされております。  加えまして、固定価格買取り制度の対象とならない自家消費向けのバイオマス発電設備については、導入促進のために予算措置を講じているほか、農林水産省と連携をして、林地残材等の原材料を安定的に収集、運搬し、地域エネルギーを自立的に賄うモデルを確立するための実証事業を今実施しているところであります。  これらの取組は、議員の御指摘のとおり、地方創生の観点からも大変重要でありまして、引き続きこのような支援策を講じることによりまして、各地域におけるバイオマス発電の取組をしっかりと支援していきたいと、こう考えております。
  20. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 時間ですので、質疑をおまとめください。
  21. 宮本周司

    宮本周司君 はい。  ありがとうございました。是非、再生可能エネルギー、また未来に向けたエネルギーのベストミックス、これを追求していただきたいと思います。  炭素繊維というものがございます。炭素繊維、日本企業大手三社が全体シェアの七割を占めておる。ただ、新しい工場に関しては、今エネルギーが、電力料が高いということで海外の方に移転するということもあるようでございますので、どうかそういった部分にも御配慮いただけたらと思います。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  22. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもおはようございます。民主党の直嶋でございます。  今日は久しぶりに質問に立たせていただきますので、幾つか重要な点について大臣のお考えを伺いながら質疑を進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、最近、特に物づくり企業が海外生産をどんどんこの数年拡大してきたわけですけれども、一部で企業が国内に戻っていると、国内回帰の動きがあると、こういうふうに言われています。事実、日本を代表するような物づくり大企業も幾つかそういう対象として伝えられておりますが、これは多分為替の影響もあるんじゃないかとは思うんですが、同時に、それだけではなくて、いろいろ重要な変化があってこういう現象が起きているのかなというふうにも思えないこともございません。  そういう意味で、まずこういった企業の国内回帰について、これが本物、本物と言うとちょっとおかしいんですけど、全体的にこういうことになるのか、一部の現象なのか、これからどうなっていきそうかというところを、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。
  23. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) このところ、物づくり、製造業の国内回帰というものが随分いろんな各社で報じられておりまして、大変いい傾向だなと思っております。  その原因は、まず、おっしゃるように、恐らく一番大きなものは、円安が定着してきたというふうに見た結果、例えばパナソニックなどはやっぱり円が安くなると赤字が多くなるというようなことのようでございまして、そういうことで戻ってきた企業が多いと思いますけれども、一方で、恐らくそれだけではなくて、かつて六重苦と言われたような状況があったわけですけれども、例えば、その中で法人税については今回税制改正で表面税率を、実効税率を下げる方向で今、国会で御検討いただいているとか、それからTPPを始めとする国際連携についても前向きの動きが出てきているというようなことをいろいろ評価された上で戻ってこられていると思っておりまして、そうした意味では恐らく今後もかなり続いてくれると思っておりますが。  一方で、企業が海外に行く一番大きな理由というのはやはり海外の需要に応えるためということで、消費国の近くに生産拠点を構えるといったような理由が一番大きな理由でありまして、この点につきましては、まだそういう観点から海外で生産を続ける、また海外に生産設備を、新しい工場を造るといったような動きも恐らくあるんだろうというふうに思っております。
  24. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  それで、ここからが一つの議論なんですが、政府は今地方創生と言われておりまして、いろいろな政策を出されていますし、二十七年度予算とか二十六年度の補正でかなり財政資金も投入して取り組まれております。  私は、こうした国内企業の回帰は、物づくり企業というのは東京の都心ではなくてむしろ地方にたくさんありますから、これを地方の活性化につなげる非常にいい機会だというふうに思っています。そういう目で実はこの二十七年度予算もちょっと拝見させていただきました。地方の活性化に向けていろんな予算が入っているんですが、実は、外国から帰ってくる企業地方にきちっと誘致して活性化しようという政策がちょっと私の見た限りでは見当たらないんですよね。ただ、さっき申し上げたように、非常にこれいいチャンスだと思うんです。  ですから、これを生かしてやはり地方の活性化に貢献していく政策を考えるべきだというふうに思うんですが、こういった取組についてお考えありましたらお聞かせをいただきたいと思うんですが。
  25. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 国内への回帰の動きが多くなっていると先ほど申し上げましたけれども、例えば、おっしゃるように、東芝ですと新潟県の工場に移管するとか、キヤノンですと茨城県の取手工場とか滋賀県の長浜工場へ移管するというようなことでございまして、まさに製造業が帰ってきてくれますと、特に大手の製造業の拠点は大体地方でございますから、大変いいことだろうというふうに思っております。地方創生のためにもなっているわけでございますが。一方で、地方創生につきましても、今年度いろいろ来年度に向けて手当てをしまして、恐らく一番大きなものが税制だろうと思います。地方に本社を移す、研究拠点を移すといったところにかなり特別措置を講ずるということで支援をしているわけでございます。  そういう中で、外国から帰ってくる企業に対する制度がないと、予算もないというのはまさにおっしゃるとおりでございますが、国内で東京から地方に行く人と海外から帰ってきた人とを区別して、海外からだけ優遇するのは正直なかなか難しいのかなという気がいたします。
  26. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 おっしゃる意味は分かるんですが、私が申し上げたのは、むしろさっきおっしゃった東芝とかキヤノンとか、これはまあ要らないと思うんですよ。それを一つのチャンスに、地域中小企業、さっき中小企業お話もありました、こういうところに思い切った手を打てばより広がりが大きくなるんじゃないかなと、こういう発想だったんですけれども、また是非検討いただければ有り難いと思います。  それで、この話と次の話がちょっとつながると思うんですけれども、車の話なんですけれども、自動車産業も、やはり前回申し上げたように、地方でしっかりと生活と雇用を支えている産業だということなんです。それで、御承知のとおり、関連産業を含めると大体雇用の一割、五百四十七万人を抱えている、生み出しているということで、一方で地方のまさに生活の足になっています。  それで、平成二十七年度の税制改正なんですが、実はこの中で車体課税で合計七百七十億円の増税になっています。先般、ちょうど春の賃上げ交渉が終わった後ですかね、自動車工業会の会長が発表されていましたが、今年度の車の国内販売が五百万台を五年ぶりに切ると、こういう見通しを発表されて、その中で理由として挙げられていたのは、今申し上げた七百七十億円の増税がやはり効いてくると、こういう見通しであります。  私がずっと、経験で申し上げますと、国内五百万台を切るというのは、雇用の面での一つのレッドサインなんですよね。国内生産一千万台ぐらいというのが雇用を維持する上で必要だと、こういうことでありまして、そういう意味でいうと、今議論した地方の活性化とかあるいはデフレ脱却とか、こういう政策から見るとむしろ逆行していたんじゃないかと、もうちょっとここで御判断いただいておればもう少しプラスに作用することができたんじゃないかなと、こういうふうに思っていまして、これが一点なんです。  それからもう一つは、この税制改正の中で、先の話なんですが、自動車税の環境性能割を取得時に導入すると、こういうことになっています、中身はまだ決まっていないということなんですが。ただ、これはちょうど消費税一〇%の引上げ時に自動車取得税を廃止するということに決まっていますよね。購入時に払う自動車取得税を廃止して、購入した一年目に環境性能割を乗っけると。これはもう明らかに税金の付け替えですよね。ですから、私はこれはもう絶対容認できないというふうに思っていまして、相当強い覚悟で反対しようと思っていますが。  いずれにしても、この二十七年度のものとこの環境性能割の話なんですが、これはもう導入するというふうにおっしゃっているんですけれども、今からでも遅くないんで撤回していただくと、こういうことも含めてちょっと大臣から御所見を伺いたいんですけれども。
  27. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず一点目のエコカー減税の関係でありますけれども、まず、自動車産業の重要性ということにつきましては、たしか昨年の秋にも議論をさせていただきまして、本当に日本経済のエンジンそのものでありますから、これからもしっかり産業として伸びていっていただかなければいけないと思っておりますし、そういう中で、今、国内販売という話をされましたけれども、逆に国内販売がそれなりにあるから国内での生産が維持されているということも確かでありまして、国内販売というものをしっかり減らないようにしていくということは大変大事なことだと思っております。  ただ一方で、エコカー減税という制度自体は、車を売りやすくする、買いやすくするための制度ではなくて、環境性能のいい車を生産していただく、買っていただくということで導入をしておりますので、今年はもう御承知のとおり燃費基準の切替え年、二〇一五年度基準から二〇二〇年基準に切り替えるということで、やはり、より環境性能のいい車を買ってほしいということで環境性能の切替えが行われたわけであります。  そういう中で、正直言って結構苦労をいたしまして、課税側の方からしますと、財務省であり総務省からしますと、それはもう新しい基準一本でいいじゃないかと、二〇二〇年基準に統一して、すぱっと切り替えることによって環境性能のいい車の導入促進を図る、そして年々いい車が増えていって、次二〇二五年基準に切り替えると、こういうことを考えていたわけですけれども、なかなかそういうわけにもいかないだろうと。  やはりおっしゃるように、自動車の販売というものが、当時は底堅いと言っておりましたけれども、若干二月は良くないようでございまして、そういう中で、やはりそういう販売というものにも相当日本経済のことを考えていろいろ気を遣っていかなければいけないというような中で、当初二〇二〇年基準だけだったものに、下にと言ってはなんですけれども、二〇一五年基準も入れることによって九割近い自動車が減税の対象にはなるということにいたしました。そういう配慮をした上での結果ということを申し上げなきゃいけないと思います。  それからもう一つ、自動車取得税の廃止がまさに自動車税の取得時課税に肩代わりすると全く意味がなくなるというお話でございました。  これにつきましては、平成二十六年度の税制改正大綱におきまして、自動車取得税が果たしてきたグリーン化機能を維持強化する観点や地方財源の確保等の観点から、自動車の取得時において燃費性能に応じて課税を行う環境性能課税を導入すると、こういうことが書かれております。  そういう方向については方向でございますけれども、例えば軽自動車につきまして自動車税を一・五倍にするといったような、ある意味では地方財政に対する配慮も一方でしていることを考えれば、まさに自動車取得税の廃止がそのまま自動車税の取得時課税に付け替えになるようなことはこれは認めるわけにはいかないと考えておりまして、しっかり対応していきたいと思っております。
  28. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございます。まあ、ありがとうございますと言いましたけれども、これでいいですということではありません。  それで、今のお話の中で、要はグリーン化ということで導入していくということなんですが、グリーン化というのは大体政策減税をしてきたわけですよね、環境にいいからと減税してきたわけです。それなら、減税入れてくれるのならそれは結構ですよ。是非そういうことも含めて御検討いただければと思います。  それからもう一点、ちょっと時間の関係もあるので簡潔にいきたいと思うんですが、それは今年までの話なんですが、やはりこれからのことということでちょっと一点申し上げたいんですけれども、この自動車の特に車体課税については、一つは、もう課税根拠がないんですね、自動車取得税とか重量税は、これはそういうことなんですよ。ですから、課税根拠が喪失していると。それから二つ目には、自動車取得税と、これは整理されるということなんだけれども、消費税は二重課税だと。同様に、自動車重量税と自動車税も二重課税。それから、三点目の話として申し上げますと、自動車には取得、保有、それから走行ですね、これは燃料課税なんですが、まああっちからこっちからたくさんの税金が掛かっていて、複雑で、しかもユーザーの負担が非常に大きいと。この三点は、実は経済産業省税制改正の必要性のところできちっとおっしゃっておられます。ですから、ここは認識は私は共有だと思っているんです。  ここから先の話なんですが、ちょっと古い話なんですけど、例えば消費税を、以前、一九八九年に導入したんですかね、このときに、いろいろ議論、私もまだ議員じゃありませんでしたが議論に参加させていただきました。要は趣旨は、日本経済が成長してきて国民生活も成熟してきたと、すると、個別間接税で国がこれはぜいたく品だからこれは税金掛けるとかこっちは掛けないとかやっていくのは恣意的なこと、環境が変わってくればそういうことになるんで、個別間接税というのは整理をして、いわゆる一般消費税ですよね、広く薄く掛ける消費税に間接税は置き換えていこうと、こういう方向で来たと思うんです。  そこに振り返って見てみますと、自動車もこれは個別間接税だと思うんです。耐久消費財なんですが、例えば自動車は今言ったようにたくさん税金掛かっています。根拠のない税金が掛かっているんです。しかし、家電の例えば大型テレビなんかは一切掛かっていませんね。消費税だけで終わりです。高級腕時計、百万、数百万するものも間接税は掛かっていません。宝石も掛かっていません。貴金属も掛かっていません。個別間接税で今残っているのは、酒、たばことあと石油があるぐらいで、ほとんど整理されちゃっているわけですよ。  これはやはり、もう大臣には釈迦に説法ですけど、税の基本は公平、中立、簡素ですよね。こういう視点から見たときに、やはりこれは非常に徴税側から、税を取る側からいっても税を納める側からいっても非常に不合理な形で残っているんじゃないかと、私はそういうふうに思うんです。  さっき大臣おっしゃったように、車はもう国民の足になっているし、自動車産業も雇用を支えて、屋台骨支えている産業だということを考えると、こういう辺りからちょっと根本的にやはり見直していただきたいんですけど、見直すべきだと私は思っています。さっきお話あったエコカー減税も、配慮して上がるやつを抑えたんだということなんですが、もう五段階になっちゃっていますからね。営業している人は、もう車の説明より税金の説明で大変だと、こういうふうに言われているんですよね。  ですから、そういうふうに簡素化していくことも含めて是非根本から見直していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  29. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 自動車取得税については、もちろん廃止が決まっているわけであります。  一方で、実は自動車重量税については、私も今の立場ではなくて税制調査会でやっていた立場で申し上げますと、二十五年度改正のときに、自動車重量税について、与党の税制改正大綱におきましては、自動車重量税については、車両重量等に応じて課税されており、道路損壊等と密接に関連している。今後、道路の維持管理、更新や防災、減災の推進に多額の財源が必要となる中で云々というような記述が実はありまして、これが自動車重量税を、ある意味ではおっしゃるように特定財源でなくなったときに重量税というものはなくなるという議論が一方でありますんで、それに対して重量税を存続させる課税根拠はこれだという実は文章を一応書いておりまして、それが一応与党としての見解になっているということであります。  一方で、自動車に掛かる税というのは、おっしゃるように本当に複雑多岐になっております。自動車取得税がなくなるわけでありますけれども、まだおっしゃるように購入段階で掛かる、また持っているときに掛かる、更に燃料として掛かるというような税になっていまして、それこそ一番理論的な方たちは、もう購入段階とか保有には掛けないで、走る量が多い車、燃費の悪い車というものに負担してもらうという意味であれば燃料課税だけでいいではないかということももちろんあるわけでありますけれども、なかなか白地から議論ができるわけではなくて、いろんな業界の関係者があったり、また、その税収である意味では財政を維持している地方の声等々といったものがある中でいろいろ検討を進めなきゃいけないと思っておりますけれども。  おっしゃるように、簡素化ということは大変大事な点だと思っておりまして、経済産業省として本当にこれから、今まではかなり負けていたわけですけれども、少し攻めていかなければいけないと思っております。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今日はエネルギーの話をしたいと思っていたんですが、したがって、もう余りこれ深入りしませんが、今大臣が御答弁の中でおっしゃった自動車重量税の話なんです。  これは自民党さんと我々と一番考え方が違う部分だと思うんです。それで、僕はずっとさっきの議論で、ガソリンの方の税金のことは一切申し上げていません。つまり、ガソリンがリッター当たり幾らという形でガソリン税、揮発油税が決められている最大の理由は、道路を走って傷める、要は受益者負担の形でいただきますよということで決めた税金がガソリン税なんですよね。ですから、先ほどの重量税の課税根拠は、実はガソリン税と全く同じじゃなくて、むしろやや曖昧な形で付けられているわけです。  ですから、これから攻めると、こうおっしゃっていただいたので、是非そういう立場に立って、あの自民党の税調の猛者連中を是非大臣の力で抑え込んでいただきますようにお願い申し上げたいと思います。  それで、あとエネルギーの方の話をさせていただきたいと思うんですが、御承知のとおり、温暖化対策なんですが、COP21がパリで今年の十一月ですかね、予定されています。そこで二〇三〇年に向けた温暖化対策目標というのを議論するという手はずになっていまして、本当は、これ三月末までに出せと、出せる国はみたいな書き方していますが、御承知のとおり、もうアメリカもEUも数字は出していますし、この数字が目標数値かどうか分かりませんけれども、中国も既に数字を出しています。そういう意味では、ちょっと日本は遅れているというんですかね、ということじゃないかなと思うんです。  まず、このCOP21に向けてお出しになる数字なんですが、私は、やはり先進国として二〇五〇年マイナス八〇という約束がありますよね、洞爺湖サミットの、こういうことも踏まえますと、やはり国際的にも遜色がないCO2削減目標を出さなければいけないと、こう思っているんですが、この点に関して現時点で大臣はどのようにお考えなのか。  それから、これとエネルギーミックスが関わってくるわけですね。大臣もこの間の所信でできるだけ早くと、こうおっしゃっていますけど、こういう国際社会のスケジュールを考えたときに、どういうぐらいのところでこの結論を出していかなきゃいけないとお考えになっているのか、ちょっとこの二点をまずお伺いしたいと思います。
  31. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、エネルギーミックスの方から申し上げますと、一月から長期エネルギー需給見通し小委員会において、エネルギーミックスの検討をしていただいております。  その中で、各電源ごとのコストといったものも、民主党がつくられた二〇一一年の数字を、基本的な考え方は同じでありますけれども、見直しを図っていくということで作業を進めておりまして、なかなかいつまでにとは申し上げにくい状況ではありますけれども、なるべく早く速やかに取りまとめを行いたいと思っております。そして、エネルギーミックスが決まりますと大きな枠が決まるわけでございまして、その後COP21に対する対応ぶりを決めていくと、こういうことになろうかと思っております。  そして、先進国、かなり削減目標を提出しているところもあるわけでございますけれども、まだのところもあって、いつまでにと決まっているわけではないわけでありますけれども、それは、じゃ、十二月の会議なんだから十一月に決めればいいというものではないと思っておりまして、速やかに決定していきたいというふうに思っております。  そして一方で、今おっしゃった削減目標につきましては、今後のエネルギーミックスがどういうものになるか等々といったものに関係して、今の段階で申し上げる状況ではもちろんないわけでありますけれども、EUは既に削減目標を提出している、また米国も近々提出の予定と聞いております。  そういう中で、やはり我が国といたしましても、世界の温暖化防止に積極的な役割を果たすことが必要でありまして、そういう考えの中でしっかりとした削減目標を決めなければいけない。まさに我々としても、温暖化防止のために積極的に寄与するつもりだということが分かるようなものがある程度必要なんだろうと私も思っております。
  32. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  それで、この後、エネルギーミックスに関わる幾つかの問題について御所見を伺いたいと思います。  まず、エネルギーミックスというと、すぐ皆さん頭に浮かぶのは電源構成なんですよね。ただ、実は日本エネルギー消費見ると、電力の比率というのは、最終消費で見ると二十数%で、三〇%ないと思うんです。多くは非電力部門、これは言葉を換えて言いますと熱での消費だというふうに思いますけど、そういう意味では、まず温暖化防止も含めてエネルギーの全体の利用効率を上げていくということを考えますと、まずこの熱利用の拡大、うまく効率よく使っていくということが最優先の課題になるんじゃないかというふうに思っています。  そこから話を発展させますと、この熱への取組を併せていくと、いわゆるコージェネレーションというんですかね、等のさっきお話があったような分散型電源、こういうことになってくるんですが、これらも普及を促すことにつながってくるというふうに思うんです。これは省エネ上も、それから防災対策の面でもコジェネは非常に機能が、優れた機能を持っているということは指摘されています。そういう意味での効果が大きいんですが。  ちょっと三つお聞きしたいんですけど、まず最初に申し上げた熱利用というのは優先課題だということについては共有の認識ということでよろしいかどうか。  それから二つ目は、この熱利用について、先ほどお話の出た長期需給見通し小委員会で、私もいろいろと議論を仄聞させていただいておりますが、この熱利用とその効果について、率直に申し上げて余り熱心に議論されているという感じには見えないんです。そういう意味で、やはり全体としてこの熱利用に関して、例えば大きな目標を設定をして、それに向けた政策をしっかり実行していくとか、こういう考え方が必要だと思うんですが、その点が二点目でございます。  それから三点目は、コジェネの分散型電源について、この三点目はエネ庁長官からでも結構でございますけど、今どのぐらい普及していて、それから将来どのぐらいの、どういう目標を持って、あるいはどれぐらい見込まれると。あちこちで話聞くんですけど、あちこちの話で、じゃ、これで日本としてどれぐらい効果あるんだというのが全く見えないんですよね。  ですから、ちょっとその以上三点について大臣なり長官の方からお聞かせいただければと思います。
  33. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、熱利用の拡大といったことでありますけれども、電力以外の、非電力のエネルギー消費が四分の三、電力が四分の一でございますので、この分野における省エネというのは大変大事なことだろうと思っております。そういう中で、熱損失の防止とか廃熱などの未利用エネルギーや再生可能エネルギー熱の活用とか、事業所間の熱融通といったことは特に重要になってくると認識をしております。  また、例えば地中熱といったようなものにつきましても、先ほど宮本委員の方からコマツの例がありましたけれども、あそこも地中熱を随分利用しているようでございますけれども、やはりそういう地中熱の利用といったことも大変大事でありまして、これは恐らく最も大事な政策の一つだろうと私は認識しております。  そういう中で、熱利用についてエネルギーの小委員会で余り議論されていないという話があって、残念ながら私も全部議事録をこの辺読んでいるわけではなくて、ああそうだったのかなと思っておりますが。やはり、熱利用のまさに拡大であり、効率化といったもの、そしてそのスケジュール感といったものにつきましては、今委員が御指摘があったように、やはり我々としてもしっかり目標といったものを立てていかなければいけないと思っておりまして、今後具体的にどうするか検討していきたいと思っております。
  34. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) コージェネレーションの話でございます。  御案内のとおり、コージェネレーションと申しますのは、天然ガスであるとか石油であるとか、あるいはLPガス、こういったものを燃料といたしまして、エンジン、タービン、燃料電池、こういった方式によりまして発電し、その際に生ずる熱も同時に回収する、まさに両方、熱と電気と両方供給することができるということでございまして、需要点に近い地点で設置する分散型エネルギーということで、エネルギー輸送ロスが非常にないという非常に効率の高いシステムであるわけでございます。  現在、コージェネレーション全体の導入状況でございますけれども、現在の導入量は約一千万キロワットでございまして、一時、リーマン・ショック後伸び悩んでいたものでございますけれども、震災以降になりまして、需要家の災害対応の意識の高まりと、こういったこともございまして、再度導入が非常に進展していると思っております。  私ども、特に燃料電池につきましては、委員御承知のとおり、大きな補助金制度というものを持ちながらこの導入を促進しておりまして、引き続き、このコージェネというものは熱利用の中で省エネを進める一つの大きな役割を果たすべきものだと考えておりまして、私どもも、このエネルギーミックスを策定する中でも、あるいはエネルギー基本計画の中でも、この燃料電池につきましてはたしか二〇三〇年で五百三十万台という目標だったと思いますが、設定しておりますけれども、そういった数値を念頭に置きながら、エネルギーミックスの策定の中においてもコージェネレーションというものを重視していきたいと考えております。
  35. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  例えば、コジェネでいいますと、今これからの電力システム改革もありまして、コジェネの業界の皆さんにお話聞くと、もう既に明らかにされておりますが、二〇三〇年で三千万キロワットを目標に掲げて、それは実行可能であるというふうにおっしゃっておられます。  そうすると、その時点で消費される日本の電力を考えると、能力としては相当大きなものになると思っていまして、今長官からは検討中であるということなんですが、やはりその二〇三〇年のエネルギーミックスの中にきっちりと入れていただきたいと思うんです。  それから、さっき宮本さんからコマツの粟津工場のお話がありました。実は私、三月の初めに見せていただいてきまして、説明も聞いてまいりました。これはもうすばらしい取組です。さっきお話しのように、節電と創電とおっしゃっています、電気をつくることによって九割以上電力を消費を抑えられると。こういう、これはもう給湯なんかも使っておられますから、まさにコジェネなんですよね。熱と電気をしっかり使っていると、こういうことなんです。実はこういう取組というのは結構あちこちあります。それから、例えば長野県とか今東京都で、二〇三〇年でエネルギー消費を三〇%減らすということで、具体的に取組進められています。  ですから、こういうものをやはり政府もしっかり後押しをして普及させていくということをやれば、相当省エネにもつながるし、再生可能エネルギーの普及にも役立つというふうに思っていまして。  実はちょっと私、この分散型の電源の政府の、経産省以外の環境省だとか農水省だとか国交省でいろいろやっておられます。こういう予算もちょっとチェックしました。実は、これは申し訳ないんですけど、純粋にじゃ分散型電源の予算はどうなんだというと、経産省の予算は、間違っているかもしれませんけど、大体百億円ぐらいなんですよ。あとは研究開発、大事なことですからこれは別に駄目と言っているわけではないんですけど、実際にやっているのは百億円ぐらいなんです。しかし、ほかの三省を合わせますと、大体二千五、六百億円付いています。  だから、やはりこれ経産省の目の見えるところじゃなくて、これは政府全体の話に関わりますから、政府全体で、やはり環境省や農水省や国交省としっかりこれも可能性を検討していただいて広げていくと、こういうやり方がこの分野は大事なんじゃないかなと思っていまして、是非そういう進め方をお願い申し上げたいと思います。  何か御所見ありましたら、お伺いしたいと思います。
  36. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 経産省は、常々他省庁から、他省庁の仕事に口を挟み過ぎると文句を言われている嫌いがありますけれども、この点は少し突っ込んでいいのかなという思いで伺っておりました。
  37. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 是非お願いしたいんです。  それで、さっきのコマツのケースでいうと、実はこれも経産省から出されている資料なんですが、日本の工場の設備の老朽化というのは今すごく進んでいるんです。九〇年代以降余り新しいものできていないんですよね。これ、経産省の資料によると、十年以上が六割、それから、大体固定資産の減価償却というのは十五年ぐらいのものが多いというふうに、設備の減価償却ですね、十五年ぐらいのものが多いと聞いているんですけど、それ以上のものを取ると四割あります。ですから、今設備の更新期なんです。それは中小企業にコマツのまねしろって言ってもこれはできないと思うんですが、しかしやれるところはあると思うんです。  ですから、あとはどういうインセンティブを与えて政策誘導をしていくか、これはまさに経産省の腕の見せどころだと思いますので、この点も併せて、是非そういうことを議論してエネルギーミックスの中に織り込んでいただきたいんです。このことを要請しておきたいと思います。  それで、ちょっと今、実は内心弱っていまして、想定している質問がまだかなり残っているんですが、あと時間が余りございません。それで、恐縮なんですが、ちょっと途中は省略をして前へ進みたいと思うんですが。  次に、そういう中で再生可能エネルギーの導入、これちょっと議論したいと思うんですけど、大臣も最大限の導入を強力に進めるというふうにおっしゃっておられます。  ただ、先日報道されていますから、まだ決まっていないということなんですが、経産省が発表された再生可能エネルギーの導入見通しでいうと、これはまだ上乗せありだというふうに聞いていますけど、二〇%ちょっとでありまして、私はやっぱりこの数字は幾ら何でも低過ぎるというふうに思っています。日本の再生可能エネルギーの今現状、特に風力とか太陽光の変動型エネルギーなんですが、まだ今一・五%ぐらいです。御承知のとおり、もうヨーロッパ等では十数%から、多いところは四〇%ぐらいのところがあります。これは多分これから増えていくと思うんです。  そういう意味でいうと、やはりもっと高い目標をしっかり掲げていただきたいなと、こういうふうに思っていますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  38. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、長期エネルギー需給見通し小委員会における議論につきましては、おっしゃるように、これから更に検討されるということでございます。  一方で、エネルギー基本計画におきましては、これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準、二〇三〇年の発電電力量の約二割、二千百四十億キロワットを更に上回る水準の導入を目指し、ベストミックスの検討に当たってはこれを踏まえるということにされておりまして、そういう中で最大限の導入という基本的方針の下で検討していきたいと思っております。
  39. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私どもでもいろいろ計算しまして、エネ庁の皆さんほど緻密には計算していませんけど、三割ぐらいは可能です。小委員会のメンバーの先生の中にも、やはりそれぐらい可能だという人もいらっしゃるし、それぐらいはやれという人もいらっしゃる。ですから、是非そういう声も聞いてお決めいただきたいと思うんですが。  一つあるのが、いわゆる系統の地域間連系線の話なんですが、日本の電線というんですか、の特徴は、今回のこの再生可能エネルギーの導入目標の決め方もそうなんですが、各電力会社単位で、どれだけ再生可能エネルギーが入るのかと。もうちょっと言うと、それも原発をかなり使った上でという計算なんです、今の、先ほど大臣がおっしゃった二〇%強というのはですね。ですから、その中の一つのものとして、このやはり連系線の活用を含めて運用を見直していくことが重要じゃないかと思うんです。今は個別の電力会社単位で行われているものを、やはり電力会社を超えて活用していくと。  実は、今申し上げたように、日本は個別の電力会社範囲内での需給調整なんです。ただ、例えばEUでは、これは系統接続とか給電に関して自然エネルギー優先規定になっていまして、あちらへ行くと驚くのは、接続可能量とか連系可能量という概念がないんです。入れなさいと、こういうことなんですよ。  そういう意味でいうと、これは再生エネの接続問題のワーキンググループの御議論のところでも出ていますけど、要するに、例えば優先給電指令とかあるいは地域間連系線の利用ルールを変える。実は、これを変えていくと、電力会社相互の精算ルール、お金の精算ルールも、実はこれが邪魔しているんですよ、結構。ですから、こういうものをしっかり議論をして変えていかなきゃいけない。これは実はワーキンググループの方からのおまとめの中で出ています。  ですから、こういうことを、エネルギーミックスは二〇三〇年の話ですから、やはりきちっと議論して結論出して、それを織り込んでエネルギーミックスというのをつくっていかなければ、そうあるべきじゃないかと思うんですが、是非この点お願いしたいんですが、大臣の御所見お伺いします。
  40. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 再生可能エネルギーにつきましては、FIT、固定価格買取り制度の導入によりまして、たしか導入前に比べて七割伸びているといったことで、非常に固定価格買取り制度効果のある政策だったと思っておりますが、一方で、大変太陽光に偏ったという点がございまして、そういうところからいろんな問題も生じてきております。  安定的なエネルギー源ということであれば、例えば地熱ですとか水力といったものは実はもっともっと伸びてほしいけれども、なかなかこれまでのところ伸びていないといったところをどうしていくかというような課題があるんだろうと思います。また、例えば大型の風力につきましては、恐らくコスト的にはかなり低いところまで来ると思っておりまして、こういうものもしっかりと導入促進を図っていかなければいけないんだろうというふうに思っております。  そういう中で、地域間の連系でございますけれども、地域間の連系線の更なる活用ということはまさに再生可能エネルギー導入のためには大事なことでありまして、私どももそれを進めていきたいと思っておりますし、また、今年の四月から広域的運営推進機関がいよいよ動き始めますので、そこでまず、地域間連系線の運用容量につきまして、今後は、今までは年度を通じてまさに電力会社間で固定しておりましたものを三十分ごとにきめ細かく算定するというようなことや、小売事業者に加えまして発電設備設置者も地域間連系線の利用予約ができるようにするといったことをまず始めまして、地域間連系線の活用というものを促していきたいと思っております。  そういうものを全部加えた上で、当然そういう状況を加えた上でエネルギーミックスというものを策定してまいります。
  41. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の大臣の御答弁、是非それを実行していただいて、エネルギーミックスに反映させていただきたいと思います。  実は、ここに持っているんですけれども、電力システムに関する改革方針。これは電力システム改革を閣議決定した際の文書なんですけれども、その一番の中にちゃんと書いているんです。「これまでの「同じ価格で需要に応じていくらでも電力を供給する」仕組みではなく、需要家の選択により需要を抑制したり、地域間の電力融通等の指示を行うことができる仕組みを導入し、需給ひっ迫への備えを強化する。」と。閣議で決まっているんですよ。ですから、是非、エネ調の方で、総合調査会の方でしっかりこれを受けた形で御議論をお願いしたいと思います。  それでは、もうあと時間がなくなりましたので、一点だけ。  この間、電力会社が五つの原子力発電所の廃炉を、原子炉の廃炉をお決めになりました。今、よく今年が再稼働元年だということを言う方は多いんですけれども、むしろ私は、それはそうかもしれないけれども、廃炉元年なんだと、これから廃炉が大事なんだと、こういうふうに申し上げています。  特に、やはり廃炉ということになってくると、余り日本経験ないですよね。一番私、心配するのは、今、国民の皆さんの大体六割ぐらいが再稼働反対なんです。これは福島の事故を経験して。まあ再稼働するかどうかは規制委員会の科学的見地に立った基準をクリアしているかどうかなんです。だけれども、考えてみると、我々はかつて、科学的見地に立てば原発は絶対安全なんだと、大丈夫なんだと、こう言い続けてきたわけですよね。で、あの福島の事故が起きた。だから、やはり国民の皆さんの見る目は違うと思うんです。  私、心配するのは、この廃炉が増えていくと、今まだ廃炉の、いわゆる放射性廃棄物を始めとした廃棄物の処分が決まっていないし、現状を聞きましたけれども、ほとんど進んでいませんね。浜岡は二十七年掛けて、二〇三六年とおっしゃったか、二〇三六年ですかね、三十年近く掛かると。東海原発の廃棄物の処理はほとんど手に着いていません。ルールはあるけれども、動いていないんです。そういうものもあります。  ですから、これをやはりちゃんと見通しを、道筋を付けていかないと、我々は、二〇三〇年代で原発はもう使わない、そこの判断をすると、こう言っていますけれども、政府は今のところ、依存度は下げるけれども、使わないとはおっしゃっていませんで、多分使うおつもりなんじゃないかと思うんですが。もしそうであればあるほど、やはりこの廃棄物の処理をきちっとやる、これがもう世論の理解を得る上で欠かせない、こういうふうに思うんですけれども、この点について最後にお伺いして、終わりたいと思います。
  42. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まさに今、廃炉元年の年に今年はなったんだろうと思っております。  まず、廃炉に伴い発生する低レベル放射性廃棄物につきましては、これはまず発生者責任の下で、事業者自身が処分に向けて取組を進めることが第一でありますが、一方で、例えばL1につきましては規制基準がまだ未策定といったようなところがございまして、原子力規制委員会においてなるべく早く結論を出していただきたいというふうに思っております。  その上で、国といたしましても、処分の円滑な実現に向けまして研究開発を推進するなどいろいろ必要な取組を進めていかなければいけないと思っておりますし、また、事業者が処分地を確保する上では周辺地域理解といったものが大変大事でありまして、国としても政策上の重要性などを丁寧に周辺自治体にも説明していきたいというふうに考えております。
  43. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 これで終わります。またこの点については改めていろいろ御議論させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  44. 安井美沙子

    安井美沙子君 民主党・新緑風会の安井美沙子でございます。  短い質問時間なので、早速、質問に入る前に一言申させていただきたいと思っております。  昨年の臨時国会で、私、小渕優子前経産大臣の政治資金問題について質問させていただきました。そのときに資料要求をさせていただいたわけですけれども、委員長、理事の皆さんのお計らいでその一部が提出していただきましてありがとうございました。  しかしながら、本当に一部でございまして、肝腎な資料がまだ提出されていないという状況でございます。取調べの状況などを鑑みますと、なかなかこれが提出されてくることは期待できないのかなというふうに思っておりますけれども、衆参の多くの議員が指摘しておりますように、御本人自らが国会の場できちっと説明責任を果たすことが肝要だと思っております。  今日、御本人がいるわけではないので、なぜこの場で言うかといいますと、経産委員会で最初に質問した者として、責務ということでこの場であえて申し述べさせていただいた次第でございます。  そして次に、これは通告はしていないのですが、宮沢大臣にお伺いしたいことがございます。衆議院の経産委員会の所信に対する質疑の中で、大臣が近藤洋介議員への答弁でおっしゃったことがちょっと気になっております。  引用いたしますと、我々自民党の多数意見は、例えばゼロ歳児保育というものはやはり母親が見るべきであって、保育所に預けるべきではない、こういう議論をしているわけでありますけれどと、こういうふうにおっしゃったんですね。なぜ母親なのかと、父親では駄目なのかというふうにちょっと引っかかりました。  ゼロ歳児のうちは、事情が許せば家庭で子供を育てるべきではないかというのは、私も事情が許せばそうだと思っております。実際、最初の子供は三か月から保育園に預けましたが、二人目は事情が許したものですから、家で育てました。もちろんそれが望ましいとは思いますが、母親でなければ駄目だということをおっしゃいますと非常に違和感を覚えますので、ここの見解をお願いいたします。
  45. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 母親でなければと申し上げたのは、保育所ではなくてといった意味で実は申し上げまして、母乳で育てる等々ということが頭にあったものですから母親という言葉を申し上げましたけれども、やはり父親というものを加えておくべきだったと反省をしております。
  46. 安井美沙子

    安井美沙子君 ありがとうございます。  子供が小さいうちはキャリアを中断するのは必ず女性で男性ではないというような、こういう印象を与えてしまう。まずは、安倍政権として女性の活躍推進ということを今非常に力強くおっしゃっているからには、まず男性閣僚の意識から変えていただきたいと思います。大臣の発言は大変重いですので、訂正いただいたこと、大変有り難く思います。  では、質問に入ります。今日は成長戦略について伺おうと思っています。  成長戦略、これまで歴代の政権、いろいろ出してまいりまして、いつも悩みは、なかなかその経済効果を測りにくいということがございます。それがゆえに、政策評価が曖昧、それで、これまで総花的で余り特徴がない、代わり映えをしない成長戦略というのが続いてきたように思えてなりません。  今回の成長戦略の中で、再興戦略ですけれども、先ほど来話が出ております法人税改革というのがナンバーワンで出てきております。そこで、この法人税改革について伺います。  政府は、数年で実効税率を二〇%台、実現したいというふうにおっしゃっております。この二〇%台とした根拠は何なのかということでございます。法人税引下げのみでの経済効果を算出するというのは困難であると承知しています。特に、平成二十七年度、二十八年度については、基本的には税制中立ということで、先行減税は二千億円ちょっとずつしかないということで、これによる経済効果を計算していないというところはまあ理解できるわけです。  しかし、数年で、これははっきりしませんが、数年で二〇%台というふうにあえて数字をお出しになったということは、例えば、これが二九%なのであれば海外投資をこのぐらい呼び込めるけれども、これを二七%まで下げた場合にはこのぐらい、何割増しでもっと海外投資を呼び込めるんだと、こういったシミュレーションが行われた上でこの数字が出てきたんじゃないかというふうに思うわけですけれども、この数字の根拠を教えてください。
  47. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 海外企業日本に進出してきやすい環境をつくるということで方向を決めているわけでありますけれども、一方で、企業の側からしますと、税率だけではなくて、例えばそういう金目の話でも、社会保険料の負担といったものもありまして、そういう中で結論を出してくる、さらに、日本市場の有効性等々といったいろんな別の配慮もあるということでありまして、したがって効果というものは正直なかなか難しいと思っております。  なぜ二〇%台ということにしたかといいますと、それは、欧州の主要国でいいますと、フランスでは三三%、ドイツでは二九%、イギリスは来月から二〇%といったような、まあ表面税率、実効税率がいわゆる二〇%台に入っている国が多いというようなことを意識して二〇%台という表現にしておりますが。  一方で、状況を申し上げますと、自民党の税調の考え方というものは、これまでの基本的な考え方は、実効税率、表面税率といったものよりは、やはりそれぞれの産業政策等々といった政策的な配慮をすることによって政策誘導をしていくということで、実効税率自体、それは低い方がいいけれども、それよりも政策的な税制といったものにかなり足を置いていたわけであります。  今回は、その方向というものをやはり少し反省をいたしまして、要するに、ターゲティングのように、ある業界、ある生産について優遇するということよりも、一般的な税率を下げることによって、ある意味じゃ民間にそれぞれ頑張っていただく、どの業界がということではなくて、一般的に下げることによって、要するに、政府が、また政治が予想もしていないようなある意味じゃ成長してくる分野が出てくるというようなことを実は考えた、ある意味ではかなり大きな転換をしたと思っておりまして、そういう中で、まあ世界的に見てまず二〇%台まで下げるということが必要だろうと。  ただ、おっしゃるように、じゃ、その政策的、誘導的なものをどう課税ベースを広げる中で削っていくかということになりますと、正直いろんな関係者に影響が出る話でありまして、なかなか一年、二年でできる話ではないだろうということで数年間という表現にしております。
  48. 安井美沙子

    安井美沙子君 大変分かりやすい御答弁でありました。これまで経産省のどなたに聞いてもこういう明快な答えが出てこなかったので、質問をしてよかったと思います。  次に、やはり今回の再興戦略で非常に重きを置かれていますベンチャー企業の創出についてお伺いします。  今までも、数次の成長戦略の中でベンチャー企業の創出というのは常に重視されてきたと思いますが、日本でベンチャーが非常に活発になったという声は聞いたことがありません。資料を提出していますけれども、資料一、御覧いただきますと、やはり開業率という面で見るとずっと日本は欧米諸国に比べて約半分ぐらいで低迷しております。  この再興戦略の中では、この開廃業率というのを倍増して欧米並みにするという大変意欲的な目標が立てられています。そもそもこのベンチャー創出の目標として、指標として開廃業率が用いられること自体後ほどどうなのかというのはお聞きしたいんですけれども、まず、欧米並みにする、つまり倍増するということの目標年次はどうなっているのかということです。もしこれが万が一曖昧な場合は、達成の道筋といいますか、時間軸をどのように考えていらっしゃるのか、この辺の御説明をお願いいたします。
  49. 菅原郁郎

    政府参考人(菅原郁郎君) 日本経済にとってベンチャーの重要性がますます増してきているというところは、議員ももう御承知のところだと思います。  成長戦略の立案に当たってこの開廃業率を目標にするしないということについては、随分内部で議論がありました。といいますのも、この開廃業率の引上げ、欧米並みにするというのは私が経産省入ってからずっと掲げてきた目標でありまして、ここ二、三十年ぐらい経産省として、やはりここについては、産業構造の変革をやるに当たって開廃業率が高まるというのは、人のみならず資本の流動性を高める上でも非常に重要だと。  ただ、残念なことに、日本はこれが低い状態になっているというところでありますが、まさに安井議員がお示しになりましたこの資料にありますように、一九八一年には七・二%のところまで開業率が行ってございます。このときは第二次石油ショックを克服して日本経済がまさに上り坂のときでありまして、まさにこういう時代もあったと。八八年には七・四まで来ておりますので、必ずしもこの一〇%台を目指すというのは不可能ではないと。  ただ、いかんせん、この目標を達成するには、最近のいろんなデータを見てみますと、やはり起業、創業に対する挑戦する意欲が非常に衰えてきていると。これはもう小学生まで遡って意識改革をしない限りは無理と思っておりまして、これまで考えますと、あと三年、五年で確実に達成する目標とするにはまだ生煮えだと思っています。  ただ一方で、ここ二十年来掲げている目標を看板として下ろすのもどうかというところで、今回の成長戦略で、先生からも御指摘ありましたように、いろんなちっちゃな施策を盛り込んでいるというふうに御批判がありましたけれども、ベンチャー施策についてもこの開廃業率の目標以外に様々な施策目標をやっていまして、そこについてはPDCAサイクルを回しながら着実に施策を前進させてこの野心的な倍増という開廃業率の目標をしっかり達成するべく、常に我々が努力するためにもあえてこれを掲げていくべきだという議論がございました。
  50. 安井美沙子

    安井美沙子君 私、何も批判していないのですけれども、何か先取りして、私が言うと予想されたんでしょうか。  目標年次がおっしゃったような理由ではっきりとはしていないということは、一応理解いたしました。大切だと思うのでお聞きしました。  そして、もう一つ大切だと思っているのが、この開廃業率というデータ、これを指標にするのはどうかということです。  実際に、データの中で経産省がベンチャーと認定しているのはどのぐらいの割合なんでしょうか。
  51. 菅原郁郎

    政府参考人(菅原郁郎君) この開廃業率のデータについて申し上げますと、これは労働者を雇用して雇用保険の適用対象となった事業所の数を基に算定しておりまして、そうしますと、分母が二百六万件、分子が、開業のところでありますけれども九万九千件、約十万件でございます。  先生の御質問は、この中でベンチャーはどれぐらいかという御質問だと思いますが、ベンチャーについて、こうこうでないといけないという定義は我々は持ってございません。やはり、新たなビジネスにチャレンジして、しっかりとしたビジネスプランを持っているもの、これについては、正直ラーメン屋であっても立派なベンチャーになり得るということを考えれば、特に最近、地域おこしベンチャーですとかソーシャルベンチャーですとか、いろんなベンチャーの定義がむしろ広がりを見せているのは結構なことだと思っていまして。  ちなみに、参考までに、ハイテク系でいうと、いわゆるベンチャーキャピタルの投融資を受けた企業であれば、ベンチャーキャピタル今二百ありますけれども、百社のデータをそろえてみますと一千社でありますし、あとは政策金融公庫、これが様々な新規事業融資をやっていますけれども、新規開業支援資金の二十五年度の対象企業は一万九百八十七社ですとか、女性・若者・シニア起業家支援資金、これも二十五年度で九千六百八十四件、新創業融資制度で九千九百五十五件、これはほとんどダブりがないと考えますので、これだけでも三万件近いものが対象になっているというところで、九万件の起業のうち、かなり部分がベンチャーに該当するんではないかというふうに考えてございます。
  52. 安井美沙子

    安井美沙子君 私は、それは必ずしも賛成しません。ベンチャー政策を考える上で、どういうベンチャーを増やしていきたいのかということが明確になっていないと、まあラーメン屋さんの中にもベンチャーと言えるところもあるかもしれませんけれども、やはり政策がぼやけてきてしまうと思います。  ですから、先ほどのその目標年次のところと時間軸、それから対象とするその業態や性質、こういったところをより明確にすることで、この倍増という意欲的な目標が絵に描いた餅でなく実現に近づいていくのだと思う、そういうことを申し述べさせていただきます。  大臣にお伺いします。  日本の開廃業率がこれまで相対的に低いということは認めざるを得ないわけですけれども、今後、経済の好循環が生まれても、この八〇年代の最初の方、先ほどおっしゃった比較的高いところを見ても、必ずしも開業率が欧米並みになるという保証はできないわけですね。この日本でベンチャーが育ちにくい要因をどういうふうに分析されているでしょうか。特にシリコンバレーなんかと比較して何が違うのでしょうか。
  53. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) これは全く数字的な根拠のある話ではありませんけれども、私は、いわゆる開業率が低い理由の一つに、恐らく、日本中小企業というものが非常にたくさんあり、しかも頑張っておられる。そういう企業がいわゆる第二の創業という形で新たな分野に入っていく、行かれている方、私の周りでもたくさんありますけれども、そういうところがかなり多くて、これは企業は継続しておりますから創業にはならないといったようなところが恐らくあるんだろうなという気がしております。  それに加えまして、まず国際的なアンケート調査をやっても、日本の場合、起業家精神というものが低調であるということは事実であります。また、やはり学生に大企業志向といったものが大変大きいといったこともございます。また、リスクマネーといったものも不足しております。さらに、個人保証等の再チャレンジを妨げるような慣行がまだ残っているということも確かでありまして、こういうものがいろんなことを通じてベンチャーでやはり開業率が低いということにつながっているのかなという考えでございます。
  54. 安井美沙子

    安井美沙子君 大臣がおっしゃった一つ一つの要素は、私もそのとおりだと思います。  やはり、それに加えまして、あのシリコンバレーなどを見ていますと産官学の連携というのが非常に密着でありまして、そういったもうインフラができているというのを思います。その萌芽のようなものは日本でもあるのかもしれませんけれども、しっかりと誰が見てもそれが存在が見えるような、そういうものはまだないのではないかと思います。これは時間が掛かるとは思いますけれども、日本でも、二十年、三十年掛かるというのであれば、今からしっかりとこれを固めていかなければいけないのではないかと思います。  新しい私もベンチャーの方、アメリカ西海岸でお話を聞いていますと、例えば医療機器であれば、もうその開発のかなり早い段階からお医者さんとか学者とか、そういった方々が入り込んで、研究と並行して、もう商品開発、ベンチャーを見ながらベンチャーキャピタルも入り込んでやっていると。  そういうようなものがありますので、この大臣がおっしゃったいろいろな日本の要因に加えて、そういったインフラがまだ整っていないということもあるかと思いますので、その辺は、成長産業の、成長戦略の種ということを考えれば、かなりの投資をしても見合うのではないかというふうに思います。  そして、この資料の裏、資料二のところに、現在の再興戦略の中で政府考えている様々なベンチャー創造の施策、これは網羅的に示されたものを引用させていただいておりますけれども、これを見ますと、やはり、何というんでしょうか、これは新しいという施策がどうも見当たらないんですね。これが私が言おうとしていた批判になるわけですけれども。  ですので、是非、今回、この解決策をもう本気で考えていただきたい。年次もある程度きちっと決める。そして、どんなベンチャーを目指しているのかということももっと明確にする。そして、そのためには何が必要なのか、これはもう腹を据えて大きな政策を打っていただきたいと、これはもう日本の成長のために心からお願いをいたします。  残りの時間で、もう一つの成長戦略と私が考えます電力システム改革についてお伺いします。  これまで電力システム改革の話をするときに、余り成長戦略という文脈では話を聞いたことがありません。私はこれは非常に大きな話だと思っております。これからの法案審議でこのことは詳しくお伺いしていきたいと思いますけれども、政府の方針として再エネを最大限導入していくということがあるわけですし、それからこの電力・ガスシステム改革というのももうオンゴーイングで仕上げに掛かっているわけであります。改革断行国会ということで、これは何か電力システム改革というのは、改革であると。改革のための改革になってはいけなくて、私はこれはもっときちっと成長戦略の文脈の中でしっかり御説明をすべきだし、広めていくべきだと思っております。  電力システム改革が日本経済の成長に果たす役割をどういうふうに考えていらっしゃるか、大臣の御所見をお願いいたします。
  55. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 安倍総理も、これは一月二十七日の本会議の総理答弁でありますけれども、農業、雇用、医療エネルギーなど、岩盤のような固い規制に対し、強い決意を持って改革してまいりますというふうにこのエネルギー、電力についても触れられておりますように、エネルギー産業を育て世界市場を獲得するという観点や電力・エネルギー制約を克服するという観点から、電力システム改革というのを大変重要な柱と位置付けております。  そして、あわせて、ガス、熱供給の分野の改革も一体的に進め、縦割りのエネルギー市場の垣根を取り払い、競争的でダイナミックなエネルギー市場をつくり上げることで、競争により価格やサービス面での消費者へのメリットをもたらすとともに、我が国産業の競争力の強化やエネルギー関連ビジネスの拡大、さらには我が国の経済成長をリードする強いエネルギー産業発展へとつながっていくものだと思っております。
  56. 安井美沙子

    安井美沙子君 先ほどの切れ味とは違ってここは棒読みで、余り電力システム改革がもたらす日本経済への大きな影響について目に見えるような御答弁でなかったのが非常に残念でございまして、どうもエネ庁がやっているエネルギー政策という側面が強いように思うんですよね。私は、電力システム改革というのは本当に日本経済を変える引き金になると思っています。  一方で、安定供給の面では私は不安を拭い切れない部分があります。ですから、この安定供給、これまでしっかり守られてきたこれをリスクを冒す、この賭けに出てまでやるからには、やっぱりこれを成長戦略にしっかりつなげていかないと割が合わないわけです。  ですから、どうぞ今後経産省が、これはエネ庁の問題ではなくて経産省としてこの電力システム改革をしっかりと経済成長につなげていくということを他省庁、全体に向けて宣言をしていただきたいなというふうに思います。この件に関しては、今後、電力システム改革の電事法の法案審議でも引き続きお伺いしたいと思います。  残りの時間で、今日は予定していなかったのですが、二分ありますので、ちょっとエネルギーミックスについてもお伺いさせていただきたいと思います。  二〇三〇年における断面図ということでこのエネルギーミックスを今夏発表されるというふうに理解しているんですけれども、この断面図というのは現時点で、大臣の発言を引用させていただきますと、各エネルギー源の特性を十分に考慮しつつ、現実的かつバランスの取れたものにするというふうにおっしゃっているわけですが、これ、現在のエネルギー上無理のない範囲でこのぐらいは可能であるという見立てだと、そういう理解でよろしいですか。
  57. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) エネルギーミックスは、二〇三〇年のある意味では目標、二〇三〇年における見通しであり、あるべき姿と、こういうことを申し上げてきております。  見通しというのは、やはりある程度現実的なものでなければいけないということ。ただし、それだけではなくて、あるべき姿ということで、やはり政策的に必要なものにしっかり配慮した形のものにしていかなければいけないというふうに思っております。
  58. 安井美沙子

    安井美沙子君 私もそう思います。むしろ、二〇三〇年の断面図を出すには、二〇五〇年ぐらいのあるべき姿をまず描いてそこからバックキャスティングをしていくと、こういうふうな発想も必要だと思っております。  これについてもまた引き続きお伺いをいたします。  どうもありがとうございました。
  59. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  60. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、経済産業行政等基本施策に関する件及び公正取引委員会業務に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  61. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。  私からは、ロボットの開発普及についてまずお伺いをしたいと思います。  今年一月にはロボット新戦略が発表されました。これまで我が国が培ったロボット技術を最大限活用して、超高齢化、また人口減少などの社会的課題の解決、それから経済発展、またより豊かな社会を目指すためのビジョンが示されました。  ロボットの活用が期待されます重点分野の一つとして、介護・医療分野がございます。ロボット技術は、介護の分野での働く方々負担を軽減するという可能性も大きくございますし、大変注目されるところであると思います。こうした介護・医療分野について、ロボット新戦略では、二〇二〇年にロボット介護機器市場、五百億円に拡大するなど、開発、普及促進の目標を掲げております。  経産省としては、この点についてどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
  62. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 委員指摘のように、ロボット新戦略を作りまして、その中で特にロボットの活用のニーズが高いと考えられる分野を重点分野と位置付けました。介護・医療分野がその重点分野の一つでございますが、御指摘いただきましたように、二〇二〇年までに介護ロボットの市場規模を五百億円へ拡大することや、ロボット技術を活用した医療関連機器の実用化支援を五年間で百件実施するなどの定量的な目標を掲げ、技術開発や現場への導入、普及を集中的に進めることとしてございます。  特に、介護分野の市場拡大に向けては、現場で真に使えるロボットの開発普及を進めるべく、厚生労働省連携し、現場ニーズの高い分野を共同で特定いたしました。経済産業省が研究開発を行い、厚生労働省現場導入を推進するという役割分担の下、両省で連携しつつ取組を進めているところでございます。  さらに、市場拡大に向けて重要となるロボットの安全基準につきましても、昨年、我が国が先導する形で介護分野を始めとするサービスロボット全般の安全に関する国際標準を策定いたしました。加えて、介護ロボット固有の安全基準についても、我が国が諸外国に先駆けて検討を進めていく所存でございます。  こうした取組を通じて、介護・医療分野におけるロボットの本格的な普及を進め、世界一のロボット利活用社会を実現してまいります。
  63. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 この分野で非常に優れたロボットとして有名なのが、筑波大学の山海嘉之教授の開発したHALでございます。ちょうど今日の新聞にも載っていたんですけれども、このHALというのは、装着した人の脳から出る信号を読み取って、歩きたいとか立ちたいという思いに従って着けた方の足を動かすということができると、その動かし方を脳に学習をさせて自分で歩けるように働きかけていくと、こういうロボットでございます。  これは、脳とか体を動かす神経に疾患のある患者さんに対しまして、EUでは既に医療機器として用いられております。ドイツでは公的労働保険の適用対象にもなっているということで、日本から始まった誇るべき研究ロボットというふうに言えると思いますけれども、普及については日本が遅れているということが大変残念だなと思っております。  神奈川県にはさがみロボット産業特区というところがございまして、ロボットの実証環境を充実させております。実はここにこのHALを使ったトレーニングを実際に受けられる湘南ロボケアセンターというところがございます。こうしたところのトレーニングをお受けになった方のお話を聞く機会も私もあったんですけれども、やっぱり、例えば脳卒中の後遺症で足が動かない、でもこうしたリハビリを、トレーニングを受けていい方向に向かってきたと、是非もっとそうしたHALを使ったトレーニングを広くできるようにしてほしい、また、医療保険の適用にならないんですかとか、介護保険制度の中で費用負担を少なくできないんでしょうかと、こういうお声を結構いろんなところでいただくんです。  この湘南ロボケアセンターがある藤沢市では、こうした声を受けまして、このHALを使ったトレーニングの十回分の費用を市が負担をしております。ほかの自治体にも広がっているようでございまして、こうした助成の動きがあるわけでございますけれども、やはり保険適用というところが望まれるところでございます。  神奈川県それから川崎市では、国家戦略特区計画にこの医療用HALを位置付けまして、保険外併用療養の特例の活用など、開発、普及の促進に取り組んでいるところでございますけれども、せっかく日本でできたロボットでございますので、こうしたものが日本でも早く活用できるようにすべきでありますし、こうした先進的な医療、リハビリ、介護というものが広く皆さんに利用していただけるように国も積極的に取り組んでいただきたいと思いますけれども、厚労省いかがでしょうか。
  64. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) 医療機器といたしまして、HALについては神経や筋肉の難病を対象といたしまして三月二十五日、昨日でございますが、薬事申請が行われたところでございます。私どもといたしましては、迅速な審査に取り組むということにしております。  一方、介護分野でございますけれども、HALなどの機器を導入する際に、機器を個別に承認するといった許認可制は設けておりません。事業所の判断により導入が可能となっております。このため、厚生労働省といたしましては、経済産業省とも連携した上で、開発の早い段階からモニター調査を実施することなどを通じまして、介護現場のニーズに合った実用性の高い機器の開発が促進されるよう努めているところでございます。  今後とも、革新的な医療機器の早期導入を支援するとともに、福祉用具や介護ロボットの実用化支援を通じまして、引き続き普及に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。
  65. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 もちろん、新しい技術ですので安全性というものは重要なんですけれども、時間がいたずらに掛かったりとか、そういうことがないように是非とも進めていただきたいと思います。  二〇二〇年には東京でオリンピック・パラリンピックが開催されますけれども、先ほど申し上げましたロボット新戦略では、このオリンピック・パラリンピックに合わせてロボットオリンピックを開催するという目標を掲げております。  ここでは、競技のためのロボットというものだけではなくて、先ほど申し上げたHALのようなものも入ってくるんじゃないかと思いますけれども、社会の中で実際に使われるロボットの便利さ、また性能を競うということになるのではないかと思います。そうした大会が大きく日本で開かれるということになりますれば、それに向けた開発も進むと思いますし、またいろんなロボットがあるんだということを実際に見ていただける機会にもなりますので、是非とも力を入れて取り組んでいただきたいなと思っております。  それで、このロボットオリンピックでございますけれども、日本のロボット産業発展をさせていくという観点からいいますと、人材の育成ということが重要でございます。私は、このロボットオリンピック、是非とも子供たちとか、また若い人たちにも広く参加をしていただきたいなと思っています。例えば、ロボットコンテストというものは今もいろいろなものがありますけれども、そうした既存のコンテストも日本各地で同時に開催をするとか、それから、そうした子供たちが参加するコンテストにも世界大会が開かれるような大きなものもございますので、そうしたものを日本に誘致をして世界大会を開催していただくと、そうすればロボットオリンピックの子供の部ということにもなるんではないかと思います。  こうした観点も是非入れていただいて、成功のためにこれから取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  66. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 日本は現在世界一のロボット大国と言っていいと思いますけれども、一方で、ほかの国も随分追い上げてきていると、こんな状況がございます。  その中で、先般、ロボット新戦略を策定をいたしました。東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年までをロボット革命集中実行期間と位置付けまして、さらに世界一のロボット利活用社会ということを続けていきたいと、こういう目標を持っております。  ロボットオリンピックにつきましては、単にロボット技術を競うための競技会に限定することなく、様々な分野における現実の課題、まさに現実の課題を解決し、実際に役に立つロボット同士を競わせるというようなことなどで幅広い可能性を追求し、最先端のロボットをより身近なものとするということが重要だと思っております。  そして、今、子供たちも参加する既存の大会というようなお話もございましたけれども、その実現に向けましては、そういう子供たちが参加する大会も含めて、既存のロボット関連競技会の開催主体、これも当然含めて、さらにロボットのユーザーや運用者、メーカー、研究者などとも連携しつつ、今後ロボット革命イニシアティブ協議会というものを立ち上げますので、そこで関係者と協議しながら検討を進めていきたいと思っております。  具体的には、本年に体制を整備いたしまして、二〇一六年までに具体的な開催形式、競技種目を決定して、そして二〇二〇年の二年前、二〇一八年にプレ大会ということを開催することを目指して進めていきたいと思っております。  おっしゃるように、やはり若手の方、また子供たちがロボットに親しんでいただいて、次代の日本のロボット産業を支える担い手になっていただくということは大変大事なことだと思っております。
  67. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 是非ともよろしくお願いをいたします。  この分野で国際競争力を強化をしてイノベーションを加速させるというためには、人材の多様性ということも非常に重要でございます。しかしながら、女性の技術者という方々は少ない。産業界でも女性の技術者の確保と育成ということは大変大きな課題になっています。  こうした中で、このロボット、例えばロボットの技術者の方々の中でも女性同士の交流をしたりとかスキルアップを図ったりとか、あと女子学生さん、大学でこういうロボットの研究を専攻している女子学生さんたちが女子小中学生にロボットを使ったワークショップをやって、将来の技術者を目指すきっかけを提供すると、こういう取組もございます。こうした様々な民間の取組とも連携をしながら、やはり政府の方でも女性の技術者の皆さんの活躍というところに是非関心を持っていただきたいと思います。  ロボットオリンピックでいろいろ海外から技術者の方が多く来ると。恐らくその中には女性の技術者さんもきっと多く来ていただけるんじゃないかと思うんですね。ですから、そうした姿を見て、女子小中学生の皆さんも刺激を受けるかもしれません。ですから、こうしたロボットオリンピック、二〇二〇年、またちょうどこの二〇二〇年にはあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を三〇%にすると、こういう政府目標もあるわけでございますので、ロボットオリンピックを一つの契機と捉えて、女性の技術者の活躍のために取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  68. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まさに実際の社会に役立つロボットということでありますから、やはり女性の持つ感性とか、そういう女性らしさというようなものは恐らく大変大事な要素だろうと思っておりまして、おっしゃるような視点を含めて、女性の技術者に、育成であり、参加していただくようなことを是非講じていきたいと思っております。
  69. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 じゃ、内閣府の方からも一言。
  70. 久保田治

    政府参考人久保田治君) 理系分野におきます女性の参画状況は、委員指摘のとおり、諸外国と比べて低調な状況にございます。  ただ、理系分野におきます女性の活躍を促進しますことは、多様な視点や発想を研究活動等に取り入れるということで、我が国の国際競争力の維持強化につながるものと考えております。こういうことで、政府ではこれまでも女性の研究者や技術者が働きやすい職場環境づくりや女子学生、生徒さんの理系分野への進学促進のための取組をしているところでございます。  委員御提言のロボットオリンピック、仮称でございますが、の場の活用ということも踏まえて、また関係省庁とも相談しつつ進めてまいりたいと思います。
  71. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 大臣も女性技術者の活用に大変関心を持っていただいて、ありがとうございます。  それから次に、商品先物取引の不招請勧誘の禁止の例外について質問をさせていただきます。  経産省と農水省は、今年の一月に商品先物取引の不招請勧誘禁止の例外を緩和する改正省令を公布をいたしました。これは、年収ですとか資産、また理解度確認などを条件にして、六十五歳未満の人には不招請勧誘を禁止しないという改正でございます。  これは、一定の条件を満たす場合に限って不招請勧誘を禁止をしないということにする改正のように思いますけれども、この点、消費者委員会や日弁連からは、実質的に勧誘を全面解禁するもので、不招請勧誘を原則禁止した法律の委任の趣旨に反するんじゃないかと、こういう指摘があります。  どうしてかといいますと、まず、この改正によりまして、業者は、契約を締結するための条件を説明をするという理由で、これまでと違って誰にでも電話、訪問することができるようになります。それから、勧誘に先立って、年収だとか六十五歳未満であることなど不招請勧誘による取引契約を締結するための条件を説明する義務は課されていますけれども、その条件を満たすことを直ちに確認しなければならないという明文の義務はないです。  ですから、条件を説明をした、その段階で消費者が強く拒否しなければ、条件を確認するのは後にしてそのまま勧誘に入るということもできてしまいますし、結果的に、条件の確認をした結果、後から条件を満たさなかったと、そういう方に対しても勧誘ができてしまうと、勧誘を開始することができるという構造になっています。そうした中で、不招請勧誘禁止の例外条件を満たさない人だった、しかしながら自分から勧誘を希望したことにするといった、そういう不正なことが行われる危険性も高まるんじゃないかと思うんですね。  この省令というのは、当然、法律の委任の範囲内で定められなければなりませんけれども、この勧誘を受ける意思の確認だとか条件の説明だとか取引の勧誘をきちんと立て分けることができるのかということも疑問でございますし、これでは不招請勧誘を原則禁止して消費者を保護しようとした法律の趣旨に反するという指摘がされても仕方がないところがあるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  72. 寺澤達也

    政府参考人(寺澤達也君) お答えします。  多数の論点がございました。一つは、これは全面解禁ではないかという御指摘だと思います、不招請勧誘の。  私ども、今回の規制の見直しに当たって、相当程度勧誘対象を大幅に絞り込むということで、これは委員指摘のとおり、例えばハイリスク取引の未経験者ですと、六十四歳以下、年収八百万円以上又は金融資産二千万円以上といった条件を満たした人にのみ勧誘し得るということで大幅に対象を絞っています。また、そうした対象につきましても、まず、委員指摘のとおり、理解度確認のテストを受けていただいて、これに合格する、百点満点で合格しないと前に進めないということ、あるいは熟慮期間、契約してから取引開始までに頭を冷やす期間として十四日間設けています。また、投資の上限金額も厳しく設けております。このように何重にも投資家なり消費者を守るための保護する措置を導入しているわけでございます。  このように、対象を大幅に絞り込み、何重にも保護措置を入れているということで、私ども全面解禁ということには当たらないと考えているわけでございます。  次に、法律の委任の趣旨ということについて御質問がございました。  この法律、商品先物取引法上、不招請勧誘の禁止の例外を設け得るということは法律上明記をされているわけでございます。そして、その中身は省令で規定をするということも法律で明記されているわけでございます。今回の省令改正、規制の見直しは、まさしくこの省令の改正でございます。したがいまして、商品先物取引法の法律に整合的な取組になっておると考えています。  次に、そうはいっても法律の委任の趣旨を超えているんじゃないかと、こういう御指摘があったと思います。  法律上、省令で委任できるのは委託者保護に欠けるおそれがない行為として省令で規定するということになっているわけです。簡単に言うと、投資家なり消費者の保護が十分になされているかどうかということを見極めて省令を規定するということになっております。  先ほど申し上げたように、対象を大幅に絞り込み、何重にも投資家保護のための保護措置を入れているということでございますので、私ども、これについては、農水省とともに消費者庁と何か月にもわたって調整をし、消費者庁、農水省とも合意をして、これなら消費者保護として十分だろうという中身に到達をして一月二十三日の省令の公布に至ったわけでございます。したがいまして、そうした中身でございます、消費者保護としても十分なものだと考えている次第でございますので、法律の委任の趣旨にも合致すると考えております。  最後に、委員指摘のところで、勧誘の対象の条件を確認する際にいろいろ説明するんじゃないかと、そこで勧誘が行われるんじゃないかというようなことがございました。元来、勧誘をするのに先立って、あくまでも顧客が勧誘を受け入れる、受諾する意思を確認をするということが義務付けられています。その上で、今般、その確認をするに当たって、どういう人が勧誘の対象になれるのかという基準なり条件、これを説明した上で顧客の方から勧誘を受け入れると、受諾する意思を表明していただくということになっています。  このように、条件を全部説明して、顧客に、じゃ、勧誘を受け入れるかどうかということで意思表明していただくものですから、当然にして条件に外れる顧客はその段階で受諾をしないということになってくるわけですので、御懸念のようなところについては、幅広い勧誘が行われないようにしっかりとした手当てを講じているところでございます。
  73. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 委託者の保護に欠けるおそれがない場合に例外を認めるというのが法の趣旨だと。ですから、そういうことにならないように消費者保護を何重にも手当てをしたんだと、要するにそういうことですね。ですから、何重にも手当てをしたという消費者保護のための制度をしっかりと実行されるようにやっていっていただかないといけないわけでございます。  一点、条件の説明を、勧誘を開始するに先立って行うと。それは勧誘の受諾の意思の確認をするに当たって行うわけですから、その条件を説明をした上で勧誘の受諾意思を確認するんだと。そこで条件を説明してあるんだから、消費者の方としては、自分は当たらないなと、だから勧誘を受諾するのはやめようと、恐らくそうなるでしょうという御趣旨のことだったと思います。  ただ、本当にそうでしょうかという懸念があるわけですね。勧誘の受諾の意思の確認、条件の説明をしたと、それが仮に一方的にばっとされたと。そして、そこで、あなたは年齢お幾つですかと、また収入・資産要件はどうですかと、そういったことを、書面の確認は契約の成立までですから、そうした業者側にはしっかりとその条件を満たしているのかこの人はということの確認の義務というのは明文にはないわけですね。ですから、そうしたことがないように、その勧誘の受諾意思を確認するに当たって、業者が単に一方的に説明をしてすぐに勧誘に入るというようなことがないようにしなければいけないなと思っています。  例えば委託者保護のためのガイドラインがございますけれども、書面によって条件の確認をするということは契約の成立まで、要するに後でもいいですよと。それはなぜかといったら、電話で最初に条件を説明したときに、書面をそこで取り交わさなきゃいけないといったら不可能だと、だから後にしたんだということでしたけれども、ただ、その条件を説明した勧誘の開始の前に、初期段階に口頭でもいいからしっかりと条件を満たすのかどうかというのを確認していただかないといけないと思うんです。  恐らくはそういうふうになるだろうと思っていらっしゃるんだと思うんですけれども、そこをガイドラインなんかにきちんと盛り込んで、口頭でもいいからしっかりと条件を満たすのかどうか確認をする、そういう運用にしていただいた方がいいと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  74. 寺澤達也

    政府参考人(寺澤達也君) 先ほど申し上げましたように、勧誘を受け入れると、受諾する意思があるかどうかを確認する際にいろんな条件を説明をして、その説明を受けた上で顧客に判断してもらって、勧誘を受け入れるかどうかという意思表明をしていただくということにしたいと考えておりますけれども、その際に、十分にその条件を説明をし、顧客がしっかりと理解した上で受諾意思を確認するということを今後我々は外務員に対して研修もやっていきます。これは余り前例がないんですけれども、勧誘を行うような事業者の全ての外務員に対して行政が研修を行うということでございますので、その研修を通じて、しっかりと説明がなされると、しっかりと意思の確認をされるということを担保していきたいと考えております。
  75. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 しっかりと監督をしていくということですので、よろしくお願いいたします。  それから、この改正省令の附則には、勧誘の実態が著しく委託者の保護に欠ける状態にあると認めるときは速やかに所要の措置を講ずるものとすると。確認的な意味だと思いますけれども、著しくとありますけれども、別に著しい被害の状況じゃなければ見直さないよということではないと思いますけれども、この点を確認したいと思うんですが。要するに、今後、仮に被害の発生があったりとか、そうした場合には、被害の救済、また見直し、規則の再改正とか、そうした見直しが速やかになされなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  76. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 御指摘のとおりに、この委託者の保護に欠けるという状態が確認された場合には、もちろん一年を待つことなく適切に対応はさせていただきたいと存じます。  また、施行後の調査については、事業者の法令遵守の状況把握するために、不招請勧誘に係る取組特化した立入検査を適時適切に行うとともに、また、経済産業省にトラブル一一〇番というものを設置いたしまして、顧客から寄せられる苦情あるいは相談の内容等に基づいて、事業者の法令違反がないか確認を行うこととしてございます。  また、先ほど審議官の方からもお話し申し上げましたように、農林水産省や消費者庁とも長きにわたってこれ協議をしてまいりました。当然、窓口は経産省だけではなくて、そういったところにも様々な相談等々が寄せられるはずです。それらの情報をきちんと共有した上で適切に対応はしてまいりたいと存じます。
  77. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。  最後に、大臣に、この不招請勧誘の禁止というのはいろいろ国会でも大きな議論があった上で定められた法律でありまして、今回の改正、こうした形で公布されましたけれども、この趣旨、また目指すところ、それから仮にも被害者が出るということがないように取り組んでいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  78. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 商品先物取引につきましては、近年、取引高が本当に大幅に減少しております。一方で、今後のことを考えますと、例えば電力の卸売市場の整備とか、さらに、世界的に高止まりしていると言われているLNGにつきましても、やはり市場を設けてかなり価格を弾力的に引き下げられるような体制を我が国がリードしてつくっていかなければいけないと考えておりまして、そうした意味では、この商品先物市場というのは大変今後とも大きな役割があると思っております。  一方で、苦情相談といったものが大幅に減少しているというような現状の中で、今、寺澤審議官が御説明したような厳しい条件の下で一定の方には不招請勧誘ができるようにしたわけでありますけれども、おっしゃるように、過去においては相当問題を度々起こした業界でもありますので、先ほど、行政が研修をしっかりやるというようなことを審議官から申し上げましたけれども、やはり問題行為が起こらないように我々としても常に厳しく目を光らせていかなければいけないというふうに考えております。
  79. 佐々木さやか

    佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  80. 東徹

    ○東徹君 維新の党の東徹でございます。  経産委員会で初めての質問になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず最初に、エネルギーミックスについてお伺いをさせていただきたいと思います。  昨年四月、エネルギー基本計画を出されまして、そして、あの第四次の計画でありますけれども、そこでは、エネルギーミックスについては各エネルギー源の位置付けを踏まえてこれから検討していって、大臣のお言葉によると今年の夏頃にはエネルギーミックスの策定をするというふうに聞いておるわけでありますが、現在、経産省の方では、電力システム改革を行って、発送電分離、それから市場の自由化を進めようとしておりまして、これはもう我々も是非進めていかなければならないというふうに思っています。  ただ、この場合、電力の消費者又は需要家といいますか、使う電源を市場で自由に選択できるようになっていくわけですけれども、消費者、需要家の選択の結果が実際の電源構成になっていくわけでありまして、このように電力自由化がこれから進んでいった場合、政府として示そうとするエネルギーミックス、そういったものが恐らく変わっていくんではないだろうかというふうに思っておりまして、これからの発送電分離と市場の自由化を進めていく中で、このエネルギーミックスというものの意味、これはちょっとどのようにお考えになられているのか、その点についてお伺いをしたいというふうに思います。
  81. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) エネルギーミックスにつきましては、将来のエネルギーの需給構造の見通しであり、あるべき姿ということを申し上げてきております。  見通しというのは、まさに現実的でなければ、まさにおっしゃるように社会が動いていく方向というものを見通さなければいけませんし、一方で、それだけではなくて政策的な配慮といったものもしっかり加えていかなければいけないということで、見通しであり、あるべき姿と申し上げてきております。  そして、電力自由化がされますと、かつてよりは、ある意味で、電力につきまして政策で誘導する力というものがやはり少し小さくなることは確かであります。ただ一方で、今回の法改正におきましても、今回というかこれは前回でございますけれども、送配電部門につきましては引き続き地域独占と総括原価方式といったもので実施をしていくことになっておりますので、そこで少し政策的な誘導というものは可能だろうと思っておりますし、また、広域的運営機関がベースロード電源やピーク電源といった電源の特性を踏まえて電源の公募入札を行うというようなこともございまして、そういうことで、電力につきまして政策的な誘導というものは可能なんだろうと思っております。  また一方で、エネルギーミックス、エネルギー全体でいいますと、電力は最終需要で約四分の一でございまして、その他は民生用等々でございますが、そういうものにつきましてはやはりしっかりと、税とか財政、規制等々あらゆる手段を講じてあるべき姿に持っていくような努力をしていくと、こういうことだろうというふうに思っております。
  82. 東徹

    ○東徹君 なるほど。経産省としてしっかりとその辺の政策的な誘導をあるべき姿に向けて行っていくということでありますが。  その次に質問をさせていただきたいのですが、固定価格買取り制度についてでありますけれども、これ、再生可能エネルギーの導入拡大ということで、固定価格買取り制度一定以上の役割を果たしているというふうに思っております。  ただ、御存じのとおり、この固定価格買取り制度、これを維持していくとなると国民の負担はこれからどんどんどんどんと上がっていくわけになるわけですけれども、現在の運転開始分だけで賦課金額が約六千五百億円、それから、全て運転開始したら二兆七千十八億円ということでありますが、これからの試算によると、国民の負担は累計で五十兆円を超えるというふうなことも試算されておりまして、この再生可能エネルギーの導入拡大と併せて、これから固定価格買取り制度から出口戦略というのを今後検討していくべきではないのかなと、必要があるんじゃないのかなというふうに思うんですが、この点についてはいかがですか。
  83. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) おっしゃるとおり、いわゆる賦課金の水準につきましては、単価でいいますと、二十六年度、本年度がキロワットアワー当たり〇・七五円が、来年度、二十七年度には約倍になります、一・五八円キロワットアワー当たり。そして、標準家庭の月額の負担額は、今年度が二百二十五円が四百七十四円に上がる。そして、先ほど賦課金額総額についてお話がありましたけれども、本年度は六千五百億円だったものが来年度は倍以上ですね、一兆三千二百億円ということで、かなり負担が大きくなっているということは確かであります。  そうした意味で、今年の七月に利潤配慮期間が終わるということもありまして、例えば太陽光につきましては、七月以降は二十七円にするというような大幅な引下げをしてきております。再生可能エネルギー自体、そしてこのFITという固定価格買取り制度というのは、再生可能エネルギーを導入するということについては大変意義ある制度であったことは間違いありません。ただし、やはり、本当にほとんどが太陽光に偏るといったような、いろんな問題点が出てきていることも確かであります。再生可能エネルギーの中で、例えば地熱とか水力というのは再生可能であり、しかも安価であり安定しているといった意味で頼りになるエネルギーでありますけれども、なかなかそういうものが出てきていないということも事実であります。  そういうこの三年間でできたような状況をいろいろ検証しながら、四月以降、固定価格買取り制度在り方を新エネルギー委員会でしっかりと議論をして検討をしていきたいと思っております。ただ、まだ三年でございまして、なかなか出口というところまでは行かないというふうに思っております。
  84. 東徹

    ○東徹君 確かに三年ということでありますが、二十六年が六千五百億で来年は一兆三千二百億。今この申請している分が全て開始したら二兆七千十八億円ということで、これかなりの金額になっていくわけでありまして、まだ三年とおっしゃいますが、そこはもう早急にこれはちょっと検討していかないと大きな問題になっていくんではないのかなというふうに思っております。  あと、この固定価格買取り制度に併せましてもう一点質問をさせていただきたいんですが、電力多消費産業への賦課金減免制度、このことについてでありますけれども、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度の賦課金について、電力多消費産業負担の軽減を図っていくために、製造業であれば賦課金の八〇%の減額を受けることができるという、そういう賦課金減免制度というのが現在これ導入されているわけでありますが、この制度に対して毎年これも国費が投入されているわけでありまして、その予算額を見ますと、平成二十四年度では七十一億円だったんですが、平成二十五年度では百九十一億円に上がって、平成二十六年度では二百九十億円で、平成二十七年度になりますと四百五十六億円ということで、どんどんどんどんとこれも合わさって増加していくわけであります。  この国は財政状況非常に厳しい中でありますから、こういう賦課金の減免制度、こうやって国費がどんどんどんどんかさんでいくというわけでありますけれども、そもそもその賦課金総額は、前年度までの買取り分に新たな年度で対象となった買取り分が上乗せされていくため、この賦課金減免制度に対する国費投入額もこれからますます増えていくことが見込まれておりまして、再生可能エネルギーの導入は進めていかなくてはならないと、これは私も非常に思うわけでありますが、国民の負担も上がっていきますし、そして、この賦課金の減免制度、これも税金でもってどんどんどんどんと出していかなければならないという、ここについても、当然これ見直しというか、検討していかなくてはならない問題だというふうに思っておるんですが、この点についてはいかがですか。
  85. 山際大志郎

    ○副大臣(山際大志郎君) 今委員指摘のございました電力多消費型産業に対する減免措置、そもそもこれ、再生可能エネルギー特措法と言われる法律を議論する中で、国会の審議の中で、この電力多消費型産業産業競争力を確保していくという観点から入れるべしと、そのような御指摘を踏まえて入れられた経緯がございます。また、その経緯に併せまして、それではその資金、お金をどこから持ってくるのかということもその議論の中で、第十八条の中に書かれておりますけれども、予算措置をするというような形で進められているものであるということは御承知いただきたいと存じます。  その上で、委員指摘のように、確かに国民に対する負担が増大しているという御懸念もございます。こういったことも踏まえまして、現在、この新エネルギー委員会審議会でございますけれども、そこでこのことも踏まえた上で検討をしているところでございます。
  86. 東徹

    ○東徹君 だから、どのように、これからどうしようというふうに考えておられるのか。これはこのままでいいというふうに考えておられるのか、いや、ここはもう見直していかなければならないというふうに考えておられるのか、この点についてはいかがなんですか。
  87. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) 今の減額措置や減免の問題でございますけれども、やはり議員修正、国会での修正で入ったということで、それなりにやはり重みのあるものであろうというふうには考えてございます。  確かに、導入拡大で負担を抑えていかなきゃいけないということ、負担を抑えながら導入を拡大していかなきゃいけないということ、それはもう全体としてもそうでございますし、それから、そうするとどうしても電力多消費産業負担が寄ってしまうということもやっぱりございますので、それを産業競争力に一定程度配慮する必要性もやっぱりあるだろうというふうには考えております。  確かに、今後導入量が増えてまいりますと、軽減額もそのまま大きくなりますし、あるいは公平の問題も出てくるかもしれない、あるいは予算の制約もあるだろうというようなことでございまして、いずれにしても、そういった様々な要素をバランスよく総合的に勘案しながら、制度全体の見直しの中で検討していきたいというふうに、こういうふうに考えてございます。
  88. 東徹

    ○東徹君 もちろん議会の方からこういうのがあったということも承知はいたしておりますが、このことも今後検討していかなきゃならないというふうに思っております。  次に、再生可能エネルギーの推進についてなんですが、再生可能エネルギーの中でも水力発電を更に推進していくことができるのではないだろうかというふうに強く思っておりまして、二〇一三年度では再生可能エネルギーの発電比率はイギリスやアメリカ並みの一〇・七%ですか、そのうち八・五%が水力ということなんですね。太陽光や風力などは二・二%にしかすぎないということで、資源エネルギー庁の資料を見させていただきますと、発電量三万キロワット以上の大規模水力発電には、出力ベースで八四%以上が開発済みというふうに言われておりますが、国土交通省所管のダムにおいても、既設ダムのかさ上げによって発電量の増加を図ったり、ダムの管理用発電の新規導入などを進めているということであります。  このような動きのある中で、まず既存設備の更新や未発電ダムの新規発電の開始、こういった大規模水力発電についてどのように促進していこうというふうにお考えなのか、まずお聞きしたいと思います。
  89. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 東徹委員にお答えをいたします。  大規模な水力発電の導入の拡大という御質問であると思います。  実は私、以前ダムを造る側におりまして、設計施工をやっていたんですけれども、ダムというのは戦後多く造られましたけれども、どこでも造っていいというわけではなくて、ダムサイトの地質とか集水域、つまり水をどれぐらい集められるか等々の問題がありまして……
  90. 東徹

    ○東徹君 それは分かっています。
  91. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) そんな中で、現状、今委員の御指摘のとおり八四%がもう造られているという中で、経産省としては、現在発電されていない既存ダムへの発電設備の設置、そして、既に発電をされている既存ダムの発電設備のリプレースというようなことを考えまして、効率化を良くしていくということで対応していければと思っております。  水力発電として使われていない既存ダムの発電ポテンシャル、既存の水力発電設備の出力増強方法について現在も調査を行っておりまして、国土交通省を始め関係省庁との連携を取りながら、今後も取組を進めていきたいと考えております。
  92. 東徹

    ○東徹君 ちょっと時間がなくなってきましたので、次に質問移らさせていただきます。  水力発電の中でも揚水発電でありますが、我が国の揚水発電の設備容量というのは、二〇一〇年で世界第一位の二千五百三十七万キロワットでありまして、原発二十五基分に相当するわけでありますが、設備利用率でありますけれども、二〇一〇年では三・八一%、二〇一三年では二・九七%と、十分に活用できていない状態にあります。  揚水発電はこれまで、夜間の余剰電力で水をくみ上げて、電力の需要の増加する昼間に発電をするという運用をしておりますけれども、太陽光発電の導入によって、出力変動への対応として、昼間に水をくみ上げて夜間に発電するなど、一日の中での発電量の分散が図られます。揚水発電の拡大を進めるべきというふうに考えますが、見解をお伺いしたいと思います。結構ほかの国では設備利用率というのは非常に高いんですね。日本は非常に低いという、こういう現状になっておりまして、この点についても併せて見解をお伺いできればと思います。
  93. 高橋泰三

    政府参考人(高橋泰三君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、揚水発電の利用率、御指摘のとおりだと思いますけれども、今お話がありましたとおり、揚水発電は通常、需要が多い時間帯の電力供給力を確保するために、需要の少ない夜に水をくみ上げまして需要の多い昼間に放水するというのが普通の使い方でございます。そういう意味では、揚水発電はある意味、発電だけでなくて電気を蓄積する、ためるという機能もございまして、今委員指摘の設備利用率のみをもって有効活用されているかどうかという度合いを測ることはなじまない面もあるかと思います。  ただ一方で、再生可能エネルギーの拡大のために、昼間の太陽光の余剰電力を使いまして揚水をくみ上げまして、その余剰電力を吸収をするという活用の仕方というのも今後期待をされております。  私どもとしても、電力会社に対しまして、こういった取組を最大限行うように求めてまいりたいと考えております。
  94. 東徹

    ○東徹君 なじまないのかどうかというのは、ちょっとまた是非お聞きしたいところでありますが。  中小水力発電について次にお伺いさせていただきます。  発電量三万キロワット未満の中小水力発電については、環境省の資料によりますと、既に九百五十万キロワット程度導入されているというところですけれども、今後開発が可能な導入ポテンシャルは、河川で八百九十八万キロワット、農業用水三十万キロワット、合わせて九百二十八万キロワットというふうに推計をされております。一方で、資源エネルギー庁の資料を見ますと、中小水力発電について、自然・社会環境上の障害を解決可能とした増加発電量は二百六万キロワットというふうに見込まれておりまして、両省の数字に大きな差があります。この差についての理由をお伺いしたいと思います。  また、中小水力発電は、地域密着のエネルギーでありまして、地域活性化や雇用促進に有効というふうに考えますが、どのように活用を進めていくのか、お伺いしたいと思います。
  95. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) まず数字でございますけれども、資源エネルギー庁は二百六万キロワット、これは、二〇三〇年までの中小水力発電導入見込み量としてお出ししたものでございますが、現地調査により開発可能地点をまず抽出をいたしまして、発電量を求めました上で、一定経済性を前提にいたしまして、国立公園等の規制区域を排除したほか、水利権あるいは漁協との調整といった社会的条件を踏まえた開発難易度を評価して算出をしてございます。  他方、環境省により算出された九百二十八万キロワットでございますけれども、これは、地形図あるいは流量データといったものを基に、一定程度国立公園等の区域規制等は御考慮されているということでございますけれども、基本的には現地調査等は行わずに推計された値であるというところが違っているというふうに私どもとしては認識をしてございます。  御指摘中小水力発電、どうやって増やしていくのかということでございますけれども、当然、経済産業省といたしまして積極的に取組を進めていきたいというふうに考えてございます。まずはやはり固定価格買取り制度でしっかり支援すると。これでやはり採算性が向上して開発の見送り案件かなり見直されてきているということ、あるいは地域の協議会が設立されたとか、あるいは老朽した小水力を回収してパワーアップをしようと、そういう動きがかなり起こってきているというふうに承知をしております。  これを……
  96. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 時間ですので答弁をおまとめください。
  97. 木村陽一

    政府参考人(木村陽一君) はい。  まず、円滑に進めていきたいということと併せまして、自家消費型のものでございますとか、あるいは事業評価に対する御支援でございますとか、そういったものについて積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
  98. 東徹

    ○東徹君 時間になりましたので、これで終わらせていただきますが、是非、水力発電について積極的にこれからも取り組んでいただきたいというふうに思います。残り三問については次回にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  99. 倉林明子

    ○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。  経産大臣は所信表明で、徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入を強力に進めると述べておられます。最大限の努力が本当にされているのかという観点から、今日は質問をしたいと思います。  今年一月から、総合資源エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委員会、先ほど来議論もありますが、ここで将来のエネルギー需給構造が検討されていると承知をしております。  そこで、日本がCOP21に向けて二酸化炭素の削減に先進国の一員としてどう責任を果たすのかという点、同時に、福島原発事故後初めて示されることになる日本エネルギー政策、具体化したものということになるわけで、国民も国際社会も注目していることは間違いないというふうに思うんです。どこまで再生可能エネルギーの導入を拡大していくのか、これも大きな焦点になっています。  そこで、三月十日、小委員会では、経産省が具体的に再エネ導入の二〇三〇年時点どう持っていくのか数値も示されていると、細かく分類して電源ごとに示されていますけれども、トータルでどういうものだったのかというところをまずお示しいただきたいと思います。
  100. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、おっしゃるように、再生可能エネルギーを最大限に導入を進めていくというのが政府の方針であります。  そして、導入水準につきましては、エネルギー基本計画におきまして、これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準、これは二〇三〇年の発電電力量の約二割、二千百四十億キロワットを更に上回る水準の導入を目指し、ベストミックスの検討に当たってはこれを踏まえるということにしております。  そして、御質問にありましたように、三月十日に開催された審議会におきまして事務局より各電源の導入動向を示しましたけれども、さらに、引き続き、この審議会におきまして更なる導入を目指して今後検討を進めていくということでありまして、先ほども答弁させていただきましたけれども、エネルギーミックスというのは二〇三〇年の、電源について言えば電源構成の見通しであり、そしてあるべき姿でありますから、そこであるべき姿ということで政策的な配慮を加えていかなければいけないと思っております。
  101. 倉林明子

    ○倉林明子君 二酸化炭素の削減目標について言いますと、二〇〇九年の六月に麻生総理が、二〇二〇年には二〇〇五年比で一五%減という中期目標が示されているところで、これを受けて再計算された長期エネルギー需給見通しということになりますと、二〇三〇年の電源構成、このときに検討されて示されているわけですよね。その中で、新エネルギー等、地熱、水力の発電量の合計、これが全電源に占める割合はどのように見積もっていたでしょうか。
  102. 高橋泰三

    政府参考人(高橋泰三君) 二〇〇九年八月に取りまとめられました長期エネルギー需給見通しの再計算におきまして、二〇三〇年度の新エネルギー等、それから地熱、水力の合計の発電電力量は千八百七十一億キロワットアワーでございまして、それらの発電電力量に占める割合は約一九%となっております。
  103. 倉林明子

    ○倉林明子君 その後、二〇一一年三月には、福島第一原発事故を経験したというのが日本であります。新たな再エネ導入の目標ラインということで、それをどれだけ上積みしていくのかということでおっしゃったわけだけれども、目標が二割、二千百四十億キロワットアワー以上ということから出発するということになると、原発事故前と本当に大きな違いとは言えないんじゃないかと思うんです、スタート地点としても。  環境省に改めて確認したいわけですが、平成二十五年度の委託調査によりますと、これ昨年も紹介させていただきましたが、最も低位、低い高いの低位ですね、低位ケースとして紹介されている再エネの発電電力量はどれだけになるか、同時に、この低位ケースというのはどういう設定で考えられたものなのか、お願いします。
  104. 田中聡志

    政府参考人(田中聡志君) 御指摘平成二十五年度の二〇五〇年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検証検討委託業務の報告書でございますけれども、二〇三〇年の低位ケースでの再生可能エネルギーの導入見込みとして二千百八十四億キロワットアワーと試算をしているところでございます。  それから、この低位ケースでございますけれども、基本的には東日本大震災以前に二〇二〇年の見通しとして政府が示した再生可能エネルギー支援施策により増加が見込まれる普及量を設定いたしまして、それ以降につきましては同様のペースで導入が進むという想定で推計をしているところでございます。
  105. 倉林明子

    ○倉林明子君 言うたら、低位というのは基本的には新たな施策制度を組み込むことなしに推移した場合ということで、最低のレベルの拡大予想ということになるかと思うんですね、拡大導入予想ということになるかと思うんです。  そこで、環境省に更に確認をしたいんですが、既に再生可能エネルギーの導入目標を決めているEU、ドイツ、スペイン、イギリス、フランス、これらの二〇三〇年の目標をそれぞれ述べていただきたい。発電量に占める割合、どうなっているかということでお願いします。
  106. 田中聡志

    政府参考人(田中聡志君) お答え申し上げます。  欧州各国ですけれども、発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合の将来目標といたしまして、ドイツにつきましては二〇三五年と二五年があるようですけれども、二五年を見ますと四〇から四五%、スペインが二〇二〇年ですが四〇%、イギリスが同じく二〇二〇年までに三一%、フランスが二〇二〇年までに二七%となっていると承知をしております。  それからEUですけれども、こちらはエネルギー消費全体に占める再生可能エネルギー割合の将来目標として、二〇三〇年までに少なくとも二七%という数字を掲げておりますが、目標そのものには発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合というのは明示をしていないというふうに承知をしております。この準備の過程で出てきている事務的なペーパーの中では、電力に占める割合として四五%くらいになるんじゃないかという数字が紹介をされているというふうに承知をしております。
  107. 倉林明子

    ○倉林明子君 先進国標準で見てみますと、二〇三〇年に四〇%以上の電力を再生可能エネルギーで賄うという方向が見えてきているんだというふうに思います。そこで、アメリカも風力発電のみで二〇%、二〇三〇年に、二〇五〇年には三五%の導入が可能だという報道も出ております。  世界の流れということで見てみると、再エネの野心的な導入拡大を目指すということになってきているんだと思うんですね。現状の取組にとどめたままの日本の現在の目標というのは余りにも低過ぎるんだというところから私は出発する必要があるんじゃないかというふうに思います。  そこで、欧州との違い、これが顕著に出たのが再エネ接続回答保留を受けて各電力会社から再エネ接続可能量が示されたということでありまして、原発が稼働することを前提としたものになっておりまして、欧州では再エネの接続は義務で、どの電源よりも優先して接続される、これ当たり前になっているわけで、この再エネ接続可能量という考え自身が欧州にはありません。  稼働することを見込んだ原子力発電の供給力の算定がされているわけですが、その算定根拠について、原発の供給力を決めるに当たったその算定根拠、考え方を説明していただきたいと思います。
  108. 高橋泰三

    政府参考人(高橋泰三君) 固定価格買取り制度の下での再エネの接続可能量の算定でございますけれども、もちろん電源の性格によってきめ細かく検討する必要がございますけれども、今回検討に当たりましては、固定価格買取り制度におきましては長期間にわたりまして電気の買取りを保証するという制度でございますので、接続可能量の検証に当たりましてはベースロード電源の長期的な稼働傾向を前提としているものと承知してございます。  こうしたことを踏まえまして、各電力会社が置いている前提を踏まえまして接続可能量を検証をしているところでございます。
  109. 倉林明子

    ○倉林明子君 要は、原子力については福島の原発事故前、過去三十年の平均稼働率によって出力を評価したということですよね。  日本弁護士連合会は、福島第一原発事故の被害救済が収束していない下で原子力の供給力を過大に見積もっていると、電力会社の意向をそのまま受け入れるような算定方法は極めて問題だというふうに厳しく指摘をしております。  そこで確認をさせていただきますが、根拠とされた原発の中で既に廃炉を決めたもの、さらに二〇三〇年までには四十年を超えるもの、従来ではそこで運転停止ということが原則となっているわけですが、その原発の基数はどれだけになっているのか。設備容量、合計でどうなりますか。
  110. 高橋泰三

    政府参考人(高橋泰三君) 今回の接続可能量の算定に当たりまして、供給力として見込んだ原子力発電所のうち、既に廃炉の意思決定がされているものにつきましては三基ございまして、その供給力は百五・三万キロワットでございます。  それから、二〇三〇年の時点で運転期間が四十年を超える原子力発電所の基数につきましては十四基でございまして、接続可能量の算定に見込んだ供給力につきましては七百五十六万キロワットでございます。これは既に廃炉になったものも含んでおります。
  111. 倉林明子

    ○倉林明子君 そこで、その検討の際、接続可能量を検討する際に電力が出してきたものをペーパーとしてまとめられたものに、私、加工して、今日資料として一枚目に提出をしております。  これを見たら、本当にほとんどが、今ある原発が全部供給力の前提になっていることが一目で分かると思うんですね。稼働率も、これ六九・八%から多いところ八四・八%。これ、震災前でも直近で見るとこんな動いていないんですね。原発事故直前のところで見たら、原発の稼働率というのは実際に二八・六%しかなかったわけですよ。全く動いていない原発の稼働率をこれだけ高く見積もるということは、到底私は国民の理解を得られないというふうに思うんです。  再エネを最大限導入するというのであれば、事業者に対して、こうしたまだ動いていない、動く見通しもない、廃炉になる分も含めて原発の再稼働を見込んだような原発枠、こんな空押さえはやめさせるべきだと思うんですよ。いかがですか。
  112. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 固定価格買取り制度は、もう御承知のように、基本的には二十年にわたって固定した価格で電力を買い取るという制度でありまして、そうしたことを考えまして、例えば、まず原発の稼働率でいえば、長期にわたった稼働ということで三十年にわたった稼働率というものを使わせていただいております。  また一方で、再稼働をするかどうか分からない、また、四十年を超えてしまうというような御指摘について申し上げますと、例えばそれを入れないで二十年間固定価格で買い取りますよということをお約束していたとして、再稼働を原発がしたときにはその契約自体を途中で切らなきゃいけないというような事態が起こってくる。また、四十年を超えて再稼働が、再稼働というか、四十年を超える稼働が規制委員会によって認められる原発が出てまいりますと、その分も既にお約束していたやつを切らなきゃいけない。逆に言えば、そういう条件でしか契約ができないと、こういうことになってしまうものですから、制度として極めて不安定になると思っておりまして、こういう前提で計算をしております。
  113. 倉林明子

    ○倉林明子君 でも、結局、その分は前倒しで再エネを締め出すということになるわけですよね。  現在稼働をしている原発はゼロなわけですよ。結局、じゃ、その不足分は何で補っているかといったら、火力になるわけですね。二酸化炭素が結果として削減どころか増えるということになるんじゃないかと思うんですね。  そこで、現在の地域間の連系線の容量、そして実際の使用状況は、私、十分余裕はあるし、今新たに設備投資や拡大しなくてももっと再エネの導入枠確保できるんじゃないかと思っているんです。  そこで、二枚目、見ていただきたいと思います。  これは、平成二十四年度の連系線の利用実績をそれぞれ出したものです。確かに余裕のないところもあるんですけど、利用実績で見るとまだまだ余裕があるということ、このグラフを見ていただいたら分かるかと思うんですね。  欧州でできて日本でできないという融通の話がよく出てくるんですけれども、電力会社の規模でいいますと、北電、これはデンマークに匹敵する、東電はイギリスに匹敵する、中電はポルトガルに匹敵するぐらいの規模を持っているんだということです。  そこで、連系線の容量はどうかというと、これ三枚目に、ピーク時の需要に対する連系線設備容量の比率ということで出しております。北海道はさすがにもう一三%ということなんですが、ドイツやデンマークよりも、中電、関西電力、北陸電力、大きいですね。そういう意味で、まだまだ使える連系線の枠はあるんだということをこれ示しているし、ヨーロッパにも劣らない、利用しようと思ったら使える容量なんだということだと思うんです。  再エネの接続枠を電力会社域内で決める、こういうやり方の前に、今ある地域連系線を最大限活用できる、このルールの見直しをまずやるべきじゃないかと思います。どうでしょうか。
  114. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) この三枚目の資料の意味が私にはちょっといま一つ分からないので教えていただきたいんですけれども、ピーク時の需要というのはこれキロワットアワーですよね、量ですから。連系線の設備容量というのは恐らくキロワットだろうと思っていまして、この二つの関係というのが表になっていますが、どういう意味がある表なのか、ちょっと教えていただけますか。
  115. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 倉林君、いいですか。
  116. 倉林明子

    ○倉林明子君 後でよくレクチャーを受けていただければと思います。私の質問時間も限られておりますので進めさせていただきたいと思うんですね。だから、今、地域連系線は十分にまだまだ使える枠があるよということを示したわけです。  そこで、そういうことからも、要は再エネを広域で運用するほど効率的に運用できると、電力システム改革でもこのことは強調されたはずなんですね。それで、電力の広域的運営推進機関が四月から動くということになっているわけですけれども、これが発足する前に電力事業者が域内で融通することを前提にして再エネ接続可能量を出している、私、これが問題だと思っているんです。広域的な運用が始まる前に再エネを締め出すということに結果としてはなるんじゃないかということが言いたいわけです。  エネルギーミックスの検討でも、原発ゼロの選択肢、これ示されていない。原発ゼロで再エネの最大限導入を私は検討すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  117. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 高橋次長。
  118. 倉林明子

    ○倉林明子君 いやいや、大臣です。
  119. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) まず、地域間の連系につきましては、それは大変大事なことでありまして、広域的運営推進機関が四月から発足しますので、そこでも、例えばそのきめ細かなルールで、今まで年度ごとに決めていたものを三十分置きにするとかいうことで、さらに小売事業者に加えまして発電設備設置者も地域間連系線の利用予約ができるというようなことで、地域間連系線の更なる活用ということはしっかり図っていきたいと思っております。  それから、原発ゼロにせよというお話でございましたけれども、私どもは、まさに今のエネルギー自給率、僅か六%、しかも九四%化石燃料の輸入、しかもかなり部分が中東から来ている、中東依存度が高まっているというようなことを考えますと、日本エネルギーセキュリティーというのはかなりリスクが大きな状況になっているとか、さらに、先ほどありましたCOP21の対応として温暖化対策もしっかりやっていくということになりますと、やはり原子力というものがどうしてもカウントしていかなければできないとか、また、大変、産業用三割、家庭用二割電力が上がっているという中で中小企業から悲鳴が上がっているということを考えますと、やはり、規制委員会において審査されて適合すると認められたものについては再稼働を進めていくということが方針でございます。
  120. 倉林明子

    ○倉林明子君 自然再生エネルギーということで見れば、日本は資源大国だということも直視すべきだというふうに思います。原発ゼロ、ここを腹くくってこそ最大限の自然再生エネルギーの導入につながる、このことを強く申し上げまして、終わります。
  121. 中野正志

    ○中野正志君 次世代の党の中野正志でございます。  松田委員の御配慮によりまして、松田委員の前に質問をさせていただくことになりました。  宮沢大臣、再選おめでとうございます。いろいろ御苦労でありますけれども、日本経済のために、また私たち日本エネルギーを始めとした諸課題の解決のために、なおさらに一生懸命頑張っていただきたいと存じます。  再選後、初めてでございますので、あえてアベノミクスについて、現状をどう捉まえられているか、また今後の展望についてどうお感じをされておられるか、お話をいただきたいと思います。  数字上、株価にしても、あるいは就職の内定率にしても、あるいは賃金、毎日毎日いろいろな企業が、まあ大企業中心だとよく批判はされますけれども、しかし現実そうでありますから、賃上げの報道がされております。やっと個人消費も相応の形で持ち直してきたのかなと思っております。そんな中で、是非宮沢大臣の見識をお聞かせをいただいておきたいと思います。
  122. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) アベノミクスにつきましては、第一弾、大変うまくいきました。また、第二弾も適宜、柔軟的に運用をしております。そして、問題は第三弾、成長戦略でありデフレの克服という段階でございます。  昨年について申し上げますと、四月の消費税引上げによりまして、当初から、一—三は駆け込みがあって、そして四—六はかなり駆け込みの影響で反落があるだろう、しかし七—九からは、九七年の経験も踏まえて、恐らくかなり良くなってくるだろうという予想をしておりましたけれども、残念ながら、いろんな要因があると思います、消費の落ち込みといったようなことがあって、七—九が思ったよりははるかに悪い数字になっていたという現状がございます。  そして、設備投資の方はそれなりに出てきておりますけれども、消費というものがやはりかなり落ち込んでしまったということが一番の要因でありますし、数字上でいえば、いわゆる在庫が減ったというような、ある意味ではプラス要因がマイナスに効いてしまうというようなところがあったわけでありますが、十—十二につきましては、第二次QEを変更しましたけれども、その中で、消費についてはかなりいい数字が出てきているということ、それからまた、四月以降は、物価でいいますと、昨年消費税を上げた三%の分が、二%効いているという部分が、恐らく四月から六月にかけてその部分がなくなる、更に言えば、春闘真っ盛りでありましたけれども、昨年以上に賃金上昇が期待できるような状況にあるということになりますと、四月から六月以降については実質賃金もかなり上がってくるということで、いい方向で今動き始めたなと思っておりますが。  一方で、私は、アベノミクス、成長戦略のやはり鍵は、ベンチャー企業を含めて中小企業、中堅企業がやっぱり新しいことに挑戦していただいて、そういう分野で、少量生産だけれどももうかる、少量生産、高付加価値というような新しい事業を始めていただく、これは物づくりであり、サービスもあると思いますけれども、ということが一番大事なこと。それこそデフレ克服の鍵だと思っておりまして。  中小企業、なかなか自分たちが主役だよという意識がないものですから、是非とも、見える化という作業を今事務方にさせておりまして、私の前で月に一回、二回、議論、ディスカッションをしておりますけれども、できれば六月前後にはそれをお見せして、逐次それを新しいものにリニューしていって、中小企業、中堅企業の方にやる気になっていただくということが一番大事なんだろうというふうに思っております。
  123. 中野正志

    ○中野正志君 宮沢大臣、本当に是非また、経産行政打ち出しの各種の経済政策、対策、いろいろな意味で花開いておりますし、中小企業対策、是非、タリーズコーヒーのような、もう勇気ある企業をどんどこ生み出していただけるような、サービス産業でも、是非これからも頑張っていただきたいと存じます。  実は、今朝、産経新聞を見てびっくりいたしました。直接的には経済産業省、指導官庁ではありませんけれども、しかし、今、話がありましたように原発行政携わる立場でありますから、あえて、あえて申し上げておきたいと思います。原子力規制委員会、敦賀それから東通に活断層ということで、産経新聞は、不可解な審議年間事業者反発、無効だと。こういう記事が出てくるような規制委員会では困ったものだなと。  私は、前から規制委員会には正直反発もしておりましたし、どうも規制委員方々、また専門家組織というのかな、専門家会合と言われる会合、どんな法的な裏付けがあって、それでどんな会議をしているのか、私たちには不可解な部分があったのでありますけれども、いずれにしても、今回を見ますと、一連の調査が終結した、ただ、原子力規制委員会側の調査や会合では不可解な運営があり、事業者質問状を出しても考慮されなかった、事業者との対立ばかりが目立ち、強行採決した形で、規制委員会としても後味の悪さが残ったと。ここまで書かれているんですね。  そして、調査に当たった専門調査団とは別の専門家が昨年十二月のピアレビュー、検証会合で出した科学的な点から評価に問題があるとの疑問を必ずしも解消していないと、もう規制委員会側の一方的な対応が見られたと、そういう記事なんですね。  まして、規制委員会側は、事業体、この場合は東通の東北電力に対してでありますけれども、根拠を変えた架空の説だと、ここまで言うのであります。それから、時間の無駄だと一方的に議論を打ち切ったと。規制委員会側と事業体側にそこほどまでの、まさにけんか腰の議論になるぐらいでは、これはもう規制委員会も問題だなと、私たちははっきり言うと思います。  やっぱり規制委員会側は公の機関でありますから、本当に事業体側に言いたいことがあるのなら、やっぱりしっかりと科学的な議論を尽くすべきだと思うんです。それから、東北電力であれ、あるいは原電であれ、言うのが自分たちと違うというのなら、規制委員会側がしっかりと反証を出さなくちゃならないんですよ。反証を出さないで事業体側の話がおかしいと言ったって、これは通ずる話じゃない。そんな規制委員会ならやめてもらった方がいい。  私は前にちょっと言いましたけれども、環境委員なら言えないんでありますが、ここは経産委員でありますからあえて言いますけれども、やっぱり規制委員会という組織、それからその下にあります専門家会合という組織、元々いろいろ言われたあの原子力村と言われる人たちではないんですね。そういう専門的な組織からお呼びされていなかった人たちが、あえて言いまして専門家会合というところにいるんですよ。我々からしたら本当の専門家ではないと。  確かに批判もありました、原子力村。それは確かに一部は間違いなく当たっている。しかし、やっぱりこういう規制委員会、それから専門家会合、まだまだ、こんなことなら、その専門家会合と言われる人たちとそれから事業体側の専門家と言われる人たち、公開議論をさせて、国民の皆さんがもっと分かる形で、やっぱりできるだけ早期な結論を導き出して早く再稼働をさせる。駄目なものは駄目でしようがないとしても、もうそんなに長い審査は掛けないというスタイルでありませんと、国益のマイナスでもありますし、結果的に国民、消費者のマイナスになると、私はそう思うんですが、職掌外であるとはいえ、宮沢大臣、どう感じられますか。
  124. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 再稼働、また原発の関係の審査につきましては、三条委員会であります規制委員会においてある意味じゃ独立して判断をするという制度、これは民主党政権時代でもありましたけれども、たしか自民党も加わっていろいろ修正をした上ででき上がった制度でございまして、そういう制度の下にある大臣としましては、規制委員会のことについて何やかやと申し上げてはいけない立場でございます。  その辺の事情は御理解いただければ有り難いと思いますし、おっしゃったような私も新聞記事は読みました。いろんな御疑問があるんであれば、やはり直接規制委員会議論していただくのが一番いいんだろうというふうに思います。
  125. 中野正志

    ○中野正志君 是非この経済産業委員会で、規制委員長をお呼びをさせていただきまして宮沢大臣の前で議論をさせていただきたいと思いますので、委員長、よろしくその節はお願いを申し上げます。  時間がありませんのではしょって申し上げますが、三月二十四日の報道ですけれども、原発でつくった電気を電力小売に新規参入する新電力が調達できるようにすると、宮沢大臣のコメントがございました。再稼働後の発電コストの安い電力を既存の電力会社だけが売るのではなくて、電力小売への新規参入事業者も利用することができるというのは、当然ながら一つの方法だと思います。ほとんどの、ただ原発が停止している現状で、自由化市場が活性化するほどの余剰電力は期待できるのかどうかと、これちょっと疑問であります。  こういう状況の中で、政府としては電力の需給見通し、どのように把握されておられるのか、またこれから進めていかれるのか、さっき大臣からもちょっとお話はありました。そこについてお触れいただければと思います。
  126. 岩井茂樹

    大臣政務官岩井茂樹君) 夏冬の需要がピークになる時期には、老朽化火力を含む火力のたき増し、そして発電所の定期検査の繰延べ等によりまして電力の不足を回避している状況でございます。  電力需給は引き続き予断を許さない状況でありまして、例えば夏冬における火力発電所の計画外停止の件数を見ますと、震災前の二〇一〇年と震災後の二〇一三年を比べますと、二割その停止の件数が増えているという状況でございます。仮に電力不足によりまして大規模停電が発生した場合には、工場の操業停止や水道、ガス、信号、鉄道などの交通インフラへの影響が懸念をされている状況であります。  政府といたしましては、専門家が検証いたしました夏冬の電力需給の見通しを踏まえまして、国民各層に対する節電協力要請等、電力需給対策を講じてきておりまして、今後とも電力の安定供給が図られるように適切に対応してまいりたいと考えております。
  127. 中野正志

    ○中野正志君 ありがとうございます。  以前に宮沢大臣にちょっとだけ紹介をいたしました。「パンドラの約束」というロバート・ストーン監督作品であります。元々ロバート・ストーンさんは地球環境保護論者でありまして、原発反対派であります。ただ、今は、当然ながらこの映画を作ったときから原発支持に転換をされました。同じく転換をされましたのは、アメリカ合衆国の環境活動家スチュアート・ブランドさん、あるいはピューリッツアー賞受賞作「原子爆弾の誕生」、これを書いたジャーナリストのリチャード・ローズさん、あるいは有名な「不都合な真実」を明らかにされたゴアさん、元副大統領、こういう方々が原発発電支持に転換をされたわけであります。  地球規模エネルギー需要はどうしたって拡大をする、それに伴う大気汚染とやっぱり温暖化という問題に世界は今後なおさら直面をしていくと。地球温暖化を食い止めるためには原発をなくしてはいけない、私は率直にそう結論付けております。  そういう意味で、宮沢大臣からもちょっとお話をいただきたいと思うんでありますけれども、ドイツでは太陽光で賄われているエネルギー、一年前の統計ですけれども、全体の五%なんですね。風力は七%にすぎないのが現実で、そのために太陽光発電だけでどれぐらいの費用を掛けたかというと、一千三百億ユーロです、ユーロ。これだけ掛けて成功と言えるのかと。今、ドイツの国民の人たちは、何で自分たちはこんなに高い負担をしなければならないんだと大分に不平不満が出ております。  私たちは、やっぱり統合型高速炉、通称IFR、あるいは小型モジュラー炉、SMR、あるいはナトリウム冷却高速炉、SFRなど、優れた安全性を備えた次世代の原子力の開発が進められておりますから、これをしっかりとサポートをするのでなければならない。なおかつ、私たちの日本はやっぱり原発技術の高度化、これを期待もされて、現実、私たちの日本、技術陣はしっかりその期待に応えて今日まで頑張っておられるわけであります。  今のペースで私たち化石燃料を使うことを続けていったら、地球は間違いなく破滅の道をたどると。福島事故は確かに本当に痛ましい事故でありましたけれども、そこで学んだ教訓、これを将来に向かう姿勢でしっかりと私たちも、また行政も、そしてそういった産業界、技術陣も国民の皆さんに対して見せ付けていくのでなければならないなと。  宮沢大臣の、原子力発電については、さっき倉林委員の最後にコメントありましたけれども、少なくともこの所信表明ではちょっと印象薄いなと実は感じました。ロバート・ストーン監督の考え方、どう考えられますか。また、日本でも世界各地でも、今本当にゲリラ豪雨と言われるぐらいの自然災害始めとしてたくさんの災害があります。私は原発に何のリスクもないとは言いません。リスクも当然あります。しかし、ほかの発電システムに比べれば私は原発のリスクはそんなに高いとは思っておりません。一つ一つしっかりクリアしてきて今日の原発の現実があるんであります。  そんなことで、宮沢大臣のお考え是非聞かせていただいておきたいと思います。
  128. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 原子力発電所につきましては、まず原子力規制委員会におきまして世界最高水準の新規制基準に適合しているかどうかの審査が行われ、適合していると認められた場合には再稼働を進めるというのが政府の方針であります。  そして、なぜ再稼働を進める必要があるかと申し上げますと、それは先ほど倉林委員にも申し上げましたけれども、我が国のエネルギーの安全保障といったものが大変厳しい状況にある。中東で何かが起こって、なかなか油、LNGが入ってこないというようなことになりますと、原油は百八十日分の備蓄はありますけれども、たかだか半年であります。LNGは基本的に備蓄ができないという状況の中で、ある意味では綱渡り的な運営をしていると言っていいんだろうというふうに思っております。  それから、今年の十二月にはCOP21がありますけれども、やはり原子力発電のある意味じゃ電力というものをある程度勘案しないことには、恐らく地球温暖化に対する日本考え方というものが世界に疑われてしまう。逆に言えば、日本がしっかりと地球温暖化対策に参加をしていくという熱意を示すためのある程度のレベルのものを示すとすると、やはり原子力発電所の電力なしには示せないというのが現実であります。  更に言えば、大変、産業用で三割上がっている、個人で二割ということでありますけれども、例えば先ほど賦課金の減免制度の話がありましたが、例えば電炉メーカーなんというのが大変電力多消費でありますが、そこで作られている特殊鋼といったものは日本産業機械のまさに魂のようなものがたくさんございまして、そういうものは賦課金は減免されていても本来の電力料金が三割上がっているという中で大変厳しい状況にある。そして、それが日本産業の礎の一つであるということを考えますと、やはりこれは再稼働を進めていかなければいけない、もちろん原子力規制委員会の審査というものを経た上で進めていかなければいけないというのが私どもの考えでございます。
  129. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 時間ですのでおまとめください。
  130. 中野正志

    ○中野正志君 ありがとうございます。はい。  女性が輝くための数値目標についてフェミニストの菅原局長さんに質問するつもりでありましたし、ほかの質問もありましたけれども、次回にお許しをいただきたいと存じます。  ありがとうございます。
  131. 松田公太

    ○松田公太君 日本を元気にする会の松田公太です。  今国会、この経産委で初めての質問となりますので、宮沢大臣の所信演説に対して幅広くいろいろ御質問させていただきたいと思っております。  まず、宮沢大臣が演説の中でまず最初にお話しされたこと、これが最も重要な課題だというふうにおっしゃいました福島原発の廃炉・汚染水対策についてお聞きしたいと思います。  まず、凍土遮水壁についてです。  昨日、原子力規制委員会の監視検討会が開かれましたが、三月に予定されていました凍土壁の凍結、これが見送られまして、実証実験的な部分凍結のみが認められるということになったわけです。  私は元々、凍土壁に関しては非常に懐疑的に見ておりまして、本委員会でもそれ以外の方策というものを何度も提言をさせていただきました。なかなかそれが受け入れられなかったわけですけれども、現状はやはり危惧したことが起こってしまっているなというふうに思っております。  この現状について、まず宮沢大臣はどのようにお考えか、そして今後も凍土壁にこだわって続けていく予定なのかということをお聞かせいただければと思います。
  132. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 陸側の遮水壁、いわゆる凍土壁につきましては若干工事が遅れております。それは、労働災害事故が起こった関係で二週間ほど作業ができなかったということで遅れておりますけれども、規制委員会の認可が得られれば、四月に凍結しにくい箇所、五月に山側全体の凍結を開始することが可能な状況でございますが、おっしゃいましたように、規制委員会検討が少し時間が掛かっております。昨日、試験的な位置付けで部分先行凍結を認めるということとなりまして、今後、実施計画のヒアリングの中で確認されることとなったと報告を受けております。  安全をおろそかにすることなく、しっかりと工程管理を行いながら着実に進めていきたいと考えております。
  133. 松田公太

    ○松田公太君 私はいろいろ調べて確認している状況なわけですけれども、いろいろ問題が出てきているというふうに聞いております。  例えば、汚染水がトレンチにたまってこれがなかなか取り出せないという話であったりとか、若しくは、これ海側の問題ですけれども、まあ山側の問題もそうなんですけれども、様々な管であったりトレンチが中にあって、なかなか均等に凍らすことができていないんじゃないかと。仮に一部分凍らすことができたとしても、隙間が空いてしまったらこれは全く意味がないことなんですね。水というのはその隙間を狙って入ってくるわけですから。  そのような問題があって、今回は、そういった指摘も含めて、凍土壁、これ問題があるんじゃないかと、非常にレベルが低い状況で今進められているんじゃないかという指摘が昨日規制委員会の方からもあったとお聞きしましたが、これについてはいかがでしょうか。
  134. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 済みません、私、現地対策本部長とこの廃炉・汚染水の事務局長という立場でチームでやらさせていただいておりますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。  この凍土遮水壁の問題でございますが、二年前に地下水が山側からずっと原子炉建屋の方に向かってきていると、一日四百トンが流れ込んでくると。それがいわゆる原子炉建屋の原子炉、また溶けた燃料デブリ、さらに、そこでたまっている汚染水に触れて、汚染されて海側に流れ出していると、これが大きな問題になったのが発端でございました。  その点、私どもは、汚染水を近づけない又は取り除くといったような形で手を打とうということでこの二年間取り組んでまいりました。その一番大きな柱としてこの凍土遮水壁がございます。要は、山側から流れ込んでくる地下水をその手前で止めようということで取り組んでまいりました。一方、その途中で、地下水バイパスといって、井戸を掘って途中でくみ上げるというやり方もやっておりまして、これについては、実は漁業者の方にも御了解をいただきまして、それを海に放出しております。その結果、一日四百トン流れ込んできた水が今三百トンになっていると。  二月の段階でIAEAのミッションが来ましたので、このミッションが九日間にわたって様々な調査、実は二年前の汚染水問題が起きたときにこのミッションが参りまして、そこから比較をして着実に進んでいると、このような評価もいただいております。  そういった中で、この陸側の凍土壁、遮水壁でございますが、削孔といいまして、管を入れるための穴は、陸側は九九%、これを掘ってあります。さらに、これをいつの段階で凍結するかということでございますが、これを全面凍結いたしますと、この流れてくる水がいわゆる建屋の方に来ない、その分、いわゆる地下水の水位が変更するのではないかということで、今、規制委員会ではこれをいろいろと調査をして、東電の方に問合せをしながら検討しているという状況でございます。  また一方、委員指摘されたトレンチの問題でございますが、トレンチも、昨年は、まずはそれを凍らせようと言いましたが、流量、いわゆる水がずっと流れておりますので、凍らすのは不可能であるということが分かりました。その点、今、間詰め材といいまして、コンクリート等を入れて、それをしっかりとくみ上げながらこのトレンチの水を抜く作業を鋭意進めております。  そういった今現状として進行中の問題を、今御指摘のように、うまくいっていないというふうなことではなくて、先ほど地下水の水位が、いわゆる止めた場合にどうなるかという検証作業も含めまして今検討しているということで、その段階で昨日、規制委員会の方では、まず試験的に一部凍結をしようと、こういうことで御意見をいただいたところでございます。
  135. 松田公太

    ○松田公太君 今もろもろお話しいただきましたが、宮沢大臣にお聞きしたいんですが、それ、宮沢大臣の見解としても、この凍土壁というのはうまくいっている、このまま進めるべきものだと、このようにお考えだということでよろしいですね。
  136. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 私が伺っておりますのは、たしか規制委員会の方は、建屋の中の水位と凍土壁の内側で建屋の外の水位といったものを大変気にしておられまして、建屋の中の水位の方が高いと外に出てくる可能性がある、その調整をしっかりできるかどうかというところをやられていて、凍土壁自体の性能云々ということではなくて、当然、凍土壁がうまくいくということを前提にした議論を今されているというふうに聞いております。
  137. 松田公太

    ○松田公太君 今の答えですと、その凍土壁、これを推進していくというふうには私は捉えたわけですけれども。  先ほどお話しいただきました水の流入の部分で、汚染水タンクというものが一部そちらの方に移されているわけですけれども、現状、八十万トン分できていますと、そのうち残っている、空いている枠という部分が二十万トンということですが、一日約四百トンの汚染水をくみ上げると想定して、大体五百日分の枠が残っているのかなというふうに思われるわけですが、このような作業があとどのくらい続くと経産省の方では想定されているんでしょうか。
  138. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) 今御指摘ありましたように、二十八年度内の八十万トンにタンクを増設するというのが、二年前倒しで本年度末にこれが確保できる見込みとなりました。  必要となるタンクの量は、今後の雨量又は現在進めている地下水流入抑制策、先ほどの凍土遮水壁、さらには地下水バイパス、同時に今サブドレーンという形で更に建屋に近いところで井戸で水をくみ上げております。そういったことも含めまして、その抑制効果状況次第によって変わりますが、今御指摘の二年間分はしっかり大丈夫であると。その後、これが止まりました場合、先ほどIAEAの御報告も申し上げましたけれども、いわゆる地下水バイパスだけで一日百トン確実に減っております。  さらに、凍土遮水壁、サブドレーン等々を行った場合に、その流量が大分減るという、こういう形となりますので、さらに、それを浄化するALPSと言われる多核種の除去装置もいわゆる稼働率がだんだん高まっておりますので、そういった部分では、この汚染水タンクの増設については今の段階では大丈夫であると。  その後どれぐらいになるのかというのは、今申し上げましたその状況をしっかりと判断しながら対応してまいりたいと考えております。
  139. 松田公太

    ○松田公太君 分かりました。  それではお聞きしますけれども、廃炉に向けた本格的な作業、これはまだ先、まだまだ先のことですけれども、今、水の話が出てきておりまして、その水に関係することでもありますが、デブリを取り除く作業、これは現状は冠水方式でやろうということで進められてきたわけですね。  これも大分前にこの委員会でも、ほかの委員会でも私は指摘をさせていただいておりますが、原子炉には穴が空いていることがもう明確で、それで燃料が溶け落ちていて、どこに穴があるかも分からない、どこに燃料があるかもまだ明確ではないという状況が続いていますと。そういった事態を考えますと、いつまでも上から水を例えば入れ続けて、冠水を続ける若しくは冠水方式でデブリを取り除こうということは難しいんじゃないかという話をさせていただいております。  私は一貫して空冷式、気中工法といいますけれども、この空冷式を提言してきているわけですね。そろそろ空冷式にシフトする、こういう施策が必要になってくるんじゃないかなというふうに思いますが、それについてはいかがでしょうか。これ、宮沢大臣からお聞かせいただけますか。
  140. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 高木副大臣、簡潔に。
  141. 高木陽介

    ○副大臣(高木陽介君) この燃料デブリの取り出しについては、今の中期ロードマップですと、二〇二一年度、これを目指して今検討を進めております。  しかしながら、その前段である例えば瓦れきの取り除きだとか、そういった問題等々もございまして、今この春を目指して中長期ロードマップの見直し作業というのをやらさせていただいております。そうなりますと、今二〇一五年でございますから、早くても六年後の取り出し。ただ、取り出す段階にはロボットの開発、いわゆる中に人間が入ることができませんので、そういったことも今検討を進めております。そういった中で、今現在は冠水という、水に浸した中でこれをしっかり取り出そうという検討を進めております。  今委員の御指摘のような空冷というような考え方もございますけれども、ここは専門家、英知を結集いたしまして、そういった部分で、まず一番大切なことは安全に取り出すこと。そうでなくても、この廃炉、汚染水の問題というのは、被災地の皆さん方だけではない、福島及び全国の方、もっと言えば世界の方々が注目している中にありまして、確実に燃料デブリを取り出すと、こういう作業をやっていくために検討を進めてまいりたいと考えております。
  142. 松田公太

    ○松田公太君 幅広くと言っていましたが、大分時間が掛かってしまいまして、できれば答弁の方を簡潔にお願いできないかなというふうに思います。  ちょっと幾つか飛ばさせていただきまして、ITAについてお聞きしたいと思います。  私は、おととし、バリで開催されたWTOに関する国際議員会議出席させていただきまして、成果文書の取りまとめ交渉もステアリングコミッティーでさせていただいたんですね。その際、ITAの推進については主に中国と議論になりまして、最後は修正文で妥結することとなりましたけれども、やはり日本の国益のために、このITAの拡大交渉、これは積極的に進めなくちゃいけないなというふうに思った次第です。  今現在は、その拡大交渉がどのような状況になっていて、どのような部分がネックになっているのか、それを教えていただければと思います。  また、まだ終わっていません、ちょっと一気に行っちゃいますね、また、新たにその交渉の対象となっている二百品目ですね、このリスト、これを是非開示していただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  143. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) ITA交渉につきましては、委員おっしゃるとおり、大変大事なことだと私も思っております。現在交渉となっている情報通信機器の日本からの輸出額は、通信機器の約一・八兆円、半導体製造装置の約一・二兆を含めて九兆円に上っております。  昨年の十一月のAPECのときに私も北京に参りまして、米国、中国、それぞれの通商担当の閣僚とバイの会談をいたしまして、それぞれに対してITAの早期の妥結を働きかけました。そして、その後、アメリカと中国がある意味で大きく対立をしていたことが交渉自体なかなか進展しなかった一番の要因だったわけですけれども、アメリカと中国においては大体話が付きました。  ですから、大体の話は付いているんですが、一部の国、どことは申し上げませんが、まだ納得していない部分が残っておりまして、残念ながらまだ妥結に至っていない。もうぎりぎりのところまで来ていますけど妥結に至っていないということであります。  表に出せるかどうかは参考人からちょっとお願いいたします。
  144. 鈴木英夫

    政府参考人(鈴木英夫君) 二百品目のリストにつきましては、現在交渉中でございますので、リストそのものはまだ確定していないという意味でお出しすることはできないんですけれども、概要につきましては、大体対象として、新型半導体、半導体製造装置、デジタル複合機、印刷機、デジタルビデオカメラ、カーナビ、MRI等の医療機器等が分野としては入っております。  以上です。
  145. 松田公太

    ○松田公太君 そうですね。その概要についてはもう大分マスコミにも流れておりますので、詳細を是非見せていただきたい。私もこのITA推進を協力したい、こう思って申し上げている次第なんですが、委員長、これ、委員会として正式に提出を求めたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  146. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 後刻理事会で協議いたします。
  147. 松田公太

    ○松田公太君 それでは、済みません、かなり多くの答弁予定者の方にお集まりいただきましたが、時間がなくなってきまして、クールジャパンについてお聞きしたいと思います。  今までの十の投資実績、これを調べさせていただいたところ、三つは、例えば三越伊勢丹、エイチ・ツー・オー、そしてバンダイナムコという、実はそのクールジャパン株式会社への株主の事業なんですね。スカパーもありますが、スカパーは機構会長の飯島氏が取締役を務めているという会社ですね。  このように、十のうち四つの案件、要は四割の案件が機構への株主、投資家、また関係者が関わっている、これについて宮沢大臣はどのように思われますでしょうか。
  148. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 機構の海外需要開拓委員会において案件が決定されているわけでありますけれども、おっしゃったように、委員関係する会社に出資されていることは事実でありますが、その案件の審査のときには当該委員は審査に加わらないというような形で運営されていると聞いておりまして、特に問題があるとは考えておりません。
  149. 松田公太

    ○松田公太君 仮に審査に関わらなかったとしても、やはりその株主である以上、私は特別利害関係上も問題があるんだろうなというふうに思いますね。  しかも、金額をちょっと調べさせていただいたんですが、今まで投資された約三百億のうち六割、六〇%くらいがその特定の利害四社とのジョイントベンチャーへの出資ということになっているんですね。これは、出資した分以上に実はJVをつくって、そちらにまた出資してもらっているというケースもありますので、これはやっぱりおかしいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  150. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 今申し上げましたように、審査には加わっていないわけでありますけれども、そういう疑念が持たれないような方策を何らか今後講じていくこともまた必要なのかなという気がいたします。
  151. 松田公太

    ○松田公太君 私は別にクールジャパンの揚げ足を取りたいと思って言っているわけじゃなくて、むしろ正しい経営がされれば、私はそのクールジャパン株式会社、これは本当に日本のためになるなというふうに思っているんですね。ですから、そういう疑念が持たれないようにもしていただきたいと思っておりますし、今日はもう時間が来てしまいましたけれども、これについては引き続き議論を深めさせていただければと、このように思っております。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  152. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 両件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  153. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。宮沢洋一経済産業大臣
  154. 宮沢洋一

    国務大臣宮沢洋一君) 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日より、八度の延長措置を経て、平成二十五年四月十三日までの間、北朝鮮からの輸入禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日より、三度の延長措置を経て、平成二十五年四月十三日までの間、北朝鮮への輸出の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。しかし、北朝鮮は、国際社会の強い反対にもかかわらず、平成二十四年四月十三日及び十二月十二日にはミサイルを発射し、平成二十五年二月十二日には三度目の核実験を強行し、その後も緊張を高める言動を繰り返しております。また、拉致問題に関する具体的な進展は一切見られないなど、北朝鮮をめぐる情勢を総合的に勘案し、北朝鮮がこれ以上の挑発行為を控え、諸懸案の解決に向けた前向きで具体的な行動を取るよう強く求めるため、平成二十五年四月五日の閣議において、従来の一年間措置に代えて、同年四月十四日から平成二十七年四月十三日までの二年間外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することとしました。  これらの措置のうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。  次に、本件の要旨を御説明申し上げます。  本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十五年四月五日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より平成二十七年四月十三日までの間、北朝鮮への全ての貨物の輸出及び北朝鮮からの全ての貨物の輸入について経済産業大臣承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、及び北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。  以上が本件の提案理由及び要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  155. 吉川沙織

    委員長吉川沙織君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十五分散会