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2015-06-09 第189回国会 参議院 環境委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         島尻安伊子君     理 事                 高橋 克法君                 中西 祐介君                 水岡 俊一君                 市田 忠義君     委 員                 岩城 光英君                 尾辻 秀久君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 信秋君                 中川 雅治君                 中曽根弘文君                 吉川ゆうみ君                 小見山幸治君                 櫻井  充君                 長浜 博行君                 浜野 喜史君                 杉  久武君                 清水 貴之君                 水野 賢一君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻井 敏雄君    参考人        早稲田大学法学        部・同大学院法        務研究科教授   大塚  直君        公益社団法人全        国都市清掃会議        専務理事     佐々木五郎君        特定営利活動        法人コンシュー        マーズ京都理事        長        原   強君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○水銀による環境汚染防止に関する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○大気汚染防止法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 島尻安伊子

    委員長島尻安伊子君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  水銀による環境汚染防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案の審査のため、参考人として早稲田大学法学部・同大学院法務研究科教授大塚直君、公益社団法人全国都市清掃会議専務理事佐々木五郎君及び特定営利活動法人コンシューマーズ京都理事長原強君の三名に御出席いただいております。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜り、両案の審査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず、大塚参考人佐々木参考人原参考人の順でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人皆様及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず大塚参考人にお願いいたします。大塚参考人
  3. 大塚直

    参考人大塚直君) 早稲田大学教授大塚でございます。本日はこのような機会を与えていただきましてありがとうございます。  水俣条約国内法対応についてお話ししたいと思います。お手元のパワーポイント資料ペーパーを御覧いただければと思います。  私の調査審議への関与につきましては、ペーパーに記したとおりでございます。時間の関係で、水俣条約の背景とか我が国状況水俣条約概要につきましては省略いたしまして、まず新法案大気汚染防止法改正案条約との関係で概観したいと思います。  スライドの七を御覧ください。  国内法化主要点一でございます。水銀供給源及び貿易についてでございます。  まず、水銀供給源につきましては、条約上、締約国は、新規水銀の一次採掘即時禁止既存水銀の一次採掘の十五年以内の禁止をするように努めるとしています。新法案におきましては、新規既存を問わずに水銀鉱の掘採を禁止するとしておりまして、条約よりも厳しい対応をしています。  次に、貿易でございますが、水俣条約におきましては、条約上認められた用途への使用等を除き金属水銀輸出原則禁止とし、かつ輸入国側事前同意を条件とするなど厳しい規制をしておりますが、水銀化合物は当面規制しておりません。  我が国におきましては、従来、年に七十から八十トン程度金属水銀輸出してきましたが、その多くは非鉄金属製錬の際のスラッジ由来でございます。リサイクルされた水銀である点に特色がございます。  これに対する国内担保措置ですが、条約締結による輸出の制限につきましては、外為法による措置政省令改正で確保される予定でございます。  答申に基づく政省令改正の整理といたしましては、輸出については原則禁止とし、最終用途が零細及び小規模金採掘ASGMのものは全面禁止とし、特定水銀化合物輸出原則禁止とし、事前最終使用者最終用途が確認できるものに限って承認する、輸出後は事後確認を実施するということでございます。これらの全てにつきまして条約よりも厳しい対応がなされています。  また、非締約国からの輸入につきましては、条約と同様に、条約上許可されない供給源からのものである場合には承認しないこととなります。  次に、主要点の二、水銀添加製品に移ります。  条約上は、まず第一に、附属書Aで、一定水銀添加製品の段階的な廃止期限を設けて、製造及び輸出入禁止を規定しています。二つ目として、これらの製品最終製品に組み込まれることを防止するための措置、さらに三つ目として、条約発効時に知られていない新用途水銀添加製品製造流通抑制措置をとることとしています。  我が国現状といたしましては、今の三つ対応する国内法令は基本的に存在しておりません。そこで、新法案による国内担保措置といたしましては、この三つについて新法案で対処することが想定されています。  一つ目につきましては、特定水銀使用製品製造原則禁止することといたしまして、さらに、製品実態流通実態等を踏まえて、条約以上の深掘りとか規制時期の前倒しも検討されることを想定されています。政省令でこの点については規定されることになろうかと思います。この点に関して、規制の深掘り等が困難な場合におきましても、水銀含有の有無を表示することによって消費者商品選択の際に認識できるようにするということによって市場水銀使用製品を減らしていくというインセンティブを与えるということが重要でございます。  二つ目の点でございますけれども特定水銀使用製品組立て製品への組み込みの禁止につきましては、条約国内法化のために規定が必要となります。  三つ目に、条約発効時に知られていない新用途水銀使用製品製造及び流通抑制につきましては、人の健康の保護、生活環境保全に寄与する場合を除いて、新用途水銀使用製品製造、販売をしてはならないとする基本原則が採用されます。  さらに、条約を超える対応として、水銀使用製品の適正な回収のための各主体責務といたしまして、市町村廃水銀使用製品の適正な回収に必要な措置を講じ、事業者水銀使用表示等の情報を消費者に提供するなど、各主体役割が規定されています。  次に、外為法による国内担保措置についても少し申し上げておきたいと思います。  特定水銀使用製品輸出入規制が行われ、また、ほかの製品に組み込まれた水銀使用製品輸出入規制されます。この点について内外無差別原則が取られることが想定されています。今後、途上国からの輸入品についても水銀使用製品輸入禁止をする必要があること、試買調査等が行われることなどを指摘しておきたいと思います。  次に、主要点の三に移ります。大気への排出でございます。  これにつきましては、主に大気汚染防止法の一部を改正する法律案で対処することが想定されています。条約におきましては、附属書に掲げる五つ種類施設からの水銀大気への排出規制するための措置をとるとするとともに、排出に関する目録作成、維持を求めています。  現在、我が国におきましては、水銀大気汚染防止法に定める有害大気汚染物質の中でも優先取組物質として指定されています。事業者には排出状況の把握と排出抑制が求められています。また、環境省は水銀排出目録作成、公表しています。しかし、このような自主的な排出抑制責務に基づく現在の対応につきましては、条約締結後も継続するということは難しいと考えられます。  そこで、国内担保措置として、大気汚染防止法改正に基づく措置といたしましては、水銀排出施設設置の届出の義務排出基準遵守義務新規既存施設を問わずに課され、さらに、排出基準違反に対して必要に応じて改善勧告等及び改善命令等が発出できるものといたしまして、さらに、水銀排出者に対して水銀濃度測定、記録、保存を義務付けることといたしております。また、五つ種類施設以外につきましても、大気汚染防止法改正案では、水銀等排出量相当程度である施設につきましては排出抑制のための自主的な取組を求めています。  また、新法案による措置としては、条約の八条七は目録作成を要請しておりますので、排出に関する目録新法に基づく計画、この法律の三条、新法の三条でございますけれども、において定めることが想定されています。  次に、主要点の四に移ります。水銀廃棄物以外の水銀環境上適正な暫定保管についてでございます。  水俣条約は、水銀廃棄物定義に該当しない一定水銀及び水銀化合物につきまして、条約によって認められる用途のための暫定的な保管環境上適正な方法で行われることを確保するための措置をとることとしています。  我が国状況といたしましては、国内では、廃棄物からの水銀回収事業者一社が年間約五十トンの水銀保管しておりますが、それ以外は水銀使用製品製造事業者を中心といたしまして数十キログラムから一トン未満程度の比較的少量の保管がなされております。また、水銀の取扱いや保管につきましては、条約の求める措置を規定する国内法令はございません。そこで、新法案において国内担保措置をとることが考えられます。  暫定保管につきましては、毒物劇物取締法と類似した管理指針を置きまして保管状況の報告を求めることが考えられます。新法案は、暫定保管貯蔵という言葉で表し、国は水銀等貯蔵に係る環境汚染防止するための技術指針を定め、必要に応じて事業者に対して環境汚染防止のための措置を勧告することとしています。さらに、定期的に貯蔵状況等を国に報告することといたしております。  次に、主要点の五に移ります。水銀廃棄物についてでございます。  条約は、水銀廃棄物環境上適正な方法管理することなどを定めています。  我が国現状といたしましては、従来は、水銀を含む汚泥燃え殻等管理型最終処分場遮断型最終処分場で処分されておりました。また、金属水銀は貴重な資源として利用されてきました。  ここで注意を必要とするのは、水俣条約上の水銀廃棄物は、バーゼル条約定義使用されていますので、有価物も無価物も含む概念であるということでございます。これに対して我が国廃棄物処理法廃棄物概念は、基本的に無価物のみを廃棄物としておりますので、今回の水俣条約上の水銀廃棄物は、廃棄物処理法上の廃棄物以外にバーゼル廃棄物も含むということでございます。これにつきましてはスライドの三十を御参照ください。  水俣条約締結いたしますと、水銀使用用途等が制限されることに伴って、市況によっては金属水銀等有価性が失われていくということが予想されます。そのため、国内におきましては金属水銀等についても隙間のない対応を検討する必要が生じます。  これにつきましては、新法案において、水銀含有再生資源として国内担保措置をとることが考えられています。条約上は水銀廃棄物でございますけれども廃棄物処理法上の廃棄物でないもの、これを新法案では水銀含有再生資源と呼んでおりますが、これにつきましては、新法案は、まず第一に、国はその管理に係る環境汚染防止するための技術指針を定め、必要に応じて事業者に対して環境汚染防止のための措置を勧告することといたしております。第二に、水銀含有再生資源管理する者は定期的に管理状況等を国に報告することといたしております。この点は暫定保管貯蔵に関する規律と同じでございます。  水銀含有再生資源は、具体的には非鉄金属製錬由来スラッジ等が想定されています。もっとも、水銀廃棄物管理に関する要件につきましては、条約締約国会議附属書を採択することとなっておりますので、この点の規制は将来的には改正される必要が生じる可能性もあると思われます。  次に、もう一つ国内担保措置である廃棄物処理法上の水銀廃棄物について申し上げます。  廃棄物処理法上の水銀廃棄物につきましては、まず廃金属水銀等処理の問題がございます。廃金属水銀等条約締結後は徐々に有価性を失っていくと考えられますので、これが廃棄物として扱われる場合には、特別管理一般廃棄物又は特別管理産業廃棄物として指定することが考えられています。  次に、水銀を含む汚泥とか焼却残渣につきましては、水銀汚染物と呼ばれていますが、この管理が問題となります。環境上より適正な管理を確実なものとするための措置が必要となります。これにつきましては、水銀又は水銀化合物一定程度含む水銀汚染物水銀含有産業廃棄物として指定します。また、特定施設、具体的には非鉄製錬業の施設などが考えられますが、ここから排出される高濃度水銀汚染物につきまして水銀回収義務付けることが考えられています。  第三に、水銀添加廃製品管理の問題がございます。これも、環境上より適正な管理を確実なものとするための措置が必要となります。水銀添加廃製品につきましては、一般廃棄物につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども産業廃棄物水銀添加廃製品対策といたしましては、水銀が飛散しやすい又は溶出しやすい廃製品水銀含有産業廃棄物として指定することが考えられています。  概要最後の点ですけれども実施計画でございます。  条約は、締約国条約義務履行のための実施計画作成、実行することができるとしています。その国内担保のために、新法案は、国は水銀等による環境汚染防止に関する計画を策定することとし、そこで水銀対策の全体像や将来像を包括的に示すことが想定されています。  以上が条約法案との関係についての概観でございます。  それでは、これらの法案を簡単に評価して、若干の課題を述べたいと思います。  水俣条約特色といたしまして、水銀及び水銀廃棄物の産出、貿易使用大気、水質、土壌への排出廃棄暫定保管というそのライフサイクルにおける包括的なアプローチを採用したということが挙げられます。今回の新法案大気汚染防止法改正案はこれに対処するためのものでございますけれども、単に条約の要請を担保するだけでなく、それを超える部分を相当数備えているということに特色がございます。  スライドの三十九と四十に記しておきましたけれども条約を超えた対応をした点が多数ございます。  まず、輸出につきましては、輸出原則禁止とし、最終用途ASGMのものは全面禁止とし、特定水銀化合物輸出原則禁止とする、事前最終使用者最終用途が確認できるものに限って承認する、輸出後は事後確認を実施するというところが条約を超えている対応をしております。  次に、水銀添加製品につきましては、特定水銀使用製品製造原則禁止についての深掘り規制時期の前倒しをする、水銀使用製品適正回収のための各主体責務について定めるということをしています。  また、大気への排出につきましては、五種類の業種以外に相当程度排出する施設に対して自主的な取組を求めるということをいたしております。  さらに、ASGMにおける水銀等使用禁止とか、附属書Bに規定される特定製造工程における水銀等使用禁止しているという点も、条約を超えた対応をしている点でございます。  このような条約を超えた対応をしている点に関しましては、水俣病を経験した我が国が世界の水俣病発生防止のリーダーシップを発揮すべきこと、さらに我が国国民性として魚をよく食べるということから説明ができると思われます。水俣条約という名前を冠した条約国内法化に恥じない対応をしていると言ってよいと思われます。  では、今後の課題として何が挙げられるでしょうか。  まず、直ちに行うべきこととして三点挙げておきたいと思います。  一つは、条約締結後、実施計画を早急に立てて、各環境媒体だけでなく、原料、製品廃棄物及び環境媒体間の水銀等の移動を含めた計画を打ち出すことでございます。二つ目は、家庭から排出される体温計血圧計の効果的な回収方法処理体制自治体事業者と連携しつつ構築し、国はこれを支援することでございます。三つ目に、金属水銀安定化のために金属水銀硫化施設設置をすることでございます。  他方、廃金属水銀等処理体制とか長期的なモニタリングにつきましては、まず、廃棄物処理法に基づいて排出事業者において適切に管理することが重要でございます。そして、廃金属水銀等の長期的な管理のため、国を含めた関係者の適切な役割分担を検討することが必要でございます。この点は中長期的な課題となります。  最後に、新法案に関連する点として、環境法全般との関係で問題となることを一点だけ申し上げておきたいと思います。  先ほど申しましたように、我が国廃棄物処理法上の廃棄物定義は国際的な廃棄物定義とは違っております。水銀含有再生資源は、条約上は水銀廃棄物に該当します。この水銀含有再生資源は、現在は有価での取引が行われているとしても、今後、水銀市場価値が低落していくことなどによって廃棄物処理法上の廃棄物により近づくことが予想されます。  そうした中で、水銀含有再生資源に関する規律は、水銀等貯蔵に対する規律に近づけるのではなく、むしろ廃棄物処理法上の水銀廃棄物に近づけるべきではないか、その方が国際的な廃棄物定義を重視していることになりますし、事柄の性質上も適切であるということを申し上げておきたいと思います。  以上で私の説明を終わらせていただきます。
  4. 島尻安伊子

    委員長島尻安伊子君) ありがとうございました。  次に、佐々木参考人、お願いいたします。佐々木参考人
  5. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) 全国都市清掃会議専務理事をしております佐々木と申します。よろしくお願いいたします。  それでは、資料に基づいて御説明をいたします。  まず、一枚おめくりいただきまして、一ポツでございますが、私ども組織概要が書かれております。全国自治体でつくる公益社団法人でございまして、廃棄物行政問題解決のために組織する唯一の全国組織であるというふうに考えております。昭和二十二年に発足いたしまして、平成二十四年に公益法人として認可を受けております。参加自治体は、加入率で、自治体の数では五〇%でございますが、それは町村加入が非常に少のうございましてあれですが、全体の参加自治体の人口で申し上げますと、カバー率は八五%でございます。  次のページを御覧ください。活動内容といたしましては、ここに九つ書いてありますが、本事案に関係する乾電池等水銀広域回収処理事業というのを国の依頼を受けて私どもが実施しております。  次を御覧ください。その乾電池蛍光管等水銀含有廃棄物回収リサイクル状況でございます。  全国市町村廃棄物処理におきましては、資源物分別排出収集、いわゆる3Rの推進が行われておりまして、電池蛍光管等は約七割の自治体不燃物あるいは危険物として分別排出収集されているところでございます。リサイクル、この場合は水銀回収でございますが、多くの自治体では、私どもが行っている全都清ルート、それから市区町村入札等によってリサイクルをしております独自ルートによって水銀回収など適正に処理されているところでございます。  それから三番目に、埋立てをしている場合でございますが、リサイクルをしていない場合は大体埋立てになるわけでございますが、遮水シートによる遮水工等、あるいは排水管理施設をきちっと設置し、排水管理基準に基づいて排水管理を行っておりますので、最終処分場外排出することのないように適切に管理されているところでございます。  次のスライドを御覧ください。先ほど申し上げました全都清ルート独自ルート市町村独自ルートでございます。これは産業廃棄物を除いたものでございまして、ここに書いてありますように、平成二十六年度はそれぞれ、くしくも同じ量になりましたが、百七十キログラムが回収されているところでございます。  次のページを御覧ください。三ポツ一般廃棄物焼却施設による排ガス対策でございます。  平成十一年のダイオキシン類特別措置法ダイオキシン規制対応するため、活性炭吹き込みバグフィルターという整備が行われております。大体八百五十度から千三百度ぐらいで温度で焼却をして二百度ぐらいまで冷やす、そういうことでバグフィルターで吸着をするという方法でございますが、水銀に関しても基本的に同じ対策が効果があると言われております。それで水銀が除去されることが確認されておりまして、実験では七〇から九〇、あるいは研究者調査では九〇%以上水銀回収されると言われております。  それから、水銀に関しての自主基準でございます。現在、水銀に関しては、焼却施設排ガスに関して基準がございません。一部自治体では自主基準を設けて測定を行っております。ただ、多くの自治体では基準がないため測定を行っていないというのが現状でございます。  一例を申し上げますと、自主基準の例ということで、〇・〇五ミリグラムノルマル立米ということでございます。それで、その自主基準に基づいてやっている測定値平均値でございますが、〇・〇〇九から〇・〇二三ミリグラムノルマル立米ということになっておりまして、ほとんどが基準値内ということが言えると思います。  それから、条例によって基準を設けてやっておる自治体もございます。県などの生活環境保全条例というような中で測定をしている自治体がございます。規制値の例としては、排出口で〇・二ミリグラム、〇・六ミリグラムあるいは〇・一から一ミリグラムいずれもノルマル立米でございますが、これらの自治体測定結果としては、いずれも基準値以下であることが確認されております。  次を御覧ください。先ほど、一部の自治体埋立てをしているということを申し上げましたが、その状況を御説明をいたします。  まず、先ほど言いましたように、遮水シート排水処理施設などによって適正に管理されております。最終処分場公共用水域への排出基準は、総水銀で〇・〇〇五ミリグラムリットル、それからアルキル水銀はND、検出されては駄目だということになっております。  自治体最終処分場状況でございますが、ここ数年は残余年数残余容量というのが、残余年数は増えておりますが、ここ数年横ばい傾向でありまして、厳しい状況が続いておりますので、今後とも延命化を図っていく必要があるというふうに考えております。  次に、五ポツでございます。水銀添加廃製品回収における課題というものを整理しました。  多くの自治体では、電池蛍光管等については分別排出分別収集が行われており、水銀回収も併せて行っているところでございますが、水銀使用血圧計体温計についてきちっとした分別区分が示されていない自治体もございます。私どもは、水銀添加廃製品は少なくとも不燃物として分別収集し、焼却することなく水銀回収することが求められているというふうに考えております。  また、水銀使用した血圧計体温計等は、現在、国内ではほとんど製造されていないとされておりますが、各家庭には水銀使用した血圧計体温計等が退蔵されております。この退蔵品が可燃ごみと一緒に不適切に排出された場合、廃棄物処理に大きな影響が出ます。そのため、家庭内に退蔵されている不用となった水銀使用血圧計体温計などを分別回収し、水銀回収などの適正処理を行う、特に、退蔵品でございますので、ここに書いてありますように集中的に行うのが効果があるのではないかというふうに思っているところでございます。  市民啓発とモデル事業の件でございますが、まず市民に水銀あるいは水俣条約のことを正しく理解をしてもらう、それで適正に分別をしてもらう、あるいは回収処理をすることが必要だということを考えておりまして、市民への啓発、特に水銀の入っている製品をきちっと分かるようにしていただきたいと、そういったことも含めて市民啓発をお願いしたいというふうに思っておりますし、家庭に退蔵されている水銀血圧計体温計を、モデル事業で市民啓発を兼ねながら一緒に実施していくことが効果があるのではないかというふうに考えているところでございます。  以降が私どものやっておる、参考資料で用意しましたが、回収事業の概要でございます。  昭和六十年、水銀の含有されている乾電池が大きな問題になりまして、当時の厚生省、現環境省から「使用済み乾電池の適正処理の推進を援助する組織体制の整備に関する依頼」ということが私どもにありまして、連絡会議をつくり、六十一年から処理事業としてスタートしたところでございます。以降、平成十一年に蛍光管を対象に加え、現在に至っているところでございます。  次の二ポツでございますが、の(2)の、この水銀広域回収事業に参加するためには連絡会に一応登録していただく必要がございます。二十七年五月現在の登録数は、延べ市町村にいたしまして九百三十一市区町村ということになってございます。  一枚おめくりをいただきまして、ずっと行きましてスライドの十四ページを御覧ください。使用乾電池、蛍光管がどういうふうにして輸送されているかということをポンチ絵にしたものでございます。  まず、使用済みの蛍光管、乾電池をドラム缶や専用容器に入れてトラックでJRのコンテナ駅に持っていきます。それで、JRの貨物によって北海道の北見市に送ります。それで、北見市からトラックで、処理施設と書いてありますが、イトムカ鉱業所というところに送ります。それで、一部の港からは基本的に船便で北海道の釧路へ行きまして、釧路からトラックで運ぶということで処理をされているところでございます。  あとは、実績その他、グラフや表にしておりますので、参考まで御覧いただければと思います。  以上でございます。
  6. 島尻安伊子

    委員長島尻安伊子君) ありがとうございました。  次に、原参考人、お願いいたします。原参考人
  7. 原強

    参考人(原強君) コンシューマーズ京都の原でございます。  本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。  私どもは、NPO法人格を持った消費者団体でございます。ということで、消費者団体の立場から今度の二法についての意見を述べたいと思います。  お手元に意見概要、それから私どもが配布しておりますパンフレット、チラシなどお配りいただいておると思います。また、参議院の環境委員会調査室の方の作られました討議資料といいましょうか資料集にも、事前法案資料集、それから今日の資料集にも関連資料をいろいろ集めていただいております。大変有り難いことだと思います。御参照いただければと思います。  私どもの会は、一九七二年に京都消費者団体連絡協議会という会として発足をいたしまして、二〇〇三年にNPO法人になりました。NPO法人になるに当たっては、消費者保護と環境保全という二つの領域で、当時の所轄庁は京都府でありましたが、京都府から認証を受けております。  私ども環境領域の活動、御案内のように京都議定書の町でもありますのでCO2の問題も関わりますけれども、今回の法案との関係では、NPO法人になってから、家庭から出る厄介なごみというテーマを取り上げましていろいろなことをやりました。その中で、蛍光管の適正処理というテーマが浮かび上がってまいりました。ほぼ十年以上これでやってきたわけですけれども、その間にちょうど水銀条約というものが話題になり始めまして、どんな水銀条約ができるんだろうか、採択した後は、どんな条約ができたんだろうか、条約ができた以上国内対策が要るよね、それどういうふうにしたらいいんだろうねと、こういう情報提供とか啓発のセミナーとかシンポジウムを業界団体の方と御一緒にやってきたという経緯がございます。お手元の資料もそういう際に役立ててきたものであります。  一番最近の取組は、今日お配りしたこの水銀体温計血圧計回収実験、こういうようなことを消費者団体の立場でやっております。ですから、家庭で眠っている体温計とか血圧計をこの際一気に大掃除しましょうという取組をこの法も求めていると思うのですけれども消費者団体、NPOの側でこういうことができないかということでやってみたものであります。  今回は、京都市の北区の市民のイベントの会場に京都市のエコまちステーションの資源物回収コーナーがつくられましたが、その脇に私どものブースも置かせてもらって、そこに持ってきてくださいということをやりました。当日、四十六本の水銀体温計が集まりました。この数字を大きいと見るか小さいと見るか、現場の感覚でいくと、これはとんでもない多くの数字が集まったと、こんなふうに評価していただけるんじゃないかなと思っています。  そういうようなことをやっておりまして、今回の法律につきまして、もちろん私どもは大歓迎ということであります。私どもが頑張っていく上で根拠になる法律が欲しかったわけですから、できるのはとてもうれしいというふうに思っています。とするならば、水俣病の経験を持っている国として、国際的にリーダーシップが発揮できるような実質的な実効性のある対策法律で作っていただきたいと、こんなふうに思っているわけでございます。  私どもから見て、こういう点を考えてもらうと実効性が担保できるのではないかというようなことを、あと幾つか申し上げてみたいと思います。  一点目は、市町村責務と国の責務という、これは法律では、十六条、十七条に関わることでございます。  我が国では、家庭から出るごみは一般廃棄物として市町村によって回収処理されております。したがって、この法律の下でも、家庭から出る水銀廃棄物市町村の手で回収されていくということになるわけでありますけれども市町村の置かれている実態から見ますと、努力をしてできることと、努力してもできないことがあるという現実があるんだと思います。  先ほど、佐々木さんの方からは、全国の七割の市町村で取り組んでいるというお話がありましたけれども、それは、何らかの取組メニューを持っているという自治体が七割あるということであって、全部の七割が集まっているわけじゃありませんよね。ですから、手付かずの三割の自治体はどうなっているんだろう、やっている自治体でもどのくらい集まっているんだろうかと、これは回収量から逆算をしていく必要があります。京都市も、頑張っているとはいえ、まだ五十トン級の回収量であります。  ですから、全国的に、どういう根拠でこの回収率を計算するかというのも難しいんですけれども、三割レベルの回収だと、こういうふうによく言われておりますが、そういう実態だと思います。ですから、七割の分を逆に集めなきゃいけないというときに、市町村が頑張れる条件をどうつくっていただけるかということが問題になると思います。  昨年、京都では、京都府や京都市から水銀条約の早期発効と国内対策の確立を求める意見書が出されております。全部で十の意見書が出ております。この意見書が議論される過程を私どもも見ておりましたけれども自治体にできることは限られるので国の対策を求めると、こういうのが基調になっていたと思います。  例えば、京都市からの意見書を見ますと、多くの自治体水銀を含有する家庭ごみの全てを回収することは困難であり、水銀の適正な処理を確保するためには、製造・販売事業者も協力して回収する仕組みが不可欠である。よって、国におかれては、水銀含有廃棄物の適正処理を確保するための実効性の高い枠組みを早期に確立することを強く求めると。こういうふうな意見書になっています。これが各地の市町村の声だと思います。  ですから、私が今回も申し上げたいのは、今回の法案の下で、国として市町村の要望をよく聞いて、その取組に対して、法文上は技術的な助言ということが出てまいりますけれども、その枠を超えた具体的な財政的支援を伴うようなバックアップをどのように行っていただくのかと。あるいは、国が関与して、水銀廃棄物回収、適正処理システムをどうつくっていくのかと、こういう点に踏み込んでいただくことを期待したいなと思っております。  二つ目の論点は、事業者責務に関してであります。これは法律では第十八条に関わることであります。  事業者責務ということで一般的に考えられますのは、メーカー、製造者としての責務ということと、一方で、廃棄物排出する排出事業者としての責務といったことが出てくると思います。メーカーとしての責任といった場合、これから水銀条約の下で製品が次々開発されて出回っていくということは余り考えられないと思います。ですから、既に出回っている製品、あるいは既にもう出回って廃棄物になってくるという製品、こういうものに対して、じゃ、メーカーがどういう責任が持てるのかというところが問われると思います。  ごみの世界では拡大生産者責任という考え方がよく出てくるわけですけれども我が国においてはこの考え方がなかなか定着しておりません。この考え方を水銀廃棄物にどう適用していただけるのかという点は、皆様の審議を注目したいと思っております。実際にはもうなくなってしまっているメーカーとかそういったものがあって、過去に遡って責任を追いかけるということはなかなか難しそうな気がいたしますが、やはり考えていただきたいなというふうに思っている点でございます。  それから、今回、法律の中で、水銀製品に関して情報提供あるいは表示と、こういうことが書かれております。これは大変有り難いことでありまして、消費者としては歓迎したいというふうに思っています。  実態としまして、消費者市民の中で蛍光管に水銀が入っているということを正しく認識している方、非常に限られるわけですよね。大学で非常勤講師で授業もやりますけど、学生たちでも、水銀の話をして、えっ、そうなんですかというのが実態です。ですから、蛍光管の商品のパッケージに水銀が入っているよ、これは注意して使って、ごみに出すときも注意してねと、こういう表示をきちんとしてもらいたいという声は当然出てくるわけで、去年の四月の二十二日の衆議院の消費者問題委員会で、これ民主党の泉健太さんが話題にされて、そうだねという議論がされたのを覚えております。ですから、今回こういう法律が準備されることは大変有り難いわけです。  ところが、そういうパッケージが付けられたとしても、マークが付けられたとして、それを正しく読む力が消費者になければ意味がないという点があります。ですから、消費者の中で水銀についての啓発あるいは消費者教育、こういうものをどういうふうに進めるかというのがとても大事な課題だと思っています。ですから、私ども消費者団体としてもここは頑張るにしても、メーカーの方がこれは水銀が入った製品なんだよということをきちんと消費者に向けて啓発、教育をしてもらうと、こういう役割を是非担ってほしいなというふうに思うんです。  同時に、そういう表示や情報提供があっても、精いっぱい書けるのは、これをごみに出すときは地域のごみのルールに従って出してくださいとしか書けないと思うんです。おととい薬局に行って、水銀体温計、まだ売っているのを確認しました。その体温計説明書を見ると、そういうふうに書いてあります。とすると、その地域のルールがあってこそ説明は意味があるんです。その地域において水銀体温計回収システムがないときに、その説明は逆に混乱を招くだけで意味がないと思いますね。ですから、表示制度というのは社会システムの象徴的なものだと思うんです。ですからとても大事なものなんですが、社会経済システムを整備しながらその表示の仕組みを考えてもらわないと駄目なんじゃないかなと思います。  そして、この表示の仕組みをどういうふうにつくっていただけるのか、消費者の参加の道はあるんでしょうかと、こういったことを申し上げておきたいなというふうに思いました。メーカーもそういう際に応分の役割を果たしていただく必要があるのではないかと。市町村どうぞと言うのではなくて、我々も頑張るよと、こういうふうに言ってほしいなと思っています。  それから、排出者の問題でありますけれども、大手の事業所では、これまでから、蛍光灯にしましても適正な処理がされていると思うんですが、中小零細事業者の場合どうなるのかということであります。魚屋さんや八百屋さんが蛍光灯一本ごみに出す、これ法的に言った場合、微妙ですけど、厳密に言えば産業廃棄物ですよね。そうすると、適正処理をされる事業者処理委託契約を交わしてマニフェスト管理やってくださいというふうになるんですけれども、実際にはそんなことはほとんどされていないという状況があると思うんです。ですから、こういう部分について、家庭から出るごみに準じた零細な事業所から出るごみの回収を、事業者と行政が組みになって何らかの仕組みを考えてもらうという必要があるんじゃないか、あるいはオフィス町内会的な自主的な回収をする仕組みをつくってもらうと、こんなこともあってよいのではないかなというふうに思っています。  それから、別格な議論が要るのが医療機関だと思うんです。医療機関が自らお出しになる事業所からの医療系の廃棄物の中で水銀廃棄物をどう扱われるかという点ではやはり格別の努力が必要でありますし、それをみんなあなたたちがやれよというだけではうまくいかないというのを、医師会からの御要望としても、何らかの国からの援助がいただけないかと、こういうふうに表れているんじゃないかなというふうに思います。ここは是非お考えいただきたいし、医療機関の皆様とよく協議をいただきたいなと思います。  三番目、保管の問題であります。これは第七章で条文がありますけれど、これは衆議院の委員会で野村興産の社長さんが意見を述べておられます。これに尽きるんだろうと思いますが、私の立場からも、現場を見ていて、保管をする場合、その技術は何とか開発されると思うんです。それのコストを誰がどういうふうに負担するのかと。言わば、保管ビジネスが成立しなければこれは長続きしないと思うんです。その仕組みが、これからマーケットがなくなって、排出されるのもこれが最後ですよ、ずっと野村興産、保管しなきゃいけないといったときに、そのお金はどこから出るんでしょうねとなりますよね。そういう点が気になるところでございます。ですから、国としてもここは踏み込んでいただいて、検討いただきたいなと思います。  四番目が、排出基準。これは大防法の一部改正の案件でありますけれど、申し上げたいのは、どこから水銀排出されているのか、そのどこから、どの事業所からというのを具体的な水銀大気排出のインベントリーとしてまとめていかれるときに、やはり限りなく具体的にデータを示していただきたいというふうに思うんです。  私は、ごみの問題に関わっていましたので、ごみのところ、かなりレベルが良くなっていると思っていましたけれども、今出ているのは、環境省の資料でも二四%ぐらい出ているということになっていますね。他方で、セメントが二九%とか鉄鋼が二五%とか、あるいはこれから増えていく石炭火力、現状五%、これがもっと増えていくんだろうと。こういう部分について、どの企業のどの事業所から出ているのか、ここを押さえないと、公害対策の経験、これは発生源対策であるということだと思うんですね。この点で、やはりデータからみんなで議論ができるようにしていただきたいと思います。  もう時間ですので終わりますけれど、これから計画作りや政省令が作られていくと思いますけれど、この議論をする場合に、私ども消費者団体の意見も十分に聞いていただきますようにお願いをして、おしまいにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  8. 島尻安伊子

    委員長島尻安伊子君) ありがとうございました。  以上で参考人皆様意見陳述は終了いたしました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 自由民主党、吉川ゆうみでございます。  本日は、大塚先生、そして佐々木専務理事、また原理事長、大変貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございました。  私の方からは、いろいろとお伺いさせていただきたいことあるんですけれども、時間の制約もございますので、主に大塚参考人佐々木参考人の方にお伺いをさせていただきたいなというふうに思います。  まず、時間もございますので、早速質問の方に入らせていただきたいと思いますけれども水銀による環境汚染防止に関する法律案関係について、昨年末に取りまとめられました中央審議会の答申の中では、水銀水銀含有再生資源についてどのような措置新法に基づいて導入することを提言していらっしゃるのでしょうかということを大塚先生の方にお伺いしたいと思います。  また、どのような措置新法に導入することを提言されているのかに加えまして、これらの措置、これは条約担保の観点から大変必要不可欠なものであり、妥当な措置と考えていらっしゃるのか、その点についても御教示をいただければというふうに思います。
  10. 大塚直

    参考人大塚直君) 水銀等につきましては、先ほどのパワーポイント資料スライドの二十六辺りからが関係いたしますが、水銀等につきましては、指針による貯蔵、それから勧告、定期報告の義務が課されるということが考えられています。それから、再生資源の方につきましては、三十一からでございますけれども、やはり指針による管理、それから勧告、定期報告義務ということが考えられています。  条約上は、水銀等につきましても、水銀含有再生資源につきましても、締約国が従うこととされている指針とか要件というのが今後締約国会議で採択されることになっております。我が国の指針等のこの措置は、条約の規定に先立って措置を行うというものでございまして、条約の担保の観点からは必要不可欠以上の措置をとっているということになっておりまして、妥当であると思われます。今後の締約国会議において指針とか要件が採択された場合には、法改正も視野に入れて御検討いただく必要が出てくると考えております。  以上でございます。
  11. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございます。今後は法改正も含めていろいろな検討が出てくるということでございました。  次に、我が国における水銀使用、これは主に蛍光ランプあるいは電池製造でございますけれども、年間まだ八トン程度水銀使用されていると認識をいたしております。これらの水銀使用製品について、条約により一定水銀含有基準あるいは排出基準等の規制新法により規定されているということになるかと思いますけれども、昨年末の答申においては、条約以上の措置として、これらの水銀使用製品水銀含有量の深掘り、また廃止期限前倒しを答申されたというふうに伺いました。その意義についてどのようなものか、大塚先生にお伺いをしたいと思います。
  12. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  水銀含有量の深掘りとか廃止期限前倒しについてでございますけれども、三点ほど意義があると思っております。一つは、これによって我が国が先進国としての責務を果たすという意義でございます。それから二つ目に、今回の条約水俣条約という名前を冠しておりますので、その点からも我が国がリーダーシップを発揮するという必要がございますので、条約を超える対応をするということが重要であると思っています。第三に、技術的にも対応可能であるということが理由になっておりますので、その観点からも特に問題がないということを申し上げておきたいと思います。  以上でございます。
  13. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございます。  次に、大気汚染防止法の一部を改正する法律案について、こちらは佐々木専務理事の方にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほど佐々木参考人の御説明の中にも一般廃棄物焼却施設における排ガス対策について御説明をいただきましたけれども、今回の大気汚染防止法の改正により、廃棄物焼却施設も、これも水銀大気排出規制が課されるというようになるかと考えられます。  我が国においては、電池などに含まれる水銀が大幅に減っていること、あるいはダイオキシン類対策などを講じてきた結果、一九八〇年代に比べますと一般廃棄物焼却施設からの水銀大気排出量、これはかなり大幅に減ってきているというふうに私理解をしております。  とはいうものの、やはり焼却施設、これは水銀含有量、大気に放出される最後のとりでということもございますので、この水銀大気排出抑制、これに資する対策として、先ほどのスライドの中にもございましたバグフィルターの部分とか御説明いただきましたけれども廃棄物焼却施設で講じている対策、これをもう少し深掘りして詳しくお教えをいただければと、自主基準など御説明はいただきましたけれども、もう少し詳しくお聞かせいただければというふうに思います。
  14. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) 市町村における焼却施設でございますが、先ほど言いましたように、ダイオキシン特措法で排ガス対策というのが画期的に進んだわけです。  先ほども少し申し上げましたが、ダイオキシンに対する対策水銀に対する対策というのは基本的に、機械的にあるいは処理的に申し上げますと、ほとんど同じなわけですね。熱して冷ます、それで吸着をする、それで相当量が取れるということが確認されております。  それで、先生も今おっしゃられたように、まず、来る廃棄物がどんどんどんどん、もう水銀が少なくなっている。それから、分別排出をしてできるだけ焼却をしないということで、その水際のところでまず水銀対策をして、万一入った場合もバグフィルター等々で吸着をすると。それから、一部の施設では、煙を水で洗うというようなこともやられている施設もございます。  いずれにしても、現在のダイオキシン特措法による対策水銀についてはかなり問題なく処理されているというふうに思っておりますし、実際に、今後仮に、〇・〇五ミリグラムノルマル立米という基準があるんですが、一時的に超えることは確かにあるんですね、瞬間的に。ただ、それはもう長時間ではなくて、すぐまた基準値以下になるんですが、そういった場合も、基本的に排ガス中の濃度と、それからいわゆる大気中の濃度というのは全く異なるわけで、もう健康に与える影響というのはほとんどありませんというのが実態でございまして、焼却施設については十分対策を講じているのではないかなというふうに思っております。  以上でございます。
  15. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございます。  元々がかなり減っていて、その中において、ダイオキシン対策水銀対策、ほぼ同じで、様々な対策を取られているということをお伺いいたしましたけれども、ただ、先ほど原理事長のお話にもございました、現時点でも水銀廃棄物焼却することによる水銀大気排出量、まだまだ多い、原理事長がおっしゃったように、廃棄物焼却施設二四%、あるいはセメント製造施設二九%ということがあるかと思います。  今回、製品製造規制を導入することを踏まえれば、水銀を含む電池や蛍光灯の量、これは長期的には更に減っていくのではないかというふうに考えられるものの、大気排出抑制する観点、ほとんど健康にも大丈夫ですよというお話ございましたけれども、更に抑制していくという観点からも、先ほど原理事長がおっしゃっておられましたとおり、国民や事業者製品等を購入する際に、水銀を含有しない、あるいはどんなものに水銀が含まれているのかというものの説明製品に付けていくなど、製品のそういった表示の部分、あるいは入口対策として水銀を含む廃棄物について分別回収を促進していく、そういったことが重要ではないかというふうに考えております。  この点につきましても、こちらは佐々木専務理事と、また大塚先生にも今後の対策についてお伺いをできればというふうに思います。よろしくお願いいたします。
  16. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) 先ほど申し上げましたように、七割の自治体が分別回収をしていると、反対に言えば三割の自治体がまだということで、いろんな諸事情はあるんですが、水銀条約を機にやはり自分たちがどうしたらいいかということを考える時期に来ていると私は思っていますので、そういった意味で、こういった製品に入っていますよと市民に知らせるという、それは国においても製品リストを作るとか、あるいはパッケージなり何らか製品に表示をしていく、そういったことが必要でありますし、もう一つは、やはり廃棄物処理の責任を有する自治体としては、基本的にどうしたらいいか、どうしたら効率的に適正にできるかと。いろんな工夫がされております、自治体で。そういった情報を共有しながら、あるいは環境省の方にそういった先進的な取組、うちと同じ規模のところでこんな工夫をしてやっているんだと、そういったような事例を出していただく。  それともう一つは、先ほども申し上げましたが、いわゆるモデル事業でどんどん広げていく、問題意識を持って、それで退蔵されているものをとにかくかき出すということが大事なんだろうと思いまして、私どももモデル事業を実際やりました。それで、一か月ぐらいで相当数が出てきました。あるいは、半年間やったらその年の一年分以上の水銀回収されたと。一回たまっているものを出せば、あとは、先生おっしゃられたように、電池、蛍光灯、限定されたものであり、だんだんだんだん少なくなっていくものでございますので、退蔵されたものをまずきちっと出す、回収するという、そういった意味でモデル事業などが非常に効果があるのではないかなと思っております。  以上でございます。
  17. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  先生が御指摘のように、表示及び分別収集の促進というのは極めて重要であると考えています。表示につきましては、今後、国の方からガイドラインを策定することが検討されるのではないかと思います。それから、表示につきましては、製品に印字できないような場合に問題があり得るわけですけれども、取扱説明書等で対処するということが考えられると思います。  回収ルートの作成につきましては、先ほど佐々木参考人の方からおっしゃっていただいたとおりでございますけれども自治体とか事業者を中心に是非御尽力いただきたいと思いますし、国からは技術的な支援をするということが考えられるところであると思っております。  以上でございます。
  18. 吉川ゆうみ

    吉川ゆうみ君 ありがとうございます。  本当に様々な自治体、あるいは制度をつくられる方からもいろいろな検討がされているということで、またそれをしっかりと深掘りしていかないといけないなというふうに思いました。  そのほか、廃棄物、あるいは我が国からの輸出入のところもこれも非常に重要な部分でございますのでお伺いをしたかったんですけれども、お時間の関係がございますので、ここで私の質問を終わりとさせていただきたいと思います。  大変貴重なお話、ありがとうございました。
  19. 長浜博行

    ○長浜博行君 貴重な御意見を頂戴をしまして、ありがとうございます。  大塚先生にまず伺いたいわけでありますけれども、この水俣条約、UNEP、国連の環境計画が主導して、今世紀初頭から作業が進んでいたというふうにも思います。ですから、十数年の月日がたち、前回、環境省に対する質疑も行われておりまして、そのときに、二十世紀型の公害の水俣病における金属水銀あるいは有機水銀、メチル水銀ですね、この水銀の中における区別なんかも前回の環境省への質疑の中には出ていたわけでありますけれども水俣病をもし起源とするならば、もう半世紀以上の月日がたつ状況の中において、取りまとめられた水俣条約条約自体の内容として先生はどのように評価をされておるんでしょうか。これは法案に入る前の質問です。
  20. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  御指摘のように、我が国では水俣病の経験があるわけでございますけれども、世界的に今一番問題になっているのは、先ほど申しましたASGMという零細の金採掘とか小規模の金採掘が最も問題になっているところでございます。さらに、大気汚染等々、先ほど申し上げたようなところもございます。  今回の条約につきましては、まず、条約義務付けをするということに関して、当初は発展途上国の中から消極的な意見も実はありましたのでなかなか進まなかったわけですけれども、オバマ大統領になった後、義務付けをする条約を作るという方針が固まったようなところがございます。  条約につきましては、先ほどもちょっと申しましたけれども、産出のところから、製品とか排出とか全てを含めて水銀等のライフサイクル全体にわたった包括的な条約を作ったと。一つの物質についてこういう条約を作ったのは初めてでございますので、そういう観点からは非常に注目される画期的なものであったと考えております。  ただ、どうしても交渉して作っているものでございますので、特に発展途上国に関しては少し水銀使用製品に関して規制を遅らせてもいいようにしているとか、いろいろな妥協はもちろんされているわけでございますし、各締約国の裁量の余地というのも残しているところはあるわけでございますけれども、しかし、このような条約が採択されたということは非常に重要であるし、画期的なことだと考えているところでございます。  以上でございます。
  21. 長浜博行

    ○長浜博行君 五十か国が締約をして発効するという過程を踏むわけでありますが、我が国の名前が冠されたこの条約の発効に至る道筋を含めての実効性、それから、世界各国における環境行政の中での位置付けとして、発効する期間も含めて見通しは先生どのように見ておられますか。
  22. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  UNEPからの予想としては、二〇一六年だと思いましたが、に発効することが予想されていると思いますけれども我が国におきましても、特に発展途上国がその条約締結できるように様々な支援を含めて働きかけをしていく必要があると思いますし、現にこれからされていくのではないかと考えているところでございます。  以上です。
  23. 長浜博行

    ○長浜博行君 佐々木参考人原参考人に伺いますが、今回、今の条約を担保する法律としてこの二つの法律を議論しているわけですね。これが成立しなければ、日本はこれに署名できないわけですから。そうすると、実務を担われている佐々木さんとか、それからまさに消費者皆様方の意見を聞かれている原さんとか、実際、実務が、この法律が成立することによる前と後で何か大幅に変更されるという、画期的にこの法律によって世の中ががらっと変わるような、そういう意味合いを持つ法案なんでしょうか。今申し上げたように、ちょっと嫌らしい言い方ですが、条約を成立させるためにこの法律を今議論をしているわけですが。お願いします。
  24. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) 自治体廃棄物処理現状からいいますと、先ほど言いましたように、水銀に対して多くの自治体が関心を持ち、取り組んでいるところでもございまして、この条約が発効したとしても何かすぐ手足が動かなくなるような困ったような事態というのはないだろうと。むしろ自治体にとって、やはり水銀に対してきちっと適正処理を進めていくという、そういったきっかけになるいい機会ではないかなというふうに私は思っております。  以上でございます。
  25. 原強

    参考人(原強君) ありがとうございます。  私が思いますには、この法律ができて直ちに状況が変わるというものではやっぱりないと思うんです。  と言いますのも、この法律文を見ましても、今日も御指摘しました、国の責務市町村責務事業者責務というの、第十六条、第十七条、十八条と三つの条文でしかないんですよね。これを受けていくような政省令を作るというのも、後ろの方の条項でも、この十六、十七、十八を受けた政省令をどう作るかというのは書いていないですよね。これについての政省令は施行期日の部分にしかないんですよね。だから、これは全てこれから作る実施計画のところに委ねられてくるということだと思うんです。  だから、その実施計画を作る手順はどうなのかと。これまでの中央環境審議会などで議論をして、産構審ですかね、そことで議論をして決めるということですよね。そういう議論のプロセスにどこまで消費者、国民が参加できるのか、巻き込まれているのか、あるいは、どういう広報がされていくのかと、その辺りがないと多分実効性が担保しにくいのではないかと。  ですから、お手元のこのチラシの裏側にアンケートを今はやっているんですよね、こういうので市民の反応を見ても、水銀条約というのを知っていますか、これ、ほとんど知らない。今国内整備やっていますよ、知らないと、こうなっちゃうんですよね。だから、まずこの条約ができたということ自体の広報がされていないし、この法律がこういうふうに議論されているよということも伝わっていっていないと思うんですよ。だから、あなたはどう思いますかというのを僕らがこうやってやるわけですけれども、前提になる情報がまずないという、ここから議論をしなければいけない現実があるように思うんです。  だから、最終的には、消費者からすると、最寄りの市町村がこれを機会に今までの回収システムを変えると、その広報を徹底して、あっ、そうなったのかというのがやっと分かるという、そんなところじゃないのかなという気はするんです。ですから、願わくは、この十六条、十七条、十八条を受けた取組がもう少し具体的にされたらいいのではないかなと。  私が思いますには、言い過ぎかもしれませんけど、これだけの条文であれば、総則のところの目的、定義、その次、責務という、そのくらいのところではめ込んでおしまいという法律文じゃないかなという感じもするんですよね。ですから、これだけの条文を立てるのであれば、もう少し、十六条の一とか二とか三とかいうのがいろいろあって、例えば表示なら表示のやり方についてはかくかくのような手順で決めるとか、何かそういうふうなことが書いてほしいなというような感じはするんですね。  そんな、ちょっと失礼な申し上げ方をしましたけれども
  26. 長浜博行

    ○長浜博行君 そこは私も一番大事なポイントだと思っておりまして、この種の法案をいつも審議するときは、環境の場合、よく政省令に委ねるという細部規定が後に入ってまいりますから、ですから、今日は政府側もこの参考人質疑は聞いておられると思いますので、まさにこの法律を作った後の細部の詰めが一番重要なポイントになってくるのではないかなというふうにも思っております。    〔委員長退席、理事中西祐介君着席〕  条約の十一条の水銀廃棄物のところで、不法投棄が今後どうなっていくのかという、つまり、輸出もできない、それから製造も制限されるという状況の中においては、PCBのときに経験をしたことでもありますけれども、この法案で、回収システム含めて不法投棄を防止することがシステムとして完全に機能しているのかどうかという点については、大塚先生はどのようにお考えでしょうか。
  27. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  御指摘の点は非常に重要な点であると考えております。  先ほどのスライドの三十三、三十四、三十五辺りが関係しますけれども、御指摘のように、輸出禁止されて製造の方も制限されていくということで、特に輸出禁止につきましては、これまで廃金属水銀が、非常に純度の高いものが特にですけれども有価で売れたものが徐々に価格が低落していくということが考えられ、最終的には無価になっていくということが考えられるわけでございますが、そういう場合に、今までは経済的に放っておいても回っていたものが回らなくなるという可能性がございますので、不法投棄の可能性については是非とも注視する必要があるわけでございますが、それとの関係で、廃金属水銀につきまして、これが廃棄物として扱われる場合には特別管理一般廃棄物又は特別管理産業廃棄物として指定するということが考えられています。  さらに、金属水銀として、廃金属水銀という形で純度の高いところに至る前の水銀汚染物とか水銀添加廃製品につきましても、最終的に金属水銀になるようなもの自体が価格が低落していく関係で、こちらの方の不法投棄の可能性も出てまいりますので、これに関して水銀含有産業廃棄物として指定をして、産業廃棄物としてのマニフェスト等による規制をしていくということが考えられると思います。    〔理事中西祐介君退席、委員長着席〕  さらに、特定施設、これは非鉄金属の製錬業などが考えられますけれども、そちらから出される高濃度水銀汚染物に関しては回収義務付けられるということも考えられていまして、このような対応によって、規制をすることによって不法投棄を防ぐということが考えられておりまして、私自身、これでおおむね対応ができるものというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  28. 長浜博行

    ○長浜博行君 それから、大気への排出のところで、先生は、今までの自主的取組大気汚染防止法に基づいての現在の対応というのはある程度効果があったということと同時に、条約締結後も継続することは困難であり、ある種の規制が必要ということを述べられています。そして、その指針値のところで、この指針値というものが健康被害を考慮したものであり、水銀の蓄積性を考慮した地球環境条約一つである水銀条約対応するものではないというふうな記述も論文の中でされておりますが、この点はどうお考えですか。
  29. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  今御指摘いただいたとおりでございまして、従来の大気汚染防止法における水銀の扱いは健康被害との関係対応しておりましたし、それについては二ナノグラム・パー立方メーター程度しか出ておりませんので、指針値は四十ナノグラム・パー立方メーターですので、健康との関係ではまず問題はないという状況でございます。  今回は地球環境条約ということでございますので、水銀がいろんな残留性とか長距離移動性とかがございますので、地球環境問題としてこれを扱うという観点でございますので、今までの健康との関係で考えてきた大気汚染防止の問題とは別の観点から大気への排出規制していく必要があるということでございます。  条約におきましては、BAT、バットといって、最善の利用可能な技術で対応するということが考えられていまして、その観点からの新しい規制を行うということが考えられているところでございます。  以上でございます。
  30. 長浜博行

    ○長浜博行君 ありがとうございました。  終わります。
  31. 杉久武

    ○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  大塚参考人佐々木参考人原参考人におかれましては、お忙しい中、本日の参考人質疑に御出席を賜りまして大変にありがとうございます。  これまでの質疑とも一部重複をする面もあるかと思いますが、今回の法律の審議に当たって重要な点と認識しておりますので、一部重複する場合は、申し訳ありませんが、改めて御説明いただければというように思います。  まず、私から質問をさせていただきたいのは、今回水銀原則輸出禁止という形になる中で、我が国水銀のマテリアルフローを見てみますと、輸入原燃料から多くの水銀が入ってきて、それと同じぐらいのボリュームの輸出がこれまで行われていたという状況であったと思います。この輸入原燃料、これを完全に輸入できなくなるとなると産業にも大きな影響がありますので、やはり水銀はある程度入ってくるんではないかと。そのような中で、今まで輸出という形で対処をしていた部分が今後は難しくなるというところが一つ大きなポイントになるんではないかと思います。  先ほどの長浜委員からの質疑の中で大塚参考人から廃棄の危険性の問題については御回答いただきましたので、私は、やはりそのコストをどういうふうに負担をしていくのか、保管また管理等のコストをどういうふうに負担していくべきかという視点で、大塚参考人原参考人に御見解をいただきたいと思います。
  32. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  この点につきましては、廃棄物処理法の基本的な原則である排出業者責任というのがまず大切でございますので、コストについても基本的には排出業者に負担していただくということが考えられるわけでございます。  ただ、先ほど来問題になっている血圧計とか体温計のように、一般廃棄物のものにつきましては排出業者責任というわけにはまいりませんので、これは各消費者の方が出していただくということで、特にコストが新しく非常に掛かるというようなことでもございませんので、それに対応したような仕組みを自治体とか事業者とかを中心にお考えいただいて、国は技術的な支援をするということが考えられているところでございます。  さらに、先ほどもちょっと申しましたように、長期的な廃金属水銀管理とかが必要になってくるということとか、あと、処分場において水銀を硫化して安定化させて、それを長期的に管理するというようなことが出てまいりますので、非常に長期的な管理ということを考えると、どうしても国にも関与していただく必要が出てくると思いますので、その点につきましては、排出業者責任が基本ではございますけれども、国等も含めた最も適切な方法を今後検討していくということが適当であると考えております。  以上でございます。
  33. 原強

    参考人(原強君) 私の意見概要の三で、回収された水銀保管についてという項目を立てました。このちょぼの二つ目のところに私の意見を書いております。  ここで書いていますように、これから原則輸出ができないとなった場合、保管ということが出てくるわけですよね。その場合に、技術は何とか一生懸命考えれば、日本の技術をもってすればできると思うんです。ただ、そのコストを恒常的に負担していかなきゃいけない。これについて担当する野村興産などの保管業者に全部やりなさいと、これは無理ですよね。ですから、短期的には排出業者責任、排出者責任というこの理屈にならざるを得ないと思うんです。  ですから、産廃であればこれは排出する産業事業者市町村がこれ排出者になるわけですから、家庭の分は、市町村の負担になると。今度は市町村がそれを住民にどういうふうに負担させるかと、これはまた別の問題があると思うんですけど、短期的には市町村になると、こういうことですよね。  ですから、排出者責任の範囲でいいんだろうかというのは私の意見の中に含まれているわけで、そういう意味で、2の(1)のメーカー責任のところで拡大生産者責任という議論をこういう場合に引っ張ってくることができないのかと、こういう思いは持つわけですよね。  ですから、もうなくなってしまっている会社まで遡ってというのは無理かもしれないけれども、例えば蛍光灯の関係であれば現実にまだ生産をやっていますよね。二〇一八年とか二〇年に生産中止にするといっても、これからまだ生産されて販売されていくわけです。そういうときに、一本当たり幾らのリサイクル・適正処理コストというのを含めていますよという仕組みを出発点でつくってもらう、蔵出し段階でつくってもらうということがあれば、それが社会的にファンドされて保管ビジネスの原資になると、こういうことはあり得るんだと思うんです。  ですから、この生産者責任というのを今回具体的に何らかの形で適用しないと、やっぱり持っていき場がないというふうに私思うんです。その点で、今までの法解釈とかいろんな前例などを見てもなかなか難しそうな気はするんですけれども、一歩踏み込んだ検討をこれは国が踏み込んでやっていただかないと、これは答えが出ないような気がします。そんなふうに思います。
  34. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  続いて、大塚参考人にお伺いをしたいと思います。  この輸出に関して原則禁止ということですので、当然例外があれば、条約が認める一定用途については輸出が認められるということになると思いますが、事前にいただいた資料の中で、輸出後のトレーサビリティーをどうやっていくべきかという点について御説明をいただければと思います。
  35. 大塚直

    参考人大塚直君) この輸出につきましては、事後確認というのを入れているところに大きな意義があると思っております。これに関しまして、外為法とそれに基づく政省令対応するということですので、外為法には一般的に事後確認をするという規定はございますので、その運用をしていくということになると思われます。今回の新法におきましては、水銀使用製品については資料提出の要求はできますが、水銀自体については特にそういうものがございませんので、新法の方ではちょっと対応できませんので、外為法の方の運用でやっていただくということになると思います。  トレーサビリティーも是非しっかりやっていただかないと、おかしなところに輸出するということになりますと、ASGM等の問題が発生するとまずいですので是非この点に関してはきちんとした運用をしていただきたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  36. 杉久武

    ○杉久武君 ありがとうございます。  続いて、今度は水銀回収の部分について、これは佐々木参考人原参考人にお伺いをしたいと思います。  一消費者としては、やはり何に水銀が入っているのか、意外とこれは分かっていないなというのは正直なところでありまして、一方で、意外といまだに水銀、私も先日体調を崩したときに体温計を探していたら水銀体温計が出てきた、そういうこともありまして、やはりいまだに各家庭でもあるんじゃないかなというふうに思っております。  先ほど来質疑になっておりましたとおり、やはり何にしっかり水銀が入っているのか。今、水銀ゼロになりましたというような表示は企業が積極的に開示をしておりますけれども、それによって、あっ、これに元々水銀が入っている製品があったんだという逆説的に理解をするような状況でありますので、やっぱり表示というものを、水銀がこれには入っているんだということをしっかり明示をしていただく必要が今後あると思います。  大塚参考人は先ほど吉川委員質疑の中でお答えいただきましたので、この点について佐々木参考人原参考人から、どういう形がやっぱり望ましいのか、御意見をいただければと思います。
  37. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) まず、私ども市区町村で、市民との関係というのが一番大事でありまして、市民にやはり必要な情報を的確に伝えるということが大事であります。  そういった意味で、アスベストのときに製品リストというのが出ていたんですね。石油ストーブに使われていますじゃ駄目なんで、石油ストーブのうち、こういった会社のこういった製品番号についてアスベストが入っています、廃棄するときは気を付けてくださいというような、そういったことが水銀において可能なのかどうか。その辺は十分御検討いただいていると思いますが、やはり市民に、これは入っている入っていない、そういったものをきちっと分かってもらうことが正しい廃棄物処理につながるんだろうと思っております。  それから、もう一つあれなのは、国産のものは比較的同じ基準でいくんですが、外国で作られたもので、おもちゃや何かに電池が入っているんですね。見ると、マーキュリーフリーと書いてある。しかし、それが本当に日本と同じ基準なのかどうか。いや、その国ではここまではフリーと言っていいんだと、日本ではここだと、その辺のことも是非、含有廃棄物あるいは含有製品といったときに、そういったことも意を用いていただいて御検討いただく。  いずれにしても、そういう情報があれば自治体は市民に知らせられる、市民も水銀を正しく理解して正しく排出してもらうことにつながるのではないかなというふうに思っております。  以上でございます。
  38. 原強

    参考人(原強君) 一番いいのは、やっぱり最寄りの市町村がごみのルールを市民に徹底をするという、そのときに水銀廃棄物、これはこう、これはこうという、そこを丁寧にやってもらうというのが一番伝わると思うんです。ただ、受皿を持っていない市町村はそれはできないというつらさがあるわけですよね。ですから、そこを一方で整備しながら市町村にきちんと情報を伝えてもらうと。ですから、ただ情報、紙の上の情報じゃなくて、消費者の行動につながる情報をもらうという意味ではそこが一番だと思うんです。  ただ、メーカーが製品を作っていかれる場合にやっぱり留意していただく必要があるというのが今度の法律の趣旨だと思うんです。ですから、これは水銀が含まれている製品ですよと。これから続くのは、蛍光ランプがまだこれ続くと思うんです。ですから、蛍光ランプのパッケージには、これは水銀が入っていますというのをこれから書かなきゃいけないでしょうね。それで、使用の段階での注意、割らないように、割れないように注意してくださいということはもちろん、もし割れたらどうするのか、今度ごみに出すときにはこういうふうにしてくださいねというのをやはりパッケージに書いていってもらうという、それが要るんだと思うんです。  ですから、今売られている水銀体温計の言わば取扱説明書、それに事細かく書いてあるのを日曜日も見ました。ですから、そういうものに書いてあるようなことがどれだけ分かりやすく表示されるかということだと思うんです。  他方で、読む消費者の側の水銀についての一般的認識のレベルを上げなければいけないので、そういう意味では、学校教育における水銀教育、社会人向けの水銀教育、消費者向けの消費者教育、あらゆるところで水銀教育というのを頑張ってやっていくということで、その表示を見る消費者の素地がつくられていくということじゃないかなと思うんですね。  そういう意味で、いろいろな手を使いながらやらないと、これで一発で解決というふうにはなかなかならないように思います。
  39. 杉久武

    ○杉久武君 貴重な御意見、ありがとうございます。  以上で終わります。
  40. 清水貴之

    ○清水貴之君 維新の党の清水と申します。  本日は、本当にお忙しい中、貴重な御意見ありがとうございます。  私も、杉委員の引き続きという形で、まずは大塚参考人輸出入についてお伺いをしたいと思います。  原則禁止ということですが、一定数の輸出は引き続き行われるということで、しっかりと輸出先で適正に使用されていること、これも担保していかなければいけないというふうに思うわけなんですけれども、先週この環境委員会で私もその点を質問いたしまして、輸出先でどのように使われているかということはしっかりと報告させると、報告書を提出を求めるということだったんですが、とはいえ、報告書というのは紙の一つの書類なわけですから、本当に大丈夫なのかという不安も私は話を聞いていて残りました。  余りに相手を信用し過ぎるというのも怖い部分もあるわけですから、本当に適正使用がかなえられるためにはそれで大丈夫なのかなというふうにも思ってしまったわけなんですけれども、その辺り、大塚参考人輸出に関してその危険性を除去するための方策とか御意見とかをお持ちでしたらお聞かせいただけますでしょうか。
  41. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  御指摘のように、輸出に関しては、先ほど申しましたASGMを防ぐということと、それから最終用途の分からない輸出を禁じるということが非常に重要でございますので、トレーサビリティーを確保するために報告をしてもらうということが考えられているわけでございます。  この事後確認自体あるいは事後報告義務を課するということ自体かなり厳しいことではありまして、一般的には事前審査をしておりますが、事後確認まですることは非常に珍しいということでございますので、これ自体非常に厳しい対応であると思いますけれども、具体的にどういう形で事後確認をするかということは、紙以外に何をするかということはこれからまた検討されていくことだと思いますが、是非しっかりと、ただ紙を見ているだけで、上っ面の対応だけではなくて、きちんとした審査的なものを事後確認のときにしておく必要があるのではないかと考えているところでございます。  以上でございます。
  42. 清水貴之

    ○清水貴之君 いただいた資料の中には経由地をどう見るかというような御意見もありまして、どこかほかのルートでといいますか、経由した場合にそこから流れていく可能性とか、こういった危険性もあるということなんでしょうか。
  43. 大塚直

    参考人大塚直君) 現在でも日本から輸出された水銀のかなりの部分が、ちょっと具体的な名前が出てしまいますが、シンガポールに輸出されていまして、恐らく中継をしてどこかに行っている可能性がありますので、この場合にはできれば経由した後のところまで確認をすることが必要になってくると思いますが、そこまでできるかどうかについては今後検討されていくべきことだと思っております。  以上でございます。
  44. 清水貴之

    ○清水貴之君 経由地で止まってしまっていたら最終的な使用が分からない、そこは、大塚参考人、やっぱりやるべきだというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
  45. 大塚直

    参考人大塚直君) やるべきだと思います。  ただ、一旦主権国家を挟んでその先のところまでということになってまいりますと、その先に、例えばシンガポールからほかの国に輸出する業者はまた別の人だったりするものですから、それについて日本国政府からどういうふうに対応できるかというのはなかなか難しい問題があるとは思いますが、そのような点についても今後検討されるべきだと考えております。
  46. 清水貴之

    ○清水貴之君 一方、輸入の方なんですけれども、しっかりした手続を取って入ってくるものは管理ができるんでしょうけれども、そうじゃない部分、先ほどから話出ていますように、おもちゃに入っていたりとか紛れ込んでしまっているようなものをどう扱っていくか、どのように把握していくかというところなんですが、これについてはいかがでしょうか。
  47. 大塚直

    参考人大塚直君) どうもありがとうございます。  この点については、例えばEUなどでは、途上国から入ってくる輸入されるおもちゃの中に水銀が含有されている電池とかが入っている場合もございますので、そういう場合には、そのおもちゃを割って中を調べたりすることもあって、もちろん割るためには試買をするというようなことが必要になってまいりますので、そのような対応もEUなどではなされているところでございます。  我が国におきましても、輸入の組み込み製品に関しても、内外無差別原則から、国内製造販売されているものと同じ扱いをする必要があると思いますので、試買などを行って、国の方で是非この点をきちんと対応していただく必要があると考えているところでございます。  以上です。
  48. 清水貴之

    ○清水貴之君 その作業なんですけれども、実際、現実的には相当数様々なものが入ってくる中で可能かどうかということなんですけれども、どのようなものに実際含まれているか、そういったものの例えばリスト化するとか、そういったことは実際は可能なんでしょうか。
  49. 大塚直

    参考人大塚直君) 非常に難しいと思われまして、審議会でもこの点については議論はいたしてはおりますが、非常に細かいところまではちょっと必ずしも分からないところもございますし、国の方としては非常に難しい課題を迫られることになることは間違いないので、リスト化というようなことも是非していただければというふうに私自身は考えているところでございますが、今後これに対して具体的にどういう対応をしていくかということは、検討していくべき重要な課題であると考えているところでございます。  あと、試買だけではなくて広報をするということも非常に重要で、組み込み製品の中にそういう水銀とかが入っている場合があるので、輸入業者に関しては、きっちりそれについては気を付けるようにというような広報をすることも非常に重要だと思います。もちろん、分かっていて気にしないで輸入される方もいらっしゃると思いますので、そういう方に関しては、先ほど申しました試買のようなことをやって対応していくという必要がありまして、多くの場合は広報をすれば大体対応していただけると思うんですけれども、そうでない方に関しては、試買をして中にあるものがどうなのかということを実際に調べるということが必要になるという、そういうことになるかと思います。  以上でございます。
  50. 清水貴之

    ○清水貴之君 同じ組み込み製品について、佐々木参考人原参考人にもお聞きしたいんですけれども、非常に今やはり把握が難しかったりとか適正処理がなかなか難しいのかなと思ってしまうんですが、この辺り、現場で作業されていましていかがでしょうか。
  51. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) おもちゃ類が、特に、いわゆる大きい電池ではなくて小さい電池、ボタン電池と言われる、それが今、誤飲防止のために、前はスライド式で親指でぽっと押せばボタン電池が出たんですが、今は、赤ちゃんが間違って飲んじゃうといけないというので簡単に開かない構造になっているんですね。  そうすると、動かなくなった、電池を取り替えれば動くかもしれないけれど、そんなに高いものじゃないからそのままぽいっとしちゃおうというと、実際に回収された場合、それを一々やるというわけには、現実に可燃ごみとして収集された場合は不可能なので、それで焼却施設水銀が多少悪さをするのかなとは思っておるんですが、やはりその辺も啓発をきちっとする。  それから、そういうおもちゃを特に景品で出しているところが結構多いんですね。何とかを買ったらこれ付きますよというと、これが食べたいわけじゃないけれど、これが欲しいために子供に買ってあげるみたいな。そうすると、それはそういう景品を使ったところにこういうものが入っているよということをきちっと言って中を出すと。大人であれば、ちょっと工具が必要だとは思うんですけれども、出して出せないことはない。壊れて出すのであれば破壊をして出してもらうと。そういう、乾電池が入っているということも忘れて廃棄されるということが非常に懸念されます。それで、現実に自治体の方でそれを一々より分けるというのは不可能だと思います。  以上でございます。
  52. 原強

    参考人(原強君) 今言われましたように、実際は非常に難しいと思うんですよね。ですから、まず輸入おもちゃなのか国産おもちゃなのか、これを見分けると。輸入おもちゃの中で電動で動くもの、この中に電池が入っている、どういう電池が入っている、水銀が入っている入っていない、そういうのを見分けるというのは一般では非常に困難だと思うんです。  だから、何もしないというんじゃなくて、そういう輸入される業者の方は、先ほどと同じで、この中には水銀が入っているものですよというのを分かりやすくしてもらうという、これは必要なんだと思うんですよね。  ですから、私どももよく見聞きする話は、おもちゃでなくても、電池の場合ですよね。国産電池はもう水銀入っていないと考えられる、輸入のものも入っていないと考えられるけれども入っている場合があるという。ですから、輸入電池は引き続き要注意というようなことを業界の方はよく言われるので、そういう意味では乾電池も引き続き分別対象にしているんだよと、こんなふうなことを言われていますよね。  ですから、水銀というものに徹底的にこだわるなら、可能性のあるものは全部分別してもらわなきゃいけないということですよね。そこまでやるのかというのは、現場段階における、例えばリスクという言葉を使うなら、リスクの大きさをどのくらいとして評価するか。これがとても大きいと思ったら、やっぱり分別徹底せにゃいかぬと。一個ぐらい紛れたって大丈夫だよねというぐらいであれば、おもちゃとして処分ということもやむを得ないというところもあるような気はするんですよね。  できる限り入口で分けるというのを徹底するという意味で、輸入関連のものも表示、情報提供、こういうことをやってもらう必要があるということじゃないかと思います。
  53. 清水貴之

    ○清水貴之君 今お話ししたリスクという点でもう一点、埋立処分についてもお聞きしたいんですけれども佐々木参考人からお話ありまして、非常にもうしっかりと管理して基準値以下に抑えて処分されているというお話がありました。  現場でしっかり対応されているんだと思うんですけれども、その一方で、やはり埋立てですから何か漏れたりとか、リスクがゼロということはなかなかないんじゃないかなというふうに、済みません、現場が分からない私が言うのも失礼なんですけれども、感覚的に思ってしまいまして、その辺り、埋立処分についてもう少し詳しく聞かせていただき、原参考人は逆に、資料を読ませていただくと、やはり埋立処分はちょっと危険性があるんじゃないかなということもおっしゃっていらっしゃいますので、聞かせていただければと思います。
  54. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) 最終処分場には基準がございまして、現在多くの最終処分場で遮水シートという相当厚いものを張って、絶対に水が漏れない、その下はコンクリートで施工するんですが、絶対漏れないということ。それが、地震や何か地殻の変動で力が加わって裂ける、そういったこともないような強度、厚さのものを使用しておりますので、人工的に何か上から物を落とすとか、あるいは裂くような、そういう力が加わらない限りは、基本的に遮水に関してはもう大丈夫だということが一応確認されている。  それから、実際にはその中にいろんなものが入ってきて、雨水が入りますから水処理をするんですが、水処理施設で、来た水を全部検査をしていまして、あっ、これは水銀が出たぞと、仮に、仮にですね、出た場合はそこでもう公共水域へ行かないということが可能なんですね。ですけど、ほとんども水銀がそこへ来るということは実際例としてはないというふうに見ております。  ただ、昔の最終処分場というのはオープンダンピングですから、空き地へどんどんごみを落としていたと同じようなあれですから、そういったものが最終処分場としてまだ使われているということはほとんどないですけれども、そういったので処分場でなくなったという土地があるわけですね、元処分場。それは地主さんにお返しするなり、自治体が公園とかそういうのに整備するとか運動広場にするとかという例が多いんですが、そういった場合は引き続きやっぱり、きちっとしたあれということで、大体埋立て終了後最低二十年ぐらいは経過観察をしているというのが自治体の方の取組でございます。
  55. 原強

    参考人(原強君) これは感覚的なものになるんですけれど、水銀ごみは燃やす、埋立て、これはやっぱり何となくリスクが付いて回っているというまず印象ですよね。現実には、今、佐々木さんが言われたように、自治体が絡んでいるようなものについてはそれなりのことがされているだろうとは思うんです。  じゃ、民間の産廃処分場などでどうなんだろうかと。さっきの大気のデータでも、廃棄物処理施設から出ているという場合に、一般廃棄物の部分と産廃の部分と二行になっていますよね。その産廃の部分の数字はとても大きいですよね。ですから、民間レベルで例えば産廃で集めたもの、これどういうふうに処分しているのかというのが明確でない場合、あり得ると思うんですよ。ですから、管理のレベルの低いところで処分しているという場合が環境リスクが出てくる可能性があると思うんですよね。  ですから、東京都がこういう議論をされるための検討チームを組まれて、水銀ごみについては燃やすのも埋立ても原則やめた方がいいという方向を、たしかガイドラインですけれども、出しておられたと思うんですよ。ですから、今回、国がこういう法律を作られて実効性を担保するということであれば、その辺は踏み込んで、燃やすの駄目、埋めるのも駄目というふうに言ってもらって、全て回収ルートに回しましょうというのを大原則にしてもらうというのが僕は望ましいと考えます。
  56. 清水貴之

    ○清水貴之君 どうもありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  57. 市田忠義

    ○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。  今日は、三人の参考人の皆さん、大変貴重な御意見をありがとうございました。  既に陳述の中でお述べになった話とダブる質問が多いんですけれども、冒頭十五分という短い時間でしたから意を尽くさなかった点もおありかと思いますので、やや詳しめにお聞きしたいと思うんですけれども。  まず、国の財政的支援の必要性について原参考人佐々木参考人にお聞きしたいんですが、自治体がこれまで水銀使用製品不燃物として分別収集していたものを有害危険物等として分別収集すると、そうなった場合に新たな費用負担が発生すると思うんですが、その必要性は分かっても、財政状況の厳しい自治体にとってはこれはなかなか大変だと思うんです。国がこういう問題で地方自治体任せにしないで、単なる技術的援助にとどまらないで、財政的支援も含めて責任を持って最後まで対応すべきではないかというふうに私は思うんですが、その点についてどうお考えか。  特に原参考人の場合は、移動式拠点回収事業というのを京都市でやっていますよね。これなかなかすばらしい取組だと思うんですけれども、その辺の中身、お聞きするところによると、専門的な人を配置して、人員もお金も掛かって、一トン当たり約二十万円掛かる、なかなか大変だというお話もありました。そういうのを全国に広げるという点でもどういうことが必要か、国の財政支援という観点でお二人から御意見を伺いたいと思います。
  58. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) まず、国の支援でございますが、先ほど来申し上げておりますように、七割の自治体が取り組んでいて、残り三割、いろんな事情でなかなかできないということがあるんですが、私ども、そういった自治体と情報交換をしまして、何が原因でできないか。例えば、人員、機材が必要になると。  例えばある自治体では、乾電池というのは家庭ごみの中で毎回大量に出るものではないわけですね。ですから、回収するときはほんの少量しか出ませんから、籠や何かを付けてそこに入れて回収すると。そうすると、何かの廃棄物と一緒に、例えば家庭ごみと一緒に、生ごみと一緒に乾電池を分けておいてもらって回収するというと、まず人手は増えない、車も増えない。じゃ、収集時間はどうかというと、一ステーションで一個あるかないかの議論ですから、ほとんど影響はなく、人を増やさない、あるいは機材を増やさないでやっている事例があります。  そういった事例を紹介して、実際、どうやったら自分の地域でできるかということを考えていただく。効率的に、それで適正に処理しなきゃいけませんので、そういった方法をみんなで議論して考えていく。そういった中には、先ほど来言っている国の全国の情報を、我々もある程度は持っていますが、国ほど持っておりませんので、国から紹介していただく、あるいは、取組としてこういう取組をした方がいいよというガイドラインを作ってもらう。そういったものをまずやって、その上で、やはりこういった支援が必要だねということがあればお願いをしていくということで、まずはやはり市町村が取り組む姿勢、こうやればできるんではないかと、多くの自治体でできておるわけですから、それほど私はハードルは高くないのではないかなと。先ほど申し上げましたように、水俣条約というのがそういう市町村取組一つの推進力になればいいなというふうに思っております。  もう一つは、国の支援の具体的な内容ですが、今申し上げましたように、やはり先進的な事例あるいはガイドライン。それで、お金を出してくれるというのは、嫌だというところは少ないのかも分かりませんが、当然、何か義務付けがされるということになりますと、自治体や市民にやはり少し負担が掛かるようなことというのが想定されるのではないかということで、むしろ、そういったことによる現場の混乱より、まず自分たちがやれることを見付けるということが先ではないかなというふうに思っております。  以上でございます。
  59. 原強

    参考人(原強君) 法律の文面でいくと、第十七条で市町村責務の項目がありまして、市町村はその区域の経済的社会的諸条件に応じて必要な措置と。この経済的社会的諸条件というのが、自治体の人口だとか財政事情だとか、持っている施設だとか持っているマンパワーだとか、いろんな条件の違いを表現していますよね。ですから、できるところはいいんですけれども、できないところはその必要な措置を、努めなければならないですから、頑張ったんだけどできませんでしたといってもこれは許容されてしまう文面ですよね。  ですから、それがうまくいくように今度は第十六条で国の責務を書いていて、必要な技術的な助言その他の措置をと。このその他の措置というのをどう読むかということで、地方自治体の側からすれば、今言われるような、こんなふうにやればいいよという情報、これも大事な情報だと思うんです。うちの事務所にも、いろんな自治体さんが、どんなんやってはるんですかとお見えになることがありますけれども、これも大事な情報ですよね。  そういうことに加えて、やはり一つ分別を増やすということだけでも、今言われましたけれども、機材も要るし、人も要るし、処理費も要るしと、やっぱりお金が掛かってくるんですよね。ですから、この経済的社会的条件の中で、潤沢な財政事情の自治体はその自治体に考えてね、条件はあるんだからと言えるんですけれども、そうでないところについてやっぱりやってもらうと。だから、全国自治体が全部やるためには、ガイドラインも要るんですけれども、底上げのための財政措置を、臨時の措置でもやっぱり考えてもらう方がいいのではないかなというふうに思うんですね。  御指摘のありました京都市の集団ごみ回収の件、移動式の回収の話です。京都市におきましては、今、二十三の品目を決めまして、有害・危険ごみの移動回収方式というのをやっているわけです。学校の門の前とか公民館といいますか、そういったようなところに巡回をして、その地域の人たちがこの二十三の品目を持っていらっしゃると。そこにスタッフが全部待っていて、例えば去年使った灯油の残りとか古着だとか、剪定した枝がたくさんあるんだけれどもとか、こういうようなものをいろいろ集めるわけです、ペンキの残りとか。こういうときに、水銀の入っている蛍光灯も体温計血圧計もと。二十三の品目ありますから、かなりのものなんですよ。そういうものが二年に一遍とかいう単位で地域に回ってくれば、大抵用が足りるんですよね。  ですから、毎日とか毎週水銀ごみの分別回収が要るわけじゃありませんから、そういうような方式を京都市は取ることによってかなり意識が高まったんじゃないかと。これに、私どもがやりましたようなイベント回収とか、こういうようなものを加えたり、京都では天ぷら油を地域ごとに集める取組をやっています。そういう天ぷら油の回収のときに、今日は蛍光灯を持っていらっしゃいとか、今日は水銀体温計を持っていらっしゃいとか、こういう地域の共同の力で集めていくという、こういう方法も駆使しながらやっていくと。この中で、地域住民のボランティアでできてしまう部分もありますね。  ただ、やはり自治体が独自にやるとなれば費用が掛かります。これが、たまたま京都市の場合はごみの有料化に伴う特別財源がありました。この特別財源を駆使することによって様々な分別区分のメニューが作れたと、たまたまそういう条件があったということだと思うんです。ですから、条約ができた、法律もできた、みんなそろってという場合に、みんながやれるような仕掛けをきちんとつくるという意味では、何らかの国の財政的な支援も必要なのではないかなと私は思います。
  60. 市田忠義

    ○市田忠義君 原参考人にもう一問お聞きしたいんですけれども、拡大生産者責任問題ですけれども製造、販売、輸入事業者が本来拡大生産者責任を果たすべきだと、私もそう思うんです。少なくとも、水銀の有無などの製品への表示、それから水銀の有害性や廃棄の仕方などの説明書をきちんと付けると。  同時に、幾ら書いてあっても市民がそれを理解しなかったら駄目だという話が先ほどありましたけれども、それらを徹底するための啓蒙教育、これは原さんなんかの組織がそういうことを非常にやっていらっしゃるとは思うんですけれども、こういう仕事も、もちろん自治体や市民団体がやることは大変有意義なことですけれども、お金も掛かる。やっぱり事業者の責任として、費用も含めて、そういうことをきちんとやることが水銀の適正な分別回収処理が可能になる道じゃないかというふうに思うんですが、その辺りはいかがでしょう。
  61. 原強

    参考人(原強君) 拡大生産者責任という概念を抽象的に議論しても余り意味がないと思うんですけど、やっぱりメーカーの責任を何らかの形で応分に果たしてもらいたいという意味で、いろいろな品目のリサイクルシステムが今動いていますよね。例えばパソコンのリサイクルであれば、パソコン業界がこれは自主的にパソコンのリサイクルシステムを運用していますよね。家電なんかの場合は、排出する時点で消費者がお金を付けて回していってもらうと、いろんなシステムがありますよね。そういう中で、例えば容器包装リサイクルの場合は、メーカーや販売業者が何らかのお金をファンドするという、そのファンドしたお金で容リ協会をつくって、市町村が頑張る場合の一定のお金をそこから回していくという仕組みを取っていますよね。  ですから、今度条約ができて水銀ごみ全般になってしまったんですけど、十年前に蛍光灯の適正処理というのを始めたときは、蛍光灯のリサイクル法というようなものができないかというふうに思ったことがあるんです。それは、蛍光ランプ一本について大体百円ぐらいお金が掛かると言われていました。ですから、百円ぐらい蔵出し段階でお金を社会的にファンドする、蛍光管リサイクル協会のようなものをつくってそこにお金を積んで、あと、このリサイクルのシステムを回していく上でそのお金がうまく分配されていくと、そういう方法はないものかということを考えたことがあります。  現時点でいった場合も、蛍光灯ランプの業界ももうつくるのをだんだんやめる方向に向かっていっていますよね。体温計なんかになると、もう特殊なメーカーしかやっていないんじゃないでしょうか。だから、もうやめてしまったメーカーなんかに今からシステムつくるから乗らないかと言っても、これはもうできませんよね。ですから、なかなかこれは難しいんですけど、何らかの方法は検討いただきたいと思っています。  また、御指摘のように、啓発のための活動ですよね。こういうものについて関連業界がこぞって頑張ってもらうということは要るし、市民団体や消費者団体との連係したプレーというのもあってよいと思うので、そういう点で、応分の役割をという以上に、積極的な役割を担ってもらえたらうれしいなと思っています。
  62. 市田忠義

    ○市田忠義君 終わります。
  63. 水野賢一

    ○水野賢一君 無所属の水野賢一でございます。  まず、大塚参考人に教えていただければというふうに思うんですけれども水銀輸出の話なんですが、先ほど来のお話では、トレーサビリティーをしっかりとやっていくというようなことが必要だと、そういうお話ですよね。  その中で、ちょっと教えていただければと思うんですけれども、これはもちろんトレーサビリティーをしっかりすることは大切なんでしょうけれども、そこは十分可能なのかという話があると思うんですけれども。  先ほどのお話でも、シンガポール経由なんかでいろいろあると。そして、やっていくべきだけれども、きちんとそういう、どこにちゃんと行ったかということを追っかけていくことは大切なんだけれども、難しさもあるというようなことは参考人御自身も認めていらっしゃるというふうに思うんですが。そうすると、やるべきだということに何の異論もないと思うんですけれども、これはどこまで可能なのかというのは、つまり、やるべきなんだけどできないという、なかなか難しいというのだとそれはどうなのか。参考人の御意見を聞かせていただきたいというふうに思います。
  64. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  先ほども申し上げましたように、事後確認ということ自体非常に厳しくてなかなかできない、普通はやらないことでございますので、その点では非常に厳しい対応をしているということでございますが、これに関して、後で報告を出してもらうということによって担保しようということでございます。  ですから、その先に何をするかということに関しては、例えば国の役人の方が現地調査をするとかということまでできればいいんですけれども、これもちょっと主権国家の問題があるので実際には非常に難しいということがございますので、一〇〇%のトレーサビリティーはなかなか難しいところでございますが、しかし、具体的にどういう方法を取っていくかということも含めて、今後更に検討していく必要があると考えております。
  65. 水野賢一

    ○水野賢一君 今参考人もおっしゃっていらっしゃるように、非常に難しいと。やるべきなんだけれども、相手も主権国家なわけだから勝手になかなか立ち入るわけにもいかないしという、そういう難しさは当然あると思うので、そうなってくると、これ逆に、もう原則として、今の場合も原則として輸出は駄目なわけですね、駄目なんだけれども、例外の余地を残しておく。ただ、そのときはトレーサビリティーをしっかりやりますよというふうに立て付けになっているわけですけれども、例外的にトレーサビリティーを条件にして輸出をするというんじゃなくて、輸出そのものをこれはもう全部駄目なんだと、全面駄目というふうにするというのはこれはできないのか。何かそうすると不都合が出てくるんでしょうか。
  66. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  その点は非常に重要な点でございますけれども、全面的に輸出禁止にしてしまえばある意味一番すっきりするところも全くなくはないのですが、現在まだ一次採掘水銀に関してしている国があり、条約の発効後も十五年間はできるということを先ほど申しましたが、ということがございますので、我が国から輸出している水銀は、先ほどもちょっと申しましたようにリサイクルされた水銀ですので、一次採掘のものとは全然違う意味がございます。  そういう観点からすると、我が国がもし輸出を完全に禁止してしまいますと、逆に一次採掘を維持されるとか、新しく一次採掘をするような国が出てくるというような問題も出てまいりますので、世界的に見た場合にむしろ望ましくない方向に進んでいってしまうということが非常に懸念されるところでございます。そういう観点から、輸出に関しては原則禁止ですけれども全面禁止には少ししにくいというところがあると思われます。  以上でございます。
  67. 水野賢一

    ○水野賢一君 佐々木参考人に御教示いただければというふうに思うんですが、水銀廃棄物が出てきますよね、もちろん一般廃棄物の場合もあれば産業廃棄物という場合もあるわけでしょうけど。一般廃棄物の方が御専門なのかもしれませんけれども、ちょっと申し訳ないですが、産廃に関して聞きたいんですが、産業廃棄物の場合は大原則として排出者が自分で費用なんかも含めて負担するわけですよね。そういう場合、あれでしょうか、産廃といってもいろんなものがあるから、どれが幾ら掛かるとは一概には言えないでしょうけれども、普通の産廃に比べて水銀が含まれている産廃の場合は格段と処理費用というのは物すごく高くなるということなのか。どのぐらい、何倍ぐらい高いのか、もう桁が全然違うぐらい費用が掛かるのか、その辺のイメージをちょっと教えていただければというふうに思います。
  68. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) 水銀が含有されている廃棄物も多種多様の形態がございまして、入っているものと入っていないもの、単純に同じものでというのであれば比較のしようがあるんだろうと思うんですが、単純にこう比較することはなかなか難しいのかなと。  ただ、現在はまだ水銀有価で回っていますので、水銀が入っている方が回収した事業者の方はそれを売って売却益になりますので、入っていないものよりは有利なこともあり得るんですが、その処理、処分の方法によっても大分違うと思いますので、その辺はちょっと何とも申し上げられないかなと思っております。
  69. 水野賢一

    ○水野賢一君 二十世紀の負の遺産と言われていたPCBなんかの場合は、PCBを処理するときに、トランスとかコンデンサーでたまっているPCBとかありますよね。これを処理するときに、もちろんこれは、産廃である以上、排出者が全部自分の費用で、自分で負担するのが大原則では本来あるんだろうけれども、そうはいっていて、その原則論を言っているとなかなか処理が進まないというようなことで、PCB処理の特措法を作って、そこの中小の事業者なんかが処理するときには環境再生保全機構からの基金でその処理費用を補助するというか、そういうような仕組みがあると思うんですけれども。  あれでしょうか、これは佐々木参考人原参考人の御両者にお伺いをさせていただければと思いますが、何かそういうようなものを水銀の場合でも制度としてつくったりして、そこには、PCBの場合でいうと環境再生保全機構には国とか自治体とかもお金を入れている、若しくは産業界も、十分かどうかは別として、さっきの拡大生産者責任の観点もあるでしょうから、私はちょっと不十分だと思っているんですけど、そういうところにもお金が、ある程度出たのは事実ですから、何かそういうような仕組みというのは今後検討する余地はあるのかどうか、両参考人の御意見をお伺いします。
  70. 佐々木五郎

    参考人佐々木五郎君) 事業活動によって出る廃棄物水銀が入っているものというと、代表選手は非鉄製錬あるいは火力発電とかそういったジャンルでありまして、一般的に事業活動の結果水銀が出るという事業というのはそんなに多くはないと思うんですね。ただ、実際に自分が使っていた水銀が含まれる製品廃棄するといった場合に、それは家庭から出るものと、基本的に、量の問題は別にして、処理というのはほとんど変わらないわけでして、その辺でPCBとはちょっと違う構造にあるのかなと。  PCBは、もう学校から家庭から全てのところの、簡単に言えば照明器具のコンデンサーに入っていて、何か措置をしないと処理もできないだろう。ただ、所定の方々は自己負担で、自治体も自己負担で出しておるという。それで、中小、そういったところには先ほど先生がおっしゃられたような制度があるという。それと水銀はちょっと私は違うのではないかなというふうに思っております。
  71. 原強

    参考人(原強君) そういう余地はないのかというよりも、是非検討してほしいというのが私の意見ですね。  ですから、現場のことがよく分からない部分もありますけれど、やはり何らかの仕組みをつくっていく上でコストも要るわけですから、そのコストを何らかの形で集めなければいけません。その場合に、排出者責任の理論だけではやっぱりうまくないと。だから、何らかの形で生産者責任から説き起こしていくと。だから、さっき言ったことですが、ランプ一本百円なら百円と、そういう費用を最初もう積んでくださいと、それで将来的な保管ビジネスの費用に回り回って回っていくんですよとか、あるいは、小さな零細業者が例えばオフィス町内会のようなことをやると、そういう場合の援助金をそういうところから出してあげますとか、いろいろな運用の方法はあり得ると思うんですけど、何らかのファンドを持たなきゃいけないと、それも是非やってほしいというふうに思います。
  72. 水野賢一

    ○水野賢一君 終わります。
  73. 島尻安伊子

    委員長島尻安伊子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言御礼を申し上げます。  本日は貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会