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2015-06-16 第189回国会 参議院 外交防衛委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月十六日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月十一日     辞任         補欠選任      石井 正弘君     宇都 隆史君  六月十二日     辞任         補欠選任      野田 国義君     福山 哲郎君  六月十五日     辞任         補欠選任      宇都 隆史君     馬場 成志君      小坂 憲次君     松下 新平君      松山 政司君     古賀友一郎君      石川 博崇君     矢倉 克夫君  六月十六日     辞任         補欠選任      古賀友一郎君     松山 政司君      馬場 成志君     舞立 昇治君      矢倉 克夫君     石川 博崇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山さつき君     理 事                 北村 経夫君                 佐藤 正久君                 三木  亨君                 大野 元裕君                 荒木 清寛君     委 員                 古賀友一郎君                 末松 信介君                 豊田 俊郎君                 馬場 成志君                 舞立 昇治君                 松下 新平君                 松山 政司君                 北澤 俊美君                 小西 洋之君                 福山 哲郎君                 藤田 幸久君                 石川 博崇君                 矢倉 克夫君                 小野 次郎君                 井上 哲士君               アントニオ猪木君                 浜田 和幸君                 糸数 慶子君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    副大臣        外務大臣    城内  実君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       槌道 明宏君        警察庁長官官房        審議官      島根  悟君        外務大臣官房参        事官       武藤  顕君        外務大臣官房参        事官       吉田 朋之君        外務省北米局長  冨田 浩司君        外務省経済局長  齋木 尚子君        特許庁総務部長  堂ノ上武夫君        特許庁審査業務        部長       諸岡 秀行君        国土交通省航空        局航空ネットワ        ーク部長     平垣内久隆君        防衛大臣官房技        術監       外園 博一君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省地方協力        局次長      山本 達夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○特許法条約締結について承認を求めるの件(  内閣提出衆議院送付) ○商標法に関するシンガポール条約締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、石井正弘君、野田国義君、石川博崇君、小坂憲次君及び松山政司君が委員辞任され、その補欠として馬場成志君福山哲郎君、矢倉克夫君、松下新平君及び古賀友一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特許法条約締結について承認を求めるの件外一件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君外十三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 特許法条約締結について承認を求めるの件及び商標法に関するシンガポール条約締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 三木亨

    三木亨君 おはようございます。  今日は昨日と比べて少し涼しいかなというような感じがいたします。先ほど隣の北村理事ともお話ししていたんですけれども、大変汗っかきなので、少し涼しくなると私としても助かるところでございますので。ただ、国会議員としてこういった委員会審議には汗をかいていきたいなというふうに思う次第でございます。きれいにまとまりましたね。  まず、特許法条約及び今回、商標法シンガポール条約審議ということでございますけれども、現在、これと並行して特許法改正案というものも審議されております。  少し余談になりますけれども、最近ノーベル賞話題になって皆さん方も御存じのことかと思いますけれども、一時期、この特許法に関して日本話題になったことがございまして、それはノーベル物理学賞を受賞した中村教授特許をめぐる訴訟ではないかというふうに考えております。中村教授は実は私の選挙区のある徳島の日亜化学工業というところに勤めておられまして、青色LEDをその日亜化学工業に勤めておるときに発明されて、ただ、その特許をめぐって裁判を起こして、一審で二百億という勝利を得ましたけれども、結局、会社とは八億四千万円で和解が成立しました。ノーベル賞のインタビューのときとかでも皆さん御覧になられて、あれっと思ったかもしれませんが、会社とは実は余りまだうまくいっていないというか、まだしこりが残っているようなところが実はございます。  ただ、中村先生自身も、発明当時の社長さんは小川信雄さんという方ですが、この方が創業者でもあるんですけれども、この人に関しては今も大変感謝している、自分の研究に対して非常に好意的で、また、バックアップを全面的にしてくれたということで感謝されておるそうでございます。  ちなみにでございますけれども、この小川信雄さんは後藤田元副総理の中学校の同級生ということで、豆知識として皆さんにも知っていただきたいなということで御紹介いたした次第でございます。  余談はおきまして、質問の方に入っていきたいと思います。  まず、特許法条約についてお伺いさせていただきたいと思います。  特許法条約は、特許出願等に関する手続について、締約国が求めることができる要件などが規定されておりまして、これにより各国特許出願に関する手続簡素化されるとともに、国際的な調和が進むものであるというふうに私どもも理解しております。  今回、我が国がこの特許法条約というものを締結する意義について、外務省の方からお伺いしたいと思います。
  7. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 特許法条約意義についての御質問ですが、経済グローバル化に伴いまして、発明が適切な保護を受けるために複数の国で特許取得する必要性が高まっております。そして、それによって出願人各国ごとに異なる特許出願等制度に対応するための事務負担が増大しているという現実があります。  こうした中、技術先進国として世界第三位の特許出願件数を抱える我が国特許法条約締結することは、特許出願等に関する手続を国際的に調和させ、そしてこの負担軽減などによってその利便性を向上させるための国際的な取組に大きく貢献するものであると認識をいたします。特許法条約には既に三十六か国が加盟しております。そのため、我が国についても、条約に基づき我が国特許出願等に関する手続を他国の手続調和させることにより、我が国企業がより円滑に特許取得できる環境を整えることが重要です。そして、こうした取組我が国産業振興あるいは国際競争力の強化にも資するものです。  さらには、現在、我が国国民による海外への特許出願のうち四割を占めるアジア諸国特許法条約加入しておりません。そのため、まずは我が国自身特許法条約締結して、こうしたアジア諸国に対して同条約締結を促すことにより、こうした諸国でも我が国国民我が国と類似の手続特許を円滑に取得できる環境整備を進める、こういったことにつながるという意味におきましても重要であると認識をしております。
  8. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  続いて、中身の方にちょっと入っていきたいと思いますけれども、特許制度国際調和については、一九七八年に発効した特許協力条約による国際出願制度が確立されているところでございますけれども、各国国内段階特許制度についてのルールは実は存在していなかったということでございます。当初、WIPOにおい各国特許法調和させることを目的議論をされてきましたけれども、結局、特許審査の実は実体面というものには踏み込まず、これを除いて手続面に関する本条約が実現したわけでございます。本来的に言うと、実体面もやった方が手続的に、手続的にというか、各国特許出願のやり取りというものが円滑になるのではないかと思うし、できればそっちの方がいいとは思うんですが、ただ、今回は手続面に関するだけの条約であるということでございます。  なぜ、本条約特許出願手続だけに関する条約となったのか、特許法国際調和意義も含めて御説明いただきたいと思います。
  9. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答え申し上げます。  各国特許制度調和に関しましては、国際的な議論開始当初は手続的な要件のみならず実体的な要件につきましても検討が試みられたという経緯がございます。しかしながら、特許審査実体的要件について各国意見一致に至らなかったため、条約採択には至らなかったということでございます。  こうした経緯を踏まえて、一九九五年から特許出願に関する手続的要件のみを対象とする条約策定に向けた議論が行われた結果、二〇〇〇年六月にこの特許法条約採択をされました。経済グローバル化背景といたしまして、発明が適切な保護を受けるために複数の国で特許取得する必要性が高まってきている中、出願人各国ごとに異なる特許出願制度に対応するための事務負担も併せ増大をしてきているところでございます。  特許法条約を通じて各国出願手続の国際的な調和が進展することは、こうした出願人負担軽減に大きく寄与すると考えております。
  10. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  今御説明いただいたように、本条約成立過程において、米国が以前採用しておりました先発明主義と、その他の、米国以外の多くの国が採用しています先願主義との間の妥協点、落としどころを見付けるということが作業の一つとしてあったわけですけれども、手続面特許制度調和を目指す動きがこの中で模索されてきたという経緯があるということです。  その後、米国においては二〇一三年に先願主義の方が導入されて、実体面も含めた国際調和について、これからは議論を進めていく状況が整ったように私には思えます。また、特許協力条約における出願件数は、米国に次いで日本は二位となっておりまして、実体面を含めた国際調和が進むということは大変大きなメリットがあるのではないかと思います。  日本が主導的な立場に立ってこの実体面審議を進めていくべきではないかと思うんですけれども、それに対する御所見をいただきたいと思います。
  11. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ただいま経済局長からも答弁させていただきましたように、各国特許制度調和につきましては、当初、手続的要件のみならず、実体的要件についても検討が試みられました。しかしながら、当時、先発明主義に基づく特許法を有していた米国が反対を表明するなど、特許審査実体的要件についての意見一致に至らなかった、そして条約採択には至らなかった、こういった経緯がありました。  その後、二〇〇〇年に手続的要件に関する特許法条約採択された後、実体的要件国際的調和に向けた議論が再開されて、そして米国先願主義への移行を果たした後もWIPOにおい議論が続けられてまいりました。しかしながら、特許制度国際調和の在り方をめぐる先進国途上国との間の南北対立という事態によって議論が停滞して、現時点においても合意に至っていない、こうした現状にあります。  ただ、この特許法条約締結促進による手続的要件国際調和のみならず、実体的要件も含めた特許制度国際調和が実現いたしましたならば、我が国企業海外において更に円滑に特許取得することが可能になります。是非我が国としても、こうした実体的要件国際調和に向けた議論はしっかりリードしていきたいと考えております。
  12. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  特許の中で世界の潮流が先願主義ということは、その出願日というのは大変これは重要になってくるわけでございまして、特許法条約の第五条でも締約国による出願日の設定のための要件が定められております。三つありまして、一つ目出願を意図する旨の表示二つ目出願人特定することができる表示又は出願人に連絡することを可能とする表示三つ目明細書であると外見上認められる部分三つの全ての要素締約国特許関係の役所が受理した日が出願日とされるとされています。  特許出願出願日というものは、先ほど申しましたように、特許権取得のために大変重要な意味がありますけれども、ただ、この条約ではこの三つ要素というのは極めて簡易な要素だというふうに考えられます。  例えば、我が国特許庁においてこの三つ要素が欠けているような特許出願というのはこれまであったのか、まあほとんどないとは思うんですが、そういうようなものがあったのか。もしその事例があればそれを教えていただきたいということと、どのような問題意識から本条約にある三つ要素規定されることになったのか、これをお伺いしたいと思います。
  13. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答えいたします。  特許制度におきましては、同一の発明について複数の者から出願がされた場合には先に特許出願した者に特許権が付与されるという、まさに委員指摘のとおり、先願主義の下、特許出願出願日出願人にとって非常に重要な意義を有しているものでございます。この出願日取得要件簡素化そして明確化は、出願人負担を軽減し、有用な発明権利化促進することになると考えております。  こうした問題意識から、特許法条約では、締約国に対し、御指摘の第五条(1)(a)に規定する三つ要素提出があった場合には出願日を付与することを義務付けております。具体的には、締約国の官庁は、出願を意図する旨の表示出願人特定又は出願人への連絡を可能とする表示、そして発明の詳細な説明である明細書外見上認められる部分、こういう三つ要素提出されれば出願日を認定することとなります。その他の要件を課すことは原則として禁止をされているところでございます。  なお、これまで我が国特許庁が受けた申請の中には特許出願の意図の表示があるとは認められない文書、例えば本来特許申請とすべきところを単に権利申請とした文書など、特許法条約第五条に定める要件を欠く事例もあったものと承知をしております。
  14. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  次の質問ですけれども、先ほど大臣にお答えいただいた中で少しありましたし、時間の関係もありますので飛ばさせていただいて、特許法条約最後に、特許条約には関係ない、関係ないというか直接関わりがないことなんですが、日本特許、その国際環境、周り、特に中国との関係ということで一つお伺いしたいと思います。  現在、中国への特許出願件数米国への特許出願件数を抜いて世界一位となっておりまして、中でも日本特許出願件数が最も多いというふうに言われております。この中国と六月の二十四日、来週ですね、特許制度に関する情報共有を進めるために審判分野において初めての会合が開かれるということでございます。中国二つ条約締結するしないにかかわらず、二国間でこうした会合が持たれるということは大いに歓迎すべきことではないかというふうに考えております。  多くを望むことは難しいかもしれませんけれども、特許分野における情報共有化ができると知的財産保護トラブルの回避に大変大きな効果があると思うんですけれども、どれぐらい効果があるというふうにお見積もりされておられるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  15. 堂ノ上武夫

    政府参考人(堂ノ上武夫君) これまで中国との間では、中国における我が国企業知財保護が強化されるように長官級会合を開催するなど、様々な取組を通じて協力関係の構築を行ってまいりました。例えば、日中双方審査実務について情報交換をする審査官協議日中双方制度運用に関する官民を交えた意見交換、また情報化に関する協力などを実施してきたところでございます。  これらに加えまして、ただいま先生におっしゃっていただきました、今月末、審査にとどまらず、審査上級審である審判分野において初めてとなる日中の審判専門家会合を東京において開催しまして、今後の情報交換の枠組み、直近の制度改正制度見直し状況等について協議をする予定になっております。  このように、特許庁では、特許分野における中国との相互理解促進を通じまして協力関係を構築して情報交換を進め、その成果について我が国企業へも積極的にこれを提供しております。本年一月からは、中国に進出する我が国企業中国における膨大な特許実用新案権利情報を容易に把握できるように、中国との間で交換した特許情報データを活用して、これらの文献の全文を日本語で検索できるシステムを提供をすることを開始しております。  日中双方での情報交換我が国企業への情報提供を進めることで、我が国企業にとっては、日中の特許制度審査実務調和が進みまして、中国での特許取得予見可能性が高まりまして特許権を活用しやすくなること、また知的財産をめぐってトラブルに巻き込まれても適切に対応できるということなどの効果があると考えております。
  16. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございました。  時間がなくなってきましたので、商標法シンガポール条約の方に行きたいと思います。  まず、この条約が作成された背景についてお伺いさせていただきます。  商標制度の国際的な手続調和のための条約としては、既に一九九六年に発効した商標法条約が存在しておりまして、この商標法条約は、我が国については翌年一九九七年に発効しております。  今回の商標法シンガポール条約は、商標法条約採択された後に生じた電子出願等の新たなニーズに対応するために条約作成検討されたというふうに承知しておりますけれども、こうした新たな条約が作成されたことにはどのような背景があるのか、御教示いただきたいと思います。
  17. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、商標法条約というのが一九九四年採択され、九六年に発効し、我が国も九七年に加入をしたところでございます。この商標法条約は、商標等登録出願及び登録に関する各国制度調和させ、これらの手続簡素化を図ることを目的としたものでありました。  二〇〇二年、商標法条約採択後に生じた電子出願への対応等の新たなニーズに対応するための議論開始をされました。このときには、今申し上げました商標法条約改正するという前提で検討が行われておりました。しかしながら、一部の国から、既に存在をする二国間協定等において今申し上げました商標法条約への加入を義務付けているものがあることから、この商標法条約改正した場合に、従来の商標法条約への加入を維持できなくなるのではないかという懸念が示されたところでございます。  そこで、こうした懸念を持つ国が、従来の商標法条約への加入について心配なく維持できるように、商標法条約改正は行わず、商標法条約とは別個に商標法に関するシンガポール条約を作成すると、こういった経緯がございます。
  18. 三木亨

    三木亨君 商標法条約、ちょっと言いにくいですけれども、本条約は今までのと違うところで目立ちますのは、今までは視認することができるものに限られていたわけですけれども、今回は視認できない、例えば音やにおいといったものも適用対象となるということでございますけれども、このように視認できないものが適用対象に拡大された、こういったものが適用対象に拡大された背景というものをお教えいただきたいと思います。
  19. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) 先生指摘のとおり、この商標法シンガポール条約においては、音やにおいなどから構成される、いわゆる視認することのできない商標等について定めがございます。  商標法条約においては、視認することのできないものについては条約適用されなかったわけでありますけれども、商標法条約が発効した後、音やにおいから成る商標等登録を認める国がヨーロッパ、北米を中心に増加をしまして、そのような商標等に関する出願登録手続の国際的な調和を求める新しいニーズ国際社会に生じておりました。  そこで、商標法シンガポール条約は、締約国に対し、商標等の種類を拡大することまでは義務付けておりませんが、締約国の法令が音やにおいから成る商標等登録を認める場合には、そのような商標等についても本条約適用することとし、商標等登録出願及び登録に関する手続の更なる調和を図っているところでございます。
  20. 三木亨

    三木亨君 ありがとうございます。  では、最後質問ですけれども、本条約は、いずれの国又は政府機関も留保を付することにより一部の規定適用しない旨を宣言することができますけれども、我が国防護標章について本条約の一部を適用しない旨の宣言を行う予定としていると聞いております。なぜ我が国防護標章について留保するのか、またどのような規定について適用しないこととするのか、お教えいただきたいと思います。
  21. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答えいたします。  防護標章とは、特定分野商品等での使用目的登録された著名な商標等に関し、他の分野商品等についても他人による使用等を防ぐ目的登録できる制度であります。  防護標章は、既に登録されている商標等基礎として出願されるものであるため、その出願等手続は、条約で一般的な商標等について定める手続とは異なっております。例えば、商標法シンガポール条約十三条(4)は、商標等登録更新に際して実体審査を禁止しております。しかしながら、我が国防護標章登録更新の際には、基礎となった商標著名性が維持されているかについて実体審査を行っております。  このように、防護標章については一般的な商標等とは手続が異なるため、特定規定適用しない旨の留保を付すことが条約上認められているのでございまして、我が国はこの条約規定に基づき、条約締結に際して、更新の際の実体審査を禁止する十三条の(4)、また、個々の権利登録ごとに移転の手続を認めることを義務付ける第十一条、こういった規定について留保を付す予定でございます。
  22. 三木亨

    三木亨君 終わります。ありがとうございました。
  23. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。  まず、条約に関して質問させていただきます。  世界における国際出願特許の推移と、日本における国際出願の推移も伺いたいと思います。その際、日本国内の特許出願件数の推移等を比較して、どのような分析ができるかについてお伺いしたいと思います。
  24. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 特許国際出願制度について定める特許協力条約に基づく世界全体での国際特許出願件数は、増加傾向にあります。二〇〇五年の十三・七万件から、二〇一四年は二十一・四万件まで増加しております。この点に関して、我が国出願人による国際特許出願件数は、二〇〇五年の二・五万件から、二〇一四年には四・二万件まで増加しており、米国に次ぐ第二位となっております。これらの推移は、日本企業を含む各国企業の活動のグローバル化の進展を反映しているものと認識をしております。  これに対し、我が国国内における特許出願件数全体は二〇〇六年以降減少傾向にありますが、一方、この出願年別の特許登録件数は増加傾向にあると言えます。これは、日本企業知財戦略が深化して、特許出願について量から質への転換が進んでいる、これを示唆するものだと認識をしております。
  25. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 日本特許庁における特許それから商標登録のための出願手続について電子出願がどの程度の割合を占めるのか、また、本条約に電子出願手続規定が盛り込まれたことによって出願人各国特許庁にとってどういうメリットがあるのかについてお答えをいただきたいと思います。
  26. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国における特許電子出願ですが、これは一九九〇年十二月、世界で初めて受付を開始し、電子出願件数は、二〇〇五年から二〇一四年までの過去十年間、特許出願件数全体のおおむね九八%から九九%を占めております。安定的に推移をしております。  また、我が国における商標登録電子出願ですが、これは二〇〇〇年一月から受付を開始し、電子出願件数は、二〇〇五年から二〇一四年までの過去十年間の間、商標出願件数全体のおおむね八〇%前半、八一%から八五%を占めております。これも安定的に推移をしております。  そして、電子出願手続に関する規定特許法条約及び商標法シンガポール条約に盛り込まれたことによって、締約国が電子出願手続を導入している場合には、電子出願手続についても両条約に従って国際調和を図ることが明確になりました。各締約国における出願手続国際調和が一層促進されることが期待されると考えます。  また、出願人各国特許庁にとっても、書面による出願手続のみならず電子出願手続においても手続国際調和促進されることによって、出願手続における利便性の向上あるいは負担軽減、こういった利点も得られるものと認識をしております。
  27. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  次に、私がずっと取り組んでおります元捕虜の招聘のことについて質問させていただきます。  四月に安倍総理がアメリカを訪問された際の夕食会だろうと思いますが、私の友人でフィリピンのバターンの死の行進に参加をされた元捕虜のレスター・テニーさんを招いていただいたということについてはお礼を申し上げたいと思います。  前から提案をしておりますが、今年は戦後七十年でございますので、象徴的な事業として、アメリカとオーストラリアの元捕虜の方々で、もう平均年齢が高いわけですが、九十以上ですが、来日を希望して健康等の観点から来日が可能な方々を是非できるだけ全員招聘をしたいと度々提案をしておりますけれども、その招聘計画、どこまで決まっているのかについてお答えをいただきたいと思います。
  28. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘の事業につきましては、元POW等を我が国に招聘し、心の和解を促すことを通じて、日米間及び日豪間の相互理解及び友好関係の強化を図ることを目的とした大変重要な事業だと認識をしております。  そして、米国に関しては、米国国務省等を通じて把握しているところによれば、訪日を希望している元POWは最大二十六名いると承知しております。外務省としては、今年が戦後七十年という特別な年であることを考慮して、この二十六名のうち、健康などの観点から訪日可能な元POWの方々全てを今年度中に招聘すべく、国務省と今調整中であります。  一方、豪州に関しましても、これまで百名を超える関係者を招聘してきており、引き続き、被招聘者の希望、健康状態を踏まえながら、できるだけ多くの方々にこの事業に参加していただきたいと考えております。
  29. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございます。  二十六名という数字は、前、私、委員会で申し上げたその二十六名のほぼ全員の方々を是非招聘をしていただくということでございますので、この二十六名ということは、付添いの方も含めますと、外務省皆さんも大変御苦労をお掛けすると思いますけれども。  私も去年、付添いで日立鉱山に行ったことがございますけれども、憲兵隊がひどい仕打ちをしたのに対して、現場の鉱山の方がその捕虜の方を守ってくださったと、憲兵隊からですね。それで、大変食べ物のなかったときにはお弁当まで分けてくれたというふうに感激をされて帰っていかれましたけれども、是非そういった事業を今年も進めていただきたいというふうに思っております。  それから、普天間飛行場の施設の建設費について質問させていただきます。  去年、私、質問していたことを思い出しまして、昨年の三月、当時の小野寺防衛大臣質問いたしました。その関係が資料の一枚目にお配りをしてございます。  滑走路や管制塔その他の建設費等を含めた総事業費が少なくとも三千五百億円以上というふうに答弁をいただきました。その部分はちょっと下の方に出てございます。  この建設費について、中谷防衛大臣に確認をさせていただきたいと思いますが、この去年小野寺防衛大臣がおっしゃった三千五百億円というのはこのまま変わっていないのかどうか、それから、埋立費というのは百六十ヘクタールで二千三百億円程度というふうに承知をしておりますけれども、飛行場の本体それから埋立費の内訳もお答えをいただきたいと思います。
  30. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 普天間飛行場の移設に要する経費につきまして正確な数字をお示しすることは困難でございますが、大まかな見積りといたしまして、少なくとも三千五百億円以上と見込んでいるところでございます。  その内訳といたしましては、環境影響評価等に要する経費として約百億円、埋立て、護岸工事、仮設工事等に要する経費として約二千三百億円、滑走路、駐機場、格納庫、燃料施設等の飛行場施設整備に要する経費として約五百億円、キャンプ・シュワブの既存施設の再編工事に要する経費として約六百億円見込んでいたところでございまして、合計少なくとも三千五百億円以上と見込んでいるところでございます。
  31. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 資料一を御覧いただきたいと思います。去年、三千五百億円以上というふうに小野寺大臣から答弁があった後、国会図書館等を通して調べた数字でございます。これはかなりインターネット等で出ておりますけれども、これ全部やっていると時間が掛かりますので、この中で、静岡空港と中部国際空港と新北九州空港の中で、海上埋立工事を行ったものについてはその規模と埋立工事費及び空港本体建設費、それについて国交省の方からお答えをいただきたいと思います。
  32. 平垣内久隆

    政府参考人(平垣内久隆君) お答えさせていただきます。  今御指摘のありました三空港のうち、海上埋立てを行った空港は中部国際空港と新北九州空港でございます。  そのうち中部国際空港につきましては、三千五百メートルの滑走路一本を有する面積が四百七十三ヘクタールの空港であります。埋立工事費は三千三百四十九億円、空港基本施設等の建設費が千二百八十七億円となっております。新北九州空港については、二千五百メートルの滑走路一本を有する面積が百五十九ヘクタールの空港であります。埋立工事費は八百六十八億円、空港基本施設等の建設費は百五十六億円となっております。
  33. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 それから、防衛大臣、岩国飛行場の沖合移設事業の総事業費及び工期、埋立規模と埋立工事費をお答えをいただきたいと思います。
  34. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 岩国飛行場滑走路移設事業につきましては、同飛行場の騒音問題等を解決するため、滑走路を沖合へ一千メートル移設をするために行われました。当事業の総事業費は約二千五百億円、平成八年度に着工いたしまして平成二十二年度に完成をいたしました。また、埋立規模は約二百十三ヘクタール、埋立てに係る敷地造成に要した経費は約千五百億円となっております。
  35. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 それで、例えば静岡空港の本体建設費、これ出ておりますけれども、四百九十億円でございます。辺野古は千二百億円でございます。ということは、この静岡空港の本体建設費は、辺野古で今千二百億円の半分以下であります。それから、今おっしゃった岩国飛行場、二百十三ヘクタールですけれども、埋立経費、今聞きましたけれども、総事業費が約二千五百億円であります。ということは、辺野古は百六十ヘクタールでありますから、辺野古よりもはるかに大きな岩国が二千五百億円とはるかに低いんですね。  これ、ほかの、ちょっと今サンプルで申し上げましたけど、全部これ比較をしましても、これ辺野古の建設費の方がはるかに高いですね。なぜこんなに辺野古の建設費というものが高騰したのか、その理由についてお答えをいただきたいと思います。
  36. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 普天間飛行場の移設、また岩国事業との経費の違い等、これは民間空港と比較した場合でございますが、一概にお答えすることは困難ですけれども、一般論として申し上げれば、海上埋立ての有無や規模によりまして総工費は異なるところでございます。また、埋立ての深さなどの立地条件によって採用する工法が異なっております。また、資材の供給源が遠方にあれば、その輸送費を見積もる必要があるなどの経費面での違いが出るものと考えております。  岩国飛行場の沖合移設事業との経費面での違いにつきましては、一例を挙げるならば、岩国の事業で使用した埋立土砂は飛行場近傍の愛宕山から調達をいたしております。一方、普天間飛行場代替施設建設事業では、使用する埋立土砂につきましては県外を含め調達することといたしておりまして、土砂の輸送コスト等を要することから、岩国飛行場の沖合移設事業に対して所要経費を多く見積もっているところでございます。  また、岩国飛行場の沖合移設事業は滑走路を沖合に移設するものでありましたが、普天間飛行場代替施設建設事業は、普天間飛行場の移設に際して、キャンプ・シュワブ、これの既存施設等の再編成、これを行うことにいたしておりまして、そのための経費約六百億円を現時点で見込んでいる点にも違いがあると考えております。
  37. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 そうすると、私が聞いた範囲で、深さとか工法とか、資材が遠くから、土砂は、これ県外もそうですけれども、今まさに辺野古の近辺から、最初はコンベヤーみたいなもので運ぼうとして駄目になって今度はトラックで膨大にという話になっていますけれども、それぞれの深さ、工法、今おっしゃったようなことについてなぜそうなるのか、その項目を挙げていただきまして、具体的にこの理由でこうなんだという数字と、それをちょっと後で出していただけませんですかね。  それから、民間と違うということでしたけれども、民間の方が施設整備、かえってお金掛かるんじゃないんですかね。そういう面もあるんじゃないんですかね。  ちょっとその点に戻る前に、工期も長過ぎるんじゃないかと思うんですけれども、工期も、これ出しましたほかの空港と比べて相当長く掛かりそうでございますけれども、工期で考えますと、民間空港と違って施設整備はむしろ短くていいのではないかと。それが長く掛かってしまう、工期が民間と違ってなぜそんなに時間が掛かるのか、その点についてもお答えいただきたいと思います。
  38. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 普天間飛行場の移設につきましては、公有水面の埋立てに係る工事と並行いたしまして、日本側が整備する飛行場及びその施設の設置に係る工事も可能になったものから順次進めていくといたしておりますが、これらの工事につきましては開始から五年以内で完了する考えです。その後、普天間飛行場の返還までの間に日米共同で機材、施設の調整を行いまして、また、米側による飛行場の認証、代替施設の最終的な提供手続、これを進めることになりますが、これらの作業に要する期間を約三年と見込んでいるところでございますが、いずれにしましても、防衛省としては、一日も早い普天間飛行場の返還に向けて、安全に留意しながら移設作業を進めてまいりたいと考えております。
  39. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今御説明いただいたようなことが理由であるならばほかの方法も取れたのではないかということと、途中から工法とかあるいは計画が変わってきましたね。元々の計画の方が、同じキャンプ・シュワブ近辺で建設をするに当たっても、前の方がもっと安かったんではないかと、工期も短かったんではないかと思いますけれども、今理由を挙げましたそれぞれの項目について、かつての計画に対して大分それぞれ増えてきていると思うんですけれども、その経緯について御説明いただけませんでしょうか。
  40. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 資料といたしまして私の手元にございますのは、公有埋立申請に係る工事の額の見積りでございますので、御質問いただいた点、後刻資料を添えて御説明に上がりたいと思います。
  41. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 まず一般的に、例えば工法、深さ、資材、どこから持ってくるか、近場か遠めかという、一般的にこういう要素の場合にはどちらが安いか高いかというその根拠、それから、そういう高くなるという根拠がありながら、そういう方法なり場所に決めていったというその経緯も含めて、まとめてお答えをいただきたいと思います。  と申しますのは、たしかガイドライン、今回のガイドラインもそうですけれども、たしか理由の中に、唯一の辺野古沖がという中で、財政的にもというたしか言葉が、形容詞が三つあったと思うんですけれども、財政的にもという言葉が入っていたにもかかわらず、これだけ高く、ほかの空港よりも長くとなっているのは矛盾するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  42. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 掛かった費用等につきましては先ほど説明したとおり、三千五百億円の根拠ということで環境影響評価、埋立工事、飛行場の施設整備、キャンプ・シュワブの再編工事ということでお示しをして、三千五百億円の根拠を示しておりますが、どうしてそれ以上にということにつきましては、また調査をした上で御返事させていただきたいと思います。
  43. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 私は辺野古沖の案がいいか悪いかということはコメントしませんけれども、いずれにしても、これ税金でございますし、できるだけ早くと、一日も早くとおっしゃっているならば、工期というものは非常に重要でございますし、それから今、財政難の中でできるだけ安くというのは当然のこれ税金でございますから、その意味で、辺野古で決めるに当たっても、この工期とコストというもの、それから透明性というものはしっかりやっぱり説明をしていただかなければ、そういうこともやっぱり私は沖縄の皆さんの理解を得る上でも重要だろうと思って質問しておりますので、是非丁寧に明らかにしていただきたいと思います。いかがですか。
  44. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 更に調査をした上で御報告、説明をいたしたいと思っております。
  45. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 中谷大臣は、おとといの日曜日の夜九時、NHKスペシャルでいわゆる沖縄戦線についてドキュメンタリーをやっておりまして、御覧になりましたですか。
  46. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) それは視聴しておりません。
  47. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 是非後で御覧いただきたいと思いますが、多分日本のNHK、民放を含め初めて、初めにテロップが出まして、この番組の中で御遺体が出てまいりますと、現場の、ということをお断りの上で放映をされました。私は今まで、例えば津波というものがいかにひどいものであるかというのをスマトラで感じて帰ってきまして、日本で津波の恐ろしさというものをもっと伝えるべきだなと思って、四年前の東日本大震災のときに現実をやっぱり伝えるべきだな、ということがまさに抑止につながると思った次第でございますけれども。私は、NHKが最近いろいろ問題がありますが、ああいう形で放送されて、アメリカ兵の方がもう精神的に参っている具体的な場面とかも出ておりました。  そういう観点から、やはり沖縄の基地問題も対応が重要だろうと思って質問しておりますが、その関係で、沖縄防衛局による不服申立てについて、これはたまたま沖縄北方特別委員会の方で質問をしている中から、総務省の方で出していただいた資料が、この資料の二ページ目から五ページ目にかけてでございます。  要は、国が行った行政不服審査法に基づく不服申立ての事例を過去十年間にわたって総務省が各政府機関に聞いていただきました。十年間で出てきた事例がこの五つしかございません。全部、この事例が結果的に却下又は取り下げたわけでございます。  そんな中で、この四ページにございます事例の四を見ていただきたいと思いますが、これは諫早の関係事例でございますけれども、つまり、四ページの一番下のところを御覧いただきたいと思いますが、最終的に国の方が取り下げました。理由は、国は地下水の取水によらず海水淡水化による農業用代替水源を確保する方針としたため、決定前に異議申立てを取り下げた。つまり、これ、知恵を出しているんですね。ですから、その不服申立ての手段に訴えるのではなくて、民意も尊重しながら別のより良い手段を模索したと。  これ、この不服審査手続というのは、行政が行政をというのはやっぱり余りにも芳しくない手段だろうと思いますので、是非そういった意味で、私は別の方法を取っていただくことが、先ほどの沖縄戦の惨状等も見ながら、何となくこういう不服審査でやっているというやり方は、あの粛々という言葉が話題になって、もう官房長官、防衛大臣の方も粛々という言葉は使わないとおっしゃっておられますけれども、こういう不服審査申立てとやるのは、何か粛々以上に、そこのけそこのけ本土が通るみたいな感じがするので、別の方法を考えられたらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
  48. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 岩礁の破砕手続に係る先般の沖縄県知事の指示につきましては、当方といたしましては、事実とか、また法令の解釈に誤りがあったと考えておりましたために、農林水産大臣に対して審査請求を行いました。農林水産省より、引き続き中立公平の立場から審査が進められていくものと考えております。  本件につきまして、先ほど移設の進捗のお話がございましたが、先般、私自身も沖縄を訪問した際に、宜野湾市の市役所の屋上から普天間飛行場を視察いたしましたけれども、本当に、市街地と近接をしておりまして、学校また住宅に囲まれております。また、こういった、子供たちが野球をしておりましたけれども、普天間飛行場の固定化というのは絶対に避けなければならないと改めて確信をいたしました。これは政府と地元の皆様の共通の認識であると考えておりまして、その上で、普天間飛行場の危険性の除去、そして米軍の抑止力の維持、これを考え合わせれば、キャンプ・シュワブへの移設が唯一の解決策であると、これが政府の一貫した立場でございまして、これまで沖縄の基地問題に携わった私の信念でもございます。  今後とも、地元の皆様方に対しまして政府の考えを丁寧に御説明を申し上げ、そして対話を行いつつ、負担軽減のための様々な取組について御理解をいただき、連携を深めてまいりたいと考えております。
  49. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 いや、ですから、対話と丁寧な説明ということと、こういう形でいわゆる不服申立てをするやり方というものは、むしろ逆ではないか。しかも、これ、沖縄防衛局長、井上局長は、私人の立場として不服申立てをやっているんですね。そういう、やっぱり筋からいってかなり無理なことをやることは対話と丁寧な説明に反するのではないかというふうに思いますが、一言、それについて、大臣、お答えいただきたいと思います。
  50. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 国の行政機関には法律によりまして一定の範囲の所掌事務が割り当てられておりまして、行政機関がその権限の範囲内において行う行為の効果は法律上専ら行政主体に帰属をいたします。  今回、沖縄の防衛局は、一私人と同様の立場で防衛省とは異なる所掌事務を付与された行政機関であります農林水産省に対して本件指示に係る審査請求を行ったものでございまして、これを受けて農林水産省は、水産資源保護法、これを所管する行政機関として本件指示に係る事実関係及び法令の解釈等を踏まえつつ、公正中立の立場で審査がなされるものと承知をいたしております。
  51. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 いや、ですから、そういうことではないということを申し上げておきたいと思います。  時間の関係で次に行きたいと思いますけれども、資料の六ページを御覧いただきたいと思います。  これは、私、数週間前に政府の方に、安保法制に関する基本的な一番重要な定義、定義が重要ですから、に関して、答弁といいますか、資料を出してほしいというふうに要望したところ出てきた答えでございます。要するに、広辞苑でこう書いてあるというのが文書で出てきました。  今まで、政府に対して定義について要望したときに、こういう辞書を引用したというような事例はあるのかどうか。なぜ、こういう広辞苑の用語を提出をしたのかについて、内閣官房からお答えをいただきたいと思います。
  52. 前田哲

    政府参考人前田哲君) お答えさせていただきます。  これまでにこのような辞書を引用した形で政府がお答えをしたことがあったかどうか、ちょっと必ずしも網羅的に調べていないので手元に資料はございませんけれども、私どもがこういう御説明をさせていただいた趣旨といたしましては、これは五月二十一日の部門会議で御質問いただきまして、平和、独立、安全、事態、存立、これらの用語の定義ということでございました。  平和安全法制におきましても、これらの用語は一般的な意味で用いられているところでございまして、特別な意味を持たせているものではございません。そこで、法令におきましては、様々な語を組み合わせて条文とすることにより規範としての一定の意味内容を表すとしておりますところ、そこで用いられる個々の語について、お尋ねの各語のように、その意味日本語として一般に理解されるものである限り、その一つ一つについて定義をして用いられているものでは必ずしもございません。そのため、一般的な意味の一例といたしまして、こうした辞書、広辞苑でございますが、これから引用した用語の意味を提示をさせていただいたところでございます。  部門会議におきまして、当初からこういった御趣旨を丁寧に申し上げるべきだったと思いますが、必ずしも、不十分であったこと、そして部会におきまして藤田先生の御質問の趣旨を十分踏まえていなかったということもあったと認識をしておりまして、その点についておわびを申し上げたいと存じます。
  53. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 まず、網羅的には調べていないとおっしゃいましたけれども、前田さん、知っている範囲で見たことありますか、辞書を文書で出したという事例
  54. 前田哲

    政府参考人前田哲君) 私は存じ上げておりません。
  55. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 私もそれなりに国会にいますけど、見たことないですね。多分、これは自民党、各党の先生方も含めて、今までこういった文書を見たことありますかね。ないと思いますね。  それから、私の趣旨がどうこうであれ、定義について質問しているわけですね。そして、今の答えの理由であっても、だからといって広辞苑のものを出すというふうにはつながらないんじゃないですか。全くこれはけしからぬ話であって、今の理由と、それから趣旨がどうであっても、広辞苑を引用して紙で出すということはあり得ないんじゃないですか。どうですか。
  56. 前田哲

    政府参考人前田哲君) 辞書の定義をお出しした例があるかどうか、これはもう一度調べさせていただきたいと存じます。  このような形でお答えをさせていただいた趣旨は先ほど御説明いたしたとおりで、必ずしも各語について定義をしているというものではないものですから、その一般的な意味をお示しをする意味でこのような資料を出させていただいたところでございます。
  57. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 少なくとも、我々が見たことがないということが十分な私は事実だろうと思っています。  それから、これだけ定義についてこういったことを出してくるということは、いかにその定義に対して不安があるからこういった出し方をせざるを得なかったということだろうと思いますので、これは自衛隊の皆さんだけじゃなくて、それこそまさに国民の命に関わることに関して、こういった出し方をやっているという姿勢そのものを変えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、時間の関係で移りますけれども、新聞報道ですけれども、礒崎総理補佐官が、最高裁が違憲判決を出した場合は法律を変えないといけない、憲法上のルールなので当然だと発言したと聞いておりますけれども。  そこで、法制局長官に伺いますけれども、ある法律について最高裁から違憲判決が出た場合、その法律はどうなるんでしょうか。
  58. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 最高裁判所の違憲立法審査権と申しますのは憲法に明文で規定されております。日本の裁判所は、いわゆる憲法裁判所ではなく司法裁判所というものに分類されるものでございまして、具体的な事件を前提として、それに法律を当てはめて事件を解決すると、そういう役割でございます。  その意味で、その違憲判決というものですけれども、違憲判決につきましても前提となる具体的な事件があります。その上で、どのような理由によってどのような違憲の判断がなされたかということによって、その判決の持つ意味というのは様々であろうかと思います。いわゆる一般的にその法律を違憲無効とする、そういうような判断をするという、そういう権能はございません。  その意味で、実際に、どのような事件についてどのような理由によってどのような違憲の判断がなされたかということに応じまして、政府としてはその具体的な対応を決めていくということになります。
  59. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 その具体的な対応に関して、法律はどうなるんですか。
  60. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 最高裁判所の判決そのものによってその法律が無効になるわけではございませんので、その指摘された点を是正するための法改正ということになろうかと思います。あくまでも一般論でございます。
  61. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 そうすると、違憲判決が出ても、その法律が無効にならないこともあり得るんですか。
  62. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 司法裁判所でございますので、その判決によってその法律の規定そのものが無効になるということではございません。
  63. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 そうすると、その法律がそのまま生き続けて、司法裁判所であるところの最高裁が違憲判決を出したと、その後もその対象になっている法律は有効として生き続ける。例えば民法とか刑法であっても、違憲判決が出た、にもかかわらず、そのまま民法なり刑法が生き続けちゃうと。そうすると、非常にそれによって被害を被る対象の人等も出るということですね。
  64. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 立法権は国会に専属するということでございまして、判決によって法律の規定そのものが無効になるわけではございません。  もとより、裁判としての効力は当該事件のみでございますけれども、違憲立法審査権を有する最高裁判所の判決で指摘されたことといいますのは、行政といたしましてそのままその法律を適用し続けるということはもちろんできません。ですから、先ほど無効にならないと言った意味は、法的に無効になるというわけではないということで、それをそのまま適用し続けるということではもちろんございません。  その法律を是正するというか、裁判所で指摘された事項について対応するというためには、その指摘された法律を必要に応じて改正するということが必要になる場合がございます。
  65. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 国会におい改正等をするんだろうと思いますけれども、政府の方はちゃんと準備をしております。それが八ページと九ページでございます。  内閣官房と防衛省に先日要請をしたところ、「今回の平和安全法制について、憲法解釈の変更を受けて、改正が行われている部分を明示されたい。」。ということは、今回の例えば憲法解釈、去年の七月一日以降変更をされて、改正がされている部分がここなわけです。  そうすると、例えば、盛んに今憲法学者の皆さんもおっしゃっているように、この憲法解釈が違憲だということになった場合には、この八ページと九ページに書かれている部分が、これは改正されなければいけないということになるかと思うわけでございますけれども。ということは、もし違憲判決によって、今長官がおっしゃったように、この改正部分が執行できないと、その場合には、防衛大臣、不都合が生じると思うわけですが、どのような不都合が生じて、その生じる不都合をどうやって解決しようとするのかについてお答えをいただきたいと思います。
  66. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) まず、昨年七月に閣議決定を踏まえた以降、平和安全法制を提示をしておりますが、これは憲法第九条の解釈の基本的な論理、これを維持しておりまして、これまでの政府の憲法解釈との論理的整合性及び法的安定性は保たれているのでありまして、違憲無効となるものとは考えていません。  その上であえて申し上げますが、仮に万が一、最高裁の判断により集団的自衛権の限定容認に関する部分が違憲無効とされるとすれば、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合における我が国の対応が不十分なものになるおそれがあります。そのような場合であっても、政府としては、その時点におけるできる限りの対応を取るということに尽きますが、法の不備により切れ目ない対応を行うことができなくなるとの懸念があり、国民の命と平和な暮らしを守り抜くという政府としての最も重要な責務が果たせないことにもなりかねないと考えます。  このような事態を避けるためにも、今般の平和安全法制の成立をお願いしているところでございます。
  67. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 答えていただきたい私の問いは、不都合が生じるか、その不都合をどうやって解決しようとするのかということについて答えていただきたいと思います。
  68. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) そのような場合でありましても、政府としては、その時点におけるできる限りの対応を取るというところに尽きるわけでございます。
  69. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 要するに、違憲判決で執行できないというところについて聞いているわけです。執行できないということに関して、頑張りますという話じゃないと思うので。先ほど大臣は、万が一にもとおっしゃったけれども、万が一のことが起きた場合に違憲判決によって執行できないと不都合が生じるわけですから、それについてどう対応するのかというのが質問であります。頑張りましょうという決意を聞いているんじゃありません。
  70. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 私どもは違憲の判決が出るとは思っておりませんが、一般論として、先ほどお答えしたとおり、仮に違憲判決が出るとしても、どのような具体的な事件についてどのような理由によってどのような違憲の判断がなされたかということに応じてその対応は様々でございますので、一概に違憲になったらどうかというお尋ねについては答えることは難しいわけでございます。  今般の全般について、総体として見た場合どうなるかということになりますと、元に戻って、我が国に対する武力攻撃の発生を待たなければ武力の行使ができない状態になるという、そういうことになろうかと思います。
  71. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 いや、法制局長官、私は呼んでいないので。  私は、資料として八ページ、九ページ、出しています。これは明らかなわけです。つまり、憲法解釈の変更を受けてこれが改正されているわけです。ところが、その憲法解釈が違憲となった場合に、これが、この法律として、この部分が、改正されている部分がこれ無効になるわけですね。この部分について、いや、長官に聞いているんじゃなくて、大臣、これ、官房、防衛省の方で具体的にこのことが解釈変更によって変わると言っているわけですから、この部分に対して違憲というふうになった場合には、これ行政上対応しなければまずいんじゃないですかと、どう対応するんですかと。それに対して、頑張りますという話じゃないので、これ具体的な話をしているので、どうなんですか。
  72. 前田哲

    政府参考人前田哲君) お答えいたします。  先ほど法制局長官もお答えになりましたけれども、私ども政府としては、今回の法令、政府の憲法解釈と論理的整合性、法的安定性を保っていると、このような立場でございますので、違憲無効となるものとは考えておりません。  ただ、その上で、万が一、最高裁判所で違憲判決が出るような場合には、政府としては、判決の具体的な内容に応じて、従来政府が対応してまいりました例も踏まえまして、法治国家として適切に対応してまいる、このようなことになろうかと存じます。
  73. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今までそういった例はあったんですか。つまり、私が聞いているのは、行政の対応について聞いているわけです。だから、法制局長官の一般的な話を聞くんじゃなくて、しかも、具体的に改正が行われる部分って書いてあるわけですから、具体的な私は質問をしているわけで、つまり、違憲の判決が出た場合に行政として対応すると、具体的な法案の中身についてどう対応するんですかと聞いているわけです。  行政として答えてください。
  74. 前田哲

    政府参考人前田哲君) これも先ほど法制局長官からも御答弁ございましたけれども、最高裁においてどのような事件についてどのような内容の判決が出るか、それが様々な場合があろうかと存じます。その事件、また判示の内容を踏まえまして政府としては対応を決定していかなければならないと思いますので、誠に恐縮でありますが、一般的な形でその問いにお答えすることは難しいのではないかと、このように考える次第でございます。
  75. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 内閣が合憲だと解釈して法律案を国会に出してきています。立法権を有する国会が例えば合憲だと解釈して法律を成立させたとします。だけれども、内閣あるいは国会の憲法解釈は誤っているというふうに司法が認定をしたというケース、万が一のケースを聞いているわけです。そういうケース、国会の法律案で通過したものが、その後に憲法解釈が誤っている等で違憲の判決が出たと、そういう事例はあるんでしょうか。
  76. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 過去の違憲判決の例とその場合の対応ということでございますが、そんなに違憲判決は多くございません。  有名なのが、昭和四十八年四月四日の尊属殺重罰規定の違憲判決というのがございます。  当時、刑法第二百条におきまして、通常の殺人罪とは別に尊属殺の法定刑を死刑又は無期のみに限っていたものでございます。  その当該事件については、大変被告人に同情すべき事情が、特別な事情があった事案でございましたけれども、その事案につきまして、死刑、無期しか定めのない尊属殺の規定適用するということを迫られた裁判所としては、やはり刑法二百条の規定は、尊属殺であるというだけでこれだけの重罰にするということは不合理な差別的な扱いであるということで違憲であるということで、刑法百九十九条、通常殺人の規定適用するという形で処罰をするということをしております。  行政の側としては、その後の尊属殺人の事件につきましては、この二百条の規定適用せずに、全て刑法第百九十九条の通常殺人の罪で起訴するという形で対応したわけでございます。  では、二百条の規定はどうなったかというと、尊属殺人について一定の重罰化をするかどうかというような議論もございましたので、この二百条の規定が廃止されたのは平成七年に至ってからでございます。  次に、昭和五十年四月三十日の薬事法の距離制限規定の違憲判決というのがございます。それは営業の自由等との関係で問題になったわけでございますけれども、その違憲判決を受けまして、もう当日にこれは厚生省において通達を発しまして、実際の配置の適正化については条例で定められることになっていましたので、その規定適用しないということを要請する文書を発出して、そのような規定、その違憲として指摘された規定の執行を止めまして、その後、これは議員立法ということになりましたけれども、二か月に満たない、一か月半程度ですか、ぐらいで法改正が行われたということがございます。  それから、近い例……(発言する者あり)
  77. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 時間の関係で。  この憲法解釈について、今多くの憲法学者の方々がこれは違憲だとおっしゃっておられまして、長谷部教授は九五%の憲法学者が反対するんじゃないかとおっしゃっておられますけれども。  それで、特に問題になっておりますのは、小西委員がこの間も質問しておりましたけれども、その政府見解、法理に関する集団的自衛権の内閣の認識関係でございますけれども、六月十一日の小西委員とのやり取りの中で、法制局長官は、集団的自衛権に関する政府見解を発表した昭和四十七年の当時、個別的自衛権がそのような事態に当たるという事実認識であったと、この間答弁されました。  つまり、集団的自衛権は昭和四十七年の事実認識には含まれていなかったというふうにおっしゃったわけですけれども、この小西委員の資料を使わせていただきますと、これは十ページでございますけれども、言わば①と②を引き継ぐと言いながら③の結論を変更して、限定された集団的自衛権の行使を憲法上許されると言っているわけですね。  ところが、閣議決定で引き継いでいるはずの②には限定された集団的自衛権は事実認識として入っていなかったとなっているわけでございまして、これが引き継いだはずの②に限定された集団的自衛権は入っていないのに、ということは、結論として認められると変更するということは、これはおかしいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  78. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) かいつまんで申し上げますが、①の部分我が国は自衛のための固有の権利を有しているということ、②の部分は外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処する場合における自衛のためのやむを得ない必要最小限度の武力の行使までも憲法が禁じているものではない、そのような結果、禁ずることによって国民が犠牲になるということもやむを得ないということを命じているものとは解されないというのがその①、②の基本的な論理と申し上げているところでございます。  それでは、どのような場合がこれに当たるのかということでございますが、当時におきましては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみがこれに該当するんだという事実認識を持っていたということを申し上げているわけです。その後の安全保障環境の変化等によりまして、今回お示ししております新三要件を満たすようなもの、これにつきましても、この①、②の要件を満たし得るのだという、そういうことを申し上げているわけでございます。
  79. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ということは、環境が変わったということは、今政府が認められていないという集団的自衛権一般の行使までも認めてしまうということになるんじゃないですか。
  80. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まさに、この三要件でお示ししているものは、国際法上は集団的自衛権ということで違法性が阻却されるものでございますが、その全てではなくて、その第一要件において、まさに国民の生命、自由云々ということで、根底から覆される明白な危険ということで限定しております。これは憲法上の限定でございます。また、第二要件におきましても、我が国の存立及び国民を守るための必要最小限度ということで、我が国を守るためであるということで限定しております。  その意味で、限定された集団的自衛権について今は議論をしているということでございまして、国際法上認められる集団的自衛権一般を認めるものでは決してございません。
  81. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 もう時間がないんで、最後のページ、十二ページを御覧いただきたいと思います。  これもやはり先週の質問関係でございますけれども、先週、法制局長官は、「限定された集団的自衛権と申し上げているのは、フルスペックでもフルセットでもいいのですけれども、集団的自衛権一般の中の部分集合ということ」というふうに発言をされておられます。  ところが、四十七年の政府見解では集団的自衛権一般を否定しているわけですね。そうすると、この図でいうところの昭和四十七年では集団的自衛権一般を否定しているわけですけれども、その一部分にすぎない右側の限定された集団的自衛権なるものを七月の閣議決定で認めることは、これ、だから、引き継がれていると言いながら、この全体に入っているところの限定的集団的自衛権を認めるということは全く論理矛盾じゃないんですか、これ。
  82. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) その一部分ということを、あるいは限定されたということをどのように理解するかということかと思いますけれども、我々が申し上げていますのは、一部に限るから、限定するから憲法に適合するのだということを申し上げているわけです。  別の言い方をしますと、集団的自衛権一般といいますと、やはり他国を防衛するためにその他国まで出かけていって、外国まで出かけていって戦うということも当然含んでいるわけでございますけれども、そういう部分ではないもの、つまり我が国を防衛するための必要やむを得ない最小限度のものに限ると、そうであるならばこれは憲法に適合するだろうということを申し上げているわけで、まさに一部分にすぎないからこそ憲法に適合するということを申し上げているわけでございます。
  83. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 つまり、自分が決めたものは該当しないと言っているように今聞こえましたですね。つまり、横畠さんが言っていることのみは可能なんだと。これは今までの歴代の法制局長官はそういう自分だけはというようなことをおっしゃっていませんですよね。  法制局長官は、私は実体的に憲法の番人なんだろうと思いますね。実体的に憲法の番人であり、あなたの先輩方が守ってこられたこと、そしてそれに基づいて歴代総理がまさに日本の国民の命と安全を守るために守ってこられたことを、それを変えているんじゃないですか。その責任と横畠長官が今、毎日国会でおっしゃっておられることの罪科といいますかね、罪科、罪。罪というのはいろんな意味が、肯定的、否定的な意味もありますけれども、ある意味では実体的に一国会議員以上に重い任務を背負われて、そして歴代の皆さんが積み重ねられてきたことを、今の一部分はということに対するその主観的な表現は、これはまさに立法事実といいますか、というのと懸け離れた主観的な、そして御自身が描かれた中に限定をされ条件を付けられて、これだけは可能だと言っている。  例えば、この図解からしても、長官はどういうふうにこれ図を描かれるんですか、一部分というものを。これは要するに、図には描けない。状況によって、そして自分だけが決定することができるかのような言い方をしておられます。それは法律じゃないんじゃないですか、どうですか。
  84. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 法制局長官として私が決定しているということでもございませんし、主観的な意味で一部分と申し上げたわけではございません。  まさに、お示ししています新三要件そのものを是非よく御覧いただきたいと思います。まさにその中にこそ、この限定という意味が明らかにされているというふうに解しております。そのことは、仮に図にするならば、新三要件を満たす場合の集団的自衛権という部分と、それに当たらない、恐らく他国防衛が中心になる、そういう集団的自衛権という区分になるんだろうと思います。
  85. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 新三要件の方が憲法よりも上位であるということですね。それを法制局長官が、憲法よりも新三要件の方が重要である、それをお読みになれば分かると。そして、多くの憲法学者の方々が、こんなに一つの法律について憲法学者の方々が反対をしている、その法律というのに対して、これ法的な安定性ってあるんですか。官房副長官まで、この違憲の可能性について話が出ている。  今まで、この法案の途中で、これだけ違憲の可能性について専門家がいろいろな内外で発信をされて、そしてそれに対して官房副長官まで言及している、そういう中における、法制局長官が憲法以上の何か解釈を、主観的にと取れるような、つまり説明が付かないような形でおっしゃっているということについて、どうお考えになるんですか。あなたの責任を考えてください。
  86. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 主観的に申し上げているわけではございませんで、まさに新三要件に明記されているとおりでございまして、その新三要件は、まさに憲法の下、第九条の下でどこまでの我が国としての武力の行使が許されるかというその憲法の解釈を述べているものでございまして、その解釈はこれまでの憲法解釈と整合しているということをるる述べているわけでございます。決して主観的な判断を述べているわけではございません。
  87. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 藤田幸久君、お時間がそろそろ終わっておりますが。
  88. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 専門家が全く反対のことをおっしゃっているということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。     ─────────────
  89. 片山さつき

    委員長片山さつき君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、矢倉克夫君が委員辞任され、その補欠として石川博崇君が選任されました。     ─────────────
  90. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 特許法条約商標法シンガポール条約についてお尋ねをいたします。  まず、特許法条約の第三条には、「この条約及び規則は、締約国の官庁に対して又は当該官庁についてする次の特許及び追加特許の国内出願及び広域出願について適用する。」とあります。また、シンガポール条約については、第二十二条は「規則」という章がありまして、(1)の(a)では、「この条約に附属する規則には、次の事項に関する規定を設ける。」、このようにありまして、両条約とも規則があるわけでありますけれども、今回、国会承認対象としてその規則が提出されなかった理由について説明をしてください。
  91. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答え申し上げます。  これまで我が国締結した条約において、附属すると規定される文書を国会に提出する条約文に含めるか否かにつきましては、その文書が附属書であるか、規則であるか、あるいはその他の名称であるかにかかわらず、条約の不可分の一部であるか否か、条約の認証謄本に含まれているか否か等を個別に検討した上で判断を行ってきているところでございます。  今先生指摘特許法条約及び商標法シンガポール条約に附属する規則につきましては、条約本文中にそれが不可分の一部を成すといった規定はございません。  また、我が国は、多数国間条約締結について国会の御承認を求める場合には、その条約の寄託者となっている国際機関等から、条約申請の原本の写しである認証謄本を入手して国会に提出することとしております。  今回の二条約の寄託者である世界知的所有権機関事務局長から送付されましたそれぞれの条約の認証謄本は条約本体のみから成っておりまして、先生指摘の規則は含まれていないということでございます。さらに、条約上、条約本体の改正又は修正は外交会議で行うとされておりますが、規則につきましてはこれと異なり、必要に応じて、その都度締約国の総会の決定により修正を行えるということになっております。  こうしたことを総合的に踏まえ、条約に附属する文書の扱いに関する従来からの一貫したやり方に従い、両条約の規則につきましては国会に提出をいたさなかったものでございます。
  92. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今回の商標法シンガポール条約は、従来の商標法条約改正するものでありますけれども、この商標法条約審議のときには規則が国会に提出されておりますけれども、同じ条約の規則でどうしてそういう異なる対応になったんでしょうか。
  93. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) 先ほど御説明申し上げましたように、これまで我が国締結した条約において、国会に条約文を提出する際に規則なりその他の附属書を含めるか否かにつきましては、条約の不可分の一部であるか否か、条約の認証謄本に含まれているか否か等を個別に検討した上で判断を行ってきております。  御指摘商標法条約の規則につきましては、寄託者である世界知的所有権機関事務局長から送付された条約の認証謄本に、この規則は条約本体とともに含まれておりました。また、商標法条約には、商標法シンガポール条約とは異なり、総会の決定等による規則の修正に関する特別の規定は置かれていません。これは、同条約の作成時において、規則と条約とは一体不可分であり、規則の修正についても条約本体の改正、修正と同様、外交会議によって行うべきとされたものと考えられます。  これに対しまして、繰り返しで恐縮でございますけれども、今御審議いただいております商標法シンガポール条約の規則につきましては、寄託者であるWIPO事務局長から送付された条約の認証謄本に含まれていないこと、また頻繁に修正を行うことを意図し、条約本体の改正とは区別して総会の決定による修正手続が定められていること、こうしたことに鑑みますと、商標法条約の規則と商標法シンガポール条約の規則は、性格と位置付けが異にする文書であるというふうに認識をしている次第でございます。
  94. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 分かりました。  それでは、特許法条約について、中国、韓国の動向についてお尋ねをいたします。  中国特許法条約締結することは、我が国出願人にとっても重要であると思います。そこで、本条約について中国がどういう動向であるか、確認をしておきます。また、隣国の韓国も本条約締結しておりませんけれども、韓国の動向についても教えてください。
  95. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず中国状況ですが、中国特許法条約締結に向けた具体的な動向に関する具体的な情報には接しておりません。そして、韓国につきましては二〇一一年に本条約締結を目指すことが発表されており、その実現に向け、これまでのところ、本条約規定事項を部分的に国内法令に取り入れるための法改正が順次進められていると承知をしております。
  96. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、中国についてはまだ態度未決定ということですと、当然、我が国企業中国での出願は多いわけでありますから、中国が本条約に入るように働きかけていくことが非常に重要であると思います。  今の御答弁ですと、特段、まだ日本も静観しておるようなことなのかどうか。今後、中国締結に向けてしっかりと外交努力をしてもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  97. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、中国を含むアジア諸国の動向、大変重要であります。アジア諸国への我が国の国民による出願、これは我が国国民による海外への特許出願の四割を占めております。  政府としましては、こうした中国を始めとしたアジア諸国を中心にこの条約締結を促していくこと、これが我が国産業振興国際競争力の強化にも重要であると認識をしております。是非、そういった観点から、アジア諸国への働きかけは続けていかなければならないと考えます。
  98. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 中国、韓国、いわゆるASEAN諸国の本条約に対する態度というのは、現時点ではどうなっているんですか。
  99. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ASEAN諸国ですが、ASEAN諸国もこういった条約加入をしていないわけですので、我が国としてもしっかりと働きかけを行っていかなければならないと思います。ですので、我が国としましては、ASEAN諸国を含むアジア諸国を中心とした新興国を対象とする視察団あるいは研修生の受入れ、専門家の派遣など、各種事業を実施しております。  今後とも、こうした事業を通じまして、ASEAN諸国を含むアジア諸国に対しまして、条約締結に向けた働きかけ、継続していきたいと考えます。
  100. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、特許法条約第十一条についてお尋ねいたします。  これは、手続期間に間に合わなかった場合の救済が定められておりまして、所定の期間を徒過した手続や喪失した権利について救済規定が設けられております。我が国の行政手続では恐らくこういう規定はないわけでありまして、非常に親切な、ある意味でですね、対応を行政機関にしろと、特許庁にしろと言っているわけでありまして、私は非常に新鮮な興味を持ってこの規定を見たわけでございます。  当然、この規定については特許法等の改正の必要がありまして、今審議をしておるわけでありますけれども、特許法条約におけるこの救済規定意義について外務省にお尋ねをいたします。
  101. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) 今先生指摘のとおり、この特許法条約は所定の期間を徒過した手続や喪失した権利を救済するための規定を置いております。これは、産業の発展に寄与する貴重な発明手続的な不備のみにより特許権取得できなくなるような事態の発生を可能な限り回避することを目的としております。  こうした制度の導入により、出願人権利者にとっての手続負担が軽減され、有用な発明権利化促進されることが強く期待をされております。
  102. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 続いて、第十二条には、一旦そうした期間の徒過等によって喪失した権利の回復という規定までありまして、本当に、非常に丁寧な対応を要求しているんだな、このように思います。  こうした救済制度権利が回復するという救済制度を導入することは、出願人権利者にとってはもちろん有利であります。しかし、反面、同じ特許取得を考えている第三者にとりましては不測のそういう損害を及ぼす可能性もあります。  そこで、こうした出願人の救済の規定が第三者に及ぼす影響については政府はどのように考えているのか、そういう心配はきちんと法改正で手当てがされているのか、お尋ねします。
  103. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございまして、こういった救済措置は出願人と第三者との間の権利関係に大きな影響を及ぼすものです。このため、我が国においては、救済措置の導入に当たって、特許法において利害関係を有する第三者を保護する規定を創設いたしました。全体的に出願人と第三者との間の権利関係が公平なものとなるよう配慮した制度設計を行ってきているところでございます。  いかなる保護規定を設けるかどうかについては、救済される手続の性質や期間の長さ等を考慮して定めております。具体的には、例えば出願人等の特許権が回復した場合、その特許権対象となる発明を善意で実施していた第三者に対しては、権利の回復後も引き続きその発明の実施権を付与することなどによりまして、第三者の保護の実現も図っているところでございます。
  104. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、シンガポール条約の第二十三条についてお尋ねいたします。  この規定におきましては、新たに各締約国の一人の代表から成る総会が設置をされております。総会は、本条約の発展に関する問題を取り扱うこと、規則を修正すること等を行うことになります。  こうした総会が新たに設立される意義と理由はどこにあるのか、お尋ねをいたします。
  105. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) 商標法シンガポール条約の基になっております商標法条約には、総会に関する規定はございません。先生指摘のとおり、この商標法シンガポール条約において総会に関する規定が新たに設けられるに至ったものでございます。  この商標法シンガポール条約の作成の過程におきまして、条約を適切かつ効果的に運用していく上で総会を設置する必要性が確認をされ、この規定が新たに設けられるに至ったという経緯がございます。  条約の円滑な実施のために、具体的な任務として、例えば総会は条約の発展に関する問題を取り扱う、またモデル国際様式を含む規則を修正する、またこの条約規定を実施するために適切と認める他の任務を遂行する、こういったことが定められているわけでございまして、総会が有意義な機能を果たしていくことが期待をされております。
  106. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今日、この条約承認することになりますが、法律の方がまだ可決をしておりませんので、この条約に合わせて早く審議が進むことを期待申し上げて、質疑を終わります。
  107. 小野次郎

    ○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。  中谷大臣、前回、十一日の日に私が、存立危機というんですかね、緊密な関係を有する他国が攻撃を受けた場合の存立危機について、その他国への攻撃が未然段階のときに、今、現行法案にはないですけれども、他国事態の切迫事態とか予測事態とかということで、防衛出動とか防衛出動待機命令とか、そういう規定を置くことはできるんですかという趣旨をお伺いして、報道も一部されたんですが、どうもすれ違いのまんま終わっていた面があるので、ちょっと確認だけさせていただきたいんですけれども。  まず、そういう存立危機というか、存立危機事態について、今までの法律にあるような切迫事態とか予測事態という規定はないですよね、今度の法案には。
  108. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 法文の内容でございますので、まず私からお答えいたしたいと思います。  御指摘のとおり、存立事態には武力攻撃事態におけるいわゆる切迫事態や予測事態に相当する規定が設けられておりません。  ですから、おっしゃるとおりで、今、個別的自衛権、現行法にあります武力攻撃事態でありますれば、武力攻撃が発生する以前の段階で防衛出動を下令する、いわゆるおそれ出動に関する規定はございますけれども、存立事態につきましてはそのような規定は設けられておりません。それにつきましては、委員指摘のとおりであります。
  109. 小野次郎

    ○小野次郎君 そこで、大臣にお伺いしたいのは、じゃ、その緊密な関係を有する国がよその国から武力攻撃まさに受けそうだ、切迫している、あるいは予測されるというときに、日本に、自衛隊にその事態を踏まえて自分の国まで応援に来ていてくれと言われた場合、そういうときに、武力行使はしませんよ、日本の自衛隊は、まだその段階ではもちろん攻撃ないんですから。だけど、それに備えて、いわゆる防衛出動待機命令とか防衛出動を掛けて、それが自衛隊が武力行使自体はしませんけどその国までは行くという、そういうことは規定を設ければ憲法上可能なんですか。そこを聞きたかったんです、この間。
  110. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) まず、我が国に対する武力攻撃が発生する場合は、明確な危険が発生すると認められる場合に至った場合はそのような待機命令等は掛けることはできておりますが、これは、極めて限定的な場合に限って認められる防衛出動につきまして、他国に対する武力攻撃がまだ発生していない段階において命ずる必要はないと考えております。そのような立法の必要性がないと判断している段階でございますので、この件につきましては極めて慎重な検討が必要だということでございます。
  111. 小野次郎

    ○小野次郎君 つまり、日本の自衛隊が国内にいる限りは常に備えるのが当たり前ですから、組織として、ですから、その限りでは武力行使をするか武力行使に至らないかということが憲法上の一つの大きなルビコン川みたいなものだと思うんですが、海外となるとそれは別で、フル装備で、しかも武力行使をするため、前提にした自衛隊の部隊がよその国に行って待っていますと、その武力攻撃起きるまでですね、もう来そうだから来ていてくださいと言われたから応援で行きましたということは、客観的にというか、第三者的に見れば、それは十分に、部隊の規模や兵器によって違いますけれども、既にその時点で武力の威嚇等になる可能性もあるので、国内で我々の自衛隊がそういうことに備えているというのとは違った評価を受ける、憲法上もですよ、受けると思うんで、そこはちょっともう一遍丁寧に御説明いただきたいと思います。
  112. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 他国に対する武力攻撃が発生しない段階におきまして、その発生の切迫性、これをどのように判断するかにつきましては慎重な検討が必要になりますが、いずれにせよ、他国に対する武力攻撃がいまだ発生していない段階におきまして、武力の行使を伴う行動を取らせないにせよ、自衛隊に防衛出動を命じる必要性があるとは考えておりません。
  113. 小野次郎

    ○小野次郎君 この前、法制局長官は、その武力行使を行わなければ、行わない限りであればそういった規定を設けることは可能だという趣旨の答弁をされていましたけど、今私が聞いているのは、武力行使を行わなくても、武力行使を前提としてフル装備の自衛隊の陸海空の部隊が外国へ行って、外国に頼まれて、要請を受けて行っているんですよ、もちろん。動員や要請があって行っているにしても、そのこと自体が立派な海外への派兵と受け取られることもあるし、相手から見れば武力による威嚇を受けているという評価を受ける可能性もあるので、それは憲法上大きな問題があるということを確認していただきたいんですけど、それは単に切迫という事態の評価が難しいからということなんですか。  そうじゃないと思うんですよ。憲法上、武力による威嚇をしているというふうに、日本が威嚇をしていると評価される可能性もあると思うんで、そこは憲法上の大きな問題があるという御認識お持ちでしょうか。
  114. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) さっきも申し上げましたが、必要性がないということでございまして、厳密に言いますと、防衛出動というのは、武力攻撃が発生すれば武力の行使を伴うという行動の性質を有するものでありまして、極めて限定的な場合に限って認められるものでございます。  他国に対する武力攻撃がいまだ発生していない段階においても、そもそも自衛隊にそのような事態に対応するための防衛出動を命じる必要性、あるいはそのためにあらかじめ自衛隊の部隊を展開させて待機する必要性があるとは考えていないということでございます。
  115. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、大臣の御認識は、必要性の問題であって、憲法上そういった制度を設けるかどうかの可否、適否の問題については、この前の横畠法制局長官の意見をそのまま維持されると、つまり憲法上は可能だという認識でよろしいんですか。
  116. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) 横畠長官が前回の小野先生質疑の際には確かに御指摘を踏まえて、先生が、つまり、防衛出動そのものとか今の防衛出動、待機出動というんですかね、待機、予測事態に対する対応みたいなものは、この他国事態、存立危機に至る他国事態についても法改正すれば設けることができるということですねというお問いに対して、憲法上、論理的にはそういうことになりますとお答えはあったと承知しております。  これは、私の理解するところでは、憲法上は、武力行使に当たらないことであれば、行動であれば必ずしも排除されないという趣旨を言われたものであると思います。  防衛大臣からは、現在、政府としては今回の法改正検討においてもそうした必要性を認めてないという現状についてお答えをしたということでございますので、政府側としては矛盾がないと考えております。  また、今日は法制局長官はいらっしゃっていないと存じますが、憲法判断につきましては、やっぱり法制局長官のお考えのとおりではないかと思っております。
  117. 小野次郎

    ○小野次郎君 何を言っているんですか。だって、中谷さんは安保法制の担当大臣でもあるわけですから、法律のことについて聞いちゃいけないということはないと思うので聞いているので。  今政府参考人から御答弁をいただきましたけれども、もう一遍確認したいんですけれども、横畠長官のおっしゃったとおり、法制度上は設けること可能だ、だけれども、中谷さんがおっしゃっているとおり、そういう必要性が認められない、あるいは判断が難しいから、切迫しているかどうかの判断も難しいとおっしゃいましたけれども、私は明確に指摘していますよ。  国内の場合に、いかなることがあっても対応できるように自衛隊が備えをしているのは二十四時間必要だと思いますよ。そのことで憲法上の評価を受けるのは、武力行使をするかしないかで切れるんだと思うんです、大きく。だけど、海外にフル装備の自衛隊が武力行使を前提として部隊として移動して構えているという状態は既に、要するに俯瞰図的に見れば、国際的に見ても、国内の憲法から見たって、外国に対して武力による威嚇をしているという評価を受ける可能性もあるんじゃないんですかと。  だから、その問題は、法の規定を作るか作らないかの問題でもないし、必要性があるかどうかの防衛大臣の判断ではなくて、憲法上も大きな問題を含んでいるんじゃないですかと確認しているんですが、どちらもそれはないということなんですね。
  118. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 憲法に触れるかということで、武力行使に当たらないということであればということで、せんだって法制局長官は法制度上は設けることは可能と申し上げましたが、私は、小野先生のおっしゃる趣旨で申し上げますと、この立法の必要性がないと判断している以上、法改正の可否について一概に申し上げることはできませんが、極めて慎重な検討が必要になるということでございます。そうあるべきではないと思っております。
  119. 小野次郎

    ○小野次郎君 じゃ、続きは横畠さんが見えたときにすることにして、極めて慎重に考えるべきだと思います。  ドンパチ撃たなきゃいいんだみたいなことを言っていたら、これ、誰に聞いたって、大変なことになっちゃいますよ。要請があったからどこどこまでは配置しましたというようなことがそう簡単に通るんだったら、この新三要件自体だってますます何か地獄の蓋が開いたみたいな議論になってきますから。そこは、大臣、くれぐれもよく法制局とも場合によっては詰めていただいて、何でもありだみたいな答えはちょっと、今日、委員会を止めようかなと私思ったんですよ、もしそれが、大臣が繰り返しおっしゃるのであれば。ただ、最後の今の答弁をいただいたので、なおちょっと政府側も検討していただく必要があるかと思います。  時間がないので次の質問へ移りますが、機雷掃海について、繰り返し政府は受動的かつ限定的な行為とお述べになっていますが、どこが受動的でどこが限定的なんだと私は言いたいんです。  私も別に戦前に生きていたわけじゃないから分かりませんけれども、沖縄戦の場合だって、本土決戦に備えてだって、恐らく守る側の国は持てるだけの機雷を外国の軍艦が攻めてきそうなところには敷設するんですよ、それが最後の防衛線ですから。だから、機雷の掃海って、受動的だ、限定的だと総理も防衛大臣もおっしゃっているけれども、最も先兵的な活動なんですよ、相手から見れば。  恐らく実際の実務からすれば、制海権を獲得してその機雷掃海ができるという状態にした後で機雷掃海します。じゃ、その後、ちょろちょろちょろちょろ外国のタンカーが通れるようになると思いますか。ならないですよ。その後に、今度は敵前上陸するのか、若しくは大きな軍艦をそこに配置して二度と機雷敷設を再びされないだけの制圧をして、さあ、それからタンカーどうぞとなるんですよ。  だから、相手方から見たら機雷掃海というのは最も憎むべき、敵の先兵として来て、自分たちが最後に防衛線で置いておいた機雷を除去しようとする行為ですから、最も能動的であり攻撃的な行為だと私は思うんですが、どこが受動的で限定的な行為と断定できるのか、御説明いただきたいと思います。
  120. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 政府が考えておりますのは、機雷掃海というのは、国際法上、一般に武力行使に該当し得るものでありますが、その実態は純粋に水中の危険物から民間船舶等を防護して、その安全な航行を確保することを目的とするものでございます。  機雷掃海そのものは、その性質上、相手方への積極的な攻撃を行うものではなくて、相手によって既に敷設された機雷の除去だけを行うという意味で受動的であると。また、民間船舶等の安全な航行の確保という限られた目的の下に敵への攻撃を伴わずに機雷の除去のみを行う意味で限定的であると考えているわけでございます。
  121. 小野次郎

    ○小野次郎君 多分、大臣もお答えになっていてなかなか納得してもらえないだろうなと思いながらおっしゃっているんだと思いますけれども。  だって、そんなこと言ったら、レーダーで敵を見付けてそこにミサイルを発射すると、私はレーダー係だと、私は単にレーダーであそこにいるって言っているだけですよと、私は撃ったわけじゃありませんって、そんな話通らないと同じですよ、これ。分かりますか。だって、みんな分担しているんだから、私は掃海しただけですと。でも、向こうから見たらどう評価されるかというのが今一番大きな問題なんじゃないでしょうか。  まさに、自国の海岸線が、向こうからすれば、相手方からすれば丸腰の状態にされるという行為なんですよ。その後は、上陸用舟艇が来るのか、大型軍艦が海岸近くまで来るのか、何をされてももう防ぐ手がないという、最後の防衛線を突破しようとしているのがこの機雷掃海部隊ですから。それが受動的だとか限定的だとか、まあ停戦合意になった後はそれは危険物の処理ですから全然意味が変わると思いますけど、停戦前の機雷掃海は、その意味では危険性があったらできないと安倍さんは、何か総理はおっしゃっていました。確かに弱いですよ、その掃海部隊は。だけど、逆に言えば、あらゆる持てるものを使ってそれを邪魔しようとしてくるはずですよ、相手は。されてしまったら丸裸になるんですから、海岸線が。  どこがこれ受動的、限定的なのか、もう一度、大臣、お話しいただきたいと思います。
  122. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 機雷掃海、これはやはり外部からの攻撃、これには非常に脆弱ですよね。そのため、戦闘が現に継続をしているような現場におきましては機雷掃海を円滑に行うことは困難でございます。このために、掃海活動は一般に敵から大きな被害、これを受けることなく作戦を遂行できる状態である航空優勢、また海上優勢、これを維持、獲得した中で相手方が既に敷設をした機雷の除去を行うのでございまして、このように、機雷掃海が委員が御指摘のような反転攻勢の先駆けとしてほかの軍事作戦に先行するようなことは、我々は通常ないと考えておるわけでございます。
  123. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 小野次郎君、時間が終了しておりますが。
  124. 小野次郎

    ○小野次郎君 もうそろそろ時間ですからまとめますが、そもそも、この出てきている条文自体では陸上自衛隊も航空自衛隊も大きな任務を負うんだろうと思うけど、それはほとんど話題にしない。海上自衛隊、その中のごく一部の機雷掃海部隊の話だけに極小化しようとしている。どこだといったら、ホルムズ海峡の話しかしない。今度、その機雷掃海は相手から見たら大変に攻撃的ですよと僕が言ったら、いや、そんな状況のところではしませんと。  何か、どこまでが法律論なのか、どこからが政策論なのか、どこか国会対策上だけそう言って通ればいいやと思っているのか、全くこの議論、つかまえどころのない議論をしているなと思いますので、引き続き、質疑はこの問題についても続けさせていただきますが、今日は時間ですので、これで終わらせていただきます。
  125. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  126. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、馬場成志君及び古賀友一郎君が委員辞任され、その補欠として舞立昇治君及び松山政司君が選任されました。     ─────────────
  127. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 休憩前に引き続き、特許法条約締結について承認を求めるの件及び商標法に関するシンガポール条約締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  128. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約は、登録出願人負担軽減を図り、官庁の手続についての救済措置を義務付けております。中小企業の中には知的財産に関する専任担当者を置くことが困難な企業も多く、本条約に準拠した措置は中小企業知的財産活動の活性化に資すると考えられるものでありまして、賛成であります。  その上で、日米ガイドラインと安保法制に関してお聞きいたします。  新しいガイドラインは、その目的としてアジア太平洋地域及びこれを越えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなるようと述べて、地域を限定しない様々な軍事協力を盛り込みました。一方、日米安保条約の第六条は、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するための米軍に基地を提供する義務を負わせておりますが、日米による共同対処は第五条で、日本国の施政の下にある領域におけるいずれか一方に対する武力攻撃に限定をしております。ですから、この新ガイドラインは安保条約目的の枠を超えているんではないか。  昨日、衆議院の特別委員会で我が党議員が同様の質問をいたしました。その際に外務大臣は、従来のガイドラインにおいても、安保条約とその関連取決めに直接根拠を置くもの以外にグローバルな協力を定めており、新ガイドラインも構造は同じだと述べて、正面からは答えられませんでした。  七八年のガイドラインは日本有事と極東における事態での日米協力を定めたのみでありますが、九七年のガイドラインには、より安定した国際的な安全保障環境の構築のための日米協力が盛り込まれまして、その下でまさに安保の枠を超えた日米協力が進められてきたわけであります。  そして、今回の新しいガイドラインには、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域での軍事協力や、日米同盟のグローバル性、これが初めて盛り込まれました。  ですから、前回ガイドラインと同じ構造だというのは、前回で安保の枠を超えて、今回更に大きく踏み出したと、こういうことではないんですか。
  129. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のように、この新ガイドラインですが、我が国に対する武力攻撃が発生した場合の協力のように、日米安保条約及びその関連取決めの具体的規定に直接根拠を置くもののほか、グローバルな平和と安全のための協力のように、それらの規定に直接の根拠を置かない協力も含んでおります。この点は、一九九七年のガイドラインも全く同じであります。  こうした構造、同じ構造だからこそ、旧ガイドラインの下においても、グローバルな協力の例として、日米両国は、二〇一〇年のハイチ地震ですとかソマリア沖・アデン湾での海賊対策における協力、こうした実績を積み重ねてきたわけです。こうした構造は新ガイドラインにおいても全く変わっておりませんし、ガイドラインの中に、日米安保条約及びその関連取決めに基づく権利義務関係は変更されない、明記をされているところであります。  そして、更に申し上げるとするならば、このグローバルな協力我が国の平和及び安全の前提となる安定した国際安全保障環境の構築にも寄与することになります。この意味からすれば、かかるグローバルな協力を含め、新ガイドラインは我が国の平和及び安全の維持を目的とする日米安全保障条約と整合的なものということが言えますし、この整合性についても一九九七年のガイドラインと全く変わっていないと認識をしております。
  130. 井上哲士

    ○井上哲士君 ですから、九七年のガイドラインのときに初めて国際的な安全保障環境の構築ということが盛り込まれて、日本有事また極東の平和と関係ないことにも踏み込んだと。そのときから安保の枠を外れて、今回更に大きく踏み込んだのではないかということをお聞きしているわけですが、もう一度いかがでしょうか。
  131. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 構造については一九九七年のガイドラインから変わっていないということを申し上げたわけですが、安全保障条約との関係において大きく踏み出したのではないか、こういった御指摘につきましては、グローバルな協力意味合いについても、日米安全保障条約と整合的なものであるという認識に立っております。  いずれにしましても、一九九七年のガイドラインとの比較において、新ガイドラインは基本的な構造も変わっておりませんし、基本的な考え方も同じであると認識をしております。
  132. 井上哲士

    ○井上哲士君 じゃ、具体的に聞きますが、重要影響事態法についてお聞きします。  周辺事態法が成立する際に、この法案が安保条約目的の枠内のものであるということを明確にするためにとして、第一条の目的規定に、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約効果的な運用に寄与しを、これは修正で追加をいたしました。  今回、法律を改正するこの重要影響事態法では、我が国周辺の地域におけるという言葉がなくなった。同時に、日米安保条約効果的運用に寄与することを中核とする、こういう文言となりました。周辺の言葉がなくなった、そして、日米安保の効果的運用に寄与するが、寄与することを中核とするに変わったわけですね。  中核ということはその外側があるわけでありますから、この重要影響事態法は安保条約目的を超えたと、こういう認識でよろしいですか。
  133. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、現行の周辺事態法につきましては、周辺事態は地理的概念ではありませんが、その制定時においては、中東、インド洋において生起することは現実の問題として想起されない、このようにしてまいりました。また、周辺事態法では、この支援の対象は日米安保条約目的達成に寄与する活動を行う米軍に限られておりました。  一方、この重要影響事態については、地理的概念ではないことは周辺事態と同様ではありますが、安全保障環境が大きく変化した現在において、重要影響事態が生起する地域からあらかじめ特定の地域を排除することは困難である、このように考えております。そして、この重要影響事態における後方支援活動の実施に当たっては、あくまで日米安全保障条約目的の達成に寄与する活動を行う米軍への支援が中核でありますが、これに限られるものではないとしております。国際の平和と安全の確保という国連憲章の目的の達成に寄与する活動を行うその他の外国軍隊等との連携を強化することが我が国の平和及び安全を確保するために不可欠である、このようにしているところであります。  こういった点もありますので、御指摘のように、この中核という言葉を使って説明をしている次第であります。
  134. 井上哲士

    ○井上哲士君 衆議院の答弁では、安保条約目的達成に寄与する活動をする米軍への支援に限られるものではないと、こういうお話でありました。今も同様の答弁ですが、そうしますと、具体的に、この安保条約目的達成のために活動している米軍以外にどういう外国軍への支援が可能になるんでしょうか。
  135. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 安全保障環境の変化によりまして、もはやどの国も一国のみで平和を守るということはできません。このような状況におきまして、我が国としても、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対処する活動を行う外国軍等に対して必要な支援を行うことは不可欠でございます。  また、国際社会におきましては、対テロ活動、そして湾岸戦争などの例にも見られるように、事態の拡大を抑制をし、又はその収拾を図るといった取組が広く多国間の枠組みによって行われてきておりまして、重要影響事態に際しても、米国だけに限らず、多国間の枠組みにより対処することが現実に想定をされるわけでございます。  そのため、重要影響事態に際しまして、日米安保条約目的の達成に寄与する活動を行う米軍以外であっても、国連憲章の目的の達成に寄与し、かつ当該事態の拡大を抑制し、又はその収拾を図るために行われると認められる活動を行う外国軍隊等に対しては、我が国として必要な後方支援活動を行うことができるようにしているわけでございます。
  136. 井上哲士

    ○井上哲士君 その外国軍の中には、安保の目的達成に寄与していないアメリカ軍も含まれるということでよろしいですか。
  137. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) そのとおりでございます。
  138. 井上哲士

    ○井上哲士君 その安保の目的達成に寄与しているのではない米軍というのは、具体的にどういう米軍なんでしょうか。
  139. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、ある事態が重要影響事態に該当するか否かにつきましては、当該事態の規模とか態様、推移、これらを総合的に勘案して個別具体的に判断するわけですが、その上であえて申し上げれば、一つの例として申し上げるならば、仮に、中東、インド洋等の地域で深刻な軍事的緊張状態や武力衝突が発生した場合であって、当該地域周辺の海域におい我が国に物資を運ぶ日本の船舶に深刻な被害が及ぶ可能性があり、かつ米軍等がこうした事態に対応するために活動している状況、こういった状況が生じた場合には、その他の状況も勘案した上で、当該事態が重要影響事態に該当することはあり得ると考えられます。  このような状況においては、日米安保条約目的の達成に寄与する活動を行う米軍に限らず、その他の国連憲章の目的の達成に寄与する活動を行う米軍も支援の対象から排除はされないと考えております。
  140. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうしますと、国連憲章の目的の達成に寄与する外国軍、すなわち日米安保とは直接の関係のない外国軍、それと安保の目的達成に寄与していないアメリカ軍と、これらへの軍隊の支援を、安保条約第六条の極東をはるかに越えた、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域で行うと。  こういうことになりますと、日米安保条約効果的な運用に寄与することを中核とすると、そういうことすら言えないような私は範囲の拡大だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  141. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 我が国が後方支援活動を実施するに際しまして、対象となる外国軍隊等の活動、これが国連憲章の目的、すなわち国連憲章第一条に定めます国際の平和及び安全の維持といった目的の達成に寄与するという国際法上適法な活動を行っており、かつ我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態の拡大を抑制し又はその収拾を図るために行われると認められる活動を行っているということが必要でございます。  また、我が国として、ある国の軍隊に対して後方支援を行う場合には、現場において行う部隊間の調整や、防衛当局間、外交ルートを含むあらゆる手段を通じて種々の情報を確認することによりまして、当該外国軍隊の実際の活動の目的、そして態様等が重要影響事態法に規定をする要件を満たすか否かにつきまして客観的かつ合理的に判断することになります。  さらに、現実に支援を行うためには、法律の要件を満たすのみならず、現実に発生した事態において、お互いのニーズ、これが一致することが必要となるわけでございまして、支援対象我が国の平和と安全に無関係に際限なく広がるということはないものと考えております。
  142. 井上哲士

    ○井上哲士君 今のはどういう軍隊が該当するのかということに対する答弁だろうと思うんですが、結局、時の政府の恣意的な判断になっていくわけであります。  そして、先ほど申し上げましたように、安保とは関係のない外国軍、目的達成に寄与していない米軍も含めて支援をするということは、まさに安保条約の枠を超えて際限ない拡大になっているわけでありますし、そして支援の中身も、これまでできないとされていた弾薬の補給や戦闘準備中の戦闘機への給油もできるということでありますから、まさに際限のない軍事協力の拡大になると、そういうことを指摘をいたしまして、時間ですので質問を終わります。
  143. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできる、元気があってもまずいこともあると。大臣も記者会見やっておられましたが、この病気が拡大しないようにという、MERSに引っかけてみましたけど。今日の出がけに、梅雨空に濃い紫色のアジサイが今日も元気でねという声を掛けてくれましたが。  本題のシンガポール条約ですが、一九六〇年の後半ですかね、東南アジアの巡業をしたことが思い起こされて、当時、シンガポールの町が本当、薄暗くて、ビルもほとんどないような状況で、試合が九時過ぎに終わったんですが、もう食事するところがなくて、事前に屋台を全部借り切っておきまして、今多分その屋台もないと思いますが、そのような時代を見て、今本当にこの変わりようというか、リー・クアンユー首相の主導の下に非常に発展したということで。  さて、商標法シンガポール条約についてお聞きをしたいと思いますが、電子手続に対応した書類の提出が可能になっていますという。メールでのやり取りが推測されますが、つい最近も個人情報が流出し、問題になっています。仮に、情報が流出するようなことがあれば、このケースは企業秘密や知的財産、危険にさらされますが、情報を悪用しようとするハッカーもどんどん進化しています。どのような対策を取っているのか、また、流出した場合の補償はどうなっているのかをお聞かせください。
  144. 堂ノ上武夫

    政府参考人(堂ノ上武夫君) 特許庁が保有いたします産業財産権情報は、出願人にとりまして、事業戦略、また経営戦略と密接不可分な重要な資産でございます。その審査を担っております特許庁は、未公開の段階からこの資産を預かる立場にございますことから、産業財産権情報が万が一にも第三者に漏えいするような事態が起こらないように、その保全は重要な課題だと認識しております。そのために、人的対策、またシステム面での対策を講じてきているところでございます。  人的な対策につきましては、情報セキュリティー対策の教育といたしまして、職員が遵守すべき事項についての研修、それから標的型攻撃メール訓練を行っているところでございます。また、情報セキュリティー水準を適切に維持するために監査組織による情報セキュリティー監査、情報セキュリティー対策の実施状況の確認のために毎年全職員を対象にして自己点検を実施しているところでございます。  また、機微に触れる事項でございますため、対策の詳細をつまびらかにすることは差し控えさせていただきますけれども、システム面でも、重層的なセキュリティー対策を実施しているところでございます。例えば、今般問題となっております標的型メールによる攻撃に対する防御としては、不審アドレスからのメールのブロック、メールに対してのウイルススキャンなどを実施しております。加えて、特許庁では、外部への不審なファイルアップロードを監視するなど、情報の漏えいの可能性を可能な限り低くすべく取り組んでいるところでございます。  今後も更に、総合的な対策の実施を通じまして、情報漏えいに対しては万全を図ってまいる所存でございます。
  145. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 いつもそうなんですが、控えさせていただきたいというと、そこが聞きたいのに、いつもそこを聞かせてもらえないというか。  特許法条約について質問をさせてもらいますが、私もかつて交通安全のための、事故、故障したときに車の後ろに付ける三角表示板というのを特許を取ったことがありますが。最近のまたニュースは、中国なんですが、中国の四川省にあるテーマパークに取り入れられたミッキーマウスやドラえもんに似たキャラクター、スターウオーズに出てきそうなそのままの、まさに偽物テーマパークと言っても過言じゃないかなという。模倣とは、本当に、自らつくり出すものでなく、既にあるものをまねする、倣うこととありますが、近年、中国は他国の模倣を繰り返しております、歯止めが利かない状態。  先ほども同僚議員から質問もありましたが、この条約中国やその他の国に対して何らかの制限や歯止めになるのか、役立つ可能性があるのか、また今後、この条約を生かし、どのように働きかけるべきかを考えるのかをお聞かせください。
  146. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答え申し上げます。  一般に、特許権の侵害等の違法行為に対応するに当たりましては、その国におい特許権を有していることが前提であります。この点に関し、特許法条約は、各国特許出願等に関する手続国際調和及び簡素化を進めることにより、我が国企業等による外国での特許権取得を容易にするものです。  したがいまして、特許法条約はそれ自体が模倣等の特許権侵害に直接対応するものではありませんが、この条約を通じて我が国企業等が外国で特許をより円滑に取得することができるようになる結果として、仮に取得した権利に対する侵害等があった場合、これらの企業はその国の国内法に基づいて適切な救済を求めることが可能になります。  中国特許法条約をまだ締結しておりませんが、中国に多数進出している我が国企業の技術が適切な保護を受けられるよう、中国における円滑な特許権取得を支援していく必要があると認識をしております。そのためにも、現在御審議をいただいておりますが、我が国自身がこの特許法条約を速やかに締結し、我が国から中国に対して条約締結を促していくことが重要だと考えております。
  147. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、日ロ関係についてお聞きしたいと思いますが、先週でしたかね、戦勝記念日に、ロシア大使館に浜田先生と一緒に招待をしていただきましたが、大変好意的で、是非モスクワに来てくださいというのと、また岸田大臣にも、是非早いうちに来ていただきたいというメッセージをいただきました。  何回もこの委員会でもお話しさせてもらっていますが、ソ連との関係というのは、一九八九年に向こうのアマチュアの選手、オリンピック選手を最初にプロにスカウトしたということで、そんな関係でいろいろつながりがあります。  クレムリンにも多分最初に私が入ったのかなという気がしますが、当時本当に鉄のカーテンという重い、中が見えない世界でしたが、一つは、スポーツ交流を通じて世界平和というテーマでしたから、それで私のイベントにもよく参加するヒョードルという選手がプーチン大統領が大ファンで、引退式にもわざわざ来られたという。  そんな関係を生かしながら、先日の六月十一日の毎日新聞ニュースですかね、ロシア下院が同国の排他的水域におけるサケ・マス流し網漁を来年一月から禁止する法案を可決したとありますが、ロシア水域を漁をしている日本漁船には大きな打撃になると思いますが、特に北海道、青森、富山に影響が出そうなことだという記事も見ました。  日本政府はこの法案について繰り返しロシア側に懸念を伝えたとありますが、どのような方法で懸念を伝えたのか、その内容について、また、可能な限り詳しくお聞かせください。
  148. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) ロシア連邦水域における流し網漁業の禁止に関する法案につきましては、六月十日に下院に相当する国家院で採択され、今後、上院に相当する連邦院におい審議されることになると承知をしております。  日ロ間の漁業協力は、日ロ関係の重要な協力分野一つです。日本政府として、流し網漁の禁止が日ロ関係全体に与え得る影響に鑑み、我が国漁業者の操業機会が適切に確保されるよう様々なレベルで強く働きかけを行ってきました。  具体的に申し上げますならば、政治レベルでは、昨年十一月の北京APECの際の日ロ首脳会談において安倍総理からプーチン大統領に直接働きかけ、また昨年十二月には西川前農林水産大臣からフョードロフ農業大臣に、そして本年一月には私からシュワロフ第一副首相に、そしてさらに本年四月には改めて安倍総理からプーチン大統領に、それぞれ書簡による働きかけを行いました。そのほかにも、原田駐ロシア大使を始め様々なレベルにおいて、ロシア連邦政府及び連邦議会の関係者に対して直接又は書簡による働きかけを行ってきております。  状況、決して楽観はできませんが、日ロ間の漁業協力の重要性を始め日本側の立場がしかるべく考慮され、我が国漁業者の操業機会が適切に確保されるよう引き続き働きかけを行っていく考えであります。
  149. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 私の持論になりますが、外交において問題が起きると、経済制裁あるいは懸念表明、抗議していくなど、ネガティブな交渉などよく目にしますが、私は、外交に対話が一番大事だと。お互いに自国のためにいろいろ法案を決めていくのは当然ですが、以前にも外交に勝利なしという話をしましたが、自国に国民が生き、相手の国民もいるわけですから、お互いに考えてあげなければならない、相手をどう見るかだけではなく、相手にどう見えるか、外交に重要な要素だと思います。対話を大事にすることで、妥協案やあるいは代替案、考えられる可能性も十分あると思います。相手国に懸念を伝えるだけでなく、自国の外交の在り方を考え直す謙虚さも必要ではないかと思います。  最後に、流し網禁止の法案に対して今後どのような平和的な解決をしていくのか、日ロ関係も視野に入れ、大臣の見解をお聞かせください。
  150. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今後の動きですが、今後、上院に相当する連邦院におい審議されることになると承知をしております。そして、状況について、先ほど申し上げましたように楽観視はできないと認識をしております。  こういった状況にあると認識をしておりますが、何よりも我が国の漁業者の操業機会が適切に確保されなければならないと考えております。そういった観点から、ロシア側に対しまして引き続き働きかけをしっかり行うことによりまして、こうした目的を達成するべく努力をしていきたいと考えております。
  151. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、日米ミサイル共同開発について質問をしたいと思いますが、六月十一日の朝雲ですかね、日米共同開発の迎撃ミサイルの発射試験に成功という記事が出ていました。日本が担当した第三段ロケットモーターによる飛翔までの一連の動作、弾頭部のノーズコーンの分離なども正常に行われたことが確認されたとあります。  この内容について、もう少し具体的に説明をしていただければと思います。
  152. 外園博一

    政府参考人(外園博一君) お答え申し上げます。  弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイル、SM3ブロックⅡAの日米共同開発は平成十八年度に開始いたしまして、これまでミサイルシステムの設計やミサイル構成品の試作等を行ってまいりました。このような開発活動の一環として、地上に設置した垂直発射装置から試験用ミサイルを発射し、ミサイルとしての機能の一部を確認する地上発射試験を日本時間の六月七日に米国で実施いたしました。  今回の試験では、ミサイルの発射から弾道ミサイル迎撃に至る一連の動作のうち、発射装置からの離脱、ブースターや第二段ロケットモーターによる飛翔及びそれらの分離、ノーズコーンの分離並びに第三段ロケットモーターによる飛翔等までの一連の動作が正常に行われたことを確認しております。本試験は、開発の実施に必要なデータを取得するものであり、今後、取得したデータの詳細解析を進め、今後三回の発射試験を円滑に実施したいと考えております。
  153. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 このミサイル、弾道ミサイル防衛のために開発されたと聞いていますが、弾道ミサイルを撃ち落とす以外の目的が、使われる可能性があるのか、お聞かせください。
  154. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 今先生指摘になられましたミサイルでございますけれども、これは飛来する弾道ミサイルを迎撃するためのミサイルということでございまして、これを用いまして他の目的、例えば他国の領土に攻撃を加えるといったような運用は想定をされておりません。  また、当該ミサイルは、大気圏外において弾頭を直撃させて弾道ミサイルを破壊するという、そういうミサイルでございまして、地上に落下する際に発生する空気との摩擦熱に耐え得る構造となっておりません。そのため、発射後、地上に到達する前に焼失するというふうに考えられます。さらに、その弾頭には爆薬等を搭載しておりませんので、陸上施設等を破壊するといった能力はないということでございます。
  155. 片山さつき

    委員長片山さつき君) アントニオ猪木君、そろそろお時間でございます。
  156. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 終わります。ありがとうございました。
  157. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。  特許法商標法に関して、これは今三十六か国ぐらいですか、締結しているのは。今世界最大の特許申請大国というのは中国ですよね。また、日本企業も今二万社以上が中国で様々なビジネスに従事しています。その中で、日本企業のいろんな心配事の一つが、日本から工場を中国に移転した場合、日本の技術が、特許権が侵害されるということ、これが最大の頭痛の種になっているわけで、これまで様々な問題が起こっていました。  今回、特許法申請等がしやすくなるように国際的な調和を図るということなんですけれども、その調和を乱すような行為を平然と行う国があるという現実を前にして、特許法、これが実効あるものにするには、そういう特許権の侵害に対して何らかの罰則とか何らかの言ってみれば対策を講じておかないと、せっかくの特許法が絵に描いた餅になってしまうんではないかということを懸念するんですけれども、その辺りについて、大臣、基本的なお考えをお聞かせいただければと思います。
  158. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答え申し上げます。  特許法条約について御質問ございました。先生指摘のとおり、現在、欧米諸国を始めとして、この条約には既に三十六か国が加入をしております。特に、二〇一三年末に特許出願件数世界第二位である米国特許法条約締結したことによりまして、特許出願に関する手続をこの条約に従って国際的に調和させていく機運が世界的に高まっております。今後ますます締約国数は増加をしていくことが見込まれているところであります。  こうした中、中国はいまだ特許法条約締結しておりません。そのため、中国での特許出願に関する手続国際調和を後押しし、我が国企業中国においても円滑に特許取得できる環境を整備する観点からも、まずは我が国自身が速やかにこの特許法条約加入をし、米国を始めとした他の締約国とともに、中国に対して条約締結を促していきたいと考えております。  また、加えまして、中国において国内の知的財産制度もしっかりと整備をしてもらう必要があると思っております。中国特許法条約締結する場合には、当然のことながら、出願に関する制度をこの条約の内容と整合的なものにしてもらう必要がありまして、この観点から、国内の知的財産制度の整備が求められているところであります。  これまで我が国は、アジア諸国を中心とした新興国を対象とする視察団や研修生の受入れ、専門家の派遣などの各種事業を実施してきております。今後も、こうした事業なども通じまして、我が国から中国に対して、本条約締結に向けたいろいろな面での働きかけを継続的に行っていきたいと考えております。
  159. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非、中国にも国際的なルールを守るということを訴えていかなければならないと思いますが、現実には、どんどん日本知財を侵害したり、日本企業が持っている技術を収奪するということが頻繁に起こっているわけですよね。  例えば、今中国で一番困っている問題の一つがPM二・五、日本にも影響が及んでいますよね。そういうことに対して、日本が持っている空気清浄機ですとかフィルターの技術、そういうものを中国がどんどん提供してほしいと。しかしながら、実際、中国の家庭へ行きますと、大体一軒に二台、三台と、言ってみれば空気清浄機が入っているわけですよ。日本のものが大半、パナソニック、そういうものが普及はしているんですけれども、それと全く似たようなものを勝手に作って、要するにニーズがあるからどんどん売っているわけですよね。  だから、今現在もこういう知財の侵害の問題が起こっているのに、そういうのをほっておいて、これで特許法中国が入るように働きかけましょうというのでは、ちょっと後手後手に過ぎるんではないかと思うんですけれども、そういうことについては現在どういうような対策を講じておられるのか、その辺りについてはいかがですか。
  160. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) まさに御指摘のとおり、現に起きている具体的な知的財産権侵害にどう対応するか、極めて重要な課題であると認識をしております。  外務省では、中国の公館を含めまして、ほぼ全ての在外公館におい知的財産担当官を任命し、知的財産関連問題について海外における日本企業等を支援する体制を取ってきております。在外公館におけるこうした相談件数、知的財産権侵害関係の相談件数は、世界合計で二〇一三年度に三百三十三件、二〇一四年度には二百三十四件の相談でありました。このうち、中国の各公館における相談件数は、二〇一三年度に二十六件、二〇一四年度に十八件に及んでおります。  その内容はいろいろございますけれども、こうした御相談を受けて、政府といたしましては、各企業からの要望を関係当局に伝達をする、また中国政府に働きかけをする、またそれを第三者を介して依頼をする、さらには現地事情の情報提供を要請する、いろいろな形で企業の支援を行ってきているところであります。引き続き、我が国から中国に対して、従来も様々なレベルの協議の場をも活用しながら中国知的財産制度とその運用の改善、努めてきているところですが、一つ一つの個別の問題点につきましても更に働きかけを強めてまいりたいと思います。  ちなみに、現在交渉中でございます日本中国と韓国の自由貿易協定、FTA交渉がございますが、一昨年十一月の第三回交渉会合におい知的財産分野の交渉作業部会を設置いたしました。こうした交渉を通じても、我が国利害関係者の関心事項をしっかりと踏まえて、中国におい知的財産権の適切な保護、執行がなされるように制度と運用の改善を中国当局に働きかけていきたいと考えております。
  161. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 その際、是非注意をしていただきたいのは、中国人の発想と我々日本人の発想が似ているようで大きく違うんですよね。私、中国に行ってよく言われるのは、中国日本のために知財を無償で何千年にわたって提供していると言うんですよね。もし中国がこれを遡って使用権を請求したら、もう何百兆円にもなりますよと。漢字ですよね。だから、我々からするとそういう発想は全くないけれども、中国からすると、いや、もう中国発明された最たるものが、知財が漢字だと、それをただで日本はもう何百年、何千年と使っているじゃないかというふうなことを言いかねないわけなんですよね。  ですから、その辺りの土俵が違うということも踏まえた上で、しっかり国際的なルールということを中国にも申入れをする必要があると思いますので、そういうことでいいますと、この商標に関して言うと、結構目に見えないものが話題になりましたよね、音とか、あるいは、何というか、ホログラム。最近は日本でも、ラッスンゴレライ、御存じでしょう、ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ、コマーシャルで、これが意匠登録されるんじゃないかとか、岸田大臣、割と世代が近いので、我々の世代だと、ああやんなっちゃったみたいなものだとか、何でだろう何でだろう、こういうのをみんな意匠登録、これを一々認めていたら、もう際限なくなるという気がするんですよね。  それで、特許庁にお伺いしたいのは、そういう言ってみれば形あるものではなくて、我々が日常で使っている表現だとか言葉遣いみたいなものまで全部意匠登録対象になってしまうと、際限ないところで争いがどんどんどんどん深化するような気がするんですけれども、そういったことに対しての何か歯止めを掛けるような、そういう動きというのは国際的にも今のうちから考えておく必要があるんじゃないかと思うんですが、特許庁の考えはいかがでしょうか。
  162. 諸岡秀行

    政府参考人(諸岡秀行君) 委員指摘の、これは、昨年、平成二十六年の法改正によりまして、本年の四月一日から、今御指摘の音声であるとか、また色彩であるとか、またホログラムであるとか、こういう新しいタイプの商標出願の受付を開始したところでございます。  このように新しいタイプの商標といいましても、それを導入するに当たりましては、私ども、産業構造審議会の知的財産分科会の場で、有識者において、どういうものを保護対象としたらよろしいのか、当然、海外事例も参考にしながら導入してございます。  ですが、こういう形で音声まだ始まったばかりでございまして、いろいろ厳正に今審査をしている最中でございますが、いずれにいたしましても、商標というものはちゃんと識別力があるんだと、ほかのものとちゃんと区別できるんだと、いろんな人がそれで認識できるんだというような点を十分に確認をしながら審査を進めていきたいと思っております。
  163. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 この委員会でも、毎回、同僚の猪木委員が、元気ですか、こういうのも登録されることになるということですよね。ですから、そうすると、我々がふだんに使ってもそれは侵害というようなことになりかねない。ですから、その辺りの歯止めを掛けておかないと、これから大きな問題が生じると思うんですよね。  そういう意味で、特許庁の役割が大きくなると思うんですが、今の特許庁の陣容で、これからどんどんどんどん電子登録、これが増えていけば、もうとてもじゃないけど、あらゆるものが特許や意匠の対象になってきて、世界中からいろんな登録申請が来る。今の体制でそういうものを十分こなしていけるんでしょうか。  その陣容についての現状と、今後恐らく爆発的に増えていくだろう申請に対してどのような予算措置が必要なのかどうか、その辺りについての見通し、お考えをお聞かせください。
  164. 諸岡秀行

    政府参考人(諸岡秀行君) いろいろ特許出願の件数であるとか、権利化をする前にはやはり御出願をいただいて、それで特許庁が査定をして、それで建議をして登録をされると、言わばこういうプロセスは基本でございます。どんどん出願等をいただきながらというと、それはしっかりその一件一件を審査をするという前提で対応していきますし、また、いろいろこのような国際的な調和としての新たな制度も入りますと、それに伴う業務の量も当然のことながら増加していくと思っております。  いずれにいたしましても、審査も含め事務処理が停滞しないということから、必要な人員の確保を含めまして体制の整備というものはしっかりやるとともに、また職員への研修も実施していくということかと思っております。  このようなことで、御懸念の業務の停滞ということがないように、特許庁としても迅速かつ的確な権利付与ということを最大限にうたいながら取り組んでいきたいと思っております。
  165. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 最後岸田外務大臣にお伺いしたいんですけれども、今、この知財を守っていくということの重要性と同時に、アジアの近隣諸国を見ても、ラオス、カンボジア、バングラデシュ、ミャンマー、そういった国では、ほとんどまだ人口の半分ぐらいしか電気が行き渡っていないという状況がありますよね。そういうところに対して、知財とかということは抜きにして、そういう国々の経済を発展させていくという意味では、例えば稲から電力を生み出すというような特許がオランダで獲得されています。  そういうものを日本協力して、知財とは別に国際協力の一環としてそういう技術を使うということのバランスということも日本の今後の外交の課題としては考えておく必要があると思うんですけれども、これは日本の技術だからということで固めてしまうんじゃなくて、アジアや世界途上国のためにはそういう日本の技術をある程度公開して、一緒に発展のためにODAを更に進化させていくという時代ではないかと思うんですが、そういうことについての大臣のお考えをお聞かせください。
  166. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国は、現在、昨年六月に閣議決定しました日本再興戦略改訂二〇一四における取組の一環として、世界最高の知財立国を目指す、こういった施策を展開しております。そして同時に、我が国としては、日本の持つ強みを生かした協力を行うことを途上国に対する開発協力を行う際の原則の一つとしており、先端技術を含む優れた技術を活用した協力、これは誠に有用であると考えます。おっしゃるように、この二つのバランス、大変重要だと考えます。  そして、バランスという点で考えますときに、今回の特許法条約等の知財関連条約締結途上国に対して促していくことは、このように我が国の先端技術を生かした開発協力を進めていく観点からも重要であると考えます。具体的には、我が国企業途上国におい知的財産を適切に活用できる環境が整備されることによって、知的財産のライセンス契約等を通じて途上国への技術協力が更に促進される、こういったことも期待できると考えます。  このように、特許を始めとする知的財産制度は、有用な技術の周知やその活用のための環境技術に資するものであって、これは途上国への積極的な協力と相反するものではない、このように考えます。今後も、我が国企業知的財産を適切に活用できる国際的な環境整備を進めるとともに、我が国企業の優れた技術等を活用した途上国への協力、これも一層促進していきたいと考えます。
  167. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 浜田和幸君、そろそろ時間でございます。
  168. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 以上で終わりますけれども、是非日本の、あったかいんだからあ、御存じですか、これの精神で途上国に是非臨んでいただきたいと思います。  以上で終わります。
  169. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  まず、アスベストの問題からお伺いいたします。  五月二十二日、沖縄防衛局は、西普天間住宅地区跡地において、地区内の住宅のほとんどからアスベストが検出され、併せて国の基準値を超えたPCBも検出されたことを明らかにいたしました。  米軍基地跡地からはこうした化学物質等が検出され、地権者や周辺住民の皆様に不安を感じさせるとともに、調査や除去に時間が掛かるなど、多くの問題が発生しています。  今回の西普天間住宅地区跡地の現状や対策について政府の見解を明らかにされるとともに、この検出及び対策によって、地権者等の引渡しの期間など、どのような影響が生じるかを明らかにしていただきたいと思います。
  170. 山本達夫

    政府参考人(山本達夫君) お答え申し上げます。  本年三月三十一日に返還されました西普天間住宅地区につきましては、昨年十二月から本年三月までの間、建物百四十九棟と土地の工作物を調査したところ、百四十棟の床材でアスベストの含有が確認され、また、PCBが検出された変圧器十三個のうち一個が法令上のPCB廃棄物に該当したところでございます。床材で含有が確認されたアスベストは飛散性ではなく、また、PCBが検出された変圧器は屋内にあり容器の破損等は確認されていないことから、いずれにつきましても周辺環境への影響はないと考えております。  当該床材及び変圧器につきましては、今年度に着手予定の建物の解体工事に合わせて撤去処分する予定のところ、支障除去措置の期間につきましては、当該撤去処分に必要な期間をも考慮して設定をされております。  今後予定されます土壌汚染調査の結果いかんによっては汚染の除去が必要となる可能性があるため、確定的なことを申し上げることは困難ではございますが、現時点におきましては、約二、三年を見込んでおります支障除去措置の期間を変更する必要が生じているとは考えておりません。
  171. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 先ほども指摘いたしましたが、米軍基地、そしてその跡地からの人体に影響を及ぼすおそれのある化学物質の検出は今後も予想されるところでありまして、特にその跡地において返還後の調査によって発見された場合、その除去等に時間が掛かり、速やかな跡地利用に支障が生じます。こうした事態に対処するためにも、返還前の立入調査の手続等を規定する環境補足協定、この件に関しては速やかな署名及び協定発効後の確実な立入調査の実施に向けた政府の対応が必要であります。  現状の交渉の状況、そして確実な調査実施に向けた運用について、外務大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。
  172. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の日米地位協定の環境補足協定ですが、昨年十月に実質合意をいたしました。そして、環境事故の際の調査や文化財調査を含む返還予定地の現地調査のための日本の当局による立入り手続を作成して、そして維持する旨の規定を盛り込むことにしており、こうした手続を定める文書等について今協議を行っているところです。  これまでは、環境事故の際の調査や返還予定地の現地調査の立入りに係る統一的な手続は存在しませんでした。いかなる場合に立入りが認められるかなど明らかではありませんでした。しかし、この環境補足協定におきましては、これらの場合における立入りを行うための手続を定めることになっておりますので、これによって、日本関係当局等によって予見可能性あるいは透明性が高まる、そして、こうした現地調査により実効的に行うことができる、このように考えております。  現在、先ほど申し上げましたような協議が続いておりますので、この具体的なやり取りについては控えますが、本年四月の2プラス2におきましても、可能な限り迅速に附属文書の交渉を継続していくことで閣僚間で一致をしております。  是非、こうした一致もあります。できるだけ早期の署名に向けて、作業を続けたいと考えております。
  173. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 補足協定を速やかな署名をしていただきたいということを何度か質問しておりますけれども、スタートから八か月たった現在でもなかなか遅々として進まない。でも、返還される跡地というのは、西普天間地区と同じように出てきている。その現実を考えていきますと、一日も早く確実な調査実施ができるような状況を整えていただくことを強く要望したいと、指摘をしたいというふうに思います。  次に、特許法条約に関する質問でありますが、特許法条約は、世界知的所有権機関、WIPOに設置された専門家会合及び特許法常設委員会においてこの条約の策定に向けた議論が行われた後、二〇〇〇年六月にジュネーブで開催された外交会議におい採択されております。二〇〇五年四月二十八日には、発効要件の十か国が本条約締結し、現在、二〇一五年三月末までに締約国は三十六か国となっておりますが、条約の作成から十五年、条約の発効から十年が経過していますが、我が国が現在に至るまで本条約締結しなかった理由は何であったのか、また同時に、商標法シンガポール条約の国会提出まで時間を要した理由についても外務大臣にお伺いいたします。
  174. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御質問の最初の特許法条約についてですが、特許出願等に関する手続期間を過ぎたことにより一度は喪失した権利を救済するための措置等の導入を義務付ける規定が存在します。こうした救済措置は、出願者と第三者との間の権利関係に大きな影響を及ぼすため、こうした救済措置を含めた制度が国際的に定着していくかを注視しつつ、適切に国内法を整備すべく検討を行ってまいりました。その結果、近年の主要国による締結状況も踏まえ、今国会で所要の国内法の改正と併せて御承認をいただいた上で締結していきたいと考えているところです。  そして、もう一つ商標法シンガポール条約につきましても、権利を救済するための措置等の導入を義務付ける規定があり、特許法条約と同様に検討を行った結果、今国会で所要の国内法の改正と併せ御承認を得て締結したいと考えている次第であります。
  175. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、特許法条約締約国三十六か国の中には米国やイギリス、フランスなどの先進国が含まれますが、まだ締約国数が少ないと感じられます。本条約特許手続に関する国際的なスタンダードとなるのか、政府の認識を伺います。
  176. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答え申し上げます。  特許法条約締約国は、御指摘のとおり、現時点で欧米諸国を中心としまして三十六か国が加入をしています。これらの締約国は、条約に従ってそれぞれの特許出願等に関する手続を国際的に調和させ、及び簡素化することにより、出願人等の事務負担を軽減させ、自国企業国際競争力を高めてきているところです。  特に、二〇一三年末には、特許出願件数世界第二位であります米国締結をいたしました。この米国締結によりまして、特許出願等に関する手続特許法条約に従って国際的に調和させていく機運が世界的に高まってきております。今後、締約国数は更に増加をしていくことが見込まれております。その意味で、この条約特許出願等に関する手続の国際的な標準になっていくものと考えております。  こうした中、我が国国民による海外への特許出願のうち約四割を占めるアジア諸国を始めとする新興国の多くは、まだこの特許法条約締結しておりません。こうした新興国における特許出願等に関する手続国際調和を後押しする観点からも、世界第三位の特許出願件数を抱え、またアジアの一員でございます我が国自身が速やかにこの条約締結し、アジア諸国等に対しても締結に向けた働きかけを行っていくことが重要と認識をしている次第でございます。
  177. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 特許法条約は、各国特許出願に関する手続簡素化国際調和を図る意図があることから、我が国が本条約締結し、さらに、できるだけ多くの国が本条約締結することによって、特許出願人利便性が向上することになります。  本条約我が国締結することについて、企業、特に海外特許出願手続負担を感じる中小企業からどのような要望を受けていたのか、お伺いします。さらに、我が国特許法条約締結した結果、特許取得しようとする出願人にとってどのような利益が得られるのか、お伺いいたします。
  178. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答え申し上げます。  今先生から御指摘をいただきましたように、出願人等の事務の負担の軽減、利便性の向上、こういった特許法条約に従って我が国手続調和させることによりまして、我が国知財先進国としての魅力を高めることにつながるものと考えております。また、中小企業を含む我が国企業国際競争力の強化も大いに期待できるところでございます。まさにこういった観点から、ユーザー団体からはこの特許法条約締結の方針につきまして既に賛同を得ているところであります。  先ほども言及いたしましたけれども、今後我が国がアジアの国々を始めとする新興国に対しても特許法条約締結するよう促すことによりまして、我が国企業がこのような新興国で円滑に特許登録し、適切に活用することができる環境整備につながることも期待をしております。
  179. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、出願手続に関する追加要件の要求の禁止についてでありますが、特許法条約の第六条においては、特許協力条約におい国際出願に関して規定する形式又は内容に関する要件等と異なる要件又はこれに追加する要件を満たすことを要求してはならないとして、各国特許庁出願書類に関する証拠等の提出を要求することなどを制限しています。  例えば、東南アジア諸国などで過度な証拠の提出を要求されることがあるとも聞きますが、現状として問題になっている事例はあるのでしょうか、お伺いいたします。
  180. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答え申し上げます。  国によりましては、特許出願等に関する手続におい手続書類に関して公証人による署名といった証拠の提出を求めているところがございます。  一つ一つの個別具体的な問題事例までを承知しているわけではございませんけれども、今申し上げましたような証拠の提出の要求というのは一般に出願人にとって大きな負担となっており、出願人が必要な特許を適切に取得する上で障害となっていると承知をしております。
  181. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、商標法条約改正されず新条約が作成されたその理由についてでありますが、商標法条約商標法シンガポール条約は、これは別個の条約ですが、その規定はかなり似通っています。  例えば、商標法条約改正して対応するという方法もあったのではないかと思いますが、なぜ商標法条約改正されず新たにシンガポール条約が作成されたのか、その交渉経緯をお伺いいたします。
  182. 齋木尚子

    政府参考人齋木尚子君) お答えいたします。  先生指摘のとおりでございます。商標法条約と現在御審議いただいております商標法シンガポール条約は、独立の国際約束でございます。この商標法条約は一九九四年採択をされ、現在もなお効力を有しているところであります。  交渉の経緯でありますけれども、二〇〇二年、商標法条約採択後に生じた新たなニーズに対応するための議論開始をされましたが、そのときは、実は商標法条約改正する前提で関係国間の検討が行われておりました。しかしながら、交渉の過程で一部の国から、二国間協定等におい商標法条約への加入を義務付けているものがあることから、商標法条約改正した場合に従来の商標法条約への加入を維持できなくなることへの懸念が示されたところであります。そこで、こういった懸念を有する国の存在を踏まえまして、こうした国が引き続き商標法条約への加入を維持できるように商標法条約改正は行わないことを決めました。代わりに、商標法条約とは別個に商標法に関するシンガポール条約を作成することとなった次第であります。  また、委員指摘のとおり、この商標法シンガポール条約商標法条約は、内容において共通する規定を多く有しております。商標法シンガポール条約には、関係国が両方の、すなわち商標法条約商標法シンガポール条約と両方の条約締結している場合には商標法シンガポール条約のみが適用される等、両条約適用関係を整理する規定も置かれております。
  183. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 糸数慶子君、お時間が来ておりますが。
  184. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  時間ですので、以上で終わりたいと思います。
  185. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、特許法条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  186. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、商標法に関するシンガポール条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  187. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時六分散会