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2015-06-11 第189回国会 参議院 外交防衛委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月十一日(木曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  六月十日     辞任         補欠選任      宇都 隆史君     石井 正弘君      大野 泰正君     末松 信介君      西村まさみ君     福山 哲郎君  六月十一日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     野田 国義君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山さつき君     理 事                 北村 経夫君                 佐藤 正久君                 三木  亨君                 大野 元裕君                 荒木 清寛君     委 員                 石井 正弘君                 小坂 憲次君                 末松 信介君                 豊田 俊郎君                 松山 政司君                 北澤 俊美君                 小西 洋之君                 野田 国義君                 藤田 幸久君                 石川 博崇君                 小野 次郎君                 井上 哲士君               アントニオ猪木君                 浜田 和幸君                 糸数 慶子君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    副大臣        外務大臣    城内  実君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       槌道 明宏君        外務大臣官房審        議官       岡田  隆君        外務大臣官房審        議官       下川眞樹太君        外務大臣官房審        議官       鈴木  哲君        外務大臣官房審        議官       岩井 文男君        外務大臣官房審        議官       豊田 欣吾君        外務省北米局長  冨田 浩司君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        久保 公人君        農林水産大臣官        房審議官     長谷部正道君        農林水産省農村        振興局整備部長  室本 隆司君        水産庁長官    本川 一善君        環境省地球環境        局長       梶原 成元君        防衛大臣官房衛        生監       塚原 太郎君        防衛大臣官房技        術監       外園 博一君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (集団的自衛権憲法との関係に関する件)  (平和安全法制に関する件)  (海外に派遣される自衛隊員のメンタルヘルス  ケアに関する件)  (環境分野における対中協力に関する件)  (米ハワイ州におけるオスプレイの事故に関す  る件)  (普天間飛行場移設問題に関する件) ○特許法条約締結について承認を求めるの件(  内閣提出衆議院送付) ○商標法に関するシンガポール条約締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、西村まさみ君、大野泰正君及び宇都隆史君が委員辞任され、その補欠として福山哲郎君、末松信介君及び石井正弘君が選任されました。  また、本日、福山哲郎君が委員辞任され、その補欠として野田国義君が選任されました。     ─────────────
  3. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君外十八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  質疑の開始前に一言申し上げます。  本日、定刻に委員はおそろいになっておられましたが、最初に御質問予定民主党小西洋之委員が遅れられたため、私ども、合意として約三分弱お待ちいたしましたが、最初の、冒頭の質疑者である等とも鑑み、二度とこのようなことがないように十分に御注意をいただきたいと思います。  その上で、御質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小西洋之

    小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  今、委員長から御注意をいただきましたように、委員長、また先輩、同僚委員皆様、また大臣始め政府皆様、大変に失礼をいたしました。二度とこのようなことがないようにいたします。失礼いたしました。  では、質疑の方を行わさせていただきます。  外交防衛に関する一般質疑ということでございまして、今、安保法制衆議院の方で、特別委員会議論がなされているところでございますけれども、その安保法制根本であります憲法問題について質疑をさせていただきたいというふうに思います。  憲法問題のうち、集団的自衛権行使安倍内閣は容認されているわけでございますけれども、その容認をしたところの七月一日の閣議決定にある一番根本考え方昭和四十七年政府見解に書かれている基本的な論理、つまり昭和四十七年見解を作成した当時から限定的な集団的自衛権法理として昭和四十七年見解に含まれていて、それこそが憲法九条の歴代政府解釈の基本的な論理であると。その基本的な論理を踏襲しているので、いわゆる解釈改憲立憲主義に反するような解釈改憲憲法規範を変えるようなものではないというふうにおっしゃっているところでございます。  そこの問題なんですけれども、昨日の衆議院審議を聞いておりますと、横畠法制局長官質問させていただきますけれども、この昭和四十七年政府見解にそうした限定的な集団的自衛権法理として含まれているということについて、安倍内閣はそういうふうにおっしゃっていて、私ども民主党あるいは多くの憲法学者もそんなことはないだろうというふうに、元法制局長官も含めてそんなことはないというふうに言っているわけでございますけれども、昭和四十七年見解限定的な集団的自衛権法理として含まれていたことについて、いるというふうに御主張されていることについて、かつて私、三月の二十四日だと思いますけれども、そうしたことについて歴代法制局長官から直接話を聞いたことがありますかという質問に対して、聞いたことがないというふうにおっしゃっておりました。にもかかわらず、昨日の質疑で、そうした考えを小松法制局長官がお持ちであったというふうに思いますという趣旨の答弁をされております。  小松法制局長官から昭和四十七年政府見解の中に限定的な集団的自衛権行使法理として含まれているということを聞いたことがあったのか、そしてそれは小松法制局長官時代から内閣法制局の組織としての見解であったのか、明確な答弁をお願いいたします。
  7. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まず、その法理として含まれるという意味でございます。ちょっとその辺に理解のそごがありますと話がかみ合いませんので、ちょっとその点を整理させていただきたいと思います。  昭和四十七年見解は、①、②、③という御理解いただける特定の方法を使わせていただきたいと思いますけれども、③の「そうだとすれば、」という段落において、結論理解しますけれども、いわゆる一般的な集団的自衛権行使は許されない、我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合にのみ武力行使ができるのだということを述べております。ただ、それは結論でございまして、なぜそうなのかと、なぜ我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合には憲法九条の下でも武力行使が可能なのか、できるのかという、その理由という部分を述べているのが①、②部分理解するわけでございます。  ①の部分、「憲法は、第九条において、」の段落でございますけれども……(発言する者あり)
  8. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御静粛に。
  9. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) そこでは、我が国自衛権は否定されていないと、無防備、無抵抗を定めたものではないという砂川判決で示された考え方と同旨の考え方を、政府としての考え方をお示ししているわけでございます。  その上で、②の部分、「しかしながら、だからといつて、」というところで、憲法九条の下ではその行使について限定が掛かるということを明確に述べた上で、憲法第九条の下でなぜ我が国が例外的に武力行使が可能なのかという、まさにその理由として、あくまで外国武力攻撃によって国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆されるという急迫不正の事態に対処すると。そういう場合、さらに、やむを得ない、必要最小限というのが付きますけれども、前提といたしましては、まさに外国武力攻撃によって国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆されるという急迫不正の事態に対処するという、そのためにこそ、それに限って必要だということを述べているわけです。それが理由でございます。  そういたしますと、その法理といたしまして、その理由に当てはまるものは、やはり我が国として武力行使をできる、そのようなものに当てはまり得るという、それが法理であるというふうに述べているわけでございます。  当時の認識といたしましては、このような急迫不正の事態に該当する場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみがそのような事態に当たるという、これは事実認識を持っていたということをるる申し上げているわけでございます。そこの事実認識につきましては、安全保障環境変化等によってそこが変わったということで今回の新三要件というものが導き出されたということを述べたわけです。  お尋ねでございますけれども、小松長官との間では、小松長官も頭の体操という言葉を使っておりましたけれども、この議論過程ではいろいろ議論をさせて、法制局内での議論というのもしていたわけです。その過程で、この昭和四十七年見解に着目して議論をしていたということでございます。
  10. 小西洋之

    小西洋之君 私が聞いた質問について関係ないことをずらずらしゃべっていただきましたけれども、今おっしゃったようなその答弁ですね、ずっとされているわけですから、それは不要なんです。ただ、今新しいことを一生懸命言おうとされているというふうに受けました。  今私が聞いたのは、昭和四十七年政府見解の中に、限定的な集団的自衛権行使を許容する法理、法的な論理というものが昭和四十七年政府見解を作ったときからあったと、あるんだと、それが本当の憲法九条の基本的な論理だということを政府はずっと答弁をされているわけですね。  かつ、七月一日の閣議決定、私、今手元にありますけれども、こういうふうに書いてあるんですね。政府憲法解釈には論理的整合性法的安定性が求められる。したがって、従来の政府見解における憲法九条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための論理的な帰結を導く必要がある。その次に、いわゆる皆さんがいつも言っている基本的な論理ですね、憲法九条はその文言からすると、というのが続いて、最後、「そのための必要最小限度の「武力行使」は許容される。」という基本的な論理を述べて、そして、続けます、「これが、憲法第九条の下で例外的に許容される「武力行使」について、従来から政府が一貫して表明してきた見解の根幹、いわば基本的な論理であり、昭和四十七年十月十四日に参議院決算委員会に対し政府から提出された資料集団的自衛権憲法との関係」に明確に示されているところである。」。昭和四十七年政府見解の中に明確に示されているところであるというふうにおっしゃっているんですね。イエスノーかだけでお答えください。  皆さん同僚委員先生方に配らせていただいていますけれども、この七月十四日の資料ですね、左側のところ、これについて、昭和四十七年見解の法的な捉え方はこのとおりですという答弁も七月十四日のときに横畠法制局長官はなさっています。この基本的な論理②部分ですね。まあ①と②を合わせてでも結構ですよ。  いずれにしろ、昭和四十七年見解限定的な集団的自衛権を許容する法理昭和四十七年見解を作成した当時からあるんだという認識にいるということでよろしいですね。イエスノーかで。これをはぐらかすんだったら、もう衆議院委員会も止まりますよ。どうぞ。
  11. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) その当時からという意味が若干よく分からないんでございますけれども、まさに昨年七月までは、集団的自衛権について限定的な場合に行使するという、そういう考え方自体がなかったわけでございます。  法理として、今回の集団的自衛権のうちの限定されたものを行使することができるというその考え方法理は、昭和四十七年政府見解①、②に含まれている、現に含まれているということでございます。
  12. 小西洋之

    小西洋之君 含まれていると間違いなくおっしゃいましたけれども、①、②。それは、じゃ、いつから含まれていたんですか。昭和四十七年政府見解を作ったその瞬間、次のページをおめくりいただきますと、二枚めくっていただきますと、その起案ですね、十月七日に決裁されていますね、当時の吉國内閣法制局長官が。この七日の決裁の瞬間に法理として含まれていたと、四十七年見解の中にですよ。四十七年見解政府見解文書として成立したその瞬間に含まれていたというふうな理解でよろしいですか。あるいは、四十七年から含まれていなかったんだけれども、いつの間にかそういうお化けみたいな魂が、幽霊みたいなものが四十七年見解の中に宿って、それを七月一日の中に皆さんが、いつ宿ったか分からないものを見付け出したということなんでしょうか。  四十七年見解を作ったときに今お認めになった限定的な集団的自衛権行使を容認する法理が含まれていたんだと、作ったときにですね、そういう理解でよろしいですか。イエスノーかだけでお答えください。
  13. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 昭和四十七年当時の担当者の具体的な意識、認識は、先ほどお答え申し上げたとおり、そのような事態というのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという事実認識に立っていたわけでございますので、当時、明確に限定的な集団的自衛権行使というものがこれに当てはまるという認識はなかったと思いますが、法理といたしましてはまさに当時から含まれている、それは変えない、変わらないということでございます。
  14. 小西洋之

    小西洋之君 済みません、今法制局長官は回りくどくおっしゃられたんですけれども、ただ、当時は、その限定的な集団的自衛権ですね、我が国攻撃もされていないのに国民生命などが根底から覆されることがあるという事実認識には至っていなかった。しかし、法理としては、憲法九条の下で限定的な集団的自衛権を容認する法理としてはその作成当時から含まれていたという明確な答弁をされました。うなずいていらっしゃいます。  こんなこと、私は三月二十四日のときからずっとやっていることじゃないですか。何で回りくどいそういう答弁をなさるんですか。  だって、三月二十四日に、まさにこの外国武力攻撃という言葉を、我が国に対するだけではなくて同盟国に対する外国武力攻撃というふうにも読めるんですかというふうな質問で、そんなことを初めて考えられたのは横畠長官ですかという質疑答弁ですね、ここに付けさせていただいておりますけれども、同僚委員皆さん、一ページ目の右下に。同様に考えていた者がいるかどうかは知りませんけれども、四十七年の政府見解そのものから、そのような解釈理解ができるというふうにおっしゃっているわけでございます。では、そこを確認をさせていただいて。  ごまかしの答弁をすれば、国民の不信が増すだけです。もうどう考えても、もつわけがない、倒れるしかない。このめちゃくちゃな論法で、暴挙で頑張られるんであれば、正々堂々と政府皆さんはやられることを求めます。  では、次の質問をさせていただきます。  前回のときに質問通告をさせていただいた内容なんですけれども、内閣法制局横畠長官に伺いますけど、この四十七年政府見解を作った当時に、皆様、この三ページというところですね、さっきの起案のかがみのところを御覧いただきたいと思いますけれども。これを御覧いただくと、「外務省協議済」というふうに書いていますね。その右に、「御高裁を仰ぎます。」。  これはもう法制局にも確認していますけれども、この判この早坂さんという方、当時参事官課長クラスの方です。早坂さんが起案して、憲法担当の第一部長である角田さん、次長である真田さん、長官である吉國さんがそれぞれチェックをされて、皆様にはかつて全文をお送りさせていただきましたけど、いろんな修正を加えて十月の七日に決裁しているんですね。十月の五日に早坂さんが起案をして、十月の七日に決裁されている。私も、役人時代にこういう起案文書法令解釈文書は何十本も作りました。  では、伺いますけれども、「御高裁を仰ぎます。」とあるので、早坂さんが上司の方々に決裁を求めているんですね。「備考」として「外務省協議済である。」と。外務省協議したことはここからも明らかであります。当時の防衛庁協議はされたんでしょうか。法制局に伺います。
  15. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) この四十七年の政府見解行政文書といたしましてはこのいわゆる原議が現存しているだけでございまして、防衛庁との協議に関する資料はございません。したがって、その点については不明でございます。
  16. 小西洋之

    小西洋之君 私の経験ですと、そういう役所との協議文書というのは物すごく重要なものですので、なぜならば政府見解を出すわけですから、それぞれの役所の中でまさに憲法解釈その他について見解が異なるようなことがあってはいけませんから、もう完全にその協議文書行政文書として当然に残すんですね。昔はこれ、法令協議というような一般の言い方もされておりましたけれども、法令協議というのは法律を国会に出すときの協議のことなんですけど、それと同じようなことを各役所間は必ずやって、それは当然、自分たちは、防衛庁として、この憲法九条の解釈政府文書について何か意見があるんだったら、こういう見解を出した、あるいは協議を求められたけれども、意見がないんだったら、ないというものを必ず役所の中に残すんですね。なので、当然協議をしていない。かつ、「備考」で「外務省協議済」としか書いていないわけですから、協議していないことはもう一〇〇%明らかでございます。協議したんだったら、この早坂さんはもう参事官ですから課長クラスで、法案の審査なんかをされている、実務をやられている立派な課長クラスの方ですから、当然書くわけなんですね。  じゃ、防衛庁協議はしていないことは分かりました。  では、内閣法制局から外務省協議したことはもう明らかなんですけれども、その協議内容として、限定的な集団的自衛権行使をこの昭和四十七年政府見解によって容認すると、そういう法理内閣法制局が組み立てているということを内閣法制局外務省協議をしたんでしょうか。これは横畠長官に伺います。  また、岸田外務大臣にも伺います。そういう協議外務省として受けたんでしょうか。
  17. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まず、その前提といたしましてですが、いわゆるその新三要件の下で行使が許されるとしております限定的な集団的自衛権という考え方それ自体は昨年七月以降の考え方でございまして、それ以前にはないのでございます。  したがいまして、四十七年のこの政府見解お尋ねはもとより、その後の政府国会での答弁質問主意書に対するお答えその他について、集団的自衛権と言っているものは、基本的にというか、全て限定のない国際法上認められる集団的自衛権一般のことを指して言っているものでございまして、昨年七月以前に、その新三要件で認められる場合のいわゆる限定された集団的自衛権という考え方に基づいて議論をしているということはないと思いますので、お尋ねについても、そのような限定的な集団的自衛権を念頭に置いて何か協議をしたということではないと思います。
  18. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 外務大臣の御回答がまだですが、よろしいんですか。
  19. 小西洋之

    小西洋之君 じゃ、今の長官答弁と、先にちょっと重ねて、その後に外務大臣に。
  20. 片山さつき

    委員長片山さつき君) それでよろしいんですね、質問者
  21. 小西洋之

    小西洋之君 はい。どうも大臣、失礼いたしました。  横畠長官はもうめちゃくちゃなことばっかりおっしゃっているんですけれども、よろしいですか。  日本国憲法を作った後に、自衛隊の創設以前から、外務省国会答弁として、我が国憲法九条において、我が国武力攻撃を受けた、つまり我が国武力攻撃が発生したときでなければ我が国武力行使ができないということは何度も政府として、また外務省としても、内閣法制局としても答弁をされているんです。  この昭和四十七年見解のその限定的な集団的自衛権行使法理と含むということは、まさにここを同盟国に対する外国武力攻撃と読み替えて、同盟国に対する外国武力攻撃しか起きていない、すなわち、我が国に対する外国武力攻撃は発生していないんだけれども、我が国集団的自衛権行使たる武力行使ができるという文書を作ったということなんですね。  じゃ、重ねて伺います。そういうひきょうな、まあひきょうと言うのもあれですけど、これはでもひきょうな答弁ですよね、何もかも分かっていらっしゃるのに。  じゃ、もう一回重ねて伺います。我が国武力攻撃が発生していない局面であるにもかかわらず、我が国武力行使ができる、しかもそれは国際法上、集団的自衛権行使というものになる、そういう政府見解を作るということを内閣法制局から外務省協議をしたんでしょうか。  また、岸田大臣、今の私のこの説明を踏まえて、外務省としてそうした内容協議を受けたんでしょうか。答弁をお願いいたします。
  22. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) お尋ね昭和四十七年当時のことと理解いたしますけれども、当時はまだ、先ほどもお答えいたしましたとおり、この新三要件でお示ししたような限定的な集団的自衛権という考え方それ自体は存在いたしませんので、そのような協議をしたということではないと思います。
  23. 岡田隆

    政府参考人(岡田隆君) 昭和四十七年当時の内閣法制局作成の文書に関しまして、「外務省協議済である。」という記載があることは承知しております。  当時の記録については、省内関係部局で探索したところでございますが、該当する文書、確認できなかったところでございます。そのため、当時、当省がどのような形で法制局協議を行ったのかということについては、現時点では不明でございます。
  24. 小西洋之

    小西洋之君 委員皆様、私の質問の趣旨なんですが、こういうことなんです。  憲法制定以来、国会監督の下で、政府は、我が国武力攻撃が発生した局面、つまり国際法上の個別的自衛権しか憲法九条では武力行使として行使できないというふうに言っていました。  ところが、これはそうではない。我が国武力攻撃が発生しない局面で集団的自衛権、今政府限定的な集団的自衛権だと言っていますけど、それを法理としてつくり出したものだということをさっき横畠長官はおっしゃいました、四十七年政府見解を作ったこの瞬間に。  つまり、昭和四十七年政府見解を作ったときにそれを法理として、(発言する者あり)昭和四十七年政府見解決裁したときからこの昭和四十七年政府見解の中に法理として限定的な集団的自衛権は含まれているというふうに認識しているというふうに答弁なさいましたよね。じゃ、その答弁で間違いないか、イエスノーかだけでお願いいたします。横畠長官
  25. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 法理と申しますのは、物の考え方でございます。この昭和四十七年の政府見解で示された物の考え方法理というものについて、その当時、明確に限定的な集団的自衛権という意識、考え方はなかったわけでございまして、そこまで意識して昭和四十七年の政府見解が作られたわけではないと思いますが、物の考え方法理といたしまして、昨年七月以降明らかにしております新三要件で認められる限定的な集団的自衛権といいますのは、この昭和四十七年の政府見解で示された①、②の基本的な、考え方ですよ、法理に適合するその範囲内のものであるということをるる御説明させていただいているところでございます。
  26. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと議論を、何かちゃぶ台を返すかのようにも聞こえるかもしれないようなことをおっしゃったような気がするんですけど。  さっきおっしゃった、昭和四十七年政府見解を作ったその瞬間から、十月七日のこの決裁の瞬間から、この昭和四十七年政府見解がまさに成立した瞬間ですね、この中に、先ほどのおっしゃっている、皆さんが基本的な論理①、②と言っている部分ですね、具体的には②のところなんでしょうけれども、限定的な集団的自衛権、当時は限定的な集団的自衛権というその固有名詞を持っていなかったにしても、我が国武力攻撃が発生していない、同盟国などに対する外国武力攻撃が発生したときであっても我が国武力行使ができる、そういうことが許容されるという考え方、法的な論理たる法理というものを昭和四十七年政府見解文書として持っていた、そういうものだという認識理解でよろしいですね。
  27. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 繰り返しになるかもしれませんけれども、その昭和四十七年見解①、②で示された、考え方です、法理というのは、一部限定された集団的自衛権というものを含み得る考え方であったということを申し上げておりまして、昭和四十七年政府見解における結論、③の部分が個別的自衛権のみが認められるというふうに結論付けているその理由といいますのは、①、②に当てはまる「外国武力攻撃によつて国民生命、自由及び幸福追求権利根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」というものが我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという当時の事実認識前提としてその結論になっているということを申し上げているわけでございます。
  28. 小西洋之

    小西洋之君 法理として含み得ると。いわゆる皆さんが今おっしゃっている限定的な集団的自衛権というものですね、当時の方はそういう固有名詞は持っていなかったにしても、そういうものが法理として含み得るではおかしいですね、含んでいたと明確に答弁いただけますか。昭和四十七年政府見解を作った段階から含んでいたんだというふうに政府認識されていると答弁いただけますか。
  29. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) ①、②のまさに考え方は、当時、明確に認識していたわけではないと思いますが、今般の新三要件の下で認められるとしております限定的な集団的自衛権行使までは含み得る、そのようなまさに法理としての考え方で元々あったということでございます。
  30. 小西洋之

    小西洋之君 分かりました。じゃ、今おっしゃったように、当時のこの決裁権者の方々、吉國長官、真田次長、角田第一部長は、昭和四十七年政府見解に、皆さんが言っているところの限定集団的自衛権なるものが法理として含むとは明確に認識していなかったと。このお三方が作られた文書は、そのお三方において、限定的な集団的自衛権なるものが、法理としてですよ、ごまかせないように、じゃ正確に言いますけど、我が国に対して武力攻撃が発生していない、同盟国などに対してのみ武力攻撃が発生している局面で、国民生命などが根底から覆されるのをやむを得ず防ぐ必要最小限武力行使国際法上は集団的自衛権に当たるものが法理として含まれているとはこの三人は明確に認識していたわけではないという答弁をされましたけれども、明確に認識していたわけではないということを先ほど明確におっしゃいましたけれども、この三人は、法理として、自分たちが作った文書に、今申し上げた国際法上の集団的自衛権に該当するものが含まれていると明確に認識していたわけではないという理解でよろしいですね。そうでなかったら答弁訂正になりますよ。
  31. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 繰り返しになるかもしれませんけれども、限定的な集団的自衛権行使という切り分け方があるのだという考え方は昨年七月以降の考え方でございまして、それ以前にはなかったわけでございます。かつ、この昭和四十七年当時も含めまして、まさに①、②のその要件に当てはまる事態といたしましては、我が国に対する急迫不正の侵害が発生した、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという事実認識に立っていたということでございます。
  32. 小西洋之

    小西洋之君 実は、横畠長官、私の、三月だったと思いますが、質疑に対して、この三人ですね、当時のこの作成者の方々が、いわゆる安倍内閣が言っているところの限定的な集団的自衛権行使というものについて、それを含ませるためにあえてここの外国武力攻撃というものを裸にしたと、我が国に対すると書かなかったかどうかということについては、それは意図的であったかどうかは分からないという答弁をされていたんですね。  ところが、さっきの、明確に認識していたわけではないというのは、それとはまた違うことを、より踏み込んだことをおっしゃっていますので、重ねて聞きます。  もういいんですよ、ここで質問やめてあなたの答弁残しても、これ確立しちゃっても構わないんですけれども、変えさせていただいても構わないんですけど、政府答弁として。  この四十七年政府見解を作られた三人の方々は、自分たちの手でまさに作ったその政府見解文書について、我が国武力攻撃が発生していない局面における国際法上の集団的自衛権に該当するものを、法理として、憲法九条の下において許容した政府見解であるということについて明確に認識していたわけではないという安倍内閣理解ということでよろしいですか。イエスノーかだけで答えてください。
  33. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) ですから、その限定的な集団的自衛権という考え方自体、昨年七月以前はなかったわけでございます。それを前提にその昭和四十七年の政府見解は作られているわけでございます。  この③の結論部分に至って初めて「わが国に対する」ということが明記されているわけで、その基本理論たる①、②部分では、②の部分では「外国武力攻撃」とだけ記述されているということで、やはりその結論のところに至るまでの基本論理としては、そこのところで既にその我が国に対する武力攻撃に限るという前提に立っているならば、これはもう先に結論を述べてしまっているわけで、③の部分は「そうだとすれば、」にはならないはずであるということでございます。
  34. 小西洋之

    小西洋之君 もう時間稼ぎのはぐらかし答弁ばっかり全てしていますが、じゃ、こういう聞き方をします。  昭和四十七年政府見解を作られた吉國長官以下のこの三人の方々は、昭和四十七年政府見解を作ったその決裁のときに、国際法上、集団的自衛権行使に該当する武力行使憲法九条の下で許容する政府見解文書を作ったということを明確に認識していたわけではないという理解でよろしいですか。国際法上、集団的自衛権行使に該当する武力行使を許容する政府見解文書を作ったと明確に認識していたわけではないという理解でよろしいですか。
  35. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まさにこの昭和四十七年政府見解結論部分のところにも出てきます、「いわゆる集団的自衛権行使は、憲法上許されない」ということを述べておりますけれども、この昭和四十七年見解におけるいわゆる集団的自衛権というのは、国際法上認められる集団的自衛権一般のこと、フルスペックといいますか、フルセットの集団的自衛権のことであるというふうに理解しておりまして、その限定されないところの集団的自衛権一般行使は許されないということを結論として述べておるわけでございまして、もうそのように理解しております。
  36. 小西洋之

    小西洋之君 では、長官が今おっしゃった、この帰結(あてはめ)のところで、限定されないところの集団的自衛権行使は否定されていると。じゃ、それ以外の集団的自衛権行使ですね、国際法上の集団的自衛権行使の、全体のあらゆる集団的自衛権の母集団があったら、ここの帰結(あてはめ)のところで否定されているもの、それ以外の残りの集団的自衛権行使については法理として許容された政府見解文書を作ったということについて、当時のこの作成者の三人は明確に認識していたわけではないという理解でよろしいですか。もうこの質疑、やり取りを聞いている国民委員皆様もみんなあきれていますよ。もう諦めたらどうですか。じゃ、まあ答弁だけどうぞ。
  37. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 繰り返しになりますけれども、昨年七月以前は限定的な集団的自衛権という考え方自体がなかったわけでございます。  したがいまして、その昭和四十七年見解で示されているいわゆる集団的自衛権といいますのは、国際法上、武力行使が認められる集団的自衛権一般のことでございまして、限定されていない集団的自衛権のことであって、それは憲法上許されないということをまさに明記しているものでございます。
  38. 小西洋之

    小西洋之君 もう何度聞いても答えませんので、国民皆さんと、あと衆議院委員皆さんにもこの資料をお届けさせていただきますので、あと、将来の最高裁判事、明確な違憲判決が出ると思いますけれども、これ出なければ、我が国は法治国家として残念ながらもう希望が持てないことになってしまいますけれども。  ちょっと今、一点伺いますけど、この帰結(あてはめ)のところですね、私の資料のカラーの、このいわゆる集団的自衛権行使、これ前回伺った話なんですけれども、集団的自衛権行使ですね、四十七年見解についての集団的自衛権行使について、今三つの概念が飛び交っていると思うんですけれども、一つは皆様がつくられた限定的な集団的自衛権行使、もう一つは非限定的なもの。昨日の衆議院質疑を聞いていますと、何かフルスペックという言葉が飛んでいたのと、あとフルセットという言葉が飛んでいました。この三つの言葉関係について簡潔に御説明いただけますか。
  39. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 限定的な集団的自衛権といいますのは、新三要件の下で認められる集団的自衛権のことでございます。いわゆる集団的自衛権、フルスペックの集団的自衛権あるいはフルセットの集団的自衛権と申し上げているものは、そのような限定の掛からない、国際法上、主権国家に認められる武力行使権利としての集団的自衛権一般を指しているものと理解しております。
  40. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっとよく分からないんですけど、今の話だと、フルセットの集団的自衛権とフルスペックの集団的自衛権って全く同じ意味で使われているということですか。分かりました。  じゃ、限定的な集団的自衛権と、フルセット、フルスペックと、フルセットとフルスペックは同じ意味だということなのでフルセットと言いますけれども、限定的な集団的自衛権とフルセットの集団的自衛権を足し合わせたものがあらゆる集団的自衛権行使の母集団になるという、そういう理解でよろしいですか。明確に。違うと思いますよ、違うんですよ、ずれている。
  41. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 限定された集団的自衛権と申し上げているのは、フルスペックでもフルセットでもいいのですけれども、集団的自衛権一般の中の部分集合ということでございます。
  42. 小西洋之

    小西洋之君 だから、その関係を聞いているわけですよ。だから、その限定的なものがこの部分集合なんですよね。その余りの部分は何と言い、かつ、その二つを合わせた全体の部分は何とおっしゃって整理されているんですか。明確に説明してください。
  43. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 限定されていないものがいわゆる集団的自衛権であり、フルセットの集団的自衛権であると、集団的自衛権一般という言い方をしております。新三要件において限定されたものは、便宜、限定された集団的自衛権という呼び方をしておりますけれども、その差の部分については名前がないということでございます。
  44. 小西洋之

    小西洋之君 今、フルセットの集団的自衛権限定的な集団的自衛権に差があるというふうにおっしゃいましたので、簡潔に、これ、あらゆる集団的自衛権ですね、国際法上の政府が認めていらっしゃる集団的自衛権行使に該当するあらゆる集団的自衛権のその母集団をフルセットというふうにおっしゃっていて、うなずいていらっしゃいますね、そのうちの新三要件で認めるのを限定的な集団的自衛権と言って、その残りの部分があるんですね。残りの部分は何て名付けられているんですか。特に名付けていないんだったら名付けていないで結構ですよ。
  45. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 名前はまだないということでございます。
  46. 小西洋之

    小西洋之君 分かりました。  なので、前回私が確認したとおりなんですけど、この昭和四十七年政府見解、ページめくっていただきましたら出てまいりますが、四ページですね、「いわゆる集団的自衛権、」というのがあるんですけど、これは集団的自衛権全体、もう母集団全体になるわけなんですね。  先ほどの、じゃ質疑の続きをさせていただきます。  要するに、よろしいですか、昭和四十七年政府見解国際法上の集団的自衛権に該当する武力行使政府はつくったんですね。ところが、そのつくる段階で、まさにその武力行使する防衛庁には協議をしていないんですよ。かつ、外務省にも協議を、その内容が残っていないんですね、昭和四十七年段階の当時で。当然、日米安保条約を一九六〇年に結んでいますから、これはアメリカとの関係も出ますよ、私が何度も取り上げた日米安保第三条に、集団的自衛権行使は、日本はアメリカのためにはできません、憲法上できませんということを明記していますから。  つまり、我が国の、申し上げるまでもなくて、憲法秩序そのもの、外交安保政策の根幹に関わる憲法解釈内容を、横畠さんの説明だと、この内閣法制局の官僚の三人だけで決めたことになるんですよ。そうですよね。こんなばかげた主張が通るんでしょうか。  中谷防衛大臣に伺います。  昭和四十七年政府見解において、国際法上の集団的自衛権に該当するものを政府はつくられたわけです。そのときに、それを担う防衛庁協議をしていない。こんな安倍内閣の今の主張をお認めになるんですか、自衛隊を率いる防衛大臣として。中谷大臣答弁を求めます。
  47. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 御指摘いただきましたので、防衛省でこの昭和四十七年の政府見解、当時の集団的自衛権憲法との関係に関する資料、これを調査をしてみました。その結果、関連する資料を確認できなかったため、当時、内閣法制局との間における協議や調整が行われていたか否かにつきましては不明ということでございます。
  48. 小西洋之

    小西洋之君 実は、先ほど外務省防衛大臣が今答弁いただいた内容ですが、昭和四十七年見解作成当時に、その作成に関わる資料というものは外務省防衛省には一切残っていないことは、私、質問主意書でも確認をさせていただいております。こんなことを誰が信じられるんでしょうか。  集団的自衛権行使を、国際法上のですね、限定的な集団的自衛権行使皆さんもう解禁するのに、防衛庁協議もせず、協議したのであれば当然資料が残っているはずですけれども、かつ、もう協議していないのは明確なんですね、ここに決裁して、「外務省協議済」としか書いていないわけですから。それで政府がそんな解釈をつくるわけがないんですね。  横畠内閣法制局長官にお伺いします。  なぜ、当時の吉國内閣法制局長官は、防衛庁にも協議もせず、かつ閣議決定も求めず、安倍総理はよく言っています、いやいや、昭和四十七年政府見解閣議決定すらしていない文書なんですよと、我々は、七月一日の閣議決定閣議決定をした文書なんですよということを言っておりますけれども、防衛庁にも協議もせず、閣議決定もせず、内閣法制局の幹部三人だけで我が国憲法解釈集団的自衛権行使を一部許容する政府解釈をつくるなどということがあり得るんでしょうか。そんなことを今の横畠長官はやられますか。どうぞ答弁ください。
  49. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まず、この昭和四十七年の政府見解を取りまとめる前提となりましたのが、ここにございますように、この決裁書類にもありましたとおり、参議院決算委員会昭和四十七年九月十四日に開催された会議における議論を踏まえまして、それを整理して提出せよという御用命がございまして、それに応えたものでございまして、議論そのものは国会の場で十分しているものでございます。それを取りまとめたということでございます。  また、昭和四十七年に至るまでに、自衛隊発足以来でございますけれども、憲法自衛権行使関係につきましては国会を中心として多くの議論があったわけでございまして、その意味で、この昭和四十七年の考え方、なぜ憲法九条、文言上は我が国が国際関係において一切の武力、実力の行使を禁じているかのように見える憲法九条の下においても、例外的に万やむを得ない、国を守り、国民を守るためのやむを得ない場合については最小限の武力行使は許されるという、そのまさに基本的な考え方のコンセンサスというのは当然政府部内にあったわけでございます。  憲法についての所管というのは、政府部内では内閣法制局がそれを預かるという立場でございまして、憲法上の考え方を整理するということになりますれば、それは内閣法制局がこの文書の作成に当たるということでございまして、このような原議ができている、国会においても内閣法制局長官が御答弁申し上げているという、そういう関係であろうと思います。閣議決定をするまでもなく、当時政府部内でのコンセンサスであったということと理解しております。
  50. 小西洋之

    小西洋之君 全く答弁になっていませんけれども。  ちなみに、外務省協議済みというのは、これはなぜかというと、昭和四十七年政府見解の冒頭に国際法との関係があるからですね。国際法との関係について内閣法制局だけで答弁することはできませんので、協議をなさっているということでございます。  もうこれ、衆議院憲法審査会で慶應大の名誉教授である小林節先生がおっしゃっていました。今、国会議論されていることは、衆議院安保法制特別委員会ですけれども、これは法令解釈論ではないと、常識、非常識の問題だとおっしゃっていました。まさにそのとおりです。常識、非常識の問題ですよ。  勝手に外国武力攻撃というふうに書いてある言葉に言いがかりを付けて、我が国に対する外国武力攻撃というふうに書いていないからそういうふうに読んでもいいんだと言い始めてやっているわけですよね。こんな我が国憲法秩序を根幹から変える話と、まさに国際関係にも波及する問題であり、かつ、それを、武力行使を担う防衛庁、何にも協議せず、こんな政府見解を作るわけないじゃないですか。もう全くの、こんな議論が通用すると思っているんですか。  外務省の方々、あと横畠長官もだんだん三月以降顔色が悪くなっていますけれども、両大臣も顔が緊迫されていますけれども、これがもう衆議院で昨日からどんどん追及が始まってきますけれども、これがもう嵐のようにどんどん押し寄せてきますよ。  もう国民我が国の法の支配を守るために、両大臣にあられては、尊敬する保守の政治家でございますので、どうかそういう決断をしていただきたいというふうに思うところでございます。  しかも、よろしいでしょうか、これ、十月の五日に起案したんですね。十月の七日に決裁しているんですね。この我が国憲法解釈を、憲法解釈というか、この新しい集団的自衛権行使というものを法理として認めるものを、二日間でこの三人だけでやるなんてことはあり得ないわけですよね。しかも、内閣法制局の官僚だけでですね。ということをしっかりと御指摘をさせていただきます。  その上で、ちょっと重ねての御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、横畠長官はもう国会答弁をされています、安倍内閣、昨年の七月一日の閣議決定憲法解釈の変更であるというふうにおっしゃっています。これは、我が国の戦後の日本国憲法下において二度目の憲法解釈の変更であるというふうに言っております。一つは文民条項ですね、六十六条二項の文民条項。  横畠長官に伺います。  先ほどおっしゃいました、昭和四十七年政府見解を作った、四十七年十月七日に決裁した、これは憲法九条の解釈の変更ではないんですか。政府としては何というふうに考えられているんですか。昭和四十七年当時ですよ、七月一日ではない。昭和四十七年当時、昭和四十七年政府見解政府見解として決裁したことは、憲法九条の解釈の変更ではないんですか。解釈の変更ではないんであれば、その理由を示してください。それまでは、国際法上、個別的自衛権に該当するものしか武力行使はできないと政府国会答弁を一貫してやってきました。政府見解も全てそうです、四十七年見解当時以前は。昭和四十七年見解には、先ほどから答弁されていますけれども、国際法上、集団的自衛権に該当する武力行使を許容したというふうに言われております。これは憲法九条の解釈の変更ではないんですか。答弁ください。
  51. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) その昭和四十七年の政府見解を取りまとめたことが憲法解釈の変更であるという、ちょっと御趣旨が理解しかねるのでございますが。
  52. 小西洋之

    小西洋之君 我が国憲法九条において、国際法上、集団的自衛権に該当する武力行使ができないというふうにされていました。ところが、国際法上、集団的自衛権行使に該当する武力行使をできるというふうに、憲法九条の解釈内容について、安倍総理のあの答弁説明をすると、解釈を再整理した、整理したというような説明によれば、昭和四十七年政府見解を作ったということは憲法九条の解釈の変更に当たるんではないんですか。変更に当たらないんだったら何なんですか。解釈変更でもなく、従来の解釈をそのまま維持しているということですか。どちらですか。
  53. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 昭和四十七年の政府見解の基本的な論理である①、②部分につきましては、この時点で明確に文章として整理したものでございますけれども、当然それ以前から、自衛隊発足当時からずっとあった考え方であると理解しておりまして、その後もそれが維持されておりまして、昨年七月以降もそのままそれが維持されているというふうに考えておりまして、その限りでの変更はございません。
  54. 小西洋之

    小西洋之君 これ、既に国会質疑質問主意書で確認を取っていますけれども、昭和四十七年政府見解、これの前と後ろには、今、安倍政権がおっしゃっているような限定的な集団的自衛権行使、つまり、国際法上、集団的自衛権と評価されるような武力行使ができると、憲法九条の下でできると述べた国会答弁も、それを明確に法理として示した政府見解文書も一つもないということは国会答弁質問主意書で確認させていただきました。だから、安倍政権は、もうこれに寄りかかってすがりつくしかないんです。ここに集団的自衛権が書かれていると、そういうふうに読める文書だというふうに言い張るしかないんですけれども、それはもうノックアウトされるようなもの、もうノックアウトされているんですよ、時間の問題なんですけれども。  いいですか、じゃ重ねて聞きますよ。  昭和四十七年政府見解以前には、あらゆる国会答弁、あらゆる政府見解において、皆さんが言っている限定的な集団的自衛権行使、言い逃れをさせないために、あえてもう一回丁寧に同じことを言います、国際法上、集団的自衛権行使と評価される武力行使について認めた国会答弁政府見解も一つもない。ところが、この四十七年政府見解において、国際法上、集団的自衛権行使と評価される武力行使憲法九条において容認したと言っているんです。すると、この昭和四十七年政府見解を作ったこの行政の決裁行為、行政権の行使というのは憲法解釈の変更ではないんですか。  憲法解釈の変更の定義についてどういうふうにお考えになっているか御説明いただくとともに、その変更に当たらない理由はなぜかということ、当たるんだったら当たるという明確な答弁を簡潔に、もうずっと、横畠長官、昨年の臨時国会のときから私の質問について全て答弁拒否をして言い逃れをされていますよ。もうそんなことはやめましょう。明確に答弁ください。
  55. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) やはりちょっとお尋ねの趣旨を理解しかねるところがございますが、先ほどもお答えしたとおり、新三要件の下、限定的な集団的自衛権行使が認められるという、その限定的な集団的自衛権に限るという、そういう考え方そのものが昨年七月以降のものであるということを申し上げているとおりでございます。それ以前の集団的自衛権をめぐる議論は、先ほどのフルスペック、フルサイズ、国際法上認められる集団的自衛権一般の全体を指して議論しているということでございます。  この昭和四十七年見解は、憲法第九条の下でなお我が国として武力行使ができる場合はどのような場合かという考え方を整理したもので、その理由があの①、②部分で、その部分がまさに法理部分でございます。(発言する者あり)
  56. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  57. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を起こしてください。
  58. 小西洋之

    小西洋之君 横畠長官が趣旨が分からないと言いながらずらずら答弁なさったことに、佐藤理事、注意をしていただいてありがとうございました。  では、政府見解を我が外交防衛委員会に提出していただけますでしょうか。昭和四十七年政府見解を作成したその行政権の行使ですね、作成したこの行為というのは憲法解釈の変更には当たらないという理由について、具体詳細に私の質疑内容を踏まえて早急に出していただけますでしょうか。  そのことを理事会でお計らい願います。委員長、お願いいたします。
  59. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 理事会にて協議いたします。
  60. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  では、もう皆さんお聞きいただきましたように、まさに常識、非常識の問題で、もうこの解釈改憲安保法制は終わりなわけでございます。もうノックアウトです。もう衆議院でもどんどん追及が始まるでしょう。また、参議院に来ましたら、大野先生、北澤先生を筆頭に我々も奮起しますので。もうこれはもたないですよ、こんなこと。そのうち国際問題にもなり始めると思いますけれども。  じゃ、さらに、大事な核心論点についてもう一つ追及を、もう答弁拒否ばっかりされるので、本当に残念なんですけれども、核心論点をさせていただきます。  横畠長官は、衆議院答弁などでこういうことをおっしゃっている。先ほどの私の質疑もそうなんですけれども。この昭和四十七年政府見解というものを作った当時は、吉國長官は、我が国に対する武力攻撃が発生していない局面で国民生命などが根底から覆されることがあるという、そうした事実認識は持っていなかったと、事実認識は持っていなかった。ただし、事実認識はなかったんだけれども、吉國長官が作られた政府見解文書の中には、限定的な集団的自衛権と今、安倍内閣がおっしゃっているものが法理として含まれていたということを平然とおっしゃっているんですけれども、実はこれは、よろしいでしょうか、法令解釈根本を否定する憲法違反のとんでもない発言でございます。それを御説明させていただきます。  このカラーのページの一番最後の紙を御覧いただけますでしょうか。ちょっとその前に、このカラーのページの前から一枚目をおめくりいただけますでしょうか。はい、それでございます。  私なりの分析によりますと、憲法九条において集団的自衛権を解禁した解釈改憲というのは、要するに、昭和四十七年見解などの歴代政府見解の中に書かれている正しい憲法九条の基本的な論理というものを捏造して、捏造の論理である七月一日の閣議決定の基本的な論理をつくった。その捏造の論理である基本的な論理から、その中に書かれている武力行使の新三要件を抽出した。で、火事場泥棒的に明白な危険という緩和要件を付けたというのが解釈改憲の構図でございます。  そして、この論理の捏造をするに当たって三つの不正ですね、言葉は適切じゃないかもしれませんけど、国民皆様に分かりやすく言うと、インチキです。不正をやっているということです。三つのからくり。  一つは、今日も申し上げさせていただきました、外国武力攻撃という文言を恣意的に読み替えていると。我が国に対する外国武力攻撃に決まっているのに、同盟国などに対する外国武力攻撃と読み替えて、読替えの一環として、一ページ目にありますこの昭和四十七年見解を、一つの段落に書かれているものを三つの内容に構造分割していると。これを同時にやっているんですね。  もう一つは、平和主義の法理の切捨て。昭和四十七年見解の中にも明確に書いてある。昨日も中谷大臣答弁をされておりました。平和主義の制限があるんだから、何でもかんでも自衛の措置ができるわけではないという趣旨の答弁をされていますが、まさにそのとおりです。三つの平和主義の法理が掛かるんです。三つの平和主義の法理はどれも集団的自衛権と真っ向から矛盾するということを私は何度も追及を、安倍総理にも三月二十日、予算委員会で追及をさせていただいています。  そして、今から御説明するのは三つ目です。立法事実のでっち上げというんです。つまり、この世に新しい法規範を作るためには、その法規範が必要である、法規範の政策上の必要性と、そしてその法規範によって作られる新しいルールですね、新しいルールが手段として合理的、つまりほかにもう手段がなくてこれしかないと、この二つを証明しないといけないんですね。  それで、先ほどのこの資料の一番最後を御覧いただけますでしょうか。これ、昨年の臨時国会で私が追及をさせていただいておりました。もう私、七月一日の解釈改憲の直後から平和主義の法理の切捨てと立法事実のでっち上げについてはずっと追及をさせていただいていましたけれども、こういうことなんですね。  一番上に立法事実、法律用語辞典がございます。有斐閣です。この代表は、編者、横畠裕介長官でございます。横畠長官でございます。法令用語研究会と書いていますよね。横畠長官に簡潔に答弁をいただきたいと思うんです。これ、衆議院先生方の追及に、私、ちょっと本質的なところをやらせていただいて、あと五分しかありませんので。  この法令用語研究会というのが一体どういう団体で、ここに、私の経験ですと、これ著作権料がたくさん入っているんですね。横畠長官、また内閣法制局もそれ使われているのではないかなというふうに推測をいたすところであるのですけれども、これはあくまで推測です、そのことはお断りをしておきますけれども。  つまり、御自分で書かれた立法事実を全く切り捨てる、でっち上げる、そういうことを平気でやられて、ちなみに、この法律用語辞典って、どこの法律事務所でも、霞が関の全課でも買っております。膨大な著作権料が毎年入ってくるんだと思いますけれども。  下の内容について御説明をさせていただきます。済みません、真ん中の灰色の、グレーのところを御覧いただけますか。憲法九条において集団的自衛権行使を許容するためには、今から申し上げる二つのことが必要なんです。  一つは、「目的の合理性」と書いてありますけど、目的の必要性と御理解ください。これまで歴代政府が一貫してあり得ないとしてきた、我が国武力攻撃を受けていないのに生命が失われてしまうことになる、つまり生命などが根底から覆ることになる日本国民が存在することです。この存在は、まだ政府はできておりません。できていないですね。二つ目、その覆されることになる生命などを救うために、日本国民を守るために集団的自衛権行使しかほかに手段がない。この二つを証明しないといけないんですね、七月一日の閣議決定の段階で。  そしてさらに、その下の(A)を御覧いただけますか。今二つ申し上げた内容のことは、一言で言うと、こういうことになります。「我が国として国際関係において実力の行使を行うことを一切禁じているように見える」、これは七月一日の閣議決定でも安倍内閣は引き継いでいる、憲法九条を日本語として読んだときの文理としての受け止めの広い意味での解釈と言っていいのか、文理としての受け止めです。これは昭和四十七年政府見解以前にもこうした趣旨の答弁はもう何度も何度もされています。  憲法九条の一項、二項というのを総合的に読むと、日本という国は、国際関係において実力の行使を一切禁じているように見える。見えるんだけれども、我が国武力攻撃が発生したときに、国民が殺されてしまう、そんなことは許されるんだろうかと思って憲法全文を読み直したときに、日本国民の平和的生存権を確認した前文、また、日本国民生命を国家は最大限守りなさいという憲法十三条があったので、それの論理的な総合解釈でぎりぎり、我が国武力攻撃が発生したときに、それを排除する必要最小限度武力行使国際法上の個別的自衛権だけは許容されているというふうに言ったんですね。  つまり、申し上げたいことは、元々憲法九条の解釈はここから発生しているんです。一切禁じているように見えるという考え方から始まっているんです。これは、安倍内閣の七月一日の閣議決定の基本的な論理でも明確に書いてあります。すなわち、どういうことかというと、一切武力行使を禁じているように見えるという憲法解釈、九条の解釈の出発点から、集団的自衛権行使、それは、限定的なものであれ何であれです、基本的には真っ暗闇なんです。真っ暗闇のところから新しい武力行使という白いものを抜き取るためには、その武力行使がどうしても必要だという政策の必要性ですね、さっき申し上げた、死んでしまう日本国民がいるということ。  もう一つは、その日本国民を救うためにこの集団的自衛権行使以外に手段がないということが確認されていないといけないんですね。それをしないんだったら、あらゆる法規範は骨抜きになります。刑法によって、人殺しはしてはいけないという条文がちゃんと書いています。ただ、ある例外的な場合には、いわゆる物理的な行為として殺人の行為であっても違法性が阻却される場合があるわけですけれども、それは、それぞれのやっぱりそうした合理的な、論理的な理由があるわけでございます。あるいは、逆のケースもございます。これは最高裁の判決もございます。  基本的に、私たち人間、国民は自由なんです。自由な人間、国民権利を制限するためには、この立法事実が必要なんです。最高裁昭和五十年の薬事法の違憲判決というので、この立法事実がないことを理由に、違憲無効で実は切って捨てられております。それは、薬局の営業の自由を、合理的な根拠、あと目的の必要性もなく、議員立法だったんですけど、やってしまったので、違憲無効というふうになっているんですね。  つまり、横畠長官に伺いますけれども、吉國長官は、よろしいですか、昭和四十七年の政府見解を作った段階において、我が国武力攻撃を受けない局面では日本国民生命根底から覆されることはない。つまり、今私が御説明しました目的の必要性ですね、そういう日本国民はいないというふうに言っていたんですね。かつ、この吉國長官のその議事録も資料で付けさせていただいて、昨日、私、本会議でも皆様に御紹介申し上げましたけれども、日本が武力攻撃を受けない局面では日本国民生命などは根底から覆されることはない、よって、我が国は、自衛の措置は憲法上一切できないというふうに答弁をされているんですね。  横畠長官に伺います。吉國長官は明確に、昭和四十七年政府見解を作った当時に、我が国武力攻撃を受けていない局面では日本国民生命などは根底から覆されることはないというふうに答弁で言っているし、横畠長官もその吉國長官の事実の認識を認めています。  にもかかわらず、吉國長官はなぜ、一切の実力の行使を禁止しているかのように見えるという憲法九条の下において、国際法上、武力行使に当たる、国際法上、集団的自衛権行使に当たる新しい武力行使を認めることができるんでしょうか。それは、最高裁も認めているところのこの立法事実という考え方、あるいは、これもう全てですよ、条例や、また最高裁は規制立法だとかといってごまかすのは駄目ですよ。新しい法規範を作るときには、そういう社会的な事実とか立法事実は必要なわけですから。そういう立法事実なくして、吉國長官はなぜ昭和四十七年見解当時に新しい武力行使を認めることができるんでしょうか。そんなことを認めたら、我が国は法治国家ではなくなってしまうのではないんでしょうか。明確に答弁をください。
  61. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 吉國内閣法制局長官が当時、限定的な集団的自衛権行使を認めたというお尋ねの趣旨が理解できません。
  62. 片山さつき

    委員長片山さつき君) いずれにしても、お時間がもう過ぎておりますが。
  63. 小西洋之

    小西洋之君 あっ、済みません。じゃ、もう終わらせていただきます。済みませんでした。
  64. 小野次郎

    ○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。  私も法制局長官にまずお伺いしますが、政府は、昭和三十四年の最高裁判決や昭和四十七年の政府見解と対比して、憲法解釈の基本的論理の枠内だと繰り返し述べておられますけれども、私は、変更が見られていないのは、要するに自衛権行使の目的の部分に関して断絶していないということにすぎないんじゃないかと思っています。つまり、他国を防衛するための武力行使ではなくて、あくまでも我が国防衛するため、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置にとどまるという点だけではないかと思います。  憲法九条は、我が国に対する武力攻撃、若しくは我が国に向けた直接の軍事的脅威に対してでなければ、自衛隊による自衛権行使武力行使を認めていないんではないでしょうか。
  65. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 今般の新三要件の下で認められる武力行使でございますけれども、そのうち、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したということ、これは一般的な国際法上の集団的自衛権要件でございますけれども、新三要件は、これに限らず、さらに、これによって我が国の存立が脅かされ、国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があるということを要件として付け加えております。  すなわち、この要件を満たす場合といたしましては、やはり他国の武力行使武力攻撃というものがまず前提としてございまして、それによるまさに我が国に対する深刻、重大な影響ということでございまして、単に国際紛争の影響によって、国民生活や国家経済に打撃が与えられることであるとか生活物資が不足するということのみをもって今回の立法に言う存立危機事態に当たるということではございません。
  66. 小野次郎

    ○小野次郎君 私がお尋ねしているのは、政府が言っている、その基本的論理の枠内と言っているのは、何が枠内かといえば、自衛権行使の目的、つまり、あくまでも我が国防衛するためのものであって、他国を防衛するためのものではないんだと、かつ必要最小限度の自衛の措置だという点に尽きるのではないかということなんです。  つまり、侵害に対する手段の相応性、つまり、我々が取る手段というのは自衛隊による武力行使ですから、それに見合ったものに対してでなければそもそも自衛権行使というのはあり得ないと思うし、手段の対称性というんですかね、食い違っているものに対して自衛隊による武力行使を行ってもそれは対称的なものと言えませんから、そういった手段の相応性とか手段の対称性というのは、当然の法理として全てのこの政府見解なり最高裁判決の中で流れているんじゃないかと。  つまり、例えば極度の経済制裁だとかサイバー攻撃に対して、自衛隊が今現在持っている武力行使によって対応するなんということは当然想定されていないと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  67. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御指摘のとおりでございまして、自衛権といいますのは、武力攻撃に今対抗いたしまして武力行使すると、そういう場合の考え方でございます。
  68. 小野次郎

    ○小野次郎君 ですから、我が国に向けた武力攻撃、若しくは軍事的な脅威に対してでなければ、我々は武器を持って立ち上がるということは憲法は許していないんじゃないかと申し上げているんですけど。
  69. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 軍事的脅威ということで何を観念されているか、政府で用いている用語ではございませんが、この新三要件で示されているように、集団的自衛権部分について申し上げれば、密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があると、そういう状況であることが前提でございます。
  70. 小野次郎

    ○小野次郎君 存立が脅かされ以下の部分は幾ら限定されても、その結果というのは、極端な話、極度の経済制裁によっても我が国は同じ事態に陥るじゃありませんか。だから、そういうときに対して、どうして自衛隊武力行使するということが許されるのか、憲法九条はそんなことは許していないんじゃないかと私は思うんですけど。
  71. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) ですから、その武力攻撃によってという大前提がございます。
  72. 小野次郎

    ○小野次郎君 その部分憲法学者からも合憲性は認められないと言われている点だと思いますので、私は今日はその辺でとどめておきます。  二つ目に、集団的自衛権の合理的根拠というのは、私の理解では、他国に対する武力攻撃の影響が、我が国に対する武力攻撃事態等と同視できる場合があるということに尽きるんじゃないかと思います。  同視できる場合があるという論理から突き詰めていけば、将来、今回の法案ではありませんけど、将来ですよ、現在の切迫事態、予測事態に相応するものとして、他国への攻撃の未然段階について、他国事態切迫事態や他国事態予測事態のように、自衛隊防衛出動を行う仕組みを切迫や予測の段階まで順次、法改正によって拡大していくことも憲法は許しているとお考えになるのか、認識をお伺いしたいと思います。
  73. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まず、事実といたしまして、存立危機事態というものは、他国に対する武力攻撃が発生したことによって直ちにその認定ができるわけでございませんで、その推移とか影響とか様々な要素を勘案して認定する必要がございます。  御指摘の、他国事態切迫事態であるとか他国事態予測事態ということでございますけれども、その場合に、その段階において、事実上、我が国に対するどんな影響があるのかということを定型的あるいは個別的にでも予測するというのはなかなか難しいことである、これは事実上、事実問題です。  あと、法的な問題といたしましては、まだ他国に対する武力攻撃が発生していないわけですから、その段階で我が国武力行使をするということは、これは国際法上不可能でございまして、そのようなことで、我が国武力行使をするという局面で将来拡大するということはないと思います。
  74. 小野次郎

    ○小野次郎君 先ほど、問い一のときは、他国に対する武力攻撃が自国に対する武力攻撃と相応するものだと。だから、私の一番目の問いに対しては可能なんだとおっしゃっていながら、問い二になって、今度、改めて、じゃ、同視できるんだったら、他国に対する攻撃の未然段階において、例えば自衛隊は現地まで来ていてください、もう間もなく、あしたにも攻撃始まりますからというときに対して自衛隊は動くべきじゃないかと、そうでなければ、切迫事態の招来をそのまま座して待つことになりますからね。それでいいのかということになるから、それを憲法も許しているのかということをお尋ねしているんです。
  75. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 先ほどお答えした趣旨は、自衛隊武力行使をすることは不可能であろうということを申し上げたわけでございまして、今般の重要影響事態法、これまでも周辺事態もそうかもしれませんけれども、そういう我が国の平和安全に重要な影響を与える事態において自衛隊が何らかの活動をするという、そういう仕組みは当然考えられるところでございます。
  76. 小野次郎

    ○小野次郎君 考えられないというのは、憲法上も許されないということですね。
  77. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 武力行使は許されないとお答えして、重要影響事態等の法律に基づいて、その前の段階で自衛隊が一定の活動をするということは許されるとお答えしたところでございます。
  78. 小野次郎

    ○小野次郎君 重ねて確認しますけれども、そうすると、他国事態について切迫事態だとか、他国事態について予測事態というような規定を新たに設けて、防衛出動あるいは防衛出動待機出動みたいな形の規定を設けることは憲法上も許されないという理解でよろしいですか。
  79. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 武力行使をすることは許されないとお答えしております。
  80. 小野次郎

    ○小野次郎君 防衛待機出動、防衛出動、予測事態のときはもちろん、切迫事態もそうですけれども、実際にドンパチはしないわけですよね。そういう規定なら作ってもいいという意味ですか。
  81. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 今回の自衛隊法改正の中においても、いわゆる存立危機事態において防衛出動が予測される場合について、予備自衛官を、あるいは自衛官を招集したりというような、そういう規定は整備しようとしているところと理解しています。
  82. 小野次郎

    ○小野次郎君 ちょっと意味が分からないんですけど、もう一遍説明してくれますか。(発言する者あり)
  83. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 大臣でよろしいですか。  では、再度、中谷防衛大臣
  84. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 防衛出動に関しましては、現在、直接的な武力攻撃に対しまして、防衛出動におきましては、まだ発生していない段階から防衛出動はできます。これは国会の許可をいただいてからでありますが、実際に武力行使が可能になるのは武力攻撃が発生をしてからでありまして、今回、存立事態におきましても、密接な関係にある他国に対して武力攻撃が発生をした後ということで、武力攻撃が発生しなければ武力行使はできないということでございます。
  85. 小野次郎

    ○小野次郎君 ですから、何度も聞いているとおり、今までの現行法と同じように、ドンパチはしないけれども防衛出動を掛けるような事態が、この他国事態についても法改正すればできるのか、憲法上許されるのかということを防衛大臣ではなくて長官の方に伺っているわけです。
  86. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 武力行使を行わないという前提での準備活動ということは、これは憲法上可能でございます。
  87. 小野次郎

    ○小野次郎君 大変重要な発言をいただいたと思います。  つまり、防衛出動そのものとか、今の防衛出動待機出動というんですかね、予測事態に対する対応みたいなものは、この存立危機に至る他国事態についても法改正さえすれば設けることはできるということですね。
  88. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 対長官でよろしいですか。
  89. 小野次郎

    ○小野次郎君 はい。
  90. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 憲法上、論理的にはそういうことになります。
  91. 小野次郎

    ○小野次郎君 ますます際限ない拡大の余地が示されたように思います。  他国事態の予測事態とか他国事態の切迫事態で、ドンパチはしないけれども現在の防衛出動みたいなものを掛けられるようになる、それが憲法上許されるという発言は、これまた我々今後しっかりと追及していかなければ、全く、何というか、限定的ですと言っているけど、限定なんかされていないじゃないですか。オマーンならオマーンに自衛隊が行っちゃうことがあるわけでしょう、防衛出動で。ただ、ドンパチはしませんという状態で、法改正すればできるようになるということですから、これは長官、本当にそういう答弁でよろしいんですか、もう一遍確認しますけど。
  92. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 防衛出動が下令できるとまで申し上げたつもりは全くございませんで、今回の重要影響事態対処みたいなそういう形での活動と、つまり、武力行使を行わない、他国の武力行使と一体化しない、そういう活動を行うということはできるのではないかということを申し上げたわけでございます。
  93. 小野次郎

    ○小野次郎君 長官答弁ごまかしちゃ駄目ですよ。さっき言ったじゃないですか。実際の武力行使をしないものであれば可能だとおっしゃったのは、私、何遍も例示挙げているとおり、現在の防衛出動の下令は、実際に武力行使するのではなくて、武力行使の準備をして防衛出動を命じるということをいっているんで、それが可能かと言ったら可能ですとあなた言ったじゃないですか、一度。重要影響事態の話を私は一度もしていませんよ。
  94. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 自衛隊法の七十七条というのがございまして、現行法でございますけれども、防衛出動待機命令という制度がございます。これは、防衛大臣は、事態が切迫し、前条、つまり七十六条でございますけれども、前条第一項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対して出動待機命令を発することができるという規定がございます。その前条といいますのが七十六条で防衛出動の規定でございます。  現在は、まさに我が国に対する武力攻撃が発生した場合と切迫している場合についてその防衛出動が下令されるわけでございますけれども、この改正法におきましては、他国に対する武力攻撃が発生し云々かんぬんという存立危機事態においてもこの防衛出動の下令があるということでございますので、それを前提とした防衛出動待機命令というのはあるということでございます。
  95. 小野次郎

    ○小野次郎君 ちょっと意味がよく分からないんですけど、政府参考人でも結構ですが、そうすると、今度の法改正によって、存立危機事態になる、他国に対する武力攻撃があってということですけれども、その事態についても、切迫事態による防衛出動とか予測事態による待機命令とかあるということですね。
  96. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 先ほど長官がお答えしたように、そのような仕組みを設けることにつきましては、憲法上、直ちに許されるものではないと考えますが、そもそも他国に対する武力攻撃がまだ発生していない段階において、その発生の切迫性等をどのように判断するのか、また、そもそも何のために自衛隊がそのような行動を取る必要があるのかなど、検討すべき問題も多々あるわけでございまして、今回はそのような措置を法律に盛り込んでいるわけではございません。(発言する者あり)
  97. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  98. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を起こしてください。  中谷防衛大臣の再答弁、追加を認めます。
  99. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) もう一度答弁をし直します。申し訳ございません。  そのような仕組みを設けることが、憲法上、直ちに許されないものではないと考えられますが、そもそも他国に対する武力攻撃がまだ発生していない段階におきまして、その発生の切迫性等をどのように判断するのか、また、そもそも何のために自衛隊がそのような行動を取る必要性があるのかなど、検討すべき課題が多々あるものと考えております。
  100. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、今かかっている法改正案には入っていないですよね。
  101. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 今回の法律には入っておりません。
  102. 小野次郎

    ○小野次郎君 その点が、長官の方から、しかし憲法上は可能だという答弁いただきましたので、これは厳しくこれから追及していかなきゃいけないと私は思います。  時間の関係で次の問いに移りますが、海外での同一事態について、自衛隊武力行使と後方支援を並行して同時に実施している場合には、もはや当該武力行使に包含される活動と見るべきなのか、若しくは武力行使と一体化そのものじゃないかと思うんですが、法制局長官、いかがですか。
  103. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) いわゆる他国の武力行使との一体化の考え方でございますけれども、まず前提といたしまして、我が国憲法第九条により武力行使を行うことが許されない場合でありまして、その場合において、自衛隊武力行使を行う他国の軍隊に対して補給、輸送等の支援を行うということは、それ自体は直接武力行使を行う活動ではありませんが、他の者が行う武力行使への関与の密接性等から、我が国武力行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るとするものでありまして、そのような武力行使と評価される活動を我が国が行うことは、やはり憲法九条により許されないという考え方でございまして、我が国自身が武力行使を行うことが可能な場合におきましては、同じ範囲の活動を行っている他国の軍隊の武力行使と一体化することが憲法上の問題にはならないということでございます。
  104. 小野次郎

    ○小野次郎君 もう最後の問いにしますけれども、法制局長官、それ伺いますと、そうすると、我が国武力行使を行うときには、当然のことのように、どこの条文に書いてなくても、補給だとかそういうことを他国に対してできる、これも含まれているという意味なのか、これが一つの小問でございます。  もう一つの小問は、特定の日時、場所において後方支援活動のみを行っていても、もう日本が武力行使することがあるんだという、同一事態について武力行使もしますよと言っているのであれば、敵対する相手国から見ればもはや武力行使とそもそも一体化していると評価されるんじゃないですか。  二つ、お願いします。
  105. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) いわゆる有事における他国軍隊に対する支援につきましては、現行法で言いますと、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律などの規定によって行うということになろうかと思います。  現に我が国武力行使をできる場合についてはその一体化の問題は生じないということでございますので、あえて言えば、戦闘現場での支援ということもこれは可能ということでございます。
  106. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 小野次郎君、そろそろ終了しております。
  107. 小野次郎

    ○小野次郎君 まとめに入りますけれども、具体的規定がなくても後方支援活動はできるという法制局長官答弁は、とても私は受け入れることができません。そしてまた、武力行使の現場においてはもう一体化しているというんだったら、そもそも武力行使との一体化論、論自体がもう今やこの法改正においては成り立たなくなったということを法制局長官自体がお認めになったと思いますので、このことは大変大きな問題だと私は思います。  以上を指摘して、私の質問を終わります。
  108. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  衆議院憲法審査会で参考人の憲法学者全員がこの安保関連法案は違憲だという発言をされまして、改めてこの法案が九条に反するものだということが浮き彫りになりました。政府は、弁明のために一昨日、新たな文書を出しましたけれども、従来の答弁を繰り返したものにすぎません。ただ、この文書では、閣議決定にもなかった砂川判決を持ち出しまして、限定的な集団的自衛権行使憲法下で許容されるんだと、こう主張しております。  しかし、この衆議院憲法審査会で違憲だという発言をした早稲田の長谷部教授自身が、昨年の日本記者クラブでの講演で、砂川判決について、素直に読めば個別的自衛権の話と分かる、判決から集団的自衛権行使が基礎付けられるとする学者は知る限りではいないと、こう言っているわけでありまして、その判決を持ち出して弁明をしても何の説得力もないと私は思います。  この砂川判決が個別的自衛権を論じたものだからこそ、以降の歴代政権や内閣法制局長官集団的自衛権行使は違憲だと繰り返してきたわけでありますけれども、こういう答弁が間違っていたと、こういうふうな認識でしょうか。防衛大臣、いかがでしょうか。
  109. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 新三要件というのは、安全保障環境の変化を踏まえて、これまでの政府見解の基本的な論理から導き出したものでありまして、砂川事件の判決を根拠としたものではございません。  歴代の政権は、そのときの安全保障環境の下で、外国武力攻撃によって国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆されるという急迫不正の事態に対処する場合とは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られ、集団的自衛権行使一般は認められないとしてまいりました。  新三要件においては、集団的自衛権行使を一部限定容認しましたが、集団的自衛権行使一般を認めるものではございません。したがって、歴代内閣の答弁が間違いであったという御指摘は当たらないと考えております。
  110. 井上哲士

    ○井上哲士君 もちろん間違いじゃないわけですよね。  皆さんがこの砂川判決を、先ほど根拠ではないと言われましたけれども、総理も外国でこのことを挙げているわけで、明らかに根拠としているわけですよ。そこが歴代の政権の答弁とも違うじゃないかということを申し上げているんですが。  これ、与党協議の座長代理を務めた公明党の北側副代表も、この判決は、自衛隊や米軍駐留が憲法違反ではないかが問われた時代の判決で、集団的自衛権行使を根拠付ける内容の判決ではありませんと、これ閣議決定前、昨年の四月の二十六日付けの公明新聞で語っておられます。  今回、これ文書に入れるのは、公明党についても了解を得て盛り込んだと、こういうことでしょうか、大臣
  111. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) そのとおりでございます。
  112. 井上哲士

    ○井上哲士君 閣議決定前には与党内でも理解が得られなかったものを持ち出さざるを得ないというところに、私はこの法案の道理のなさを改めて示していると思います。  そこで、法制局長官にお聞きしますが、政府は、この砂川判決を持ち出した上で、集団的自衛権行使容認の新三要件について、一九七二年の政府見解の基本的論理を維持していると、こう言われております。  しかし、この七二年見解をまとめた当時の吉國内閣法制局長官、朝から様々議論がありますけれども、この見解提出直前の九月十四日に答弁をしております。お手元に資料をお配りしておりますが、こういうふうに言っているんですね。  この国土が他国の武力によって侵されて国民が塗炭の苦しみにあえがなければならない、その直前の段階においては、自衛のために必要な行動は取れるんだというのが私どもの前々からの考え方でございます、その考えから申しまして、憲法が容認するものはその国土を守るための最小限度の行為だ、したがって、国土を守るというためには、集団的自衛の行動というふうなものは当然許しておるところではない、また、非常に緊密な関係にありましても、その他国が侵されている状態は我が国国民が苦しんでいるというところまでは行かない、その非常に緊密な関係に、仮にある国があるといたしましても、その国の侵略が行われて、さらに我が国が侵されようという段階になって侵略が発生いたしましたならば、やむを得ず自衛の行動を取るということが憲法の容認するぎりぎりのところだと説明をいたしておるわけでございますと、こう述べていらっしゃるわけですね。  ですから、先ほど、七月の閣議決定以前は限定集団的自衛権という考え自身がなかったという答弁がありましたけれども、ここにありますように、非常に緊密な関係にあっても、その他国が侵されている状況は我が国国民が苦しんでいるところまでは行かないと明確に言っているわけでありますから、むしろそのような、他国が攻められているから日本の存立が脅かされると、そういうことはないと、概念がなかったんじゃなくて明確に否定をしているということなんじゃないですか。
  113. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まさにその部分が、これまで御説明しているその事実認識を改める前の事実認識を述べている部分であると思っております。
  114. 井上哲士

    ○井上哲士君 事実認識ではないんですよ。現に非常に緊密な関係にあっても、その他国が侵されている状況というのは我が国国民が苦しんでいるところまでは行かないと。つまり、直接の侵略がなければ武力行使にならないんだと、こういう考え方、事実とともに考えを示しているんじゃないですか。
  115. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) ですから、ここで示されている事実認識といたしましては、我が国に対する武力攻撃の発生がなければ、それは、他国に対する武力攻撃の段階におきましては、国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆されるという急迫不正の事態はあり得ないという、その事実認識を述べているわけでございまして、それが今回改める前の事実認識でございます。その部分の事実認識を改めたということをるる御説明させていただいております。
  116. 井上哲士

    ○井上哲士君 じゃ、確認しますけれども、この当時は、他国が侵害をされたことによって日本の国民の存立を脅かすような事態はあり得ない、こういう考えにあったと、こういうことでよろしいですね。
  117. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まさに、当時におきましては、我が国に対する武力攻撃が発生するまでは国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆されるという急迫不正の事態には当たることはないのだという、その事実認識を述べていると理解しております。
  118. 井上哲士

    ○井上哲士君 私はこれ、単なる事実認識じゃなくて基本的な論理だと思いますが。  では、なぜ、当時はそう考えていたのに、今は他国に対する武力攻撃が日本の存立を脅かすことになると、こういうふうに変わったんですか。
  119. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) そこは法理というよりも、まさに事実認識の分野でございまして、私からお答えするのが適当かどうかはあれですけれども、政府で取りまとめたあの文書にございますとおり、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等により、我が国を取り巻く安全保障環境根本的に変容し、変化し続けている状況を踏まえれば、今後、他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様等によっては我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得るという、そういう事実認識に立ったということでございます。
  120. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、安全保障環境の変化ということが理由なわけでありますが、安全保障環境が変化をしたと政府が判断をすればこれまでの憲法解釈を百八十度変えられるということになれば、それこそ私は立憲主義そのものを覆すことになると思うんですね。  じゃ、政府が盛んに言うこの安全保障環境の変化というものの中身は一体何なのかと。湾岸戦争のときに、ペルシャ湾に機雷が敷設されたときに日本は掃海を求められたわけでありますが、憲法上できないとして、停戦合意後に、遺棄廃棄物だと、こういう理由を付けて掃海活動を行いました。しかし、今回、この憲法解釈の変更によって、ホルムズ海峡での機雷掃海も日本の存立を脅かすと、そういう認識があれば集団的自衛権行使も可能だと、こういうふうな位置付けにされました。  そこで、防衛大臣にお聞きしますけど、先ほど示したように、七二年の答弁では、他国が侵されている状況は我が国国民が苦しんでいるところまで行かないと、こうしていたのに、今や、そのホルムズ海峡での機雷掃海は日本の存立を脅かす事態になり得ると、こういうふうに判断を変えられるというような、その違いをもたらしたこの安全保障環境の変化というのは一体何なんでしょうか。
  121. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) それはグローバルなパワーバランスの変化でございます。また、大量破壊兵器という非常に射程の長いミサイルなどの性能、こういった配備の状況が非常に変化をしておりまして、そのような脅威によりまして、我が国を取り巻く安全保障環境根本的に変容をし、また変化をし続けているという状況を踏まえますと、脅威が世界のどの地域において発生しても我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る、そういった状況になっているということであります。そこで、ホルムズ海峡を擁する中東地域におきましても、ISILの勢力の拡大とか、大量破壊兵器の拡散の懸念、イエメン情勢の混乱など、近年、安全保障環境はますます厳しさを増してきてまいっております。  このような中東地域の安全保障環境の変化が直ちにホルムズ海峡の航行に悪影響を及ぼす危険があるというわけではございませんが、仮に、我が国が輸入する原油の約八割、天然ガスの約三割が通過するエネルギー安全保障の観点から極めて重要な輸送経路でありますホルムズ海峡に機雷が敷設された場合には、我が国に深刻なエネルギー危機が発生するおそれがございます。我が国には石油備蓄は約六か月ありますけれども、機雷が除去されなければ危険はなくならないという中で、ホルムズ海峡に機雷が敷設されたこと、あるいはエネルギー源の供給源が途絶されたことをもって新三要件に該当するわけではありませんが、新三要件を満たす場合にはホルムズ海峡における武力行使に該当する機雷の掃海を行うことが、必要性が出てくるということでございます。
  122. 井上哲士

    ○井上哲士君 それは、そういう事態が起きる可能性とか様々な、中東での様々な事態が起きる可能性というのが広がっていると、こういうことなんだと思うんですよ。  私が聞いたのは、かつてはそういう事態が起きても、それはあくまでも日本の国民の存立を脅かすまでに至らない、苦しみには至らないという認識だったのに、今度は同じ事態が起きてもそれが存立を脅かす事態になると、こう事実認識を変えるようなその安全保障環境の変化は何なんですかと、こういうことを聞いているんですよ。
  123. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 先ほど私が御説明をしたとおりでございますが、やはりその脅威というものが世界のどの地域に発生しても我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっているということを認識をしているわけでございます。
  124. 井上哲士

    ○井上哲士君 ですから、当時、湾岸戦争のときに、やはり同じようなことが起きたわけですね。そして、石油の輸入というものに困難が生じると。こういうことは同じような可能性があったわけですが、当時はそのことをもってして日本の存立が脅かされることではないと、こういう認識だったわけで、先ほどの七二年のときの法制局長官答弁にも示されました。  それが、同じような事態が起きても、今度はそれが存立を脅かされることになると認識を変えるような安全保障環境の変化は何なんですかということをお聞きしているんです。
  125. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 先ほど御説明をした内容に尽きるわけでございますが、石油に関しまして、やはり機雷が除去されなければこういった事態はなくならないわけでございまして、やはりこの存立事態に定義をしておりますけれども、そのままでは、すなわちその状況の下で対処をしなければ、国民我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況が生じるということでございます。
  126. 井上哲士

    ○井上哲士君 ですから、繰り返しますが、石油の輸入が途絶えると困難になるという状況は、当時も、今、一つの予想としていることも同じようなことが起きるのに、当時はそれは国民の存立を脅かすものではないと認識したのに、今度はそれがそうなると、こういう認識を変えるような安全保障環境の変化というのは、私、何も説明されていないと思いますよ。  例えば、中東の石油の依存度、湾岸戦争のとき、当時は中東からの輸入を、安定確保の取組を強めまして、依存度って七〇%台後半ぐらいでした。今、大体中東の依存度は、エネルギー消費が増えて、約九〇%であります。確かに依存度は一〇%強上がりました。しかし、それで機雷封鎖が日本の存立危機事態に至るような変化と言えるのか。逆に、石油備蓄は当時百四十二日でしたけれども、今ありましたように、現在は百九十九日ということに達しているわけですね。  ですから、まさに石油の輸出に困難が生じるという同じような事態が起きたのに、当時はそれは日本の存立を脅かす事態とは認められないのに、これからは認めるようになるというのは、安全保障環境の変化で説明が付かないんじゃないですかということを申し上げているんです。
  127. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) あの事態は、各国等が機雷を除去したということで、そういう事態にはならなかったわけでありますが、例えば敷設された機雷の除去に関しまして、この掃海がいかに困難な作業であるのか。例えば、湾岸戦争の際にペルシャ湾に敷設された事例を見ますと、当時はホルムズ海峡の封鎖に至っておらず、かつ停戦合意の結果、敷設した機雷から、イラクから機雷の位置情報が示されていましたが、それでもピーク時で約三十隻もの掃海艇が約七か月掛けて掃海作業を行い、ようやく航行の安全を確保できました。  このように、機雷の掃海によって民間船舶の航行の安全を確保するには相当の時間を要します。また、一たび海中に敷設された機雷は数年から数十年の間に船舶に脅威を及ぼすものでございまして、我が国につきまして、この機雷の除去に対する国民生活に対する影響、またそれが国民の死活的な影響に発展をして、国民の生死に関わるような深刻、重大な事態が生じるかということにつきまして、こういった長引いた場合は、そのような状態になり得る可能性ということを念頭に考えている次第でございます。
  128. 井上哲士

    ○井上哲士君 当時の掃海の様々な困難さをおっしゃいました。しかし、そういうことであっても、当時はそれが我が国国民が苦しんでいるところまでは行かないと、これが先ほどの法制局長官答弁だった、そういう認識だったわけですよ。同じような石油の輸入に困難が生じても、当時はそういう認識だったのに、今後はそれが存立そのものを脅かすような事態になると。これは、安全保障環境の変化では説明付かないじゃないですか。今言われたのは安全保障環境の変化とは違う話じゃないですか。
  129. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 非常に国際情勢が変化をしたということは先ほど申し上げましたけれども、やはり脅威が世界のどの地域において発生しても我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼしている状況、特にホルムズ海峡を中心とする中東地域におきましては、ISILの勢力の拡大、また大量破壊兵器の拡散の懸念、イエメン情勢の混乱など、近年、安全保障環境はますます厳しさを増しておりまして、こういったことで、我が国のエネルギーのもとであります石油の供給、これが滞ることによりまして、我が国国民の生死に関わるような深刻、重大な事態が生じるか否か、こういうことを評価をして、状況によってはこのホルムズ海峡で機雷敷設を契機として存立危機事態に該当する場合もあり得るというふうに考えております。
  130. 井上哲士

    ○井上哲士君 かつては、他国が侵略されている状況は我が国が苦しんでいることまで行かないと、国民が、という認識を今後は変えるという、認識を変えるに至る安全保障環境の変化というものは、私はまともに何も説明がなかったと思います。  この安全保障環境の変化という言葉だけでこれまでの政府答弁も全部覆して、憲法九条の解釈を百八十度変えると。これは、まさに長谷部教授が言われたように、法的安定性を大きく揺るがすものでありまして、こういう立憲主義に反し、憲法に違反するものだと、そのことを改めて指摘をいたしまして、質問を終わります。
  131. 大野元裕

    大野元裕君 ちょっと済みません。  委員会の取り進めに疑義がありましたので、理事会でちょっと協議をさせていただきたいんですが。
  132. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を止めてください。    〔午前十一時四十七分速記中止〕    〔午後零時五分速記開始〕
  133. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を起こしてください。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  134. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  この際、一言申し上げます。  午前中の小西委員質疑の際、小西委員質疑時間が午前十一時五分までであったところ、一分前の午前十一時四分の時点で、私より、時間がもう過ぎておりますとの発言を行いましたことにより、小西委員審議を御中断されました。  また、理事会におきます私の説明が二転したため、委員会の予定がずれ込みました。  小西委員始め委員各位に深くおわびを申し上げます。     ─────────────
  135. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  136. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば世の中明るく見えるということで、私事ですが、今週の初めに目の手術をしまして、おかげで世の中がもっと明るく見えるようになりました。一番困ったことは、女性がみんなきれいに見えるということです。その先続けるとちょっとまた委員会に引っかかりそうな話になりますのでやめますが。  一つは、今日出てくるときに、おい、しっかり質問してこいよと仲間が言ってくれました。意見という意味が、ちょっと取り違えて、違憲の方だったのかなと思って。そういうことで、今議論が熱闘しています。我々ももうちょっと勉強して、また本当に国のために頑張っていこうと思いますが。  ちょうど連休中にキルギスに行く途中にトルコに寄ったんですが、そのときに大統領選のうわさも出ておりましたが、今回、トルコの総選挙で、イスラム系与党のAKPが二〇〇二年に政権に就いて以来初めて過半数割れということが出ています。憲法改正による大統領権限の強化を目指していたAKP出身のエルドアン大統領にとっては大きな打撃だったのかなと。  トルコの総選挙では、全国平均総得票率が一〇%未満の政党は議席を得られないという法律がありますが、今回の選挙で初めて公認候補を立てた少数民族クルド系政党HDPが得票率一三・一%で七十九議席を確保したそうです。国民がAKPの一党独裁を許さないという意思決定をしたのだと思います。  何事においても乱暴なかじ取りは敬遠されると思いますが、今回の安倍政権も性急に物事を進めようとするように見えて仕方ありません。時間を掛けてじっくり協議を進めていけば、国民が納得できるような点が多々あると思います。  今回のトルコの選挙の結果を、日本政府、どのように分析し、どのように捉えているか、お聞かせください。
  137. 城内実

    ○副大臣(城内実君) お答えいたします。  六月七日に実施されましたトルコにおけます総選挙では、アントニオ猪木先生御指摘のとおり、与党公正発展党AKPが公示前の三百十二議席から二百五十八議席と大幅に議席数を減らし、過半数割れという結果となりました。  その直接の原因は、クルド系左派の国民民主党HDPが今回の選挙で初めて政党として選挙に臨み、クルド系の有権者を始めとして多くの野党支持者の票を集め、HDPとして足切り基準である一〇%を超える得票率を獲得し、議席を確保したことにあるものと考えられます。  また、与党AKPが主張していた大統領権限の強化を含む憲法改正等に対する懸念のほか、経済成長が鈍化する中で、野党と比べて具体的な経済政策を欠いていたこと等が得票率を下げた要因との見方もあると伺っております。  いずれにしましても、政権与党AKPは依然として半数近い議席を有する第一党であることには変わりはありません。今後の動向を引き続き注視していきたいと考えております。
  138. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 この前も申し上げましたが、もう今ネットを引くと全部答えが出てしまうという。リングの上も戦いの結果が分かったんじゃつまらないなと、スポーツは。いろいろ御苦労があると思いますが。  次に、自衛官の心のケアということで、前にも質問させてもらいましたが、自衛隊員が五十六名、それも在職中に自殺をしているという話がありました。詳細を確認してみたところ、インド洋、十一年間で二十七人、イラクで十年間に二十九人とのことでしたが、この人数が多いか少ないか分かりませんが、もしこれが一般企業だったらどういうことになるでしょうか。  私が以前にも自衛隊の、先ほども言いましたが、心のケアについてお話をしましたが、今後、集団的自衛権行使をするかもしれない今だからこそ、再度、自衛隊員の心のケアについて考え直すときだと思います。多分、猪木塾に入ったらいいと思います。みんな気合を入れますから、ばあんと。  今後、隊員の心のケアについてどのように対策を取るか、お聞かせください。
  139. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) アントニオ委員から、隊員の心のケアにつきまして、その重要性の御指摘をいただきましてありがとうございます。  海外派遣の機会が増えることに伴う派遣隊員のメンタルヘルスに係る取組でございますけれども、海外派遣というのは過酷な環境の中での活動が想定をされまして、派遣隊員の精神的な負担は相当大きなものと考えられております。したがいまして、メンタルヘルスケアについて十分留意をすることが必要でございます。  この海外派遣に際しましては、ストレスへの対応、またストレスの軽減に必要な知識を付与するための措置を講ずるとともに、メンタルヘルスチェック、これを実施をしております。例えば、派遣前は、講習によってストレス対策、ストレスの軽減の知識の付与、メンタルヘルス、派遣中は、メンタルヘルスチェック、メンタルヘルス要員が個々の隊員の不安、悩みなどに、相談に対応いたしております。そして、帰国に際して、クールダウンと申しますけれども、帰国前の教育によるストレスの軽減、そしてクール後、これは臨時の健康診断、メンタルヘルスチェックなどを実施をしております。また、任務の特性に応じて、隊員のストレス緩和と解消のため、解除ミーティングとして、任務遂行後の体験やその際の感情を同じ現場で活動したグループ同士で話し合って共有をするなどの取組を実施をしております。  防衛省におきましては、このように派遣隊員を含む隊員のメンタルヘルスケアの機会の拡充などの施策を通じて、引き続きメンタルヘルスケアに万全を期してまいりたいと思っております。
  140. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 どの世界にもリスクのない世界はないという。総理の答弁にも、リスクが少ないと言われたんですかね、そのリスクをしっかり防衛省も隊員の皆さんに分かってもらって任務遂行してもらいたいと思いますが。  今回の防衛省のまとめによりますと、自殺した隊員のうち十四人が精神疾患だったとあります。このうち四人のみが公務災害と認められたそうですが、この四人を認定した理由、そして具体的にそのいきさつを教えていただきたいと思います。
  141. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 自殺は一般に様々な要因が複合的に影響し合って発生するものとされておりまして、自殺した隊員につきましても、例えば海外派遣との因果関係あるいは自殺の原因を特定することは困難な場合が多いというふうに認識しております。  ただ、その中でも、私ども、自殺防止の対策を立てる見地からその原因の推定等に努めているところでございまして、今御指摘ございました、テロ特措法等で活動に従事いたしまして、帰国後に在職中に自殺により亡くなられた隊員につきましては、自殺の原因が精神疾患等であると推定いたした者が十四名おります。  この五十六人、多いか少ないかという点につきましては、例えばイラク特措法に基づいて派遣された経歴のある派遣自衛官総数に対する、平成十七年度から平成二十六年度末までの十年間、この間に自殺した自衛官二十九人につきまして、一般的な自殺率の算出方法でございます十万人当たりの人数を一年間に換算いたしますと約三十三名となります。これに対しまして、同じ時期の自衛官全体の自殺率は平均が約三十四・七人ということとなっております。また、同じ時期の自衛官の大半を占める男性自衛官と一般成人男性との自殺率を比較いたしますと、男性自衛官の自殺率は平均約三十五・九名、それから一般成人男性は平均約四十・九名となっております。  公務災害につきましては、自殺は原則として公務上の災害とは認められておりませんが、業務に関連いたしまして過重な負荷を受けたために精神疾患を発症し、当該疾患に起因して自殺した場合には公務上の災害として認定を行っております。この自殺した隊員がこれまで経験した様々な業務の過重な負荷、これが総合的に影響いたしまして精神疾患を発症したと認められ、その後、当該疾病に起因して自殺に至ったと認められた四名の隊員につきまして、これまで公務上の災害と判断いたしているところでございます。
  142. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 昨日のニュースでしたか、ロシアの戦闘機がNATOの演習中に低空で上空を飛んだというニュースもありましたが、今後、いろんなことを想定した場合、自衛隊もその辺のことも把握しておく必要があるかなと思います。  三番目に、オリンピックについて質問させてもらいますが、二〇二〇年東京オリンピックに向けて工事が進んでいると連日テレビでも報道していますが、一部座席が仮設になる可能性、当初の計画と大きくずれが生じているという報道がされています。  IOCの理事会では既に八つの会場の見直しが、計画、了承されたと聞いていますが、バッハ会長、細かいことにこだわらず、もっと早く意思決定をしてほしいと。この辺の問題は、外国から見るとそういうふうに映るのかなと。今、日本の問題が本当に前へ進まないという。この前、予算委員会ですか、この道を行けばという、「道」を読ませてもらいましたが。さらに、バッハ会長は、招致段階の計画より二千百億円もの経費が削減できているということは評価しております。オリンピック招致に名のりを上げたからには、国として恥ずかしくないよう、万全の体制で迎えられるよう、私も願っています。  さて、東京も心配ですが、来年のリオのオリンピックも現段階で大変不安なニュースが続いています。  リオのオリンピック、施工進捗、二〇二〇年東京オリンピックの進行状況について詳しく教えてください。
  143. 久保公人

    政府参考人(久保公人君) オリンピック・パラリンピック競技大会の準備状況でございます。  まず、来年の二〇一六年リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック競技大会の準備につきましては、IOCの評価や指導を受けながら、現在、リオデジャネイロ大会組織委員会の責任において実施されてきているところでございます。文部科学省としては、準備状況の詳細については承知していないことをお許しいただければと思います。  他方で、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の競技会場につきましては、二月のIOC理事会におきまして十八競技について了承されました。そして、今週六月八日のIOC理事会において残りの十競技のうち八競技について了承されたところでございまして、これによりまして、二競技を除く二十六競技の競技会場が決定されたところでございます。一連の見直しによりまして合計で約十七億ドル、約二千百億円の投資軽減につながったとのことでございまして、これは昨年十二月に採択されましたオリンピックアジェンダ二〇二〇の趣旨に合致するものであるとIOCからも高い評価をいただいたと聞いております。  主会場となります国立競技場の整備につきましては、ラグビーワールドカップ大会に間に合わせるため、二〇一九年春の竣工を必須として、現在、事業主体の日本スポーツ振興センターが設計者側と実施設計の最終調整を進めておりまして、本年十月から建設工事を開始する予定でございます。  文部科学省といたしましても、引き続き、大会組織委員会を始めとする関係機関と連携しながら、大会の成功に向けてオールジャパン体制でしっかりと準備してまいりたいと考えております。
  144. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、総理が先日、G7サミットに参加されました。今回、総理は、二〇三〇年までに温室効果ガスの排出を二〇一三年度に比べ二六%削減と表明されていましたが、民主党時代も鳩山総理が、二〇二〇年までに二五%、二〇五〇年までには八〇%削減という目標を掲げていたことを記憶しています。いずれにせよ、地球環境を守るためには崇高な目標だと思いますが、国際会議で明言した数字は日本の信用問題にもなります。是が非でもこれを実現できるように頑張っていただきたいと思います。  私も、サンゴに対してもう何回かお話もしましたが、サンゴの増殖をずっとパラオで手掛けてきておりますが、本当に世界を回っていくと、単なる工場排水もそうですが、自動車、まあ大分改良されてきたには違いませんが、まだまだ東南アジアや何かは皆さんがバイクをマスクをして走っている姿を見ますが。  今回、二六%削減という発言の根拠、また、これまでの取組、どれだけ温室効果ガスが削減されたかを併せてお聞かせください。
  145. 岸田文雄

    ○国務大臣岸田文雄君) G7サミットにおいて安倍総理が発言しました我が国の温室効果ガスの二〇三〇年削減目標については、二〇一三年度比で二六%減、そして二〇〇五年度比で二五・四%減とする政府原案を先日取りまとめたところです。  そして、根拠について御質問がありました。これは、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題など、これ十分に考慮した裏付けのある対策、施策あるいは技術の積み上げによる実現可能な削減目標だと認識をしています。具体的には、徹底した省エネや再エネの最大限の導入、フロン類対策あるいは吸収源対策により当該目標の達成を図る、このようにしているところです。  そして、取組の成果について御質問をいただきましたが、我が国のこの排出削減の取組については、京都議定書第一約束期間である二〇〇八年度から二〇一二年度の五か年平均において一九九〇年度比六%削減の義務を負っておりました。政府としましては、京都議定書目標達成計画を策定し、あらゆる分野での温室効果ガスの削減に取り組んでまいりました。その結果、総排出量に森林等吸収源及び京都メカニズムクレジット、こうしたものを加味いたしますと、五か年平均で一九九〇年度比八・四%減となります。このように京都議定書の目標を達成した次第であります。  我が国としましては、今後とも、世界全体の温室効果ガスの排出量削減に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  146. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 毎日報道されていますが、中国の海洋進出ですが、もう本当に中国のニュースが出ない日がないというくらい毎日、新聞をにぎわせておりますが。特にその中で、中国の海洋進出、岩礁埋立てということが、なかなか我々も写真や報道だけでしか見ておりませんが、これもあわせて、一回現地を見たいなとは思っています。  日本政府として今やるべき具体的な対策は何なのか、その辺について分かりやすく教えてください。
  147. 城内実

    ○副大臣(城内実君) お答えいたします。  中国は近年、南シナ海の南沙諸島におきまして大規模な埋立てを急速に進めております。我が国は、南シナ海の状況を注視するとともに、大規模な埋立てや軍事目的での利用を含め、現状を変更し緊張を高めるあらゆる一方的な行動を懸念しております。  各国が、緊張を高める一方的な行動を慎み、法の支配の原則に基づき行動することが重要であることは言うまでもありません。こうした問題意識から、先日のG7エルマウ・サミットの際に東アジア情勢について意見交換する中で、安倍総理から、南シナ海において緊張を高める動きがあることについて、一方的な現状変更の試みを放置してはならない旨訴えたところであります。また、こうした認識は、今次サミットで発出されました首脳宣言にも反映される結果となりました。  いずれにしましても、我が国としては、昨年のシャングリラ・ダイアローグで安倍総理が打ち出しました海における法の支配の三原則が貫徹されますよう、引き続き米国やその他の同志国と緊密に連携してまいります。  また、これまで、フィリピンやベトナムなど南シナ海周辺の国々に対する能力構築支援、いわゆるキャパシティービルディングでありますが、また米海軍との共同訓練を行うなど、地域の安定に資する活動に積極的に取り組んできており、今後ともこうした動きを継続していく次第であります。
  148. 片山さつき

    委員長片山さつき君) アントニオ猪木君、お時間が過ぎております。
  149. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 プロレスの試合だと、あと何分経過というのが分かるんですけどね。  これで質問を終わります。ありがとうございます。
  150. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。  本日は、特に中国と環境問題をどういう形で取り組むのかということについて、外務大臣もそうですけれども、農水や環境省の方からも御説明をいただければと思います。  先月、私、中国へ行ってまいりまして、ちょうど自民党の二階総務会長が三千人を引き連れて行かれたときでございました。同じ時期に中国の環境保護省の方々と意見交換をし、やはり今、中国の習近平政権にとって最大の悩みの種は環境問題。大気汚染、土壌汚染、そしてまた水の汚染、これが中国人の生命、健康ということに大きな影響を及ぼしていると。もちろん、中国からのPM二・五、黄砂、酸性降下物、日本にも押し寄せてきていますよね。そういった意味では、一衣帯水の関係というのは、やっぱりこの中国の大本の環境問題を何とか克服しないことには、中国の人々の健康はもちろん、我々日本人の健康も大きく影響を受けるわけですよね。  その中で、中国側がやっぱり、日本の持っている環境関連技術、また水の浄化ですとか土壌改良、そういった日本の技術について是非とも協力してほしいという申出がありました。もちろん、これまで日本がJICA等を通じて中国の土壌改良ですとか水質の改善に取り組んでいることは承知していますが、今、日本にとって中国とどういう形で向き合うかという外交的なことを考えた場合に、環境外交、あるいは環境技術を使った中国との関係改善ということがやはり大きな可能性を秘めていると思うので、まずその点について外務大臣のお考え、そして、具体的に中国がどのような技術を日本に求めていて、今現在、日中間の環境ですとかそういう分野における協力の実態がどうなっているのか、そういうことについて環境省と農水省の方からも説明をいただきたいと思います。
  151. 岸田文雄

    ○国務大臣岸田文雄君) まず日中関係我が国にとりまして最も大切な二国間関係の一つであり、戦略的互恵関係の基本的な考え方にのっとって、幅広い分野における協力、交流を推進していくことが重要だと認識をいたします。その中にあって、委員御指摘のように、中国に対する環境分野での協力、これは大変重要な分野であると認識をしておりますし、これまで日中環境保護合同委員会あるいは日中韓三か国環境大臣会合、また日中省エネルギー・環境総合フォーラム、こうした日中二国間ですとか多国間の枠組みを活用して様々な協力を進めてきた次第であります。  そして、環境問題は国境をまたぐ問題でありますので、中国の環境問題を解決するために協力すること、これは中国の在留邦人の健康ですとかあるいは安全の確保、また我が国の良好な環境の保全、これにも資する問題であると認識をしております。  こうした認識に立ちまして、我が国としては、引き続き我が国の経験、技術を活用し、中国側との環境協力、進めていきたいと考えます。そして、こうした協力を積み重ねることによって、日中関係全体の改善や発展にもつなげていきたいと、このように考えております。
  152. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) 環境省が行っております日中関係の環境協力について御説明を申し上げたいと思います。  日中の両国におきましては、環境分野におきまして、二国間、それと日中韓の三か国の枠組み等を通じまして大気汚染や水質汚濁防止等の観点で様々な協力を行っているところでございます。  実は、今年の四月の二十九、三十ということで、日中韓の環境大臣会合が上海にて行われております。この会議におきましては、実は三年ぶりに中国の環境保護部長、環境大臣に当たられる方も御出席いただきまして会議を開かれております。  日中間の二国間におきましては、大気汚染対策等につきまして、日中の様々な自治体同士、都市間同士の連携によります大気汚染対策の協力事業等について協力を更に深めていくといったような合意がされております。  また、日中韓の三か国の環境協力につきましては、本年から五か年間にわたる共同行動計画といったようなものにつきましても採択されているところでございます。その中では、大気汚染対策、あるいは海洋ごみ対策、そして地球温暖化対策といったようなことについても合意をしているところでございます。  環境省といたしましては、我が国がこれまで公害問題に取り組んできた経験と知見がございます。これは自治体にもあります。先生がおっしゃられるように優れた環境技術も持っておりますので、これらを生かしながら中国との環境協力を引き続き積極的に進めてまいりたいと、かように考えております。
  153. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 農林水産省、御答弁、よろしいですか。農林水産省も指名していましたけど、いいですか。
  154. 長谷部正道

    政府参考人長谷部正道君) 申し訳ございません。環境問題については御通告いただいてはいないので担当者が参っておりませんが、次の御質問で農水省……(発言する者あり)はい、申し訳ございません。
  155. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 いや、日本の農業技術に対する移転のこともありますので、農水省には、是非、そういうような土壌改良ですとか水質汚濁に対する日本の技術でどういう形で中国の農業に日本が協力しているのか、そういうことも質問するということを昨日お伝えしていたんですけれども。二つ目の質問に絡めて、じゃ答弁していただければ結構です。  日本の環境技術が進んでいるということは中国も世界も認識しているわけでありまして、問題は、そういった日本の技術が中国に移転したときに正当な対価が支払われるかどうかということを日本の環境技術を持っている企業はみんな心配しているわけですよね。日本の技術はすばらしいけれども、中国に行ったらいいところ取りされてしまって、知財が全くもって保護されないということでは、せっかくの環境技術協力が中国に一方的に利することになりかねません。  そういう点での政府としての取組、またその環境問題が、日中関係ということでいいますと、南シナ海の問題だって、岩礁の埋立てということは海洋の環境汚染ということにも大きく影響すると思うんですよね。ですから、そういう観点で、日本の環境外交、あるいは防衛省の言ってみれば対中国封じ込め対策という観点の環境技術というものを日本がもっと積極的に活用する可能性を是非追求していただきたいと思います。  二つ目は、質問は、先週、私、台湾に行っていまして、今、日台間で一番の問題が例のラベルの、食品の偽装問題なんですね。もう既に千五百件を超える日本産の食品が、要するに原産地が偽装して台湾で売られている。これは台湾の消費者にとっても大変大きな問題になっていますもので、台湾政府も今、日本との間で様々な協議を進めていると承知しています。  台湾側の説明では、台湾側は極めて柔軟にこの問題を対応しようと思っているんだけれども、日本の側が、台湾と国交がないがゆえに日本の法律がなかなか違反をしている企業に対して及ばないというようなことを理由付けて、この日本と台湾との間の交渉がなかなか進展しないんだというような言いがかりというか説明をしているんですけれども、実態はどうなっているのか。  日本側の窓口は外務省と承知しておりますので、この問題をどういう形で解決に向けて今かじ取りをしようとしているのか、外務大臣に、また、その問題は農水ということでもありますので、農水省の方からも現状について御説明をお願いしたいと思います。
  156. 岸田文雄

    ○国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘の台湾における日本産食品の産地偽装とされる問題につきましては、日台民間窓口機関であります公益財団法人交流協会と亜東関係協会の間で、日台の関係当局者もオブザーバーとして参加する形で事実関係の解明に向けた累次の協議が行われていると承知をしています。  日本側からは、日本産食品の海外への輸出に係る関係法令や制度及び国内関係事業者からの情報収集の結果等に基づく事実関係に関する説明を行い、そして、台湾側が産地偽装と主張する問題の事実関係を明確化するため、台湾の輸入申告書や包装ラベルの記載ルール等につき台湾側に説明を求めている、こうした状況について承知をしております。  そして、協議はまさに今日十一日から十二日にかけて台北で行われているところであり、協議を通じ、本事案の真相が明らかになり、台湾側が日本産食品に課している各種の規制が早急に解除されることを願っているところですが、そして、質問の中で、国交がないからして法律が及ばない、こういった指摘があるという御質問の中身がありました。この御指摘につきましては、恐らく日台間における捜査共助に関する質問であると理解をいたします。  我が国の台湾との関係に関する基本的立場は、日中共同声明に基づいて、非政府間の実務関係として維持するというものであり、我が国と台湾は外交関係を有していないわけです。ですので、我が国の法令上、外交関係を有しない国からの捜査共助要請に応じるのは困難である、これが我が国の立場であります。  以上のような点につきましては台湾側に対しまして累次説明をしてきているところであり、いずれにしましても、我が国としては、我が国の法令の範囲内で台湾側の調査に適切に協力していく考えで臨んでまいりたいと考えます。
  157. 長谷部正道

    政府参考人長谷部正道君) 済みません、質問取りの段階で行き違いがあったようで申し訳ございません。  まずは、先ほどの御質問に対しましては、農業に関します環境面での技術協力につきましては、先生御指摘のとおり、大変重要であると当省としても認識しておりまして、今後前向きに取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。  第二に、日本産食品の産地偽装の問題につきましては、ただいま外務大臣からも御説明がございましたように、事実関係の解明のための双方の民間窓口機関の間の非公式の協議に、農水省といたしましても、外務省、経産省等の関係省庁の職員とともに、専門的観点からオブザーバーとして参加して取り組んでいるところでございます。当方といたしましては、問題発覚後から、偽装の根拠と台湾側がしております台湾の輸入申告書だとか包装ラベルの記載ルール等について照会しているところでございますが、残念ながら台湾側から明確な十分な回答が得られていないような状況でございます。  いずれにしましても、産地偽装問題の解決につきましては、引き続き事実関係の解明に向けまして、交流協会を通じて、台湾側に対して早急に我が方からの質問に対し回答を行うように粘り強く求めてまいりたいと考えております。また同時に、経済産業省等関係省庁と連携しながら、国内関係事業者からの情報収集等について必要に応じ進めてまいりたいと考えているところでございます。
  158. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非、外交関係はないにしても、長い日本と台湾との経済交流あるいは文化交流の歴史があるわけですから、また、台湾から日本に来ている観光客の数はもう三百万人を超えています。このペースでいくと四百万人を突破する。中国よりたくさんの観光客が日本に来て日本経済をある意味では元気付けてくれているという側面もあるわけで、そういう観点で、日本産の食材が原産地偽装というようなマイナスイメージが浸透するということはとても日本にとっても台湾にとってもまずいと思いますので、できるだけ早くこの問題、双方が歩み寄って解決に向けて努力していただきたいと思います。  関連して、やっぱり日本と台湾というのは国交がないと外務大臣はおっしゃいました。国交がないけれども、民間の様々な姉妹都市、いろいろと盛んに展開していますよね。  それと、例えば動物園、アジアに三大動物園というのがありまして、上野動物園、シンガポール動物園、台北動物園、この三つの動物園ができれば姉妹動物園の提携を結んで、お互いの動物を交換したり、見せ方の工夫で、言ってみればアイデアを交換したいという台湾側が日本側に申出をしているんですが、実は、上野動物園とすれば別段、台湾動物園と協力関係を結ぶ、姉妹関係を結ぶということは前向きのようなんですが、外務省の方が国交がないということで、そういう動物園同士の姉妹動物園の協定なんかは難しいということを言われたんですね。  その辺り、もう少し日本としても柔軟に取り組んではどうかと思うんですが、外務大臣、お考えをお聞かせいただければ幸いです。
  159. 岸田文雄

    ○国務大臣岸田文雄君) お答えする前に、先ほどの答弁、ちょっと一部訂正をさせていただきます。  先ほど、我が国と台湾は外交関係を有していないと申し上げた後、我が国の法令上、外交関係を有しない国からの捜査共助要請に応ずるのは困難と申し上げたようですが、この部分我が国の法令上、外交関係を有しない相手からの捜査共助要請に応ずるのは困難、このようにちょっと訂正をさせていただければと思います。おわびを申し上げ、訂正いたします。  その上で、今の御質問にお答えさせていただきますが、先ほども申し上げましたが、我が国の台湾との関係に関する基本的立場、これは日中共同声明に基づき、非政府間の実務関係として維持する、このような関係に立っております。  ですので、御指摘の点について、私自身詳細は承知しておりませんが、こうした民間同士の活動において何らかの制約があるというようには考えておりません。具体的に現場においてどんなやり取りがあるのか、どんな制約があるのか、この辺はちょっと確認してからでないとお答えできないかと思いますが、基本的にはこうした民間同士の活動に関して何か公的な制約があるものではないと認識をするところであります。
  160. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 そういう外交関係がなくても、民間同士これだけたくさんの、お互いに、三百万、四百万人が毎年行き来しているわけですから、動物園ですとか国立公園ですとかいろんな、美術館、博物館のそういう姉妹関係というのは私はもっともっと加速されていいと思いますので、是非また具体的な点について御提案をさせていただきたいと思います。  最後に、中谷防衛大臣に、例の南シナ海の中国の岩礁の埋立ての問題に関連して、先般、フィリピンの大統領が来られたときに、訪問部隊協定ですよね、要するに、日本の自衛隊がフィリピンの基地を使ってそういう中国の動きを監視をしたり、場合によってはアメリカともオーストラリアともフィリピン軍とも協力して中国の動きを封じ込める、あるいはそういうデモンストレーションを行うということが合意されたという具合に理解しているんですが、またそういうニュアンスでフィリピンでも台湾でも、あるいは逆に反対する形で中国なんかは報道しているんです。  実態はどうなんでしょうか。日本の自衛隊は、これからフィリピンの軍事基地を使って中国の動きを監視をしたり、場合によっては共同の軍事演習をするという今方向に進んでいるんでしょうか、その点について確認させてください。
  161. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) まず、今先生御指摘になられました協定の関係でございますけれども、現在フィリピンとの間で課題になっております協定につきましては、これは、お互い災害対応等を行う際に、例えば自衛隊がフィリピンに行く、そういう際には、入域の様々な手続でありますとか、現地における活動でありますとか、そういったものを円滑にするという、そういう目的で現在話合いを進めているというものでございますので、今先生御指摘のような、そういう目的ということが我々の間で共有されているということでは必ずしもございません。
  162. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 中谷防衛大臣、そろそろお時間でございます。
  163. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 日比間の防衛協力につきましては、一般的な防衛協力を強化しようということで、一つはキャパシティービルディング、能力向上ということ、そして人材の交流、そして共同訓練というようなことでございまして、あくまでも一般的な防衛協力を重視をしていくということでございます。
  164. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 浜田和幸君、時間終了しております。
  165. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
  166. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  まず、ハワイにおけるオスプレイの墜落事故についてでありますが、五月の十九日、本委員会質問いたしましたハワイにおけるオスプレイの墜落事故について引き続きお伺いいたします。  同日の私の質問に対しまして岸田外務大臣は、米国政府から、MV22の設計に根本的な欠陥があるという理由はない、また、これまでにMV22の通常運用を停止させるべき理由はまだ発見されていないという連絡を受けていると答弁されております。  しかし、同日、米海兵隊のデービス航空副司令官は、この機体の信頼性や安全性についてためらいを感じるような点は一切見られないとしながら、訓練やオスプレイの展開を見直すことはあり得ると語ったことが報じられております。政府はこのデービス副司令官の発言を承知していらっしゃいますか、お伺いいたします。
  167. 冨田浩司

    政府参考人(冨田浩司君) お答えをいたします。  私どもといたしましても、先生今御指摘のあった報道は把握をしております。他方で、報じられておりますデービス副司令官の発言でございますけれども、これは懇談という形で行われたものだそうでございまして、正式な記者会見ではございませんので記録も存在してないようでございます。そのために、司令官の正確な発言の内容、真意等について私の方からお答えする立場にないということをまず御理解をいただきたいと思います。  その上で、オスプレイの通常の運用に関する米政府の立場でございますけれども、これは今先生の御質問の中にございました岸田大臣答弁の段階から変わっていない、具体的に申し上げますと、本件について引き続き調査中ではありますけれども、現状における判断として、MV22の設計に根本的な欠陥があると疑う理由はなく、また、これまでにMV22の通常運用を停止させるべき理由は発見されていないと、このような立場だというふうに承知をしております。
  168. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 実は、昨日ですが、日本記者クラブ沖縄取材班は、十日の午後に米軍の普天間飛行場を訪問して、同基地のピーター・リー司令官、それからクリストファー・ディマース航空安全担当官らを取材をしています。  これは、普天間飛行場に配備したMV22オスプレイが市街地上空をヘリモードで飛ばないと定めた日米合意について、ディマース氏は、その取決めを実際に書いていない者としては、安全に飛行するために定められた別の飛行基準に従って飛ぶと明言して、日米合意を遵守する必要はないとの認識を示しておりますけれども、このことについてはどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。  つまり、このディマース氏は、自ら示した飛行基準について、地元への影響を最小限にすることを踏まえて作られていると強調しておりますけれども、いかなるモードでも飛行できることが安全な飛行運用を可能にするとも述べておりまして、日米合意にあるヘリモードの禁止などの制約は加えるべきではないというふうにおっしゃっておりますけれども、この辺りはどのような状態になっているのでしょうか。
  169. 冨田浩司

    政府参考人(冨田浩司君) お答えいたします。  私どもといたしましても御指摘の報道は承知をしておりますけれども、実際、当該の担当官がどのように発言をいたしましたか必ずしも正確に把握しておりませんので、それ自体について現段階でコメントは差し控えたいと思います。必要に応じて、今後、発言の内容については確認をさせていただきたいと思います。  ただし、いずれにいたしましても、政府といたしましては、MV22オスプレイの訓練に当たりましては、これまでも米側に対して、二〇一二年九月の日米合同委員会合意を遵守して安全性を最大限確保するように申し入れてきているところでございます。米側においても、この合意を遵守するとともに、安全性を最大限確保する旨表明してきているところでございますので、こうした米側の立場については変化がないというふうに理解しているところでございます。
  170. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 改めて確認をしたいと思いますけれども、やはり日米合意を遵守して、きちんと飛行ルートに乗った形での訓練をやっていくということが最低基準だと思うんですけれども、今、日米合意による飛行運用ルール自体を否定をしているような発言をしているわけです。  改めてお伺いいたしますけれども、普天間基地ですが、米軍普天間飛行場のピーター・リー司令官、それからクリストファー・ディマース航空安全担当官、お二方の発言に関しての真意というのを是非確かめていただきたいと思います。  なぜかといいますと、先日ハワイで起きたオスプレイの事故というのも、いわゆる普天間所属と同型のオスプレイになっているわけで、このディマース氏は、オスプレイは海兵隊のあらゆる航空機の中でも最も安全な機種の一つだというふうに強調しているわけですけれども、残念ながらこういう事故を起こしているわけで、やはり事故は完全には避けられないというふうに話をしております。こういう無責任な発言をされておりまして、それでも安全に、とりわけ沖縄の普天間の上空あるいは沖縄県内の上空をこのような飛行機が、オスプレイが縦横無尽に飛ぶということはとても納得できるものではありませんので、改めてこのことに関してはまた後ほど質問させていただきたいと思います。この日米合意を遵守する必要がないというふうな発言の真意を是非確かめていただきたいと思います。  今回、事故が起こったハワイの住民は、何の前触れもなく突然落ちたというふうに証言しておりまして、先ほども申し上げましたけれども、オスプレイが本日でもやはり沖縄の空を飛行しているわけでありまして、住民にとって何の前触れもなく、突然落ちてくるかもしれないのが日常的に頭上を飛んでいるということはとんでもないことであります。事故が起こるたんびに、機体は安全であり、米国にとっても重要事案であり、真剣に調査し改善する必要があるというふうに政府説明されますけれども、やはりそういう状況の中でもオスプレイの事故が後を絶たないということを真摯に受け止めていただきたいと思います。  その上で、辺野古に対する質問でございますけれども、私、先日の訪米に際しまして、沖縄の民意が辺野古新基地建設反対であるということを繰り返し説明してまいりました。最近の県内の電話世論調査におきましても、これは五月三十日と三十一日、琉球新報社、沖縄テレビが二日間にわたって調査をしておりますけれど、八三%が県内移設に反対しております。七一%が辺野古での新基地作業に対する停止を求めているという結果が出ております。  これは、引き続き県民の圧倒的多数が辺野古移設に対しては反対を表明をしているということで、県民の民意というのがいささかもぶれていないというその結果でありますが、翁長知事は、第三者委員会での検討を踏まえて、適切な手続の下で埋立承認を取り消すことを明言していますが、これに対して、菅官房長官は、辺野古移設断念は普天間固定化容認であるとして、承認が取消しとなっても作業を継続する旨の発言を行っております。  こうした政府による民意を無視した姿勢は今に始まったことではありませんが、断じて容認することはできません。政府は、沖縄の民意を踏まえ、辺野古における作業を即刻中止し、普天間飛行場を県外、国外に移設することを求めて、次の質問をいたします。  沖縄防衛局による県の海底作業停止指示に対する不服申立てについてでありますが、現在、農水省では審査が行われておりますけど、五月二十八日、県側の不服申立て却下の弁明書に対して、同局は更に反論書を提出したと承知しております。  県は、そもそも国の機関である沖縄防衛局が同じ国の機関である農水省に審査を求めるのは誰が見ても公平性が疑問視されるとの主張をしており、私としてもそのとおりだというふうに考えております。このことは、最近十年間で国による不服申立てがいずれも却下又は取り下げたことからも明確であると考えますが、そこで、平成二十三年一月に、沖縄防衛局から申立てがあり却下された二件、同じ月、同局から審査請求があり却下された一件、平成二十四年六月に九州農政局から異議申立てがあり決定前に取り下げられた一件の事案について、防衛省と農水省からその経過をお伺いいたします。
  171. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。  沖縄防衛局から二件、平成二十三年一月に不服申立てを行っております。  一つ目の事案につきましては、辺野古ダム貯水池への立入りにつきまして、平成二十年度、二十一年度におきましては、沖縄防衛局長から名護市長に対する申請に対しまして許可を得ておりましたところ、平成二十二年度におきましては、普天間飛行場代替施設の建設を前提とした調査には協力できないといったことを理由として不許可とされました。こういうことから、処分庁たる名護市長に対しまして、沖縄防衛局長から異議申立てを行ったものでございます。  この異議申立てにつきましては、処分庁たる名護市長から、この立入り申請が公共財産ではない土地である辺野古ダム貯水池への立入りを求める司法上の要請にすぎないこと、また、沖縄防衛局長権利又は法律上の利益に影響を及ぼすものではない処分性の認められない行為の取消しを求めるものであるということを理由といたしまして却下された経緯がございます。  二つ目の事案でございますが、天然記念物であります大浦マングローブ林の現状変更について、平成二十年度、二十一年度におきましては、沖縄防衛局長から名護市教育委員会委員長に対して申請を行い、許可を得ておりましたところ、平成二十二年度におきましては、市の条例に規定いたします現状変更、これは市の指定文化財の管理者に限定されているため申請を受理できないという回答を受けましたことから、沖縄防衛局長が処分庁たる名護市教育委員会委員長に対しまして異議申立てを行ったものでございます。  この異議申立てにつきましては、処分庁たる名護市の教育委員会委員長から、沖縄防衛局長は市指定文化財の管理者ではなく、申請者としての適格を欠くこと、また沖縄防衛局長権利又は法律上の利益に影響を及ぼすものではない処分性の認められない行為の取消しを求めるものであることを理由として却下された経緯がございます。
  172. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 残り二つの農林水産省関係の案件について、その一つが水産庁の関係でございますので、まず私から答弁させていただきます。  本件につきましては、沖縄防衛局が辺野古漁港において生物調査を行うために、漁港管理者である名護市に対して漁港漁場整備法に基づいて協議を行ったところ、名護市長から不許可の回答があったというものでございます。  その際、この調査につきましては、平成二十二年の六月十五日に申請がされておりますけれども、翌年、平成二十三年の三月三十一日までの期間に調査を行うというふうになっておったものでございます。これにつきまして、一月三十日に私ども受理をしたわけでございますけれども、三月三十一日までにいろいろと結論を出すべく、弁明書を御提出いただいたり反論書を提出いただく、そういう作業を進めてまいりましたが、残念ながら三月十一日に東日本大震災が発災してしまいまして、その関係で手続が若干遅れてしまいまして、その結果、調査期間である三月三十一日を徒過してしまうという事態になったわけでございます。そういう状況でございまして、したがって、調査期間がもう徒過しておりますので、不服申立ての利益を欠く請求であるということで却下を申し上げたわけでございます。
  173. 室本隆司

    政府参考人(室本隆司君) お尋ねの四件のうちの最後の事案でございます。  平成二十四年の異議申立ての決定前に取り下げた案件でございますが、本件は、平成二十二年十二月の福岡高裁確定判決に基づく諫早湾干拓潮受け堤防排水門の開門義務の履行に必要な農業用水の代替水源対策に係る地下水調査を行うため、まずは平成二十三年十二月十五日、九州農政局長が雲仙市長に対しまして、雲仙市地下水採取の規制に関する条例に基づきまして井戸の設置の許可申請を行ったところ、平成二十四年四月二十三日でございますが、雲仙市長が不許可とする処分を行ったことから、同年六月二十一日、九州農政局長が雲仙市長に対しまして行政不服審査法に基づき異議申立てを行ったものでございます。  この異議申立てにつきましては、これに対する決定が行われる前に、農林水産省としまして、農業用水の代替水源を地下水から海水淡水化によることと、いわゆる方針変更を行いましたことから、平成二十五年二月二十六日にこの異議申立てを取り下げたという経緯がございます。
  174. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、沖縄県が求めている辺野古の代替施設建設に係る立入禁止区域における岩礁破砕確認調査のための米軍に対する立入り申請についてはどんな状況になっているのでしょうか。  申請から既に三か月以上も経過していますが、いまだに具体的な話がないと承知しております。県が辺野古の海底でサンゴ礁等の環境保全について調査することは何ら問題がないことであり、政府としても、立入調査の速やかな実現のために強く働きかけるべきではないかというふうに考えます。翁長知事も、区域内で意図的に何か細工がされているのではないかといら立ちを感じているとまで表明をしております。まさかそのようなことはないと思いますが、この点も含めて政府認識外務大臣に明らかにしていただきたいと思います。
  175. 岸田文雄

    ○国務大臣岸田文雄君) 三月十九日付けの沖縄県からの立入り申請につきましては、所要の手続にのっとり外務省から米側に申請しており、現在、米側において沖縄県の立入り申請の可否を引き続き検討中という状況でございます。  一九九六年の立入許可手続に基づけば、本件申請に対する具体的な回答期限があるわけではありませんが、外務省としましては、詳細なやり取りは控えますが、外務省から米側に申請する際に沖縄県の御要望、しかるべく米側にはしっかり伝えさせていただいているところであります。  現状は以上でございます。
  176. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 これだけ時間がたっても県の方の調査ができないというのであれば、せめてその立入りの調査ができるまで工事はストップしていただく、そのことを強く申し入れたいと思います。  次に、土砂搬入外来種混入についてお伺いしたいと思います。  あの美しい辺野古の海の埋立てにおける県外からの土砂の搬入について、これは外来種の混入のおそれがあり、それによる環境汚染の可能性について繰り返し警告してきたところですが、県民やあるいは県議会はもとより、土砂の採取が予想される全国各地からも不安や中止の声を私たちは伺っております。そうした状況にもかかわらず、政府はいまだに、土砂の採取地あるいは環境保全対策について何ら明らかにしておりません。  政府は、沖縄県外から約一千七百万立方メートルの土砂を調達することを表明していますが、ここで速やかに県外における土砂採取予定地を明らかにしていただきたいと思います。
  177. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 代替施設建設事業につきまして必要となる埋立土砂につきましては、公有水面埋立承認願書の添付図書におきまして、それまでの調査結果に基づいて調達が可能な土砂の採取場所等を示しておりますが、具体的な採取場所につきましては、今後必要な調査、検討を行った上で適正な手続を経て決定するものでございまして、現時点におきましてはまだ決まっておりません。
  178. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 外来種の混入については、具体的にアルゼンチンアリの混入の可能性が指摘されておりますが、他方で、報道によりますと、沖縄防衛局側はこうした外来種混入について何らの対策も検討していないというふうにされておりますが、現在、防衛局における対策の状況についてどうなっているのでしょうか。  また、普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会において具体的な対策が示されていますでしょうか。見解を明らかにしていただきたいと思います。
  179. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 埋立てに伴う外来種対策につきましては、代替施設建設事業に係る環境影響評価書におきまして、環境監視等委員会の専門家等の指導、助言を得ながら、使用する埋立土砂が事業実施区域及びその周辺の生態系に影響を及ぼすものでないことを確認するなど、適切に対応することといたしております。  なお、これまで実施した環境監視等委員会では外来種対策を議題として取り上げておりませんが、今後の委員会において検討を行うものと考えております。
  180. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 糸数慶子さん、お時間が来ておりますが。
  181. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 これだけ時間がたっても検討中という言い訳は認められませんが、改めて明確な答弁大臣に求めます。
  182. 中谷元

    ○国務大臣(中谷元君) 埋立てに伴う外来種対策につきましては、土砂調達に係る仕様書等に、使用する埋立土砂が生態系に対する影響を及ぼさないものであることを確認する旨を規定し、埋立土砂の供給業者等に必要な調査等を義務付けるなどの措置をとることとしております。  また、当該調査等の結果については、環境監視等委員会の専門家等の指導、助言を仰ぎ、更なる調査が必要と判断される場合には、再度、供給業者等に確認を依頼するなど、適切な対応を取ってまいります。
  183. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 糸数慶子さん、お時間が終了しておりますが。
  184. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 はい。  アスベストの問題も通告しておりましたが、これは後ほどまた質問させていただきたいと思います。  以上で終わります。
  185. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  186. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 次に、特許法条約締結について承認を求めるの件及び商標法に関するシンガポール条約締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  187. 岸田文雄

    ○国務大臣岸田文雄君) ただいま議題となりました特許法条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成十二年六月にジュネーブで開催された外交会議において採択されたものであります。  この条約は、特許出願等に関する手続について締約国が求めることができる要件等について定めるものであります。  我が国がこの条約を締結することは、特許の保護を国際的に促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、商標法に関するシンガポール条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成十八年三月にシンガポールで開催された外交会議において採択されたものであります。  この条約は、商標等に係る登録の出願及び登録に関する手続について締約国が求めることができる要件等について定めるものであります。  我が国がこの条約を締結することは、商標等の保護を国際的に促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  188. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十一分散会