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2015-06-02 第189回国会 参議院 外交防衛委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年六月二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      横山 信一君     石川 博崇君  六月二日     辞任         補欠選任      小坂 憲次君     中泉 松司君      末松 信介君     井原  巧君      福山 哲郎君     羽田雄一郎君      石川 博崇君     杉  久武君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山さつき君     理 事                 北村 経夫君                 佐藤 正久君                 三木  亨君                 大野 元裕君                 荒木 清寛君     委 員                 井原  巧君                 宇都 隆史君                 小坂 憲次君                 末松 信介君                 豊田 俊郎君                 中泉 松司君                 松山 政司君                 北澤 俊美君                 小西 洋之君                 羽田雄一郎君                 福山 哲郎君                 藤田 幸久君                 石川 博崇君                 杉  久武君                 小野 次郎君                 井上 哲士君               アントニオ猪木君                 浜田 和幸君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       山本 条太君        内閣官房内閣審        議官       土本 英樹君        内閣官房内閣審        議官       槌道 明宏君        内閣官房内閣参        事官       蔵持 京治君        内閣食品安全        委員会事務局長  姫田  尚君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  樹下  尚君        消費者庁審議官  岡田 憲和君        外務大臣官房審        議官       山上 信吾君        外務大臣官房審        議官       伊藤 直樹君        外務大臣官房参        事官       滝崎 成樹君        外務省中南米局        長        高瀬  寧君        外務省領事局長  三好 真理君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        スポーツ・青少        年総括官     白間竜一郎君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       三宅  智君        農林水産省生産        局畜産部長    原田 英男君        農林水産技術会        議事務局研究総        務官       大野 高志君        経済産業省通商        政策局長     鈴木 英夫君        資源エネルギー        庁次長      高橋 泰三君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        住田 孝之君        国土交通省航空        局安全部長    島村  淳君        防衛大臣官房長  豊田  硬君        防衛大臣官房技        術監       外園 博一君        防衛大臣官房審        議官       吉田 正一君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○防衛省設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、横山信一君が委員辞任され、その補欠として石川博崇君が選任されました。     ─────────────
  3. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  防衛省設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君外二十六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党佐藤正久です。  防衛大臣におかれましては、週末のシャングリラ会合に続きまして国会審議等々、重要法案がありますのでしっかりと対応していただければというふうに思います。  では、まず最初に、防衛省設置法改正案文民統制関連についてお伺いします。  防衛大臣自衛隊文官も、自衛官同様、防衛大臣文民統制対象とお考えでしょうか。
  7. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 文民統制というのは、国会による統制内閣による統制、そして防衛省による統制があります。そのうち、防衛省における統制というのは、文民である防衛大臣自衛隊管理運営、統率することを指しておりまして、防衛省自衛隊に所属する文官自衛官も同じ自衛隊員であって、防衛大臣の命に服する立場にあることは自衛官と変わりはありません。
  8. 佐藤正久

    佐藤正久君 すなわち、自衛隊文官、これも自衛隊員であると。つまり、内局文官文民統制対象ということになります。  これで、この改正案をめぐっては、石破防衛庁長官の頃から議論が始まり、浜田防衛大臣中谷大臣もその議論に関わったと。そういう中で、今回議論になっているのは、第十二条のほかに第八条もかなり議論になっています。当委員会でもそれを取り上げた議論もありました。  今回、八条の方で内局の方は基本をつかさどる、基本が残りました。当時の議論懸念事項として、この第八条、これを使って、内局が各幕を人事あるいは予算人事権予算編成権を使って調整を超えた統制にならないようにしないといけないと。  人事あるいは予算編成過程調整を超えた統制にならない、そのための担保、これをどのように防衛大臣は取っていくお考えでしょうか。
  9. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省設置法八条、これにおける基本に関することといいますと、防衛省自衛隊所掌事務のうち全般的、基本的な方針や法令の企画立案といった基本的なものでありまして、内部部局所掌事務を端的に規定したものであり、今後の組織改編に当たってもこれを内部部局が担うことには変わりありません。  今回、大規模な組織改編を行います。そうなりますと、防衛省所掌事務全体について防衛大臣の判断の下で統一的に遂行されることを確保する必要があることから、今般の改正防衛省設置法第八条七号におきまして、かかる総合調整機能について確認的に明示をしたわけでありまして、この総合調整機能につきましては、第八条の他の号にある基本に基づいて内局が行うものではなく、また、防衛省所掌事務に関して省内の施策の統一を図るために必要となる総合調整という目的と性格を特に書き出しておりまして、内部部局総合調整を行う際の役割について確認をする規定ぶりといたしております。  いずれにしましても、内部部局文官役割は、あくまでも文民統制を行う防衛大臣補佐する役割でありまして、私も、政策的見地からの補佐と、また軍事的、専門的見地からの補佐をバランスよく受けながら、今般の法改正後においても引き続き運営に努めてまいる、しっかり監督をしてまいりたいと思っております。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 しっかり監督はしていただきたいんですが、性善説に立てば、今まででも多分大丈夫なんでしょう。ただ、性悪説に立った場合、やっぱりそれをならないようにする担保って私は必要ではないかと。  今から二十年ぐらい前になりますが、私、初めて陸上幕僚監部人事部の部屋に訪れた際に、若い内局文官先任部員一等陸佐の班長の机の上に足を上げて、それでビールをつがせていたという状況を見て驚きました。当時は、やはり押さえ付けないといけないという指導が上司からあったようで、若い先任部員はいろんなところで、人事権予算というのは内局が持っている関係で、そういうことをするような習い性があったという話も後で聞きました。それはやはり調整を超えた統制というふうにもなりかねないと。  だから、そういう部分をしないためにも、私は、しっかりと、今回、基本が残って総合調整といっても、総合調整、更にそれは締め付けてもということがあってはいけないと思っています。よって、大臣がしっかり両方の補佐文民統制をやるんだというのであれば、私は監察というものをしっかり使うべきではないかと思います。陸海空幕監察が持っています。内局監察がないんです。大臣直轄防衛監察本部はあります。陸海空幕監察があります。内局監察がないんです。  恐らく、大臣、今まで内局に対して防衛監察本部監察をした、そういう報告大臣として受けられたことはありますか。多分ないんじゃないですか。内局に対する監察監察本部の方から報告を受けたことってありますか。
  11. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ちょうど私、十三年前に、防衛庁長官のときにリスト問題というのが起こりまして、これは、情報防衛省が扱っていた際に、開示をめぐって、中の、内部文書に関するものでありましたが、このときは、やはり内局文書管理の在り方ということで監察を行った記憶がございます。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 そのぐらいで、余りふだんの恒常業務ではなかなかそういう部分は効きにくい、どうしてもそこは中央組織に対する監察ってなかなか目が届きにくい部分がありますが、非常に、今回八条を残したということにおいては、やはり大臣がしっかり文民統制をやる上においては監察って非常に大事な機能でございまして、そして、警察の監察なんかは、聞くところによりますと、やっぱり非常にかなり優秀な人間を集めて、しっかりそういう権力は集まりますから、情報も集まりますから、しっかりとそういう面で監察というものを使いながら、しっかり文民統制を、文官に対する統制自衛官に対する統制、これもしっかりやっていただきたいというふうに思います。  では、次の質問に移ります。防衛装備庁関連、これについて質問をさせていただきます。  今回、防衛装備庁ができるということで、一つ懸念事項として挙げられているのは、装備品開発、購入の一元管理、揺り籠から最後の廃棄するまでと、一元管理をライフサイクルコスト含めてやるんだというのは分かるんですが、それによって現場運用ニーズと乖離する懸念はないかと。  資料一、これを見ていただきたいんですけれども、これは防衛省が作った資料です。そこで右上の方にちっちゃく書いてあるのは、防衛構想部門と、統幕、各幕、防衛政策局とありますけれども、特に、今まで各幕の下に構想部門運用研究開発研究が一緒に入っていました。それが今度、各幕の開発研究部分を全て装備庁の方に移行します。よって、そういう運用研究構想研究ニーズ開発が分かれてしまうという懸念指摘されています。  よって、ここに緊密な調整と小さな文字で書いてありますけれども、実はこれが非常に難しい問題だと思います。今まで一人の各幕長の下で運用開発一つ連携をしながらそれぞれの陸海空装備を動かしていたという部分が今度分かれます。この対策というのは非常に大事で、まさにプロジェクト管理部の方とこの各幕の連携というのをいかにやるかと。  この緊密な調整、言うのは簡単ですけれども、結構これは大変だと思います。どういう形でこれを整合を図っていくか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  13. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 基本的には現場の声がいかに生かされるかということでありまして、こういった開発とか調達におきましては、まず運用者ニーズを迅速かつ適切に踏まえるということが重要でございます。  防衛装備庁においては、こういった実際の現場の声に軸足を置いた業務運営に努めてまいるということで、具体的には、プロジェクト管理を行うに当たっては、統合プロジェクトチーム等を通じて、部隊からニーズを集約している各幕と緊密に連携をすることにいたしております。  また、プロジェクト管理部自衛官配置をいたしまして、装備品のユーザーとしての専門的な意見を着実に反映する組織といたしたわけでございまして、このように、プロジェクト管理を通じて効率的かつ効果的な装備品取得を行うための各種分析検討を主体的に行いまして、その成果については、運用ニーズを取りまとめる各幕や予算査定を行う内局といった各部署に対して、適切な連携役割の分担の下に提供していきたいと考えております。その際、佐藤委員が御指摘いただきましたように、いわゆる査定業務が二重に行われることがないように配意をしてまいりたいと思っております。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 今大臣からプロジェクト管理部の方に自衛官配置するという話がありましたが、でもこれもほとんど開発担当人間が多くなるような感じなんです。  要は、大事なことは、各幕に残る運用研究のそういう担当プロジェクト管理部人間をいかに調整させるかと。私は、場合によっては各幕に残るそういう運用研究に携わる人間ダブルキャップでこのプロジェクト管理部の方に配置をすると。ダブルキャップということにすればかなり、単なる調整ではなくて、本人も担当者ですから、より現場ニーズというものが反映しやすい、第二査定官庁にならないための実際の状況というのはもっと出るんではないかなというふうに思いますので、まだ御検討をお願いしたいと思います。  ちょっとこれ、参考人の方でも結構なんですが、例えば新しい今度の次期主力戦闘機というものを決める場合、これは専門は当然、航空自衛隊航空幕僚監部。でも、実際、それには防衛政策局も多分絡むでしょう。一方で、今度はこの防衛装備庁プロジェクト管理部も絡むでしょう。新しいそういう装備を造るときに、この三つ内局航空幕僚監部防衛装備庁、これが変に綱引きになっちゃいけないわけですよ。  どういう形でそれは、例えば次期戦闘機であれば、これは具体例ですけれども、この調整を図って意思決定がなされるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  15. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) 今先生から御指摘ございました将来戦闘機でございますが、これにつきましても、今大臣が申し上げましたような統合プロジェクトチーム、こういったものを形成してやっているというふうなところでございまして、プロジェクトマネジャーにつきましては航空機課の技官の企画官というものが務めてございますが、それの実際の今後の進め方につきましては、今申し上げたような関連部署と日々緊密な連携を取りながら、ちゃんと運用構想等もきちんと踏まえるような形で検討を進めていくと、こういうふうなことを予定しているところでございます。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 まあ口で言うのは簡単ですけれども、多分実際は本当にこれ三つ部署にまたがりますから、非常にこれからトライ・アンド・エラーというものをやりながら収れんしていく必要がありますが。  もう一つ、やっぱり今大臣自ら言われました第二査定官庁と、物すごい権限持ちますから、こういう、もうできないものはできないというふうに装備庁がはねつけてしまったら、運用研究も何もなくなっちゃうわけですよね。いろんな面で、この監察機能強化ということがこの表に書いてありますけれども、この監察というのは、単にお金の問題だけではなくて、今言った業務フロー含めた監察をやっていただきたい。  単にこれが不正なお金の扱いとか入札とか、そういう開発関係だけではなくて、まさにそういういろんな業務の流れ、フローについてもしっかりと監察、横の方からこれを見るということが大事だと思いますが、この監察機能強化、これもそういう業務フロー、中身まで含めた監察をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  17. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 委員の御指摘のように、そういうことに心掛けて実施してまいります。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  次に、防衛装備技術移転についてお伺いします。  この海外への防衛装備技術移転というのは、今回非常に安倍内閣になって大きくかじを切った、そして民主党政権からの流れを更に加速したものだというふうに理解しておりますが、これは、国策全体との調整とか、あるいは秘密保全関係上どうしても民間主導では困難な部分が多くあると思います。自民党国防部会提言でも日本版FMS導入に言及いたしましたが、現在、その検討状況あるいはそれを検討している部署はどこに当たるのか、仮にそれが行う場合、担当部署はどこになるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  19. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自民党国防部会からは、民間任せではないオールジャパン体制強化とか、情報管理保全体制の構築なども御提言をいただいておりますが、FMSにつきましては、これは米国が安全保障政策の一環といたしまして、政府間の取引であることを承知をいたしております。このような制度は米国独自のものでありまして、イギリスもフランスも実施をされていないものでございます。  現在、これの検討につきましては、防衛省としては、政府がどのような態様で移転に関与していくことが効果的かつ適切であるか検討をいたしておりまして、外部の有識者、これを招いて検討会実施をいたしております。この検討会では、今後、諸外国の事例も参考にしつつ検討を進め、夏頃をめどに報告をいただく予定でございます。  防衛省としては、同報告を踏まえて、防衛装備庁装備政策部、これを中心として、防衛装備技術協力を推進するために必要な施策について引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは、これから非常に大事な検討分野だと、そこがしっかり、どういう制度をつくるかによって、防衛装備技術移転がかなり伸びるのか、あるいは足踏みしてしまうのか、大きく変わる分野だと思います。  フィリピンやベトナムも含めて、日本装備技術協力というのを非常に期待しています。そういう部分もやはり地域の安定にとっては非常に大事だと、恐らく防衛大臣も、この前シャングリラの方でいろいろ感ずることが多かったと思います。やはり、余りにもこの軍事力格差というものは技術格差にもつながっている現状がありますから、この辺りしっかり考えていただきたい。  さらに、日本で今やっておりませんが、こういう装備開発するときに、企業の方にある程度予算を充当して、その開発費の三割ぐらいを初めから充当すると、それは空振ってもいいというぐらいの覚悟というものも併せてこの有識者の方でまた検討をお願いしたいと、非常に大事な検討会になると思いますので、よろしくお願いします。  また、その防衛装備技術移転の際に、今防衛省の持っている課題の一つとして人材があると思います。今、研究職採用は年間十名ほどです。研究職が十名ほどで、幾ら声高にこれから技術立国日本の一翼を、防衛装備含めて、デュアルユース含めてやっていくんだといっても、十名ではさすがに現場は厳しい。プロジェクト管理人間だって、専門家ってそんなにいませんから。  であれば、お医者さんの方でやっているように、官民人事交流中途採用みたいな、含めてそういう部分考えるべきだと思いますけれども、この官民人事交流、これについてはどのような御見解をお持ちか、お聞かせください。
  21. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、防衛省におきましては、先進的な技術研究を効果的、効率的に推進するために、大学、また独立行政法人といった研究機関等との研究協力は、ファンディング、これによる研究委託等施策を行っております。  特に、航空、宇宙のようにデュアルユースが高い、また民間において高い技術的専門性を有する研究機関が存在する分野におきましては、官民人事交流を行うことで先進的な技術研究が促進できると考えております。現在、JAXAとの間で技術系職員人事交流実施をいたしております。  今後、こういった先端的な技術研究の更なる促進のために、必要に応じて技術系職員人事交流を行ってまいりたいと考えております。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣、これは是非ともよろしくお願いします。やっぱり、非常に今現場の方も、この前当委員会も、大臣の御配慮で防衛技術研究本部、目黒の方、見させていただきました。やはり、これいろいろ聞くと、本当にやっぱり人材が足らないというようなことも聞いておりますので、しっかりこの官民人事交流、こういうことを踏まえて、視野に入れて考えていただきたいというふうに思います。  次に、平和安全法制関連について数問質問をしたいと思います。  今、議論はいろいろ衆議院の方でなされておりますが、当委員会でもこれに関するような質疑もこれまでありました。ただ、一つ今回で大臣に是非とも真剣に考えていただきたいと、政府の方でも考えていただきたいと思っているのは、隊員の栄典とか含めた、あるいは万が一の場合の処遇です。  今回、任務が増えます。活動地域も増える法案になっています。さらに、今回初めて国外犯規定自衛隊法の方に設けられる予定です。やはり自衛官は、自衛隊員大臣の命令に基づいて任務達成のために最大限努力をすると思います。であれば、その分、やはりそれに合った名誉とかあるいは処遇というのは、これは政治や政府がしっかり考えないといけない私は大事な分野だと思います。  今回の防衛計画大綱で、初めて人事教育面の分量が増えました。その中の一つに、初めて栄典という言葉が大綱に入りました。その結果を受けて、この前、元統幕議長でありました竹河内先輩瑞宝大綬章という栄誉に浴されたということもありました。  今、この委員会でも議論をしましたが、自衛官の場合、幹部の場合、C幹部危険物取扱従事者叙勲対象になり、多くの、九〇%近くが叙勲をもらえます。A幹部、これも一佐の(二)を十年以上やればその対象になると。一番抜けているのがB幹部、この委員会でも議論させてもらいました。B幹部含めて、一番主力B幹部が、彼らが叙勲対象になるには、一佐になってそれなりの年数就かないとなれないと。ほぼ、もう一%に満たないようなレベルです。  これでは、大臣がしっかりやれと言っても、やっぱり人間というのは名誉という部分も非常に大事ですので、この名誉という部分についてもしっかり、これは難しいかもしれませんが、この栄典制度、これを大綱でも打ち出し、今議論をしている最中だと思いますが、ここもしっかりやっていただきたい。  同時に、賞じゅつ金です。今、防衛省の方では九千万円以下となっておりますが、例えば南スーダンの場合は六千万、私が派遣されたイラクは九千万と。ただ、実際、消防隊員の場合、市の消防という、あるいは区の消防であれば九千万円が普通です。消防の方々がそれは非常に大事な仕事をしている。やっぱりここは、これからこういう形で警察官や自衛官を含め、海上保安庁含めて、危険な任務に就くというのであれば、この辺りの処遇という部分もしっかり考えて、それはやっぱり政治とか政府、特に自衛官の経験ある防衛大臣でなければ強く言えない部分もあるかもしれません。  非常に難しい問題でありますが、今回、任務を増やし、活動地域を増やし、しかも国外犯規定を設けるという以上は、しっかりとそれに見合うだけの名誉と処遇、これは政治の責任であり政府の責任、特に防衛大臣のリーダーシップがなければ動かない問題だと思います。これについての防衛大臣の御見解を伺いたいと思います。
  23. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省といたしましては、自衛隊員が高い士気と誇り、これを持って任務を遂行するためには、栄典に関する施策についても積極的に取り組んでいくことが重要であると考えておりまして、個人の功績にふさわしい栄典が受けられるよう、関係機関と協議をしてまいっております。  この自衛隊員処遇につきましては、委員の御指摘のように、今般、平和安全法制の整備において自衛隊任務が拡充をされることから、これらの業務の形態や特性等を考慮しつつ、その特殊性に応じた手当及び災害補償の処遇、これを検討することが適当であると思います。  賞じゅつ金の御指摘がございましたが、やはり、自衛隊員処遇等は部隊の士気に関わる重要な事項であるために、現場における自衛隊の活動等を十分精査の上、より適切なものになるよう、今後とも検討してまいりたいと思います。  また、B幹部のうち三佐クラスの者は叙勲対象になっていないとの御指摘がございました。幹部自衛官のうち、曹士として自衛隊に入隊し、自己研さん、努力をした結果、部内試験に合格して幹部となった者、これはB幹部と申しますけれども、大部分、具体的には定年退職時に特別昇任して二佐となった者及び三佐以下で定年退職した者については、春と秋の叙勲及び危険業務従事者のいずれにおいても受章の機会がないために、その功績に相ふさわしい叙勲がされるように、引き続き関係機関と協議してまいりたいと考えております。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは非常に今回の法案の審議と同時に大事な大事な私は分野だと思います。これは真剣に大臣には取り組んでいただきたいと思います。  次に、資料二、これを見ていただきたいと思います。  これは後方支援、補給、輸送のイメージ図を作ったものですけれども、自衛隊、私も輸送隊長を経験させていただき、あるいはイラクでも航空自衛隊の輸送というものに連携したいろいろ支援をさせてもらいました。これまで大体、自衛隊がやるような後方支援は通常セカンドラインと言われて、実際、自隊の補給、整備というものに対して連動する後ろの支援、実際には米軍が行う自隊兵たん、自隊の補給、輸送はファーストラインと言われて、それに連動する全般支援みたいなものをセカンドライン、これは後方の部隊あるいは後方支援の専門の部隊がやるのが大体このセカンドラインと言われています。  通常、セカンドラインの部隊がファーストラインの部隊の活動地域に入ることは普通はあり得ません。混在してしまいますから。ファーストラインの米軍のエリアに入ってしまう場合は、間違いなく米軍の指揮統制に入らないとそれは活動ができませんから。  例えば、このイラクの場合、実施区域というものを防衛大臣が設定されて、例えばAというクウェートの補給点からBというイラクのタリルとかバグダッド空港までは運んで、その空港から先、実際に米軍の活動をしているその現場、それは戦闘行為が行われている現場もあれば、それ以外の現場、これは自隊兵たん、米軍の自隊の兵たん組織でそれを補給、輸送するというのが通常です。  ただ、我々は、派遣された実施区域というのは非戦闘地域の中にあるというふうに政府から説明を受けていました。逆に、実施区域を越えては自衛隊の活動は許されません。非戦闘地域の中にある実施区域でのみ活動が許される。これは防衛大臣が設定します。  ただ、戦闘地域と非戦闘地域の線引きは非常に難しかった。これは、活動の期間を通じて戦闘が起きないという現場が非戦闘地域というあの法理上の説明でした。でも、政治も現場も誰も、活動の期間を通じて戦闘が起きないというこの決め付けをするというのは非常に難しい。非戦闘地域の中でよりそういう戦闘が起きない部分実施区域として選んでいただきましたが、でも、それでもなかなかその線引きは難しい。  私が派遣されたサマワでも、宿営地に迫撃砲やロケット砲の攻撃があったり、あるいは移動間に近くで自動車爆弾があったり、あるいはサマワの町中でオランダ兵も殺されたり、いろんなことがありました。よく私も記者やいろんな人に聞かれました。もうサマワは、町中は戦闘地域ですか、これは国会で言う戦闘行為、人を殺傷したり物を破壊、起きているじゃないですか、どこが線引きなんですかと聞かれても、それは答えられませんでした。小泉総理は自衛隊がいるところが非戦闘地域だと、そういう答弁もありましたけれども、それは現場ではなかなか通じない答弁だというふうに思います。  よって、今回、より法理論上は、そういう現場の負担というものを軽くする意味でも、戦闘地域、非戦闘地域という武力の行使の一体化を避けるためのそういう法的整理ではなく、今回初めて、現に戦闘行為が行われている現場以外のところから実施区域を選ぶと、現に戦闘行為が行われている現場のすぐそばでやると書いてあるわけじゃなくて、現に戦闘行為が行われている現場以外の地域から実施区域を、活動の円滑さとかあるいは安全性を考慮して防衛大臣が定めると書いてあるわけです。  よって、一番大事なのは、実施区域をどういう要件で防衛大臣が選定するか、これが非常に大事です。私が派遣されたイラクでも、非戦闘地域と思われるようなクルド人自治区とかあるいはカルバラとかもあったかもしれません。でも、南部の方に設定した。これは、サウジアラビアとかクウェートの方に近い、何かあったら脱出しやすいとか、近くにタリル空港があるとか、いろんなことを考えて選んだと思います。  この実施区域の選定、これが一番大事な分野で、法理論上の整理、これは大事です。でも、大事なことは、いかにその安全性、任務の円滑さを考えながら実施区域を選ぶか、これが一番のポイントだと思います。実施区域の選定についての大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  25. 中谷元

    国務大臣中谷元君) UNDOF、PKOのゴラン高原輸送支援隊長としても、またイラク・サマワにおきまして、イラク復興業務支援隊長として半年も現場で経験をされた佐藤委員の御意見、大変貴重なものであり、大事な御指摘でございます。  いわゆる非戦闘地域考えの下では、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められるとの法律上の規定を厳格に解して、長期間を想定して固定的に実施区域が指定されていたことから、一たび指定すると柔軟な活動ができないというおそれがございました。  そこで、新たな仕組みでは、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められるとの法律上の規定がなく、防衛大臣は、自衛隊の部隊が活動を円滑かつ安全に実施することができるように、かつ活動の具体的内容に即した形で機動的に活動を実施する区域を指定することとなります。したがいまして、新たな仕組みにおいては、常に情勢を踏まえた判断が行われ、安全確保が図られるとともに、柔軟な活動が可能となると考えております。  なお、繰り返し述べているとおり、新たな仕組みの下でも、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定することとなりまして、攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことには従来といささかの変更もありません。  防衛大臣による実施区域の指定の際には、部隊の安全確保の観点から、周辺の状況の観測、確認に適した場所、観測点の存在、万が一状況が急変するような場合に、一時的に避難できる場所の存在、宿営地等の施設までの避難経路、これが確保できることなどを現地の状況に応じて考慮することになります。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 しっかりとこれからも議論の方を尽くして、隊員の安全というものと任務の遂行の容易性、この両方の観点から検討をお願いします。  以上で終わります。
  27. 福山哲郎

    福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。  外務大臣防衛大臣におかれましては、連日の衆議院での特別委員会の審議、本当に御苦労さまでございます。大変厳しい審議が続いていると思いますが、当然のことだと思いますし、防衛大臣におかれましては、その間を縫ってシャングリラ・ダイアログにも行かれて多くの会談をこなされたというふうに承っておりまして、中国が今までより、より踏み込んだ発言もされて、これも緊張感の高かったダイアログだったというふうに承っておりますので、本当に防衛大臣外務大臣におかれましては御苦労さまですと、まずは敬意を表したいと思います。  今、佐藤委員が非常に重要な御指摘をいただいたと僕は思っています。隊員の安全については、リスクが高まるかどうかも含めて国会で本当に一つの争点になってきていますが、まず佐藤先生の言われたことをちょっと受けて言わせていただきますと、隊員の任務が増える、それから活動地域が増えるとおっしゃいまして、大臣もそれを認められました。しかし、リスクは変わらないと、ここの具体的な理由がよく分からないと。  それから、処遇の問題も私、大切だと思いますし、高い士気と誇りを持って精励いただかなければいけないことも私はそのとおりだと思っておりますが、高い士気と誇りを持っていただくためにも、まずしっかりとリスクが高まるということを認め、国民にそのことも理解をいただいた上で、まあ法案通っておりませんが、自衛隊の皆さんにはそのことを説明をしないと、そこは一定、何度も申し上げているように、私は政治の怠慢だというふうに思っておりますし、もっと言えば、国会の審議がちゃんと尽くされることというのは自衛隊員の皆さんにとっても非常に重要な点だというふうに思いますので、重ねてそのことを指摘したいと思います。  もう一個だけ、佐藤委員の審議、非常に重要なんですけど、防衛大臣言われました、柔軟な活動を行うと、いわゆる後方支援の地域で。それは現に戦闘行為が行われている現場ではない場所だとおっしゃいました。そこで、安全な場所を確保するということになると、私、今の議論を聞いていると、二つしかないと思うんです。一つは、柔軟に対応するということは、実施区域を際限なく広げるか、もう一つ可能性があるとすれば、実施区域を頻繁に変えていくか。  今までは、期間的なものも含めて、非戦闘地域、その非戦闘地域もいろんなことがあったと佐藤委員おっしゃられましたけれども、非戦闘地域というのが一定あったんですが、今回、柔軟に活動を行う、現に戦闘行為が行われている現場ではないとなると、今申し上げたように、実施区域を際限なく広げていくか、実施区域をその場その場に応じて変えていくかの二種類しかないと思うんですが、そういう認識で、大臣、よろしいんでしょうか。
  28. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当然、派遣する前は基本計画を作成をいたしまして、これでそれを添えまして必ず事前に国会承認をいただくということになります。その際、実施区域を防衛大臣が指定をされるわけでございますが、防衛大臣自衛隊の部隊が活動を円滑かつ安全に実施することができるようにということで法律で明記をされておりまして、そういった安全かつ円滑にという部分と、かつ活動の具体的内容に即した形で機動的に活動を実施する区域を指定をするということになります。  したがいまして、新たな仕組みにおきましても、常に情勢を踏まえた判断が行われまして安全確保が図られるとともに、柔軟な活動が可能となると考えております。国会承認につきまして、重要影響事態等もございますが、こちらは原則事前、緊急時には事後ということになっております。
  29. 福山哲郎

    福山哲郎君 いやいや、別にそれはもう何回も国会で答弁されていることなので、私も一応理解はしておるつもりですが、いや、違います。  今の佐藤委員のお話でいって、まさに今も大臣答弁いただきましたけど、円滑で安全、情勢を踏まえた上で柔軟な活動をするとおっしゃったということは、これまでの非戦闘地域の概念よりかはもっと実施区域を際限なく広げておくか、実施区域はまさに情勢を踏まえた判断ですから、何回も何回も実施区域を頻繁に変更するかの二つの可能性が考えられると思っていますがどうですかとお伺いしているので、もう一度お答えいただけますか。
  30. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 活動の具体的内容に即した形で機動的に活動を実施する区域を指定することになるわけでございます。状況というのは絶えず動いているわけでありますが、そういう中で安全かつ円滑に実施する地域というものを指定することになるわけでございます。
  31. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、今の答弁だと、実施区域については頻繁に変更して柔軟に対応すると。しかし、これは普通、防衛大臣が決められるわけですが、これは相当現場の判断に依拠しなければいけなくなるというふうに思うんですが。  今日はこのことの審議ではないので余りしつこくは申し上げませんが、今の答弁も非常に重要な答弁だと思いますし、佐藤先生の指摘によれば、ファーストラインの問題やセカンドラインの問題で、どういう形で実施区域が広がるかということも多分これから先争点になっていくだろうというふうに思います。  今、この話から入りましたので、あえて防衛大臣にもう一問お伺いをしたいと思います。  昨日、我が党の細野委員との議論の中で、いわゆるISILの問題についての質問がありました。日本が後方支援をするかしないかということで、中谷防衛大臣は、法律的には国連憲章の目的に従って共同で対処していくことと、もう一つは、国連決議を前提に、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があると認められる、これを満たしているかどうかでございますと言って、もう一度確認しますが、ISILに対して国際社会が行動する場合に、今の基準に該当して法的には派遣が可能になる、そういう可能性があるということですねという質問に対して、はい、法律に定められました国際社会とか国連決議ですね、それに基づいて判断するということで、法律的にはあり得るということでございますと答えられました。  これ非常に明確に答えていただいたわけですが、この答弁はもうこのとおりでいいということでよろしいでしょうか。
  32. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これ、誤解を招いたら困りますが、もう既に安倍総理は、ISILに関しましては軍事的な活動には参画をいたしませんともう既に述べられております。  その上で法律の議論になるわけでありますが、ある事態に際して、国際平和支援法に基づいて我が国が後方支援を行うかは、要件となる国連決議があるか否かのみで決まるわけではございません。その上で申し上げれば、いずれの国連決議が国際平和支援法に定める要件を満たすかについては、実際に運用に際して個別具体的なケースに即して精査されるべきものであると、これは法律の話でございます。  このISILにおいても決議が出ておりますが、これについて、安保理決議第二一七〇号及び二一九九号は、ISILを国際の平和及び安全に対する脅威であると認識する旨の言及があり、かつ加盟国に対してISILに対する措置をとることを求めていることから、これらの安保理決議は同法の三条一項一号のロに規定する決議に該当し得るということでございます。  他方、国際平和支援法の下で我が国が対応措置を実施するためには、要件となる国連決議の存在のみならず、国際社会の平和及び安全を脅かす事態に関しまして、まず、その脅威に対して国際社会が国連憲章の目的に従い共同して対処していること、そして、国連決議の存在を前提に、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があると認められることの要件を共に満たす必要がありまして、いずれにしましても、我が国は、政策判断として難民・避難民支援や周辺国に対する人道支援などの軍事的貢献でない形で可能な限りの支援、協力を行っていくという考えでありまして、軍事的な有志連合国の空爆等の後方支援を行うことは考えていないということは既に申し上げたところでございます。
  33. 福山哲郎

    福山哲郎君 今、やれると言ったりやれないと言ったり、政策判断だと言ったり有志連合はと言ったり法律はと言ったり、これ、実は大問題ですよ。  大臣は私の質疑を前に先回りして言われたんですけど、総理は、御案内のように、法律を閣議決定したときの記者会見で、記者の質問、ISIL、イスラム国の掃討作戦がアメリカを含む有志連合によって行われていますが、これの後方支援を行うようなことは考えておられるのでしょうかということに対して、ISILに関しては我々がここで後方支援するということはありません、これははっきり申し上げておきたいと思いますとおっしゃいました。  昨日の中谷大臣は、法理上は支援をすることはあり得ると、法律上はと言われました。そして、国連決議の中身も今御丁寧に説明をいただきました。今の現状の国連決議だと、法律の要件には当たるけれども、今の判断では後方支援をしないという答弁だったと私は承っています。  これ、ISILの問題というのはオンゴーイングの状況です。新たな国連決議が出てくるかもしれない、新たな国際社会が要請が出てくるかもしれない。今、空爆ということを大臣はあえておっしゃいましたけれども、空爆ではない形の状況も起こり得るかもしれない。  そのときに、今回総理が法律を閣議決定したときに国民に対して、ISILに関しては我々がここで後方支援をすることはありません、これははっきり申し上げておきたいと申し上げますというのは、全くもってこれは国民を私は欺く答弁だと思いますよ。今大臣自身が、法理上は後方支援できると、一方で、今は政策判断だと。しかし、政策判断というのは、これから国連決議が新しく出るかもしれないので、このことについてははっきりとお認めになって、ISILに関しても状況に応じては法理上は行けるんだということを昨日言われましたが、そのとおりで、防衛大臣、よろしいんですね。  もう一度お答えください。
  34. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ISILにつきましては昨日私が述べたとおりで、法律上はそのような内容でございます。  ただし、政策決定としては、度々総理が申し上げておりますけれども、難民・避難民支援や周辺国に対する人道支援などの軍事的貢献でない形で可能な限りの支援、協力を行っていくというのが政府の判断でございます。
  35. 福山哲郎

    福山哲郎君 いや、つまり、実は、去年からずっと法律が閣議決定されるまで、国会に提出されるまでいろんな審議ありました。ISILとか後方支援は行きませんとか、イラク戦争とかアフガン戦争に参加することがないとか、いろんなことを言われました。しかし、結果としては、法理上は全然可能なわけです。可能なわけです。  実は、衆議院の審議の中で、新三要件満たせば他国の領土、領海に対して自衛隊は行って武力行使できるんだなどということに対しても、ある意味、中谷防衛大臣は誠実にそうだとお答えになっています。しかし、総理はすぐに、一般にとか、武力行使を目的としては行きませんとか、留保条件を幾つもつくって、行かないというような話をされるんです。これは間違いなく国民に対して私はミスリードしているというふうに思っておりまして、答弁が僅か一週間しかたっていないのに本当にころころころころ変化をします。  岸田外務大臣、実はNPTのことでお伺いしようと思っていたんですが、ちょっと事態が本当にいろいろ変化をしております。我が党の後藤祐一議員に対して、二十八日、いわゆる平成十年の外務省北米局長の答弁に対して、いわゆる軍事的な波及というものが日本にない場合は周辺事態には該当しないということでございますという答弁に対して、岸田外務大臣は、現状は法律は変わっておりませんので、現法律の下でこの答弁は維持されていると考えますとお答えになられました。そして、御案内のように金曜日に答弁を変更されて、委員会が中断し、散会をするに至りました。さすがにマスコミもこのときは、野党が審議拒否という報道はなく、退席というふうに普通にしっかりと事実に基づいて報道をしてくれました。そして、昨日の段階では、政府のもう統一的な見解は、政府の見解は維持していると、平成十一年の問題だというふうに岸田外務大臣はおっしゃられていました。  ただ、平成十一年の政府の統一見解とこの局長の答弁は間違いなく内容は異なっています。異なっている中身について外務大臣が、現状は法律は変わっておりませんので、現法律の下で維持されていると考えていますという答弁がありました。維持されていないという趣旨が多分昨日の答弁だと思います。  これ、外務大臣の答弁は変わったので、先週の木曜日の二十八日の答弁は撤回をされるおつもりですか。昨日の審議では撤回しないとおっしゃっているんですけれども、その趣旨について、なぜ撤回をされないのか、間違った答弁をされているんだったら撤回をするべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  36. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、その発言についてですが、私の発言、二十八日の御指摘になられた発言についてですが、是非、二十八日の審議全体を是非見ていただきたいと思っています。二十八日、平成十年の高野政府委員のこの答弁について、事前通告なしに突然これについてどうかという御質問をいただきました。私自身として、まず現在適用されている法律は周辺事態法であるという確認が行われて、この答弁が、高野政府委員の答弁が指摘をされたわけですが、この答弁について、現法律において行われた、前提として行われた答弁については踏襲している、これは当然のことである、こういった発言をさせていただきました。そして、その時点でその答弁の位置付けについて確認すればよかったのかもしれませんが、その後確認いたしましたところ、この答弁は周辺事態法が国会に提出される前の発言でありました。私の二十八日の発言とその高野答弁との関係については今申し上げたとおりであります。  そして、その上で、平成十年のこの高野政府委員の答弁につきましては、やはりそのときに、当時、質問者は岡田代表でいらっしゃいました。岡田委員と高野政府委員との間で様々なやり取りが行われました。そして、御指摘の高野政府委員の答弁が行われた後、岡田委員の方から、どうも論理的に理解できないと、もう一度外務大臣にこの答弁の趣旨を確認したいという趣旨の発言があり、当時の小渕外務大臣が整理をしてその政府の見解をまとめました。このやり取りは様々なことがありましたが、結論として小渕外務大臣が閣僚として、政府代表としてまとめた結論、これを今日まで引き継いでいる、こういった趣旨を申し上げさせていただきました。  この平成十年のやり取りの後、平成十一年に政府統一見解を行って、そのことを更にしっかりと確認した上で今日まで引き継いでいる、こういった経緯について御説明をさせていただいた次第であります。
  37. 福山哲郎

    福山哲郎君 いやいや、経緯は昨日の答弁で御説明いただいたのは私も議事録拝見しておりますので存じ上げていますが、しかし、二十八日の時点での外務大臣の答弁は、位置付けを確認すればよかったとおっしゃっているように、外務大臣の答弁をこちらがそんたくして申し上げれば、維持しているだろうなと思ったけれども、実は維持されていなかったわけですよね。
  38. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、二十八日の答弁と高野政府委員の答弁、平成十年の答弁との関係について、まず先ほど前半説明をさせていただきました。  二十八日、突然その高野政府委員の答弁について質問を受けました。そして、この現行法において維持されている答弁であればそれは今日まで維持をされている、これは当然のことでありますと、こういった趣旨の答弁をさせていただきました。その前に何度かやり取りがありまして、私としても、こういった趣旨でありますという今申し上げたような趣旨を確認をさせていただいた、これが二十八日のやり取りでありました。そして、突然の御質問だったので、その答弁の後に確認いたしましたところ、その高野答弁は、この現行法、周辺事態法が国会に提出する前の答弁であった、こういったことが確認をされました。これが二十八日の私の答弁と高野政府委員答弁との関係であります。  そして、先ほど後半は、平成十年のやり取りが行われたその経緯について説明をさせていただきました。国会におきまして、高野政府委員、そして当時の岡田委員との間で様々なやり取りが行われました。そして、それでも十分理解できないので、当時の小渕外務大臣にしっかりと政府考え方を整理しろという質問があり、その整理が行われました。こうした国会におきまして様々なやり取りが行われて、その答弁が拡充され、あるいは不明な点が明らかになりというこのやり取り、これは大変重要なことであります。しかし、こういった重要なやり取りが行われて、結果としてどういった結論に至ったか、これが大事な点でありますという御説明をさせていただいた次第であります。
  39. 福山哲郎

    福山哲郎君 先ほどとほぼ同じ答弁でよく分からないんですが。後藤委員は、ちゃんと当時の岡田委員と高野政府委員とのやり取りを紹介した上で、これは維持されているんですねと聞かれたら、外務大臣は維持しているというふうにお答えになったわけです。  ところが、御案内のように、昨日、一昨日と答弁が変わったと。ということは、二十八日の答弁は、外務大臣としては、いや、これは、先ほどから、外務大臣は誠実な方ですので、自分としては突然の質問だったから、そう確認すればよかったとおっしゃっていますが、外務大臣はこの答弁については、逆に、高野さんの答弁はもう維持されていないという判断なのだったらこの答弁は撤回されればいいんじゃないかと思うのに、なぜ撤回をしないのかという明確な理由が分からないのでお答えいただきたいということです。  短くお答えください。僕、もう一問ぐらい言いたいので。
  40. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 二十八日のやり取りは、質問を受けて、現行法において行われたこの答弁については維持されているものだと私の考え方を申し上げました。  それで、その後に、後藤委員の方から、これはもう一度確認したいと、その趣旨について確認したいという質問がありました。その質問に対して、私として、現行法において行われた答弁、現行法を前提として、現行法の下において行われた答弁、これが今日まで維持をされている、これは当然のことであります、こうした私の考え方を改めて申し上げさせていただいたわけであります。  そして、もう一度、再び確認しましたところ、この現行法、周辺事態法が国会に提出する前のやり取りであったということが確認された、こういったことであります。
  41. 福山哲郎

    福山哲郎君 分からないです。分からないですが、現行法の下でこの答弁は維持されていると考えますと大臣は明確にお答えになっているので、二十八日、これ何で撤回をされないのかが少しよく分からないんです。  何で実は冒頭この話をしたかというと、今日、設置法の審議で、僕、用意をしていました。今般の安全保障法制関連法案によれば、武力攻撃事態や存立危機事態の際は対処基本方針、重要影響事態や国際平和共同対処事態の際は基本計画、PKOの際は実施計画がそれぞれ策定されるわけです。これらの計画の起案のプロセスが、今回、状況変わるんですよ、この設置法が改正されることによって。このことがどのように影響を及ぼすのか、先ほど佐藤委員の中にあった実施計画みたいなものにどのように影響を及ぼすのか。それから、そのときの内局と制服との関係がどういう形で変質をするのか。  歴史的に踏まえれば、私はこの間も申し上げましたように、各総理がいわゆる文官統制という言葉を使っていますが、それは今の政府の統一答弁にあります指揮命令をするような概念で使われていないということは、私は、訓令を見ても明らかです。今日、訓令、皆さんにお手元お配りをしていますけれども。そういったことについて、これからまさにこの安全保障法制で重要な計画が作られるかもしれない。我々は、この法案、何としても時間を掛けて審議したいと思っているので、そういう事態は起こり得ないことを望みますけれども、そういう状態のときにこの防衛省の設置法は非常に大きく事態を変えることになります。日本政策決定のプロセスを変えることになります。  だからこそ今みたいな話をさせていただいているのに、防衛大臣の答弁と総理の答弁は異なった答弁をする。片方は法理上はできると言い、片方は政策的にやらないと言い、岸田外務大臣は、自分の答弁が、違っていた答弁をしているのに、そこを撤回もされないで何かこだわってずっと言われると。それから、先ほど法律を提出される前と提出後の話がありましたけれども、まさに法律の提出される前に、我々はここで何度も、前の防衛大臣も含めて、法制局長官も含めて何度もやり合った審議が、じゃ、この法律を提出されてからどのぐらい変わっているのか、変わらないのか、これも非常に重要な論点なので、今日は冒頭、衆議院の審議を受けて少し質問をさせていただきました。  設置法の問題、まだまだ課題があると思いますので、審議をより継続していただきますことをお願い申し上げて、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  42. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 民主党の藤田でございます。  これから七十分ございますので、主に中谷大臣を中心にしっかり議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  資料をお配りしていると思いますけれども、まず、文民統制文官優位について、中谷大臣が著書「誰も書けなかった防衛省の真実」という本を書いておられます。その中から二ページほど持ってまいりました。  この一ページ目の方でございますけれども、二行目からいきますと、「オペレーションと訓練は、自衛隊幕僚監部や統合幕僚監部が責任を持って行うこと、各幕僚長や統合幕僚長が直接大臣・官邸・総理に連絡し、指示をもらうことを徹底すべきです。」と。で、ちょっと右の方にいきまして、「重大事項は、各幕僚長が直接大臣報告することになっています、しかし、大臣や官邸への連絡は、実際はいつも内局がすることになっているのです。」と。で、括弧の中で、四角の中ですが、「それは、大臣には、内局局長や事務次官が秘書官を通じて連絡を行うという法的な仕組みが、まだ改善されていないからです。」とあります。さらに、下の四角の方に行きますと、「第十二条には、官房長と局長、幕僚長との関係が書かれており、各幕僚監部に関する各般の方針、基本的な実施計画の作成についての大臣の行う指示・承認・監督内局の官房長と各局長所掌事務となっています。これでは、運用人事も、独自の判断ができるわけがありません。」というふうに書いてございます。  それで、その先に行きますと、「シビリアンコントロールとは、政治の軍への優越です。しかし的確な情報を入手できなければ、政治は正しい判断ができません。」。「いつまでたっても、自衛隊組織機能が見えにくいのは、極言すれば、政治と自衛隊のつなぎの部分内局が介在しているためではないか。これが、私の胸中から、なかなか拭い去れない疑念のひとつです。間に入るものによる情報の遮断、真実の変質さえ危惧される現状の中で、政治と軍事の距離が遠いものにされてしまっているのです。」とあります。  そこに内局の方たくさん今日も座っていらっしゃいますけれども、この中谷大臣の、はっきり書いていらっしゃる、これ、「誰も書けなかった防衛省の真実」ということは、やっぱり本音が一番詰まって凝縮されておると思うんですけれども、この私が引用した部分についての、中谷大臣、この前は何か割と官僚答弁が多かったので、本会議のときは、今日は是非、政治家として本音で御答弁をいただきたいと思います。お願いします。
  43. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘の著書につきましては、「あたご」の衝突事件、また元事務次官の背任事件などを踏まえて、当時の防衛省をめぐる様々な問題について私の個人的問題意識を述べたものでございます。  その中で、文民統制につきましても述べさせていただいておりますが、当時から私が一貫して考えておりますのは、内局部局の文官である官房長、局長による政策的見地からの大臣補佐と、自衛官である各幕僚長による軍事専門的見地からの大臣補佐はバランスよく行わなければならず、文民統制の主体である大臣をしっかり補佐をする体制について不断に検討する必要があるということでありまして、大臣として物事を判断する際に、やはり文官としての意見も、そして軍事専門家の、特にオペレーション、運用に関しては現場自衛隊の意見、これを聞いて、両方の補佐を受けて適切に判断をする必要があるのではないかという認識を述べたものでございます。
  44. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今の話と全く逆のことを書いていますよね。つまり、大臣や官邸の連絡はいつも内局がすることになっているので、最後の方ですけれども、要するに間に入ってしまうと、つなぎの部分内局が介在しているんだと。だから、今おっしゃったようにバランスよくというよりも、間に入ってしまうので、政治と、つまり自衛官の制服の間の距離が遠いものにされてしまっていると書いていらっしゃるわけですから、今、補佐という言葉を幾ら使おうとも、あるいはバランスということをおっしゃっても、ここでおっしゃっているということは、要するに制服と政治との間に内局が入って遮断をしてしまうと書いてあるわけですので、今の答弁と逆のことを書いていらっしゃる。これ、文字はうそをついておりませんので、全く逆じゃないんでしょうか。
  45. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ですから、不断に検討する必要があるということを書いておりますが、やはり重複するところがありまして、大臣のところまで上がってくるのに時間が掛かるというケースがございます。特に災害とか緊急事態につきましては早く私も掌握をして判断をしなければならないわけでございまして、やはり連絡調整、こういう点については重複するところはいずれかの組織に任せて、より迅速、そしてより的確に事態が、物事が行われるべきではないかと、そういう旨を記述したつもりでございます。
  46. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 先日、大野議員の質問のところで、このいわゆる重複の部分について、重複はないというような答弁をされておられたと思いますけれども、今の答弁と逆ではないでしょうか。
  47. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 実際に今の業務におきまして、統幕実施しているところ、そして運用企画局が実施をしているところの重複部分といたしましては、図表にも示しておりますけれども、内局の部局の文官が統合幕僚監部に対して、今度移すようにいたしておりますけれども、関係省庁との調整、対外説明業務等を担当するというようなところにおいて、非常にここが重複するから事態がなかなか報告ができなかった部分もありますので、この辺においては今回整理をいたしまして、内部部局の方に、運用に関する法令の企画立案機能内部部局が維持をするとして、実際に統合幕僚監部には、実際の部隊運用に関する業務を対外説明業務も含めて統幕監部に一元化をする、より的確に迅速に事態が報告できるようにということで改編をしたわけでございます。
  48. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 五月二十六日の大野理事からの質問に対して、「正式に内容が確定されるまでの間は内部部局の方からやらせていただいておりましたけれども、実際に行動について確定していく方は統合幕僚監部の方で行っていたという実態がございます。」と。つまり、重複はなかったと答弁されていますが。
  49. 中谷元

    国務大臣中谷元君) なかなか大臣のところに報告があるということは、現状におきまして、運用企画局、この中で総合的に検討して上がってくるわけでございますので、非常にいろんな情報におきましても時間を要するような事例、特に私が本で書きましたけれども、「あたご」の衝突事案におきましては、大臣に連絡が上がってくるところに時間を要したというような事例として指摘をしたところでございます。
  50. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 二十六日の答弁は、重複がないというふうに読める答弁をしていますが、これまでの答弁と違っていますねという質問に対してお答えをいただきたいと思います。
  51. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 通報とか連絡調整業務につきましては、同一の時点での同一内容についての通報、また連絡調整内部部局と幕僚監部とから二重に行うものではないというものの、取り扱う事項の内容や業務の要領が同様のものを内部部局と統合幕僚監部のそれぞれにおいて行っているという意味で業務の重複があったということでございます。
  52. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 重複はあったんですね。
  53. 中谷元

    国務大臣中谷元君) お話ししたように、同一時点での同一内容についての通報、連絡調整内部部局と統合幕僚監部から二重に行うというものではないものの、取り扱う事項の内容や業務の要領が同様のものを内部部局と統合幕僚監部のそれぞれにおいて行っているという意味での業務重複があったということでございます。
  54. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 では、重複があったということを確認をさせていただきました。  それで、またそのことに戻ってまいりたいと思っておりますけれども、そのことと、制服と政治の間に内局が割り込むということについてはまだお答えいただいていませんけれども、つまり、本で書いていらっしゃることは、これ、内局が介在し情報の遮断、真実の変質さえ危惧されると、それで距離が遠くなっているということをおっしゃっていますので、つまり、今までそういう遮断する存在としての内局があったという認識は、これ間違いないですね。
  55. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私の勤務上、やはり内局考え方も統幕考え方も両方聞いて判断をしなければならないわけでございます。そういうことで、実際私の経験をした上において述べたものでありまして、これはあくまでも私の個人の問題認識として記述をしたものでございます。
  56. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 そうしますと、経験からして、この内局の、つまり割って入る介在があったという事実を、当時、個人の政治家としてそういう認識を持っていたということは間違いございませんですね、これ書いた段階で。
  57. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 部内で調整をするために時間を要していたことは事実でございますが、私個人としては、もう少しスピーディーに幕僚監部等から事実とか、また専門的な話を聞くことができればよかったなというふうに思っております。
  58. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 つまり、制服の方から専門的な話を聞けなかったということですね、今のお話は。聞けばよかったということは、聞けなかったということですよね。
  59. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当然のことながら、部内で調整はされていたものと思っておりますけれども、私の思いといたしましては、もう少し早く直接そういう軍事的な見地からのアドバイスや意見、こういうことは聞ければよかったなということでございます。
  60. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 また、今の点、戻ってまいりますが、要するに、早く直接聞けない内局の存在があったというふうに政治家中谷元さんは当時考えていたということが、この動かし難い文字として書かれているということでございます。  では、その二ページ目に移っていきたいと思いますが、同じく、この中谷大臣の当時の本でございますけれども、一番上のところの後半ですが、「運用企画局は廃止することも視野に入れるべきです。」と。それからちょっと置きまして、「オペレーションに関しては、統合幕僚監部がありますから、ここに権限を集中させるべきであり、」と。  まさに今回の法案はこのとおりになっていますが、こういう考え方が今回の法案に反映されているというふうに認識してよろしいですね。
  61. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは防衛省改革の一環ということで、統合幕僚監部の一元化と運用に関してはということでありましたが、これはもう自由民主党の中の国防部会を中心に防衛省の様々な将来像について検討をし、討議をし、提言をまとめたという時点からこの必要性におきましては主張をいたしておりましたし、また、自民党全体としての協議の中でも、この点において様々な観点から検討をした結果まとめられたものでございまして、それを踏まえて防衛省としても防衛省改革で検討をされました。  北澤大臣が現職のときもこのテーマで議論をされまして、様々なシミュレーション等も行って対応をしてまいったわけでございますが、そういった経緯も含めまして、オペレーションにおきましては、一国有事をする場合にやはり迅速に物事が報告され、そして判断されるということは私は極めて大事なものでございますので、そういった観点で検討された結果、このような改革案になったということでございます。(発言する者あり)
  62. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 結局、元に戻したんだという北澤当時の大臣の声が聞こえましたので、報告をしておきます。  都合によって民主党、都合によって北澤大臣の名前が出てくる、肯定、否定も含めてございますので、それは一番佐藤理事が知っていらっしゃるので、そういう発言があったということをちょっと私の口から申し上げて。  今大臣は、オペレーションは一国有事とおっしゃいました。そのことがこの二ページの下の四角の中に入っています。つまり、「オペレーションや部隊のこと、」という言葉で始まっておりますこの引用の二行目に、「あわせて内局がやっているため、時間と労力を無駄にしている面があります。」と書いてあります。これ、オペレーションに関して。  それから、下から三行目の右の方ですけれども、「内局担当者の説明のわかりにくさ、時間のかかることに、いらいらすることがあります。」と。その下の行の右の方ですが、「話が早く、しかも深い面があります。」と。  つまり、この「あたご」のときに、先ほどから何回か引用されていますので、このときに、要するに制服から直接入ってくることを、内局がこういうことで、いらいらするようなことで邪魔をしたといいますか無駄になったので伝わらなかったと。しかも、オペレーションですから、一国有事の際に内局がそういうことをしたのできちっと大臣に伝わらなかったというふうに書いてありますが、その理解でよろしいですね。
  63. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 官僚の機構としてそれぞれの部署があって権限があって、それを通じて大臣まで上がってくるわけでありますので、それぞれの決裁、了解等を経ますとそれだけ時間が掛かってまいります。報告に対する時間も必要であります。そういうものが私は必要ないとは言いません。  しかし、結果的に、そういう政策的な見地からの内局の意見、判断と、やはりこれは軍事的、専門的な見地での状況判断、こういうことを総合的に防衛大臣としては聞いた上でその物事の善しあしを判断するということでございまして、そういう意味で、やはり物理的にどうしても時間が掛かってしまうんですね。非常に優秀な人がそろっていても、どんどんどんどん人を介すことによって時間が経過してしまうと。  そういう点で、二重的に重複する部分もあるので、今回は運用に関しては統合幕僚監部に一元化をして、そして、そういう政策的見地から物事を見る人も当然その中に入れて、入れた上での話を聞いた方が迅速かつ的確に物事が行われるのではないかということでございます。
  64. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 大臣、一国有事とおっしゃっているんですね。一国有事のオペレーションとおっしゃっているときに、そんな優秀な人が時間が掛かってと、そんなのんきな話じゃないと思うんですよね、これだけ内局が邪魔をしていると書いてあるわけですから。それで一国有事のときに情報が遅れたということをおっしゃっているのに、しかもこれだけ書いてあることをそういう形で否定するというのは、非常に私は姿勢を疑うので、そういう言い逃れというのはちょっと見苦しいと思いますので、それは反省をいただきたいと思います。  その上で、次のこの大きなページを御覧いただきたいと思います。  まさに今のいわゆる内局による様々な行動ということを表しているのが、いわゆる文官統制だろうと思います。私はなぜこういうものを作ったかといいますと、これ左側、引用されておりますのは全部歴代の総理であります。中曽根長官に関しましては後に総理になられましたが、総理経験者三人の方々が左の答弁内容に関しまして、文官統制ということについて発言をされておられます、国会の中で。  まず、左の佐藤栄作総理。上から四行目、右の方、これはこの間、大野議員が引用された部分ですけれども、「国会統制内閣統制、防衛庁内部における文官統制、及び国防会議の統制による四つの面から構成されておりまして、」と。つまり、「防衛庁内部における文官統制、」と明確におっしゃっている。これ、私もこの間代表質問で取り上げ、そして大野さんも聞いたところでございます。  次に、中曽根防衛庁長官です。赤の部分で、「部内の背広の者が制服の者に威張るということではない、それは政治理念が軍事理念に優越するということである。」と書いてあります。それから数行下の赤の部分ですけれども、右の方で、「内局においてこれを統合するということは非常に大事な要素でもあるのです、そういう意味におけるシビリアンコントロールというのはある程度あるでしょう、なぜならば、内局というのは長官を補佐する。いろいろ部隊、各幕に対して指示を与えるときも内局が審査して、そして報告にくるのも、また上から下へ下達するのも、内局を通してやるというシステムになっておる」。これは、先ほど中谷大臣が本の中でおっしゃっている、つまり上に行くのも下に行くのも内局が入るとここに書いてあるわけです。  それから、一番下の竹下元総理。真ん中辺の赤のところへ行きますと、「内局というものが制服をコントロールすると申しますか、そういう機能がまず第一義的にあるではないか。」と。  つまり、衆議院でもいろんな方がこの文官統制について質問しました。私も、それを踏まえてこの間代表質問質問いたしました。なぜ質問したかといいますと、これ真ん中の衆議院のところですけれども、これ、大臣が答弁されている際に、この左の佐藤総理、中曽根防衛庁長官、竹下総理が文官統制について引用されているのに対して、真ん中の衆議院部分では文官統制のことは言っていないんです。答え方とすれば、ほかの部分で政治が優先しているとか、「防衛庁長官、これは必ず背広であります。」とか言っているんですね。  それから、中曽根防衛庁長官に対する答弁のところも、「政治理念が軍事理念に優越する」と言っていますとか言って、「文民優位とは政治優位であると考えておりまして、」と。したがって、こう言っているので、佐藤総理、中曽根防衛庁長官はこの文民統制のことを言っているんですというふうにすり替えているんですね。  同じように、竹下元総理に関しましても、「内局と制服とのいろいろな話し合いがあって」とか書いておられまして、要は、文官統制についての引用についていろんな方が質問しているのに対して、中谷大臣はそれ答えていないんです。  ただ、唯一、その文官統制に対して答えを始めたのは、一番右の参議院の真ん中辺でございますけれども、この間、私が代表質問質問した際に、つまり、大臣、逃げないでくださいと、文官統制そのものについての部分についても答えてくださいということに対してやっと答えてくださったのが、この私の質問に対する答弁、上の方から、佐藤総理大臣も云々云々、次に中曽根防衛庁長官も云々云々、竹下内閣総理大臣も云々云々として、そして最後の部分、私の質問に対する答弁という上の三行目の右の方ですけれども、「内部部局文官補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると理解されます。」と。初めてここにおいて、文官統制というのは内部部局文官補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨でありますと、初めてここで文官統制について答えているんですね。  私は、やっぱりこれだけ大きな法案でございますから、文官統制、まさに内局による介入といいますか、ということについて、大臣自身がこれだけいろいろおっしゃってきている。しかも、総理ですね、今の政権は、今までの総理の、小渕総理の答弁を翻すようなこと、あるいは歴代総理の例えば談話に対することも翻すようなことをやっていらっしゃるので、総理経験者の今までやってきたこと、おっしゃってきたことをひっくり返すというのは常道かもしれませんけれども、少なくとも、この三人の総理経験者が文官統制について言及している、その部分についての答弁を求めているのに対してしっかり答えていただきたいと思いますが。  今までのところで文官統制ということについてまともに答えないで、最後はやっと補佐という形で文官統制ということについて定義されておられますけれども、そのことについてまず答弁をいただきたいと思います。
  65. 中谷元

    国務大臣中谷元君) シビリアンコントロールというのは政治の統制でありまして、それを受けて防衛大臣文民、いわゆる国会議員から選ばれたわけでございますが、どう大臣がコントロールするかにおきましては、文民による補佐もありますし、幕僚監部のように軍事的専門家補佐、これも受けるわけでございます。  そこで、設置法の十二条に官房長及び局長大臣補佐するという旨を明確に定めており、補佐の意味は述べたとおりでありまして、統制補佐者が行うということはできませんが、こうしたことを踏まえれば、政府として文官が部隊を統制するなどの文官統制考え方は取っていないというのは明らかでありまして、歴代の総理による答弁についても、内部部局文官補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると理解をされるわけでございます。  具体的に佐藤総理の例を挙げましたが、ここでは、防衛省の内部において文官自衛官統制すると解釈をした場合に、じゃ、この答弁は国会における統制内閣における統制内閣における統制に含まれる国防会議の統制を挙げる一方で、これらと同じく政府文民統制の要点としている防衛庁長官統制についてのみ言及を避けている、あえて防衛庁長官の下位にいる者に言及をしているということになります。  しかしながら、同年に発刊された防衛白書の文民統制に係る記述、また、佐藤総理からの文民統制とは政治が軍事に優先することである旨の累次の答弁、そして、憲法上国務大臣文民でなければならないとされていることなどからくる文民統制における国務大臣の重要性を踏まえれば、佐藤総理がそのような意図を持って答弁したと解釈するのは無理があって、お尋ねの佐藤総理の答弁における防衛庁内部における文官統制は、内部部局文官補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨と解釈するのが適当でございます。  また、中曽根総理の答弁につきましては、この文民統制という言葉については、私は、部内の背広の者が制服の者に威張るということではない、それは政治理念が軍事理念に優越する言葉である、内局というのは長官を補佐するとも答弁をしておりまして、こうした答弁や同年に中曽根防衛庁長官の下で発刊された防衛白書の文民統制に係る記述を踏まえれば、お尋ねの内局による統制は必要であるとの答弁は、防衛庁の所掌事務全体について、防衛庁長官の判断の下で統一的に遂行されるよう、各種施策の遂行に当たっては防衛庁長官の下、内部部局が各幕僚監部と調整し、取りまとめる旨を述べたものであると理解をされるわけでございます。
  66. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 端的にこの佐藤総理の文官統制部分、中曽根防衛庁長官文官統制部分、それから竹下元総理の文官統制部分、そこについて評価をしてください。
  67. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 竹下総理についてはまだ述べておりませんが、この竹下総理の答弁につきましても、防衛庁の防衛予算、防衛政策についての議論をする中で、実際この発言の前にも予算編成や防衛の基本政策についてという言葉がありまして、発言をされたものでございます。  この説明に当たって、基本的な認識といたしましては軍事に政治が優先すると答弁した上で、防衛政策等を立案する際に、まず内局と制服とのいろんな話合いがあって、内局というものが制服をコントロールすると申しますか、そういう機能がまず第一にあるのではないかと答弁をいたしております。  こういうことで説明をさせていただきましたが、こういうことを踏まえますと、政府として文官が部隊を統制するなどの文官統制考え方は取っていないということは明らかでありまして、御指摘の歴代総理による答弁についても、内部部局文官補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると理解をされるわけでございます。
  68. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 この私の資料の一番右の一番下を御覧いただきたいと思います。  これは昭和四十五年の中曽根防衛庁長官の答弁です。一番下の三行の赤の部分を読み上げたいと思います。「制服の相当な力を持っておる人間内局の責任あるポストにつくことは適当ではないという考えに立って、いわゆる長官補佐機関の文民優位という形を実行しております。」。  文官統制そのものでありませんか。
  69. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 同時に、中曽根総理はそうでないことも言っておられまして、様々な発言がございます。  内局というのは長官を補佐をするといった答弁等がございまして、やはり私の考え方につきましては、内局文官補佐を行われる大臣による文官統制の趣旨でもありますし、防衛大臣は統合幕僚監部を始めとするこういった軍事的な補佐、これを両方受けて行うものであると認識をいたしております。
  70. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 委員長、今質問した後、委員長にお諮りしたいと思いますが、先ほどから私が質問していることには答えずに、ほかの部分でこう言っていますという答弁ばかりであります。これは、対照表が明らかになっているように、これ左の段は、総理あるいは総理経験者が文官統制ということに対して、真ん中の衆議院における答弁においては、そのことに言及せずにほかの場所でこう言っている、したがって文民統制だという切替えをしています。  そして、今の答弁が典型的でございまして、私が聞いたのは、この一番右の一番下の中曽根防衛庁長官の、「制服の相当な力を持っておる人間内局の責任あるポストにつくことは適当ではないという考えに立って、いわゆる長官補佐機関の文民優位という形を実行しております。」。  これは文官統制そのものではないですかということを聞いているんで、ほかでどう言っているかと聞いているんじゃなくて、これがイエスかノーかをお答えをいただきたいと思います。
  71. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、防衛省自衛隊統制の問題ではなくて、内部部局による人材配置の在り方について述べているものであると考えております。  この答弁をされた前後の防衛白書に、文民統制に係る記述を踏まえれば、お尋ねのいわゆる長官補佐機関の文民優位性という答弁は、文官自衛官に優越するということではなくて、防衛庁において政策的な大臣補佐を担う機関である内部部局文官主体の組織である旨を述べたものであると理解されます。
  72. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 歴史的に国会において、国権の最高機関で、まして総理だった方が答弁した内容について、後に別の大臣なりがその解釈についてほかのところでこうおっしゃっているのでこういう解釈ですというふうに、今解釈改憲ということが昨年から始まっておりますけれども、この議事録の解釈変更といったことを国権の最高機関で、これ議事録というのはこれ事実ですから、それを後々の大臣がその解釈でもってそこでおっしゃっていることはほかの文脈からして違いますということを言って果たしていいんですかね。  この内容については、少なくても、この制服の相当な力を持っている人間が適当でないとおっしゃっているんですね、適当でない。これは、適当でないということは、その統制ということの意味は別にして、この制服の責任あるポストの人がこういう形で行うということは適当でないということは、これ政府の方針であったということは間違いございませんですね。
  73. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 文官役割というのは、政策的見地からの大臣補佐でございます。当時の中曽根長官は、この内部部局における人材配置の在り方について述べたものであると考えております。
  74. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 これは、人材配置という何か人事部長の話じゃないと思うんですね。これはこの国の政策決定に関する重要な自衛隊法についておっしゃっていることであって、この制服の人が責任あるポストに就くことは適当でないと。適当でないということについてはっきり政府としては当時そういう認識でいたということは間違いないですね。
  75. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは内局人事配置の話をされているんじゃないでしょうか。こういう内局の性格から見て、制服の方が、力を持っておる人間内局の責任あるポストに就くのは適当ではないという考えに立ってお話をされております。まさに内局というのは政策的見地大臣補佐するわけでございますので、これは何の問題もないと思っております。
  76. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ですから、要するに、制服の人が優位に立つことがあってはならぬということですね。
  77. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 内局というのは、そもそも政策的見地によって大臣補佐するということでございますので、あの当時の中曽根防衛庁長官はそのような趣旨で政策的見地を行う内局の責任あるポストにおいては制服は適当ではないと述べたと思っております。
  78. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 したがって、このまさに佐藤総理、あるいは今の引用もそうですけれども、中曽根当時の長官、あるいは竹下総理がはっきりおっしゃっているような形でのこの文官優位ということが実態としてあったということ、そのこと自体を否定されますか。
  79. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、政策的見地からの補佐を行う組織内局でございます。このような見地で制服の高官が就くのは適切ではないというふうに当時の防衛庁長官が述べられたと思っております。
  80. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 したがいまして、そういう制服の方に関しては文官が優位であると。したがって、制服の方がそういうポジションに就くということについてはこの優位性を損なうという実態があったということは、これ、総理あるいは防衛庁長官もおっしゃっていたことを踏まえて、そういう実態があったということは間違いございませんですね。ほかでどう言っているかということは言わないでください。
  81. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この御発言を見る限り、内局の性格から見て、制服の相当な力を持っている人間内局の責任あるポストに就くことは適当ではないという考えに立って実行するということでございます。  したがいまして、やはり内局のポストというのは政策的見地大臣に伝えるわけでございますので、幅広いこういった政策的な活動、見地、そういうものを必要とするという観点で申し述べられた、いわゆる内局の位置付け、性格からしてという見地で申し述べたことではないかと思っております。
  82. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 内局の位置付けについてということの確認をいただいたと思っております。  そこで、大臣が最近よく使われている補佐という言葉でございますけれども、その補佐ということの定義、それから、例えば助言とはどう違うのか、それからその補佐する人とされる人との間の優位性が存在するのかについて、まず防衛大臣からお答えいただき、その後、法制局長官からお答えをいただきたいと思います。
  83. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 一般に法律用語における補佐というのは、機関の長たる職員の職務の執行をそのすぐ下位にある職員が助けることの意味に用いられております。  他方、助言は、ある機関に対し他の者がある行為をなすべきこと又は行為をなすことについて必要な事項を進言するとの意味に用いられます。  これでよろしいですか。(発言する者あり)  済みません。優位性が何を指すかは必ずしも明らかではありませんが、一般に補佐される者である上司は、補佐する者である部下を指揮監督できるという意味で優位であると考えます。
  84. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 防衛大臣からお答え申し上げたとおりでございますけれども、若干補足的に申し上げますと、補佐といいますのは、上位にある者の職務を下位にある者が助ける場合に一般的に用いられております。  例えば、国、地方公共団体、その他の公法人などにおきまして、法令によりその機関の長に権限が付与されている場合において、一般にその職員が当該機関の業務を行うことは、法的には補佐として行うものであると理解しております。  他方、助言といいますのは、そのような上下関係を前提とせずに、ある者が他の者に対して知見、意見などを述べてその者を助けるということでございます。  その優位性という点でございますけれども、先ほど申し上げたとおり、補佐といいますのは上位にある者の職務を下位にある者が助ける場合でございますので、その助けられる者が優位であるということが前提でございます。
  85. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 とおっしゃいましたが、実は上下といっても補佐する側といいますか、が実は補佐をされる側を大きく動かすことが今までの内局といいますか官僚機構の中で多々あったのではないかという実例をこれから示したいと思います。  それは、大きな紙の次の紙を御覧いただきたいと思います。これは、実は、一九九七年に橋本総理の指示で、当時の久間防衛庁長官が、国会答弁を認めるというふうに訓令を廃止したんです。具体的に言いますと、昭和二十七年からの長年続いた訓令がございますけれども、その訓令には、国会答弁は幕の人間ではなく内局人間が行うという訓令がございます。実は、先ほど福山議員が使われていたこの訓令で、これは偶然でございますけれども、この小さい紙、これが訓令そのものでございます。国会答弁は幕の人間ではなく内局人間が行うという訓令がございまして、それを橋本総理の指示で久間防衛庁長官が廃止をしたんです。  ところが、その直後に事務次官がそれを否定する通達を出したというのが私が今お配りしているこの事務次官通達でございます。当時の村田事務次官の通達でございます。  どういうことをしたかといいますと、国会における審議等は基本的に内部部局が対応し、各幕等は軍事専門的、技術的事項その他権限と責任を有する事項について対応してきたと。組織的一体性、整合性を図る観点から、今後ともこれらの点に変わりはないと。つまり、久間長官がそれまでの訓令を廃止して国会答弁を制服組ができるようにした途端に、事務次官がそれをできないような実は通達を出してしまったという通達でございます。  ということは、大臣が、これ吉田総理以来の長年の、これは橋本総理の指示で制服組が答弁ができるようにしたにもかかわらず、この実は通達でもって事務次官が止めてしまったというこれは内局の反乱なわけでございます。  それで、もっと詳しく説明をいたしますと、この訓令というのは、まさにこれは福山議員がお配りになっておりますけれども、の資料がたまたま出ておりますけれども、三条の三に出ていますけれども、各幕の方針は内局が審議するというのがこの福山さんが配られた資料の方の訓令にあります。それから、五条のところで、幕僚監部の作成する指令、通牒、指示も内局が審議するとあります。それから、十三条で、部隊その他の機関からの上申、報告でさえ幕僚長は内局を通じて防衛庁長官に提出する。そして、この第八条のところに、首相官邸や国会、他省庁との連絡交渉は各局においてするものとすると。それから、幕僚監部に勤務する職員は、国会等との連絡交渉は行わないものとすると。これは先ほど中谷大臣が本でお書きになったことの裏付けのこれまさに訓令であります。  これは、要するに、これだけいろいろ内局内局内局といって制服を抑え込む目的の訓令がずっと吉田総理以来あったわけですね。それを橋本総理の指示でこの訓令を廃止した途端に配られたのがこの通達でございます。  通達を御覧いただきたいと思いますが、まず一のところの右の方ですけれども、「長官の補佐機関たる長官官房及び各局と各幕僚監部が双方とも国家行政組織法上の「内部部局」として位置づけられ、」、そして、その下に行きますけれども、「両者がともに内部部局において並立する関係にあったため、」、並立というか、要するに対立ということですね、したがって、その下の右の方に、「一般的な事務調整のルールを定める」という位置付けにしたんです。  つまり、長官が訓令を廃止したのに対して、いや、事務調整の問題なんだと、これはというふうにランクを下げちゃっているわけですね、一般的な事務調整のルールだと。先ほど人の配置だというふうに大臣が逃げたのと同じような感じであります。  それで、次のページ、この通達の二ページ目に行っていただきますと、上の方から二行目の右の方ですけれども、「暫定的な措置として、」、その下に行って、「当分の間その効力を有することとされたものである。」と。つまり、そういうふうに格を下げちゃっているわけですね。  そして、二のところに行きまして、四行目、右の方ですけれども、この訓令の「大部分は法令の趣旨を確認的に規定したものであり、」、「四十年以上が経過する中で、個別の訓令等の制定や業務運営の積み重ねにより、内部部局及び各幕等の事務の運営の方法は明らかにされてきていることから、今日的な目で見れば、昭和二十九年当時に当分の間効力を有することとされた事務調整訓令の役割は終わったものと考えられる。」と。ここに来て、急にもう役割は終わったんだと勝手にこれ決め付けちゃっているんですね、村田事務次官の方は。  そして、次の段落へ行きますと、三行目、次の段落の右側の方です。「これまでも、国会との連絡交渉については、国会における審議等が主として政策的観点からなされるものであることから、基本的に内部部局が対応し、各幕等は必要に応じ軍事専門的、技術的事項その他権限と責任を有する事項について対応してきたところである。」と。で、「国会以外の中央官公諸機関との連絡交渉についても、これまで内部部局及び各幕等はそれぞれの権限と責任に応じて対応し、その際、組織的一体性・整合性を図る観点から各幕等は基本的事項を所掌する内部部局連携をとりつつ対応してきているところであり、今後ともこれらの点に変わりはない。」と。事務的に言って断定しているわけです。  そして一番最後のところ、二行ですが、「この廃止」、つまり訓令の「廃止により現行の事務の運営の方法が変更されるというものではない。」というんです。  中谷大臣、これ、先ほど、本でお書きになったものとまるで逆のことを、大臣が決めたことを事務次官ほかがやってしまったんです。そもそもこの通達はまだ生きているんでしょうか。
  86. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 通達は生きております。  御指摘の次官通達は、まず保安庁時代、昭和二十九年から定められていたいわゆる事務調整訓令を平成九年に廃止するに当たって、事務調整訓令の廃止の趣旨及び理由について、当時の検討の内容を内部に参考にするように示したものでありまして、このような内容の文書を事務次官の通達として発出することは特に問題がないものと考えます。  本通達におきましては、国会との連絡交渉については、「基本的に内部部局が対応し、各幕等は必要に応じ軍事専門的、技術的事項その他権限と責任を有する事項について対応してきた」とし、「今後ともこれらの点に変わりはない。」としておりますが、かかる文言のために自衛官国会出席が抑制されているものではありません。  いずれにせよ、自衛官国会答弁の必要性については国会において御判断される事項だと考えております。
  87. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 何かよそよそしい話ですね。  さっきの本に元々書いていることと逆のことを、これ事務次官通達でやっちゃっているんですね。先ほど本でおっしゃっていたことの逆をこういう形でやってしまっている。  それから、内局がいろいろやっていらっしゃると本でおっしゃっていたけれども、ここまで内局されているんですね。大臣が決めたことを、これ事務次官がこうやってひっくり返しちゃっている。しかも、大臣が決めたというのは、橋本総理がそうと英断したことを事務方がこれだけひっくり返してしまっている。これでは、今回、内局とそれから制服の関係を変えておられるといっても、この通達がまだ生きているということは、結局、事務的なやり方が政策的な決定よりも、実質的にこちらの方が通用しているということなわけですね。  それで、国会における制服の方々の答弁については国会がお決めになるというふうに、何か冷ややかなお話をされていますが、大臣として、先ほど来おっしゃっている、深く、即時性を持って、現場情報をもって大臣が判断をされるということに関して言えば、我々国会議員も同じ情報を得なければ国権の最高機関として判断ができないわけですね。  ということは、大臣自身も国会議員であるわけですから、当然制服の方も、ほかの国でもそうでありますけれども、直接的、専門的、そして深い情報国会で直接答弁をするということの方がはるかに国益にもかなうのではないか。そして、防衛省としても、国民及び国会の皆さんから理解をしていただくということが重要であるとお考えになるならば、そんな突き放した考え方じゃなくて、しかも法律的にそれが可能だとおっしゃっているならば、むしろ今までの主張からして、当然国会において制服の方が答弁をされるべきだというふうなお考えははっきりおっしゃられないんでしょうか。
  88. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛官国会における答弁の必要性につきましては、あくまでも国会において御判断されるべき事項であると考えます、まず基本は。  その上で、国政について幅広い御議論が行われる必要性はありますが、国会におきましては、防衛大臣たる私を始めとする政務が行うとともに、政策的見地から大臣補佐する官房長、局長、また改編後の統合幕僚監部にあっては政策的知見を有する運用政策総括官といった文官に行わせることとし、各幕僚長については引き続き、防衛大臣を軍事専門的見地から補佐する者として、自衛隊の部隊運用を始めとする部隊の管理運営に専念させたいと考えております。
  89. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 つまり、国会の判断ということではなくて、防衛大臣の判断として制服は答弁させないということを決めているということですね。ということは、この通達に中谷大臣も従ってしまう、そして本来お考えになっていたような、制服の直接的、専門的な情報というものが、大臣としての判断も、そして国会として、つまり国民としての判断にとっても重要だという部分については、大臣の判断でそれはさせないという方針にお変わりないんですか。それとも、こういう議論を踏まえまして、大臣の方で制服も国会答弁に立たせるということは、これ大臣がお決めになれるんじゃないでしょうか、いかがですか。法律的な制約はないんじゃないですか。
  90. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 国会で答弁に立つというのは私を始めとする政務の役割でありますし、また政策的にそれを補佐する内局の職員が政策的にお答えするということでございまして、部隊の運用等につきましては、軍事的、専門的見地から補佐する者として、自衛隊の部隊運用を始めとする部隊の管理運営に専念させたいと考えております。
  91. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 実は二〇〇八年のこの参議院の外交防衛委員会で私はこの質問をしているんです。そのときに浜田当時の防衛大臣は、事務次官通達はありますけれども、「自衛官国会での答弁というのは、私自身はあり得べしというふうに思っているところであります。」と、当時の浜田大臣がこれだけはっきり自衛官が答弁すべきだとおっしゃっているんですが、今回、防衛省設置法改正で、そして制服の方がいろいろな意味で役割が増大して、かつその必要性をこれだけおっしゃっていながら、何で中谷大臣浜田大臣よりも後退してしまっているんでしょうか。
  92. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、この通達が現在も生きているということでございます。また、こういった国会における答弁等につきましては、非常に政策的なお話でございますので、そういう点で、私のような政務に就く者、そしてそれを補佐する者がお答えするのが適切でありまして、自衛官等につきましては隊務運営に専念させるということでございます。  ただし、自衛官の答弁の必要性につきましては国会で御判断をされることでございますので、国会から出てこいということになりますと、それは国会の意思に従うことになろうかと思います。
  93. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 つまり、国会の方で制服の方、今度はその組織が変わりますので、制服の方も、いわゆる今までの内局だけだったところに制服の方も入っておられるわけですけれども、ということは、国会の要請があれば、それを大臣として拒むものではないというふうに理解してよろしいですね。
  94. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛官国会答弁における必要性につきましては、あくまで国会において御判断をされる事項であると思っております。
  95. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 判断が出た場合に、それを拒む法律あるいはその政策的意思はないということでしょうか。
  96. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私的には、国会というのはシビリアンコントロールの中でも最大のものであると認識をいたしております。つまり、国民の代表で構成される国会でございますので、国会でお決めをされると、御判断をされるという事項だと思っております。
  97. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 つまり、国会で判断した、つまり指名をしたと、制服の方、統幕長なり、それに対しては、大臣はこの通達という事務方がずっと作っていることを超えてそれを受け入れると、あるいは法律的にそれを妨げる法律は存在しないということでよろしいですね。
  98. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これまでも自衛官国会の決定によって証言をしたという歴史もございます。この事務次官通達の文言のために自衛官国会出席が抑制をされているものではないと考えております。
  99. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今回の防衛省設置法改正に伴って、この今の通達見ておりますと、今防衛省設置法改正でやろうとしていることとこの通達、村田次官の、内容がかなりそごがあるような気がいたしますが、今度、防衛省設置法改正の後には事務次官通達によってこういう事務的な内容についてそれを変更する用意はありますでしょうか。
  100. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今般の組織改編に伴ういわゆる事務調整訓令の廃止に係る事務次官通達の取扱いにつきましては、法の成立後、施行までの間に必要な検討を行った上で判断したいと考えております。
  101. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 その場合には、大臣と事務方といいますか、これは何かこのときの村田次官のところを見てみると、久間大臣と、当時は長官と村田次官ほかがこれ連動してやったというふうに思えないんですけれども。今回、防衛省設置法改正に関しては、通達を変えるという場合には大臣御自身が直接通達の改正に関わる決意はございますね。
  102. 中谷元

    国務大臣中谷元君) あくまでも大臣が責任者でありますし、次官というのは大臣補佐するものでございますので、大臣と次官は緊密に調整をいたしまして、補佐を受けながら大臣が決定する立場であると考えております。
  103. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 時間が七十分ですが、あと十分ぐらいになってきましたので、ちょっと次のことに移りたいと思います。  安保関連法制について一つお聞きしたいと思います。それは、一番最後のページの資料を御覧いただきたいと思います。これは、先週、私の方で政府の方に要請をした定義付けに付いてきた紙であります。最初は何か広辞苑の紙を持ってきましたけれども、それはひどいじゃないかと申し上げたところ、持ってきた紙がこの一番最後の紙であります。  私が聞いたのは、平和、独立、安全、事態、存立、これについての定義をお聞きしたわけでございます。この中で、そうですね、私いろいろ聞きたいことがあるんです、例えば「平和」という意味に、「戦争がなくて世が安穏であること。」とありますね。つまり、戦争がないだけじゃなくて、世の中安穏であるということがこの平和の定義です。それから、「安全」という意味は、「物事が損傷したり、危害を受けたりするおそれのないこと。」。これは、この定義でいいますと、これは大変重みがあるなと思ったわけですが。  ということは、この平和安全法制というふうに今衆議院法案が審議進んでいますけれども、平和安全法制ということは、世の中の安穏やおそれがないことを目指すわけですが、これ今の、つまり今までの日本考え方とは違って、外国に自衛隊が、日本が直接攻撃をされていなくても出ていくこと、それからある意味では軍事的な予算体制を拡大をするんだ、それが抑止力だということを外に発信しているということは、この平和と安全という定義からすると、世の中の安穏やおそれがないということと反対の方向に今の平和安全法制というのは進んでいるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  104. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回の法案は何のために改正をするかといいますと、やはり国民の命、平和な暮らしを守り抜いていくためでございます。また、国際社会の中でも平和と安全に寄与をするために目指すものでございまして、まさにこの定義のとおり平和と安全を目的としたものであると私は考えております。
  105. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 法制局長官は、この五つの用語についてどういうふうに定義しておられますでしょうか。
  106. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) なかなか個々の語についての定義というものをお答えするのが難しゅうございまして、例えば平和という言葉も、国際の平和と使われてみたり、家庭内の平和みたいなものもございますし、独立にしましても、国家の独立もあれば、司法の独立という場合もございます。安全も、国民の安全もあれば、交通安全といったような、いろんな文脈で言葉が用いられますので、それぞれの語の定義というのを一概に申し上げることはできません。  法令は日本語で書かれるわけでございますけれども、そこで用いられるそれぞれの語自体の意味は、一般に日本語としての意味、すなわち日本語を用いる人々の間で理解されるところの意味によるわけでございます。その意味で、法令で用いる語につきまして、一々その定義をして用いているものではございません。法令の条文におきましては、様々な語を組み合わせまして句、節、文を構成することにより、規範としての意味内容を表しているところでございます。  現行法におきましては、例えば事態対処法の第一条におきまして、「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。」というような形でこれらの語が用いられておりますし、周辺事態法におきましては、第一条におきまして、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」という語というか、句が用いられております。  このように、条文におきましては、様々な語を組み合わせて用いるということで一定の限定された意味を表そうとしているものでありまして、個々の語の意味を定義して用いているものではございません。
  107. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 これは引き続き議論させていただきたいと思いますが、岸田外務大臣にお越しいただいていますので、一問。  先日、私、本会議でガイドラインについて質問いたしました。それに対して岸田外務大臣は、新ガイドラインのうち、平和安全法制に係る法案が御承認いただける場合に実施可能になるものとして、例えば日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動の部分で記述された日米協力についてというふうに答弁されましたが、この法案が承認された場合に実施可能になる新ガイドラインの中の項目について、全て挙げていただきたいと思います。
  108. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 新ガイドラインは、一般的な大枠あるいは政策的な方向性を示す日米間の文書であり、日米いずれの政府にも法的権利又は義務を生じさせるものではないということを申し上げた上で今の御質問にお答えさせていただきますが、現行法上、我が国が行うことができないと考えられることとして、まず一つは、第四章A節、平時からの協力の措置のうち、アセット、装備品等の防護について、自衛隊が米軍のアセットを防護することとしている部分。そして、第四章D節、日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動のうち、米国又は第三国に対する武力攻撃に対処するため、我が国が武力攻撃を受けるに至っていないとき、我が国が新三要件を満たすときに、武力行使を伴う作戦を行うこととしている部分、これは本会議でお答えした部分ですが、これを挙げることができると思います。  また、現行法上も可能ではありますが、この平和安全法制の議論によって拡充し得るという点につきましては、この第四章A節、平時からの協力措置のうち後方支援、あるいは第四章B節、日本の平和及び安全に対して発生する脅威への対処のうち非戦闘員を退避させるための活動、海洋安全保障、捜索・救難、そして後方支援、さらには第五章、地域及びグローバルな平和と安全のための協力のうち平和維持活動、海洋安全保障、非戦闘員を退避させるための活動、そして後方支援、これらが挙げられると思います。  これらについては現行法上も実施可能なところではありますが、平和安全法制において改正法や新法として現在国会で御審議いただいている部分であり、この法制次第ではこの拡充があり得ると考えます。
  109. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 藤田幸久君、そろそろ時間でございますが。
  110. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 時間が最後になってきましたけれども、シンガポールの安全保障会議に中谷大臣出席されましたけれども、アメリカと中国とのやり取り、それからフィリピンの大統領があしたいらっしゃいますけれども、防衛装備移転協定を締結するということのようでございますが、その二つについて、簡単にお答えいただければ幸いです。
  111. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 中谷防衛大臣、簡潔にお願いします。
  112. 中谷元

    国務大臣中谷元君) シャングリラ会合におきましては、各国の防衛大臣が一堂に会していろんなテーマについて議論をする場でございました。南沙諸島、西沙諸島に関してアメリカも見識を発表いたしました。内容につきましてはもう新聞で公開されておりますので、このような認識を持っているわけでございます。  フィリピンにつきましては残念ながら大統領が来られていなかったわけでございますが、せんだって訪日をされた折には、今後日本とフィリピンの防衛協力といたしまして、キャパシティービルディングとか、また人材交流とか、こういうことを通じて寄与していくというような旨の話をしたわけでございます。
  113. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 ありがとうございました。終わります。
  114. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十三分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  115. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、福山哲郎君、小坂憲次君及び末松信介君が委員辞任され、その補欠として羽田雄一郎君、中泉松司君及び井原巧君が選任されました。     ─────────────
  116. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 休憩前に引き続き、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  117. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今回の設置法改正案では、調達業務の更なる透明性、公正性を図るために、新設されます防衛装備庁の内と外から重層的に監査、監督する体制が整備をされております。具体的には、同庁の外側からは強化された防衛監察本部がチェックをし、内側からは新設されます監察監査・評価官がチェックをするということになっております。  そこで、まず、内部の新設されます監察監査・評価官の役割防衛省から説明を求めます。また、この監察監査・評価官と防衛省内局における監察部署との関係といいますか連携はどうするのか、説明してください。
  118. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) お答え申し上げます。  今先生から御指摘ございましたように、防衛装備庁の長官の直轄として置かれます監察監査・評価官は、同庁におけます監査、監察の中心となりまして、企業と職員との接触状況でございますとか、職員による技術情報管理状況でございますとか、日々の入札状況等の実態の把握を行い、長官に報告した上で、業務の適正化を図る役割を担うことになります。また、監察監査・評価官は、防衛大臣直轄の防衛監察本部、それから内部部局に引き続き残ります監査部署とも連携しつつ、重層的に透明性、公平性を確保していく予定でございます。  あわせて、引き続き防衛装備庁に設置される部外有識者から成る防衛調達審議会ともきちんと連携しながらチェックを受けていくと、こういったことを予定しているところでございます。
  119. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この防衛調達につきましては、過去から何回か不祥事がありまして、国会でも大変な議論、また与党の中でも大変な議論をしたことを覚えております。  そこで、この装備品の調達に係る組織の在り方については、いわゆる原価計算部門と契約実施部門の関係性が、過去のそうした事案を踏まえて試行錯誤してきたわけでございますけれども、今回の防衛装備庁においては両者の関係はどのようになっていくのか、またそういう相互牽制といいますか、それはしっかりできるような仕組みになっておるのか、お尋ねします。
  120. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) ただいま先生から御指摘ありました点でございますが、平成十年に発生いたしました調達実施本部における背任事案などの教訓、反省も真摯に受け止めた上で防衛装備庁を設置する予定でございますが、平成十三年に調達実施本部を廃止した際、調達実施本部で同一の副本部長が原価計算部門と契約部門双方を担当しておりましたが、これを組織的に分離し、原価計算部門を内部部局に、契約部門を契約本部にというような分け方をいたしました。  この結果、原価計算、予定価格、契約の締結という一連の作業が内部部局と契約本部との間で分かれるというふうな結果になったわけでございますが、その後、業務の効率的な執行の観点や装備品のライフサイクル全般を見据えたコスト管理の観点から、原価計算部門と契約部門の再統合について検証した上で再度組織改編を行い、平成十八年度に装備本部を設置することといたしましたが、その際、規則、基準の作成と契約等の実務を担う部署は別々の副本部長担当するというような体制にすることによって相互牽制が保たれる組織体制としたところでございます。  防衛装備庁においても、こうした十八年度の際の考え方を踏襲し、規則、基準の作成を調達管理部に、契約等の実務を調達事業部に所掌させ、それぞれ別々の部長担当する体制とすることによって、引き続き相互牽制を働かせる予定としてございます。  加えて、主要装備品等について、プロジェクト管理部が全体のライフサイクル管理の観点から関与するとともに、同庁を事務官、技官、自衛官の混合体制とすることによって、閉鎖的な人事管理とならないよう措置するなど、これまでの教訓をきちんと踏まえた組織設計としていきたいと考えてございます。
  121. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 既存の外部有識者から成る防衛調達審議会があります。この防衛調達審議会のこれまでの実績と、防衛装備庁の新設に当たりましてこの防衛調達審議会はどういう役割を果たすことを期待されるのか、お尋ねします。
  122. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) 防衛調達審議会は、防衛庁調達実施本部における背任事案を受け、部外有識者を活用した第三者による監視体制を確立するため、平成十三年一月に設置されたところでございます。基本的には一月と予備月の三月を除き毎月開催し、今日に至るまで百二十八回の審議を行っていただいており、また、審議に先立っては、委員による事前審議というものを行っているところでございます。  具体的な審議案件については、防衛装備品調達の透明性、公平性を向上させるため、個別の調達案件をサンプリングし、随意契約の予定価格、契約内容が適正であるか、一般競争入札の結果、一者応札となった契約の競争性の拡大の余地はないか、仕様書等が競争性を阻害するような恣意的な記載になっていないかなどの観点の調査審議のほか、競争入札を対象に調査した結果、不自然な入札案件として報告されたものについて審議を行っているところでございます。平成二十六年度でいえば、六十二件の契約を委員自らが抽出し、審議いただいてございます。  防衛装備庁発足後は、これらの審議に加え、プロジェクト管理対象となる装備品等についての審議及び将来取得する装備品等の調達に関する契約方法等の運用、適用の適正性について御審議いただく予定でございます。これにより、これまでの調査審議によって蓄積された透明性及び公平性のチェック機能プロジェクト管理対象装備品等の審議を有機的に連携させることなどにより、一層の透明性、公正性の向上が図れるのではないかと考えておるところでございます。
  123. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 防衛装備庁は、約千八百人の人員で構成される大世帯でありますけれども、既存の人員のやりくりの中で構成するということで、事務官、技官、自衛官の混合組織になるようであります。  今回、監査・監督体制強化策として、この防衛装備庁内に教育部門を設置をし、法令遵守等の教育を徹底することが盛り込まれておりますけれども、全員の職員あるいはどの職員に対してどういう教育をしていくという考えなのか、お尋ねします。
  124. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) 今御指摘の点でございますが、新たな装備庁では、職員のキャリアパス形成の一環として、事務官、技官、自衛官を問わず、調達の制度プロジェクト管理の手法など、装備品の取得に関する専門的な知識に関する教育や研修を実施するとともに、職員に対する法令遵守教育の徹底も図ってまいります。  加えて、研究職対象とした技術管理装備品等の試験評価といった研究開発実務に関する研修、調達関係業務を行う職員を対象とした原価計算等に関する研修、監察・監査業務を行う職員を対象としたより実効性のある監察、監査を行うための研修といった、職員の特性に合わせた専門性の高い教育の充実にも努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  125. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、設置法改正案三十六条で、この防衛装備庁任務として国際協力の推進ということもここに書かれているわけでございます。昨年、防衛装備移転三原則を閣議決定したわけでございますけれども、これに基づきまして平和貢献あるいは我が国の安全保障に資するということで、防衛装備品やあるいは技術を海外に移転する場合、供与した相手国から教育訓練や維持整備についても防衛省に支援が求められる可能性がありますけれども、そういう場合にこの防衛装備庁ではどういう対応をしていくのか、お尋ねいたします。
  126. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) 先生御指摘のように、防衛装備品の移転に当たっては、移転先国政府から教育訓練や維持整備といった支援を求められる可能性がございます。こうした支援を実施する場合には、防衛省自衛隊の知見や経験が必要とされ、民間企業だけでは対応が難しいケースも想定されます。このため、こうした点を含めて今後実際に装備品移転するに当たって、政府がどのような態様で移転に関与することが効果的かつ適切であるかについて現在外部有識者の方々に検討をいただいているところでございます。  防衛装備庁におきましては、諸外国との防衛装備技術協力の推進を重要な任務一つと位置付けております。このため、装備政策部に諸外国との防衛装備技術協力に関する企画調整を行う国際装備課を設置し、内局や各幕、またプロジェクト管理部や技術戦略部といった他部局と適切に連携しながら防衛装備技術協力を推進していきたいと考えておるところでございます。
  127. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、自衛隊法改正の別表第三についてお伺いいたします。  これによりますと、今回、築城基地所在のF15部隊の一個飛行隊を那覇基地に移動させ、那覇基地のF15部隊を二個飛行隊化するとともに、同基地に第九航空団を新設することになっております。この第九航空団を新設することにした理由を改めて防衛大臣から説明を求めます。
  128. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、政府といたしましては、防衛大綱の下で、各種事態における実効的な抑止力及び対処を実現するための前提となる海上優勢、航空優勢の確実な維持に向けた防衛力整備を行うこととしておりまして、南西地域における防衛態勢の強化を図ることが重要であると考えております。  現状におきましては、那覇基地の戦闘機部隊は一個飛行隊のみでありますが、航空自衛隊による緊急発進の回数は近年増加傾向にございます。特に、史上二番目に多い回数となった平成二十六年度における緊急発進のうち、ほぼ半数が南西地域において実施されているなど、南西地域における防空態勢の強化を図ることは喫緊の課題でございます。  かかる状況も踏まえまして、今般、防衛大綱、中期防に基づきまして、平成二十七年度末までに那覇基地における戦闘機部隊を一個飛行隊から二個飛行隊に増勢するとともに、第九航空団を新編をいたしまして、南西地域における航空自衛隊運用体制の充実を図ることといたしております。
  129. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 五月十四日の平和安全法制の閣議決定の折の記者会見でも、総理は冒頭に、国際環境の変化ということで、このいわゆるスクランブルの回数が急増しているということを挙げておられまして、今の大臣の方針は首肯できるところでございます。  そこで、南西地域における防空態勢の充実のために、レーダーサイトの自衛官の実員の更なる充実向上を行うとしておりますけれども、具体的にどういう形で増強していくのか、お尋ねいたします。
  130. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) 先生御指摘の南西地域のレーダーサイトについての体制の充実強化ということでございますけれども、自衛官の充足向上というのは、自衛隊体制強化という観点から極めて重要であるということで、現行の大綱、中期防に基づきまして継続的に進めておるところでございます。  二十七年度予算におきましては、自衛隊全体としては約百六十名分の実員の増員というものを行うこととしておりますけれども、御指摘の南西地域のレーダーサイトにつきましても、この地域に所在をしております四個のレーダーサイトにつきまして基本的には各一名ずつ、それに加えまして、BMDの対処能力を持っております与座岳のレーダーサイトにつきまして更にもう一名を追加するというような形で所要の実員増というものを図ろうとしているというところでございます。
  131. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今回の改編、第九航空団の新設につきましては、三沢基地から築城基地、築城基地から那覇基地という形でF15部隊が玉突き移動いたしまして、三沢基地へは新たにF35Aが配備予定になっていると、こういうことでございました。  そこで、先ほどの大臣の説明ですと、特に南西地域において緊急発進も増えているということでありましたら、この最新鋭のF35Aは、玉突きで空いた三沢基地ということではなくて那覇基地の方に配備をするということも考えてもよかったのではないかと思いますけれども、どういう検討結果だったのか、お尋ねいたします。
  132. 黒江哲郎

    政府参考人(黒江哲郎君) ただいま先生御指摘のF35についての配備基地の考え方でございますけれども、この機種につきましては、御案内のとおり初めて取得をするということで、これから具体的な部隊建設を行うわけでございます。  それで、現在、調達の途上でございまして、一個飛行隊約二十機程度要するというふうに我々は考えておりますが、これを調達するまでの間にまだ複数年掛かると。その間に、初号機を配備して以降、具体的な運用要領の確立でありますとか任務遂行能力の錬成といった、そういうことのために時間を要することとなるわけでございます。  こういうことを勘案しますと、最初の飛行隊を置く場所につきましては、その間、ある意味、一個飛行隊ない形で対領空侵犯措置を実施しないといけないということでございますので、ほかの飛行隊、複数の飛行隊が同じ航空方面隊の中にあって一個隊分減っておる部分を補うという、そういうことができるような、そういう方面隊でないといけないという、そういう条件がまず一つございます。  また、今申し上げましたように、初めてでございますので、教育訓練施設も同じ基地の中に建設を行わないといけないという、そういう事情がございます。さらに、これは最新鋭のステルス機と言われる第五世代機でございますので、この機体自体についても厳重な保全措置を講じる必要があると、そういう事情もございます。  また、将来的に、米軍との間でこれは同一機種で一層の連携強化を図っていく必要があると、こういったような様々な要因を踏まえまして総合的に検討した結果、一個飛行隊目については北部航空方面隊の三沢基地ということで決定をしたという、そういう事情でございます。
  133. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 了解しました。  先般、先週ですね、当委員会では技術研究本部を視察をいたしまして、なかなかふだん見れないようなものを見せていただき、勉強になりました。  そこで、新設予定防衛装備庁では、長官の下、五部体制で構成をされ、その中に技術戦略部も設置されるという表になっております。この技術戦略部は、今後、装備品の研究開発についてはどういう役割を担うのか、実際の研究所との関係ではどうなっていくのか、お尋ねをいたします。
  134. 外園博一

    政府参考人(外園博一君) お答え申し上げます。  新設される防衛装備庁においては、将来における我が国の技術的優位性を確保するため、先進的な技術研究開発に係る各種企画立案を行う部署として技術戦略部を設置する予定でございます。  具体的には、中長期的に研究開発に取り組むべき技術分野を示した中長期技術見積り及びおおむね二十年後の将来装備品のコンセプトとそれを具現化するための研究開発ロードマップを示した研究開発ビジョンなどの研究開発戦略の策定、デュアルユース技術の積極的な活用のための技術調査、ファンディング制度実施、国内外の研究機関との技術交流の推進、適切な技術管理実施などにより、先進的な技術研究を推進してまいります。  なお、先進的な技術研究等の実施は研究所において行われますが、技術戦略部は言わば司令塔として研究所と連携しつつ先進的な技術研究を推進し、我が国の技術的優位の確保に努めてまいりたいと考えております。
  135. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、先週参考人質疑も行ったわけでございますが、その中で今回の防衛装備庁の新設に際しまして軍産複合体というものができるのではないかと、こういう発言もあって、私はそれは杞憂じゃないですかと、こういうやり取りをしたわけでございます。  そこでお尋ねいたしますけれども、昨年、この防衛装備移転三原則を受けまして、防衛省は六月に防衛生産・技術基盤戦略を決定をいたしました。私もこの防衛装備移転三原則、従来の三原則に代わるこの策定については、与党内の議論にも参加しておりまして、決してそういう、何か武器輸出大国になるとか、そんな発想では全くないということは私も十分確認をしておるところでございます。  そこで、この防衛生産・技術基盤戦略を決定した意義と概要を大臣から改めて説明をしていただきます。
  136. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その前の年でありますが、平成二十五年十二月に国家安全保障戦略が策定をされました。この中で、限られた資源で防衛力を安定的かつ中長期的に整備、維持及び運用していくため、防衛装備品の効果的、効率的な取得に努めるとともに、国際競争力の強化を含めた我が国の防衛生産・技術基盤を維持していくと記載されたことを受けまして、そのための方向性を示す新しい指針として、昨年六月、防衛生産・技術基盤戦略を策定をいたしました。  同戦略におきましては、防衛生産・技術基盤の目標や意義として、まず安全保障の主体性の確保、そして抑止力向上への潜在的な寄与及びバーゲニングパワーの維持向上、そして先端技術による国内産業高度化への寄与を挙げております。また、こうした目標を達成するために、契約制度等の改善、研究開発に係る施策、防衛産業組織に関する取組といった諸施策を推進することといたしておりまして、防衛装備庁の設置後もそれらの施策を着実に実施してまいりたいと考えております。
  137. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先般の質疑でもございましたけれども、我が国の防衛産業については、一つ装備品に多くの企業が関わっているというのが現実でございます。  そこで、ある部品の供給が滞ると装備品の生産過程全体に影響が及ぶことがあるわけでありますけれども、特に中小企業で、そこでしか作れないような技術消滅の危機というのが過去に実際にあったのか、また、そうした不測の事態を防ぐために、今後、防衛装備庁におきましてはどういう施策が必要だと考えているのか、お尋ねをいたします。
  138. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) ただいまの先生の御指摘でございますが、防衛省としてもその全てを把握できておりませんで、これから努力をしていかないといけないと思ってございますが、例えば、一例でございますが、護衛艦に搭載する五十四口径五インチ速射砲、これの油圧部品というのをとある中小企業が製造を行っておったところでございますが、まさにこの企業が撤退というふうなことになると、それ以外の企業ではこれを造る者がないと、こういうような事実を防衛省として把握した例もございます。  このような現状も踏まえまして、防衛装備庁におきましては、サプライチェーンというのがどういう実態になっているのか、どういったところでどういう企業がかけがえのない役割を果たしているのか、それから、企業にとって予見可能性を高めると。いつ仕事が来るのか分からないというふうなことでは企業も事業継続というのは大変難しゅうございまして、そういった面で契約制度の改善といったことなどを含めた各種施策を推進し、基盤の維持強化に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  139. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今も中小企業、特に零細企業にとりましては、いつ仕事の発注があるか分からないということですと、まさに困るわけでございます。  そこで、陸上自衛隊装備は多種多様な装備品がありまして、正面装備品だけでも約二千六百種類あると聞いております。他方、その調達期間は短期間であることが特徴でもありまして、一年若しくは二年の調達期間が多く、また一般競争入札が原則でございます。それゆえに、企業にとりましては、次の年以降の契約は確約されず、先が見えない状態ということもありまして、そういうことが原因での事業撤退、倒産が生じているとも承知をしております。実際に、平成八年以降、そうしたことから約百五十社が事業撤退をし、うち四十社が倒産をしたという数字もございます。  こういう陸上装備に関わる企業の撤退、倒産を防ぐ手だてについてどう考えているのか、更にお尋ねをいたします。
  140. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) 先生御指摘のとおりでございまして、特に陸上自衛隊装備は、正面装備だけでも御指摘のように二千六百種類の多種多様な装備品と言われてございますが、約そのうち八割は一年、二年、二年以内という短期間での調達、また一般競争入札を原則とした調達というふうになっているのが実態でございます。他方で、装備品の製造等には一般的な民生品とは異なった特殊かつ高度な技術、技能、それから設備が必要となると。それで、こういったものを維持していくためには、やはり一定の需要というのが見込めるというようなことが大事でございまして、そういった一定の予見可能性というのが求められるところでございます。  そういった中で、先ほどの御答弁とも重なってしまいますが、競争性が期待できない装備品等の調達については、透明性ですとか公平性を確保しつつも随意契約が可能な対象を類型化、明確化し、その活用を図ることなどによって企業の予見可能性を高める、こういった工夫を行っていくというようなことに取り組んでいきたいと思ってございます。
  141. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  142. 小野次郎

    ○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。  今日は三十五分の質問時間をいただきました。御配慮いただきました委員長、そしてまた同僚議員の皆さんにまずお礼を申し上げたいと思います。  それでは、質問に入らせていただきますが、最初は文官による大臣補佐の問題でございます。  私は中谷大臣の説明を何度か聞きましたけれども、文官職員による大臣補佐というのは制服組の補佐と同質ではないと私は思っています。あの二十数万の制服組の職員に囲まれ、また圧倒的な殺傷能力を有する兵器に取り囲まれている防衛省という中で、単に文官補佐政策的な補佐ですよ、制服組の補佐は軍事的な問題だというような専門分野が違うだけの補佐ではないんだろうと、違いではないんだろうと私は思っています。  よく大臣は車の両輪と言われますけれども、車の両輪というのは左も右も同じスピードで同じ方向に向かって動くんですね。どこまで行っても、これは日本だけじゃないんですよ、あるいはこの前も言ったように、防衛省だけじゃなくて検察とか警察にもあり得る考え方なんですが、最強の権力機関、実力機関を誤りないように統御していくためには、互いに緊張関係を持った、言わばアクセルとブレーキというような関係のものが必要なんじゃないかと私は思っているんですが、大臣、比喩として車の両輪とおっしゃいますけれども、アクセルとブレーキという表現ではいけないんでしょうか。
  143. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 単にアクセルとブレーキという存在だけではないと思います。  というのは、やはり私は、文官の職員の存在というのは大変重要なものでございまして、政策的な側面におきましては、政治・社会情勢、これを的確に認識するとともに、我が国の外交政策も財政政策も、法令との関係を考慮する必要がありまして、ただ単に軍事合理性のみを考慮して防衛省の活動について判断できるものではないというふうに思っております。  ですから、そういった政策的な側面における検討に当たりましては、様々な情報の収集、分析を行い、選択肢を考慮する必要があることなどから、単に軍事的、専門的見地からの補佐のみならず、政策的見地からの補佐を適切に受けることが必要でございますので、ある意味、あるときはアクセルとなり、ある意味ではブレーキともなる、そういった政策的な見地から内局文官補佐を受けているわけでございます。
  144. 小野次郎

    ○小野次郎君 私も役所に長くいましたので、防衛省の中のこと、制服組であれ文官職員であれ、共通しているものがあると思います。それはどういうことかといえば、大臣が最終的に進めと言って、それに、命令に従わない人は出てこないと思いますよ。やめろと言って、やめない人もいないと思います。  そういうことを言っているんじゃなくて、巨大な軍事組織、特に圧倒的な実力を持っている集団の中にいたら、私は、日頃からの認識の形成あるいは情勢判断の形成が大事で、それが軍事サイド寄りになり過ぎていないということを確保するために、そのメカニズムとして、私は、この前も申し上げましたけれども、一方で軍事専門家が大学ぐらいの知識を持っているのに、小学生程度の幼稚なことを言っているようじゃ駄目なので、極めて優秀で、しかもボリュームが、一人二人大臣の脇にいればいいんじゃなくて、一定数の集団の文官職員が大臣の側近にいてバランス機能を果たすことが必要なのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  145. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私も、職務をするに当たりまして、文官の職員には率直な意見具申を求めております。私が間違う場合においても率直に意見を言っていただきたいし、また、いろんな事象においても冷静な、的確な判断を求めている次第でございます。  そういった場面においてまさに政策的な補佐というのは大変重要な存在でありまして、様々な情報収集それから分析、そして選択肢を考慮していただきたい、そして相応の人員構成による組織的な大臣補佐体制、これをつくっていただきたいということで、防衛省の中におきましては、大臣補佐体制として、文官主体の組織である官房、各局があります。そして、文官である官房長、局長、そして長として政策的見地から組織的に大臣補佐をしていただいておりますので、非常に大臣を助ける組織としては大事な役割でございますので、今後そういった体制を維持しながら、的確な補佐を出していただけるようなことに心掛けてまいりたいと思っております。
  146. 小野次郎

    ○小野次郎君 次の質問に入りますが、研究開発から購入、そして修理や改良まで、防衛装備庁と防衛産業が合理化と効率化を進めることによって、一層一対一対応になってしまうんじゃないかと、構造的に。時代劇で、越後屋、おぬしも悪じゃのうと言うと、いや、お奉行様にはかないませぬという会話ありますよね、時代劇に。そういう関係になっちゃ駄目だと私は思うんです。  これ、シカゴ学派のスティグラーという経済学者が言っていますけれども、キャプチャーセオリーというんですかね、とりこの理論と言っていますけど、その規制というか相手になっている民間企業が巨大で、それで防衛装備庁がその上に乗っかっているみたいな形になったら、どっちがニーズをつくって、どっちがそのニーズに応えているか分からなくなってしまうという構造が実際にあるから私は申し上げているんで、防衛装備庁ができる場合には、その運用においてどのような注意が求められるか、御認識をお伺いしたいと思います。
  147. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まさに、防衛装備庁の設置に当たりましては、防衛産業との関係において高い透明性、公正性を意識した組織として設置することといたしております。  具体的には、防衛装備庁における監察・監査部門の設置で内部監視機能強化を図るとともに、教育部門における職員への法令遵守の教育の徹底、あわせて防衛大臣直轄の防衛監察本部の増員によりまして外部から監察機能強化するといった措置を講じてまいります。  また、主要装備品のプロジェクトを推進する際は、職員が関連企業と接触する際のルールの策定、遵守、そして企業からの情報収集に当たっては、RFI、これは企業に対する情報提供依頼書、これの発出を行うなど、プロセスの透明化、明確化、標準化などによりまして透明性や公正性を確保してまいります。  さらに、供給事業者が特定の少数の企業に限定されるという防衛産業の特殊性を踏まえつつも、国内産業間や海外企業との間で競争性が確保されるよう、最大限努力をしてまいります。  とりこの理論、非常に大事な御指摘でございますので、こういったものにならないようにしっかり対応してまいりたいと思います。
  148. 小野次郎

    ○小野次郎君 それでは、存立危機事態につきまして御質問を続けますが、まず、五月十八日の本会議、十九日の当委員会で存立危機事態に関する質疑がありました。  それで、政府にお願いして当委員会に提出していただいた統一見解の趣旨を改めて伺いたいと思います。
  149. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先般、政府より本委員会に提出した資料の趣旨について御説明いたします。  小野委員から五月十八日の参議院本会議において、石油供給の断絶を例示して存立危機事態の要件について質問がございました。  これに対して政府は、我が国に対する武力攻撃が発生していない場合であっても、例えば、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国において生活物資の不足や電力不足によるライフラインの途絶が起こるなど、単なる経済的影響にとどまらず国民生活に死活的な影響が生じるような場合には、状況を総合的に判断して、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況に至る可能性はあり得る旨を答弁したところでございます。  これを踏まえまして、五月十九日の本委員会において、小野委員から前日の政府答弁の趣旨を確認する質問があったのに対して、政府は同様の趣旨の答弁をしたところでございます。  これは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したことにより、単にある生活物資が不足することをもって存立危機事態の認定をするという趣旨ではなく、あくまでも、例えば石油などのエネルギー源の供給が滞ることにより、単なる経済的影響にとどまらず、生活物資の不足や電力不足によるライフラインの途絶が起こるなど、国民生活に死活的な影響、すなわち国民の生死に関わるような深刻、重大な影響が生じるか否かを総合的に評価し存立危機事態の認定をする旨を述べたものでございます。
  150. 小野次郎

    ○小野次郎君 存立危機事態について御質問しますが、その前に、昨日の衆議院の方のやり取りで、この存立危機事態と重要影響事態の関係について議論が行われていました。  私の質問に入る前提として二、三お伺いいたしますけれども、この重要影響事態の要件として、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態などと挙げていますけれども、存立危機事態についてはこの要件が入っていません。これは、どのような考慮からそういうことになったんでしょうか。
  151. 中谷元

    国務大臣中谷元君) それは存立事態の一例示としてそういう表現がございますが、そもそも、訂正、重要影響事態ですね、そもそも重要影響事態というのは我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態ということでございます。  ある事態が重要影響事態に該当するか否かにつきましては、当該事態の規模、態様、推移等を総合的に勘案して我が国として主体的に判断するものでございまして、いかなる事態が重要影響事態に該当するかにつきましては、事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して客観的かつ合理的に判断することとなるので一概に述べることは困難でございますが、その判断要素についてより具体的に申し上げますと、実際に武力紛争が発生し、また差し迫っている等の場合におきまして、事態の個別具体的な状況に即して、主に当事者の意思、能力、事態の発生場所、事態の規模、態様、推移を始め、当該事態に対処する日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍その他の外国軍隊が行っている活動の内容等の要素を総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ可能性、国民に及ぶ被害等の影響の重要性等から客観的かつ合理的に判断をするということでございます。  存立事態について、これは含まれるかどうかということですか。それは違うんですか。
  152. 小野次郎

    ○小野次郎君 どうして存立危機事態の要件の方には、この重要影響事態の要件には入っている我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれ云々という、その直接の武力攻撃に至るという要素を要件に掲げていないのはどういう考慮からですかと。
  153. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そもそも重要影響事態というのは我が国の平和、安全に重要な影響が及ぶ事態ということで、存立事態というのは我が国と密接な関係にある国に武力攻撃が発生し、我が国の存立を図るということで、法律自体が我が国と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生したということを前提として我が国の安全を考慮した法律であるということでございます。
  154. 小野次郎

    ○小野次郎君 どうして存立危機事態の要件には我が国に対する直接の武力攻撃という要素を要件に入れていないのか、どういう考慮からそういうことになったのか、お伺いしているんです。
  155. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当時、周辺事態の法律を作る際の議論といたしまして、六類型の例示等がございました。そのまま放置すれば我が国に重要な影響が出る事態という文言は一例示として挿入をしたということで、本来の法律の定義としましては、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態ということで、一例示としてそれを挿入したというように聞いておりまして、今回の重要影響事態におきましても、その趣旨を生かして例示された部分はそのまま記述をしたというふうになったと、私は……(発言する者あり)
  156. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  157. 片山さつき

    委員長片山さつき君) それでは、速記を起こしてください。  中谷大臣におかれては、小野委員の御質問に端的にお答えください。
  158. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態におきまして、これの定義といたしまして、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」であるということでございます。  御指摘のそのままではという部分におきましては、この定義に含まれるということで、あの定義はこの定義にしたということでございます。
  159. 小野次郎

    ○小野次郎君 ちょっと意味がよく、大臣、分からなかったんですが、含まれるってどれに何が含まれるんですか。
  160. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 中谷防衛大臣、再度お願いします、その点のみ。
  161. 中谷元

    国務大臣中谷元君) はい。定義といたしましては、私が今説明をしたこと、定義でございまして、これにつきましては、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままではすなわちその状況の下に武力を用いた対処をしなければ国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるということでございます。(発言する者あり)
  162. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  163. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を起こしてください。
  164. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど申し上げました定義の中に御指摘をいただきました例示の部分が含まれているというわけで、特にそれ以上の記述をしなかったということでございます。
  165. 小野次郎

    ○小野次郎君 ですから、何の定義の中に何が入っているんですかとさっきから聞いているんじゃないですか。さっき御指摘のとはどっちの、重要影響事態の方ですか、それとも存立危機事態の方ですか。
  166. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態の定義の中に御指摘されたような部分の内容が入っていると認識をいたしておりまして、定義をしたそのままのことにいたしたわけでございます。(発言する者あり)
  167. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 済みません、議事を整理しますが、今の点につきましてもう一回御答弁をいただいた上に……(発言する者あり)  じゃ、速記を止めてください。    〔速記中止〕
  168. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を起こしてください。  では、大臣、今の点をもう一度明確に、何が何に含まれているかということについて。
  169. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど申し述べました存立危機事態の定義の中に、「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」となっておりまして、この中に先ほど小野議員がお述べになられました、そのまま放置すれば我が国に深刻な影響が及ぶ事態ということがこの中に入っているからこれ以上の定義をしなかったということでございます。
  170. 小野次郎

    ○小野次郎君 大変重要な答弁をいただいたと思います。そうすると、存立危機事態には、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれが要件になっているということですね。
  171. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 含まれるわけでございます。
  172. 小野次郎

    ○小野次郎君 本当に、大臣、それで大丈夫ですか。だって、存立危機事態の方に、明文に何にも書いていないのに含まれるとあなたおっしゃっているんですよ。そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれというのが存立危機事態の要件として含まれているとあなたおっしゃっているんですよ。それでいいんですね、本当に。
  173. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 横畠内閣法制局長官の補正答弁を、補正説明を認めます。(発言する者あり)今、指名しましたので。
  174. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 済みません、補足して御説明させていただきたいと思います。  お尋ねの、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等といいますのは、現行周辺事態法におきます我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態の例示でございます。  一方、存立危機事態でいいますところの、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるというその状況の中には、まさにそのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態のうちの、またこの存立危機事態の要件に該当するものが入っているわけでございますけれども、それだけには限られないというふうに解しております。
  175. 小野次郎

    ○小野次郎君 三つ申し上げます。  一つは、私は重要影響事態について聞いているんじゃないんです。それから二つ目に、法制局長官には答弁を求めていません。そして、安全保障法制担当大臣はなぜ答弁できないんですか。私、質問続けられませんよ、これじゃ。
  176. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その点は先ほどお答えをいたしました、含まれるということでありますし、それだけには限られないということでございます。
  177. 小野次郎

    ○小野次郎君 じゃ、質問続けますが、そうすると、一つの事態が重要影響事態に当たり、かつ存立危機事態にも当たるということは当然あり得るという理解でこの法制度はできているんですね。
  178. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨日も衆議院段階でお答えをいたしましたが、今の周辺事態や、また今度の重要影響事態ですね、そこにはそういう例示が書かれておりますが、そういった重要影響事態というのはこの存立危機事態、こういうものが含まれるという答弁をいたした次第でございます。
  179. 小野次郎

    ○小野次郎君 毎日新聞の社説にも、中谷氏は存立危機事態は重要影響事態に含まれるという趣旨の答弁をしたとなっています。これはこのとおりでいいんですか。
  180. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 概念上重なるということは申し上げました。
  181. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、本来の存立危機の質問に戻りますけれども、今まで安倍総理も中谷大臣もずらずら言っておられた長い話ありますよね、生活物資の不足とか電力の不足とかがライフラインの途絶だったかに至るような、そして死活問題になる場合、どこにも我が国に対する武力行使のおそれもにおいも入っていませんよ。どこから入ったのか、それが。  存立危機事態に至るってどういうことだと言ったら、総理も防衛大臣も生活物資の不足、電力の不足などによってライフラインの途絶など死活問題に至る場合、それが存立危機事態に至る事態だとおっしゃいましたけれども、その一連の表現の中にはどこにも我が国に対する直接の武力行使のおそれなんていう表現は入っていないじゃないですか、今まで。何の議論を我々にさせていたんですか。
  182. 中谷元

    国務大臣中谷元君) それはあくまでも例示で法案に挿入されておりますが、存立危機事態というのは、概念上、重要影響事態に含まれるわけでございますので、その例示部分も重要影響事態でございますし、また存立危機事態も概念上は重要影響事態に含まれるということでございます。
  183. 小野次郎

    ○小野次郎君 私はさっき、一つの事態が重要影響事態と存立危機事態、両方になることはあるんですか、つまり重なり合う場合があるんですかという趣旨で聞いたら、今の大臣のお答えは、そっくり存立危機事態は重要影響事態に含まれているという御趣旨でお答えになっていますけれども、それも間違いないんですね。
  184. 中谷元

    国務大臣中谷元君) もう一度説明いたします。  重要影響事態とは、我が国の平和及び安全に重要な影響を及ぼす事態です。一方、存立危機事態というのは、もう定義を申し上げませんが、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態でございます。このため、存立危機事態というのは概念上は重要影響事態に包含されるということでございます。
  185. 小野次郎

    ○小野次郎君 しかし、それでは、私も議論したし皆さんも議論しているホルムズ海峡の話ですけれども、どこまで行ったって、石油の何割が、そこでホルムズ海峡が封鎖されれば来なくなるという話はしていましたけれども、我が国に対する直接の武力行使のおそれなんていう話はしていないじゃないですか。(発言する者あり)
  186. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御静粛に。
  187. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 六類型を示しておりますし、そのまま放置すればというところはあくまでも例示として入った部分でございます。
  188. 小野次郎

    ○小野次郎君 存立危機事態の方にそんな例示が入っているんですか。
  189. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態に入っているわけでございます。
  190. 小野次郎

    ○小野次郎君 存立危機事態の方を聞いているんですよ。
  191. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立事態の方は、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるという明白な危険がある事態でございます。
  192. 小野次郎

    ○小野次郎君 だから、そのときに、我が国に対する直接武力攻撃のおそれというのは入っていませんよね、要件に。入っていると言うんですか。  私は重要事態のことを聞いているんじゃないですよ、存立危機のことを聞いているんですよ。
  193. 中谷元

    国務大臣中谷元君) いかなる事態が存立危機事態であるかという御質問でございますが、これは事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断をするということで、一概に述べることは困難でございますが、実際に他国に対する武力攻撃が発生して、事態の個別的、具体的な状況に即して、主に攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、そして規模、態様、推移など、要素を総合的に考慮いたしまして、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることになる犠牲の深刻性、重大性などから、客観的、合理的に判断をするということでございます。
  194. 小野次郎

    ○小野次郎君 我が国に直接の武力攻撃が及ぶおそれがあるのであれば、個別的自衛権を考えた方がよかったんじゃないですか。
  195. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ここでポイントになるのは、我が国に武力攻撃が及んだ場合、及びそうな場合、これは個別的自衛権の範囲であります。これは、この存立事態というのは、我が国ではなくて、我が国と密接な関係にある他国に武力攻撃が発生をし、そして我が国の存立に関わるということで、こういった視点というか前提が違うということでございます。
  196. 小野次郎

    ○小野次郎君 しかし、今も改めてこの重要影響事態の条文も見たし存立危機事態の条文も見ましたけれども、納得いきませんよね。存立危機事態の方には何にも、我が国に対するという言葉も武力攻撃も出てないのにそれは含まれてるんですというのは、質疑やっている間にそういう要件加えたんですか。
  197. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態というのは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態ということが定義でございますし、これまでこういう状況で説明をしてまいりました。いずれの事態が該当するかどうかにつきましては、先ほど御説明をした内容で客観的、合理的に判断をするということでございます。
  198. 小野次郎

    ○小野次郎君 御説明は全然客観的でも合理的でもありませんよ。だって、我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれって、我が国にとっては最も大事な要件じゃないですか。どうしてそれが新三要件に入ってないんですか。入ってないけど含まれてるんだみたいな話を答弁の中で出てくるというのはちょっと理解できませんね。  なぜ書かない、だから最初に戻るんで、なぜ書かなかったんですかって聞いてるんですよ、それを。
  199. 中谷元

    国務大臣中谷元君) それは、この存立事態の前提が我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生をしたかどうかということで、存立事態につきましては、発生をし、そして我が国の存立が脅かされる、国民の生命、自由、幸福の権利が根底から覆される明白な危険がある事態であるからでございます。
  200. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は質問続けられません。もう聞いて分かるとおり、これ何遍聞いたって、だからなぜ、あなたは何遍も、この我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれというのはこの存立危機の中に含まれてますよっておっしゃるから、だったら我が国にとっては最も大事な要件が、この我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがあるのかないのかというのが大事な要件なのに、それを存立危機の条文には書いてないのに、読み込めるんです、含まれてるんですって答弁でおっしゃるのは極めて不誠実じゃないですかと言っているんですよ。
  201. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど包含されるとか含まれるとか私が申し上げましたのは、重要影響事態の中に存立事態が含まれるということを申し上げました。存立事態というのは、これは概念といたしましては、我が国と密接な関係にある他国に武力攻撃が発生をして、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態というふうに定義をいたしておりますから。
  202. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、存立危機事態は重要影響事態に含まれるというだけだとすると、この重要影響事態の方に書いてある、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれというのは、また元に、最初の、第一問に戻しますけど、存立危機事態の方には要件になってないんですねって聞いているんですよ。
  203. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 要件にはなっておりません。要件は、先ほど私が説明した場合であります。(発言する者あり)
  204. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 中谷防衛大臣、再度明確にお願いします。分かりやすく。
  205. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのまま放置すれば我が国に重要な影響が及ぶというのは、重要影響事態の例示でございまして、これは存立危機事態の中にはこれはなってないと。(発言する者あり)
  206. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 再質問されますか。
  207. 小野次郎

    ○小野次郎君 最初から、一問目から答えもらっていませんよ。なってないのに含まれているというのはどういう意味だって聞いてるんですよ、だから。
  208. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 中谷防衛大臣、明確にお願いいたします。
  209. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのまま放置すればというのは、これは例示でございます、重要影響事態の。要件といいますのは、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態ということでございます。  そして、存立危機事態につきましては、先ほど申し上げましたけれども、いかなる事態がこれに該当するかにつきましては、事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、一概に申し述べるのは困難でございまして、その上で、我が国と密接な関係にある他国に対する実際に武力攻撃が発生した場合において、事態の個別具体的な状況に即して、主に攻撃国の意思、能力、事態の発生の場所、事態の規模、態様、推移など、要素を総合的に考慮して、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることの犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断することとなるわけでございます。
  210. 小野次郎

    ○小野次郎君 そんなこと聞いていません。  聞き方を変えますが、それじゃ存立危機事態の判断に際しては、我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれという要件は考慮しないという理解でよろしいですね。
  211. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態に該当するかどうかにつきましては、私が今申し上げたわけでありまして、そのまま放置すればというのは、これは重要影響事態における例示でございまして、実際の重要影響事態の要素につきましては、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態ということでございます。
  212. 小野次郎

    ○小野次郎君 我が党は、この安保法制について必ずしも最終的な賛否を決めたわけではありませんけれども、ただ、党を挙げて我々が言っていますのは徹底審議ということですけれども、もう与党も野党も聞いていただいた皆さんお分かりのとおり、こんな防衛大臣の答弁ではらちが明きませんよ、本当に。テレビ入りでやっているのは今衆議院の方ですから衆議院の方で続けてやってもらうと思うし、また私も質問に立つ機会があれば今日用意したほかの多くの質問をさせていただきますけれども、しっかりと、どう聞かれたってちゃんと答えるというふうになっていないとこの膨大なる法案を審議することは難しいということを申し上げて、私の質問を終わります。     ─────────────
  213. 片山さつき

    委員長片山さつき君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、石川博崇君が委員辞任され、その補欠として杉久武君が選任されました。     ─────────────
  214. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず、内局と幕僚長との関係に係る設置法十二条の改正の問題についてお聞きいたします。  この間、大臣文民統制に何ら影響を与えるものではないという旨の答弁をしてこられました。しかし、先日の参考人質疑でも、この改正と相まって行われる運用企画局を廃止して自衛隊の実運用に係る業務統幕に一元化することと併せて、危惧が表明をされました。  参考人は、これによって、防衛大臣が各幕僚長に対する自衛隊運用計画の指示を起案をする役割運用企画局長に代わって幕僚長が担うことになると、部隊の実際の運用に関して統幕が自らに対する大臣の指示を起案をするということでは、極端な場合、自己に都合の良い指示を起案をすることになりかねないと、軍令面での内局大臣補佐機能が弱体化することは確実であって、チェック・アンド・バランスの機能が後退をすると、こういう危惧が表明されましたけれども、この点いかがでしょうか。
  215. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回の組織改編につきましては、部隊運用の迅速化と効率化を図るために実際の部隊運用に関する業務は統合幕僚監部に一元化をすることといたしております。  このため、迅速性と効率性の観点から、部隊の実情を把握している統合幕僚監部が起案することが適切な文書については統合幕僚監部が内部部局とまず協議をしながら起案することを検討しております。他方、自衛隊の行動に関する全般的、基本的な方針の立案などは引き続き内部部局が掌握をいたしまして、所要の文書の起案等を行います。  実際の部隊運用に関する業務の統合幕僚監部への一元化は内部部局と統合幕僚監部の間の実態としての業務の重複を解消するものでありまして、文民統制の主体である防衛大臣に対して、引き続き政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐が行われる体制を確保した上で、的確かつ迅速な意思決定を行うことを可能にしたものでございまして、今般の組織改編によりまして、自衛隊の部隊運用に関し、防衛大臣に対する政策的見地からの補佐が弱まることはないと考えております。
  216. 井上哲士

    ○井上哲士君 一部起案が変わるということは今の答弁でも明らかなわけでありますが、シビリアンコントロールの関係で、昨日の衆議院の安保法制特で我が党の穀田議員がただしました航空自衛隊のドクトリン等に関する調査研究について、併せてお聞きしたいと思います。  この文書について、中谷大臣は昨日、二〇〇六年に航空自衛隊幹部学校が航空自衛隊が職務を遂行する上で必要に応じて作成した資料だと認められました。この文書の序文では、自衛隊は存在する自衛隊から機能する自衛隊への脱皮が求められる、抑止を前提とした従前の考えでは新たな脅威への対応には限界があると述べた上で、様々な課題について述べております。その中には、その取扱いは慎重を期すことが必要なとわざわざした上で、防衛計画大綱等の防衛政策を超える行動というものも書き込まれております。一つは、攻勢対航空・戦略攻撃、要するに敵基地攻撃、それから対核兵器作戦、宇宙作戦の三つを挙げております。  大臣は昨日、研究することは問題ないとされたわけでありますが、防衛大綱等を超えるような行動の中身を実力部隊である自衛隊が内部で勝手に研究する、これを問題ないとして果たしてシビリアンコントロールなどと言えるんでしょうか。いかがでしょうか。
  217. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨日も申し上げましたけれども、この航空自衛隊基本ドクトリンは、航空自衛隊の隊員が任務を遂行するに際して準拠すべき事項や考え方、これを共有するために、平成二十三年三月に航空幕僚監部が部内向けに作成した文書でございます。また、航空自衛隊のドクトリン等に対する調査研究は、平成十八年に航空自衛隊幹部学校があくまでも調査研究の目的で作成した文書であると承知をいたしております。  これらの文書は、いずれも防衛省の見解をまとめたものではありませんが、航空自衛隊が職務を遂行する上で必要に応じて作成した資料であると認識をいたしております。
  218. 井上哲士

    ○井上哲士君 職務を遂行する上で必要だと言われました。  この文書は、更にこう書いているんですね。これまでは政治が決定する任務役割を受けて対応するといった受動的姿勢であったが、今後は、場合によっては、現在の任務役割、法的な枠組みを超えて空自が主体的に議論する、そして、将来の憲法改正、集団的自衛権の解釈変更に対応する上で航空防衛力の運用に関わる基本的な考え方を開発し、明確にすることが必要であると、ここまで書いているんですよ。  憲法を超えたようなことを検討することが職務上必要だと言うんですか。答えてください。
  219. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この航空自衛隊基本ドクトリンは、集団的自衛権の行使については、内閣法制局は憲法解釈上認められないとしており、歴代の内閣はその解釈を踏襲しているという記述があると承知をしておりまして、集団的自衛権の行使を先取りしたものではございません。
  220. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうなんですよ。そのときは、まさに憲法解釈上できないと言っていると。  この文書は、更に言っているんですよ。これまでは政治が決定したものを防衛力の役割として果たしてきたが、これからは国家意思決定者に対して統合幕僚長を通じての軍事的専門家としての助言を積極的に行うことと、こう言っているわけですよ。ですから、確かに憲法解釈上できないと言っているけれども、できるようになったらどうするんだということを自分たちが研究をして、それを統合幕僚長を通じて国家意思決定者に対して助言を積極的に行うことと、ここまで書いているんですよ。  これが自衛隊業務として必要なんですか。そして、こういうことを、より発言力を高めるというのが今回の十二条改正の中身なんじゃないですか。
  221. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この航空自衛隊幹部学校が平成十八年に作成した航空自衛隊のドクトリン等に関する調査研究は、航空自衛隊基本ドクトリンの作成に資するべく、その調査研究の目的で作成をされ、航空幕僚長に報告をされた文書であると承知をいたしております。  したがいまして、航空幕僚長に報告をされた文書でとどまっておりまして、それ以上、上の方に来たということは、私は確認はいたしておりません。
  222. 井上哲士

    ○井上哲士君 将来の憲法改正をにらんで、その基本考え方を開発し、明確にするということを議論をして、そのことを、政治が決定したものを後追いするんじゃなくて、国家意思決定者に積極的に助言をすると、ここまで言っているんですよ。これをより可能にする、発言力を高めていくという仕組みが今回の十二条改正になるんじゃないですかということをお聞きしているんです。
  223. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 十二条改正におきましては、文民の代表である防衛大臣政策遂行を行う上において助言を言って判断をするということでございます。  十二条の改正の目的について問われましたが、今回は統合幕僚の改編、また防衛装備庁の新設によって防衛省組織構成が変更されるということで、同条についてもこの新たな組織構成に適切に対応した規定とするものでございます。  そして、具体的には、組織改編後には、統合幕僚監部が実際の部隊運用に関して対外的な連絡調整国会答弁を伴う対外説明を行うことや、防衛装備庁政策の立案を行うことも踏まえた上で対処するということでございまして、従来からの政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐調整、吻合が引き続き適切に行われるということを明確にしたものであります。  この改正によって、文民統制を引き続き厳格に維持していくということは言うまでもございません。
  224. 井上哲士

    ○井上哲士君 戦前、陸軍省や海軍省において基本的に軍人だけがその構成員だったわけでありますが、戦後、保安庁が設置されるときに、文官を主体とした長官官房や各局が設けられたという経緯があるわけで、そこには軍部主導で侵略戦争に突き進んだ反省があると、このことを決して忘れてはならないということを強調しておきたいと思います。  その上で、防衛装備庁の問題でお聞きをいたします。  今回この法案は、二〇一三年八月に出された防衛省改革委員会報告書、「防衛省改革の方向性」に基づいたものであります。防衛省改革については、この報告書に先立って二〇〇八年に防衛省改革会議報告書が出されて、不祥事の再発防止策なども打ち出されました。  その柱の一つが、当時の守屋事務次官の供応、収賄問題だったわけですね。調達に係る不祥事というのは、この守屋元事務次官の問題だけではありません。その前には、九八年のいわゆる防衛庁調達実施本部背任事件、さらには、防衛施設庁での重大な談合事件が発生をいたしました。  まさにこれは一貫した改革の課題だと思いますが、ところが、一三年の報告書の中の「改革の基本考え方と方向性」には、こういう調達に係る不祥事の対策が盛り込まれておりませんが、一体なぜでしょうか。
  225. 豊田硬

    政府参考人豊田硬君) 「防衛省改革の方向性」の中の「改革の基本考え方と方向性」の項につきまして、調達の不祥事対策が盛り込まれていない理由は何かというお尋ねでございますけれども、今般の防衛省改革の検討に際しましては、平成二十五年八月に公表いたしました「防衛省改革の方向性」の中にも記述がございますけれども、第三の「改革の基本考え方と方向性」のその直前のところでございますけれども、防衛省改革会議報告書で提言された不祥事再発防止のための取組については、これらを着実に実施することにより、一定の成果は上がっているものの、調達をめぐっては、引き続き事案が起きていることもあり、これについては、本委員会とは別に設置されていた検討の場において再発防止策の検討やその取組の確認を行っていくこととしたということでございまして、この「防衛省改革の方向性」のペーパーそのものには調達の不祥事対策を盛り込まないこととしたものでございます。
  226. 井上哲士

    ○井上哲士君 別検討会ということで、本体からは外れているわけであります。  今、一定の成果ということが言われました。しかし、二〇〇八年報告書以降も、二〇一〇年の航空自衛隊が発注するオフィス家具などの事務用品に係る官製談合事件、それから二〇一二年には三菱電機などによる水増し請求事件、さらに陸上自衛隊の多用途ヘリコプターUH—Xの開発事業の企業選定に係る事件などが続いております。  この二〇一〇年の官製談合事件の際に、公正取引委員会防衛省に対して要請文を出しております。こう書いているんですね。公正取引委員会は、これまでも防衛省に対し、同省の職員が行ってきた入札業務に関する問題点を指摘し、再発防止を講じるように繰り返し求めるなどしてきたと、こう異例の指摘をいたしました。  にもかかわらず、防衛省改革の本体からは外して別で検討する。調達をめぐる事件の根絶というのは改革の重要課題ではなくなっているという認識なんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  227. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省におきましては、平成十年の調達実施本部における背任事件、また平成十八年の談合事件のような不祥事が起きております。この防衛装備庁の設置に当たりましては、こうした事案の教訓、反省を真摯に受け止めた上で、不祥事が起きないような制度設計を行うことといたしております。  具体的には、防衛装備庁における監察・監査部門の設置によりまして内部監視機能強化を図るとともに、教育部門の充実による職員への法令遵守教育の徹底を図り、併せて防衛大臣直轄の防衛監察本部の増員により外部からの監察機能強化するといった措置によりまして、業務の一層の透明化、公正性を確保いたしまして不祥事を防止してまいりたいと考えております。
  228. 井上哲士

    ○井上哲士君 装備庁の具体的な問題は後ほど聞きますので、基本的な認識を私は聞いております。  こういう公共調達をめぐる不正で問題になってきたのが随意契約でありました。財務大臣は、二〇〇六年に公共調達の適正化を求める大臣通知を出しまして、防衛装備品の調達も基本的には一般競争入札などに移行をしたわけですね。  ところが、この一般競争入札になっても、先ほど挙げたような官製談合事件が発生をいたしました。この陸自のヘリ、UH—X開発事業の企業選定に関する事件では、川崎重工業が、従来、これを選ばれるように、技術研究本部に在籍していた職員数名が、競合他社では、入札で競合するほかの会社では実現できないような内容を仕様書に書き込むと、こういう作業を行うとともに、その競合する他社の文書の写しを川重に渡すと、こういうような違法行為を行って、幹部自衛官に官製談合防止法違反の罪で略式命令が出されました。  ですから、不正の温床とされてきた随意契約を一般競争に転換をしたけれども、実態はもう随意契約と同じようなやり方で不正が行われてきたわけですね。このような事態が起きないように、更にこの癒着体質に踏み込んだ改革が求められたわけでありますが、この事件の後、川重の事件の後、一三年の十月に行われたのは、競争性のある契約方式、入札などから随意契約へと逆に見直しをしてしまいました。逆戻りをしました。これは、この一三年の報告書が出た直後なんですね。  ですから、この調達をめぐる改革の位置付けは、低下したどころか逆行しているんじゃないですか。いかがですか。
  229. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) 先生の今の御指摘でございますが、UH—Xの事案につきましては、先生御指摘のような事案というふうなことで、先ほども御説明いたしましたが、事業者との接触の適正化でございますとか事業者の仕様書作成におけるプロセスの適正性、こういった措置を講じているというふうなところでございますが、他方、先ほども荒木委員の方からも御指摘ございましたように、十八年に公共調達の適正化というふうなことで一般競争を原則とするというふうな指示が出されたのは御指摘のとおりでございまして、それを受けて、防衛省としても、原則一般競争に移行を試みたというところでございます。  他方、実態は、先ほども御説明しておりますように、部門によっては、特定の事業者でしか供給できない、こういったものがあるとか、それから事業法の制約とかによって供給事業者が限られるものがあるとか、そういった特性を脇に置いておいて、何が何でも一般競争というような形で一度大きくかじを切ったと。それが結果として、形式的な一般競争入札になっているとそれが防衛省にとっても事業者にとってもマイナスの面があると。  そういったところをきちんと精査した上で、どうしても競争性が見込めないものについては、あらかじめ随意契約ができ得るものを類型化して、それでなおかつ常続的監視にさらすことによって透明性を確保した上で随意契約というふうなものを結んでいくというふうなことを検討実施に移したという経緯でございまして、先生のようなことで逆の方向にというふうなことでは必ずしもないというふうに思ってございます。
  230. 井上哲士

    ○井上哲士君 いやいや、財務省からも指摘をされて一般競争入札にした、しかしうまくいかなかったと。結局そうやって、もう防衛調達の特殊性とか、これやむを得ないということで、例えば、実際に事件を起こして、そして契約を取引停止にしても、やむを得ないということで、ほとんど実際は契約をしている、およそペナルティーにもなっていないと。こういうことを続けてきているということが私は一番の大きな問題だと思うんですね。  こういう流れの中で今回の防衛装備庁の設置となりました。これまで不祥事のたびに、調本を廃止をして、防衛施設庁も廃止をいたしました。これ自体は組織いじりにとどまって不祥事の根を絶つものではなかったわけですが、しかし、調達に絡む大きな権限を持つ組織をつくるということは、やはり不祥事の可能性を大きくするということだと思うんですね。  今度は装備本部を統合した大きな権限を持つ防衛装備庁をつくるわけでありますが、先ほど大臣からは監察の増員なども行うということを言われましたけれども、監察官は何人から何人に増やすんですか。
  231. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) 防衛装備庁の中に設置する監察監査・評価官、同部署につきましては二十五名の体制考えておるところでございまして、これに加えまして、大臣直属の防衛監察本部につきましては従来の定員に二名を増員する予定というふうなことで考えてございます。
  232. 井上哲士

    ○井上哲士君 全体のは二名を増員をするだけ、そして内部に監察をつくるわけでありますが、それが内部の問題で果たして機能するのかということは後ほど少し触れたいと思うんですね。  私たちは、不祥事のたびに、組織いじりではなくて防衛省と防衛産業の癒着構造を正すことが必要だと繰り返し指摘をしてまいりました。過去の事件でも、天下りをした職員と現役職員の結び付きによるものが多発をしております。  そこで、昨年の防衛調達上位十社に対する天下りの実態はどうなっているでしょうか、明らかにしてください。
  233. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) お答え申し上げます。  平成二十五年度の中央調達の契約高上位十社、こちらへの再就職につきまして、平成二十六年に防衛大臣が行った承認件数が二十八件でございます。また、防衛大臣の委任を受けた者が行った同様の承認は三十六件でございます。合計いたしますと六十四件ということになります。
  234. 井上哲士

    ○井上哲士君 お手元に企業ごとの人数を書いてあります。  例えば、トップの三菱重工は、大臣承認で四人、それから委任を受けた者の承認で二十四人、合計二十八人でありますが、三菱重工の場合、二〇一二年は合計二十人、二〇一三年は合計二十一人と、大体二十人台で毎年同じような天下りをしております。  さらに、三菱電機、ここは、先ほど言いましたように水増し請求で事件を起こしました。ですから、二〇一二年の三菱電機への天下りはゼロなんですね。ところが、二〇一三年は三十人になっております。この年は合わせて十人と。ですから、減った分は翌年にどっとやってつじつまを合わせているんですよ。  これは川重も一緒でありまして、川重の場合は二〇一二年が三人、二〇一三年は先ほど言ったUHXをめぐる問題で天下りができなかった。ゼロになります。そうすると、今年は合わせて五人ということになるわけですよ。ですから、採らなかった分はその次の年にカバーをする。  こうやって、もう事実上天下り枠のような形でずっとつくられてきた構造があるわけです。こういうものを調達をめぐる事件の温床になってきたということから見れば、私はこの癒着構造にメスを入れるべきだと思うんですね。  調達本部の背任事件も天下り先確保と結び付いた事件でありましたし、防衛施設庁の談合事件もやはり同じようなことでありました。ここにしっかりメスを入れるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  235. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊員が、離職後二年間、離職前の五年間に防衛省と密接な関係にある営利企業体へ再就職をしようとする場合におきましては、自衛隊法第六十二条の規定に基づきまして、事前に防衛大臣等の承認を受けなければならないという制度になっております。  また、本年十月にも一般職の国家公務員に準じた新たな再就職等の規制を導入を予定いたしておりまして、防衛装備庁における自衛隊員も含めて、再就職のあっせん、在職中の利害関係企業への求職活動及びOBによる働きかけが規制され、不正な行為に対しては罰則を科すということといたしております。  さらに、こうした規制に関しては、自衛隊員としての前歴を有しない学識経験者から成る監視機関において厳格な監視を行いまして、再就職に関する国民の疑念を払拭してまいりたいと考えております。
  236. 井上哲士

    ○井上哲士君 今までも様々な法律に基づいてということも言われ、対策が取られてきました。しかし、やはり事件はとどまらないわけですね。  二〇一〇年に発覚した航空自衛隊が発注する事務用品に係る官製談合事件、このときも、結局、随意契約のときと同じようなシェアを入札についても維持をしようとした。結局、その随契のときのシェアというのは、天下りの人数によってシェアを決めていたということなんですね。これは公正取引委員会指摘でも、航空自衛隊退職者の在籍状況等を考慮して、あらかじめ調達要求目標を定めるという事実も認められた。もうここまで指摘されているんですね。天下りの人数に比して調達目標を決めて、それで官製談合をやると、こういうことが起きているわけですよ。ですから、私は、現状の対応では不祥事はなくせないということを示していると思います。  そして、これを正す上でも政治の在り方が問われると思うんですが、今回の改正防衛省所掌事務として国際協力に関することが加わって装備庁にもそれが盛り込まれましたけれども、この理由はどういうことでしょうか。
  237. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) これが盛り込まれた規定でございますが、防衛省では、昨年四月の防衛装備移転三原則の策定に伴って、防衛装備の国際共同開発・生産とか海外移転とか、こういったものに取り組んでおるところでございますが、こういった取組の中で、例えば防衛省開発した防衛装備品の海外移転でございまして、防衛省自身が行う調達等ではなく他国が行う調達等を支援するようなケース、例えばインドのUS2でございますとか、今後、豪州の件とかあるかもしれませんが、必ずしも防衛省自身が行う調達には結び付かないもの、こういったものについて、これまではそれを行う根拠というのが明示されていたわけではなかったわけでございますが、そういった中で、そういった協力案件について、所掌に係る国際協力というふうなことで業務実施するという観点から盛り込まれたわけだと認識してございます。
  238. 井上哲士

    ○井上哲士君 要するに、武器輸出三原則を撤廃して輸出推進に転換したことに対応したものなわけですね。  そこで、大臣にお聞きしますが、昨年二月に経団連の防衛生産委員会自民党国防部会関連会合に要求書を出していると思いますが、どういう内容でしょうか。
  239. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 議員御指摘の要望書につきましては承知しておりませんが、平成二十六年二月に経団連の防衛生産委員会が防衛生産・技術基盤の現状と課題と題しまして発表を行ったと承知をいたしております。  具体的には、諸外国の防衛生産・技術基盤戦略、制度、業界再編の動向、我が国防衛産業の現状と課題、我が国防衛産業の将来展望について発表を行ったと承知をいたしております。
  240. 井上哲士

    ○井上哲士君 報道では、武器輸出三原則の大幅緩和や、政府内に武器輸出を専門に扱う担当部局を設けるように求めたとされております。  さらに、二〇一三年の五月には、これは経団連として防衛計画大綱に向けた提言をしておりますが、この中で、防衛生産・技術基盤戦略の策定、国際共同開発・生産の推進、長期契約等の活用による安定的な官民のパートナーシップ、さらには防衛生産・技術基盤の基本方針の策定などなど書かれておりますが、これ、この間、様々な形で一つ一つ実現がされていっているわけですね。  一方、二〇一三年度の防衛調達額の上位十社から自民党への献金を調べてみました。国民政治協会への献金額であります。  お手元に資料を配っておりますけれども、石油業界は個別企業ではなくて業界を通じての献金でありますのでこれ除きましたが、野党時代の二〇一二年には合計八千百十万円が、二〇一三年には一億五千七十万円になっております。二〇一三年の額でいいますと、三菱重工は三千万、三菱電機千八百二十万、川崎重工業二百五十万、日本電気千五百万、IHI一千万、富士通一千万、小松製作所八百万、東芝二千八百五十万、日立製作所二千八百五十万と、こういうことになっているわけですね。  ちょうどこの年の一月に、防衛産業の新年会で当時の経産副大臣が、安倍内閣として防衛産業は成長戦略の一丁目一番地と、こういう思いで取り組むという発言をいたしました。まさに防衛産業支援への見返りというふうに国民から思われても仕方がないと思いますけれども、大臣いかがですか。
  241. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘自民党への献金につきましては防衛省としてお答えする立場にございませんが、一般的に、企業からの献金につきましては企業の独自の判断に基づいて行われるものと承知をいたしております。  いずれにしましても、防衛調達を実施するに際しましては、防衛生産・技術基盤の維持強化配意しつつ、企業との契約の透明性、公正性をより一層確保していくことに努めてまいりたいと考えております。
  242. 井上哲士

    ○井上哲士君 この間、安倍政権として武器輸出推進への転換であるとか、防衛産業の支援を矢継ぎ早に打ち出しました。先ほど挙げましたように、まさに経済界や防衛産業の要望に全面的に応えるものでありますし、今戦争法案が出されまして、一層の拡充の方向も出されているということなわけですね。その流れの中で、野党から与党になったら、自民党に対する防衛産業の献金は二倍に拡大をしていると。これはどう見ても、国民から見れば見返りにしか見えないわけですよ。  先ほど、天下りの数に沿って様々な官製談合というのが行われてきたということを指摘をいたしました。そういう見返りでやるというようなこの構造的体質をなくすという点でいっても、私は、こういう防衛産業からの政治献金というものを受け入れていくということは、私たちは企業献金そのものをやめろと、禁止すべきだと思っていますが、これ受取、断るのは政党の決意でできるわけでありますから、防衛大臣、やはりそういう国民の目線から見たときに、少なくともこういう国の防衛調達を受けている企業からの献金というのはなくしていくと、こういう決断をするべきじゃありませんか。
  243. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自民党への献金につきましては防衛省としてお答えする立場にございませんが、一般的に、企業からの献金につきましては企業の独自の立場に基づいて行われるものと承知をしております。  しかしながら、防衛省といたしましては、この調達を実施するに際しまして、企業との契約の透明性、公正性、より一層確保していくことに努めてまいりたいと思います。
  244. 井上哲士

    ○井上哲士君 それでは国民の不信は解消されないということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  245. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば病も怖くないということで、先週は恋の熱中症にかかり、元気ですかというのを現金ですかに間違えてしまったら金欠病にかかりまして。  実は、今日はドローンについて質問をさせてもらいたいと思うんですが、伊賀と甲賀とどっちが上かなと思って伊賀上野に行ってまいりましたけど、何か見当違いだったみたいで、ちょっと恥をかきましたけど。本当に、最初は子供のおもちゃぐらいにしか思っていなかったドローンがこんなに世間を騒がすというか、あるいは、いろいろ資料を調べていく中で、世界中がいろんな開発に進んでいるということで、本当に子供が簡単に操作できるということでですね。  ちょっとお手元に新聞記事を出させてもらいましたが、一九七六年でしたか、児玉誉士夫、右翼の一番の大長老の家に飛行機が突っ込んだということで、ちょうどその年は私もアリ戦だったんで非常に記憶が強くありまして、よく当時一番はやったのは、さっき献金の話も出ていましたけど、やっぱり児玉誉士夫さん、それから小佐野賢治さん、証人喚問で、よく一番はやった言葉が記憶にありませんという言葉で、あれからもう四十年がたちますけど。  本当に、二〇〇二年に私も、それで、ダイナマイトという、東京の国立競技場に十万人ぐらい入ったんですけど、そこで私が開会宣言をやるということで、開会宣言をしてすぐに木場に飛んで、そこからヘリで、夜の八時ぐらいでしょうかね、飛び立って、それで、多分、代々木あるいは皇居の上は飛んでいないと思うんですが、真っ暗闇の中に、とにかく飛び込めばいいんだなというんで、パラシュートでお客の上をなめるようにして降りました。  そういうわけで、もしこのドローンが、これからますます進化していくだろうじゃなくて、していくと思います。一つにはやっぱりバッテリーの問題というのがよく言われていますが、いろんなことに私も手を出したものですから、やっぱりキャパシタという、急速充電、急速放電ができる、こういうものがまずもっともっと進化して小型化していくと、このドローンのやっぱり飛行距離も変わってくるだろうし、既に一部の情報ではロシアが何千機か自国の技術で生産をするという。こんなのが一遍に何千機で飛んできたら、昔、インベーダーゲームって御存じですかね、ペペペペペというのがはやりましたけど、あんな、本当にゲームじゃないけど、形で落としていかないと、このドローンを落とせないんじゃないかなと。  あわせて、一番、原発の上空や皇居の上にそういうものがこれから当然、ないとは限らない、そういう可能性が強いと思いますが、国土交通省と内閣官房に質問させてもらいますが、ラジコンや無人小型ヘリコプターなどに特定区域の飛行、侵入、あるいは禁止する法律があるのか、また今後ますます進化していくであろうドローンにどのような対策を取っていくのか、現段階の状況をお聞かせください。
  246. 島村淳

    政府参考人(島村淳君) 最初に、小型無人機の航空法上の取扱いについて御説明をいたします。  ラジコンなど小型の無人機は、現在、航空法において航空機としては位置付けられておらず、模型飛行機として取り扱われております。このような模型飛行機による飛行は、普通の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある空港周辺、航空路内の地上百五十メーター以上の空域などを飛行する場合には許可又は通報が必要となりますが、それ以外の場合には特段の規制はありません。  なお、国土交通省では、空港周辺において模型飛行機が飛行する場合には、ただいま御説明した通報の内容に基づき、航空機に情報提供を行うなどして航空の安全を確保しております。
  247. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、防衛省設置法についてお伺いをしたいと思いますが、先週も同じ質問をさせてもらいました。防衛省設置法の一部を改正する法律案について、まず、防衛省所掌事務規定の改正に国際協力の明確化とあります。その具体的な取組に、自衛官を一定期間派遣して教育訓練の実施自衛官を派遣し短期間のセミナーの実施と研修員の受入れ等になっています、災害救援、道路構築技術、衛生に関することについて。これは大変大事なことなので理解はできるんですが、当該国と防衛協力あるいは交流の関係強化という記載がありました。  この自衛官派遣による訓練と研修員の受入れに実戦さながらの戦闘訓練が含まれるのか、ここで言う防衛協力とは具体的にどのようなことなのか、教えてください。
  248. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省の行います国際協力の取組は、いわゆる能力構築支援、英語で言いますとキャパシティービルディングと申し上げますけれども、これを念頭に置いておりますが、これはグローバルな安全保障環境の改善、これを目的といたしておりまして、人道支援、災害救援、海洋安全保障、PKOといった非伝統的な安全保障分野を中心に、あくまでも相手国のニーズ自衛隊の保有する能力が合致する範囲内で我が国が主体的に判断して実施するものでございます。  御指摘の実戦さながらの戦闘訓練が具体的に何を指すのか必ずしも明らかでございませんが、仮に実施しようとする支援内容が、地域の安定、これを損なう可能性があると評価されるようなものでありましたら、グローバルな安全保障環境の改善に資するという能力構築支援の趣旨に照らしてそのようなものを実施するということは考えておりません。
  249. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 いろいろ文書を見て揚げ足を取るつもりはありませんが、いろいろ今回の国会の答弁でもリスクのないというような言葉も出ていますが、自衛隊にリスクがないはずがないというのが我々一般の考え方ですが、そういうことを、リスクがない、少なくという総理の答弁があります。  そこで今回、改正案でこれまでと大きく変更する点は、防衛装備庁が新設されることだと思います。私としては、今のままでも機能するんではないかと思いますが、防衛装備関連部署を新たに庁として新設する必要性と意義をお聞かせください。
  250. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これまで防衛省では、防衛装備品の開発とか生産はばらばらに分散して行われていたわけでありますけれども、やはりこれ、適切な開発と生産と維持整備、これは安全保障上極めて重要なことでありまして、特に諸外国との防衛装備技術協力強化、また技術的優位の確保、そして防衛生産・技術基盤の維持強化、またハイテク化を踏まえた調達改革等が重要な課題となっております。  このため、こういった課題に対処するに当たりまして、やはり防衛装備品に係る専門的知見が必須であること、そして企画立案から研究開発、調達の実施までを一元的に担う組織としての一貫性、統合が必要でございます。そして、政策的課題が急増しておりまして、関連する組織の人員が約千八百名と大規模であるために、内部部局に置くことは非常に組織的に均衡を失することになるということで不適当であると考えまして、今回、装備取得に関連する部門を集約、統合して政策企画立案機能を重視した外局として防衛装備庁を設置することにしたわけでございます。
  251. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 最後に、官房長及び局長、幕僚長との関係に係る規定の改正についてお聞きをします。  この改正は、防衛大臣によるシビリアンコントロールを確固たるものとする必要性があると書かれています。そこで、今回の改正でどの点が改善されたのか、改正前と改正後の具体的な例を挙げて説明をしてください。
  252. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回、防衛省設置法十二条、これを改正いたしますけれども、今回、統合幕僚監部、これを改編をし、また今御質問がありました防衛装備庁の新設をすることによりましてかなり防衛省組織構成が変更されるということでありますので、この十二条においても組織構成に適切に対応した規定といたしたいと考えております。  具体的には、組織改編後、統合幕僚監部、これが実際の部隊運用に関して対外的な連絡調整国会答弁を含む対外説明を行うということ、そして防衛装備庁政策企画立案を担うことを踏まえた上で新設される防衛装備庁長官も、官房長、局長と同様に政策的見地からの大臣補佐の主体として明記をする、そして統合幕僚監部の改編、防衛装備庁の新設後も政策的見地からの大臣補佐防衛省所掌事務全般にわたって行われることを明確化をする、そして政策的な見地からの大臣補佐と軍事専門的な見地からの大臣補佐調整、吻合と申します、調整ですね、これが引き続き適切に行われるということを明確化するものでございまして、この改正によって文民統制、これを引き続き厳格に維持していくことが可能にするために改正をお願いしているところでございます。
  253. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、防衛大臣、五月十七日のフジテレビの番組で、北朝鮮が米国へのミサイル攻撃を行った場合、二発目以降の準備が行われれば、集団的自衛権を行使して米国と共に北朝鮮の基地を攻撃、行うのは可能であると見解を示されましたが、その件についてもう一度この場で詳しくお聞かせください。
  254. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私の発言につきましては、個別的自衛権に関する従来の考え方、つまり我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段として我が国土に対し誘導弾等による攻撃が行われた場合に、座して自壊を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうにはどうしても考えられないということを前提に、敵基地攻撃についての従来からの考え方は、法理上、つまり法律の理屈の上では新三要件の下でも変わりがないということを述べたことでございます。  ただし、現在、我が国は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、個別的自衛権の行使としても敵基地攻撃をすることは想定をいたしておりません。
  255. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 先ほど基地という話をしましたが、この委員会でも質問させてもらいましたが、北朝鮮の現状というのは、一定した基地ではなく移動式基地ということで、その辺も言葉どおりではなく、その辺の当然研究はされていると思いますが。  次に、スウェーデンのストックホルムで日朝政府間会談が行われました。拉致問題解決へ向けて話合いが再開されましたが、今回、私が独自のルートで北朝鮮との連絡を取りましたところ、この大臣の発言にかなり不快感を示していた。この今回の発言が今後の日朝交渉にどのような影響を与えるのか、あるいはこの拉致問題も今本当に停滞しているように感じますが、その点についてお聞かせください。
  256. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 北朝鮮につきましてでございますが、先ほど敵基地攻撃のお話をいたしましたけれども、集団的自衛権の行使を目的として、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃をするということはそもそも想定はいたしておりません。番組での発言を踏まえた報道についてはコメントいたしませんが、私からは特定の国名には言及はしていないわけでございます。そして、北朝鮮側の反応については承知をいたしておりますが、北朝鮮側の意図について説明することは適切ではないと考えております。  いずれにいたしましても、北朝鮮問題につきましては、日本政府として、対話と圧力の方針の下に、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決を目指していく考えでございます。  拉致問題につきましては、北朝鮮に対して、昨年五月の日朝合意に従いまして迅速に調査を行い、速やかにかつ正直に結果を日本に通報するように強く求めていく立場には変わりはございません。
  257. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、潜水艦について、先週、防衛省技術研究本部の視察をさせてもらいました。いろんな実験を見させてもらって、大変すごいなと。特に日本の場合は、レーダー関係が優れているのかなと。そんな中で、将来、軍事だけではなくロボットなんかも、震災で一部テレビでも報道されていましたが、そういう、この間みたいな事故が起きては困りますけれども、いろんな、今回地震の場合でもこのロボットが奥の中まで入っていくような使い方ができたらすごいなと。  近年、南沙諸島で中国の勢力が拡大しております。この四月にはタイのクラ運河建設に合意したということが出ておりましたが、米国とシンガポールが掌握しているマラッカ海峡を通らずにインド洋に航行することが可能になる。  いろんな、世界中見ますと、中国が、ニカラグア、あるいは要点要点、あるいは中東の道路建設とかやっておりますが、その上で、南沙諸島の岩礁に今回、新聞、テレビでも報道されていますが、滑走路らしき道、その近くに建物が幾つか設置されているのが映っていますが、太平洋側について、パプアニューギニア、ミクロネシア連邦、ソロモン諸島など島嶼国を始め、オーストラリア、ニュージーランドなどの国々、大変中国の脅威を感じているようです。  周辺事情が緊迫するのは当然のことだと思いますが、こうなってくると、オーストラリアのアジア太平洋地域で果たす役割はますます大きくなっていくのではないかと思います。  前にも質問しましたが、オーストラリア政府から日本に潜水艦の技術協力要請があった件ですが、防衛装備移転三原則により可能になったと理解しています。オーストラリアに日本の潜水艦技術が使われると軍事面では安定した成果が得られると思いますが、一方で、中国は、海軍によってトンガ、フィジー、バヌアツ、パプアニューギニアに病院船を派遣して、島民の二万人くらいですね、診察や手術を無償で、強烈な歓迎を受けていると。ここに大変、中国の世界戦略というか、したたかな外交が見て取れます。  見方によって、日本はオーストラリアへ武器提供していく、片や中国は世界貢献に取り組んでいると言われてもおかしくない状況です。これまで日本は数々の平和活動や支援を行ってきましたが、にもかかわらず、平和と逆行している国という印象を持たれたら、事態の本質を知らしめることもできずに、世界の日本の立場は悪化するばかりです。  私は、日本の技術がアジア太平洋地域の平和維持のために使われることは大いに賛成ですが、もっとうまくアピールやパフォーマンス力を上げる必要があることだと思います。いろんな国にも私、総理が行かれた後、行ってきました。本当に、その辺のお金を使うのであれば、そのお金が生きたような支援、あるいはその国に対する影響を与えるべきだと思いますが。  そこで、防衛省にお聞きします。日本とオーストラリアの潜水艦の技術協力の現状と、それ以外の装備品について他国からも要望があるのかなど、今後の技術協力の展望を併せてお聞かせください。
  258. 中谷元

    国務大臣中谷元君) オーストラリアの将来潜水艦に関する協力につきましては、五月の六日の日豪の防衛相電話会談、これを行いまして、オーストラリア側から、同国の将来潜水艦を日本と共同して設計、建造することが可能か検討したいというので、日本にオーストラリアの将来潜水艦の選定に向けた手続に参加してほしいとの要請がありました。これを踏まえまして、五月十八日に実施された国家安全保障会議におきまして、日豪防衛協力の重要性に鑑みて、オーストラリアの将来潜水艦プログラムに関して、我が国として具体的にいかなる協力が可能か詳細に検討することが必要であるとの認識で一致をいたしまして、現在、オーストラリア政府と協議を行っているところでございます。  また、オーストラリア以外の国からも我が国との防衛装備技術協力に関する関心や期待をいただいているところでありまして、以前より共同研究等を実施している米国を除けば、イギリス、フランスとの間で防衛装備技術協力に係る政府間の枠組みに署名をいたしております。このうち、イギリスとの間では、平成二十五年七月に化学・生物防護技術に係る共同研究を、平成二十六年十一月に共同による新たな空対空ミサイル、これの実現可能性に係る共同研究を開始をいたしました。これに加えまして、インド、東南アジアなどの国々とも、防衛装備技術協力に係る各種の協議を実施をいたしております。  委員の先ほどの御意見、大変貴重なものとして拝聴させていただきます。
  259. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 次に、中国中部投資貿易博覧会。  先日、自民党の二階先生が中国の北京で開催された日中観光交流イベントに全国旅行業協会の関係者三千人と新聞に報道されていましたが、習近平国家主席に安倍総理からの親書を手渡されたと、メディアも大変評価されているようでしたが、今回の訪中が日中関係改善の一歩になればと私も期待しております。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  観光イベントの少し前に、五月十八日から二十日の期間に中国の武漢という町で中国中部投資貿易博覧会が開催され、私もかつては、古い話になりますが、九〇年ですか、ウルムチから嘉峪関というところまで百何十人バイカーを連れて走ったことがありますが、当時は道がなかったので、軍の指導で全部ガソリンスタンドも用意してもらいまして、皆さん行く先々で歓迎を受けたことを記憶していますが。そのような交流、今、政治がなかなか動けない状況の中に、かつてピンポン外交も、御存じのとおりだと思いますが、人と人の交流が高まっていけば自然と皆さん理解が深まっていくのかなと。  これだけ中国、銀座もこの間行きましたら、わあっと、皆さんがいると必ず、私が手を振ると、わあ猪木と言ってくれるんですが、元気ですかと言ったら誰も反応しないんです。何でだろうと思ったら中国人でした。  今回、九回目になるということで、日本もジェトロがジャパン・パビリオンを設置して、三十八の企業、団体が参加したそうです。  そこで、経済産業省にお聞きしますが、この博覧会はどのような内容なのか、そして日本が参加する意義を教えていただきたいと思います。また、今後の対中国経済戦略についてどのように考えているか、お聞かせください。
  260. 鈴木英夫

    政府参考人(鈴木英夫君) お答え申し上げます。  中国中部投資貿易博覧会は、中国中央政府と中部六省が中部地域振興政策として開催しているものでございまして、今年で九回目の開催でございます。  今年は、開放・協力、転換・発展などをテーマとして、海外との経済技術交流及び提携のプラットホームの提供、国際資本と沿海部産業の中部地域への移転促進などを目的としておりまして、具体的に、展示会やビジネス商談会などを開催され、約四百の企業、団体が出展し、二十万人が来場したと聞いております。  次に、御質問の参加の意義についてでございますが、この中国中部六省は、GDPの合計でインドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピンの合計額に相当し、近年著しい経済発展を遂げております。我が国企業にとってもビジネスチャンスが拡大しており、そこで我が国企業によるこうした成長著しい市場の獲得支援や観光のPRを目的として、ジェトロが日本企業や自治体と協力をし、ジャパン・パビリオンを設置し参加したところでございまして、その意義は大変大きなものがあったと考えております。  今後の対中国経済戦略につきましては、中国は隣国であり、またそのGDPは我が国の二倍以上になっているという市場の大きさや成長の潜在性から、我が国にとっては最重要市場の一つであること、そして、改善傾向にある二国間関係を踏まえまして、技術流出が生じないというように配慮をしながら、次の考え方で実施をしてまいりたいと考えております。  すなわち、省エネルギー、環境、高齢化対応、安心、安全、優れた機能、デザインなど、日本の強みを生かした市場獲得に対する支援を実施するとともに、ビジネス環境の整備に向け、我が国として、また必要な場合は他国と連携して中国政府へ働きかけを行うなど、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。  また、これらの取組を通じ、エネルギー環境や都市化といった中国が抱える社会課題の解決にも貢献し、日中両国の経済が相互に利益を得られるような政策を展開してまいります。  さらに、日中が参加をしております日中韓FTA及び東アジア地域包括経済連携交渉についても、早期合意を目指して積極的に対応してまいります。
  261. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 五月の二十三日ですね、仙台の若林区と福島の相馬市に招待をされまして、東日本大震災の後、田んぼが浸水、海の塩水が入ってしまって、これは田んぼをまた復興させるのは難しいと言われる中で、地元の農家の皆さんの努力で今回その田んぼをもう一回復興させようということで、それで、できたお米は闘魂米という名を付けるそうですけど、立ち上がれ、元気になってほしいということですが。本当に若い人たちも一緒になって田んぼで苗を植えて、私は残念ながら足腰悪いものですから田んぼには入りませんでしたけれども、本当に復興に向けて、塩に強い野菜や土を使わない栽培法、いろんな研究がされていると思います。  私は、いろんなことにすぐチャレンジしたい方なものですから、新しい農業についてのこともちょっと調べさせてもらいました。ちょうどこの五月に、オーストラリアの大使館のマーケティングの方から遺伝子組換え作物の輸入についての話を聞きました。  まず、農水省に質問します。遺伝子組換えトウモロコシの栽培許可が出されているそうですが、現在、日本の国内で国産の遺伝子組換えトウモロコシは流通しているんでしょうか。もし流通していないとしたら、今後の見通しを教えてください。
  262. 原田英男

    政府参考人(原田英男君) お答えいたします。  日本国内での国産の組換え遺伝子トウモロコシの栽培、流通につきましては、現在そういう実態はないと業界団体から聞いております。また、今後の見通しにつきましては、これは正確にお答えするのは難しいのでございますが、遺伝子組換え作物の栽培につきましては、周辺の住民の皆さんや消費者の方々の御理解が必要と考えております。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕  そうした意味では、今後の見通しははっきり分かりませんけれども、農林水産省といたしましても、今後も業界等の開発の動向ですとか普及の動向をよく注視してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  263. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 続いては消費者庁にお聞きしたいと思います。  この遺伝子組換え作物の安全性ということが一番大事だと思いますが、二〇一二年九月にフランスの学者が遺伝子組換えトウモロコシを食べ続けたマウスに発がん性が見られると発表し、この間写真見ましたが、まあこれもどこまで、いろんな今ガセネタが出ていますので、確認はしておりませんが、これが事実なら大変深刻な状態だと思います。  日本では遺伝子組換え食品には表示義務があると聞いていますが、五%、これは後でお聞きした方がいいのかな、私がしゃべるよりは。EUでもそういう表示義務がありますが、日本の具体的な例を挙げて説明をしてください。
  264. 岡田憲和

    政府参考人(岡田憲和君) お答えいたします。  遺伝子組換えではない大豆やトウモロコシの場合、流通過程におきまして、遺伝子組換えのものとの分別管理が適切に行われた場合であっても意図せざる混入が生じる実態がございます。例えば、非遺伝子組換え大豆やトウモロコシを輸入する場合、分別管理を行っていたといたしましても、生産、収穫が行われる産地の段階、乾燥調製が行われるカントリーエレベーターの段階、船積みが行われる輸出港の段階等のそれぞれの段階におきまして、遺伝子組換え農産物の意図せざる混入が生じる可能性がございます。  このため、我が国では、このような各段階で混入があり得ることを考慮した上で五%以下の混入率を認めているところでございます。
  265. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 先日行われた島サミット、ちょうど前夜祭も各大統領が来られて、岸田大臣出席されておりましたが、その結果というんでしょうか、今後、どういうことを議題で、そしてどのようにやっていくのか、お聞きしたいと思います。
  266. 滝崎成樹

    政府参考人(滝崎成樹君) お答えいたします。  今委員からお話がありましたように、先月、五月二十二日、二十三日と、福島県いわき市に太平洋島嶼国十四か国から首脳ほかをお迎えしまして第七回太平洋・島サミットを開催いたしました。被災地の力強い復興をアピールするとともに、日本と太平洋島嶼国の協力の在り方について率直な議論が行われました。  安倍総理の基調演説において、太平洋島嶼国とともに太平洋市民の社会確立を目指す我が国の新たな対島嶼国外交ビジョンを発表したほか、首脳宣言、福島・いわき宣言を採択いたしました。新しいパートナーシップの幕開けとなったというふうに考えております。  どのような成果があったのかというお尋ねでしたけれども、この首脳宣言の中で、我が国の今後の対太平洋島嶼国支援策を発表いたしました。例えば、廃棄物管理などの環境問題、それから気候変動問題なども重点分野と位置付けまして、島嶼国の脆弱性に配慮した支援を三年間で五百五十億円以上実施することとしております。  また、この同じ首脳宣言でも確認されたとおり、太平洋地域の平和と繁栄を確保するため、共通の価値観や法の支配に基づいて太平洋島嶼国と緊密に協力していくということとしたところでございます。
  267. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 時間も来ましたが、最後に、南米の麻薬問題ということで、メデジン・カルテルという大変悪名高きコロンビアのあれがありましたが、ブラジルのやっぱりオリンピックも近くなってきました。  そこで、現在の南米の麻薬事情と、麻薬によるトラブル、巻き込まれないためのアドバイスを教えていただきたいと思います。
  268. 高瀬寧

    政府参考人(高瀬寧君) まず、私の方からは現在の南米の麻薬事情についてお答えをさせていただきます。  中南米地域におけます麻薬生産は、農村、山岳地域の貧困、所得格差が一因と言われております。そして、この麻薬絡みの犯罪、テロ、地下経済の発達等が中南米地域全体の政治的安定と健全な社会経済発展に対する阻害要因の一つとなっているとも言われております。  南米におきましては、ペルー、コロンビア、ボリビアがコカインの原料となるコカ葉の主な生産地となっております。他方、最近は各国政府の取組もございまして、コカ葉の耕作面積は減少傾向にございますし、コカインの生産量も減少傾向にございます。他方、南米諸国は、近年コカインの消費地ともなっておりまして、コカインの押収量とコカインの使用者数はいずれも上昇傾向でございます。  御指摘のブラジルにつきましては、その地理的条件から、ヨーロッパに向けましたコカインの違法取引の中継地となっております。また、南米最大の人口を擁する国でございますのでコカインの消費国ともなっておりまして、今後の動向が注視されるところでございます。
  269. アントニオ猪木

    アントニオ猪木君 終わります。ありがとうございました。
  270. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 最後に、アントニオ猪木君の先ほどの質問に対する内閣官房蔵持内閣事官からの追加答弁を認めます。蔵持内閣事官
  271. 蔵持京治

    政府参考人(蔵持京治君) ありがとうございます。  今後ますます進展していくドローンに対する政府の現段階での検討状況についてのお尋ねがございましたので、それについて答弁させていただきます。  いわゆるドローンを始めといたします小型無人機への対応につきましては、杉田官房副長官を議長といたします小型無人機に関する関係府省庁連絡会議において政府一丸となった対応を進めておるところでございます。  この中では、重要施設における警戒警備体制強化であるとか、安全、安心な運航の確保に向けたルール作りを今行っているところでございまして、本日、第三回の関係府省庁連絡会議を開催することとしております。その中で、運航ルール全体の骨子を取りまとめることといたしておりまして、関係者に対する周知と調整を経た上で、今国会にも必要な法案を提出すべく、目指して、準備を進めているところでございます。  以上でございます。
  272. 浜田和幸

    浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。  中谷大臣、シンガポールでのシャングリラ、大変御苦労さまでした。現地からの報道を見ていても、次々と、アメリカ、オーストラリア、日本、三か国の防衛大臣協議とか、あるいは二国間、様々な協議で日本がどういう形でこの東アジア、アジア全体の安全保障の確立に貢献できるか、いろいろと熱心な議論をされてきた。大変、脅威をどうやって封じ込めるかということで、日本役割がますます期待されていると思うんです。  そんな中で、中国が例の南シナ海の岩礁の埋立て、これをめぐって、本当に全世界対中国というような感じで言葉のミサイルが飛び交いましたですよね。もうほとんどの国の代表は、これはちょっと行き過ぎじゃないかという形で中国に対する批判が集中しました。中谷大臣は、そういう路線で国際的なルールをしっかり守るということを主張されて、ただ現実には、なかなか、中国は全くそういう国際社会の懸念を意に介さないどころか、我々の国内の、内部の問題に何で外国が一々口を挟むのかというような六項目の自己正当化するような声明を発表しましたよね。  孫さんという軍の総副参謀長が来られて、かなりきつい調子で、もしそんなことをアメリカや日本が言うんだったらもう戦争も辞さないみたいな、そういう雰囲気が漂っていたように、外から見ると受け止められたんですけれども、中谷大臣現場におられて、いろんな国々の中国に対する注文ですとか要請、またそれに対する中国の反論、そういうのを御覧になっていて、一体この問題、まさに周辺事態にも関わってくると思いますし、重要事態になる可能性を秘めていると思うんですよね。東シナ海、南シナ海、年間五百兆円規模の物流の言ってみれば本当に銀座みたいなところですから、そこで日本も大きな影響を受けると思うんですね。  ですから、そういうことを踏まえて、大臣の率直な今回のシャングリラにおける中国と他の国々との言葉のミサイルの応酬戦、これがちゃんとどういうところに決着、着地点を見出すことができるのかどうか、そういうことについての大臣の率直な御感想と見通し、お聞かせいただきたいと思います。
  273. 中谷元

    国務大臣中谷元君) シンガポールのシャングリラ会合におきまして、いろんな国々の代表と意見交換をいたしました。  この中で、孫建国という中国人民解放軍副参謀長は、こうした南シナ海の岩礁における埋立ては完全に主権の範囲内の行為であり、これらは海上捜索、救助、防災、減災といった目的のほか、必要な軍事防衛上のニーズを満たすものであるという旨の発言をいたしております。  この南シナ海におけるこれらの動向に関する中国の意図につきましては、確たることを申し上げることは差し控えますけれども、一般論として申し上げれば、中国の領土、領海及び領空を防衛するために、可能な限りの遠方の海空域での敵の作戦を阻止することや、台湾の独立を抑止そして阻止をするための軍事的能力を整備することといった軍事的目標のほか、海洋権益を獲得し維持及び保護することや、自国の海上輸送路を保護することといった経済目標、そして中国が独自に領有権を主張している岩礁に対する自国の支配を強めて自国の領有権に関する主張を強めることといった政治目標があると考えておりまして、この南シナ海の問題は、やはりアジア太平洋地域の平和と安定に直結する国際社会全体の関心事項であり、我が国といたしましても、これに対する意見は表明をいたしましたが、各国が緊張を高める一方的な行動を慎み、法の支配の原則に基づき行動するとともに、公海における航行の自由や公海上空における飛行の自由といった国際法上の一般原則が確保されることが重要であるというような主張を述べました。  アメリカにしてもオーストラリアにいたしましても、この点につきましての意見を表明をいたしまして、その後、両二か国の会談も行いましたが、日米豪の三か国で協議をいたしまして、やはり南シナ海で領有権を主張する全ての当事者に対して、自制をし、そして埋立活動を中止をし、緊張を和らげるための措置を講じ、もう挑発的な行動を控えるように促すとともに、南シナ海における実効的な行動規範の早期合意に達するように求めましたし、共通をいたしまして、この南シナ海における中国の埋立てに対する深刻な懸念を共有をいたしまして、こういった力による一方的な現状変更に強く反対するということで一致をしたわけでございます。
  274. 浜田和幸

    浜田和幸君 そういう事態を受けて、来月というかもう今月、六月には、アメリカと豪州、これが二年に一度ずつ行っていた合同演習に日本が初めて自衛隊参加するということになっていますよね。日本だけじゃなくて、ニュージーランドも五百人規模で参加しますし、アメリカと豪州で約三万人規模の大きな軍事演習になると思います。  やっぱりこの最大の狙いは今問題になっている南シナ海における中国のそういう軍事的な活動にあると思うんですけれども、今回初めて自衛隊がアメリカと豪州の合同演習に参加する意義、どういう形で自衛隊とすればこの合同演習に参加するのか、その辺りの概要についてお聞かせください。
  275. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 陸上自衛隊は、本年七月にオーストラリアで行われる米豪共同訓練タリスマン・セーバー15、これの機会を捉えまして、西部方面普通科連隊約四十名を派遣をし、米海兵隊約二千名との間で日米共同訓練を実施する予定でございます。  防衛省としましては、この訓練を実施することによりまして、陸上自衛隊の水陸両用作戦に係る戦術技量の向上及び米海兵隊との相互運用性の向上が図られるものと考えております。また、この機会に陸上自衛隊と米海兵隊との関係強化、日米豪の軍種間の連携強化も期待できるものと考えており、これによりましてアジア太平洋地域の安定に寄与するものと考えております。  なお、この訓練は、我が国以外の特定の国又は地域の防衛を目的としたものではなくて、集団的自衛権の行使を前提としたものでもありませんので、この点は誤解がないようにお願いを申し上げたいと思います。
  276. 浜田和幸

    浜田和幸君 もちろん海外からの誤解が生じないようにする必要があると思うんですけれども、やはり南シナ海での中国とアメリカとの緊張の増大、これはやはりアメリカもアジアとの関係強化という観点では無視できない。そういうことで、アメリカの上院の軍事委員会は、チャイナ・シー・イニシアティブ、これで、二〇一六年、来年度の予算に、今後五年間で四億二千五百万ドルを追加するということを決定いたしております。また、この軍事委員会のマケイン委員長は、中谷大臣も今回御一緒されたカーター国防長官に対して、二〇一六年のリムパックにはもう中国を招かないようにしようと、そういう圧力をかなり強めるという動きですよね。  そういう中で、アメリカの政策とすれば、アジア太平洋地域の北の部分日本に、南の部分はオーストラリアに、そういう意味でアメリカ、オーストラリア、日本、この三か国が安全保障、軍事といった面でこれまで以上に連携を強めていく、そのことが抑止力につながり、中国の暴走を防ぐことになるという意向というのはもう明々白々だと思うんですけれども、そういう観点で日本が一定の大きな役割を期待されていることは間違いないと思うんですね。  先ほど大臣は、これは集団的安全保障には関係ないと、特定の国を狙ったものでないということをおっしゃいましたが、誰が見ても、今目の前で起こっている危機的状況を、これを放置することはできないということはシャングリラに参加したほとんどの国が共通している。問題は中国なんですよね。  ですから、そのことをやはり我々はしっかりと国際社会にも現状を訴える必要があると思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
  277. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回もそれぞれの地域安全保障についての考え方を述べ合いましたが、やはり基本的価値観と地域における戦略的利益、これを共有をいたしておりまして、やはり日米豪三か国が平素から国際社会の様々な問題に対して緊密に連携協力をしてきております。とりわけ、防衛分野における実質的協力を強化することは、我が国の安全及び地域の平和と安定にとって極めて重要なことだと考えます。  日米豪の三か国間では、現在、オーストラリアで実施中の日米豪共同訓練サザンジャッカルなど共同訓練を行っているほか、東南アジアに対する海洋安全保障分野における支援に関する協力など多面的に協力が進展してきておりまして、これらを一層強化をしてまいりたいと思います。  また、同盟関係にある日米、米豪のみならず、日豪の間でも、特別な戦略的パートナーシップの下に、運用面を含む防衛分野での協力を強化をしておりまして、オーストラリアの将来潜水艦のプログラムへの協力を始めとした防衛装備協力、また共同運用、共同訓練、これを円滑に実施するための協定案の作成に取り組んでおります。  今回、シャングリラでも会合をいたしましたけれども、今後、三か国の実務的な防衛協力を一層強化をしていくことで一致をしておりまして、引き続き三か国の防衛協力を緊密に進めてまいりたいと考えております。
  278. 浜田和幸

    浜田和幸君 今回新たに防衛装備庁が設置されるということで、やはり新しい時代にふさわしい防衛装備あるいは研究開発というものは大きな使命だと思います。  今の南シナ海での中国のそういう岩礁の埋立て等を見ていましても、やはり軍事的な影響もあるでしょうけれども、海洋に対する影響、要するに環境ですよね。だから、環境をやっぱり世界的に守っていくという意味での日本の持っている環境技術といったようなことも、広い意味では、今後のこの防衛装備庁の研究開発の方向性としてはもう安全保障と環境というものを一体化するような、そういう研究も当然必要になってくると思うんですね。  例えば、アメリカのDARPAの場合ですと、環境とか気象改変装置、これはいい意味でも悪い意味でも気象をコントロールしようじゃないかと、台風の目を潰してしまおう、あるいは津波や地震を防ごう、そういう二十年、三十年先の安全を確保するための研究も進められているわけです。  そういう点で、日本防衛装備庁を新たにつくる上においては、アメリカや世界の国々とそういう最先端の研究開発、場合によっては、言ってみればSF的かも分かりませんけれども、それはキラーロボットだって、あるいはドローンだって、ちょっと前には考えられなかったようなことが現実もうなっているわけですから、そういう意味で環境に特化したような、自然をどうやって味方に付けるのか、そういう意味での新しい研究開発防衛装備庁のもう使命の中に含まれると考えてよろしいんでしょうか。あるいは、そういった面での海外、特にアメリカとの研究共同開発、その方向性について、大臣のお考えをお聞かせください。
  279. 外園博一

    政府参考人(外園博一君) 委員指摘の環境に関する技術につきましては、これを軍事的に利用するという観点では、環境改変技術の軍事的使用その他の敵対的使用の禁止に関する条約において軍事的使用等については禁止されているということでございますので、防衛省においてはこういった関連の開発は行っておりません。  他方、委員指摘のように、今後の防衛装備品につきましては、一般論から申し上げまして、環境に配意した、車のエコカーと同様にエネルギーをセーブするとか電力をセーブする、そういった点についても配意をしていかなければならないという観点からいろいろな取組をしていきたいというふうに考えております。  ただし、今、DARPAがいろんなことを環境についても研究をしているということは承知しておりますけれども、今、特にこれについては、具体的なプログラムについては取り組んでいるところではございません。
  280. 浜田和幸

    浜田和幸君 時間が参りましたので、是非、柔軟な、せっかくの民生技術、日本はロボットも環境もあるわけですよね、そういうものを是非、防衛装備の研究開発に生かしていただきたいということを期待して、質問を終わります。
  281. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十五分散会