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2015-04-07 第189回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年四月七日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     福山 哲郎君  四月七日     辞任         補欠選任      末松 信介君     堀井  巌君    アントニオ猪木君     山口 和之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山さつき君     理 事                 北村 経夫君                 佐藤 正久君                 三木  亨君                 大野 元裕君                 荒木 清寛君     委 員                 宇都 隆史君                 小坂 憲次君                 末松 信介君                 豊田 俊郎君                 堀井  巌君                 松山 政司君                 北澤 俊美君                 小西 洋之君                 福山 哲郎君                 藤田 幸久君                 石川 博崇君                 小野 次郎君                 井上 哲士君                 山口 和之君                 浜田 和幸君                 糸数 慶子君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    副大臣        内閣府副大臣   葉梨 康弘君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       北村 博文君        内閣大臣官房        独立公文書管理        監        佐藤 隆文君        法務大臣官房審        議官       金子  修君        法務大臣官房審        議官       佐々木聖子君        外務大臣官房長  上月 豊久君        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        尾池 厚之君        外務大臣官房審        議官       岡田  隆君        外務大臣官房審        議官       中村 吉利君        外務大臣官房審        議官       佐藤 達夫君        外務大臣官房審        議官       岡庭  健君        外務大臣官房参        事官       滝崎 成樹君        外務省北米局長  冨田 浩司君        外務省中南米局        長        高瀬  寧君        外務省中東アフ        リカ局長     上村  司君        財務大臣官房審        議官       吉田 正紀君        国土交通省土地        ・建設産業局次        長        長谷川博章君        国土交通省政策        統括官      松脇 達朗君        防衛大臣官房長  豊田  硬君        防衛大臣官房審        議官       吉田 正一君        防衛省防衛政策        局次長      鈴木 敦夫君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君        防衛省経理装備        局長       三村  亨君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十七年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、平成二十七年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (外務省所管防衛省所管及び独立行政法人国  際協力機構有償資金協力部門) ○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、白眞勲君が委員辞任され、その補欠として福山哲郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君外二十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 去る三月三十日、予算委員会から、四月七日の一日間、平成二十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管防衛省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  審査委嘱されました予算について、順次政府から説明を聴取いたします。岸田外務大臣
  6. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 平成二十七年度外務省所管予算案について概要説明いたします。  平成二十七年度一般会計予算案において、外務省は六千八百五十四億三千九百九十六万四千円を計上しています。これを前年度と比較いたしますと、約二・九%の増額となっております。  ODA予算は、外務省所管分として、対前年度比〇・二%の増額の四千二百三十八億千四十三万八千円となっており、五年連続の増額としております。  私は、国際協調主義に基づく積極的平和主義を具体的に実践する外交を引き続き展開していく所存です。  平成二十七年度予算案の作成に当たっては、こうした考えを踏まえつつ、以下申し上げる五本の柱を掲げ、めり張りを付けた上で必要な予算を計上いたしました。  第一の柱は、戦略的対外発信です。領土保全歴史認識を含む日本の正しい姿の発信、ジャパン・ハウスの創設を含む日本の多様な魅力の更なる発信親日派知日派育成在外公館長在外公館による発信の更なる強化という観点から必要経費を計上しております。  第二の柱は、積極的平和主義に基づくグローバルな課題への貢献です。軍縮・不拡散、気候変動、女性、人権、中東国連外交強化といったグローバルな課題に積極的に取り組みます。  第三の柱は、アベノミクスを後押しするための経済外交推進です。経済連携の更なる推進を始めとして、日本企業海外展開支援を含め日本経済の再生に資する取組強化します。  第四の柱は、ODAの積極的・戦略的活用です。普遍的価値共有途上国日本の成長、人間の安全保障推進ODA卒業国への支援を含めた戦略的パートナーシップ構築の四点を重視しながら、ODAを積極的、戦略的に活用していきます。  最後に、第五の柱は、外交実施体制の飛躍的な拡充です。以上の外交課題に応えるため、人的体制在外公館等物的基盤整備を含めた総合的外交力強化する必要があります。在外公館公館の新設と定員八十二名の純増を含めた必要経費を計上しております。  以上が、平成二十七年度外務省所管予算案概要でございます。  片山委員長を始め、委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。  なお、時間の関係もございますので、委員長におかれましては、お手元に配付しております印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。
  7. 片山さつき

  8. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 平成二十七年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成二十七年度予算においては、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、国民の生命、財産及び我が国領土、領海、領空を守る態勢強化するため、平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画平成二十六年度~平成三十年度)に基づき、新たに導入することとされた装備品取得も含め、統合機動防衛力構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施することとしております。  具体的には、各種事態における実効的な抑止及び対処並びアジア太平洋地域安定化及びグローバルな安全保障環境改善といった防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、統合機能の更なる充実に留意しつつ、特に、警戒監視能力情報機能輸送能力及び指揮統制情報通信能力向上を重視するほか、島嶼部に対する攻撃への対応弾道ミサイル攻撃への対応ゲリラ特殊部隊による攻撃への対応宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動等への対応を重視し、必要な事業を計上することができたと認識しております。  平成二十七年度の防衛関係費一般会計歳出予算額は四兆九千八百一億四千万円となり、前年度の当初予算額に比べ九百五十三億四千六百万円の増となっております。  継続費の総額は、平成二十七年度護衛艦建造費で九百億二千二百万円、平成二十七年度潜水艦建造費で六百五十八億八千百万円となっております。また、国庫債務負担行為限度額は、武器購入航空機購入弾薬購入武器車両等整備提供施設移設整備等で二兆四千五百四億四千四百万円となっております。  また、東日本大震災からの復旧復興に係る経費平成二十七年度一般会計とは別途、東日本大震災復興特別会計歳出予算額三百二十八億七千六百万円を計上しております。  次に、平成二十七年度の防衛省関係予算について、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。  第一に、周辺海空域における安全確保です。  広域において常続監視を行い、各種兆候早期に察知する態勢強化するため、新たな装備品取得を含めた、周辺海空域情報収集警戒監視態勢強化します。  第二に、島嶼部に対する攻撃への対応です。  島嶼部に対する攻撃対応するため、常続監視体制整備、航空優勢の獲得維持、海上優勢の獲得維持輸送能力水陸両用機能を始めとする迅速な展開対処能力向上指揮統制情報通信体制整備実施します。  第三に、弾道ミサイル攻撃への対応です。  弾道ミサイル攻撃に対し、我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制強化するとともに、ゲリラ特殊部隊による攻撃対応する態勢整備をします。  第四に、宇宙空間における対応です。  各種人工衛星を活用した情報収集能力指揮統制情報通信能力強化するほか、宇宙空間安定的利用確保のための取組実施をいたします。  第五に、サイバー空間における対応です。  サイバー攻撃に対する十分なサイバーセキュリティーを常時確保できるよう、人材育成を含め、サイバー攻撃対処能力の検証が可能な実戦的な訓練環境整備等所要態勢整備を行うとともに、最新のリスク対応策技術動向等把握するため、民間部門等との連携強化をいたします。  第六に、大規模災害等への対応です。  各種災害に対して、十分な規模部隊を迅速に輸送展開するとともに、統合運用を基本としつつ、要員のローテーション態勢整備することで、長期間にわたり、持続可能な対処態勢構築をいたします。  第七に、情報機能強化です。  各種事態等兆候早期に察知し迅速に対応するとともに、我が国周辺におけるものを始めとする中長期的な軍事動向等を踏まえた各種対応を行うため、情報収集処理体制及び収集した情報の分析・共有体制強化をいたします。  第八に、アジア太平洋地域安定化及びグローバルな安全保障環境改善です。  アジア太平洋地域安定化に向け、二国間、多国間の協力関係強化し、訓練演習等を適時適切に実施するとともに、グローバルな安全保障上の課題等に適切に対応するため、国際平和協力活動等をより積極的に実施をいたします。  これをもちまして、平成二十七年度の防衛省関係予算概要説明を終わります。
  9. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 以上で説明の聴取は終わりました。  この際、お諮りいたします。  外務省及び防衛省関係予算大要説明につきましては、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 どうも皆さん、おはようございます。  今国会から当委員会の所属となりました自由民主党、豊田俊郎でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  まず最初に、先週の二日の委員会終了後でございましたけれども、翌朝の報道によりますと、北朝鮮が四月二日、在日本朝鮮人連合会、朝鮮総連の許宗萬議長宅への家宅捜索などに抗議する通知文日本政府に送り、このような状態では朝日政府間の対話もできないと通告してきたと報じられておるところでございますけれども、事実関係について外務大臣から御説明を願います。
  12. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の件ですが、まず拉致問題につきまして安倍内閣としましては最重要課題として取り組んできました。我が国は昨年三月に一年四か月ぶりに北朝鮮との対話を再開し、五月、ストックホルムでの日朝政府間協議において、北朝鮮拉致被害者を含む全ての日本人に関する調査を行うことを約束いたしました。日本側ストックホルムにおける日朝合意を誠実に履行しております。  今回、今の御指摘がありました北朝鮮側の通報につきましては、日朝政府間対話ができなくなっている旨の発表が行われたわけですが、こうした発表は全く受け入れることができず、極めて遺憾であります。このため、四月三日午前、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側に対して我が方の立場を強く申し入れ、抗議をした次第であります。  経緯については以上でございます。
  13. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 日本政府は、今お話しのとおり、昨年五月の合意に基づき、北朝鮮に対する制裁措置の一部を解除したわけでございます。一方、北朝鮮は、日本人拉致被害者に関する再調査を行うため特別委員会を設置し、新たな帰国につながる報告があるものと我々日本国民誰もがそう信じていたというふうに思います。ところが、今回の事態でございます。誠意ある調査を行うのか、不透明に感じざるを得ません。  北朝鮮がこうした対応をするには、日本がこれ以上圧力を強めないよう牽制する狙いがあるものと考えられますが、改めて外務大臣にお尋ねしたいというふうに思います。今後、政府北朝鮮への具体的な対応、見解をお伺いしたいと思います。
  14. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今回の北朝鮮のこの通知につきましては、引き続き、様々な情報収集に努め、事態把握に努めなければならないと考えておりますが、政府としましては、北朝鮮日朝合意に従い迅速に調査を行い、速やかに、そしてかつ正直に結果を日本に通報するよう強く求める立場、これは全く変わっておりません。引き続き、全ての拉致被害者帰国に向けて、対話圧力行動行動原則を貫き、全力を尽くしていきたいと考えております。  こうした基本的な立場に立ちながら、北朝鮮側から建設的な動きを引き出すためには何が効果的なのか、こういった観点から検討は続けていきたいと考えています。
  15. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 対話圧力ということが従来から言われていることでございますけれども、やはり交渉ということになりますと、これはお互いの意見を言い続けていたんでは私は何事も解決できないというふうに思います。そこに、交渉というのはある意味での妥協というか、リスクをやはりしょった上での話合いというものが必要になってくるんであろうというふうに思います。  もうこの期間、何一つ前に進まない状況だというふうに思います。国民閉塞感すら感じている状況であるというふうに思います。何らかのやはり妥協というものをそれぞれが引き出すことによって、一日も早い拉致問題の解決、また国交の正常化を御期待を申し上げて、この質問については終わらせていただきます。ありがとうございました。  さて、私は地方政治に長く携わっておったわけでございますけれども、中谷防衛大臣はかつて陸上自衛隊レンジャー教官をされていたと伺っておりますけれども、間違いございませんか。
  16. 中谷元

    国務大臣中谷元君) はい。普通科部隊に所属しておりまして、その中のレンジャー教育を担当する教官をさせていただいたことがあります。
  17. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 多分、教育課程習志野第一空挺団訓練を受けたことがあるというふうに思います。  習志野駐屯基地でございますけれども、皆さんも御案内のとおり、この習志野基地千葉県にございます。このことは誰でも知っているというふうに思いますけれども、ついせんだって、日曜日でございましたけれども、習志野第一空挺団創立五十七周年、習志野駐屯基地創設六十四周年の記念式典と併せて、桜まつりが開催をされました。多くの近隣市民皆さんがこぞって花見を楽しみながら、またこの周年行事に参加をさせていただいたわけでございますけれども、この自衛隊、実は習志野自衛隊という、習志野という地名が付いておりますけど、この基地はどこにあるのか御案内でしょうか。まあそれはいいです、返事は結構でございます。  実は、この自衛隊基地千葉県の八千代市にございます。私はその自治体の長をしておりまして、この演習場の総面積でございますけれども、ヘクタールで表しますと約二百二十一ヘクタール。ゴルフ場の十八ホールが大体六十ヘクタールですから、ゴルフ場に例えれば三個分ないし四個分の広さでございます。このうちの七〇%、百五十三ヘクタールが実は八千代市の地先でございます。  なぜ八千代市にあって習志野自衛隊かと不思議に思う方もいらっしゃろうかというふうに思いますけれども、先ほど申し上げました習志野駐屯地創設六十四周年でございまして、実は八千代という地名ができたのが昭和二十九年の昭和の大合併でございまして、六十一年前でございますので、このときは八千代という地名がございませんでした。  そんなことがあってかどうか分かりませんけれども、歴史的に習志野駐屯基地と呼ばれて、習志野自衛隊と呼ばれているわけでございますけれども、ちなみに、いわゆる空挺団の置かれている施設そのもの千葉県の船橋市に属しておりまして、習志野地先は何一つ地理的には関与していないと、あくまでも地名のみが習志野だということでございます。  そんな中で私は育ったわけでございますけれども、まさに陸上自衛隊習志野基地とともに育ったという実感をいたしております。市長に就任した際も、この自衛隊が本市にあることに誇りを持って対応をさせていただきました。実際、今も習志野自衛隊協力会の会長を務めさせていただいておりますし、毎年行われる初降下訓練を含めいろんな諸行事に、自衛隊市民の間の意思疎通を図る上でも、今後とも御協力を申し上げてまいりたいというふうに思っておるところでございます。  さて、この自衛隊に関する問題、また外交防衛上の問題でございますけれども、三月二十四日の委員会で我が党の三木理事から、外国人及び外国資本による土地取得の問題についての質問がございました。土地取引や建物の調査など、土地問題全般にわたって実は議員就任前には携わってきた経験から、せっかくの機会でございますので、前回の政府の御答弁を踏まえまして、もう少し掘り下げて御質問を申し上げたいというふうに思います。  三木議員質問の提起の一つは、外国人及び外国資本による防衛設備周辺土地の買収の問題でございました。この問題は、平成二十五年、長崎県対馬海上自衛隊対馬防備隊本部に隣接する土地韓国資本に買収されたことに端を発し、安倍総理から、昨年二月三日の衆議院予算委員会で、安全保障に関わる重要な問題という認識を示し、関係省庁連携して調査を進めるよう指示を表明された経緯がございます。先般の三木議員質問に対して、安倍総理指示を踏まえた上で所要調査を進めるとの御回答であったというふうに思います。  そこで、中谷防衛大臣に御質問させていただきます。防衛省は、具体的にどんな調査をしたのか、また調査を通じてどんな課題が浮かび上がったのか、御説明をいただきたいと思います。
  18. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省としましては、この総理指示、また国家安全保障戦略方針、これを踏まえまして、自衛隊施設に隣接する土地について、まずは現状をしっかり把握することが国有財産である自衛隊施設管理上最も大切であると考えることから、所要調査を進めております。  現在、御懸念の点につきまして一般論で申し上げれば、所有者国籍にかかわらず、自衛隊施設周辺における土地所有及び利用状況によっては、自衛隊施設警備自衛隊活動状況等に関する情報保全自衛隊による通信等の円滑な運用等支障が生じるものと考えますが、これまでの本調査過程において、そのような支障が生じているという状況把握をされておりません。
  19. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 各省庁との連携についてはどういう連携が必要だとお考えか。
  20. 三村亨

    政府参考人三村亨君) お答え申し上げます。  先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、これまでの本調査過程におきましては、自衛隊施設警備自衛隊活動状況等に関する情報保全、あるいは自衛隊による通信等の円滑な運用等支障が生じているというような状況把握されておりません。  当省といたしましては、引き続き、国家安全保障戦略方針の下、所要調査を進めてまいりますとともに、安全保障上懸念されるような状況把握された場合には、その状況に応じ、関係府省とも連携を図りつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
  21. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 どうもありがとうございます。  それでは次に、外務大臣に御質問をいたします。  外務省は、世界貿易機構、WTOのサービス貿易協定GATSにより、外国人のみを対象土地利用取引差別的制限を課すことは原則として認められないという説明を行ってきました。一方で、岸田外務大臣は、昨年二月三日に衆議院予算委員会で、外国人のみを対象とした措置でなければGATS制約は掛からないとの認識を示されております。  そこで述べられましたGATS制約の掛からない制限的措置とは例えばどのようなものを指すのか、お伺いをいたしたいと思います。
  22. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国は、サービス貿易に関する一般協定GATS、ガッツと呼んでおりますが、このGATSの規定に基づき、外国人等に対し、サービス貿易影響を及ぼす措置に関して、いわゆる内国民待遇等を与える義務を負っています。  したがって、我が国土地取得又は利用することについて我が国措置をとるに当たっては、当該措置サービス貿易影響を及ぼすものである限り原則として国籍を理由とした差別的制限を課すことは認められておりません。他方、外国人等のみを対象とした措置でない場合、合理的な目的及び手段で土地取得等を規制することについてはGATSにより制約されているわけではない、こうした認識に立っております。
  23. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 とはいえ、私は、この問題は将来に大きな影響を及ぼすというふうに思っておるところでございます。  ここで、少し視点を変えて御質問申し上げたいというふうに思います。  外国人による土地取得の問題を考える上で、法務省より近年の在留外国人数の推移についてお聞きをしたいというふうに思います。
  24. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) お答えいたします。  まず、制度でございますが、平成二十四年七月九日に外国人登録法が廃止され、同時に改正された入管法の規定によりまして、原則三か月を超える在留期間が決定された中長期に在留する外国人に対し在留カードというものを交付をしております。また、同時に改正されたいわゆる入管特例法の規定により、特別永住者に対しては特別永住者証明書を交付しております。  お尋ねの外国人の在留数ということでございますけれども、今申し上げました在留カード及び特別永住者証明書の交付の対象である在留外国人の人数の過去五年間の推移を御報告いたしますと、平成二十二年末が約二百九万人、平成二十三年末が約二百五万人、平成二十四年末が約二百三万人、平成二十五年末が約二百七万人、平成二十六年末が約二百十二万人となっております。
  25. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 もう少し増えているのかと思いましたら、意外と変化がないということがよく分かりました。  二十四年から外国人登録の制度が変わって、九十日以上にわたって適法に在留できる外国人は住民基本台帳に登録されるようになったということでございますけど、法務省にお尋ねしたいんですけれども、在留カードによる新たな制度の概要、そして制度改正の趣旨などについても説明を願いたいと思います。
  26. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) お答えいたします。  日本に正規に在留をされる外国人の方を的確に把握するという意味でこの在留カードを交付しているものでございます。以前、外国人登録法の時代には不法滞在者に対しましても外国人登録証明書を交付をしておりましたところ、この制度改正によりまして、正規の方、正規に滞在をされる方にのみこの在留カードが交付されることによりまして、一般の国民の皆様等もこの外国人の方が正規に滞在をする方だということが分かりやすくなったものと考えております。
  27. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 実は、外国人土地取得する場合ですけれども、この在留カードがあれば、これはどこの市町村でも、住所地が明確に記載されておりますので住民票の登録ができると。住民票の登録ができますと、当然、印鑑証明の登録もできるわけでございまして、まさに登記を進める上で住民票、印鑑証明等々が取得できるわけでございますので、日本のいわゆる不動産を容易に売買、買うことができるということになっております。  かといって、これが土地取引を促進する誘因にはならないだろうというふうには考えておりますけれども、この外国人土地所有する問題、今までも議論されておりますいわゆる水源地付近の土地の買収、また防衛省施設等々、近隣の軍事的、軍用的な用地の近辺の取得等々も含め、今、東京都内、この近郊でもどんどんどんどん建築されておりますマンション等の取得、目的はそれぞれ違うとはいえ、同じ外国人所有されるという状況になってくるというふうに思います。私は、このことは必ず将来において何らかの問題を引き起こすことは明確だというふうに思っておるところでございます。  そこで、いろんな法令があるとはいえ、紛争を未然に防止するという立場から新たな制度づくりが必要になってくるというふうに思っているところでございます。法務省の見解があればお伺いをしたいというふうに思います。
  28. 金子修

    政府参考人(金子修君) お答えいたします。  民法三条二項は、「外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。」と規定しており、本法においては外国人が不動産を取得することは自由であるというのが原則でございます。  国際約束の関係につきましては、先ほど外務大臣から御答弁ございましたが、その点はおくとしまして、国内法等によりまして不動産取引等の権利を制限する場合には、制限の目的が正当であるか、制限の手段が必要かつ合理的と言えるか否かの観点からその可否が検討されることになりますところ、外国人のみを対象に何らかの制限を加えるということに関しましてはこのような制限を充足すると言えるかどうかという疑義がございまして、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
  29. 豊田俊郎

    豊田俊郎君 最後になりますけれども、こうした問題は政府を挙げて積極的に取り組んでいかなきゃならないと私自身は考えておるところでございます。省庁の隙間のようなテーマなので所管官庁が見当たりません。登記のことなら法務省なのか、不動産のことなら国交省なのか、安全保障のことなら防衛省なのか、外国人による土地取引に関連する部分では外務省にも関係があるというふうに思います。  最後に外務大臣防衛大臣にそれぞれ見解をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
  30. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 外務省としましても、安全保障観点等から、我が国土地利用取得の在り方について検討すること、これは重要であると考えております。  先ほど来、関係省庁連携の話が出ておりましたが、是非、外務省としましても、この土地取得の規制の必要性ですとか個人の財産権の保護ですとか国際約束との整合性ですとか、こういった諸事情をも総合的に考慮した上で、関係省庁連携しながら検討をするべく努力をしていきたいと考えます。
  31. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省といたしましては、土地状況など調査を進めてまいりますとともに、この土地取引の規制の在り方をめぐる議論につきましては、国会における御議論も踏まえながら、関係省庁との連携を図りつつ、安全保障上の重要性に鑑み、制限の必要性や個人の財産権の保護、国際約束との整合性等の諸事情も総合的に勘案した上で、政府全体の中で検討してまいりたいと思っております。
  32. 福山哲郎

    福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山でございます。よろしくお願い申し上げます。  事前通告していなかったんですが、今ちょっと慌てて、十時以降にお願いをして、間に合ったらで結構ですのでお答えをいただきたいと思います。  自民党さんから質問が出ると思ったのであえて事前通告しておらなかったんですが、報道によりますと、北朝鮮が今月の一日から日本海に航空機と船舶の航行禁止区域を設定したと、韓国政府関係者の話で分かったというような話がありまして、北朝鮮東部で中距離弾道ミサイル、ノドンを載せた移動式発射台の活動を確認しているという報道もあります。  四月は、御案内のように、十五日、北朝鮮の亡くなった金日成主席の誕生日に当たると。これまでも、例年、過去四月というのは非常に北朝鮮が動く時期でございますので警戒を強めなければいけないところですが、そういった動きがあり、また短距離ミサイルは、つい先日、二日ですか、にも発射をされているというふうに承っておりまして、現状について外務大臣、若しくは防衛大臣でも結構でございますが、現状の認識と、それから北朝鮮の問題に関する、こういった問題に対する韓国側との連携等々についてお答えをいただけますでしょうか。
  33. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘の航行禁止区域の設定についてですが、そうした報道については当然のことながら承知をしております。ただ、北朝鮮関係国の船舶航行者や航空従事者向けに報道のような航空制限区域に関する航行警報等を発したという情報には接しておりません。  北朝鮮の動向につきましては、政府としまして重大な関心を持って、平素から情報収集、分析を行っております。  その中で、個々の具体的な情報については、我が国情報収集能力が明らかになる等の観点からコメントするのは控えたいと思いますが、御質問の中で、韓国等と連携しているのかという御質問がございました。その部分につきましては、韓国それから米国を始め関係国とは緊密に連携を行っております。  引き続き、安保理決議あるいは六者会合共同声明の遵守を求めていかなければならないと思っておりますし、緊張感を持って警戒監視を始めとする必要な対応に万全を期していきたいと考えます。
  34. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 三月二日、日本海への弾道ミサイルの発射を含めて、これまでも北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返しておりますが、我が国に飛来する飛翔体は確認をされておらず、我が国安全保障影響を与えるような事象は生起をいたしておりません。防衛省としては、情報収集、分析及び警戒監視に引き続き全力を挙げてまいります。
  35. 福山哲郎

    福山哲郎君 こういった報道が出ますと各部隊は緊張感のある状況に入りますので、是非そこは御激励をいただき、更に言えば、韓国側との、もちろんアメリカもそうですが、アメリカ、韓国との連携を密に取っていただいて、まあ言えないこともおありだと思いますので、そこは是非、重々御留意をいただき、お願いをしたいというふうに思っています。  また一方で、先ほどありましたけれども、北朝鮮の問題は拉致の問題についての調査報告書が全く出ていないという状況でございます。その問題については大変遺憾に思っておりまして、その状況でこういった報道や、短距離とはいいながらミサイルが撃たれ、また、今のところは確認をしていないといいながら、ノドンの配備があるのではないかということも含めて、非常に私は遺憾でありけしからぬと思っておりますので、そこについて、外務大臣調査報告書、言葉を少し選ばずに申し上げれば、制裁は一部、日本は解除しているわけです。  それについて、ある意味でいうと放置をされている状況でございますので、そのことについても外務大臣、ここはしっかりとやってもらわなきゃいかぬと思っておりますし、被害者の家族の皆さんからもそういう声が上がっているということも承っておりますので、そこは外務大臣、どのような御認識かお答えいただけますか。
  36. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 北朝鮮に対しては、従来から我が国対話圧力、そして行動行動原則に基づいて対応してきました。  圧力につきましては、安保理決議に基づく制裁に加えまして我が国独自の制裁を加えてきたわけですが、対話の部分につきまして、昨年三月、一年四か月ぶりに対話を再開し、そして特別調査委員会調査について合意をしたということでありました。この日朝合意につきましては、我が国は誠実に対応しています。  今回の北朝鮮の通報については全く受け入れることができないと思っています。ただ、こうした対応につきましては、引き続きしっかり情報収集を行い、こうした対応の背景等についても確認をしていかなければなりません。  いずれにしましても、特別調査委員会での調査を速やかに行い、そして迅速に、そして正直に結果を通報するべく求めていく、この基本的な立場我が国としまして引き続きしっかり維持しながら北朝鮮に働きかけていかなければならないと存じます。  こうした状況の中で、引き続き、北朝鮮に建設的な対応を引き出すためにはどうあるべきなのか、しっかりと検討は続けていきたいと考えます。
  37. 福山哲郎

    福山哲郎君 なかなか外務大臣、苦しい御答弁だと思いますよ。  九月ですからね、調査報告書が出てくると言われたのは。あれからもう何か月たっているんですか。外務大臣が言われた、我が国合意に基づいて対応しているということを私は分かっているからこそ、我が国対応しているにもかかわらず、九月に出てくる報告書が一切出てこない。そして、三月になれば、ある意味でいえばこういう動きが出てくるという非常に遺憾な状況が続いているわけです。  今後の対応について検討していきたいとおっしゃいましたが、検討というレベルは本当に超えているのではないかというふうに思っておりますし、安倍政権は、前内閣参与の飯島さんでしたっけ、北朝鮮に行って、何か拉致の問題について解決の糸口が出るんじゃないかみたいなことを、例えば選挙前に言い、この間も九月に出てくるというような話がありながら、これもう七か月以上たっているわけです。  非常にそこは、私は、外務大臣は誠実に対応いただいていると思いますが、結果が伴ってきておりませんので、そのことについては厳しく指摘をさせていただきたいと思います。非常に残念です。  続きまして、アジアインフラ投資銀行についてお伺いをします。お手元にお配りをした資料の三枚目を御覧いただければと思います。  日本は、このアジアインフラ投資銀行について、三月三十一日、参加申請の締切りでしたが、結果として参加を見送りました。当初は余り参加しないのではないかと言われていたんですが、結果的に今五十を超える国・地域が申請をすることになりました。私が意外だったのは、期限近くになってアメリカとの同盟国であります韓国や豪州、そしてEUの国々が次々と参加の表明をされました。このことについては、今外務大臣としてはどのように受け止められているのか、お答えいただけますでしょうか。
  38. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) AIIBの参加に関しましては、中国財政部の発表によりますと、四月七日現在、AIIB設立協定交渉への参加国の数は申請中の国も含めて四十八か国であると承知をしております。  これら四十八か国は、現在進行中の設立協定交渉に参加している、ないしこれから参加が予定されている国であります。そして、AIIBの正式な参加国が決定するまでには、今後交渉を経て、最終的に協定文書に署名を行い、国内の承認手続が完了する必要があると承知をしています。  引き続きこうした動きについては注視をしていきたいと考えておりますし、こうした協定に参加を表明した国、そして我が国も、共にAIIBのガバナンス等に対する問題意識は共有をしております。それぞれの立場から中国側に対しては引き続き働きかけを行っていかなければならないと認識をしております。
  39. 福山哲郎

    福山哲郎君 一般論としては今のお話だと思いますが、韓国やオーストラリア、英国を含めた国々が参加表明したことについて、じゃ、理由としては外務大臣はどのようにお考えになられていますか。
  40. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 参加表明をした国の意図あるいは理由について私から何か申し上げる立場にはないとは思いますが、こういった参加表明をした国も含めて、我が国は、国際社会、様々な国々と意思疎通を図りAIIBに対する対応についても考えてきました。それぞれ参加表明をした国、表明をしていない国があるわけですが、共にAIIBのガバナンスのありよう等、問題意識を持っているという点においては共通していると考えています。  こういった共通意識の下に、AIIBのありようについては中国側にしっかりと働きかけを続けなければならないと考えます。
  41. 福山哲郎

    福山哲郎君 外務大臣、問題意識を共有しています、何ですか、その答えは。参加表明をしてこれから協定の交渉に入るのか、参加表明をしないで外側にいるのかって、問題意識を共有していれば同じですか。全く違うはずですよ、立場としては。  私が問題意識を持っているのは、豪州や韓国、これ日程見てください。韓国は三月二十六日に参加表明、オーストラリアは三月二十九日に表明で、これ、ぎりぎりです。ぎりぎりまでいろんなところと多分調整をされたはずです。そして、アメリカのルー財務長官が三月三十日、三十一日の締切りの前の日に訪中をして会談をし、その場で、AIIBとの協力に期待をすると、中国がアジア地域のインフラ建設の分野で更に役割を発揮することを歓迎するとアメリカの財務長官が歓迎の意を表明をしています。  私は、間違いなく韓国やオーストラリアはアメリカとの関係を含めて協議をした結果、参加という結論をしたと僕は一般的には思います。事実関係は私は今野党ですから把握できませんが、一般的には韓国や豪州がアメリカの了解を得ないで参加表明をするということは考えられない。  そして、アメリカは逆に、三十一日の前の日にわざわざ中国に行って財務長官がこの歓迎の意を表明をしている。これまでのアメリカの立場からいえば、すぐに参加表明とはいかないかもしれませんが、行って中国とのコミュニケーションをここで図っています。  そして、英国始め、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、EU諸国の主要な国が参加表明をしていると。報道によればですが、インフラ等のこれからの需要が非常にたくさんある、そこに乗り遅れたくないと、自国の企業のプラスになるんだったらやはりこのことは参加をするべきだという判断をそれぞれの各国がやられたというふうに報道によっては出ております。  外務大臣は、先ほど私の質問に、いやいや、問題意識は共有しているけれども、相手国の理由についてはつまびらかではない。それは、建前はそうかもしれませんけど、問題意識共有しているんだったら、じゃ、このインフラの問題、インフラ投資に対して我が国がどういう立場を取っているのか。インフラ輸出というのは、我々の政権のときもそのことを懸命にやろうとしたものでございます。  私は、中国のこのAIIBに何にもなしに、外務大臣が言われるように、全く問題意識共有もせず、相手側に指摘もせずに、このことに対して何も条件もなしに入ることがいいなどと言っているわけではないし、私も参加するかどうかは慎重に検討するべき立場だと思いますが、結果として見たら、アメリカの同盟国のオーストラリアや韓国はぎりぎりに表明し、アメリカは前の日に中国にまで行って財務長官が話をしている。完全に世界から見たら日本だけ外れています。イスラエルも入っているんです。この状況は本当にいかがなものかと。  ましてや、例えばドイツのメルケル首相は日本に来日をしています。外務大臣もいろんな場所で外務大臣会合をやられていると思います。そういったときにこのAIIBについて議論をしないのか、共有をしてお互いの参加状況について調整をしなかったのか。また、このぎりぎり韓国やオーストラリアが参加するということを一体外務省はいつ把握をされていたのか。今日、財務省の審議官も来られていますが、財務省の審議官も含めて、いつこうやって韓国やオーストラリアが参加表明をすることを事前に知っておられたのか、参加表明するまで知らなかったのか、そこはお答えをいただけますでしょうか。
  42. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) いろいろ御指摘をいただきました。  まず、我が国のように交渉参加に慎重である国、そして交渉参加を表明した国、こうした国は、アプローチの違いはあるにせよ、やはり中国のAIIBの提案については問題意識は持っており、働きかけを続けていかなければならない、こういった点においては同じ認識を持っていると思っています。そして、こういった国々との連携については今日までも緊密な連携を図ってきました。  そして、交渉への参加について事前に知っていたのか等につきましても、多くの数について一つ一つ今手元に資料は持っておりませんが、私の知る限りでも、英国あるいはフランス、ドイツ、さらには豪州からも事前に通報は受けておりました。事前の通報を受けた上で、引き続き共通の認識の下で中国側に働きかけを行っていく、こうした対応を確認した次第です。  是非、引き続きこうした国々とも連携していきたいと思っておりますし、米国の対応ですが、米国の対応につきまして様々な報道がなされていますが、米国政府との間においては、米国政府立場は全く変わっていない、これは引き続きしっかり確認をしています。こうした立場に立ちながら、それぞれがこのAIIBという金融機関の存在について中国側に働きかけを続けていかなければならないと思います。  アジアにおけるインフラ投資の重要性、御指摘のとおりです。AIIBに対する問題意識を共有しながら、他の国際機関の存在等も含めて、全体のインフラ整備について考えていく、これはこれからも重要な姿勢であると思っています。
  43. 吉田正紀

    政府参考人吉田正紀君) お答え申し上げます。  AIIBにつきましては、外交ルート、それから様々なルートを通じまして情報把握に努めているところでございます。当然、国際会議等の場でいろんな機会がございますので、その場等を通じまして、緊密に意見交換、情報交換を行ってきておりまして、情報把握に努めているところでございます。
  44. 福山哲郎

    福山哲郎君 情報把握した結果がこういう結果だというのは、これまた非常に残念でございますが、先ほど外務大臣はさらりと言われました、豪州は事前に参加をすることを把握していた。把握されたのはいつですか。
  45. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 把握したルートですとかレベルですとか期日、詳細については相手国との関係もあるので控えさせていただきます。
  46. 福山哲郎

    福山哲郎君 財務省はいかがですか。
  47. 吉田正紀

    政府参考人吉田正紀君) AIIBにつきましては、様々のルートを通じて情報の提供あるいは情報把握に努めておりますけれども、個別の点につきましては答弁を控えさせていただきたいと思います。
  48. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、豪州については事前に把握していたけれども日時は言えないと。何で日時が言えないんでしょうかね、外務大臣。だって、もう豪州は発表しちゃっているわけですよ。発表しているわけですから、外務大臣が事前に把握をしていたとおっしゃるんだったら、いつの時点なのかぐらいはお答えいただいても、参加表明されているわけだから、差し支えないはずだと思いますが、いかがですか。
  49. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど申し上げましたように、豪州のみならず、英国、フランス、ドイツ等、どの国においても事前に通報を受けております。こういった一つ一つについて詳細を申し上げることは相手国との関係において控えなければならない、これは当然のことだと思っています。
  50. 福山哲郎

    福山哲郎君 だって、もう参加表明されているんですよ。それは、逆に言うと、外務省は事前に把握していなかったのを、事前に把握していてというふうに言いたいがゆえに何日か答えられないと取られても致し方ないと私は思いますよ。結果として、アメリカが三十日に行ったと。これは相当僕は日本立場でいうときついなと正直言って思います。  その後に、何と格好悪いことに、安倍総理は、党で協議をしてくれと。何か政府は判断しなかったので、党に責任をおっかぶせて、党で協議してくださいみたいな話をしている。麻生財務大臣におかれては、デメリットはないんだみたいな話と、まだまだ余地はあるんだみたいな、何か含みを持たせている。逆に言うと、その何か党に協議してほしいとか含みを持たせていること自身が、この交渉日本がある意味でいうと置いていかれたことに対する証左なのではないかと私は思っていて、非常に残念に思っています。  外務大臣は、恐らくいろんな外相会談とかAIIBの後のそれぞれの首脳会談、外相会談とかで意見交換をされているはずです。しかし、何でこんなふうに、駆け込みで皆さんが参加表明して、日本だけが気が付いたら何か残りましたと、アメリカは参加をしなかったけど中国へ行きましたと、ちょっと残念だなというか、これはちょっといささかかなというふうに思います。日本の残念ながら経済同友会からも若干心配の声も上がっています。  先ほどの北朝鮮のミサイルの話も、韓国とどれほど緊密に連携取れるか、この話もそうです。中国、韓国と今首脳会談もできない状況であるということは一定理解をします、それは政権の判断ですから。しかし、そういったことが、本当に事務方同士の連携とかいろんな形の国際社会の動向の中で、日本の国益を失うようなことのないようにしていただきたい。ここで出遅れたから、後になって意地になって結局参加しないまま、本当に何かアジアのインフラマーケットの中で日本がなかなか参加ができないような状況になるなんというのは、もう余り考えたくないパターンだというふうに思っていて、私は別に何でもかんでもくさしたいと思っているわけではないんですけれども、批判をしたいと思っているわけではないんですが、このことについては、今、普通でいえばめり張りのある明確な答弁をいただける外務大臣ですら何だかよく分からない答弁が続いているので、非常に私は残念に思っております。  もういいんですけど、だってあれ以上答えてもらえないんでしょう、大臣。いや、そうしたら、大臣を私は尊敬しておりますので、どうぞお答えください。
  51. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘はしっかり受け止めなければならないと思いますが、御質問の中で日本が取り残されたというような御指摘もありました。日本としましては、先ほど申し上げましたように今日まで関係各国としっかり意思疎通を図ってきました。事前通報等につきましても意思疎通を図ってきました。そして、そういった状況把握した上で日本としては慎重な立場をしっかり決断したわけであります。  AIIBの問題点につきましては、先ほどガバナンスの確立というお話をさせていただきましたが、加盟国を代表する理事会においてきちんと個別案件の精査、承認が行う体制となるかどうか、こうしたガバナンスの問題、さらには債務の持続可能性を無視した貸付けを行うことによって他の債権者に損害を与えることにならないのか、こういった問題点につきましては多くの国々が問題点として指摘をしているところです。  我が国としましてもこういった問題点をしっかり中国側にぶつけておるわけですが、それに対するしっかりとした回答がない中にあって、これ、もし参加を表明するということになりましたならば、我が国としまして推計で一千億円単位の出資が求められることになります。こうした国のお金に関わる問題です。しっかりと確認した上で我が国対応を決断する、これは当然のことではないかと思っています。  こうした判断の下に今現状があるわけですが、引き続きまして関係各国との連携、そして意識の共有、そして中国への働きかけ、努力は続けていきたいと考えています。
  52. 福山哲郎

    福山哲郎君 大臣がせっかく御答弁いただきましたが、大臣が言われた問題意識は各国全て共有していたはずです。共有していて、あえて協定交渉に入ることによってその懸念を払拭するというスタンスを取られたわけです。各国の首脳の中には、そういった懸念については中国側の説明でかなり払拭できたので参加表明したと言われている方々もいらっしゃいます。だから、大臣のお話は僕は一定理解はしますが、それで主要国が入っていないから我々も入らなかったというなら分かりますけど、主要国がみんな行って我々だけ入らなかったというのはなぜかということの明快な理由には、正直申し上げると、ちょっと残念ながら説得力に欠けると思いますが、次に行かせていただきます。  葉梨副大臣、もう何回もお呼びして、何回も質問が長引いて質問ができなくて本当に申し訳ありません。心からおわびを申し上げます。今日も危ないなと思ったんですけど、それじゃ余りにも副大臣に申し訳ないので、済みません、ちょっと残った時間やらせていただきたいと思います。  特定秘密保護法案の運用についてお伺いします。  お手元にお配りをしている資料にある一枚目が特定秘密指定書といって、各役所が特定秘密に指定するときの文書です。二つ目が管理簿といって、それを管理をしている管理簿が付けてあります。  二〇一四年末時点で政府全体では、だから去年の十二月ですね、十二月の時点で特定秘密は三百八十二件指定されていました。三月末時点では幾つになっているのか、また文書ベースはどうなっているのかどうか、お答えいただけますでしょうか。
  53. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) 先般、福山委員から御通告ございまして、そのときちょっと時間的に間に合わなかったんですけれども、その後改めて各行政機関に問い合わせましたところ、三月末現在で三百九十八件でございます。文書の件数については現在精査中でございます。
  54. 福山哲郎

    福山哲郎君 二〇一四年末時点での文書の数は分かるんでしょうか。お願いします。
  55. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) この点についても今件数の精査中でございまして、相当な件数に上りますので、現在精査中でございます。
  56. 福山哲郎

    福山哲郎君 三百九十八件ということは、年末から三月にかけて十六件特定秘密が増えて指定をされたということになります。  外務省防衛省ではこれは把握されていますでしょうか。外務大臣防衛大臣、お答えください。
  57. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、本年三月末現在、外務省の所掌事務に係る情報のうち、特定秘密の要件に該当するものとして三十六件が指定をされています。そして、これは昨年十二月末の時点と比較しまして一件件数が増えております。これは、この三十六件の内訳としてインテリジェンス関係二十一件が含まれていますが、このインテリジェンス関係の一件が増えた結果だと承知をしております。
  58. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省におきましては、昨年十二月末の時点で特定秘密として二百四十七件の情報を指定をしております。三月末の時点の指定状況につきましては、昨年十二月末の時点の指定数と変わりがなくて、同じく二百四十七件でございます。
  59. 福山哲郎

    福山哲郎君 ありがとうございました。  実はこれ、どの時点で何件かの把握というのは、これ今、僕たまたま今日お伺いさせていただいて、副大臣御苦労いただいて、こうやって答えを外務省防衛省も出していただいたんですけど、これ実は特定秘密というのは分からないときに、いつ増えているか、どんどんどんどん増えていくわけです。これ、いつの時点でどういう形で特定秘密が指定されて増えているのかというのを定期的に何らかの形で連絡していただけるような、公表していただけるような仕組みがないと、何かたまたま私がこうやって質問しましたから今答えていただいたんですけど、まずこのことについては少し積極的に対応いただきたいというふうに思っています。  そうでないと、特定秘密がどういうペースで、どういう形で各省庁で増えているのかというのがよく分かりません。要は経年的というか経月的に分からないので、そこについて副大臣、どのように今お考えいただいていますか。
  60. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) これは、あるいは独立公文書管理監にも今日は来ていただいているわけですけれども、まさにもう委員よく御存じのとおり、特定秘密、この資料の二ページ目ですが、指定管理簿でございますね、これは国会に対しては、情報監視審査会に対しては年に一遍添付をして御報告をするということに運用基準上なっております。また、各行政機関は独立公文書管理監に対してこれを月一遍報告をすると。  ですから、独立公文書管理監のところにはこの指定管理簿があるわけでございますけれども、もちろんそれが公にできるものと一般の秘密に当たるもの、それぞれございますけれども、国会等の求めに応じて、それを尊重しながら適切な対応ができるのではないかと思います。
  61. 福山哲郎

    福山哲郎君 今のは国会の求めに応じてという話なので、ちょっと後で僕、議事録精査して、今度また質問させていただきたいと思います。  一番重要なこと、もう三分なので、また副大臣お出ましいただかなきゃいけなくなっちゃいました。申し訳ありませんが、大事なことをお伺いします。  参議院では情報監視審査会を、委員を指定をさせていただきました。そして、最高水準の技術をもってかどうか分かりませんが、電波遮断をし、シールドルームにし、電磁波の漏えいを防ぎ、併せて委員の誓約もしました。入退室の制限等の措置も行いました。恐らく、この委員の中でも審査委員になっている方以外は、どこにそのシールドルームがあるかも多分みんな知らないと思います。私も存じ上げません。  そういうふうに、ある意味でいうと非常に最高水準の防護措置をとったということで、それは十分な措置が今現状ではとられていると政府は判断しているのかどうか。前も僕は副大臣にお伺いしましたが、もう現実に動き出した時点で最高水準の十分な防護措置がとられていると考えているのかどうか、お答えください。
  62. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) いわゆる保護措置、防護措置が十分かどうかということですけれども、この特定秘密のやっぱり個々の内容、あるいはそれを提供する方法、これを踏まえて判断していかなければならないということで、具体的にはその都度、各行政機関の長が判断するということになろうかと思います。  また、今事務的にも、ただ、情報監視審査会の保護措置の具体的な内容につきましては確認させるようにしてまいりたいというふうには考えております。
  63. 福山哲郎

    福山哲郎君 もう今のは非常に微妙な答弁で、よく分からない。その確認というのはどういう意味か分からないんですけど、ちょっと僕、これ、今度またここでやらせていただきたいと思いますが、副大臣、重要なことを確認します。  当時の森大臣は、国会において特定秘密を保護するための必要な措置が講じられることとなることから、基本的には、行政機関の長は情報監視審査会の求めに応じ、特定秘密を提供することとなると考えますと言われています。これはなぜかというと、防護措置をつくって、シールドルームを造って、委員本人に誓約をして、さらには携帯電話まで入室するときに取り上げるということは、前提として、今の森大臣の答弁にあるように、これは特定秘密を出す前提なんです。  何か出さない前提で物事が進んでいるような勘違いがあるんですけど、防護措置をとるということは、そこで出して本当に適切かどうかを国会が政府監視をするんです。だからこそ、委員には実は誓約を課しているわけで、その原則は、副大臣、間違いないと、私の今の認識は間違っていないということは確認いただけますね。
  64. 葉梨康弘

    ○副大臣(葉梨康弘君) 基本的には、国会において特定秘密の保護をするために必要な措置が講じられた場合、基本的に行政機関の長は情報監視委員会の求めに応じて特定秘密を提出するということになるという、その基本はあるわけです。  ただ、個別には、具体的には個別のケースによって判断されなければならないということで、森大臣につきましても、これ、答弁そのまま読みますけれども、国会への特定秘密の提供の適否については、個別具体的に判断する必要がございます、提供を拒否することが見込まれる特定秘密をあらかじめ示してお示しすることは困難でありますというような答弁をされているわけですから、本当に個別具体的に各行政機関の長が判断するということであろうかと思います。
  65. 福山哲郎

    福山哲郎君 もう終わりますが、今初めて原則としては出すことになるという答弁を、実は初めてだと思いますが、言っていただいて、これは一歩進んだと思います。  私、もちろんサードパーティールールとかで出せないものがあることは重々承知をしておりますが、特定秘密を情報開示するということは、元々情報を出す前提だということで今後の対応をしていただきたいということをお願いし、あと課題はいっぱいあるんですけれども時間ないので、副大臣についてはまたお出ましいただくことになると思いますが、お許しいただきたいと思います。  終わります。
  66. 小西洋之

    ○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  私は、三月二十四日及び四月二日の続きの質疑をさせていただきたいと思いますけれども、冒頭、念のために申し添えさせていただきます。  委員部やあるいは財務省の担当者にも確認いたしました。予算は国政の大前提でございますので、予算委員会は憲法解釈を含めおよそ何でも質疑が行えます。あと、本日の外防委員会予算審議のための開催のものでございますので、およそ外交防衛委員会に関することは何でも質疑ができるというふうに理解しております。  なお、私は、三月二十日の予算委員会質疑で、対安倍総理に対しまして、まさに集団的自衛権のその解釈改憲の憲法論点について追及をいたしました。安倍総理は何も答えられませんでした。  また仮に、この憲法違反の解釈変更によってゴールデンウイーク以降に安保法制が強行された場合には、まさに今回計上されている防衛大臣あるいは外務大臣の給与を含めて、全ての予算がそのことに使われるわけでございますので、七月一日の閣議決定の憲法論点について伺わせていただきます。  では、内閣法制局に伺わせていただきます。  横畠長官以外の方の通告をしていたんですけどいらっしゃらないようですので、まさか国会議員の質問通告を内閣法制局が断ったというふうには私は理解をいたしません。お願いしたのは今朝でございましたので、人員的に確保できなかったというふうに理解をさせていただきます。それでよろしいでしょうか。いらっしゃいませんよね。
  67. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  68. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 速記を起こしてください。  ただいま、小西洋之君の内閣法制局に関する政府参考人につきまして、若干そのやり取りについて意見の相違があったということでございまして、これは後刻理事会の方で、また再検討いたします。
  69. 小西洋之

    ○小西洋之君 委員長、整理をありがとうございました。  では、いらっしゃる内閣法制局長官に伺わせていただきます。  もう委員の皆様にはおなじみの、こちらのカラーの配付させていただいております、七月十四日、昨年の北側先生の資料でございますけれども、ここに、四月二日にも伺わせていただきましたけれども、「急迫、不正の事態に対処し、」というのが真ん中の箱にあります。で、下の箱に「急迫、不正の侵害に対処する」という言葉があります。  仮に、真ん中の箱の急迫、不正の事態という言葉が侵害という言葉で入れ替わっていれば、急迫、不正の侵害というのは、もう一般的に正当防衛の局面を指す言葉になってしまいますので、その真ん中の箱は、まさに正当防衛の局面、すなわち国際法的に言うところの個別的自衛権しか法理として読めないということになってしまいますので、この事態と侵害というものを意図的に、昭和四十七年当時、この昭和四十七年見解をつくったときに意図的にその違いを書き分けたかどうかということが大事なことでございます。  法制局長官に二つ重ねて伺います。  一つは、今申し上げた、事態と侵害の違いを使い分けている、それを理由を示した資料が内閣法制局の中にございますでしょうか。  あともう一つ、実はこの昭和四十七年の政府見解、七月一日の閣議決定の下敷きにした昭和四十七年の政府見解の原本ですね、原本。つまり、昭和四十七年十月十四日、参議院の決算委員会内閣法制局のクレジットの下に出した資料の原本が内閣法制局には存在しないということを、内閣法制局の国連室長に以前私の部屋までお越しいただいて御説明をいただき、うちの局にはございませんので防衛省などにいただいてくれないかというふうに頼まれて、それはおかしいでしょうと私が申し上げたら、どこかから入手してきて、写しをいただいたことがございますけれども、昭和四十七年見解の原本は内閣法制局に存在、つまり政府に存在しないということでよろしいですか。
  70. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 二つお尋ねがございました。  一つ目が、昭和四十七年見解におけるこの基本的な論理の部分にございます事態という言葉と、結論の部分にございます侵害という言葉を使い分けているその理由でございますけれども、直接それを何か解説、説明したような資料は当局にはございません。  二点目でございます。  原本そのものは国会に提出してございますので、原本のコピーということになろうかと思いますけれども、昭和四十七年の政府見解につきましては、当時決裁を行った際のいわゆる原議は存在しております。当局において行政文書として現に保有しております。  ただ、その文書中には集団的自衛権と憲法との関係と題する昭和四十七年十月十四日付けのタイプ打ちで印刷された文書がございますが、そのうち、文中にもございますソビエト社会主義共和国という文字の後ろに連邦という文字、これが正しいわけでございますけれども、この連邦という文字が手書きで挿入されており、これをそのまま参議院決算委員会の理事会に提出したものなのか、あるいは印刷し直したものを提出したのかは不明でございます。
  71. 小西洋之

    ○小西洋之君 委員長、今法制局長官の二つ目の答弁ですね、四十七年政府見解のその起案の原議そのものがないという説明を私は内閣法制局の国会連絡の担当室長から受けておりますので、では、その今おっしゃった起案の原議の、その四十七年見解の、あとその起案そのものの全体の写しを当委員会に証拠として提出するようにお願いを申し上げます。
  72. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 後刻理事会にて検討いたします。
  73. 小西洋之

    ○小西洋之君 法制局長官は、もう前回も答弁拒否を繰り返し私の質問権を侵害いたしましたけれども、今ももっと早く答えられる、普通にもっとしゃべれば答えられることを、そういう卑劣なことをなさらないでください。もう非常に残念でございます。  では、引き続き問題を議論をさせていただきます。  今長官がおっしゃいましたこの昭和四十七年見解でございますけれども、こちらですね、このカラーの資料、これは七月十四日のパネルでも使われた資料そのままでございますけれども、これについて、基本的な論理①、基本的な論理②、そしてあてはめという構造になっているというふうに考えるんだというふうに言っているわけでございます。しかし、こうした考え方そのものが、全く文章の、この昭和四十七年見解の文章そのものの読み方としておかしいということを過去二回の質疑にわたってやらせていただいたんですけれども、その中で更に根本的な論点を発見いたしましたので、それを伺わせていただきます。  今皆様お手元にあるこのカラーの資料をおめくりをいただきまして、上から四枚めくっていただけますでしょうか。左下に③のAと書いた資料の二枚目の紙でございますけれども、ちょっと見にくくて申し訳ございませんけれども、③のAと下に書いたそれを一枚めくっていただけますでしょうか、③のAの次の資料でございます。  この資料の左下から右上にかけては、これがまさに先ほどの昭和四十七年政府見解でございます。この資料そのものが決算委員会に、別の機会でございます、平成二十六年でございますけど、内閣法制局が提出した資料でございます。  それを前提といたしまして、法制局長官、このカラーのページをちょっと一枚おめくりいただけますか、このカラーのページ、一枚おめくりいただけますか。  集団的自衛権は何かということについて政府が国会で答弁をして定義は確立しておりますけれども、随分前から、もう四十年以上前から確立しているんですけれども、二つの言い方をしています。  平成二十六年、これ横畠長官の答弁ですけれども、集団的自衛権は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止することが正当化される権利と書いております。  下は、平成十三年の、かつての法制局長官ですけれども、基本的にはずっと同じことを言っているんですけれども、最後、実力をもって阻止することが正当化されるという地位というふうに書いているところでございます。  法制局長官に伺いたいんですが、この二つは定義として全く同じことを言っているということでよろしいでしょうか。また、これは集団的自衛権についての一般的な定義、すなわち、あらゆる集団的自衛権に共通する、集団的自衛権とは何たるかの考え方を言っているものだというふうに理解してよろしいでしょうか。結論だけでいいです。
  74. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) そのとおりでございます。
  75. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございます。そのような分かりやすい答弁をお願い申し上げます。  では、今の長官の答弁を踏まえさせていただきまして、先ほど、済みません、おめくりいただいたところにお戻りいただけますでしょうか。昭和四十七年見解の文章でございます。  つまり、申し上げたいことは、昭和四十七年見解の趣旨を理解するためには、この横畠長官がやられているような、自分のいいところだけを切り取ってきて、そこのところだけ自分が都合のいいように文章の意味を考えるということは間違いでございます。昭和四十七年見解の全体を読まないといけません。  まず、全体の冒頭部分でございます。  国際法上、国家は、いわゆる集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化されるという地位、これは先ほど、たった今長官がそのとおりと一言で認めていただきました言葉と、平成十三年の法制局長官の文言と全く同じでございます。つまり、あらゆる集団的自衛権の行使について始まっているわけでございます。  下の下線部分に飛んでいただきまして、ところで、政府は、従来から一貫して、我が国は国際法上いわゆる集団的自衛権、今申し上げたものですね、を有しているとしても、国権の発動としてこれを行使することは、憲法の許容する自衛の措置の限界を超えるものであって許されないとの立場に立っているが、これは次のような考え方に基づくものであるというふうに言っております。  ここから続くのがこのカラーの北側先生のパネルでありますね、この部分が続いてくるというわけでございます。  つまり、この昭和四十七年見解は、文章として、集団的自衛権は我が国は国際法上確かに持っているけれども、あらゆるですよ、あらゆる集団的自衛権を我が国は国際法上持っているんだけれども、それが我が国の憲法において違憲であると、憲法の容認する自衛の措置の限界を超えるものであり違憲であるというその考え方を論じたものなんですね、論じたもの。  ところが、横畠長官が七月一日にお認めになった新しい四十七年見解の考え方というのは、ここのこのカラーの部分ですね、基本的な論理のこの二番のところに、外国の武力攻撃という言葉が裸になっているので、これは我が国に対する外国の武力攻撃の局面も読める、つまり個別的自衛権も読めるし、自国に密接な関係のある外国に対する外国の武力攻撃、つまり集団的自衛権の局面も読めるというふうに言っているんですね。  つまり、申し上げたいことは、全体としてあらゆる集団的自衛権の行使が憲法上認められないことを立証している文章の中で、ある特別の集団的自衛権だけは認められるんですよと。認められるその余地を残しているという理解に立たないといけないんですね。  分かりやすく今申し上げたことを申し上げますと、集団的自衛権、全ての集団的自衛権について憲法上認められないことを立証する考え方、すなわちそれの論理展開の中で、わざわざ一部の、限定された集団的自衛権とおっしゃっていますけれども、一部の集団的自衛権の行使を残す余地を文章として作るわけがないと思うんですけれども、作るわけがない。それを、こういうふうにそれを意図して作ったんだというふうな理解に、どう考えても日本語の理解として、文章の読み方の理解として立てるわけがないと思うんですけれども、横畠長官に伺わせていただきます。  この四十七年見解の文章の目的は、あらゆる集団的自衛権の行使は憲法違反であることを示すものであるんですけれども、そうした文章の中で、なぜ、外国の武力攻撃と裸にすることによって、ある特別の限定された集団的自衛権だけは許容されているとする余地を残したのでしょうか。そのような理解の仕方、この四十七年見解に対する理解の仕方は余りにも不自然であり、まさに便宜的かつ意図的、そして恣意的な解釈、考え方、理解の仕方というわけではないでしょうか。どうぞ答弁をお願いいたします。
  76. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 従前、憲法第九条の下で、集団的自衛権の行使は許されないと述べてきたわけでございますけれども、それは集団的自衛権というものがおよそ悪である、あるいは許されないものであるという考え方に立っているものではなくて、憲法の九条の下におきましては、他国防衛のために武力を行使する、そのような目的で他国を防衛する、そういうことまでは読めないというのが理由でございます。  御指摘昭和四十七年の政府見解の冒頭部分でございますけれども、これは国際法上の考え方を述べているものでございまして、国際法上の集団的自衛権の考え方はこの昭和四十七年の見解で示されているとおりでございます。途中からは、この四十七年見解は、憲法九条の下で我が国としてどのような武力の行使が許されるのかという議論になっておりまして、一見するとあらゆる武力の行使が禁じられているように見えますけれども、自国と国民を守るためのやむを得ない必要最小限度の武力の行使は許されるという見解を述べた上で、結論として、一般的な意味でのいわゆる集団的自衛権の行使は許されないという結論を導いているものでございます。
  77. 小西洋之

    ○小西洋之君 七月一日に横畠長官がお認めになった新しい限定的な集団的自衛権は、まさに七月一日の閣議決定に書いてあるとおり、国際法上は集団的自衛権として評価されるものなんですよね。あなたは今、この四十七年見解の冒頭の、国際法上、集団的自衛権云々という、この集団的自衛権の定義というのは、もう純粋な他国防衛のものだけだというようなことをおっしゃりましたけれども、そういう理解でよろしいんですか。ここの冒頭に書いてあるこの日本語の、この集団的自衛権の定義の中に、七月一日の閣議決定によって、我が国の憲法上、九条の関係で認められるとされた、限定的とされた集団的自衛権は法理として含まれていないというふうに解釈するんですか。イエスかノーかでどうぞ。
  78. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 国際法上の集団的自衛権についての考え方もいろいろございますけれども、我々が理解しているところでは、必ずしも自国の安全等に関わりがない場合であっても、他国に対する武力攻撃があった場合に、自国が自衛権を行使することができるというところまで含んでいるものが集団的自衛権であると理解しておりまして、ただ、昨年の政府見解、閣議決定で示したところは、あくまでも我が国の存立と国民を守るための必要やむを得ない、必要最小限度の措置というものとしての武力の行使は可能であると。それが、国際法上は集団的自衛権として違法性が阻却されるような場合であっても、そのような武力の行使を憲法九条は禁じていないという理解をしているところでございます。
  79. 小西洋之

    ○小西洋之君 この質疑を将来読んでいただく、違憲訴訟が起きたときの最高裁判事、また、その他全ての国民の皆様に申し上げますけれども、私の質問に対して法制局長官は何ら正面から答えず、かつ論理を持って答えておりません。それは、答えることができないからです。答えた瞬間に論理破綻になるから。法制局長官の役割は、政府における法の支配を、我々立法府が作った内閣法制局設置法によって守るためですよ。あなたを任命した内閣を三百代言を弄して守るのがあなたの使命ではないんですよ。そこを履き違えないでいただきたい。よろしくお願いいたします。  すごいことをおっしゃっているんですけれども、今は要するに答えなかったんですね。ただ、申し上げますけれども、国際法上の、さっき私、もう法制局長官がそのとおりというふうにおっしゃってくださいました。あらゆる集団的自衛権の行使に共通する集団的自衛権の行使の定義を述べたものですかと言ったら、そのとおりというふうに一言で言ったわけです。  それと全く同じ文言が昭和四十七年見解の冒頭に集団的自衛権の定義として入っているわけですから、昭和四十七年見解の冒頭に書かれてあるこの集団的自衛権の定義は、横畠長官がおっしゃるような限定容認の集団的自衛権、つまり自国防衛のための集団的自衛権であろうが、他国防衛のための集団的自衛権であろうが、要するに自国と密接な関係にある外国にある武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される地位、もうこれに該当するものは全部含まれているわけですよ、含まれているわけです。  であるならば、わざわざ、さっきのお話ですけれども、そういう集団的自衛権が憲法上許されないという理由を述べた文章の中で、こちらの基本的な論理①、②、あてはめと言っている部分ですね、そこの中の基本的な論理の②の部分の中で、ある集団的自衛権を認める余地を残すなんということは、文章の作り方として論理的にあり得ないわけですよ。もうこの瞬間に、横畠長官が作られた七月一日の閣議決定の解釈変更というのは違憲無効です。  もう前回、前々回でも違憲無効の論点は様々示していますけれども、何一つ論理的に合理的に横畠長官がお認めになった七月一日の解釈を支えるものはないんですね。なぜかというと、当たり前ですよ。全く百八十度あり得ないことを一生懸命、この外国の武力攻撃が裸だという一点をもって一生懸命おっしゃっているからでございます。  ちょっともう時間が押してしまいましたので、少し口頭で論点をお示しさせていただいて、また別の質疑に委ねさせていただきたいと思いますけれども。  この四十七年見解の、今、下線を引いてあるところの下の部分ですね、この北側先生のパネルの部分ですけれども、実は、このパネルを見るとこういうふうに構造分解しているんですけれども、構造分解しているんですけれども、実際の文章は一段落なんですね、一段落。一つの段落の中で、もう全部の文章を書き切っているわけですね。つまり、論理として構造的に分けていないんですよ。まさに、構造的に分けたことを示す証拠の資料はございませんというふうに以前答弁、前回、前々回いただきましたけれども、そういうことなんです。  つまり、ここの後段部分ですね、この全体の中の第三段落部分ですね。「憲法は、第九条において、」と始まるところから「いわざるを得ない。」というところまでなんですけれども、我が国において憲法九条において集団的自衛権ができないことの論理と結論をまとめて言っている箇所だけなんですよ。真ん中の「そうだとすれば、」というのは、「しかしながら、」という部分ですね、「しかしながら、」というところ以下の文章で、もう結論は出ているんだけれども、「そうだとすれば、」というので更に分かりやすく言い換えているだけなんですよ。  論理と結論だけを示しているんです。それを横畠長官は、いや違うと、これを三つに分けられると、基本的な論理、基本的な論理、あてはめだというふうに言っているんですけれども、だったら何で一つの段落になっているのか。日本語として、こういう文章の作り方として、極めて不自然。私も内閣法制局に何度も審査に行きましたけれども、そんな意味で、こんな段落を分けないということは絶対にあり得ないということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。  ちょっと今申し上げた全体のこの理解の仕方なんですけれども、ちょっと資料を今日もたくさん付けさせていただいたので、めくっていただきますと、⑥という資料、右上に⑥というのが出てまいるんですけれども、右上、⑥です。  これ、前回お付けした資料と同じでございます。つまり、四十七年見解の文言を使って、四十七年見解は法理としてもう個別的自衛権しか許容していないということを示していると。集団的自衛権は概念として含まれているということは法理としてもうどう考えても読むことができないという答弁例でございますけれども、申し上げました四十七年見解以降の五人の法制局長官、また将来、長官になる方を含めれば七人の法制局の役員の方が答弁をされています。  この⑥番をちょっとめくっていただきますと、黒い線を引いた答弁が出てきます。もう一枚めくっていただくと、やはり二つ、黒い線を引いた答弁がございます。  これは、四十七年見解、先ほどお読みいただきました四十七年見解全体を使って、つまり、冒頭に集団的自衛権の定義ですね、あらゆる集団的自衛権が当然に含まれるその集団的自衛権の定義を使って、そこから行くその論理の流れの中で、四十七年見解というのは概念として集団的自衛権は当然に含んでいないという理解の下に論じ切った答弁でございます。  これが正しい四十七年見解の理解の仕方であり、議院内閣制の下で、歴代の法制局長官はこうした答弁を国会でしてきたんですね。それを安倍内閣横畠長官だけが、根底からまさに覆そうというふうにされているわけでございます。  ちょっともう本当に時間が押してしまいましたけれども、ちょっと四十一分までしかございませんので。  前回もこれやったことなんですけれども、横畠長官が、限定的な集団的自衛権とフルスケールの集団的自衛権を分けて四十七年以降は答弁しているんだみたいなことを言っているんですけれども、それが根本的に違うという例をお示しさせていただきます。前回も申し上げた例ですけれども、資料の④ですね、済みません、上からおめくりをいただきまして、六枚おめくりいただきますと資料の④というのが出てまいります。  資料の④の、前回も御覧いただきましたけれども、下の箱ですね、これは有名な平成十六年の秋山法制局長官、質問したのは当時の安倍総理でございます。安倍総理質問の趣旨は、我が国を防衛するために必要最小限度の範囲の中に入る集団的自衛権の行使というものが考えられるかどうか、つまり、まさに横畠長官が言っている自衛のための集団的自衛権の行使というものが考えられるのでしょうかという、つまり解釈の変更、解釈ができるんじゃないかという問いですね。  おめくりいただきまして、秋山法制局長官が、線を引いていますけれども、我が国の防衛のために必要な場合にはそれを行使することというものも、そういう集団的自衛権も解釈の余地があるのではないか、つまり、憲法九条には解釈変更の余地があるのではないかという質問でございますがといって、それに対する答弁として、そんなことはあるわけはございませんと。集団的自衛権というのは、我が国に対する武力攻撃が発生していない局面でございますので、旧三要件の第一要件、そこではじかれて、もう終わりでございますと。従来、集団的自衛権、ここが大事なんですね、従来、集団的自衛権について、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものという説明をしている局面がございますが、と。つまり、この十六年の秋山長官以前の答弁、全ての答弁ですね、全ての答弁というのは、単に第一要件、我が国に対して武力攻撃が発生していない、もうその条件をもって集団的自衛権はできないと言っていると。集団的自衛権は、限定的だろうが何だろうが、大きい小さいとか、数量的な概念ではないんですと、九条からもう絶対に無理なんですということを言っているんですね。つまり、条文を変えなきゃ無理だということを言っているんですね。  じゃ、横畠長官に伺います。つまり、横畠長官がつくり出した新しい憲法解釈というのは、この四十七年見解の中に二つの三要件があるということなんです。一つは旧三要件です。もう一つは七月一日に言っている新三要件、それがこの四十七年見解の基本的な論理②の中で読めると言っているんですね、読める。ただ、この質疑というのは、その限定容認の集団的自衛権は解釈の変更の余地があるのかという質問に対して、秋山法制局長官は、その新三要件のことなんか当然もうそんなことはあるわけないというふうに理解しているわけですが、そんなことを全然考えもせずに、持ち出しもせずに、旧三要件だけをもって切って捨てているわけですね。  なお、秋山長官は、先ほどの質疑集の中に付けてありますけれども、つい半年前、四十七年見解を使って、集団的自衛権は四十七年見解の中に概念として含まれないという答弁をされております。  横畠長官に伺います。秋山長官が限定容認論はあり得ないというふうに言っているのに、なぜ今あなたはこの昭和四十七年見解に新三要件が読めると、限定容認はあり得るというふうに読むんでしょうか。それは余りにも便宜的、意図的かつ恣意的な四十七年見解の読み方、解釈の仕方ではないですか。
  80. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 横畠長官、時間が過ぎております。
  81. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 先ほど御指摘のありました⑥の部分でございますけれども、これは国際法上の集団的自衛権についての理解について答弁しているものでございまして、この考え方は現在も変わっておりません。ただ、この国際法上認められる集団的自衛権全体を憲法九条の下で認めることは困難であるという前提に立ちまして、昨年の閣議決定においては一定の要件を満たす場合に限って国際法上は集団的自衛権によって違法性が阻却される武力の行使を認めるということにしたものでございます。  なお、御指摘の秋山内閣法制局長官の答弁でございますけれども、これは従前から申し上げています必要最小限度ということの意味は何かということでございまして、それは数量的な概念ではなくて第一要件を満たさないという、そういう意味でその必要最小限度を超えるということを申し上げているということをお答えしたものであると理解しております。
  82. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 小西委員、もう過ぎておりますので、一言、本当に一言。
  83. 小西洋之

    ○小西洋之君 長官は何の論理的な答弁をしませんでしたので、論理破綻で、七月一日の閣議決定は違憲無効でございます。また続けさせていただきます。  ありがとうございました。
  84. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、外務大臣にお尋ねします。  平成二十七年度のODA予算は、開発協力大綱の下で実施される最初の予算であります。二月に策定されました新たな大綱は、重点課題として、例えば開発が進展する国がいわゆる中所得国のわなに陥ることを防ぐための支援、つまり一人当たりの所得が一定水準にあっても小島嶼国のように特別な脆弱性を抱える国のニーズや実態や負担能力に応じた協力などを記しております。こうした考え方は、新年度予算ODA予算の中にどのような形で反映されているのか、お尋ねをいたします。
  85. 岡庭健

    政府参考人(岡庭健君) お答えいたします。  開発協力大綱において明記されておりますとおり、開発の進展が見られても、生産性の向上や技術革新等の課題を抱え、その後の持続的経済成長が妨げられるいわゆる中所得国のわなへの対応、あるいは一人当たりの所得が一定の水準にあっても特別な脆弱性を抱える小島嶼国などの国々に対する支援等を行っていくことは重要であると考えております。  そのために、平成二十七年度予算案におきましては、開発途上国との戦略的パートナーシップ強化する観点から、カリブ共同体諸国等の特別な脆弱性を有する小島嶼開発途上国について、OECD、DACの定めるODAの範囲にとらわれずに、防災、環境、気候変動対策支援など、小島嶼国特有の脆弱性を克服するために必要な無償資金協力や技術協力を行うための予算を計上しております。  具体的な案件につきましては、個別の国々の事情を踏まえまして、援助の必要性に関して十分調査をした上で、必要な案件を実施してまいりたいと思います。  また、中所得国のわなを回避ないし克服するための支援につきましては、例えば、一定の経済発展を遂げた東南アジア諸国などにおきまして、生産性向上や技術革新を促す人材育成支援、安定した経済社会活動の基盤となる法の支配促進などの支援平成二十七年度のODA予算の中で実施してまいりたいと思っております。
  86. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 限られた予算の中ではありますが、新大綱にのっとってめり張りの付けた運用をしていただきたいと思います。  次に、外務省、JICAでは、平成二十四年度からODAを活用した中小企業等の海外展開支援事業を経産省、中小企業庁、ジェトロとも連携して実施をしており、実績も積み上がっております。これまでの事業実施を通じて得られた成果は何か、また明らかになった課題や企業側の要望にはどうしたものがあるのか、外務省はどうまとめておりますか。
  87. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、ODAを活用した中小企業の海外展開支援事業を実施しているわけですが、まず、成果としましては、例えば、事案化調査後に一年が経過した企業のうち、三割弱の企業が現地での新しい雇用創出を行い、二割の企業が現地での人材育成を実現するなど、既に開発途上国への開発効果が現れております。また、約三割の企業が新たな取引を開始し、約二割が現地事務所等を開設し、そして約一割が現地生産を始めております。さらに、普及・実証事業を通じて自社の事業計画が明らかになり、自己資金で工場を設立した企業や、技術の有効性が認められて相手国政府が発注する公共工事の受注者の提携先となった企業が生まれるなど、この成果が上がっていると認識をしております。  参加企業からは、是非こうした取組を更に拡充してほしい、こうした要望が寄せられてきております。  引き続き、こうした事業を積極的に推進していきたいと考えております。
  88. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 おおむねそうした意味では海外展開について効果を上げている予算だと思いますし、応募の倍率もかなり高い、このように聞いております。  それも踏まえて、これまで実施してきたことによる課題等は、この新年度予算ではどのように改善されて予算化されているのか、お尋ねします。
  89. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 参加企業からは、こうした取組を更に拡充してほしい、そしてJICAホームページや説明会を充実させてほしいといった要望が寄せられており、外務省、JICAとしましては、関連予算の充実と併せて、JICAホームページの改善あるいは地方説明会の充実、こういった措置をとってきたところであります。こうした対応予算の中に盛り込んだということでございます。
  90. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私も、実際、地元ではかなり広報をしていると思っておりますけれども。そうした特に地方説明会ですね、こうしたものは、余りきめ細かくやっていただいてもそれだけの予算がない、事業予算はありませんものですからあれですけれども、しかし、拠点拠点で丁寧に説明をしてもらいたいと思っております。  次に、軍縮・不拡散関係についてお尋ねいたします。  先日の参議院予算委員会公聴会に公述人として出席をされました一橋大学の秋山教授からは、国連軍縮会議拠出金が過去五年間で約三分の一に削減されている、こういう指摘がございました。そこで、平成二十七年度予算に国連軍縮会議拠出金は幾ら計上されているのか。また、この会議の意義と、新年度予算はもうそういうことでありますけれども、今後の予算編成の中では更に充実したものとしていく必要があると考えますが、大臣の見解はいかがですか。
  91. 中村吉利

    政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。  委員指摘の国連軍縮会議への拠出金でございますが、平成二十七年度予算といたしましては二百十万五千円を要求をしているところでございます。  また、この国連軍縮会議の意義について御質問がございました。この国連軍縮会議我が国での開催につきましては、我が国の軍縮に対する積極的な姿勢を国内外に示すとともに、軍縮に関する国際的な議論を活性化するという意味での意義があるというように考えております。また、日本の地方都市で開催することになりますので、これによりまして、軍縮に対する国民的な関心を広く浸透させ、意識の向上を図るということにもつながっていくと考えております。  予算につきましては、今後とも必要額を確保できるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
  92. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、同じく秋山公述人は、軍縮・不拡散調査研究費等経費についても過去五年間で四百五十万円削減されているという、こういう指摘もなされました。  唯一の被爆国として、我が国から国際社会に向けて、しっかりとした調査研究を行った上で、それを基に軍縮の議論をリードする必要があると考えております。そうした意味では、軍縮・不拡散調査研究のための予算強化について大臣の見解といいますか、決意をお尋ねします。
  93. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 軍縮・不拡散に関する調査研究につきましては、我が国が軍縮・不拡散分野での国際社会の議論をリードすべく政策を作成していくために重要であると認識をしています。これまでも有識者を交えて軍縮・不拡散に関する調査研究を実施してまいりました。また、海外の軍縮・不拡散の専門家との意見交換も調査研究の一環として重要であり、私自身も昨年九月の国連総会出席の折に米国の第一線の有識者と意見交換を実施いたしました。  こうした軍縮・不拡散に関する調査研究は、我が国の軍縮・不拡散外交にとって重要であり、是非引き続き必要な予算確保できるよう努力を続けていきたいと考えております。
  94. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 大臣は、今月下旬から開催されるNPT運用検討会議政府を代表して出席をされるということで、すばらしいことであると思っております。その会議の結果にもよるかとは思いますが、私は、予算面も含めて、日本は核兵器のない世界に向けた取組強化する必要があると考えております。  そこで、我が国として予算面で軍縮・不拡散のどの分野にめり張りを付けて予算計上を強化していく考えなのか、大臣にお尋ねします。
  95. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今月末予定されているNPT運用検討会議ですが、もし事情が許すならば、是非、私自身出席をしたいと考えております。  そして、そのNPT運用検討会議に向けて、我が国としましては、NPDIの枠組みを通じまして、今日まで十八本の作業文書を国連に提出し、そしてそれらを取りまとめた合意文書案を国連に提出をしております。是非、NPT運用検討会議でのコンセンサスの基礎にこうした文書がなるべく働きかけを実施しておりますが、あわせて、我が国はこれまで、非核特使ですとか国連軍縮フェローシップの受入れ、海外原爆展の開催への支援あるいは被爆証言の多言語化等の取組等を通じて、核兵器使用の惨禍を国際社会に訴えてきました。こうした取組が引き続き重要であると考えており、二〇一三年にスタートしたユース非核特使制度につきましても引き続きしっかり進めていきたいと考えております。  そして、さらには、先ほど御指摘がありました八月の国連軍縮会議に向けて、またカザフスタンとともに第九回CTBT発効促進会議の共同議長を我が国が務めることになっておりますが、こうした会議取組も重要だと認識をしております。こういった課題につきまして是非必要な予算確保できるよう努力をしていきたいと考えております。
  96. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、新年度予算ではジャパン・ハウス創設のための経費が計上されました。これは外務省の重点項目の一つで、年末の復活折衝でこれは獲得したのではないか、このように記憶をしております。  新たにジャパン・ハウスを創設する狙いと、我が国の対外発信に果たす特別な役割、また、これまでも様々なそういう対外窓口は在外にあったかと思いますが、そうした機関との連携について大臣の所見をお伺いします。
  97. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 是非、国際的な、戦略的な対外発信を進めていかなければならないと思いますが、その中にあって、まず念頭に置かなければいけないのは情報に関する現状の変化であります。国際社会におきましては、情報量、画期的に増大しております。そして伝達手段が多様化しています。そして情報の出し手も多様化しています。そして、こうした情報の出し手は様々なネットワークをつくっています。  こうした状況考えますと、戦略的な対外発信をする際に、是非、今まで日本に対して余り関心を持っていなかった方々にもしっかり発信をしていかなければいけない。そして、知日派親日派の裾野を広げていく、こういった戦略を立てていかなければいけない。こういったことから、今回ジャパン・ハウスという取組をスタートさせようということで予算をお願いしております。  ジャパン・ハウス、主要国の市内の一等地に設置をすることによって日本に対する様々な情報をまとめて入手できるワンストップサービスを提供する、さらには民間の活力あるいは地方の魅力を活用してオールジャパンで発信する、さらには地元のニーズにきめ細かく対応する、こういったことを特徴とする拠点としております。  是非、このジャパン・ハウスを一つの拠点として、日本への関心が高くなった人々を含む幅広い層を引き付けた上で、日本の正しい姿をしっかり発信していくとか、あるいは親日派知日派の裾野を拡大していくとか、こういった結果にしっかりつなげていきたいと考えております。
  98. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 荒木清寛君。(発言する者あり)  岸田外務大臣、追加の御答弁願います。
  99. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 済みません。あと、他の機関との連携についても御質問をいただいておりました。  広報、文化事業のうち一般への開放が望ましい事業は是非ジャパン・ハウスに集中をしたいと思います。それ以外、政策色の強い事業については引き続き在外公館を活用していきたいと存じます。  また、国際交流基金の海外拠点との連携も重要だと考えておりますが、今後、この各候補都市の実情や物件の態様に応じてジャパン・ハウスへの入居や活用も検討していきたいと思っておりますし、その他、ジェトロ等の独立行政法人等との連携につきましても具体的な調整を進めていきたいと考えております。
  100. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、今回、ロンドン、ロサンゼルス、サンパウロという三都市を選定した理由、また今後の開設に向けたスケジュール、さらに、今後、全世界にどの程度このジャパン・ハウスを増やしていくつもりなのか、お答え願います。
  101. 岡庭健

    政府参考人(岡庭健君) お答えいたします。  開設候補地の選定に当たりましては、国際世論の形成に与える影響力、あるいは地域バランス、対日関係などを勘案し、ロンドン、サンパウロ、ロサンゼルスの三都市を考えております。  ロンドンについては、世界的な情報発信のハブであり、日本の正しい姿を、多様な魅力を伝える場として最適だと考えております。ロサンゼルスは、カリフォルニア州が米国におけるアジアのゲートウエーであり、米国内最大の日系人コミュニティーを擁しているということを勘案いたしました。サンパウロは、南米において大きな発信力を有するブラジルの中心都市であり、世界的にも最も大規模な日系人コミュニティーを擁する地域の一つでございます。  現在の準備状況につきましては、国会において予算御承認いただけるということを前提といたしまして、今後、現地の有識者等から構成される運営委員会を立ち上げるとともに、事業計画の策定や設計、施工を開始し、特にロンドン及びサンパウロにつきましては平成二十七年度中の開館を目指しております。ロサンゼルスについては多少遅れておりますけれども、可及的速やかに開館に向けて努力をしたいと思っております。さらに、今後、これ以外の都市での設置につきましては、この三都市、まずは三都市の開館等実施状況を見ながら考えていきたいと思っております。  失礼いたしました。ロンドン、サンパウロにつきましては平成二十八年度中、二十八年度中の開館を目指しております。それ以外につきましては、今後、この三つの都市をまず実施に移しながら考えてまいりたいと思っております。
  102. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  103. 小野次郎

    ○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。  前回に引き続いて、私は、集団的自衛権の行使容認によって本当に抑止力は向上するのか、リスクの拡大があるのではないかという点について質問を続けさせていただきます。  なぜ私がこの点について質問をしているかといいますと、憲法上の解釈による制約というか要件というのも極めて重要な要件ではもちろんあります。しかし、そのもっと前提として、本当に日本安全保障のために必要であり、最小限であり、またそのリスクはないのかという議論が先行しなければいけないだろうと私は思っているからでございます。前回の質問防衛大臣から余りクリアな回答がいただけなかったと思いますので、そこからまた質問を続けさせていただきますが、私の質問の方ももうちょっとピンポイントで明確な質問をさせていただきます。  我が国に対するどのようなタイプの武力攻撃について、どのような作用によって我が国に対する侵略を抑止する機能が向上するのか、お伺いしたいと思います。
  104. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 日本安全保障考えてみますと、現在、グローバルなパワーバランス、これが変化しています。そして、技術革新、これが急速な進展を見せております。そして、大量破壊兵器、弾道ミサイルの開発、拡散、そして国際テロなどの脅威によってアジア太平洋地域においての問題や緊張、これが生み出されるとともに、この脅威が世界のどの地域に発生しても我が国安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっているということでございます。すなわち、いわゆるグレーゾーンの事態が生じやすくて、これによって更に重大な事態に至りかねないリスクが有している。そして、今後、他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模対応等によっては我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得るという状況になっております。  したがって、この抑止力というのはそれを、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものでありまして、そのために、この切れ目のない安全保障法制の整備、これは集団的自衛権も含まれておりますけれども、こういった対応をすることによって我が国がより効果的な対応を行う備えをつくることができます。  例えば訓練、現在は集団的自衛権に関する訓練が行うことはできません。しかし、この訓練と演習を実施することによって自衛隊対処能力向上します。また、我が国の意思と高い能力を示すこともできます。そして、米国を始めとする関係国との連携強化をすることによって、情報とか装備面の相互に運用できる能力を向上することができます。このことなどによって我が国に対する侵略を思いとどまらせることとなりまして、我が国の安全が一層確保されるというふうに考えております。
  105. 小野次郎

    ○小野次郎君 安倍総理もよく言われていますし、今の大臣の話も、縮めて言えば、新しいタイプの脅威に対して、もはやどの国も一国のみで平和を守ることはできないということをおっしゃっているんだと思いますが、一国だけで平和を守ることができないというのは当たっているかもしれません。しかし、それは、その対極にあるのは、むしろグローバルなというか、国際的な連携によってそういった脅威に対応していこうというのは分かりますよ。だけれども、集団的自衛権の行使容認というのは、あくまでも第三国という、特定の第三国との関係において、それが我が国の集団的自衛権行使容認に値する、あるいは該当するかどうかということを考えなきゃいけないという問題ですから、今おっしゃったみたいに、一国のみで平和を守ることができないから、じゃ、即その集団的自衛権の行使を容認すれば脅威がなくなるんですよという話にはつながらないだろうと。  むしろ国連だとか全世界で対応すべきなんだという議論になるんだったら分かりますけれども、集団的自衛権の行使容認というのは、あくまでもある第三国について、ある脅威について、これが日本との関係でどう考えるかという議論ですから、ちょっとその議論はお答えになっていないんじゃないかと思います。  もう一つは、前回、長距離弾道ミサイルの話をされたり、あるいはテロなど新しいタイプの脅威の話もされましたけれども、これらについて、集団的自衛権の行使を容認することによってどうしてその侵略を受ける脅威が減少するのか、全然御説明になっていないような気がするんですが、もう一度その点についてお答えいただきたいと思います。
  106. 中谷元

    国務大臣中谷元君) それを思いとどまらせることが必要でありますが、抑止力というのは、一般的には、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることによって侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものでありまして、例えば、我が国を狙った場合に、ピンポイントで我が国攻撃するわけでありますが、そのことによって多数の国々からそういった対象国とか対象組織が制裁を受けるというようなことになりますと、これは抑止力として働くわけでございまして、日本としてもこういったことに対してどうするかということで、切れ目のない安全保障法制の整備をすることによって、こういった日本に対する単独のピンポイントの攻撃を防ぐことができるということではないかと思います。
  107. 小野次郎

    ○小野次郎君 ですから、前から申し上げているとおり、我が国我が国の防衛のために必要な、例えばグレーゾーンについての対処する能力も法整備も必要だというのは、私は全く異論はないんです。さっきから聞いているのは、例えば九・一一がもう起きちゃっているわけですよ。世界で一番強大というか、強い対処能力を持っているアメリカに対してど真ん中に攻撃を掛けるようなことが起きているときに、そういうものに対して、日本が集団的自衛権の行使を容認することによってそういうリスクが減少するというロジックがどこから出てくるのかと聞いているんです。
  108. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 九・一一以降、こういった新たな脅威が存在するということで、国際社会としてそれを防止、抑止するという取組をいたしております。  この点においては、日本に対する武力攻撃や武力攻撃に至らない侵害を行おうとする国、これを思いとどまらせるというだけではなくて、アジア、グローバルな対応においても、平和と安全を乱そうとする国に対して我が国が切れ目なく対応することによって明確なメッセージ、これが送ることができるわけでありますので、国際社会の一員としてそういった組織に対応するという姿勢を示し、そしてそれができるように法律整備しておくことが必要ではないかということです。
  109. 小野次郎

    ○小野次郎君 抑止力とか思いとどまらせるというのは、やっぱり相手が、思いとどまるような価値判断できるような相手の場合に該当するんじゃないですか。だって、ISが国準かどうかという判断はまあちょっとおいておいても、ああいう勢力に対して、もうアメリカだろうとイギリスだろうと日本だろうとどこに対しても狙ってしまったら狙ってくるというところに対して、どうして思いとどまらせる力が向上するなんというロジックになるのか、そこをお話しいただきたいと聞いているんです。
  110. 中谷元

    国務大臣中谷元君) テロの連鎖というのがあるわけでありますが、そういった弱みとか隙間を突いてくるものでありまして、やはり世界として断固そういった暴力行為やテロは許さないという姿勢を示すと同時に、そのようなことを防ぐ手だてとしての行動、活動というものが必要でございますので、テロの未然防止を努めること、すなわちテロに屈することがないという取組において、我が国も国際社会に適切なメッセージを発信すると同時に、我が国はテロに屈したというように受け止められないように、我が国自らがそのような力を持ち、また国際的な活動に参画をするという能力、姿勢を持つことではないかと思います。
  111. 小野次郎

    ○小野次郎君 しかし、大臣のおっしゃっている話は、政府自らが閣議決定をしてきた新三要件を、与党協議の中でつくってきた方向と全然違う次元の話をされていますよね。だって、新三要件というのは、我が国の個別的自衛権、その外側にあって集団的自衛権と重なる部分、あるいは集団的自衛権も入っているのかもしれませんが、そういうものはどういうものかということを決めたのが新三要件なんであって、今大臣のおっしゃっているのは、世界中で取り組まなきゃいけないというのに話が大きくなってしまっているんで、だから、さっきから申し上げているとおり、世界中で取り組まなきゃいけないというのは分かるけれども、集団的自衛権の行使容認というのは極めて限定的に政府ですらしなきゃいけないというふうに認識しているわけですから、それは、今私が聞いている質問に対するお答えはいただいていませんよ。
  112. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回決定するのは小野委員の言われたような内容でございますが、しかし、今後この整備をすることによっていかなる場合にも隙間なく我が国としての対応をするというのは我が国に対してでありますが、しかし、国際的に対しても、テロに屈することなく、国際社会と連携しつつ世界の平和と安定のために積極的に貢献をするという姿勢を取り組むことによってテロの未然防止対策に万全を期してまいりますので、我が国としての憲法のできる範囲での対応をすることによって対応することが、国際社会に対してそのようなメッセージを送って、結果的にテロの未然防止につながるのではないかというふうに思います。
  113. 小野次郎

    ○小野次郎君 大臣の御説明だと、ミサイルだ、テロだ、さっき防衛省予算説明の中でサイバーの攻撃に対しても対処していくという話をされましたけれども、ミサイルにしてもテロにしてもサイバーにしても、こういうものに対して世界中で取り組んでいかなきゃいけないとなったら、今言っている新三要件は今の要件であって、状況が変わってきたらもっと積極的に取り組まなきゃいけないというロジックになるんじゃないですか。
  114. 中谷元

    国務大臣中谷元君) あらゆる事態に対処をしていく、また切れ目のない法律整備しておくことによってこういったいろんな事態対応できる、またその能力が向上するわけでございますので、法律整備をしておくことが、今憲法の範囲で何ができるのかということで、精いっぱい憲法の範囲内で法律整備しておくことが御指摘事態対応できる手段であるというふうに思っております。
  115. 小野次郎

    ○小野次郎君 元々、憲法九条は戦争を放棄をしているわけで、我々が議論しているのは、我が国の防衛のために何が必要最小限度の必要な措置なのかということの議論の中にあるわけですから、今の大臣のおっしゃり方をすれば、ミサイルにしてもテロにしてもサイバーにしても、日本の防衛のために必要だとなってくれば、新三要件は現在の新三要件ではあるけれども、何年か後にはもっと緩めて、もっと積極的に関与しなければいけないという議論になるんじゃないかということをお尋ねしているんです。
  116. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 目的は我が国の安全を守るということでありまして、憲法で許される必要最小限度の自衛の範囲で我が国法律整備をしておきますが、そのことによって、国際的に見ましてもいろんな事態に対して、国際活動に対する取組においても寄与できるというようなことで、将来にわたっても活動はいたしますが、しかし我が国の憲法の定められている範囲であるという前提で我が国として対応するということでございます。
  117. 小野次郎

    ○小野次郎君 非常に不安になってきますね、大臣のおっしゃっている言い方では。新三要件というものが必要十分な要件なんじゃなくて、今何か、たがはめられたみたいになっているからこうだけど、本当の必要性というのはもっと広がってくるんだというと、元々憲法は九条、正面から認めていない、ただ、我々が自分たちの独立を守るため、自分たちの安全を守るために必要最小限度のものは取らざるを得ないということから出てきているわけですから、それを取らざるを得ないという措置が広がるんだったら、この新三要件も決して歯止めにならないということだと思うので、これは非常に重大なことを大臣はおっしゃっているような気がいたします。  外務大臣にお伺いしますが、武力攻撃リスクの方も、この集団的自衛権の行使容認、その仕方に、行使容認の範囲によってはリスクの方も格段に拡大するのではないかと思いますが、御認識をお伺いしたいと思います。
  118. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、先ほど来の議論を聞いておりまして思いますのは、我が国が厳しい安全保障環境の中にあり、それに対応するためにまず外交の力によって好ましい安定した国際環境をつくるべく努力をしなければいけないわけですが、しかし、その中にあっても不測の事態、あるいは万が一に備えて切れ目のない安全保障体制をつくらなければいけない、法制を準備しなければいけない、こういった議論が行われ、そして切れ目のない安全保障体制ができることによって抑止力につながっていく。こうした議論の中にあって、集団的自衛権の一部行使を容認するのは、この切れ目のない体制のうちの一部分であるというふうに考え方整理するべきだと思っています。  こういった考え方に基づいて考えた場合、抑止力が働くことによって日本が戦争に巻き込まれるリスク自体は低減するというふうに思っておりますし、そして新三要件について御指摘がありました。この新三要件は、国際的に見ても極めてこれは厳しい基準となっております。憲法上の明確な歯止めが示されています。こういったことを考えますと、他国の紛争に我が国が巻き込まれるリスク自体も増大するということは考えられないのではないか、このように感じます。リスク安全保障法制の関係についてはそのように考えます。
  119. 小野次郎

    ○小野次郎君 この抑止力の向上リスクの拡大については、質問を引き続きやっていきたいと思います。  ありがとうございました。
  120. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  武器輸出について聞きます。  政府は、昨年の四月に武器輸出三原則を撤廃をしました。さらに、防衛省は六月から防衛生産・技術基盤戦略を策定をいたしました。武器輸出に公然と踏み出したわけでありますが、一昨年以来、私は当委員会予算委員会等で度々この問題について質問をしてきましたけれども、政府は、三原則を撤廃しても今後も国際紛争を助長することはしないと、こう言われてきました。  撤廃後一年、どうなったかと。新原則の適用第一号はPAC2の部品の米国への輸出でありました。ガザへの空爆を繰り返しているイスラエルにも、紛争当事国であるこの国にも第三国輸出が行われる可能性があると。こういうことを見ますと、武器輸出政策に転換をしたら、やはり国際紛争を助長しないという立場は取り続けることはできないのではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  121. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨年四月閣議決定しました防衛装備移転三原則、これは国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持した上で、防衛装備の移転に係る手続や歯止めをこれまで以上に明確化あるいは透明化したものです。防衛装備移転三原則では、第一要件において、紛争当事国への移転となる場合には移転を認めない、これを明確にしております。引き続き、この移転の可否については厳格に審査することとなっております。  そして、PAC2について御指摘がありました。これにつきましては、このパトリオット、PAC2は、外的脅威から自国を防衛するための装備品であること、またPAC2で使用されている当該部品は二十五年以上前から使用されている技術であり、我が国で汎用的な技術を用いて生産されているものであること、こういったことを勘案すれば、我が国製部品が組み込まれたPAC2が、米国から同国による厳格な管理体制の下で米国の安全保障上のパートナーである他のPAC2ユーザーに移転されたとしても問題はないと考えております。
  122. 井上哲士

    ○井上哲士君 果たして本当にそうなのかと。  防衛省は、昨年の末から防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会を開催をしておりますが、この検討会の目的、構成、現在までの開催状況と議論の内容、今後の会合の予定と、そして取りまとめの形態についてお答えください。
  123. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) 議員御指摘の検討会でございますが、本件につきましては、我が国安全保障に資する防衛装備・技術移転を円滑かつ適切に進めるための体制、仕組みや企業に対する支援策などの課題について、経理装備局長の諮問により、部外有識者等に検討していただくべく設置したものでございます。その構成につきましては、政策研究大学院大学学長の白石委員を座長といたしまして、大学教授など有識者九名から構成しておるところでございます。  委員指摘のとおり、昨年十二月に第一回を開催し、これまで三回開いてございましたが、今後も一、二か月に一回のペースで開催し、夏頃をめどに検討会としての意見を座長の下で取りまとめて何らかの形で御報告いただきたいというふうに考えてございます。
  124. 井上哲士

    ○井上哲士君 一部公表されていますこの検討会の資料によりますと、企業の武器輸出に関して予算面での措置、それからファイナンスの検討が議論をされております。ですから、円滑に協力を進めるためどころではなくて、公的な資金による軍需産業へのあからさまな直接支援の議論も行われていると。この間の質疑で、武器輸出政策への転換は成長のためではない、輸出を増やすためではないと、こう言っていたにもかかわらず、なぜ企業の支援の検討をするんでしょうか。
  125. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) これは、先ほど申し上げましたように、我が国安全保障に資する防衛装備・技術移転を円滑に適切に進めるための課題を検討しているというふうなことでございまして、そういったものの一環として、例えば企業がこのような事態対応するために新たな設備投資等を行う際に資金需要等が発生するというようなことも想定されますので、既存の公的金融等の活用等についても幅広く御検討いただけたらというふうに考えているところでございます。
  126. 井上哲士

    ○井上哲士君 企業支援そのものなんですね。しかも、日本の軍需企業への支援ばかりではなくて、売り込み先となる外国政府への支援にもこの議論は及んでおります。大変驚くべきことだと思います。  ODA大綱を変えて開発協力大綱を策定したわけですが、これでも外国軍への支援を可能とする道を開いております。さらに、この検討会で外国への武器の供与や融資を検討されていると。これ、まさに私は軍事支援だと思いますが、国際紛争の助長につながるんではないですか。いかがですか。
  127. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国におきましては、昨年の四月までは武器輸出三原則等の下で武器の移転は原則禁止とされていたために、防衛装備や技術移転を支援するための体制、仕組み、これが存在をしていないわけでございます。そのために、この制度、仕組みについての諸課題について御指摘の検討会において検討をいただいているところでありますが、その中で、政府による支援策の一環として、例えばASEANの諸国等から海洋安全保障などの分野の装備品等の供与また購入資金の融資等を求められた場合の方策についても幅広く検討を行っていただくことといたしておりまして、防衛省としては現時点で何ら方向性を決定したわけではございませんが、こういった有識者の中でそのような検討を行っていただいているということでございます。
  128. 井上哲士

    ○井上哲士君 これ、検討結果については当然、先ほど取りまとめられるということでありましたが、それを踏まえて防衛省が具体化をすると、こういうことなんですか。
  129. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現実にASEANを始めいろんな国々からも、自国の安全保障や海洋安全保障などの面で我が国装備品の供与また購入資金の融資等についての問合せや意見なども寄せられていただいております。こういった場合に、まだきちんとした仕組み、制度ができておりませんので、こういった仕組みをどうしたらいいかという点につきましては検討を行っているということでございます。
  130. 井上哲士

    ○井上哲士君 何か限定をされるかのような先ほど答弁がありましたが、武器輸出三原則撤廃のときも私質問したら、当時の大臣は、まるで武器というような話をされるが、海外で復興支援のために自衛隊が持っていくブルドーザー、こういうものも武器という範囲になっちゃうので、こういうことをクリアするものなんだと、こういうことを言われましたけれども、実際にはこの一年間行われているのはまさに武器そのものの輸出や共同開発の問題なわけですね。  実際、軍需産業からは、武器輸出促進のための様々な要求が出されております。先月の五日に陸上幕僚監部主催の平成二十六年度陸上装備フォーラムが開催をされておりますが、防衛省によれば、目的は、陸上装備等に携わる防衛企業等に対して情報発信及び意見聴取を実施して事後の装備行政の資とするとなっておりますが、企業側からは約二百十社、四百三十人が参加をして、朝雲によりますと過去最高の参加だとなっておりますし、企業側からは、政府が窓口となって日本装備品を他国に有償で提供、輸出をする日本版FMSの制度の発足や、官民で経験と実績を共有する枠組みの整備を望む声が上がったとしておりますが、FMSというのはまさに米国の対外軍事援助のことでありますが、こういう発言があったことは事実なのか、一体どこの要望なのか、そして防衛省としてはこの要望をどのように具体化をするおつもりでしょうか。
  131. 吉田正一

    政府参考人吉田正一君) 先生御指摘の陸上装備フォーラムというふうなところでそういうふうな御意見があったということは事実だと思ってございますが、どの企業がというところにつきましては、非公表前提の意見交換というふうなことなのでお答えは差し控えさせていただきたいと思ってございます。  それで、他方、FMSでございますが、先生が御指摘になられましたように、これは米国政府の対外援助ということで、装備品等を政府取引で行うものというふうなものでございます。他方で、この制度は米国独自のものでございまして、例えば英国でございますとかフランスというような国ではこういった仕組みというのは持っておらないというようなことでございます。  防衛省といたしましては、どういった形で政府が関与することが効果的かつ適切か、諸外国の事例も幅広く参考にしつつ、有識者の方々に御議論いただくというふうなことを考えておるわけでございまして、そういったものを基に、先ほど大臣がお答えしましたように、どういったことを考えていくべきかということを整理していきたいと思ってございます。
  132. 井上哲士

    ○井上哲士君 議論の結果をそうやって具体化をしていく方向、姿勢なわけですね。率直な意見交換のためとして配付資料等については公開をしないと、事前に求めてもそういうお話でありますが、武器で海外との事業を広げたい企業とは率直な意見交換をして、国会、国民には示せないということは私は極めて問題だと思います。是非、オープンにしていただきたいと思うんですね。  アメリカなどは対外軍事援助を外交政策の手段としてまいりました。それが何をもたらすのかをしっかり見る必要があると思うんですね。例を挙げますとイラクです。イラン・イラク戦争の時期を通じて、イラクへは欧米、ソ連からの大量の軍事支援、武器輸出が行われました。  経済産業省が平成二十五年度安全保障貿易管理対策事業において武器輸出管理の在り方調査と題する文献調査をやって、大部の報告書がまとめられております。こう書いています。世界各国は、必ずしも親イラクの立場ではなかったものの、石油貿易やその他の政治的、経済的メリット等を勘案し、まだましな悪という理由等からイラクへの支援展開した。こうして、当該戦争以前には目立った軍事力を有していなかったイラクは世界第四位の軍事大国まで押し上げられたと、こうしております。そして、この軍事大国となったイラクがあの湾岸戦争に至ったわけですね。  九二年の国連の報告書は、この軍事支援と湾岸戦争の関係についてこのように述べております。ペルシャ湾岸における最近の出来事が、つまり湾岸戦争が劇的に示したのは、そのような武器の増強の否定的な帰結であった。国際的には、それらの出来事は、更に広範に表明された懸念を掘り起こすとともに、国際的な武器移転の制限に関する提案の増加につながったと、こう国連はまとめております。  つまり、外交の武器として、手段として軍事援助を行ったことがイラクのような軍事大国をつくり出して国際紛争を助長してきたというのが教訓だと思うんですね。私は、こういう過去の事例に照らしたら、日本が対外の軍事援助を行うようなことは世界平和に逆行することであり、やるべきでないと考えますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  133. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、武器の供与を含む軍事的な支援実施することと支援を受けた国が紛争を引き起こすこと、この二つの因果関係というのは必ずしも明らかでないと考えます。様々な事例が存在すると考えます。  そして、我が国の防衛装備移転三原則について申し上げるならば、同原則の下でも積極的に武器輸出をする方針に転換をしたり輸出を大幅に解禁するといったことではなく、これまで同様、厳正かつ慎重に対処する方針であると承知をしております。引き続き、平和国家としての基本理念とこれまで続けてきた平和国家としての歩み、これを引き続き堅持することには変わりないと認識をしています。
  134. 井上哲士

    ○井上哲士君 必ずしも関連が明らかでないという答弁でありましたが、先ほどの経産省の調査でも、そして国連の報告でも、まさにそういう武器の輸出がこういう紛争につながったということを明確に指摘しているわけですね。  今年の一月一日の東京新聞にこの問題の記事が出ましたけど、その中で防衛省の幹部のコメントとして、武器輸出は外交の手段として有益だと、こういうコメントすら出ているわけですね。私は、こういうような方向は絶対に歩むべきではないと思いますが、最後、防衛大臣、いかがでしょうか。
  135. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国の防衛装備移転三原則、これは平和国家としての基本理念、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持した上で、この防衛装備の移転に係る手続、歯止めを今まで以上に明確化、透明化したものでございまして、これまでと同様にこういった武器輸出に関しましては厳正かつ慎重に対処してまいりたいと思います。
  136. 井上哲士

    ○井上哲士君 武器輸出の拡大を絶対するべきでないと改めて求めまして、質問を終わります。
  137. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  138. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管防衛省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  139. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。  中谷防衛大臣に、隣に沖縄の糸数先生、隣同士にしていますので、沖縄のことについて、ちょっと以前の話ですけれども、沖縄が祖国というか本土に返還される前の話です。  一九六〇年代、六一年、六二年にかけて、アメリカ軍が沖縄に持っていた生物兵器の実験施設、そこでかなり広範に、沖縄の言ってみれば農地ですとかそういうところを使って、アメリカ軍が立ち枯れ病の細菌、これを散布して、それがどういうような影響を及ぼすのか、そういうことの実験データを収集していた。これは、沖縄を舞台にして、狙いは中国とか東南アジアに対する生物兵器の実験だと言われているんです。そういうことのデータを蓄積していたという報告が昨年アメリカから公表されました。日本でも共同通信が配信して、結構大きな話題になったんですけれども。  沖縄が本土に返還される前の話ですけれども、その後、名護と首里にあったとされる米軍の生物兵器の実験施設、日本に返還された後どうなったのか、また、当時行った実験の影響が沖縄の人たちの健康や農業にどのような影響を及ぼしたのか、そのことについて現状の認識、お聞かせください。
  140. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) まず、事実関係について事務方の方からお答えさせていただきます。  今委員御紹介いただきましたように、昨年一月、米軍が復帰前の一九六〇年代に十数回、沖縄で生物兵器の実験を行ったという旨の報道がございました。その中で、名護、首里、石川といった個別の地名に言及があったことは承知をしているところでございます。  御質問は、米軍施設・区域、その周辺におきまして、当時から現在までに、報道にありますような実験また実験施設の残留物が、耕作物それから住民の方々の健康に被害、悪影響を及ぼしたことがあるかということだと存じますけれども、復帰前の状況につきましてはつまびらかにはしておりませんけれども、少なくとも復帰後につきまして、私ども、米軍へ施設・区域を提供する、ないしはその返還に当たって支障除去を行う、こういう業務を行うに際しまして、そういう悪影響があったというふうな事実については承知をしておらないというところでございます。
  141. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 中谷大臣は、そういう生物化学兵器の実験施設が沖縄に置かれていたという事実、そして返還後は特段住民に対しても農業に対しても影響がなかったということは承知されていますか。
  142. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この事実につきましては、昨年一月に新聞で報道されましたので、承知をいたしております。その後の調べにおきまして、地元に環境影響等の被害があったというふうな事実は聞いておりません。
  143. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 もちろん、これは沖縄が本土に返還される前の話ではあるんですけれども、当時の資料を見ますと、なぜ沖縄でそういう生物兵器の実験をやっていたかというと、間近に控えている中国や、あるいは東南アジアでも共産主義の影響がある意味では拡大する可能性がある、それを封じ込めるために生物化学兵器の言ってみれば利用価値が高いということで、沖縄がそういう実験場になったわけですよね。  そうなりますと、沖縄で開発された生物化学兵器というものが実際にその後中国とか東南アジアで使われた、あるいは使われるような可能性ということも否定はできないと思うんですけれども、そういう生物化学兵器の、これは七五年の生物兵器の使用禁止条約で禁止されていると思うんですけれども、そういうことに対しては日本はどういう今立ち位置なのか、また、アメリカに対して、そういうことに対してその後問題が起きないような形で情報の交流が行われているのかどうか、そのことについて現状についてお聞かせください。
  144. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) まず第一に、復帰前の状況につきまして、私ども、事実関係についてなかなかちょっと承知することが難しいということが一点ございます。  それから、生物兵器につきまして、先生、条約を御紹介いただきました。あくまで一般論でございますけれども、生物兵器につきまして、米国は一九七五年に発効いたしました生物兵器禁止条約の締約国になっておるということは承知をいたしておりますけれども、報道にありますような、実際に使われたと報道されております一種の細菌でございますか、そういうものと生物・化学兵器禁止条約との関係、それから、米側がそれをどういうふうに管理、保管し、ないしはそのデータを利用したかということについては、防衛省としてはちょっとお答えをするのはなかなか難しいかなというふうに存じます。
  145. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 実は、その後の調査で、世界八十五か国、沖縄周辺の国々でこの米軍が開発した立ち枯れ病の細菌が検出されたと、アジア地域の米作にとって大変甚大な影響が出たということも報告されているんですよね。  ですから、日本とすれば、そういう場所を、米軍の施設下ではあったとせよ、提供していた、その後そういうことに対して万全の安全対策をしっかり講じてきているということをやっぱり内外に示さないと、テロ組織、様々なそういう生物兵器についての関心を持っているグループもあるわけですから、これは日本にとっては大変ゆゆしい事態になりかねないと思いますので、この生物兵器をどう取り締まるのか、テロの手に入らないようにするための防衛大臣としての強い決意と対策について改めてお聞かせください。
  146. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘の報道につきましては、復帰前のということでございますので、その事実関係は承知しておりませんが、米軍の施設・区域の運用から生じる沖縄県民の皆様方の不安を払拭するということは大変重要なことでございまして、委員の御指摘のとおりでございます。  そこで、米軍から施設・区域が返還された場合は我が国の責任で原状回復を行ってきたところでもありますし、また、アメリカ側の同意を得た上で、土壌汚染調査等を含めて返還後の支障除去の措置を円滑に実施するために必要な調査を返還前に実施した例もございます。  防衛省といたしましては、今後とも米軍が環境面に最大限配慮するよう様々な機会を通じて働きかけるとともに、返還された駐留軍用地の跡地の原状回復について引き続き適切に取り組んでまいりたいと考えております。
  147. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非、日本からそういう生物兵器の、何というんでしょうか、脅威が世界に拡散するようなことがないように、しかるべき対応を取っていただきたいと思います。  岸田外務大臣、近くキューバに行かれるというような報道がマスコミでは出ています。アメリカとキューバとの間の国交正常化、流れを受けて、昨年はキューバと日本が国交四百年という記念すべきイベント、あちこちで展開されました。  外務大臣として近くキューバに訪問されるに当たっての、キューバの側から様々な今、日本に対する協力要請が来ていると承知していますけれども、アメリカとも協力しつつ、どういう形でこのキューバとの関係をこれから取り結んでいかれようとしているのか、基本的なお考えをまずお聞かせください。
  148. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 私は、キューバ訪問につきましては、報道等で出ているようではありますが、まだ決まったという事実はございません。  そして、キューバにつきましては、まず、米国とキューバの外交関係の再構築に向けた協議が行われているということについては歓迎をしたいと思っています。  日本とキューバ、これまで良好な関係を築いてきました。そして今、委員の方から御指摘がありましたように、昨年は、支倉常長一行がハバナに上陸してから四百年ということで、日本・キューバ交流四百周年を祝い、要人往来ですとか様々な文化事業が催されました。先月にはキューバからリカルド・カブリサス閣僚評議会副議長が来日をされましたが、私も同副議長と有意義な意見交換を行わさせていただきました。その際に一致したとおり、引き続きキューバと幅広い分野での関係強化に取り組んでいきたいと考えております。
  149. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 私の地元からも、新婚旅行に行くのであれば、ヘミングウェーの「老人と海」、そういうとても魅力的な観光施設がたくさんあるということで、結構若い人たちがキューバに行くことが増えているんですね。  そして、今のキューバのインフラの状況を見ていますと、やはりまだまだ遅れている。しかし、かつてはアメリカが大変力を入れていた、そういうお国柄ですから、日本がアメリカと協力することによって、キューバの持っている潜在的な観光資源ですとか産業をどんどんサポートできると思うんです。  先般もキューバからいろんな方々来られて、やっぱりインフラとして特に鉄道、あるいはキューバ特産品の食料品ですとか果物ですとか、そういうものをパッキングをして輸出するような技術がキューバにはまだまだ欠けていると。そういう意味で、日本の進んでいる技術、これを是非キューバにも移転してほしいと、そういう強い要望が来ているんですけれども。  そういう意味で、具体的なキューバと日本との、それにアメリカも絡ませたそういう協力関係の在り方について、外務大臣からもキューバとの関係を重視しているというメッセージを是非お聞かせいただきたいと思います。
  150. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、キューバには経済あるいは観光など様々な分野で大きな潜在力があると認識をしています。  そういった観点から、まずは米国とキューバの外交関係構築に向けた協議に注目をしていきたいと思いますし、我が国としましてはもとよりキューバとは良好な関係維持してきました。様々な国際情勢の変化の中で、我が国としてキューバとの関係をどう発展することができるのか、どういった可能性があるのか、是非しっかりとこの可能性を追求していきたいと考えております。  いずれにしましても、キューバをめぐる様々な動きに注目しながら、日本としても関係発展に努力をしていきたいと考えております。
  151. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非そういう思いを秘めていただいて、キューバ訪問、まだ未定だということをおっしゃいましたけれども、マスコミ報道ではどんどんどんどんもう大臣のキューバ訪問というのは既定事実化されているような流れができていますので、キューバでも大変期待値が高まっていることは間違いありません。  アメリカとの関係考える上においても、是非ともこの来るべき五月辺りのキューバ訪問、実現していただくようにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  152. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。  まず、翁長知事とそれから菅官房長官の会談についてお伺いをしたいと思います。  四月の五日に、沖縄県知事とそれから菅官房長官が那覇市内で会談を行っています。まず、翁長沖縄県知事は、辺野古の新基地は絶対に建設することはできないと確信しているというふうに発言をしております。その上で、辺野古に新基地ができなければ本当に普天間は固定化されるのかどうかというふうに質問しております。  普天間飛行場は、アメリカの前ラムズフェルド国防長官が世界一危険とおっしゃっておりますし、また菅官房長官もそれを認めていらっしゃいます。辺野古新基地建設計画が頓挫したら、政府は普天間飛行場をそのまま危険な状態で放置するおつもりでしょうか。辺野古新基地建設に反対する県民に責任を転嫁していくつもりなのか、外務大臣防衛大臣にお伺いします。
  153. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない、これは安倍内閣の基本的な考え方であり、また政府と地元の皆様の共通の認識であると思っております。そして、米軍の抑止力の維持とこの普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古への移設が唯一の解決策であるというのが政府の一貫した立場であります。  そして、今御質問で、これ頓挫した場合にどうなるかという御質問をいただきました。これ、現状においては頓挫した場合を考えるのではなくして、普天間の危険除去には何をしなければならないのか、唯一の解決策であるというこの解決策を実現するべく政府としては全力を挙げて取り組む、これが何よりも大事だと考えております。是非、引き続きまして、普天間飛行場の返還が実現できるように、丁寧に説明を続けながら、そして沖縄の皆様方の御理解をいただきながら努力を積み重ねていきたいと考えています。
  154. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 官房長官と沖縄の翁長知事が会談されましたが、官房長官からは、やはりこの問題の原点が世界一危険と言われる普天間基地の危険の除去で、辺野古移設が唯一の解決策という政府考え方、改めて表明をし、翁長知事からも知事の率直な考えを述べられたと承知しておりまして、政府と沖縄県が対話を進める第一歩になったと私は認識をいたしております。  我々の方から辺野古建設施設について申し上げたいのは、現在の普天間飛行場の機能の一部に限って移設するものでありまして、また、辺野古にある既存の米軍基地、これキャンプ・シュワブなんですけれども、これを極力活用をすることによって埋立面積も最小限に限っており、飛行経路は市街地の上空から海上へ変更をされるということ、そして何よりも移設によって普天間飛行場が全面返還されることから、沖縄の負担軽減に十分資するものであると考えております。  鳩山政権時代に県外にも模索をしましたけれども、結局辺野古しかないんだということで辺野古に回帰したことがございまして、今この工事が止まりますと更に普天間の返還、移設、これが遅れてしまうわけでございます。政府といたしましては、官房長官が説明したとおり、一日も早く普天間飛行場の危険性の除去が実現できるように更に努力をしてまいりたいと思っております。
  155. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今両大臣からお伺いいたしましたけれども、また安倍政権でも恐らく同じような答弁が、政権の内部でも統一された見解だと思いますが、政府が本気で一日も早い危険性の除去という思いでありましたならば、仲井眞前知事が官邸と約束したという普天間の五年以内の運用停止、これ何が何でも実現させるべきだというふうに思いますが、五年以内の運用停止はあり得ないと、これはアメリカはそのように言っておりますけど、政府はそういうアメリカに対してどのような対応を取ってきたんでしょうか、お伺いします。
  156. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 普天間飛行場の五年以内の運用停止を含むこの仲井眞知事からの要望につきましては、同前知事からの強い要請を受け、政府として全力で取り組んできております。引き続き、相手のあることでありますが、できることは全て行う、これが政府の基本姿勢であります。  そして、これはアメリカに対しましても、首脳、閣僚レベルを始め様々なレベルで繰り返しこの我が国方針、伝えてきております。沖縄の負担軽減について協力を求めてきたわけですが、米国側からも負担軽減へのコミットメント、示されてきております。我が国の米国に対する働きかけにつきましては、昨年四月の日米首脳会談、あるいは昨年四月の私とヘーゲル国防長官との会談、さらには昨年九月の江渡防衛大臣とヘーゲル国防長官の電話会談、こういった際に沖縄の負担軽減に向けた協力を要請してきております。  是非、こうした日米間の意思疎通も背景にしながら、この普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む仲井眞前知事からの要望について全力で取り組んでいきたいと考えております。
  157. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、五年以内の運用停止、アメリカはあり得ないと言っている。日本政府はこれから話し合ってきちんとやっていくというふうにおっしゃっておりますけれども、私たち沖縄県民からすれば、全く県民の声を聞いていない、そういうふうな答弁にしか聞こえません。  実際に、昨日の話の中にも出てまいりましたけれども、やはり今、危険性の除去ということをずっと普天間の基地の話をすれば出てくるわけですけれども、危険性の除去と言うのであれば、沖縄県内に必ず、この辺野古へ普天間の基地を移すということだけが解決策なんでしょうか。
  158. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この問題の原点は、十九年前の橋本総理とクリントン大統領との話合いによって決まったことでありまして、その後、米軍の基地につきましては、日米間でも協議はしましたが、沖縄県側とも協議をして、名護市の当時の市長さんも入った上でこの辺野古ということが決まりまして、その後、埋立方式などについても地元の方々と話合いをいたしました。  なぜ沖縄かといいますと、やはりこの沖縄の地理的優位性、非常に東アジアの各地域に対して距離的に近いといったこと、そして、沖縄の海兵隊を含む在日米軍全体のプレゼンス、これは低下させることができないんだと、それから、海兵隊は非常に機動力がありますけれども、陸上部隊、また航空部隊、後方支援部隊、これと統合した組織構造で優れた機動性と即応性があるということ、そして、普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去をする必要があるという観点で、このキャンプ・シュワブに移設をするということが唯一の解決策であるということでございます。
  159. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、中谷大臣がおっしゃったことは、辺野古移設が唯一の解決策というふうにおっしゃっておりますけれども、なぜ県外に移設先を認めないのか、これ、日本政府の怠慢ではないかということを強く主張しておきたいと思います。  なぜならば、沖縄はこれまで、例えば名護市長選挙、それから知事選挙、衆議院選挙と、それぞれの選挙の中で、あるいは途中で公約を翻した自民党の国会議員の皆さんですら、選挙のときには普天間の基地は県外移設と言って当選をしたんですね。当選をした後、公約を翻してこのようにまた再び県内移設というふうにおっしゃっているわけですけれども。  やはり、中谷大臣が二〇一四年の三月に、県外での反対や抵抗によって沖縄の基地の分離は難しいとの認識を示しておりまして、中谷大臣は、分散しようと思えば例えば九州でも分散できるが、抵抗が大きくてできないというふうにおっしゃっているんですね。地理的な優位性というふうなことは就任のときにおっしゃっていらっしゃいません。あくまでも、これは理解してくれる自治体があれば移転できるけれども、米軍がやってくるのが反対というところが多くて進まないというふうなことで沖縄に基地が集中している現実だというふうにお答えになっていらっしゃるんです。民主党政権の最後の防衛相だった森本防衛大臣も、当時、海兵隊の普天間飛行場の移設先について、軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適と発言をしていらっしゃいます。  そういうふうな意味で、今の本当に政府対応というのは全く沖縄の県民にとっては理解できない。つまり、普天間飛行場ができた経緯、改めて考えていきますと、これは沖縄戦の最中に住民から土地を奪って建設されたという、そういう歴史的な事実があるわけです。戦争中に民間地の奪取を禁じるハーグ陸戦条約にも違反する行為であって、日本が降伏したときに返還されるべき施設であったんですね。それを七十年間もの長きにわたって占拠し続ける米国の異常さこそ、日本政府認識すべきではないでしょうか。  代替の新基地を造ることも含めて、やはり自治体として、今の沖縄の対応に対する政府というのは全く誠実さに欠けております。日本政府が米国の不当行為に加担し、この普天間の危険性の除去のために沖縄が負担しろというのはやはりおかしいと思います。翁長知事はまさに菅官房長官に対して、このことをずっと続けていくのであれば、やはりこれは沖縄県民の民意を無視している、知事が主張している言葉で言えば、日本政治の堕落でしかないというふうにおっしゃっています。  沖縄のいわゆる復帰前の弁務官時代に、キャラウェイの圧制に屈せずに沖縄の県民は自らの代表を自ら選ぶ主席公選制を取って、そして屋良朝苗氏が誕生したという経緯があります。一九七二年に復帰をいたしまして今日を迎えておりますけれども、やはり今の政府対応は、危険性の除去ということをおっしゃるのであれば、同じ沖縄県内の移設ではなく、そして先ほど、官房長官もおっしゃいましたけれども、この普天間の飛行場の一部を辺野古に移すとおっしゃいましたが、とんでもありません。辺野古に新しい基地を造るというのは、アメリカの計画によれば、軍港を新たに造ることも含めて、そしてオスプレイだけの駐機をする飛行場だけではなくて、滑走路を二本持つような巨大な二百年耐用の大きな基地を造ることになるわけでして、それに関しては、私ども沖縄県民としてはやはり辺野古移設が唯一の解決策とは決して思っておりません。  改めまして、危険性の除去と言うのであれば、沖縄以外の場所を考えていただきたい、改めて中谷防衛大臣の御見解を伺います。
  160. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私も、沖縄に集中する米軍基地、これは全国でそういった負担軽減の努力をすべきではないかと思っておるわけでございますが、沖縄に集中する在日米軍の基地負担一般について、理論的には県外への分散が可能であるけれども、受入先となる自治体の意向を含む様々な事情から実現が容易でないという旨を述べたところでございます。  しかしながら、この訓練の移転につきましては、現在も私もその努力をして、いろんな自治体、本州の自治体にお願いをしているわけでございまして、例えば九州、また北海道に在沖米軍部隊訓練移転等をお願いをいたしております。様々な場所において、この沖縄の負っている米軍の基地負担、これは日本全国として受け入れるべきでありまして、KC130の移転とか、また緊急時にやってくる飛行機、これは九州で受け持ってもらうとか、そういうふうな努力も引き続き行ってまいりたいと思っております。
  161. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間だと思いますので終わらせていただきますけれども、あくまでも沖縄の本当に負担の軽減と言うのであれば、本当の意味での負担軽減をお考えいただくことを要望いたしまして、終わりたいと思います。
  162. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 以上をもちまして、平成二十七年度一般関係予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管防衛省所管及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  164. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  166. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  167. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。  まず、外務省の公務員給与法を取り扱うということになりますと、我々とすれば思い出さなければいけないのが二〇一二年のこの公務員給与法ですが、八月までずれ込んでしまいました。なぜずれ込んだのかということについて、大臣の方から答弁をいただきたいと思います。
  168. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 平成二十四年度、二〇一二年の在外公館名称位置・給与法改正案、八月二十八日に参議院外交防衛委員会で、八月二十九日に参議院本会議で、いずれも全会一致で可決され、九月五日に公布されました。  この法案審議、採決の日程については、その当時の国会における与野党の様々な議論の結果であったと認識をしております。
  169. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 与野党とおっしゃいましたけれども、多分野党はもっと早くと言ったはずでございますけれども、当時の与党が、これ、八月ということは、外交官の皆さんにとると大変大きな問題だったろうと思いますけれども、今後そういったことがないように要望をしておきたいと思っております。  在外公館のコンパクト公館、あるいはミニマム公館という言葉が出てきました。警備体制強化ということでございますけれども、在留邦人にとって在外公館、あるいは、私ハイチに行きましたけれども、そのときは大使館と大使の公邸と両方やられてしまいました。だから両方重要だということを当時感じたわけですが、大使あるいは総領事の公邸を含めまして、コンパクト公館あるいはミニマム公館というふうになった場合にこの警備体制をどう取り組んでいくのかということで、例えばシェルター、退避訓練、装備、通信インフラ、備蓄等についてどう対応されるのか、お答えをいただきたいと思います。
  170. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 在外公館外交活動の基盤であり、在外邦人保護の拠点でもあります。かかる観点から、まず、在外公館及び職員の安全対策については、現地治安情勢等を考慮しつつ、人的、物的両面から、例えば警備員や現地警察官の配置、監視カメラや警報装置の配備など、必要な警備対策を講じています。  また一方、外務省在外公館として、海外邦人の安全確保、これも大変重要な課題であり、シリアにおける邦人殺害テロ事案を受けて、外務省警備専門官を中東及び欧州に派遣した際にも、現地の在留邦人や日本人学校と安全対策に係る説明会を実施したり、個別のアドバイスを行うなど、在留邦人の安全性の強化に努めております。  そして、御質問のコンパクト公館、そしてミニマム公館ですが、その指定に当たりまして、当該在外公館の機能が維持される、これを前提に、定員として当面一定の上限を設けているというものであります。したがって、そのような公館が治安上の脅威度が高い中東やアフリカ地域などに所在する場合には、通常の公館同様、防弾車の配備、あるいは身辺警護員を配置するなどの警備体制強化構築を図り、在外公館及び職員の安全対策に万全を期するよう努めてまいります。
  171. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 私もいろんな国の外交官あるいは大使館訪問したりしておりますが、相当いろんな準備、体制強化しております。東京においても在外公館警備等は相当な対応を取っておりますし、訓練もしております。是非、日本外交官、邦人を守るために更に努力をしていただきたいというふうに思っております。  それで、戦略的対外発信強化とうたわれておりまして、普通は、何か人を増やすあるいは広報関係を充実するということが挙げられるわけですが、私もつくづく感じますのは、日本外務省の方というのは、何か人と会う場合も、相手国の公使は公使、領事は領事といった同じ地位や階級の人しかなかなか会わないような傾向が強いのでございますが、内規はどうなっておるか分かりませんが、もっとこれからはいろんな立場の人に会うような柔軟な外交活動をしていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  172. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国在外公館におきましては、任国の政府関係者、有識者、ジャーナリスト、あるいは外交団との間で日頃から様々なやり取りを行っていますが、接触する相手や働きかけの内容については本国からの訓令等に応じて個別的に判断をしております。  しかし、今後、より重要な情報を得、そして広範な情報を得ていくためには、おっしゃるように接触する相手につきましても幅広く接触の範囲を広げていくことは重要なことなのではないかと思います。現地の政府関係者のみならず、民間の関係者あるいはNGOの関係者など様々な関係者との接触は重要なのではないかと認識をいたします。そういった姿勢は大事にしたいと考えます。
  173. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 訓令からということですが、私も外国の外交官とお会いするんですが、結構ポジション超えて、立場を超えていろんなところに出向いていって接触をすることが多い。最近は、いわゆる承認をしていない勢力、グループ等との交流というものがますます重要だろうと思いますので、その訓令を柔軟にするのか、方法はいろいろとありますけれども、そういうアクティブな外交活動を是非していただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。それが戦略的対外発信強化外交力につながると思っておりますので、申し上げておきたいと思います。  時間の関係で、前回、参議院の予算委員会質問をさせていただきました元BC級戦犯のことについて質問をさせていただきたいと思います。予算委員会外務大臣は、道義的な立場から、一九五三年から五八年まで見舞金とか生活資金等の措置を講じたということでございますけれども、それについて質問を申し上げたいと思います。  BC級戦犯というのは、御存じない方もいらっしゃいますが、実は傍聴席に李鶴来さん、またいらっしゃっておりますけれども、第二次大戦中に日本軍の命令で捕虜監視員になったわけです。これは命令です。それで、例えばアメリカとかオーストラリアの捕虜に対する虐待という罪でBC級戦犯の皆さんが受刑され、処刑された方もいらっしゃると。  ところが、サンフランシスコ講和条約が発効すると、今度は日本国籍がなくなってしまったわけですから、日本政府の補償の措置対象から外されたと。だから、裁判のときは日本人であるがゆえに裁かれて、今度はサンフランシスコ講和条約が終わってしまいますと、今度は外れて日本で放置されてしまったと。だから、裁判所の方も、これはやはり国政関与者は早期の問題解決を図るべき、立法措置を期待をするというような判決もあったということで前回お聞きをしたわけですが、それで外務大臣の答弁があったわけですが。  一九五三年から五八年までの細かいことについてまずお聞きしたいと思いますが、朝鮮人の元BC級戦犯何人に、一人幾ら支払われ、総額は幾らだったのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  174. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御質問の内容について詳細にお答えするのは厚生労働省なのかもしれませんが、私が承知している範囲で申し上げますならば、戦争犯罪人が収容されていた巣鴨刑務所に入所中は、その家族に対して一年間に一万二千円を支給したとのことでありました。また、出所後の一時居住施設設置のための補助金計一千万円を朝鮮・台湾出身の受刑者の関係団体に交付し、それぞれ三か所の施設が設けられました。また、生業資金として一人五万円を限度に貸付けを行いました。さらに、昭和三十二年度予算で巣鴨刑務所出所者等援護費補助金として総額六百六十万円を計上し、一人五万円の生活資金を支給したほか、昭和三十三年十二月の閣議了解に基づいて、日本在住の朝鮮半島・台湾出身受刑者に対して一人十万円ずつ、計一千二百六十万円の見舞金が交付されました。また、昭和三十五年には、都営住宅への入居あっせん、タクシー会社の設立援助の措置を行いました。  ちなみに、これらの措置の多くは、朝鮮半島及び台湾出身受刑者と日本人受刑者との間に生じた不均衡の是正や、朝鮮半島及び台湾出身受刑者に対する特別な慰藉のために設けられた制度であり、日本人受刑者には支給されていないものであります。
  175. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 日本人の元戦犯の方は対象外という今お話でございましたけれども、日本の方は自分の帰る家があり親族もいたわけですが、受刑をされて放り出された異国の方は、育ったのは朝鮮半島ですから、身寄りもなくつらい生活だったということの違いがあるということを是非理解をしていただいて対応をお願いをしたいと思っております。  それから、軍人恩給ですけれども、勤務年限、階級、職種等によって差があるわけですけれども、日本人の場合は、元軍属で例えば一九四二年に軍務に就いて、終戦のときに戦犯になって、五六年に釈放されたというようなケースでは大体どのぐらい支払われていたのかということを聞いておるんですが、それは答えられますでしょうか。
  176. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 恩給の話ですので、担当としては総務省からお答えするべきなのかもしれませんが、その上で私の承知しているところを申し上げるならば、恩給法に基づく軍人恩給については、勤務年限、階級、職種によって差異がありますが、この恩給法は軍属には適用されていないと承知をしております。  また、戦傷病者戦没者遺族等援護法による援護年金については元軍属が適用対象となっておりますが、これは勤務年限、階級、職種によって差異は設けられておりません。また、同法に基づく支給は対象の障害の有無や程度によって異なるというふうにされておりますので、これ金額について一概にお答えするのは難しいことであると認識をしております。
  177. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 外務省の方でよくお調べいただきましたが、先ほど大臣がおっしゃったように、多分これは厚労省あるいは総務省の方が直接詳しく答弁をしていただくべき内容なんだと思いますので、是非次回からは担当の部署の方で答えが必要であるならば事前にそのような対応をしていただきたいというふうに申し上げたいと思います。  資料の一枚目に配っておるわけですが、この間、四月一日に国会でいわゆるBC級戦犯の方々の展示会がございました。それに対して韓国の国会議員の方からメッセージがございまして、これは昨年の韓日・日韓議員連盟のときにも取り上げられて、メッセージとすれば非常に丁寧なメッセージでございますけれども、そこで質問でございますけれども、一九六五年の日韓条約、日韓請求権協定において完全かつ最終的に解決しているということになっているわけですが、この日韓会談の中でいつ、どのような内容でこのBC級戦犯の問題が協議をされたのか、お答えをいただきたいと思います。
  178. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国はかつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えました。この認識において安倍内閣としても同じであり、これまでの歴代内閣立場を全体として引き継ぐ考えであります。我が国は、その痛切な反省の上に立って、自由で民主的で基本的人権や法の支配を尊ぶ国をつくり、戦後七十年にわたり平和国家として歩んできました。  そこで、この御質問に対する答えですが、日韓のその協議の中で、外務省において把握している限りにおいては、御指摘のような協議を行った事実、あるいは韓国政府から対応を求められた事実、こうした事実は確認されておりません。
  179. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 二〇〇五年に韓国側が当時の議事録を公開したようでございますけれども、それによりますと、一九五二年の第二十九次予備会談で日本側がこの問題は別途研究したいと提案したと、それきりになっているということが韓国側の議事録が言っているわけですが、日本側には議事録はないんでしょうか。
  180. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の点につきまして、外務省において把握している限りにおいては、御指摘のような協議を行った事実、あるいは韓国政府から対応を求められた事実、これは確認されておりません。
  181. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 議事録はあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  182. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 議事録は存在すると存じますが、その中で、今申し上げましたように、この協議を行った事実、あるいは対応を求められた事実、これは確認されていないと承知をしています。
  183. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 議事録というのは、読めばイエスかノーかはっきりするわけで、確認されていないというのは非常に不透明な答えだろうと思いますが、是非その議事録を公開をしていただくと。韓国側は公開しているわけですが、これは日韓関係にとっても重要だろうと思いますので、是非公開をしていただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  184. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の議事録につきましては、今後、日朝交渉等への影響も想定されます。今、現時点では公開するのは控えるべきだと考えます。
  185. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 是非、非常に重要なことでございますので、これ、日朝との関係においてもある意味では非常に重要な面もありますから、必要な部分だけでも公開をするということも含めまして、是非この権威ある参議院の外交防衛委員会の方でお取り計らいを、公開についてですね、お取り計らいをいただきたいということを委員長にお願い申し上げたいことと同時に、今回の質問外務省の方でかなりお調べいただきましたが、本来は厚労省あるいは総務省等も含めてお答えいただくべきことでございますので、ということは、やはり事前に、政府委員を呼ぶ関係がありますので、事前に、理事会の前に、そういう所掌官庁が、ほかの所掌官庁が必要だということを事前に報告いただきたい。  今回なかったわけですから、その対応について、是非委員会の方でこの対応の可否について御協議をいただきたいと思います。
  186. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまの件につきまして後刻理事会において協議いたしたいと思います。
  187. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 そこで、このBC級戦犯と前後して、これも前回、予算委員会質問させていただいたことでございますが、アメリカの捕虜の方々、この五年間、外務省の方で呼んでいただいております。これ、自民党の玉澤徳一郎先生とか谷川和穂先生とか大変御尽力いただいて五年間続いているわけですが、去年いらっしゃった方々の平均が九十四歳ぐらいでございました。  私が把握している限りでは、大体、アメリカの九十五、六歳の平均の方々で日本に来る意思があって物理的に渡航が可能な方が二十数名と聞いておりますけれども、ということは、今年は戦後七十年でございますので、象徴的な日米交流の事業として是非今年、全員をお呼びになったらどうかと前回も予算委員会で申し上げた次第ですが、是非そういう、これは政治的決断でございますので、いわゆる通常予算を数千万円上乗せすればそういう方々、付添いの方も含めて呼べるわけですから、是非政治的決断をしていただきたいと改めて外務大臣に申し上げたいことと、是非それを、安倍総理が今月末にアメリカに行かれるに当たっては、アメリカでそういう発表をされたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
  188. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 戦後、日本は、痛切な反省に基づき、一貫して平和国家の道を歩んでまいりました。日米両国は、戦後和解して強固な同盟国となり、共に地域と世界の平和と繁栄に貢献してきました。来る総理の訪米におきましては、今後も日米がこのような貢献を継続していくという力強いメッセージを世界に発信していきたいと存じます。  そして、外務省としましては、今年が戦後七十年という特別な年であることを考慮し、先般も答弁したとおり、平成二十七年度の政府予算において例年の水準以上の米国の元POWの方々の招聘予算を計上したところです。例年の二割増しの予算を用意しております。今後、できるだけ多くの方々にこの事業に参加してもらいたいと考えております。  委員の方から訪日する意思のある方二十数名というお話もございましたが、一方で、米国のPOW協会によりますと、生存の可能性のある方々三百八十名という数字も聞いております。この辺の実態もよく確認した上で、何よりも被招聘者の方々の希望ですとか健康状態、そしてこの事業の効果、この辺を総合的に勘案しまして、予算を最大限活用する形で適切に対応していきたいと考えております。
  189. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 御承知のとおり、安倍総理がアメリカ議会で演説するということに対して、フィリピンの捕虜の会の代表の方が、日本は敗戦によりファシズム体制から解放されたと安倍総理が認めるときのみ、ルーズベルト大統領が演説をしたこの議会の演説に招くべきだといったようなことを言っていらっしゃる方もいらっしゃると。やはりこういった、これは感情の問題が一部残っているということも踏まえまして、やはりそういう観点からも、これはサンフランシスコ講和条約あるいはポツダム宣言に関わることでございますので、いわゆる通常予算以上のことをして初めて象徴的な日米関係のいい事業になると思いますので、是非そういう観点から対応していただきたいと思いますが、いかがですか。
  190. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) POWの方々を招聘するこの事業は大変意義ある事業であり、これからも大事にしていかなければならないと存じます。こうした認識の下に、限られた予算ではありますが、予算を最大限効果的に効率的に活用する形で、できるだけ大きな結果を出すよう努力を続けていきたいと思っています。
  191. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 よろしくお願いいたします。  先ほど糸数議員からも質問が出ていましたが、五年以内の運用停止について質問させていただきたいと思います。  資料の三枚目を御覧いただきたいと思います。これは、「五年停止「あり得ぬ」」という、マケイン元大統領候補であり、上院の軍事委員会委員長に関する記事でございます。  それで、一番重要なことは、一番上の線を引っ張っている二番目でございますが、グアム移転に関する基本計画書、マスタープランに、普天間は少なくとも二三年まで継続使用しと書いてあるということをおっしゃっていることと、その左の方で、国防総省、ペンタゴンの当局者も、代替施設完成前の運用停止はあり得ない、我々が打診の段階で拒否した案件である、二国間の正式な協議に発展するはずがないと言っておられますが、正式な協議というのは今まで行われたのか、それはいつなのか、お答えをいただきたいと思います。
  192. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の新聞記事等を通じてのアメリカの関係者の発言について一々何かコメントするのは控えなければなりませんが、我が国としましては、五年以内の運用停止を含む仲井眞前知事からの要望につきましては、米国の大統領を始め関係者に直接伝え、要請を行い、そして米国側からも負担軽減のコミットメントを示してもらっています。昨年四月の日米首脳会談においてもこの問題をやり取りしていますし、昨年四月の私とヘーゲル国防長官との会談においても協力を要請しておりますし、昨年九月の当時の江渡防衛大臣と当時のヘーゲル国防長官の電話会談の際においてもこうした協力の要請を行っていると承知をしております。  日米間におきましては、大統領を始め様々なレベルにおいて意思疎通を図っております。こうした要請はしっかり行っているということは確認をさせていただきたいと存じます。
  193. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今までいつもそうなんですが、前知事からの強い要請という言い方と、それから今のコミットメントの主語は負担軽減なんですね。ですから、沖縄側が言っている、前知事が言っているのは要請で、アメリカ側の答えは、五年以内の運用停止についてじゃなくて、負担軽減に対するコミットメントと今もお答えをしました。  それを裏付けするようなことがこの資料の一番最後のページにありまして、これは沖縄県議会における又吉知事公室長の言葉でございます。一番下の段落でございますけれども、同移設計画の進捗にかかわらず、だから、普天間移設が進むか進まないにかかわらず、その次のアンダーラインの、五年以内運用停止の実現を求めていると、政府が求める辺野古移設と県が求めている五年以内運用停止と分けて書いていますね。これはいつも政府が答弁されているのと同じことで、政府が進めているのは辺野古移設であって、県が求めているのは五年以内運用停止、別の話になっているんですね。  今までの大臣ほかの答弁も、日本政府が五年以内の運用停止を求めたという主語、述語の関係の答弁は一切ないし、私も外務省からこの間聞いて、この議事録等も見ておりますけれども、五年以内の運用停止は沖縄県知事からの要望であって、日本政府からアメリカ政府に言っているということはないんですね。ですから、先ほど私が聞いたのは、正式な協議があったんですかと聞いたのに対しても、正式な協議があったというふうにはお答えになっていない。  それから、そもそも五年以内の運用停止を協議するということはこれは日米合意に反するんじゃないかというふうにアメリカ側は言っていますけれども、五年以内の運用停止を正式に協議するということはこれは日米合意に反するんじゃないんですか。両立はできないんじゃないですか。王手飛車取りみたいな話だろうと思いますが、いかがですか。
  194. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 五年以内の運用停止、そして仲井眞前知事からの要望につきましては、外交交渉の詳細にまで明らかにすることは通常行われていないことから、できる範囲で公にした部分について説明をしたということで先ほど来の説明をさせていただきました。  しかし、一つ申し上げておきたいことは、五年以内の運用停止を含むこの四項目の仲井眞前知事からの要望、間違いなくアメリカに伝えております。その内容において、五年以内の運用停止、間違いなく含まれております。これは首脳会談においても同じであります。そうした要望をしっかり伝えながら、日米間で意思疎通を図ったということであります。
  195. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 交渉の中身のちょうちょうはっしのやり取りを聞いているのではなくて、五年以内の運用停止ということの中身と日米合意ということ自体がそもそも矛盾するんじゃないんですか。両立できるんですか、五年以内の運用停止ということと日米合意。つまり、普天間が辺野古移設が終わらないうちに閉鎖するということが両立できるかということですが、両立できるんですか。これは交渉事じゃなくて、これは基本的な考え方として。
  196. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米合意と両立し得るのかということでありますが、日米合意は当然存在するわけでありますが、その中にあっても、首脳会談等において五年以内の運用停止について日本側からはっきりと米国に要請を行い、やり取りを行ったということであります。これは矛盾することではないと考えます。
  197. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 この三ページ目のマケインさんの記事をまた御覧いただきたいと思います。  「米の立場明確に」という見出しの左側のところをお読みいただきたいと思いますけれども、アメリカ国務省高官も、普天間は日米が合意した二二年度以降の返還が唯一の方法とし、次の言葉ですけれども、五年以内を検討するなら日米合意を見直し、計画自体が遅れると認識と。つまり、両立しないとアメリカの国務省高官が言ったと報じられているわけですが、ということは、アメリカの国務省の高官は、五年以内の検討と日米合意の見直し、これは計画自体が遅れるとおっしゃっているということは、アメリカの国務省高官がこれ仮に言ったとすると、この認識は基本的に間違っているという理解でよろしいですね。
  198. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 新聞記事の、そして米国の国務省高官の発言と言われているこの発言、これについて私の立場からこうした参議院の委員会の場で何か申し上げるということは控えなければならないと思います。この新聞記事について一つ一つコメントするのは控えます。
  199. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 もう一つの側面は、この間も実は城内副大臣に聞いたんですが、五年以内の運用停止ということと、それから普天間基地が閉鎖される間には、これ時差がありますね。それで、運用停止ができた段階で、これは中谷防衛大臣はヘリコプターが飛ばない状況とかおっしゃっていますけれども、要するに、少なくとも運用停止になった段階で危険除去は成立をするんだろうと思いますが、それから数年先のいわゆる閉鎖の間は、これ危険除去というのは騒音軽減以外はほとんど進まないと思うんですが、その認識はよろしいですね。つまり、運用停止で危険除去は起こるけれども、普天間がある限り、まだ負担軽減にはそんなに至らないと思うんですけど、それはよろしいですね、認識は。
  200. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 運用停止後の状況について御質問をいただきました。  運用停止については政府として全力で取り組む、これはもう当然のことでありますが、この運用停止というのはどういう状況を指すのかということにつきましては、今日までも沖縄県の関係者の皆様方と意思疎通を図りながら議論をしてきた課題であります。  具体的に何がどうなるかということにつきましては、引き続き沖縄の関係者の皆様方としっかりと議論を行い、意思疎通を図っていきたいと考えています。
  201. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 今日の答弁から、前知事からの要請という言い方に答弁を変えたと思っています。今までは沖縄からの要請と言ってきたと思いますけど、今日の答弁は前知事からの要請となったので、恐らく言い換えがあったんだろうと思いますが、それを確認をしておきたいことと、それと、時間がないので一つ。  昨年、オバマ大統領が来日をされたときに、尖閣問題に関して、この尖閣の施政権は安保条約の五条の対象になると言ったということで歓迎されたわけですが、もっと重要な点は、オバマ大統領は、領有権に立場を取らない、コミットをしないということをおっしゃったということがはるかに大きいと思うんですが。  ということは、アメリカは領有権にはコミットしないということは、仮に日中が衝突をしても米軍は軍事的には参画をしないということの意思表明だったんだと思いますけれども、その認識でよろしいかどうか。それで、もし違うと言うならば、アメリカ側に対して、その見方は違うというような申入れなり働きかけを日本側からしたのかどうか、それだけお答えをいただきたいと思います。
  202. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、沖縄からの要請につきましては、従来から、五年以内の運用停止を含む仲井眞前知事からの要望について、あるいは四項目の要望についてという言い方で統一をしていたと思います。いずれにしましても、同じことを申し上げております。  そして、後半の方の質問ですが、米国は累次の機会に、日米安保条約第五条は尖閣諸島にも適用されることや、安保条約の下での米国のコミットメント、これを確認しております。二〇一四年四月のオバマ大統領の訪日時にも、日米首脳間で、日本の施政下にある領土は日米安保条約第五条の適用対象であり、尖閣諸島もそれに含まれること、米国は尖閣諸島に対する施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対すること、これを確認しています。  日本政府としては、米国が条約上の義務を果たすことに信頼を置いております。そして、米国政府は、尖閣諸島の最終的な領有権について特定の立場は取らないとしつつも、同盟関係にある日米の日頃からの緊密な意思疎通を通じて、尖閣諸島が我が国固有の領土であるという日本立場自体は十分理解していると認識をしております。  いずれにしましても、我が国固有の領土である尖閣諸島をめぐり、解決すべき領有権の問題はそもそも存在しておりません。このことは他の国の立場によっていささかも影響を受けるものではないと認識をしております。
  203. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 藤田幸久君、時間が来ております。
  204. 藤田幸久

    ○藤田幸久君 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。     ─────────────
  205. 片山さつき

    委員長片山さつき君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、末松信介君が委員辞任され、その補欠として堀井巌君が選任されました。     ─────────────
  206. 小野次郎

    ○小野次郎君 午前中に引き続いて、私はまず最初に、集団的自衛権の行使容認に関して質問させていただきます。  今日公表されたんでしょうか、外交青書において、韓国について、これまで、自由、民主主義、基本的人権などの基本的価値を共有するという表現が付いていたんだけれども、その表現を削除したと言われています。  こういう基本的価値を共有していない国と、密接な関係にある外国というのはなり得るものなんですか。
  207. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 外交青書について御質問いただきました。  外交青書の改訂ですが、これは毎年定期的に改訂をしております。毎年定期的に改訂する中にあって、その時々の施政方針演説等に合わせる形で行った次第であります。  いずれにしましても、韓国は我が国にとって最も重要な隣国です。今後とも、大局的観点から、重層的で未来志向の日韓関係構築すべく努力をしていきたいと考えています。
  208. 小野次郎

    ○小野次郎君 重ねてお伺いしますけれども、韓国は、日本が集団的自衛権の行使容認をする場合に、そうした集団的自衛権の行使を共有する関係になり得る国だ、そういう認識ですか。
  209. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 昨年七月の閣議決定においては、切れ目のない安全保障体制安全保障法制を目指すべく、政府考え方を取りまとめております。そして、その切れ目のない対応の中で、一部、集団的自衛権の一部を容認することを考える必要がある、ただ、その際に、新三要件の適用というものを厳格に考えていかなければならない、こういった考え方を定めております。  あくまでも、我が国の集団的自衛権行使に当たりましては、新三要件に該当するかどうか、この基準でしっかり考えた上の結果であると考えます。
  210. 小野次郎

    ○小野次郎君 新三要件は日本の側から見た要件なんですよ。ですから、相手の国、つまり韓国が直接の攻撃を受けたというときに、韓国が日本から見て密接な関係にある外国になり得るんですかという質問をしているんです。
  211. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 新三要件の適用を考えるということを申し上げましたが、具体的にどのような国がこれに当たるかについてあらかじめ特定されているものではありません。これは、あくまでも武力攻撃が発生した段階において個別具体的に判断されるものであると認識をしております。
  212. 小野次郎

    ○小野次郎君 重ねてお伺いしますけれども、密接な関係というのは、だって既に密接な関係になっているから密接な関係と言うわけでしょう。だから密接な関係になり得るのかと聞いているんです。
  213. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 三要件を全体として満たすかどうかを判断いたします。事前にどの国がこの対象になるのか、これを特定するものではないと考えます。
  214. 小野次郎

    ○小野次郎君 それはおかしいですよ。新三要件というのは、本当に日本の国内で、これ行使容認するんだったらこういう要件ですよねといって日本政府が閣議決定したのであって、元々集団的自衛権の行使の要件のときに自国と密接な関係にある外国というのが要件で入っているんだから、韓国はその自国と、日本と密接な関係にある外国となり得るのかと聞いているんです。
  215. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この密接な関係にある他国については、一般に、外国からの武力攻撃に対して共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものであると考えております。
  216. 小野次郎

    ○小野次郎君 だから、基本的人権も自由も民主主義も基本的価値を共有すると去年まで言っていたのを今年からそれを削除したような国が密接な関係にある外国となり得るんですかと聞いているんです。
  217. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御質問いただいた点につきましては、これまでも何度も国会において説明をさせていただいております。これは、あらかじめ特定されるものではありません。個別具体的に判断するものだと考えております。
  218. 小野次郎

    ○小野次郎君 総理がよく話題にされるホルムズ海峡というところ、どこの領域かというと、オマーンなんですよ。オマーンというのは、僕たち一応政治家ですから国の名前とどこにあるかぐらいは分かっていますけど、日本人一般にしてみたら、とても密接な関係にある他国なんて誰も思っていないと思いますよ。こういう国はなり得るんですか、オマーンは。
  219. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) それについても先ほど来お答えしているとおりであります。あらかじめどの国が該当するか、これを特定しているものではありません。個別具体的に考えます。
  220. 小野次郎

    ○小野次郎君 もっと続けたいんですが、今日はとても大事な質問があるので次の機会に譲りまして、私がおととしも去年も指摘している問題で、大使公邸の調理人の話でございます。  もう岸田大臣も、ああ、あのことかと思い出していただいたと思うんですが、毎年聞いているんですけど、何かようやく外務省の方でそれを制度化されるということを聞いたので、まず、その公邸調理人について、これを制度化する内容についてお伺いしたいと思います。
  221. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 公邸料理人の給与ですが、現在、私的雇用契約に基づいて在外公館長より支払われており、在外公館長に対して官費補助が行われているという状況にあります。現在、官費補助額は給与額の三分の二としつつ、十七万円までを限度としております。  公邸料理人については、様々な外交活動を円滑に進めるためにも、また世界に誇る和食や日本産酒類をしっかりアピールするためにも、役割は重要であると考えておりますし、この公邸料理人の活動を支え、きちんとした人材を確保するためにも様々な工夫が加えられてきました。  そして、その一つである契約の在り方について、平成二十四年七月、外務人事審議会から、将来的には公邸料理人制度を外務省と料理人との公的契約に基づくものとし、給与等は官費から支出し、私的に使用した分については私費負担とすべきとの勧告が外務大臣提出をされました。そして、小野委員からも累次にわたって御提言をいただいてまいりました。  これらも踏まえまして、外務省として最適な公邸料理人制度の在り方について検討を進めたところ、平成二十七年度予算政府案において公的契約に基づく公邸料理人を試験的に十公館に派遣するための経費を計上いたしました。是非、試験的派遣を運用していくわけですが、この結果を踏まえて更に検討を進めていきたいと考えております。
  222. 小野次郎

    ○小野次郎君 私だけが提言したわけじゃありませんが、具体化して、大変私も満足しているところです。  十公館ということですけど、数よりも、この料理人は、イメージは和食ですか、洋食ですか。
  223. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども申し上げましたように、和食や日本産酒類をしっかりアピールするためにも公邸料理人は重要だと認識をしております。よって、料理の種類からいいますと和食が中心になります。
  224. 小野次郎

    ○小野次郎君 是非、試験実施ということですけど、その待遇をいい待遇で始めていただきたいと思います。  私と同じ名前の方で、おすしを握るので有名な方おられるんですよね、小野二郎というんですけれども。私は、有権者の手は握るけど、すしは握りませんと言っているんですが。  やはり、大臣自身もおっしゃったとおり、その料理人が出した料理というのが、あるいは外国の方にとっては初めて口にする日本料理であったり、若しくは日本料理ってこんなもんだというイメージをつかむ大事な外交的役割も果たす立場の方ですから、ぎりぎりの条件のところで、それでも来るという人に作ってもらうんじゃなくて、是非、何年かお勤めいただいた後、日本に帰ってきてでも星の付くレストランでもやるような、そういう立派な方を来ていただけるような待遇を是非御検討いただきたい。そのことを、ちょっと一言、コメントがあれば、いただければ有り難いんですが。
  225. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今、小野委員からありました考え方、大変重要であると認識をいたします。日本のすばらしい和食あるいは文化、こういったものをしっかりアピールできるためにどうあるべきなのか、その際に大変重要な要素であります公邸料理人の在り方について、是非引き続きまして検討を進めていきたいと考えます。
  226. 小野次郎

    ○小野次郎君 和食の国際的評価が高まっている時期でもありますので、是非その点についてもしっかりと検討していただきたいと思います。  私の質問は終わります。
  227. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  在外公館法等の改正は、必要な内容であり、賛成であります。  今日は、今月末から開かれますNPT再検討会議についてお聞きをいたします。  私は広島育ちの被爆二世でもあり、前回、前々回と二回続けて国連にも行きまして、様々な行動に参加をしてまいりました。前回は志位委員長とともに訪米をいたしまして、この会議のカバクチュラン議長、ドゥアルテ国連上席代表らと核兵器のない世界をつくるために何が必要かと、こういう意見交換もし、九か国の代表とも懇談をいたしました。  この前回会議の到達を踏まえて前進をさせるために、被爆国日本が何をするかという対応が今非常に問われていると思います。前回の第八回NPT再検討会議において、日本を含めて全会一致で採択された最終文書で核兵器のない世界を実現することを決議し、そのための必要な枠組みを確立する特別な取組を行うことを確認をしております。  外務大臣は、この間の答弁で、NPTに向けて日本も多くの文書を提出していると、こう言われておりますが、この前回の最終文書が特別に強調した核兵器のない世界を実現するために必要な枠組みを確立する特別な取組について、これについてはどのような提案を日本はしてきたというのでしょうか。
  228. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 二〇一〇年のNPT運用会議において示されたNPT行動計画の実現のために、我が国としましては、基本的にまずNPDI、軍縮・不拡散イニシアティブ、こうした十二の非核兵器国から成る核軍縮・不拡散に関する地域横断的グループを立ち上げて、現実的、実践的な取組を進めてきました。  そして、今御指摘のように、十八本の作業文書をこの五年間取りまとめ、国連に提出をしてきたわけですが、その枠組みの成果としまして、例えば我が国が主導して作成しNPDIとして提出した標準報告フォーム案、これは核兵器国に自らの核兵器の状況について透明性を持って報告してもらうためのフォーム、ひな形でありますが、このフォームに基づいて、核兵器国間における議論を喚起し、昨年の第三回準備委員会におきまして核兵器国による核軍縮義務の履行状況を報告させる、こういった貢献も行いました。ただ、残念ながら、報告がまだ不十分だという認識に立ち、引き続き核兵器国に対しこの報告内容を充実するよう働きかけを行っている、こういった取組を行っております。  引き続き、こうした現実的、実践的な取組をしっかりと続けていきたいと考えています。
  229. 井上哲士

    ○井上哲士君 やっぱり、従来の枠内のものだと思うんですね。私は、およそ最終文書が言った特別な取組とは言い難いものだと思いますし、やっぱり日本も賛成したこの最終文書に盛り込まれていることに対してしっかり努力をしなければ、合意への姿勢が問われると思うわけですね。  問題はこの枠組みの中身でありまして、前回の最終文書は特段そこについての明確な言及はありません。ただ、この最終文書で、とりわけ確固たる検証システムによって裏打ちされた核兵器禁止条約若しくは相互に補強し合う別々の文書という枠組みの合意を検討すべきであるとする国連事務総長の軍縮提案に留意すると強調していることは非常に重要だと思います。  この提起を受けて、前回会議以降、国際政治の場で核兵器禁止条約が浮上してきたわけですね。そして、その交渉開始が実際に提起されるようになっていることは大変重要な変化だと思います。国連総会では、核兵器条約の交渉開始を要求するマレーシア提案の決議に加えて、二〇一三年からは包括的に禁止する条約についての交渉を要求する非同盟の諸国提案の決議が加盟国の三分の二以上の賛成で採択をされております。  これらは、前回の最終文書で確認をされた内容を実現をするための国際的に非常に重要な努力だと考えますけれども、どのように評価されているでしょうか。
  230. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 前回のNPT運用検討会議後の各国のそれぞれの努力につきましては、敬意を表し申し上げたいと思います。  その中で、我が国対応としましては、御指摘の二〇一〇年のNPT運用検討会議合意された行動計画ですが、強固な検証制度に支えられた核兵器禁止条約交渉又は個別の相互に補強し合う文書の枠組みへの合意についての検討を含む国連事務総長による五項目の提案に留意するという部分につきまして、留意するという表現であるということ、さらには具体的な時期は明示していないというふうに承知をしております。こういった部分も勘案しながら、より現実的、そして実践的な取組を進めていかなければならないと考えています。  核兵器国と非核兵器国、これ、協力しないことには核兵器のない世界は実現することはありません。是非、核兵器国と非核兵器国が協力する、そういった体制をつくるために、引き続き、現実的、実践的な取組を続けていきたいと考えています。
  231. 井上哲士

    ○井上哲士君 現実的という言葉を使われますが、結局、この間私も本会議でも質問しましたけど、この核兵器禁止条約については核保有国が反対しており現実的でないと、こういう総理も答弁をされたわけで、事実上、この枠組みから排除するというのが日本政府の姿勢だと思うんですね。  先ほども言いましたように、核兵器のない世界を実現するために必要な枠組みを確立する特別な取組を行うとした最終文書に賛成をしながら、その中でとりわけ強調されているこの条約を事実上排除をするというのは、賛成した国として私は矛盾をした態度だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  232. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほども申し上げましたように、二〇一〇年のNPT運用検討会議合意された行動計画においては、国連事務総長による五項目の提案に留意するという表現になっております。そして、具体的な時期を明示しているものではありません。そうしたことを考えますときに、総理の答弁、現時点では交渉を開始できる状況にないという認識を示したものでありまして、同行動計画に反するものではないと存じます。  いずれにしましても、我が国としましては、核兵器のない世界に向けてしっかりとした前進を図るために、核兵器国と非核兵器国が協力する、そうした体制をつくるためにしっかりと努力をしなければならないと考えております。
  233. 井上哲士

    ○井上哲士君 全会一致ですから、いろんな配慮があったものではあるんです。しかし、時間が書いていないからとかというんじゃなくて、やっぱり被爆国としてもっと積極的な対応をするべきだと思うんですね。  何かこの間の参議院予算委員会の答弁でも、この議論をすれば核保有国との関係に溝をつくるかのような言い方をされました。しかし、この再検討会議の最終文書も、それから、そもそもこの条約の第六条で核兵器国に課せられた核軍縮義務も、いずれも全ての核保有国が賛成をしている中身なわけでありますから、これに基づいてこの核兵器禁止条約も含めた枠組みについて議論と交渉をしようじゃないかということを被爆国としてもっと積極的に働きかける必要があると思いますが、その点、いかがでしょうか。
  234. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 前回のNPT運用検討会議の成果を踏まえて、現実的に核兵器のない世界に向けて前進させるために、我が国としては様々な努力を行ってきました。先ほども申し上げました標準報告フォーム等の提案を通じて、核兵器国に対しましても自らの核兵器のありようについて透明性を求めてきましたし、核軍縮交渉におきましても、米ロのみならずマルチの会議を行うべきである、こういった提案も行ってきました。そして、核兵器の非人道性の議論、これもまさに核兵器国と非核兵器国を協力させる、結び付ける触媒として重視するべきだ、こういった考え方に基づいて、核兵器国、非核兵器国共に協力を促す、こういった努力も続けてきました。さらには、広島、長崎、こうした被爆地に世界の政治リーダーに是非足を運んでもらい被爆の実相に触れるべきだ、こういった内容もNPDIの枠組みの中で国連に提言する、こういった努力も続けてきました。  我が国は、核兵器のない世界を実現するためには核兵器国と非核兵器国が協力しなければ結果につながらない、そういった思いで具体的な提案をし、行動してきたと、この五年間振り返っています。是非、この成果を今回のNPT運用検討会議の成果文書においてもしっかりと盛り込んで、会議の成功に貢献していきたいと考えています。
  235. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 井上哲士君、そろそろお時間でございます。
  236. 井上哲士

    ○井上哲士君 いろいろ言われましたけれども、しかし、高齢の被爆者も含めて一番の思いは核兵器禁止条約に向けた議論をまず開始することだと、これが一番の思いでありますから、是非その点での被爆国としての積極的な対応を強く求めて、質問を終わります。
  237. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 次世代の党、浜田和幸です。  アジアインフラ投資銀行について午前中も質問がありましたけれども、三月末の創立メンバーになる、これには間に合わなかったと。しかし、次、六月に、言ってみれば最終的なスタートするチャンスがあるということで、中国の日本から行っている木寺大使が、これは三月三十一日のフィナンシャル・タイムズには、六月までには日本はAIIBに参加すべきだと、理由とすれば、日本の経済界から大変強い要請が来ているんだと。また、それを引用する形で四月の三日のチャイナ・デーリー、これもやっぱり日本が六月には参加すべきだという木寺大使のコメントを引用しているんですよね。  これは今、日本政府とすれば慎重に検討しているということで、まだ六月の段階でどうするか決まっていないという理解をしているんですけれども、木寺大使、中国で中国の情勢をいろいろと見ながら、やはりこれは日本としても是非とも参加すべきだということを言っておられる。フィナンシャル・タイムズやチャイナ・デーリーがそういうものを引用している。これは日本の今の政府立場と若干違っているように受け取られるんですけれども、真意はどこにあるんでしょうか。
  238. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘の報道があること、これは承知をしています。しかし、これ改めて確認をしたいと思いますが、木寺大使が日本のAIIB参加の見通しについて発言した、こういった事実はございません。  AIIBについては、我が国が中国側に提起している問題意識や必要な基準が満たされるかどうか、これについて特定の期限に関わりなく慎重に見極めていく、こうした我が国方針は変わってはおりません。
  239. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 駐中国の日本大使の発言に関しましては、さきに丹羽大使の頃も同じフィナンシャル・タイムズで尖閣の問題について日本政府と極めて違う意見表明されて、大きな外交問題に発展しましたよね。  そこでお聞きしたいんですけれども、大使が海外のメディアに対して、今の大臣のお話だとインタビューには応じていないとおっしゃいましたよね。しかし、イギリスを代表するフィナンシャル・タイムズが大使にインタビューもしていないのにこんな大きな記事に大使の発言を載せるということはにわかには信じ難いと思うんですね。しかも、中国の英字新聞もそれを引用しているわけなんですよね。ですから、本当にインタビューはなかったのか、あるいはインタビューを受けたけれどもその真意が曲解されるような形で報道されたのか。その辺りが何かはっきりしない。  大使が海外の主要なメディアに、当然、日本の主張をアピールする意味で積極的に発言されるのは私は必要だと思うんです。しかし、それが曲解されたり誤った引用をされたということは、それは訂正する必要があると思うんですけれども、いや、インタビュー自体受けていないというようなことは、もしあったとすると、じゃ、フィナンシャル・タイムズやチャイナ・デーリーに対して、やってもいないインタビューを世界に発信する、こんなことは認められない、それこそ訴えるべき価値があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  240. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 確認したところ、実際は、木寺大使は記者の質問に対し、AIIBの具体的な内容が固まっていくには二、三か月掛かるだろう、こうした発言をしたのみであるということでありました。報道のような発言をしたという事実はございません。  なお、フィナンシャル・タイムズには既に抗議を行っております。
  241. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 分かりました。そういう意味で、木寺大使が固まるまでに二、三か月は掛かるだろうとおっしゃったことが、この報道によると、さも日本の各企業、特に経団連の榊原会長等は、日本アジア太平洋地域の成長を取り込むためにはこのAIIBは極めて重要である、また、経済同友会の長谷川代表幹事も、インフラビジネスで日本が不利にならないようにするためにはAIIBとどういう形で向き合うかということを前向きに考えるべきだ、昨日は福田元総理も、日本がこのAIIBには参加しない理由はないということをおっしゃっています。  そういう流れがいろいろと醸成されている中での大使の発言が、ある意味では中国に都合のいいようにフィナンシャル・タイムズでは報道された。ということは、やっぱりこれからも似たような働きかけが行われる可能性があると思うんですね。  今大臣は、フィナンシャル・タイムズに抗議を申し述べられたとおっしゃっていますけれども、それについては何か反応があったんでしょうか。
  242. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 抗議を行ったそのさらに反応ということについては、何も報告は受けておりません。
  243. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 在外公館の大使が日本政府を代表し、日本を代表していろんなところで発言する、これはとても重要なことだと思うんですけれども、何かそういうときに、事前の、何というか、要領というか、相手方に誤解を与えないような何か事前の打合せみたいなものはあるんでしょうか。
  244. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、AIIBに対する我が国立場考え方は、午前中の質疑の中でも申し上げましたように、慎重なものであります。それは全く変わっておりません。そして、こうした考え方については、在外公館、大使ともしっかり意思疎通を図っております。  そして、今回のこの発言につきましては、先ほど申し上げましたように、我が国立場とか考え方を申し上げたのではなくして、AIIBの具体的な内容が固まっていくには二、三か月掛かるであろう、こうした発言をしたのみであります。これが事実であるということ、これをしっかりと確認をし、そして、しかるべき抗議など、対応はしていきたいと考えております。
  245. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 これは、引用文を見ると、全く大使がおっしゃったことと違う内容になっているんですね。ですから、これはゆゆしい問題だと思います。  それと、それはさておいて、しかし、いろんな日本の経済団体の方々は、先ほど申しました榊原会長にしても長谷川代表幹事にしても、AIIBについては結構前向きというか、発言が相次いでいるわけですね。  今、外務省日本企業支援ということで、官民一体となって日本企業が海外でインフラ受注を行ったり、日本の商品やサービスがどんどん売れるように応援していこうという、そういう政策を推し進めておられるわけだから、そういう観点の中で、このAIIBに対して、先ほど、午前中、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアからも事前に参加の通告が、連絡があったと、調整をした上で、問題意識を共有しながらこういった国々は参加するということが言ってみれば日本に事前に連絡があったわけですけど、日本だけがそれに対して、まだまだ透明性が足りないとかいろんな問題があって参加できない。  このヨーロッパの国々やオセアニアの国々と日本考え方、評価の違いはどこにあるんでしょうか。
  246. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、我が国としましても、アジアにおけるインフラ資金の需要の増大はしっかり認識をしております。ADBの試算によれば、二〇一〇年から二〇二〇年にかけてアジアには約八兆ドルのインフラ資金需要があると見積もられており、こうした課題に取り組むことは重要だと認識をしています。  そして、我が国がこうしたインフラ需要に対応する方途として、我が国が有する様々な経済協力の手段の効率的な活用、そしてADB、世銀等のマルチの機関との連携、民間部門の資金、ノウハウの動員、他国との協働、こういったものを考えながら、質の高いインフラ投資を通じてアジア地域のインフラ需要に応えていく考えであり、こうした考え方は、従来からAPECあるいはG20の場でも提起を行っています。  その中にあって、このAIIBの議論でありますが、公正なガバナンスの確立など確認をしなければいけない点がある、国際金融機関にふさわしい基準がしっかり満たされることが必要である、こういった問題意識を持って中国側に問合せを行い、また働きかけを行っているところであります。  推計ではありますが、もし日本が参画をしたならば、一千億円単位の大きなお金が求められるというふうにも言われています。こうした大きな国民の税金を使う以上は、しっかりとしたものを確認した上で決断をしなければいけない、こうした慎重な態度は、これは当然のことではないかと思っています。  是非、こうした我が国のAIIBに対する考え方あるいは問題点につきまして、しっかりとした答えが示されることを期待したいと思っています。
  247. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 浜田和幸君、お時間が来ております。
  248. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 もう時間が来ました。  ADBが八兆ドルということは、八百兆円のマーケットがあるわけですね。もし一千億円で八百兆円取れるのであればこんなすばらしいこともないわけでありまして、是非とも、経済界からの様々な疑念というか要請もあるわけですから、そういうものを受け取っていただいて、各国と協調しながらこのAIIBに向き合っていただきたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  249. 片山さつき

    委員長片山さつき君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、アントニオ猪木君が委員辞任され、その補欠として山口和之君が選任されました。     ─────────────
  250. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子でございます。  在外公館整備と人員体制強化についてお伺いいたします。  我が国平成二十六年度末の外務省職員数は五千七百八十七人、一方、外務省平成二十六年一月から三月に行った調査によりますと、アメリカが二万八千五百五人、ロシアが一万一千七百八人、フランスが九千三百三十四人に上るなど、我が国外務省職員の数を大きく上回っています。  外交実施体制強化には、在外公館整備とともに人的体制強化が不可欠であるというふうに考えますが、岸田外務大臣は現在の人員体制についてどのように評価されていらっしゃるのか、また、今後、人員体制強化に向けていかなる取組を行うのか、お伺いいたします。
  251. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 在外公館名称位置・給与法案及び平成二十七年度の予算案が認められたならば、平成二十七年度末の我が国在外公館設置状況、大使館が百四十五、総領事館六十二及び政府代表部八の合計二百十五公館となります。また、外務省定員は八十二人増加しまして五千八百六十九人となります。大使館の数ということを考えますと、米国が百六十八、中国が百六十五、こうした各国と比べまして、決して日本の百四十五という大使館数、十分とは言えないと考えています。また、人員数でも、フランス、中国は我が国の一・五倍、ロシアが二倍、米国は五倍、こうした状況にあります。  そして、一方で、外務省を取り巻く外交領事業務、これはもう拡大の一途です。海外で活躍する日本人、年々増えてきています。一方で、邦人保護に万全を期す必要がますます高まっています。また、情報収集体制強化が言われています。また、日本企業支援の要請も高まっています。八本の経済連携協定の締結にも適切に対応していかなければなりません。  こういったことを考えますと、是非国会でのこの御議論を踏まえつつ、主要国並みの外交実施体制の実現に向けて、厳しい財政状況の中ではありますが、骨太の方針二〇一四に定めたとおり、人的体制在外公館物的基盤整備に向けて努力を続けていきたいと考えています。
  252. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  情勢が不安定な国やそれから途上国で勤務する我が国の在外職員の中には、犯罪被害やテロなどと隣り合わせでの勤務を余儀なくされている方がいます。中東それから北アフリカにおいてはイスラム過激派の活動等により地域情勢が著しく悪化している状況の中、また、途上国では医療体制の不備やそしてインフラの未整備による断水や停電などによって過酷な勤務を強いられることもあるというふうに聞いております。  過酷な勤務条件は経費として積算が困難ではありますが、外交の現場を担う在外職員の在勤基本手当の水準を在外職員の生活勤務実感に見合ったものとするということは不可欠であると思っております。本法律案により在勤基本手当の基準額が改定されますが、外務省は過酷な勤務条件下にある在外職員の処遇についてどのように認識し、そして措置しているのか、改めて伺います。
  253. 上月豊久

    政府参考人(上月豊久君) お答えいたします。  在外公館の職員の待遇の問題を考えるときには非常に重要な御質問をいただきました。  在外公館我が国外交活動の基盤でございますとともに、邦人保護の最後のとりででありまして、そこで働く在外職員が存分にその職務を果たせるよう、在外職員に対しては、第一に安全対策、第二に健康対策、そして第三にその他の勤務条件の措置、この三つが重要だと思っております。  第一番目の安全対策について申し上げれば、人的、物的面からの安全対策のために必要な警備対策が必要と思っております。特に、今御指摘ありました中東、アフリカ等で増大するテロの脅威を踏まえ、治安上の脅威が高い公館については、防弾車の配備ですとか身辺警護員の配置等を行って警備体制構築しております。  二番目に、健康管理の問題でございます。現在、九十六の公館に医務官を配置しておりますし、また、定期健康診断のほか、風土病などの現地特有の病気に対する検査の実施や緊急移送体制の充実といったことにも取り組んでおります。今後とも、医務官制度を活用しつつ、在外職員の健康管理に努めてまいりたいと思っております。  第三に、勤務環境のことでございます。勤務、生活環境の厳しさの度合いに応じて、本日御審議いただいている在勤基本手当を加算しております。また、館員住宅に対する自家発電や浄水器の設置等、支援策を講じているところでございます。  今後とも、勤務環境が厳しい在外職員の待遇改善に意を用いたいと思います。御協力よろしくお願い申し上げます。
  254. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、環境補足協定についてお伺いしたいと思います。  昨年の十月の二十日、日米両政府は、環境分野について日米地位協定を補足する環境補足協定の実質合意に至ったことを発表いたしました。私は十月二十八日の外交防衛委員会でこの件について御質問させていただきました。本協定は、日本環境管理基準、JEGSの発出、維持や、そして文化財調査を含む返還予定地の現地調査、そして環境事故の際の調査のための立入り手続の作成、維持などの規定を明確に定めるものであるというふうにされております。本協定の締結が沖縄県の負担軽減につながるというためには、単にJEGSや立入り手続が協定上の基準、制度として策定されるだけでなく、これらが米軍によって適切、確実に運用されることが担保されるような仕組みが備わっていることが必要であると考えます。  環境補足協定の実質合意から半年近くが経過いたしましたが、本協定の署名に向けた日米間の協議の中で、以上のような観点を含め具体的にどのような進展が見られたのか、これを簡潔に説明をお願いいたします。
  255. 冨田浩司

    政府参考人(冨田浩司君) お答えをいたします。  日米地位協定の環境補足協定につきましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、昨年の十月に米側と実質合意に至った旨の御報告をさせていただいたところでございます。  現時点におきましては、協定の下で作成する施設・区域への立入りのための手続を定める文書等の協議を行っているところでございます。現時点で具体的な署名時期はまだ確定しておりませんけれども、引き続き署名に向けて必要な作業をしっかりと進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  256. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 前沖縄県知事の仲井眞氏による普天間飛行場の五年以内の運用停止、そして環境に関する日米地位協定の改定など四つの要望について、これは安倍総理を始めとする政府は、これまで政府としてできることは全て行うというふうにおっしゃいました。昨年十月にこの環境補足協定に実質合意した際も、政府は、JEGSの発出、維持を協定として明確に定めることについて、沖縄県知事の要望に応えるものだとしてその成果を強調したところです。ところが、昨年十一月の沖縄県知事選挙では、この辺野古の新基地建設に反対する翁長氏が当選をいたしました。  沖縄県知事が交代しても、沖縄県側が二〇一三年の末に示した四つのこの要望書に対する政府の姿勢は変わらないという理解でよろしいでしょうか。沖縄県知事の交代によって環境補足協定の早期運用開始を含む沖縄県の示した要望に対する政府取組が停滞するようなことがあってはならないと考えますが、外務大臣の見解を伺います。
  257. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 日米地位協定の環境補足協定の締結を含む仲井眞前知事からの要望につきましては、同前知事からの強い要請を受け、政府として全力で取り組んできております。これは引き続き、相手のあることではありますが、できることは全て行うというのが政府の基本姿勢であり、こういった姿勢は全く今までと変わっておりません。  環境補足協定につきましても、先ほどこの現状について御報告をさせていただきましたが、引き続き署名に向けて必要な作業を進めていきたいと考えております。
  258. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間でございますので終わりますけれども、具体的なその開始の時期、お示しをいただきたいと思います。
  259. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今、先ほど申し上げましたような作業、施設・区域への立入りのための手続を定める文書の協議を行っているところであります。できるだけ早く協議をまとめ結果につなげたいと思っておりますが、具体的にいつまでとこの場で申し上げるのはちょっと控えなければなりません。できるだけの努力をいたします。
  260. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。終わります。
  261. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について北村君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。北村経夫君。
  262. 北村経夫

    北村経夫君 ただいま議題となっております在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党及び公明党を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  以下、その趣旨について御説明申し上げます。  第一に、原案では「平成二十七年四月一日」となっているこの法律の施行期日を「公布の日」に改めることであります。  第二に、この法律による改正後の在勤基本手当の基準額に関する規定は、平成二十七年四月一日から適用することとし、この場合において、必要な読替えを行うことであります。  以上が修正案の趣旨であります。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  263. 片山さつき

    委員長片山さつき君) これより原案及び修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、北村提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  264. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 全会一致と認めます。よって、北村提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  265. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会