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2015-03-24 第189回国会 参議院 外交防衛委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年三月二十四日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         片山さつき君     理 事                 北村 経夫君                 佐藤 正久君                 三木  亨君                 大野 元裕君                 荒木 清寛君     委 員                 宇都 隆史君                 小坂 憲次君                 末松 信介君                 豊田 俊郎君                 松山 政司君                 北澤 俊美君                 小西 洋之君                 福山 哲郎君                 藤田 幸久君                 石川 博崇君                 小野 次郎君                 井上 哲士君               アントニオ猪木君                 浜田 和幸君                 糸数 慶子君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣     中谷  元君    副大臣        外務大臣    城内  実君        防衛大臣    左藤  章君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        越智 隆雄君        外務大臣政務官  宇都 隆史君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        警察庁長官官房        総括審議官    沖田 芳樹君        警察庁警備局長  高橋 清孝君        外務大臣官房審        議官       山上 信吾君        外務大臣官房審        議官       下川眞樹太君        外務大臣官房審        議官       鈴木  哲君        外務大臣官房審        議官       佐藤 達夫君        外務大臣官房参        事官       武藤  顕君        外務省北米局長  冨田 浩司君        外務省中東アフ        リカ局長     上村  司君        外務省国際法局        長        秋葉 剛男君        外務省領事局長  三好 真理君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        住田 孝之君        国土交通大臣官        房審議官     松原  裕君        防衛大臣官房長  豊田  硬君        防衛大臣官房衛        生監       塚原 太郎君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君        防衛省経理装備        局長       三村  亨君        防衛省地方協力        局長       中島 明彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外交基本方針に関する件)  (国の防衛基本方針に関する件)  (派遣委員の報告)     ─────────────
  2. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君外二十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  まずは、中谷防衛大臣防衛大臣御就任おめでとうございます。また、週末も各部隊に対する視察とか激励、本当に士気が上がるというふうに聞いております。よろしくお願いします。  また、岸田外務大臣、先週末も韓国の方で日中韓外相会談や、あるいは日中、日韓のバイの外相会談と本当に精力的な活動、本当に敬意を表したいと思います。  まず、外務大臣にお伺いします。  産経新聞ソウル支局長出国禁止措置、これについて伺います。  この出国禁止措置は、昨年八月七日付けで措置がとられて以来、八回も延長されて、少なくとも来月、四月の十五日まで出国できないという状況であり、更なる延長も予想されます。前支局長は、帰国できないため、家族とも会えずにおり、産経新聞社からの新たな東京での業務も遂行できない状態です。  また、前支局長出国停止は、韓国入管法二十九条に基づく法務部長官の裁定によっているというふうに聞いています。すなわち、司法判断ではなく、行政府政府判断として出国停止がなされていると。これは、韓国政府が釈明に使っている、これは司法の話だから政府は手が出せないとの言い訳は、これは通じない問題だと思います。  外務大臣法務部長官出国停止を決めている、これはやっぱり重大だと思います。もっともっともっと強く韓国政府に、政府の方に抗議を行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  6. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘産経新聞ソウル支局長が起訴されたこの事案につきましては、表現の自由、報道の自由、さらには日韓関係、こういった観点からしましても極めて遺憾であります。憂慮しているところですが、これまでも韓国政府に対しましては累次にわたり我が方の懸念、伝達をしてまいりました。しかし、残念ながら、現状何ら事態が改善していないこと、これ誠に残念に感じております。  そして、この二十一日の日韓外相会談におきましても改めて働きかけを行ったところであります。そして、この働きかけの詳細は控えますが、韓国出入国管理法は、法務部長官が同法に規定された一定外国人に対し出国を停止できる旨規定をしているということ、承知をしております。これを踏まえつつ働きかけを行いましたが、引き続きまして働きかけは続けていきたいと考えています。
  7. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは、やっぱり日本国民にもこの部分は知らせた方がいいと思うんですよね。これは司法の問題ではなく、行政府政府も絡んでいる問題なんです。裁判の中身ではなく、出国禁止措置はまさに法務部長官が決定していると。でも、これはやっぱり政府の方の責任でもありますから、これは人権問題上、私は大きな問題だと思いますので、政府の方にしっかり働きかけをしていただきたいということを強く申し上げたいと思います。  さらに、韓国政府に強く抗議をする一方、国際的な言論闘争もやらないと、この深刻さということは、韓国政府韓国司法当局も事の重要さを認識しない可能性があるというふうに思います。一部、アメリカ政府や、あるいはイギリス、フランス政府とは、本問題に関する認識の共有、これを図るためにいろんな働きかけをやっているというふうには伺っておりますが、国連の場での働きかけが弱い、そう思います。韓国国連人権委員会等の場で日本を名指しをして、そして慰安婦等で批判をしているということに鑑みれば、この産経新聞支局長の問題も大きな人権問題、報道の自由の観点で大きな問題ですので、しっかりと本件を明示した上で、国連人権委員会とかあるいはそのほかのセッションの方でまさに国際的な言論闘争の方に持っていかないと、これなかなか政府が動かない以上は、外の方からも、これは多くの国際社会が憂慮している問題だということをやっぱり理解させる必要があるというふうに思います。  国際的な言論闘争、特に国連の場でのこの闘争についての外務大臣の御見解、御決意をお伺いしたいと思います。
  8. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど申し上げましたように、日本国政府としましては、本件につきまして、報道表現の自由及び日韓関係観点から極めて遺憾であると考えています。そして、国の内外から同様の懸念の声が上がっているということも承知をしております。  今後もこうした考え方に基づいて働きかけを行っていかなければならないと考えていますが、現在ジュネーブで開催中の第二十八回人権理事会におきまして、今月の二日ですが、宇都外務大臣政務官よりスピーチを行いました。その中で、日本として、報道の自由は民主主義の基礎を成すものであり、ジャーナリストは書いた記事によって恣意的に罰せられるべきではない、こういったことをはっきりと訴えました。  引き続き、国連場等においても、適切な機会があるかどうかしっかり検討した上で働きかけを続けていきたいと考えています。
  9. 佐藤正久

    佐藤正久君 その今の働きかけ国連の場は承知しています。ただ、これが一般論なんですよ。一般論として、報道の自由とかジャーナリズムのくだりなんです。韓国日本を批判しているように特定の国を、韓国の問題と指定していないんですよ。だから非常に弱いんです。  私のポイントは、やはり韓国日本に対してしているように、我々もこの問題大事だと、韓国政府が全然動かないんであれば、やはり国連等の場で韓国という名前を出しながら、この問題を引き合いに出しながら報道の自由とかあるいはジャーナリズムということについての言及をしていただきたい、これまた強く要望をしたいと思います。  それでは、次の質問の方に移ります。  在沖縄米軍、特に在沖縄海兵隊についてお伺いいたします。  ややもすると、沖縄負担軽減とかあるいは辺野古沖工事の方に目が行きがちですが、そもそもなぜ海兵隊沖縄に必要か、その説明が薄らいでいるような感じがします。  防衛大臣、なぜ海兵隊沖縄に必要なんでしょうか、簡潔に御説明をお願いします。
  10. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 沖縄は、米国本土ハワイと比較して東アジア各地域に近い位置にあると同時に、我が国周辺諸国との間に一定の距離を置いているという利点を有しております。また、南西諸島のほぼ中央にあることや我が国のシーレーンに近いなど、安全保障上極めて重要な位置にございます。こうした地理上の特徴を有する沖縄に、司令部陸上部隊航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動力及び即応性によって幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することにより、種々の事態への柔軟かつ迅速な対応が可能となります。  こうした特性を有する在沖海兵隊は、平成二十四年2プラス2の共同発表にもあるとおり、ハワイやグアムといったほかの地域にも配置をされるMAGTFと相まって抑止力を強化するものであり、その存在我が国防衛上不可欠であると考えております。
  11. 佐藤正久

    佐藤正久君 それでは、在日米軍の中で海兵隊がいないと、やっぱり抑止力としては不十分なんでしょうか。
  12. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ただいま申し上げましたとおり、沖縄海兵隊存在というのは我が国防衛上不可欠でございますので、当然そのプレゼンス、存在というものは必要であると認識しております。
  13. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  やっぱり在日米軍の中で陸上打撃力を保有しているのは海兵隊だけなんです。残念ながら、在日米陸軍には戦闘部隊がおりませんので、やはり抑止力という意味地上打撃力という観点からいうと、やっぱり海兵隊というのは在日米軍で非常に大きな役割を有していると私は思います。  その在沖海兵隊役割ですけれども、尖閣諸島を含む我が国島嶼防衛における在沖海兵隊役割はどんなものでしょうか。
  14. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 特定事態への米軍の具体的な対応在り方につきましてお答えすることは困難でございますが、一般論として、在沖海兵隊我が国防衛上極めて重要な役割を担っており、お尋ね尖閣諸島を含む南西地域防衛のために、日米共同で対処する際にも、その優れた機動性即応性によりまして、事態への柔軟かつ迅速な対応が可能であると考えております。
  15. 佐藤正久

    佐藤正久君 さらに、我が国周辺国における在留邦人等避難作戦におけます在沖海兵隊役割はどんなものがあるでしょうか。
  16. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 特定事態への米軍の具体的な在り方についてお答えすることは困難ですが、一般論として、在沖海兵隊地域の平和と安定のために極めて重要な役割を担っており、お尋ね朝鮮半島での情勢緊迫時においても、様々な場面において、その優れた機動性即応性により、事態への柔軟かつ迅速な対応が可能だと考えております。  現行のガイドラインにおきまして、日米協力項目として非戦闘員退避させるための活動が明記されておりまして、その中でも在外邦人退避に関し米側協力が行われることについても言及をされており、ガイドライン自体特定の国・地域対象とするところではございませんが、ガイドラインに記載されている非戦闘員退避に係る日米協力についての考え方は様々な状況に当てはまり得るものであり、いわゆる朝鮮半島有事が仮に生起した場合でも例外ではないと考えております。
  17. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  今の説明、この海兵隊役割とか在沖海兵隊役割等については、実は北澤防衛大臣あるいは森本防衛大臣とこの委員会でもいろいろやらせていただきました。  実はそのときに、これ、民主党政権時代防衛省が出された「在日米軍海兵隊の意義及び役割」という中にいろいろ書いてあります。実は今、大臣答弁は、当時の民主党政権のときの説明よりも後退しているんですよ。今非常に、なぜ沖縄海兵隊が大事かと、ここにはしっかりと、在沖海兵隊上陸作戦能力島嶼防衛においても大事だとか、いろいろ地図まで貼って書いてあるんですよ。さらに、我が国周辺における邦人避難についても結構具体的に書いているんです。  であれば、この在沖海兵隊というのは、この前、予算委員会で共産の山下委員指摘したように、アフガンとかイラクだけではなく、まさに我が国南西諸島防衛とか、あるいは我が国周辺における在外邦人の輸送、あるいはトモダチ作戦にあったような災害派遣とか、あるいはインドネシア、フィリピンの災害派遣、いろんな面で役割を果たしていることをもっとPR、私はすべきだと思います。  防衛大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  18. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ただいま佐藤委員が御指摘をいただきました。また、民主党時代に、その配付物等参考にいたしまして、更に日本周辺安全保障の変化に適切に対応するような認識を持ちたいと思っております。
  19. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  辺野古工事の方に目が行きがちですけれども、この辺野古工事というのはどういう安全保障上効果があるかということをもっともっとやはりPRしないと、どうしても負のイメージが多く広がってしまう感じがしますので、よろしくお願いしたいと思います。  そして、では次の質問ですけれども、朝鮮半島有事普天間基地役割はどんなものがあるでしょうか。
  20. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 特定事態への米軍の具体的な対応在り方についてはお答えすることは困難でございますが、一般論といたしまして、この在沖の海兵隊は平和と安定のために極めて重要な役割を担っておりまして、いわゆる朝鮮半島有事においても、その優れた機動性即応性により、事態への柔軟かつ迅速な対応が可能であると考えております。
  21. 佐藤正久

    佐藤正久君 これは防衛省全体としてもっとPR説明していただきたいんですけれども。  実は、普天間基地に行くと国連旗が立っているんです。実は、この当委員会でも、この前、長崎の佐世保米軍基地の方に視察に行きました。当然、佐世保基地にも国連旗が立っています。向こうブリーフィングの中で、朝鮮戦争における国連軍後方基地としての役割がありますということを普通の、秘密でも何でもないブリーフィングの中で説明しているわけです。  同じように普天間基地も、コマンドブリーフィングの中で、秘でも何でもなくて、朝鮮戦争国連軍における位置付けというのはもう決められていて、これは地位協定上も日本政府が負っておりますからということでしっかりと、朝鮮半島有事のときは、まさにこの普天間基地、これが今度辺野古の方に移った場合、キャンプ・シュワブの方がそうなるかどうか分かりませんけれども、そういういろんな役割を持っているということも、これも向こうは隠していませんし、実際上、日本政府朝鮮戦争国連軍との地位協定持っております。七つの今米軍基地が指定されておりますから、そういうことも併せて、どんどんいろんな面でこの基地重要性ということも併せて説明してもらいたいというふうに思います。  次に、日本安全保障上、海兵隊の機能が必要だという今説明がいろいろ大臣の方からいただきました。  ただ、昨日、沖縄県知事から沖縄防衛局に対しまして、普天間飛行場辺野古沖移設に伴う海底作業、これを、中止の指示とも取れる通知がなされました。沖縄県知事は、防衛省作業を停止しない場合、海底作業許可を取り消す場合があるのかと問われたら、腹は決めていると強い決意を述べられました。一方、官房長官防衛大臣は、手続瑕疵はない、作業をやめる理由はないと作業継続意向を示しておられます。  手続等瑕疵がないのであれば、仮に沖縄県から海底作業許可取消しがなされたとしても政府立場には変わりはないと、こういう認識でよろしいでしょうか。
  22. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨日、沖縄防衛局沖縄県知事から、同県による調査が終了し、改めて指示するまでの間、海底面現状を変更する行為の全てを停止すべき旨の文書を受領をいたしました。  これを受けまして、本日午前、沖縄防衛局の職員が沖縄県庁を訪問いたしまして、本件アンカー設置地殻そのものを変化させる行為ではなく岩礁破砕に当たらないこと、今般の指示コンクリート製構造物設置について許可申請外行為としたことは以前より沖縄県が沖縄防衛局に対して示していたことに反すること、沖縄県内で国を事業者として行われた同種事案においても同件と同様のアンカー設置岩礁破砕許可手続対象とされていないことなどの説明を行いました。  このように、防衛省としては、これらの理由から、昨日の沖縄県知事指示は無効なものであり、現在行っている作業を中断する理由とはならないことを県に説明をさせていただきました。その上で、本件指示自体は無効なものであることを明らかにするために、本日昼頃、法令によって、沖縄沖縄防衛局長から農林水産大臣に対し審査請求書及び執行停止申立書を提出をさせていただきました。
  23. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  政府としては手続瑕疵がないということから、引き続き、この作業をやめる理由はない、それで作業を継続すると、そのためのいろいろ行政措置の方も今とっている最中ということを確認いたしました。  ただ、そういう意味においても、知事はもう腹は決まっていると言われています、腹を決めていると、作業取消しという質問に対して腹を決めていると。であれば、これは沖縄県知事が仮に一週間後にこれ作業許可取消しをやったとしても、政府立場は今と変わらないという腹でいいということでいいですか。
  24. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど説明させていただきましたが、今般、農林水産大臣に対して、昨日の沖縄県知事指示は無効であり、取消しを求める内容審査請求、及び審査請求の裁決までの間、沖縄県知事指示の効力を停止するよう求める執行停止申立てを行いました。  その理由としては、先ほど申し述べたとおり、アンカー設置岩礁破砕に当たらないということ、また、このコンクリート製構造物設置につきましても許可申請外行為としては県が以前に示していたことに反すること、そして、沖縄県内で国を事業者として行われた同種事案においても本件と同様のアンカー設置岩礁破砕許可手続対象とされていないことなどを挙げさせていただいております。  このように、我々といたしましては瑕疵のない手続工事をしたということでございます。
  25. 佐藤正久

    佐藤正久君 分かりました。  政府の方も腹を決めて、しっかりと行政措置等も含めての対応を取っているということです。私自身も、手続瑕疵がないのにその許可を取り消すということが可能であれば、もう首長の意向一つで何でもひっくり返すことができるということになりかねませんので、ここはしっかりとした対応が必要だと思います。  そしてなお、さらに防衛省自衛隊がぶれないことが一番大事だと思います。瑕疵がなければぶれないと。防衛省自衛隊がぶれてしまったら、今一線警備に当たっている海上保安庁の方々や警察、県警の方々もそれはたまらないですから、手続等瑕疵がないのであれば、ぶれることなく、しっかりと防衛省自衛隊は毅然とした対応を取っていただきたいというふうに思います。  さらに、今回、この辺野古沖工事というのはいろんな面で安全保障上、沖縄海兵隊あるいは在日米軍抑止力を図る上でも非常に重要だというふうに私も認識しておりますが、一方、今政府の方では安保法制の議論がなされております。仮に先般の閣議決定に基づく安保法制が整備されれば、在沖海兵隊との共同訓練でどのようなものが変わるのか、あるいは何ができるようになるのか、これについて御説明をお願いしたいと思います。
  26. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まだ法律につきましては与党間でも検討されていますし、政府内でも検討を行っておるわけでございます。  共同訓練お尋ねでございますが、まず、防衛省自衛隊在日米軍といかなる共同訓練を行うか、これは防衛省所掌事務の遂行に必要な範囲内であるか否かという観点から決められるものでございまして、現在、防衛大綱そして中期防日米ガイドライン等に基づいて実施をされておりますが、今後は法の整備の内容を踏まえまして不断に検討してまいりたいと思っております。
  27. 佐藤正久

    佐藤正久君 他方、閣議決定やこの前の合意文書等で、平時に情報収集警戒監視というものを一緒にやっているときに、場合によっては九十五条の適用の概念を採用してお互い守り合う、自衛隊米軍の艦船を守り合うということもできるようになるんじゃないですか。あるいは、ACSAで情報収集警戒監視のときに物品、役務の提供ができるということまでは今方向性が出ておりますので、そういう辺りの訓練というのはできる場合があるんじゃないんですか。
  28. 黒江哲郎

    政府参考人黒江哲郎君) お答えいたします。  先ほど大臣からも申し上げましたけれども、その件につきましては、現在まさに与党でも御協議いただいておるところでございまして、その与党協議の結果を踏まえながら、現在政府部内で法の具体的な策定作業を行っておるということでございます。  そういう意味で、なかなか確定的なお答えというのは申し上げられないわけでございますが、先生御指摘のように、昨年の七月の閣議決定の中では、米軍等武器につきましても、自衛隊装備品と同じように武器を使って守ると、そういったことが共同訓練の中でも可能になるような方向性といったことが出ておるわけでございます。  また、我々、今回の与党協議の中で様々お願いをしております項目の中には、ACSAの適用の拡大といったようなこともお願いをしておるわけでございます。これらにつきましては、あくまでもこれから政府部内で閣議決定まで持っていき、さらには国会でも御審議いただかないといけませんので、その結果によるわけですが、そういった効果というものを期待しておるわけでございます。
  29. 佐藤正久

    佐藤正久君 やっぱり現場の方は、訓練をしないと、いざというときにこれは能力発揮できませんから、法案等が整備されたら、平時から切れ目ない形でいろんな共同対処、あるいは共同の物品、役務の提供というものができるようになりますから、そういう方向でしっかり法案を整備していただいて、現場の方がうまく動けるような形、これは訓練の場で一貫した形でやっていただきたいということを要望したいと思います。  それでは、次の質問に移ります。中国の人民解放軍等について質問をいたします。  その関連でございますけれども、外務大臣にお伺いします。近年の中国による南沙諸島での岩礁の埋立ての現状、それに対する日本政府の評価、これについてお伺いいたします。
  30. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 中国は近年、南シナ海の南沙諸島において岩礁の埋立てを急速に進めています。我が国としては、各国が緊張を高める一方的な行動を慎み、法の支配の原則に基づき行動することが国際秩序の形成及び維持にとって重要だと考えています。特に、関係国が、この二〇〇二年の南シナ海における関係国の行動に関する宣言、いわゆるDOCと言われているものですが、この精神と規定に立ち返り、恒常的な物理的変更を伴う一方的な行動を取らないよう約束すべきだと考えています。  我が国としましては、引き続き、法の支配が貫徹されるよう、米国、また他の同志国と緊密に連携してまいります。また、中国が国際的な規範を遵守、共有しながら地域やグローバルな課題に対してより建設的かつ協調的な役割を果たすよう働きかけていきたいと考えています。
  31. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  非常に日本の多くの国民はこの状況懸念しています。この一年ぐらいであっという間に埋め立てて岩礁が島になっていると。港が造られたり、あるいはこれから滑走路が造られるぐらいの地積ももう十分にある岩礁もあると。  そういう中で、第七艦隊司令官が、日本が南シナ海を警戒対象に加えれば地域的安定につながるというふうに述べておられます。さらに、中谷防衛大臣も、二月三日の記者会見で、現在、南シナ海では継続的な警戒監視活動はしていないが、この地域の情勢が日本安全保障に与える影響は拡大している、日本がどのような対応をすべきか、今後の課題であると認識している旨の発言をされております。また、さきの日米防衛協力の指針中間報告では、アジア太平洋地域を含む地域での情報収集警戒監視における連帯が明記されています。  この南シナ海での自衛隊米軍による今後の情報収集警戒監視に関する防衛大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  32. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省自衛隊は、平素より、我が国周辺の海空域において、必要に応じて護衛艦、航空機等を柔軟に運用して警戒監視活動を行うとともに、事態の推移に応じてシームレスに対応できる態勢を維持しているところでございます。防衛省自衛隊がいかなる場合に、いかなる地域において警戒監視を行うかについては、防衛省所掌事務の遂行に必要な範囲であるか否かという観点等から決められるべきでありまして、一定の地理的範囲があらかじめ決まっているものではございません。  現在、国家間の相互依存関係が一層深化、拡大し、南シナ海における情勢の我が国安全保障に与える影響も拡大、深化している中、我が国としてどのように対応していくべきかにつきましては今後の課題であると考えておりますが、南シナ海においては、現在自衛隊として常続的な警戒監視活動を行っておらず、またその具体的な計画を有しているわけではございません。
  33. 佐藤正久

    佐藤正久君 やっぱり南シナ海における安全保障のその影響というものは、日本に対しても拡大、影響が今後とも予想されるという御発言がありましたが、やはり今回の日米防衛協力の指針においても、地域あるいは国際社会において、海洋安全保障とか、あるいは情報収集警戒監視の項目はあるんですよね。  外務大臣、今度の日米防衛協力の指針の作成のときに、南シナ海とアジア太平洋地域における情報収集警戒監視、この件について更に深掘りをする考え、御予定はございますか。
  34. 冨田浩司

    政府参考人(冨田浩司君) 日米ガイドラインの見直しの作業でございますけれども、まだこれは継続中でございまして、まだその結論を先取りして申し上げることは差し控えたいとは思いますけれども、先生今御指摘のあったような安全保障環境の変化を踏まえながら新しい協力の指針を策定していくということで作業を進めているところでございます。
  35. 佐藤正久

    佐藤正久君 外務大臣、実は、アメリカの方の議員の中で、中国のこの岩礁の埋立てに物すごく懸念を持っておられる方がおられて、これをどうにかして止めないといけないと、いろんな法的な手段含めていろいろな動きが今アメリカの議会の方では出ています。  さらに、日本の場合は、我が国のシーレーンという観点から非常に大事な地域です。しかも、岩礁がどんどん埋め立てられて仮に滑走路というものができてしまえば、レーダーの配置と併せると、将来、東シナ海と同じように防空識別圏というものが設定されないとも限りません。実際、中国は以前、東シナ海と南シナ海の方で防空識別圏を設定すると発表したこともあります。よって、この動きを非常に注視しないといけないと思います。  それでは、経済産業省の方にお伺いします。  まさに、日本の油の道というものがこの南シナ海を通っておりますけれども、オイルタンカーがマラッカや南シナ海を通れずにインドネシア経由で運航した場合の影響についてどのような認識か、お伺いいたします。
  36. 住田孝之

    政府参考人(住田孝之君) 御指摘の点でございますが、中東からのタンカーが南シナ海を通れなかったという場合でございますけれども、こちらにつきましては、影響でございますが、具体的な航路あるいは寄港地、それから速度に影響をするような積載量などによって異なるものと考えております。  ただ、一般論として申しますと、南シナ海を通れないということになりますと、委員御指摘のとおり、インドネシアのジャワ島の南を通ってロンボク海峡を経由をして、さらに、ボルネオ島の東側のマカッサル海峡、こちらを経由して航行することになると思いますが、その場合には、南シナ海を経由する場合と比べて航行日数が数日程度増加をするものと考えております。また、保険の契約も、これいろいろ形態がございますが、その契約形態によってはこの日数の増加というものが追加的な保険料を生ぜしめる場合があるというふうに考えております。
  37. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  国土交通省にお伺いします。  日本向けのオイルタンカー、これに搭乗している日本人の船員数、これの推移についてお伺いします。
  38. 松原裕

    政府参考人(松原裕君) 日本のタンカーの日本人船員の推移については把握しておりませんが、日本の外航船社が雇用しております日本人の船員数、これは急速な円高等によりましてコスト競争力が失われ、ピークでありました昭和四十九年、その当時五万七千人と比べますと、平成二十一年、このときには二千二百人と最小になるなど、長期的に大きく減少してきております。  近年はその数は横ばい傾向にあり、一昨年、平成二十五年には二千三百人となっております。
  39. 佐藤正久

    佐藤正久君 防衛大臣外務大臣、今説明がありましたように、日本の油の道、これは中東から八割以上の油がまさにこのマラッカ海峡を通って、南シナ海を通ってきていると。これが、その通り道に防空識別圏とか、あるいはそういう軍港とかあるいはレーダーができた場合、いろんな面で日本の油の道に対しての影響力を行使し得る体制が取られかねません。  これをインドネシアルートで回ると、ロンボク海峡、マカッサルを通ると、やっぱり日にちも掛かるし、当然それに基づく保険料も跳ね上がります。しかも、その日本向けのタンカー等には日本人船員が少ない、かなり少ないと。今五万から二千という数字もありましたけれども、非常に少ないという中で、そういう南シナ海の安定がなければ、自分の命を懸けてまで日本に油を運ぼうという船員とかあるいはそういう船が減る可能性もこれは予想されます。  安全保障は想定が許されませんから、いろんな想定の中でそういう最低限の担保を取るのがやっぱり危機管理ですから、今回の南シナ海におけるこれからの日米協力あるいは自衛隊活動ということについては、真剣に日米防衛協力の指針あるいはガイドライン等で検討もしていただきたいと思いますが、防衛大臣、いかがでしょうか。
  40. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 南シナ海におきましては、昨今、中国とASEAN諸国との間で領有権等をめぐって摩擦が深刻化、表面化をしております。我が国としましては、各国が緊張を高める一方的な行動を慎み、法の支配の原則に基づいて行動するとともに、公海における航行の自由や公海上空における飛行の自由といった国際法上の一般原則が確保されることが重要であると考えております。  一昨年十一月の東シナ海防空識別区の設定は国際社会懸念を表明しておりますが、中国はその他の地域において防空識別区の設定を排除していませんが、現時点において中国政府が何らかの措置をとる旨の決定をしたとは承知をしておりません。  いずれにせよ、南シナ海をめぐる問題は、アジア太平洋地域の平和と安定に直結する国際社会全体の関心事項であり、我が国としては、中国が独自の主張に基づく一方的な措置をとることを控えるべきと考えておりまして、引き続きその動向を注視をしてまいりたいと思っております。
  41. 佐藤正久

    佐藤正久君 よろしくお願いします。  やっぱり南シナ海の航行の自由というのは、ASEAN諸国だけではなく日本やアメリカも非常に関心を持っているテーマだと思います。  では、伺います。今、安保法制の方でいろいろ議論をされております。周辺事態法を改正をして、我が国に影響が及ぶような場合における他国への支援ということも今議論をされておりますけれども、南シナ海での紛争とか衝突は、まさに改正周辺事態法の方で議論され得る我が国に重要な影響を与える事態となり得る場合があると考えますか、いかがでしょうか。
  42. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、法案について検討をしておりますけれども、従来から、この現行周辺事態法、これに言う周辺事態とは地理的概念ではなくて事態の性質に着目した概念であって、ある事態が周辺事態に該当するか否かは、軍事的な観点を始めとする種々の観点から見て我が国の平和及び安全に重要な影響を及ぼすか否かをその時点の状況を総合的に見た上で判断することになると説明をいたしております。  この周辺事態の概念や御指摘我が国に重要な影響を与える事態の概念の取扱いにつきましては、与党に示していただいた方向性を踏まえて、今後、法案の準備作業を通じて検討を進めてまいりたいと思っております。
  43. 佐藤正久

    佐藤正久君 よろしくお願いしたいと思いますが、今の段階ではそういう慎重な答弁の方が無難だと私も思います。よろしくお願いします。  ただ、最後に、安全保障法制関連で、他国軍への後方支援における武力行使との一体化の問題で、この前の予算委員会で井上委員からの質問で、若干、もう少し整理した方がいいのかなという思いがありますので、最後の質問でこの整理をさせていただきたいと思います。  防衛大臣武器弾薬の提供、発進航空機への燃料補給を今まで行わなかったのは、武力行使との一体化に抵触するというものではなく、ニーズがなかったからそれは行わなかったと、憲法上禁止されている武力行使との一体化に抵触するか否かは判断してこなかったと、そういう整理でよろしいでしょうか。
  44. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 委員御指摘の他国の軍隊に対する武器弾薬の提供や戦闘作戦行動に発進準備中の戦闘機に対する給油につきましては、これまで政府は、現実の要請がないため憲法上の判断を詳細に検討していない旨答弁してきていると承知しております。
  45. 佐藤正久

    佐藤正久君 ニーズがなかったから検討してこなかった。まさにその部分については、前回、井上先生の方からも御指摘があったように、そこはまだ憲法上の判断はしてこなかったと。  ただ、先般の閣議決定で、今度はそこは判断をしまして、現に戦闘が行われていない現場での補給であれば、それが弾薬あるいは発進準備中の航空機に対する給油であっても憲法の禁ずる武力の行使との一体化には当たらないという整理は行ったと、ただ、武器についてはまだニーズがないので今回の検討の対象外としていると、こういう整理でよろしいでしょうか。
  46. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国が行う支援活動と憲法の関係につきましては、先般の閣議決定におきまして、いわゆる武力の行使との一体化論それ自体は前提とした上で、その議論の積み重ねを踏まえ、これまでの自衛隊活動の実経験、国際連合の集団安全保障措置の実態等を勘案して検討した結果、他国が現に戦闘行為を行っている現場でない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動については、支援内容のいかんを問わず、他国の武力の行使と一体化するものではないと判断するに至ったものでございます。したがって、我が国が現に戦闘行為を行っている現場でない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動については、武器弾薬の提供であっても、他国の武力の行使と一体化することはありません。  他方、武器の提供については、引き続き行わない方向で検討を行っているところでございます。  また、航空機に対する給油支援は、安全を確保して行うことが一般的でありまして、仮に戦闘作戦行動に発進準備中の航空機に対する給油支援であっても、現に戦闘行為を行っている現場において当該活動を行うことは想定されないため、武力の行使と一体化するおそれはありません。  いずれにしましても、我が国の安全の確保や国際社会の平和と安全のために活動する他国の軍隊への支援につきましては、安全保障環境の変化等を踏まえ、必要な支援活動を十分に行い得るよう検討してまいります。
  47. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回の閣議決定で、まさにそこの整理を、初めて憲法との関係の整理をしたと。現に戦闘が行われていない現場における補給は、これは武力の行使と一体化ではないという整理をしたと。さらに、活動中、仮に活動現場で戦闘が発生した場合、一時活動を休止をしたり、そして離隔をする、それが長期にわたれば中断することで一体化を避けるという整理でよろしいでしょうか。
  48. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先般の閣議決定を踏まえまして、いわゆる武力行使との一体化論それ自体は前提とした上で、自衛隊部隊等は他国が現に戦闘行為を行っている現場では支援活動は実施しない考えであります。  万が一、状況の変化によりまして、自衛隊活動している場所が現に戦闘行為を行っている現場となる場合には、直ちに活動を休止又は中断することになります。武器を持って反撃しながら支援を継続するようなことはございません。  実際に自衛隊活動する範囲については、このような基本的な考え方に従いまして、現場の部隊判断する事項と政府として判断する事項の整理を含めまして、法案策定作業の中で具体的な基準や手続を十分検討してまいりたいと思います。
  49. 佐藤正久

    佐藤正久君 明確な答弁、ありがとうございました。  今でもちょっと長いんですけれども、もう少し明確に、国民に分かりやすく、いかにして今回整理をしたかという部分を更に説明していただけたらというふうに思います。我々も、しっかりと政府と一体となって国民に対する説明に力を尽くしてまいりたいと思います。  今日はどうもありがとうございました。
  50. 三木亨

    ○三木亨君 自由民主党の三木亨でございます。よろしくお願いいたします。  まず初めに、岸田大臣におかれましては、引き続きの御大任、本当にお疲れさまでございます。また、中谷大臣におかれましては、この度の大臣御就任、本当におめでとうございます。我が県の山口大臣、また愛媛県の塩崎大臣に続き、四国三人目の大臣の誕生ということで、私も大変うれしく思っております。私のみならず、四百万の四国人、こぞって応援していると思いますので、どうぞその腕を振るっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  さて、季節の方は春でございます。花粉症の方にとっては大変つらい季節になってきていると思いますが、同時に、今年は統一地方選がございまして、委員の各先生におかれましても週末は大変多忙を極められておるかと思います。私におきましても、例に漏れず、ある程度多忙を極めておりまして、なかなか散髪に行く機会がございませんで、ここ二か月半ほど散髪に行っておりません。  ところで、今、日本で最も輝いているスポーツ選手の一人といえば錦織圭選手ということには異論のないところだと思いますが、実は私の髪を切っていただいている方は錦織圭選手の髪も切っておられるということでございまして……(発言する者あり)そうなんです。同じ人に切ってもらっているのに何でここまで違うんだという話はほっておきまして、ともかく、もうこの二か月半散髪していないにもかかわらず、余り今までになくぼさぼさ感が出ていないというのが本当にすごい技術だなというふうに私も感心しておりまして、こういった日本の技術というもののすばらしさ、こういったものに改めて感動したわけでございますし、また、本日は、せっかく錦織選手の髪を切っていただいているスタイリストの方に切っていただいているので、エアケイのように軽やかに質問してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  では、まず最初に、外国資本の土地取得の規制についてお伺いさせていただきたいと思います。何度もこれ国会でも話題になりましたが。  先週、公示価格が発表されました。金融緩和や円安、外国資本の旺盛な投資などもありまして、都市部を中心に地価の下げ止まりも見受けられるようになってきている昨今でございます。また、地方の観光地やリゾート地でも積極的な投資が行われているようでして、我が国の経済にとってはこれは大いに結構なことであると私も思っております。  その一方で、外国人や外国資本が水源となる森林やあるいは日本の安全を守る自衛隊基地近くの土地を買収する、こういったことについて、国土保全やあるいは安全保障という観点から、先ほども申しましたように、この国会においても何度も議論をされてきたところでございます。  そういった何度も行われた議論を踏まえて、これまで外国人や外国資本による土地の取得について、改めてその問題点、そしてまたそれに対する、安全保障観点からが主ですけれども、政府対応状況というものをお聞かせいただきたいと思います。
  51. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛施設周辺等における外国人や外国資本による土地の取得に関しましては、平成二十六年二月三日の衆議院予算委員会におきまして、総理から、国家安全保障に関わる重要な問題と認識しており、政府としては、平成二十五年十二月に策定した国家安全保障戦略に従い、関係省庁が連携して所要の調査検討を進めていく考えである旨の発言がありました。防衛省としましては、この国家安全保障戦略の方針も踏まえまして、自衛隊施設に隣接する土地について、まずは現状をしっかり把握することが国有財産である自衛隊施設管理上も大切と考えていることから所要の調査を進めております。  いずれにしましても、当省としては、この基本方針の下に所要の調査を進めるとともに、土地取引の規制の在り方をめぐる議論については、国会における議論の動向も踏まえながら、関係府省庁と連携を図りつつ、安全保障重要性に鑑み、制限の必要性や個人の財産権の保護、国際約束との整合性等の諸事情をも総合的に勘案した上で、政府全体の中で検討していくことが必要であると考えております。
  52. 三木亨

    ○三木亨君 ありがとうございます。  国際情勢等を十分に勘案した上で、やはり防衛という観点、あるいは安全保障という観点からは、防衛省の皆さん方が日本のかじを取っているわけですから、そういった観点から問題があるということを引き続きあぶり出していただいて、ただ、この解決に至る道というのは非常に遠いような気がいたしておりますので、関係各府省庁でいろいろと調整していただく必要があるのかなと思います。  続いて、それに関連しまして、東日本大震災の方でも、復興の遅れている原因の一つに、地籍の調査の遅れというものが挙げられております。我が国では、土地を現在誰が所有しているのかが十分に把握できないというようなことが、指摘がよくなされておりますけれども、例えば所有者が亡くなっても相続権者が届けをしていないということや、あるいは住所を変更しても届けをしていないという例がたくさんございます。  また、加えまして、土地情報というものは、不動産登記簿は法務省であるし、土地売買の届出は国交省、固定資産税の台帳は総務省、農地基本台帳は農水省など、目的別に整理、管理されておりまして、国として土地の所有や利用情報が一元的に管理されていないというシステム上の問題もございます。また、さらには、土地利用そのもの、あるいは土地情報の変更手続にもコストと手間が大変に掛かるというような問題もございます。外国人や外国資本の土地の取得の規制を行うにしても、この辺りから改めていく必要があるように私も強く感じております。  それぞれの所管における問題点とか、あるいは土地制度上障害となっている部分、こういった部分を整理したりあるいは分析したりして、横断的にこういった問題に関する解を導くことができるような法整備であるとか、あるいは全体を俯瞰して判断あるいは処分ができるような機関をどこにするかという、あるいは新しくつくるかというようなことを検討していく時期になっているんじゃないかなというふうに思っておりますので、この点は問題提起とさせていただきまして、引き続きまた聞いてまいりたいと思います。  外国人、外国資本の土地の取得について、最後に外務大臣にお聞きしたいと思います。  外国人や外国資本による土地の取得とその規制の在り方、こういったものについて、対外関係をつかさどる外務大臣の御認識、あるいは今後の対応とか方針がございましたら御所見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。
  53. 宇都隆史

    大臣政務官宇都隆史君) お答え申し上げます。  外務省といたしましても、経済安全保障上の観点から、我が国の土地利用、取得の在り方について検討することを非常に重要視しております。先ほど防衛省の方からもございましたが、土地取得の規制の必要性、個人の財産権の保護、国際約束との整合性等総合的に考慮する必要があるというふうに認識をしております。  我が国は、サービス貿易等に関する一般協定の規定に基づき、外国人等に対するサービス提供に係る土地取得、利用については、最恵国待遇及び内国民待遇義務を負っております。したがって、外国人等が、サービスを提供するに際して、我が国の土地を取得、利用することについては、原則、国籍を理由とした差別的制限を課すことは認められておりません。  しかしながら、他方、外国人等のみを対象にした措置でない場合、合理的な目的及び手段で土地の取得等を規制することについてはGATSにより制約されているわけではないというふうに認識をしております。  引き続き、関係機関と連携をいたしまして検討を進めてまいる所存でございます。
  54. 三木亨

    ○三木亨君 宇都政務官、ありがとうございました。  続きまして、アジアインフラ投資銀行についてお聞きしたいと思います。  中国が主導するアジアインフラ銀行、AIIBについて、ASEAN十か国を始めとする途上国を中心に参加をすることになっておりましたけれども、ここに来て、イギリスに続きドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク等々の国が参加を表明するなど、三月末の創設国締切りに向けて参加の意思を示す国が今相次いでいるというふうに聞いております。  欧州は、日本とは地理的な条件というものが全く違います。目はウクライナに向いておって、中国の脅威というのは余り感じていないようにも思えます。また、ウクライナ問題でロシアとの政治あるいは経済関係が冷え込む一方で、中国の経済力にこのEU各国は大きな期待を寄せているというふうにも考えられます。  日本は、中国とは、昨年十一月の首脳会談、そして今月二十一日の日中韓外相会談大臣も御出席いただいたようで本当にお疲れさまでございました、対話の機会を着実に重ねておりますが、いまだに緊張関係は続いておりまして、経済的には競争関係にもございます。  政府は、これまでアジアインフラ投資銀行に対し、アジア開発銀行との役割分担、あるいは環境や人権への配慮、ガバナンスの問題等を指摘しておられました。また、アジアインフラ投資銀行を既存の国際金融秩序への挑戦と見る向きもございます。こうした理由から、米国、韓国などは、関心は示しているものの、参加を表明しておりません。そして、一方でアジアの成長力と巨大な市場、二〇二〇年までの十年間で八兆ドルと言われているインフラ需要を世界銀行やアジア開発銀行だけでは賄えていないとの指摘、そして政経分離ということを考えますと、アジアインフラ投資銀行に対して柔軟な姿勢があるいはあってもいいのではないかというふうにも思われます。  これまでに報じられているところでは、アジアインフラ投資銀行は、中国の出資比率が非常に高くて、本部は北京に置き、総裁には中国人が就くということで中国主導のものになることが想像されておりますけれども、中国側に十分な説明を求め、西側先進国がそろって参加することによって、アジアインフラ投資銀行における中国の相対的な発言力や地位を弱めてガバナンスを高めることということも可能であるというふうに思います。  アジアインフラ投資銀行についてどのような認識政府の方は抱いておられるのか、そしてそのアジアインフラ投資銀行の参加についてどのように対応されるのか、お伺いをさせていただきます。
  55. 城内実

    ○副大臣(城内実君) ただいまアジアインフラ投資銀行についての御質問がございましたけれども、アジアインフラ投資銀行につきましては、これまでも累次明らかにしてきておりますとおり、公正なガバナンスを確立できるかどうかと。  具体的には、恣意的な組織運営がなされているのかとか、あるいは運営の透明性が確保されているのかと、こういった公正なガバナンスを確立できるのかということが一つと。二つ目は、債務の持続可能性を無視した貸付けを行うことにより他の債権者にも損害を与えることにはならないかと。こういった点を含め、現時点では慎重な検討が必要であると考えております。
  56. 三木亨

    ○三木亨君 済みません。ありがとうございました。  では、次の質問に移りたいと思います。これが実は最後の質問になりますので、少しだけ時間余るかもしれませんが、小野先生、よろしくお願いいたします。  自衛隊に関する広報活動についてお伺いさせていただきたいと思います。  これからの国防というものを整える上で、法整備も必要ですし、また、あるいは装備や体制についての議論、これを重ねていくことももちろん重要でございますけれども、主として国防を担う自衛隊という組織そのもの、あるいはその活動に対する国民の理解や協力、こういったものを得ていくということも大変大切でありますし、また、将来の国防を担ってもらう有為の人材というものをこれからの自衛隊に確保する、そのために若者が進路の一つとして自衛隊というものを意識してもらう、こういった努力も非常に大切だというふうに感じております。  防衛省におかれましては、様々な機会やメディアを通じて広報活動に尽力されておられます。先日、実は地元の港の方で耐震強化岸壁の完成式がございましたけれども、この完成式に際しまして、自衛隊方々協力を仰ぎまして、災害時の物資搬送の役割を果たす掃海母艦に御寄港いただきました。「ぶんご」という母艦だったと思いますけれども。そこで物資搬送のデモンストレーション、あるいは地元の方々を呼んで艦の内覧というものをさせていただきまして、大変好評を博しておりました。  各地でも同じように、様々な機会を通じて同様に広報のために御努力いただいていると思いますけれども、これらの広報に際して、特に防衛省の方で御留意されている点やあるいは重点化されている点についてありましたら、お伺いいたしたいと思います。  そしてまた重ねて、その中で、つい先日、自衛隊の公認スマホアプリ、自衛隊コレクションというものが配信を開始されました。自衛隊の職種、職域を疑似体験できるものとして一部のユーザーの間で大変話題になっておりますけれども、どういった年代層をターゲットに、どのような狙いでこれを開発され監修されたのかという、その狙いの目的と、あと、そろそろもう一週間になるそうなんですが、一週間経過した現在、どのような反響があるのかということについてもお聞かせいただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
  57. 豊田硬

    政府参考人豊田硬君) 一点目につきましてお答え申し上げます。  防衛省自衛隊活動は、国民一人一人の御理解と御支持があって初めて成り立つものでございます。このため、私どもといたしましては、分かりやすい広報活動を積極的に行いまして、国民の皆様の信頼と協力を得ていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。  先般、内閣府が実施いたしました自衛隊防衛問題に関する世論調査の結果によりますと、自衛隊防衛問題に対する関心につきましては、若い世代の方や女性からの関心が比較的低い傾向にあることが判明いたしましたことから、若年層や女性を対象とした広報について特に留意させていただいているところでございます。  具体的に申し上げれば、漫画やアニメなどを活用したり、部外の制作する雑誌、ドラマ、映画などに積極的に協力をさせていただいているところであります。また、動画の配信やフェイスブック、ツイッターなどのソーシャルメディアを活用した広報にも積極的に取り組むなど、若年層や女性に親しみやすいような広報活動に重点を置かせていただいております。  今後とも、これらの広報活動を通じまして、私どもの活動について国民の皆様から御理解いただけるように引き続き努力してまいりたいと考えております。
  58. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 二点目の御質問にお答えさせていただきたいと思います。  防衛省自衛隊におきましては、自衛官が職業対象として広く意識されますように、スマートフォンを通じた効果的な情報発信など、時代の変化に応じました募集の広報活動、これを実施いたしております。  先ほど御指摘のありました件につきましては、防衛省が今月十八日に配信を開始いたしましたスマートフォン用のアプリでございます、自衛隊コレクションと称しております。これにつきましては、陸海空の自衛隊の様々な職種とか職域を感覚的にイメージあるいは疑似体験できるようなものとして作成しておるものでございます。このアプリにつきましては、自衛隊が職業対象として広く意識されることを目的とした広報活動の一環として制作いたしたものでございますが、募集対象の年齢の方々に限らず、幅広い年齢層の方々に気軽に楽しんでいただけるよう開発をいたしたものでございます。  ちなみに、このアプリにつきましては、先日、三月二十一日現在でございますが、約三万三千件のダウンロードをいただいておるところでございまして、ウエブサイトなどにおきましては、自衛隊がこういった形のアプリのゲームを配信したことについての意外性、あるいはゲームの難しさといったことについて様々なコメントが寄せられております。一定の話題性や注目をいただいているものというふうに見ているところでございます。
  59. 三木亨

    ○三木亨君 ありがとうございます。  自衛隊の職務のすばらしさや、あるいは何というんですか、美しさといいますか、自分の働きが国のためになるという非常に純粋な部分もあって、そういう部分に引かれる若者も多いかと思いますけれども、ただ、ふだんの自衛隊のお仕事というのは決して華やかなものでもないし、本当にきつい、苦しいことが多いかと思います。美しい部分とか華やかな部分だけ見て目指してこられた方は非常にギャップがあるかと思いますので、今後の広報の中ではそういった、これだけ苦労しているんだよというような部分とか、余り面白くはないかもしれないですけど、日常のふだん着の姿というものもどんどん発信していただけたらなというふうに思います。  一方、Jコレクションの方ですが、防衛大臣、もうされましたか。
  60. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのような暇はございません。
  61. 三木亨

    ○三木亨君 私はそのような暇がございましたのでちょっとやってみたんですが、非常に難しいです。ステージがタイトで、スクロールも速い上に、当たり判定も非常に厳しいので、大変難しいゲームだなと思っております。逆に、自衛隊が愛されるというよりは、この難しいゲームでは恨まれるんじゃないかというふうな危惧もいたしておりますが。  ただ、ともかく、こういったことに限らず、幅広く国民の方に理解、またあるいは親しみを持っていただくということが大切だなというふうに思っております。我々もその一助になればと思い、ここで質問をおかせていただきます。  本日はありがとうございました。
  62. 小野次郎

    ○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。  沖縄県の翁長知事が、昨日、海底ボーリング調査など全ての海上作業を三十日までに停止するよう文書指示したと、それに対して政府が応じなければ、岩礁破砕許可取消しも考えているように伝えられています。この事態政府はどのように対応するのか、もう一度お考えをお聞きしたいと思います。防衛大臣、お願いします。
  63. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今から十三年前になりますが、小野委員が官邸におられましたときから、小泉内閣でこの普天間の基地辺野古への移転、これはやはり辺野古しか、もう唯一の、方法がないということで、一日も早く普天間基地の移転を進めなければという思いで取り組んでおりまして、その後、防衛省としましても県と協議をいたしまして、この辺野古への埋立て申請を行ったところでございます。  この際、防衛省としましては、法的な手続につきまして十分県と調整を行った上で実施をしていたわけでございますが、今般、文書をいただきまして、我々といたしましては、このような文書が提出されたことにつきましては甚だ遺憾に思っております。  これを受けまして、本日、沖縄防衛局の職員が沖縄県を訪問いたしまして、我々のやってきたことにつきまして御説明をさせていただきました。また同時に、本日昼頃、法令によって沖縄防衛局長から農林水産大臣に対しまして審査請求書及び執行停止申立書を提出をさせていただきました。
  64. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は公務員二十数年やり、その後、総理秘書官も四年半、確かに大臣おっしゃったとおりやりました。政治家になって約十年になりますけれども、ますます強い信念を持っているのは、民意と懸け離れた政治とか行政というのは、一時的には動く、力でやることができるけれども、絶対定着しないと、うまくいかないというのが私の信念です。その意味でお伺いしているので、地元の知事が作業中止を指示しているのに、国はそんなの関係ねえよと言って工事を続行しようとしている。これが普通の姿だと思いますか、大臣
  65. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私たちは、長い時間を掛けましてこの埋立て申請のお願いを沖縄県にしたわけでございます。この間、六回にわたって沖縄県の方から御指摘や御意見をいただきまして、その申請内容も変更して、十二分に沖縄県とは協議をした上でこの工事許可をいただいたわけでございまして、当方としましてはこの手続瑕疵があったというふうには考えておりませんし、当初の目的でございます普天間基地の危険性の除去、また沖縄基地の軽減、こういうことを実現すべく、話合いをしながら計画を進めてまいっておりますので、この点につきましては是非御理解をいただきたいと思っておりますし、今後もこの点につきまして我々としても誠意を持って臨んでまいりたいと思っております。
  66. 小野次郎

    ○小野次郎君 私が聞いているのは、沖縄の人の民意が大臣の後ろに付いているのか、それとも知事を、やめろと言っている方を支持しているのかということを聞いているんです。知事の指示に反する工事に合法性があるかどうか、もう誰も分からないじゃないですか。その指示が間違えているのかもしれない。だけど、そうでない、指示が正しいんじゃないかと思う人にとっては、この間辺り、米軍側に身柄を一時的に拘束された方もいたけれども、ああやって止める人の方が悪いのか、それとも知事の指示に従わないで工事続けようとしている国の方がおかしいんじゃないかというのと意見がもう割れたって当然ですよね、それは。国と県がそんなばらばらなことをやっていていいのかと僕は言っているんですよ。どっちを信じていいか誰も分からないじゃないですか、そんなもの。  それで、挙げ句に裁判闘争ですか、これから、お互いに。そんなのあり得ないと思いますよ。国民保護法制見たって、どこを見たって、国と知事が一致していなければ駄目じゃないですか、そんなもの。一市民の立場に立ってくださいよ。どっちの言っていることを信じていいか分からなくなってしまう、もう。  高橋警察庁警備局長、たまたまお見えになっていますけど、あなたは沖縄の県警本部長もやっていますよね。なぜ私がそう言うかというと、一部には外交とか安全保障は自治体の長は黙っていろというような意見を言う方もいますけど、でも、沖縄県については特段のやっぱり歴史的な理由があると思いますよ。あの大田少将の話とか牛島中将の話も中谷大臣もよく御存じだと思います、後年特別の御高配をと言って亡くなっているじゃありませんか。でも、ちっとも特別の高配なんかしていないじゃないですか。選挙で選ばれた知事が駄目だと言ったって構わずやろうとしているわけでしょう。七十年たっても何にも変わっていないと私は思いますよ。  もう一つ申し上げたいのは、なぜ高橋さんのことを言ったかというと、そのときに、実は目立たないけど、島田叡沖縄県知事も荒井退造沖縄県警察部長も殉職しているんですよ、六月二十七日ぐらいに。やはり、県警というのは知事の下に置かれている役所なんですから。警察官の任命権者は知事ですからね。だから、法執行に当たる警察官の心だって揺れますよ。それは、知事がやめろと言っているやつを無理にやろうとしている国の方の公務執行妨害を捕まえるのか、やめろと言っているのにやっている国の方が間違っているんじゃないかと思う気持ちだってありますよ。  私はそういうこと、そもそもあってはならないと、やっぱりこれは一時的に作業は停止する事態に至ったとしても、頭冷やして国と知事はよく話し合うべきだと思いますけど、大臣、そうお考えになりませんか。
  67. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今後とも、政府全体で連携し、様々なレベルで地元との対話を行いつつ、日本安全保障沖縄負担軽減の全体像の中で普天間移設の位置付けや意義をお話ししてまいりたいと思っております。
  68. 小野次郎

    ○小野次郎君 その沖縄県知事について言えば、沖縄県知事が上京しても総理や官房長官はお会いになっていないのか、ちょっと最初ニュース見てて、会わないというニュース見ていましたけど、その後どうなったかよくフォローしていませんが、会えていないんじゃないですか、今でも。どうなんですか。
  69. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府全体で連携しまして、様々なレベルで地元の対話を行いたいと。沖縄の知事さんも官邸に来られましたが、官房副長官がお話をお伺いをさせていただいたということでございますので、今後様々な観点で対話をしていくということは大事なことであると認識しております。
  70. 小野次郎

    ○小野次郎君 私の申し上げたい趣旨は大臣にも分かっていただけたと思うし、岸田大臣もお聞きになっていて趣旨は分かっていただけると思うので、そんな、後は何だか審査請求とか何かでやるという、それは事務方と事務方の闘いですよ、それじゃまるで。やっぱり民意によって選ばれたばかりの知事さんがそう言っているんだから、政治家である誰かがちゃんと政府を代表して知事と話し合わなきゃ。沖縄県民の立場に立ってみてくださいよ。そんな、七十年前と同じじゃないですか。沖縄は切って捨てて、先へ進むからというのと同じことをやっちゃ駄目だと僕は言っているんですよ。強く申し上げて、次の質問に移ります。  海外における邦人犯罪被害が続発しています。御存じのとおり、ごく最近もあったわけですが、この海外における邦人被害に対する犯罪被害給付制度について政府はどういう考えを持っているのか、お伺いしたいと思います。
  71. 越智隆雄

    大臣政務官(越智隆雄君) 小野議員の御質問にお答えさせていただきます。  まず、海外での犯罪被害者への経済的支援につきましては、第二次犯罪被害者等基本計画に基づきまして有識者等によります検討会で議論を重ねていただきまして、昨年の一月の取りまとめでは、犯罪被害給付制度の拡大適用の形ではないとしても、社会の連帯共助の精神にのっとり、何らかの経済的支援をスタートさせるべきだというふうに提言が行われました。また、同取りまとめでは、その制度設計について、金額が多少低額となっても速やかに見舞金を支給できるようにする、死亡事案に限るなど支給対象を限定する、事実の認定に関して、在外公館の有する情報等入手可能な範囲の情報を基に行うことなど、単純な制度を目指すべきだというふうにされたところであります。  この取りまとめを受けまして、政府としては、犯罪被害者等施策推進会議において、与党と連携しつつ、具体化に向けた取組を進めるということを決定いたしました。当該方針の下検討を進めたところ、昨年六月十八日には、与党から国外犯罪被害者の遺族に対する弔慰金の支給に関する法律案が提出されたというところでございます。  本法案につきましては、さきの衆議院の解散によりまして廃案となったものの、今後も与党と連携しつつ適切に対応してまいりたいというふうに政府としては考えております。
  72. 小野次郎

    ○小野次郎君 与党と連携を図りつつと、それはあらゆる政策を与党と連携を図るのは分かりますけれども、与党と連携を図りつつと言っているのが与党にお任せしつつになってしまったのはどうしてなんですか。
  73. 越智隆雄

    大臣政務官(越智隆雄君) 今回の案件につきまして、今のような形で進めるということに至った経緯につきまして御説明をさせていただきます。  海外での犯罪被害者への経済的支援については、先ほど申し上げたとおり、第二次犯罪被害者等基本計画に基づき開催されました検討会における論点の一つとして昨年の一月まで有識者等によって議論が重ねられてきたところでありますけれども、ちょうどこの時期に与党においてもPTが組まれまして検討が行われてきたというところでございます。こうした与党の動きを踏まえまして、昨年の三月の犯罪被害者等施策会議において、与党と連携すると、そして具体化を進めるということを決定したという次第でございます。
  74. 小野次郎

    ○小野次郎君 私どもは、別に私の党だけじゃなくて、たしか大半の野党連名で、既にこの犯罪被害者等給付金の海外での犯罪被害に対して拡大適用するという法案をもう三回ほど提出しているんですね。これは、要するに国内と同じだけの基本的には補償を海外における犯罪被害者に対しても提供していこうという内容の法律でございます。それと比べると、そもそも、もう弔慰金、要するにお見舞金を渡して終わりにしようという制度を今与党の方は考えておられるということで、非常に私はこれはがっかりしています。  それについてちょっと質問を続けていきますが、皆さんお手元にあるポンチ絵が野党側が出している法案の構造でございます。次に、議事録を、去年の衆議院の議事録なんですが見ていただきたいんですけれども、海外における邦人被害、大変ショッキングな事件としてはアルジェリアでの邦人十名の殺害事件がありました。あのときに、事件当初から安倍総理あるいは城内、当時は政務官だと思いますけれども、政務官の発言の中にも、被害の全部あるいは一部はアルジェリア政府当局側の行為によるものだったとうかがわせるような発言内容がございました。  議事録の方に、これは、あべ大臣政務官の答弁の中に書いてありますけれども、御指摘の発言に関して、その後、城内政務官は、軍事オペレーションの中で日本人が亡くなったわけではあるけれども、どのような形で亡くなったかについては、まだ詳細は分かっていないというふうに述べていると答えています。  また、菅官房長官岸田大臣から、あちらのアルジェリアの大臣に対して、事件に対する捜査の進展、結果について協力要請したということで、引き続き情報共有を求めていくことを含め、今後も引き続き事態の全容解明に努めていくところでございますというようにお答えいただいているので、一年たってお伺いしているのですが、その後の調査で事実関係は明らかになったんですか。
  75. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘日本人の方がどのような形で亡くなったかということにつきましては、アルジェリアにおける現在の状況ですが、アルジェリア当局において引き続き捜査が継続中であり、容疑者につきましても、この裁判のプロセス、まだ始まっていない、これがアルジェリアにおける現状だということでありました。我が国自身も捜査を継続しているわけですので、アルジェリア当局より捜査状況、情報につきましては適宜共有を受けている、こうした状況にあります。  首脳レベル、また外相レベルでも、このアルジェリアによる制圧作戦の詳細、そして事態の全容、これは説明を求めてきているわけですが、引き続きまして、先ほど申し上げました状況で、今後裁判のプロセスも開始されるものだと考えますが、その中で、アルジェリア政府側にしっかりと情報提供を求めていきたいと考えています。
  76. 小野次郎

    ○小野次郎君 ああいう、ああいうといっても、私も現場にいたわけではありませんけれども、大変混乱した中で起きた被害ということですから、なかなか有責、責任を有する人物、あるいはどっちの側かというのを特定するのは難しいとは思います。  ただ、聞いているところだと、やはり居住区域内で一旦人質にされた人を、いわゆる工場サイトの方へ、反政府武装勢力側が合流しようとして、何度かそれをトライした間にアルジェリア当局のオペレーションによって被害が出たと言われていますから、どちらの弾が当たったかというのは私も分かりませんけれども、全部又は一部の部分がアルジェリア側当局のそのオペレーションによって被害が出た可能性もあるから、素朴な印象として城内さんも最初の段階でそうおっしゃったんだろうし、その報告を聞いた安倍総理もそういう可能性があるということをおっしゃったのはよく理解できるところなので、是非そこは事実関係の解明は続けていただきたいと思います。  ただ、今日取り上げた趣旨はそっちじゃなくて犯罪被害給付の方ですから、むしろ言いたいことは、犯罪被害給付の本筋というのは、日本人が海外で被害受けたその人の損失被害、どれだけのものを、かけがえのない命を含め、失ったかが明らかになるべきなのであって、犯人捜しするのとは別ですよということを言いたいんですね。それが分からないと、十年たっても二十年たっても三十年たっても先が進みませんというものではないはずだと。元々、その遺族なら遺族、あるいは体に障害が残った方の再起を助けようという制度ですから、そういうこと、犯人捜しがきちっとしなきゃいけないという問題と別途、この海外における邦人被害に対する犯罪被害給付制度を整備すべきだという趣旨は別のところにあるんだということを是非御理解いただきたいと思います。  次に、これは外務省になるか警察庁になるか分かりませんが、このアルジェリアの件は分かりました、大臣から引き続き調査するとお答えいただいたので、調査いただくことにして、一般論で、海外におけるテロ事件とか、あるいは治安の良くない地域における犯罪被害、これは本当に加害行為を行った責任を有する人を特定して、その人を民事裁判に連れていって、被害を回復するというような手続まで取れているというのは、僕は今まで知っている限りでは極めて少ないと思うんですが、実際は困難な場合の方が多いんじゃないでしょうか。実態をお聞かせいただきたいと思います。
  77. 三好真理

    政府参考人(三好真理君) お答え申し上げます。  在外公館におきましては、邦人保護の観点から、可能な範囲で被害者本人あるいは御家族に対する側面支援を行っております。それでも、被害者御本人やその御家族が外国における犯罪被害の加害者を特定、あるいは賠償請求を実現することは、異なる言語あるいは法制度の壁を乗り越えなくてはならない上、度重なる渡航のための費用あるいは訴訟のための費用もかさむこともありまして、一般的には非常に困難な状況にあると承知いたしております。
  78. 小野次郎

    ○小野次郎君 有責者の特定の方が難しいということについて、警察庁の方で何かコメントがあればいただきたいと思うんですけれども。加害者を特定することは難しいということの方について、コメントがあれば。
  79. 高橋清孝

    政府参考人(高橋清孝君) お答えいたします。  一般的に、やはり国外犯の捜査、海外でのそういう事案の捜査につきましては様々な困難を伴っておりまして、いろいろ難しい点があるのは事実でございます。
  80. 小野次郎

    ○小野次郎君 実際そうだと思います。なかなか民事上の被害回復までするというのは国内以上に被害者の側にとってはハンディが多いことだと思います。だから、国内の制度に準じた、海外での被害についても制度を設けるべきだというのが私どもの考え方なわけです。  そこで、警察庁にお伺いしますが、日本の国内の今現在ある犯罪被害者給付制度、四十年前にできたんですけれども、その創設の経緯、有名な事件もありました。その辺について、改めて御説明いただきたいと思います。
  81. 沖田芳樹

    政府参考人(沖田芳樹君) お尋ねの犯罪被害給付制度が、創設する上で大きな契機となりましたのが、昭和四十九年八月に発生いたしました三菱重工ビル爆破事件でございます。同事件は、極左暴力集団が三菱重工本社ビルに仕掛けた爆弾によりまして多数の死傷者が出たという事案でございますが、被害に遭われた方々の救済に関しましては、加害者による損害賠償が事実上得られない中、労働者災害補償保険制度等の公的な給付で救済された方がいる一方で、偶然その場に居合わせたということなので、何らの救済も受けられない方がいらっしゃったという事情がございました。  こうしたことから、犯罪被害者等に対する公的救済制度の確立の必要性が大きく議論されるようになり、昭和五十五年五月一日に犯罪被害者等給付金支給法が制定され、同五十六年一月一日に施行されたところでございます。この制度によりまして、生命、身体を害する故意の犯罪行為により不慮の死を遂げられた方の御遺族、又は重傷病を負い、若しくは障害が残った方々について遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金がそれぞれ支給されることとなったものでございます。
  82. 小野次郎

    ○小野次郎君 三菱重工の事件、その後、多分この法律の施行前後だと思いますけれども、新宿西口のバスにこうガソリンか何か火を付けてたくさんの方が死んだ事件なんかも、この制度があって良かったということになる。  なぜかというと、労災、車の関係では自賠責とか適用になるケースの方は救済されるんだけれども、それが、救われる手段がない方についてはないから、やっぱり格差が非常に問題になって、救済する制度としてつくった。つくったときには、やっぱり所管の警察庁も調査する手段が余りないからといって、極めて低いベースのものから始まったんです。  だけれども、やっぱり被害者になった方からすれば、冗談じゃないと。なぜあの人は自賠責、あの人は労災で手厚い保護があって、私はないんだという話になって、だんだんだんだんその制度を自賠責、労災に近づけていって今に至って、亡くなった方だけじゃない方に対する、障害者に対する、残った方に対する給付だとか何か充実していったんですね。金額の方もだんだん近づけていったというのがこの成果なんです。  それをまた、今度海外犯罪被害者について制度をつくると。弔慰金から始めりゃいいじゃないかと、ないよりはいいだろうというふうに言う人は必ずいるんですけれども、でも、始めた途端に、その該当する方からすれば不満が出ますよ、それは。だって、今一千万、二千万と海外にどんどん旅行に行っているときに、たまたま海外で同じことに遭うと、がくっと低い補償しかないと。同じことが国内で起きるとそれは全然違う対応になるというんじゃ、それはやはりその当事者の立場に立てば決して納得できるものではないだろうと思うから、つくるんであれば最初からやっぱり国内に準じた制度にすべきじゃないかというのが私どもの考えでございます。  そもそも、さっき答えちょっと言っちゃいましたけれども、被害者が受けた損害、被害の額というのは、海外であろうと国内であろうと算定できるんですよ、一家の大黒柱が亡くなったという事実に関しては。ところが、問題は、所管の官庁、警察庁になるのかもしれませんが、調査がなかなかできないというのは、被害者の側にその給付額算定に影響を与えるような特別な事情があったかどうかということ、あるいは加害者側と被害者側の間に何か特別な事情があって、それが給付額算定に影響を与えると。よく言うのは、男女の関係があったとか、いろいろあるんですよ、金の貸し借りが元々あったんだとかという場合に、細かい事情が分からないと減額できるかどうか分からないという問題があることは分かりますよ。これは刑事手続じゃないから、捜索、差押えしたりなんかして調べていくんじゃなくて、やっぱり任意ベースで調べるしかないですし、まして海外の場合にはそれがやりづらいというのは分かりますけれども、今やりづらいと言ったのは、いずれも減額する必要があるかどうかを判断する資料がなかなか得にくいということであって、その人が亡くなったということに関する損失の額を調べることは国内だって海外だって変わらないわけですよ。遺族の方も一生懸命それを立証しようとしますから、それについては立証は可能なので。  是非私は、政府与党協力してやるのかもしれませんが、この制度を海外に適用させようというのであれば、そんなお見舞金程度から始めるのじゃなくて、国内と同じような水準のものから始めていただくようにお願いしたいと思うんですが、これは、越智さん、何かコメントはいただけませんか。
  83. 越智隆雄

    大臣政務官(越智隆雄君) 今の小野議員の質問に対してお答えをいたします。  政府といたしましては、先ほど申し上げたとおり、与党でも様々な議論があるというふうに承知しておりますので、その議論も見守りながら最善の努力をしてまいりたいというふうに思います。
  84. 小野次郎

    ○小野次郎君 甚だ、こういういわゆる給付行政に関することを与党に丸投げしてしまって、議員立法でやる、政府は手を出さないというスタンス自体が納得いきませんが、今後とも、始めるのであればちゃんとした制度にして始めていただきたいということを強く申し上げて、次の質問に移ります。  中谷大臣中谷大臣防衛大学校出身ということですけれども、大変申し上げにくいですが、あなたは本当にシビリアンという認識でよろしいんでしょうか。
  85. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 平成二年に総選挙立候補をいたしまして、現在九期でございます。有権者に選ばれた政治家であり、シビリアンであるという認識を持っております。
  86. 小野次郎

    ○小野次郎君 それでは、シビリアンコントロールの必要性、意義をどういうふうにお考えですか。
  87. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 旧憲法下におきまして、統帥権独立としまして、軍の作戦などに関する事項につきましては内閣や議会の統制の及び得ない範囲が広く認められていました。同じく旧憲法下において、一時期を除き、軍部大臣現役武官制として陸海軍大臣は現役軍人でなければならなかったために、事実上軍の意向に沿う内閣でなければ成立せず、軍の賛成がなければ、国策を立てたり、これを遂行することができなかった等から、軍が不当に国政に影響を与えていたと考えられます。  戦後は、そういった経緯の反省もありまして、自衛隊が国民の意思によって整備、運用されることを確保するために、国民を代表する国会、そして内閣総理大臣、これが事務を行うことといたしまして、最高指揮官が内閣総理大臣防衛省におきましては防衛大臣自衛隊を管理、運営し統率をする、その際、防衛大臣防衛大臣政務官等の政治任用者が防衛大臣を補佐するという各レベルでの厳格な文民統制の制度を採用したわけでございます。
  88. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は非常に理解が浅いと思いますよ。  文民たる総理大臣、あるいは文民たる防衛大臣がたった一人ぽつんとそこに椅子に座っていて、あと全部いわゆる制服の方がアドバイスも情報も報告も上げていて決裁を下さいと言っている形では、シビリアンコントロールは実施できないですよ。だって、知っていること、なすこと全て、文民である大臣以外が全て文民でない人に仕切られてしまえば。  逆に言えば、狭い意味の軍事組織におけるシビリアンコントロールというのは、実は権力機構については同じような仕組みが必要だというのはほかの分野でもあるんです。  資料を見ていただきたいと思いますが、権力機構におけるシビリアンコントロールのイメージという図で作りました。  例えば、何のためにこういうものが必要かというと、一つは、やっぱり暴走する権力機構が、軍事組織であれ検察機関であれ警察であれ、自己目的を設定して、照準をそれに定めてしまうと。兵器にしても配備にしてもあるいは狙い自体にしても、何か目標を作ってしまうということをやめさせなきゃいけないということ。さらには二つ目には、それが政治の世界にロビー活動を始めちゃうということですよ。その目的を政治に受け入れさせるために、政治の方を動かそうとして、どんどんそれに浸透を始めてしまうというのが二番目。三番目には、暴走して失敗したとき、あるいは目的を達することができなかったときに、その非を認めたり責任を取ろうとしなくなっちゃう。  それ、いずれもやっぱり、偉大なる素人というか、偉大なるシビリアンがそれを止めたり正したり、責任を取るためにシビリアンコントロールというコンセプトがあるんだろうと私は思うんです。  そうだとすると、たった一人の方がどんな優秀な方であっても、中谷大臣がどんなに優秀な方であっても、一人でできることじゃなくて、やはりそこにはそういった、自己目的化したり、あるいは政治を動かそうと働きかけてしまったり、あるいは失敗はしてもその暴走を自ら反省したり戒めることができない者に対して駄目じゃないかと言うだけの力、存在感がなければできないんだと思います。  その意味で私は、ここに書いたとおり、例えば検事総長以下の検察機関だって強大な権限を持っていますよ。でも、それをちょっと待てと言えるのが大臣なんですけれども、でも大臣を、それを補佐するのが次官や官房や各局なんでしょうと。  それはやっぱり、警察の場合は、特に公安委員会という制度にしてそれを特に慎重につくっているわけだけれども、それも、公安委員会は五人だけいて、あと全部普通の警察官のマインドしかない人しかいなかったら、これできないですよ。だから、警察庁長官あるいは官房各局、これらは法律上も公安委員会を補佐すると書いてあるんです。なぜかといえば、現場の警察側と大臣の意見が分かれたときには公安委員会側に付けよということなんですよ。公安委員会側に立って、全国の警察機関に非は非で正しなさいよと言うためにそういう仕組みになっているんです。これも大きな意味でいうと、私はシビリアンコントロールみたいなものだと思うんですよ。  ですから、それは防衛省についても同じなんで、別に次官が優秀か優秀でないかの問題でなくて、大臣がこれはおかしいんじゃないかと思ったときに、次官や官房各局は自衛隊側に付くんじゃなくて、大臣側に立ってやっぱり問題を指摘するような人が一定数いないと、一定数のやっぱり能力を持った方が集団でいないとできないから、カウンターバランスとしてやっぱりシビリアンコントロールというのは僕はあるんだろうと思うんです。  その意味で、是非、文官たる職員について、右足が制服組で左足が文官で、これ比較すればいいんだみたいなものではなくて、大臣がシビリアンコントロールを万全に発揮するためには、この文官の人たちのアシストが今後とも絶対必要だと思いますけれども、大臣、そのようにお考えになりませんか。
  89. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのように考えております。  防衛省における統制というのは、文民である防衛大臣、これが自衛隊を統制するんですけれども、政務三役で防衛大臣防衛政務官の政治任用者のほか、内部部局、この文官による補佐も、防衛大臣による文民統制を助けるものとして重要な役割を果たしていると認識しております。
  90. 小野次郎

    ○小野次郎君 僕は古い話は余りしたくないんですけれども、軍人勅諭というのがありますよね、戦前の。あれだって、やっぱりなぜつくったかといったら、幾つかの事件を経て、軍の政治への介入を防止するために、軍人の政治不関与、不介入というのが制定の動機になっているんですね。だから、やはり制服組と文官の区別を余り曖昧にすると、この軍の政治不関与、不介入の原則も曖昧になってしまうような気がするんですけれども、その点については、大臣、何か見解をお持ちじゃないですか。
  91. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、シビリアンコントロールというのは、政治が軍に優先するということで、それは国民から選ばれた政治家でございますが、御指摘のように、大臣判断する際におきましては、文官による政策的見地からの補佐と、また自衛官による軍事的、専門的見地からの補佐が、いわゆる車の両輪としてバランスよく行われるということが重要であると考えておりまして、防衛大臣による防衛省の統制におきましては、文官による補佐も、また自衛官の組織であります幕僚による補佐も、いずれも重要な役割を果たしているというふうに思います。
  92. 小野次郎

    ○小野次郎君 この軍の政治不関与、不介入というのは、今は軍人勅諭というと何か右翼の人しか話題にしないというけれども、そうじゃなくて、なぜつくったかといったら、やっぱりこの軍の政治不関与、不介入というのが必要だったからなんですね、と言われています。なぜか。竹橋事件とか、それから四将軍の上奏事件といって、軍人である人が政治に関して意見を表明したことがあったので、それは駄目だということでつくったのが戦前のそういうものなんですね、文章なんです。  ですから、それを、政策立案する人と執行する、エンフォースメントする人を一緒にやって、まあそれは中にはいい意見言う人もいると思いますよ。だけど、その建前として、仕組みとして、それを、さっき申し上げたみたいに自己目的を設定してしまったり、さらにそれを部外の政治に働きかけて実現しようとしたりすることを制服組が始めてしまったら、それはやっぱりまずいんだろうと私は思います。これは一線をしっかりと守っていただきたいと思います。  次の問いに移りますが、法制局長官に今日はお越しいただきましたので法制局長官にお伺いしますが、集団的自衛権の行使容認の立場では、この九条一項、私、今日資料を配らせていただきましたけど、何か、寝て読んでも起きて読んでもどうもすっきりと読めないんですね。この集団的自衛権の行使容認の立場からで、九条一項の戦争を放棄する、あるいは武力の威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としてはこれを放棄すると言っているのと何か矛盾するような気がするんですけれども、どう読み解けばいいんですか。
  93. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 今般の閣議決定は、憲法第九条の下でも例外的に自衛のための武力の行使が許される場合があるという昭和四十七年の政府見解の基本論理を維持し、この考え方を前提として、これに当てはまる極限的な場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当てはまるとしたものであり、これまでの憲法第九条をめぐる議論と整合する合理的な解釈の範囲内のものであると考えております。  なお、このような自衛の措置としての武力の行使は、国際法上は集団的自衛権が根拠、違法性阻却事由となる場合がありますが、自国防衛と重ならない他国防衛のために武力を行使することができる権利として観念されるいわゆる集団的自衛権の行使を認めるものではございません。
  94. 小野次郎

    ○小野次郎君 確認させていただきますと、集団的自衛権というのを全てをフルサイズで認めるものではないし、認めることは憲法に抵触するということを今確認されたわけですね。
  95. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) そのとおりでございます。
  96. 小野次郎

    ○小野次郎君 そういう理解の上で読んでみても、私たちがこの九条をいろんなところで、高校でも大学でも習ったときには、戦争放棄なのになぜ自衛隊があって、なぜ自衛隊は戦闘することができるのかといったら、かつてのように宣戦布告するだの何だのとそういう戦争はないけど、日本がまさに攻められたときには、それに対して反撃しなきゃいけないでしょうと、その実力手段だというふうに教わったんですが、集団的自衛権になってくると、日本が攻められていないのに、こっちから、じゃ、後方支援であれ何であれ、ある一方の側に付いて自衛隊を動かしてしまおうということになると、ぐるぐる回って、解釈、元に戻ってもう一遍、これを更で読んでみると、やっぱり戦争を日本が始めることになっちゃうというふうに読めるんじゃないですかということなんですけど、もう一遍ちょっと、長官、お願いします。
  97. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) この度の新三要件におきましては、先ほども申し上げましたが、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生しただけでは足りずに、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、こういう要件がある場合に限って武力の行使を認めるというものでございます。  この点につきましては、そのような明白な危険があるという状況は、その状況の下で武力を用いた対処をしなければ、国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかであると、そのような場合をいうものと解しておりまして、その意味我が国の危険と関わりない他国防衛に参戦する、参加するというものを認めるものではございません。
  98. 小野次郎

    ○小野次郎君 先ほど長官から、フルサイズの集団的自衛権行使が認められるというものではないと、憲法上、ですから、先般の閣議決定というのは、認められる範囲のものの中に集団的自衛権の一部含まれることがあるんだということを認めたにすぎないんだという話がありまして、今重ねて答弁がありましたから、逆に言うと、今度作る法律の中にも、寸分たりとも、一ミリたりとも閣議決定からまたはみ出るようなことがあってはならないということも言えますよね。
  99. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 具体の法律案については現在検討中でございますけれども、御指摘のとおり、憲法の解釈といいますか、憲法上認められる武力の行使という範囲についてはこの新三要件を満たす場合に限られますので、これを過不足なく法律で、法律の中に反映させるということに努めております。
  100. 小野次郎

    ○小野次郎君 一問だけ中谷防衛大臣にお願いしますが、我が国に対する経済・金融封鎖とか石油の禁輸措置に対して我が国が自衛権発動として武力行使をするということは、それが正当化されることはあり得ますか。
  101. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 海洋国家である我が国にとりまして、国民生活に不可欠な資源、食料を輸送する船舶の安全確保は極めて重要でございまして、我が国が輸入する原油とか天然ガス、こういったものの輸送経路の確保というのは非常に安全保障的にも大事な観点でございます。  これでこういった危機が発生した場合には、あのかつての石油ショックを上回るほどに世界経済は大混乱に陥って我が国に深刻なエネルギー危機が発生しますが、我が国にある石油備蓄は六か月分ありますが、機雷が除去されなければ危険性は、危険はなくなりません。石油の供給が回復せずに我が国の国民生活に死活的な影響が生じるような場合には、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるとなる事態、すなわち新三要件を満たす場合が生じ得ます。  経済は国の存立の基盤であり、この基盤自体が脅かされるかどうかについても判断対象になると考えますが、いずれにしましても、実際に我が国が武力行使を行う場合には新三要件全てを満たす必要があり、新三要件を満たすか否かは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断するということになります。
  102. 小野次郎

    ○小野次郎君 安倍総理も中谷さんも、石油が来なくなるといかに日本は困るかということを動機にされますけれども、私、質問のときに石油の禁輸措置と言っているんですよ。武力行使があったと言っていないんですからね。  ですから、やはり、例えばロシアとウクライナの間にもパイプラインありますけれども、パイプラインをロシア側のところできゅっと止めたからといって、それがウクライナの側から見て自衛権になるかというと、非常に厳しいと思いますよ、私は。やっぱり武力行使があったかどうかというのが大事なんです。その部分を……
  103. 片山さつき

    委員長片山さつき君) そろそろおまとめください。
  104. 小野次郎

    ○小野次郎君 きちっと踏まえないと、いかに日本が受ける影響が大きいかだけで自衛権行使の対象になるんだとしたら、今言ったとおり、金融封鎖だとか石油の禁輸措置まで自衛権の対象になってしまうので、そこは暴論になってしまいますから……
  105. 片山さつき

    委員長片山さつき君) お時間です。
  106. 小野次郎

    ○小野次郎君 是非その議論はしっかりと詰めていただきたい、そのことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  107. 大野元裕

    ○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。  昨日の予算委員会に引き続き、防衛大臣外務大臣、そして法制局長官に質問させていただきたいと思います。  まずもって、シリアにおける邦人人質事件についてお伺いをさせていただきます。  このような邦人人質事件に際して、外務省も私は大変御苦労されたと思いますし、我が国が取り得る手段というのは決して多くなかったとは理解をしています。  そのような中で、元来、親日的なアラブの世論、これは数少ない我が国が有する手段の一つであったのではないかと思っています。実際、昨年の五月に米国人の人質がISILの手から逃れた際には、別のアラブの勢力に助けられています。ISILによる、そんな中で邦人拘束の画像が出された後、イスラエルにおいて総理が記者会見を行われました。その席上、テレビの画面の横にはイスラエルの国旗がたなびいていたんです。この様子を見たアラブ人は決して愉快なはずがありません。残念ながら、そういったその感情というものは、大変残念ですけれども、根深くあるものだと理解をしています。  こういった演出の在り方というか舞台の設定の仕方はアラブ世論を我が国にとって味方に付けることを阻害したのではないかと私は感じていますけれども、外務大臣見解をお伺いしたいと思います。
  108. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員御指摘のように、我が国はアラブ世界と歴史的な友好関係があり、こうした関係は大切にしていかなければならないと存じます。  今回の総理の中東訪問ですが、中東地域の平和と安定、これはエネルギーを始め様々な分野において我が国にとって極めて重要であり、また、中東地域におけるこの過激主義の流れを止めるという観点国際社会全体にとっても極めて重要である、こういった観点からこの訪問に取り組んだ次第であります。  イスラエルにおける記者会見について御指摘をいただきました。まず、イスラエルの旗が記者会見の会場の映像に映っているというような御指摘がありますが、基本的に内外記者会見を実施する際の通常の慣行として、我が国の国旗と記者会見を実施する国の旗が設置される、これはそういった慣行に基づいて行われた対応でありますが、基本的に、我が国の立ち位置というのは、従来から、アラブ諸国とそしてイスラエル、この双方を考えた場合にバランスの取れた関係を維持していくというのが基本的な立ち位置でありますし、我が国の立ち位置については、アラブ諸国始め関係各国、国際社会からも理解を得ていると思いますし、この立ち位置は一つの評価を得ていると考えております。こういったことを総合的に勘案した上で今回の対応を考えた次第であります。
  109. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、私は基本的なスタンス、そこについて全く異論を挟んでおりませんし、アラブとイスラエルのバランスの取れた外交を当然貫くべきだと思っています。  しかし、先ほど申し上げたとおり、限られた手段の中で我が方が取る演出あるいは舞台設定、これは私、頭使ってやっぱりやるべきだと思うし、実はこの会見、当時、予定時刻から四十五分たしか遅れて行われたと私は理解をしています。そうすると、報道担当の同行者や外務省員、そこで何も感じなかったんでしょうか。そういったその提案、例えばこの会見で旗を遠ざけるのが失礼だとすれば、すればですよ、そこでは二国間関係だけを述べて、その後のぶら下がりで人質に関する話をするとか、私は幾らでも対応の方法はあったんじゃないかと思いますし、それは国際的な慣行を無視することにもならないと思います。  そういった意味で、あらゆる手段をとおっしゃるんですから、そこは是非もう一度お考えをいただいて、こういった事件は二度と繰り返してはならないし、とんでもないことをやったのは相手方ではありますが、しかしながら、我が方ができることは全てをするということが外務大臣として支持されるべき立場ではないかと思いますが、もう一度お願いいたします。
  110. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 外交に対する取組として、様々な状況、条件を勘案した上で最大限、細心の配慮を行いながら具体的な対応をしていく、こういった姿勢は極めて重要であると存じます。  今回の総理の中東訪問、そして内外記者会見での対応につきましては先ほど説明を申し上げたとおりでありますが、引き続きまして、外交における細心の注意の必要性はしっかり認識をしながら、努力は続けていきたいと考えます。
  111. 大野元裕

    ○大野元裕君 細心の注意が、配慮が大事であると、そのお言葉はしっかりと受け止めさせていただいた上で、もう一問質問させていただきますが。  二月一日、大変残念な結果でお二人の邦人の方がお亡くなりになりました。この同日、総理は声明をお出しになられました。  このときの声明、御発言の外国語訳が出されたのはいつですか。
  112. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘内閣総理大臣声明の外国語訳の発出は、同じく二月一日でございます。
  113. 大野元裕

    ○大野元裕君 私が確認した範囲では、一日以上たった後にホームページに、外務省、出ているんですけれども、それは事実関係と異なりますか。
  114. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 私の手元の資料で確認する限りは、総理声明の和文は二月一日午前、そして英訳は同日午後に外務省のホームページに掲載したとされています。
  115. 大野元裕

    ○大野元裕君 分かりました。  では、あえてそこは突っ込みませんけれども、そもそもこれ、私、この訳自体がどうかという気がしております。というのは、総理は、「その罪を償わせるために、国際社会と連携してまいります。」とおっしゃっていて、その後、英語の方は、「I will work with the international community to hold them responsible for their deplorable acts.」ということで、これ、大臣もニューヨーク長いので、何点付けますかと聞きたかったんですが、大臣が点数付けちゃうと、翻訳された外務省員の方、立つ瀬ないものですから、そこはやめておきますが、しかし大臣、こういう声明の、私、ここも細心の配慮だと思うんです。  これ、外信でいろいろ出ますけれども、配信をされて、その後、トルコだとか米英の報道等を見ていると、この定訳が午前で午後だった、私、ちょっと若干認識が違いますけれども、時間がこれずれたがために、トルコだとか米英の新聞等では勝手な言わば翻訳で流されていて、例えばリベンジとかあるいはペイプライスとか、要するに報復するとか代償を払わせるとか、こういった翻訳を付けられてしまっている。それは、外信はすぐにでも出るわけですよね。  そういった意味では、私はそこも細心の配慮だと思いますし、対決姿勢をいたずらにあおるものではない。そして、総理は、恐らくこれは言葉を選んだと私は思います、それがいい悪いは別として、我が方のきちんとしたメッセージを伝えるということは当然の外交の基本でございますし、世界中がこれだけ注目していて、時にその中には、マスコミの中にはあおろうというようなマスコミもおられるのかもしれない。そういったことも前提にしながら私は声明をしっかりと準備をしていただきたいというふうに考えております。  いずれにせよ、このISILというような組織は常に悪意ですから。しかも、敵を常に求めていて、彼ら自身、正当化できるようなことはやっていないんですよ。しかしながら、相手がもっと悪いということを喧伝することによって、彼らが資金集めをしたり、あるいは人を雇ったりといったことを可能にしているという極めて悪質な組織であります。そういった組織から我が方の日本人の方々を守るためには、彼らのロジックの中に我々を置かないということが極めて重要なので、この事件のみならず、今後も含めて、残念ながら不安定な状態が中東では続いていますし、こういった組織が根絶されたわけではありません。  是非、外務大臣におかれましては、この翻訳の問題とか、それから旗の問題とか、これ、ささいなようですけれども、こういったものが、言わば中身よりも、テレビなんかで見ると、一般のアラブ人の人たち、印象で見てしまう場合もありますので、是非そこはお取組を改めていただきたいと思いますが、最後、いかがでございましょうか。
  116. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、我が国立場あるいは考え方国際社会にしっかり説明するに当たって、言葉の使い方を始め細心の注意を払っていくということ、これは大変重要なことであります。  今回の総理のこの声明につきましても、罪を償わせるという言葉を使ったわけですが、国際社会が連携してこの卑劣なテロ行為に対する取組を進めているので、我が国としても政府全体として最大限取り組んでいく、こういったことを述べたものであります。  御指摘のように、hold them responsibleという言葉を使っています。国連決議におきましても、テロリストは法の裁きを受けなければならないという意思を表明しているわけですが、その際にはbring to justice、こういった言葉を使っています。  ほかの国の用語の使い方を見ましても、英国のキャメロン首相はbring them to justiceを使っていますし、ケリー長官はhold them responsibleを使っています。こうした各国の用語も参考にしたわけでありますが、我が国としましては、声明の英文については和文に忠実にする形で訳したということでありました。  引き続きまして、様々な国々の用語の使い方も参考にしながら丁寧に発信はしていきたいと考えます。
  117. 大野元裕

    ○大野元裕君 くれぐれもよろしくお願いいたします。  防衛大臣にお伺いします。  防衛大臣、よく御存じだと思いますけれども、防衛駐在官の話が今、様々なところで取り上げられています。防衛駐在官、これ一佐クラスだと思いますが、一佐クラスの方を養成するというのは多分大変なことだと思うのですが、大臣のまず簡単に御所見を賜りたいと思います。
  118. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 駐在武官に関しましては、この職務、非常に重要で複雑でございまして、幅広い見識と豊かな経験を有する者を派遣をする必要があるということで、各国の駐在武官の多くが一佐、二佐クラスでございます。我が国防衛駐在官においても、同等の階級を有することが望ましいということで、防衛駐在官としては一佐を中心に各国に派遣をしてまいりました。
  119. 大野元裕

    ○大野元裕君 いや、その一佐を養成するコストというのは当然大変なものであって、そうそう簡単にどなたも一佐にまで至るというわけでは必ずしもないし、多大な責任を負われているものだと私は理解をしています。  その上で、大臣、これは提案なんですけれども、一佐をそうそう数多く世界にばらまくというのはなかなかやはり難しいんだと思うんですね。計画に従って人材を育成して、そしてそれぞれの特性もある、あるいは防衛駐在官ももちろんそれなりの能力というものが必要である。そうだとすると、実は私も在外でかつて外務省にいたことがあるんですけれども、やはり防衛駐在官の方、お越しになられても、大変失礼な言い方だけれども、やはり語学のレベルとかからすれば、当初はやはり外務省で経験を積んだ方よりは残念ながら差が出て、一日の長というのは外務省員にあります。  そういった意味で、御提案なんですが、同じ人数を出すのであれば、例えば一佐クラスは広域の防衛駐在官にしていただいて、その下の武官事務所に三佐とかそのぐらいのレベルの方を出して、しっかりと情報収集や語学の経験を積んだ上で、さらに二度目の赴任のときに防衛駐在官になっていただくような方が私ははるかに同じ人数を出しても効率的だし、なおかつ、一佐クラスが全て奪われるということで部隊等の運用に支障が出ないと思うんですが、これはあくまで御提案ですが、いかがでございましょうか。
  120. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 大野委員は、湾岸戦争前のイラクでの大使館の勤務もありますし、また、中東を始め情報活動の専門家として非常に精通されておりますので、大変参考になる御意見だと思っております。  現在、一佐につきましては、ほかにも様々な教育等をいたしておりますので、決して少なくない人的、時間的、経済的努力を払ってこうした教育を行うというのはなかなか難しいわけでございまして、二佐クラスにおきましても、最近、アルジェリア邦人事件を契機にアフリカへの新規派遣とか、イギリス、ドイツ、フランスへの増派におきましては、アフリカの地域に今度七か国派遣しますけれども、二佐を中心に派遣しておりますし、英国、ドイツ、フランスにつきましては、既に派遣されている一佐の補佐として三佐、これを派遣をいたしております。  御提案にありました、広範囲を一佐が束ねて、二佐、三佐というようなお話でございますので、大変貴重な御意見だと思いますので参考にさせていただき、検討させていただきたいと思います。
  121. 大野元裕

    ○大野元裕君 よろしくお願いいたします。  いかに足らなくても、もう大臣はシビリアンですからお戻りになるわけにはいかないものですから、是非そうやって工夫をしていただきたいというふうに思っております。  質問を変えますけれども、外務大臣、再びお伺いしますけれども、フランスで本年初頭に、いわゆるシャルリー・エブドというところに対するイスラム過激派によるとされる襲撃事件がありました。私は無制限な報道の自由というのはどうかとは思っていますが、しかしながら、それを力や圧力で封じ込めることは決して許されてはならない、このように強く感じております。  その意味で、一月十一日にはパリ大行進が行われました。この大行進の意義についてどうお捉えでしょうか。
  122. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 一月十一日に開催されましたいわゆる共和国行進という行進ですが、政府高官だけではなく多数のフランス人が参加したことは、フランス国民が連帯してテロによる衝撃を乗り越え、卑劣なテロに屈しない姿勢を示したものだと受け止めています。また、フランスにとって、言論、報道の自由を始めとする普遍的価値の重要性を再確認する機会になったと評価しております。  また、欧州諸国を中心に首脳等が出席し、テロとの闘いや普遍的価値の擁護においてフランスを支持し、国際的な連帯を示す機会になったものと認識をしております。
  123. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣の今御発言の中にありました、欧州諸国を中心とし、首脳等が参加し。フランス国民だけが連帯したわけではなくて、我が国もテロとの闘い、テロと対峙することをしっかりと表明をしていますけれども、このパリ大行進にはドイツ、イギリス、あるいはイスラエル、パレスチナの自治政府等の首脳を含めて高官が数多く出席をされたと私は理解をしています。  他方で、我が国は現地の大使が参加したのみでありました。このレベルでの対応というのは果たして適切だったとお考えですか。
  124. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、今回の共和国行進には鈴木駐フランス大使が参加をいたしました。  この共和国行進への参加につきましては、我が国に招待がありましたのが一月十日土曜日、日本時間の十二時四十分頃、在京フランス大使館公使から外務省の欧州局西欧課長に対しまして電話で招待があったわけです。時差はもちろんあるわけですが、十一日に共和国行進が行われる予定の中で、十日の昼十二時四十分に我が国政府としては招待を受けました。  その時点で対応を考えたわけですが、翌日十一日は来年度予算の予算折衝が大詰めを迎えていました。私、外務大臣と財務大臣大臣折衝も十一日、予定をされておりました。なおかつ、その翌週ですが、一月十八日から十九日にかけて私自身フランスを訪問させていただいて、ファビウス外相と外相会談をやる予定にしておりました。  こういった状況でありましたので、我が国対応としましては、十一日の日、大臣折衝が終わった直後だったと記憶していますが、フランス大使館に赴きまして、弔意を示すために記帳を、私自身、そして安倍総理からも行わさせていただきました。そして、その際にダナ駐日大使に対しまして、共和国行進につきましては鈴木大使に出席をさせていただく、こういった連絡をさせていただき、了解を求めた次第であります。  先ほど申しましたように、共和国行進自体は大きな意義があるものだと思いますが、我が国対応につきましては、今申し上げました事情から、鈴木駐フランス大使に出席をさせるということで対応した次第でございます。
  125. 大野元裕

    ○大野元裕君 意義は認めるがフランスの方からの連絡が遅かった、また、大臣との予算折衝があった、こういったことから、意義は認めるけれども在仏の大使で対応したと、こういう御答弁だったと私は理解をさせていただきました。  他方で、これはアメリカなんかにも通報されたのは相当遅かったんでしょうか。実は、アメリカにおきましても、在仏の大使だけが参加したことによって、実は相当国内のマスコミやあるいは国会でもたたかれた。議会でもたたかれたというか、議会の方からもさんざんな発言が、例えばこれらの民主主義を、表現の自由を支援する行進に対して我が方の政府の高官が行かなかったことは恥ずかしいとかですね、そういった発言がアメリカ等の議会からもあり、結果として、ホワイトハウスの報道官が不適切であったと認めざるを得なかったという実は経緯が報道でございます。  私は、やはり、そういった意味ではおっしゃるとおりで、私も当時、たしか予算のこともありましたし、お忙しい時期だろうと思っていたので、実はちょっと、お配りしましたけれども、総理の動静と大臣状況、それから副大臣の日程について問い合わさせていただきましたところ、総理は、十日から十一、十二とゴルフをやって、二日間別荘で過ごされて、翌日、財務大臣とか計二十五分ぐらい議論をされた以外は、あとはラーメン屋さんとお見舞いであったと、こういう状況でございます。また、外務大臣におかれましては、御答弁のあったとおりですが、十日は特段公務がなかったようでございます。また、副大臣についても確認をさせていただきましたが、特段報告する政務日程はなしと、こういうふうに承っております。  確かに、フランス側が遅く伝えたのかもしれない。そして、我が方として大使に対して参加を依頼したこと、ただこれ、やはり私、アメリカでこのように言われたことが直接我が国と同じだとは思いませんが、ただ、問題は、こういったパリ行進に結果として大使しかお出にならなかったということは、これだけの大きな反応を例えばアメリカでも引き起こすということは、誤ったメッセージを国際社会に送ることになりかねないのではないかというふうに私は思っています。  それは、フランス大使に申し上げただけではこれはメッセージになりませんから、やはりそこはしっかりと、我々がこのパリ行進に対しどういうスタンスで臨んだのかということは、私は人を送るべきだと思いますから調べたんです。ただ、そうでないとしても、大臣の口若しくは総理の口からしっかりと御表明をいただくことが外に向けて必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  126. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、この事件について、また共和国行進について我が国立場考え方、しっかりフランス政府、また国際社会に伝えることは重要だと考えております。  先ほど、鈴木在フランス大使、共和国行進に参加をしたと申し上げましたが、あわせて、鈴木大使は日本政府の代表としてオランド大統領に直接お会いして哀悼と連帯の意を伝達させていただき、オランド大統領から鈴木大使に対し、参加に対し謝意が表明されたということもありました。  そして、私自身、翌週十八日から十九日にかけてパリを訪問させていただいたわけですが、その際にシャルリー・エブド社前に足を運びまして、前の在日フランス大使とともに献花を行う、こういったこともさせていただきました。そして、その後行われましたファビウス外務・国際開発大臣との会談におきましても、大臣に対しまして直接哀悼と連帯の意を伝達するということをさせていただき、テロ対策についての両国の連帯を確認した次第であります。  いろいろ御指摘は謙虚に受け止めたいとは思いますが、日本立場、そして日本対応については先ほど御説明したとおりであり、日本としてはできる限りの立場考え方説明フランス政府国際社会に行ったつもりではありますが、いずれにしましても、こうした国際社会に対する説明努力は重要であります。最大限の努力は引き続き続けていきたいと考えます。
  127. 大野元裕

    ○大野元裕君 哀悼の意を表する、相手の政府に対し、国際社会に対し説明をする、私も大変重要だと思います。  ただ、これ行進なんですね。行進ということはどういうことか。デモンストレーションをするわけですよ。それは、フランスに対し、これ表現の自由に対する挑戦だろうし、あるいは暴力による言論の抑圧であろうし、こういったことに各国の首脳や要人が外に向かってデモンストレーションをするという効果があったわけですから、やはり私は同等な形で外への発信が重要だったと思います。まあ、この話続けませんが、時間がございませんので。  次に、大臣にやはりお伺いをさせていただきます。  大臣も積極的に海外を訪問されて、大変御苦労さまだと思っております。外務大臣、インド訪問の際なんですが、記者からの質問に対して、中印間の、中国とインドの間の紛争地域、インド側の呼び名でアルナチャルプラデシュと言うんでしょうか、これについて、大臣、どのように述べられたんでしょうか。
  128. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今年一月十七日ですが、私自身、インドを訪問させていただきまして、ニューデリー市内で講演をさせていただきました。そして、講演後の記者との質疑応答の中で、アルナチャルプラデシュ州の帰属について質問を受けた次第です。  そして、その際に私の方から、アルナチャルプラデシュ州、インドの領土で、中国との係争地であるという言い方をいたしました。ただ、その趣旨につきましては、同州はインドが基本的に事実上支配しており、中国との国境問題について印中間で協議が継続している、こういった事実関係を踏まえて発言した次第であります。
  129. 大野元裕

    ○大野元裕君 こういった領土紛争の繊細さ、センシティビティーというのはもうよく御存じのとおりで、これ以上ここで言うのはやめておきますけれども、他方、大臣に是非お伺いしたいのは、実はこれ、過去にもあります。誰とは申し上げませんが、小泉総理のときの外務大臣がそういったことを別なことでおっしゃったようなことも、我が国のこれまでの立場と違うようなことで言ったこともありますけれども。  大臣、大事なことは、その後、中国側及びインド側双方に対し、しっかりとこれは説明をし、理解を得るということだと思いますけれども、それはどのような形でどのレベルでなされ、そして先方の理解を得たとお考えでしょうか。
  130. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今の発言の趣旨につきましては、まずは私自身、また官房長官からも記者会見の場で説明をさせていただきました。また、インド、中国両国に対しましても説明を行いました。中国からの問合せについても説明を行った次第ですが。  中国外交部の定例会見におきましても、日本側は中国側に対し、日本側は中印の係争が存在する地域について立場を取らず、介入もしない、これら全てについて公開の場で説明を行っていると明確に述べたと説明をしていますが、我が国説明を受けた後、その後、中国側からは何も反論もございません。インド側からもその後、反論は受けておりません。
  131. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣が全てをもちろん御存じのわけでは、いかに岸田大臣といえどもないわけで、同行される方々とか外務省の方々には是非そういった慎重な対応をお願いしたいし、想定をして大臣にきちんと伝えることをお願いをしたいし、そうではないと、こんな形で中国やインドに私、借りをつくるというのは決していい話ではないと思っておりますので、お願いをさせていただきたいと思います。  その中国ですが、日中韓外相会談が行われました。特に、その共同声明の中で、「歴史を直視し、未来に向かうとの精神の下、三外相は、三か国が関連する諸課題に適切に対処する」と書いてありますが、この意味は、特に「歴史を直視し、」というのはどういう意味なんでございましょうか。これ、中国側から特にこういったことについて、特に日中会談等で、安倍政権、歴史を直視していないとでも言われているんでしょうか。ちょっと教えていただけませんでしょうか。
  132. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、今回、三年ぶりに日中韓外相会談を行いました。そして、あわせて、共同記者会見用に共同報道発表という文書をまとめることができました。こうした日中韓の対話のプロセスが再び動き出したことは、これは評価すべきことであると思っております。  そして、その中で、御指摘のこの文言でありますが、議長国韓国を中心に三か国で調整を進めた結果、三か国で意見が一致したものであります。歴史を直視するということでありますが、歴史は、当然、今から七十年前の歴史もあり、そして戦後、我が国がさきの大戦の反省の下に民主主義、自由あるいは法の支配といった価値観を大事にし、平和国家として七十年間歩んできた、こういった歴史も当然含まれますし、一九六五年あるいは一九七二年、日韓、日中間の国交が正常化してから後、私たちの先輩方が両国関係の前進のために努力をしてきた、こういった歴史、こういったものも全て含めて歴史と捉えています。そして、これは文言にもありますように、日本だけではなく三か国それぞれ、今日までの歴史をしっかり見るという内容になっております。  この御指摘の点につきましては、そういった考えが込められていると認識をしています。
  133. 大野元裕

    ○大野元裕君 再びこういった三か国外相会議、三か国の枠組みが動き出したのは評価されるべきだとおっしゃいました。  まさに歴史の話をされたので、近い歴史と比較をすると、民主党政権の三年三か月、ここにおられる北澤先生を含めて、総理、外務大臣防衛大臣、五十回以上、中国、韓国のカウンターパートと会って協議をしています。それでも難しいのが隣国関係であります。現在の韓国、中国との関係、その頃とやはり比較をする必要もあるかもしれませんが、大臣はどのように評価されておられますか。
  134. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 現在の日韓関係そして日中関係ですが、まず日韓関係は、韓国我が国にとりまして最も重要な隣国であります。日韓間には難しい問題があり、厳しい状況が続いていますが、だからこそ様々なレベルで率直に話し合うべきだと考えています。  二十一日に尹炳世韓国外交部長官とも前向きな意見交換を行うことができました。今後も緊密に意思疎通を図っていくことで一致するとともに、尹炳世長官の訪日を改めて招請し、そして今後適切な時期に調整していく、こういったことを確認いたしました。  今年は日韓国交正常化五十周年という節目の年です。是非、重層的そして未来志向の関係を築くべく粘り強く努力していきたいと考えています。  また、日中関係につきましても、最も重要な二国間関係の一つである日本と中国、これは地域の平和、そして繁栄に大きな責任を負っていると考えています。中国が国際社会のルールや法の支配を尊重する形で平和的に発展すること、これは日本にとっても大きなチャンスであると考えています。  昨年十一月の北京APECにおける首脳会談、外相会談後、ようやく関係改善の流れが生まれてはおりますが、まだまだ十分ではなく、こうした流れを定着させるためには一層の努力が必要であるという点については、さきの二十一日の日中外相会談でも一致をしたところであります。  そして、十一月のAPECの際に会談した際も王毅部長の訪日を招請いたしましたが、今回も改めて中国、王毅部長の訪日を招請した、こういった次第であります。  引き続きまして、対話や協力、一つ一つ積み重ねながら両国関係を前進させていきたいと考えております。
  135. 大野元裕

    ○大野元裕君 外務大臣、是非隣国との関係の重要性はお願いをしたいと思いますが、他方で、一点、中国と日本との関係、多分韓国よりも難しいのかもしれないと私は想像していますけれども、ここに関しましては若干気になることがございます。  というのは、安倍政権というのは、尖閣問題をめぐって我が国の歴史上初めて両国の間に見解の相違があるということを認め、中国側はこれを大いに喧伝してしまいました。中国の言葉は立場という言葉を、この議論は以前この委員会でも大臣とさせていただきましたけれども、それをそういった宣伝材料に使われてしまいました。  この昨年十一月の四項目の合意について、実は外務省のホームページを見ると、日中の外相会談の中で王毅外相から、両国間の緊密な関係の維持にとって昨年十一月の四項目の合意の遵守が必要であると、重要であると、こういう強調がなされたんだそうです。  さきに取り上げたこの見解の相違というのは、この中の第三点目でございます。仮にこれ、双方がこれを遵守する、双方が努力する、そしてこの第三点目の見解の相違があるということを前提とするのであれば、我が方は、これ努力するためには、双方の見解の相違を、これから領土問題に関する見解の相違を、尖閣領有に関する見解の相違を双方は議論をしていくということを意味するんでしょうか。あるいは、それが、例えば王毅外相なり、あるいは日中の首脳会談の前提となってしまうんでしょうか。そこは私とても懸念しているんですけれども、大臣見解を賜りたいと思います。
  136. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、今回の日中韓外相会談と併せて行われました日中の外相会談におきまして、中国の王毅外交部長、いわゆる四項目について述べた、そのとおりでございます。  ただ、今回のやり取りの流れを見ますと、王毅部長の念頭にあったのは、この四項目の中においては特に第二パラグラフ、歴史に関する部分ではなかったかなと受け止めています。ただ、第三パラグラフにつきましても、これは改めてしっかり我が国立場説明しておかなければなりません。  この四項目の第三パラグラフ、これは尖閣諸島及び東シナ海において近年緊張状態が生じていることについて日中が異なる見解を有している、こういった認識を示したわけですが、東シナ海においては、中国の防空識別区の動き、あるいは海洋資源をめぐる動き、こうした様々な動きについて近年緊張状態が生じている、それに対して見解が異なるという認識を示したものであります。  要は、この現実について確認をし、一致した点についてここに表記したということであります。少なくとも、我が国の今日までの立場について何らかの変更があったものとは全く考えておりません。
  137. 大野元裕

    ○大野元裕君 そう考えていないのは我が方の政府だけなのかもしれないということで、ここで議論があったのはもう御存じのとおりだと思います。  これ、実は私時間がなくて、幾つかやりたいことがあるので少し進めさせていただきますが。  大臣、もう一問お伺いしますが、ロシアのクリミア併合なんです。これに関しては、国際社会に対する挑戦だと私は考えます。ただ、その中でも、今になって、プーチン大統領がクリミア併合問題においての核兵器使用、この準備があった、そしてクリミアは歴史的に我々の領土であり、そこに住むロシア人が危険にさらされるのを放置するわけにはいかないと同僚たちに伝えたということをプレスに対して述べています。  この発言、特に核兵器の使用の準備があったことについての大臣のまずは所見をお伺いしたいと思います。
  138. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、御指摘のプーチン大統領の発言でありますが、三月十五日、テレビ番組の収録の中で質問に答える形で、昨年三月のクリミア併合に際して、あらゆる事態に備えてロシア軍に指令を出し、核戦力も即応態勢に入らせる用意があった、こういった趣旨を述べたものと承知をしていますが、まずもって、ロシアによるクリミアの一方的併合など力による現状変更の試み、これは断じて認めてはならないと考えます。我が国としましても、G7の連帯を重視しつつ、このウクライナ問題、平和的、外交的に解決するために引き続きロシアに対しても建設的な役割を果たすよう働きかけていきたいと考えます。  いずれにしましても、核兵器の使用、これはあってはならないと考えています。引き続き、核兵器のない世界に向けた取組、しっかり進めていかなければならないと考えます。
  139. 大野元裕

    ○大野元裕君 本件に関連しては、当時、クリミア侵攻の頃に、例の九四年のブダペスト合意の違反ではないか、つまり侵略したことがですね。これに対してロシアは、いやいや、そうではないという反論を当時していました。これ、更に申し上げれば、九四年のブダペスト合意は、核兵器をウクライナ側が放棄をする、そしてその代わり核兵器による使用や威嚇も行わない、こういった中身であると思うので、侵略を行わないだけではなくて、核兵器を放棄するための条件としてのウクライナとの交渉、これも私、二重の違反ではないかというふうに思っていて、これは我が国は、私は強く批判するべきだと思っているんです。  なぜかというと、三点あります。  一つ目は、力による現状の変更。これ、我が国の周りには様々な問題があり、力による現状変更は絶対に受け入れてはならないというのは我が国は貫き通さなければならない、これこそまさに我々がしっかりと守るべき立場だと思っています。そして二つ目は、核兵器の保有国が、核兵器の保有国がですよ、相手の国を脅したり、相手の国をかすめ取る。これは、我が国の周りは核兵器保有国ばかりです。こういった国々と実は領土的な、見解とさっきおっしゃいましたけれども、相手方の主張があるところもございます。こういったものを仮に認めるとすると、我が国にとっては致命的な損失になりかねない。さらには、例えば北朝鮮のような国の核、朝鮮半島の非核化を進める我が国にとっては、核兵器を手放したら攻撃される、こういう前例を是認するとすれば、我々の隣国で核兵器を持っている国に対して核兵器を手放せということすら言えない。こういった三つの意味から、実はヨーロッパの国々なんかが若干柔らかい態度を取っていることも知っています。  しかしながら、我が国はそことは違うんじゃないか。クリミア併合のときですら、私は大臣に対し、もっときちんと毅然とした態度を取ってほしいという話をしましたが、今の立場我が国からいえば、これ相当強く言ってもいい話だと思うし、九四年の問題もそうだと思いますけれども、大臣にそこは是非お願いしたいんですけれども、これについてのしっかりとした反応を示していただきたいと、お願いですが、いかがでございましょうか。
  140. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のブダペスト覚書、一九九四年に米国、英国、ロシア、そしてウクライナの間において、ウクライナが核兵器を放棄する代わりにウクライナの領土を保全する、こういった考え方を盛り込んだ覚書であります。  よって、核兵器を放棄したウクライナの一部であるクリミアをロシアが一方的に併合したこと、このこと自体もウクライナ領土の一体性の尊重を確認したブダペスト覚書に違反していると認識をしています。この認識は、たしか今までもG7の共同文書の中にそういった内容を盛り込んでいたと思いますし、昨年四月、広島でNPDI、第八回目の外相会談を行いましたが、あの記者会見の場でもこうした内容を表明させていただきました。  是非、こうしたブダペスト覚書を違反することが今後の核軍縮あるいは不拡散に悪い影響が出ないように、しっかりと発信をしていきたいと考えます。
  141. 大野元裕

    ○大野元裕君 簡潔な御答弁ありがとうございます。  打って変わって、少し軟らかい話題ですが、防衛大臣にお伺いします。自衛隊病院なんです。空きベッドの利用率が低いとかそういった財務省からの指摘を受けて自衛隊病院については在り方を検討したというのが、平成二十一年、結果として、検討委員会の報告書として出されました。  私、確かにその財務省の方のおっしゃることも分からないわけではないんです。しかしながら、専ら財政事情にだけ鑑みて自衛隊病院の在り方が決定されるものでは私はないと思います。例えば、周辺有事のときを含めた各種事態、こういったときに、例えばアメリカではできないことが我が国は本土においてできるわけですね。あるいは、残念ながら災害の多い我が国にとっては、大きな災害が起きたときに自衛隊病院の空きベッドというのは非常に私は頼りになるものだと思っています。  そういった意味で、実はこの文書の中にも、報告書の中にも、提言の前に、各種事態の所要に基づく病床数や病院数、その配置等、これをしっかりとまず考えろと、そしてその上で改善しろと書いてあるんです。  大臣、まずお伺いしたいのは、この所要、各病院やベッド数、これは私、そこについては見ていないんですけれども、ホームページ等でもないんですけれども、実際に自衛隊としてこれだけ絶対に必要だというようなのは打ち出されたんでしょうか。そうであれば、是非どこにあるのか教えていただきたいと思います。
  142. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘の報告書において、現在の十六の自衛隊病院を各地区ごとに集約化をし、自衛隊の特有の機能病院と併せて全体で十の質の高い病院を整備するということにされました。各地区では、北海道、東北、関東、関西、九州・沖縄ということでございます。また、自衛隊特有の機能としては国際活動に係る医療、潜水医学、航空医学でございます。  この自衛隊病院の規模、病院数、病床数につきましては、各種事態対処時における各地区からの増援や後送を含めて、平素の病院運営や医療従事者の教育所要等、多方面から検討することといたしておりまして、各種事態発生時には必要に応じて病床を拡張する機能を保有するとされておりまして、具体的内容につきましては、予算環境を考慮しつつ、施設の老朽化更新の時期に合わせて実施するとされておりまして、集約される病院の機能の在り方を含めて、病院の整備時期に合わせて検討を行うということにしております。
  143. 大野元裕

    ○大野元裕君 拡張する機能とおっしゃいますけれども、まずは第一は、例えば首都直下地震から東海、東南海、起きたときに残るのは、北海道と例えば九州の北部ではないかと思いますけれども、そういったところでも残る拠点病院というのは実は少ないんですね。  そして、拡張とおっしゃいますけれども、例えば熊本の健軍の病院なんかを拝見させていただくと、昭和三十年代の建物なんです。これ、診療所の機能を残すとおっしゃいますけれども、将来何かあったら拡張すると言いますが、大臣、これ放っておいて、病院としての機能がない中で置いておいて、そして、有事あるいは大災害があったときにこれ使おうと思っても、正直使用に堪えるようなものかどうかというのは、今後十年とか考えたとき、スパンでですよ、本当にそれでいいのかというふうに私は疑問に思ってしまいます。  朝鮮半島有事などの際にアメリカ自身が手当てできないような医療支援の分野、あるいは隊員の平時の医療支援、健康管理、さらには、先ほど申し上げた大震災等の、予測されていますから、そういったことを含めた災害、こういった活用の要請が高い設備については、私、拠点化、これ都合のいい、ある意味で財務省から言われたことの多分妥協だと思っています、個人的には。  しかし、大臣、ここは頑張ってほしいんですよ。これ、本当に隊員が活躍する上での、頑張る上での私は礎だと思っていますし、目立つところばかり金付けても仕方ないんです。そういったところにしっかりと手当てをいただくことが私は政治家たる大臣が是非御判断をいただくべきところだと思いますので、最後に大臣の御所見をお伺いし、長官、大変申し訳ございません、今日は横畠長官に質問できませんでしたが、私の最後の質問とさせていただきますので、お願いをいたします。
  144. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 各地区の病院、御視察いただきましてありがとうございました。  おっしゃるように、各地区病院、非常に老朽化が進んでおりますし、最新の医療機器などもまだまだ民間に比べて十分手当てができていない部分もございますので、今後、自衛隊病院の拠点化、そして高機能化によって医官等を集中をさせて高度な技術を習得させることとしておりますが、各種事態への対応の際には病床数を拡張させて、必要な地区病院等に他の医官等を集中させることによって適切に対応はしてまいりますが、かなり近代化とか、また高機能化、これは必要だと私も認識しております。
  145. 大野元裕

    ○大野元裕君 これは、与野党を超えて私は応援しますから、是非やってください。お願いいたします。  終わります。
  146. 片山さつき

    委員長片山さつき君) ここで、岸田外務大臣より答弁の修正について申出がありましたので、これを認めます。岸田外務大臣
  147. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 申し訳ありません。  先ほど、大野委員の御質問の中で、日中間の四項目の御質問の中で、四項目の第三パラグラフにつきまして、私、尖閣諸島及び東シナ海と読んでしまったようですが、これ、原文にもありますように、尖閣諸島等東シナ海が正確な表現でございます。訂正をしておわびをいたします。
  148. 小西洋之

    ○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  本日は、外交と国の防衛に関する基本方針についての審議ということでございますので、昨年の七月一日の、憲法の条文を変えない限りできないことを解釈の変更によって強行することを、この質疑において解釈改憲というふうに申し上げさせていただきますけれども、昨年七月一日のその解釈改憲を強行した閣議決定、またそれに基づく様々な、地球の裏側での有志連合等々に対する後方支援、弾薬の提供等々までも可能にするような安保法制の全体の根本問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。  冒頭少し申し上げさせていただきたいと思うんですけれども、さきの臨時国会におきまして、この集団的自衛権の解釈改憲の問題でございますけれども、この外交防衛委員会におきまして、それはもう根本的な法令解釈とは言えないような暴挙によって成し遂げられていると。  一つは、いわゆる立法事実が存在しないというわけでございます。集団的自衛権、つまり日本に武力攻撃が発生していない状況で死に至ることになる日本国民存在、それは一体どういう事態の下における、どういう事実の因果関係の下に起こる国民であるかということを、法制局も審査をしていないし、答弁もできないし、また政府も答弁をできないわけでございます。  またもう一つは、これまでの歴代九条解釈の基本的な論理を踏襲したと言いながら、実はその基本的な論理の核心にある論理を切り捨てているわけでございます。その一つは、さきの二十日の金曜日に予算委員会で安倍総理に対して質問をさせていただきましたけれども、憲法九条は憲法前文に規定してある三つの平和主義、その考え方、前文というのは九条の解釈指針の法的な効力を持つわけでございますので、その前文に規定してある平和主義の考えと矛盾することはできないわけでございますけれども、その平和主義というものを初めから検討もしていないし、法制局は審査もしていないし、審査資料もないし、また実際の閣議決定文書にも、それは後でお示ししますけれども、その平和主義の規立が掛かる文言というものが、昭和四十七年の見解の中に明確に書かれているものが切り捨てられているということでございます。  また、元々、旧三要件というものは、我が国に武力攻撃が発生して、そのことによって国民の生命が危険にさらされるという、武力攻撃を起因とし、かつ、国民の生命という法益があるときに武力行使が許容されていたわけでございますけれども、そうしたその武力作用を起因とするという法理と、また国民の生命という究極の価値を法益とするその法理が共に切り捨てられておりますので、ホルムズ海峡の例が典型でございますけれども、地球の裏側で、日本にイランは武力攻撃を起こしてもいないのに、また日本国民がそれによって生命や身体が危険にさらされるわけでもないのに集団的自衛権の武力行使ができるようになっているということを明らかにしたところでございます。  以上申し上げさせていただきましたように、私もかつて十二年間、霞が関で官僚として働かせていただき、法制局長官や尊敬する官僚の皆さんから御指導いただきながら法の支配というものを学ばさせていただきました。同時に、国会議員になって、今、二〇一〇年に当選をいたしまして四年半を過ぎたところでございますけれども、国会議員になっても様々な立法を行ってまいりました。もうあらゆる私の経験している法令解釈の在り方、あるいは法の支配の在り方からすると、逸脱したものでございます。  七月一日の解釈改憲というのは、今申し上げたように、もう血をどくどくと流しながら、のたうち回りながら、しかし安倍政治の強行によって、このゴールデンウイークに安保法制を出されるんでしょうか、そうしたことに進もうというふうにしております。しかし、そうしたことはいつまでも続かない。いつかそのおぞましい姿というものが国民の皆さんにも気付かれて、それは安倍政権そのものを、倒閣となる、そうした大きな原因になるものと存じます。  それで、先ほど申し上げました、本日の質疑安保法制の基本について伺わせていただきますけれども、その前に、今申し上げました解釈改憲についてもう一つ確認をしなければいけないことがございます。  血がどくどくという穏当でない表現をさせていただきましたけれども、心の臓そのものであるような論点。先ほど私が申し上げた、立法事実のでっち上げや基本的な論理の切捨ても心の臓そのものなわけでございますけれども、もう一つの大きな心の臓を打ち砕く、この追及の質疑はまだ国会で一度もなされておりませんので、それをまず横畠法制局長官にお願いをさせていただきます。  法制局長官は、昨年の臨時国会におきまして十回連続答弁拒否をなさるという空前絶後のことをなさいましたけれども、この後、外務大臣防衛大臣に先ほど申し上げました安保法制の基本的なお考えの在り方についてたくさんの御質問をお願いさせていただいて、大臣も御準備いただいておりますので、法制局長官にあっては簡潔明瞭に答弁をお願いいたします。法制局長官が引き延ばしをいたしますと、大臣の答弁権を失うことになりますので、私の質問権と答弁権を損なうことになりますので、よろしくお願いいたします。  では、参らせていただきます。  この度の質疑で取り上げさせていただきますのは、この七月一日の解釈改憲が基本にした昭和四十七年の政府見解、今議場に配付をさせていただいておりますけれども、この政府見解のその基本的な論理というもの、それを踏襲して七月一日の閣議決定を行ったというふうにあります。  一ページ目は、これは七月十四日ですね、閉会中審査で行われたときに出された資料、北側先生の資料を拝借させていただきましたけれども、昭和四十七年の政府見解についてポイントをまとめられたものでございます。その一ページおめくりをいただきまして、これは私の資料でございますけれども、この資料と申しますのは、左側は、西暦でございますけど、昭和四十七年の政府見解の重立った全文でございます。右側が七月一日の閣議決定文書でございます。  では、横畠長官に御説明をいただきたいんですけれども、この昭和四十七年の見解のポイントですね、このカラー、お手元にございますか。
  149. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 委員におかれましては、この①の資料の二ページ目をお示しですね。
  150. 小西洋之

    ○小西洋之君 いや、一ページ目でございます。
  151. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 一ページ目。
  152. 小西洋之

    ○小西洋之君 はい。  長官は見慣れた資料でございますので。よろしいですか、では長官。  皆様、行き渡っているでしょうか。
  153. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 配付はされておりますので、御認識されましたね、資料は。  続けてください。
  154. 小西洋之

    ○小西洋之君 では、長官に伺わせていただきます。  これは、七月十四日に北側先生がこの資料に基づいて昭和四十七年の政府見解のポイントについて長官に質問をなさり、長官はこの資料に基づいて答弁をなさっているところでございます。よろしいですか。  法制局長官のその当時の説明によると、昭和四十七年の政府見解というものは三つの分野に分かつことができると、上の二つは憲法九条解釈の基本的な論理、基本的な考えであると、三つ目のものはその基本的な考えに基づいて得られたその結果、当てはめの結果であるということでございます。  法制局長官、今、この基本的な論理、一番は結構ですから、二番とその当てはめのところで、基本的な論理と当てはめの関係についてポイント、この意味について御説明いただけますか。
  155. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 昭和四十七年の政府見解は、まず、憲法第九条の下でも例外的に自衛のための武力の行使が許される場合があるという基本論理を示した上で、これに当てはまる場合は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという当時の認識の下で、結論として、そうだとすれば、我が憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合に限られるとしているものであるということでございます。
  156. 小西洋之

    ○小西洋之君 少し私が補足をさせていただきますと、この四十七年政府見解というのは、一番下の箱の「帰結(あてはめ)」を御覧いただきましたら分かりますように、集団的自衛権の行使は憲法上許されないと言わざるを得ない、つまり集団的自衛権を否定している見解なわけでございます。  では、じゃ、なぜこの集団的自衛権の行使を否定している見解を使って集団的自衛権の行使が可能になったのか。その理由を端的に申し上げますと、その上の箱、この赤い文字のところですね、基本的な論理、この基本的な論理の考え方には集団的自衛権は排除されていないという御理解で横畠長官はいらっしゃるということでございます。  更にそれを分かりやすく御説明をさせていただきます。  赤い文字、「外国の武力攻撃によつて」という言葉がございます。この「外国の武力攻撃によつて」の前に、我が国に対するという言葉がないからということでございます。つまり、外国の武力攻撃というのは裸の言葉であって、我が国に対する外国の武力攻撃によって国民の生命などが根底から覆されるという場合もあるだろうし、我が国に対する武力攻撃ではなくて、我が国と密接な関係のある他国、同盟国に対する外国の武力攻撃、分かりやすく言いますと、我が国に対する外国の武力攻撃とも読めるし、同盟国に対する外国の武力攻撃ともこれは読むことができるんだと。  だから、次のページですけれども、この赤い文字のところを、次おめくりいただきまして、②番の資料の右側でございますけれども、右側の七・一閣議決定のところでございますけれども、七・一閣議決定にこの昭和四十七年の言葉をそのまま持ってきました。真ん中の段落を御覧ください。「一方、この自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって」、ここも昭和四十七年と同じように、我が国に対する外国の武力攻撃とも読めるし、同盟国に対する外国の武力攻撃も読めるんだと、そういう理解であるというふうに横畠長官はおっしゃっているわけでございます。  うなずかれていますけれども、念のために伺わせていただきます。昭和四十七年政府見解にある、「あくまで外国の武力攻撃によって」という文言における外国の武力攻撃とは、我が国に対する外国の武力攻撃以外の我が国以外の他国に対する外国の武力攻撃も概念的に含まれているんでしょうか。明確に答弁ください。
  157. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 先ほど御説明した昭和四十七年の政府見解の論理の組立てからいたしますと、「そうだとすれば、」の、結論の段落において初めて「わが国に対する」ということが出てまいります。そうしますと、その前提にございます基本論理に言う「外国の武力攻撃によって国民」、これはもとより我が国の国民を指すと理解しますが、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」という部分そのものは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限定されているものではないと解しております。
  158. 小西洋之

    ○小西洋之君 もう今の答弁で明確なんですけれども、委員の先生、北澤大臣、まさかこんな昭和四十七年見解、当時防衛大臣を務められたときにこんな見解政府が取っていたとは、恐らく大臣自身もそんな見解をお取りになっていなかったと思うんですけれども。  七月一日において、安倍政権はこういう憲法解釈に立ったというふうに言っているんですね。もう一度御説明します。基本的な論理の②の箱ですね。ここの「外国の武力攻撃」というのは、我が国に対する外国の武力攻撃もあるし、同盟国に対する外国の武力攻撃も元々含まれているんだというふうに横畠長官はおっしゃっているわけです、昭和四十七年の段階で。  しかし、この昭和四十七年見解というのは、今申し上げました同盟国に対する外国の武力攻撃、集団的自衛権の局面で我が国は武力攻撃はできない、つまり、帰結で集団的自衛権が否定されておりますよね。それはなぜかというと、帰結の当てはめのところで、上から二行目なんですけれども、「が許されるのは、わが国に対する」、ここはもう我が国に対することしか言っていないんですよ。上の基本的な論理の世界のところでは、我が国に対する武力攻撃、あるいは同盟国に対する武力攻撃であっても、日本は自衛の措置をとることができるという考えに立っているんですけれども、「帰結(あてはめ)」のところで、我が国に対するものしかやっていないので集団的自衛権は否定されていると。  しかし、今度、この帰結、当てはめのところでも、安全保障環境が変わったので集団的自衛権、同盟国に対する武力攻撃でも帰結として導かれるようになったという、そういう理解だと思うんですけど、よろしいですか、今申し上げた私の理解。
  159. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) この昭和四十七年の政府見解の論理の組立てからいたしますと、その基本論理は基本論理でございまして、そこから結論を導くための事実認識というのがございまして、そこは先ほど申し上げましたとおり、当時、この基本論理に当てはまる場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると、そういう認識を前提としてこの結論が導かれたものと理解しております。
  160. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  横畠長官は、つまり昭和四十七年の段階でも我が国の憲法九条解釈において集団的自衛権の行使というのは排除されていなかったと。しかし、当時、昭和四十七年の見解では、我が国に対する武力攻撃のときにしかそれを、何といいますか、見出せなかったといいますか、そんなことをおっしゃっているわけでございますけれども。  では、横畠長官に伺います。  昭和四十七年の政府見解、ここの「外国の武力攻撃」ということについて、我が国に対する外国の武力攻撃だけではなくて、我が国でない他国に対する武力攻撃、同盟国に対する武力攻撃、そういうものも含まれると、そういうふうにこれを考えていいんだということを、あなたは歴代の法制局長官から直接伺ったことはございますか。
  161. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 直接聞いたことはございません。
  162. 小西洋之

    ○小西洋之君 では、法制局の内部でそうした見解をおっしゃっていた方、いらっしゃいますか。
  163. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) この問題は、なかなかその従前の憲法解釈というものについては、その結論部分について歴代、詳細にお答えしているところでございますが、この基本的な論理まで遡ってしっかりと検討したというのは、今回の閣議決定に至る過程の中でございます。
  164. 小西洋之

    ○小西洋之君 では、要するに、今私が申し上げたような同盟国、我が国でない他国に対する外国の武力攻撃ということもここに概念的に含まれるというふうに考え出したのは、横畠長官、あなたが初めての法制局長官ということでよろしいですね。
  165. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 同様に考えていた者がいたかどうかは存じませんが、この昭和四十七年の政府見解そのものの組立てから、そのような解釈、理解ができるということでございます。
  166. 小西洋之

    ○小西洋之君 では、伺います。  今までの法制局の資料、文書の中で、昭和四十七年見解をつくり出したときを含め、九条に関する解釈に関する様々な資料があるはずですけれども、そうした資料の中に、今回あなたがつくり出した解釈、同盟国に対する外国の武力攻撃、我が国でない他国に対する外国の武力攻撃、そうしたものもここで概念的に含まれるんだというふうに記した文書はございますか。
  167. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まず、私がつくり出した解釈ではございません。  その上で、これまでの法制局における資料としては、この昭和四十七年の政府見解におけるその結論部分、それを前提にしたその後の説明の仕方、議論というものが残っております。
  168. 小西洋之

    ○小西洋之君 今おっしゃったのは、昭和四十七年、この政府見解の本文以外の文書があるということですか。
  169. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) その後の、その憲法九条の下で我が国として武力の行使が許されるのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという従前の政府の憲法解釈、それについての説明等が、あるいは政府における質問主意書等があるということでございます。
  170. 小西洋之

    ○小西洋之君 今、横畠長官が言っているのは、紙二枚お繰りいただきました③、昭和四十七年以前の政府の憲法解釈についてまとめた資料、これは内閣法制局がこちらの外交防衛委員会に提出した資料の抜粋でございます。  こうした資料があるにすぎないということですね。
  171. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まさにそれが政府の憲法解釈、公式見解でございましたので、そのような資料が多数残っております。
  172. 小西洋之

    ○小西洋之君 横畠長官が一生懸命ごまかそうとされていますけれども、横畠長官が内閣法制局にあると言うのは、憲法九条の下においては我が国に武力攻撃が発生したとき以外に我が国は武力の行使はできないという従前の憲法解釈についてのその政府見解文書、まあ質問主意書などとおっしゃいましたけれども、そうしたものがあるというだけでございます。  もう一度聞きます。  この解釈をつくり出した法制局長官は、あなた以外いらっしゃいませんね。横畠長官がつくられた解釈ですね、我が国以外の他国に対する外国の武力攻撃という概念も含むということは。どうぞ。
  173. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 私がつくり出したということではございませんが、昭和四十七年の政府見解を子細に検討いたしますと、そのような結論が論理的に導き出されるということでございます。
  174. 小西洋之

    ○小西洋之君 では、今まで、今申し上げたような、ここの概念として、我が国以外の他国、同盟国などの外国の武力攻撃というものも概念的に含まれるという解釈に立っていた法制局長官はいらっしゃいますか。いらっしゃるんでしたら、お名前を挙げてください。
  175. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) それは先ほどお答えしたとおりでございまして、従前の政府の憲法解釈の下においては、その昭和四十七年の政府見解の結論部分、それにのっとって御説明をさせていただいていたものでございます。
  176. 小西洋之

    ○小西洋之君 従前の憲法解釈の結論部分にのっとって説明したということは、今私が伺っている我が国以外の他国に対する外国の武力攻撃という概念を含むような答弁をした長官もいないし、そうした考えを持っている長官もいなかったということでよろしいですか。はっきり答えなさい。
  177. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 基本論理のこの部分……(発言する者あり)
  178. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 静粛に。
  179. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御指摘の部分に着目してお答え、御説明をしたことはないと思います。
  180. 小西洋之

    ○小西洋之君 では、続けてどんどん質問をさせていただきます。  じゃ、もう一つ聞きましょう。  この四十七年の政府見解ですね、これ三つの分野に分解されていますけれども、論理、論理、帰結と。昭和四十七年当時にこういう構造分割というものを、構造的な整理というものをしていたんでしょうか。
  181. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 四十七年の政府見解の論理そのものがそのような構造になっているということでございまして、このような表が当時あったわけではもちろんございません。
  182. 小西洋之

    ○小西洋之君 表の有無は、じゃ、表がないということは確認させていただきました。  考え方としてはどうですか。昭和四十七年見解をこのように論理、論理、帰結というふうに分けると、そういう考えはあったんですか、昭和四十七年当時。
  183. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) それは四十七年の政府見解を子細にお読みいただければお分かりいただけると思いますが、まさに論理の運びでありますが、「そうだとすれば、」というところであの結論を述べているという、まさにそういう構造になっているということでございます。
  184. 小西洋之

    ○小西洋之君 委員の皆様に御説明させていただきますと、七月一日の解釈改憲の本質は何かというと、昭和四十七年見解がたまたまそういう理屈をこねた読み方ができると。理屈をこねたといいますか、こういうねじ曲げた読み方ができる日本語になっていたので、それを利用したということなんですね。  それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命などが根底から覆される急迫不正の事態に対処と、ここで言っていることは、どう考えても、我が国日本国憲法ができて以来、政府は一度たりとも、日本国憲法上集団的自衛権は許容されているという答弁をしたことは一度もございません。一度もございません。であるならば、当然昭和四十七年のこの政府見解をつくったときも、ここの「外国の武力攻撃」というのは、我が国に対する外国の武力攻撃、それを念頭に置いているもの以外あり得ないんです。あり得ないんです。  それを横畠長官は、我が国に対する外国の武力攻撃以外の同盟国などに対する外国の武力攻撃というのも読めると、日本語として書いていないじゃないかと、裸なんだから別の概念もここにあってもいいんだということを言い始めているわけでございます。まさに、歴代政府の憲法解釈、横畠長官の先輩の方々、山本長官に至るまでの先輩の方々が必死に守り抜いてきた我が国の法の支配をじゅうりんする恐ろしい行為であるということを御指摘をさせていただきます。  では、それをまざまざとした証拠でお示しをさせていただきます。  途中から追加で配付資料をしていただいている議事録があろうかと思いますけれども、皆様、それを御覧いただけますでしょうか。ちょっと文字が見えにくくて申し訳ございませんけれども、これは昭和四十七年から十年後の昭和五十七年の内閣法制局長官の答弁でございます。  ぐるぐる私が鉛筆で丸を付けさせていただいている答弁がございますけれども、この答弁ですね、三段落目の、すなわちというところから私がちょっと読み上げさせていただきますけれども、すなわち、憲法九条の解釈として、憲法第九条は自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じていないというふうに解されるわけでございますが、それは無制限に許されるわけではなくて、あくまでも外国の武力攻撃によって、先ほどの言葉ですね、あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるような急迫不正の事態に対処して、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて認められるものであって、これ、今申し上げたところは、昭和四十七年見解の文言ほぼそのままです。また、その措置はこのような事態を排除するためにとるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものと考えるのであります。ここも同じです。で、次です。したがって、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は憲法上許されないというものでありまして、この憲法上の根拠条文といたしましては、憲法第九条であるということになろうかと思いますというふうに答弁をしております。  これは当時の内閣法制局長官の答弁です。私もかつて、元官僚でしたけれども、内閣法制局長官が国会で憲法解釈を誤って答弁するというようなことは絶対ございません。もしあれば、先ほど岸田大臣も訂正をされましたけれども、必ず訂正をいたします、後日であっても、当たり前ですけれども。もちろん、この答弁は訂正をされておりません。  皆さんによく御覧いただきたいんですけれども、私が線を引っ張っている部分、あくまで外国の武力攻撃、あくまで、我が国に対するという言葉はございませんね、我が国に対するという言葉はございませんね。しかし、その後です、したがってのところです、したがって、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は憲法上許容されないというふうに書いていますね。書いている。分かりますか。  さっきのこのカラーの紙、御覧いただけますか。横畠長官が言っているのは、外国の武力攻撃というのは裸であると、我が国に対してというのは書かれていないと。しかし、その下の帰結のところですね、当てはめのところで、二行目ですね、「わが国に対する」ということが、ここで初めて限定をされているということでございます。  しかし、角田法制局長官のこの答弁は、あくまで外国の武力攻撃によってという言葉を、当然のこととして我が国に対する外国の武力攻撃というふうに考えて、よって、したがって、もう我が国に対する武力攻撃というのは当然この言葉に含まれているので、このカラーの紙の帰結で「わが国に対する」と言っていますけど、こんなことを言う必要がないと。他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止する集団的自衛権は憲法上許されないということを言っているんですね。  横畠長官に伺います。角田法制局長官のこの答弁を否定しますか、あるいはこの答弁をどこか修正する箇所があると思いますか。どうぞ。
  185. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 今回の新三要件の下で認められます我が国の自衛の措置、これはやはり、あくまでも我が国防衛するためのやむを得ない自衛の措置に限られるということでございまして、いわゆる他国を防衛することができる権利として観念される集団的自衛権、フルセットと言っても構いませんが、それを認めたものではありません。  現在におきましても、まさに、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権、フルセットの集団的自衛権は、この四十七年見解の基本論理の下においては認められないということでございます。
  186. 小西洋之

    ○小西洋之君 法制局長官、私の質問について答弁しませんでしたね。私は、この角田法制局長官の答弁に過ちがありますか、法理として。法理として過ちがありますか。あるのであれば具体的な箇所を示して答弁ください。どうぞ。
  187. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 誤りはないと思います。
  188. 小西洋之

    ○小西洋之君 だったら、もうジ・エンドですよ、ジ・エンド。あなたがつくり出した横畠解釈というのは崩壊したんですよ。  外国の武力攻撃は裸であると。我が国に対する武力攻撃という言葉が、限定がないので、ここに同盟国に対する武力攻撃という言葉を入れて読んでもいいんだというふうに言っているんですよ。しかし、こちらも裸ですよ。こちらも裸です、外国の武力攻撃ですから。我が国に対するという言葉はない。しかし、これは当然我が国に対する武力攻撃だというふうに解釈して、その論理の下に、その結論の部分ですね、集団的自衛権はできないと言っているんですよ。  横畠長官は、今、この角田法制局長官の答弁は法理として過ちはないというふうに明言をされました。その瞬間、横畠さんが七月一日につくり出した新しい憲法九条解釈と歴代の政府の憲法九条解釈の基本的な論理はまるっきりずれているわけでございます。もうこの瞬間に解釈改憲は終わりです。  じゃ、それを更に、今、横畠長官がごまかしの答弁をされました。フルスケールの集団的自衛権は七月一日の解釈改憲は認めていないと、限定容認は認めているんだけれどもと、そういうふうな訳の分からない言い逃れをしましたけれども、そこについてもたたきのめしをさせていただきたいと思います。  このカラーのこちらの方の資料をおめくりいただけますでしょうか。資料をですね、済みません、ちょっとたくさん付けさせていただいて。めくっていただくと④番というのが出てまいりますので、ちょっと御覧いただけますでしょうか。  横畠長官が、先ほどのこちらのカラーですね、昭和四十七年見解というのはその基本論理の部分においては実は集団的自衛権は排除されていないんだと、含まれているんだと、概念として、そういうことを横畠長官はおっしゃっているわけでございます。しかし、七月一日以前の確立した我が国の憲法九条の解釈というのは、集団的自衛権の行使は解釈変更の余地すらない、条文を変えない限りできないというのが確立した七月一日以前の憲法九条解釈でございました。  長官、それについては間違いはございませんか。
  189. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まさに、我が国防衛するためのやむを得ない自衛の措置を超えるようないわゆる集団的自衛権の行使を認めるためには憲法改正が必要であるということをこれまで申し上げてきたところでございまして、その考え方は現在においても変わっておりません。
  190. 小西洋之

    ○小西洋之君 長官、もうちゃんと法の番人の良心を取り戻した答弁をしていただきたいんですけれども。  今長官がおっしゃった答弁というのは、平成十六年の当時に安倍総理が聞いた質問なんですね。それについて法制局長官はぶった切っているんですけれども、この④の資料を御覧いただけますでしょうか、真ん中の箱を御覧いただけますでしょうか。集団的自衛権の行使は憲法の条文を変えない限りできないという法制局長官の答弁でございます。当時の安倍国務大臣、谷川国務大臣もそのような答弁をなさっております。  ちなみに、先ほどお示しさせていただきました議事録がございましたけれども、この議事録二ページ目のやり取りの文末に鈴木善幸、当時の総理大臣の答弁が出てまいりますけれども、実は鈴木善幸総理大臣の答弁におきましても、括弧でくくっている部分ですけれども、一番終わりの方ですね、したがって、集団的自衛権というようなことになりますためには、現行憲法の改正というものがなければ現在の憲法では集団的自衛権というものは私としては認められない、このように理解しておりますというふうに言っております。こちらも憲法の条文を変えない限りできないというわけでございます。  では、皆さんも、ちょっともう一度確認なんですけれども、七月一日時点での憲法解釈の確認でございます。  集団的自衛権の行使は、解釈変更の余地すらない、限定容認だろうが、あるいは横畠長官がおっしゃっているようなフルスケールの集団的自衛権の行使であろうが、それはもう条文を変えない限りできないというふうに考えられておりました。その証拠が、条文を変えない限りできないと言っているこの真ん中の答弁であります。  もう一つの確たる証拠がその下の答弁でございます。平成十六年の一月二十六日の当時の安倍総理大臣質問でございます。安倍総理大臣質問、これはどういう意味かと、これ私がちょっと御説明させていただきますと、数量的な概念を示していると、先ほど横畠長官がまさに言った言葉ですね、我が国防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきといったような、我が国を守るための必要最小限度の範囲を超えない、我が国を守るために必要な必要最小限度の範囲を超えないような集団的自衛権というのは認められているんではないんですかということを聞いたんですね。  これに対して、秋山法制局長官の答弁で、一枚おめくりいただきまして、下線を引かせていただいておりますけれども、下線を引いた部分ですね、そういう集団的自衛権について解釈の余地があり得るのではないか、我が国を守るための必要最小限度を超えないような、数量的な概念という言葉を安倍総理も使っていますけれども、小さな集団的自衛権というのが、解釈の余地があり得るのではないかというお尋ねでございますけれども、次の下の下線ですね、集団的自衛権というのは、我が国に対して武力攻撃が発生していない状況、つまり旧三要件の第一要件ですね、それに合致しない、だからもう集団的自衛権は駄目なんだ、ただそれだけのことですと。  何かよく分かりませんけれども、数量的な概念的に大きな集団的自衛権、小さな限定された集団的自衛権だとか、もうそういう何か、ことをお考えになっても、そういう問題ではございませんと。我が国の憲法九条は、我が国に対する武力攻撃が発生していない限り我が国は武力の行使はできないので、元々我が国に対する武力攻撃の発生という条件のない集団的自衛権というのはもう解釈の変更の余地もありませんということを言っているわけでございます。  横畠長官に伺います。  昭和四十七年当時もこうした法理でございました、九条の解釈。憲法九条において、集団的自衛権の行使は解釈変更の余地すらない、条文しか、変えるしかできないということでございます。なぜ条文上を変えるしか手段がないかというと、この基本的な論理を変える方法が条文改正しかないからですよ。ここの基本的な論理、憲法九条の基本的な考え方、論理というものは、もうそれを条文で変えない限り集団的自衛権は無理なんだというのが解釈だったんですね。  なのに、なぜあなたはここで、外国の武力攻撃の前に同盟国に対するというような言葉を読み込んで、ここで集団的自衛権が認められると言っているんですか。どうぞ明確に答弁ください。基本的な論理、憲法九条解釈の従来の基本的な論理をじゅうりんしているんじゃないですか。どうぞ。
  191. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 従前、政府あるいは内閣法制局長官などが集団的自衛権の行使を認めるためには憲法改正が必要であるということを述べております。  そこに述べております集団的自衛権の行使といいますのは、我が国防衛するため必要な最小限度というものを離れた、まさに他国を防衛するための集団的自衛権の行使を認めるためにはという、そういう趣旨でお答えしているものでございます。  その点につきましては、現在、この新三要件という解釈の下におきましても、現行の憲法九条の下では変わっておりません。
  192. 小西洋之

    ○小西洋之君 今、横畠長官がおっしゃった我が国防衛するための必要最小限度のものというのは、できるという基本的な考え方ですね。ただ、我が国に対する武力攻撃が発生していない状況では、それはもう概念的に入る余地がないというのが秋山法制局長官の答弁ですよね。何を聞いても一生懸命ごまかしを……(発言する者あり)指名しませんから、何を聞いても一生懸命ごまかしをされますので。  ただ、皆さん、常識で考えてください。集団的自衛権の行使は、限定容認だろうがフルスケールだろうが、解釈変更の余地はない、条文を変えない限りできないというふうに説明をされてきたわけでございます。にもかかわらず、なぜ憲法九条解釈を構成する昭和四十七年のこの解釈見解の基本的な論理の中で集団的自衛権が読み得るんでしょうか。だったら条文を変えなくたってできるじゃないですか。小学生が考えても、誰が考えてもおかしいようなことを横畠長官は一生懸命、この言葉、たまたまそういうような言葉のうまい使い方ができるような気がしたので、論理を一生懸命ねじ曲げていらっしゃるわけでございます。  じゃ、もう少し追及をさせていただきます。昭和四十七年のこの政府見解の前の政府見解、九条解釈等のその矛盾について一点指摘をさせていただきます。  このカラーの紙をおめくりいただけますでしょうか。四枚目、おめくりいただけますでしょうか。これは憲法答弁集という、上から四枚めくっていただきまして……
  193. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 小西委員、ページは何ページでございますか。
  194. 小西洋之

    ○小西洋之君 マジックで③のBと付させていただいている資料でございます。③のBですね。いろいろ書いていますけど、右上の百十二番というところ御覧いただけますか。百十二番の自衛権と先制攻撃・自衛の関係。要旨として、先制攻撃というものは、武力攻撃が発生していない、当たり前です、日本に武力攻撃が発生していない段階で相手を攻撃するのが先制攻撃ですから、先制攻撃というのは我が国の憲法九条の下で認められる自衛権の要件を満たさないということが要旨で言われております。  そこから少し左に移動していただいて、答弁という括弧があって、その二つ目の丸で、高辻内閣法制局長官の国会答弁が付されております。偉大な法制局長官でしたね、偉大な法制局長官。前回、横畠長官にも読み上げていただきましたけれども、法律上の意見の開陳は、法律的良心により是なりと信ずるところに従ってすべきであって、時の内閣の政策的意図に盲従し、何が政府にとって好都合であるかという利害の見地に立ってその場をしのぐというような、無節操な態度で接すべきではないというふうなことを御著書の中で見解を明らかにされております。まさに法の番人のあるべき姿、矜持だと思いますけれども、そうした本物の法制局長官が行っている国会答弁でございます。  少し御説明させていただきますと、我が国に対する武力攻撃が発生するに先立って、先制攻撃、こうしたものが認められますかということを聞いているんですね、聞いているわけです。すると、その下線の方に移動していただいて、先制攻撃が認められるかどうかということですけれども、我が国の自衛権、憲法九条において認められる自衛権というものは、要するに、外国から急迫不正な侵害があった場合に、我が国民の安全と生存を保持するというのが目的ですので、侵害がないのにこちらから手を出す、これはまさに集団的自衛権の局面です、我が国に対する武力攻撃が発生しておりませんから、侵害がないのにこちらから手を出す、そうしたことは憲法が許さないというふうに書いております。これは昭和四十七年以前の昭和四十三年の国会答弁であり、かつ、この高辻内閣法制局長官は、昭和四十七年当時において内閣法制局長官を務められていた方です。  法の番人中の番人である高辻法制局長官でございますけれども、横畠長官に伺います。我が国に武力攻撃が発生していない状態で他国に対して武力行使を行ういわゆる先制攻撃が集団的自衛権の行使でございますので、それができないと昭和四十三年に言っているのに、四十七年のここで、同盟国に対する武力攻撃、つまり日本に対する武力攻撃がないのに、その同盟国について武力攻撃を行っている国に我が国が武力行使を行う集団的自衛権の行使というのが認められるんですか。  いわゆる先制攻撃が、昭和四十三年に、そんなもの憲法では絶対認められるわけがないというふうに、こういうふうに答弁をされているのに、それから四年後の昭和四十七年の政府見解の中で、集団的自衛権、それがなぜ認められるんですか。明確に答弁ください。
  195. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御指摘の高辻内閣法制局長官の答弁は、当時もそうでございましたけれども、憲法九条の解釈上、我が国が武力の行使ができるのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られる、すなわち個別的自衛権に限るという解釈を前提にしてこの答弁をしているものと思われます。  なお、先制攻撃と集団的自衛権の行使は全く別のものでございまして、先制攻撃というのはいずれの国に対しても武力攻撃が発生していない場合に武力の行使ができるかという問題でございまして、集団的自衛権の場合には他国に対する武力攻撃は既に発生しているということを前提にしております。
  196. 小西洋之

    ○小西洋之君 言葉上、私はいわゆる先制攻撃と言いましたよね。この議事録は国民の皆さんにもインターネットでも御覧いただくので、分かりやすく説明をしているわけです。  我が国に対する武力攻撃は発生していない。アメリカとイランが戦争をしている。イランはアメリカに対して武力の行使、武力攻撃を行っている。その武力攻撃を阻止するための、イランをたたく武力の行使が集団的自衛権ですから。しかし、イランは日本に攻めてきていないわけですから、それは日本語の意味として、いわゆる先制的な攻撃だというふうに言っているわけでございます。  横畠長官、何を質問しても答えないわけですけれども、皆さん、常識で考えてください、常識で。いいですか、常識で。  昭和四十七年以前も、昭和四十七年以降も、一見すると、憲法九条においては全ての実力の行使は禁止されているように読めると。戦争の放棄を書き、戦力の不保持を書いている、交戦権の否認まで書いている。よって、もう基本的には非武装のはずだと。ただ、我が国に武力攻撃が発生したときに、何の罪もない日本国民を守る、その必要最小限度の武力の行使だけはできるというふうに解釈で言ってきたんですね。そうした解釈は、今は、先制攻撃、いわゆる先制的な攻撃も含めてそれは許されないというような答弁、様々な答弁に表れているわけでございます。  ところが、本邦初です。昨年の七月一日、横畠長官が初めて過去のこの集団的自衛権を否定する、我が国には、憲法九条において我が国に武力攻撃が発生したとき以外日本は武力の行使ができないというその昭和四十七年見解、かつ、その結論として集団的自衛権は憲法違反であるというこの見解を使って、その基本的な論理のところにたまたま裸の言葉があったので、自分が使いたいようにこの論理をねじ曲げたというのが今回の七月一日の解釈改憲の実態でございます。  最後に、是非、同僚の委員の皆様、参議院議員、私も一年生議員でございますけれども、私ごときが申し上げるのも非常に恐縮でございますけれども、国会議員の矜持に懸けて、唯一の国民代表機関である国会議員の矜持に懸けて、この解釈改憲の過ちというものを是非皆様と一緒に考えさせていただきたいと思います。  このカラーのページの資料の五番を御覧いただけますでしょうか。資料の五番でございます、資料の⑤番を付けているものを御覧いただけますでしょうか。  これは、昭和二十九年、自衛隊が創設をされたときに我が参議院の本会議で全会一致で付された本会議の決議文でございます。私も、昨年の五月、六十年ぶりにこの決議文を読み上げて、この決議文を前に解釈改憲を強行するのかというふうに政府に追及をいたしましたけれども、この本会議決議をじゅうりんして解釈改憲を強行しております。  この本会議決議、何を言っているのでございましょうか。上から二つ目の段落を御覧いただけますでしょうか。「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」というタイトルでございます。「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」というタイトルでございます。読み上げさせていただきます。「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。 右決議する。」というふうにあります。  これは、実は、この後、もう平成の代に至るまで、私が数え上げた以上、三十回以上、我が参議院において自衛隊法を改正するときなどに必ずのように引き合いを出されている。例えばサマワに自衛隊を派遣するときに、それが自衛隊の海外派兵ではないのか、ここにある自衛隊の海外出動、海外出動ですので文字どおり海外での武力行使を目的とした海外派兵という意味であると、そういうふうに政府も解釈しておりますというのを、安倍、当時の官房長官の答弁もございますけれども、自衛隊の、分かりやすく申し上げますと海外派兵、更に分かりやすく申し上げますと海外での武力行使ですから、集団的自衛権の行使は当然排除されているわけでございます。自衛隊を海外に派兵して集団的自衛権の行使をするということは絶対に許さないという国権の最高機関の本会議決議でございます。  そして、この下に我々の先輩の鶴見祐輔先生の趣旨説明が続いております。ここの趣旨説明の部分を読み上げさせていただきますけれども、初めから申し上げますと、「何ものが自衛戦争であり、何ものが侵略戦争であつたかということは、結局水掛論であつて、歴史上判明いたしません。故に我が国のごとき憲法を有する国におきましては、これを厳格に具体的に一定しておく必要が痛切であると思うのであります。」。つまり、憲法九条の下で許される武力行使はどう考えるかということを述べていらっしゃるわけでございます。  次でございます。「自衛とは、我が国が不当に侵略された場合に行う正当防衛行為であつて、それは我が国土を守るという具体的な場合に限るべきものであります。」。繰り返します。自衛とは、我が国が不当に侵略された場合に行う正当防衛行為であって、それは我が国土を守るという具体的な場合に限るべきものであるというふうにおっしゃっております。  つまり、先ほどのこの赤い、この表のカラーの紙で見たときに、この鶴見祐輔先生の憲法九条の考え方というのは、まさに外国の武力攻撃の前には、我が国に対する外国の武力攻撃、正当防衛ですから、それ以外の意味はあり得ないというふうに明示されているところでございます。  じゃ、さらに先ほどのこの趣旨説明の文章に戻っていただきまして、少し飛ばさせていただきますけれども、下線部分のところですけれども、いかなる場合においても、一度この限界を越えると、際限もない遠い外国に出動することになることは、先般の太平洋戦争の経験で明白であります。それは窮屈であっても、不便であっても、憲法九条の存する限り、この制限、今申し上げた場合ですね、正当防衛に限るという制限は破ってはならないのであります。  次です。そこから、下から四行目です、その下線の部分を御覧いただけますか。これを利用せんとする向きも絶無であるとは申せないと思うのであります。さような場合に、次です、条約並びに憲法の明文が拡張解釈されることは、誠に危険なことであります。ゆえにその危険を一掃する上からいっても、海外に出動せずということを、国民の総意として表明しておくことは、日本国民を守り、日本民主主義を守るゆえんであると思うのであります。  憲法の明文の拡張解釈を許さない。憲法九条において武力の行使が許されるのは、つまり自衛隊の出動が許されるのは、我が国土、領海に対する正当防衛、もう端的に申し上げると、憲法九条において自衛隊が戦うことが許されるのは正当防衛のときだけであると、それ以外に憲法の明文が拡張解釈されることは許されないというふうに言っているわけでございます。  横畠長官に伺います。あなたがつくり出した昭和四十七年のこの基本論理というものは、明らかにこの国権の最高機関の参議院の本会議決議、全会一致で可決された本会議決議、しかも、その後、歴代の法案審議等々において必ずこの趣旨が確認されていた本会議決議に真っ向から違反しています。あなたは法制局長官の身分でありながら、参議院の本会議決議の趣旨をじゅうりんして、憲法九条において許されない解釈をつくり出したということを認めませんか。どうぞ。
  197. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 国会の決議についての理解、解釈については、政府立場で申し上げることは困難でございます。  なお、従来から、政府といたしましても、武力の行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって……(発言する者あり)
  198. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 答弁中です。
  199. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 憲法上許されないと述べてきているところであり、その考え方は、新三要件の下で行われる自衛の措置としての武力の行使の場合についても同様でございます。
  200. 小西洋之

    ○小西洋之君 今、横畠長官は、限定的な海外派兵であれば許されるというふうにおっしゃったんですけれども、横畠長官に伺います。  あなたは、七月一日のその解釈の変更に当たって、六月三十日に国家安全保障局から内閣法制局設置法に基づく法令意見事務を求められ、それについて特に意見がないと七月一日に回答したと、口頭で。今日、質問主意書で私にそうした回答をいただきました。  長官に伺います。あなたは、解釈変更を許容する際に、この本会議決議を考慮しましたか。
  201. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 有名な国会決議でございますので、当然、以前から承知しているものでございます。
  202. 小西洋之

    ○小西洋之君 国権の最高機関の本会議決議によって、我が国においては、正当防衛の局面でしか自衛隊の武力行使は許されないというふうに書いてあるのに、それを無視してあなたは解釈の変更を行ったと、そのように理解してよろしいですか。どうぞ。
  203. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 国会決議について解釈をする立場にはございません。
  204. 小西洋之

    ○小西洋之君 今、皆様御説明をさせていただきましたように、昭和四十七年以前も、はるか我々の先輩の本会議決議のときから、更にもっと言うと日本国憲法が成立したときから、そして昭和四十七年以降も、一貫して、憲法九条の解釈は言わば正当防衛的な武力行使しかできないと、我が国に対する武力攻撃が発生したときしか我が国は武力行使ができないと考えていたわけでございます。  しかし、横畠長官は、いや、違うんだと、昭和四十七年のこの解釈、政府見解に限ってはそんなことは言っていないんだということを言い始めているわけでございます。もうまさに論理のねじ曲げ、ペテン、何て申し上げたらよろしいんでしょうか。もうまさに法令解釈の名に値しないクーデター行為だというふうに思いますけれども、横畠長官に伺わせていただきます。  あなたは、私、つらいお立場だと思います。つらいお立場だと思う。安倍総理という強大な権力者が現れて、また、あなたの前任の小松長官は異例の人事で法制局長官に着任された。そうした中で、あなたなりに何とか理屈が付くようなことを考え出さなきゃいけないということで、こうしたことを考えられたんだと思います。  じゃ、最後に質問を一つさせていただきます。  この考え方ですね、今申し上げた、同盟国などに対する武力攻撃も概念として含まれると。この考え方を、高村先生、またあと北側先生に提案をされたのはあなたですか。あるいは、高村先生や北側先生からそういうお考えが出ましたか。明確に答弁ください。
  205. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 昭和四十七年の政府見解につきましては、まさにその九条の下で我が国として武力の行使ができる場合のその理由付けについて詳細に論じたものでございまして、まさにその基礎となる資料でございます。その意味で、誰が提案するということなく、それぞれ与党各党におかれても、この政府見解については認識、着目されていたものと考えております。
  206. 小西洋之

    ○小西洋之君 法制局長官は、みんなで考えたかのようなことを言っていましたけれども、さっき答弁されていないし、歴代の長官は誰もそんなことを言っていないし、そんなことを書いた文書もないということですね。長官自身がおつくりになったものでございます。  一言だけ。この平和主義の記述ですね、この基本的な論理の二番に書いてある。この平和主義の基本原則に服するということを、わざと七月一日の閣議決定についてはそれを切り捨てて強行している。それがゆえに集団的自衛権が入ってきてしまっている、法令解釈の名に値しないというものであるということも付言をさせていただきまして、皆さん、我々国会議員の手で、この法の支配をじゅうりんするクーデターを何とか食い止めることを、もう憲法改正の国民投票をやればいいじゃないですか、国会で発議して、どうしてもやりたいのであれば、堂々と議論して、そうしたことを申し上げて、自衛隊員や国民の命を守る、皆さんと、国会議員みんなで守ることをお訴えさせていただきまして、私の質疑とさせていただきます。ありがとうございました。
  207. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  政府側は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  208. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 次に、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。大野元裕君。
  209. 大野元裕

    ○大野元裕君 委員派遣について御報告を申し上げます。  本委員会片山さつき委員長佐藤正久理事、三木亨理事、北村経夫理事、荒木清寛理事、小野次郎委員、井上哲士委員、浜田和幸委員、糸数慶子委員及び私、大野元裕の十名は、去る三月二日及び三日の二日間、我が国防衛等に関する実情調査のため、長崎県及び佐賀県に派遣されました。  以下に概要を御報告いたします。  第一日目は、まず、福岡空港に到着後、隣接する航空自衛隊春日基地飛行場地区に移動し、CH47J輸送ヘリに搭乗し佐世保港上空より米海軍、海上自衛隊防衛施設と民間施設が混在、競合している状況や水陸両用車部隊の配置先に予定されている崎辺西地区等を視察いたしました。  陸上自衛隊相浦駐屯地に到着後、同駐屯地の施設や所在部隊等の概要、南西地域防衛態勢の強化に伴う西部方面隊の取組、新編予定の水陸機動団の母体となる西部方面普通科連隊の編成、装備及び教育訓練等について説明を聴取し、派遣委員からは、島嶼上陸時の上官の命令によらない武器使用の訓練状況等について質問が行われました。  その後、島嶼奪回を目的とした先遣小隊によるヘリからの水中降下に始まり、偵察ボートによる移動、洋上斥候から上陸に至る空・水路潜入の訓練等を視察しました。  次に、海上自衛隊佐世保地区において、佐世保地方総監部より、佐世保地方隊の部隊編成、担当警備区域、艦艇に対する補給支援、災害派遣活動、活発化する中国海軍の活動状況、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処等について説明を聴取した後、最新のイージスシステムを装備する護衛艦「あしがら」の艦内を視察いたしました。  次に、米海軍佐世保基地において、オヴィアス基地司令官より同基地の概要と役割、米海軍の人道支援及び災害救助、地元自治体との交流、基地の経済効果等について説明を聴取いたしました。佐世保港には総面積約五百十四ヘクタールに及ぶ弾薬庫、貯油所など十二の米軍施設が分散しており、その主要任務は米艦艇に対する兵たん支援活動であり、西太平洋最大の弾薬貯蔵量と艦船・航空機燃料の補給部隊を有しております。  また、同基地には第七六機動部隊所属の強襲揚陸艦、ドック型揚陸艦、掃海艦など八隻の艦艇が配属されておりますが、当日は、寄港中の潜水艦母艦、フランク・ケーブルの艦内を視察いたしました。  派遣委員からは、オバマ政権のリバランス政策による当基地の変化の見通し、辺野古における新基地建設に対する米側の動向、九・一一テロと同様の事案が発生した場合の米艦艇への護衛艦による防護の必要性等について質問が行われました。  第二日目は、佐世保海上保安部において、同保安部の組織、勢力のほか、米海軍に対する海上警備や放射能調査、密航対策、離島旅客船の海難防止活動等について説明を聴取し、あわせて、第七管区海上保安本部より、外国漁船の不法操業の取締りや中国サンゴ漁船の検挙事例、遠隔離島での海上保安官による犯罪対処等について説明を聴取しました。  派遣委員からは、不法操業や密輸取締りに関わる海上自衛隊、米海軍との情報交換、尖閣諸島周辺海域の領海警備に対する応援派遣の現状と業務へのしわ寄せ、遠隔離島上での犯罪取締りの現状等について質問が行われました。  次に、佐世保市において、防衛施設と民間施設が混在する佐世保港の「港のすみわけ」に対する取組、このための具体的施策を盛り込んだ「新返還六項目」の進捗状況、佐世保港区内水域の約八割を占める制限水域の現状等について説明を聴取し、特に朝長市長からは、いわゆる前畑弾薬庫の移転、返還の早期実現と、自衛隊による崎辺地区の利活用に伴う市中心部から同地区に至る前畑崎辺道路の早期着工を国に対し強く求めている旨の発言がありました。  派遣委員からは、米軍施設返還後の跡地利用の将来像、崎辺地区の利活用と地域の発展との全体像、自衛隊病院である佐世保病院が集約された際の影響、制限水域が市民生活や市の発展に及ぼす具体的支障、基地所在による女性の人権侵害問題等について質問が行われました。  最後に、有明佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイの配備及び目達原駐屯地所在のヘリ部隊の移駐に関し、まずは同駐屯地を訪問し、九州、沖縄の補給整備を預かる九州補給処やヘリ部隊など所在部隊の業務全般について説明を聴取した後、対戦車ヘリAH64D、いわゆるアパッチなどの装備品視察しました。  派遣委員からは、対戦車ヘリ保有の意義、オスプレイ等の空港配備で見積もられる総離着陸回数一万七千回程度の性格、目達原駐屯地からの移駐予定人員、新装備品整備のための教育訓練在り方、騒音苦情の現状と対策、オスプレイ配備に伴う運用体制への影響等について質問が行われました。  次に、佐賀市において、オスプレイ配備等に関し、昨年七月以来の政府防衛省とのやり取りなどについて説明を聴取し、特に秀島市長からは、空港建設時に佐賀県と地元漁協との間で取り交わされた協定で自衛隊と共用しないとの約束事もあり困惑している状況である旨等の発言がありました。  派遣委員からは、協定の内容と地元の受け止め方、協定についての県側の市に対する当時の説明ぶり、米海兵隊の空港利用についての政府説明に対する市側の認識、地元の反応と市長の現在の考え方等について質問が行われました。  その後、移動車中において九州防衛局より、オスプレイ等の配備部隊の規模、配備時期、空港利用の時間帯や頻度、飛行経路、生活環境への影響等について説明を聴取するとともに、空港西側の駐機場等の整備に要する取得予定用地及びその周辺状況視察しました。また、空港内において設置管理者である佐賀県より、空港の利用実績に加えて、オスプレイ配備等に対する県側の対応について説明を聴取しました。  以上が今回の派遣の概要であります。  今回の調査により、我が国防衛等の実情について認識を深めるとともに、現地の皆様の御意見、御要望を聞くことができ、国会として果たすべき課題も多いことを改めて痛感をいたしました。  最後に、今回の派遣に際し、御対応いただいた関係者の皆様方、事務局の方々に対し、心から感謝を申し上げ、御報告といたします。
  210. 片山さつき

    委員長片山さつき君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会