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2015-09-11 第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年九月十一日(金曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  九月九日     辞任         補欠選任      高野光二郎君     山下 雄平君      主濱  了君     山本 太郎君  九月十日     辞任         補欠選任      石井 正弘君     阿達 雅志君      藤末 健三君     那谷屋正義君      真山 勇一君     藤巻 健史君      福島みずほ君     吉田 忠智君      山本 太郎君     主濱  了君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 石井 準一君                 佐藤 正久君                 塚田 一郎君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 北澤 俊美君                 福山 哲郎君                 荒木 清寛君                 清水 貴之君     委 員                 阿達 雅志君                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 北村 経夫君                 上月 良祐君                 高橋 克法君                 豊田 俊郎君                 三木  亨君                 三宅 伸吾君                 森 まさこ君                 山下 雄平君                 山本 一太君                 山本 順三君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 大野 元裕君                 小西 洋之君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 広田  一君                 蓮   舫君                 谷合 正明君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 藤巻 健史君                 井上 哲士君                 仁比 聡平君                 山田 太郎君                 和田 政宗君                 中西 健治君                 吉田 忠智君                 主濱  了君                 荒井 広幸君    委員以外の議員        発議者      小野 次郎君        発議者      柴田  巧君    国務大臣        内閣総理大臣   安倍 晋三君        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       土本 英樹君        内閣官房内閣審        議官       槌道 明宏君        内閣府政策統括        官        加藤 久喜君        外務大臣官房審        議官       鈴木  哲君        外務大臣官房審        議官       豊田 欣吾君        外務省国際法局        長        秋葉 剛男君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資  するための自衛隊法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す  る諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等  の一部を改正する法律案小野次郎発議) ○在外邦人警護等を実施するための自衛隊法の  一部を改正する法律案小野次郎君外一名発議  ) ○合衆国軍隊に対する物品又は役務提供拡充  等のための自衛隊法の一部を改正する法律案(  小野次郎君外一名発議) ○国外犯処罰規定を整備するための自衛隊法の  一部を改正する法律案小野次郎君外一名発議  ) ○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す  る人道復興支援活動等に関する法律案小野次  郎君外一名発議) ○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する  法律の一部を改正する法律案小野次郎発議  ) ○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保  するための措置に関する法律及び周辺事態に際  して実施する船舶検査活動に関する法律の一部  を改正する法律案小野次郎発議)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、高野光二郎君、藤末健三君、石井正弘君、福島みずほ君及び真山勇一君が委員辞任され、その補欠として山下雄平君、那谷屋正義君、阿達雅志君、吉田忠智君及び藤巻健史君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  既に趣旨説明を聴取しております我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案外八案につき、来る九月十六日に現地において意見を聴取するため、神奈川県に委員派遣を行うこととし、派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記止めてください。    〔速記中止
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等の一部を改正する法律案在外邦人警護等を実施するための自衛隊法の一部を改正する法律案合衆国軍隊に対する物品又は役務提供拡充等のための自衛隊法の一部を改正する法律案国外犯処罰規定を整備するための自衛隊法の一部を改正する法律案国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する人道復興支援活動等に関する法律案国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案及び周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律及び周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一部を改正する法律案、以上九案を一括して議題といたします。  本日は、自衛隊後方支援活動及び安全保障法制等についての集中審議を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山本一太

    山本一太君 平和安全法制質問に入る前に、関東、東北地方を襲った記録的な大雨によって各地に甚大な被害が発生している、この問題を取り上げたいと思います。  停電やまだ断水が続いている地域もありますし、安否不明の方々もおられます。被害を受けられた皆さんに心からお見舞いの気持ちを申し上げたいと思います。  総理、この五十年に一度と言われる災害に対する政府のこれまでの対応、それから今後の対応方針について御説明をいただけないでしょうか。
  7. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まず、この度の災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に対し心よりお見舞いを申し上げます。  台風十八号に伴う豪雨は、地域においてこれまで経験したことのない異常な事態であり、茨城県や栃木県、そして本日には宮城県など、被災地域において河川の決壊により住宅地が広範に浸水する中、多くの住民が取り残され、また土砂災害等により死傷者が出るなど、甚大な被害が生じています。  政府としては、警察、消防、自衛隊、海上保安庁など最大限の勢力を動員し、救助活動全力を尽くしているところであります。先ほども、関係閣僚を集め、関係機関一体となって救助避難措置などの災害応急対策に万全を期すことを徹底したところであります。  また、被災自治体とも連携して、必要な物資の確保医療行為提供、さらには住環境確保など、被災者支援策関係機関一体となって取り組んでいく考えでございます。
  8. 山本一太

    山本一太君 この平和安全法制参議院審議も極めて大事ですが、この災害に対する対応についても、政府におきましては全力を挙げて、今総理がおっしゃったように、万全の措置を講じていっていただきたいというふうに思います。  さて、総理平和安全法制は、一言で言うと、日本を取り巻く安全保障環境が非常に厳しくなってきている、この環境の下で、日本の平和と安全を守り、日本国民の命を守る、そのための方策だと思いますが、実は、自然災害という分野におきましても脅威レベルが一段上がっていると、こう言わざるを得ないと思うんですね。昨今のやはり、豪雨はもちろんなんですけれども、豪雪、それから地震とか、あるいは台風の頻度、火山活動活発化、更に言うと、様々ありますけれども、台風の発生等々、やはり自然災害の強度が一段次元が上に上がったと、こう言わざるを得ないと思うんですね。  こういう新しい事態に対して、政府防災能力あるいは災害対処能力を上げていくということは私は急務だというふうに思っておりますが、一つ総理に御提案申し上げたいことがあります。  それは、山谷防災担当大臣、その任に当たって十分に責務を果たしておられると思いますけれども、例えば山谷大臣は、拉致問題という非常に大事な問題を担当されている、さらには警察行政も管轄をしなければならない。こういう忙しい防災担当大臣を助けて、連携をしながら、二十四時間災害対策考える、省庁の間の調整をやり、東京と地方を飛び回って調整をしていく、例えば災害担当総理秘書官というか、首相補佐官ですね、こういうものを私は新設するべきだというふうに以前から申し上げているんですけれども、これについての総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  9. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 様々な災害から国民の生命そして財産を守り抜いていくためには、常に最新の科学的知見を取り入れつつ的確な体制整備を行うとともに、あわせて、情報伝達防災訓練などの対策を適切に組み合わせていくことが重要だと考えています。場所を問わず様々な自然災害が発生しやすい我が国において大切なことは、発生した災害から得られた貴重な教訓を踏まえ、体制整備を含む総合的な防災対策を不断に見直していくことであると思います。  御提案いただいた意見参考にしながら、今後とも、私が国のリーダーとして先頭に立ち、政府一丸となって大規模災害、大規模自然災害への対策に万全を期していく考えでございます。
  10. 山本一太

    山本一太君 総理から御提案も参考にしながらという一言をいただきまして、ありがとうございました。防災対策政府防災能力の向上というのは、是非長期的な視野からしっかりと検討していただきたいというふうに思います。  さて、総理、この平和安全法制議論というものは、憲法との関係、それから国際法との関係、今ある安全保障政策との関係、大きく言うとこの三つの論点からいろいろと議論をされてまいりました。特に、個別的自衛権集団的自衛権定義の問題、あるいは集団安全保障議論の根拠になっているのは、もう間違いなく国連憲章だと思うんです。  国連は、今や百九十か国を超える加盟国を持つ組織になっていますけれども、その国連のトップである潘基文国連事務総長が、九月三日、北京で開催された抗日勝利七十周年記念記念行事に参加をされたと、軍事パレードにまで出席をされたということなんですね。  私、ニューヨーク国連機関に三年ほど勤めた経験がありますけれども、これは、やはり中立を旨とすべき国連事務総長としては、申し訳ありませんが、極めて私は不適切な行動だというふうに思っております。特に、今回は、事務総長が出発する前に日本政府懸念を表明をしておりました。そして、西側の主要国もほとんど出席を見合わせている中で事務総長が行かれた。  これについて総理がどうお考えになっているのか、これ、率直な感想をお聞きしたいと思います。
  11. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 百九十か国以上の国が加盟する国連中立であるべきであると考えます。国連事務総長は、いたずらに特定の過去に焦点を当てるのではなく、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値に基づく国際社会の融和と発展を推進する立場から、未来志向の姿勢を取るよう加盟国に対して促していくべきだと考えています。かかる観点から、潘基文国連事務総長が今回の中国主催式典出席をし、軍事パレードを参観したことは極めて残念であります。  このような我が国立場については既に潘事務総長本人を含む国連事務局ハイレベルに対して申し入れてきており、今後とも、国連特定立場や主張に偏ることがないよう、しかるべく働きかけを行っていく考えでございます。
  12. 山本一太

    山本一太君 総理日本政府として潘基文事務総長懸念を表明したということなんですが、調べてみたら、ニューヨーク大島衆議院議長がたまたま公務で来ていて、潘基文事務総長と会談の予定があったと。国連代表部も一生懸命やっているとは思うんですが、そこに吉川国連代表部大使が同席をして日本側考えを伝えたということなんですが、この一回だけだったんです。あとは、国連代表部次席大使から政務の局長に話をしたということなんですけれども、これはインパクトが弱いと。  これは、もうこれ以上言いませんが、これからの日本国連外交にも関することなんで、総理、ここは、今回はもう少し強い形で、是非政府として潘基文事務総長に抗議をする、こういうことを考えていただければというふうに思います。  次の質問に行きたいと思いますが、この参議院での平和安全法制審議ですけれども、もう今日で大体八十時間を超えていると思いますが、様々な論点からの議論が行われています。合憲性のもちろん問題もありますし、集団的自衛権個別的自衛権関係もありますし、存立危機事態重要影響事態定義もありましたし、あるいは武器等防護集団的自衛権の行使の違いというような議論もありましたし、更に言うと、自衛隊員のリスクの話、自衛隊員の安全、保護をする規定、義務の話、こういう問題もありました。  どれも大切な論点だと思いますけれども、あと十四分しかありませんので、ここは日本抑止力を高めるための日米同盟強化必要性に絞って、総理に何点か質問をさせていただきたいというふうに思っております。  総理平和安全法制目的は、日本を取り巻く安全保障環境はますます厳しくなってきている、そういう新しい情勢に対応して、切れ目のない、あらゆる事態切れ目のない対応ができる、そういう抑止力を構築するということだというふうに思います。脅威が簡単に国境を越えてもうあっという間に世界に広がってしまう、こういう状況においてはどの国も一国では自国の安全を確保することはできない、こういう状況にあるのは当然なんですけれども、特に日本安全保障においては、日本防衛においては日米同盟が不可欠であると、当然の事実ですけれども、これを改めて国民皆さんに理解をしていただく必要があるというふうに思っています。  そこで、まずお聞きしたいと思うんですけれども、日本万が一アメリカを一切頼らずに単独で独自の防衛力を整備しようとしたときに、大体どのぐらいの防衛費が掛かるのか、それについて総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  13. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我が国は、民主主義などの基本的価値を共有する米国との間で同盟関係を継続をし、その抑止力我が国自らの防衛力により隙のない体制を構築をして、我が国の安全を確保することを防衛基本としております。  今日の安全保障環境の下では、もはやどの国も一国のみで自国の安全を守ることはできないと考えています。このため、我が国としては、いわゆる自主防衛体制を保持することは検討はしておりません。  必要となる防衛関係費をお答えすることは、ですから困難ではございますが、一般論として申し上げれば、自主防衛体制を目指し、米国が有するような装備品などを全て我が国自身で整備していくとなれば、これは所要の防衛関係費は著しく増大していくことになるというのは間違いないと、こう考えております。
  14. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  政府の方からなかなかそういうデータを示すというのは難しいと思います。  パネル一を御覧ください。(資料提示)  これは有識者の方が時々使う数字なんですけれども、防衛大学校の安全保障学研究会分析なんですね。自主防衛日米同盟とのコストの比較ということで、この分析によると、自主防衛をした場合には、日米同盟を選んだ場合よりも十倍以上のコストが掛かるということになっています。そして、もちろんこの同じ研究会分析ですけれども、日米同盟を維持するためにはホスト・ネーション・サポートを含めて大体一年間に一兆八千億円ぐらいのお金が掛かる、ただ、これを自主防衛に切り替えた場合には二十二兆から二十三兆円ぐらいのコストが掛かると、こういう数字を試算をしています。  私も、本当に日本単独防衛をするということになればこのぐらいのお金は掛かるというふうに思います。そして、これは一年で終わるわけではなくて、二十二兆円、二十三兆円のレベルを場合によっては五年、十年続けるということなので、これだけのコストをまず負担する国民のコンセンサスが得られるとはとても思えませんし、これはもう財政状況からいってもほぼ不可能だと思います。ということはどういうことかというと、シンプルに言って、日本安全保障というのは日米同盟がなければ成り立たないと、こういうことだと思うんですね。  もう一つ日米安全保障条約、つまり日米安保体制日本防衛について不可欠だということを示す例として分かりやすいのが、この委員会議論でも何度も出てきた有事の際の策源地攻撃能力敵地攻撃能力の例だというふうに思っています。  総理、私、前回の質問で、例の朝鮮半島軍事境界線の近くで起きた南北の軍事的緊張、この事件について質問させていただきました。そこで、この事件は、朝鮮半島有事が机上の空論ではないと、実際の可能性としてあり得るんだということを図らずも示したということを申し上げました。そして、総理の表現を借りれば金正恩政権予見可能性というのが非常に低くなっているということで、金正恩政権の下ではあのような事例が何度も起こり得るということを申し上げました。  仮に朝鮮半島有事が起こったとします。北朝鮮は、日本を射程に収めた三百基と言われているノドンミサイルを持っていると。そのノドンミサイル日本攻撃しようとしている、明らかに日本を狙って発射されようとしている、明らかなこの兆候があれば、これは日本憲法敵地攻撃を否定していないと、これは憲法上は敵地攻撃もできるという議論になっていることはこの委員会でも何度もいろいろと話題になったことだと思います。  そこで、お聞きしたいと思いますけれども、例えば朝鮮半島有事になって、ミサイルがこっちを向いて飛びそうになっている、あるいは発射された後でも、その敵の基地をたたかないと日本に対する甚大なダメージが回避できないと、そういう場合は起こり得ると思うんですけれども、自衛隊は、憲法上は可能ということですけれども、実際、敵基地攻撃する能力があるのかどうか、そのことを総理にお伺いしたいと思います。
  15. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 装備だけからお答えをいたしますと、自衛隊は従来から、いわゆる策源地攻撃目的とした装備体系を保有しておらず、また保有する具体的な計画も有しておりません。このため、自衛隊能力上、策源地攻撃を行うことは極めて困難でございます。
  16. 山本一太

    山本一太君 二番目のパネルをお見せしたいと思います。  今から十年近く前に、私、自民党の外交部会長をやっていた時代に、日本敵地攻撃能力というものを果たして持てるものなのか、持てるとしたら、どのくらい時間が掛かって、どのくらいの予算が掛かるかということを分析したことがあります。あれから十年近くたって、相当安全保障環境も変わりましたし、自衛隊装備とか置かれている状況も変わったわけなんですけれども、改めて敵地攻撃能力に必要な装備というものを整理してみました。  ここで言う弾道ミサイル、これは自衛隊は持っておりませんし、保有する予定もありません。それから、二番目の巡航ミサイル、これは、短距離のミサイルは持っていますけれども、敵地攻撃能力はありません。そして、この三番目の航空機による攻撃、これは一見可能なようなんですけれども、敵の基地攻撃するときには、相手基地がどこにあるのか、この位置について正確な情報を把握しなければいけない。これはアメリカ情報収集衛星協力がなければできないと思います。さらに、例えば航空機基地に近づくためには、相手防空網をかいくぐっていかなければいけない。日本自衛隊にはなかなかそういう能力装備もないと思います。更に言えば、例えば航空機からミサイルを発射して基地を破壊するというときに、その爆弾とかミサイルが命中するように誘導するレーダーの能力というものも自衛隊は十分に持っていないということですね。  何が言いたいかというと、自衛隊には敵地攻撃能力がないということなんですね。有事の場合、万が一相手基地をたたけるかどうかが日本の存亡に関わる、そういう事態になったとしても、自衛隊は自分でその基地攻撃には行けない、これは日米安保体制の下で米軍にやってもらうしかないと、このことを私たちはしっかりと認識をしておく必要があると思います。  そこで、総理にお伺いしたいと思います。平和安全法制を通じて日米関係を強化すると総理はいつも、何度も答弁でおっしゃっていますが、日米同盟が一〇〇%機能する、このことを内外に示すことが日本抑止力を高め、日本攻撃しようとしている国の意図をくじくことになるというお話ですけれども、今の点も踏まえて、日米協力日米同盟強化必要性について御説明をいただければと思います。
  17. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今日の安全保障環境に鑑みれば、米国でさえ一国のみで自国の安全を確保することは困難な状況にある中において、我が国が一国のみでその安全を確保することは極めて、極めて極めて困難であります。  我が国は、日本憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本方針に従い、適切な防衛力を整備するとともに、打撃力を含む強大な軍事力を有する米国との安全保障体制を堅持してきたわけであります。そして、今後とも、我が国としては、自らの適切な防衛力の保持と併せ、打撃力を含む米国抑止力により隙のない体制を構築をし、我が国の平和と安全を確保することが不可欠であると、このように考えております。  今回の法案をこれは成立をさせ整備をしていくことによって、間違いなくこれはお互いにもっとしっかりと守り合っていくということになっていくわけでございます。同盟というのは常に相手の気持ちになることが必要だろうと、こう思うわけでありますが、その観点からもしっかりときずなは強化され、逆に、日本を攻めようという側から見れば隙がないということになるわけでありまして、抑止力はより効果を発揮し、結果としてより平和、安定を確保することができると、このように確信をしております。
  18. 山本一太

    山本一太君 今総理がおっしゃったように、日米安全保障日本安全保障政策の根幹はまさしく日米同盟でございます。日米安保条約においては、アメリカ日本防衛する義務がある、しかしながら、日本アメリカを守る義務はありません。だからといって片務条約だと言うつもりはなくて、その代わり日本は、自国の平和と安全を守るため、極東の平和と安全を維持するために、アメリカに対して基地、区域・施設を提供しているということでバランスが取られているんだと思うんですね。  しかし、これもよく総理が答弁でおっしゃるように、だからといってアメリカ日本防衛を全て委ねるということはできないんだと思うんですね。そこは、やはり不断の信頼関係を維持していく、そういう気持ちが必要であって、日本自国防衛のために最大限の努力をする、こういうことがあって初めて安全保障におけるアメリカとの信頼関係を私は維持できるんだと思います。ですから、自主防衛の努力は常に必要だし、あるいは、平和と安全を守っていくために日米安保体制を強化していく、もう一回言いますが、不断の努力というものも求められるということだというふうに思っています。  これも総理が何度もこの審議の中で答弁をされているように、日本が今回の法制によって戦争に巻き込まれることはないということなんだと思うんですね。我々は、この新三要件に基づいて判断をしていく、ほかにもいろいろ歯止めはありますけれども、憲法の決められた範囲の中でもちろん行動していくと。日本のできる貢献をこの日米同盟の中でやっていくということなんですが、しかしながら、同時にアメリカ側の視点というものをきっちりと見ていかなければいけない。やはり、お互いが努力することによって日米安全保障体制というものが維持をされ、その中でしか日本を守れない、このことは、是非とも改めてテレビを見ている視聴者の方々に御理解をいただきたいと思います。  時間が少なくなってきたんですけど、最後のパネル、お見せしたいと思います。  このパネル、今、平和安全法制を整備しなければいけない最大の理由の一つは、やはりこの地域の軍事バランスが大きく変わりつつあるということだと思うんですね。これ、防衛省の資料なんですけれども、中国が過去三十八年か何かで、二十七年ですか、防衛費を四十倍ぐらいにしていると思いますが、このペースで中国の国防費が増えていくということは分かりませんけれども、例えば英国を本拠とするシンクタンクIISSは、二〇二五年にもしかしたら米国とそれから中国の防衛費が逆転するかもしれないと、こういう可能性を示唆していると。  そうなってからではなかなか抑止力を整備するといってもこれは遅過ぎるんだということで、こういう現状を踏まえた上でこの平和安全法制議論を進めていかなければいけない。そして、国民皆さんへの説明努力を最後まで尽くした上で今国会でしっかりと成立をさせていくと、こういうことだというふうに思っております。  ほかにもいろいろありますが、一分前で、時間ということですから、ちょっと早めに、これで終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  19. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員長から一言申し上げます。  去る八月二十五日の本委員会での福山哲郎君による自衛隊の安全確保に関する質疑につきまして、私の判断により、委員長預かりとさせていただきました。  この件に関しまして内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。安倍内閣総理大臣
  20. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 八月二十五日の本委員会において、福山委員から自衛隊の安全確保について御質問がありました。  政府は、平和安全法制の国会審議において、自衛隊員の安全確保のために必要な措置を法案の中で盛り込んだ旨を答弁してきておりますが、自衛隊員の安全確保は円滑な活動を行う上でも極めて重要な事項であるとともに、国民の関心も大変高い問題であるため、改めて私から政府考えを御説明したいと思います。  いわゆる北側三原則に言う隊員の安全確保のための必要な措置を定めるとの考え方は各法案に盛り込まれていますが、具体的な条文は各法律の性格によって異なります。  米軍等行動関連措置法においては、武力の行使が可能な状況における物品及び役務提供等の行動関連措置を定めているところ、同法においては、国際平和支援法等にあるような安全配慮義務規定、実施区域に関する規定、一時休止、中断に関する規定は設けられていません。  一方、米軍等行動関連措置法に言う物品及び役務提供はいわゆる後方支援であり、その性質上、どのような場合であっても安全を確保した上で実施することは当然であります。八月四日の中谷大臣の答弁はこの趣旨を述べたものであります。  また、物品及び役務提供を中心とする行動関連措置について、米軍等行動関連措置法第四条が、「武力攻撃及び存立危機武力攻撃を排除する目的の範囲内において、事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならない。」と規定し、その目的及び限度を定めていることは、その目的及び限度に応じて隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものであります。  以上のような形で、米軍等行動関連措置法においても隊員の安全確保について一定の配慮を行っています。  米軍等行動関連措置法に基づく後方支援の実施に当たっては、任務の遂行に際して必要な安全確保措置についても十分考慮することは当然であり、その具体的な内容については、その支援の態様に応じて米軍等行動関連措置法第十三条に規定する行動関連措置に関する指針において担保する考えであります。  自衛隊員は、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応えると宣誓し、任務を行うこととなりますが、そのような中にあっても、自衛隊員の安全確保は極めて重要であることは論をまたないわけであります。  本委員会においても、自衛隊員の安全確保について福山委員を含め様々な議論がありました。政府としては、こうした御議論も踏まえ、今後とも自衛隊が活動する際の隊員の安全確保に最大限努めていく所存であります。
  21. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、順次御発言願います。
  22. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 福山です。よろしくお願いいたします。  まず、台風十八号の大雨等に伴って、関東、東北地方を中心に被害が拡大しています。昨日の茨城県に続き、宮城県内でも堤防決壊により大勢の方が孤立状態になっていたり、行方不明になられています。その他の地域も含め、今現在もこの時点で、自衛隊警察、海上保安庁、自治体等々で懸命な救援、避難誘導、行方不明者の捜索が行われています。心から敬意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げ、亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  政府におかれましては、国会審議を無理してやられて被災地の救済が遅れることのないように、一丸の取組を求めます。我々も政府の足を引っ張らないようにしたいと思います。  昨日も、本日の委員会の開催は、災害のことなので見合わせても構わないと与党理事に何回か確認をさせていただきました。予定どおりということなので、審議に臨ませていただきました。災害については与野党関係ありません。是非、総理防衛大臣も、自衛官がもう現地に行かれておりますので、大変御苦労されていると思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  本題に入ります。  先ほど、総理から自衛隊の安全確保について御説明をいただきました。鴻池委員長委員長預かりという大変な御英断をいただいた後の総理の御説明なので、本来は納得しなければいけないのかもしれませんが、全く納得いきません。  国民皆さんに簡単に前回の問題について御報告します。パネルを御覧ください。(資料提示)  総理は、ずっと国会で、後方支援活動における自衛隊の安全確保については、危険を回避して活動の安全を確保することは当然と、部隊の安全が確保でき得ないような場所では活動を行うことはなく、一時休止又は中断するなどして安全を確保すると言って、ずっと後方支援についてはこうやって説明をされてこられました。  そして、次のパネルを見てください。  公明党の北側三原則にある自衛隊の安全確保については、自衛隊の安全確保についての措置を定めること、措置を定めることです。「政府としては、全面的に受け入れまして、三原則を法律上の要件として明確に定め、全ての法案にこの原則を貫徹することができた」、「全ての方針が法案の中に忠実に、かつ明確に盛り込まれた」と、衆議院の本会議以降、ずっとおっしゃってこられました。  このことに関して、私は、存立危機事態での後方支援については、実は総理が大見えを切られている安全確保措置が全く入っていないということを前回の審議で申し上げ、そこで総理は、残念ながら答弁に窮されて今の説明をされたということでございます。総理は、御自身の御答弁を、この全てに盛り込まれたという御答弁を修正することなく、先ほどのような説明をされました。  では、総理説明された行動関連措置法第四条について、これまで、自衛隊の安全確保に関する規定であると説明した過去の会議録、資料はありますか。防衛大臣、お答えください。
  23. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これまでは、そのような説明をしたという発言等はございません。
  24. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうなんです。これまで、この四条で自衛隊の安全確保などと説明したことはありません。  実は、御覧ください、国民皆さん、今の米軍行動関連措置法案の四条は、これは有事立法です。武力攻撃事態における対処の一類型ですが、先ほど言われた「事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならない。」という類似の規定自衛隊法八十八条二項、事態対処法三条三項ただし書に書かれています。  先ほど防衛大臣言われたように、これが安全確保だと説明したこれまで例はありません。そして、これらの規定は、何と、礒崎内閣総理大臣補佐官が書かれた「武力攻撃事態対処法の読み方」という解説本によれば、武力攻撃事態の無用の拡大を防止するため武力の行使の抑制を求めたものと言って、いわゆる必要最小限度の原則にのっとった武力行使というか、いわゆる後方支援をするものであって、これまで自衛隊の安全確保を担保するという説明はされてこられませんでした。つまり、全く実は規定がないんです。先ほど総理がずっと規定を盛り込んだと言ったことは、ないのに、それを今日も認められませんでした。  更に申し上げれば、先ほどもう一つ根拠らしいものだと言われた行動関連措置法十三条については、これはアメリカ日本がそれぞれ主権国家として何らかの有事の際に統一的な方針の下で有事に備えようということの基本指針を作るための条文で、これも安全確保だという説明をされたものは、私は見たことがありません。  つまり、総理の答弁は、ずっと衆議院、参議院自衛隊員の安全を確保したというイメージを振りまいて国民に誤解を与えたにもかかわらず、実際の条文上は抜けているものが多々あるということでございます。  大臣、今言われた四条若しくは十三条、今まで安全確保説明をしなかったものを説明を今されているわけですが、この四条、十三条の安全確保は法的義務ですか、義務ではありませんか。
  25. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今までこの四条につきまして国会で説明をしたことはございませんでしたけれども、この項目におきましては、この四条で書かれている内容におきましてその目的、限度を定めているということは、その目的及び限度に応じて自衛隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものであるという意味でございます。  これにつきまして、後方支援、存立危機事態の後方支援に当たりましても、この第四条の規定により可能となる目的及び限度に応じて安全確保についても十分配慮をすることは当然でありまして、その具体的な内容については、その支援の形態に応じて、同法の第十三条に規定する行動関連措置に関する指針において担保する考えでございます。
  26. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 もう一度お答え願います。  この四条、十三条で担保するとおっしゃったのは、法的義務ですか義務ではないんですか、お答えください。
  27. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この四条で規定をされているとおりでございまして、この目的及び限度に応じて自衛隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものでございます。
  28. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 四条、十三条に書かれてあるとおりと大臣がおっしゃるんだったら、先ほど言われたように書かれてないんです。今までそういう説明をしたことは一度もないんです。だけど、今回、初めてそれで安全確保を読むと言われるから、じゃ、読まれるのは法的義務ですか義務ではないのですか、答えてくださいとお願いをしているので、これ重要な問題なので、イエスかノーかでお答えください。
  29. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この四条に書かれているとおり、その目的及び限度に応じて自衛隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むものでございます。(発言する者あり)
  30. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 質問を続けてください。疑問があれば……(発言する者あり)  速記を止めてください。    〔速記中止
  31. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  32. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この四条におきましては、「限度を超えるものであってはならない。」と明記されておりまして、これは法的義務でございます。その解釈として、政府といたしましては、その目的、限度に応じて隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むというように政府としては解釈をしているということでございます。
  33. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ごめんなさい。今のは完全に答弁でごまかされました。  この四条における限度を超えるものであってはならないというのは武力攻撃に関するものです。若しくは、後方支援の幅です。そのことについては義務であることは間違いありません。その後、大臣は、安全確保については配慮すると言っただけで、義務かどうかのお答えはありません。今、二つ分けて答えられました。  私が言っているのは、新しく、今までは説明してこなかった安全確保が法的義務かどうかと聞いているので、イエスかノーかでお答えください。時間ないので、同じ質問を何回もやらせないでください。お願いします。
  34. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この四条に、存立危機事態を排除する目的の範囲内においてということで、その限度を超えるものではならないということで、これは義務規定として入っているわけでございます。  その対処として、政府として、安全確保につきましても配慮した上で必要な支援を行う趣旨を含むと。その中に、政府としてはそのように安全規定において解釈をしているということでございます。(発言する者あり)
  35. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 総理、それでよくないんです。やじらないでください。聞いてください、質問を。  安全確保は法的義務になったのかならないのかと聞いているんです。今までなかったんです、この四条の中で安全確保は。  今回は、安全確保は法的義務になったのかどうか。これは、あくまで武力攻撃や後方支援の限度の話をしている条文に安全確保という新しい規定が入って、それが法的義務になったのかどうか。もうイエスかノーか、時間がないので同じ質問させないでください、お願いします。
  36. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは元々あった規定でありまして、まだ国会でこれについて言及した部分はないわけでございますが、政府といたしましては、この義務規定の中に安全配慮につきまして必要な措置を、支援を行う趣旨を含むものであるというふうに政府としては解釈をしているということでございます。(発言する者あり)
  37. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  38. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こして。
  39. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 本件四条につきましては、今まで国会で質問もなかった、答弁もなかったということでございます。今回初めて御質問をいただきまして、特に存立危機に関しての適用でございますが、まず、いわゆる後方支援は、その性質上、いかなる事態であっても安全を確保した上で実施することは当然でありまして、本制定当時からこのように考えてきたところでございます。  そこで、この四条におきましては、その目的及び限度に応じてということで、その限度を超えるものであってはならないと規定をしておりまして、義務規定でございます。したがいまして、安全確保についても配慮をした上で行わなければならないという義務を負うことになります。政府としてはそのように考えております。
  40. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今義務を負うとおっしゃいました。安全確保に義務を負うとおっしゃいました。防衛大臣、これを安全確保の義務を負うと言っちゃまずいんじゃないですか。僕は、法的義務か法的義務ではないかと聞いたら、法的義務だと今おっしゃいました。そういう苦し紛れの答弁をするからどんどん崩れます。  もし法的義務だとしたら、これから先、この行動関連措置法四条、十三条について、日本有事の際に、自衛隊員の安全確保のために実施区域の指定や一時休止や中断や撤退という項目を入れるんですね。義務なんでしょう。義務なんでしょう。そうしたら、その規定を入れるんですか。お答えください。
  41. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) その中断とかいう規定を置くことはございませんが、安全を確保して、配慮して必要な支援を行うということは、これは義務ということでございます。
  42. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 配慮を行うのは義務ということは、じゃ分かりやすく聞きます。これはもう一般的な公務員の安全配慮義務のレベルでということですか。
  43. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 違います。これは有事でございまして、その中でこの四条がわざわざ規定をされたわけでございまして、その規定の中で、自衛隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行わなければならないということを規定をしたということでございます。
  44. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 規定なんかしていないですよ。新しくも規定されていないですよ。これ、法的義務じゃないと言われればまだ救いがあったんですけど、義務だと言ったら、これ有事のときにどうやって安全配慮義務を義務として、防衛大臣確保するんですか。できないから実は今まで安全配慮義務なんて入っていないんでしょう。日本有事のときに守らなければいけないから自衛隊員は宣誓されているんじゃないんですか。  これ、総理が、全部の法案の中に漏れなく盛り込みましたと、明文化したと言い続けたから、それをかばうために、こんな武力攻撃に対するものに対して、この条文に対して自衛隊員の安全確保というのを読むのは無理なんです。これこそ法的安定性を損ないます。もし、今防衛大臣が義務だと言った、有事若しくは後方支援の際に、自衛隊員に何か、例えばけがでも、ひょっとしたら万が一のことがあったときに、義務と大臣が言ったのに義務を果たしていなかったじゃないかと損害賠償請求されたら、防衛大臣、法廷に立つ覚悟はあるんですか。  いいですか、これ、本当に自衛隊員の安全確保に対する、これを義務だなんて言っちゃ駄目ですよ。それも、事の発端は、総理が、後方支援については全部明確に定めたみたいな、悪いですけど、本当に国民に誤解を与えるようなことを言うからこういう状況になります。  自衛隊の安全確保については、国際平和支援法の後方支援のものと、武力攻撃事態のときと、存立危機事態のものと、それを一緒くたにしてリスクが減るとか安全確保をしたとか、そう言い続けたのが安倍総理安倍総理自身です。全くもってこれは今も災害で頑張っていただいている自衛隊員にとって僕は失礼な答弁だと思いますし、この防衛大臣の姿勢は、私は本当に問題だと思いますよ。これ、このまま答弁、実はほっておけないんです。これ義務のままだなんてほっておいたら、実は日本安全保障法制全体が崩れます。  防衛大臣、お願いです。今の義務だと言ったことは訂正してください、撤回してください。
  45. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 撤回いたしません。  というのは、今までも、後方支援についてはその性質上、どのような場合であっても安全を確保した上で実施することが当然であると述べてまいりました。そして、米軍関連措置法におきましても、隊員の安全確保についても配慮した上で必要な支援を行わなければならないということは、これは義務として負うということになるわけでございます。
  46. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 今大臣が言われた、後方支援においては安全を確保すると言っていることが、大臣はずっと、後方支援の安全確保は、実施区域の指定、一時休止、中断、撤退だと言って、それで安全確保だと言ってきたんですよ。どの答弁見たってあなたはそう言ってきたんですよ。今の話すら実はもう矛盾しているんです。  威勢よく、撤回しませんとか、総理の今まで言ってきた答弁を修正したら総理の例えばメンツが潰れるとか、そういう話じゃないんです、これは。本当に事に及んでの話なんです。あなたは、今、存立危機事態の後方支援についても安全配慮をすると、義務だと言った。これは本当に安全保障法制全体が崩れますからね。このことは非常に問題で、私は猛省を促したいと思います。  それから、総理がずっと、自衛隊のリスクは増えないとか安全を確保したと、それから、全部の安全保障法制に対して安全の確保をしたものを盛り込んだと、措置を盛り込んだということは、まさに国民に誤解を与えた答弁だったということを申し上げて、実は時間がないので次に行きます。  これ、ちょっともう本当に問題だと思いますよ。実はほかもやりたかったんですけど、どうしてもやりたいことから行きます。パネルをお願いします。  これ、一つ一つもう短く答えてください、イエスかノーかで。総理でも結構です。  これ、我が国がそこにあります、A国が我が国攻撃をしています。国際法上違法な武力攻撃です。国際法上違法な武力攻撃を行うA国に対して、A国の補給艦が後方支援をしています。自衛権の行使は当然補給艦に関して可能ですね。総理、お答えください。
  47. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) その補給が武力行使と認めなければ自衛権の行使はできないということでございます。
  48. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 武力攻撃をしていると僕言ったじゃないですか。国際法上違法な武力攻撃を行うA国に対して、A国の戦闘機に対してA国が、A国の補給艦がですよ、そうしたらA国の補給艦に関して自衛権の行使は可能ですかと聞いているんです。大臣。
  49. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) A国が日本に対して武力攻撃をしているということでございますので、それは自衛権の行使は可能でございます。
  50. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 A国の補給艦に自衛権の行使を可能なのは当然です。  次、民間船です。  A国に対し、A国の戦闘機に対して燃料、弾薬輸送を行う民間船舶に対して海上輸送規制法に基づく強制検査を行う、これは、海上輸送規制法に基づく措置は自衛権に基づく措置だとして整理されていますが、このA国の戦闘機に民間船舶が燃料や弾薬を輸送しているときには停船検査等を海上輸送規制法に基づいてできますか。防衛大臣
  51. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現行法に基づいて、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に停船検査の措置を講じることは自衛の措置に伴う必要最小限度の範囲内のものでありまして、憲法上問題はないということでございます。
  52. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 当然できるんです。  次です。  A国は日本に違法な武力攻撃をしています。B国は、このA国の戦闘機に補給艦が同じように給油や弾薬を補給しています。このB国の補給艦に対して日本は自衛権を行使できますか、大臣。
  53. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 我が国に対して武力攻撃を行っているのはA国でございまして、B国は後方支援を行っているのみでありまして、武力攻撃を構成をしていないということであれば、A国に対しては我が国としては、国際連合憲章上、個別的自衛権に基づき武力の行使を行うことはできますが、B国に対してはできません。
  54. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 さっき、民間船は基本的には自衛権の行使できるのに、B国の補給艦はA国に、戦闘機に補給しているんですよ。それも給油、弾薬で、我が国攻撃されているんですよ。これ、個別的自衛権の話ですからね。我が国の平和と安全を守る話ですからね。それで、A国には攻撃できるけどB国には攻撃できないんですか。これ、B国に攻撃してB国を止めないことには、日本への攻撃は延々と続き続けるんですよ。  これ、防衛大臣、もう一度聞きます。B国の補給艦に対して、日本は自衛権の行使はできますか。
  55. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) B国は後方支援を行っているのみでありまして、武力攻撃を構成しないということでありましたら、個別的自衛権の武力行使を行うことにつきまして、B国に対してはできないということでございます。
  56. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 済みません、何で私の質問を変えて、武力攻撃を構成しなければと言って条件を付けるんですか。  そんな、だって、今A国の戦闘機は武力攻撃我が国にしているんですよ。しているに対して、弾薬とか給油しているんですよ。だから、このときにB国に本当に攻撃できないでいいんですか、防衛大臣。これ、我が国個別的自衛権ですよ。総理、それでいいんですか、本当に。総理総理
  57. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) もう既に防衛大臣が答弁をしているわけでありますが、まさにA国は日本に対して攻撃をしているわけでありますが、B国は日本に対して武力攻撃をしているというわけではない中において、このB国が行っていることがA国と完全に、その武力攻撃、武力行使の一体化が行われているという認識にならなければ、それは我々は攻撃できないということになるわけであります。
  58. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これ、国民皆さん、おかしいでしょう。これ、民間だったら停船も含めて我が国は自衛権の行使できるのに、B国は、補給艦は、今、我が国は自衛権の行使できないと総理も大臣もおっしゃったんです。今の答弁は非常に重要なんですが、次のパネルを御覧ください。  これ、平成十一年、当時の高村大臣の御答弁です。高村大臣は、当時は今とは違い、とても法的安定性を大切にするまともな答弁をされておられます。これ、御覧ください。高村大臣の答弁です。「第三国であるB国がその国の行為として、我が国に対して武力攻撃を行っているA国を支援する活動を行っている場合について、」、同じ例です、「我が国は、これを排除するために他の適当な手段がなく、必要最小限度の実力の行使と判断される限りにおいて自衛権の行使が可能である、」。  これ、全く私は同じ条件で言っているんですけど、当時の高村大臣は自衛権の行使が可能だと言っている。今、安倍総理と中谷大臣は違うと、攻撃できないと言われた。これ、中谷大臣、答弁が変わった理由を明確に教えてください。
  59. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) このパネルに、B国が、そのような行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときはと黒い字で書かれているわけでありますが、仮にB国のA国に対する支援が我が国に対する急迫不正の侵害、すなわち武力攻撃を構成すると認められれば、我が国はB国に対して、国連憲章上、個別的自衛権を行使することが可能になります。高村大臣も、B国のそのような行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときは、自衛権を行使することが可能であると答弁をしておりまして、何ら矛盾はないと思います。
  60. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 じゃ、もう一回、質問を変えます。  じゃ、このA国からの武力攻撃が急迫不正の我が国に対する侵害だという場合、質問を変えただけです、ならばB国に対して我が国は自衛権を行使できるということでいいですね。はい、どうぞ。(発言する者あり)  だって、今おっしゃられたように、高村大臣が言われたみたいに、急迫不正の侵害なんですよ、我が国攻撃されているんだから。そのときに、B国に対して自衛権の行使ができるということでいいですね。
  61. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今と同じことでございます。そのB国のそのような行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときはB国に対してできるわけでございます。B国の行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときはできるということでございます。
  62. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 同じじゃないですか、高村さんの言っていることも。全く一緒じゃないですか。見てください、これ。高村大臣も同じことを言っているんですよ。急迫不正の侵害がある場合に、だって、我が国攻撃されているんですよ。これ、B国の補給を止めない限りは我が国の急迫不正の侵害はどんどん進行するんですよ。何でB国に対して攻撃できないんですか、自衛権の行使ができないんですか。大臣、お答えください。  何で、じゃ、違う答弁になるのか明確にお答えください。これは答えていただかなければ次進めませんから。
  63. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 先ほど答弁したように、B国は後方支援を行っているのみでありまして、武力攻撃を構成していないということであれば、これはB国に対してできないということでございます。それで、高村発言というのは、認められない限りはできませんということでありますので、何ら矛盾した答弁ではございません。
  64. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 拍手なんかしている場合じゃないんで、我が国に対する攻撃の話に対して、こんないいかげんな答弁はあり得ないんだよ。  じゃ、大臣、明確にお答えくださいね。武力攻撃を構成するか否かはどのように判断するんですか。
  65. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) そもそも補給、輸送等の後方において行われる支援それ自体は武力行使に当たらない活動でありまして、これだけで我が国に対する武力攻撃があったと認められることは困難だと考えられます。  仮に、B国の部隊が、単に後方において支援を行うのみでなく、A国の部隊と共に戦闘行為に参加しているといったような場合など、我が国に対する武力攻撃を構成すると認められる場合には、我が国はB国に対して個別的自衛権を行使することが可能になるということでございます。
  66. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 だから、いいですか、ニカラグア判決では、武器供与や兵たん支援は、武力攻撃に該当しないが、武力行使や干渉に該当することがあると言っているんです。  これは、私はさっきから何回も言っています、A国は日本に対して攻撃して、急迫不正の侵害があるんです。B国からの補給、弾薬とか給油が続く限り日本に対して急迫不正の侵害があるんです。これを構成した、じゃ、いいです、構成した場合は攻撃できるんですね。
  67. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 構成したらということでございますが、A国の部隊とともに戦闘行為に参加しているといったような場合など、そういった場合において武力攻撃を構成すると認められる場合には、個別的自衛権を行使することが可能になるということでございます。
  68. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 構成するというのは、どういう要件で構成が決まるんですか。大臣、短く答えてください。
  69. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 単に後方で支援を行うのみでなく、A国の部隊とともに戦闘行為に参加しているというようなことになった場合などでございます。
  70. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 全く理解できません。  だって、A国の補給艦がA国の戦闘機に補給をして日本に武力攻撃しているときは、A国の補給艦は自衛権の行使できるとおっしゃったじゃないですか。おっしゃったじゃないですか。それは、A国の攻撃我が国の急迫不正の侵害で、それが武力攻撃を構成するから自衛権の行使できるのに、何でB国が給油、弾薬を補給したときには自衛権の行使ができないんですか。同じですよ、これ。  これ、このB国の補給艦を止めない限りは日本は守れないじゃないですか。ほっておくんですか、大臣。
  71. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) A国は、A国の同じ国での行動でございます。B国というのはA国と違った国でありまして、そもそも補給とか輸送等の後方において行われる支援それ自体は武力の行使に当たらない活動であると認識をしております。
  72. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 これ、日本に武力行使するために補給しているんですよ、B国は。それで何で構成しないんですか。  じゃ、あれですか、補給がどんどん続いて日本攻撃がやまなくても、B国は他国だから、これは構成するかどうか分からないから、自衛権行使できないといって、日本がどんどん攻撃される、国民をほっておくんですか、安倍政権は。安倍政権はほっておくんですか、総理総理。ほっておくのかどうか、言ってください。
  73. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、当然、このA国がまさに我が国に対して武力攻撃をしているわけでありますから、これ全力で対処するわけであります。  それで、しかし、構成している、急迫不正の侵害を構成しているということが定かでない他国に対していきなりこれを攻撃することは、まさに先制攻撃を、A国に対して我々は武力攻撃に対して反撃をしている中において、そして我々が急にB国に先制攻撃をするということは、もちろん国際的にはあってはならない話であります。  先ほど来答弁しているような、これは高村当時の外務大臣の答弁と中谷大臣の答弁は何ら矛盾することがないわけであります。
  74. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 もう本当に矛盾しているんです。高村大臣は、当時、自衛権の行使できるとおっしゃっているんですよ。  じゃ、総理相手のB国の問題が我が国への攻撃に対して構成されると認められれば、我が国は自衛権行使できるんですね、総理
  75. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それは、当然、急迫不正の侵害を構成すると認められるときは、これは高村大臣が答弁しているとおりでありまして、中谷大臣は認められなければそれはできないと、ですから、これは同じことを裏表から言っているわけでございます。
  76. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 認められれば、防衛大臣攻撃できるんですね。自衛権の行使できるんですね、認められれば。
  77. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) B国のそのような行為が我が国に対する急迫不正の侵害を構成すると認められるときは自衛権を行使することは可能でありまして、認められないときはできないということでございます。
  78. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ここまでどれだけ時間が掛かったか。  でも、中谷大臣、これ見てください。中谷大臣の答弁です。「後方支援がB国が行っているとしましたら、A国に対しては我が国としては個別的自衛権等に基づいて武力の行使を行うことはできますが、B国に対してはできない」と。武力攻撃を構成するとか構成できないとか、関係ないんですよ。ここ書いていないんですよ、言っていないんですよ。  これ、済みません、国民皆さんに謎解きをしますと、何で高村大臣と今防衛大臣とかが攻撃できないって言わざるを得ないか。本来は攻撃できるんです。だって、日本の危ない安全保障上の危険なんですから。これはできるんです。本来はできるんです。  なぜならば、今回の政府案によって後方支援の内容を拡大して弾薬の提供や発進準備中の戦闘機に対する給油ができるようになったので、これらを武力行使の一体化ではないと説明をする帳尻合わせのために、我が国が受ける攻撃に対する後方支援について自衛権を行使できないと答えざるを得なくなっちゃったんですよ。これ、逆に制限したんですよ。我が国安全保障を犠牲にしてまで、世界の地球の裏側まで後方支援の幅を拡大したんですよ。  これ、大森長官のこの間の参考人の質疑を見てください。戦闘作戦行動のための発進準備中の航空機に対する給油、整備、これは、私が、当時もう長官でございましたけれども、参事官から報告を聞いたところでは、もう典型的な一体化事例である、だから認められないよ、一体化の典型的な事例だから憲法上認められないよと。武力行使と一体化をするから駄目だと言っているんですよ。違憲だと言っているんです。  今回、このことをやってしまったおかげで、日本に対して武力攻撃をしているA国に対して後方支援するB国に攻撃できなくなっちゃったんです。攻撃できると認めたら、それが武力行使の一体化だということを認めることになるからです。憲法違反だということを認めることになるからです。  横畠長官、大森内閣法制局長官が長官時代、あなたは参事官で部下だったはずです。まさにあなたは部下だったわけです。当時、この法制局で、発進準備中の航空機に給油、そして弾薬の提供憲法違反だと、武力行使の一体化の典型だという議論があったですよね。お答えください。ないんだったら、大森元長官が、国会であなたの元上司が虚偽の答弁をしたと認めてください。
  79. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 当時、私は第二部の参事官でございました。  当時のことでございますけれども、平成十一年一月二十八日の衆議院予算委員会におきまして、大森当時の法制局長官は、憲法上慎重な検討を要する問題であるということまでの共同認識を得て、それ以上の、絶対黒だというところまでの断定はしてないわけでございますが、私どもの立場では、今もやはり憲法上の適否について慎重な検討を要する問題であるという認識に変わりございませんと答弁しております。  すなわち、当時、まさにその一体化の典型的な事例であるという結論が出ているのであれば、まさかそのような答弁をするということは考えられないということでございます。
  80. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 元の上司がまさかそんな答弁をすることは考えられない、あなたも随分あれですね、本当にもう考えられない、あなたの答弁自身が。本当に魂売り過ぎ。  これ、さっきの行動関連措置法の四条でこれに安全確保義務を入れるという答弁をさせている防衛省の役人さん、それから今の大森長官の武力行使一体化の問題を考えられないと言っている横畠長官、官僚の皆さん、あなた方は安倍政権に雇われているわけではありません。国民全体に雇われているんです。こんなふうにいろんな法律を、この大臣たちの答弁に合わせて、全く矛盾している話とか今までなかった話を新しく出して事実をねじ曲げて、そしてこの法律を通そうなんて、考えられないですよ、私からいえば。  まさに、日本の法的安定性が損なわれるし、こんな答弁を繰り返しているから、逆に言うと、衆議院で百時間以上、参議院で七十時間やったって、国民の反対だという意見は六一%で、先月から全然変わっていない。説明不十分だという人も先月が八四、今月も八三、全く理解は深まっていないんですよ。だって、今日、ひどいですよ、これ。今までの我が国の法的秩序を全部崩していますからね。これ、虚偽答弁の連発です。  総理国民の理解がこれだけ広がっていないということは、これだけ延長してやったにもかかわらず、総理、申し訳ないけれども、これ、総理、負けですよ。これ率直にお認めいただいて、審議未了、廃案、私はそうするべきだと思いますし、まさかこの参議院でこんな答弁を取っ散らかしておいたまま強行採決などすることはないとここでお認めいただきたいと思いますが、どうですか。
  81. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほどの福山委員の解説も、あれは間違っていますよ。我々は同じ答弁をこれは従来からしているわけでありますが、このA国とB国の例で、これ補給をしているわけでありますから、後方支援をしているのは武力行使ではないですからね。その武力行使をしていないところに対して、いきなり武力行使をすることはないですよ。  ですから、高村さんは、それはまさに、これは急迫不正の侵害を構成すると認められた。これは認められませんよ、はっきりと。これは認められていないから、当然、中谷議員はこの後方支援についてはできないと言ったというわけでありまして、今までのこれ答弁や今までの我々の基本的な考え方を全く変えるわけではないということはまず申し上げておきたいと思うわけであります。  それと、答えとしては、もちろん私たちは、国民の命と幸せな暮らしを守るために、この法案については是非成立させていただきたいと、このように思う次第でございます。衆議院においてもしっかりとした議論を行いました。この参議院においても議論を行っているわけであります。そして、いつかは、決めるときには決めていただきたいと、このように思うところでございます。
  82. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 全く審議は深まっていませんし、論点は本当に広がっていて、こんな日本の法的安定性を壊すような法律を通すことは歴史に禍根を残すということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  83. 小西洋之

    ○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  冒頭、この度の大水害の被害に遭われた方々へ心からのお見舞いを申し上げます。  政府、自治体にあっては、引き続き、救出、救援に全力を挙げていただきますようにお願いを申し上げます。  では、質疑に移らせていただきます。  私は、安保法制の憲法違反を追及をさせていただきます。  なぜ憲法に違反するのかでございますけれども、実は、真相を知っていただければ高校生や中学生でも簡単に理解できる、真っ黒の憲法違反でございます。  しかし、安倍内閣が先ほどのように答弁拒否を連発し、衆議院で強行採決をし、さらには、去る八日の参考人質疑で、先ほども横畠長官が上司である大森元内閣法制局長官に法の番人として失格であるとの烙印を事実上押されるなど、空前絶後の事態が生じているわけでございます。  こうした事態の中、もはやこの議会、崩壊した議会の中で健全な議論というのはできないという思いで、私、実は、安倍内閣のこの安保法制の憲法違反を立証する本を出版をさせていただきました。(資料提示)中谷大臣に九月四日のこの議場で直接、中谷大臣に献本させていただきました。  中谷大臣、本を読んでいただけましたでしょうか。もちろん災害対策以前で結構ですけれども。
  84. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 本を出版して、私に頂きました。じっくり読んでみたいと思いますが、けど、我々の見識といたしましては、四十七年の基本的論理、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとるということを禁じているとは到底解されておりませんで、この自衛の措置というのはあくまでも必要最小限度の武力行使は容認されるということで、今回の新三要件、これは憲法の範囲内であると私は認識をいたしております。
  85. 小西洋之

    ○小西洋之君 ちょっといろいろ今言われましたけれども、隣の自民党の筆頭理事である佐藤先生も本を出版されておりまして、「高校生にも読んでほしい安全保障の授業」ということでございます。こちらは合憲でございます。私の本は、もうかざしませんけれども、違憲の本でございます。今審議されている法案について、憲法遵守擁護義務を負う国会議員が別々の見解を出しているということでございます。国民皆さんも、この議会の議論と併せて、是非この真実というものを知っていただきたいと思います。  では、質疑、追及へ移らせていただきます。  集団的自衛権の解釈変更を安倍内閣は行っておりますけれども、実は、その解釈変更というのは日本憲法の歴史で二回しかございません。一つは、昭和四十年の六十六条の文民条項でございます。もう一つは、昨年の七月一日、憲法九条の解釈変更でございます。つまり、憲法九条について解釈変更は一度しかない、これが安倍内閣の見解でございます。  しかし、安倍内閣の解釈改憲の主張を丁寧に読み解いてみると、実はもう一つの解釈の変更、一つしかないはずの九条の解釈の変更が二度行われていることが明らかになっております。つまり、解釈の変更ですから法的安定性で一番重要な問題ですけれども、その法的安定性がこっぱみじんにじゅうりんされている真っ黒な違憲状態が生じていることでございます。  フリップをお願いいたします。(資料提示)  まず、国民の皆様に、安倍内閣が国会で主張している昨年の解釈変更というのはどういうことなのかということを簡単に御説明を申します。  安倍内閣はこういうふうに言っています。安倍内閣は、昨年の七月一日の閣議決定で初めて憲法九条の上に集団的自衛権の論理を作ったのではない、実は、昭和四十七年に作られた昭和四十七年政府見解、今私の手元にあるものでございますけれども、この昭和四十七年政府見解を四十二年ぶりに丁寧に読んでみたら、実はこの中に何と集団的自衛権の論理が書いてあることを発見したというふうに言っております。  これを、今まで歴代内閣、そして国会の議論は全て、個別的自衛権のみが合憲だとされて、集団的自衛権は違憲とされている文書だと理解していました。しかし、安倍内閣は、個別的自衛権の合憲を書くと同時に、限定的な集団的自衛権も合憲と書いてある文書であるというふうに主張をしているわけでございます。  そして、その集団的自衛権個別的自衛権を併せた九条の解釈を、正しい憲法九条解釈の基本的な論理、四十二年間誰も気付かずにひっそりとこの中にたたずんでいた、存在していたその基本的な論理を見付けたと言っているわけでございます。その基本的な論理を見付けて集団的自衛権を合憲としたので、基本的な論理に基づいているから解釈改憲ではないし、専守防衛は変わらないし、平和主義も変わらないし、当然憲法違反ではないという主張をしているわけでございます。  じゃ、このフリップで確認をさせていただきましょう。  まず、一行目ですけれども、昭和四十七年見解以前の話です。我が国に対する武力攻撃が発生する局面、それから、国民を守るその個別的自衛権ですね、旧三要件、それ以外は武力行使は一切できないとされていました。当然、憲法誕生以来、四十七年見解以前に解釈の変更は一切ありません。  二行目です。四十七年見解を作成したときです。安倍内閣はこういう理解です、先ほど申し上げました。限定的な集団的自衛権行使をも許容する基本的な論理がこの四十七年見解の中に書き込まれたというふうに主張しているわけでございます。ただ、その下の矢印は非常に重要です。ほかに限定的な集団的自衛権を認めた政府見解や国会答弁はこの前後に一つもない。つまり、安倍内閣はこれに寄りかかるしかない。この中に限定的集団的自衛権がなければ、実はないんですけれども、全くないんですけれども、なければ、安保法制は根こそぎ倒れて、安倍内閣は退陣するということでございます。  じゃ、七月一日の閣議決定はどういうことをしたかというと、今申し上げた四十七年見解の中に発見した基本的な論理を新三要件という言葉で整理をして、それにホルムズ海峡の事例などを当てはめた。当てはめというのはどういうことかといいますと、限定的な集団的自衛権の論理を初めて使用したということでございます。これについては解釈変更であるというふうに言っています。初めての解釈変更。これについては安倍総理憲法解釈の一部変更であるというふうにおっしゃっております。  ただ、国民皆さんと一緒にこのフリップをじっと眺めると、ある不思議なこと、国民皆さんにとってはぞっとするような論理的な矛盾に気が付くわけであります。  安倍総理は、元々昭和四十七年政府見解の中に存在した限定的な集団的自衛権の論理を整理して使ったことをもって解釈の変更と言っております。しかし、元々ある論理をその内容を整理して使うことよりも、それ以前には存在しなかった、憲法誕生以来、それ以前には存在しなかった、そして誰も認めていなかった限定的な集団的自衛権の論理を初めて政府が認めた、安倍内閣はこう言っているんですね、昭和四十七年政府見解。これを認めたこと、決定したことの方が憲法的にははるかに重要なもののはずであります。しかも、これは国会に提出されたものです。  安倍総理に伺います。端的にお答えください。  七月一日の閣議決定は、昭和四十七年政府見解にあった基本的な論理を整理して使用しただけです。それでも解釈の変更だというふうにおっしゃっている。しかし、同時に安倍内閣は、この昭和四十七年政府見解の中には、今まで誰も認めていなかった、内閣も国会も認めていなかった限定的な集団的自衛権が、作った人たちの頭の中にあってこれに書き込まれたというふうに国会で答弁をされています。作って使用したものは解釈の変更なのに、その論理を作ったこの昭和四十七年政府見解が憲法解釈の変更でない理由について端的に答弁ください。
  86. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、政府が再三御説明をさせております昭和四十七年見解の基本的な論理を、これを分かりやすく言えば、憲法第九条の下でも、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処する場合には、例外的に自衛のための武力行使が許される。今申し上げたことが基本的な論理であります。  そして、平和安全法制においては、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえれば、この基本的な論理を維持し、この考え方を前提として、これに当てはまる場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合もこれに当てはまるとしたものであります。つまり、当てはめを行ったということであります、基本的論理の中で当てはめを行ったということであります。  このように、今般の見直しは基本的な論理を維持しつつ、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえて行うものであって、理論の捏造という御指摘は全く当たらないと、こう考えております。
  87. 小西洋之

    ○小西洋之君 最後の論理の捏造ではないという言葉以外は、私の説明をなぞっただけでした。私の質問には何も答えていません。簡単なことを、国民皆さんの中学生や高校生にも分かる常識的なことを聞いています。  法治国家なんですから、法治国家なんですから、ある論理を整理して使うことが解釈の変更なんだったら、それまで認められていなかった論理をつくり出した、限定的集団的自衛権の論理をつくったというふうに安倍内閣は言っているんですけれども、これがなぜ解釈の変更でないかと言っているんです。解釈の変更でなかったら、これ一体何なんですか。解釈の変更でもない、えたいの知れないものの上に法律を作って、自衛隊集団的自衛権の発動をして戦死をさせて、国民を戦死をさせていいんですか。  これが解釈の変更でない論理的な理由を端的に答えてください。
  88. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど申し上げたとおりでありまして、一番最初に私はこの基本的な論理を申し上げたわけであります。まさに国の存立が脅かされ、国民の生命や自由、幸福追求の権利、これは憲法で保障されているものでありますが、まさにこの平和的生存権、そして憲法で、憲法十三条で保障されているこうした諸権利がこれ奪われようとしているときにおいては、自衛の行使を、自衛の行使をですね……(発言する者あり)今お答えしているんですから、しばらくの間だけでもちょっと黙っていていただけますか。自衛の、いいですか、必要な自衛の措置、必要な自衛の措置は取り得ることができると、こういう解釈をしているものでありまして、これは砂川判決と軌を一にするものでありますが、この必要な自衛の措置という中において、これは集団的自衛権については、当時は、昭和四十七年においては、昭和四十七年においてはまさにこれは必要最小限度を超えるものと考えていたわけでありますが、これはこの委員会においてもるる説明をしているように、安全保障環境が変わる中においてはまさにもはや一国のみで自国を守り抜くことはできないという中において、先ほど条件を付けた、先ほど条件を付けた、これは国の存立と国民の命や自由、幸福追求の権利が奪われると、これ、根底から覆される明白な危険があるときは、あるときはこれは行使できる、このような変更を行ったわけでありますが、これは当然、我々はまさにこの四十七年の基本的な解釈、論理の中においての当てはめを変更したと、このように考えているところでございます。
  89. 小西洋之

    ○小西洋之君 ひきょうな長々とした時間稼ぎの答弁を、全然私が聞いたことには二回連続答えませんでした。  法治国家なんですから、論理を整理して使ったことが解釈の変更なんだったら、その論理を元々つくり出したというふうに言っている、これは解釈の変更でないわけはないわけですよ。そのことについては何にもお答えになりませんでした。答えられないのはなぜでしょうか。簡単です、解釈改憲だからです。もう論理の世界じゃないんです。国民憲法を、規範をじゅうりんして、できない憲法解釈をつくったから、つじつまが合わなくなるんです。  もう、国民皆さんに申し上げますが、こういう議論しか国会ではできませんので、この安保法制とこの闘いは常識と非常識の闘い、正義と不正義の闘いです。人類の歴史で民主主義と自由主義は必ず勝利していますから、そのことを安倍総理にしっかりと申し上げをさせていただきます。  じゃ、安倍総理にもう一つ、この関連で質問をさせていただきます。  安倍総理は、解釈の変更だけで憲法を、閣議決定だけで解釈の変更をしたことは立憲主義に反するのではないかという質問に対して、いやいや、この四十七年見解は閣議決定すらしていませんよ、ただ、我々の七月一日の解釈の変更はこれは閣議決定をしているというふうに言っているんですね。ところが、よく考えるとこの説明、全くおかしいんですね。  論理を整理して使ったものは閣議決定をしている。肝腎の論理をつくり出したものについては閣議決定をしていない。こっちの方が、閣議決定がないことがおかしいんですよ、だって、今までなかった集団的自衛権を認めたんですから。我が国憲法秩序の大転換である外交・安保政策の大転換を内閣法制局の当時の官僚三人だけで決裁をしているんですよ。  閣議決定が四十七年見解にないというあなたの主張は法的安定性を否定するものではないですか、答弁ください。
  90. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我々は、解釈変更に当たって、しかし、これは解釈の変更、安全保障に関する基本的な考え方についての解釈の変更でありますから、これはしっかりと閣議決定を行ったということを申し上げております。  そして、立憲主義との関係においては、これは、まさにこれは基本的な論理が変わっていないわけでありますから、それは、そこでまさに法的安定性がこれは保たれ、そしてもちろん立憲主義に資するものであると、このように答弁しているところでございます。
  91. 小西洋之

    ○小西洋之君 一言
  92. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 時間です。
  93. 小西洋之

    ○小西洋之君 じゃ、終わります。ありがとうございました。
  94. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  まず冒頭、北関東、東北地方を襲いました大規模な洪水被害に関しまして、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。  私ども公明党も、災害対策本部を立ち上げました。昨日現地に入りました同僚議員によりますと、一つは行方不明者の捜索救助、これを第一にしてほしい、また、避難所自体も孤立した避難所も多くて、水などの救援物資がなかなか届きにくい状況にある、被災者救援に全力を挙げてほしいと、そういう報告を受けております。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  状況は刻一刻と変化すると思います。災害対応に与党も野党もございません。政府におかれましても、国民の命を守るため、自治体、警察、消防、海上保安庁、そして自衛隊など、関係機関の総力を挙げて万全の対応をされますことを要請いたします。  それでは、質問に入らせていただきます。  九・一一のニューヨーク・テロ事件から、今日でちょうど十四年になります。当時私は、アフガニスタンからパキスタン側へ避難する難民支援の仕事に従事しておりました。そして、今新たに、シリアを中心とする不安定な中東情勢を受けまして、EUでは移民、難民問題が大変大きな人道的かつ政治的な課題になっております。  先週、ヨルダン、パレスチナ、イスラエル各大使と懇談いたしましたが、我が国の中東安定化に対する支援、特に人道支援、難民支援に対しては高い評価と期待の声が上がりました。  今回の欧州難民問題が欧州だけの問題にとどまるのか、国際社会を巻き込む問題なのか、予断を許しませんが、まず、中東情勢に端を発した欧州難民問題の状況はどうなっているのか、また我が国に対してEUや国際機関から支援要請はあるのか、この点について外務大臣に確認します。
  95. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の難民問題ですが、中東そして北アフリカの情勢悪化によりまして、今年の初めから考えましても既に五十万人を超える難民そして移民が欧州に押し寄せています。欧州にとりまして大きな課題となっていますし、我が国も大きな関心を持っておりますし、既に欧州に対しましては、基本的な価値観を共有するパートナーとしての連帯を表明しております。  そして、今、様々な要請があるのかという御質問がありました。既に、国連難民高等弁務官事務所など幾つかの国際機関から国際社会全体に対しまして支援要請が発出されています。是非、まずは我が国としまして、こうした要請に関係国と連携しながらしっかり応えていかなければならないと思います。  そして、大事なことは、こうした支援の要請に応えることも重要ですが、そもそもこの原因がどこにあるのか。やはり、シリアあるいはイラク、こうした地域、さらにはこの周辺国、こうした地域の安定が何よりも重要であります。我が国としましては、こうした地域に対する非軍事的な支援、これをしっかり行うことによって、この原因となっている地域における安定に資すること、これが我が国の取組として重要ではないかと考えます。
  96. 谷合正明

    ○谷合正明君 シリア情勢の悪化に伴いまして、難民、国内避難民の問題は大きくなっているわけであります。報道によりますと、空爆に参加する国が、例えばフランスであるとかオーストラリア、参加表明する国もあるわけでありますが、そこで、確認です。  総理は国会で、シリアやイラクにおけるISILへの空爆等への後方支援を行うことは全く考えていないと答弁しておりますが、この政策判断は今後も変わらないということでよろしいのか。また、これからも後方支援に参加しないとすれば、先ほど外務大臣から答弁がございましたが、積極的平和主義を掲げる日本として、難民、避難民への人道支援、また難民そのものが発生しない、そういう非軍事の貢献、支援を日本としてしっかりと支援強化をしていくべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
  97. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これまでも繰り返し述べているとおり、政府としては、政策判断として、ISILに対する軍事的作戦を行う有志連合に参加する考えはありません。ISILに対する作戦への後方支援を行うことは全く考えていません。今回の法案が成立した後であってもこれは変わらないということははっきりと申し上げておきたいと思います。  シリア難民問題については、我が国は今後とも、難民、国内避難民等に対する食糧配布、そして保健医療等の分野において我が国ならではの人道支援を拡充し、非軍事分野において国際社会における我が国の責任を毅然として果たしていく考えであります。
  98. 谷合正明

    ○谷合正明君 それでは、我が国の平和と安全の議論に移ります。  この議論の骨格は、厳しさを増す安全保障環境の中で、外交努力を尽くすことを大前提に、憲法の枠内でどこまで自衛の措置が可能なのかということだと思います。  厳しさを増す我が国周辺の安全保障環境については、先日の本委員会参考人質疑でも指摘がありました。神保参考人は、二十一世紀の我が国を取り巻く安全保障の最大の変化は中国の台頭に関すること、先日の軍事パレードでも示された中国の軍事力の急速な拡大が地域の軍事バランスを大きく変化させていると指摘しています。  また、我が国への脅威の例として、北朝鮮の弾道ミサイルが挙げられます。北朝鮮は、日本の大半を射程内に入れる弾道ミサイル、数百発もの弾道ミサイルを配備しております。  こうした我が国をめぐる安全保障環境が厳しさを増す中で、日米防衛協力体制の信頼性、実効性を強化し、抑止力、対処力を向上させて紛争を未然に防止していくことが求められております。今回の法制の目的はまさにそこにあります。  先ほどの北朝鮮の弾道ミサイルへの対応を例に取りますと、自衛隊米軍と共同して防衛システムを構築し、我が国を守っています。自衛隊だけでは防衛できないわけであります。  問題は、日米安保条約に基づき、日本防衛のため公海上で弾道ミサイルの警戒監視をしている米艦船に武力攻撃があった際であります。そのとき自衛隊は何ができるかが問われております。  その際、我が国が取り得る立場というのは三つあるんだと考えられます。一つは、個別的自衛権で対処できず、米艦船への武力攻撃を排除できないという立場であります。第二に、個別的自衛権で対処できるという立場であります。そして第三に、個別的自衛権での対処は困難な場合が多く、国際法上は集団的自衛権を根拠として米艦船への攻撃を排除すべきとの立場であります。  そこで、維新の法案提案者に伺います。  我が国への武力攻撃がいまだ発生していない状況で、公海上で日本防衛のために弾道ミサイルの警戒監視をしている米艦船に武力攻撃があった際に何らかの対処をしなければならないという認識、このことは政府・与党と一緒だと思います。つまり、第一の立場は取らないということであります。  そこで、確認ですが、維新案による武力攻撃危機事態における武力行使というものは、個別的自衛権で対処という立場なのか、集団的自衛権を根拠として対処という立場なのか、見解をお示しください。
  99. 小野次郎

    委員以外の議員(小野次郎君) お答えいたします。  まず、維新の党案に御質問いただきまして、ありがとうございます。  まず、我が党は、安全保障環境の変化に対応した安保法制の整備は重要だと認識しております。その点では政府と変わらないわけでございます。そしてまた、七月一日の去年の閣議決定の中でも、我が党は、今までの個別的自衛権集団的自衛権の解釈上の境界線が、常に一〇〇%、憲法に言う合憲と違憲の境界線とは限らないという点についても認識を共有しているものであります。ただ、政府・与党は、その後、限定的集団的自衛権の容認の方向へと進んでいったんだろうと思います。  私たちは、まず国連報告、国連への武力行使の報告を見ました。集団的自衛権って一体どういうときに行使されたと報告されているのか。驚くべき事実でございます。ハンガリー動乱のときにソ連の軍事介入、そしてベトナム戦争へのアメリカの介入、そしてチェコへのソ連軍の侵入、そして同じくソ連軍によるアフガニスタンへの侵攻、これらが国連に報告されている集団的自衛権の例なんですね。私たちは、とても日本の、平和国家としての日本が、専守防衛日本が進むべき方向ではないと思いました。そして、それ以外の武力行使の報告はどうされているかというと、国連に対しては、単に自衛権の行使若しくは自衛の措置というふうに報告されているものが九割以上でございます。  そして、大事なことは、国際的には武力による威嚇、つまり、例えば谷合さんたちと私が武器を構えて動くなと、あるいは服を脱げと、あるいはお金を出せと言って、それに威嚇する行為は国際的にはもう既に武力行使と判断されているのが国際実践例なんですね。  その上で考えてみたときに、私たち維新の党は、自衛権の再定義、そして憲法が許容する、かつ国際社会からも認められるような自衛権の在り方を検討してまいりました。目的も手段も効果も、徹頭徹尾自国防衛のために行う必要最小限度の武力の行使は、憲法上も、そして国際的にも容認されるという認識を私たちは持っています。安保条約に基づいて、我が国防衛システムを構成する米国軍への攻撃、そして第二撃が我が国に及ぶ蓋然性が高いことと併せることで、我が国に対する攻撃の着手と同視できるというふうに考えております。  集団的自衛権定義について、国際法の上では諸説あります。他国を防衛するためのものが、他国防衛説といいますけれども、これが通説でございます。この見地からは、我が党案は個別的自衛権と見られると思います。他方で、仮に第一撃が米国の艦船に落ちたから、これは形式的には集団的自衛権じゃないかという学説もありますけれども、これも、我が国米国の間では日米安保条約に基づいているわけですから、条約に基づく米軍との共同の防衛行動として国際的にも容認されるというふうに考えております。  その意味で、衆議院における我が党同僚議員がこの国際法学における議論は排除されませんと答弁したのは、このような趣旨だろうと考えております。
  100. 谷合正明

    ○谷合正明君 自衛権の再整理を行うということではございますけれども、国際法上の集団的自衛権の行使を容認するものなのかどうか、ここをはっきりしなければならないんだと私は思っております。  今答弁の中で国連安保理の報告に言及されたところがございました。自衛権、つまりその個別的自衛権集団的自衛権問わず、自衛権としてそうやって一くくりに報告できるので、特にそこは問題ないんだというような趣旨だったかと思いますが、そこで外務大臣にお伺いしますけれども、とはいえ、私、安保理に報告する際にそういうことで済むのかという問題認識を持っているんですが、政府の認識を伺いたいと思います。
  101. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、集団的自衛権個別的自衛権定義ということにつきましては、ただいまいろいろな学説があるというお話もありましたが、過去の国際司法裁判所の判例、あるいは様々な過去の実例が積み重なる中にあって、国際法上、一般に最低限必要とされる要件、これは共通の認識として整理をされています。  そして、集団的自衛権においては、武力攻撃を受けた国からの要請、同意が求められるというようなこと、あるいは個別的自衛権においては、この武力行使、自国に対する武力行使が発生するということ、こうした要件は国際法上明らかに求められていると考えています。  そして、こうした要件につきましては、自ら武力行使を行った場合、これはどちらかに該当するにせよ、これしっかり説明をしなければなりません。これ、どちらにも該当しなければ、そもそも国連憲章上認められている自衛権の枠外にはみ出てしまいますので、国際法違反になってしまいます。  ですから、国連に対して自衛権ということで報告をするにしましても、集団的自衛権の要件を満たしているか、あるいは個別的自衛権の要件を満たしているか、これはしっかりと明らかにし、国際社会説明をしなければならない、このことは変わらないと考えます。
  102. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  そこで、総理に伺います。  弾道ミサイルの警戒監視をしている米艦船に武力攻撃があった際に個別的自衛権による対応というのは可能なのか、この点について総理に答弁をいただきたいと思います。
  103. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 個別的自衛権の行使の前提となるこの我が国に対する武力攻撃とは、基本的には我が国の領土、領海、領空に対する武力攻撃をいうものでありまして、公海上にある米国の艦艇に対する武力攻撃は、基本的には我が国に対する武力攻撃の発生と認定できるものではありません。実際上も、公海上の米国の艦艇への武力攻撃我が国への武力攻撃の着手と認定することは難しいと考えています。  個別的自衛権集団的自衛権国際法上明確にこれは区別されており、本来は集団的自衛権の行使の対象となるべき事例について個別的自衛権我が国独自の考えで拡大して説明することは、国際法違反のこれはおそれがあるわけであります。また、いわゆる先制攻撃を行ったとこれは評価されかねない危険性もあります。さらに、これまでの武力攻撃事態の概念を拡大して対応することになり、同事態の要件である我が国に対する外部からの武力攻撃が発生していないにもかかわらず武力の行使を行うということになるため、およそ認められるものではないと、このように考えております。
  104. 谷合正明

    ○谷合正明君 政府は、今私が問題提起させていただいている公海上の米艦防護、これを存立危機事態に該当する典型例として挙げております。存立危機事態による武力行使というのは、私が申し上げた第三の立場、すなわち、個別的自衛権での対処は困難な場合が多く、国際法上は集団的自衛権を根拠として米艦船への攻撃を排除すべき、すなわち集団的自衛権を限定的に行使するしかないという理解なんですけれども、総理、そういう理解でよろしいでしょうか。
  105. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まさに私たちが行使できるのは、新三要件の中においてのみ武力の行使ができるわけでありまして、我が国と密接に関係がある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、危険を排除するためには他に適当な手段がないこと、必要最小限度の範囲を超えてはならないことでありまして、これは世界的にも例を見ない非常に厳しい要件であり、憲法上の明確な歯止めとなっていると、このように考えております。  また、この新三要件については米国にも十分説明をしておりますし、新たな日米ガイドラインの中でも、日本が武力を行使するのは日本国民を守るためだとはっきりと書き込んでいるわけでありまして、このことは日本米国の共通の認識にもなっております。
  106. 谷合正明

    ○谷合正明君 今、総理からも新三要件の話がございました。集団的自衛権を限定的に行使するにせよ、その範囲を無制限に広がらないように、また恣意的に決められないように、昨年の七月の閣議決定ではその新三要件を明確にしたわけでございます。与党協議の結論を踏まえた昨年の閣議決定では、憲法九条を堅持し、自国防衛のための措置にとどめることを明確にするためにその新三要件という規範を定めたわけであります。この新三要件は、憲法九条の下でも例外的に武力の行使が許されるとした理由や根拠である昭和四十七年の政府見解の基本的な論理を維持したものでございます。今回の法案には公明党の主張で新三要件がそのまま法律上に書き込まれたということでございます。  改めまして、その新三要件については今総理の方からもしっかりと歯止めが掛かっているというお話がございましたので、最後、総理に改めて質問をさせていただきたいんですけれども、我が国の平和と安全を確かなものとするために、今申し上げたような安全保障上の備えをしっかりするための抑止力を強化する、それとともに平和外交努力に全力を尽くすべきとの声も多いと思います。  最後に、抑止力強化とともに平和外交努力に全力を尽くすべきと考えますけれども、総理の見解を伺います。
  107. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回、平和安全法制について法整備を進めてまいりますが、前提はしっかりと平和外交を進めていくということであります。外交によって平和を維持し、様々な紛争を抑止していくことだろうと思います。  就任以来、五十四か国を訪問いたしまして、三百回近い首脳会談を行ったわけでございますが、その際、法の支配を重視する立場から様々なことを申し上げてまいりました。昨年のシャングリラ会合におきましては、主張するときには国際法にのっとって主張すべき、力の威嚇や力による現状変更は行ってはならない、問題を解決する際は平和的に国際法にのっとって解決するとの三原則を繰り返し主張し、圧倒的多数の国々から賛同を得たところであります。  我々の三原則にのっとって全ての国が行動すれば、これはまさに平和が守られていくんだろうと思います。今後ともしっかりと平和外交を展開していく考えでございます。
  108. 谷合正明

    ○谷合正明君 終わります。
  109. 藤巻健史

    藤巻健史君 維新の党の藤巻です。よろしくお願いいたします。  まずは、この度の災害に遭われました皆様方に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。  さて、日本を取り巻く安全保障環境ですけれども、これは極めて厳しい状況になっていると認識しております。一方、防衛の方ですけれども、アメリカ軍はやはり相対的に地位が落ちている。やはり他の国々、他のアジア地域以外の防衛にも必要ですし、中国の台頭等もありまして、防衛の面では力が落ちている。今こそ日本アメリカとのチームワークが必要だという時期に入っていると認識しております。そのチームワークを今の現行の安全保障法制で守れるかどうかということになると、確かに疑問点が多い。  一番の例が、日本を守っている米軍の艦隊が攻撃を受けたときに、今の安保法制では自衛隊は手をこまねいて見ていなくてはならない可能性がある。仲間が攻撃を受けているときに手をこまねいて見ているということになれば、チームワークなんというのは崩壊してしまうわけです。  ですから、今こそチームワークを確立しなくちゃいけないということで、我が維新の党は対案を出しました。今対案を出さないということは今の安保法制のままで日本をきちんと守れると、それは違うだろうということで対案を出させていただいたわけでございます。  確かに、ただ、対案を出させていただいたんですけれども、どこまで今の安保法制を改正するかというところに差がございます。政府案と我が維新の党とは差があるわけです。それがゆえに、政府案というものに対しては多くの憲法学者の方が違憲という判断を出し、そして我が維新の党には憲法学者の方が合憲というふうにおっしゃっているわけだと思います。今日はその差を明確にしたいなというふうに考えております。  確かに、世界の平和があってこそ日本の平和があるという理屈も一理あると思います。私も全否定はいたしません。しかし、それは憲法を改正してから議論することではないか、そこまで行くにはまだ時期尚早ではないかと思うわけです。  ということで、まず質問に入りたいんですが、まず維新の党の発議者である小野議員にお聞きしたいと思います。(資料提示)  政府案は、世界の警察の役割の一部を担うことによる米国への配慮、要するに世界貢献まで一歩踏み込んでいるわけですね。一方、維新の党の対案というのは、あくまでも我が国防衛、そのための範囲で米国へ配慮しましょうという発想の、思想の違いがあると思うんですが、それは正しいかどうか、小野議員、お願いいたします。
  110. 小野次郎

    委員以外の議員(小野次郎君) お答え申し上げます。  我が党も、安全保障環境が大きく変化しているということ、そういった現実を踏まえて、一層日米同盟の強化をしながら、自国防衛を万全とするために、この公海上の米艦防護に関しても新たな安全保障法制を整備する必要があるという点は政府と認識を共有しているところでございます。  ただ、新たな安全保障法制も、他のあらゆる法律と同様に憲法に適合している必要がある、憲法適合性の範囲内で考える必要があるということです。この点、我が党は、自衛権の再定義を念頭に置きながら、目的、手段、効果、いずれを取っても徹頭徹尾自国防衛のために行う必要最小限度の武力の行使は、憲法上も、また国際的にも容認されるという認識を持っております。  我が党案の武力攻撃危機事態は、我が国周辺地域に限定している、そして我が国に武力攻撃が及ぶこととなる場合にのみ米艦防護に関し自衛権行使を認めています。この意味で、あくまで我が国防衛のための範囲で米国軍への配慮という先生の理解は正しいと考えます。維新案は、専守防衛の原則を貫き、自国防衛目的に徹した法案ですから、専門家からも合憲との評価をいただいているところでございます。  政府案の存立危機事態では、我が国に対する直接の武力攻撃が想定されない場合にも自衛権行使ができることとなっておりまして、地理的限定もありません。武力行使の要件が極めて抽象的で限定されていないことから、歯止めがないと言われています。政府案は、専守防衛の理念の下、戦後一貫して積み上げてきた従来の憲法解釈を大きく転換する内容で、法的安定性もないため、ほとんどの憲法学者、多くの元内閣法制局長官から違憲と断じられています。このような現行憲法に反する法律を制定しようとするのであれば、まず憲法改正が必要になるのではないかと私どもは考えております。
  111. 藤巻健史

    藤巻健史君 確かに、七十年間日本が安全であったというのは、当然平和憲法もそうですけれども、それと同時に日米安保が貢献したんだと思います。ですから、平和憲法を守りつつ、かつ安保同盟の不備な部分を改正するというのが正しい方向ではないかと私は思っております。  次に、総理にお聞きしたいんですけれども、アメリカ軍の、商船若しくはアメリカ本土が、要するに米国が、国が攻撃されたときに、米艦隊じゃないですよ、米国攻撃されたときに、存立危機事態であると政府が判断する場合に、自衛隊は武力行使ができるのでしょうか。お答えいただければと思います。
  112. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、今まで何回も申し上げているとおりでございますが、新三要件に当てはまらなければならないわけでありまして、単に米国本土が攻撃をされる、米国の艦艇が攻撃されることによって我々は存立危機事態になるわけではございません。まさに、それが我が国の存立を脅かし、そして国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険ですから、がなければ、それは行わない。そして、これを排除するために他に適当な手段がない、言わば、そのときに、我が国の存立を守り、国民を守るために必要最小限度の武力行使をすると。それは必要最小限度にとどまらなければならないわけでありますが、この三要件が付いているわけでございます。  ですから、単に米国あるいは米国の艦船、商船が攻撃されたからといって、これは三要件には当てはまらないと、こういうことになるわけでございまして、最初の図で示していただいた中においても、まさにこの維新の案の説明にあるように、まさに我々の限定的な容認というのも、我が国の存立に関わるというこれは容認でございます。その点では大分この維新の案にも似ているのではないかと。しかし、我々は、国際法的にそれはおかしいと、国際法違反であるという解釈は行わないということでございます。
  113. 藤巻健史

    藤巻健史君 総理のお答えをお聞きしていますと、新三要件に当てはまれば、米国攻撃されたときも自衛隊が武力行使をする可能性があるということは理解いたしました。  それでは、維新の党の見解はいかがでしょうか。
  114. 小野次郎

    委員以外の議員(小野次郎君) お答え申し上げます。  我が党の武力攻撃危機事態はそもそも他国防衛目的とするものではありません。ですから、私どもの法案では、武力攻撃発生の対象として米国の商船とか米国本土などを想定していないことは法制要件上も明確になっております。  我が党案では、条約に基づくこと、そして我が国周辺の地域において、かつ我が国防衛のために従事している米国軍隊に対する武力攻撃が発生したときにだけ、自衛隊による自衛権行使の可能性というか前提条件となることを明確に規定しているところでございます。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
  115. 藤巻健史

    藤巻健史君 政府案ですと、新三要件さえ満たされれば米国攻撃されたときでも自衛権が、武力行使ができるようになる、そういうふうにも解釈できるわけですけれども、そうなると、国民皆さん日本がどこまで軍事的、軍事行動に参画するのかよく分からないわけですよね。ところが、維新の党の対案ですと、あくまでも非常に限定的で、外形的にも基準が明確ですし、具体的な適用要件というのもはっきりしているかなというふうに思います。  次に、また維新にお聞きしたいんですけれども、政府案では、存立危機事態が生じれば自衛隊は、まあ三要件が満たされればなんでしょうけれども、地球の裏側まで行く可能性があるわけです。確かに、今までの答弁を聞いていますと、今の政府はそんなことはないとおっしゃるんでしょうけれども、法律的にできるのは可能なわけで、やはり法律的に可能だということだと、国民は不安を持ってしまうと思うんですね。  じゃ、維新案では自衛隊は地球の裏側まで行く可能性があるのでしょうか、お答えいただければと思います。
  116. 小野次郎

    委員以外の議員(小野次郎君) お答え申し上げます。  もう先ほど来、我が国周辺の地域においてということを想定していることは申し上げました。この我が国周辺の地域とは、単に距離のみによって画されているものではなく、我が国の領域を防衛することと密接に関係している地域のことでございます。そこにおいて我が国防衛のために活動している米艦に対し攻撃が発生することにより我が国に武力攻撃が及ぶこととなり得るような地域の範囲だということでございます。その範囲の限界については、周辺事態法の考え方と同じく、日米安保条約の極東条項に関するこれまでの政府の見解で示された地域朝鮮半島とか東シナ海とか南シナ海などを越えることはあり得ないというふうに考えています。  なお、周辺事態における米国軍に対する後方支援についても、政府案とは違って、我が国の周辺の地域における事態という概念を維持しようと私たちの案はなっていますので、地球の裏側まで行くことはないようになっております。
  117. 藤巻健史

    藤巻健史君 確かに、日本を守っている米軍が地球の裏側まで行くなんという可能性は極めて小さいと思いますので、小野議員の回答には極めて納得するものがあると思います。  次に、前回私がこの委員会質問に立ったとき、私は政府に対して、アブダビからフジャイラまでのパイプラインが通っている、要するに、ホルムズで機雷掃海をする必要性総理はおっしゃったんですけれども、このアブダビからフジャイラへのパイプラインがあるわけで、こういうことを、要するに迂回路があるわけですから、これをもって政府の言う存立危機というのは発生する可能性はないのではないかと私は思うわけですね。  要するに、立法する必要がないと思うのに、要するに立法事実がないのに法案を作るというのは極めて危険なのかなと思うんですが、維新案ではホルムズ海峡の掃海は立法事実があると考えているのか、そして維新案でホルムズ海峡の掃海が可能なのか、お答えいただければと思います。
  118. 小野次郎

    委員以外の議員(小野次郎君) お答え申し上げます。  ホルムズ海峡での機雷掃海については、その機雷の敷設によって我が国に武力攻撃が及ぶことは考えられず、ホルムズ海峡は、また我が国周辺の地域とは当たらないと考えております。そのため、武力攻撃危機事態の要件を満たすことはなく、維新案では、武力行使としてホルムズ海峡での機雷掃海を行うことはありません。  他方、今、ホルムズ海峡の掃海は可能なのかというお尋ねがありましたが、これにつきましては、停戦合意が成立した後の遺棄機雷の掃海活動であれば武力行使に当たらず、現行の自衛隊法八十四条の二で可能だと解釈されてまいりました。ホルムズ海峡のケースでも、こうした遺棄機雷の掃海と評価される事態であれば、政府案のような憲法違反の海外派兵という指摘をされることもなく機雷掃海を行うことが可能になると。  頭の体操としてお聞きいただきたいと思いますが、事実上の停戦状態にあること、機雷の除去について当事者間に争いがないことなどが確認されるような極めて限定的なケースかもしれませんが、その場合には、遺棄機雷と評価できる場合の要件を明確に定めることで、国際社会の要請に対し我が国として貢献する余地はあると考えております。
  119. 藤巻健史

    藤巻健史君 立法する喫緊の課題でもなく、すなわち、立法事実がないのに法律を作りますと余分な自衛権発動の危険が生じると、そこがやっぱり国民皆さんが不安を感じているところではないかと思うんですが、そういうふうに立法事実がないと思われるホルムズ海峡の掃海のことは忘れたらいかがかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。
  120. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) そもそもこの法律はホルムズ海峡の機雷掃海をするための特措法ではございませんから、それをするための法律ではなくて、我々はそれも可能であるということは申し上げたわけでございます。そのことをまず申し上げておきたいと思うわけでございます。  その上で申し上げますと、ホルムズ海峡を迂回するパイプラインが存在はいたします。しかし、ホルムズ海峡が封鎖されるような危機に際しては、世界各国から利用の要望が殺到することが予想されるため、我が国が迂回パイプラインを通じて十分な量の原油を輸入することは極めて困難になる可能性は高いのではないかと、こういうことでございます。  このように、ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合に、迂回パイプラインが利用できたとしても、我が国へのエネルギー源の供給が滞り、国民の生死に関わるような深刻、重大な影響が生じないと断言することはできないわけでありまして、それは想定外だったということは許されないと我々は考えているわけであります。  そのような場合に、法制の不備により国民の命と幸せな暮らしが守られないというようなことがあってはならないわけでありまして、新三要件に該当する場合には、我が国として機雷の掃海を行い、そのような危険を除去することができるようにしていくことが不可欠であると、こう考えているところでございます。
  121. 藤巻健史

    藤巻健史君 次の質問なんですけれども、最後の質問ですが、この委員会をずっと聞いていますと、やはり個別自衛権かそれとも集団的自衛権かがずっと議論をしているわけですね。集団的自衛権は違憲だけれども個別的自衛権は合憲であるという議論をしているんですが、冒頭申し上げましたように、日本米国のチームワークをもって日本防衛に当たらなくてはいけないという事態になると、どうしても個別自衛権と集団的自衛権がかぶさってくるんですよね。そのかぶさっているときを、部分を集団的自衛権個別的自衛権かという議論をするのは、これは神学論争で、ちょっと間違えているんじゃないかと私は思うわけです。  昔、オリンピックでは、プロとアマがいて、アマは参加してよかったけれどもプロは駄目だという判断があったと、私が小さい頃はそうだったと思うんですけれども、そのうちにセミプロというのが出てきたわけです。共産国のスポーツ選手、セミプロ、そのセミプロがアマかプロか、そういう議論をしてもナンセンスで、最初は確かにオリンピックでもやっていましたよ。そのうちに、セミプロ自身がオリンピック憲章に合致するか否かで判断をしたと思うんです。  同じように、かぶさっている部分、集団的自衛権個別的自衛権がかぶさっている部分は、それを個別的自衛権集団的自衛権かを議論をしないで、そのまま憲法に当てはめて合憲か違憲かを判断するべきかと思います。  質問したかったんですが、時間が来ましたので、ちょっと意見表明ということで、終わらせていただきたいと思います。
  122. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  今回の台風に伴う甚大な豪雨災害で、鬼怒川の決壊を始め、全国の被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。  日本共産党も、救援、復興に全力を尽くしております。政府の万全の対策を求めたいと思うんです。  今日は、河野統合幕僚長の昨年十二月の訪米に係る米陸海空軍、海兵隊、国防総省トップとの会談記録について、総理及び中谷大臣にお聞きしたいと思います。  防衛省は、私が示した資料と同一のものはなかった、一字一句同じ内容のものはないなどと提出を拒んでおりますが、昨日十日の記者会見でも、何しろ当の統幕長御自身が同じ題名のものは存在いたしましたと認めておられます。  問題は、統幕長が米側とどんなやり取りをしたのか、その中身であります。一連の会談で河野統幕長は、オスプレイに関しての不安全性をあおるのは一部の活動家だけであると発言をしていますが、これ、とんでもない発言ですね。  三年前の二〇一二年、在日米軍オスプレイの強行配備、その後の全国展開強行の中で、どこに落ちるか分からない、どこに落ちてもおかしくない、米軍は約束を守らないと、大反対の国民の声は広がり続けています。沖縄では、総理が直接お受け取りになられた建白書で、四十一自治体の首長、議長が配備撤回を強く求めてこられました。何が一部の活動家かと。  そこで、中谷大臣にお伺いをしたいのですが、私はこの委員会室で大臣にこの資料を手渡しをさせていただきました。大臣の立場なら、本当にこんな発言をしたのか、その真意は何なのか、まず統幕長に確認するのが当たり前です。ところが、大臣は、九月四日のこの委員会での井上議員の質問に、統幕長と会って話をしたが、発言の内容については直接尋ねなかったと答弁をされたんですね。  これ、なぜ直接確認しないんですか。
  123. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 訪米の結果につきましては、昨年帰国した後、概要の報告を受けまして、九月二日にこの委員会のやり取りの後、話を聞きましたが、突然示された資料でございましたので、まずその存否の確認ということでやり取りをいたしました。その後、委員会がありましたが、それまで非常にいろんな行事や国会対応等もありまして、十分にその前の委員会までには事情を聞く時間がなかったんですが……(発言する者あり)九月七日に、委員から御提示のあった資料にあるようなやり取りの発言の実際の有無につきまして私から統合幕僚長に改めて聴取をしたところでございます。  その聴取の内容をお答えすることは、結果として公表を前提としていない会談の内容が明らかになることから、相手方との関係もあり、発言の有無についてお答えすることは差し控えさせていただきますけれども、このオスプレイの安全性につきまして地元の皆様方に御不安の声があるということは地元の自治体の要請から十分認識をいたしておりまして、その上で、この昨年十二月の統合幕僚長の訪米時における発言内容等につきましては、私は、統合幕僚長から直接聴取をいたしまして、オスプレイの安全性に対する地元の皆様方の御不安に係る認識についても不適切な点はなかったと判断をしております。
  124. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、肝腎の本人のその肝腎の内容というのを、それはおっしゃるように聞かれたんだったら、ここでどんどん答弁をしなさいよ。安倍政権がまともに調査するつもりがあるのかと問われていますよ、今。  総理にお尋ねしたいと思うんですが、この統幕長の訪米は、自衛隊オスプレイの導入、佐賀空港の配備が大問題になった佐賀県知事選のさなかでもあるんですよ。そして、一月、オスプレイ受入れは全くの白紙と強く訴えた新知事の勝利という民意が示されて、二月の五日のこの委員会室での私の質問に、総理は、現時点で地元の了解は得られていないと明言をされたのであります。  ところが、統幕長が一部の活動家などという認識を米側トップに話していたとなれば、これは重大でしょう。総理自ら確かめるべきではありませんか。
  125. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 政府としては、オスプレイの安全性に対し地元の皆様に御不安の声があることは地元自治体等からの要請等によって十分に認識をしております。  なお、仁比委員が示された資料と同一のものの存在は確認できなかったものと認識しております。  その上で、昨年十二月の統合幕僚長の訪米時における発言内容については、防衛大臣が既に統合幕僚長から直接聴取し、オスプレイの安全性に対する地元の皆様の御不安に係る認識についても不適切な点はなかったと判断しているものと承知をしております。
  126. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、文書の同一性がと総理までおっしゃるけれども、あるものはあるんですよ。  来年度概算要求に佐賀配備の予算は計上されていません。  総理に改めてお伺いをしますが、今も総理自身の地元の了解は得られていないというこの認識は変わりませんね、総理
  127. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) オスプレイについては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、島嶼防衛能力の強化を図るため自衛隊への導入を図るものであります。昨年七月以降、地元自治体や漁協などに対して、自衛隊が導入するオスプレイの佐賀空港への配備等についてお願いをしているところではありますが、現時点で地元の御了解は得られていないものと認識をしております。  政府としては、本件の安全保障上の重要性を踏まえ、佐賀県知事を始め地元の皆様の御理解と御協力を得られるよう、引き続き丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。
  128. 仁比聡平

    仁比聡平君 今も総理は了解は得られていないという認識を示された。その認識に反して、その県民ぐるみの反対の声に背を向けて、一部の活動家などと呼ばわる統幕長の発言は言語道断です。  オスプレイをめぐっては、配備、運用とともに、整備拠点が問題となってきました。そこに関わって、訪米会談で統幕長が繰り返しているリージョナルデポ、地域整備拠点とでも言うんでしょうけれども、について続けて聞きたいと思います。  統幕長は、ワーク国防副長官に、十二月十八日、こう言っています。F35のリージョナルデポが日本に決まり感謝する、オスプレイのリージョナルデポについても日本に置いていただけると更なる運用性の向上となると日本側から要請しているわけですね。この点が九月三日の記者会見で記者から問われまして、パネルにいたしました。(資料提示)  記者から、オスプレイのリージョナルデポの件なのですが、あれは佐賀空港での受入れが前提と考えてよろしいですかと聞かれて、統幕長は、F35のリージョナルデポにつきましては、日本でということ、オスプレイにつきましては、まだ決定いたしておりません、この件については検討対象にはなると思っておりますと答えているんですね。  まず、大臣、このF35のリージョナルデポの意味を聞きたいと思います。いつ何が決まったということなのか、米国の構想を端的に御説明ください。
  129. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 仁比議員が示した資料と同一のものは確認できませんでしたが、その上で一般論として申し上げますと、米国政府は、今後F35の全世界的な運用が予想される中で、ユーザー国のF35の整備を効果的に実施するために、米国、欧州、アジア太平洋において、地域ごとに機体とエンジンを中心とした整備拠点、リージョナルデポを設けることを計画をいたしております。このリージョナルデポでは、当該地域のF35の重整備、これは機体とかエンジンのことでありますが、それを実施することが予定をされていると。  米政府は、昨年十二月、アジア太平洋地域におけるF35の整備拠点を日本及びオーストラリアに設置することを決定した旨公表いたしました。日本における機体のリージョナルデポについては三菱重工業株式会社愛知県小牧南工場、エンジンのリージョナルデポにつきましては株式会社IHI東京都瑞穂工場を予定をいたしておりまして、防衛省としては、空自F35Aを含むアジア太平洋地域におけるF35の維持整備を行うリージョナルデポを、まずは機体について平成三十年に設置するため、米国政府及び日米関連企業と調整を行うとともに、所要の経費の概算要求、これを行っております。
  130. 仁比聡平

    仁比聡平君 その米国政府の決定というのは、これは十二月の十七日で、私が申し上げている会談の何と前日のことなんですね。アジア太平洋地域における集中的な整備拠点をつくるというわけです。  小牧というお話がありましたが、小牧基地は、従来、自衛隊の輸送部隊、教育訓練部隊に空中給油機部隊が加わり、強化が進められてきました。さらに、アジア太平洋地域の整備拠点となれば、自衛隊米軍のみならず、韓国軍だとかオーストラリア軍だとか、F35を配備ないし配備予定をしている、こういう外国軍機も飛来し、整備拠点とする構想だということになるわけですよ。そんなことは県民に全く知らされていないし、自治体関係者、地元に聞いても、知らなかったと驚愕されていますよ。  この小牧基地は元々県営空港です。それが、韓国軍やオーストラリア軍などアジア太平洋地域外国軍の整備拠点に一変すると。これ、何を根拠にそんなことができるというのか。外国軍機の飛来と整備、これ、いかなる条約上の根拠に基づくことになるんですか、大臣。
  131. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 我が国として、F35のリージョナルデポにつきまして、日本に設置されることによりまして我が国のF35の運用支援体制確保、国内の防衛産業基盤の維持、日米同盟の強化、アジア太平洋地域における協力の強化の観点から意義があるものと考え、積極的に推進をしているところでございます。  防衛省が自衛隊機を含むF35の整備を実施するリージョナルデポの設置を推進する法的根拠は、防衛省設置法第四条第十三号、整備品等の調達、補給及び管理並びに役務の調達に関することや、同法の第四条第一号の防衛及び警備に関することによるものと考えております。  他方、日本のリージョナルデポにおける整備の対象におきましては、現時点において決まっているのは航空自衛隊のF35Aのみでありまして、在外米軍等のアジア太平洋地域の他のF35の整備につきましては、その整備予定も踏まえつつ、今後整備をしていくことになります。  したがって、他国軍隊の機体を整備する際の個別の法的な論点につきましては、今後、他国軍用機の整備の実施について検討していく際に個別具体的に検討していくわけでございますが、この他国の軍隊の整備につきましては、国内法におきまして、航空機製造事業法との関係では、現在でも同法の許可を得た日本企業が在日米軍の戦闘機等の維持整備を行っていること、航空法による外国機の領空内の航行の許可等につきましては、これまでも飛来した実績がある、またもう一点、外国為替法との関係では、外国軍用機に対する整備の実施に係る許可を得る必要がありますが、平成二十五年三月の内閣官房長官談話によりまして、F35の整備につきましては武器輸出三原則等によらないこととされたことなどが挙げられますけれども、こういったことも踏まえつつ、引き続き検討していきたいと思っております。
  132. 仁比聡平

    仁比聡平君 とんでもない話です。アメリカの構想は、外国軍機の飛来、整備なんですよ。基地の性格を一変させる、それをそんな勝手な言い分でやるということは認められませんよ、許されません。  外国軍機の小牧基地使用の根拠について、今存在しないんだということを大臣お認めになったわけですよね。米国のリージョナルデポ構想と、このリージョナルというのがアジア太平洋地域における集中的な整備拠点という意味なんだということはこの議論ではっきりしたと思うんです。  河野統幕長は、そのリージョナルデポをオスプレイについても日本に置いていただきたいと米側に要請している。オスプレイの運用も整備も日米一体化を進めようということですが、このもう一度パネルを見ていただきますと、そうした構想はまだ決定しておりませんが、検討対象にはなると言っているわけですね。これは何を、どんな見通しで検討しているというんですか。
  133. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 防衛省が設置を目指しているのはオスプレイの日米共通整備基盤でありまして、これは、日本に所在する在日米海兵隊オスプレイと陸上自衛隊のオスプレイを木更津で共通に整備をすることを予定をしておりまして、日本以外のアジア太平洋地域のオスプレイを整備することを予定しておらず、オスプレイのリージョナルデポといった計画、これはございません。  したがいまして、記者会見におけるあの統幕長の発言が、オスプレイの日米共通整備基盤をリージョナルデポであるかのように聞こえかねない発言をしたということは誤解を招きかねないものであったと考えまして、この点につきましてはしかるべき措置をとるように指示をいたしますが、現在、オスプレイにつきましては日米共通整備基盤ということで計画を考えているということで、もう既に木更津において整備をするということを予定をいたしております。
  134. 仁比聡平

    仁比聡平君 今大臣がおっしゃっている木更津の日米共通の整備基盤ということとリージョナルデポというのは、これ全く概念が違うわけですよ。統幕長が、この記者会見だけじゃないですよ、準備して訪米して、繰り返し米軍トップとこのリージョナルデポをと話している。それを定期整備と混同していたなんていうのはあり得ない。何を隠そうとしているのかと。日米間、ミリタリー・ミリタリーでこうした話をしておきながら何を隠しているのか。  総理、私は、このまま放置することなんてできないと思いますよ、総理の認識とも違う発言をやっている統幕長なんですから。総理の決断で、総理の指示でこの委員会に呼んでください。我々は、この国会招致、統幕長の国会招致を断固として要求するとともに、戦争法案、憲法違反の戦争法案は断固廃案と、このことを強く申し上げて、時間が参りました、この時間を潰す大臣の答弁も絶対許せない、申し上げて、質問を終わります。
  135. 山田太郎

    ○山田太郎君 日本を元気にする会、山田太郎でございます。  今回の災害被害に遭われた皆様には心からお悔やみ申し上げたいと、こういうふうに思っております。  さて、今回、存立危機事態、まさに我が国が武力攻撃を直接やられているわけでもないけれども対処するというところでありまして、まさに隣の米艦並びに艦船がやられているときに助けなくていいのかと、こういうある意味で総理の分かりやすい御設問の下に国民説明された内容についてちょっと確認をしていきたいと思っておりまして、今日はその辺り、質疑したいと思っております。  実は、一昨日、中谷大臣の方にこのプロセスはそのとおりだというふうにお答えいただいているので、総理にもそうなのかということをお聞きしたいんですが、ちょっとパネルの方を見ていただきたいんですけれども、(資料提示存立危機事態、つまり、自国がやられているわけではなくて、他国の艦船がやられていて、それが新三要件に当たるという場合にはこういうプロセスを取るんだということを確認しています。  例えば、その艦長から本国への連絡があり、本国、これは例えば米艦船であれば米国議論があって要請を決定すると。日本に対して助けてほしいと在日の多分大使館等を経由して日本へ正式の要請が、これ大統領名になるのか、何らかの形でもってされると。  そして、これが外務大臣等に連絡が行きまして、内閣官房等各署に連絡がされ、そしてここからがかなり議論も時間掛かると思うんですが、要請等が本当に事実なのかということの確認、この国会でも随分、その要請書ということは最終的に明らかにされるのか、こんなことが質疑になっていましたけれども、それから情報収集をやって、分析をして、対処基本方針というのを作らなきゃいけない。  これは非常に重要な文書でありまして、事後承認であれ、あるいは事前承認であれ、この対処基本方針書が国会で審議される。この対処基本方針書は、実は事態対処法によって、九条の二項から、随分たくさんの項目を作らなければいけないということになっています。事態が認定された事実、その前提となったことをきちっと書き込んで、今後の方針を全て書いて、それから各命令承認、本当にほかに手段がないのかというのをどう分析したのか、こういったかなりボリュームがあると思われるものを作り、そして、将来これが法律違反、最高裁で否定されても大変なことになりますから、いわゆる法制局の多分確認をしっかりやらなければいけない。  そこから、その書類が初めて整って、国家安全保障会議、NSC九大臣会議が行われ、そこでこの文書によって検討され、閣議でもって審議されて、対処基本方針が、これがきちっと国民にどんな場合でも公開される。そして、間に合えばということなんだと思いますが、国会の事前承認、又は間に合わないと判断すれば国会の事後承認と、こういうことだと思っております。  そこで、不思議に思うんですけれども、総理がよく言われる、隣の艦船がやられていて新三要件に当たる場合に緊急なものを対処しなくていいのかというふうに言うんですが、そもそもこのプロセスを経ると、一日、少なくとも数時間以上は掛かるんではないか。実は、今回の甚大災害においても、防衛出動するまでには実際には数時間掛かっているんですよね。そういった意味で、緊急対処ということが本当にこの法律でできるのかどうか、大変不思議でなりません。  是非その辺り、これはプロセスの正確性については前回中谷大臣には聞いております。総理、これはいつも総理国民皆さん説明している内容ですから、本当にこれで緊急に隣の艦船あるいは日本人を輸送している当米艦船に対処できるのかどうか、その辺り、お答えいただけないでしょうか。
  136. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) これは、どの時点で存立危機事態と認定し、その存立危機武力攻撃をこれ排除していくかということになるわけであります。  つまり、日本ミサイルから防衛をしているイージス艦に対して、ミサイルがこれに対して、このイージス艦に対して攻撃が起こった段階では、このプロセスを確かにやっているのでは、これは時間的には当然間に合わないわけであります。  そういう明確な、今言った状況が起こる明白な、その後日本攻撃をするということを既に言っている等々から言わば三要件に当てはまるという中において、存立危機事態という認定がもう既になされている中においてこの米艦を防護することができると、こういうことになるわけでございます。
  137. 山田太郎

    ○山田太郎君 そうすると、他国からの要請という大前提がどのタイミングなのか、今の総理の答弁からはさっぱり分からなくなってしまいます。  もう一つは、実はこれ、大きな法律上穴があるんじゃないかと思うのは、武力攻撃事態の認定に関しても実はこのプロセスを取らなければならないというふうに法律は読めるんですね。そういった意味で、ちょっとこの法案、特にこの辺り非常に重要な問題だというふうに思っておりまして、いずれにしても、この法案がこのまま通ったとしても緊急事態には対処できない。であれば、きちっと国会のいわゆる事前承認を取るべきなんではないか、こんなふうに思うわけであります。  もう一つ、国会の事前承認ということにおいては、まさに直接攻撃日本がされていない、だけれども、他国のもしかしたら戦争に巻き込まれてしまうんではないかと。もちろん、日本がやられているときにはそんな悠長なことは言っていられませんので、対処するというのは分かりますが、世界中で軍事介入をしているアメリカを何らかの形で助ける、それが新三要件だということを政府自身が判断してしまったとすると、そのままもって戦争に日本は巻き込まれるんではないか、これがやっぱり一番国民の不安な部分だと思うんですよね。  さきの太平洋戦争なんかでも、私自身は、もしかしたら、ある意味あれが存立危機事態だといって、つまり、物資が日本に届かない、ハル・ノートを突き付けられた、直接日本があのときやられているわけではなかったんだけれども真珠湾攻撃に至ったんではないか。これも、やはり政府の判断でもっていわゆる戦争が始まった。でも、事後承認だというふうに言ったとしても、既に紛争や戦争が始まってしまってから国会でもっていいだの悪いだのということを議論していても後の祭りなんであります。  そういった意味で、政府は、あるいは我々国会は、連帯して国として国民の命を守っているわけであります。そういった意味で、自国がやられていない場合については必ず国会の事前承認、国民がやはりこれは存立危機だと認める場合、そしてそのもの、この法律は、緊急の場合には現在の場合には対応できないというふうにも読み取れますから、例外なき国会の事前承認、この辺り、是非総理にも御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  138. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 先ほど私が言った例は、当然、もう米国に対する武力攻撃は既に発生していて、当然その中で要請があるということを含めて申し上げているわけでございます。  そこで、例外なきということでございますが、今回、この流れの中で対処基本方針の策定が必要になるわけでございまして、この対処基本方針において、言わばいとまがないということについても、なぜいとまがないんだということも御説明をすることになっているわけでございます。それも含めてこの対処基本方針を国会で御承認いただくことになるわけであります。事態認定の前提となった事実や、事態に対処するための武力の行使が必要であると認められる理由などの中で、政府としていとまがないと判断するに至った緊急性を客観的、合理的に説明することになるわけであります。  いずれにせよ、事前の国会承認が原則である防衛出動については、政府としては可能な限り国会の事前承認を追求していく考えでありまして、政府が恣意的に国会の事前承認は不要であるという判断をすることはございません。
  139. 山田太郎

    ○山田太郎君 いとまの話は今日取り上げなかったんですが、丁寧にお答えをいただきましたけれども。  廃案なのか、対案でもって法文でこれを押さえていくのか、我々はプロセスの中で修正ということで国会の中で仕組みを押さえていく、又は原案のそのままの通過、国民にとっては四つの判断がこの国会では問われているんだというふうに思って、我々は、頑張ってこれを修正に持っていって、いわゆるきちっと国会が関与していく仕組み、国民が関与していく仕組みをつくっていくということを求めていきたいと思います。  ありがとうございました。
  140. 和田政宗

    ○和田政宗君 次世代の党の和田政宗です。  まず、今回の大雨災害により、私の地元、宮城県でも大きな被害が出ており、東日本の各地の被害は甚大です。お亡くなりになられた方に心からお悔やみを申し上げます。そして、今も各地で救出を待っている方がいらっしゃいます。政府におかれましては、こうした方々の速やかな救出を引き続き行っていただきますようお願いいたしますとともに、被害を受けられた方の生活再建が速やかになされるようしっかり手を打つことを切に望みます。  まずお聞きをしたいのは、先週、北京で行われた中国の軍事パレードについて聞きます。  初公開の兵器もあり、日本を射程に入れるミサイルなど大量の兵器がパレードするというとんでもないものであったわけでありますけれども、政府は、このパレードで公開された兵器が我が国にもたらす脅威についてどのように分析しているのでしょうか。
  141. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 先日の中国の記念式典、兵士約一万二千人を動員した軍事パレードにおいて、約四十種、およそ五百件の陸上装備と、約二十種類及び二百機の航空機を披露いたしました。中国側は、それらが全て国産製、国産装備で、八割以上が初公開であると説明をいたしております。  中国、非常に二十五年にわたりまして高い水準で国防費を増加をさせ、軍事力を急速に強化をしておりますので、今般の軍事パレードというのは、軍事力の近代化、この成果を内外に示したものだと認識をいたしておりますが、中国の最近の動き、これはA2AD能力の強化、また歩兵部隊の機動力の向上のほか、空挺、水陸両用特殊部隊等の強化を図っております。また、海空戦力によりまして、より遠方での作戦能力向上の構築、弾道ミサイル等につきましても残存性や即応性の向上などを図っているわけでございますが、こういった中国の動向等につきましては、この中国の軍事安全保障に対する不透明性と相まって、我が国を含む地域国際社会安全保障懸念となっておりますので、今回の軍事パレードで登場した装備につきましてはもう既に中国が保有又は開発中と以前から知られたものでありまして、防衛省としては、パレードを通じ、これまでの中国の軍事力に関する評価を改めて確認をしたという認識でございます。
  142. 和田政宗

    ○和田政宗君 近くに脅威がなければ、これはゆっくり国防について考えて、そういった時間もあるのかなというふうに思うんですが、こうした脅威があるからこそしっかりと国の守りを固めなくてはならないわけです。  こうした中国の行動を考えた場合に、その歴史や戦いの考え方を見てみるとよく分かると思うのですが、例えば孫子の兵法、これは戦いの理論としては優れていますけれども、基本原理は兵は詭道なりであり、戦いの基本を詭、偽りだますこととしており、歴史としても、戦いや征服の繰り返しであるわけです。一方、日本の優れた兵法書として闘戦経がありますが、基本原理は誠、誠実の誠でありまして、日本は、歴史としても戦乱は少なく、和を重んじてきた歴史があります。  今回の法案は、戦争法案などというレッテル貼りも行われておりますけれども、私は、我が国をしっかり守っていくための第一歩であると考えております。  国を守ることにおける総理基本理念を改めてお聞きしたいと思います。
  143. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) まずもって、外交を通じて平和を守ることが基本である、重要であることは言うまでもありません。  私は、就任以来、五十四か国を訪問し、そして三百回近い首脳会談を行ってまいりました。そして、法の支配を重視する立場から、主張するときは国際法にのっとって主張すべきであり、力の威嚇や力による現状変更は行ってはならない、問題を解決する際は平和的に国際法にのっとって解決するとの三原則を繰り返し主張してまいりました。そして、圧倒的多数の国々から賛同を得てきたところでございます。今後も、地球儀を俯瞰する観点から、積極的な平和外交を展開をしていく考えでございます。  その上で、万が一の場合に備えていくのも必要でありまして、この法案はまさに紛争を未然に防ぐためのものでありまして、もし日本が危険にさらされた際には日米同盟が完全に機能するようになっていく、それを世界に発信することによって紛争を未然に防いでいくことにつながっていくわけであります。  まさに、我々は誠、誠意を持って外交を展開をし、そして透明性を持って我々は、私たちの防衛力国際社会に示していきたいと、このように考えているところでございます。
  144. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは政治家であれば、すなわち国民であればということでもあると思うんですけれども、戦争は絶対に巻き込まれたくもないし、起こしたくもないというふうに思っているわけでございます。我が国の守りをいかに固めていくか、これをやはりしっかりと高めていくことが国民を守ることにつながっていくんだろうというふうに思っております。  次に、我が党が新党改革、日本を元気にする会と共同で提出している修正案に関連して聞きます。  私は今、この安保法案に対して、声の大きい人たちの論が一方に偏ることについては大変危惧をしております。例えば、満州事変の際、若槻内閣は不拡大方針を取りましたが、これに対し新聞や世論はこぞって若槻内閣は弱腰だと批判をしまして、結果として不拡大方針を覆させました。いっときの熱気に流されることなく、冷静に客観的に日本が置かれた状況を直視することは我が国を守るために重要です。また、満州事変においては、軍部の行動の評価は別としまして、結局、内閣や国会の統制が軍部に利かなかったという事実があります。  今、国民皆さんが今国会での安保法制成立に対して慎重な考えを持っているのも、安保法制に規定されている様々な事態において政府が勝手に物事を進めてしまうのではないかという不安があるわけです。  私は、多くの国民が賛同してこの安保法制を成立させるためには、例外なき国会の事前承認といった国会の関与を強化する必要があると考えます。そして、やはりどうしても対処できない緊急の事態があるのであれば、除外規定を設けることを次の国会以降で議論していくということが今国会での安保法制成立のために重要であると考えます。総理の見解をお聞きします。
  145. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今回の平和安全法制の策定に当たっては、自衛隊の活動について民主的統制を確保するため、国会の関与は極めて重要であると考えております。  国会の関与が必要な活動については原則として事前承認としております。あくまでも例外として事後承認を求めているものもありますが、原則はあくまでも事前承認であり、政府として、可能な限り国会の事前承認を追求していく考えであります。  いずれにせよ、御党と日本を元気にする会、新党改革が共同の修正案を提出されたことについては敬意を表したいと思います。現在、与党との間で協議が行われているところと承知をしておりますが、政府としてはその協議の結果をお待ちをしたいと、このように考えております。
  146. 和田政宗

    ○和田政宗君 時間ですので終わります。
  147. 中西健治

    ○中西健治君 無所属の中西健治です。  まず、大雨の被害を受けられた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。  質問に入らせていただきます。  総理は、昨年七月一日の閣議決定後の記者会見において、日本人親子が乗船した米輸送船のパネルを示しながらこうおっしゃいました。「日本人の命を守るため、自衛隊米国の船を守る。それをできるようにするのが今回の閣議決定です。」、こうおっしゃられました。そのため、多くの国民が、この日本人親子の存在は存立危機事態の認定に不可欠な要素であると信じたんだと思います。ところが、中谷大臣は同じ事例で、存立危機事態の認定に当たって不可欠ではない、こういうふうに答弁をされました。  日本人親子の存在意義が分からなくなってしまったということではないかと思います。あのパネルは何だったのか、こういう疑問が湧いてまいります。  改めて総理にお伺いしたいと思います。パネルを示して御説明をされた総理の脳裏の中でも、認識の中でも、存立危機事態の認定に当たってあの日本人親子の存在は不可欠ではなかった、こういうことだったんでしょうか。
  148. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 大変いい質問をしていただいたと思います。  まず、なぜああいう説明をしたかということでありますが、あのパネル説明をしたように、まさに紛争から逃れようとしている日本人、日本人親子でもいいんですが、それを運んでいる米国の艦船が攻撃をされても近傍にいる自衛艦は助けることができない、これは中西先生、事実であります。それがそのままでいいのかというのが私が投げかけた疑問であります。そして、まさにそうした我々は国民を守るためにどうすればいいかという問題点、課題に取り組んでいく責任があります。それを放棄をしていていいのかというのが私の疑問であるわけであります。  同時に、実際にではどういうオペレーションになっていくかということでありますが、まず認定に当たっては、これは三要件ということになっていくわけでありますが、三要件に当てはまればそういう認定になっていくわけであります。そういう認定を行っていく中において、認定を行っていく中において、そして、当然、その中では紛争が起こって、言わば日本人も含めて避難民を日本に運んでくる米国の艦船が攻撃をされるということは、当然これは認定する要件になってくるわけでございます。  しかし……(発言する者あり)済みません、皆さん、静かに聞いてください。せっかく中西さんが私に質問をして、中西さんは何も言っておられないんですから、民主党の方々が一々やじをするのはやめていただきたいと思います。  そこで申し上げるのは、これはもう既に何回か私は説明をしていることでありますが、そのエバキュエーションを行う中においては、朝鮮半島でもし起こったとすると、そこから難民が日本にやってくる、一回やってくるわけでありまして、その中にはいろんな国の人たちがいるわけでありまして、米国人もいればほかの国もいれば日本人もいるわけであります。そこで、例えば米国と共同のオペレーションをするときに、日本人が乗っていればその船は守るけれどもゼロだったら守れませんということになれば、これはそもそもエバキュエーションのプランは成り立たないわけであります。  こうした答弁を私はもう既に衆議院の段階で何回も答弁として行っているわけでございまして、ですから、当然乗っていない船を守ることもあり得るということは、これはもうかなり早い段階で私は答弁をしているということは申し上げておきたいと思います。
  149. 中西健治

    ○中西健治君 ですので、今、端的にお答えいただければと思いましたけれども、存立危機事態の認定に当たっては日本人の乗船は不可欠ではないということをお認めいただいたということだと思うんですが。  そうしますと、ちょっと不可思議な答弁がほかにもあるというふうに思うんですが、それはどれかというと、七月に、これは民主党の岡田代表とのやり取りだと思います。存立危機事態の認定要件について議論をされていて、総理は、多くの日本人が乗っている可能性がある船を攻撃することから日本に対する攻撃意図がうかがわれ、存立危機事態に当たると、こういうふうに答弁をされています。  日本人が乗っていることが存立危機事態に当たる、こういう答弁をされていますが、この説明は成り立たなくなるんじゃないですか。
  150. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) それを先ほどの答弁の中でも申し上げましたように、まさに日本に逃れようとしてきている日本人が乗っている船が、これが、まさにこれは米国が運んでいる船が攻撃をされる可能性がある場合は、それは存立危機の認定のこれは要素になるということは私、今申し上げたとおりでございます。これはまさに三要件、三要件……(発言する者あり)済みません、もうやじるのはやめていただけますか。大切な議論なんですから。
  151. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。
  152. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 皆さん、静かな環境の中で議論しましょうよ。よろしいですか。  それで、その中で大切なことは、まさに三要件がこれは認定要件であります。そして、例えばその中において、今例として申し上げたように、近隣で紛争が発生をして、そしてまさにそこから、そこから逃れてくる日本人を運ぼうとしている船が攻撃をされる可能性があるということ、あるいはまた、そこで紛争当事国である国が米国攻撃していて、かつまた日本に対する攻撃の意図も示しているということになってくれば、これは当然三要件に当てはまってくるということは申し上げているわけであります。その中で、その中で実際のエバキュエーションにおいて日本人が乗っていない船をこれは守り得ることは、当然守り得るということでございます。
  153. 中西健治

    ○中西健治君 邦人の乗船が判断要素の一つである、こんなようなお答えだと思いますけれども、そうしますと、日本人が乗船していれば存立危機事態の認定の確度が高まる、乗っていなければ確度が低い、そういうことでよろしいんですか。
  154. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 今私が申し上げましたのは要素の一つなんですが、あくまでも三要件でありまして、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険であります。つまり、明白な危険があると我々は判断する中において、これは当然、今委員が挙げられた点は要素になってくる。当然、近隣国でそうした紛争が……(発言する者あり)済みません、静かにしてください。(発言する者あり)
  155. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御静粛に願います。
  156. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) よろしいでしょうか。今、私は中西先生にお答えをしているわけでありますから、私の言葉が通じないというふうに考えるわけでございますので、少し静かにしていただきたいということを今委員長に申し上げているわけであります。  そこで、まさにその国から、当該国から日本に逃れてくる人たちを米国米国の艦船でこれは当然運ぶということが想定されるわけでございますし、これは日米でそうしたことは既に様々な議論をしているわけでございます。その中で、その船がこれは攻撃をされるということは、当然日本人がこれは攻撃をされることにつながっていくわけでありますから、三要件に当てはまるという可能性があると、こういうことでございます。
  157. 中西健治

    ○中西健治君 ほかにエバキュエーション計画のことについてもお聞きしたかったんですが、ちょっと時間がなくなってしまいましたので、まだまだ質問点はあるということを申し上げて、今日の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  158. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党の吉田忠智でございます。  関東、東北地方の今回の豪雨災害におきまして、亡くなられた方々に御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。  社民党も対策本部を立ち上げました。できるだけ邪魔にならないように現地調査にはお伺いをして、また必要な対策政府には求めていきたいと思います。特に、政府には人命優先で万全な対応を求めたいと思っています。  今日は、限られた時間でありますから、できるだけシンプルな質問をさせていただきます。  昨年の七月一日の閣議決定、私は明らかに憲法違反だと思っています。一九七二年の政府見解、この基本的な論理を使って、その中に限定的な集団的自衛権の法理も含まれていた、そのような答弁も法制局長官からこの間ございました。そして、結論は、集団的自衛権行使は、できないから、できる、そして理由は、安全保障環境が変わったから。それでは説明が不十分、説得力がないということで、一九五九年の砂川判決を持ち出した、そのように私は理解をしています。そして、去年の七月一日の閣議決定は撤回をすべきだ、個別自衛権の範囲内で日本ができることをすべきだということを一貫して主張してまいりました。  そして、六月四日、この戦争法案の審議が始まりまして、衆議院の憲法審査会におきまして、自民党推薦の長谷部先生を始めとして三人の憲法学者の皆さん憲法違反だ、そのような発言を明言をされました。私の認識では、明確に公式の場で合憲だと言っている憲法学者は三人しかいないと理解をしています。ほとんどの憲法学者が違憲だ、そのように発言をされています。  そして、内閣法制局長官OBも、この衆議院の特別委員会参考人質疑の場に出てきて、議事録が残る場で法の番人として憲法違反だ、そのようにはっきり言われました。  そして、自民党のナンバーツー、ナンバースリーであります高村副総裁、谷垣幹事長が所属をする、また公明党のナンバーワン、ナンバーツーであります山口代表、北側副代表が所属する日弁連も全会一致で憲法違反だという決議をしています。  そして、高村副総裁は、憲法の番人は最高裁だ、憲法学者ではない、そのように言われました。(資料提示)  そして、パネルに書いておりますけれども、山本庸幸最高裁判事、二〇一三年八月二十日の就任時の公式会見で、武力行使は我が国攻撃された場合に限り例外的に許されると過去半世紀解釈されてきた、集団的自衛権の行使を憲法の解釈で認めることは難しいと思う、そのように述べられています。そして、元最高裁長官の山口繁さんは、少なくとも集団的自衛権の行使を認める立法は憲法違反と言わざるを得ない、言わねばならないと言われているわけであります。  総理、今まで安全保障関連法案、随分国会で議論してきましたけれども、法律の専門家がこれほどまでに憲法違反と主張してきたことは私は前例がない、そのように思っています。総理の認識をまずお伺いします。
  159. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我が国を取り巻く国際情勢が大きく変化する中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、砂川判決の言う必要な自衛の措置とは何かをとことん考え抜き、万一のために隙のない備えをつくっておく必要があります。これが政治家や政府に課せられた最も重要な責務であると私は考えております。  今回の平和安全法制は、とことん考え抜いた結果であり、昭和四十七年の政府見解で示した憲法解釈の基本的論理は全く変わっていません。これは砂川事件に関する最高裁判決の考え方とも軌を一にするものであります。平和安全法制は、この最高裁判決の範囲内のものであり、違憲との批判は当たらないと考えております。  今後とも、政府としては、様々な御意見に真摯に耳を傾けながら、一人でも多くの方に御理解をいただけるよう努力を重ねていきたいと考えております。
  160. 吉田忠智

    吉田忠智君 最高裁の現職の判事が、そして最高裁長官OBが発言をしていることについて、どのように総理としては受け止めておられますか。
  161. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 元最高裁長官の御意見についてでございますが、今やこれはもう退官をされまして一私人になられている方でございまして、その私人の方について一々コメントをするのは差し控えさせていただきたいと思います。
  162. 吉田忠智

    吉田忠智君 二〇一三年に、山本、今の最高裁判事も主張されていますけれども、そのことについてはどのように思われますか。現役ですよ。
  163. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 現役の方がおっしゃっているのは、完全な集団的自衛権の行使を認めるなら憲法違反、改正する必要があると、こうおっしゃっているわけでありまして、我々は、これは三要件付きでありまして、限定的な行使の容認でございます。まさに、完全なということは、当然それを意識しておっしゃっておられるんだろうなと、このように思います。
  164. 吉田忠智

    吉田忠智君 完全とも限定とも言っておりません。集団的自衛権行使について言及されておられます。いかがですか。
  165. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) その上で、今、吉田委員からお渡しいただいたところに書いてあることを今、私、読んだわけでありまして、これをちょっと読んでいただきたいと思いますが、完全な集団的自衛権の行使を認めるなら憲法を改正するしかないだろうと、このように述べておられると承知をしておりまして、繰り返しになりますが、私たちが行った言わば解釈の変更は限定的なものであり、三要件を付けているわけでありまして、他国のために行う集団的自衛権ではなくて、まさに我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、そして幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるときに、そして他に手段がない、さらにはその行使は必要最小限度にとどまるべき、この三要件が付いているわけでございます。
  166. 吉田忠智

    吉田忠智君 全く、テレビを御覧になっている国民皆さんは、憲法違反だという疑念、晴れていないと思いますよ、総理の今の説明で。  今、多くの国民の反対の声が広がっています。学生、学者、そして女性、自発的に集会やデモに参加をしています。そして、この間、衆議院でも百十回以上審議が止まりました。参議院でも、丁寧に数えた方がおられて百六回、今日また増えました、審議が止まっています。議論がありましたように、全く法の立て付けそのものがでたらめなんですよ、問題だらけ。  総理、やっぱり断念すべきですよ。ここは踏みとどまって、撤回して考えるべきじゃありませんか、最後。
  167. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) その考えはございません。
  168. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 時間です。
  169. 吉田忠智

    吉田忠智君 はい。  戦争法案廃案を求めて、質問を終わります。
  170. 主濱了

    ○主濱了君 生活の主濱了であります。  まずもって、この度の豪雨災害で被災された皆様に私からもお悔やみとお見舞いを申し上げます。  早速質問に入ります。  武力行使新三要件の中の主観的判断部分、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合とは、日本が武力攻撃を受けた場合という客観条件で全て言い尽くされる、主観条件は、もう今までの客観条件で全て言い尽くされると、私はこのように考えております。すなわち、日本憲法下で許される自衛権発動の三要件の第一、まさに我が国に対する急迫不正の侵害がある、こういう客観事実で十分であると、こういうふうに思っております。  安倍政権に他国防衛、こういう目的が全くないのであれば、閣議決定で憲法の解釈変更、これをする必要は全くないというふうに考えております。まず、これについていかがかということ。それからもう一つ、逆に、もし他国を防衛するのであれば、これは憲法を改正して行うべきであると、こういうふうに思っております。  自衛権については、昭和六十年九月二十七日の政府答弁書では、憲法第九条下で認められる自衛権の発動としての武力の行使は、我が国に急迫不正の侵害があることなど三つの要件に該当する場合に限られると、こういうふうに言っているわけでありますよ。いかに取り繕おうとも、武力新三要件はこの枠を超えている、すなわち違憲であると私は思わざるを得ません。  それから、憲法上許される自衛権の三要件を、ひとときの内閣の、しかも閣議による憲法解釈の変更という手段で実質的に憲法を改正することは、憲法は権力者の暴走を止めるためにある、こういう立憲主義に反するわけであります。また、憲法九十九条、憲法擁護義務、総理大臣を始めとする国務大臣には憲法擁護義務があります。それから、私どもにも憲法擁護義務があるわけであります。これにも反しますし、かつ、憲法改正手続にも反すると、こういうふうなことであります。  いずれにせよ、他国が武力攻撃を受けた場合に、どうしてもその他国を守りたいのであれば、堂々と国民の理解を得た上で憲法を改正するべきであるというふうに考えますが、以上二点についていかがでしょうか。
  171. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 我が国憲法には第九条があって、一項、二項があります。自衛権の行使については、全くこれは触れられていないわけでございます。  そこで、昭和三十四年の砂川判決によって、平和的生存権を引いた上で、そして憲法十三条にもありますように、生存権そして幸福追求権、まさに命を守り、そして自由や幸福追求の権利を、これを守ることができると、この理解から、この判決においては、まさにそうした憲法の平和的生存権を引きながら、必要な自衛の措置をとり得ることは国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないと、こう判例で、判決を示しているわけでございます。  この必要な自衛の措置とは何かということにおいての解釈で、昭和四十七年の解釈で、この砂川判決と軌を一にする中において、必要最小限度の自衛のための措置をとり得ることができると、こう解釈をしたわけでございますが、この中には、しかし、当時の状況の中から、集団的自衛権の行使は必要最小限度の中にとどまらないと、こう考えたわけでございます。  しかし、もちろんそれは、全てこれは、フルサイズの集団的自衛権ということをこれは当時から念頭に置いているわけでございますが、しかし、安全保障環境が大きく変わる中において、もはや一国のみで自国を守ることができないという中において、日本日米同盟によって共同対処して日本を守るわけであります。そして、その中において、まさに我が国の存立を守るための、国民の命を守るための集団的自衛権の行使はあり得ると、こう考え、三要件として、我々は三要件を付して……(発言する者あり)三要件を付して、まさに我々は、この四十七年の見解の解釈の範囲内において我々は当てはめを変えて、国民の命、それは必要な自衛のための措置だと、こう考えるに至ったわけでございます。
  172. 主濱了

    ○主濱了君 いずれ、他国を守るのであれば、憲法を改正して対応するべきであると。どう思いますか。
  173. 安倍晋三

    内閣総理大臣安倍晋三君) 他国防衛そのものを、そのために今るる説明をしたわけでございますが、他国を守るためのものでは、それは確かに今おっしゃるように、他国を守ることを目的とするものであれば、それはまさに、これはフルに認めていくという集団的自衛権の行使であれば、これは憲法改正をする必要があるわけでございますが、まさに私たちが解釈の変更を行って行使できると考えたものは、これはまさに我が国の存立を全うするため、そして国民を守るためにのみ行使し得る集団的自衛権の行使というものがあり得るということで、その解釈の変更を行ったところでございます。
  174. 主濱了

    ○主濱了君 御丁寧な答弁ありがとうございます。一問で、一問で六分使いました。  それでは、ちょっと予定を変更して、私の意見だけを述べさせていただきたいと思います。  安倍政権は、日本憲法を改正せずして提出の安保法案を今国会で成立をさせようとしているということであります。その合憲の根拠というものは、何回も出てきておりますけれども、砂川事件最高裁判決と昭和四十七年政府見解しかないということであります。  ただ、しかし、砂川刑特法事件の最高裁判決の判示は、第一に、日米安保条約に基づく米軍駐留が日本憲法第九条第二項の戦力不保持の原則に違反するか否か、それから、第二に、米軍駐留が憲法第九条全体及び前文の趣旨に反するか否か、この二つの争点についてなされており、それに尽きているわけであります。それ以外の何物でもないわけであります。そういうことなんですよね。  それから二つ目、この昭和四十七年政府見解は、集団的自衛権を明瞭に、明瞭に明確に否定をしているんですよ。それがどうしていいことになるわけですかね。昭和四十七年政府見解は集団的自衛権を明瞭に明確に否定をしていると、これ以上の何物でもないと、こういうことなんですよ。  いずれ、この二つの根拠は、こういうふうな、私が見てもおかしいというふうに思うんですが、いずれ論破されると、これは間違いないと私は思っております。その際はもう大変なことになってしまいますよ。この法案全体が違憲になるんですよ。  そこで、提案であります。時間になりましたので、提案だけさせていただきたいと思います。  一旦、今出されている安保法案を撤回をして、取り下げていただいて、そして合憲であるか否かをもう一回点検してみたらいかがでしょうか。  以上で私の質問を終わります。
  175. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 新党改革の荒井広幸です。  国民を守らない憲法があるのかというのが私のそもそもの考え方です。そういう形でぎりぎりどういうことができるかということで、私は、今回、ぎりぎり憲法の許容する範囲の法案であるというふうに認めております。  本日は、先ほど、元気の山田さん、そして次世代の和田さんからもありましたけれども、存立危機事態について議論が交わされていますが、パネル、資料を御覧いただきたいんですが、(資料提示)もう一つ重要影響事態というのがあります。これがCです。このCの場合のいわゆる国会承認ということを考えてみたいと思います。  このパネルでいいますと、Dは日本に関わるという場合です。そして、Cという場合は、これは日本に関わりません。非常にこれはもう日本が、そして国民皆さん攻撃されていると裏腹の状態がDですね。Cは、それよりは直接的ではないということですが、後方支援です。点々々の下を御覧ください。そして、このBの部分、Bの部分ちょっと見ていただくと、ここは国際の平和に資するための後方支援なんです。CとBの違いは日本目的であるか国際平和が目的であるかということの違いなんですが、共に後方支援なんです。  どういうふうな違いがあるか皆さんの図表を御覧いただきたいと思うんです、この図表でございますが。この図表を見てまいりますと、目的我が国の平和、安全に資するか、国際社会の平和、安全に資するかというので、我が国なのか国際かの違いなんですが、対応措置、つまり自衛隊の活動内容はほぼ一緒です。後方支援の活動、捜索救助活動、そして活動範囲、武器使用権限、基本計画などほとんど一緒なんです。  ところが、御覧いただきますと、国際の方が全て例外なく事前承認なんです。しかし、同じ中身でも日本というところでは、これは原則事前承認というふうになっております。どうしてこのような差があるのか。同じ活動で、目的だけが違う、日本と国際と、しかし自衛隊の任務はほとんど同じなんです。どうして事前と事後が違うのか、矛盾があると思いますけれども、外務大臣、お答えいただけますか。
  176. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) このBとC、国際平和共同対処事態重要影響事態の違い、まさに委員が今説明をされました。  Bの国際平和共同対処事態は、国際の平和及び安全に寄与するというものであります。よって、時間を掛けても国民の理解を得る、例外なく事前承認とされています。一方、重要影響事態、これはまさに我が国に戦禍が及ぶ可能性が生じる、事態が急速に悪化して我が国に戦禍が及ぶ可能性が生じる、よって迅速に対処しなければ我が国の平和や安全に支障を来す、こういった可能性がある、こういった事態であると認識をしております。  そういったことから、こちらの重要影響事態については、原則は事前承認としておりますが、例外も認める、こうした考え方に立っていると、これがこの両方の対応の違いの理由であると考えます。
  177. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そうなりますと、NSCの事務方に聞きますが、この図で御覧いただきますと、Dの方は日本が直接、国民皆さんが直接攻撃されていると同じぐらいの危機の状態がDなんですが、これは国会が撤退決議できるんです。やめなさいってできるんです。ところが、今ほど大臣が御説明されましたけど、Cの場合も、Dの場合よりも切迫さは少ないとしても、Cの場合に、ではなぜ国会決議で撤退を盛り込まなかったのか、こういう矛盾が出てまいります。NSC担当者、いかがですか。
  178. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  先生御指摘の存立危機事態におきましては、先生御指摘のとおり、「国会が対処措置を終了すべきことを議決したときは、対処基本方針の廃止につき、閣議の決定を求めなければならない。」と法文上規定されております。これは、存立危機事態は武力の行使をしなければ国民に深刻、重大な被害が生じる事態であり、武力の行使に関わる特に重大なものであることから、「国会が対処措置を終了すべきことを議決したときは、対処基本方針の廃止につき、閣議の決定を求めなければならない。」としているものでございます。  他方、御指摘の重要影響事態における対応措置は、あくまでも我が国が武力を行使し得ない状況において行う後方支援等にとどまるものでございますので、法文上明確にそのようなものを規定しているということではございません。
  179. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 つまり、ここで非常に難しいのは、国際平和のためなら後方支援でも全て国会承認、しかし、日本の場合、存立危機よりも切迫度は少ない、つまり直接日本に関わる度合いは少ないのに、これは事前承認でなくてもいいという。  じゃ、同じように、武力攻撃事態という意味での武力攻撃を使う存立危機事態、Dの場合ですね。この場合は撤退を認めているけれども、皆さんの言い分では、やっぱり日本が危ない状態だからとCのことを言うなら、Cだってやっぱりこれは撤退ができるように国会議決を入れておくべきですよね。  だから、こういうあやふや、ちぐはぐさが私は心配するんです。この法律は必要であっても、国民のシビリアンコントロール、国民の監視の目を入れるためには、やっぱり一度立ち止まって、政府とともに判断をし、必要ならば政府と国会が一緒になってすぐ答えを出します、一日、三日で答えを出せます。そして、拍手で自衛隊皆さんに頼むぞと送り出すのが本筋であろう。そして同時に、駄目な場合は駄目だと歯止めを掛けます。やめなさいということを申し上げます。こうした観点を私たちは申し上げている。  特に、安倍総理の場合は私は心配はしていないんですが、官僚が、そしてNSCの外務省や防衛省がどんどん自分たちの判断を優先してくるような、過去のアイゼンハワー大統領が、いつも例に出しますが、軍産複合体のような形で好戦的になるおそれがあります。どんどん予算を増やしていく、その結果、福祉に回す予算がなくなる、財政赤字に陥る、こういう問題点もあるわけですから、どうぞ国会が国民皆さんとともに監視をして、万が一のことが起きないように進めてまいりたいと思います。  先ほどの我々の三党に対して、総理の最後の言葉で、五党の協議を見守って対処すると、こういうことでしたので、五党の協議を進めながら国会の皆さんとしっかり議論をして、監視をできる体制をつくってまいりたいと思います。  終わります。
  180. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本日の質疑はこの程度といたします。  これにて散会いたします。    午後四時二十五分散会