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2015-09-04 第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年九月四日(金曜日)    午後一時七分開会     ─────────────    委員異動  九月二日     辞任         補欠選任      田中  茂君     山口 和之君      中西 健治君     水野 賢一君  九月三日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     江田 五月君      前川 清成君     那谷屋正義君      山口 和之君     山田 太郎君      又市 征治君     吉田 忠智君  九月四日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     堀内 恒夫君      猪口 邦子君     高野光二郎君      室井 邦彦君     川田 龍平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 石井 準一君                 佐藤 正久君                 塚田 一郎君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 北澤 俊美君                 福山 哲郎君                 荒木 清寛君                 清水 貴之君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 大沼みずほ君                 北村 経夫君                 上月 良祐君                 高野光二郎君                 高橋 克法君                 豊田 俊郎君                 堀内 恒夫君                 三木  亨君                 三宅 伸吾君                 森 まさこ君                 山下 雄平君                 山本 一太君                 山本 順三君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 大野 元裕君                 小西 洋之君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 広田  一君                 蓮   舫君                 谷合 正明君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 川田 龍平君                 井上 哲士君                 仁比 聡平君                 山田 太郎君                 和田 政宗君                 水野 賢一君                 吉田 忠智君                 山本 太郎君                 荒井 広幸君    委員以外の議員        発議者      小野 次郎君        発議者      柴田  巧君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君    大臣政務官        防衛大臣政務官  石川 博崇君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        委員部長     秋谷 薫司君        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       北村 博文君        外務大臣官房長  上月 豊久君        防衛大臣官房審        議官       石川 正樹君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資  するための自衛隊法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す  る諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等  の一部を改正する法律案小野次郎発議) ○在外邦人警護等を実施するための自衛隊法の  一部を改正する法律案小野次郎君外一名発議  ) ○合衆国軍隊に対する物品又は役務提供拡充  等のための自衛隊法の一部を改正する法律案(  小野次郎君外一名発議) ○国外犯処罰規定を整備するための自衛隊法の  一部を改正する法律案小野次郎君外一名発議  ) ○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す  る人道復興支援活動等に関する法律案小野次  郎君外一名発議)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、中西健治君、田中茂君、前川清成君、又市征治君及び小川勝也君が委員辞任され、その補欠として水野賢一君、山田太郎君、那谷屋正義君、吉田忠智君及び江田五月君が選任されました。  また、本日、室井邦彦君が委員辞任され、その補欠として川田龍平君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等の一部を改正する法律案在外邦人警護等を実施するための自衛隊法の一部を改正する法律案合衆国軍隊に対する物品又は役務提供拡充等のための自衛隊法の一部を改正する法律案国外犯処罰規定を整備するための自衛隊法の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する人道復興支援活動等に関する法律案、以上七案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 山下雄平

    山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。質問の機会をいただきまして、委員長を始め各党各会派の皆様、本当にありがとうございます。  今回の政府提出法案について賛成、反対立場は様々あろうかとは思いますけれども、二度と戦争の惨禍は繰り返してはならない、そして日本の平和と安全をどうやって守り抜くか、こういったことに関しては、立場を超え各党理解し合えるんではないかというふうに私は信じております。  鴻池委員長は、八月三日の委員会で、できるだけ合意形成に近づけていくのが参議院役割一つだというふうに指摘されました。そうしたことに資するような質問になっていけばというふうに考えております。  私事ですけれども、私は先週、三十六歳になりました。参議院の自民党では私が一番年下です。私の両親も戦後の生まれです。今年九十になる祖父から時折戦争の話を聞くことはありますけれども、私は戦争を知らない世代だというふうに自覚しております。地元を回っておると年配の方々から、山下君、戦争は悲惨だと、二度とああいうことを繰り返してはならないと、戦争をいかにやらないようにするか、それが政治家の最大の仕事だというふうに言われます。  では、戦争を回避するため、日本の平和と安全を次の世代につなげていくためには何をなさなければならないんでしょうか。この点に関しまして、皆様にもお配りしてあるかと思いますけれども、八月三日、政策研究大学院大学白石学長など、学者の皆さんが我が党に要望書を出されました。他党の方にももしかしたらこの要望書は行っているかもしれませんけれども、名前を連ねていらっしゃるのは、熊本県立大学の五百旗頭学長、東京大学の久保教授高原教授中谷教授、慶応大学の添谷教授阿川教授といった国際政治国際法の第一線で活躍されている人ばかりです。彼らは国会論議に対して、若干視野が狭いのではないか、憲法論ばかりに焦点が当たっているのではないかというふうに危惧されています。この要望書では、「戦後七十年間にわたって日本が享受してきた平和と繁栄は、ただ憲法九条だけによるものでしょうか。本来、国会で議論されるべきは、国民生命財産日本独立と自由をいかにして守るかということではないでしょうか。」と訴えられております。  では、今の日本を取り巻く国際環境はどのような状況なのでしょうか。日本領土領空領海他国から脅かされるようなリスクは以前より高まっているというふうに認識されているのでしょうか。見解をお聞かせください。
  5. 石川博崇

    大臣政務官石川博崇君) お答え申し上げます。  我が国を取り巻く安全保障環境は近年ますます厳しさを増し、我が国にとって、そして国民にとってのリスクは高まっていると認識をしております。  例えば、先般も北朝鮮による挑発行動によりまして南北関係緊張が一時高まる事案が発生しましたとおり、朝鮮半島情勢はいまだ緊張をはらんだものと認識をしております。また、北朝鮮は、日本の大半を射程に入れる、発射されれば僅か約十分で到達すると言われます数百発もの弾道ミサイルを配備する状況となっているところでございます。さらに、二〇〇六年以降、三回の核実験を実施しており、ミサイルに搭載できる核兵器の開発を進めていると見られております。  また、我が国周辺における中国軍、さらにはロシア軍活動が大いに活発化している中、自衛隊スクランブル発進の回数は十年前と比べて約七倍に増えており、昨年は九百回を超えたところでございます。  さらには、アルジェリア、シリア、そしてチュニジアといったところで日本人がテロの犠牲になるなど、ISILを始めとする暴力的な回帰主義が台頭しているところでございます。  このように、我が国を取り巻く安全保障環境は大きく変化し、ますます厳しさを増していると認識しているところでございます。
  6. 山下雄平

    山下雄平君 政務官がおっしゃったように、我が国を取り巻く国際環境というのは非常に厳しくなってきているということだと思いますけれども、では、その備えをどうやっていくべきか。もちろん、憲法規定は守らなければなりません。いかなる国の備え憲法の枠内であることは当然です。憲法論議も大いにすべきだと思っております。ただ、憲法学者だけが国民の命や日本独立考え憲法学者の方がその責任を負うのでしょうか。  ある全国紙憲法学者方々に調査したところによると、自衛隊違憲違憲可能性があるとする方が三分の二近くもいるということでした。自衛隊違憲だとすれば、自衛隊は廃止、解散しなければなりません。憲法論議としてはそれでいいかもしれませんけれども、現実問題として果たしてそれでいいんでしょうか。  国民生命日本独立を守る上での政治責任役割についてどのようにお考えでしょうか。また、自衛隊違憲とする主張についてどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。
  7. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 憲法九条二項は陸海空軍その他の戦力保持を禁止しておりますが、これは自衛のための必要最小限度を超える実力保持することを禁止する趣旨を述べたものであると解しております。自衛隊は、我が国防衛するための必要最小限度実力組織であるから、同項で保持をすることが禁止されている陸海空軍その他の戦力には当たりません。したがいまして、自衛隊憲法に違反するものではないと考えております。  政治役割でございますが、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化をしている中で、情勢をしっかり分析、評価をしながら、国民の命と平和な暮らし、そして領土領海領空、これを守り抜くために何が必要なのか考え抜き、現実に必要な安全保障政策を講じる必要がありますが、これが政治、そして政府に課せられた重要な責務であると考えております。
  8. 山下雄平

    山下雄平君 国際政治学者方々が出されたこの要望書では、こう書かれています。二度と悲惨な戦争を経験したくない、危険なことはとにかく関わりたくないという意識によって、我々がアジア太平洋の平和と安定のために何をなすべきか、その議論をないがしろにしていると、そういうふうに指摘されています。そして、日米同盟維持発展するためには何をなすべきか、オーストラリア、韓国など、アジア太平洋諸国との安全保障協力も議論すべきだというふうに求めておられます。  アジア太平洋の平和と安定のために諸外国から日本役割を求められているというのは事実でしょうか。この法案に対するアジア太平洋諸国からの反応はどのようなもので、この法案の成立の可否アジア太平洋の平和と安定にどのような影響があるのでしょうか。外務大臣見解をお聞かせください。
  9. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、アジア太平洋地域の平和と安定のために我が国に何が期待されているか、それから、アジア太平洋地域国々反応はどうかという質問がまずありました。  それについてですが、まずは、これは今までも御紹介させていただいていますが、今年六月、我が国衆参合同会議におきまして、フィリピンのアキノ大統領が演説をされました。その中において、日本が平和の維持のために国際社会に対して自らの責任を果たす上でより積極的な立場を取っていることを特に念頭に置き、本国会で行われている審議に最大限の関心と強い尊敬の念を持って注目している、こういった発言がありました。  それ以外にも、この地域においては、例えばオーストラリアビショップ外相からも、日本がより積極的なグローバルパートナーになることを間違いなく歓迎する、こういった発言もありましたし、私自身も、最近会談を行った外務大臣としてはスリランカのサマラウィーラ外務大臣がありますが、同外相からも、日本平和維持・貢献への積極的な取組への期待が示されております。  このように、アジア太平洋地域の多くの国々からも我が国取組について理解や支持をいただいていると認識をしております。  そしてもう一つ、この平和安全法制可否について御質問がありました。  平和は、唱えているだけでは実現はいたしません。平和安全保障環境、ますます厳しくなる中にあって、まずは我が国としまして、しっかり外交を進めることによって、好ましい安全保障環境をつくっていかなければなりません。そして、その上で、この平和安全法制を成立させることによって、切れ目のない体制をしっかりつくることによって抑止力を高め、国民の命や暮らしを守り、さらには国際社会の平和や安定に貢献していく、こういった体制をつくっていきたいと考えております。
  10. 山下雄平

    山下雄平君 この法案によって、我が国とそしてこの地域の平和と安定を保っていきたいという大臣の決意もありました。  しかし、この法案に対して残念ながら賛否は割れております。この法案が仮に成立しなかった場合、日米同盟維持発展にどのような影響があるのでしょうか、お聞かせください。
  11. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、日米安全保障体制中核とする日米同盟は、我が国外交そして安全保障体制中核、そして基軸であると考えています。そして、我が国が、安全保障環境ますます厳しくなる中にあって、我が国の平和と安定を守るためには、まずは我が国自身防衛力を適切に整備することが求められます。そして、それと併せて、日米安全保障体制の下で米軍前方展開維持して日米同盟抑止力を不断に強化していく、こうしたことに努めていかなければならないと考えます。  こうした考えに基づいて、今回の平和安全法制においてはあらゆる事態切れ目のない法制を整備し、日米同盟をより強化していくことによって、紛争未然に防止する力、すなわち抑止力を高めるものであると考えていますし、今回の法整備を行えば、このガイドラインの下での日米防衛協力実効性、これを更に高めることができると思っています。  我が国をめぐる安全保障環境が厳しさを増す中にあって、こうした取組は是非必要であると考えています。
  12. 山下雄平

    山下雄平君 さらに、この要望書で、中国の台頭についても懸念を示されております。中国経済は、日本も含め東アジアの中国以外の経済を合わせた規模の二倍以上になります、それほど大規模に力のバランス変化しています、また、中国が近年、東シナ海、南シナ海で力の行使によって現状変更を試みているというふうに指摘されております。経済力バランス変化に伴い、防衛軍事バランス変化させようとしているということなんだろうと思います。一方で、こうした指摘に対しては、必要以上に他国の脅威を喧伝しているというような批判もあります。  では、客観的数字はどのようになっているのでしょうか。日本防衛費と比較して、中国軍事費の推移は冷戦後どのようになっているのでしょうか。お聞かせください。
  13. 石川博崇

    大臣政務官石川博崇君) お答え申し上げます。  中国国防費に関するお問合せでございますが、公表されているものだけで申し上げましても、一九八九年度から現在まで毎年ほぼ一貫して二桁の伸び率を記録しているところでございます。結果、二〇〇五年度から十年間で約三・六倍、そして冷戦期の一九八八年度から二十七年間で約四十一倍に拡大しているところでございます。  二〇一五年度の公表されています中国国防費に関しましては、円に換算いたしますと約十六兆百三十二億円、日本防衛関係費と比較した場合、約三・三倍の水準となっております。
  14. 山下雄平

    山下雄平君 予算額を見ても大きな変化があろうかというふうに思います。  ただ、日本他国を侵略しようとか、日本戦争を仕掛けるんじゃないかと思っていらっしゃる人はいないと思います。他方、万が一、日本領土をそこは我が国領土だとある国が主張し、武力行使も辞さないというふうになったときに、我が国として、日本憲法九条で平和を求めているんだというふうに言うことだけで他国はなるほどそうですかというふうに納得してくださるでしょうか。  私は、地球上から武器がなくなる日が来ることを念願しております。ただ、現状では防衛力による抑止で平和が維持されているという現実に目を背けるわけにはいきません。外国にとって日本安全保障体制がどのように見えるのか、映っているのかということを考える必要があると思います。厳しさを増す国際的な安全保障環境に対応し、憲法の枠内でどこまで安全保障体制を改め得るのかということを議論することは国の責務ではないかというふうに考えております。  この法案が成立すれば、自衛隊役割や行動できる範囲が広がるわけですけれども、このことにより力の空白、不均衡を埋めることに寄与し、日本戦争紛争に巻き込まれるリスクは減ると考えていいんでしょうか、見解をお聞かせください。
  15. 石川博崇

    大臣政務官石川博崇君) お答え申し上げます。  今回の平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守るために、グレーゾーンから集団的自衛権に関するものまで切れ目のない対応を可能とするものでございます。  日本が危険にさらされたとき日米同盟が完全に機能する、そして、それを世界に発信することによりまして、紛争未然に防ぐ力、すなわち抑止力が更に高まるものと考えております。また、日本国際社会と連携をして、地域世界平和維持、あるいは発展のために協力していくことが可能となり、それにより世界の平和に貢献していくものと考えております。  今回の平和安全法制は、このように日本攻撃を受けるリスクを一層下げ、そのために資する法案であると考えております。
  16. 山下雄平

    山下雄平君 国のリスクだったりとか抑止力という言葉を聞くと、何か我々の生活とはちょっと懸け離れているようなイメージもありますけれども、国家として積極的に平和をつくっていくということは、結果的に国民の平和な生活が脅されるリスクは減るというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  17. 石川博崇

    大臣政務官石川博崇君) 先生御指摘のとおり、国民の幸せな生活にとりまして、国の独立と平和は必要不可欠なものでございます。  先ほども申し上げましたが、今回の平和安全法制は、国民生命と平和な暮らしを守り抜くために、現実に必要な安全保障政策を講じたものでございます。例えば、現在海外に住まわれる日本人方々は約百五十万人おられます。また、年間約一千八百万人の方々海外に出かけていく時代でございます。今般の平和安全法制では、こうした海外における邦人方々を守るための必要な法制も充実させているところでございます。  平和外交努力と併せて、車の両輪として、この平和安全法制国民の平和な生活が脅かされるリスクを下げていくものと考えております。
  18. 山下雄平

    山下雄平君 各国が抑止力を高めていくことで、逆に戦争可能性が高まるんじゃないかというふうに懸念されている方もいらっしゃいます。現在、いろんなところでデモが行われております。戦争反対とか、政府は暴走するんじゃないかというような懸念の声も上がっております。  私は、そうした運動がおかしいとは思っておりません。そうした訴えが、権力者に常に自戒を求めたり、権力は抑制的に使うんだと、そういうことを促すことにつながるんじゃないかというふうに私は考えております。ただ、今回の法案戦争法案だとレッテル貼りをすることで、逆に、ただただ不安をあおっているんではないかというふうに憂慮しております。  自衛隊米軍とともに世界中に戦争に行くんではないかというふうに誤解される方もいらっしゃると思います。しかし、自衛隊他国攻撃するような装備、能力は持っていないと思います。日本海外戦争する能力はないし、今後も持つ意思はないし、そういう能力を持つことは憲法違反考えていいんでしょうか、大臣見解をお聞かせください。
  19. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 新三要件の下で許容されるのは、あくまでも自衛の措置としての武力行使に限られておりまして、我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生が前提であります。また、他国防衛することそれ自体を目的とするものではございません。  政府としては、従来から、性能上専ら相手国の国土の壊滅的な破壊のためのみに用いられるいわゆる攻撃型兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度範囲を超えることとなるために、いかなる場合も許されないと考えてきております。このため、例えばICBM、大陸間弾道ミサイル長距離戦略爆撃機攻撃型空母、これを自衛隊が保有することは許されませんし、今般の法整備におきましても、専守防衛そして非核三原則を守るとの基本方針を堅持をいたしまして平和国家として歩んできており、今後もこのような歩みを確固たるものにしていく、この方針には一切変更はございません。
  20. 山下雄平

    山下雄平君 我々はそういった能力も持たないし、今後もそういった能力を持つ意図は全くないということを大臣から断言していただきました。  今回の審議でもう一つ大きな争点となっているところは、自衛隊員のリスク、安全確保、こういったことが議論になっております。自衛隊員のリスクは残念ながらゼロではありません。だからこそ、自衛隊員の権限、行動範囲などを決める法案を審議している。我々は、その重さを自覚するとともに、自衛隊員のリスクをどうやって減らしていくかを考えていかなければなりません。  今回の法案が成立すれば、特別措置法で海外派遣する場合にはできなかった派遣に備えた平時からの訓練ができるようになります。また、充実した武器使用権限を持つことになります。こうしたことは自衛隊員のリスク軽減につながるのではないでしょうか、見解をお聞かせください。
  21. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘のありましたとおり、一般法の形で法が整備されることによりまして、平素から派遣に備えて各国と連携した情報収集、教育訓練が可能となると考えております。そして、その成果を基本的な体制整備に反映することができるようになると考えておりまして、こうしたことは自衛隊員のリスクの軽減につながるとも考えています。  また、活動内容、派遣規模といったニーズを確定するための現地調査、各国との調整をより迅速に実施できるようになるのではないかと考えております。こうしたことによりまして、自衛隊が得意とする業務をより適切な地域で実施するということについて、この可能性が高まってくると思っておるところでございます。  また、武器使用規定についても御指摘ございましたけれども、一点申し上げますと、今般の法改正、現在御審議いただいている法案の中で、国際平和支援法及び改正PKO法等に、自己保存型の武器使用権限として宿営地の共同防護に関する権限を追加しておるところでございますが、これによりまして、外国の軍隊の要員と宿営地を共同使用する場合におきましては、宿営地に対する攻撃があったときには、外国の軍隊の要員と共同して対処できるようになるという例もございます。こうしたことは、不測の事態における自衛隊員のリスクを軽減することにつながると考えているところでございます。
  22. 山下雄平

    山下雄平君 自衛隊員のリスク軽減につながるという話をいただきましたけれども、自衛隊員の方々自身が今回の法案をどのように感じるかということも非常に重要だと私は思います。  私は、正直、自衛隊員の現場のことは十分には分かっていないというふうに思っております。ただ、中谷大臣は元自衛官でもあります。経験者として、自衛隊の先輩として、後輩の方々、また、将来自衛官を目指そうと考えている若者の人たちに向けて、今回のこの法制、そして我々の取る道によって自衛隊の方の行動そしてリスク、そういったことがどのようになっていくのかということをお聞かせいただければと思います。
  23. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊員の使命は、国を守る、そして緊急事態の際に国民リスクを下げることでありまして、そのためにこそ自衛隊員はリスクを負って訓練をしているわけでございます。我々は、自衛隊員が負うリスクについて従来から一貫して深刻に受け止めておりまして、あらゆる手段でいかにリスクを管理するのか、リスクを下げるのか、そういう努力もいたしております。  今回、平和安全法制によりまして新たに付与される任務にも、これまで同様リスクがあります。これを法制、教育訓練、実際の派遣に至るあらゆる面で、政府自衛隊、そして現場の部隊が一丸となって隊員のリスクを軽減をする取組を行ってまいります。  それでも自衛隊リスクは残ります。それは、国民の命と平和な暮らしを守る、崇高な任務を全うするために負ってもらうリスクでございますが、しかし自衛官は危機管理のプロです、そしてリスク管理のプロでもございます。必要な専門知識を養い、厳しい訓練に当たってもらいたいと考えます。また、国を守るという強い使命感、そして責任感を持った若い人たちが自衛官を志していただけるように期待をいたしております。
  24. 山下雄平

    山下雄平君 事に及んでは危険を顧みず、身をもって責任の完遂に務め、もって国民の負託に応えることを誓いますというふうに宣誓されます。このすごく意識の高い人たちが国の安全のために必死で戦う、必死で国を守ろうとされている、その隊員の人たちにリスクをどうやって減らしていくのか、我々の責務であろうかというふうに思っております。  さらに、国民皆様は、今回の法案によって平穏な日々の生活政府によって妨げられ、全てが国家優先になるのではないかというふうな誤ったイメージを持っていらっしゃる方もいらっしゃいます。今回の法案が成立しても、国民方々への責務や新たに求められることはないというふうに理解してよいのでしょうか、お聞かせください。
  25. 石川博崇

    大臣政務官石川博崇君) お答え申し上げます。  今回の平和安全法制は、あくまでも日本の平和と国民皆様生命、そして幸せな暮らしを守り抜くためのものでございます。先生御指摘国民皆様に新たな義務を課す規定は、今回の平和安全法制には新たな義務を課す規定はございません。
  26. 山下雄平

    山下雄平君 このような抑止力防衛力というような話をするとすごく荒々しく聞こえますけれども、最優先は外交で平和解決を目指すということだと思います。そのために、外交力の強化にどのように取り組むおつもりでしょうか、お聞かせください。
  27. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 外交を通じて安定し、そして見通しが利き、そして我が国にとって好ましい国際環境をつくっていく、これは我が国外交安全保障政策の要諦であると考えています。そして、紛争もまずは平和的に解決するという考え方、これは大事であると思います。  そういった考え方に基づいて、我が国としまして積極的平和主義の考え方に基づいて、人間の安全保障ですとか、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジですとか、開発協力ですとか、軍縮・不拡散、人権、さらには法の支配、こうした課題において我が国らしい取組をしっかりと行っていかなければならないと考えています。  そうしたためには、我が国外交体制をしっかりと整備していかなければならないということで、人的にも物的にもあるいは情報の収集や分析能力においても、総合的な外交力を付けていくことが重要だと考えています。そういった観点から、是非外交体制の整備しっかり努めていきたいと考えます。
  28. 山下雄平

    山下雄平君 国会議員の役割というのは、政府の誤りを正す、チェックするということとともに、より良き政策、より良き道を示していくことだというふうにも思います。どうやれば将来にわたり日本日本国民の平和を守っていけるのか、そして世界平和のために日本としてどのように貢献していくのか、そうしたことに我々は貢献していかなければならないと思っております。  そういったことに今後の審議が資することを祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  29. 蓮舫

    ○蓮舫君 民主党の蓮舫です。  総選挙、与党が圧勝、安保法制は与党勝利により来年夏までに終了。昨年、総選挙の四日後の十二月十八日、訪米した統幕長が米軍高官と会談。発言内容資料が二日、仁比委員から大臣に手渡しされました。  存否は分かりましたか。
  30. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先日、仁比委員が示した資料につきまして、現在、防衛省が作成したか否かも含めまして調査中でございます。
  31. 蓮舫

    ○蓮舫君 あったかなかったかというのに何で二日も係るんですか。
  32. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この資料が防衛省が作成したかどうか否かも含めまして調査中でございます。
  33. 蓮舫

    ○蓮舫君 これは統幕長の発言がメモにされました。統幕長に会いましたか。
  34. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 統幕長から、会って話も聞きました。
  35. 蓮舫

    ○蓮舫君 自分の発言だと認められましたか。
  36. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この資料につきましては、現在、防衛省が作成したかどうか否かも含めまして調査中でありますので、この点についてはコメントは差し控えたいと思います。
  37. 蓮舫

    ○蓮舫君 答えてください。統幕長と大臣がお会いをしたときに、統幕長は自身発言だと認めましたか。
  38. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当然、統幕長とも話をいたしておりますが、他方で、この統幕長の訪米時の一連の会談というのは、この内容を公表することを前提として行われたものではございませんので、相手方の関係もありまして、具体的なやり取り、内容につきましてはお答えすることは差し控えたいと思います。
  39. 蓮舫

    ○蓮舫君 統幕長と大臣がお会いしたときに、これは統幕長、君の発言かと大臣は確認をしましたか。
  40. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは資料の内容に伴うことでもございます。現在、防衛省はこの資料が防衛省の内部で作成されたものかも含めまして調査をいたしております。(発言する者あり)
  41. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  42. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  43. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 統幕長とも会いまして、話もいたしております。  この統幕長の訪米時の一連の会談に関するものでありまして、この会談というのは、まず、この内容を公表することを前提として行われたものではないということ、また、相手方との関係もありまして、具体的なやり取り等につきましては、これはお答えすることは差し控えていきたいということでございます。
  44. 蓮舫

    ○蓮舫君 統幕長の発言かどうか確認しましたか。
  45. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当然、訪米して会談をしたということでございます。  この中身等につきましては、これはやはり、中身につきましては話は聞きましたけれども、一般に、外国とのやり取りに関する資料につきましては、相手方との信頼関係に関わるものであるという意味で、大変慎重な取扱いを要するということでございます。
  46. 蓮舫

    ○蓮舫君 統幕長の発言を聞いて、問題があると大臣認識しましたか。
  47. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この資料の中身については精査中でございますので、この中身についてはコメントは控えたいと思いますし、また統幕長の発言におきまして、この内容等につきましては、一部始終聞いたわけではございませんが、この資料等につきまして、防衛省の中で作成されたものであるかどうか、提示された内容については調査をしているということでございます。
  48. 蓮舫

    ○蓮舫君 実に多くの問題発言があるんですが、E2D、グローバルホークを日本は導入することを決めた、統幕長。それを受けて米軍高官は、このような決定を耳にすることができ、うれしく思う。  十二月十八日時点で、E2D、グローバルホークは予算認められていましたか。
  49. 中谷元

    国務大臣中谷元君) E2Dにつきましては、警戒監視能力を強化するために中期防において新たな早期警戒管制機を四機整備することとしており、昨年、機種選定を行いまして、昨年十一月二十一日、防衛大臣がE2Dを選定をしたというところでございます。
  50. 蓮舫

    ○蓮舫君 予算は認められていましたか。
  51. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨年、防衛大臣が、前の大臣ですが、E2Dを選定をしたところでございますが、現時点におきましても、予算につきましてはまだ認められていないということでございます。
  52. 蓮舫

    ○蓮舫君 いいですか。これら戦闘機は、その統幕長が発言をしたとされる、翌年一月十四日の政府提出平成二十七年度予算案に初めて計上、この予算案が成立したのは年度を超えた四月九日。国会に提出すらされず、予算審議も経ていないで、予算も通っていないのに、米軍高官に対して、導入を決定、うれしく思うとまで答えをさせてしまっている。  これ、財政民主主義の否定じゃないですか。
  53. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 事実関係といたしまして、昨年の十一月二十一日に防衛大臣がE2D、これを選定をした、決定をしたということでございます。
  54. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、選定は予算じゃありません。予算が認められていないのに、米軍高官に統幕長が行って、導入決定、明言しているじゃないですか。国会軽視、財政民主主義の否定じゃないですか。
  55. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 事実関係として、十一月の二十一日に防衛大臣がE2Dを選定をしたということでございます。(発言する者あり)
  56. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  57. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  58. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、E2Dについて事実関係について御質問がありましたので、その事実をお答えしただけでございます。  この資料につきましては、現在、防衛省が作成したか否かも含めて調査中でございますし、また、中身等につきましては、これについては私も言及できないことでございますので、そういう立場でお答えをしただけのことでございます。
  59. 蓮舫

    ○蓮舫君 これは早く存否認めてください。あったのかなかったのか。本物なのかそうじゃないのか。それが本物だった場合に、国会軽視、文民統制、大臣さえもこけにされている問題なんですよ。いつまでに出しますか。
  60. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、調査中でございます。できるだけ早期に終えるように鋭意調査は進めておりますけれども、この中身等につきましても非常に他国との関係等もございますので、その点につきましてはしっかりと調査をした上でお答えをさせていただきたいと思っております。(発言する者あり)
  61. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔午後一時五十一分速記中止〕    〔午後二時二分速記開始〕
  62. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。  蓮舫君の質問の前あるいは大臣の答弁の前に、私から申し上げたい件があります。  ただいまの資料の件でありますが、水曜日に共産党から提示をされて、大臣が受け取っておられる資料です。これについてあるかなきか、これがただいまの問題になっているわけです。その存否についてすぐさま返事をせよということで、多くの方々、そのように思っておられるかもしれないけれども、現在これは調査中であるという答弁でございますので、どうかひとつその辺りはお認めいただいて、早急にといっても日を決めなきゃいけませんので、来週の月曜日には必ずまずは存否を、あるかなきかをしっかりとまず私の方に報告をしていただきたいということを申し上げ、水曜日から今日に至るまで存否について返事がないということは極めて遺憾なことであるということも申し上げながら、大臣の答弁を今からしていただきたいと思います。
  63. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 水曜日に提示をされまして、まだ確認ができていないことにつきましては遺憾に存じております。更に調査を進めてまいりたいと思っております。  かなりその存否そのものも機微なものでございますが、できるだけ早く、委員長から御指示がありました来週までに、月曜、できましたら来週早くそれができますように努力をしてまいりたいと思います。
  64. 蓮舫

    ○蓮舫君 委員長、様々な御配慮ありがとうございました。  でも、これは、いついつまでに出してくれというのは、委員長が月曜日までにと言うものではなくて、大臣が命令をするものじゃないですか。そういうときに大臣が部下に命令をして、来週の月曜日までに、国会審議に支障が出ないようにすぐ出せと命令を出していただけますね。
  65. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのようにさせていただきます。
  66. 蓮舫

    ○蓮舫君 資料の一枚目、これは福山哲郎委員が、安倍総理の発言が、公明党の北側先生の三原則、自衛隊員の安全確保が、全ての安保法案に盛り込んだという議事録でございます。  中谷大臣に確認をしますが、自衛隊法改正案、新設される九十五条の二、自衛隊員の安全確保措置は盛り込みましたか。
  67. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この九十五の二に対する安全確保につきましては、まず、米軍等の部隊の武器等を防護するに当たりまして、法文上、我が国防衛に資する活動から現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除いているところでございます。これによりまして、自衛隊による警護が米軍等による武力行使と一体化をしないことを担保すると同時に、本条において、国又は国に準ずる組織による戦闘行為に対処することはなく、したがって武力攻撃に対応することがないようにいたしております。  また、この規定は、本条による警護を任務として付与された自衛隊員の安全の確保にも資するものであると考えております。
  68. 蓮舫

    ○蓮舫君 自衛隊法改正で新設される九十五条の二、米軍等の武器等防護、それともう一つ、今回出された周辺事態法の改正案、重要影響事態法案。これは、同じ重要影響事態法案自衛隊員は後方支援と、それと武器等防護ができる。ところが、後方支援においては、防衛大臣活動地域を指定もできるし、あるいはその中止、あるいはその変更もできるんですが、武器等防護の場合にはそういう規定が一切ありません。なぜでしょうか。
  69. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除いているからでございます。
  70. 蓮舫

    ○蓮舫君 前回の私の質問のときに、資料の四枚目を見ていただきたいのですが、大臣は二つ問題ある答弁をしています。一つは、条文にはございません、認めているんです、危険回避措置がないことを。条文にはございませんが、このような重要影響事態に際して重要影響事態法の中に規定をしていることでございますと。  自衛隊法改正の九十五条の二は、重要影響事態法案に定める制限、安全確保措置が掛かるんですか。
  71. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態自体が後方支援でございますので、現に戦闘行為が行われていない現場で活動しなければなりませんし、また、防衛大臣もこの実施区域、これを指定する際におきましては、これから活動期間を通じて戦闘が行われていない見込みがある地域を指定するということで、この重要影響事態には安全確保規定されているわけです。
  72. 蓮舫

    ○蓮舫君 大臣、分かっていますか。  今言っているのは、重要影響事態法案に係る危険回避措置です。もう一本一緒に出してきた自衛隊法改正案で新設される九十五条の二が何でこの法律に係るんですか。
  73. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 九十五条の二の法案の条文の中に、「現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。」と規定をいたしておりまして、これによりまして、武力行使の一体化をしないということを担保すると同時に、この戦闘行為、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為に対して武器を使用することはしないように担保しているわけでございます。
  74. 蓮舫

    ○蓮舫君 私が伺っているのは、大臣が答弁しているんです、重要影響事態法案の危険回避措置が九十五条の二に係るって答弁している。間違いじゃないですか。
  75. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態におきましても九十五条の二による警護が可能でございまして、こういった重要影響事態における活動支援をしている場合は重要影響事態法が適用されます。しかし、重要影響事態法が実施されていない場合におきましても九十五条の二が使えますので、適用される場合と適用されない場合があるということでございます。
  76. 蓮舫

    ○蓮舫君 重要影響事態法案は、米軍等の後方支援及び捜索救助活動を対象に規定。この規定は、別法の米軍等の武器等防護を行う自衛隊改正案に適用されるんですか。
  77. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ちょっと整理して申し上げますが、九十五条の二の対象となる部隊が、まず自衛隊と連携して我が国防衛に資する活動に従事していることだけではなくて、条文上、これ、「現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。」と規定をしておりまして、これによりまして自衛官の安全措置は図られております。  重要影響事態、これにつきましては、この法律において、この活動が後方支援でありますので、現に戦闘行為が行われている現場で行わないというのが大原則でありまして、そういう中で九十五条の二を使うわけでございますので、そういう場合におきましては適用されますし、また、重要影響事態活動中に戦闘行為が発生した場合には、その活動を危険回避をするということでございますので、適用されるということでございます。
  78. 蓮舫

    ○蓮舫君 自衛隊法で派遣をされた武器等防護の職務を担った自衛隊員が、何でほかの法律の重要影響事態法で後方支援担っている自衛隊の法律に適用されるんですか。根拠はどこにありますか。別の法律じゃないですか。
  79. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態におきまして活動している米軍に対してもこの九十五条の二において警護することができるようになっております。したがいまして、大本の重要影響事態におきましてそういった適用がない場合におきましてはそれができないということでもございますし、また九十五条の二、これ、重要影響事態において米軍等部隊と連携して輸送、補給等を行う場合に、その近傍において戦闘行為に当たる行為の発生が予測される場合においては重要影響事態法の規定に基づいて自衛隊活動を一時休止をするということになりますので、この九十五条の二の警護を中止するとなる場合には、その同条に規定する自衛隊米軍等が現に連携しているとはもはや言えなくなります。したがいまして、対象となる区域から現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除くという規定からも明らかとなっているところでございます。
  80. 蓮舫

    ○蓮舫君 重要影響事態法案自衛隊の武器等防護を任ずる条文はありますか。
  81. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは九十五条の二に明記されていまして、重要影響事態に際して行われる輸送、補給の活動、これが入っております、我が国防衛に資する活動として。したがいまして、重要影響事態法において、それに参画をする自衛隊、これはこの九十五条の二の適用を受けるということは当然のことでございます。(発言する者あり)
  82. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  83. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こしてください。
  84. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態法には規定はございません。ただ、重要影響事態活動において九十五条の二の警護活動、これは可能でございます。なぜなら、重要影響事態の輸送、後方支援をしている中で、九十五条の二というのは我が国防衛に資する活動において米軍の支援ができるということでございまして、そもそも重要影響事態といいますと我が国の平和に重要な影響を与える事態ということで、非常に関連があるということでございます。
  85. 蓮舫

    ○蓮舫君 野呂田六類型の二番目は掛からないとこれまで答弁していますが、そこの整合性はどうでしょうか。
  86. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態が発生していないという……(発言する者あり)済みません。  野呂田六類型というのは、まず武力紛争の発生が差し迫っている場合、第二というと、武力紛争が発生している場合でございますか。(発言する者あり)発生している場合においては、我が国の平和に重要な影響を与える場合となりましたら、まさにこの重要影響事態に指定をされるということではないでしょうか。(発言する者あり)
  87. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  88. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こして。
  89. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態について申し上げれば、武力紛争が発生している場合と武力紛争が発生していない場合があります。  お尋ねの武力紛争が発生している重要影響事態の場合は、当該武力紛争に対処している米軍等の部隊に対する侵害行為は米国等に対する武力攻撃の一環として行われるものと考えられるため、防衛大臣が九十五の二において当該部隊の武器等の警護を行うという判断をすることはできません。
  90. 蓮舫

    ○蓮舫君 大臣の答弁は二転三転して、そしてもう全く整合性が取れていないということをちょっと御自身で一度整理をされた方がいいと思うんですが、九十五条の二は平時の規定ですか。
  91. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この六類型、六事例ですね、これはあくまでも事例でありまして、その事例の第二に武力紛争が発生している場合を挙げております、事例を。この場合に、重要影響事態に指定するかどうかは、政府としてこれは認定をするわけでありまして、この場合は武力紛争が発生している場合であります。
  92. 蓮舫

    ○蓮舫君 平時かと聞いているんです。
  93. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その平時という意味が、我が国の……
  94. 蓮舫

    ○蓮舫君 中身が違う。
  95. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 平時という意味ですか。
  96. 蓮舫

    ○蓮舫君 平時ですかと聞いているんです、九十五条の二は。
  97. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 平時という意味は、その武力……
  98. 蓮舫

    ○蓮舫君 意味は聞いていません。平時ですか。
  99. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 武力攻撃とか存立危機が発生していないということを平時というなら、平時でございます。
  100. 蓮舫

    ○蓮舫君 資料の六を見てください。  大臣は、九十五条は平時の規定と、今と同じ答弁をしました。さらに、私の質問の同じ答弁では、九十五条は平時の規定、かつ重要影響事態等とは状況が違っている別物だと答弁しました。さらに、同じ答弁で、平時で重要影響事態は含むと答弁しました。  この三つのうち、どれが当たりですか。
  101. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、我が国を視点におきまして、この九十五条の二が適用されるのはいわゆる平時です。あるいは、武力紛争が発生しない重要事態ということになるわけでございますが、この大森、失礼しました、野呂田、野呂田さんの、野呂田大臣の六事例というのは、我が国周辺において武力紛争が発生している場合でございます。あくまでも九十五条の二が適用されるのはいわゆる平時ということでございます。
  102. 蓮舫

    ○蓮舫君 さらに、大臣は答弁で、自衛官が防護している武器等が攻撃をされた場合、その攻撃が国若しくは国に準じる組織ではない場合、自衛官の武器使用は武力行使にはならないと答弁していますが、これはそのとおりですか。
  103. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 武力行使に当たらないということでございまして、この武力行使という定義は、国際紛争の一環とする武力攻撃、これが組織的、計画的に行われているかどうかということでございまして、それが至らないという場合におきましては武力攻撃に至らないという範囲に入るということでございます。
  104. 蓮舫

    ○蓮舫君 最初は分かりやすいのに何か途中からどんどん分からなくなる答弁というのも珍しいんですが、つまり、国又は国に準ずる組織からの攻撃は、今大臣がおっしゃったように、武力攻撃や戦闘行為の一環になるおそれがあるので、自衛官が武器等防護のためでも武器は使用できないと、こういう整理でよろしいですか。
  105. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのとおりでございます。戦闘行為に対処して武器を使用しないということでございます。
  106. 蓮舫

    ○蓮舫君 資料八枚目にお配りをしておりますが、これは理事会に提出された航空幕僚監部の内部資料です。法案審議が始まった五月に作られています。  安保法案についての説明で、米軍等の部隊の武器等防護の説明では、自衛隊の防護対象であるアセット、装備品に対して第三国の軍艦及び軍用機が攻撃を実施した場合、自衛隊の部隊は武器を使用してアセットを防護と明記、断言してあります。  大臣、答弁と違います。国からの攻撃に対して迎撃できると書いているじゃないですか。どっちが正しいんですか。
  107. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、第三国の軍艦又は軍用機が実際に米軍等に対して攻撃を行うとすれば、基本的には戦闘行為、すなわち国際紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為としてのものと考えられるために、そのような場合には改正後の九十五の二により対処することはありません。そのため、お尋ねの資料の記述につきましては、幅広い分析と研究という観点から、担当者が口頭により必要な説明を行うことを前提としつつ、あえて極端な例として示したものと聞いております。  いずれにしましても、今後の分析、研究に当たってはより慎重に進めていく必要があると考えておりますが、これまで御説明をしているとおり、本条はあくまでもテロリストによる攻撃といった武力攻撃に至らない侵害を対象としているものであり、軍艦や軍用機による戦闘行動、行為に対処するということはありません。  さらに、資料中には、「第三国の軍艦及び軍用機が攻撃を実施」と記述されておりますが、これは、武力攻撃に至らない侵害であって、戦闘行為、すなわち国際紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為には当たらない例外的なケースを念頭に置いているものです。そのような場合では、自衛隊法九十五の二の対象となることも否定はできないということでございます。
  108. 蓮舫

    ○蓮舫君 航空幕僚監部防衛課が作った資料は、極めて少ない例外的なものだったというんですか。
  109. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 基本的には戦闘行為、これが九十五の二によって対処することはありませんが、実際こういったケース等につきましても、このテロリストといった場合におきましては武力攻撃に至らない侵害を対象としているものというケースもございますし、また、この第三国の軍艦及び軍用機が攻撃を実施という場合であって、武力攻撃に至らない侵害であって、戦闘行為、すなわち国際紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為に当たらないケース、これを例外に置いているという、これを例に置いているということでございます。
  110. 蓮舫

    ○蓮舫君 典型例としてこれは議論されたんじゃないですか。そこで大臣がそうやっていろいろな説明するんだったら、全部書けばいいじゃないですか。戦闘行為に当たらない第三国の攻撃、あるいはテロリスト、不審船からの攻撃。何でわざわざ使えない事態を例として文字化しているんですか。
  111. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回、分析、研究を行っているわけでございまして、こういったケース、これが本当にないかと言われれば、現実にこういった軍艦、軍用機が、実際に武力攻撃に至らない侵害、例えばロックオンとか誤射とかそういったケースもあり得るわけでございますので、そういった例外的なことも分析、研究を行っているということではないかと思います。
  112. 蓮舫

    ○蓮舫君 私がこれこだわっているのは、第三国の軍艦及び軍用機が自衛隊が守っている米軍の武器を狙って攻撃したときに、その攻撃に対して武器を使用したら戦闘行為になる、外形上は米軍との集団的自衛権行使に見える可能性がある、武力行使の一体化につながるおそれがある、違憲になるんですよ。だから、この事例は最も研究しちゃいけない事例じゃないですか。
  113. 中谷元

    国務大臣中谷元君) おっしゃるように、原則的には戦闘行為、すなわち武力紛争の一環として行われる行為、これに対処するということはございませんが、やっぱり例外的なケース、こういったこともあり得るのではないかという点で分析、研究を行っているということでございます。
  114. 蓮舫

    ○蓮舫君 いや、明らかにおかしいと思いますよ。しかも、これ、戦闘行為なのか、第三国からなのか、テロリストなのか、不審船なのか、飛んできたミサイルしか見えない現場の自衛官はどうやって判断するんですか。
  115. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 基本は、武力紛争の一環として行われるような戦闘行為、これはやらないということでございまして、こういった判断等におきましては、基本的には現場の艦長なり指揮官が判断することになりますが、幅広い面におきましては、防衛大臣が、こういった事態に至らないように事前に、この対応においては避難をするとか中止をするとか、大臣が事前にそういった戦闘行為に至らないように指示をするということでございます。
  116. 蓮舫

    ○蓮舫君 九枚目の資料なんですが、大臣はやはり私の質問の答弁の中で、不測の事態等に応じて確認できない場合は政府が判断すると答弁しています。そして、同じ答弁の後段の中で、指揮官等が判断をする、これはどっちが正しいですか。
  117. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、防衛大臣、これは、あらかじめ警護の実施の可否を判断するに際しては、まさに戦闘行為、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われる行為が行われるおそれを含む周囲の情勢を踏まえることになっており、また、その際には、戦闘行為や武力攻撃があると認められるかは状況に応じて関係省庁とも連携をしつつ政府として判断することになる旨を述べたものでございます。  そして後段は、それを前提として実際に警護を行っている際に侵害行為が発生した場合には、例えば護衛艦の艦長等が武器使用の判断を行うことになるという旨を述べたものでございます。
  118. 蓮舫

    ○蓮舫君 九十五条の二に、政府が判断するという規定は条文のどこに書かれていますか。
  119. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛大臣は、自衛官に対してそれぞれの警護を命じるとなっておりまして、そういう場合に武器使用を判断いたしますが、これは一人、二人で対応するのではなくて集団で対応しますので、それぞれの上司の命令の下に武器を統制するということでございます。  したがいまして、武力行使にならない場合は本条によって武器を使用することは可能で、実際の武器使用についての判断をするのは現場の艦長なり指揮官であるということでございます。
  120. 蓮舫

    ○蓮舫君 政府が判断するという規定は、条文のどこに書かれていますか。
  121. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛大臣がそれを命じて、またそういった状況であるかどうか判断をするということでございますので、私が判断をするということでございます。
  122. 蓮舫

    ○蓮舫君 飛んできたミサイル攻撃国からのミサイルなのか、テロリストからのミサイルなのか判断をするのは大臣だと条文のどこに書かれていますか。
  123. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 戦闘行為かどうか、武力攻撃かどうか判断するのは政府でございまして……(発言する者あり)これは武力攻撃か戦闘行為か判断するというのは政府でございます。(発言する者あり)
  124. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  125. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  126. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど私答弁させていただきましたが、九十五条の二の二ですね、これに、この警護は米国軍から要請があった場合であって、米軍等から、米国軍隊等から要請があった場合であって、防衛大臣が必要と認めるときに限り自衛官が行うものとすると、これは一つの権限でございます。  それに加えまして、この重要影響事態等による警護の実施に係る方針には、国家安全保障会議設置法第二条第一項六号に規定する重要影響事態への対処に対する重要事項として、国家安全保障会議、NSCにおいて審議するなど、一定の場合につきましては、警護の実施の判断に慎重を期すため、内閣の適切な関与を確保した形で運用するということが書かれているわけでございます。
  127. 蓮舫

    ○蓮舫君 今最後に大臣が答弁したのは、警護と現場の判断とは全く関係がありません。  条文に書いていなくて、ほとんどこれは裁量で大臣政府が決めることになります。こんなことで、自衛官の危険回避措置も載っていないような自衛隊法の九十五条の二の新設は、私は極めて憲法と抵触する可能性があると思って、やっぱりこれは一回廃案にした方がいいと改めて今思いました。  終わります。委員長、ありがとうございました。
  128. 小西洋之

    ○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  冒頭、これ通告をさせていただいておりませんけれども、おとついの朝日新聞、そして本日の共同通信でございますけれども、元最高裁長官、山口繁元長官が、この安保法制、このようにおっしゃっています。  集団的自衛権行使を認める立法は違憲と言わなければならない、憲法九条についての従来の政府の解釈は単なる解釈ではなく、規範へと昇格しているものである、九条を改正するのが筋であり、それが正攻法でしょうというふうにおっしゃっております。  また、安倍内閣が限定的な集団的自衛権が認められるその論理の根拠としていますいわゆる昭和四十七年政府見解の読替えについて、「何を言っているのか理解できない。「憲法上許されない」と「許される」。こんなプラスとマイナスが両方成り立てば、憲法解釈とは言えない。」というふうにおっしゃっています。  また、同様に、限定的な集団的自衛権行使の合憲の根拠としている驚くべき安倍内閣の暴論、砂川判決の見解について、「非常におかしな話だ。」、「砂川事件の判決が集団的自衛権行使を意識して書かれたとは到底考えられません。」というふうにおっしゃっているところでございます。また、集団的自衛権我が国行使するのであれば、当然安保条約を変えるべきであるということをおっしゃっているところでございます。  皆様御承知のとおり、最高裁長官は、憲法の番人というふうに尊称をもって、日本の、我が国の法の支配、そして立憲主義を守るとりでとして我が国の法の支配の中に位置付けられていたところでございます。  中谷大臣に伺います。  この元憲法の番人の方がおっしゃる安保法制についての憲法解釈、違憲であると明確におっしゃっているんですけれども、これは間違いであるとお考えでしょうか。簡潔に答弁を願います。
  129. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘の報道は承知いたしておりますが、現役を引退された一私人の発言政府立場でコメントをするということは差し控えさせていただきます。  いずれにしましても、政府は、繰り返し申し述べているとおりです、この法案は合憲であると。すなわち、これまでの政府見解の基本的な論理は全く変わっておりません。また、この基本的論理は、政府が述べているだけではなくて、砂川判決による最高裁判決の考え方を軌を一にするものでございます。
  130. 小西洋之

    ○小西洋之君 この山口繁元長官は、当然、砂川判決が出された後に最高裁長官を務められた方です。その方が、砂川判決を限定的な集団的自衛権行使の合憲の根拠とする、その安倍内閣の考え方を真っ向から否定されているわけでございます。しかし、この憲法の番人のお考えを、私人であっても関係ないですよ、日本我が国の法の支配を守ってきた、ほかに並ぶ者がない、まさに法と憲法の専門家の方の見解でございます。しかし、それを否定されました。  実は、もう一人、番人としてあがめられていた方がいらっしゃいます。内閣法制局長官でございます。最高裁元長官は憲法の番人と尊称を与えられておりました。内閣法制局長官は法の番人という尊称を与えられておりました。  横畠内閣法制局長官に伺わせていただきます。  先ほど私が申し上げましたこの山口繁元最高裁長官の見解憲法違反であるという見解、砂川判決は根拠にならないというような見解、そうした見解は全て間違いであると、法の番人として、元憲法の番人に対して、その見解は間違いであるというふうにお考えでしょうか。大臣の答弁よりも長い答弁はお控えください、大臣に失礼ですから。簡潔にお願いします。
  131. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御指摘の報道は承知しておりますけれども、一々の御意見についてコメントはいたしません。
  132. 小西洋之

    ○小西洋之君 内閣法制局長官というのは法の番人のなぜ尊称を与えられるかというと、違憲立法を体を張って阻止する、それが内閣法制局長官役割でございます。我々国会が定めた内閣法制局設置法に基づいて、政府の中の法の支配を守るために、政府違憲立法を国会に提出するのを阻止するために内閣法制局長官は存在するのであります。安倍内閣総理大臣のために、安倍内閣のために存在するのではございません。  では、なぜ法の番人と呼ばれるか。  今、お手元に資料が三部ございますけれども、初めに七月一日の閣議決定を、コピーがございますけれども、横書きの、それを一枚めくっていただいて、マジックで二ページ目がございます。法の番人の何たるかについて、横畠長官の先輩である本物の内閣法制局長官発言がございます。  マジックの二ページの高辻元内閣法制局長官のこの言葉、「・・・同局の」以下、これを横畠長官、読み上げていただけますでしょうか。
  133. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) これまでにも何回か読み上げたことがあると思いますが、重ねてのことでございますので読み上げます。  ・・・同局の法律上の意見の開陳は、法律的良心により是なりと信ずるところに従ってすべきであって、時の内閣の政策的意図に盲従し、何が政府にとって好都合であるかという利害の見地に立ってその立場をしのぐというような無節操な態度ですべきではない。
  134. 小西洋之

    ○小西洋之君 今、委員長を始め同僚委員皆様が共有していただいた元内閣法制局長官、高辻長官のこの矜持、これが本物の法の番人の矜持でございます。  しかし、この横畠長官、もう皆様御案内のとおり、論理的に憲法違反ではないかという質問をしても、いわゆる三百代言を駆使して、まともな答弁をされないところでございます。  実は、先ほど申し上げました山口繁元長官は同じインタビューでこういうふうにおっしゃっております、朝日新聞でございますけれども。内閣法制局の現状をどう見ていますかという質問に対して、「非常に遺憾な事態です。法制局はかつて「内閣の良心」と言われていた。」、「内閣法制局は、時の政権の意見や目先の利害にとらわれた憲法解釈をしてはいけない。」というふうに元最高裁長官がおっしゃっているところでございます。まさに、先ほど横畠長官に読み上げていただきました高辻元内閣法制局長官の矜持と全く同じ文言が、軌を一にする文言、趣旨が言われているところでございます。  菅官房長官に伺わせていただきます。  横畠法制局長官、私、元霞が関の官僚でございまして、菅長官がかつて総務大臣だったときに、総務省で入れ違いぐらいだったと思いますけれども、課長補佐を務めさせていただきました。まさに、霞が関で内閣法制局長官というのは法の番人として尊敬の念を持たれていたところでございます。しかし、今その霞が関の官僚、いろんな方々が私知り合いでいらっしゃいますけれども、横畠長官は安倍総理の顧問弁護士というふうに言われております。国民憲法をまさに意図的に、恣意的にねじ曲げて、そして国会でその内容、答弁を求められれば、全く論理的に関係ない破綻したことを繰り返す。まさに三百代言を繰り返す。法の番人ではなくて、安倍総理の顧問弁護士というふうに言われております。  菅長官に伺います。横畠長官の、法の番人として、先ほど、山口繁元最高裁長官、憲法の番人の見解を否定されました。菅長官も同じく、山口繁元最高裁長官の見解は間違っているとお考えでしょうか。簡潔に答弁を願います。
  135. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 先ほど防衛大臣が答えたとおりであります。
  136. 小西洋之

    ○小西洋之君 山口元長官の見解を否定されました。まさに、礒崎総理補佐官が法的安定性は関係ないというふうにおっしゃっておりますけれども、内閣全体としてそういう意思であるということで御確認をさせていただきました。  では、この山口元最高裁長官の見解が正しいということを立証を試みさせていただきます。お手元の資料を御覧いただけますでしょうか。先ほどの七・一閣議決定、めくっていただいて、二ページでございます。  中谷大臣に伺います。ちょっとテンポよく伺わせていただきますので。  この二ページですね、二ページの一番上。ここは、七月一日以前の憲法九条の下における自衛権の発動の要件、いわゆる自衛権の三要件が書かれているところでございます。真ん中の、昭和六十年の森清衆議院議員。憲法九条の下において認められる自衛権の発動としての武力行使は、我が国に対する急迫不正の侵害があること……(発言する者あり)我が国に対する急迫不正の侵害があること、これを排除するために他の適当な手段がないこと、必要最小限度実力行使にとどまるべきことという三要件に該当する場合に限られると解しているというふうに言っているところでございます。  中谷大臣に伺います。簡潔に答弁ください。この三要件は限定的な集団的自衛権を法理としては含まない、まあ当たり前です、だからこそ新三要件を作ったんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
  137. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは自衛隊が発足した当時でございまして、いわゆる旧三要件、個別的自衛権に基づく三要件であると理解しております。
  138. 小西洋之

    ○小西洋之君 簡潔に答えてください。限定的な集団的自衛権を法理としてこの三要件は含まない、七月一日以前の三要件。当たり前のことを聞いています。何で答えないんですか。イエスかノーかで答弁ください。
  139. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 第一要件に我が国に対する急迫不正の侵害があることということで、前の三要件であると認識しております。
  140. 小西洋之

    ○小西洋之君 もう一度だけ聞きます。限定的な集団的自衛権を法理としてその前の三要件は含まないという理解でよろしいですか。何でこんなことが答えられないんですか。イエスかノーかで答えてください。
  141. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昭和二十九年当時の安全保障環境を当てはめた要件であると思っております。(発言する者あり)あっ、六十年。六十年ですね、昭和六十年。これは、旧三要件で、我が国に対する急迫不正の侵害があるということで、昭和六十年の発言であると思っております。(発言する者あり)
  142. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  143. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  144. 小西洋之

    ○小西洋之君 びっくりするような答弁拒否が来ましたので、では別の聞き方を。これは答えられるはずですので。  三要件、七月一日以前の九条の下の自衛権発動の三要件は限定的な集団的自衛権行使を許容していないと、そういう理解でよろしいですね。
  145. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのとおりだと思います。当時の当てはめにおいて自衛権の範囲考えたということで、集団的自衛権は入っていないということでございます。
  146. 小西洋之

    ○小西洋之君 では、三部資料を配らせていただいたうちの防衛庁の政府見解ですね、この横書きの。大臣、お手元に、見てくれています。秘書官、すぐ渡していただけますか。お手元にありますか、防衛庁の政府見解。この横書きのものです。中谷大臣に聞きますので、早く資料をお手元に。三つお配りしているうちの一番上です。  お手元に今行きました。では、質問させていただきます。そのマジックを引いたところですね。こちらですね、三部資料をお配りさせていただいておりますので。「自衛行動の範囲について」というものでございます。  中谷大臣に伺います。  このマジックを引いているところですね、憲法九条の下において許容されている自衛権の発動については、政府は、従来からいわゆる自衛権発動の三要件、我が国に対する急迫不正の侵害があること、この場合に他に適当な手段がないこと及び必要最小限度実力行使にとどめるべきことに該当する場合に限られると解しているということですけれども、今私が読み上げました自衛権発動の三要件に係るこの三つの事項、これは、先ほど確認いただいた昭和六十年、二十九年でも結構ですけど、三要件と全く同じ内容という理解でよろしいでしょうか。当たり前のことを聞いています。
  147. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そのとおりであると思います。
  148. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  では、先ほどの三要件、昭和二十九年あるいは昭和六十年の三要件には限定的な集団的自衛権は許容されていないという答弁をいただきました。そうすると、今確認いただいたこの防衛庁の政府見解の中に自衛権発動の三要件に該当する場合に憲法九条の自衛権の発動は限られると書いていますから、この中には限定的集団的自衛権は許容されていないと、この文章の三行において、という理解でよろしいですか。
  149. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当時の認識といたしましてはそうであったと思います。
  150. 小西洋之

    ○小西洋之君 当時の認識というのがよく分からないんですが、許容されていないということでよろしいですか。許容されているか、されていないかだけを答えてください。
  151. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当時の三要件でございますので、許容されていないということでございます。
  152. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございます。明確な答弁をいただきました。  では、先ほどの横畠長官に読み上げていただいた紙にまた戻っていただきまして、一枚めくって三ページに行っていただけますでしょうか。  昭和四十七年政府見解の中に集団的自衛権があることを発見した、昭和四十七年政府見解でございますけれども、四十二年ぶりに今まで誰にも発見されていなかった集団的自衛権をこの中に発見した、だから憲法違反ではないんだというふうに安倍内閣は言っているところでございます。  それの考え方でございますけれども、三ページの議事録、これはもう確認させていただいたので、私が読み上げて、最後、中谷大臣にこのとおりで間違いないか確認だけさせていただきますけれども、上の線を引いたところですね。集団的自衛権のうち限定されたもの、つまり限定的な集団的自衛権行使するということは、昭和四十七年政府見解のいわゆる基本的な論理①、②に現に含まれていると、法理として含まれているということ、それは、下ですね、昭和四十七年政府見解を作ったときに、作った当時から法理として含まれている、こういう理解でよろしいですか。イエスだけで結構です。
  153. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、①、②、まさに基本的論理でございますので、含まれているということでございます。
  154. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  次めくっていただきますと、ちょっとこれは私、安保法制を阻止するための本を書かせていただいたんですけれども、ちょっと飛ばさせていただきまして、次の五ページでございます。これは、八月三日の私が横畠長官に質問させていただいたことですけれども、もう確認されていますけれども、いま一度中谷大臣に伺わせていただきます。  この昭和四十七年政府見解を作った方ですね、当時の内閣法制局長官の吉國さん、次長の真田さん、一番上の二重線のところを御覧いただけますか、角田第一部長さん、あと起案された早坂参事官、この方々が、その下の方に行っていただいて、限定的な集団的自衛権を含む基本的な論理を、一番下の段落に行っていただきますと、右側ですね、この四人の頭の中にその基本的な論理が当時からあったんだと、その当時からあった限定的な集団的自衛権の論理をこの昭和四十七年政府見解に書き込んだと、そういう理解でよろしいですかと私が聞いたら、横畠長官は、下線のところですけれども、基本的な論理の部分は、その四十七年政府見解で示された基本的な論理であるという、そういう考え方を当時の担当者は皆持っていたと。  つまり、限定的な集団的自衛権を含む基本的な論理を頭の中に持っていて、それを四十七年見解の中に書き込んだというふうに横畠長官は答弁しているんですけど、こうした答弁は政府見解としてよろしいでしょうか。イエスかノーかだけでお願いいたします。
  155. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 横畠長官が答弁したとおりでございます。
  156. 小西洋之

    ○小西洋之君 ありがとうございました。  では、これから安倍内閣が行った解釈改憲、そして安保法制を根底から覆す追及をさせていただきます。  実は、昭和四十七年政府見解には二つの政府見解があったんです。今まで、安保国会が開かれてから、衆議院からずっと追及されている限定的な集団的自衛権が含まれているという政府見解と同時に、実は全く同じ日です、昭和四十七年の十月十四日に、こちらは内閣法制局が作って参議院の決算委員会に提出した、こちらは防衛庁が作って参議院の決算委員会に提出した、そしてそれは同じく、一か月前の九月の十四日、社会党の水口議員の要求によって作られた政府見解でございます。  中谷大臣に伺います。先ほど中谷大臣は、この防衛庁の政府見解には限定的な集団的自衛権は許容されていないと明確に答弁をなさいました。しかし、この昭和四十七年政府見解には、これを作った人の頭の中に限定的な集団的自衛権の論理があって、それが書き込まれているんだと今明確にお認めに、答弁なさいました。同じ日に我が参議院に提出された政府政府見解が矛盾するんです。  中谷大臣に伺います。安倍内閣として、どちらの政府見解が正しいと考えているんでしょうか。両方正しいのか、あるいは両方間違っているのか、どちらかが正しいのか、どうですか、明確に答弁お願いいたします。
  157. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 両方正しくて、矛盾しておりません。  というのは、この昭和四十七年当時、集団的自衛権憲法との関係で示された基本的な論理に言うところの、外国武力攻撃によって国民生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に当たるのは、我が国に対する武力攻撃が発生をした場合のみであると認識をされておりました。この「自衛行動の範囲について」は、そのような認識の下で、従来からのいわゆる自衛権発動の三要件を前提として、我が国に対し外部からの武力攻撃がある場合において、憲法第九条が許容している自衛行動の範囲について説明したものでありまして、二つの資料が矛盾するものとは考えておりません。
  158. 小西洋之

    ○小西洋之君 今の中谷大臣の答弁はもうずっと繰り返している詭弁の答弁なんですけれども、関係ないんですね、事実認識は。  法理として、憲法九条の下において集団的自衛権行使が許される法理、論理が、政府見解として書かれているかどうかが問題なんです。防衛庁のこの政府見解、この中には限定的な集団的自衛権は許容しないと、していないと明確に答弁をされました。ところが、昭和四十七年政府見解にはこれはあるというふうに言っています。あると言っているのは安倍内閣だけですけれども、ないんですけれども。  もう一度答弁をお願いをいたします。昭和四十七年政府見解には限定的集団的自衛権があると安倍内閣は主張する。しかし、今自らお認めになりました、同じ日に出された防衛庁、あなたが率いる防衛省の、かつての防衛庁です、が作った政府見解です。どっちが正しいんですか。
  159. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 矛盾をいたしておりません。  この四十七年当時の集団的自衛権憲法との関係で示された基本的な論理に言うところの、外国武力攻撃によって国民生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に当たるのは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみであると認識をされていました。「自衛行動の範囲について」は、そのような認識の下で、従来からのいわゆる自衛権発動の三要件、これを前提として、我が国に対して外部からの武力攻撃がある場合において、憲法九条が許容している自衛行動の範囲について説明したものでありまして、この二つの資料が矛盾しているものであるとは考えておりません。
  160. 小西洋之

    ○小西洋之君 先ほどの山口繁最高裁長官、インタビューでこういうふうにおっしゃっています。昭和四十七年政府見解ですね、そこに、集団的自衛権憲法上許されないと書いてあるものを許されるというふうにする、こんなプラスとマイナスが両方成り立てば、憲法解釈とは言えないというふうに言っているわけですけれども、まさに今、ここにプラスとマイナスが具体例として存在しているわけです。  四十七年見解の中には限定的な集団的自衛権はあるというふうに安倍内閣はおっしゃっている。しかし、当時の防衛庁の出した政府見解、全く同じ日に参議院の決算委員会に出した政府見解、しかも同じ質疑者に基づくものです、は限定的な集団的自衛権はないというふうに言っているんです。プラスとマイナスなんです。  山口長官のお考えが正しい、憲法違反のことをしているんじゃないんですか。
  161. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 基本的な論理に基づいて当時の当てはめとして書いたわけでございますので、矛盾はしていないということでございます。
  162. 小西洋之

    ○小西洋之君 防衛庁の政府見解に書かれている、我が九条の下において許容されている自衛権の発動については、政府は、従来からいわゆる自衛権の発動の三要件、飛ばします、に該当する場合に限られると解している、これは当てはめなんですか。違いますよ。憲法規範そのものですよ。これは当てはめなんでしょうか。
  163. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当てはめの結果だと思っております。
  164. 小西洋之

    ○小西洋之君 では、政府統一見解を求めます。これは当てはめの結果ではなくて憲法規範そのものなんですけれども、これが当てはめの結果であるという論理的な理由を委員会に提出いただきますようにお願いいたします。
  165. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件に関しましては、後の理事会においてお諮りをいたします。
  166. 小西洋之

    ○小西洋之君 では、今の中谷大臣の答弁が全くの間違いであることを決定的な証拠でお示しをさせていただきます。  防衛庁の資料を一枚おめくりいただけますでしょうか。防衛庁の政府見解ですね、一枚おめくりいただけますか、中谷大臣。お手元にあります一枚おめくりいただけますか。起案文書が現れます。昭和四十七年十月十三日に決裁されている起案文書です。この長官という判こですね。防衛庁の政府見解です。秘書官、大臣を補佐してください。ここの長官という決裁欄の、その長官のお名前を読み上げていただけますか。
  167. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 吉國長官です。
  168. 小西洋之

    ○小西洋之君 実は、この防衛庁の政府見解というのは、この昭和四十七年政府見解を作った吉國長官が決裁しているものなんです。なぜかといいますと、防衛庁は、この政府見解参議院の決算委員会に出すに当たって内閣法制局に同じ憲法九条の解釈を聞いたものですから、それを内閣法制局に協議をしたんですね。それを受け止めた法制局が協議を決裁しているわけです。吉國長官、真田次長さんは「了」として、角田第一部長は「角」というサインをされています。  もう一度、中谷大臣に伺います。  中学生が考えても分かる、もう不正です、詭弁です。誰が考えても分かる真っ黒な憲法違反です。同じ吉國長官たち、内閣法制局の幹部が決裁した防衛庁のこの政府見解は、我が国九条の下で武力行使ができるのは、我が国武力攻撃が発生したかつての三要件の下、それに限られると。かつ、あなたは、限定的な集団的自衛権は許容していないと、この政府見解は、と明確に答弁をされていました。しかし、安倍内閣は、この四十七年政府見解、内閣法制局の政府見解については限定的な集団的自衛権が含まれると言いました。  同じ人たちが作ったものに、なぜプラスとマイナスが出るんでしょうか、限定的集団的自衛権があるとないなんでしょうか。なぜあるとないが出るんでしょうか、明確に答弁をください。
  169. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当時の基本的な論理に基づいて当てはめた結果、そのように認識をしていたということでございます。
  170. 小西洋之

    ○小西洋之君 その当てはめという意味が分からないんですけれども。意味が分からないというのは、全くのしようがない、もう答えようがない詭弁を言っているだけでございます。もうこれ、常識論の闘いなんですね。中学生や高校生でも分かるような、解釈改憲では単なる不正、広辞苑でいうところのインチキの上に成り立っているわけです。もう論理的に答えようがないから、論理的に整合しないことを必死に言い張っているわけでございます。  じゃ、中谷大臣に伺います。この四十七年政府見解とこの防衛庁の政府見解憲法九条の解釈として同じなんですか、あるいは解釈として違うんですか。
  171. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 基本的な論理につきましては、文言で書かれていますけれども、自衛の措置、これが認められているわけでありますので、それに当てはめてみた結果であるということでございます。
  172. 小西洋之

    ○小西洋之君 もう一度中谷大臣に伺うんですけれども、もう何回言ってもその当てはめという訳の分からない答弁しかされないんでしょうけれども、これ、明確に、安倍内閣の見解によれば、今大臣答弁したとおりですよ。二つの憲法九条の解釈が、同じ日に参議院に提出された政府見解で存在することになるんです。どっちが正しいのか。当たり前です、防衛庁の政府見解が正しいんです。本来、この四十七年見解も正しい解釈なんですけれども、それをねじ曲げているところでございます。  じゃ、中谷大臣に、また重ねて伺わせていただきます。  先ほど横畠長官に読み上げていただいた資料をちょっとおめくりをいただいて、たくさんの資料の方ですね、六ページを御覧いただけますか、六ページ。  実は、この昭和四十七年政府見解防衛庁の政府見解を作った三人の方のうちの角田当時第一部長ですけれども、内閣法制局長官になられた方で、最高裁の判事も務められた方です。最高裁の判事も務められた、憲法の番人でもあった方ですけれども、その方のインタビュー記事が載っております。  高校野球の野球球児の写真がありますけれども、その隣に下線を引いていますね。ここの下線を引いた文章を読み上げていただけますか、中谷大臣
  173. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 横畠君がそう言っているの。そう分析した記憶はないし、そう理解はなかったと思いますね。ここに書かれている外国武力攻撃は、日本そのものへの攻撃のことです。日本が侵略をされていないときにどうなる、なんて議論は当時なかった。これを根拠に憲法改憲なんて夢にも思っていなかった。いや、よく掘り出したものだね。
  174. 小西洋之

    ○小西洋之君 今まさに読み上げていただいたとおりなんです。この政府見解を作った本人が、この昭和四十七年政府見解外国武力攻撃という裸の言葉を、我が国に対する外国武力攻撃に決まり切っている、それしかない、防衛庁の政府見解はまさに我が国に対する武力攻撃しか言っていないです。まさにそうなのに、同盟国に対する武力攻撃も読めるというふうに言って集団的自衛権をつくり出しているんですけれども、それを真っ向から作った方が否定されているんです。  中谷大臣に伺います。  この角田元長官、元最高裁判事の、見解を作った本人ですが、これは間違いなんでしょうか。中谷大臣、どうぞ。
  175. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 昭和四十七年の政府見解は、その結論は、まさに我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみ武力行使ができるということでありまして、従来の自衛権発動の三要件そのものが結論でございます。これすなわち、御指摘の、当時の防衛庁の提出ペーパーの内容とも全く整合するものでございます。  昭和四十七年見解の法理と言い、また①、②の基本論理と申し上げているのは、その結論を導くその前提としての物の考え方でございます。つまり、憲法九条の下でも我が国として自衛権の行使が許される、なぜかということでございまして、我が国として憲法九条の下でも自衛権は否定されていないこと、しかしながら、最小限であって、まさに国民生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対処する必要最小限のもののみが許されるという考え方を述べているわけでございます。  そこで、その結論に至る前の事実認識、当時の事実認識としましては、これに該当する場合は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという事実認識を前提にしていると述べているわけでございまして、御指摘の元法制局長官の答弁、答弁ではないですね、週刊誌の記事でございますね、この引用部分も、まさに当時の事実認識を述べているものと理解しております。
  176. 小西洋之

    ○小西洋之君 まさに安倍総理の顧問弁護士、法の番人ではなくて安倍総理の顧問弁護士らしい立派な三百代言でございました。  全国の弁護士を始め、法律の専門家に申し上げます。今、横畠長官がるる答弁した詭弁ですけれども、八月三日に私の質疑において政府統一見解を求めて、既に委員会の理事会に提出されております。私のホームページで公開をしております。全く論理的に破綻したものです。我が国の全法律家の総力を挙げてこの安倍内閣の空前絶後の、あえて申し上げます、クーデターです、これを阻止していただきたいと思います。  じゃ、この週刊誌の記事のもう一ページをおめくりいただけますか。  これ一言だけ申し上げますけれども、これ私、何度ももう中谷大臣にもやらせていただきましたけれども、この昭和四十七年政府見解を作った吉國長官、真田次長、角田第一部長、皆さんが、昭和四十七年政府見解の中には限定的な集団的自衛権も含めて影も形も存在しないということを答弁で明確に明言をしているところでございます。作った三人の本人が安倍内閣の見解を全否定しているんです。  じゃ、次のページ、おめくりいただけますか。  これは、昭和二十九年六月の二日に参議院の本会議で可決された参議院の本会議決議でございます。中谷大臣も何回も伺ったことがありますけど、上から十行目ぐらいの黒い文字、ゴシック体、御覧いただけますか。憲法九条の「自衛とは、我が国が不当に侵略された場合に行う正当防衛行為であつて、それは我が国土を守るという具体的な場合に限るべきもの」であるというふうに言っております。  これは、先ほどの中谷大臣がお認めになった防衛庁の政府見解の旧三要件と同じ考え方であるという理解でよろしいですか。
  177. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御質問参議院の本会議決議は、昭和二十九年六月二日の自衛隊海外出動を為さざることに関する決議であると承知しております。  御指摘の本会議決議の有権的な解釈につきましては行政府としては申し上げる立場にはございませんが、それから、現在におきまして非常に想像も付かないほど状況変化をしておりまして、今や脅威は容易に国境を越えてくる時代となりまして、もはやどの国も一国のみでは自国の安全を守れない時代となりまして、こういった安全保障環境の大きな変化を踏まえれば、新三要件の下に、他国に対する武力攻撃であっても、我が国の存立を全うし国民を守るための必要な自衛の措置として限定的な集団的自衛権行使が許容されると判断に至ったものでございます。  この平和安全法制につきましても、自衛のための必要最小限度武力行使しか認められないという従来の政府見解における憲法第九条の解釈の基本的な論理、これは全く変わっておらず、合憲性と法的安定性は確保されると認識しております。
  178. 小西洋之

    ○小西洋之君 大臣が食い込んでしまいましたので。  この今の本会議決議、最後御覧いただけますか。「憲法の明文が拡張解釈されることは、誠に危険なことであります。故にその危険を一掃する上からいつても、海外に出動せずということを、国民の総意として表明しておくことは、日本国民を守り、日本の民主主義を守るゆえんであると思うのであります。」というふうに言っております。つまり、憲法の解釈改憲を禁止する本会議決議なんです。  鴻池委員長が先日、八月の三日、貴族院が止められなかったあの軍部の戦争に至った道というものを十分反省しながら参議院の存在を一生懸命つくり上げたという、まさに参議院の趣旨をかなえる決議であろうかと思います。  こういう安倍内閣の解釈改憲と矛盾する本会議決議があるのに、参議院の本会議を開かずに六十日ルールということが言われておりますけど、そんなことをするのは参議院の否定そのものであるということを大臣ほか皆様に申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。  ありがとうございました。     ─────────────
  179. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、石田昌宏君が委員辞任され、その補欠として堀内恒夫君が選任されました。     ─────────────
  180. 川田龍平

    川田龍平君 維新の党の川田龍平です。初めてこの平安特の質疑に立たせていただきます。よろしくお願いします。  まず、政府案の存立危機事態と、維新案の武力攻撃事態との違いについて、維新の発議者に伺います。
  181. 小野次郎

    委員以外の議員(小野次郎君) お答えいたします。  極めて核心をついた質問をいただきました。  私どもが、昨年七月の閣議決定の中で、全てに賛同できるわけではありませんが、同じ思いをしましたのは、これまでの個別的自衛権と集団的自衛権のいわゆる解釈の境界線というものが、常に必然的に憲法適合性の合憲と違憲の境界線とは限らないという内容の部分でございました。  我が党は、その結果、自衛権の再定義、我々が憲法によって容認されている自衛権というのはどういう行使なんだろうか、行使の態様なんだろうか、そのことを考えてまいりまして、我が国に対する武力攻撃に対して必要不可欠、必要最小限の武力でこれに反撃する、撃退するということが許される、こういった内容であるということを確認したわけでございます。  政府案の存立危機事態は、多くの法律専門家、もちろん政府・与党関係者を除いてですけれども、ほとんどの法律専門家から違憲と断じられています。その理由として、もちろん集団的自衛権に踏み込んでいるということを理由に挙げる方が多いわけですが、それ以外にも、この存立危機事態の構成要件が曖昧であって、その該当性を政府に一任している、いわゆる外形標準型になっていない、具体的な標準型になっていないということを挙げておられる方もおられます。そしてまた、何よりも大事なことは、我が国に対する武力攻撃を想定しないケースまで対象に含めている、いわゆる戦禍の禍、災いが日本に拡大波及した場合であっても自衛権発動の理由にしてしまっているというところでございます。  これに対して我々は、憲法適合性の枠内での対案というものを考えました。我が党の武力攻撃危機事態は、軍事力の発動要件というものは、一国の軍事力の発動は最も厳格な要件によって行われなきゃいけないということで、具体的な外形標準の構成要件にしました。そしてまた、同じように、我が国に対する武力攻撃と同視できる極めて限定した事態に限ってこの自衛権の発動を認めるという形にしたのがこの武力攻撃危機事態と存立危機事態の違いでございまして、武力攻撃危機事態で想定している一番典型的な例は、日本周辺の公海上で自衛隊とともに我が国防衛している米艦船が攻撃を受けたという場合に、第二撃が我が国に及ぶ明白な危険がある場合には、その第一撃の時点で我々も反撃、撃退の行動に出るということを想定しているわけでございます。  自公両党と今与野党の協議もしておりますけれども、その中においても、この違憲の疑い、憲法違反の疑いが濃厚である存立危機事態の構成要件について、憲法適合性が認められる内容になるよう改めていただくよう強く、粘り強く求めているところでございます。
  182. 川田龍平

    川田龍平君 明瞭なお答えありがとうございます。  それでは、その政府案について質問させていただきます。  まず、政府の積極的平和主義、プロアクティブ・コントリビューション・ツー・ピースについて伺います。プロアクティブとは、辞書を引くと、先取りする、先を読んで行動を起こす、対語はリアクティブですけれども、つまり、このプロアクティブな平和への貢献とは、攻撃があった際にのみリアクティブに武力を用いる専守防衛ではなく、先取り的に武力を用いるという意味が秘められているという理解でよろしいでしょうか。
  183. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 積極的平和主義に、先取り的に武力を用いるという意味は一切ないと考えます。私は、むしろ積極的に世界の平和実現を求めていくと、積極的にというふうに理解しております。  そして、今回の平和安全法制、これによりまして、我が国武力行使が可能となるのはあくまでも新三要件を満たす場合に限られておりまして、我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したことが前提でありまして、我が国が先取り的に武力行使するということはあり得ない、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢である専守防衛にいささかの変更もないということでございます。
  184. 川田龍平

    川田龍平君 他国戦争に積極的に参戦するために集団的自衛権行使したり、国連の集団安全保障措置において武力を用いる行動にも参加しようとしていることからも、安倍総理が込めた意味は明らかだと私は思います。大臣は総理の真意を理解していないというふうに思います。  ノルウェーのヨハン・ガルトゥング博士が提唱している積極的平和、ポジティブピースについて、政府はどのように理解していますでしょうか。
  185. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のノルウェーの平和学者ガルトゥング博士の説ですが、消極的平和と積極的平和という言葉を使われています。消極的平和は、戦争がない状態とされていると承知しています。そして、積極的平和については、単に戦争がない状態だけではなくして、貧困ですとか搾取あるいは差別、こういった構造的な、構造的暴力と言っておられるようですが、こうした構造的な暴力がなくなった状態、これを積極的平和と定義されていると承知をしています。
  186. 川田龍平

    川田龍平君 今答弁いただいたように、博士の積極的平和とは、貧困、抑圧、差別などの構造的暴力がないという定義です。  安倍政権の積極的平和主義は、この言葉を誤用、盗用しているとの批判もありますが、二つの言葉はどのような関係にあるんでしょうか。
  187. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) そのガルトゥング博士の積極的平和と我が国が進めている積極的平和主義の関係について御質問いただきましたが、まずガルトゥング博士の積極的平和については先ほど申し上げました。  そして、我が国の積極的平和主義ですが、平和というものは唱えるだけでは実現することができない、我が国はこれまで以上に積極的に国際社会の平和や安定に貢献していこうという基本的な考え方に基づいて、その中身としまして、先ほども少し申し上げさせていただきましたが、人間の安全保障ですとか、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジですとか、開発協力、あるいは軍縮・不拡散、法の支配、あるいは女性の人権を始めとする人権の擁護、こうしたテーマを通じて、我が国の得意な分野においてしっかり貢献していく、これが基本的な考え方であると思っています。  こうした取組考えますと、先ほどのガルトゥング博士の積極的平和の定義として、貧困や搾取あるいは差別などの構造的暴力がなくなった状態という定義を紹介させていただきましたが、この貧困や搾取、差別に対処すべきであるという観点においては、ガルトゥング博士の積極的平和と我が国の積極的平和主義は重なる部分は多いのではないか、このように考えております。
  188. 川田龍平

    川田龍平君 我が国ではこれまで、このような、今おっしゃったような医療、貧困、差別の解消への取組をNGOなどと協力して人間の安全保障として行ってきました。  この積極的平和主義について、人間の安全保障を共に担うNGOに対して外務省は理解を得る努力をしていないのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  189. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 先ほど答弁させていただきましたように、我が国の進めようとしている積極的平和主義の中身としまして、人間の安全保障、これは大変重要な課題であると考えています。  国連において、この人間の安全保障をそもそも最も積極的に訴えているのが我が国であります。人間の安全保障については、人間一人一人に焦点を当てて、その保護と能力の強化を通じて国の発展や社会の繁栄を実現していく、こういった考え方であります。これは、これからも大事な考え方であり、しっかりと国際社会に訴え続けていかなければなりません。  そして、NGOの皆さんと十分この考えを共有できていないのではないか、こういった指摘がありましたが、今申し上げました考え方は国際社会に対して堂々と発信すべき課題であると思いますし、この点についてはNGOの皆さんにも御理解いただけると考えます。  御案内のとおり、NGOの皆さんとは、外務省、政府としましても、定期的な協議の場を設けさせていただいています。こうした場等を通じて、是非これからもこうした取組考え方、しっかりと御理解いただけるように努力は続けていきたいと考えます。
  190. 川田龍平

    川田龍平君 私は全く不十分だと思います。  NGO非戦ネットというのを始め、多くのNGOがいまだにこの法案に強く反対している理由は何だと考えているでしょうか。彼らは、そして私たち国民は、今回の安保法制について勘違いをしているというんでしょうか。いかがでしょうか。
  191. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今回の法案を通じて説明させていただいている我が国外交安全保障というものは、まずは外交を通じて好ましい国際環境をつくっていく、こうした努力を続けるのが外交安全保障の要諦であるとさせていただき、そして、紛争につきましても、紛争を平和的に外交の手段を使って解決していく、これが重要であるということをまず申し上げた上で、万が一の事態備えて、切れ目のない安全保障体制をしっかり整備するべきではないか。さらには、国際社会にしっかり貢献をし、そして、そのことによって好ましい国際環境をつくって、ひいては我が国国民の命や暮らしの安全もしっかり守っていく、こういったことにつなげていく、このための平和安全法制であるという御説明をさせていただいています。  様々な御意見があります。そして、まだ分かりにくいという御意見がある。これも謙虚に受け止めなければなりませんが、引き続きまして、今政府が議論をお願いしているこの法案の全体像、基本的に何を目指しているのか、何をしようとしているのか、この基本的な部分を中心に、しっかり御理解いただけるように努力を続けていきたいと考えています。
  192. 川田龍平

    川田龍平君 この概算要求においては、防衛費は過去最大となる五兆九百十一億円。一方で、人間の安全保障予算、僅かに千八百五十六億円。これでは、積極的な平和主義とは、先取り的に武力を用いるという意味にすぎないということになりかねないでしょう。では、どうでしょうか。
  193. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 予算について御質問がありました。  予算の大きさにつきましては、内容によってこれはいろいろな条件、制限がありますので、金額の大きい小さい、これをもって比較するのが適当ではないとは思いますが、ただ、基本的な考え方、我が国として何をしようとしているのか、こうした考え方をしっかり説明していくことはまずもって何よりも大事だと思います。  その上での予算だと思っておりますので、この平和安全法制を通じて、我が国は基本的にどんな考え方を持っているのか、そして、そもそも何をしようとしているのか、その議論の一部一部、様々な用語が飛び交いますし、いろんな議論が行われます。部分部分についてもしっかりと議論はしなければいけませんが、そもそも、先ほど申し上げました、全体として、我が国はこの外交安全保障においてどんな考え方を持ってどうしようとしているのか、こういった全体像をしっかり説明することは大変重要だと考えております。
  194. 川田龍平

    川田龍平君 それでは、その全体像だけではなくて、部分部分をしっかりやらなきゃいけないと思います。それがはっきりしないから、国民としては理解できない、理解している人も反対しているという状況だと思います。  それでは、駆け付け警護や後方支援での武器使用に関してNGOのリスクが高まる件について伺います。  駆け付け警護の必要性の根拠として、一九九四年のザイールにおける日本のNGO、AMDAの医療スタッフが自衛隊にSOSを出した事例があります。私の事務所が問い合わせたところ、AMDAとしては、法案について、駆け付け警護について賛成でも反対でもないということでした。  NGOの中で駆け付け警護を要望している団体はないと思いますが、いかがでしょうか。あるならば、その団体名も教えてください。
  195. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府としては、NGOの皆様方と平素から機会を捉えて様々な意見交換を行っているところでありますが、今般のPKO法の改正によりまして規定されている駆け付け警護について、国会での議論に先駆けて個別のNGO団体からの要望を確認したことはございません。  ただし、緊急時において、PKO部隊に安全確保のために活動することを期待する旨、これを過去表明をした団体は存在をいたします。
  196. 川田龍平

    川田龍平君 団体名を言ってください。
  197. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先方との関係もありまして、団体名をお答えすることは差し控えますが、実例として、先生も御存じでございますが、平成六年のザイール・ゴマのキブンバ・キャンプ、ここで活動をしていた団体の方から、強盗をされたと、状況説明とゴマ市内までの輸送要請を受けまして、自衛隊の宿営地から車両四両を現地に派遣をし、邦人四名を含むAMDAの要員十三名、これをゴマ市内まで輸送いたしました。  こういった実例もございますが、私も海外へ行ってPKOの現場へ行きましてNGOの方とはお話をさせていただく機会がありましたが、外国のNGOなどは、あえて自分の国の軍隊の近くに拠点を設けて、そういう形で逆に安全を確保しながら活動している団体もございまして、海外におきましては、お互いに利点、長所を得ながらやっている団体もあるということを、話を聞かされたことはございます。
  198. 川田龍平

    川田龍平君 大多数のNGOは反対していますし、名前を挙げられないということは存在しないと同じだと思います。  そして、ほとんど大多数のNGOは反対をしていて、本当に今回、当時の自衛隊がこのAMDAスタッフ、先ほど話されたように、難民キャンプへ迎えに行ったというところで、国連の職員の事務所にいたこの国連の職員からは、自衛隊が来ると逆に難民の緊張が高まってしまう、早く引き揚げてくださいと告げられたそうです。中谷大臣はこのことをどのように考えますか。
  199. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘をいただきまして、私も初めて伺いました。  この点につきましては、当時の現場で個別具体的な発言まで把握をしているわけではございませんが、いわゆる難民キャンプの状況というのはその場所の状況によってそれぞれ異なるわけでございまして、PKOの歩兵部隊が国内避難民のキャンプのパトロール、また警護などを行っているときに、一概に部隊の車両や要員が難民キャンプの周辺に所在をすることが緊張を招くことも考えておりませんし、こういった緊急事態の要請について、やはり駆け付けることができるということはそれなりのメリットがあるのではないかなというふうに思います。  なお、このザイールのゴマのケースでも、自衛隊が輸送したAMDAの要員の方々から感謝の意が表明されていると承知をいたしておりまして、国際活動の現場で危険な状況にある活動関係者の保護、これは政府としても、私も非常に重要なものではないかと考えております。
  200. 川田龍平

    川田龍平君 自衛隊の内部資料によれば、南スーダンでの駆け付け警護を想定しているようですが、NGOの日本国際ボランティアセンター、JVCのスーダン現地代表の今井さんによれば、南スーダンでは隣国のウガンダが軍隊を派遣したのがきっかけになり、住民が在留ウガンダ人への襲撃を開始、自国民を救出する名目の軍隊の派遣が逆に自国民を危険にさらすことになったとのことですが、この事実を政府はどのように理解しているでしょうか。
  201. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の件ですが、二〇一三年の十二月の十五日ですが、首都ジュバにて大統領警護隊同士の衝突が発生しました。このことを受けて、二〇一三年十二月二十一日、ウガンダの外務報道官が、ウガンダ人が約二万人程度とどまっていると推測される、そしてウガンダ政府は在留ウガンダ人の救出を目的にウガンダ軍をスーダンに派遣した旨、発表いたしました。そして、それとともに、同日の時点で少なくとも五名の在留ウガンダ人の死亡を確認している、こうした発表が行われました。  要は、こうした南スーダンへの軍隊派遣と在留ウガンダ人死亡との間の因果関係ということですが、この因果関係につきましては日本政府としてお答えする立場ではないと考えておりますが、いずれにしましても、今、国会において我が国としてこの在留邦人の保護措置を実施する等の取組を御審議いただいているわけですが、我が国取組は、あくまでも領域国の当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっているですとか、戦闘行為が行われていないと認められることですとか、予想される危険に対して保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うために自衛隊と領域国の当局との連携及び協力の確保が見込まれること、こういった実施の要件を定めています。  よって、これは極めて安定した条件の中で行うわけでありますので、我が国自衛隊の派遣が御指摘のような結果につながるという御指摘は当たらないのではないかと考えます。
  202. 川田龍平

    川田龍平君 防衛大臣はいかがでしょうか。
  203. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 外務大臣がお答えしたとおりでありますが、そもそもウガンダは、国連のPKOの一員として南スーダンに派遣されているものでも、その他の国連決議や国際機関の要請に基づいて派遣をされているものでもありません。  したがいまして、御指摘の事例と我が国国際社会の平和及び安全のために自衛隊海外に派遣することを同列に扱って論じることは適切ではないと、我が国は五原則に基づきまして安全を確保しながらPKO活動をやっているということでございます。
  204. 川田龍平

    川田龍平君 現地の住民がその国連の決議があるかどうかというのを知っている、その軍隊として見ているということだと思いますか、アフリカの人が。
  205. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 確かに、現地の方はそういうことは存じていない場合が多いと思います。  ただ、こういった活動におきましては、PKOという国連の活動で、しっかりとした組織の中で各国が活動役割分担をしながらやっている活動でありまして、逆に、こういった活動がないと更に紛争が長引いて平和が確保されないという面もございます。  我が国もこの活動、二十年以上参加しておりますが、あくまでも五原則、これをベースに安全の確保を行いながら、また住民の皆様方の状況をよく調査をし、把握しながら、このPKO活動、これを続けているということでございます。
  206. 川田龍平

    川田龍平君 コソボ紛争の際に、空襲でNATO加盟国の在ユーゴ大使館が閉鎖された中、日本大使館は残り続けて、最後まで中立を貫きました。そして、コソボ側に西側の支援が集中する中、日本はセルビア側にも医療支援を行いました。また、二〇〇二年の一月に東京でアフガニスタン復興国際会議を主催して以来、アフガニスタン支援で主導的な役割を果たしてきました。  このような活動こそ、七十年間平和主義を守ってきた日本ならではの積極的な平和への貢献なのではないでしょうか。
  207. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘のように、外交を通じて平和を守る、これはもう誠に重要な取組であります。我が国としましても、今後とも積極的に国際社会の平和や安全に貢献していきたいと考えています。  御指摘のコソボ紛争におきましても、我が国は、一九九八年二月以降、ユーゴスラビア政府及びコソボ・アルバニア人との間で人道上の惨劇が発生したことを受けて、人道的な見地からコソボの難民、避難民に対する支援を積極的に実施をいたしました。  また、アフガニスタンにおきましても、これは御指摘がありましたように、二〇〇二年、アフガニスタンに関する東京会合を主催いたしました。合わせて五十八億ドルの支援を治安維持能力の向上あるいは開発分野に我が国は行っております。主導的な役割を果たしてきました。  こうした取組は、今後とも積極的平和主義の観点からしっかりと続けていかなければならないと考えます。
  208. 川田龍平

    川田龍平君 この人道復興支援に、自衛隊海外に出たらNGOなど邦人リスクが高まるとの懸念がありますが、この点、維新案の発議者はどのように考えていますでしょうか。
  209. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) 川田にお答えをいたします。  憲法第九条で明らかなように、自衛隊海外、厳密には他国領域内での武力行使はできません。そういう意味においては、我が国自衛隊は通例の軍隊ではありませんので、平和国家日本に最もふさわしい自衛隊海外活動米軍等の後方支援ではなくて、この人道復興支援であると考えております。  このため、私どもの案におきましては、正式な停戦合意がなくても、残党勢力による組織的、継続的な抵抗の意思のない状況であれば、たとえ危険が残ったとしても人道復興支援を可能としております。このことによって、自衛隊が人道復興支援に邁進をし、我が国平和国家としての姿をしっかり示すことができると、そして、このことがNGOを含め、我が国リスクを低減させることにつながるものと考えております。
  210. 川田龍平

    川田龍平君 時間がありませんのでこれで終わりますが、自衛隊他国軍への後方支援、兵たんなどでこの活動範囲を大幅に広げることは、NGOの活動の障害となるだけでなく、私たちの命を逆に危険にさらすものになりかねないとして、是非政府案は撤回していただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。  ありがとうございました。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕     ─────────────
  211. 佐藤正久

    ○理事(佐藤正久君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、猪口邦子君が委員辞任され、その補欠として高野光二郎君が選任されました。     ─────────────
  212. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  一昨日の委員会で我が党の仁比議員が明らかにいたしました河野統幕長の訪米記録の問題について質問をいたします。  この資料の存否を明らかにし、そして提出をするようにということで、中谷大臣には資料そのものを手渡しをいたしました。この中身は、政府も決めていないような、そして国会にも語られていないような中身を自衛隊のトップが米軍に行って語っている。首相や防衛相が知っていたとするならば政府ぐるみで国会を欺いたことになるし、知らなかったとすれば自衛隊の暴走で、シビリアンコントロールが利かずに指揮監督責任も果たしていないということになるわけで、いずれも大問題であります。この問題の真実と責任究明は、この法案審議に不可欠だと言わなくてはなりません。  そこで、先ほどの質疑の中で、この問題については調査中だと、そして統幕長にもお会いになったということを認められました。この資料は、あれこれのいろんな資料ではありません。統幕長自身の会談のメモなんですね。ですから、統幕長に確認をするというのが最も必要で、かつ簡単な方法なわけであります。  昨日、河野統幕長が記者会見をされておりますけれども、この内容は、大臣、御存じでしょうか。
  213. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 会見録を拝読をさせていただいております。
  214. 井上哲士

    ○井上哲士君 では、会見録に沿ってお聞きをいたしますが、当然マスコミは、今私が申し上げたように、本人がどう考えているのかということを聞くわけですね。マスコミの質問に、御自身で共産党からの資料を御覧になりましたかと聞かれて、見ましたと、こう言った上で、明らかに間違いという御認識でしょうかと聞かれますと、それも含めて確認しておりますと、こうおっしゃるんですね。御自身発言ですので、明らかに間違いだったら完全に虚偽のものだとすぐ分かると思うんですが、その点いかがでしょうかと畳みかけられますと、防衛省として正式に発表いたしますので、それ以前にコメントは適切でないと考えておりますので控えさせていただきますと、こう言われました。ですから、間違いということは言われませんでした。  そこで、大臣に聞きますけれども、当然お会いになったらこのマスコミと同じことを聞くのが当たり前だと思うんですけれども、大臣はお聞きになったんでしょうか。
  215. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この資料の取扱い等についてでございますが、今、防衛省におきまして、この資料が防衛省が作成したものか否かも含めまして調査をいたしているわけでございますので、そういった点につきまして調査を進めておるということでございます。  会いまして、その事実なども、もう既に私が就任したときが十二月の二十四日でございまして、そのとき統幕長から、訪米をしましたと、二十六日ですけれども、そのときに訪米をしたということを聞きまして、どういった方に会ったとか、そういう概要は報告をいただきましたが、それ以降はそのままになっているということでございます。
  216. 井上哲士

    ○井上哲士君 ちゃんと質問に答えていただきたいんです。  マスコミは、この文書を見て統幕長に、御自身発言なので間違いだったらすぐに分かるでしょうと、そういう認識なのか、間違いだったのかと、こう聞いているんです。これ、当然聞くことだと思うんですね。これを大臣は聞かれたのか、どういう返事があったのかと、それをお答えいただきたいと思います。
  217. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、現在、この資料の真偽、これ調査中でございます。したがいまして、御本人の発言につきましても、私は直接どうであったかということは尋ねておりませんが、記者会見において、議事録、会議録、これは読まさせていただきました。
  218. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、聞いていないということですか。河野さん自身の訪米報告なのに、これは見た瞬間あなたは間違いと思ったんですかと聞いているんですか、聞いていないんですか、その事実をお答えください。
  219. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当然、幕僚長ともお話をいたしましたが、会話の内容についてではなくて、この資料の存在等について、委員会から受け取ったわけでございますので、どういう内容であるのかというようなことでございます。この点につきましては、現在、防衛省内でこの真偽も含めて調査中ということでございます。
  220. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、先ほどの質疑の中で、中身も含めて確認をしたというような答弁があったと思いますが、ちょっと違うんじゃないですか。
  221. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 確認をしたというのは、そういう経緯があったということを確認したわけでありまして、会話の中身とかそういうところまでは聞く時間もございませんでした。先ほどお答えしたのは、一般論としてE2Dがどうなのかということでお答えをしたまででございます。
  222. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは本人の報告なのに、訪米録なのに、これについて間違いと思うのかどうか、その一番基本的なことさえ聞いていないとすれば、まともに調査している姿勢でないということを言わざるを得ません。  そして、週明けにもう明らかにするということが先ほどございました。一方で、先ほど来の答弁を聞いておりますと大変気になるのは、外交上の問題があると、先ほどの答弁で、この中身等につきましても非常に他国との関係等もありますので、その点につきましてもしっかり調査をした上でお答えさせていただきますと、こうおっしゃっているんですね。  しかし、これは防衛省の文書なんですよ。他国の文書じゃないんですね。なぜ他国との関係で調査をする必要があるんですか。どういう意味ですか、これは。
  223. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは他国とやり取りをした内容が含まれておりまして、やはり調査においても慎重に行う必要もございますし、また一連の会談ということでございますので、その内容等は相手方の関係もございますので、調査においては非常に間違いがないように慎重に行われなければならないということでございます。
  224. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、この報告録の中身が正しいかどうかとか、それはそういうこともあるかもしれません。しかし、今問題になっているのはこの存否なんです。これは日本自衛隊の中の文書なんですね。これがあるかどうかというのは外国との相談は関係ないでしょう。  存否のためになぜそういうことが必要なんですか。外国と了解がなければ認めることができないと、そういうことですか。
  225. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存否について、それが本物であるのか、防衛省で作られたものであるのか、これを調査をしているわけでございます。なお、その中身も米国とのやり取りに関するものでありまして、一般に、外国とのやり取りに関する資料につきましては、相手方との信頼関係にも関わるものであるという意味で、大変慎重な取扱いを要するものであるということでございます。
  226. 井上哲士

    ○井上哲士君 外交文書がそういうものだと、そうおっしゃいました。しかし、これはアメリカとの関係ではなくて、日本自衛隊が作った文書なんです。報告文書なんですね。その存否について聞いているんですよ。中身がいろんな間違いがあったかもしれないということを皆さんがチェックするのはあるでしょう。しかし、存否についてはこれは日本の判断でやるべきものなんじゃないですか。  もう一回どうですか。
  227. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず存否について、それが本当に防衛省で作られたものであるのかどうか、これを調査をいたしております。しかも、内容がやはり外国とのやり取りに関するものでありまして、一般に、外国とのやり取りに関する資料につきましては、相手方との信頼関係にも関わるものである意味で大変慎重な取扱いを要するということでございます。
  228. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、公表については慎重な取扱いが要るかもしれません。しかし、これは既に私ども入手をし、これは本当に重大な中身ですよ。国会国民をないがしろにしている。これを明らかにすべきだと私たち出しました。ですから、この存否については、日本の判断、日本の文書なんですからそれは明らかにできるはずだと思うんですね。  昨日の統幕長の記者会見ではこう言っているんですよ。この文書が我々から流出したことが確認できないとアメリカとの交渉もできませんので、それを踏まえて確認をしております。  存否を明らかにするのに何でアメリカと交渉することが必要なんですか。
  229. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、今、本当に防衛省で作られたものであるのかどうか、これを調査をいたしております。また、内容がアメリカの要人との会談でございまして、その内容を公表することを前提に行われたものではないことから、相手方との関係もありまして、御指摘のような発言の有無を含めて、具体的なやり取りの内容等もございますので、そういった点につきましても含めて慎重に捜査を、調査をしているということでございます。
  230. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、交渉の結果、アメリカが公表したら困ると、こう言ったら、現実にあっても存在を認めないと、こういうことですか。
  231. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そうではございません。  まず、この書類が本物であるかどうかということを確認をいたしておりますし、また、そういった一連のことでこういった会談の内容等も含まれておりますので、非常に相手方との信頼関係にも関わるものであるという意味で、慎重に調査をしているということでございます。
  232. 井上哲士

    ○井上哲士君 これまで政府は、例えば核密約などアメリカの公文書館で出されたそのものを突き付けても認めようとしませんでした。先日のあの特殊部隊の沖縄のヘリ訓練、ヘリ墜落事故でも、既にマスコミで報道されている部隊名もアメリカが公表していないからということで答弁をしないと。  本当にこういう事実を明らかにすることすら一つ一つアメリカの許可なしにできないと。どこの国の政府なんだと、こういう話ですよ。私は、そういう改めて姿、そして今度の法案自身がそういう下で作られているという姿を浮き彫りにしていると思います。  更にお聞きしますけれども、この訪米報告の中で、この安保関連法案について、与党の勝利により、来年夏までには終了するものと考えていると、こういう発言がありました。これは、まさに国会をないがしろにする重大な発言でありまして、この点については本当にしっかり確かめる必要があると思うんですね。  大臣、こういう、与党の勝利によって来年夏までには終了すると考えている、こういう発言があったのかどうか、これは確かめたんでしょうか。
  233. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、現在、この文書の存在の調査をいたしておりますが、この会談というのは内容を公表することを前提にまず行われたものではないということ、そして相手方との関係もありまして、御指摘のような発言の有無も含めて、具体的なやり取りの内容についてはお答えすることは差し控えたいと思っております。
  234. 井上哲士

    ○井上哲士君 重大問題だとして、国会をないがしろにする、今現にこういう質疑やっているわけですよ。この法案の審議の最中に出てきた、そして国会をないがしろにするものとして問題になったと。これ真っ先に確認しなくちゃいけないんじゃないんですか。それ確認していないんですか。
  235. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省といたしましては、この調査を全力でやっておりまして、内容等につきましては、まだ私はそういう時点におきまして確認はいたしておりません。今回の調査についても非常に慎重に行うということでございまして、先ほど委員会の方からの御指示もございましたけれども、来週に作業を終えるように進めてまいりたいと思っております。
  236. 井上哲士

    ○井上哲士君 これも昨日の会見で河野統幕長は、そういう認識があったのかとマスコミに聞かれまして、私が行きましたときは安全保障法制の成立を公約としておりました自民党が圧勝されましたので、その認識でいえば、次の通常国会で与党は成立を目指していかれるだろうなという認識はあったと思いますと、こういうふうに言われました。そして、成立するという確信に基づいた認識はあったのでしょうかと聞かれまして、成立可能性が高いなと認識を持ったのは確かだと思いますと、事実上あの発言を認めているんですよ。そして、これ、まだ組閣する前なんですね。  ですから、安倍総理は、日米ガイドラインで、首脳会談で向こうに約束したのはけしからぬと言われたら、いやいや、施政方針演説で言いましたと言いますよ。しかし、施政方針演説どころか組閣もする前なんですよ。与党協議だってやっていないんですよ。その前にこんな発言をして、夏までにできると、一体どういうことですか、これ。これ問題だと思わないんですか。
  237. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほどお答えさせていただきましたが、まず、その資料について、現在、防衛省が作成したものかも含めまして調査中でございまして、来週報告できるように全力を挙げてまいっております。
  238. 井上哲士

    ○井上哲士君 本当に私は、危機意識というんでしょうか、それが足りないと思うんですね。  私たちは、この前にも自衛隊の統幕が作っていた文書を明らかにいたしました。あの中で、八月に法案が成立をし、来年二月は施行ということが書かれていた。これは、五月二十六日に法案が本会議にかかった日に会議で行われていた。しかし、はるかその前に、まだ組閣もされない前から自衛隊の幹部はこういう発言をし、そこで夏までと言って、それがまさに統幕文書の中でそうなっているわけですよ。  こういうことをやっていること自身が問題だということを大臣は思わないんですか。はっきり答えてくださいよ。
  239. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省・自衛隊といたしましては、この法案が成立をもししましたならば、これ実施する側でございまして、そういう立場において、私の方から、法案が閣議決定をされましたので、この法案の分析と研究、これは各幹部にやってもらいたいということで、この時期等につきましては、説明をいたしましたように、イメージアップをするために、当てはめるために仮に置いていたわけでありまして、現時点におきましても、この法案がいつ成立するか、これは国会がお決めになることでございますので、分からないということは、政府立場の人間としてはみんなそう思っているわけでございます。今後の作業等をする上において、一応、時程的な計画、段取り、こういったことで、そういった課題を頭出しをするという意味の分析、研究の一環であったということでございます。
  240. 井上哲士

    ○井上哲士君 それは前に出した統幕文書の話で、あなたたちはそうやって言い訳をしました。しかし、そのうんと前、まだ総選挙後に組閣をする前から、そして施政方針演説もする前からもう夏までに終了すると考えていると、こういうことを制服のトップが米軍に行って言うと、これは大問題だと考えないんですかということを聞いているんですよ。
  241. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 統幕長の訪米時の一連の会談というのは、その内容を公表をすることを前提に行われたものではないことから、相手方の関係もありまして、御指摘のような発言も含めまして、具体的なやり取りの内容につきましてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  242. 井上哲士

    ○井上哲士君 公表しなかったら何を言ってもいいということですか。そういうことになるじゃないですか。もう一回答えてください。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
  243. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 前提は、この資料が本当に防衛省が作成したものであるのかどうか、これを調査をしている段階でございますので、この時点におきましての私のコメントや発言、これは控えさせていただきたいと思います。
  244. 井上哲士

    ○井上哲士君 本当にひどいものですよ。  もう一個、昨日の会見に関わって聞きますが、この訪米記録では、ジブチは海賊対処の拠点ではあるが、今後の幅広い活動のためジブチの利用を拡大させたいと考えていると統幕長は発言をしております。  この文書の存否は別として、このジブチの海賊対処の拠点の拡大というのは政府方針ですか。
  245. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 事実関係として、この資料とまた別の観点でお答えさせていただきますが、ジブチの拠点の在り方につきましては、二五防衛大綱、近年の自衛隊のジブチの利用状況を踏まえまして検討しているものでございまして、これにつきましては、もう既に、国連の平和維持活動、これの活用等も含めて検討を行うと記述をいたしておりまして、それの調査費なども盛り込んでいるわけでございますので、そういう時点でもう既に検討を行っていることでございます。
  246. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、あれですか、ジブチを活動拠点として更に拡大をするというのは政府方針であると、こういうことで改めて確認してよろしいですね。今年の予算でそのための研究費が付いております。それについての結論も含めて答弁してください。
  247. 中谷元

    国務大臣中谷元君) もう一度お答えさせていただきますが、平成二十五年十二月に策定をされました二五防衛大綱において、国際平和協力活動等を効果的に実施する観点から、海賊対処のために自衛隊がジブチに有する拠点を一層活用するための方策を検討することとされております。  また、防衛省・自衛隊は、海賊対策以外でも、南スーダンPKO、UNMISS派遣部隊への物資の輸送、政府専用機の運航、国際緊急援助活動に際しての中継地としてジブチを利用いたしておりまして、ジブチの拠点の活用の在り方につきましては、二五大綱、また近年のジブチの自衛隊活動状況を踏まえて検討をいたしているということでございます。  二十八年度にジブチ軍の災害対処能力強化のために自衛官を派遣をいたしまして、こういったジブチとの関係強化も進めておりますし、また、ジブチ側からの協力関係も実施をしているということでございます。
  248. 井上哲士

    ○井上哲士君 今、重大な答弁だったと思うんですが、南スーダンPKOについても活用しているということでありました。南スーダンPKOの輸送にもこのジブチの基地を使っているんですか。その具体的な実績を明らかにしてください。
  249. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  南スーダンPKOの輸送についてジブチ空港を使用したのかというお尋ねでございますが、現在までのところ四回の使用実績がございます。ちなみに、ほかの目的ではありますが、あと二回、自衛隊機が利用をしたことがございます。
  250. 井上哲士

    ○井上哲士君 具体的に年月日を明らかにしてください。
  251. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  輸送に使いましたのが、二十五年十一月、二十六年五月、二十六年十二月、二十七年五月。これは月で申し上げましたが、この場合におきましては、往路、復路、それぞれにおいてC130輸送機を用いました。二機でございますけれども、これが一日から二日、当地にそれぞれ滞在をしております。  以上でございます。
  252. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、海賊対処の拠点だと言いながら、実際にはもう使われているんです。そして、先ほど大綱でと言われましたけれども、大綱の後に予算に研究費が計上されました。  私、今年の四月に外交防衛委員会中谷大臣に聞いたんですよ。そうしたら、大臣、こう答えられましたよ。「ジブチの自衛隊拠点の強化や活用を特に念頭に置いて検討しているというわけではございません。」と。全然違うじゃないですか。大臣がこの答弁をする四か月前に、河野さんはアメリカに行って、拡大させたいと考えていると言っているんですよ。全然違うじゃない。どうなっているんですか。
  253. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、ジブチを国際平和協力活動などの観点で活用するということは大綱に書かれておりますし、予算の面につきましては、海外を拠点と活用している事例等について調査を委託研究するために、平成二十七年度予算に二千五百万を計上しまして、実際に契約に向けた手続を今進めているところでございます。  このように、ジブチの活用等につきましては、平成二十五年十二月に策定をされました二五防衛大綱において、ジブチに有する拠点を一層活用するための方策を検討するということはもう既に決定をされていたということでございます。
  254. 井上哲士

    ○井上哲士君 活用の検討と強化は違うんです。  そして、四月には明確に、ジブチの強化、活用を特に念頭に置いて検討しているわけでないと大臣が答弁している。その四か月前に拡大ということをアメリカに行って言い、そして、先ほどありましたように、実際にはもう輸送に活用されているんですね。  私は、こういう形で自衛隊海外活動の強化が先取りのように進んでいる、極めて重大な問題だと思いますし、この問題も含めてしっかり事実関係を明らかにするために、河野統幕長を国会に招致するということを求めてまいりましたけれども、改めて求めたいと思います。委員長、いかがでしょうか。
  255. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 引き続き理事会において協議をいたします。
  256. 井上哲士

    ○井上哲士君 終わります。
  257. 山田太郎

    山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎でございます。  昨日、鴻池委員長の方に、私ども日本を元気にする会、それから次世代の党、新党改革、三党で修正案の方を提出させていただきました。是非、今この国会の中でも、非常に、我々三つの不と呼んでおりますが、不明で不信で不安な法案、これが暴走しないように国会の関与というものをしっかりやるべきだと、こういうふうに思っておりますので、この修正案、是非この委員会でも取り上げていただいて審議のほどお願いしたいと、これは各委員の先生方にも是非お願いしたいというふうに思っております。  さて、まず第一に、ちょっとこの審議がしっかり行われるようにということで、委員会の行う附帯決議というものはどういうものなのか、これ参議院の事務局の方に説明を求めたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  258. 秋谷薫司

    ○参事(秋谷薫司君) 委員会が行っております附帯決議とは、付託法律案等の議決に際しまして、当該法律案等に附帯して行われる決議の一種であります。一般的には、政府が法律等の施行に当たりまして講ずべき措置あるいは運用上配慮すべき事項につきまして委員会の意思を示すものでございます。
  259. 山田太郎

    山田太郎君 一部報道で、この委員会での審議、附帯決議の中で処理すればいいんじゃないか、こんな話があると思います。我が党三党も実は維新さんも修正の方を出しておりますが、これは政府に対して措置を講ずるというものでありまして、我々のような国会の関与、つまり国会の仕組みを議論するということにおいては多分附帯決議というのはその趣旨から合わないというふうに思っておりますので、今後の審議がそのようにきっちり定義されて行われることを望んでいきたいと思っております。  さて、今日はちょっと中身を細かく見ていきたいので、時間もありません、端的にそれぞれお答えいただければと思っているんですが、まず第一に事態対処基本方針書についてお聞きしたいと思います。  存立危機事態の場合、対処基本方針書は必ず作られて全て公開されるものなのか、どんな緊急事態であったとしてもこの基本方針書は作られるという理解でよろしいのか、これ、防衛大臣、よろしくお願いします。
  260. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 事態対処法上、これは、内閣総理大臣が対処基本方針の案を作成することとされております。  これは、主管官庁たる内閣官房、これが担当することになりまして、その中に記載される事項として、事態の経緯、事態の認定、前提となった事実、事態への対処に関する全般的な方針防衛出動などの対処措置に関する重要事項を記載することとなりますが、その具体的な内容につきましては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して判断をすることになります。  この事態対処の分量につきましては、個別具体的な状況のために一概にお答えすることは困難でございますが、それを経まして国会に提出をされるということで、その部分におきましては明らかにするということでございます。
  261. 山田太郎

    山田太郎君 何か聞いていないことも答弁書で答えていらっしゃるようですけれども。  我々、国会の関与が、特にこの事態対処に関して、原則かあるいは例外なきかということが非常に重要だという論点を持っております。我々は、例外なきということをやらなければ、政府が暴走していわゆる事後承認ということをしかねないと、こういう危機感を持っておりまして、お聞きしたいんですが、いわゆる事後承認をするということに関してはこの対処基本方針書の段階で決められて書かれるものなのか。そうなってくると、この対処基本方針書は、具体的には事態対処の事務局、まさにNSCですね、国家安全保障局が作るということになりますから、実際は、国会で審議するべきかしないべきかということを国家安全保障局がその段階で議論して決めてしまうのではないかと。  こういうふうになってくると、まさにシビリアンコントロールという意味においても非常に問題は多いというふうに思っておりますけれども、まず、事後か、あるいはその前にきちっと国会で審議をするのか、どの段階で決められるのか、また対処基本方針書に書かれるものなのかどうか、この辺り、大臣、よろしくお願いします。
  262. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 通常、安全保障の決定をする際は、国家安全保障会議、NSCを開催して、その後閣議決定ということになるわけでございまして、このNSCに関係閣僚が集まりまして、そこでいろんな情報を分析、検討して、NSAで、NSCで決定した後閣議決定になるというのが通常でございます。
  263. 山田太郎

    山田太郎君 通常か通常じゃないかということを聞いているのではなくて、確実にどういうプロセスを取るのかと。原則か原則じゃないかという非常に緻密な議論をしているわけですから、きちっとこの辺は、大臣、お答えいただきたいんですが、いかがですか。
  264. 中谷元

    国務大臣中谷元君) このNSCというのは内閣総理大臣が開催をするわけでありまして、そこで関係会議の議員の大臣が招集をされて、これが各関係省庁に連絡をするということでございます。  それぞれの事態等に応じて開催をされるということで、個々のケースにおいて必要な審議、決定をタイムリーに行うということでございまして、そのための体制は常時取られているわけでございますので、そういった事態に応じて国家安全保障会議が開催をされるということでございます。
  265. 山田太郎

    山田太郎君 もう一つ、じゃ、この対処基本方針というのは一体具体的にどなたが書くんですか。NSCが例えば、じゃ、開かれないというようなことがあって、どなたが書くのか。  それからもう一つ。事後承認というのは、法文によると、そのいとまがない場合、国会承認のいとまがない場合、事後になると、こう書いてあるんですが、いとまとは誰が判断するのか。あるいは、そのいとまとはどれぐらいの期間、時間を指しているのか。これ明確にお答えください。
  266. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これを書くのは内閣官房でございます。  いとまがない決定をするのは内閣総理大臣でございます。
  267. 山田太郎

    山田太郎君 今日、実は、新党改革の荒井議員の方が後で国家安全保障局の次長さんをこの国会に呼ぶということだったんですが、これが拒否されたと、大変我々も遺憾に思っておりますが。多分、この方が最終的に起案して整理をして総理に渡すのではないかと。総理自身、現場のことを見に行ったわけではありませんので、実際、審議する責任者というのはこのNSCの最終的には局長又は次長ということになると思いますが。  このいとま、実は線引きがなければ何でもかんでも恣意的に、この事態対処方針を作る段階で国会にかけた方がいいかどうかということが決まってしまうと思うんですよね。そういうことがあっては、結局は事後で、しかも武力攻撃をして、最終的には戦争になるかもしれないんですよ。そういう状態なのにもかかわらず、そこは恣意的に決めることができるのかどうか。その辺り、しっかり聞いておきたいんですが、もう一度、大臣、いかがですか。
  268. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、事態対処法や重要事態においては、防衛出動、後方支援活動の措置の実施について例外として緊急時の事後承認を認めておりますが、その場合でも、防衛出動については直ちに、重要影響事態法に基づく対応措置については速やかに、それぞれ国会承認を求めることとされております。また、PKO法についても遅滞なくということでございまして、この対処方針を作るのは内閣官房が担当するということでありまして、こういった事態の経緯等にこういった事後承認という理由も書かれるわけでございまして、そういった事実等を書いた上で国会に送りますが、国会がこれを認めないということにつきましては対応をやめなければならないということで、そういった国会の決定に従うということになっております。
  269. 山田太郎

    山田太郎君 事後承認の理由を確かに対処基本方針の中に書かなければいけないということになると思うんですが、それはどんな理由が考えられるのか。一つは時間。拒否するかもしれないという理由はないと思うんですよね。  一つは大きく時間だと思いますが、それでは、内閣はこれを国会で議論するにはどれぐらい掛かるというふうに見積もっているのか。それがなければ、事前か事後の判断というのはこの対処方針の中には絶対に書けないと思うんですよね。その辺りの見積りはどのように考えているのか、是非教えてください。
  270. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そういうことは並行してやるということでございます。  この対処基本方針の中に、事態の経緯、事態の認定、そして認定の前提となった事実、そして事態の対処に関する全般的な方針防衛出動などの対処措置に関する重要事項を記載をするということでございまして、そこで計画を作って判断をされるということでございます。
  271. 山田太郎

    山田太郎君 全然答えていないと思うんですよ。  いとまというのはどれぐらいなのかというふうに聞いているのであって、でなければ、事後か事前かということはしっかりこの国会で議論できないじゃないですか。そうじゃなかったら、全部いとまということでもって、急ぎなんだということで、しかも、NSCが中心になって作って総理を口説けば、どんどん軍隊がこの国は出ていけると、直接やられているわけでもないのにということで、非常にこの部分は線引きが曖昧だと。そういうふうになってしまうと、多分、結局は国民は不安のまま進んでしまうと。  いとまというものに関してどれぐらい見積もっているのか。これしか、政府のいとまの見積りしか最終的には説明がし切れないというふうに思っていますが、もう一度、日数でも時間でも結構です、お答えいただけないですか。
  272. 中谷元

    国務大臣中谷元君) それはもう緊急性に応じて個別具体的に判断するということでございまして、あくまでも国民の命、また日本の安全を守るというためにもうやむを得ないと、原則事前ですから、もうこのまま時間を経過することがやむを得ない場合ということではないかと思っております。
  273. 山田太郎

    山田太郎君 やむを得ない時間を受けて国会で審議するのは国会側なんで、国会がどれぐらい早くやればいいのかということじゃないとこの議論はちょっとかみ合っていないので、またちょっと引き続きほかでもやりたいと思います。  もう一つ大事なことは、このいわゆる事態対処を決めるまでのプロセスに関してなんですが、ちょっと確認をしたいんですけれども、存立危機事態の場合は相手の国からの要請が必要だということだと思いますが、一体それは誰の要請なのか。例えば、アメリカの、隣の艦船がやられている場合に、艦長の要請なのか、あるいは国からの要請ですから大統領の要請なのか。誰の要請なのかということは非常に大きなポイントだと思っております。  その後どんなプロセスになるのかということに関しても、よく法律を見ても分からないところがありまして、相手国からの要請があった場合に、大使館経由なのか、外務省に入って、その外務省はもう一度相手国に対して本物かどうかを確認して、その後、外務省から外務大臣に上がって、外務大臣から上がってNSCで確認を行って事態対処方針を書いて、そして、事態対処方針を書いたものは多分、法律に抵触していたらいけないので法制局がきちっと議論をして、法制局が議論したものを閣議決定をする、そして発動すると。結局、時間物すごく掛かるんではないかと。  私どもは、十分この間に国会の例外なき事前承認はできるんではないかというふうに思っているんですが、果たして、これだけのプロセスということをまず本当に踏む必要がある、その確認を是非したいということと、これは、じゃ、緊急時においてはどれぐらいで今政府は対処できると見積りをしているんでしょうか。是非教えてください。
  274. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立事態を認定するに当たって、まず武力攻撃を受けた国から我が国に対して要請が行われるわけでありますが、国際法上一般的に定められた手続があるわけでもありませんし、また個別具体的な状況によって一概にお答えすることは困難ですけれども、基本的には外交ルートを通じて当該要請が行われるということになります。  我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合には、政府としては、当該他国外交ルートを始めとするあらゆる手段を通じて情報収集に当たり、武力攻撃が発生した事実、また要請の具体的な内容について確認を行うと。その上で、ある事態が存立危機事態に該当するかについては、事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することになりますが、具体的には、NSCでの審議を経て対処基本計画を閣議決定する形で政府として判断をすると。そして、この対処基本方針について、閣議決定後、直ちに国会の承認を求めなければならないということでございます。  時間につきましては、それぞれ外交ルートなどの交渉、確認等に対して個別具体的に時間が変わってくる場合もありますが、まさにこれは緊急でありますので、できるだけ速やかに行われるものではないかと思っております。
  275. 山田太郎

    山田太郎君 以前、総理がテレビか何かで隣の艦船がやられている場合の事例出したと思うんですけれども、とてもじゃないけれども、そういったものに対して対処できるのが事態対処法では私はないと思っていますし、そこの見積りをしっかりやらなければ結局は曖昧なまま日本から自衛隊が出てしまう可能性があると、こういうふうに思っています。やっぱり国会の例外なき承認、そういったものが重要だと思っていますので、引き続きやらせていただきたいと思います。  今日はありがとうございました。
  276. 和田政宗

    ○和田政宗君 次世代の党の和田政宗です。  我が党は、昨日、日本を元気にする会、新党改革とともに内閣提出法案の修正案を提出をさせていただきました。我が党は、我が国を守る安全保障法制を成立させるために、国民皆様の不安を払拭するためにも、国会の関与の強化が重要と考えます。まず、各会派の皆様におかれましては、是非御審議をいただきますようお願いを申し上げます。  まず、通告はありませんが、どなたもお聞きにならないのでお聞きしたいというふうに思いますが、昨日の中国共産党による荒唐無稽な抗日戦勝記念軍事パレードなるものに国連の潘基文事務総長が出席をしました。一つの国といいますか、一党独裁政権の軍事パレード、しかも歴史的事実から飛躍した式典に国連事務総長が出席するというのは疑問に思います。  この潘基文事務総長の行動について、我が国はどのように考え、どのように対処するのでしょうか。外務大臣、お答えください。
  277. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘の点につきましては、まず、国連は中立性というものを大事にしなければならないと考えます。そして、国連加盟国は、過去の問題に過度に焦点を当てるのではなくして、国際社会共通の課題に対しまして未来志向で取り組むべきであると考えます。  こうした考え方につきましては、我が国として国連に伝えさせていただいております。
  278. 和田政宗

    ○和田政宗君 そうすると、国連にこの件について申入れ等を行うということでよろしいでしょうか。
  279. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 既に、今申し上げました考え方につきましては伝えております。
  280. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは中立性の問題からはかなり問題があるというふうに思いますが、その点について抗議といいますか懸念を伝えるという手もあるというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  281. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まずは我が国考え方を伝えさせていただいております。そして、現状においてはそれ以上の対応は考えておりませんが、引き続きまして、我が国も国連の加盟国としてしっかり責任を果たしていきたいと思いますし、国連のあるべき姿についてはしっかりと発言をしていきたいと考えます。
  282. 和田政宗

    ○和田政宗君 しっかりと対処をしていただきたいというふうに思いますけれども、この平和安全法制も、そもそも中国がいろいろ軍事拡張路線がある中で我が国を守るために必要な法整備を行っていくわけでございます。  昨日の軍事パレードは我が国を射程に入れるミサイルもパレードをしているわけでありまして、そこに国連事務総長が出席するというのは、私はもうこれはあり得ないというふうに思いますので、我が国はしっかり対処をすべきだというふうに思います。  そして、本法案に関連して、自衛隊と海上保安庁の関係について確認をしたいというふうに思います。  まず、武器等防護についてお聞きをします。  海上保安庁の艦船や装備は武器等防護の対象に含まれるのでしょうか。また、含まれないとするなら、海上保安庁の装備に対して破壊や奪取が行われようとしているときには自衛隊はどのように対処するのでしょうか。
  283. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊法九十五条は自衛隊の武器等を防護するために認められているものであります。そのために、同条に基づいて海上保安庁の船舶、装備を防護するために武器を使用することはできません。  御指摘状況における自衛隊の対応につきましては、個別具体的な状況によって異なりますけれども、海上警備行動が発令されている場合であれば、自衛隊法九十三条一項が準用する警察官職務執行法第七条に基づきまして、海上保安庁の船舶や装備に所在する人員を防護するために武器を使用することができるということでございます。
  284. 和田政宗

    ○和田政宗君 次に、もう一点確認をしたいんですが、有事の際の海上保安庁の行動について聞きます。  我が国外国軍隊等により攻撃を受けるといった武力攻撃事態等などの有事の際に、海上保安庁は自衛隊の指揮下に入るのでしょうか。
  285. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊法八十条、これにおきまして、内閣総理大臣は、防衛出動又は治安出動を命じた場合において、特別の必要があると認めるときは海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができるとされております。また、この場合、防衛大臣が海上保安庁長官に対して指揮を行うとされております。  指揮に入った海上保安庁は、海上保安庁法の任務及び能力範囲内で非軍事的性格を保ちつつ、自衛隊の出動目的を効果的に達成するために、防衛大臣の統一的、一元的な指揮の下、適切な役割分担を確保しつつ、海上における人命及び財産の保護、犯罪の取締り等を実施するということでございます。
  286. 和田政宗

    ○和田政宗君 こうして確認しましたのは、いわゆるグレーゾーン事態について本法案ではしっかり対処できるのかというところで、まだ私は改善の余地があるというふうに思っておりますし、グレーゾーンから事態が進展したときに我が国をしっかり守れるのかというところがあるというふうに思っております。  これは、中国公船等を含めてかなり威力のある艦船というのが出てきているということもありますので、私は、海上保安庁法二十条でがんじがらめになっている武器使用権限をどうするのかを含めて、海上保安庁の権限拡大というものも、これは領域警備法を整備をしないのであれば考えていかなくてはならないというふうに思っております。  次に、本法案に関連をいたしまして、在外邦人の保護や救出について聞いていきます。  在外邦人等の保護措置の際の武器使用権限は、保護対象者の生命、身体を守るだけでなく、職務に対する妨害を排除するための武器使用も認めており、一見すると幅広い任務遂行型の武器使用権限が認められているとも取れます。  しかし、武器の使用は警察活動としてのものであり、いわゆる警察比例原則が適用され、特に危害射撃要件は正当防衛、緊急避難の場合に限られているため、邦人を助け出すための十分な対処ができないおそれがあります。  すなわち、相手から見れば、自分が手を出さなければ相手は警告射撃しかすることができないという、手のうちをさらしているのに等しいのではないかというふうに思いますが、政府見解はどうでしょうか。
  287. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、海外において邦人が人質になった場合には、政府全体として総力を挙げて情報収集、説得、交渉を含めて、領域国と協力をしつつ、実施可能なあらゆる手段を十分尽くして対応するということになります。  そのような対応を尽くす中で、在外邦人の保護措置として実際に救出を行うこととなった場合には、任務遂行のための武器使用、これが可能であり、例えば保護対象となる邦人がいまだ自己の管理の下にない場合を含め、その生命又は身体の防護のため、あるいは邦人保護という職務を妨害する行為の排除のため武器を使用することが可能になります。その際に、相手に危害を与える射撃が認められるのは正当防衛又は緊急避難に該当する場合に限られますが、自衛隊が行うのはあくまでも邦人生命、身体の保護であることから、このような権限で十分に人質の救出を行うことができるものと考えております。  また、正当防衛とは、急迫不正の侵害に対して自己又は他人の権利を防衛することであることから、自らに対する急迫不正の侵害がなくても、邦人を人質に取っている相手方が保護対象の邦人に対する急迫不正の侵害を行っていれば、その相手方に対して危害を与える射撃をも行うことが認められるということで、その上で、実際にどのような場合に危害を与える射撃を行うかにつきましては法令に基づき個別具体的な状況により判断することとなりますが、武器の使用を含む自衛隊の具体的な行動要領等につきましては、議員の御指摘のとおり、明らかにすることにつきましては差し控えるべきものであると考えております。
  288. 和田政宗

    ○和田政宗君 ちょっと今のことをもう少し聞きたいんですけれども、正当防衛ですとか緊急避難という制約の下ですと、これはそれに当たるのかというような状態になるというふうに思うんですね。  ただ、やはり、そこにまさに拉致監禁をされている邦人がいるわけでございまして、これは抑制的ではありますけれども、やはり武器使用の危害許容要件を改めまして、これは国際標準に沿った、事態に応じて合理的な範囲内での武器使用を可能とする必要があると考えますが、防衛大臣、いかがでしょうか。
  289. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど説明いたしましたが、正当防衛とは急迫不正の侵害に対して自己又は他人の権利を防衛することであることから、自らに対する急迫不正の侵害がなくても、邦人を人質に取っている相手方が保護対象の邦人に対する急迫不正の侵害を行っていれば、その相手方に対して危害を与える射撃を行うことも認められるということでございますが、基本的には正当防衛、緊急避難に該当する場合でありまして、あくまでも邦人生命、身体の保護であること、こういった目的において対応するということでございます。
  290. 和田政宗

    ○和田政宗君 では、北朝鮮による拉致被害者の救出についてお聞きをしたいというふうに思うんですが、今回の平和安全法制における自衛隊法の改正案におきましても、北朝鮮による拉致被害者救出について、北朝鮮が無政府状態になったとしても、外国の同意、つまり北朝鮮による同意が必要になり、自衛隊を派遣して救出することはできないと解されるわけでございます。  こうした事態に対処をするために、自衛隊法改正案の第八十四条の三の第二号について、当該外国において当該同意を行う能力があると認められる機関がない場合にあってはこの限りではないといった規定を加えれば救出が可能になる、これは警察権で可能というふうに考えますが、政府考えはどうでしょうか。また、どうしてこうした規定を設けないんでしょうか。
  291. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 新たに設けます在外邦人等の保護措置、これは昨年の閣議決定でお示ししたように、領域国の同意に基づく武力行使を伴わない警察的な活動として行うものでありまして、領域国の同意がある場合に、その同意が及ぶ範囲、すなわち、その領域において権力維持されている範囲活動するということを前提といたしております。  他方、領域国の同意が得られない場合に、自衛隊の部隊を派遣して自国民を救出、保護することは国際法上も憲法上も難しいものであると考えておりまして、この場合、いずれにしましても、拉致被害者の方々の安全確保、これは極めて重要でございます。  政府としては、様々な状況を想定して対応を考えておくべきことは当然でありまして、その際、同盟国たる米国との協力は極めて重要と考えておりまして、今後とも、政府全体として拉致被害者の救出のために何ができるかにつきまして不断の検討を継続してまいりたいと思っております。
  292. 和田政宗

    ○和田政宗君 まさに、北朝鮮国内に拉致、誘拐された日本人が生存しているというふうに見られるわけですから、そこに生存している方がいるのに、これは救出できないというのは、我が国にとってゆゆしき事態だというふうに思っております。これは不断の検討というふうに言われましたけれども、しっかりと救出できるような法体系、法整備をすべきだというふうに思っております。  そして、最後にお聞きしますけれども、防衛装備品についてお聞きをいたします。  我が国の国防においては、しっかりと防衛力を整備をしていくという上で、防衛装備品をいかに安定的に開発をし確保をしていくかということが計画にのっとって重要であるというふうに思っております。  これ、現在は全て民間企業が製造しているわけでございますけれども、ほとんどの企業において売上中に防衛装備品が占める割合は数%と極めて低い状況です。また、技術者の高齢化ですとか、コストに見合わないとなれば、民間企業ですので、製造をやめてしまう可能性もあります。  安定的に防衛装備品の開発や確保を行っていくために、国はどのような手を打っていくんでしょうか。
  293. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在の現状でございますが、近年の防衛装備品の高度化、複雑化に伴う調達数量の減少等におきまして、若手技術者の採用抑制、また一部企業においては防衛事業からの撤退等が生じております。  このような現状を踏まえて、防衛省といたしましては、昨年六月に防衛生産・技術基盤戦略を策定いたしまして、契約制度等の改善やサプライチェーンの実態調査といった各種施策を推進をいたしております。  例えば、長期契約を活用することによって、企業としても将来の調達予定数量が確約され予見可能性が高まるなど、人員、装備の計画的な活用ができることになりまして、技術者の維持、育成や企業の撤退防止にも寄与するものと考えておりまして、今後、防衛装備庁が立ち上がりますが、こういったところを通じまして、我が国防衛力を支える防衛産業技術基盤の維持強化に取り組んでまいりたいと考えております。
  294. 和田政宗

    ○和田政宗君 しっかりとこの安保法制を含めまして防衛力抑止力を高めていかなくてはならないと考えます。  終わります。
  295. 水野賢一

    水野賢一君 無所属の水野賢一です。  まず、PKO協力法の改正について伺いますけれども、この改正で、正式な国連PKOのみならず、それに似たような活動にも一定の条件の下で参加できるようになりますよね。  そこで伺いますけど、二〇〇三年から自衛隊がイラク特措法に基づいてイラク復興支援活動をやっていましたけど、これは国連統括下の活動だったんでしょうか。
  296. 中谷元

    国務大臣中谷元君) イラクにおける人道復興支援活動は、PKO法に規定する国連統括下の国連PKO活動ではございませんでした。  平成十五年七月当時、イラクにおいては現行のPKO法に基づいて自衛隊の参加を検討するような活動が存在をしていなかったという状況の下で、福田官房長官が、当時のイラクにおいての停戦の合意があると認めることは困難であり、現行のPKO法に基づいて自衛隊がイラク国内で活動することはできない旨答弁しておりますが、この認識については現在も変わっていないということでございます。
  297. 水野賢一

    水野賢一君 だからこそ、PKO協力法では派遣できないから特別措置法を制定したわけですよね。イラク特措法は、人道復興支援活動もあれば、米英軍の後方支援というか、いろんなことが書いてあったんですけど、人道復興支援に関して言えばPKOに似ている部分はあったわけですけど、今おっしゃられたように、国連の活動じゃないからこそPKO法は使えなかったわけですが。  さて、今回の改正で、正規の国連PKO以外であっても人道復興支援活動には自衛隊も参加できるようになったわけですよね、アチェとかいろんなことを例に出していますけれども。そうすると、イラクと同じようなことが起きれば、今度はPKO協力法によって派遣できるのかという質問なんですが。  何でこれを聞くかというと、これ、法案提出前の与党協議のとき、報道によれば、そのときにかなり議論になったと報じられたんですよね。自民党側は、今回のような法改正をすればイラクのようなときには自衛隊を派遣できるんだと、改正PKO協力法で。一方で、公明党側は、イラク派遣のようなものはやっぱり改正をしたって無理なんだと、だからやっぱり、やるならば特措法が必要なんだという、そういう議論が当時あったんですけど。  それは法案提出前だったんですが、提出された現段階でちょっと見解を聞きたいんですけど、二〇〇三年以降のあの自衛隊のイラク派遣のうちの特に人道復興支援活動ならば、法律が改正された暁には行けるんでしょうか、この法律で。それとも、やっぱり特措法みたいなものを制定する必要があるんでしょうか。
  298. 中谷元

    国務大臣中谷元君) かつて自衛隊がイラクで実施した人道復興支援について申し上げれば、イラクにおいては、従来のPKO法に基づく自衛隊の派遣の検討対象となる国連PKO活動、これはそもそも存在をせずに、派遣の前提を欠いていたと。今回のPKO法の改正では、国連決議、国際機関、地域機関の要請、従来の参加五原則と同様な厳格な原則に該当する場合には、国連が統括しない国際連携平和安全活動に参加できることとしておりまして、実施業務についても、人道復興支援活動を実施可能といたしております。  今後、具体的な活動に参加する必要が生じた場合には、現実状況に即して政府が様々な情報を判断をするんですが、この参加五原則を満たすなどの要件が整えばこれに参加することが可能になるということでございます。
  299. 水野賢一

    水野賢一君 というのは、その今の法律の解説をしていただいたのは分かるんだけれども、つまり、イラクと同じような場合には、このPKO法の改正によって参加できるのか、それとも、やっぱりこれはあの状況では参加できないから特措法みたいなのがやっぱり必要なのかという、そこが議論だったんですから、それはどうなんですか。
  300. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ここに参加するかどうかの条件、それは先ほど、決議、各国際機関の要請、それぞれの活動が行われる地域の属する国の要請などが必要であるということでございまして、そういう要件が当時のイラク国内にあったかどうか、これにつきましては、ちょっと状況等を鑑みますと、確かに国連決議一四八三、これが採択をされておりました。フセイン政権が崩壊した後、当局として連合暫定施政当局、CPA、これがございまして、この同意を得て実施をされました。国連決議も一四八三がございました。これで、二〇〇四年の六月に統治権限がイラク暫定政府に移譲された後については、国連安保理決議一五四六号で言及をされたということでございます。
  301. 水野賢一

    水野賢一君 だから行けるのかって、結論を聞いているんです。
  302. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 条件的には満たしている……(発言する者あり)済みません。ちょっと……(発言する者あり)
  303. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  304. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  305. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 申し訳ございません。  先ほど答弁いたしましたが、当時はPKO五原則を満たしていなかった、停戦の合意がなかったということでございますので、当時の状況では五原則を満たしていないということでございます。
  306. 水野賢一

    水野賢一君 じゃ、同じ状況だったら行けないということでしょうか。極めて大切なことですから、それは明確にしてもらいたいというふうに思いますけれども。  じゃ、まあ次の話に入りましょう。  武器等防護についてお伺いしますけれども、武器等防護については、これまでも、今日もちょっといろいろ議論ありましたが、基本的には大臣の御答弁だと平時のときの話ということですよね。つまり、防衛出動だとか、武力攻撃事態だとか存立危機事態のときじゃなくて、違う答弁もちょこちょこするから混乱するところがあるんだけど、基本的には平時だということなんでしょうが。  それを前提にして話しますけど、じゃ、そういうときに、武器である自衛隊の護衛艦とか、若しくは、これから改正案が成立すると、例えば米軍艦だとかが攻撃されたときには防護、警護されるのは分かりましたけど、これ、民間船に民間人が乗っているようなところにミサイルが飛んできたりしたときは、これは武器等防護は使えないというふうに思いますけれども、そういう理解でいいですね。
  307. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 海上における人命、財産の保護、また治安の維持については海上保安庁、これが第一義的な対応の責任を有しております。自衛隊は、海上保安庁では対応、対処できない場合に、海上警備行動、また治安出動等の発令を受けて、民間船舶の防護を含めて海上保安庁と連携しつつ対処をするということになります。  また、議員御質問につきましては、自衛隊による民間船舶の防護が自衛隊法ではできないということでございます。
  308. 水野賢一

    水野賢一君 この部分はあれですか、民間船に民間人が乗っているようなところにミサイルが飛んできたようなときに、平時の話ですよ、そういうようなときには、防護するような何かそういう手だてというのは、今回の法改正では何かありますか。
  309. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ないんです。ないんですが、先ほど御説明をしたとおり、海上警備行動、また治安出動等で対応するということでございます。
  310. 水野賢一

    水野賢一君 私、非常にやっぱりこれ疑問を持っているのは、総理の話とか聞いていると、避難する親子とか民間人の防護みたいな非常に情緒的な話されるんですよ。ところが、それも、乗っているかどうかも実は詰めていくと関係ないという話ですよね。  しかも、この武器等防護なんかだって、今度守れるように、防護するように広げるのは米軍艦とかのわけですよね。別に、私もその攻撃されている軍艦を放置していい、構わないと言うつもりはないんだけど、基本的には軍艦というのは軍隊なんですから自分で自分を守るすべを持っているわけですよ、基本的には。ところが、本当に優先順位を高く考えるべきことは自分で自分を守るすべを持っていない民間人の人たちなんであって、そういうところに手を打たないでこういう軍艦の防護とかそういうところを拡充するというのは、私は基本的に筋が、優先順位の高さが違うというふうに思っております。  この武器等防護のところについて質問をちょっと続けますけど、さっき蓮舫先生が配付した資料をそのままちょっと見ちゃって恐縮なんですが、九十五条の二のところの二項には、これ、武器等防護も合衆国軍隊とかからの要請が必要だというふうに、外国軍を守るときはですね、合衆国軍隊等からの要請という書き方で、ほかのいろんな法律で外国からの要請が必要なときというのは外国政府とかいろんな書き方をしているんですが、これは、軍隊からの要請と書いてあることは、もうミリタリー・ツー・ミリタリーで話合いをすると、そういう理解でいいですよね。
  311. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 九十五条二による警護については、米軍等から警護の要請を受けた防衛大臣が、当該米軍等の部隊が自衛隊と現に連携して行う我が国防衛に資する活動の内容、目的、そして警護対象となる米軍等の部隊の能力、武器等の種類、戦闘行為が行われるおそれを含む周囲の情勢等を踏まえて、自衛隊の任務遂行への影響も考慮した上で、自衛官による警護を行うことが必要と判断した場合に命じられることになります。  米軍等から防衛大臣への警護の要請につきましては、実務上は当該米軍等により防衛省の適切な部局を通じて行われることを想定しており、細部の手続については法案成立後に検討していくこととしておりますが、先ほど申し上げたとおり、実際の警護の実施につきましては、防衛大臣がその都度、内部部局また幕僚監部からの必要な補佐を受けつつ判断をしていくということでございます。
  312. 水野賢一

    水野賢一君 これは、だから、事前に、平時の話なんだから、武器等防護というのは、平時のときに事前に要請があって事前に防衛大臣が認定するということなんでしょうが、これは、要請があったとか、それを認定しました、大臣としてというのは公表はされるわけですよね。どうなんですか。
  313. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 命令を出すわけですが、個別に公表を必ずするということを決めているわけではございません。
  314. 水野賢一

    水野賢一君 公表をしないこともあり得るということですか。
  315. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態につきましては、対処基本方針等を定めますので公表することになりますが、そのほか、共同訓練、また警戒監視等におきましては、公表を全てするということではないということでございます。
  316. 水野賢一

    水野賢一君 いや、それはかなり重要な問題だと思いますけど、存立危機事態のときはちゃんと公表するわけでしょう、対処基本方針作るわけだから。  私、何を言いたいかというと、存立危機事態のときに、これPKOも、国連から要請がないとPKOは参加できないんですよね。ところが、要請文を、だから今までのカンボジアとかハイチとかゴラン高原とか行っているときも全部要請はあったはずなんだけど、要請文を出してくれと外務省に言ったら、これは、要請文は相手があるから出さないというふうに言うんだけれども、そんなことだったら、今後、存立危機事態の認定で集団的自衛権を発動するとき、要請が前提と言っているけど、どんな要請が来たかというのは全く分からないままということもあり得るわけですか、大臣。  これはちゃんと、この場合はどういう要請文が来たかというのは公表されるわけですね。
  317. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態におきましては、認定のために、対処基本方針の中に経緯等も含めまして明記をするということになります。
  318. 水野賢一

    水野賢一君 いや、つまり、要請があったということは明記するのは分かっているんです、要請文をちゃんと公表するんですかと。そうしないと、何を要請してきたのか、具体的に何が要請されているか分からないじゃないですか。要請文がちゃんと公表されるんですかということを聞いているんです。
  319. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 対処基本方針に要請があったことを書くということでございます。
  320. 水野賢一

    水野賢一君 私の懸念は、PKOのときにそういう要請文というのは実は全く公表していないんです、外務省は。だから、今度同じことをするんじゃないかということです。  要請文を公表するのかと。これはちゃんときちっとした見解を答えてください。(発言する者あり)
  321. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  322. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こしてください。
  323. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 今防衛大臣からお答えしたような形で、要請があった事実は明らかにいたします。ただ、要請文の中身そのもの、原文につきましては相手国との関係があるので明らかにしていない、これが従来の、外務省の方針であります。
  324. 水野賢一

    水野賢一君 それだったら、結局のところ、本当に要請してきているのは、後方支援なのか集団的自衛権のことなのか何なのかさっぱり分からぬということもあり得るだろうし、私、安保法制懇の、もう質問はこれで終わりますけど、私の意見だけ言えば、安保法制懇の答申、大臣、当然御覧になったと思うけど、そこにはこう書いてあるんですよ。その武力攻撃を受けた密接な関係他国からの明示的な要請ということを要件にすべきだということを安保法制懇の報告書には書いてあるんです。ところが、実際に法律になったときは、明示的ということも抜けていれば、法律にさえ何にもその要請のことが書いていないという、こういう抜け穴だらけで解釈が幾らでも後からできるような法案は欠陥だということを申し上げて、私の質疑を終わります。
  325. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  質問に入る前に、今日ずっと私も議論を聞いておりまして感じたことを二点申し上げたいと思います。  一つは、小西議員、先ほど憲法解釈の変更の問題について、もう小西議員も何回も質問されて、またほかの議員も衆議院、参議院質問されておられますけれども、今回の憲法違反憲法違反ではないのかという国民の疑念について、同じ答弁を繰り返すだけで全く答えていません。それだけ申し上げたいと思います。  それからもう一つ、河野統合幕僚長の発言、来週報告をされるということでありますけれども、その発言が事実であれば、立法府を軽視し無視するもの、そしてシビリアンコントロールに反する極めて重大発言だと思っております。証人喚問に値する、そのことだけ申し上げたいと思います。来週の報告を聞いて、しっかり理事会で議論していただきたいと思います。  それでは、質問に入ります。  先月の二十六日の委員会で私から、集団的自衛権行使の対象となる密接な関係にある他国の判断基準を要求をいたしました。そして、二十八日に外務省から、密接な関係にある他国とは、「一般に、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指す。」とする見解が示されたわけであります。  法制局長官に伺いますが、米国が対象となることは政府も確認をしていますが、米国が紛争当事国ではなく、言わば紛争の第三国として集団的自衛権行使している場合、我が国が新三要件を適用して第四のプレーヤーとして米国に対して集団的自衛権行使することは可能でしょうか、伺います。
  326. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 基本的には国際法上の問題かもしれませんけれども、我が国がその新三要件の下で国際法上は集団的自衛権行使に当たるような武力行使に及ぶという場合の前提といたしましては、当該我が国と密接な関係にある他国外国に対する武力攻撃というものが発生しているということが前提であると理解しております。
  327. 吉田忠智

    吉田忠智君 そういう前提であればできるということですか。
  328. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) お尋ねのその米国に対する、例えばでございますけれども、武力攻撃が発生しているという前提であるならば可能だということであろうと思います。
  329. 吉田忠智

    吉田忠智君 できるというなら、これは大きな問題だと思っています。  集団的自衛権行使として国連安保理に報告されている十五の事例がありますけれども、そのようなケースはありません。事実上、米軍による全ての戦争が新三要件の対象になるのではありませんか。いかがですか、その点は。
  330. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 委員の御質問は国連に報告されている十五の事例に関する御質問だと思いますが、これは全て各国が自衛権を行使した例において自らの行為を国際法上説明する形で報告が行われております。それぞれ国際法上の根拠を明らかにし、国際法に準じて対応したという内容を含んでいると考えています。
  331. 吉田忠智

    吉田忠智君 先日の外務大臣の答弁では、対象は国家であり、未承認国、国連未加盟国も含まれるとしています。ソマリランド、あるいは、例えばですよ、ウクライナの一部、あるいはISIL、いわゆるイスラム国もここで言う国家に当たるのか。国家の定義というものをいま一度明確にしてください。
  332. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国家の定義としましては、主権があり、そして領土があり、国民がいるということだと思いますが、要は、密接な関係にある他国に該当するのは国家であります。御指摘のようなISIL等は、これは国家には該当しないと考えています。
  333. 吉田忠智

    吉田忠智君 いやいや、国家はそれは領土とか人民とか主権とか、そんなことを聞いているんじゃなくて、国家の定義ですね、改めて。国家の位置付け、この集団的自衛権行使としての、そのことを聞いているんです。
  334. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 国家の定義ですが、国際法上、一般に、一定の領域においてその領域にある住民を統治するための実効的政治権力を確立している主体とされております。
  335. 吉田忠智

    吉田忠智君 それでは、角度を変えて質問しますが、共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明とあるわけでありますけれども、対象国との国交関係は必要ですか、必要じゃありませんか。
  336. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) これは先日の答弁の中で申し上げたと思いますが、対象は国家であり、未承認国家も含むと申し上げております。よって、国交がない場合も該当すると考えます。
  337. 吉田忠智

    吉田忠智君 先日いただいた見解を踏まえて質問しているわけでありますけれども、その見解の中で、共通の関心、そして表明された共同対処意思を客観的に判断する基準は何でしょうか。我が国と対象国が防衛上の条約や協定を締結している必要はありますか。
  338. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 密接な関係にある他国を判断するのは、武力攻撃が発生した際に個別具体的に判断することになります。そして、その際、我が国とこれは条約等を結んでいることは必ずしも求められていないと考えております。
  339. 吉田忠智

    吉田忠智君 条約も結んでいる必要はない、協定も締結している必要もないということですか、へえ。(発言する者あり)何でもありじゃないですか、本当。非民主主義だよ。国会軽視も甚だしいと思いますよ。  前回、台湾について質問しました。私は別に、台湾、嫌がらせで質問しているわけじゃないんですよ、嫌がらせで。集団的自衛権というのはそういう問題を含んでいるという意味で、今日もちょっと質問しますけど。台湾について、外務大臣は答えられないとしました。答えられないでは私は済まされないと思うんです。たとえ嫌がられても質問します。  台湾は、共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国ですか、伺います。
  340. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 密接な関係にある他国は、先ほど申し上げましたように、あらかじめ定めておるものではなくして、武力攻撃が発生した際に個別具体的に判断するものであります。  その際の台湾という御質問でありますが、台湾に対する我が国立場については先日来これはお答えしているとおりであり、これは歴代内閣ずっと、この対応、立場は変わっておりません。  要は、我が国は、サンフランシスコ平和条約第二条に基づいて、台湾に対する全ての権利、権原、あるいは請求権、これを放棄しております。台湾の法的地位に関して独自の認定を行う立場にはない、これが我が国立場であり、これは歴代内閣ずっとこうした答弁をさせていただいております。これは現状全く変わっていないと考えます。
  341. 吉田忠智

    吉田忠智君 もうこれ以上同じ質問をしても同じだと思います。  ちょっと角度を変えて質問します。  台湾海峡有事は、これまでも我が国の周辺有事として検討されてきたと思います。では、台湾海峡有事は重要影響事態あるいは存立危機事態に当たるのか当たらないのか、伺います。
  342. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重要影響事態というのは、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態と。その中の判断基準といたしまして、その要素につきましては、実際に武力紛争が発生し、又は差し迫っているなどの場合において、この状況に即しまして、当事国の意思、能力、場所、事態規模、態様、推移、そして当該事態に対処する日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍その他の外国軍隊等が行っている活動の内容等の要素を総合的に考慮をいたしまして、我が国に戦禍が及ぶ可能性国民に及ぶ被害の影響の重要性等から客観的かつ合理的に判断をするということでございます。
  343. 吉田忠智

    吉田忠智君 はっきり答えてください。重要影響事態あるいは存立危機事態に当たるのか当たらないのか。
  344. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回の法制につきましては、特定の国を念頭に置いたものではございませんが、事態の認定等につきましては、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であるかどうかということで判断をするということでございます。
  345. 吉田忠智

    吉田忠智君 法律の解釈を聞いているわけであります。  大臣が答えられないのであれば、法制局長官、答えてください。
  346. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 法律は規範でございます。実際に具体の事態がそれに該当するかどうかは、まさに実際に起こった事態に応じて合理的に個別に判断するということが必要でございますので、あらかじめ類型的に当たる当たらないということを申し上げることは難しいということでございます。
  347. 吉田忠智

    吉田忠智君 法律上の解釈について、台湾海峡有事、今日明確にお答えいただけませんでしたから、是非整理してまた委員会に提出をいただきたいと思います。  委員長、取り計らいをお願いします。
  348. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事会で後ほど協議いたします。
  349. 吉田忠智

    吉田忠智君 違憲集団的自衛権行使できるのであれば、だからこそ、もうそういう不自然な迷路に入っていると私は思うんですよ、議論そのものが。  先ほど、第四のプレーヤーとして、法制局長官が、我が国が米国に対して集団的自衛権行使する可能性を否定されませんでした。  台湾有事が重要影響事態にとどまるのであれば、自衛隊米軍等への後方支援しかできません。他方、台湾有事が存立危機事態であれば、自衛隊武力行使が可能ですが、台湾を国と認めることになり、先ほど来、前回からそうですが、外務大臣も言われておりますけれども、サンフランシスコ講和条約を破棄しなくてはなりません。あるいは、台湾有事に集団的自衛権行使している米国に対する我が国集団的自衛権行使であれば、集団的自衛権行使が際限なく広がっていくことになります。  結局、密接な関係にある他国についても全て個別判断、時の政権の恣意的な総合判断に任されてしまうわけです。このこと一つ取っても、この新三要件というものがいかに曖昧なものか、この僅か私の十数分の議論だけでも明らかじゃありませんか。  私のこの意見について、反論があったら言ってください、大臣
  350. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 我が国が存立危機事態、要は限定された集団的自衛権行使する際には、これ、新三要件に該当した場合のみであります。そして、その新三要件の中に密接な関係にある他国に対する武力攻撃等入っておりますが、要件はそれだけではありません。その三要件に当てはまる要件全てを満たし、そしてこれを国際法上しっかりと説明できる、こうした要件もしっかりとクリアをした上でこの三要件は満たされると考えます。  そして、こうした新三要件、自らが行使する集団的自衛権を国内法でこれ明記している国というのは、米国、英国、オーストラリアを始め主要国の中にはありません。  一方、新三要件については、様々な形で法律の中に明記をする、こういった法案を御審議お願いしています。これは、国際的に見ても、我が国の新三要件は極めて厳格な要件であると認識をしております。この厳格な要件に当てはまった場合のみ、その限定的な集団的自衛権、要は国の存立や国民の命や自由追求の権利が根底から覆される明白な危険が存在するときのみ行使できる、これが存立危機事態における限定的な集団的自衛権であると考えています。
  351. 吉田忠智

    吉田忠智君 いずれにしても、憲法違反集団的自衛権行使、そして新三要件も、幾ら外務大臣がそういう説明しても曖昧ですよ、判断、新三要件の。また今日、見解を求めましたので、その見解を踏まえて、この次またしっかり質問させていただきます。  以上で終わります。
  352. 山本太郎

    山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎です。よろしくお願いします。  中谷防衛大臣、元自衛隊員ですよね。一人前のレンジャー隊員を育てる教官をされていた。自衛隊の中でもエリート中のエリートですよ、レンジャー部隊といえば。その精鋭たちの教官であられた大臣軍事のプロでございます。これ、軍事のプロの目から見て、玄人の目から見て、テレビとか見ていて、何かコメンテーターとか何か政治家とかが何か言っていて、違うだろ、それって思わず突っ込んじゃったこととかあると思うんですよ、テレビとか見ていて。  今日は、その違うでしょう、それという突っ込みを、是非軍事のプロである中谷大臣から総理の発言を採点していただきたい、点数を付けていただきたいんです。百点満点の場合は、お答えは点数のみで結構です。満点でない場合は、何が違うのか、その突っ込みをお願いしたいと思います。参ります。  自衛隊はハイテク装備で固めたプロ集団であって、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊はつくれない。これは、安倍総理が我が国で徴兵をやることはないという場面での御発言でございます。軍事のプロである中谷大臣から見て、この発言、さあ、何点でしょうか。
  353. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 点数は付けられませんが、ハイテクということは、もう今の時代にとって、自衛隊にとって必要でございますので、そういう集団であるべき傾向はますます強くなっておりますので、自衛隊の精強性には必要なものであると思っております。
  354. 山本太郎

    山本太郎君 これ、百点じゃなかったら困るんですよね。現実に即していないということでしょう。百点でないということは、そういうことですよね。ちょっと、もうちょっと総理に気を遣ってあげてほしかったなと思うんですけれども。  災害救助や専守防衛の国防を命懸けでやってくれている自衛隊です。でも、自衛隊のことについて、私たちといいますか、一般の方々も合わせて余りよく知らないんじゃないかな、詳しく知らないんじゃないかなと思うんです。  一九八八年、陸上自衛隊に入隊、九一年、レンジャー隊員となり、九二年、PKO法が成立した後、九三年、海外派兵の任務遂行は容認できないと三等陸曹で依願退職をされた元陸上自衛官の井筒高雄さんのお話から発想を得て、本日のお話は進めていきたいと思います。  パネルお願いします。(資料提示)  普通の企業、一般企業には役職ってありますよね、階級があるんだよ。自衛隊も同じように役職、階級がございます。あくまでもざっくりです。分かりやすく自衛隊の階級をピラミッドの形にしてみました。一般企業の役職に例えて御紹介いたします。  ピラミッドの頂点、一番上、企業で社長に当たるのが将、将補、部長に当たるのが佐、課長に当たるのが尉、課長補佐に当たるのが准尉、係長に当たるのが曹、そしてピラミッドの底辺、平社員に当たるのが士というわけです。  元レンジャー井筒さんのお話では、ピラミッドの底辺、若い隊員、士というお仕事、士のポジションですね、士の比率が減ってきているんだと指摘されています。このグラフで見ますと、正面左側、平成二年のもの、右側、平成二十六年のもの。本来、このグラフ、ピラミッド型をしているのが理想なんです。左側の平成二年のものがピラミッド型にやや近いですか。しかし一方、右側、平成二十六年はピラミッド型ではなくビアだる型、ビールのたるみたいな形になっていますよね。これ、何を意味しているのか。若手が減っているということ、現場を支える若手が減っている。  現在の自衛隊は、作戦を練ったり指示をする人間と、現場で作戦を実行する人間が同じような数になってしまっているという現実があるんだと。この理由は、大臣、何なんですかね。短めにお願いします。
  355. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊の任務遂行するためには、やはり知識、技能、経験、これの要素を重視をいたしておりまして、各自衛隊の任務を適正に継続的に遂行できるためにはそういった優秀な人材を維持をするということでありまして、そうなりますと、やはり熟練性となりますと准尉また曹ですね、これの構成比率がやはりベテランということで高くなりまして、士の構成比率が相対的に低いものとなっております。  私も自衛隊で勤務した関係で経験上申し上げますが、士になりますと、二年、四年、六年、つまり任期制でこれ退職をしなければなりませんが、やはりみんな曹を目指します。やはり、試験を受けて曹になるということで、非常に曹になりたい人が多いということで、この枠を広げたり、またそういった能力のある人を組織に置いておこうということで、だんだん曹とか准尉が増えてきたという現状がございます。
  356. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  これ一般の企業とかで考えてみれば、平社員の数よりも係長、課長、部長の数が多い、又は同じぐらいいるというのは何か不思議というか、あり得ない話だなと思うんですよね。しかも、組織ということを考えると、実力組織ですよね。若い力が必要になるんじゃないかなとは思うんですけれども、必要な人員がどれぐらい満たされているか、これ充足率というもので見ることができる、充足率。  防衛省は、九割を超えています、自衛隊ほとんど人員足りていますというような言い方をしている。でも、一つずつ見ていくと違うことが分かる、充足率を見れば。現場で作戦を実行するんだよと言われるような平社員の充足率は実は七割だと、それ以外の充足率が九割。本来は、この数字、本当は逆転していた方がいいんですよね、ピラミッド型にするんであれば。足りている、問題ないと言うんだったら、充足率は七割ではなく、既に九割、十割ないとおかしいんだという話なんですけれども、充足率は七割。どう言っても足りてはいないと。  自衛隊で平社員的ポジションであり、階級ではピラミッドの底辺であります士、ピラミッドの底辺であります士、本日はここにクローズアップしたいと思います。  陸上自衛隊では陸士、海上では海士、航空では空士、この士の皆さんの雇われ方、雇用形態には二つあるそうです。非任期制隊員と任期制隊員。非任期制隊員は定年まで勤務、正社員ですよね。任期制隊員は、陸上は二年間、海上と航空は三年間の期間雇用、非正規社員的立場というわけですよね。  今年二〇一五年三月三十一日現在の自衛隊の陸士、海士、空士の中で、いわゆる正社員的立場で定年まで勤務することが想定されている非任期制隊員が昨年二〇一四年三月三十一日現在と比べて九百八十人減少している。本格的隊員、プロの隊員が九百八十人減少している。逆に、二年間の期間雇用、任期制隊員は二千三百二十九名増員になったそうです。千人近くも正規雇用が減り、二千三百人もの非正規雇用が増えた。何か、どういうことなんですかね。正社員が減って非正規社員が増えたという原因何なのって。  これ、勝手に考えると、可能性二つ考えられるんじゃないかなと思うんです。自然に減ったか、若しくはわざと減らしているか。  自然に減ったということを考えた場合、去年の夏、憲法違反の閣議決定以後、現在の戦争法案などを通して不安が広がった。自衛隊の志願を考えていた人たちだけでなく、既に自衛隊員だった人にとって続けることへのハードル上げてしまった。今までの専守防衛範囲活動する自衛隊であれば続けたいんだけれども、何の歯止めもないじゃないか。自衛隊員の活動範囲の拡大、不安を感じ、職を変えようと考えたという可能性。  そしてもう一つ、わざと減らしていると考えた場合、コストを考えて正社員よりも非正規社員を増やしていく方針だということ。自衛隊員、公務員ですよね、等級制ですよね。普通のときでも何かあったときにも、平時でも有事でも隊員は勤務実績、要は勤め続けた期間が給料であったり待遇、給与などに反映されると。万が一があった場合、正社員、補償などのコストが大きく掛かる。勤務期間の短い者、非正規社員的な働き方をしている者であれば、平時はもちろん有事にも安く付く。非正規的な働き方でできるだけコストが掛からないように、最底辺は替えが利くようにしている。そのために、非正規社員である任期制隊員を増やしているという可能性。  安倍総理、徴兵制について、自衛隊はハイテク装備で固めたプロ集団であって、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊はつくれない、このように言われている。  じゃ、分かりました。超ハイテク装備で固めた世界一のプロ集団はどうなっているでしょうか。  イラク戦争が開始された二〇〇三年、米軍は二十一万人をリクルート、そのうちの三分の一が高校卒業後間もない若者だったとも言われる。徴兵制がなくても、経済的に困窮する若者が、教育を受けるため、安心して医療を受けるため、事実上の経済的徴兵制で戦地に行かざるを得なくなる。訓練期間十分でなくても、戦場では人手が必要なようです。  アメリカ、州兵までイラクに派兵したんですって。州兵って何だよ。地元で災害が起きたときなど救援活動が主な任務ですよ、通常は訓練月一回程度、それが州兵。それ以外は一般市民として暮らしている人々なんだと。イラク戦争ではその州兵がイラクに派兵されている。訓練期間は四か月程度。四か月程度しか訓練していない素人でも連れていくのが超ハイテク装備で固めたプロ集団の現実。  アフガン戦争に参加したデンマーク、たった十日間の訓練の後、アフガニスタン・ヘルマンド州に派兵されたケースもある。安く使える人員、大量に求められているということがよく分かると思うのです。  戦争、現代の戦争のスタンダード、相手国、敵国をたたいた後、必ず地上部隊投入になりますよね。ハイテク兵器だけですか。空爆だけで制圧、終わった、一件落着なんて存在しないでしょう。その後、地上部隊で制圧していきながら、占領地域拡大していくよと。そして治安を維持をしていく、繰り返す。治安がましになったら復興整備始めるか。そういう段取りが理想だけれども、イラクを見ればそうならないのは分かるじゃないですか。勝利宣言してからが更にたくさんの人員が必要。次々にマンパワーが徴集され、長い長い時間を掛けて、いつ撤退かも判断できないぐらい長期化、泥沼になるというのが現実です。  中谷大臣が点数を付ける、付けられないなとおっしゃった安倍総理の徴兵制をやらない理由、自衛隊はハイテク装備で固めたプロ集団であって、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊はつくれない。これ、世界現実見れば、どういうことなんですかね。合っているんですか、これ。詭弁ですよ、詭弁。  はい、次参ります。  先日、九月二日の本委員会で今の政治に覚悟はあるかとお聞きしたところ、大臣、お答えくださいました、もう既に隊員は活動していますと、PKO、海賊対策で、それなりの覚悟を持っているつもりでございますとお答えくださいました。以前、元統合幕僚長、NHKの番組内でこうおっしゃった。イラク派遣ではひつぎを、棺おけですよ、隊員に分からないように持ち込んだんだって、ばれないように、おっしゃっています。  それなりの覚悟を持っている大臣にお聞きします。今後の派遣でも、ひつぎ、棺おけ、派遣先に持ち込まれるんですか。イエスかノーかでお答えください。
  357. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 昨日もジブチから、海賊対処とかPKOとか、そういう任務をした隊員が帰ってきました。私は一級賞詞を出しましたけれども、本当に使命感に燃えて、誠心誠意、国際社会の中で日本の貢献をしていっておりまして、改めて私は、日本自衛隊員は優秀な人材が多くて、そういう組織であると、誇りを持っておりまして、今後、様々な任務があります。単に海外だけではなくて、レーダーをずっと見張る人、それから空の整備をする人、食事を作る人、いろんな人の集合があって日本の国を守られているわけでありますので、海外派遣に行く人のみならず、全ての自衛隊員に対して、私は、誇りと責任、そういうものを持ちながら、自衛隊の部隊運営をしていただいているという覚悟を持っております。
  358. 山本太郎

    山本太郎君 全く答えていただいていません。  委員長、これまで自衛隊海外に派遣した、数々あると思うんです、その先で用意された棺おけ、ひつぎの数、派遣先ごとにこれ出していただきたいんですけれども、理事会でのお取り計らい、よろしくお願いいたします。
  359. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事会で協議をいたします。
  360. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  覚悟できているんですか、本当に。話ばっかりそらして。  どういうことなんだということなんですよ。要は自衛隊員、この命に関して、どれぐらいの重さを感じているのかって。もしものことがあったら幾ら出るんですか、みんな、そのことをすごい気にしていますよ。自分の命がなくなってしまった場合、子供が幾つになるまで面倒見てもらえるんだよって、その覚悟はあるのかって。安全だ何だって言うけど、全然具体的な話してくれないじゃないかという不満が自衛隊員の方々の中にもあるんですよ。  これ、一般雇用契約では許されないような不利益変更ですよ。考えてみてください。労働条件、労働内容、勤務地、これ、変えようとしているじゃないですか。最初にやった宣誓、日本憲法を遵守してというような宣誓あるじゃないですか、服務の宣誓。これ、もしもこの法案が通ったとしたら、約二十四万人近く、二十四万人いる自衛隊員に対して、もう一度服務の宣誓、やり直さなきゃいけないですよね、取り直さなきゃいけないですよね。そういうことでいいですか。
  361. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛官は事に臨んでは危険を顧みずという宣誓をして、現在、勤務をいたしております。  各級指揮官は、そういった隊員の生命も、人生も、また安全も預かりながら任務を達成しているわけでありまして、今更宣誓をやり直せというのではなくて、私は、現時点においてもしっかりと各級の指揮官が責任を持って自衛隊を隊務運営しているということでございます。
  362. 山本太郎

    山本太郎君 専守防衛国民を守るために志願してくれた自衛隊員への完全な裏切りであるこの憲法違反戦争法案、廃案にするしかありません。自衛隊員の方々、見ましたか、今の答弁の仕方。皆さんを守る気はございません。廃案しかないと申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  363. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 新党改革の荒井です。(資料提示)  今日は、私は、先ほど来から、元気、山田さん、そして次世代、和田さんからもありましたが、大臣そして幹部の顔は分かりましたけれども、NSCという重要なこの判断をする機関の人って、会ってみたいですね、話も聞いてみたい。  それは、私はなぜそれを申し上げるかというと、今日、高見澤さん、これは防衛省から来ております。事態対処・危機管理、このいわゆる一次的まとめ役です。兼原さん、外務省から来ております。国家安全保障局、NSCの次長なんです。外務担当なんです。その上に谷内さん、局長がいる。  ほとんど答弁する方は、先ほどのクラスという意味でいうと、その下の方々なんですね。国会のルールでは、いわゆる事務次官クラスは答弁には立たないから、その上の大臣か、その下の局長クラスでという、こういう仕切りになっているんですね。  しかし、この我々が議論しようとしているのは、まさにどのようにして事態を認定し、自衛隊を派遣していくのかということに尽きるわけなんです。そのとき、一次的に総まとめをしていく御両所の私は肉声が聞きたい。両大臣、総理に対して、九大臣会合に対して様々なサポートをするんでしょう。その方々の肉声を聞きたい。  ですから、今日は私は、与党の皆さんの反対でこれは駄目だということでありましたから、質問ができません。このまま座るかどうするか考えておりますが、まあ私が止めてみても仕方ないかもしれませんので、どうして私がそれを申し上げたいかということを申し上げて、いつも私は止められて大変な目に遭っておりますが、お話をさせていただきたいと思います。  これはどういうことかというと、大臣、両大臣、そして小野さんも柴田さんもいますけれども、行政国家という言葉を御存じですか。これは、私は自らを恥じながら御紹介申し上げます。  行政国家とは、立法府に優越して行政の国家が、それをやる官僚が、実質的に委任立法等を含めて実質権力を握るということですよ。私が言いたいのは、皆様だから大丈夫だと思いますが、これが政権が替わり、あるいは内閣が替わって、専門知識と専門の技術を持って情報を独占し、そして独占、情報の集中をするこれは官僚機構ですね。マックス・ウェーバーは、時代の成熟とともにこの官僚制は免れない、この官僚の最たる源泉は情報の集中と独占なんですよ、その知識とテクノクラートの知識をもって政治家はコントロールされていくということがその一面に書いてあるわけですね。これは、行政学で学校で教えている話なんです。  私は、そのときに本当にシビリアンが利くのかと言っているんですよ。いや、制服着ていなければシビリアンだと。違います。先ほど山本太郎さんの話にもありましたが、自衛隊の命も懸かっているし、国民の命も懸かっているんですよ。軍事行動を言っているのではありません、軍事をシビリアンで抑えていく、その政治の決断を言っているんですよ。  そのときに、試験で受かったから官僚でござる、そういう方々の、私は、全員が悪いのではなくて、一人一人も立派でしょう、しかし、行政学でも、歴史的にも、官僚の膨張主義による弊害は多大なものなんですよ。そして、アイゼンハワーが言ったように、軍産複合体。我が国は官僚がいる。特定秘密を一番持つこの方々、NSC、この方々がどのような判断を持つのか、そして、そういう方々がどういう考え方をして決まった答弁を読み上げるのか、私は国民の皆さんとともに見たいと思っている。その方々が私は悪いと言っているんじゃないんですよ。二、三年たったらまた部局替わるんでしょう。そうして、重要なところにいたからといって天下りですよ、また。普通の国民の皆さんなんか、一回官僚にうまくいったからって、だあっと将来約束されるなんてことないですよ。  政治家は、我々は選挙区に帰り、忙しいからといってそれぞれの質問を皆さん、皆さんは一生懸命聞かれると思うけれども、結局は政省令に委任していく。政省令で委任された官僚が、国会の議を経ずに、しかも合法的な、まあ合法的ではないんですが、我々が委任しちゃっているから、政省令で全部法律作っていく。委任立法と言いますね、行政国家、官僚制の中で委任立法と言います。全部それで裁量でやっていきますよ。だから、町村長も業界もみんな官僚に陳情に行くんではありませんか。その裁量行政の最たるものが今度の緊急の場合なんですよ。軍事的な緊急を言っているんではないんですよ、シビリアンコントロールの緊急を私は言いたいんですよ。  大臣一つだけ私聞きたい。ホルムズの機雷掃海は事前承認するのかしないのか、お尋ねします。国会の事前承認。
  364. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ホルムズ海峡における機雷封鎖に起因して存立危機事態を認定し、自衛隊防衛出動を命じる場合には、基本的には国会の事前承認を求めることとなると想定しております。
  365. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 今度は基本的になりました。この間までは原則ですよ。  やるのかやらないのかなんですよ。これはやるんですか。
  366. 中谷元

    国務大臣中谷元君) このような答弁は衆議院でもいたしました。基本的に国会の事前承認を求めるということでございます。
  367. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これはもう我々は、普通は止める話ですよね。全く違う。この間までは、それはあり得るような話ですよ、事前承認が。今度はやらないんですね。  ということで、私は何言いたいかというと、結局メモが渡されて、大臣を私悪く言うんじゃないですよ、そういう過程を経ないと我々政治家はこなせないんですよ、やっぱり。官僚を信用しないわけじゃないんですよ。そういうときに恣意的なものがどんどん、特に外務省だ、私から言うと、自衛隊の命を弄ぶような私は印象を受けている。違うというならば、NSCも事務次官も出てきて説明してほしい。政治家に聞いているのではないんですよ。  そして、防衛省だって曖昧な答弁ばっかりじゃないですか。だから、曖昧だから戦争に行くんじゃないかと言っているんでしょう、曖昧だから法律やり直せと言っているんじゃないですか。でなければ、一点、自衛隊を派遣する前に必ず国会で今質問しているようなことを一々確認して出てもらう以外に出しようがないじゃないですか。出しようがないじゃないですか、確認しなければ。総合的に判断するって、誰が情報を選別するんですか。全部上げるという保証がどこにあるんですか。大臣は、急に大臣になるんですよ。  先ほどの話にもありましたが、相手国からの要請があるという原則ですよね。NHK中継で私は、外国から、必ず被害国や国会から認定がありますねと中継で申し上げたら、えっという顔ですよ、与党は。これは五か月前の話。そして今、だんだんそれが煮詰まってきた。そういうものも一つの歯止めでしょう。  だから、こうやって与野党が議論するというのは非常に意味があることでありますが、その中で私は、どうしても、例えば今大臣がおっしゃったような、法律上は、これは核兵器の場合、法律上は特定の武器弾薬の輸送を排除する規定はないとしながら、核兵器は、非核三原則もありますしアメリカもそんなことを言っていませんからやりません、想定しませんと、こういうことでしょう。  まさに裁量行政そのものじゃないですか。それを、官僚とともに政治が、我々がコントロールしていますなんていうような顔をしてコントロールされて、大変なことになりますよなんて言われて、大臣、そんなことしたら大変なことになりますよと。そういう形において実質コントロールされているというのが、もう大学、高校での行政国家の説明なんですよ。  国会がどうして政府に附帯決議で頼まなきゃならないんですか。先ほども山田太郎さんがありましたが、政府にやらせる仕事ならまだしも、国会国民とともにチェックをしましょうといっている話ですよ。それを附帯決議でどうして我々が受けられますか。全く認識が違う。結局、官僚にいいようにされているのではないですか。  私は、そういった点をきつく申し上げて、お二人が出てきませんから、質問構成になりませんので、止めないで終わります、もったいないですが。残念であります。
  368. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後五時三十五分散会