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2015-09-02 第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年九月二日(水曜日)    午前十時十分開会     ─────────────    委員異動  八月二十八日     辞任         補欠選任      島村  大君     大沼みずほ君      吉田 忠智君     福島みずほ君  九月一日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     藤田 幸久君      小野 次郎君     清水 貴之君      片山虎之助君     室井 邦彦君      山口 和之君     田中  茂君      水野 賢一君     中西 健治君      福島みずほ君     又市 征治君  九月二日     辞任         補欠選任      藤田 幸久君     前川 清成君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 石井 準一君                 佐藤 正久君                 塚田 一郎君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 北澤 俊美君                 福山 哲郎君                 荒木 清寛君                 清水 貴之君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 大沼みずほ君                 北村 経夫君                 上月 良祐君                 高橋 克法君                 豊田 俊郎君                 三木  亨君                 三宅 伸吾君                 森 まさこ君                 山下 雄平君                 山本 一太君                 山本 順三君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 大野 元裕君                 小西 洋之君                 白  眞勲君                 広田  一君                 藤田 幸久君                 前川 清成君                 蓮   舫君                 谷合 正明君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 室井 邦彦君                 井上 哲士君                 仁比 聡平君                 田中  茂君                 和田 政宗君                 中西 健治君                 又市 征治君                 山本 太郎君                 荒井 広幸君    委員以外の議員        発議者      小野 次郎君        発議者      柴田  巧君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君    大臣政務官        防衛大臣政務官  石川 博崇君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       土本 英樹君        内閣官房内閣審        議官       槌道 明宏君        内閣官房内閣審        議官       別府 充彦君        外務大臣官房審        議官       下川眞樹太君        外務省北米局長  冨田 浩司君        外務省中東アフ        リカ局長     上村  司君        外務省国際法局        長        秋葉 剛男君        外務省領事局長  三好 真理君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資  するための自衛隊法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国際平和共同対処事態に際して我が国実施す  る諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関  する法律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等  の一部を改正する法律案小野次郎発議) ○在外邦人警護等実施するための自衛隊法の  一部を改正する法律案小野次郎君外一名発議  ) ○合衆国軍隊に対する物品又は役務提供拡充  等のための自衛隊法の一部を改正する法律案(  小野次郎君外一名発議) ○国外犯処罰規定を整備するための自衛隊法の  一部を改正する法律案小野次郎君外一名発議  ) ○国際平和共同対処事態に際して我が国実施す  る人道復興支援活動等に関する法律案小野次  郎君外一名発議) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、吉田忠智君、島村大君、小野次郎君、片山虎之助君、山口和之君、水野賢一君及び那谷屋正義君が委員辞任され、その補欠として又市征治君、大沼みずほ君、清水貴之君、室井邦彦君、田中茂君、中西健治君及び藤田幸久君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと思います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事清水貴之君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  去る八月二十八日に趣旨説明を聴取いたしました武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等の一部を改正する法律案外四案の審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  7. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案国際平和共同対処事態に際して我が国実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等の一部を改正する法律案在外邦人警護等実施するための自衛隊法の一部を改正する法律案合衆国軍隊に対する物品又は役務提供拡充等のための自衛隊法の一部を改正する法律案国外犯処罰規定を整備するための自衛隊法の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国実施する人道復興支援活動等に関する法律案、以上七案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 佐藤正久

    佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。  まず、今日は、維新党提出法案中心質問させていただきたいと思います。  維新の党におかれましては、日本を取り巻く環境が厳しくなったという認識の下に法案を提出されたことについては敬意を表したいと思いますし、また、維新の党から要望がありました政党間の修正協議、これ、私もメンバーですので真摯に対応していきたいということをまず申し上げたいと思います。  その上で、やはり私、法案を見せていただきまして、確認したい、すべきだという点が多くございますので、それを中心に今日は質問させていただきたいと思います。  まず最初に、国際平和人道復興支援関係でございます。私も国際協力現場に立った人間として、読ませていただいて、幾つか疑問点がございますので、それについて質問させていただきます。  概要ペーパー維新の党さんからいただきました。その中に、人道復興支援活動はその実施暴力により妨げる勢力その他のその実施に著しい支障となる勢力存在しないと認められる場合に限り実施をするものというふうに書いています。この概要ペーパーだと、残党勢力による組織的、継続的な抵抗意思がない場合というふうに説明されていますけれども、そういう、存在ではなくて、この不存在、これを証明することは極めて実際現場では厳しいと思います。  この規定には誰がこの不存在認定するか不明確で、誰がどのような形でこの残党のような勢力存在しないことを証明するのか、これについて御答弁をお願いします。
  9. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  お尋ねは、人道支援実施要件のうち、そうした勢力存在しないことをどうやって確認するのかというお尋ねだと思いますが、当該勢力存在しないことは、人道復興支援活動実施についての基本的な原則であると考えます。その点の確認がしっかり行われる必要があると考えております。  維新の党の案では、この基本原則を満たしているかどうかについて、自衛隊による活動実施までに幾重にも判断がなされる仕組みとなっています。まず、基本計画において活動実施する区域の範囲及び区域の指定について定める。外国区域については当該外国等との協議が必要でございます。また、基本計画国会承認を行う。さらには、防衛大臣基本計画に従い実施要領において実施区域を指定し、これを内閣総理大臣が承認するといった手続が定められています。  こういった判断が行われる過程において、そうした活動をするのに支障がないという条件確認していくことを想定しております。
  10. 佐藤正久

    佐藤正久君 私の質問は、その手続ではなくて、どうやってこの勢力の不存在法律の方にそういう、存在しないことと、意思がないことと、確認規定がありますので、これはどういう形でそういう不存在確認するのかと、この質問です。
  11. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  お尋ねの件は、どうやって不存在確認するのかということだろうと思いますが、なかなか、それはケースバイケースでいろんな状況があると思うので、それを一概にどうやって確認するのかということについてこの国会の場でお答えすることが適当かどうかは分からないんですけれども、私どもは、実施暴力により妨げる勢力その他その実施に著しい支障となる勢力存在しないと認められることが人道復興支援活動を行うための土台になることだと考えております。このような基本原則を遵守できるかどうかという観点から、その活動を行うケースごと状況に応じてこの点の判断をすべきものと考えております。  したがって、そうした勢力を一律に定義することは難しいわけですけれども、例えば、ある国の政権の崩壊後に旧政権の再興を目指して抵抗活動を続ける旧政権残党勢力があるのか、残っているのか残っていないのかなど、我が国による人道復興支援活動実施について、そういった組織性を持った襲撃を実行する勢力があるかどうかということを確認して、この条件が満たされているかどうかを判断してまいるのが筋だろうと、そう考えております。
  12. 佐藤正久

    佐藤正久君 この法律一つの一番のポイントがここなんですよ。法律に明確にそういう勢力存在しないと認められる場合に限り実施すると書いてある以上は、存在しないことを証明しない限りはできないんですよ。これ、存在を認めるのと存在しないということを認めるのと、これはかなり大きな違いがあって、不存在を証明する、これは実際上極めて困難です。これは法律上そう書いてあるので、これは存在しない場合に限り行うと。では、これを証明しない限りはできないわけですよ。  さらに、そこには、抵抗意思がないことと、抵抗意思がない場合行うと書いてあるんですよ。どうやって意思確認できるんでしょうか。意思確認するということは極めて難しい。私もイラク等現場へ行きました。事前調査で何回か政府調査団も行きます。調査団行くときに、じゃ、どうやってその意思確認するのか。  これ、提出者にお伺いします。どうやってこの意思って確認するんですか。かなり難しいと思いますよ。
  13. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  そうした判断というのは、常にケースバイケースであるということと慎重に行うべきだということは繰り返し申し上げているところでございます。当該勢力存在しないことは人道復興支援活動実施についての基本原則でありますから、この点の確認がしっかりと行われる必要があると考えております。
  14. 佐藤正久

    佐藤正久君 これ、極めて実は難しくて、私が派遣されたイラクにおいても、事前調査調整等外交官も亡くなっているんですよ。これ、かなり実際に、その意思確認するとか、あるいはその不存在確認するというのは極めて難しくて、例えば今回の政府の案は、現に戦闘が起きている現場ではやらないと、これは分かりやすい。現に戦闘が起きている現場は分かりますけれども、こういう不存在を証明する、意思がないことを証明する、これは極めて難しい。これは警察出身小野先生も分かると思うんですよ、現場関係で。不存在を、存在ではなくて存在しないことを証明する、これはかなり難しい。  さらに、これは、さっき手続で言いましたけど、NSCなんかもかんで、実際、手続の方ではこの不存在とか意思確認とかこういうのもやるという認識でよろしいんでしょうか。
  15. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) 一般的に申し上げれば、そういった一般的な様々な判断政府としてする際にNSCが関与する部分については、この問題についても関与するということになるんだろうと思います。
  16. 佐藤正久

    佐藤正久君 この法律読ませていただきまして、今、そういういろんな要件を証明する、あるいはその手続のときにNSCというものが多分、今答弁で関与するという形になっていますけれども、今回、法律NSC法案が出ていないんですよ。NSCの関連の法案、これについては、「別に法律で定める。」と書いてあるんです。別に法律で定める、これはいつ定めるんですか。
  17. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  この点だけではないんですけれども、別に法律で定めると書いている趣旨は、これいろんな法律、膨大な法令があるので、その中で、成立して施行を待つ状態になった、その状態の中で統一が取れた形になるように、施行までに別に法律で定めるとしておくことの方が、今書いてしまって、どの法律がどのように成立するか分からない状態でまたそごというか食い違いが生じてはいけないので、別に法律で定めるというふうに書いたわけでございます。
  18. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、明確な答弁がございましたけれども、要は、どういう形になるか分からないから取りあえずNSC法案は別に法律で定めると。ということは、まさに政府の方は、そういう形だと、認定、例えば事態認定を含めてNSCでやることがいろいろあります。維新の案は、全て、今回法律を見ますと、NSCに関する事項は別に法律で定めると。ということで、パッケージでないために、極めて全体の法律としては完結していないんですよ。別に法律で定めると。  でも、維新の案を見ると、この成立後、六か月以内にこれが施行になっているんですね、全て。六か月以内。六か月以内に別のNSC法律が成立する担保というのは、これはないわけですよ。その六か月の間にその法律が通る担保がない。ばらばらにしたおかげで、結果的に、パッケージでないためにこのNSC部分がすぽっと抜けているんです。その部分をどうやって、六か月以内に成立する担保、取れるんでしょうか。
  19. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) 佐藤議員もよく御存じの上でお聞きになっているんだと思いますが、閣法議員立法の差がございます。今回の場合は議員立法として提出しておりますので、関係省庁との協議どもする機会がございません。ですから、国会で可決、成立した場合には、施行までに改めてまた政府の方において、これをどのように施行するかということについて別に法律で定めるというふうにしておくことの方が現実的には調和が取れた法執行ができるんではないかと、そのように考えておりまして、そういった政府閣法でない中で、全て議員立法の形でそういった佐藤議員問題意識部分まで規定することが適当かどうかということについては、我々は、改めてこの法案が成立した際には施行までに別に法律で定めることの方が調和の取れた法執行が可能なのではないかと、そう思ったわけでございます。
  20. 佐藤正久

    佐藤正久君 今、明快にもうお認めになったように、これはまだ法律上完結できないんですよ。ほかの、これから質問します存立危機事態についてもそうですけれども、その事態認定NSCでやるという部分も今のNSC法案にはありません。  全て今回、政府提出の方はなぜパッケージでやったかというと、いろんなところにまさにNSCが関与するわけです。今回、しっかりと法的安定性担保する、あるいはいろいろ情勢認識をしっかり政府の方で統一する、閣議でそれを押さえる前にしっかりそういう専門部署で押さえると、いろんなものが関係するわけです。これを、それについては後回し後回し後回し。これでは法律として完結しない。実際、実行できないわけです。  さらに、今言った不存在とか意思をないことを証明する、これは極めて困難です。その要件を、今回の法案、私、見させていただきましたけど、誰がどういう形でこの存在しないことを確認する、そういう部分法律上何にも明記していないんですよ。そういう不存在の場合に実施するというだけで書いてあって、どういう形でこれを法律担保するかと、これは書いていないんですよ。  申し訳ないんですけれども、このままだと法律上の要件を満たしていない部分がかなりあると。議員立法の限界があるというお答えになるかもしれませんけれども、これで法律現場に実行を命ずるというのはかなり、今までの経験からしても、実際に事前調査、これは極めてリスクを伴うものです。そこで実際に外務省の方も亡くなっている。そういう中で、この不存在確認する、あるいは意思がないことを確認する。じゃ、どこからどこまで確認するんですかという部分にもなります。申し訳ないんですけれども、このままではこの法律はなかなか機能されるのは難しいということをまず指摘をさせていただきたいと思います。  次に、武力攻撃危機事態、これについて何点か確認をさせていただきたいと思います。  この法律を読ませていただきますと、武力攻撃危機事態の定義、これには「我が国に対する外部からの武力攻撃発生する明白な危険があると認められるに至つた事態」とありますけれども、これは、明白な危険があるということは、危険が切迫ではなく、ということは、切迫よりも我が国に対する攻撃発生に近い段階という認識でよろしいんでしょうか。
  21. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  我々の法案にあります武力攻撃危機事態は、改正後の自衛隊法七十六条一項二号において二つの要件を満たすというふうに定義しています。  一つは、条約に基づき我が国周辺の地域において我が国防衛のために活動している外国軍隊に対する武力攻撃発生していること。そして、これにより、我が国に対する外部からの武力攻撃発生する、今先生お尋ねになった明白な危険があると認められるに至ったことというのを要件にしています。  その意味で、我が国防衛に参画しているというか活動している外国軍隊に対して攻撃がもう既に行われているということでございますので、そういった意味では、先生お尋ねに対しては、更に我が国に対する安全保障に対する危機はもう明白になっているというふうにお考えいただいて構わないと思います。
  22. 佐藤正久

    佐藤正久君 端的にお答えください。  この危険があるというのは、危険が切迫よりも更に事態が進んで、我が国に対する攻撃発生に近いということでよろしいですか。
  23. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  日本語の表現について言えば、私どもは短い方が明確であるというふうに基本的に考えています。つまり、明白な危険が切迫しているというよりも、明白な危険があるという方がより強い表現だと私どもは考えております。
  24. 佐藤正久

    佐藤正久君 つまり、これは切迫と同じ意味だということですか、それとも切迫よりも発生に近い概念、どっちでしょうか。
  25. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  明白な危険が切迫しているということの表現については私よりも内閣の方が解説ができるのかもしれませんが、明白な危険が切迫しているというのは解釈のしようによってはまだ明白な危険に至っていないというふうに解することもできますけれども、我が党の案では明白な危険がそこにあるということでございます。
  26. 佐藤正久

    佐藤正久君 要は、今の答弁を聞くと、やっぱり切迫よりも発生に近いと。  じゃ、これは武力攻撃事態との関係で聞きます。  武力攻撃事態と、その法律は今現行ありますけれども武力攻撃事態等における切迫事態とこの武力攻撃危機事態、この関係はどうなんでしょう。
  27. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  先ほど既に御説明申し上げましたとおり、私どもの想定している事態では既に条約に基づいて我が国防衛のために活動している外国軍隊攻撃を受けているわけでございまして、その意味では、単なる武力行使が行われていない切迫事態よりも我が国安全保障に対する危機はもう目の前に迫っているということだと御理解いただければと思います。
  28. 佐藤正久

    佐藤正久君 今明確に答弁いただきました。その辺りがはっきりしないと、これからやっぱりいろんな協議するときも出発点が分かりませんので、今明確に、武力攻撃事態等における切迫事態よりも発生に近いという明確な答弁をいただきました。  では次に、この武力攻撃危機事態という新しい事態ですけれども、これはやはり憲法上の適合性国際法上の適合性、これは両方必要だと思うんですよ。これは国際法上の適合性という観点で、国際法上の根拠、これはどこに求めることになるんでしょうか。
  29. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  昨年七月一日の閣議決定佐藤議員、ございますよね。その中で私どもが共有できると思ったのは、ちょっと説明が長くなりますけれども、これまでの個別的自衛権集団的自衛権の言わば解釈の境界線みたいなものが常に憲法適合性と違憲性の境界線とは限らないということについては私どもも共有しているところがございます。  それによって私どもは自衛権の再定義が可能になったということでございまして、私どものこの法案で自衛権行使として考えていますのは、自国防衛のために徹頭徹尾最小限度であり必要不可欠なものというのは憲法上容認されていると、そのように考えてこの法案は作っております。
  30. 佐藤正久

    佐藤正久君 私が聞いているのは国際法上の関係なんです。当然、こういう事態認定のときは、国内法の特に憲法上の適合性も必要ですし、国際法上の適合性、両方必要なんですよ。国際法上違法なルール違反を行うわけにいきませんから。  この武力攻撃危機事態、この国際法上の根拠、どこに求めるんでしょうか。
  31. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  自衛権の行使でございます。
  32. 佐藤正久

    佐藤正久君 国際法上の根拠、自衛権の行使じゃなく、根拠はどこですかと聞いているんです。
  33. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  国際法上、武力の行使が一般に容認されるケースというのは自衛権の行使と集団安全保障ケースとあると思いますが、私ども法律は自衛権の行使を考えております。
  34. 佐藤正久

    佐藤正久君 ということは、今、自衛権の行使というのは、国連憲章第五十一条の個別的自衛権集団的自衛権、これは認められていますよね、そこに根拠を求めると。集団安全保障に求めないという今の答弁と理解してよろしいでしょうか。
  35. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  国連決議に基づく集団安全保障というものを容認しないわけではありませんけれども、この法律で定めているのは我が国の自衛権行使でございます。
  36. 佐藤正久

    佐藤正久君 明確に答弁をお願いします。根拠は、自衛権行使であれば国連憲章第五十一条が根拠ということでいいですね。
  37. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) それ以外には思い付くものがございませんので、それであろうと思います。
  38. 佐藤正久

    佐藤正久君 それであろうと思いますじゃ困るんですよ、一応これは法律ですから。国内法の憲法上の関係の定義も大事です。でも、国際法上の定義も、これも整理も大事ですから。  じゃ、五十一条だと思いますと、五十一条というふうに理解した上で進めますけれども、これ、衆議院の質疑の方で維新の党の小沢議員が、この武力攻撃危機事態というのは国際法上は集団的自衛権の行使であるという評価を受け得ることを否定するものではございませんというふうに答弁されています。この認識は同じでよろしいんでしょうか。
  39. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  先ほどちょっと閣議決定の話に触れましたけれども、私どものこの法律案は、政府案が法律専門家から違憲であるという厳しい指摘を受けている、あるいは法制局長官経験者からも違憲の疑いが濃いという指摘を受けている中で、憲法適合性のある対案ということで私どもはこの法案を作りました。  お尋ね国際法上の話については、今憲法適合性のことを、私たちは適合する形の法案を作ったわけでございますが、国際法上の問題については、そもそもこの集団的自衛権というのは他国防衛説というのが国際的には通説でございます。ですから、その意味で、そういった立場に立つならば、これは私、自国防衛規定にしております。他方で、外国軍隊に第一撃があったということで、形式説に立ってこれが集団的自衛権だと判断する方もおられると思います。  ですから、他国防衛説に立てば集団的自衛権とは見られないだろうし、形式説に立てば集団的自衛権に見られるかもしれません。その意味で、衆議院における同僚議員答弁というのは、そういった国際法上のあるとかないとかという議論は排除されないということを申し上げたんだろうと思います。
  40. 佐藤正久

    佐藤正久君 極めて曖昧なんですよね。要は、他国防衛説で個別的自衛権を認めるということを、そういうこともあり得るということですか、今のは。
  41. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) 他国防衛説では、我々が作っている法案は立っておりません。
  42. 佐藤正久

    佐藤正久君 ちょっと意味、先ほどの答弁と何かそごがあるような感じがするんですけれども、これもう一回確認します。  これ、国際法上は、小沢先生は、国際法上これは集団的自衛権の行使であるという評価を受けることを否定するものではございませんと。それについては否定はされないという今答弁だったと思います、最初の答弁で。ただ、そのときに、他国防衛説に立てばこれは自国防衛という答弁をされたので、外形的なものと目的で、そこで使い分けているので、ただ、目的的に含めて他国防衛だから自国防衛だという理屈なんですか。そこを明確に、我々とこれ議論をする上にそこを明確にしてもらわないと。  国際法上は、これは集団的自衛権ということでいいんですか、それとも個別的自衛権と、どっちですか。
  43. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  衆議院での我が党の同僚議員答弁はそういった議論が排除されないという意味で言っているんだと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、我々の出しております法案は自国防衛ということで徹頭徹尾考えておりますので、それを個別的自衛権だという説もあります、国際法上。他方で、形式的に外国軍隊に第一撃があったケースだから集団的自衛権ではないかという議論もあります。  私どもの案は、憲法適合性を満たす法律案として作りまして、法制局長官経験者からも憲法学者からも合憲であると認められておりますので、国際法上の議論についてはそういった議論を排除するものではありませんということを同僚議員はお答えしたものと思います。
  44. 佐藤正久

    佐藤正久君 極めて不明快なんですよね。今言ったのは、国際法上、集団的自衛権というふうに見られることを否定をしないと言いながらも、これを目的が自国防衛ということなので、今、個別的自衛権というふうに見られる場合もあるという話、両方言っているんですよ。でも、普通に考えて、自国防衛と他国防衛という概念があって、他国防衛、他国、日本が攻撃されていないにもかかわらずほかの国を守るということは、国際法上これは個別的自衛権とは言えない。  これは政府の方に、外務省参考人確認します。我が国攻撃されていないにもかかわらず、ほかの国の軍隊というものを武力をもって守る場合、これは国際法上、目的があるいは自国の防衛ということであっても、これは集団的自衛権と言わざるを得ないんじゃないでしょうか。
  45. 秋葉剛男

    政府参考人(秋葉剛男君) お答えいたします。  国際法上は、集団的自衛権個別的自衛権とは、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかどうかという点において明確に区別される権利として確立されている次第でございます。御指摘のような、目的が自国防衛か否かという点で区別されるわけではございません。  したがいまして、我が国に対する武力攻撃発生していない状況において外国に対する武力攻撃に対処するために武力を行使するということであれば、これは個別的自衛権で正当化することはできず、集団的自衛権又は武力行使を容認する安保理決議に基づく集団安全保障措置によって正当化する必要があると考えております。
  46. 佐藤正久

    佐藤正久君 まさにこれは明快な答弁なんです。  これからいろいろ修正協議をやるという上においても、その出発点で、これが他国防衛を、外形的にも目的的にも他国防衛をもってこれを個別的自衛権と言うのはこれは極めて危険で、それは、個別的自衛権の拡大解釈というのはまさにいつか来た道で、これは絶対やっちゃいけない。これは限定的とはいえ集団的自衛権と言わざるを得ないんであれば、それは集団的自衛権と言うべきなんですよ。  だから、政府の方はそういう形で、今回は、これは目的が自国防衛であってもそれは日本が攻撃されていない段階で他国を守るという場合は、これは集団的自衛権と言わざるを得ない。ここを明確にしないと、他国防衛でありながら個別的自衛権、これを使うと、これは絶対やっちゃいけない。これは明確にそこは指摘をしていきたいと思います。  さらに、今回のこの武力攻撃危機事態、これに基づいて武力の行使をするときに、これはその国からの要請、同意、これは要るんでしょうか。
  47. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  なかなか答弁というのはどのページだったか見付けるのが難しくて、急に変わりますと難しいところがあるということを改めて感じているところでございますが、我が党案は、条約に基づいて日本周辺において我が国防衛に従事している外国軍隊ということで、現在の日本においては安保条約を結んでいる米軍だけでございます。その意味で、アメリカと日本との関係においては、この法案がもし可決、成立して施行されることになれば、これまでどおり、日米間において、この法施行までの間に、どのような形で、どのようなケースにおいて、どのような、日本の自衛隊が米軍に、共同の反撃に出る、応援に行くという形について定めることになると思いますので、そのことにおいて要請があったとかなかったとか、同意があったとかなかったかとかじゃなくて、共同で対処することになると私どもは考えております。
  48. 佐藤正久

    佐藤正久君 要請がなくても行うことがあり得るという今答弁なんでしょうか。要請とか同意がなくても、この武力攻撃危機事態においては自ら武力を行使する場合もあるという答弁だったんでしょうか。
  49. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  舌足らずの答弁で御理解いただけていないのかもしれませんが、そういった佐藤議員のような質問については、我が国と密接な関係を有する他国がと書いているような政府案については重要な問題だと思いますけれども、先ほどから申し上げましたとおり、日米安保条約の下で日米の自衛隊とアメリカ軍がどのような連携を取るかということについては、この法案がもし可決し施行されることになれば、それまでの間に、当然のことですけれども、どういった場合に応援を要請してくる、場合によっては、先生現場を御存じだと思いますので、言わば、しばらく原因を調べるから手出しをしないでくれ、応援しないでくれと、応援の必要はないという連絡が来ることもあると思います。様々なケースケースごとに、当然、日米の安全保障当局同士で打合せをしますので、そういったことについて、要請がなかったのに日本の自衛隊が勝手に手を出したなんという批判を受けるということはあり得ないと私どもは考えております。
  50. 佐藤正久

    佐藤正久君 ということは、政府の方は、存立危機事態においては国際法集団的自衛権と認められるということから、これは要請、同意を認定要件としています。  じゃ、維新案の場合の武力攻撃危機事態、これについては、アメリカの要請、同意は、これは要件じゃない場合もあるということでいいんですね。
  51. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  何度かお答えしているつもりですが、既に安保条約を結んでいる日米当局間においては、この法案が可決、成立して施行を待つ段階になれば、どのような場合にどのようなアメリカ側からの要請が行われる、それに対して日本の自衛隊はどのように対応するということについては、いわゆる内閣とアメリカ政府という間でも取決めが行われるでしょうし、また、いわゆる自衛隊のレベル、現場レベルでも様々な取決めを行うことになりますので、そういったことについて、米側からの要請がないのに我々がアメリカ軍が攻撃された事態に手出しをしてしまうということには絶対ならないと思います。
  52. 佐藤正久

    佐藤正久君 ということは、要請、同意はこれも同じ前提条件だと。これから取決めはあるにしても、もう政府と同じだと。非常にこれが大事なポイントなので、これはいずれにせよアメリカから要請なり同意があるというのが前提条件だということでいいですね。じゃ、これは政府と同じだということでいいですね。
  53. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  何度もお答え申し上げているつもりですが、佐藤議員質問は、外交上の要請というものが要件になるのは、どの国との関係でそういった集団的自衛権の行使をするかというのが明確に定まっていない政府案については該当する質問だと思いますけれども、日米間においては、安保条約に基づいてアメリカ軍が日本のために防衛に従事していてそこで攻撃を受けた場合に、日本の自衛隊がそれに対して反撃に共同で参加する、撃退に参加するということについては、この法案が可決、成立して施行するまでの間に、日米のいわゆる安全保障というか、いわゆる軍事担当の部門、当局レベルでも取決めが行われることが当然必要になりますし、また、政府間においてもどのような場合にはどのような要請をするということは細かく決めることができますから、そのときが起きたときに、事が起きたときに要請するかしないかという問題ではないということを申し上げているわけでございます。
  54. 佐藤正久

    佐藤正久君 これはまだ、日米安保条約に基づいてアメリカが武力行使するというのは、日本の方が主権国家ですから、やっぱり個別的自衛権を発動した後に通常、武力行使というレベルになるわけです。その前はあくまでも警戒監視とかそういう、要は日米協力の分野はまだ武力行使の段階じゃないわけです。これは御案内のとおりだと思います。  日本が武力攻撃事態等に基づいて攻撃発生する前に武力行使を行うわけです。そういうときに、要請、同意というのは、これはなくてやってしまうと。今の場合は多分、ないということを言っていると思うんですけれども、ここの部分を明確にしないと。  これ何回も言いますけれども、これ実際は、衆議院の段階では、今井議員は、日本国に要請というものは来ているというふうな答弁もしているんですよ。だから、向こうの衆議院段階からちょっとこの部分は曖昧になったという認識なんでしょうか。衆議院段階では、これは要請はもう来ているという前提でやるという話をされているんですよ。そこは若干、参議院の方に来た段階で、議論した結果、そこが少し曖昧になった、後退になったというふうに理解してこれからいろいろお話をさせてもらえばいいんでしょうか。
  55. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  安保条約を結んでいる米国のことだけを想定した法律案になっていますので、政府案についての質疑を聞いておりましても、そういった要請、同意というのはある程度、事前にとか類型的にとか行うことができるという答弁をされておりますので、日米間においては、いわんや日米間においてはそのようなことは、実際にこの法律施行されるまでに十分に様々な取決めを行うことになりますので、何かそういった、アメリカ側からの要請がないのに、日本の自衛隊が頼まれもしないのに手を出すというような事態が起きるかというお尋ねは余り当たらないんじゃないかなと思っております。
  56. 佐藤正久

    佐藤正久君 要は、この部分を明確にしないと、これいわゆる違法な先制攻撃とみなされる場合もあり得るわけですよ。だから、非常に、政府の方も多分維新案の方も、こういう日本が攻撃されている前の段階で武力を行使するという場合においてはやはりこの要請、同意というものがないと、いわゆる違法と見られる先制攻撃というふうな批判を浴びないとも限らない。これは非常に大事な要件なので、そこはアメリカといえどもそこは明確にしないといけないと思います。  次に、国際法上でもう一点だけ確認しておきたいことがあります。維新案のこの武力攻撃危機事態、これは、仮に国連安保理において国連憲章七章に基づく決議、これが採択された場合、また集団安全保障の世界に入った場合、これは根拠とならないというふうな認識でしょうか。
  57. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) まず、先ほどの佐藤議員質問に私として補足させていただくならば、日米以外の第三国から見ても、日米間には安保条約があり、アメリカ軍が日本の防衛のために従事するということは第三国との関係でも明らかになっているわけですから、しかも、日米間のそういった、この法案が可決、成立したときの施行に向けての様々な取決め、ガイドラインとか、いろんな形になると思いますけど、それについても第三国に対しても明らかにすることが可能ですので、そういった不意打ちとか先制攻撃とかということを第三国から言われる事態はちょっと想定し難いというのが私ども認識でございます。  さらに、今のお尋ねについて、先ほどちょっとお答えしましたとおり、この法律案我が国の自衛権行使について定めた、その要件を定めたというふうに理解しております。ですから、国連の集団安全保障については、それをもちろん存在を、そういった安全保障という措置を認めないわけではありませんし、我が国として可能な限りの例えば後方支援などを行うことは当然だと思いますけれども我が国の行う武力行使は自衛権行使に限られるべきだと考えております。
  58. 佐藤正久

    佐藤正久君 自衛権行使じゃなく、当然そこは理解はしますけれども、今度それが集団安全保障の世界に入った場合、国連が決議をして日本のために、日本有事のために来る、まさにこの武力攻撃危機事態等に来るというときに、集団安全保障措置になったからやめるということはないと思うんですけれども、今回、国際法上の根拠が個別とか集団的自衛権じゃなくて集団安全保障措置、こういうものに移った場合はこれはやめるということにはならないと思うんですけれども、要はこれが国際法上の根拠になり得るということでよろしいですか。(発言する者あり)
  59. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) 厳しい御質問をいただいておりますが。  一つは、国連憲章の考え方においては、個別の国がとる自衛権の措置というのも自衛権の行使というのも、国連が有効にその集団安全保障の措置をとるまでの間というふうになっていますよね。ですから、我々が自衛権の行使として行う措置も必要不可欠、最小限のものでなきゃいけませんし、その措置をとり続ける必要があるのであれば我々はとることができる、とるべきだと思いますけれども、いずれにしても、国連が集団安全保障の措置を開始した後は、それと矛盾するような単独行動というのは慎むべきだろうと私どもは考えております。
  60. 佐藤正久

    佐藤正久君 今のであれば、今の答弁で明確に、集団安全保障措置になったからといってやめるということではないという答弁がありました。  これは、小野先生がこの前の外交防衛委員会で言われた、集団安全保障が根拠になるなんて初耳だとか、ああいう、答弁とちょっと違いますので、これはしっかりと、これは大事な問題なんですよ。憲法上で自衛権の再定義をしたと、これは御党の理屈だと思います。  ただ一方で、国際法上の整理もしないといけないんです。この部分が極めて曖昧だと、これはいろんな協議をするときに、法的安定性を含めても極めて曖昧なんですよ。国連憲章五十一条という部分もあれば、七章もあるんです。今、両方で担保しておかないとこれはいけないと。これはまたいろんな協議の場で議論をしたいと思います。  最後に一点。この米軍行動関連措置法等々で後方支援がございます。そこで保管とか修理、整備というものも入っておりますけれども、この保管とか修理の方に、輸送とかに書いているような除外規定はありませんよね。これ、輸送には核兵器とかそういうものを除くとか政令で定めると書いてありますけれども、保管とか修理、整備の方にはそういう除外規定ないんですよ。これは、非常にこれが曖昧で、片や除外規定がある、同じような整備とか修理、保管にはそのような核兵器とかの保管とか修理、整備は行わないという除外規定がない。これはちょっと整合が取れないと思うんですが、いかがでしょうか。
  61. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  先ほど、私が他の外交防衛委員会で行った質疑についても言及がありましたので、まずそれについてお答えさせていただきますが、それは、政府側から、政府案の存立危機事態による武力行使が国連の集団安全保障を根拠にして行うことがあるというから、それはおかしいじゃないかということを申し上げたのでありまして、先ほどの私の答弁は、よく聞いていただくと明確なんですけれども、我々の法律案は自衛権行使を規定したものですよと。国連の集団安全保障が行われれば、それと矛盾しない形で行うことはできるけれども、別にそれを根拠にして行うわけではないということは明らかに政府答弁とは違いますので、佐藤議員にはよろしく御理解をいただきたいと思います。  そしてまた、今、最後に保管と整備のことについてお話がありました。  私もそれについては考えましたけれども、保管とか整備というのは、当然、どういうものを保管しているのか、どういうものを整備するのかというのが確認できなければできない業務ですけれども、輸送については何も聞かずに運んでしまうということがありますので、それについてはきちっと政令で、大量破壊兵器など、我が国が保有もしないし使用もしないと言っているものについては運ぶべきじゃないということを明確に規定するわけでありまして、業務の性格からそれをあえて明記する必要があるもの、つまり、頼まれたから運んだだけだという理屈は通らないよという議論を現にしていますので、それについては明確に除外しますけれども、当然のことながら、業務の性格上そのようなことはあり得ない業務については書いていないということで御理解いただければと思います。
  62. 佐藤正久

    佐藤正久君 政府の方も、あり得ない、想定し得ないことを書いていないと同じなんですよ。もう例外規定がどんどんどんどん広がる、こういうことではなくて、想定し得ないことは法律に書いていないというだけの話で、ここは同じなんです。  最後にもう一回言いますけれども維新案の武力攻撃危機事態、これは極めて、やっぱり定義からして、これは国際法上どうなんだという部分をもう少し詰めていただかないと、今の議論を聞いても極めて非常に曖昧なんです。これを本当にやらないと、これからの協議を含めて大きなそごになりますから、しっかりと整理をお願いして、私の質問を終わります。  以上です。
  63. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党の白眞勲でございます。  まず、八月二十九日、三十日ですか、この前の土曜日と日曜日、国会前も含め全国三百か所以上で安保法案デモが行われた件につきまして、防衛大臣にお聞きしたいと思います。  私も国会周辺のデモに行ったんですけれども、今までで最大規模とも言われているわけで、本当に驚きました。この法案の批判が国民の間で沸き起こって、特に感じたことは、若者や若いお母さんが子供連れで参加されたということなんですね。  防衛大臣はこのデモに関して、昨日、記者会見でこうおっしゃっているんですね。この法案の目的は紛争を起こさせないようにすることを目指しております、是非このことが理解できるようにこれからも努力してまいりたい、参議院の審議におきましてもできるだけ分かりやすく丁寧に審議を続けてまいりたいと思っておりますと、こうお話しになったわけなんですね。  防衛大臣にお聞きしたいのは、今回、なぜこの安保法案反対という市民のうねりが今までで最大級のデモとなって様々な世代に広がっているのか、その理由について防衛大臣はどのように分析をされているのか、それをお聞きしたいと思います。
  64. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 国民の皆様方に様々な御意見があるということは承知をいたしているわけでございます。  政府といたしましては、新たな安全保障環境に対して国をしっかり守り、国民の命、平和な暮らしを守っていくための必要な政策としてこの法案を提出をし、そして国会で審議をいただいて、答弁も、いただいているわけでございますが、できるだけそういった趣旨が国民の皆様方に伝わるように努めているわけでございますが、まだ十分に伝わっていない方もいらっしゃるということで、これから更に丁寧に分かりやすく、そういった皆様方にも説明を続けていきたいというふうに思っております。
  65. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私がお聞きしたいのは、これだけいろいろな方々が何でこれだけ集まっているんだろうかということなんですね。それについてお答えください。
  66. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) それぞれ皆様方、お考えがございまして、それぞれの自らの考えを表現をする、またそういう行動をする、そういうことはこの自由主義、民主主義の国におきましては認められたことでございますので、そういう趣旨の下に行動されているものと認識をいたしております。
  67. 白眞勲

    ○白眞勲君 なかなかお答えされていないようなんですけれども、今まさに防衛大臣がおっしゃいました、自らの表現をしているということですよね。  以前、ある防衛大臣経験者は、デモはテロと同じだと言って批判を浴びて撤回したことがありますけれども、今までにないこういった形での日本のデモが起きているというような報道もありますけれども、中谷大臣は、今議会制民主主義とデモとの関係についてはどういうふうにお考えですか。
  68. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 国民の立場といたしましては、表現の自由もありますし、そういった活動をするということはこれは当然のことでございます。  一方で、議会制民主主義というのは、選挙で選ばれた議員がそれぞれ国会活動を通じて、審議、質疑を行いながら国政の重要事項を決定していく上におきまして、与党と野党の区別もございますが、国会におきましては、政府とまた議会との関係で、政府としては国政上必要なことに対して提案をし、そして議会におきまして真摯にそれを議論を続けているというような機能があるというふうに思っております。
  69. 白眞勲

    ○白眞勲君 そういう中で、八月五日に私がこの委員会で、法文上、核兵器の運搬の可能性についてお聞きしたことは中谷大臣も御記憶にあるかと思いますが、そのとき大臣は、法文上は排除をされていないが、そういうことは全く想定もしておりませんし、非核三原則がございますのであり得ないということでございますと答弁されました。  ここで、お手元配付した資料一ページ目を御覧いただきたいと思うんですけれども、この資料の、質問の二日後の八月七日のこれは衆議院予算委員会の議事録なんですね。ちょうど広島の原爆の祈念式、祈ると念じるですね、の式が終わった後の委員会でしたが、この核兵器の運搬の可能性について衆議院民主党の山井議員が総理に質問されたんですね。  二ページ目の最初の部分、安倍総理はこうおっしゃっているんですよ。そもそも、政策的選択肢としてないものをどうだという議論をすること自体私は意味がない、このように思います。  この部分、これ、発言ちょっと問題だと思いますよ。政策的判断というのは、これ、政府が決めるものではないですか。自分たち、つまり政府としては選択肢としてあり得ない話は、だからといって国会で議論すること自体意味がないんでしょうか。私は、これ、国会、ひいては国民を愚弄していると思いますよ。我々は、それぞれ立場は違っても、国民の代表として真摯に議論しているのが国会なわけですから、俺たちはやりっこないんだから議論する意味ないと言ったら、国会なんか要らないということじゃないですか。  中谷大臣にお聞きいたします。この特別委員会で毎日のように議論している担当大臣として、この総理の御発言をどういうふうに思われますか。
  70. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 私個人といたしましては、国会は言論の府、発言の自由がありまして、現に国会でこの問題も自由に御発言をいただいておりまして、そういう自由闊達な言論の場であるというふうに認識しております。
  71. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、大臣はそういうふうにおっしゃっていたって、総理は、このページの二つ目の段落に、総理、こう答えていますよ。起こり得ないことをまるで起こるかのごとくそういう議論をするのは間違っている、私が何回も申し上げているとおりであります。  つまり、政府としては、政策上やらないと言っているのに、それを議論するのは間違っている。これ、国会無視じゃないですか。独裁なんじゃないですか。きちんとお答えください。
  72. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは、質疑でありますので、御質問されたことに対するお答えで言われたと思いますが、政府といたしましても、核兵器を運んだりまた提供したりすることは全く考えてもおりませんし、あり得ない、想定をしていないということでございますので、総理としてはそういう趣旨をお答えされたのではないかと思っております。
  73. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、議論自体を封殺するようなことを総理がおっしゃっていたら議論が先に進まないんじゃないんですかということを私は申し上げているわけなんですね。私は、この核兵器を輸送することなんかやらないに決まっているだろう、だから議論をするのは間違っているみたいなことを総理から言われたら、参議院としては審議なんかできなくなりますよ、これは。  それで、中谷大臣は昨日の記者会見でも、今、参議院の審議におきましても、できる限り分かりやすく丁寧に審議を続けたい、今もおっしゃいましたよね、と話しておきながら、総理大臣が議論をするのは間違っているって、まるで後ろから鉄砲を撃っているようなものじゃないですか、これ。審議も何もあったもんじゃないんですよね。  私、まさにこれが安倍政権の傲慢さが露呈した議論だと思うんですね。総理のやじだって、早く質問しろよ、あるいは、いいじゃないか、そんなこと。今回のこれと全く同じ乗りなんですよ。私も言葉尻を押さえてどうのこうのということは言いたくはないんだけれども、今回の議事録を見るのは、議論するのは間違っていると何回も申し上げていると自分でお認めになっているわけなんですね。  ここで、資料の五ページ目を御覧いただきたいと思います。  これは我が党の小西議員に対する政府理事会提出資料なんですけれども、この数字の四の一番下の部分、「米国が我が国に核兵器の輸送を要請することはない旨確認している。」と書いてあるんですよ。つまり、総理は、日本の国会では核兵器の輸送をすることを議論することは間違っていると言っておきながら、アメリカとは議論しているじゃありませんか、これ。  防衛大臣にお聞きいたします。これ、いつ確認したんでしょうか。
  74. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) いつ確認したかという質問ですが、今般の参議院平和安全特別委員会での審議を踏まえ、外交ルートで国務省及び国防省に照会したところ、国務省日本部を通じて米国政府としての確認があった次第であります。
  75. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、私は、資料の二ページ目の一番下の最初の部分で、「そもそも、そんな、弾頭自体を日本に運んでくれと米国が言うこと自体は一二〇%あり得ませんよ。」と答えているんですよ、総理が。また、次の三ページ目の下の部分、二つ目の段落には、「それはそもそも全くない話でありまして、」と言っておきながら、なぜ確認するんですかということなんですよ。確認する必要なんかないんですよ、これは元々。  それにもかかわらず、今確認したということですけど、いつ確認したんですか、お答えください。
  76. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、改めて確認した日にちについてですが、今般の参議院平和安全特別委員会での審議が行われました。この審議を踏まえて、我が国として米国政府に対して確認を行いました。タイミングについては、そのようなタイミングで確認をいたしております。
  77. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、だから、いつかですよ、それを聞いているんですね。  つまり、この八月七日以降かどうか。それはどうなんでしょうか。
  78. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 改めて確認をしたのは八月七日以降であります。
  79. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、八月七日以降にこの確認をしたと。  確認の経緯というのを私聞きたいんですけれども確認って二通りしかないんですよ。つまり、こちらから核兵器の輸送はありませんよというふうに話し始めたのか、あるいは向こうから核兵器の輸送をしてくれないか、しないかということを言い出したのか。どっちが言い出したんですか、これは。こちらから言ったんですか、向こうから言ってきたんですか。
  80. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 我が国から米国の国務省及び国防省に照会をいたしました。
  81. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは書面で照会したんでしょうか、口頭でしょうか、その辺はどうなんでしょうか。
  82. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 済みません、具体的に文書なのか口頭なのか、ちょっと具体的な形については、ちょっと事前通告なかったものですから、今ちょっと確認ができておりません。
  83. 白眞勲

    ○白眞勲君 それでは、理事会でこれ、後ほど御討議願いたいと思います。
  84. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会に諮ることといたします。
  85. 白眞勲

    ○白眞勲君 この核兵器の運搬が念頭にないって総理はおっしゃっているんですよ、念頭にないって。そうおっしゃっているにもかかわらず、念頭になければ全く聞くわけないわけじゃないですか。それを総理も認めているわけなんですね。つまり、政府は、国民に対しては核兵器の運搬は一二〇%あり得ないと説明していながら、もう一回アメリカにそれを確認しているということですよね。それだけやっぱり心配なんでしょう。  だから、私、もう一回聞きます。政府は核兵器の運搬についてアメリカと話し合っていたということでよろしゅうございますね。
  86. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 米国との間においては、安全保障を始め様々な分野で絶えず意思疎通を行っております。その中にあって、我が国として、我が国が米国の核兵器を運ぶことはあり得ないと認識をしております。そして、その上で、今回こうした議論が行われました。改めて我が国として、米国に対しまして先ほど申し上げました照会を行った次第であります。  こういった形、こういった経緯をたどりながら、米国が我が国に核兵器を要請するようなことはあり得ない、このように認識をしております。
  87. 白眞勲

    ○白眞勲君 今おっしゃいましたように、これ要請することはないと確認したということなんですけれども、そもそも今までの御答弁で大臣は、防衛大臣は、どのような物品を輸送するかどうかはこちら側が主体的に判断することであって、相手から頼まれてもしないということではなかったんじゃないんでしょうか。そうでしょう。  つまり、要請をしてくださいとか、しないんですよということ自体を確認する必要はないんですよ。お伺いする必要ないんですよ、これは。我々が主体的に判断すればいいんじゃないんですか。それを何でわざわざ確認するのか、それは何ででしょうか、お答えください。
  88. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、この核兵器につきましては要請もないと認識していますし、我々が主体的にこの判断するわけであります。しかし、その中で今回、この特別委員会での議論がありました。この議論を受けて、改めてこれを米国側に確認をしたということであります。
  89. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、一二〇%あり得ないですよ、だから机上の空論ですよということを総理おっしゃっているんですよ。にもかかわらず、念のために確認したと言ったって、要請するかどうかは関係ないんですよ。今までの防衛大臣答弁では、どのような物品を輸送するかどうかはこちらが主体的に、こちら側が主体的に判断するというふうに言っているわけですから、一々確認する必要もなかったのに、それでも念のためですから確認しておきましたというのは、どうしてそこまでアメリカにお伺いを立てなきゃいけないのかなというのが私はよく分からないんですね。  それで、今回の法案に関して、劣化ウラン弾の輸送についてちょっとお聞きしたいと思うんですね。  中谷大臣は、八月三日の当委員会で、共産党の井上委員、こうお聞きになっているんですね、井上議員が。アメリカから依頼をされれば、劣化ウラン弾も日本は輸送することができるのかと聞かれたわけですけれども、八月三日に大臣はこうお答えになっています。我が国としては、保有したことがない弾薬でありますので、劣化ウラン弾の輸送の安全性については承知していないために、現時点において、他国の劣化ウラン弾を自衛隊が輸送することができるかどうか、確定的に申し上げることはできませんと答弁されました。ところが、この件について、今度は八月十一日、当委員会、大塚耕平議員への答弁で、こう答弁されているんですね。劣化ウラン弾を運ぶとなりますと、相当自衛隊、危険でありますので、事実、そういったものは運ばないという前提の輸送支援になるということでございます。これ、答弁変わっているんですよ。最初は確定的でない、八日後には運ばない。  この答弁、もう一つあるんですね、二つ矛盾な点があるんですね。もう一回指摘させていただきますと、八月三日では安全性については承知していないという答弁が、八月十一日には相当自衛隊、危険でありますと言っているんですよ。それともう一点、八月三日は劣化ウラン弾を運べるかどうか確定的に申し上げられないと言っていたのが、八月十一日には当然運ばないに変わっちゃったんです、これ。この二つの答弁、全く正反対の答弁ですよ。これ、何で変わったんでしょうか。
  90. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 運ばないということについては一貫性があると思いますが、この劣化ウラン弾についても、そもそも我が国はこれを保有したことがなくて、その取扱いについての知見等を有していないものである以上、今後とも保有する予定もございません。  したがいまして、他国のクラスター弾また劣化ウラン弾を自衛隊が輸送することは想定をしていないということでございまして、運ぶことに関しては想定をしていないということでございます。
  91. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、それは八月十一日の答弁をそのままなぞっただけでして、何で変わったんですかと。確定的に申し上げられないとおっしゃっているんです、八月三日には。つまり、そこから違うんですよ。  つまり、この辺がどうして、確定的に申し上げられないというところから、運ばないというふうに変わったのか、それをお聞きしているんですよ。確定的に申し上げられないから、何で当然運ばないに変わってきたんでしょうか。
  92. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) るる政府の考え方、これ質問を受けて述べてきたつもりでございまして、この劣化ウラン弾につきましては、今お答えをしたとおり、そもそも我が国はこれを保有をしたことがなく、その取扱いについても知見を有していないということである以上、今後とも保有する予定もないということで、自衛隊が輸送することを想定していないということでございます。  それぞれの御質問に際して政府の考え方を述べたつもりでございます。
  93. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、全然私の質問に答えていらっしゃらないんですよ。それぞれの質問に対して、それぞれ変わった答弁されたら困っちゃうんですね。  確定的に申し上げられないから、運ばないというふうになったその理由は何ですかということ、それともう一つは、安全性については承知していないということから、相当自衛隊、危険でありますというふうに変わった、その二つの理由を教えていただきたい。もう一回お聞きします。
  94. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今お答えしたとおり、これまでも劣化ウラン弾は自衛隊は保有したこともございませんし、その取扱いについての知見、これを有していないわけでございます。また、今後とも全くそういったことも考えていないということで、自衛隊が劣化ウラン弾を輸送するということは想定しないということでございます。
  95. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どうぞ質問を続けてください。
  96. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非、答弁が変わっていることは、もう大臣、お分かりいただけると思うんですよ。分かっているのに、何で最後の八月十一日の答弁しか言わないんですか。  もう一回聞いていきますよ、私。  二つあると言っているんです。相当自衛隊、危険でありますというふうに言った前には、安全性については承知していないとおっしゃっているんですよ。違うじゃありませんか、これ。そして、確定的に申し上げられないと言った後は、当然運ばないに変わってきている。この二つの答弁について、これ、どうなっているんですかということなんですよ。
  97. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) その安全性を承知していないということは、これまで保有したこともないし、また取扱いについての知見も有していないというようなことで、安全性は承知していないということでございます。(発言する者あり)
  98. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  99. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  100. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 最初の質問に関しましては、これ、突然の質問でございました。  クラスター弾につきましては、藤田委員と私は、クラスター弾の条約、これ、廃止条約、日本は締結しましたけれども、自民党の側としては、私、中心的にこれの推進を努めた人物でありまして、この危険性につきましては従前から知っておりますし、また非人道性、これも知っておりますので、藤田議員らとともに、このクラスター条約、これを国会で批准することに私は行動いたしました。  そういう意味で安全性のことについて言及をいたしましたが、その後、防衛省内でもいろいろ整理をいたしまして、その後、答弁をしたように、これまで保有したことがない、また、その知見も有していないということで、今後とも保有する予定もないし、また、輸送することは想定していないというようなことで答弁をいたしているわけでございます。
  101. 白眞勲

    ○白眞勲君 私、今、井上議員はちゃんと事前通告されたということらしいんですよ。それが突然の御質問ですがというのは、ちょっとそれは失礼なんじゃないんでしょうか。もう一回、それはきちっと御答弁願いたいと思います。
  102. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この点につきまして、クラスター弾につきましての私の知見を申し述べたわけでございます。劣化ウラン弾につきましては、私の所見、また考えを述べたわけでございます。井上議員事前に通告をしていただいたということでございましたら、その点はおわびをいたして訂正をいたしたいと思います。
  103. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと一回、今までの防衛大臣の御答弁を整理させていただきますと、要は、八月三日の委員会で劣化ウラン弾を輸送できるのかということについて確定的に申し上げられないというのは、その時点から、そういうふうにはそのときは答えたけれども、その後、整理をして、そして防衛省で整理をしたと今おっしゃいましたね、その後、防衛省で整理をして八月十一日の答弁になったんだということでよろしゅうございますか。ちょっと確認なんですけれども
  104. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 累次御質問をいただきまして、その都度答弁させていただいておりますけれども、八月の十一日、また二十六日ですか、そして本日答弁をしたとおりでございます。
  105. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、またちょっと矛盾が出てくるんですね。  この八月の二十六日にこうおっしゃっているんですよ、防衛大臣は。他国のクラスター弾、また劣化ウラン弾を自衛隊が輸送するということは想定をしておりません、このような大量破壊兵器などの輸送を行わないことは当然でありまして、そうした現実に考えられないことまでを全て法律規定する必要はないと考えておりますというふうにおっしゃっているわけなんですね。  つまり、現実に考えてないならば、考えられないことであるならば、八月三日の時点で現実には考えられないんだから、当然これはあり得ないというふうに言わなきゃいけなかったんじゃないんでしょうか。今は、八月三日から、今の御答弁では、その後検討を重ねてと言うんだけれども、だって、法文上にはあり得ないことだから書かなかったんだと言ったら、最初から、現実に八月三日の時点でももうあり得ないということになるんじゃないんでしょうか。この今の御答弁、矛盾しませんか。どうなんでしょうか。
  106. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 八月三日の時点におきましてはその安全性を承知していないということで、これを運ぶことについては否定的な考えを述べたわけでございますが、その後、部内でこの答弁等も調整をした結果、事実として、我が国はこれを保有したことがない、また取扱いについても知見を有していないということで、この劣化ウラン弾を自衛隊が輸送することは想定していないということでございます。
  107. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ですから、これは矛盾していると私は申し上げているじゃありませんか。  つまり、二十六日には現実に考えられないと言っているんですよ、劣化ウラン弾運ぶこと自体を。何で、八月三日にそれだったら確定的には申し上げられないと言うんですか。現実的に考えられないことが、なぜ八月三日の時点では確定的に申し上げられないとおっしゃっているんですかと、その矛盾がおかしいんじゃないんですかと言っているんです、私は。  もう一回お答えください。分かっているでしょう、その矛盾なことは。
  108. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 八月三日の時点では安全性を承知していないということでございますが、その後も質問をいただきまして、確認をした結果、やはり安全性にも問題がありますし、またまた、その知見も有していないということで、想定、輸送することは想定していないとお答えをしたわけでございます。
  109. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、そうすると、三日の答弁、撤回されなきゃおかしくなるんですよ。確定的に申し上げられないということ自体おかしいじゃないですか。  だって、その後にですよ、もうこんなものはあり得ないんだ、あり得ないから最初から書かなかったんだと言っているのにもかかわらず、八月三日は確定的に申し上げられないと言っているんだから、矛盾しているんですから。どっちか撤回しなきゃいけなくなりますよ、大臣。
  110. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 三日の時点では安全性を承知していないということで確定的に申し上げられないと申し上げましたが、その後、検討、確認をした結果、自衛隊が輸送することは想定していないと。その理由といたしましては、これを保有もしておりませんし、知見も有していないというようなことで、まさにその安全上の理由もありまして輸送することは想定していないということでございます。
  111. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、とても矛盾しているんですけれども。  ここで、もう一度、八月十一日の当委員会の大塚耕平氏への答弁で、大臣こう答えているんですよ。劣化ウラン弾を運ぶとなりますと、相当自衛隊、危険でありますので、それは当然運ばないということで相手先とも協議をしておりますと答弁されました。  ここでお聞きいたします。この協議は、いつどこで誰と協議をしているのでしょうか。
  112. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは、劣化ウラン弾について保有をしていないというような認識におきまして、これまで日米間でも協議をしておりますけれども、そういう中で我が国の考え方を伝えていることがあるということでございます。
  113. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、ちょっと私、もう一回聞きますよ。これ、「当然運ばないということで相手先とも協議をしております」なんですよ。現在進行形なんですね。だから、これ輸送対象から除外する旨の、するための調整を日米間で行っているということじゃありませんか、これは。  協議をしている、その、いつどこで誰と協議をしているのか、それをもう一度お答えください。
  114. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現時点におきまして、クラスター弾にしても劣化ウラン弾にしても、現実に我が国に輸送をしてくれというような事実はないということでございます。(発言する者あり)
  115. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 質問が継続できるようでしたら、質問を継続してください。
  116. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、もう一回、明確に聞きます。  いつどこで誰と協議をしているのか、協議をしておりますとおっしゃったんですから、当然どこかの、対象がありますよね。いつどこで誰と協議をしているのか、それをお答えください。
  117. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これの意味につきましては、当然我が国としては、劣化ウラン弾とかクラスター弾、こういうものは運ばないということでありますので、そういうことにつきまして協議はしてきていないということでございまして、この協議をしておりますのでということにつきましては、非常にこの点におきまして不正確な私の答弁であったということでございます。(発言する者あり)
  118. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止〕
  119. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  120. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 日米間におきましては、日米協力ということでいろんな協議もいたしておりますが、法案等の中身等につきましても協議はしたことはございますが、一つ一つ、この劣化ウランを明示して協議をしたことはないということで、包括的には、包括的にはやっておりますけれども一つ一つということでお話をしたということはないという意味でございます。(発言する者あり)
  121. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  122. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  123. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 不正確に捉えられかねないという発言の意味は、まず、法案の中身について包括的にはお話をいたしておりました。この不正確というのは、劣化ウラン弾について、一つとして協議をしていなかったということでございます。
  124. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、大臣、私たちが何か不正確なようなことを言われちゃったら、それはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。私はただ聞いているだけでして。  ちょっとその辺をもう一回、じゃ、答弁してくださいよ。
  125. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 私が答弁をした意味は、法案の中身について包括的に議論はいたしましたけれども、劣化ウランについて、のことについては話してはいなかったという意味で不正確であったということでございます。
  126. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、この議事録を見ますと、いいですか、これ、ちゃんと読みます、僕。「劣化ウラン弾を運ぶとなりますと、相当自衛隊、危険でありますので、これは当然運ばないということで」と、「これは」は、当然これは劣化ウラン弾は運ばないということで相手先とも協議をしておりますと言っているわけなんですよ。  だから、今の御答弁ですと、包括的に劣化ウラン弾はやっていないと言ったら、これはおかしい、虚偽答弁になりますよ、これ。どうなんですか。
  127. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 包括的な議論はいたしております。  劣化ウラン弾につきましては、数年前に日本で米国の劣化ウラン弾は全廃をいたしておりますので、それ以降、我が国としては輸送もしていないというようなことでございますが、いずれにしましても、法案の中身につきましては包括的に話をしているということでございます。(発言する者あり)
  128. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  129. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) じゃ、速記を起こしてください。
  130. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 劣化ウラン弾のことにつきましては、日本は国内的に持っていないという話でございまして、その点におきましては、アメリカがという部分につきましては訂正をさせていただきます。(発言する者あり)
  131. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 中谷大臣。
  132. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) その上でございますが、これまで日米間で包括的に法案の話をいたしております。その際に、この大量破壊兵器などの輸送を行わないということは当然のことであるということで確認をいたしまして、そういう認識の話はいたしましたが、クラスター弾において個別にお話をしたということは、あっ、訂正します、劣化ウラン弾について個別にお話をしたということはないということでございます。
  133. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、これ今の私が申し上げた、何度も何度も申し上げるのはあれですけれども、これは当然運ばないということで、つまり、劣化ウラン弾は当然運ばないということは相手先と協議をしておりますのでというのは虚偽ということでよろしゅうございますね。
  134. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 包括的な話として、全体的に大量破壊兵器などの輸送を行わないという話はいたしましたが、この劣化ウラン弾につきましては個々に挙げていなかったわけでありまして、そういう点におきましては不正確であったということでございます。
  135. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、不正確という言葉がありました。ということは、これは議事録訂正ということで、撤回するということでよろしいですね。
  136. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 包括的に法案の話の中で大量破壊兵器などの輸送を行わないということは当然であるという確認はいたしておりますが、そういう認識の下で発言をいたしまして、その劣化ウラン弾について個々に挙げたことはないという意味におきましては不正確と取られるかもしれませんが、全体としましては大量破壊兵器などの輸送は行わないということは確認をいたしております。(発言する者あり)
  137. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  138. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) じゃ、速記を起こしてください。
  139. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 劣化ウラン弾については名前を挙げて協議はしておりませんので、この点につきましては撤回をさせていただき、また理事会で御協議をいただきたいと思っております。(発言する者あり)  この点につきましては撤回をいたしまして、修正をさせていただきたいと思います。
  140. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ちょっと待ってください。白君、ちょっと待ってください。  ただいまの大臣の発言につきまして、議事録の件に関しては正確な答弁ではございませんけれども、後の理事会で協議をして、それの訂正等を含めて皆さん方にお諮りしたいということをここで申し上げておきたいと思います。
  141. 白眞勲

    ○白眞勲君 委員長、ありがとうございます。  まさにこれ、非常に大きな部分なんですね。これ、自衛隊員の命も懸かってくる部分ですよ。それについて非常に誤った答弁をされているということになりますと、これ大変な大きな私は問題であるというふうに思います。  ということで、是非理事会で御協議をお願いを私からもしたいと思います。
  142. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件は、今申し上げましたとおり、後の理事会で協議をすることをいたします、お諮りいたします。  午前の質疑につきましてはこの程度にとどめたいと思います。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  143. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案外六案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  144. 白眞勲

    ○白眞勲君 午前中に引き続きまして、あと四分残っておりますので、早口で少しさせていただきたいと思いますけれども。  自衛隊がこの法案で任務が広がると様々なケースが想定されると考えております。その一つが、市街地でテロリストと間違えて民間人を自衛官が撃ってしまったというケースで、誤想防衛、誤想というのは、ゴは誤るにソウは想像の想で、誤想防衛について、この前、衆議院で少しやりました。その中で防衛大臣はこのようにお答えになっています。その撃ってしまった自衛官は、派遣国との地位協定などにもよるけれども、現行の一般の刑法が適用されるということでございますとお答えになっております。つまり、自衛官個人が処罰の対象というふうに御答弁をされたわけですよね。  そういう中で、これは自衛官個人で撃つ場合もあるけれども、普通は、大体上官の命令で撃つのが普通の対応だと思います。上官の命令でもし発砲した場合に、その命令した上官というのは刑法の処罰の対象になるんでしょうか。
  145. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 御指摘のような事件が起こった場合には、個別具体的なケースに即して事実関係調査の上で法的責任の有無を検討する必要があると考えます。  その上で、あえて一般論として申し上げれば、発砲した隊員が仮に民間人を死亡させるという認識があった場合は殺人罪の故意の存在が認められ、他の構成要件を満たす場合には刑法の規定により殺人罪の適用が考えられます。  その場合に、隊員は法令を遵守して厳正な規律を維持することを基本としておりまして、こういった民間人に危害を加えるという事態は想定しにくいものでございますが、上官によりましていかがかということでありますが、これも一般論でございますが、御指摘のような場合につきましても、殺人罪の故意の存在が認められ、他の構成要件等を満たす場合には刑法の規定により殺人罪の適用が考えられるということでございます。
  146. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、次に、上官の上、派遣部隊の司令官など、隊長、隊長よりも上官ですね、つまり司令官、そういった人たちは処罰の対象になるんでしょうか。
  147. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 御指摘のような事件が起こった場合に、具体的なケースに即して法的責任の有無を検討する必要がございますが、上層の上官、これが命令を出した上官とどのような関係があるかなど、いわゆる共同して犯罪を実行したと評価をされるかで上層の上官、これが刑法の適用を受けるか否かが判断されることになるため、一概にお答えするということは困難でございます。
  148. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、今非常に驚くようなことがあったわけです。つまり、自衛官個人、撃った個人は殺人罪の適用だと、その上官ももしかしたら殺人罪になるかもしれない、しかし、その上の上の段階になるとそれは個々のケースによって変わる、つまり無罪のケースがあり得る話になってくるということは、私、これおかしいと思うんですよ。  つまり、一般の個人、だってこれ自衛隊として組織でやっているわけですから、自衛隊として組織でやっているんだけれども、撃ったらこれは殺人罪だと、民間人を誤って殺してしまった場合には、場合によっては殺人罪になってしまうんだという中で上官は何の罪も問われないということになったら、これ本当に隊員かわいそうですよ。  ですから、そういったものについて私はすごい違和感を感じるんですけど、防衛大臣、その辺はどうでしょうか。
  149. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これもあくまで一般論として申し上げれば、部下に殺人罪が成立する場合に、仮に上官、これが手を下さないとしても、法的には、上官と部下の行為がいわゆる共同して犯罪を実行したと評価されるかで上官が刑法の適用を受けるか否かが判断をされるということでございます。
  150. 白眞勲

    ○白眞勲君 まとめますけれども、私、これまるで旧日本軍のシステムと同じなのかなと思ったんですね。「私は貝になりたい」という映画があるのを御存じだと思うんですけれども、要は、末端の隊員が責任をかぶせられて上司は大したとがめを受けない法律体系というのは、私は戦前と変わらないんではないのかなというふうに思います。  今回、私、この前の議論でもやりましたけれども、部隊の隊員がやられた場合、撃たれた場合にも注射を打つこともできない、衛生兵はですね、という、やられてもひどい目に遭うのは現場の隊員。そして、万が一民間人を撃ってしまったらこれまた殺人罪で、当然これは民事訴訟で今度は多額の賠償金も請求される可能性もあるという、非常にこれは問題がある。私は、それを最後に申し上げまして、今日の質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  151. 藤田幸久

    藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。  今日も、前回に引き続き、ホルムズ海峡機雷封鎖に関して主に質問をさせていただきたいと思います。  まず、資料に書きましたが、ホルムズ海峡封鎖に関する主な経緯を書いてみました。  それで、二〇一二年の九月でございますが、アメリカが主催した国際掃海訓練に海上自衛隊が参加をしております。それに関して、外務省が「イラン情勢(ホルムズ海峡をめぐる動き)」という資料を作成しております。  この資料に関しましては、七月十日に衆議院の特別委員会において、共産党の穀田議員質問をした際に、その資料を使いながら安倍総理に質問をいたしました。非常に重要な委員会であったわけですが、その資料そのものを私は請求をしておるんですが、先週から。で、七月十日に穀田議員が使ったということは、もう二か月近くたっておりますけれども、昨日も外務省に請求をいたしましたが、資料が出てきておりませんけれども。  まず、その資料を出していただきたいということを外務大臣にお願いしたいと思いますが、今、出していただけませんか。
  152. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の資料ですが、先週も、二十七日の日ですが、藤田委員の方から提出する要求があり、そして参議院の外務防衛委員会の理事会で協議いただくことになっていると認識をしております。  そして、この委員会においても、本日、今配っていただいたこの資料、三枚目に示していただいているようなこの資料、この資料を示した上で、理事会におきまして要求をされたというふうに承知をしております。外務省としては、引き続き今これ鋭意調査をしています。  それで、この御指摘、理事会でお示しいただいたこの資料ですが、この資料と同一のものは今外務省として確認はできておりません。そして、更に申し上げますと、この資料に取扱厳重注意というこれ文言が入っていますが、外務省の中でこういった書類の取扱分類は存在いたしません。そのことも含めて同一のものが、今、外務省、今引き続き調査確認はしておりますが、今のところまだ確認をできていません。引き続き確認努力をしたいと考えています。
  153. 藤田幸久

    藤田幸久君 事実の違いがあると思います。  私がこの資料をこの委員会に関して請求したのは昨日でございます。今日の理事会じゃないということ。それから、外交防衛委員会で、理事会でこの資料については話合いはされていないということですから、二つの点で事実関係が違っておりますので、訂正をいただきたいと思います。
  154. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、二十七日の外務防衛委員会で御指摘いただいたのはそのとおりだと思いますが、あのとき委員の方から、理事会の、資料の要求を続けられたと、要求されて、その資料について要求があり、そして、あのとき委員会において、委員長理事会取扱いという判断をされたと私は記憶をしております。  そして、要求、先ほど理事会で今日これをお示しいただいたと申し上げました。それは説明が不十分だったと思います。委員が要求したのは昨日であり、そして、理事会において今日この資料をお示しいただいて、要求されたと承知……(発言する者あり)ああ、そうですか、お示しをいただいたと聞いております。そして、今日この委員会にもこれをお配りいただいて、私に出せないかという御質問をただいまいただきました。  それについては、先ほど申し上げたとおり、引き続きこれ確認をしておりますが、これと同一のものは外務省としてまだ確認できておりません。先ほど御指摘させていただいた点も含めて、同一のものがまだ確認できておりませんが、引き続きこの確認調査は続けたいと考えています。
  155. 藤田幸久

    藤田幸久君 まず、外交防衛委員会で、私は前日、資料請求をいたしました。答弁は、外務大臣自身が現在調査中であるというふうに答弁してありますから、その日じゃないということが一点と、この委員会においても、昨日、資料請求をしました。昨日、外務省から返事があって、そういったものは出せない、調査中だということでございましたが、事実関係が違っております。  それで、私の質問は、この資料と同一のものを探せと言っているんじゃなくて、七月十日に使われた資料を出してくださいと言っているわけですから、昨日今日の話じゃないと。  したがって、これは、今の答弁の訂正を含めてしっかりと調査をしていただきますように、委員長にお願いを申し上げます。
  156. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会で協議をいたします。
  157. 藤田幸久

    藤田幸久君 その上で、この資料でございますけれども、お読みいただければ分かりますように、要するに、当時、外務省は、この真ん中の黄色の部分でございますけれども、イランが封鎖をするということは非常に可能性が少ない、経済的に得策でもないと、これは自分の首を絞めるようなことだというふうに外務省自身が認識をしていたということが一つと、それから、下の方ですね、これまさに、二〇一二年の九月にアメリカが主催の国際掃海訓練に参加をすることに対して、これは米国を敵と見ているイランとしては相当強い反応を惹起するので、むしろこれは慎重であるべきだということを外務省自身がこの資料で明らかに言っているということでございます。  したがって、そういう経過があったわけでございますけれども、その後に、今度、二〇一三年に、前回も質問いたしましたけれども、岸田外務大臣自身がイランの外務大臣と一緒に共同声明を出して、ペルシャ湾から太平洋に至るシーレーンにおける貿易及び航行の自由が重要であると、だから海上安全保障と航行の安全を確保することの重要性を強調したということがあるわけです。  にもかかわらず、昨年、ここに書いておりましたけれども政府が十五事例の一つにホルムズ海峡の機雷掃海活動を入れた。そして、今年の五月のこの平和安全法制に、この集団的自衛権行使の二つの事例の一つとしてホルムズ海峡を入れたと。だから、こういう経緯があるにもかかわらず、具体的事例としてホルムズ海峡を入れたという経緯があります。  これに対して、毎日のように国会でホルムズ海峡、ホルムズ海峡と事例が出ているわけですから、ナザルアハリ大使がやむにやまれず外務省に行ったというのが前回も質問した六月八日でございます。  この六月八日と、それから前回も確認をいたしました六月十五日の日本とイランの局長協議、これは二回とも上村局長が相手をされたわけですが、上村局長、イランの大使の方からは、要するにホルムズ海峡を機雷封鎖する意図がないという発言があったというふうに聞いておりますけれども、そういう発言があったということを上村局長が聞かれたということで間違いないですね。
  158. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  六月八日と六月十五日、それぞれイランの在京の大使と、それからテヘランから出張されましたアジア局長協議をしている、これは事実でございます。  その際、累次お答え申し上げていますとおり、ホルムズ海峡に関してお話がございました。私の方から、日本は特定の国を想定して今議論して、国会で議論されているのではございませんということでお答えをした、それが全てでございます。そして、向こうの方からは抗議の意あるいは遺憾の意というものが表されなかったということは御説明をしているとおりでございます。
  159. 藤田幸久

    藤田幸久君 質問に答えてください。イランは、ホルムズ海峡を封鎖する、そういう意図はないという発言があったかどうか、それについてのみ答えてください。
  160. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  今申し上げましたとおり、この二つの事案のときに、先方の方からホルムズ海峡の問題についてお話がしたいということはございました。それで、私の方から先ほどのような御説明をしたと、こういうことでございます。向こうの方の、先方のそういう意図がないということにつきましては、大使の記者会見の場で述べられている、あの発言と同じようなものがあったのは事実でございます。
  161. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、イランの方で、そういうホルムズ海峡の機雷封鎖ということは意図がないというふうにおっしゃったということで間違いないですね。
  162. 上村司

    政府参考人(上村司君) イランからそういう意図がないということについては、確かに御説明が記者会見と同様のものがございました。
  163. 藤田幸久

    藤田幸久君 それで、そうすると、今そういう意思表示があったということで、ということは上村局長は、向こうは特命全権大使でありますから、上村局長がそういう話を聞いたということは、日本政府として特命全権大使のその意思表示を聞いたということで間違いないですね。
  164. 上村司

    政府参考人(上村司君) そういう御理解で間違いないと思います。
  165. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうしますと、外務大臣は、八月の五日ですか、白議員質問したときには、報告を聞いていないとおっしゃった。しかし、その後私が聞いたときには、六月のこの十五日の局長協議に関しては後で報告を聞いた。私が実は大使に会って、六月八日に、実は既にその前に上村局長と会っていた、それについては報告聞いていないとおっしゃった。  ただし、今、上村局長政府として特命全権大使の意向を聞いたというふうにおっしゃっていますので、外務省として、そのイランの特命全権大使の、つまりイランは機雷を敷設する意図がないということを政府として、外務省として聞いたということで間違いないですね。
  166. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のような趣旨の発言をイランが行って、イラン政府あるいは大使を始めとする関係者が発言していることは、日本政府としても承知をしております。
  167. 藤田幸久

    藤田幸久君 八月の五日に、これは白さんの質問に対して、御指摘の中身、具体的なものについて今承知はしておりませんとありますけれども、ということは、その段階では、イランのつまりそういう機雷封鎖の意図はないということは、その段階では承知していなかった。しかし、その後、実はそういう局長協議があった、あるいはイラン大使が上村局長に会ったという経緯を踏まえて、日本政府としては、イランがそういう実は意図を持っていると、それが外交の考え方だということを、後でそういったことに触れたということですか。
  168. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) イランがそういった趣旨のことを発言したことを知っているかという御質問でありました。そうした報告、さらには記者会見、様々な場でそうした意図はないという発言をされていることは承知をしております。  またさらに、御指摘になりましたが、一昨年十一月、イランの外相との間の共同声明においても、航行の自由、航行の安全、こういったものが大事だという発言をしている、これは当然承知をしております。そうしたことを承知していると申し上げたわけであります。
  169. 藤田幸久

    藤田幸久君 今までの大臣の答弁の中で、六月十五日の日本、イランの局長級会議については、前回の質問に対して、聞いていないと、報告を、おっしゃっていて、今は、ただしそういった話があったということを政府として実は受け止めていたとおっしゃって、それでこの八月五日の答弁では、会議の中身、具体的なものについては承知しておらないと。  ということは、この少なくとも八月五日の段階ではイランがそういう意図を持っていたということは知らなくて、後になって、実はイランの特命全権大使がそういうふうにおっしゃっている、つまりイランはそういう機雷封鎖の意図がないということを今は承知しているということで、いつの段階になって、じゃ、イランの意図というのを承知したということになるんでしょうか。記者会見というのはその後ですから、七月の二十三日ですから。
  170. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) ですから、六月のその大使との協議においての内容についての報告は後ほど受けたということを申し上げました。そして、併せて七月に記者会見も行われています。そういったことを受けて、今現在、イランがそういった発言をしていることは承知をしております。
  171. 藤田幸久

    藤田幸久君 では、二つお聞きします。  六月の八日のアフリカ局長とイラン大使との会談の報告及び六月十五日の日本・イラン局長協議の中身の報告、それぞれ、いつ、誰から報告を受けたか、お答えをいただきたいと思います。
  172. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 報告を受けたのは上村中東局長からであります。  そして、いつということについては、今たちまち手元がありません。ちょっと確認してお答えしなければなりません。(発言する者あり)
  173. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 藤田君、質問を続けてください。
  174. 藤田幸久

    藤田幸久君 では、いつ報告をしたのか、局長。つまり、この二つの会談内容について、いつ外務大臣に報告をしたのか、その日にちを教えてください。
  175. 上村司

    政府参考人(上村司君) 申し訳ございません。ちょっと調べさせていただきたいと。(発言する者あり)
  176. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  177. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  178. 上村司

    政府参考人(上村司君) 申し訳ございません。お答え申し上げます。  八月五日以降に御説明をしておりますが、ちょっと具体的にこの日ということにつきましては、ちょっと調べさせていただきます。
  179. 藤田幸久

    藤田幸久君 外務大臣は、つまり八月五日以前は、この二つの、六月中の駐日イラン大使が外務省で日本政府にお話をしたこともしたがって報告がなかった。それから、先週も岸田大臣が、イランが機雷封鎖をしないということはイラン大使のこの七月二十三日の記者会見等で知っているとおっしゃっていたわけですから、つまり八月五日以前はイラン政府が機雷を敷設する意図がないということは外務大臣は知らなかったということですね。
  180. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の六月の二つの会合の中身について報告を受けたのは八月五日以降であります。先ほど申し上げたとおりであります。しかし、イランがこうした機雷に関して何か意図を持っているというようなことは全く承知をしておりません。  そもそも、御審議をお願いしているこのホルムズ海峡においては、これは特定の国を想定して議論しているものではありません。あれ、沿岸国からいいましても、イランもあればオマーンもあります。そして、アメリカの第五艦隊の拠点を始め様々な拠点もあります。毎日多くの船舶が通過しています。  これ、ホルムズ海峡における事態について説明をし、存立危機事態との関係について説明をさせていただいているわけですが、それは、そもそも特定の国、イランとか特定の国を想定して議論をしたことはないと思います。これはあくまでも、ホルムズ海峡を例に挙げておりますが、これは特定の地域や国を想定して議論をしているんではなくして、ホルムズ海峡においてこういった事態発生した場合に存立危機事態に当たる場合があるのではないか、こういったことを説明させていただいているわけであります。
  181. 藤田幸久

    藤田幸久君 資料の四ページにこの記者会見のイラン大使の言葉が出ております。  つまり、イランは、機雷を敷設をする意図がない、イランを想定しているなら全く根拠のないことだというふうに記者会見をしておっしゃいますけれども、この内容について大臣はどういうふうに取っていらっしゃいます、この記者会見について。
  182. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) その記者会見の前から、我が国としてホルムズ海峡の例を挙げて議論をさせていただきますが、イランについて想定して議論をしているということは全くないと、特定の国を想定して議論しているものでないということをイランに対してもずっと説明をしてきている、こういったことであります。その中でこの七月の記者会見があったわけであります。  そもそも我が国として、イランが機雷を敷設する、そういったことを想定して議論をしていないということ、このことについて引き続きしっかり説明をしていきたいと思っています。
  183. 藤田幸久

    藤田幸久君 今大臣はイランが機雷を敷設することを想定していないとおっしゃいましたが、イランは機雷を敷設する意図がないとおっしゃっています。イランがそうおっしゃっているということは間違いないですね。
  184. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) イラン側がそういった発言をされていることは承知をしています。そして、我々の議論は特定の国を想定して議論をしているものではない、これをしっかりと説明をさせていただいております。
  185. 藤田幸久

    藤田幸久君 七月二十三日の会見というのは、七月十日に安倍総理がこんな発言をしているから七月二十三日に会見したんですね。それがこの二枚目の資料であります。安倍総理自身が、これ前もほかの委員会でも出しましたけれどもイラクが機雷を敷設……(発言する者あり)失礼しました。イランが機雷を敷設、それからイランの、掃海をと。具体的に安倍総理がこうやってはっきり明示をしているわけですね。  先ほど来確認をしましたけれども局長からの報告は八月五日まで大臣に届いていないわけですから、大臣はそういった報告を受けずに、ですから、政府として共有していないから安倍総理がこういう発言をするんだろうと思いますけれども。  そもそも、今、国会において最重要事案であるところのこの法案の二つしかない事例のホルムズ海峡について特命全権大使が外務省に報告に来たにもかかわらず、あるいは意思表明にも来たにもかかわらず、局長外務大臣に報告をしなかったのはなぜですか。局長に聞いているんです。局長がなぜ六月のこの二つの事例を八月五日まで大臣に報告をしなかったのか。これだけ大事な、国会で毎日行われている大変な事例のことを、特命全権大使のそうした外務省に来ての直接のそういう会見に対して、なぜ大臣に報告をしなかったんですか。
  186. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  中東アフリカ局は、イランとの関係を、例えば岸田大臣がイランに訪問されて以降ずっと、一三年秋に訪問されて以降、フォローしております。その共同宣言で、先ほどまさに藤田先生御指摘になりましたように、海運、海の自由、法の安定と、こういうものを共同宣言で高らかにうたっておられます。  したがいまして、我々は、イランがそういう意図を持っていないし、共同宣言にそういうことを書いてあるということにつきましては、もう一年半以上前から、二年近く前から、この中で大臣にも御報告をしておりますし、そういう意図を持っていないということにつきましては、常に大臣の勉強会においても御報告をしているところでございます。
  187. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 八月五日以降に報告を受けたのは、六月のこの御指摘のこの会合についての中身、具体的な中身であります。  しかし、イランとの関係においては、ただいま局長から答弁がありました。イランのそうした考え方については情報を共有し、そして逆に、我が国としてイランに対して、我が国が今議論している平和安全法制は特定の国や地域を想定して議論しているものではないということ、これを再三説明をしてきた、こうしたことはしっかり行っていた中にあります。  そして、この七月十日において総理がどうしてイランを挙げたのか、これはこういった御指摘がありました。このことにつきましては、これ、この議事録、是非御覧いただきたいと思いますが、これは……(発言する者あり)いや、これはそれを、その七月十日、どうして総理はイランについて触れたのか、こういった質問がありました。  これをちょっと答えさせていただきますが、これは、質問者側からイランという国を挙げて質問がありました。質問の方から、ましてや戦時下の機雷掃海となれば、イラン側から無用な反発を招きかねない、こういった仮定の質問がありました。それに対して、総理は「いわば」とか「例えば」、これ、例えばは三回も使って、御質問、仮定の質問があったから、それに例えばという形で、仮定の形で答えているわけであります。  これはもう、質問者とのやり取りの中でこれはイランというものが出てきたわけでありますから、これ、そもそも政府として特定の地域や国、これを想定して議論しているものではないということ、これは間違いないことだと思っています。
  188. 藤田幸久

    藤田幸久君 質問していないことについて、外務大臣、時間を使わないでください。  上村局長、さっきの答弁でなぜ大臣に報告しなかったということについて答えていないので、もう一度答えてください。答えていないですよ、さっき。
  189. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたとおり、イランの懸念、ではありません、イランの発言、この立場、これにつきましては政府部内で広く共有をされております。大臣にも常々御報告をしております。そういう中での意見交換の一環でございまして、私の方からそういう意図はないということを丁寧に御説明をした、これも政府全体の方針の中で六月に対応しております。そういう中で対応しておりますので、六月八日の分、それから十五日の分につきましては個々には御報告をしておりません、そういう趣旨でございます。
  190. 藤田幸久

    藤田幸久君 前々から申しましているように、これ非常に中身が不透明であります。ですから、議事録の提出を、これは八月の初めから要求しているわけですけれども、まず、なおさらこれ議事録提出していただきませんとこれ審議が進まないと思いますので、是非、議事録の提出を再三にわたって委員長の方で取り計らいをお願い申し上げたいと思います。
  191. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この件に関しましては継続となっておりますので、これも後の理事会において再度お諮りしたいと思います。
  192. 藤田幸久

    藤田幸久君 局長、答えていませんよ、私の質問に。  なぜこれだけ重要なことを大臣に報告しなかったかについて、個々にとか形容詞は入れておりますけれども、基本的に述語として報告はしていないので、なぜ報告をしていないのか、それについて答えてください。
  193. 上村司

    政府参考人(上村司君) 何度も御答弁して申し訳ございませんが、大臣にはイランのこの基本的な立場、これについては常々御報告をしております。個々の事態については御報告をしておりませんけれども、イランがこういう海峡の自由に対してちゃんと約束している、これはもう明々白々のことでございますが、これについては御報告をしております。  したがいまして、個々の状況につきまして御報告をしていないということについて御答弁を申し上げた次第でございます。(発言する者あり)
  194. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  195. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。  それでは、上村局長答弁を……(発言する者あり)質問を先する。  その前に、お互い不規則発言につきましては十分注意して、この議場がスムーズに重要法案審議できますようにお取り計らいをお願いをいたしたいと思います。  じゃ、質問を先にやってください。
  196. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、イランは機雷を敷設する意思がないということを外務省全体で共有している、したがって報告をしなかったということでよろしいですね。それを確認お願いします。
  197. 上村司

    政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  198. 藤田幸久

    藤田幸久君 にもかかわらず、つまり、共有しているというにもかかわらず、こうした事例としてホルムズ海峡を挙げた。そして、七月十日には安倍総理がこういった答弁をしている。  先ほどの外務大臣答弁はおかしいです。これは、例えばというのは、これは最後の方で言ってあるので、安倍総理は「いわばイランが機雷を敷設」と言っているんです。しかも、今までのイランの立場を共有しているならば、イランは機雷を敷設しないと言っているわけですから、事例としてこれを挙げること自体が、安倍総理自身が断定をして挙げているわけです。例えばということは想定ですから、想定として、事例としてホルムズ海峡が入っているわけですから、今までの答弁と、つまり意思がないイランを例示している、想定しているということ自身が矛盾しているわけですから、これは、イランがそういう意思がないということを共有していると、政府として。ならば、こうした安倍総理自身がイランを例示として出すこと自体がこれはむしろ避けなければいけない。  それからもう一つ。仮にホルムズ海峡で機雷敷設するならば、これは領海国であるイランの許可が必要だろうと思うんですけれども、それは必要ないんですか。ホルムズ海峡において掃海活動行くならば、ホルムズ海峡が領海であるところのイランの許可が必要ですね。
  199. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 基本的に領海国の了解は必要とされますが、これは様々なケースが想定されます。  そして、機雷の掃海は武力の行使として位置付けられるわけでありますから、その武力の行使と評価される行為をする際にどのような事態発生するのか、それによって領海国の了解ということについても扱いは変わってくると考えます。
  200. 藤田幸久

    藤田幸久君 六月一日の玄葉委員質問に対して、領海を領有している国になると思いますとはっきり答弁しています、岸田外務大臣が。ですから、それと違う答弁でした。  要は、先ほど来、今日はっきりしたことは、日本政府として、イランが機雷を敷設する意図がないということを政府として共有していたということでございますので、イランが機雷を敷設するという可能性については立法事実がないということの確認でよろしいですね。
  201. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) イランとして機雷を敷設する意図はない、考えはない、こういった発言をされていることは我が政府として認識を共有しております。  ただ、そもそも、ホルムズ海峡を挙げた時点から、これは特定の国や地域を想定して議論をお願いしておりません。これは、領海国についてもイラン以外にもオマーンもあるわけですし、それ以外のアメリカの第五艦隊を始め様々なプレゼンスも存在するわけですし、そして多くの船が毎日通航しております。この武力の行使が誰に向けて行われるのか、これは様々なケースが想定されます。元々、特定の国を想定してこういった議論をお願いしているものではないわけであります。
  202. 藤田幸久

    藤田幸久君 ホルムズ海峡を領海とする国、オマーンとイラン、二つしかございません。そうすると、少なくともイランに関しましてはこの敷設をする国として想定に入れないということですね。
  203. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まさに特定の国を想定しておりません。イランが機雷を敷設をする意図はない、こうした発言を公にしていることは、我が国としてはしっかり承知をしております。  その上で、この法制自体につきましては、特定の国を排除するとか、この国を想定しているとか、そういった特定を行うことなくして議論をお願いしているという次第であります。
  204. 藤田幸久

    藤田幸久君 つまり、まず、そういう説明があったということは承知しているとおっしゃいましたけど、先ほど来確認したことは、外務省としてイランがそういう敷設する意図がないということを確認したというふうに確認をしていただいていますので、今の答弁は違うと思います。  それからもう一つは、特定する、つまり敷設をする特定の国を想定していないとおっしゃっていますけれども、特定していない国の中で、当然イランは特定する対象から除外されますね。イランはそういう敷設しないということを言っているわけで、それを外務省は情報として共有しているわけですから、イランがその特定しない国の中には入らないということでよろしいですね。
  205. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) イランが自ら機雷を敷設する意図はないという発言を公にしている、これは承知をしております。そのことは、我が国政府としてしっかりと認識を共有しております。  その上で、この議論は特定の地域や国を想定してお願いしている議論ではありません。ですから、どの国を排除してどの国を入れる、そういったことは全く考えておりません。
  206. 藤田幸久

    藤田幸久君 イランの意図を確認をしながらこうしたイランという特定の名前を挙げる総理、そして、そのイランという国を特定していない国から排除していないということは矛盾だろうと思いますし、いずれにいたしましても、イランが意図がないということを外務省確認をしているということは、イランが敷設をするという立法事実はないと。したがって、このホルムズ海峡の事例というものの立法事実がないということを確認をし、そして、二つ資料請求をいたしましたので、資料二つの取り計らいについて是非委員長の方で計らいをいただきますことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。     ─────────────
  207. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま、藤田幸久君が委員辞任され、その補欠として前川清成君が選任されました。     ─────────────
  208. 前川清成

    前川清成君 前川清成でございます。  二度目の質問に立たせていただくんですが、中谷大臣、夜はぐっすり眠れておられるでしょうか。  参議院で昨日までに六十三時間議論をいたしました。昨日までで既に七十七回止まっています。今日もさっきからずっと止まっていまして、今日の私の質問も五十分遅れで始まりました。衆議院では百十六時間三十分の議論で百十一回止まっていると。  防衛大臣がお答えになれなくて委員会が止まってしまう、このまま法案が通ったら適法に適正に法律が執行されるのか、国民の皆さん方が疑問に思うのは私はもっともだと思うんですが、どうしてこんなに止まってしまうんですか、中谷大臣。
  209. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 参議院におきましては、与野党の議員の方々から御質疑をいただいているわけでありますが、非常に国際情勢、また政策の必要性、そして幅広い観点からいろんな御質問をいただいておりまして、私としては誠心誠意お答えをしているわけでございますが、参議院の皆様方からいろんな御質問が出ているわけでございまして、その都度都度説明に努めているわけでございますが、今後とも、引き続き御質疑をお願いをいたしまして、質問にお答えをさせていただきたいと思っております。
  210. 前川清成

    前川清成君 私、止まってしまう理由いろいろあると思うんですが、例えば、一つはお答えが道理に合ってないと。自衛隊が出ていって集団的自衛権を行使する、にもかかわらずリスクは増えない。やっぱり世間の皆さん方はおかしいよねと、こうなりますし、あるいは答えが変わってしまう、前と後ろと答えが違っていたらどっちかはうそをついているねと皆さん思います。それと、答えが長い割には理由がない、結論だけおっしゃっているという事例も多いと思います。  今、これから私がお尋ねするのは、結論は何度も何度もおっしゃるけれども理由付けのない答弁について、ちょっと議論させていただけたらと思います。徴兵制に関してであります。  私は、まず徴兵制に対しては絶対反対でありますし、根拠のない不安をあおりたいとも思っておりません。しかし、与党の皆さん方の質問でも再三再四徴兵制について議論されております。質問に立つたび、毎回徴兵制についてお尋ねになる自民党女性議員もいらっしゃいます。  やっぱり今、世の中のお母さん、お父さんたちは、この安保法案が成立したら、自衛隊が中東の砂漠へ出ていく、地球の裏側まで出ていって戦争をすることになる、そうなれば残念ながら戦死者も出てしまうと。我が国を守るためであったら自衛隊の勇士の皆さん方、危険も顧みず戦ってくれるかもしれないけれども、日本から八千キロも離れたホルムズ海峡で戦死するのは嫌だ、こう思っても当然であります。その結果、自衛隊員が集まらない。集まらなくても日本を守るために自衛隊は必要。自衛隊を維持するために、自衛隊員を確保するために徴兵制がしかれてしまう。これがもしかしたら徴兵制かと、多くのお母さん、お父さんが心配されている理屈であります。  これに対して、これまで総理も、あるいは大臣も、安保法案が成立しても徴兵制は採用しない、憲法十八条が禁止していると、こういう答弁をしてこられました。  そこでお尋ねをいたしますが、我が国の憲法で明文で徴兵制は禁止されているでしょうか。
  211. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 明文では、徴兵制という言葉をもって禁止はされておりません。
  212. 前川清成

    前川清成君 ついては、徴兵制が憲法に違反する理由、これまでの答弁を前提にお尋ねするならば意に反する苦役に当たると、その理由をお答えいただきたいと思います。
  213. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これまで、徴兵制は憲法十八条が禁止をする意に反する苦役に該当するなど明確な憲法違反であるというふうに答弁をしております。
  214. 前川清成

    前川清成君 いや、私がお尋ねしているのは、なぜ意に反する苦役に当たるんですか、その理由をお答えくださいと、こう申し上げています。理由をお答えください。
  215. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) このように憲法解釈をしているということにつきましては、いかなる安全保障環境の変化があろうとも、徴兵制が本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的に負わせるものという本質が変わるものでないということで、今後とも徴兵制が合憲になるという余地は全くないということでございます。
  216. 前川清成

    前川清成君 意に反する苦役というのは、苦役という名詞と意に反するという修飾語とから成っているんですけれども、大臣のお答えは、徴兵制、つまりは国を守るということは苦役に当たると、こうお答えになっているんですか。解釈をお答えください。
  217. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 十八条に規定するその意に反するという苦役は、一息に読んで、強制的な役務提供と解しておりまして、苦役という用語のみを取り出して議論をするということには特段の意味はないと考えておりますが、その上で、その意に反する苦役というのは、その意に反する役務のうち、その性質が過酷なものや苦痛を伴うもののみに限られず、広く本人の意思に反して強制される役務をいうものと解しておるということで、たとえ通常の役務であっても本人の意思に反して強制される以上、その意に反する苦役に当たるということでございます。
  218. 前川清成

    前川清成君 大臣、今のは法学部の答案としてはゼロ点だと思います。  例えば、裁判員。これも裁判員という役務提供するわけですけれども、意に反して抽せんで当たったらやらなければならない。しかし、それは意に反する苦役だから憲法違反だという議論はありません。意に反する苦役に当たる当たるとおっしゃるけれども、根拠が全くこれまでの議論でも示されていないと思います。  少し私の方から解釈論をお話しさせていただきたいので、早く質問しろとかやじらずにお聞きいただきたいと思います。  まず、資料の一ページ目です。意に反する苦役に当たるかどうかについて、防衛庁長官でしたっけ防衛大臣でしたっけ、お務めになられた石破現大臣は、日本の国において徴兵制は憲法違反だと言ってはばからない人がいますが、そんな議論は世界中どこにもないのだろうと私は思っています、徴兵を取る取らないは別にして、徴兵は憲法違反、なぜだかと聞くと、意に反した奴隷的苦役だからと。国を守ることが意に反した奴隷苦役だという国は、私は、国家の名に値しないだろうと、こういうふうにおっしゃっています。  それで、私は押し付け憲法論には立ちませんが、今の憲法がアメリカ憲法の強い影響を受けている、このことは争いがないだろうと思います。今の憲法改正草案もGHQから英文で示されております。  それは資料の二枚目を見ていただきたいと思います。マッカーサー草案の十七条が、その後、今の憲法の十八条になっております。意に反する苦役、「Involuntary servitude」、こうなっております。じゃ、このインボランタリー・サービチュードというのはどこから出てくるのか。  三枚目を御覧をいただきたいと思います。これはアメリカ合衆国憲法の修正十三条であります。ここに「involuntary servitude」と。修正十三条のインボランタリー・サービチュードがマッカーサー草案のインボランタリー・サービチュードになって、現行憲法の意に反する苦役になったわけですが、岸田大臣、英語お詳しいと思いますが、このサービチュードというのは奴隷状態あるいは隷属という意味であります。修正十三条というのは改正されていますよという意味で、アメリカ憲法の十三条は、一八六五年、南北戦争が終わったときに奴隷制度を禁止する趣旨で改正されました。つまり、インボランタリー・サービチュードというのは奴隷制度を禁止する趣旨であります。徴兵制は射程に入れておりません。  そこで、中谷大臣、通告させていただきました一九一八年の連邦最高裁判決というのはどのような事案で、どのように判決しておりますでしょうか。
  219. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) このアメリカの連邦最高裁判決、アーバー対ユナイテッドステーツということで、これは一九一七年に成立した選抜徴兵法の合憲が争われた事件でありまして、選抜徴兵法は、本人の意思に反する苦役を禁じるアメリカ合衆国憲法修正第十三条と、国教を定め、また自由な宗教活動を禁止する法律の制定を禁じる修正第一条の規定には反しないと判示されたものであると認識しております。
  220. 前川清成

    前川清成君 要するに、アーバーさんというアメリカ人がアメリカ政府を相手に徴兵制度は修正十三条に違反する、憲法違反になるということで裁判に起こしたわけであります。  資料の四枚目を御覧をいただきたいと思います。その判決の結論部分をここに紹介させていただきました。国家の防衛に寄与するという義務の遂行が意に反する苦役であるなどという主張は、単にその文言において論破されていると、こういうふうにアメリカ最高裁も述べているところであります。  したがって、今の憲法十八条の沿革あるいは文言に照らせば、大臣は、何の理由も示さずに徴兵制は意に反する苦役だ苦役だとおっしゃるけれども、解釈論として言えば、意に反する苦役は徴兵制を禁止していないことになります。  そこで、資料の五枚目を御覧いただきたいと思います。昭和四十五年当時、当時の内閣法制局長官が徴兵制に関して、憲法十八条、つまりは意に反する苦役ですけれども、当たるか当たらないかということは、私どもから言いますと確かに疑問なんですと、こういうふうに述べておられます。  六枚目を御覧をいただきたいと思います。これは、この安保法案が憲法違反ではないとおっしゃっている数少ない憲法学者のお一人である西修教授の教科書の部分で、やはりその徴兵制というのは意に反する苦役に当たらない、こういうふうに書かれているわけであります。  そこで、中谷大臣、もう一度お尋ねしたいと思います。  大臣は、あるいは総理は、これまでも何度も何度も徴兵制は憲法違反だと、憲法十八条に言うところの意に反する苦役に当たると、こういうふうに述べておられました。その根拠をお答えいただきたいと思います。
  221. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 徴兵制につきましては、昭和五十五年八月十五日の稲葉誠一議員に対する質問に対する政府答弁書についてお答えしておりますが、徴兵制は、我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではないのに、兵役と言われる役務提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第十三条、第十八条などの規定趣旨から見て、許容されるものではないと考える、これが先ほどの政府が憲法上許されないと解する理由でございます。文言上は、憲法第十八条の意に反する苦役、これに当たるから違憲になるという、憲法の文言に照らせばそのような御説明になるわけでございます。  なお、先ほどお示しのありました、高辻法制局長官の答弁のごく一部を御紹介になったわけでございますけれども……(発言する者あり)その趣旨は、憲法第十三条を引っ張り出したわけですけれど、十八条に当たるか当たらないかというのは、私どもが言いますと確かに疑問なんですという文言の一部でございます。その趣旨は、徴兵制は憲法上許されないということを述べている中で、その根拠として、十八条のみではなく第十三条も根拠とするということを述べたものでございます。(発言する者あり)
  222. 前川清成

    前川清成君 委員長質問の妨害になるような答弁は厳に御注意いただきたいと思います。  それと、大臣、私、何か過去の法制局長官の答弁をお聞きするとか、専門的、技術的なことを聞いているんじゃなくて、最も基本的なことをお尋ねしています。これ、新しい安保法案ができて、大臣が実際に自衛隊にいろいろ命令されるときに、いつも彼、呼ぶんですか。全部御判断されるのは大臣ですよ。私は、今日お約束したいと思います。専門的、技術的なこと、過去のこちょこちょこちょこちょした答弁は聞きません。大臣の言葉で是非お答えいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、今の訳の分からぬ法制局長官の答弁を聞いて分かったという方は少ないだろうと思います。みそは、十八条だけでは駄目なんだと、だから憲法十三条の文言も今は引用しているんですという墓穴を掘った答弁でございました。  憲法十三条というのはどういう条文かといいますと、全て国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とすると、こう書かれてありまして、徴兵制について直接答えられている条文ではありません。つまりは、十三条を持ってこなければならなかったというのは苦し紛れなんです。  徴兵制が意に反する苦役に当たるという政府答弁、今の法制局長官にしたって総理にしたって大臣にしたって、結論をお示しになるだけ。何ら根拠はおっしゃいません。  他方で、戦後七十年間、議論の積み重ねのあった憲法九条、集団的自衛権の解釈、これはある日突然、去年の七月一日に閣議決定だけで百八十度変更されてしまいました。徴兵制は、議論の積み重ねがほとんどない、根拠もありません、理由もありません、したがって解釈変更というのははるかに容易だ、だから国民の皆さん方は心配しておられます。安倍総理は解釈変更しないと誓約しておられたとしても、そして国民が一人残らず安倍総理を信用されたとしても、誰もが生身の体でありますから、十年先、二十年先、総理を続けておられるという保証はありません。だから国民は心配しておられる。  そこで、中谷大臣、ちょっとよく聞いて御判断いただきたいんですが、私は御提案申し上げたいと思います。自衛隊法を改正したらどうかと。自衛隊法三十一条に、隊員の任用は防衛大臣が行うとあります。自衛隊員を選ぶのは大臣がすると、こう書いているんです。そこで、その三十一条に、何人もその意思に反して隊員に任用されない、こう追加してしまえば、私は国民の皆さん方の心配が解消すると、こういうふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。
  223. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 前川委員の御意見といたしまして、拝聴させていただきたいと思っております。
  224. 前川清成

    前川清成君 いや、ですから、採用していただけますか、反対ですかというお尋ねです。
  225. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 政府といたしましては、憲法上、徴兵制はないということでございまして、殊更自衛隊法にそれを明記するという必要性はないと考えております。
  226. 前川清成

    前川清成君 官房長官、通告していないんですが、今、政府としては徴兵制は取らないと、こういうふうにおっしゃいました。政府の方針として徴兵は取らないというのであれば、法律の中に明記しておいていただければ、与党の皆さん方だって再三再四心配して質問しておられます、国民の皆さん方の心配も解消すると思います。是非御判断いただきたいんですが、いかがでしょうか。
  227. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 先ほど来、防衛大臣答弁をして、また議論をされていますけれども政府としては、憲法論的に言ってもこれは明確な憲法違反であるというふうに考えていまして、そして、憲法解釈を変更する余地は全くない、そういう中で、ここについては今の憲法の中で私は理解をしていただけるだろうと思います。
  228. 前川清成

    前川清成君 官房長官、その明確な憲法違反だというのは、私が今までおよそ十五分も掛けて懇切丁寧に御説明したとおりで、これは根拠はないんです。ただただ当てはめているだけ。解釈の積み重ねはないんです。だから国民の皆さん方は心配しておられると思います。  徴兵制を取らないと、将来にわたって取らないとおっしゃるのであれば、私は、自衛隊法の中に、何人もその意思に反して自衛隊員に任用されないという条文を書き加えたとしても何ら不都合はないと思います。これを拒絶されるのは何か腹があるのかなと思ってしまうのは、私の心が貧しいからでしょうか。
  229. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) この問題について、総理も何回も答弁をさせていただいていますけれども、まさに、この憲法解釈を変更する余地は全くない、十八条の中で明確な憲法違反であると、徴兵制の導入ということは全くあり得ないという今までの総理答弁、そして防衛大臣答弁されたとおりであります。
  230. 前川清成

    前川清成君 最後に、世界人権宣言、これは日本とかアメリカではなくて、国連加入国が全て世界人権宣言というのを了承しているわけですが、その第四条に、「何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。」と。やっぱりこのインボランタリー・サービチュードという言葉があります。  それについて、文部科学省が「やさしい言葉で書かれた世界人権宣言」というのをホームページにアップしておりますけれども、その苦役については、誰もあなたを奴隷にする権利はありません、あなたも誰かを自分の奴隷にすることはできませんと、こういうふうに書かれていまして、文科省の見解としても、意に反する苦役、これは徴兵制を射程に入れていないわけであります。ですから、明確な憲法違反と、こうおっしゃっても、いまだ何ら根拠は示されていないというわけであります。  それで、総理は、例えば八月二十五日の御答弁ですけれども自衛隊はハイテク装備で固めたプロ集団だと、隊員の育成には長い時間と相当な労力が掛かるわけでありまして、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊はつくれないと、こういうふうにおっしゃっています。  ところが、先日も三十八度線を挟んで砲撃戦も起こりました。北朝鮮と緊張が高まった韓国、これは徴兵制かと思うんですが、韓国の軍隊というのは精強な軍隊ではないんでしょうか、防衛大臣
  231. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 私は精強な軍隊だと思っております。
  232. 前川清成

    前川清成君 そうであれば、総理の御答弁の前提として、徴兵制では精強な自衛隊はつくれない、これが崩れてしまうわけであります。  それともう一つ、軍事的な緊張が高まったから、かつて廃止していた徴兵制を最近になって復活させたと、そういう例は、防衛大臣、あるでしょうか。(発言する者あり)
  233. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  234. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こして。
  235. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 私の知る限りにおきましてはすぐに浮かんできませんが、確認をしなければお答えできないということです。
  236. 前川清成

    前川清成君 これほど今のハイテクな装備を前提としたら徴兵は取らないんだ取らないんだと、こうおっしゃっている以上は、これ新聞記事のニュースですので、是非御確認いただきたいと思います。  二〇一四年に、ウクライナ、ロシアの軍事介入に備える措置として徴兵制を復活させました。二〇一五年の九月、今日現在復活されているかどうかは確かめていませんが、やはりウクライナに対するロシアの軍事介入を受けて、リトアニア、これも徴兵制を復活させています。したがって、ハイテク装備なんだと、だから徴兵制は取らないんだと、取っても仕方ないんだというお答えも実は正しくないということは御指摘を申し上げたいと思います。  その上で、残念ながら法制局長官にたっぷり時間を取られてしまって私の質問時間が少なくなってしまいましたけれども集団的自衛権行使の要件についてお尋ねをしたいと思います。  集団的自衛権の行使の要件としては、法律に書かれております我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が云々、に加えて、被援助国からの要請あるいは同意が必要だというふうにこれまで再三再四答弁しておられます。  そこでお尋ねしますけれども、被援助国からの要請というのは、いつ、どのような形で確認をするのでしょうか。
  237. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 集団的自衛権の行使に当たっては、武力攻撃を受けた国の要請又は同意であるということが国際法上必要でございます。  これにつきまして、政府といたしまして、その存立危機認定する際におきましても閣議決定を行う必要がございますが、この閣議決定を行う際に対処基本方針、その中にその理由として明記をする必要がございますので、その中にこの要請又は同意、これが必要になってくるということでございます。
  238. 前川清成

    前川清成君 そんなことをお聞きしておりません。例えば戦争が始まったときに、例えば総理大臣が、あるいは防衛大臣が、その攻撃を受けた国、例えばアメリカの大統領に電話を掛けて聞くんですかと、その要請というのはどういう形で返事してもらうんですかという質問です。
  239. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 外交ルートを通じて正式な連絡があるということでございます。
  240. 前川清成

    前川清成君 その外交ルートを通じて正式な要請というのはどういうことですか、お答えください。
  241. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 外交ルートを通じての正式な伝達、これは具体的には様々な形が想定されます。首脳同士の意思疎通もあれば、外交当局同士の意思疎通も考えられます。これは、そもそも国際法要件として具体的にこうした形とは決められていないと考えます。
  242. 前川清成

    前川清成君 これ、集団的自衛権を行使するというのは、戦争するかしないか、若い自衛隊の皆さん方が死ぬか死なないかという事態です。それにもかかわらず、その手続が決められていない。場合によっては、総理大臣と大統領の電話で決まっちゃうんですか。それは私は手続として瑕疵があると思います。もっと厳格な手続法律で定めておくことがむしろ当然ではないかと思います。  その上で、要請がなかったら、同意がなかったら集団的自衛権は行使できないということで間違いありませんね。
  243. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 被攻撃国の要請、同意は国際法要件とされています。それがなければ集団的自衛権の行使はできないと考えます。
  244. 前川清成

    前川清成君 その上で、昨年七月一日の閣議決定についてお尋ねを申し上げたいと思います。  去年七月一日の閣議決定は、憲法九条は自衛の措置は禁じていない、しかしその一方で、無限定ではない、無限定ではないが、国民の生命、自由、幸福追求の権利を守るため、必要最小限度、この基本的な論理は変更していない、しかし、パワーバランスの変化があったと。  八月二十五日の岸田大臣の御答弁によりますと、我が国の存立、国民の生命、自由、幸福追求の権利が脅かされる明白な理由が存する、こういうときに自衛の措置が認められると。言わば、自衛のための集団的自衛権なんだと。  自衛のための集団的自衛権、我が身を守るための集団的自衛権なのに、どうして攻撃を受けている国の同意がないと行使できないんですか。
  245. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 我が国武力行使を認められるのは、憲法との関係において新三要件が満たされた場合のみであります。そして、それを国際法で正当化する理由をしっかりと確認しなければなりません。国際法違反にならないために、我が国が憲法上認められるこの武力の行使を国際法上正当化する理由をしっかり求めなければならない、そういったことでこの限定された集団的自衛権と評価される部分があり得ると説明をさせていただいております。その部分について攻撃を受けた国からの要請、同意が求められる、これが国際法上の論理であると考えています。
  246. 前川清成

    前川清成君 岸田大臣、誰かが、例えば私が岸田大臣を殺そうと思って襲いかかったわけですよ。当然、正当防衛として我が身を守ることができるわけですよ。これは言わば自然権だとこの前の議論でも私申し上げました。自分の身を守るというのに、例えば隣に座っている小野さんの了解を取らないと自分の身を守れないんですか。これ、論理的に破綻していますよね。自衛のための集団的自衛権と言いながら、しかしながら、被援助国の要請なり同意が要ります、これは自衛のための集団的自衛権とは言えないんです。他衛のための集団的自衛権が昨年七月の閣議決定だろうと思います。  その上で、法制局長官に時間取られたから、最後にお尋ねしたいと思います、今日、官房長官も来ていただいているので。  司馬遼太郎さんの絶筆、「街道をゆく 濃尾参州記」、その書き出しは、智者は、その性、臆病と考えていい、その人の中の臆病が、敵の意図をそんたくさせ、情報を集めさせ、事態の本質を察しさせるかのようである、若い頃の家康は露骨に臆病だった、で始まります。  集団的自衛権を行使したら、日本はアメリカと一緒に日本を攻撃していない国を攻撃することになります。やられた国からすると、先制攻撃を受けたわけですから、当然日本を恨む。しかし、アメリカは世界一の軍事大国です。アメリカと正面から太刀打ちできる国などありません。アメリカと日本の連合軍から先制攻撃を受けた、しかし正面から太刀打ちできない、その恨みはテロとして表現されないんでしょうか。  例えば、スペイン、イギリスはイラク戦争に参戦をしました。その結果、二〇〇四年、マドリードで列車爆破テロが起こって百九十一人がお亡くなりになって、約二千人がけがをされました。二〇〇五年、ロンドンで地下鉄の爆破テロが起こって五十二人が亡くなって、約七百人がけがをされました。  集団的自衛権を行使したら、やられた国から恨みを買います。その結果、テロを企てる者が現れるかもしれない。国民の命を守るためにはこれこれの備えを怠らない、これが私は国民の命を守るべき政府の役割ではないかと思います。これまでの政府答弁は、テロのリスクはない、自衛隊員のリスクも減ると、この繰り返しですけれども、私は、この対応は智者の対応とは言えないのではないかということをお尋ねしたかったんですが、時間が来てしまいましたので、これ指摘だけさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  247. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 維新の党が対案を提出をされましたので、今日は、政府案と、閣法と対比をする形で何点か質問したいと思います。  まず、事態対処法制関連であります。  閣法自衛隊法改正案第七十六条一項二号、いわゆる存立危機事態、これは、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」でありまして、この場合にも武力行使が認められると、こういうことでございます。こういう改正案でございます。  そこで、存立危機事態、すなわち、他国に対する武力攻撃をきっかけとする場合であっても自衛の措置をとることができる具体的な事態というのはどういうケースを想定しているのか、中谷大臣にお尋ねいたします。
  248. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これまで政府は、どのような事態存立危機事態に該当するかはあらかじめ包括的に申し上げることは困難としつつも、存立危機事態に該当し得る事例を分かりやすく説明するための一例として、我が国近隣の公海上で弾道ミサイル警戒に当たっている米国艦船の防護について説明してきております。  この事例は、他国の弾道ミサイル攻撃から我が国を守り、これに反撃する能力を持つ同盟国である米国の艦艇への武力攻撃を未然に止めずに、我が国に対する武力攻撃発生を待って対処するのでは、弾道ミサイルによる第一撃によって取り返しの付かない甚大な被害を被ることになる明らかな危険があれば、これはまさに国民に我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況に該当し得ると考えているところでございます。  このような場合には、我が国の存立を全うし、国民の命を守るため、すなわち、我が国防衛するための自衛の措置として限定的な集団的自衛権を行使する必要があると考えております。
  249. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私も、この弾道ミサイル防衛について、日米が共同で対処している場合の米艦防護ということが、この存立危機事態として最も想定できるのではないかと、このように理解をしております。  ところで、昨日も、当委員理事会に米国イージス艦が通常単独で行動するか否かについての政府統一見解が提出をされまして、私も拝見いたしました。  そこで、この委員会で何回か、そういう弾道ミサイル防衛においては、この米艦は隊列を組んで行動するわけで、自前で防衛できるわけだから、自衛隊による防護の必要はないという、こういう指摘もなされたわけでありますけれども、ここはそういうことなのか、改めて説明を求めます。
  250. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 日米は従来から、我が国武力攻撃事態においては、弾道ミサイル対処等に際しては海上作戦を共同で行うことを想定しておりまして、日米の艦艇が相互に防護する状況は、現法制下におきましても、想定し得るものであると考えております。  また、先般公表した日米ガイドラインにおきましても、自衛隊と米軍は適切な場合にアセットの防衛において協力をするということを明記をいたしております。  今般、平和安全法制の整備によりまして、例えば、日本の近隣で紛争が発生をし、我が国に対する武力攻撃発生したとは認定はされないものの、公海上で米国の艦艇がミサイル攻撃を受けた場合に日本の艦艇がその米国の艦艇を守ることができるということになれば、日頃からそのような事態を想定した訓練、また運用上の協力もすることができるわけでございます。  このような協力を通じて、日米間のきずなや信頼は強くなっていき、日米の共同対処能力も一層向上していくものと考えております。
  251. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 確かに米軍が独自で防護できる場合もそれはあると思いますが、しかし、これは我が国を弾道ミサイル攻撃から防衛をする場合でありますから、そもそもそういう防衛をする一団といいますか、グループの中に自衛隊が入っていないこと自体が私はおかしいと、こう思うんですね。今大臣が言われたように、また、そういうことを前提として共同訓練ですとか協力を行うことによって自衛隊の対処能力も高まるわけですから、私はそのことを理解をしております。  そこで、次に維新の党にお聞きをいたします。  日本を取り巻く安全保障環境が特に冷戦崩壊後大きく変容し、また今も変化し続けているということについては、維新の党も政府と同様の認識を持たれているということでよろしいでしょうか。
  252. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。  我が党も、日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化し厳しさを増していると認識しておりまして、こうした現実を踏まえて、日米同盟を基盤としつつ、自国防衛を万全にするために新たな安全保障法制の整備が必要だと認識しております。    〔委員長退席、理事塚田一郎君着席〕
  253. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ということは、維新小野先生に聞きますが、そうしたことを前提にして現行の安全保障法制を見直しまして、これまでできなかったことについても日本防衛のために新たな対処ができるようにしよう、こうしたことについても当然共通の認識をお持ちである、このように理解してよろしいですか。
  254. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  できなかったことと荒木議員おっしゃいましたが、できなかったことにも二種類あると思いまして、法律上整備されていなかったことについて整備することについては我々も積極的に取り組んでいきたいと思いますが、それはあくまでも憲法に適合している必要がある、憲法適合性の範囲内で、そういった安全保障政策上の必要性だけではなくて、憲法上の許容性も厳しく精査した上でそういった新しい法制に取り組むべきだと考えております。
  255. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今の点は当然、公明党、与党も、あくまでも現行憲法九条の範囲内での基本原理を守った上での見直しでなければならない、このように強く思っております。  そこで、維新の党の案によります武力攻撃危機事態維新の党の自衛隊法第七十六条第一項第二号の改正についてお尋ねいたします。  これによりますと、まず武力攻撃危機事態要件といたしまして、条約に基づき我が国の周辺の地域において活動しているということが要件になっております。ということは、事実上、現時点ですと米軍に限られるわけでありますけれども、しかし、同盟関係にはないけれども、現に我が国防衛に協力している外国の軍隊、あるいは米国とともに我が国防衛のために共同対処をしている他国の軍隊ということについても我々は防護する必要がある、そうした事態においては防護する必要があると思いますけれども、この点はどうお考えなんでしょうか。
  256. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) 我々の法案条約に基づき活動しているという表現は、我が国と締結した条約に基づく我が国防衛の義務の履行をしているということを意味しております。そうした活動を行う外国軍隊は、言わば我が国自衛隊と分担して我が国防衛を行っている存在であり、その軍隊に対する武力攻撃であるからこそ、我が国に対する武力攻撃と同視できるということが考えられるわけでございます。  我が国は、憲法上、他国防衛を目的とした武力行使を行うことは許されておりません。そうした制約があるにもかかわらず、あえて我が国防衛のために従事していただくのは、条約に基づき我が国防衛する義務を負う国、すなわち、現状では日米安保条約に基づく米国だけであると考えられます。  こうした観点から、武力攻撃危機事態については、条約に基づき活動している外国軍隊武力攻撃発生した事態に限定しております。
  257. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、同号では我が国周辺の地域においてと、活動範囲が限定をされておりますが、これはいわゆる周辺の地域というのは地理的概念なのか、もしもそうであると、どういう地域を解釈したらいいのか教えてください。
  258. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) この武力攻撃危機事態における我が国周辺の地域とは、周辺事態法の考え方と同じく、日米安保条約の極東条項に関するこれまでの政府の統一見解で示された地域を基本的には想定しています。  すなわち、大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び台湾を含むというこれまでの考え方に従っております。南シナ海については極東周辺ということで、我が国防衛と密接に関連している場合にはこれに当たると考えています。しかし、常識的には、それ以上遠くの地域、つまり中東とかアフリカなど、いわゆる地球の裏側までは含まれておりません。
  259. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 了解しました。  次に、現行の事態対処法第二条の武力攻撃事態等と、この維新の党の言われる武力攻撃危機事態関係について、午前中も佐藤委員からありましたが、私も改めて確認させていただきます。  この対処法の第二条第一項第二号は武力攻撃切迫事態という概念がありまして、これは当然、維新の党の改正案でもこの概念自体は維持をするわけであります。切迫事態というのは、「明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」、このように定義をされております。一方、維新案の武力攻撃危機事態というのは、「武力攻撃発生する明白な危険があると認められるに至つた事態」ということですね。切迫事態の方は危険が切迫している、武力攻撃危機事態は明白な危険があると認められている、こういう定義になっております。  私が聞きたいのは、どちらがより緊迫をした事態なのか。午前中の佐藤委員への質疑の中で、答弁は、切迫事態よりも更に緊張が高まっているのが武力攻撃危機事態だと、こういう整理であると聞きましたが、それでよろしいんでしょうか。
  260. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  午前中の質疑で、この明白な危険があると認められるに至るということと、明白な危険が切迫しているというのと、どっちが上なんだという趣旨質問をいただきましたので、表現だけを捉えて言うならば、明白な危険が今そこにあると言っている我が党の案と比べると、明白な危険が切迫しています、まだなっていませんと言っている表現とでは、比べれば、明白な危険がそこにあると言っている我が党案の方がより軍事的な危険はもう明白であるということを意味しているということをお答えいたしました。  別の表現をしますと、我が党の提出しております法案では、より具体的かつ外形的にこの危険を構成要件に取り入れていまして、条約に基づき我が国周辺の地域において我が国防衛のために現に活動している外国軍隊に対する武力攻撃がもう既に発生したという事態を捉えて、それが我が国への攻撃に至るというか波及する明白な危険があると認められるということですので、その根拠、なぜ明白なんだ、なぜ危険があるんだという根拠は、具体的、外形的に構成要件表現されていると理解しております。
  261. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、私の理解は、現行の武力攻撃切迫事態を更に客観的な指標で絞った、要するに武力攻撃切迫事態のその一部が武力攻撃危機事態であると、こういう整理になるんだと思いますけれども、それで間違いないですか。
  262. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  我が国に対して武力攻撃が至っていないという意味では荒木先生お尋ねのとおりだと思いますが、その切迫の度合いが武力攻撃切迫事態よりもより上であると我々が言っている根拠は、既に我が国防衛に現に従事している外国軍隊攻撃を受けているという点が、画然と、単なる切迫事態よりは深刻であると考えております。
  263. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 くどいんですけれども切迫事態に含まれるのが危機事態なのか、それとも全く別の概念でそういう、何といいますか、整理はできないものなのか、図でも描くといいんですけれども、重なり合うけれどもそういう包含関係ではないという、そういう意味なのか、教えてください。
  264. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  武力攻撃切迫事態との関係については、特に改正後の自衛隊法七十六条一項において武力攻撃危機事態との適用関係を整理しておりまして、武力攻撃危機事態に至った場合には、同時に武力攻撃切迫事態として認定されることはございません。
  265. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私も、もう少し整理をしたいと思っております。  そこで、次の質疑に進みますけれども、現行法は、自衛隊武力攻撃ができますのは、武力攻撃発生事態に限られております。この武力攻撃切迫事態については、防衛出動命令は発令できますけれども実力行使はできないわけですし、ましてや、武力攻撃予想事態に至っては当然できないわけです。  そこで、維新の党の改正案でありますと、そうしますと、現行法では我が国防衛するために武力を行使ができるのは武力攻撃発生事態に限られますけれども、それに至る前の段階で武力行使ができるようにするという改正案の内容であるということはよろしいですか。
  266. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  先ほどから度々答弁させていただいておりますのは、この事態は全体として我が国への武力攻撃と同視できる事態だということを申し上げておりまして、したがって防衛出動された自衛隊については、当然のことながら武力行使をするということを前提にしております。
  267. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、閣法自衛隊法改正案第七十六条第一項第二号では、存立危機事態要件として、「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」、これを要件として明記をいたしました。  維新案の自衛隊法改正案第七十六条第一項第二号の武力攻撃危機事態については、こうしたことは要件として求めておりませんけれども、これはなぜなのか理由をお聞きしたいと思います。
  268. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  大変いいところをお尋ねいただいたんですが、我が党として最初この対案を作るときに、今、荒木先生がおっしゃられたこの「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」の後ろに、今我々の第二要件になっている、我が国への攻撃が、明白な危険があるというのを付加しようというアイデアもあったんです。  ただ、法律の専門家に聞きましたら、そもそもこの我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される事態というのは、何十年にもわたって我が国攻撃される事態を指していて、それ以外のものを指すことはないというふうに法律の専門家から言われましたので、つまり、分かりやすく言えば、馬から落馬するみたいな条文になってしまうという指摘を受けましたので、私どもはこの表現を使っていないということでございます。
  269. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ちょっと馬から落馬するという趣旨が私、いま一つ理解がすぐできないんですが。  閣法においてこれが要件とされております。憲法第九条の下で例外的に武力行使を行うことが認められる根拠は、同第十三条の幸福追求権であります。これは、昭和四十七年十月十四日の政府見解がそういう整理をしております。つまり、憲法九条は武力行使を禁止をしているわけですけれども、十三条と併せて考えることによって例外的に武力行使ができる場合があると。当時は、それは個別的自衛権だという結論であったわけであります。  そこで、我々は、この四十七年見解を踏まえる意味で、存立危機事態要件として、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、第十三条から由来するこうしたものを要件としたわけでございます。すなわち、この国民の権利が根底から覆されるという要件は、憲法九条と十三条の整合的解釈から導かれる昭和四十七年見解の一つの肝であるというふうに考えたんですね。先ほどの馬から落馬ということは、いや、もうそれは書かなくても当然含まれているという趣旨ではないかと理解したんですけれども、やはりこれはひとつ、政府見解の肝を成す部分でありますので、何らかの形でこれは要件とされた方がよいのではないか、こういう意見を申し上げておきます。  そこで、外務大臣に一点だけ。  存立危機事態武力行使をする場合に、国際的に違法性が阻却される根拠は国連憲章第五十一条の集団的自衛権であるという、こういう理解でよろしいですか。
  270. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 存立危機事態において、国際法上違法性を阻却する理由としては国連憲章五十一条の集団的自衛権があります。また、理屈としましては国連憲章に第七章があります。第七章に集団安全保障が定められています。これも、存立危機事態国際法上違法性を阻却する理由として挙げることはできるかと考えます。
  271. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 閣法政府の考えはそういうことであります。  そこで、維新の党にお聞きしますが、武力攻撃危機事態において我が国が武力の行使を認められる国際法上の根拠、すなわち違法性阻却事由というのは何に当たりますでしょうか。午前中も質疑がありましたけれども、私からも重ねてお尋ねいたします。    〔理事塚田一郎君退席、委員長着席〕
  272. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答えいたします。  自衛権の行使でございます。
  273. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 これは私、国際法上違法性が阻却される理由を聞いておりますので、やはり先ほどは外務大臣は、それは国連憲章第五十一条であり、あるいは第七章の集団安全保障が根拠になる場合もあるというふうに言っているわけですから、やはり維新の党でも、これは、国際法上は国連憲章のこれによって違法性が阻却されるという、そういう説明をしていただかないと、まあ自衛権には違いないとは思いますけれども個別的自衛権なのか集団的自衛権なのか集団安全保障なのか、多分それ以外にはないと思うんですけれども、それははっきりと大事な部分ですから明確にしていただく必要があると思います。
  274. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  現在の国際法上武力の行使が容認されるのは、自衛権行使であるか、あるいは集団安全保障の措置への参加であるかと思いますけれども、この法律が想定していますのは我が国の自衛権の行使の方でございます。
  275. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 国連憲章第五十一条は、自衛権の行使というよりも、集団的又は個別的自衛権という書き方が書いてありますから、どっちかということをやはり明確にしなければいけないと思うんですね。  ですから、集団的自衛権なのか個別的自衛権なのか、どちらに当たるんでしょうか。
  276. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  自衛権行使という内訳についてお尋ねでございますが、既に衆議院でも参議院でも質疑が行われておりますが、国連への報告の際には個別的自衛権集団的自衛権の区別をする必要はなく、現にほとんどの報告についてはそういった区別がないという報告が外務省からも出ております。単に自衛権行使として報告すればよいというふうになっておりますので、この点についても余り問題になることはないんじゃないかと思っております。
  277. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 外務省に尋ねます。  国際法上、個別的自衛権集団的自衛権は私は截然と区別されていて、何かそういう一つの固まりではないと思っておりますけれども、この個別的自衛権集団的自衛権はどのように区別されるのか、説明してください。
  278. 秋葉剛男

    政府参考人(秋葉剛男君) お答えいたします。  午前中も御答弁申し上げましたが、個別的自衛権集団的自衛権、この両者は、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかどうかという点において明確に区別される権利として国際法上確立されております。  これを、ICJ、国際司法裁判所の判例に則して申し上げれば、ニカラグア判決におきましては、個別的自衛権の場合、当該国が武力攻撃の被害国となっていることが条件であるとしつつ、集団的自衛権については、自らが武力攻撃の犠牲者であるとする国家による要請がない場合に集団的自衛権の行使を許容するような規則は存在しないとされております。すなわち、集団的自衛権については被攻撃国による要請が必要だとされております。また、オイル・プラットホーム事件におきましても、個別的自衛権につきましては援用する国に対する武力攻撃発生していることが必要とされている次第でございます。  このように、これらの判決は個別的自衛権集団的自衛権を目的が自国防衛か否かという点で区別しているわけではございません。両者は、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかどうかという点において明確に区別されるとの政府の見解、そういうものと、このICJ、国際司法裁判所の判決が整合的であるということを申し上げさせていただきたいと思います。
  279. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 国際法上の理解としても、あるいはICJの判決を見ましても、やはり個別的自衛権集団的自衛権はそれぞれ別の権利として認識されていると思うんですね。何か一体としてそういう個別的又は集団的自衛権という概念があるわけでないので。  そこで、維新の党にお尋ねしますが、各国が武力行使をした場合に国連にどう報告しているか、私もそこまではちょっと調査してきませんでしたので、そうだと思いますけれども、それにしましても、やはり我が国武力行使をする場合には、それは国際法上の個別的自衛権なのか集団的自衛権なのか、やはりどちらかはっきりしなければ駄目じゃないんですか。自衛権だという一くくりの説明ではちょっとまずいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  280. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  午前中にも答えさせていただきましたが、私たちが、昨年七月一日の閣議決定の中で、全て同意できるわけでもないんですが、共鳴というか共感を持っておりますのは、これまでの日本国内で個別的自衛権集団的自衛権のいわゆる解釈の境界線というのが、もう常に一〇〇%憲法適合性と違憲の境界線であるということはないんだということについては私どももそのように、様々な兵器の変化とか国際情勢の変化の中でそのように考えております。  その意味で、自衛権の再定義ということを私たちはやっているわけでございまして、今回の法案というのも徹頭徹尾自国防衛のみ、ためのものだけでありまして、それについては、例えば秋山法制局長官が平成十六年に答弁した中にも、外国軍隊に対する攻撃であっても個別的自衛権の対象になることもあるという答弁もございます。  ですから、要は、目的も行為も我が国の自国防衛のためということであれば、自衛権の行使ということで十分に評価されるのではないかと、そのように考えています。それは、先ほどの国連への報告がそうした区別がなく自衛権の行使ということで十分足りているということと併せ持ちまして、我々としては、十分にそれで堪えるものだし、何よりもまず憲法適合性があるという評価を憲法学者あるいは法制局長官経験者から得るということが大事であって、政府案のように憲法適合性がないという評価を受ける法案では国民の皆さんに説明ができないのではないかと、そのように思っております。  重ねて申し上げますと、衆議院での審議で我が党の同僚議員から、その国際法上の評価についてはいろいろあるでしょうねという趣旨答弁をしています。どういうことかというと、さっき申し上げたとおり、国際法上の集団的自衛権個別的自衛権については諸説ございます。他国防衛説ということで、他国防衛を目的とするものが集団的自衛権だという説もあるし、先ほど秋山長官の話をしましたけれども、物理的には他国の軍隊に第一撃があった場合でも、我が国防衛システムの全くその一体の一部を成しているものが攻撃を受けた場合には、我が国の自衛権行使としてできなければ、先ほど別の議員質問にもありましたけれども、自分の国の存立が懸かっているのに、他国の同意や要請がなければ行動が取れないという何か変な理屈に陥ってしまいます。  私たちは、徹頭徹尾、自国防衛で我々の決断、主体的判断によって自衛権の行使を行う、そのことを考えているというのがこの法案に生かされているわけでございます。
  281. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、海外派遣の一般法制定、閣法でいえば国際平和支援法案関連について維新の党にお尋ねいたします。  維新の党の国際平和共同対処事態に際して我が国実施する人道復興支援活動等に関する法律案の第三条によりますと、非戦闘地域での活動とはいえ、現に戦闘行為が行われている国の領域内で人道復興支援を行うことを一般法で認めるという、こういう立て付けになっております。これは現行のPKOの参加五原則に該当しない場合でも人道復興支援活動を認めるという、そういう趣旨であると理解してよろしいでしょうか。
  282. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  この点は私どもとしてもいろいろ議論があって検討したところでございますが、日本が国際貢献をする際には、実際に活動する方の安全を確保するということは第一でございますけれども、しかしながら同時に、日本といったら人道復興支援なんだと、この看板を下ろすことはできないと考えまして、その安全確保に様々な配慮をしながら、しかしイラク特措法にも入っておりました人道復興支援をこの一般法の中にも取り入れたということでございます。
  283. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 イラク特措法のサマーワの支援というのはPKO協力法ではできないから特措法を作ったんだというふうに理解をしております。そうしますと、安全配慮規定はあるにせよ、PKO参加五原則が該当しない場合でもこの一般法ではやるんだという、こういう制度になっているんですか。
  284. 小野次郎

    委員以外の議員小野次郎君) お答え申し上げます。  幾つかの要件を前提とした上でございますけれども、いわゆる敵対行為とか軍事的な行為の後方支援というのではなくて、日本が人道復興支援をするということが停戦合意前であっても可能な状況確認されれば、そのようなことをまずやるべきではないかなと私どもは考えて、これをメニューの中に残したということでございます。
  285. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 様々まだ議論はあります。論点はございますけれども、是非、維新の党と与党との政党間協議でしっかりと実りがあるような、そうした協議を進めていきたいと思っております。  終わります。
  286. 室井邦彦

    室井邦彦君 維新の党の室井邦彦です。よろしくお願いいたします。  まず、冒頭質問をさせていただく前に、我々維新の党のこの五つの対案、八月の二十日に五法案を出させていただきまして、今、この九月二日に御答弁、また審議をしていただいております。その二十日に出した以降、鴻池委員長には、また関係者には、何かと前向きで対応していただきましたことに心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。  それでは早速でありますが、質問をいたしますが、まず維新の提案者に質問をさせていただきます。  法案の提出方式が衆議院の段階と異なっている、この違いがどこにあるのか、これを一点、まずお聞かせをいただきたいことと、また、現時点ではなぜ衆議院に提出した全ての法案を一括して提出をしなかったのか、まずはお答えをいただきたいと思います。
  287. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) お答えをいたします。  先般、この参議院に提出をいたしました法案ですが、衆議院に前に提出をした法案と内容の点で大きな変化はありません。ただ、安保法制に関する最近の質疑で新たな指摘された問題点に対応するため、幾つかの修正を施しました。衆議院においては、この平和安全整備法案政府案の提出方法に合わせて、現行法を十本改正する一本の束ね法案として提出をし、そのほか国際平和協力支援法案と領域警備法案という二つの新法案を提出しており、都合三つの法案となっていたところであります。しかし、この参議院の質疑におきまして、政府が十本もの法案を一本に束ねて提出するのでは、国民の理解も得にくい上、議員法案ごとに賛否を示すことができないなどの問題点が指摘をされました。  そこで、私どもとしては、参議院におきましては、以下の六つのテーマに沿って法案を分割をしたところであります。まず第一には武力攻撃危機事態に関する法案、第二にPKO法案、第三には周辺事態法案、第四に在外邦人の保護に関する法案、第五に米軍、オーストラリア軍に対する物品役務提供に関する法案、そして第六に自衛隊員の国外犯処罰に関する法案の六本でございます。これに新法案として国際平和協力支援法案と領域警備法案の二本と合わせて、全部で八本の法案としております。  この平和安全法制全体がどのような分野に分かれ、どのような論点があるのか、国民の皆さんにも分かりやすい形でお示しをして、この本院、参議院において充実をした審議が、質疑が行われることを期待をしているところであります。  今申し上げましたように、今回は、まず束ね法案四本と新法案を一本提出をしましたが、残余の法案につきましても今週中には是非提出をさせていただきたいと準備をしておるところでございます。
  288. 室井邦彦

    室井邦彦君 じゃ、引き続いて御質問をしたいと思いますが、国際平和支援法案についてでありますが、国際平和共同対処事態活動要件として、平和のための結集決議以外のいわゆる関連決議まで広く含める政府案に対して、維新案は特に関連決議を除いておりますが、その理由をお示しをいただきたいと思います。
  289. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) ありがとうございます。お答えをいたします。  自衛隊の海外活動につきましては、国際法上の正当性が当然必要でございます。  国際連合憲章第二条第七項は、御案内のように内政不干渉原則を掲げており、原則としてどの国も他国の領土に軍隊を派遣することはできません。もちろん、日本はそもそもの憲法上の原則から海外派遣はできないということですが、国際法上その唯一の例外として認められておりますのが国連憲章第七章の強制措置でございます。平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為の存在を決定し勧告を行う権限を有するのは安全保障理事会のみであるというこの国際法上の原則を遵守するため、国連安保理決議の第七章決議に基づく多国籍軍等が行う活動のみを支援すべきと考えております。  以上の趣旨で、国連総会での決議については、国際社会の平和及び安全を脅かす事態に対処するための活動を行うことを決定し、勧告し、要請し又は認めるもの、つまり、国連の正式な授権決議に限るものとしているところです。したがって、安保理事会又はそれと同等の平和のための結集決議に基づく活動への支援のみを認めることとしているところであります。これならば国際法上の正当性については問題ないと考えております。  これに対して、国連関連決議まで含める政府案には、国際法上の正当性について疑問の余地があるのではないかと考えているところでございます。
  290. 室井邦彦

    室井邦彦君 それでは、大臣、御質問いたしますけれども、今の関連の法案でありますが、国際平和支援法案についてまずは大臣にお伺いいたしますけれども国際平和共同対処事態活動要件として平和のための結集決議以外のいわゆる関連決議まで広く含めておられるということでありますが、国際的な正当性をそれで結局確保できると、このようにお考えをされているのか、政府の御意見を、お考えをお聞かせをください。
  291. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 維新の党におかれましては、国会に独自案を提案をされたことに対して敬意を表したいと思います。  お尋ねの国際平和支援法、三の一の一のロの決議、これいわゆる関連決議でありますが、これは、同号のイの決議のように、我が国の支援の対象となる諸外国の軍隊の活動の直接の根拠となるものではありませんけれども国際法上、自衛権又は領域国若しくは旗国の同意に基づいて適法に行っている活動について、国連が決議という公式な形で、平和に対する脅威又は平和の破壊であるという認識を示しつつ、当該事態に関連して加盟国に何らかの取組を求めるという明確な要件が課されておりまして、国際的な正当性を確認する上で十二分なものであるということでございます。  例えば、二〇〇一年の同時多発テロ、これに国際の平和及び安全に対する脅威であると認め、国際社会に対してテロ行為を防止し抑止するための一層の努力を求めた安保理決議一三六八号があり、かつて我が国は、当該決議が存在している状況において、テロ対策特措法などに基づいてインド洋で海上阻止活動を行う諸外国の軍隊に対する洋上補給活動等を行いました。  このように、過去の自衛隊による活動を踏まえても、我が国として支援すべき国連憲章の目的に従った国際社会活動は、イの決議、すなわち支援対象国となる諸外国軍隊等活動の直接の根拠となる決議に基づく活動に限られるものではないと考えているわけでございます。
  292. 室井邦彦

    室井邦彦君 政府案に対しまして、我々維新の党として、やはり国際法上の正当性についてはそういう意味では多少疑問が残っておるところであります。その点を我々しっかりと要望しておきたい、このように思っております。  さらに、その同時多発テロの件で、先ほどと少し重複、柴田先生、するかも分かりませんが、その点につきましてもう一度ちょっと確認をしておきたいんですけれども、関連決議では要件を満たさないと維新案ではしておりますが、この同時多発テロのように、国際社会が協力して対処する事態発生したときに我が国としてどのように対処すべきなのか、お考えをお聞かせをください。
  293. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) お答えいたします。  私どもの案では、先ほども申し上げましたが、安全保障理事会又はそれと同等の平和のための結集決議に基づく自衛隊派遣のみを認めることとしております。つまり、国際法的に申し分のない正当性を持つ多国籍軍のみを支援するために恒久法を制定するということです。  したがいまして、いわゆる関連決議のみでは、今御指摘のあった同時多発テロのようなケースを含め自衛隊は派遣ができないということになるわけですが、同時多発テロのようなケースで対応が必要となることはもちろんあるわけです。このような場合については、従来どおり、特措法による対応をすべきと考えております。そういう大きな危機に当たっては国会での理解は得やすいものと思っておりますし、ある程度迅速な立法が可能だと思っております。  過去を振り返っても、このテロ特措法のケースでいえば、二〇〇一年九月十一日の同時多発テロの対応において、その年の十月五日には衆議院に提出された特措法案がその年の十月二十九日には参議院本会議で可決をされておりまして、自衛隊による迅速な対応の必要性と国際社会の正当性、そして国民の理解のバランスを取るためにも、国連で正式な授権のない決議、関連決議しか得られなかった場合については従来どおりの特措法での対応とすべきであると考えているところでございます。
  294. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。  それでは、次の質問でありますけれども政府維新の提案者にお尋ねをいたします。  武力行使との一体化についてでありますが、この武力行使との一体化を回避するためには、国際平和対処事態における諸外国軍隊等に対する協力支援活動等実施地域をいわゆる非戦闘地域に限定すべきではないのかということでありますが、最近の新聞報道でも、自衛隊が駐留していたイラク南部のサマワから約三十キロ離れた町で起こったいわゆるルメイサ事件でありますが、取り上げられております。  二〇〇五年十二月四日、復興支援群長ら幹部たちが、修復した養護施設の祝賀式典に参加をしておりました。会場のそばで反米指導者サドル師派と自衛隊を警護していた豪州軍との銃撃戦が起こりました。銃撃戦に続き、ノー・ジャパンなどと抗議しながら群衆が押し寄せてきました。幹部らは建物に閉じ込められ、外で警備に当たっていた隊員も群衆に包囲されました。どの隊員も、一発の警告が全面的な銃撃戦につながる恐怖を覚えたそうであります。結局、地元のイラク人に逃げ道をつくってもらい、窮地を脱することができたとあります。  このように、非戦闘地域への派遣ですら、いつ銃撃戦になるか分からない状況になります。それ以外の地域への自衛隊の派遣を認めてよいのか、また、政府維新、どのようにそれぞれの政党がお考えなのか、是非この点を確認とお伺いをしたいと思います。  まず、防衛大臣の方から御答弁をお願いできますか。
  295. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 政府案につきましては、これまでの非戦闘地域、これは、そこで実施されている活動の期間を通じて戦闘行為が行われるということがないと認められる地域でありますが、これでおきますと、例えば半年間自衛隊が派遣をされるのであれば半年間戦闘がないと見込まれる地域でありまして、実際活動を行う上に、一週間だけ行うという場合も派遣期間が半年間戦闘が行われたことがないということを実施区域を指定する条件として運用してまいりましたが、今回は、現実に活動する一週間の間戦闘行為が発生しないと見込まれるのであれば実施区域の指定が可能となるように、活動の具体的なニーズに即して機動的に実施区域を指定することができるように、つまり後方支援は武力の行使に当たらないということで、他国による武力行使と一体化をならないということを担保として、現に戦闘行為が行われている現場でなければ後方支援が実施可能といたしました。  その際、安全性を確保する上におきまして、法律防衛大臣自衛隊の部隊等が実際に円滑かつ安全に活動できるような実施区域を指定する旨規定をしておりまして、この規定を受けて、現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定をするといたしておりまして、攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことはいわゆる非戦闘地域や後方地域といった要件を設けていた従来と変更はございません。  このように、現実の活動に際しまして、この点を新たに考えて法律に盛り込んだということでございます。
  296. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) ありがとうございます。  今も御説明はありましたが、政府案は、現に戦闘が行われている現場では実施しないとするだけで、非戦闘地域に限定はしていないと言ってもいいと思うんですが、したがって、戦闘の間際まで自衛隊活動地域が拡大をしかねないと。しかし、今、室井先生御指摘をされたように、ルメイサ事件の例があったように、非戦闘地域への派遣であっても銃撃等の危険を伴うのでありまして、ましてや、この政府案のようにそれ以外の地域にも自衛隊を派遣するということになりますと、国又は国に準ずるものとの戦闘に巻き込まれる危険が格段に高まるものと思っております。  したがいまして、私どもの案におきましては、活動地域をいわゆる非戦闘地域に限定をいたします。すなわち、現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域でのみ活動実施すべきだとしているところでございます。
  297. 室井邦彦

    室井邦彦君 政府の方、防衛大臣に一言私の方からお願いをしたいわけでありますが、それは、今のお話を聞いておりますと、私も認識をしておるんですが、この活動地域が拡大すればするほど、リスクが少なくなるんじゃなくて、やはりリスクが増えると。これはもう原理原則の話だと思います。  そういう観点から考えますと、やはり政府案は戦闘にもいわゆる巻き込まれる危険性が非常に大きいんじゃないか、このような我々は不安を感じておるところであります。是非その点を十分に御留意をしていただきたい、このような要望をしておきたいと思います。  続いて質問をいたしますが、この質問も、また中谷防衛大臣、また維新の提案者にお答えをいただきたいわけでありますが、この政府案は、国際平和共同対処事態への対応措置の実施前に、当該対応措置を実施することにつき、基本計画を添えて国会の承認を得なければならないとしております。これに対して維新案は、基本計画を添えるだけでなく国会の承認の対象としておるところが違うところでありまして、政府案が基本計画まで国会承認をしなくてよいと考える理由についてお伺いをしたいと思います。
  298. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 政府案につきましては、基本計画そのものを国会承認の対象とはしておりませんが、基本計画を決定をし又は変更したときは国会に報告することとしているのに加えまして、政府案に基づく協力支援活動等の対応措置の実施につきましては、基本計画を添えて例外なく国会事前承認を得ることとなるために、基本計画の内容について国会審議が行われるということになります。  したがいまして、国民の理解を十分に得つつ民主的統制を確保するとの観点からは、維新案のように基本計画そのものを国会承認の対象とする場合と基本的にはその効果に変わりはないと考えております。
  299. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) 私どもの案では、この自衛隊の具体的な活動内容が承認の対象となることによって、政府自衛隊活動内容について詳細な情報を提供して私ども国会議員を説得するよう努力することになるわけです。このことによって国会での審議の内容をより実質的なものとできるために基本計画国会承認の対象としているわけであります。実施の可否のみならず、実施計画の内容の承認を求めている立法例としては現にドイツの例もございまして、決して非現実的な制度ではないと考えています。  このため、私どもの案では、実施計画を事前の承認に付すと、またこの実施計画の変更についても事前承認が必要で、実施が二年を超える場合は新たな承認が必要となって、このときの承認の対象もやはり計画ということですが、ということになるわけです。さらに、この場合に不承認の議決があったときは、政府は速やかにこの基本計画での措置を終了させなければならないとしておりまして、分かりやすく簡単に言うと、政府の案よりも私どもの案は国会承認をより厳格化しているということかと思っております。
  300. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。  この国会の審議を形骸化させないようにも、文民統制のそれが確保につながっていく、我々はこのように確信をしておりまして、是非その点も一言御指摘をしておきたい、このように思います。よろしくお願い申し上げたいと思います。  続きまして、時間の関係上、引き続いて、はしょらせていただきますけれども、国際平和支援法についてお尋ねをしたいと思います。  この国際平和支援法で定められた人道復興支援活動についてまずはお伺いをいたしますが、国際平和対処事態における武力紛争時の後方支援活動が行われた後、紛争が終結すればそのまま人道復興支援活動に移行することになる、このように考えられますが、この人道復興支援活動は、政府案では、国際平和協力法に基づく活動であるから、同法に基づいて、改めて自衛隊を派遣する手続が必要となるのでしょうかという、こういう我々の質問でありますけれども、また一方、政府維新の提案者それぞれにこの点をお伺いをして、改めて確認をしたいと思います。大臣の方から、適宜。
  301. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 政府案におきましては、人道復興支援活動は国際平和支援法ではなくて、参加五原則が満たされている状況であれば改正PKO法、これに基づいて実施をするということになります。  これは、人道復興支援の実施それ自体に関しては国会事前承認を必要とはしておりませんが、政府としては、国連の統括しない国際的な平和協力活動について、活動を行う区域の安全の確保が必要な場合において他国軍隊に安全確保を依存をする形で自衛隊の部隊を派遣するということは適当ではなくて、このような場合には、安全確保の任務を実施をするに当たっては、原則として事前国会の承認を得る必要があると考えます。  したがいまして、このような場合には、実施計画を閣議決定をし、国会の承認を得た上で活動実施するというような形におきまして、改正PKO法に基づいて実施をするということを考えております。
  302. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) 私どもの案におきましては、この人道復興支援は、改めて言うまでもありませんが、我が国にとって国際貢献として最もふさわしいものと考えております。したがって、安全かつ円滑に支援活動を行えるようにすべきということは言うまでもありません。  政府案は、この人道復興支援活動は、国際平和協力法で行う整理となっておりますので、復興支援のために改めて別途国際平和協力法に基づいて自衛隊の派遣手続が必要ということになるわけですが、武力紛争時において後方支援と紛争終結後の復興支援は一連の活動でございますから、我が党案におきましては、両者ともいわゆる恒久法に位置付けて、復興支援のために改めて手続を踏む必要はありません。これによってスムーズに復興支援活動に移行できるということになるわけです。  他方で、停戦合意のない状況下で支援活動が行われる危険性を回避する必要があるのも事実でありまして、そのため、私どもの案におきましては、防衛大臣が、自衛隊の部隊等が人道復興支援活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合には活動の中断を命じることとしておりまして、実際に活動をしている部隊の長も、人道復興支援活動実施場所の近傍において、近くにおいて戦闘行為が行われるに至った場合においては、あるいはその戦闘行為が予測される場合には、活動を一時中止をし又は退避するなどして危険を回避するという安全策も設けているということを併せて申し上げておきたいと思っております。
  303. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。  いずれにいたしましても、この人道復興支援の活動こそが国際社会における我が国の評価を高らしめるということになると思います。その面におきましても、人道支援に関しましては、全て大切な法案でありますけれども、特に重きを置きながら進めていただきたい、このようなことを更に要望しておきたいと思います。  続きまして、また関連でありますけれども、これは維新の提案者にお聞きをしたい、お尋ねをしたいと思います。  国際平和支援法の維新案では人道復興支援を行うことになっておりますが、特に人道支援を担ってきた国際協力NGOからは、自衛隊がNGOと同様の業務を行えば当然同じ部類と第三者から見られてしまう、思われてしまうということが起きます。そのNGOのリスクが増すとの懸念が聞かれるわけであります。  維新の党は、このような懸念に対してどのような対応を考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  304. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) お答えをいたします。  私どもとしては、自国防衛とは直接関係のない自衛隊の海外活動につきましては国連の指揮下で行うべきだと基本的に考えているわけですが、したがって、この国連平和維持活動はもちろんのこと、それ以外の多国籍軍型の活動においても、国連安保理の七章決議あるいはそれと同等の国連総会による平和のための結集決議に、先ほども申し上げましたが、基づいてのみ自衛隊を派遣できることとしております。  さらに、この人道的な復興支援活動は実に多様な活動を含んでいるわけですが、民間のNGOと自衛隊がそれぞれの長所を生かして活動していくことが重要だと考えております。  例えば、自衛隊の場合は、行うにふさわしい活動として公共の秩序の維持や給水、交通インフラの工事、通信インフラの設置等の行政サービスに係る事項、あるいはNGOがやっていることで、人員的にも予算的にも大規模かつ集中的な対応が求められる活動があるかと思います。  ただ、最後の今申し上げた事例などに関しましては、自衛隊が単独でやるのではなくてNGOの支援に回るのが好ましいとも考えるわけですが、その上で、NGOにもいろいろ自衛隊がそういう活動をするに当たって懸念があるようですけれども自衛隊とNGOの活動を調整する公的な機関などを設けて、両者の関係にそごのないように取り組んでいくべきだと考えているところでございます。
  305. 室井邦彦

    室井邦彦君 先ほども政府に、防衛大臣に申し上げましたけれども、この人道復興支援活動を是非法案に追加をしていただければ、このような我々は思いを持っておりまして、是非その点はお考えをいただきたい、このように思う次第であります。  押し迫ってきましたので、続いて、これは政府維新提案者にお尋ねをしますが、恒久法である国際平和支援法を作ることで、国際平和共同対処事態においては特措法を作らなくても戦闘中の他国軍に後方支援ができるようにするわけですが、この後方支援活動に当たっては、弾薬の提供や又は戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油はできるのか、政府維新の提案者それぞれにこの点を更に確認をしておきたいと思います。
  306. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 国際平和支援法において、協力支援活動として行う物品提供等として、武器の提供、これは含めないということにしておりまして、その旨も法律上も明記をいたしております。これは、他国の部隊が必要とする武器は通常自ら携行するものと考えられたこと、また、ガイドライン見直しに係る日米間の協議の中でも米側からは武器についての支援のニーズはなかったことを踏まえまして、自衛隊提供する物品の対象として武器は含めないということにいたしました。  なお、発進準備中の戦闘機に対する給油等につきましては、現に戦闘行為が行われている現場でなければ実施ができるということにいたしております。
  307. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) 私どもは、この弾薬の提供戦闘作戦行動のための発進準備中の航空機に対する給油、整備というものは、いわゆる武力行使との一体化の懸念が生じるということですのでいたしませんし、それを定めた旧テロ特措法の規定を維持をするものと御理解をいただいて結構かと思います。
  308. 室井邦彦

    室井邦彦君 最後の質問をいたします。  維新案では、弾薬の提供戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備は実施しないとされているが、それでは南スーダンPKOにおいて韓国軍に弾薬を提供したと同様の実例に対応できなくなるのではないか、それでもよいのか、お聞かせをいただきたい。
  309. 柴田巧

    委員以外の議員(柴田巧君) それでは簡潔にお答えをさせていただきたいと思います。  先ほども申し上げましたが、この南スーダンのPKOにおいて韓国軍に弾薬を提供した事例というのは、PKO五原則が満たされている状況の下に行われたものでございまして、さらに国連の司令部からの要請に基づいて間接的に提供されたものでありますので、武力行使との一体化の懸念は全くありません。  したがって、今後も同じ条件下で弾薬を提供することは問題ないと考えているところであります。  終わります。
  310. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございました。
  311. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  さきの八月三十日の日曜日、戦争法案廃案、安倍政権退陣、国会十万人、全国百万人大行動が行われ、私も国会正門前で参加をいたしました。人々の怒りが世代を超えて重なり合い、文字どおり国会は包囲され、埋め尽くされました。  菅官房長官は大きな誤解が生じていることは極めて遺憾などと述べましたけれども、それが、それこそ大きな誤解であります。深い理解が広がり続けているからこそ巨大な人々が動き出している、このことこそ安倍政権は知るべきであります。  今日は、まず資料をお配りをしております。統合幕僚監部の内部文書、ガイドライン及び平和安全法制関連法案を受けた今後の方向性についてです。これは、陸海空自衛隊をつかねる統合幕僚監部が、法案の八月成立を前提にして、国会と国民には説明せず、海外派兵や日米共同作戦計画などについて具体的に検討していることを示す重大問題です。総理は問題があるとは全く考えていないと述べましたが、とんでもありません。  今日まず伺いたいのは、存立危機事態における自衛隊活動について、統幕のテレビ会議の後に使われたと見られる海上幕僚監部の内部文書、資料の四枚目になりますが、このうち、海上作戦例を示して聞いた私の八月四日の質問でも、先週二十五日の福山議員質問でも、存立危機武力攻撃を終結させる武力行使とは何か、その必要最小限とは何か、米軍行動関連措置法に言う後方支援の性質や委員長預かりとなっています安全確保問題など、政府答弁が全く定まらないということなんですね。  そこで、この資料の三枚目を御覧いただきたいと思います。主要検討事項として、御覧のように、ガイドラインに示された存立危機事態において協力して行う作戦は、武力攻撃事態に行う作戦として、防衛、警備等計画には記載されている内容であるということを踏まえた上で、検討の進捗に伴い、防衛、警備等計画への記述内容について具体化していく予定である、今後、存立危機事態において自衛隊実施する事項、武力の行使の範囲及び武器使用について政府検討を踏まえつつ、省内において検討を深化させる必要がありますと説明をされているわけですね。重要影響事態だとか武力攻撃事態の検討事項には、防衛、警備等計画及び共同計画への反映を見据えというふうに書かれておりますが、存立危機事態は書きぶりが違うわけです。  そこで、大臣に伺いたい。ここに言う武力の行使の範囲を検討するというのは、法案成立後に、大臣がこれまで述べてこられたように、省内において検討を深化させ、統幕が中心となって原案を策定して定めていくと、そういう意味ですか。
  312. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは、法案閣議決定をした翌日、私が防衛省の内幕の幹部に対して、これを分析をし、また研究をするようにと指示をしたことに基づくものでございます。  御指摘の記述は、統合幕僚監部におきまして、防衛、警備等の計画や共同計画に関しまして、法案成立後に検討していくべき課題を整理をすべく分析、研究を行ったものであると承知をいたしております。  この防衛、警備等に関する計画及び日米共同計画の内容、その詳細につきましては、緊急事態における我が国又は日米両国の対応に関わるものでありますので、事柄上、性質上お答えを差し控えさせていただきます。  その上で、御指摘につきまして一般論として申し上げれば、我が国の平和と安全に係る法制が成立をした場合に、当該法制の内容について、必要に応じ防衛、警備等に関する計画や日米共同計画に反映をするよう図るということは、私は当然のことだと考えております。
  313. 仁比聡平

    仁比聡平君 私が聞いているところにお答えになっていないんです。法制の内容についてという検討ではなくて、武力の行使の範囲を検討するということはどういう意味かという問いなんですね。  大臣今もおっしゃいましたけれども、検討事項というのは、法案成立後に原案を策定し結論を出す項目だと説明してこられたでしょう。八月二十七日の統幕長の記者会見でも当の統幕長自身が、検討するというのは結論を出すことで、検討課題を整理するのは検討ではないと述べているんですね。つまり、法案成立後に結論を出すというのが検討事項だとおっしゃってきた。となると、武力の行使の範囲は法案が成立した後で結論を出す、つまり、法案の上ではあるいは法理上は武力の行使の範囲は定まっていないということではないんですか。
  314. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 武力の行使というと、これまで三要件で考えられてまいりましたが、これからは新三要件ということで、この法律にもそれが明記をされているわけでございます。これはあくまでも法律によって定めるものでございます。  統幕におきましての記述等につきましては、これは法案成立後に研究、検討をしていくべき課題を整理すべく、分析、研究を行ったものであると承知をしております。
  315. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、大臣、答弁、それ矛盾しているでしょう。だって、主要検討事項というのは、大臣が今もおっしゃるように、法案成立後、結論を得ていく課題なんでしょう。その検討事項として武力の行使の範囲と書いてある。これが今おっしゃったような新三要件だとか今国会答弁されておられるような内容なんだったら、法案成立後、主要検討事項として掲げられるはずがないじゃないですか。  つまり、法理上あるいはこの法案では武力の行使の範囲が定まっていないから、法案の成立後検討しなきゃいけないんじゃないんですか。だから、武力攻撃事態などとは違って、政府検討を踏まえつつ、省内において検討を深化させる必要があると書いてあるんじゃないんですか。
  316. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 法律によりまして、従来は武力攻撃事態のみでございましたが、新たに存立危機事態、これが加わるわけでございます。それに伴いまして、今後防衛省といたしましても検討していくべき課題がございまして、そのために防衛又は警備計画、警備等の計画や共同計画、これについてはどのように対処するかということの分析、研究を行うものでございます。
  317. 仁比聡平

    仁比聡平君 防衛、警備等計画にどう記載するかのことを聞いていないでしょう。  結局、安倍政権が幾ら限定された集団的自衛権だと繰り返しても、法案上、法理上、武力の行使の範囲は無限定であって、何が自衛の措置に当たるかは念頭にないとか考えていないとか、政府判断次第ということは議論すればするほどはっきりするばかりなんですよ。これは、憲法九条をなきものにするということですよ。  この統幕文書が武力の行使の範囲を法案が成立した後に結論を出すべき検討事項としている、そのことの意味について大臣ははっきり答えてください。
  318. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この範囲とか内容は法律で決まっております。  中でやっていることは、結論を出すべき検討を行っておらず、どういうことが必要になるのか、あくまでも課題を整理をしている段階でありまして、課題の頭出し等のことをしていることでございます。  結論を出すべき検討につきましては、法律が成立をした後、行うべきでございまして、その点の、結論を出すべきような検討は全く行っていないということでございます。
  319. 仁比聡平

    仁比聡平君 今の大臣のその答弁というのは、武力の行使の範囲ということを主要検討事項として掲げているこの文書そのものに全く反しているじゃないですか。  委員長、お願いをしたいんですけれども、この統幕文書が武力の行使の範囲を検討課題としている、このことの意味について、改めて文書で委員会に提出をいただくように協議をいただきたいと思います。
  320. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) その件につきましては、後の理事会において諮ることといたします。
  321. 仁比聡平

    仁比聡平君 続けて、自衛隊法改定案九十五条の二による米艦防護について伺います。  資料の二枚目に、主要検討事項としてアセットの防護が掲げられています。  「平素における米軍等の防護対象及び武器使用権限の整理」、「武器使用に係る手続きの具体化(ROEの策定等)」と示された事項を、下にありますが、「自衛隊員が武器等防護のための武器使用が可能となる場面及び武器使用に係る細部事項について具体化し、関連規則並びにROE等の整備を行うことが必要と認識しています。」と説明されているんですね。これは何をどう検討することになるのかと。  アメリカ統合参謀本部の標準交戦規則、SROEは大臣御存じだと思います。これは、米軍部隊の固有の権利と義務として、敵対行動又は公然と示された敵対意図から防衛するためにあらゆる適切な行動を取ること、さらには敵対勢力を即時追撃し交戦する権利を定めているんですね。これは、米軍内でも、敵対意図に対しても強制力の行使を許容しているということは、SROEには先制的自衛概念が包含されていることを意味すると指摘されているものです。  日米一体に共同行動している場合に、相互にアセットを防護するというのが改定ガイドラインなんですから、この統幕文書の言う検討し整備するROEというのは、米軍のSROEと符合するものでなければ相互防護の任務は達せられないのではありませんか。
  322. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) まず、アセット防護のROEの整備を行うということでございますけれども、日米の両国のROEの共通化ではないかという御質問でございますが、これは新ガイドラインにも記載をされているとおり、日米両国の部隊がそれぞれ異なる国内法令に基づき行動する以上、自衛隊と米軍が緊密に協力をするからといって、それが直ちにROEの共通化につながるわけではありません。  他方、我が国への武力攻撃等に対して自衛隊と米軍が整合の取れた対処を行うことができるように、個々の連携要領等につきましては引き続き検討をする必要がございますが、御指摘の記述というのは、先ほども申し上げましたが、統合幕僚監部において、武器使用に係る手続等に対して法案成立後に検討していくべき課題を整理をすべく分析、研究を行ったものであると承知をいたしておりまして、この法律施行に際して必要となる事項の研究、また分析の一環として記述をされているものではないかと考えます。
  323. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、今の、直ちにROEの共通化にはつながるものではないなんておっしゃいますけど、いつかはつながるのかと。符合させなければ相互防護にならない。一方で、符合させるなら、自衛隊が米軍の先制的自衛にくみするのかという大問題になる。  ところが、法案成立後に検討すると言うけれども、どんなROEを整備するかは、法案には限定はないし、国会にも明らかにされないでしょう。しかも、法案には、米艦等防護の国会承認国会報告の定めもありません。結局、警護の要件らしきものといえば、法案九十五条の二の二項が言う外国軍隊等からの要請と防衛大臣が必要と認めるときに限りというだけです。  誰がどこにどのような要請をするのか、また、防衛大臣はどのような手続でその必要性を判断し、誰に対して下令するのか、お答えください。
  324. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは、日米両国の部隊がそれぞれ異なる国内法令等に基づき行動する以上、自衛隊と米軍が緊密に協力するからといって、それが直ちにROEの共通化につながるわけではないと。  我が国におきましては三要件がございます。その法律施行に際しまして必要となる事項の分析、研究の一環として、自衛隊の武器使用に関して細部事項について具体化をし、関連規則、またROEの策定等を行うことが必要ではないかとの統合幕僚監部としての当然に有し得る課題の認識、これを示したものでございまして、実際にどのような内容にするかということにつきましては、法案が成立した後、検討を始めるということでございます。
  325. 仁比聡平

    仁比聡平君 条文の二項の要件を聞いているのに、何で関係ないことばっかり答弁するんだ。質問時間、これで潰すなんてひどいですよ。
  326. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 米軍がですね、警護の要請を受けた後、防衛大臣が、当該の米軍等の部隊が自衛隊と連携して我が国防衛に資する活動を行う米軍等の部隊に該当し、かつ自衛官が警護を行うことが必要と判断した場合には、指揮系統を通じて、当該部隊の部隊、当該部隊の武器等を適切に警護し得る自衛官が警護を命じられるということになります。
  327. 仁比聡平

    仁比聡平君 はっきり答えられない。大臣、大臣が必要と判断するかどうかがほぼ唯一の要件なんですよ。その大臣がそんな答弁で、こんな法案、やれるかと。  昨日、レクを受けたときに、現場の皆さん、こうおっしゃいましたよ。要請は外国軍の司令部から統幕に対してなされる。防衛大臣の必要性判断手続の詳細を述べることは差し控えるが、防衛大臣の権限として判断し、警護に関する命令を指揮系統に従って部隊司令官に下令する。そのとおりですか。
  328. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは、防衛大臣が、自衛隊と連携して我が国防衛に資する活動を行う米軍の部隊等に該当して、自衛官が警護を行うことが必要かどうか、これを判断をするわけでございますが、いかなる状況において必要であるのか、これはそれぞれの協議やまたニーズ、状況において判断するわけでございまして、これは防衛大臣が命ずるわけでございますが、事と次第によりましては、NSC又は内閣総理大臣などと、官邸と相談をした上で判断をすることになるということでございます。
  329. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、そんなことがどこに書いてあるんですか。国家安全保障局だとか言うけれども、法制上はあくまで防衛大臣の権限でしょう。一体何を根拠にそんなことをおっしゃっているんですか。
  330. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) あくまでも防衛大臣の権限でございますが、事と内容次第におきましては、官邸やまたNSC、これに相談をして実施をすると。これは、今でも重要な事項につきましては総理の指示を受けながらやっておりますし、また、官邸に対してもいろんな情報を提供して、官邸の判断をいただきながら対応をしているということでございます。
  331. 仁比聡平

    仁比聡平君 聞いていることに答えないじゃないですか。その根拠は何ですかと。法制上は防衛大臣の権限となっているじゃないですか。
  332. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 九十五条の二の警護というのは、やはり主として情報収集とか警戒監視、また共同訓練、これは平素から自衛隊防衛大臣の指揮監督の下に行う活動を米軍等の部隊と連携を行うに際して認められるものであること、また、武器の使用におきましても自衛隊の九十五条と同様に受動的なものでございまして、その性格から防衛大臣が決定をしているということで、常に内閣としての判断を要するものではないわけでございますが、警護を行うか否かについてより慎重な判断確保する観点から、警護の要請があった場合における手続の枠組み、また、重要影響事態等による運用等につきましては、NSC内閣安全保障会議における審議も含めて、内閣の関与を確保した形で進めていく考えでございます。
  333. 仁比聡平

    仁比聡平君 私の質問時間を消費するばかりのひどい答弁ですよ。私は、その条文上の根拠がどこにあるというのかと問うているのに、それにお答えにならない。  あなたが安倍総理に相談をされるというのはそういうことがあるのかもしれませんけれども、法制上の権限ということについて答えられないわけでしょう。私は、この点についても、条文上の根拠について、時間がありませんので、整理をして委員会に報告をいただきたいと思いますが、委員長、よろしくお願いいたします。
  334. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会で諮ります。
  335. 仁比聡平

    仁比聡平君 元々、九十五条自体が合憲性が繰り返し大問題になってきたわけです。もう今日は時間がありませんから伺えませんが、資料の六枚目に、これまでの統一見解などが示されてきました。けれども、宮崎元内閣法制局長官は衆議院の参考人として、米国の武器などが我が国防衛力を構成する重要な物的手段だとの評価に重大な疑問がある、また、事前の回避義務、事後追撃禁止の条件を米軍自体に約束させるという前提でなければ、自衛隊、自衛官による防護は容易に違憲の武力行使に至るおそれがあると厳しく指摘しているわけですね。  さきに確認したようなSROEを行動原理とする米軍に自衛隊同様の条件を約束させられますか。
  336. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この九十五条の二の武器使用というのは、自衛隊と連携をして我が国防衛に資する活動に現に従事している米軍等の武器の、部隊の武器等を武力攻撃に至らない侵害から防護するための極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為でございまして、条文上も現に戦闘行為が行われている現場で警護を行わない旨明記をいたしておりますし、武力の行使と一体化しないということを担保するとともに、国又は国に準ずる組織による戦闘行為に対処して武器を使用することがないようにいたしておりまして、したがいまして、本条によって自衛隊が武力の行使に及んだり、本条による武器の使用を契機に戦闘行為に発展するものでもございません。  運用上も、防衛大臣は警護の要請を受け、その都度、米軍等の部隊の活動の内容、目的、当該活動が行われる状況等を踏まえて警護の必要性について判断することとなっており、現に戦闘行為が行われている現場において自衛官が警護を行うことがないように慎重に運用をするために判断をしてまいりたいと思っております。
  337. 仁比聡平

    仁比聡平君 全然答えになっていないです。  この場面というのは、エスカレートし、武力の行使に至る危険性があるじゃないか、はらんでいるじゃないかと、そのときに存立危機事態だとか武力攻撃事態だとか、法的根拠だけ切り替えて、結局、平時から軍事まで日米一体で、戦う自衛隊、肩を並べて戦う自衛隊、そんなふうになっていく、明白な憲法九条違反。  角度を変えて伺います。  河野統合幕僚長は、昨年の十二月十七日、十八日に訪米をされました。米統合参謀本部議長や陸海空、海兵隊の幹部あるいは国防省幹部と会談をし、日米同盟の深化などについて意見交換をされたと思いますが、これ、どなたたちと会われたんでしょうか。
  338. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 河野統幕長は、昨年十月に就任をいたしました。昨年十二月に訪米をいたしまして、米国防省及び米軍幹部と会談、この情勢等について対談をいたしました。  会った人については、ワーク国防副長官、デンプシー統合参謀本部議長、オディエルノ陸軍参謀総長、グリナート海軍作戦部長、スペンサー空軍副参謀長、ダンフォード海兵隊司令官、スウィフト海軍作戦部統幕部長と会談を実施をいたしておりますが、このときにつきましては、ガイドラインの見直しの作業とかそのときの進捗状況など、様々なテーマについて意見交換を行いましたが、新ガイドラインや平和安全法制の内容を先取りするような会談を行ったという事実はなく、資料で公表する内容を限定したという御指摘は当たらないものでございます。
  339. 仁比聡平

    仁比聡平君 今大臣がおっしゃった今後の進め方という日程表で、統幕文書で八月法案成立とされていることが、聞かれもしないのに大臣がおっしゃるほど国会無視だと大問題になってきたわけです。  私の手元に、独自に入手をいたしましたこの統幕長訪米時の会談の結果概要を報告する防衛計画部の文書がございます。  河野統幕長は、十二月十七日、オディエルノ米陸軍参謀総長との会談でこう言っています。オディエルノ参謀長から、現在、ガイドラインや安保法制について取り組んでいると思うが予定どおりに進んでいるか、何か問題はあるかと聞かれて、統幕長は、与党の勝利により来年夏までには終了するものと考えていると述べているんですね。  これは何ですか。政府はあれこれ弁明してきたけれども、大臣が分析、研究などを指示したという閣議決定の翌日から遡って、実に昨年十二月、夏までにと述べているではありませんか。大臣はどんな報告を受けているんですか。
  340. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) その御指摘の資料につきましては、私、確認をできておりませんので、この時点での言及は控えさせていただきます。
  341. 仁比聡平

    仁比聡平君 そんな報告も受けずに、先ほど聞かれもしないのに、先取りしてやっているようなことはないなんて、そんな答弁したんですか。それ、虚偽でしょう。  十二月の……(発言する者あり)
  342. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 仁比君、質問を続けてください。
  343. 仁比聡平

    仁比聡平君 十二月の総選挙の投票日の僅か二、三日後の訪米です。法案の具体的検討も、あるいは与党協議もなされていないはずのそんな時点に、来年夏までにと決まっていたんですか、それとも統幕長は勝手にそんな認識を米軍に示したんですか。どっちですか、大臣。
  344. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今御質問いただきましたけれども、御質問をいただいている資料がいかなるものかは承知をしておりません。その点も含めまして、コメントすることはできないということでございます。
  345. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣、確認しますけれども、この統幕長訪米時のおけるって間違っていますけれども、統幕長訪米時のおける会談の結果概要についてという件名の提出年月日二十六年十二月二十四日付けの報告書、これ、存在するでしょう。
  346. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 突然の御質問でございまして、御指示、御提示いただいている資料がいかなるものか承知しておりません。防衛省で作成したものか否かも含めましてコメントをすることはできないということでございます。
  347. 仁比聡平

    仁比聡平君 この内容について私は数々の疑問がある。けれども、そんな御答弁では質問できないじゃないですか。  委員長、これ、事実を確認させていただいて、この文書の存在について確認をしてもらいたいと思います。
  348. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 今の、私への何ですか。何を確認するんですか。
  349. 仁比聡平

    仁比聡平君 改めて申し上げます。  この私が今申し上げている統幕長の訪米に関する報告書、これの存在確認をしていただきたい、今確認をしていただきたい。
  350. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 大臣の答弁では、確認できていないという答弁でしょう。そうでしょう。(発言する者あり)  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  351. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こして。
  352. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 御指摘の内容等につきましては、委員会の事前の資料にも入っておりませんし、物についても確認できませんので、今すぐにお答えすることは困難でございます。
  353. 仁比聡平

    仁比聡平君 私の手元にこのように存在をしております。この存在をいつまでになら確認できますか。
  354. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) ただいま御質問をいただいたばかりでありまして、その資料も私、まだ拝見しておりません。またそれを拝見させていただいた上で判断してまいりたいと思います。
  355. 仁比聡平

    仁比聡平君 委員長、この文書の存在と先ほど申し上げた統幕長の発言の内容の事実の確認について、防衛省から理事会に報告をいただけるように御協議願いたいと思います。
  356. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この件に関しましても、後の理事会において協議をいたします。
  357. 仁比聡平

    仁比聡平君 この中身について、時間がなくなってきましたので、重大な一つの問題について伺っておきたいと思います。  政府が沖縄の在日米軍基地の自衛隊との恒常的な共同使用を検討しているのではないかという大問題は、沖縄県民には一切知らされず、国会で度々取り上げられてきた問題です。  三月三日の衆議院予算委員会で我が党の穀田議員が、防衛省の二つの内部文書に基づいて、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブを含めて具体的に検討しているのではないかと質問したのに対し、大臣は、「いずれにせよ、代替施設における恒常的な共同使用というのは考えておりません。」、総理は、「もちろん報告も受けておりませんし、全く考えておりません。」と答弁しているんですね。  ところが、河野統幕長はどうか。辺野古への移転やキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブでの共同使用が実現すれば、米海兵隊と陸上自衛隊との協力が一層深化すると認識している、これにより沖縄の住民感情も好転するのではないか、こう一連の会談の中で述べているわけです。  自衛隊と米軍のトップ同士では総理や大臣の国会答弁とは関係なく進めているということなのか、それとも、内局や大臣もこうした統幕長の考えを知った上で三月の国会答弁をしたというのか。これ、明らかにすべきですよ。大臣、一体どっちなんですか。
  358. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 三月での答弁等につきましては、私が答弁したとおり、共同使用ということについては政府としては考えていないということでございます。  なお、日米間におきましては、恒常的にいろんな問題等については率直な意見交換は実施をいたしておりますので、また、その内容等につきましてどのようなものであるかどうか、また確認した上で答弁させていただきます。
  359. 仁比聡平

    仁比聡平君 時間が来ましたから、委員長に、一つは、先ほど来、私が示しております文書の委員会への提出について理事会の協議をいただきたいということと、それから、御許可いただければ、今ここにありますので、大臣に手渡したいと思いますが、よろしいでしょうか。
  360. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) よろしいです。(仁比聡平君資料手交)
  361. 仁比聡平

    仁比聡平君 戦争法案は断固廃案ということを述べて、私の質問を終わります。
  362. 田中茂

    田中茂君 日本を元気にする会・無所属会の田中茂です。  今日は、安保法制を通してシームレスに世界規模で米軍や友好国軍をサポートできるようになり、日米同盟と日本の国際的立場は強化される、その結果として日本の抑止力が高まると、そう期待しておる次第であります。  そこで、日本の独自の自衛隊活動、これを、リージョナル、東シナ海、サブリージョナル、南シナ海、グローバル、IS、中近東方面なんですが、分けた場合、このリージョナルである東シナ海こそ我が国においては死活的国益に関わる地域であると、そう思っております。具体的には、朝鮮半島有事、中国に対する尖閣諸島を含む南西諸島防衛の問題、さらには天然ガス田の海洋プラットホーム建設問題、そして台湾有事等々、大きな喫緊の事例があるわけでありますが、今日はリージョナルに絞って、また安保条約について若干質問をさせていただきます。  朝鮮半島有事、これは休戦中の朝鮮戦争再開か、又は北朝鮮崩壊に関して、米国は、米軍は、作戦計画、OPLAN五〇二七、OPLAN五〇二九、OPLAN五〇三〇などを作成していると聞いておりますが、その際には、当然ながら北朝鮮による機雷の敷設が考えられます。  そこで、北朝鮮が公海上に機雷封鎖をした後、米国から日本に対して機雷除去の依頼があった場合どう対処するのか、お聞かせいただきたいと思います。
  363. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) まず、現行法でありますが、どのような場合に機雷除去を実施するかについては、個別具体的な状況により判断をするということでありまして、一概に申し上げることは困難でありますが、その上で一般論として申し上げれば、お尋ねの公海上の機雷、これが外国による武力攻撃の一環として敷設をされているものではないと認められる場合には、海上自衛隊自衛隊法第八十四条二の規定に基づき、我が国の船舶の安全確保のために当該機雷を除去することが可能でございます。  一方で、外国により武力攻撃の一環として敷設された機雷を除去する行為は、敷設国に対する武力の行使、これに当たります。そのため、当該機雷が我が国に対する武力攻撃の一環として敷設されていると認められる場合には、自衛隊法第七十六条に基づく防衛出動の発令を受けて当該機雷を除去することになります。  他方、外国により他国に対する武力攻撃の一環として敷設をされ、かつ我が国に対する武力攻撃の一環とは認められない機雷を除去することは、現行の法律の下ではできません。
  364. 田中茂

    田中茂君 この機雷敷設、ホルムズ海峡で機雷が敷設された場合にはどうするかということで、その場合には存立危機事態ということで集団的自衛権も行使されるかもしれないと。これは、先ほども言いましたように、この周辺事態というのが我が国にとっては一番の重要な地域であります。その中での公海上で何らかの形で敷設、そういう存立危機事態という、こういうことはホルムズ海峡以上に関係がしてくると、私はそう思っておりますので、その辺、十分に考えて対応をしていただきたいと、そう思っております。  次に、一九九四年に米国が法的根拠もなく北朝鮮を攻撃しようとしたケースがありますが、それではなく、北朝鮮が韓国に侵攻した場合は重要影響事態認定するのか。また、現状ではなかなか難しいかもしれませんが、韓国から日本に対して集団的自衛権の要請、同意があった場合、日本は新三要件と合致すれば存立危機事態として集団的自衛権を韓国にも適用するのか。お聞かせいただければと思います。
  365. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今回、平和安全法制、これは特定の国又は地域を念頭に置いたものではなくて、また、ある事態が重要影響事態又は存立危機事態に当たるかどうかにつきましては、実際に発生した事態の個別具体的な状況によるために、御質問のような限られた案件だけで判断することはできませんが、あくまでも一般論として申し上げますと、仮にその事態の規模、態様、推移等を総合的に勘案をいたしまして、個別具体的な状況に即して我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に該当すると判断される場合には、重要影響事態法に基づいて自衛隊は米軍等に対する後方支援を行うことが可能であります。  また、我が国と密接な関係にある他国は、あらかじめ特定されるものではなくて、武力攻撃発生した段階において個別具体的な状況に即して判断されるものでありまして、その上で新三要件を満たすこととなれば、我が国として限定的な集団的自衛権を行使することが可能となります。  なお、特定の国名に対する御質問でございますが、これにつきましては、あえて特定の国の国名を挙げて判断をするという答弁につきましては差し控えさせていただきたいと思います。
  366. 田中茂

    田中茂君 朝鮮半島有事というのは極めて可能性が高い。実際問題、休戦状態であるわけです。そういう中で、仮に何らかの形でそういう紛争があった場合にどう対応するかというのは極めて重要なポイントでありまして、そこで韓国の同意がなければ実際問題その韓国の領土に行けないということになると、これは極めて重要な問題になるんではないかと、そう思っておるわけです。例えば、米国の基地、実際問題、韓国内における米国基地が何らかの攻撃をされて、そして日本にその要請をした場合、でも、韓国には入れない、韓国の同意がなければ入れないということになると、これは大変な問題になるわけです。  そういう意味では、韓国領土内での軍事的行動及び邦人救出行動について、韓国からの要請、あとは合意というのが極めて重要になると、そう思っておりますので、今後とも、韓国との関係はどういうふうに持っていくのか、これは極めてセンシティブな問題だとは思うんですが、是非ともその辺は詰めていただくようにしておいていただきたいと、そう思っております。  次に、平時において尖閣諸島近海の、近辺の公海上を含めて日本海で、日中間に、つまり中国海軍と日本の海上自衛隊との間に紛争が勃発した場合には米軍の集団的自衛権行使はあるのか、お聞かせいただけませんでしょうか。
  367. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 済みません、今、幾つか条件をおっしゃいました。  いま一度ちょっと確認しなければなりませんが、この集団的自衛権の行使、我が国の場合は限定された集団的自衛権ではありますが、これは、あくまでも新三要件に該当した場合、個別具体的に状況をしっかり把握した上でこの新三要件に該当するかどうか、これのみによって判断することになると考えます。
  368. 田中茂

    田中茂君 私が質問したのは、尖閣諸島近辺の公海上で、それを含めて日本海海域で、例えば日中間に、つまり中国海軍と日本の海上自衛隊が何らかの形で紛争が勃発した場合には米軍の集団的自衛権行使は、私は、当然もうその場合には紛争になるわけだからあるとは思うんですが、新三要件を含めて、それは必要なんでしょうか。その辺をお聞かせいただけませんでしょうか。
  369. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 公海上において御指摘のような事態発生した、その際に集団的自衛権の行使等が考えられるかという御質問でありました。  まず、御質問の前提が公海でありますので、日米が共同して対処する日米安全保障条約につきましては日本の施政下にある地域に限定されますので、公海ということになりますと、それには該当しないということになります。  公海において事態にどう対処するか。これは、まさに我が国としまして、憲法との関係において新三要件に該当するかどうか、それをしっかり判断した上で、集団的自衛権を行使する場合に当たる、当たり得るかどうか、しっかり判断することになると考えます。
  370. 田中茂

    田中茂君 今大臣が施政下ということで言われましたので、その点についてちょっとお聞きしますが、尖閣諸島なんですが、オバマ大統領を始め米政府、米議会は、尖閣諸島に対しては、日本の施政下にある限り日米安全保障条約第五条が適用されると、これも述べておりますが、非常に頼もしくも聞こえるんですが、一方、主権をめぐる対立では特定の立場を取らないと、領有権ではあくまで中立の立場を取っています。  そこで、日米安保条約第五条では、日本国の施政下にある武力攻撃があり、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危機に対処するとあるわけであります。したがって、一旦、尖閣諸島が中国の民兵や漁民などの実質的な支配下に置かれた場合、米国は介入しないということを意味するのでしょうか。その辺をお聞かせいただけませんでしょうか。
  371. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、御質問は、日米安全保障条約五条は日本の施政下にある領域に適用されるという点につきまして、まず、尖閣諸島そのものは歴史上も国際法上も我が国固有の領土であり、現に我が国が有効に支配をしている、よって我が国の施政下にありますので、この日米安全保障条約五条、これは尖閣諸島にも適用されます。  そして、質問趣旨は、要するに施政下から外れた場合に日米で共同で対処するのかどうか、これが質問のポイントであると承知いたしますが、我が国は、我が国の領海、領空、領土、これはもう断固として守り抜く、これは当然のことであります。よって、御質問のように、我が国の施政下の領域が他国に占領され、それを甘受するかのごとき前提について、こうした公の場で私がお答えするのは適切ではないと思います。  そういった状況が起こらないように、発生しないように我が国として平素からしっかりとした対応をしなければならないということでありますし、またアメリカとの関係においても、これは一般論として、そして特定の国や個別具体的なシナリオを念頭に置いているわけではありませんが、日米両国はこれまでも島嶼防衛に関する訓練を実施しているわけでありますし、また平素から、武力攻撃に至らない侵害への対処も含めて日米間でしっかり連携をしているということであります。これは全て、こうした御質問のように、我が国の領土が施政下から外れるようなことを起こしてはならない、こういったことで取り組んでいることであります。  このように、断固として我が国の領海及び領空、領土は守り抜く。他国に占領され、施政下にある領域が他国に占領されることを甘受するがごとき前提については、お答えするのは控えたいと存じます。
  372. 田中茂

    田中茂君 施政下を外れるのを甘受するわけではなくて、そうなった場合のことを聞いているのでありまして、当然ながら、我々、自主防衛としてそこを守るという気概は必要だと思います。この自主防衛の気概がなくして次の安保法制というのはできないわけでありまして、ただ、予防としてそういうのは考えておくのは必要だと思っておりますので、今ここでまた質問すると長くなるのでまた次の質問にさせていただきますが、日米安全保障条約について質問させていただきます。  日米安全保障条約第六条には、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」、いわゆる極東条項であります。昭和三十五年、ベトナム戦争が始まる年ですね、多分ベトナム戦争が念頭にあったんでしょう。極東の範囲として政府は、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域、台湾地域もこれに含まれていると統一見解を出しております。  そこで、確認ですが、このフィリピン以北は南シナ海を含むということでよろしいのでしょうか。また、このフィリピン以北とは、フィリピン全体を含む以北ということなんでしょうか。お答えいただけませんでしょうか。
  373. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のように、極東の範囲につきましては、昭和三十五年の政府統一見解において示されているとおり、大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域である、このようにしています。  そして、御質問は、まず南シナ海が入るのか、それからフィリピンが入るのか、二つだったと思います。  まず、これはフィリピン以北とありますので、これはフィリピンは含まれるというのが従来の我が国政府の考え方であります。そして、それ以上は、従来から特定の地名を挙げてこれに当てはめを行うということは行っておりません。よって、こうした場で南シナ海が入るか入らないか、こういったことを申し上げることは控えるべきであると考えます。その部分については、お答えするのは困難であると考えます。
  374. 田中茂

    田中茂君 今、大臣、それじゃ、これはフィリピン全体を含んだ以北ですね、そういう解釈でよろしいんですね。
  375. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) フィリピン自体は全体が含まれると認識をしております。
  376. 田中茂

    田中茂君 昔、ベトナム、七〇年安保当時の解釈だと思うんですけど、台湾とフィリピンのバシー海峡、それ以北という解釈があったと思うんですけど、そうじゃなくてフィリピン全体を含んだ以北ですね、それでよろしいんですね。
  377. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) そのとおりでございます。
  378. 田中茂

    田中茂君 次に質問させていただきますが、一九九五年、時の村山首相が安保条約はアジア太平洋の平和と繁栄のコーナーストーンであると述べ、その後、さらに、橋本・クリントン日米安保の再定義、日米安保共同宣言でアジア太平洋という概念が入ってきたわけであります。すなわち、アリューシャン列島から湾岸地域に至る平和と繁栄、紛争防止の抑止力、その地域のバランス維持としての米軍の軍事力が機能していることを意味すると考えております。米韓相互防衛条約、米国、フィリピンの相互防衛条約、共に太平洋地域をその適用範囲ともしております。  そこで質問なんですが、今回の重要影響事態法は、極東以外にも米軍とともに活動する自衛隊の範囲が増えるわけであります。そこで、日米安保条約の第六条の改定が必要となるのではないかと思うんですが、その点の見解を、もう時間が来ましたので、手短にお願いいたします。
  379. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、重要影響事態安全確保法、これは日米安保条約が中核となりますが、それに限られるものではないとしています。しかしながら、日米安全保障条約そのものについては全く改定する必要はないと考えております。
  380. 田中茂

    田中茂君 時間が来ましたので、質問は終わりにします。  ありがとうございました。
  381. 和田政宗

    ○和田政宗君 次世代の党の和田政宗です。  我が党と新党改革、日本を元気にする会は、今回の安保関連法案の修正案を近々提出する予定でありまして、与党と修正協議を続けております。  我が党などの修正案は、例外なき国会事前承認を盛り込んでおります。原則としてではなく例外なくとしたのは、世論調査などを見ても、国民の皆様に今回の安保法案の内容の理解がまだ十分に浸透していないのではないか、不安に思っている方がいるのではないか、こうした懸念を払拭し、我が国防衛にとって必要な安保法案を成立させるためにも国会の関与を強めることが必要だと判断したわけです。  自民、公明の与党には真摯に修正協議に対応していただいております。参議院の英知を結集して国会の関与を強める修正を行うことが、国民が安心し、納得して安保法制が成立することにつながっていくと思いますので、引き続き協議の場などにおきまして修正を求めていきたいというふうに思います。  さて、このように国民の皆様の安保法制への内容の理解が進まない理由としまして、政府説明や広報のやり方が不十分であるという点もあると思います。私は、今回の安保法案など難しい課題については、政府はもっと戦略的に広報や説明を行うべきであると考えております。  そう考えた場合、メディアの記者会見に対応する官房長官は、一日に二回記者会見を開くわけですけれども内閣の様々な課題を調整するという重責もあり、これは忙し過ぎであるというふうに言えると思います。まさに今記者会見を終えられてこの委員会室に戻ってこられたわけですけれども、私は、報道官、これは政務がよろしいというふうに思いますけれども、報道官を設けて官房長官との役割分担を行い、分かりやすい広報や説明に努めるべきと考えますが、いかがでございましょうか。
  382. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 私の負担に配慮いただきまして、感謝申し上げます。  いずれにしろ、官房長官という役職でありますけれども、日々二回の記者会見、さらに、総理を補佐して内閣全体の総合調整に当たると同時に危機管理の責任者でもあります。特に昨今は省庁横断的な案件が極めて大きくなっておりますので、そういう意味で政策調整に当たる割合が非常に多くなっていることも事実であります。また、官房長官が二回の会見を行っている、それと同時に、海外の例を見てみましたけれども、海外はそうした国は見当たらないということも事実であります。そしてまた、政務報道官という御意見も頂戴をいたしました。  いずれにしろ、改めて政府の情報発信の在り方については是非検討していきたいというふうに思います。
  383. 和田政宗

    ○和田政宗君 私は、やはり分かりやすい、これは法案の賛否は別としてでも、やはり内閣並びに政府が分かりやすい説明をしていただくということが国民の理解につながっていくというふうに思いますので、引き続き是非検討していただければというふうに思います。  そして、ほかの国々の政府の広報戦略を考えた場合に、何か重要な案件に取り組むときには、半年前、一年前から綿密に戦略が練られ、広報されているというふうに私は思っております。政府のみならず、例えばイギリス陸軍においてはフェイスブック部隊を創設すると発表されるなど、各国はメディア対応のみならずインターネットでの発信や分析も積極的に行っております。  私は、内閣の広報室を含め、各省庁の広報機能を高めて戦略的に広報や説明、周知ができるような仕組みにすべきであると考えますが、政府はどのように考えるでしょうか。
  384. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 委員御指摘のとおり、政府全体で戦略的に広報活動を行っていくというのは、まさにこの国際化の大きな流れの中で我が国の目指すべきものを理解をしていただく上で極めて重要だという認識を持っております。  現在、内閣広報室でありますけれども、官邸主導の下に政府一体となって戦略的に取り組んでおりますけれども関係各府省庁からですね、会議を開催をし、総合調整を行ってはおります。しかし、国際的に比較をしますと、我が国のこうした広報が比較をして弱い、発信力がなさ過ぎる、こういう批判も海外で生活をしている方からいただいていることも事実でありますので、SNSの活用等も今行っていますけれども、さらに、実態をしっかりと把握をして戦略的に政府一丸となって広報ができるような、そうした体制も含めて取り組んでいきたいと思います。
  385. 和田政宗

    ○和田政宗君 次に、もう一つ、情報の関連ですけれども、今度は発信ではなく収集ということでお聞きをしたいというふうに思っております。  この法案が成立しますと、一層海外での情報収集というものが重要になってくるというふうに考えておりますが、在外公館における防衛駐在官についてお聞きをしたいと思います。  現状では、防衛駐在官は多くが自衛隊の運用部隊の出身であると認識をしております。私は、より高いレベルの情報収集を行う上でも、情報部員から選ぶべきではないかというふうに考えております。また、情報部員を評価し、より良いキャリアパスを与えまして昇進においても評価すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  386. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この法案が成立しましたら、従来以上に情報の総合的な収集、分析、これは必要でございます。  現在、防衛省におきましては、防衛駐在官派遣予定者が情報業務についての理解を深め、また情報収集技能を習得、向上できるように、派遣前の研修の充実、これを図っております。  現在派遣している五十九名の防衛駐在官のうち情報職種の者は十名でありますが、今後、派遣国における業務の特性も踏まえまして、情報職種のより積極的な活用に努めてまいりたいというふうに思っております。また、こういった者の処遇、待遇等につきましても、防衛省としては重視をして検討してまいりたいと思っております。
  387. 和田政宗

    ○和田政宗君 より高い情報収集能力というものが、やはり我が国防衛力、抑止力と言った方がいいと思うんですが、抑止力を高めていくというふうに思いますので、これも是非積極的に検討していただければというふうに思います。  次に、本委員会でも、原発がミサイルによって攻撃されたらどうするのかということが取り上げられておりますけれども、そもそも迎撃に使われるPAC3の数が足りないのではないかというふうに私は思っております。現在のPAC3の保有数については具体的に言及するのは控えたいというふうに思いますけれども、様々な専門家の分析では国内のおよそ十八か所ぐらいにしか展開できないのではないかと見られております。  これで国内の主要施設を守れるのかどうか、防衛大臣、どうでしょうか。
  388. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現在の我が国のミサイル防衛につきましては、まず海上自衛隊のSM3搭載のイージス艦四隻による上層迎撃、そして航空自衛隊のPAC3ミサイルによる下層での迎撃を組み合わせた多層防衛により実施をすることといたしております。  このうち、PAC3は、東北、関東、中京、阪神、北九州、沖縄等に現在十七個の高射隊分、これが配備をされておりまして、状況に応じて適切な地域に機動的に移動、展開をして、政治、経済の機能が集中している地域などの拠点防衛に使用することとしておりまして、PAC3とSM3搭載イージス艦、これを組み合わせて活用することによって我が国全域を防護するということが可能でございます。現在、防衛大綱に基づいて、即応態勢、同時対処能力、継続的に対応できる能力を強化するために様々な対応を行っております。  PAC3をもっと増やすべきではないかということにつきましては、現在、SM3と組み合わせてこの弾道ミサイル対処の体制を構築しているところでございますが、PAC3のみで全国を防護する体制を構築するということは非常に膨大な費用が掛かるということで、非常にこれは厳しい選択肢であるというふうに認識しております。
  389. 和田政宗

    ○和田政宗君 ありがとうございます。  とはいいながら、やはりいざ飛んできたものを、これは命中精度の問題というのもあるとは思うんですけれども、そういった装備を保有しているということが国民の安心にもつながっていくというふうに思っております。これは、情報収集ということを先ほど申し上げましたけれども、そういったことも含めて、やはり抑止力を高めていき、今回の安全保障法制も含めて、相手国が戦争を仕掛けようと思わないと、我が国はしっかりと自らの手、さらには国際連携によって我が国を守れるということが、戦わずして勝つといいますか、国民の命を守るために重要であろうというふうに思っております。  そこで、防衛力を高めていくという観点からの中期防衛力整備計画についてお聞きしたいというふうに思うんですが、この中期防衛力整備計画、そもそもこれまで当初の予定どおりしっかり達成してきたと言えるのでしょうか。例えば、途中で見直しが行われる際にも、当初予定額より減額をされたり、装甲車の数が減ったり、艦船の数が減ったりと、必要な防衛装備を当初予定どおりに整備できていないことがあるのではないかと考えられますが、防衛大臣、いかがでしょうか。
  390. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今の防衛大綱におきましては統合機動防衛力の整備という観点で整備をいたしておりまして、中期防におきましては、こういった方針や役割を踏まえつつ、それぞれの自衛隊の体制、主要装備品の整備水準を着実かつ計画的に達成するために、五年間の経費の総額と主要装備の整備目標、これを定めております。  この中期防の本文において、確かに情勢において必要に応じて見直しを行うという旨を定めておりますが、これまでの中期防の見直しの時期、内容につきましては様々でありまして、防衛大綱の見直しに伴い五年間の計画期間中に廃止をされた場合もあることから、個別の装備の整備目標の達成状況については一概に申し上げることは困難でございます。  したがいまして、これまでの中期防についてはこの時点における内外の諸情勢を勘案した上で必要に応じて見直しをされているということでありますので、今後、こういった事情も踏まえた上で、防衛力の役割をしっかり果たせるように所要の防衛力を整備してきていると考えております。
  391. 和田政宗

    ○和田政宗君 これは、現場はそれこそ佐藤正久先生もよく御存じだというふうに認識をしておりますけれども現場ですとか防衛省としては、当初これだけのものが、中期防、五年間が終われば整備をされ、更に次でこれだけ整備されというような形で積み上がっていくというふうに私は思っているんですけれども、それがやはり途中での見直しも含めて当初目標から達成されないというような形になっていきますと、所要な防衛力整備が実は行われていないまま、また次に繰り越して、結局また次にというようなことになっていくというふうに思いますので、私は、やはりしっかりと防衛力を高めるための中期防というものを達成してほしいというふうに思うんですが。  そこでお聞きしますけれども、今期の中期防衛力整備計画の達成の見通しというのは、防衛大臣、どのように考えているでしょうか。
  392. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 中期防については、大綱の最初の五年間を対象として、防衛大綱で示された自衛隊の役割に十分対応すべく、計画中の整備目標等を示されているわけでございまして、現在、計画に従いまして防衛力の整備を行っている最中でございます。  大綱に示されている防衛におきましての統合機動防衛力の整備、これを具現化をするというようなことで、装備品の取得等も含めまして、現在、中期防の着実な実施に努めているところでございまして、現状におきましてはこの計画に従って引き続き着実な防衛力の整備に努めてまいりたいということでございます。
  393. 和田政宗

    ○和田政宗君 これはもう必要なものでありますので、やはりしっかりと達成をしていただければというふうに思います。  国際平和支援法による武器使用権限についてお聞きをしたいというふうに思います。  これは自己保存型のみ可能であるということですけれども、武装集団やテロ集団が明らかに自衛隊攻撃しようと迫ってきているときに、これはいつから反撃できるんでしょうか。正当防衛や緊急避難のみ可能と考えた場合に、相手から撃ち込まれないと反撃できないのではないかとも考えられます。これでは自衛隊員の命を守れない危険性がありますけれども政府の見解はどうでしょうか。
  394. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現在の国際平和支援法上の武器使用、これは、不測の事態に対して自己や自己と共に現場に所在する自衛隊員などの生命、身体防護のためやむを得ない必要がある場合には自衛官は武器を使用することが可能であると。また、武器使用においては、相手に危害を与えることが許容されるのは正当防衛及び緊急避難に該当する場合に限られます。  ただし、相手が実際に攻撃を加えた場合のみならず、例えばこちらに向けて照準を合わせて射撃をしようとしている場合のように、侵害が間近に迫っている場合も正当防衛要件である急迫不正の侵害が認められる場合に含まれるわけでありまして、この正当防衛、緊急避難に該当しない場合であっても、自己等の防護のためにやむを得ない必要がある場合には、警告射撃等、相手に危害を与えない形で武器使用をすることは可能でありまして、このような形で、武器の使用権限によって、派遣された自衛隊員の安全を確保しつつ活動を適切に実施することができると考えているわけでございます。  いずれにしましても、自衛隊の部隊等の派遣に際しましては、武器使用を含めた隊員の個々の行動基準について教育を行い、隊員がいかなる状況においても落ち着いて適切、安全に行動できるように準備することによって、法令に基づいて適切な武器使用が行われるように徹底してまいりたいと考えております。
  395. 和田政宗

    ○和田政宗君 ちょっと一つ確認したいんですが、そうすると、相手は恐らく攻撃してくるだろうと、攻撃意思があるだろうと推測されるときに、まだ銃は構えていないと。そのときに警告射撃をすれば相手は攻撃されたと思って撃ってくるというわけですけれども、これすなわち相手の弾が届く範囲にならないとこれは反撃できないということなんでしょうか。
  396. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これにつきましては、それぞれの状況等の場合に応じて対応していくということでありまして、一概にここでできるとかできないとかいうことについては必ずしも正確ではないというふうに認識しております。
  397. 和田政宗

    ○和田政宗君 時間が参りましたので、この関連の質問などは次回以降に回していきたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  398. 中西健治

    中西健治君 無所属クラブの中西健治です。  まず、邦人輸送中の米輸送艦の防護について伺いたいと思います。  これまで何回か朝鮮半島有事の際のエバキュエーションについて質問をしてまいりました。私の問題意識というのは、朝鮮有事の際に退避する国民の命を守るにはどうすればよいのかということにあります。たまたま乗った船によって邦人保護に差が生じるのは不条理なのではないかなというふうに思っております。  例として私が出しましたのは、ベトナムの船、第三国の船に邦人が乗った場合には新三要件に該当する蓋然性も低いと。片や、アメリカの艦船に邦人が乗った場合には守られる可能性というのがそれなりにあると。これはたまたま乗った船によって守られるか守られないか、こうした差異が出るのはおかしいのではないかと、こうした問いかけをしていたわけでありますけれども、しかしながら、先週の水曜日、大野元裕議員との議論の中で、中谷大臣は、この邦人輸送中の米艦防護事例について、存立危機事態認定に当たって邦人の乗船は不可欠ではない、こういうふうに答弁されたわけでありますが、こうしますと、第三国の船に乗り合わせた邦人は保護されないんだけれども、アメリカの船は邦人が乗っていなくても防護されるということになります。ますます不条理だという思いを強めたわけでありますけれども。  中谷大臣にお伺いしたいと思います。  政府がこの事例で集団的自衛権の行使を認めるのは国民を守るためではないのか、それとも、日本人の乗船の有無にかかわらず米艦を防護するためなのか、お答えいただきたいと思います。
  399. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 国民の命を守るという視点は大事なものでありまして、三要件に該当すれば実施ができるということでありまして、あくまでも我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるような明白な危険がある状況であるという場合におきましてはこの邦人の輸送をしている米艦艇を援護できるということでございます。
  400. 中西健治

    中西健治君 お答えいただきたいんですが、邦人が乗船していることは不可欠ではない、こういうふうに答弁されているわけじゃありませんか。そうすると、邦人が乗っていない米艦船を防護するということになります。これは邦人保護ではなくて米艦保護、米艦防護を有事においてやろう、こうしたことのために集団的自衛権の行使を認めるんじゃありませんか。
  401. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) あくまでも実施可能な場合は三要件が成立する場合でありまして、せんだってもお答えをさせていただきましたが、これは総合的に判断をするということでございます。邦人が乗っているケースもあれば、邦人が乗っていないケースもありますが、あくまでも三要件、これに該当するかどうかにおいて判断をするわけでございます。
  402. 中西健治

    中西健治君 邦人が乗っていないケースでも米艦を防護するというのは、これは有事における米艦防護をこの事例でやろうと、そうしたことじゃありませんか。
  403. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) あくまでも我が国に対する明白な危険がなければできないということでありまして、もう一度ちょっと整理して具体的に申し上げますが、邦人輸送中の米艦、船舶の防護の事例については、従来から、我が国近隣で武力紛争が発生し、米国も武力攻撃を受けている、攻撃国の言動から我が国にも武力攻撃が行われかねない、このような状況において、取り残されている多数の邦人を我が国に輸送することが急務という場合に、この三要件に該当する場合においては実施できるということを分かりやすく説明をさせていただいているということです。
  404. 中西健治

    中西健治君 邦人輸送中の米艦船については従来からと、こういうふうに今答弁されましたけれども、邦人輸送中でなくてもいいという答弁を水曜日にされたから聞いているんじゃないですか。
  405. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) あくまでも邦人の救出ができるということを事例として言っておられたわけでございまして、こういった場合に、我が国に対する武力攻撃発生がなければこういった米国の船舶を防護することはできないというような現実を国民に分かりやすく示すためにこの事例を挙げて説明したわけでありまして、こういった状況等におきまして、現にお尋ねの邦人輸送に関しましては、我が国で近隣で武力攻撃発生して輸送に従事している米国船舶を防護しなければならないような状況において、邦人を乗せた米国の船舶が武力攻撃を受けることが十分想定されるということでございます。  ベトナムの船とかいうことにつきましても、こういった一環としてそういうことも可能であるということにつきましても答弁させていただきました。
  406. 中西健治

    中西健治君 邦人が乗っていることは不可欠ではないと、このように大臣は答弁されたので、この事例は単に有事の際の米艦防護の事例ではないか、こうお聞きしています。お答えください。
  407. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは我が国を主体に考えております。我が国に対する明白な危険が現にある場合、そして、この事例といたしまして、我が国の邦人を現実に輸送している米艦艇、これに対して、これを防護することは可能であるということで挙げているわけでございます。
  408. 中西健治

    中西健治君 邦人が乗船することは不可欠ではない、こういうふうに御答弁されているじゃないですか。乗っている乗っていないというのはたまたまということになるわけです。  この事例は、単に有事の際の米艦防護の事例として整理し直すべきじゃありませんか。
  409. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) あくまでも存立危機の場合の対処におきましては新三要件でございますが、あえて例を挙げるとして、こういったいろんな要件がございまして、総合的に判断するということで、邦人が輸送されているということは判断の要素の一つであるということをお話をさせていただいたということでございます。(発言する者あり)
  410. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 中西君。質問してください。
  411. 中西健治

    中西健治君 もう一度質問させていただきます。  邦人が乗っているかどうかは、乗っていること、乗船していることは不可欠ではないと言っているので、これは邦人救助の事例ではなくて、米艦防護の、有事における米艦防護の事例として挙げられているというふうに解すべきなんじゃないですか。
  412. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは、そもそも、個別的自衛権というか、武力攻撃事態におきましては、それのみでこういったケースにおきましてはできませんよということを例に挙げて説明した図でございます。そこでるる説明いたしているように、今回、存立危機事態、これを設けまして、これの判断基準といたしましては、もうるる説明は申し上げませんが、攻撃国の意思とか能力とか事態発生場所とか、そういう総合的な要素を判断をして、これに該当するかどうか、それを見るということでございます。
  413. 中西健治

    中西健治君 政府は、これまで野党が言っていることに対して、扇情的である、情緒的である、そうした議論をしている、こういうことを言っていますけれども、この安倍総理の去年の閣議決定の後の説明、日本人の親子が乗っている米艦船、この例を出している議論こそまさに情緒的な説明なんじゃないでしょうか。
  414. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) それだけを取り出して言っているわけではございません。政府は、存立危機に該当するという事例につきましては、弾道ミサイル警戒中の米艦艇の防護であり、またホルムズ海峡における機雷の敷設であり、そして邦人輸送中の米艦船舶の防護、いずれの事例においても、判断要素のうち一つだけ取り出して、いずれだけで存立危機事態に該当するか否かを判断するとは説明をしておりません。  あくまでも個別具体的な状況において様々な要素を考慮して総合的に判断をする必要があるということで説明をしておりまして、その上で、我が国の近隣で武力攻撃発生し、輸送に従事している米国船舶を防護しなければならないような状況において、邦人を乗せた米国船舶が武力攻撃を受けることが十分に想定をされるということを考えているわけでございます。
  415. 中西健治

    中西健治君 長々と答弁しないでいただきたいと思いますが、情緒的な議論を排するべきである、こうしたことを政府が言うのであれば、これ、親子が乗っていない図を出して説明し直すべきじゃありませんか。
  416. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) そもそもあの事例は、こんなこともできないのかということを説明をした事例でございまして、累次説明しているように、存立危機事態に該当するか否かを判断するに当たりましては、様々な要素を考慮して新三要件に基づいて総合的に判断をしていくということでございます。
  417. 中西健治

    中西健治君 情緒的な議論をしているというふうに思いませんか。この親子の例を出したのは、客観的な例だというふうに考えられますか。
  418. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これは一つの問題提起でございまして、あのときも、やはりこういうことはできないんだということを国民の皆様方にお分かりいただくために示した事例でございます。不適切だと私は思いません。
  419. 中西健治

    中西健治君 不適切だとまでは私は言っておりません。感情に訴える扇情的なものはよくない、そうした議論が野党によって行われている、こうしたことを政府が言うので、私も、情緒に訴えるような説得を、説明をしようとしているのは政府じゃありませんかと、こういうことをお聞きしていますが、いかがでしょうか。
  420. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 国民にとって分かりやすく示した事例でございまして、私は事例として不適切なものであるとは考えておりません。
  421. 中西健治

    中西健治君 そうであるならば、初めからこの米国の艦船に日本人が乗っていることは不可欠ではありませんよ、こうしたことを初めから言えばいいじゃないですか。
  422. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) それにつきましては十五事例を示しまして、こういうケースはできませんよと、もうこういったことで多数の事例も示しております。ミサイルの警護、防衛についてもそうでありますが、そういった事例はたくさん示しておりますが、国民の皆様方に現状ではこういうこともできませんよということを、よく御理解をして、国民に分かりやすく示したもので、事例としては、挙げた事例としては不適切なものであるとは考えておりません。
  423. 中西健治

    中西健治君 私自身は、極めて情緒的な議論をしたんじゃないかと、されているんじゃないかというふうに思います。ですので、この親子がいない米艦船の例を政府として出し直して説明をし直すべきであるというふうに思っております。  これにも関連してでありますけれども、八月四日の本委員会において、安倍総理から、日本近隣で紛争が起こることを想定して様々なエバキュエーション計画を既に立てている、その中で、米国の艦船あるいは米国がチャーターした艦船などが多くの人を日本に輸送していることになっている、こうした答弁がありました。  では、これは外務大臣にお伺いしようと思います。  このエバキュエーション計画、韓国には、先週も議論しましたけれども、短期滞在者も含めて六万人弱の日本人がいる、滞在しているということでありますが、総理答弁によると既に様々な計画を立てているということでありますが、具体的に何人規模の計画を立てていらっしゃるのでしょうか。
  424. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 朝鮮半島において、この邦人、在留邦人あるいは邦人の保護や退避が必要になった場合を想定して、平素から各省庁において連携して対応の方策を検討しております。  また、在韓国日本大使館では、緊急事態用の安全マニュアルを作成し、邦人に配付するとともに在韓国日本国大使館ホームページに掲載をしております。この同マニュアルの中においては、平素から備えについて説明するとともに、緊急事態の際は状況に応じて避難を勧める場合と一時避難所等での待機を勧める場合があることを示した上で、それぞれの場合に応じた行動計画を説明しております。  仮に朝鮮半島で有事が発生した場合には、まず一つとしては、事態発生した地域の在留邦人の安否確認を速やかに実施するとともに、海外安全情報の発出により最新情報を提供しつつ、同地域に近づかないように注意喚起を行う。二つ目として、さらに、事態の推移を注視しつつ、在留邦人等の退避を必要とする事態に至った場合には、まずは民間定期便が利用可能なうちに出国又は安全な地域への移動を勧める。三つ目として、民間定期便での出国が困難となった場合に、個別具体的な状況に応じて政府チャーター機、船舶あるいは自衛隊機等の派遣、そして米国を始めとする友好国との協力の可能性も検討しつつ、こうした対応を検討しております。  こうした対応を我が国としまして平素から準備をしているという次第であります。
  425. 中西健治

    中西健治君 私が質問したのは、端的に、具体的に何人規模の計画を立てているのか、こういう質問をしたのに対して、何分も違う答弁をされるのは、これは私の質問時間を浪費している、消費しているということなんじゃないかと思います。  このエバキュエーション計画、今安全マニュアルのことをおっしゃいましたけれども、総理が言及されたエバキュエーション計画、これ、開示していただきたいということをお願いしたところ、開示できないということでありますが、どうして開示できないんでしょうか。
  426. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 私が今説明させていただいたような大要につきましては、内容は開示することは可能であると考えております。
  427. 中西健治

    中西健治君 エバキュエーション計画を出していただきたい。  これはなぜ聞くかというと、当然この法案の立法事実に関わるところだと思います。それから、今後、存立危機事態認定に際して国会承認が必要なんですよね。そのときには当然こうした計画を我々は見なきゃならないということです。ですので、今開示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  428. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申しましたように、先ほども説明したマニュアルについては開示できます。エバキュエーション計画ということにつきましては、具体的にどの部分を指しておられるのか、いま一度確認した上でお答えをさせていただきたいと思います。
  429. 中西健治

    中西健治君 確認していただきたいと思いますが、総理がエバキュエーション計画に言及されたので私は聞いています。  大使館の安全マニュアルなどはもう既に見ておりますので、このエバキュエーション計画、総理が言及されたエバキュエーション計画について、理事会の方で、委員長にお願いしたいと思いますが、この委員会に提出するよう是非お取り計らいをいただきたいと思います。  私の質問、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  430. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件は後の理事会で諮ることといたします。
  431. 又市征治

    又市征治君 社民党の又市です。  今年の四月、日米外務・防衛の2プラス2で、十八年ぶりに日米防衛協力の指針、新ガイドラインが改定合意されました。  それは、九七年のガイドラインを大きく変更して、平時から有事まで切れ目なく日米軍事一体化を進めるために海外での武力行使集団的自衛権の行使が盛り込まれた言わば憲法違反の取組だ、こう言わざるを得ないと思います。  安倍首相はこれを受けて、日米首脳会談後に、日米同盟はアジア太平洋地域のみならず、世界の平和と安定になくてはならない、このように表明をして、アメリカ議会でその合意を法制化する安保法案をこの夏までに成立させる、こう約束をしてきました。  政府は、新ガイドラインは条約ではないから国会承認は必要ないという見解のようですけれども、しかし、この中身を見ますと、現行の日米安保条約の内容を大きく変更し、憲法の枠をはみ出して、また現在審議中のこの戦争法案の成立なくして履行はできないというのはもう当然のことですから、本来国会の承認を求めるべきだ、私はそのように思いますが、この点について外務大臣から御説明をいただきたいと思います。
  432. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 一九九七年以来、新しいガイドラインを合意したわけですが、このガイドラインは、基本的な構造ということで見た場合には従来のガイドラインとこれは変わっておりません。従来から、内容としまして、日米安全保障条約と、そしてその関連取決めに基づく、そこに根拠を置く内容が含まれると同時に、その一方で、直接はこうした安全保障条約、そして関連取決めに根拠を置かない内容を含んでいる、こうした構成になっております。これにつきましては、この一九九七年のガイドラインとこれは変わっておりません。  そして、なおかつ新ガイドラインの中においては、このガイドラインは、立法上も予算上もあるいは行政上も、これは新たな義務を生じるものではないということ、あるいは日米安全保障条約、そしてその関連取決め、この権利義務についても変更しないこと、あるいはその時々の憲法や国内法に従うということ、これが明記をされています。こうした内容であり、そして国会の承認としていないということにつきましては、九七年のガイドラインのみならず、一九七八年のガイドラインにおいても同様の手続を取っております。  こういったことから、国会との議論においてそごは生じていないと考えております。
  433. 又市征治

    又市征治君 問題は、新ガイドラインが事実上安保条約を大きく改定をし、現行安保条約以上の義務を日本に課している中身じゃないですか。そして、国内法の整備までアメリカに約束をしてきた。こういうことですから、外交や防衛政策を規制する任務を持った国会を軽視するものだ、こういうふうに指摘をしておかなきゃならぬと思います。  そこで、この新ガイドラインには、自衛隊は、日本の国内法令に従い、適切な場合に、関係機関と協力し、米国に戦闘捜索・救難活動に対して支援を行うという項目があります。米軍の戦闘捜索・救難活動とは、敵対的又は不確実な状況から孤立した要員を救出する活動ですから、当然戦闘地域も入るということになるんでしょう。  そこで、重要影響事態法の第七条でその活動規定していますけれども、その五項では、現に戦闘行為が行われている現場では実施しない、こういうことなんですが、第六項では例外規定を設けて、既に遭難者が発見され、その救助を開始している場合には捜索・救難活動は継続する、こういうふうにしているわけですね。とすれば、従来の後方地域捜索救助活動に比べ、自衛隊は当然戦闘に巻き込まれる危険性が高まるのではありませんか。
  434. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 重要影響事態法におきまして、防衛大臣は、自衛隊の部隊が実際に円滑かつ安全に捜索救助活動実施することができるように実施区域を指定する旨を規定をいたしております。この円滑かつ安全に活動できるという要件は重いものでありまして、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定することになります。  したがいまして、実施区域の指定について申し上げれば、後方地域の仕組みの下で指定されるなどして安全が確保されていた従来と安全面では変わりません。また、万が一状況が急変をし、戦闘行為が行われるに至った場合などには、原則として一時休止するなどして危険を回避することとなります。  その上で、例外的な場合といたしまして、既に遭難者が発見をされ、自衛隊の部隊等がその救助を開始をしているときは、まさに人道上の見地からの活動を継続することができるというふうになっておりますが、これはあくまでも部隊の安全が確保されている場合に限られるということを法律上明記をしております。安全が確保されていない状況下で活動を継続することはありません。  このように、重要影響事態法に基づく捜索救助活動につきましては、従来と同様に安全を十分確保した上で行うことといたしておりまして、戦闘行為に巻き込まれる可能性、また自衛隊員が戦闘行為を行う可能性が高まるといった御指摘は当たらないものと考えております。
  435. 又市征治

    又市征治君 例外規定意味するところは、本来現に戦闘行為が行われていない地域で活動すべきところだけれども、遭難者を発見した場合は戦闘が開始されていても救助活動を続けるということでしょう、これ。とすれば、安全確保できるわけはありませんよ。つまり、当該部隊等の安全が確保されている限りと、こうおっしゃるが、これはもう建前にすぎないで、実際には自衛隊員が危険にさらされるということははっきりしているんじゃありませんか。  そこで、時間がありませんから、長い答弁をもう少し短くやってもらいたいんだが、次に移ります。  そこで、安倍総理は、今回の戦争法案が成立しても専守防衛であることに変わりはないと説明をされておりますが、本来、専守防衛とは、そういう意味では、日本に対する、我が国に対する攻撃の排除ですから、日本の領土、領海、領空、これを越えて武力行使をする能力や装備を持たないということが基本的な考え方だろうと思うんですね。しかし、日本と密接な関係にある国への攻撃をも、それにも対処をするということになれば、当然装備も強化しなきゃならぬということになるんじゃありませんか。
  436. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 基本的には、国民の命と平和な暮らしを守るという主眼、これは変わらないわけでございまして、基本的に、これによって新しく装備が必要になったり、装備の大増強、これが必要になるということではなくて、自衛隊の装備につきましては、今回の法整備とは別途、一昨年末に作りました防衛大綱、中期防、これを閣議決定をして体制の充実強化を図っているところでありまして、現行の計画に従って着実な防衛力の整備を行っていく考えでございます。
  437. 又市征治

    又市征治君 しかし、この法案で限定的とはいえ集団的自衛権の行使ができるようになれば、自衛隊の行動範囲の制約はなくなるわけでしょう。つまり、一刻も早く地球上のどこへでも出動して、どんなところでも活動できる能力というものを自衛隊員に身に付けることを求めている、そういうふうに理解してこれはよろしいですね、今度の法案は。  だとすれば、自衛隊はそれに即応できる装備、能力を持たなければ絵に描いた餅になるわけでありまして、当然、装備、能力の拡充を伴うのではありませんか。
  438. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) これには新三要件が必要になりまして、我が国の存立が脅かされるというような状況の場合でございますが、この新たな法制によって自衛隊の役割というものはより一層重要にはなってまいりますけれども、基本的に、これによって全く新しい装備が必要になったり、装備の大増強が必要になるということではございません。  平和安全法制が成立した後、法律に定められた様々な任務を適切に遂行するために必要な各種訓練を実施をして隊員の能力向上に努めてまいりますけれども、あくまでも我が国の平和と安全を守っていくという従来の任務は変わっておりませんので、こういった中で対応を実施していくということでございます。
  439. 又市征治

    又市征治君 聞いておるのは、この法案は、地理的な制限なく一刻も早く出動して、どんなところででも活動できる能力というものを自衛隊員が身に付けることを求めているかどうか、このことを聞いているんですね。  だから、地球上のどこだろうが、事態に対応する装備や自衛隊員の能力をこの法案は求めているんじゃないですか。そこのところをちゃんと答えてください。
  440. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現在におきましても、今の三要件に基づいて我が国安全保障、これをしっかり自衛隊確保できるように対応いたしておりまして、この三要件等につきまして必要最小限度ということも書かれているわけでございますが、新たな法案が通りましても、本来、日本をしっかり守っていくということについては変わりがないわけでありますので、これによって新たな装備が必要になったり、大増強したり、そういうことは必要でないと私たちは考えているわけでございます。
  441. 又市征治

    又市征治君 大臣、ちょっと話そらさないでもらいたいので。  つまり、今度の法案によって地球上どこへでも行ける。地理的な要件はもうなくなったわけでしょう。だから、逆に言うならば、日本の周辺、ここのいろんな危険な問題はそれはそれで装備としてしっかりと守っていかにゃいかぬ。だけれども、もう一方では、地球上どこへでも行けるようにするということになれば、装備や能力はこれよりも高まるんじゃないですか。そこのところをしっかり答えてほしいと、こう言っているんですよ。
  442. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 三要件につきましては、国際的に見ても非常に厳しい要件が課せられているわけでもありますし、また恒常的に海外に自衛隊が出動して対応することを考えているのではなくて、あくまでも我が国存立危機事態に対応できる、そういう体制を取るということでございますので、この点につきましては、現在の防衛大綱また中期防に基づいた自衛隊の体制の整備の充実強化、こういう中で対応できると考えております。
  443. 又市征治

    又市征治君 いや、本当にこれ、質問に、同じこと何度も、時間を浪費しないでくださいよ。まともに全く答えようとされていない。三要件なんて聞いていないんです、今。  そこで、時間がありませんから次に移りますが、政府は、この集団的自衛権の行使に関して、今言われている、何度も言われる新三要件を出してきた。そして、その適用事例として北朝鮮からの弾道ミサイルを阻止するアメリカのイージス艦への攻撃などというものを挙げてきたわけですね。しかし、旧三要件我が国に対する武力攻撃発生した場合と比較をして、新三要件自体が実に曖昧な内容ですから、日本が行使する必要最低限度の実力行使の内容もまた極めて曖昧でよく理解ができない。  そこで、この旧三要件と新三要件の下での必要最小限度の実力行使、この内容というのは同じなのか、同じあるいは同じでない場合の根拠というものをお示しいただきたいと思います。
  444. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 新三要件で言う第三要件ですね、これに言う必要最小限度というのは、武力の行使をする場合の対処の手段、態様、程度の問題を述べたものでありまして、これは我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国防衛するための必要最小限度でなければならない旨を述べたものでございます。そこで、第三要件に言う必要最小限度というのは、特に、いわゆる海外派兵は一般に許されないということも含めまして、旧三要件でも新三要件でも変わらないということでございます。
  445. 又市征治

    又市征治君 目的が同じであっても目的達成の手段が異なるわけですから、同じであるわけがないんでしょう。日本自身の防衛と他国防衛が同程度の実力行使で済みますという、そんな根拠ないじゃないですか。これ、どういうふうに説明なさるんですか。
  446. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) まず、我が国に対する武力攻撃発生していなくても、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が客観的に存在している以上、我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限度についての具体的な限度、これは武力攻撃の規模、態様等に応じて判断することができると考えております。  そこで、累次答弁をいたしておりますが、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣する、いわゆる海外派兵、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものでありまして、憲法上許されないと解しておりますが、これは、我が国に対する武力攻撃発生し、これを排除するための武力を行使するほか適当な手段がない場合においても、対処の手段、態様、程度の問題として、一般に他国の領域において武力行使に及ぶことは旧三要件の第三要件の自衛のための必要最小限度を超えるものという基本的な考え方を示したものでございます。  このような従来からの考え方は、新三要件の下で行われる自衛の措置、すなわち他国の防衛を目的とするものではなく、あくまで我が国防衛するための必要最小限度の措置にとどまるものとして、武力の行使における対処の手段、態様、程度の問題としてそのまま当てはまるものと考えております。
  447. 又市征治

    又市征治君 最後にしますが、総理は、中期防衛力整備計画の縛りがあるのでこの法案成立によって防衛費自体が増えることはないと、大臣もそう答えてこられました。しかし、この第二次安倍政権誕生からずっと毎年防衛費は増大し続けて、来年度の概算要求でもイージス艦やオスプレイ十二機、戦闘機F35Aを六機購入など、過去最大の五兆九百十一億円要求されると、こういうことに聞いています。  それに加えて、戦争法案では、武器を使用して治安を維持するなどの活動が当然PKOに加わるので、陸上自衛隊幹部は、性能を高めた防弾チョッキや輸送防護手段がより必要になる、こういうふうに語ったと報道されています。  戦争法案によって自衛隊員のリスクは上昇しないと防衛大臣はおっしゃるが、任務、課題を増やしておきながら、従来装備ではリスクが高まるどころか、任務、課題を果たせないんじゃないですか。その点どうお考えなのか。万一法案が成立したならば、この防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画というものを当然見直さざるを得なくなるのではないかと思いますが、その点どのようにお考えですか。
  448. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現在の大綱、中期防、これはますます厳しさを増している安全保障環境、こういう中で対応をするという観点で考えておりまして、今般の平和安全保障法制の整備の方向性とは軌を一にするものであると認識しておりますし、また、自衛隊の任務には全く変わりがないということでありまして、今般の法整備によりまして全く新しい装備が必要になったり、また大増強が必要になるということではなくて、防衛大綱、中期防、これを引き続き現行計画に従って着実な防衛力の整備を行っていくということでございます。
  449. 又市征治

    又市征治君 時間がなくなりました。最後にします。  この法案成立によって、自衛隊員が危険な状態に陥ることはないとか、あるいは他国の戦争に巻き込まれることは絶対ないとか、防衛費自体が増えることはないなどという説明をされますが、その根拠を全く明らかにされない。そればかりか、ますます疑念が深まるばかりだ、だから国民が全く理解できない、こういうことになっているということを強く申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  450. 山本太郎

    山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎です。  前回に引き続きまして、経済的徴兵制と意に反する自衛隊員募集について質問いたします。  中谷大臣、どうしてこれだけしつこく私がこの経済的徴兵制と意に反する自衛隊員募集ということにこだわるのかという話なんですけれども、今回の戦争法案によって自衛隊の志願者が減ってしまって専守防衛さえも危うくなるんじゃないかなということを私は心配しております。  今回の戦争法案は、自衛隊員のリスクを異常に高めるだけではなく、従来の専守防衛、災害救助の大義のある正義の自衛隊から、ジュネーブ諸条約を始めとする国際人道法違反の常習犯である米軍の戦争犯罪の共犯者になることによって、自衛隊員が自らも戦争犯罪者になってしまうリスクがある、そう考えれば、この先隊員の確保が難しくなるというのが当然だと思うんですね。  愛する国の防衛、愛する国民の災害救助には使命感を持てるのに、中身も分からない荷物を運ばせられる。大掛かりな運送屋じゃないんですから。米軍の下請部隊として、自国が攻撃されていないのにもかかわらず、遠い外国武力行使や米軍の後方支援などでテロのリスクに直面し、場合によっては米軍の戦争犯罪の共犯者となって汚名を着せられ、新設される国外犯処罰規定によって処罰されるリスクまで負うことになっては、自衛隊の志願者が減り、その分無理のある強引な自衛隊員の募集、リクルートが横行することになりかねないと思うんです。私は、自衛官を健全に募集するためには、今回のような戦争法案、もう廃案以外ないと思うんです。  それでは、前回時間切れで予告だけになってしまいました強引なリクルートについて質問いたします。  沖縄の八重山毎日新聞の記事でございます。パネルお願いします。(資料提示)  皆さんのお手元には資料があると思います。このパネル、今年七月二十八日、沖縄の八重山毎日新聞の一面トップ記事、自衛隊沖縄地方協力本部の職員が沖縄県石垣市の中学三年生の自宅を戸別訪問、そして募集活動をしたという内容でございます。  防衛省によりますと、自衛隊は、全国のほとんど全ての市区町村から、中学三年生と、十七歳から二十三歳までの合計七世代の若者をターゲットとして、住所、氏名、生年月日、性別の個人情報、四情報ですよね、この四情報を収集してDMの郵送、戸別訪問、ポスティング、これまるで違法な選挙運動みたいな話になっていますけど、大丈夫なんですかね、募集活動をとにかくまめにやっているというお話なんです。  中谷大臣、この八重山毎日新聞の記事では、中学校三年生の保護者の方が、どうして個人情報、こんなこと知っているのとか、えっ、戸別訪問までやるんですか、そんな疑問の声がたくさん上がっているそうです。これに対しまして、自衛隊の沖縄地方協力本部の石垣出張所の所長さん、このようにおっしゃっています。「戸別訪問は以前から行っている。法令の解釈で認められており、防衛事務次官の通達もある」、このように説明したそうです。この防衛事務次官の通達は、防衛省から提出を受け、本日の配付資料の中に入っております。  中谷大臣、この事務次官通達というのを幾ら読んでも戸別訪問できるとは書いてないと思うんですけど、これ、どういうことなんでしょう。
  451. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 提示をいただきました資料等にありまして、この地方協力本部石垣出張所の所長が八重山毎日新聞の取材に対して防衛事務次官通達のものもあると説明したことは承知をしております。報道にあります事務次官通達につきましては、住民基本台帳の閲覧による募集対象者情報の取得に関連して説明をしたものであり、戸別訪問のことではありません。  防衛省としては、今後とも、自衛官の募集については法令等に基づく適切な実施に努めてまいりたいと思っております。
  452. 山本太郎

    山本太郎君 ということは、この石垣市の所長さんは、この通達のことに関してはよく御存じなかったということですね。戸別訪問に関しては、これ、だって関係ない話ですものね、この通達は。住基からその情報をいただくということに関しては許されている通達だけれども、戸別訪問に関しては。だってこれ、八重山毎日新聞のインタビューにはそう答えているんですよ。戸別訪問の法的根拠は通達に書かれているというようなことを言っているんですよ、資料見ていただいたら分かると思うんですけれども。これ、ちゃんと指導した方がいいんじゃないですか、この方。これ、いいんですか、間違いですよね、ただのね。(発言する者あり)はい、分かりました。  先に進みます。  お配りしたもう一つの配付資料、防衛省から提供されました、今年、平成二十七年度、自衛隊沖縄地方協力本部が沖縄県の各市町村に対し提出した情報提供依頼文書と住民基本台帳の閲覧申請書。  大臣、この依頼文書の中で、例えば宮古島市を見てみると、平成九年四月二日から平成十年四月一日までに生まれた一つの年代だけなんですよね。名護市に対しては、平成一年四月二日から平成十年四月一日までに生まれた九つの年代の個人情報の提供を依頼する。これ自治体によってちょっとばらつきがあるんですけれども、どういうことですか。手短に。ありがとうございます。
  453. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 宮古のケースは、自衛官及び自衛官候補生の募集事務の遂行のために、十八歳に達する平成九年の四月二日から平成十年の四月一日まで出生した者の氏名、生年月日等についての資料請求を依頼しております。  また、名護市に宛てた依頼文書では、同じ目的で、十八歳から二十六歳に達する平成元年四月二日から平成十年四月一日まで出生した者の氏名、生年月日、出生年月日についての資料の提出を依頼しております。  これは、自衛官の募集に際して必要な募集対象者の情報の取得にあっては、各市町村ごとの募集対象者の規模、地域ごとの状況を踏まえて各地方協力本部において依頼の範囲を判断をしておりまして、宮古島市と名護市に対する依頼の範囲が異なった点についても、このような地域ごとの状況を踏まえて沖縄の地方協力本部が独自に判断をしたものでございます。  これはどういうことかといいますと、非常に人口が過密なところもあれば過疎なところもありまして、やはり過疎のところはより多くの方々にお声を掛けたいというようなことで、特に決めはないわけでありまして、各地方協力本部、それに任せているということでございまして、防衛省としては、今後とも、資料の提出の根拠となる法令等を丁寧に説明して、地方協力団体の協力をお願いをして、地域ごとの状況を踏まえて優秀な人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
  454. 山本太郎

    山本太郎君 なるほど。特に深い意味はなく、人口のばらつきだったりいろんな諸条件があってその年代を求めるしかなかったというようなことだということなんですね。へえ、いろんな情報を御存じなんですね。  中谷大臣、住民基本台帳閲覧申請書の方なんですけれども、こちらも、例えば那覇市に対しましては平成九年四月二日から平成十年四月一日までと平成七年四月二日から平成八年四月一日までの間に生まれた二つの年代なのに対して、石垣市に対しましては、先ほどの中学生の話ですよね、平成四年四月二日から平成十年四月一日までの六年代と平成十二年四月二日から平成十三年四月一日までの合計七つの年代、住民基本台帳の閲覧を申請しています。  これも各自治体ごとにばらつきがあるんですけれども、理由は先ほどと同じようなことなんですかね。
  455. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 同じでありまして、自衛官の募集に関して必要な募集対象者の情報の閲覧請求に当たっては、市町村ごとの募集対象者の規模など地域ごとの状況を踏まえて各地方協力本部において閲覧請求の範囲を判断をいたしております。那覇市と石垣市に対する閲覧請求の範囲が異なった点につきましても、このような地域ごとの状況を踏まえて那覇地方協力本部が独自に判断をしたものでございます。
  456. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  防衛大臣、前回の本委員会で憲法十八条についてお話ししたと思うんです。憲法十八条の意に反する苦役について、特に意に反するという部分が重要なんじゃないでしょうかという私の質問に対して、大臣も、「戦後の日本は、自由そして民主主義、これが基本でありまして、この自由主義、民主主義に反しているということで、大事な規定だと思っております。」と答弁されたんですよ。すばらしいですよね。意に反するということは、自由と民主主義に反することだということを大臣おっしゃってくださったということだと思うんです。  また、大臣は、最近は自衛隊員の募集、倍率は七倍以上なんだよ、将来も優秀な隊員が募集に応じてくれると自信を持って答弁されているんです。これは七月十日ですかね、衆議院の細野議員への答弁だったと思うんですけれども、これ、間違いないですよね。  だったとしたら、住民台帳を書き写してDM送ったり、招かざる客として戸別訪問までして本人や保護者の意に反する募集活動や個人情報の収集、これ必要ないんじゃないですかと思うんですよ。そんなに人いるんだろうって、だったらわざわざどうしてそこまでやるのって。  大臣、私は、自衛隊員の募集について、本人や保護者の意に反する募集活動や個人情報の収集、行うべきじゃないと思うんですよ。本人や保護者の意に反するDMの郵送、ポスティング、戸別訪問、これもやめるべきだと思うんです。いかがでしょうか。
  457. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 自衛隊というのは我が国を守るという非常に崇高な任務を帯びた組織でございまして、この自衛官の募集というのは、自衛隊の人的基盤を支えるとともに組織の精強性を維持する観点から極めて重要でありまして、地域社会と深いつながりを有する地方公共団体を通じて確実に行うことが不可欠でございます。  この観点から、自衛官募集につきまして、自衛隊法に基づいて自衛隊地方協力本部が実施するほか、法定受託事務として都道府県の知事、市町村の長がその事務を行うこととしております。募集対象の情報につきましては、自衛官の募集に関し必要があることから、住民基本台帳に基づいて、住民基本台帳の一部の写しを閲覧から請求する、より取得をいたしております。  このように、自衛官の募集やそのために必要な情報の取得を行うことは重要だと考えますが、募集対象者本人等から防衛省に対し個人情報の収集を拒否するなどの申出があった場合におきましては、その意向を尊重をいたしまして対応することにいたしております。
  458. 山本太郎

    山本太郎君 一々こっちからやめてくださいと言わないとやめられないんですかという話ですよ。  で、今の僕の答えというか、質問に対してはほとんど答えていただいていないんですよね、本当に。(発言する者あり)そう、今も後ろからも掛かってきていますよ、もう競争率七倍やったら要らぬやろうと。おっしゃるとおりですよ。七倍なのにどうしてこういうことをやるんですかって。しかも、それをやられた方からやめていただけませんかと言わないとやめてもらえないという不条理。  先日防衛省からいただいた資料では、平成二十六年度に高校卒業年齢に達する人たちに送ったDMの発送関連経費、約二千万円だったそうです。一通当たり五十円から八十円のコストという説明がございました。なるほど、一通五十円なら四十万人に送れる、四十万通送れる、一通八十円なら二十五万通DMを送れるという話なんですね。  平成二十六年度、高校三年生に相当する年齢、十八歳ですよね、十八歳の人口は国立社会保障・人口問題研究所によると百十八万人。四十万通なら全体の約三四%、二十五万通なら全体の約二一%にしかDMを送っていない。集めた個人情報、全員分郵送しているわけじゃないということですよね。要は、DMを送る人間を選別していますよという話なんです。  ここから推察できるのは、住所、氏名、性別、生年月日の個人情報四情報、この四情報以外の情報を防衛省はせっせと日頃から収集してDMの送付先を決めている可能性が高いということですよね、これ。個人情報保護の観点からもすごい違反くさいにおいがぷんぷんしますけれども。  大臣、住民基本台帳の個人情報四情報以外から防衛省はいろいろな個人情報を収集しているんですか。している、していないでお答えください。時間がございません、お願いします。
  459. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) しておりません。
  460. 山本太郎

    山本太郎君 しておりません、力強いお答え、そうですか。  けれども自衛隊の直接戸別訪問を受けた方々の中に、非常に驚いたという方がいらっしゃる。どのようなことなのか。消防に自分自身は就職希望を出しているんだけれども自衛隊の担当者が説明に来たときに、自衛隊との併願でどうだということをわざわざ言いに来た。どうしてそんなことまで知っているんですかって、これ。四情報で分かる話ですか、これ。  委員長、私は防衛省に対して、今年度、平成二十七年度に一体何人分の個人情報を収集し、現在何人分の個人情報を保有しているのか、各年代別にその人数の資料を請求しているんですけど、一向に出そうとしないんです。多分、出てくるのはこの委員会全部終わった後じゃないですか。ずっと出てこないかもしれない。この委員会に速やかに提出するよう、理事会でお取り計らい、よろしくお願いいたします。
  461. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会で協議をいたします。
  462. 山本太郎

    山本太郎君 本当にDMの送付先、随分絞り込んでいるんだろうと、いろんな情報を収集してという話なんですけれども、大臣、今後これもっと楽に情報収集しようと思ったら、マイナンバー使うんじゃないですか。いかがでしょう。
  463. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) マイナンバーにおきましては、国の行政機関や地方公共団体において社会保障、税、災害対策の分野で利用されるものでありまして、自衛官の募集の分野では利用することはできないものだと承知をいたしておりまして、自衛官の募集につきまして、現在のところマイナンバー制度を利用する予定はございません。
  464. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  じゃ、もう一度、マイナンバーを利用することは、募集に関して、そしてこの自衛隊の人員を広げるという部分でマイナンバーを使うことはないと、もう一度断言していただけますか。
  465. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 自衛隊におきましては、幅広く、募集の相談員とかいろんな自衛隊のOBの方とか協力者を通じて優秀な人材の勧誘、確保に努めておりまして、現在の自衛官の募集活動につきまして、マイナンバー制度ができたからといって変更する予定はございません。
  466. 山本太郎

    山本太郎君 もう、欲しい答え全然くれないんですね。分かりました。  じゃ、時間が余ったのでこういう質問をしてみたいと思います。もし自衛官を海外に出して万が一のことがあったときに、今の政治にその覚悟はできていると思いますか、覚悟、お答えください。
  467. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現在でも、PKO活動や海賊対策でアフリカ、非常に環境の悪い地において隊員が活動をいたしておりますが、私なりに、派遣した以上、隊員の安全等につきましては責任を持って活動をいたしております。それなりの覚悟を持っているつもりでございます。
  468. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。その覚悟というのも次回どんどん掘り下げていきたいと思います。  ありがとうございました。
  469. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 新党改革の荒井広幸です。  この安保法制と並行して議論するべき点が二点あると思いますので、この点、二つお尋ねをしていきたいと思います。  在日米軍基地の在り方の見直しで、共同使用をするべきだと私はかねがね思っております。在日米軍は、日本政府が米国に対しその使用を許可しているものです。ですから、日本の領土ですし、当然日本の法令が適用されます。しかし、米軍の行動や公務中の米軍人軍属の行為には日本の法令は適用されないという認識でよいでしょうか。また、その理由はなぜでしょうか。外務省お尋ねします。
  470. 冨田浩司

    政府参考人(冨田浩司君) お答えをいたします。  まず、御指摘にもございましたけれども、在日米軍の施設・区域は日本の領域でございますので、属地的に我が国の法令が適用されるということでございます。その上で、一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には、特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されないということになっております。このことは、日本に駐留する在日米軍についても同様でございます。このため、米軍の行為や米軍を構成する個々の米軍人軍属の公務執行中の行為には我が国の法令は適用されないということになるわけでございます。  しかしながら、このことは、米軍がその活動に際して我が国の法令を無視してよいことを意味することではございません。在日米軍の構成員等は我が国の法令を尊重する義務を負っておりまして、その旨は地位協定の第十六条に規定されておるところでございます。また、在日米軍は、地位協定上、施設・区域の使用に当たり、公共の安全に妥当な考慮を払って活動する義務を負っていると、これが第三条の三項に規定されておるところでございます。
  471. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 基地内で有害物質の不法投棄があったというような報道もあるわけです。こういったものも含めまして、外務大臣お尋ねしますが、ある種治外法権状態だと思うんですが、この状態認識はいかがでしょうか。
  472. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、在日米軍につきましては、地位協定、日米地位協定第三条に基づいて、施設・区域の管理のため必要な全ての措置をとることができる、このようにされております。しかし一方で、これ、属地的にはこの施設・区域内にも我が国の国内法は適用されるということで、今北米局長から説明がありましたように、我が国の法令を尊重する義務を負っている、このようにされております。  こういった状況ですので、施設・区域内が治外法権であるという御指摘は当たらないのではないか、このように考えます。
  473. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そういう指摘があるということで申し上げておきました。  では、私は、沖縄の負担を軽減するために、また全国に米軍基地があります。いろいろと要望が出ているはずなんです。軽減と言ったらいいんでしょうかね、様々な意味で、治安を含めていろんな意見があります。そうなりますと、私は、北澤防衛大臣もいらっしゃいますけれども、また中谷大臣いらっしゃるわけですが、やっぱり共同使用というのが一つの鍵だと思うんですね。  そうしますと、どういうことになるかというと、基地の警護や管理、運営は原則として自衛隊が行うということになるんだと思うんです、共同使用。そういうふうになれば、先ほどありましたけれども、地位協定、これは日米安保条約を基にしておりますが、第六条、そして日米地位協定三条、こういったことでの、アメリカが主導権を取るといいますか、ある種、先ほど言いましたように治外法権的なことになってしまうわけですから、共同使用したという観点から、これ日米安保条約ですから、そもそもが、今議論しているものと並行して、この安全保障上の、安保法制の問題と並行してこれは議論するべきことだと思っているんです。  共同使用について、大臣はどのようにお考えになりますか。
  474. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 日本の防衛、またアジア太平洋の地域の平和と安全に寄与する抑止力として日米同盟が十分に機能するためには在日米軍のプレゼンスが確保されているということが必要でありまして、このため、我が国と米国は、日米安保条約に米国の日本防衛義務、これを規定する一方で、我が国の施設・区域の使用を米国に認めているわけでございます。  この今、安保環境が変化をいたしている中で、委員の御指摘のように、在日米軍が言わば自衛隊の施設、これを借りるような形にすることは、日米安保体制の中核的な要素である在日米軍の駐留の在り方を根本的に見直すことにほかならず、見直しの結果、緊急事態における機動的な対応に支障が生じることが懸念をされます。そのようなことから、現在、米国との間では、在日米軍駐留を委員御指摘のような方向で見直すという協議は行っておりません。  他方で、在日米軍施設・区域がその機能を十分に発揮するためには地元の理解と協力が欠かせないということから、訓練の移転など、各地域の実情に応じた負担の軽減に努めるとともに、平成十八年に策定された日米の、在日米軍の再編ロードマップ、これに基づいて米軍施設・区域の統合、返還などを着実に進めているというのが現状でございます。
  475. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 共同使用、いい方向だと思うんですが、そういうことは考えていないと。根本的に見直すことになると、日米安保を。そして、緊急事態に対応できない。何かこの安保法制と似たような緊急という言葉、出てくるんですね。  しかし、本当にこれでいいんですかね。これだけ大きな安全保障法制を見直す議論をしているときに、お忙しいところ官房長官来ていただきまして恐縮ですが、沖縄との協議も今始めているわけですね、移設についても。やはり私は、政府はこの安保法制の審議と同時に、いいチャンスだと思うんですよ。アメリカに対して、在日米軍基地の在り方の見直しで共同使用すると、これを提案して議論するべきじゃないかと思っているんですが、官房長官の御意見、承ります。
  476. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) ただいま防衛大臣から答弁がありましたように、抑止力にどういう形で極めて機能的に対応できるかということ、ここ、まず極めて大事な点だというふうに思います。  いずれにしろ、そういう中において、日米の中で共同使用する場合の管理権というんですかね、そういうことはやはり十分に日米同盟の機能が果たすかどうかということを踏まえた上で検討されるべきことだろうというふうに思います。
  477. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 消極的ですね。  これはやっぱり十分検討してもらって、沖縄含め日本にあります在日米軍基地の問題解決の一つとして。そして私は、同時に、よっぽどの機密情報か何かあるのかなと思うんですけれども、共同訓練というのはもう結構やっているわけですよね。私は、それは物によって違うとかいろんな話になって、それはもう専門家の領域だとか軍事の領域だなんというようなことで、どうなんでしょうか、もう片付けられない時代だと思うんです。共同使用を是非検討していただいて、沖縄等々の基地負担、これを軽減していただきたいと思います。  そこで、私はこの間、六月十三日に、これ伊良部大橋というのが一月にできたんですね。大変長く掛かりました。おおむね九年掛かったんです。宮古島に飛行機で行って、そして伊良部島に行って、その橋が架かっているんですけど、すごく立派なものです。海もきれいです。  その先にありますのが下地島なんですね。この下地島は、民間の飛行機の訓練飛行場としてこれができ上がっているんです。しかし、今、民間飛行機訓練はこの下地島空港ではほとんど使っていないんですね。なぜかというと、シミュレーターで、もうコンピューター上で民間飛行機のパイロット育成をして、最後は例えばアメリカで集中的に実物に乗ってそうした訓練をしていくということなんです。ですから、当初の民間訓練場というものが今ほとんど機能しておりません。しかも、この空港は三千メーターを有しておりまして、沖縄県のものです。沖縄県のものなんです。  こういうことで、今回、私が提案したいのは、普天間飛行場移設問題の原点は何だったかというところから私はこれを視察をさせていただいたんですが、一言で言えば普天間飛行場の危険性を除去するためだと。いっぱい住民の方がいるんですから、万が一はあったわけですよね。そして、一九九五年、これが米兵による女子暴行事件を端を発したわけですよ。そういうものも全部絡まってきた。そこで、この今、辺野古ということになってきているわけですけれども、改めて危険性の除去という原点に立ったら、この下地島というのを、沖縄県の持ち物です、どういうふうに考えたらいいかと私は研究をするべきだと、沖縄県も。ただ単に県外移設、その時間の間どうするんですか、沖縄の県民の皆さんの危険をと、こういうこともあるんです。  そこで、お尋ねをいたしたいと思います。  防衛大臣、四回の協議をされました。そして、九月九日までですか、一か月間この辺野古への移設工事は中断する。私は、もうこれはいい、適切な判断だと思います。四回目を行いましたが、このときは大臣行っていらっしゃらないかもしれませんが、平行線と聞いておりますが、防衛大臣認識はいかがですか。じゃ、官房長官。
  478. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 私自身が二回沖縄に出向きまして、翁長知事と会談をいたしました。また、沖縄の基地の様々な関係者の方との会談をしておりますので、私の方から御説明をさせていただきたいというふうに思います。  まず、原点は、今委員御指摘のありましたように、普天間飛行場の危険除去、そして閉鎖です。これは、沖縄県知事の当時要請で、日米の間でこの合意を得たわけです。そして、その移設先として辺野古が、当時の県知事と市長の了解をいただいて閣議決定をした、そういう経緯があります。  しかし、残念ながら、当時、日米合意から十九年たって、いまだに極めて危険な状況にあることは事実であります。小学校が金網一枚を隔ててすぐ滑走路があると。  ただ、この間に、私たちの政権の中で、昨年にKC130十五機、これを全て岩国に移設をしました。そしてまた、緊急着陸の航空機受入れ、これも九州でやることになっております。あとオスプレイでありますけれども、オスプレイもできる限り国内で運用したいということに思っております。  下地島の問題でありますけれども、この協議の中で具体的に、これは県が今管理していることになっていますので、具体的には出ておりません。  それで、私と知事の会談の中で、この危険除去と閉鎖については、これは一致はしておりますけれども、ただ、この問題の原点が、私どもは十九年前の日米合意で危険除去、知事はまさに戦後米軍に接収されたときが原点だと、そういうここには距離がありますので、なかなかそこは縮めることができないのはこれは事実でありますけれども、いずれにしろ、残された限り、一か月の工事中断の中で冷静に話し合おうということでありました。  角を突き合わせるような状況でなくて、話し合える状況には今なってきておりますので、国の思い、沖縄県の思いもそれぞれ会談の中でしっかり忌憚のない意見を言い合う、今そういう状況です。
  479. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 最初はなかなか都合が取れなくて会わないということでしたから、本当に困ったなと思って見ていましたが、今は話合いをするようになったので、政府の方の姿勢も変わったから、私、良かったと思うんです。  いかがなんでしょう。私も、福島でやはり非常に危ないものを、原発立地県というところでしょわせられます。ですから、沖縄の気持ちが何となく私はやっと分かったような気がしているのが三月十一日なんです。やっぱり一部の犠牲で全体が成り立つという構造をどうにか変えなくちゃいけない、民主主義の知恵としてその結論をみんなで出さないといけないと思うんですが。  私は、基地の県外移設ということは分かります、よく分かります。しかし、原点は子供たち含めて住民のあの基地周辺の危険であったならば、今、三千メーター滑走路で住民はおりません。この島はいないんです。そして、この空港を一時的にでも危険性の除去、安全のために使えないかと沖縄県の知事は私は考えて当然じゃないかと思うんです、考えるぐらいは。早くどこかに、県外に行け、国外にしろ、こういうことだけでは今の危険性は取れないのではないですか。ですから、官房長官、防衛大臣、どうぞ穏やかなうちにそれをしろというわけではないんです。県として研究ぐらい必要なんじゃないかと。  そうすると、いわゆる屋良確認書なんですよね。これが一九七一年でございます。最初は丹羽運輸大臣と、それでも不足があるということで、山中貞則総理府総務長官、本当に沖縄のことに一生懸命やられました。丹羽大臣と自衛隊を含めて軍事用には使わないというこの一筆があるがために様々な議論になっているんですね。ですから、これは尊重するとして、しかし、普天間の危険をどうするかに端を発したんですから、これは沖縄県知事も私は研究していい問題ではないか、このように指摘をさせていただきたいと思います。  そして、官房長官に来ていただいておりますので、当事者である防衛大臣外務大臣いらっしゃいます。また、与党理事もそろっていますし、野党、北澤筆頭、皆さんいます。私は、「参議院の存在というのは、先人が苦労して二院制に持ってきて、さきの大戦の反省から、貴族院が止められなかったあの軍部の戦争に至った道というものを十分反省をしながら、参議院の存在を一生懸命つくり上げた。」。そして飛ばしますが、できれば合意形成に近づけていく、これが参議院の役割の一つだと思う、参議院の審議をしているさなかに、九月中旬にこの法律を上げたいという発言についてはいかがかと思う、もう一つ言いますと、我々参議院は、衆議院の下請組織じゃない、官邸の下請やっているんではないということで、八月三日に礒崎参考人質疑に立って委員長が申し述べられた言葉です。官房長官も与党も、そして両大臣も、是非この言葉を改めて肝に銘じていただきまして、十分な議論と、そして徹底審議を求めて、終わります。
  480. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  481. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案外六案の審査のため、来る八日午後一時に参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  482. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会