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2015-08-26 第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十七年八月二十六日(水曜日)    午前十時五分開会     ─────────────    委員異動  八月二十五日     辞任         補欠選任      石上 俊雄君     白  眞勲君      谷合 正明君     杉  久武君      寺田 典城君     片山虎之助君      仁比 聡平君     辰巳孝太郎君      山田 太郎君     井上 義行君      中西 健治君     水野 賢一君      福島みずほ君     吉田 忠智君  八月二十六日     辞任         補欠選任      大沼みずほ君     舞立 昇治君      堂故  茂君     上月 良祐君      吉川ゆうみ君     山本 順三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 石井 準一君                 佐藤 正久君                 塚田 一郎君                 馬場 成志君                 堀井  巌君                 北澤 俊美君                 福山 哲郎君                 荒木 清寛君                 小野 次郎君     委 員                 愛知 治郎君                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 大沼みずほ君                 北村 経夫君                 上月 良祐君                 高橋 克法君                 豊田 俊郎君                 舞立 昇治君                 三木  亨君                 三宅 伸吾君                 森 まさこ君                 山下 雄平君                 山本 一太君                 山本 順三君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 大塚 耕平君                 大野 元裕君                 小西 洋之君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 広田  一君                 蓮   舫君                 杉  久武君                 平木 大作君                 矢倉 克夫君                 片山虎之助君                 井上 哲士君                 辰巳孝太郎君                 井上 義行君                 浜田 和幸君                 水野 賢一君                 吉田 忠智君                 山本 太郎君                 荒井 広幸君    国務大臣        外務大臣     岸田 文雄君        文部科学大臣   下村 博文君        防衛大臣        国務大臣     中谷  元君        国務大臣        (内閣官房長官) 菅  義偉君    副大臣        外務大臣    中山 泰秀君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  横畠 裕介君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        宇佐美正行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       前田  哲君        内閣官房内閣審        議官       山本 条太君        内閣官房内閣審        議官       土本 英樹君        内閣官房内閣審        議官       槌道 明宏君        内閣官房内閣審        議官       岩渕  豊君        内閣官房内閣審        議官       岡田  隆君        外務大臣官房審        議官       下川眞樹太君        外務大臣官房参        事官       大菅 岳史君        外務省中東アフ        リカ局長     上村  司君        外務省国際情報        統括官      岡   浩君        財務省主計局次        長        可部 哲生君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       土屋 喜久君        防衛大臣官房長  豊田  硬君        防衛大臣官房審        議官       笠原 俊彦君        防衛省防衛政策        局長       黒江 哲郎君        防衛省運用企画        局長       深山 延暁君        防衛省人事教育        局長       真部  朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資  するための自衛隊法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国際平和共同対処事態に際して我が国が実施す  る諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関  する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、中西健治君、谷合正明君、山田太郎君、福島みずほ君、石上俊雄君、寺田典城君及び仁比聡平君が委員辞任され、その補欠として水野賢一君、杉久武君、井上義行君、吉田忠智君、白眞勲君、片山虎之助君及び辰巳孝太郎君が選任されました。  また、本日、吉川ゆうみ君及び堂故茂君が委員辞任され、その補欠として山本順三君及び上月良祐君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 高橋克法

    高橋克法君 自由民主党高橋克法です。  質問の機会をいただきまして、委員長そして与野党の理事の先生方に心から御礼を申し上げ、質問に入ります。  この委員会における議論の中で、武器弾薬輸送弾薬提供について、今回の法案条文上明記されていないということを理由に、実際に自衛隊が行いもしない行為をさもやるかのような議論が相次いでおり、誤解を招いていると考えています。改めて整理をしたいと考え、質問いたします。  まず、防衛省にお伺いします。  平成十一年に成立した現行周辺事態法では、米軍に対して武器弾薬輸送が可能ですが、条文上、核を含む大量破壊兵器クラスター弾劣化ウラン弾除外されていますか。
  5. 黒江哲郎

    政府参考人黒江哲郎君) 現行周辺事態法に関するお尋ねでございますけれども、現行周辺事態法におきましては、大量破壊兵器クラスター弾劣化ウラン弾などを含みます個別の武器弾薬一つ一つにつきまして輸送対象から除外する、そういう旨の規定は設けられておりません。
  6. 高橋克法

    高橋克法君 社民党も参加をした民主党政権は、この条文を是正するための改正案を考えていましたでしょうか。  また、民主党政権においては、米国への物品役務提供に関連して自衛隊法改正していますが、その際に、核を含む大量破壊兵器を除くとの改正をしていますか。
  7. 黒江哲郎

    政府参考人黒江哲郎君) 周辺事態法につきまして申し上げますと、民主党政権下におきまして、大量破壊兵器クラスター弾劣化ウラン弾を含む個別の武器弾薬輸送条文除外するような改正を検討していたということは承知をいたしておりません。  また、民主党政権下平成二十四年には、日本国外での災害に対応している米軍への物品役務提供を可能とする自衛隊法改正を行ったわけですが、その際も、個別の武器弾薬輸送条文除外するという改正は行っておりません。
  8. 高橋克法

    高橋克法君 防衛省にお伺いします。  民主党も賛成した、平成十六年に成立をしました米軍行動関連措置法でも、米軍に対して弾薬提供武器弾薬輸送が可能になっていると考えますが、条文上、核を含む大量破壊兵器クラスター弾劣化ウラン弾除外をされていますか。
  9. 土本英樹

    政府参考人土本英樹君) お答えいたします。  平成十六年に成立いたしました米軍行動関連措置法におきましては、委員指摘のとおり、法律上、武力攻撃事態等において米軍に対する弾薬提供武器弾薬輸送が可能でございますが、大量破壊兵器クラスター弾劣化ウラン弾といった個別の武器弾薬輸送提供除外する法律上の規定はございません。
  10. 高橋克法

    高橋克法君 つまり、既にある周辺事態法、そして米軍行動関連措置法においても、条文上は、核を含む大量破壊兵器クラスター弾劣化ウラン弾除外されていないということであります。  しかし、このことをもって、自衛隊が核を含む大量破壊兵器クラスター弾劣化ウラン弾提供輸送できるということではなくて、我が国の国是である非核原則条約前提とすれば、当然に、核を含む大量破壊兵器クラスター弾劣化ウラン弾除外されているという考え方に立ってきたということだと思います。しかも、この考え方民主党政権のときも同じであったということであります。(発言する者あり)  改めて、中谷大臣にお伺いします。  核兵器化学兵器生物兵器クラスター弾劣化ウラン弾提供について、我が国政府はこのような兵器保有しておらず、これらを提供することはあり得ないということでよろしいですね。
  11. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 提供につきましては、御指摘のとおり、核兵器化学兵器生物兵器クラスター弾劣化ウラン弾といった我が国がそもそも保有をしていないものを自衛隊他国軍隊提供するということはあり得ず、およそあり得ないことを法文上逐一明記する必要はないと考えております。
  12. 高橋克法

    高橋克法君 引き続き、中谷大臣にお伺いします。  核兵器化学兵器生物兵器といった大量破壊兵器、さらにクラスター弾劣化ウラン弾輸送を行うことは法律上排除されていませんが、自衛隊が実施することはあり得ないということでよろしいですね。
  13. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国非核原則を堅持をするとともに、核兵器拡散条約NPT条約、また化学兵器禁止条約生物兵器禁止条約、これを批准をいたしておりまして、大量破壊兵器拡散防止にも積極的に取り組んでおり、核兵器化学兵器生物兵器といった大量破壊兵器輸送することはあり得ません。  また、クラスター弾につきまして、その使用保有禁止をするクラスター弾に関する条約、これの締結国であり、既にクラスター弾を全て廃棄をいたしております。また、劣化ウラン弾につきましても、そもそも我が国はこれを保有したことがなく、その取扱いについての知見等も有していないものである上、今後とも保有する予定もありません。したがいまして、他国クラスター弾、また劣化ウラン弾自衛隊輸送するということは想定をしておりません。  このような大量破壊兵器などの輸送を行わないということは当然でありまして、そうした現実に考えられないことまでを全て法律規定する必要はないと考えております。  これまでも、例えば周辺事態法米軍行動関連措置法のほか、PKO法自衛隊輸送活動を実施できる根拠となるいずれの法律におきましても、法文上、核兵器を含む個別の兵器弾薬種類ごとにわざわざ一つ一つ輸送対象から除外をしてこなかったところでございます。
  14. 高橋克法

    高橋克法君 先ほどからもいろいろ不規則発言が飛んでいますけれども、民主党は今、安全保障関連法案自衛隊他国軍への後方支援について、法文上、核兵器輸送を禁じていないと猛批判をしていますが、米軍への後方支援を定める現行周辺事態法にもそのような規定はなく、民主党がこのことについて過去に大問題として取り上げたことはありません。  また、当委員会において、政策的にあり得もしない机上の空論をあり得るかのごとく印象を与えようとする扇動的な質問、例えば安保関連法案によって初めて核運搬が可能になるとの誤った追及は、安全保障政策についての国民の理解をゆがめ、厳しい安全保障環境にある我が国を危うくするものであり、かつて政権を担い、我が国の平和と安全に責任を持っていたはずの政党がこのような主張をしていることについて、極めて残念な感じを持っております。  次の質問です。  一見すると、自衛権行使を含むあらゆる武力行使を禁じているとも読める日本国憲法九条の下……(発言する者あり)
  15. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 静粛にしてください。
  16. 高橋克法

    高橋克法君 先人たちは、国民の平和と安全な暮らしを守るために、憲法範囲内で許される自衛権範囲について真剣に考えると同時に、その自衛権発動させないための抑止力を高める努力を戦後七十年間真剣に続けてこられました。その努力根底には、憲法の理念を守り切るために、たとえ自衛権であったとしても、その権利行使しない環境をあらゆる手段を使って築き上げなければならないという強い信念が流れていたと思います。なぜなら、自衛権行使でありましても、外形的には戦争であり、命が失われるからです。  民主党政権時の平成二十二年三月十七日、衆議院外務委員会において、当時の岡田克也外務大臣は、非核原則を見直さないことを前提とした上で、核の一時的寄港ということを認めないと日本の安全が守れないという事態がもし発生したとすれば、それはそのときの政権政権の命運を懸けて決断をし、国民の皆さんに説明をする、そういうことだと思っておりますと答弁をされています。このとき自分は、まだ自分は田舎の町長でありましたけれども、岡田外務大臣発言に心から賛同したことを覚えています。まさに岡田外務大臣も、平和を守るための抑止力を高めるためにはどうすべきか真剣に考えられていたわけです。  そのような先人努力の結果が戦後七十年の日本歩みであったことを踏まえて、質問をさせていただきます。  内閣法制局長官に伺います。  昭和二十一年、帝国憲法改正案審査中の第九十回帝国議会において、憲法九条に関し、吉田茂総理はどのように発言をされていますでしょうか。
  17. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 少々答弁をお待ちください。  速記止めてください。    〔速記中止
  18. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  19. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 吉田総理は、憲法第九条について、昭和二十一年六月二十六日の衆議院会議において、戦争放棄に関する本案の規定は、直接には自衛権を否定してはおりませぬが、第九条第二項において一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権発動としての戦争も、また交戦権放棄したものでありますなどと答弁し、また、同月二十八日の衆議院会議において、戦争放棄に関する憲法草案条項におきまして、国家正当防衛権による戦争は正当なりとせらるるようであるが、私はかくのごときことを認むることが有害であると思うのであります、近年の戦争は多くは国家防衛権の名において行われたることは顕著なる事実であります、ゆえに正当防衛権認むることがたまたま戦争を誘発するゆえんであると思うのでありますなどと答弁しております。
  20. 高橋克法

    高橋克法君 引き続き、内閣法制局長官に伺います。  一方で、後に共産党議長を務められた野坂参議員は、昭和二十一年六月二十八日の衆議院会議において、憲法九条の規定に関してどのような発言をされておりますでしょうか。
  21. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 先ほどお答えした昭和二十一年六月二十八日の吉田総理答弁は、御指摘野坂議員質問に対するものでございます。その質問議事録の該当すると思われる箇所を読み上げます。  一体この憲法草案戦争一般放棄という形でなしに、我々はこれを侵略戦争放棄、こうするのがもっと的確ではないか、この問題について我々共産党はこういうふうに主張している、日本国は全ての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、いかなる侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない、私はこういうふうな条項がもっと的確ではないかと思うとあります。
  22. 高橋克法

    高橋克法君 次に、防衛省にお伺いしたいんですが、一九五〇年、昭和二十五年の警察予備隊創設、一九五二年、昭和二十七年の保安隊発足、一九五四年、昭和二十九年の自衛隊発足、それぞれ創設発足したとき、どのような政府見解でありましたでしょうか。
  23. 豊田硬

    政府参考人豊田硬君) お答え申し上げます。  警察予備隊及び保安隊につきましては、国内における平和と秩序を維持すること等を目的とする警察機能を担う組織であり、また、装備はその目的に応じたものでありましたことから、憲法第九条に規定する戦力には当たらないと解されておりました。  一方、自衛隊憲法第九条との関係につきましては、自衛隊発足直後の昭和二十九年十二月に当時の大村防衛庁長官から、「憲法第九条は、独立国としてわが国が自衛権を持つことを認めている。従つて自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のため必要相当な範囲実力部隊を設けることは、何ら憲法に違反するものではない。」との政府見解答弁しておるところでございます。
  24. 高橋克法

    高橋克法君 次に、外務省にお伺いします。  一九六〇年、いわゆる昭和三十五年の日米安全保障条約改定時には国民の意見が二分されました。当時、安保条約意義について、政府見解、伺いたいと思います。
  25. 中山泰秀

    ○副大臣中山泰秀君) 日米安保体制に関しましては、一九五一年、我が国独立を回復するサンフランシスコ平和条約署名の日と同日に旧日米安保条約署名、翌年に発効したことを起源とするものであります。その後、一九六〇年に日米安保条約改定をされまして、現行のものとなったのは事実であります。  同条約改定当時、政府といたしましては、同条約に基づく日米安保体制意義について、当時、冷戦構造下にあった世界の中で、我が国としても、日米連携の下、自由主義国の立場を堅持するとともに、我が国の平和と安全を確保していくとの従来の考え方に基づいているものであると思います。そういった趣旨説明を当時行っていたものと承知をいたしております。  その上で、一九六〇年の日米安保条約改定については、この改定により、米国による対日防衛義務が明記されたこと、我が国施設・区域の使用に関わる事前協議制度を含めたこと、日米安保体制を広範な政治経済上の協力関係の基礎の上に位置付けたこと、この条約に期限を定めたこと等の重要な意義があり、当時の岸総理大臣におかれましてもそういった趣旨を表明しており、戦後の日米関係歩みの中で対等な日米関係を目指したものであったと認識をいたしております。
  26. 高橋克法

    高橋克法君 日本国憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあります。これにのっとり、第九条では、「国の交戦権は、これを認めない。」といたしました。自衛のための戦争まで放棄するのはおかしいと当然の疑義を呈した当時の共産党野坂参三氏に対し、吉田首相は明確に自衛権を否定いたしました。  中学生の頃に自分は、この憲法こそは苦い経験を生かした歴史的快挙と思いました。何と高邁で崇高な考え方だと誇りにも感じました。世界日本の美しい覚悟に倣えば、戦争をこの世からなくすという人類の悲願が達成されるとも考えました。  そのときから長い時間が流れ、残念ながら、世界のどの国も、交戦権まで否定するという日本の美しい覚悟に倣う国はありませんでした。それどころか、この間に分かったことは、残念なことですけれども、私たちが信頼しようとした諸国民行動規範は公正と信義ではないという事実でありました。どの国も例外なく国益を中心に動いているという事実でありました。  自分は、理想を追求することを決して否定しているわけではありません。理想を追い求める姿は確かに美しい姿です。しかし、理想を追い求めるその姿を称賛されるのは学者や芸術家であって、政治は、その理想を実現したときに初めてその責任を果たしたことになる。現実の問題として、目の前に公正と信義を信頼できない国がある以上、安全保障政策上その国々に適切に対処をしながら、その上で理想を追求することこそが国民に対する私たちの責務であると思います。  副大臣答弁にもありました六〇年安保、このときに日本の国論は二分をしました。十万人を超える安保反対方々国会を取り巻きました。日米安保条約改定して、日米同盟の強化によって抑止力を高め、自衛のための戦いさえも起こさないようにするというのが当時の自民党政権考え方でした。片や、日米安保条約改定は、アメリカ戦争に巻き込まれ、日本アメリカの先兵として戦わなければならなくなるというのが反対派方々考え方でありました。どちらの考え方日本の平和を真剣に考えたものであったと私は思っています。  結果はどうであったか。六〇年安保改定から五十五年間、日本の平和は守られてきました。憲法で認められている自衛のための戦いさえもしないで済んだ、抑止力の勝利であったと私は考えています。  自民党の判断が正しかったことは歴史が証明してくれました。だからこそ、中谷大臣歴史が証明してくれているからこそ、私たちは謙虚に、国民皆様が現在抱いている漠然とした不安、つまり、米国戦争に巻き込まれるのではないかとか、憲法で許される自衛権範囲がなし崩し的に広げられるのではないかという思いに対して、しっかりとそのような不安や誤解を解消していかなければならないと思います。かつて日本は、軍部の暴走を止められず戦争に突入していったという事実があるからこそ、国民皆様の不安はもっともだと私は思います。  今回の法整備には、過剰な自衛権発動を防ぐための制度的な仕組みの構築がなされていると思いますが、国会承認を含め、具体的に分かりやすくその仕組みについて答弁をお願いします。
  27. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国が限定的な集団的自衛権行使を行うには、三つの大変厳格な要件全てを満たさなければなりません。これは、まず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生をし、これにより我が国存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があること、これを排除し、我が国存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、なおかつ必要最小限度実力行使にとどまるべきこと、これは世界的にも例のない非常に厳しい要件であります。  この三つの制約につきまして米国にも十分説明をしており、新たな日米ガイドラインの中では、日本武力行使をするのは日本国民を守るためだとはっきり書き込んでおります。このことは日本米国の共通の認識であります。また、実際に武力行使を行うために自衛隊防衛出動を命ずるに際しては、国会承認を求めることとなります。  このように、憲法国会が制定した法律に従って自衛隊を活動させるため、日本の意に反して米国戦争に巻き込まれる、憲法で許される自衛権範囲がなし崩しに広げられるということは決してございません。
  28. 高橋克法

    高橋克法君 外務省にお伺いしますが、これまで衆議院も含んだ平和安全法制特別委員会において、我が国を取り巻く安全保障環境が目まぐるしく変化しているという観点からの質疑が数多く行われてきました。  例えば、中国による南シナ海における岩礁埋立てや東シナ海における一方的な構造物の構築が指摘されていますが、そもそも東シナ海は日中で共同開発することが取り決められていました。この合意を中国が一方的にほごにし、海洋プラットホームを急拡大しています。これが軍事転用されるとキューバ危機の再来にもなりかねないと国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこ氏は警鐘を鳴らしています。  このような流れの中で、中国は二〇一〇年、平成二十二年になりますが、国防動員法という法律を制定、施行いたしました。この法律は、有事の際、国内外を問わず、中国国民の動員や戦略物資の徴用等、あらゆる分野を国の統制下に置くことを定めた法律であります。同法が発令されたとき、日本を含めた外資や合弁会社も適用対象になる可能性があることについて、国防動員委員会総合弁公室主任の白自興少将はそのことを否定しておりません。さらに、この法律の第九章、国防公務、第四十九条は、十八歳から六十歳までの男性公民及び十八歳から五十五歳までの女性公民は国防公務を担わなければならないと明記しています。  現在、在日中国人の数は約六十五万人。これは平成二十六年十二月現在でありますけれども、約六十五万人に上りますが、この法律の適用除外対象には含まれておらず、これらの在日中国人の方々も国防動員法は適用対象になると解釈することができます。もちろん、いたずらにその方々に変なレッテルを貼るつもりは一切ございませんけれども、この強硬な法律は明らかに戦争を意識しているとしか私には思えないわけです。  この法律は、アジアのみならず世界にとっても非常に脅威となると考えておりますけれども、どのような狙いからこの法整備を図ったものと外務省認識をされておりますでしょうか。
  29. 大菅岳史

    政府参考人(大菅岳史君) 御指摘の国防動員法でございますが、他国法律でございますので、その個々の規定、その解釈、さらに法整備の意図について政府としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、中国の国防政策全般の動向につきましては、この法律の具体的な運用の在り方を含め、しっかりと注視してまいりたいと考えます。
  30. 高橋克法

    高橋克法君 注視しているということは、この法律について我が国としてどのようにするかということはまだお決めになっていらっしゃらないということだと思いますが、注視をしている段階でも結構です、このような法律我が国としてどのように対応していくべきだと考えておられますか。
  31. 大菅岳史

    政府参考人(大菅岳史君) この法律の解釈につきましてお答えすることは差し控えさせていただきますが、その上で、御指摘のありました在日中国人への適用の可能性、御指摘ございましたが、この点について申し上げれば、委員指摘のとおり適用除外規定には在外中国人は含まれておりませんが、逆に、海外に居住する中国人にこの法律が適用されるという規定もないというふうに承知しております。  全くの一般論として申し上げれば、国際法上、一般に、ある国の領域において、その国の同意なく他国が公権力を行使することは許容されておりません。我が国としては、法令に従い、我が国の法令に従い、国民の安全や財産の保護等に万全を期すということになります。  さらに、中国国内の日本を含めた外資、合弁会社への適用についても御指摘がございました。この点につきましては、政府としましては引き続き、在留邦人の安全、日本企業の正常な活動の確保、財産の保護、こういったことのために万全を期してまいる所存でございます。
  32. 高橋克法

    高橋克法君 このような法律が制定、施行されたということは、中国にある日本の企業、合弁会社、この企業活動の将来を考えたときに非常に危惧を抱くわけなんですけれども、具体的に、注視をしていくということでありますが、そのようなときに日本としてどのような対応を取っていくのかという具体的な御検討はされているんでしょうか。これは、質問、事前通告していないんですけれども、現時点の段階で結構です。
  33. 大菅岳史

    政府参考人(大菅岳史君) お答え申し上げます。  この中国の国防動員法への対応ということに限らず、在外におります邦人の安全、日本企業の活動確保、これは重要な政府としての責務でございますので、そういった観点から可能な限りの措置をとっていくということでございます。
  34. 高橋克法

    高橋克法君 誤解ないように言っておきますけれども、決して、これは中国の国内法ですから、私たちがどうのこうの言えるものではないというのも分かっています。それから、国際法等もあります。  ただ、ただし、しかし、先ほど申し上げたように、この国防動員法の対象が、国外にいる中国の公民と言われている、中国公民に該当する方々にも適用されないという規定はどこにもないわけで、そういうことがある以上、これはいわゆる平和安全法制と同じですけれども、万が一のことを考えてしっかりとシミュレーションしておくということは大事だと思っているんです。決して、在日の中国人の方々に対して人権弾圧をしろとか、そういうことを申し上げているのではなくて、そういうことではないということだけは御理解をいただきたいと思っています。  平和を守るということは最も重要なことであります。自分も、地方自治体の長であったときに、何度も議会答弁で平和こそ最大の福祉と述べてきた経緯が、記憶があります。  しかし、残念なことに、平和の内容が十分に論じられてきたとは思えません。日本で語られている平和とは果たしてどんな平和であるのか、その平和の中身というのがどういう中身であるのか。あえて誤解を恐れずに言えば、日本で語られている、イメージされている平和というのは、単に戦争のない状態ということではないのかというふうに感じます。  だとすれば、戦争さえなければ、他国に支配された、言葉は悪いですが、奴隷の平和でもよいのか。そうは私は思いません。日本国憲法前文の趣旨からいっても、専制と隷従、圧迫と偏狭が存在し、恐怖と欠乏に支配されている状態は、たとえ戦争のない状態であっても平和とは言えないと思います。  四十年前に、ベトナム戦争のとき、ベトナム共産党のホー・チ・ミン主席は、独立と自由よりも尊いものはないという民族独立闘争の標語を掲げられました。米国の歴代政権が国家安全保障の究極の目標として自由を伴う平和と条件を付けるのも同じ趣旨であると思います。オバマ大統領も、ノーベル平和賞の受賞演説で、平和とは単に軍事衝突がない状態ではなく、個人の固有の権利と尊厳に基づかねばならないと述べられています。  日本は、大東亜戦争終了後、戦後の一時期を除いて、独立と自由を貫き、個人の固有の権利と尊厳に基づいた平和を実現してきました。この平和を実現できたのは、憲法の理念を守る信念と、それを実現するための手段としての抑止力強化のたまものであったと自分は確信をしています。  憲法の理念を実現するべく、その実現手段としての抑止力を高めることによって戦争を起こさないための平和安全法制法案であると私は考えていますけれども、残念ながら、平和安全法制法案に賛成する側、つまり私はその側にいますが、この平和安全法制法案に賛成する側は、あたかも平和自体に反対をするかのようなぬれぎぬを着せられているような気がしてならないです。  事は安全保障政策であります。安全保障政策の本質的な議論、そういったものをないがしろにすることによって、抑止力を含めて日本が不安定になること、このことがどの国を利することになるのか。安全保障政策責任を持たなければならない私たちはよくよく考える必要があると思いますが、そのような意味から、今回の法案の重要性、必要性について両大臣にその思いをお伺いしたい。よろしくお願いします。
  35. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 参議院において法案質疑いただいておりますけれども、野党の皆様方からの質疑も含めまして、安全保障環境の変化とか、またそれを受けた政策の必要性、さらに安全保障法制の具体的な内容につきまして大変幅広い観点から御質疑をいただいておりまして、議論は大変有意義なものであると認識をいたしておりますが、私どもにとりましては、現在の日本を取り巻く安全保障環境の変化に対応するためにこの法案は必要なものと認識をいたしておりまして、今後とも説明を続けてまいるわけでございますけれども、そういったことが伝わり、そして国民皆様方にも伝わっていくように、更に努力を続けてまいりたいと思っております。
  36. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 委員指摘のように、政府にとって、また政治にとって、国民の命、暮らし、自由を守り、そして国の独立を守るということ、これは大変重要な任務であります。  我が国は、戦後、憲法の平和主義の理念に基づいて平和国家として歩んでまいりました。この歩みはこれからも変わることはありません。そして、その中にあって、国の外交・安全保障を考えた場合に、まずは外交を通じて我が国にとって好ましい国際環境をつくっていかなければならない、この外交努力を続けなければならないということが外交・安全保障政策における要諦であるということ、これは一昨年十二月の国家安全保障戦略の中にも明記されているところであります。  そして、こうした外交をしっかり進めながら、あわせて、我が国は万が一の場合に切れ目のない備えを準備しておかなければならない。今回の平和安全法制は、まずはこの万が一の場合の切れ目のない対応をしっかり用意をするということ、そしてあわせて、今国際社会に目を転じますと、どの国であっても一国で自らの平和や安全を守ることができない、これが国際常識になりつつあるこの現状において、我が国は、自らの平和や安全を守るために、アジア太平洋地域あるいは国際社会の平和や安全をしっかり守っていかなければならない。我が国は、こうした国際社会に対するしっかりとした貢献をしていくことを考えなければならない、この我が国の国際貢献についてもこの平和安全法制の中で御議論をお願いしています。  こうした切れ目のない対応、そしてしっかりとした国際社会の平和と安全を守っていく努力、これが合わさることによって、ひいては我が国の平和や安全をしっかり守ることができる、こういった考え方に基づいて平和安全法制の御議論をお願いしております。  こうした基本的な考え方をしっかりと国民皆様方にも説明をさせていただき、引き続き丁寧な議論を、説明をさせていただくことによって、より多くの方々にしっかり理解をしていただく努力を続けていきたいと考えます。
  37. 高橋克法

    高橋克法君 総理は戦後七十年の談話の中で、「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。 事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。」と、平和に対する思いが凝縮された談話を発表されました。  安全保障環境は、北朝鮮の核、ミサイルや中国の海洋進出、テロの脅威等、ますます厳しくなってきておりますが、国民の命と平和な暮らしを守ることは政治、行政の最大の責務であります。そのための平和安全法制であるというふうに私は考えております。  何度かこの委員会でも質問をされていますけれども、確認としてまた質問をさせていただきますが、徴兵制の心配は全くないということ、このことの確認をしたいと思います。防衛大臣
  38. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 累次国会でも明言をいたしておりますが、我が国におきましては憲法上も徴兵制は取り得ないわけでございまして、今後とも私も徴兵制につきましては絶対に取らないということを思っておりますし、また、この際、発言もさせていただきます。
  39. 高橋克法

    高橋克法君 先ほどもちょっと触れましたけれども、平和安全法制が成立をすると我が国戦争に巻き込まれるという主張もあります。  しかし、近年の安全保障環境の変化に対応して日米同盟を強化し抑止力を高めることがこの法案でありますから、分かりやすく言えば、現状がこれまでより戦争のリスクが高まっている状態であり、そのリスクを抑える戦争抑止法案なのである、法案を制定しないことの方がより戦争に巻き込まれるリスクを高めることになるのではないか、そのように考えておりますけれども、その辺のところはどのようにお考えでしょうか。
  40. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在の国際情勢等を見てみますと、もはや他国で発生した事案が我が国の安全保障に関わるようなことでもないわけでございますし、日本は一国のみで国を守るということはできない状況になってきておりまして、こういった状況におきまして、やはり基本的には日米安全保障条約に基づく日米同盟、これを更に緊密に連携強化をすることによりまして、この抑止力、そして何か発生した場合の対処力、こういうことをしっかり持つことによって国の安全をより確かなものにしていくということは必要でございます。  しかし、それ以前に、何といっても外交による努力というものは大前提でございまして、こういった安全保障を損なうような事態が発生しないように、多くの国々とも協力、協議をしつつ、我が国周辺地域の平和と安全を図っていく。これは、外交と安全保障、まさに車の両輪のごとく相まって国として行わなければならないものであると認識をいたしております。
  41. 高橋克法

    高橋克法君 外務大臣にも同じ質問でありますけれども、今の私の質問に対しての所感をお願いしたいと思います。
  42. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、政府としまして、国民の命や平和な暮らしを守るということ、大変重要な役割であります。  そして、今回の安全法制ですが、しっかりとした平和外交を進めた上で万が一の場合に切れ目のない対応を用意する、そのことによってリスクを低減させる、そしてこうした不測の事態を発生させないようにする。こうした基本的な考え方があり、そして一方で、我が国国際社会にしっかりと貢献をしていく、国際社会の平和と安全にしっかりと貢献をしていく。このことによって、我が国にとって好ましい国際環境を実現して、そして、ひいては我が国国民の命や暮らしを守っていく、そしてリスクを低減させていく、こういったことにつながる。これがこの平和安全法制の基本的な考え方であります。  こうした法制をしっかりと進めることによって、我が国国民の命や暮らしにおけるリスクは低減することにつながっていく、このように考えております。こういった考え方、引き続きしっかりと説明をさせていただきたいと考えています。
  43. 高橋克法

    高橋克法君 最後に、常に僕が手帳に挟んでいる吉田茂総理昭和三十二年二月の防衛大学第一回卒業式の式辞を申し上げます。  君たちは、自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし、自衛隊国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡のときとか、災害派遣のときとか、国民が困窮し、国家が混乱に直面しているときだけなのだ。言葉を換えれば、君たちが日陰者であるときの方が国民日本は幸せなのだ。どうか耐えてもらいたい。  この言葉は常に心に刻んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  44. 小川勝也

    小川勝也君 おはようございます。民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  二回目の質問でございまして、序盤が終わったところで若干の感想を述べさせていただきたいと思います。  法律の本数が多いということと立て付けにたくさんの問題点があるということで、多分、両大臣が想定されている以上のことを可能にする条文によってこの複数の法律が組み立てられているということが分かったんだろうというふうに思います。ですから、我々は、法理上、条文上ということで様々な質問をさせていただきます。  しかし、現行安全保障環境や、いわゆる皆さんのお立場ですけれども、集団的自衛権の解釈を変えて、憲法の解釈を見直してできるようにしたという今、こんなことまではしないということをいわゆる条文の間に読めて取れる、こういう立て付けになっておりますので、我々も審議をするのに大変苦労するし、国民の皆さんも大変不安に思っている、理解しにくいと、こういう状況に今陥っているのではないかというふうに思っています。  大事なことは、安倍政権や安倍総理や中谷防衛大臣がやるかやらないかではなくて、後の権力者や後の総理大臣が可能だということを認めた上で議論を進めさせていただかなければいけないということであります。このことを踏まえて御答弁をいただきたいと思います。  昨日も同僚の水岡議員から、いわゆるところの武器等防護に関する質問がありました。裏口入学という言葉を彼は使いました。集団的自衛権行使という大きな事柄、あるいは衆議院議論憲法問題が起因をいたしました。それから、今回の安全保障法制を議論するに当たって、新三要件、こういう重要なキーワードもありました。  安倍総理は様々な表現を使いますけれども、木を見て森を見ず、こういう言い方あります。しかし、今回、この十一本の法案の中に様々な事柄が隠されているとするならば、ある有識者は私にこういう言い方をいたしました、木の葉を隠すなら森の中に。これだけ十一本の法案があると、何がどこに隠されているのか分からない、これが今回の法案の大変難しいところであります。  なかなか真理が分からないわけでありますけれども、少しずつひもといてまいりたいというふうに思っているところであります。  この武器等防護、アメリカ合衆国に対してもこれができるようにいたします今回の法改正であります。この必要性について、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
  45. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 小川委員もかつて防衛副大臣をされまして、我が国の安全保障、これに貢献をされたわけでありますが、やはりこういった現状におきまして、あらゆる事態に切れ目のない対応をしてしっかりと国を守るということを行う上において、まだまだ法律を見直して整備をしなければならないところがございます。  その一つがこの九十五条の二でありまして、これはあくまでも米軍等の武器等に対する武力攻撃に至らない侵害に対応するためのものでございまして、現在は自衛隊の武器、兵器のみが対象になっておりますけれども、やはり、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事をしているというような米国を始め、関係国がまさに我が国の防衛のために貢献をしているときに、日本は何もこれに対して防護をする必要がないということは、現実的に現場の自衛官におきましても大変苦労をするところがございますので、そういうところをちゃんと対応するという趣旨で、九十五条二、これを提案をしているところでございます。
  46. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど来申し上げましたとおり、法律の立て付けではいろいろできることがあるけれどもしないという事柄がたくさんあります。  今回のこの九十五条の二は、防衛大臣が指示を出すことになろうかと思いますけれども、これは具体的に指示を出すことはありますか。
  47. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在の九十五条も防衛大臣が指示を出しております。PKO活動にしても、我が国の警戒監視にいたしましても、自分の国の武器を守るということにつきましては、法律規定されておりますが、これ一つ一つ防衛大臣が指示を出すということでございまして、今回、日米の同盟関係におきましても、我が国の防衛に資する活動を行っているというような場合におきまして、いろんなケースがございますけれども、その都度都度、防衛大臣自衛隊に対して、自衛官に対して指示を出すということでございます。
  48. 小川勝也

    小川勝也君 総理のこの委員会における様々なフレーズ、特に覚えております。安全保障環境の変化、それからどの国も一国のみにてその国を守ることができなくなってきている、あるいは切れ目のない防衛体制、それから相手の立場に立ってと、こういうキーワードがあります。  すなわち、今防衛大臣が御答弁いただいたのは、日米安全保障条約及び抑止力の概念でいうと、基本的には日本アメリカに守ってもらうという立場であったけれども、今後、アメリカの要請と防衛大臣の指示があればアメリカの武器等を日本自衛隊が守る、自衛官が守る、こういうことでよろしいでしょうか。
  49. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これまでも日米安保条約に基づいて日本の安全保障が実施されていたわけでありますが、これはあくまでも、やはり我が国が主体的に考えて日米間で協議をして実施をしてきたわけでありまして、今後もそのとおりでございますが、基本的にこれは自衛隊と連携をして我が国の防衛に資する活動に現に従事をしているということが大前提でございまして、あくまでも主体は日本が判断することでもあり、またその目的というのは、我が国を防衛する、守っていく、この間の他国との協力関係をより緊密にするということが趣旨でございまして、日本が主体的に判断をし、また行動するということでございます。
  50. 小川勝也

    小川勝也君 先ほどの質問者は、最後に吉田茂元総理の防衛大学の卒業式でのいわゆるスピーチを例に取られました。私事でありますけれども、私も、様々な自衛隊の行事において、訓練をしっかりしていただきたい、いただいていることによって我が国の平和が守られている、しかし活躍してほしくない、活躍させたくない、戦場に送りたくない、それは政治の役割だと私も申し上げております。これは大臣も同じだと思います。  しかし、防護という言葉はファンタジーではありません。危険だから防護する、武力行使に至らないというのは誰が決めたんですか。ということは、もし日本の艦船が、イージス艦でもいいです、アメリカの船、これは空母でもイージス艦でもいいです、日本のイージス艦が反撃能力をもって、アメリカの艦船が撃たれたときに私たちの船が武力行使をするということが防護じゃないですか。これは認めてください。
  51. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 武力行使というのは、国や国に準じるものに対する、組織的な武力攻撃に対して、こちらも武力行使をもって、自衛権をもって対応するということでございますが、それに至らない場合における武器使用というのがございます。こういった日常時、警戒監視をしていたり、またPKO活動もございますけれども、こういった場合に安全を確保する上においての武器使用という観点でありまして、この九十五条の二というのはまさに武器の使用という分類にございます。  空母とかイージス艦が守られるかという話もございましたけれども、ミサイルで撃たれるというだけが米艦の危険な状況ではなくて、あらゆる事態がございますので、そういった事態に対して米国をこの九十五条の二をもちまして対応するということでございます。
  52. 小川勝也

    小川勝也君 日本の艦船がアメリカの船を防護する、そのときにどういう攻撃がアメリカの艦船に来るかは防衛大臣の希望どおりには来ないんです。潜水艦から魚雷を撃ち込まれたらどうするんですか。我が国のイージス艦からアスロックミサイルを発射するんでしょう。ちゃんと答弁してください。
  53. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、自衛隊法の九十五条で対応いたしておりますが、これは条文上、「現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。」と規定をいたしておりまして、条文上も、国又は国に準じる組織による戦闘行為に対処して警護や武器を使用することがない、すなわち武力の攻撃に対応するものではないということを明確にしておりまして、その範囲内でございます。  これはやはり大臣として通常の任務を与えておりますので、その範囲の中におきまして、現場で対応する自衛隊の部隊、これが判断をして対処をする、警護をするということでございます。
  54. 小川勝也

    小川勝也君 先日総理が来られたときに、米艦防護の議論をさせていただきました。その次の日、私と総理のやり取りを受けて、防衛大臣自民党質問者で、イージス艦が一隻で来ることもあり得ると、日本の船が守ることもあり得るとわざわざ答弁しました。  それから、防衛大臣が希望に思っている状況でアメリカに対する攻撃が行われるわけでもありませんし、防衛大臣が望むタイミングで攻撃が仕掛けられるという保証はどこにもないんです。いつ、どのようなときに攻撃を受けても攻撃を仕返す、それによって防護をするということが武器等防護じゃないんですか。ですから、きちっと認めていただかないと次に進めませんよ。  アメリカ日本の船が共に行動していて、アメリカの船が攻撃を受けて、魚雷です、そして日本のイージス艦にだけ反撃能力がある、私たちのイージス艦はすぐさまアスロックミサイルを発射してその潜水艦に武力行使をしないと、防護することにはならないんじゃないですか。
  55. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法律の内容にいたしましても要件にしましても、武力行使を伴うものではないということは事前に米側にももう既に説明をいたしておりますし、こういう任務を行う場合には当然米側と調整をし、また米側の行動等も把握をした上で対応するわけでございますので、あくまでも法律範囲内におきまして米側を、米国等を防護するということになるわけでございます。  その上で申し上げますと、九十五条の二の武器使用につきましては現行の九十五条と同様でありまして、武器等の退避によってその防護が不可能である場合等、他に手段のやむを得ない場合でなければ武器を使用することができないこと、また、防護対象の武器が破壊された場合や、相手方が襲撃を中止をし、また逃走した場合には、武器の使用ができなくなること、また、正当防衛、緊急避難に当たる場合でなければ人に危害を与えてはならないことなどの要件が満たされなければなりませんので、警護を要請する米軍等に対しては、これらの武器使用要件を事前に十分説明をしまして、これらに合致しない場合に自衛隊が武器を使用することにはならないということに対しては理解を得るということで、そういう前提で警護の実施をするということでございます。
  56. 小川勝也

    小川勝也君 質問者の予定どおり、どつぼにはまってくれましたですね。  相手の立場に立ってというふうに総理が言っております。相手はどういう人に防護してもらいたいでしょうか。攻撃を受けたときに、るる法律条文に照らし合わせて、反撃ができるのかできないのか、ああでもないこうでもない、考えている人に守ってほしい人はいません。  もし今大臣答弁したとおりであるとするならば、自衛隊法第九十五条に規定する武器使用行使要件、これは平成十一年のいわゆる特別委員会の理事会に提出した資料で、今まさに防衛大臣が言ったことです。二番なんて、これ大変なことですよ。こんなことをアメリカの艦船に言うんですか。恥ずかしくてこんなこと言えませんよ。二番読んで、本当に退避、アメリカの船にしてくれと言えるのかどうか、答弁してください。
  57. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、法律で定められたことは自衛隊はできませんので、ここの法律で提案したこと以外はできないということでございます。  今から十四、五年前、九・一一が発生したときに、横須賀から空母が東京湾を出る際に自衛隊の船が横で伴走しました。それでさえ警護を行ったんじゃないかとかなり指摘がありましたけれども、今の状況はそれすらできないんですね。そういった平時における警護すらできない。  しかし、憲法範囲内でできることはできないか、武力行使にならない範囲でこういった警護、対応ができないかということで今回の法案を提案したわけでありますので、これは米側にもそのことにつきましては事前に説明をいたしておりまして、そういう前提で警護を行うということでございます。
  58. 小川勝也

    小川勝也君 警護じゃなくて防護の話でしょう。  それで、三番は何ですか、武器使用はいわゆる警察比例の原則に基づきって。日本のイージス艦がアメリカの船を守るときにどういう守り方をするのか。警察比例。この警察比例はどういうことですか。
  59. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現行法の九十五条と同様でございまして、武力行使にならない範囲でございまして、そういう場合の武器使用等につきまして九十五条におきましては警察比例、これの原則に基づくものといたしております。
  60. 小川勝也

    小川勝也君 警察比例の原則は何ですかと聞いているんです。防衛大臣が命令を出すんですよ。そして、三番の警察比例の原則に基づいて武器使用しなさいと自衛官に命令するんですよ。警察比例って何ですか。
  61. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 相手の武器使用に応じてこちらもそれに対応する武器使用を行っていくということで、過剰にこちらから防衛とか警護をしないということで、一般的に警察比例ということで考えているわけでございます。
  62. 小川勝也

    小川勝也君 世界の国々があります。集団的自衛権や集団安全保障でお互いの船を守り合う行動に出る軍隊や国があるかもしれません。  警察比例の原則に基づいて行動する軍隊は、ほかにどういう国がありますか。
  63. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 日本の場合は、憲法武力の威嚇、こういった武力行使、これはしないということでございまして、我が国の対応等につきましては、法律武力行使については定められておりますが、それが行われる前の段階におきまして、自衛隊の活動、これが武力行使とか武力の威嚇等によって新たな不測の事態が発生をすることがないようにというようなことで、警察比例でというように定め、指示をしていることでございます。
  64. 小川勝也

    小川勝也君 全然答えになっていないんですけど。
  65. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 改めまして、その警察比例とは何かということで、これは、我が国として武力行使にならないために、自衛隊の活動に対してやはりこれは制限、制約を付けておかないと、自衛隊の判断によってこれ不測の事態が発生するということは、この武力の威嚇又は武力行使につながるということにならないために、このようにいたしているわけでございます。(発言する者あり)
  66. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めて。    〔速記中止
  67. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  68. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この武力行使というのは国際的な法律、国際法に基づきますが、その前の段階で武器の使用というのは、他国も同じように相手に応じて合理的に対応しているという国がございまして、それはROEという交戦規定や武器使用基準、これで定められております。  我が国におきましては警察比例の原則ということで、その手段、態様は除去されるべき障害の大きさに比例しなければならず、選択可能な措置のうち必要最小限度にとどまらなくてはならないとする原則と言われております。
  69. 小川勝也

    小川勝也君 ということは、アメリカの艦船を防護していて、いわゆる潜水艦からの魚雷が撃たれたら、警察比例で撃てるんですね、アスロックミサイル。それしか防護したことにならないんです。これをやるのかやらないのか言ってください。
  70. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この法律につきましては武力攻撃には対応できないというのは前提でございますが、それぞれ個別具体的なケースもございます。日米におきましては平常時から共同訓練等を実施をいたしておりまして、いろんなケースに対して対応できるような、そういった訓練をいたしておりますし、また当然、日米間で協議もするわけでありますが、あくまでも前提としては、もう既に事前に米側に日本の対応できることは伝えておりますので、その範囲の中での対応ということでございます。
  71. 小川勝也

    小川勝也君 先ほど申し上げましたとおり、防衛大臣が希望するシチュエーションにだけアメリカの艦船は攻撃を受けるわけじゃないんです。どんな攻撃にでも対処できるということが防護であって、こういうときはできる、こういうときはできない、こういうときはやりたくないというのは、防護するというふうには言わないんじゃないですか。  私がアメリカだったらそんな国に防護してほしくないけど、どう思いますか。
  72. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、法律がございませんので、対応できないんです、今は。全く米側とも話ができません。  しかし、この法律ができますと、日本ができることについては具体的に米側にも話をするわけでありますので、米側にとりましては大変有り難いという存在になるわけでございますので、いずれにしましても、この九十五条の二の内容に限って、その範囲で対応するということはもう米側に説明いたしますので、その範囲での警護をするということでございます。(発言する者あり)
  73. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止
  74. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。  もう一度質問しますか。
  75. 小川勝也

    小川勝也君 防衛大臣が希望するシチュエーションで米艦がいわゆる攻撃を受けるわけではありませんので、どんな場合でも対処できるということが防護するということになります。  ですから、アメリカの立場に立って私が考えるとするならば、そんな都合のいいときだけ防護してくれる人に防護してはほしくない、そうじゃありませんかと大臣に問うています。
  76. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊法律範囲で対応し、警護するわけでございまして、警護をする米軍等に対しては、これらの武器使用要件を事前に十分説明をして、これらに合致しない場合に自衛隊が武器を使用することはないと言って理解を得ることになりますし、理解が得られていることが警護の実施の前提となります。  そして、実際の警護につきましては、自衛隊と連携して活動している警護部隊、対象の部隊と相互に緊密に連携を取るということになりますので、警護部隊の置かれている状況から武器の使用要件が満たされているかどうかを主体的かつ適切に判断することが可能でありまして、要件を満たさない場合に武器を使用することはないということは米側にも理解をしていただいているところでございます。
  77. 小川勝也

    小川勝也君 武器を使用することができない場合があるということ自体が、私は防護をすることにならないのではないかというふうに言っています。都合のいいときだけ防護できるので防護するということにはならない、あらゆる場面で防護ができるということが、私はその武器等防護に米艦あるいは米国の武器を加えることが成立するんだと思いますけれども、いかがですか。
  78. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは憲法範囲内でということで法律を考えたわけでございまして、日本武力行使をしてはならないという前提で九十五条の二というものを考えて提案をしているということでございます。
  79. 小川勝也

    小川勝也君 実はできないんですよ。できないのにできるふりをしたい、これが法案の中身です。  武器等防護の武器というのは何かといいますと、先ほども質問者が歴史説明してくれました。いわゆるところの警察予備隊ができたときに、吉田総理とGHQから相談を受けた法務総裁は、何とかこの警察予備隊の枠組みをつくった後、インタビューにこう答えています。このとき考えた予備隊の性格、内容は、警察の裏にいる強力な部隊で、相当高度な武装をしているものというもので、機関銃程度のものは持たなければいかぬという考え。これが武器等防護の武器です。  それから、その後、保安隊にも言及していただきました。保安隊になって、この武器等防護の原型ができ上がります。これは残念ながら武器等防護ではありません。武器庫等防護です。保安隊ができたときに、保安隊と警備隊ができて、そこに武器弾薬を保管する、その場所をいわゆる保安隊の人たちが警備をし、武器使用が可能だというのがこの武器等防護の原型です。それを、事もあろうに、アメリカの空母や船まで防護できるというのは法律に対する冒涜なんですよ、これ。こんなふざけた法律アメリカの船を守るなんというのはおこがましい。私は、もし内閣法制局がまともに機能していたら、こんな法案は絶対に通るはずがないと思う。  もう一個、捨てぜりふに言わせていただきますと、自衛官は、アメリカ合衆国の軍隊、その他の外国の軍隊、その他これに類する組織を防護できるんです。我々の国は、日米同盟あるいはACSAを結ぶ諸国もあるかもしれません。しかし、無尽蔵に守れる武器等を増やしてどうするんだと、この法律は。法制局にまともな審査権限が、そして能力があるときには、私はこういう法律は出てくるはずもなかったと思います。  それから、隣で隊長がうなずいてくれています、我々の国のイージス艦はすばらしい性能を持っています。先日の委員会でも申し上げましたけれども、乗組員も指揮官もモラルも世界最高です。そして、武器も最高です。しかし、私たちの国、先ほど大臣が言っていただいたように、憲法があって、憲法の上に様々な法律が作られている。ですから、例えば、刑法、刑事訴訟法、それから軍法、軍事裁判、こういうことがないと武器使用武力行使もできないんですよ。ですから、大臣は、これはなかなかできないことが多いというふうに言ってくれました。こんな未整備な法律の中で、自衛官に、アメリカの武器等を防護して万が一に裁かれるようなことがあったら、私は指揮官として、最高責任者として大変な責めを負うことに大臣がなろうかと思う。  ですから、私は、今回、この法律は武器等防護ができたらいいなという願望ですよ、これは。こんな実態のない法律を出してきたんじゃ駄目なんですよ。十何本もまとめて、木の葉をこういうところに隠して、ずたずたの法案を出してくることは許されません。  私は、今回の安全保障法制は将来に禍根を残す、絶対に成立させてはいけないということを申し上げて、質問を終わります。
  80. 大野元裕

    ○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。  両大臣、連日お疲れさまでございます。今日も引き続き、我が国の喫緊の課題には応えず、領土、領海すらまともに守れないこの安保法制について質問をさせていただきたいと思っております。  なお、お疲れだと思いますけれども、是非、私が質問をするときには、秘書官の言葉ではなくて私の言葉に是非耳をお傾けいただき、真っすぐに質問にお答えをいただけますようお願いをさせていただき、早速質問に入らせていただきたいと思います。  まず、外務大臣にお伺いをしたいんですけれども、これまで我が国は在外の邦人、この保護について、自衛権の名目で在外邦人の保護を実施したり、あるいは在外邦人の保護のために自衛権行使を主張した、こういったことがかつてあったでしょうか、教えてください。
  81. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず最初に、結論から先に申し上げるならば、我が国として邦人の保護に際しましてこの自衛権を援用した事例、これは存在いたしません。  邦人を守るということ、これは政府にとりまして大変重要な役割であり、今回の法整備においても充実を図ったところでありますが、一方で、これは当然のことながら憲法上の制限が存在いたします。新たに設ける在外邦人の保護措置は、昨年のこれ閣議決定の中でも示されておりますが、領域国の同意に基づいた武力行使を伴わない警察的な活動として行うこととしております。領域国の同意がある場合に、その同意が及ぶ範囲、すなわちその領域において権力が維持されている範囲で活動する、これが前提であります。  したがって、警察権を援用したものではないということでありますし、先ほど申し上げましたように、今までも自衛権を援用したことはないということでございます。
  82. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございます。  質問したいのはそっちの方向ではないんです。  法制局の長官にお伺いをさせていただきます。  ある国が公海上で邦人を乗船させた第三国の民間船舶に対し武器の使用を行った、ある国が公海上でですよ、第三国の民間船舶、商船に乗っている邦人に武器の使用を行った、これは自衛権行使するケースに該当するかどうか、イエスかノーかで結構でございます、お答えください。
  83. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御指摘要件のみで、我が国として自衛権行使できるとまでは言えないと思います。
  84. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございます。大変簡潔な答弁、感謝いたします。  それならば、法制局長官、今と同じケースなんですけれども、その邦人を乗せた商船なり民間船舶を攻撃した国が日本に対する攻撃をほのめかしている場合、ほのめかしている場合に、第三国の民間船舶に乗った邦人が攻撃された場合、我が国自衛権行使するケースに相当するかどうか、教えてください。
  85. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) お答えは先ほどと同じでございます。
  86. 大野元裕

    ○大野元裕君 全く同じ理解で私もございます。  そうすると、外務大臣、確認しておきますけれども、在外にいる邦人だとか、公海において助けを求めている、攻撃されている自国民保護、これを自衛権行使して行うということは我が国の現在の法制上あるんでしょうか、教えてください。
  87. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 在外そして公海において自衛権行使して邦人を守るというケース、先ほど法制局長官からの答弁の事例も含めまして、それは現状難しいと考えます。
  88. 大野元裕

    ○大野元裕君 法制局長官、もう一問、別なケースですけれどもお伺いしたいんですけれども、アメリカと交戦をしているある国があります、アメリカと交戦をしているある国があります。この国が公海において米軍の艦艇を攻撃をしました。これを、自衛艦がこの米艦を防護するということは、一般論としてフルセット、フルスペックの集団的自衛権行使と理解してよろしいでしょうか。
  89. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 新三要件に該当しない事態であるならば、それはフルスペックの集団的自衛権行使しなければできないことであろうと思います。
  90. 大野元裕

    ○大野元裕君 それならば、このアメリカと交戦している国が日本に対して攻撃をほのめかしている、こういう場合、同じように公海において米軍の艦船を攻撃したと、それに対して自衛艦が守るという場合は、同じようにフルスペックの集団的自衛権行使というふうに理解してよろしいでしょうか。
  91. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) まさに先ほどお答えしたとおりでございまして、新三要件に該当しないのであれば、それはフルスペックの集団的自衛権の問題になろうかと思います。
  92. 大野元裕

    ○大野元裕君 ありがとうございます。一番から六番までこんなにスムーズに進んだ委員会はここまでなかったというふうに思いますので、しっかりお答えいただいたことに感謝を申し上げます。  ここからなんです、大臣。資料があります。この配付させていただいた資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。皆さん、この二枚目です。  ちょっと教えてほしいんです。一番左のケースというのは、武力攻撃が発生していない場合で、退避邦人が乗船するような民間船舶、あるいは単なる邦人でもいいです、乗船する民間船舶に外国軍が攻撃した場合には、これは自衛権の適用はできないんですね、先ほどお話があったとおり。今二つ目、法制局長官からありました。この一般的に公海で米軍が攻撃をされているときに外国軍から攻撃を受ける、そのときにはフルスペックの集団的自衛権だというふうに言われました。  ところが、この一枚目に戻ってほしいんです。これ、さんざん安倍総理が出してきた邦人輸送中の米輸送艦の防護、これは子供やお母さんが乗っていて、米艦、アメリカ輸送艦なりアメリカの軍艦、乗っている船、これが攻撃された、これを自衛艦が守るケース。これは、たしか集団的自衛権行使の必要なケース、あるいはこれがなければ守れないというふうな御説明をさんざんいただいてきたケースだと私は思うんですが、もう一度二ページ目に戻ってください。  一番のケースは自衛権には当たらない、二番のケースはフルスペックの集団的自衛権、これとこれを足したものが一番右、退避する邦人が乗船する米軍に対する外国軍のケースなのに、なぜこれが集団的自衛権の新三要件に当てはまる限定的な集団的自衛権行使に当たるのかが私には到底理解ができないんです。つまり、誰に対してこれは集団的自衛権行使対象として、誰に対して立法事実があるのか。邦人保護のケースだとすれば、これ自衛権行使ですらないんですよね。あるいはアメリカ軍に対する攻撃であるとすれば、これは限定的集団的自衛権行使では一般論としてないんですよね。  防衛大臣、お伺いします。  このケース、お分かりになりますよね、一と二を足すと三になる。つまり、今まで事例の八とおっしゃって、与党の協議でも御党が恐らく公明党さんに説明されたケースだと私は理解をしておりますけれども、このケースはどういう理解で存立事態が構成されるんでしょうか。邦人が攻撃されるからでしょうか、それとも米軍が攻撃されるからでしょうか、教えてください、防衛大臣
  93. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態の認定というのは新三要件でございまして、すなわち、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況の下、武力を用いた対処をしなければ国民我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況ということでございまして、このような場合に新三要件という厳格な要件の下でやむを得ない自衛の措置として武力攻撃が許容されるということで、この右側におきましては、そのような存立危機事態が発生した場合に限定的な集団的自衛権行使がし得るということでございます。  一枚目の絵との関係におきましては、これを、こういった限定的な集団的自衛権説明をする際に、現状におきましてはこういうケースにおいては邦人を保護することはできないということでございますけれども、今回こういった法律の対応をした場合に、それが存立危機事態と認定をされれば可能になってくるというような説明のために使われた資料でございます。
  94. 大野元裕

    ○大野元裕君 現状におきましてできません、そこは分かりました。現状、そうですよね。他方で、これ新三要件に該当すればという話ですが、我々ずうっと納得していないのは、新三要件に該当するケースがあるんですかというケースを、実はホルムズ海峡の場合も、それから米艦防護の場合も、この女性や子供を乗せた場合も、議論をさせていただいているんです。  私、分かりやすく書きました。新三要件になぜ該当するのか。該当すればじゃないんです、なぜ該当するかについて、このまさに示された例が該当するというのであれば、これ邦人が民間船舶に乗っている、これが攻撃されたときに、仮に我が国存立根底から覆されるのか。これ、疑問が付きます。真ん中のケース、米軍が攻撃を公海で受けたときに要請があって我が国が対応する、これは一般論で言うと限定された新三要件には当たらないような気がするので、だからこそ、これとこれを足したケースではどうして限定的な集団的自衛権行使を可能にする新三要件に当たるのかということを聞いているわけで、当たればということは一切聞いておりませんので、どうして当たるのかをもう一度明確に御説明をください。
  95. 中谷元

    国務大臣中谷元君) ちょっと質問趣旨、十分理解しておりませんけれども、要するに、右の端の該当するケースといたしましては、新三要件を満たした場合でございまして、邦人が乗っているのか乗っていないのか、そういった実例もございますが、邦人が乗っていないからといって存立危機事態に該当するということは決してないわけでございまして、存立危機事態に該当するか否かを判断するに当たりましては様々な要素を考慮して総合的に判断することを申し上げているところでありまして、それに該当する場合であれば、一ページ目のように邦人を乗せている艦艇、これを防護することができるという説明をしているところでございます。
  96. 大野元裕

    ○大野元裕君 該当する場合であればではないんです、大臣。なぜ該当するかを聞いているんです。それだけです、私が聞いているのは。是非、そこだけで結構ですから、お教えください。
  97. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 邦人を乗せた米国の艦艇が武力攻撃を受ける事例につきましては、我が国近隣で武力紛争が発生をし、米国武力攻撃を受けております。攻撃国の言動から我が国にも武力攻撃が行われかねない、このような状況においては、取り残されている多数の在留邦人を我が国輸送することが急務となっておりまして、そのような中で在留邦人を乗せた米国船舶が武力攻撃を受けるような明白な危険がある場合には、状況を総合的に判断をして存立危機事態に当たり得るということを説明をさせていただいているところでございます。
  98. 大野元裕

    ○大野元裕君 先ほどの答弁で、邦人が乗っていようがいまいが、いることは関係ないとおっしゃったじゃないですか。今おっしゃったのは、邦人が退避する場合にそれを総合的に判断してと。どっちの答弁が正しいのか、もう一度整理して答えてください。
  99. 中谷元

    国務大臣中谷元君) お話をさせていただいたように、存立危機事態に当たるかどうかということがポイントでございまして、今御説明をいたしました……(発言する者あり)在留邦人を乗せたケースにつきましては今説明をしたとおりでございます。それ以外のケースもあり得るということを説明させていただきましたが、在留邦人を乗せた船舶の、米国の船舶が武力攻撃を受ける事例につきましては、ただいま説明をしたような状況でございます。
  100. 大野元裕

    ○大野元裕君 ますます私、分からなくなってきました。  邦人が攻撃されている場合、邦人だけでは、自衛権、これ行使すらしないわけですよね。そこはそれでよろしいですよね。  それで、乗っていようが乗っていまいがという話で、御説明しましたと言われても、邦人が退避することについて、私、まともな説明を聞いたようには思えないんです。  その上で、改めてお伺いしますけれども、邦人が、退避する邦人が米軍の軍艦に乗っている、これについて、どこが存立危機なのか、どこが明白に根底から覆される危険に当たるのか、教えていただきたいと思います。
  101. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機に当たるかどうかということでございまして、その邦人を乗せたケースにおきましては、まず近隣で武力攻撃が発生、そして米国武力攻撃を受けておる、そして言動から我が国にも武力攻撃が行われかねない、そのような状況において、取り残されている多数の邦人を我が国輸送することが急務になると。そのような中で、在留邦人を乗せた米国船舶が武力攻撃を受ける明白な危険がある場合は、状況を総合的に判断をして、存立危機事態に当たり得るということを説明をしているところでございます。  総合的に判断してということにつきましては、累次説明をしているように、相手国の意思とか、また場所とか、また我が国武力攻撃を受ける蓋然性とか、国民が受ける被害の重大性、深刻性、こういうことを総合的に判断をして、存立危機事態に当たり得るかどうか、これを判断するわけでございます。
  102. 大野元裕

    ○大野元裕君 全く分かりません。  大臣我が国が攻撃を受ける、そのまま放置すればですよ、攻撃受けるかもしれない、我が国に対するその攻撃をほのめかす、あるいは、つまり、存立根底から覆されるような事態がある、これが例えば朝鮮半島で起こっていると。これをもって存立危機事態に実は今認定されているんじゃないんですか。それで、邦人がそこから来るかどうかというのは実は関係がないように私には聞こえるんですけれど、ちょっと整理してくれますか。  邦人なのか、それとも、向こうのかなたで起こっている、朝鮮半島で起こっている事態存立危機を構成しているのか、どっちなんですか、教えてください。
  103. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態を認定する、判断するに当たりましては、様々な要素を考慮して総合的に判断をするということを申し上げているところでありますが、その判断要素を一つだけ、一つだけ取り出して、それだけで存立危機事態には該当しないというのは当たり前のことでありまして、我が国近隣における武力紛争の発生といった前提条件がなければ、米船舶による邦人の輸送を行うこともないし、また、一連の事態の一部だけ取り出すのも現実にそぐわないということでありまして、先ほど説明をした事例につきましては、我が国に対する武力攻撃が発生をしていないということで、これまでの憲法解釈では邦人を乗せた米国船舶を守ることができませんということで、それでよいのかというのがそもそもの問題意識であったわけでございまして、それが可能になるケースとしては、先ほど説明をさせていただきましたけれども、総合的に判断して存立危機事態に該当するということになりましたら、こういった救出が可能になるということでございます。(発言する者あり)
  104. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めてください。    〔速記中止
  105. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  106. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、この例は、我が国に対する武力攻撃がなければ、こういうケースではできませんという例でございます。  じゃ、どういう場合でできるのかということにつきましては、まず、近隣で武力紛争が発生をする、また、我が国武力攻撃を受けている……(発言する者あり)間違えました、訂正します、まず訂正します。  まず、我が国近隣で武力紛争が発生をし、米国武力攻撃を受けていると。で、攻撃国の言動から我が国にも武力攻撃が行われかねない。このような状況においては、取り残されている多数の邦人を我が国輸送することは急務になりますので、そのような中で在留邦人を乗せた米国船舶が武力攻撃を受けるような明白な危険がある場合は、状況を総合的に判断して、存立危機事態に当たり得るということを示したわけでございます。
  107. 大野元裕

    ○大野元裕君 分かりませんけれども。  ただ、多分、大臣のおっしゃりたいことをそんたくすると、要するに在留邦人関係ないということですよね。要するに、その邦人、そうですね、それでよろしいですね。
  108. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほどお話をしたとおりでありまして、存立危機事態に該当するかどうかにつきましては、個別具体的な状況に即して全ての情報を判断するということでございまして、これは分かりやすく説明をする一例として、あえて邦人を乗せた米艦艇による輸送の例を示しているところでございますけれども、これにつきまして、米国艦艇による輸送の例において、御指摘のように邦人が乗っていない、乗っていないからといって存立危機事態に該当することは決してないということでございます。  これは先ほども……(発言する者あり)該当することは決してないというものではありません。ないというものではありません。
  109. 大野元裕

    ○大野元裕君 存立危機事態に、もう一度聞きますけれども、米艦に乗っている邦人の有無、存在の有無というのは関係ないですね。そこを確認させてください。
  110. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まさに、こういうこともできなくていいのかということで示した図でございます、それはケースとして。  存立危機事態に該当するか否かを判断するに当たっては様々な要素を考慮して総合的に判断することを申し上げておりまして、米艦艇による輸送の例において、御指摘のように邦人が乗っていないからといって存立危機事態に該当することは決してないというものではないということでございます。
  111. 大野元裕

    ○大野元裕君 だから国民に分からないんですよ、総合的にというのは。このケースを私はなるべく簡単に分解して説明させていただいたつもりなんです。  そんな中で、ここの米艦に乗っている邦人は存立危機事態とは関係がないということでよろしいですね。イエスかノーかでお答えください。
  112. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 総合的に判断をするということでございます。(発言する者あり)
  113. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止
  114. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こして。
  115. 大野元裕

    ○大野元裕君 大臣、もう一度お伺いをします。  例えば朝鮮半島等で起こっている情勢で、それによって我が国存立が脅かされているような場合に、邦人を送る、輸送するという話をされました、輸送する艦艇に対するという話をされました。ということは、邦人は関係がなくて、存立事態の危機が起こっているのは、かなたで起こっている事態なんですね、邦人は関係ないんですね。  それについて、三度目の質問です、明確にお答えください。
  116. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 邦人が乗っているか乗っていないか、これは絶対的なものではございません。また、この例も、これすらできなくていいのかというのを示した事例でありますが、総合的に判断するということで、邦人が輸送されているということは判断の要素の一つではございますが、絶対的なものではございません。
  117. 大野元裕

    ○大野元裕君 ということは、これまでの議論を総合すると、要するに女性や子供を乗せた米艦は守れない。これ聞いた瞬間、私もかわいそうだと思いました。在外に私もいました。法的な議論を他方でしてみると、女性や子供あるいは邦人、これが米艦艇に乗っているかどうかというのは絶対的な条件ではない、関係がない。女性や子供を使って国民感情に訴えて法的な立法事実を覆い隠すって、これはとんでもないこそくなやり方じゃないですか。  我々は、議論として、存立危機事態があるときに、日本が、存立根底から覆される、これで話は多分ありだと思います。それに基づいてきちんとした議論をしたい。にもかかわらず、そうやって感情に訴えるようなことをすれば、私は、真摯に立法事実を示して国民の理解を得るという政府が取るべき態度とは全く違うと思いますよ。  政府説明がおかしいことが国民に理解されて、実はこれ、国民に対する安保法制、理解が進んでいないんじゃなくて、国民が理解すればするほど疑問量が増えてしまう。こういうことになりかねないではないですか。  私は、私なりになるべく分かりやすく説明をさせていただきました。その結果、先ほどおっしゃった在外の邦人を守ろうと、そこから発想が出てきたとおっしゃいましたけれども、実は日本人の命すら、守るとおっしゃった七月一日の総理のあの御発言とは懸け離れたところ、若しくは関係がないところに行っていると言うしかないじゃないですか。  最初、冒頭申し上げました、我が国の領土、領海すら守れない、領域警備法すら入っていない、切れ目のない法制とは大違いのものが、今度は日本人の命というところではなくて全く関係のないところの議論になってしまった。これでは私は、安保法制と呼んで信頼のできる議論をするということとは相当、程が遠いと言わざるを得ないということを申し上げて、午前中の質疑は、委員長、終わらせていただきたいと思います。
  118. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 午前の質疑はこの程度といたします。  午後一時まで休憩といたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  119. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大沼みずほ君が委員辞任され、その補欠として舞立昇治君が選任されました。     ─────────────
  120. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 休憩前に引き続き、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  121. 大野元裕

    ○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。  午前中に引き続きまして、我が国の領海及び領域すら守れない、その法律でございましたが、日本人の命どころかそれを引き合いに出す、そういう法律であることが午前中明らかになりましたので、僅か十六分ではございますが、改めてお付き合いを賜りたいと思っております。  午後でございますが、先般、本委員会で、我が党の小川勝也委員質問に対し、総理は、米国のイージス艦が単独で行動するか否かということにつきまして、二回にわたって、日本の防衛に大きな支障が出てくるこのイージス艦につきましては、単騎、これは単独ということだと思いますが、単騎ということについては想定はこれはなかなかし得ないという御発言や、あるいは、米艦艇が単独で行動することはあり得ない、こういう御発言をされておられます。  その翌日の五日、中谷大臣は、これ答弁読むとよく分からないんですが、警戒監視に当たっては、その任務の内容又は海域における状況によりまして、単独で航行することもあれば複数で航行することもあり得るものでありまして、米艦艇が単独で行動することはあり得ないとは言えないものと考えますというお話をされておられます。  これは、総理の御発言大臣は否定をされて、複数でしか行動しないと、こういう趣旨であるかどうかをまずは確認させてください。
  122. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 総理の御発言は単独で来援することについて言われたような気がいたしますが、単独で警戒監視を行ったり、また訓練等につきましても自衛隊と行動を共にするというようなことで、私はあり得ないことはないというふうに思っております。
  123. 大野元裕

    ○大野元裕君 若干これ私の理解が違うのは、総理の御答弁を読まさせていただくと、「もちろん、単騎ということについては、これは今明確には申し上げませんが、想定はなかなかし得ないのではないか」、「詳しい言わば何隻体制ということについては、これはオペレーションに関わることでございますから申し上げることは控えさせていただきたい。」。来援するだけではなくてオペレーションの話をしていて、単騎は想定しにくいとおっしゃっていらっしゃるんです。  ということは、総理大臣のお話と防衛大臣の話は、私は違うのではないかと思うので、どちらかということを是非統一していただきたいんですけれども。
  124. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 八月四日の御質問につきまして、我が国有事、また我が国近隣有事を念頭に置いたものであったと。したがって、総理が米イージス艦が単独で来ることはないと述べましたが、この趣旨は、米軍日本防衛また我が国近隣の事態等に対処する場合には、通常は単独で行うことはないということでございます。  その上で申し上げれば、米国米軍武力攻撃を受けているような状況において、米軍はその対処に全力で当たっている一方で、日本のために警戒監視等の活動を行う場合におきましては、その任務の内容、また海域における状況によりまして米軍イージス艦が単独でも航行することもあり得ると私は答えたわけでございまして、総理は、米国はイージス艦を多数保有しているが、様々な事態が同時に生起することもあり、我が国の高い能力を持ったイージス艦部隊等が協力して米艦を守るということは十分にあり得るとも述べております。
  125. 大野元裕

    ○大野元裕君 通常は単独ではないという、そういう今お話でございましたが、ということを意味しているというふうにおっしゃいましたが、総理は想定し得ない、なかなか想定し得ないというふうにおっしゃっているんですね。ここはやはり私、相当そごがあると思うんです。  短い質問なのでこれ詰めませんけれども、是非、これはこれから議論を深める上で大事なポイントなので、委員長にお願いをさせていただきたいんですが、この点については政府の統一見解を出していただくように求めたいと思います。
  126. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件につきましても、後の理事会に諮ることといたします。
  127. 大野元裕

    ○大野元裕君 その上で、総理と防衛大臣答弁の、これなぜ重要かというと、いわゆるBMDイージス艦、つまり弾道ミサイル対処のイージス艦、これ確かに低い高度でやってくる巡航ミサイル等にはとても弱いというふうにも言われていますよね。そういった中で、弾道ミサイル対処を現に行っているBMDイージス艦を巡航ミサイルや魚雷から守る、他の米艦艇がそばにいない、こういう場合には、政府の言う新三原則、このほかに選択肢がない、そういう可能性も高いのではないか、そういった議論に多分つながるのでこの議論が重要なのではないかと私は思っているんです。  そこで、法制局長官にお伺いをいたしますが、仮に自衛隊自衛艦が集団的自衛権行使してイージス艦を守る、こういうケースについて、代替選択肢、つまり、米のイージス艦、アメリカの弾道ミサイル対処を行っているイージス艦の周りにアメリカ独自で守るような手段がある場合には、この代替選択肢が必要ではない、代替選択肢がないとは言えないので、イージス艦を我が国として自衛艦が守るということは必要がないと、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  128. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 御指摘の点は、集団的自衛権、限定的でございますけれども、集団的自衛権行使、そもそも行使し得るかどうかという問題というよりも、実際にその行使している場面において、どこにその資源を振り向けるかという問題ではないかと。その意味で、手薄なところに自衛艦が護衛に回るということはあるんじゃないかと思います。
  129. 大野元裕

    ○大野元裕君 済みません、法制局長官、これ私は立法の話をしているんですけれども、資源を振り向けるために薄いところに日本が行くという、こういう新三要件だったんですか。これ初めて私聞いたんですけれども、そういう理解でよろしいんですか。もう一度確認させてください。
  130. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) その新三要件に該当するかを、米国のイージス艦が何隻来ているか、その周辺に米国自身の護衛艦がどれだけ警護しているかということで決まるわけではないということを申し上げた上で、先ほど申し上げましたのは、我が国としてその新三要件を満たしたという認定をして限定的な集団的自衛権行使している場合において、その米艦の防護というものがどういうふうに行われるのかということをお答えしたものでございます。
  131. 大野元裕

    ○大野元裕君 全く答弁、私の質問と違います。私は、認定されて集団的自衛権行使している場合に、他にイージス艦を守る船舶、艦艇がいる場合などと一度も聞いていません。新三要件を当てはめて、自衛隊集団的自衛権行使をしてこのイージス艦を守る必要が、代替選択肢がある場合には、ないということで、理解でよろしいかということを聞いているので、あらかじめ認定をして新三要件を適用した場合とは一度も聞いておりません。是非お答えください。
  132. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) その米国のイージス艦がどのような状況にあるかということだけでその新三要件に該当するか、そもそも第一要件に該当するかを始めとして、第二要件も含めてでございますけれども、それに該当するかということを判断するということは難しいと思いますので、それだけの仮定を前提にしてお答えすることは難しいと思います。
  133. 大野元裕

    ○大野元裕君 私は限定した条件の中でお伺いをしております。なぜならば、この国会審議を通じて国民にも御理解をいただく必要があるからであって、代替選択肢がある場合には新三要件が適用されない、つまり、イージス艦を自衛隊として集団的自衛権行使をして守る必要はないということでよろしいですかと聞いているんですけれども、それにも答えていただけないんでしょうか。
  134. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) イージス艦だけの、御指摘のその与えられた条件のみで判断することは難しいということを申し上げているわけでございます。
  135. 大野元裕

    ○大野元裕君 ちょっと待ってください。だって、総理がずっと言っているんです。イージス艦がミサイル対処を行っているときに、これイージス艦の話しているんですよね、そのほかの話していません。それで国民を納得させようとするのであれば、私がイージス艦を主語にしてしゃべるのは当然の話じゃないですか。  だとすれば、このイージス艦が、ほかにアメリカ自身が守る代替選択肢がある場合に、新三要件を適用して集団的自衛権行使を適用して自衛艦が守るという必要はないんですねということで、これ三回目、四回目かな、お伺いしますけれども、是非お答えいただきたいと思います。
  136. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 一般論として、この新三要件の第二要件についてのお尋ねとして理解いたしますけれども、第二要件におきまして他に適当な手段がないという意味は、我が国として武力行使をするということが万やむを得ないというか、武力行使以外に選択肢がないということを意味しております。(発言する者あり)
  137. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  138. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  139. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) すなわち、アメリカのイージス艦自身が米国の艦船、艦艇によって十分防護されていると、そういう状況の下であるならば、三要件に言う第二要件として、我が国として武力行使するという必要性というか、そこのところまではないという場合もあるということを先ほどお答えしたつもりでございます。
  140. 大野元裕

    ○大野元裕君 ないという場合もあるというのは、ちょっと私には、先ほどから二重否定も、大臣もそうですけれども、よく分からないんですが。要するに、代替選択肢があるときには必要がないと、そういう御答弁だというふうに理解をさせていただいて、前に進めますけれども。  日本のミサイル防衛、弾道ミサイル防衛について申し上げれば、これは日本の防衛の一角、これが非常に重要であると。そのイージス艦がもしも破壊されれば、日本の言わばミサイル防衛、つまり日本防衛に大きな支障が出てくる、それはまさに日本存立が脅かされる、これは総理の答弁でございます。  だとすると、これは防衛大臣にお伺いしますが、弾道ミサイル防衛対処能力がないようなイージス艦があります。それは、私、三枚目のところに書かせていただきましたが、CEC艦、これは大臣御存じでいらっしゃいますよね。例えばベースライン9Aを積んだチャンセラーズビルというCG62ミサイル巡洋艦がそうですけれども、これ、弾道ミサイル防衛ができる船ではありません。だとすると、この船についても守る必要はないということで、大臣、それはよろしいですか。
  141. 中谷元

    国務大臣中谷元君) このCEC艦の機能を有するイージス艦は、射撃指揮に使用可能な精度の高い探知・追尾機能をリアルタイムで共有することによりまして、経空脅威に対して部隊間で共同対処、交戦することが可能となっているもので、承知をしております。  BMD機能を有するイージス艦は、飛来する弾道ミサイルを大気圏外において迎撃することが、対処が可能であるということであります。  それに加えて、防空能力とBMD能力を両立したいわゆるIAMD、統合防空ミサイル防衛機能を有するイージス艦は、BMD対処中においても自艦を防護する能力が向上するものと承知をしておりまして、このIAMD機能は、最新鋭のイージスシステムであるベースライン9の搭載を前提にしているものと承知をいたしております。  このように、米国のミサイル防衛におきましては、それぞれの艦艇の機能が相まって対処しているわけでございますので、単にBMD機能が付いている艦艇のみならず、御指摘のようなCEC艦等も関連をするものとして、私の認識といたしましては対象になるというふうに思っております。
  142. 大野元裕

    ○大野元裕君 ということは、BMD、要するに弾道ミサイル対処の一角を構成しているイージス艦というこの総理の御説明は、そうではない、つまりそれに伴っているレーダー能力やあるいは防衛能力、これも全て構成するとすると、これは総理の答弁とちょっと違うんじゃないんですか。ちょっとお願いします。
  143. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私はそういうこともあり得るということでございますが、ただ、米国の行動等におきましてはそれぞれオペレーションに伴っていろんな組合せもございますし、我が国のミサイル防衛等につきましての体制もそれぞれ違っているわけでありまして、通常は、平時におきましてはアセット防護という形で自衛隊米国を防護するわけでございますが、実際、まずは警戒監視等におきましても、そういう関係におきまして日米間で協議をした上で防護をし合うと。存立事態等に関しましては、それぞれの事態を認定するということでございます。
  144. 大野元裕

    ○大野元裕君 何かおっしゃいましたが、私には分かりませんでした。  日本の弾道ミサイル防衛の一角である米艦という答弁と違うんじゃないんですかと聞いているんです。
  145. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 総理は日本の弾道ミサイルを担うものの一環であるということで、含まれると私は認識をいたしております。
  146. 大野元裕

    ○大野元裕君 もう時間がないので、そうだとすると、例えば韓国にあるTHAADに伴うレーダーなども実は朝鮮半島からのミサイル防衛には極めて重要だと思いますし、あるいは、もしもそれが連関しているとすれば、単独で行動しているイージス艦というのはどこに入ってくるのか、例えばですね。あるいは、さらには、数年後にはSPY6というレーダーが配備をされます。そうすると、今飛翔体二百個ぐらいしか見られないんですが、千二百個に拡大をしていきます。そうすると、能力の向上に伴って必要なものは相当変わってくると思います。  そうだとすると、単純にイージス艦がこれを攻撃されれば、それは我が国にとってミサイル防衛の一角を崩されたとは言えなくなってしまいますし、この話については是非しっかりと私は議論をさせていただきたいと思いますし、今日の議論を通じて、集団的自衛権行使するときの三つの例、ホルムズ海峡、それから午前中の事例の八番、そしてそのイージス艦、この三つのうちの、まあホルムズ海峡は青息吐息ですけれども、今日、二番目の例については日本人は関係ないということがありました。今後、イージス艦についてもしっかりと詰めさせていただくことをお約束をして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  147. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚耕平でございます。  委員長におかれては、本日も御指導よろしくお願い申し上げます。両大臣もよろしくお願い申し上げます。  大野議員質疑を聞いておりまして、邦人が乗っている艦船等に対してどう対応するのか、この問題を少し私も質問させていただきたいと思います。  といいますのは、予算委員会で、おととしから何回かにわたって、特に岸田さんはずっと在任しておられますので、議論をさせていただきました。その議論の経緯も踏まえると、今の質疑を拝聴していると、改めてちょっと確認をさせていただきたい点がございます。  まずは、外務大臣にお伺いしたいんですが、国際法上の国家の三要素、以前もお伺いしましたが、改めて御発言いただきたいと思います。
  148. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 国家の三要素、国民とそして領土とそして主権、この三つだと思います。
  149. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 おっしゃるとおりでございます。以前もちゃんとお答えいただいていますので。  私は、総理がこの邦人が乗っているアメリカ輸送船等の危機に際して我が国自衛隊がどう対応するのかということに関して御説明になったときに、私自身は、自衛隊法七十六条の防衛出動、この「我が国を防衛するため」の「我が国」は、国際法上の国家の定義に照らせばそこには当然国民が含まれているので、時と場合によっては防衛出動するべきではないですかということを申し上げた記憶がございます。  それに対して、それはできないというような趣旨の御発言であったので、大変驚きもしましたし、擦れ違いもあったまま終わっているんですが、先ほどの大野議員中谷防衛大臣質疑をお伺いしていると、要するに、存立危機事態、これは、我が国国民が乗っている船が危機に瀕するだけではなくて、それとは別に存立危機事態要件に当てはまる事態が生じていないと要は防衛出動できないということをおっしゃったわけですね。防衛大臣にお伺いします。
  150. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 要素の一つでありまして、累次説明をいたしておりますけれども、相手国の意思とか能力とか場所とか、またその推移とか、また我が国に及ぼす蓋然性、そして我が国民が被る、犠牲を被る深刻性、重大性などを総合的に判断をいたしまして、武力攻撃に対する判断を行うということでございます。
  151. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大野議員が御提示くださった資料をちょっと使わせていただいて恐縮なんですが、大野議員の資料の二枚目の左側の事例に、昨年六月六日の外務省局長答弁がございます。私自身はこの答弁的な認識を持っておりますので、先ほど来あるいは予算委員会での質問につながっているわけなんですが。つまり、我が国に対する組織的、計画的な武力行使に当たると判断された場合には、個別的自衛権発動もあり得ると。これ、一般論としては私もそうあるべきだと思いますし、この答弁で安心をしております。  ただし、ここで言う組織的、計画的というのは、例えば国民の皆さんが千人とか二千人乗っている一般の民間の客船であったとしても、これが襲われるという事態が明々白々になり、かつ警察能力では対応できないということが明らかになれば当然防衛出動対象になるという私は理解でいるんですけれども、そういう理解でよろしいですか。防衛大臣
  152. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国に対する武力攻撃というのは、基本的には我が国の領域に対する組織的、計画的な武力行使をいうものと考えておりまして、単に在外邦人、これが攻撃されたからといって直ちに我が国に対する武力攻撃が発生したとは言えないと考えておりますが、特定の事案がこれに該当するかどうかにつきましては、個別の状況に応じて判断すべきものでありまして、あらかじめ定型的、類型的にお答えすることは困難でございます。  定義といたしましては、先ほど外務省局長がお話をいたしましたように、我が国に対する組織的、計画的な武力攻撃ということで、我が国といいますと、外務大臣が御答弁をしたような三要素なども含まれるのではないかと思っております。
  153. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 確かに、これが日本のかなり遠隔地で邦人の乗っていらっしゃる例えば客船等がそういう事態になったときには、当然、当該海域の国々の警察とか、あるいは何らかの対応を期待をしたいところなんですが、当然、自衛隊がそんな遠くまでは行けませんし、一般に海外派兵は禁止されているとずっと言っておられるわけですから。  しかし、先ほど来の事例は明らかに日本近海を想定した事例でありますし、総理も日本近海を想定した事例を絵にして示しておられるわけですね。日本の領海及び領海に接続する近海において、邦人が大勢乗っていらっしゃる船が警察能力だけでは対応できないような危機に瀕した場合に、防衛出動しないんですか。しない場合もあるということをおっしゃっているんですか。そこをちょっと聞かせてください。
  154. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 武力攻撃に至るようなケースにおきましては、そういう事態であるかどうか、それを総合的に認定をするということです。  存立事態につきましては、個別具体的な状況において、政府が全ての情報を総合的に、客観的、合理的に判断する必要があるため、一概にお答えすることが困難でありますが、午前中、大野委員にお答えしたようなケースにおきましては、邦人を乗せた米国の船舶が武力攻撃を受けるようなことは十分に想定をされるというようなことでございます。
  155. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 委員長にお願いを申し上げたいんですが、今回の法案は、テロなどにも対応することを想定しつつ、まさしく現下の我が国の置かれている状況に現実的に対応しようということだというふうに与党の皆さんも一生懸命説明をしておられるわけですから、私がお伺いしたいのは、日本領海及び領海に近接する公海等において、邦人が乗船している艦船等が警察能力では対応できない危機に瀕したときに、防衛大臣として自衛隊法七十六条を発動することはあり得るのかあり得ないのかということについての政府統一見解を求めたいと思いますので、よろしくお取り計らいください。
  156. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件につきましては、後の理事会で諮ることといたします。
  157. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 その上で、今日の質問に移らせていただきますが、岸田大臣、先ほど国際法上の国家の三つの要素を聞かせていただきましたけれども、この法案で皆さんが導入したい、使用したいと言っておられる限定的な集団的自衛権というのは、国際法上の概念でしょうか。
  158. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 国際法上の概念としては、集団的自衛権というものがあります。そして、今御審議をお願いしている平和安全法制においては、憲法との関係において、フルスペックの集団的自衛権のうちの限定されたものについて、国民の命や暮らしを守るために必要だという考えの下に、御審議をお願いしております。  ですから、限定された集団的自衛権という用語は国際法上は存在しないと考えます。
  159. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もう一回、お伺いします。  今、そういう用語はないという最後のところは明確にお答えになりました。そういう概念は国際法上ありますか。
  160. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 国際法上、集団的自衛権というものにつきましては、要請、同意や必要性、そして均衡性、こうした要件の下に概念は認められていますが、それを実際どのように運用するのか、それをどのように行使をするのか、それは、それぞれの国において判断されるものであると思っています。ですから、我が国が今、行使が認められるべきではないかと言っている限定的な集団的自衛権、これも国際的な集団的自衛権のうちの一部であると考えております。  ですから、限定的集団的自衛権につきましては、今申し上げたような整理を国際法との関係においてするべきであると考えます。
  161. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 国民の皆さんの理解を深めるためには、例えば、今日、傍聴席に来てくださっている、聞いていただいている国民の皆さんが明確に理解できるように御答弁いただきたいんですね。  限定的な集団的自衛権というのは、そういう用語は、国際法上ないとおっしゃいました。そういう概念は国際法上ありますか。私の質問は極めて明確だと思いますので、簡単に御答弁ください。
  162. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) フルスペックの集団的自衛権のうち一部分を行使する、こういった対応は、それぞれの国の事情において考えられると思います。そういった意味からは、限定された集団的自衛権という概念は国際社会においても存在すると考えます。
  163. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 概念があると今おっしゃった、その根拠をお示しください。
  164. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げたとおりであります。国際法上認められているフルスペックの集団的自衛権のうち、どの部分をどういった形で行使をするのか、それは、それぞれの国の様々な事情ですとか法律によって決められるものであると思います。そうした形で限定的な集団的自衛権行使をするという考え方、これは存在いたします。  こうしたことは当然認められるからして、集団的自衛権、限定された集団的自衛権という概念、これはあり得るということを申し上げております。
  165. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もう一回だけ私、聞きますが、せっかく傍聴席の皆さんもいらっしゃるので、岸田大臣には思い出していただきたいと思いますが、一昨年から、密接な関係にある国とはどういう国かというやり取りを何度もさせていただきました。私は、例えば、日米安保条約があるのでアメリカがそういう国に該当するということは分かる、一般には条約関係を必要とするんじゃないんですかと、何度もお伺いしておりましたら、当初の御答弁は、国際法上必ずしも条約関係を必要としないとずっと御答弁になっていたんですよ。覚えていますね。  ところが、じゃ、その根拠を示してくださいということで、事務方が私のところに来てくれた結果、ニカラグア事件の判決に書いてあるとおっしゃるので、じゃ、その判決を持ってきてくださいと申し上げたところ、三か月たってもそのエビデンスを持ってこず、結果何が起きたかというと、実はこの本にそう書いてあったからそういう答弁を作りましたが、ニカラグア事件そのものに当たってみたところ、判決文にはそのような根拠はありませんでしたとおっしゃったんです。済みませんと言って、私にファクスが来ました。  そして、そこで大臣答弁を変えられるかと思ったら、その後は何をおっしゃり始めたかといったら、我が国としては密接な関係にある国というのは必ずしも条約関係を必要としないと思いますという我が国の判断に変えたわけですよ。根拠がなくなったんです、そこで。  これも同じことをお伺いしているんです。外務大臣ですからね。限定的な集団的自衛権というものが概念上も国際法にあるとおっしゃったので、国際法上の根拠を示してくださいとお伺いしています。
  166. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 要は、先ほど来説明していることをもう少し丁寧に申し上げます。(発言する者あり)いやいや、根拠を申し上げます。  要は、国際法上、国連憲章二条四項によりまして、そもそも武力行使というのは禁止されています。そして、その武力行使を正当化する理由としまして国連憲章におきましては、五十一条において集団的自衛権と個別的自衛権、そして第七章によって集団的安全保障、この三つを挙げています。こうした理由によって武力行使の違法性を阻却する、これが国際法のありようであります。  そして、その中の集団的自衛権という部分につきましては、先ほど申し上げましたような要件の下に国際社会において認められているわけであります。そして、その中の一部をどう使うかということにつきましては、それぞれの国の法律や事情によって決められるものであります。  こうしたことであるからして、フルスペックの集団的自衛権のうち、限定的な集団的自衛権という考え方現実に存在する、よって、先ほど申し上げましたような概念はあり得るという答えをさせていただいた次第であります。
  167. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 密接な関係にある国というのも、当初はニカラグア事件のICJの判決に書いてあると主張していたけど、書いていなかったということが明らかになって、結論は変えずに、それは政府の判断ですというふうにおっしゃり始めました。  この限定的な集団的自衛権、私は予算委員会では、自国のための集団的自衛権などという概念は世界中どこにもないですよと、だから、これは一体どこにそれを導入していいという根拠が、国際法上の根拠が書いてあるんですかということを予算委員会でもお伺いしましたが、明快な御回答が得られないまま今日に至っていますので、さすがにこの法案、審議も、序盤戦とは言いません、そこそこ中盤まで来ていますので、ここははっきり定義を、根拠を、国際法上の根拠を明確にお伺いしたいと思いますが、また答弁に立たれて、要はとか言って関係ないところからの説明入られるのはもう是非勘弁していただきたいので、国際法上の限定的な集団的自衛権の根拠はどこにあるのかをお示しください。
  168. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 先ほど説明させていただいたような理屈から、国際社会においてはフルスペックの集団的自衛権が認められています。その一部を行使すること、これは当然認められた集団的自衛権であります。こうした国際法との考え方、国際法と我が国の限定的集団的自衛権、これは整合的であり、全く合法であるということを説明させていただいております。(発言する者あり)
  169. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  170. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  171. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 質問時間も限られているので、委員長にお願いを申し上げます。  限定的な集団的自衛権、自国のための集団的自衛権というものは、私自身は国際法上根拠がない。したがって、他国我が国のこの議論がどういうふうに報道されているかというと、あたかも政府の言うところのフルスペックの集団的自衛権が認められるかのごとくの報道もされておりますので、政府におかれては、限定的な集団的自衛権、自国のための集団的自衛権というものの国際法上の根拠がどこにあるのかということについての明確な政府の統一見解を求めたいと思いますので、よろしくお取り計らいください。
  172. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それにつきましては、御発言どおり、後の理事会に諮りますけれども、それまでに外務大臣答弁を聞いてからにしていただきたいと思います。
  173. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、集団的自衛権につきましては、国連憲章五十一条に定められております。そして、この集団的自衛権は義務ではありません。権利であります。その五十一条に定められている権利のうち、どの範囲まで行使するか、これは主権国家たるそれぞれの国の判断に委ねられている、これが実情であると考えます。根拠は、国連憲章五十一条であります。その一部を、それぞれの国がそれぞれの判断で行使をする。  我が国においては、今御審議をお願いしている限定的集団的自衛権という形で行使をするべきではないか、こういった御議論をお願いしております。
  174. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 限定的な集団的自衛権、それは、皆さんの御説明は自国のための集団的自衛権という概念ですから、自国防衛のための。ずっとこの委員会や予算委員会議論されていますのは、国連憲章五十一条に言う集団的自衛権他国を防衛するために武力行使する権利ですから、政府のおっしゃっている自国防衛のための集団的自衛権、それが皆さんの言うところの限定的な集団的自衛権ですから、この概念は、やはり私は国際法上には存在しないと思っておりますので、その根拠がどこにあるのかということを政府統一見解として明快にお示しいただくことをお願い申し上げます。  もうこれで結構ですから。
  175. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) その前に、岸田外務大臣。(発言する者あり)いいんですか。  それでは、ただいまの発言につきまして、後の理事会で諮ることといたします。
  176. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 防衛大臣は、シャングリラ会合等で、法の支配の三原則ということをおっしゃっておられますが、この法の支配の三原則三つ、簡単にお話しください。
  177. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 発言をした内容は、海における法の支配の三原則とは、主張するときは国際法にのっとって主張すべきである、力や威圧による現状変更は行ってはならない、問題を解決する際は平和的に国際法にのっとって解決するという三原則を申し述べました。
  178. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  今、一番目に、国際法にのっとってとおっしゃったんですね。だから先ほどの質問にもなっているんです。国際法上の根拠のない新しい概念を導入しようとして無理をしているから、いろんな矛盾が生じているんですね。したがって、何が起きているかというと、幾つかの法の条文で、法理上はできることも政策判断としてはやりませんという答弁がいっぱい出てきているわけですよ。  それはなぜかというと、集団的自衛権という概念は他国を防衛するための権利として国連憲章五十一条に定められているんだけれども、我が国我が国のためだけにしか使いませんという概念の範疇外の行為を法律規定しようとしているので、法理上は可能になる行為を指摘されると、それはやりません、政策判断としてやりませんというお答えが幾つもあるわけであります。  今日は、あと残された時間で、別のアプローチで法の矛盾について認識を共有させていただきたいと思います。  事態対処法の三条の四項、これは小川敏夫議員の予算委員会での質疑でも議論になりましたが、この議論をさせていただきたいんですが、それに先立って、まず、他国の領域で自衛隊が活動できるかどうかということについて、武力行使をできるかどうかということについて、一昨日の予算委員会横畠法制局長官が答弁していただいていると思いますが、簡単に、法理上は可能かどうかを、長官、お答えください。
  179. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 従来から、政府は、いわゆる海外派兵、すなわち、武力行使目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないと述べてきております。  これは、我が国に対する武力攻撃が発生し、これを排除するために武力行使をするほか適当な手段がない場合においても、対処手段、態様、程度の問題として、一般に他国の領域において武力行使に及ぶことは自衛のための必要最小限度を超えるという基本的な考え方を示したものであります。  その上で、政府は、いわゆる誘導弾等の基地をたたく以外に攻撃を防ぐ方法がないといった場合もあり得ることから、仮に他国の領域における武力行動で自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないとしてきております。  このような考え方は、新三要件の下で行われる自衛の措置、すなわち、他国防衛を目的とするものではなく、あくまでも我が国を防衛するための必要最小限度の措置にとどまるものである自衛の措置でございますけれども、その場合における武力行使における対処手段、態様、程度の問題として、そのまま当てはまると考えております。
  180. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 簡単に言うと、原則的にはできないが例外的な事態ではそれも否定しないという、こういう御答弁だったと思います。  総理は、一昨日の御答弁ではちょっと二転三転したような気もするんですが、今私が申し上げた理解で、総理も防衛大臣も同じだということでよろしいですね。
  181. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 同じでございます。
  182. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そこで、事態対処法の三条四項でありますが、皆さんのお手元に資料として一枚お配りをしていると思います。  ここで存立危機武力攻撃を排除するに当たってどう対応するのかということが定められているわけでありますけれども、法制局長官にもう一回、過去に御答弁いただいていることを確認させてほしいんですが、策源地攻撃能力、敵地と言ってもいいと思いますが、敵地ないしは敵基地攻撃能力は日本は持たないという御答弁を過去にしておられると思いますが、それでよろしいですね。
  183. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 法理上の問題でなくて、政策としてそのようにお答えしている場面があると思います。
  184. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 同様の質問を、じゃ、防衛大臣に。  我が国は策源地攻撃能力は持たないということでよろしいですね。
  185. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国は、敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、また、個別的自衛権行使としても敵基地を攻撃することは想定しておりません。
  186. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 三条四項は、「存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。」とまず前段で書いてありますが、「その」の「その」は、大臣、何ですか。
  187. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態でございます。
  188. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 存立危機事態の速やかな収束を図らなければならない。同時に、七月二十八日のこの場でも衆議院答弁を皆さんに御説明させていただきましたが、新三要件に該当する場合には、現に日本武力攻撃していない国ないしは日本武力攻撃する意思はないと表明している国に対しても、繰り返し言いますが、新三要件に該当すれば日本から攻撃することがあり得るというふうに、もう衆議院ではこれ答弁されているんですね。  それと組み合わせてこれを考えると、この存立危機事態が、例えばある国が日本にミサイルを次々と発射しようとしているかもしれないというそういう事態であるとすれば、その速やかな終結を図るためには、やはり、先ほどの他国の領域で活動できるかどうかということも含めて、超例外的な場合に該当して、これはその策源地、ミサイル発射基地等を我が国は破壊することができるという理解でよろしいですね。
  189. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、存立危機事態というのは、他国に対する武力攻撃が発生した場合、そのままでは、すなわち、その状況の下に、武力を用いた対処をしなければ、国民我が国武力攻撃を受けたと同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるということで、その事態を終わらせるということでございますが、これは三要件でありまして、必要最小限度ということでございます。  海外派兵につきましては、従来説明をいたしておるように、必要最小限度を超えるものであり、一般的に許されないということでございます。
  190. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そこで、今までにないアプローチでと申し上げたのは、その次の、その「存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、武力行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。」と、この最後のくだりを今までの審議はずっと必要最小限の武力行使しかしないということを説明するために使っているんですけれども、今回、我が国は、一般に海外派兵はしないという今までも守っていたその部分の例外をより広く考えるような法案の立て付けをして存立危機事態というものを設けようとしているわけです。  この存立危機事態の速やかな終結を図るためには、時と場合によっては策源地を攻撃しなくてはならない。それが、事態に応じ合理的に必要と判断される、つまり限度なんですね。その力を持たなければ、この法律において自衛隊政府に課された義務を果たせないんですよ。  ところが、その一方で、策源地攻撃能力は持たないと言っているわけですから、そうすると、この法律をこのまま施行してしまうと、いざというときは国民国家のために策源地までも、相手が武力攻撃をしてきていなくても、その意思がないと言っていても、日本政府がそう推測するに足る十分な材料があれば攻撃して壊滅させなければいけないにもかかわらず、そういう能力は持っていないんですから、どうやってやるんですか。
  191. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この三条の四項ですね、これは、今回、存立危機事態創設するに当たって設けた項目でございますが、これに関連をいたしますと、七十六条の防衛出動、これも武力攻撃事態存立事態に書き分けておりまして、この三条も、三項では武力攻撃事態、四項では存立危機事態、これはいずれも合理的に、事態に応じて合理的に必要と判断される限度においてなされなければならないと同様でありまして、つまり必要最小限度ということで、従来の武力攻撃事態と同様の考え方でございまして、敵基地攻撃、これについては、従来発言をいたしておりますけれども、他国に対する海外派兵、これは必要最小限度を超えるもので、一般的にそれを実施しないということと同様の考え方でございます。
  192. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大臣、ここは別に引っかけ質問をしているつもりはありませんからね、防衛大臣としてしっかりお考えいただきたいんですが、武力行使があった場合には分かりますよ、その場合には、確かにミサイルを撃ち落とすとかそういう能力を、現に今防衛網持っているわけですから、行使すればいいと思うんですよ。  そうではなくて、この法律をもしこのまま執行すると、皆さんが言うところの存立危機事態というもののその策源、その攻撃拠点なりが他国の中にあったとしたら、それを排除するというのが皆さんに課される法律的義務になるんですよ。ところが、その義務を果たすための能力は持っていないわけですよね。この矛盾を放置したまま、この法律を施行するんですかと聞いているんです。
  193. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 敵基地攻撃につきましては、従来の考え方と同様でございまして、法理上、つまり法の理屈の上では新三要件の下でも変わりがありませんけれども、他方、現在、我が国は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、個別的自衛権行使としても敵基地を攻撃することは想定していない、まして集団的自衛権行使としても敵基地を攻撃することはそもそも想定をしていないということでございます。
  194. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もう一回聞きます。  だから、今の御答弁は是とします、理解しています。だから、このまま法律を施行すると、この三条四項の、事態に応じ合理的に必要と判断されるその限度の武力行使できない。何しろ持っていないわけですから。どうするんですか、この矛盾を放置したまま三条四項を施行するんですかと聞いています。どうするんですかというのが私の質問です。
  195. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなさなければならないというようなことで、この点におきまして、現状の新三要件と同じ考え方を持っているということでございます。(発言する者あり)
  196. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止
  197. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こして。
  198. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 敵基地攻撃についての考え方は、従来からの考え方、これは新三要件の下でも変わりがないということでありまして、この対処等については、現在もそうでありますが、途中でミサイルを迎撃するとか日米安保体制を維持するとかそのような手段等もございますので、現在、我が国といたしましては、敵基地攻撃を目的とした装備体系、これを保有していない、また敵基地を攻撃するということも想定をしていないということで、まして集団的自衛権行使としても敵基地攻撃をすることは想定をしていないということでございます。
  199. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 想定していないですが、この条文存立危機武力攻撃を速やかに終結をさせろといって政府に義務を課す法律なんですよ。武力攻撃が現にある場合は、これはもう個別的自衛権世界ですから集団的自衛権関係ないんですよ。  だから、この国が、日本には武力攻撃していない、ただし日本と密接な関係にある第三国を武力攻撃している。だから、三要件を満たす場合というふうに全部条件付けていますよ、私は。しかし、そのときに、三条四項で、防衛大臣は、その国の存立危機武力攻撃能力を速やかに破壊しなければならないんだけれども、その能力は自ら持っていないので、そのときには義務を放棄するということですね。
  200. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在もそうでありますが、飛んでくるミサイルにつきましては迎撃をする、これは可能でございますので、そのような手段対処し得るということでございます。
  201. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今のは個別的自衛権の話です。ミサイル飛んできたやつ迎撃するのは当たり前です。  是非、この三条四項をこのまま施行すると、皆さんの持っている能力と法律によって課される義務に矛盾が生じるということは、これは認識してもらっているということでいいですか。
  202. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、集団的自衛権の限定容認でありますが、三要件、非常に厳しい三要件が付いておりまして、必要最小限度ということでございまして、従来の考え方、これは一緒でありまして、武力行使目的として武装した部隊を他国の領域に派遣する、いわゆる海外派兵、これは一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないといたしておりまして、この考え方は新三要件の下で集団的自衛権行使する場合であっても全く変わらないということで、これは論理的に導かれたものでございます。(発言する者あり)
  203. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めて。    〔速記中止
  204. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こして。
  205. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現行法で三条三項がございまして、これをもちましても、途中でミサイルを迎撃をしたり、日米でミサイル防衛を共同対処したり、そういうことでそういった事態を招くことがないようにすることは可能でございますので、三条四項も同じ考え方を踏襲しているということでございます。
  206. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 時間もありませんので、委員長にお願いします。  この三条四項をこのまま施行すると法の義務を果たせない事態が生じるかもしれないので、どう対処をするのかということについての政府の統一見解を求めたいと思います。  私は、今日、岸田さん、中谷さん、是非お聞き届けいただきたいんですが……(発言する者あり)  委員長、どうぞよろしくお取り計らいください。
  207. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会に諮ることといたします。
  208. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 自国のための集団的自衛権という世界に例のない新しい概念を我が国単独の判断で今導入しようとしているんです。だから、いろんな矛盾が生じているんです。その矛盾が生じていることは二つの現象で起きています。  一つは、法理上は可能なことがいっぱい想定されるんだけれども、そこまでやるとフルスペックになっちゃうからやりませんということを、それは政策判断としてやりませんと言っている。だったら、それは法律に書いてくださいというのが一つです。  今日私が問題提起したのは、物理的にできないことを法理上はやれといって義務化されている。だから、物理的にできないことはそれはできませんということをやっぱり法律にちゃんと書いてほしいと。  いずれにしても、以上申し上げたように、かなり無理のある法案でございますので、これは是非提出をし直すということを政府にお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
  209. 杉久武

    杉久武君 公明党の杉久武でございます。  本日は、私の方からは、衆議院でも、また当委員会でも様々議論になっております武力行使の一体化、これについて、何度も議論にはなっておりますが、改めて丁寧に今日は議論をさせていただきたいと思います。特に、武力行使の一体化、憲法上の要請でございますけれども、それと自衛隊員の安全確保の問題、また支援メニューの問題等、様々議論がなされてきたところでありますので、これについて今日は整理をするような形で順次質問をさせていただきたいと思います。  まず、確認でありますけれども、内閣法制局に確認をいたします。武力行使の一体化の考え方とは何か、これは憲法上の要請の問題であるという理解でよいか、改めて確認をさせていただきます。
  210. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) いわゆる他国武力行使との一体化の考え方は、我が国憲法第九条により武力行使を行うことが許されない場合におきまして、我が国が行う他国の軍隊に対する補給、輸送等、それ自体は直接武力行使を行う活動ではないが、他国の行う武力行使への関与の密接性等から、我が国武力行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るとするものであり、そのような武力行使と評価される活動を我が国が行うことは憲法第九条により許されないという考え方でございます。  これは、言わば憲法上の判断に関する当然の事理を申し述べたものであり、他国がどう評価するかという問題ではなく、我が国として判断すべき事柄でございます。
  211. 杉久武

    杉久武君 今、内閣法制局長官から答弁いただきましたとおり、この武力行使の一体化というのは、武力行使と評価されないように、憲法九条から許されないということで整理をされているのがこの武力行使の一体化でございます。  しかし、この武力行使の一体化の中、この問題の中で、憲法上の要請と自衛隊員の安全確保の問題、これがいささか混同されるような議論も見受けられてきたと思います。なので、その点について今日は整理をしたいと思います。  この武力行使の一体化を判断するための四つの考慮事情がありますが、これの内容について、またこの四つの考慮事情については現在も明確に維持をされているかどうか、これについて内閣法制局に確認をいたします。
  212. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 我が国の活動が他国武力行使と一体化するかどうかの判断につきましては、従来から、①戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係、②当該行動等の具体的内容、③他国武力行使の任に当たる者との関係の密接性、④協力しようとする相手の活動の現況等の諸般の事情を総合的に勘案して個々的に判断するとしており、このような考え方に変わりはございません。
  213. 杉久武

    杉久武君 今答弁いただきましたように、四つの考慮要素がありますと。一つが、戦闘活動が行われている、また行われようとしている地点と当該行動がなされている場所との地理的関係、これが①であります。そして、当該行動の具体的内容、これが②の考慮要素であり、三番目が、他国武力行使の任に当たる者との関係の密接性、密接性が三番で、協力しようとする相手の活動の現況、これが四つ目の要素になるわけで、この四つの考慮事情というのは、平成九年の二月の十三日の大森内閣法制局長官答弁の中で示されたものでありまして、この四つから個別に判断をしていくということは今も変わりがないということを確認をしていただきました。  では、今申し上げましたこの四つの考慮事情と、現行、これまでの、平成十一年の周辺事態法においては後方地域という指定をしておりました。また、平成十三年のテロ特措法、また平成十五年のイラク特措法では非戦闘地域という形で、この武力行使の一体化を避けるための要件として後方地域や非戦闘地域という要件法律で定めております。  これまで、この要件武力行使との一体化、先ほど申し上げました四つの考慮事情、これとの関係はどのように整理をされているのか、これも法制局長官に伺います。
  214. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 一体化の考え方につきましては、先ほど申し上げた四つの考慮事項を基本として、諸般の事情を総合的に勘案して個々的に判断するという考え方でございますが、自衛隊が支援活動を実施する都度、一体化するか否かを個別に判断するということは実際的ではないことから、平成十一年の周辺事態安全確保法においては後方地域、平成十三年のテロ特措法及び平成十五年のイラク特措法においては同様のいわゆる非戦闘地域という要件を定めて、そこで実施する補給、輸送等の支援活動については類型的に他国武力行使と一体化するものではないと整理したところでございます。  その考え方は、戦闘行為が行われている場所と一線を画する場所で行うという①の地理的関係を中心として、②の支援活動の具体的内容については、補給、輸送といった戦闘行為とは明確に区別することができる異質の活動であること、③の関係の密接性については、自衛隊他国の軍隊の指揮命令を受けてそれに組み込まれるというものではなく、我が国の法令に従い自らの判断で活動するものであること、④の協力しようとする相手の活動の現況につきましては、現に戦闘行為を行っているものではないことなどを考慮したものでございます。
  215. 杉久武

    杉久武君 今の答弁の中で大事なポイントが何点かあると思います。まず一つ目が、当時、この武力行使の一体化に対して要件法律上定めるに当たっては、やはり個別に判断をするというよりは類型的に当時整理をしたというのがまず一つのポイントであると思います。そして、その整理の仕方として、先ほど来挙がっております大森答弁にあります四つの考慮事情のうち、①の地理的関係、これを中心に考えて、そして残りの②、③、④の要件になります具体的内容、あと関係の密接性、そして相手の活動の現況、これを当てはめていったという形で、武力行使と一体化をしない、その要件として後方地域と非戦闘地域という要件を類型的に整理をした、これがこれまでの考え方であったと思います。  その要件が、今回のこの法制におきましては、今回、この周辺事態安全確保法が重要影響事態安全確保法に改正をされます。また、旧特措法に代わり国際平和支援法が新設をされる中で、これまで後方地域や非戦闘地域という要件であったところが、現に戦闘行為が行われている現場でない場所ということになりました。  この新しい要件と四つの先ほど申し上げました考慮事情との関係について、内閣法制局長官に確認をいたします。
  216. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 今般の法整備におきましては、その後の自衛隊の活動の経験、国際連合の集団安全保障措置の実態、実務上のニーズの変化などを踏まえ、支援活動の実施、運用の柔軟性を確保する観点から、自衛隊が支援活動を円滑かつ安全に実施することができるように実施区域を指定するということを前提に、自衛隊の安全を確保するための仕組みとは区別して、憲法上の要請である一体化を回避するための類型としての要件を再整理したものでございます。  すなわち、一体化を回避するための仕組みとしては、我が国の支援対象となる他国軍隊が現に戦闘行為を行っている現場では支援活動を実施しないこと、仮に状況変化により我が国が支援活動を実施している場所が現に戦闘行為を行っている現場となる場合には、直ちにそこで実施している活動を休止又は中断することとしたものでございます。  その考え方は、協力しようとする相手が現に戦闘行為を行っているものではないという先ほどの④の相手の活動の現況を中心として、そうであるならば、①の地理的関係においても、戦闘行為が行われる場所とは一線を画する場所で行うものであることに変わりはなく、また、②の支援活動の具体的な内容については、補給、輸送といった戦闘行為とは明確に区別することができる異質の活動であり、③の関係の密接性についても、自衛隊他国の軍隊の指揮命令を受けてそれに組み込まれるというものではなく、我が国の法令に従い自らの判断で活動するものであって、これまでと同様であることから、全体として一体化を回避するための仕組み、担保として十分であるということでございます。
  217. 杉久武

    杉久武君 今の法制局長官の答弁の中でポイントとして重要なのは、この支援活動の実施、運用の柔軟性を確保する観点から今回この要件の見直しが行われたということであります。そして、その中で、自衛隊の安全を確保する仕組みとは区別をして、そしてこれまで申し上げてきた四つの考慮事情を当てはめをしていったと。そして、今回は、④の相手の活動の現況を中心として、残りの三つの考慮事情であります地理的関係、そして具体的内容、そして関係の密接性、これをクリアするような形で今回要件を作ったと、そういう経緯であるというように理解をしております。  その中で、今申し上げましたように、今答弁いただいた中にありますように、自衛隊の安全を確保する仕組みとは区別をしたということで、では、この自衛隊の安全というのは今回の法制度の中でどういうふうに確保をされていくのかというところであります。  憲法との関係から申し上げますと、これまでは、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることのないと認められる外国の領域等、ここで実施をするという形でありましたが、今回、憲法上の要請、武力行使との一体化をしないという要請では、現に戦闘行為が行われている現場では実施をしないという形になりました。したがって、活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないという文言が、それだけ比較をするとなくなったように見受けられるわけでございます。  しかしながら、この実施区域の指定に対してはどういうふうになっていたかといいますと、これまでの法令においては、防衛大臣は実施要項において実施区域を指定という形になっていたところ、今回の新しい法整備においては、防衛大臣は実施要項において活動を円滑かつ安全に実施することができるよう実施区域を指定ということで、今回の新しい法制度においては、円滑かつ安全に実施することができるようという新しい文言がここで追加をされまして、これによって自衛隊の安全確保を図るということで整理をされております。  そこで、防衛大臣に伺いたいと思います。  隊員の安全を考えたときに、この実施区域というのをどう定めるのか、これについてこの新しい文言に沿ってどのような決め方をされるのか、確認をいたします。
  218. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 新たな仕組みの下でも、法律上、防衛大臣自衛隊の部隊等が活動を円滑かつ安全に実施することができるように活動区域を指定をする旨規定をしておりまして、この規定を受けて、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所、これを実施区域に指定することとなります。したがって、いわゆる非戦闘地域等の仕組みの下で実施区域が指定されるなどして安全が確保されていた従来と安全面では変わりはありません。  また、万が一、活動場所やその近傍で戦闘行為が発生した場合には、直ちに活動を休止、中断し、安全を確保いたします。武器で反撃をしながら支援を継続をするということはございません。このような点も従来と同様でございます。
  219. 杉久武

    杉久武君 今防衛大臣から答弁いただきましたように、今回の実施区域の指定の方法としては、現在戦闘が行われていない、これだけではないと。自衛隊の部隊が現実に活動を行う期間全体において戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定をするということになりますので、今明確に大臣から答弁いただいたように、いわゆるこれまでの非戦闘地域、このときに確保されていた安全面については、これは何ら変わりがないんだということを今答弁いただいたと思います。  ただ一方で、先ほど申し上げましたように、やはりこの憲法上の要請の規定が変わったことによって活動エリアが広がるんじゃないか、活動エリアが広がることによってやはり自衛隊はリスクが高まるのではないか、そういった議論もこれまでされてきたところでありますが、やはり、この活動エリアが広がるからといって一概にリスクが高まる、そうでは決してないと思います。行くことができる範囲が広がったとしても、行くかどうかというのは、最終的にはこれは政策判断でもありますし、全て国会の事前承認が掛かってくる活動になります。  ここで、防衛大臣に確認をさせていただきます。  活動エリアが広くなればリスクが高くなるという懸念がございますが、そもそもこういったものは政策判断であり、この判断の考え方も変わるものではないということを御確認したいと思います。防衛大臣、お願いいたします。
  220. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど申し上げましたとおり、新たな仕組みの下でも、いわゆる非戦闘地域等の仕組みの下で実施区域が指定されるなどして安全が確保されていました従来との安全面におきましては変わりはございません。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  その上で、新たな仕組みの下で具体的にどこでどういった活動を行うかにつきましては、活動ニーズを確定するための現地調査、また部隊等の安全確保のために収集した現地情勢に関する情報等を踏まえて十分に検討した上で個別具体的に決定をいたします。その際、基本計画を閣議決定するとともに、対応措置の実施につきましては国会承認をいただくことになるわけでございまして、この点は特措法を制定して活動を実施していました従来と変わりはありません。
  221. 杉久武

    杉久武君 中谷大臣から今答弁いただきましたように、やはり実施区域の指定についての方法も、実質何も変わっていないんだと。ここは活動する期間において安全な場所、これを選んでしっかりと判断をしていくということになりますので、この点について全く、自衛隊の安全面についてはちゃんと確保をされているという、そういうことだと思います。  では、今回この要件を変えたその背景は何かといいますと、先ほど内閣法制局長官からも答弁いただいたとおり、憲法の要請でこの武力行使の一体化というものはあるわけでありますが、支援活動の実施、運用の柔軟性を確保する観点から、自衛隊が支援活動を円滑かつ安全に実施できるように実施区域を指定をする必要があると、そういった背景から今回要件が変わったわけでありますが、今回の法制度において、実施区域の指定で、なぜこの実施、運用の柔軟性が確保され、その結果、自衛隊の支援活動を円滑かつ安全に実施することができると言えるのか、中谷大臣説明をお願いいたします。
  222. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 従来の非戦闘地域、これは憲法との関係他国武力行使と一体化することがないようにするために設けられた仕組みでありまして、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域であります。言わば、自衛隊が半年間派遣をされるのであれば半年間戦闘がないと見込まれる地域でありますが、実際上は、例えば派遣部隊の一部がある場所で個別の活動を一週間だけ行う場合にも、派遣期間である半年間戦闘行為が行われることがないことを実施区域に指定する要件として運用をしておりました。  これに対して新しい仕組みは、純粋に憲法上の要請である他国武力行使と一体化を回避するための要件として現に戦闘行為が行われている現場で実施しないものとしたもので、安全確保の要請を満たしながら柔軟な対応を可能とするために、防衛大臣は活動を円滑かつ安全に実施することができるように実施区域を指定するものといたしております。  そこで、今後は、例えば自衛隊が半年間派遣される場合に派遣部隊の一部がある場所で個別の活動を一週間だけ実施するときには、その場所において現実に活動を実施する一週間の間戦闘行為が発生しないと見込まれるのであればその場所を実施区域に指定し、また柔軟にこれを変更することで円滑かつ安全な活動の実施を確保することといたしております。  このように、新たな制度におきましては、必要とされる具体的活動のニーズに即した形で機動的に実施区域を指定することができるということになります。
  223. 杉久武

    杉久武君 今、中谷大臣から答弁いただきましたように、今回、実施区域をやはり指定する方法、この新しい実施区域の指定の仕方によって、武力行使との一体化を回避するための要件としては、戦闘行為が行われていないところ、そこでやるという条件を付した上で、安全確保、これについてはしっかりとその実施区域の指定の中で防衛大臣が安全確保を図っていただいた上で円滑かつ安全に実施することができる、そういった今回は要件になっているというふうに理解をしております。  では、今度はこの実施区域を少し離れまして、これまで、今日も様々議論がありましたけれども、支援メニューについて少し、何点か確認をさせていただきたいと思います。  これまで、後方支援のメニュー、様々ございました。その中で、今回の法制、新しい平和安全法制の中で、後方支援のメニューから、弾薬提供及び戦闘作戦行動のための発進準備中の航空機に対する給油及び整備、これを除外する規定がなくなりました。この弾薬提供及び戦闘作戦行動のための発進準備中の航空機に対する給油及び整備が現行法及び旧特措法の支援メニューから除外されている、この理由についてまず確認をしたいと思います。防衛大臣、お願いいたします。
  224. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、現行法及び旧特措法の制定時におきましてはニーズというものがなかったために、弾薬提供と作戦、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機への給油、整備につきましては支援内容から除いたところでありまして、憲法との関係、すなわち武力行使との一体化の関係から除いていたものではありません。
  225. 杉久武

    杉久武君 要は、これまではニーズがないという状況の中で支援メニューから除いていたというところであり、これは、これをやると武力行使と一体化するという、そういう理由ではないと、あくまでニーズの問題であったということでありますけれども、そういった背景の中で、今回の法整備の方においては、支援メニューの中に、弾薬提供及び戦闘作戦行動のための発進準備中の航空機に対する給油及び整備、この除外規定がなくなりました。  これが、除外規定がなくなったこの理由について、防衛大臣に確認をいたします。
  226. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これまではニーズがなかったためでありましたが、その後、日米防衛協力が進展をしましてガイドラインの見直しが進められた中で、米側からこれらを含む幅広い後方支援への期待が示されております。  また、それだけではなくて、実際に一昨年、南スーダンのPKO、UNMISS、これに参加している陸上自衛隊の部隊が国連から要請を受けまして、韓国の部隊のために弾薬提供を行いました。このように、想定外の状況により弾薬を融通する必要性が生じた場合もございました。  さらに、空中給油・輸送機、複数のヘリコプターの同時発着艦能力を有する大型の護衛艦の導入、整備が進められました。また、共同訓練等を通じて、状況に応じた実効的な相互運用能力、インターオペラビリティー、これが向上をしてきております。実際のオペレーションとしても、海上自衛隊は東日本大震災への対処において米軍等のヘリコプターを護衛艦に離発着させて、柔軟かつ効果的に援助活動を実施したところでございます。  こうしたことを踏まえますと、政府としては、重要影響事態国際平和共同対処事態に際しての支援活動をより実効的なものとし、我が国及び国際社会の平和と安全を一層確かなものとする観点から、弾薬提供、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機への給油、整備につきまして、必要となった場合には実施できるようあらかじめ法的措置を講じておく必要があると考えております。
  227. 杉久武

    杉久武君 今答弁いただきましたように、今回、支援メニューにこの弾薬提供と戦闘作戦行動のための発進準備中の航空機への給油、整備、これが含まれたというのは、様々な角度からまずニーズが、必要性が出てきたというところがあると思います。今防衛大臣答弁いただきましたように、日米防衛協力の進展またガイドラインの見直しを進められた中でアメリカ側からこれを含む幅広い支援が期待をされた、そして実際に、今御紹介いただきました南スーダンにおいてはPKOに参加している陸上自衛隊が国連からの要請を受け韓国部隊へ弾薬提供を行ったと、こういった実績もある中で、こういったニーズに応えられるような法整備をしていかないといけないと、こういった背景の中で今回この除外規定がなくなったというわけであります。  今日も議論も少しありましたけれども、一方で、弾薬提供のこの中身の範囲について確認をしたいと思います。  様々、この委員会また衆議院でも議論ありましたように、この弾薬範囲の中には核兵器やクラスター爆弾や生物化学兵器といったもの、こういったものが含まれるのではないかという、こういった議論がなされてまいりました。  そこで、中谷大臣に確認をいたしますけれども、弾薬提供について、先ほどの答弁と少し重複する面もあると思いますが、具体的なニーズと想定をされている弾薬範囲、これについて明確な答弁をいただきたいと思います。
  228. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在、様々な日米の共同訓練の機会の拡大また防衛協力が進展しておりまして、今般、ガイドライン、これの見直しを行いましたけれども、その際、緊急時等では一部の部隊への補給が滞る場合が発生する可能性は否定できないとの認識を共有をいたしまして、米側から弾薬提供等も含めて自衛隊による幅広い後方支援への期待が示されたところでございます。  現実に、平成二十五年十二月、南スーダンのPKO、UNMISSを通じまして、この中で、国連、国際連合のミッションを通じまして、韓国隊の隊員の生命、身体を保護するために、自衛隊弾薬、これは五・五六ミリ弾といいますけれども、それを提供した実績があるように、想定外の状況により弾薬を融通する必要が生じ得る場合があり得るということが改めて確認をされております。  こうしたことから、重要影響事態また国際平和共同対処事態に際しての支援をより実効的なものとして我が国及び国際社会の平和と安全を一層確かなものとする観点から、弾薬提供を行えるようにするという必要があると考えております。  通常、それぞれの軍隊というのは自ら必要とする量の弾薬を携行して補給を行うということになり、また現実弾薬提供する際には我が国提供する弾薬と相手国の武器とが適合していることが必要であります。そのため、実際に重要影響事態法また国際平和支援法に基づいて我が国弾薬提供するのは、例えば緊急時に他国部隊への、一部への補給が滞る場合など限られた場合であると考えておりますが、このような点を踏まえますと、提供することが想定される弾薬としては、主に拳銃、小銃、機関銃など、他国部隊の要員の生命、身体の保護のために使用される武器に適合する弾薬、これが考えられます。  いずれにしましても、弾薬提供の実施に際しましては、支援対象国から具体的な提供の要請内容に基づきまして、我が国の政策や関連条約法律と整合的であるかを判断した上で、自衛隊の部隊等における弾薬保有状況、当該弾薬のニーズの緊急性などの観点を踏まえて、個々の要請の都度、我が国として主体的に実施の可否を判断することとなります。  したがいまして、弾薬提供が想定される場合も考慮すれば、核兵器生物兵器化学兵器といった大量破壊兵器や、クラスター弾劣化ウラン弾提供することはあり得ません。もとより、我が国はこれらを保有をしていないことからも、提供することもあり得ません。
  229. 杉久武

    杉久武君 今大臣から丁寧に答弁をしていただきましたが、やはりこの弾薬提供のニーズとしては、実際に先ほどありました南スーダンの事例もありました。やはり緊急時、これが非常にポイントになってくると思います。他国の軍隊が他国の部隊の要員の生命、身体を保護するために弾薬提供する必要性が出てくる緊急の場合、こういった場合についてはやはり必要性は十分にあると思います。  しかしながら、当然何でも提供できるわけでは決してありませんし、そもそも、先ほど大臣答弁で申されたように、武器に適合する弾薬じゃなければ当然提供することはできません。今の答弁いただいた中でおっしゃられたように、やはりそういった具体的なニーズに対して、実際に想定される弾薬というのはごくごく限定的なものになるということを確認をさせていただきました。  したがって、それを裏を返せば、核兵器生物兵器化学兵器といった大量破壊兵器、そしてクラスター弾劣化ウラン弾、こういったものを提供するような状況というのは想定できない、あり得ないということを明確に今お話をいただいたと思います。  では続いて、最後に、この提供、今は弾薬提供についてお話をいたしましたけれども、弾薬輸送について確認をしたいと思います。  これは午前中の高橋委員質問の中にも出てまいりましたけれども、武器弾薬輸送についても、やはりこの大量破壊兵器などについても議論をされておりますが、これらを輸送することも当然にあり得ないということでいいのか、また一方で、実際に輸送することのない武器弾薬を逐一法律に明記して今除外をしていないわけでありますけれども、それについての見解をいただきたいと思います。
  230. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 輸送の有無のお尋ねでございますが、我が国非核原則、これを堅持をするとともに、NPT条約、また、生物兵器禁止条約化学兵器禁止条約、これを批准をしておりまして、大量破壊兵器拡散防止にも積極的に取り組んでおり、核兵器生物兵器化学兵器といった大量破壊兵器輸送することはあり得ません。  こうした大量破壊兵器を始め、我が国として輸送することが想定されない武器弾薬につきましては、これまで議論をされているもののみならず様々なものがありまして、更に技術革新に伴い今後も増えていくものであると考えられます。したがいまして、これらの兵器弾薬を法令上逐一列挙して除外をするということは非現実的ではないかと考えます。また、限定列挙した場合、列挙されていないものは反対解釈として輸送できるのかということにもなりかねず、かえって不適切なことになるのではないかと考えております。
  231. 杉久武

    杉久武君 今答弁いただきましたように、当然のことではありますけれども、我が国非核原則もあると、また、核兵器拡散条約、また生物兵器禁止条約化学兵器禁止条約を批准をしているわけでございまして、こういったものについては当然運ぶということは絶対にあり得ないというわけであります。  今日の質疑を通じまして、まず、持っていないものは提供できないと、そして、条約禁止されているものを当然運ぶこともないですし、運んだことのないものも当然運ぶことは、扱えるわけでもありません。そういった意味においては、本当に今回の法案で想定されているものは、緊急時に他国の隊員の生命、これを守るために緊急的に臨時的に提供する、そういったニーズに対してしっかりと確保をしていかなければいけないということであると思います。  時間になりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
  232. 小野次郎

    ○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。  今日は、ちょっと問いの順番を通告とは変えて、問い六というところから始めたいと思いますが、まず、今日、お手元に四枚の資料を配らせていただいています。前にも使ったことがありますが、最初に見ていただきたいのは、我が党の武力攻撃危機事態は、これはまだ委員会付託になっていないのでちょっと参考までに見ていただいて、今日は存立危機事態政府案、これは自衛隊法七十六条一項二号の規定でよろしいですね、大臣、一項二号の規定。──じゃ、続けさせていただきますが、一度読みます。「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険がある事態」と規定されています。  そこでお伺いしますが、こういった日本の危機と言ってもいい事態になったときに、法体系としてどういう法律があるかというと、もうこれ大臣に申し上げるのも口幅ったいんですが、四つあるだろうと。一つは、自衛隊を出動させるかどうかについては自衛隊法規定がございます。だから、今七十六条一項二号と申し上げたんですが、これが中心になるわけですけれども、同時に、自衛隊あるいは国全体として、我が国に迫ってくる危機に対して全体でどう対処するかというのを書いたのが事態対処法ですね。そして一方で、米軍に対しても当然一体で支援しなきゃいけないという事態になるわけですから、米軍行動関連措置法というのがあるわけです。  ところが、もう一つ重要な法律の分野があるわけです。それは、そんな危機的な事態になれば、当然ですけれども、都道府県知事にも市町村の方にも全て協力いただいてというか、参加いただいて、国民の損害、被害が極小化しなきゃいけない、そのための国民保護法制というのに連動していくわけでございます。通常はそうなんです。  ところが、お伺いしますけれども、前回の質疑の確認から始めさせていただきますけれども、多くの国民の生命が危機に瀕し、国の存立が脅かされると大臣も総理も何十回も御説明いただいている存立危機事態を迎えながら、国民保護法制に連動しない、させないケースが想定されているんじゃありませんか。
  233. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この国民保護法といいますと、我が国への直接攻撃、また物理的な被害からいかにして国民やその生活を守るかという視点に立ちまして、そのために必要となる警報の発令や住民の避難、また救援等の措置を定めたものでありまして、現実安全保障環境を踏まえますと、存立危機事態に該当するような状況は同時に武力攻撃事態等にも該当することが多いと考えられます。このような場合には、武力攻撃事態等を併せて認定をいたしまして、現行国民保護法に基づく措置を実施することによって国民の生命の保護に万全を期すことができるということでございます。  他方で、ホルムズ海峡で機雷が敷設されるような事例のように、存立危機事態であって武力攻撃事態等には該当しないと想定される場合、すなわち我が国への直接攻撃や物理的な被害がいまだ発生をしていない場合まで国民や地方自治体に義務を負わせる国民保護法を適用する必要はないと考えているからでございます。
  234. 小野次郎

    ○小野次郎君 その国民保護法制を何か一方的に国民の皆さんに義務を課す法制だという説明は、それは曲解ですよね。元々は、だって、国民の受ける被害を極小化するために、参加もします、協力もお願いします。しかし、基本的に法の目的は極小化するためじゃないですか。だから、そういう被害の発生、被害の極小化というのが課題にならないような存立危機事態だということでしょう。
  235. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態であって武力攻撃事態等には該当しない場合におきましては、国民保護法を適用せずとも、生活関連物資等の安定的な供給につきましては、現行の様々な法令に基づいて国民生活の安定等のための措置を実施をし、国民生活の保護に万全の体制を取ることは当然でございます。  いずれにしましても、存立危機事態我が国に対する武力攻撃と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であることから、政府としては既存の関係法令に基づいて国民の生命及び権利の保護に万全の対応を取るということに努めてまいります。
  236. 小野次郎

    ○小野次郎君 大臣説明は、王手飛車取りじゃないけれども、二重の矛盾を含んでいますよ。  もし、本当に多くの国民の生命が危機に瀕し、国の存立が脅かされる、だから武力攻撃事態と同視すべきなんだと、それほどの危機なんだとおっしゃるんだったら、どうして国民の被害や損害は関係ないんですか。もし、その国民保護法制にこの存立危機事態に対応するような被害の極小化や被害をなくす、防止するという措置が含まれていないんだったら、今の国民保護法制に欠陥があるということじゃないですか。反対に、国民に被害が発生しないと言うんだったら、国民の生命が危機に瀕し、国の存立が脅かされると説明している存立危機事態の方がまやかしだということじゃないですか。
  237. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この場合、やはりこの武力攻撃事態、これ等にこの存立危機事態が該当すると、両方該当する場合には存立危機事態対処する一方で、我が国に対する武力攻撃がどの程度差し迫っているかという状況に応じて適時適切に我が国を防衛するための措置がとれるわけでございまして、具体的には、予測事態でありましたら防衛出動の待機命令、防御施設構築などの措置をとることが考えられる一方、武力攻撃事態であればこれに加えて防衛出動などの措置がとることができると。  他方、存立事態と認定されるものの武力攻撃事態等には該当しない場合には、我が国に対する武力攻撃が差し迫っているわけではないので武力攻撃事態等対処するための措置をとることはない一方で、存立危機武力攻撃による深刻かつ重大な影響からの国民の生命、身体、財産を保護するための措置を講じることになるということでございます。
  238. 小野次郎

    ○小野次郎君 我が国に対する武力攻撃が差し迫っていないという存立危機事態、例として挙げられたのはホルムズ海峡の例を挙げられましたが、それ以外にどういうケースを想定していますか。
  239. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現時点におきましてはホルムズ海峡が想定をされているということで、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに現時点で個別具体的な活動を念頭に置いているというわけではございません。
  240. 小野次郎

    ○小野次郎君 問いの置き方をちょっと変えますけれども、それじゃ、我が国の領域に対する直接の武力攻撃が想定されていないのに、存立危機事態を認定するにはどのような状況の場合を考えていますか。
  241. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 前の問いの関連から言いますと、現実安全保障環境を踏まえましたら、存立に該当するような状況は同時に武力攻撃事態にも該当するということで、存立に認定される場合……(発言する者あり)
  242. 佐藤正久

    ○理事(佐藤正久君) 静粛にお願いします。
  243. 中谷元

    国務大臣中谷元君) どのように認定をするかということにつきましては、実際に発生した事態の具体的な状況に即しまして情報を総合的に判断をするものでございまして、一概にお答えすることは困難でありますが、申し上げれば、ホルムズ海峡で機雷が敷設された事例は存立危機事態に該当しても武力攻撃事態等には該当しない場合として想定されるということでございます。
  244. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、大臣がおっしゃっているのは、存立危機事態という中に二つあって、一つは我が国に対する直接の武力攻撃が想定されないケース、だから国民保護法制にも連動させない、つまり、そういった我が国に対する直接の武力攻撃が想定される存立危機と想定されない存立危機と二つに分けることができるということですね。
  245. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態に該当するような状況は同時に武力攻撃事態等にも該当することが多いと考えられますが、一方で存立危機事態に認定されるような場合が同時に我が国に対する武力攻撃が予測又は切迫しているとは認められないこともあり得るということでございます。
  246. 小野次郎

    ○小野次郎君 だから、認められる場合と認められない場合と二つに分けることができるということですね、大臣
  247. 佐藤正久

    ○理事(佐藤正久君) 小野次郎君、指名されてから発言をお願いします。
  248. 小野次郎

    ○小野次郎君 確認ですよ、確認。ちゃんと答えていないから言っているんですよ。
  249. 佐藤正久

    ○理事(佐藤正久君) 指名されてから発言をお願いします。
  250. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 重なる場合と重ならない場合、これがございます。
  251. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は、基本的に重ならない場合のことを言っているんですよ。ほとんどが重なるんだったらどうして二号を設けるんですか、今回。
  252. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態が認定されるような場合が、同時に我が国に対する武力攻撃が予測も切迫もしていると、これは認められないような場合もあり得るということでございます。
  253. 小野次郎

    ○小野次郎君 すごい答弁されていますけれども、我が国に対する攻撃が切迫も予測もしていないんだけれども、国民の生命が危機に瀕して、武力攻撃事態と同視すべき事態だと。どこが同視できるんですか、それで。
  254. 中谷元

    国務大臣中谷元君) それは、存立危機事態という定義、三要件がございますけれども、それで放置をした場合に、我が国武力攻撃を受けたような被害や、また国民の犠牲が生じるというような明白な危険があるというようなケースがあり得るということでございます。
  255. 小野次郎

    ○小野次郎君 この存立危機事態の認定というのは総合的、客観的にとたしか大臣もおっしゃっていますけれども、しかし、それは認定の仕方が総合的、客観的にであって、じゃ、さっき読み上げた、国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険というのは、何によって認定するんですか、どういう状況、どういう事実によって認定するんですか。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
  256. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 具体的な状況に即して、主に攻撃国の意思とか、また事態発生の場所、能力、規模、態様、推移などを総合的に考慮いたしまして、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被ることになる犠牲の重大性や深刻性などから客観的、合理的に判断をすると、いたすということでございます。
  257. 小野次郎

    ○小野次郎君 何回も同じこと聞いていますけれども、大臣の方からおっしゃったんですよ、我が国に対する武力攻撃が想定されていない事例が存立危機事態には含まれていると。そしてその中には、我が国に対する攻撃が切迫もしていないし、予測もされない事態も含まれているとまで言った。それじゃ、どうやってこの我が国存立が脅かされ、生命、自由、幸福追求権利根底から覆される明白な危険であると、何を根拠に認定するんですかと聞いているんです。  というのは、横畠さんにもずっと答弁いただいていますけれども、これ、つい去年までは、これは我が国に対する直接の武力攻撃のことを想定した表現だと確定してきたんですよ。それを今回、政府側はそうじゃないものにも当てようとしているんだから、それと同視できるだけの具体的な事実がなければおかしいでしょう。
  258. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その際、定義をいたしますと、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわちその状況の下、武力を用いた対処をしなければ、国民我が国武力攻撃を受けたと同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるという事態が発生するということでございます。
  259. 小野次郎

    ○小野次郎君 もう一度、大臣、よくお聞きください。  この我が国存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険というのは、何十年にもわたって日本に対する直接の武力攻撃、それ以外にはないとされてきたんです、去年の七月、いや、六月三十日まではですよ。それで、一方で、今回法案として政府は提案しておかれながら、武力攻撃事態と同視すべき事態だと、この存立危機事態は、そうもおっしゃっている。  ところが、この存立危機事態の中身を聞いていくと、我が国に対する武力攻撃は想定されない事例が含まれていますと言っています。どれぐらい想定されていないのかといったら、切迫もしていないし、予測もされていないと言っているんです。  じゃ、我が国に対する武力攻撃は切迫もしていない、予測もされていない存立危機事態で、今までの我が国に対する直接の武力攻撃だけを指してきた、この国の存立が脅かされ、生命、自由、幸福追求権利根底から覆される明白な危険というのは、何を根拠に、どんな事実を根拠に認定するんですかと聞いているんですよ。質問分かるでしょう、これ。分かりにくくないと思いますよ。
  260. 中谷元

    国務大臣中谷元君) それはホルムズ海峡で機雷が設置される事例、これを挙げておるわけでございますけれども、この点におきましては、累次御説明をいたしておりますとおり、武力をそのまま、すなわち、その状況の下に武力を用いた対処をしなければ、国民我が国武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況ということで、小野委員にも度々お答えをいたしましたが、物資とかエネルギーの途絶によりまして国民生活に死活的な影響を与え、この定義のごとく、国民我が国武力攻撃を受けた場合と同様、深刻、重大な被害が及ぶというような状況でございます。(発言する者あり)
  261. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  262. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  263. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 例えば、ホルムズ海峡の例を挙げましたけれども、ここは年間三千六百隻もの日本関連船舶が通過をいたしまして、これを途絶をいたしますと、例えばエネルギー、石油源などの供給が滞ることになりまして、単なる経済的影響にとどまらず、物資の不足、電力の不足などライフライン、これが途絶が起こるなど、国民生活に死活的な影響、まさに国民の生死に関わるような重大、深刻な影響が生じるか否かという事態が生じ得るということも想定をしているということでございます。
  264. 小野次郎

    ○小野次郎君 とても納得できません。  委員長、ちょっと席におられない間にやり取りありましたので、私から委員長にお願いありますけれども、大臣に何遍聞いてもお答えいただけないのは、存立危機事態というのは基本的に武力攻撃事態と同視すべき我が国の危機だという説明されていながら、我が国に対する武力攻撃が切迫もしていないし、予測もされない事態も含まれますと言うんです。  だったら、どうやって、今まで我が国に対する武力攻撃だけを指してきた、国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福の追求権利根底から覆される明白な危険がある事態と認定できるのか、それについて政府の統一見解をしっかり出してもらわないと、あのときはこう言い、このときはこう言いで言われたんじゃ、とても納得できません。
  265. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) その件につきましては、後の理事会でお諮りをすることをお約束いたします。
  266. 小野次郎

    ○小野次郎君 では、質問を続けますが、大臣、別の話、これ二枚目の紙を見てください。①、②、③、④と書いたこの紙でございます。  これよく見ると、③のところだけ薄い印刷になっています。紙をお持ちでない方のために申し上げると、存立危機事態の認定手順と書いて、一番は緊密な関係を有する他国の特定、二番が他国に対する攻撃の発生、三番が、薄く、攻撃を受けた他国から我が国に対する要請、四番が我が国における存立危機事態の認定となっていますが、この紙を御覧になりながら聞いていただきたいんですけれども、大臣、この攻撃を受けた他国からの要請というのは存立危機事態要件認定の前提条件なんですか。
  267. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 非常に分かりやすい資料を出していただきましたけれども、これにつきましてちょっと順番で付言、私どもの考えを言いますと、まず、存立危機事態の認定につきましては、他国に対する武力攻撃が発生するということが大前提でありまして、御指摘の②が最初に来るものと考えます。次に、攻撃を受けた他国からの要請がなければ、事態の認定、④に係る前提が整わないことになるために御指摘の③が来るものと考えますが、この①と③の前後関係につきましては一概にお答えできませんけれども、要請国と被要請国の間に外部からの武力攻撃に対して共通の危険として対処しようとする共通の関心があるからこそ要請が行われます。  そして、被要請国はこれに応じることに鑑みれば、ある事態存立危機事態に当たるのであれば、①及び③についての政府認識は最終的に対処基本方針を閣議決定する際に、つまり④と同時に確定的に示されることになるわけでございまして、こういったことを鑑みますと、この要請というのは存立の認定を行う上の前提となるわけでございます。
  268. 小野次郎

    ○小野次郎君 国家の軍事力の発動規定した条文というのは最も厳格に構成されなきゃいけないと私は思うんです。でも、大臣説明を聞いていると、何か、聞いただけで分かる人いないと思いますよ、この①と③が前後が分からないなんと言っているんじゃ。  もう一遍伺いますけど、この攻撃を受けた他国から我が国に対する要請というのは、この存立危機事態認定の要件なんですか、それとも、事態日本国内だけで認定できるんだけれども、武力行使をするという意思決定をするための条件になっているということなんですか。ちょっと違うと思うんです、意味が。どちらなんでしょう。
  269. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 前回からの議論もございますので、もう一度ちょっと整理をして申し上げますが、武力攻撃を受けた国の要請又は同意につきましては、存立危機事態の定義そのものには含まれていないということでございます。その上で、我が国集団的自衛権行使するに際しまして、武力攻撃を受けた国の要請又は同意が存在しないにもかかわらず対処基本方針を定めることはございません。すなわち、我が国集団的自衛権行使するに際しまして、存立危機事態を認定するためには武力攻撃を受けた国の要請又は同意が必要になるということでございます。
  270. 小野次郎

    ○小野次郎君 ほかの議員も聞いていますけど、なぜこんな重要な要件法律には書かないんですか。
  271. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、もう既に自衛隊法八十八条におきまして国際法に従ってという規定もございますし、またこういった武力行使を行うに際しまして、存立危機事態、これを政府として閣議決定する際には、その理由、これを明記する必要がございまして、その際、要請又は同意があったということは書き込むことになっているわけでございますので、法律では明記をしなかったということでございます。
  272. 小野次郎

    ○小野次郎君 法律には書かなかったけれども、実際に認定する、武力行使の決断するときには必要な事項であるという説明ですね。  これ、今日、全国紙のある新聞、一紙だけですけれども、なぜ書き込まないのかと、同僚議員質問に対して、他国の要請や同意を法的要件にすれば、国連による集団安全保障措置など、本来は要請や同意を要しない活動への日本の参加が制約される可能性が出るからだという報道があります。  これ、議論されたことないなと思って一応検索してみたら、実は、六月一日に衆議院の方で玄葉元外務大臣がこんなことを聞いているんですね。国連憲章五十一条、集団的自衛権行使が許されるのは安保理措置がとられるまでの間に限定されているということを明確に規定しているわけでありますが、ホルムズ海峡の機雷掃海のケースで途中から集団安全保障になった場合なんかはどうするんですかと聞いたら、それに対する総理大臣の御返事が、集団的自衛権行使から今言った国連の集団安全保障措置に変わった場合でも引き続き行います、同じことは個別的自衛権発動している中において安保理決議があった場合もそのまま、やめなきゃいけないわけじゃありませんという答弁を六月一日にされています。  このことを意識されて法律に書かなかったんですか。
  273. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国集団的自衛権、これを行使するに際しまして、武力攻撃を受けた国の要請又は同意が存在しないにもかかわらず対処基本方針を定めることはありませんし、対処基本方針の閣議決定がない中で防衛出動を命じることもございません。今回、存立危機事態、これの認定をするに際しまして、この存立事態とはということで法律にも明記をいたしておりますが、その三要件、これに合う場合におきまして、これが、武力行使が可能ということでございますので、そういう前提で考えております。  なお、もう一度申し上げますが、我が国集団的自衛権行使するに際しまして、武力攻撃を受けた国の要請又は同意が存在しないにもかかわらず対処基本方針を定めることがないわけでございまして、我が国集団的自衛権行使するに際して存立危機事態を認定するためには、武力攻撃を受けた国の要請又は同意が必要になるということでございます。
  274. 小野次郎

    ○小野次郎君 だから、私の質問は、対処基本方針なるもの、僕は現物見たことはありませんが、そこに国連安保理決議と書けば済んでしまうんですかと聞いているんですよ。
  275. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 我が国武力行使を行うには、あくまでも新三要件、これを満たす場合に限られますが、存立危機事態において我が国武力行使を行う、武力行使を行うことになった場合に、その国際法上の根拠が集団的自衛権行使となるのかあるいは武力行使の容認をする国連安保決議になるのかについては、個別具体的な状況に即して判断されることになるということでございます。
  276. 小野次郎

    ○小野次郎君 私の問いに対してはイエスと答えているんですか。  もう一度お伺いします。  玄葉さんの質疑、安倍総理の回答があり、今日のある新聞の報道のことを私は例を挙げました。つまり、我が国武力行使をする、ホルムズ海峡で武力行使する際の要件として、その領域国ですかね、要請が必要だという答弁をされてきたけれども、法律には要件として書かない。書かない理由の中に、国連からの安保理決議があれば要請に代わることができるというふうに理解しているからなのかと聞いているんです。
  277. 中谷元

    国務大臣中谷元君) その際、我が国武力行使をする際におきまして、集団的自衛権、集団的安全保障の場合におきましても、これは、新三要件では我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生することが要件である以上、武力攻撃を受けた国から我が国に対して事実行為として何ら要請、同意がないということは想定されませんし、また、最終的に閣議決定をする際におきましては、この要請、同意、これは必要事項として認定をするための必要要件ということでございます。
  278. 小野次郎

    ○小野次郎君 対処基本方針にその安保理決議を理由にすることはないという、答えはノーだということですね、じゃ。
  279. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まあ、考えにくいということでございます。(発言する者あり)
  280. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止
  281. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記起こして。
  282. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 集団的安全保障の部分に関わる議論でありますので、私の方から答弁……(発言する者あり)あっ、集団安全保障、集団安全保障に関わる部分ですので、私の方から答弁をさせていただきます。  まず、基本的に我が国武力行使を認められるのは、憲法との関係において新三要件が認められている場合です。そして、それを、そうした武力行使を国際法上正当化する理由としまして、従来から議論があります集団的自衛権があり、そして今委員の方から御指摘がありました集団安全保障、国連憲章第七章、これも理由になるのではないか、こうした御指摘がありました。  結論から言いますと、そうした集団安全保障を正当化する理由にする場合はあり得ます。だから、あり得ます。だから、今衆議院議論の際にも、途中から正当化する理由が集団的自衛権から集団的安全保障に変わった場合どうするんですかと、そういう質問があった、そのとおりであります。  ただし、現実問題、集団的安全保障をもって……(発言する者あり)あっ、集団安全保障をもって我が国武力行使を正当化できるケースというのは極めてまれであると考えます。ですから、通常の場合は集団的自衛権をもって正当化される、これが通常であります。ですから、実際問題として、我が国存立危機事態を認定する際に、その武力攻撃を受けた国からの要請、同意、これが求められることになる、これが通常であると考えます。
  283. 小野次郎

    ○小野次郎君 そうすると、岸田大臣の整理していただいた内容は、後から国連の安保理決議が根拠になる場合はあるかもしれないけれども、最初に武力行使をできるかどうかと判断するときに国連決議を根拠にすることはないと、そういう理解でいいですか。
  284. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、新三要件の認定は国内の手続としてありますが、それを国際法上正当化する理由として二つありますが、集団安全保障をもって正当化するケースは極めてまれだということを申し上げております。  よって、先ほどの質問で、そういうことを想定するがために、要請、同意を法律の中に書き込まなかったのではないか、こういった指摘がありましたが、そういった理由では全くないということは申し上げたいと思います。
  285. 小野次郎

    ○小野次郎君 法律に書いてないけど、すごい重い要件があるということが分かりました。  そもそも、我々は憲法でどこにも自衛のための武力行使なんて認めていないわけですけれども、我々の憲法の理解というか、国の成り立ちの理解からして、我々は決して自分から攻撃はしないけれども、我々の存立が脅かされ、国民の生命や自由が覆されるというか、失われそうなときには、持てるものをもって反撃するんだと、撃退するんだと、これだけが認められている自衛権のはずですよね。  ところが、今日、中谷さん、あるいは岸田大臣と話してくると、我が国に対する武力攻撃が切迫もしていないし予測もしていない、だけど存立危機事態と言って、武力攻撃事態と同視すべきだと言って我が国武力行使する根拠になるんだと言っている。一方で、それでいて、要請という条文に書いてないものがなければ、どんなことがあってもこの存立危機事態は認定できませんと言っている。  そうすると、原点に戻って、我々は本当に座して死を待つことはできないというときだけ立ち上がると言っているのに、このままじゃ座して死を待つことになるじゃないですか。その国から要請が来なかったらどうするんですか。そのまま餓死者が出る、死者が出る、そう言っていても絶対に立ち上がれない。国連決議があっても駄目だと今外務大臣言った。どうやって立ち上がるんですか。何のための自衛権なんですか。この法律の、でき損ないだということを示しているんじゃありませんか。
  286. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 我が国武力行使をする際には、まず一つは、憲法の要請と整合しなければなりません。あわせて、国際法において正当化されるものでなければなりません。この二つの要請の下に、今この平和安全法制を作り、国会の審議をお願いしているわけであります。  あくまでも、我が国武力行使を行う、これは憲法の要請において新三要件に合致した場合のみであります。国際法上、それを正当化する理由として、この集団的自衛権があり、集団安全保障があるということです。先ほど来、整理させていただいていることに尽きております。  その範囲内で我が国として何ができるのか、現実において最大限国民の命や暮らしを守るために努力をする、これが政府の姿勢であると考えます。
  287. 小野次郎

    ○小野次郎君 座して死を待つかどうかだと私が問いかけたら、お答えになるのは、当然中谷防衛大臣じゃないですか。外務大臣が何答えるんですか。防衛大臣、どうなんですか。
  288. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この存立危機事態を判断する際に、まず大前提は、我が国と密接な関係にある国に対する武力攻撃でございまして、密接な関係にあるということは、当然、外交的にも、また共通の利害関係、また共通の危機にもあるということで、そういった国から要請、同意がないということはまず想定できないということでございます。
  289. 小野次郎

    ○小野次郎君 時間ですからこれでとどめますが、先ほど同僚議員事態対処法三条四項の責任も果たせないのがこの存立危機事態だとおっしゃいました。私は、それに続いて、今度、存立危機事態が全くすかすかの穴だらけで、何の歯止めにもなっていないし、何の役にも立っていないということを申し上げて、そのことを指摘して、今日の質問を終わります。
  290. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 日本共産党辰巳孝太郎でございます。  民間会社にも大きな影響を及ぼす戦争法案の中身について質問をいたします。  公開されたイラク復興支援活動行動史には、民間という言葉が何度も出てまいります。つまり、民間業者やその労働者が派遣活動の中に組み込まれてきたということであります。この行動史には、本派遣は総輸送力の九九%を民間輸送力に依存したとも記されております。  大臣、これ事実ですか。
  291. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘のイラク復興支援活動行動史第一編第二章、派遣準備におきまして、本派遣では総輸送力の九九%を民間輸送力に依存をしており、本貨物機アントノフを延べ三十七機利用との記述がございます。ただし、九九%という数字につきましては、民間輸送力に大きく依存をしていたことを端的に表現をしたものでありまして、数量的な裏付けがあるものではございません。
  292. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 では、どのような民間輸送力の依存があったのか、具体的に述べてください。
  293. 中谷元

    国務大臣中谷元君) イラク特措法に基づく活動に際しましては、政府専用機や自衛隊機の輸送機、輸送艦も使用いたしましたが、部隊派遣、要員の交代、撤収、これに伴う物資の輸送など、約六年間に及ぶ活動期間に必要な輸送ニーズ、これを満たすために、民間業者と契約の上、民間の航空機又は船舶を活用をいたしました。
  294. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 もう少し具体的に聞きたいと思いますが、イラク復興支援時の渡航に使われた民間航空や船舶のその回数と全体の中での割合、そして民間による技術者派遣は何回行われ、延べ何人が派遣されたんでしょう。
  295. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、イラク特措法に基づきまして、平成十五年十二月から平成二十一年二月までの間、イラクやクウェートに隊員を派遣をし、おおむね四か月から六か月ごとに部隊を交代をさせました。  これに伴い必要となる要員や物資等の輸送手段につきましては、具体的な輸送先、輸送内容、緊急性等に応じて異なりますけれども、日本とクウェート間の輸送について概略申し上げれば、要員の輸送につきましては基本的に航空機より輸送しておりまして、政府専用機により延べ二十四回、民間航空機により少なくとも延べ百回輸送しております。また、物資の輸送につきましては、海上自衛隊輸送艦「おおすみ」により一回のほか、少なくとも民間船舶により延べ十隻、主としてアントノフ輸送機により延べ六十三回輸送をいたしております。
  296. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 民間による技術者派遣も聞いたんですけれども、何回行われ、延べ何人が技術者として派遣されているでしょうか。
  297. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 民間輸送機、航空機の輸送については、アントノフ航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、タイ国際航空など民間航空機を利用しておりまして、これらの会社と契約をいたしております。また、日本航空におきましても、撤収の際に、平成十八年七月から九月までの間派遣する隊員を輸送した実績等がございます。  これでよろしいでしょうか。
  298. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 技術者派遣、何人。
  299. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 技術者につきましては、そういった事例がございまして、平成二十一年八月時点で契約相手方からの聞き取りなどを基に可能な範囲で集計をしたところ、延べ三十九名、これが派遣されたと承知しております。
  300. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 情報公開請求で開示された契約書には、大手物流会社、日本通運ですけれども、が受注して、民間航空機などを使ってクウェートに装備品などを運搬していたということでございます。答弁していただきましたけれども、そこで使われた民間航空機というのが、アントノフであったり、ブリティッシュ・エアウェイズであったり、そしてタイ国際航空であったりしたということであります。そして、日航も一度あったという答弁だったと思います。  装備品ということがこの契約書の中にも幾つか出てくるんですけれども、この装備品と書かれているものは何なんでしょうか。
  301. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 中谷大臣。(発言する者あり)中谷大臣答弁してください。
  302. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 人道支援物資等でございます。
  303. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 武器弾薬も含まれているんじゃないですか。
  304. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 含まれております。
  305. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 つまり、アントノフ、ブリティッシュ・エアウェイズ、タイ航空、またJALなどがこういう武器弾薬を運んでいたということでよろしいですか。
  306. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 民間の輸送機の、航空機の輸送につきましては、アントノフ、ブリティッシュ・エアウェイズ、タイなど民間機を利用しておりまして、武器弾薬輸送を含め、物資の輸送につきましてはこれらの航空会社と契約をいたしておりました。  日本航空につきましては、隊員の撤収の際に帰国する隊員を輸送した実績がありますが、武器弾薬、これは輸送をいたしておりません。
  307. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 衆議院での審議では、自衛隊はサマワに百十ミリ対戦車弾、八十四ミリ無反動砲、十二・七ミリ重機関銃などを持っていったということが明らかになっていますけれども、これらの武器弾薬などもこういった民間航空会社が運んだということでよろしいですね。
  308. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほどお答えをさせていただきましたけれども、民間の航空会社と契約をして輸送したということでございます。
  309. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 イラク復興行動史にあるとおり、ほとんどの輸送が民間に依存をされてきたと、しかも、武器や弾薬まで民間航空機が運んでいたということが初めて明らかになりました。  私が感じるのは、その復興支援で使われた民間の、民間ですよ、復興支援でさえこれだけ民間機が使われているわけですよ。武器弾薬が運ばれていると。しかし、その民間の活動をまとめていないわけですね。復興史にも詳細が出てこないわけです。二〇〇九年の七月に政府が作成したイラクでの対応措置の結果、これを報告した文書でも全く触れられていないわけでございます。  復興支援でこれだけ民間が関わっていると。ましてや、集団的自衛権行使後方支援が民間の協力なしではできない。私は、政府はそういう総括もなしに今この法案の審議が、議論が行われていると、これ、前提が崩れるというふうに思うんですね。  委員長に求めたいと思いますが、このイラク復興支援活動の中での民間協力、民間の活動の実態についての資料を求めたいと思います。
  310. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会にて協議をいたします。
  311. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 さて、これら民間協力は、イラク特措法十九条、これ国以外、つまり民間企業などに協力を求めることができるという法文があるんですけれども、この条項に基づいての協力要請なんでしょうか。
  312. 中谷元

    国務大臣中谷元君) このイラク特措法に基づく自衛隊の活動に際しましては、主として日本とクウェートの間の移動について民間航空機等を使用しましたが、これらの契約に際しましては、特措法第十九条、民間協力等の規定に基づき民間企業に対して協力を求めたものではございません。
  313. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 そうなんですね。つまり、契約であれば、これ法に基づかなくてもできるということであります。  イラク特措法には、復興職員及び自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならないとされていますけれども、このイラクに行った民間企業の従業員はこの安全確保の範疇の中に入るんでしょうか。
  314. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この九条というのは、イラクの復興支援職員と自衛隊部隊との安全確保に配慮することを規定したものでありまして、この対象に民間企業の職員は含まれませんが、自衛隊が業務を実施していく上で業務に関係する者の安全確保には万全を期すべきことは当然でございます。
  315. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 この法文上の安全の確保には入らないということなんですね。  厚労省にちょっと聞きたいと思いますが、現地に派遣された民間企業の労働者は、労働安全衛生法にはこれ適用されるんでしょうか。
  316. 土屋喜久

    政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。  労働安全衛生法は、原則として国内においてのみ適用され、海外に派遣されて現地で作業に従事する労働者には適用がございません。
  317. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 適用されないということですよ。労働者が仮に経営者からこれ派遣に行けと、イラクに行けと、そのことを拒否すれば、これ業務命令違反にもなるわけですね。  民間航空会社始め民間の業者がイラクでの活動に深く関わっていたということが明らかになりました。そして、契約で従事した民間企業労働者は、安全確保義務の適用もなくて安衛法などの適用もないということがイラクの派遣については実態ということが分かりました。  問題はこれからなんですね。審議中の今の法案では、国際平和支援法という新法、そして周辺事態法というのが重要影響事態法に改定をされると。つまり、自衛隊は、これまで他国の領土では活動ができなかったものが活動できるようになり、これまでの非戦闘地域から現に戦闘が行われている現場以外では後方支援活動が認められることになりました。活動範囲が広がったと、これは間違いないですね。
  318. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 周辺事態法におきましては、政府としては我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態という極めて緊迫をした事態に際して、我が国の平和と安全を確かなものとするために、関係行政機関が協力して対応し、また地方公共団体、民間企業等に対しても必要に応じて協力を求めることが想定されておりますが、この点は重要影響事態法でも変わりはありません。  その中で、現行周辺事態法第九条第二項、これは国以外の者による協力について定めるものでありますが、あくまでも政府が行うのは依頼でありまして、協力の義務を課すといったものではございません。また、民間企業に協力を依頼する場合には、まず安全が十分確保されていることが当然の前提であることから、主として国内における輸送、傷病者の受入れ、施設等の貸与などの対応をしていただくことを想定しております。  他方、具体的な個別の状況につきましては、安全が確保されていることを前提に、国外においては、例えば自衛隊の活動拠点やその近隣の空港、港湾までの物資の輸送、故障した機材の緊急の修理といった対応をしていただくことは排除をされないということでありまして、戦闘行為が発生したり、またそのおそれがあるような危険な地域において、これらの行為を民間企業に行っていただくことはあり得ません。また、本来自衛隊が行うべき米軍等への後方支援活動自体につきましても、民間企業に言わば肩代わりとして行っていただくこともあり得ません。  いずれにしましても、民間企業による物資の輸送等につきましては、法的に義務を課すということはなくて、あくまでも民間企業自らの判断で政府と契約を結ぶなどして対応をしていただければよくて、これは現行法においても同様でございます。
  319. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 大臣、まだ聞いていないことに答えていただかなくて結構なんですよ。  それで、範囲は広がるんですよ。自衛隊が行けるところが民間業者の行けるところになるわけですね。どういうところに行ってきたか、これ非戦闘地域ですね。しかし、自衛隊が駐留したサマワでは、これ非戦闘地域とされましたが、そこも危険な地域だったということが様々な開示請求資料でも分かっております。  先ほどの運搬したものの中には車両搭載対策機材というのがあるんですけれども、これはIED、つまり即席爆発装置の遠隔操作を妨害する電波だと、発するものだということも言われております。実際、二〇〇六年の五月三十一日には、陸上自衛隊車両とともに行動していたオーストラリア軍がこのIEDによる攻撃に遭っているということであります。九条の話をされましたけれども、九条によらなくても自衛隊が民間会社とこれ契約をすれば、これはどこまででも行けるということであります。  この後方支援活動でも使われた、復興支援活動でも使われた民間航空機についても少し聞きたいと思うんですね。  国際民間航空条約、シカゴ条約は、民間機の保護のため、軍事利用というのを原則禁止をしております。同条約は民間航空機のみに適用されて、軍の業務に用いる航空機は国の航空機とみなされて、同条約が適用されません。軍事利用は、民間航空の至上命題の安全輸送の理念に反するからだというのがこの条約の理念であります。  外務大臣に聞きますけれども、自衛隊米軍がチャーターをした民間機が自衛隊員や武器弾薬輸送した場合、この条約における三条(b)の軍の業務に用いる航空機に当たるんでしょうか。
  320. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の国際民間航空条約、シカゴ条約ですが、その中の第三条(b)に、軍の業務に用いる航空機、これは国の航空機とみなすとされています。これに該当するかという質問ですが、これ、チャーターされた民間航空機の使用形態、使用目的等に照らして、個々のケースごと、総合的に判断するということでございます。  ですから、例えば平成四年から五年に自衛隊日本航空の民間機を使ってカンボジアに人員を送った際には、これは日本航空と、政府日本航空と民事上のチャーター契約を締結したものであるとして、これは民間航空機として扱われています。一方、平成九年、これ、米軍が全日空をチャーターしたケースがあります。これは地位協定第五条に基づくとされ、米軍の管理の下に運航されると判断されて、これは国の航空機とみなされる、このように政府として判断しています。  このように、航空形態等によって、個々のケース、判断されるものと考えます。
  321. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 武器弾薬輸送は軍の業務に用いるということでよろしいですか。この条約における三条(b)における軍の業務。武器弾薬輸送
  322. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) このシカゴ条約三条においては、そういったことは規定されていないと承知いたします。そもそも、このシカゴ条約は民間航空機のルールを定めるものであります。御指摘の点につきましては、この条約の中には何か規定はされているものではないと考えます。
  323. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 私は、この日本政府の判断基準というものが、大臣おっしゃられたように、所有形態、使用形態、使用目的等に照らして総合的に判断されると、こういう話なんですね。  しかし、どういう武器を運べばこれは国とみなすのかというような基準は、これはっきり明示しておられないんですよ、外務省として。私はそれ、基準をはっきり明示するべきだというふうに思いますけれども、大臣、どうでしょう。
  324. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の基準につきましては、条約の中には何も明記されていません。そして、政府の判断は先ほど説明いたしました。そして、国際民間航空機関、ICAOという国際機関がありますが、この国際機関の場においても統一的な解釈は成立していないと考えます。  我が国の判断のみならず、国際機関等におきましても、航空機の所有形態ですとか使用形態ですとかあるいは使用目的等に照らして個々のケースごと、総合的に判断すると考えます。
  325. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 国か民間機かという判別というのは、私は重大だと思うんですね。しかし、それの判別する基準というものをまだこれ明示されていないわけですよ。  外務省に聞きますと、その担当者担当者ごとが判断していますという話なんですけれども、しかし、担当者が替われば、この担当者が判断したのは国の航空機だと、また別の担当者が判断すれば民間機だということになるのは私はおかしいと、統一基準を作るべきだということを申し上げたい、求めたいというふうに思います。  ですから、相手国からすれば、兵員や武器弾薬輸送しているこういう民間機、これが国となれば軍事目標となってまいります。そもそも、日本の航空法では軍需品輸送規定していない。これは憲法九条がそもそも歯止めになっているからであります。  かつて世界に路線網を張り巡らされた米国のパンナム航空は、戦争を続ける米国の象徴とされて、テロの標的になり、ついに破綻をいたしました。これを反面教師にすべきですよ。日本の航空機は軍事目標にされない、この土台を掘り崩すことになるのが今回の法案だと言っておきたいというふうに思います。  これは、航空だけではない、港湾もそうなんですね。  本年四月の日米新ガイドラインでは、これ平時からの協力措置、施設の使用の項目の中に、民間の空港及び港湾を含む実地調査の実施に当たって協力すると初めて明記をされました。  防衛大臣、今回なぜ初めてこれが盛り込まれたのでしょうか。実地調査の実施に当たっての協力というのはどういうことでしょうか。
  326. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御指摘の新ガイドラインにつきましては、平素からの措置として、民間の空港及び港湾を含む施設の実地調査の実施に当たって協力するとされております。  自衛隊米軍は、これまでも、日米安保体制抑止力の維持向上の観点から、平素から効率的な運用を確保するために相互に協力をし、我が国の平和と安定に関わる緊急事態における日米の共同対処能力の向上に努めてきております。この点、これまでの2プラス2の共同発表においても、日米双方による空港、港湾の調査について確認されており、実際に、空港、港湾に係る調査を実施をしてきております。  しかしながら、個別の調査の内容及びその実施状況、今後の予定など詳細につきましては、緊急事態における我が国及び米国の対応ぶりに関わるものでありまして、事柄の性質上、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  327. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 調査をしているということはお認めになりました。  二〇一一年、ウィキリークスの公表した秘密公電で明らかになった文書では、二〇〇八年、米国は日米共同概念計画五〇五五のため、日本国内の二十三の港湾、空港の調査を日本側に要求したということが分かりました。  この中で米側は、現在の計画の最も重大なリスクは、日本の空港と港湾への早期のアクセス計画がないことだと発言をしております。文書には、二〇〇八年の時点で二空港、二港湾の調査が終了していることが示されております。この文書の中では、次は下関港をやると、こういうことも記されております。  同時に、日本側からは調査の難しさを必死に説明をしております。例えば長崎、これは被爆地、歴史的な理由がある。また、野党が強いところ、これも難しい。調査の目的を公にできないことが調査が進まないという理由に挙げております。それでもアメリカは、この五〇五五の更新期限を二〇〇九年九月と定めて、それまでに調査を終えることを強く求めております。  これ間違いないですか。
  328. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 日本政府といたしましては、ウィキリークスのように不正に入手され公表された文書につきましてコメントを差し控えるという立場でありますところ、本件についても、個別のことにつきましてコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  329. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 統幕の監部は、代表はそのことに合意したと、こういうふうに発言をしているわけですね。  この調査の対象となるであろう港湾労働者で組織する全国港湾労働組合連合会は、この戦争法案に強い懸念を示しておりまして、廃案を求める決議の中でこう述べております。  戦争は、前線も後方支援も兵たん基地も一体で進められ、兵たん基地が攻撃の対象となることは必定で、港湾労働者は戦争の被害者となる。それは、さきのイラク戦争でイラク南部の港湾都市ウムカッスル港への砲撃で戦端が開かれたことを見れば明らかである。私たち港湾労働者は、戦争の加害者にも被害者にもならないと、ここで述べているわけであります。  その内容すらも明らかにされないということであります。  委員長、求めたいと思いますけれども、この内容を、実地調査とは何なのか、どこまで進んでいるのか、これを公表することを求めていただきたいと思います。
  330. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの件につきましては、後の理事会において諮ることといたします。
  331. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 今、様々な民間企業というのがイラク復興支援などでも関与をしていたということが明らかになりました。一般企業を通じた戦争人員の確保策というのも今狙われております。  防衛省は、若者をターゲットにした自衛官獲得方策、こういうのを考えているということが明らかになりました。  かつて、奨学金の返済に苦しむ青年を対象防衛省のインターンシップをというような提起があったということも、本委員会でも議論をされたことがありましたけれども、それだけではありませんでした。(資料提示)ここに示しているのが防衛省の作った「長期 自衛隊インターンシップ・プログラム」、「企業と提携した人材確保育成プログラム」のイメージというものであります。「有意な人材の「民―官―民 循環プログラム」」としてここには書かれております。  防衛大臣に聞きますけれども、これは、いつ、何の目的で、どの範囲で提案したものですか。
  332. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省では、前原氏に対して、企業が新規採用者を二年間自衛隊に実習生として派遣するとのプログラムのイメージについてお示しをしたことがございます。  これは、自衛隊のインターンシップ受入れにつきまして前原氏側から関心が示されたことを受けまして、防衛省の任期制自衛官制度に当てはめた場合のプログラムのイメージの一案につきまして、課題も含めて、平成二十五年七月に、経済同友会において前原氏側にお示しをしたものと承知をいたしております。
  333. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 前原氏って誰ですか。
  334. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 前原金一氏でございます。
  335. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 前原金一氏というのは、経済同友会でもあったメンバーの方でありますけれども、一民間企業の方にこういうイメージを示したということですね。これ、どこでこういうイメージを示されたんでしょうか。
  336. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、会合がございまして、平成二十五年五月に内閣府から防衛省に対しまして、経済同友会の前原専務理事当時が自衛隊でインターンシップの受入れについて関心を有している旨情報提供を受けまして、平成二十五年の六月、内閣府から防衛省に対してこのインターンシップの受入れについて情報提供がございまして、平成二十五年の七月に防衛省側から前原氏に対してそのイメージを示したということで、平成二十六年の五月に、文科省の有識者会議、学生への経済的支援の在り方に関する検討会におきまして、委員である前原氏がこのインターンシップ等につきまして関心を持たれたということでございます。
  337. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 大臣、どこで示したのかという質問をしたんですけれども、これは、防衛省の一官僚が前原氏の会社まで出かけていって示したということを聞いております。  これ、中身見てびっくりしますよ。どういうものか。企業側で新規採用者を二年間自衛隊に実習生として派遣をする、一任期限定の任期制士として受け入れる、自衛隊自衛官として勤務させて一定の資格も取得をさせる、二年間たちますと企業に戻って社員として勤務をすると、自衛隊での受入れの期間中の給与等は官側の負担とすると書かれているわけでございます。企業側のメリットとして、自衛隊で鍛えられた自衛隊製体育会系人材を毎年一定数確保することが可能だと、こう書いてあるわけですね。  大臣、なぜ体育会系人材を毎年一定確保することが企業側にとってのメリットだと防衛省は考えたんですか。
  338. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省が示しました企業が新規採用者を二年間自衛隊に実習生として派遣するとのプログラムのイメージにつきまして、前原氏側がどのように受け止めたのかは定かではございませんが、このプログラムのイメージには、実習生の身分、給与、採用選考など様々な点でまだ課題が多数ありまして、防衛省では、これ以降、これにつきましての具体的な検討は行っておらず、また今後も検討を行う予定もないということでございますが、イメージを提供したというのは事実でございます。
  339. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 大臣質問に答えていただきたいんですね。  体育会系人材、これを得られれば企業のメリットとなると、そういう人材を自衛隊では育成しているということだと思うんですね。企業のトップに従順な人間をつくるということではないかと、これがウイン・ウインの関係かというふうに勘ぐることもできなくはないというふうに思います。  そのほか様々書いておりますね。将来的には予備自衛官としての活用も視野と、こういう話もあります。  大臣大臣は元自衛官ですから、仮にこの二年間の任期制士として受け入れられた場合、その期間のうちに仮に有事が起こった際、これは防衛出動ということになるんでしょうか。
  340. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛出動に際しましては、正式に自衛隊員にならなければ拘束はできないわけでございまして、このような場合におきましては、研修のプログラムでございまして、自衛官ではございませんので、そのような防衛の場合の招集の対象者になることはないということでございます。
  341. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 大臣、レクの段階では、任期制自衛官は既に招集されており、有事の際には当然防衛出動対象になるというふうに聞いておりますけれども、どうなんですか。一般的にですよ、一般的に。
  342. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほど説明いたしましたが、このプログラムのイメージは、実習生の身分とか給与とか選考の内容などは課題が多々あって、その後検討は行っていないということでございます。その内容については全く決定もしていないし、その後、検討も行う予定もないということでございます。
  343. 辰巳孝太郎

    辰巳孝太郎君 一般的な質問で私は聞いているわけですけれども、答えないということであります。  仮にこれがやられたときに、自衛官として有事が起こった際には、これは防衛出動対象になるということであります。とんでもない、こういうことを考えることすら非常におぞましいと言わなければならないと思います。これ、予備自衛官とか志願者が減少する中で、民間企業を通じてそれらの確保を考えていると、考えていたことがあったということで、私は大問題だと言わなければなりません。  防衛省側のメリットとしても、再就職のいわゆる援護、これが不要だとか、若者、優秀な人材、取り合い回避でウイン・ウインになると、そして、先ほど申し上げたとおり、将来的には予備自衛官としての活用も視野に入れると、防衛省の狙いが赤裸々に書かれているわけでございます。  この集団的自衛権行使を認める戦争法案というのは、これ、米国の無法な戦争日本が加担をするものであります。戦地に行かされるのはまさにこういった若者であります。今日、傍聴にもたくさんの若い人たちが来てくれていますけれども、これだけ多くの若者がこの法案の本質を見抜いて、この法案の成立反対、廃案に立ち上がっております。そういう若者に、企業を通じて戦地に送るようなシステムを一経営者に提案をする、私はその発想そのものが恐ろしいと言わなければならないと思います。  このような戦争法案は廃案にするべきだと求めて、私の質問を終わります。
  344. 井上義行

    井上義行君 日本を元気にする会の井上義行でございます。  今、朝鮮半島で境界線を挟む、その境界線近くで緊張感が高まっておりますが、まず、韓国国内の邦人について、どのような注意喚起を外務省はしていますでしょうか。外務大臣、お願いいたします。
  345. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、朝鮮半島における邦人の安全確保、平素から注意喚起を行ってきております。在韓国日本国大使館では、平素から、ソウル日本会と共同でソウル日本人会安全対策委員会を開催するなど、定期的に情報提供、意見交換を行っておりますし、さらには、緊急事態用の安全マニュアルを作成し、在韓国日本国大使館ホームページに掲載する。そして、こうしたマニュアルも配布を行っております。    〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕  平素から様々な備えですとか緊急時の行動について説明をしておりますが、今回のこの事態を受けて対応した内容でありますが、まず二十一日に、在韓国日本国大使館、そして在釜山総領事館、そして在済州総領事館、これらのホームページに、一つは軍事境界線付近への不要不急の訪問は控える、二つ目として安全マニュアルを参照する、三つ目として最新報道や大使館からの情報に留意する、こうした呼びかけのお知らせを掲載するとともに、邦人に対しまして、一斉通報メール、あるいはこの日本人会の連絡網を通じた注意喚起を行いました。また二十五日にも南北間の合意の内容を含む最新の情報を提供している、こういった対応を行った次第であります。
  346. 井上義行

    井上義行君 それでは、今回の法案により韓国にいる邦人の救出、例えば南北が戦争状態になってその邦人を救出する際に、今の現行法案と今回の法案の成立によって、任務がどういう形によって変わるのか、これを中谷大臣、お願いいたします。
  347. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回の平和法制におきましては、新たに在外邦人等の保護措置、これを規定をいたしまして、海外の邦人を守るための制度の充実を図ったところでございます。  これにつきましては法案規定をいたしておりまして、それぞれの条件等もございますが、大前提といたしましては、関係国の受入れ、これが必要でございますので、当面、韓国のケースにおきましては韓国側の同意を得るという必要がございます。
  348. 井上義行

    井上義行君 韓国は、米側もおりますのでその同意が取りやすいというふうに思いますが、じゃ、北側にいる拉致被害者はどうなるのか。  先ほど外務大臣の方からそれぞれ、主権、国民、領土という言葉がございました。既に拉致被害者は主権を侵されて、そして国民の生命、財産に関わる、しかも人権法案では国の責務ということを規定されています。しかし、北朝鮮で受入れができない場合には、今回の改正があったとしても拉致被害者が救出できない、非常におかしい。自分の行為で国に行った人間と、日本の中で主権を侵されて連れ去られた日本人を救出できない、非常に私はおかしいというふうに思っておりまして、その認識大臣、いかがでしょうか。
  349. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 法改正後でありましても、北朝鮮に残された拉致被害者の救出について申し上げれば、自衛隊の活動につきましては、国際法上の観点、また我が国憲法上の観点から一定の制約がありまして、自衛隊の活動には限界があるということは事実でございます。  拉致被害者の方々の安全確保は極めて重要でありまして、政府として様々な状況を想定するとともに、北朝鮮の情勢にも注視しながら、全ての拉致被害者の安全確保を図るべく全力を挙げてまいりますが、その際、同盟国である米国との協力が極めて重要と考えておりまして、これまで米国に対しても拉致被害者に関する情報を提供してきており、拉致被害者の安全確保のための協力を米政府に依頼をいたしておりまして、在外邦人等の安全確保の在り方につきまして、今後とも不断に検討を行っていくべき課題であると認識しております。
  350. 井上義行

    井上義行君 私がちょっと気になるのが、米国と連携をして、米国の救出によって我が国の邦人を救出すると。これは私も分からないわけではないんですが、アメリカはなぜそれができるんでしょうか。
  351. 中谷元

    国務大臣中谷元君) アメリカは、かつてイランの人質救出作戦やまたいろんな意味で活動しておりますが、これは米国内で米国内の法律等に基づいた軍の運用、また治安当局の活用でございまして、そのようなことが可能である国家であるということだということでございます。
  352. 井上義行

    井上義行君 こういう理解でしょうか。日本は、日本国憲法が仮に可能だとしても、相手の了解がないと、やはり国際法の違反であると。しかし、アメリカはそれをしたとしても、アメリカはそれを犯してもいわゆる救出に向かうということの理解でしょうか。
  353. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 自衛隊の活動等におきましては現憲法下の下に法律に基づいて行われるわけでございまして、憲法によりまして、武力行使におきましてはこれの行使と威嚇はしないものということでございますので、あくまでも自衛隊の活動等につきましては武力行使にならないものであるという前提で今まで考えられてきているからでございます。
  354. 井上義行

    井上義行君 私は、この拉致被害者の救出は、武力攻撃前提としているわけではなくて、いわゆる邦人の輸送という任務で、むしろ警察任務に近いわけですね。ですから、やはり私が以前申し上げたとおり、いわゆるもし暫定政権、暫定地域というものができたら、その暫定地域の管理者が日本に対して要請なり、あるいは国連でこの邦人の救出について是非これをやってほしいと、あるいは自分の、我が国が求めに応じてそれを承認したらできるような特別措置法を私は作った方がいいということで、前回、私の提案をさせていただきました。  いま一度、やはり政治家として、拉致被害者というのは、主権を侵されて、そして人質に捕らわれて、そして海外に出かける、自分の意思で行ったわけではない、やはり特別な存在なんですね。ですから、やはりそうした救出に当たって、我々は武力攻撃をするわけではない、いわゆる救出のための輸送ということをやはり念頭に置いて救出ができるようにするべきだというふうに思いますが、中谷大臣、いかがでしょうか。
  355. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これまでも、自衛隊が海外において活動する場合には、必ず憲法九条との関係がこの国会でも議論になっておりまして、そういった意味におきまして、憲法九条、そして武力行使とならない範囲において法律の整備を行ってまいりました。  今回は人質の救出ということで、武力行使にならない条件といたしまして、国又は国に準じる組織と戦闘が行われない限りにおいて様々な条件を付けて、例えば受入れ国の同意とか、また警備当局との調整関係確保される場合であるとか、そういったことで、武力行使にみなされない、また、ならないという前提において法律を提案をいたしておりますので、この点についてまた御理解をいただきながら、今後、いろんな形で検討、研究は政治家としてはやっていくべきであると思っております。
  356. 井上義行

    井上義行君 是非研究をすると、検討していただけるというふうに受け取りました。是非、政治家として、やはりこの拉致被害者の救出については真剣に、政府として、自国の国民ですから、他国に頼らずやはり救出ができるような仕組みをつくるべきだというふうに思っております。  そこで、我々は、今回の法案に当たって、入口、中口、出口ということで、事前承認、そして再承認、そして検証という形を、私たち元気、そして改革、次世代と三党で修正案を出そうと今動いております。  そこで、事前承認については同僚から様々ないろんな議論がされておりますが、今日は再承認についてお伺いをしたいというふうに思っております。  存立危機事態国会承認があったら、次の承認というのはいつ来るんでしょうか。
  357. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 今回の平和法制の中で、国際平和支援法に基づく自衛隊の全ての活動とPKO法に基づく一部の活動につきましては、活動を継続する場合には二年ごとの国会承認を求めなければならない旨を定めております。このことによりまして、政府の判断のみならず国会の関与も得まして、民主主義国家として適切に活動の継続が判断される仕組みが設定されているものだと認識しております。
  358. 井上義行

    井上義行君 私の理解で、存立危機事態というのは時間とともに変わるんじゃないかというふうに思うんです。  先ほど来の議論を聞いていると、想定されるのは機雷掃海しか今のところないと。その機雷掃海であったとしても、存立が脅かされる、もう根底から覆す状況というのは、いきなり突発的に来る、あるいは偶発的に来るのではなくて、じわじわじわじわ来るようなイメージを私は持っています。その中で、一回承認をしたけれども、総合的というのはいろんな、外務省の情報であったり、内調とか公安とか防衛省とか様々ないろんな情報を総合的に判断して、経済的にも全部含めた、軍事的な情報も含めて総合的に存立危機事態だという形で政府は認定すると思うんですが、一か月たったら存立危機事態存立危機事態じゃない場合もあると思うんですね。  そういう場合というのは、存立事態が発生した時点で、これは二年間ずっと、未来永劫その任務が可能になるということで理解するんですが、それはどうでしょうか。
  359. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態におきましては、我が国による武力行使については主体的に判断をすることは言うまでもありませんが、存立危機事態要件、これを満たさなくなったとの判断につきましては、これは事態対処改正案第九条第十四項におきまして、内閣総理大臣は、対処措置を実施する必要がなくなったと認めるとき又は国会対処措置を終了すべきことを議決したときは対処基本方針の廃止について閣議の決定を求めなければならないとされているわけでございます。  事態対処につきましては、行政府の判断のみならず、国会による民主的な統制が確保されたものとなっていると考えております。
  360. 井上義行

    井上義行君 そこで、どうしてもやはり国家あるいは行政というのはメンツというものがあって、一回そこに走ってしまうとどうしても、いや、何だ、日本はそこから撤退するのかということになってしまうんですね。存立危機事態じゃないのにそのままやってしまうということがあり得るわけですね。ですから、我々は、承認をしても、一定の期間、私たちが今想定しているのは九十日ですけれども、九十日したらもう一回国会承認を取った方がいいと思っているんです。  それは、やはり情報というのは、例えばアメリカにおいても、イラクの戦争大量破壊兵器があるという前提で動いた。ところが、大量破壊兵器はなかった。常に情報というのは、非常に確度の高い、いわゆる総合的に判断してこういう事実が起こるだろうという中で動いてくるものだと思っています。ですから、前提となった、根拠になった、その一番根拠になったものが覆る場合もあり得るわけですね。  ですから、こうした承認を得て、九十日たったらやはりしっかり国民の負託を受けた国会で再承認をした方が、やはりメンツとか、あるいは国際的な非難とか、そういうものを考えずに素直に、この条件に当てはまらないという中でその承認をしたり、あるいは承認ができなかったりすることが我々国会の役目だろうというふうに思っておりますが、この再承認については今後しっかりと各野党あるいは与党に呼びかけて、この再承認の実現に向けて我々動いていきたいというふうに思います。  今日は、この再承認の話について、我々、入口、中口、出口を、この国会でもしっかりと歯止めになる参議院としての意思をしっかりと私たちは訴え、そしてこの修正に向けて動いていきたいということを申し上げて、質問を終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  361. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 次世代の党の浜田和幸です。  今、我が国は、電子政府、この実現に向けて、内閣委員会でもマイナンバー制度、いろんな議論が進んでおります。そういう電子政府、これを安全に運営するためには、サイバー環境といったことをしっかりと対策を講じておく必要があると思うんですね。  そこで、まず中谷防衛大臣にお伺いしたいと思いますけれども、今我が国を取り巻く脅威の源泉というのは、多方面から、陸だけではなく海からも空からも、サイバー、宇宙空間、本当に間断なく攻撃が仕掛けられている状況ですよね。そういう中で、防大の卒業生、これは陸海空と配属が成績によって決まるんでしょうけれども、大半、主に陸上自衛隊に入隊するという方々が大変多いんです。しかし、将来の我が国に対する脅威ということを考えた場合には、今の陸海空の自衛隊の統制、そういったまた陣容、人材、装備の運用体制など、組織をもう少し柔軟に未来志向で捉え直す必要もあると思うんですよね。  そういった意味では、新しい脅威に対する備えが今のような陸上自衛隊への幹部が重用されるという体制のままでいいのかどうか、そのことについて、まず現状の認識、今後の展望について、中谷大臣のお考えをお聞かせください。
  362. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私の認識といたしましては、防衛大学校の卒業生が陸に偏重して厚遇を受けているという認識は持っていなくて、それぞれ陸海空にバランスよく適材適所で配置をされているということでございますが、この防大の教育の在り方、また将来の人事制度につきまして、委員から御意見等もございましたので、今後とも検討をしてまいりたいと思っております。
  363. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 やはり、サイバー攻撃に備える、特に中国の四十万とも五十万とも言われるサイバー部隊、北朝鮮だって四万、五万といるわけですよね。そういうところから来るサイバー攻撃に対しては、やはり自衛隊の中に、陸海空をある意味では超越する形の、あるいは統合した形のサイバー防御隊、サイバー部隊も必要ではないかと思うんですね。  そういうことで初めて、日本が今これから実行しようとしているマイナンバー制度を言ってみれば最大限に生かした電子政府といったものの安心、安全が確保できると思うんですが、やはり軍事マネジメントの観点からそういう発想の転換も必要だと思うんですけれども、そういうサイバー、電子政府といったことに対する基本的な政府のお考え、これからどういう人材育成をしていくべきだと、その中には民間からの人材の登用ということも必要だと思うんですけれども、中谷大臣のお考え、いかがでしょうか。
  364. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 防衛省自衛隊といたしましては、もう既にネットワークの監視、またサイバー攻撃の発生時を二十四時間体制で実施するとともに、サイバー攻撃に関する脅威情報の収集、分析、調査研究等を一元的に行う共同の部隊であるサイバー防衛隊、これ約九十名でございますが、平成二十六年三月に新編をいたしております。また、サイバー攻撃対処などを担う基盤といたしましての人材の育成、確保も極めて重要な課題と認識しておりまして、教育の充実、部外からの高度人材を効果的に採用する枠組み等について検討を行っているところでございます。  また、ロボット・レーザー技術の先進技術につきましても、それらを担う基盤として人材の育成、確保、これは極めて重要な課題と認識しておりまして、国内の研究機関との共同開発、また研究職員を国内外の大学院で研修させるなど人材の育成に努めておりまして、今後もそれらの方向で取り組んでまいりたいと思っております。
  365. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 今大臣から、サイバー部隊、九十人の編成をされたということで、中国とか北朝鮮、あるいは同盟国のアメリカとも比べても、余りにも桁が違うと思うんですよね。やっぱり中国が四十万、五十万人のサイバー攻撃部隊を擁してアメリカの人事局のネットワークに侵入して、二千万人を超えるアメリカ政府の人間の個人情報を抜き取っている、そういう状況があるし、ロシアはロシアで、エストニアの電子政府、あるいは電子選挙を先般実施したときに、ロシアからのサイバー攻撃で電子投票が無残にも破壊されてしまうというようなこともやっているわけなんですよね。ですから、九十人というのは、余りにも数の上で劣勢に立たされているんじゃないかと思うんです。  もちろん、民間からの人材登用ということもおっしゃいましたけれども、ここは官民を挙げてのサイバー対策ということにもう少し予算配分あるいは柔軟な人材の登用といったことを是非とも御検討いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  366. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 御意見をいただきました。  防衛省といたしましては、こういった安全保障の変化、環境等を考慮いたしまして、大綱又は中期防を踏まえまして、引き続き、資源の配分、これの重点化を図りつつ、着実な防衛力の整備に努めてまいりたいと思っております。
  367. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 今、世の中はインターネットを通じて様々な情報が飛び交っている。ネットバンキングを含めて、インターネットがなくてはならない社会になっていますよね。しかし、元々このインターネットも、アメリカのDARPA、先進防衛の軍事的な技術を中心にして開発されたわけで、そのインターネットに依存している社会に対する中国やロシアからの新しいネットシステム、これは、アメリカ自身もインターネットの次、もうアウターネット、宇宙から個人一人一人の携帯やパソコンに情報を提供するような、新しいネットの主導権をめぐる争いが今まさに展開しているわけですね。  そういう状況を踏まえますと、やはり日本も独自のネット戦略といったことを、先ほど大臣は、ロボットやレーザー技術、日本独自のものをこれから強化するとおっしゃいましたけれども、ロボットのドローンを含めて動かすためにもネットの技術というのは欠かせないわけですよね。そういった意味で、ロシアや中国が今一体化してインターネットに代わる新しい情報のシステム、ネットワークをつくろうとしている動き、そういうことに対して日本は、じゃ、アメリカと連動してどのような対抗策が考えられるのか、是非とも柔軟な、今の安保法制の中でも、そういった未来志向のシステム構築についても是非検討を進めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。
  368. 中谷元

    国務大臣中谷元君) サイバーにつきましても、せんだって合意をいたしました新しいガイドライン、この中にも項目として明記をされておりますので、日米間で協議をしたり、また、チームをつくって検討をしたりいたしまして、世界の変化、流れ等に対応して、防衛省自衛隊としても検討してまいりたいと考えております。
  369. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非、サイバーに加えて、やはりインテリジェンス、先ほど井上議員からも問題提起がありました、国会で事前承認、これを実行するためにも、世界の不穏な動き、これに対し事前にしっかりと情報を収集しておくインテリジェンス機能というものは欠かせないと思います。  そういう観点で、やはり中国の孫子の兵法ではありませんけれども、諜報の重要性といったことは、世界のあらゆる国々が力を入れて人材育成、これを取り組んでいるわけでありますけれども、隣国の韓国でも北朝鮮でも中国でもロシアでも様々な形で我が国に対する情報収集、それはハニートラップも含めて様々な働きかけが行われているわけでありますが、そういう海外の情報、心理戦に対する我が国の防御策、あるいは我が国自身が海外の情報を収集するためのインテリジェンスの活動について、今どういうような人材育成をされているのか。  やはり、既存の政府機関の専門職員だけであらゆる情報をかき集めるというのはなかなか難しいと思うんですね。民間からの人材や英知といったものをしっかり吸収していく、そういうことも必要であると思うんですけれども、政府としては、そういう官民挙げてのインテリジェンス機能の強化についての余地、考えを、今どのようなことを考えておられるのか、是非ともお考えをお聞かせください。
  370. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 情報の分野でございますが、我が国を取り巻く国際情勢、また自衛隊の活動地域において、従来以上に綿密かつ迅速に情報を収集して、より総合的な分析を実施をするということは必要でございます。  そのため、防衛省といたしましては、公開情報、電波情報、画像情報、これの収集体制の強化、防衛駐在員の増員、情報本部における地域専門家の育成などによりまして、我が国独自の情報収集能力と総合的な分析能力の強化、これに取り組んでいく考えでございます。  また、閉鎖的な国家そして組織の内部情報等の収集は相当な困難を伴いますが、安全保障環境が一層厳しさを増す中、国家の戦略的な意思決定を適切に行っていくためには、このような情報の収集が極めて重要でございます。かかる観点から、現在、政府全体として、対外人的情報収集の手段、方法、体制の在り方について研究を深めているところでございますが、防衛省もこれに積極的に参画をしていく考えでございます。
  371. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 是非、そういう各省庁横断的な取組を加速させていただきたいと思います。  現在、内閣情報会議とか合同情報会議に重要なインテリジェンスに関わる情報が上げられている。しかしながら、そういう会議に上げられるよりかは、そこを通り抜けて直接内閣の官房長官とか首相補佐官に情報が上げられるということも多くて、なかなか横断的な対応ができにくい状況だと理解しております。  今、世界中で様々なテロあるいは不穏な動きがある中で、そういうことに、言ってみれば金融危機を人為的に引き起こすような、そういったパニック情報もまことしやかに伝播されているわけであります。そういう意味で、情報心理戦を勝ち抜くためにも、我が国が、各役所が持っている個別の情報をもうちょっと横断的に、国益重視という観点で言ってみれば収集し共有する、そういう体制が必要だと思うんですね。  そうすることをするためには、独立した中央集権型のインテリジェンス機構といったものが必要になるんではないかと思うんですけれども、そういう点について、防衛大臣外務大臣のお考えをお聞かせください。
  372. 岡田隆

    政府参考人岡田隆君) お答え申し上げます。  現在の政府の取組でございますが、情報コミュニティーといたしましては、内閣直属の情報機関として内閣情報調査室が設置されておりまして、また、情報コミュニティー、各省庁が内閣の下に相互に緊密な連携を保ちつつ、情報収集・分析活動に当たっております。具体的には、内閣情報会議やその下に置かれる合同情報会議を通ずるなどして、情報コミュニティー、各省庁が収集、分析した情報が集約され、総合的な評価、分析を行う体制が整備されており、情報コミュニティーとして機能しているというふうに認識しております。  他方で、我が国をめぐる安全保障環境が非常に厳しい中、政府といたしまして、政府の情報収集、情報機能を更に強化し、正確かつ機微な情報を収集して国家の戦略的な意思決定に反映していくということは極めて重要であると考えております。  御指摘の対外情報機関等の設置でございますけれども、今様々な議論がございまして、政府としても、情報の収集、集約、分析の一層の充実強化に取り組む中で、御指摘の点も含めまして真摯に検討してまいりたいというふうに考えております。
  373. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 独立したインテリジェンス機関の設置に関しましては、今自民党の中でも日本版CIA構想ということがいろいろと議論が進んでいるという具合に承っております。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕  これ、政府とすれば、そういう自民党内の日本版CIA構想、これをどういう具合に捉えておられて、その実現に向けて具体的なロードマップを描いておられるのか、その辺りについての政府考え方はどうなのか、是非お考えをお聞かせください。
  374. 岡田隆

    政府参考人岡田隆君) お答え申し上げます。  御指摘自民党においての検討でございますが、現在自民党の中でも議論が行われているということは承知してございます。政府といたしましても、情報の収集、集約、分析の一層の充実強化に取り組むという中で、これについても検討してまいりたいというふうに思っております。  繰り返しになりまして恐縮でございますが、まさに対外的に、対外人的情報収集をいかに強化していくのか、どういった手段、方法、体制の在り方が考えられるのか等については研究を深めているところでございまして、拙速は避け、しっかりと研究をしてまいりたいというふうに思っております。
  375. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 そういう検討が進んでいるということですけれども、刻一刻と日本を取り巻く国際環境というのは変化しているわけですよね。これは、外務省にとっても対外情報収集というのは極めて重要な役割だと思うんですけれども、そういった日本版CIA構想について、外務省大臣としては、どのような活用方法、どのような情報共有ができるとお考えでしょうか。最後にお聞かせください。
  376. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 政府としての省庁横断的な情報収集機関につきましては、対外情報機関につきましては、先ほど答弁があったとおりであります。その中にありまして、外務省としても是非しっかりと貢献をしていかなければならないと考えます。  そもそも、外務省としましては、全世界に百三十九の大使館、そして六十の総領事館が存在いたします。そのそれぞれの拠点に様々な情報源があり、人脈があるわけですが、これをしっかり充実していく、こうした取組も大事でありますし、また、この情報収集においても、より細かく分野別に取り組んでいかなければなりません。例えば国際テロ情報ということにつきまして、この度、外務省の中に国際テロ情報収集ユニットを新設するための準備を今立ち上げました。  こうした形で、まずは外務省自身もしっかりと努力をし、あわせて政府横断的にどういった取組ができるのか引き続き検討をしていく、こういったことで外務省も貢献をしていきたいと考えます。
  377. 浜田和幸

    ○浜田和幸君 以上で終わります。ありがとうございました。
  378. 水野賢一

    水野賢一君 無所属の水野賢一です。  先週の金曜日に質問をした、存立危機事態を認定するときには、密接な関係にある他国武力攻撃を受けた他国からの要請が必要なのかという問題を引き続き質問します。  配付資料の一ですけれども、従来から政府答弁をしてきたのは、集団的自衛権行使するとき、つまり武力行使するときには要請が必要だということは言っていたんですよね。それはそれで分かりますよ。どこからの要請もなく、しかも日本武力攻撃をされたわけでもないのに、自衛隊を海外に出して武力行使するなんということをしたら、それは国際法違反だというわけですよね。  それは、確かにそんなことをしたら、集団的自衛権とか自衛権という以前に侵略じゃないかというような疑いさえ出てきちゃうわけですが、私が質問をしたのは、武力行使の話じゃなくて、日本として存立危機事態だと認定をするときにも他国の要請が必要なんですかという質問をしたんですが、これについては先週金曜日の質疑では答弁がかなり混乱していたんですが、昨日の中西健治議員質問や先ほどの小野次郎議員質問に対する答弁のときには、国会に来ると何かちょっと混乱した答弁されるんだけれども、一応、認定にも要請は必要だというようなニュアンスで答弁されていて、昨日、大臣、記者会見ではかなり明確に言っているんですよね。  記者会見、これは配付資料の三ですけれども、配付資料三の中の二ページ目、ゴチック体になっているところですけれども、そこを読むと、他国からの要請や同意がないのに存立危機事態だと認定することはないという趣旨のことをおっしゃっていますけど、政府の見解はそのとおりでよいということですよね。確認です。
  379. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 私が記者会見で述べたとおりでございます。
  380. 水野賢一

    水野賢一君 しかし、大臣答弁は、まず常識に反すると思うんですね。そして、法文上どこにもそんなことは書いていないわけなんですよね。  まず、常識に反するということから言いますけれども、これ、日本存立危機の認定ですよ、日本存立危機の認定なんですから、武力行使じゃなくて、存立危機かどうかの認定なんですから、他国の要請の有無はこの際関係ないんじゃないですか。逆の言い方をすれば、存立危機というべき状態に至っているにもかかわらず、他国から要請がないと認定さえできないというのは、これは普通に常識で考えておかしいというふうに思いませんか。
  381. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態の認定というのは対処基本方針の決定によって行うことになりますが、その対処基本方針におきまして事態前提となる事実を記載し、防衛出動などの対処措置について定めるということになります。これは閣議決定に至ります。  したがいまして、存立危機事態の認定と対処基本方針、また防衛出動関係ないということはございませんで、存立危機事態の認定をするためには、武力攻撃を受けた国の要請又は同意が必要であるという説明をしているところでございます。
  382. 水野賢一

    水野賢一君 いや、だから、答弁自体は、納得するかどうかは別として、言っている意味は分かるようになりましたよ。だけれども、これ、存立危機なのに他国の要請がなければ認定できない、そういう存立危機というのは、そもそも概念そのものが自己矛盾なんじゃないですか。これは壮大な論理矛盾の上に、私、この存立危機事態だというこの概念ができ上がっているんだというふうに思いますけど、じゃ、法文の方で伺います。  法文で、配付した資料の二ですけれども、二のところに、存立危機事態について、いわゆる事態対処法の改正案条文を書いたわけですけれども、この定義を見ても、若しくはいわゆる新三要件というのを見ても、認定に他国の要請が必要というのはどこにも書いていないと思うんですけど、一体どこに書いてあるんでしょうか。
  383. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この条文のとおりでありまして、武力攻撃を受けた国の要請と同意については存立危機事態の定義そのものには含まれておりませんが、その上で、我が国集団的自衛権行使するに際して、武力攻撃を受けた国の要請、同意、これが存在しないにもかかわらず対処基本方針を定めることはございません。  すなわち、我が国集団的自衛権行使するに際して、存立危機事態を認定するためには、武力攻撃を受けた国の要請又は同意が必要になるわけでございまして、この存立危機事態の認定というのは、政府対処基本方針を作りまして、それで閣議決定を行うという時点で私は認定というふうに理解しております。
  384. 水野賢一

    水野賢一君 法文には書いていないということでいいですね。
  385. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この点につきましては、存立危機事態の定義、これは法案で書いたとおりでございますが、同じように、八十八条の二におきまして国際法規に従うということでございますので、当然のことながら、集団的自衛権の場合にはこの該当国からの要請、同意、これが必要だということでございます。
  386. 水野賢一

    水野賢一君 いや、国際法規を守るのは当たり前なんですよね。当たり前なんだけれども、それは、今おっしゃったのは自衛隊法八十八条の話ですよね。これは、自衛隊を出して武力行使をするときの話じゃないですか。存立危機なんだというふうに認定をするときには、これは日本国内の話なんだから、これ国際法規は直接は関係ないわけであって、じゃ、国際法規について伺います。  他国からの要請、同意のないままに存立危機事態だと認定したら、国際法の一体どこに違反するんですか。具体的に答えてください。
  387. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 国際法上、集団的自衛権要件としましては、武力攻撃を受けた国からの要請、同意、そして他に手段がないという必要性、そして必要最小限という均衡性、この三つ要件とされています。この三つ要件が国際法上求められているわけですので、その一番目の要件を欠くことになりますので、集団的自衛権としてこの武力行使を正当化することができなくなってしまう、このように考えます。
  388. 水野賢一

    水野賢一君 今、岸田大臣が答えたのは、武力行使をして集団的自衛権日本発動するときにはそういう要件が必要だということを言っているんですね。それは分かっているんですよ。  私が中谷大臣にさっきから聞いているのは、存立危機事態日本独自で認定しちゃったら、国際法のどこに違反するんですかということを、防衛大臣、お答えください。
  389. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、憲法上でございまして、我が国武力行使、これを行い得るのはあくまでも新三要件、これを満たす場合に限られるわけでございます。  これは、存立危機事態の定義によりまして、それで武力行使を行うためにはあくまでも新三要件、これを満たす場合に限られますが、実際に存立危機事態において我が国武力行使を行うこととなった場合には、国際法上の根拠、これが集団的自衛権行使となるのか、そういった点で最終的に認定する場合には政府で閣議決定を行うわけでございまして、その際、対処基本方針を作成する際に、何ゆえに存立危機事態が必要なのかという理由を書くわけでございますが、その際に該当国からの要請、同意、これは書くということは必要なことでございます。
  390. 水野賢一

    水野賢一君 ちょっとこれ、憲法の話にすり替えられちゃ困るんですよ。国際法の根拠を聞いたんですから。
  391. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 座ったまま質問しないで、立って質問してください。
  392. 水野賢一

    水野賢一君 じゃ、いいですか、今、中谷大臣憲法にという話しましたけれども、私が聞いたのは、その前に自衛隊法八十八条の中に国際法規上問題があるんだと言いましたよね。国際法規上、どこに国際法上問題があるんだと、日本が単独で存立危機と認定したらと、そういうことを聞いているんです。憲法の話をしているんじゃないんです。答えてください。
  393. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 憲法上、要件三つございますが、その前提要件といたしまして国際法に従うということでございますので、同意及び要請が必要だということでございます。
  394. 水野賢一

    水野賢一君 全く納得していませんけれども、ちょっと話進めますけど、今まで要請の話していたんですけど、答弁の中に要請若しくは同意が必要という話ありますよね。要請と同意は違う話なのであって、要請というのは、普通、他国からの要請というのは、攻撃を受けた国が日本に対して自衛隊出して助けてくれというのが普通、要請ですよね。同意というのは、他国の同意というのは、こっちの方から自衛隊を出したいですけどいいですかということを言って、向こうが同意するという捉え方が普通ですよね、言葉の普通の定義からして。  そうすると、あれですか、日本武力攻撃されたわけでもないんだけど、しかも要請もないけど、こっちの方から自衛隊出しましょうと言い出すこともあり得るということですか。
  395. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) これは、同意するというのは、武力攻撃を受けた国が同意をするということであります。ですから、これは事前にこうした同意を与えている、こういったケースを想定しています。専ら条約等の形で事前にそういった同意を与えている、こういったケースを想定して、要請と併せてこういった同意、これも集団的自衛権要件として認められている、これが国際法上の考え方であります。
  396. 水野賢一

    水野賢一君 配付資料の四を御覧いただければと思うんですが、この四は、法制局の長官が、これ公明党の北側一雄議員質問に対しての答弁ですけれども、存立危機事態と認定するときの判断基準として述べたものなんですね。  これゴチックの部分にいろいろ書いてありますけど、要は、事態の発生場所だとか規模とか我が国に戦禍が及ぶ蓋然性とか、こういうようなものを基に認定するんだというふうに言っているんですよね。  ここには他国からの要請の有無なんということは一言も書いていないですけれども、これは、法制局の長官の答弁は、これは言いそびれていたというか、不正確だったということですか。
  397. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立事態につきましては、いわゆる三要件でございます。こういった答弁につきましては、その事態の認定に対して考慮をする、政府が決定をする際に考慮すべきことでございますが、その際に、認定の前提といたしまして、国際法にのっとるということが前提でございますので、それは他国からの要請若しくは同意ということがございます。
  398. 水野賢一

    水野賢一君 だから、法制局長官は、これは不正確な答弁だということですか。
  399. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この法制局の答弁は、いわゆる三要件に該当するかどうかという際の考慮事項を書いたものであると私は考えております。
  400. 水野賢一

    水野賢一君 もうあれなんですけど、じゃ、最後の配付資料の五なんですけど、これ、お騒がせの礒崎さんという方のツイッターですけれども、この方、変なことも結構言っていますが、私、このことでは筋が通った発言だと思うんですが。  礒崎氏の六月十八日のツイッターでは、質問をしている人が、認定には他国からの要請が必須ですかという質問に対して、この人は、認定の条件じゃないけど、国際法上、自衛権行使のときには必要だと言っていて、六月二十日にも同じようなツイッターで書いているんですよね。  これは、礒崎氏の発言は間違いだということですね。
  401. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この文章は礒崎氏の述べられたことでございますが、いずれにいたしましても、この武力攻撃事態の、武力攻撃を受けた国の要請、同意につきましては、存立危機事態の定義そのものには含まれていないということでございます。
  402. 水野賢一

    水野賢一君 私が聞いているのは、要は、首相補佐官という、しかも、これ安全保障問題担当の首相補佐官ですよ。しかも、日付を見たら、これ国会に提出をした後ですよ。提出をした後にこういうことを言っている補佐官と大臣答弁は明らかに違うというふうに思いますけど。  大臣、繰り返し質問をします。礒崎氏の発言が間違っているということですね。
  403. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 存立危機事態におきましては、先ほど法制局が示された内容でありますが、いわゆる三要件ですね、それで考えるということでございますが、礒崎氏が言われているのは、実際におきまして、この集団的自衛権の国際法の手続として必要であるということにつきましては、これは、政府として存立危機事態を認定する際に、この集団的自衛権の手続としては必要であるということを述べられたものではないかなと思っております。
  404. 水野賢一

    水野賢一君 いや、認定条件ではありませんと書いてあるんですよ。大臣の言っていることと全く逆なんだから、礒崎氏が間違っているということですね。改めて確認させていただきます。時間取らないでくださいよ。
  405. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 先ほども申し上げましたように、集団的自衛権行使の国際法の手続は、認定の前提と、前提といたしております。前提条件だと言っております。  いわゆる存立危機事態要件につきましては、三要件であるということでございます。(発言する者あり)
  406. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めて。    〔速記中止
  407. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  408. 中谷元

    国務大臣中谷元君) これは、私が説明した政府考え方と礒崎補佐官がツイッターにて発信した内容は特段矛盾するものではないと考えます。  すなわち、すなわち、存立事態の定義については含まれていないものでありまして、この武力攻撃を受けた国の要請、同意については、この定義そのものには含まれておらぬ、いないと。で、礒崎補佐官がツイッターで発信をされたものはこの点で理解をしておりまして、私は矛盾していないということで理解しております。
  409. 水野賢一

    水野賢一君 このように、明らかに誰が見ても矛盾していることを矛盾していないというような答弁をすることがまず間違っていますから、このような、礒崎氏に対してこれはしっかりと聞いてみなきゃいけないので、参考人招致を求めます。
  410. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本件につきましては、後の理事会で協議をいたします。
  411. 水野賢一

    水野賢一君 あと、このような明らかな矛盾を矛盾として認めない、間違いとして認めない大臣に対して、私はこの後、このまま質問を続けられないということを申し上げます。
  412. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  413. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  414. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 政府の方針としては、私が答弁したとおりでございます。礒崎氏のツイッター等につきましては、これと異なると言っても致し方ないと考えております。
  415. 水野賢一

    水野賢一君 じゃ、官房長官にわざわざ来ていただいて、お待たせして申し訳なかったですけれども、もう時間ですので最後にしますけれども、こういう間違いを平然とツイッターで述べている礒崎氏が今までのことも含めて任にふさわしいのかどうか、官房長官の今の意見を、議論を聞いての感想も含めて官房長官の御意見を聞いて、私の質問を終わります。
  416. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 今の防衛大臣答弁したとおりだろうというふうに思います。  そして、礒崎補佐官については、委員からそういう意見があったということも、そこは踏まえますけれども、本人も先般この委員会の中で反省をし、皆さんに……(発言する者あり)いえ、皆さんにしっかり対応するということをここで申し上げたというふうに思いますので、そういう中でこれからもしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。
  417. 水野賢一

    水野賢一君 時間ですので終わりますが、改めて礒崎氏の参考人招致をして、私の質問を終わります。
  418. 吉田忠智

    吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。  私も今日、実は、戦争法案の中の集団的自衛権行使の問題、それから国際法との関係について質問を予定をしておりました。やっぱり無理があるんですよね。集団的自衛権の限定行使、限定容認、そして存立危機事態という概念をつくって、そしてそれで法律の組立てをすること自体に無理があるから、やっぱり先ほどのような議論になるのではないかと思っております。  それで、国民の皆さんの理解も私、広がっていないと思います。そもそもその原因は、やっぱり憲法違反ではないのかと、この戦争法案そのものが。昨日も、広田委員とそれから総理、内閣法制局長官とのやり取りがずっとございました。ずっと平行議論。総理も法制局長官も同じ答弁を繰り返されておりました。  集団的自衛権行使議論に入る前提として、ちょっと法制局長官に確認をさせていただきたいと思います。  要は、今回の集団的自衛権行使容認ができるという憲法解釈の変更をした根拠、これは、一九七二年、昭和四十七年の政府見解、この基本的な論理を使ったと。そして、最後の結論は、集団的自衛権行使できないから、できるとしたその理由はただ一つだけ、安全保障環境が変わった。しかし、それだけでは根拠が弱いので砂川判決を持ち出した。一九五九年のこの砂川判決、自衛権について最高裁が判断をしたただ一つの例だということで、ほこりをかぶったやつを無理やり引っ張ってきた。この砂川判決の中には、まさに傍論、端っこの論ですけれども、集団的自衛権行使は否定されていない。そういう理由で今回の憲法解釈の変更をした、それを政府は一貫して説明している。  そのように私は理解しておりますが、内閣法制局長官、そういうことでいいんですか。
  419. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 無理やり砂川判決を持ち出してきたというところは違います。  昭和四十七年見解の前提として、砂川判決で述べられています我が国自衛権は否定されていないというところを前提として昭和四十七年の見解が組み立てられております。その上で、その基本的な論理の二番目として、憲法九条の下で許される自衛権行使は限定されているということで、国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆されるという急迫不正の事態対処する場合に限られるのだということを述べております。  当時におきましては、繰り返しこれまでも何度も述べておりますけれども、当時におきましてはそれに該当するのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみであるという事実認識の下で、当時の結論、すなわち我が国武力行使ができるのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという結論を述べているということでございます。
  420. 吉田忠智

    吉田忠智君 限定的であれ、集団的自衛権行使ができるというふうに解釈を変更したわけであります。  安全保障環境が変わったということを理由にして解釈を変えたのであれば、また政権が替わって、また安全保障環境が変わったということで解釈を変え得るのではないか、そういう指摘がございますけど、その点については、法制局長官、どのように答えられますか。
  421. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 我が国に対する武力攻撃が発生した場合、つまり、その場合のみが国民の生命、自由及び幸福追求権利根底から覆されるという急迫不正の事態に当たるのかどうかという事実認識、それがまた安全保障環境の変化によって変わったということを申し上げておりますけれども、それはその事実の問題でございまして、いわゆる法の解釈ということそのものではございません。その事実をどう認識するかという事実認識の問題でございますので、政権が替わったから事実認識がそう簡単に変わるということではないだろうと思います。
  422. 吉田忠智

    吉田忠智君 それは、法制局長官、理解できませんね。事実認識政権が替わって事実認識は変わらないんですか。変わるに決まっているじゃないですか、そんなこと。理解できない。
  423. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) それは、法理ではなくて事実認識の問題であるということでございます。かつ、その事実認識はやはり客観的なものでございますので、政権が自由に事実認識そのものを変えられるということではないということを申し上げたつもりでございます。
  424. 吉田忠智

    吉田忠智君 事実認識に基づいて解釈を変えたということですから、それは誰が考えても、政権が替わって、事実認識に基づいて解釈を変えるんじゃないですか。
  425. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) ですから、事実認識と申し上げているのは、まさに我が国を取り巻く安全保障環境の現状あるいは今後の推移についての予測のことでございまして、それが、その政権が勝手に自由にその事実認識を変えられるということではないのだろうと、やはり客観的、合理的に認識した事実認識に基づいて認定すべきものであろうかということを申し上げているわけでございます。
  426. 吉田忠智

    吉田忠智君 全く理解できません。  それともう一つ、先般、この特別委員会の冒頭の総括質疑で私は横畠長官に質問してお答えいただけませんでしたが、私が今回の特別委員会質疑で一番やっぱりショックを受けたというか、これは大変な事態だと思ったのは、衆議院特別委員会の参考人質疑に出てこられた内閣法制局長官OBが、議事録の残る場で出てこられて、憲法違反だと、現に国会議論されている法案について法制局長官経験者が憲法違反だと、宮崎先生それから阪田先生言われましたけれども、前例がありませんよ。  このことについてはどのように思われますか、長官。
  427. 横畠裕介

    政府特別補佐人横畠裕介君) 元内閣法制局長官でございますが、現時点におきましては民間、官職にない民間の方でございます。国会において発言されたこと、それはそれなりの見識かとは思いますけれども、それについて私どもとしてコメントすることはございません。
  428. 吉田忠智

    吉田忠智君 憲法の番人と内閣法制局は言われました。残念ながら、番人の役割を果たしていないということを申し上げたいと思います。  これからまたこの問題については、国民の皆さんが一番今回の戦争法案でやっぱり疑問に思っている点でありますから、ほかの党の皆さんも是非また本質的な議論をしていただきたいと思います。  それで、今日、実は先ほど水野委員もそれから小野委員も取り上げられました件について、もう先ほど議論がありまして、他国からの要請ですね、それについては必要だということで中谷大臣から明快な答弁がありました。  改めて確認をします。ニカラグア判決で示された二要件武力攻撃の犠牲国による武力攻撃を受けた事実の宣言、それから他国への要請というこの二要件、これは法文上明記をされていませんけれども、そのことについての理由、改めてお伺いします。
  429. 中谷元

    国務大臣中谷元君) まず、我が国集団的自衛権行使するに際しまして、武力攻撃を受けた国の要請、同意が存在しないにもかかわらず対処基本方針を定めることもございませんし、これに際して、認定をするためには武力攻撃を受けた国の要請、同意が必要となります。  このことにつきましては、二つ、自衛隊法八十八条に国際的な法規に従うと書いているということと、この対処基本方針を定める際に攻撃を受けた国の要請、同意が存在していると、そういうことを理由に明記をするという二点でございます。したがって、法案に書く必要はないということでございます。
  430. 吉田忠智

    吉田忠智君 もう一点、中谷大臣に確認させていただきたいと思いますが、本法案によって集団的自衛権行使対象となる密接な関係にある外国は、当然のことながら米国だけではありません。個別具体的な事例に即して総合的に判断されることとされています。いわゆる新三要件の適否も政権が総合的に判断することとなっています。  集団的自衛権が恣意的に発動されるおそれがあるのではないかということも、もちろん国民の皆さん、不安として広がっていますけれども、密接な関係にある外国、この判断基準を明らかにしてください。
  431. 中谷元

    国務大臣中谷元君) どのような国が我が国と密接な関係にある他国に当たるかにつきましては、あらかじめ特定されているものではなくて、武力攻撃が発生した段階において個別具体的な状況において判断をするわけでございますが、累次お話をいたしているとおり、共通の危険として対処するという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものであると考えております。
  432. 吉田忠智

    吉田忠智君 ニカラグア事件判決は、アメリカがコントラというニカラグアの反政府武装勢力を集団的自衛権を理由に支援したことが不当であったということであります。  本法案によって集団的自衛権行使対象となる密接な関係にある外国には、我が国承認していない国、それから国連に加盟していない国、国に準ずる組織、他国内部の武装勢力等は含まれますか。
  433. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、対象となるものは国家とされています。そして、その中には、御指摘のように、未承認国あるいは国連に加盟していない国、これは含まれると解されます。
  434. 吉田忠智

    吉田忠智君 ちょっと確認しますが、我が国承認していない台湾は密接な関係にある外国に含まれますか。イエス、ノーでお答えください。
  435. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、台湾につきましては、サンフランシスコ条約に基づいて、我が国は全ての権原、法的立場を放棄しております。よって、台湾につきまして何か法的な立場を申し上げることは適切ではないと考えております。
  436. 吉田忠智

    吉田忠智君 はっきり答えてください。
  437. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 台湾につきましては、従来から、政府として先ほど申し上げたような答弁をさせていただいております。  サンフランシスコ平和条約二条だったと思いますが、これによりまして、全ての権利、そして権原、そして請求権、これを放棄しております。  台湾の法的地位に関して独自の認定を行う立場にはない、このように申し上げております。
  438. 吉田忠智

    吉田忠智君 密接な関係にある国に含まれるかどうかだけ答えてください。イエスかノーか。
  439. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げました。台湾の法的立場について認定を行う立場にはない、これが我が国の立場であります。(発言する者あり)
  440. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記止めて。    〔速記中止
  441. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
  442. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御質問の台湾についてですが、私の立場からお答えできるのは先ほど申し上げたとおりであります。それ以上のことはお答えすることはできかねます。御了承いただきたいと存じます。
  443. 吉田忠智

    吉田忠智君 納得できませんけれども、いずれにしても、密接な関係にある外国と言いながら、無限定に対象が拡大をしていく可能性があるわけです。この法案の危険性が表れていると思います。  委員長、いずれにしても、本法案によって集団的自衛権行使対象となる密接な関係にある外国の判断基準について、政府の統一見解を理事会に提出するよう求めたいと思います。
  444. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本件につきましては、後の理事会にて諮ることといたします。
  445. 吉田忠智

    吉田忠智君 それでは、時間がなくなりましたが、外務大臣に最後にもう一点質問します。  集団的自衛権行使の内容を吟味して要件を明らかにしたことから、ニカラグア事件判決がしばしば引用されるわけであります。国際司法裁判所は、アメリカ集団的自衛権行使の違法性を認定をして、アメリカに賠償を求めております。アメリカは、ICJ判決に従わず、御案内のとおり、判決履行を求める安保理決議に拒否権を行使をして、国連総会の四度にわたる判決履行を求める決議を無視して、ついには、ニカラグアの政権を親米政権に替えて、提訴を取り下げてしまいました。  ICJの判決や国連総会決議に反する、自国の集団的自衛権行使に対する独自の判断に固執するアメリカの態度について、外務大臣、どう思われますか。これも答えられない。
  446. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) ニカラグア判決につきましては、結論としまして、米国による行為の集団的自衛権による正当化、これを退けたものだと了承をしております。そして、その後の対応につきましては、我が国としまして、これは第三国間のやり取りであります。それに対しまして有権的に何か申し上げる立場にはありません。  いずれにしましても、我が国としましては、こうした国際法上の判決、あるいは様々な具体例の下に確立されました国際法上の原則をしっかり守りながら我が国の取組を考えるべきだと考えます。
  447. 吉田忠智

    吉田忠智君 ありがとうございました。  この続きは、また二十八日にさせていただきます。
  448. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎です。  いきなりですけれども、通告なしの質問です。  日本国憲法第十八条にはこうあります。「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」。これは、人を奴隷的拘束に置くこと、通常考えられる以上の苦痛を伴うような強制的な労務は、犯罪による処罰以外では、たとえ本人の同意があったとしても絶対的に禁止だよということですよね。  日本国憲法第十八条を根拠として、徴兵制は我が国では憲法違反であるという理解でよろしいでしょうか、防衛大臣
  449. 中谷元

    国務大臣中谷元君) そもそも、徴兵制は憲法十八条が禁止する意に反する苦役に該当する明白な憲法違反でありまして、徴兵制の導入は全くないということでございます。
  450. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございました。通告なしの質問にもばっちりのお答えをいただきました。  これ、特に意に反するという部分、意に反するという部分が一番のポイントであり、大切な重要なところだと思いますけれども、いかがお考えですか、大臣
  451. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 戦後の日本は、自由そして民主主義、これが基本でありまして、この自由主義、民主主義に反しているということで、大事な規定だと思っております。
  452. 山本太郎

    山本太郎君 意に反するということがすごく重要な部分だということをおっしゃってくださったんですよね。ありがとうございます。  では、パネルをお願いします。(資料提示)  先ほど、お名前の間違いがありました。前原キンイチさんではございません、前原カネイチさんでございます。是非、覚えてさしあげてください。  本日は、八月三日に質問を私がいたしました経済的徴兵制の続きでございます。  パネル、配付資料でお示ししましたのは、昨年五月二十六日、文部科学省の学生への経済的支援の在り方に関する検討会議事録、当時、経済同友会専務理事の前原金一さんの発言です。この前原さん、奨学金の日本学生支援機構での立場が二転三転したんですよ。というのも、この八月三日の委員会に是非お呼びしたいということでスケジュールをお伺いしたんですけれども、その立場が二転三転したという話を今からしたいと思うんです。  日本学生支援機構にそのことについて、あれどうなった、あのときのこと、あのときの混乱どうなったと、スケジュールのことを改めて確認しましたところ、前原さんは、質問当日の八月三日はまだ日本学生支援機構運営評議会委員だったんですけれども、質問の翌日の八月四日に退任手続が完了して、八月一日付けで日本学生支援機構運営評議会委員を退任したそうなんですよね。何でこんなややこしいことをするのか、よく分からないなというね。だったら委員会呼べたんじゃないのかとも思うんですけれども、よく分からないな、やっていることがという話なんです。  参考人としてお呼びすることを理事会でも協議していただいたんですけれども、残念ながら、経済同友会の壁は厚かったのか、駄目でした。  話を進めます。  パネルの下の部分、資料の下の方ですかね、前原さんの発言がございます。百数十万人いる無職の者の就職対策として、防衛省は二年コースのインターンシップをやってもいいと言っているという発言について、中谷防衛大臣、先日、防衛省では前原氏に対して、企業が新規採用者を二年間自衛隊に実習生として派遣するとのプログラムのイメージについてお示ししたことはございます、プログラムのイメージについてお示しをしたことはございますとお答えになられました。  パネルを替えていただきました。  防衛省が作ったというプログラムのイメージをパネルにいたしました。皆様はお手元に資料があると思います。これ、先ほど共産党さんも出されていましたよね。これ、タイトルがあります。「これって、新しいタイプの「徴兵制」じゃないの?!」というのは、こちら、私で勝手に付けました。もちろんですよね。その下の部分が防衛省から提出してもらったものです。  防衛省説明では、二年ほど前、内閣官房副長官補室の再チャレンジ担当者から経済同友会、前原さんの意向が伝えられ、防衛省で作成したということでした。内閣官房、これ事実でしょうか。その経緯について簡潔明瞭に御説明いただきたいのですが。
  453. 岩渕豊

    政府参考人(岩渕豊君) 御説明申し上げます。  政府におきましては、平成二十五年の二月から若者・女性活躍推進フォーラムを開催し、再チャレンジ担当大臣の下で若者の活躍に関する取組についての検討を行い、提言を取りまとめました。その過程で、就職・採用活動開始時期の変更について経済三団体に事務方から説明に伺いました。  経済同友会につきましては、当時この件を担当されていた前原金一副代表幹事・専務理事に説明いたしましたが、その際に先方から、若者が自衛隊において研修することについての提案がありましたので、防衛省にその旨をお伝えいたしました。
  454. 山本太郎

    山本太郎君 以上ですか。  この経済同友会の前原さんという人の意向が伝えられるとどうして防衛省はこういうものを作ってくるのかというのが、訳が分からないですよね、よく分からないなと。今日はその内容について質問していきたいと思います。  この防衛省が作成いたしました「長期 自衛隊インターンシップ・プログラム(イメージ)」、「企業と提携した人材確保育成プログラム」ですけれども、これは防衛省の誰の責任で作成し、誰の決裁で前原氏に提出し、そして当時の防衛大臣は小野寺さんですかね、知っていたんでしょうか。簡潔に御説明ください。
  455. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 防衛省におきましては、今委員おっしゃいました前原氏に対しまして、企業が新規採用者を二年間自衛隊に実習生として派遣するというプログラムのイメージにつきましてお示ししております。これは、自衛隊へのインターンシップ受入れにつきまして前原氏側から関心が示されたと。それを受けまして、防衛省の任期制自衛官制度に当てはめた場合のプログラムのイメージの一案、そういうものとして、課題も含めて当時お示しをいたしたものでございます。  あくまで部外の有識者に対しお示しするイメージの一案、これを担当課において作成したものでございまして、当時の防衛大臣に対して報告あるいは説明をしたというものではないというふうに承知をいたしております。
  456. 山本太郎

    山本太郎君 大臣も知らなかったって。だって、防衛省の人間使ったんですよ。話聞いたら、これ三、四人で作りましたと、二か月ぐらい掛かってと。防衛省の人間を使って、しかも税金で食っている人たちですよ。なのに、大臣はそんなこと知らないんですかという話なんですよね。  で、誰が作ったんですかという話についてはちょっと具体的には聞けなかったような感じがするんですけれども、そうでもなかったですか。(発言する者あり)ありがとうございます。具体的にお願いします。何々課、誰々ですか。
  457. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 先ほど担当課と申しましたが、この担当課は人事教育局の人材育成課でございます。
  458. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  なるほど、そうですか。(発言する者あり)あっ、そのとき関わっていたんですか、御本人。そのときは部署が違かったんですかね。
  459. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) これは二十五年当時でございますので、私自身はこれには関わっておりません。
  460. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  後ろからリクエスト来るので、ついでに聞いてみたいと思います。局長は知っているのかという檄が飛びましたので、局長さんは御存じだったんでしょうか、このことは。
  461. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 質問ですか、今。
  462. 山本太郎

    山本太郎君 はい、そうです。委員長、済みません。
  463. 真部朗

    政府参考人(真部朗君) 当時の局長にまで報告なり説明なりはしたというところの確認は取れておりません。
  464. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  じゃ、それを確認していただいて理事会に報告していただけるように、お取り計らいをよろしくお願いいたします。
  465. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後の理事会で諮ります。
  466. 山本太郎

    山本太郎君 戻ります。このパネル、このイメージの内容に戻りますと、見てみると、企業側から見れば、新規採用者、二年間、自衛隊に実習生として派遣するとあります。実習生とは言っているんですけれども、自衛隊側から見ると、二年間、任期制自衛官として正式に採用、給料も自衛隊が支給すると、給与等も自衛隊支給。まさに自衛隊員そのものになりますよというお話なんです。  防衛省側のメリットとしては、厳しい募集環境の中、援護不要の若くて有為な人材を毎年一定数確保することができる、企業側との関係が進めば、将来的には予備自衛官としての活用も視野と書いてあります。  これって、企業に正社員として採用されたが、本人が望んでいないのに、企業の指示、命令で二年間、自衛隊員として勤務させられるということになるんじゃないですか。これ、まさに本人の意に反する自衛隊勤務ってことになりますよね。これって新しいタイプの徴兵制じゃないのって思うんですけど、大臣、どう思われますか、防衛大臣
  467. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 当時の担当者から意見を聞いたわけじゃございませんが、あくまでも二年に限ったインターンシップということでございまして、これを、将来も拘束するという意図もない、純粋にインターンシップとして捉えていたのではないかと思います。  なお、この点につきまして、身分、給与、採用選考などの様々な点で課題はたくさんあるわけでございまして、この中身、具体的な検討についてはその後行っていないというふうに聞いております。
  468. 山本太郎

    山本太郎君 今やられていないから別に問題ないじゃないかという話ではないと思うんですよ。こんなことが行われていたという事実があるんですよね。  岸田大臣、これ、またついでにと言ったらおかしいんですけれども、その流れでちょっとお聞きしたいんですけれども。昨日はありがとうございました。総理が答えないことを大臣が答えられる範囲で答えていただけて、ありがとうございました。  話は戻るんですけれども、再チャレンジ担当大臣でいらっしゃったんですよね、以前。ちょうど二〇〇七年ぐらいですか、夏ぐらいに。その絡みということもあるわけなんですけれども、これ、ニュータイプの徴兵制というにおいというか、何かぱっと聞いてみて、何かそんな感じというのを大臣自身は受けないですか。短めにコメントいただけると助かります。
  469. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 少なくとも、私、そのプログラムを拝見しまして、ニュータイプの徴兵制だということは感じておりません。
  470. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございました。  資料に戻ります。真ん中の段、企業側のメリットと書かれた一ポツ目、「企業側のメリット」、こんなことありますって書かれています。「自衛隊で鍛えられた自衛隊製「体育会系」人材を毎年、一定数確保することが可能。」という宣伝文句にしているんですよ。  そんなつもりで元々いた会社の面接を受けた人ってほぼいませんよね、自分がまさか自衛隊製の体育会系人材にされると思って。だったら、元々自衛隊の面接受けてますって話ですよね、それが希望だったら。何なんだ、それって。企業の指示、命令で二年間、自衛隊員として勤務させられるという、まさに本人の意に反する自衛隊勤務。憲法第十八条違反じゃないですか、これって。  中谷大臣、今後とも、防衛装備調達など防衛省自衛隊とつながりのある企業も含めて、このような企業と連携した自衛官の採用ということ、行うことはないんだというふうに断言していただけますか。
  471. 中谷元

    国務大臣中谷元君) この目的というのは、インターンシップということで短期間に学ぶというのが目的ではないかなと思っておりますが、企業側のメリットにつきましては企業側の方がお考えになったことでございます。  しかし、このような徴兵制を狙うとか、その人の意に反して拘束するとか、そういう気持ちは毛頭ございませんし、そういう計画は私は作らせません。
  472. 山本太郎

    山本太郎君 もう普通に考えて、二年間、インターンシップという名の下に、元々行っていた会社、自衛隊に行くつもりじゃなかったのに行かされてというような状況をつくるということ自体がもう憲法十八条違反になっているということなんですよ。それを感じもせずに、経済団体のおじさんと、そして防衛省の人間が一緒になってそのイメージつくりましたみたいな感じでやり取りやられていること自体が恐ろしいという話なんです。でも、そういうことはしない、この先しないということが確認されたと思います。  続きまして、パネルの上の方になりますかね、前原さんが奨学金の延滞者情報を求めた、奨学金延滞者情報を欲しい、求めていた件。八月三日の質疑で、日本学生支援機構は、個別の延滞者の情報について、前原委員あるいは防衛省、他省庁に提供したり、防衛省や他省庁から問合せを受けた事実はございませんと答弁されました。  下村大臣、お待たせいたしました、申し訳ございません。今後とも、防衛省や他省庁に対して個別の延滞者の情報を提供することはないと断言していただけますか。
  473. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) おっしゃるとおりでありまして、この奨学金に関する個別の延滞者の情報について、日本学生支援機構は、防衛省や他省庁に対してこれまで情報提供を行ったこともございませんし、今後も提供を行うことは考えておりません。
  474. 山本太郎

    山本太郎君 ありがとうございます。  下村大臣、先日テレビ番組で、低所得者の方の奨学金の返済について、マイナンバーを活用して返済猶予など所得連動型返済制度をつくると言われていたんですけれども、これちょっと少し不安になるんですね。もちろん、奨学金返済について、もっと若い人たちの負担が軽くなるようなことを考えてくださっていると思うんですけど、少し心配がある。それは何か、マイナンバーなんですよ。  例えば、マイナンバーのような共通番号制度を取り入れたアメリカでは、年間九百万件を超える成り済まし、損失額は二〇〇六年からの二年間で被害が約二兆円ですって。共通番号制度はやばい、セキュリティー万全なんて無理ということがもう世界中のこれ主流なんですよね。目的別にばらばらの番号制に移行しているのが現実なんですよ。  それだけじゃなく、奨学金情報が防衛省に伝わってというか共有されてしまったりとか、延滞者リストなど奨学金情報が自衛官募集に利用されることになるんじゃないかなというふうにちょっと不安になるんですけれども、それもないんだということをはっきりと言っていただきたいとともに、もしも、今大臣が考えていらっしゃっている奨学金の全無利子化、そして所得連動型の返還制度というものにおいてマイナンバーを使うというお気持ちがあるんだったら、それを使わないという選択肢もそれを申請する人たちが選べるということをお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  475. 下村博文

    国務大臣(下村博文君) 我が国で考えられておりますマイナンバー制度において取り扱うことができる個人情報は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法におきまして規定されている所得とかそれから年金の受給等に関する情報、これにもう限定しているわけであります。日本学生支援機構の奨学金の延滞者等に関する情報は含まれておりません。ですから、当然、防衛省等の日本学生支援機構以外の機関が延滞者の情報を利用することはできないわけでございます。  そして、この所得連動返還型奨学金制度をなぜ導入しようと考えているのかは、年収三百万以下については返済猶予をすると。それが必ずしも若いときだけでなく、場合によっては失業するとかいう形で、四十代、五十代でもそういうときがあるかもしれません。そのときに、所得証明が三百万以下であればその期間は返済しなくてもいいと、そういうような非常に使い勝手のいいことを考えておりますし、所得に合わせて返済額も決めていくという意味では、これはマイナンバーできちっと所得を把握するという意味では重要なことだと思います。  ただ、どうしてもそれが嫌だということであれば、その方が毎年毎年所得証明書を役所に行って取って、そして支援機構に出さなければいけないということですから、相当手続的にはかえって利用者にとっては煩雑になるのではないかと思います。理論的にはそれは可能でありますが、やはりマイナンバーを活用するということの方が利用者にとっては十分なメリットがあるのではないかと思います。
  476. 山本太郎

    山本太郎君 時間が来たのでまとめたいと思うんですけれども、とにかく防衛省による若い人たちのリクルート、その情報の吸い取りというのはすごいんですね。全国のほとんど全ての市区町村から、中学三年生と、十七歳から二十三歳までの合計七世代の若者の住所、氏名、性別、生年月日、個人情報を収集している。  次回予告なんですけれども、八重山毎日新聞で報じられました戸別訪問でやりたいと思います。  ありがとうございました。
  477. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 委員長始め大臣方も御苦労さまです。  それでは、今日は、この安保法制を含めて財務省に聞きましたら初めてだということについて質問をいたしてまいります。(資料提示)  これは、パネルを出しましたけど、A、B、C、D、Eまで極端に言えば含まれるんですが、予算です。ある事態が起きた場合、特に分かりやすいので、皆さんの資料でいうとDの場合ですね、存立危機事態について、ホルムズ海峡での機雷掃海というのを特例として例示は挙げられているわけです。するかどうかはまた別だろうと思いますが、例示で挙げられている。  では、この場合、期間や処理量などで一概に積算はできないと思いますが、計上できる範囲でいいので、どの程度の予算規模が必要か、想定されるおおむねの予算を防衛省担当者、御説明ください。
  478. 深山延暁

    政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。  今まさに先生からお話のありましたように、実際に発生した事態に対応する上では、どのような体制になるかということは一概に推測できませんのでなかなか難しゅうございます。そのために、過去の例をもってお答えさせていただきたいと思いますが、過去、平成三年にペルシャ湾掃海、機雷除去のために掃海艇を派遣したことがございました。このときの派遣規模は、隊員が五百十名、掃海艇四隻、掃海母艦一隻、補給艦一隻、日本出港から戻るまでが約半年、現地で活動したのが約三か月でございますが、このときに追加費用として掛かりましたものが当時の価格で十三億円という記録が残っております。  以上でございます。
  479. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 このケースが発生して、つまりホルムズでの場合ですね、このケースが発生してから、そのための予算はいつ、どこから支出するんでしょうか。あらかじめ特別予算に予備的に計上しておくとか、防衛予算の中で取りあえずやりくりして捻出するんだとか、こういったことだろうと思いますが、財務省の担当者にお尋ねします。
  480. 可部哲生

    政府参考人(可部哲生君) お答えいたします。  ただいま防衛省から御答弁申し上げましたように、個別具体的な活動内容あるいはその規模、こういったものが異なりますことから、どのような財政措置が必要となるか一概にお答え申し上げることはなかなか難しゅうございますけれども、一般論として申し上げますと、自衛隊の活動に伴って必要となります各種の経費につきましては、まずは各年度の当初予算の執行により対応いたしますとともに、当初予算編成時に見込むことができず、また既定経費での対応も困難である場合には、必要に応じて、ただいま御指摘ございましたように、補正予算あるいは予備費で対応することになろうかと存じます。
  481. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 それでは、その予備費なんですが、防衛省の中の予備費ですか、それとも国家財政の中の、いわゆる予算の中の予備費なんでしょうか。この辺、お答えを。
  482. 可部哲生

    政府参考人(可部哲生君) 政府全体としての予備費でございます。
  483. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 それはそうなんだと思うんですね。心配しちゃうんですね、大臣。最初から防衛予算の予備費にそんなもの計上されていたら、もう好きこのんで自衛隊を派遣するようなものですから。だからここはきちんとしてもらわなくちゃいけないということで、これは明確ですね。  では、さらに財務省にお尋ねします。  これは、そういう事態が発生するんですから、それを予防しているんですから、最初から予算に組んでいるなんということ自体があり得ないんですね。抑止力で抑えていくんです。  そうなりますと、先ほど補正予算ということがありました。財政措置として補正予算でやっていくんだということをお話しになりましたが、対処中かその対処後に、つまり、補正も含めて、臨時国会等を含めて国会において予算計上されると、こういうことでよろしいでしょうか。つまり、国会で、その必要となった行為に対する予算、その正当性が国会議論されるということでよろしいでしょうか、財務省。
  484. 可部哲生

    政府参考人(可部哲生君) 先ほど申し上げましたとおり、具体的にどのような財政措置が必要となるかは、その事案の中身、規模によって異なります。場合によっては当初予算のみで対応ができる場合もあろうかと思いますし、補正予算でございますけれども、年度末に不足する場合もあれば、そもそも執行前から不足しているという事態もあろうと思いますので、それは一概には申し上げるのは難しいと思います。
  485. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 つまり、期間やタイムですね、時間、期間が掛かったり、大規模に自衛隊が派遣される、適正な最小限の武力行使というふうな場合も含めての、最小限であっても、どこからのお金か、これは言えない。国会承認で補正予算などで組むという場合には我々はその正当性指摘できるんですが、少額の場合はもう例えば防衛省の予算の中でできることもあり得るということなんです。そうなれば、決算で認定するしかないんです、この行為は正しかったかどうかということは。これも参議院の重要な役割になってきます、決算は。  ということは、事前に、この行為が我が国にとって、国民も含めた国益、国民益にかなっているかということをやっぱりこの国会で十分に審議しておく必要があるということです。予算の面からは歯止めがなかなか利きづらいということを御指摘申し上げておきたいというふうに思います。  よって、一定の期間ごとに再承認の手続はしていかなければならないということです。二年はいかにも長いケースがあるということです。こういったことを指摘させていただきます。  二つ目でございます。これは、今回の法案で、PKO法存立危機事態を定める事態対処法及び重要影響事態法、これは原則国会の事前承認ですが、例外で事後もあるんです。このA、B、C、DでいうとBだけ、これは全て例外なく事前の国会承認です。自衛隊を派遣するときは、Bだけは事前承認です。Eというのは、直接日本がミサイル等で攻められていますから、ここは外します。ここは事前承認なんかしている場合がありません。ですから、AからDを問題にいたしますが、Bだけは例外なく事前承認なんです。ところが、A、C、Dは、これにおいては事後承認を認めているんですね。これは度々もう各委員指摘しているところです。  じゃ、その法律を見てみます。どういう理由で例外的に事後承認にしているか。規定は同一でありません。PKO法では、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散している場合、これは事後承認を認めるというふうになっているんですね。これは国際関係のところです。  じゃ、こちらでいうところのCの場合ですね、事態対処の場合、この場合はどういうふうに書いてあるかというと、済みません、Dの方ですね、D。緊急の必要があり、事前に国会承認を得るいとまがない場合と言っている。その隣のCの場合です、重要影響事態、緊急の必要がある場合と言っているんです。Dの場合は、緊急の必要があり、事前に国会承認を得るいとまがない場合と書き、そしてCの場合、重要影響事態は緊急の必要がある場合と言うんです。  どうしてこのように書きぶりを変えたんでしょうか。どうしてこの書きぶりを変えているんでしょうか。防衛大臣
  486. 中谷元

    国務大臣中谷元君) PKO法、また重要影響事態法等の国会承認規定、それらの制定時になされたこれは議員修正によるものでありまして、こういった経緯もあって、その文言について必ずしも統一的な表現にはなっていないというふうに認識しております。  事態対処法における場合、また重要影響事態法における場合、これはその表現に差異はありますけれども、いずれも事後承認を認めなければ我が国の平和及び安全の確保に支障を来す可能性がある緊急時に例外的に国会の事後承認を認めるというものでございます。これに対して、PKO法の場合におきましては、次期国会の開催を待っていては国際社会の期待にタイムリーに応えることができないというようなことも想定されることから、そのような場合には例外的に国会の事後承認を認めるものでありまして、それぞれその事情によって法案が作られたということでございますが、しかし、原則はあくまでも事前承認ということでございますので、政府としては可能な限り国会の事前承認を追求していく考えでございます。
  487. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 議員立法等々で修正もなされたけれども同じ意味合いであるということでありますけれども、この閉会中、PKO法の場合は結構客観的なんですよ、国会が閉会中又は衆議院が解散している場合と、具体的でしょう。ところが、まさに我が国と密接な関係が出てくる重要事態、そして存立危機事態、こういったところにいきますと緊急ということだけなんですよ。これまでも総理からも大臣からも、両大臣からも説明がありましたが、この緊急の中身というのが、私は緊急の名を借りたフリーハンドだと思っているんです。なるほど、分かるような気がしますよ、急なことが出てくるということは。  しかし、実際にそういう事態がどういう事態かというと、具体的にその事案が発生したときに判断すると言っているし、昨日から言っているように手続は一つ一つ踏むわけですね。判断する段取りを経ていくわけです。果たしてそういう緊急というのはどういう緊急なんだろうというと、ここで言いますところのE、つまり、日本が直接並行して攻められているような状態ないしは日本が直接、武力攻撃事態と言いますが、直接攻められている事態ということで、個別的自衛権対処するべき内容ではないかと、こう指摘している議員も政党も多いわけなんですね。ですから、ここに心配が非常にあるということですから、事前承認というのは非常に重要なところになってまいります。  そこで、では、事前承認しないで事後承認した場合、どっちがリスクが大きいかということを考えてみたいと思います。  仮に、よしんば緊急ということで事後承認にした場合のリスクと、事後承認をしてしまったときの後で国会にかけたということですね、このときのリスク、どっちが重いかということを検証してみたいんです。私は、事後承認による撤退のリスクという概念を提供したいと思います。事後承認をした場合に撤退のリスクが出てくるという考え方です。  外務省にお尋ねします。  政府案では事後承認を認める規定は多いんですが、事後承認とした場合、国会が不承認とした、これは駄目だ、正当性がないと。法律規定上、海外に展開してしまった自衛隊は撤退しなければならないことでよろしいですね。
  488. 前田哲

    政府参考人(前田哲君) お答えいたします。  今回の平和安全法制において、例外的に事後の国会承認が認められている自衛隊の活動、これにつきましては、国会により不承認の決議があった場合には活動を終了しなくてはならない旨、明確に規定されております。先生のおっしゃるとおりでございます。
  489. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 では、自衛隊が派遣してしまって撤退を国会が言った場合、撤退しなくちゃいけない。撤退のリスクを御説明ください。  まず、防衛大臣には、自衛隊の皆さんのリスク、それから共同対処していた他国への影響やリスク、この御説明をいただいて、その後、外務大臣には、やっぱり共同して対処した政府といいますかね、そういったところ、それから国際的に受ける批判あるいは影響、こういった観点から、両大臣からそのリスクを説明していただければと思います。
  490. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 国会というのは最大のシビリアンコントロールでございますので、国会の決定には従わざるを得ませんが、しかし、緊急の場合におきましては、政府としては国の安全、国民の生命、財産を守るために対応をしておく必要がございまして、そういう場合に、国会承認のいとまがないケースにおきましては例外としまして事後承認ということでございますが、リスクといたしましては、やはり政府として、この国の安全を確保できない、人命を守ることができないといった支障が発生する可能性というものはございますし、隊員等につきましても非常に対応等につきましても混乱が生じ得る可能性も出てくるということでございます。
  491. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、仮に国会が不承認という議決を行ったならば自衛隊は当該活動を終了しなければなりません。そして、今、自衛隊の活動における安全面等につきましては防衛大臣からありました。  一方、国際社会に対してどのように説明するか、この部分を外務省として担わなければならないわけですが、やはり我が国は民主国家であります。民主国家として議決には従わなければならない、こういった点も含めて関係各国にしかるべく理解を求めていかなければなりません。そういった観点から丁寧に説明をし、理解を求めていくことになると考えます。
  492. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 自衛隊を出すのに正当性がないと国会が判断した場合、撤退せざるを得ない。撤退すれば、共同対処していた相手国軍が厳しくなる、状況が厳しくなるおそれがあります。撤退する場合の攻撃される危険性も出てまいります。そして、世界中は、出しておきながら、今度は、言葉が悪いんですが、逃げるのかと言う国々も現れるかもしれません。多大な影響をしょいます。  その多大な影響をしょったときに、国会が、出てしまったときに、正当性はないけれども、実は撤退させることをちゅうちょしてしまいかねない問題を私は撤退のリスクと言っているんです。つまり、国会が、正当性はないと思っても、引くことのマイナスを考慮してやむを得ないと追認する機関に成り下がってしまうという問題なんです。  この問題をきちんと整理するために、例外なく事前承認をすることの方が、世界にも、そして抑止力にもなるし、そして正当性が付きますから、政府国会が共に判断をして、自衛隊の皆さんを拍手して頼むぞと送り出さなきゃならないし、駄目なときは駄目と言う歯止めをすることがそこに関わってくるということでございます。  取りあえず、今日は以上で終わります。
  493. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  これにて散会をいたします。    午後五時五十四分散会